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芳賀委員 私の先ほど示した計算並びに数字は、砂糖価格安定法に根拠を置いて示したわけでありますから、そのよりどころとしては、糖安法の政令並びに省令で具体的に計算する方法を定めてあるわけですから、どのような手法で計算しようとしても、パリティ指数に基づく計算を無視してやることはできないわけです。その場合、てん菜の場合には、前年度政府がきめたてん菜の最低生産者価格を基準価格にして、前年度を基準年ということにするわけでありますから、当然それは決定年よりも一年前に最低生産者価格が決定されて告示されておるわけでありますから、この一年間における農業の総合パリティ指数がどのような変化の方向を示しておるかということは忠実に反映させる必要があると思うわけです。去年の値段に対して、ことしきめる一年間のパリティの変化がどうなっておるか。
なお、いま
局長の言われた四月から十月までというのは、てん菜の場合耕作前に価格をきめるわけですから、四月に播種あるいは移植をすると、収穫の時期が十月になるわけですから、昨今のように経済変動が非常に激しいという場合には、この四月十日にきめた生産者価格というものと、十月の収穫時期において経済事情がどうなるかということはなかなか予測できないわけです。こういうときになれば、年度内において経済事情が変動する場合においては再計算をして価格の改定ができる。これは糖安法にも加工原料乳の補給金法にも明らかになっておるわけですが、これを用いたことは自民党政府として一度もないわけです。だから、ことしのような場合は二段がまえにして、去年きめた時期と今年きめる時期のパリティの変化率というものを正しく反映させて、それを基礎にした価格の決定を行なう。四月から十月の収穫時までにどういう経済事情の変化が起きるかということは、その測定の方法としては、あるいは四月から十月までのパリティの変化がどうなっておるかということは、毎月毎月
農林省が公表するわけですから、これはわかるわけです。
局長の答弁をそのように善意に誘導して、まず、先に、一年間のパリティの変化に基づいて、これを基礎にした適正価格をここで四月十日にきめると、収穫までの半年間の変化については、
法律の精神にのっとって半年間のパリティの変化がどうなっておるかということをまた中心にして、そのときの物価事情あるいは賃金事情を正しく反映させるということになれば、これはたいへん手厚い具体的な原料価格の決定方式ということになると思うのです。
もうすでに加工原料乳については四月一日から実施に入りましたが、毎日毎日生産して出荷されるわけでありますから、一年前の四月一日と一年後の翌年三月三十一日では相当の経済事情の変化があるわけですから、これに対しても、年途中において、たとえば四半期ごととか、上期、下期というふうに分けて、その時点で再計算をして、そして適正な価格改定をやるべきである。これは政府もやるということをすでに言ってあるわけですから、そういう具体的な配慮をやるという決意の上に
農林省が立たなければだめなんです。
この前も当
委員会で
指摘したとおり、加工原料乳とか、あるいは豚肉の価格決定の場合においても、せっかく決定前に当
委員会において同僚の各
委員の皆さんが具体的な質問をしても、加工原料乳の計算の各費目についても、担当畜産
局長は、これは大蔵省と事前に話し合いをしなければ、この
委員会で説明することはできないと、まことに消極的というか、へっぴり腰というか、
農林大臣がきめる価格について担当の
局長が明確な方針とか内容を説明できないまま、ついに加工原料乳あるいは豚肉の安定価格というものはきまったという、まことに大醜態を演じておるわけです。畜産
局長から見れば、
池田局長のほうが
局長就任の年も占いし、部内でも先輩でしょう。まさか先輩が後輩のそういう醜態の轍を踏むとは
考えていないわけだが、きょうの説明は、全くもう何を言っているかわからぬような、早く三時十五分になればいいというようなものだが、この大事なときにそういうことではだめじゃないですか。いまでも、前年度のてん菜の作付六万ヘクタールが大体二〇%ないし三〇%減少してはたいへんだというふうにわれわれ苦慮しておるときに、これに追い打ちをかけるような
農林省の原局としての試算というものがまずつくられて、それを基礎にして大蔵当局と話し合いをしているということでは、もう結果はおのずからわかるわけなんですよ。いいですか、この変則なパリティ指数で計算した数字は、おそらくこれはトン当たり一万二百円でしょう。こんなものを基礎にして、あとは統計情報部の日雇い労賃を基礎にしたような四十八年の生産費を踏まえ、若干の物価修正等を試みてみても、これも上積みになるような要素はあるいはないかもしらぬ。あるいはまた、ことしは競合作物の労働費というものを比較にするような新しい手法が講ぜられておるが、これも変則パリティの一万二百円をこえるような要素はないというようなことになれば、結局、たとえば先ほど私が、少なくとも最低価格としてトン一万三千円ぐらいの実現は当然ではないか、それは
法律あるいは政省令の根拠によっても可能であるということを言ったわけですが、相当これは開きがあるわけでしょう。いかに馬力のある
渡辺政務次官がそばに控えておるとしても、確信のない数字を持って大蔵省へ行って大きな声を出してみたり、自民党の内部でこれは安過ぎると言ってみても、自分の
農林省の中で
局長が中心になって安い値段をきめて持ち出したのでは、これはどうしようもないと思うのですよ。もう少し張りのある答弁をするならするとか、きょうは残念ながら何も言えませんと言うとか、そういう答弁をするならともかく、どっちを向いているんだか、何を
考えているんだかわからぬような答弁、説明だけは絶対にしないようにしてもらいたいと思うのですよ。
それから、もう
一つ参考までに言っておきますが、
農林省の毎年毎年の、四月−六月の変則パリティでは、長期にわたるパリティの変化がどうなったということは全然わからぬわけですね。そこで、この糖安法ができた
昭和四十年の二月パリティは一五五・三一、四十九年二月は三一二・一七でありますからして、四十年二月を分母にしてパリティの変化を求めるとちょうど二一〇ということになる。四十年の最低生産者価格は六千五百五十円でありますからして、このパリティを乗じますと一万三千八百円という価格になるわけですね。これは大体食管の麦方式にも準じたようなことになるわけでありますが、この四十年から四十九年までのパリティの指数というものを用いた場合においては、ことしの最低生産者価格は一万三千八百円ということになるわけです。だから、こういう有力な根拠というものはあるわけですね。これを使っても糖安法の違反ということにはならぬわけですね。これならこれ一本で堂々と、ことしは一万三千八百円、いいですかということで、大蔵
大臣でも、自民党の総裁でも、あるいは総務会長でも、政調会長でも、そういう諸君に説明してもこれは通るんじゃないですか。狂乱時代にこれは高過ぎるなんということを言うのは、政府の中にも、自民党の中にも、一人もいないと思うのですよ。正しい自信のある数字をつくらないで、ただ低い数字を使って何とかしなければならぬといって頭をひねっても、これはなかなか前向きにいかぬと思うのですよ。これはむしろわれわれが指導するようなことになってしまったけれども、どうですか、
局長。確信をもって、ことしは場合によってはひとつあばれるぐらいの調子でやったらどうですか。まだきまっちゃったわけじゃないわけだし、ちょうど
政務次官もそばに並んでおるんだから、この際二人でよく相談してやってみたらどうかと思うが、いかがですか。