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1974-04-10 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月十日(水曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君      稻村左四郎君    今井  勇君       上田 茂行君    小沢 一郎君       越智 伊平君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木義武君       塩川正十郎君    塩崎  潤君       島田 安夫君    染谷  誠君       中尾 栄一君    丹羽 兵助君       粟山 ひで君    島田 琢郎君       竹内  猛君    馬場  昇君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         林野庁長官   福田 省一君         林野庁林政部長 平松甲子雄君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     伊藤 参午君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奈良 義説君         林野庁指導部長 松形 祐堯君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     越智 伊平君   金子 岩三君     塩崎  潤君   小山 長規君    稻村左四郎君   本名  武君     塩川正十郎君   神田 大作君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     小山 長規君   越智 伊平君     小沢 一郎君   塩川正十郎君     本名  武君   塩崎  潤君     金子 岩三君   小沢 貞孝君     神田 大作君     ————————————— 本日の会議に付した案件  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五一号)  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五二号)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とします。  審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 今日の自然破壊というものは目に余るものがあるわけですが、さらに、山林資源枯渇が非常に重大な問題でございます。こういう自然破壊が行なわれたという原因は何であるか、林野庁当局はこれをどのように把握しておられるのか、国有林経営とか森林施策に誤りはなかったのかどうか、そういう反省といいますか、そういうものをどういうぐあいに持っておられるかという基本的なことについて、最初に御質問申し上げておきたいと思います。
  4. 福田省一

    福田(省)政府委員 いま御質問のございましたところの、森林破壊が目に余るものがあったじゃないかという御指摘でございますが、確かに、反省いたしますれば、特に戦前、戦後にかけまして、木材増産を必要とする要請が強く、特に国有林に期待されたわけでございます。その間、木材生産力増強計画あるいは木材増産計画というふうな案をつくりまして、相当木材生産重点を置いて経営をしてきたという結果が、いま御指摘のような形であらわれておったというふうに反省されます。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  その後、産業の高度成長の結果、いろいろと公害の問題が発生いたしまして、自然保護に対する強い要請が出てまいっており、森林に対しましてもやはり公益性を重視した経営をすべきであるという反省期に入ったわけでございます。  そういう経過を踏まえまして、昭和三十八年当初、特に国有林におきましては新しい森林施業という方針を出しまして、この経営方針を大きく転換してまいったものでございます。
  5. 馬場昇

    馬場委員 ものごとをさらにやる場合には、やはり、過去の反省というものの上に立ってやるということが必要でないかと思うのです。いま一応の反省をお聞きしたのですけれども、政府高度経済成長政策をとってきた、さらには田中総理の言う日本列島改造政策を進めてきた、そういうために今日の自然破壊というものが出てきた、こういうぐあいに理解するわけでございます。たとえば木材の場合でも、成長量に見合うものを切っておればこんな破壊はないわけでございます。従来は、私の知る範囲では、成長量に見合う分だけ伐採をしておったが、それが高度経済成長政策という中の木材需要という中で、見込み成長量というものを当て込んで成長量以上に切ってきた。そういう点で自然環境破壊木材資源枯渇というものを招いたのではないかと思いますし、さらには、この前も私は質問を申し上げたのですけれども、大面積の皆伐をやって、こういう中で植林をしても育たないというようなところまで切ってしまった。こういうような事実もあるわけでございますし、生産に追われるあまり、特に大型機械を縦横無尽に駆使して山を荒らした。さらには、林道等につきましても、さらに安上がりな林道、粗雑な林道をつくったということもございます。そして、また、基本的には、植林という面におきまして当面収入がないところは軽視されて、伐採ということのみに重点を置いてきた。こういうようないろいろな問題点があろうかと思うのですが、こういうことについて、いままでの国有林に対する強い反省というものを私は強く求めておきたい。その反省なしには、いかに保安林措置法を延長しましても、砂上の楼閣ということになるのじゃないかと思います。だから、今後はその強い反省のもとにそれを克服しながら、本腰を入れて国有林経営というものにぜひ当たっていただきたいということをまずもってお願いをしてから質問に入りたいと思います。  具体的に保安林の中でさえ乱伐が行なわれた。このことは保安林機能をもちろん低下するわけですし、山荒らしになっておるわけでございます。森林法によりますと、皆伐面積が二十ヘクタールということになっておるわけでございますが、これを上回って伐採をしたというケースがあるのじゃないか、これが一点です。二点は、森林法施行規則の二十二条の三を悪用したのではないかと思われるケースがある。これは年度別の皆伐面積だというぐあいに考えて、二十ヘクタールをある年度に切る。次の年度にその隣をさらに二十ヘクタール切る。次の年度にその隣を二十ヘクタール切る。そうしますと、全部切ってしまうということになる。こういうことが実際に行なわれておるわけですけれども、これは森林法施行規則の二十二条の三の精神違反しておるのじゃないか、これを悪用しておるのではないかと思うわけでございますが、この点についての当局の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  6. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林伐採につきましては、保安林の種類によりまして、それぞれ指定施業要件というものを具体的にそれぞれの地区できめておることは御承知だと思います。たとえば水源涵養保安林におきましても、伐採の大きさを指定しない場合もございます。しかし、それが森林の今後の経営に非常に支障を来たすという場合におきましては、伐採の方法なり大きさを規定しておるわけでございます。保安林におきましては特にそういう点を加味しまして、先生からいま御指摘がございましたように、二十ヘクタールというものを一応限度にしているわけでございます。ただ、国有林におきましては、新しい施業方針を昨年出しまして、五ヘクタールという制限を設けてきびしく施業いたしておるところでございます。国有林民有林に比べますと相当山岳地帯にもございます。これは当然だろうというふうに私は考えているところでございますが、こういうことでございまして、しかも、いま先生からお話しがございましたように、連続してやっちゃいかぬ、これは皆伐する場合にもそういう小さい面積にし、しかも分散してこれを伐採し、そして、それがある程度大きくなったときにまた元のところへ戻るということを原則として指導しておるところでございます。
  7. 馬場昇

    馬場委員 ちょっと答えが抽象的ですけれども、現在五ヘクタールということは私も知っておりますけれども、森林法施行規則二十二条の三には二十ヘクタールになっていますね。二十二条の三の二十ヘクタールを、私がさっき言いましたように、単年度にそこを二十ヘクタール切り、あくる年にその次の二十ヘクタールを切って、そのあくる年にさらにその隣の二十ヘクタールを切って、結局その山全部を三年なら三年で六十ヘクタール切るというような切り方をやったんじゃないか、そういうことは過去になかったかという質問です。あったとすれば、これはやはり二十二条の三の精神違反しておる。逆に悪用しておる。このことは生産第一主義という美名のもとで山を荒らした結果になっているわけですが、そういうことは過去になかったかどうかということです。もしあったとすれば、今後そういうことは絶対しないというような決意があるのかどうか。そういうことを聞いておかなければ、五ヘクタールと言ったって、次々に切っていけば全部切ることになるわけですからね。そういうことが過去になかったか、こういうことを今後は絶対しないか、そういうことを念を押して聞いておるわけです。
  8. 福田省一

    福田(省)政府委員 過去においてそういったことが全然なかったということを申し上げておるわけではございません。確かに、先ほど申し上げました生産力増強計画木材増産計画ということを重視するあまりにそういったような弊害があったことでございますので、これを是正しようと思っているわけでございます。いま申し上げました二十ヘクタール民有林の場合、これにおきましても、成林の場合には、制限した場合には二十ヘクタールであるけれども、制限しない場合もございましたし、また、これは連続してはだめだということはなかったわけでございます。しかし、今後はそれじゃいかぬ、二十ヘクタールと制限する場合におきましても、その次の段階にいく場合にはある程度の樹林地帯を残す、特に、峰通りとか沢通りというふうなところにはそういった地帯を残して分散さして伐採していくということを指導しておりますし、国有林の五ヘクタールの場合におきましても、今後はそれをできるだけ分散さして、同じように沢通りとか峰通りにはそういう樹林地帯を残す、そして、皆伐して、植えたところが相当成林してからまた元のところに戻るというふうに今後は強く指導してまいる方針でございます。
  9. 馬場昇

    馬場委員 いま私が言ったところの、二十切り、二十切りで皆伐になってしまったという証拠写真を私はここに持っているわけですが、長官もいま、過去にそういうこともあったのかもしれないとおっしゃいましたが、今後そういうことがないようにするという強い決意を聞きましたので、今後そういうことのないようにぜひしていただきたいことをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、従来の制限がない場合はもちろんですが、あったにしても、いま覆ったような事実があったわけでございますし、そして実は生産をあげておったわけです。ところが、いま長官が言われましたように、特に国有林においては今度五ヘクタールということになりました。そういたしますと、過去に比べて生産性がダウンするんじゃないか、コストがまた上昇するんじゃないかということは当然予想されるわけでございます。このことは国有林財政相当影響があるんじゃないか。当然のことだろうと思うのですが、その問題と、そういたしますならば、国有林財政というものに公益勘定的なものを創設することが必要になってくるのではないか。独立採算という立場でなしに、公益勘定創設というものが必要になってくるのではないか。また、生産性が落ちるということなりますと、ややもいたしますと、そこに働く労働者労働条件切り下げ、いわば合理化というものが起こる可能性は常にあるわけです。そういう問題につきまして、生産性が落ちるという場合に、国有林財政について公益勘定創設というものを考えないのかどうか、また、労働者労働条件を絶対に低下しないようにするという決意があっての五ヘクタールかどうか、そういうことについてお伺いします。
  10. 福田省一

    福田(省)政府委員 まず、第一に、いま申し上げました施業の新しい方針を出しまして、小面積皆伐で、しかもそれを分散させるということは、当然能率は下がるわけでございます。従来は能率重点主義でやってきましたところを、今度はそういう森林の公益的な機能を重視した施業をするということに切りかわったわけでございますから、当然そういう結果は出るわけでございます。具体的に申し上げますというと、国有林伐採量は、過去における伐採最盛期の約三割近く量がダウンいたします。したがいまして、当然造林量も減るわけでございます。そういう影響がございますので、収支の面にも相当影響を来たしてくるということは当然でございます。  第二点の、しからばそういったことについて公益勘定を設ける意思はないかということでございますが、そういうことでの、特に公益的な面におきます仕事の具体的な事例としましては治山事業でございます。治山専業につきましては、もうほとんど大部分、一〇〇%一般会計の財源に仰ぎたいと私は思っておるのでございますけれども、やはり経常の責任における治山事業もあろうという議論もございまして一〇〇%まではいきませんけれども、非常に高い率で四十八年度、四十九年度一般会計から事実導入されてきております。そのほかの事業につきましても、やはり公益的な面が相当あるわけでございますが、ただ、公益的な面と申しましょうか、そういう企業的な面と公益的な面との量的な線を引くということは非常にむずかしい問題がございます。たとえば林道におきましても、幹線的な林道木材搬出以外の公益的な利用価値もやはりあるわけでございますから、そういった面にはできるだけ導入すべきであるという考え方を私たちは持っておりますけれども、これ、を具体的に決定するのはなかなかむずかしいので、先生の御趣旨を体しまして、これは前向きに検討してまいりたいと思い、現に検討しておるところでございます。  それから、そうなるというと、それが労働条件影響してきはせぬかということでございますが、仕事量が減ったので収入も非常に苦しくなったけれども、おまえたちもがまんしてくれというわけにはまいりません。この面につきましては、林業労働というものは最近非常に減少傾向に大勢としてはございますので、必要な基幹労働力というものは、民有林はもちろんでございますけれども、国有林におきましては特にこれを確保していく必要があるというふうに私は考えております。そういう意味で、労働条件の低下を来たさないようにしてまいりたいと思っておりますが、その具体的な問題につきましては、労使双方でこれは協議していかなければならぬ問題でございます。そういう考え方に立っております。
  11. 馬場昇

    馬場委員 いま、公益勘定創設するという前向きの方向で検討していきたいということでしたが、当然そうあるべきだと思いますので、具体的ないろいろな問題はあると思いますけれども、困難を克服して、ぜひ積極的に公益勘定創設というようなことを考えてやっていただきたいと思います。また、そこに働く労働者労働条件勤務条件切り下げないように労働者と話し合いをしていきたいということでございましたが、ぜひそれもそういうぐあいにやっていただきたいと思うのです。  次に、保安林の中で、保安林行政のこの法の趣旨保安林機能に反して、非常に不当な違法な行為営林署の手によって行なわれております。そのような行為責任を明らかにせずしては、どんなにりっぱな法律をつくっても、現場で違法行為が行なわれておる、不当なことが行なわれておる、趣旨に反するようなことが行なわれておるということでは底抜けになってしまうわけです。こういう法律を審議しても、それでは保安林行政というものはまた底抜けになってしまい、効果をあげ得ないことは当然でございます。私はここに幾つかの具体的な事例を持ってきておりますが、これについての徹底的な事実の確認と、原状に復帰するという態度と、それを行なった者の責任ということをぜひ明らかにしていきたいと思うのです。  そこで、具体的に申し上げますと、熊本営林局熊本営林署管内のできごとでございますが、これは益城、七滝の二つの担当区で管理して、吉無田製品事業所を設置して素材生産をしておるところの問題でございますが、まず、第一点といたしまして、保安林内に許可なしに作業道路開設をいたしております。ここにその許可なしに開設いたしました作業道写真がございます。これはあとではっきり見ていただきたいと思うのですが、見ればすぐわかることです。これは具体的に申し上げますと、四十九、五十林班の中のことですけれども、この林班昭和四十六年一月六日に保安林に指定されました。保安林に指定するときに、ここでは作業道予定線図面の上できめておったのです。だが、その図面の上できめておったところは保安林指定除外してあります。そこに作業道をつくるのだったら問題はなかったろうかと思うのですけれども、四十八年度にその除外してある予定線上に作業道開設しようとしたけれどもできないのです。だから、保安林に指定されたところを大規模に掘さくをして道路開設しております。それがここにあるこの写真でございます。そうして営林署は何と言っているかといいますと、それを聞きますと、除外地であるから手続一切不要であるというぐあいに、保安林除外手続は要らないのだ、不要であるということをうそぶいております。これは明らかに知事許可もなしに保安林道路をつくったわけですから、これは森林法三十四条の違反であると私は思うのですが、どうですか。そしてまた、違反でありますけれども、それをごまかして、別なところに除外したところがある。そこじゃなしに、保安林の中につくった。ところが、別なところに除外してある、そこなんだというように営林署長はごまかしております。こういう署長責任はいかがなものであるかということをお尋ねしたいと思います。
  12. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま御指摘がございました作業道の問題でございますが、保安林解除手続によりませんで、森林法の規定に基づきまして、国有林の場合は都道府県知事との協議による同意を得て作設できるというふうになっております。林道開設におきまして必要な保安林解除手続は、いわゆる解除手続は要しないというふうにしてあるわけでございます。  御指摘熊本営林署管内大野国有林の二十九林班直営生産事業における作業道でございますが、これは熊本県知事との間に協議をととのえた上で作設したものであるというふうに聞いております。協議期間というのは四十九年の三月末日で終わりまして、四十九年度も引き続きこの作業道使用したいために、四十九年の三月二十五日付で、熊本営林局長から熊本県知事あて協議を行なっておりまして、この協議がととのうまではこの作業道使用はしない予定であるというふうに承知しておりますが、なお、詳細につきましては、十分現地調査いたしまして、遺憾のないようにしたいと考えておるところでございます。  それから、もう一つは、吉無田国有林の四十一林班内の作業道のことかと思いますが、四十八年の五月十六日付で熊本県知事との間に作業道作設協議をととのえた上で作設しまして、木材搬出使用したところであります。この協議期間は四十九年の三月末日までに終わったのでございますが、四十九年度も引き続き育林事業使用のために、四十九年三月二十五日付で熊本県知事協議を行なっておるところでございます。  この作業道は、当面の育林作業使用するものでございまして、永久的に使用する考えはないために、使用協議によったものでございますけれども、この点につきましても、なお詳細に十分現地調査した上で遺憾なきを期したいと考えているところでございます。  先生の御質問の中に、年度末に一応なにし、またあらためて四月以降そういった手続をするということはおかしいんじゃないかという御質問意味もあるかと思いますが、その点につきましても、搬出したあと造林をするということは前もってわかるわけでございますから、もしその点を含めて協議しなかったということであれば、これまたちょっと問題がございますので、その意味も含めて、よく現地調査して、事情を調査した上で対処したいと思っております。
  13. 馬場昇

    馬場委員 それは問題の本質を全然はぐらかした答えなんですよ。私が質問したところといま言われました林班は違うのです。協議したところだけあなたのところに報告が来ておるわけですね。いま言われたところは協議をしておるかもしれませんが、私が言っているのはそれ以外のところを言っているのです。私が指摘しましたから、たぶん営林署なり営林局に問い合わされたと思うのですが、ところが、向こうはそれには直接答えなくて、いまあなたが言われたのは別の協議をしたところだけを答えておる。あなた方が営林署長からごまかされているんですよ。そういうような悪質な営林署長なんですよ。実に不愉快でたまらない。いまの答弁を聞いて、なお悪質だと私は思いました。というのは、私はいま四十九、五十林班について言ったんですよ。あなたは二十九林班のことを答えているでしょう。そういうことで、ここでは協議をしておりません。これについてはっきりあなたは御存じないようですけれども、たとえば協議をしなくてかってにやったならば、これは三十四条の違反でございますか。
  14. 福田省一

    福田(省)政府委員 御質問のように、これは協議をしなければいけません。いま、四十九林班、五十林班ということを先生ははっきりおっしゃいましたので、これは至急実情を調査いたします。
  15. 馬場昇

    馬場委員 これは協議していなければ違反です。ところが、さっき私が言いましたように、図面の上では除外されておるんです。そこをやらなくて、別なところをやって除外されておるから、許可なんかも要らないんだ、協議も要らないんだとうそぶいておるところに問題がある。そういうことについてはぜひきちっと調査をして、しかるべき措置をとっていただきたいと思うのです。  それから、さらに、トラクター作業道を、これも許可なしに開設をしております。トラックの運搬林道は、幹線は確かに協議したり許可を受けてやっているんですよ。その幹線のところにトラクターで持ってきますね。この作業道協議もしていないし、許可も受けていない。さらに、トラクター林道内をずっと走っております。そういうところも相当木が伐採されております。掘さくされておるんです。こういうところで、幹線だけは許可を受けたけれども、その支線ともいうべき、そこに持ってくる作業道、さらに保安林内を走るトラクター林内走行路、こういうところは全然協議を受けていない。それで、こういうところはトラクターが走るのですから、復旧不能になっております。まさに復旧不能になった状態の写真がまたここにありますが、ブル集材でこういう状況になっているということを示す写真が十枚近くあります。これを見ていただけばわかると思うのです。そういうことで、私はさっき四十九、五十林班を言いましたが、ここにつきましても——これは別なところです。これについてそういうことをやっておる事実がございますが、御存じかどうかということ、事実とすればそれはやはり違反ではないかということについてお尋ねしたいと思います。
  16. 福田省一

    福田(省)政府委員 いま御質問の場所が四十九林班、五十林班であるといたしますれば、同じようにさっそく調査して対処いたしたいと思いますが、この作業道トラクターが通ります道、これが搬出のために常時継続してそこを通る——作業道というのは、平均しまして大体三年くらいで、それ以上になると林道とか、私たちはいろいろ区分いたしておりますけれども、物資運搬のために林内をトラクターが通るという程度であれば、これは臨時ですからそういった問題はないと思いますけれども、木材搬出のために、それが終わるまで一年とかあるいは二年とか使うような場合には、継続して使うような場合には、作業道に準ずるわけでございます。ただ、トラクターでございますから、あっちの木を一本引っぱってくる、こっちの木を一本引っぱってくるということで、一回か三回しか通らぬということであれば、これは作業道であるかどうかということは問題がございます。それは、伐採をしますときにその許可を得る、あるいは協議をするという手続が済めば足りる問題だろうと思います。その辺の問題は現地の実態に即して判断しなければならぬというふうに考えられますので、御指摘の点については、現地を十分調査した上で対処したいと考えております。
  17. 馬場昇

    馬場委員 ぜひそこのところは調査をしていただきたいと思うのです。  次に、もう一つ、保安林内の固定施設をつくるというときに、これは解除手続というのが非常に複雑であるために、熊本営林署管内では、特に、先ほどから言われておるように、一時の形質変更などで協議して使用しておるという点が非常に多いんです。これは、しかし、その協議も、行なわれておるときと行なわれていないときがありますが、たとえばここで私が言いますのは、当然固定施設になっておるのです。だから、これは解除手続をとるべきです。ところが、それをとらずに、一時の形質変更だということで開設をして、ごまかして固定作業道になってしまっておる。こういう例が非常にたくさんございます。  私がいまから申し上げますのは、先ほどあなたも言われましたが、たとえば二十九林班の「は」というところに千二百四メートル、これは幅が三メートルですけれども、それは形質変更協議が行なわれております。ところが、ここは復旧の約束がことしの三月三十一日までになっておりますが、復旧はできておりません。三十五林班の「ろ」というところも七百七十四メートルありますが、これもさっきと同じ条件です。これは復旧されておりません。四十一林班の「わ、た」というところですが、これは千七百五十メートル、さらに四十二林班の「に」が千五百二十二メートル、いずれも形質変更で、一時使用をしておりまして、ことしの三月三十一日——四十二林班の「に」というところは三月二十日、これが復旧期限になっております。ところが、どれ一つ復旧されておりません。そうして、いまそこがどうなっておるかと言いますと、六トン、七トン車が素材を満載してここを通っております。こういう状況で、協議の約束は、三月三十一日までにもとに復旧するという約束です。それができずに、六トン車、七トン車が現在も走っておるということは不当と思われませんか。それが第一です。  それから、第二は、先ほどあなたが言われましたように、解除手続がめんどうなものですから、期限が来たら再協議ということで、こういうぐあいにして永久的にやっておるのです。こういうことは法の精神違反すると思われませんか。  それから、次に、継続して申請しなくても、そのままの道路になって、またしばらくしたら同じところを協議申請しておる。こういうことが繰り返されておるところが非常に多いのです。このことは、言うならば脱法行為であろうと私は思うのですが、どうですか。
  18. 福田省一

    福田(省)政府委員 いまお答えいたしましたように、伐採が済めば造林をするとかいうことが前もってわかっていながら年度内だけの契約にして、それでまたあらためて年度内期限で協議をし、その許可を得、そして今度はまた新しい年度に入ってから協議し直すということは、いま申し上げましたように、前もってわかっていることなら、これは当然一貫して協議すべき問題であろうというふうに思います。なぜそのようなことをしたのか、これもまたよく現地の実情を調査し、聞き取りまして、今後の指導を厳重にやってまいりたいと思っております。  御指摘のように、そういったようなことをもし協議がととのわずに実行しておるとすれば、これは違法でございますので、これは厳正に改善措置を講じていかなければならぬと思っておりますけれども、これは事務的な手抜かりでもございますし、きわめて遺憾な点でございますから、よく調査し、聞き取りいたしまして、善処してまいりたいと思います。
  19. 馬場昇

    馬場委員 これは明らかに脱法行為だと思うのです。いま、そういうことが事実とすれば、それは確かに違法行為だというぐあいにおっしゃられましたし、もちろん改善はすぐにしなければならぬわけですけれども、たとえば保安林の中で、民間人が木を一本切ったって相当な罪に問われるわけでしょう。それを営林署という美名のもとにやっちゃっておる。こういうことをやった者の責任というものはどうなるのかということについて、さらにお聞きしておきたいと思うのです。  さらに、いま一つは、いまそういうことが行なわれようとしておるということを申し上げたいのですが、それは幼齢林の伐採の問題です。熊本県の場合、保安林内の標準伐期齢は、杉が三十五年、ヒノキが四十年、松が三十年でございます。これは四十一林班の中の「こ小班」に、三千三百二ヘクタール、八百七立方を四十九年に伐採するという計画がございます。ところが、いまは営林署がどういうことを計画しておるかと言いますと——ここは架線集材が最適のところだと思うのですよ。ところが、どんなに架線集材をやれと言っても、トラクター集材でやるのだという計画をしております。ところが、トラクター集材をやりますと、作業道新設予定線の中に、四十一林班三小班に十六年生の杉が一ぱいはえておりまして、これを切り取るということになるわけでございます。こういうことをいたしますと、これはもちろん保安林そのものの機能から言っても、趣旨から言っても問題がありますし、造林をして、投資をして、植林をしておるわけで、そこを破壊するわけですから、これは造林投資のむだづかいになるし、自然破壊になります。こういうところは架線集材をすべきだと思うのですけれども、それをトラクター集材を強行しようとしておる。こういうことについての御指導はどういうぐあいになさいますか。
  20. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま御指摘がございました幼齢林というのは、私のほうの聞き取り調査では四十二林班ではないかと思います。この場所は、いま先生からお話しがございましたように、約二十年生近い人工林でございまして、列状間伐試験地でございまして、その伐採のことじゃないかと考えられます。この伐採につきましては、四十九年一月十四日付で、熊本営林局長熊本県知事との間に協議がととのっているものと承知しているのでございますが、なおこれも現地を十分調査をいたしまして、対処してまいりたいと思います。  架線集材と、それからトラクター集材との問題についての御質問でございますけれども、大体、トラクター集材の入ってまいりましたのは、機械化の歴史の中でもきわめて新しいほうでございます。きわめて平たんな場所を主としてこれを行なっているのでありますが、集材機は大体急斜地を主に使っております。ただ、いままでの統計を見ますと、災害の件数が、集材機の場合が非常に多い。トラクターの場合は、それの約半分ぐらいであるという点で、安全作業の点から言いますと、やはりトラクターのほうがいいということもございまして——もちろん現地の地形その他の作業の方法にもよりますけれども、トラクター集材は全体の集材の中で約半分近くを占めるような実情になってきているところでございます。でございますが、この現地にはそれが適当ではないかというような御指摘もございますので、この点につきましても、十分現地調査いたしまして、技術的な問題でもございますから、御趣旨に沿って検討してまいりたいと思います。
  21. 馬場昇

    馬場委員 長官の答弁は、問題を非常にそらすのですね。それはあなたの責任じゃないかもしれません。それは現地からの報告がそらしてきたのだろうかと思いますけれども、私が言ったのは現地調査をしておるのです。あなたは四十二林班だなんて言うけれども、四十一林班ですよ。そういう点について非常に問題がございます。これはもちろん現地調査をし、そして、そこの写真までとってきておるのですからね。まさにあなたが現地からだまされておるのかもしれません。よく調査をしていただきたいと思うのです。  それから、もう一つ、これは四十二林班内ですけれども、あなたはこれを間違って答弁したのかもしれませんが、杉の十六年生の造林地が四十二林班にございます。四百平方メートルぐらい切り開いて、ここに作業小屋の敷地をつくっております。それはここに写真がございます。ここには、実は、造林小屋ということで、恒久的な固定的な家屋をつくっておったのです。それは現在取りこわしておりまして、最近は宅地の形になっております。これは県知事に対して手続が一切とられておりませんが、この点についてはいかがですか.これは通告もしてあったはずですから、どうですか。
  22. 福田省一

    福田(省)政府委員 恒久的な建物でございますれば、これは解除いたさなければならぬわけでございますが、小屋とか便所とか、そういう仮設工作物のようなものにつきましては、一時的なものでございますので。協議手続で済むものでございます。この点につきましては、協議を経ていない模様でございます。これも十分調査しまして対処いたしますが、今後、こういった点につきましても厳重に指導してまいりたいと思っております。
  23. 馬場昇

    馬場委員 次に、保安林内の立木掘り取りというものが非常に行なわれております。四十一林班の「ほ小班」というところと四十一林班の「イ除地」、これはいずれも水源涵養保安林ですけれども、この中で、最近三百本の環境緑化木を集中的に掘り取って採取しております。その採取したあと、掘り取ったあとはまさにそのまま、埋めもしておりませんし、畑の状態になって、埋め戻しもしなくて放置されております。これもここに写真が全部ございます。  それから、もう一つは、保安林の中に、保安林切り取って開墾をして、緑化木の仮植苗畑をつくっております。ここにその写真がございます。これは保安林の中です。かってに切り開いて植木の仮植苗畑をつくっている。これが掘り取ったあとですけれども、全然埋め戻しもしていないし、畑みたいになっております。これは全く全部許可なしです。協議なしです。これは森林法の三十四条に違反しやしませんか。
  24. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま御指摘の場所につきましては、四十六年に新たに編入されましたヲダラ国有林保安林かと思いますが、ここにおきましてイヌツゲほか約二千本の緑化木をとりまして、これを約〇・〇五ヘクタールの場所に仮植し、二カ所でございますが、植えておる経緯がございます。この緑化木の掘り取り、仮植につきましては、県知事との協議を整えた上で行なったというふうに承知いたしておりますけれども、この点につきましても十分調査いたしました上で、今後につきましては遺憾のないように指導してまいりたいと思っております。
  25. 馬場昇

    馬場委員 これは長官、四十一林班の「ほ小班」のところですよ。それから四十一林班の「イ除地」のところですよ。それは協議が行なわれておりませんよ。別な、協議が行なわれたところだけを答弁するのはけしからぬじゃないですか。いま私は五つか六つの例を申し上げましたが、こういうことで営林署行政はいいのですか。不当な、違法な行為が、営林署の手によって白昼堂々と行なわれております。まさに、営林署が、この山はおれの山だというような感覚でおり、国民の山という感覚を喪失しており、また、営林署署長が公僕たるの精神を忘れて、かってほうだいなことをしておる、こういう状況がございます。調べてみて、事実であるならば、こういう責任者の処置というものはどういうぐあいになさるのか。事実をいま私が五つ、六つ申し上げました中で、脱法行為であるということを認められましたら、こういうことを平然とやった責任者の処置というものはどういうぐあいにとられますか。
  26. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、国有林の中で働いておりますところの、営林署ならば署長はじめ職員、作業員ですが、これはその者の山ではもちろんないわけでございまして、私たちは、一億国民の総体の山を預かり、それを管理、経営しているのだというふうに観念いたしておるものでございますし、営林局なり営林署に対しましても、そういう精神で行なうように常時厳重に指導してまいっておるところでございます。そういう意味から申し上げまして、ただいま御指摘がございましたような幾つかの案件は、実態を十分調査した上でその善後措置をとるように対処してまいりたいと思っておりますが、いずれにしましても、この事実を確かめた上で厳正な処置をとってまいりたいと思っております。
  27. 馬場昇

    馬場委員 長官、職員とか作業員が公僕であるべきことはもちろん当然ですが、こういうことをやったのはそういう人たちじゃないのです。そういう計画のもとに署長なら署長の命令でやっているのですから、このことについての責任というものは、そういう作業員とかなんとかいうものにはありません。それは間違わぬようにしていただきたいと思うのですが、いま、その善後措置については、復旧のことを含め、さらにはその責任者の処置、処分ということを含めて、事実を調査して検討するとおっしゃいましたので、ぜひそのとおりやっていただきたいと思います。  こういうことがそのまま放置されておきまして、また責任が問われないということになりますと——これは一熊本だけの問題ではないと思います。全国的にはこういう例は非常に多いのじゃないかと思うのです。それでは保安林機能も、また、ここで法律を審議してこれを十年間延ばそうという精神意味というものも失われますから、ぜひ責任は明らかにしていただきたいということを再度申し上げて次に移ります。  次は、保安林の買い入れ計画の実績についてですが、第一期、第二期の保安林の指定の面積は目標を上回っておる。これは大体自画自賛されておりますが、確かに数字的にも上回っております。国の買い入れの面積というのは、第一期が五十万ヘクタールについて二十万ヘクタール、第二期が二十五万ヘクタールについて五万七、八千ヘクタールと、大幅に予定よりも落ち込んだ買い入れの結果になっております。なぜこんなに買い入れが目標より落ち込んだか、その原因について簡単に答えてください。
  28. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林の買い入れは、いま御指摘がございましたように、目標に対しまして非常に下回っているわけでございます。その原因として考えられますことは幾つかございますが、一つは、権利調整の未済、あるいは境界の不分明、登記の未整備などの事情によりまして買い入れが不調に終わったことが多かったということでございます。第二点は、効率的管理を確保する観点から、買い入れの基準が三百ヘクタールという大団地または国有林隣接地でございましたために、買い入れ対象が限られたという点でございます。第三点は、土地、立木について、従来からの値上がり傾向に加えまして、最近特に開発の進展等によりまして値上がりが加速度化してきたこと、したがって売買の希望単価が折り合わず、売買契約が締結できなかったケースが増加したということでございます。  もう一つは、当初交換によります取得を八万ヘクタールというふうに予定しておりましたけれども、四十二年度以降交換の渡し財産の用途、それからその交換の相手方をきびしく制限したいきさつがございます。その結果、計画が大幅に下回りまして、わずか五千ヘクタールにとどまったというふうなことが理由として考えられるのでございます。  買い入れ財源につきましては、国有林事業特別会計の収支の状況をも考慮しながら、必要に応じて一般会計からの繰り入れについても検討するなどの必要な金額の確保には、今後つとめてまいりたいと考えております。
  29. 馬場昇

    馬場委員 幾多の原因があることは私も承知しておりますけれども、いま最後のところで言われました値上がりというものもありまして、国有林野特別会計のワク内で買い入れようというのはやはり無理があるのじゃないかということですけれども、これについては一般会計の中から金を出すということも検討したいと言われましたが、そういうことは十分検討しなければ計画を下回るのじゃないかということで、ぜひ検討していただきたいと思うのです。  そこで、過去十年間の買い入れの予算額と実行額を資料として、これはいまでなくてもけっこうですから、あとでぜひ出していただきたいと思います。  次に四十九年度、本年度から始まります第三期の買い入れ計画を明らかにしていただきたいと思います。あと十年間なら十年間、どういう買い入れ計画を持っておるのかということを明らかにしていただきたいと思います。
  30. 福田省一

    福田(省)政府委員 法案の延長後の保安林の買い入れ目標は、最終的には新たな保安林整備計画の策定、これは四十九年度から五十一年度までの三カ年を予定いたしております。この策定によりまして決定されるのでございますが。現段階の一応の目安としましては、買い入れの実績も考慮しまして、暫定的に五万ヘクタールを最低限の目標としていま考えているところでございます。  なお、これはあくまでも現段階におきます暫定的な最低限度のものでございまして、保安林の買い入れは、本法の延長に伴いまして新たに策定されます保安林整備計画におきます流域ごと保安林の新設、それから、その改定、解除指定施業要件の変更、それから林相改良、そういったような目標などと密接に関連するものでございますので、整備計画策定の作業の中におきまして、国が所有して管理すべきものと見込まれる保安林、これを流域ごとに明らかにしまして、具体的に買い入れ数量をきめていくのでございます。その際、国有林野の活用に関する法律第八条の趣旨に基づきまして、活用にかかる国有林野の売り払いなどの収入民有林野の買い入れ財源とが長期的に均衡するように留意してまいりたいと思っております。  前回の買い入れ計画に対しまして、今後におきます買い入れの考え方としましては、実態に即した有効な方策をとることとしまして、まず、一つは、これまでの治山事業の実行、それから民有保安林造成改良対策地の充実、これは具体的に申し上げると、造林補助金のかさ上げとか育林作業への補助でございます。それから林業振興施策、これは林業構造改善事業とか山村振興対策事業でございますが、そういったものの強化、それから、今回の保安林整備に伴いますところの施業要件の改善、それから、その実効を担保するための監視体制、パトロールのようなものでございますが、そういったようなものの、民有のまま保安林機能の発揮を期待できる、そういったものが増加すると考えられております。
  31. 馬場昇

    馬場委員 さっき言った過去十年の資料を出していただきたいということについて返事がなかったのですけれども、御返事願いたいと思います。  それから、いま言われましたように、第一期は五十万ヘクタール、第二期は二十五万ヘクタール、第三期の今回は五万ヘクタールと、非常に少くなっておる。この辺も私は問題ではないかと思います。  いまちょうど最後のところで言われましたように、国有林野の活用に関する法律第八条、これはざっくばらんに言って、売った金では買うんだ、国の財産は減らさないんだというような趣旨ではないかと私は思います。ところが、過去五年間のものを見てみますと、売り払い金額が二百七十一億七千七百万あったのに対して、買い入れましたのはわずかに四十億七千二百万、売り払い額に対する買い入れ額は一五%にしか満ちておりません。このことは、国有林野の活用に関する法律第八条に違反しておる、売ったものでは買うんだ、財産を減らさないんだという趣旨違反しておると私は思うのです。こういうことのないように、ぜひこの八条の趣旨にのっとった運用をやっていただきたい。  次に、四十九年度からの保健保安林の問題ですけれども、これは都道府県が買い上げる場合は三分の一助成をするということになっておりますが、このことは、都市近郊のやつは原則として都道府県に移行するという考え方でこういう補助金を出しているのかというような問題、これが問題だろうと私は思いますし、地方財政を圧迫いたしますから、地方、都道府県に売り渡すという原則ではなしに、やはり国有で管理すべきだという原則をとるべきじゃないかと思うのです。この三分の一補助をして都道府県に売り渡す場合は、原則としてみんな渡してしまいたいという方向でやるのかどうか。国有のほうがいいのじゃないか。こういう点と、また売り渡す場合も、三分の一補助は少ない。三分の二補助をすべきであると思うのです。これについての考え方を、もう時間がありませんし、あと一問残っておりますので、端的に答えてください。
  32. 福田省一

    福田(省)政府委員 先ほどお答えしませんでした資料は、さっそく提出いたします。  それから、都道府県が購入するのに対して三分の一補助と申しますのは、一号から三号、これは重要な水源とか土砂崩壊、これは国が買うという考えでございますが、保健保安林のようなものにつきましては。その地域の人たちに受益者が限定されておるという趣旨もございまして、都道府県が、これはぜひ買いたい、乱開発規制のために買いたいという要望が非常に強いのでございます。都道府県が買います場合に国が補助しましょうと——それから、これは三分の一でございますが、この三分の一につきましても、それで十分であるかどうか、今後十分検討していきたいと思います。その中の林相改良、そういった事業をするものについては二分の一補助といたしております。
  33. 馬場昇

    馬場委員 この点についても、原則はいまお答えにならなかったのですけれども、都道府県の財政というものを圧迫しないような措置政府においてぜひ考えていただきたいと思います。  時間が来ましたが、ちょっと失礼になるかもしれませんけれども、特に長官に念を押しておきたいと思うのですが、長官は、ここで答弁されて約束されたことは当然守らなければならないと思うし、守る気持ちだろうと思うのです。だから、ここで答弁されて約束されたことは守りますかという質問は失礼に当たりますからやりませんけれども、守られていないのです。私は、この前、二月二十日に、屋久島の問題についてここで質問いたしました。そのとき十幾つかの約束を長官はされている。資料提出の問題から、直ちに善処するというような問題、研究して、検討して答えるという問題等、十幾つ私に約束されております。ところが、それを実行しておられないのです。ここにそのときの速記録を持ってきておりますが、大臣も読まれるとわかると思うのです。だから、ここでいろいろ約束をされ、善処すると言われたことは——いまもたくさん言われましたが、それはぜひ守っていただきたい。言ったことに責任を持っていただきたいということを最後に申し上げますが、いかがですか。
  34. 福田省一

    福田(省)政府委員 御質問がございますことを前もって昨日わかりましたので、実は、きょうは、前回の議事録等を検討させまして、整理して参ったわけでございますが、こまかいことを申しませんけれども、まだ検討の残っておる点も確かにございます。お約束は守るようにいたしたいと思います。
  35. 馬場昇

    馬場委員 これで質問を終わります。
  36. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 次に、小沢貞孝君。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案、これは一期、二期、今度三期目ということで、時限立法のまま今度は三度目になるわけです。これはずっと必要だから、十年、二十年、三十年と続いていくわけだと思うのですが、なぜこれは臨時立法のまま時限立法としてやるのか、どうして恒久立法としないのか、この点をまず冒頭にお尋ねしたいわけです。
  38. 福田省一

    福田(省)政府委員 森林法が、保安林の指定、解除等、保安林におきます規制などの一般的事項をきめているのに対しまして、この法律は、昭和二十八年の災害を契機としまして、保安林の緊急な整備をはかるための整備計画の樹立、それから国による保安林の買い入れ、そういった措置について特別にきめているものでございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  この法律は制定後二十年を経たのでございますが、最近におきます保安林をめぐる諸情勢を見ますと、一つは保安林の持っています公益的機能、これに対する国民的要請に対応して、保健保安林水源涵養保安林などの積極的な指定を進める必要があること、第二点としましては、保安林の内容を向上させるための指定施業要件の適正化をはかる必要があること、第三点としましては、これとあわせて、国による保安林の買い入れを行なう必要があることなど、現時点におきましても、本法による保安林を緊急かつ計画的に整備することの必要はいささかも減じていないということで、今回さらに本法を十年延長することにしたものでございます。  なぜ恒久法にしないかということの理由として、いま申し上げたことを緊急かつ計画的にやるということでございますけれども、では今後絶対これは恒久法にしないのかという点につきましては、先生の御疑問にこたえまして、内部でも実はいろいろ検討を始めているところでございます。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま長官答えられたように、この法律の最初の「目的」に、「緊急に保安林を整備するため、」というようにうたわれているわけです。だから、第一期の昭和二十九年から三十九年までの目標は、いま長官答えられたように、二十八年の災害もあって、災害ということが目標で、と、こういうようなことだったと思います。そうすると、第二期はおもにどういうことが目標であり、今度新たに提案された第三期十年間は、主目標は、いまもちょっと長官が触れられておられるようだが、どういうことがおもな整備目標であるのか。第一期、第二期、第三期のスローガンといいますか、おもな緊急的な目標というものはやはり十年ごとに移り変わってきているのじゃないかと思いますが、その経緯について説明してください。
  40. 福田省一

    福田(省)政府委員 最初は、昭和二十八年の大災害を契機として、と申し上げました。第二回目は、水の不足と、特に、水源涵養をはかる必要があるということが第二回目の延長のおもな理由でございます。今回のものは、簡単に申し上げますと、一つは、環境保全に対する要請が非常に強くなってきたということ、それからもう一つは、水の需給関係が、地域的に非常に不足する地帯が出てきたということ、それから第三点は、最近集中豪雨による被害が相当出てまいってきておるということで、それらに対処していかなければならぬということでございます。
  41. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 一期、二期、三期の目標は大体お聞きしましたが、これはちょっと事務当局にお尋ねしますが、買い入れの計画と実績は、一期、二期はどういうようになっているか、数字を簡単に説明してください。
  42. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林整備臨時措置法に基づきまして、昭和二十九年以降保安林の拡充が進められてきたわけでございます。昭和四十七年度末には、法制定当時の三倍近い六百九十四万ヘクタールの保安林が指定されました。これは全林野面積の二八%に及んでおるものでございます。第一期整備計画におきましては、配備目標は四百六万ヘクタールに対しまして四百八万ヘクタール、第二期整備計画におきましては、配備目標が六百六十六万ヘクタールに対しまして、四十七年度末で六百九十四万ヘクタールと、保安林の配備は目標に対しまして若干オーバーした成績を出しております。  買い入れにつきましては、第一期保安林整備計画におきましては、目標の五十万ヘクタールに対しまして、実績は二十万ヘクタールでございますので、四〇%程度でございます。第二期の保安林整備計画では、目標二十五万ヘクタールに対しまして実績は約六万ヘクタール、これは交換を含むのでありますが、二三%になっておりまして、なぜこういうふうに低いのかという理由は先ほど申し上げたとおりでございます。
  43. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 実績と目標とのそごについてはここで論議をしようとしませんが、先ほどの質問の終わりごろにもあったように、第三期の目標というものが、環境保全というようなことが、時代の要請とともにこの法律を延ばしていく大きな理由の一つになっていると思うのです。そういうことになると、これは先ほどの質問とも関連するようなんだが、森林法の二十五条の第一項の一、二、三号の、水源の涵養、土砂の流出の防備、それから土砂の崩壊の防備の三つについてだけは、国がこの臨時措置法の第四条、五条、六条かによって買い上げることができるようになっている。そうすると、今度の目標というものが、環境保全という新しい時代の要請に沿うてこの法律を延ばそうという大きな理由であるならば、この第四条あるいは第五条、六条の辺を改正して、保健保安林その他についても国が買い入れるようにこの法律の中身を変えて提案をしてこないと、第三期の目標を十分に達成することはできないのじゃないかというように考えるのですが、どうでしょうか。
  44. 福田省一

    福田(省)政府委員 確かに、先生がおっしゃいますように、そういう御疑問もあろうかと思います。実は、一号ないし三号は、水の涵養、それから土砂の流出の防備、崩壊の防備ということでございまして、実は、この三つだけで保安林全体の九割以上を占めているのでございますが、やはりこれが一番重要な保安林であるといたしまして、その指定なりあるいは解除は農林大臣が行なうということにいたしておりますし、四号以下につきましては、その事務を都道府県知事に委任しておるものでございますが、だからといって、実は、保健保安林等は重要でないというのではございません。特にそういった要請が強いものでございますけれども、こういった四号以下の保安林は、その保全の対象の範囲が限定的である、また、強制買い取りの手法をもってまで行なう必要はないというふうに実は判断しているところでございます。四十九年度からは、この保健保安林につきましては都道府県方面から非常に強い要請もございまして、乱開発規制をし、かつその森林を保健保安林で残したい要望が強かったのでありまして、保健保安林につきましては、都道府県知事が購入する場合に、国がこれに対して三分の一の補助をするという制度を盛り込んだのでございます。
  45. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 目標を設定してこの法律を十年延ばせ——そのおもな目標というものがやはり時代の要請に沿うて変わってきている。第一期のとき、第二期のとき、今度は、第三期は、都市の地域とか、観光地帯とか、別荘地とか、そういうような周辺において乱開発を防止する、それから、そこの環境保全、こういうようなことが目標でこの臨時措置法を延ばそう、こういうならば、仏をつくって魂を入れないようなことで意味がないんじゃないかと私は思います。たとえ規模は小さくとも、森林法の二十五条の第一項の一、二、三、水資源の涵養や、流出や、崩壊や、この三種類だけでなくて、もっと国が買い上げるような方途を開くとか、あるいはこれはあと委員長ともあれしないといけないと思うが、積極的に議院の修正でやっていってもいいんではないかと思うのだが、それをやらなければ仏をつくって魂入れずで、これから十年間は環境保全ということが重点であります、それでこの法律を延ばしますと言うからには、やはりそれにふさわしいように法律の中身も直さなければ意味がないじゃないかと私は思います。くどいようですが、再度伺います。
  46. 福田省一

    福田(省)政府委員 先ほど、お答えの中で、検討をし始めておると申し上げましたが、実は、そのことなんですけれども、確かに一号から三号以外の、特に保健保安林については、もっと重視していかなければならぬじゃないかというお考えはあろうかと思います。この問題につきましては、ただいまのところ、十年たった後でなければ再検討しないというのではございませんで、この法案を成立させていただくことは、先ほど申し上げた理由で、やはり緊急にかつ計画的にまずやらなければならぬということで、とりあえずこれを延長していただくわけでございます。  いまお話しの出ました保安林の内容、特に十一目的の十七種類でございますが、これも実は問題があるわけでございます。一体数が多過ぎるじゃないか——たとえば水涵と土流とか、保健保安とか、別々にあるのではなくて、ダブっている問題もございます。ですから、この保安林の種類の区分ということも、実は今後検討していかなければならぬものが一つございます。その重要度によって水涵、土流、土崩——とにかく土流、土崩も一緒にしたらどうかという意見もあるわけであります。ですから、そういった種別の問題と、いまお話しの国が助成するか県が助成するか、国が買うか県が買うかというような、いろいろな基本的な問題につきましては検討を速急に始めていかなければならぬというふうに実は考えているところでございまして、いまの御趣旨の点は十分踏まえまして、今後とも慎重に検討をしてまいりたいということは考えております。
  47. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 目標は、とりあえずこの法律だけ延ばしておけ、中身については新しい時代に沿うて考える——この十七項目がいいかどうかということについても、整理統合したり、あるいはこの臨時措置法の中身もまた変えていく、こういうことも急いで検討しなければいけない、こういうように理解できるわけですな。
  48. 福田省一

    福田(省)政府委員 いまの保安林の種類の区分、統合ということは、森林法の改正にもつながるわけでございます。臨時措置法のほうは、これはまた別の問題でございますから、両方に関連する問題でございますので慎重に検討してまいりたいと思います。
  49. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それだから、ほんとうはこの臨時措置法を恒久立法にして、森林法の中へくるめて、そういうことも総合的に検討して提案すべきじゃなかったでしょうか。
  50. 福田省一

    福田(省)政府委員 四月の三十日で切れる法律でございます。慎重に検討するには時間が足りないわけでございます。いまの先生の御指摘の問題は、森林法体系、保安林制度にまたがる非常に大きな問題でございまして、事務当局だけでなくて、関係する学識経験者その他の御意見も十分尊重して、今後の百年の大計に対処していかなければならぬと思いますので、これは相当の期間をとって検討させていただきたいと思います。
  51. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、次に進みたいと思います。  予算関係について、特に保安林関係の補償、それから国の買い上げ、県の買い上げに対する補助、保全管理の事業費、とにかく保安林関係の三、四項目について、最近三、四年の実績をお知らせいただきたい。
  52. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林関係の非公共予算の事業費でございますが、一つは保安林の指定解除指定施業要件の整備のほか標識の設置、その他保安林の管理に必要な経費は、四十七年度は三億五千三百万、四十八年度四億五千九百万、四十九年度は三億六千四百万でございます。  それから四十八年度まで管理経費に含まれていた保安林保護巡視費に見合う金額として、四十九年度では一億二千九百万円を森林保全巡視費に組みかえております。  それから、保安林立木伐採規制に伴う損失補償金でございますが、これは四十七年度が八千二百万、四十八年度が九千百万、四十九年度が一億一千六百万でございます。  次に、保安林及び森林レクリエーション地帯等の山火事発生危険地域におきます森林保全巡視費は、昭和四十九年度からでございますが、二億一千万円でございます。  合計いたしまして、昭和四十七年度は四億三千五百万、四十八年度が五億五千万、四十九年度が六億九千万でございまして、四十七年度を一〇〇としますと、四十九年度が一二五・五%、こういう推移になっております。  もう一つ治山事業公共予算の事業費でございますけれども、昭和四十七年度は九百億二千百万円、四十八年度が八百九十七億四千二百万円、四十九年度が九百三億九千二百万円というふうに、これはあまり変動はございません。
  53. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは直接これとは関係ないのだが、国有林野特別会計の予算は、当初のときにはたしか二百億か二百五十億赤字のようでありました。ところが、昭和四十八年度、三月もそろそろ終わって、この予算とは非常に大きな違いで、膨大な黒字が出ているようであります。その状況について、まだけじめがついていないでしょうが、もう見通しはわかっていると思いますが、いかがでしょうか。
  54. 福田省一

    福田(省)政府委員 四十八年度国有林事業特別会計の予算につきましては、四十年十二月に、実は、林政審議会の答申の趣旨を尊重しまして、国土の保全とか自然環境の保全といった広域的な機能の維持増進、木材の持続的計画的供給という国有林に課せられました使命を果たしながら、可能な限り経営合理化につとめていくことを編成の基本方針としまして、伐採量につきましては、森林の持っております広域的な機能重視の森林施業の拡充により、前年度から約百六十八万四千立方減産の一千七百七十九万立方メートルとしたのでございます。それから造林につきましては、伐採量の縮減に見合いまして、前年度から三千ヘクタール減の七万ヘクタールということにいたしまして、極力諸経費の節減をはかりまして、治山事業につきましては百億円の一般会計からの負担の措置を講じ、歳入におきましては千八百八十一億円、歳出は千九百五十一億円、差し引き歳出超過額七十億円、こうして計上したのでございます。なお、予定の損益も百十九億円の損失というふうに見込んだのでございます。ところが、昭和四十八年度の決算見込みにつきましては、現在の段階におきましてはまだ正確には把握することは困難でございますけれども、歳入につきましては、四十七年度下期以降の木材価格の値上がりによりまして、当初予算から五百六十九億円増の二千四百五十億円程度と見込んでおります。それから一方歳出につきましては、仲裁裁定の実施に伴う支出増が相当の数字でございますけれども、約百七十億ぐらいでございましたが、諸経費の節減、事業の一部繰り延べ、それから予備費の使用などによりまして、当初予算どおり支出のほうは千九百億円と予定しているところから、この差し引きをしますというと、収支差では約五百億円、この差益剰余金を生ずることになるわけでございます。また、損益におきましても、損益計算では約六百億円というのが現在のところで見込まれるわけでございます。しかしながら、国有林事業特別会計の今後の収支の状況は、木材価格あるいは人件費の動向からしまして、決して、楽観を許さないと思われますので——これは過去四十七年度以前約三カ年間の赤字の累計が約五百億くらいございます。四、五年に一ぺんは黒字になって、あとは赤字ということを過去においてずっと繰り返してきているというのが問題でございます。  それで、今後の問題でございますけれども、決して楽観を許さないというふうに思われますので、この利益につきましては、極力内部に保留しまして、造林、林道その他の国有林の今後の経営の安定に必要な資金に充当するというふうにしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは政務次官がおいでだからお尋ねしたいんだが、過去二、三年の赤字を埋めてまだオーバーしているわけです。四十八年度木材の値上がりということがおもな原因になって、赤字で予算を組んだところが約六百億の黒字になる、過去の赤字の累積が五百億だ、こういうわけであります。だから、せっかくこれだけ黒字ができたのを機会に、去年の林政審の答申にあるように、もっと公益的機能を重視するように、この予算というものを、造林とか保育とかその他どういうぐあいにしたらいいか別として、もっと充実させるようにこれは当然使われるべきではないか、そういうぐあいに積極的に考えるべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  56. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 それも一つの考えだと思います。しかし、今度の黒字というのは、恒久的なものではなくて、木材の異常暴騰につながって黒字が出た。また、最近木材は下がっておりますから、コンスタントにそれが出てくるようなものであるならば、あなたのおっしゃるようなことに積極的に向けるのがいいと私は思っておりますが、きわめて変動的なので、その趣旨はよくわかりますけれども、この金を全部使ってしまえということまではいまの段階で踏み切れないと思っております。
  57. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは政務次官に続いて長官と両方にお尋ねをしたいわけですが、去年の林政審の答申のときには、概括的に言って、積極的な公益的機能を重視しろという面と、それから、署の統廃合や人員の合理化等をはかれという面と、二つの面があったような気がします。ところが、その答申が出された時期といまとはたいへん情勢が変わっておるわけであります。それは、一つには、社会的な要請は、公益的機能をますます重視していかなければいけないということで、そういう情勢がますます大きくなってきていると思いますし、いま一つは、これだけ黒字が出てきたという背景のもとにおいて、あの答申の中にきびしく盛られたところの署の統廃合だ、人員の合理化だという面については当然手心を加えて、もっと積極的な面に活用をするという、そういう方向にいかなければいけないんじゃないかと思うが、どうでしょうか。これは政務次官も長官答えていただきたい。
  58. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 先ほど申し上げましたように、今度の黒字が出たということで、林野の事業経営というものが非常に健全になったというようには私は思っておりません。これは臨時的な木材の異常値上がりというようなもので出た利益であります。しかしながら、それとは別に、公益的機能を充実をさせるということは非常に大切なことであって、これは何も林野が赤字のときには公益的な機能はかまわないんだ、黒字のときには公益的な機能を充実させるんだという問題じゃないと思います。したがって、公益的な機能の面等においては、林野の事業経営という問題とは別に、それは一般会計等においても当然に見ていくべきものであるという所見を私は持っております。
  59. 福田省一

    福田(省)政府委員 ただいま政務次官のおっしゃいましたことに尽きるわけでございますけれども、林業経営というものは、いずれにしましても、五十年、百年の大計でございますので、そのときどきの経済情勢によって、この伐採量を変更したり、その他いろいろな支出の面で変動的な措置はとりたくないと思うわけでございます。  昨年の二月に決定いたしました資源の基本計画の線に沿いまして、国有林の場合は、経営基本計画あるいは地域施業計画というものを組みまして、五十年計画の中で、しかも十年単位でものを考えておりますから、そういう意味で、いま政務次官のおっしゃいましたように、公益的な面と企業的な面というものをはっきり分けて、そして、企業的な面の近代化をはかりながら、公益的な面についての財政負担をお願いするという態度でまいりたいと思っております。
  60. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これについてかかわりあっておると時間がかかるので、また後日にいたしたいと思います。  次に、森林法の三十六条に、「国は、保安林の指定によって利益を受ける地方公共団体その他の者に、その受ける利益の限度において、前条の規定により補償すべき金額の全部又は一部を負担させることができる。」というようにあるわけでありますが、この森林法の三十六条の、保安林を指定してもらって下流のほうが、公共団体その他の者がたいへん利益を受けたという場合に、これは受益者負担というものは実際にどういうように行なわれておるか。この機会に私はそれをお尋ねしたいと思います。
  61. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいまの先生のお尋ねの保安林の受益者の費用負担の問題でございますが、確かに保安林が公益的機能を持っておるということでございますから、その公益的機能による受益者というものが存在するわけでございますが、その公益的機能の内容というものは非常に広範にわたりまして、また、受益者は特定することが、非常にむずかしいということではないかと思われます。  それで、現在、保安林の公的機能についてどういうふうな形で負担すべきかという点につきましては、まず、非常に広範な公益的な機能を果たしておるという意味から、国が財政的な見地で負担をするという形であろうかと思いますけれども、造林だとか、治山だとか、そういうふうな面につきまして国が助成をしておること、あるいは金融で保安林については特別の融資をするような形にしておること、あるいは税制でめんどうを見るというような形で、不特定多数人の受益の負担を国庫からの支出という形でまかなっておること、これは一つの受益者負担ではないかと思います。  それで、そのほか、その保安林の受益というものを特定の受益者に負担させるということを考えるべきではないかということであろうと思いますが、現在、森林法の三十六条の規定に基づきまして受益者負担をさせておるという例はございませんけれども、具体的な例といたしましては、話し合いと申しますか、そういうふうなことから、たとえば木曽三川における下流域の水道であるとか電力であるとかいうものの企業者とか、あるいは琵琶湖の下流域におけるやはり同じような受益者等が、上流地帯の造林について費用負担をするという具体的な例はございます。しかし、これを法的な措置として負担させるということにつきましては、いま申し上げましたように、受益者が非常に不特定で特定しがたいということがございますから、そういう意味におきまして、林野庁としては、森林の公益的な機能の費用分担についてどういうふうに考えたらいいかということにつきまして、利根川流域においてそれを調査しようということで、四十九年度の予算において初めてそういう調査費を組んで、いまからそういう問題について取っ組んでまいる、検討してまいるというふうな姿勢であるということでございます。
  62. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、森林法の三十六条で、「受益者の負担」ということで、督促のことから何から長々といろいろうたってあるが、簡単に言えば、いまだこの法は適用されたことはないということですか。
  63. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 三十六条の規定を適用して負担させたという例はいままでございません。
  64. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま部長が終わりに触れられておったのだが、利根川の水については、上流の群馬県の山村民の努力で造林している、東京その他が受益しているが感謝の気持ちがありませんということで、群馬県の県議会が、「群馬県民は、長い間、利根川の水源地帯の保全のため財政的にきびしい犠牲を払い、治山、砂防、植林等の事業を行なってきた。しかるに、下流にある関係都県は十分このことを理解していない。今後は、下流の関係都県は、水源地帯における治山、砂防、植林事業等に対して進んで協力し、受益者としての責任を果たすべきである。」ということで、これは「右決議する」とやったかどうか、とにかく県会でこれだけの議決をして、この法律に基づいて、下流民だって幾らか応分の負担をしなければならぬ、群馬県の山奥の山村民だけが営々として努力してきただけじゃないかというわけでありますけれども、林野庁、これは一体どういうように下流の都県に対して指導をし、応益負担をさせようとしているのか。いま、部長は、これから調査をするというようなことでしたが、これはどうでしょうか。
  65. 福田省一

    福田(省)政府委員 実は、昭和四十六年、七年、八年と三カ年にわたりまして、公益的機能の計量化調査をしたわけでございますけれども、六つの機能につきまして、トータル十二兆八千億というお金に換算した数字が出ておるわけでございます。これをやりました目的は、いま先生から御質問されております受益者の負担をどうしたらいいかという問題が一つございましたし、もう一つは、将来造成する森林の目標を具体的に設定するための基準をつくりたいということ、この二つの目的からそういう調査をしたわけでございます。これをもとにしまして、ただいま林政部長から御説明いたしましたように、利根川の流域をとりまして、約六百万円の予算をもちまして、その負担方法の科学的なあり方ということを検討しておる段階でございます。そういうことを早期につくり上げまして、三十六条の適用をはかってまいりたいというように考えておるところでございます。
  66. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは法を適用したわけではないが、たとえば長野県の造林公社に対しては、この精神から、東電三千万、中電二千万、関西電力千八百万というような金を出資して、大いに協力をしている。これは法そのものを適用したわけではないが、この法の精神によってやっているということだと思うし、さっきの部長の答えた木曽三川のほうもそういうことだと思うのです。群馬県の要請に対して、下流はそういう法をきびしく適用するということでなくても、協力しようとする意思がないのだろうか。その辺はわかりませんか。
  67. 福田省一

    福田(省)政府委員 実は、この持っていき方につきましては、上流地帯の人と下流地帯の人たち協議会のようなものをつくりまして、促進してまいりたいと考えておるところでございます。それも一つの方法と思っておりますが、やはり受益者の合意を得る必要もございますので、そういうこともつとめてまいりたいと思っております。
  68. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま具体的に協議会みたいなものをつくらせようということです。これは群馬県の長い間の主張のようであります。だから、林野庁自体としては、科学的な根拠なり何なり、数字らしいものを持ちながらすみやかに協議の場を設けるようにしてはどうでしょうか。
  69. 福田省一

    福田(省)政府委員 御意見を尊重しまして、さっそくそれを進めてまいりたいと思います。
  70. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 政務次官はどうですか。
  71. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 これはせっかくこういう法律もあることですし、私は、群馬県の議会が決議をしたということについては評価をしたい。ですから、私は、あなたからの御指摘もありますので、これは、公共団体等に対して、いまのようなことをやらせるようにしたいと思っております。
  72. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 長官、政務次官から、やらせるようにしたいということなので、なるべくすみやかにやって、群馬県の要望にこたえていただくようにお願いをしたいと思います。  それから、あちこち飛び飛びになる質問なんですが、先般来、保安林解除の問題でたいへん質問が出ておると思います。最近の解除の理由別件数、面積、これをお聞きしたい。
  73. 松形祐堯

    松形説明員 お答え申し上げます。  四十七年度について、解除の理由別に見てみますと、件数で一番多いものが道路敷地でございまして、全体の六割を占めております。また、鉄塔とか無線設備の敷地が八%、宅地及び工場用地が六%、農地及び草地造成が五%というようなものでございまして、そういうものが主体でございます。  また、面積的に申し上げますと、道路敷地と農地、草地造成がそれぞれ二〇%程度でございまして、一番多うございます。さらに、スポーツとかあるいは観光施設等が八%、ダム用地七%、宅地及び工場用地五%となっております。  なお、件数でございますけれども、四十六年度を見てみますと、合計いたしまして解除件数が千三百十六件になっておりまして、面積的には三千八百六十六ヘクタールになっております。四十七年度につきましては、千九百五十二件、六千二百十ヘクタール、このようなことになっております。
  74. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こういう質問を出すのは、こういうことばを言っていいかどうかわかりませんが、乱解除みたいな状態が行なわれていないかということを憂えるわけであります。これは解除の基本的な考え方については森林法でうたわれていますが、そういうようにきちっと実施しているでしょうか。どうですか、長官
  75. 福田省一

    福田(省)政府委員 解除の基本的考え方でございますけれども、保安林につきましては、二十六条におきまして、指定の理由が消滅したときは解除しなければならない、また、公益上の理由により必要が生じたときは解除することができる、と、こういうふうになっております。近年、保安林が果すべき公益的な機能の発揮の役割りについきましては、国民的要請が高まっていることを十分考慮しまして、一つは、重要度が特に高い保安林は原則として解除しない。重要度によりまして三種類に区分してございますが、一番重要度の高いものは、たとえば治山工事を行なった直後のもの、あるいは治山工事を現に行なっているものというふうなところ、あるいは、沢通りにおきまして二十五度以上の傾斜のある場所、あるいは、その他の山岳地帯でも三十度以上というところ、こういうふうなところは非常に重要なところでございますので、地質の面等もなお考慮しまして、こういったところは原則として解除しない、これ以外の保安林につきましても、ほかに適地を求めがたいものにつきましては、必要最小限度の面積に限るというふうにいたしておりますし、それから、防災施設を確実に設置させることを条件とする等、転用の結果保安的効果の低下を来たさないように措置するような運用をはかってまいってきております。  なお、保安林以外の民有林に対しまして、開発行為許可制が導入されましたので、今後は、保安林解除にあたっては、従来にも増して一そう厳正な運用をはかってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  なお、解除しましたものと指定したものとのバランスをとりますと、その割合としましては、もちろん解除をしたものは少ないのでございますけれども、先生の御指摘のように、特に四十七年度は非常にふえているいきさつもございます。  いま申し上げましたように、幸い、森林法におきまして、保安林以外の林地につきましても規制の措置がとられることになりましたので、この保安林につきましては、なお一そう厳正な基準で運営してまいりたいと思っております。
  76. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまちょっと長官も触れられて、従来にも増して保安林についてはきびしくやっていこうというような触れ方があったわけですが、この森林法が通って、保安林以外の民有林にも乱開発防止のための規制措置がきびしくとられるようになったわけです。だから、保安林については特にどういうようにしようとしているのか、その点をもう少し明確にお尋ねをしたいわけです。
  77. 福田省一

    福田(省)政府委員 実は、この保安林というものは、名前から見ると一切伐採してはいかぬじゃないかという印象を持たれがちでございますけれども、先ほど申し上げましたように、保安林はそれぞれの十一の目的を持った区分がございます。それを総括的に申し上げますと、活力のある、安定した森林というものをつくることがやはり必要でございます。でございますので、ある程度の伐採をするわけでございますが、その程度が非常にいろいろ種類があるわけでございます。これを指定施業要件と申しておりますが、この指定施業要件というものが従来ゆるかったのじゃなかろうかという見直しを、実は四十五年度からしておるのでございます。この指定施業要件と申しますのは、伐採する場合の伐採の方法であるとか、つまり、皆伐とか択伐とかいうことと、それから伐採の大きさ、たとえば一カ所当たりの皆伐面積を五町歩にするとか二十町歩にするとかということでございます。それから、もう一つは、造林のやり方、つまり樹種であるとか、造林する場合の期間であるとか、あるいは本数であるとかということでございます。それの見直しを実は四十五年度からしております。  その結果の中間報告でございますけれども、大体半分くらいはどうしてもこれを強化しなければならぬという結果が出ております。強化と申しますのは、いま申し上げました伐採する場合の面積を小さくすること、しかもそれを分散させるということが一つ、あるいは皆伐をやめて択伐にするとか、択伐はやめて禁伐にするとか、そういうものでございます。それが大体八八%、九割くらいは強化しなければならぬ、そういったような結論が出ておるわけでございます。  具体的に申し上げますとそういうことでございますので、今後はそういう見直しをもとにしまして、厳正な施業で指導してまいりたいというふうに考えております。
  78. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がだんだん終わってまいりましたけれども、最後にもう一つ二つありますので……。  田中総理が突然言い出したことですが、国鉄等の民有化をしたいという発言があったようでありますが、国有林に携わっておる者も、一部には、われわれのところもそういうことをさせられるのかなという心配をしておる向きがあるようであります。私は、国有林その他はこれから公益的機能をますます充実しなければならない方向ではなかろうかと思いますから、国鉄や専売と同じように、国有林も民営民有に移して独立採算をさらに強化してやるというような方向はよもやなかろうと思いますが、政務次官、これはどうでしょうか。
  79. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)政府委員 要するに、現在の林野庁を民有民営にするかというお話しでありますが、やぶから棒な話で、私はそれを研究したことがありません。
  80. 福田省一

    福田(省)政府委員 御質問趣旨は、国有林民有林にするかどうかということと、あるいは経営形態の御質問でございましょうか。——後者の問題だというふうに私は考えますが、これにつきましては、四十七年の十二月に林政審議会からの答申が出ております。その以前におきましては、国有林経営能率を発揮するために公共企業体等に移行することを検討したらどうかという意見も出たことはございます。しかし、四十七年の十二月の答申におきましては、国有林経営というものは、最近非常に行政需要が高まって、いわゆる公益的な機能を重視して経営しなければならぬから、企業的な能率性だけを追求するあり方ではいかぬということで、これはやはり現在の特別会計制度の中において長期的な視野に立って経営改善をはかっていく必要があるというふうに出ておるわけでございます。私たちは、その答申の線を踏まえまして、この特別会計制度の中で、公益性を重視した一つの経営のあり方ということについて、組織問題等を含めて検討している段階でございます。  たびたび申し上げますように——ということは、公益的な部門と企業的な部門とできれば区分いたしまして、企業的な部門につきましては、近代化し合理化していく、公益的な部門につきましては、一般財源の負担をお願いするというふうなことでございます。
  81. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 端的に言って、この間田中総理が言い出したのは、スト権の問題から、経営のあり方を変えていかなければいけないのじゃないかという言い方だったと思うが、そういうことに関しては別に何もないのかということです。
  82. 福田省一

    福田(省)政府委員 たしか、あの予算委員会の際には、総理からの御答弁の中にも、国有林は日本の森林の中では相当高い比率を占めておる、国有林も非常に重要な役割りであるので問題があるけれども、国鉄は云々という御答弁であったように、私は出席しておりましたので伺っております。でございますが、私がいま申し上げたのは、林政審議会というのは総理大臣の諮問機関でございまして、そこが諮問を受けて答申されたものでございますので、その趣旨を尊重して、いま申し上げたような方向で検討してまいりたいと思っております。
  83. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最後に、いま問題になっている雇用保険法について、たいへん改悪されるということで、山村地帯においては地域をあげて騒ぎをしているわけであります。この制定の過程で、林野庁は労働省からどういう相談を受けたか、どういう意見を言ったか、それから、いま審議されているのだけれども、これに対して林野庁は一体どういうような考え方を持っているのか、たいへんむずかしそうなことなんだが、端的に長官からお答えいただきたいと思います。
  84. 福田省一

    福田(省)政府委員 国有林の定期作業員につきましての処遇の問題と関連しての御質問かと思いますが、この定期作業員につきましては、従来から大部分の人は国家公務員等退職手当法に基づく失業者の退職手当の受給者となっております。今後とも従前の取り扱いを考慮した措置がとられるように、労働省のほうに私たちのほうから申し入れをし、現在労働省と協議しておるところでございますけれども、大体そういう方向でまとまるということを期待しております。
  85. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この問題はまだ続いて質問をしたい点ですが、ちょうど時間が参りましたので、また別の社労なりその他の委員会においてやりたいと思います。  以上で質問を終わります。
  86. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、諫山博君。
  87. 諫山博

    ○諫山委員 福岡県にある岡垣町の保安林を自衛隊が射爆演習に使うのはけしからぬではないかという観点から、昨年数回この委員会で質問いたしました。いま岡垣射爆場で幾つかの新しい問題が発生していますから、その点について質問します。  まず、林野庁長官は、岡垣射爆場をどの部隊が使用してきたか、御存じでしょうか。
  88. 福田省一

    福田(省)政府委員 西部航空方面隊傘下の第八航空団が使用してきたものでありますし、現在使用しております。
  89. 諫山博

    ○諫山委員 防衛庁に質問します。  いまの林野庁長官の答弁どおり、間違いありませんか。
  90. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいまお答えがございましたように、西部航空方面隊第八航空団が主として岡垣射爆撃場を使用しております。
  91. 諫山博

    ○諫山委員 第八航空団が主として使用していると言われましたが、それ以外の部隊はどこが使用してきましたか。
  92. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 現在同射爆撃場を使用しておりますわがほうの戦闘機はF86Fでございます。F86Fの部隊ということになりますと、そのほかに小牧の第三航空団、それから小松の第六航空団、これらがそれぞれF86Fを装備しておりますので、これらの部隊も使用しております。
  93. 諫山博

    ○諫山委員 新田原の部隊は使用したことはありませんか。
  94. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 現在新田原にございますのは第五航空団でございますが、ここの装備する機種はF104Jでございますので、現在までのところ、岡垣射爆撃場を昨年八月以降使用したことはございません。
  95. 諫山博

    ○諫山委員 近い将来使用する見通しがありますか。
  96. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 F104Jの部隊の使用につきましては、F86F部隊が主任務に対地支援任務を持っているのと違いまして、要撃戦闘というのが一応主任務になっております。ただ、対地支援戦闘もまるきり行なわないという機種ではございませんので、われわれといたしましては、F104Jにつきましても、対地支援戦闘のための所要の爆撃訓練等を行なう場合には、岡垣射爆撃場を使用したいと考えております。
  97. 諫山博

    ○諫山委員 問題になった四次防では、F104J戦闘爆撃機が築城の部隊にも配備される予定になっておりますが、そのとおりですか。
  98. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 F104Jの部隊を築城に配置する計画はございません。
  99. 諫山博

    ○諫山委員 これは近い将来ともないという見通しですか。
  100. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 F104Jの部隊は、現在すでに展開配置を終わっておりますので、現在の配置計画につきましての、近い将来の変更計画はないものと、ちょっと私の所掌範囲を越える面もございますが、承知いたしております。
  101. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、さっき説明されたのは、築城の部隊が使用するのではなくて、新田原の部隊が近い将来使用するかもわからないという趣旨になりますか。
  102. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 御承知のように、現在対地射爆撃場は岡垣を含めまして三つでございますので、特定の方面隊が特定の射爆撃場を使用するということになっておりませんので、F104の機種を利用して岡垣射爆撃場で射爆撃訓練を行なう場合には、必ずしも新田原の第五航空団所属のF104Jのみが使用するというふうには考えておりません。
  103. 諫山博

    ○諫山委員 いずれにしても、F104が使用する計画があるようですが、それはいつごろからになりましょうか。
  104. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 今日でも、F104Jの部隊の演練項目の中には、対地射爆撃訓練が入ってございますので、われわれとしては、その使用訓練等、今後検討の上早期にやりたいと考えております。
  105. 諫山博

    ○諫山委員 F104は現在は使用していない、しかし、早急に岡垣射爆場でも使用できるようにしたい、こういう答弁ですか。
  106. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 現在具体的な使用計画はございません。ただ、今後の問題としましては、岡垣射爆撃場を使用してまいりたいと考えております。
  107. 諫山博

    ○諫山委員 その場合は、どこの部隊がということではなくて、日本全体の航空自衛隊で、F104戦闘爆撃機を持っている部隊は適宜この射爆場を使うということになりますか。
  108. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、射爆撃場として現在三つ使用しておりますので、それぞれ射爆撃場の使用計画等に従って行なうことになります。ですから、もちろん、それぞれの射爆撃場に一番近いもよりの航空基地の部隊が一番多く使用するということは申し上げられると思います。
  109. 諫山博

    ○諫山委員 その場合、射爆に使用する爆弾とか銃砲弾は当然変わってくると思いますが、どうなりましょうか。
  110. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  現在F86Fでロケット、ガン、模擬爆弾等をやっておりますが、その中で、F104Jが行ないます場合には、機銃弾が現在86Fが十二・七五ミリでございますか、それに対して二十ミリの機関砲を装備しておりますので、そういったものを使用するようになると思います。
  111. 諫山博

    ○諫山委員 その場合には、林野庁なり福岡県知事に対して、新たに何らかの手続をとりますか。それとも、そういう手続抜きにかってにやりますか。
  112. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 現在福岡県知事から御許可願っていること、あるいは林野庁との間で御相談申し上げていることは、航空自衛隊の航空機による射撃及び爆撃の訓練、そういうことでそれぞれ許可をいただいておりますので、特に法的な意味での許可ということはあらためて必要ないと考えております。
  113. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁長官質問します。  おそらく、長官が御承知ない間に岡垣射爆場の使用計画というものはだんだんエスカレートする。そして、なるべく早い機会にF104にも使用させる。その場合には、当然爆弾なんかは変化が出てくるということのようですが、そういうことは、使用貸借契約を結んだ林野庁としては全く関心を払っておられないのですか。
  114. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 私どもは、作業許可なりあるいは使用承認をいたします際には、申請の際に考えられておった使用の態様というものを当然前提にしておるわけでございますから、もし保安林機能に障害を起こすような形の使用計画の変更というものがございましたならば、防衛施設庁から当然御連絡をいただけるものだというふうに考えております。
  115. 諫山博

    ○諫山委員 F104が新たに射爆撃に使用することにより、いま言われた保安林の維持管理に何らかの影響が出てくるのかこないのか、そういうことは林野庁として検討したことがありますか。
  116. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいまこの席で初めて104というお話しをお聞きしましたのですが、私ども、そういう軍事技術上の問題についてははなはだ知識が浅薄でございますので、そういうような変更計画というものがありとしますならば、その点については今後検討させていただきたいと思います。
  117. 諫山博

    ○諫山委員 長官にお聞きします。  F104がはるかに攻撃能力が大きな戦闘爆撃機であるということは常識だと思います。そして、地元では、F104までが岡垣射爆場を使おうとしているということでたいへん問題になっております。福岡県議会なんかでもこれが論争されている。いまの防衛庁の説明を聞きますと、航空機の射爆についてはすでに認められているんだから、林野庁に特別な相談をするつもりはないということのようですが、これは特別な相談を受けるまでもなく、どういうことになろうとしているのかということをぜひ積極的に調査して、何らかの対策を講ずる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  118. 福田省一

    福田(省)政府委員 岡垣の射爆場につきましては、保安林解除によらずに、作業許可で、五年経過したならばまた保安林に戻すということを考えているわけでございます。この飛行機は私は見たことはございませんけれども、どういう演習をしてどういう変化を森林に与えるかということが問題でございます。でございますので、いま初めて伺いましたから、要するに、五年後にこれが国営に保安林として戻った場合に、その機能影響を与えないように、つまり、保安林として回復できるかいなかにその判断の基準があるわけでございますから、その点につきましては、その効果等については十分調査してみたいと思います。
  119. 諫山博

    ○諫山委員 昨年の秋、新聞に、岡垣射爆場を米軍が使用するかもわからないという記事が出て大問題になりました。福岡県議会でもこれが論争されて、亀井知事は米軍の使用に反対という態度を表明しております。そういう計画が実際にあるのかどうか、防衛庁から御説明願います。
  120. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になりましたような新聞記事は私どももよく承知しておりますが、米側からそういう申し入れがあったことは、ただいままでのところございません。
  121. 諫山博

    ○諫山委員 これが新聞で報道されただけではなくて、たとえば板付基地を現に米軍が使用している。これは例のサイミントン報告などでも出ることでありますが、日本に返還されたはずの板付基地を米軍の航空機が使用するという、いわゆる逆共同使用という形が板付で実現している。同じようなことが岡垣射爆場についても出てくるのではないかということから、非常に具体的な心配になっているんです。  昨年一月から現在まで、板付基地に米軍機がどのくらい飛来してきたのか、御説明願いたいと思います。
  122. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  まだこれは正式に取りまとめた数字ではございませんけれども、板付に飛来してきております飛行機数全部、二万九千回のうち、米軍関係約五百ないし六百ぐらいになるように承知しております。
  123. 諫山博

    ○諫山委員 これは昨年一月から現在までという意味ですか。
  124. 奈良義説

    ○奈良説明員 五百ないし六百と申しますのは、昨年一年間分でございます。
  125. 諫山博

    ○諫山委員 それはどういう機種だったのか、どこから飛んできたのか、概略を御説明願います。
  126. 奈良義説

    ○奈良説明員 詳細は承知いたしておりませんが、職員の輸送用のチャーター機とか、その他小型連絡機というふうに聞いております。ただし、どこから飛んできたかは、ただいま承知しておりません。
  127. 諫山博

    ○諫山委員 どこから飛んできたかということは、あなたのほうでは掌握はしているけれども、いま資料を持ち合わせがないという意味ですか。それとも、掌握もしていませんか。
  128. 奈良義説

    ○奈良説明員 防衛施設庁としては、掌握いたしておりません。
  129. 諫山博

    ○諫山委員 防衛庁のほうはどうですか。
  130. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答えします。  現在、板付空港の管制は運輸省航空局のほうによって行なわれておりますので、防衛庁、防衛施設庁の管制機関等は板付におりませんので、そういったこまかい機種、それからいわゆる飛行経路といいますのは承知しておりません。
  131. 諫山博

    ○諫山委員 日本に返還されたと言われている板付飛行場で、現に、昨年一年間に五百回から六百回米軍の飛行機が飛んできた。同じような条件にある岡垣射爆場でも、米軍が射爆に使用するのではないかという疑念が強くなっているのは当然だと思います。そこで、いままだ具体的な申し入ればないそうですが、申し入れがあった場合には、どういう手順で岡垣射爆場を使用するかどうかがきまっていくのか、その手順を説明してください。簡単でけっこうです。
  132. 奈良義説

    ○奈良説明員 初めに、板付の飛行場が返還になったにもかかわらず米軍が使っておるというお話しでございましたが、これの返還というよりは、安保協議委員会におきまして、一部米軍が連絡機等に非常に小規模ながら使うんだということで、すでにきまっております。したがって、全面返還になっているという形ではございません。  それから、いまの岡垣対地射爆撃場を米軍が使うことになった場合というお話しでございますが、これはあくまでも仮定の話でございますが、一般的に米軍が特定の施設を使いたいという場合には、合同委員会の下部機構として、施設委員会というのがございまして、そこへ米軍から具体的な提案が出されてまいります。そこの施設委員会の日本側の事務局が私どもの施設庁でございますが、各省と御相談をし、関係者と相談をして、提供ということになれば、その合意をいたしまして、そして、合同委員会の本会議にあげまして、そこで正式に決定されるという手順になっております。
  133. 諫山博

    ○諫山委員 米軍側から岡垣射爆場を射爆のために使いたいという申し出があったとすれば、防衛庁及び施設庁はそれに賛成するつもりですか。結論だけ答えてください。
  134. 奈良義説

    ○奈良説明員 先ほども申し上げましたとおりに、いままでそういう申し入れがございませんので、現在までのところ、実は、検討いたしておりません。そういう事態になりましたら、あらためてそのときに検討することになると思います。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 もし合同委員会なんかで決定されて、岡垣射爆場を米軍に使わせたいという場合には、林野庁なり福岡県知事に何らかの手続をとりますか。
  136. 奈良義説

    ○奈良説明員 それは、当然とることになると思います。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 どういう手続をとるつもりですか。
  138. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えします。  とるつもりであるかという御質問でありますのでちょっとお答えにくいのでありますが、まあ、文書等をもって協議を申し上げるということになると思います。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁長官質問します。  米軍に使用させたいというような申し出があった場合には、いままでの手続で米軍に使用させることができると思っていますか。それとも、新たに使用貸借を結ぶなり、あるいは新たな作業許可が必要だという見解ですか。
  140. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 防衛庁との関係におきましては、国内法の範囲内で済むわけでございますけれども、米軍の使用ということになりますと、米軍の地位協定に関連する問題がいろいろ出てまいろうと思いますので、そういう関連の手続が要るかと思いますが、私どもいま初めて聞いた話でございますから、その場合の手続については、まだ全然検討いたしておりません。
  141. 諫山博

    ○諫山委員 防衛施設庁にもう一ぺん聞きます。  いまは自衛隊が使用することについて法的な手続がとられているわけですが、米軍が新たに使用するとなれば、法的には別個の手続が当然必要だと思いますが、その点はどうでしょうか。
  142. 奈良義説

    ○奈良説明員 先生のおっしゃるとおりだと思います。
  143. 諫山博

    ○諫山委員 つまり、林野庁なり福岡県知事に対して、自衛隊が使用する場合と同じような手続をもう一ぺんとり直さなければならないというふうに解していいですか。
  144. 奈良義説

    ○奈良説明員 おっしゃるとおりでございます。
  145. 諫山博

    ○諫山委員 長官にお聞きします。  こういう申し出が出てくるのではないかということが、現に地元の県議会で論議されております。米軍が使いたいという申し出をした場合に、どうしますか。
  146. 福田省一

    福田(省)政府委員 先ほど申し上げましたように、あそこは防風保安林でございます。林野庁としましては、この保安林機能ができるだけ早く回復することを希望しておるということは終始お答え申し上げておるところでございます。米軍が使用するかどうかということは、林野庁の関知する問題ではございません。
  147. 諫山博

    ○諫山委員 関知する問題ではないと言うけれども、米軍が使用するとすれば、あらためて米軍のほうから使用貸借契約を結んでもらいたいとか、作業許可をしてもらいたいとかいう申し出が来るわけです。そのときにどうするかを検討していますかという質問です。
  148. 福田省一

    福田(省)政府委員 その時点になりましたならば、これは政府全体の問題でもございましょうから、林野庁としては、そういう時点でまた対処してまいりたいと思います。
  149. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁としては、この期限をいろいろ延長するとしても、五年をこすような延長は絶対にしないということを何回か言明されました。これは米軍が使用するようになっても変わらない言明と聞いていいですか。
  150. 福田省一

    福田(省)政府委員 林野庁としましては、防風保安林は、あの背後におりますところの農民の人たちが従事している畑作その他の耕地を保護するのが目的でございますので、できるだけ早く保安林機能を完全にしていくようにしたいと思っておったところでございますから、できるだけ早く返していただくということは林野庁の態度でございます。
  151. 諫山博

    ○諫山委員 自衛隊が使う場合にはいろいろ更新をするとしても、五年間をこした更新というのはしないつもりだと言っておられます。そうでしょう。ちょっとそれを答えてください。
  152. 福田省一

    福田(省)政府委員 そのとおりでございます。
  153. 諫山博

    ○諫山委員 それは恣意的にきまった期間ではなくて、森林法の解釈上、五年をこすような期間というのはぐあいが悪いという法律上の問題もあるのでしょう。
  154. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林解除によらずに使用許可にしたということは、法律に明文はございませんけれども、指導方針として従来そういたしておりますので、御質問のとおりでございます。
  155. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、自衛隊が使用する場合であれ、米軍が使用する場合であれ、五年間をこして使わせることは絶対にしない、これは森林法精神だということになると思いますが、それでいいですか。
  156. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 保安林というたてまえで、森林保安林としての機能を果たしていくという観点から、森林の現況を破壊しないということで、その範囲内において作業許可を考えるということで、その限度が大体五年くらいであろうということでございますが、もし、その森林をどうしても公益上の用途に供して使わなければならないというようなことがございます場合には、おそらく、その期間をこえて使用する場合には、保安林解除というふうな手続を必要とするのではないかと考えます。
  157. 諫山博

    ○諫山委員 長官にもう一ぺん聞きます。  いまの答弁は、使用貸借契約で五年をこすようなことはさせない、それをこすような場合保安林解除手続ということにならざるを得ないだろうというふうに理解されるのですが、そう聞いていいですか。
  158. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、作業許可が一応五カ年ということでございまして、その作業許可の五カ年をこえたような形で使用を認めなければならないというふうなことである場合には、それは森林法上の保安林の扱いとして、保安林解除ということになるのではなかろうかということを申し上げたわけでございます。
  159. 諫山博

    ○諫山委員 防衛庁側に最後に一つだけ聞きます。  五年をこした使用は絶対にしないということが、この委員会だけではなくて、予算委員会なんかでも言明されています。これは、もし米軍が使用の申し出をしてくるとか、米軍が使用するようなことがあったとしても、五年間をこす使用は絶対にしないし、そうしたと聞いていいですか。
  160. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答えします。  米軍の使用につきましては、先ほどから、先生も御承知のように仮定ということでやっておりますので、その件につきましては、防衛庁側としてもちょっとお答えできないのじゃないかと思います。ただ、自衛隊の使用につきましては、確かに、この委員会でも前々から申し上げておりますように、防衛庁としては、現在、五年に限り使用するという方針決定をしておりますので、五年間以上の使用は考えておりません。
  161. 諫山博

    ○諫山委員 結論として、意見だけを申し上げます。  林野庁が自衛隊に保安林使用を認めました。ところが、林野庁が知らないうちに事態はどんどん進んでいる。近く自衛隊はF104に使わせたいということを明らかにしました。また、米軍が使用するという具体的な計画はないようですが、それでも米軍がいつ使用するかわからないという事態であるということもはっきりしました。そして、その場合には、五年間という期間が守られるかどうかさえ防衛庁としては態度を明らかにすることができないというのがいまの事態です。保安林の重要な機能というものはこの委員会でいろいろ論議されているわけですが、保安林が事もあろうに射爆訓練に使われる。そして、これに対して、防衛庁ではいろいろなことを企画しているようですが、保安林を管理しなければならない林野庁が完全につんぼさじきに置かれているということを私は非常に遺憾に思います。いまの問題提起に従って、F104の問題とか、あるいは米軍使用の問題をもっと本気で検討していただくということを要望して、質問を終わります。
  162. 仮谷忠男

    仮谷委員長 芳賀貢君。
  163. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第一に質問する点は、保安林整備法が今回改正されますと、三十年間にわたる時限立法ということになるわけでありますが、この法律が制定されました昭和二十九年の五月に、当委員会におきましては、すでに、保安林整備制度の重要性にかんがみまして、十年間の時限法の期間内において、森林法の根本的な検討を経て恒久化すべきであるということについて、これを附帯決議の柱にしてあるわけでありますが、この恒久化の問題について、林野庁当局としてはどういうような検討をいままで進めてきたか。その点について長官から明らかにしてもらいたいと思います。
  164. 福田省一

    福田(省)政府委員 今度は三度目にわたる延長でございます。御指摘の恒久化の問題につきましては、今後十年を経過した後においてということでなくて、できるだけ早い機会に森林法の中の保安林種の区分等を含めまして検討してまいりたいと思っております。具体的には、一昨年、保安林制度の研究会ということで、学識経験者にお集まりをいただきまして、保安林の制度全般についての検討をお願いしたところでございます。その趣旨を踏まえまして、今度の保安林整備臨時措置法の延長の措置もとったわけでございますけれども、恒久化の問題につきましては、その答申を踏まえてさらに速急に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  165. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま聞いたのは、昭和二十九年に本法が成立した際、国会は、時の農林委員会の附帯決議の中で、十年間にこの保安林整備の事業を進めるとともに、その間において森林法の根本的な検討を経て、本法の恒久化について努力すべきであるということを指摘しておるわけです。十年経た三十九年の改正の際も、恒久化の問題について具体的な方途がどうして出されないかということの議論もあったわけですが、そのときの理由としては、保安林制度については森林法の二十五条から規定があるわけですが、ただ、問題は、保安林整備法の一番ねらいであるところの本法第四条の買い入れ規定、これを含めて森林法の中に調整するということについてまだ結論がなかなか出ておらぬというようなことが十年前の第二次改正のときの理由であったわけです。ところが、その後十年間の経過を見ると、計画としては毎年相当の民有林の指定保安林の買い入れ計画というものが出ておるが、それが実績としては全く進んでいないわけです。必要あって立てた計画というものが、実際に買い入れ実績に出てこないということについては、これは大きな理由と欠陥が確かにあるわけなんですね。それは、恒久化についての十分な検討というものをいままで農林省として怠ってきた結果ではないかというふうに思うわけですが、その点はどうですか。
  166. 福田省一

    福田(省)政府委員 確かに、御指摘がございましたように、整備のほうにつきましては計画を上回っておりますけれども、買い入れのほうにつきましては、一回目より二回目のほうがまた実績が下回っているという点につきましては、検討を怠っておったということの御指摘につきましては、そういう点は確かにあったであろうということを率直に私も認めざるを得ないと思っていますが、その点を踏まえまして、今後は真剣に検討してまいりたいと思っていることを御答弁申し上げているわけでございます。
  167. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、十年間延長が改正の形で通れば、今度は第三期の十カ年計画というものを当然策定するわけですが、法案審議の中で予測される第三期の保安林整備計画というものがどういうものであるかということは、元来、これは当然委員会の審議に供すべき重要な資料だと思うわけですが、そういう点がまことに明確を欠いておるわけですが、どうですか。
  168. 福田省一

    福田(省)政府委員 今後買い入れを国が行なっていくべき点についてはどういう考え方であるかということでございますけれども、第一期、それから第二期保安林の整備が進みまして、買い入れは確かに国の買い上げが非常に少なかった点もございますが、保安林のいろいろな助成制度等によりまして、民有林におきましても保安林機能を維持していくことが非常に伸びてまいっておる、できるようになってきておるというふうに考えられるのでございます。したがいまして、今後国が買い上げますものにつきましては、一つは、重要な一号ないし三号の保安林と、それから、現在の国有林の配置計画を考えますと、西の地帯が薄いという問題もございます。でございますので、国有林が非常に薄い地帯の脊梁山脈地帯ということを重点的に考えていくべきではなかろうかというふうに思っております。
  169. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま聞いておるのは、第三期保安林整備計画というものをちゃんと用意してあるかどうかということを聞いておるわけです。
  170. 福田省一

    福田(省)政府委員 大体数量的には、いま申し上げましたような趣旨で、今後最小限五万ヘクタールを下回らぬようにというふうに考えております。しかし、この法案が延長されました際には、大体三カ年の計画でもって配備計画をつくりたいというふうに考えております。その中で、この買い上げの地帯をどうするかということも検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  171. 芳賀貢

    ○芳賀委員 保安林整備計画というのは、単に買い入れ計画だけじゃないでしょう。第三期保安林整備計画なるものの概要というものは、元来、これは委員会に出して、委員会の審議に供するというのが当然の順序じゃないですか。
  172. 福田省一

    福田(省)政府委員 整備計画につきましては、確かに、いまお答えが少し不十分でございましたけれども、三カ年の中でこれを配備してまいるわけでございます。その配備計画とともに、それから指定施業要件というものを充実してまいりたいというふうに考えております。  なお、もう一つは、国の買い入れ計画というものをあわせまして決定してまいりたいというふうに考えております。
  173. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、保安林の配備計画を進める場合において一番重要な問題は保安林指定施業要件を完全に順守されるかどうかということにかかっておると思うわけですが、たとえば国有林については、国有林面積の約二分の一の三百六十万ヘクタールが保安林ということになっておるわけですが、それでは、国有林において保安林の指定施業基準というものが完全に守られておるかどうかということに一つ問題があるのですよ。それから、民有林保安林に対する——これは森林法の第三十三条においても、指定並びに解除の要件の告示と通告が記載されておるわけですが、こういうものを完全に林野庁として指導しておるかどうか。まず、みずからが国有林においてどのように実行しておるかという点と、民有林に対して国の立場でどのような適切な指定施業要件の順守を進めておるかという点、そういう点に対してはどうですか。
  174. 福田省一

    福田(省)政府委員 指定施業要件は、保安林機能の適正発揮をはかるために、立木の伐採と植栽の方法等につきまして定めておるものでございますが、保安林における立木の伐採についての森林法の規定に基づく都道府県知事許可は、この指定施業要件に適合するものについて行なうこととされていることは御承知のとおりでございます。保安林の指定目的を達成する上での指定施業要件の重要性にかんがみまして、農林省としましても、従来から、指定施業要件の順守をすることと、あるいは都道府県に対しての、そういった順守についての指導につとめてきたところでございます。しかし、最近におきますところの地域開発の進展に伴いまして、保安林の保全対象が変化していることと、それから、集中豪雨などの発生によって保安林の原形が変動していること等のことから、保安林機能の向上に対する国民の要請が一そう増大している情勢にかんがみまして、昭和四十五年度から指定施業要件の整備を行ないまして、皆伐面積の縮小、伐採方法の変更、それから指定施業要件の適正化につとめますとともに、治山事業の国土保全対策を積極的に推進しておるところでございます。  なお、国有林におきましては、その公益機能の重要性にかんがみまして、国有林野における新しい施業方針を昨年の三月に出したのでございますが、保安林におきます皆伐面積の縮小、それから保護樹帯の設置などを推進しているところでございます。しかし、安全にやられているかどうかという最初の御質問でございますが、これは、私は、胸を張って完全に行なわれておったと言うことについては反省すべき点があるということは、たびたびこの場で御質問を受けた先生方にお答えしておるところでございます。そういう方針に従いまして、今後厳正に指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  175. 芳賀貢

    ○芳賀委員 国有林の場合は、単に保安林に限定するわけではないですが、国有林全体の管理、運営というのは非常に後退しておると思うのですよ。昔は、国有林民有林が隣接しておるという場合を比較すると、りっぱな森林経営されておる林相が国有林である、民有林ははるかに劣っておるということで、一べつしてわかったわけですね。最近はどうかというと、それが逆転しておるのですよ。手入れの行き届いた森林民有林である。全く放置された、ずさんな運営をしているのが国有林である。逆転しておるわけですからね。そこに根本的な問題があると思うのですよ。だから、林野庁として、保安林指定施業要件についてもやっておると言っても、客観的に見た場合においては、やっておるつもりであっても、実際はやっていないのですね。だから、十年間この法律を延長することになるわけですから、こういう点については、さらに十分なそれに対する取り組みというものが必要だと思うのですよ。たとえば保安林整備法に付帯した保安林並びに保安施設地区についての農林省訓令というものがあるでしょう。それがたとえば水源涵養林であるとか、十一に及ぶ各目的を持った保安林についての別表によって、要件というものは明らかになっておるわけです。こういうような点は完全に順守する、実施するということでなければいかぬと思うのですね。長官だけがやっておるつもりでも、全国的に散在する出先機関がほんとうにそういう認識の上に立って仕事に取り組んでおるのか、あるいは都道府県においても、知事を中心にしてそういうものが徹底しておるのかという点についてはどう考えておられますか。
  176. 福田省一

    福田(省)政府委員 指定施業要件の見直しをいたしておりましたけれども、これで完全だとはまだ思っていないのでございます。特に、いま先生から御指摘がございましたように、こちらで考えておっただけじゃできないじゃないかという御指摘でございますが、組織の面についていろいろ今後は検討しなければならぬ問題もございますけれども、現に林野庁の治山課の中に保安林を担当する組織を強化いたしておりますし、また、先般森林法の採決をいただきましたので、許可制の導入もやはり相当大きな仕事量になってまいります。そういう意味での拡充もいたしております。ただ林野庁ばかりでなくて、営林局あるいは営林署、それから民有林の場合におきましては都道府県、その出先、これらの縦の系列をよく整備しまして、こちらで考えておりますことを徹底させるようによく指導してまいりたいと考えております。  なお、具体的な一例を申し上げましても、そういった意味の見直しをするためには、森林の保全管理をします人を少し拡充いたしまして、民有林国有林とも、常時の見回りと申しますか、そういうことにも配慮してまいることで四十九年度の予算も要求いたしておるところでございますが、一例でございますけれども、そういうことで御趣旨に沿うた指導を徹底するようにしてまいりたいというふうに考えております。
  177. 芳賀貢

    ○芳賀委員 保安林面積の面から見ると、国有林においても、あるいは民有林においても、相当の有効な面積が確保されておると思うが、その保安林が完全に機能を発揮するための森林としての条件を充実しておるかどうかということになると、これは非常に問題があると思うのです。たとえば保安林の中で、全く森林としての要件を備えておらぬ面積というのはどれくらいあるのですか。
  178. 福田省一

    福田(省)政府委員 ちょっと失礼でございますけれども、御質問趣旨がよくわからないのですが、保安林の中で森林としての機能を十分発揮してないところがあるかという御質問でございますか。——保安林として指定しました場合に、そこの状態が保安林としての機能をまだ十分に発揮していない場合は、たとえば保安林を買い上げたような場所によくあることでございます。そういったような、民有林伐採したあと放置しておったということは奥地林に相当ございます。そういったような場所につきましては、特に造林の強化をしていく必要があるわけでございまして、それがどれくらいあるということは、実は、ただいま正確に私は承知いたしておりませんが、この点につきましてはなお調べた上でお答えしたいと思いますけれども、そういった点がまだ相当残っております。これに対しましては、そういった造林費の拡充あるいは治山工事の施行等によりまして、できるだけ早期にこの保安林機能を完全に果たすような森林にしていくように努力してまいりたいと思っております。
  179. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は、われわれの調査によっても、保安林として相当の面積は確保されておるが、実際に、たとえば伐採あと地等の造林の問題とか、あるいは天然林にしても、これは天然更新でやっていくのであるが、これに対する育林事業というものがほとんど行なわれていないでしょう。たとえば人的な制約とか財政的な制約というものがあるとすれば、そういうものを打開するだけの努力というものを農林省が中心になってやらなければだめだと思うんですよ。事業上から見れば、結局、保安林から期待した収益をあげることはできないでしょう。しかも、今後、保安林の中でも、特に保健保安林等の需要が国民から要求が強いわけですからして、どうしてもその需要にこたえなければならぬというようなことになれば、国有林にしても、民有林にしても、保安林に対する国の財政的な措置というものは、いままでよりもますます数倍に行なわれなければならぬと思うわけですね。そうなると、たとえば国有林内の保安林の維持管理の問題にしても、昭和二十七、八年の予算編成の場合においては、林野特別会計の中に公益勘定というものを設定すべきであるというふうにわれわれも主張したし、また、農林省としてもそういう方針で大蔵当局に要求をしたが、実現をしなかった。ところが、四十九年度の場合においては、思わない収益といいますか、七百億に及ぶような事業収益が突如として出てくるというような予測に立って、ことしはもう最初から公益勘定の設定ということは放棄してしまったわけですね。だから、こういう点についても、国有林事業勘定等を中心にして十分な財政的な措置というものを講ずるということはどうしても必要になるわけです。そういう点について十分な先見性を持った施策を進めるということでなければならぬと思うわけですよ。参議院選挙が終われば、もう五十年の予算編成の時期に入るわけですが、そういう点については一体どう考えておりますか。
  180. 福田省一

    福田(省)政府委員 保安林につきましては、確かに制限を受けますので、経済的な面から見るならば、普通の林に比べますと相当効果が落ちるという点については考えていかなければならぬ問題がございます。  そこで、公益勘定の設定はどうかという御指摘でございますが、治山事業の場合にはきわめてはっきりしておりますので、ほとんど一〇〇%とはいきませんけれども、四十八年度、四十九年度で一般財源の負担をお願いしたところでございます。実は、これは当初から放棄したのではございません。公益勘定につきましても、こういった保安林機能の問題を考えますと、具体的にこれをきめます場合においては、どこで線を引くかということに問題がございますことと、それから林道等につきましても、木材搬出以外に公益的な面がございますので、これもやはり一般財源の導入もひとつ考えていただきたい。あるいは、特別会計は長期的に見ますと財源が不足する場合もございます。したがいまして、造林費は、これを借り入れる制度もすでに四十八年度にとっていただきました。これに対しての利子補給の問題というようなものをまとめまして、一つの公益勘定というものを設定したいという希望を私たちは持っておりますけれども、その具体的な手法についての検討がまだ少し不足しておりまして、四十九年度予算で実現を見ませんでしたけれども、御指摘の線に沿いまして、今後真剣にこの問題を検討していきたいというふうに私たちは考えておる段階でございます。
  181. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今後の保安林の果たす役割りは、従来のように、単に国土保全を中心とした使命だけでなくて、多分に、国民の要求する公益的な事業というものが保安林の今後の将来的使命ということになるわけですからして、そうなれば、国有林野あるいは森林についての行政的な担当は農林省、林野庁がするとしても、当然これは国家の責任で行なわなければならぬ重大な事業ということになるわけです。これを果たすためには、必要な財政措置というものは、たとえば一般会計から十分な支出をさせるということは当然なことなんですよ。そういう点について十分な先見性を持って、財源の確保等についても前向きに努力をするということでなければ、幾らこの法律を延長延長でやったところで仕事ができないわけだから、十分の買い入れもできないでしょう。あるいはまた内容の整備もできない。民有林についての制度的な拘束に対しての財政的代償を提供することもできない。そういうようにいろいろ制約されておるわけですからして、そういうものの打開についての積極的な体制の整備が必要である。保安林整備でも、農林省内における森林政策あるいは国有林政策に対する体制整備というものがどうしても必要になると思うのですね。だから、そういう点についてどう考えておりますか。
  182. 福田省一

    福田(省)政府委員 まことに御指摘のとおりでございます。私から申しあげるまでもなく、特別会計におきまして財源が不足するときには、これは一般会計から繰り入れることができるという規定も、先生御承知のとおりにあるわけでございますけれども、まだそれを利用したことはないわけでございます。確かにそういった点は私たちの努力の足りない点でございますので、いま御指摘がございましたように、体制を強化いたしまして、関係省庁とも連絡を密にしまして、この点の実現をできるだけ早くいたしますように、具体的な立案を急ぎたい、かように考えております。
  183. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、これに関係がありますが、国有林活用法の第八条の運営というものはどうなっておるのですか。活用法の第八条というものは、本委員会において政府案を修正したという経過もあるわけですし、第八条の規定は相当具体的に行政運営を指示しているわけですから、その結果が、われわれとしてはまことに遺憾にたえないような結果になっておるので、この点はどうしてこういう結果になっておるのかということについて、長官から明確にしてもらいたいと思うのです。
  184. 福田省一

    福田(省)政府委員 国有林活用法制定の初年度の四十六年でございますけれども、活用による売り払いの、所属がえの対価は約四億七千四百万、これに対して、民有林の買い入れに要した金額は八億七千四百万、うち、民有林保安林買い入れに要したのは半分ぐらいの四億五千万、昭和四十七年度におきましては、売り払い等の対価が三十二億八千五百万、民有林の買い入れが約四億四千六百万で、うち、民有保安林の買い入れが約三億五千万、こういう状態でございます。  実は、昭和四十七年度においては、国有林野特別会計収支見込みの悪化によりまして、民有林野の買い入れ金額は少なかったのでありますが、長期的な観点から、国有林野の活用にかかわる売り払い等による収入民有林野の買い入れ等と均衝させるように措置してまいりたいと思っております。その点は率直に申し上げまして、予算措置に対する努力が足りなかったのじゃないかという御指摘をいままでいただいておりますが、私もそれを反省しなければならぬと思っております。この点につきましては、こういったことのないように努力してまいりたいと思っております。
  185. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかく、森林政策は国家百年の大計ですから、それに依存してしばらくのんびりやってもかまわぬじゃないかというようなことではいかぬと思うのですよ。今度も、十年間延長しても、第三期配備計画をつくるまでに三年間かかるというのですよ。残り七年でやるということになるじゃないですか。こういう点は、百年の計ということになれば、これは長期永続性を持っているわけだから、たとえば法律の改正ごとにまた新しく三年間準備期間を設けてやりますなんということは、これは理由が通らぬですよ。いままで、農林省としても、林野庁としても、取り組みは何でも消極的でしょう。買い入れの問題にしても、保安林の整備に対する維持管理の経費の確保の問題にしても、あるいは、国有林の大事な基幹労働力を三万一千名も定員外に放置しておるというような事態にしても、一々取り上げてもこれは制限がないわけですが、本法の改正を機会にして、もう少し厳粛に事態を直観して、根本的な改革に取り組んでもらいたいと思うのですよ。そういう決意があればここで明らかにしてもらいたい。なければそれでいいが……。
  186. 福田省一

    福田(省)政府委員 国民全般からのきびしい批判と御要望を受けている段階でございますので、御指摘の線に沿って全力をあげてまいりたいということを決意いたしております。
  187. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上で、質問を終わります。
  188. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  189. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  190. 仮谷忠男

    仮谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決されました。     —————————————
  191. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、ただいま議決されました本案に対し、附帯決議権付したいと存じます。  案文は、お手元に配付してあります。  趣旨につきましては、昨日来の質疑を通じ明らかにされておりますが、以下簡単に御説明申し上げます。  まず、第一に、保安林の指定、解除あるいは許可等につきましては、種々問題点指摘されたところでありますので、法制定の趣旨に沿って厳正に行なうようにし、あわせて保安林指定施業要件につきましても、これが厳守されるよう一そうの指導を徹底させようとするものであります。  第二は、保安林が保安機能を高度に発揮し得るように、保安林の維持造成に要する費用について一そう拡大し、治山事業を拡充する等、保安林森林内容の充実をはかるとともに、従来とかく達成率の低かった保安林の買い入れについて改善強化することや、地方公共団体が買い入れる保健保安林等に対する国の助成を強化しようとする趣旨であります。  第三は、保安林の保安機能を維持していくためにも、保全管理体制を充実強化して、違反行為の防止や火災の予防等に万全を期する必要がありますので、保護巡視の拡充等を政府要請したことであります。  なお、本法の有効期間が、今回の延長措置を含めて三十年にもなることでありますので、特に前文で恒久立法について検討の必要性をうたった次第であります。  以上が附帯決議の趣旨であります。     —————————————    保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、最近の森林をめぐるきびしい諸情勢のなかで、保安林制度の果たすべき役割の重要性にかんがみ、恒久立法について検討するとともに、本法の施行にあたつては、左記事項の実施に遺憾なきを期すべきである。         記 一 保安林の指定及び解除その他の運用に関しては、森林法及び本法の制定の趣旨にかんがみ、より一層の厳正を期すること。   なお、保安林指定施業要件の遵守についても、一層その指導の徹底を期すること。 二 保安林の整備については、保安林の維持造成に要する費用についての公的負担の一層の拡大、治山事業の拡充、保安林の買入制度の充実等総合的な対策の強化を図ること。 三 保安林の保全管理体制については、違反行為の防止、火災の予防等に万全を期するため、保護巡視の拡充等その充実強化を図ること。   右決議する。     —————————————
  192. 仮谷忠男

    仮谷委員長 本附帯決議案を本案に付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  193. 仮谷忠男

    仮谷委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
  194. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、善処してまいる所存でございます。     —————————————
  195. 仮谷忠男

    仮谷委員長 なお、ただいま議決されました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  197. 仮谷忠男

    仮谷委員長 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案については、去る四月三日提案の趣旨説明を聴取しておりますので、この際、補足説明を聴取いたします。大山構造改善局長
  198. 大山一生

    ○大山政府委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、年金額の引き上げであります。  まず、経営移譲年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月につき、現行は六十歳から六十四歳までが八百円、六十五歳以後は八十円でありますが、これをそれぞれ、千七百六十円と百七十六円にいたしております。これにより、六十歳から六十四歳までの間に支給される経営移譲年金の額は、五年加入の場合には月額八千円から月額一万七千六百円に、二十七年加入の場合には月額二万一千六百円から月額四万七千五百二十円に引き上げられることとなります。  次に、農業者老齢年金の額につきましても、保険料納付済み期間一月につき、現行は二百円でありますが、これを四百四十円にいたしております。これにより、農業者老齢年金の額は、五年加入の場合には月額千円から月額二千二百円に、二十七年加入の場合には月額五千四百円から月額一万一千八百八十円に引き上げられることとなります。  第二は、年金給付の額の自動的改定措置の導入であります。年金給付の額につきましては、消費者物価指数が一年度または継続する二年度以上の期間に百分の五をこえて変動した場合は、その変動した比率を基準として、政令で定めるところにより年金給付の額を改定することといたしております。これとあわせて、財政再計算期に、従来どおり、国民の生活水準その他の諸事情を勘案してその改定措置を講ずることにより、将来にわたり適正な年金額の水準の確保をはかってまいる所存であります。  第三に、出かせぎ等に出て被用者年金に短期間加入した者にかかる改善措置の導入であります。農業者が出かせぎ等に出て被用者年金に加入した場合には、保険料納付済み期間と被用者年金に加入した期間のうち、一定の要件に適合する期間を合算した期間が年金給付の受給資格期間を満たしているときは、保険料納付済み期間の長さに応じて年金を支給することといたしているほか、これとの関連で、加入資格期間の算定に関する規定、任意継続加入に関する規定、すでに農業者年金の加入資格を喪失している者についての再加入に関する規定等を整備いたしております。  第四に、保険料でありまして、昭和五十年における保険料はすでに提案理由において申し述べましたところでありますが、昭和五十一年以降の保険料につきましては、農業者年金基金法第六十五条第五項の規定に基づく政令により必要な引き上げをはかることといたしております。  第五に、脱退一時金及び死亡一時金の額につきましても二・二倍に引き上げるほか、今回の制度改正前の保険料を納付している者にかかるこれらの一時金の額の特例を設けております。  このほか、未納保険料について特例納付の道を開き、また、保険料について前納割引制を導入する等所要の措置を講ずることといたしております。  最後に、この制度改正の実施時期につきましては、昭和五十一年一月一日からといたしております。  以上をもちまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  199. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これにて、本案の補足説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時八分散会