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1974-04-04 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       今井  勇君    小沢 一郎君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       島田 安夫君    丹羽 兵助君       粟山 ひで君    井上  泉君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       美濃 政市君   米内山義一郎君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       小宮 武喜君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林大臣官房審         議官      松本 作衛君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         農林大臣官房審         議官      須賀  博君         農林大臣官房審         議官      齋藤  稔君         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         農林省食品流通         局砂糖類課長  永井 和夫君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         通商産業省生活         産業局原料紡績         課長      堺   司君         通商産業省生活         産業局繊維製品         課長      田口健次郎君         労働省労政局労         働法規課長   寺園 成章君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   神田 大作君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     神田 大作君     ――――――――――――― 四月三日  食糧自給体制確立に関する陳情書外一件  (第四一一号)  農地の大幅転用方針撤回に関する陳情書外一件  (第四一二号)  飼料価格等の安定に関する陳情書外十五件  (第四一  三号)  昭和四十八年産予約限度超過米の買上げに関す  る陳情書  (第四一四号)  休耕田の復元に関する陳情書  (第四一五号)  昭和四十九年産てん菜最低生産者価格に関する  陳情書外三件  (第四一六号)  保証乳価引上げ等に関する陳情書外十四件  (第四一七号)  果樹産業振興に関する陳情書  (第四一八号)  温州みかん生産農家経営安定に関する陳情書  (第四一九号)  民有林野の分収造林等に関する制度的措置の法  制化に関する陳情書  (第四二〇号)  小作地地主保護に関する陳情書  (第四二一号)  札幌市西岡水源涵養保安林解除申請却下に関  する陳情書  (第四二二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(てん菜価格問  題等)      ――――◇―――――
  2. 坂村吉正

    坂村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のためおくれますので、委員長の指名により、暫時私が委員長の職務を行ないますので、よろしくお願いいたします。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
  3. 安田貴六

    安田委員 私は、いまきわめて耕作農民関心の高い最低生産者価格が近くきめられようとしておりまするてん菜問題について、政府側に対してしばらくの間質問をいたしたいと存じます。  北海道農業の問題については、渡辺農林省政務次官はじめ農林省関係各位におかれては、非常に深い御理解を注いでいただいておるわけでありまして、この点については私は常日ごろ深く感謝気持ちを持っておるわけでありますが、御承知のとおり北海道農業は、大別しますると、酪農・畜産という一つの大きな柱がある。それに加えまして畑作である。もう一つは米作である。大別すればこの三つが北海道農業の私は大きな支柱だと考えておるのでありますが、このうちの畑作については、これまた御承知のとおり、てん菜、バレイショ、大豆をはじめとする豆類、あるいは麦類飼料作物、こういうものがその主要な農作物になっておるわけでございます。こういう畑作振興については農林省当局としてもたいへん、最近特に力を入れていただいておりまして、あるいは大豆麦類に対しまする特別の奨励金の支出、あるいはまた畑作振興のために畑作実験共済という長い間の懸案事項を本年から実施に移されることになっておるわけでありまして、北海道農業、特に畑作農業の中に占める主要な農産物に対しまするこういう政府のたいへん厚い御配慮に対しましては、私は常に感謝を申し上げ、また特に農林当局の御努力に対して敬意を表する次第でございます。  そこで、てん菜について一言いたしたいと存ずるのでありますが、てん菜北海道畑作農業の中におきましては、いま申し上げましたような他の畑作主要作物とともに、どうしてもこれは農業技術上、ローテーションの上からいっても、いわゆる輪作形式確立の上からいっても なくてはならぬ寒地作物であるわけであります。したがって、これまた農林省においては特別の振興対策を立てまして、七億程度に及ぶ国費補助金が出ておると思います。土地改良その他を入れると、もっともっとたくさんの国費補助金を出していただきまして、このてん菜振興につとめていただいております。したがって、農林省が配っております、われわれに提供していただいておりますいろいろな資料から見ましても、てん菜の最近における十カ年程度あるいは十二、三年間におきます耕作の経緯を見ますと、たいへん面積におきましても順調な、いわゆる安定的な作物として今日まで推移してまいっておりますし、反収におきましても外国並みあるいは外国をこえる反収にまで到達をいたしておるのでありまして、したがって私は、本州方面におけるてん菜は問題がありましてなくなりましたけれども北海道てん菜は、これからも大いにこれは伸ばしていただかなければならないいわゆる重要な畑作農作物である、かように私は考えておるのであります。したがって、農林省におきましても同様な見解に立っておられると思うのでありますが、この点に対して農林省当局の、現時点におけるてん菜という農作物に対します今後の御認識と申しますか、これに対応しようとする御方針と申しましょうか、そういうものについて、まず渡辺政務次官から御見解をお尋ねいたしたいと存じます。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ただいま安田議員が御指摘くださいましたように、農林省といたしましては、何としても、北海道は日本における穀倉地帯であるし、農作物一大生産地であるということを肝に銘じておりますので、鋭意長期にわたって畑作振興ということについては努力をしてまいった次第であります。お認めをいただいてたいへん恐縮に存じます。  てん菜糖は、御指摘のとおり、年々増大をして、四十八年も二百九十四万トンというような順調な伸びを示してまいりました。この程度数字は、どうしても最小限度確保をしていかなきゃならぬというようにわれわれは考えております。したがって今後とも、てん菜を含め、北海道酪農てん菜あるいは麦類等作物確保という点については力を入れてまいりたい、こう思っております。
  5. 安田貴六

    安田委員 いま政務次官から御答弁のありましたように、四十八年の北海道におけるてん菜作付面積は、六万一千六百八十三町歩という、ほんとうに驚異的といってもいいぐらいの面積拡大を見ておりますし、生産も、いまお話のありましたように、二百九十四万八千五百トンという、これまたきわめて順調な生産状況であり、反収におきましては、ヘクタール当たり四十七・八トン、これも最近にない一反歩当たり生産量でございます。こういう重要なてん菜でございますが、実は今年、四十九年は、この作付面積が急減するのではないかという情勢にいま置かれておるのであります。私どもは、そういう観点から非常に憂慮をいたしておるところでございます。言うまでもなく、すでに一昨年の十月に、農林省におきましては「農産物需給展望生産目標試案」というものを発表いたしてございます。この試案によりますと、それぞれ砂糖につきましても、目標年次である昭和五十七年度におきましては、生産量におきましては百五万八千トン、また需要量においては三百八十二万トンというような需要計画を立て、生産計画におきましても、現在の数字から見ますと、六十四万二千トンという四十五年の数字から見ますと、相当大幅な生産拡大をはからなければならないという、そういう需給展望生産目標を掲げておることは御承知のとおりでありまして、てん菜におきましては、そのうち、四十五年におきましては五万四千ヘクタールであり、五十七年の目標は七万七千ヘクタールと見ておるのでございまして、四十八年における作付面積である六万一千ヘクタールから見ますると、これまた相当大幅に作付面積拡大しなければならないという目標に相なっておるのでございます。したがって、これはわれわれ北海道農業を考えるものといたしましては、ぜひともこうした農林省当局の掲げておる生産目標というものを達成させたい、そうして北海道農業を安定さしていかなければならぬ、こういう気持ちで一ぱいでおるわけでございますが、こういうやさき、この四十九年におきますてん菜作付面積動向は、きわめて憂慮すべき状態にあるわけでございます。したがって、農林省につきましても、おそらくこれに対しては強い御関心を払っておられると思うのでありますが、この四十九年におけるてん菜作付見通しに対して、農林当局としてはどのような見通しを持っておられるのか、まずこの点を、これは課長さんなり審議官でけっこうでありますが、御説明をいただきたいと存じます。
  6. 須賀博

    須賀説明員 四十九年度のてん菜生産見通しでございますが、最近の北海道庁からの報告によりますと、その生産計画は六万ヘクタールという数字になっているわけでございます。これは、四十八年度が六万一千六百ヘクタールでございますから、やや減少するという数字になるわけでございますが、これは一部の市町村におきましてビートが過作である、つくられ過ぎているという点もございますから、そういう地域につきましてはやはり合理的な輪作体系に持っていきたいということもございまして、そういう点は多少面積の減は考えられますが、北海道全体から見た場合、やはり合理的な輪作を通じてこれから生産振興をはかっていくということを考えますと、五十七年の長期見通しの七万七千ヘクタールにつきましては、私どもそういう方向に即しまして十分可能性があるものではないかというふうに考えているわけで、そういう点、私どもこれから十分施策を充実いたしまして、そういう面積確保につとめてまいりたいというふうに考えております。
  7. 安田貴六

    安田委員 いまの審議官の御説明では、六万ヘクタールくらいの計画になっておるようであるということでありますが、これは道庁からの報告という前提がありますから、むしろ農林当局の御意向というよりも、道庁意向のように聞き取れるわけであります。しかし、私どもがいま考えておりまするこの作付現時点における動向というのは、そんななまやさしいものではないのでありまして、北海道てん菜主要耕作地帯である十勝地方あるいは私の住んでおりまする網走地方、こういう地域状況を見ますると、四十八年度の作付面積に対して大体三割以上の減反になるのではないかということがいまいわれております。ということは、大体北海道は、地域によって若干の相違はございますが、審議官専門家ですから、私もよく審議官のことは覚えておりますから詳しく申し上げませんが、とにかく、ペーパーポットというのが非常に普及度が高まってまいっておるわけでありまして、このペーパーポットというのは大体三月中に床をつくって種をまいて、そしてあとで苗を移植するわけでありますが、そういう耕作方式が非常に普及してまいりました。したがって、もうすでに、ペーパーポットは本畑では何町歩分ができておるかということは、大体予想が立っておるわけでありまして、そういう点からいうと、これは現在では、四十八年度対比で三割ぐらいの減反になるのではないか、こういうことが憂慮せられておるのであります。この原因はいろいろありましょうが、これは私の考え方でありますけれども、やはり麦であるとか、大豆であるとかいう他の畑作農作物価格と、てん菜の四十八年度におけるいわゆる最低生産者価格とに、非常に開きが出てきたということからくる一つ農家立場から見まするところの経営上の利得に対しまするものの考え方、こういうような点もありましょうし、そのほかいろいろな理由がありましょうけれども、とにかく減反傾向にあるというふうに私は心配いたしておるのでありまして、道庁からの六万ヘクタールという報告は、いつのころの時点の御報告なのか、道庁自体からも私自身は、そんなに、いま作付が六万ヘクタールにまで及ぶということは聞いておらないのでありまして、この点をもう一回、ひとつ農林省見解を含めて、どのような見通しがあるのか、その辺をひとつお聞かせいただきたい。
  8. 須賀博

    須賀説明員 道庁からの報告は、ちょっと日にちは忘れましたが、二月に受け取ったものでございまして、農林省といたしましてもその内容を現在検討いたしておりまして、やはりいろんな理由があると思いますが、四十八年度ほどの面積にはなかなかいかないであろう、しかし六万ヘクタールは何とか確保したいということでございまして、私ども、そういう方向に沿って、道庁と協力いたしまして、その実現に力を入れていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 安田貴六

    安田委員 二月時点というと、ちょっと私は、いまの時点議論をする対象のいわゆる作付動向をつかまえる時期としては少し早過ぎると思うのです。実は私としては、農林省は三月、先月の下旬あたりの、二十五、六日ころの時点におけるいわゆる作付動向はどうなっておるかということを把握していただいておるのではないかということでお聞きをいたしておるのでありますが、いまここでこれ以上この点については申し上げませんが、さらにひとつ最近時点における作付動向をつかんでいただいて、そしてこれから農林当局がさらにいまの減反傾向を回復して、作付を昨年度並みくらいに増反させるといいますか、同じ程度面積確保させるのには、やはりこれからの農林省当局ビートに対する価格問題、あるいは生産対策、あるいは土地基盤整備に対する意欲、こういうものを総合的に、やはり農林省政府側のそういうビートてん菜に対する奨励の積極的な姿勢というものをお示しいただくことが、いま減反傾向が強いこのてん菜面積を回復させる唯一の道ではないかと考えておるのでありますが、そういう点に対する農林省当局の御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  10. 須賀博

    須賀説明員 私どもてん菜につきましては、北海道畑作にとりまして非常に重要な地位を占めている作物であるということで、従来からその生産対策につきましては非常に力を入れてきたわけでございまして、今日のような順調な生産を示しておるわけでございます。今後も私どもやはり農家畑作経営ということを考えますと、これからもビートにつきましては、その生産振興は重点的に考えていかなければならぬというふうに考えておりまして、農林省といたしましても、道庁と緊密な連絡をとりながら、その生産振興につとめてまいりたいというふうに考えております。
  11. 安田貴六

    安田委員 ひとつそういう積極的な姿勢をお示しいただきながら、てん菜のいまのような状態から、農民生産意欲をふるい立たしていただいて、そして少なくとも最小限度四十八年度の耕作面積くらいのものはつくらせるように、ひとつ一段の御努力をいただきたいと存じます。  そこで、いま価格問題を目の前にしての議論でありますから、てん菜耕作上、これは非常な管理肥培上の特徴もございます。したがいまして、私はこういう面について一、二触れながら質問を展開いたしてまいりたいと存ずる次第であります。  てん菜は、これは農林省自体が十分に御承知のところでありますから、あまり詳しく申し上げる必要がありませんが、他の作物と比較しまして反当の労働時間が非常に多くかかるという点は、これは農林省も御承知のとおりでありましょう。小麦については大体十三・三時間、それから大豆については二十・七時間、バレイションについては二十・六時間、これらに比較しまして、てん菜は四十三・六時間という反当の労働時間を要する、こういう統計に相なっておるのでございまして、そのほか肥料でありますとか、除草関係でありますとか、防疫、薬剤の散布でありますが、こういうような面につきましても、これは他の作物から見ますとばく大もない生産費が重なってまいることになっておるわけでありまして、そういうことで、いまのような経済事情の中におけるこのてん菜耕作上の生産費の経費の増高というのは、私はたいへん大きなものであるということを考えておるのでありますが、こういうような点が一点。  それからさらにこのてん菜面積が減少いたしまして、てん菜生産量がかりに三割も減少したということになりますると、これは直ちに製糖工場のいわゆるコストに響いてまいることは当然でございまして、そのコストが高くなりますから、したがって政府買い上げ価格も、また砂糖としての買い上げ価格も高くなる。そうしてまたこれを売り渡すわけでありますから、消費者立場からいいましても、高い砂糖を買わなければならぬという仕組みになってくるのではないか。場合によっては、製糖工場自体経営困難におちいる場合もなしとしないような状態が予想されるわけでございます。  したがって、私はそういうような諸点から申しますると、先ほど来申し上げておりまするように、昨年並み作付面積確保し、——天候等に強い作物でありますから、寒冷地帯作物でありまして、これは耐寒性の強い作物でありますから、私は、気象上の問題はそう心配はないと思いますが、どうしても作付面積確保することが非常に重要な問題になっておる、かように考えるのであります。そういう点から言うと、近く決定されるいわゆるてん菜最低生産者価格をいかにきめるかということがたいへん重要な問題になってまいろうかと存ずる次第であります。したがって、後ほど価格の問題についてはまた御質問申し上げますが、もう一点、国際糖価の問題が、非常に最近上がってきておるのでありまして、私は、これを詳しく議論しようとは存じません。しかし、この国際糖価情勢から見ますると、少なくとも短期間の上がり下がりはありましょうけれども、長い目で見れば、現在の国際糖価は他の農産物価格動向から申しましても、これは下がることはそう予想されない、私はこういうふうに考えておるのでありまして、こういう面に対する農林省当局のいわゆるお見通し、御見解はどういうふうにお持ちになっておるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 国際糖価見通しの問題でございますが、御承知のとおり、現在、国際糖価は昨年九月まではトン当たり九十ポンド台ということで非常に安かったわけでありますが、十月に入って百ポンド、その後も暴騰を続けて、ことしの二月には二百七十四ポンドという異常な高値を示しました。ところが、これが間もなく暴落をし始めまして、四月三日現在で二百ポンド、こういうようなことになっておるわけであります。  もう一つ、われわれが注意しなければならないことは、先物はうんと安くなっておるのであります。ことしの十一月に買うもの、来年の八月ごろまでのものは大体トン当たり、ロングトンでロンドン相場が百三十ポンドということですから、この異常高値というものが、ずっと二百ポンドで推移するというようには考えられない。現にいま買っておけば、もうことしの十一月以降のものは、金さえ払えば百三十ポンドで買えるのです。ですから、国際糖価だけの見通し値段だけの見通し値段をきめる、こういうような商品相場みたいなものだけで値段をきめるということは、むしろ非常に危険じゃないか。現実にこのビート値段というのは、いまきめても、砂糖になるのは秋以降、半年以上ずれ込むわけですから、そのときの見通しは、うんと安く、いまの二百ポンドよりも百三十ポンドに下がっておるのだから、秋以降に砂糖にするものだから、その安いほうできめなさいといわれても、これまたなかなか問題がある。ですから、いますぐ砂糖になるわけでもないのであって、まあ国際相場十分参考にいたします。いたしますが、これだけできめるというのではなくて、これはちゃんと法律にもきまっておるとおり、砂糖価格安定等に関する法律第二十一条によって「農業パリティ指数に基づき」云々ということできまっておりますから、経済事情等も十分にしんしゃくをしてきめなければならぬ。やはり農家の方は賢いですから、それは採算の合わないものを、ほかの作物と競合してももうからないようなものはやらぬ。これは私は商売ですから当然だと思うのです。したがって、そこらは他作物との権衡という問題等考慮しなからきめてしくということがよかろう、こういうふうに考えます。
  13. 安田貴六

    安田委員 国際糖価との関連については、私は必ずしも政務次官見解とその考え方を同じくするものではありません。しかし、これは議論をしてまいりますと水かけ論になるおそれもなしとしません。したがって、これ以上の議論はいたしません。  次に私は、いまのこの糖価安定法における価格計算てん菜最低生産者価格計算上の問題点について、少しく引き続き農林当局見解を尋ねてまいりたいと思います。  この現在の糖価安定法の、いま政務次官お話しになった二十一条の第一項、ここに書いてあります条文を見ますと、これはいま政務次官お話しになったように、「最低生産者価格は、政令で定めるところにより、農業パリティ指数に基づき算出される価格基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の再生産確保することを旨として定めるものとする。」と書いてあります。それから三項には、この価格が特別の改定を要するような経済事情が生ずれば、これを改定いたしますということがこれまた書いてあるわけでございます。したがって、その二十一条を受けまして、今度は政令の中で、政令の十三条でさらにこれを詳しくふえんいたしておるのでありまして、最低生産者価格というのは、「法第二十条第一項の最低生産者価格は、附録第二の算式によって算出される価格基準とし、」これは本文の考え方と同じであります。ところが、「当該甘味資源作物生産費競合農作物状況物価その他の経済事情を参酌し、当該甘味資源作物の再生産確保することを旨として定めるものとする。」この政令の十三条で、ここに初めて「生産費」ということばが出てくるのです。したがって、この法律の二十一条の精神というものの中には、生産費というものを非常に重視した考え方政令の中で明らかにされておる、私はこういうふうに受け取っておるわけでございます。  そういうことを前提として、以下私の考え方を申し上げながら質問をいたしてまいるわけでありますが、この糖価安定法の二十一条第一項にいう「パリティ指数」というのは、その施行令の十三条あるいは同施行令の附録の第二、それから省令の第九条、これをだんだんと追い詰めていくと食管法の施行令の附録第一に戻ってくるわけでございます。そしてその附録の第一をたどっていくと、これは食管法の施行令第二条の三にたどりついて、これが本法で言いますと食糧管理法の第四条の二に当たってまいるわけであります。  こういう諸規定を照らし合わせてまいりますと、ここにいうパリティ計算・指数とはいかなるものかというと、これは麦の買い入れ価格計算に用いるパリティ指数と相なってくるわけでありまして、したがって、私はそのような見解を持っておるのですが、これは私の考え方が間違っておるか間違っておらないか。食糧庁のほうからでも、あるいは流通局でもよろしいのです、どちらでもよろしいから御答弁をいただきたいと思います。
  14. 杉山克己

    ○杉山説明員 パリティ計算の根拠につきましては、先生御指摘になりましたように、食管法施行令の附録第一にございます。そのまたもとをさかのぼりますと、麦の買い入れ価格の算定の食管法の規定と関連するということは事実でございます。ただ、パリティ指数そのものは、麦の買い入れ価格の算定の際に用いておりますが、これは単に麦だけに使われるというものではなく、農家の支出構造の変化についての指数でございますので、一般的に、そのほか現在糖価の算定に使われますように、農産物の算定そのほかに使われることになっております。
  15. 安田貴六

    安田委員 私の見解と同じであることがはっきりいたしました。  そこで申し上げたいのでありますが、ところがこの麦の買い入れ価格というものは、これらの中にはパリティが使われておりますが、いま私が前段で申し上げましたように、生産費というものは、麦の価格計算上においては明記されたものがないように私は理解いたしておるのでありますが、その点はどうですか。
  16. 杉山克己

    ○杉山説明員 麦の買い入れ価格の算定につきましては、食糧管理法の第四条ノニに根拠がございます。ちょっと条文を読み上げますと、「政府ノ買入ノ価格政令ノ定ムルニ依リ昭和二十五年産及昭和二十六年産ノ麦ノ政府ノ買入ノ価格ヲ平均シテ得タル額ニ農業パリティ指数ヲ乗ジテ得タル額ヲ下ラザルモノトシ、」この「トラザルモノトシ、」とあるところがちょっとほかの農産物と変わっておりますが、あとは「其ノ額ヲ基準トシテ麦ノ生産事情其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ麦ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということになっております。
  17. 安田貴六

    安田委員 そのとおりでありまして、ともかく生産費ということばは、この麦の価格を算出する場合は特に明記されたところはないと私は考えます。いわゆる乳価のごとく、あるいは米価のごとく、あるいはまたいま申し上げました、てん菜糖最低生産者価格の算出上における糖価安定法施行令のごとく、生産費というものを特に明記した規定はないように私は理解をいたしておるのでありまして、したがって、麦価の計算に使われておるパリティを用いる場合、これを基準とすることは糖価安定法からいいましても当然でありますが、私は、やはりそれに加えて、生産費というものをどのように重視した計算方法をとっていくかということは、これは重大な要素だと思うのでありまして、この点については後ほどまた触れてまいりますが、そういう点を私は明確にいたしておきたいと存ずるのであります。  それから、次に、この食管法施行令附録第一の備考に「四十五年指定品目」ということばがございますが、これは一体どういう品目を考えておるのか。この品目を、時間がかかりますから、おもなる品目と、それから品目の数は何品目を考えられておるのかという点を御説明いただきたいと思います。
  18. 杉山克己

    ○杉山説明員 パリティは、御存じのように二十五年四月、二十七年三月の期間を基準年次といたしまして、以来毎月算定し発表いたしております。その計算にあたりましての品目は、政令附録で示されておりますように、農家支出構造の変化に伴って、おりによって改定されてまいっております。  現在の品目は四十五年に指定されておるのでございますが、品目は大きく分けまして、経営部門と家計部門と、この二部門に分かれます。  経営部門では百四十五品目、それから家計部門では二百五十二品目、合計三百九十七品目となっております。個々の品目を読み上げますと、たいへん時間がかかりますので、別途資料で差し上げたいと思います。  経営部門でいいますというと、これはたとえば、種苗、動物、肥料、こういったもの十一項目に分かれております。そのうちの種苗について言いますと、これがさらに個々の品目では十三に分かれておりまして、種もみ、キュウリ種、トマト種、キャベツ種、こういうふうに内訳があるわけでございます。この程度で品目はよろしゅうございますか。後ほど資料で差し上げますが。
  19. 安田貴六

    安田委員 後ほど、また内容の詳細については資料として御提出いただくことにして、そこで、いまのような品目が基礎になっておるようでありますが、この中において、糖価安定法の施行令の第十三条の一項にいうところの生産費が、先ほど言ったようにはっきりしておりますが、それが省令の十条できちっと品目が十三項目明記されておることは、皆さん方政府当局は御承知のとおりであります。  そこで、てん菜生産価格の算定には、生産費を、先ほど申し上げましたが米と同じように重視するという思想が相当強く入っていると思うのです。そういう観点からいうと、どうしても食管法施行令附録第一の備考にいう「指定品目について農業者が支払う価格等は、農林省が行なう農村物価賃金調査により」云々とあるのですが、この農村物価賃金調査についてお尋ねをいたしたいのでありますが、この中における家族労働賃金というものは、農業者が支払っていないお金でありますから、計算されておらないのではないかと考えるのでありますが、この点がどうなっておるか、計算されておるとすれば、どのような計算方法で計算されておるか、この二点を、これは統計情報部かもしれませんが、御説明願いたいと思います。
  20. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 先生御質問の中にございましたとおりでございまして、農村物価統計調査の中におきまして、生産資材、それから生活資材、さらに農業の雇用労賃について調査をいたしております。自家労働は、その雇用労賃をもって評価をされる対象になるようなものでございまして、客観的に幾らというふうなものではございませんので、農村物価統一調査調査対象とはならない性格のものでございます。したがって、調査をいたしておりません。
  21. 安田貴六

    安田委員 そこで、パリティを使うということがいかに矛盾があるかということが、そこに明確になってくるわけなんです。パリティだけによってこの価格形成を行なえば、そういう雇い入れ労賃、雇用労賃というものは、調査の対象になって入ってきます、この物賃の調査の中に。しかし、農民の方々がみずから働いたいわゆる労働賃金、労働報酬をいかに見てやるかというものについては、このパリティ計算で出てこないと私は思うのです。でありますから、重要な農産物の支持価格制度の中には、いま申し上げましたように、生産費というものを明確に書き入れることによって、その生産費の中で家族労働報酬というものを確保さしてある、そして再生産確保できるような、いわゆる最低生産者価格あるいは買い入れ価格を決定してやる、米については買い入れ価格、この糖価のごときものについては、あるいは乳価のごときものについては、最低生産者価格、または保証価格、これを計算する仕組みになっているのだろうと私は思うのでありまして、したがって、糖価安定法でいうところでは、法律の中においては、生産費のことは何も書いてない。しかし、それを補うために、政令の中で明確に生産費というのを打ち出してきたわけでありまして、そういう点を農林当局はどのような考え方に立って、これからてん菜等の最低生産者価格計算にあたるかということは、重要なポイントになってくると思うのです。いままでこういう点が価格算定上の問題点としてネグられてきておる。この点私は強く強調いたしておくと同時に、農林当局にも御検討を十分にお願いを申し上げたいと思うのであります。  そこで、続いて御質問をいたしてまいりますが、四十八年のてん菜最低生産者価格糖価安定法の施行令第十三条にいう区別に従って考えてまいりますと、まず八千五百六十円という四十八年のてん菜最低生産者価格は、パリティ指数から見ると一体どの程度の金額が一算されておったというのか。それから政令でいう生産費の参酌の面から言えば、いかなる金額が計算されておったのか、それから政令にいう生産費以外の競合農作物あるいは物価その他の経済事情の参酌等の金額からいえば、どのような数字計算されておったのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと存じます。
  22. 永井和夫

    ○永井説明員 御説明申し上げます。  昨年の、四十八年の価格算定のときにどういうふうに考えたかという御質問でございます。昨年の最低生産者価格の決定にあたりましては、法律に基づきまして、まずパリティの指数をそのまま乗じたものをパリティの基準価格としてやっておりますのと、それから統計情報部の生産費調査に基づきます生産費をパリティアップいたしまして、四十八年産がどのような生産コストになるかというのを推定いたしますのと、それから競合農作物といたしまして、北海道畑作で、根菜でありますバレイショの価格、こういうものを推定いたしまして勘案し、決定をいたした次第でございます。
  23. 安田貴六

    安田委員 私の質問に対する答弁としては、まことに不十分でありますが、それ以上言えないというのであれば、私もこれ以上追及いたしませんが、私の見解に従えば、少なくとも四十八年度のてん菜最低生産者価格なるものの八千五百六十円については、パリティ指数から出せば幾らになる要素が出てくるのだ、生産費の参酌によってはいかほどのものが考えられるのである、それからその他のいわゆる政令上に書いてある項目からくる参酌によれば、いかなる金額が計算されてくるのである、それらを総合して八千五百六十円という数字を出したのであるという説明は、政府当局としてはこれは用意をしておくべき性質のものではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  24. 永井和夫

    ○永井説明員 失礼いたしました。数字を申し上げます。  昨年の最低生産者価格を決定するにあたりましてとりましたパリティの基準価格は八千九百五十円でございます。それから統一情報部の生産費調査に基づきまして生産費を推定いたしましたのは七千五百六十五円でございます。それから競合農作物といたしましてのバレイショの収入を計算いたしまして、七千二百七円でございます。この三者を勘案いたしまして八千五百六十円と決定いたしたように記憶してございます。
  25. 安田貴六

    安田委員 時間もだんだんなくなってまいりますから、これ以上この問題に対する質問はいたしませんが、こういうふうにいわゆる糖価安定法並びに政令の上におきまして、生産費というものは、麦価の計算のもとになるパリティ指数を使うことにはしておりながら、生産費というものを重視しておるこのてん菜最低生産者価格の算定方法、政令の規定に従えば、私はやはり私が申し上げておるような、そういういまの答弁のような内容ではなしに、八千五百六十円についてはこういう要素を組み合わせたものであるということを、私は明確にする必要があると思うので、この点については御検討おきをいただきたいと存ずるのであります。  それから、糖価安定法昭和四十年にできている法律です。パリティ指数のもとになる食管法は、昭和二十二年にできておる、したがって、このあとからできた法律が、先にできている法律のパリティ指数を使うような仕組みを政令できめたわけでありますから、そういうことはあるのですが、それならば糖価安定法が初めてできたとき、昭和二十二年度において、いわゆるもとに使ったてん菜価格というのは、何を使ったのか。パリティ指数を出す場合の一算方式による前年の最低生産者価格というのは何を使ったのか。その経過的な内容について御説明いただきたい。
  26. 永井和夫

    ○永井説明員 糖価安定法の附則の第五条に経過規定がございまして、糖価安定法制定前におきましては、てん菜生産価格につきまして、改正前の甘味資源特別措置法によりまして手当てをしておりました。それによって決定された価格を、糖価安定法に基づく価格とみなして計算するということを規定しておるわけでございます。
  27. 安田貴六

    安田委員 経過処置については了承をいたしました。ただ、そういう計算方法をたどって今日のパリティが出ておるというその内容について、なおはたしててん菜最低生産者価格を算出するいわゆる指数としては最適なのかどうか。最適というものではないと思いますが、適当なのかどうかという問題が残ると思います。しかし、その点についてはいま触れません。なお、今後の機会に十分にこの点については議論をいたしたいと存じます。  そこで、私はいまこのてん菜法に基づくところのてん菜最低生産者価格計算方法に対する私の意見、これを集約しますると、私は食管法の第三条と糖価安定法の二十一条を受けた施行令の十三条、こういう点から比較しますると、やはり米と同じような生産費を重視する考え方、これを私はこの糖価安定法は十分に意図しておるものであるという見解を強く持っておるわけでありますが、この点についてはこれは政務次官どんなような御見解ですか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。   〔坂村委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  28. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、米と同じということは、計算方式をいわゆる都市賃金の所得補償方式と通常いわれるもの、そういうようなものでやれというような御主張だと思います。ところが、砂糖価格安定に関する法律がありまして、その二十一条は先ほどから言っておるとおり、やはりそれは法律のほうで「農業パリティ指数に基づき算出される価格基準とし、」ということが書いてありまして、あなたのおっしゃるように施行令の十三条ではそれをふえんをしておるわけでございますが、その基礎になるものはパリティで出た価格基準として、ということが一番基礎になりまして、そこに経済事情とか生産費とかいうものも考慮をして、それできめなさい、こういうふうなことになっておるわけであります。農産物価格、これはたくさんあって、麦もありますし、それから加工原料乳もあるし、でん粉もあるし、このようなてん菜糖もあるということですが、米だけがいわゆる全国の五百人未満の製造業の賃金というものをとってきめておるわけであって、小麦のような非常に重要なものであっても、必ずしも米と同じ方法をとっておりませんし、加工原料乳のようなものでも必ずしも米と同じくはやっておらない。したがって、てん菜糖の場合にも、この法律が書いてありますから、安田さんの言うことは、これは米と同じように生産費所得補償方式でやれ、こういうような御意見だと思いますが、私どもといたしましてはその米と同じような方式を直ちにとるということは考えておりません。しかしながら、経済事情その他のいろいろな諸事情は、十分にこれはしんしゃくをしてきめてまいりたい、かように思っております。
  29. 安田貴六

    安田委員 私は、生産費所得補償方式まで実は先ほどの質問の段階では申し上げておらないのでありまして、しかし、私の気持ちをそんたくしていただいて、政務次官の御見解をお聞かせいただいたんでありますが、私の申し上げたかったのはこういうことなんです。食管法の米のほうの値段の問題については三条にあるわけですね。「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格政令ノ定ムル所ニ依リ生産費物価其ノ他経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」とある。ところが四条ノ二のほうは、これは麦の値段の規定で、これにはパリティ指数を使って定めるということを書いてあって、「生産事情其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」云々ということはありますけれども、米の場合の規定のように「生産費」ということばは麦の場合は一切使われていないのですよ。ここに私は米と麦の差をつけてあるんだろうと思うのです。どころがてん菜については、砂糖価格安定法を受けまして施行令の十三条で「生産費」というものをここに特別に入れてあるんです。これは重要な要素じゃないかということを言っているんです。したがって、時間もだんだんなくなってまいりますから、これはこれ以上の応酬はいたしませんが、そういう点をひとつとくと御理解をいただきたいと考える次第でございます。  そこで、私はいまこういう法律上の問題を議論いたしましたのは、やはり何といってもてん菜最低生産者価格を大幅に引き上げていただかなければならぬ。そして農民のいわゆる耕作意欲生産意欲、これをふるい立たしていただかなければならぬ。そうして北海道における主要畑作物であるてん菜というものの作付面積を、できれば昨年よりもこれを拡大し、引き伸ばしていただかなければならない。そうして政府のつくっておるところのいわゆる五十七年をめどにする農産物の自給率の向上、生産目標達成という農林当局のそういう政策の実現を期していかなければならぬ、こういう見解に立って私はいま法律的な問題についても触れたわけであります。いずれにしても農業団体等は一万五千円というような金額を要請をいたしております。これを農民立場からいえばお願いをしたい価格だと私は思います。したがって、いずれにしてもこれは大幅な値上げをどうしてもしていただかなければならぬという考え方であるわけであります。その中で先ほど申し上げましたような農業政策の基本的な目標方針、そういうものを達成していかなければならぬというふうに強く考えておるわけでございます。  そこで、先ほど来の政務次官の御答弁の中からも、今度の最低生産者価格の大幅引き上げ——大幅ということばは使っておらぬようでありますが、私は大幅引き上げ、そういう面に対するたいへん深い御理解があるように推察をいたしておるわけであります。しかし、かねがね農林当局計算されておりまするようなパリティ指数だけによる金額では、いまのところ一万円を若干こえる程度のものしか出ないのではないかということも仄聞をいたしておるのであります。そういうことで私はいまのような計算方法を相当変えなければ、一万円をちょっとこえたくらいの金額以上には価格が出ないということであれば、これは重大な問題なんです。そうなれば私は特別な対策を講じていただかなければならぬと考えておるのであります。したがって、そういう問題に対しても私の率直な気持ちを訴えたいと思うのでありますけれども、もしわれわれが期待する金額、あるいはまた現下のてん菜農民の現状に照らしまして、どうしてもパリティ指数を基準とする価格では適当な価格が出なかった場合は、あるいは大豆のごとく、あるいは麦類のごとく、あるいは沖繩や奄美大島等におけるサトウキビのごとく、いわゆる最低生産者価格とは別な、特別な奨励金相当のトン当たり二千円なら二千円、こういうものを一定期間国から助成をいたしまして、そうして農民のいわゆる生産意欲を高めるためにお骨折りをいただくことも、一つの方法としては必要ではないかというふうにも考えるわけでありますが、こういうような面に対する政務次官としての御理解ある御見解をちょうだいできたらお願いいたしたいと考えます。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 パリティと生産費の話が出ましたが、これは年によって、パリティ価格生産価格を上回ったときもあれば下回ったときもあります。去年は、最低生産者価格よりもパリティ価格のほうが上であったわけであります。去年からことしにかけては、物価が異常な騰貴をしておるというようなことから、パリティ価格のほうが生産価格を上回るということが、まだこれは計算がきちんとできてもおりませんが、大体私の第六感でやると、下回るのでないだろうか。それから競合農作物のバレイショ等の生産価格を推計をしてみると、これもきちっとした数字は出ないが、パリティ基準価格でやったものよりも下回るのでないかというような気がいたします。しかし、先ほどあなたがおっしゃったように、他の農作物というのはバレイショだけなのかどうかわかりませんが、いずれにしても競合関係にあるわけですから、ほかのものがつくられれば、畑は同じで、片方がよけいつくられれば片方は減るわけだから、ですからそこらのところも考えて、できるだけ皆さんの意見も十分参考にして、よく相談をしてきめたい、こう思っております。
  31. 安田貴六

    安田委員 それでは、最後に私は、このいまの規定では、四月十日に最低生産者価格が告示されることになっておるのでありますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、これは得失があると思うのです、私も。あると思うのですが、これはもう少し早めるようなことについては、やはりこれは真剣に検討する価値はある、得失を検討してみる必要があると私は考えるのでありまして、この点を今後の課題として、これはことしの問題でありませんから、御検討おきをいただきたいということを私はお願いをしておきます。  それから最後に、私の時間は三十七分までだけれども、少しでも早くやめてくれというお話も先ほどありました。しかし、その時間にもう来ました。そこで私は、結びとして、いま渡辺政務次官からも御理解ある御答弁をいただきまして大きく期待をいたしておるわけでありますが、ひとつ、ぜひともその御熱意を実際の価格算定にあたって、これはもう農林当局計算がすべての基礎をなすわけでありますから、ひとつ、現在の農民立場あるいは生活あるいは生産上のいろいろな経済事情、これは申し上げるまでもないわけでありますから、これともう一つは工場経営の面からくるいろいろな諸問題、こういうものをひとつ十分に御勘案をいただきながら、ぜひとも農民の方々が期待するような、いわゆる大幅な値上げが実現できますように、農林当局に対して格段の御配慮、御努力を心から要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  32. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、美濃政市君。
  33. 美濃政市

    ○美濃委員 一番最初に、統計情報部長にお尋ねいたしたいと思いますが、経営要件の時間がほとんど労働時間に入ってない、そう私は思うのですが、どうしてこういうふうになっておるのか、まことにけしからぬことだと思うのですが、まず最初にそれをお尋ねいたします。
  34. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 先生御質問の趣旨は、おそらく経営者としてのいろいろな時間、たとえば、これまでもしばしば問題になっておりますが、いろいろな研修会に出席をする時間でありますとか、いろいろな打ち合わせのような時間でありますとか、そういうふうなものを経営的に、経営者として必要な時間であるというふうにお考えになっておるのではないかというふうに考えますが、私ども昔からやってきておりますこの生産費調査と申しますのは、ある特定のものを生産をいたしますために直接的に消費をした経済価値、そういうものをはかるというのが生産費調査の目的でございまして、そういう観点かからまいりますと、そういう物の生産に直接的に結びついておる労働労働時間ということで算入をしておるわけでございます。もちろん直接的と申します場合に、いろいろな農業資材を用意いたしますための準備の時間でございますとか、自給物を生産いたします場合の労働時間でございますとか、そういうものはもちろん算定をいたしておりますが、いま先生がおっしゃいましたような意味での、経営者としての必要な時間というようにおっしゃいました研修等に要する時間というものは、入れておらないわけでございます。その趣旨は、結局その研修会への出席だとかといったような時間といいますものは、その内容が非常に複雑でございまして、しかもその研修に要した時間というものが、直接的に私が先ほど申し上げましたような意味での生産に反映をするものとは限らないというふうなことがございますし、またその経営者としての個人的な能力、研修等から出てくる効果をどの程度その経営者がこなせるかというふうな、個人的な能力の差というふうなものも非常にございまして、いわゆる生産費調査の原価性、原価を忠実に反映をするという原価性の観点、それからその時間というものをどういうふうに把握をするのかという調査技術上の問題というふうなことから考えまして、現在の生産費調査労働時間の中には入れておらないというのが実情でございます。
  35. 美濃政市

    ○美濃委員 できるだけ答弁は簡単にしてもらいたいと思うのです。  そういう研修時間までを言っておるわけではありません。たとえば、てん菜であれば、十一月過ぎて圃場作業、直接作業が終わりますと、調査を打ち切ってしまいます。しかし当該農家は、離農する農家があって土地を買った。それは負債となっておる。十二月に農協へ年度内の返済打ち合わせに行って、しかし全部は払えない。証書を書きかえる。いま資本主義社会において、保証人に保証してくれという行為は非常に神経が疲れるのです。農協へ行って最後の支払い打ち合わせをして、残債、残ったものに対して証書を書きかえて保証人の判こをもらうと、二日ぐらいかかりますね。私は、これは経営上の直接労働と見ております。そういう労働なしに農業経営というのはできないのです。研修会は、いまの答弁のようなことでいいでしょう。それから、確かにトラクター等が破損して修理に要した時間は収録されておりますけれども、購入の打ち合わせであるとか、これも私どもは直接労働と見ております。てん菜北海道に限られております。かなり規模は大型化してきておるわけであります。たとえば来年どこへ何をまいて、肥料も農協から予約をせいとなっている。どこへ何をまいて、肥料を何ぼ農協に予約注文するといったら、この作業も一日以上かかります。経営計画書を書いて二日ぐらいかかりますね。十五ヘクタール、二十ヘクタールという経営でありますから。そういうものは全然時間に入っておらない、全部遊んだことになってしまっておるわけですね。そういうものが重なって生産が開始される。特に、直接作業が終わってからあと、残務整理をする作業というものは、統調は打ち切って、時間を収録しておりませんから、時間に入っていないことははっきりいえるわけなんです。そこで、これを統調で改めなければ、実は、私の地元の帯広市で、ことしの乳価をはじめ、これではもう農民が生活できないという要求大会が、町村長が先頭になってありました。そのとき、こういう状態で、労働時間も不足である、雇用労賃で押えられておる、だから、ことしの要求が満たされなかった場合、統計情報事務所の委託抽出農家が一斉に集録を返上するという決議をしておるわけです。私は、これを返上すると生産費の把握ができぬで農政上非常にまずい問題になる、そこで、いま私が考えておるのは、返上をしないで、やはりこういうことが現実にあるわけでありますから、これが改まらぬのであれば、町村なり農協なりがこれにタッチをして、正しい時間をなぜ入れないのか。たとえば別の角度で、この時間や何かを農協の中央会や町村役場が別の時間を収録したって、それは君たちのやったことだ、こうなっちゃうわけです。同じ調査対象農家にタッチをして、統調が何と言おうと働いた時間は全部収録さす、それを統調へ出さす、その収録を怠ればわれわれは承知できない、国会でそれを問題にしていく、そういう作業に入ろうかと私は考えておるのです。どうですか。
  36. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 私ども統計情報部でやっております生産費調査は、先ほどるる御説明をいたしましたような考え方コスト計算をいたしておるわけでございまして、いまお話しになりましたような労働時間を生産費調査の問題としていま直ちに採用いたすというふうなことは、先ほど申し上げましたようないろいろな困難な点からむずかしいのではないかというふうに考えております。  ただ、これを生産費調査の問題としてではなく、別途、政策価格等の決定にあたりまして、そういうふうなものを勘案する必要があるというふうな観点からお考えをいただくということであれば、これは生産費調査を目下やっておりますのとは別の問題として、先生のおっしゃるような問題はあり得るかと思います。
  37. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係で、あといろいろ質問をしなければならぬが、いま統計情報部長の言った、そのようなものという表現ですね。答弁は要りません。私は、そのようなものという——農家経営上、機械を買う打ち合わせ、あるいは明年度の経営設計、そういうものに費した労働時間を、そのようなもの、それを生産費に収録するには問題があるという考えは、まあ、きょうはこの程度でとめますが、答弁も要りませんし、後日やりますけれども、それはとんでもない錯覚だ。そんな統計なら私は返上したほうがいいと思います。返上したら強制できますか。そんなくだらぬものであればやめさせたほうがいいと思う。どういう観点からそのようなものと言うのですか。大切な経営に要した労働時間です。この次またやりますから、十分検討しておいてもらいたいと思います。そのようなものという表現は私は許せぬと思います。そのようなものがなかったら、てん菜であろうと米であろうと、どうして生産ができるのですか。いま言われたそのようなものという一言の表現は、私は許すことができない。何がそのようなものですか。けしからぬ話だと思います。次に、もう一点お尋ねしますが、保証乳価の試算が行なわれたときに、飼料作物生産労働、これは雇用労賃を対象にして二百八十五円というのであの試算ができたわけですね。下がちょっとついておりますけれども、円で切れば二百八十五円、これは統計が出したのですね。統計数字は違いますか、それとも統計はこの数字か。これはビートじゃないですね。加工原料乳地域における飼料作物生産に要する労働費は、雇用労働計算をして二百八十五円、これはどうですか、統計が出したのですか。
  38. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 統計情報部で調査いたしました牛乳の生産費調査に基づくものでございます。
  39. 美濃政市

    ○美濃委員 そこで、四十九年度の作付見通しについてお尋ねいたしたいと思います。  先ほど聞いておりますと、道庁は二月ごろ六万ヘクタールというのを出した。もうすでに四月を迎えまして、各糖業が契約に入っておると思うのです。この段階で、おそらく砂糖課長なりあるいは審議官は——春先ずっと契約するわけですから、どういう作付動向にある、契約動向にあるというのは黙っているはずはない。何万何千ヘクタールというのはまだまとまってないけれども、おおよそどのくらい作付減になるだろうとか、その糖業から来る動向というものは、事務当局は掌握しておるわけですか。それを聞かしてもらいたい。
  40. 永井和夫

    ○永井説明員 私どもビート業界から非公式に話を承っておるところでは、業界側が農家側の意向から推計した数字は、前年度約二二、三%減、まあ計算いたしますと五万町歩を若干切る数字というように話を聞いております。
  41. 美濃政市

    ○美濃委員 これは、実際はどうなりますか、道庁の見方は甘いと思うのですね。その二二%減も、かなり前進した価格が伴わなければならぬでしょう。相当大幅に引き上げられた価格前提となってそういうことじゃないですか。その間の動向は、事務当局はどう察知しておりますか。
  42. 永井和夫

    ○永井説明員 これは、先生御案内のように、毎年いまごろになりますと、道庁、それから会社、それぞれの立場において、本年の作付というものを調査いたしますが、本年は、農家作付意向というものをそれぞれのお立場においてもなかなか把握しがたい状態であるという一般的情勢を伺っておるわけでございます。そういうような中におきまして、会社側が、それでもこれくらいの数字ビート作付として見込めるのではないかということとして推計した数字というふうに私ども聞いておりまして、価格関係がどうこうというようなものがその前提となっておるというふうには私どもは了知しておらぬところでございます。
  43. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、糖業はあなた方に遠慮をしてそれを言っていないんだろうと思うが、これはあくまで価格前提となります。そういうことはあり得ないことでありますけれども、たとえば現在の価格で据え置いたとしたら、てん菜は崩壊します。これは酪農と同じですね。五〇%の作付を出ません。据え置いたとしたら、もうほとんど作付がなくなってしまいますね。たとえばこの前もサトウキビのときにいいましたが、農林水産委員会で八重山群島とか宮古島へ行ったら、もう生産量は復帰前の半分ですからね。砂糖畑に雑草がはえて、サトウキビは半分荒廃しておるわけだ。同じようになりますね。そういう状態が起きてからでは、去年のサトウキビの価格はかなり前進的な政策をとったけれども、特にサトウキビというのは作付が多年性の関係もあり、片や放棄して出かせぎに出ておるわけでありますから、生産需要というのがもとへ直らぬのですね。そうすると、甘味対策とかあるいは国内農産物需給の向上とかと言ったって、そういう政策のアイデアとうらはらに、どんどん国内生産は減退して、そうして優良農地が荒廃していく。これは現実に現象が起きておるのですな。われわれ現場を見てきたわけで、ない話を言っているわけじゃないのです。私一人じゃございません。当時の委員長以下、各党数名の委員が行って確認してきておる事項であります。そういう現実が起きますよ。  そこで、このパリティの問題でありますが、この価格はパリティを基準にするという法律でありますから、私はパリティをたてまえにしてお聞きしたいと思いますが、過般出ました甘味資源審議会の資料等によってみましても、四十年から四十八年については、四十年の一年間の平均パリティ指数が一五九、四十八年は一月から十二月までの平均パリティ指数が二六〇、この九年間に指数にして一〇一上がっておる。それで先ほどもお話がありましたように、価格決定のときにパリティで計算するところには矛盾がある、パリティそのものは安い価格しか算出されないという、その指数すら抑制しておるのじゃないですか。私が一〇一の上昇指数で計算すると、ことしきめる価格じゃないですよ、四十八年のてん菜価格は一万四百八十円と決定されてあるべきであった。特にものすごく物価上昇で変動してきたから、乳価と同じように私ども生産価格を年度内改定をやれと、この委員会で要求をしたけれども政府は実現をしなかったということですね。去年の生産価格は年度内改定を必要とする条件下にあった、こう言えると思うのです。だから私どもは、年度内改定をやれという要求をしたわけです。再告示をやりなさい、実情に合わない価格である。で、ことしの政府試算のパリティが出てきてみて私どもの要求は正しかった。九年間のパリティを通算して掛けたら一万四百五十円だ。それに対してさらに、この資料には昨年の一月しか出ておりません、二月、三月は出ておりませんから、一月のパリティを対比してみると、四十八年一月パリティは二三六、四十九年一月パリティは三〇二ですね。この一年間にものすごい石油問題等も加わって、物価狂乱、そういうものが全部加わって実に三〇二です。   〔山崎(平)委員長代理退席、安田委員長代理着席〕 これは過去九年間は、一年間にパリティ指数にして一〇ないし多い年で一三ぐらいの上昇であったけれども、ここへ来て、四十八年一月と四十九年一月対比の中で六六も一挙に上がっておる。過去の五年分ぐらい上がっておるということですね。過去九年間の五年分ぐらい一挙にパリティ指数がはね上がっておる。これはものすごい。もうこのとおりだと思うのです。指数からいうなら、この指数は正しいと思うのです。とにかく過去五年分のパリティ指数が、一年間の対比の中で一挙にはね上がってきておる。  それから先ほども統計のほうと話しましたけれども、依然として問題は、パリティの指数よりも価格要件から、農家が所得を得る手段として耕作ができないという原因が起きてくるのは、やはり私は労働評価にあると思う。四十年もニコヨン賃金です。私どもはもうずっと、ニコヨン賃金でどうするのだということは、価格政策に入ると毎年言っておることなんです。ですから四十年当時からこれが他産業並み労賃、いわゆる五人規模以上製造業労賃で生産費計算されて、それにこの上がるパリティが法律上あまり参酌事項を入れないで、特に経済事情を参酌しておるわけですが、そういう参酌事情を強く働かさぬで、すなおにパリティを掛けてくれば、私はパリティでも、今日のような生産破壊の現象が起きるような、もう農家がその作目を選択して所得が得られないから生活ができないという現象は起きないと思うのです。いままでの価格決定のときには、ものすごく安いいわゆる雇用労賃で計算した生産費、パリティ指数すら抑制をするわけですね。ここで私が過去九年間の修正をすればそうなる。本年度あらわれておるハリティをそのままに掛けて、そうしてことしの決定はさらにもう生産規模も——私は崩壊が起きたら早いと、こう申し上げたのは、前は生産戸数が多かったわけです。いまてん菜は、昨年は六万一千ヘクタール余の耕作でありますけれども、四十四年と四十八年の四年間対比の中においても、四十四年はてん菜耕作した戸数は三万八千八百戸、四十八年は二万六千六百七十戸ですね。これはこの資料で言っておるわけなんです。あなた方が出しておる資料なんです。そうすると、一万二千百三十戸減少しておる。一戸当たりの作付面積は、四十四年の一・五一ヘクタールから二・三一ヘクタールと拡大されておる。この経営が大型化していくということは、ものすごく機械の設備投資が伴いますから、たとえばアメリカ農業を基本にとってみると、アメリカ農業は、いわゆる労働費以外の農業生産の必要経費というものは七〇%、そのかわり面積が大きいから、比率は低くても大規模経営ですから、その三〇%の所得というものは大きいですね。ECを調べてみると、面積が小さいですから、大体必要経費五〇、労働費五〇というような計算体系になっておるようですが、規模拡大をすると投資が伴って、コストが下がるかというと、規模拡大の措置は、土地購入に対する資本利子あるいは機械を導入した利子で、労働時間は短縮されても、コストはあまり下がらないわけですね。経営費の増大によってコストは下がらないわけです。規模拡大をした直後というものは非常に高いコストになっておる。ですから対応ができない。価格政策がその背景をしてやらなければ経営持続の対応性に欠けてくるわけです。  このことは、たとえば労働費五〇%、必要費五〇%ですと、農家ですから、多少生活をしますとすれば、また食料や何かの自給要素もありますから、低農産物価格に対して、全然安いものじゃだめですけれども、政策収奪をやられて、理論計算から見ると——また一面生産性も低いですから、手労働になって、オートメーションの工業過程の生産等から見ると、生産性比較ではかなり低いですから、とてもオートメーション化した工業の規模の生産性からずいぶん——農業、第一次生産と工業過程と完全比較をすべきものではないけれども、そこで五人規模以上製造労賃が適用できないという政策上の問題も出てくるでしょう。そういう段階においては低農産物価格に対してがまんできる対応性もある。しかし、そのことが今日離農を促進してきたということ、対応性の限界を越えてどんどん離農してきて、その離農したあと地を引き受けて大型化してきておる。開発されて大型化したよりも、離農によって大型化してきておるわけですね。開発された分は少ないわけです。  そこで、資本構成がなって、先ほど申し上げたように資本構造が条件になってきておりますから、ここでこれだけ大型化して、たとえば昭和四十八年度において、四十年当時は十アールにすれば八十時間、ヘクタール当たり八百時間を要しておった労働時間は、機械化、大型化によって五十時間をちょっと切ったんですね。四十八時間ぐらいでしょう。五十時間はちょっと切れた。まあ五十時間と言ってもいいですね。そのくらい合理化してきておるわけですね。それにはものすごい資本投資を伴った。ただ昔と同じ手労働でやって、十アール当たり省力化ができたというのじゃない。そうすると、そこまで生産性をあげてきたんですから、労働費は、ここまで農業の規模が拡大し、生産性があがると、やはり私はここでもう五人規模以上の労賃を、少なくともあの農業基本法というものを農民殺しの法律でないというのであれば、一番強くあの農業基本法でうたっておるのも所得均衡です。この段階で他産業との所得均衡の政策をとるべきである。雇用労賃ではだめだ。私は統計の——私のところの組合員ですよ。自作農家に聞いたら、しゃにむに書かされるというのですね。この付近の臨時雇用賃金を書きなさい、あなたのところで雇っていなければ、隣で雇った臨時雇用賃金を聞いて書いてくれ、こう言うから、統計情報事務所の言うとおり書いて出しております。その臨時雇用賃金というのは、てん菜耕作地域においては町の奥さん方にこれは頼みに行くわけです、除草がどうしても足らぬから来てくれといって。何も持たないで、町の奥さん方がいささか出て働けば家計費の足しにもなるし、それよりも強く頼まれるから、それなら私でもよければ行きましょうか、たいした仕事はできませんよ、あなた方の半分もできませんよ、よろしゅうございますか。それでもいい、とにかく除草をいまやってしまわなければどうにもならないんだから……。こういう賃金なのであります。それを調査して、この労賃でいいんだというのが、いままで公表されている生産費であります。それをまた皆さん方は、これを決定のときには、てん菜の四十八年の生産費はこれですとまことしやかに振りかざすわけだ。これだけしか生産費はかかっていない。あの振りかざす生産費というものではやれないですよ、こんなもので。  たとえばてん菜を十ヘクタール耕作するとなると、大体五千時間ですね。十ヘクタール作付したと推定した場合ですよ。そしてあの生産費で出てくる、いまおそらく加工乳も八〇%があの北海道ですから、二百八十五円というのはてん菜のほうの収録と、乳価のほうの収録と、二円や三円は違って出てくるかもしれませんが、おおよそ同じものが出てくると思う。どうですか。五千時間の労働時間といったら他産業の倍ですよ。他産業の倍働いて、やっと百万の所得しか保障されないというようなもので、どうして経営がやれるのですか。最近北海道の保健所が農村婦人を健康診断してみたら都会の御婦人よりも十年間早く老化しておるんだな。十年間も老化が早いというのは何なんだ。過重労働ですね。ですから、てん菜耕作者はもう疲れてしまったということですよ。ですからここでやはりそういう面を解消しなければ、もう作付は崩壊しますよ。普通の手段では崩壊します。いままでのようなあんな生産費を、これがてん菜生産費だなんて、事務当局が正面に、これが価格決定の資料ですなんて——あの中の資材だとか、肥料代だとか、収録されておる面は参考に使ってよろしゅうございます。家族労賃評価等について、これが生産費だといってあれを振りかざしてことしのてん菜価格が決定するとするならば、てん菜耕作は崩壊してしまう。沖繩の八重山群島のサトウキビの二の舞いになるでしょう。あるいは麦とか大豆とかに奨励金がついて、休耕すると有利な作物もありますから、一面、荒廃しない畑はそれにかわっていきます、ビートをやめて。それでいいのかということです。それが糖業政策なのか、甘味資源対策なのか。どういうふうにお考えになっておりますか。これは審議官なり事務当局の答弁でよろしい、あなた方が、まずいまやることですから……。
  44. 齋藤稔

    ○齋藤説明員 ただいまいろいろ御指摘がございましたが、価格の算定方式につきましてはいろいろ御議論のあるところでございますけれども、私どもは、先ほどから話が出ておりますように、てん菜北海道の寒冷地農業における基幹作物であるという点を十分認識しておりますし、同時に甘味資源の国内需給という観点もございますわけでございますから、本年度の価格算定にあたりましては、先ほど政務次官からお話がございましたように、パリティ価格基準としつつ、なお諸般のてん菜をめぐる事情というものを十分参酌いたしまして努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  45. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つは、てん菜生産には操業度というのがあって、たとえば、大幅に作付が減退すると、操業度が落ちます。操業度が落ちると、十月に買い入れする糖価は高くなるわけです。たとえば、原料が半分になる、この九工場で百万トンぐらいの原料になった、これはあなた方計算できるのですが、どのぐらい糖価ははね上がりますか。九工場で百万トンの原料に落ち込んだ、その場合、昨年は二百九十万トンですから、二百九十万トンで九工場というのは、ちょっと原料としては処理能力から見て多過ぎるぐらいの原料です。それは別としても、とにかく二百九十万トン、来年百万トンに原料が落ち込んだ、そうすると操業度の低下がコストにはね返りますから、キロ当たりどのくらいの上昇になるか、百万トンの原料に落ち込んだら。
  46. 永井和夫

    ○永井説明員 それだけ減収になれば、当然固定費の配分が割り高になりますから、コストは高くなるということが想定できますが、それだけ減収するということを想定したことがございませんので、まだそういう試算はやったことがございません。
  47. 美濃政市

    ○美濃委員 私がしておるから申し上げますと、七十五円ぐらい上がります。百万トンになれば、一キロ七十五円、操業度低下によるばね返り、計算しておらぬというから私の計算を申し上げれば——私はしろうとですから、多少、見よう見方の違いもあるかもしれぬ。しかし、そういう関連があるということは間違いないでしょう。七十五円をあなたに認めよというのではないのです。そういうふうに、百万トンになればものすごく高い砂糖になるということは承知しておりますね。それはわかるでしょう。
  48. 永井和夫

    ○永井説明員 工場の操業には、固定的な、操業率のいかんにかかわらず、必要な経費と、それから操業量に応じて伸びていく経費と、両方ございますので、その固定的な経費が、操業率が下がれば当然トン当たりの負担は多くなってくるという意味において、コストアップになるということは了知してございます。
  49. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、高い砂糖を買わなければならぬ。政府は、計算した価格で十月きめなければならぬ、一面こういう作用があります。これは単味で出てくる麦とかあるいは大豆とかというようなものになってきますと、こういう問題が出てきませんけれどもてん菜はそれが起きてくる。十月にもう一ぺんやらなければならぬわけだ。そのときにものすごいコストの高い砂糖を政策支持をしなければならぬ。これらを勘案するとき、そういう状態が起きないような対策をやっていかなければならぬと思うわけです。それは、私が申し上げておりますが、ことしの場合、これは事酪農だけでなくて、豚価だけでなくて、こういう問題は、やはり価格で吸収する行政価格が決定されなければ、それぞれの段階で生産が崩壊していく、やれませんから。他産業の人よりも、十年間も早く老化するような重労働をやって——これは道庁調査した結果ですから、公的機関の調査した結果です。こんなことまでやって、やればやるほど赤字になって借金がふえるようなことは、これはやれませんよ。だから崩壊すると私は言うのです。ですからその面を、十分勘案ぐらいじゃないです、こんなことはもう計算したらわかるのですから。私はアウトラインを申し上げておるわけです。  もう一つの問題は、これは国際糖価が下がるという前提になれば別でありますけれども、しかし、十一月の国際糖価協定は、キューバ糖が高い価格を一いまから見れば高い価格じゃなかったのだけれども高値を主張してもの別れになったままですね。国際砂糖協定価格というのはいまないわけですね、十一月、もの別れになって。どうですか、ありますか。その後できたんですか。
  50. 永井和夫

    ○永井説明員 形式的には国際砂糖協定は存続しておりますが、それはその事務局の機構を設置するだけで、従来の協定の内容でございました価格関係の条項はなくなってございます。
  51. 美濃政市

    ○美濃委員 同時に、この間私のキャッチした情報ですが、いま石油機構に刺激されて、木材、砂糖等についても、輸出国が、もういままでのように消費者国を含めた価格協定でなしに、お入り用であれはこの価格で買ってくださいという機構をつくる動きがあるというのですが、それはどうですか。木材にもそれが出てきておる、こういう情報が入っておるわけです。
  52. 永井和夫

    ○永井説明員 一部の憶測としてそういうような情報が流れたこともございますが、石油と違いまして、砂糖の場合には生産国が特定地域に集合するとか、あるいは政治体制がおおむね共通であるというような基礎的な条件が異なっておりますので、必ずしも石油のような状態にはならないのではないかというのが現在の一般的な観測でございます。
  53. 美濃政市

    ○美濃委員 しかし、そういう動きがあれば、私はそう簡単に国際糖価が下がっていくとは考えられません。かなり高い率で変動するであろうということは、現況から見ても言えるわけですから。その推移をいまここで論争しようというのではないが、最近までの価格だと、おかしいと思うんですね。片や通産大臣は国会できびしい物価対策の中でも、メジャーがやかましいし、とにかく国際価格は上がったのだから、石油の値段を上げなければ需給の責任が持てないということで田中総理以下にがんばったでしょう、石油値上げを。遂に普通ガソリンは、いまリットル百円ですよ。農林大臣はそんなことをやらないんだな。念仏みたいに——まあ、うんと下がればいいんですけれども、いままでのように二百四十ポンド、二百五十ポンドの時代でも百三十八円というまぼろしの指導価格を掲げておる。輸入した粗糖に精製経費をかけたら原価が二百円もするときでも小売り百八十六円というまぼろしの指導価格を掲げておるんですね。おかしいと思うんだ。まぼろしなんだから。そうであれば、財政から、いわゆる糖価安定事業団にその差額を財政補てんをして、輸入糖に補てんをして、どうにかやれるだけのことをすれば持続できますけれども高値が下がればよろしいのでありますけれども高値が持続した場合には、これは砂糖は切れますよ。七月ごろになったら砂糖がなくなってくる、やれませんから。あの高い時分に——ちょっと前です。私は覚えておりますが、買った砂糖をほかへ売ればキロ当たりにして三円、四円利益が出る、国内へ持ち込んで加工したのでは、あの指導価格に押えられて、流通局長通達で、値上げをするときには事前了解をとれなんかと言われて、こづかれてこづかれて損するよりもほかへ売ってしまえ、国内へ持ってきておるべき砂糖をたらい回しに国際市場へ売っておるメーカーもある、そのおおよそのトン数も私は覚えております。そういう行為が行なわれてくると、高値が持続した場合は七月に入ったら砂糖がなくなる、需給上切れてくる。切れれば、砂糖ですから三百円でも四百円でも、市場が切れてきたらすると思うんだな。だから、そこらのいわゆる物価対策上、押えるならば押えるだけの責任を持ったことができていない。通産大臣は、油の値上がりに財政負担ができないから上げるといってがんばった、物価対策のあのやかましい国会の中でも。農林大臣はまぼろしのごとき政策を後生大事とかかえ込んでおる。これはどういうことなんですかな。私はおかしいと思うのです。政務次官はおるけれども、まあ答弁は要りません。答弁はなかなかしづらいと思うし、答弁すれば何かいちゃもんをつけたような答弁は聞きたくもないですから、言うだけ言うておきますから。よく反省してもらわなければならぬと思うんだな。  そこで、私は、時間もだんだんなくなってまいりましたが、やはりこういう質疑を——私がきょうせっかく宮下主計官に出席をしていただいておるのは、こういう事情にあるということを、これから農林省が持ち込むわけだから、聞いておいてもらうのが主体で来ていただいておるわけです。しかし、こういう事情にありますから、まあひとついろいろ事務当局説明しておりますが、これから農林省から持ち込まれていきますから、それを大蔵省としてあまりちびらぬように、担当主計官として積極的に、生産破壊が起きないようにひとつ——農林省が度胸がなくて持っていかぬものまで大蔵省で上げろと言ってもらわぬでもいいけれども、持っていったものだけは、よし、話も聞いておるし、事情はわかった、こういうふうに処理してもらいたいと思います。ちょっと腹がまえを一言お聞きしたいと思います。
  54. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  農林省からまだてん菜糖価格について所要の資料なり御相談が参っておりませんけれども、参りましたならば、法令の命ずる手続によりまして、実態的な内容をよく見きわめた上で適正な価格算定をいたすように努力いたしたいと思っております。
  55. 美濃政市

    ○美濃委員 最後に、申し上げましたように、法律がパリティでありますから、パリティを否認してもいま間に合わないわけであります。ですから、私は、ここで整理をして申し上げておきます。  四十年以降の抑制したパリティ指数は、ことしの価格決定にあたって修正加算をすること、抑制するということはけしからぬわけです。それと本年度パリティはストレートですること、それをやっても他の作物との均衡その他糖価事情から見ても、ことしは糖価事情のマイナス、経済事情のマイナス、他作物奨励金がつくものはつき、そういうものから比較してきても、この段階ではてん菜は全く不利に落ち込んできておりますから、この価格決定で回復すればいいですけれども……。ですから、そういうものを反映する。それから家族労賃評価については、先ほど申し上げたように、いわゆる実情に合わない雇用労賃は、それは統計所が機械的に収録しておる労賃でありますから、ことしはあの統調の生産費資料というものは表に出さないようにしてもらいたい。あなた方が内部材料として使うことまでとやかく言いませんが、これが生産費だなどといって、あんなものをこの委員会には出さないようにしてもらいたいと思う。それでは全く崩壊してしまいますから……。家族労賃は、はっきりとこれだけ規模拡大もしておるわけです。生産性も十アール当たり三十時間も合理化しておるわけです。ここで五人規模労賃を適用すること、これを強く要請して、いま、そうしますという答弁を取りつけようたって言いっこないのですから、変な逃げ答弁をもらうよりも、絶対これだけは確保してもらいたい。それができなかったら、やはり渡辺さんもりっぱな政務次官ではないという評価になります。  以上、申し上げまして、私の質問を終わります。
  56. 安田貴六

    安田委員長代理 島田琢郎君。
  57. 島田琢郎

    島田(琢)委員 限られた時間でありますから、効率よく進めていく意味で、私も端的な質問をしますから、お答えくださる場合も簡潔にお答えを願いたいと思います。  大体昨年以来ビートの問題につきましては、おりあるごとに私の考え方を申し上げてまいりましたし、またことしの二月以降も、かなり詰めた話をここでもしてまいりました。いよいよ近く四十九年のてん菜原料価格の決定の時期を迎えているわけでありますが、あらためて総洗いする意味で、美濃委員と重複しないように努力をしてまいりますけれども、多少いまのやりとりの中でも明確にならない点もありますから、若干その点を繰り返して当初お尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、第一点でありますが、いま美濃委員からビートの合理化という問題について議論がございました。過去五カ年計画をもっててん菜生産砂糖生産の合理化目標計画のもとに進めてまいったわけでありますが、しかし、私は振り返って、この合理化目標計画というものが今日のビートの危機を招いたのではないかという、功罪の罪の部分を強く指摘をしたいのであります。したがって、この合理化目標というものの今後におきます取り扱いというものは、きわめて慎重でなければならぬということがいえると思うのですが、ここでお聞きをしたいのは、ここまで合理化を進めてきて、将来どこに一体めどを置いた合理化の一つのボーダーラインを引こうとお考えになっているのか、その点をまず明確にする必要があると思いますので、お尋ねをいたします。
  58. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、合理化目標は五年に一ぺん改定をすることになっております。来年改定をする予定でありますが、これは国際の価格、国際の需給事情、内地における賃金、物価、それらの事情を総合的に勘案をしてきめる必要がある、こう思っております。
  59. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それだけの御答弁ではよくわからないのでありますけれども、私の言いたいのは、非常に合理化が進んだ。これはいま美濃委員からこまかに内容に触れてお話があったとおりであります。私は、この合理化目標五カ年計画などというものは、今日のような状態の中では五年先を見越すということは非常に危険がある、こう思います。したがって、むしろこの合理化計画というものはやめたほうがいいという持論を持っている一人であります。しかし、私が言いたいのは別な点であって、ここまで生産者も、そして糖業も真剣になって合理化を進めて、とにかく国民の皆さんに安い砂糖を供給しようと努力をしてきた。しかし、人間のやることでありますから、非常に限界があります。たとえば経営をやっている農家の側からいえば、先ごろ三十時間以上のいわゆる労働時間の短縮が行なわれた。これだってたいへんな努力であります。それから面積確保するということにもたいへんな努力が払われてきた。そして驚異的な反収をあげるまでになった。私は、この辺がもう言ってみれば、一つの合理化の限界線ではないか、こう思うのです。ですから、せっかくここまでみんなが努力したことに対して、一つの形になるものを還元していきませんと、ビートはいままでのような状態面積確保もできないし、また安く砂糖を供給することもできないというせっぱ詰まったところに追い込まれてきたというのは、私は、言ってみればこの合理化計画の罪の部分に属しているのではないか、そういうふうに考えているものですから、私はこの合理化目標計画というのはむしろ今後は持つべきではない、そういうふうに考えて、いまこの計画をどう取り扱おうとされるかをお聞きしたのであります。たまたま糖価安定事業団の月報で、正月の年頭のあいさつで池田局長がそのことに触れております。いま次官がおっしゃったと同じことを言っています。しかし肝心なことは、合理化が一体どこまで進めばそれで満足だというかという点が明らかでない。まだまだ合理化させるという考えがあるのではないかというふうに実はこの池田局長のあいさつも、あるいは次官のいまのお話の中でも、そんな感じがするものですから、一つの一定の限界というものに今日達しているのではないかという私の考えを述べて、そのことに対してお考えをお聞きするわけであります。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 当然、合理化の計画を立てるにいたしましても、私が先ほど言ったようなことを無視してやるわけにはいかないのであります。  それからもう一つは、やはり生産費を割るような合理化を進めたって、ついてくるわけがないのでありますから、当然生産費は尊重されなければならぬ。だからといって、大型化、大規模化するという段階において、農民みずからが知恵を働かして時間の短縮を行なっていくということは、当然あってしかるべき問題であります。だから、そういうようなことをよく勘案をして、来年の改定にあたっては、それは適当なものにきめていこう。いままでも合理化目標はあっても、それにだけしがみついて一銭一厘も譲らぬということでなくて、弾力的にやってきたわけです。まして今度のように予想外の国際的な物価狂乱というようなことがあって、それがある時期を過ぎれば、大体高位安定なら高位安定でどこかで落ちつきの見通しが出てくるわけですから、それともにらみ合わしてこの合理化価格はきめる必要がある、こういうことを御説明申し上げたわけでございます。
  61. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それでは、いまの議論を踏まえて、砂糖の国内の自給率をどこに置けばいいとお考えでしょうか。
  62. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 いまのところ考えておるのは、二六%ないし二八%、できたら二八%ぐらいまでしたい、こう思っております。
  63. 島田琢郎

    島田(琢)委員 現在は、砂糖の国内自給率は幾らですか。
  64. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 おおよそ二〇%。
  65. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いま次官のおっしゃっているお考えからいえば、あと六ないし八%自給率を上げていかなければならない、こういうことがはっきりしたわけであります。そうしますと、そのための手だてが今度は必要であります。それと同時に、現状のきびしい生産地帯におけるビートに対する意欲とか、そのほかの経営上の諸問題というものの解決をしていかなければなりません。その自給率に上げていくための必要なビート価格は、どの辺と考えていますか。
  66. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 まあビート価格がどの辺と一ぺんに言われてもなかなかむずかしいのですが、御承知のとおりいままでビートは悪い悪いといわれながらも、昭和三十年に一万六千ヘクタールしかなかったものが、三十五年には四万三千、四十年には五万三千、あるいは四十五年には五万四千、四十七年には五万七千、四十八年六万一千、非常に順調に来たわけです。その間において、極端に悪ければ、こう順調に来るはずがない。そこで値段の問題も、先ほどからいろいろ言われて、統計部の生産費はでたらめだ、いろいろなものが入ってないじゃないかというおしかりを受けておるのですが、実は統計部の生産費は、たとえば四十七年度で見ると、実際に価格をきめるときは、大体ことしは七千十三円ぐらいの生産費じゃないかなという推定生産費でやった、ところがあとで調べてみたら六千三百十二円だったというようなことで、かなりゆるみがあったわけです。   〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、実際にきめた生産価格はそれじゃ何ぼだったかというと、そのときには八千二百五十円にきめておるわけです。ですからかなり生産費についてもゆるみがあったのですよ。四十八年度の分についても、実際の去年の推計は七千五百六十五円という推計をしておる。ところが、統計調査部が現実にはじいて積み上げてきたものは、実際は七千円をちょっと出たぐらいのところに、まだ発表してないがなるだろう。そのときにきめた砂糖値段は八千五百六十円だった。こういうことで、いままではよかったんだが、何でそれじゃことしが非常に減ったんだ、六万一千ヘクタールのものが六万二千とか六万三千とかなるならいいけれども、どうも六万ぐらいになっちゃうんじゃないか、あるいはそれよりも幾らか切れるんじゃないかという心配があるわけですね。その心配の手当てというものは、われわれはわれわれなりに考えておりますが、皆さん北海道におって、現実に自分でもつくっておるし、よく見ておるわけですから、麦が高くなり過ぎて麦のほうへ行っちゃったのか、米がいいというので米のほうへ行ったのか、また逆に転作でもとへ戻ったのか、あるいは草ぼうぼうに放置してあるのか、酪農の乳価が高くなるそうだから牧草のほうに行ったのか、これはいろいろあるはずです。ですからそういうような問題とにらめて、これは農産物価格同士の問題もあるものですから、やはりほかが高くなっちゃってこれだけが押えられるということになれば、当然それは有利な作物に行くのがあたりまえなんで、減るということになりますから、これはほかの作物とのバランスも考えてきめていく、わかりやすくいえば、そういうことがふやす方向としては大切ではないか、こう思っておるわけです。幾らがいいんだということはこれからの議論ということになるわけです。
  67. 島田琢郎

    島田(琢)委員 次官に私はなぜそれを尋ねたかといいますと、二月二十八日に私は次官と議論をいたしました。その前に倉石大臣と、自給率をどこら辺に持っていこうとお考えですかという質問をいたしましたら、いまの次官と同じように、やはり国際的な状況などを考えると、二八%程度に国内産糖の自給率を上げていかなければならないだろうと、きわめて明快にお答えになり、政府部内は一致して二八%の自給率確保とお答えになっている。しかし、現況たいへん私は心配だから——そうしたお答えに現地の状態はなっておらない、それを受けて耕作ができるという状況になっていないから、その面を打開する一つの方法として、例年のように四月十日の告示期日に固執せずに、早い時期にことしのビート価格をはっきりわかるようにしてくれと言ったけれども、何とかほわっとでもわかるようにしたいからと、こうおっしゃって、しかも、三月の十日以降になるともう種まきが始まるので、その以前にしてほしいということを言ったら、次官は、男の約束としておれはそれを約束すると、きわめてこれまた明快に男同士、政治家同士の約束をしたのです。ところが、今日に至るも、私は、次官がおっしゃるように、曇りガラスであっても、通して見えるような状態さえもないのです。わからない。いまは、だから単刀直入、もうあれから一カ月以上たっているのだから、次官としては、今日の自給率をこう上げていく、北海道の六万一千ヘクタールを確保するばかりか、それをさらに上げていかなければ自給率確保はできないということがはっきりしたのであれば、もうあなたのお考えの中に、ことしのビート価格はおそらくきちっとお持ちになっていると思うから、私はきわめて単刀直入に、それではことしのビート価格をどのくらいにしようとお考えですか、こう聞いたのであります。お答えになっていないので、もう一度お聞きをいたします。
  68. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 だから、私が言ったのは、いままでのようなやり方ではだめですと、何となく、それとなくわかるように、自然に、それはわかっているからみんな作付しているのですよ。何となく、それとなく、ということは、御承知のとおり、いままでの値上げ幅というのは、見ておると、四十七年から八年で二百六十円、四十六年から七年がトン当たり二百五十円、四十五年から六年がトン当たり二百四十円、その前が二百六十円、その前二百四十円、その前二百七十円と、大体二百五十円から七十円ぐらいしか上げていないのです、これは。ずっと伸びてはきたけれども、上げていない。しかしいずれにせよ、物価が非常に上がって、パリティも上がって、パリティ等ばかなりのところにいっておる。だから、いままでのような計算で二百円だ、三百円だなんというものではない、何とかそればもっと、ともかくもう台違いの上げ方だな、百円とかいうのでなくて。台違いですよ。そういうようなことで、大体腹の中には、まあうまくいったらば大台に乗るのじゃないかなという人も中にはありますよ。ありますけれども、当たらずといえども遠からずぐらいの、ともかく九千円以上にはなるだろうというぐらいのことは——これはもう何となく、一番下でも九千円ぐらいにはなるだろうというぐらいのことは、それは、九千円になったとすれば、もう倍ぐらいになっているわけだから、いやいや、もっとだ。一番下でもの話ですよ。だから、それよりももっと上がると、少なくとも千円以下というようなことではおさまるまいと、私はこう思って、団体の人なんかには、それとなく気がつくように、何となくわかるような話はしてきているんですよ。だから男の約束は、最初から、幾ら幾らにしますとは言えませんよと言ってるんだから、これも約束守って言わないわけだ。だけれども、何とかそれはわかるようなことはちょろちょろっと漏らしておるということは事実なんです。
  69. 島田琢郎

    島田(琢)委員 しかし、肝心かなめの私はわからないんです。次官、私は先ほど合理化目標価格、いわゆる合理化計画というものを否定したのはそこにあるのです。三%、二%台の上げ幅しかしてこなかったあの結果が今日の危機を招いた。だからことしは自給率を二八%台に上げていくための、いわゆる初年度のとっかかりとして、たいへん重大な年です。だから、その価格決定にあたって云々ということも、この前申し上げたとおりなんです。何となしにわかるというけれども、みんなわからないから北海道ビート耕作農民はいま大混乱をしているんです。六万ヘクタールが切れるぐらいだなんというような、そんな現地の情勢ではございません。私は、五万ヘクタールを確保できるかどうかさえ困難だといま見ています、価格の決定いかんによっては。ましてや、いまのお話のように、台が違う。私は、あと、一万円の台で違うというんなら別ですけれども、三百円が千円との違いなら、幾らも差がないじゃありませんか。それじゃ、とてもいまのビートはつくれません。もうすでにいままでもお聞きもしているでしょうし、私も行ってまいりましたが、生産者側の要求というのは一万五千円という要求価格を出しているんですね。九千円だの一万円だのなんという価格でことしの六万一千ヘクタールの確保ができるというふうにお考えなら、これはたいへん甘い情勢分析といわざるを得ません。決してそんなものじゃありません。もっと深刻です。その辺はどうしても、一カ月たって今日もなお議論しても一致しないのがたいへん残念に思いますし、そういう点をきちっと踏まえてこれからの砂糖の政策が進められていかないと、これはひとりビートだけではなくて、沖繩のサトウキビも含め、国内の自給率の現状二〇%を維持することさえ困難だ、私はこう思うのです。  そこで、話題を変えてまいりますが、それでは、ことしの価格算定にあたって非常に留意すべき点として、四月二日の甘味資源審議会ではたいへんな議論があったとわれわれ承知をしております。この審議会における重要な論議の部分はどの点とどの点ですか。
  70. 齋藤稔

    ○齋藤説明員 いろいろな御議論があったわけでございますが、中心になりましたのは、これはあとで申し入れということで御意見をいただいているわけでございますが、自給率向上のために、農家意欲を盛り上げるという意味合いで、価格算定方式を生産費所得方式に改めるように法律改正をすべきである、その趣旨で本年度のてん菜価格の算定も十分検討すべきであるという点が一つでございます。それからもう一つ議論になりましたのは、審議会のあり方といいますか、これをもっと、たとえば個別価格の算定等につきましても諮問をしたらどうだというような御意見が各委員の方から出ております。要点は以上でございます。
  71. 島田琢郎

    島田(琢)委員 その第一点の、生所方式に試算方式を変えろという議論は、これは非常に重要な部分であります。それはどういう議論の過程を経てそうした意見に集約されたのか、その背景をお話し願いたいと思います。簡単でけっこうです。
  72. 齋藤稔

    ○齋藤説明員 これは従来からも御議論としては出ているところでございまして、そのほうが値段が上がる、そういう御認識が背景でございます。
  73. 島田琢郎

    島田(琢)委員 単に値段が上がるという発想のもとに、その手だてとして従来のパリティ方式を生産費所得補償方式に変えろという、そういう単純な議論ではないと私は思うのです。いかがですか。
  74. 齋藤稔

    ○齋藤説明員 それは先ほど申し上げましたように、基本的には、自給率の向上のためには価格の点を現状の方式ではなくて、そういう方式に変えるべきであるという御見解でございます。
  75. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、先ほどの自給率といい、今日の国際的な砂糖状態、そしてその影響下にある日本の砂糖状態、こういうものが一つ現状として認識が必要になってまいります。  そこで、私は、国際糖価の問題について少しお尋ねをしておきたいと思うのですが、たとえばロンドン・デーリー・プライスは、現段階では、最も最近時で幾らになっていますか、そしてその見合い市価は幾らになりますか。
  76. 永井和夫

    ○永井説明員 昨日現在で現物相場が二百ポンドでございます。これをメーカー出し値に換算したらどうかというお尋ねだと思うのでございますが、これはいろいろ途中からのコスト、あるいはポンド相場等の見方がいろいろございますが、一応の前提を置きまして計算いたしますと、大体百七十七、八円前後、こういうことになろうかと思います。
  77. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうすると、見合い市価から見て小売り価格は大体想定されますが、どれくらいになりますか。
  78. 永井和夫

    ○永井説明員 これも流通段階のマージンをどの程度見込むかということが前提になりますが、大体二十五円ないし三十円というふうに見込めば、それを加算した額ということに相なります。したがいまして、百七十八円前後と考えればまあ二百二、三円から十円内外というものになろうかと存じます。
  79. 島田琢郎

    島田(琢)委員 先般、百八十六円という標準指導価格を出されましたが、そうした点を十分考えてこういう指導価格に決定をされたのですか。
  80. 永井和夫

    ○永井説明員 さきに二月から各メーカーに対しまして価格抑制を指導いたしておりますのは、十一月の東京の小売り物価指数百八十六円で指導をしておるわけでございます。ただ、これに関しましては、むしろ従来の糖価安定事業団の売買操作を通じております当時の実質的な原糖コストというものは、大体トン当たり、関税込みにいたしまして九万五千五百円というものがメーカーコストになっておるというような状態、それのランニングストックなり、あるいは物価問題等で御議論がありますように、昨年末におきましては異常な物価高の中においてメーカー出し値も引きずられて高くなりまして、相当程度高値の出荷がある程度あったということで、メーカーのその間におきます便乗的な利得も相当程度あるのではないか、あるいはその間におきます原糖の手当てによる、すでに買い付けが終わっておるというような状況を踏まえて、とりあえずコスト的な計算というものは、これは厳格にはなかなか不能でございますので、十一月の価格水準ということで考えておるわけでございまして、必ずしもロンドン相場どうこうということで出しておるわけではございません。
  81. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いまの説明はよくわかっております。  ところで、それじゃ百八十六円の標準指導価格というのは、現在小売り店で守られていますか。
  82. 永井和夫

    ○永井説明員 昨年の十二月の小売り物価指数が二百二十九円、本年一月が二百二十七円、二月が二百七円、それから三月に入りまして百九十三円と、漸次鎮静してまいったのは、この標準店によりますところの価格指導が普及してまいったものというふうに考えておるわけでございます。
  83. 島田琢郎

    島田(琢)委員 守られていますかと聞いたのです。
  84. 永井和夫

    ○永井説明員 これは全店に百八十六円で凍結するという趣旨ではなくて、標準店を指定いたしまして、そこで百八十六円で売るということと、その標準店の数を拡大する、そしてその誘導効果によってそれ以外の店の価格も引き下げるということをねらっておりますので、御質問に端的にお答えすれば、標準店においては価格は守られておる、こういうお答えになろうかと存じます。
  85. 島田琢郎

    島田(琢)委員 標準店をふやすという作業は進んでいるかどうかも聞きたいのですが、その波及効果によって他の小売り店も同じように値下げがされているかという点については、私は調査不十分と見ます。私も現に砂糖を買っております。しかし相当高値で、ほとんど値下がり気配さえないというのが現況です。また、それがほとんど定着しつつあるというふうに見るのが至当な見方ではないかとさえ私は思っています。その見方はどうですか。
  86. 永井和夫

    ○永井説明員 まあ、全国に小売りの数も非常に多いわけでございますので、全体的な状態をつぶさに存じておるわけではございませんが、少なくとも首都圏をはじめといたします四大消費地、あるいは札幌等の、比較的工場にも近く、消費の度合いの高いところを中心として、各県庁所在地等地方の中心都市に波及させ、なお漸次その県内の他の地域にも及ぼすという方向でやっておりますので、地域によりましてはまだそういう形の普乃度が低いところもあろうかと存じますが、先ほど申し上げたように、東京の小売り物価指数が漸次落ちついてまいって、三月には百九十三円までまいったということは、相当程度の普及があるというふうに私ども見ておるわけでございます。
  87. 島田琢郎

    島田(琢)委員 先ほどロンドン・デーリー・プライスの動きというものをお尋ねしたのでありますがこれは下がっていくという傾向にありますか。
  88. 永井和夫

    ○永井説明員 現在、ロンドンの現物相場は、非常に大きな乱高下を行ないながら、二月二十二日に二百七十四ポンドを境といたしまして、下り幅のほうが大きくなり、現在、先ほど申し上げましたように二百ポンドになっておるわけでございます。同時に、そのロンドンの定期の先物を見てみますと、これも従来平穏な時期には、比較的現物と同じような高さで推移しておったわけでございますが、現在におきましては先へ行くほど先安となっておりまして、たとえば本年の十二月切りは百六十六ポンド、来年の五月切りは百三十九ポンド、これが三月の平均でございますが、昨日現在では、十二月切りが百四十六ポンド、来年の五月切りは百二十九ポンド五十というように、先物が大幅に下がっておるということは、将来は需給が安定し、現在の異常高値は鎮静化いたしていくものと相場筋が見ておるあらわれではないかというふうに考えておるわけでございます。
  89. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、いまの課長の見方と違った見方をしております。昨年の砂糖業界の動きを見ておりますと、これは国内というよりもむしろ国際的な動きでありますが、先ほどからお話があったように、昨年の砂糖の国際的ないわゆる協定というものが事実上空中分解する、パンクしてしまった、そういう状態というものが、相当以前からこの事態が来ることが予測されていた、こういうふうに見るのが私は至当と考えます。ですから、昨年になって突然これが起こったというのは、必ずしもあるとっぴなできごとではなくて、かなりそういう状態が起こり得る可能性を持ちながら、それが昨年になって一つの現象になってあらわれてきた。それが一つの安定といいますか、定着した状態になり、あるいは膠着状態になって、これからの世界の砂糖の動きというものは、その様相を一変するであろうし、また一変してきたわけですが、それがまたぞろもとの形に戻るという見方は、きわめてこれは甘い見方であります。砂糖ですから甘いといったって、砂糖の現状はきわめて苦い方向に向かっているというふうに私どもは見ています。  その一つのあらわれは何かというと、昨年になって記録的にあらわれてまいりましたのが、実はこの生産量と消費量の見合いであります。ほとんど生産量に匹敵する消費量が出ている。すなわち、七千七百五十万トンの生産量に対して、昨年は、一年間の単年度で見ますと、生産量をオーバーする七千八百八十万トンの消費が行なわれた。一年間の生産量で実は足りなかったのであります。そして従来の砂糖の常識からいえば、在庫率というものが非常に大事になってくるのです。それで期末在庫を見てまいりますと、千五百五十万トンの期末在庫というのは、史上初めて、実は二割以下に落ち込んだという年であります。こういう状態というのはこれから先も、いわゆる消費の伸び状態を考えてまいりますときに、かなり続くと見なければならぬと思います。そうすると、実際的には砂糖の危機状態は、依然解消される見込みがないというのが今日の大かたの見通しであります。したがって、そうしたものがかなり国内の砂糖に大きく影響してきて、今日の砂糖高、あるいは定着しつつある、かなり高値水準の砂糖というものの元凶がそこにあるというふうに理解をしておかなければならぬと思うのです。  そこで、私は、最近外務省からですけれども、各主要な一次産品の貿易の実態について報告を求めました。その中の砂糖で、外務省はこういう見方をいたしております。値上げの関係でありますけれども、一九七二年と七四年の比較では、ちょうど三倍に砂糖が値上げになっている。上がっている。そうして今後もなおこの状態というものはかなり長期にわたって続くという判断を外務省当局はしているのです。大事な砂糖の窓口である農林省の窓口で、あなたのおっしゃるような見方をしているということになると、これはえらい間違いをしでかすことになりはしませんか。
  90. 永井和夫

    ○永井説明員 私どもも、従来の三十ポンド、二十ポンドというようなかつてのような値段のままに落ちつくというようなことを先ほど申し上げておるわけではございません。現在のロンドン・デーリー・プライスが示しておりますような、一時の二百七十ポンドあるいは二百五十ポンドというようなものが、先行きはどうなるのであろうかというふうに考えれば、このような水準というものはきわめて異常である。先物を見ましても百二、三十ポンドという段階のものが出ておるわけでございます。ただ、当然その百二、三十ポンドというものも、四、五年前の状態から比べれば、三十ポンドを基準にすれば、すでに四倍という値段になるわけでございますので、昔のような砂糖の原糖の異常安というような状態というのは、なかなかそこには、旧には復さぬだろうけれども、逆に、だからといって、現在の相場で出てくる非常な高値というものを前提にして、今後の砂糖値段はこうなんだということは、またあまりにも危険な見方ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  91. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これは見方が変わるということは、これからの砂糖政策、そしてまたてん菜、それからサトウキビ、こうした生産の段階にも大きな影響を持ちますので、非常に大事な点なんで、もう少し議論をしなければいけない点でありますけれども、私の持ち時間がもうやってまいりまして、たいへん言い足らず、舌足らずで、私自身も残念に思うのでありますが、ただ一つだけ、もういままで、昨年以来、特にことしに入ってから、私は政務次官ともこのビート問題をずいぶんやり合いをいたしました。私の言いたいことは、ほとんど言い尽くしてまいりました。ただ、ことしの場合、この点だけはという点が三、四点ありますが、その中の、とりわけ競合作物という見方については、基本的にこれは変えるべきだという主張だけ明確にしておきます。  従来はイモでん粉、いわゆるでん粉原料のバレイショ、こうした根菜類を競合作物として据え、その見合いの中でてん菜価格を決定するというようなことが行なわれてまいりました。私は、昨年一年間を通しての議論の中で申し上げてきましたのは、単にビートだけ、イモだけという、そういう形で北海道畑作経営が進められるべきではないんだ、輪作体系、ローテーションが組まれていく、そこに安定的に作物が組み込まれてこそ初めて畑作経営というものが安泰で、かつ確立していくものなんだ、だからその中に組み込まれるビート価格はいかにあるべきか、そうしてまた麦類はどうあるべきか、そうしてイモはどうあるべきか、また豆類はどうなんだ、こういう総合的ないわゆる経営論の上から今日のビート価格のあり方を私は主張してまいったのです。そこで、ことしは、そうした従来のイモだけを対象にしたいわゆる競合作物のとり方をしないで、全体の畑作経営が成り立ち得る一つのいわゆる基本となる問題を並べて、その中からてん菜の原料価格というものをきめていくという、そういう一つの基本的な姿勢を持つべきだというふうに考えています。課長でけっこうです。私のこの考え方は、いままでも申し上げてまいりましたから、もう長々申し上げる必要はないと思いますが、この考え方についてはことしは大いに改めるべきだと思いますが、いかがですか。
  92. 永井和夫

    ○永井説明員 基本的にはローテーション作物でございますから、一つには、そのローテーションの各作目の特性を生かして、全体として収益がどうなるかというような意味合いから、極端な議論をすれば、作物間のバランスがむしろとれなくても、収益は低いけれども冷害には強いとか、あるいは平年ベースとしては必ずしもそうではないけれども、豆のように投機的な問題もあるとかいうようないろいろな作物を織り込みながら、全体としての経営をどうするかという考え方を基本的に持つという場合もあろうかと存じます。同時にまた、各畑作のいろいろな作物を並べてみた場合に、その中でやはり収益性というものがあまりにも食い違うというのもいかがかということで、従来、比較的ビートと近い根菜類ということで、同じ甘味資源の一部でもございますバレイショをとってきたわけでございまして、これは形式的な判断の資料といたしましてそういうものをとってきました。同時にまた、畑作全体の輪作体系というものも念頭に置きながら、そういうものを判断していくということは、御指摘のように非常に重要な点だろうと思います。ただ、それを具体的に係数にどうかということにつきましては、現在、なかなかきめ手がございませんので、どうこうやるということは申し上げかねます。そういうように考えておるわけでございます。
  93. 島田琢郎

    島田(琢)委員 時間がきましたから、これで質問をやめます、次官、先ほどおっしゃったような価格では、北海道ビート面積確保はほとんど困難であるばかりか、私は絶望だと思います。また、政府がお考えになっている二八%の国内産糖の自給率確保は、これはまさに夢にすぎません。ことしこそ思い切ったそうした砂糖政策を確立する上で、しっかりとしたいわゆる価格体系をお示しになるということをぜひともひとつやっていただきたい。お願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  94. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 次に、中川利三郎君。
  95. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きのうの本委員会におきまして、私は、漁網やロープなどの漁業資材の異常な値上がりが、当局の言うような単に石油危機あるいはユーザーの買い急ぎなどにあるのではなくて、漁網綱大手メーカー数社による談合したやみ価格によって狂乱といわれる今日の状態をつくり出したことを、事実として資料によって明らかにいたしました。またこのような不当なやみ価格行為が、漁網綱大手メーカー業界では今回だけではなくて、価格の平常時、つまりこれまで何でもないとされてきたここ数年をとりましても、毎年大手数社の指導のもとに行なわれてきた事実についても、これをきのう明らかにいたしました。私の指摘に対しまして農林、通産両当局は、そのどちらの事例についても初めて聞く、知らなかったと言いながらも、すぐに事実を調査し必要な措置をとることを答えたのでありますが、これらのことはきのうの公正取引委員会の答弁にもありましたように、独禁法にも触れるので、事実とすれば重大問題であるばかりでなくて、漁網綱という漁民にとって死活にかかわる重要な生産資材に対する行政指導と、その体制の全般にかかわるものと思うのであります。同時に、資材値上がりに泣く漁民をしり目に、このような悪徳商法が日常的にまかり通っていたことは、社会正義の上からも許しがたいものであると考えるわけでありますが、きょう、昨日の答弁を確認する意味におきましても、まずもって農林次官から簡単にひとつこの見解に対してお答えをいただきたいと思うのであります。
  96. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 漁網綱の価格について、御指摘のメーカーの間における談合の事実ということにつきましては、通産省のほうにも調査をお願いいたしまして、その結果を見て対処することといたしております。漁網綱の価格の安定をはかるためには、まず原材料である繊維の価格安定がはかられなければならないのであります。主要原糸であるナイロン繊維、ポリエステル繊維などについて、当分の間価格を凍結する、こういうようなことで指導をしておるわけでございます。
  97. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 昨日この委員会で、私の質問にも申し上げましたように、これらの漁網綱の不当な談合、価格値上げの悪質商法の中心的役割りをになったのが、業界最大手のニチモウ株式会社であることを指摘しておいたわけであります。このニチモウについて若干申し上げますと、手元にある大蔵省印刷局発行の有価証券報告書七三年版によりましても、この会社は資本金十六億二千万円、株主は第一勧銀が一〇%を所有しておる、そういう状態の中で大手日水などが使う底びき網の販売シェアでは八〇%をこえる、こういう大きいメーカーでありまして、資本金が十六億二千万円なのに任意積み立て金である別途積み立て金や配当引き当て積み立て金、これらを含めまして二十四億円もある。資本金よりもそういう何というか特別積み立て金のほうがたいへんに大きいという大もうけしておる会社のようでありますが、本質問に入る糸口として、まず通産省がお見えになっておりますからお伺いしたいのでありますが、通産省は、昨日の答弁の中にもありましたように、この漁網、ロープなどの資材高に対して、まず原糸の手当てをしているんだ、こういうお話でありましたが、その効果をどう見定めているのか、原糸をどのように手当てして、その効果はどのくらいあったのか、簡単でけっこうですからお答えいただきたいと思います。
  98. 堺司

    ○堺説明員 御承知のように、通産省は三月十五日、価格の事前届け出制を実施いたしまして、繊維原料につきましてはナイロン、ポリエステル長短繊維、アクリルの四品目につきまして、メーカーから価格につき事情を聴取し、値上げする場合には通産省の同意を得るという約束を取りつけておるわけでございます。その他漁業用の漁網に使われますビニロン、ポリプロピレン等につきましても、従来から価格抑制につきまして業界のほうに指導をいたしておりまして、私どもとしては、もし値上げする場合には、事前に通産省の同意を得るということで話を進めておるわけでございます。したがいまして、今後石油価格その他、実は合繊につきましては石油の価格による影響が非常に大きいわけでございますけれども、特段の事情がない限り、原糸の値上がりについては抑制可能ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  99. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、通産省は原糸を手当てしておるから、漁網綱の値上げについては相当抑制が可能である、こういう御返事でありますが、私の手元には、いま申し上げましたニチモウの会社の下関の工場長——下関の工場というのは、ニチモウの中でも底びき網をつくる最大の工場であります。この工場長が本社に出した文書がございます。四十八年三月十六日付で「工場仕切価格の件」、こういう文書でございます。  ところで、この文書を見ますと、いまお話ありましたポリエチレンの原糸の問題についてどう書いてあるかといいますと、「カネライト原糸に就いて本日日商藤井氏より架電あり、鐘紡、三井、宇部等の大手メーカー打合せに依り四月二十一日以降一〇%原糸値上げを申合せた」云々と、こう書いてありますね。つまりカネライトというのは鐘紡がつくっている原糸でしょうな。それから日商の藤井というのは日商という商社でしょうね。これは鐘紡の代理店みたいなかっこうになっておるわけです。ここから電報があって、鐘紡、つまり原糸のメーカーですね、それから三井、宇部——三井というのは御承知のように三井石油化学、宇部というのは宇部興産ですね。これは原糸のまた原料をつくるメーカーですね。この大手メーカーが打ち合わせして、「四月二十一日以降一〇%原糸値上げを申合せた」云々と書いてあるんですね。漁網についてはそれぞれの大手の数社がカルテル、やみ談合して値上げしたい、原糸そのものまでも、このあれでいけば、カルテルまがいでやみ協定したということをはっきり書いてある、そういう文書ですね。これはどう思いますか、知ってますか、知らなかったか。
  100. 堺司

    ○堺説明員 いまのお話の文書でございますけれども、四月二十一日と申しますのは去年の四月二十一日でございますか。
  101. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうです。
  102. 堺司

    ○堺説明員 私ども、実は昨年の原糸価格については、特段行政指導しておらなかったわけでございますけれども、いまのような事実については、実は何ら私ども聞いておりません。本件につきましてそのようなカルテルまがいの行為があったとすれば、実はこれは通産省というよりは公正取引委員会で厳重に調査していただいて、指導をいただけるものではないかと思っておるわけでございます。
  103. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 通産省、何を言っているんですか、あなた。きのう私が明らかにしたように、これらの漁網のメーカーが、あるいは漁網綱そのものについてもこの狂乱のあれをつくったのはやみ協定だ。その以前の何でもない時代にも、ちゃんとやみ協定の中で仕組まれておったということをきのうぼくは明らかにした。ところが、よく調べてみたら、原糸そのものも、あなた方手当てをしておるというが、今日こういうかっこうで前々から仕組まれておる。これについてあなた方の行政指導をたな上げして、公正取引委員会は当然やってしかるべきものであったなんという返事はこれはいただけないと思うのです。そういう態度は、私は非常にけしからぬと思う。同時に、この文書は何を明らかにしているかといいますと、そういう状況をずっと出して、「従って来期(第八八期)」、この文書が出た時点は八十七期で、八十八期はいまです。去年の十二月一日以降ですから、現在ですね。「従って来期(第八八期)の値上は現行仕切プラス原材料値上の五%程度アップになるとお考え戦き度く」云々と書いてある。つまりこういう状況だから来期の値上げは現行の仕切り、そのほかに原材料の値上げ分を見込んださらにその上に五%を上乗せしろということだ。これは明らかに便乗値上げじゃないかということです。  これは農林次官にも聞いていただきたいのですが、時間がないのでもう一つついでに言いますと、さらにどういうことを書いてあるかといいますと、「従いまして販売価格は今期より一〇%以上、事前引上げて置く様此の機を逸せず履行に踏切って下さい」と書いてある。千載一遇の機会だとゼネラルの社長が言いましたけれども、これは同じでしょう。こういう事情を次官は知っておりましたか。
  104. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 去年の四月のことで、私はさっぱりわかりません。
  105. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 通産省……。
  106. 堺司

    ○堺説明員 ただいまの文書が去年の四月二十一日に指示が出ていたということでございますので、去年の四月二十一日にそのような行為があったとすれば、その時点におけるカルテルまがいの行為について非常に疑わしいというふうに申し上げ、それについては実際に監督する立場にある公正取引委員会が、その事実の有無、カルテル行為の有無について、確認いただきたいというふうに先ほど申し上げたわけでございます。  したがって、八十八期につきまして、いまのお話ですと今期でございますけれども、もしそのようなことを各社でやっておるとすれば、これは私どもが各社に指導しております指導の違反になりますので、私どもとしては早急に事実を調査したいというふうに思っております。現在のところ各社からそのような話は聞いておりません。
  107. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私はきのうあれだけ——あなたは来ておらなかったけれども農林次官もおらなかったけれども、大臣はおりましたな。いま漁民が漁網のことで泣いて泣いて泣いているんだ。通産省はきのうも原糸に手当てしているからだいじょうぶなんだというような言い方ですな。もうきのうの漁網メーカーのそれを出しただけで何も知らなかったというんだな。これから調査するという。これも何も知らなかったというわけだな。通産省は特に、そういうことは公正取引委員会の分野だというようなことをまだ言っているんだな。いずれここにこういうやみ協定の事実があるわけだ。この内容は、それに何というか、正確に独禁法云々のものに該当するかどうかは別にして、当然通産省の行政指導の中に入るべきものなんだな。それをまことに何も責任を感じない言い方で、特にこういう便乗値上げ、あるいは悪徳商法でしょう。この機を逸せず履行に踏み切ってくれというようなこと、あるいは現行仕切りプラス原材料費の値上げのさらに五%上乗せしなければならないとか、こういうことを平然と書いているわけですね。あなた方が原糸に手当てしたといったって、いまも手当てをやっているそうですけれども、こういう実態があるならば、税金の分は損するのじゃありませんか。漁民の切実な叫びに何らこたえるものになっていないでしょう。かつてこういうことをしたという事実があるから、いまあなたのお答えの中では、これは当然調べてやるというけれども、即刻調査して、即刻この事実関係を明らかにしてもらいたいということです。先ほど来、あなたは——四月二十一日以降云々というこれは原糸の値上げを申し合わせした、そういう以降の各原糸の段階での企業の申し合わせだね。この文書そのものは四十八年三月十六日発行の文書です。こういう点でいま一回通産省の御答弁をいただきたいと思います。
  108. 田口健次郎

    ○田口説明員 漁網ロープの価格につきましては、昨日も申し上げましたように、全力をあげて価格の抑制に力を注ぎたいと思います。特に一部で値上げの行き過ぎ、いわゆる便乗的な値上げが絶対なかったかということにつきましては、ないとは言い切れないのではないかというふうにも思いますので、至急調査をいたしまして、行き過ぎのあったものについては値下げをする、それから一般的にできるだけ強力に値上げの抑制をするというふうにいたしたいと思います。  それから、先ほども御指摘ございましたが、また昨日もお話ございましたけれども、漁網ロープメーカーの間で価格協定あるいはそれに類似のような行為があるのではないかという御指摘でございましたけれども、これも至急事情を調べまして、かりにそういう事情があればこれを正す、そういった事態をなくするというふうに努力したいと思うわけでございます。
  109. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 渡辺農林次官さん、きのう来こういう問題をやっておるわけでありますが、いまのような事態に対して、あなたもかねがね便乗値上げはきびしく取り締まるというようなことでお話ししている方でありますし、まして原糸もカルテル、やみ価格であり、漁網そのものもやみ価格であるというならば、世の中はまっ暗だということになると思うのです。こういう点についてあなたの御所見のほどをお伺いしたいと思うのです。
  110. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 そういうような事実があれば、まことにけしからぬ話でありまして、通産省のほうも主管省として、さっそく取り調べをしてみる、こういうことでございますし、あなたのほうも共産党、チームワークがとれているのですから、公取でも呼んで、ひとつ公取にぴちっとやってもらったほうがもう少しきき目があるんじゃないかと思います。
  111. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 公取が政府のそういう取り締まる機関だということはわかるけれども、日常の行政指導の中で、こういうものをつかんでいく体制が皆さんになければならないということを私は申し上げておるのです。それで、あなた方はさっそく調査して善処する、きのう以来そういうお答えがあったわけでありますが、私が何を聞いても、何を問題提起しても、知らなかった、びっくりした、初めて知った、こういうことだらけですね。情勢がもうそういうことでは通らないですね。行政機関が、何をやっても何も知らなかった、公正取引委員会がやらないからおれのほうもやらないんだというようなことでは話にならないですね。いまのこんな体制の中では、もう指導できないじゃないか。現状のああいう狂乱というものと見合わないじゃないか。そういう点でどうすればこんなことをやめさせることができるのか。実情の事前のチェックなり、体制なり、とりわけ監督指導の立場にある通産省としては、そういう点をいま真剣に考えなければならないと思っているわけでありますが、これについての御所見を通産当局から伺いたいと思います。
  112. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  実は、制度的にも人員が不足で、非常に仕事が多いとか、これは弁解にはならないかと思いますけれども、そういった背景の中で、漁網綱につきましては、従来は比較的価格が安定しておったということから、先生御指摘のような事態を必ずしも十分に把握していなかったということがあったかとは思いますが、御指摘もございましたので、さっそくおも立った漁網綱のメーカーを直接に呼びまして、価格の値上げの実態とか、それから価格協定に類したことが行なわれておるかどうかといったようなことを、できるだけ詳細に力を入れて調べたい、こういったような作業の体制を今後維持していきたいというふうに考えております。そういたしますれば、従来よりは相当実態を前広に把握して、好ましくない事態を従来よりは早目に食いとめることができるようになるのではないかというふうに考えております。
  113. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま言ったのは具体的事例をあげて申し上げたので、さっそく調査して報告していただかなければならないと思うのです。今月の半ばぐらいまでにはこの事態を調査して、報告できるような状態にしていただけるのかどうか。国会が終わってから報告したなんといっても困りますので、この点はどうですか。
  114. 田口健次郎

    ○田口説明員 ただいまの御質問は、先生先ほど御指摘のニチモウの工場長の書簡にございますいわゆる一割程度事前に値上げをしておくという内容にかかわったことと理解してよろしゅうございましょうか。——その点につきましては、至急ニチモウを呼びまして事態を調べまして、その結果を御報告申し上げたいと思います。
  115. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 問題は単純じゃないんだな。悪徳商法、事前便乗値上げもあるし、原糸の段階でのそういうやみ協定の疑いもあるわけですね。しかもあなた方は、原糸について手当てをすれば漁網は安定するんだというが、しかし実態は、そういう原糸について手当てをした、おそらく国民の税金をかけているでしょうけれども、そういうものが全く生かされておらないということで、だから問題はそこだけ手を入れれば全部解決するということではないという仕組み全体の問題として私は問題を提起しているわけでありますから、そういう点を含めて調査報告をひとつお願いしたいと思うわけです。  同時に、いまニチモウの問題を出したわけでありまして、そういう会社、今回の漁網綱のそういうカルテルの疑いに対する主導的役割りを果たしたと見られるこの会社が、どんな悪徳なやり方、悪徳商法をやっているかという具体例について二、三お話ししたいと思うのです。  私の手元に、この会社が四十八年十二月十七日、第一応接室というところで「漁網関係資材対策打合会」を開いて、関係のえらい人方が全部集まって相談をしているのですね。この中の「営業関係通達事項」という欄がございまして、そこを見ますと、まず第一に書いてあるのは何が書いてあるかというと「得意先別に順位をつける(選別販売)」と書いてある。その内容は「一〇〇%ニチモウ先を第一位とし、」その意味はニチモウばっかり買っている業者を第一位にせいという意味ですね。「一〇〇%ニチモウ先を第一位とし、他社競合先又は支払不良先はカットの対象とする。新規受注は応ぜぬ。」こう書いてあるのですね。しかし、こういうことは、業界のやり方として得意先に順位をつけるなんということは、これはどこの指導か知りませんけれども、けしからぬことだと思いますが、こういう中で非常に業者が泣いている、あるいは漁民が泣いているということを結果的に招来していると思うのです。こういうことについて農林次官の御意見を伺いたいと思います。
  116. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 必要に応じて品物を売ってやるというのが一番いいことだと思います。しかし業者ですから、品物を売っても金を払わないということが何回も続けば、やはり売らなくなるということも、それはあるのかもわかりませんが、できるだけ必要な人には売ってやって、売った金は回収するということが一番いいだろう、かように思います。
  117. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それだけではないんだな。たとえば四項の「見積仕切価格について」というところを見ますと、「流網は二〇%値上げと販売会議で決めたが、三〇%に訂正の予定。」これは明らかに便乗してやりなさいということだね。  それから、もうオンパレードみたいなものですが、たとえば一番大事なところは、九項「予算商利額は」、つまり予算上の商いで利益をあげる額は「予算商利額は達成しなければならぬので、資材不足により商売の減った分は商利アップで対処願いたい。」つまり便乗値上げその他で対処願いたい、こういうことなわけだな。  以上あげましたようなことについて、通産当局はすぐ即刻これをやめさせて、調査の上で撤回させなければいかぬと思うのですね、こういうやり方は。その点について通産当局の決意を聞きたいのですよ。
  118. 田口健次郎

    ○田口説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、値上げの行き過ぎあるいは便乗的な値上げという問題があるとすれば、即刻これを是正につとめたいと思います。したがいまして、先生御指摘なさいましたような事情につきまして具体的に調べまして、その結果原料その他の値上がり要因に対しまして売り値がもっともっと上がっておる、利潤が非常にふえておる、便乗的ではないかといったような事態が明らかになりますれば、即刻これを是正するようにつとめたいと思います。
  119. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 やり方はどこもみな同じやり方ですね。そのほかに、たとえばワイヤロープなんかについても書いてありますが、価格は従来が契約時の価格でやったのを納品時の価格とすることやら、あるいはいままでは買い手先まで運んでおった、運搬したものが今度は工場渡し、置き場渡しにしたことやら、支払いサイトを短縮して百五十日を九十日にすることやら、こういうことをこの文章はずっと指示してある。だから、そういうものが事実であればどうなるのか。もちろんこれはあなたのほうではいま初めて聞いたし見たわけですから、わからないわけですけれども、これはすぐこういうことを、同じように措置していただかなければなりません。  なぜかといえば、実態としては、もうこういうものの影響で、私の秋田、私は秋田県の出身ですが、秋田県の船川の漁港あたりでは、こう言っているのですよ。このために運賃元払いが着払いになってきただけで、五十万の見込みのものが、いま八十万、トラックでかかっているというんですね。しかも、いままで百二十日の決済手形でよかったのが九十日、しかも現金払いになっちゃった、これはたいへんだ、おれのほうの漁港の大問題だというところに、いま現実に入ってきているわけですよ。そういう、ただ事務サイドに取り上げるのじゃなくて、いま全国の漁民がもう悲痛な叫びをあげて、狂騰する漁網、これを何とかしてくれということですから、それに見合うように措置していただけるものと思うけれども、この点について再度農林次官の意見を聞きたいと思います。
  120. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 取引のことですから、農林省としては、手形の日数まで、百日のやつを九十五日にしろとか、九十日にしろとか、そういうようなことは強制する権限はありません。ありませんが、それは会社の道徳の問題で、会社に余裕があるならば、百日のものを九十日にしてくれるのがあたりまえであろうし、そういうようなものは会社自身の道義の問題だろう、会社が苦しくて金詰まりで、にっちもさっちもいかないというようなことでやっているのかどうか、そこまではわれわれとしては監視をすることはできない、こう思います。
  121. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 通産省はどう考えますか。これもあわせて調査してすぐやめさせますか、こういうやり方は。
  122. 田口健次郎

    ○田口説明員 御指摘の価格の問題と、それから手形サイト等の取引条件の問題、二つあるかと思いますが、値段の問題につきましては先ほど御説明申し上げましたように、便乗的な値上げがあれば、できるだけすみやかに是正するための措置をとりたいと思います。  それから手形サイト等の取引条件につきましては、ただいま農林省のほうからもお答えございましたように、何日のサイトが最も適切であるといったようなことがなかなかきめかねると思います。しかしながら、零細の漁民等の立場も十分考慮して、不必要なしわ寄せというか、圧迫というか、そういったことがないように強く指導はいたしたいというふうに考えます。
  123. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 次官、あなたは会社の金繰りが悪ければ、そういうようなこともあり得るだろうというお話ですけれども、先ほど、冒頭申し上げましたように、私は特定のニチモウという会社を聞いているわけです。わが国の漁網綱の最大大手メーカーですね。しかも、もうけてもうけてもうけ過ぎて、資本金の十六億のほかに、利益準備金やら、配当引き当て積み立て金やら、別途積み立て金で——別途積み立てというのは、これは何か意味がわからないけれども、つまり任意積み立て金だ、これだけで二十四億もあるのですね。資金繰りで苦しむというようなことはないでしょう。これは大蔵省で出した「有価証券報告書総覧」なんですよ。そういうことで、そういう何というか心のない答弁では、私はいまの漁民はほんとうに、少なくとも渡辺さんは今度新しく次官になったから、何とかやってくれるんじゃないか、しかしあなたの答弁を聞けば、手形のことはおれの管轄でないと言うけれども、漁民は問題があれば水産庁に飛ぶのですよ。通産省がどうだとか何がどうだとかいうことよりも、まず水産庁ばおれらの暮らしを守るところだと、こういう感覚でいる漁民の実態に即したお答えをいただかなければならない、こう私は思うわけです。  そこで、時間がだんだん迫っておるから、そこだけにかかずらってもおれませんけれども、きょうは労働省も来ておるわけでありますから労働省に聞くわけでありますが、このような悪徳商法を平然と毎年やっておる、やみカルテルもやっておる、こういうニチモウの会社が、たとえば労働問題においてどういうふうにひどいことをしているのか、悪いことをするやつはほかのことでも悪いことをするということですね。ここは農林水産委員会でありますから労働問題は本意でないけれども、それにしてもわれわれは非常に関連を持ったものとしてこの問題を見なければならないと思うのです。  そこで私の手元に下関の労働基準監督署が、昭和四十九年三月にニチモウ株式会社取締役社長宮本武徳殿にあてた指導票というものがございます。労働基準監督署が指導した内容を書いたものなんです。「あなたの事業場の下記事項については改善措置をとられるようお願いします。なお改善の状況については三月末日までに報告して下さい。」ということで、中身は何を書いてあるかといいますと、こう書いてあるんだな。「就業規則第六十五条第二項の「許可」とあるところを「届出」に訂正されるよう指導します。」つまりこれはどういうことかというと、これまで就業規則という会社がつくる規則があるわけでありますが、これには、従来は当然のこととして「届出」で済んでおったものをあらためて「許可」に直したというのですね、この会社では。これは現に何日と保障されている有給休暇がありますな。就業規則の六十五条第二項の問題はそうですね。これをわざわざそういう「届出」でよかったものを「許可」に改めた。これはやはりいけないじゃないかということを指示しているのですね。つまり、こう書いておるのですよ。「理由としては、昭四八・三・二最高裁第二小法廷において示された年休の解釈即ち年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」やこれに対する使用者の「承認」というような観念を容れる余地がないため。」つまり、そういう「許可」するなんということはいけない、だから「届出」、いままでどおりやりなさいという指示なんです。  もう一つの指示は、「今般の就業規則の改訂は二労働組合とも歓迎せざる態度を表明しています。特に今後の労働組合活動に対する阻害を心配している。運用に当っては、格段の配慮をし、より健全な労使関係が確立されるようにして下さい。」こう書いてある。二労働組合というのは、この会社には二つの労働組合があるわけです。この二つとも、こういう就業規則のやり方については問題がある、疑問だという態度を表明しているということだ。特に、今後の労働組合運動に対する阻害を心配している。労働組合の運動の中に当然これは摩擦を起こすぞ、現にいま摩擦を起こして、それぞれ三カ所かで提訴を行なっているわけでありますが、こういうことが現実に行なわれているということ。  さらに、私、時間がないから一括して申し上げますと、ここには労働協約が現在無にひとしい、このような大会社が。本来一年更新だそうでありますけれども、その次が来れば六カ月の自動延長がある、こういわれているわけですね。ところが、その間、会社は決して労働者の側がのむことができないような不当な条件を次から次へ出して、事実上この協約を締結さしておらない。現在は無協約状態だ、こういうことなんだ。  さらに、もう一つだけつけ加えておきますと、こういう事例もあるわけであります。この会社では、昨年十一月二十九日と本年三月四日、二名の女子従業員が中央労働基準監督署から頸腕障害、腱鞘炎として、業務上疾病の認定を受けたわけです。ところが、会社はどうしたかというと、監督署の認定は、労災保険支給に関する認定にすぎないから、会社としては業務上とは認めないという態度をとっているんですね。労働行政の最高の省である労働省は、こういう会社のあり方について、しかも労働省の出先が指導したり監督したりしていることについて、さっぱり守られないという、こういうことをあなた方は容認するのかどうかですね。どう指導するのか、これについて労働省からお伺いしたいと思うわけであります。
  124. 岸良明

    ○岸説明員 非常に多面にわたりまして御質問があったわけでありますが、下関の監督署のほうで出しました指導票の問題でございます。これは先ほどおっしゃいましたように、労働者の年次有給休暇は、労働基準法第三十九条の要件を満たした場合に、当然これは請求できる権利がございます。ただ、使用者の側におきまして、その時期に年休を与えることが適当でないという場合には時期変更権を行使する、こういう形で法制ができておるわけでございます。したがいまして、これを届け出を許可に改めたという点については、監督署が指摘したとおりに問題があるわけでございまして、その点は指導票によってこれを改善をするようにと要請をしている。これはまだどういうふうに是正をされたか私は確かめておりませんけれども、今後とも是正をするように強力に指導をしてまいりたい、かように思います。  それから、指導票の中に、この組合が反対をしておるので十分に注意をしろというような文言があるようでありますが、これは指導票でございますので、当然出ました監督官が、いろいろとその労使関係上の所見があれば、それにつけ加えるということもあり得ると思います。ただ、就業規則の変更ということは、これはもう御承知のとおりに、使用者が一定の手続を踏みまして改定ができるわけでございます。その点、まあ労働者代表の意見を聞くような手続になっておりますが、これは最終的に合意を得なければならぬというようなものではない。ただ、労働側のほうで非常に反対を述べておるような状況にありますときには、やはり就業規則としてその運用上十分な配慮が必要だろうということでつけ加えたんだろう、かように思います。  それから、労働協約の問題でございます。これは担当の課長が来ておりますので後ほどお答えをいたしますが、頸肩腕症候群の問題について、これは確かに中央監督署においてはこの二名の方が業務上というふうに決定をしたようでありますが、現に問題になっておりますのは、この労災保険で支払いますそれの上積みの補償、これはこの会社では協定できめてあるようであります。その協定の解釈上、これは業務上扱いにするかどうかという問題なわけでございます。私どもとしては、少なくとも業務上というふうに判定をされた場合に、法外補償においてはやはり同様な扱いをしてもらうことが望ましいと思いますけれども、ただ、いずれにしても協約の解釈の問題でございますので、その点、私ども協約を詳細に承知しておりませんが、十分に労使間で詰めて妥当な解決をはかっていただくことが望ましい、かように考えます。
  125. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま御答弁がありましたけれども、いずれの問題をとってみましても、行政機関が指導し監督ししなければならないということ、このような大会社が、むしろ模範にならなければならないところが、逆にそういうひどい状態を押しつけてきている、こういうものをますます押しつけてきている、政府が指導したものを守ろうとしない、これは政府としては強制的な権限がないからいまのようなお答えしかできないと思うのですが、今後ともひとつ強力に指導する、こういうことでなければ労働者は浮かばれない、こういうことになると思いますので、この点について再度確認しておきたいと思います。
  126. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御質問のありました三点につきましては、私どものほうとして十分さらにこの内容を確かめた上で、指導票を出したことが守られておらなければ、重ねて強力に指導をしてまいりたい、かように思います。
  127. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きのう以来私は、漁網の異常な狂乱暴騰が仕組まれたものである、特にメーカーの中でも、大手の数社によってやられたということを資料をあげて説明してきたわけですが、しかもこの冒頭に申し上げましたとおり、これは今回だけでなくて、前々から、毎年あたりまえのことで仕組まれておった、そういうことでいろいろ御答弁いただいたわけでありまして、きょうはまたそういうもっと大もとを探ってみましたら、政府が手当てをしているといわれる原糸そのものが、やはりそういうかっこうで仕組まれておるということ、あれもこれも全部やみ価格みたいなもので、知らぬは亭主ばかりなりということで、知らないものは通産省や農林省や、肝心のユーザーや、需要者であった、こういうことでは世の中がまっ暗になると思うのですね。そういう点で、いま一度農林次官から、ひとつ、きのうきょうの経過を踏まえて、あなたはきのういらっしゃらなかったわけですが、こういうあり方を一体どうしたらいいのか、再度くどいようでありますけれども、その印象なり感想なりについてお答えいただきたいと思うのです。
  128. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 たいへんいろいろ参考になることも教えていただいておりますので、漁民のためになるように、不当なところがあれば、農林省からも必要に応じて通産省に対して行政指導方をお願いしたい、こう思っております。
  129. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 予鈴が鳴りましたので、私は持ち時間がまだ六分ばかりありますけれども、ここでやめます。つまり、きのう以来いろいろ申し上げてきたわけでありますが、やはり結論的に言えば、いまの行政があまり国民に信用されておらないということですね。この信用をひとつ取り戻していただきたいということです。同時に、国会に調査権を持ったそういう機関を設置しなければなりませんし、さしあたりはやはり物特を強化する、これは農林水産委員会だけの所管ではありませんが、あるいは証人喚問を私たちは次から次にやらなければならないということを、いよいよ痛感しているわけでありますが、漁民をこれ以上泣かせないためにも、皆さん方のメーカーやあるいは企業に対する姿勢をはっきりさせていただかない限り、こういう問題は今後とも解決できないだろう、とりわけいま原価の公開ということが非常に叫ばれているわけでありますが、そこに行かなければほんとうの実態は把握できない、いまもってそこにかかずらっているということについて、私ははなはだ遺憾に思うものであります。そうした国の施政のあり方について、最後にひとつ次官と通産当局から、それぞれ一言ずつお答えいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  130. 田口健次郎

    ○田口説明員 魚網ロープにつきましては、国民の重要なたん白源を供給する水産業の重要資材として非常に重要なものである、その価格抑制については全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  131. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどお答えのとおりであります。
  132. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 午後は三時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十三分休憩      ————◇—————    午後三時二十六分開議
  133. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  134. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 てん菜最低生産者価格問題並びに麦作振興問題等について、農林省当局質問いたします。  最初に、てん菜問題を質問いたしますけれども、まず、国内における甘味資源の国際的な位置づけ、これをどういうふうに当局は考えておられるか。昨年も当委員会でいまごろこういった問題について論及したところでありますが、本年度も相当いろいろと情勢が変わってきております。そういった意味で、その点からまず御答弁をいただきたい。
  135. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 甘味資源は重要な資源の一つでございますから、できるだけ自給率を高めたいと思っております。しかしながら、これは立地条件というような特殊な制約もございますもので、現在のところ大体約三十万トン、国内自給率は二〇%程度であります。これをでき得べくんば二六%ぐらいにまで持ってまいりたいという目標を考えております。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 甘味資源については自給率を高めていきたい、国内自給率を二〇%から二六%ぐらいに目標を持っていきたいという答弁でありますが、その中でいま問題になっております、主として北海道てん菜については、将来、当局はその中に、どういうような位置づけで検討しておられるか、その点をさらにひとつお答えいただきたいと思います。
  137. 須賀博

    須賀説明員 てん菜につきましては、冷害に非常に強いということから、寒地農業に適する作物ということで、北海道畑作におきましては重要な地位を占めているものでございます。したがいまして、私ども、従来からその生産振興努力をいたしてまいってきたわけでございますので、面積なり生産量が、現状では非常に順調に進んでいるというふうに考えております。将来、五十七年の長期見通しにおきましては、面積で七万七千ヘクタール、生産量で約四百万トンというような目標を置きまして、その目標に即しまして私ども、これから生産面におきましていろいろな施策を展開し、その目標を達成したいというふうに考えているわけでございます。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省の試算による昭和五十七年度を目標に四百万トンの目標を掲げるとおっしゃいますけれども、午前中からもいろいろ論議がありましたように、いまのような状態では、私は、とてもこんなことは達成できない、これは絵にかいたもちになるのではないか、かように思うわけです。もちろん今後の努力にもよることでありますが、現在順調に進んでおるというような御答弁でありますけれども、私はそのようには見ておりません。北海道の農務部は、十六日に、北海道会議室において、北海道てん菜生産振興審議会を開かれて、知事から諮問がなされ、昭和四十九年度産の原料ビート生産振興計画を審議いたしております。その諮問を見ましても、四十九年度作付面積が六万ヘクタール、ちなみに四十八年度はどうであったかというと、六万一千六百八十三ヘクタールでありますから、昨年に比べて千六百八十三ヘクタールも作付面積が減少しております。ヘクタール当たりの収量を見ましても、昨年は四十七・八〇トンだったのが、ことしは同審議会の意見等を見ましても、おおむね四十六トンと、こうなっておりますし、総生産量においても、昨年が二百九十四万八千四百六十六トンに対して、ことしはおおむね二百七十六万トンの生産量を見込んでおるように経過がなされております。一こういったことを見ましても、私はこれは相当減少していっている、かように思っているわけで、必ずしも順調でない、こういうふうに思っていますが、この北海道てん菜生産振興審議会の答申、こういったことについては御承知であるか。と同時に、かなり作付面積が減っていく傾向にありますけれども、これをもって順調と言われる理由はどこにあるのか、お答えをいただきたい。
  139. 須賀博

    須賀説明員 北海道庁におきまして策定しました四十九年度のてん菜生産計画でございますが、ただいま先生がおっしゃいましたような数字でございまして、私ども承知しております。  面積におきまして、四十八年度に比較しますと多少面積が減るわけでございますが、これは私ども現在いろいろ内部で検討しているわけでございまして、産地の現状を見ますと、十勝なりあるいは網走地区におきまして、一部の市町村でてん菜が過作であるというような状況が見られます。そういうような過作の地帯におきましては、やはり適正な輪作体系に持っていきたいということから、多少面積を減らしてでも適正な輪作体系で営農をやりたいということから、多少面積が減るというふうにはなりますが、北海道全体から考えまして適正な輪作体系を組んでいきますと、五十七年の長期見通しでございます七万七千ヘクタールを達成する余地は私は十分あるのではないかというふうに考えております。  現在北海道におきましては、普通畑が約四十三万ヘクタールございますが、これを五年輪作で考えましても八万ヘクタールのてん菜確保できるというようなこともございまして、来年は多少面積が減るということもございますが、長期的な見通しでは面積拡大も可能であるというふうに考えているわけでございます。
  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうして見ると、順調ということにはならぬではないかと思うのです。減るのとふえるのとでは倍違うわけですから。  それで、いまいろいろ理由を言われましたけれども、私現地の実情をいろいろ聞いてみますと、今回の減っている理由にはいろいろあるけれども、もちろん肥料、資材の値上がりとか、労働不足とかいろいろあるわけですが、麦の作付が四十八年度よりも七千ヘクタールぐらいふえてきた、もう一つビートへの稲転が鈍化している、こういったこともかなりの理由である、こういうふうにわれわれは承知しておるのですけれども、いま十勝、網走の過作が問題であるというようなことをおっしゃいましたが、いまぼくが指摘したようなことは、このてん菜の鈍化している理由として当局は検討しておられませんですか。
  141. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 それは瀬野さんの指摘したような点があろうかと存じます。ということは、てん菜糖値段はまだきまらない、ところが麦や小麦の値段はパリティでやるということになっていますから大体見当がつく、そこへ持ってきて一俵二千円よけいにあげますよ、大豆についても一俵二千五百円補助金を出しますということですから、これは四割とかあるいは五割とか手取りがふえるということは、農家の人は一番先にわかりますから、そういうような点で、私はやはり値段がわからないてん菜糖よりも、値段のわかったほうに移行するというのは、多少ならず相当あるのじゃないか、そういう点もまさにあろうかと思います。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまのに関連して戸数においても、てん菜を栽培している戸数が昭和四十七年度は二万九千三百十戸に対して現在は二万六千六百七十二口’で、二千六百三十九戸も減少している、これはかなり減少しておりますが、昨年もこのことについていろいろ指摘いたしましたけれども、例年かなりの減少をしてきつつある。もちろんこれは、あとで指摘する価格が一番問題になっておりますけれども、その前提として私はこれを明らかにしておくわけですが、こういったことでは、これはもうてん菜はどうなってもいいじゃないかと言わんばかりの施策じゃないか、こういうふうに思われてしょうがない。この点について当局は、この作付戸数がこれだけ減っていっているということ、これらを踏まえて、最初御答弁ありましたように、順調と、こういうふうなことを言われておるけれども、順調と言えるかどうか、その点を含めて御答弁いただきたい。
  143. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私は順調だと思います。それは御承知のとおり大型化をしておるということで、農家戸数は別にてん菜に限らず、ものによっては減っておりますが、総生産量というものは、三十年から四十六、七年まで、きわめて順調にこれは伸びておって、三十年の約三倍くらいの——三倍ではなく、これは四倍以上の生産てん菜だけで言えば三十年が五万トンのやつが三十七万七千トンですから、七倍くらいふえておるわけですから、これは減った年がないのできわめて順調だ、いままでは少なくとも順調にてん菜全体としては伸びてきた、こう言えるだろうと思います。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 戸数にしても反収にしても、また総体の面積にしても、昨年度から面積そのものもずいぶん減っておるわけです。そういったことから、私は統計は順調であるとおっしゃるならば、もっとふえるのがあたりまえじゃないかと思う。ところが減っておるわけです。今後価格の決定によってまた相当変わってくるわけですけれども、はたして順調と言っておっていいかどうか、これは議論の分かれるところとしても、私は順調ではないと思う。  そこで、けさほども委員会の開会前に、北海道てん菜対策協議会、北海道農業協同組合中央会の皆さんが二十数名陳情に見えて、各委員も陳情を受けたわけでありまして、その委員説明の中にも、いろいろ要請がありましたわけですけれども、その要請によりますと、生産資材、肥料等の値上がりの影響で、現在作付面積が約四万八千ヘクタールで、地元ではたいへん心配をしている。六万ヘクタールに対して四万八千ヘクタールである。もちろんこれは直播があるわけでございますので、いまから三割くらいこれがあるかどうかたいへん心配をしておる。今後直播の三割を加えるとかなりの面積になっていくとは思いますけれども、それにしても六万ヘクタールになることはかなりおぼつかない状況である、現在は北海道の推定量は四万八千ヘクタールである、こう言っておるのです。この点当局はどういうふうに受けとめておられますか。
  145. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 審議会に出した資料の中で、反当収量がことしは減るというようなことは、去年の異常な水ビートというようなものと比べての結果でありますから、水ビートと比べれば、幾らか減るかもしらぬけれども、その他は順調に反収はいくのではないか。  それから、四万八千ヘクタールになるかどうか、これはまだわかりません。わかりませんが、先ほど私が言ったようなこと、つまりあなたが御主張になったようないろんな他作物に転換をしたものもあるだろう、こういうのは考えられるところであります。われわれとしては、六万ヘクタールから減ることがあっても、そう大きく減ることはないのじゃないか、こう推定をいたしております。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この六万ヘクタールは、いずれわかってくることでありますけれども、そのときはおそいわけで、あとで申し上げる価格問題が大きく影響することも当然です。農林省も今回の価格が、農民が不満を持っておるし、大幅改定をしなければならぬということは、いろいろ腹の中では御検討なさっておると思いますけれども、この北海道の審議会でいろいろ答申をなさっている中で、北海道農業が、一つには労働力の不足、二つに資金、三つに資材不足、四つに肥料高などに加えて、原料ビート政府の告示価格不満足が大きな問題となっている。また、買い入れ糖価もしかりであって、全般的には耕作農家が、ビートづくりに対して意欲が欠如をしているといわれている点を大きく指摘をしております。  そしてさらに、審議会は付帯意見として、一つには「てん菜生産を取り巻く情勢は極めて厳しいものがあり、このまま推進すれば、本振興計画は実現困難なので、生産価格の大巾な引き上げ、告示価格の早期決定、諸生産対策の拡充を図る必要がある」、二つには、「てん菜生産地域的構造が大きく変動しているので、将来を見通しての調査を適切な対策の確立を早急に行う必要がある。」こういったことを答申で指摘しております。当局のほうでは、こういった指摘事項、すなわち付帯意見については、承知しておられますか、まずお伺いしたい。
  147. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 承知いたしております。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この中で政府告示価格の不満足、さらには、このまま推進すれば本振興計画は実現困難なので、生産価格の大幅引き上げ、告示価格の早期決定ということが強く打ち出されております。言うまでもなく、このことについては午前中からもいろいろ論議されたところでございますけれども農林省として次のようなことを団体側から要請されておりますので、どういうふうに承知しておられるか、また検討しておられるかお伺いしたいのであります。  昭和四十九年のてん菜最低生産者価格に関して、北海道てん菜対策協議会、北海道農業協同組合中央会から、国内の重要な甘味資源としての役割りを果たしておるし、さらに寒冷地畑作物として、北海道農業の発展に大きく貢献してきたこのてん菜に対して、まず第一点は、昭和四十九年産てん菜最低生産基準価格を、生産費所得補償方式によって、一トン当たり一万五千円以上で決定告示していただきたい。二つには、昭和四十九年国内産糖の買い上げ価格告示の際に、この基準価格をパリティ指数、物価変動要因等により改定していただきたい。この二つが重点事項として要請がなされてきておりますけれども、このことについては御承知であるか、またこれに対してはいかなる意見をお持ちでありましょうか、お答えをいただきたい。
  149. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御要望は承知をいたしております。しかしながら、基準価格をきめるにあたって、パリティ基準価格というものは法律できまっておるわけですから、これを俗称の、米と同じような生産費所得補償方式にするという考えは持っておりません。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 従来のてん菜最低生産者価格を見てみますと、四十三年が七千二百六十円、四十四年が七千五百円、四十五年七千七百六十円、四十六年が八千円、四十七年が八千二百五十円、四十八年が八千五百六十円。四十七年と四十八年を比べただけでも三百十円の開きということで、毎年二百十円の開きということで、毎年二百数十円ぐらいしか上がっていない。このようなことでいけば、四十九年度も推して知るべしじゃないか、こういうふうな懸念がなされております。資材の値上がり、また労働力の不足、あるいは肥料値上がり、こういった事柄は、午前中からもいろいろと論議をされてきたところでありますが、いろいろ考えてみましたときに、私はてん菜を今後日本の甘味資源として位置づけをして、五十七年度には四百万トンにも持っていこうという政府考え方からすれば、とても順調な伸びはしない。また、その目的を達成することはできない。まさに五十七年度四百万トンということは絵にかいたもちになる。いわゆる生かさず殺さずのような感じがしてなりません。  そういったことを踏まえて、この北海道の、いま言った二つの、一トン当たり一万五千円、またパリティ指数、物価変動要因等によって改定することという要請に対して、むちゃな要求であるか、またこの要請に対しては十分検討して対処してもらいたいと思うが、その点当局のお考えをさらにお聞きをしたいのであります。
  151. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 ただいま御指摘のように、毎年のてん菜価格というものは、大体二百四十円ないし二百七十円ぐらいの間でここ四、五年間値上げをしてまいりました。四十八年度は、午前中にも言ったのですが、パリティ基準価格だと八千九百五十円になる。ところが推定生産費で七千五百六十五円であった。七千五百六十五円は安過ぎると当時はずいぶん言われたのでありますけれども統計情報部で実態調査をやってみたところが、実は七千百二十六円であった。そのときに農林省は七千五百六十五円というような推定生産費とパリティをにらみ合わせて、四十八年度は八千五百六十円ということにきめたわけでありますから、実際の生産費よりも千四百円ぐらい実は上のところできまってきた。ですから、そう不当な価格であるというふうには思っておらないのでございますが、この一年間における物価の高騰というものが非常に激しいものがある、こういうようなことにかんがみまして、ことしもパリティで基準価格計算をやっております。推定生産費計算も一応やっておるわけでありますが、物価その他経済事情等も十分にしんしゃくをして、二百円とか二百五十円とかという値上げ幅ではなくて、その何倍か——何倍かといってもいろいろあるわけですが、ともかくいままでにないぐらいのものはひとつ考えていこうというような考えを私は持っておるわけであります。  だからといって、一トン一万五千円以上で告示しろ、こう言われましても、現に国際価格でともかく一トン二百ポンドというような値段が出ても、そういうふうな一時的な狂乱のものを見ても、一万五千円なんて値段は出ないのですから、とても一万五千円なんて数字はどこからどういうふうに計算するのか、われわれには考えが及ばない。  それから生産費所得補償方式でやれ、こういっておりますが、これは米だけが全国の五百人未満の製造労賃をとっておりまして、その他の作物は必ずしもそれと一緒にやっていない。ところが、これもてん菜糖、甘蔗全部について一緒にやるとすれば、北海道のような合理化した大農場方式でビートをつくっているところは、反当それほどの労働時間を要しない。しかし、奄美大島とか沖繩とか、非常に狭隘なところで、機械化もなかなかできないというようなところは、時間数がうんとかかっただけ高い賃金でということになれば有利になるかもしれないが、所得補償方式というものは、将来てん菜糖に有利になっていくというふうに私は必ずしも考えておらないのであります。したがって、所得補償方式はとるつもりはございません。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官は、昨年のことをとらえられて、実際は統計数字よりも最低生産者価格が千四百円多かったようなことを言われておりますけれども、昨年とことしではもうまるっきり状況が変わってきております。  それでは、私はお尋ねします。現在総需要抑制によって政府物価が二月、三月ころには安定するというようなことを一応は言っておりましたけれども、これが何回も延びまして、物価の鎮静をいつごろと見ておられるか、今後の物価の値上がりと今後の変動というものは、どういうふうに見ておられるか、五、六月ころにはぐっと下がる、こういうふうに見ておられるか、その点お尋ねします。
  153. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは神さまでないとなかなかわからないような話なんでありますが、一応総需要抑制、金融引き締めということで、卸売り物価は鎮静化をしてきておる。これは事実であります。このままおさまってしまうというように私は考えておりません。石油の値上げ、あるいは電気料金の値上げということになれば、多少一ぺんは戻って、そのかわり便乗値上げでともかく上がらなくてもいいものが、ムードで上がっているものがありますから、それらは引き続き総需要の抑制と金融の引き締めというような点で押え込んでいけば、全体としてはこれ以上上がっていくということにならないし、そうならないように引き続き政策を実行していくというつもりであります。したがって、そんなに上がるというふうには考えておりません。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官にこの点はしっかり勉強してきてくれといったけれども、ちょっと歯切れの悪い答弁で、このビート価格を決定するためにはどうしても一緒に考えなければならぬ問題であります。御承知のように、ビートは四月にきめましても、とれるのが十月以降です。農家に現金が入るのも十月以降、こういうことになりますと、半年の開きがあるわけです。半年というと、もうかなりの長い期間です。きのう、四月三日の参議院物特委で佐々木日銀総裁がいろいろ答弁しておる中に、物価の鎮静について、たとえ六、七月ころ鎮静したとしても——もちろんこれは政府の総需要抑制等によってでありますが、二、三月の物価水準では安定しないということをはっきり言っております。その理由としては、新聞等でも報道されておりますように、石油価格は三月十八日に二回目の値上げがなされた。その影響がおそらく四月下旬からあらわれる。二つには電力料金、または公共料金の値上げが、もう近いうちにやってくる。特に電力料金については、五月の末には値上げの動きがもうすでに数社はっきりしております。また、かてて加えて、春闘による賃上げの問題等もこれにかぶさってくる。こういったことをずっと見てきますと、現状でいろいろとパリティ価格をはじいて計算してみても、六カ月先で、応計算を立てた、こういうふうに現時点でやってみても、おそらく十月ころは是正しなければならぬようなことになる、そのように激動しているわけです。こういったことを考えましたときに、昨年の例をとっていろいろ言われますけれども、そんなことはすなおにはいただけないと思う。  そこで、現状で計算したものがそのまま固定するとは考えられない状況下にある、こういったことについて当局はどういう認識に立っていまそういったことを答弁なさっておるのか。いまはいま、あとはあとということじゃないと思いますけれども、その点さらにお答えをいただきたい。
  155. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、ビートは、これから耕すわけですが、肥料とかそういうようなものは大体春先までには手当てをするわけでありまして、ことしのビートに秋以降の肥料を使うということはないのであります。また、農機具その他についても、大体は同様であります。ことしの作物をつくるのには、大体のところはもうすでに準備をし終わっておるということでありますから、かりにことしの物価が現在よりも多少変動いたしましても、それが直接生産費にそう大きく響くということはないだろう。ただ賃金の問題については、これから春闘その他が出て、一応全国的な賃金の相場というものが出てくるので、これは十分加味しなければならぬ。だから、われわれはただ単に、過去の生産費というものを物賃修正するというだけじゃなくて、経済事情その他のことも十分勘案をいたしましてきめます。瀬野さんが御心配になっているようなことも十分頭に入れてきめる。特に瀬野先生は、傍聴者もいないし、北海道でなくともまじめに御議論をいただいておるわけですから、そういうことについては十分頭に入れてわれわれはきめてまいりたい、こう思っております。
  156. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 てん菜問題でいま政務次官おっしゃったように、十分頭に入れて検討してもらうことは当然でありますけれども、いま申し上げましたように、物価の鎮静問題をずっと見ましても、日銀総裁が六、七月ころかりにその効果があらわれたとしても、これは先ほど言ったような公共料金の値上げその他によって、相当先々問題をはらんでいるという意味のことを答弁している。われわれもまたそういうように思うわけです。そうしますと、これは四月にきめるビート価格でありますが、やはり十月の収穫でありますので半年の期間もある。その辺のところもある程度見込んでいろいろ検討はなさるとはいうものの、相当また今後物価変動が起きてくるのじゃないか、そういう激変の状態が起きてきた場合に、十月ごろまたこの価格の是正というようなことも考えなければならぬのじゃないかと私は思う。まだ四月も来ぬうちから十月のことまで言えぬというかもしれぬけれども農民のために、そういったことも十分きめのこまかい配慮が必要であると思う。農林省農民のための主管省でもある、そういった意味から強力に大蔵省との折衝等をやって、農民側に立ってのいろいろ御答弁を私はいただきたいと思うんだが、その点さらに十月の価格是正というような問題についても、今後どういうふうに考えていかれるのか。激動がなければまた別としても、激動があれば当然、畜産審議会の畜産価格と同じようにやはり私は考えてやるべきである、かように思うのですが、その辺の考えは前向きに考えておられるかどうか、さらにお答えをいただきたい。
  157. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほど言ったように、これからつくるてん菜については、ことし使われる肥料あるいは大型農機具のようなものは、五月、六月になって買うという人はあまりないので、実際には、春先までに大体のところ取りそろえるというのが多いわけであります。したがって、それまでの二月までのパリティというものはちゃんと出ておるわけでありますから、そこで十分吸収できるものは吸収するし、さらに今後の経済事情等も勘案をして、そういうようないろいろな諸要素というものを含めて、それで最終的には値段をきめてまいりたい、こういうことを言っておるわけでございます。したがって、十分に生産者が再生産確保できるような立場価格をきめてまいりたい、かように存じます。
  158. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 てん菜については、生産者が再生産確保できることを十分考えて価格を決定していくということでございますので、十分皆さん方の今後の健闘をしていただくことを期待して、必ず生産者の希望がかなえられるように価格決定をしていただくように重ねてお願いをし、この問題については一応これで質問を終わることにします。  通告しておりました質問に対して若干はしょって質問をいたしたいと思います。  まず、麦作振興の問題で数点お尋ねしたいのですが、わが国の食料自給率というものが、米の豊凶によって多少の変動があるものの、三十五年度の八九%からじり貧傾向をたどっておることは御承知のとおりです。そこで、農林省が四十七年秋に発表しました、十年後の、すなわち五十七年を目標としたところの自給率は、七三から七七%と、こうなっておるのですが、早くも、この目標達成はむずかしい、こういうふうにわれわれは思っておりますけれども、これについて農林省はどういうふうにお考えであるか、簡潔にこのことをお答えいただきたい。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  159. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 四十七年の十月に発表いたしました生産目標につきましては、その後の国際的な食料需給事情の変化等も踏まえまして、現在その内容について検討をいたしております。これは農政審議会にはかりまして、農政審議会においてその内容を検討をいたしておりますが、できるだけ自給度を上げるというような方向に沿いまして、特に問題となります麦、大豆飼料作物ないしは牛肉というようなものを重点にして検討をはかっておるところでございますが、今後の目標達成につきましては、この目標決定次第十分対応してまいりたいというふうに考えております。
  160. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それと、もう一つは、先般来たびたび指摘したところでありますけれども、ことしはソ連にしても雪が少なくて、相当凍結が激しく、麦作のいろいろな支障がかなり起きている。おそらくこの調子だと、ヨーロッパにおいても、中国の北部地方においても、同じことが言えるのではないかと私は思います。こういったことを見ましたときに、たまたま四月一日、気象庁は、世界の異常気象の実態調査結果を発表しておりまして、北半球の寒冷化の傾向があと十数年は続く見通しである、注意すべきである、こういうふうな警告を出しております。こういったことを思いますときにかなり今後きびしいものがあることを思って、憂慮しております。食料需給見通しの上から、農林省は、これをどういうふうに受けとめておられますか。気象庁のこういったことに対しては、たいしたことはない、こういうふうに見ておられるのですか、あとの麦の問題を聞くために、最初この問題をどうしても聞いておかねばなりませんので、どういう見解をお持ちであるかお尋ねをしておきます。
  161. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは気象の問題だから、政治的にお答えするわけにいかないので、ひとつ学問的に事務当局から答弁をさせます。
  162. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 お答え申し上げます。  気象庁が、四月一日に、先生がいまお話しになりました「近年における世界の異常気象の実態調査とその長期見通しについて」という論文を発表いたしました。その要旨は、先生御指摘にございましたように、十数年ぐらい北半球の寒冷化が続く、こういうことはいっております。その要旨を少し申し上げますと、北半球の高緯度地方、つまり北緯六十度前後から北のほうについて、そういう傾向が顕著に出ておりますが、その地帯はわりあい農作物のない地帯でございまして、世界の食料生産の上で大きな割合を占めております中緯度ないし低緯度地帯のほうにつきましては、必ずしも寒冷化するという表現ではなくて、非常に気象が乱れやすい状態になってくる、つまり干ばつになりましたり、冷害が起こったりという非常に不安定な気象が出る、こういうものが、いままでの周期的なものの観測からいくと十数年ぐらい続くおそれがある。しかし、それがどの程度まで進行するか、あるいはどの点でそれが折り返してくるかということはよくわからない、こういうことになっております。それからまた、寒冷化をいたします場合も、急激にどかんと寒冷化するという話ではなくて、逐次上がったり下がったりしつつある方向に動く、こういう見解でございます。私どものほうも、昨年これと同じ調査で、「世界の気候変動と農作物生産」ということで、私をはじめといたしまして何人かの者を各国に派遣いたしまして調査をいたしまして、世界各国の見解も聞いてまいりましたのですが、世界各国の気象学者等の見解によりますと、気象庁のいう寒冷化説を北のほうについては認めているのが一般でございますが、その他の地域について認める人は、まあ何人かございますが、一般的には、そういうことはよくわからないという見解のほうが多うございました。特に、近いうちに非常な大凶作が起こるというようなことはないという見解が主を占めておりました。ただ、私どもこの調査をやりました結果、世界各国の農業生産というものは、日本の米のように水が張ってあって安定だという作物が少のうございますので、調べてみますと、かなり気象の影響を受けて変動を受けているということはよくわかりました。したがいまして、今後極端な気象が出ないにしましても、いままでどおりぐらいのものは変動があるであろう、ですから、十年に一度ぐらいでございますと、七一年から七二年にかけまして起こりましたようなかなりな凶作も起こり得ないものではない、こういうふうに考えられたわけでございます。したがいまして、そういう状況が起これば、ある時期においては食料需給の逼迫ということも起こり得るということは考えられるわけでございます。全般的に、そうひどく深刻にいま直ちに考えて、応急の対策というべきものではないかと存じますけれども、わが国の気象庁のレベルというのは非常に世界的にも高いものでございますし、長期予報について独特の見解を持っておりますので、気象庁がそういう発表をいたしておりますので、私どもはこれから先も十分警戒したい。特に毎年毎年暖候期あるいは季節、季節に発表します気象庁の気象予報がございます。そういうものを参考といたしましていろいろな施策を講じてまいりたい、特に技術の指導をしてまいりたい、そういうふうに感じておるわけでございます。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係もありますので、はしょって急いで終わりますが、いま話がありましたように、大凶作は起きないにしても変動を受けやすい、しかも食料事情の逼迫が起きる懸念もある。しかしこれは、やっぱり国民が心配しますので、かりにそうであっても、なかなか公開の席ではそういったことを率直に言うことも問題だという心配も私しておりますけれども、いずれにしても日本の気象庁というのは精度の高い発表をしておりまして、かなりこういった傾向があるということは間違いない。そういったことからいろいろ見ますと、日本の自給率というのは、御承知のように前年度よりことしは一%下がっております。先進国でも最低率にあるというふうにいわれておるわけでございまして、決して自給率がどんどん進んでおるわけでもありません。そして世界の事情はそういうような状況です。  それから見まして、私は麦作についてもっと政府は力を入れてもらいたい、こう思っているんですけれども、最後に、結論を申し上げる前に簡潔なことを一、二、ほんとにわずかな時間聞いて、最後に指摘したいんですが、ことしの麦の作付はどのくらい伸びていますか。一言簡単におっしゃってください。
  164. 須賀博

    須賀説明員 現在のところ、まだ最終的な作付面積ははっきりわからないわけでございますが、昨年末の各県からの報告によりますと、約十八万ヘクタールという数字になっておりますが、その後いろいろな天候の影響も受けまして、多少この数字は変わってくるんじゃないかというふうに考えております。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 多少変わるというのは、どういうふうに変わるのか、減るのかふえるのか、それと、どこの県が伸びているか。
  166. 須賀博

    須賀説明員 ただいまのところ、私どもが把握しております数字でございますが、ふえる県といたしましては、九州が、裏作麦がふえる傾向にある。大体前年に比較しまして二ないし三割程度ふえるんじゃないか。それから次は北海道でございますが、北海道畑作の麦でございますが、前年に比較しまして五割以上ふえるであろう。その他の地域におきましては大体横ばいかあるいは減少ぎみであるということでございまして、ただいま変動があるということを申し上げましたのは、麦をまきつけたあとに、干ばつ等の影響を受けまして、その後耕作を放棄したというようなところも見られるわけで、十八万ヘクタールが多少減少するんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、私がきょう指摘したいところは、農林省は、四八農蚕第五四七三号、昭和四十八年九月十日付でもって、農林政務次官通牒を出しております。すなわち「昭和四十八年度における麦生産振興緊急調査及び推進指導事業実施要綱の制定について」、この中にいろいろと述べてありまして別添として「昭和四十九年度概算要求」の中に「一、麦生産振興奨励金。麦作振興地区内において生産され販売されるものに対して生産振興奨励金(一俵当たり二〇〇〇円)を交付する。」これは実際けっこうなんですけれども、二番目に「モデル麦作集団奨励補助金約八億円」、これについては「麦作振興地区内において、米麦一貫裁培、合理的な輪作体系確立等を通じて生産性の向上を図る一定規模以上の麦作集団に対して、モデル麦作集団奨励補助金(一集団二〇万円)を交付する。」そして八億円ということで通達を出してある。これに基づいて純朴な農家は二千円奨励金が出たということで、ことしは確かに九州においても、熊本、福岡等、相当の伸びを示しておる。北海道もまた伸びを示しておる。いま報告のあったとおりです。そこで、いつもと違って、農村地帯に行きますと、耕地が黒々として、おお、ことしはずいぶん麦付が多かったなあと思って、われわれも喜んで、農家に聞きますと、農家は、やはり生活の知恵といいますか、オイル・ショック、しかも物価の値上がりで、自給飼料を確保したいというのと、かてて加えて、二千円の奨励金も出たということで、意欲的にやっているということは事実であります。  ところが、反面、このいわゆる集団裁培奨励金二十万円が、こういう通達が出ておるにもかかわらず、半分の十万円に減らされた。そこで、各県ではずいぶん一生懸命これらの奨励をしたわけです。きょう政府のほうにも写しをあげておきましたが、茨城県の麦づくり推進機関では、茨城県、市町村、茨城食糧事務所、茨城統計情報事務所、農業会議農業協同組合、農協中央会、経済連、ビール麦協議会、農産物改良協会、種子協会等が一丸となって、「茨城の麦作改善ニュースNo3茨城県麦作振興対策会議」として「「もうかります」今年は麦を作りましょう。一俵六〇〇〇円を越える麦価となりました。」そしてさらに「四十九年産麦の販売価格」として、いろいろ言及し、さらに「上記の価格は一般栽培した場合のものですが、集団で五ヘクタール(五町歩)以上栽培した場合は車に集団裁培奨励金(約二〇万円)が交付されます。」ということで、ものすごい鳴りもの入りでやった。これはどこの県でもそうです。  ところがふたをあけてみたところが、八億円の予算が四億円に減らされて、そして農民はがっかりした。こういう通達を出したということは、これは役人としては、農林省としてもかってないことで、いわゆる概算要求の時点で先取りして出したということは、私も、農林省もずいぶん積極的に、今後自給率を上げるために、日本の麦作を振興するために、ほんとうにこれは意欲的な姿であると思って喜んでおりました。こういったことを指摘すると、今度は、こういったことが前もって出されるからと萎縮してはいかぬのだけれども、こういう通牒が出たので、すぐにいま言ったような団体はモデル栽培に力を入れたのですけれども、大蔵折衝において腰が弱かったのか、政務次官の交渉も悪かったのか、八億円のうちたった四億円、これだけの予算しか取り切れなかった。この前から指摘したかったけれども、機会がなかったので、きょうあえて指摘をするわけですが、来年の関係もあるし、こんな対策でどうするか。八億円のうち四億円くらいどうして確保できなかったのか。この純朴な、しかも、自給率を上げ、飼料をうんとつくろうというときに、われわれが願って、この委員会でも数回論議をしたこの麦作に対して、たった八億円の金を取れなかった。いやしくも、このような農林政務次官通達を出すならば、四億円ぐらいの予算は取って、必ず実現するという意気込みでなくちゃいかぬ。だらしがない。したがって、私はこの八億円の予算に対して、二十万円交付するならば、二十万円で八億円を割りますと四千という膨大な日本の五ヘクタール以上の集団を、半分に減ったのですからだましたということになる。こういうことでどうして自給率が上がるか。もうすでに先進国ではわが国の自給率は最低であり、しかも昨年よりも一%下がっているという自給率、こういったことに対して当局はどういうふうに弁解されるか、これに対してどういうふうに検討されておるか、私は残念でたまらない。答弁。
  168. 須賀博

    須賀説明員 麦作振興ということで私どもいろいろ施策を講じてきたわけでございまして、特に四十九年度からその自給率を上げていこうということで、麦作振興対策を去年の秋からいろいろやってきたわけでございます。その影響もございまして、四十九年度におきましては麦がふえる傾向にあるということで喜んでいるわけでございます。ただ、いまのお話しの麦作モデル集団の予算でございますが、これは予算の要求の段階で二十万円でございまして、結果的には十万円ということになったわけでございまして、この点につきましては私ども非常に力が足らなかったということは心の中でよくかみしめておるわけでございます。しかし、十万円が一応現在のところ予算が計上されて、事業が実施に移される段階にあるわけでございますが、こういう予算を活用しまして、麦作振興がうしろ向きにならぬように、前向きで私ども努力してまいりたいと思っております。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に一言、時間ももう来ておるので恐縮でありますので、政務次官に答弁を願いたいが、いま答弁があったけれども、そんな通り一ぺんの答弁では困るのです。ほんとうは公開の席であまり真相を言うことはいかぬからそういうふうに言っておるのだろうと思うが、これはひとつ政務次官よく検討していただいて——あなたの名前が出ておるでしょう、政務次官の名前で。日本の農民を全部だましたんだ。二十万円ですから、八億としてもこれは四千集団です。だましたことになる。もうほんとうにこれはけしからぬ問題で、今後のこともあるし、もっと強力に大蔵省に追求してやってもらわぬといかぬ。政務次官の通達ですから、あなたからこれに対する反省と、今後の対処方針、決意を述べていただきたい。
  170. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私はいまこれは初めて見るのですが、四十八年の九月十日に、これは政務次官でなく事務次官なんですよ。事務次官通達で出してあることは「昭和四十八年度における麦生産振興緊急調査及び推進指導事業実施要綱の制定について」ということで、「四十九年度予算概算要求を行っているところである。」ということなんですね。そこで別紙のほうで、確かにいま言ったように八億円ですか、一集団二十万円を交付するという要求を農林省は行なっています、こういうのを出したのですね。これが早とちりで、要求を全部もらったように、予算がついたようにあるいはとられて、そういうふうな刺激剤になったかもあるいはわかりません。ですから、これを出したことがよかったか悪かったかわかりませんが、ともかく要求をしているのなら、素朴な農民とすれば、こういうふうに出す以上はもう取れる自信があるから出したんだろう、こういうふうに思うことも私は当然だと思います。したがって、一団地当たりになればたいした金でもないのでありますから、こういうようなことは、やはり何らかの面で何らかの方法を考えてやることが将来必要だろう。しかし、これはうそは言っていないのですよ。ほんとうのことを言っているのだが、そういうふうに間違った人もあることは間違いないので、何とか麦作を一生懸命やった人がそれだけのメリットがあったような始末のつけ方というものをひとつ考えていったほうがいいというように私も思っておりますから、総合的にこれはひとつ御判断をいただくことにしたいと存じます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官がそういうことを言うから、またどうしても一言言わぬとおさまりがつかなくなっちゃうんだが、この通牒は確かに政務次官か事務次官かわからぬが、政務と事務のところがちょうど消えているんだ。消えた通牒をよこしているんだ。そこで消えているんだ。  それはそれとして、そういうことをあなたが言うだろうと思って茨城県の、各農家に通告したこの書類を刷って渡しました。これには、先ほどぎょうぎょうしく言ったのは、そういうことを言うだろうと思っておるからぼくは言ったんだけれども、「麦づくり推進機関」の中に「茨城県、市町村、茨城食糧事務所、茨城統計情報事務所」、こういったこともれっきと書いてあるわけですよ。これは全然農林省は関係ないのですか。やはりこれらもまことに受けたんだ。これを通牒に入れれば、いろいろ役人流で、行なっているところであるということで、これは概算要求の段階で云々とおっしゃるけれども、確かにそう書いてある。書いてあるけれども、別添を見たりすると、ほんとうにいまだかつてない、またこういったことは農林省もずいぶん思い切ってやったことだと思うが、いままでこんなことしたことないものだから、あまりせぬことを急にやるものだから、みんなびっくりしてほんとうに思うわけだ。といってあまりきびしく言うと、今後こういったことをしなくなるとまたこれは心配なので、萎縮してはいかぬという心配もあるけれども、まあ自給率を上げ、麦をつくろうという大事なときに、私は気違いみたいに、いまあなた手元に見たでしょう。「茨城食糧事務所、茨城統計情報事務所」と書いてある。これは農林省からいつ別になりましたか。全然関係ないのですか、これは。こういったところも認めて、一緒に共同でこの文書を出して、農家をいわば啓蒙したわけです。農家は喜んだわけですよ。それは農家には罪はかけられません、こういった文書を農家に一々やるわけじゃありませんから。その辺のことはあなたも、幾ら公開の席であっても、そういうことを言わずに、率直に認めて、四億円ぐらいはちゃんと確保して今後やる、ほんとうに大蔵省農林局といわれるだけあってだらしがなくて申しわけない、反省をする、こう言ってもらえば安心するんだ。答弁。
  172. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 親切のために出したのですが、それは二十万円が十万円になったということは早とちりをしたということなんでしょうが、確かにここの。パンフレットを見ると茨城県、市町村あるいは統計事務所や食糧事務所も名前を連ねておりますから、かってに名前を書いたわけじゃないでしょう、一応相談したのでしょう。しかし、「四十九年産麦の販売価格」というようなところでその値段が載っています。これは四十八年の価格、四十九年の価格というものが載っておるけれども、これは二千円、三百円を加えたような数字がここに載っておるので、だからこの値段よりも高くなれば、ここでまたうそを言ったことになるかもしらぬが、この数字より高くうそをつく分にはあまりしかられないことになるんでしょうから、そういうような点も見て総合的にうそを言ったことでなかった、結局入ってくる金は、うそを言ったことでなかったということにするようなことなどをやはり政治的に考えていく必要がある、こう思っておりますから、その程度でひとつ御了解をいただきます。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今後十分ひとつこういった間違いを起こさぬように、また農民を裏切らぬように対策を立て、検討していただくように要望して私の質問を終わります。どうも時間を経過して恐縮でございました。
  174. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、小宮武喜君。
  175. 小宮武喜

    小宮委員 最近の国際糖価暴騰の原因について質問しますが、今回の国際糖価が非常に暴騰したというのは、単に需給の逼迫だけということではなくて、石油問題に便乗した投機的な色彩が強いのではないかというふうにも考えられますが、農林省としては、今回のこの暴騰の原因をどのように考えておられるのか、政務次官からひとつ御答弁を願いたい。
  176. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、相場の問題は実は正確にわからないんです。正確にわからないんですが、一つはやはり世界的な一つのインフレ傾向もあるでしょう。それから去年は、おととしですか、凶作であったというために、ソ連、中国等の小麦の大量買い付けというものがあって、アメリカの小麦とか穀類の在庫が、史上最低の底をついたというようなことなどが思惑となって、穀類等が市場をはじめ暴騰をした、これは相場ですから、そういうようなものにつられて国際価格も倍以上、穀類も倍以上、石油も倍というように、そういうものがみんなつられた。もう一つは、砂糖需給がうんと逼迫して砂糖がなめられないという状態になったのではございませんが、やはり穀類等の値上がりに相場がつられたのではないかというように見ております。
  177. 小宮武喜

    小宮委員 過去においてこの国際糖価が非常に急騰した昭和三十一年、昭和三十八年の場合は、これは明らかに直接的な原因がスエズ動乱とかキューバ紛争であったわけでございますが、今回の急騰の原因の背景には、何か従来と違った特殊性があるのではないかというふうに私は見ているわけですが、政務次官、どうですか。
  178. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 どういうふうな不正なのかよくわかりませんが、やはり国際価格の暴騰ですから、やはり国際的な相場師もおりまして、どこの金がどういうふうに動いたのかよくわかりません。わかりませんが、国際的なともかく投機的なものが入っておるというようには見られると思います。日本だけの話じゃありません、世界じゅうの話でありますから。どこのところがどう具体的に不正であったかということは、ちょっと私にはわかりかねます。
  179. 小宮武喜

    小宮委員 日本は砂糖の国内消費の約八十%を外国に依存している。そういう輸入先を見ますと、キューバ、南アフリカ、台湾、ブラジル等、開発途上国でありますが、その開発途上国だけでも輸入量の約七〇%を占めているということで、今後これらの開発途上国は、石油と同じように、砂糖を自国の利益確保のための戦略物資として位置づけて、生産の削減とか、あるいは輸出規制等を強行するようなことが非常に考えられるわけです。もう一部新聞等においても、やはりOPECと同じようにシュガーOPECというような名前まで出てくるように、こういうふうな砂糖生産国は、やはりいまのような輸出機構をつくって、そこで価格を上げていこうというような動きも出ていると思うのです。したがって、そういった動きについて農林省としてはどのように見ておられるのか、またどういうふうに把握しておられるのか、その点もひとつお聞きしたいと思う。
  180. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 石油を戦略的に使った、これは事実だと私は思います。それからアメリカ等に対してソビエトロシアが一千五百万トンも買い付けた。ところがそのうち百何十万トンは北欧の共産圏に売られておるとか、去年ソビエトから三百万トンの小麦がインドに輸出されておるというようなことになってくると、やはり穀類を一つの戦略物資的なものに使われるのではないかというような不安を持つのはあたりまえであります。しかし砂糖の場合は、もちろん木材、砂糖についても低開発国等では、それでは一緒に自分たちも仲間をつくって同じようなことをやろうじゃないかという動きも出てこないということは断定できませんが、石油や穀類のようなパンチは私はきかないと思うのです。糖分というものは、砂糖だけからしかとれないというものでもないし、これは小麦からもとれるし、米からもとれるし、いろいろでん粉からもとれるわけでありますから、まあそれほどのパンチは私はきかないのではないか。だけれども、やはりそのような動きに対しては警戒をしながら対処していく必要がある、かように考えております。
  181. 小宮武喜

    小宮委員 そういうような動きがあったとしてもパンチはきかないということを言われておりますが、なるほど石油のようなパンチはきかないかもしれません。しかしながら、現に国内消費の八〇%を海外に依存しておるという中で、たとえばそのために国内の自給度を高めていくという問題も、当然政府は考えておるようですが、まだ先で質問しますけれども、具体的に自給度を高めていくにしても、そういうふうな海外に八〇%も依存しておる砂糖を、いまの石油のような形でやられた場合に、それは石油ほどはパンチがきかないにしても、かなりのパンチになって、やはりこの値上げにも応じなければならぬということに私はなってくると思うのです。その意味ではすでにキューバ等ではそういった動きがあるということもある新聞紙上にも報道されておりましたので、その問題はいまここで論議はしませんけれども、そういった意味では、やはりそういうような動きもあるということを十二分に考えておらないと、それでは石油だって、中東戦争が発生するまでだれがあのような事態が起きるということを想像した人がおったでしょうか。したがって、そういったことが起きても、砂糖の供給を確保するためには、国内の自給度を高めていくというようなことを政策として考えておくべきが政府ではないかというふうに私は考えます。その問題は時間がございませんから……。  それから、特にそういった意味で、砂糖価格の高騰ももちろんのことですが、大豆等の問題にしてもこれは明らかなように、政府の海外依存一辺倒の食料政策というものが非常に問題になってくるのではないか。ただ単純に経済合理性だけを考えて、ただ安いから海外から輸入するというようなことは私はやはり誤りだと思うのです。したがって、国民生活の安定の立場からいっても、国内自給の必要性は当然のことですが、しかしそれかといって、いま言われるように一朝一夕でできるものではなかなかございません。したがって、砂糖についても当分輸入にたよらざるを得ないと思うのですが、砂糖の量的な安定確保に対して国民は大きな不安を抱いている。したがって、農林省として今後の砂糖の安定供給に対してどのような見通しを持っておられるのか、その点ひとつお聞きします。
  182. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 砂糖の安定供給というようなことになりますと、しょせんは日本で使うものを全部国内で自給するということはできません。そこで、特定な国にだけたよっておれば、いつ値上げのためにまた輸出禁止というようなことを食うかわからぬという小宮先生からの御指摘でございますが、日本の砂糖の輸入の状況を申しますと、四十八年ではキューバから三八%、オーストラリアから二六%、南アフリカから二二%、台湾から五・三%、ブラジルから四・一%、その他四%というようなことで、かなり多国間から輸入をしておる。アラブのように、みんな共同の目的を持って、一つのイスラエルと戦争をしておるというようなところと違いまして、キューバとオーストラリアは必ずしも仲よくありませんし、国柄も違いますし、ましてキューバと南アフリカなんというのもあまり仲のいいほうではございません。したがって、それらのキューバ、オーストラリア、南アフリカというようなものが一緒になって、ともかく日本に売るなというようなことは事実問題としてなかなかできる問題ではないし、それから先ほど言ったように、砂糖の場合は、かりに臨時的に量が少なくなったといっても、それが直接国民の生活を脅かすというほどのきめ手にはなかなかならない。まあでん粉質からも糖分は幾らでもとれますから、ですから、石油とか、あるいはアメリカの小麦というようなものと同一視する必要はないんじゃないか。しかしながら、やはりみんな生産制限というようなことをやれば、世界の絶対量が足りなくなりますから、それは値上がりということも当然考えられる。そこでわれわれといたしましては、やはり国内では現在のところ二〇%でございますが、この水準を維持して、なお将来二六%くらいまでにしたいというような政策を進めてまいる。と同時に多国間からの、これは砂糖ばかりではなくて、戦略物資にされそうな穀類とか、えさのようなものにしても、これからなるべく多国間から長期、安定的に輸入するというようなことによって、そういうような危機の状態からは事前に予防線を張るということは必要だろう、こう考えております。したがって、そういうことが長期、安定的な甘味資源の確保ということになろうかと存じます。
  183. 小宮武喜

    小宮委員 政務次官が言われたように、特定の国からだけではなくて、多国間から輸入するということは非常に大事なことだと思うのです。それと同時に、いろいろ言われましたけれども、何といっても国内の自給度を高めていくということも並行して考えなければいかぬのではないか。したがって現在、言われたように砂糖については自給率は二〇%前後で、これがだんだん減少する傾向になっております。そこで、農林省もこの「農産物需給展望生産目標」の中で、砂糖については昭和五十七年度までに三〇%程度の自給率を目標にしておるようです。しかしここで問題になるのは、私はこの三〇%も、実を言えばこれでいいのかという気持ちを持っておるのです。しかしながら、いまのような状態の中でこの三〇%の自給目標を達成するためには、どういうふうにして達成するのか、ただ目標として三〇%を立てるのだということではなくて、具体的にこの三〇%を達成するためにはこうするのだというようなものを、ひとつちょっと説明してください。
  184. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 やはり値段の問題でしょうね。値段が採算が合わなければやめていくのですから、ですから再生産確保に必要にして十分な値段をきめてやる、これはやはり最重点のことですよ。  その次は、これは北海道のような場合と沖繩のような場合と、おのずから違うと思います。北海道のような場合は、大規模経営というようなことで合理的な機械化体系の中に入れた、その他の作物との輪作体系とをうまく組み合わしたビート生産ということが必要でしょうし、沖繩のようなところは、ほとんど機械化なんということはやってないわけですね。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが宮古島なんかに行ってみますと、宮古島に関する限り私も現地を見ておりますが、圃場の整備をし、なお機械化体系に取り入れることができるような条件ですよ。したがって、そういうようなところは、もっともっと生産性を高める方法というものを考えていく必要がある、かように思っております。しかし、なかなかこの自給率をそれ以上に広げていくということは、気候条件の問題もございますし、日本のような狭隘な土地のところでもございますから、三〇%がいいのか二六がいいのか、この辺は現実的にもう一ぺん審議会等の意見を聞いて設定する必要があるのではないか、かように考えております。
  185. 小宮武喜

    小宮委員 やはり価格の問題が確かにあります。その問題はあとでまた触れますけれども、甘味資源特別措置法の第九条で、都道府県はてん菜及び砂糖キビの生産振興計画を毎年立てることになっておりますが、これは、いま言われたように、二〇%から三〇%に目標を立てて、それを達成するためには、三年とか五年の中期、長期計画を立てて、その計画に基づいていまの自給率を高めていくというようにしなければ、ただ単に三〇%目標を立てたけれども、これを具体的にどうするのかということになれば、非常にむずかしい問題があると思うのです。そういった意味で、やはり長期的な計画を立てて、それに向かって政府が取り組んでいくという姿勢をはっきりすべきではないかというふうに考えますが、どうですか。
  186. 須賀博

    須賀説明員 ただいまお話しのように、生産振興計画は、甘味資源特別措置法に基づきまして毎年立てることになっております。この際、生産者なりあるいは市町村、そういう各方面の意見を聞いて、実情に合った計画を立てるということになっておるわけでございます。  これは毎年度でなくて、長期的な年限で立てたらどうかというお話でございますが、私どもこういう計画をつくる際は、やはり毎年毎年、そのときの情勢、そのときの各方面の御意見を聞いて立てていくほうが実際的じゃないかというふうに考えているわけでございまして、長期的な期間そういう生産計画を立てるということも、一つ考え方かもわかりませんが、現在のところ、私どもは毎年度立てるほうが適切ではないかというふうに考えております。
  187. 小宮武喜

    小宮委員 毎年立てていくというようなことは、必ずしも長期目標とは関係なく、その地域性において目標を立てられるということになるおそれはないかということを考えるわけです。そうしますと、やはり長期的な目標を立ててやることによって、農業者も安心して生産に従事するのではないか、そういうようなことから、いまも政務次官が言われたように、沖繩の甘蔗についても、振興安定計画長期的に立ててやるべきじゃないかというように考えるのですが、沖繩の場合は、この問題についてはどのように考えておられますか、沖繩についての長期計画
  188. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 専門的なことは審議官からお答えをいたしますが、やはり沖繩の場合においては、まず場所の選定が必要でありましょう。それから、圃場整備、かんがい、品種の改良あるいは工場とのむだのない結びつけ方、いろいろあると思います。  なお、具体的な技術的な面については、審議官から答弁をいたさせます。
  189. 須賀博

    須賀説明員 沖繩の点につきましても、やはりいろいろその生産振興につきましては、むずかしい点があると思います。あると思いますが、毎年毎年その実情に合った計画を各方面の意見を徴して立てるということのほうが、やはり長期にわたった計画に基づくよりも、より実際的ではないか。長期目標というのがございますから、その目標に沿って、毎年度いろんな具体的な計画を立てていくというほうが実際的ではないかというふうに考えております。
  190. 小宮武喜

    小宮委員 砂糖の国内自給を高めるためには、やはりてん菜最低生産者価格は、再生産を可能にして、農業者の生産意欲を増進するものでなければならないということは当然なんですが、そのためにてん菜価格についてはどのように考えられておりますか。
  191. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 てん菜価格については、方式がきまっておりまして、パリティを基準として生産費あるいはその他の競合作物経済事情等を勘案してきめる、こういうふうなことになっておるわけであります。したがって、推定生産費をこれでは一応計算をするわけでありますが、物価の上昇等もまた異様なものがありますから、できるだけ直近までそういうものを織り込んで、その中で再生産ができる、そのために必要にして十分な値段というものをわれわれは考えてまいりたい。ですから、もう来年からサトウキビがつくれないというような値段はきめるつもりは毛頭ございません。やっぱりサトウキビをつくってよかったなというような値段にしたい、こう考えております。
  192. 小宮武喜

    小宮委員 機構の問題ですが、農林省の農蚕園芸局の畑作振興課は、ビート生産振興関係を受け持っているわけですが、価格の面には全然ノータッチなんですね。——そうしますと、食品流通局の砂糖類課のほうが価格の問題に参与しているわけですが、この点でやはり価格の決定と生産振興のほうがばらばらになっておる、別々になっておる。私はそれがいいというふうには考えられないのです。むしろ生産者の立場から見れば、こういうふうな、機構のあり方がばらばらで、別々に行なわれておるということについて、一貫してやれるような機構のほうが好ましいのではないかと考えますけれども政務次官、どっちですか。やはり別々にしたほうがいいですか、いいということならその理由を言ってください。
  193. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは一長一短で、どちらがいいというふうになかなか断定しかねるのですが、たとえばお米にいたしましても、生産振興のほうと、価格をきめる食糧庁のほうは、必ずしも同じところでやっているわけではありませんで、それでもけっこううまくいっているわけでありますから、砂糖類課で価格をきめるにいたしましても、もちろん原価等からいろいろな資料を取り、同じ仲間の農林省同士の話し合いでございますから、いろいろと、今後再生産ができるようにして十分な価格はどこらがいいかというような点については、これは当然うちの中ですから相談をしてやっておることなので、まあいまさら変えなければならないということもないと思いますが、変えたほうがより一そういいのだという、何かはっきりした証拠があれば、それは変えることにやぶさかではございません。
  194. 小宮武喜

    小宮委員 もう時間があまりございませんが、農林省は最近の砂糖の国際価格に比較して、国内で砂糖生産したほうが安くつくと思いますか、それとも高くつくと思いますか。政務次官、いかがですか。
  195. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 国内で生産したほうが安くつくか高くつくかという話でございますが、それは国内で幾ら生産するのだという問題になりまして、それは輸入しないでみな国内でつくれといわれたらべらぼうに高くつくでしょうね。ほんとうに輸入する量の半分も国内で、どこでも何でも無理してつくらせるのだ、なかなかそうもいかない、てん菜なんていうのは、九州のほうでもつくってみたことがあるそうですが、なかなかうまくいかない。栃木県あたりでも酪農とからみ合わせてやったことがあるのですが、実は長続きしなかった。やはりてん菜が定着したのは北限地帯の北海道あたりで、これは病気の関係もあるし、面積の問題もあるし、機械化体系の問題等もあって定着しておるわけですから、国内でつくらしたほうがいいのか、外国から買ったほうがいいのかというのは、量の問題等もあって一がいにどちらといえない。しかしながら二〇%以上二六%くらいまでは国内でつくっておくことがいろいろな面でいいじゃないか、またその程度のことならば土地の問題からいってもできる可能性もあるのではないか、こう思っておるわけであります。
  196. 小宮武喜

    小宮委員 時間がございませんから最後に、北海道の伊達町に存在する台糖株式会社のてん菜工場は、周辺農家ビートの不採算性の立場から非常に生産が落ちてきたということで、製糖ベースが従来よりかなり落ち込んで、千五百トンベースに落ちてきた。問題は、やはり価格決定のいかんにもよるわけですが、もし価格が従来のように低水準であるならば、千トンくらいに落ち込むのではないかということもいわれているわけです。  そこで、今度のてん菜価格決定にあたっては、こういうような生産者のみならず、またそこで働いておる工場労働者もいるわけですから、やはり生産が落ちてきますと、工場のほうも休業なり人員の整理という問題も起きてきますので、その点をひとつ十分に配慮されて、政務次官の政治力を期待し、生産者が十分理解と協力のできる限度までぜひひとつ大いにがんばってもらいたいということを強く要請しまして、私の質問を終わります。
  197. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十二分散会