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1974-05-23 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十三日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    小沢 一郎君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    諫山  博君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林大臣官房審         議官      松本 作衛君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         農林省畜産局長 澤邊  守君         食糧庁長官   三善 信二君 委員外出席者         経済企画庁総合         開発局管理課長 鶴  哲夫君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      柴田 益男君         建設省河川局水         政課長     佐藤 毅三君         建設省河川局開         発課長     宮内  章君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    川崎 精一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   神田 大作君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     神田 大作君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(塩水害による水  田問題等及び米価問題等)  昭和四十九年産米価決定等に関する件      ――――◇―――――
  2. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、委員長の指定により、暫時私が委員長の職務を行ないますので、よろしくお願いいたします。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産業振興に関する件、すなわち塩水害による水田問題等について、本日、水資源開発公団理事川崎精一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  5. 今井勇

    今井委員 私は、私の故郷のあります南予ミカンの問題について、若干の質疑をいたしたいと思います。これから私がミカンと申し上げるのは、おもに温州ミカンについての質疑に限定をいたしたいというふうに考えますので、そういうふうに御承知を願いたいと思います。  去る四月二十五日に、東京の九段会館で、ミカン生産地農民が多数集まりまして、ミカン危機突破全国生産者大会というものを開催いたしました。そこでいろいろな決議がなされておりますが、その声を要約いたしますれば、ミカンが二年連続してたいへん暴落をいたしまして、生産費を償うことができないという事態を迎え、また、今後の天候状況等に急激な変化がない限り、四十九年産ミカンもまた相当な量の増産が予想され、したがって、価格も三年連続して暴落するであろう、これではいよいよミカン農家が立ち行かなくなるというふうな危機感がありまして、やむにやまれず立ち上がったということであろうと思います。  そこで、まず政府お尋ねをいたしたいのですが、果樹農業振興特別措置法、いわゆる果振法の第二条によって基本方針をきめられておりますが、それを拝見いたしますと、昭和五十六年のミカン需給バランスは四百二十万トンというふうに年間を見込んでおられるようでありますが、過去二年ほど、あるいはことしの作柄等見込みを立ててまいりますと、目標をはるかにオーバーするのではなかろうかというふうに私は考えております。  そこで、政府は、今後の見通しについて、ミカン需給バランスを一体どのように把握しておられるのか、まずその御認識からお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 松元威雄

    松元政府委員 お話し果樹農業振興基本方針におきましては、五十六年度のミカン生産目標需要見通しに即しまして約四百二十万トンときめていることはそのとおりでございますが、それに対しまして、最近のミカン生産動向でございますが、いま御指摘がございましたとおり、四十七年は三百五十七万トンと、前年に対しまして百万トン以上ふえたわけでございます。これは表年でございましたが、引き続き四十八年も、これは裏年でございましたが、三百三十九万トンという生産を示しているわけでございまして、四十七年は大豊作でございましたが、いわゆる裏年という四十八年もこういった生産を示している。  したがいまして、この生産動向からしますと、先々はもっと生産がふえるのではなかろうかという御指摘かと存じますが、これにつきましては、一つ面積要因、もう一つ反収要因について考えなければならぬというふうに考えているわけでございます。特に、この両年は非常に暖冬でございましたし、それから、生育の成熟期もきわめて天候がよかったという要因があったわけでございます。したがいまして、反収の増というのは天候状態による要因が大部分であろうと思っておりますが、しかし、この二カ年の状況を見ますと、単に天候だけであろうかということもわれわれは十分検討しなければならない。一部では、たとえば密植栽培が進んでおりますし、それからまた面積もかなりふえているという要因もあるわけでございます。  そこで、反収につきましては、基本的には両年天候条件が非常によかったのが基本であろうと思っておりますが、なお、反収動向についてわれわれは十分に分析をしなければならない。それからまた植栽面積につきましても、これは基本方針で従来から植栽目標を定めていたわけでございますが、これを上回る傾向があったということは事実でございまして、最近はこれが少し鈍化してまいりまして、四十七年にいまの目標をきめたわけでございますが、その場合、年平均三千ヘクタールという目標にしているわけでございます。四十七年はそれを上回ったわけでございますが、四十八年はそれより少し減っているという傾向もございますのですが、これまでが目標を上回る傾向にございましたものですから、植栽目標範囲にとどめるように指導をしている次第でございます。  したがいまして、四十七年、四十八年の生産量は主として天候要因によるものが大きいと私たちは思っておりますが、しかし、栽培のしかたということによる影響もあろうかと思っておりますし、それから、これまで植栽面積目標を上回るという傾向にあったということも事実でございますし、それから、また、もちろん若木の生長という要因もございます。したがいまして、この反収動向、さらに植栽目標範囲にとどめるように強力な指導をしなければならぬということでございまして、現段階におきまして、これが五十六年の目標数量に対して恒常的に上回るというまではまだ断定しがたいのではなかろうかと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、そういった反収動向とか植栽動向を十分見きわめまして、需給バランスを失しないように施策を強力に進めていかなければならぬというふうに考えている次第でございます。
  7. 今井勇

    今井委員 それではちょっと具体的にお聞きしましょう。四十六年までと四十七年以降と二つに分けましょう。  それで、四十二年から四十六年までですね。この間に、実際に面積的に一体どうふえてきているのか。それが政府のお考え計画とどのように一体違ってきておるのか。それから、四十七年から五十一年は、あなたのおっしゃるように年平均三千ヘクタールというわけですね。それに対してあなたは、四十七年は上回った、四十八年は下回ったとおっしゃる。具体的な数字がなかったが、私の調べたところでは、四十七年が四千九百ですか、それから四十八年が二千五百というふうになっております。これを加えますと七千四百でありますから、四十七、四十八年で、四十八年が減ったといっても、目標の普通のベースから言うとふえておりますね。同様に、それじゃ一体四十二年から四十六年はと言うと、四十年代の前半は非常にふえた年だと私は思うのですが、その前半植栽面積の増、計画と実際がどうなっていたのかということ、それからまず明らかにしていただきましょうか。
  8. 松元威雄

    松元政府委員 ただいま私は四十七年に策定いたしました現在の果樹農業基本方針について述べたわけでございますが、それ以前にもちろんあったわけでございまして、その場合の目標と実績の動向ということでございますが、それ以前の植栽目標でございますが、これは年平均約六千ヘクタールという目標であったわけでございますが、それに対しまして、四十年以降の植栽面積動向を見ますと、四十年が一万一千七百ヘクタール、四十一年が一万百ヘクタール、四十二年が一万九百ヘクタール、四十三年が九千二百七十ヘクタールということで、もちろん一部廃園はございますけれども、植栽面積がかなり目標を上回ったということは事実でございまして、これが現在のものに影響してまいるわけでございます。四十四年以降は多少鈍化いたしましたが、それでも、四十四年が六千九百六十、四十五年から少し鈍化しまして四千八百四十というふうに多少ずつ減ってまいったわけでございますが、いずれにいたしましても、四十年代の植栽の伸びは非常に大きかったわけでございまして、これは現在の結果樹面積に大きく影響いたしておるわけでございます。そこで、四十七年以降は、目標に対して植栽が合うようにさらに強力に指導しなければならぬということでございまして、新規植栽につきまして、厳に目標範囲にとどめるようにという指導通達も出しまして指導いたしておるわけでございますが、それでも四十七年の第一年目は目標平均三千に対しまして四千七百四十ヘクタールと、これを上回ったわけでございます。四十八年は二千五百十ということで、これは下回ったわけでございますが、両者を合わせますと五年間の目標数量に対しまして四割ぐらいになっているということで、今後さらに強力に植栽抑制と申しますか、目標に見合った植栽指導しなければならぬ、こういう事態になっているわけでございます。
  9. 今井勇

    今井委員 農民はかってな言い分であるというふうにあるいはお考えかもしれないが、いまの植栽面積の増加に対して政府もある程度奨励策をとっておられた。そのほかに農民自身の努力あるいは農民自身思惑等でもちろんふえたものもありましょうが、それにしても、ミカンの値がよかったことも手伝って相当たくさんの面積植栽しておりますが、それらに対して、昔のことは幾ら議論してもしようがないとはいいながら、それが局長の言うように、昔植えたものが実際にいま大きな影響を与えているのですから、その問題をはっきりしておかなければいかぬのですが、政府の関与したといいましょうか、政府がいろいろ助成策を講じた増反面積と、農民自身の創意くふうあるいは自分資本等を通じてやりましたものと大ざっぱに分けまして、四十六年以前は一体どんなふうになっておるのか、状況はわかりますか。
  10. 松元威雄

    松元政府委員 このように植栽がふえたというわけでございますが、このうち、いわば政府助成によるものは、従来の開拓パイロット事業農用地造成事業によるものもございますし、それから融資によるものもございますし、それから一部構造改善事業によってやったものもございますが、それといわゆる文字どおり自力でやったものというものの境目がなかなかむずかしい点はございますが、ちょっと私手元にただいま正確な数字を持ち合わせておりませんが、ただ、数量的に申しますと、いわゆる自力でやったほうが数量としては多うございます。ただし、計数をただいま持ち合わせておりませんもので後日詳細に調べますけれども、直接の施策によるものよりは自力によるもののほうがウエートとしてはずっと多いということでございます。
  11. 今井勇

    今井委員 なぜそういうことを根掘り葉掘り聞くかといいますと、いま、局長は、今後の増反については極力押えるように指導しているのだというふうに言われましたが、これは値がいま下がっていますから、農民も積極的に増反しようといふううには考えないかもしれませんが、自力でやるほうが四十六年以前は多かったということでありますから、相当強力な手を打つなり、あるいは実行可能な手を打たないと、減らしなさい減らしなさいというお題目だけでは実際は減らないというふうに思いますが、これはどういうふうに理解されますか。
  12. 松元威雄

    松元政府委員 御指摘のように、過去におきまして植栽が進んだというのは、何と申しましても、ミカン価格が好調であったということがやはり基本的にあるわけでございます。そこで、当時から植栽がどうも伸び過ぎるということでございまして、いろいろ県を通じて指導いたしたわけでございますが、当時の情勢といたしますと、この程度でございますればまだそれほどショッキングな生産量には必ずしもならないということであった。と申しますことは、生産要因の中には、面積増ともう一つ反収増が多いわけでございまして、たとえば四十七年は四十六年に比べまして生産量は百万トン以上ふえたわけでございますが、その場合面積増はもちろんございましたけれども、もっと大きい要因は実は反収増であったわけでございます。したがいまして、この面積増がいまのようなけたの生産量に直に結びつくという時代では当時はまだなかったわけでございます。それにいたしましても、植栽目標を上回るということは先々に大きな問題を残すわけでございますから、政府といたしましても目標範囲におさめるようにという指導をいろいろしてまいったわけでございますが、特に、四十七年の生産増を契機といたしまして、それを強く指導しなければならぬということで、政府の直接助成いたしまするいわゆる農用地造成事業によるものにつきましてもこの範囲におさまるものにとどめるということと、さらに、融資につきましても、いわゆる制度融資につきましても目標範囲におさめるようにするということをいたしているわけでございまして、それを従来にも増して補助融資のほうを抑制をしているという次第でございます。
  13. 今井勇

    今井委員 そうすると、四十九年度のことに移りましょう。四十九年度は、いま政府の直接関係する構造改善あるいは融資等、そういう増反面積を一体幾らに見込んで指導しようとしているのですか。
  14. 松元威雄

    松元政府委員 これは、四十九年におきまして補助によって造成されると思われる見込み数量でございますが、約六百ヘクタールというふうに見込んでおります。
  15. 今井勇

    今井委員 極力増反を押えることは当然のことでございます。同時に、いままで植えたものに対して、今度はもう一面のあなたのおっしゃる反収の増量の問題に移らなければいけない。したがって、面積の問題についてはこれで一応終わりますが、次は反収の問題について議論をしてみたいと思うのです。  若木がだんだん成木になってきますから、面積が同じであっても当然に収量がふえることはだれが見ても当然なことでございます。特に、私どものいなかでは密植栽培というのをいたしまして、相当密に植栽をいたしております。これは考え方としては、年代が経るごとに間伐をしていって、そうして最終的には適正な規模になるようにすることを当然頭に置いて密植栽培をさせておるのでありますが、なかなか間伐等計画どおりにしていなかったりすることもありまして、相当な、自分の想像以上の量ができているということもあろうと思いますが、いずれにいたしましても、収量がある程度ふえることはけっこうなことでありましょうけれども、それが限界をこえてふえますと、この二年ほどのようなことになるわけであります。  そこで、生産量をある程度の合理的な線に押えるということのために農民はどういうことをやっているかというと、要するに摘果をする、あるいは売れない温州ミカンを他の品種更新をするというようなことをしているわけであります。そうしてできるだけ売れるものにしよう、あるいは売れる程度に押えようということをしておるわけであります。後ほどまた自主調整の問題についてはお尋ねしようと思いますが、温州ミカンを適当な量に押えるために、摘果の問題あるいは間伐の問題、あるいは植栽問題等について、農林省は、一体どういうふうな技術的なあるいは財政的な援助をして農民指導していかれようとするのか、その点を聞きましょう。
  16. 松元威雄

    松元政府委員 これは長期の問題と短期の問題とあるわけでございますが、長期の問題といたしましては、いわば不良品種優良品種に切りかえることが非常に大事なことであろうというように考えておりまして、これはいままでも自主的に農家方々がやられている向きもございますが、今後はますます質が問題になるわけでございますから、これを一そう進めようということで、予算措置といたしますと、現在では品種更新のための共同育苗に対しまして助成措置も講じたわけでございます。この面積を今後さらにふやしていかなければならぬ。そういたしますと、現在そういう予算措置も講じたわけでございますが、より一そう品種更新面積をふやすという方向で進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。これはいわば長期の問題になるわけでございます。  もう一つは、先生御指摘計画密植園の問題がございますが、これにつきましては、御指摘のとおり当初は密植しておいて、それを間伐をしまして最終的には適正にするわけでございますが、これがなかなかそのとおり行なわれていない傾向にございます。したがって、これにつきましても適正な間伐をするようにという指導をしているわけでございますが、これも今後促進するような施策考えなければならぬというように考えている次第でございます。  さらに、一番大きな問題といたしましては摘果の問題があるわけでございます。摘果につきましては、これはいろいろな機能があるわけでございまして、一番大きな機能は、いわゆる表年裏年によって非常に収量に差があるわけでございますが、それを安定させる。表と裏の差を極力縮める。そして生産を安定させる。隔年結果の防止と申しますか、そういう機能があるわけでございまして、同時にそれによりまして品質もよくなるわけでございます。かたがた、そういたしますと、当年の生産量減少効果も生ずるといういろいろな機能を持っておるわけでございます。したがって、本来でございますれば、隔年結果の防止生産の安定、品質向上ということで、農家方々が本来正しい栽培管理としておやりになるのが本来の筋合いでございまして、これまでも一部やった向きもございますが、しかし、これは大々的にはどうもなかなか行なわれていないという実態にございます。したがいまして、特に本年のような場合にはこの摘果というものを大いに推進いたしまして、いまの本来の目的たる隔年結果の防止とか品質向上よりさらに加えまして、いわば生産減少にもつながる要因を重視いたしまして摘果を大いに進めなければならぬということでございます。  そこで、四十九年度の新規予算といたしまして生産安定事業という予算も組んだわけでございます。これは農家方々、さらに生産者団体のほうのいわば自主的な摘果運動とでも申しますか、それを基本に置きまして、政府といたしましても、県、市町村、農業団体を通じまして、いわば摘果指導推進体制と申しますか、それを進める。それから、一部摘果モデル園と申しますか、その展示効果もねらうというようなことで、指導的な経費といたしまして新しく生産安定事業予算も組んだわけでございまして、これらを通じまして摘果を有効に進めてまいりたいというように存じておる次第でございます。
  17. 今井勇

    今井委員 生産者農民は、決起大会で、政府だけにたよることをせずにわれわれ自身でもやってみようというふうなことを提案をしております。これは局長も御存じだと思うのでありますが、ある県の代表は、一箱について百円ずつ積み立てをする、そうすると百三十億の金ができるじゃないか、そういうものをもとにして生産調整を二割やろうというふうな提案もしておるようであります。そこまで意気込んでおるわけでありますから、政府もやはりそれに呼応して、三年連続生産過剰という措置だけは何としてでも防がなければならぬ。私もまたそういうふうにすることが必要であろうと思います。  そこでいま政府のお考えを聞きますが、三つあるうちの摘果の問題については、まず、いまごろちょうど花が咲いておりますが、薬剤散布をすることによってまず摘果をいたします。さらに、八月以降になりまして仕上げ摘果をするわけです。それをして確認することでありますが、いま聞きますと、生産安定事業というふうな名目のもとで若干の補助金を出して摘果奨励をしようということであります。これは、話を聞きますと、展示園というふうなものを各地に代表的なものを選んでそこでやってみるということでありますが、こういうことが大々的に行なわれるならばたいへんけっこうなことでありますし、また、それが実際に効果をあげていくことにもなろうと思うのですが、聞くと、何ぶんにも五千万ぐらいの予算でやろうということでありますから、二階から目薬どころの騒ぎじゃない。私は、こういう摘果のようなものを適時に行なわないと、あとで幾ら金をつぎ込んでやっても実際は効果のないことであろうと思うし、いまがその時期だというふうに思うわけであります。いろいろ予算措置を伴う問題でありますから、直ちにお答えはしにくいかもしれないが、摘果について政府が今後もっと適時適切な手を打たれるように御研究を願いたいということをつくづく思います。しかも、それは薬剤摘果のほかに八月に行ないます仕上げ摘果、これは時期をあやまたないようにしなければならぬと思うわけです。  そこで、政務次官が見えておりますので、これは政務次官にお聞きしておきますが、いまの生産調整の中の一つ摘果の問題でございますが、これは補正予算を組む問題にもなろうかと思いますが、そういう生産調整農民もやるんだから、政府も何がしかのそういう援助をしてやろうというふうなお気持ちで今後御対処を願いたいと思いますが、政府基本的なものの考え方についてお考えを聞いておきたいと思います。いかがでしょうか。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 非常に重要なお話しでございますが、いまのところ、具体的にこうするということはきまっておりません。慎重に検討してみたいと思います。
  19. 今井勇

    今井委員 まあ、そういうことであろうと思いますが、しかし、大事なことは、繰り返し申しますが、生産調整の方法としてはまだほかにもありますが、まず、摘果の問題だけにいま限定して議論をしておるわけでありますが、時期を失しますと、せっかくの努力が幾ら金をつぎ込みましても結実をしないというのが摘果でございます。しかも、また、いまのところ、生産調整としては摘果が最も効果のある手段の一つだというふうに私は思います。  そこで、これは重ねて強く要望いたしておきますが、政府におきましても、摘果についての措置、これは薬剤の問題と、もう一つ仕上げ摘果の問題がありますが、ひとつ十分に御研究願って農民の期待にこたえていただきたいということを強く要望しておきます。  その次に、生産調整の中のもう一つの大きな柱は品種更新であろうと思います。要するに、温州ミカンを継ぎ木をいたしまして他の品種更新をすること、これは非常に貴重なことであろうと思いますが、このことについては局長はいま具体的な御答弁がなかったのですが、育苗事業というようなものを農林省でやっておるはずですが、これは四十九年はどうなっていますか。
  20. 松元威雄

    松元政府委員 これは果樹品種更新事業というものがございまして、これはミカンだけではございませんで、ほかのものも含んでおりますが、それで品種更新をするわけでございまして、その場合に共同育苗をするものにつきまして助成をするという予算措置を現に講じているわけでございます。先ほど申しましたのは、したがいまして、さらにもっとこれについて有効な手段、方法はないであろうかということを今後の問題として検討いたすということを申し上げたわけでございますが、現在予算措置はこういう予算措置を講じております。
  21. 今井勇

    今井委員 その問題も、いま私の知っている範囲内では全国で十集団程度やっておられるようでありますが、これはもっと集団をふやすなりいたしまして、農民のいたします品種更新をする苗木等の需給に十分こたえられるようにしなければならぬと思います。  そこで、いま政府は十集団やっておられますが、その成果、効果はどういうふうに把握しておられますか。
  22. 松元威雄

    松元政府委員 この品種更新というのは、従来も、生産者方々が、いわば自分のためと申しますか、自力でおやりになった分もあるわけでございますが、それをさらに推進しようということで、特に共同でやるという者に対しまして助成いたしたわけでございまして、漸次その波及効果が進んでいくというように考えているわけでございます。
  23. 今井勇

    今井委員 次に、生産調整の問題にからみまして、今後、ジュースあるいはかん詰め等の加工用のミカンが一体どのくらい望めるものか、そして、また、なまで食べるものを一体どのくらい見込めるものか、まずそこらあたりから尋ねておきたいと思います。四十九年度の見込みはどう考えておられますか。
  24. 松元威雄

    松元政府委員 四十九年は、生産量も、計数的に的確に現段階で幾らとまだ判断しかねる段階でございますので、まずその前に四十八年の実態を申し上げまして、これがどういうふうに今後展開していくかということでございますが、四十八年は全体で三百三十九万トンの生産であったわけでございますが、そのうち生食用が二百七十三万トン、それから一部輸出が約二万トンあったわけでございますが、それと加工用が、かん詰めが二十九万トン、それから果汁が三十五万トンという数字であったわけでございます。そこで、問題は、生食用にどこまで今後向かうかという問題でございますが、これは、一つは、お話しにもございましたように、価格とも非常にからむわけでございます。したがいまして、価格問題を抜きにして生食用は幾らということはなかなか判断しかねるわけでございますが、四十七年が二百七十万トンちょっとでございますから、所得も伸びますれば需要もふえるということもございますものですから、所得の増に応じてこれはやはり伸びていくだろうというふうに私どもは思っておるわけでございます。  そこで、問題は、直接的にとらまえやすいものといたしまして加工用の問題があるわけでございまして、御案内のように、加工用、特に果汁につきましては、四十七年の大豊作に際しまして、その処理の一環といたしまして、大いに果汁のほうに用途を向けようということで果汁用をふやしまして、特に保管調整に対する助成措置も講じたわけでございますが、当初予想以上に果汁の需要がふえたわけでございます。そして四十八年も同じく順調にふえまして、先ほど果汁が三十五万トンと申し上げましたが、そういうように伸びている。そこで、四十九年は、いま御指摘のとおり非常な生産増が予想されるわけでございますから、さらにこれを大幅に伸ばしていこうということで――もちろん、先ほどのお話し摘果等によりまして必要な生産調整をするということも当然やございますが、同時に加工用、ジュース用の需要を伸ばしていかなければならないという意味におきまして、まず製造能力をふやすという趣旨で、四十九年度予算におきまして、ジュース工揚の建設に対しまして大幅に助成をふやしまして、そこで十三工場新しく増設をするという予算措置を講じたわけでございます。もちろんこれは操業度いかんにもよりますけれども、これによりまして、四十八年が約三十五万トンに対しまして三十万トン程度はさらにふやせるというふうに考えておるわけでございまして、それによりまして、ジュース用を中心といたしまして加工需要を伸ばしていこうというふうに考えているわけでございます。
  25. 今井勇

    今井委員 ジュースの問題の御答弁がありましたのでちょっと移りますが、実は、ジュースの原料になるミカン価格の問題が大きな問題になるのです。あなたは工場をふやしたからふえるというふうにおっしゃいますが、農民は確かに腐らすよりいいというのでジュース工場へ持ってまいりますが、御案内のように、例の加工原料用の果実価格安定基金の買いささえの金額が実は問題なのですね。だから、その問題を同時に解決しませんと、農民は、ジュースはふえたけれどもさっぱり金にならないということになります。そこで、いまの安定基金によります価格、これは平均でいま二十五円ぐらいだと思いますが、問題は、その二十五円という価格を問題にすると同時に、それよりワンシグマ下がったところの最小限の価格というものが大きな意味を持つと私は思うのですが、この安定基金の買いささえますいまの価格を一体どういうふうに今後持っていこうとしておられるのか。いまのままでは農民があまりにもみじめだというふうに私は思いますが、これはどうですか。
  26. 松元威雄

    松元政府委員 この加工用の保証価格、それから最低基準価格、これは確かにそのもの自体をとらえますと生食用に比べましてよくないわけでございますが、問題は、これをすることによりまして生食用の価格も上がるという効果もあるわけでございまして、両者を通じて考えなければならぬということで、従来のやり方でございますと、過去の取引価格を基準といたしまして、それに一定の比率を掛けて補助基準価格をきめる、それから、最低基準価格はそれから変動幅を見込んできめるというふうにいたしておるわけでございまして、確かにそのもの自体の価格を見ますと、もっと引き上げないとなかなか魅力がないという御指摘は、その面ではそうかと思います。しかし、ちょっと操り返しになって恐縮でございますが、それとあわせまして、いわば隔離効果による生食用の価格の押し上げという効果もあるわけでございまして、両者を通じて考えなければならない。  それと、もう一つ、これはいずれまた数量ともからむわけでございますけれども、先ほど私は設備能力をふやすという話を申し上げたわけでございますが、同時に、そうなりますと、加工の対象数量もあわせてふやさなければならぬ。したがいまして、予算上ももちろんそれを織り込んでふやしておるわけでございますが、今後生産動向によりましては、さらに対象数量の増大も考えなければならぬ事態になるかと思うわけでございます。これはもちろん先ほど来お話しのございました摘果効果によりまする生産減とからむ問題でございますが、いずれにせよ、両面でそういう対応策を考えなければならぬということで、価格の問題はもちろん御指摘がございましたから検討はいたしますが、それと同時に数量問題もやはり考えなければならぬということで、今後情勢に応じまして、その辺も事態の推移に応じて十分検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 今井勇

    今井委員 そこで、もう一ぺん突っ込んでおきたいと思いますのは、農民のほうが生産費調査をいたしておることであります。これは発表になっていますからごらんになったと思いますが、四十七年のミカンで、愛媛県の場合の一例でございますと、キログラム当たり生産費が三十七円、それから九州七県の平均で見て三十三円八十六銭という数字が四十七年度の実績として出ておるわけでございます。ミカンの中でも、ジュースに持っていきますミカンはあまり上等ではないというのが通例でありますが、それにしても、この二十五円あるいはワンシグマ下がった十八円というのは、いまのお話しを聞きまして、いかにも安いのではないかと私は思う。確かに、おっしゃるように、生食用とのバランスの問題もあろうと思う。しかしながら、私は繰り返しますが、いまの生産費から言っても、これはやはり直すべき時期に来ておる。しかも、また、ワクの拡大と同時にこれは検討さるべきものである。特に、二十五円という平均価格と同時に、最小価格のワンシグマ下がった十八円、この幅の問題も同時に考えて直すべきだと私は思いますが、これはどうされますか。
  28. 松元威雄

    松元政府委員 同じような答弁になって恐縮でございますが、いま申しましたとおり、加工用は生食用の価格と見合わせて考えなければならぬわけでございますし、品質問題もあるわけでございまして、したがいまして、直に生産費と比べるというだけではないんじゃなかろうか。同時に、生食用とのプール価格と申しますか、そういうものも考えなければならぬ。ただ、御指摘のような問題があるわけでございまして、今後加工用の数量がどうなるかという、そのほうに私ども非常に頭がいっておるわけでございまして、数量に見合わせまして、御指摘の点もございますので、今後の事態の推移を見て検討をいたしたいと存じます。
  29. 今井勇

    今井委員 ことしは、このワクの拡大のためにたぶん十億余の予算がついておると思います。しかし、いまの単価のアップの問題並びにワクの拡大の問題で、これでは実際は足りなくなる時点が想像され得る。私は、これは確実にそうなると思います。したがって、政府のほうではこういう問題の認識を十分新たにしていただいて事態に対応するようにしていただきたい。  政務次官、議論を聞いておられて大体これはおわかりだと思いますが、政務次官のお考えを聞いておきたいと思います。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ごもっともな御意見なので、検討してみたいと思います。
  31. 今井勇

    今井委員 最後にもう一度生産調整の締めくくりをしておきたいと思いますが、生産者団体のほうは、加工あるいは輸出を幾ら最大限に見ましても、生食用向けが採算を割る以上は、どうしても生産量のカットをしなければどうにもならない。その目標を再生産を償うに足る手取りと消費者がたえ得る価格に置いて検討した結果、来年とれるであろう四百万トンのうち二割に当たる八十万トンをカットして三百二十万トンにするならば、市場に出回ります生食用が約二百万トンになって、農家の手取りがキログラム当たり六十円六十五銭ということで、これならば生産者の再生産も可能であるし、また、こういうふうな程度のものならばキログラム当たり百円ぐらいで消費者に売ることもできるということで、両々相まつであろうというので、ひとつ二割減産を農民が一致協力してやってみようというふうな非常に固い決意を示しております。これを実行するにあたってはなかなかいろいろな問題があろうと思いますが、政府においても、せっかくここまで農民が決意して、自分の力でできることはやってみようと思っておるのですから、これを強力に助けてやる、指導してやるという気持ちがなければいけないと思います。  政務次官、これについてぜひ御答弁を願っておきたいことが二つありまして、いまのような計画について政府に具体的な提案があればなおけっこうでありますが、政府の決意のほどを聞きたいことと、どのような指導理念を持っておられかということが一つ。それからもう一つは、今後の生産の量の目標に比べて、現時点における生産量が非常に高まってきております。言ってみるならば、あるなだらかな線でいくならばいいのですが、それがこぶができております。こういうこぶができております生産量を一体どのようにして目標までなだらかに達するような努力をしようとするのか。要するに、今後の生産者に対する指導ということが第二点であります。これについての決意のほどをお聞きして、ミカンの問題についての質問を終わりたいと思います。
  32. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 自由経済のもとでは、価格生産量を調整することは大原則であります。べらぼうに値段が高ければたくさんつくるし、安ければやめるし、というのが原則でありますが、ただ、それだけでも困るということのために一応の生産目標というものを示しておるわけです。これはしかし計画経済じゃないんですから、必ず年次計画でそれにするという筋のものでもありません。これは一応のガイド的なものだというふうに考えてもらわぬと話の行き違いが出てくると私は思います。しかしながら、そういうような一応の目標がありますから、それとまるきり違うような結果が出ても困るわけでありまして、そこで、この問題は消費の動向とも関係がありまして、それだけの目標をきめておっても、消費がうんと伸びるというような状況になればさらに目標を訂正することもあり得る。  私の考えといたしましては、生食用としてこれ以上ふえるというようには思っておりません。しかし、御承知のとおり、日本にはジュースを飲むという習慣がないわけでありますから、この習慣ができますと飛躍的に需要量はふえる。問題は、これも価格との関連であって、価格があまり高くなってしまっては現実問題としてふえるわけがない。したがって、価格を国民の所得水準に合わせて、非常にささいな値段でジュースが飲めるという程度価格というものがやはり必要じゃないかと思います。  その次にはやっぱり味の問題だと思います。日本のミカンジュースは甘くて非常にあきがくると言われておるわけでありますから、アメリカあたりのジュースを輸入して、それとブレンドさせて香りをつけるというようなことを実験的にやった結果は、なかなかよいようであります。したがって、それらの動向を見てきめていく。それがはっきりしない間は、当面の問題としては、あなたのおっしゃったような自主的な調整というものはやはり必要である。これは政府のためにやるわけじゃないのであって、生産者が組合をつくっておるわけですから、組合の中で自主的な調整というものは当然行なわれるべきだ。これに対しましても、政府としては、できるだけ指導と何らかの形の助成というものは考えていかなければなるまいと思っております。  したがって、自主調整が非常によく理解をせられ、自分たちのものであるというような機運を盛り立てていくということが一番大事だろうと私は思います。それから、すでにもう目標を突破しちゃったんだという問題についても、大体いま言ったようなことを含めて対処をしていくことが必要であろう、かように思っております。
  33. 今井勇

    今井委員 時間があと少々ありますので、畜産の問題をちょっと次に聞いておきたいと思います。  畜産の問題で、政府の政策価格関与をいたします豚肉等につきましては一応の結果が出ましたが、肉用牛につきましてはまだ問題が残っておりますので、肉用牛についての二、三の質疑をいたしておきたいと思います。  問題点は十分おわかりでありますからくどく申しませんが、簡単に申しますと、特に、去年の高い子牛を買った飼育農家が、値段がなかなか上がらないものですから、家族労賃はもちろんのことゼロで、飼料代にもならない、逆に五万円から八万円の赤字だということで悩んでおるわけであります。したがって、これをどうしてくれるのかというふうな問題が一つ。それから、今後の肥育牛に対する措置、すなわち、このままほうっておきますと肉用牛を肥育する農家がだんだんと減ってくるおそれがあります。それを一体どうしたらばいいのかという問題が二つ。それからもう一つは、もうこれ以上育てましても、一人前になっております牛はえさを食うだけで太ってこない、早く処分をしたいが、処分するには、たとえばカット能力であるとか貯蔵能力等に問題があってなかなかできないということ。この三つの問題にしぼられるのではないかと思います。  五月二十一日にも私どもの愛媛県でも畜産の危機突破大会というものがありまして、いろいろな要望がありましたが、大きく分けますと以上三点でありますが、この三点についての政府のいままでの勉強の結果を簡単に御報告願いたい。
  34. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 昨年の秋、牛肉価格あるいは肉牛価格、子牛価格等も非常な高騰を示しましたが、その後急激に低落いたしまして、現在子牛価格、さらに牛肉価格、肉牛価格ともに相当な低落をいたしておるわけでございます。その理由につきましてはいろいろございますけれども、昨年末以来のわが国経済の急激な激変に伴いまして、諸物価が急激に上がったということもございまして、消費が予想外に減退しているということと、それに加えまして、昨年の秋に昨年度下期の牛肉の輸入方針を決定いたしまして、その後一時停止をいたしておりますけれども、かなりの量が入ってきておるということが市況を圧迫しているという、その両面があろうかと思います。御指摘のように、肉牛経営、そのためのえさ代の値上がりということもございまして、困難を来たしておるわけでございます。  これに対しまして、先ほど申しましたような下期の牛肉の輸入契約の停止を現在やっておりますが、既契約の分の到着もございますので、今後は急激に輸入量が減ってくる。それが価格回復要因一つになろうかというようにも考えておるわけでございます。さらに、最近の物価もやや落ちついてきた、さらにベースアップ等によります消費の拡大ということも期待できるということでやっておりますが、四月からは生産者団体によります輸入牛肉の調整保管事業を実施いたしておりまして、これまでに約千トン余りやっております。これは引き続き拡大をしてまいりたいというように、具体的な対策について検討をいたしておりますほか、さらに、生産者対策といたしまして、販売価格が安いということによりまして肥育経営が困難を来たしておるということのために肥育経営の継続をやめるというようなことがあっては、将来の牛肉資源の確保のために――あるいは長い目で見れば、消費はまだまだふえる、世界的にも不足だということでございますので、国内の生産をふやしていくという観点からいたしますと、一時的な異常事態であれ、それに伴って肥育経営が減少するということがあっては困りますので、肥育経営を継続できるような何らかの措置考えなければいけないということで現在検討いたしておるわけでございます。さらに、もう一点といたしましては消費の拡大でありますが、先ほど申しましたように、消費が予想外にかなり減退をいたしておりますので、小売り価格を卸価格に連動させて引き下げながら、さらに消費宣伝ということにも、今月末から畜産振興事業団を中心にして大々的に実施をして、消費の回復ということにも努力をいたしたい。その三点について、現在、具体策の検討を鋭意進めておるところでございます。  なお、御指摘がございましたカット能力あるいは冷蔵庫の貯蔵収容力という点について確かに問題がございますが、これはあらゆるカット施設、あるいはカット能力を動員いたしまして、できますれば、現在大都市を中心にして調整を行なっておりますけれども、それをもう少し全国的に拡大するということによりまして、冷蔵庫の事情も全国的に見ますれば大都市が特に悪いということもございますので、もう少し全国的に調整保管ができるというような方途も現在検討いたしておるわけでございます。
  35. 今井勇

    今井委員 特に最後に御答弁になりました貯蔵能力の問題は、私どもの聞きますところによると、愛媛県等では余裕はあると言っておりました。したがって、そういうふうに少し視野を広げられまして、余裕のあるところはどんどんさせるということの御推進をぜひ願いたい。  それから、肥育農家が今後とも続けていきたいという意欲を起こさせるためには、やはり、今後の子牛の購入費等についての便宜をいろいろはかるとか、それから、いままでのほんとうに固定した赤字があるならば、そういうものも何らかの形でめんどうを見るとか、そういう具体的なことが望ましいわけであります。しかも、これは、国会ももう間もなく終わりますので、なるべくというより、むしろこの国会が開会されている間に確たる方針を打ち出して肥育農民に安心感を与えていただきたいことを強く要望いたしておきます。  それからもう一つ長期的な問題として、牛肉も例の畜産物価格安定法の指定食肉にしてほしいという要望もありました。これは、牛肉は豚肉とは違いまして非常に千差万別ですから、技術的な問題もあろうかと思いますが、これは政府部内でも検討されまして、そのような方向に進んでいただきたいと思います。これを要望いたしておきます。  最後に、私どもの故郷では在来和牛が非常にたくさんありまして、そういうものを飼育しておりました中で、民衆の娯楽として闘牛というものをやっておりました。また、現在でもやっておりますが、私のほうの故郷の一部の皆さん方の意見として、畜産物の、特に肉用牛の品種改良あるいは奨励策として、この闘牛というものをその振興策と結びつけることはできないだろうかという意見があります。たとえば、競馬がわが国の馬匹の改良に役立っておるように――私は別にギャンブル性を云々するのではないのですが、みんなが喜んで牛を飼っておるうちに、闘牛というようなものを通じて飼育農家の皆さんになるべく刺激を与えて、しかもそれがもとになって、というよりも、そういうふうなことが一緒になって、今後ともりっぱないい和牛を生産していき、肥育をどんどんしていくというふうなことのために、競馬における馬券のようなもの、すなわち牛券とでも言いましょうか、そういうものの発行というものはどうであろうかということが一部に言われております。これはなかなか問題のあることは私も十分承知いたしておりますので、直ちにいまここで政府側から答弁を求めようとは思いませんが、在来から愛媛等におきましては和牛の生産というものが行なわれておって、その中の娯楽の一つとして闘牛のようなものがあったわけですが、今回新しく畜産危機が言われるときに、品種の改良あるいは和牛の生産増強という意味から、そういうものをもう一度見直すということも意義のあることであろうと私は思います。したがって、政府としても、そういうふうなことをするにはどういう問題点があるのかというふうなことを検討していただきたいというふうに私は思います。これについては御答弁は要りませんから、政府部内で検討をされまして、機会を得ましたらばまたあらためて私は質問をいたしたいと思います。  以上で、質問を終わります。
  36. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 ただいま、水資源開発公団理事川崎精一君に参考人として御出席いただいております。  参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、ありがとう存じます。  参考人の御意見は、委員からの質疑によってお述べ願います。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  37. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、茨城県の霞ケ浦にいま起きておりますところの塩害問題に関して、五月の十四日並びに十六日の本委員会の質問に引き続いて御質問をしたいと思います。  本日は、水資源公団の川崎理事にも御出席をいただきまして、お忙しいところをありがとうございました。  そこで、まず最初にお尋ねすることは、霞ケ浦北浦周辺におけるところの塩水の被害について先日農林省調査を要求しましたけれども、どのような被害、どういう実態であるかということについてまずお答えをいただきたいと思います。
  38. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 統計情報部におきましていたしました応急調査の結果について御説明を申し上げます。  農作物の被害調査は、先生御承知のように、作物の栽培が始まりましてから収穫までの期間を対象として実施いたしますので、いわゆる本格的な被害調査と申しますのは、水稲の場合には、田植えの後からの被害がどうかということでございまして、そういう本格的な現地調査は大体田植えが終了いたします五月下旬を予定しておりますが、塩害はその後時間がかかって被害が出てまいりますので、またその後の時点においても現地調査を再度いたす予定にしております。  そこで、今回の塩害の発生問題がございますので、私どもの統計情報部組織の現地の事務所におきまして、五月十七日現在で被害の情報をいろいろ収集をいたしました。その結果によりますと、まず、現在生育の障害が水稲に認められております面積が約三百ヘクタールでございます。関係いたします町村は神栖町、鹿島町、大野村、潮来町、大洋村の町村になっております。それから田植えがおくれております水田の面積が約二百ヘクタールございます。この町村は、先ほど申し上げました町村のほかに牛堀、北浦、麻生という町村が入っております。そのほか、比較的濃度が高い塩水がかかっておる水田面積は、これは大体の推計でございますが、先ほど申し上げました三百ヘクタール、二百ヘクタールの面積を含めまして全体で約二千百ヘクタールでございます。これが私どもの調査をいたしました結果でございます。
  39. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 たいへん綿密な調査をしていただいておりますが、被害は今後なおさらに続いていくものと思われますので、引き続いて調査のほうは進めていただきたい。  そこで、問題は、霞ケ浦の塩水被害の原因についてでありますが、昨年以来の気象状況というものは平年と比較してどういうような状況にあったのかという問題が第一点。そして、また、北浦周辺の塩水被害の原因に関して、農林省としては、気象条件もさることながら、他に何か原因があるかということについてどういうようなお考えか。このような点についてお伺いしたいと思います。
  40. 大山一生

    ○大山政府委員 今回の塩水被害と申しますか、これの直接の原因といたしましては、冬の期間は原則的に開放されております常陸水門を経て、いままでも多少は遡上しておったわけでございますが、何と申しましても、昨年は十二月以降に異常干天が連続したというようなことから、湖内の規定流入量といいますか、そういうものが減ってくる、あるいは湖面の蒸発散がある、こういうふうなことから塩分が滞留したわけでございまして、そういうことによるものと考えるわけでございます。また、その後の降雨量も例年に比べれば少ないというようなこともありまして、降雨によっても希釈されないままで現在に及んでいる。こういうことが原因であろうと思っております。  そこで、北浦周辺におきます雨が、いま申し上げましたように、例年になく少なかったというのは、昨年の十一月から一月にかけての雨量を見てみますと百八十ミリということで、平年に比べますと、平年が大体百八十ミリでございますので、非常に少ない、こういうことでございます。連続干天日数というのも七十一日間。これはこの地方におきまして、たとえば水戸あたりにおきましても、百年確率でも六十日ぐらいですから、したがって、七十一日という連続干天日数というものは非常に多かったということが言えるのであろうというふうに思うわけでございます。  ところで、その塩水被害が北浦周辺に発生したということにつきましては、遡上の問題に関連いたしまして北浦が河口に近い、あるいは水深が深い、こういうことから北浦周辺に被害が発生したものと想定されるわけでございます。ことしの四月になりまして利根本川の余剰水を横利根川等から導入しているわけでございまして、そういうふうな霞ケ浦への導入に伴いまして、横利根ないし常陸川水域においては多少塩分濃度の減少は見たわけでございますけれども、北浦水域につきましてはその導水の効果はあまり見られるに至らなかったということでございまして、これらの問題の結果北浦周辺において塩害が出たものというふうに現在のところ考えているわけでございます。
  41. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは常陸川の水門の問題もあるけれども、やはり、異常の渇水というものがよって多く原因をしておる、こういうふうに理解をしているというわけですね。  それならば、次の問題として、これに対する対応策についてどのように考えられるかという問題です。塩水被害のために植えつけができない水田が、先ほど報告されましたように約二百ヘクタール、それから、すでに植えつけたもので塩害にかかっているものが三百ヘクタール、関連するものが二千百ヘクタール、こういうぐあいにたいへん広い面積が被害にあおうとしております。そういうようなものに対してどのような指導をするかということが第一点ですね。  それから、もう一つは、いま植えつけてあるけれども、やがて生育する過程において真水のところと塩分の濃いところでは生育状態が変わってくるということは、十四日にここで実物で示したような状態でありますが、こういう場合の補償制度ですね。農業災害補償法がありますけれども、それによるところの引き受け、支払い、こういうような制度について――もちろん、これは最終的には収穫をしてみないとこれに対する対応は出てこないと思いますし、いまから何か言うということも問題かもしれません。したがって、これについては明確なお答えはあるいはでき得ない点があるだろうと思うのです。当然まだ植えかえができる場合もあるし、処置がよろしければなお方法もあろうと思いますけれども、一つの仮定として、この問題についてどのようにとられるかということが二点ですね。  第一点は、現在の二千数百町歩における問題に対する指導の問題、それから、秋になってからこれが途中でほとんどどうにかなってしまうというような状態におけるところの補償の問題について、農災に際してはどういうふうにされるかということ、こういう点についてお答えをいただきたい。
  42. 松元威雄

    松元政府委員 まず、前段の塩水に備えました技術指導と申しますか、稲作技術の問題でございますが、これは塩水被害の軽減のために塩害に備えた稲の苗しろ管理、それから田植えということにつきまして、茨城県では前々から関係市町村、農業改良普及所等を通じまして、いま申しました塩害に備えた苗しろ管理、田植えのやり方について指導をしてきたところでございますが、かんがい水中の塩分濃度が高い、そのために植えつけができないという水田につきましては、これは真水をやるという方法しかございませんので、井戸水、雨水、湧水等の計画的な利用によりましてかんがい用水の確保につとめる、そして植えつけを極力促進するようにということで、まず、真水を確保するようにということで指導をしているわけでございます。  それから、また、一ぺん田植えをいたしましたが、そのあと塩害によって生育不良になっているという水稲に対しましては、これも真水でかんがいするということが技術対策になるわけでございますから、同じように井戸水、雨水、湧水等の真水の確保につとめまして、その有効利用によりまして塩害の防止をはかる。それから、また、一部被害が非常にはなはだしい水稲につきましては、これは予備苗によりまして補植をするということで、いま言った真水の確保と予備苗による補植ということにつきまして県を通じまして指導をしておる、こういう次第でございます。
  43. 岡安誠

    ○岡安政府委員 後段の田植えをした水稲がその後被害を受けたら農業災害補償制度上どう扱われるかという御質問に対してお答えいたします。  具体的にはケース・バイ・ケースでございまして、また、その結果いかんによって変わるので、今回は一般的な取り扱いについて申し上げたいと思います。  田植えをした後共済事故によりまして損害を受けた場合には、収穫期に損害評価を行ないまして、耕地ごとに三割をこえる被害となったときには共済金の支払いが行なわれるということになります。ただ、これは特別取り扱いがございまして、本田移植期におきまして客観的に見て移植が不可能と認められるような場合、たとえば具体的に申し上げますと、干ばつによる用水不足のため生育が明らかに不可能と認められるような状態にあるにもかかわらず移植したような場合とか、津波または高潮等によりまして海水が浸入いたしまして、塩分濃度が高いために活着の見込みがないのに移植したような場合、そういうような場合には移植不能という取り扱いを受けますので、そのときには共済金の支払い額は全損の場合の二分の一が支払われるということになるわけでございます。
  44. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点について、共済問題について、これは判断もあるしするものですから、政務次官のほうからお答えを願います。
  45. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 共済問題は非常に技術的な問題でもあり、いろいろ関連するところも大きな問題なので、ただいま局長が答弁したようなこと以外は考えられません。
  46. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現段階ではそういうことだと思うのです。したがって、これからまたなお進行の過程で質問をしていきます。  そこで、もう一点、塩害対策の急場の克服のための、すなわち松元局長から話があった前段の問題ですが、いま実施をしております井戸掘りなどについての指導というか、補助というか、それに対しては農林省としてはどう考えられますか。
  47. 大山一生

    ○大山政府委員 この前もお答えいたしたわけでございますが、過去におきまして相当干ばつ等が続きまして、全国的に大面積について各種の被害が出るというようなおそれがあるということから、水路でありますとか、井戸の掘さくでありますとか、あるいは揚水機の設置ということが行なわれました場合には、臨時暫定的に助成措置を講じた例はあるわけでございますが、このたびの霞ケ浦周辺におきます塩害については、局地的な問題でありますし、面積、事業量とも比較的少ないということから、現在のところ国としては補助考えていないわけでございます。  ところで、いま農蚕園芸局長のほうから答えましたように、井戸の掘さくあるいは揚水機の設置というようなことが一つの事業として取り上げられようとしておるわけでございまして、県からもその点についていろいろ要請もあるわけでございます。そこで、三分五厘資金として、土地改良事業として恒久的に残るようなもの、いわばかんがい排水事業として取り得るようなものにふさわしいものにつきましては、三分五厘資金において手当てすることは可能であるというふうに考えているわけでございまして、そういう角度で対処をしていくということに相なろうかと思っております。
  48. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 県のほうでは塩害対策事業費として四〇%を補助するというふうに言っておりますが、残りの六割について国のほうで三分五厘の資金を融資するというような考え方と理解をしていいですか。
  49. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 そういうようなことを言った人があるそうでありますが、これは三分五厘でできるものもあるし、三分五厘が適用できないものもある。いま局長が言ったように、農用地区域内の事業でなくては三分五厘にならない。それから、土地改良施設として恒久的なもの、ですから、ことしだけで来年はもうやめてしまうんだというようなものは三分五厘という土地改良の資金の制度になじまない、こういうようなことであります。
  50. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いずれにしても、県が補助した残りの部分について三分五厘の手当てをしていくという基本的な方針には変わりはないのですか。
  51. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ですから、できるだけ法律違反にならないようにして、その制度からはずれないものについては三分五厘でやります。しかし、その制度の趣旨に反するといいますか、適用できないものは、別な方法もあるわけですから、あなたからまだお話しはありませんが、近代化資金等の方法もありますから、そういうようなものの道も開かれておりますから、そういうものを使っていけばいいではないか、こういうふうに考えておるわけです。
  52. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、いま話が出たように、そういうようなものでなお処理ができない部分については、たとえば近代化資金あるいはその他のいろいろな制度があると思いますが、そういうようなものについて、たとえば農協の資金を使うなどというようないろいろな形でとりあえずこの問題について対応をしていくということについての考え方をもう一つ明らかにしていただきたいと思います。
  53. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 いま言ったように、三分五厘が適用できるものは極力三分五厘を適用して、その残りの分に対処する。それができないような地域またはできないような施設については、六%というような近代化資金がありますから、それによって機械、器具等の融資というものはできる道があるわけです。近代化資金というものは、もともとこれは系統資金で、農協の資金ですから、農協の金を使っていくというようなことになるわけです。それに対して国及び県が利子補給をして金利を安くするという制度なので、あなたの御趣旨に沿うだろうと思っております。
  54. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なお、県の補助あるいは各種資金の活用をはかるにしても、応急工事を実施するためには、それまでのいろいろなつなぎ資金が必要でございますが、この点についてはどのように考えられるか。
  55. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 それは当然農協のプロパーの資金で、短い期間ですから、急いでつないでもらうように私のほうからも行政指導をしたいと思っております。
  56. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、農協資金などの活用をはかるということもけっこうだし、ぜひそういうように指導してもらいたいと思いますが、農林省は、この融資の債務の保証について、県及び市町村をさらに指導する考え方はあるかどうか。
  57. 岡安誠

    ○岡安政府委員 今回のような場合を特に申し上げますと、県の補助金とか公庫資金のつなぎとして農協の資金が活用されるという場合が大部分だというふうに考えておりますが、そういうようなときにつきましては、債務保証の問題は起きないというふうに考えております。しかし、特にそういう必要があるという場合には、現在すでに農業信用基金協会という債務保証の制度がございますので、この制度を活用いたしたいというふうに考えているわけでございます。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 前から見ると、問題はかなり集約され、前進しているように思います。ぜひこれは緊急に手当てをしてほしいということを私は要望したいと思います。なお、状況はまだ流動的であります。そして、決していい方向に向かっているとは思えない。たとえば干ばつにしても、あるいは水門の問題にしても、農家自体としては、本来これは全く予期せざる問題でありますから、安心をして生産ができるように、今後、全面的な努力と指導をお願いしたい、こういうふうに要望いたします。  続いて、河川の管理と農業という問題について質問をしますが、この河川の管理者は、横利根を通じて利根川の水を霞ケ浦に導入したが、この措置の期間延長あるいは条件の変更について、農林省は河川管理者に何か申し入れたことがあるか。それから、北浦周辺の農業用水の使用状況はどういうような状況になっているのか。また、ポンプなど、水田にかん水する場合には、農業用水は大部分が湖に還流するわけです。そういうものの消費の水量はどのくらいになっているのか。こういうような点についてお答えをいただきたい。
  59. 大山一生

    ○大山政府委員 農林省といたしましては、横利根導水といいますか、これを今回の塩害対策の緊急措置として受け取っておるわけでございます。過去におきましても、そういうことから下流水利権者に支障があると、本川についての河川水利権者との調整の問題はあるわけでございますけれども、豊水期において、いわば水位差を利用するかっこうで導水をするという問題につきましては、常々その点については要請しておるわけでございます。今後とも下流水利権者との調整を経た上で導水路の増加あるいは導水期間の延長をはかるように建設省とよく協議してまいりたい、こういうふうに考える一わけでございます。  第二点の、北浦周辺におきます農業用水の使用状況はどうかということでございますが、これは、流入河川からの取水も含めました全流域について見ますと、約四千五百ヘクタールの水田に対しまして、ピークで毎秒十六トン、これは七十三カ所でございますか、取水が行なわれているわけでございます。それから、湖等から直接取水する地域に限ってみるということにいたしますと、かんがい面積が千三百ヘクタール、ピークの取水が約四・五トン、こういうことに相なるわけでございます。  そこで、水田にかん水されました農業用水というものは結局は大半は湖水に還流するわけでございますが、しかし、多少は稲の生育に要する水量でありますとか、あるいは日照等によって蒸発散する水量というものがあるわけでございますので、使用水量はどれくらいかと言われますと、用水面の蒸発散量というものを消費水量とみなして計算するより方法はないわけでございます。一へタタール一日当たり大体五十立方メートルということになりますので、流域内の水田三千五百ということにいたしますと、大体一日十八万立米ということに相なるかというふうに考えるわけでございます。
  60. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、今度は鹿島の工業用水と塩害との関係について質問します。  鹿島工業用水の取水と今回の塩害との関係について、通産省はこの問題をどう考えておられるか、これが第一点。なお、通産省は、茨城県の企業局の行なっている鹿島工業用水の取水の今回の塩害との関係についてはなお究明しなければならぬ点があるけれども、これ以上塩害を増大させないためにも、この工業用水というものに対して少し節減をするという指導考えておられるか。この点については通産省はどうですか。
  61. 柴田益男

    柴田説明員 最初の御質問の鹿島工業用水道の計画と今度の塩害との関連についての御質問でございますが、鹿島の工業用水道が建設されましたのは昭和四十四年度からでございまして、当時の計画策定時におきましては、特に異常気象でない限り、取水について問題を起こすということは想定していなかったというふうにわれわれは理解しております。  第二の、こういうような情勢で企業に節水を指導するつもりがあるかどうかという御質問でございますが、先ほど農林省さんのほうで御説明がありましたように、異常渇水というようなことで塩害が出てきておるということでございますので、いわゆる渇水対策の一環としまして、県を通じて各企業の節水の可能性について現在調査中でございます。
  62. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農民も、やがて漁民も問題が出てくるわけですから、工業のほうもこの点についてはやはり検討をされるように私は要望したいと思います。  そこで、霞ケ浦総合開発と鹿島工業開発の関連について質問いたしますけれども、経済企画庁と通産省は、鹿島工業開発を計画するときに、その工業用水の取水は霞ケ浦の総合開発事業が前提条件だったと思うけれども、それは間違いかどうか、この点を第一点としてお伺いします。
  63. 鶴哲夫

    ○鶴説明員 霞ケ浦の開発事業と鹿島の工業開発との関連でございますが、工特法によります工業地域の整備を考えますときに、それを関連づけて考えたことは事実でございます。  ただ、それは同時並行的にものごとを考えたわけでございまして、霞ケ浦の水を導入するということは一応の前提にはなっておりますけれども、まだ両者が確定的に一致しているわけではございません。
  64. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それが関連をしていると、こういうふうになるわけでありますが、問題はここにあると思うのです。  この霞ケ浦総合開発は、常陸川水門を洪水時以外閉鎖して湖面の水位の調節を行なうことにより水資源を開発すると私どもは聞いていますが、計画による事業が施工中、完了しないうちに、すなわち水門の完全閉鎖をしないうちに工業用水だけが見切り発車をしていったという点に問題があるように私は思うが、建設省はこれに対してどういうふうに考えられるか。
  65. 宮内章

    ○宮内説明員 現在、鹿島の工業用水に対して許可になっています用水の権利につきましては、塩分を含むという大前提になっているわけでございます。本来、工業用水としては、水質のいい淡水に近いものが最も望ましいわけでございまして、そういう状態になるには総合開発完了後に初めてなるということでございまして、現状の水利権は塩分を含むという前提になっているわけでございます。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それなら、霞ケ浦総合開発はどういう目的で計画をされ、現在どうなっているのか、それが計画どおりに予定どおりに進んでいるのかどうか、こういう点について建設省、企画庁の両方からお聞きしたい。
  67. 宮内章

    ○宮内説明員 霞ケ浦の総合開発事業の目的は、先生が先ほども御指摘になりましたように、常陸川の水門を常時閉鎖するということによりまして、現在塩分の高い湖水について淡水化をはかっていくということが第一の大きな目的でございます。なお、それに伴いまして、水門を操作することによって一部湛水をして水量の増加をはかっていく、この二つでございます。この二つの目的を果たすには、いずれにしましても、現在常時閉鎖することができない常陸川水門に関連します漁業の問題を解決しなければ実行できないということでございまして、直接実施しています水資源開発公団におきまして漁業補償を最重点に鋭意交渉を進めているわけでございますが、残念ながら予定よりややおくれているわけでございます。この辺の実態については公団の理事さんも御出席のようでございますので、また詳しい御説明があるかと思います。
  68. 鶴哲夫

    ○鶴説明員 ただいま建設省からの答弁のとおりでございまして、この事業は湖岸堤を霞ケ浦に新築及び改築をいたしまして湖周辺の洪水を防除いたしますとともに、茨城県あるいは千葉県等の農地に対するかんがい用水の補給、あるいは茨城県、千葉県、東京都等に対します都市用水の供給を目的としておるものでございまして、現在地元との調整等に若干の時間をいただいておりますために予定よりも若干おくれておりますが、今後早急に進展をさせたいというふうに考えております。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 霞ケ浦の総合開発計画は、利根川の水系資源開発基本計画によれば昭和五十年に完了することになっている。すなわち、来年は終わることになっている。それがなぜ終わらないのか、なぜおくれているのか、その理由はどうかということを水資源公団のほうからお聞きしたい。
  70. 川崎精一

    川崎参考人 お答え申し上げます。  ただいまお話しのように、私どもの指示を受けて実施いたしております事業は五十一年の三月までになっておりまして、総事業費が約三百十五億ぐらいでございます。四十八年度までに約三割ぐらいの予算措置がなされておるわけでございますが、先ほど来お話しのように、まあ順調には進捗いたしておりません。  その一番の問題点はやはり漁業補償でございまして、この解決に昨年来鋭意努力をいたしておるわけでございますが、まだいま一息というような感じはしておるわけでございます。したがって、こういったものの推移を見合わせて、私どももできるだけ工期を詰めるようにはいたしたいと思っておりますけれども、現状では、五十一年の三月というのは非常に困難ではなかろうかと思っておる次第でございます。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 漁業補償の問題でおくれているというけれども、五十一年に終わらせなかったら、いつごろになったらこれは終わるのか。それとの関連で、塩害問題とか、そういう幾つかの問題もこれは不可分のものだと私は思うのです。それは大体どういうようにしたら終わるのか、いつごろ終わるのか、これはどうですか。
  72. 川崎精一

    川崎参考人 お話しのように、霞ケ浦の関連では三つの漁業の団体がございますが、それぞれ事情が違っておりまして、私どもも、その辺の取りまとめにつきましては、県の水産関係の方々とも協議をいたしまして交渉を重ねておるわけでございます。したがって、私どもといたしますれば、ことしじゅうにはそういった問題点等を洗い出しまして、漁業の解決のめどとともに、全体の工程について私どもなりの見通しを立てたいと考えておる次第でございます。なお、これは、総合開発事業といいますか、私どもが関係いたしております事業だけではございませんので、やはり総合的な関連もあろうかと思います。したがって、企画庁、建設省なりあるいは茨城県とも十分協議がなされませんと、最終的な工期の決定というものはむずかしいのじゃないかと考える次第でございます。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在霞ケ浦から鹿島工業用水に送水されている水の量というものは一日に大体三十万トン以上、やがて六十万トン、そして最終的には百三十三万トンという水を送らなければならないという契約なり計画がある。この点については、通産省、間違いがありませんか。
  74. 柴田益男

    柴田説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、四月現在の実績で取水しておりますものが三十四万トンでございます。第三期の工業用水道完成時における一応の現段階における需要見込みといたしましては、おっしゃいましたように百三十四万トン程度を想定しております。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 したがって、現在取水している鹿島工業用水の取水は暫定的な処置だというように私どもは聞いておりますけれども、流水の占用の許可にあたっては、関係者の同意を得ているかどうか。もし得ているとしたならば、どの辺のどういう代表によってどれくらいの同意を得たかどうか、その点はどうでしょうか。
  76. 佐藤毅三

    ○佐藤説明員 新規水利の許可をいたします場合には、申請者におきまして関係河川使用者の同意をとるということになっております。今回の鹿島の工業用水につきましても、必要な関係河川使用者、農業の水利権者でございますが、その同意をとっておるというふうに承知をいたしております。  なお、その範囲につきましては、現在手元にちょっと資料を持ってまいっておりません。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひ資料を届けていただきたい。いろいろ関係がありますから。  そこで、時間もありませんから次のほうに移りますけれども、霞ケ浦の総合開発にしても、新規用水の手当てはあくまで既得の水利権というものがある、それは、農業用水を尊重して、質量ともに満足した上で行なわれるべきである、こういうふうに私は考える。県知事の岩上知事も農工両全と言っている。ここに霞ケ浦の総合開発計画があるけれども、この中にも農工両全という計画を明確にうたっているのです。それから法的にも慣行水利権というものは当然保護され、保障されるべきものである。だから、そういうことで農民を犠牲にするというか、農民をないがしろにした形で工業が発展をするということはよくないと思うので、この点についてはどう考えられておるのか。
  78. 佐藤毅三

    ○佐藤説明員 新規水利の許可をいたします場合には、既得の水利権者に支障を与えない範囲で取水をすべきことという条件をつけております。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今後霞ケ浦の問題はさらに発展をすると私は思うのです。工場のほうも容易ではないし、魚もたいへんだし、水田もえらい、やがて飲料水にも問題が出てくるというぐあいに、当初計画をされたときよりも問題はさらに複雑になっておる。現実に問題が出ている。こういう状態のときに、関係各省は、霞ケ浦総合開発計画というものをもう一度考え直す、検討するという考え方はないかどうか。この点についてはどうですか。
  80. 宮内章

    ○宮内説明員 霞ケ浦の総合開発につきましては、現在行なっています事業については先ほど来申し上げているとおりでございますが、前々から先生の御指摘の塩分以外の水質の問題もございます。それから、さらに、首都圏地域の今後の水の需要の増大という大きな問題もございまして、そういうものをあわせ踏まえますと、現在の霞ケ浦の総合開発計画をさらに発展さすとでも申しますか、たとえば県内の他の河川からの導水をはかるとか、あるいは利根川と一体的な見詰め直しをもう少しするということが必要だというふうに痛感しておるわけでございます。それで、たまたま企画庁で利根川水系の水資源開発基本計画の洗い直しを今年度から作業にかかるというふうに聞いていますので、その段階におきまして、私どもも、いま申し上げたような方向で霞ケ浦総合開発計画を現状よりさらにいいものにしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間がありませんから私はこれで終わりますが、前回以来三回にわたってこの委員会で霞ケ浦問題を質問いたしました。そして、各関係者の努力によって調査も進んでおるし、実態も明らかになってきた。そして、なお、いま答えがあったように、霞ケ浦の総合開発についても、現状に即してもう一度再検討しようということも考えられておられるようですね。それで、順序としては、何といってもいま田植えを前にして農民が一番困っているわけだから、その農民の要求にこたえていくと同時に、やがて今度は魚が問題になりますし、そして、工業用水もやらなければいけないでしょうから、工業用水との関係、それから都市の飲料水の問題等々を含めてみると、霞ケ浦問題というものは一部茨城県だけの問題じゃない。あの地域の関係する東京も含めた大きな政治の問題になっていきますので、今後この点についてはなお一そう調査をし、検討されて、これを努力されたい。私はまたさらに現地とも話し合いをしながら、多くの問題をここへ出して、そして、ほんとうにあの周辺の人々が安心ができるようにしたいと思います。  そこで、最後に、政務次官からこの問題についての締めくくりの答えをいただいて私は終わります。
  82. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 霞ケ浦の問題は思いがけなく発生したことでございますが、今後とも類似のケースが起きないという保障はありません。したがいまして、いろいろな御意見等も十分尊重して、できるものはできるだけ御趣旨に沿うように処理をしてまいりたいと考えております。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  84. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 参考人には、本日御出席いただきましてありがとうございました。  次に、小沢貞孝君。
  85. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ことしの予算委員会で質問をしたわけですが、まださだかなる御答弁がいただけなかった問題を含めて若干の質問をいたしたいと思います。  食料自給というような立場から、麦とか大豆にことしは補助金を出して生産をしていこうということになって、麦には一俵二千円、それから一集団当たり十万円の交付金を出してやっていこうということで予算が通っておるわけです。それで、これだけの補助金で、そのトータルが百三億だと思いましたが、一体幾らの増産になるだろうか。ことしの予算委員会のときよりはさだかにわかるようになってきたんではなかろうかと思いますので、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。事務当局でけっこうです。
  86. 松元威雄

    松元政府委員 麦の生産振興につきまして、お話しのように、従来の施策に加えまして、四十九年度から新たに生産振興奨励補助金というものを計上いたしまして麦の生産増強をはかったわけでございますが、この増産の見込みにつきましては、実は、これは、中身が、麦作振興地区というものを指定いたしまして、その地区内におきまする生産増加の状況に応じて交付するという仕組みでございまして、現在各県から資料をとっているわけでございますが、まだ最終的な数字はまとまっておりませんものですから、計数的に幾らふえたというごとはまだ申し上げる段階に至っていないわけでございます。  それから、もう一つ、百億と申しますのは、これは実は金額で申しますと、ふえた分について出すのではございませんで、これは、麦の生産に対しまして、全体として、いわば増産分ともとの分を合わせまして出すという仕組みになっているわけでございます。いわば、麦の生産をしたものにつきまして交付する、その中身は販売量に応じて交付する、こういう仕組みになっているわけでございまして、その場合に、麦の生産に対して意欲を持っている、それからまた生産の増加が確実である、こういう地区を対象にするものでございますが、その場合には、その地区内の販売量に対しては全部交付するという仕組みになっているわけでございまして、数字につきましては、いま申しましたとおり目下集計の段階でございまして、計数的にどの程度ふえたかということにまで至っておりません。
  87. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、これだけの予算を使って、いま幾らふえているのか全然見当がつかないわけですか。ことしの予算委員会のときには、いつも麦作は減っていく、その減っていく傾向面積だけは減りどまりがありました、何町歩ありましたという答弁があったと思うのですが、作付面積で言えばどうですか。
  88. 松元威雄

    松元政府委員 私、たしかそういうことをお答え申し上げましたが、まあ全然わからぬといった意味じゃございませんが、ただ、計数でございますとかなりフレるわけでございます。私たちも途中の段階で何回も県からの報告もとるわけでございますが、県の報告自体もそのときどきで動くものでございますから、計数的に幾らとぴしゃりとは申し上げかねるという趣旨でございまして、ただ、従来は年々減少いたしておりまして、年によっては三割減少というような傾向もございましたが、明らかにことしはふえている。ただ、ふえた面積幾らかということを計数的に現在申し上げる段階でないものですから、そう申し上げたわけでございます。
  89. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、私、自分で計算をしてこなかったから、ちょっと計算をしていただきたいのです。一俵六十キロ当たり補助金を出す、また、十アールだか、集団には十万円を出すということと、小麦についてですが、補助金を出したものを政府買い入れ価格と合算すると、政府の買い入れは――政府の買い入れということはおかしいが、負担はトン当たり幾らになりますか。これはちょっとそこで計算をしてもらいたいと思う。
  90. 三善信二

    ○三善政府委員 御承知のように、政府の買い入れ価格は、国内小麦で大体トン当たり七万七千七百六十六円、この中には契約生産奨励金も入っております。そこで、これに生産奨励金一俵当たり二千円とか千八百というものを加えますと、トン当たりにしますと大体十一万円程度になります。
  91. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。そこで、最近の小麦の輸入価格動向について、去年の十二月ごろからでけっこうですが、十二月は幾ら、一月、二月、三月は幾ら、四月は幾らということはわかりませんか。いま、トン当たり幾らで入っておりますか。
  92. 三善信二

    ○三善政府委員 昨年の十二月でございますが、円レート二百八十円に換算して大体七万一千八百二十九円でございます。それから、ことしの一月が七万四千二百八十四円。それから、一番最近の数字を申し上げますと、これは五月二日の数字でございますが、大体三万八千円程度に落ちております。と申しますのは、一番高かったのがこの一月と、二月の七万一千円、これは三百八円のレートで計算しますとちょうど八万一千円ぐらいになります。二百八十円で計算しまして七万一千円ちょっと、それが大体半値戻し的な状況で三万八千円ぐらいの価格になっております。
  93. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま発表があったように、十二月ごろが七万一、二千円で、最近は三万八千円と、一時よりはまるで半値になってしまったような状態で輸入価格がたいへん激動しているというか、たいへん乱高下しているわけです。伝えられるところによると、この一週間か十日前の新聞によれば、ソ連か中国かがたいへん不作で、またことしもたくさん買わなければならないというような動向のようであります。こういう影響はどういうような影響を及ぼすであろうか、その見通しはどうでしょうか。
  94. 三善信二

    ○三善政府委員 先生、ちょっと先ほどの数字を訂正させていただきます。三万幾らと申しましたのは、これはいろいろなチャージを含めないシカゴの相場の価格でございまして、チャージ等を含めて輸入価格等に換算いたしますと、大体五万四千円から五万八千円程度になっております。六万円ちょっと割れた程度でございます。  それから、いまお尋ねがございました今後の国際的な小麦の事情と申しますと、一ころ、私どもは、ことしの一、二、三月ごろはソ連の冬小麦が、ことしは暖冬異変と申しますか、非常にあたたかくて、雪が溶けて、あと寒気に襲われると生育が非常に被害を受けるのじゃないかということで心配したこともございますが、寒気に襲われず、非常に順調に冬小麦は生長した。これはもう結果的にそうなっております。ただ、今後の春小麦の植えつけにつきまして、水が多少不足するんじゃなかろうかということも一部には言われておりますが、私ども、アメリカその他ソ連の情報を探っております現在においては、そうさしたる心配は要らぬだろうということで考えております。  そういうことで、アメリカは大増産になっております。非常に順調に生育し、相当の増産になっております。それからカナダもそうでございますし、オーストラリア等も増産になっておりますし、小麦の世界的な生産状況というものは、ことしから来年にかけて非常に楽観的ではなかろうかと思います。したがいまして、価格も、先ほど申し上げましたように、ことしの二月十五日でございますか、一ブッシェル当たり六ドル九十セントと最高の値をつけて、それが先ほど申し上げましたように、これはシカゴの現物相場でございますが、最近は大体半値近く戻しているというのが現状でございます。
  95. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ことしの二月のトン八万円というのは最近の最高であった、最近はここへきて六万円以内ぐらいに落ちついている、こういうことで将来の見通しもそう心配はなかろうと、いまこういう御答弁のようですが、ただ、こういう国際価格が安定している中で、国内で麦を生産して、補助金を出して、政府買い入れ価格と合算すると十一万円になる。倍になっちゃうわけです。だから、食料自給体制ということで麦を増産するには、単に一俵二千円の補助金とか、集団でやった者には十万円補助金を出すという程度のことでは、これはやはり価格が倍になるということになりはしないかと思います。これは長期的に見て食料自給体制を整えるということになると、こういうアンバランスがいつまでも続くことは許されない、こういうことになるならば、もっともっと抜本的に生産価格を引き下げる対策を立てなければならないのではないのか、こういうように考えるわけです。長期的に輸入は六万円、いま補助金を出して国内の買い入れ価格と合算すると十一万円、倍になるわけであります。だから、特に小麦だけに例をとってみても、国内で食料自給体制をもう少し長期的にやるには、構造改善事業なり何なり、もっともっと根本的なことを考えなければ――政務次官は国際分業論派だが、外国から半値で来ればそのほうがいいじゃないかというのはだれだってあたりまえなことだし、また、そういう世論になっていくのじゃないかと思いますが、このコストを引き下げて抜本的な増産対策を考えるということはどうでしょうか。
  96. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私も、実は、ぜひともそういうふうにやりたいという願望は持っておるわけです。ところが、いま小沢先生がおっしゃったように十一万円と六万円、しかし、それはことし麦価を値上げしないという前提ですね。しかし、当然麦価はパリティでいきますから上がりますよ。したがって、もっと開きができるということも現実です。  そこで、それじゃ麦をどういうふうに増産させるのかということになると、日本では大体一反歩五、六俵――五、六俵と言いますと、大体一反歩三トンないし三・五トンぐらい。いま五百万トンの麦を輸入しておりますから、百万ヘクタールつくらせなければ三百五十万トンはできないということになりますね。ところが、百万ヘクタールどこでつくらせるか、あるいは五十万ヘクタールどこでつくらせるかということになると、いまの値段でさえも、畑で麦をつくるというところは、大々的にやるところは北海道のようなところとか、そう大面積はないのです。水田裏作ということが一番考えられる。圃場整備を完全にやって、そうして機械化体系を入れて、それで手数のかからない麦づくりというものは考えられるのですが、ここに問題点が一つあるのです。それは、私もそういうことで農業団体やなにかにも話してみたのですけれども、結局、田植えの時期が非常に早くなったということがガンなのです。これはもう一俵よけい増収しようということで、関東あたりでは一カ月早くなって、六月の田植えが五月になったということでございますが、そのほかにもう一つ出てきた。それは機械植えの問題なのです。機械植えということは、小さな二センチか、三センチか、五センチぐらいの稚苗を植えますから、これは六月半ばとか七月に植えた場合は、非常に伸び過ぎちゃって、節の長さが非常に大きくなって、ともかく実が持たない、ならない、すぐ倒伏してしまうというような問題があって、六月過ぎてから機械で田植えした人はみんな失敗しています。こういうような点から見ると、それじゃ四月か五月に刈り取れる麦があるかということになると、そういう麦は残念ながらあまりない、そういう場所もないということで、たんぼの裏作で大々的にやるという場合は非常に限られてくる。では、もう一ぺんもとの手植えに戻して手数もよけいかける、そのほかに今度は機械植えはやらない、手植えをやって、そして反収幾らか減ってというようなことと合わせれば、麦の価格というものはうんと上げなければとてもなかなかできない。しかしながら、いろいろ困難はあるけれども、できそうな場所には条件を整備してできるだけ麦をつくらせるということをやってまいりたいと思っております。しかし、そういういま言ったような問題点があるということも御承知おき願いたいのであります。  そうなると、五百万トンの麦を一体幾ら自給できるのかということになりますと、やはりそれはたいしたことは見込めないというのが現実の姿で、そうすると、いま言ったように、戦略物資としてこれが非常に使われるというようなことになって、乱高下があったり、あるいは入ってこないというような問題が起きるのじゃないか、石油の二の舞いになるのじゃないかという御心配がありますが、しかし、石油というものは限られた地域だけしかとれない、小麦の場合は、カナダも、アメリカも、オーストラリアも、やろうとすればかなりできるし、ブラジルだってやればできるかもわからぬ。多国間の輸入というものが石油と違って可能であるということになると、安定的な輸入をするというためには、そういうふうな国防上の問題も考えると、アメリカ依存だけというのではなくて、これはある程度分散をするということは必要であろう。多少不経済な点があっても、そういう心配を除くということになればそういうことも必要だろうと思われております。しかし、日本で麦をつくるなんて言い出したものですから――えさもつくる、麦もつくる、自給体制を高めると言ったから、アメリカはせっかくこれだけ小麦の大増産をやっているのにそれは困りますと、アメリカで輸出制限、輸出規制をやったのは大失敗だったということをこの間バッツ長官も来てはっきり言っているわけですよ。これからはそういうことはいたしませんからひとつ長期契約を結んでやってくださいというようなことも言っておるので、長期契約等できちっと取りきめていけば、数量の確保ということについてはそう極端な心配をしなくてもいいじゃないかと私は思う。だからといって、自給度を上げる努力をやめるというのではありませんよ。それは誤解のないようにお願いいたします。
  97. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 五百万トン輸入している間のたとえ百万トンでも二百万トンでも、自給度を上げるということさえたいへんなことではなかろうかと私は思う。トン十一万、片方は五、六万、こういう値段の開きのある限りたいへんなことじゃないか。だけれども、これはある程度自給度を上げていかなければたいへんなことになるというのはいまの国民世論ではなかろうかと私は思います。そのためには、つけ焼き刃みたいに、補助金二千円出しました、集団で十万円出しますという程度の対策だけでは、との価格の開きを縮めながら自給体制を整えるということはたいへんなことじゃないか。いま麦だけに例をとったが、大豆においてもそうだと思います。だから、来年度予算の編成のまた原案づくりがいまもう間近だと思いますが、ここはもう少し抜本的に、片や自給体制も上げていき、国際的なアメリカ依存ではなくて、輸入も安定的にやっていくという両面について根本的な対策を立てて進んでいただかなければならないのではないかと思いますので、その点だけは要望しておきます。  次に、ことしの食管会計の赤字は五千百五十億――これはその前にお尋ねをしたいんだが、午後農林大臣が出てくれば当然質問があろうと思いますが、米価をきめるのは参議院後ということに、政府の方針としてはもうきまったわけですか。
  98. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 別に、政府としてそういうことを発表してはおりません。発表してはおりませんが、農林省としては、例年七月に入ってからきめておるというのが大体の慣例みたいなことであります。米価据え置きというようなことをやったときには二年ほど早くきめたことがございますが、ことしはそういう状態じゃございませんし、物価、賃金が春闘相場等によってかなり上がっておりますから、なるべくこの上がった水準で米価をきめて差し上げたほうが農民のためにもなるし、実情に合うのでないかということを考えて、大体例年どおりのペースできめるのがいいじゃないかというふうに考えておるだけであります。参議院選挙云々ということは、実は頭にないのです。
  99. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 例年どおりにやるという方針であって、参議院選の告示が来月十四日で、きょうはもう二十三日ですから、いまからどう馬力をかけて進めても事務的には間に合わないということでしょうか。
  100. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 事務的に間に合わないということは、何が間に合わないということなのかわかりませんが、いますぐやるということになれば、三月のデータとか二月のデータでやりなさいということなら、それはやってできないことはないんですよ。しかし、せっかく米価をきめるんですから、春闘相場等も織り込んで、それできめるということが一番適切ではないかというようにわれわれは考えておるわけです。
  101. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それについては午後の大臣の質問でたくさんあると思いますから……。  その場合、五千百五十億の食管の赤字があるわけです。これは農業団体は六四%の値上げ要求で、幾らにきまるかははっきりはわかりませんが、これが膨大な赤字になる。これはもう一兆をこすであろう。私も予算委員会で、これは確実に一兆をこすであろうと――そういうことを考えて消費者米価も同時に引き上げを諮問する、そういうことから消費者米価も一緒にきめよう、諮問しようということになったわけでしょうか。これは、生産者米価だけきめて、消費者米価はあとできめてもちっとも差しつかえはないわけです。ところが、新聞の伝えるところによれば、生産者米価と消費者米価を同時諮問だというように伝えられているが、農林省としてはそういう態度をきめたわけですか。
  102. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 そういうことはまだきまっておりません。
  103. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 農民側から見れば、これはもう膨大な生産資材が上がる。対前年比三割、四割、ものによっては倍も三倍もするような状態だから、当然大幅値上げを要求する。ところが、同時諮問ということは消費者米価もまた相当上げなければならないということはだれが考えてもわかることです。われわれはそれに反対しているわけなんだけれども、ことしの四月一日から上げ残しになっている九・八%に手数料や何かを入れると一〇・何%になるらしいけれども、そういうものと、今度は新たに消費者米価を相当上げるということになれば、常識的に考えても、これはへたをすると三割ばかりではなく、四割も消費者米価が上がるんではなかろうかという心配をいまからするわけです。これは当然のことであります。そうすると、同時諮問をするということは、片方の消費者パワーによって生産者米価を引き上げることを足を引っぱらせようとするような、かんぐってみればそういうようにしかとれないわけであります。われわれからすると、生産者米価は再生産を確保することができるような立場、消費者米価は国民生活の安定に資する立場と、それぞれ食管法の命ずるところによって次元が違うわけであります。これは別に切り離して諮問したらどうでしょうか。
  104. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 それは別にするか一緒にするかというようなことはまだきまっておりません。高度な問題でありますから、これは内閣の首脳部等とも話し合ってきめなければならぬと思っております。ただ、いま言ったように、生産者米価は大幅に上げろというときに、消費者米価は、極端なことを言えば据え置きみたいなことを言っても、食管法ではそういうことは書いてありませんで、やはりそれは家計米価ということでありますから――いま月給は上がる。その中で消費者米価だけを据え置いておかなければならぬということは――米の家計費の中に占める割合というようなものは年々少なくなって、ことしあたりはおそらく二%台になるだろうと見ておるわけです。そして一兆円も税金で穴埋めをしていく。一方では、家計費の支出の中の米の割合は、月給が上がっていますからほんの少しになっているのに、それを全部税金で補てんをしていくということはいかがなものかと、私は非常な疑問を実は持っております。農林省としても、米だけでかりにそういうようなばく大な金を使うということになって、しかも、農林省予算のワク組みの中でそういうことをやられれば、理屈はどうあろうと、現実の問題としては結局他の農業者がかなり圧迫を受けるということも間違いないと私は思っておる。そういう問題がある。それでは逆ざや問題というものはもっとひどくなりまして――米の逆流なんというものが現実に例があるのですからね。秋田県にあったでしょう。そういうふうな例もあるし、これは非常に問題がある。  それから、もう一つは、現実に政府が安く払い下げておるにかかわらず、いまの消費者は、標準米制度があるにもかかわらず、標準米を食べる人が年々減っておる。それで、ともかく自主流通米とか、あるいはなんとか格上げ米とかいって高い米を買っておる。そんなにいい米があるはずがないのに高い米を買っておるということは、みんな家計支出の中で米の割合が少ないものだから、ともかくうまい米をください、うまい米をくださいと言うので、結局政府が安く払い下げた標準米がまぜ米をされて高く売られておるという現実もあるんではないかという疑問を私は実際のところ持っておるわけなんです。そうすると、政府だけは負担するけれども、消費者のほうは、その安い米を買ってほんとうにありがたいと言うならまだしも、安い米じゃなくて、高い米を買っておる。だから、そういうことは意味がないんじゃないかという気もする。  いろいろな角度から見て、消費者米価の問題というものは、生産者米価を上げる上げないという問題にかかわらず、ともかく、家計米価の中で適正に処理されるものである、そのことが一番やはりいびつな形にしないし、矛盾を引き起こさないようになる、このように思っております。
  105. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 消費者米価を上げることの是非の問題は別として、いま政務次官の言われるように、現実的にはそういうような落ちつき方をしていくとするならば、こういう現象が起きないでしょうか。たとえば、六四%の要求で三十何%にきまるとたとえれば、それは一%約百五十億だから、五千億前後になる。いままでの食管の赤字が五千百五十億だから、一兆幾らになる。これではとてもいかぬから、今度上がった分を消費者米価を上げるようにすると、それは三〇何%上がる。いままでの上げ残しが一〇%ある。こういうことになると、消費者米価のほうは四割あるいはそれ以上上げなければならない。その時期が十月ごろだともし仮定するならば、これは四割近い消費者米価を上げて、しかも端境期だ。こういう時期にそういうことをやることは、この前のちり紙騒動ではないけれども、米の買いだめ運動なんかをどこかで扇動する者が出てきたならばああいう事態が起きないか。消費者米価を上げることの是非の問題ではなくて、そういう事態が起こってこないかという心配を実はするわけですが、そういうものに対する対策はどうでしょうか。
  106. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、あなたのおっしゃるようなことも考えられるんですよ。これを五%とか一〇%とか上げるというようなことならそういう問題はあまりないでしょうけれども、あらかじめずっと先のことまで見て二〇%以上上げますとか、それは三〇%上げますというようなことを言ったら、そんなに上がるんじゃ預金しておくよりもいいから先に買いだめするかというような事態はあり得るんですよ。こんなものは、上げるときめたらあしたから上げるのが実際は一番いいのです。たばこだって、昔は、値上げするという場合は、今晩の十二時にきめてあしたの朝実施というようなことをやったのです。ですから、そういう現実というものも相当よく頭の中に入れて処理しなければならぬ。  ただ、そういうように生産者の上がった分だけ全部上げるかどうかという問題等もまだ検討しておりませんので、ここでいつからどれだけ上げるというようなことをいまお話しするわけにはまいりません。しかし、あなたのおっしゃるようなことは、きわめて現実として起こり得る問題でありますから、十分念には念を入れて、それはそういうことのないように実施をしたいと思っております。
  107. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間もありませんので、最後に、農村でずいぶん普及しておる有線放送電話のことについてお尋ねをいたしたいと思います。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  これは所管は郵政省でありますが、しかし、有線放送電話の普及してきたゆえんを考えれば、農林省及び自治省等で援助をして、そしていまや三百万戸というものが加入しているわけであります。  この機会に私が質問をする理由は、いま郵政省で約一年がかりで、地域通信調査会を設けて、有放のあり方と電電公社の電話のあり方等について、将来いかにあるべきかという検討を続けてまいって、近々のうちにその結論が出そうだというような状況になっております。ところが、昔は、有線放送電話が営農その他の農業の振興、それから災害防止ということにたいへん役に立つということで、補助金を出したり、あるいは何かいろいろ便宜をはかったり支援をしたりしたが、最近は一般電話が普及してきたこと等もあって、農林省がこれを側面的に応援するという体制がどうも十分ではなさそうだということのようであります。そして、最近、地域通信調査会だとかいうようなところで、電電公社の攻勢等もあって、有放というものについて冷たく扱われているというところが実情じゃなかろうかというふうに考えております。私たちのほうへ来てもこれはたいへんな普及のしかたで、これが農村その他に影響するところが非常に大きいわけです。  そこで私がお伺いをしたいのは、一つは業務区域の問題であります。これを拡大する。また、これも私は最近気がついたのだけれども、村役場で扱っておる有放については無税だが、農協や単独法人のものについては税金を取られる。同じ有放で、有放というものは利益をあげちゃいかぬと最初から法律できまっておるものを、片方については税金を取る、片方は取らぬ、こういう不合理なことが行なわれておるようであります。それから、また、この有放が機械が古くなって、更改をしなければならないという機械があるわけであります。そういうところへつけ込んでいって、電電公社その他は、いままで有線放送のあった家へは全部一般電話を入れてやります、と、そういうことをしてわざわざつぶそうとしておるわけであります。もう一つは、有放と電電公社の電話をつなげる場合に、一般の交換のほうは優先をして、有放のほうの市外通話をつなぐのは、最近ははなはだしいときには二十分も待たせる。十五分から二十分。そういう差別待遇をして、有放というものは不便なものだ、だめなものだ、それをやめるというなら電電公社は全部一軒残らず入れてやる、と、こういうことをやってだんだん有放をつぶすという方向にいま来ていると思います。  こういうことをめぐって、いま郵政省の地域通信調査会あたりでだいぶけんけんごうごうの論議をしておるようであります。だから、この辺で、農林省が最初バックアップしたものなんだから、やはり農村側に立って有放のバックアップをしっかりやってもらいたい。その抽象的なことを先に政務次官から御答弁をいただきたいと思うわけです。
  108. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 農林省は、やはり有線放送の援助というのはやっているんですよ。現在でも山村振興地域というようなものに対しては助成もいたしております。  ただ、一般の地域は、新農村建設の事業をやったときに、一般の地域に有線放送の助成はいたしました。しかし、助成というものは永久にやるべきものでなくて、奨励するという段階のときに助成というものは行なわれるものじゃないかと思う。ですから、普及をいたしましたから一応の目的というものは果たしたのではないかというように考えておるわけです。  それから、有線放送のことをままっ子扱いするという話をいま私は承ったのですが、もし現実にそういうことがあれば、これは郵政省が監督者ですから、郵政省に厳重にそういうことのないように農林省からも申し入れをしたいと思いますので、具体的な事例がございましたならばどうぞお申し出をいただいてお教えをいただきたい、かように考えております。そして、有線放送の使命に沿ったことについては、われわれとしては今後とも全幅の応援をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  109. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がないから、次官のそういう抽象的な答弁でけっこうです。  ただ、最近、有線放送のあり方について答申が出されようとしているわけです。これが意見がまっ二つになっているわけであります。電電公社側は、通信施設は電電公社の一元化で、ほかの者はくちばしをいれちゃいけないぞみたいなぐあいで、有線というものはじゃま者扱いでしようがないわけであります。ところが、地域の町村代表や農協、農民側の代表は、いや違う、有放の使命というものは重要だから、いよいよもってこれは国でもって援助をしろと言う。こういうようにいま両論が対立したままのような状態になっているわけで、ここ一カ月かそこらで答申が出されようとしているわけであります。従来せっかく農林省も声援をしながらこれまで大きくなってきた有放、これは農業のためにたいへん必要だと思いますから、具体的な事例等はあとで担当局長等に持ってまいりたいと思いますが、その答申の出し方が大事なので、答申前に農林省側の意見というものも十分反映できるような処置をしていただきたい、こういうお願いをして質問を終わりたいと思います。
  110. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 芳賀貢君。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、農林大臣に質問をいたします。  今国会も六月三日で会期を終了することになっておるわけですから、余日は十日程度であります。国会終了後、六月十四日には参議院選挙の告示が予定されておりますので、そういう事情を背景にして、食料政策のかなめである昭和四十九年度産米の政府買い入れ価格決定について、政府部内にもいろいろな説がありますけれども、この際、所管の農林大臣から、政府を代表した立場で、まずことしの生産者米価決定についての方針並びに決定の時期等について明確な所見を述べてもらいたいと思います。
  112. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 本年の生産者米価につきましては、ただいまお話しのように各方面でいろいろ御意見がございますが、私どもといたしましては、まず、米価審議会に提出いたします資料がまだ整っておりませんので、そういう資料を調整、収集いたしておる段階であります。その上で米審を開いて決定をしてまいりたい、こういうことを考えている次第でございます。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 米価決定の時期は、毎年政府の都合によって不同ですが、それは、現行の食管法並びに関係の政令等においても、米価についての決定の時期というものが明定されていないわけです。麦価については、政令によって、六月に麦価の決定をして告示するということになっておるので、これはもう毎年六月の適当な時期にきまるわけであります。  そこで、米価の決定については、ことしは特に早期決定を要望する声が生産者側においても強いわけでありますし、過去の決定の時期等を検討しましても、この段階あるいは国会終了までの時期にきめるということは決して早過ぎるということではないと思うのですが、その点はいかがですか。
  114. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまお話しのように、米価決定について、別段期限を付してはいないわけでありますが、先ほどもお答え申し上げましたように、米審という機関があります。それにはやはりそれぞれの専門家、生産者代表、消費者代表というふうな方々が参加していただいておるわけでありますので、それに一定の方式に基づいて資料を提出いたす次第でありますので、御存じのように例年大体七月ごろに決定をいたしておる。私どもといたしましても、今日の状況にかんがみまして、その資料収集に努力をいたしておる次第でございますので、それを整えた上で例年のとおり米審を開きたいと考えておるわけであります。
  115. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、最近における数年間の決定の時期でありますが、まず、昭和四十五年並びに四十六年の生産者米価は倉石農林大臣のもとにおいて決定されておるわけであります。そこで、四十五年の場合には、六月三日に米審を開催して、そこで諮問をいたしまして、六月六日に答申が出て、政府が閣議決定をいたしたのが六月九日ということになっておるわけであります。その以前も大体六月の初旬に決定された事例が多いわけです。翌年の昭和四十六年には、倉石農林大臣のもとで四月二十六日に米価審議会が開催されまして、そこで三年連続の据え置きの諮問が出まして、この米審においては相当審議が難航いたしまして、ついに無答申で終わった経過があるわけでありますが、無答申を受けて五月一日に閣議決定ということになっておるわけであります。当時、委員会を通じまして五月早々に決定する理由等について質疑をしたわけでありますが、ちょうど四十六年には、現在の食管法はそのままにしておいて、政令、省令等の大幅な改正を政府が行ないまして、特に、四十六年度産米については、表面は予約買い入れ制度でありますが、それを根本的に変更いたしまして、まず政府が一方的に買い入れ限度数量というものを事前割り当てを行なって、その限度数量内において予約の申し込みをさせるという、こういう事態が生じたわけであります。その当時は、これは明らかに食管法を空洞化するものであるというきびしい論議を行なったわけでありますが、倉石農林大臣のもとにおいても、六月早々あるいは五月一日の決定を行なっておるわけでありますからして、それと比較した場合において、現在の時点において何ら準備が整わないということは決して理由にはならぬと思うわけでありますが、その間の事情はいかがですか。
  116. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お話しの四十五年、四十六年の決定でありますが、四十六年の上昇は、四十五年に支払われました米品質改良奨励金あるいは良質米奨励金というものを米価の内ワクといたしたのでありまして、御存じのように、前年と同様実質は据え置きということであります。このときは、御存じのように、米が潜在的に過剰ぎみであるということから、生産調整を本格的に考慮しなければならないというような事態でございまして、いま私が申し上げております今年産米価につきましても、芳賀さん御存じのようにいろいろな生産費調査をいたすわけでありますが、たとえば労働賃金等でも、それは私どもが計上いたすというよりも、同じ政府部内でありますが、ほかの役所で四月現在を基礎にいたしまして、そしてこちらが要求いたしております五人以上、四百九十九人未満の製造業等の賃金を抽出するわけでありまして、そういう作業もございます。いろいろやってみますというと、やはり七月初旬にそういうものの実態が把握できるということでございますので、私どもはできるだけ正確な資料を整備いたしまして審議会の討議に待ちたい、こういう考えをとっているわけであります。
  117. 芳賀貢

    ○芳賀委員 四十六年に農林大臣が五月一日に決定した大きな理由の一つとしては、前例のない買い入れ制限割り当てをしたわけでありますから、その制限割り当てを行なって予約の申し込みをさせるということでありますから、その分については全量買い上げとは違うので、政府としてはできるだけ早期に価格を示して、この事前割り当て分については十分事情を理解して協力してもらう必要があるということが例年よりも約一カ月間決定を早めたという当時の理由になっておるわけであります。ですから、五月にやったこともあるわけですから、あるいは六月早々に決定した事例が多いわけですからして、別に、七月にならなければ価格の決定ができないということではないんですね。  ただ、昨年、一昨年の米価の決定が七月あるいは八月に延びたということは、四十七年の場合においては、七月に自民党の総裁改選がありまして、佐藤内閣から田中内閣に内閣が移行したわけです。そういうことで、当時佐藤内閣としては、次の新しい総裁がきまりたあとの内閣においてきめるためということで、四十七年は七月二十九日に決定がされておるわけです。昨年の場合は、六十五日ずつ二回大幅な会期の延長が自民党の単独採決で行なわれました関係と、もう一つは、七月の下旬に田中首相が訪米をするというような事情もありまして、訪米後に閣議決定となったわけですからして、その結果八月八日の決定ということになったわけであります。  ですから、四十七年、四十八年の七月下旬ないし八月いうのは異例な決定であって、通常の決定ということになれば、少なくとも六月早々に適正な米価を決定して生産者に安心してもらうというのがいままでの政府としての行なった措置ということになるわけでありますが、この点についてはどう考えておられますか。
  118. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもといたしましては、申し上げるまでもないことでありますが、生産費・所得補償方式という形でいたします以上は、できるだけ決定に近い数値を計算するということが望ましいことであると考えておるわけでありまして、本年、ただいまのような状況のもとでそういう整備をするということはなかなかむずかしいことは先ほども申し上げたとおりでありますので、特段にこれをおくらせなければならないとか、そういうような考えは毛頭ないのでありますが、すなおにやってみまして、諸般のデータを整備いたします関係を考えてみますと、七月初旬になるのはやはり順当ではないだろうかということを考えておるわけであります。
  119. 芳賀貢

    ○芳賀委員 七月初旬ということは、七月七日の七夕選挙が終わってからということですか。
  120. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 それは、先ほども申し上げましたような一つのデータであります賃金統計等も六月末には整備されますからして、七月ときめておるわけではありませんが、大体七月に入るのではないか、そのころできるだけ整備をいたしたい、このように考えております。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことになると、結局麦価決定後ということにはなるわけですね。その点はどうですか。
  122. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 麦価は、先ほどもお話しのございましたように、これはきまって六月中にやることになっておりまして、大体いつも六月月末に近いころ行なわれておりますが、それよりおくれるかもしれません。その辺のところは私どももまだ明確に想定はいたしておらないわけであります。
  123. 芳賀貢

    ○芳賀委員 麦価については六月にきめるということになっておるわけだから、これを延ばすわけにはいかぬわけですね。それより先に米価をきめるということになれば、六月の上旬あるいは中旬ということになるし、あとからということになれば、結局参議院選終了後ということを目途にしておるように思われるわけですが、いかがですか。
  124. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私ども、この米価決定について、参議院選挙というふうなことはあまり念頭にないわけでありますが、そういうことになりますとやはり多くの人々にも御迷惑かもしれませんし、その辺の事情はその辺に近づいたころ判断をして、米審とも相談をいたしたいと思っております。
  125. 芳賀貢

    ○芳賀委員 去年も麦価の決定後に米価がきまったということになっている。麦の場合には毎年五月パリティで試算するわけですからして、去年は一四・九%のパリティの上昇、これを調整して麦価は前年度に対して一四%の値上げということになっておるわけですね。米価についても、大体麦価の上昇率というものを基礎にして、結局一五%の上昇ということで米価が決定されておる。そういう経過があるわけです。そうなると、昨年のようにまず麦価がきまるということになれば、結局それが一種の春闘相場のようなものになって、次は米価ということになるが、そうするという手順かどうか、その点はいかがですか。
  126. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いま申し上げましたように、麦価は六月ともうきまっておりますけれども、米価につきましてはきわめて流動的でありますが、七月ごろにはなるのではないかと思います。これははっきりはわかりませんけれども……。そこで、麦価は、きめてありますようにパリティ計算でありますので、方式は違いますけれども、パリティはパリティなりに、やはり諸般の経済事情がそこにあらわれてきておるものでありますので、米価についても影響を受けるということは当然あり得ることだと思っております。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、これは食糧庁長官でいいですが、ことしのビートの価格決定をした場合の二月パリティの前年同月比は二九・四%ということで、結局、ビートの最低生産者価格については、前年に比してちょうど三〇%の上昇ということに終わったわけです。二月パリティが前年度に比較して二九・四ですからして、それから三月、四月、五月という経過をたどるわけですが、大体大まかに判断して、五月パリティについては三〇%程度と見て差しつかえないですか。
  128. 三善信二

    ○三善政府委員 先生も十分御承知のように、いま三月の農業パリティが出ているわけですが、三月のパリティで総合で指数が二七・三四でございます。これはまた四月、五月と、どの程度になると推定されるかと申されますけれども、この推定は、最近の毎月パリティも対前年同月比で変わってきておりますので、どの程度の推定になるか、今後の推移を見ないとちょっとわからないと思っております。
  129. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その程度のこともわからぬようじゃ、何にも仕事をしていないと言っても差しつかえないですね。ただ、たとえばパリティと関係がある消費者物価にしても、今後前年に対比して相当期間二六%程度は上昇を続ける、卸売り物価についてはおよそ三五%程度は上昇を続けるということは、これは経済企画庁からも発表されておるわけですからして、たとえば五月の総合パリティが急激に低下するということは、これはあり得ないわけですね。何らかの政治的な操作でもすれば別ですが、そういうことは麦価をきめる場合には絶対に手かげんというものは許されぬわけですから、そうなると、たとえば麦価が三〇%台で上がるということになれば、次の米価というものについては、幾ら低米価で押えようとしても、昨年同様三〇%水準を下回るような米価の決定というものは、時期をずらしてもこれはできないではないかと思うのですよ。そういう点に対する大臣としての判断はどうですか。
  130. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これは麦はパリティ、片方は少し違いますが、先ほど申し上げましたように諸般の経済状況が変化しておりますので、麦価のパリティを見ておりましても、状況は昨年に比べて変化をしておることは事実だと思いますので、先ほどお答えいたしましたように、そういうことについての影響は、たとえ方式は違いましても、とる資料にあらわれてくるものでありますので、これは影響を受けることはやむを得ないと思いますが、パリティもどのようになっていくかということはまだ私どもに把握できておりませんので、そういう点についての確たるお答えはいまはできないと思います。
  131. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではこちらから問題を指摘しますが、まず、米価決定に要する生産事情については、パリティの関係はいま言ったとおりで、前年に比較しておよそ三〇%程度の上昇、それから自家労賃等の計算の基礎になる民間の労働賃金にしても、春闘が収拾いたしましておよそ三〇%台の賃金上昇ということは、これはもう明白な事実になっておるわけであります。それから生産に必要な物財費、つまり、投下した農業の諸資材の費用等についても、昨年来生産資材は急騰を続けて、最低前年度に比較して五〇%ないし倍の価格に上昇を続けておるわけであります。あるいはまた金利等の関係についても、昨年来政府の高金利政策によって金利水準が非常に上がっておるということになるから、これも当然価格に反映させなければならぬ。物価事情については、昨年の秋以来政府みずからが狂乱物価時代ということを言っておるわけですから、消費者物価にしても卸売り物価にいたしましても先ほど指摘したとおりでありますし、また、最近の電力関係の六三%平均の値上げ等、公共料金に類するものが政府の方針によって相次いでまた急激に上がるということになるわけですから、ことしの場合は、麦の場合には単純にパリティによる試算ということになるわけでありますが、米価の場合は、たとえば麦価がパリティで三〇%上がったからといって、その水準できめるということは絶対に許されないと思うわけでありますが、その点は一体どう考えておるのですか。これは、全然何にも準備が整っていない、事情がわからぬというわけにはいかぬと思うわけですね。  もう一つの国際的な動向といたしましては、いままで国内の米あるいは農産物の価格抑制するための大きな理由として、外国の農産物の国際価格は日本の国内価格の大体二分の一以下であるという国際比較論とか、あるいはまた、金さえ出せば外国から自由に必要量を購入することができるというような国際分業論とか、あるいはまた輸入依存の政策を続けてきたわけですが、現状においては世界的に毎年二%の人口の増大である。それに対して食料の生産と供給が伴わないというような、将来にわたっての食料の世界的な不足事情があり、さらにまた、昨年以来アメリカをはじめとする輸出国においての農産物価格というものが二倍ないし三倍に急騰しておるわけでありますから、現在の時点で外国の食料、農産物の価格と日本の国内価格というものを比較した場合においては、米にしても、他の穀類にしても、日本の国内における政府決定の価格よりもいずれも高値であるということは農林大臣も御承知のとおりであります。だから、国際的な理由でことしの米価を押えるという理由は全然なくなってしまったわけですし、国内の生産事情等についても、相当大幅な引き上げをしなければ、いわゆる生産費・所得補償方式によるところの米価の大幅な価格改定が実態に合わぬということになると思うわけであります。こういう基本的な問題というものを、米価決定の要素というものを、通年的にその時期になってあわてて調査をする、あるいは準備をする、延ばす理由としてまだ材料が整っておらぬというようなことは、農林省としてもまことに怠慢の至りだということになるわけですが、こういう大事な国内の生産事情あるいは米価決定に要する各要素の動向というものはどうなっておるのか。国際的な動向から見た場合において、今後の米はじめ農産物の価格政策というものはどうしなければならぬかという点については、農林大臣としていかように考えておられますか。
  132. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 経済社会全般の動向につきましての芳賀さんの御意見は、私どもも同じような感触を持っておるわけであります。そういう動向の中で四十九年産米価をどうするかということにつきましては、まだ私ども態度をきめておりませんけれども、食管法に定めてありますように、経済事情、賃金その他そういう諸般の状況を考慮して、再生産の確保を旨としてきめる、こういうことになっておるわけでございますので、そういう諸般の資料を収集いたしまして米審に相談をいたしたいというふうに考えております。
  133. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、四十八年の政府の買い入れ価格に対して、農協を中心とした農業団体が五月十五日に武道館で全国大会を開きまして、大会の意思に基づいて、四十八年産米については、政府が六十キロ当たり三千円の追加払いを実行すべきであるという要請が大臣のもとにも出されておるわけでありますが、その六十キロ三千円のいわゆる追加払いなるものを、政府としてはどのように受けとめておりますか。
  134. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先般、団体の代表者の方々が御来訪になりまして、お目にかかりまして、いまお話しのようにいろいろの御希望を承っておりますが、私どもといたしましては、昨年の米価決定にあたりましても、十分生産費を償うように考慮いたして、かなり大幅な引き上げをいたしておることは御存じのとおりでございます。したがって、現在それに対して追加払いをするというふうなことは、政府としては全然考えておりません。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農業団体、つまり生産者が要求する六十キロ三千円という追加払いなるものの理論的根拠というものは説明が不十分であるというようにわれわれも考えておるわけですが、これは制度的に見ても重要な根拠があると思うわけであります。たとえば、政府としては、毎年毎年米価を抑制するために異なった算定方式を策定して、据え置き米価を継続してきたことは農林大臣も御承知のとおりであります。特に、昭和四十四年、四十五年、四十六年の三カ年は完全な据え置き米価ということになっておるわけであって、この三年間の決定米価の中で、倉石農林大臣は、その二年を、据え置きに力を入れてきておるわけです。ですから、当委員会におきましても、毎年異なった算定方式を用いて米価を抑制するということは食管制度から見ても当を得ないのではないかということを言ってきたわけですが、従来の経過から見て、最も食管法の趣旨に合致したと見られる政府の試算米価というものは、昭和四十二年方式による米価というものが最も妥当であるというふうにわれわれは考えておるわけであります。  そこで、この際、倉石農林大臣が決定されました昭和四十五年、四十六年、四十七年、四十八年の四年間の政府決定米価と、同じ政府の試算として実績を持っておるところの四十二年方式による米価というものを比較した場合において、毎年毎年その差額というものが拡大しておるわけであります。  時間の都合で私のほうからその比較を示しますが、まず、四十五年の場合に四十二年方式で試算いたしますと、これは政府の公式な試算として当委員会においても説明がされた数字でありますが、六十キロ一万三十六円、政府の決定は四十五年は八千二百七十二円でありますからして、ちょうど六十キロ当たりこの年は千七百六十四円、算定方式が違うことによって格差が生じておるわけであります。翌年、同じ倉石農林大臣が据え置き米価を決定したわけでありますが、この年の四十二年試算によりますと、六十キロ一万一千四百七十四円ということになるわけであります。これが奨励金を内訳に入れたわけですからして、政府の決定米価が八千五百二十二円、その差額が二千九百五十二円ということになっておるわけであります。翌年、田中内閣になりましてから、直系の足立農林大臣のもとにおいてきまった米価が六十キロ八千九百五十四円、この年に四十二年方式で政府が試算いたしました価格が一万三千百円ということになっておるわけでありますからして、この年は算定方式が違うことによってちょうど一俵当たり四千百四十六円の差額が生じておるわけであります。昨年の四十八年は機内農林大臣のもとできまったわけでありますが、これは御承知のように一五%前年よりも米価が上昇しまして、六十キロ一万三百一円という価格でありまして、四十八年に四十二年方式で政府が試算いたしまして、当委員会並びに米価審議会に正式資料として提出いたしました価格が一万三千九百八十一円ということになっておるわけでありますからして、この差額というものが六十キロで三千六百八十円ということになるわけであります。ですから、毎年算定方式を異にするこのような適正を欠いたやり方に基づいて連続的に米価の抑制を行なったわけでありますからして、この差額なるものを国の公務員等に例をとれば、定期昇給等をすべきものが延伸された、いわゆる実損ということになるわけですね。いまの食料事情あるいは農業の拡大生産をはからなければならぬという時期において、前年度の低米価に対して一年間の経済変動とか生産事情だけの反映では、この大きな連続した膨大な実損というものはいつになっても回復することができないわけです。そこで、今回の生産者団体を中心としたところの、四十八年の米価に対して三千円の追加払いを実現すべしという要求は、従来の実損の一年分の回復を要求しておるものと判断すれば、一応十分理解ができると思うわけであります。去年の政府試算と四十二年試算を比較して、先ほど言いましたとおり三千六百八十円の差があるわけでありますからして、これを全面的に実現するということになれば、三千円の実損の回復、追加払いというものは何も不当な根拠によるものではないということが当然判明すると思うわけですが、こういう点については政府当局としては一体どういう受けとめ方をしておるわけですか。
  136. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 芳賀さんの御意見はよく私どもにも理解できましたが、現在、生産者米価は、先ほども申し上げましたように、再生産を確保することを旨といたしまして、生産費及び所得補償方式によって算定いたしておりますが、具体的な毎年の算定にあたりましては、需給事情その他各般の事情を総合的に判断をいたしまして、算定要素の取り方等に所要の修正を加えてまいっております。いまお話しのありました四十二年産までは、米の不足という状況を背景に、生産を刺激するという観点から各種の要素の付加を行なってまいりましたが、四十四年産以降は米の需給が過剰基調に転じました。そういうことを背景に生産刺激的な米価を抑制するということに配慮をいたしまして、算定要素の取り方等に所要の修正を加えておることは御承知のとおりでございます。こういう修正は最近の需給事情を考慮いたしました適正な措置であると私どもは考えておりまして、これを直ちに四十二年の算式に戻すというようなことは現在では考えられないのではないかと思っております。特に、四十八年産米価につきましては、前年産の方式に比べまして、都市近郊労賃の取り方、それから資本の利子や地代の見方等にも所要の修正を加えまして、米価の相当大幅な引き上げを行なった次第でありますので、今年これらについて追加払いをいたすというふうなことは政府としては考えられない、こういうふうに存じておる次第であります。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま大臣の言われたところの、考えるとか考えられないということよりも前に、一俵三千円の追加払い、これは実質的には、実損回復の要求に対して、その趣旨は理解できるわけでしょう。やるやらぬは政府のかってだけれども、やる気はないということをいま言われたわけであって、その要求の根拠というものについては、やはり理論的なものがちゃんとあるということについては、大臣としても、食糧庁長官としても理解できると思うのですよ。その点はどうなのですか。
  138. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 非常に不足ぎみでありまして、生産を刺激すべきときであると考えました四十二年の算式をそのまま継承していくとすれば芳賀さんのおっしゃるような数字が出てまいるという御議論につきましては、体系的に秩序整然とお示しになりましたので、それはよくわかりますと申し上げておるわけでありますが、それ以後、昨年、一昨年の米価決定にあたりましては先ほど申し上げましたような状況にありますので、そういう算式に修正を加えてまいっております、したがって、それに基づいた追加払いというふうなものは考えられない、こう申し上げておるわけであります。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、食糧庁長官でよろしいですが、昨年農林省が示された四十二年方式の一万三千九百八十一円というものを当然基礎にして、今年度の分については算定の要素というものはまだ何ら準備されておらぬということですが、おおよそ昨年よりも三〇%程度――これは仮定の問題にもなるわけですが、最低に見ても単年度で三〇%以上これは上昇することになるわけですが、そういう場合は、昨年の一万三千九百八十一円というのはことしはおそらく一万九千円台になるというふうに思うわけですが、その点はどうですか。これは別に議論するわけじゃないですよ。
  140. 三善信二

    ○三善政府委員 また先生からおしかりを受けるかもしれませんけれども、生産費調査が出ておりませんし、生産費調査が出ましてから、生産費所得補償方式でございますから、先生十分御承知のように、物財費等については米パリティーで評価がえしているわけでございます。そういうことで、麦価の場合みたいに総合のパリティー指数そのものではないわけでございますから、そういう面もございますし、それから自家労賃の問題につきましても、これまた評価がえしなければいけません。そのデータも出てまいりませんので、先生のおっしゃるように、どの程度になるかと言われましても、まだ、いまの時点では全く何ともお答えしようがないということを御理解願いたいと思います。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 去年の数字は、農林省が計算してわかっているでしょう。これはおよそ一万四千円ですから、三〇%上がるとなれば、およそ五千円上がるわけですから、そうなれば一俵六十キロ一万九千円台になるでしょう。いずれにしても、これの決定の時期にはまた当委員会において算定方式の問題について大臣あるいは長官から詳細な説明を受けることになるわけですから、言を左右にしたってしようがないじゃないですか。三〇%上がれば一万九千円台になることは自明のことなんですからね。そういう一つの適正な算式の上に立った場合に、これは大臣にお伺いしますが、ことしの農協を中心とした生産者の要求米価というものは一俵当たり一万六千七百四円ということになっておるわけですから、これを比較した場合には、毎年のことでありますが、生産者の要求米価というものは四十二年方式よりも毎年下回っておるわけですね。だから、一万六千七百四円というのはむしろ低きに失するというふうにわれわれは判断しておるわけです。どうせ選挙を通じては大幅に上げるということを政府・自民党も宣伝されると思うわけですが、名前だけの大幅でなくて、そういう諸般の根拠を踏まえ、少なくとも生産者の最低要求価格の一万六千七百四円というものを踏まえて、思い切った適正価格の実現ということにぜひ当たるべきであるというふうに私は考えるわけです。これが一つと、もう一つは、毎年政府が概算金の支払いをしておるわけですが、ことしは生産者団体のほうからも一俵当たり三千円程度の概算金を支払うべきであるというような要請も出ておるわけですが、こういう点についてはどう考えておりますか。
  142. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 最初のほうの御質疑に対しましては、先ほど来申し上げているように、まだ私ども資料もととのわない時期でございますので、いろいろな想定的なことを申し上げることは慎むべきであると存じております。それは芳賀さんもよく御理解いただけることと存じます。  もう一つの概算払いでありますが、これはただいま千円で、今日のような状況であるし――大体いなかは八月がお盆でございまして、お盆に現金が、ということで、当初実施いたしたころはたいへん喜ばれておりましたようなやり方でございますが、これにつきましては、いまお話しのように三千円云々のお話しも聞いておりますが、これらにつきましては、それぞれ関係筋と十分相談をして善処をいたしてまいりたいと思っております。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に一言申しますが、従来倉石農林大臣がたびたび重要な農政を担当された時期が、たまたま運が悪かったというか、農民に対し、あるいは国民に対して暗いイメージを与えておるということは、大臣もお感じになっておると思うのですよ。据え置き米価の場合にも、据え置きを一番強硬に続けたというような実績もあるし、あるいは限度数量の割り当てを、食管法をそのままにして一方的に四十六年に強行した。いろいろ弁解の材料は持っておられると思うが、当面した日本の人口、食料問題に立った場合は、過去の問題を抜きにするというわけにはいかぬが、抜本的な食料政策、農業政策の展開というものは、歴史的な命題として、行政担当の農林大臣の上に賦課されておると思うのですよ。だから、たとえばいままで半減した自給率に歯どめをかけて、これを今後向上の方向へ持っていくためにはどうすればいいかという問題ですね。全く生産意欲を失って荒廃した農業を復元するためにはどうするか、根本的な農業の政策あるいは行政の対策というものがもうそれぞれ必要になるときでありますし、この際米価というものは食料問題のかなめになっておるわけでありますから、ことしの米価決定については、倉石農林大臣という人はやる気になればこれだけのことをやるのかと農民が全く驚くくらいの、それくらいはっきりした実績が確立されるように十分努力すべきでないかというふうに私は考えるわけですが、その点について農林大臣の決意のほどを明らかにしていただいて、きょうの質問を終わる次第であります。
  144. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農政の大切なことはもう御指摘のとおりでございます。いまお話しのございましたように、いまは国際的な食料逼迫の時期でもございますので、日本の農業の基礎を確立するためには、生産対策、流通対策、価格対策と、それらのことについて調和のとれた方向で進むべきであるとわれわれは思っております。政府全体としてそういう考えのもとに、現在の状況の中における日本農業を見てまいりますときに、大事な問題は農村の方々生産意欲の増強にあるわけでありますので、すべての焦点をそこに合わせまして、喜んでいただけるような農政をいたしたいと私どもは思っておりますので、皆さん方におかれても大いに御協力、御鞭撻のほどをお願いいたしたいと存じます。
  145. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 この際、午後三時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十八分休憩      ――――◇―――――    午後三時三十八分開議
  146. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野坂君。
  147. 野坂浩賢

    ○野坂委員 倉石農林大臣にお尋ねをいたします。先ほども同僚委員から質問があったわけでありますが、時間がありませんから、基本的なことをお聞きをして終わりたいと思っております。  大臣もしばしば本委員会でお話しになっておりますように、最近の食料事情は世界的に逼迫をしておりますし、そのために世界各国ともに食料の増産計画を立てておるのが現状であります。わが国におきましても、ことしの農業白書等を見ましても、それらの政策をとると書いてはありますが、昭和三十五年から今日まで食料の自給率は年々低下いたしております。特に、穀物等におきましては四三%という自給率を示しておりますが、一方、農家の皆さんは、社会労働委員会でも問題になりましたように、農家の出かせぎ者というものが激増しつつございます。さらに、一種兼業農家から二種兼業農家へ転落をする。こういう一連の姿と自給率とは非常に密接な関係を持っておると思いますが、いま申し上げましたような諸点が起き、なぜ自給率が下回ってきたのかという点について、大臣はどのようにお考えになっておるか、最初にお尋ねをしておきたいと思います。
  148. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お話しのように、国際的に食料需給の逼迫しております現状にあたりましては、しばしば申し上げておりますように、私どもは全力をあげて自給度の維持向上につとめる、こういう基本的たてまえでございます。  そこで、自給率と申しましても、いまお話しの中にございました穀類の中には飼料穀物も含めてのことでございますが、国内で生産し得るものはあとう限り国内で生産し得るようにして、どうしてもそれが不適当であるというふうなものにつきましては、できるだけの自給度は努力いたしますけれども、安定した状態のもとに輸入するということが総括的なたてまえだと思うのであります。  そこで、穀類等の自給率を考えてみますと、かりにわが国が食生活の国民の嗜好がだんだん変化いたしまして、高度化と申しますか、肉類を要求するようになりますと、それに供給いたします飼料穀物が逆に自給度は低くなるという関係に立つわけでありますので、数字にあらわれました自給度それ自体は、分析してみるといろいろな意味が含まれておると思いますが、要は、国民の嗜好が変化し、高級化するのに間に合うように自給度をできるだけ維持していくことは必要なことであると考えておるわけでありますが、そこで、農業も自給度を維持していくためにお骨折りを願いたいと幾らわれわれが希望いたしましても、ある程度の経済的な安定性がなければそういうことは希望するほうが無理でございますので、そういうことを考えてみますと、やはり、農業が他産業に比肩し得るような産業として成り立つものを育成していかなければなりません。そこで、規模を拡大してまいるとか、あるいはまた、兼業農家等のお持ちになっております比較的土地利用の利用率の低いようなものは、これを出していただくなり貸していただくなりして規模拡大に協力をしていただくということが必要になってまいります。そういうことになりますと、その兼業農家のやっていらっしゃるお仕事の余剰の労働力が出てくるわけでありますから、それに対してできるだけの現金所得を得られるような方策を講ずる。しかも、それは、農村を離れないでやっていただけるような環境づくりをしてまいることが必要でありますので、公害を伴わないような産業を地方に持ってまいるというようなこともその一つでありますし、農振法の改正案をお願いいたしております土地の利用権などを考えましたのもそういう考え方一つでありますが、要は、農業それ自体が他産業に比べてひけをとらないような産業として成り立つような農業を育成してまいるべきである、と、このように私どもは考えているわけでございます。
  149. 野坂浩賢

    ○野坂委員 規模拡大なり、あるいは農村工業導入法に基づく工業の導入のお話しがありましたが、昨日も与党の議員から質問がありましたように、今度提案をされました農振法では、借りる者が損ではないかというようなお話しもありましたし、利用権、耕作権等の問題等がからんで、規模の拡大ができるかどうかということについては非常に疑問があるということが指摘をされております。要するに、いろいろお話しはありましたが、農業を他産業並みに成長させるということが大臣の結論のようでありました。  先ほども芳賀委員の質問に答えて、これからは生産と流通と価格の問題を重点にやっていくんだ、そして、農民生産意欲の向上を何よりも大切にして進めていくんだ、と、こういうふうにお結びになりましたけれども、そこでお尋ねをいたしたいと思いますのは、生産意欲の向上について、生産、流通、価格という三つのことをいまおあげになりましたが、それらの中で、農民が一番望んでおる点、最も生産につながり、生産意欲の向上につながるものはどれを重点にすべきかということです。これはみんな重点でしょうけれども、そのうちで特に農家考え、また、期待をしておるものは一体何なのかということ、こういう点についてはどのようにお考えですか。
  150. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 人間としてのしあわせの一つとして、ほこりっぽい都会地で働いていても、ある一定の時間は空気のよい環境の美しいところで余暇を暮らしたいというのは人情だと思いますし、それが国民のしあわせなことではないかと私は思うのでありますが、そういう角度から考えてみますと、農業というのは、ああいう空気のよい緑に囲まれた中でありますし、これは国のもとになるべき農業でありますから、そういう環境を国民全体の力で保持していくということは、民族永遠の発展のために絶対にせなければならない努力だと私は思っております。  そこで、他産業にひけをとらないような産業として成り立つようにと私は申しておりますが、世界各国おもな国々をごらんになりましても、工業と農業との生産性それ自体をただ算術的に比べてみますれば、いずれの国においても生産性というものは工業のほうが高い。それならそれで、農業は、そういう面だけでこれはつまらぬものだと考えるかというと、そうではないわけでありまして、ことに農業というものは人の支配を受けないで――天然の支配はやむを得ないことでありますが、人の支配を受けないで、自己の発明、くふうによって、そして空気のいい環境で過ごせるのでありますから、その意味においては農業者は幸福だと私は思っておりますが、それにもかかわらず、やはり、普通の国民の一人としての生活も普通に営んでいかなければならないことを考えますと、所得というものが一つの重要な要素であることは当然だと私は思いますが、農業の所得を確保するためにも、一方において生産対策を行なうということが絶対に必要で、基盤整備があるとないとでは生産において非常な差異があることは申すまでもありません。でありますからして、先ほど芳賀さんに申し上げましたところの、私どもの基本的な考え方である生産対策、流通対策――流通でよけいなロスをとられておったのでは、生産者がせっかくつくりましたものが消費者の手に渡るときに外国品に比べて高過ぎるというふうなことになれば、生産者に非難がはね返ってくるわけでありますので、流通対策もきわめて大切でありますし、価格政策も必要である。中でも、昨今のような経済情勢のもとにおきましては、何といっても外圧が加わって日本の物価が高騰しておる面がかなり多いのでありますから、そういうような点を価格対策としても十分考慮して考えていかなければならないと思っているわけであります。
  151. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それぞれ重要な要素をお述べいただきましたが、空気がよくて、環境がよくて、人からはがたがた言われないで、こういう環境だから農家の皆さんは一番幸福だといま言っていらっしゃるのですが、それは外から見て、東京から見られればそのようにお感じでしょうけれども、やってみればたいへんです。農業ほど苦しいものはなかなかありません。朝星、夜星で働いても生活ができないというのが農家の現状であるわけです。一生懸命働いても生活が困難でありますから、親子別れをしたり妻子別れをしたりしても出かせぎに出なければならぬというのが実態です。だから、いま、全日本の農家の皆さんの一番の所得の中心でありますのは、まず、平準をして米価ということになろうと思います。この米価については、異常なほど関心を全国民が持っておることは御案内のとおりであります。  そこで、米価の問題については、宮脇中央会長とも二回ばかり農林大臣はお会いになったと思いますが、最近ではおとといお会いになっておると思います。それについては、その内容をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  152. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 生産者団体の総会がございまして、その御決定というととで、政府の買い入れ価格を引き上げること、それから追加払いをすべきであるということ、それから概算払いの金額をふやすこと、主としてこういう御申し入れが書きものによってございました。
  153. 野坂浩賢

    ○野坂委員 書きものを提出されただけではなく、あなたはそれを受けられて、その要望に対してお答えになったと思うのですが、どうでしょうか。たとえば福田大蔵大臣は、決算委員会の答弁でも、生産者米価を大幅に引き上げると言われ、そして、一昨日の懇談の中でも、生産者米価を大幅に引き上げると言明をしておられますね。農林大臣は農民の味方だということを聞いておるわけですから、どのように農家の皆さんの要望をとらえて実現をするかという点についてはお考えがあろうと思いますし、お述べになったと思います。それについての様子と、それからまた考え方を聞いておきたいと思うのです。
  154. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私の立場は、米価について口にいたしますときには、やはり米価審議会というものが前提にございまして、米価審議会に御相談をせずに農林大臣が米価のことを口にするということは慎むべきことではないかとかねがね考えております。これは形式だけの問題ではございませんで、法律にそのように指示してありまして、したがって、宮脇さんたちがおいでになりましたときは、御要望につきましては十分よく承りました、それぞれ関係筋とも協議の上で決定いたしたいと思います、と、こういうふうにお答えいたしました。
  155. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、こまかいことですが、先ほどもお話しがありましたが、米価の算定ですね。四十二年が一番適当だとわれわれ思っておりますが、その後いろいろと変わっておりますね。農林大臣の御答弁では、不足ぎみと過剰ぎみというふうに分けて、米価の算定の方式は違ってきたというお答えでございましたが、大体、米価の算定の基礎というもの、方式というものは、一定した方式を出して、その上で、周囲の情勢を見ていろいろなことを算定したり、納得のできるようにするということでなければ信頼がなくなってくると思うのですよ。だから、米価の計算方式に対しては一貫性を持って、計算の方式は同じような方向でやることが好ましいと思っておるのですが、どうでしょうか。
  156. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米価につきましては、御存じのように、生産費・所得補償方式でやっておることは変わりはございません。ただ、いまお話しのございました四十二年の産米につきましては、当時は非常に米の不足を訴えられておる時代でございました。したがって、これはできるだけ生産を刺激するということが大切であるという政策目標もございました。そういうことを目標にいたしまして米価の決定をいたしました。しかし、その後は御存じのように過剰ぎみであります。したがって、二年間続けて実際の据え置きの措置を講じました。いまも生産調整が行なわれており、潜在的に過剰ぎみであることも御存じのとおりであります。したがって、算定の方式は同じでありますけれども、その要素につきましては、私どもはそれぞれそのときに応じたことを考えるということは当然なことだと思っております。
  157. 野坂浩賢

    ○野坂委員 先ほども話があったのですが、四十八年までの計算では、たとえば一万三百一円が四十二年方式でやれば一万三千九百八十一円だ、三千六百八十円の差があると、こういう話がありましたし、お答えになりました。  そこで、私が聞きたいのは、米価の算定方式は一緒なんだけれども、過剰と不足との関係で答えが違っておるのだ。そうすると、逆算方式で、大体答えを出して、それから式を立てるというふうに聞こえてならぬのです。たとえば、昭和四十五廣産米までは五俵以上の米の販売農家生産費をとっておりましたけれども、四十六年からは価格決定年の必要量に見合う販売農家生産費にしておられますし、あるいは限界反収方式というものを平均反収方式に直したというふうに、算式の計算のしかたが非常に内容が変わっております。だから、一貫していない。限界から平均に直されて、家族労働費の評価も非常に違っております。それから、付帯労働時間あるいはメリットというものも、とりあえず二分の一を取り上げると思えば、そのあくる日は全部取り上げてしまうというふうに、基準というもの、計算の方式というものは変わってきておるわけです。だから、答えを据え置きなら据え置きというものを出すと、それに合わせて式を立て直していくというかっこうになっておるような気がしてならぬのですが、四十二年なら四十二年の計算方式をぴしゃっと出しておいて、その出た答えについてどうするか、全部――よく政治加算と言いますが、つけたりとったりをするわけですけれども、そういうことのないように、計算としてはそのつどそのつど変わらないようにしてもらうというのが正しいやり方ではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  158. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米は、御存じのように国民全体の主食であります。同時にまた、農政の基本になるべきものでありますので、これが一般に政治的にいろいろな影響を持ってくることを考慮しなければなりません。私どもといたしましては、農業それ自体を考えてみましても、米づくりの農家の方のことを考えてみましても、いたずらに生産過剰になって、現実にその米が非常に余ってくるというふうなことは大いに反省してやらなければならぬことは当然なことだと思っておりますが、四十二年のときは、先ほどもお話しの中で御指摘がありましたように、反収等のとり方にしても、労働賃金のとり方にいたしましても、ああいう不足の事態でありますので、できるだけ生産を刺激するということが必要であるという考え方のもとに、普通で言えばいかがかと思われるような苦労をいたしまして、いまもお話しの中にありました政治加算的なことをいたしました。その後は、先ほど申し上げましたように生産過剰的な気味でありますので、これは普通のとり方をいたしておる。しかし、その生産費の所得を補償するという点においては、方式については少しも変わっておりません。
  159. 野坂浩賢

    ○野坂委員 生産費・所得補償方式は変わらない。もちろんそうです。法律に定めてありますからね。しかし、その中身の計算のしかたで非常に違ってくると思うのですが、その計算の方法としてはどういう方法をとられようと考えていらっしゃいますか。四十二年までの分ですか。いまの分ですか。
  160. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 四十七年、四十八年、これはいまの四十二年のやり方とは、とり方について変わっておることは先ほどお話しがありました。私どもといたしましては、これからいろいろな資料を調べ上げまして、その上でどういうふうにすべきであるかということを米審にはかってきめていきたい、このように考えているわけであります。
  161. 野坂浩賢

    ○野坂委員 資料というお話しですが、方式というのはいろいろあるのです。だから、私が言っておりますのは、いままでの四十二年のときに方式をつくられましたとおりのやつで、各資料をお集めになって、それを図式計算して幾らだというふうに出されますかということなんです。それとも――たとえば全日農は、二万二百二十円と、ちゃんと計算をして出しているのです。農協米価というのは一万六千七百四円というふうに出しております。こういうふうに計算をするとこうなりますよといって出しておるのです。だから、おたくの計算の方式は、いま私が申し上げましたような四十二年の方式から変わった方法がとられますかということなんです。政府考え方はどうなんでしょうか。
  162. 三善信二

    ○三善政府委員 いまの先生のお尋ねは、四十九年産米価についての要素のとり方はどうするかということだろうと思いますが、生産費・所得補償方式の方式は変わらないわけでございます。御承知のように、四十二年の方式といいますのは、先ほど来大臣が詳しく御説明になっておりますように、最も米が不足して、そして生産を刺激しなければならないというときの方式でございますし、また、農協が今度大会で決定して要求いたしておりますやり方も、これはまた農協の独自の考え方でやっているわけでございます。もっとも、農協の場合は生産費調査自体が違うわけでございますから、そういうことでいろいろの要素のとり方というのはあろうかと思いますけれども、四十二年方式の時代と現在の過剰基調の時代というのは、その根底が、グルンドが全然違っておりますから、四十二年方式で考えるというようなことは考えられないのではなかろうかと思っております。
  163. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、どういう方式ですか。
  164. 三善信二

    ○三善政府委員 それは、先ほど大臣がお答えになりましたように、これからその資料その他を整備しましていろいろ考えていきたいと思っております。現時点で要素のとり方をどうするということを詳しく申し上げる段階ではございません。
  165. 野坂浩賢

    ○野坂委員 おかしいですね。生産費・所得補償方式というのはさまっております。米の算式の方式も必然的にきまっております。だから、それを出したり入れたりする。方式というものは、たとえば労賃あるいは労賃の出し方、あるいは利息、地代、あるいは直接労働費なり間接付帯、そして反収の方式、こういうのはいろいろあるわけですね。四十二年と変わったことで考えようとしていらっしゃるのはどういうことなんですか。何をたとえば四十二年方式から取り上げ、あるいはつけ加えるか。こういうことは一つの図式ですからちゃんとわかっておるはずだと思うのですよ。それをはめればいいのですからね。資料というのは、それを方式にはめて答えを出す。答えを一万六千七百四円とか、二万二百二十円とかということをきめて、前の図式を出したり入れたりするわけじゃないでしょう。こういうことを計算すればこうなりますということを出されるのと違いましょうか。私は学校でそういうふうに習ってきたんですけれどもね。
  166. 三善信二

    ○三善政府委員 四十二年の方式というのは、先生御承知のとおりに、要素のとり方等についても、これまで最大限の幅を見てとっている。たとえば四十八年産の米価と四十二年産のこの要素のとり方を比較してみますと、これも先生御承知のように、たとえば反収の見方等でも、ワンシグマ方式で四十二年はやっておりますし、それから四十八年は平均反収でやっているということでございますし、あるいはまた、付帯労働費等も四十二年は算入いたしておりますけれども、現在はこれは算入いたしていない。そういう問題もございますし、また、生産者のメリット還元という問題も、現在はこれはやっておりません。そういうことで、四十二年方式というのは、私ども俗にインフレ方式と言っているのですけれども、最も不足しておった時代のそういう要素のとり方等についてもそういう点も考慮して考えたということでございまして、現在は、それはもうすでに四十八年産米価の算定のときから相当変わっているわけでございますから、そういう意味で、私は、グルンドが違っているし、四十二年の方式をまた取り入れてやるというようなことは現在全然考えておりませんということを先ほど申し上げたわけでございます。
  167. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、今度の計算のものはどういう方式ですか。四十二年方式をとらぬということであれば、どういう方式ですか。
  168. 三善信二

    ○三善政府委員 その方式ではなく、要素のとり方の問題でございますね。(野坂委員「そうです」と呼ぶ)だから、要素のとり方については、これからいろいろデータも見ながら私ども、考えたいと思っております。
  169. 野坂浩賢

    ○野坂委員 要素のとり方はこれから計算をして、農民の期待をするような新しい計算をするというふうに私は考えておきますよ。  それから、先ほどもいろいろ話がありましたし、米が余っておる、ことしは百三十五万トンまた生産調整をするんだというような話ですが、いままでの外貨も、二百億ドルが百億ドルになった。だから、できるだけ外貨を減らさないようにしなければならぬ。なぜ減ったかというと、農産物が、七十億ドルのものが今度百十億ドルにもなって、四十億ドルも高くなってきた。これほど外国の農産物が上がった。こういうことで、この間参議院で、農業白書に対して農林大臣は、できるだけ――たとえば学校給食等もどんどんやらせる、やらせていきたいと思うと言っています。大蔵大臣もそういうふうにしたいとおっしゃっておりましたですね。これらについては、四十五年から四十九年まで見てみますとだんだん多くはなっておりますね。しかし、非常にわずかですね。だから、小麦等はたった五%しか自給率がありませんし、わが国でとれる米をできるだけ食べて、そうして外国に支払う農産物代金というようなものもできるだけ少なくするような方法をとるというのが政府考え方であったと思うのです。だから、それらを進めて、減反政策といいますか、生産調整というものは思い切ってやめるということが今日の食料事情から言っていいのではないか。世界の食料危機から言って、さらにはアメリカ等は農産物さえ戦略物資に使うというような状況であることから言って、思い切ってつくっていただき、そしてできるだけ補償をしていく、そして農家の皆さんに大手産業並みの所得を取らせていく、こういう方向をとることが望ましいと思うのですが、農林大臣はどうお考えですか。
  170. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 食料について慎重な態度をとるということは必要なときになってきておると思っております。しかし、本年百三十五万トンというのは、御存じのように、実際の生産調整は百十八万トンで、あとは通年施行を入れて百三十五万トンということでありますが、これは昨年の二百五万トンから比べますと、調整の量をはるかに減退いたしておることは御存じのとおりであります。  なお、私どもの見るところによりますと、やはり潜在的な生産過剰ぎみにありますので、私どもがこれからどうするかということはこれから検討しなければなりませんが、米についての需要につきましては安定しておることはもう御存じのとおりであります。したがって、自給度を高めますためにはほかの作物にもさらに力を入れなければならない、と、こういうことで自給度の維持、向上を申しておる次第であります。
  171. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大臣は五時ごろにお帰りだそうですから、できるだけ早くやめたいと思います。  私がいまお話しをしておりますのは、食料の中心は米なんですから、麦は足らぬのですから、だから、麦をつくるよりも米というのが今日の農民の声なら、それを国民の食料の中にどう生かすか、日本の国民は大体米を食っているのですから、それを学校給食等にも思い切って取り入れる、若干の施設は要っても、将来の問題ですからそういう方向をとっていただきたい、とるべきだ、こういうふうに考えておりますがいかがですかということが一点。  それから、追加払いですね。いま農協の代表者からも要求があって、この間の大会で三千円ということになりましたが、二十二年から二十八年まで追加払いというのができておりますね。この追加払いについては、過去にも例があるわけですが、このときにはなぜ追加払いをしたか、お話しをいただきたいと思います。
  172. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 最初のほうの学校給食につきましては、先年来農林省は文部省にもずいぶんお願いをいたしまして、子供たちに米食の癖をつけてもらうようにいろいろやっているのでありますが、長い間の慣習でなかなかこれがうまくいっておりませんが、われわれはなお引き続いて米食か奨励するために最大の努力を続けておる次第であります。  それから、追加払いのことでございますが、わが国でかつて追加払いをいたした歴史がございます。そのころは、御存じのように食料確保のために、非常な、特段の措置を講じておった時代であります。そういう意味でございますので、そのころの状況が今日とはたいへん違っておることは御存じのとおりであります。
  173. 野坂浩賢

    ○野坂委員 はっきり理解はできなかったのですが、当時は経済情勢の変動が非常にきびしかったということですか。
  174. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 供出を非常に熱心に、全力をあげてやらしておった時代であります。
  175. 野坂浩賢

    ○野坂委員 だから、お願いをして出さなければ出せなかった。しかし、最近は、経済がこういうふうに、政府の失政によりまして物価が異常なほど上がっております。これは大蔵大臣も狂乱だと言っていらっしゃるわけですから、あなたもそう思っていらっしゃると思うのです。そういう異常な状況の中で、しかも弱者救済ということで、それぞれの年金生活者等も上がってきました。農家の皆さんも、農林大臣をして言わしむれば、環境がよくていいところだとおっしゃっておりますけれども、そういうことを言うとおこりますよ。だから、こういう状況から追加払いというものは当然要望し、要求をするであろうというふうに思うわけです。あとからやるとほかのものに影響して困るというような議論もあるようですけれども、今日のような世代でありますから、供出のときにお願いをするように、また、失政のときにおわびをするように、そういうことをやはり大胆に出してもらわなければならぬということが一つ。  もう私の時間がありませんからみんな言っておきますが、もう一つは時期の問題であります。米価の決定時期は、いま芳賀さんもお話しになりましたけれども、農家の皆さんは植えつけ前に早くきめてほしいとおっしゃいましたし、田中総理大臣も、できるならば三、四月ごろにきめたいと去年おっしゃったのです。それはそこにいらっしゃる食糧庁長官もお認めになっておるのですが、能力がなくて資料を集めることができなかったということですけれども、原則としては、農家の皆さんも期待し、あるいは国の総理大臣も早くきめたいとおっしゃっておるのですから、作業を急がせて、その期待と要望にこたえるようにするのが農林大臣としての責任ではないでしょうか。私はそう思いますが、あなたはどうお考えですか。
  176. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 追加払いのことでありますが、いまお話しのございましたところの、しばしば前にありました時代は、その時分はいまと方式が違いまして、米価はパリティ方式でやっておりました。その物価動向に応じて制定されておったわけでありますが、米価水準が当時は著しく低く抑制されておりました。また、逼迫した需給事情のもとで生産者にきびしい供出義務を課しておったというふうな時代でありますので、当時の事情としてはああいうことはやむを得なかったかと思います。  それから生産者米価のことでありますが、四十八年産米の決定に際しましては、最近にない大幅な引き上げをいたしておることは御存じのとおりであります。したがって、私どもといたしましては、現在の状況でこれに追加払いをいたすということは政府考えておりません。
  177. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がございませんので、これ以上質問することはできませんが、二十二年から二十八年までは米価は異常に抑制をしておったので追加払いがあったというお話しです。しかし、今日の生産者米価は他の諸物価に比べて異常なほど安いと私は思うのです。たとえば米一合が三十円ですよ。一合食えばけっこう満腹するわけです。一体三十円で何が買えますか。これが今日の生産者米価の実態なんです。同じように異常に抑制されておると私は思います。だから、そういう点も十分踏まえて、生産者米価の決定を早めて、農民が期待し、生産意欲が向上できるような、そういう価格政策をやっていただきますように強く要望して、私の質問を終わります。
  178. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 津川武一君。
  179. 津川武一

    ○津川委員 この間決算委員会で農林大臣に生産者米価のことを少し質問したので、きょうは農林大臣には消費者米価のこと、それから食糧庁長官には少し技術的なこと、――そして最後に日本の農政をどうするかということ、この三つの点で質問してみます。大臣が何か都合があるそうですから、できるだけ時間を縮めていきます。  先ほどからも質疑になっております四十九年産米の政府買い入れ価格について、政府生産費及び所得補償方式をとるということになっておるし、そう繰り返しております。そこで食糧庁長官お尋ねしますが、農林省の農村物価指数のうちで三月のものが出ましたが、その中で米の価格がどのくらいになっているか、農業生産資材の値上がりがどのくらいになっているか、生活資材の値上がりがどのくらいになっておるか、全国労働賃金の値上げがどのくらいになっているか、まず答えていただきます。
  180. 三善信二

    ○三善政府委員 現在までに判明いたしております生産資材の価格と都市労賃の上昇の状況でございますが、農業パリティ指数で見てみますと、本年三月までしかまだ判明いたしておりません。本年三月の対前年同月の上昇率が二七・三四%ということになっております。しかし、先生御承知のように、この上昇には飼料とかあるいは生活用品とか、米の生産に関係のない品目の値上がりが含まれております。それが非常に大きく伸びておるということも御承知のとおりでございますので、これが直ちに米価に反映するということではなかろうというふうに考えております。私ども、御承知のように、米価の算定をいたします場合に、米の生産費に占めるウエートに合わせてこれを組みかえていかなければなりませんので、生産費調査の結果が判明していない現時点では、米についての生産資材価格の上昇率を的確に把握するということはまだ無理だということをお答えしておきたいと思います。  それから労賃でございますけれども、労賃につきましては、労働省で公表をいたしております賃金指数は、製造業三十人以上の規模で、男女込みでございますが、これの本年三月の速報が一応いまわかっておりますが、これによりますと、四十九年三月の対前年同月比は一九・四%となっております。
  181. 津川武一

    ○津川委員 私は、いま、手元に、「昭和四十九年四月三十日公表 農林省統計情報部 農林水産統計速報四九-七六 昭和四十九年三月農村物価指数(昭和四十五年度基準)(沖繩県を除く)」という農林省の資料を持っていますが、「農村物価」指数として、米が、四十五年度を一〇〇にして、四十九年三月が一二五・八である。そのほかに、「農業生産資材(総合)一五九・七」、「生活資材(総合)一四七・九」となっており、「農村の賃金指数」として、「農業雇用労働賃金(臨時雇い)男、昭和四十五年度一〇〇、四十九年三月一六二・八」、それから「林業雇用労働賃金、造林、男、四十五年度一〇〇、四十九年三月一六八・五」、「建設業雇用労働賃金(臨時雇い)土工、四十五年度一〇〇、四十九年三月一六五・九」というように、生産資材も、生活資材も、労賃もかなり上がっておりますが、四十九年産米の政府買い入れ価格にあたって、こういう上がりぐあいは、せっかく農林省がつくっておるので、一つの基準にするとか参考にするとかいうことは考えるおつもりがございましょうか。
  182. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いろいろな生産費の所得補償方式ということでありますので、私ども従来とり来たった方式に基づきまして、その当時の経済事情等を勘案してその資料を米審に提出したい、このように思っております。
  183. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣はこの間決算委員会においても、また、新聞の報道するところによる農協中央会や全農の幹部が言っておるところによっても、米価審議会を開いて、そのときの指数でおやりになるという形の返事をしておりますが、いまみたいな情勢が三月の農林省の指数で出ております。いつの指数で米価審議会を開いて米価をきめるつもりなのか、もう一度答えていただきます。
  184. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 毎年米審に出す資料の出し方というものはきまっておりますから、米審の方々にいろいろな資料を提供して、この人々の判断によって答申をいただく、こういうことであります。
  185. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、いまみたいに私が農林省の資料で明らかにしたような情勢というものは、米価をきめるとき、諮問するとき、また、試算するとき、重要な参考指針になると思うのですが、そこいらあたりはどうでございますか。
  186. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米審で御審議を願うことにわれわれは別に干渉するわけにはいきませんが、もろもろの経済事情その他需給関係等を勘案されて答申を得られるものと期待しております。
  187. 津川武一

    ○津川委員 同じことを決算委員会でも繰り返したので、また繰り返す腹もありませんけれども、大臣、あなたは米審のことをだれよりも一番よく覚えておるはずだが、実体論としてはたいてい皆さんが試算して、それを中心にして皆さんが検討して答申案が出ておる。これが現実の事実でございます。そこで、大臣は、いまの情勢で生産者米価は上げなくともいいと考えているのか、上げなければならないと考えているのか、まず、この点を明らかにしてもらいます。
  188. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米価のことで一番心配しているのはおそらく農林大臣だと思うのであります。生産意欲を阻害されるような結果になってはたいへんであります。そこでまたこの米を国民全体が召し上がるわけで、消費者の立場も考えなければなりません。したがって、米審には消費者代表もおられますし、生産者の代表もおられまして、濶達ないろいろな御意見の交換があった上で、お考えをまとめて出していただくのでありますから、それを参考にしてきめていきたい。要は、日本の農民が喜んで生産意欲を持っていただくということが大事なことであります。
  189. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、生産者米価についてもっと正しく言うと、四十九年産米の政府買い入れ価格は上げなくてもいいと考えているのか、いまの経済情勢では上げなければならないと考えているのか、大臣の所信、農政に対する方針、これを伺っているわけであります。
  190. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ですから、私どものほうで十分に整理をいたしました資料を提供いたしまして御判断を願うのでありますから、資料を提供するほうの長におります私が、その前に上げるとか上げないとかいうことを申して先入主を与えるということははなはだ不見識なことだと思いますので、発言は慎むべきではないだろうかと思っておるわけであります。
  191. 津川武一

    ○津川委員 資料を与えることはけっこうでございます。そこで、えんきょくに私もあなたの発言を引き出すために援助いたしますが、いま私があげたこういう指数というものは、出す資料の一つの基準になりますか。参考になりますか。
  192. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 それは、そのほうの資料を収集し提出する立場におります事務当局が、現実はどういうものを出すべきであるかということと、また、それを出すためにはいろいろな参考資料を詳細に計算するということは当然のことだろうと思います。
  193. 津川武一

    ○津川委員 そこで、すでに何回も論議になったと思いますが、農協は六十キロ一万六千七百四円、日本農民組合の全国連合会は二万二百二十円、私のふるさとの弘前市の農協は単協で二万三百六十一円という要求である。私たちもこういう農民の要求を踏まえて、この間、五月十八日に内閣総理大臣に、米作農民が都市労働者並みの労働報酬が得られるような、農業資材価格と消費者物価の上昇に見合うような米価を実現するよう申し入れたのです。  そこで、いま大臣が言ってきた消費者米価のことについて少しお伺いいたしますが、私たちのこの間の申し入れば、消費者米価を据え置き、米価を物価統制令の適用品目に復活させるとともに、食管法の規定を守り、生産者、消費者両米価の同時決定などという措置の採用をやめること、また、消費者米価の審議は米価審議会から国会の場に移すこと、こういうことを田中総理に申し入れたわけですが、いろいろな新聞が報道するところ、生産と生活を維持して懸命に農業にいそしんでおる農民とその団体などから聞こえてくるところによりますと、どうやら、生産者米価と消費者米価を同時に諮問して、消費者と生産者を相争わせるようなかっこうにして、利害関係を対決させて生産者米価を低く押えるのじゃないかという心配がかなり持たれています。私は、独自に別々にきめるべきだと思うのですが、同時に米価審議会に諮問するつもりなのか、これを明らかにしていただきます。
  194. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米価審議にお骨折りを願っておられる方々の中には、かつて、消計者米価と生産者米価を同時にきめることが理想的であるという説をなされたお方もございますが、現状の段階においてはそういうことになっておりません。したがって、そういうことを現実にやると申しましても、消費者米価は九月三十一日まで据え置くという方針を政府はきめておりますので、いまこれを変えるという意思はございません。
  195. 津川武一

    ○津川委員 私の質問は、同時に生産者米価と消費者米価を決定するように答申を出すように諮問するつもりなのか、別々に諮問するつもりなのか、この二つを聞いているのです。
  196. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 せっかくの津川さんのお話しでございますから、そういうことについて検討をしてみる価値はあると思います。
  197. 津川武一

    ○津川委員 検討するというのは、同時にやるという検討ですか。私は、やっちゃいけない、別々にやるべきだと思うわけですが、検討の内容はどちらでございますか。
  198. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私は勘違いをしまして、津川さんは生産者米価と消費者米価を同時に諮問すべきであるというお説だと思いまして、研究に値する御意見だと申し上げたのでありますが、ただいまのところはそういう方針はきめておりません。  それから、早くきめろという御意見につきましても、大体予算編成のときにきめるべきではないかという説はかなりあります。そういうことも研究に値する御意見だとは思っておりますが、現在はそのようになっておりません。  食管会計というものも財政の一部でありますので、国全体の財政という立場からいろいろな考え方が出てくるわけでありますので、きょうの津川さんの御意見等も参考にいたしまして、われわれは引き続いて勉強してまいりたいと思っております。
  199. 津川武一

    ○津川委員 私の発言が不明確だったせいか、かえっていいあんばいになりました。倉石農林大臣は、私が生産者米価と消費者米価を同時諮問したほうがいいだろうと言ったと受け取って、それは傾聴に値する御意見だと答弁したわけですが、このことは、倉石農林大臣の胸の中は、生産者米価と消費者米価を同時諮問する腹だというふうに私は解釈したのですが、こう解釈してよろしゅうございますか。
  200. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私が津川さんの腹をそんたくして申し上げたのでありまして、私の腹は何も申しておりません。
  201. 津川武一

    ○津川委員 笑ってばかりいてもいけませんが、大臣の腹の中から、はしなくも生産者米価と消費者米価を同時諮問したいという気持ちを私はくみ取ったのですが、これはやはり非常にいけないことであって、日本人の主食の中心である米を生産して日本の国を維持しておる農民と消費者を対決させる非常に危険な意見であるので、いま表明した所信に強く抗議しながら次の質問を進めていきます。  消費者米価の審議を米価審議会から国会の場に移すということ、このことについて、私も財政法を調べてみましたが、現行の財政法の第三条に、「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と書いてあります。これが現行の財政法です。租税はもちろん法律できめなければならぬ。「国が国権に基いて収納する課徴金」、それから「法律上」、その次なんです。「事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金」、これは「法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」となっている。幾らにしなければならぬということは、法律上、食管法で国がきめなければならぬということだけだ。そこで、実質上食管法に従って農民政府に米を売り渡さなければならぬ。だれが何と言っても事実上消費者米価をきめておるのは政府、国だ。そして、かなりのものを売り渡しておる事業、当然これは現行財政法にも書いてあるとおり、米価審議会を通じて政府がきめるのをやめて、国会の場できめるべきものと思うのであります。そういう意味合いにおいて、私たちはこの間総理大臣に申し入れしたわけですが、これはいかがでございますか。大臣でも、食糧庁長官でも、どちらでもよろしいですが、政府の見解を明らかにしていただきます。
  202. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米は専売ではございません。そこで、法律に定められておりますように米審の議を経て政府がきめるということになっており、その米審には生産者代表も、消費者代表も、それから第三者的な人々もおられるので、そういうものへ諮問をいたしまして、その答申を待ってきめるということが一番妥当なやり方ではないか、このように思っております。
  203. 津川武一

    ○津川委員 ちょっと私は委員長にお願いしたいのです。私は米価引き上げの委員会決議案の検討の中から質問の時間が来たので来て、まだそれが続いているので、諫山議員と相談いたしますので、三十秒か一分ぐらい中断させていただきたいと思うのです。お願いします。
  204. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 このままですか。
  205. 津川武一

    ○津川委員 ええ、このままでいいです。――どうも中断してありがとうございました。  そこで、「事実上国の独占に属する事業」における事業料金、これが消費者米価じゃないかと私は思うのですが、そういうふうに考える点について、食糧庁はどう考えておりますか。
  206. 三善信二

    ○三善政府委員 先生御承知のように、政府売り渡し価格は、これは食管制度そのものが収益をあげるというような目的のものではございませんし、「国民食糧ノ確保」ということで、「配給」ということを目的としているわけでありまして、多額の財政負担もしているわけです。現実に、御承知のように、政府の手を経ない自主流通米というものも認められているわけです。それから、相当量の米を農家は保有しているわけです。だから、通常の意味の専売制度とは違うということで、この財政法三条の適用はないということで、一貫して私どもそういう解釈で現在まで御答弁申し上げておりますし、そういうふうに思っております。
  207. 津川武一

    ○津川委員 消費者米価を米価審議会から切り離して国会の議決によってきめろという、その根拠としての財政法の第三条、これを公式の場でこれほど明確に共産党が出したのは今回が初めてなんです。したがって、農林大臣にも食糧庁にもこの案を続けて検討するよう要求して、私は質問を進めていきます。  そこで、大臣、米は日本の農業のかなり中枢になっていろいろなものがきまっていく。そこで、米を中心にした日本の農業というものの考え方、最後の考え方ですが、どうもさっぱりしない。それはたとえば農業振興についてでもそうですが、農振法の一部改正ということが出ておりますが、農林省昭和四十四年十月一日に、農林事務次官通達で、実施のことでこう書いております。「農業振興地域整備計画」の中に、「農用地区域に含めないことが相当な土地」として、つまり、農用地区域に含めないことが適当な土地として、工場の立地に適当な土地や、都市計画において工場、宅地、道路などに決定される土地をあげて、その残地で農業を振興せいという通達が出ている。つまり、農業よりも都市計画、工場用地を中心として農林省が農政をやっている。また、農林省の皆さんに会うと、ときどき上位計画がどうだったっけ、と、こういう話を聞く。上位計画とは農業を支配する上からの計画、国総法、都市計画法、こういうことなんです。こういう考え方がある。そして、昭和四十八年の七十一国会の一月二十七日の田中総理大臣の所信表明にも、物価対策として自給率を上げる、日本の農産物の振興を期するのではなく、まず輸入の積極的な拡大をはかる、こういう考え方を出しておる。今度総理は、七十二国会では、物価が高くなるのは外国から農産物を入れているから、そこに原因があるなどと言う。多少何か反省めいたものがあったのですが、この間経済関係の方たちと話していると、依然として開発輸入によるという考え方なんです。私たち共産党は、昨年の十二回大会で連合政府政府綱領を発表し、今度の参議院選挙の国民に訴える政策の中においても、日本の農業を、自動車だとかトラクターをつくる産業、工業と並んで、国民の主食をふやしていかなければならぬ基幹的な産業、日本の経済をささえる二大柱だというふうに考えているわけです。  そこで、農林大臣に伺いますが、農業を下位計画として、上位計画へ従属せしめている考えが省内にあるので、ぜひこれをはっきりさせて、あなた自身も農業を大事に育てると言っているのだから、こういう考え方を一掃して、それから通達の中にあらわれているところの、都市計画が上位である、工場用地を支度するのが上位であるという考え方を一掃して、農業の振興に当たらなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
  208. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 都市計画法に際しましては、将来十年間にこれだけの計画で都市をつくってまいりたいという計画を立てたわけですが、そのときに、私どもといたしましては、その中に包含される農地につきましては、それに協力いたしましょう、しかし、その線引き以外の地域、農用地につきましては、特に私どもの農業に必要なる農地として確保していくんだということで、ことに優良農地はどこまでも確保するというたてまえで、これは依然として変わっておりません。しかも、これはおこらないで聞いていただきたいのですが、総理なら総理の御演説の中で一部分をお取り上げになれば気になることもあるかもしれませんが、全体のフレーズをごらんになればよくおわかりいただけるかと思うのでありますが、政府といたしましては、わが国の経済発展のために、全体として見ていくときには、農業について、たとえば労働力が比較的多く新しい産業に吸収されるという面もあったでありましょう。しかし、今日の地位を占めるようになりましたのは一つの成功であることは間違いない。その反面において、そういうエネルギッシュな日本人の活動をささえてきたものは日本の農業でありますから、この農業というものをおろそかにするようなことは私どもは毛頭考えておりません。したがって、優良農地を確保するという点についてはずっと変わらない方針でありますが、いまお話しのありましたことの中に、私どもあれのことかなと思いますのは、一年に相当数の面積が壊廃されておりますけれども、すぐに壊廃されるような地域のことについて、ばく大な国費をもちまして圃場整備などをいたすのは適当でないところもありますから、そういうことにつきまして言っているのだと思いますが、私どもは五十七年を目当てに生産目標の試案も公表いたしておるような次第であります。しかも、先般通過させていただきました農用地開発公団法などでは、未利用地、低位利用地をさらに活用して生産をあげようということをいっておるところをごらんいただきましても、私どもがいかに農用地を大切にしているかということは御理解いただけることだと思っております。  政府全体の方針といたしましては、いま私がお答えいたしましたような趣旨でありますので、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。
  209. 津川武一

    ○津川委員 五十七年度の生産目標が皆さんのいわば作文であること、実現不能であることは、私は予算委員会で大豆を例にあなたにかなり詳しく指摘しましたので、その論争はやめることとしますが、農林省の中に、いろいろな作業をするときに、農業以上の上位計画ということばがあるのです。これが農業を何らかに従属せしめている。  農林大臣、こういうことばを御存じかどうか。御存じでなかったら、官房長にでも調べさせて、こういう考え方農林省の中から拭払せしめなければならないと思いますが、農業を育てるとあなたがはしなくも答弁したから、そこのところは追及しませんが、この最後の一点についてはいかがでございますか。
  210. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 個人がどんなことを考えるか、また、言うかわかりませんけれども、政府全体、ことに農林省考え方というものは先ほど私が申し上げたとおりでございます。
  211. 津川武一

    ○津川委員 それでは農林大臣、そういうことばが使われているかどうか、あなたとしては検討しなければいかぬ。知らないと言えばそれまでの話になってしまいますので、ひとつ検討していただいて、私にその検討の結果を知らせていただいて、それでまた適当な機会にその考え方を論議することといたしますが、これはいかがでございますか。
  212. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私は攘夷論というのは幕末のころの話かと思っておりましたら、いまのお話しは、現在でもそういう意見を述べる者もおるということですが、私は寡聞にして聞いておりません。とにかくいろいろな方の意見を十分聞いてみまして、農林省の方針としては先ほど私がお答えいたしましたとおりであるということを裏書きいたす次第であります。
  213. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、検討すると言うが、私が言った「じょうい」というのは、「上の位」です。どうもあなたと私はことばで食い違う。「上の位」です。工業立地なんていうのは上の位、農業振興が下の位。これを検討すると言うから、ひとつ検討してみて、また私に報告してくれるように要求して質問を終わります。
  214. 笠岡喬

  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣に、米価問題、飼料問題について質問をいたします。大臣もいろいろ用事があるそうですから、時間の許す範囲内で御答弁いただけばけっこうでございます。  きょうは、私の質問のあとで四十九年産米価の問題について決議をしようということになっておりまして、いま決議文をいろいろ検討しておるところでございます。質問の途中で意見がまとまれば当委員会で決議を採択していただくという運びにして、私は質問に入りたいと思います。  まず、最初に農林大臣にお伺いしたいのですけれども、私は、四十九年産米価について、去る四月二十五日、五月九日、五月十六日と、三回にわたって、当委員会で数時間にわたりいろいろ論議をしてまいりました。もちろん、この間、五月十日には全国農業会議所の米価要求大会もございましたし、去る五月十五日には要求米価実現全国農協代表者大会等がございまして、二回にわたって私もごあいさつ申し上げ、各党の決意も十分承ってきたわけであります。そこで、本年度産米に対する各農業団体生産者の意見は、いま申しました四月二十五日、五月九日、五月十六日の三回にわたって政務次官食糧庁長官並びに政府当局に質問してまいりましたが、大臣は参議院のほうの審議の関係等もあってなかなか当委員会に出席ができなかった。きょうは四回目にようやく大臣にお目にかかるわけでございます。いろいろ論議もされてきたところでありますが、私は、この三回にわたる質問を通じ、当面のいろいろな問題について政府の見解をただし、そのつど大臣にも十分質問の意思を伝えていただいて、大臣の御検討もいただきたいし、またいずれ見解を承りたいということで留保して今日までまいったわけです。いろいろくどくど申さなくても、焦点はもうきまっておるわけでありますが、大臣はそれをどのように報告を受けられ、また、受けとめておられるか、その点、大臣のお考えをまず最初に承りたい、かように思います。
  216. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 瀬野さんの御質問につきましては、食糧庁長官から報告を受けております。本年産生産者米価につきましての早期大幅の値上げ、追加払いの実施等の御質問と承知いたしております。  本年産米価につきましては、必要なデータの出そろうのを待ちまして適正な決定をいたしたいと考えております。四月二十五日には追加払いと米価の田植え前の決定、それから私が参議院選後という発言をいたしましたこと等について御質疑がございまして、九日にはまた追加払い、米価の田植え前決定、十六日には米審の早期開催、追加払い、大幅値上げ、決定時期と予約時期等についてのお尋ねがありましたという報告を受けております。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その中でも、予約売り渡し制度における概算金の増額等の問題も申し上げておるわけですけれども、報告がなかったようですが、それはそれとして、もう一点は、五月十五日に要求米価実現全国農協代表者大会が行なわれましたが、これはかつてない米価要求の、熱気こもった大会でございまして、全国一万一千名の予定が千名もオーバーして一万二千名という、立錐の余地もない米価大会でございました。当日は、新聞報道によると大臣も御出席ができないような意味のことがいろいろ書いてありまして、私たちも不愉快な思いをしたわけですけれども、大臣が出て、いろいろごあいさつをいただきたかったのですが、そのあいさつの中でも、農協の要求する趣旨に沿って前向きに検討していくということを約束した力強いあいさつ等もいただきたかったのでございます。いずれにしても、今回の要求米価実現全国農協代表者大会はかつてない大会で、途中で二回も中断するという、初めてというハプニングまで起こりまして、いろいろな緊急決議がなされたわけですけれども、この大会は全国の農民を代表した大会でございまして、普通ならば農林大臣においでいただいているわけですけれども、ことしはどうしてもおいでいただけなかった。いろいろな所用の都合であったと言われればそれまでのことですが、この大会の雰囲気は十分大臣は御承知だと思いますが、この大会でどういうふうなことが特に要求されたか、また、その大会の中で二回も議事が中断したことがありましたが、大臣はその点どういうふうに受けとめておられるのか、大臣も、通り一ぺんの答弁ではなくて――いよいよ農業も、農業者が生死を問われるたいへんな危機に来ているということで、農業の危機とか亡国農政ということばが議長からも発言があるほどきびしい深刻な大会でもあったわけですが、その点、大臣は全国の農民の声を十分に受けとめていただきたい。こういう意味で、大臣の認識のほどを承りたいと思うわけです。この点は長官にも前回聞いたわけですけれども、本年の大会の内容等を見ましたときに、私は全国の農民になりかわって農林大臣にあえて御見解を伺いたいと思う次第でございます。
  218. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 去る五月十五日に開催されました全国農協代表者大会におきましては、第一には四十九年産米の政府買い入れ価格の大幅引き上げと、第二はその早期決定、第三は予約概算金の増額、第四は四十八年産米価についての追加払い等について決議がなされまして、追加払いにつきましては、大会における論議を反映して、その要求額が大幅に増額修正されたと承っております。これは現行二百九十四円を三千円にせよということのようでございます。  私といたしましては、このような要求についてとかく申し上げることは、現在の段階においては差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、本年産の米価につきましては、このような事情その他の諸般の事情を総合的に勘案いたしまして適正な決定をいたしたいと考えております。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣の私の質問に対する所見と、五月十五日の要求米価大会の内容等の所見をお聞きしたわけですが、そこで、きょうは大蔵省にお忙しい中を特に来ていただきましたが、大蔵省にお伺いしたいけれども、四十九年産米の米価については、大幅値上げということは必至であるということは機会あるごとに大蔵省からもいろいろとわれわれは承っておりますけれども、この四十九年産米米価問題についてはどういうふうに大蔵省は受けとめておられるか、その点について所見を承りたい。
  220. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、米価の決定は非常に大きな問題でございまして、私どもといたしましては、牛般来の農協を中心としたかなり大幅な要求が出ていることは承知しておりますが、まだ農林省のほうから正式な相談も受けておりません。したがいまして、この農民側の要求に対しまして大蔵省がいまどういう立場で検討しておるかというようなことは申し上げる段階ではないと思います。もちろん、われわれといたしましても、重要な問題でございますので、農林省から正式な話がなくても勉強はさせていただいておりますけれども、いま公式にいろいろ申し上げる段階ではないということをお断わり申し上げたいと思います。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大蔵省に再度お尋ねしたいけれども、この米価審議会があることはもう十分御存じだと思いますけれども、昨年度、あの八月一日諮問に始まって、暑いさ中に米価が決定しました。われわれも三番町にすわり込みをしてずいぶん当局に要求してまいったわけですが、ことしも諸般の情勢から見ると、どうやらまた暑い盛りになりそうな気がして、私どもたいへん心配しておりますけれども、この米審のあり方についてですが、昨年米価が決定した後、いわゆるオイルショックによって物価が続騰し、国難が起きたことはもう十分御承知のとおりです。福田大蔵大臣もあえて狂乱物価とまで言われておる。そこで私たちは、追加払いも要求しているが、当然早急に米価審議会を開くべきであることを要求する。そして、昨年来の物価続騰によるいろいろなインフレ、労賃の値上げ等を勘案して米審を開いて、さらに必要があればことしの秋にもう一回米審を開く、そして是正をする、こういうようなあり方が当然じゃないかと思う。昨年も米価審議会のおりに、私は米価審議会長を当委員会に呼んで参考人としていろいろお伺いしたのですが、自分としても、米価審議会はこういう動乱期には当然何回か開くべきであると思うが、だが、農林省から諮問がないからどうも開くわけにいかないと言っておりました。私は、四半期に一回ぐらい開くべきであると思う。平常の年であれば年に一回ということも納得できますけれども、こういう激動期においては――これはたまたま激動期になったわけで、こういうことがしょっちゅうあっては困るけれども、こういう年が何年も続くということはまず考えられない。まあ一年、二年だと思うが、そういう場合、年に少なくとも二回は開くということに当然してやるべきじゃないかと思っているんですけれども、実際問題として、物価、賃金あるいはいろいろなデータでそろわなければ米価審議会が開けない、諮問ができないと農林省は言っているわけです。  そこで、大蔵省としては、米価審議会に対して、農林省の言うように、こういう激動期でもやはり一回でいいと思っておられるのか、その点について、この機会にお伺いしておきたいと思う。
  222. 宮下創平

    ○宮下説明員 私からそういう大問題について答弁するのはいかがかと思われますけれども、基本は、農林大臣がお見えでございますし、農林省当局におきましての米審をどう扱うかという判断、そういう判断の上に立ってわれわれといたしましては相談に乗る。相談に乗ると申しますか、お互いに話し合って処理していくべきものではないか、かように考えております。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そういう答弁じゃ困るわけだよ。福田大蔵大臣が、君がおれのかわりに責任を持ってちゃんと考えるからということできょうは君が出席したわけだから、ちゃんと答えてもらわなければ困るじゃないか。それでは福田大蔵大臣を呼ばなければいかぬことになる。  それじゃぼくは聞くけれども、これは去る五月十四日とぼくは記憶しておるが、本会議で、農業白書の質問のときに、わが党の質問に対して福田大蔵大臣は、米価決定は従来から七月ごろに行なっている、最も新しいデータがそろった時点で行ないたい、賃金の動向、物価の動向等を勘案してきめるべきである、本年につき例外を求める考えはない、と言っております。これはあなたたちの主管大臣が言ったんですから、しかも、本会議で言っているんですから、十分承知しておられると思う。私は、これはけしからぬと思う。また、田中総理も、わが党の質問に対して、米価については従来から七月ごろ行なうのが通例だ、データがそろった上で対処する、こういうふうに答弁をしておられる。  去る五月十六日の当委員会の質問際も、私は三善食糎庁長官に対していろいろ質問をして見解を求めたわけでありますが、なぜこれを聞くかといいますと、私は、米価は作付前にきめるというのが普通常識であると思う。また、必要があれば、激動期には秋にもきめるということで、年二回ぐらいは少なくとも開くということであってほしいと思う。大蔵省も農林省のほうから要求があれば協力してほしいという考えをかねがね強く主張し、そういう考えを持っているわけですが、私の調査によると、三十五年は七月の十一日に、三十六年は七月の十二日に米審に諮問をしております。三十七年が六月の二十日、三十八年は六月の二十日、三十九年が七月の二日、四十年が七月の五日、四十一年は六月の二十九日、四十二年は七月の十日、四十三年は七月の二十二日、四十四年が六月の四日、四十五年は六月の三日、三年前の四十六年は四月の二十六日、おととしの四十七年が七月の二十四日、昨年四十八年は八月の一日、こういうことで、過去においては六月ないし七月に米審を開いております。こういった例を見しまたときに、先般食糎庁長官は、四十四年、四十五年、四十六年は例外だと言ったが、ならば、こういう物価の上昇しているときに、しかも続騰しているときに、インフレの高進しているときに、農家があのように耐えて、しかも亡国農政とまで言って、いまだかつてない真剣な憤りをもって訴えているときに、与野党の議員の皆さん方に個人的に会っても、瀬野さんもっと強く言ってくれ、ほんとうにあなたが言うとおりだと言われて私は個人的にも相当激励を受けているし、個人的にはいろいろなことを聞かされている。そういうことを思ったときに、農林大臣も農民のためにほんとうにがんばって、何とかこたえていただきたいというふうに私は思うわけです。政局のいろいろな事情があろうが、いろいろことも推測できぬでもないけれども、食糎庁長官は絶対そんなことはないと言う。それにしても、米審のあり方そのものに対して私はいろいろ疑問を持つものです。  そういったことで、米価審議会の日程がこういうふうにずっと一連のものがあるのですけれども、さっき言ったように、大蔵大臣は、米価審議会については本年につき例外を求める考えはないと言っているが、とんでもない話です。四十年は七月五日、四十五年は六月三日、四十六年は四月二十六日にやっておる。しいて言えば、最近では、四十七年が七月二十四日、去年はいろいろな事情があって八月一日になっておりますが、去年とおととしの二年をもって例外を求める考えはないということは、あまりにも農民をばかにした、農民不在の、いまの農業の現状を理解しないことばじゃないかと思っております。残念でたまらない。私はあえて大蔵省に言うが、君たちの主管大臣が本会議でこう言っているのです。これに対して、主計官として、大臣の発言を踏まえ、あなたはどういう見解を持っておられるか。私は農民の前に明らかにしてもらいたいと思います。
  224. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  大蔵大臣の本会議における発言は、私も正確には承知しておりませんが、従来七月ごろをめどにきめておるので、新しいデータに基づいてきめたいということを申し述べられたように承知しておりますが、これは農林省にお伺いしていただくのが適当かもしれませんけれども、たとえば本年度四十九年の産米でございますと、四十八年の産米の生産費の実数の数値の確定公表等が基礎になることは生産費所得方式をとる限り明らかでございまして、これが六月下旬ないし七月上旬ということでございます。  また、農家労賃の評価がえをいたす基準となります都市の均衡労賃につきましても、従来四月までを一応見ておりますけれども、これも例年六月下旬ぐらいでないとはっきりしない。あるいは、農業パリティの判明も六月下旬ごろであると承っておりますし、本年度は、昨年来の異常な物価の高騰あるいは賃金の上昇等もございますので、これらのデータを正確にキャッチしてきめることが必要であるとわれわれ事務当局も考えております。
  225. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大蔵大臣にかわってきょうは主計官に来ていただいたわけですから、本会議の大臣の発言内容はあまり承知しないなんて、そんなその場のがれのような答弁では困るわけです。答弁は答弁として、大蔵大臣の言ったことは、きちっと承知して、その上に立ってこうだと言ってもらわないと困る。  この問題は、私もずいぶん何回もこの委員会で特に発言を求めてやってきておる問題でありますので、こまごまと追及はしませんけれども、追加払い、すなわちバックペイの問題ですね。これは今度の米価大会でもだいぶ問題になって、議事が二回にわたって中断しましたが、私も壇上からおりまして、各党の代表も押し倒されるような状況下にありました。その状況が、最初は、ある人の言うのには、これは一つのかっこうだとか演出だとかいう声もあったけれども、実際はそうじゃない。言っている内容と行動はほんとうに真剣そのものでした。このまま推移すると、党派は別として、日本農業の将来を考えたときに、来年、再来年――はたして大臣がそのときに農林大臣におられるかどうかわからぬとしても、あなたも自民党の重要な立場にある方でありますから、国会内におっていろいろな角度から政策を担当し、また、いろいろな面で動かれると思う。そういう場合に、日本農業という問題を考えたときに、将来ゆゆしき問題だなということを感じまして、ここらでほんとうに基本農政の土台の大転換をはかると同時に、発想の大転換をして、自給率を上げることに本気になって農林省各部局を叱咜激励してやらなければ、日本農業もほんとうに来るところまで来ているなということを私はいまさらながら感じた次第であります。そういった意味で、ここで幾ら質問したからといって早急に答えが出るとは思われませんけれども、あえて私は公開の席で、大臣に対して、いままで数回にわたって質問した内容の中からこういうことは十分承知であろうけれども、その上にさらに承知していただくために申し上げております。  そういったことを考えましたときに、バックペイは本会議でも委員会でもやらないということを何回も言っておられますけれども、自民党の政調会その他の意見を聞いても、いろいろな新聞によっても――これは直接聞かないのでわからぬ点もありますが、追加払いその他については考えなければいかぬとか、何か姿を変えて考えなければいかぬとか、いろいろなことを言われたりして、われわれにも農林大臣の考え方を聞いてくれといういろいろな問い合わせもあるわけです。その辺は大蔵省との関係でなかなかむずかしい問題もあろうかと思うけれども、昨年のあの物価高とかいろいろな点から見まして、このバックペイの問題は十分考えるとか、できなければ、今後もあることであるし、どうするんだとかいうことで――のっけに何も触れていないで、そんなことは一切全然考えられぬということであれば取りつく島もないじゃないかと思う。  そういった意味で、農民のおやじである農林大臣、あなたは、農民に対して、ことしすぐにこれはできない面もあるかもしれないけれども、こういったことをよく考えていかなければならぬ。そのためには、米審を開くなりして、今後農民にこたえるためにあらゆることを考えていかなければならぬ。そのためには、大蔵省に命がけで体当たりしていくという決意でやってもらわなければならぬ。そういった意味で、このバックペイの問題はくどく何回も聞いておる問題ですけれども、きょう初めてこの問題で大臣に会うわけですから、さらに大臣の見解をお答えいただきたいと思います。
  226. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 瀬野さんが農民のために、また農業のためにいつもたいへん憂えていていただくことに対して、私どもは当局者として感謝いたしておるのでありますが、私は、米価を早期にきめろということにつきましても、ずっと前の当委員会でも申し上げましたけれども、十分なデータを整えて、米審に十分審議をしてもらって答申を得るということのほうがむしろ農家の御利益になるのではないだろうかと思っております。いま不十分な時代にとりあえずきめるような形というものは農民の利益にならないという考えを私は持っておりますので、農業者の立場に立って私どもは考えている次第でございます。  いまお話しのバックペイにつきましても、しばしばここでもお話しがありますように、生産者米価は再生産の確保を旨として、ということでございまして、生産費・所得補償方式によって算定をいたしております。この考え方のもとに、米価の水準は、物価及び生産費のみならず、需給事情などの十分にしんしゃくをいたして算定されておるわけでありますが、四十八年産米につきましては、御承知のとおり、政府買い入れ価格は相当大幅な引き上げを行なっております。したがって、これをさらに追加払いをいたすということは政府としては考えてはおらないのであります。  そこで、米価の決定にあたりましては、いま申し上げましたように、一番近い時期のもろもろの資料を収集いたしまして、それをつぶさに米審にはかりまして、専門家たち及び消費者、生産者の代表の十分な御討議を願った答申に即してこれを決定する、こういうことが一番妥当ではないか、こういうふうに考えて、一番親切なやり方ではないかという考え方に立ってやっているわけであります。
  227. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大蔵省と農林大臣、もう二、三問で一応終わります。あとは飼料問題をやります。大臣、よかったらおっていただきたい。飼料も関係のある問題ですから、できるならそうお願いしたいと思う。米価の決議ができ上がってきますと、それまで大臣おっていただくことになると思いますので、その点ひとつ事務局のほうでよろしく進めてもらいたい。  大臣、もう一点伺いますが、先ほど申しますように、予約売り渡し制度における概算金の増額ですね。これも食糧庁長官に五月十六日にも質問をし、大臣にも特にこれは検討をいただくようにお願いしておったのですが、これについては、現行千円を三千円にぜひしてくれという農業団体の要求等があっているわけです。金額はともかくとして、こういった概算払いについても、こういう資材また労賃の値上げのときでもあるし、今後物価等も続騰しているときでありますので、早期に考えて手を打っていただかなければいかぬと思うのですが、これについてはどういうお考えであるか、従来の考えとはお変わりないのですか、承りたい。
  228. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 概算払いにつきましては、ずっと以前、地方のお盆が八月の月おくれでございますので、そういうときには現金が入るということで、農家の人々もたいへん楽しみにしておられました。中には、中途はんぱにそういうものをもらうと使ってしまうから、まとめてもらうほうがいいんだということを言っている農家もあるにはありますが、概算払いというのは従来もやっておるわけでありますので、千円という現行は、これはそのようにすることがいいと思っておりますが、その概算払いを少しよけいにすべきだという御意見がございますけれども、これらの点につきましては、私どもだけでははからいかねる次第でありますので、十分に検討をしなければならないと思っております。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 食糧庁長官が横におって耳打ちをして、乏しい資料の中からいろいろなことを聞いて言われても困るわけですけれども、農家は早くもらっておけば、貯金して利子はかせぐ。使うときはいつでも使う。盆も、新と旧とあるわけですからね、やっておけば、使うほうはちゃんと考えてやるわけですよ。そこまで心配なさらなくとも、早く出してもらえばいいわけですよ。金額を上げてもらえば喜ぶわけですよ。これは概算払いなんですからね。盆前にもらったんでは使ってしまって喜びの量が少ないようなことをおっしゃるけれども、そんなことはありません。これはほうとうにけしからぬことです。大臣、その辺はしっかり農民の味方になってやっていただきたい。  こんなことで時間ばかりとっていると、あとの大事な質問ができぬことになるので、大蔵省にいろいろ申し上げる内容は省略するけれども、今度の米価の決定にあたっては、生産者は、米価審議会に生産者米価と消費者米価と同時諮問をするんではないかということでずいぶん心配をしておるけれども、大蔵省はどういう見解ですか。
  230. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  この取り扱いにつきましても、米価の決定と同様非常に重要な問題でございますので、まだ、私のごとき者から御答弁する段階ではもちろんございませんし、われわれといたしましては事務的にはいろいろ考えてはおりますけれども、まだ、正式にどうするというような大蔵省としての方針をきめたというようなものでもございません。もちろん、農林当局のお考えを承った上でないと本件の取り扱いはできないわけでございますが、ただ、ここで申し上げておきたいと思いますのは、私どもの、財政法に基づきまして設置されております財政制度審議会の建議というものがございます。これは四十八年の十二月十八日に大蔵大臣あてに建議されたわけでございますが、その中で、食糧管理の改善と米の生産調整につきまして次のように建議されておる事実だけを申し述べさしていただきたいと思います。建議でございますが、「食糧管理制度の適正な運用と節度ある財政運営のためには、少なくとも米価の末端逆ざやの解消を図ることが必要であり、また生産者米価と政府売渡価格とを価格体系として一体的に把握し、処理することが肝要であると考えられるので、今後両米価については、米価審議会に同時に諮問し決定することを原則とするようその改善措置につき検討すべきである。」と、このように建議がなされておるということだけを申し上げておきたいと思います。
  231. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 主計官も答弁のときにすぐに農林省農林省と言うけれども、大臣や皆さんのおるところで失礼だけれども、あえて私は毒舌を言わせてもらうならば、近ごろは大蔵省農林局だとか、あるいは大蔵省農林課だというようなことを言われる。米価にしても、すべての問題について、大蔵省のおかげで農業関係があるとか、あるいは大蔵省がかたいために政治が進まぬというよようなことで、これはまことにけしからぬと思っているんだ。ほんとうに私は大蔵省に対して憤りを感じている。農林大臣がおられるところであえて申し上げるけれども、これは名前を言うわけにいかぬが、ある大蔵省官僚が、農林省は近ごろは方向性がない、大言壮語はするけれども、ビジョンがない、天気予報ならば、昔はなかなか当たらなかったが、最近はデータ通信でずいぶん当たりだした、天気予報よりもいろいろな示唆が当たらぬじゃないか、農林省農民保護省だと、こういうように言っております。これはけしからぬことで、私は頭にきている。また、農民社会保障課だというようなことを言う人もおる。それから、農業収穫予想課であると言う人もおる。すべて結果を見てきめる、あと追いである、これじゃ農林省はだめだと言っておる。ところが、そう言っておる大蔵省自身が、われわれが質問するとすぐに農林省農林省と言う。まあ、こういった重要な問題はそうかもしれないけれども、この際、大蔵省ももっと国民の食料のことを考えて、ほんとうに農家がたいへんなことになっているということに思いをいたしてもらいたい。そして、農林省の言うことをよく聞いて、もっと対処していただかなければならぬ。油は二、三日なくても過ごせるけれども、食料が二、三日なかったらたいへんなんです。これがいまのところ何とか過剰的にあるから一応おさまっているけれども、あとの食料はどうなっていますか。  きょうも全国漁民大会が武道館であって、ぼくもいろいろ言ったのだけれども、もう二百海里説まで出よる。そうなったら、いわゆる動物性たん白質は、六月二十日開かれる第三次海洋法会議等でいよいよきびしい。来年はウイーンで開かれる。だんだんに魚も狭められていく。二百海里になりますと、これは三百七十キロですから、三〇%から五〇%は公海が縮まります。そうなってくると、一千万トンの漁獲も、五百五十万トンあるいは六百万トンぐらいになってくるわけです。また、畜産もたいへんな問題だ。  こういったことを考えたときに、国民がひとしく食べている動物性たん白質または米というものについて、もっと農林省の意見を聞いて、農林省予算等についても十分な配慮をしてもらわないと困る。主計官なんだから、それを十分わきまえて言ってもらわないと困る。大蔵省が、農林省は農業収穫予想課だなんと言う。われわれもやはり農林省は追及するけれども、守備分野として、こんなことを言われると全く頭にくる。十分に心して答弁してもらわないと困る。いろいろ申し上げてきたけれども、大蔵省に聞けば、農林省に云々と言うて、いかにも農林省からいろいろ言われなければできぬようなことを言われるけれども、実際はそうじゃない。何もこのことでぼくはおこるわけじゃないけれども、全般を通じてぼくはこういった意見をこの機会に申し上げておくわけです。  そこで、この米価問題の締めくくりとして農林大臣にお伺いするけれども、今回は生産者米価と消費者米価を同時諮問ということになると、われわれがかねがね指摘しておりますように、これは分断作戦で、まさしくお米は上げることはできないということになる。消費者は据え置けと言うし、生産者は再生産に見合うように、物価の高騰、労賃の値上げに伴う生産費及び所得補償方式で米価をやってくれと言う。こういうふうに要求しているわけですが、ところが、これを同時諮問しますと、いわゆるけんか両成敗で、分断作戦で、これが相当きびしい米価決定になる。ある人に言わせると、参議院選前にきめると農家の協力がないから、米価を大幅に上げるということを言って大いに協力させて、参議院選が終わったら、その票の出ぐあいでは、君たちの協力が足らなかったから米価はあまり上げられぬというようなことを言ってやるんじゃないかというようなことを言われたりしている。いろいろと巷間、農民からも批判を受けております。そういったことをなくすためにも、農林大臣から、生産者生産者で守る、食料危機から守る、生産者米価については、消費者米価と切り離して諮問をする、こういう考え自分は臨みたいと、こういうようなきちっとした決意をぜひ披瀝してもらいたいとぼくは思う。  それについて、私は、農林大臣に、生産者米価を諮問するにあたって、純粋な計算によって引き上げるということで対処してもらいたい思うが、その決意を大臣に最後に承りたい。
  232. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これらのことにつきましては、政府部内で十分に相談をいたしまして、再生産を確保できるようにいたしてまいりたいと思っております。  消費者米価についての方針はまだきめておりませんが、これから九月三十一日までは据え置くことに方針がきめられております。これを動かす意思はございません。
  233. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あとの質問がありますので、米価問題については一応これで終わることにしますが、大蔵省、いまの私の発言を十分心にとどめておいてもらって、また次々と当委員会に来ていただいて御答弁を求めますので、福田大蔵大臣ともよく打ち合わせをして、農林省の今後の予算要求とか、また、農林省の米価審議会の問題等についてもいろいろ打ち合わせをしておいてもらいたい。特に、消費者米価については、大蔵省はいま各省庁とも検討に入るというようなことをいろいろ言っておられるそうだが、当然だと思う。もうとっくに入っていなければうそだと思う。そして、聞くところによると、十月に第一段階、来年一月または四月には第二段階で、二段がまえで検討するとか、いろいろなことが耳に入っておりますが、消費者米価の問題もありますので、こういったことについて次回にまた主計官並びに関係者に質問することにしまして、時間が参りましたので、大蔵省はこれでけっこうでございますから、退席してよろしいです。  農林大臣は五時半までの時間であったのですけれども、いま米価に対する決議を清書しているそうで、もうしばらくしたらまとまって本委員会に提案ができるそうですから、いろいろ御都合もありましょうけれども、次の問題に入ってまいりますので、これも重要な問題ですから、大臣にはところどころ質問をしたいと思っていますので、お聞きいただいて、途中で米価の決議がまいりましたならば、質問の間に米価の決議をして、あとの問題をまた引き続きやるということにしますので、もうしばらくよろしくお願いしたいと思います。   〔笠岡委員長代理退席、委員長着席〕  次は、先日農林省当局に通報しておりましたカネニ印完全配合飼料問題でございます。該当の会社は、愛知県半田市港町二丁目四十四番地のカネニ印株式会社杉治商会、社長は杉浦治助氏でありますが、事件の概要は、この杉治商会製造にかかわるカネニ印完全配合飼料は、製造過程において、鶏の除虫剤ゾウリンとフラゾリドン等の薬品を配合上ミスをおかし、その結果、本年五月初めかり、新潟県をはじめ数県において――これは三重県と滋賀県等でございますが、一つには、ブロイラーに骨に変型が起きている。いわゆる大腿部が大きいが下のほうが少さくなっているというのは、人間でいうと、水俣病またはカネミの油症事件に起きたような症状が鶏に出ておるわけです。二つには、成長が著しくおそい。三つには、肉質が普通の半分である。全然太らぬ。四番目には、一部ではあるけれども、ブロイラーの腹部に水痘ができている。このように問題が多発しております。詳しく言ってしまうと答弁する内容がなくなってしまうのでこのくらいにしておきますが、同社も配合ミスを認めて補償すると言っているし、かつ、当該飼料の回収をはかっております。これはあとでまた聞きますけれども、もうすでに四十六年一月にもこの会社は前科があるわけで、大問題を起こしておるわけです。けしからぬ。  この問題について、私は、当局から、事件の経過と内容についてまず冒頭に明らかにしていただきたいと思う。
  234. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま御指摘がございましたところの、新潟県地方におきます愛知県の――これは「スギハル」とおっしゃいましたが、私どもは「スギジ」というように読むのだというふうに聞いておりますが、杉治商会の製造いたしました配合飼料に基因すると思われるブロイラーの事故が先生をしておる点につきましては、御指摘によりましてさっそく関係県及び関係の当該のメーカーに問い合わせをいたしまして、現在、そのような事実があったということでございますが、詳細については目下調査中でございます。  これまでに私どもが把握いたしました経過を御調明いたしますと、本年四月ごろ新潟県豊栄市聖龍村の六戸、十五万羽のブロイラーのうち約三万羽が発育不良等の症状を呈するという事故が発生をいたしました。これらのブロイラーには、いずれも、先ほど申しました愛知県の杉治商会のブロイラー用配合飼料が給与されておりますので、その配合飼料が事故に関連するのではないかというように推定はされておりますが、現在、新潟県の中央家畜保健衛生所におきまして種々の検査をしておりまして、その途中でございまして、細菌、ウイルス、病理、生化学等の面から病性鑑定を実施をしておる段階でございますので、現在原因は何だということを断定を下すまでには至っておりません。  また、新潟県のほか三重県及び滋賀県においても一万羽以上に被害が発生しておるというふうに報告を受けておりますが、その詳細については、これまた現在調査中でございます。  なお、杉治商会は、四月二十九日までに関連いたします配合飼料の回収を行なっておりまして、現在は引き続き被害が出ておるという状態ではないというように聞いております。  なお、この配合飼料の販売数量は、これはブロイラー用の肥育後期、出荷の前の後期用の飼料でございまして、合計約三千百トンぐらい販売をされておるわけでございます。  以上が私どもが現在把握しておる状況でございます。
  235. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 四十六年一月に、やはりこの杉治商会の飼料で、新潟県で、卵がかたくなって黄味がかたいというので、消費者からずいぶん文句が出ましたり、また、中にはスポンジのようになっておるものもあるということで、いろいろ問題になった事件があります。もちろん飼料を回収しておるわけでありますが、この事件は新潟県と佐渡で主としていろいろと起きております。当時この会社が十五万六千八百羽、卵にして九万三千百三十八トン、その価格は一億七千五万円で買い取っております。見舞い金として百八十八万円を出しておる。こういうことで、これは農林省もよく承知だと思いますが、この点についてはどうですか。内容を明らかにしてください。
  236. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまの杉治商会が四十六年一月ごろに、新潟県下で、いわゆるスポンジ卵という異常卵の発生事故を当商会の配合飼料を原因として起こしている事実がございます。これは新海県のほか東京都等でもあったようでございまして、卵黄が硬化する異常卵、俗に言うスポンジ卵というものが発見されまして、その原因を種々究明しましたところ、杉治商会で製造されました成鶏用の配合飼料に起因していることが明らかになりました。当時の調査では、同社は当該配合飼料及び異常卵の回収を行ない、また、補償なり見舞い金も出したわけでございますが、その原因は、一部の植物油かすの中に含まれておりますシクロプロペノイドという成分の脂肪酸によるものであるというふうに結論が出ております。さらにその原因をたどりますと、タイ国から輸入しました油脂分の高いカポック油かすが原因であったというように判断をされました。  異常卵の特徴といたしましては、卵黄が正常卵に対して非常にかたい。したがって、卵白と卵黄が混和できない。まざらない。それから、ゆで卵にしたようなときには、いわゆるスポンジ状になりまして、卵黄部がかたくて、弾力があって、床に投げるとピンポン玉のようになる、はね返るというような性状がございます。ただ、人体には特段の影響はないということでございましたが、商品価値が非常に低落をするわけでございますので、先ほど申しましたような措置がとられたわけでございます。  農林省といたしましては、そのような発生状況にかんがみまして、四十七年七月に植物油かす類の規格を設定するにあたりまして、綿実油かす、カポック油かすについての脂肪量の規制を設けました。要するに、脂肪分が高かったために被害が出たというふうな結論でございましたので、ただいま申しましたカポック油かす、綿実油かすの脂肪量の規制を定めまして、粗脂肪として二%以下というような規格を設定いたしまして、当該規格に適合するような原料を今後使用するように指導をいたしておるわけでございます。
  237. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま二つの事件についていろいろ報告を受けたわけですけれども、何せ、決議の問題でざわざわしてきておりますが、これは重要な問題であるので若干続けて質問をしますけれども、先ほど申しましたところの、ことしの二月、三月に配販した杉治商会のカネニ印完全配合飼料は、先ほど申し上げましたように、鶏の体内にわく虫を除虫するための薬品が混入したということで、会社も認めておるし、さらに補償もするということで、すでに配販した飼料はほとんど回収しておりますが、それについて、配合飼料がどのくらい流れたのか、また、どれだけ農家に流れておるか、その点は農林省はどのように把握しておりますか。
  238. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほどもお答えいたしました中にございましたように、該当する配合飼料は、新潟県、三重県、滋賀県等、約十県に販売されておりまして、販売数量は約三千百トンに達しております。
  239. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 被害羽数はどのくらいですか。
  240. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 実は、先生の御指摘によりまして急遽調べておる段階でございますが、われわれが現在までに把握いたしまして県を通じて報告を受けておりますのは、新潟県で約三万羽、それから三重県で約一万羽、その他まだ調査中でございますので、現段階ではそのように把握しております。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この件については、農林省はもうとっくに知っておかなければならぬ問題なんだけれども、きのうからきびしく言ったんだが、農政局あるいはまた県の報告等もおそらく来ているのだろうと思うが、局長の耳まで入っていないのじゃないかと思う。いずれにしても、ぼくが指摘してからわかったのであれば、前回四十六年の一月にもこういった事件があった会社であるし、前科があるわけですから、十分注意してもらわなければいかぬと思う。今後農政局の指導等を十分やってもらわなければいかぬが、それは別途機会を見てやることにして、全国的にばらまかれておったとなるとこれは大問題であります。早急な調査をして、実態をもっと明らかにして、総点検をして、私のほうに報告をしてもらいたいと思うが、どうですか。
  242. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 急遽調査中でございますので、その他の県等全国的に判明をいたしますれば御報告申し上げたいと思います。
  243. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この会社に対する厳重な措置と補償という問題できびしく臨まなければならぬと思うが、その点の農林省の対処方針はどうですか。
  244. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 新潟県から報告を受けておりますところでは、なお病性鑑定中でございまして、原因を断定するところにまでは至っていないということでございますので、その結果を見まして、再度事故を起こしたような会社でございますので、われわれといたしましても、肥飼料の品質保持上非常に遺憾だと思います。結果判明次第厳重な措置を講じ、さらに補償問題等についても適正に実施をするようよく指導したいと思います。
  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、農林大臣、米価の決議問題で急いでおりますが、いまお聞きになったようなことで、これはこういった時間にはしょってやってもあれですが、要点だけはいま申し上げたわけです。きょうは、いまから調査をして報告をいただくということですが、そしてまた再度当委員会でいろいろと検討しますが、飼料で困っているときに、しかも、農家ではえさが去年から倍も上がってたいへん苦しんでいるときに、こういう飼料メーカーが、しかも四十六年とことしと二回にわたってこういう事件を起こしている。だから、補償なんかもすぐやると言っております。これは当然だと思うけれども、それじゃ済ませないので、きびしい行政指導をし、今後責任を追及し、また、この会社の怠慢について、いろいろと今後皆さんにきびしくやってもらわなければいかぬと思う。  このような点で、いま畜産局長からいろいろと答弁がございましたが、農林大臣、あなたの決意を最後にお聞きしておきたい。
  246. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 十分実情を調査させまして、善処いたすように指導いたしたいと思います。
  247. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。      ――――◇―――――
  248. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 この際、芳賀貢君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党、五党を代表して、昭和四十九年産米価決定等に関する件について決議をすべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
  249. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表して、昭和四十九年度産生産者米価決定に関する件について動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    昭和四十九年産米価決定等に関する件   世界の食料事情は長期的にみてなお不安定な要因にさらされており、従来の安易な農産物の海外依存についてはこれを是正し、国民の主要食料の確保については現行食糧管理法の厳正な運用等を通じて国民不安をきたさないよう努めるべきは政府の責務である。   よつて政府は、年々低下する食料自給率に歯止めをかけ、国内自給度の向上をめざし生産体制を強化するとともに当面する米価の決定に当つては生産農民生産意欲を減退せしめないよう左記事項について十分留意の上米価決定を行うべきである。       記  一、昭和四十九年産米価については、生産費所得補償方式に基づき賃金の上昇および生産資材の異常な高騰を的確に反映し併せて過去における米価決定の経緯等を十分に配慮し可及的すみやかにその大幅な引き上げを行うこと。  二、事前売渡申込に係る米価の概算金についてその引き上げを検討すること。  三、米麦等国民の主要食料につき備蓄の拡充を図ること。   右決議する。  以上、朗読いたしました案文について、主要なる点について若干趣旨の説明を行ないます。  前文については十分御理解を賜わるところでありますが、実行項目の中におきまして、特に、昭和四十九年度産米の政府決定にあたりましては、昨年以来の生産事情あるいはまた賃金、物価の異常な高騰を的確に米価に反映することは言うまでもないわけでありますが、それとあわせて強調したいことは、政府の毎年の米価決定の内容を見ますと、過剰に名をかりて連続的に米価の据え置き措置等が講ぜられまして、いわゆる世上低米価の非難があったことは言うまでもないわけであります。これらの米価水準を低位に政府が政策的に決定した経緯というものをこの際十分反省し、あわせて今後の、米をはじめ食料農産物の拡大再生産の方向に今年度の米価決定が十分役割りを果たすことのできるように、大幅に引き上げを行なうべきという点でございます。  第二点の、四十九年度産米に関する概算金の支払いの問題につきましては、昨年までは六十キロ一俵につきましておおよそ一千円の概算金が支払われたわけでありますが、特に、今年度の米価がいまだかつてない大幅な引き上げを実施されることは当然である、そういう事情にもかんがみまして、概算金の部分についても、従来よりも相当大幅な金額の引き上げについて政府としては十分検討を加えて措置すべきであるという点でございます。  第三点は、最近の食料の国際的な事情あるいはまた国内の自給度の低下の実態にかんがみました場合において、当然国内の食料自給度の向上をはかるとともに、それに対応するために備蓄制度というものを確立いたしまして、毎年度一定の計画に基づいた主要食料の備蓄を現行の食管制度に基づいて実行するべきことをここに示したわけでございます。  以上が具体的な決議の内容でございますが、この際、特に申し上げたいことは、この決議案の案文作成の理事会の協議の中におきまして、昭和四十八年の産米について、米価決定後の経済変動のおびただしい実情にかんがみて、この際、四十八年度政府決定米価の補正措置を行なうべきであるという点について協議をいたしたわけでございますが、この点については残念ながら各党間の意見の一致を見ることができなかったわけであります。しかしながら、この際、この点は、昭和四十八年度の米価についての追加払い措置はもちろんでございますが、もう一つの問題といたしましては、今日のごとく経済事情が激変しており、あわせて、政府自身も狂乱物価時代ということを告白しておる際でございますからして、たとえ今年度の米価が一定の時期に適正に定められるといたしましても、その後当該米穀年度の中においてさらに経済変動が顕著な場合においては、その時点においてさらに適正な米価のあり方について十分な検討を加えて、米穀年度内における価格の改定措置等についても、これを十分政府において検討すべきであるという点をこの際付帯して申し上げる次第でございます。  以上が本決議案の趣旨の内容でございます。何とぞ委員各位の全員の御賛成をいただきまして、全会一致で決議されんことをお願い申し上げまして、提案の趣旨の説明にかえる次第でございます。
  250. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  別に発言もないようでございますので、直ちに採決いたします。  芳賀貢君外四名提出の昭和四十九年産米価決定等に関する件の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  251. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 起立総員。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。  この際、本決議に対して政府より所信を求めます。倉石農林大臣。
  252. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまの本委員会の御決議の趣旨につきましては、米価審議会の意見も十分聞いて対処いたしたいと存じます。
  253. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会