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1973-12-13 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十三日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 安田 貴六君    理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    上田 茂行君       小沢 一郎君    吉川 久衛君       島田 安夫君    染谷  誠君       本名  武君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       馬場  昇君    諫山  博君       山原健二郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君       神田 大作君  出席政府委員         外務省中近東ア         フリカ局長   田中 秀穂君         農林政務次官  渡辺美智雄君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君         水産庁次長   安福 数夫君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    手島れい志君         農林大臣官房審         議官      二瓶  博君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         農林省農蚕園芸         局肥料機械課長 前田 耕一君         運輸省海運局外         航課長     富田 長治君         運輸省海運局内         航課長     阿部 雅昭君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         労働省職業安定         局雇用政策課長 鈴木新一郎君         日本専売公社生         産本部本部長 佐々木幸雄君         日本専売公社生         産本部本部長 松井 元義君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十二月十三日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     中川利三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、渡辺農林政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。渡辺農林政務次官
  3. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 今回の内閣改造にあたりまして、はからずも、全くはからずも、農林政務次官を引き受けることになった次第でございますが、今後とも、委員会の皆さんには何かと御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。  よろしくお願い申し上げます。(拍手)
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 政府当局より、石油不足による需給関係の現況について説明を聴取いたします。熊谷通商産業省石油部長
  5. 熊谷善二

    熊谷政府委員 今般の中東紛争契機にいたしました石油危機につきまして、その後私どもがとりました対策の概要を簡単に御報告申し上げます。  御承知のように、中東紛争契機に、いわゆるOAPEC諸国アラブ産油国機構でございますが、そのOAPEC諸国が、石油を武器といたしまして、生産削減を、九月をベースにいたしまして実施をいたしておりまして、九月をベースに、十月以降毎月五%の削減を上のせしていくということで、十一月現在OAPEC諸国生産削減は、平均いたしまして約二五%程度ダウンをいたしておるわけでございます。わが国は、OAPEC諸国輸入の約四割を依存いたしております。また、イランその他中東諸国を含めましたいわゆるOPEC諸国の動向につきましても、価格問題をはじめ、この削減問題とからんだ大幅値上げ問題も種々からんでいるわけでございますが、当面の問題は、この量の確保がいかにしてできるかという問題でございます。  この十月、十一月の原油の入着状況は、ほぼ順調に入っておるわけでございますが、十一月の下旬から、現地におきまする、ペルシャ湾におきますところの船込み状況が出始めまして、逐次入着状況がおくれてまいっております。十二月の状況もほぼ確認はいたしておりますが、入着状況は、十二月の当初の原油輸入計画に対しまして、入着の見込みは約一七、八%のカットになろうかと思われます。一月−三月以降の状況につきましては、現在のところまだきわめて流動的でございまして、どれくらいの油が入るかということにつきましては、まだはっきり見通しを立てることができない状況でございます。  政府といたしましては、先般の閣議決定の際に一応の見通しを立てましたが、下期の輸入、つまり、十月から来年三月までの原油輸入につきましては、一億六千万キロリットルの会社計画を集計したものを持っておりまして、この一億六千万キロリットルに対しまして、通期で約二八%のカット、つまり一億三千四百万キロリットル程度のものを見込んだわけでございます。これは、十一月の時点におきまして、私どもが、各メジャーからの、各月の原油の契約に対する削減通告状況というものをベースにいたしまして計算したものでございます。  御承知のように、日本はほとんどメジャーないしは外国企業のほうから原油輸入いたしておりまして、国産の開発原油というものはきわめてわずかで、約二割に満たないものでございます。そういう状況でございまして、当初の一六%供給カットをされるという見通しは、その後の検討の結果、なお若干このカット率が高まるのではないかという見通しがございます。一六%から二〇%近い間の数字ということになろうかと思いますが一事態がまだきわめて流動的でございますので、明確にはお答え申し上げることができない状況でございます。  こういう状況でございまして、政府といたしましては、先般閣議決定を行なって緊急対策を決定したわけでございます。この詳細は省略いたしますが、一般の産業に対しましては、一〇%の消費節約を訴えたわけでございます。このうち、とりわけ大口の十一業種につきましては、この一〇%節減が具体的に効果をあげるように、個別にフォローいたしまして、実効を確保したいということにいたしておるわけでございます。その他の業種につきましては、原則一〇%の節減をお願いする。ただ、農林水産その他民生に直結するものにつきましては、この一〇%削減につきましては、一応対象からはずしておるわけでございます。  しかしながら、これはマクロの計算でのものでございまして、実際に供給者状況を申し上げますと、供給者側では、各社備蓄等状況、また、生産状況かなり差がございまして、それぞれメジャーにつながって供給を受けておるわけでございますが、このメジャーのほうの供給し得る原油におきましても、それぞれ差がございます。おしなべて申し上げますと、大体二〇%程度削減を、この十二月まで各メジャーから通告されておるわけでございますが、各社別状況になりますと、これはまたかなりのばらつきがございます。したがいまして、手元石油製品の玉繰りの面から言いまして、一律一〇%各社が同時にやるというような状況にはなかなかならないわけでございます。ある社におきましては、平均一〇%ということで供給が可能であるところもございますし、また、ある社におきましては、一〇%ではなしに、一五%とか、そういった供給しかできないという社も出てくるわけでございます。こういう状況におきましては、需要者にいろいろ御迷惑をかけることがございますので、私どもとしましては、極力この一〇%の政府削減指導に協力するように、また、そのために、たとえば石油連盟という、精製、元売り企業団体でございますが、石油連盟の中には緊急対策本部を設置いたさせまして、ここで、各産業間におきます供給面でのアンバランスなりトラブルが起きた場合の協議ということをさせまして、要すれば会社間の製品の融通といったようなこともやらせるということをこちらから指示をいたしまして、各需要業界との間の供給面が円滑にいくように協議をいたさせておる状況でございます。  また、中小企業方々対策というものにつきましては、私どもとしては、とりわけ対策を講ずる必要があるという判断のもとに準備を進めておりましたが、近く、石油製品あっせん所を各府県に設置するということにいたしたいと考えておるわけでございます。中小企業方々消費実績等につきましては、統計上必ずしも十分整備されていない面もございまして、ややもいたしますと、中小企業へのしわ寄せという問題が起きかねない点を懸念いたしまして、このあっせん所を通じまして、中小企業に対する原油供給円滑化をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。  前後いたしますが、先般、この石油対策本部の中に、各産業との間の十二月分につきます不足分、あるいは供給面トラブルといった問題につきまして、私どもも入りまして、具体的な協議を行なっておるわけでございます。各省との関係におきましては、それぞれ、農林水産物資につきましては農林省から逐次御連絡をいただいておりまして、所要の原油につきましての円滑な供給をはかるべく、私どもも精一ぱい努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。他省との関係も同様でございますが、この石油連盟対策本部には、特に農林水産関係部会を設置させるように、農林省のほうからの御要望もございまして、私どもとしては、農林水産関係原油供給円滑化をはかるための措置として、そういう部会を設置して、至急協議に入るような体制になっておるわけでございます。  今後の見通しでございますが、OAPEC諸国はこの十二月におきます生産削減は五%さらに上積みすることをやめるということになったわけでございますが、来年一月はまた五%上積みするということを決定いたしております。  その後の状況につきましても、必ずしも楽観を許さない状況でございますので、この十二月に実施いたしました一〇%の行政指導の単なる継続では、事態を乗り切ることがきわめて困難ではないかというふうな感じがいたしております。一月以降の石油製品消費節減につきましては、一〇%を上回る削減をお願いしなければならないということになろうかと思いますが、これを円滑に実施するためにも、今回、石油適正化法を国会に提案をいたしておる次第でございます。  ごく簡単でございますが、以上、報告にかえさせていただきます。     —————————————
  6. 仮谷忠男

    仮谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  7. 美濃政市

    美濃委員 ただいま熊谷部長から説明を聞いたわけですが、まず、最初に、この説明に対して若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず、第一にお尋ねしたいことは、さっき説明の中で、特に、中東紛争その他で外交カットされると予想されるのは一六%、メジャーからは二〇%の通告が来ておる、こういうふうに聞いたわけですが、いまのアラブ諸国等からのカットと、それからメジャーからの節減通告メジャーからのカットとはどういう関係にあるのか。  それから、メジャーの持つシェア、これを国籍別にちょっとお聞きしたいと思うのです。たとえば、アメリカメジャーがどのくらいのシェアを持っておるのか。どういうメジャーが、日本石油輸入に対してどういうシェアにあるのか、これをちょっとお聞きしたい。
  8. 熊谷善二

    熊谷政府委員 四十八年度の下期で、メジャー輸入構成比がどうなっているかということをちょっと申し上げますと、カルテックスが約一七%、それからエクソンが約一三%、それからシェルが約一二%、それからモービルが約九%、それからガルフが約九%、それからBPが約七%、それからCFPが約三%。これらがビッグセブンでございますが、先ほどの先生の御質問の問題でございますけれどもメジャー考え方につきまして、私ども、今回の紛争契機にいたしまして、日本への原油供給について、ぜひ好意的な配慮をしてもらいたいということを、たびたび呼んで話をいたしております。メジャービヘービアといたしましては、世界各国の自分の取り扱っております原油は、もちろんアラブ産油国だけではございませんで、インドネシアなり、あるいは南米なり、あるいはその他アフリカなり、全部持っているわけでございます。これらの油を世界全体にどういうふうに配給するかということにつきましては、それぞれの国が同じ負担になるようにというのが、国際企業としてのプリンシプルといたしまして、異口同音に言っていることでございます。したがいまして、アラブ産油国は、その地域から船積みいたしますときには、たとえばアメリカ向け、あるいはオランダ向けは禁輸いたしておりますから出ないわけでございますが、メジャーといたしましては、世界全体の油の中にそれをとけ込ませまして、各国平均に、従来のパターンに従って供給するというのがメジャービヘービアだと承知をいたしております。したがいまして、当該特定国籍を持っておりましても、その国籍を持っている国に対して特段の有利なことをすることにつきましては、直ちにはいたしておりませんと思います。アメリカヨーロッパ諸国、特に、シェルとか、あるいはCFP、これはヨーロッパでございますが、その他は大体アメリカでございますけれども自国のほうにまず優先的に確保して、残りをよその国に回すといったようなことはメジャーはしませんということを、私どもには言っておるわけでございます。  それで、先ほど申し上げました各メジャーからのカット通告は、大まかに言いまして、二〇%ずつのものが来ているわけでございますが、これはたとえば十月、十一月は、とりわけ十月は、相当多量に日本に油が入ってきております。十一月に入って、上旬ごろからカット通告が始まってきたわけでございますが、そういう意味で、十二月から三月までの分で、通期で見ますと、先ほど申し上げました、計画に対する一六%程度カットというようなことを私どもは見込んだわけでございます。  先ほども申し上げましたように、私ども見通しといたしましては、今後、来年の三月まで、毎月毎月五%ずつ上積みされていくといった事態は、これはもうたいへんな事態になるわけでございまして、できるだけそういう事態にならないように、外交努力その他を講ずべきであるということで、各月別の予想も一応立てておりますが、大体、十二月の水準を若干下回る水準で三月までいくであろうという計算のもとでいたしておるわけでございますが、当初の計画に対比いたしますと、十月はカットなし、十一月もカットなし、十二月からカットが始まるということになりますので、十二月から三月までのカットというのが、見込みでは二〇%ぐらいのカットになる。通期では一六%でございますが、そういう状況になるわけでございます。
  9. 美濃政市

    美濃委員 そうすると、メジャーからの削減は二〇%受けるのですが、これは国籍によって極端な差別待遇ができないのだといういまお話しでありますが、そうすると、中東紛争によって、アメリカあるいはオランダ等中東地域から一〇〇%カットになって、それをメジャーのいままでの販売シェアの中で調整を受けておる、こういうふうに解釈して間違いありませんか。
  10. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  メジャー全部ではございませんで、社によって事情かなり違っておると思います。たとえば、シェルなどは、アメリカのほうには出していないと言っておりますし、それから、他のメジャーにおきましても、アメリカには供給はしていないと言っているところもございますが、実際の状況というのは、ちょっと私どものところでは確認ができない状況でございます。ただ全体の生産削減が、現在では、十一月水準で、約二五%のOAPEC諸国での生産削減がございます。このOAPEC諸国生産削減は、OAPEC諸国貿易量世界貿易量の約五割をこえておりますので、世界全体に与えます影響かなり大きいわけでございまして、全体の量が減っておるという中で、各メジャーがそれを各国に均等に配分するというプリンシプルのもとに供給してきているというのが実情でございます。
  11. 美濃政市

    美濃委員 メジャーによって若干違うのはどういうことですか。そうすると、国籍によって自国の擁護というようなことが働くのじゃないかと思うのですが、その、各メジャーによって多少違うというのはどういうことか。  それと、もう一つ、先ほどお聞きして答弁がなかったのですが、メジャー国籍別日本に持つシェアの中で、たとえばどの国の国籍メジャーから何十%と——これは多少違ってもよろしいですから、もう一%の違いもないということになると、手元資料がないかもしれませんから、大ざっぱでよろしゅうございますから、一%や二%は違っておってもよろしゅうございますから、大体はこういう状況だということをお聞かせいただきたい。
  12. 熊谷善二

    熊谷政府委員 BPはイギリスでございますが、これは約七%。先ほども申し上げたわけでございます。それから、CFPフランスでございまして、これが三%、それからあと……
  13. 美濃政市

    美濃委員 社の名前は要らぬですから、メジャー国籍で言ってもらいたい。
  14. 熊谷善二

    熊谷政府委員 英国は七%、フランスが三%。それからオランダ英国との合弁がございますから、そういったものが、両国にまたがるものが八%ぐらいございます。その他、メジャーで、五割は米国でございます。その他の中小のものもございますので、大ざっぱに申し上げますと、五割程度アメリカと言っていいかと思います。米国系で、いま正確な国籍別では実はやっておりませんが、いわゆるインデペンデントと申します、独立系のものも入れますと、おそらく六割ぐらいになるかもしれません。それから、メジャーでは、いわゆる五割程度でございます。(「何だかわからぬな」と呼ぶ者あり)  もう一回申し上げます。ラウンドで申し上げます。米国メジャー系が約五割、それから英国が約七%、それからフランスが三%。あと、落ちこぼれがあるかと思いますが、大ざっぱなところ、そんなところです。
  15. 美濃政市

    美濃委員 もっと多いんじゃないですか。七五%か八〇%ぐらいアメリカ国籍で・…。さっきの答弁の中で、多少もやもやっとしておるのでありますが、そのメジャーによって違うというのは、アメリカ中東紛争によってアラブ地域から受けた削減が、メジャーを通じて、日本削減にある程度影響を及ぼしているのではないですか。国際上から言うと、二八%、メジャーからは二〇%の通告を受けるという、その四%の差ですが、それはそこに原因があるのじゃないですか。どうですか。
  16. 熊谷善二

    熊谷政府委員 冒頭に申し上げましたように、各国のユーザーに対しては均等にと、こういう考え方メジャーは行動いたしておりますので、削減された分は各国に均等に負担をさせるというのが今日までの基本的なパターンだと思います。ただ、特別特定の国に有利にということはしないというのが、これも基本的なプリンシプルであるということでございます。
  17. 美濃政市

    美濃委員 次に、農林省にお伺いしますが、農林漁業用石油類必要量はどう把握されておるか。それをお伺いいたしたいと思います。
  18. 二瓶博

    ○二瓶説明員 四十八年度におきます農林水産関係石油需要見込みでございますが、農林業用といたしまして、四十八年度五百三十八万六千キロリットル、それから、水産用が五百八十六万キロリットル、両方足しますと、千百二十四万六千キロリットルというふうに見ております。  このほかに、農林水産関連企業、食品工業なり、その他の合板とか、ああいう関係もございますが、そういう関連企業が五百七十万九千キロリットル。農林水産業関連企業を合計いたしますと、千六百九十五万五千キロリットルというふうに需要量を見ております。  これは、現在、農林水産関係では、揮発油、灯油、軽油、重油というものを主として使っておりますので、これの全体の総需要というのが約二億キロリットルでございますから、それに対しますと、八・五%というウエートと見ております。もちろん、石油製品につきましては、このほかにナフサあるいはジェット燃料というようなものがございます。これは農林関係で使っておりませんが、そういうものまで入れました、いわゆる国内需要が二億三千八百六十八万三千キロリットルございますので、そういうものに対しますと、七・一%のウエートというふうに見ております。  もちろん、いま申し上げましたのは国内で使われます需要でございますから、このほかに、水産関係等におきましては、海外において補給を受けますものが、この外ワクといたしまして六十万キロリットル、あるいは国内での保税の関係のものが四十万キロリットルというようなものが外ワクにございますが、総ワクといたしましては、以上の数量が大体需要見込みというふうに見ております。  もちろん、これの全体の需要見込み推計のしかたにつきましてはいろいろ事情がございますので、それぞれ県別相当足のついておるものもございますし、ものによりましては、相当大胆な推計もやっておるものもございます。さまざまでございますが、四十八年度の農林水産業関係需要見込みというのは、おおよそこの辺ではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
  19. 美濃政市

    美濃委員 ちょっと私が聞き落としたのかもしれませんが、林業用はどうなのか。それから、関連産業はどこまでなのか。関連産業と一口ですが……。
  20. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま、農林業用ということで、五百三十八万六千キロリットルと申し上げたわけでございますが、この中には、林業関係が三十万キロリットル含んでございます。  それから、関連企業のほうが、先ほど五百七十万九千キロリットルということで申し上げましたが、これにつきましては、農産加工関係が四百四十万キロリットル、それから、先ほど合板と申し上げましたが、ああいう林産物加工が八十六万キロリットル、水産物加工が四十五万キロリットルということで、五百七十万九千。大体五百七十一万という、そんな需要見込みになっております。
  21. 美濃政市

    美濃委員 ここでちょっと資料要求をお願いしておきたいわけですが、いまの基礎数字は、これからの石油対策で、各委員も全部の方がこの数字はほしい、承知しておりたいということだと私は思いますので、これを資料にして提出願いたい。  それから、石油部長にお願いしておきますが、いわゆるメジャー国籍、それから社名ですね。それから、日本輸入に対するシェアでよろしゅうございますから、ちょっといろいろ社名別シェアのあらましは聞いたわけですが、これを資料としてひとつお願いしたいと思います。   ただいま農林漁業用の油の把握状況をお聞きしたわけですが、先ほどは、熊谷部長から、農林水産関係は一〇%節減からはずしてあるというお話しでございましたが、現実はもうすでに、現時点でも、一〇%ぐらいではない、かなり窮屈な需給事情にある。きのうも参考人を呼んで参考人から聴取したんですが、もう一〇%以上です。きのうの参考人は、農業団体関係中央団体首脳部ですが、これはどういうふうになっておるんですか。片一方は一〇%の節減からはずしてあるという。起きておる現実は、二〇%以上の、いままでの実績から見ると非常に窮屈な状態にもうすでになってきておるが、この現実政策との食い違いというものはどういうふうに解釈したらいいんですか。
  22. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  先ほども少し申し上げましたが、精製各社の、また、それにつながります販売店というところの供給能力に差がございまして、全部一律ということにいかない場合がかなりのところで見られておるわけでございます。私どもとしましては、この一〇%消費節約ということに対するユーザー側の協力、供給者側供給について、できるだけ協力するように話をいたしておるわけでございますが、個々の末端におきますところのカットというのは、それぞれの石油製品の玉繰りの状況から、そのとおりにいかない例がかなり見られておることは私ども承知をいたしておりまして、足りない油種等につきましてできるだけ会社間の融通なりあっせんということをこの対策本部で行なうように指導いたしているわけでございます。
  23. 美濃政市

    美濃委員 いまの石油の不足ということは、急激に起きてきた現時点では、行政指導にも、てきぱきといかぬ面が多少あるということも理解できるんですが、いまお話しを聞いておりますように、この不足は、私どもとしては、これからしばらく続くと思うのですが、もとの状態に回復するのはいつになるのか。  そこで、各商社に能力の差があるとか何とかというような状況で推移していって、その上に立って、重要な部門はどこだから優先配分をするというようなことをきめても、片や、裏から——これは私どもの疑いですけれども、きのうもそういう話がちょっと出ておりましたが、たとえば船舶用に一番必要なA重油でも、トルコぶろのボイラーは全部A重油を使っておるんだ。トルコぶろはああいう状況ですから、かなり高い油でも十分採算がとれるんだ。裏からプレミアムがついて、油が食糧生産のほんとうの重要な部門に回らないで、プレミアムつきで、政策的にはこれは多少押えなきゃならぬと思っておるほうに現実は流れていってしまう。そして、これは物統令を適用して切符制にしてしまえば、裏に切符がつきますから、これはできなくなりますけれども、そうでない行政指導であれば、そこまで流れていってしまって、二割なり三割なりという部分がそういうふうにプレミアムつきで流れて、それが、どうも手配したんだけれども、言われただけのことはやっておるんだけれども、なかなか思うようにいきません、証拠がないですからと、そうなるんじゃないですか。きのうの参考人の話の中にも、私がいま申し上げたように、そういうふうにえげつなく表現はしておりませんけれども、そういうことの危険性があるんだということを申しておりました。そういう点が出てきますから、たとえば閣議決定で、農林漁業の必要に対する油は食糧生産につながっておるわけだから、カットをしないで優先配分をするということをきめれば、それに伴う政策というものがなければならぬ。これは、農林省としては、この閣議決定に伴ってどういう作業をやっておりますか。そういうふうに、いやしくも閣議で決定したことと、現実に起きておる状態と、現在のところ大幅な食い違いがある。これは、先ほどのことを繰り返しますが、不測の事態に入った当初ですから、多少の混乱はやむを得ないとしても、この混乱を続けることは許されない。これは早急に閣議決定どおりに、農林省としては、通産省と相談の上、これを確保して不安のないようにしなければならぬと思うのです。それにはどうすればいいか。いまどういう作業をやっているか。
  24. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 美濃先生のおっしゃるように、確かに、閣議決定では、一律に一〇%削減をする、節約方をお願いするという決定を出したんですが、農林関係はそういうふうな削減のお願いの対象にしていない。にもかかわらず、現実には、農協等の話を聞くと、非常に石油が来ないという問題が起きていることは私も聞いております。  それから、いままで大きな大手の会社でも、成績のいい購買課長というか、安い石油をあちからとったり、こっちからとったり、向こうからとったりというようなことで、安いものばかりをどんどん渡り歩いた成績のいい課長が、いま一番石油をほされているという話も聞いております。そうすると、やはり農協のほうが石油が足らぬ。われわれ栃木県の例しか知りませんが、業者からもらっている人は、比較的ビニールハウス等の石油も手に入っている。農協からもらうほうが、どうも心もとないという話も聞いている。そうすると、やはり、ある程度自由に値段を上げて売っているほうに石油が回って、農協はどうしてもそう簡単に自由がききませんし、なるべく安いものをということで契約していますから、そういうところにはやはり幾らか石油がいかないんじゃないかというような懸念は、私らも感じておるわけです。  そこで、閣議決定が行なわれた以上、農林業、漁業の石油というものはどうしても確保しなければならぬ。特に、冷暖房の石油が一日とまったからといって人間が死ぬという騒ぎは起きませんが、食糧が一日ない、二日ないということになったら、これは実際たいへんなことになってしまう。そこで、通産省に対しましては、さしずめいま石油がなければビニールハウスの野菜が育たぬというようなものとか、いまミカンの確保をしなければミカンが全部腐ってしまうというようなものとか、あるいは、魚なんというものは、いまそこに魚がいるのをとらなければいつとれるかわからない話なんですから、そういうような差し迫ったもの等を列挙いたしまして、これについては、通産省に対して極力——それらの団体、たとえば農業関係なら全農がいいか、中央会がいいか、まあ、中央会がいいだろうとわれわれ言っておるのですが、また、漁業の組合とか、いろいろな組合がありますから、それの組合で当面の所要量というものをちゃんと見積もって、現在手持ちの見通しはこれだけあるが、これだけ不足であるというようなものについて、大体農林省数字をあげまして、通産省にあっせん方を強力にいま持ち込んでおるわけであります。  そこで、農林、通産両省の間でいま詰めておるわけですが、石油連盟とそれらの団体が速急に話し合いをして、これはもう速急に、ほとんど二、三日のうちに話を詰めて、少なくともことし一ぱいは心配ない、正月用の物資は不足させないという程度にまず詰めなさい、それから続いて一月、二月、三月というものについて、実態の調査をすみやかに行なって、最優先的に石油を流すように、そちらのほうに出荷をするように行政指導をしてくださいという話をしておるわけです。それでもきかないというようなことになれば、いま石油需給適正化法というものが国会にかかっておりますが、それによりまして、配給とか割り当てというような道も開かれるわけであります。しかし、そこまでいく前に、法案が通らないからといって一日もないがしろにできませんから、大至急それをやってくれということで、目下鋭意詰めておるところであります。
  25. 美濃政市

    美濃委員 石油法も近く通ると思うのですが、これは石油部長にお聞きいたしますが、いまの状態で、行政指導で、いま政務次官が言った事柄を、完全に責任をもって通産省はこなせますと言える自信がありますか。相当きびしい割り当て制度なり、何らかの方法をとらなければならぬと思うが、言っただけで、行政指導だけで、それが通産省としては責任をもってやれるという見通しにいま立っておるかどうか。  それから、もう一つこの際お聞きしておきたいのだが、きょうお話を聞くと、特に割り当てが実施されて、入荷量が割り当て対象になってきたのは十一月中旬以降だ。十一月上旬までは従来どおり入っておったのだ。そうすると、全国で、たとえば私は北海道ですから、北海道地域を対象にしてもいいのですが、十一月の中旬にこの問題が出ると、直ちに普通ガソリンを二〇%値上げしましたね。大体六十円であったものを七十円、七十五円くらいに一挙に引き上げたわけですが、これらはどうですか。需給がこの状態で多少逼迫するというところに直ちにつけ込んで、手持ち量で石油メーカーが一もうけしてやれという暴挙じゃないですか。これは、実際に十一月上旬に値上げをしなければならぬという理由はなかったはずです。入荷事情、入った価格からいけばですよ。どうですか、それは。その上げたことは正しいのか。それとも、手持ち量で一もうけしようという石油  メーカーの便乗行為だったのですか。これはどう判断しておりますか。
  26. 熊谷善二

    熊谷政府委員 最初の行政指導の点でございますが、私ども、いま農林省といろいろお話し合いを進めておるわけでございますが、やはり、需要者団体のほうである程度量のおまとめをいただきまして、資料その他の御協力をいただきませんと、何せ、油の消費状況等につきましての統計は、個々のユーザーにどういうふうに流れているかということにつきまして、若干整備を要する点がございます。これはみな、この行政指導の中で逐次整備をしていく必要があると思います。現在では、そういう点はやはりいなめないと思います。また、供給者側におきましては、従来の特約店なり、流通秩序と申しますか、流通経路がございますので、この供給をいたしておりますルートをどのようにうまく需要者側の要望とミートさせていくかという問題につきまして、団体の中で意見をまとめ合って、よく話し合って供給をしていくということでなければ、若干の混乱はやはり避け得ないという点があろうかと思います。私どもとしましては、そういう意味で、供給者側、それからユーザー側の両方につきまして、必要な消費実績等資料をもとに話し合いを進めるよう指導いたしておるわけでございます。もちろん、行政指導でございますので、先生の御指摘のような問題が全くないとは言えないと思いますが、いまこそ供給者側の社会的な責任が問われているときでございますので、極力強く行政指導を行なってまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、第二点の価格の問題でございますが、一例をことしの六月にとりますと、これは、新しいジュネーブ協定ができまして、ドルの減価がある一定限度になった場合には価格が改定されるという状況になった時点からでございますが、当時の日本に入っております油のFOBプライスというのが、平均いたしましてバーレル当たり二ドル五十ぐらいであったと思います。これが十一月の初めには、先ほどちょっと触れましたが、いわゆる産油国輸出機構、OPECというのがございますが、ここが大幅な公示価格の引き上げを、メジャーに一方的通告をしたわけでございます。この結果、十一月一日現在で、日本に入っておりますものの価格が、平均的にバーレル当たり四ドル二、三十になっておると思います。その原油の値上がりの問題が一つ。  それから、第二は、特に十一月に入りましてからの問題でございますが、単位当たりのフレートが上がってきております。これはタンカーを現地へ持ってまいりましても、全部必ずしも積めないわけでございます。半バラと申しますか、半分くらいしか積めないといったケースもございます。そうしますと、単位当たりのフレート代が非常に上がってくるという問題がございます。  それから、第三番目には、為替レートが、最近はいわゆる円安の状況で、六月から今日までの間に、たとえば六月はドル二百六十円台であったと思いますが、これが十一月になりますと、二百八十円台になっております。それで、為替レートの面でコストが上がってくるという問題もございます。実際問題といたしまして、原油価格だけを取り上げましても、コストが上がってきておるという状況がございます。御承知のように、石油製品はいわゆる連産品でございまして、一体の原油から、ガソリンから重油に至るまで、軽いものから重いものまで、それぞれずっとでき上がるわけでございますが、従来の価格体系で申し上げますと、その中でいわゆる等価比率による原価計算というのが行なわれまして、従来の価格パターンといたしましては、ガソリンが他の油種に比べまして一番高いということでずっとまいっております。この六十円の値段が七十円あるいは八十円となることにつきましては、私どもとしては、極力低位安定というふうに考えておりますが、いま、原油価格が日々上がっておる状況の中で、いま直ちにこれを便乗値上げと断ずるわけにはまいらないかと思います。  この数日来の動きでございますが、いわゆるメジャーが、通常の契約に基づきまして産油国から買っております油以外に、産油国が持っておりますいわゆるDD原油というものがございますが、これはバーレル当たり十六、七ドルのものが出てまいっております。先行きそういった原油の値上げは必至でございますので、そういった要素も考え合わせますと、先ほど申しましたように、いま直ちに便乗値上げと断ずるわけにはまいらない、かように思うわけでございます。
  27. 美濃政市

    美濃委員 お話しを聞いておって、どうもぴんとこないのですがね。もうちょっとわかりやすく言えば、灯油は、通産省は三百八十円と言っておるでしょう。いま、現実には、五百円なり、うんと高いのは六百円なんかという値段が出ておるようですが、これは、かなり出せばなんぼでも持ってくるのですね。ただ、通産省の言っておる三百八十円で売ってくれと言ったら、ないというんですよ。しかし、裏からプレミアムをつければなんぼでもあるのですね。ある程度の希望量は売ってよこすわけですね。これはどういうことなんですか。  もう一つは、ガソリンの問題も、いろいろ理由はありましたが、その理由が二割ものことになるのですか。いま、二割以上ですか、とにかく、八十円ぐらい出せば、ある程度ほしい量は買えるわけですね。八十円だ、九十円だというのは正しい価格なのか。いま言った原因でそこまで上がることが正しいのか。それとも、暴利の不当行為があるのか。不当行為があるとするならば、そういうものは許せないと思うのですね。こうなってくると、ただ特定の、国民経済を愚弄するそういうものは、もう輸入権も剥奪して、石油供給から締め出さなければいかぬと思うのですよ。それだけの勇気を持たなければ、国民生活は守れぬと思うのですね。ああでもない、こうでもないと言って、援護みたいなことを言うのは、私は聞きたくもないと思うのですよ。ですから、私の聞いておることが正しいのか、正しくないのか、ある程度はっきりしてもらいたいと思うのです。
  28. 仮谷忠男

    仮谷委員長 熊谷石油部長、できるだけ簡潔に答弁してください。
  29. 熊谷善二

    熊谷政府委員 灯油の問題につきましては、三百八十円店頭渡しということで、強力に行政指導するということで今後まいりたいと思っております。関係の販売店その他におきましても、政府の方針に協力するという決議をいたしております。それをベースに、店頭で三百八十円を実行させたいと、各通産局を通じて、この状況を監視させておるわけでございます。  なお、消費者のほうから、売ってくれないケース等の話がございましたら、さっそく、私のほうから、その販売店に対しまして注意を喚起をいたします。そういった悪質な業者に対しましては、場合によりますと、出荷の制限といったようなことも考えたいと考えておるわけでございます。  それから、第二点の価格の問題につきましては、石油製品が上がることによりまして、各産業の価格にも重大な影響を与えますので、極力低く押えるよう行政指導をいたしておるわけでございますが、石油の——先ほどちょっと申し落としましたが、まあ、大ざっぱに申し上げまして、ことしの一月から六月、前半は、製造原価というものは、平均的なものは、キロリットル当たり一万円程度かと思います。先ほど申し上げました最近の原油の値上がり状況等を勘案いたしますと、約四、五千円というものが、原油価格並びにフレートのアップ、あるいは為替レートのアップといったものによって上がってきておる状況でございます。しかも、将来高い原油でも買わなければ量が確保できないという国際的な状況下にもございまして、これをいつまでも価格を据え置いておくということも、企業としては、やはり無理がございます。ある程度値上がりはやむを得ないかと——それもまあ程度の問題はございますが、しかし、いやしくも便乗値上げということにはならないように、私どもとしては極力指導してまいりたいと思っております。
  30. 美濃政市

    美濃委員 また、あとの質問者が価格問題はもっと煮詰めてくれると思いますので、時間の関係で、価格問題は、私の場合はこの程度にして、あとの質問者にさらに譲ることにして、ここでさらに聞きますが、たとえば、いま差し迫っております施設園芸の暖房用の油、これがなければ、施設園芸は、高いビニールハウスをつくっても、生産目的が完遂されない。そのことは、直ちに春先の野菜高にはね返ってくる。それから、さらに重要なことは、いまのような状態で年が明けて、来年の春先を迎えまして一いまは、米から、あるいは農作物全体が規模拡大をして、ほとんどトラクターであります。昔は馬や牛で耕しておったのだけれども、いまは全部トラクターでありますから、馬や牛で耕すといったって、いまはもうそういう時代ではなくなってきました。そこで、この春先の油に事欠くと、ものすごく生産が停滞してしまうと思うのです。このことは、工場であれば、一週間や二週間油が切れて操業が停滞しておっても、その後に油を入れれば、それでたいした大きな支障もなく、停滞部分だけの支障で終わりますけれども、農業は、播種季を逸した場合には取り返しがつかぬわけです。播種季を失したあとに油を回したって、それはもう間に合いませんから、秋の収穫には間に合わないということになります。これは、いまから全責任を持って、そういうことを起こさないようにするというだけの自信が農林省当局としてはありますかね。どうですか。
  31. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 それは実際大事な話です。農林全体として八・六%の油の量だ。ところが、この十二月のハウス園芸なんというのは、農林全体の中でも、実際のところごく微々たるものなんですよ。来年の四月、五月になって、耕うん機やトラクターが一斉に動き出すというときにはかなりな量になりましょうが、いまのところは、もう微々たるものなんです。ただ、団体がそれだけの量を、はたして下の一軒一軒の農家から積み上げてきたのかどうなのかという議論をいまやっておっては、二カ月かかったって、三カ月かかったって、そんな正確なものは、現実問題として出ません。したがって、農協が売っておるビニールでどの程度やっているかということは、農協はわかっているのですから、それに必要な量なんというものは、日本石油全体から見たらごく微々たるものなんだから、実際問題として、こういうものはあまりへ理屈を言わぬで、アバウトかもしらないが、どこの県連の農協に対して幾らずつ優先的に売りなさいという指導をやってくださいということで——業者との権益がどうだとか、はたしてその量が正確であるかかとか、不正確であるかとか、こまかい正確なデータをつくれなんて言ったら、これは二カ月かかりますよ。だから、大体の見当をつけて、この際は油を流してくれ、それによって、業者から買っておって——業者から買ってない人はどうするんだという話もすぐ出ますが、しかし、業者から買っている者は業者のほうでやってください、それがいやなら農協のほうで見てあげましょうということになれば、お客を取られるのはいやだから、横流しばっかりしていられないのだから……。多少おおよその話でもいいから、そういうやるという姿勢をきちっと示しなさいということで、いま通産と交渉しているのです。ですから、それは万遺漏のないように、この二、三日中にやるということでいまやっていますから……。
  32. 美濃政市

    美濃委員 そういうことでやるというんですから、それは絶対やってください。  それから、いまお話しのありました春先の分、これは播種季をのがしてはもう取り返しがつかぬわけです。これはまだちょっと期間がありますが、その流し方としては、きのうも、参考人からも非常に強い要請がありましたが、流し方の実績シェアは別として、総量を把握して、総量に対して手配をする。これをぜひ確保してもらいたいと思うし、それができなければ、油問題以上の食糧危機問題に転化するわけです。これは特に熊谷石油部長答弁を求めたいと思いますが、とにかく、農林、通産協議して、このことを欠かしてはならない。これはもう大混乱どころか、食糧危機の暴動が起きますから、たいへんなことになりますから、熊谷石油部長の決意を聞いておきたいと思います。あなただけの決意でなくて、帰ったら、大臣にも伝えて、きちっとしてもらいたい。
  33. 熊谷善二

    熊谷政府委員 農林関係物資につきましては、閣議決定でも優先的な扱いということになっておりますので、私のほうとしては、最善の努力を講じたいと考えております。  なお、農林省とも、現に、この件につきましてお打ち合わせを進めておりますが、今後も密接な連絡をとりながら、本件の円滑な実行ができるよう、そういう方向で努力をいたす所存でございます。
  34. 美濃政市

    美濃委員 次に、その他肥料、それから塩化ビニール、この関係状況説明をちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  35. 仮谷忠男

    仮谷委員長 美濃委員に申し上げますが、ちょっと資料を整えていますから、少し進めてみてくれませんか。いまの御質問の……。
  36. 美濃政市

    美濃委員 資料は要求します。きょう直ちにでなくてもいいから、早急に。(「直ちにだ」と呼ぶ者あり)直ちにできますか。——直ちにできれば、この委員会の、きょうのうちに……。あとの質問者の都合もありますから……。
  37. 仮谷忠男

    仮谷委員長 本日の委員会中に準備をして出さすようにしましょうか。
  38. 美濃政市

    美濃委員 資料がきょう出してもらえるのであれば、時間の関係もありますから、口頭の説明はよろしゅうございます。
  39. 仮谷忠男

    仮谷委員長 本日中に出さすようにいたします。
  40. 美濃政市

    美濃委員 いいですね。すぐ出してもらえますね。——それでは、私の質問は終わります。
  41. 仮谷忠男

    仮谷委員長 島田琢郎君。
  42. 島田琢郎

    島田(琢)委員 美濃委員の質問の中で、政府側の答弁を聞いておりますと、私は、いま農家が置かれている危機感というものが、解消されるどころか、一そうその不安が高まっていくという感じがいたしてなりません。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 こういう重大な時局に直面して、抽象的な考え方答弁ではもはや相済まぬわけであります。特に、熊谷部長説明を聞いておりますと、いままで、通産省は、石油に対して本気になって取り組んできたのかどうかということについては非常に疑問があります。もっと真剣な受けとめ方をしてもらわないと、石油というよりも、さらに深刻だと言われている今日の食糧問題の解決はとうていおぼつかないという感じがいたします。特に、渡辺政務次官はきょう決意のほどを述べられましたし、私どもは、あなたの政治力、実力については、ある意味では自他ともに認めているところであります。しかも、そういう点では、あなたが政務次官になられてもう、ずいぶん幾日かたっておりますし、この石油の問題に直面した政務次官としては、たいへんやりがいのあるときだろうと思うのですが、しかし、内部に対してはさっぱり威令が行き渡っていないという感じであります。それでは、天下に名だたる渡辺美智雄の名がすたると思うのでありますが、先ほど、政務次官は、この二、三日中に石油問題は解決すると、非常に強い決意のほどを示されたのでありますが、しかし、受けて立つ農林省側内部あるいは通産省の姿勢がそういうことでは、政務次官が幾ら力んでもこの問題は解決しないのじゃないかと私は思うのです。これは、熊谷部長に幾らここで決意を示せと言っても、できっこないことですけれども、これからの私の質問に対しても、こうするのだということをもっと具体的に示してもらわなければ、きょうの論議は不毛になってしまうと思うのです。  そこで、まず冒頭に、政務次官がこの二、三日内にこの問題の解決をすると決意された、その決意のほどを、内部で具体的にはどのように進めていくのかを、もう一度政務次官から伺っておきたいと思います。
  43. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどから再々お話しをいたしておるように、当面の石油を確保するということについて、いま両省で話をしているのです。話をしているのですが、いま言ったように、数字が詰まらぬとかどうとか言っているから、そんなことよりも、おおよそのワクでいいじゃないか、通産大臣もそれでいいと言っているのだから、だから、それで今明日中にでも詰めなさいと言っているわけです。そして、まず安心をさせなければ一番困ることなんですから、ですから、農協なら農協にそれだけのワクをあげますよ。全体の施設園芸用の石油というものはたいしたことはないんですよ。ですから、至急これをやりなさいと言っているのです。これはもう今明日中にやりたいんです。それで、農林省のほうも、通産省のほうも、いま、徹夜で、お互いに資料を持ち寄って詰めているというまっ最中なんで、そんなにのんびりしたことはさせませんから、ひとつ、いましばらく待っていただきたいということが一つ。  それから、もう一つは、通産省も、自分自身が直接石油を持っているわけじゃない。業界が持っておる。通産省それ自体は持っていない。だから、ともかく、そうはっきりした命令がかけられない。まあ、法律上で言えばそうかもしれませんよ。そうかもしれませんが、それは、この際、言うことを聞かない業者は、ほかの方法で少しぱちっと見せしめをつけてやらなきゃいけないことなんだから、そこらのことの行政指導はできるじゃないかということ、そして、その裏には、石油需給適正化法案というものがいまかかっておって、これも読んでみると、言うことを聞かないやつは公表するよとかなんとか書いてあるけれども、こんなことじゃ、おそらく、言うことを聞かないやつは聞かないかもしらぬ。そのかわり、最後のほうには、割り当てというようなもの等も政令で出せばできることになっておるのですから、いまのうちから、場合によっては、一月以降の問題については、配給切符ぐらい準備をして、やらないやつはもう配給の権益から落っことしちゃうというぐらいの強い姿勢を示せということを言っているわけです。  それから、農林省の中は威令が行なわれておりますから、御安心をいただきたいと思います。
  44. 島田琢郎

    島田(琢)委員 政務次官は時間の関係があるそうでありますが、石油問題は、次官が戻られてからもう一度やりたいと思います。  そこで、その前に、いま、石油と同じように非常に心配されている農業用資材の問題がありますが、その一つは農機具の問題であります。先般、私も、選挙区を回わりましたときに、農協や、農機具メーカーの人たちからいろいろと実情を聞きましたが、来年のトラクターをはじめとする農機具の需要に対して、現状では一〇〇%応じきれないかもしれない、むしろ、応じきれないというのが見通しとしてはほんとうだ、こういうふうに、実は、われわれに真相を話してくれております。しかも、かりに資材が手当てできたとしても、いまの価格の三〇%ないし、その機械によっては五〇%の値上げをしなければならないという実情にあるということが言われております。  それで、このトラクターをはじめとするいわゆる農機具の中で、一番問題になるのは鉄鋼資材でありますが、この見通しについてはどのようになっているのか。これは農林省が答えるのがいいか、それとも、通産省でつかまえておれば、通産省の側からお答えいただいてもいいわけですが、この見通しをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  45. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答えいたします。  農業機械の生産額は、四十八年は非常に旺盛でございます。それで、二千二百億程度と見込まれます。さらに、先生がいまおっしゃったように、今後も需要は相当強いようでございます。  こういうような需要に対しまして、農業機械の生産財でございます鉄鋼等の確保につきましては、まず、鉄鋼でございますが、おおむね確保されるものと考えております。ただ、電力の使用制限等によります操業の短縮、それからタイヤ等の部品の入手難等が心配されておりまして、供給需要に応じられなくなるおそれもないわけではございません。そこで、通商産業省のほうとも連携をいたしまして、これらの対策を進めまして、農業機械の確保につとめてまいりたい、かように考えております。そういう状況でございます。
  46. 島田琢郎

    島田(琢)委員 鉄鋼材の見通しについてはある程度持っている、しかし、そのほかの部品なんかが入手難という事態が起こってくる危険性がある、こういうことでありますが、実際には、トラクターの製造業者は逆に言っていますね。鉄鋼材の手当てがなかなか困難なので、需要に応じ切れない、また、値段もそう安く出せないと言っているのですが、この辺は状況把握に間違いがあるんじゃありませんか。
  47. 二瓶博

    ○二瓶説明員 鉄鋼のほうは確保できるだろうということで御答弁申し上げたのですが、問題は、やはり値段との関係、これはあると思います。値段のほうは、鉄鋼のほうも、今度の石油なり電力の使用節減関係もございますし、そういう面はあろうかと思いますが、物としてはだいぶ確保できるんではないかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。
  48. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうすると、四十八年度の二千二百億の総需要に対して、現時点では何%ぐらい満たされておるのですか。
  49. 二瓶博

    ○二瓶説明員 四十八年度の需要に対しまして、若干は不足ぎみという感じはございます。
  50. 島田琢郎

    島田(琢)委員 「若干は」の、あとが聞こえないんだが、何ですか。
  51. 二瓶博

    ○二瓶説明員 若干は、不足ぎみと……
  52. 島田琢郎

    島田(琢)委員 「不足ぎみ」——そのところを大きく言わないと……。
  53. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ああ、そうですか。どうも申しわけございません。  そういうことでございます。
  54. 島田琢郎

    島田(琢)委員 どうも、歯切れが悪いですな。政府答弁者は、どうかひとつ歯切れよく言ってくれませんか。私も、ふだん使わないでかい声を出していま皆さんにお尋ねしておりますから、負けないように大きい声でひとつお答え願いたいと思うのです。  そこで、若干は不足であるという、その「若干は不足」が、四十八年度は、若干の不足を何らかの努力で補い得たとしても、来年はそれがうんと広がっていくという、そこに業者がいま危機感を持っているのですね。危機感を持っているのですよ。ですから、四十八年度は何とかかんとかこれは乗り切れるかもしれぬが、四十九年度以降になったら、まことに見通しが暗い。私は、農機具メーカーを五軒回ってきたのです。農家の皆さんが非常に心配しているものですからね。そこで、私は、ごさんぱちでものを言っているんじゃありませんよ。調べてきた上で、皆さんの実態をつぶさに調査をした結果をいま申し上げているわけですけれども、いまの審議官お話しは、どうも自信がないようですね。これは、お調べになっていないんじゃないですか。ひとつ早急に調べてください。これはたいへんなことであります。  そこで、輸入関係ですけれども、これは通産省にお答え願いたいのですが、トラクターをはじめとする農機具の輸入見通しはどうですか。
  55. 二瓶博

    ○二瓶説明員 トラクターの輸入関係でございますけれども、外国からの輸入ものというのは、これはほとんど大型機械でございます。これにつきましては、現在のところ、入荷困難というようなことは聞いておりません。
  56. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これは、価格的にはどうですか。大体の見通しとして、本年の価格に対して、どれぐらいの価格で来年度の見通しが立てられそうですか。
  57. 二瓶博

    ○二瓶説明員 価格のほうは、やはり、若干上がってまいっておることは事実でございます。ただ、具体的にどのぐらいのパーセントということは、ちょっといまのところ申し上げかねますが、そういう状況でございます。
  58. 島田琢郎

    島田(琢)委員 委員長から注意をしてください。肝心なところになると、声が小さくなって聞き取れないんですね。  いま、若干の値上げがありそうだと言ってますけれども、ここが問題なんです。それは外国そのものの輸出価格が上がるのか、それとも、国内のいまの物価高というやみに乗じて、便乗して、この面にまで価格をつり上げていこうとするような国内業者、いわゆる輸入業者を含めての国内業者の、そういう思惑が働いてくる危険性がここに出てくるんですね。ですから、しっかりとその事実をつかまえておいてもらわないと、行政指導も、法の運用もできないんですね。その辺を私は聞きたいんですけれども、もっとはっきりとおっしゃってくれませんか。
  59. 二瓶博

    ○二瓶説明員 農機具につきましては、十二月から、平均しまして一四%ほどの値上げに相なりますが、それとの関連で、輸入の農業機械も大体横並びのかっこうで上がるのではないかと、かように推測をしておるわけでございます。
  60. 島田琢郎

    島田(琢)委員 国産が一四%十二月から上がった。それにつれて、外国も大体それぐらいの水準で上がる。その、上がった原因はどこにありますか。(「担当課長でもいいじゃないか」と呼ぶ者あり)担当課長、来ているんですか。——はい、それじゃ直接答えてください。いま私の申し上げたのは、国産が一四%上がる、それに大体応じて、外国からのいわゆる輸入物も上がりそうだということですが、その、外国の一四%は、どこに原因があって上がるのか、そこを聞きたいんです。
  61. 前田耕一

    ○前田説明員 たとえばトラクターにつきましては、主として英国が多いわけでございますけれども英国のFOB価格そのものが上がっておるわけでございます。それから、輸入商社の国内経費も上がっているということ、その両方だと思います。
  62. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうすると、むしろ逆なんですね。外国のFOBが上がってきたから国内のものも上げざるを得ないというふうな、そういう相関関係というのはどこにあるんですか。国内でつくっているものと、外国から入れてくるものとの間で、片方が上がると片方も上げざるを得ないなんという、相関関係がなぜ生まれるんですか。
  63. 前田耕一

    ○前田説明員 厳密には、相関関係ございません。国内価格が上がりましたのは、先生がおっしゃいました鉄鋼の価格の値上がり、これが非常に大きな原因があったわけでございます。  それから、もう一つは、下請賃金、下請工賃、これが非常な値上がりをしておりまして、それを主たる原因としまして、十二月時点におきまして、平均一四%値上がりしたわけでございます。  外国機械の値上がり状況については、後日調査いたしましてお知らせしてもいいと思います。私ども、現在においては、詳細な把握をしておりませんけれども、FOB価格が上がっておることは事実のようでございます。それから、国内の諸経費が上がっているということも事実でございます。それにつられて上がっている。だから、国内の価格が上がったから、それにつられてというふうにおとりにならないでけっこうでございます。
  64. 島田琢郎

    島田(琢)委員 じゃ、後ほど、その内容は資料によって明らかにしてください。  そこで、先般、麦の増産対策農林省は打ち出しました。いま、現実に、秋まきの小麦を中心にして、相当作付増になっている。いわゆる作付が増加された。そこで、いま現地で非常に心配しているのは、せっかくまいて面積をふやしたけれども、来年の収穫が心配であるということが言われております。それは、すでに、農林省にも、数字的に、地元のそれぞれの施設関係を含めた要求としてあがっておりますね。  これの金の手当てについては、これから、四十九年度の予算の中でこの問題がきめられていくわけでありますけれども、予算はついたけれども、トラクターをはじめとする収穫あるいは乾燥調製といった一連の施設の見通しについては、まことに暗いのではないかというふうな取りざたが現地でなされております。農林省としては、せっかく麦増産対策を進めたのですから、こうした現地の来年の収穫期に向けての不安を解消する責任もあると思うのですが、その見通しをひとつ伺っておきたいと思います。
  65. 二瓶博

    ○二瓶説明員 国内産麦につきましては、明年から緊急麦対策を講ずるということで、現在、各県の協力も得まして、鋭意進めておるわけでございます。明年は、作付面積等もだいぶふえる見込みでございます。その際に、ただいまお話しのございましたような必要な資材その他の手当ての関係、これはどうかというようなお尋ねでございますが、四十九年産麦の生産に必要な農業資材等につきましては、まず、トラクターあるいは乾燥調製施設というようなものの稼働に必要な燃料、あるいは追肥用の肥料、あるいは農薬等につきましては、通産省なり関係の方面とも協議をいたしまして、必要量の確保につとめてまいりたいというふうに考えております。  それから、収穫のほうの関係でございますが、このためのコンバインなり、あるいは乾燥調製のための施設でございますが、これらにつきましては極力既設のものを活用いたしますほかに、これら機械施設の不足します地域につきましては、新たな導入について、現在鋭意検討中でございます。具体的には、北海道のほうなどからも強い要望がございまして、具体的に道庁のほうからもいろいろ事情を伺っております。いずれ予算がきまると思いますけれども、その辺の決定次第措置をいたしたい、こういうふうに思っております。
  66. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、鋭意努力する、善処するということを聞いているのじゃないのです。こうしたものが具体的に積み上がってきているが、それに対して、資材、トラクターをはじめとするいわゆる建物、資材というものの見通しについてはどうですかと聞いたわけですが、その見通しはわかっていないのですか。
  67. 二瓶博

    ○二瓶説明員 いろいろ努力したいということで申し上げたのですが、その際に、見通しなり何なりがほんとうに確定的に十分であるかどうかというお尋ねでございますが、まあ、私たちとしては、極力そういう必要量というものは確保するという線でやっていきたいということでございます。
  68. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうすると、これは、要求に対してどれぐらいの予算がつくかというのは、これからの仕事になるわけですが、現地は、このように資材も不足をしているという時期に入っているし、不足をしている資材も値上がり傾向にある。だとすれば、一刻も早く見通しを立てて、手当てをしていきたいという希望を持っていますが、これが来年の四月、五月、六月に延びてしまうと、そのときになってでは、いわゆるどろなわ式の手当てにしかなりませんから、その点を、いま現地は非常に心配しているのです。ですから、せっかく麦の増産奨励をおやりになるんだから、畑では実ったけれども、それが食糧として生きないということでは何にもならぬわけです。その大事な一連の増産対策の中に組み込まれている、この諸資材の手当てについて、いま、現地は非常に困難と不安を感じているという実態だけは承知していられると思うから、何はともあれ、その分は、この対策の中できちっと確保するという決意がなければ、いま、雪の下に小麦が眠っていますが、これは来年は収穫できなくて、畑にすき込まなければならぬというような事態になってしまう危険がある。ですから、私は、この問題についての見通しを持っておられるかどうかをいまのうちに明らかにしておいてほしい。そうであれば、皆さん安心するわけですね。そういうことを私は申し上げたわけです。これから極力、鋭意努力するという答弁でありますが、極力、鋭意ということばは、あなた方の立場で言うと、これは最高のことばとわれわれは受けとめておりますから、これは万粗漏のないようにやっていただきたいと思います。これ以上質問しても、なかなか内容がはっきりしていないようでありますから、これも、後ほどまた関係窓口と私どもは詰めて、ひとつこの手当てに粗漏のないようにしていきたいと思っておりますから、しっかりと腹に据えて、この対策に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、その次に移りますが、先ほど美濃委員から、肥料の問題について最後にちょっと触れました。資料要求で終ったわけでありますが、この肥料は、現在、国内でどれぐらい生産されているのか。この窒素、燐酸、カリ総体の量ですね。そして、国内の使用量はどれぐらいか、輸出はどれぐらいか、さらにまた、どれぐらいの値段になっているのか。国内価格、それから輸出価格というように区分してお示しを願いたいと思います。  それから、いま、肥料問題で巷間非常に騒がれておりますのは、窒素、燐酸の原料になります燐鉱石が、輸入先国で非常に値上がりをしている。こういう事情を背景にして、国内産の肥料が大幅値上げをしなければならぬということになっているというふうに伝えられておりますが、この真相はどうなのか。従来は、どこからどれぐらいの量をどれぐらいの値段で入れてきていたのか、そして、それは原料に対してどれぐらいのウエートを持っていたのか、この辺が知りたいところでありますので、この席で発表できるあとう限りの資料説明願いたいのと、もう一つは、先ほど美濃委員から資料要求のありました分に加えて、ひとつ数字を明らかにしていただきたいと思います。そういう意味では、これを資料にして出していただきたいと思います。——これは、課長直接でいいですよ。
  69. 前田耕一

    ○前田説明員 御承知のように、窒素肥料を除きます燐酸肥料及びカリ肥料につきましては、燐酸肥料の場合は原料、カリ肥料の場合は、その肥料全体が輸入に依存しておりまして、四十七肥料年度の燐鉱石、カリ肥料の実績は、燐鉱石におきまして、大体三百三十万トンでございます。カリ肥料で、約百二十万トンを輸入しているわけでございます。  大体、各月平均輸入されておりまして、十二月までは、いまのところ予定どおり入津の見込みがついておりまして、七月から九月までにおいて、大体七十八万トンの輸入が見込まれておるわけでございます。  今後の輸入につきましては、外航船舶の燃料の確保が必要になっておりまして、この点につきましては、その他の農産物質とともに、通産省及び運輸省並びに外務省に対しまして、その確保方につきましてかねがね協議中でございます。  カリ肥料につきましても、燐鉱石同様、十二月までは大体予定どおり入津の見込みが立っておりまして、この外航燃料の確保につきましても、同様に現在強く協議中でございます。
  70. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私の質問したことに対して、全部お答えになっていないわけでありますが、これはひとつ資料要求で中身を明らかにしていただきたいと思います。  十二時で一応質問を打ち切るというような話でありますが、一つだけいまの肥料で——従来問題になっていますのは、国内で使う肥料の値段と、国内生産をして輸出をする価格とにたいへんな開きがあるのですね。これがわれわれの理解のできないところなんです。国内の農家に優先して安く使わすという方針がくずれているんですね。国内で使う価格に比べて、輸出価格は六割程度だ、千円の品物は六百円で外国に出しているというようなことがずっと続いてきたんです。その点、中身を明らかにしてほしかったわけでありますが、私の申し上げていることについて、現状のそれはおわかりですか。
  71. 前田耕一

    ○前田説明員 先生がおっしゃいました状態が続いております。特に、中国貿易につきましては、この春の契約によりまして若干改正されまして、いま、ことしの七月の時点で比較しますと、中国貿易の取引価格が、国内価格の大体八五%くらいに、若干上がってまいっております。なお、東南アジアその他からの、特に窒素肥料の引き合いは激しいものがございまして、それとともに輸出条件も好転してまいっておりまして、インド、フィリピン、インドネシア等におきましては、現在におきまして、国内価格より上回る価格で取引がなされておるという状況でございます。  私どもとしましては、従来、特に、中国貿易における取引条件と国内の条件との相違につきましては、強く通産省にも申し入れておるわけでございますけれども、特に、最近のように、肥料自体、国内生産状況自体が逼迫しておりまして、国内の価格も上げざるを得ないというような情勢も来ているようでございますので、この際外国への輸出取引条件と国内条件とを合致させるべきであるという強い要請をやっておりますし、全農も、強く業界にそういう要請をやっておるところでございます。
  72. 島田琢郎

    島田(琢)委員 この際、あとの質問は本会議以後に譲りまして、打ち切りたいと思います。
  73. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩      ————◇—————    午後一時三十六分開議
  74. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  75. 島田琢郎

    島田(琢)委員 午前中に引き続いての質問でありますが、先ほどは肥料問題についてお尋ねをしておりましたが、政務次官がおられないと、どうも農林省は士気が落ちてしまって、何を言うておるのかさっぱりわけがわからぬで、ただ時間の冗費に終っているのはたいへん残念なことでありますので、この機会に申し上げますが、先ほど次官は、内部に威令は行き渡っておるとおっしゃっておりますけれども、非常に歯切れが悪くて、実は、問題の焦点が浮き彫りになっておりません。  そこで、政務次官にお尋ねをいたしますが、肥料問題で先ほど質疑をいたしました中で明らかになりましたのは、四十九年度分の肥料の見通しについては、値段の上で必ずしも明るくない、非常に値上げ要素があって、それが今後の肥料の値段に大きくはね返ってきそうな形跡である、こういう点が明らかになりました。それから、もう一点は、従来もわれわれは言ってまいりましたけれども国内でわれわれが使う肥料と、外国に輸出をしている肥料の値段が違います。これは高ければ文句ないのですけれども、われわれが使っている肥料の六〇%ないし八〇%、実は、安く輸出をしているということが言われております。私どもは、その差額は国内の農家が負担をしていると、逆に言えば、そういうことも言えるのではないかと思いますし、今回燐鉱石の輸入の問題をめぐりまして、価格が相当引き上げられるというふうな中にあって、こういう点をカバーすることによって、国内価格をそれほど上げなくてもいいのではないかというふうな、きわめて単純な意見でありますけれども、感じを持っております。何もかも上がる、資材は上がる、石油問題の追い打ちはかけられるということで、農業の分野においては、この先の営農が非常に心配されているわけでありますが、重ねて、肥料がそういう事態になるということも考えますときに、価格対策の面では非常に行き詰まりのある今日、こうした問題になる点を是正していくということも、これからのいわゆる農業構造を改善していく上では、非常に重要な点ではないかと思いますので、この点、政務次官として、全力をあげて取り組んでいただきたいと私は思いますが、この肥料の問題について、お考えのほどを承っておきたいと思います。
  76. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 肥料の問題は、御承知のように、いままでは過剰基調で、輸出の大部分は中国に輸出されておったことは御承知のとおりであります。輸出価格について、国内価格よりも国際価格のほうが安い。外国に輸出するということになりますと、どうしても国際価格で競争する。どこの国でも多少ダンピング的な傾向が強いために、中国に入っておる外国の肥料を見ても、アメリカなりあるいはドイツなりの国内価格と輸出価格というものは、必ずしも同一ではありません。そういうような点で、日本でも、国際シェアを獲得するというような点で、それらの国際価格に合わせて入札に勝って輸出をしておったというのが実情であります。しかしながら、国内の肥料の需給が逼迫をするというような状態でありますれば、新たな観点に立って、これからともかく考え直す必要がある。肥料二法との関係もございますから、これにつきましては、新しい事態に対処して、国内に不安の起きないようにこれは善処をしてまいりたい、かように考えております。
  77. 島田琢郎

    島田(琢)委員 きょうは農業用資材全搬にわたって質問をしているものですから、いささか掘り下げが足りないうらみがあって、自分でももどかしさを持っているわけでありますけれども、しかし、今日の農民の間に不安として広がっている点のすべてを網羅するということはできませんけれども、こうした石油に始まって、農機具、肥料、そして飼料に至るまで、相当大きな動揺が現場に起こっているという事実を考えますときに、真剣になってこうした問題点の解消のために努力をしていただきたいと思います。この肥料問題というのは、これには法律もあることでありますから、別な時期に、徹底して時間をさいて議論をしたいと私は思っておりましたので、今回は、いまの政務次官の決意のほどを聞いたのみにとどめておきますけれども、これも、いまもうすでに肥料の倉庫入れが始まっております。農家の庭先に配られているわけでありますが、値段の問題がはっきりしていないので、現場では、とるにはとったけれども、一体どれくらいになるのだろう、目の玉が飛び出るほどの肥料代になってしまうのではないかというような不安がありますので、これは早期に解消していただくような行政措置をこの際お願いを申し上げておきます。  それから、次に、飼料であります。えさでありますが、えさにつきましては、本年たび重なる値上げが行なわれて、経営の上にもたいへん大きな圧迫を見ておるのは御承知のとおりでありますが、年内のえさのことよりも、来年、年明け早々に、再び、三たびえさの値上げが行なわれるのではないかということで、現場では、これまた非常に不安がございます。それで、今後の見通しをまず承っておきたいと思いますし、その中からまた問題になる点について、対策として、どのように取り組もうとされているのかについて、この際お尋ねをしておきたいと思います。  聞くところによりますと、一月分は何とか現行で押えていく方針であるが、二月以降については非常に見通しが暗い、ということは、値上げ要素がある、しかも、かなり大幅である、こういうふうに実は巷間伝えられております。私どもも、こうしたうわさの域を出るような議論はできませんけれども、しかし、かなり信憑性をもってこのえさの値上げという問題が論ぜられております経過から見て、この際、こうした点の将来に対します政府当局の姿勢のほどを伺っておかなければならぬと思い、質問をした次第でありますが、いま申し上げました二点について、ひとつ明確なる御答弁をお願いいたします。
  78. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 えさの問題は、御承知のとおり、これは外国に依存をしておるということでありますし、ことに、アメリカの作況というものが重大な影響を及ぼすわけであります。去年は、アメリカ生産制限をトウモロコシ等においてやっておるし、あるいは、ソ連、中国等が大量の小麦の買い付けをアメリカで行なったというようなことが影響したわけであります。ところが、最近の情報によると、ソ連はことしは大豊作である、そのために、去年のような小麦の買い付けをしないであろうということが言われております。ところが、その反面、石油削減というような点から、アメリカのほうでかりに増産をいたしましても、なかなか船の融通がうまくつかぬ、あるいは石油が上がるというようなことになってまいりますと困ると思っておるわけでございますが、現在のところは、ごく一部の船舶の入港遅延というようなものが見られておりますけれども、それほど国内に悪影響を及ぼすというような見通しではありません。しかしながら、やはり、石油の問題等のように、突如としていろいろな問題が起きることでありますから、いろいろなことを想定して、万全の策をいまから考えて、えさの逼迫とか、あるいは急激な値上がりというようなことのないように対処をしてまいりたいと考えております。
  79. 島田琢郎

    島田(琢)委員 次官の決意のほどは伺いましたが、直接の窓口であります畜産局としては、この飼料対策をどういうふうにお考えですか。
  80. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  ただいま次官からお答え申し上げたとおりでございますが、本年は、昨年秋以来の国際的な穀物の需給の逼迫ということを背景にいたしまして、買い進みと申しますか、買い付けが、通常の年に比べましてかなり促進をされてまいっております。したがいまして、在庫の量でございますけれども、これは通常一月と言われておりますけれども、これをかなり越えておるというような状況でございまして、ただいままでの状況で進みますれば、一月末には百二十万トン程度の在庫があるというようなことでございまして、当面は、私ども石油問題等を踏まえましていろいろ努力を重ねなければならないと思っておりますけれども、当面の需給にはさほどの心配はないものと考えております。  それから、価格の関係でございますけれども先ほどの次官のお答えにございました前半の要素、これは、ことしは、アメリカで、ただいまのところ、まだ確定いたしておりませんけれども、史上最高の記録ということに相なっております。これはプラスの要素でございまして、八月の相場に比べまして、トウモロコシ、マイロともに水準が下がっております。これはプラスの要素と考えております。しかし、反面、海上運賃の上昇、あるいは円とドルとの為替の関係というようなものがマイナスの方向に働いておるというような事情にあるわけでございまして、今後、これらの両要素を十分見守ってまいらなければならないというぐあいに考えております。  なお、値上げにつきましての御質問でございましたが、私どもは、飼料メーカー側からの値上げにつきましてのお話しはいまだに受けておりませんので、今後、ただいま申し上げましたような点を十分勘案いたしまして指導をしてまいりたいと考えております。
  81. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それでは、農林省承知していないのに、飼料メーカーが、非常に無責任に値上げのムードをあおっているということになりますね。私がこの間北海道へ帰りましたら、北海道で大会が開かれましたが、その議題の中で、二月以降の飼料値上げ問題を阻止するということがあって、その説明の内容を聞いておりますと、メーカー側の飼料値上げは必至であるというふうなことが、実は、印象で受けとめられておるわけであります。そういう点は、政府当局と十分協議をした上で、慎重を期すような行政指導も一事前にやっておきませんと、そういうムードをみずからつくっておいて、あとから値上げをしてくる。まさにこれは悪質な便乗であります。こういう点は行政指導をきびしく強めていただきたいと思います。  それでは、次に、石油問題を最後に残しまして、加工原料乳と飲用乳の関係につきまして、若干のお尋ねをいたします。  まず、加工原料乳の問題でありますが、先般政府と自民党の間で協議がなされて、すでに発表がされておりますけれども、今回のいわゆる十五億支出の問題でありますが、これは、具体的にどういう中身になっているのか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。  そこで、前段に私からいろいろと実情を申し上げておくほうがよろしいと思いますが、特に、構造改善派であります渡辺政務次官にぜひとも今後お考えを願わなければならぬ点もありますので、この際、乳価問題をめぐりまして、現地に起こっておるいろいろな事情ども率直に申し上げて、それこそ善処をお願いしたいと思っているわけであります。  この春に、実は、四十億支出の問題が出てまいりました。私どもは、こういうつかみ金方式については、非常に適当でないということで反対をいたしましたが、しかし、この四十億支出がきまったわけであります。これは二カ年でありますから、この四十億のうち、二十五億ですか、四十九年度で残りを出すというやり方であります。しかし、現実にこのお金がわれわれの手元に入ってきたというのは、ごく最近でございます。半年以上たって、ようやくいまお金が入ってきているという実態であります。しかも、私どもがいろいろと調査をいたしました中で、この配分をめぐります段階でも、いろいろとそういう意見があったのでありますけれども、乳価の上に上積みをする方式と違いますから、この金が配分されるまでにはたいへんな作業が必要であります。労力も要り、あるいは紙も要る。そして、また、いろいろな形で説明会などの催しなども行なわれますから、そのための出張旅費、人件費等、たいへんなお金を使ってこの四十億の配分がなされるわけであります。日常畜産の指導に携わる農協の職員、あるいはまた市町村、自治体の職員は、この四十億配分をめぐって、この夏はほとんどまともな畜産指導ができなかったというほど、実は、四十億に振り回されたという感があるわけであります。そして、やれやれやっと農家の手元にお金がおくればせながら入ってくるわと思っておりましたら、今度は、また十五億。これも二月ということでありますから、五月ころになって畜産事業団繰り入れ。そうすると、幾ら早くても、また来年のお盆くらいでないと、このお金が入ってこない。これでは、それこそ、ことばのたとえは当たっていないかもしれませんが、仏つくって魂入れないような結果にしかなっていないのであります。これが、乳価の上に、今度の十五億を積んで、五十五億がぽんと積み上げられるのであれば、そういう煩瑣な事務、あるいはそのほかの経費をかけて、膨大な資料をつくって、お金をもらうなどということの必要がありません。そういう現場に起こっている実情というもの、これは、私が申し上げるまでもなく、政務次官はよく御承知のとおりだと思うのですけれども、こういう点が整理されていきませんと、行政の混乱、あるいはまた日常業務の混乱が起こって、せっかく出してもらったお金が、何もありがたみを持ってこない。ありがたい金になったとは言われないという点は、せっかくお出しになる政府としても、不本意なことではないかと私は思うのです。こういう点は今後改めていただくことが必要だ。結論として、そういう考えを私は持っておりますが、考え方のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  82. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどの四十億の話は、加工原料乳の乳価をきめたときに、その団体のほうから、その値段ではだめであるというようなことで、農林省と争いがあったわけでありますが、なかなか意見の調整がつかない。そのために、価格としてではなくて、酪農の振興対策費、こういうようなものの助成というようなことできめたのであります。したがって、もともとそういう要求が表面上はなかった話でありますから、その配分等について御迷惑をかけた点もあろうかと存じますが、やはり、あの場合としては、出さないことよりも出してやったほうがよかったのじゃないかというような気がするのであります。今回またキロ三円、加工原料乳について十五億の金を出すことにしたわけでございますが、これとても、予算の途中というような問題もあって、畜産事業団の益金の中から支出をさせるということにしたわけであります。しかしながら、農林省と酪農団体の間で、数字のとり方、生産費のとり方等について、もりと思想が一致できるようなことを考える必要があるということで、加工原料乳の計算のしかた、その基礎的な問題について、ともかく抜本的に一ぺん研究し直しなさいということを言ってありますから、お互いに客観的な数字というものはある程度納得せざるを得ないのですから、そういうような新しい計算方式を目下詰めさして、来たる三月の乳価決定には、その新方式によってきめてまいりたい。したがって、こういうような、ある意味では政治加算というような悪口を言われるかもしれませんような、そういうことでないような方法をこの次はとりたい、こう思っております。
  83. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうすると、いまの次官の御説明は、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。来年は、加工原料乳の価格決定の方式は、従来と違ったものに変えていきたいということに理解してよろしいわけですね。
  84. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 いままでの価格決定方式について、生産費のとり方等でいろいろ争いがあって、意見が食い違うわけですね。したがって、価格をきめる生産費方式それ自体のやり方を、どういうところに争うことがあるのかわかっているのですから、お互いにもう少し話をし、農林省農林省で新しい制度を研究して、最も合理的な、これならば生産団体としても納得いくだろう、世間さまに出してもこれならば了解してもらえるだろうという、そういうような両面からいままでのやり方を再検討しなさいと、そういうことになっているのです。ともかく、鋭意それをいま進めておるはずであります。ですから、そういうことで、いままでどおりの計算方式ではなくなるということは言えると思います。
  85. 島田琢郎

    島田(琢)委員 農業団体側の意向を十分取り入れ、政府側も納得をしてというお話しでありますが、その、政府側の納得でいつも壁にぶち当たるわけであります。生産者側の要求は、私ども自分で計算してみても、きわめて正当な要求であるというふうに受けとめているのです。たとえば、いまの試算方式の中で、牛舎で働く労働賃金も、牧草を生産する労働賃金も、同じ人が携わって、同じ内容を持っておるものだ、労働の質において変わりはない、これを一本化してくださいということを何年来言い続けてきているわけです。これが農業団体の一致した要求の、きわめて大きな点なんです。その点も今回は改めるというお考えに立っておられると理解してよろしゅうございますか。
  86. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 そこが問題なんですよ。これは、実は、酪農団体等からは、言うならば、所得補償方式といいますか、都市労賃と均衡させろという要求は数年来——これはわかりやすく言えば、米と同じにしろということなんだ。ただ、米と違うのは、米は、全国の都市労賃というものをことしとっておりますが、酪農のほうは、一道六県ですかの都市労賃というものをとっておるわけです。そこで、その中でもさらに、野らで働く仕事までも都市労賃にしろというのが皆さんのほうの——皆さんというか、団体のほうの要求なんです。しかし、その実態論から言うと、都市労賃をとっておるのは、管理労働といいますか、牛の管理というものはかなり高度の技術のようなんであって、しろうとがだれでもすぐに管理できるという筋合いのものじゃない。牧場の仕事は、もちろんこれは技術を要することではありますが、農家としては、一般的な、まあ、ちょっと仕事を教われば、そうきわめて高度というほどのものでもないので、牧場のほうの管理費はそのまま都市労賃に置きかえるということはいまのところ考えておりません。ですから、別に歯切れは悪くなくて、その点ははっきりしているわけです。それは、いまのところ考えておりません。
  87. 島田琢郎

    島田(琢)委員 きわめて大事な点で、とたんに歯切れの悪い答弁になってしまいました。きょうは、農業用諸資材、生産資材を中心にしての質問でありますから、これは後刻に譲ります。渡辺政務次官、私も、私自身の牛飼いを通して体験していることについての資料どもこの席で述べさせてもらいまして、大いにひとつ議論をしたいものだと思っておりますので、これは後日に譲らせていただきます。  そこで、石油問題に戻りますが、先ほど、エネルギー庁の熊谷部長から、これまた非常に自信のない、歯切れの悪い説明がなされておりまして、きょうテレビカメラで映し出されていたら、おそらく、あなたはあした東京都内を歩けないくらい、国民の皆さんから、何を考えているんだ、こんなことで石油なんて一体解決できるのかというふうに失望されるだろうと思うのです。そこで、それをいま追及してみても、時間的な余裕もありませんから、私は一つにしぼっていきますけれども先ほど農林関係、特に農業関係の一年間の石油消費量というものが示されました。これはガソリン、灯油、軽油、重油、全部含めて二億キロリットルが一年間、特に、四十八年度の農水関係で消費された石油の量であるというお話しがありましたが、この数字は間違っておりませんか。もう一度御説明願います。
  88. 二瓶博

    ○二瓶説明員 先ほど申し上げましたのは、四十八年度の石油製品需要見込みでございます。農林水産用合計といたしまして、千百二十四万六千キロリットルと一応考えております。そこで、農林以外も含めました揮発油、灯油、軽油、重油、この四油種についての総需要、これが二億キロリットルほどございますので、それに対しまして、比率として五・六%ぐらい、そのほか関連企業等もございますので、そういうものも含めますと八・五%ということを申し上げたわけでございます。したがいまして、農林水産関係では千百二十四万六千キロリットルと見込んでおると、こう申し上げたわけでございます。
  89. 島田琢郎

    島田(琢)委員 わかりました。  ところで、全国で、農業関係のトラクターは、大小入れて何台ありますか。
  90. 二瓶博

    ○二瓶説明員 四十八年一月におきますトラクターの関係でございますが、乗用型のトラクター二十八万三千台、歩行型トラクター三百三十一万二千台。トラクターはそんなかっこうになっております。
  91. 島田琢郎

    島田(琢)委員 一年間に使う燃料はどれくらいになっていますか。
  92. 前田耕一

    ○前田説明員 当局におきまして、ことしの九月に、下半期の農業機械の石油需要量をとっております。このときに、農業機械用と、乾燥施設用と、加温施設用と分けてとっておりまして、積算を調べますと、トラクターで幾ら要るかというのはわかるのでございますけれども、いま手元にちょっとございませんので、農業機械全体について申し上げますと、農業機械全体の下期の需要量は二百二十五万五千キロリットルでございまして、そのうちの揮発油、これは耕うん機なりあるいは小型トラックによる搬送ですね。輸送も入っておりますが、百万八千キロリットル、それから、灯油が五十五万四千キロリットル、軽油が六十八万キロリットル、重油が一万三千キロリットルでございます。この軽油の六十八万キロリットルの中心がトラクターではないかと思うわけでございます。
  93. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は時間のことを考えてしゃべっておりましたが、時間がなくなったそうでありますから、残念なことに、石油の問題はこれ以上詰められなくなりました。ただ、その実情を私はちょっとお話し申し上げておきたいと思います。  私も、去年まで、実は、トラクターを自分で運転をしておりました。私のところでは、六戸で共同経営をやっております。利用組合をつくっているのですが、大体毎年の量が、私の手元計画が立てられて、その消費なども十分六人で相談をしながら——これは決してむだづかいしている数字ではありませんが、参考までに申し上げますと、六十馬力のジョンデアーを使っております。このジョンデアーで、私どもの実際のトラクターの動く面積というのは五十六・五ヘクタールでありますが、これで年間四千七百リットルの軽油が必要です。これを一ヘクタールにいたしますと八十三・一リットル、これだけなければ、実は、トラクターで農耕作業ができません。一年間の作業ができない。それから考えますと、この燃料というものの掌握のしかたに問題があるのじゃないかと私ども思いますけれども、これはもう質問時間がなくなりましたから、別な機会にまたひとつ検討をさせていただきますが、それぐらい使うものなのです。これがことしの秋を越して、畑の中で、トラクターが燃料がなくて立ち往生している。それから、先ほど来の政府側からのいろいろな御答弁を聞いております中で、どうしても不安なのは、来年の春耕期に向けての燃料確保がほんとうにだいじょうぶなんだろうか。政務次官は、当面のビニール、いわゆる加工製品あるいは施設園芸の関係の資材確保の面について言及されており、その決意のほどは承ったわけでありますけれども、しかし、来年の春耕期に向けてトラクターが動かないなんというような事態になったら、これはたいへんな社会問題であります。ですから、しっかりとした対策を早急にお立ていただいて、来年度以降の不安はありませんということを、全国の農民に向かって宣言をしていただきたいと思います。  それから、もう一つだけつけ加えますが、遠洋漁業の関係で、きのうも参考人からいろいろ御意見を聞いておりますが、この油の問題については、政府としてはどのようにお考えになっているのか。この点、簡単でけっこうですからお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほどから再々お答えをいたしておりますように、行政指導でなかなかうまくいかぬじゃないかということは、私らも実は心配しているのです。したがいまして、石油需給適正化法、生活安定法の、この二つの法律は、今度の国会で、なるべく早い時期に、年内にぜひとも通していただきたい。石油適正化法の中で、第十一条では、政府の政令によって、そういうふうな事態が予想され、物価が上がったり、あるいは物がないというようなときには、優先的に、割り当てとか、配給とか、あるいは使用、製造の制限とか、あるいは譲渡禁止とか、いろいろなことができるような仕組みに実はなっておるのです。ですから、伝家の宝刀をそのときは抜けますが、その法律がないと、なかなか抜け切れない。しかし、強力な行政指導をやっていますよ。やっていますが、それでもきかないものがあった場合にはこの法律でやるというつもりでおりますから、どうぞ、法案の成立を何ぶんよろしくお願い申し上げます。
  95. 島田琢郎

    島田(琢)委員 終わります。
  96. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、山原健二郎君。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、施設園芸と遠洋漁業の問題の二つにしぼって質問をいたします。  最初に、この事態の緊急性といいますか、逼迫した情勢の認識というもの、このことについてお互いに共同の立場に立ちたいと思うのですが、十二月十日に、高知県で、十二の農業改良普及所の所長を集めまして、この施設園芸の問題についての県の指導がなされております。そのときに、各所長が立ち上がってどういうことを言ったかといいますと、現在の農民の危機感というものは、危機感を通り越して悲壮感になっておると、こういうふうに次々と表明をいたしております。さらに、行政に対する不信感が非常に強くなっておるという、きわめてショッキングな発言が次々となされているわけですが、これがまず第一点ですね。  それから、もう一つは、いま東京の八百屋さんに出ておりますところのピーマンの七割は、高知県の施設園芸で育てられたピーマンであります。このピーマンも、価格の暴落と資材の値上がりのために、これをつぶさなければならぬ。つぶす場合に、自分の育てたピーマンのハウスの間引きをやるのは、自分の予供の命をとるようなものだということで、実は、高知県のことばですけれども、「いい」というのをやっておるのです。「いい」というのは、ひらがなで「いい」と書くわけですが、これは、自分のところの間引きは隣の人にやってもらう。隣の家の間引きはこちらが行ってやる。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 まるで、自分の子供を締め殺すような感情であるわけです。ここまで逼迫した情勢にあるということですね。  この事態について、甘い観測は許されないわけですが、このような実態というものを政務次官は心得ておられるであろうか。最初に伺っておきたいのです。その実態はあとで私のほうから説明をいたします。
  98. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 高知県のように、施設園芸を先進的に、しかも、相当大型にやっておるところでは、この問題は最も関心のあるところであろうと存じます。施設園芸用資材の値上がりは、かなり上がっております。まあ、施設園芸資材のおもなるものは塩化ビニール、これは加温用の九〇%を占めております。それから、出荷用のダンボール、重油、これも重要なものであります。十月の価格を、前年同月の農村物価賃金調査に比べてみますると、前年に比べまして、ビニールで二六・九%、重油で一三・三%、ダンボールで一一・四%、これだけの上昇があるというのでありますが、十二月に入りましてからは、それよりもさらに実は上がって、三〇%ないし七〇%、物によって違いますが、そういうように、十二月に入ってから、非常に急上昇でそれらの資材が上がっておる。これはまことに事実であります。そういう事態はよく認識をいたしております。
  99. 山原健二郎

    ○山原委員 大体千坪単位のハウスを、ピーマンの場合に行ないまして、年間の重油の使用量が大体五千二百キロリットルとなっています。この重油の価格が、昨年度、一キロリットル九円から十一円。それが現在十七円。これはもっと上がる可能性があるわけですね。しかも、一月、二月の段階では、全く見通しがないということであるわけです。ここのところは一番寒い時期ですね。この段階でこれをどうするのかということが一番切実な問題になっております。  高知県で使っておるハウス園芸の重油の使用量というのは、ことしは年間大体十五万トンと予想されるわけですが、その中で、経済連を通じて出ておるのが六万五千トン、残りの八万五千トンが、これは約でありますけれども、これがスタンドとかメーカーから行っておるわけです。日石、丸善とか、大体十二社によって供給されているわけですが、この見通しが全くないということですね。そして、県の指導としては節約を指導していますけれども、ピーマンの場合は、現在二十度を保っておりますが、これが指導によるところの十五度ないし十六度になりますと、受精をしない、いわゆるいびつなピーマンが出てくるという、こういう深刻な状態にあるわけです。しかも、そのピーマンが、大体百五十グラムが、御承知のように平常ですと六十円であったものが、これが現在では二十五円あるいは二十八円の程度を低迷しておるという状態ですね。資材は上がる、重油は上がる、そして大暴落という、この事態で、一体どうやって生きていけるのか。しかも、このハウス園芸は、ピーマンの場合は、高知の場合は、全施設園芸家の四〇%を占めています。そして、施設園芸で生み出す三百億の中の大体百億を占めるという、こういう重要な地位を占め、しかも、東京都のピーマンの七割を占めておるという、食糧の問題としてもきわめて重要な状態ですが、これを解決できるのか、一月、二月の段階で重油というものを確保できるのかということなんです。これはいかがですか。
  100. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これももう再々お答えをしておるとおりでありまして、何が何でも、これは解決、獲得をしなければしかたがない。そのために農林省は、目下、鋭意通産省とも話を詰めておりますし、引き続き一月以降の分については、何といってもこれは食糧再優先ですから、そういうことを通産省の役人さんにもよく認識をしてもらうし、それから業界の方にも、これは全体の数量の中で農業用というのは少ないのだし、これが不足するようなことになればたいへんなことになりますから、これはもう再優先で確保する、そういうことでいま話を詰めておるところです。
  101. 山原健二郎

    ○山原委員 話がなされておるけれども、実態は県知事も言うわけですね。来年の一月、二月を越せば見通しがないのだということの不安というものが存在しているわけですね。これをぴしっと不安をなくする。大体、削減が行なわれたとしても、この程度のものは確保するのだということが出ないことには、農民の不安というものはもちろん解消いたしません。ここのところに問題があるわけです。  さらに、大暴落に続いて資材ですが、いま政務次官が言われましたが、ちょっと私の調べたところを、現地の生産者から聞きました点を申し上げますと、ビニールが三割高ですが、間もなく五割高になるだろうということです。そして、年を越せばおそらく二倍になるだろうと言っております。それから、さらに、電力料金の値上げによりまして、三割高、ハウスに使う木材が二倍となっています。ポリフィルムが、四千五百円が二万円、四倍強となるのですね。それからダンボールが七割高、ガムテープが、千円であったものが現在五千円、五倍です。それから消毒用パイプが、三千五百円であったものが、現在八千円いたしております。それから排水パイプが、四千五百円が、何と一万五百円にはね上がっている。それからバーナーにいたしましても、二十万円が三十万円になる。その上に、トラック輸送が確保されるかどうかという不安がまたつきまとう。そして、輸送料がまた上がるということですね。こういうふうになってまいりますと、これはもう全く死活問題になるわけでございまして、これではどうにもならぬ。この実態は、どうしても農林省として把握をしていただきたい。いままでもしばしばそのことは言われておると思いますけれども、私が現地の生産者から聞いたこの不安な気持ち、これはぜひ認識をしていただきたいと思います。  それから、価格補償の問題でありますが、野菜生産出荷安定法によりまして、現在、高知県では、ピーマンの場合に、大体の計算からするならば、三十七円を切った場合にこの法律の適用を受けるということになっておるようです。ところが、ピーマンの生産量は、高知県の場合、現在三万四千トンです。その中で、この安定法の適用が四千トンでございますから、三万トンについては、まるで補償がないという状態ですね。そうしますと、価格補償が行なわれても、プールをしたとしますと、全く足しになるようなものではないわけですが、このいわゆる生産出荷安定法の適用というものを、施設園芸全体に全面的に適用するという意思はないのか。そして、第二点として、四千トンということではなくして、三万四千トンの生産量をあげておれば、三万四千トン全体について適用するという考え方はないのか。この二つの点について、農林省の見解を伺っておきたいのです。
  102. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 あなたのおっしゃるように、必ずしも全部対象になっているというわけじゃありません。これは、生産者の希望で指定団地制度というものをつくっておりますから、指定団地でお約束すれば、そのかわり、値段が上がってもほかに売ってはいけませんよという制約もくっつけてあるわけですから、メリット、デメリット両方あるわけです。したがって、生産者のほうの御理解も願い、農林省のほうも、もっと幅広く指定団地制度を広げていって、そしてみんなが補償されるように、必要にして十分なものが補償されるようにこれはやってまいりたい。現在のところ、ピーマンは、本年の作付は前年の二割増しだというようなことでございますが、東京では、現在、キログラム百七十円前後ということで、たいへん低いようです。現行の価格補てん制度の補償基準は、キログラム当たり京浜地区は二百五十二円ということになっておりまして、それよりも下回っておりますから、その下回った分については、補償はもちろんされるわけです。問題は、その指定団地の生産者との契約といいますか、その点が足りないために、実際は三万何千トンもつくられながら、四千トンしか補償されていない。これはことし初めてやるという、初年度でもあるので、下まで徹底しておらなかったという点もあろうかと存じます。
  103. 山原健二郎

    ○山原委員 この、野菜生産出荷安定法ですね。この中身につきましても、この段階で検討を加えまして、充実させていき、今日の現状に合うような、農民に対する対策としてこれを考える必要があるのではないかと私は思うのですが、この点はどうでしょうか。これは、このような危機的な状態の中で、当然検討を加えていいものだと私は思うのですが、見解をお伺いしたいのです。
  104. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 現在の補償価格といいますか、それは、過去の趨勢値を伸ばして、それの八割五分以下のものを補償しますということになっているのですが、過去の趨勢値は、そんなに急に上がっておりませんね。ところが、ここへ来て急激に上がっておるから、過去の趨勢値から比べると、どうも趨勢値の上がり方が足らぬのじゃないか、不十分じゃないか、物価、賃金がこんなに上がっているんだから、それにもかかわらず、その値段が下がっておるというときには、過去の趨勢値と比べて下がっているというのではみんなはずれてしまうじゃないかというようなあなたの御質問だろうと思うのですが、私も、実は、農林省に、そこのところはもう少し実情に合うようにもう一ぺん再検討してはどうかということで、いま検討さしております。
  105. 山原健二郎

    ○山原委員 そこで、今日の農政問題について見解を伺いたいわけですが、これは、私は、農政の根本的転換ということを考える必要があると思っています。これは従来からの主張でもありますけれども、今日の油問題を中心にしましても、そのことが裏づけられるというふうに考えるわけです。ところが、施設園芸に集中してきたこの指導方針というものが、特に、重油というものに集中してきたこの指導方針というものが、再検討される必要があるんじゃないか。東北地方にまで、かなり無理をしてこの施設園芸の指導がなされていくとか、あるいは今年度の予算の中でも、たしか二割程度の予算増が、来年度予算が概算要求として出されておると思います。こういうことは、今日の現状から考えましたときに、はたして正しいのかどうかですね。これはどうですか。
  106. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、あなたと私と、実は、くしくも同じ意見なんです。御承知のとおり、月給が高くなって、みんな余裕ができて、冬でも夏と同じものを食いたいというような希望者がふえたものですから、施設園芸というものが非常に広がってきた。いまの東京の小学生に聞きますと、ナスはいつできるのか、キュウリはいつできるのかわからない。これは事実であります。したがって、こういう石油不足のおりに至って、冬場の野菜というものを、施設園芸をこれからもどんどんふやしてやるのかどうかということは、ともかく非常に疑問があるだろうと私は思うのです。高知のように先進県でやっておるところはいいとしても、新しいそういう産地を日本国じゅうに広げていくことには、非常に疑問があるんじゃないか。ことしは白菜が大豊作で暴落しておるという最近の話があったんですが、白菜等は、二、三カ月でも、幾らでも保存、貯蔵がきくのでありまして、こういうものを埋めたり何かすることでなくて、冬は、白菜とか大根とか、あるいはキャベツというようなものがどんどんできるわけですから、何も施設園芸でナスやキュウリだけ冬食わなければならぬというものではない。そういうような露地野菜で、冬野菜というものは確保されるべきものなので、そういう点についての考え方というものを再検討する必要があると私は思っております。
  107. 山原健二郎

    ○山原委員 政務次官の考え方は、田中総理大臣の考え方と違いますね。
  108. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 どういうふうなところが違うか、ちょっと私はわからないのですが、冬にピーマンや、トマトや、イチゴや、そういうものを食べさせるために、日本じゅうに団地をつくってどんどんやるんだということは、資源という問題を考えたときには——そういうぜいたくなものもいいですよ。ぜいたくと言っちゃ語弊があるかもしれませんが、冬にナスやキュウリを食うのは珍しいと、私ら、子供のときは思っておったわけだ。しかし、そういうぜいたくなものを食べたい人もあることも事実なんですね。事実なんで、それはそれとしてけっこうなんでありますが、政府政策として、高知のやっているようなことを日本国じゅうに全部広げていくということはいかがなものであるかと、こういうふうに私は思っておると言うのであって、違うか違わないかは、これは御判断にまかせるほかはありません。
  109. 山原健二郎

    ○山原委員 ここに「日本列島改造論」を持ってきたんですけれども、この一七八ページと一七九ページ、これはまさに違うわけですね。そこのところを、私は目が悪いからちょっと書き抜いてきたんですが、田中さんはこう書いておるんですよ。「昭和四十六年現在のわが国の既耕地面積は五百七十四万ヘクタールである。こんご、耕地面積があるていど減少するとしても、用地面積が相対的にすくなくてすむ装置型の畜産や施設園芸の比重が高まり、他産業に農業就業人口が大幅に移動すれば、農民一人あたりの耕地面積は飛曜的に拡大されよう。」という見解なんですね。だから、これは、いわゆる施設園芸と装置型の畜産を狭い農地の中でやっていきなさいという考え方がずばり出ているわけです。  その次に、この団地農業論が「日本列島改造論」の中に出てくるわけです。こういう形でずっと狭められてきて、そこで施設園芸というものが出てきた。まさに、それは、重油を中心とするところの農業政策です。それが今日の段階では、政務次官のお考えと全面的に一致するわけではないと私は思いますけれども、少なくとも基本の考え方は、田中総理が「日本列島改造論」で言っておることと、今日の時点ではもう合わなくなっているということは、これはもうはっきり言えると思うのです。そのことを現実的な立場に立って政務次官が言われているのではないかと思いますので、そういう点で、この文章から見るならば、明らかに農業政策についての見解の違いが出てきておるんじゃないですかという、こういう質問なんですよ。どうですか。
  110. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 田中さんの個人の著書にどういうふうなことが書いてあるかわかりませんが、まあ、重油その他がふんだんにあるというときには、そういうふうなこともいいと私は思うのです。いいと思うのですが、現実の問題として、国際のいろいろな紛争外交上の問題で削減されざるを得ないという現実に立った、ときには、そういう事態が変われば、変更されるのはあたりまえのことではないだろうかと私は思っております。  たとえば、余談になるかもしれませんが、石油削減というような問題でいろいろなことが言われるんですけれども石油の五割というものは、電気として使われておる。ところが、去年の夏の統計をとってみると、日本国じゅうの電気の二割はルームクーラーに使われたというのです。東京だけを見ると、約半分がルームクーラしに使われた。しかも、石油がなくて、電気は、増発電といいますか、そういうものができない。原子力発電所も、立地がむずかしくて、これもなかなかできないということになれば、やはり、使用のほうで、ある程度ぜいたくな面は切っていく。ネオンも消してもらうとか、いろいろなそういうことも言えるだろうし、ルームクーラーも、来年二百万台メーカーが売るというけれども、それをどんどん売らしていいのかどうか。これは非常な疑問があるんではないだろうか。たとえば紙がない、紙の四割は新聞紙に使われておるんですが、ノートがないなんて騒ぎがもし起きれば、じゃ、新聞のうち広告が半分どうしてなくちゃならないのかということ、ここらも検討すべきものだし、テレビの問題でも、少し脱線したなんてしかられるかもしれませんが、ロシアでは四時間半しか放送していないし、ドイツは八時間だ、イタリアは九時間だ、イギリスは十二時間だ、持てる国アメリカ並みに、持たざる国日本だけが、なぜ、二十時間近く、十七時間、八十七の放送会社が一ぺんに放送しなきゃならないのか。ここらの点も、資源問題というものをいままで無視して、銭さえあれば何でもできるというような発想で来ているところに、アメリカナイズされ過ぎたところに問題があるんだから、これは抜本的に考えたらいいんじゃないかというように、これは私個人の意見で、農林省の意見じゃないんですが、私はそういうように思っておるわけです。しかし、そういうふうな思想を政務次官になって持っておれば、農林省行政指導の中でも当然そういうものは出していきたいと私は思っております。
  111. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、実は、「日本列島改造論」の中にある農業問題についての見解というのは、田中総理の見解は、いま私が読み上げました百七十何ページですか、そこへ集中されているんです。ずっと一貫した考え方ですね。実は、それが、今度の団地農業的な考え方というものが、今度の三十万ヘクタールの農地転用の問題に集中的にあらわれておると思うのです。気違いざたですよ、これは。三十万ヘクタールの農地転用などということは、この「日本列島改造論」の思想の中から生まれてきているのですが、これについてあなたはどういうふうにお考えになっていますか。
  112. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 さっきのニュースを聞いておりましたら、田中総理大臣が、参議院の予算委員会で、三十万ヘクタールというのは、年々七万ヘクタール程度壊廃をされるという実績もあるしするので、四年もすれば二十八万というようなことだから、大体三十万というようなことになるということを先ほど答弁なさって、テレビでやっておりますからね。必ずしも、田中総理も、その本にこだわって、どうしてもその本どおりにやらなければならないんだということじゃないだろうと思います。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 三十万ヘクタールやれということで、農林事務次官のほうからの通達が出されているのですが、農林省はどうお考えですか。田中さんのきょうの答弁は、私は、テレビを見る時間がなかったものですから聞いていませんが、この田中総理のツルの一声というのも新聞に出ましたけれども、これについて、農林省としてはどういう見解ですか。
  114. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、真意がどこにあるか、非常にいろいろ議論のあったところでありますが、きょうの田中総理の答弁を聞いて、実は、安心をしておるわけであります。われわれといたしましては、休耕地が二十八万ヘクタールある、それから、市街化区域の中の農地がやっぱりその程度ある、一方においては人口がふえ、あるいは宅地難なんだ、住宅難なんだというふうなことが言われておりますから、どこかで土地は提供しなければならない。そういうことになれば、ごく密集した市街化地域の中では、しかも、農業を永遠にやっておると思われないというようなものについては、とにかく積極的にこれは宅地として供給してもらうように、いろいろな施策を通してやっていく必要がもちろんあります。  それから、農村等でことし休耕というものがあるのですが、来年から水田の休耕というのはなくなるということになると、実は、もう休耕してつとめに出ちゃったから、もう一ぺんつくることはおれはしないのだというような営農放棄というようなもの、これは二十八万ヘクタールのうちどのくらい出るかわかりませんが、そういう、もとへ戻らないというようなものもある程度考えられるわけですが、それらについては、われわれは、極力転作をしてくださいとか、あるいはまた、ともかく農振法等の一部改正をして、そういうようなところは、自分でつくらなければ、隣の優良農家につくってもらいなさいとか、こういうふうに、村の中では貸し借りがもう少し自由になって、そうして農地として残されるようにするというような道も、これは進めなければならぬ。それでもなおかつ、貸しもしなければ何もしないのだというような場合等においては、要するに、道路ぶちと交換させるというようなことをして、どうしても宅地が一部分必要だというところについては、宅地に転用することも、これはあり得る。  それから、もう一つは、現在の農地転用という問題を考えてみると、われわれが考えて、何でこんなところを転用反対をするのかなあと——市町村でも、けっこうでございます、ぜひここを宅地化してくださいということを言っているのだが、たまたまそれが農地であって、現実には荒れ果てておっても、優良農地という名目だけついておるために、なかなかそいつを転用させないというような実例もたくさんあります。したがって、事務処理が、当然半年か三カ月で終わるものを、二年も三年も引っぱっておる。そのために農地転用がうんとおくれておる。そういうところの不満が、今度は、住宅をつくりたいという人たちから逆に不満になって出てきておる。したがって、これらの農地転用の促進というものは、ケース・バイ・ケースで促進させる必要がある。したがって、それらについては、どんどん白黒をはっきりさせて、当然白にするものだったら、二年も三年も引っぱらないで、早く白だと言いなさいということを、わかりやすく具体的な例で言えば、事務次官通達等で事務処理の促進ということをうたっておるわけです。したがって、三十万ヘクタールを早くすぐつぶせという意味ではありません。
  115. 山原健二郎

    ○山原委員 田中総理の当初出したところの三十万ヘクタールというものについては、農林省としては、そういう考えに立っていない、部分的には、いま説明されたようなことがそれぞれあると思いますけれども、そういう考え方には立っていない、こう判断していいわけですね。
  116. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 したがって、田中総理がきょうも答弁したとおりですから——ほんとうは違うかもしれませんよ。しかし、きょう国会で田中総理が答弁したことと、私が言ったことと、そんなに違っていないのです。農林省としては、いま私が言ったような方針で、田中総理も同じようなことをきょう言っておりますから、私は、違っていないと思います。
  117. 山原健二郎

    ○山原委員 国民のほうでは、あまり納得しないでしょうね。やはり違うのですよね。説明を聞いておりましてもね。そういうことがぽんぽん口から出てくる、しかも、こういう状態の中で、三十万ヘクタールということがばっと出てくるという、田中総理の農政上のこの思想というものは、もう非常に明確だと私は思うのです。  それから、もう一つは、食糧の確保ということがはたしてできるのか。これは、今日の石油問題を契機にして、たとえば、日本船主協会の試算によりますと、二〇%石油削減が行なわれた場合に、タンカー優先でいけば、普通の船舶にどれだけ影響が出てくるかといいますと、五六・八%という試算をしておりますね。三〇%になると、何と八三・三%が航行不可能になってくるという状態である。ところが、日本の場合は、御承知のように、食糧を外国依存という考え方で来ておりますので、小麦にしましても、大豆にしましても、すべてアメリカを中心とする海外依存の状態で、今日のこの石油危機の展望はきょうは申し上げませんけれども、この状態で、日本国民の食糧が確保できるのかということなんです。これはどうですか。
  118. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、確保しなければならないのです。したがいまして、米につきましては、もちろん一〇〇%を確保しております。野菜についても、ほとんど一〇〇%に近く、海産についても、これは九〇%以上、肉類についても八〇%以上、こういうように、国内で確保できるものについては、できるだけこれを確保する。しかしながら、それでは、トウモロコシやコウリャンまで全部国内で確保できるかと言われますと、それはできません。できませんから、いままでのように、ただアメリカ依存というだけでは、第二の石油に小麦とか何とかをされたのでは困っちゃいますからね。戦略物資と思ってやられたんではたいへんなことになりますから、輸入国の多固化で、カナダからも、オーストラリアからも、ニュージーランドからも、あるいはインドネシアからも、ブラジルからも、その他の国からもというように、輸入を一国に偏しないように、なるべく多国間と長期契約を結んでいく、商品協定を結ぶ、あるいは開発輸入等をなるべく広く行なうというようなことで、どうしても国内でできないものは海外に広く依存をするという方針でやってまいりたいと私は考えております。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 大豆のことだけでも、ことしの夏にあれだけの大騒動が起こったわけですね。実際に、こういう重要な食糧、その他重要産物の輸入ということについての、船舶への油の配置というものが現実になされなければ、問題は次々と起こってくるわけですね。それは、ほんとうに火を見るよりも明らかです。油不足が食糧危機に直結するなんということは、政府のほうでは、いままで、おそらく考えていなかったんじゃないかと思うのです。食糧が確保されたとしても、今度は、飼料と肥料がどうなるかということになってくると、国内が、いま、飼料や化学肥料にいたしましても、海外依存という現状の中で、食糧は、かりに油をつぎ込んで船を動かしたとしても、今度は、日本の農民がつくるところの農作物にかてを与えていく飼料や化学肥料がこないということになりますね。こういう状態があるわけですね。実際に、この問題についても、ほんとうにこれは真剣に考えなければならぬと私は思うのですよ。そういう点でも、私がいま申しましたように、いままでの自民党政府の考えてきた農政というものについて、この際根本的な検討を加えなければならぬ。しかも、その点については、政務次官のお話の中にもちらほらしておるわけです。私は、その、ちらほらする転換についての中身はまだわかりませんけれども、しかし、いままで行なってきた自民党農政の転換ということはやらなければ、重大な破局がくる可能性があるということを指摘したいのですが、この点についてはどうでしょうか。
  120. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 いままでの政策の中で、自民党農政が特に悪いことをしてきているとは私は思っていないのです。それは、国内でつくるものはできるだけ国内でつくる、足りないものは外国から入れる、米の問題だけをとらえて、米は過剰だから、過剰なものは余らない程度に、必要にして十分な程度にいたします、足りないものは国内でつくらせますという、そういう総合農政の立場を言ってきておるわけです。ですから、それは、「日本列島改造論」にどういうことが書いてあるか知りませんが、党として確認をし、または、内閣として閣議決定したものの中では、農地をみんなつぶすとか、外国にみんな依存すればいいんだとか、そういうようなことは、農林省としても、自民党としても、言ってきてはおりません。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 私の党は、この間、第十二回党大会を開きまして、民主連合政府の綱領草案というものを発表しましたが、日本の農業というものをどう位置づけるかという問題ですね。これは、日本産業の中でも、きわめて重要な基幹的産業として位置づけるという立場と、それから、同時に、日本国民の食糧は、基本的にわが国で自給していくという体制をつくることが必要ではないか。まあ、大豆の一点が出ましたけれども、大豆のほかに次々と出てくるということになってきますと、これは単なる農業問題ではなくして、日本の国の存立あるいは日本の国の独立性の問題としても、このことは必要だと私は思っているのです。それは、ここで長時間論議をする時間はございませんけれども、政務次官も新しく農林政務次官になられたわけでございますから、そういう点で綿密な検討をぜひ加えていただきたいと思います。  それで、先ほどの御質問の中で、たしか農漁業用の油の量が言われましたが、二億何千万トンというのは間違いなんで、先ほど出されました数字が大体正しいだろうと私は思います。漁業関係、遠洋漁業、沿岸漁業を含めて、年間使用量が、A重油の使用量ですが、これが大体六百五十万トン、それから、農業用のトラクター、あるいは施設園芸等一切含めて、年間の使用量が大体六百万トンぐらいに達しているのじゃないか。まあ、千万トンそこそこの油の使用量だと思います。これは、日本の全使用量からするならば、パーセントとしては、そうたいしたものではないわけですね。だから、これを確保していくという決意が必要でございますが、その際に、一つ伺いたいのですが、十二月十一日の毎日新聞によりますと、石油の備蓄量について、石油連盟と通産省との間に食い違いが出てまいりましたね。それから調整がなされて、これは、十二月十二日の讀賣新聞に統一数量というのが出されているわけですが、ここで調整がなされて、たとえば九月末の備蓄量が五十九日分、十二月初めの備蓄量が五十七・四日分、それから、十二月末が五十二ないし五十三日分の備蓄量があると、こう出ているのです。これはどうしてこんな食い違いが出てきたのですか。石油連盟の発表からしますと、今度調整されたものでも、九月末が三日間の違いがあります。十二月初めに八・九日分の違いがあります。十二月末では九日分の備蓄量の違いが生じている。これはどこからこういうことが生まれてくるのでしょうか。
  122. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  この備蓄量の違いは、主として石連のほうの発表いたしました備蓄量には、半製品が含まれておりません。ちょうどいま差を御指摘なさいました程度が、半製品を含みました、通産省のほうで前に発表しました数字になるわけでございます。私どもの現在の見通しでは、九月末が五十九日、それから、十月末は同じく五十九日、十一月末は、一部推定でございますが、五十七・四日、この程度に推定をいたしております。これは、原油製品、半製品を含んだ備蓄でございます。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、それだけでしょうかね。調整して、石油連盟と通産省が一致した数字かもしれませんが、半製品の問題が出ておりますけれども、これは信頼してよい数字ですか。一日分というのは、原油にして大体八十・三万キロリットル、それにプラスこの製品が七十九万キロリットルで、百五十九万キロリットルというものになってくると思うのですよ。これは、私の計算が間違っておるかもしれませんが、それで八・四日分の違いがあるとしますと、これは、まさに、日本の全漁船、全農家の使用する油の使用量と匹敵するぐらいの格差が出ているわけですね。たとえば、高知県のハウス園芸に使う油でやりますと、一日分で、何と、九十六年間の使用量に匹敵する誤差が生じている。こんな数字が出てくるから、国民はだれも信用できないわけです。だれがこんなことを隠しているのか。実際に立ち入り調査までやって確認をしたのかどうか。  ところが、一方では、きょうの新聞を見ますと、これは宮城県でありますけれども原油基地をつくらしてくれたならば石油は出しましょうということを昭和石油がやっているのですよ。だから、企業のほうは隠匿したものがあるんじゃないか、そういうものを通産省がはっきりと調査をして、その辺の精密な計算を出さないからこういう誤差が生じてきたのではないか、こういう疑問が生じてくるわけですね。一方では、原油基地をつくらせれば石油は出しますよという、こんな横着な企業側の態度を見ましたときに、この調整された数字というものが、備蓄量の日にち分というものがはたして信頼できるのかどうか。これは、通産省にはっきりと返事を聞きたいと私は思うのですが、いかがですか。
  124. 熊谷善二

    熊谷政府委員 ただいま御指摘になりました昭石でございますか、宮城県のケースというのは、もし、それが事実といたしますと、たいへん遺憾なことだと存じております。いま油が不足しているこういう時代に、私企業の立場を利用して立場を強くするといったことは、決してみっともよい話ではございませんで、そういうことが事実とすれば、たいへん遺憾に存じます。私どもも、そういったことがあるかどうか、十分調べてみたいと存じます。  それから、備蓄の数字でございますが、私どもとしましては、これは統計も一応とっているわけでございますが、メーカーの工場の中にございますもの、それから、いわゆる油槽所と称しますものが、それぞれの各地区にございます。こういったものを集計いたしておりまして、各社のほうから、それぞれの備蓄の日数につきまして、毎月報告を求めておりまして、月別の推移は確認をいたしております。また、月々の生産状況につきましても、内容につきましては、チェックをいたしまして、指導をいたしておるわけでございます。たとえば、この油が不足をして国民が非常に困っているときに、いやしくも自分のほうの備蓄だけをふやして生産を落とすといったようなことは絶対に許さないというやり方で、その状況については、毎月しさいに点検をいたしまして、指導をいたしております。  この備蓄日数につきましては、そういった従来までの資料確認いたしましてまとめたものでございまして、自信を持って申し上げる次第でございます。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、現在提出されております二つの法案との関係もありますので、これ以上申し上げませんが、実際に企業側の通報によって出てくるというお話しでございます。ここのところに問題があるわけで、だから、国においても、たとえば都道府県におきましても、審議会なら審議会をつくって、立ち入り調査もできるという体制にないと、これは数値がたびたび誤差を生じてくるとか、あるいは真相がわからないとかいうようなことになりかねないと思うのですよ。  だから、こんな重要な段階で、そこらの——大体、輸入してくる油については、これは税関等を通じて数量もきまるはずですから、その辺はかちっと正確にしておかないと、国民の不安がのかないわけですね。これは、今後それぞれの委員会でやはり問題になると思いますので、その点だけ指摘をいたしておきます。  それから、最後に、あとに諫山さんが関連質問されるそうですから、あと三分程度、遠洋漁業の問題について質問をいたしたいと思いますが、現在、カツオ・マグロの遠洋漁業に従事しておる船隻が、数は大体わかっておりますが、この間全漁連のほうでお聞きしますと、大体七百隻程度が操業をしておるんじゃないかと思います。その中で、高知県のカツオ・マグロ船団が現在大体九十八隻、ほぼ七分の一に近い。いや、これは正確に言えばもっと多いかもしれませんが、それだけが現在、大西洋あるいはケープタウン沖、あるいはハワイ等で操業をいたしているわけですが、この油の不安ですね。これが問題になっております。  時間がありませんから、もうつぶさには申し上げませんが、この中で、政府に対して要請があるわけです。第一点は、内地を出航する場合の必要油の確保ということを政府にやってもらいたい。これは当然のことですわね。第二点は、外国に対しまして、日本漁船向けの供給協力の要請をしてもらいたい。これは民間ではできないそうです。  この第二点につきましては、外務省の見解を伺いたいのですが、南ア連邦にしても大西洋地域にしましても、カナダにしましても、それぞれ領事館その他があるわけですから、それらの外務省の出先機関がどんな役割りを果たしておるのか。いままでその役割りはほとんど果たしていないと聞いているわけですが、役割りを果たして効果があるのかないのか、現在どのように動いておるのか、この点について伺っておきたいのです。  それから、三番目は、最悪の場合の給油船の配置の問題ですね。これはすでにハワイ方面に対して二隻のタンカーが用意され、二十日に出航するというようなことも聞いておるわけでございますけれども、今後、そういう事態が起こりました場合に、的確に給油船の配置ができるのかどうかですね。  この三点について、それぞれの関係者から伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 手島れい志

    ○手島説明員 お答え申し上げます。  特に、第二点の、外務省が在外公館を通じてどういうことができるかという点についてでございますけれども、私どもといたしましては、在外各地にございます大使館ないし総領事館を通じまして、情報の収集には常時努力をしてきておりますし、それから、また、実際に現地のほうで操業に困難を来たしましたり、あるいは帰国するための油がないというような場合には、水産庁のほうとも協議をいたしまして、現地のほうに、申し入れその他必要な措置をとる所存でございます。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 今度の場合、ハワイ沖と、もう一カ所ですね。これは、タンカーの配置をする場合に、外務省のほうは、そういう漁船の困窮状態について、いち早くこれを把握されて、そしてこういう事態になったのでしょうか。そういう意味で、たとえばカナダの場合はどうなんですか。あるいは、ケープタウンの場合はどうなんですか。そういう目が外務省として出ている。まさに、日本の外務省としての役割りを果たすだけの、漁民の立場に立った行動が行なわれておるかどうか。それを聞きたかったわけです。
  128. 安福数夫

    ○安福政府委員 水産庁のほうから一応お答えいたします。  実際に海外での漁船が立ち往生しているという情報が入ってきますのは、直接的に、漁業無線局を通じまして、毎日のように入ってまいっております。一方、在外公館を通じまして、顕著な例は、私ども外務省のほうからも情報はつかんでおりますけれども、実態的なものは、やはり漁業無線局を通じて入ってくるのが実態だろうと思います。具体的なケースで、立ち往生しておるものにつきましては、具体的には、そのつど、外務省を通じての要請を、在外公館を通じて現地の国のほうにやってもらうという、こういう措置は講じております。  しかし、実際に世界的に油が逼迫しておるこういう状態でございますから、ないそでは振れぬという形の国がどんどん出てまいっております。その顕著な例が、いま御指摘がございましたハワイ周辺に、一つのカツオ・マグロの大船団が操業いたしております。もう一つは、ケープタウンを中心としました南アフリカ、そこにやはり数十ぱいの船が出ております。この二地区が一番緊急の要請があるということでございまして、今回給油船を配置いたしますのも、その二地域について、ケープタウンのほうには六千五百キロリットル、それから、ハワイ周辺については五千五百キロリットル、これを通産省と十分協力いたしまして、玉の確保と同時に、二、三日中にはタンカーもきまって、二十日前後には現地に向かっていくだろう、このように私ども承知いたしておるわけでございます。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 漁船の場合につきましても、油の確保ということにつきましては格段の努力をしていただきたいということを要請しまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  130. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、連合審査会開会の申し入れに関する件についておはかりいたします。  ただいま商工委員会で審査中の、内閣提出、石油需給適正化法案、及び物価問題等に関する特別委員会で審査中の、内閣提出、国民生活安定緊急措置法案につきまして、商工委員会及び物価問題等に関する特別委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間において協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ————◇—————
  132. 仮谷忠男

    仮谷委員長 それでは、質疑を続けます。関連して、諫山博君。
  133. 諫山博

    ○諫山委員 私は、一点だけ質問したいと思います。  さっきの山原委員の指摘にもありましたように、施設園芸あるいは農林水産業が、非常に深刻な危機に直面しております。私は、きのう、福岡県の浮羽郡で施設園芸の実情を見てまいりましたし、数日前に、大牟田市、柳川市で、ノリ業者が重油に非常に困っている状況を見てまいりました。  そこで、この問題について、石油部長は、農林水産用については融通、あっせんを指導しているというふうに説明されましたが、末端の漁民や農民にどういう方法で重油が手に入るように指導しているのか、どういう方法であっせんをしているのか、また、現場の農民、漁民はどうすれば手に入れることができるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  134. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  農民の方あるいは漁民の方に対しましての従来の油の供給は、その地区の販売店を通じてやられておるケースが多うございまして、実は、中央で最終段階まではなかなか目が届きませんで、たとえば、精製、元売りから特約店を通じまして販売店に、かなりまた細分化されて流れるわけでございますが、その中間段階の販売店でかなりのルートにまた分かれるものでございますので、中央ではわかりにくい点がございます。そこで、私どものほうとしましては、こういった方々の過去の消費実績といったものをベースにいたしまして、どこからそれを買ったか、また、順々にたぐってまいりまして、どうしても玉がないといったような場合、あるいは不足であるという場合の供給を、系列の元売り店を通じまして、早急にその手配をする、こういうふうに指導いたしておるわけでございます。  具体的には、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、石油製品あっせん所をつくりますので、このあっせん所におきましても、そういった方々の苦情なり、また、不足の油につきましてのあっせんが、これから本格的に行なわれることになろうかと思います。今日までのところ、確かに、体制が必ずしも十分ではございませんで、末端段階でいろいろ御不便をかけていた向きがあると、実は、私も思うのでございますが、この種の苦情につきましては、地元の通産局なり、また、農林省のほうの出先でもけっこうでございますし、それぞれ役所間で連絡をとり合いますので、どんどん中央のほうにも御連絡を賜わりたい、できるだけ努力をいたしたい、かように感じております。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 私は、この問題で、福岡通産局でいろいろ話し合いを煮詰めたわけですが、そのときには、漁業組合、農業組合、あるいは農民、漁民が小売り店に買いに行って油がなければ、通産局に言ってもらいたい、油があるのに売り惜しみをして売らないのであれば、すぐに売るように指導する、油がなくなっているのであれば、油を回すようにする、いずれにしても、農林水産用には不自由はかけませんと、こう言っていましたが、そういう指導というのは、全国的に現実にやられているのでしょうか。
  136. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  私どもとしましては、各通産局に、この閣議決定の趣旨を十分徹底させております。また、苦情の処理につきましては、十分親身になって問題の処理に当たるよう指導いたしております。いまお申し越しの件につきましては、各通産局とも、同様な措置で懸命に努力をいたしておると考えております。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 私は、自分で施設園芸をやっている農民という立場で聞きたいわけですが、そうすると、あすの重油がないというような場合には、通産局に申し出て、何とかしてくれと言えば、直ちに何とかしますか。
  138. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  通産局といたしましては、お申し出のあった場合には、地元の石商の支部がございますので、その支部とさっそく本件についてのあっせんをやることになると思います。それから、支部で、支部傘下の各販売店で玉がない場合には、元売りのほうに連絡をとりまして、系列の元売りからその販売店のほうに出荷するよう指導いたしたいと考えております。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 私は、具体的に話を聞きたいわけですが、政務次官は、農林水産用の重油は最優先させると言いました。そうして、いまの石油部長説明であれば、私が問題を提起したように、あすの重油がない、直ちに何とかしてくれというような場合には、ほかの不急不要の——不要というのは不適当でしょうが、不急の油を回してでも、農林水産用には苦労させないと、こう聞いていいですか。実は、私たちは、あす、福岡通産局とこの問題で交渉することにしているのですが、あなたの明確な責任ある答弁をもって交渉を現場で続けたいと思いますから、御説明ください。——両方答えてください。
  140. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 お昼前から、かねがね何回も私が言っているように、きょうもいまやっているのですよ。そして、中央で、まず農協なり、あるいは漁業の組合なり、それぞれの組合の長と石油連盟の長と会談をして、必要量はこれだけですから、これについてはこうこうこういうことで、農協のほうは各県の農協に渡してください、漁業はこういうことで、各県にこれだけ渡してくださいということを早急にやらせようということで、そのために、いま、農林省は通産省に申し入れをして、それでそれぞれあっせん方を交渉しておるところなんです。ですから、二、三日中にその話をきめたい。それで、まず年末のものは確保し、引き続き一月以降のものはその線に沿ってやる、それでもだめなものは、法律を通してもらって、優先の配給割り当てでもしてもらう以外にないのですから、どんなことをしてでも農林水産業のものは優先で確保する、こういう方針でやっております。
  141. 諫山博

    ○諫山委員 石油部長から、責任ある回答をお聞きします。
  142. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  いま政府次官がおっしゃったとおりでございまして、農林省と通産省、また石油連盟、それから全石商連、この団体を通じまして、本件を早急にルートづけすると申しますか、コンセンサスを得て、末端段階まで徹底するようにいたしたい。そのために、具体的にどういうように円滑に必要な油を流すかということにつきまして、現在、いろいろと協議、打ち合わせを進めておるわけでございます。
  143. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、あす私たちは福岡通産局と交渉しますが、石油部長農林水産用の重油は必ず確保すると言明したと伝えていいですか。イエスかノーか、答えてください。
  144. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  具体的な数量につきまして、私どもとしては、農林漁業用——農林省から聞いておりますのは、この園芸施設用の油につきましては、とりわけ緊急な問題として承っております。そういう意味で、私どもとしましては、本件は非常に大きな問題といたしまして進めてまいりたいと思いますが、いま、現地での御要望の油について、直ちにできるかどうかという問題につきましては、私どもとしては、できるだけ努力はいたしたいとは思いますが、従来の、たとえば昨年同期で五百キロの実績があった、ことしは一千キロほしいということがあった場合に、国民はいま全体が節約をいたしておるわけでございますので、そういった場合にも応じられるかどうかというふうなことは、実際問題として、いろいろむずかしい問題があろうかと思いますが、少なくとも、ほんとうに必要な量につきましては、私どもとしましては、できるだけ優先的に油を確保するように、関係団体を強く指導してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  145. 諫山博

    ○諫山委員 私は、例外条項を残さないように答えてもらいたいのです。そうすると、昨年の実績を責任をもって確保するのですか。それとも、農民が現に必要としている量を確保するのですか。たとえば、ノリの生産なんか、ことしは十年越しの豊作ですから、昨年よりかはるかにたくさんの油が必要になります。昨年の実績を確保するのか、必要量を確保するのか、どちらですか。
  146. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いま、その点の数量の問題につきまして、農林省からも数字をいただいておりますし、その数字をもとに、関係業界と、その所要の油をどの程度回せるかということをいま寄り寄り協議中でございます。
  147. 諫山博

    ○諫山委員 それでは、最重点にするとか、あるいはいろいろあっせんするとか言ったところで、抜け道が残るじゃないですか。あなたは、この席で、農民が必要とする量は必ず優先的に確保するというふうには説明しませんか。
  148. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  園芸施設用の油につきましては、優先的に確保するように最善の努力をいたします。そういうことで御了承賜わりたいと思います。
  149. 諫山博

    ○諫山委員 最後に、その場合の価格は何らか指導しますか。やみの価格で入手できるように指導するのか、それとも、何らかの違った行政指導をするのか、どちらでしょうか。石油部長にお聞きします。
  150. 熊谷善二

    熊谷政府委員 価格につきましては、午前の御質問にもございまして、申し上げたわけでございますが、現在、価格についての、たとえば指導価格といったようなものを直ちに設ける考えはございません。現在、灯油につきましては、国民生活に密着しておる製品でございますので、これにつきましては、すでに、元売り段階の凍結、小売り価格の上限価格を指導価格として設定をいたしておりますが、いわゆる軽油、A重油といった問題につきまして、価格の点について、いま直ちに直接の指導価格を設定する考えはございませんが、私どもとしては、いわゆる便乗値上げがこの間にあってはならないということで、特に、このあっせんをいたしますものにつきまして、それを機に価格の引き上げを大幅に行なうといったことは絶対に避けたい、やらせないということで指導してまいりたいと思っております。
  151. 諫山博

    ○諫山委員 私の感想を申し上げます。  表面的には、優先するとか、必ず確保するとか、いろいろなことが言われますが、やはり、私は非常に不安です。現に、農民も漁民も油に苦労しております。ですから、どんなことがあっても必要量は必ず確保する、農民に与えるという立場を貫いてもらわないと、自民党に対する信頼はがた落ちですよ。このことを警告して、終わります。
  152. 仮谷忠男

  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林漁業用石油等の需給適正化対策について、農林省、通産省、外務省、運輸省当局に質問いたします。  まず、最初に、政務次官にお尋ねいたしますが、今回商工委員会に提案されております石油需給適正化法案は、現在審議中でございますが、来たる十五日ないし十七日の間に大連合審査等が行なわれる予定で、その機会にもいろいろと正式にお尋ねいたす所存でありますけれども、その前に、農林省の考えをお聞きしておきたいという意味から質問いたしたいと思うのであります。  「石油供給目標」の第四条によりますと、「通商産業大臣は、石油輸入動向、石油の在庫状況その他の事情を勘案して、通商産業省令で定めるところにより、石油供給目標を定め、これを告示しなければならない。」云々とあるのですが、このことにつきまして、優先確保の点から、農林省側も何としても農林漁業用石油は確保してもらいたいということでありますが、まず、この法案を提案された政府として、供給目標が農林漁業に対してどうあるべきかという位置づけについては、農林省当局はどういうふうな見解を有しておられるか、その点についてお答えいただきたい。
  154. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 第四条には、石油供給目標について書いてあるわけでありますが、これは、供給目標を、通産大臣が自分の都合のいいようにかってにきめられるというものではないのです。これは「閣議の決定を経なければならない。」と第二項に書いてあるわけでありますから、農林省としては、これは各閣僚も同じであると思いますが、何といっても、食糧の問題は命に関する問題なので、農林漁業への石油供給と確保ということは当然最優先的に言わなければならぬし、その数量は当然わかるわけです。しかしながら、農林省の中でも、それは二次、三次加工というようなものもありますから、それまで含めて全部というわけにはなかなかいかぬかもしらぬ。しかしながら、農民や漁民が直接必要な、緊急に国民生活安定上必要な物資の生産のためのものは優先確保ということで、この供給目標をつけるときには、当然、農林大臣とあらかじめ協議があるものというふうに了解をしております。
  155. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、主管大臣はもちろん通産大臣ということでありまして、まとめ役としては当然だと思いますけれども、農林大臣がこの法案について参加する立場ですね。これはどういう立場で——もちろん、意見を聞くとかいうことでなくて、もっと強力にやってもらいたいと思いますが、どういう立場でこの法案に参加をするというふうに考えておられますか。
  156. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、閣議にかけてその供給目標をきめるのでありますから、閣僚として、当然それは参加するし、閣議にかかる案件については、あらかじめ下部の折衝もあることだし、事務次官の会議というものもあることだしするから、その中で農林省の主張というものは十分に反映できるというふうに思っております。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この石油需給適正化法案の十条について若干お尋ねしておきます。  この中でも、いろいろと石油供給あっせんの指導等がうたってありますが、農業生産に重大な役目を果たす農業用石油については、政府は優先確保するということで、しばしば答弁をいただいておりますが、この十条の条文を見ますと、実に弱い、また、はっきりしていないということで、各種団体も、また、われわれもそういうふうに思って、まことに不満足であります。いずれ野党四党の修正案等も出す予定で、いま検討中でありますが、これで十分優先確保ができるというふうに農林省当局は認識しておられるか。その点、お答えをいただきたい。
  158. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 十条の問題は、これは割り当てとか配給というようなことであります。当然、先ほど申し上げましたように、供給量と需要部門別の配分というようなものは通産大臣がやるわけですけれども、これについては、要するに、事業の主務大臣の同意を得てやるということに内内なっておるわけであります。  それから、今度は、事業別の、農林なら農林別の配分という問題については、当然に通産大臣と共同でやるわけですが、農林省所管については、実務的なその配分等の問題については、農林大臣がつかさどるということはあたりまえだと私は思っております。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 通産省の資源エネルギー庁の熊谷石油部長にお尋ねしますが、この十条問題で、末尾のほうに「石油供給のあっせんその他必要な措置を講ずるよう指導するものとする。」というのがあるのです。そこで、このあっせんのことがわれわれはなかなか気に食わぬわけですけれども、この場所については、われわれが仄聞するところによると、通産省は石油商業組合等を考えているやに聞いておりますけれども、このあっせんの問題についてはどういうふうにお考えであるか。お答えいただきたい。
  160. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  現在あっせん所の準備を進めておりますが、中小企業並びに各府県の個々の需要者の実態は、各府県ごとに石商の支部がございますが、そこで一番実態をつかんでおりますし、また、流通経路につきましても実態を掌握をいたしておりまするが、私どもとしましては、いまお話しがございましたように、県の石商の中にこの支部あっせん所の開設をとりあえずいたしたいというふうに考えておるわけでございます。なお、この、県のあっせん所におきましても、中小企業者あるいは農民の方、漁業者の方、それぞれお申し越しの者につきましては、それぞれ、通産局あるいは農政局その他の連絡もそこからいたしまして、必要に応じ、それぞれ中央のほうに、その申し込みの内容その他については報告が参るような、そうしまして、それによりまして現実に油が末端に流れるような、そういった仕組みを現在考えておるわけでございます。そのために、それぞれの元売りメーカーには、一定の量の油を確保するように手配をいたしておるわけでございます。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 渡辺政務次官、いま熊谷石油部長答弁を聞いておられたと思うが、農業用の石油を優先確保するという点から、また、農業の実態から、県の石商あたりが、これは全然わからぬとは言わぬけれども、わかるわけがない。いわば、県の石油商業組合というのは、全農とか農業団体から見れば、ここで言うのはことばが荒いかもしれないけれども、商売がたきみたいな立場です。こういったところでどうして円滑な配給ができるのかということが大問題である。政務次官も、おそらくこれは遺憾の意を表されると思うが、この公開の席で見解を述べてもらうと同時に、この販売業者にストレートにいくようにすべきであると私は思うわけです。中間を通らずにストレートにいくというふうにしないと、あっせんではなまぬるいというふうに思っておるので、その点、政務次官から、大臣にかわってお答えをいただきたい。
  162. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 もう、その点はさっき答えちゃったんですよ。実は、あなたが質問したのは十条だったんですが、私は十一条の答えをしちゃったものですから、もう実際は答えたと同じなんです。ただ、十条では、確かにそれは「あっせん」ということになっておるのです。あっせんということは、あなたがおっしゃるように、これは通産大臣のほうであっせんをするのだというけれども、実際、石油の販売業者と農協の石油販売とかち合って非常に仲が悪いというようなことも、下の卸か小売りの段階になると、これは部分的にはあるんです。したがって、そういうところでうまくいかぬじゃないかというあなたの御心配も、私は当然だと思う。だから、とりあえず、われわれは、十二月末のやつを確保するための交渉をやっておるけれども、引き続き一月以降三月まで、あるいはそれ以降も、あっせん等が円滑にうまく行なわれるように、要望等を下からくみ上げておいて、この程度のものは必要なんですから、元売り等で、あるいは卸等で、この程度のものは農業団体に分けてくださいということを通産省と話をして、そういう行政指導をしてもらいましょう。それでも聞かないときには、先ほど言ったように、法律に基づいて、直接ストレートに切符でも何でも配って直結してやるというのはその次出てくる段階で、まず、その段階を通ってみて、それでだめそうなときには、もうすぐにできるように、この法案を早く通してくださいということをさっきから言っておるわけです。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 渡辺政務次官は、午前中から三回にわたって、いろいろな当面の必要量についての問題で、今明日中にいろいろ詰めていく、通産省等とも、また、関係石油連盟ないしは全石等とも検討いたしておるということでございますが、農林省数字をあげて、通産省にいろいろと詰め寄っているというふうに私は受けとめております。  正月までの物資は、まず必配ないようにするとか、実態調査等をやって、一−三月については、最優先に流すようにするとか、いろいろ努力されているやにもうかがえるのでありますが、今明日中にいろいろ詰めていかれると言いますが、どういう数字で、どういうふうな内容のものを、いま通産省と具体的にやっておられるか。その内容をお答えいただきたい。
  164. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 もちろん、話をするからには、何ぼ入り用なんだかわからないで詰めたってしかたのないことなんです。大体この程度ということは、一応言ってあるのです。言ってあるのですが、この数字が、それじゃもう間違いなくぴたりですかと言われても、これはなかなか急なことでもあるし、日本全国の個々の、零細な農家までの積み上げですから、かなり推定的な問題も入っておるので、いま交渉の段階の最中でありますから、きょうは発表することは差し控えたほうがいいじゃないかというふうに思います。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まあ、具体的な数字の発表は、そういうことであれば再度お尋ねしませんけれども、十分な数量をもって交渉しておられるだろうと思いますが、従来から見ていますと、農林省は、大蔵省、通産省に対してもなかなか弱いですね。かねがね申しておりますように、水俣病をはじめ、あれだけの公害が起きたにもかかわらず、かねがね通産省にきびしく言っておけば、規制をしておけば、ああいった公害も未然にもっと防げたであろうというのに、たれ流しで今日に至って、水俣病はじめイタイイタイ病が起きてからあわてるというような状態だし、予算獲得にしても、いつも言うように、大蔵省農林局と言われるように、なかなか折衝が弱い。そういった意味でも、絶対にひけをとらないように、強力な交渉をして、農民のために——これは国民の食糧であります。先ほどお話しが出ましたように、暖房は一日、二日かりにとだえても、食べものがないんではたいへんであります。そういった意味で、強力な交渉をして、農民の石油最優先確保に努力をさらにしていただきたいと思うわけです。  もう一点、本論に入る前にいろいろお尋ねしておきますが、今度の石油の問題で、農業石油の価格について、低位特別価格を公定すべきじゃないかというふうにわれわれは考えているのですけれども、その点については、農林省はどういうふうな考えをお持ちであるか。その点をお答えいただきたい。
  166. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 農林業石油の価格を公定にしろということですが、いまのところはそれは考えていないのですけれども、しかしながら、不当な、農業の採算に全然合わないような価格では、幾ら割り当ててもらっても何の意味もないことですから、当然、農業の生産に適当な価格を行政指導してもらいたい。それでなければ意味がないわけですから、そういう点で交渉いたしております。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 具体論に入ってまいりますが、本日の日本農業新聞で、私もけさ拝見しましたが、われわれが先般来各地を回って調査をしてきた段階で心配しているようなことが、もうすでに起きつつあるので、こういったことがあってはいけないし、また、通産省、外務省その他関係省庁もお見えでありますので、十分認識もしていただきたいという意味で申し上げるわけですが、最近、諸資材の暴騰とか、運賃とか消費財の暴騰が起こっていることは事実でありますけれども、トラックが動かないで、このままでは正月のいろいろな物資等がたいへんじゃないか、正月が迎えられぬじゃないかということが心配されています。石油危機で、ついに都市近郊の野菜地帯まで、輸送の問題がどんどん深刻になってきております。埼玉県の深谷、妻沼地区野菜指定産地協議会等では、対策協議会を開いて、今後政府が農業用石油の優先確保を実質的に保証し、再生産ができる価格対策を講じない限り、年末にかけて、一定期間、京浜市場への出荷を停止するという実力行使についに踏み切ったと報ぜられております。政府の言うところの農業用石油の優先確保はから手形である、いわゆる政府と末端ではズレがあるといったことで、各団体も、また地方でも、異口同音にこれを叫んでおります。このままでは農業は壊滅的危機を迎える、生活防衛のために、全農民、農協が団結して政策転換への行動を起こそうというのが今回のねらいである。こうした実力行使は、口では農業優先を叫びつつも、現実には冷遇し続ける政治への痛烈な批判と、政策転換を求める怒りの行動だと言えると私は思うのです。こうした実力行使が全国に波及したら、これはたいへんである。これは農業のみならずと言えますけれども、特に、食糧をあずかっている農林水産については深刻であります。  そこで、政府は、こういった問題はすでにもう耳に入っておられると思うけれども、こういったことがだんだん波及してまいりまして、先般、あの米価要求の際に、各農協団体が出荷拒否をした問題等があって、あれは米価の要求の結果によって一応おさまったのでありますが、こういった農民パワーが起きてくるとたいへん心配な問題が起きると思うわけです。こういったことについて、政府は、実力行使の運動をどう受けとめておられるか、またどういう対処をする考えであるか、こういったことを承知であるか、その点のお考えをこの機会に承っておきたいのであります。
  168. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 それは国民の生活に関する問題ですから、皆さんが御心配になっておることは当然でありますし、われわれ政府を持っておる自民党にしても、皆さんに劣らず、それはもう非常に心配をしておるわけです。そういうような農民の心配をわれわれもよく知っております。幾ら農作物あるいは魚ができても、それが正月までに消費地へ届かないということでは、これは何の役にも立たないわけであります。したがいまして、農林省、運輸省、通産省等が再三集まりまして、年末年始の、特に、年末の輸送の確保ということをやらなければならぬということで、全国に、主要都市等に石油供給基地というものをつくって、農林水産物を載っけて、送り状を持ってきたトラックについては、これはもう優先的に石油を入れてもらうというような行政指導をしておるわけであります。特に、指定法人が産地から購入するところの、都道府県へ運び込んでくるところの自主流通米、それから、出荷者が卸売り市場や全農の集配センターに出荷するところの野菜とか果実、それから、水産物、食肉——牛肉とか豚肉、それから、出荷者が日本の卵業協会加盟の荷受け機関及び全農集配センターに出荷するところの卵、それから、各都道府県の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づく指定生乳生産団体が乳業工場に出荷する生乳——これは正確に言っているのでちょっとわかりずらいのだが、要するに、加工原料乳の適用地帯で、生産者が乳業の工場に持ってくる牛乳、こういうようなものなど、これはトラック輸送の場合は、優先でそれぞれの地点地点で油を入れてもらうということで、運輸省と農林省と通産省で相談をして、それぞれの団体あるいは運送屋、あるいは石油販売者等に周知徹底をさせようということで、いま話を詰めて、大体もう——これは詰め終わったんだな。詰まったんだろう。——大体詰まったというところに来ているわけであります。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう詰まったなんと言ったって返事がないが……。  運輸省をきょう呼んできましたが、ただいまの問題について、年末の物資輸送、油危機に伴う輸送等について、運輸省はどういうふうに対処しておられるか。
  170. 真島健

    ○真島説明員 トラック輸送も、このたびの石油危機で、油業者からの削減通告というようなものが、十二月の初めから非常に出始めております。現在のところ、特に困っておりますのは、遠隔輸送に従事いたしますトラックが、本社を出発しまして遠隔地まで行くと、そのところでなかなか給油が受けられない。この問題が非常に深刻な状況になっております。特に、トラック輸送におきます生活必需物資、農林水産関係の物資の輸送というようなものは、年末繁忙期を迎えまして、この問題を農林省とももちろん御相談いたしまして、通産省と協議をいたしまして、そういう主要なスポットにおける、スタンドにおける給油ができるだけ早くできるように、さらには、総量といたしましては、石油連盟日本トラック協会、あるいは私ども農林省、通産省という中で、精力的に早急な詰めを急いでおる状況でございます。間もなく結論が出ますれば、できるだけ早い機会にその措置を実施に移したい、このように考えております。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、運輸省にさらにお尋ねしますけれども、これは、年末輸送には万全の対策を講じていただきたいわけですけれども、こういうふうに石油が少なくなってまいりますと、昨日も参考人からいろいろ要請がありましたけれども、カーフェリーの利用を考えたらどうか。いわば、トラックに積んできたものを、トレーラーでもってカーフェリーで運ぶようにすれば、相当また油の節約もできるということで、そういったことを考えるべきだということが強い意見として出ておりますけれども、カーフェリーの運航はどういうふうに見通しておられるか。また、そういうようにトレーラーによって生鮮食料品等を運ぶということが近い将来考えられると思うのですけれども、そういったことについてはどういうふうに検討しておられるか。運輸省の見解を聞いておきたいのです。
  172. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 カーフェリーの輸送状況でございますが、トラック輸送におけるバイパス的な効果を持つものといたしまして、流通の近代化にも貢献するものとして、中長距離カーフェリーが、現在、全国に四十一航路あります。八十三隻の船が就航し、中長距離カーフェリーにおいては、主として、生鮮食料品ですとか日用品などを積んだトラックの輸送に従事しております。最近、石油事情が悪化したという事情もございまして、特に、トラックの輸送が非常に申し込みが多うございまして、航送申し込みの急増ということで、大部分の航路が、すでに月末までほぼ満船の状況になっておるというのが実情でございます。しかしながら、燃料油の確保がカーフェリーにつきましても困難になっておるというような実情がございまして、この点につきましても、通産省のほうにもお願いし、さらに、石油業界とも話し合いを続けておるというのが現状でございます。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いまの件で、生鮮食料品の出荷燃料というものが、いま通産省からもお話しがありましたように、また、政務次官も認識しておられるとおり、いま、ガソリンスタンドが、土曜日は半ドン、日曜日は供給がない。祭日ももちろん供給されておりませんし、平日も、時間が午前と午後が短縮されておる。こういうさなかで、長距離輸送をしてまいります生鮮食料品等が、途中でなかなかガソリンの補給ができないということが起きて、たいへん輸送が困難な状況になっております。すなわち、産地安の消費地高ということが、現に起きつつあります。出荷できずに、腐敗をするという問題もある。こういったことを見ましたときに、今後、生鮮食料品の輸送がかなりマヒするということが予想されます。運輸省等も、いま、いろいろ対処するとおっしゃっておるけれども、おそらく、年末に市場は荷動きがなくて混乱するだろう。現に、荷動きがかなり停滞しております。こういったことを考えますときに、こういった問題に対しては、絶対に不安がないように対処するということで、万全の対策農林省は講じておられるのか。その点、国民の生活を守るために十分な対策を講じていただきたいと思うが、その点のお考えと、また、対処しておる実情を披瀝していただきたいと思います。
  174. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これも、瀬野先生はけさからお聞きになっておられて、同じような話になって恐縮なんですが、何といっても、当面は行政指導で、その次は法案を通してもらうこと。そして、あっせん所を法律上つくって、そこであっせんする、それでもうまくいかないときは配給、割り当て、こう三段階で、生活必需物資は最優先。国全体から見れば、二割の削減ということは確かにたいへんなことではあるけれども、それによって国民が食わずにおるということはできないですから、ほかを犠牲にしてでも、何としてでも最優先でやってもらう。そういうことで、農林省としては万全の交渉をやっておるということであります。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官にさらにお尋ねしますが、農用石油の確保の問題で、いま、あらゆる分野でたいへん心配されておる。米の乾燥から、ノリの乾燥ももちろんのことです。ノリも、もうすでに油がなくて腐る。十年越しの豊作で、ほんとうに漁民も喜んでおりますが、事実、戸惑いを感じております。また、タバコあるいはシイタケの乾燥等、農業は季節的に油が要るわけです。さらには、来年のお茶の生産にあたって、玉露から緑茶など、お茶の生産用の油が確保できるのか、お茶の生産にもたいへん影響するということで、各地のお茶産地では、すでにもうたいへんな憂慮がされつつあります。こういったことを思いましたときに、的確な油の情報を、具体的に早急に産地に対して示すということが大事ではないか、少なきは少ないなりに示してあげる、そうして、安心して農家経営が営めるようにしなければいつまでも不安が続く、こういうふうに思うのです。いまはもちろん混乱のさなかでありますので、いろいろな要素があって、若干時間をかけねばならぬ点もあろうと思いますけれども、こういった情報を具体的に早急に産地に的確に示すということが、農民に対する、また、漁民、林家に対するほんとうのあたたかい政治のあり方であると思うのです。そうしないと、作付けをするところでは、面積をどういうふうに調整するか、あるいは、苗の確保をどういうふうにするかというようなことで、すでにたいへんな戸惑いを感じておるわけです。そういった面で、農林省はどういうふうにこれを検討しておられるか、お答えをいただきたい。
  176. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、何回も言っておりますが、下から数字を上げてもらって、どれくらいの量が必要であるか、まず当面の問題に万全を期す、次いで、一月−三月、それからそれ以降ということに分けてこれは検討しておるわけであります。あなたのおっしゃるように、農林の石油というのは全体の八・六%だといっても、平均して要るわけじゃないのです。一月−三月などというのは、輸送のほうは相当ありましょうが、農耕それ自体には、園芸とか、そういうようなことで、たいしたことはない。しかしながら、四月、五月になってくると、耕うん機やトラクターというものが一斉に動き出す、そしてまた、少し中だるみになって、九月、十月になれば、今度は、刈り取りとかあるいは乾燥というようなことで、非常に量がふえてくる。これは農業の部門について例示をしたわけでありますが、そういうように、非常にむらがある。しかも、これはまた地域的に違う。魚についても、サケ・マス漁業なんていうのは、十二月や十一月にやるわけではなくて、これも時期があるということで、非常に零細であって、地域別であって、季節別であって、それを的確にきちっと押えることは非常にむずかしいです。むずかしいけれども、いまのうちからそういうことを念頭に置いてやらないと、どたんばになったときにできません。ですから、いまから、十二月までのやつが解決ついたら、引き続き全体について、通産あるいは運輸、その他の関係省と相談をしながらやりなさいということで、農林省は、鋭意団体等と連絡をとりながら、その作業を進めておるというのが実情でございます。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、飼料の問題で数点お尋ねしますが、全農では、四十九年の二月分までは、海外からの輸入量に対する確保は一応はしているということでございますが、もちろん、三月以降についても契約はある程度できておるように聞いております。ところが、運ぶ船が石油がないために、なかなか順調に荷が入ってこない。そうすると、価格に当然影響する、国民の生活にまた重大影響を及ぼすということは、当然御承知のとおりであります。ついおととい、十二月十日にも、全国農協畜産団地連絡協議会が、日比谷の野外音楽堂で、鶏卵鳥肉生産者全国大会を開いて、ずいぶん深刻なことを訴えておりました。本年、三回にわたって、約一万八千円ないし二万円、トン当たり飼料が値上げになったが、四たび上がるとなると、これはまさに壊滅的打撃である、畜産農家を殺すのかということで、血の叫びでございました。  そこで、いまの趨勢から見まして、通産省のけさほどのいろいろな報道等を見ますと、二〇%はおそらく間違いないというようなことが報道されて、かなりきびしい制約を今後続けなければならぬというような状況が言われております。こういったことから、飼料の値上げということがたいへん心配になってくるのだが、その辺は、農林省はどういうふうに見ておられるのか、これに対してどういうふうに対処して、飼料の値上げを食いとめるように努力されるのか、畜産農家の不安を除くためには、現段階でどういうふうに検討しておられるのか、その点をお伺いしておきたい。
  178. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  先ほどもお答えを申し上げたところでございますけれども、本年の秋の米国におきます穀物生産、これはトウモロコシあるいはコウリャンあるいは大豆でございますけれども、まだ最終的になっておりませんけれども、非常な豊作で、ただいまのところ、史上最高というような状況になっております。したがいまして、八月の半ば以降から、それまでの水準と比べまして、かなり下げてまいったわけでございます。これらの状況が一つはプラスの要因ではないかと思っております。ところが、反面、ただいま御指摘のございましたように、石油の問題から端を発しまして、海上運賃が相当上昇をしてまいったというようなことが昨今起こってまいっておりまして、これは、いわばマイナスの要因ということでございます。  ただいま申し上げましたように、プラス、マイナス双方の要因がございまして、今後の価格の動向というものはなかなかつかみにくいわけでございますけれども、現に、九月以降、いろいろな対策を講じておるわけでございますので、できるだけ値上げという事態に至らないよう、いろいろと指導をしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、飼料問題で、こういうふうに電力または石油の不足が先行き暗い状況下にあるので、いま、各有識者の中でもいろいろ検討されておりますけれども、飼料の配合をする場合に、国内の飼料工場で、現在ペレット飼料が多いから、石油、電力が多くかかっているということになっておるわけですけれども、マッシュ飼料に切りかえる必要があるんじゃないか。そして、包装もバラタンク方式にする。こういうふうにしたならば、かなり節約できるのではないかというようなことも検討されつつありますが、いよいよ、自衛策として、こういったことを考えていかなければならぬのではないかというように思うのですが、こういうことは、農林省は、どういうふうに検討しておられますか。
  180. 下浦静平

    ○下浦説明員 瀬野先生の御指摘のとおり、昨今では、ペレット型の配合飼料がかなり普及してまいっております。これは、どうしてそういうことに相なっておるかと申しますと、この型の飼料でございますと、給与効率が非常によいということが一つと、それから、品質が非常に均一化されるということでございまして、家畜の嗜好性が高いということが伴いまして、こういうものの普及が出てまいったわけでございますが、ただいまのところ、配合飼料の生産量の全体のうち、約一五%程度、この型の配合飼料が出ております。ただ、ただいま御指摘のとおり、ペレットの生産には、粉末飼料の場合にはほとんど必要といたしません石油かなり消費するというようなことがございますし、また、電力につきましても、粉末飼料の製造に比べまして、相当消費型であるということでもございますので、今後、石油需給の推移を見ながら、おっしゃいますように、粉末飼料への切りかえを指導してまいりたいと考えております。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、私は、肥料の問題にも触れてみたいのですが、石油の不足が、また、肥料のほうにも影響が大であります。これはまた各地でいろいろと心配されている問題でありますが、肥料の原料というのが、ナフサ優先で、ナフサを確保しないとなかなか肥料ができないということでございます。すでに御承知のとおり、燐鉱石は、南米の輸出削減で原材料が不足し、価格高であります。したがって、大幅値上がりが予想されております。そこで、新しい原材料の開拓が必要である。こういうことは、こういう石油不足になりますと考えなければならぬと思うのです。たとえば、燐灰石は北ベトナム、燐酸液は米国、こういうように産地があるわけですが、こういったものを開拓して肥料の確保をはかっていかなければならぬ、いわゆる原料確保の転換をはからなければならぬ、こういうようにも思うのですが、こういう点は、農林省は十分検討しておられますか。
  182. 前田耕一

    ○前田説明員 先生のお話しのとおり、窒素肥料におきましては、窒素は空気中からとるから問題ないのでございますけれども、水素をとる場合に、昔やっておりましたような、水からとる方法がありませんで、最近は石油製品からとっておるわけでございます。その中のおもなものがナフサでございます。この代替が、いまの現状においては非常に困難でございまして、現在のところ、ナフサの優先確保につきまして、通産省に具体的な措置をいろいろとお願いし、両省協議しておるところでございます。  また、燐鉱石につきましては、お話しのとおり、燐酸資源につきましては、現在フロリダが約三分の二でございまして、それから、モロッコが大体三分の一のシェアを占めておりますが、ほとんどそういった外国に依存しておるわけでございます。それで、そういう国内的な資源につきましては、ほとんどそれにかわるものがございませんで、いまのところ、私どもとしましては、先生が一部おっしゃいましたような、そういう輸入ソースの範囲を広くしまして、燐酸、燐鉱石の確保をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約があるので、はしょっていろいろお尋ねしていきますが、関東、東北では、肥料というのは、春肥を中心に行なうために、注文がどうしても年末に集中してくる。西日本では、三−四月が必要なために、年初から春にかけて注文が殺到するというので、肥料もまたいろいろ時期があるわけです。油不足でこのようになってまいりますと、農家の肥料供給がたいへん心配になってくる。これは公平にやらないとなりませんが、油のある間は関東、東北には十分行っても、今度は、年が明けて、三−四月に要る西日本で肥料を要求しても、油がないためにこれが潤滑にいかないとなると、農作業にたいへんな影響を来たす。こういったことが身近な問題として心配をされる。そこで、先ほどから申しますように、肥料の確保ということについても十分対処せなければならぬが、当面の問題がまたある。すでに、県別、品目別に実績等を出して、われわれもそれらに当たって、いろいろと肥料の需給等を検討しておりますが、こういったことについては十分な見通しを立ててやっていただかなければなりませんけれども、その辺はどういう見解で検討しておられるか、お伺いしたい。
  184. 前田耕一

    ○前田説明員 窒素肥料につきましては、御承知のように、現在、肥料価格安定等臨時措置法という法律がございまして、輸出の調整をできることになっております。これによりまして、内需の確保をはかるということをいたしておりまして、量全体といたしましては、内需にいささかも支障を与えないということを考えておるわけでございます。  なお、燐酸肥料、カリ肥料につきましては、先ほど申しましたように、原料を外国に依存しておりますので、この確保の問題につきましては、先ほどからお話しがありましたような、外航船の燃料の確保の問題を、現在、鋭意各省と協議中でございます。そういった燐酸、カリにつきましては、特に、燐酸肥料につきましては、そのほか、硫酸の確保の問題等もございまして、これらの原料の確保につきまして、通産省と、具体的な措置につきまして、現在鋭意協議中でございます。燐酸肥料、カリ肥料につきましては、そういう方向で内需の確保をはかってまいりたい、かように考えております。  それから、いま申しました輸送の問題につきましては、ほかの農林物資と同じような考え方で重点的輸送をはかるように、燃料の確保等について、一緒になって関係方面に折衝してまいりたいと考えておるわけでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 こういう時代になりますと、肥料の種類がたくさんあるけれども、やはり、銘柄統一をして合理化をはかったらどうかという声を末端に行くとよく聞くわけですが、その点はどうですか。
  186. 前田耕一

    ○前田説明員 わが国の肥料の特に複合肥料でございますけれども、これが中心になっておるわけでございますけれども、これの銘柄数は、御承知のとおり非常に多うございまして、数千といわれる銘柄がございます。こうなりましたのは、長年にわたりまして、肥料は需給が緩和基調にございまして、それを背景としまして、より生産性を高めるために、地域別に、いろいろな土壌条件、作物栽培条件といったものに適応したきめのこまかい施肥設計が行なわれておりまして、それに応じまして銘柄が多様化してまいったわけでございます。しかしながら、いまお話しがございましたように、最近の石油ないし電力事情のもとにおきましては、いろいろな原料の困難もございますし、生産の操業が落ちていくという懸念がございまして、生産、流通の合理化の見地から、銘柄の統一をはかっていくということが現在においては必要ではないかというように私どもも考えておりまして、生産者側及び消費者側の両サイドにおきまして、その銘柄の合理化の問題につきまして、すでに現在検討を進めているところでございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、政務次官、いま、肥料の問題を若干指摘したわけですが、従来は、肥料はかなり多かったわけです。中共、また東南アジア等に輸出をしておったわけですけれども、だんだんきびしくなってくる。また、石油も不足、電力も不足。そうなってきますと、今後先行き心配なんです。そうなりますと、東南アジア、中共への海外輸出を、どうしてもこれは国内優先に切りかえていくということで、相当検討せなければならぬと思う。これは外交問題もからんでくると思いますけれども農林省は、そういった点はどういうふうに分析しておられますか。
  188. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 午前中にもお答えをいたしましたが、日本の肥料の輸出の大部分は中国に行っているわけであります。それで、中国の値段が日本よりも安いという話が午前中にあったわけでありますけれども、それは、国際競争との関係、それから、そういうように大量につくることによって、実は、国内価格もコストはダウンをしておるんだというようなことで、安くともたくさんの量をつくって、コストダウンをさして売っておったというのが事実であります。しかし、国内の需給が逼迫するということになれば、国内優先ということは当然であります。しかしながら、日本石油削減である程度極端にすぱっと切られたために、日本が混乱を起こしておるということでありますから、やはり、日本から出ておるものを極端にすぱっと切るというようなことをやると、向こうが日本と同じような混乱を起こして、日本アメリカから大豆を押えられて大騒ぎをしたのとちょうど同じようなことが相手国でも起きるわけであります。これは、国際信用等の問題に重要な問題でもありますから、あまり極端なことはできないと思いますが、しかしながら、やはり、国内優先ということのほうが先に立ちますので、それらはよく話をしながら、国内の肥料を充実して、優先的に確保するという方向に持ってまいりたいと思っております。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、そこで、肥料安定法が来年の九月には期限切れになるわけですけれども、これは延長して恒久立法にしてくれということを各種団体も言っておるし、また、われわれもそう思うのですが、この点は、政府としてはどういうようにいま検討しておられますか。
  190. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 肥料価格安定等臨時措置法は、四十九年で終わることになっております。しかしながら、最近の肥料の原料価格等の値上がりによる肥料価格の上昇が著しいということ、あるいは原料不足というようなこと、あるいは国際の肥料の需給の逼迫化ということに伴って、内需についても不安が出ておるというような状態を考えながら、これらの情勢を考慮いたしますと、通産省と協議をして、さらに、これは、廃止をするよりも、延長するということのほうが妥当ではないかと思いますが、時間がありますから、周囲の情勢を見ながら慎重に検討したいと思っております。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、水産関係について、若干はしょってお尋ねしますけれども、現在、遠海漁業等は、行きの油はあっても帰りの油がないということで、いろいろ問題になって、新聞等で報道されておることも御承知のとおりでありますが、遠洋漁業では、十月から十二月、四月から六月と、月によって、月別の事情が変わるわけでございます。また、漁期によっても変わってくる。そこで、一般と違いまして、きめこまかい施策をやらなければならないという問題があるわけであります。すなわち、必要な時期に、必要な場所で、必要な量を補給しないと、なかなか量の確保ができないというのが問題であります。すでに、全漁連でも、洋上診療補給船、すなわちジャパン・ツナを出して、これは三千トンでありますが、パナマ、ハワイ、ペルーの三カ国の中央地点において補給をしている。ところが、この油確保が、また今後なかなか困難になってくる。百八十トン以上のマグロ船が七百隻も出漁しているということを聞いておりますけれども、こういった問題を踏まえますと、この一隻では足らぬ。農林省も、数年前は、もう一、二隻補助してつくろうというような考えがすでにあったやに聞いておりますけれども、こういう問題が起きれば、なおさらこういった船が必要となってくる。すなわち、操業地から母港への往復の時間が十日ないし二週間もかかるとなると、油を相当使うわけですから、補給船があれば、相当便利に補給できるということになります。そういったことで、今後考えなければならぬと思うが、そういった洋上診療補給船の問題はどういうふうに考えておられるか。  それと、もう一つは、全漁連等でも、緊急中の緊急処理として、ケープタウンに六千五百キロリットル、ハワイに五千五百キロリットル、内地のなけなしの油を十二月二十日に運んで、遠洋漁業の操業に補給するということを計画しておられるように伺っております。タンカー二隻を確保してこれを運ぶということになるわけですけれども、このタンカーの確保ができるのか。政府も、これはいろいろと応援をしていただかなければならぬわけです。また、タンカーの確保ができても、外国の母港に、油を入れるためのタンクを貸してもらえるかということがいろいろ心配されております。こういったことについて、水産庁はどういうふうに考えて対処しておられるか。時間の制約もありますので、簡潔にお答えをいただきたい。
  192. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  現在、わが国の海外の基地で補給されております油の総量は、主体は、カツオ・マグロ漁業とトロール漁業でございますけれども、それぞれ約三十万キロずつぐらいで、約六十万キロでございます。いま御指摘の点は、カツオ・マグロ漁業中心でございますけれども、現在問題になっております地帯は、ハワイ周辺と南アのケープタウン周辺の地区でございますが、ここではほとんど油の補給が立たないという問題でございます。  こういった油を従来からどういうふうに供給しているかと申しますと、いま御指摘のございました日鰹連が持っておりますジャパン・ツナでございますが、これは、主として巡回診療を目的とした船でございまして、それの一部に、いわゆる海外の油を補給する機能もあわせ持たしております。これで補給できます数量は、約三十万キロ必要である約一割くらいの三万キロくらいしか補給する能力がございません。したがいまして、大部分は、やはり在外基地の、主としてメジャーでございますけれども、それと特約契約をしながら補給しているという実態でございます。これが、世界的ないまのような事情で、その補給がだんだん窮屈になってきているということでございまして、今回、二隻の船をケープタウンあるいはハワイ周辺に派遣いたしますのは、ある意味では非常に緊急的な措置でございます。今後、こういう事態が相当長期間続くと見ざるを得ませんので、将来ともこういう緊急措置がとれるかどうかという問題がございます。  したがいまして、いろいろな並行的な措置をあわせやっていく必要があると思いますけれども、やはり、一番基本的には、油の需給が世界的に緩和するということになりませんと、根本的には解決にならぬと思います。海外でメジャーと交渉いたしましても、従来どおり補給するということは、簡単には見通しは立たないのだろうというふうに私どもは考えております。したがいまして、物を持って、そういうメジャーとの間でも話し合いを進める必要があるだろう。いま申し上げましたように、カツオ・マグロあるいはトロールを入れまして六十万キロでございます。この数字が少ないと言いますと、またおしかりをちょうだいするかもわかりませんけれども日本全体の二億がらみの消費からいたしますと、コンマ以下の数字でございますから、ある意味では、国内で両方確保して、それをてこにメジャーなんかと交渉する。振りかえ操作と申しますか、やはり、海外基地で補給することは一番能率的でございますから、一々大きなタンカーを世界の海に派遣するということは、言うべくして、コストの問題もございますし、非常にいろいろな問題があるわけでございます。そういう面で、そういったいろいろな方策を講じながら補給を確保してまいる。やはり、現在では、基本的には、国内でその分を何らかの形で確保するということが必要だろう、こういうふうに私どもは考えております。  それから、そういったことのほかに、通産大臣がメジャーとの交渉もされましたし、これは非常に大きな問題でございますけれども国内で必要数量を確保するという前提のもとに、世界的にそれを振りかえる、メジャーの全体の数量からすれば、六十万トンというのは、コンマの、またコンマ以下の数字でございますから、そういう形で話し合いが進められないものだろうか、このように私ども考えておるわけでございますけれども、非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、緊急的な措置には、今回とったような措置もあるいは将来も出てくるかと思いますけれども、そういった事態を踏まえまして、全体の海外漁業の操業の再編成も、ある意味では必要になってくるのじゃないだろうかということで、日鰹連では、それが一番大きな問題として、現在議論が進められておるわけでございます。あるいは、海外の補給がわりあいにまだ円滑に行なわれているような地区に漁船を回す、あるいは、国内へ帰ってきた船の出漁をある程度コントロールしていきまして、そういう立ち往生するような事態にならぬような一つの操作が必要になってくるのだろう、こういうような一つの問題も踏まえまして、現在、水産庁が中へ入って、鋭意いろいろ検討いたしている次第でございます。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、外国で油の補給がなかなかできないし、また、カットされた油を何とか確保するために、遠洋漁業に従事している漁船は苦労しているわけです。そこで、この油の問題について、各団体が通産省に交渉すると、通産省は外務省に行けと言うし、外務省に行けば、外務省は、簡単な陳情電報ぐらい打って済ませるというようなことで、全くたよりないというふうに言われていますが、外務省としては、こういった問題については、一体どういうふうに対処していられるか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
  194. 手島れい志

    ○手島説明員 お答え申し上げます。  私どもは、通産省ないし水産庁と常時緊密な連絡をとりながら、また、在外公館のほうの情報収集の機能も活用いたしまして、問題の所在の把握につとめるとともに、また、必要な場合には、電報一本と申されましたけれども外交的な話し合いをいたしまして、必要な措置を依頼して解決したケースもあるというのが実情でございます。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がもう詰まってまいりましたので、外務省のほうにも特にお願いしておきますが、こういった遠洋漁業の問題については、たいへん現地で苦慮をしております。内陸面の油は、相当深刻に身近な問題であるので確保できるが、洋上にある遠洋漁業に対しては、どうしても忘れがちといいますか、手薄になるので、この点については、ひとつあたたかい手を伸べていただきたい。また、団体の要望等を聞いて対処していただきたいということを強くお願いをしておきます。  なお、水産関係にも、外国で油をカットされた分については、国内でぜひ見てくれということで、強い要望が出されています。やはり、国民のたん白質を補給するためにも、漁獲量が減ったらたいへんな問題であるので、優先確保ということについては十分確保していただきたい、こういうふうに強くお願いをしておきます。  なお、水産行政でもう一点、政務次官と、また外務省とにお聞きしておきます。海外基地の操業の石油の確保という問題で、国策として実施すべき問題として私は申し上げるわけですけれども、今日まで、五カ所に全漁連も職員を派遣し、さらに長い間かかって、苦心して築き上げてきた基地であります。遠洋漁業が大きく後退すると、こういった国際問題は、一たん後退したものはなかなかもとへ復帰しないのが実情であります。こういった意味で、海外漁業の確保という点からも、十分油の補給に対処してやっていかなければならない、外交ルートで確保していかねばならぬと思うのですが、その点について、簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。
  196. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御説のとおりでありますから、極力努力をいたします。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、林野庁長官に二点だけ簡潔にお伺いしまして、質問を終わります。  実は、木材もまたたいへんな問題でございまして、現在、需要が少ないのに木材が急騰している。しかも、業者が入荷難を見越して在庫しているということがいろいろ言われていますが、在庫が少なくなると木材の高騰につながるということで、たいへん憂慮しております。御承知のように、十月末現在の在庫数量は、私の試算によりますと、南洋材が五百二十万立方、米材が二百七十万立方、北洋材が百四十七万立方、ニュージーランド材が十五万六千立方。そうしますと、南洋材が二・四カ月分、米材が二・五カ月分、北洋材が二・二カ月分、ニュージーランド材が一・一カ月分ということで、在庫も相当少なくなってきている。もちろん十一月、十二月の在庫数量を見ないとわからないと思いますが、若干低くなっていると思いますけれども、この点について、木材が油不足のために輸入が入ってこないとなると、またたいへんな高騰につながって、住宅ローン、その他財形等の問題もありまして、国民に問題を投げるということになります。この点についてはどういうように見通しをしておられるか。  それと、もう一点は、紙不足が深刻になってまいりまして、チップは国内材が約八〇%でありますが、油不足によって輸送が困難になりますと、ますます紙不足によって価格高騰が心配されます。林業用油は、四十九年は二百四十万キロリットルぐらいほしいという推定がされているようでありますが、油の確保ができないと、いわゆるパルプの生産が減少することによって、またさらに紙が高騰して大問題になる。憂慮すべき問題になりますが、これらについてはどう対処しておられるか、お伺いしておきます。
  198. 福田省一

    ○福田政府委員 第一点の木材全体の問題でございますけれども、御指摘のように、在庫率はこの八月がピークでございましたが、最近、若干在庫率は減っております。しかし、大体二カ月から二カ月半。米材、南方材、それによっていろいろ違いますけれども、大体現在のところ二カ月から二カ月半ぐらいの在庫率になっております。外材全体といたしましては、現在、私たちの見通しでは、昨年に比べまして——昨年は四千四百八十四万立方メートルという数字でございますけれども、十月現在では四千三百八十四万立方メートル。十二月までの大体の推定でございますけれども、五千万を突破するであろう。二九%になるというふうに見通しておりますので、全体としては、この外材の確保は、年内は大体だいじょうぶだと思っておるわけでございます。  ただ、油の問題でございますけれども、油につきましては、年内は、業界等とも運輸の関係その他で話し合いまして、大体確保できる見通しでございます。ただ、これが相当長引きますというと、やはり問題になってまいります。現在、関係省庁と精力的に折衝いたしまして、油の確保をするようにつとめておるところでございます。  それから、紙の問題でございますけれども、確かに、最近、紙の需要が相当ふえてまいりまして、トイレットペーパーその他いろいろな問題を起こしているわけでございます。この生産量でございますが、メーカーにおきましてもいろいろと生産につとめております。四十八年の一月から十月まででございますが、生産量が一千三百十二万トンになっております。これを昨年の同期に対比いたしますというと、約一一七%の増産でございます。生産量自体は相当伸びておりますけれども、消費が相当大きいということで、いろいろ問題があるわけでございます。  紙の原料でございますけれども、この紙の原料につきましては、チップが非常に多いわけでございます。木材チップはパルプ原料の約八割を占めております。その八割のうち、国内供給はその六割になっているわけでございます。この生産を確保することはきわめて重要な問題でございますので、石油の確保につきましては、やはり、関係省庁に強く協力を要請しているところでございます。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、質問を終わります。
  200. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、稲富稜人君
  201. 稲富稜人

    ○稲富委員 けさから、同僚各位から、農業、水産業に対する石油の必要性、困っている実情等に対しましては、ずいぶん繰り返し希望を述べ、また、御答弁もありましたので、私は、簡略にかいつまんで二、三点をお尋ねしたいと思うのであります。  まず、最初に、通産省の石油部長にお尋ねしたいと思いますけれども、けさ、石油の将来に対する見通しに対しまして、非常に楽観を許さないというような御説明もあったのでありますが、私がここで承りたいことは、将来の石油事情というものに対するもっと的確な見通し、こういう状態がいつごろまで続くか、いつごろになったら解除するだろうかということで、こういう点がわかりましたら、お示し願いたい。それによって、農業あるいは水産業に対する今後の計画等も考えなくちゃいけないと思いますので、その見通しについて、わかっているだけ、詳細に承りたいと思うのであります。
  202. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  原油輸入が今後どういうふうに推移するかという点は、主として、アラブ石油を武器とする現在の外交政策が今後どういうふうな展開を遂げるかということに大きくかかっておるわけでございまして、現在までのところ、アラブ諸国の態度はたいへん強硬でございます。先般日本が中東政策に対する見解を発表したことを先方は評価いたしまして、予定されておりましたこの十二月のOAPEC諸国生産削減という問題につきましては、積み増しはしないということになったわけでございますが、明年一月におきましては、積み増しは、日本ヨーロッパ等につきましてもやるという考え方がきまったようでございます。今後、さらに、年末から年明けにかけまして、新しい各国外交努力というものがどういう実を結ぶかによってかなり変化もあろうかとは思いますが、現段階では、その行くえを見定めるわけにはまいらない状況でございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 私どもとしましては、最悪の事態も考えまして、石油需給の適正化法案をお願いしておるわけでございます。現段階ではきわめて流動的でございまして、現段階での見通しは、何とも的確には申し上げかねるというところでございます。
  203. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に、いまの石油事情に対する見通しというものを参考といたしまして、政務次官にお尋ねしたいと思いますが、先刻も政務次官から御答弁がありましたように、農産物を確保するための油というものは確保しなくちゃいけないということは閣議で決定されたということを承っておりますが、その閣議決定の内容を、この際承りたいと思うのでございます。
  204. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 閣議決定の内容は、新聞等にも出ておりますが、要約をいたして申し上げますと、これは行政指導でやるものと、法律をこしらえてやるものと、二つの部門に分かれておるわけです。法律の問題は、石油需給適正化法という形でそれがなされておるわけで、行政指導の問題については、まず、石油等エネルギーの消費節約運動を展開しよう、それから、石油等の使用節減について行政指導をいたしますということで、一般の企業については、十二月末まで一〇%の使用節減をしてください、それから、大口の需要者に対しましては、その一〇%の使用節減をしてくださいというのですが、これは半強制的ということばは使っておりません。濃密指導ということばを使っておりますが、言いっぱなしじゃなくて、相当強く監視もして、あなたはやっていないじゃないですかと言って、監視をして削減をさせよう、こういうようなことであります。  それから、一般の家庭用、農林漁業用、公共輸送機関用、病院等の石油の適正な必要量は確保をいたします、それから、生活必需物資、医療用物資、農林漁業用物資、中小企業向け物資の需給に与える影響を最小限度にとどめるような措置を講じましょう、というようなことなどがおもなるものでございます。  その要綱の運用上、農林漁業につきましては、次のような取り扱いをいたします。農林漁業は、石油等の一率の使用削減の対象とはいたしておりません。農林漁業用石油の適正な必要量の確保につとめます。それから、石油供給削減に伴う波及効果として、農林漁業用資材の需給に与える影響を最小限度にするための、所要の措置を講ずるように検討をいたします。それから、情勢はきわめて重大であるので、農林漁業としても、石油の使用削減について最大限の協力をしなければならないけれども、食糧等、国民生活に欠かせない物資を生産する使命を持っている農林漁業については、関係省とも十分連絡協議をして、関連事業を含め、適正な必要量の確保につとめてまいりたい。こういうふうなことであります。
  205. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、価格安定におきましては、農林漁業用に対しては、必要量だけは確保するということを、はっきり閣議でも決定されておる。しかし、それと同時に、一方には、これに対する節約もまたやらなくちゃいけないということも閣議決定されている。こうなりますと、今度は、農林漁業対策としてやるべきものは、現在の農業使用に当然——その農林漁業及び水産振興をはかる上において、油を使用しないでいいようなこういう部面、油を使用するものに対する節約、これをあわせてやらなくちゃいけないという問題が当然起こってくると私は思うのです。ことに、油の需要というものは、ただいま通産省からも御報告のありましたように、将来の見通しというものはなかなか十分じゃない。こうなりますと、そういうようなことも考えなくちゃいけないと思いますが、これに対して農林省はどういうような指導をなさろうと思っているのであるか、この点を承りたい。
  206. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 農林水産物の中で、たとえば緊急に石油対策をしなければ腐敗をしてしまうとか、あるいは枯れてしまうなど、緊急に差し迫って必要なものは、何が何でも確保しなければなりませんから、まず、そういうものを確保するということが先決であります。それから、四月、五月になれば、耕うん機とか、トラクターとか、農耕用のものが当然出てくるわけでありますから、日本の食糧は、現在でさえも、米を除きやや不足ぎみということなので、これらに対する油というものは、やはり優先的に確保していかなくちゃならぬ。そのためには、農林省と通産省でよく相談をして、よく連絡のとれた形で、石油連盟等を通じ、末端にその確保を指令してもらう。  それから、御承知のとおり、石油需給適正化法の中では、通産省は、あの法律が通れば、あっせん所を設けて、そういうような必要な方にはあっせんしますと言っておりますが、しかしながら、ただそれだけでは、先ほどお話しがあったように、農協と末端の石油販売業者が競争をしておってあまり仲よくないから、この際、意地悪をされても困るわけですから、それはやはり上で話を詰めて、そう言う以上は、なるべく必要量はあっせんしてもらう、それでもなおかつうまくいかぬというようなおそれがあるような場合には、政令によって、優先割り当てというか、割り当てとか、配給とか、そういうようなものによってでも、ともかく、農林関係の生活に直接必要なものは優先的に確保していくという方針で、われわれとしては交渉をしておるわけであります。
  207. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、私は、必要な部分は後かたこれに対して要望するといたしまして、まず、農林水産業の上において石油をなるだけ使わないでいいようなもの、こういうことも考えなくちゃいけない。施設園芸の問題も、先般来御質問があって、御答弁があったのでございますが、この施設園芸なんかについても、すでに次官も御承知のとおり、ボイラーをたく。あるいは、水産業においても、ウナギのシラスを育成するための保温施設をやらなくちゃいけない。これは全部重油のボイラーをたいております。こういうものを節約するということになりますと、石油以外の、重油以外のものをたく、あるいは石炭をたくとか、あるいはおがくずをたくとか、こういうようなことによって一応節約するということも考えられると思いますが、こういうことに対する指導はどうお考えになっておるか、この点を承りたい。
  208. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 あるいは魚、あるいは施設園芸その他のことについて、石油以外に転換をするということはあろうかと存じます。栃木県なんかの例だと、石油が入手困難だからといって、今度は、いままで転作としてつくっておったのだが、もとのたんぼに戻すのだというような人も多少ありますし、自己防衛上自主的にそういうことはもうやっておるわけでありますから、これはやむを得ない措置だと存じます。  それから、そのほかに——まあ、先生のおっしゃるのはどういうことを言っておるのかわかりませんが、石油を使わないかわりに石炭を使ったり、おがくずを使ったりなんかするには、それだけ別な施設が必要だから、そういうふうなものについて助成するかというようなお話しだろうと存じますが、いま、そこのところまでは、実は考えていないのであります。  こまかい取り扱いの石油の問題について、ものによっては節約をしてもらわなければならぬようなもの、あるいは、現状を維持しなければならぬようなもの等に分けて、すでに、農林省では、こまかい通達等も出して指導いたしておりますから、それは審議官から説明させたいと思います。
  209. 二瓶博

    ○二瓶説明員 十一月十六日に緊急石油対策要綱がきまったわけでございます。それを受けまして、十一月二十日付をもちまして、指導通達を事務次官名で出しております。その際に、農林漁業の関係石油につきましては、生産面につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、一律一〇%節減というものの対象外になっておりますけれども、やはり、農林漁家も国民の一人でございますから、消費節約運動というものを国民的運動として大いに展開をしておるわけですから、そういう面では、これに協力をするということは当然であろうという角度に立ちまして、二十日付で出しました事務次官通達の際に、農業関係林業関係、さらに漁業関係というような各分野にわたりまして、こういうことを気をつければ相当節約にもなりますよ、そういう面を配慮するようにというようなことで、一応留意事項みたいなものですけれども、これを出してございます。  たとえば、農業機械というようなものを見ますれば、その農業機械の種類に応じまして、作業目的に適合したエンジンの回転速度なり、あるいは変速位置による作業の励行というようなことをやってもらう。必要以上にエンジンの回転速度を上げないことというようなこととか、農業機械の点検整備につとめて、タンク、配管等からの油漏れを防止することとか、端的に言えばけちけち運動みたいなかっこうでございますけれども、そういうような心がけがやはり大事であろうということで、十一月二十日付の通達では出してございます。
  210. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、そういうような節約面とさらに、いま言うように、施設園芸の場合でも、今日まで、施設園芸を非常に積極的に指導してまいった手前もありまして、こういうものに対しては、私がいま申しましたように、油のボイラーをほかのものにかえるというような技術的な指導をするとか——これは、ことに農村なんかでは、おがくずというものを適当に使えれば、保温設備も相当にできると思うのですが、そういう点の指導なんかはどう考えられておるかということ。さらに、技術指導によってそれができるということになってくるならば、いま次官も言ったのでございますが、それに対する設備の費用を助成するとか、こういうような問題で転換を積極的に奨励する。私が先刻通産省にお尋ねしたように、石油事情というものが、近い将来に見通しが好転をするというようなことならこういう必要はないかもわからないけれども、相当期間こういうものが好転するような見通しがないということになれば、やはり恒久的な対策というものを考えなくちゃいけない、こういうことに対しても積極的に取り組むべきじゃないか、こう思うのですが、これはいかがでございますか。
  211. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 きわめて技術的な問題なんで、私からお答えしにくいのですが、消極的な考え方としては、先ほども高知の代議士さんから質問があったのですけれども、こういうように石油や資源が不足だというようなときに、いままでのように、東北でもどこへでもどんどん広げて施設園芸をやらせるのかという質問がありましたが、しかし、これに対しましては、施設園芸が別にぜいたくというわけではございませんけれども、ナスやキュウリというものは、大体昔は夏食うものになっていたのですね。しかしながら、ナスやキュウリやトマトを冬食わせるためには施設園芸をやらざるを得ないということになれば、消費者教育の面も必要であって、やはり、白菜とか、あるいは冬キャベツとか——冬のキャベツなんというものはいまでもできるわけでありますから、そういうようなものを確保して、品選びというようなことからすれば少し後退するかもしれぬが、国民食糧の確保、国民のカロリーあるいはビタミンの維持というような点からすれば同じことでありますから、まず、冬場の野菜というものについてもっともっと施設園芸を補助して、うんと広げていくということについては、私は、考え直す必要があるのではないかと思う。  現在施設園芸をやっている人を、それじゃ施設園芸から別なものに直接振りかえるということについて、施設助成までして何に振りかえるかということについて、詳しいことは私はよくわかりません。わかりませんが、いまのところは、施設園芸をやっている者に、重油を石炭に切りかえろ、そのために補助をやりますということまでは目下考えておりません。これは、団体等からも特別な要求はいまのところ出ておりません。したがいまして、現在施設園芸があるものは、これはやっているわけですから、もちろん将来の話に、一年先の話になってくるわけですから、石油状況等を見ながら、団体の意見も聞いて、農林省としては、何が一番いいかひとつまじめに検討してみたい、こう思っております。
  212. 稲富稜人

    ○稲富委員 施設園芸の問題は、いまおっしゃったように、わざわざ季節はずれのものをつくらぬでもいいという問題も起こってくると思いますが、施設園芸をやっているところを切りかえるためにも何か方法を講じてもらいたい、助成等をやってもらいたいという意見は相当にありますから、この問題はこの問題として、やはり考慮の中に入れておく必要があると思うのです。  それから、季節的なものではなくして、切りかえのできないものはウナギなんですね。シラスを成鰻になすためには、やはり、シラスに保温装置をやらなければ成長しない。これがためには、当然保温設備が必要なんです。これが油がないと困る。現に、静岡あたりでは、本年度のシラスはどうするかといって、油がこないので困っているという事実がたくさんあります。こういうものは当然保温装置をやらなければいけない。油があれば、優先的に油の配給をやればいいのですけれども、油の見込みがないとするならば、これはやはり何かに切りかえるという方法もやってやらなければ養鰻が成り立たないのですから、こういうものもあわせて何かの転換を考えて、方法に対しては指導し、これに対する対策というものを考えてやるということが当然必要じゃないかと考えます。すべてをやれというのではなくて、そういう必要欠くべからざるものに対して何かの手を伸ばして、転換しやすいような方法で指導するということが必要ではないかと考えます。これはいま希望が出てきていないかもわかりませんけれども、おそらく当然出てくると思いますので、その点を含んで考慮していただきたい。農林省としてもこれに取り組むのだということになりますと、安心してその方向にまたみんなが希望を持ってくると思うのでございますから、その点を十分考えて、政府としての立場、考え方をこの機会に承りたいと思うのです。
  213. 安福数夫

    ○安福政府委員 シラスの問題につきまして、その育成と申しますか、シラス養殖は、最近非常に開発された技術でございまして、現在、養鰻業者の中にそういう技術の採用がだんだん定着しつつあると申しますか、だんだん伸びている。シラスは、御承知のとおり、歩どまりが非常に悪いと申しますか、そういうために、歩どまりをよくするという意味で、摂氏二十五度ぐらいに維持しますと、非常に歩どまりがいいんだ、病気も当然ないんだ、成長も促進されるということですが、シラス事業は、御承知のように、非常に貧困でございます。国内需要の三〇%から四〇%の確保ができれるかどうかという問題で、フランスを中心としまして、ヨーロッパから飛行機で運ぶということで、トン当たり非常に膨大な価格で輸入しておるということでございますから、シラスの歩どまりを上げるということは、業界としての非常な関心事でございます。そういう意味で、最近だんだんそういう技術が事業者の中に採用されつつあるということでございます。現在非常に問題になっておりますのは、新しい技術だけに、過去の重油の実績と申しますか、消費の実績がないということで、はたして確保できるのかどうかということを非常に不安がっておる。これは私ども承知いたしております。したがいまして、もう先ほどの政務次官の御答弁で尽きておると思いますけれども、現在の石油対策も、農林業の一環として将来伸びていく、それが非常に重要だという限りにおいて、やはり、重油を確保するということで当面考えておるわけでございまして、エネルギー源の転換ということになりますと、これは単にシラスだけの問題ではございませんで、もっと大きな問題でございますから、その際には、また抜本的な対策なり検討がされることだろうと思います。当面、われわれとしましては、必要な量を農林業ワクの中で確保してまいりまして、シラス養殖業者の不安がないような方向で措置してまいりたい、このように考えております。
  214. 稲富稜人

    ○稲富委員 ここで、農林次官に特に一つ承りたいと思うのですが、現在のような石油事情から考えまして、先刻施設園芸の問題でも話がありましたが、わが国の農業のあり方というものを根本的に考え直さなければいけない時期が来ておるのじゃないかと思う。そして、油がどれほど最低量必要であるか、そういう点から生産計画を立てるのだ、こういうような生産計画の上に立った農業に取り組んで、むだのない生産をするのだ、必要なだけは必ず生産するのだ、と、まず、こういう原点に立ち戻って考え直さなければならない時期が来ているんじゃないかと思っております。こういう立場から農林省は将来の農業というものに取り組んでいかなくちゃいけないのじゃないかと考えておりますが、これに対してはいかがでございますか。
  215. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御説のとおりだと思います。農林省といたしましても、ともかく、国民食糧の確保ということに重点を置いて、国内でとれるものはできるだけ国内でとろう、そのかわり、余っておるようなものは少なくする、足りないものはふやす——それからもう一つは、近代的な農業をしなければなりませんから、むだのない、生産性の高い農業をつくっていく、そのためには、圃場整備等をはじめ、むだの少ないような事業というものを一緒に興さなければならぬというようなことなどは、あわせて考えてやっておるわけです。さらに、先生等の意向も十分これから聞いて参考にしてまいりたい、こう思っております。
  216. 稲富稜人

    ○稲富委員 特に考えなければいけないことは、今度は石油でいい教訓を得たわけですから、食糧の自給体制だけは基本的な線として、ただ単なる食糧の海外依存ということでは、安易な一つの食糧政策であるということを考えながらやらなくちゃいかぬのじゃないかということを考えます。これはいい機会じゃないかと私は考えますので、その点を特に私は聞いたわけなんです。  もう一つ、今度は、運輸省からせっかく見えておりますので、運輸省に伺いたいと思いますが、これはけさからもずいぶん質問等がございましたが、生鮮食料品のトラックの輸送問題で、各地とも非常に不安がっております。輸送がおくれますとものが腐る。こういう状態がありますので、この輸送に対する油の確保というものは非常に必要でございますが、これも先刻から聞かれておるように、将来の見通しというものはなかなか明るいものではございません。そこで、応急的な一つの対策として考えられることは、運輸省が指導されて、生産地から消費地への生鮮食料品の輸送に対して定期便を出すとかいうようなことを考えて、これによって、生産物が安心して消費地に送られるのだ、むだがないような輸送をやれるのだということを考えることがこの際必要じゃないかと思うのでございますが、こういうことに対しては、運輸省として、どういうようなトラック輸送に対する考え方を持っておられるか、この点を承りたいと思います。
  217. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  トラックによります生活必需物資の輸送は、これは十分確保しなければならない重要な分野だとわれわれは考えておりまして、今回の原油削減という事態に対処いたしますために、先ほどもお答えをいたしましたが、必要燃料の確保の問題、あるいは現在あらわれておりますような、長距離輸送が、遠隔地のスタンドでは給油がなかなかむずかしくなっているというような状態を解消いたすために、業界はもちろん石油連盟協議を進め、私どもも通産省にいろいろなお願いをしておるところでございますが、特に、生活必需物資の年末繁忙期の輸送ということは、まことに重要な問題でございます。これにつきまして、具体的な品目なり、あるいは量、あるいはどこからどこまでというような地域の問題、これについて農林省と御相談をいたしまして、早急にその具体案を得るよう、いま精力的に話し合いを進めておる状況でございまして、これを具体化いたしまして、私どもでは、それに必要なトラックの優先確保と、それから油につきましては、もちろんまた通産省とも御協議いたしまして、これを確保するということで、早急にその体制をとるべく進めておる状況でございます。  なお、先生のおっしゃいましたような定期便というような構想につきまして、私どもも、いま、そういうことが現在のトラック業者のあれでできるのかどうか、もちろん検討いたしたいと思いますが、できれば、そういうような方向も前向きに検討いたしたい、このように思っております。
  218. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後になりますが、これは政務次官に特にこの際希望を申し上げたいと思うのでございますが、閣議においては、農林あるいは水産業に対する必要量は確保するということは御決定なさっている。ところが、先刻、通産省の話を聞きますと、通産省も、その必要量には応じようというような希望はあられるようでございますけれども、なかなか見通しは暗い。こうなりますと、必要のものに対してどうするかという問題になりますが、これは必要度を決定して、そして、必要なものに対して優先配給をする。こうなりますと、農林水産業に対しては、油の配給を切符制にするというようなこともあわせ考える必要があるのではないかと思います。それは統制だ、統制はいけないじゃないかということを言われるかしらぬけれども、それは自由主義経済の理論に沿わないとしても、ほんとうに必要なことは当然やるべきではないかと私は思う。こういう点からすると、やはり油の切符制の配給である、しかも、必要度においてこの切符制を確立する、こういうことを当然この際考えなくてはいけない問題ではないかと考えるのでございますが、これに対しては、政府はどういうような取り組み方を考えていらっしゃいますか。
  219. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 そのとおりだと私も思います。ただ、いまのところ、切符制にするといっても、法律がなければできませんから、ですから、石油適正化法という法律を出しておるわけで、あの中では、十一条で、そういうことがとれるようなことになっておるわけであります。しかしながら、現在、行政指導をして、ともかく農業関係は優先でやってくださいということで、通産省がなかなか歯切れが悪いというのは、通産省がいま品物を持っているわけじゃありませんから、業界が持っているわけですから、人のものなんだから、間違いなく右から左というわけにはなかなかできないと思って、まあ、非常に慎重におっしゃっているのだろうと思います。しかしながら、業界に対しましては、事の重要性にかんがみ、この程度の数量等は大体わかるのですから、通産省から少しぴしんと行政指導してもらって、それを聞かない方は、やはり、配給その他の問題で権利の問題もありますから、そこでぴしっとけじめをつける。そういう方法は、やる気があればできると私は思うのです。ですから、まずそれをやってみる。それでだめな場合は、伝家の宝刀を抜く。それしかないじゃないか。私はそう思っております。
  220. 稲富稜人

    ○稲富委員 要するに、絶対量が足らないというならば、何か一つの行政的な強い指導か、法的な態度か、それによって決定しなければ、こちらの言うことも聞き、そちらの言うことも聞くといったら、結局、絶対量は足らないのだから、どれも手をつけられないということになるので、その点は、この際政府は思い切った指導をやるべきじゃないかと考えております。  ところで、最後に私は委員長に希望を申し上げたいと思うのでございますが、すでにけさからいろいろ話がありましたように、農産物及び水産物の生産がいかになるかということは、国民生活のためにも最も重要な問題である。それほど必要性が大きいのでございますから、この際、その必要性にかんがみ、しかも、これは閣議の決定もあることでございますから、その線に沿って、農産物及び水産物の生産に必要な油は優先確保すべきであるということを本委員会において決議をしていただきたい。そういうことを一つ強く委員長に要望いたしまして、その取り扱い方を委員長に御一任申し上げたいと思います。
  221. 仮谷忠男

    仮谷委員長 たいへん適切な御意見だと思います。そこで、後刻理事会を開きましょう。各党の意見が一致すれば、すみやかにその手続をとるということにいたしたいと思いますから、御了承願います。
  222. 稲富稜人

    ○稲富委員 じゃ、そういうことで締めくくりをつけまして、私の質問を終わります。
  223. 仮谷忠男

    仮谷委員長 竹内猛君。
  224. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ずっと朝からいろいろ質問を聞き、それから、答弁を聞いていて、ダブることについては省略をして、少し、問題を重点的に質問したいと思います。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  私は、現在の石油をめぐる諸問題というのは、たいへん重要な状態にあるだろうと思うのです。いま言うように、節約をしろとかなんとかということも必要だけれども、それ以前に、どういうことが基本になってこのような問題が出てきたかということの根源を突きとめない限り、この問題についてはどうにもならないものであると思うのです。  それで、日本のように、工業の発展も、あるいは食糧も、何もかも外国に依存しなければならない、外国から原料と飼料を輸入して、加工してまた出していくという、こういう加工貿易の国においては、外交政策の持つ意義というものは非常に大きいと思う。だから、外務省としては、今度の問題について、こういうような状態をいつごろ予測をされたのか、そして、予測をされた場合にどういう処置をとったのか、このことをまず先に聞きたい。  外務省の問題はあとで聞くことにして、去年の十月に策定をしたところの、国会でしばしば質問をして、この春のこの委員会で、やはりこれは再検討を要するじゃないかと私が言った五十七年目標の農業の需給計画について、あれは当然再検討すべきだと思うけれども、どうですか。
  225. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 あの需給計画の中で、一部分、たとえば大豆とか小麦とかというようなものが非常に低い自給率になっておりますから、どの程度つくればつくれるのか、いま、農政審議会においても検討してもらっております。
  226. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 検討するということだから、それに手直しをするということも当然でしょうね。  そこで、最近の小麦の値上がり、それから米の生産調整の変更、こういうようなものからいって、今後ますます米の需要はふえてくると思われるわけですね。そういうときに、これも政務次官のほうに答弁を求めますけれども、今後の米麦政策というものについて、転換の必要があると私は思うけれども、これはどういうふうに考えられますか。
  227. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 御承知のとおり、小麦の問題につきましては、アメリカでことし大豊作だというようなことを言われておりますけれども、しかしながら、石油が足りないために、運賃の値上がりあるいは船舶の不足等によって、輸入量が思ったよりもずれ込むというような場合はあり得るかもわからない、そういう場合にわれわれは対処しなければならぬ、こう思っておるわけであります。したがいまして、この麦の問題は、ことし政策の大転換みたいなものをはかって、できるだけ麦の増産をはかろうということで、四十九年度予算では、一俵二千円も余分につけて、そして、政策転換をやっておるわけです。麦の問題につきましては、非常に小麦が値上がりをして、現在、内地の小麦と外国の輸入麦とほとんど同じ値段に実はなってしまったんです。奨励金を抜けば別ですよ。奨励金をつければうんと実際は高いけれども、値段そのものは大体七万二千円と七万四千円ぐらいで、波止場着は大体似たような値段になってしまったということですから、これは、できるだけ小麦は増産をしてもらうということです。  それから、米の問題につきましては、こういうようなことで、景気の動向がどうなるかわかりませんけれども、いままでの例からいたしますと、景気のうんといいときには、米の一人当たりの消費というのはずっと減るんです。景気の悪いときには案外に減らない。むしろ、場合によってはふえるという傾向が、実は、ずっと長い目で見ると、あるわけであります。食糧問題に非常に心配を持っておるときでございますから、これにつきましては、あまり過剰になっても困るわけですが、できるだけ考慮しなければならぬ。たとえば、先ほどもちょっと話をいたしましたが、転作をしようと思ったところが、需要がないためにできないというような方も中にはあるかもわからぬし、それから、これからの食糧事情というものを考えた場合において、万々そういうことはないでしょうけれども、国民の生活の不安を一掃しなければならぬという立場からすれば、手持ちのお米というものも、ある程度すれすれということでは困るだろう。したがって、ある程度持たなければならぬ。したがいまして、去年、ことしは約二百万トン、二百五万トンの生産調整をやっておりましたが、四十九年は、党と政府の話し合いによりまして、一応百六十万トンということで、生産調整の数量を落としたわけです。しかし、この生産調整の数量についても、まだこれはきまっておりませんが、少し考慮する必要があるのではないかと、こういうようなことを考えております。
  228. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま外務省が見えたようですから、先ほどの質問に答弁を求めます。  もう一度言います。日本は鉱工業が伸びているといえども、原料、資源が全くない。自給のできるものは米ぐらいのものであって、ほかのものはほとんど輸入しなければならない。しかも、それを加工して、また出していくという加工貿易国です。その加工貿易国において、外交の果たす役割りというものは非常に高いウエートを持っております。そういうときに、外務省では、その日本産業の基礎である石油の問題について、このような事態が来るということを予測をしなかったかどうか。もし、予測をしておったとするならば、こういうものを防止するためにどのような努力をされたか。まず、これを先にお聞きしたい。
  229. 田中秀穂

    ○田中(秀)政府委員 お答えいたします。  日本の置かれております立場といたしまして、資源保有国との関係を常に緊密に保つということは、われわれの任務でございます。その意味におきまして、今回問題となっております中東の各国アラブの諸国とも、従来から関係の緊密化につとめてまいりました。しかしながら、この紛争が起こるという見通しにつきましては、これはなかなか見通しがつきにくかった、と申しますより、むしろ、突如として起こったというような感じさえ受けるわけでございます。もちろん、ただいま反省いたしてみますと、そのような徴候がなかったとは言い切れませんが、いずれにいたしましても、この中東紛争が始まりましてから、長年の間、この地域状況が、イスラエルの占領という状態のまま膠着状態に入っておりまして、その膠着状態が当分続くのではないかという見方がむしろ一般的であったようでございます。
  230. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま、予測が不十分であったということですけれども先ほどからの議論の中で、石油を節約しろとか、いろいろな話があるけれども、そういうことで問題が解決するものではない。日本には、石油というものはほとんど一滴もないでしょう。だから、その石油がない上にどんな法案をつくったって、話にも何にもならない。だから、まず石油を手に入れる、その大手であるところの、根本的な原因であるところの中近東の問題について、いまは三木副総理が行っているけれども、それらも含めて、現在のこの石油資源の確保という問題と、それから、物の確保と、価格の安定と——それからまた、資源保有国は、この問題を契機にして、今度は別なものの値を上げてきているのですね。たとえば肥料の原料であるとか、木材であるとか、すべてのものがそうでしょう。こういうような深刻な状態について、この基本的な原因というものについて、外務省は、中近東問題を含めて、一体どのように把握をされておるのか、そして、そのためにこれからどういう努力をされようとしているのか、そして、中近東の始末を、日本の外務省としては、いつごろまでにこれを安定の状態に持ち込んでいこうとしているのか、この辺の見通しはどうですか。
  231. 田中秀穂

    ○田中(秀)政府委員 現在の石油の問題は、ただいま、中東諸国石油を政治的武器に使うというのが現状でございますが、これは、中東紛争との関係でこのような状態に相なっております。しかしながら、他面、こうした産油国にとりましては、天然資源の保存という根本的な経済要因もあるかと存ぜられまして、この両面から問題を検討する必要があると存じております。しかしながら、ただいまのところ、この石油というものが、中東紛争解決のための政治的武器として使われておるということは厳然たる事実でございまして、したがいまして、わが国といたしましては、従来にも増して、この中東紛争の根本的解決ということに努力をしていきたい、このように考える次第でございます。  その他、石油以外の資源につきましても、御指摘のとおりの問題があると存じます。大体、ながめまして、資源保有国というのは、いわゆる発展途上国でございまして、こうした国とわが国との関係をより緊密にし、相互扶助の精神によりまして、あるいは相互互恵の精神によりまして、両者の関係を今後一そう緊密化していくということがわれわれに課せられた最も大きな課題ではないか、かように存じております。
  232. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま、三木副総理は、もう中近東のほうへ行っていられるわけですけれども、これの成果については、どのような期待ができるのか。いま、ここで、見通しは楽観できるのか、それとも、非常にきびしいのか、その辺、どちらのほうにわれわれは考えたらいいのか、ちょっと答弁をもらいたい。
  233. 田中秀穂

    ○田中(秀)政府委員 三木副総理は、ただいま中東で御苦労をいただいておるわけでございますが、三木副総理の派遣という点につきましては、実は、御承知のごとく、十一月二十二日に、官房長官談話をもちまして、安保理事会決議二百四十二号につきましての、わが国の立場を明らかにしたわけでございます。これによりまして、わが国の中東紛争に対する態度、立場というものをきわめて明確に打ち出したわけでありまして、まず、三木特使のお仕事といたしましては、こうしたわが国の立場を先方の国に十分説明し、わが国として、中東紛争解決のためにできる限りの努力をしたいということ、それから、わが国が現在置かれておりますいろいろな事情を十分に説明するということ、これが主眼でございまして、これは三木特使もおっしゃっておりますように、石油との関連で行くのではなしに、中東問題解決のための相互理解、友好増進のために行くのであるということが今回の眼目でございます。  したがいまして、特使がおいでになりまして、すぐにどういう成果が出てくるかということは、ただいまのところ予断いたしかねるわけでございまして、私どもといたしましては、こうした一つ一つの努力の積み重ねが、将来に対する相互理解と友好増進のために裨益するところ大であると確信いたしております。
  234. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 田中総理は、予算委員会で、十月ごろには安定するだろうと言うし、通産大臣は、さらに延びるのではないかと言うわけですけれども、一体、そういう見通しというものは、何を根拠にして立てておられるのか。いいかげんなことを言っておるのか。それとも、何か根拠があって、それで、相手方の国の要求に大体そのころになればこたえられるんだということなのか。根拠があるのかないのか、その辺はどうなんですか。
  235. 田中秀穂

    ○田中(秀)政府委員 実は、申しわけございませんが、御質問の趣旨がわかりかねる点があるのでございますが、この中東紛争がいつ解決して、情勢が安定化するかという問題につきましては、今月の十八日からジュネーブで和平会議が開かれる模様でございます。しかしながら、イスラエルとエジプト、シリアの戦線は停戦状態のままでございまして、まだ混乱が多少続いておるというような状況でございまして、和平会談が始まりましても、一気に解決ということになるかどうか、きわめて疑問点が多いのではないかと存じております。  見通しとして、一言で申し上げるならば、この和平交渉は、やはり相当時間がかかるのではないかというふうに考えます。
  236. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 外務省はそれだけにして、今度は運輸省に尋ねます。  日本は資源が足りない。工業資源も足りないし、食糧も足りない。それで、これを業者が買いつけをする。買いつけをしたものを国内に運んでくる。その油がない。そこで、今日までの石油の消費量の中で、運輸省が持つところのシェアというのは、大体二〇%ですね。その中で、海外から原料、飼料というものを運んでくるために必要な油というものは、確実に保証されているのか、いないのか。もし、かりに、これが保証されていないとするならば、せっかく物は買ったけれども数字の上では物はあるけれども、現物が国内現実にないならば、たいへんなことになる。この辺の準備ができているか、いないか、その点を明らかにしてほしい。
  237. 富田長治

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  実は、農林省から、いち早く、農林物資を運ぶための船舶用の油を何とかしてくれというお話しを承りまして、われわれも、それ以降、非常に精力的に、どういうふうにそれが緊急性があるのか、あるいは、どういうふうにそれがいままで運ばれてきたのかというようなことを、個々に詰めているわけでございます。マクロとしましての議論はなかなか実効性がございませんので、ミクロで、個々のものについていろいろ検討いたしているわけでございます。それで、先生方御専門の分野でございますが、われわれも、確かに、直接食べるものが非常に優先するということはわかるのですが、いろいろ伺ってみますと、たとえば燐鉱石、カリなんかが三月から要るのだ、それまでに生産を間に合わすためには、すぐ運んでこなければいかぬのだというようなことがいろいろございまして、木材なんかも、置いておくと、全部カキがついたり、腐食してしまってだめになるということがございまして、どの品目を当たってみましても非常に緊急性があるということで、なかなか優劣がつけがたい状態でございます。そういうことから、またもとに戻りまして、船用の油は、先生がおっしゃるとおり、何が何でも、どうしても確保しなければいかぬということで、いま、通産省とその点をいろいろお話しいたしまして、石連及び船会社等が集まりまして、大体何とか確保できるのじゃないかという見通しを持っております。
  238. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 通産省の部長に聞きますけれども、通産省としては、この問題についてどの程度の保証を与えているのか。どれだけの要求をされているのか。
  239. 熊谷善二

    熊谷政府委員 最近の不足な油を優先的にどの分野にやるかという問題につきましては、いろいろ議論のあるところではございますけれども先ほど来出ておりますように、国民の生活に密着する農林水産物資、これは閣議決定でもきまっているわけでございますが、その他、当面の問題としまして、たとえば通産省所管の関係でございますと、電力であるとか、そういったところで現実に停電が起きようとしている発電所等につきましては、早急に手配をしていかなければならぬといったような問題と並びまして、この外航船の問題につきましては、私どもとしては、緊急に必要な手当てを行なうということで、関係各省と今日まで御懇談をしつつ、また、関連の業界を強力に指導してまいったつもりでございます。
  240. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、関連して資料を求めますが、先ほど、外国からの輸入石油については資料をもらいましたが、今度は、国内石油業者の取り扱う数量の一覧表、たとえば日本石油であるとか、丸善であるとか、出光がどういう取り扱いをしているかという、その資料あとでほしいわけです。  続いて、通産省のほうにお尋ねしますが、けさほどから話を聞いていますと、通産省は、法律はつくったけれども、実際に物を持っているのは業者だと言うのですね。それですから、通産省から発表されるいろいろな数字というものは、末端にいけば、必ずしもそのとおりになっておらない。そこに行政と現実とのギャップがあり、矛盾がある。こういう状態でありますから、現実に買い占めやいろいろなことが行なわれております。それで、一体、通産省は、業者、業界の持っている石油を確実に把握をしておられるのか。把握しておらないじゃないのか。もし、把握しておらないとするならば、何が阻害をしているのか。言うとしたならば、確実にこれは持っておりますと、こういうことが明確に言えますか。それはどうですか。
  241. 熊谷善二

    熊谷政府委員 先ほども申し上げましたように、精製元売り企業から、通産省が、毎月定期的に生産計画、販売計画等につきましても報告を受けておりまして、必要な指導をやっておるわけでございます。  先ほど申しましたところの、たとえば備蓄の問題、あるいは生産なり、販売なり、その他の実情につきましては、常時実態を把握いたしております。
  242. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それならば、船の輸送のためにどれくらいの量が回るかとか、農業の優先確保のためには、確実にこれは回せるのだというようなことは確答できますか。今日までの実態は、農業関係に関しては、閣議の決定どおり優先確保は決してされておらない。非常に混乱をしておりますね。まあ、船のほうもおそらくそういうことだろうと思う。きめることはきめるけれども、中身はそれと違っている。こういうことになっているような現実ですね。これは、きのうの参考人もそういうふうに話をしておりますが、その点を認められるか、認められないか。確かにそれは確実にやってあるんだというふうに言えますか。
  243. 熊谷善二

    熊谷政府委員 指導の問題でございますが、私どもとしましては、関係業界に対して、今日の事態についての共通の認識を持って進めさせるということでやってまいっておるわけでございますが、各企業の末端段階になりますと、やはり、現実問題としてトラブルがいろいろ起きております。これは、私どもも十分反省をいたしております。私どもとしましては、今日の危機に対処いたします石油産業の社会的な責任ということに対する自覚を強く要請いたしておりまして、それぞれの会社の従来の営業方針なり、あるいは流通経路なり、そういったものがあるわけでございますが、それだけでは問題の解決にはなりませんので、極力、今日の要請されております事態の解決に、石油産業自体が全体として取り組んでいくよう、今後も強力に指導してまいる所存でございます。
  244. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なかなかはっきりしませんが、これはたいへん重大なことであります。先ほど、外務省の答弁によると、中東の紛争の解決というものはかなり長引くというお答えですね。それから、国内においては、どんどんまだ工場を建てております。そして、石油なり、そういうものを必要とする状態がますます拡大をする。そういうときに——次は法案関係の骨格について質問しますが、そういう国際情勢、国内状況の中で、通産省としては、いつの時点の石油の消費量というものを、輸入の量というものをつかまえて、そして、それをどのような形で工場や施設に供給をしようとしているのか。その基本的な時点は、いつの時点でこれをとらえるのか。ことしの九月なのか、十月なのか、その時点はいつか。そして、各業界の実績というものは、一体、いつごろのものを実績として見積もってやるのか。これはどうですか。
  245. 熊谷善二

    熊谷政府委員 この法律が通りました際に、どういった時点において発動するかというお尋ねかと理解したのでございますが、現在、私どもは、十二月から行政指導を、一〇%節減ということでやってまいっておりますが、この一月以降の数字につきましても、年内にはもちろん決定をしなければならないわけでございます。一番基本になりますのは、やはり原油輸入状況であろうかと思います。原油輸入状況は、とりわけ、たとえばペルシャ湾から日本へ持ってきます原油の輸送日数は、平均二十日程度でございます。今日の段階におきましては、配船その他一船ごとに洗っておりまして、本年内あるいは年明けの上旬一ぱいくらいまでのものにつきましては、ある程度の見当をつけておりますので、先行きのことも予想いたしまして、少なくともある一定の間隔をもちまして、その段階で、最も新しいデータを活用するということにならざるを得ません。原油輸入につきましては、ただいま申し上げましたように、二十日間くらいの見当のズレはございますが、私どもとしては、一番確認はしやすい状況かと思います。  一般的な生産あるいは販売その他の問題につきましては、統計その他確報的なものはかなりおくれるわけでございますが、概数程度のものにつきましては、今日におきましても、一応推定を含みますが、前月の十一月の実績等につきましては、私どもはほぼ把握をいたしておるわけでございます。これらのデータをもとにいたしまして、先行きを見て、法律の発動が必要だというような判断をいたしました際に、告示をもって定めるというのがこの法律の形になっておると理解いたしております。
  246. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 通産省のほうにもう一つ聞きますけれども国内のエネルギー開発、資源開発ということについては考えているのか、いないのか、これはどうですか。
  247. 熊谷善二

    熊谷政府委員 国内の資源開発の問題としましては、日本海あるいは太平洋岸、日本をめぐります大陸だなの開発につきましては、すでに、開発のための政府の助成策を講じておるわけでございますが、今後ますますその必要性は高まってくると思います。そのほか、資源問題といたしましては、たとえば石炭のガス化の問題なり、そういう意味では、石炭政策の見直しということも今後必要になってくると考えておりますし、また、国内の地熱の発電であるとか、あるいは太陽熱の利用であるとか、こういった新しいエネルギーの開発問題につきましては、今後大いに力を入れて、取り組んでいく必要があろうというふうに考えております。
  248. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林省のほうに聞きますけれども農林省は、あの法案をつくる過程で、最初から参加をしておられたのか、いなかったのか、これはどうですか。
  249. 二瓶博

    ○二瓶説明員 石油需給適正化法案をつくります際に、通産省が中心になりましてつくったわけでございますが、ある段階までは、もちろん通産省が専属的にあの法案づくりをやっておったわけでございますけれども、その後、こういう法案でございますから、関係各省のほうと合意の上で閣議にもかけるというかっこうになっておりますので、閣議決定する前におきましては、当然、農林省をはじめとした各省にも協議がございました。
  250. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 あの法案をずっと検討してみると、農業用石油の優先確保ということを閣議で決定していながら、だんだん法案の中からそれが抜けていって、やがて出されるであろうあっせん所指導要綱などには、農業の「の」の字も出てこなくなってしまう。先ほど、われわれの美濃委員の質問に対して渡辺政務次官がお答えになったわけで、何回もそういうことを聞くのははなはだ恐縮なわけだけれども、非常に大事なことだから、こういう法案をつくる過程から参加をし、そして、最後まで、農業に対する石油の確保ということについて、ほんとうに通産省と話し合いをすると実は言っているけれども、主たる力は通産省が持っていて、そして、法案が通れば、そのあとでこれは政令で出すという。政令というものを出すのも通産省なんです。すべて通産省ペースで石油がやられていったとするならば、私は、非常にこれは心配でならない。そういうことで、もう一度通産省との関係について明確にお答えを願いたいのと、この法律は、一体時限立法なのか、恒久立法にしようとしているのか、その辺はどうですか。
  251. 熊谷善二

    熊谷政府委員 この法律は恒久法でございます。時限立法ではございません。その趣旨は、将来、望ましいことではありませんが、こういった事態が二度と起こらないという保証はございませんので、将来に備えまして、機動的に対処し得るよう恒久法としてあるわけでございます。
  252. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私は最近政務次官になったばかりで、いままでのいきさつはよくはわかっておりませんが、私の聞いたところでは、そのいろいろなことをやる場合においては、先ほど言った割り当てのようなものをやるというような場合には、当然これは農林大臣と相談をしてやる。必要量をきめる、それから目標量をきめるというような場合も、これは閣議できめるわけでございますから、閣議できめるのに、農林大臣が承諾しない目標量はきめられるわけがないわけであります。したがいまして、農林業石油の確保というものは、農林大臣との相談が当然であると思っております。
  253. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その政令という問題ですが、この法案の中には、すべて政令できめると、政令ということばがやたらに出てくる。重要なことが政令でどんどんきめられていく。その政令を出すのは通産省でしょう。この法案の主管ですからね。最近の政令を見ますと、労働省においても、文部省においても、農林省においても、特に、食管なんかを見ると、ときどき法案の趣旨を上回るような政令が出ていることもある。政令というものは国会と関係なしにどんどん出されるわけで、しかも、実行されていくわけでしょう。そういうことであるから、それだけに、私は、この石油というものに対する法律の取り扱いについては、慎重たらざるを得ない。特に、この第四条において、この程度のことで——この程度と言っても、まだ入ってないから中身はよくわかりませんけれども、ほんとうに現在の石油の危機は乗り切れるのか、こういうことを心配するものです。これは一つの意見ですが……。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  農林省としても、通産省が出す政令にまで口を出すことはできないでしょう。農林省のほうとして、政令に対する見解はいかがですか。
  254. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほど申し上げましたように、石油供給目標をきめるときには、これは閣議の決定を経て供給目標をきめるんですから、当然、閣議には農林大臣は入っているのですから、そこの段階で……(竹内(猛)委員「政令だ、政令」と呼ぶ)政令の問題も、当然これは閣議できめるわけですから、省令じゃございませんから、大臣だけじゃ自由になりませんから、閣議できめることですから、閣議できめる問題は、いままでの慣例から見ましても、それはもう当然各省で打ち合わせを十分やるんですよ。それで、閣議前に、事務次官会議で詰めまして、そこで異議がある場合は、そこから上に上がらないのです。各省に持ち帰ってもらって、そこで十分に詰めますから、決してそれは心配は要りません。
  255. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それならば、第十条との関連で質問します。  十条は、「通商産業大臣は、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業」その他云々とありまして、「石油販売業者を構成員とする団体に対し、石油供給のあっせんその他必要な措置を講ずるよう指導する」ということになっていますが、そのあっせん指導というものに関して、石油あっせん所というものをつくるわけでしょう。そのあっせん所というものは、石油商業協同組合にその事務所をつくるという。しかも、その指導の中の要綱のようなものがやがて出ると思うけれども、それには「中小企業等」ということになっておって、その中から農業団体や一般消費者の名前は消されてしまっている。こういうところを見ると、農業団体というものは、少なくとも末端機構からいけば、先ほどもちょっといろいろ質問がありましたけれども、取り扱いの機構からはずされてしまうのじゃないかという心配がある。あるいは、そのあっせん所の中に、農協あるいは漁協、森林組合等は参加できない。このような重要なものを、各県庁あるいは市町村の商工部とか、あるいはそれに関係のあるそういう公的な場所になぜ一体置かないのか。商業協同組合というのは、これは利益を目標とするわけでしょう。利益を目標とする団体の中にそれを置いて、国民の食糧を生産するきわめて重要なものがあるのに、参加できないということは非常に問題だと思うのです。だから、何としてもこれは承服ができませんですね。だから、われわれは、こういうところを直してもらわなければ、この法案には賛成ができません。
  256. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 法案自体は農林省の所管じゃありませんので、私も詳しいことはわかりませんが、石油供給のあっせんの指導という問題は、大体そういうふうなことで、みんな団体から要望を聞いて、そこで、行政指導である程度できるだろうということを予定して書いておるんだろうと思います。しかし、それでもなおかつだめの場合は、十一条があるわけですから、もう最初からこんなものはだめなんだからというのではなくて、最初から十一条をばかっと出せば、これは官僚統制だとか、やれ何だとか、強権発動とかという騒ぎになるので、そういうふうな政治的配慮も考えてやったのではないだろうかと思っております。また、そういうふうにも聞いております。
  257. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 名だたる渡辺政務次官の答弁としては、これはずいぶん穏やかな答弁ですが、問題はほんとうに深刻なんですね。というのは、先ほど諫山委員からの質問がありまして、あっせん所、これはいまの苦情処理機関ですか、そういうところへ行って、あしたからの石油の問題で相談をするという問題も出ましたけれども答弁は全く歯切れが悪いんだ。こういう形になっていて、農協なり、漁協なり、森林組合というのは、これはやはり公的なものなんですよ。営利を追求するよりも、むしろ——もちろんこれは経営をしなければなりませんが、石油業界の商業協同組合とは違う。だから、何でそういうところにそれを置いて、石油商業協同組合に一元化をしなければならないのか。しかも、農協なり、そういうものが持っているところのシェアというのはかなり大きいでしょう。農業団体の中では四〇%もあるでしょう。それをどうして加えないのか。認めないのか。あるいは、相談の機関の中にも協議会というのがあるけれども、一体、そういう中に農業団体や漁業、林業というものを加えているのか、いないのか。この点は通産省のほうにも聞きたい。
  258. 熊谷善二

    熊谷政府委員 私どもが現在準備しておりますあっせん所は、確かに、中小企業、それから農業、漁業、その他各府県におきます未組織な企業に対します供給円滑化をはかるということがむしろ主眼になっております。この十条で書いております「あっせん」は、そういった中小企業個々の未組織なものだけではございませんで、もっと広く、現在行なっております石連と農業団体との間の直接な話し合いといったことも、この制度としてのあっせんによってよく行なことができるものと考えておるわけでございます。
  259. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なぜ商業協同組合でなければならないのか。どうして、県庁の商工部とか、市町村のそれにかわるべき窓口でできないのか。その理由はどういうことですか。どうして石油商業協同組合というものでなければならないのか。それは、系統機関だからやむを得ないというのか。それとも、別な意図があるのか。その辺はどうですか。
  260. 熊谷善二

    熊谷政府委員 相談あっせんの申し込みが、実際にそれぞれの流通経路につながりますので、一応窓口を、せっかくの県の石商の支部で行なうとしいうことにいたしておるわけでございますが、相談あっせんの申し込みは、通産局、それから都道府県の商工部といったところも、こういった仕事につきましては、もとより、本来それぞれ仕事の一部としているわけでございますし、通産局なり、あるいは都道府県の商工課で受けました消費者からのあっせんの依頼につきましては、あっせん相談所のほうに、通産局なり都道府県のほうからさらに持ち込みまして、あと、とにかく流通のルートに乗せる必要がございますので、ここに持ち込んで、ここで片がつかないものにつきましては中央に持ち上げるという仕組みで現在考えておるわけでございます。
  261. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農業団体とか、森林組合とか、漁業団体というのは、上から下まできちんとルートがついているわけでしょう。しかも、農協なんか、シェアが農業団体の中で四割から四割五分もある。それだけ持っているものをなぜ一体加えないのか。その理由がわからない。その理由はどういうことですか。その説明を聞かないと、なかなか理由がわかりませんね。
  262. 熊谷善二

    熊谷政府委員 農業団体石油団体との間に、量の確保の問題につきまして、これはこれほど大きい量の取り扱いでございますれば、当然、中央で話をしなければ、県の段階での石商その他では話が片づくものではないと思います。これは、中央で、関係各省入りまして、関係業界も入れました話し合いを行ないまして、あっせんその他をするということになると存じます。
  263. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その、中央というのはどこですか。農林省であるとか、あるいは農協中央会であるとか、全漁連であるとか、全森連であるとか、そういうものを中央と言うのですか。
  264. 熊谷善二

    熊谷政府委員 各ケースによっていろいろあろうとは思いますが、たとえば、石連と農協を代表されます団体との間の話し合いとか、そういうことは十分あり得るというふうに考えております。  また、そういった十分必要な油のあっせんにつきましては、私ども通産省としては、責任をもって、誠意をもってやっていくつもりでございます。
  265. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私どもは、石油の問題が起きて以来、県庁に苦情処理機関を設けて、県庁で取り扱えという申し入れをしている。茨城県では、県の中でそういう窓口をつくっているし、市町村でもそういうことをやれと言っている。それが公的な場所であり、公平にものがやられるからだということで、その窓口をつくっているわけなんだ。どうして県庁とか市町村というような窓口を利用しないで、もうけることを主体とする商業協同組合のところに事務所をつくって、そこであっせんや相談をしなければならないのか。どうしてもわれわれにはわからない。政務次官、どうですか。これはわかりますか。
  266. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 これは、先ほどから申し上げておるように、私の所管のものじゃないから、言い過ぎになっても困るのですが、「石油販売業者を構成員とする団体に対し、石油供給のあっせんその他必要な措置を講ずるよう指導するものとする。」といっておるのですね。石油の販売業者の中には、たとえば経済連も入ると私は思うのです。そこの中に「「石油販売業者」とは、石油の販売の事業を行う者」というのですから、農協は、その経済連があって、経済連は石油の販売をしておるのであるし、当然構成員の一人でもあるであろうというふうに思います。  それから、また、農林省と運輸省や、みんなが集まって協議をして、行政指導でいろいろあっせんをするというのは、これは現在法的根拠が何もないのです。今度法律をこしらえて、そういうようなあっせんをする団体というものをきちっとつくらせますというのですから、いまのような官庁の権威だけで、行政指導でやっておるものと違って、今度法律でそういうものをこしらえます、それでもうまくいかない場合には、さらに割り当てまたは配給というようなこともやりますよと、こういう二段がまえになっておるのですよ。ですから、この二段がまえで、一番上できかないということになれば、石油業界そのものはほんとうに配給やなんかはいやがっておるわけですが、しかし、それも政令で今度やりますよと、その権限を政令で内閣に預けるということであって、今度は内閣に預けられても、通産大臣がかってに重工業のところばかりに石油を送っちゃうと、農民のほうにはさっぱり来ないのじゃないかという心配を竹内さんは言っておるのだが、それは閣議等の問題で、政令というものをきめる場合においては、当然農林省が関与しますから、そう簡単に、国民生活に重大なる問題を引き起こす農林関係石油カットして、そのほかのネオンサインのほうに石油をうんとやるなんて、そんなばかなことは、これは絶対にやらせるはずもありません。そういうふうなことで混乱が起きれば、それは、通産大臣が全責任を負わなければならないのであって、そういうことは通産省としてもやるはずもないであろうと思っております。
  267. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間がないから、渡辺政務次官のお答えを一応信用して、次のほうに行きます。  そこで、熊谷部長、あっせん協議会の構成は、つくるとしたら、どういう構成メンバーでつくられるのか。
  268. 熊谷善二

    熊谷政府委員 これは、現在準備しておりますあっせん所のあっせん協議会のメンバーのことを御質問かと存じますが、現在の準備しております相談所におきましては、事務局を設けまして、これは石商の事務局長がその責任者になろうと存じますが、そこにあっせん協議会を設けまして、専門の相談員を若干名置いて、窓口に用意をいたしまして、元売りの代表、それから販売業者数名によりまして、あっせんの方法につきまして協議をするというのが現在の考え方でございます。
  269. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その中にも、また、農業団体、漁業、林業団体の代表は入らないわけですか。売る人の側ばかり入っているようだけれども、それは入る可能性はないのですか。
  270. 熊谷善二

    熊谷政府委員 これは、この窓口に来られました消費者の方に対するあっせんでございますので、現在のところ、一番一般的な形といたしまして、販売業者あるいは元売りの代表といった、物が流れるルートについて一番知悉している人によるあっせんということが効果的ではないかということで考えておるわけでございますが、これだけで、他の委員その他を排除するという考えはございません。
  271. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間がありませんから、これ以上は質問しませんが、今度の国会で、一番重要な問題として、石油の問題、それから生活物資の問題があるわけですね。その石油の危機を乗り切るためにつくろうとするこの法案が、いまその骨格に対する質問をしたのだけれども、外務省の答弁にもあるように、非常に石油自体の供給が苦しい。国内における資源の開発も、そう簡単にはいかない。しかも、需要のほうはべらぼうにあるわけですね。そういう中で、一億一千万の国民に必要な食糧をつくる、あるいは輸送をする、その面におけるところの石油の取り扱いについて、それは閣議の決定とはいいながら、優先確保ということは言いながら、現実にそれは守られておらないし、それから、今後できる法案の中にも、確かに、閣議決定をするからには、農林大臣が承認しなければそれは通らないかもしれないが、ともかく、政令というようなものがやたらにつくられて出て、通産省がそれを握り、大企業のほうに優先的に回される心配があるというようなことを私は心配する。大企業に優先的に行く。いままでがそうなんだからね。農業基本法ができたって、大企業のほうに常に人間を持っていってしまって、農業がこわされてきた。そういう心配があるから、われわれは、この法案についてはたいへんな不満を持っている。  きょうはその法案の審議じゃないから、それに対して一行一行ものは言いませんけれども、通産省のほうはよくきょうの意見を聞いておいてもらって、そうして、やがて合同審査の中でわれわれの仲間がいろいろ言いますが、ともかく、このままの法案では、幾ら政務次官が通してくれと言ったって、それは無理だ。そのまま通すわけにはいかない。農林省はよっぽどしっかりしなければ抜かれてしまいますよ。われわれは農業基本法のときにもう知っているんだから、だから、これはだめですよ。もっと対等に、農林大臣が、少なくとも農林省に割り当てた石油の配分の権利ぐらいは関係団体と話をしてやるというくらいの強いことをしなければならないし、運輸省の問題だってそうだと思う。こういうように問題を発展させていかなければ安心はできません。  以上、そういうことを要望して、私は質問を終わります。(拍手)
  272. 仮谷忠男

    仮谷委員長 柴田健治君。
  273. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もう相当時間が経過しておりますから、簡単に御質問申し上げたいと思います。  先ほど来、いろいろと同僚議員から御質問がございまして、石油に関連する問題で、私たち農林水産委員会としても、第一次産業全般にわたって取り組んでおる重要な委員会でありますから、そういう立場で、第一次産業を守り、発展させていくという前提に立ってこの石油問題を考えていかなければならぬと思うわけであります。  前口上はなるべく避けまして、簡単に御質問申し上げますから、お答えも簡単に願いたいと思います。  まず、政務次官にお尋ねするのですが、閣議決定の文を先ほど読まれました。その中で、大口需要は一〇%、一割ほど節約してください、その他はできる限り節約をお願いしますということがあり、特に、後段は、農林、水産業に対しては最優先的に供給をいたしましょうという文であったと思うのですが、大口需要ということになると、農林水産業は大口需要になるのかならないのか、その点をお聞かせ願いたい。
  274. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 大口需要の十一業種というのは通産省所管のところですから、農林関係の個々のものは大口需要者にはならないと思います。
  275. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 通産省の石油部長にお尋ねしますが、農林水産業は大口需要のうちに入るのか、入らないのか、通産省としての見解を聞きたい。
  276. 熊谷善二

    熊谷政府委員 現在は、大口業種としては十一業種でございますが、これはすべて通産省の業種だけでございます。農林省農林水産業というのを、大口使用者とは、現在のところ予定はいたしておりません。
  277. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 農林省のほうで下期で要る油は、揮発油、灯油、また重油ということで、分類すればいろいろありますが、トータルで、明春の三月三十一日までに、乾燥用が十万キロリットル、加温用が百六万五千キロリットル、林業用が三百五十六万五千キロリットル、水産用が三百十九万八千キロリットル、合計六百七十六万三千キロリットル必要だという数字をお示し願っておるのですが、これは四十九年度の新しい、たとえば加温施設について、この実績がまだできていない。実績をこれからつくっていくわけですが、いま通産省の考えをいろいろ聞いてみると、実績主義をとられるのではなかろうかという気がするわけですが、この実績主義をとられると、実績のない、四十八年度末から四十九年度へかけてそういう施設をする農家、要するに、新規事業として新設される農家はどうなるのか。政務次官、ひとつ見解を聞きたいのです。
  278. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま、四十八年度の下期の需要見込みは、農林水合わせまして六百七十六万三千キロリットルでございます。その際に、たとえば農業のほうの面で、施設園芸なり、そういう新規のものが入ってくるかどうかというお尋ねでございますが、これは、ことしの七月の時点におきまして、各県のほうに照会をしまして、加温用なり、あるいは乾燥用なり、ハウス園芸用なりが、どのくらい需要としてはあるかということを照会をしまして、それで積み上げたものでございます。したがいまして、四十八年度で新しく予想をされておるような団地等につきましては、おそらく、県のほうでは織り込んで上げてきているのではないか、その時点において、そういうことがはっきりしているものは入っているのではないかというふうに思いますが、個別にどう入っているか、あるいは入っていないか、チェックはいたしておりません。七月時点で、県に、そういうことで下期にどのくらい要るかということを照会して、上げて集計した数字でございます。
  279. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 六百七十六万三千キロリットルは、先ほど申し上げたものを含めて都道府県から上がった数字であるから、これは間違いのない絶対必要量であるという確認はしておられるのですね。だから、この数字だけは、どんなことがあっても、通産省とけんかしてでも、絶対に明年三月までに確保するという自信を持っておられるのですか。
  280. 二瓶博

    ○二瓶説明員 農業の面につきましては、ただいま申し上げましたように、一応七月時点で調査をしまして、県のほうから上がってきたものを、先ほど言いましたような三分類にしまして積み上げたものでございます。ただ、問題は、そのほかに、水産関係とか、林業関係とか、いろいろございますが、これは、それぞれの調査の方式で一応把握したものをここに集計をしておるということでございます。したがいまして、一応、この六百七十六万三千というのが下期の需要見込みということでございますが、この数量は、びた一文もどうというほど、それほど強いというふうには言い切れないのかもしれません。大体このくらいの需要は必要であるというふうに見込まれる数字というふうに考えております。
  281. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 見込まれる数字であっても、この数字を出した限りは、農林省は、この数字は絶対必要量だということで、確保するということでなければならぬと思うのですが、この数字を確保する自信があるのかないのかということをお尋ねしておるのです。どうですか。通産省とけんかをしても、一割削減は受けないし、どんなに減っても、この数字だけは、最優先だから絶対確保するという自信が農林省になければならぬと私は思うが、この点の見解を聞きたい。
  282. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 先ほど言ったように、緊急不可欠なものは絶対に確保する、これは間違いありません。その数字がどれだけきちんと正確になっておるものかどうか、現実には、もう少しよく詰めてみないとはっきりわからない。実際のところは、時間がかかる。時間がかかるけれども、当面差し迫っているものだけは絶対確保しなければならぬから、そういうものは必ず確保するように目下交渉しております、と、そういうことなんです。
  283. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 まあ、そこまで言うたら、実力ある政務次官だから信用して前へ進みますが、今度のこの法案を見ると、先ほど政務次官は、たびたびお答えになっておられましたが、十条と十一条だが、私たちから見ると、石油は減ってももうふえないという見通しを持ってものを申し上げておるわけで、そうすると、こういう法案は、いずれだんだん石油が少なくなっていくだろう、だから、法律もだんだんきびしくしていけばいいじゃないかというもので、こういうのをラッキョウ法案と言うんです。皮は一つ一つむいていけばいいという法律で、今度ほんとうに権力を持ってやろうとした時分には何にもないということになるのではなかろうかという、そういう気がいたします。  まず、十条ですが、先ほど政務次官は、通産省との考え方でちょっと食い違う。というのは、われわれは、十条の項で、消費者団体も入るべきだと思う。ただ、「石油販売業者を構成員とする団体」というのは、これは「石油販売業者」で位づけをした。そうすると、学識経験者も、高度に公正な判断をする専門家も入らない。石油販売業者が消費者団体という立場になっておらないのか。中身を検討したら、たとえば三菱にしても、丸善にしても、彼らはいろいろな関連企業を持っている。一方では販売業者ではあるけれども、一方では消費者団体になっている。そういうものを、販売業者だけを構成員にするというのはどういうわけですか。そういうより分けを通産省はできますか。片一方は、消費者団体として取り扱いを受ける企業がある。一方は、販売業者としての権利を持っている。そういう業者の選別はどうするんですか。通産省。
  284. 熊谷善二

    熊谷政府委員 「石油販売業者を構成員とする団体に対し、石油供給のあっせんその他必要な措置を講ずるよう指導する」というのは、通産大臣が、これらの一般消費者あるいは中小企業者、農林漁業者、鉄道等々の公益性の強いものに対する円滑な供給確保という観点から特に規定したものでございますが、「石油販売業者を構成員とする」というところは、あっせん業務が、そのまま品物が流れるという流通のルートにつながる必要が当然ございますので、その団体に対しまして指導するということを、この法律で義務づけたものでございます。
  285. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうもわけのわからぬ答弁なんです。この石油販売業者を構成員とする協議会をつくるのでしょう。協議会で事務局を置いてあっせんの労をとる。一方は販売業者だけれども、半分は消費者である。どうしても自分の身がかわいいから、先にやっちゃうわけだ。農林漁業団体は消費者団体なんです。農林水産業は消費者団体なんです。おこぼれをあっせんを受けるということになるんじゃないですか。公平な配分と言うが、あっせんができるかね。石油部長、もう一ぺん。
  286. 熊谷善二

    熊谷政府委員 このあっせん業務は、先ほど来申し上げておりますように、このあっせんが、運用面で、いま先生の御指摘のような、業者のエゴによって動くといったことが毛頭もあってはならないわけでございまして、私どもとしましては、このあっせんの業務につきましては、「販売業者を構成員とする団体」ということを書きましたゆえんは、先ほど来申し上げておりますように、しょせんは複雑な流通経路を利用しなければ石油供給が行なわれないという点を考えまして「団体」ということにいたしておるわけでございまして、先生御心配の、この団体があっせんの内容において非常に不公正な取り扱いが行なわれるというようなことが絶対ないように、私どもは十分指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  このあっせん業務につきましては、もとより、それぞれの専門的な相談相手もやはりつくる必要があると思いますし、また、その専門家がその受付をいたしまして、出てまいりましたものを、それぞれ従来の取引ルートに乗せまして販売をするように指導をしていくわけでございますが、何せ、石油製品が末端において不足している場合においては、結局、元売りまで品物の供給についてのあっせんをしなければならないことになろうと思います。これは、各県の段階での仕事を越えた問題でございまして、結局、元売り段階までの指導になりますれば、通産省が直接指導をするというふうなことが必要になってこようかと思っておるわけでございます。  それと、需要者方々との問題につきまして、たとえば十一条の「割当て又は配給」という段階になりますれば、これはもう当然その段階になりまして、このあっせんというような仕事では段階を越えるわけでございますが、現段階におきましては、あっせんというのは、全体の中の全く補完的な機能ということで考えておるわけでございますので、いまの流通秩序というものを前提にいたしましたあっせんというのが一番物が流れるのではなかろうか、こういう考え方で、ここに、このあっせんに対して通産大臣が指導をするということを書いたものでございます。
  287. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 金融機関でも、たとえて申し上げると、住友銀行なら住友銀行、三菱銀行なら三菱銀行が、自分の系列の会社にことしはどの程度資金が要るだろうということになったら、先に取っちゃう。残りの何%を一般の国民に貸し出しをしていく。こういうことを平気でやっている。ところが、販売業者は、自分が持っておる企業が一つは消費者企業なんです。そういうものを持っておって、物が不足してくると、国民の目というものは、いろんな角度からこれをながめている。あの企業おかしいぞ、自分のところが販売業者であっせんの労をとると言いながら、どうもおかしいと、こういう疑問を持ってくる。だから、疑問が持たれないようにしていくのが法律の精神じゃないですか。疑問を持たれるような運用をするなり、そういう協議会を設置するということは、根本的に法の精神をじゅうりんすることなんです。ごまかしになる。形式論になる。だから、販売業者であるけれども消費者の立場にある企業は除外するのだと、こういうことは言えませんか。石油部長
  288. 熊谷善二

    熊谷政府委員 私の理解が悪くて申しわけございません。農林関係の実態について不勉強でございまして申しわけございませんですが、いわゆる、先生のおっしゃるあっせん協議会のメンバーというのは、みずから消費者になるような、そういったメンバーは除けという御指摘かと存じますが、このあっせん協議会というものは、法律の施行されました段階で——まあ、現在準備中のものをそのままやるかどうかは問題でございますけれども、もう一回見直しをすることになるかもしれませんが、私どもとしましては、その運用の公正というものが疑われるような構成員といいますか、そういうあっせん協議会というものの人選はいたさないように考えております。いま先生の御指摘のように、一般消費者として、自分がこのあっせん協議会において先取りして云々というようなことにはならないし、またすべきではなかろうというふうに私は感じております。
  289. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 だいぶ前進した御答弁を願ったのですが、この条文には「石油販売業者」という文章が入っているから、そういうふうに、一方では販売業者であり、一方では消費者であるということになれば、農林団体でも加えられるということになると私は思う。農林団体でもこういう協議会のメンバーに入れるという解釈も成り立つと私は思うのですが、政務次官、どうですか。見解を承りたい。
  290. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 私は、当然入ると思います。それは、ここで、「一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業」と並べているんですから、農林漁業者であっても、農林漁業者の団体は当然農林漁業者を代表しているものであるし、また、その農林漁業者を代表しているところの、たとえばホクレンのようなものは、当然各末端に石油もおろすし、末端農協は石油を販売しているんだし、石油販売業者は、「石油を販売するものを販売業者という」というんですから、農業団体石油販売業者であることも間違いないのですから、こういう団体をつくるとすれば、商協系と一緒につくるか、あるいは別につくるか、こういう技術的な詳しいことは知りませんが、いずれにしても、つくろうとすれば、法律上できるはずだと私は思っております。
  291. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 まあ、政務次官が言い切ったんだから、農林団体がそうしたあっせんの機関に入る。みずから入っていくというんでなければ、最優先する。しかし、最優先すると、ことばだけで、守られたことがないのですよ。だから、その点は、政務次官に全幅の信頼をしておきますから……。  時間を急ぎますから、通告したやつを飛ばしますが、石油資源が枯渇してまいりますと、好むと好まざるとにかかわらず、だんだんと産業構造は変わらざるを得ないし、また、変えなきゃならないが、そうした場合に、いまのように石油オンリーでは——石油がオールマイティーだということで、一時は、石油関連産業を発展させて、人造米もつくる、人造肉もつくるということで、とにかく、全部石油資源で日本の民族を養おうという考え方もあった。それが大きく狂ってきた。そういう形の中で日本の農政を進めてきた自民党政府の農政の姿というものは、いまは与党の皆さん方は、口には出さないけれども、心の中では、えらいことになったなあといろいろ御心配をされていると思う。だから、この辺で農政の大転換ということも考えなければならぬ。先ほど同僚委員から言われましたから、私は多くは申しませんが、そういう農政の大転換を迎えるのに、早く考えないと、田中さんのことですから、いずれ——総需要抑制ということばがいま出ておりますが、総需要抑制をどういう形でやられるのか、公共事業を思い切って圧縮するのか、いろいろな形があるでありましょう。また、企業の設備投資を押える。押えるわけにはなかなかいかないと思うけれども、押えると言う。そうすると、労働力の問題を無視するわけにはいかない。いまはどうぞこうぞ補っておるが、総需要の抑制、いずれは金融引き締めその他で、中小企業の倒産ということもあり得るでしょう。それで、労働者の問題を考えずして、総需要の抑制ということは言えないと私は思う。そういうことを考えたときには、この総需要抑制から生まれてくるいろいろな波紋というものが広がってくる。私たちは失業者を出してはならないという前提だが、その前提は、まず、われわれは農村の出身だから、農家の出かせぎがいずれみな帰ってくるのではなかろうかということがある。それから、総需要抑制ということは、石油がないからあわててやるというんだったら、これはたいへんなことになる。  それから、労働省がお見えになっておるとは思いますが、いま一般では、百二十万人も農家の出かせぎがあると言われております。百万とも言われておる。けれども、労働省のほうは、失業保険のあの数字で押えていますから、おそらく七十万ぐらいと押えていると思いますが、その人々がいずれ職を失った場合、生まれ故郷に帰りなさいということになると思う。昔の歴史は、そういう道を歩んできた。その場合、労働省はどういう見解を持っておるのか、農林政務次官はそれに対してどう対処するのか、御意見を聞かせていただきたい。
  292. 鈴木新一郎

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  今回の石油問題に端を発しまして、いろいろな総需要の抑制、あるいは経済規模の縮小ということになりますと、御質問のように、失業問題、雇用問題に大きな影響が出てくることは当然想像できます。私どもとしては、要するに、失業を出さないという、そういう責任ある省としまして、今回の石油問題は、それに伴う総需要の抑制がどのようになるであろうかということで、非常な関心を持っておりまして、事態の推移を目下見守っておるところでございます。  しかしながら、現在の労働市場の状況を見ますと、現在のところ非常に人手不足でございまして、非常に求人難の状況でございます。私どもの全国の安定所の窓口の統計でございますが、求職一人に対しまして、全国を通算しまして二・三人の求人が現在ございます。つまり、求職一人に二・三の求人でございまして、非常な求人難の状況でございまして、こういうことでございますので、当面、しばらくの間は、そう急激な雇用の悪化あるいは失業の増大ということはないであろうと考えております。  しかし、今後の経済の動向いかんによりましては、私どもとしても、相当重大時期を考えなければいけませんので、今後の推移を見ながら、雇用の安定には全力を傾けてまいりたいと思っておる次第であります。当面、私どもとしましては、できるだけ失業者を出さない方向で、全国の安定機関を動員しまして、関係事業主にお願い申し上げまして、情報の的確な把握をするということと、失業者を出さないようにするという方向で万全を期してまいりたいと考えておる次第であります。
  293. 渡辺美智雄

    渡辺(美)政府委員 総需要の抑制の問題について、そこで失業者が出たときはどうするかというようなお話しでありますが、いま労働省の方がおっしゃったように、現在の雇用状況というものは、就職したい人が一に対して、求めるほうが二だというような、非常に過熱をしておる状態である。ことし、御承知のとおり、皆さんからも強い要求があって、こんなに景気を過熱させてけしからぬじゃないか、まず金融引き締めをやれ、そして総需要を抑制しろということで、これは与野党ともみんな言ったことであります。そこで、金融引き締め、過剰流動性の吸収をやってきました。しかしながら、それだけではなかなか物価が鎮静しない。そこで、田中さんの構想の日本列島改造で、全国に新幹線を張りめぐらす、橋を一ぺんに三本もかけるというのはけしからぬじゃないかというのは、野党からのほうが、むしろ与党よりも強く出たことは間違いない。これはやはり総需要を抑制しろという御主張であります。したがって、そういうことは物価対策上からもある程度やらざるを得ないと思っておったところに、今回の石油削減問題というものが出たわけであって、幾ら予算で金を積んでも、物がない、石油がないから、生産されるものがない、予算だけがよけいにばらまかれる、インフレになってしまう、それはたいへんだ、だから、予算は、緊縮財政で、二二%か二三%の伸びに押えようということで総需要の抑制をやるわけでありますから、私は、それによって大量な失業者が出るというようには思いませんけれども、現に不動産屋につとめておった人が金融をとめられて、ことしは不動産屋の倒産がかなり出るだろうということを言われておりますから、これは物価を優先するか、生活を安定するか、業種によっては、部分的にも、そういうふうな失業者を一人も出さないようにするということは、なかなか両方一緒にできない、むずかしい問題があります。したがって、そういうように、部分的に出かせぎ等の失業者が出てくるという問題については、政府としては、別な企業にあっせんをしてもらうようなことをやっていかなければならぬと思います。  もう一つ、先ほどの質問の中でありましたように、ともかく、エネルギーにたより過ぎた農業は間違っているじゃないかということは、部分的にそういう点があろうかと私は思います。何でも化学肥料を使えばいいということで、堆肥その他、土地に還元するということをやらない。それをやれば、もう少し化学肥料も少なくて済んだのじゃないかという主張は、私は適当なものだと思いますが、しからば、それじゃ、機械を使わないで、ガソリンや重油を使わないで、北海道で農業をやりなさいといったって、現在の所得から見て、そういうふうな小規模なまんがや、かまや、くわで、北海道で農業をやったって、それはとても採算が合うものじゃない。やはり、そういうふうな大規模な農業あるいは所得水準を工業並みに上げるという場合には生産性の高い農業をやらざるを得ないということになれば、当然これは機械を使うし、機械を使えば電気も使うし、石油も使う、こういうことにならざるを得ないわけであります。だから、石油の一割程度削減されたとしても、国民食糧を確保するために、必然的にそういうことをやってきているのですから、そういう農業や、林業や、特に漁業の部門に対しましては、石油が全部なくなったわけじゃないから、全体の用の中で八・六%というようなことなんですから、農業関係に対しましては、やはり優先的にこれを与えていかないと、今度は食糧不足という問題になれば、セメントどころの騒ぎじゃないということになりますから、これは皆さんのお力を得てでも、強い法案を通して、農林関係はそれだけのものを確保してやるということで進む以外に方法はないじゃないかというのが私の所見でございます。
  294. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間がないから、次官との論争は、いずれまたたびたび機会があると思いますからやめておきますが、私たちは、総需要抑制に全面反対をしているわけじゃない。けれども、その前提条件を労働省は考えるべきだ。まず、雇用安定法をつくるとか、全国一律の最低賃金法をつくるとか、そういうものをいまから用意してかからないとたいへんなことになりますぞということを私は言っているわけですので、そういう心がまえがあるかないか、もう一回労働省から御答弁を願います。
  295. 鈴木新一郎

    ○鈴木説明員 先ほど申し上げたように、私どもとしては、失業者を出さないように全力をあげる所存でございます。特に、雇用、失業の問題を考える場合に、こういうように景気が悪くなった場合に、一番問題になるのは、御指摘のとおり、出かせぎの問題でございまして、たとえば総需要が抑制されると、労働面でまず考えられますのは、労働時間の短縮ということだと思います。まず、人員を整理するという前に、労働時間の短縮という問題がある。さらに、それでも追っつかない場合には、人減らしをするということになるのでございますが、現在の雇用の現状から見ますと、仕組みから申し上げますと、やはり、臨時、季節、そういう労働者が最初に影響を受けるということになろうと思います。したがいまして、特に、出かせぎの問題につきましては、私どもとしては、一番注意をしまして、こういうことの影響の少ないように今後努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  296. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 日本の役所というものは、どろなわ式が多いのですよ。展望がない。どろぼうをつかまえてなわをなう主義というのがどろなわ式というのですが、そういうことのないように、この石油の問題を契機として、お互いに反省しなければならぬと私は思うので、十分心がけてもらいたいと思います。  先に進みますが、専売公社に石油関係でちょっとお尋ねしておきたいのですが、葉たばこ耕作に関しての燃料確保、それから、たばこを製造する場合の燃料確保、これと、両方にわたっての資材の確保、この点の自信があるのかないのか。  たとえば、乾燥用燃料というものは、先ほど閣議決定にあるように、国民生活を安定させるために、国民生活に絶対必要なものを最優先するという解釈になっておりますが、たばこは生活必需品であるのかないのかというところから、これの燃料はどうなるのかということについて、通産省が見えておるから、見解を聞いておきたいのですよ。  通産省の石油部長は、国民生活には御心配ないようにしますと言っているが、それはみな生活必需品ということに位置づけされておると思うのです。たばこは嗜好品として位置づけされておるが、これは必需品であるのか、ないのか。この点から、油の配給というものがもらえるかもらえぬかということになってくると思うのですが、両方から御意見を聞かしていただきたい。
  297. 松井元義

    ○松井説明員 まず、最初に、専売公社の各工場が現在どういうような状態になっておるか、御説明申し上げます。  各工場ともできる限りの節減につとめておりますが、一部の工場ではございますけれども、本年内の操業に必要な重油の確保については、見通しがついておりません。来年一月以降の見通しにつきましては、私どもよくわからないので困っておるというのが現状でございます。  その対策といたしまして、専売公社の中に資源問題緊急対策委員会を設けまして、工場の運営はもちろんのこと、その他全般の問題につきまして、全社的に取り組んでおります。  なお、たばこ製造に必要な材料品の確保でございますけれども、これらの材料品を製造しております関係業界も深刻なエネルギー不足に見舞われておりまして、材料品の確保の見通しがつきかねております。  たばこは特殊な嗜好品でありまして、また、生活必需物資でもありますので、たばこの不足がありますと社会に与える影響は大きいので、現在、公社は、あらゆる対策を講ずることにつとめております。そのために、石油類等の確保のため、通産省と関係官庁に御理解と特段の御措置を得るべく要請申し上げております。
  298. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 柴田先生のほうの御質問の中に、葉たばこの生産関係のものも含まれておりますので、この際簡単に御説明させていただきたいと思います。  最近の葉たばこ生産の体系は、どちらかといいますと、今度起こりましたような石油問題とたいへん関係が深いものでございまして、御存じのように、葉たばこが畑でできますと、特に、黄色種あたりになりますと、できました青っ葉を乾燥いたしますが、これが最近はほとんど石油を使うというかっこうになっておるわけでございまして、その中でも灯油が一番ウエートが高いわけでございますが、こういう石油関係を、乾燥用だけに、年間約十二万キロリットル程度使っております。  この石油がございませんと、畑の作はできましても、たばこを腐らしてしまうというようなかっこうとか、あるいは、場合によりましては、昔のような、在来種みたいなかっこうで、天日でかわかすということになりまして、本来のたばこの持ち味は全然失ってしまう、こういう性格のものでございます。  その他、この油以外にも、石油関連のいろいろな製品をたくさん使っておりまして、苗床に使います塩化ビニールとか、それから、近ごろは、たばこを畑に出しましてから、ポリエチレンの被覆をいたしまして、生育の促進をはかると同時に、初期の霜の害あたりを防いだりしております。これが非常に効果があるわけでございまして、これも耕作上の必需品になっております。また、在来種の乾燥の場合には、乾燥室ということで塩化ビニールを使っておる。こういうような状況でございまして、石油そのもの並びに関連製品をたくさん使っております。  こういう状態で今度の問題が出てまいりまして、私たち、見通しがつきにくいのでほとほと困っております。ただ、この石油なり、あるいは石油関連製品なりの中で、特に、乾燥用の燃料というものは、これがございませんと、たばこの耕作はほとんど不可能になるというぐあいに言えると思います。現在、設備そのものが石油を使うようなかっこうになっておりますので、長期的にこれをどう切りかえるかという問題はあろうかとも思いますけれども、現在、早急にこの設備をどうのこうのいうようなかっこうにもまいりませんので、いろいろな問題が含まれてはおりますけれども、私たちは、農林省のほうとよく連絡をとりながら、所要量を確保していくように万全を期していきたい、こういうぐあいに思っておるわけでございます。
  299. 熊谷善二

    熊谷政府委員 たばこが生活必需物資かどうかということでございますが、たばこ愛好者にとりましては、これは全く必需物資だと思いますし、たばこ愛好者でない方にとりましては、直接関係がないわけでございますが、扱いとしましては、私ども、専売公社の方から、原料手当ての問題につきまして、すでにお話しを承っておりまして、非常に国民生活に関係の深い物資といたしまして、燃料手当てその他努力をいたしたいということで、現在いろいろ努力をいたしておるわけでございます。
  300. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 石油部長に、たばこに関する限りは迷惑を絶対かけませんという一言を御答弁願いたいのです。
  301. 熊谷善二

    熊谷政府委員 専売公社と打ち合わせしまして、最善の努力をいたします。
  302. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 次に、構造改善局に伺いますけれども、この間この文書をもらったのですが、今度のこのインフレの、「公共事業等に係る工事請負契約」のスライド制の問題、これは、建設省とほぼ同じに足並みをそろえる。時間がございませんので簡単に申し上げますと、農林関係の災害その他は、資材を使うのは少ない。ほんとうは人件費が多いんですよ。人件費を見ないのは、農林省は、建設省がこうであるから農林省もこうだということで、建設省が死んだら農林省も死にますという流儀になるんですが、これはおかしいと私は思う。資材というものは、産業優先なんですよ。資材を優先すると、人間優先にならない。いま、農林省のこの単価、資材は幾らでも上がっているでしょう。セメント一袋が六百円、生コンが八千円から一万円になる。砂が立米二千三百円、バラスが千八百円というように、骨材から鋼材に至るまで資材が上がっておる。けれども、人件費が多いんですよ。いま、その人件費をスライドしないというのはどういうわけですか。農林省として、建設省に右にならう必要はないと私は思うが、この点、御答弁を願いたいと思う。
  303. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御質問の点につきまして、御説明申し上げます。  今回出しましたいわゆる「請負契約の更改について」の文書は、確かに、資材の点についてだけ触れておるわけでございますが、農林省関係の災害復旧工事等につきましては、お説のとおりに、資材よりもむしろ労務単価が相当なウエートを占めております。したがいまして、現在、昨年の災害等で進捗率が非常に悪い災害復旧工事がございまして、その原因を調べてみますと、今回の石油にからむいろいろな資材の値上がり、あるいはまた不足、そういう点も原因ではございますけれども、労務者の確保が非常に困難であるという点が原因になっておることも承知しております。  そこで、実は、非常に憂慮されておりますので、労務費の更改につきましても、九月もしくは十月に調査をした上で改定をするということで、これはすでに改定をいたしております。ところが、さらに労務費がまだ上がっておりますので、その後も調査を継続いたしまして、当初きめました労務単価の二割までは契約変更できる、増額できるというようなことになっております関係で、実態を調べてみますと、四十八年四月が土工と申しますか、特殊作業員という職種で申し上げますと、三千三百八十円で、これが、四十八年九月に三千六百四十円というふうに上がってまいっております。さらに、これは、四千円をこえる点まで今回は更改をする、それは契約変更の内容にするというふうな指示をいたしております。さらに、その後の変化というのは予測になりますので、正確なお答えはできないわけでございますけれども、そういう状況で、労務単価につきましても、当然、災害復旧等につきまして増額するよう指示しておるところでございます。
  304. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それは、いつごろ指示を出したのですか。
  305. 杉田栄司

    ○杉田説明員 これは、すでに九月一日に改定いたしております。ただし、これは九月一日以降に発注する工事について適用するというようなことで出しております。  なお、先ほど申し上げましたように、二割の範囲内は自動的にできるわけでございまして、打ち合わせをそのつど具体的にしてもらって指示するということになっております。
  306. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この問題については、もっと掘り下げてお尋ねしたいのですが、時間がございませんから、いずれまたあらためて質問いたしますが、十分御指導を願いたいと思います。  次に、林野庁が見えておると思うので、この際、マツクイムシの問題でちょっと聞いておきたいのですが、これだけはどうしても征伐したい。石油以上に重要な問題なので、先般も本委員会で現地調査を行ないまして、本年度の予算は九億六千万ほどの予算で、予備費を使ってまでやったのですが、これはもう繰り越しをするようなものではない。単年度で勝負をしなければならぬと思うのですが、明年度、四十九年度の予算でぜひ解決してもらいたいという、そういう強い要求の考え方に立って御質問申し上げます。  聞くところによれば、十五億五、六千万円、新年度の予算要求をしておられるようですが、これが全部予算がついたとしても、完全に征伐できるのかできないのか。まず、その点をお聞かせ願いたい。
  307. 福田省一

    ○福田政府委員 マツクイムシの防除経費につきましては、四十九年度は、四十八年度の約倍額を要求いたしております。このマツクイムシは、最近この三年ぐらいの経緯を見ますと、四十六年、四十七年は台風の影響で非常に弱ったということもございましたが、四十八年度は台風がございませんでしたし、異常乾燥で非常に気温が高かったということで、非常にふえておりますので、いま要求しております予算は、全面的にぜひ獲得したいと考えて、そういう方向で努力いたしたいと思っています。  これが通れば、全部マツクイムシが防除できるかどうかという御質問でございますけれども、まあ、相手は虫でございますので、どの程度発生するか予測はいたしかねますけれども、この三カ年くらいの平均値を見ましてやるならば、御承知のとおり、この原因が四十七年度にはっきりいたしましたし、徹底的に防除をすれば、これは絶滅できるであろうというふうに考えております。これは全面的に予算を獲得しまして、最善の努力をしてまいりたい、かように現在のところでは考えております。
  308. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 今年度の予算でも、現在の補助率で、市町村の持ち出し分が非常に多いのですよ。みなふうふう言うている。これらのことを考えた場合には、明年度は、市町村の財政持ち出しをどの程度救えるのか。そういう考え方が煮詰まっておるのか。補助率を変えるわけにいかないけれども、たとえば、これは一種の災害であるから、災害として融資をあっせんしましょう、政府資金の貸し出しをしましょう、起債を認めてもらうように自治省と話をしましょうというように、財政の裏づけの方法というものを考えておるのか。補助率を思い切って上げるのか、どういう方法をとるのか、そういう見解があれば、聞かしてもらいたい。
  309. 福田省一

    ○福田政府委員 国有林につきましては、全部国費で実施するわけでございますけれども、民有林におきましては、自分の持ち山でございますので、一応、補助金という考え方、二分の一補助ということにしているわけでございますけれども、重要な、たとえば保安林の地帯であるとかいうところは全部国で持ちまして、国営防除という線を拡大してまいりたいと考えております。四十九年度もそういった方向で、国営の直営防除を強化してまいります。そのほかの融資の問題であるとか、その他の起債の問題であるとかいうことにつきましては、関係省庁とも十分話し合いまして、マツクイムシの絶滅を期する方向で努力してまいりたいと思っております。
  310. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官、あなたの答弁を伺うと、国有林はこうします、あれはこうしますと言うが、虫は、国有林も民有林もないのですよ。国有林用の虫がありますか。民有林用の虫がありますか。われわれは、マツクイムシを征伐することを熱心にやる。国有林だ、民有林だというような考え方に立っていない。資源保護というものは、そういうものじゃないでしょう。あなたの発想が違う。  それから、民有林のほうは何ぼか補助をやるから、おまえらかってにやれと、そんなことをするから、何年たっても撲滅はできない。虫というものは、国有林も民有林もないんだ、一緒に撲滅するんだ、防除するんだ、駆除するんだという発想にならないといけない。あなたの考えは、われわれの考え方とちょっと違うんです。林野庁の長官としては、どうもお粗末だと思うので、その点、もう一ぺん見解を聞いて、質問を終わります。
  311. 福田省一

    ○福田政府委員 経費の分担、その出し方についてお答えしたことでありまして、御指摘のように、虫は、国有林も飛びますし、国有林から民有林に飛ぶわけでございます。それは、市町村とか、あるいは営林署とか、これを中心にしまして、個々でなしに、協力してこれを推進していくという方向でやるべきだということは、先生の御意見のとおりでございます。そういう方向で指導してまいりたいと考えております。
  312. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十四分散会