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澤邊政府委員 国民生活の
向上とともに、食品の中で、
たん白質、特に
動物性たん白質の
消費が漸次
拡大してくるということは御
指摘のとおりでございまして、
数字で申し上げてみますと、
動物性、
植物性を含めましての
たん白質の
摂取量が、
昭和三十五年には
年間一人
当たり六九・五キログラムという
数字がございますが、その中で
畜産物は六・六キログラムということでございますので、一〇%をやや下回っておったわけでございます。四十七年度の
実績について見ますと、
動物性、
植物性を含めまして一人
当たり年間七八・四キログラムでそれに対しまして
畜産物は一七・一キログラムということで、約二二%ということでございますので、
動物性、
植物性を含めました
たん白質の
摂取量の中で、同時にこれは
供給量になるわけでございますが、
畜産物のウエートは漸次高まってきておるわけでございます。
そこで、今回の
公団法に関連いたしまして、濃密
生産団地をつくる場合、
畜産が重点になっておることは御
承知のとおりでございますが、その中で、大動物といいますか、酪農及び肉牛につきまして、草地あるいは飼料作物あるいは林間放牧等を大
規模に
利用しながら、粗飼料の
自給率を高めながら
生産を
拡大していきたいということで、
一つの柱にしておるわけでございますが、同時に、豚なりあるいは養鶏といいます中小
家畜につきましても、最近都市近郊等に立地しておりました経営が公害問題、環境汚染
問題等でいろいろ問題を起こしておりますので、これを遠隔地といいますか、この
公団事業の対象になっておるような
低位利用、未
開発の地域に立地移動しまして、環境汚染問題を回避しながら、中小
家畜から排せつされますものを草地あるいは飼料作物の畑地に——これは主として大
家畜用のものでございますが、それに土地還元をするというようなことを結びつけながらやりたいと考えております。
そこで、大
家畜につきますと、同時に中小
家畜についてもやるわけでございますが、問題の、御
指摘のございました大
家畜につきましては、現在、一昨年の秋に「
農業物需給の展望と
生産目標の試案」という文書を出しまして、四十五年度を基準年次にしてスタートしているわけでございますが、それと最近に至るまでの
実績、これはまだ短期間でございますので、にわかに判断しにくい面がございますけれども、それを概観してみますと、豚肉とか、あるいは
鶏卵とかブロイラーとかいう中小
家畜関係はおおむね順調に伸びておりますけれども、酪農あるいは肉牛という大
家畜につきましては、予定いたしました
生産の増加テンポにやや及ばない点がございます。これはどの辺にネックがあるかということは、酪農と肉牛と若干差異はございますけれども、いずれにいたしましても、零細経営が漸次といいますか、かなり急速に脱落すると同時に、それをカバーすべき大
規模な大
家畜経営
農家の伸展といいますか、
育成というものが進んでおりますものの、零細経営が脱落するのを完全にカバーし切れるだけ伸びておらないという点があるわけでございます。
その理由としてはいろいろございますけれども、一番問題になりますのは、やはり、大
家畜にどうしても必要な草地なり飼料作物あるいは林間放牧をやるための土地の取得が思うにまかせない。したがって、
規模を
拡大するのがなかなか困難であるということでございまして、
目標試案に比べましても、
生産面で予想しましたテンポに及ばないということになっております。その結果、
価格につきましても、牛肉等につきましてはかなり上がってきております。周期的な、あるいは年次的な
変動がございますから、一時期をとってはなかなか判断しにくい面がございますが、傾向的にはかなり値上がり傾向に来ておるというように思います。
そういうようなことで、
自給率につきましても、
鶏卵とかブロイラー等につきましては予想したような形で伸びておりますけれども、肉牛につきましてはかなり予想よりも下がっておる。あるいは
牛乳につきましても、先ほど言いましたような事情もございまして、さらに特別の事情といたしまして、昨年来の
えさの値上がりあるいは諸物価の値上がりに伴いますコストアップというようなこともございまして、四十八年につきましては、初めて前年を下回るというような傾向を示しておりますので、われわれといたしましては、特に問題のあるのは大
家畜、酪農と肉牛について一番問題が出てきておるのではないか、それを打開するためには、このような
公団方式等によります草地なり林間放牧地なり、あるいは飼料畑地なり、そういうものの
規模を
確保いたしまして
自給率を高めることがこれらの大
家畜の発展をはかるためにどうしても必要なことではないかというように考えておるわけでございます。