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1974-03-13 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十三日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    上田 茂行君       小沢 一郎君    金子 岩三君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       染谷  誠君    丹羽 兵助君       本名  武君    井上  泉君       角屋堅次郎君    竹内  猛君       馬場  昇君    美濃 政市君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         農林省畜産局長 澤邊  守君  委員外出席者         農林省構造改善         局農地開発機械         公団監理官   牛尾 藤治君         農林省構造改善         局計画部計画課         長       井上 喜一君         参  考  人         (農地開発機械         公団理事長)  小倉  謙君         参  考  人         (農地開発機械         公団労働組合中         央執行委員長) 村  勝吉君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農用地開発公団法案内閣提出第四八号)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農用地開発公団法案を議題とし、審査を進めます。  本日は、まず、本案について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、農地開発機械公団理事長小倉謙君、農地開発機械公団労働組合中央執行委員長村勝吉君、以上二名の方であります。  両参考人に申し上げますが、参考人には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。  ただいま本委員会におきましては、農用地開発公団法案について審査をいたしておりますが、本案につきましては、両参考人のそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見をお一人十分程度で順次お述べをいただき、その後委員からの質疑がありますので、これにお答えをいただくことにいたしたいと存じます。  御意見開陳小倉参考人村参考人の順序でお願いをいたします。  それでは、小倉参考人お願いをいたします。
  3. 小倉謙

    小倉参考人 小倉でございます。よろしくお願いいたします。御意見を申し上げます。  ただいま御審議中の農用地開発公団法案は、未利用低位利用地域において、畜産を基軸とする農畜産物の大規模かつ濃密な生産団地を建設しようとするものでありまして、わが国の最近における農畜産物の需給の動向等から見まして、時宜を得た、また、緊要な方策であると存ずる次第でございます。  私は、この農用地開発公団の成立のときにおいて解散することとされております農地開発機械公団立場において若干申し上げたいと思います。  農地開発機械公団は、御承知のように、昭和三十年十月に設立され、当初は、国際復興開発銀行及び余剰農産物見返り資金を借り入れて、農用地造成改良のための高性能機械を保有し、これを貸し付けるとともに、北海道根釧地区、青森県の上北地区におけるパイロットファーム建設工事等を受託施工いたしましたが、その後、事業実施地区も、設立当初の特定地区中心から全国各地拡大されまして、大型機械による農用地造成改良工事のパイオニアとしての使命を果たしてまいっております。  さらに、昭和四十年六月に、共同利用模範牧場設置事業、いわゆる建て売り牧場建設事業事業主体としての性格が加えられまして、草地造成改良畜舎等農業用施設造成営農用機械家畜導入等一体とした事業を実施するほか、昭和四十一年度以降八郎潟干拓地圃場造成工事を全面的に受託施工して今日に至っております。  このように、農地開発機械公団は、創設以来、全国各地において、機械施工中心とした農業基盤整備事業及び牧場建設事業の推進、並びにこれらに関する機械、工法の開発技術水準の向上に大きな役割を果たしてまいっております。  しかしながら、近年、民間における機械装備が次第に充実いたしてまいりました。また、かつ、機械施工技術水準が向上してまいりましたこと等にかんがみまして、当公団の今後のあり方について再検討すべき時期に来ているものとかねてから考えていたところであります。  このたび、新設されようとしております農用地開発公団は、農用地造成関連土地改良施設畜舎その他の農業用施設等整備を総合的、計画的、かつ一元的に実施する機関でありまして、その業務を遂行するために、農地開発機械公団設立以来約二十年間にわたって蓄積してまいりました農用地、特に草地開発及び建て売り牧場建設等に関する豊富な経験技術を積極的に活用することとされておりますことを私はうれしく存じておる次第でございます。  なお、旧公団から新公団への切りかえについてでございますが、農地開発機械公団の一切の権利及び義務農用地開発公団に承継されることになっており、また、当分の間、従来の農地開発機械公団業務を行なうことができることとされておりまして、新事業事業規模拡大に伴って逐次転換していくことになっておりますので、この間、新事業に対する実施体制を整えるについて、職員研修等を十分に実施する事により、円滑に移行できるものと考えております。  このことに関しましては、従来から職員研修内容にも留意いたします一方、特に、四十七年度から、共同利用模範牧場についてはもちろん、農用地造成に関する調査設計業務委託を本格的に受けております。また、筑波研究学園都市における農林研究団地試験圃場造成のための調査設計施工管理委託を受けまして、その包括的実施を通じて、事業主体に関する経験も積むように心がけてまいってきておるのでございます。  さらに、ブルドーザーの運転貝整備員の中から相当数研修の上、技術または事務職員職種転換を行なってまいっております。  今後もなお新業務内容に適応させ得るよう努力いたす所存であります。  最後に、農用地開発公団に移行する場合における職員処遇等にかかわる諸問題につきましては、従来の経緯をも踏まえ、今後も一そう努力をいたしたいと存じておりますが、制度上の面等のこともありますので、何とぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。  以上をもって私の意見開陳といたします。ありがとうございました。
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次に、村参考人お願いいたします。
  5. 村勝吉

    村参考人 今回、農地開発機械公団農用地開発公団に改組されるにあたりまして、御意見を申し上げたいと思います。  まず、労働条件の問題であります。  現在ある労働条件を承継していくということは基本的原則であります。しかし、過去に労働組合使用者の間で合意または約束をしながら、いま現在まだ実現されていない労働条件が何点かございます。新公団発足に伴い移行するわけでありますから、この際、未解決労働条件についての解決または約束事の履行の上で移行することが妥当だと思います。この点につきまして、幾つかの特殊法人の実例をあげながら申し上げてみたいと思います。  第一点は、定員外職員を一括して定員化し、さらに事業量に対応する定員を確保する問題であります。公団定員につきましては、国の予算ワクの中であらかじめ国家公務員定員削減機械的に合わせられ、公団定員がきめられております。ところが、御承知のとおり、公団事業量は年々二割くらい増大し、定員では対応できず、その補充として定員外職員を採用し、現在、定員五百二十五名のほかに定員外職員が百五十五名雇用されております。職務内容職員と全く変わらないにもかかわらず、その実態は、定員制度に名をかりた差別雇用であります。労働組合使用者の間で、昭和四十四年十二月四日に、確認事項で、「公団臨時雇用者の身分安定のための定員増について今後鋭意努力する」と合意しながら、現在まだ百五十五名の定員外職員定員化されていない状態であります。さらに、労働協約第二条では、「公団は、組合員生活の保障と雇用の維持に努力する義務責任を有する」とはっきり明記されておりますし、昭和四十年の第四十八回国会審議されました森林開発公団法の一部改正附帯決議で、公団業務運用に支障のないよう定員を再検討し、臨時職員定員化につとめることということを決議され、現実定員外職員定員化されました。この例のように、新公団発足に伴い、準職員全員一括して定員化をはかっていただきたいと思います。  さらに、新公団発足に伴い、事業量が飛躍的に増大されることが予想されております。しかしながら、慢性的な人員不足の状況から、労働者労働強化としてはね返ってくることは必至であります。新公団事業を円滑に遂行するために、事業量に見合った定員増をはかっていただきたいと思います。  第二点は、賃金格差是正の問題であります。  現在、私たち農地開発機械公団賃金は、他の政府関係特殊法人と比較いたしまして著しい格差を生じております。また、公団内においても職種間の格差が年々拡大しております。私たちは、この格差を解消するため、労働組合使用者との間で、昭和四十四年十二月二十五日に覚え書きを取りかわしました。その内容は、「水資源開発公団および職種間の俸給表上の格差について、できるだけ近い将来にわたり是正するよう努力するものとする。」さらに、同日付の確認事項で、「「できるだけ近い将来」とはおおむね五カ年を目途とするものとする」と約束したものの、その後是正されるどころか、むしろ拡大の一途をたどっております。  ところが、昭和四十年の第四十八回国会での森林開発公団法の一部改正附帯決議で、公団職員の給与については、他の政府関係機関と均衡するようすみやかに措置することということが決議され、当時農地開発機械公団より低かった賃金がその後是正され、今日では私たちよりはるかに高賃金になっているのが実態であります。また、最近の例といたしましては、昭和四十七年の第六十八回国会で、産炭地域振興事業団から工業再配置・産炭地域振興公団への改組に伴って、農地開発機械公団と同水準でありました賃金が、新公団発足と同時に、特殊法人の高水準であります日本住宅公団賃金と同じになったわけであります。  新公団発足と同時に、昭和四十四年に取りかわしました覚え書きを完全に履行し、賃金格差是正をぜひ実現させていただきたいと考えます。  いままで申し上げましたように、労働条件の諸問題が未解決のままであります。新公団が七月から発足するわけでありますから、その前に、そこに働く労働者労働条件を、公団発足前に労使で協議し、新公団へ移行することが大切なことではないかと考えます。この機会に御審議をいただきまして、労働条件について、本日から労使で具体的な話し合いが行なわれる方向にぜひとも皆さまのお考えをおまとめ願えればたいへんありがたいと考える次第であります。  第二に、公団運営民主化についてであります。  公団は、本来の目的は、効率的に国民サービスを行なう機関として設立されたものであります。しかし、現実は、一方的な監督官庁の干渉によって自主性目的が失なわれているのが実態であります。昭和三十九年九月に臨時行政調査会政府に答申した中で、政府関係機関等運営について、「予算は、総枠についてのみ主務大臣が承認するものとすること。従って、予算の総枠の積算根拠予算統制とせず、総枠内の予算運用理事長責任と権限にゆだねる。」とありますように、私の意見だけではなく、政府がつくった臨時行政調査会が勧告しております。したがって、政府実施業務能率的運営のために設立されようとしています新公団は、単に行政法上独立の公団にとどまらず、公団運営実態的に監督官庁から独立して、その自立的運営を行なえるようにしなければ公団設立目的は達成し得ないものと考えます。  次に、公団自立的運営を妨げている主要な要因は、一般に言われております天下り人事であります。現在の農地開発機械公団実態も、役員六人全員が旧内務及び農林官僚で占められ、それぞれの官庁人事のしわ寄せが公団にきていることは事実であります。同じく臨時行政調査会の答申で、公庫、公団等人事について、「広く人材を求めるため、官庁都合本位による役員人事をやめて、役員部内外からも積極的に登用することとし、かつ本省からの直接登用による役員原則として役員の半数以下とする。」と、このように具体的な勧告があるにもかかわらず、実態は逆であります。  今回の新公団についても、農地開発機械公団役員六人に比べれば、新公団役員は十人と拡大されています。職員規模に比べて役員ポストがふえ、新公団設立というものが監督官庁天下りポスト拡大利用されている向きがあります。新公団能率的な運営をはかるためには、まず役職員天下りを制限し、公団内部から人材を優先的に登用することを申し上げたいと思います。  最後に、農用地開発公団発足が、広く農民の将来に対する展望を与えるものであってほしいし、さらに、そこに働く労働者生活を守る方向の中でこの法案審議されることを強くお願い申し上げまして、参考人としての意見にかえさせていただきます。
  6. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で、参考人からの御意見開陳は終わりました。     —————————————
  7. 仮谷忠男

    仮谷委員長 参考人に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
  8. 安田貴六

    安田委員 いま、小倉理事長並びに中央執行委員長のお二人からそれぞれ御意見開陳がありましたが、まず、私は、小倉理事長に御質問申し上げたいと思います。  開発機械公団は、日本農地造成あるいは開墾を含めまして、非常に長い間御努力願ってまいったわけでありますが、この間いろいろな批判もあり、また、最近においてはたいへん非能率的な公団になっておるのではないかというような批判もあるようですが、私は北海道選出の議員でございますけれども、この開発機械公団日本における開拓行政の面に、あるいは農用地造成の面に、あるいはまた経営規模拡大の面に尽くされた功績というものに対しては相当高く評価をすべきであると思っております。したがって、そういう面においては、小倉理事長もたいへん長い間理事長として御活躍をいただいておるわけでありまして、理事長をはじめ公団職員を含めまして、皆さま方に、私は、その御努力に対する敬意をまず表したいと思います。  そこで、今度は、新時代に対応する新しい公団農用地開発公団として発足することになったわけでありますが、いままでの開発機械公団理事長としての経験、あるいは公団運営に対する反省という見地に立って、この段階において、新しい公団ができる場合にあたって、現理事長として、引き継ぎ責任者として、新しい公団に対してはもちろんそうでありますが、農林省当局に対しましても、いままでの経験を生かして、どのように新しい公団を実質的に内容的に構成すべきであるかとか、あるいは、新しくつくろうとする制度に対しては、どういう面に対してどうあるべきだとか、そういう献策をすべき責任があるお立場にあなたはあるのではないかというふうに私は考えておるわけであります。  そういう角度から一、二お尋ねをいたしたいと思うのですが、理事長は、いままで理事長をやってまいりました開発機械公団そのものに対して、長年の間の経緯がございますから、率直に言って、内部的にも、あるいはまた事業執行の面においても、いままでの経験に徴して相当反省があったと思うのですが、この新しい公団発足にあたって、そういう面に対してどのような御反省を持っておるのか、開発機械公団はどの面から見ても全く申し分のない事業運営が行なわれてきたとお考えになっているのか、あるいはまた、新しい公団引き継ぎをしなければならない責任者として、どういう反省の上に立って新しい公団に対する引き継ぎをし、あるいはまた、農林省当局に対してどのように献策をし、そして、いま御開陳のありましたように、新公団名実ともにほんとうに制度目的にかなった公団として発足させるにはどのようにされればいいと思っておられるのか、その辺のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 小倉謙

    小倉参考人 二、三お答え申し上げたいと思います。  第一に、どのような反省をしておるかということでございますが、実は、機械公団発足当時は、機械の普及がありませんで、ああいう大型機械につきましては、機械公団がその機械を保有して施工するほとんど唯一の事業体であったのでございます。しかしながら、だんだんと機械が普及し、また、機械公団と一緒に機械公団指導を受けておりました民間の業者の方たち技術等も覚えてきまして一本立ちになってくるということで、最近は、民間企業との関係で、どのようにうまく調整しながらやっていくかということで苦労をしてまいったのでございます。しかしながら、一つには、機械公団にも相当数職員がございまして、そういうような職員をかかえて経営を進めていくというためには、ある程度事業拡大していかなければならないというような点で苦労をいたしてまいったのでございます。  したがいまして、今後公団が新公団に移行しましてからも、当分の間従来の事業を進めていくことになるのでございまするけれども、そういうような一般企業との関係の調整をよほどよく考えて、機械公団機械力あるいは技術というものを特に生かしてなし得るような仕事に中心を置いてやっていくということに心がけていかなければならないと思います。そういう面からの批判というものが最近だんだんと多くなっておりますので、その点は特に気をつけていかなければならないのじゃないかと思います。  それから、能率がいい悪いという問題でございますけれども、これは一般企業に比べて、いろいろな面で、機械公団ばかりでなく、公団事業団全般について批判のあるところだと思いまするけれども、私は、限られた人数の力で、大体においてはたいへんよくやってくれておるものと思います。ただ、中には、どこの社会でも同じでございまするけれども、至らぬ者もございますので、そういう面は今後よく指導をして進めていかなければならないと考えております。  それから、新公団についてでございますが、ただいま機械公団では、四十年ごろから共同利用模範牧場建設事業を行なっております。これは基盤整備とか、施設とか、いろいろな経営上の手段というものを一体的に整備をして譲り渡す事業でございますが、今回新設されます新公団事業の性質といいますか、そういうものも、この共同利用模範牧場事業にきわめて似ておるように思います。  そこで、共同利用模範牧場事業をやっております際に一番困りますのは、事前の調査というものが十分行なわれておるかどうかということでございます。それから、いろいろな権利関係の問題もございます。同意を得るというような問題もあります。そういう面をよほどしっかりとやっておかないと、せっかく事業に着手してから非常に困ったことになってくる、予定どおり事業が進まない、こういうことになりますので、その点は特に御配慮が必要ではなかろうかと思います。  それから、希望いたします第三点は職員の問題でございまして、職員の大多数の者は、今度の新公団に移行していくということについて非常な関心を持ち、熱意も持っておるものと私は考えております。これは研修等を行なっておりますけれども、そういう際における態度によりまして十分うかがい得るのでございます。かつ、長年の経験技術を持っておりますので、これは、持っていきようによっては十分有効に活用していただけるのじゃないかということで、その点の職員処遇等につきましても御配慮を十分お願いしたい、かように考えております。
  10. 安田貴六

    安田委員 いま、それぞれ御意見がございましたけれども、御意見に対して、同じことに対する質問をいまここで再度一々繰り返す時間がありません。そこで、私は、二、三の問題を一括して、同じく理事長に御質問申し上げたいと思います。  まず、一点は、私どもがちょうだいしておる農林省からの資料によりますと、職員の中で、運転士さんとか整備士さんとか、たいへん技能士的な職能の方々が多いようでありますけれども、こういう人たちは、附則によりまして、開発機械公団事業を今後引き続き当分の間行なえることになっておりますが、これは法律用語としては「当分の間」でございますけれども、あまり長くやるということは、新しい制度の仕組みから言うと適切ではないと私は思うのです。したがって、この期間というのはおのずから限られておると思わなければなりませんので、そういう点から言うと、いわゆる受注機関であった従来の開発機械公団から、農用地開発公団という発注機関になった、こういう性格の大転換に対応する職員の、いわゆる職能といいますか、あるいは職務内容と申しましょうか、そういうものが非常に変わってこなければならぬということになると思うのです。そういう場合においては、現在かかえておる職員に対する配慮というものが非常に重要になってまいると私は思うのですが、いまの開発機械公団段階において、新しい農用地開発公団になった場合の職員職務内容の変化に対応する転換の準備が早急になされておらなければならぬと思いますが、そういう面に対する御意見一体どうなっているのかをお聞かせいただきたいということが一点。  それから、その次には、百五十名をこえるところの、いわゆる定数外と申しましょうか、正規職員外と申しましょうか、そういう職員をかかえておる。これは、事業をやる公団等においてはどこにでもそういう事例があるのですから、先ほど中央執行委員長の御要請もありましたけれども、これは逐次解決をしなければならぬ問題だと私は思いますけれども、なかなかにわかに解決しがたい問題をかかえておる点ではないかと思っております。そこで、こういう職員一体どういうような雇用形式になっておるのか、この点を一点お聞かせをいただくと同時に、一体、同じ人が何年間くらいこういう定数外として公団の中で働いておられるのかということ、この期間形式についての御説明をいただきたいということが第二点。  第三点は、先ほど執行委員長からもお話しがありましたが、この種の機関においては、部内の職員の中から理事を引き上げてやるというようなことは当然考えなければならぬことなのですが、いまの委員長開陳によりますると、そういうことはなかったというお話しでありますが、理事長さんとしては、六年間をこえるくらい理事長として御在任になっておるようでありますが、そういうことができなかった隘路は一体どこにあるのか、適任者がいなかったというのか、あるいはまた、農林省政府当局が、従来のやり方にこだわって、理事長努力にもかかわらずできなかったというのか、いままでの経緯といいますか、そういう面に対する御説明をいただきたいと思います。  時間もありませんから、この三点に限って私は御質問を申し上げます。
  11. 小倉謙

    小倉参考人 最初の運転員あるいは機械整備員等の新業務への転換の問題でございますが、この新業務にとりあえず転換していける者の主たる職種、公I職と言いますが、技術職あるいは事務職、事務員でございます。それから、公II職の中でも、すでに現場の地区の地区主任を補助する副主任的な立場で、技術員に準ずるような仕事あるいは現場のいろいろな指導監督ということに当たっておる者もございます。それから、毎年職種転換というものをやっておりまして、公II職、公III職から公I職に転換させる。過去五年間に約数十名の者を転換させておりますが、そういうような場合に、研修を続けてやってまいっております。それから、特に昨年度の末ですか、今年度に入りまして特にそうでございますが、計画的に新業務について必要な知識を覚えてもらうということで、研修を計画的に実施をいたしております。こういう努力をさらに続けていくことによって、新業務への転換は可能であろうと、かように考えております。  それから、準職員の任命の形式でございますが、これは公団に各支所がございます。全国を六つほどに分けておりますが、その支所長の採用という形式、支所長の任命になっております。そして、契約期間は、辞令の面では一年ごとのような契約形式になっておりますけれども、これは自動的に、特別の事情のない限り続いていくということで、実質的に通年雇用になっております。  それから、何年ぐらいつとめておるかということでありますが、これはかなり長い者がございます。平均してみますと、どのくらいになりますか、数年と言ってよろしいのではなかろうかと思います。  それから、最後に、いわゆる内部登用の問題でございますが、これは理事長として、人事の際に常に当然考えておることでございます。先ほどお話しのございましたように、現在の理事者の中には内部登用の者はございません。しかし、過去には二名ほど内部登用の者がございました。現在内部登用の者がございませんのは、いろいろ内外の情況を勘案いたしまして、内部からの登用に現在適当な者が見当たらないというようなことで外部から登用いたしておるわけでございまして、その間、外部から特に無理に言われて採用したという者は決してございません。部長、課長以下につきましても、極力内部登用の点を考えながら、内外にわたって人材を適材適所で配置していくという方針でやっております。
  12. 安田貴六

    安田委員 時間がありませんから、最後理事長に対して御要請を申し上げて私の質問を終わりますが、いま御説明を聞きますと運転士であるとか整備士であるとかいう技能者の方々の職場転換については、いままでも御努力になっておるような御説明でありますけれども、今日までは、開発機械公団としての、いわゆる受注機関としての性格の中で運営されてまいったのですから、その職場転換については、はかばかしく進んでおるとは思っておりません。しかし、この段階に来ると、そういう問題に対して真剣な検討を加えて、いまおる職員については、その技能、技術あるいは才能を有効に発揮できるような職場を新しい公団の中においてすみやかに与えて、そうして喜んで仕事のできるような体制を早急につくるために、厳に理事長としても御努力を願うべきであるということが一点。  それから、いまお話しのあった百五十数名に及ぶ定数外職員の問題は、労働基準法その他から言っても非常に不自然な姿で採用されておるのではないかという点は、かりに支所長の任命であろうが、理事長の任命であろうが、公団職員であることには変わりはないのでありまして、そういう点から言うと、職員の方々の生活の将来に対する不安感というものは、委員長意見開陳をまつまでもなく、たいへん心配をいだいておられるものと私には想像されるわけでありまして、そういう点から言うと、これがにわかに一ぺんに一括して解決できるかどうかは問題がありますけれども、そういう面に対しては、現理事長として、自分の部下であった職員でありますから、この人たち公団の中で安んじて新しい仕事ができ、正規職員として安心した気持ちで職務に精励のできるような体制を一日も早くとることに、ほんとうに親身になって、懸命の努力を払っていただきたいと私は思います。  それから、第三点の問題でありますが、いま適切な者がいないので部内起用はできなかったという御意見でありますが、これは養成が大事だと思います。そういう理事の適格者になるべき者を職員の中から養成することを常日ごろ考えておるかおらぬかということが、かかってこういう結果を招いておるわけではないかと私は考えるのでありまして、理事長の今日までの御努力に対してとやかく申し上げるわけではありませんけれども、そういうあたたかい親心をもって職員の中から役員を起用するということと、新しいこの公団の中においての——あるいはいままでの公団もそうでありますけれども、公団の中においての上下関係におけるあたたかい情といいますか、人間関係の緊密な気持ちが交流できるような、そういう役員職員の体制にしなければ、先ほど冒頭に申し上げましたような、この種の公団等における能率的な機能の発揮ということもなかなかむずかしいのではないかと私は思うのでありまして、私もいろいろな過程を経ておりますけれども、こういうことが上に立つ人の一番大事な点ではないかと私は思います。新公団に移行する際にあたりましては、そういう観点に立って、役員以外の職員の採用についても、将来役員に持ってきても差しつかえないような人を、人材はたくさんおると思うのですから、発掘して、そういう人たちを、職員の中で働いていただきながら、やがては役員にしてやるということを積極的にお考えいただいて、これを新公団にも十分に引き継ぐということを現理事長に私は強く要請をいたしておきたいと思います。  この附則の二条によりますと、新しい公団理事長または監事となるべき者は農林大臣の指名によってできるわけです。したがって、これは私の憶測でありますけれども、小倉理事長が、新公団発足と同時に、こういう第二条の規定によって新しい公団理事長になるかもしらぬし、むしろ、おそらくなるのではないかと私は考えておるが、そういうことになりますと、現理事長の職務というものが新理事長の職務になるわけですから、そういう点から言うと、新しい公団に対する抱負経論というようなものをもう少しいまから用意していただくことが必要になってくるのじゃないかというふうにも私は考えておるわけでありまして、これは少し言い過ぎかもしれませんが、そういう私個人の憶測を申し上げると、現小倉理事長責任というものは、新しい公団発足にあたってはたいへん重い責任をお持ちになっておるように私は感じられてならないのであります。  そういう点ではまだまだ申し上げたいことはございますが、時間がありませんからやめますけれども、以上申し上げたような点に対して特別に御配慮をいただいて、役員職員一体となって、この新公団が、明るい職場として、十分国民の期待にかなった活動のできるような公団になるような、そういう公団づくりをするように御努力いただきたいということを心から要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  13. 仮谷忠男

    仮谷委員長 竹内猛君。
  14. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 旧公団から新しい公団に移るための法律の審議に際して、労使双方を代表して貴重な御意見を述べられたことに対してまず感謝をいたしたいと思います。  そこで、これは両氏にお伺いをするわけですが、今日までの公団運営の中で最も困難であった問題で、なおかつ今日依然として対立というか、問題を残しておる問題、その問題点について先ほどお話しがありましたが、理事長のほうのお話しは非常に抽象的であったわけです。組合のほうからはかなり具体的のお話しがありましたけれども、その重要な問題に対して、労使関係において未解決の問題について、それかどういう問題であり、なぜ今日まで解決ができておらないのか、そして、これからそれをどのようにされようとするのか、その点について両氏からまず伺いたいと思います。
  15. 小倉謙

    小倉参考人 お答えいたします。  労使関係における諸問題はいろいろございますが、ただいまの御質問に沿うて申し上げますると、端的に言いまして二つございます。一つは、準職員定員化の問題でございます。いま一つは、機械公団職員の処遇の問題といいますか、給与上の問題で他公団との均衡をはかるという問題、この二つが特におもな問題であろうと思います。その二つについて、若干時間をいただきますが、御説明させていただきたいと思います。  準職員は、どのような状況でそういうような定員外の職員ができてきておるかということにつきましては、この委員会ですでにいろいろお話しがあったことと思いますので、これは簡単に申し上げますが、昭和三十七年でございましたか、従業員と職員と二本立てでありましたのが、従業員を職員の中に繰り入れまして職員一本にしたのでございますが、その際、なお、女子職員の一部あるいは現場雇用技術者あるいは季節的な労務者というような者が定員外の職員として残ったのでございます。その後、必要によりまして事業量がだんだんと増大いたします。しかも、その地域が、特定の地域から全国的な地域に広がってまいりまして、事業を実施していくにあたりまして、定員内の職員だけではどうしてもやっていけないというような状況になってまいったのでございます。  御承知のように、この機械公団一般公団とやや性格が異なっておりまして、いわゆる受注公団といいますか、自分で仕事をやって、それで収入を得て、全体の収支をまかなっていくというような性格公団でございますので、受託をしました仕事は、その契約期間内に完遂いたしまして、それによって収益もあげていくということにどうしてもなります。その人手がないからやれないというわけにはまいらないのでございまして、そういう状況で、現場で必要に応じて臨時に雇用して事業に当たらせてきた者が、なれた者がいいということで引き続いて雇用されるということになって、だんだん数がふえてまいったのでございます。  それで、その後いろいろ経緯がございますが、昭和四十四、五年になりまして、それまで各支所でそういうものを扱ってまいりましたのを、各支所ばらばらで扱っておったのでは、その者たちの処遇あるいは身分上の問題も不安であるということで、中央でこれを調整いたしまして、そういうような定員外の職員定員内の職員と同じような処遇にできるだけ近づけていき、そして、その身分関係も、先ほど安田委員にお答えいたしましたように、雇用形式をはっきりきめまして、実質的には通年雇用として扱いまして、身分的な安定もはかってまいりまして、その名称も、そのころ臨時職員というようなことで呼ばれておったのでありまするが、準職員という名前で呼ぶことにいたしまして、今日に至ってきておるのでございます。  それで、その定員内の繰り入れでございますが、その間、事業量の増大に応じまして、当然定員増員の要求をいたしてまいったのでございます。大体年に十数名の増員をいただくのでございますが、一方において定員の一律削減というのがありまして、年に七名とか八名とか九名とかいうものが一律に削減されるのでございます。したがいまして、差し引きいたしますと、わずかの数しか定員の増加ができないというような事情もございまして、なかなか準職員の多数の者を定員内に繰り入れることはできませんが、しかし、欠員等の状況を見ながら、若干名ずつでも逐次定員内に繰り入れてまいったのでございます。今年度におきましても、何名になりますか、相当の者の定員内繰り入れをできるだけやりたいと考えております。これはお話しにもございましたが、職員とほとんど同じ処遇はいたしておりますものの、定員外におりますると、本人としては心情的に不安な面もございますので、できるだけ早い機会に逐次定員化をはかっていかなければならないものと考えております。新公団に移行する前におきましても、その点さらに努力をいたすつもりでございまするが、新公団移行後におきましても、そういう点をいろいろ御配慮いただきたいものと考えております。  それから、二番目の給与の他公団との格差是正の問題でございますが、これは愛知用水公団が現在の機械公団と大体同じころに発足いたしまして、しかも、同じ農林省関係公団であるということで、この愛知用水公団との比較の問題から事柄が始まってまいったのであります。昭和四十年及び四十二年に、愛知用水公団との給与表上の格差是正努力するというような労使間の取りきめがございまして、また、公団内におきましては、公I職と公II、公III職との間の給与表上の同様な格差拡大するのを、なるべくそれがないように努力するというような労使間の取りきめが行なわれたのでございます。その沿革を受けまして、昭和四十五年に愛知用水公団が水資源開発公団の中に入りましたこともございまして、新たにまた同様の趣旨の覚え書き労使間に結ばれたわけでございます。そういうことで、他公団、特に愛知用水公団、そのあとを受けての水資源開発公団との間の給与表上の格差是正ということが労使間の主たる交渉事項になってまいっておるのでございます。  それで、この格差の問題でございますが、もう少し時間をいただきますが……
  16. 仮谷忠男

    仮谷委員長 なるべく簡単にしてください。
  17. 小倉謙

    小倉参考人 実際の給与がどうかということにつきましては、これはなかなか比較がむずかしいのでございます。公団事業団によって、いろいろと、業務内容なり、あるいは職員の構成なり、あるいは公団に入ってから何年たった者がどこらの給与表の地位に格づけされておるかというようなこともありますし、あるいは本俸以外の諸手当その他の処遇の問題もございますので、実質的にどうかということはなかなか比較が正確にはできないのでございますが、そこで労使間で比較できるものとして交渉事項になっておりますのが給与表上の格差是正でございます。ところが、公団事業団と政府関係機関の給与というものは所管大臣の認可を要するのでございまして、その認可は大蔵大臣と協議して行なうということになっております。毎年、大蔵省から給与の改定に関する基準といいますか、そういうものが示されて、その基準に従ってどの公団事業団も給与の改定を行なっておるのでございますが、その基準というものが、御承知のように、現在の給与ベースの何%アップという率、五%アップあるいは一〇%アップという率で示されてくるのでございます。そこで、これはうちの公団だけのことじゃありませんが、給与の低いベースのところに一〇%かける、給与の高いところに一〇%かけるということになりますと、給与の高いところのほうがよけい上がっていくわけでございます。そういうことで、一律に率でベースアップが行なわれます関係上、給与の低いところの者がだんだんと比較的低くなり、格差が開いてくるということになるわけでございます。  機械公団におきましては、昭和三十七年に、前にも申し上げました従業員を職員に繰り入れましたときに、給与の平均ベースがそれよりもずっと下がったのでございまして、その下がったベースがもとになって年々ベースアップが行なわれるということで……(竹内(猛)委員「どうしようとするのかということだけ言って下さい」と呼ぶ)そういうことで格差が開いてくるわけでございます。  それをどういうふうにするかということでございますが、第一には、この給与改定の方式を改善してもらうということでございます。この点につきまして、私も、大蔵あるいは総理府あるいは労働省等の責任の者によく事情をお話ししまして、このベースの低い面を何とかカバーする方法を考えてもらいたい、特に、とりあえずの措置としては、率のほかに定額を加えて、率プラス定額という給与改定方式にすれば、その差が拡大する程度が現在よりも少なくなるということで、そういう意見も申し述べたのでございますが、そういう率に定額を加えるという方式が採用されまして、この二年ほど前から、わずかでございまするけれども、定額がベースアップの基準に加えられることになってまいったのでございます。それからあとは、与えられたワクの中で極力配分に意を用いまして、たとえば若年層のほうにそういう財源を回していくというようなことをいたしてまいっておるのでございます。  今後でございまするけれども、私は、給与改定の方式についての検討をぜひしてもらわなければならないと思うのでございます。この点につきましては、この国会でも、昨年でございますか、一昨年でございますか、そういう面についての議論がございまして、そういう給与改定の方式をも含めて、公団事業団の労使関係の事柄について基本的に検討をするというふうに政府はお答えになっておるのでございまして、そういう点を期待いたしております。  それから、毎年大蔵省から給与改定の方法について、各公団事業団にいろいろ意見を聴取されますので、そういう際には極力当公団の事情も述べまして、改善策を講じてもらうように話を進めておるような次第でございます。
  18. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま理事長の答弁を聞いているうちに私の持ち時間がなくなってしまった。なくなってしまったというのは、この経過というものは非常に大事な経過でありますから私は黙って聞いていたからですが、この問題をあとの質問者に引き継ぎますけれども、組合の委員長のほうからも、いまの問題について、いまの経過の中で問題点になっておることは、これを明らかにしてもらいたいし、それから、理事長も、警視総監をやった人が、開発機械公団理事長として必ずしも適当ではないと私は思うが、にもかかわらず、その理事長ということを国会なり皆さんが承認したゆえんは、そういうような給与の不備なり労働条件の不備なりというものを統一するために——いま言われたような形でいろいろな問題があるならば、各公団と同じような形で給与を引き上げるための努力を、あるいは給与改定の努力を事前にすることが必要であったと思う。こういうことが今日までなされてこないで、この段階で給与の改定の方針が出されたとしても、いままでの約束というものは、それによって償われたものではないと思う。したがって、今日までに労使関係で約束してきたことを誠実に新公団に移るまでには引き継いで、何がしかの保障を与えていただかなければならぬということを、まず第一点として要請します。  それから、第二番目の問題については、きのうも大山局長から話がありましたが、自然退職なり若干の退職が毎年三十名から四十名あるのだと言われておる。しかし、先ほどからの話を聞いておると、五%削減もあり、勧告もありして、実際は十名なんぼだという話ですが、そうすると、農林省なりその他の本省等々からの出向の部長、課長というものがかなりいるわけですね。だから、公団の中には、そういった公団に直接雇用されない、天下りというか、その任務上そこへ出向してきている人がいて、そういう人が定年になってやめれば、それのかわりにまただれかが入ってくる。ここに新人を内部から登用し得ない、あるいは養成を必要としない温床なりため池がある。だから、この際これは審議をするわけですから、その公団の中の役職員の中で、農林省なりその他の外局、外部の省庁から来ている者は一体どういうポストにすわっているのか、そうしてそれがどういうようなところから来ているのかということについて、こういう数と役職を明らかにしない限り、内部の準職員を登用していく道だって、あるいは本雇いにすることだって、なかなか困難なことになるのではないか。いまのような状態でいくと、やはりこれは十数年かかりますね。百五十名を一般職にするためには、そういうふうなことになるわけだから、その点を明らかにしていく必要がある。  その他たくさん申し上げたいことがありますけれども、終わりますが、結局、旧公団から新公団に移っていくためには、何といっても労使関係というものが円滑でなければならない。論をするときには論をしてもいいから、それをお互いに誠実に守って、解決のできないところは一緒になってやっていかなければならない。農林大臣なり大蔵大臣なり、他の制約があるとすれば、そういうものに対しては一体になっていかなければならないし、労使の間におけるところのそれぞれの任務というものは明確に守っていかなければならないことは明らかでありますから、そういう点についても万遺憾のないようにしていかなければ、新しい公団になった場合に、決してこれはいい方向へ進むものとは思えない。私は、この新しくできる公団日本の食料自給のためにたいへん重大な役割を果たしていくものだというぐあいに確認をしておりますし、また、そうしなければならない使命がある。だから、そういう意味において、いままで約束してきたことが確実に守られるように、この法案が終わるときまでにはこれが何がしかの形できちんとすることを要望して、たいへん時間を守らなくて恐縮ですけれども、あとの質問者に、労働組合委員長なりその他の方々のそれをお願いして、私は終わります。
  19. 仮谷忠男

    仮谷委員長 美濃政市君。
  20. 美濃政市

    ○美濃委員 重復を避けて若干お尋ねいたしたいと思います。  理事長にお尋ねしたいと思いますが、この法律がこの国会でできますと、公団権利義務の継承はいつになるという見通しですか。
  21. 小倉謙

    小倉参考人 権利義務の承継は、新公団設立の時点で行なわれると思います。
  22. 美濃政市

    ○美濃委員 時期は。
  23. 小倉謙

    小倉参考人 いつ継承されるかということじゃございませんか。
  24. 美濃政市

    ○美濃委員 その機械公団が新しい公団に継承される時期です。
  25. 小倉謙

    小倉参考人 時期には、新公団設立の際に移行するわけです。
  26. 大山一生

    ○大山政府委員 この問題は、私のほうでお答えしたほうがいいと思いますので……
  27. 仮谷忠男

    仮谷委員長 あなたの答弁じゃない。
  28. 美濃政市

    ○美濃委員 その時期の話はあなたのほうにはないのですか。その設立の時期というのじゃなくて、職員は擁しておるし、ことしの事業計画もあるのですよ。
  29. 小倉謙

    小倉参考人 失礼いたしました。  時期というのはいつごろかということの点を申し上げますが、これは法案審議の状況によって左右されることであると思いますが、現在のところ、七月ごろということに予定されておるように聞いております。
  30. 美濃政市

    ○美濃委員 いますでに法律が提案されておるわけですね。たとえば、その引き継ぎの条件その他について理事長はどういう話を聞かされておるか。たとえば、職員定数の問題はどうなるのか。それに、ことし事業をやりますね。事業計画はどうなるのですか。四月以降の事業計画はどう考えるか。その事業は年度途中で引き継がれる。こういう法律が国会に提案されて、時期的にも七月ごろなら七月ごろということになれば、それに対する理事長としての、指示された具体的な方式とかがあると思うのですが、それはどうなっておりますか。
  31. 小倉謙

    小倉参考人 当面は機械公団事業を認可を受けて行なっていくわけでございますが、新公団設立されますのがかりに七月ごろといたしますと、新しい事業をその公団が行なっていくのは、たとえば広域開発事業については九月ごろというふうに聞いております。まあ、新しい事業規模が新公団になりましてから大体二十億ぐらいに聞いておりますので、四十九年度の従来事業は約九十数億ぐらいになるように見込まれているのでございます。
  32. 美濃政市

    ○美濃委員 そういたしますと、私どもから考えますと、事業をしておる公団がそういう時点を迎えて、一切の権利義務が継承されて新公団に移行するということになれば、すでにこの法律が審議されておるわけですから、その条件が機械公団に明示されて、その労働協約に基づくところの従業員組合の合意というものがととのっていかなければなりませんね。それは必要だと思うのですが、その作業はいまどうなっておりますか。一切の権利義務が継承されるんだということで、具体的内容理事長としてどういうように承知しておるか。
  33. 小倉謙

    小倉参考人 御質問の趣旨をあるいは十分理解していないかもしれませんが、一切の権利義務が承継されるのでございますから、雇用関係はそのまま引き継がれますし、また、労働協約等も現在のものがそのまま引き継がれていく、かように考えております。
  34. 美濃政市

    ○美濃委員 ただ、しかし、引き継ぎ後における組織の改廃とか、そういう問題が伴っておりますね。直ちに起きるというのじゃないですが、しかし、それも長い年限ではない。あるいは、先ほどからいろいろ質疑のあります身分上の問題がある程度合意がととのわなければいかぬですね。それに対して努力をするという話はされておりますけれども、理事長として、その問題を具体的にいつまでに煮詰めていくのか。そして、いわゆる労働組合の合意をきちっとととのえて新公団に移行する体制に支障を来たさないという方針は、日程的にもあるいは計画的にもどういうふうに計画されておるか。
  35. 小倉謙

    小倉参考人 労働条件についてでございますが、先ほども申し上げましたように、これは現在のものがそのまま新公団に承継されるわけでございますが、たとえば準職員定員化等の問題につきましては、現公団においてでき得る限りのことをいたしまして、そして、新公団に移ってからもさらに定員化努力をしていただく、かようにいたしたいと考えております。
  36. 美濃政市

    ○美濃委員 新公団ができた場合、先ほど理事長は内部に役員の適格者はいないという表現をされたように聞いたわけですが、現在の理事は全部外部から導入されておるわけですね。現時点でどうですか。今度新しい公団ができるにあたって、大幅に九十億からの事業が動いておるところを継承されていくわけですが、内部に現在も理事の適格者はいないという判断なのかどうなのか。この機械公団の内部にはこれだけの人員がいて、理事として起用する適格者は現在もいないという判断に立っておりますか、どうですか。現在ならばおるという判断をされておりますか。任命されれば理事としての適格者はいるという判断ですか。あくまで、現在も、内部陣容の中から理事として起用する者はいないという判断に立っておるのか、どうですか。
  37. 小倉謙

    小倉参考人 現在の時点ではいないというふうにお答えしたいと思います。ただ、もう何年かたちますれば、当然そういうような適格の方もおられることと、これは私の個人的な考えでございますけれども、考えております。  それから、新公団になってからのことは、これは私を含めてあれでございまして、新しい理事の陣容ができ上がるわけでございますから、私から何とも申し上げることはできません。
  38. 美濃政市

    ○美濃委員 現在はいないが、数年たつといるということですか。どうですか。そこをもうちょっと明確にしてください。私は、現在はいないが、数年たてばいるということがちょっとよくわからないのです。
  39. 小倉謙

    小倉参考人 役員というものは、御承知のようにいろいろな経験を踏み、また、対外関係等につきましてもいろいろな役割りを行なうわけでございまして、将来そういう役員になられる方が公団内にもおられるということは、私自身考えております。ただ、それには適当な時期というものがあろうかと思います。
  40. 美濃政市

    ○美濃委員 現在定数に欠員があると聞いておりますが、その状況はどうですか。現在定数に欠員が何名あるのか。
  41. 小倉謙

    小倉参考人 約三十人ございます。
  42. 美濃政市

    ○美濃委員 いろいろ処理されると言っておるが、理事長として、新しい公団に移行するまでの間に定数を増加される見込みについてどういうふうにお考えになっておりますか。さっきお伺いしたのですが、定数は現在五百二十五ですか、この定数が、新公団になると、もちろん農地開発機械公団から引き継ぐ職員だけじゃなくなるわけですから、およそ何ぼになるというふうに聞いておるのか、これをお伺いしたいと思います。
  43. 小倉謙

    小倉参考人 四十九年度におきましても、機械公団が新公団ができ上がるまで何カ月か続くわけでございますから、予算認可を受けます際に増員の要求もしてまいりたいと思いますが、ただ、多数の増員は結果的には望めないと思います。  新公団になりましてからのことにつきましては、まだこれから農林省としてのいろいろなお考えも聞かなければならぬし、あるいは大蔵省等との折衝もございますので、私はまだ具体的に聞いておりませんけれども、われわれとしてもいろいろ希望を申し上げ、新事業をやるためにはある程度の増員というものは必要であろうと私は考えております。
  44. 美濃政市

    ○美濃委員 新公団の定数については、いまちょっと機械公団理事長立場では言えない、わからぬということも当然だと思うのです。とすると、いまお話しのあったことしの事業計画も立てるわけですから、さしあたり機械公団の定数は何名増で理事長はこれから交渉されるというお考えですか。私見でけっこうです。なるならぬの問題はありますが、理事長としての考えでいいわけです。何名の定数を要求する方針であるか。
  45. 小倉謙

    小倉参考人 増員の要求は、事業量規模と、あるいはまた牧場関係事業の新規地区が幾らあるかということと、継続地区が幾らあるかということをもとにして要求するわけでございまして、現在のところ、十数名程度の増員の要求をするということになろうかと思います。
  46. 美濃政市

    ○美濃委員 質問時間が非常に短くて、持ち時間がなくなりましたので、まとまった質問ができませんが、いずれにしても、私どもとしては、この公団の法律をつくり、あるいはこの法律をきめるにあたって、約七百名の人がいるわけですから、これが労働協約によって新公団に移行するということの合意がととのうということを非常に重要視しておるわけです。ですから、これは私見ですが、特に、理事長においても、機械公団でやっていく自信もあるわけだから、新しい公団はどうでもいいというのであれば別ですけれども、そうじゃないというのであれば、やはり労働組合との合議の体制を整えて、そして、新しい公団発足あるいは新しい公団の法律の決定に支障のない裏づけをするということに対して全力を注いでもらいたいと思います。  最後に御意見を聞いて、私の質問を終わります。
  47. 小倉謙

    小倉参考人 申すまでもなく、私も数年間一緒に仕事をしてきた仲間でございます。その職員諸君が新公団に移行するわけでございますから、できるだけ気持ちよく移行して、また、新しい事業のために大いにやってもらいたいと思っておりますので、その処遇等につきましては十分考慮をいたしますし、現公団の間でできることは極力やりますし、また、新公団になってからでないとできないこと、やってもらいたいこと、それは新しく理事長になられる方に十分引き継いでいきたいと思います。
  48. 仮谷忠男

    仮谷委員長 井上泉君。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 農地開発機械公団から農用地開発公団に移行すると理解してもいいわけですけれども、農用地開発公団農地開発機械公団のやっておった仕事はほとんど全部吸収すると理解しておって差しつかえないですか。
  50. 小倉謙

    小倉参考人 大体そのようになっております。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 農用地開発公団は前の機械公団から見ると事業量規模も相当大きくなってくるわけですが、そうなると、勢い、人事関係等についてもかなりな増員というものが要請されるわけです。そのことはそれといたしまして、農地開発機械公団定員外の職員というものが約百六十人存在するわけですが、この百六十人というものは機械公団運営上絶対必要な人員であったと私は理解をするわけですが、どうですか。
  52. 小倉謙

    小倉参考人 そのとおりでございまして、定員職員、準職員を問わず、一様に機械公団職員として必要な職員であります。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 必要な職員であったということは、それだけ公団にとっては大事な存在であったということになるわけでありますが、その身分というものがまだ不安定のままに今日まで放置してある。新しく開発公団に移ろうとする段階において、理事長としてこのことについてもっと明確に方針を打ち出しておかないということはあまりにも無責任だと思うわけですが、その点についてはどうですか。
  54. 小倉謙

    小倉参考人 御承知公団事業団の定員予算定員の中で一応のワクがきまるわけでございまして、そのワクの拡大に毎年努力をしてまいりましたけれども、先ほど申し上げましたように、一律削限等がございまして十分な増員が、そのワクの拡大ができないできたわけでございますが、しかし、その中でも極力定員化をはかってきております。今後もできるだけそういう面で努力をしたいと思っております。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 定員のワク外であっても、農地開発機械公団業務を遂行するためには絶対必要な人員であって、それだけの役割りは果たしてきたのでありまするから、これは身分が定員内の職員でなくて、いわゆる準職員という形であっても、この取り扱いというものは、公団職員と同じような労働条件が適用されるということは、いわゆる準職員というものを認めておる以上は何ら支障はないと私は思うわけですが、その点についてはどうですか。
  56. 小倉謙

    小倉参考人 大体御意見のとおりでございまして、大体において、定員職員とほぼ同様な扱いをいたしております。
  57. 井上泉

    井上(泉)委員 組合の委員長にお尋ねするわけでありますが、その点については、いまの理事長の答弁に間違いないですか。
  58. 村勝吉

    村参考人 準職員定員化の問題につきましては、われわれ自身としては、四年くらい前に、労働条件職員と同じにするように戦い取ったわけです。しかし、現実問題としては若干差はあります。ただ、私として申し上げたいのは、いま理事長が述べているのは、定員制度というか、あるいは賃金問題では制度的な問題だということを述べておりますけれども、この新公団に移るという時期、これをおいてこれだけの大きな問題を一挙に解決できる時期はないのではないかというふうにわれわれ自身としては判断しているわけです。そういった意味では、過去、準職員定員化賃金については約束事になっていて、公団当局の誠意なり努力というものにひたすら期待して今日まで来たわけでありますけれども、残念ながら実行が伴っていないというのが現状になっているわけです。そういった意味で、この農地開発機械公団農用地開発公団に移るときに準職員の百五十五名を一挙に定員化していただきたいし、いままでの積み上げになっております賃金格差についても一挙に解消していただきたい。その時期をおいて問題を解決する時期はないのではないかというふうに考えています。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 組合の村参考人の御意見は私もごもっともだと思うわけです。  そこで、理事長に伺いますが、新しく開発公団になって、開発公団運営開発公団でやられるから、機械公団理事長としては、開発公団のことについてはとやかく言えないというような意見開陳がなされたわけでありますけれども、それはやはり無責任なことばであって、私の聞き漏らしであれば幸いでありますが、新しくできる開発公団に対しては、これを吸収合併して、より拡大をしていくための構想である限りにおいては、新しく生まれる開発公団運営、体制等に対して、機械公団理事長として、責任のある行動をもって責任のある始末をつけるべきだと思うのでありますが、その点について、新しい開発公団については、言う意見は何も持ち合わさないですか。
  60. 小倉謙

    小倉参考人 先ほど美濃委員にお答え申し上げましたように、現公団でおります間中にできることはもちろん極力やりますし、また、できなくて今度に持ち越される事柄につきましては、新しく理事長になられる方に十分引き継ぎもいたしますし、また、農林省等にも、従来も話をしておりますけれども、さらに一そう話をいたしまして善処していただくようにしていきたい、かように考えております。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたたちは人生の再就職、再々就職で、いわば、仕事そのものに使命感を持つより、給料をもらうことに意義を感じておるのではないかというふうに私には思えてならないわけですが、その仕事をやっておる中心になる者はだれであるかと言うと、これは理事さんじゃないと私は思うのです。やはり、現場で働いておる方がこの公団をささえておる中心である。その中心人たちの身分をこの際安定させて、新しく開発公団に移行さすという方向、仕事に意義を持っておるならば、あなたはその方向を選ばなければならぬ。給料に意義を持っておるならばその道は選ばないであろうと私は思うわけですが、御心境はいかがですか。
  62. 小倉謙

    小倉参考人 現場で働く職員がほんとうに一生懸命やってくれておりますし、中核をなしておることは申し上げるまでもございません。でございまするから、定員化の問題につきましても、従来も十分考えてまいりましたし、今後も考えてまいりたいと思いますが、ただ、現公団の間に大幅な定員増加ということは、率直に申しまして、これはまことに困難であると思います。しかし、できるだけのことはやりますが、今後のことにつきましては、先ほどお話しましたとおり、十分引き継ぐなり、あるいは農林省お話しするなりしてまいりたいと思います。
  63. 井上泉

    井上(泉)委員 理事長にお尋ねするわけですけれども、内部から幹部職員を登用するということについては、あまり適当な人材がいないということを話されておったのでありますけれども、私は理事長のあなたを含めて、あなたは警視総監をされておったということをいま竹内君から聞いたわけですけれども、こういうふうな公団運営についての適任者だとは決して思わないわけです。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 やはり、一つのポストにつけるというところに意義をもってあなたを任用したものだと、やっかみながら、私はそう理解をせざるを得ないわけですが、そういう点からも、内部から登用するということは、たとえば部長、課長クラスにいたしましても、理事長理事、監事は全部農林省、農林大臣の任命ということになるわけですから、あなたも遠慮されているのか。農林大臣のほうから公団の内部の人事についていつも干渉されるのか、あるいは公団内部人事については公団独自でやるのか、このことをひとつお答え願いたいと思います。
  64. 小倉謙

    小倉参考人 私が理事長に就任いたしましてから、外部から押しつけられたという人事は一つもございません。私が、そのポストポストによって、内部から登用すべきものは登用し、また、これは内部よりも外部の経験者を持ってきたほうがいいという判断をいたしました場合には外部から人材を得ているというわけでございます。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 その点については、さきに自民党の安田委員が、あなたは幹部職員を養成するという心がまえがなかったのではないかという意味の指摘をされておったわけでありますが、六年も公団理事長をしておられ、しかも、その前歴が何千人もの警察館を掌握しておったあなたであるならば、その公園あ使命にかんがみて、これにふさわしい人材というものを、そこに生活の本拠を置いておる公団の内部から、職員の中から得て、これを幹部に登用するということについては、あなたが努力を非常に怠っておったのではないかと私は思わざるを得ないわけですが、この点について、組合の委員長の御見解を承りたいと思います。
  66. 村勝吉

    村参考人 現実問題として、いま世間でよく言われております天下り人事というのは、どこの公団、公庫でもこういった実例はありますけれども、とりわけ、うちの公団においては、六人の役員全員が天下りで行なわれている。これももう少し具体的に申し上げますと、もし事実と違っていればあとで訂正さしていただきますけれども、いわゆる理事長ポストは内務省のポスト、あるいは理事四人の中でも二人は、いわゆる特権官僚と言われる人たちポスト、あとの二人は農林省の農業土木の技術者のポスト、そして監事はまた農林省ポストというような形で、勢力分野が非常にはっきりしていて、その中での人事としてうちの役員人事が行なわれているということは、言ってみれば、われわれ自身、当時者あるいは任命権者でないものから見ると、そういうふうに見て間違いないとぼくは思うのです。とりわけ、先月も北海道新聞で、この新しい公団ポスト争いが各省ごとに非常に激しく行なわれているというようなことが現実問題として書かれているという事実を見てみると、そういった押しつけ人事なり、あるいは官庁人事の一環としての公団役員なり部課長の人事が行なわれているということは事実ではないかというふうに私は考えています。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 この農用地開発公団については、組合のほうも、これを設立することに反対とは言っていないわけです。そして、また、理事者側である理事長のほうでも、こういう新しい公団開発機械公団でやっておった仕事も掌握して、さらに飛躍的な農地開発に発展をさしていくということで、労使間においては幸いにして意見が一致しておると私は思うのです。幸いにして意見は一致しておるけれども、新しく発足をし、拡大をし、発展をさせていこうとする構想に対して、一つの中で働いてきた間において、この職員に対する取り扱いというものがまことに不十分であったということは、いま組合の委員長のことばを聞いておったならば、理事長としても反省する面はあったんじゃないかと私は思うわけですけれども、今日の段階でも、職員人事等についてはいささかも反省することなく、りっぱな人事をやってきたとお考えになっておるのですか。
  68. 小倉謙

    小倉参考人 もちろん至らぬところはあると思いますけれども、私は、極力職員の要望にもこたえつつやってきたつもりでございます。人事につきましては、役員のことだけがいま出ておりますけれども、いわゆるその他の管理職の部長とか課長とかの中において、公団はえ抜きの諸君、プロパーの諸君と申しておりますけれども、この占める数は年々ふえてきております。私は、内部登用のできるものはできるだけ内部登用でいくという方針で人事をやってきております。
  69. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がありませんので質問を終わるわけですが、最後に、組合の村参考人につきましても、たくさんの職員のことを預かっておる立場でありますので、ひとつ勇気をもって職員の身分、待遇改善のために奮闘していただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  そして、小倉理事長最後にお尋ねするわけですけれども、準職員としての、いわゆる定員外の職員を含めて、今後は増員が予定されておるような状態であるというようなことから考えまして、開発機械公団に在籍をし、そしてまた働いてきたこれらの人たちのすべてがこの公団に移行することによって、いわば合理化の対象になるようなことには何らならないということだけは確認をすることができるでしょうか、できないでしょうか。
  70. 小倉謙

    小倉参考人 いま申し上げましたように、雇用関係はもうそのまままいりますし、長年公団につとめておって、新公団業務にさらに大いに働こうというものを、合理化といいますか、整理をしようと思ったって、これは実際できませんし、そういう考えは全然ないというふうに私は考えております。また、そういうふうに聞いております。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  72. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、津川武一君。
  73. 津川武一

    ○津川委員 きょうはお二人の参考人にはほんとうに御苦労さまでございます。  労働組合中央執行委員長にお尋ねいたしますが、とかく世評のよくない公団の中で事業をささえてきた皆さんはほんとうに御苦労さんだと思います。やられたたくさんの仕事を私たちが見てみたときに、農地開発事業牧場建設事業草地開発事業、土地改良事業等いろいろだくさんの仕事をやっておいでになったし、これからも皆さんは必要だと思うわけですし、また、その能力もあると思う。そこで、なぜ開発機械公団をそのまま存置しないで、それを廃止して新しい機構に移らなければならないのか、そこらあたり、労働組合としてはどんなに検討されて、どんな御意見を持っておられるか、そういうところを伺わせていただきたいのです。
  74. 村勝吉

    村参考人 ただいまの御意見に対しての労働組合の見解を申し上げますと非常に長くなりますので、一つの点だけをとらえて申し上げたいと思います。  とりわけ、法律にももうはっきりされておりますけれども、現在受注公団という形であり、現業をもって実際に農用地造成なり、あるいはいま言われました牧場建設というような事業に携わってきたわけでありますけれども、その事業が、先般来の農林省側の見解によりますと、三年で廃止をして、すべて新しい公団に移るということになっているわけです。現在現業労働者と言われる現場の者が約二百五十名くらいおりますけれども、そういう人たちにとってはそれが非常に不安になる大きな要素であることも事実ではなかろうかと私は考えているわけです。  ただ、機械公団あるいは新しい農用地開発公団がかくあるべきという形で、政策的にわれわれ自身がとらえて世論に訴えていくというところまでに残念ながらならなくて、それはこの委員会なりあるいはもっと別なところで御審議いただければ非常にいいのではないかと思います。ただ、われわれ自身の労働条件の問題についてだけは、われわれとしても、将来の問題ですから譲れるものもありますけれども、先ほども申し上げました点については何としても譲れないというふうに整理をいたしまして、いまの国会審議にわれわれの言っている要求をぜひ実現するような方向での御審議をいただければ非常にありがたいのではないかというふうに考えます。
  75. 津川武一

    ○津川委員 執行委員長に重ねてお尋ねしますが、新しい公団のやる仕事は、草地開発だとか、土地の基盤整備だとか、同じ仕事かと思うのです。そこで、私たちは、皆さんのお仕事をさらに拡大して、民主化して、皆さんの情熱が発揮できるような形にするならば、開発機械公団ででもやれたのじゃないかということをいまだに思っているわけです。  そこで、重ねてお尋ねするのですが、たくさんの学問もなさり、また、長い経験も積んだ皆さんが、これで、新しい公団におそらくかなり入っていくと思いますが、公団運営に対して、人事の面で、理事天下りを執行委員長が先ほどここで批判してくださいましたが、これから新しくできていく公団に対して、労働組合としての一働く皆さんとしての要求なり、抱負なり、意見なんかを討議されていたならば、それを伺いたいし、もしされていなかったら、執行委員長個人の御見解でもいいですが、これがまたこれから新しい公団運営していく上において、私たちにとって欠かすことのできない非常に大事な意見になるものですからお聞かせを願えればと思うわけであります。
  76. 村勝吉

    村参考人 私たち政府関係機関に働く者として、公団あるいは事業団の民主化、あるいは国民的視点に立った公団という、そういう考え方に立って運動を展開するということはわれわれ自身の責任ではないかというふうに考えています。さらに、これからそういった具体的な、たとえば天下りだとか、あるいは非常に非民主的な運営が行なわれていこうとするような段階では、われわれ自身としてもそれなりの取り組みを開始していかなければならないのではないかというふうに考えています。
  77. 津川武一

    ○津川委員 理事長にお尋ねいたします。  これからの組織の改廃に伴って、あなたの公団で働いている人たち労働条件が変わります。配置転換をされる。そこへ住みついた人が別なところに移っていくとか、いろいろあるが、子供さんの教育だとか、いろいろなことが労働者生活を守るために何よりも大事だ。もう一つは、その配置転換によって、いまの労働組合というのはずたずたに裂かれたり、力関係が弱められたりする。労働組合を弱めようとすれば、中心になっている大事な人の配置転換ということをおやりになるわけですが、そういうことはおやりにならないで、これから一切の労働者の配置転換などはすべて労働組合との団体協約においてだけ決定していくべきだ、その承認なしにはやるべきでないと私は思っておりますが、この点、理事長の見解を簡単にお答え願います。
  78. 小倉謙

    小倉参考人 新公団になりましてからのことは、私は何とも申し上げられませんが、しかしながら、配置転換は、従来の機械公団の場合でも、全国的に仕事をしております関係上やっております。できるだけ本人の希望をしんしゃくしながらやっております。配置転換によって組合活動にどうこうというような考えは毛頭持っておりませんし、いままでもそんなことでは一度もやったことはございません。  それから、新公団になってからのことだと思いますけれども、事業の実施地域別に大幅な配置転換を行なう場合があろうかと思いますが、そういう場合には、大体の方針なり規模なりというものを組合側にもよく説明して、円滑に行なっていかれるものと考えております。
  79. 津川武一

    ○津川委員 働いておる人たち意見をよく聞くこと、それも必要だが、それだけじゃだめなのです。それはやはり労働者の基本的な権利だから、団体交渉権を持っているから、労働組合との協議でおきめ願わないと、個々に抜いてきて労働者の希望を聞いたなんというと、労働者はあなたと一対一では必ずしもよくいかないと思うが、そこの点はいかがでございますか。
  80. 小倉謙

    小倉参考人 私は、津川委員の御意見と違うかもしれませんが、人事行政というものは、やはり、管理者が適材適所ということで行なうべきことであろうと思います。ただ、その方針あるいはどういう規模で行なうかということは、もちろん組合側によく説明をして協力を得るように従来もしておりますし、そういうふうにしていくべきだと思っております。
  81. 津川武一

    ○津川委員 理事長機械公団が順調に何十年と続いていくときはそれでもいいが、改廃される。今度は消滅をしていく。そこのところで、労働者の待遇ということは別な問題になってくる。したがって、これからの労働者の異動だとか労働協約の改廃などということは、労働組合の承認なしにはおやりにならないということでないと私は安心できないのですが、いかがでございますか。
  82. 小倉謙

    小倉参考人 新公団になりましても、当分の間は従来事業が相当量行なわれるのでございまして……(津川委員「新公団でなくて、公団に移るまで」と呼ぶ)移るまでには、大幅な異動、配置転換ということは、それほど考えられないのじゃないかと思います。
  83. 津川武一

    ○津川委員 そこで、新公団に移る。政府の文書によると、旧公団の債務債権は新公団に受け継ぐということを書いてありますが、旧公団で働いておる労働者の条件は新公団に受け継ぐとは書いてない。債務と債権が受け継がれると同じように、労働協約において締結したものは全部受け継がなければならぬ。これが常識なんです。判決も出ています。この点で、これから新公団に移るまで、いままでの労働協約、これから結ばれる労働協約権利として、義務として、そっくり新公団に移さなければならない。この点があなたとして腹がきまっておるのか。新しい公団法が出たときに農林省からあなたは説明を受けただろうが、農林省に念を押してあるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  84. 小倉謙

    小倉参考人 一切の権利義務が承継されるのでございますから、労働協約も当然そのまま受け継がれていく、かように考えております。
  85. 津川武一

    ○津川委員 考えているのではなく、農林省が新公団法案を出したときにあなたたちは問題にしたでしょうし、あなたにも意見を聞かれたでしょうし、この点、監督官庁である農林省と確認していればよろしいし、確認していないとすれば、これから確認しなければならない。この点はいかがでございますか。
  86. 小倉謙

    小倉参考人 農林省からもそのように聞いております。
  87. 津川武一

    ○津川委員 聞いているのではなく、あなたとして、農林省とあなたの間に協議ができていればよろしいが、新公団に移すときに、あなたは一方的に廃棄することもあり得る。そういうことが心配だから私は聞いているのであって、ただ、聞いているのではいけない。農林省と正式に交渉して、この結果に基づいて労働組合とやっていればよろしい。ここのところが、労働運動として労働者権利を守るとすれば、いろいろなことが先ほど出たから心配になってくるわけですが、この点いかがですか。
  88. 小倉謙

    小倉参考人 そういう点について、私は心配はないと思いますけれども、さらに検討いたしてみたいと思います。
  89. 津川武一

    ○津川委員 御検討というのは、農林省とちゃんと交渉して明らかにして労働組合に臨むということでございますか。
  90. 小倉謙

    小倉参考人 法案に一切の権利義務を承継すると書いてありますので、当然そういう承継は行なわれるものと農林省からも聞いておりますし、特別の事由のない限りは労働協約等もそのまま続いていく、かように考えております。
  91. 津川武一

    ○津川委員 理事長から農林省に積極的に確認してみましたか。
  92. 小倉謙

    小倉参考人 どうも、御質問の趣旨が理解できなくて申しわけないのですが、これは機械公団理事長農林省とが協議してどうこうするということではなくて、労使関係の事項でございまして、法文の解釈上当然それは承継されていくという解釈でよろしいのであろうと思います。
  93. 津川武一

    ○津川委員 新しい公団と旧公団には仕事の受け継ぎはあるでしょうが、法案を提案しているのは農林省なんです。したがって、農林省の意向が法案をきめている。農林省の意図が何であるかということを確認しているかと聞いている。必要がないというなら、またあとで労働組合から聞くから……。
  94. 小倉謙

    小倉参考人 法案の文でもそういうふうになっておりますし、また、私は、農林省からも、雇用関係は一切引き継がれるという前提のもとに今回の新公団への切りかえを聞いておりますので、私は、その点は遺漏ないというふうに考えております。
  95. 津川武一

    ○津川委員 労働者の待遇を改善し、また、労働者がすでに既得権として持っているものを擁護すること、守ってあげることが雇用理事長としての最大の責任なんだから、その責任者は、農林省から消極的に聞いて納得するというのではなくして、自分から出ていって、農林省とこの点を念を押しておく必要があると私は思うのですが、参考人だからこれを要求するというあつかましいことも言えないけれども、そのことが必要ではないかということをここで指摘申し上げまして、私の質問を終わります。
  96. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農用地開発公団法案審議にいま入っておりますが、本日は、農地開発機械公団理事長小倉謙君と農地開発機械公団労働組合中央執行委員長村勝吉君のお二人に忙しい中をおいでいただきまして、どうもありがとうございました。私も、昨日二時間余にわたって本法の問題点を浮き彫りにして、今後の、将来のために政府当局に見解をただしてまいりました。詳しいことはまたいずれ会議録を見ていただきたいと思うのですが、来週には農林大臣を出席せしめ、きのう審議しました内容、また、本日の参考人意見を踏まえて、当局に、また大臣にお考え等をただして、円満な今後の開発運営ができるようにしたい、かように思っておるところでございます。  時間の制約があるし、聞きたいことがたくさんございますが、若干要点をしぼってお聞きしますので、簡潔に元気よく答えていただきたいと思うのですが、何しろ、理事長は少ししょぼしょぼして声が小さくて、何となく元気がない。これでは公団を引っぱっていけるかという感じがしてならぬ。まあ、声が大きいからいいというわけではありませんが、まず、理事長は、今回の農用地開発公団法についてはしっかり勉強しておりますか。
  98. 小倉謙

    小倉参考人 概略の説明は聞いております。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 先ほどの質問の中でこの引き継ぎの問題が出ました。おおむね七月一日を目途にということは前からわかっておることで、農林省のほうの大山局長のアドバイスを受けたり、こそこそ話をしているから私はそういうことを言うわけでございます。これは附則の第十一条に「当分の間」ということがはっきりうたわれております。この条文によってちゃんと進められておるのですが、この「当分の間」ということはどういうふうに理解しておられますか。
  100. 小倉謙

    小倉参考人 原則として三年をめどにして、従来事業がなくてもいいようにしたいという農林省の意向であるというふうに聞いております。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 御承知のように、本法が施行になりましたならば、附則の第一条の「施行期日」の条文の中に、「公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とはっきりうたってあるように、施行になりますと、国会審議の過程もありますが、六カ月の間になるべく早く新公団に移らなければならないので、その間なるべく早い機会に承継する。旧公団から新公団へ、手続、解散等いろいろなことを済ませて移る。また、こういう期間をなるべく早くしてもらいたいと思う。その時点からいわゆる「当分の間」という三年が始まるわけです。よくおわかりだと思うけれども、そういったことがきちっとわかっていないと、いまからの質問に明快な答えは出ないと思うので、確認の意味で申し上げたわけです。  そこで、三年を目途としてとありますけれども、この附則十一条にそういうふうにうたってありますが、理事長として、三年を目途に新公団へ移行できるという構想といいますか、考えといいますか、三年間あれば十分できるという確信があるのですか。その点を伺っておきます。
  102. 小倉謙

    小倉参考人 新しい事業規模の状況によりまして、三年というものは若干動くかもしれませんけれども、三年で移行する、当分の間は、三年でやるということになれば、もちろん、研修、職務転換等三年間でできるというふうに考えております。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 村参考人にお尋ねしますが、村参考人労働組合委員長としては元気がなさ過ぎるというか、さっきから答弁を聞いていると訴えるものがない。ほんとうに七百何名の職員を引っぱっていって、自分も職場を配置転換されようと、職員のために真剣に考えていき、対処をしていこうと考えておられるだろうと思うのですけれども、何かきりっと響くものがない感じがしてならぬ。こういう機会はまたとない機会であるし、組合の委員長をここに呼ぶということはいまだかつて前例がない。今回だけは前例としないということで特別に参考人として呼んだわけですから、確信を持った返事をしてもらいたい。  そこで、いま三年ということであるが、村委員長としてはどうですか、三年以内に移行できるというふうに思っておられるか、また、その間に十分対処できると思っておられるか、簡潔にお答えいただきたい。
  104. 村勝吉

    村参考人 お答えします。  いまの農林省側が言っている職種転換をやって三年で移すという点では、うちの組合員はそれだけの能力がありますから、移れると思います。ただ、先ほども申し上げましたように、十何年来現場の仕事をやって、一生の仕事としてこの仕事をやってみたいという労働者も、やはり中には相当おります。そういう人たちにしてみれば、三年の年数というものは非常に短いという認識に立っているのは事実じゃないかと思いますが、ただ技術だけをとらえて言うと、三年の間に研修なりあるいは教育をすれば、それなりの能力があるから対応できるのじゃないかというふうには考えております。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、村委員長、時間の関係で詰めることはできないが、かりに三年後とした場合に、現在やっている仕事はおそらくだんだん減っていくわけですね。それで、新しい公団にいずれは移るが、その場合に、私が思うのには、おそらくそのとき問題になるだろうことは、現在、北海道支所、東北支所、関東支所、西部支所、九州支所、八郎潟事務所とあるわけだが、こういった支所から支所へ移らねばならないということが起きてくる。学校との関係もあるし、また、希望もあるだろう。団地がもうすでに全国の大きいところ四カ所ということになっておりますが、そういうことで、その移動という問題が起きてくる。いわゆる配置転換が起きてくる。そういう場合を考えた場合に、そういったことについては委員長はどういうふうに先のことを考えておられますか。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 村勝吉

    村参考人 これは昨年の秋からすでに新公団へ移るという構想が出ていましたので、労働組合として、大量に配置転換事業の変革に伴って起きるだろうということで、労働組合とあらかじめ事前に協議してくれ、その中で配置転換なりあるいは事業遂行をしてくれという要求をして、公団側としては、具体的な形での回答というものがまだ得られていません。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 三年というとあっという間に来ますので、そういったことは理事長も組合の委員長のほうも十分考えておかなければいかぬ。理事長は新公団発足と同時にどういうことになるか、これはまた政府考えることであるからとやかく申しませんが、十分対処してもらいたい。  そこで、理事長、本法の二十一条の二項に、農用地開発公団で行なうところの土地問題のことがあるが、土地は都道府県に預けられてしまったようになっておりますけれども、新公団で同意をとるということになっております。新公団発足してからは新公団理事長考えることではあるとはいいながら、あなたも勉強はしておる訳だし、現在の公団がそのまま移行しますと、現在の職員で二十一条にうたってあるように同意をとるということはなかなかたいへんである。同意がとれないと事業はやれぬわけですが、これがはたしてできるかどうか、その能力ありやいなや、公団として自信があるかということをお聞きするわけです。すなわち、県は申し出るときに内諾書をとつておりますけれども、実際の本交渉のときには内諾書ではいけない。本同意をとらなければならない。これが新公団の重要な一つの仕事になるわけです。そういったことから、その辺のことはどういうふうに考えておられるか、理事長から答弁していただきたい。
  108. 小倉謙

    小倉参考人 御指摘のとおり、同意書をとるということはたいへんな仕事であると思います。これにつきましては、公団職員の中でも特にその方面にできる者を充てることにいたしますし、また、その土地に親しみのある、なれておるというような適当な人を若干名新公団に受け入れるということも必要であろうと私は考えております。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、小倉参考人に聞きますが、今度の新公団は、きのうもずいぶんやったんですが、性格がほとんど変わっておる。いわゆる受注公団から発注公団に変わったわけですね。そうなると、当然、プランニングまたは施工管理ということで、ほとんど机の上でやる仕事になってくる。いままで動かないオペレーターということで一般に悪評を受けていた人も中にはあったようだが、全部が全部とは言いませんが、そういったことから、今度は机の仕事になる。そうなりますと、仕事の量ということと、将来のいろいろな人員というものは、いまのようには要らなくなるんじゃないかという心配があったりするが、その辺の見通しはどういうふうに考えておられますか。簡単にお答えください。
  110. 小倉謙

    小倉参考人 お答えいたします。  現在でも調査設計等の業務は二、三年前からかなりやっておりますので、その方面の経験もだんだん積んでまいっておりますし、それから、、建設事業でございまするので、現場におけるいろいろな指導、監督というような仕事も入ってくると思います。機械の運転等をやっておりまして、年功を経て、いろいろな経験を経ている者はそういう方面に十分活用していけるものと考えております。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 村参考人、いまの件について、組合側としては実際の実情をよくわかっておるわけだが、移行した場合、移行したあとの仕事の量または人員というものはどういうふうに大体なるであろうか、こういうふうなことについてはどういうふうに理解をしたらよいか、われわれの今後の審議の上で参考にしたいので、この席で率直な意見を聞いておきたい。うんと要るのか、いまのままでいいのか、もっと減ってもいいのか、その間希望があれば、民間のほうに就職をあっせんしたり、いろいろなことをしたいという考えがあるのか、簡潔にお答えください。
  112. 村勝吉

    村参考人 私たちは、現在の公団で一生生活をするという基盤に立っていままでの要求をしてきました。さらに、いまの四十九年度の農林省側から出されております新公団事業計画に基づきますと、新規事業とさらに従来の公団事業という併用した期間が、三年なり五年という期間があろうと思うのですが、それを考えてみますと、いまの人員ではとても消化がし切れないのではないか、要するに、新しい定員相当数ふやしていただかなければ、われわれ自身の労働過重というところにつながっていくのではないか、もしその労働過重ということになっていけば、農民なり国民にサービスするという点では非常に手抜きが多くなっていくのではないかという、そういうわれわれ自身としての心配があるわけです。冒頭に私が申し上げましたように、この際新公団に移って新しい事業をやるならば、それに見合った人員をぜひ確保していただきたいということを強くお願いしているわけです。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そういったことは、政府とかまたは理事長にもたびたび交渉したものか。私たちのほうには、そういったことについては、委員長はいままであまり交渉に来ておらぬが、その点はどうなんだ。
  114. 村勝吉

    村参考人 再三言っておりますが、内容的には全く前進しないというのが結果です。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に聞きたいが、昨日も私は、政府に対して、政務次官に対してきびしく言ったわけだが、今回の農地開発機械公団の機構図を見ますというと、従来は理事長が一人、理事が四人、監事一人だったものを、今回は副理事長を設けて、理事もこのほかに、引き継ぐ関係があるからだろうと思うが、二人認めて、また、監事も一人を二人にして、結局新しく四人認めるということになっておる。これは森林開発公団なんかでも、理事が三名、監事一人、理事長一人なんだけれども、政務次官にいろいろ聞いたら、理事長が病気するといかぬからそのかわりだと言うんだが、六年間理事長は病気をしたのか、どうだったのか、まじめにつとめたのか、それはどうなんだ。
  116. 小倉謙

    小倉参考人 これは、新公団のことでございまして、私からお答えすることは適当ではないと思います。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 理事長は今日までの六年間はどうですか、病気したり長期欠勤したことはありますかということを聞いているのです。
  118. 小倉謙

    小倉参考人 長く病気をしたことはございません。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 精励恪勤と認めて、そこで、きのう政務次官に質問したら、理事長が病気で休むことが多いと困るから副理事長を置くというのだが、あなたも冒頭に言ったようにしっかり勉強もしておるし、かわいい職員七百七名を連れて今後新公団に移るわけだ。さっきの自民党の安田議員の話によると、こういうことを言うのは行き過ぎだと言うけれども、おそらく新公団理事長になるかもしれぬということでえらい話があったが、それは別として、今度の新公団は、この法案からいけば——こういうことを言わなければ国会議員は勉強不足と言われるからあえて言うのだが、机上の仕事が主体になるので、事業量も減るし、予算も減るし、人員も少なくなっていくというようなかっこうになっているわけです。今後民間から引っぱりだこで、信用を得て、本気に公団を使ってやろうということで、ものすごく要請が強くなってくれば別ですけれども、しかし、条件があってなかなか限定されている。また、周辺に未墾地があるということなんかも限定されてくるということになりますので、なかなかむずかしい面があるのじゃないかと思う。そうなった場合に、内容は充実されてもかなりきびしく縮小されていくということを先々心配する。そこで、私は、今度の理事長理事の間に副理事長を一名ふやすとか、理事を二人、監事を一人ふやすということは——もちろん、この二人ふやす理事は、当分の間であるから三年を目途としてということになっていますけれども、私はそういう必要はないと思う。もし理事をつけるならば二人置いて、二人の引き続きの人とで四人、それで将来とも四人でいいというように思うし、監事も一人でいい。予算も少なくなってくるから、副理事長も必要ない。むしろ、そういったものは職員の今後の待遇改善に回して、今後どうやって職員を一人でも多く転職またはいろいろな仕事をさせていくかということに十分対処させるべきであると思う。あなたは新公団のことは知らぬとおっしゃるかどうかわからぬが、その辺については、いままで長年やってこられてわかっていると思うが、新公団に対しては現在の人たちで十分やっていけるというように言えると私は思うのだが、その点はどうですか。全然わかりませんか。
  120. 小倉謙

    小倉参考人 新しい事業が将来どの程度の規模でいくかということにつきましては、農林省がすでにいろいろと調査し、また、それに基づいて計画を立てておられるのでございますが、私が聞いております限りにおきましては、新しい事業量は逐年かなり伸びていくと、かように聞いております。そこで、そういう際に役員の数はどうかということにつきましては、私からお答えすべき問題ではないと思います。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点は、きのう委員会で修正をしてやるように言っておりますし、私は、これは大臣にも質問し、必ず修正させて、こういったところは整備をさせるつもりでおる。そういう決意をしておるからいいのだが、あなたの考え等も聞いておかないと、大臣を責める場合のいろいろな審議都合もあるからあえて伺ったのだけれども、公開の席であるからそういう程度しか言えぬかもしれませんが、そういう点についても明確に言っていただいて——国民の血税でこれたけの事業をやっておる。そして、一応の目的は達した。成果もあがった。模範牧場として真に成果をあげているところもある。中には、つくったはいいが、あとをおっ放してしまって荒廃しておるところもあり、あとの管理を怠っているところもあるということで、いろいろ批判はまちまちであるけれども、いずれにしても、民間技術向上、機械の装備ができるまで公団がやってきた功績はあるわけだし、りっぱに引き継いで、国民からさすがと言われるようにやってもらいたいということをあえて申し上げる。  最後に、村参考人に一言お伺いしておくが、今回のこの引き継ぎによって、当分の間は従来の機械公団の仕事をやっていく、三年を目標にだんだん移行していくということになるんだが、新公団が、さっき言いましたように七月一日を目標に施行ということになってきますと、今度は、延命工作だとか、看板塗りかえだとか、のぼりは上げたけれども中身は機械公団だなどと言われないためにも、新公団発足を堂々とやっていくわけでしょう。そうなると、今度は、机の上できれいな仕事をして、プランニングまたは施工管理をやる人と、片一方では馬車馬のごとく一生懸命働かなければいかぬ人と——現在いる百五十人の定員外の職員は、若い、平均年齢二十八歳の人です。この人たちが百三十億のうち九十億もかせいだというような働き頭だが、ほんとうにどろまみれになって働くこの人たちと差がついてくる。いままでと同じように仕事はすると言いながらも、やっぱり一応歴然としてくるわけですね。不公平が出てくる。こういうことで仕事場がおもしろくないとか、不明朗だとか、いろいろなことになってきやせぬかと思って私は心配するのだが、村委員長、そこはどうですか。
  122. 村勝吉

    村参考人 私もそうだと思いまして、そういった意味で、新公団に移るにあたっては、いまの未解決事項をすべて解決して、新しい公団の仕事に専念したいということで訴えているわけであります。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上、参考人には貴重なお答えをいただきまして、ありがとうございました。  来週農林大臣を呼んで質問しますが、いまの意見を十分参考にしまして、本法のさらに飛躍的な修正をいたしまして、皆さんの期待にこたえたいと思っております。特に、労働組合に申し上げたいのは、昨日も質問した際に、百五十人の定員外職員並びに公団の七百七人については一人も首を切らない、安心してそのまま仕事ができていくように今後十分対処するということを政府側から答弁をいただいておりますから、その点は心配なく願いたい。そして、国民に期待される公団としての今後の発展を心から期待する。  以上、参考人に対するお礼を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  124. 仮谷忠男

  125. 稲富稜人

    ○稲富委員 きょうは、参考人の方にはまことに御苦労さまでございます。  実は、きょうお聞きいたしたいと思いますことは、いずれ、この開発公団審議にあたりまして政府にいろいろただしたいことがありますので、それの参考として率直に承りたいと思うのでございますが、私たちが一番心配いたしますことは、  一つは、先刻からもいろいろ話が出ておりますような職員の身分保障という問題で、これは非常に大きな問題でございますが、この問題はすでに先刻からすべての委員から御質問がありまして、希望等も出ておりますし、時間がありませんので、この問題は重複を避けまして、私は、公団小倉理事長に二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  先刻小倉参考人からも申されましたように、今回の開発公団は、その附則第六条によりまして、機械公団権利義務を一切継承することになっておる。これは先刻お言いになったとおりでございます。そこで、私がここでお聞きしたいと思いますことは、今回の農用地開発公団の「目的」と従来の機械公団の「目的」との間の関係で、今回の新公団というものが将来非常に拡張されるであろうということは想像いたしますけれども、従来の公団法の第一条に、御承知のとおり、「農地開発機械公団は、」云々と、その「目的」を書いてありますが、その最後には「あわせて輸入に係る乳牛を地方公共団体に売り渡すことを目的とする。」ということで、いろいろしさいに書いてあります。今回の農地開発公団の「目的」はこれをかいつまんだものであるかどうか知りませんが、非常に要約してあります。そういう点から、権利義務を一切継承するときに、いままで機械公団としてやられたこと、また、目的に沿うてやっておられること、こういうことが不都合を来たしはしないか、不安のある点があるのじゃないかということです。たとえば、機械公団法も、新法も、両方とも第三章に「業務」というものが詳細に書いてありますが、旧機械公団の「業務」の中にあるもので、今回の公団の「業務」から省いたのもあります。こういう点から見て、いささか不都合を来たすような不安がありはしないかと思うが、この点がありますならば、率直に機械公団小倉参考人から承りたいと思うのであります。
  126. 小倉謙

    小倉参考人 旧公団、新公団目的は、お話しのように、確かに性格的にも違っておりますし、内容も違っております。しかしながら、実際に新公団で行なわれます仕事というものは、従来機械公団が行なっておりました基盤の造成、あるいは畜舎等の施設の建設、その他いろいろな設計調査業務、そういうものが十分生かされる業務内容であると思っております。ただ、だんだんなくなりますのは機械の貸し付け業務、これは現在でももうすでにわずかなものになっております。その他はいわゆる受託事業でございますが、これは三年なり四年なり、当分の間いくうちにだんだんと減らしていくわけでございますから、これもうまく処理していけば円滑に新業務のほうに転換していけるもの、かように考えておりまして、格別不安というものはないように私は思っております。
  127. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま一点お尋ねいたしたいと思いますことは、機械公団法の第二十一条でございますが、「公団は、毎事業年度、予算事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」という条文がはっきりとあります。すでに今日は三月でございまして、当然次の事業年度に移行しなければできないような時期でございますが、こういう点から、この二十一条に基づきまして農林大臣の認可を受けられたのであるかどうか、あるいはその書類を提出されておるのであるか、この点を承りたいと思うのであります。
  128. 小倉謙

    小倉参考人 これは三月一ぱいに認可を受けるように話を進めておる状況でございます。
  129. 稲富稜人

    ○稲富委員 三月一ぱいに認可を受けられるようにいま手続中であると言いますが、しからば、どういうようなことを計画の中に入れて認可を受けようという腹組みであるのか、この点のお考えがありましたら、この機会に承っておきたいと思うのであります。
  130. 小倉謙

    小倉参考人 新公団の切りかえまでのことでございますので、従来と同じような形の認可申請をいたすようにしております。
  131. 稲富稜人

    ○稲富委員 従来のとおりということになりますと、今度はまたこれが変更される場合がありますね。その変更する場合には、またそれに対しての認可を受けることになるのでございますか。
  132. 小倉謙

    小倉参考人 ただいま申し上げましたのは、要するに、機械公団としての予算等の認可申請でございます。それで、新公団がいよいよ成立されることになりますれば、また新しく新公団予算なり事業というものについての認可を受けることになります。
  133. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、機械公団としていま認可を受けようとされておる計画は前と同じようなことで、新公団に移行するということは全然予想の中には入れないでやっているということでございますか。
  134. 小倉謙

    小倉参考人 さようでございます。
  135. 稲富稜人

    ○稲富委員 要は、私が一番憂慮いたしますことは、率直に申し上げまして、機械公団に対する従来の評判というものはあまりよくなかった。その機械公団が今回新公団に移行するということに対して、あなたもおそらくほっとされたという気持ちじゃなかろうかと私は思う。職員の諸君も、やれやれこれでまた一つ活路が見出されるのだという希望もあるだろうと私は思う。そういうような点で、単に機械公団が移行したということばかりじゃなく、新公団は、新公団が持つ新しい使命に向かって将来進んでいかなくてはいけない。こういうことで、今回新たにできますこの公団が意義のあるものとして、期待にそむかないようなものとしていかなければいけないと私は思う。そういう点から、機械公団の従来の職員あるいは関係者の方々が多年の経験を今度は新公団に生かして、さらにこれを活用する、ここにまた意義の一つもあるのじゃないかと思うので、ただいま申しましたようなことを私はお尋ねしたわけでございまして、今後どうなるかわかりませんけれども、職員の諸君は、全部移行されるわけでございますし、あなたも長い経験者であるから、そういうような経験等を生かして、新公団が期待どおりの発足をいたしますように十分なる御協力をお願いいたしまして、簡単でございますけれども、私の質問はこれで終わります。
  136. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、小倉参考人に申し上げますが、再開後も引き続き委員からの質疑がある予定になっておりますので、特に御出席いただきますようにお願いをいたします。  村参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  午後二時十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後二時十八分開議
  137. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農用地開発公団法案について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  138. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 きのう質問を少しやったのですが、時間がございませんし、大臣に対する質問時間もさかなければなりませんので、簡潔に質問申し上げますから、簡潔にお答え願いたいと思います。  今度の新公団出資金政府二億円、開発機械公団の八億三千五百二十万余円というのを合算すると十億余りですが、これ以上ふやすのか、ふやさないのか、その点聞いておきたい。適正な出資金額というものはどの程度なのか。
  139. 大山一生

    ○大山政府委員 新公団発足に関連いたしまして、初度調弁費的なもの等において、二億の出資を経過的に追加をするというかっこうにいたしたわけでございます。  今後さらに出資金をふやすことが将来あり得るかどうかということになりますと、それはそのときどきにおける事情で変化してくると思います。しかし、いまの段階で直ちに来年度予算等でまた出資金をふやすというような事態はないものと思っております。
  140. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この公団審議の中で各委員から非常にやかましく言われたのは、やはり、定員内、定員外の職員の問題です。そして、当局の答えは、定員予算定員だということを明確に言われたのです。ぼくは、定員外のほうは事業分量における定員だと言う。予算定員だろうと、事業定員だろうと、開発機械公団であろうと今度の新公団であろうと、これは事業をするのでありますから、同じ職場で同じ建設機械を使いながら、Aの者は定員内であり、Bの者は事業定員、要するに土工費から出す、工事雑費から出すということは適正な人事管理とは言えないと私は思う。同じような仕事をして、同じような任務を持つ、これがどれだけ労働者の皆さんに心理的に影響を与えるかということを考えたときに、そういう不合理な人事管理方式はないと私は思う。この点の矛盾を当局はどう踏まえておるのか、理解しておるのか、お答え願いたい。
  141. 大山一生

    ○大山政府委員 準職員というものの発生しました経緯につきましてはいままでもるる申し上げましたようなことで、歴史的な経過をたどって、現在、準職員が百五十五名いるわけでございます。先生の言われますように、準職員というかっこうの職員がいることが人事管理上好ましいことであるかどうかということを言えば、それは好ましいことではございません。そういうこともございますが、一方において定員というもの、特に、機械公団関係定員につきましては、現状はむしろ定員がおって、定員との関係において事業費をつけておる、こういう事態の中にあるわけでございまして、それからまた一方定員削減というような問題もございますので、直ちにそれを定員化することはなかなかむずかしい問題であるというふうに考えております。  ただ、現実の問題といたしまして、きのうも申し上げましたように、毎年度三、四十名の欠員も出てきているわけでございますので、今後の問題としては、そういう欠員の出てくる中におきまして、新事業事業量の伸びとの関連もあり、また、新事業のほうでの人の配置という問題もございますけれども、その中において定員内に繰り入れるという措置は講じていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  142. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 好ましい姿ではないと言うたら、それはもうしまいなんですよ。あんたはへ理屈ばっかり言う。それを直すように努力いたしますと言うたら、もうしまいなんだ。これから努力するようにいたしますということをお答え願いたい。  と同時に、賃金格差是正をしなければならぬ。昨日も、いろいろ安いこともわかります、水資源関発公団その他の公社、公団の給与から見ると差がありますと認めておる点があるわけです。要するに、新公団へ移す場合には、いままでの内部矛盾、組織矛盾というものを明確に是正をするという立場に立って定員の問題も解消する、賃金格差是正するということをぜひ明快に答弁願いたいのです。局長、もう多くを言わないで、それをやりますと、簡単に言えばいいのです。
  143. 大山一生

    ○大山政府委員 御指示のとおりやりますと言い切れないところにいま一つ問題があるわけでございます。と申しますのは、きょう、先ほど小倉理事長からも話がございましたように、いわば職員と従業員というかっこうで出発した過去の問題もございます。しかしながら、最近の問題といたしまして、俸給表上の格差が出ているということの一つの大きな原因は、最近のベアが一律何%アップというかっこうで来ていることのためにその差が出てきているという点が非常に大きな原因であるのでございまして、その点につきましては、公団のほうも公団なりに、大蔵省でありますとか、そういったところに対して、定額という要素を大きくするようにいろいろと働きかけてきた。これは先ほどの理事長も言っている次第でありますけれども、われわれ、機械公団との関係においては、まさに一律何%という定率が多いことが格差を大きくするという現実にあることを踏まえまして今後対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、公団間における給与格差が非常にあるということから、政府の中におきましても、労働省が中心になりまして現在いろいろと調査をしている、その中におきましても、われわれといたしましては、ほかの公団との格差是正については努力してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  144. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いずれ大臣と詰めるうちにこの問題が中心になろうかと思いますから、とにかく、この公団法を早く通したいのなら、局長、そういうものを完全にすることが大事だ。今度の新公団法を見ると、役員だけはたったたったときめちゃう。定数もきめる。おそらく、給与も踏襲してまだ上がるだろう。同じ公団で、おまえたちは赤字が出るから、損をするから、事業が伸びないからできないということで締めつけていく理由をつくり出す。それではいけない。みんな苦しむのならともに苦しんで、公団をほんとうによくするためなら、ただ一人でも落ちこぼれがあってはならないし、脱落者を出してはならない、一致団結してやるような体制をつくるのが当局の任務ではなかろうか、こういうふうに思います。この点は十分銘記してもらいたいと思います。  それから、どの公団ともいろいろあるわけでありますけれども、特に、技術部門が組織の中で多く比重を占めている。そして技術職員が多いという場合、そういう組織、任務を持っておる公社、公団その他については、これは試験研究機関でも言えることですが、職階制の給与体系というものは矛盾が出ると私は思う。管理体制を強化していろいろ役付をたくさんつくれば別でありますけれども、そういう役付をたくさんこしらえて仕事ができるかどうかわかりません。役付を少なくして、能率をあげて、ほんとうにいい仕事をしていこうと思えば技術の向上であります。それから、技術者というものは単年度で養成できない。学問的にも、また経験的に言っても、何年かを経なければならない。そうする場合に、技術職員の多い部門は職階制の給与体系というものは矛盾が出てくるというわれわれの見解であります。今度の新公団においても技術職員が多いようであります。一ところに何年でもおって、おれは係長でも、課長になれなくてもいいんだ、給与さえくれればおれは一生懸命やるんだという熱意というか、ファイトというか、そういうものを持たしていく、使命感を与えていくという人事管理、そういう面から言ったら、いまの給与体系を変える必要がある。別の方法を考える必要があるのではなかろうかという気がするが、当局はどうでしょうか。
  145. 大山一生

    ○大山政府委員 公団の給与体系、現在は公I、公II、公III、公IVと、この四つの分かれ方をしているわけでございますが、新公団が旧来事業をなくして完全に発注公団化した暁は、まさに、水資源開発公団といったような公団と同じような位置づけがなされるわけでございまして、そういう意味におきまして、事務と技術というような分け方も、これも一つの考え方であろうと思います。技術の中でどの程度の職階制といいますか、階級分けをするかといったような問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、かつての愛知用水公団の当時におきましては、技術者が大半を占め、しかも、非常に能率的な事業をやっていたこともございますし、また、最近の水資源開発公団実態等も踏まえまして、新公団の給与体系というものにつきましては、将来のかっこうとしては、それなりの新たな給与体系というものを考えねばならぬというふうに考えるわけでございます。ただ、ほかの公団といいますか、全体としての横並びということも当然要素としては出てまいるわけでございますけれども、いずれにしても、技術者が働きやすいように、そして技術者の給与が好ましいかっこうになるようなかっこうを志向しながら、過去の先例等も調べながら給与体系をきめていかなければならぬだろうと思うわけでございます。  ただ、ここの過渡期におきまして、いわば公II、公III、公IVあるいは公Iといったようないまの四段階、四つに分けました給与法といいますか、給与のあり方をすぐにどう変えられるかという問題は、経過措置の問題として一つあろうかと思います。いずれにいたしましても、過去の先例等も考えながら適当な給与体系にするように今後とも研究してまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
  146. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 給与体系については、独得の味わいというか、持ち味を出していただいて、形を変える、そしていい仕事をしてもらい、事業を伸ばしていく。所期の目的が達成でき得るような人事管理をするためには、給与体系を変える、低賃金を上げる、こういうことで思い切って考えてもらわなければならぬ、これを強くお願いしておきたいと思います。  局長、きのうあなたは電気だけ言うたのですが、水道であるとか集会所、公民館というものが必要である。この公団職員の皆さんもその付近に住まなければならぬだろうし、子供のことも考えなければならぬ。いままでの開発機械公団は、ここへ二カ月、ここへ三カ月、ここへ半年ということで、転々として旅ガラスをさせたのですが、これからはそういうことはだんだん数が少なくなるだろうと思う。その前に職員の宿舎というものも考えなければならぬだろうし、それから一方では、造成地の中のおもやに関連する人が入るし、家畜、動物も入るのですから、いろいろな施設が必要だ。そういうこまかいやつは全部公団がやって出していくのか、取り合い道路まで全部やって出すのか、生活用水の水道施設も全部やって出すのか、それらも含めて単価の中に入れて、七五対四五の補助率に合わせて分譲していくということになるのか、ならないのか、そういう付帯施設につくきめのこまかい施設については県にやらせるのか、市町村にやらせるのか、公団が全部やるのかということをお尋ね申し上げたい。きのう電気だけあなたは言われたが、この点はどうですか。
  147. 大山一生

    ○大山政府委員 公団事業を行ないます場合に、その地方地方によって非常に立地条件が異なっております。したがって、上物の範囲も、その地方地方によっていろいろと異なってくると思っております。ただ、われわれの考え方といたしましては、公団で行ないますものは、農用地開発一体的に行なう限りにおけるいわゆる公共的なもの、あるいはそれと一体的に行なうことを可とするもの、こういうものにつきまして公団事業として行ない、また、補助をしてまいる、こういうふうな考え方でございます。したがいまして、たとえば入植者の住宅ということになってまいりますと、これはたとえば根室の場合で申しますならば、共済連の融資を市町村によってあっせんしてもらうというふうなことを考えているわけでございます。  それから、工事を行ないます関係におきます事務所でございますが、これは事業をやるのに最も適した場所に事務所をつくります。その場合に、その事務所に従事する職員の社宅といいますか、住宅の問題が出てまいりますが、これにつきましては、借り上げなりその他の措置を講じてまいる、こういうことに相なろうかと思います。したがいまして、公民館までという考え方は、公団事業としての中には考えておりません。
  148. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そういう開発地域内における人畜を入れるわけですからね。ほんとうのモデル地域というか、どちらかというと、畜産の農村集落団地をつくるという意味もあるわけですね。それから、すべての文化生活ができるような体制をつくれるようにしてやらなければならぬ。それから、いまの公団だけの仕事と事業ではできないから、別の制度利用していく。いろいろな制度があるわけですから、それを十分適用して万全にやっていくのだという考えがあるのかないのか。
  149. 大山一生

    ○大山政府委員 先般の御質問にもあったような次第でございますが、いずれにいたしましても、今度行ないますところは遠隔の地が多いわけでございます。そして、また、その生活環境の整備ということは当然必要なことであると思っております。したがいまして、これは公団事業としては行ないませんけれども、たとえば広域農道の問題でありますとか、あるいは農村総合整備モデル事業とか、こういうようなものの従来事業の活用する中においてそういう問題の解決をはかってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  150. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それなら、市町村の責任や任務というものがあるわけですが、この公団法から言うと県だけがある。市町村にはない。ただ、協力や意見を求めるという程度ですね。そして賦課金の徴収。それではほんとうの新しい村づくりやりっぱな畜産団地というものにはならぬではないか。この法案の精神から言うとおかしいということになる。  それから、もう一つ聞きたいのですが、十九条の一項の五号の、「第一号の業務と併せて農機具、家畜その他農林省令で定める物の売渡しを行うこと。」というのは、上物だとかいうのだったらわかるのですが、農機具、家畜まで売り渡すというのはどういうわけですか。これは公団がしなければならぬのですか。いままで農機具は農林省が補助をやる。いろいろな構造改善でやる。この機械を買いなさい、大型を買いなさいというとき、もう大型はけっこうです、中型でけっこうですと言うのに、大型でなければいけませんと言って、かってに基準をきめて売りつけている。大型農機具を買わされてもうふうふう言っている地域がある。農林省は、こういうことの弊害というものがいままで起きておるところを知らないのじゃないか。なぜこの文を入れなければならぬのか。これは何もこの法律の文案に入れなくても、行政指導はいろいろな点でできるじゃないですか。これを入れるということは何か意味があるのか、われわれは解せない。あなたたちがこの農機具を使いなさいと言って、農民に押し売りをする形になっている。それなら、農林省は、農機具をあっせんする限りは、その機械を売る限りは、共済保険に入れるとか、生命保険に入れるとか、農民の身体の保障をしなければならぬという気持ちがするのですが、どうですか。
  151. 大山一生

    ○大山政府委員 この五号の規定というのは、これは公団業務ということでございますので、これを必ずやらねばならぬということではございません。ただ、いままで、全計地区なり、もうすでに先発工区として着工しているどころなり、こういったところにおきますいろいろの計画をわれわれが立てます場合の前提として、地元とのいろいろ話し合い中におきまして、たとえばハーベスターでありますとかヘイバインでありますとか、こういった各種の機械も一緒に公団で、その金も財投資金によって入れてもらったほうが好ましいのだ、こういうふうな話もあったわけでございます。さらに、機械公団が現に共同利用模範牧場において行なっておりますように、家畜の導入も新公団事業としてもやるべきではないか、したがって、家畜につきましても財投資金によって購入して売り払うというふうな、いわば長期、低利なかっこうで売り渡すほうが公団事業として好ましいのではないか、こういうような趣旨で、公団のやるべき仕事であろうというふうなことで五号を入れたような次第でございます。
  152. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この点はもっと煮詰めなければならぬと思います。  時間がございませんから次を聞きますが、役員は法律で員数をきめたのですが、これだけきめるということになれば、どういう機構でどういう体制ということが大体構想があろうと思うのです。同時に、また、役員は依然として天下り人事をやるという意思があるのか、そういう構想があるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  153. 大山一生

    ○大山政府委員 役員につきましては、理事長及び監事は農林大臣が任命するわけでございます。そして、また、副理事長及び理事は、農林大臣の認可を受けて理事長が任命するということになっているわけでございまして、この点につきましては、大臣のほうで慎重に適所適材という角度から任命することに相なろうかと思います。  役員の数につきましては、きのう政務次官からも御説明いたしましたように、今度の事業内容というものが各方面との接触の非常に多い事業であり、いままでのように単に受託を受けて事業を行なう公団ではないということから、代表権のあります副理事長一名をふやしております。それから理事につきましても、あるいは監事につきましても、四名以内あるいは二名以内ということで規定しているような次第でございます。それから旧公団事業引き継ぎ関係といいますか、旧公団事業の将来への方向というものを責任をもって見定めさせるために暫定理事二名を一期に限って置く、こういうかっこうでやったわけでございます。したがって、暫定理事二名につきましては、現在の機械公団役員が必ず行くという保証はございませんけれども、そういう意味から言うならば、機械公団との関連ということも一つの検討材料になろうかというふうに考えるわけでございます。
  154. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もうやめますが、局長の答弁を聞いておると、今度の役員になる人は相当任務が重いし、ちょっと違うということは全くそのとおりかもしれません。しかし、それなら、いままでの開発機械公団理事はお粗末でよかったということにも裏返して言えば言えるし、同時に、また、いままでの事業と違うと言うが、いままでの事業は注文取りだから、注文を取るような局長は一番つらいのです。仕事の注文取りというのは一番つらい。今度はある程度政策的に進めていくのですから、権力、法律というものが使える。いままでの開発機械公団は仕事を請け合うほうですから、注文取りなんですよ。何事においても注文取りが一番むずかしいのですよ。むずかしいことはお粗末であって、政策的に権力が、法律が使えるようなことは優秀なものでなければならないという考え方、局長、これはおかしいですよ。そうすると、いまの小倉理事長以下はぽこぺんだということになる。  以上で質問は終わります。
  155. 大山一生

    ○大山政府委員 ことばがちょっと足りなかったと思いますけれども、別に機械公団だからどうこうということではなくて、機械公団とはまた色彩の違ったいろいろの要素を持ったことをやらねばならぬ理事といいますか、役員という構成になるということを申し上げた次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
  156. 仮谷忠男

    仮谷委員長 美濃政市君。
  157. 美濃政市

    ○美濃委員 二、三この前の保留してある分を質問したいと思います。  第一に、これは、具体的な例をあげて聞いたほうがいいと思うのですが、一番大きい事業の根室地区ですが、これは直轄とこの公団が担当する部門とはどうなりますか。具体的に方針を聞かしてもらいたいと思います。開発建設部は直轄でやる分ですね。直轄とこの公団が担当する部門とはどうなるのか。
  158. 大山一生

    ○大山政府委員 新公団が行ないます事業は、下物の整備と合わせて上物の整備一体的、総合的にやらねばならぬ地域で、そしてそれは未利用、未開発地域であるというところに新公団を行なわせるわけでございます。国営事業につきましては、大体地元増反的なもの、あるいは地元におきます土地の価値の増加!それを中心にして行なえばそれによって効果のあがるというようなところ、それは従前の直轄事業でやってまいる、こういうふうな考え方のもとで整理されている次第でございます。  したがいまして、根室について申し上げますならば、二万一千ヘクタールの今度の先発工区という意味で現在出発しております根室中部、それから四十九年度から発足することになっております中標津、この部分を継承する、こういうことになるわけでございます。
  159. 美濃政市

    ○美濃委員 聞くところによると、何か、開発庁へ人間の要請をしておるということも聞くのですが、なれた人をよこしてくれという要請交渉があるのですか。
  160. 大山一生

    ○大山政府委員 先ほど申し上げましたように、国営事業引き継ぎというようなこともございます。また、地元に明るい人であったほうが好ましいというようなことから、開発局の中から数名こちらに割愛してもらえないだろうかという話を内々はいたしております。しかしながら、公団がまだできておりませんので、その辺の問題につきましては、今後事業を推進するにつきまして、最も円滑に引き継ぎができて事業が遂行できますようなかっこうで体制を整備するという意味におきまして、何人かの開発局あるいは道庁からの出向を期待したいというふうに考える次第でございます。
  161. 美濃政市

    ○美濃委員 およそ何名ですか。
  162. 杉田栄司

    ○杉田政府委員 失礼いたしまして、こまかい問題でございますので、私から答えさせていただきます。  現在根室中部でやっております職員、その中のいわゆる計画設計等でたんのうな幹部職員につきまして、新公団がなれるまでの間指導をしていただくほうがベターではないかという考えをもちまして、開発局からのそういう出向は可能であるかどうかという打診をしたことはございます。考え方といたしましては、必要最小限の数名の出向を期待したいというふうに思っております。
  163. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、けさほどの参考人のいろいろな意見局長はずっと終始聞いておりましたね。この中で、この前も申し上げましたが、機械公団から新公団にスムーズに業務と人員が移譲をする体制について、農林省としてはどういう考えを持っておるのか、その条件なり時期なりを一この際お聞きしておきたいと思います。
  164. 大山一生

    ○大山政府委員 移行の問題につきましての前提といたしまして、まず、事業のほうから申し上げますと、北海道の根室中部なり、あるいは中標津の事業というものにつきましては、後半の事業は新公団において行なうというようなことを前提として、現在の二十数億の新事業というものを来年度予算というかっこうでいま予算化しているような次第でございます。新公団ということになりますと、手続上、同意その他の手続が要るというようなこと、そして、また、北海道は早く冬が来るという点からいきまして、新公団発足を——これは、この法律がどうなるかということが前提でございますけれども、七月一日ごろには発足させたいというふうに考えておるような次第でございます。  そこで、その辺の見通しがつきました暁には、まず、機械公団のほうの理事長といいますか、機械公団に対しましては、いつの時点を引き継ぎの時点とするかというようなことと、それから、また、新しい公団理事長たるべき者の指名ということを一方は行ないまして、そして、役所も入った中におきまして、引き継ぎに必要ないろいろな手続その他の問題を詰めてまいりたい、かように考えているわけでございます。  その中におきまして、現在機械公団の中において問題になっておりますような問題についての考え方についても、権利義務ということになるかどうかは別といたしまして、少なくとも旧公団時代においてきめられていることは新公団にも引き継ぐわけでございますので、その辺の引き継ぎ、そしてそれの具体的な方法、そのために旧公団時代においてやるべきことというようなそれぞれの責任分野を明確にして、新公団への移転をスムーズにしてまいりたいと考えるわけでございます。
  165. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つ、公団理事、監事の選任ですが、午前中、現在の理事長はやはり現在の立場ですから、農林省当局にいろいろ気がねしてああいう表現をしておったと思うが、有能な人は内部起用をするという考えがあるかどうか、これを私は聞いておきたい。私は、有能な人が内部におると思うので、内部から可能な限り起用すべしという考えなんですが、いかがですか。
  166. 大山一生

    ○大山政府委員 率直に申し上げまして、機械公団も、三十年に発足いたしましてから相当年数がたってきております。そういうことから言いまして、先ほど申し上げましたように、幹部の中にも相当数がプロパーというかっこうで入っておりますが、たとえば部長クラス等につきましても、現在農林省から出向している人もおるわけでございますけれども、むしろ地元といいますか、プロパーにしたほうがいいというよりも、プロパーにして、そうして引き上げたほうがいいというような人もいるようでございます。いずれにいたしましても、内部起用ということについても十分に考慮してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  167. 美濃政市

    ○美濃委員 さらに、いわゆる旧公団を吸収するについて、その条件等については時間の関係で申し上げませんが、けさほど来出ております労使間の問題についても、誠意をもって解消できるように、農林省としては極力やるという意思はありますか。
  168. 大山一生

    ○大山政府委員 一番問題になっておりますのは、給与表上の格差是正あるいは給与の格差是正という問題であろうと思いますが、給与が現実に他公団に比べてどの程度明確に食い違っているかというのは、これは給与法の適用の問題とからみまして、各公団にそれぞれ内部事情があって必ずしも明確でないという問題がございます。しかし、少なくとも給与表上の格差という問題につきましては、先般来申し上げましたように、最近のべアということが定率的な色彩が非常に強過ぎということに基因する分が非常にございますので、こういう点につきましては、われわれといたしましても、定額の要素を多くするというようなかっこうでのベアということに対しまして極力大蔵省等にも申し入れをし、あるいは公団のほうからもそういうことを大蔵省にも強く申し入れ、あるいは、現在、関係各省に関連いたします公団間の格差是正についての研究といいますか、そういうことも進んでおるような中でございますので、あらゆる機会にそういうふうな方向への努力をしてみたい、こういうふうに思うわけでございます。ただ、これは、一朝一夕に解決するのはなかなか容易でないと思いますけれども、そういう方向につきましては、その理由が定率ということに基因する分が非常に多いという点を踏まえまして対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから、準職員職員化といいますか、定員化といいますか、この問題につきましては、これは新事業の伸びにも関連するわけでございますけれども、いずれにいたしましても、毎年ある程度の欠員というものも生じているようなわけでございますので、欠員繰り入れというようなかっこうにおいて対処しようとしてきました公団方向というもので対処してまいりたい。新定員という問題につきましては、これは事業量の増加という問題とからみますが、その事業量の増加についても、その前提として、現在全計地区なりあるいは精査地区になっております地区の計画の取りまとめを急ぐ中において事業の増加につとめてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  169. 美濃政市

    ○美濃委員 終わります。
  170. 仮谷忠男

    仮谷委員長 津川武一君。
  171. 津川武一

    ○津川委員 今度の新しい公団の仕事に受益者として参加する人に対して、どんなふうに考えておりますか。
  172. 大山一生

    ○大山政府委員 非常にむずかしい御質問でございますけれども、とにもかくにも、地元の熱意ということがこの地区の採択のまず最大の前提でございます。したがいまして、そういう意味において、地元との十分な接触の中において、やりたいという人にはやらせるという方向で進みたいと思います。  ただ、進め方の問題といたしまして、入植増反させる場合と、それから公共的牧野をつくりまして、そこで肥育なり育成なりあるいは採草なりをさせるという、こういうふうな二つのタイプがございますので、そのどちらのタイプにどの程度入れるかという問題につきましては、地元の意向等を尊重しながら進めてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
  173. 津川武一

    ○津川委員 今度の四つの地域の一つになっておる岩手県の葛巻町、対象面積四万三千三百八十七ヘクタール、現在の農家戸数千七百四十八戸。この千七百四十八戸の農民の方たちが熱意を持ってやりたいというふうに参加申し込みをした場合、希望があった場合には、一応その人たちを選考の対象にいたしますかどうか。
  174. 大山一生

    ○大山政府委員 選考の対象にいたします。ただ、いままでの意向調査をした結果においては、受益を希望する方は千二百戸というふうに現在の調査ではなっております。
  175. 津川武一

    ○津川委員 私も現地に行ってみまして、大体千七百戸のうち千二百戸あたりがいいところじゃないかという感触も私自身にもあるんです。しかし、まだ計画の全貌がわからないわけだが、千七百戸のうちの残りの五百戸という人たちが、計画の全貌がわかって、これからまたいろいろと法案審議され、内容がわかっていくにしたがって希望された場合、一応対象として考えられましょうか。
  176. 大山一生

    ○大山政府委員 この問題は非常にむずかしい問題がございます。非常に希望は多いが、一方、草資源の制約があるという中でどれだけにするかということになりますけれども、とにかく、公団発足いたしましたら公団で全体設計をさせるというふうなことをめどにいたしまして、現在計画の取りまとめ作業を行なっておるというふうな現在の段階でございますので、よく地元と詰めていきたいと思います。
  177. 津川武一

    ○津川委員 ところが、四日前に、私のところに、その問題の葛巻の基地基本計画概要書なるものを送られてきましたが、それによりますと、千七百戸の戸数で、この中で出かせぎに行っている人たちがあって、やはり出かせぎのほうがいい、今度の事業が出たならば、私の土地は貸すなり売るなりして出かせぎを続けたいという人もおります。離村したいという人もおります。そういう点で、いま千七百戸全部とはいかないと私も思っておりますが、町当局が立てた計画によると、第一次工事で三百四十三戸、第二期工事以降で完了までに七百七十戸というふうなことに総締めくくりでなっているわけです。これだと、農林省の皆さんが考えている千二百戸とかなり遠いので私も驚いたわけでありますが、これはどうしてこうなっているのか。皆さんの方針が役場に届かなかったのか、地域のほうでかってにまた制限したのか、ここらあたりはいかがでございますか。
  178. 大山一生

    ○大山政府委員 非常に具体的なことになりますので、ちょっと専門のほうにあとで詳しく答弁させますけれども、この資料は昨年の十一月段階のものでございまして、われわれが先ほど申し上げましたのは、ことしになってからの計画を申し上げた次第でございます。
  179. 井上喜一

    井上説明員 先生いま御指摘の点は、町のほうが昨年十一月に計画を立てまして、それが先生のほうへ届いているのだと思います。これによりますと、受益戸数のほうも若干違いますし、それから造成面積のほうも、農林省で現在把握しております二千九百ヘクタールを千ヘクタール程度上回るというふうな計算になっておるわけでございます。農林省が現在把握しておりますのは、ことしになりましてから町のほうの意向も確かめた上での面積でございまして、その時点の差がそのような差になってきている、このように考えておる次第でございます。
  180. 津川武一

    ○津川委員 私はことしの二月に、日はいつだったかノート見なければわかりませんが、葛巻に行って町長と一晩話し込んだ。そのときはうちの党の町会議員も入れて話し込んだのですが、そうしたら、町長は、希望しておる人たちはできるだけ入れるようにがんばる、そのつもりでいると言うので、私も安心して帰ってきて、この法案に賛成しようかと思っていた。ところが、三日前にその町会議員から来たものによると、どうやら計画は十一月でやるらしい、あぶなくなったが、一体農林省はほんとうにこの案でやらせるのかどうかということなんです。そこで、農林省が最初ぼくらに寄せた計画どおり変更がなくて、あれで県や町当局を指導するというお気持ちなのかどうか、この点を明らかにしてもらえば、私もかなり安心がいくわけです。
  181. 大山一生

    ○大山政府委員 先ほども申し上げましたように、現在、全体設計に移れるように計画中ということでございまして、これから公団ができますと、公団が全体設計をやられるわけでございます。その全体設計段階の中におきまして、最終的な規模なり、その経営のあり方なり、こういうものがきまってまいりますので、現在のところは、現在段階における計画ではこういうふうになっているということでございます。
  182. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、この十一月の計画はやはりこれではやる腹はない、農林省がぼくらに出した千二百戸のあの計画でやる、こういうふうに受け取っていいわけですか。そういうつもりで現地を指導するということになりますか。
  183. 大山一生

    ○大山政府委員 現在のところでは、千二百戸ということでやっております。なお、今後さらに煮詰まってまいりましたら、また変化することはあり得るかと思いますけれども……。
  184. 津川武一

    ○津川委員 そこで、一度葛巻町長に問い合わせて返事をしていただきたいのです。これでやるのじゃないだろうということを、ですね。いかがでございますか。
  185. 大山一生

    ○大山政府委員 葛巻町とはよく相談してみます。
  186. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この中で計画目標にされておる関係農地の中で実際に開発する面積の中に、ということよりも、対象面積四万三千の中に、八百八十ヘクタールからすでに買い占められているのです。しかも、買った人が転売までしているということになっている。せっかくのところにこういう企業などというものが買い占めている土地がありますが、これはこの間も指摘したのですが、その後調べてくださったでしょうか。
  187. 大山一生

    ○大山政府委員 町のほうで調査していただきました結果は、千ヘクタール程度の土地取得がございますが、そのうちの三百四十ヘクタールは合理化法人が買っております。そして、そのほかの部分につきまして、農振地域内で買っている面積はたしか三十ヘクタールくらいであったと思います。
  188. 津川武一

    ○津川委員 そこで、千ヘクタールの中の三百で、残りの七百か八百が原野山林が買われているのです。これはやはりせっかくのいい地域なので、これを草地造成に含めたほうがよろしいかと思います。買われているから、そのままこの分だけ除いて、計画された分から差し引いたものを計画の目標にするのか。そうではなく、買い取られたものを、最初の計画に必要な分は買い上げたほうがよろしいのじゃないか。そのときの値段はもちろん買ったときの値段。それに多少の経費は含んでもいいが……。現に、青森県の八戸で丸紅が新産都市で買ったものを買ったときの値段で払い下げてもおりますし、こういうことが必要と思いますが、いかがでございますか。
  189. 大山一生

    ○大山政府委員 公団事業は、原則的には農振地域の農地区域で行なうわけでございます。そこの適地としてどうしても必要なところをかりに買い占められているということでございますならば、これは市町村を通じまして買い戻させるというような措置も当然とりますし、どうしてもそれが不可能な場合は合理化法人によって買い上げるというようなことも地区によっては考えざるを得ない場合があるだろうというふうに考えております。
  190. 津川武一

    ○津川委員 買いしめられた土地のリストを、きのうですか、私は皆さんのほうに見せてありますので、この買い占められた土地がいま計画されている目標土地の中にどのくらいあるか、まず調べていただきたい。これをひとつお願いします。いかがですか。
  191. 大山一生

    ○大山政府委員 先ほど申し上げましたように、合理化法人が買っております三百四十ヘクタール以外の土地といたしまして、ここで一つ問題になりますのは、これは保安林地帯でございますので造林以外は使えないはずでございます。それで、農振地域の内と外というふうにして見ますと、大半が農振地域外でございます。そして、われわれが現在の開発適地と考えている地区外でございまして、合理化法人といいますか、岩手県の農地管理公社の買っておりますところは地域内というかっこうで、当然の対象にする、こういうふうな現状になっておるわけでございます。  買い上げた人間は個人名が非常に多いものですから、それの詳しいことはつかみようがございません。
  192. 津川武一

    ○津川委員 きのう私が見せたリストの中で、開発予定地域の中に入っているところがあるかどうか、調べてもらいたい。これが一つ。  それから、局長、もう一つ、山林、原野を造林するという目的で買っている人がいるのです。これがその目的を変えて、おれもこの地域だから関係者の中に入ろうと申し込んだとき、それを入れるのかどうか。私は入れちゃいかぬと思うんだけれども、この点はどうですか。
  193. 大山一生

    ○大山政府委員 現在の考え方は、既存の農家の経営規模拡大なり、入植なり、こういうふうな考え方でございますので、部外者を入れるという考え方はございません。
  194. 津川武一

    ○津川委員 この間論議になった阿蘇山麓の電気化学工業は、九重という村の中を二百ヘクタールぐらい買い占めているのです。葛巻はかなり個人名ですが、阿蘇に行くとかなり企業が買っている。この企業が、この間話したとおり、酪農をやるとか肉牛をやるという計画を立てて、この皆さんの計画に入ってきて、申し込んできて、おれのところも入れてくれと言ったときには、もちろん企業は入れないわけですね。
  195. 大山一生

    ○大山政府委員 入れるつもりはございません。ただ、一つ、先ほどのお話しに関連いたしまして申し上げておきますと、電気化学工業の場合には、確かに地方課に対しまして財産区関係での申請は出ておりますけれども、十ヘクタール以上の土地取得につきましての県の土地利用指導要綱に基づく承認は、まだ申請も出ていないという段階でございまして、現在県においてこれの取り扱いを検討している、こういう段階でございます。
  196. 津川武一

    ○津川委員 この間、対象になっておる根室、阿蘇、岩手、阿武隈、それから八溝の五地域関係市町村に聞けばわかるところはわかるとお話しをして、それを調べてくださいというふうに頼んだわけですが、調査をしてくれていますかどうか。
  197. 大山一生

    ○大山政府委員 この前の先生の御指摘でございますが、とりあえず九重町をまずやったわけでございます。それ以外の四地区につきましては、これは非常に膨大な面積にわたるというようなこともあり、町村長としては、口外されないことを条件にしてならというところもございます。そういうことがございますので、どこまで御報告できるかわかりませんけれども、現在調査中でございます。
  198. 津川武一

    ○津川委員 その次に、阿武隈・八溝ですが、これに養鶏も入れるつもりと計画で見ましたが、そのとおりでございますか。
  199. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 畜産基地関係の麓山第一地区におきましては、養鶏、養豚を現在のところは入れる計画にいたしております。
  200. 津川武一

    ○津川委員 そこで、現在養鶏が生産調整の段階に入っているときに、また養鶏がふえる。私も、養鶏の基盤を整備して経営をよくすることにはいささかも反対ではないのだけれども、生産調整に入っているときに、新しいところに養鶏の団地をつくるのはどんなものかと思っているわけです。そこで、農林省自身も養鶏の生産調整をやっているわけですが、二月二十三日に養鶏団体懇談会が開かれているし、皆さんのほうからも鶏卵の需給調整の実施についての案を出しています。これと阿武隈・八溝の関係はどうなりますか。
  201. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 御承知のように、鶏卵の生産は非常なテンポで伸びてまいりました。ただ、需要のほうは、国民一人当たり大体三百個と言われますように、世界でも有数なところの高水準に至っておりますので、ここ二一三年前から卵の生産過剰ということが生産者はじめ関係者の中で認識をされまして、何らかの生産の計画化といいますか、需要に即応した供給、生産を行なっていくという必要性が叫ばれております。実は、農林省といたしましても、四十七年から年間の需要目標というようなものを一応想定いたしまして、それを各県にお示しをしまして、各県でそれぞれ年度の生産目標数量を定める場合、それを参考にしながら、その中におさまるようにやっていただくということでやってきておりまして、その後、昨年以来御承知のようにえさの価格が急騰いたしておりますので、経営が非常に苦しいということになりますと、いままで以上に生産の計画化と申しますか、生産の調整が必要だ、こういう事態に最近至っておるところでございます。  そこで、お尋ねの麓山第一地区あるいは今後着手いたします第二、第三地区も、あのあたりは、今度の公団事業の中でも畜産基地構想の中に入る事業でございまして、これの中の二つのタイプの一つとして、麓山第一地区につきましては、大家畜と中小家畜を結びつけて、養豚なり養鶏等で都市近郊に立地しておりましたのが、御承知のとおり、環境汚染問題等でいろいろ問題を起こしておりますので、これを遠隔地の、たとえば麓山第一地区のようなところに立地移転をしまして、そこで肉牛なり酪農と結びつけて、草地に家畜の排せつ物を還元するというような構想で調査をし、実は、現在一部着手しているわけでございます。  そこで、いまのような事態に対してどうするのかというと、確かにむずかしい問題だと思います。われわれといたしましては、生産の計画化自体は今後続けてやっていかなければいけないと思いますが、他方、環境汚染問題等で都市近郊その他から遠隔地に立地移動しなければいけないということも今後続けなければいけないことでございますし、その際、立地移動するだけではなしに、大家畜あるいは一般耕種と結びつけて、最近地力低下ということが言われておりますので、家畜の排せつ物を土地に返す、作物に返すというようなことによって、草なりあるいは一般の農産物生産において地力を高めることによって生産を安定させ、向上させるということにも役立つわけでございますので、その線はやはり進めるべきではないかというふうに考えておるわけです。  そこで、全体の全国的な調整のワクの中においての立地移動でございますから完全な新設ではない、移転でございますので完全な新規増ではないという面もあります。ただ、しかし、移転する限りは規模も適正な規模に大型化するということもいまのところ考えておりますので、生産量は確かにふえるということはございますけれども、もう一つの環境問題という非常にむずかしい問題を解決する一つのモデル的な、先駆的なものとしては、これは全体の調整計画の中におさめながら育成していくべきではないかというように考えております。ただ、今後の生産の計画過程での実行の達成の状況とか、あるいは、さらに、いまのところ一番その必要があるのは鶏卵でございますが、同じ養鶏でも、ブロイラーについてはまだ消費は伸びるという面もありますので、その辺で、あるいは場合によっては卵からブロイラーにかえていく、あるいは養豚にかえるということも、今後は様子を見ながら、動向を見ながら検討していかなければならないと思います。  確かに、先生が御指摘されたような点は今後十分念頭に置いて、具体的に事業をやる場合には、場合によっては変更ということも考え、あるいはその導入の時期等についても慎重を期してやっていかなければならないということで、十分問題点は認識をしておるつもりでございます。
  202. 津川武一

    ○津川委員 あの事業は、大家畜と小家畜を合わせて、しかも兼業農家が入るのだから、時によると畑作と稲作の水田作とも組み合ったほうが非常にいい、ぜひやらしてみたい、やってみたいと私も思っておるわけです。そこで、あそこでふえる分だけ、たとえばインテグレーションの分のふやし方なんかはとめていく道があるならば、私もかなり賛成していいのじゃないかと思うのだけれども、ぜひやらしてみたいと思うからこういうことを言っているわけです。  そこで、最近のえさ高とかいろいろな配給機構の問題で、やはり力の強い人たちがふやしていっている。力の一番強いのは、やはり、資本がインテグレーションでやった場合はかなり強いわけです。そこで、えさ高で、現在養鶏農家が自分で鶏に食わせるためのえさの値段がどのくらいになっているのかインテグレーションでやるとかなりその点は安くなってくる。これでかなり違ってくる。あとまた販売の面で有利な点があるから、この二つでやられると思うのですが、そこら辺、入手面でどのくらいの価格の差、優劣がついているか、教えていただきたいのです。
  203. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、いまのような見方も確かに一部にあるかと思いますが、私どもでは詳細に調査しておりません。しかし、そう大きな開きはないのではないかという感じは持っておりますが、調査をいたしておりませんので、正確なお答えはいたしかねます。
  204. 津川武一

    ○津川委員 感じとしてでも、どのくらいの差があるかわかりますか。たとえば十対九とか、十対八とか、そんな感じでも見当はつきませんか。
  205. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 なかなか教字をもってお答えしにくいわけですが、ただ、インテグレーションの場合にはえさだけではなしに、販売価格等について、たとえば価格保証をするとかいうようなこともいろいろやっている向きもありますので、えさだけ比較して、特別に非常に安いというようなメリットばかりでもないのではないかと思います。いずれにしましても、データを持っておりませんので、ちょっとここでお答えする用意がございません。
  206. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この間の二月二十三日の養鶏団体懇談会にはかなり農林省から出ておりますが、そこでは、生産調整で「千羽以上の生産者を登録すること。」「三千羽以上の羽数を現状凍結すること。」それから、「一〇%以上羽数を減少したとき、その減少羽数の二分の一の範囲内で増羽を協議会で討議してゆるすこと。」「この許された増羽でないと国の補助金や融資をしないこと。」「商社系列についても同じ趣旨で指導すること。」というようなことが話し合われたというふうに聞いておりますが、このとおりでございますか。
  207. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまの御指摘のような内容で、現在関係者と相談をしておりますので、まだそこまできまったという段階には至っておりません。なお、協議の過程におきましていろいろ変更もあり得るかと思います。
  208. 津川武一

    ○津川委員 そこで、これは、「養鶏経営者」第六十六号、三月八日号なんですが、解説みたいなものを書いて、多くの意見が、一番しり抜けになりそうな商社関係のところが、主体的でなく付随的に扱われているのが心配だというわけなんです。商社がまだなおどんどんふやすのじゃないかというふうに心配だと言っておると同時に、つけ加えて、「鶏卵の需給調整の実施について」の案として、「商社関係については、今後の増羽計画を取りやめるよう強力な行政指導を行うこと」というふうに言っておりますが、農林省の商社に対する——これはいま法規がないからいたし方ないけれども、この商社の増羽は、いま生産調整に入ったので、どんなことがあっても押えることが第一に必要になってまいります。そう思っております。そういう意見が出ておるわけですが、農林省の方針はどうなんですか。
  209. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 私どももそのような考えで、従来は県、市町村、あるいは生産者団体中心の、先ほど言いましたような四十七年度からの生産調整ということをやっておったわけでございます。いまのインテグレーション関係の商社もございますけれども、むしろえさメーカー系列のほうが多いかと思いますが、その辺は、アウトサイダーということで、足並みそろえてやるという事態にまでなかなかいかなかったことは事実でございますが、今回の場合は異常な事態でございますので、ぜひそこは協力を得て、同じような計画の中でやっていただくように強く指導したいというふうに考えております。
  210. 津川武一

    ○津川委員 これで終わります。
  211. 仮谷忠男

    仮谷委員長 芳賀貢君。
  212. 芳賀貢

    ○芳賀委員 きょうは大臣が出席しておりませんので、この際、提案された法案内容について、主として大山局長、並びに北海道開発庁とも関係がありますから開発庁の総務監理官、なお、関連して必要な点については、機械公団小倉理事長に質問する場合もあると思います。  まず、大山局長にお尋ねしますが、現行法の農地開発機械公団法の重要な規定の中で、今度の新しい公団法の提案の重要な部分との間において、質的にも相当異なる点が出てくるわけでありますから、その点についてあらかじめ尋ねたいと思います。  まず、現行機械公団法の第一条の「目的」の中で、今度の新しい公団法の「目的」と比較した場合に、失われる個所があれば、それを示してもらいたい。
  213. 大山一生

    ○大山政府委員 農地開発機械公団法の第一条の「目的」の中で、失われると申しますか、新公団法では考えていないものといたしましては、要するに、機械をもってこれを貸し付ける、機械の貸し付け事業が一つございます。「その他その効果的な運用を行なう」ということで行なっております受託事業、これも当分の間を除いてはなくなります。そして家畜の共同利用模範牧場的なものはこの公団の中の一つの事業というかっこうで取り行なうというかっこうに相なるわけでございまして、したがいまして、目的におきましてはほとんど変わってまいるというふうに理解しております。
  214. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これを明確にしておく点は、これは全然何も残らぬですか。残る部分があれば、この点が新公団の場合においては事業として承継してやるということを……。
  215. 大山一生

    ○大山政府委員 全部変わると申し上げてもいいと思います。ただ、制度的な仕組みといたしましては、共同利用模範牧場でやっておりました上物、下物一体でやるという考え方で、今度の公団の中におきましては、上物、下物一体的にやるということが主目的ということになっておりますが、その点だけでございます。
  216. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その次は、現行法第十八条の「業務の範囲」ですね。ここでは一項の一号から七号までそれぞれ列挙してあるが、この中でやるものとやらぬものの区別をひとつあげてください。
  217. 大山一生

    ○大山政府委員 現行法の十八条の中で、一号の、機械の貸し付け、これはやりません。それから、二号の、「委託を受けて農用地造成又は改良の工事を行なうこと。」も、当分の間を除いてはやりません。それから、三番目、四番目、これがいわば共同利用模範牧場というかっこうでございますが、これも当分の間を除いてはやらないということでございます。それから、しいて言いますと、五号なり六号の機械なり家畜の売り払い、売り渡しということにつきましては、性格は変わりますけれども、条文的にはと言いますか、内容としては残るというかっこうになります。
  218. 芳賀貢

    ○芳賀委員 現行法の六号ですか。
  219. 大山一生

    ○大山政府委員 六号の「輸入に係る乳牛の売渡し」ですが、これも残りません。
  220. 芳賀貢

    ○芳賀委員 十八条の一項の六号というのは、「地方公共団体に対し、輸入に係る乳牛の売渡しを行う」というものですが、これが残るというのですか。
  221. 大山一生

    ○大山政府委員 残らないわけでございます。
  222. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それから、現行法の二十三条の「財務諸表」、二十四条の「借入金及び農地開発機械公団債券」の発行の、この関係は新法にも一部出ておるが、性格的に変わるのですか。
  223. 大山一生

    ○大山政府委員 新公団法で別途書いているわけでございますけれども、財投を受け入れるという意味において、債券発行の権限を形式的に付与するということの精神といいますか、財投を受け入れることとの関係において規定が同じくなされているわけでございます。
  224. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、第二十六条の「政府からの貸付け等」は、これはどうですか。
  225. 大山一生

    ○大山政府委員 二十六条の規定と同じような規定を、新公団法にまた入れております。
  226. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次は、附則第九条の「国営土地改良事業委託」ですが、この点はどうなっておりますか。
  227. 大山一生

    ○大山政府委員 機械公団法の附則の九条は根釧に関する規定でございますので、この規定はもう完全に機械公団自身においても終わっているというわけでございます。
  228. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次は、附則十四条の「農林省設置法の改正」ですが、これは先日の答弁によっても、機械公団の監理官は今度はなくする、参事官が事務を担当するということになっているが、それとあわせて、愛知用水の監理官はどうなるのですか。
  229. 大山一生

    ○大山政府委員 愛知用水公団が水資源公団に合併したときになくなりまして、水資源公団と八郎潟事業団は、これを監理するかっこうの参事官はございます。したがって、新公団におきましても、機械公団監理官はなくなりますが、官房の参事官の定数は一名増というかっこうになっているわけでございます。
  230. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次は、附則の第九条の関係で、これは土地改良法の第三条と関係のある規定ですが、この規定は、今回の新公団の場合には何らかの関係を持つか、持たぬか。
  231. 大山一生

    ○大山政府委員 先生の言われますのは、機械公団法の附則九条でございますか。
  232. 芳賀貢

    ○芳賀委員 現行法では機械公団というのはないじゃないですか。
  233. 大山一生

    ○大山政府委員 九条三項は、借り入れに関する規定でございます。これも根釧に関連する規定でございますので、もうすでに機械公団においても事実上終わっている、こういうことだと思います。
  234. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一回言いなさい。
  235. 大山一生

    ○大山政府委員 附則九条の三項は、先ほど申し上げました第一項の規定に基づきます問題といたしまして、根釧等の事業についての規定でございます。したがって、それの工事を行なうために要する借り入れ金の限度をきめているわけでございますので、この規定は、機械公団自身におきましても、もうすでに事業の完了している問題でございます。
  236. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは昭和三十年法律第百四十二号の附則として、土地改良法の第三条の関係をここで準用することにしたのです。
  237. 大山一生

    ○大山政府委員 先生の言われます意味がよくわからないのでございますが、九条で申しますのは、これは根釧に関する規定でございますので、この契約を締結する権限は付与しておりますが、この事業はもうすでに完了しているというふうに理解しているわけでございます。
  238. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうではなくて、土地改良法第三条というのは、事業に参加する資格条件というものが出ているわけです。法人である土地改良区であるとか、土地改良事業団体としての資格を持つ農業協同組合あるいは市町村というものは、これは法人格を持っている参加者だし、また、その地域における十五名以上の個人の資格者が共同して国並びに都道府県の土地改良事業を行なうべく申請ができるということになっておるわけですよ。それは今度の法律にはないですよ。下から申請をするわけじゃないからね。ただ、現行法の関連規定と今度の規定を、大事な点を比較した場合に、そういう問題はどうなっておるかということを質問に入る前に聞いておるわけです。——わからなければわからぬでもいいですよ。何も、これだけ聞くわけじゃないですからね。
  239. 大山一生

    ○大山政府委員 あとで御答弁させていただきたいと思いますが、とにかく、ものの考え方といたしまして、今度の新しい公団法におきます仕組みといたしましては、都道府県の申請というかっこうが土地改良法におきます考え方と非常に異なっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、先生の御質問は後ほど答弁させていただきたいと思います。
  240. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、新しい法案に入りますが、結局、従来の土地改良事業を行なう場合の実施機関である機械公団が行なった事業というのは、これはほとんど全部やらぬことになるわけだから、そういう場合、新しい公団がやる仕事は何かということになるわけですね。そうなると、必要性のあるものは何かということになれば、これは特別目新しいものはないんですよ。だから、その辺は一体どういう考えに立っておるわけですか。
  241. 大山一生

    ○大山政府委員 国営土地改良事業等におきますものの考え方といたしましては、地元増反的なもの、あるいはその人が現に耕しているところの価値の増加、こういったようないわば下物だけを整備することだけによって原則的には機能が十分に発揮できるというようなところに対しましては、従前どおり国営土地改良事業でやってまいるわけでございますが、この公団考えておりますのは、未利用、低利用の原野が広範に広がっているような地域におきまして、単に下物をつくるだけではなくて、その上の上物まで一体的に総合的に整備して、そして規模拡大、自給度の向上に寄与すべき場所があるならば、それを一体的に開発する方式の実施主体として公団考えるべきであり、また、そういう公団が適当であろうということでこの公団法を出している、こういうことでございます。
  242. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長はよく下物、下物と言いますね。下物というのは、これは対象になる土地のことでしょう。農地でない未墾地でしょう。そうすると、下物は一体どういう形で取得して事業をやるということになるのですか。
  243. 大山一生

    ○大山政府委員 下物の取得といいますか、要するに、土地の取得につきましては、簡単に申し上げますならば、開拓パイロット事業と同様でございます。つまり、事業参加したいという所有者の同意を得る、あるいは本人以外の人の土地を使いたいという場合におきましては、合理化法人等がその土地を買い上げて、その土地についての同意を得る、こういうふうなかっこうの土地につきまして、国営開拓パイロットのときには国がやる、今度の場合におきますと、その土地については農用地開発公団事業を施行する、こういうかっこうになるわけでございます。
  244. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長、なるたけ簡単にやってくださいね。  一番大事なことは、公団事業を行なう場合の基礎条件というのは、未墾地を一定規模対象にして農用地造成をやるわけでしょう。その場合に一番大事なことは、対象になる未墾地の取得というものをどういう形で行なって、その上に大きな事業を実行するかということになるわけです。公団事業は、この土地取得の問題については触れないわけでしょう。
  245. 大山一生

    ○大山政府委員 国営事業の場合に、国が土地を買って事業をやるというかっこうではなくて、国営開拓パイロットの方式、逆に言いますならば、事業参加者の土地を整備するというスタイル、これを公団でもまた同じような考え方でやる、こういうことでございます。
  246. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、私の言うのは、今度の公団というものは、事業の実施主体ではないわけですからね。発注公団というわけでしょう。だから、トンネル機関なんですよ。トンネル機関であれば、せめて、いままで機械公団のしておらなかった対象の土地、未懇地の取得等については、農地法第四十四条の規定を働かせればできるわけですからね。これは現在厳然たる法律の規定があるにかかわらず、昭和三十四年ごろから以降、この規定を政府運用の中で完全に眠らしておるのですよ。そして、未墾地を対象にした農用地開発造成については、まず、その土地の取得は、事業を実施してもらいたいという申請者側において相対売買で未墾地を取得して、そういう条件が整ってからでないと国は国営の開発造成はしませんよということで、ずっと四十四条を眠らしておるわけだから、今度の公団というものは、今度は、新しく手をどろによごすことは全然なくてやるわけでしょう。これは洋服を着てネクタイをぶら下げていてできる仕事なんだから、そういう場合には、一番大事な対象土地の取得について、直接公団が買い入れるということでない場合であっても、たとえば農地法の第三条のただし書きもあるが、農地保有合理化法人等に対して、その土地を取得すべき資金等については、政府が資金導入を行なって、法人格を持った合理化法人等に未墾地の取得をやらせるというようなことも、今度の公団として法律の目的内容の中にうたうのは当然なんです。あなたは事務屋だから、そういう高度の政治的な判断というものは大臣が来たときに聞きますが、そういう点で私はいま聞いておるわけなんです。
  247. 大山一生

    ○大山政府委員 先生の言われましたのは、農地法の未墾地買収制度を適用したらどうだという御意見でございますけれども、現在の社会経済情勢の中におきましては、昔と同じようにこれを運用するということは非常に問題があろうというようなことで、用地の取得につきましては、地元の自主的な調整によることにいたしたいというふうに考えているわけでございますけれども、合理化法人によります土地の買い入れということにつきましては、これは、この事業を左右するものとして、われわれは非常に重要な問題だというふうに考えているわけでございます。  それで、当初の公団法を考えました当時におきましては、合理化法人に対しまして、その土地の購入資金を、財投資金を公団に受け入れるかっこうでそれにつなぐということも実は考えたわけでございますけれども、合理化法人のそういった未墾地取得部分だけを特定したかっこうにしてやることにもなかなか非常にむずかしい問題があるというようなことから、この公団を通じて資金を供給するということはあきらめたわけでございます。  しかし、一方、合理化法人のこの種の機能の充実ということはきわめて大事な問題であるということで、無利子資金ワクを、従前は、去年、おととしと二十億ずつの国費の補助金をもらっているわけでございますが、ことし四十九年度の場合には、そういった二十億の補助のほかに中金を考えたいと思いますけれども、金融機関からの無利子利子補給金をさらに二十億、こういうようなことで、いわば従前のような国費による特別事業、合理化法人の特別事業ということだけではなくて、無利子資金を金融機関から借りるかっこうにおいてまた合理化事業をやるというかっこうの制度の強化をはかったような次第でございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、公団の今後取得すべき場所につきましては、合理化法人と密接な連絡のもとに、合理化法人の特別対策事業として土地の先行取得をしてもらう、あるいは合理化法人に借り入れてもらう、そしてこの公団が施行する、こういうふうなかっこうに現在の予算上の仕組みとしてはいたしているわけでございます。
  248. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長に申しますが、答弁をできるだけ簡潔にやってくださいね。  それでは、現在北海道北海道農業開発公社という法人がありまして、この公社は、農地保有合理化法人の資格を持って、合理化法人としての農用地の対象地の取得であるとか、さらに農用地開発事業等もやっているわけです。今度の新公団法が成立した場合、北海道の根室中部における巨大な開発事業をやる場合においても、現在機械公団が行なっておる事業実施地域等については、この北海道農業開発公社が合理化法人として取得した土地を基礎にして事業が進められておるわけです。これはあなたはわからぬと思うのですよ。北海道開発庁の監理官が来ていますから……。
  249. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、北海道農業開発公社は、農地保有合理化法人としての機能と、先ほど御指摘がございましたように、農用地造成開発事業受注機関と、この二つの機能を持っております。したがいまして、私どもは、従前は、単なる農地保有合理化法人の機能だけではなしに、開発公社といたしまして、農用地造成につきましても発注をいたしておるような実績がございます。
  250. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いいですか、大山局長、これは農用地開発事業をやるべき北海道をはじめほかの府県の中にも、こういう法律に基づく合理化法人としての資格を具備した法人、あるいはまた県段階農用地開発事業を行なっておる法人も確かにあるのですよ。そういう場合は、現存する活動力のある法人組織と、今度の新公団のトンネル機関との結びつきというものは当然組み立てないといかぬのじゃないかと思うのですよ。これはあなたが局長になる前にもう大体成案ができておったかどうか知りませんが、新しい法律をつくるということになれば、その辺まで達観して、先見性を働かせて新しい法律とか機構等はつくるということにしなければいかぬと思うのですけれども、どう考えていますか。
  251. 大山一生

    ○大山政府委員 現在、合理化法人は、全国で四十一県ですでに認可されて事業を開始しております。われわれといたしましては、合理化法人による土地の取得に非常に大きな期待を持っておりまして、その意味におきまして、根室の場合は確かに六千ヘクタールを越す民有地は——今度の計画の中で一万ヘクタールくらいだったと思いますが、そのうち六千ヘクタールはすでに合理化法人が買っている、こういうふうな機能を今後とも活用したい、そのために公団と合理化法人との間の連絡を密にして進めてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  252. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長に申しますが、できるだけ答弁は簡潔にしてくださいよ。  次にお尋ねしたい点は、「事業実施方針」というものが今度提案された法案の第二十条から出ておりますが、この手続関係を見ると重大な問題があるわけです。  一つは、土地改良法の土地改良事業等の申請手続を、今度は逆に上からおろすような形がとられておるわけですが、これは重大な点だと思うのですよ。構造改善局がこういう公団事業だけを所管しておる役所であれば別ですけれども、土地改良法だとか、農振法であるとか、それぞれ国の公共事業の中の農業基盤整備関係というものは全部農林省の構造改善局が所管をしておるわけですからね。公団を安易に発足させるという手抜きの便法としてこういうような申請手続の新しい方法をつくり出すということは、これは問題があるんですよ。どう考えていますか。
  253. 大山一生

    ○大山政府委員 確かに、現在の土地改良法の基本的な方向は申請主義というかっこうでございますが、場合によりますと、非申請事業というものも土地改良制度としてはあるわけでございます。  公団事業といたしましては、いままでの土地改良法によります手続と異なる点があることは確かでございますけれども、特に県の申し出事業にしたということと、それから、事業実施方針は農林大臣が作成決定するというふうなかっこうで、県以上の段階で、かなり上からおろすかっこうをとっているわけでございますけれども、その実施計画の作成なり何かの場合におきましては、末端の事業参加者の同意をとるというようなかっこうにおいて、地元の受益者の意思というものは、いままでの同意にかわって——いままで事前の同意と申請で、同意をとって申請するというかっこうであったわけでございますが、今度は事業計画の作成の段階において同意をとるというふうなかっこうで、事業参加者の利害は十分にはかったつもりでございます。
  254. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長、答弁はできるだけ簡単にして、必要な点だけ答弁してください。  いまの答弁の中で、現行土地改良法の中にも申請者の同意を要しないものもあるということを言いましたね。確かにそれはありますよ。同意を要しない事業というのはあるわけだが、あなたのいま言ったのは、それはどういう事業ですか。それは土地改良法の中に載っていますか。
  255. 大山一生

    ○大山政府委員 干拓の場合が最も典型的な例でございますが、私の申し上げましたのは、上からの事業というかっこうで先に始めて、途中で、あとから同意をとる例もあるわけでございます。
  256. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、違うじゃないですか。今回のものは、結局は事業参加者の農民に利益を供与するために事業を行なうわけですからね。そういう点は、土地改良法というものは頭に置かないで法案を策定したわけじゃないでしょう。土地改良法の仕組みを頭に置いて、これを逆に働かしておるということのわけだから、こんなジェット機の逆噴射みたいなことをだれが考えついたかわからぬが、そういう便宜主義の法案の策定というのは、今度の公団法だけで終わりということではないですよ。こういう手法を一つ生み出して、これが法律になって一人歩きをするようになれば、何でもかんでも今度はこれにのっとったような形で上からおろしていくというような天下り式のやり方が出てくると思うのですよ。天下りというのは公団役員人事ぐらいでいいのじゃないですか。ほんとうの事業までもこういう形をとるというのは、これは重大問題ですよ。これは大臣に聞かなければわからぬのであれば、あなたから別に説明を聞く必要はない。これはどう思っているのか、忠実な役人として、こういうやり方というものは、これからはすべてこうやったほうがいいと思っているのか、どうなのか。
  257. 大山一生

    ○大山政府委員 土地改良法の思想は、受益者に対しまして受益者の意思が十二分に反映するということにすべての土地改良手続の基本はあると思います。新公団法の成立につきましても、関係部課で十分に相談いたしまして、農民の事業参加者の意思は途中の段階において十分にとれるという意味において、土地改良法の精神と背離することはない、こういうふうな考え方でこの手法を考えたわけでございます。
  258. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは自慢にならぬですよ。あなたが考えたんじゃないだろうが、小手先の手法を考えたのでしょうが、こんなものは自慢にならぬですよ。こういう手続をとらなければできないというわけじゃないのですからね。結局は最後事業参加者の全員の同意あるいはまた三分の二の同意がどうしてもとれなければならぬということは、これはもう必須条件にあとから出てくるわけだ。そこを手抜きができるというのならまだ話はわかるが、最後にそれをやらなければだめですよという法律にこれはなっているでしょう。だから、こういうやり方というのはまことに当を得ないと思う。こういうことは決して自慢にはならぬですよ。  そこで、事業実施方針についても公団というのは直接関与しておらぬでしょう。まず、関係の都道府県から区域を特定して、そうして農林大臣に対して申し出がなされるということになっておるわけだから、都道府県知事から農林大臣に申し出が行なわれるまでの間、公団は全然タッチしておらぬわけですからね。そうじゃないですか。
  259. 大山一生

    ○大山政府委員 そのとおりでございます。
  260. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣に都道府県から区域を特定して土地改良事業を行なってもらいたいという申し出があった場合に、農林大臣は、条件が具備している場合においては、今度初めて公団に指示するわけです。こういう申し出が北海道の知事からあったので、農林省としては採択の基準に照らして審査した結果、これは国の事業として行なうべきものときまった。したがって、公団に指示するわけですからね。農林大臣からこれは発注を受けるということになる。何も公団自身が発注公団でも何でもないですよ。とにかく、農林大臣から指示を受けて、指示どおりにその概要を公団は公表しなければならないということになっているが、ここまでは何もたいした機能を発揮しておらぬということになるじゃないですか。どうですか。
  261. 大山一生

    ○大山政府委員 法形式論理としてはまさにそのとおりだと思います。ただ、実際問題といたしましては、これの事業対象地域につきましては、御存じのように四十四年以来調査事務所をつくりまして、それの計画的可能性を追求する中で具体的な地区を出してきているわけでございます。したがいまして、具体的な地区といたしましては、全計段階になりますと公団等が全体設計をつくる、そして、その中において、地元との協議の中で具体的な計画をつくってまいる、こういうことになるわけでございます。
  262. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに、農林大臣がこの事業実施方針をきめる場合においては、大蔵大臣と協議しなければならぬ、自治大臣と協議しなければならぬ、それから申し出た関係の都道府県知事の意見を聞かなければならぬ。だから、ここで何も公団意見なんか聞く必要はないということになるわけですね。そうして、都道府県知事は申し出を行なう前に関係市町村長の意見を聞かなければならぬということになっておる。その下がないのですよ。関係市町村長はその事業を申請する地域事業参加者の意見をあらかじめ聞いて知事に申し出をしなければならぬとか、知事の意見聴取に正しい意見を述べなければならぬということは何もないわけですからね。ここまでは公団も関知しておらぬし、事業参加者である個人あるいは法人も全然これはノータッチということでこの事業実施方針というものはきめられるということになるわけです。こういう点は、いままでの土地改良法に基づく、民主的な、下から積み上げた正しいルールを全然用いておらぬというところに問題があるわけですね。  次は、これは同意取りまとめということになるわけでしょう。取りまとめの場合にはなぜ公団が取りまとめをしなければならぬか、その点はどうなのですか。
  263. 大山一生

    ○大山政府委員 事業主体である公団が取りまとむべきものだと考えております。
  264. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはどういうわけですか。
  265. 大山一生

    ○大山政府委員 同意をとりますということは、逆に申しますと、公団が実施計画をつくりまして、実施方針のいわば具体化というかっこうで、非常に現実的なかっこう、つまり、この土地をこういうふうに改造し、その上にこういうふうな施設をつくり、そうして集出荷施設等もこういうふうに行なうというふうな具体的な実施計画を公団が定めるわけでございますので、その段階において、それに必要な土地についての全員の同意なり、あるいはそのうちの土地改良事業的な部分については三分の二の同意をとらないと、つまり、本質的に農民の意思というものを具体的につかむということをしないと、逆に申しますならば、これによって行ないました事業結果に基づいて県を通じて負担金がかかってくるということにも相なるわけでございますので、事業主体としての公団が同意をとるべきものだと考えております。
  266. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公団はその地元の事業参加者と全然接触がないわけでしょう。結局、農林大臣の指示を受けて、公団はこの地域事業をやりなさいと言われて、ありがとうございましたと言ってその概要を公表だけするわけでしょう。公表して、今度はここが私どもの公団がやることになりました、ぜひ全員の同意をくださいということでまとめて歩くわけでしょう。そうすると、それはおかしいじゃないですか。地元から強烈な意欲とか要望が出て、公団はその基礎調査段階等における現地の地元の十分な意向反映につとめるという、そういう段階は全部手抜きをしてあるわけだから、これは農林省の使いで参りましたということで同意書だけ取りまとめるというのはちょっと気が引けるのじゃないですか。あなたはそういうことはおかしいと思わぬのかね。
  267. 大山一生

    ○大山政府委員 実施計画は公団がつくるわけでございます。そうして、事業実施計画といいますのは、その前にあります国が定めます事業実施方針に基づいてつくるわけでございます。事業実施方針というのは非常に抽象的と言ってはあれですけれども、要するに、ある程度の広域なところとして、こういうところは公団事業として一体的に開発すべきところであり、したがって、そこについてはこういうふうな方向でやりたいというのが実施方針でございます。実施方針に基づきまして公団事業を実施するわけでございますので、公団がその段階形式論理としては出てきてしかるべきではないか、あるいは、その事業実施方針をつくる段階においてなぜ公団意見を聞かぬのだという、こういう御意見であるかもしれないわけでございますけれども、それは、二十条の一項にございますように、定めたときには公団に指示するというかっこうに相なるわけでございます。  これの背景としての調査という問題がこれとうらはらの関係であるわけでございまして、その意味から言いますならば、公団というものも、そして県の立場も、そして地元市町村も、さらに地元住民の意思ということも集約されたかっこうで、具体的には県の申請というかっこうに相なり、それで実施方針がきまり、それを受けて公団事業を実施する、こういうふうなたてまえになっておるわけでございます。
  268. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長、大事な答弁だけはまてにやってもいいですけれども、あまり必要もないことにことさら時間をかけないでください。  そこで、この事業を行なう場合には、結局、事業参加者の全員の同意あるいは三分の二の同意というものが完全にととのわなければ事業の着手ができないということになるわけですからね。それはわかっているでしょう。これはいまから十何年前か、ちょっと記憶にないが、あなた方の先輩の丹羽雅次郎君が農地局長のときに相当大幅な土地改良法の改正をやったのですよ。そのときに、この全員同意の問題というものを相当中心的な論議としてわれわれは行なったという記憶があるわけです。地域全体の中で、たとえば全体のうちの三分の二程度が同意した場合においては、あとの三分の一が不同意であっても、全体の利益ということの概念で、そしてこれは権限で同意したと見なすというふうにしても差しつかえがないのではないかという意見もありましたが、とにかく、この種の問題は全員の同意というものが絶対必要要件であるというようなことで現行法ができておるわけです。これは簡単にはいかないのですよ。損にはならぬから判こを押せというようなものじゃないですからね。公団がただ政府の権限をかさに着て乗り込んでいけば、事業参加者の農家が全部喜んで判こを押すというようなわけにはいかぬと思うのですよ。上からおろした場合には困難性がなかなかよけいに伴うから、土地改良法というものは、下から積み上げて、そして農林大臣や都道府県知事に対して、国が行なう国営の土地改良あるいは県営の土地改良事業を実施してもらいたいという、そういう申請をすることができるということになっておるわけです。これはほんとうに自信があるのですか。天下りで行って、全員同意とか三分の二の同意をとるという自信があるのですか。
  269. 大山一生

    ○大山政府委員 同意をとるということは、そうなまやさしいことではないと存じております。ただ、現に国営農地開発事業の変更手続等においても行なっていることでございますし、市町村なり県の協力を得つつ同意をとりたいというふうに考えるわけでございます。
  270. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、法案の二十三条の「換地計画」と二十四条の「交換分合計画」も、現在の土地改良事業を進める場合にはたいへんむずかしい仕事なわけですよ。これだけに何年もかかるというような場合があるし、たとえば水田の大型圃場整備をやるような場合においても、この換地とか交換分合ということについては、地元の土地改良区等が委託を受けてやっておるわけですけれども、相当の苦労というものが伴うわけですよね。ある場合には市町村の農業委員会が換地事業そのものを行なうというような実例もあるが、これも全部トンネルではなくて、直接公団が手をつけて換地及び交換分合をやるという、そういう考えですか。
  271. 大山一生

    ○大山政府委員 この換地なり交換分合の主体としては、公団考えているわけでございます。そして、公団がそれを実施するという考え方でやっているわけでございまして、換地なり交換分合というものは非常にむずかしいことではございますけれども、根室の場合を典型的な例として考えますと、どうしてもあそこで換地処分なり交換分合をやらざるを得ない。入植者が出ていかれるもとの場所を含めて、そこの基盤整備考えるといたしますと、どうしても換地なり交換分合をやらざるを得ませんので、公団にこういうふうな権限を付与して、その手続は土地改良法による、こういうかっこうにしたわけでございます。
  272. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、この事業参加者全員に対して、ある場合においては法律上の特定の人格を与えるとか、あるいは、その地域における合理化法人であるとか、土地改良事業を行なえる資格を持った土地改良事業団体等にこれらの大事な交換分合とか換地計画の実行を委任してやるという考えはないわけですね。これはあくまでも公団として直接やるとということですか。その点が明らかになればいいですよ。
  273. 大山一生

    ○大山政府委員 公団がやるわけでございますけれども、場合によっては、たとえば農業委員会委託するというようなことも、必要があれば考えたいと思います。
  274. 芳賀貢

    ○芳賀委員 考えるわけにいかぬですよ。この法律上そういう根拠がどこにありますということを明確にしておかぬと、大山局長だけが考えてみたってどうしようもないでしょう。法律を動かすとなれば、政令とか省令ぐらいしかないでしょう。あるいは次官通達とか局長通達で……。大山一生が考えたところで、何も地元の農業委員会も動くものじゃない。
  275. 大山一生

    ○大山政府委員 農業委員会の権限といたしまして、交換分合なり、農地の取得のあっせんなり、こういうふうな権限があるわけでございますので、私ということではなくて、公団が、場所によって必要ありとすれば、それは法律に規定がなくても委任できるというふうに考えます。
  276. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうでたらめなことではやれないですよ。最初はあくまで直接公団がやりますと言っておきながら、今度は、いろいろ指摘されれば、それは考えておきますと言う。そういうたよりないことじゃだめじゃないですか。
  277. 大山一生

    ○大山政府委員 国営事業なんかの場合でも、県に事務委託をすることができるわけでございますので、公団におきましても、そういう事務委託は、法律に規定がなくても、この交換分合なり換地に関して規定がなくてもできるはずでございます。
  278. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この種の公団にそういう権限の付与はできないと私は思いますけれども、この点は法律論になるし、これはいま直接審議には関係がないわけだからやめておきますが、直接の取りまとめとか、換地計画や交換分合計画の実施を公団ができなくて手を上げた場合には、当然仕事はしなければならぬわけだから、そこでまた何か農林省考えるという、そういう意味に理解しておきます。  それから、次に、結局これは国の公共事業としての農業基盤整備事業ですね。この国営の直轄事業のうちの特定部分というものを公団事業ということにして、予算の裏づけをして実行するということになるわけでしょう。その点はどうですか。
  279. 大山一生

    ○大山政府委員 そのとおりでございます。
  280. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合、結局国が直轄事業としてやる場合は、たとえば基礎調査とか全体設計段階というのは政府機関みずからやるわけですし、それから今度は業者の請負に付するということになるわけだから、そういう段階の中で、どの辺から公団が国営直轄事業というものを分担してやることになるのですか。この基礎調査段階でやるのであるか、全体設計段階からやるのであるか、そういう点はどうなっておりますか。
  281. 大山一生

    ○大山政府委員 全体設計段階からでございます。
  282. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、事業費の全体設計予算に計上された費用というものは公団に渡すわけですね。
  283. 大山一生

    ○大山政府委員 国営事業の場合に、全体設計費から、いわば事業費というかっこうで負担金の対象になるわけでございますが、公団の場合におきましても、全体設計事業費を公団に渡すというかっこうで事業を始めるわけでございます。したがいまして、全体設計事業費は公団事業費の中に入るわけでございます。
  284. 芳賀貢

    ○芳賀委員 全体設計公団が使える。そのほかに公団として、国営事業予算のうちから公団が受け取って使用できるものはあと何ですか。
  285. 大山一生

    ○大山政府委員 全体設計費用のほかは、あと事業費でございます。
  286. 芳賀貢

    ○芳賀委員 事業費というものは、これは全体にきまっておるでしょう。そのうち国の負担分がどれだけとか、地元都道府県の負担がどれだけとか、さらに末端の自己負担がどれだけとか、そういうことはもう区分がきまっておるわけでしょう。この中から適当に公団が経費のピンはねをするということは、いまの国営事業のたてまえから見るとできないと思うのですね。
  287. 大山一生

    ○大山政府委員 事業費につきましては、国庫補助率が、下物であれば七十とか八十とかきまっておるわけでございますので、それと、補助残部分については財投資金が出るわけでございます。その残部分の全体設計の費用のための財投という問題は非常にむずかしい問題でございますので、とりあえず全額を国費で出しております。ただ、この問題につきましては、後年度精算するというかっこうの予算措置をとることにしております。
  288. 芳賀貢

    ○芳賀委員 結局、いままで国の直轄事業として事業を行なう場合、その事業費の中から、たとえば、現地の事業の事務所とか何々工事事務所というものを必ず建てるわけでしょう。あるいは、場合によっては、乗用車が要る場合には乗用車も買うし、半恒久的な宿舎等が要れば、それも建てる。もちろん人件費も——これは、いままでの機械公団職員の諸君の中にも、工事費でまかなっておる職員も相当おると思うのですよ。だから、結局、全体設計の費用以外は、事業費の中から一定の部分を、今度の公団の必要経費として使用するということになるんじゃないですか。それはどういうふうになるわけですか。そういうものを除いた残りで、いわゆる業者に発注するということになるんじゃないですか。
  289. 大山一生

    ○大山政府委員 公団事業の場合に、とりあえずの経過的な問題といたしましては、勘定を分けていくわけでございますけれども、新事業の部分に関しましては、事業費の中に現場の事務所の建築費というようなものは入ってくるわけでございます。ただ、人件費につきましては、全体のアロケートの中に入ってくるということでございます。
  290. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今度は事業をしないのですから、人件費についても、国の直轄事業事業費の中から必要の金額をもらわないとできないと思うのですね。事業参加者から取るということになれば、従来の直轄事業以上にその分だけ重い負担を課するというようなことにもなるわけですからね。その辺を明確にしておく必要があると思うのですよ。
  291. 大山一生

    ○大山政府委員 その点につきましては、簡単に申し上げますと、特別会計で行なっています国営事業、あれと全く同じような考え方でございます。
  292. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、いまある特定土地改良特別会計法に準じた独立の会計をつくるというわけですか。
  293. 大山一生

    ○大山政府委員 下物につきましてはまさにそのとおりでございますし、それに今度は上物の問題がもう一つ加わってくるわけでございます。
  294. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そのとおりと言ったって、これに付属した特別会計法というのは何も出ていないじゃないですか。この法案の中にも、会計に関することが何もないじゃないですか。それはまた現行の特定土地改良特別会計の中にこの公団事業を入れるというのであれば、その改正法案というものを提出して同時に審議しなかったら、これだけ通してやっても動きがとれぬということになるのですよ。
  295. 大山一生

    ○大山政府委員 私が先ほど特定土地改良特別会計と同じような考え方であると申し上げましたのは、人件費もその意味において事業費の中に入る、こういうことを申し上げたわけでございます。
  296. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう点、局長、はっきりしてくださいよ。こういう点は時間をかけてもいいんですよ。あなたは、むずかしいものは簡単な答弁をして、わかっている問題で長々とやるから審議が進まないのですよ。あなたがわからなければ、しかるべき有能な士でもいいですよ。
  297. 大山一生

    ○大山政府委員 私の説明の不十分かと存じますので、担当監理官から答弁させます。
  298. 牛尾藤治

    ○牛尾説明員 この公団が行ないます事業は、土地改良事業そのものではございませんで、公団事業そのものでございます。したがいまして、国営事業は一たん国営として仕組まれまして、それを公団がそのまま一種の契約で受託するようなかっこうではございません。したがいまして、土地改良事業を準用し、土地改良法の精神を尊重しておりますけれども、土地改良法上の事業とは明確に区別されておるものでございます。
  299. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことを聞いておるのでないんだよ。とにかく、いままでは農地開発機械公団で直接事業を実施して、その事業の収益の中で一切をまかなってきたが、今度は直接事業をやらぬわけですから、トンネル機関だから、何らかのマージンをもらわぬと、全体の職員の給与も充足することができない、公団としての体面維持もできないということになるので、その必要な費用というものは、どういうふうに弁解しても、結局はこの国営直轄の土地改良事業をやって、その中から経費をもらう以外に方法はないわけでしょう。機械を販売し、家畜を導入して販売した、その利益でなんというわけにはいかぬわけですからね。その辺が明確にならなければ、ただ抽象的に、それはたいへんけっこうだから賛成しますということは言えないんですよ。これは何とか通してやらなければならぬと思っても、その点が全然不明確であれば、これは仮谷委員長だってなかなか簡単に発車させるわけにはいかぬということになるですよ。
  300. 大山一生

    ○大山政府委員 事業費の中に人件費があるわけでございます。これは水資源公団等の場合でもそうでございますけれども、つまり、設計し、監督する、こういったような人件費が当然かかるわけでございますので、それは事業費の中に入ってくるということでございます。そして、その事業費の中で、下物につきましては国庫補助率があって、その補助残の部分については財投資金が出る、こういうかっこうで公団の経理は成り立つわけでございます。
  301. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まさか補助残の部分を地元負担からピンはねするというわけにはいかぬでしょう。そういうばかなことはしておかぬほうがいいということになるわけだから、結局、最初に局長が言ったとおり、全体設計公団が分担するということは、これはもう局長が言明したわけだから、そのかわり、全体設計の仕事というものは、事業によっては何もない場合もあるのですよ。実行を一年おくらせるために全体設計費だけ何億円かつけて、それは使用しないで済ます場合も実際あるわけですからね。そういう場合だと、公団は全体計画の費用をもらって使うわけにはいかぬですからね。そうかといって、一般の国営直轄事業のほかに、農林省が本家だからといって、公団を養うための余分な経費をその事業予算に加算するなんということは全く邪道ですからね。これは内輪なことだから大蔵省と相談すればどんなことでもできるなんということは許されないのですよ。だから、この際、公団運営とか維持をやる場合の必要な経費というものは事業のどこから捻出するかということがはっきりしなければだめなんですよ。事業実施機関であれば、これは別ですよ。自分で働いてその中でまかなうということになるが、何も仕事をしないんですからね。いままでわかった点から言うと設計しかしないのでしょう。だから、その点について、もうちょっと法案審議に役立つような説明をするか、あるいは費用の問題だから、ちゃんとした収支の内訳を出して委員会の十分な認識を深めるということをやってもらわぬと、大山答弁だけではなかなかうまくいかぬのじゃないですか。
  302. 大山一生

    ○大山政府委員 単年度のような言い方でちょっと誤解を与えたと思うのでございますけれども、要するに、ある一つの採択をした地区におきます事業費、これは全体設計から工事が終わるまでの事業費、これを全部国費と財投でまかなうわけでございます。そして、その財投でまかなう部分はどれであるかということでございますと、それは負担金に相当する、こういうかっこうに相なるわけでございます。
  303. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、国営事業というものは、財投とか補助残融資から経費をとるということはできないのですよ。だから、事業費そのものから、どれだけかかるかわからぬが、まず必要な金額を、優先的と言ってはおかしいが、確保しなければ、公団というものは全然存続できないのですよ。農林省の中にもう少しわかる者はいないのですか。このくらいのことはイロハじゃないか。
  304. 大山一生

    ○大山政府委員 どうも、口足らずでなかなか御理解をいただけませんので、後ほど図面にいたしまして御説明いたしたいと思います。
  305. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ、やさしいものだけもう少し聞きます。  その次にお尋ねしたいのは、公団が実際に行なう事業としての、たとえば局長の言う上物ですね。機械公団の場合には、模範牧場あるいは建て売り事業をやってきたのですけれども、この機械公団にしても、いままでは発注してやっておるわけですからね。だから、この種の事業というものは、上物はほんとうに自分でやるわけですか。
  306. 大山一生

    ○大山政府委員 上物につきましても、公団がそれの設計をいたしまして、どれくらいかかるか見積もりもいたしまして、そして入札にかけてやっていく、こういうかっこうでございます。
  307. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは、農用地造成事業についても設計だけしかやらぬ、それから、上物についても設計、見積もりだけしかやらぬ、そういうことですか。
  308. 大山一生

    ○大山政府委員 事業主体でございますから、当然のことといたしまして設計をいたします。そして見積もりをしまして、入札にかける、そして入札後の請負業者の工事の状態は監督していく、こういうことが公団の任務でございます。
  309. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長、いま構造改善局の担当しておる基盤整備事業というのは、そのくらいのことは公団がなくてもみんなそういうふうにやっているのですよ。実例として、北海道の場合は北海道開発庁というものがあるが、これは実施機関ではないですからね。だから、北海道開発局という実施機関があるわけだ。これは農林省だけではないですよ。河川とか港湾も全部事業実施機関だから、まあ大きいほうから言えば建設省、農林省、運輸省ですね。つまり、北海道で行なう国の公共事業の実施というものは北海道開発局が一手にやっておるわけだ。その中には農業基盤整備がある。いま根室中部もこれをやっておるわけですよ。だから、現在は北海道開発局が設計も行なう、あるいは発注、つまり業者を選定して入札も行なう。そうしてその事業政府の方針どおり完全に行なわれるまで何々工事事務所というものを現地に設置して、そこに責任の持てる職員が必要な人員常駐して事業の完成に当たっておるわけだ。それでいままでちゃんとやっているわけですからね。だけど、いまの局長の話を聞くと、北海道開発局が行なってきたところのたとえばこの設計部分、それから業者の選定、入札、事業実施の監督指導と完了の確認、あるいは建て売りで売却する場合においては売り渡し、それしかやらないわけでしょう。
  310. 大山一生

    ○大山政府委員 公団のやります仕事といいますのは、先ほど申し上げました全体設計から始まるわけでございますけれども、その全体設計で、この地区にこういうふうな草地造成する、そしてそこにどういうふうに農道をつけ、どういうふうな集出荷施設を置く、場合によっては大型機械の修理工場をどこに置く、こういったような下物、上物一体となった構想をつくりまして、その構想に見合って、それらのすべての問題について公団が工事に出す。そして、こういうふうなかっこうで出してから後の問題につきましては、いま申し上げましたように監督をしていく、そして将来はその負担金を徴収する、こういうふうなことになるわけでございます。  それで、先生の言われますのは、基盤事業は、下物だけならば国営事業でやっているではないか、また、やれるではないかという、まあ、こういう御意見だというふうに理解するわけでございますけれども、要するに、かりに国でやるということにいたしましても、上物の部分については、いまの財政法、会計法等のたてまえのもとにおきましては弾力的な運営ができないということ、さらには、それでは全部都道府県営でやらせたらということになれば、財政的な制約があるということ、こういうようなことから、いわば財投資金も受け入れるかっこうでスピードアップして一体的  にやる主体というかっこうでは、国なり県というかっこうでは適当でないということから、公団方式ということによる一体開発方式を考え、それの主体としての公団考えたようなわけでございます。
  311. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう別に聞かぬでもいいことだけあなたは長々やっているわけだが、この問題については図面を出すというわけだが、委員の皆さんがもう少し明快にわかるような説明委員長からぜひ指示してもらいたいと思います。  それじゃ、あと一、二問簡単な問題だけ質問してきょうは終わらせますが……
  312. 仮谷忠男

    仮谷委員長 芳賀委員小倉参考人がいらっしゃいます。
  313. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ああ、そうですか。それじゃ、理事長のほうに先に聞きましょう。  午前中の公団理事長意見並びに同僚委員の質問に答えた点の中で、使用者側である公団職員の組織である労働組合との間における大事な団体交渉の結果としての協約、協定の中に、まだ実行されない部分というものが残っておるということが明らかになったわけです。これは公団法が新しく生まれた場合には全部承継されるわけだろうから不安はないようだが、先ほどの理事長の話を聞いておると、新公団理事長に私がなるんだか、だれがなるんだかよくわからぬのでというように、理事長になれるかなれぬかということだけに非常に関心が強くて、まだ残されておる問題の完全解決ということについてはどうも浮き足立っておるように思われた。これは私だけじゃないですよ。同僚の皆さんはみんなそう考えておるんだが、これで、はたして、任命権者であり、当事者能力を持っておることになっておる理事長の権限と責任で新公団に移行するまでの間に完全に処理できるのですか。やるかやらぬかですね。その点はどうですか。
  314. 小倉謙

    小倉参考人 お答えします。  労使関係の問題につきましては、主として準職員定員化の問題と、それから給与表の格差是正の問題、この二つが主たる問題であるということは申し上げました。それにつきまして午前中に申し上げましたのは、機械公団の間にさらにできるものはやりますし、また、できないものは新しい理事者のほうに引き継ぐ、また、そのことに関しまして農林省にもいろいろ事情をさらに説明して今後の善処方をお願いする、こういうふうに申し上げたわけでございます。  そこで、定員化のほうにつきましては、従来もできる限りの定員繰り入れをやってまいりましたけれども、何といいましても、午前中に申し上げましたからくどくは申し上げませんが、機械公団の間におきましては、大幅な繰り入れということは困難でございます。これはさらに新公団になりましてから引き続いて定員化努力をしていただくということになると思います。  それから、給与の格差是正につきましては、これも午前中にるる申し上げましたので簡単に申し上げますが、問題は、毎年毎年のベースアップの給与改定方式の内容に問題があるのでございまして、その改定方式の改善、たとえば率だけではなくて、率プラス定額という方式にして、しかも、その定額をもっとうんとふやしていくということにすれば、格差拡大もいまのようなことはなくなると思うのでございますが、これは、そういう政府のほうの給与改定に関する取り扱いが改善されてこなければなかなか困難な問題でございます。  この改善につきましては、従来からも私どもも事情をいろいろ説明しておりますし、今後も機械公団の間におきましても努力いたしますし、さらに、これも新公団のほうに十分引き継いで今後の善処をお願いしたい、かように考えております。
  315. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま理事長の言われた点は、それじゃ、定員外の職員の百五十五名については、現在の小倉機械公団理事長の力では完全にできないというわけですね。それから賃金格差の問題についても、これもなかなか自分の権限ではできないということですね。つまり、定員化賃金格差是正ということについては、理事長として権限は与えられておるわけですけれども、その権限を消化する能力のない場合には、これはもうさび刀になって抜けないですから、その点を正直に言ってもらえば、あなたができない場合は当然農林省がやるわけだから、その辺を率直に述べてもらいたい。
  316. 小倉謙

    小倉参考人 準職員定員化につきましては、機械公団であります間におきまして若干名さらに定員繰り入れをやりたいと考えております。それ以上大幅には困難であります。  それから、給与の格差是正につきましては、これは公団理事者の権限といいますか、これが制約されておりますので、その給与改善方式というものが改まらない限りきわめて困難でございます。
  317. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大山局長、いま理事長の言ったことは、あなたが聞いたとおりですね。これは新公団発足するとしても、それまでの間に、現在の小倉理事長のもとにおいては、この二つの重要問題はなかなか解決ができないというふうにわれわれは受け取ったわけですが、そうなれば、解決能力のある者が処理しなければならぬということになるのです。制度的には、これは理事長職員に対しては任命権者ということになっておるが、実行能力が自分にないということならしようがないですからね。順調にいけば、衆議院で成立すれば参議院に送って、そこで審議が促進されれば今国会で成立すると思うのですよ。しかし、中間があいまいになると、大事な人事問題等についての解決はできないですから、私としては、現在の機械公団の機能が発揮されている期間内にこの種の問題というものは最大限に解決すべきと思いますが、局長としては、その点はどうですか。
  318. 大山一生

    ○大山政府委員 準職員が現在百五十五名いるという事実は、われわれといたしましても、これは決して好ましいことであるというふうには考えておりません。そこで、機械公団の現状のもとにおきまして、その準職員というものをこの際定員化するということにつきましては、定員削減というような現状の中におきまして、そうしてまた機械公団自身というものをとってきた場合には、機械公団として本来的にやるべき事業量があって、それに見合う人間、定数というかっこうよりは、むしろ逆のかっこうのほうが多くなりつつあるような情勢のもとにおきまして、一挙にこれを解決するということはなかなか困難であろう、こういうふうに思うわけでございます。ただ、現実の問題として、毎年三、四十人の欠員が生じているという中におきまして、いわゆる定員化努力をしていくということであろうと思います。欠員が出てくる中におきまして、いわば新規補充というようなものを考慮しながら定員化していくということ、こういうことだろうと思います。  それから、給与の格差の問題でございますが、現実にもらっております給与におきます格差がどれだけあるかということは、各公団それぞれの運用のしかたもありまして、なかなか比較しがたい点があるわけでございますが、給与法自体におきます格差が、最近のベアというものが一律幾らというかっこうでつくることに起因して逐次ふえているという事実があることは確かでございますので、その点については、われわれとしても、関係方面に、機械公団のそういうことから来る格差拡大ということに対しては十分意思表示もしたいというふうに考えるわけでございます。しかし、根本的には各公団それぞれがかかえている給与上の問題があるわけでございまして、それらの給与のあり方ということにつきましては労働省が中心になりまして現在検討を続けている、こういうふうな中におきまして、われわれとしても努力すべきことはしたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  319. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、定員の問題にしても、給与の問題にしても、四十八年度予算というものは、一般会計にしても、あるいは特別会計にしても、各政府機関事業体の会計にしろ、衆議院は通過しているわけだ。ただ、機械公団というのは特殊法人ですから、当然政府機関に準ずるものではあるけれども、予算定員にしても、あるいはその他の必要な予算上の問題等にしても、あまり明確になっていないのですよ。明確になっていないかわりに、この機械公団の場合には、定員を定める場合においても、国の公務員とか公共企業体等の職員の定数ほど厳格なワクというものはないと思うのです。事業実施の必要上どれだけの要員が必要であるか、そして、そのうち常勤の定員がどれだけであるか、そして、非常勤の臨時的な定員外が幾らかということで、事業の実績とか実施に伴う要員の確保ということをいままでやってきたと思うのですが、いままで定員化努力をしていないのですね。毎年、定年退職等を基礎にすると四十数名の定年等による退職が出るわけだから、その際欠員補充の形で当然定員内繰り入れができたのが、何らかの障害で行なわれていないと思うのですよ。だから、当然優先的に定員内に繰り入れるべき非常勤職員が繰り入れにならないで、それ以外の者がこの定員の中へ欠員に入れかわって入ってくるというのはそういう事情もあるのじゃないですか。これでは十年たっても二十年たっても定員化というものはできないわけです。それは、ことし一年に百五十五名全部ということは無理だとしても、それを三年間——「当分の間」は三年間だから、三年間は現在の機械公団事業を存続するということは、法律も「当分」という表現だけれども、それは最低三年ということを政府も言明しておるわけだからね。ただ、その年次計画の中で現在の定員外というものをこのように繰り入れを行ないますというような計画を、この法案審議の過程の中でぜひ局長から示してもらいたいのです。  それから、賃金格差の問題等についても、この法案審議の場だけで全面的な改善ができないことはわれわれも承知しておるが、従来二十年近い実績を持ち、また、職員がこれに貢献したということは厳然たる事実ですから、新公団に切りかえて移行させるというような場合においても、現在の機械公団の時代の中において、そういう人事に関する重要な問題というものはできるだけ最高度の努力をして処理をして、しかる上になお残った問題については、あとはこのような計画で必ず解決するというような点は明確にできると思うのです。これは農林大臣が出席しなくても、大山局長のもとでそのくらいのことははっきりできるんじゃないですか。まさか、能力のある理事長をいますぐ切りかえるというわけにはいかぬでしょう。もう何日も任期が残らぬわけだから……。
  320. 大山一生

    ○大山政府委員 新公団事業事業量、これは御存じのように、かりに法律が通った場合には四十九年に二十数億、そして、いまの全体設計、それからさらに精査地区、こういったものが逐次事業化されてくるわけでございまして、その事業化に見合って、そしてまた旧公団事業の行なう量という問題との関係で、毎年度定員がきまってくるわけでございます。そこで毎年度きまってまいります定員につきましては、その新規事業のための特殊技術者というものはそれなりに持ってこなければなりませんし、また、先ほど来出ておりましたように、出向職員についても、それぞれそれを入れかえるなり、あるいは整理するなり、いろいろと措置を講じなければならないわけでございますが、その中におきまして、定員外職員定員内繰り入れの問題も考慮してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  321. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し明快にしてください。
  322. 大山一生

    ○大山政府委員 いま申し上げましたように、事業量というものがことしは幾ら、来年は幾ら、再来年は幾らということをはっきり申し上げるには、やはり、個々の地区の地元の熱意その他の問題との関連もございます。そういうことから、五十年は幾らの事業費になる、五十五年は幾らになるというふうに明確にならない段階でございますが、いずれにいたしましても、事業費がふえれば、その新事業団の本来的な事業としてやります部分についての定員が要る。ということは、だんだんふえてくるということは事実でございます。そして、また、機械公団要員といいますか、機械公団の「当分の間」の部分につきましては、いわば逆に定数か減る分に応じて事業量も——現在多少無理して事業量をつけているというようなこともあるわけでございますが、その辺の問題をいろいろ調整しながら毎年度の定数がきまってまいるわけでございます。  そうしますと、その新事業、そして旧事業、こういうことを行なう公団というかっこうに経過的になるわけでございますが、その際に、新事業を行なうに要する人間があります。それからまた、現在出向している職員をどうするかという問題もございます。それからまた、定員外の職員で不自然なかっこうになっている職員もいるわけでございますが、そういう中において、機械公団職員で言うならば、毎年三、四十名ずつ欠員が出てくる。そういうことも踏まえて、その中において定員化の問題も考えてまいりたいと思うわけでございます。
  323. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長、それでは次回の委員会までにこの定員化の計画と、それから賃金格差についても——労使間の協約の中では短期間にこれを解決するということになっておるわけですから、その点についても、賃金格差是正については今後どういう計画で前向きに改善するかという、この二点を、きょうはそういうわけだからちょっと無理かもしれませんし、やむを得ないのですが、次回のこの法案審議委員会には明確なものをぜひ結論をつけて、明らかにしておいてもらいたいが、それはどうですか。
  324. 大山一生

    ○大山政府委員 短期的にできるものと長期的にかかるものといろいろあるわけでございまして、そのスケジュール的なところまで行き得るかどうか非常にむずかしい問題でございますけれども、公団内部においても精力的に労使話し合いをするようなかっこうでいま進めておるわけでございますので、可能な限りにおいて、可及的すみやかに出したいというふうに思います。
  325. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは最後に、「当分の間」の実施上の問題について、これは大山局長北海道開発庁の秋吉監理官にお尋ねしますが、たとえば北海道の根室中部の場合には、すでに事業に着手したわけですからね。着手した事業については、開発機械公団が「当分の間」ということを根拠にして、その事業が完了までいまの機械公団方式で完全に事業を終了させるということか、あるいはまた、こういう特に大規模なものについては、この法案が成立したとたんに新公団発注方式に切りかえてしまうのか、その点が一つ。  もう一つは、北海道あるいは内地府県においても、根室ほどの巨大なものではないが、やはり国営として採択された開拓パイロット事業等の中では、機械公団がやっておる事業というものは相当地区あるわけです。これについては、継続事業ですから、今年度で完了するものもあるし、あと二年を要する事業というものもあるわけだから、それらについては、「当分の間」の解釈から言って、機械公団責任をもって完了をするのか、あるいはこれも発注方式に切りかえるのか、この点を明らかにしておいてもらいたいのです。
  326. 大山一生

    ○大山政府委員 御質問の第一点の根室中部あるいは四十九年に着工することになっております中標津、これは公団事業に移しかえるという含みのもとで実は着工しているような次第でございまして、これらの事業につきまして、かりに当分の間機械公団が受託事業でやるといたしましても、その範囲は下物以上には出ないわけでございます。したがって、上物もあわせて行なうという意味におきまして、これは新公団事業としてやってまいる、こういうことでございます。  それから内地の、現在開拓パイロット等におきまして機械公団が受託を受けて行なっているものにつきましては、これは原則的には機械公団の受託事業として続けてまいりたいというふうに考えるわけでございますが、場所によりますと、相当無理して機械公団でやることにつきまして、地元との間においていろいろとトラブルのあるものもないわけではございませんので、そういう例外はあるかと思いますけれども、機械公団の当分の間の事業量の中身といたしましては、いままで機械公団が受託を受けてやっているような農用地開発事業は当然考えたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  327. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 前段の御質問につきましては、ただいま大山構造改善局長から御答弁がございましたが、私ども同様に考えております。
  328. 芳賀貢

    ○芳賀委員 監理官、あとの中規模のやつはどうですか。前段というのは根室中部でしょう。あと、パイロット地区というのは数地区あるでしょう。
  329. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 失礼いたしました。後段につきましても、構造改善局長と同じように考えております。
  330. 芳賀貢

    ○芳賀委員 監理官、大山局長の後段がはっきりしなかったのですよ。後段のやつは大山局長は明確なことを言わないのですよ。  北海道の場合は、たとえば私どもの地区の剣淵西部国営パイロット地区というのは、いままで三年間はずっと公団事業でやってきているわけだ。あと一両年で終わるという、こういう種のものが数地区あるわけですからね。これはなお機械公団事業として完了させることにするのか、今年度なら今年度をもって発注方式に切りかえるのか、その辺のことは、予算国会できのう通してやったわけだから、そのくらいのことわからぬはずはない。局長、もう一回言いなさいよ、後段のほうを。
  331. 大山一生

    ○大山政府委員 発注する立場にあります北海道開発局によって決定されることでございますが、われわれといたしましては、現在国営農業開発事業で行ないまして機械公団が受託を受けてやっておりますいまの剣淵のような場合、これは機械公団が引き続き「当分の間」のほうの部分として継続して受託を受けて施業をしていくという方向でいってもらうことを期待しておりますし、また、そういうかっこうで開発局とも話をつけてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  332. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 農用地開発公団ができますと、機械開発公団に発注いたしましたものは新しい公団に承継されるということでございます。
  333. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、そうじゃないのですよ。承継されるが、なお当分の間、開発機械公団事業というものが最低三年間は継続する……
  334. 仮谷忠男

    仮谷委員長 政府委員意見調整をしなさい。
  335. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二人で相談してください。  委員長、あと一間で終わりますから……。
  336. 仮谷忠男

    仮谷委員長 はい。
  337. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 機械公団の仕事が新公団に承継をされますから、したがって、新公団としましては従来の開発機械公団の仕事を引き継いでやる、こういうことでございます。
  338. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に、この法案の第十九条の「業務の範囲」の中で一点だけただしておきたいと思います。  十九条の一項の五号ですが、「第一号の業務と併せて農機具、家畜その他農林省令で定める物の売渡しを行うこと。」とありますが、この点が内容不明ですから、これは具体的に局長から説明願います。
  339. 大山一生

    ○大山政府委員 十九条の第一項第五号の規定でございますが、これは先ほど来申し上げましたように、公団の行ないます事業として下物、上物がある、そして両方行なうのだ、と、こういうことでございます。そして、そこにおきます家畜等につきましてもやはり公団が財投資金によって買って、そしてこれを受益者に売り払う、こういうことを公団業務として入れたわけでございます。
  340. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どういうふうにやるのですか。家畜の個体を公団が購入をして、国内産であっても輸入物であっても、その個体を直接公団が取り扱いを行なって、そして公団事業地域の中の農民に売り渡しをする、そういうことですか。
  341. 大山一生

    ○大山政府委員 機械公団の場合に、共同利用模範牧場の家畜は機械公団で買いまして、そして他へ売り払っておるわけでございます。それと同じようなかっこうで、これにつきましても公団が買って売り払うというふうなことになるわけでございまして、売り払いの条件につきましては業務方法書できめる。そして、基本的な考えといたしましては、買う資金が財投資金でございますので、財投と同様な条件でもって売り払っていく、こういうことでございます。
  342. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、実際に乳牛とかその他の家畜を公団職員が直接産地に出向いて買い付けを行なって、そしてこの地域の酪農民に売り渡しを行なう、そういうことですね。
  343. 大山一生

    ○大山政府委員 家畜の売り払いといいますか、選定のしかたでございますけれども、これにつきましては、共同利用模範牧場でやっております過去の経験を生かしまして、一般的には農協等が家畜を選定いたしまして、そして公団が買って、それで直ちに受益者に売り払う、こういうかっこうでございます。
  344. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ前の説明と違うじゃないですか。実際は、公団は扱わないのでしょう。家畜の産地買い付け等はやらないのでしょう。ただ、地域内の個別経営の場合には、とにかく五十町規模のそういう牧場が形成されるわけだから、標準的には五十頭の乳牛を飼育することになっておるわけですからね。あるいはまた集団加工方式ですね、共同牧場をやるのも当然あるわけですが、そこに導入するには相当数の素牛等が要るわけだから、それは直接公団は扱わないが、その地域内の生産組合あるいは農業協同組合が方針に基づいて個体の購入を行なう。その購入費に対して全額公団が資金を導入して、そうして転貸する。しかしながら、形だけは公団が直接売り渡すというようなことにするのか。実際やるのは監視員ですよ。あなたは現場に行って、一年くらいはそれくらいのことをやってみればいいのだ。
  345. 大山一生

    ○大山政府委員 公団職員がみずから買いに入って買って、そして公団が売るというかっこうである場合はほとんどないと思います。実際問題といたしましては、公団の事務委託を受けて、農協等が買って、そして売り払う、こういうかっこうになると思います。
  346. 芳賀貢

    ○芳賀委員 機械はどうですか。機械の売り渡しですね。
  347. 大山一生

    ○大山政府委員 機械につきましては、経営のタイプによっていろいろの機械考えられるわけでございますけれども、どういうふうな機械を駆使したかっこうでどういう経営をやるかという経営方式の決定につきましては、地元と十分な打ち合わせをして計画をまとめるわけでございます。  そこで、そういうかっこうで必要とする機械で、たとえば相当長期の支払いで済むようなかっこうを期待して公団で買ってくれというようなものがございます場合に、公団がそれらの機械を買って、そして、先ほど来申し上げましたような条件で売り払っていく、こういうことでございます。
  348. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合、公団が扱うことについての有利性というものがなければやる必要はないでしょう。どういう点が一体有利なんですか。公団によらない農協とか地方公共団体が、国の乳牛とかあるいは家畜導入の資金導入はできるわけですからね。それはできるが、公団で扱った場合においては、利子が無利子であるとか、あるいは必要限度は満額貸付ができるとか、償還年限も長い。特に、公団事業地域内において機械とか家畜の導入をする場合の資金というものは、他の地区よりも特別有利な条件があるのでそうするというのであれば、これは話はわかりますよ。何ら条件が異ならぬ場合は、自分でやれないわけなんだから、地元の農協に委託するなんというのであれば、むしろ第五号というのははずしてしまったほうがいいのじゃないですか。
  349. 大山一生

    ○大山政府委員 先ほど、業務方法書に定めるところによって売り払うと申し上げたわけでございまして、これの資金は、財投資金によるわけでございます。そして、農機具の場合でございますと、それに対して補助がある、こういうふうなことでございまして、したがって、補助の有無をかりに別としましても、財投で借り入れられる条件で、農民からいわば償還をするという有利さがございます。補助があれば、あった分だけさらに有利になるというかっこうで、この事業は、公団事業としてのメリットの一つであろうというふうに考えるわけでございます。
  350. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、これは比較表を出してください。現行のそれぞれの機械導入にしても、近代化資金とか、あるいは家畜とか乳牛の研究、増殖の場合の制度資金というのはいろいろあるわけですから、そういういろいろと現在ある資金制度と、今度新しく公団ができて、公団責任をもって導入する資金の条件ですね。それは図面を出すとあなたはさっき言ったわけだから、その図面と一緒に、機械あるいは家畜の導入、売り渡しの比較表というものをぜひ出してもらいたい。これは委員長に申しますが、これもあわせて提出するようにしてもらいたい。  局長、いいですか。私が冒頭に言ったとおり、今度の公団は、公団自身は手もよごさぬし、足もよごさないのですよ。農用地開発だから、結局は、ネクタイをさげて背広を着てやれる仕事だけをトンネル機関としてやることに中身がなっているわけだから、それでは新たな公団の存在理由というものはほんとうに薄弱ではないかという点を最初に私は指摘したわけですが、きょうは資料要求をいたしまして、この程度にしておきますが、次回は、農林大臣が出席された場合に、各委員から詰めの質問をすることになっておるわけですから、いままでの当委員会における質疑の中で問題になったような事項については、これをすみやかに処理して、次回以降、農林大臣が出席した場合においては、大臣が明快に、これはこうする、責任をもってこうしますというように答弁ができるように、あなたが補佐してやるようにしてもらいたい。それだけ注文して、きょうは終わります。
  351. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、小倉参考人に申し上げます。  本日は、午前、午後にわたり、長時間御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  次回は、明十四日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会