運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-04-25 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    大石 千八君       笠岡  喬君    近藤 鉄雄君       田中  覚君    竹中 修一君       旗野 進一君    三塚  博君       吉永 治市君    木原  実君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       木下 元二君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)         大蔵大臣臨時代         理       内田 常雄君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人  事  官 加藤 六美君         人事院事務総局         任用局長    大塚 順七君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         内閣総理大臣官         房管理室長   伊藤 廣一君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         厚生省医務局次         長       宮嶋  剛君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁次長 小山  実君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君         中小企業庁指導         部長      河村 捷郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部防犯少年課         長       武田 安雄君         行政管理庁行政         管理局管理官  門田 英郎君         法務省刑事局参         事官      根來 泰周君         大蔵省銀行局特         別金融課長   山田 幹人君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       巣山 庄司君         農林大臣官房審         議官      齋藤  稔君         食糧庁業務部長 志村 光雄君         水産庁長官官房         総務課長    月本 道彦君         通商産業省機械         情報産業局次長 野口 一郎君         運輸省自動車局         整備部長    田村 健次君         自治省行政局公         務員部給与課長 山田 守一君         消防庁予防課長 永瀬  章君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     有田 喜一君 同日  辞任         補欠選任   有田 喜一君     笠岡  喬君     ――――――――――――― 四月十三日  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八九号) 四月十七日  国立大学付属学校教育職員給与適正化等に  関する請願植木庚子郎君紹介)(第四六六〇  号)  同外一件(橋本龍太郎紹介)(第四六六一  号)  同(坪川信三紹介)(第四六六二号) 同月十九日  国立大学付属学校教育職員給与適正化等に  関する請願坂村吉正紹介)(第四七九四  号)  同(大久保武雄紹介)(第四九二一号)  同(坂田道太紹介)(第四九二二号)  同(園田直紹介)(第四九二三号)  同(野田毅紹介)(第四九二四号)  同(本名武紹介)(第四九二五号)  同外一件(松野頼三君紹介)(第四九二六号)  靖国神社国家管理反対に関する請願上原康  助君紹介)(第四九一一号)  同(岡田哲児紹介)(第四九一二号)  同外五件(河上民雄紹介)(第四九一三号)  同外一件(坂本恭一紹介)(第四九一四号)  同外二件(島本虎三紹介)(第四九一五号)  同(土井たか子紹介)(第四九一六号)  同(中村重光紹介)(第四九一七号)  同(村山富市紹介)(第四九一八号)  同(吉田法晴紹介)(第四九一九号)  同(横路孝弘紹介)(第四九二〇号) 同月二十日  靖国神社国家管理反対に関する請願中澤茂  一君紹介)(第五一七四号)  同外三百十四件(池田禎治紹介)(第五二八  一号)  同外二百八十五件(稲富稜人君紹介)(第五二  八二号)  同外二百五十九件(宮田早苗紹介)(第五二  八三号)  同外二百三十三件(池田禎治紹介)(第五三  六八号)  同(板川正吾紹介)(第五三六九号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五三七〇号)  同(小川省吾紹介)(第五三七一号)  同(岡田春夫紹介)(第五三七二号)  同(勝澤芳雄紹介)(第五三七三号)  同(兒玉末男紹介)(第五三七四号)  同(斉藤正男紹介)(第五三七五号)  同(島本虎三紹介)(第五三七六号)  同外二百五十九件(塚本三郎紹介)(第五三  七七号)  同(中村重光紹介)(第五三七八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第五三七九号)  同外二百八十五件(宮田早苗紹介)(第五三  八〇号)  同(村山喜一紹介)(第五三八一号)  同(村山富市紹介)(第五三八二号)  同(渡辺三郎紹介)(第五三八三号)  同外二百八十七件(池田禎治紹介)(第五五  〇六号)  同外二百八十七件(塚本三郎紹介)(第五五  〇七号)  同外二百五十九件(宮田早苗紹介)(第五五  〇八号)  同外四百六十七件(池田禎治紹介)(第五五  一六号)  同外二百八十九件(春日一幸紹介)(第五五  一七号)  自衛隊の縮小に関する請願山中吾郎紹介)  (第五二六五号)  国立大学付属学校教育職員給与適正化等に  関する請願大久保武雄紹介)(第五二六六  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五二六七号)  同(小平久雄紹介)(第五二六八号)  同(三枝三郎紹介)(第五二六九号)  同(塩崎潤紹介)(第五二七〇号)  同(關谷勝利紹介)(第五二七一号)  同(田中正巳紹介)(第五二七二号)  同外二件(竹内黎一君紹介)(第五二七三号)  同(坪川信三紹介)(第五二七四号)  同(野田毅紹介)(第五二七五号)  同(宮崎茂一紹介)(第五二七六号)  同(森山欽司紹介)(第五二七七号)  同(原田憲紹介)(第五二七八号)  同(福田一紹介)(第五二七九号)  同(船田中紹介)(第五二八〇号)  同(橋本龍太郎紹介)(第五三八四号)  同(床次徳二紹介)(第五五〇五号)  同外一件(受田新吉紹介)(第五五一八号)  同(小澤太郎紹介)(第五五一九号)  同(春日一幸紹介)(第五五二〇号)  同(左藤恵紹介)(第五五二一号)  同外一件(佐藤守良紹介)(第五五二二号)  同(塩崎潤紹介)(第五五二三号)  同(島田安夫紹介)(第五五二四号)  同(永山忠則紹介)(第五五二五号)  同外一件(丹羽兵助紹介)(第五五二六号)  同(服部安司紹介)(五五二七号)  同(坊秀男紹介)(第五五二八号)  同外一件(宮澤喜一紹介)(第五五二九号) 同月二十二日  靖国神社国家管理反対に関する請願外二百五  十九件(池田禎治紹介)(第五五八五号)  同外百八十一件(春日一幸紹介)(第五五八  六号)  同外二百五十九件(和田耕作紹介)(第五五  八七号)  同外二百六十七件(池田禎治紹介)(第五五  九一号)  同外百二十九件(春日一幸紹介)(第五五九  二号)  同外百二十九件(塚本三郎紹介)(第五五九  三号)  同外二百五十九件(宮田早苗紹介)(第五五  九四号)  同外二百五十九件(安里積千代紹介)(第五  七二三号)  同(安宅常彦紹介)(第五七二四号)  同外二百五十九件(池田禎治紹介)(第五七  二五号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五七二六号)  同外五件(上原康助紹介)(第五七二七号)  同(勝澤芳雄紹介)(第五七二八号)  同(金丸徳重紹介)(第五七二九号)  同(小林信一紹介)(第五七三〇号)  同(佐藤観樹紹介)(第五七三一号)  同(坂本恭一紹介)(第五七三二号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第五七三三号)  同外四件(楢崎弥之助紹介)(第五七三四  号)  同(長谷川正三紹介)(第五七三五号)  同外三件(平林剛紹介)(第五七三六号)  同外二百五十九件(宮田早苗紹介)(第五七  三七号)  同(村山喜一紹介)(第五七三八号)  同(八木昇紹介)(第五七三九号)  同外三件(横路孝弘紹介)(第五七四〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第五七四一号)  同外二百五十九件(池田禎治紹介)(第五九  二一号)  同外六件(上原康助紹介)(第五九二二号)  同外二百五十九件(春日一幸紹介)(第五九  二三号)  同外二百五十九件(塚本三郎紹介)(第五九  二四号)  同外百五十五件(安里積千代紹介)(第六〇  五八号)  同外百八十一件(池田禎治紹介)(第六〇五  九号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第六〇六〇号)  同(上原康助紹介)(第六〇六一号)  同(太田一夫紹介)(第六〇六二号)  同(岡田哲児紹介)(第六〇六三号)  同(勝澤芳雄紹介)(第六〇六四号)  同外十一件(河上民雄紹介)(第六〇六五  号)  同外二件(坂本恭一紹介)(第六〇六六号)  同(佐藤観樹紹介)(第六〇六七号)  同(島本虎三紹介)(第六〇六八号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第六〇六九号)  同外二件(土井たか子紹介)(第六〇七〇  号)  同外二件(中村重光紹介)(第六〇七一号)  同外三件(楢崎弥之助紹介)(第六〇七二  号)  同(野坂浩賢紹介)(第六〇七三号)  同外百八十一件(宮田早苗紹介)(第六〇七  四号)  同(村山喜一紹介)(第六〇七五号)  同(村山富市紹介)(第六〇七六号)  同(八木昇紹介)(第六〇七七号)  同(八百板正紹介)(第六〇七八号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第六〇七九号)  同外一件(湯山勇紹介)(第六〇八〇号)  同(米内山義一郎紹介)(第六〇八一号)  同外四件(横路孝弘紹介)(第六〇八二号)  同(和田貞夫紹介)(第六〇八三号)  同(平林剛紹介)(第六〇八四号)  国立大学付属学校教育職員給与適正化等に  関する請願外一件(稻村左近四郎紹介)(第  五五八八号)  同(久保田円次紹介)(第五五八九号)  同外一件(森喜朗紹介)(第五五九〇号)  同(越智通雄紹介)(第五七四九号)  同(堂森芳夫紹介)(第五七五〇号)  同(福永健司紹介)(第五七五一号)  同(小坂善太郎紹介)(五九一九号)  同(山口敏夫紹介)(第五九二〇号)  同(天野公義紹介)(第六〇八五号)  同(足立篤郎紹介)(第六〇八六号)  同外三件(石田博英紹介)(第六〇八七号)  同(臼井莊一君紹介)(第六〇八八号)  同外一件(浦野幸男紹介)(第六〇八九号)  同(上田茂行紹介)(第六〇九〇号)  同(上村千一郎紹介)(第六〇九一号)  同(江藤隆美紹介)(第六〇九二号)  同(大石千八紹介)(第六〇九三号)  同(小澤太郎紹介)(第六〇九四号)  同外一件(大竹太郎紹介)(第六〇九五号)  同外一件(越智通雄紹介)(第六〇九六号)  同(海部俊樹紹介)(第六〇九七号)  同外一件(小坂善太郎紹介)(第六〇九八  号)  同外一件(小山長規紹介)(第六〇九九号)  同外一件(倉石忠雄紹介)(第六一〇〇号)  同外三件(笹山茂太郎紹介)(第六一〇一  号)  同(塩谷一夫紹介)(第六一〇二号)  同(鈴木善幸紹介)(第六一〇三号)  同(染谷誠紹介)(第六一〇四号)  同(田川誠一紹介)(第六一〇五号)  同外一件(高鳥修紹介)(第六一〇六号)  同(谷川和穗紹介)(第六一〇七号)  同(地崎宇三郎紹介)(六一〇八号)  同(千葉三郎紹介)(第六一〇九号)  同(中馬辰猪紹介)(第六一一〇号)  同外一件(中尾栄一紹介)(第六一一一号)  同外一件(中垣國男紹介)(第六一一二号)  同(中川一郎紹介)(第六一一三号)  同(灘尾弘吉紹介)(第六一一四号)  同(野呂恭一紹介)(第六一一五号)  同(橋口隆紹介)(第六一一六号)  同(羽田野忠文紹介)(第六一一七号)  同(広沢直樹紹介)(第六一一八号)  同外一件(福永健司紹介)(第六一一九号)  同(西岡武夫紹介)(第六一二〇号)  同外一件(丹羽兵助紹介)(第六一二一号)  同外二件(保利茂紹介)(第六一二二号)  同(坊秀男紹介)(六一二三号)  同(増岡博之紹介)(第六一二四号)  同外一件(松永光紹介)(第六一二五号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第六一二六号)  同(三塚博紹介)(第六一二七号)  同(村上勇紹介)(第六一二八号)  同(森下元晴君紹介)(第六一二九号)  三沢米軍基地内ゴルフ場返還等に関する請願  (小宮武喜紹介)(第五七四二号)  同(玉置一徳紹介)(第五七四三号)  同(渡辺武三紹介)(第五七四四号)  同(内海清紹介)(第五七四五号)  同(小沢貞孝紹介)(第五七四六号)  同(折小野良一紹介)(第五七四七号)  同(竹本孫一紹介)(第五七四八号)  同(安里積千代紹介)(第六〇四九号)  同(池田禎治紹介)(第六〇五〇号)  同(稲富稜人君紹介)(第六〇五一号)  同(受田新吉紹介)(第六〇五二号)  同(神田大作紹介)(第六〇五三号)  同(小平忠紹介)(第六〇五四号)  同(佐々木良作紹介)(第六〇五五号)  同(塚本三郎紹介)(第六〇五六号)  同(宮田早苗紹介)(第六〇五七号)  連合国占領軍爆弾処理作業による爆死者遺族  の補償に関する請願折小野良一紹介)(第  五七五二号) 同月二十三日  靖国神社国家管理反対に関する請願外三十五  件(池田禎治紹介)(第六二九八号)  同外四十二件(河上民雄紹介)(第六二九九  号)  同(井上普方紹介)(第六四三七号)  同(上原康助紹介)(第六四三八号)  同(岡田春夫紹介)(第六四三九号)  同(大原亨紹介)(第六四四〇号)  同外二件(金子みつ紹介)(第六四四一号)  同(金瀬俊雄紹介)(第六四四二号)  同外十四件(河上民雄紹介)(第六四四三  号)  同(神門至馬夫君紹介)(第六四四四号)  同外一件(佐藤観樹紹介)(第六四四五号)  同(佐藤敬治紹介)(第六四四六号)  同外二件(坂本恭一紹介)(第六四四七号)  同(斉藤正男紹介)(第六四四八号)  同外三件(島田琢郎紹介)(第六四四九号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第六四五〇号)  同(多田光雄紹介)(第六四五一号)  同(田邊誠紹介)(第六四五二号)  同外三十七件(塚本三郎紹介)(第六四五三  号)  同(中川利三郎紹介)(第六四五四号)  同(中路雅弘紹介)(第六四五五号)  同(長谷川正三紹介)(第六四五六号)  同(村山富市紹介)(第六四五七号)  同(村上弘紹介)(第六四五八号)  同(八木昇紹介)(第六四五九号)  同(山田耻目君紹介)(第六四六〇号)  同(山中吾郎紹介)(第六四六一号)  同外一件(吉田法晴紹介)(第六四六二号)  同外三件(横路孝弘紹介)(第六四六三号)  同(和田貞夫紹介)(第六四六四号)  同外二百五十九件(安里積千代紹介)(第六  八〇四号)  同外百二十七件(池田禎治紹介)(第六八〇  五号)  同外六件(小沢貞孝紹介)(第六八〇六号)  同外二百五十九件(春日一幸紹介)(第六八  〇七号)  同外一件(鈴切康雄紹介)(第六八〇八号)  同外二百五十九件(塚本三郎紹介)(第六八  〇九号)  同外二百五十九件(宮田早苗紹介)(第七〇  〇三号)  同外二百五十九件(和田耕作紹介)(第七〇  〇四号)  国立大学付属学校教育職員給与適正化等に  関する請願赤城宗徳紹介)(第六三〇〇  号)  同(有田喜一紹介)(第六三〇一号)  同外二件(石井一紹介)(第六三〇二号)  同(大西正男紹介)(第六三〇三号)  同(木村武雄紹介)(第六三〇四号)  同(小島徹三紹介)(第六三〇五号)  同(小山長規紹介)(第六三〇六号)  同(近藤鉄雄紹介)(第六三〇七号)  同(河本敏夫紹介)(第六三〇八号)  同(渡海元三郎紹介)(第六三〇九号)  同外一件(丹羽兵助紹介)(第六三一〇号)  同(原田憲紹介)(第六三一一号)  同外一件(葉梨信行紹介)(第六三一二号)  同外四件(本名武紹介)(第六三一三号)  同(松本十郎紹介)(第六三一四号)  同外一件(三木武夫紹介)(第六三一五号)  同(村山達雄紹介)(第六三一六号)  同(毛利松平紹介)(第六三一七号)  同(安田貴六君紹介)(第六三一八号)  同外一件(井上普方紹介)(第六四六八号)  同(稲葉誠一紹介)(第六四六九号)  同外一件(加藤清二紹介)(第六四七〇号)  同外一件(木島喜兵衞紹介)(第六四七二  号)  同(金瀬俊雄紹介)(第六四七一号)  同(斉藤正男紹介)(第六四七三号)  同(竹本孫一紹介)(第六四七四号)  同(塚原俊郎紹介)(第六四七五号)  同(長谷川正三紹介)(第六四七六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六四七七号)  同(山原健二郎紹介)(第六四七八号)  同(赤松勇紹介)(第六七八八号)  同(大野市郎紹介)(第六七八九号)  同(坂田道太紹介)(第六七九〇号)  同(西村直己紹介)(第六七九一号)  同外一件(橋本登美三郎紹介)(第六七九二  号)  同(三宅正一紹介)(第六七九三号)  三沢米軍基地内ゴルフ場返還等に関する請願  (河村勝紹介)(第六四六五号)  同(中路雅弘紹介)(第六四六六号)  同外一件(上原康助紹介)(第六七九四号)  同(大出俊紹介)(第六七九五号)  同(春日一幸紹介)(第六七九六号)  同(川崎寛治紹介)(第六七九七号)  同(木原実紹介)(第六七九八号)  同外一件(山崎始男紹介)(第六七九九号)  同(横路孝弘紹介)(第六八〇〇号)  同(吉田法晴紹介)(第六八〇一号)  同(和田貞夫紹介)(第六八〇二号)  同(和田耕作紹介)(第六八〇三号)  非核原則立法化等に関する請願山田太郎  君紹介)(第六四六七号)  旧治安維持法による犠牲者補償に関する請願  (青柳盛雄紹介)(第六五六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  石川県の寒冷級地是正に関する陳情書  (第四五〇号)  同和対策事業の促進に関する陳情書  (第四五一  号)  非核原則立法化に関する陳情書外一件  (第四五二号)  靖国神社国家護持に関する陳情書外三件  (第四五三  号)  靖国神社法案反対に関する陳情書外二件  (第四五四号)  米軍岩国基地沖合い移転建設に関する陳情書  (第四五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八九号)  中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九号)      ――――◇―――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 まず、趣旨説明を求めます。小坂総理府総務長官
  4. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本年三月二十六日、一般職職員である看護婦等給与について、その俸給月額の改定を内容とする人事院勧告が行なわれました。また、本年四月四日、昭和四十九年度に支給される期末手当を〇・三月分増額し、これを、この法律施行の日に在職する一般職職員に支給することを内容とする人事院勧告が行なわれました。これは、本年の民間給与実態に基づいて支給されることとなる期末勤勉手当の一部について、本年度に限り、早期に支払いを行なうことができるよう特別の措置を講ずるものであります。  政府としては、これらの勧告内容を検討した結果、勧告どおり実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、医療職俸給表(三)の全俸給月額を引き上げることとしたことであります。  第二は、昭和四十九年度に限り、職員に支給する期末手当の額を〇・三月分増額することとし、その〇・三月分をこの法律施行の日に在職する職員に支給することとしたことであります。  以上のほか、附則において、この法律施行期日適用日最高号俸等の切りかえ及び切りかえに伴う所要措置等について規定しております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  6. 徳安實藏

    徳安委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  7. 大出俊

    大出委員 連休が参りますし、異常な物価の上昇が続いているおりでもありますので、御家庭をお持ちの皆さんはじめ、当面生活に、いま何がしかの金が必要な時期でもありますから、せっかく勧告が行なわれ、国会に給与法改正が出されておりますので、何とか一刻も早く、こういう気持ちにかられておりましたが、関係の皆さんのたいへん積極的な御努力をいただきまして、提案いただきましたことに、お礼を申し上げる次第であります。   〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕  ところで、そういう趣旨でございますだけに、心配なんでありますが、この法律は、四十九年四月の「一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案関係資料」によりますと、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の附則の七に、「施行日から起算して十日を超えない範囲内において人事院規則で定める日に期末手当を支給する。」、こうなっているわけですね。これは一体、いつを考えてこういうことをいっておられるわけでありますか。せっかくたいへんな御努力をいただいて、きょうということで、いろいろ問題がありました正常化の最初に取り上げていただくわけでありますが、どうも事務的な都合がありましてというようなことで、数日延ばされるということになりますと、これまた意味がない。したがって、これは一体、どの辺を考えておられるのか承っておきたいと思います。
  8. 茨木広

    ○茨木政府委員 一応、支払いの事務的な準備等がございますので、公布の日から五日以内ぐらいをめどに努力してもらいたいというような気持ちで附則を出していただく、こんなふうに考えております。
  9. 大出俊

    大出委員 公布の日から五日というと、大体何日ぐらいになるお考えですか。
  10. 茨木広

    ○茨木政府委員 公布のほうは、これは政府のほうの側でおやりになることでございますので、まあ、いま裏のほうでいろいろ相談をいたしておりますが、まだはっきり日取りがきまっておらない状況でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 公布のほうは、政府がやるといったって、あなた方を含めて政府もしくは政府の一部でしょう。あなたは他人ごとを言っちゃいかぬじゃないですか。あなたは政府じゃないんですか。そんないいかげんなことじゃ、困るじゃないですか。だから、急いでみんなで苦労して、きょうやろうということになったのですから、その趣旨に沿ってやっていただかぬと、のんきな顔して公布の日から五日くらいあったらなんというようなことを言っていたのじゃ、皆さん、せっかくいまやったって、連休後やったって、一緒になっちゃうじゃないですか。政府という名が、いまの御答弁でついているのですが、だれが政府なんですか。あなたですか。政府がやることだ、あなたがやるんじゃないというんじゃ、政府は、皆川さん、あなたですか。じゃ、ひとつあなたやってください。
  12. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 もちろん、人事院を含めまして政府の努力するところでございます。ただ、事務的に言いますと、私のほうでいろいろ国会等、内閣の印刷局等と折衝いたしまして、法律が通りました暁には、なるべく早い時期に公布していただきたいということを、内々お願いをいたしておるわけでございます。まだ、そのめど等につきましては、もちろん法律審議中でございますけれども、確たる見通しは立っておりません。できるだけ無理をしても早くしていただきたい、このように考えております。
  13. 大出俊

    大出委員 こういうときは、皆川さん、無理をすべきなんですよ。一人や二人で済むことじゃないのですから、無理でも何でもやってしまうというくらいのことは考えてあげていただきたい。  そこで、総務長官、これは、いろいろ各党、党内事情がありまして、私も身にしみてこのむずかしさを感じていた時期もあるのですが、にもかかわらず、何とかきょうせっかくまとめようということになったわけでありますから、政党政治でございますから、各党の気持ちにやはり沿っていただきませんと、これは、政府ということばが出ましたが、政党政治ですから、時の政府を政党が組織しているわけでありまして、その意見が行政機関の末端まですみやかに流れていくのがたてまえであります。だとすれば、時の与野党を含めて、ともかく何とかこれは連休前でも払ってしまおうということで、ここまで持ってきたわけであります。ここの廊下歩いたって、みんな公務員あるいはそれに準ずる方ですから、私の顔が給与に見えるのかどうか知りませんけれども、大出さん、どうなっているのですかということで、実は当てにしているのですがというのが山ほどあるわけです。そうでしょう。だから、のんきなことを言わないで、総務長官、これは何でもかんでもすぐ払え、これは少し大号令をかけてやらしていただけませんでしょうか。総務長官、いかがでしょうか。
  14. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 せっかく、このような人事院の勧告が早目に出ておるわけでございます。もちろん、われわれといたしましても、現在の公務員の方々の生活の問題が、非常に苦しいということもわかるわけでございます。ただいま大出委員のおっしゃいましたような線で、私は、もちろん考えておりますが、問題は、この法案を早期に上げていただけばいただくほど、われわれとして動きやすいわけでありますので、よろしくひとつ……。
  15. 大出俊

    大出委員 予定としては、これは、きのう各党の皆さんと御相談申し上げましたが、きょう緊急上程で本会議を通って、きょうじゅうに参議院に行き、参議院の内閣委員会は待っていてすぐ審議する、こういう順序になっているわけですから、あしたの朝の十時の参議院の本会議で通してしまうということで、各党意見が一致しているわけでございます。やっとそこまでびしっと話がついているわけであります。そういう気持ちに各党がおなりになった原因も、いま長官がお答えになったところにあるわけでありますから、そういうせっかくの各党の努力に対しまして、それがのんべんだらりと、じんぜん日を暮らすようなことがないように、これは、せっかく総務長官以下の御努力も、また人事院の総裁以下のたいへんな御尽力もあったわけでありますから、ぜひひとつ、そういうことで実らしていただきますように、冒頭にお願いをいたしておきます。  次に、もう一点問題がございますのは、ことしはどうでございますか、公務員の方々でこの春おやめになった方々、あるいはおやめになる方々の退職の日付で、大体、四月一日に乗っている方々がけっこうある、あるいは四月一日で大体、各省お考えいただいているんじゃないかという気がするのでありますが、そこらは、どういうふうにお考えでございましょう。どなたでもけっこうでございますから……。
  16. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ことしの年度末あるいは四月初めの退職の実態を、私どものほうで把握しているわけでございますが、やはり三月三十一日あるいはそれが四月一日退職という例がかなりあるようでございます。
  17. 大出俊

    大出委員 ことしはというよりも、国家公務員の場合は、ここ数年そうなんですが、四月一日に大体足をかけている、こういう感じがするのであります。これは、なぜかといいますと、人事院の勧告の完全実施が行なわれるようになりましてから四月遡及でございますから、そうすると四月にかかっていれば新ベースに乗ってくるわけでありまして、百何十万か、少し長い方ならばたいへん違うわけでありまして、ここらのところは、事、国民の税金とは申しながら、長年、つまり退職手当法に該当するほど長く御勤続の方々でありますので、そのことについて、それはいかぬということも、世論という意味ではおそらく出てこない筋合いだろうと思うのでありますが、そこで、いま皆川さんが、三月三十一日または四月一日、四月一日がたいへん多い状況であります。  そこで、承りたいのですが、地方公務員の方々、自治省においでをいただきましたが、特に学校の教員などをやっておられる方々の場合に、特殊事情もございまして、三月という退職の方々が非常に多いわけでありますが、そこらは、どういうふうに把握なさっておいでになりますか。
  18. 山田守一

    山田(守)説明員 正確な実態は把握しておりませんけれども、最近におきましては、四月一日に退職を発令するという地方公共団体も、漸次ふえておる状況でございます。
  19. 大出俊

    大出委員 そこらは給与課長さんにお願いをしておきたいのですが、国家公務員に準ずるたてまえを地方公務員はとっているわけであります。厳密にいいますと、いろいろな議論がございますが……。そこで最近の傾向は、国家公務員の場合は、ほとんど四月に入っているわけでありますから——例外は、それはございましょう。しかし、そういう実態であるとすれば、やはり地方の場合にも、そこらを御勘案いただきませんと、どうも準ずるというたてまえ上ぐあいの悪いこともある。したがって、そこらは自治体限りで、ある意味では処理ができるわけでありますから——調整手当なんというところも、各自治体ながめてみますと、先生の配置がうまくいかないということで、あるパーセンテージ持ってこい、これは人事院の調整手当に対するものの考え方の趣旨に沿いませんが、現実に地方の場合は、そういうことであります。だから、そこらのことなども考えて、これは自治体限り処理ができるような、やはりたてまえと本音がありましょうけれども、お考えをいただかないと、非常に不利益をこうむる方々が出てくる。  そこで、承っておきたいのですが、この〇・三カ月分というのは、公布の日在職の方をさす、こうなると思うのであります。そうすると、大体、皆さんが想定していたのは、いつ在職をしていた方という想定でお出しになったわけでございますか。
  20. 茨木広

    ○茨木政府委員 これは御案内のように、いつ現在の在職者をつかまえるかということについて、いろいろ御意見がございます。五月一日説もございますし、四月中旬説もございますし、四月一日説もございます。これは御案内のように、本年度の期末手当の一部を早期に繰り上げて出すというかっこうをとっているものでございますから、いずれをとりましても、なかなか合理的な日取りというのは、きめにくうございます。  そこで、たいへんあれでございますけれども、法案の審議が終わりまして、公布された日がいいではないかということになって、その日現在の在職者、こういうことに相なったわけでございます。少なくとも大体、四月の二十日から三十日までの間であろうという想定をいたしておりました。
  21. 大出俊

    大出委員 ストライキをやる公務員に金を出さぬでもいいじゃないかという話まで出てくる世の中で、本来ならば、もう少し早く国会に出てくるものが出てこなかったといういきさつもあるわけですよ。私が、ある官庁のある人としておきますが、話をしておりましたら、どうも十一、十二、十三なんというものも想定されておるから、それ以後でなければだめだということを——これは人事院なり総理府なりが、考えた本旨に沿った筋合いのものではないわけです。ときに、天下国家を考える政略が入っているわけでありますから、そのために、格段の不利益をこうむる方々があるとすれば、これは捨ておけぬわけでありまして、そういうことになると、そこらのことも含めて考えておいていただかぬと——そういう都合があって、本来もう少し早く想定していたものがおそくなる。   〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕 かくて、もらえるものがもらえないということになる。これは、そう簡単な、そうでございますかというわけにはまいらない。そこらのことがございますから、そこらの関係は、ひとつ十分話し合っていただきたい。  総務長官、ここのところがなかなかむずかしいところでございまして、早く出せたのだが、諸般の事情これあり、出さなかったということになれば、そのために不利益をこうむる人は、本人の責任ではないのでありまして、それを本人の責任に、結果的にしてしまう、もらえない、こういうことになったのでは、御本人にとっては、長年勤続した方々でありますだけに、まことにお気の毒なことになる。だから、ここのところは、微妙なところでございますけれども、十分御相談をいただいて、そういう不利益をこうむる方々がないように、御配慮願いたいのでありますが、いかがでありますか。
  22. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 大出委員の言われたことは、こういう場合に非常に深刻な問題であるということは、よくわかっております。しかし、さればといって全部ざらざらと認めるわけにもいかないというたてまえもございますから、いま御指摘のように、その点、較差を受けてしまうことのないような方向で十分協議してまいるということは、私もそのように考えております。
  23. 大出俊

    大出委員 私は、たいへんな無理を申し上げる気はないのでありますが、こういうときには、どういうふうにしたら一番いいかという最善の方法をお考えいただく。そういう意味で、少し関係の向きと話し合っていただきたい、こう申し上げておるわけでありますが、いろんなケースがございますから、それをざらざらと、いまおことばがございましたが、全部どう当てはめるなんというわけにもいかぬ面も出てまいりましょうが、何が一番いいか、どうしたら最善か、そこらを相談いただきたいのであります。時間の制約がございますので、こまかいことはあと申し上げません。  そこで、人事院の総裁に承りたいのでありますが、たいへんな物価上昇が続いてきておりますが、これから先、物価動向はどういうふうに推移をするとお考えでございましょうか。電力料金も上がりそうである。石油の塩化ビニールをはじめとする二次関連の製品も、二〇%前後の値上げが想定をされておる。あるいは私鉄運賃も上がる。米価も上がる。国鉄の運賃も上がる。まさに狂乱以上の物価上昇が予想されると私は思いますが、これから人事院が勧告をなさる、本年度本勧告をなさる時期を想定されて、そこらのところ、どんなことになるとお考えでありますか。
  24. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どもの立場からいえば、簡単明瞭でございまして、どんどんどんどん上がっちゃ困るな、この一点に尽きるわけです。
  25. 大出俊

    大出委員 どうもずばり、なるほどという答弁をいただきましたが、どんどんどんどん上がっちゃ困るな、こういうわけでありますが、困るのは、総裁もお困りかもしれませんが、末端の公務員諸君は、なお困るわけでありまして、そうだとすると、どんどんどんどん上がっちゃ困る、そういう状況になりそうであります。  そこで労働省の方にひとつ承っておきたいのでありますが、一月、二月、東京の消費者物価上昇の速報でいいますと、三月まで出ております。御参考までに申し上げますと、一月は二三・一%の消費者物価の上昇。これは全国であります。二月が二六・三%、これは全国でございます。全国はまだ三月の集計は出ておりません。東京の速報は三月まで出ておりますが、それまで入れますと、東京は一月に二〇・七%、二月が二三・六%、三月の速報で二一・六%、これが消費者物価の上昇の度合いであります。それから卸売り物価は、全国で一月が三四%、二月が三七%、三月が三五・四%ということでございまして、この傾向は、卸売り物価の動向等と先に延ばされている諸物価の値上げ予想というものをあわせて考えてみますと、これは、たいへんな消費者物価の連騰という形になっていきそうであります。いまの数字は、もちろん前年同月対比であります。  ということになりますと、労働省に承りたいのですが、毎月勤労統計等の面で実質賃金の対前年同月比の目減りというものが出てきているが、どんなぐあいになっておりますか。もちろん、これはサービス業を含むとか含まぬとか、統計のとり方がいま二つぐらいあるようでありますが、あわせて一体どういうことになるのか、簡単に御報告願います。——たいへん失礼いたしました。労働省は物価委員会で何かお答えになっているということで、おいでになっていないようでありまして、私のほうから申し上げますが、労働省の毎月勤労統計を調べてみましたら、これは労政局の労働経済課でございますが、前年対比で実質賃金の減は、一月がマイナス四%。たいへんなことです。かつて、こんな例はあまりないのでございます。二月が六・一%。最近のとり方は変わってきておりますが、サービス業を除く平均、サービス業を含む平均、こうなっておりますが、一月はともにおおむね四%の実質賃金のマイナスであります。二月が、サービス業を除いた平均がマイナス六・一%。実質賃金が前年同月比で六・一%減になっている。サービス業を入れた平均をとりますと、マイナス五・九%。これまた、たいへんな減であります。  経済企画庁から反論のある、時間外労働その他がないからということなどもございますが、それにはそれなりの理由がございますので——時間がありませんから、ここで申し上げませんが、こういう状況をとらえてみて、人事院は例年どおりの勧告をやっていけば、それでいいとお考えでございましょうか。
  26. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その意味では、たいへん困った情勢にあるということは意識しておるわけであります。さればこそ、きょう御審議いただいておりますように、こういう特別の扱いというものについての立法をもお願いしておるということであるわけでございます。よろしくお願いいたします。
  27. 大出俊

    大出委員 そこで、ならば、何か特別なことを人事院もお考えをいただかなければならぬのでありまして、私は、まず、例年八月に勧告をなさっておりますけれども、これを七月に早める努力をひとつ……。  昨年も一生懸命御努力いただきまして、私も総理府統計局の職場までお願いに行ったこともありますけれども、たとえそれが、一週間でも二週間でも早く出てくることが望ましいということで、お願いしたわけでありまして、総裁にもたいへん御努力をいただき、総理府の皆川局長以下皆さんにたいへん御尽力をいただきました。ことしは思い切って、一カ月程度早めていただけぬかという気がするのであります。ときあたかも参議院選挙でございまして、終われば特別国会が控えているのであります。せめてそのくらいの時期には、中央と、それに準ずる地方公務員を含めて、賃金確定が本年度に関してできますように、このくらいのことは、まずせめて、総務長官を含めましてお願いいたしたいのでありますが、いかがでございますか。
  28. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おっしゃるとおりで、昨年もずいぶん努力をいたしましたが、その方向の努力は、ことしもさらに一そう集中的につとめていかなければならぬということで、たとえば民間調査の締め切りも、従来、六月十五日でありましたのを、関係の皆さんの御納得も得まして、六月八日に繰り上げて、そこのところぎりぎりやろうというような意気込みで、また、いまお話にありましたように、参議院選挙のあとの特別国会というものがあれば、これは、ぜひそれに間に合わせたいという意気込みで現在おるわけでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 これは、もうぜひそうしていただきたいのです。なぜならば、公労協の職員の方々等は、つまり三公社五現の方々などは、やがて仲裁裁定が出るのだろうと思うのでありますが、そうすれば、支払われるわけであります。ところが、同じ四月一日に遡及するという立場の人事院の勧告が、例年のように八月なんてなことでは困る。いまのお話で何とか七月に繰り上げていただけそうであります。特別国会がございましたら、そこで処理をいただけそうであります。これは、それでもなおかつ三公社五現の方々は、先にもらうわけでありますが、その不合理を、一体だれがどこで何とかしていただけるわけでございますか。三公社五現の方々は、かりに定昇を抜いて計算すれば、二万五千何がしになるのでしょう。これはもらえる。ところが、どうものんべんだらりと待っていて、いまのように特別国会があればという話でございまして、それが延びればもらえない、こういうことになるわけでありますから、その間に、このたいへんな不合理、不平等があるわけであります。三公社五現の方も、同じ公務員法という法律が身分法であります。何も変わってはいない。そうすると、使用者としての政府の責任、これは、たいへん重大であります。そういう意味で、これは一体どうすればいいのか、承りたいのであります。
  30. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 御指摘のような時期的なズレというものは、やはり生活をしている方々にとっては、非常に重大であることもよくわかりますが、しかし、政府のたてまえといたしましては、現時点では、やはりいま人事院総裁が答えられましたように、調査を早くして、早く勧告をするということについて、ぜひ私は人事院にお願いをしたいということを申しております。それが現時点においては、最も合理的な方法だと考えておりますので、人事院総裁の答えられましたことは、私も全く同感なのでございます。そのような方向で、われわれもさらに御協力できるものは大いにしていきたいというふうに考えております。
  31. 大出俊

    大出委員 できるものは努力してやっていきたいという実はお話、御答弁をいただきましたが、できることはあるのでありまして、この公労協の賃上げが決定をした段階、さて〇・三カ月分の穴埋めに努力をした今日という段階、そこでもう一つ、ここから先何とか——人事院勧告の中身は不明確ではあると申しながらも、長い間、公労委の仲裁裁定と人事院の勧告、こういうものが常に二つ並んできているわけでありまして、傾向としてとんでもない違いになっているのではない。もちろん、たいへんな違いがあってはならぬはずであります。そうだとすると、おおむねワクの見当はついているわけであります。もちろん、それは人事院が勧告をすれば、大蔵省は最近は完全実施がたてまえになっておりますから払うわけです。  私は、その人事院勧告、大筋では支払いを予測できる、こういうわけでありますから、その分をやはり何がしか、たとえば四月、五月、六月のところにあわせて、公労協のほうは満額もらっていくわけでありますから、何とかひとつ内払いというふうな形であっても払うべきである、こういうふうに考えているわけであります。そこらのところ御検討願いたいわけでありますが、いかがでございますか。
  32. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その趣旨の御要望は、職員団体の方々から非常に強くわれわれの耳にも入っておるわけでございます。また目にも入っておるわけでございます。しかし大体の制度を踏んで考えていきます際においては、たとえば去年の十二月の暮れの〇・三のときも、調べもせずにというおしかりをさんざん受けまして、どういう根拠でこんなものを出してきたのかということで、それにこりまして、抜き取り検査ではありますけれども、民間調査をやって、今度はだいじょうぶでございますというような気がまえで、御提案申し上げておるわけであります。調べもせずにというわけにはいかぬということは、これははっきりしているわけでございますから、そうすると、先ほど七月という、おそらく希望的なお気持ちも含めてのおことばであったと思いますが、七月と申し上げたつもりはございませんけれども、夏の参議院の選挙あとの国会があれば、ぜひ、それには間に合わせたいという意気込みでおります。  いま申し上げましたように、関係の職員団体の方々のお声は、十分拝聴してのことでございます。また今後も拝聴してまいりたいとは思いますけれども、そういうことです。
  33. 大出俊

    大出委員 これは、異なことを承るのですが、院の構成も含みますから、特別国会は七月ということにならざるを得ぬわけであります。そうすると、七月国会があれば御処理をいただきたいと、こうおっしゃっているのだが、依然として八月に勧告するというのでは、先ほどのこの答弁に撞着をいたします。七月にこれをやらなければ、院の構成ができない。そうすると、特別国会をやらなければならぬのですから、のんきなことを、八月だなんていうようなことを言っていたのでは、特別国会で処理のしようがない。  だから、総裁が七月、参議院選挙後に特別国会があるなら、そこで御処理をいただきないという限りは、七月に勧告を早めてもらわなければできない。先ほど来お話を聞いていると、せっかくこれを通そうといったって、施行の日なんていうものを、五日も先を想定してなんて、これは、ほんとうにのんきなことを言っているんですね。さっぱりわけのわからぬ、大風に灰をまくというようなことを言っているんですから。そうだとすると、これは、やはりあなたは早めるという努力をするとおっしゃっているんだから、去年だってあなた十三日だ何だというのを、早める努力をなさったんだから、それをさらに早めるということをさっきおっしゃったが、さらに早めるということになれば七月になってしまう。  それをあなた、七月に国会があれば、その七月国会に間に合わせていきたいと言っておいて、私が、では七月だろうとこう言ったら、そこをそういう逃げ口上を言う、それはよくないですよ。それで耳にも目にもなんて、口でしゃべったのだから目に入りはしないんだから、これは頭に入っているんだから。繰り上げ支給なんていうのは、内払いなんていうのは、耳にも頭にも入っているわけですよ。この間、ああいういきさつがあったものだから、あなたは慎重で、耳にも目にもなんていうことを、いまちょっとおっしゃったけれども、職員団体は口で言ったんだから、これは見えないんだから目に入らぬのです。これは、やはり耳にも頭にも入っているというわけであります。ということになると、これは十分御検討いただける。つまり勧告は、七月に特別国会があるとすれば、それに間に合わせるような御努力をいただく。そして公労協との対比もございますから、その間、職員団体からのも、総裁のおっしゃるように耳に入っている、つまり内払い方式などということを、物価急騰のおりから何とかしてくれということについて、これは十分承っている、それなりのひとつ検討もする、こういうわけでありますから、ぜひ、それはそういう方向で、格段の御努力をお願いをいたしたいのであります。すなおに聞いているのですから、そう途中からほこ先をそらさぬでお答えをいただきたい。
  34. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答えは結局、去年もずいぶん急ぎましたけれども、ことしは、それに輪をかけて急ぎます。国会の機会があれば、その国会でぜひ御審議いただくように努力をいたします。そういうことでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 私が申し上げたことに反論をなさらぬで、私が七月にと申し上げましたら、輪をかけて早くする努力をするというわけですから、大いに輪をかけていただきますようにお願いいたします。  あわせて大蔵省に承りたいのでありますが、長い間のこれは課題でありまして、人事院勧告はおそくなる、遡及をする、さて国会をどこに設定するかという問題がある、一体どうするかということで、ずいぶん予算上の問題その他いろいろ検討した時期があります。  勧告が早くなる、そして、いま検討をなさることになっている内払いというような方式などなどについて、大蔵省、予算当局のほうも、この異常な物価上昇の中で、公務員の生活というものをどうお考えになるかという観点から、御答弁があってしかるべきものと考えますので、御出席いただきましたからひとつ——御無礼いたしました。福田大蔵大臣の代理が、内田経済企画庁長官でございましたね。そうでございますね。この大蔵大臣代理内田企画庁長官に、いまの点、ひとつ政治的な御判断をいただきまして——人事院総裁がいま、去年も勧告を早める努力をしたが、輪をかけて早める努力をする、そして参議院選挙後、国会があれば、それに間に合わせるようにしたいと言われた、これが一点。  それから、職員団体からいろいろ言われている、公労協のほうは早くから支給されるのでありますから、四月遡及になる人事院勧告でございますので、物価上昇という意味での減価率、こういうふうなものも考えなければなりません。そういう時期でございます。片や公務員の中の学校の先生の一〇%もございます。さらに本年一〇%つくわけでありますので、そこらのものを勘案いたしまして、何とか幾らかでも内払いなりしていただきたいという公務員諸君の団体の要求についても耳にしている、考えて検討している、こういうわけでありますから、そこらについて、ひとつ大蔵大臣代理という立場で、予算当局ということでもございますし、何とかともに方法を考える、こういう方向で政治判断をお答えいただきたいのでありますが、いかがでありますか。
  36. 内田常雄

    ○内田国務大臣 臨時代理でもございますし、それにいま飛び込んできたばかりで、大出さんと人事院総裁との問答も全部聞いておりませんが、大体、察するところがございます。  人事院の公務員給与のベースアップの勧告は、私の記憶では例年八月ごろであったと思いますが、これは八月でなければならないという法律の規定はなかったようにも思いますので、人事院の御判断で、それまでに民間の給与ベースと公務員の給与ベースとの差額の計算等が、いろいろの調査によりましてまとまって、勧告の準備が整うということでございますならば、それは人事院総裁の一つの見識として、またお仕事として出てきたものは、政府としても当然、極力尊重をしてまいるのがいいのであろうと これは臨時代理ですから、ほかのことを考えないで、ぬけぬけとこう言うわけでございますが、これはすべて人事院のお仕事、御判断によるものでありますけれども、政府は、それなりに人事院のお考えを尊重するように、また総務長官とも、いろいろ打ち合わしてまいりたいと思います。  これから、一部前払いというようなお話でございますが、何しろ私は物価を担当しておりますので、物価の上昇とか国民生活のことは知らないわけではございません。しかし人事院の勧告というものの中に、そういうたてまえがとり得るものかどうか。ことに私など浅学の者の承知をいたしておるところでは、さっきもちょっと触れましたように、民間の給与、しかも公務員の給与の参考になるようなかなり規模の大きい企業の、それも何千という企業の四月ごろの給与の実態を、精細に御調査になって、あれこれ結論を出されたものが、公務員給与に対して著しく較差を生じた場合の勧告ということになっておるはずでございますので、それらの資料が十分に整います前に、腰だめでその一部を、政府自身が人事院を無視して早く出してしまうことは、もちろんできないことでありますし、また人事院自身が、ことしの特例としてそういう腰だめ的な勧告をおやりになるかどうか、これはとくと人事院総裁のお話を聞いてみないと、私が仮定の問題として、人事院がそういう勧告を出されたら、そのとおりやりますというようなお答えもできないし、また政府みずから人事院を無視するということは、公務員の給与は公平であるべきであるというたてまえから、第三者機関ともいうべき人事院にすべてをお願いしているということを否定することにもなりますので、ただいまここでのお答えとしては、いま申し上げたようにお答えをする以外にないわけでございます。  しかし政府は進歩的でありますから、あなたのおっしゃること、何でもかんでもだめだということではないですが、進歩的な雰囲気の中で考えてみても、将来のたてまえをくずすようなことは、必ずしも適当ではないように、浅学非才の代理大蔵大臣としては考えます。
  37. 大出俊

    大出委員 臨時に御答弁をいただいたんじゃ困るので、やはり責任継承の原則もございまいまして、いかに臨時であられても……(内田国務大臣「謙遜して申し上げたのです」と呼ぶ)謙遜しておっしゃられたということでございますので、わかりました。  実は、人事院が〇・三の繰り上げ云々の勧告をなさったときに、私も少し口がすべりまして、どうもこれは、調査も何もしないで出したんじゃないか、いままで人事院は調査をしなければ出せぬ、出せぬと言ったじゃないか——私は、実は昨年末は人事院に先に出していただきたかった。ところが、人事院は調査しなければ出せないんだからといってお逃げになった。しようがないので、今度は公労協——主部隊、主力のほうから労働省を攻めまして、〇・三が出てきた。当時〇・三の原案に、大蔵省はだいぶ御反対でございました。いま臨時ですから、この点は問いませんがね。しかし〇・三になって、人事院は右へならえをせざるを得なくなった。ずいぶんそっけない意見書だか何かぽんと出して〇・三にした。実は中っ腹で、調査も何もせぬで何ですかこれはと言ってみたんですが、以後、いまだにそれをたてにとって、総裁は必ずそう答えるようになりました。  ところで、いまの答弁はそうじゃなくて、そう言われたから、職員団体のいろいろな話は聞いているが、いま、おっしゃるように腰だめ、握りでというわけにはまいらぬ、だからことしは用心深く調査をこまかくしてきます、抜いたりいろいろなことで調査をしてきます、少なくとも腰だめだの見当だのと言われないようにするという趣旨の御発言があった。人事院は勧告権を持っていますから、制度的にというならば、たとえば、いまいみじくも大臣が八月に勧告しなければならぬということになっていないとおっしゃったが、そのとおりです。浅井人事院総裁時代だっていろいろなことを——期末手当だけの勧告を出されたこともある。  だから、そうすると、人事院がこの辺で公労協との対比も考えて、制度的に行使のできる勧告権で、これこれの調査をやったんだから腰だめじゃないということで早目に、中間的にものをおっしゃる場面だってあり得るわけであります。そのことが職員団体の要求であり、そのことを耳に入れ、考えている、つまり検討しているというわけでありますから、検討の結果がまとまって、早い時期にここで一ぺん勧告をしておくということになることがあり得るわけでありまして、そのことを想定して、それならば大蔵省、予算当局も対応の措置をおとりいただきたい、こう申し上げているわけであります。申し上げている趣旨が、おのみ込みいただけましたか。そういう意味であります。
  38. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は、ここで人事院の総裁並びに当局を、政府として牽制するという意味は毛頭ございません。むしろそれは、人事院という制度をつくりまして、公正な勧告を、国会や内閣にいただくたてまえからすれば、人事院から出される新しいタイプの勧告というものがあるならば、また、おことばにもありましたように、最近一、二の新しいタイプの勧告があったことも、私は少しは知っておるわけでありますが、それはそれなりに、政府としては、人事院のほうから当然、政府が牽制されることであると思うわけであります。  しかし、人事院の見識として、昨年暮れの〇・三カ月の勧告でありますとか、あるいはまた国会の意思として、教員の人材確保等に関連する法律によって、人事院が勧告を求められたりしたようなものは別といたしまして、いま物価の上昇が激しいからというようなことで、人事院の、本来の勧告趣旨や核心に矛盾するような勧告があり得るものかどうか。その辺実は、もしそういう勧告がございましたら、政府は従いますと申し上げるのには、お話の向きが、私のさっきから申す浅学非才の理解からいいますと、そういうような一部、前払いの勧告というようなものがあり得るかどうか。これは牽制しているわけじゃないんですよ。あり得るかどうかということでございますので、形式的に申しますと、それは、まあ仮定の話でございますので、仮定の話は仮定の話として、昔流にお答えはしませんというわけじゃございませんで、仮定の問題についても、私ども研究だけはしておきたい、そのようにまた、ほんとうの大蔵大臣にも、そういう問題がありましたということを、十分伝えてまいりたいと思います。
  39. 大出俊

    大出委員 謙遜をされまして、ほんとうの大蔵大臣にお伝えいただくというわけでございますから、ほんとうの大蔵大臣にお伝えいただきたいのです。  物価はよく御存じの企画庁長官でございますが、締めくくりに申し上げておきますが、おたくの物価調査課の調査によりますと、一月の全国の消費者物価上昇率は、前年同月対比で二三・一であります。二月が二六・三であります。この二つは全国であります。東京という形で一月が二〇・七、二月が二三・六とちょっと上がりまして、そして三月が速報で二一・六、こうなっておるわけですね。  そこで、いま料金値上げをはじめといたしまして、電力料金も上がりますし、片っ端からメジロ押しでございます。参議院選挙でも終わればえらいことになる、こう私ども思っているのであります。  そこで私、これは人事院から聞いたんじゃないからわかりませんが、この春闘の幕切れに、人事院の側と職員団体の側で話し合いをされた中身が、ある情報に載っております。それをひょっと読んだのですが、公労協の賃上げが決定した現段階においては、〇・三カ月分の支給に努力し、その後において暫定支払いの措置を講ずるため、組合の意見を聞きつつ検討する、これが人事院側のお答えである、こういうふうに私、情報を目にしているわけであります。これは別に人事院と私が話し合ったわけじゃありません。公労協の賃上げが決定した現段階においては、〇・三カ月分の支給に努力し、その後において、暫定支払いの措置を講ずるため、組合の意見を聞きつつ検討する。いま、これは直接承っておりませんから、真偽のほどは別として、総裁の御答弁を求めましたら、職員団体からるる聞いておる、そのことは耳に入っておる、したがって、腰だめだなんてなことを言われたんじゃ困るから、いろいろと調査をしておる、また検討もする、実はこういうことでございます。  したがって、いまの内田さんの答弁が、浅学非才が三回重なりまして、とは申し上げたが、だがしかし、検討しないということじゃないということでございました。したがいまして、つまり人事院も検討をなさるということでございますから、予算面を受け持たれる大臣のほうも、ひとつそういう意味で御検討を賜わりたい、こういうふうにお願い申し上げたわけであります。もちろん勧告権というものがございまして、御処理をなさる人事院でございますから、それをたてまえとしての話でございます。検討をなさる人事院の意思があると私どもにお答えになっている。だから、それならば予算当局も、その方向で御検討いただきたい、こう申し上げたいのであります。いかがでございましょう。
  40. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私が公私ともに存じ上げておる大出さんですから、おまえの言うことは、代理としては言い過ぎだということでおしかりを受けることになるかもしれませんが、実は、私ももと大蔵省の出身でございまして、そういう点から考えますと、人事院がいまおっしゃられましたようなことを検討するらしいというような想定のもとに、大蔵省はその前払い、部分払いのことを財政的に研究をするということは、まずむずかしいことでございます。  しかしこれは、重ねて言いますように、私は善人でございますから言うのですが、人事院を牽制するということではございません。人事院は第三機関でございます。しかし大蔵省は、どうかということになると、それは人事院の勧告があった後の処理の問題であるし、また先ほど申しましたように、人事院はいろいろな勧告のタイプも発明されるでございましょうけれども、はたしてそういう前払い、部分払いの勧告が、去年の〇・三カ月と同じ意味において出されるものであるかどうかということにつきましては、実は私は疑いを持ちます。  さらに、私が国務大臣、ことに経済企画庁長官として、いま両方兼職でございますから、考えますと、もしそういうことをした場合には、これは人事院抜きの話でありますが、他の貨幣価値の問題、インフレ問題につきましても、やはり同時的に考えなければならない幾つかの問題もあるようでございます。国会において、しばしば御批判やおしかりをいただいておりますような物価の上昇率と預金金利の格差の問題もございましょうし、あるいはまた公共企業体の問題がございましたが、公労委の仲裁裁定がきまりましても、これは言うまでもなく、釈迦に説法でありますが、それを各俸給別に開いてまいるというような作業をして、現実にそういう金が渡るのは、差額が支給されるのは、これは、やはり仲裁裁定が行なわれたそのときの瞬間ではなしに、かなりあとになってまいります。  したがって、大出式の方式を人事院がおとりになった場合には、公労協よりも先に——こういうことは仮定の話になってしまいますけれども、公務員の前払い支給が出るようなこととの関係がどうなるかというようなことも研究しなければなりません。また大蔵省としましては、かりに前払いをした場合に、前払いのあとに残る本体の給与表における割り当てとの関係に、非常にむずかしい問題が残るようでございますので、私は、物価高のことはわかっておるけれども、大蔵省の立場並びに経済企画庁の立場として申すと、いまのような問題があるので、簡単に、その場合にはやりましょうと、こういうお答えが申し上げにくい。これは、おしかりにならないで、御了承願いたいと思います。
  41. 大出俊

    大出委員 よくわかりましたが、いまお話を聞いておりますと、さすがに内田さんで、事務当局その他とよく相談をなさっている感じがいたします。私どもは、実はほんとうの大蔵大臣福田さんにも、お話をいたしましたし、かつまた、官房長官を通じまして、いろいろしかるべき筋にもお話しいたしましたし、春闘中でございますから、まとめたい意思もございましたから、ずいぶん方々の方に話しました。大蔵大臣も、それなりに検討するというようなお話でございました。したがって、いまの御答弁は、いろいろ検討なさっているようであります。あとのほうの俸給表をどういうふうにしようかなんということまで出てくると、これは検討なしには、お答えいただきにくい中身でございますから、検討しながら、どうもちょっとこれはという感じになっておられるという感じでございます。  そこで、ひとつ結論を申し上げますが、何も私は先に出してくれとかなんとか言うのではないんですよ。これは公務員公平の原則なんです。そうすると、三公五現の方も、身分法上——たとえば五現なんというのは、明確に公務員なんです、公務員法に基づく五現業職員であります。そうすると、公平の原則から言いますと、こっちは早く仲裁裁定がきまって、私鉄見合いの金が出ている、切りかえも終わって済んじゃった。ところが片方は勧告——これは仲裁裁定がいつ出るか、あなたは御存じですか、そうじゃないでしょう。私どもは、私どもなりに判断している。仲裁裁定が出てしまうと確定効力を持つ。あなたが、いまおっしゃっているのは、この国会中はずらして出させない。そうすると、公労協のほうも、どうやら特別国会ぐらいまでいくのだという、そういう御判断があって押えるというのなら別ですよ。しかし、ほんとうの大蔵大臣じゃないそうですから、内田さんにそこまで聞く気はない、その手前で申し上げますが、公平の原則を変えてもらいたくない。公労協の側でこうなっていくのだとなった場合に、片っ方はおあとのほうですというんじゃ、これはかわいそうじゃないか。その限り公平な措置をおとり願いたい。全く公平でなくても、職員の方々が、一部だけれども、まあしかたがない、それだけ政府はお考えいただいたんだからといって仕事をしていけるようにしていただきたい。公平を欠いてくれというんじゃない。私は公平の原則をたてまえとしてお進め願いたい、これをお願いしている。  だから、深く検討なさってお答えになっている感じになりましたから、これ以上申しませんが、いま申し上げたその点は、ぜひひとつ片手落ちにならぬように御判断いただきたい。特にさっき申し上げたような物価上昇のおりからでございますから、こう申し上げておきたいのであります。最終的にもう一言御答弁いただきたい。公平の原則……。
  42. 徳安實藏

    徳安委員長 大臣、あなたが帰る時間がもう来てしまったから、委員長同士の話し合いですから、できるだけ明瞭簡単に。一言えば三わかりますから……。
  43. 内田常雄

    ○内田国務大臣 簡単に結論だけ申しますと、大出さんの御発言は、御発言になられたことに非常に大きな意義があろうということを、私は感じておるものでございます。  以上でございます。
  44. 徳安實藏

    徳安委員長 じゃ、もうけっこうです。向こうが待っていますから……。
  45. 大出俊

    大出委員 最後に、これでおしまいですが、自治省の方に承りますが、地方公務員の方々に対しては、きょう、明日でこれが国会を通過するとすると、どういう措置をおとりになりますか。それだけ承ります。
  46. 山田守一

    山田(守)説明員 地方公共団体に対しましては、国の法律案改正内容と全く同様の条例準則を示し、同時に内簡により通知しまして、議会等に対しまして、国の審議の状況を見ながら、議会の開会あるいは専決処分等の処置を講ずるよう通知いたしますとともに、昨日、本日、府県の財政・地方課長会議及び総務部長会議が開かれておりますので国会の審議の状況等を直ちに伝えまして万全の措置をとるようにしたいと思います。
  47. 大出俊

    大出委員 ありがとうございました。ぜひひとつ、できるだけ可能な限り、早く御処置いただきますよう、自治省の方にお願いをいたします。  総務長官、いまやりとりいたしましたが、事人事院にかかわる、また予算当局にもかかわる問題でございます。春闘終了に近い段階で、何べんかお話し合いをいたしましたから申し上げませんが、総務長官、できるだけ前向きでお取り組みいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。最後に一言だけお気持ちを聞いておきたいと思います。
  48. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 大出委員のただいまの御趣旨は、よくわかりました。努力をいたしたいと思います。
  49. 大出俊

    大出委員 どうもたいへんありがとうございました。
  50. 徳安實藏

  51. 中路雅弘

    中路委員 連休を前にして、公務員の皆さん給与の改善の問題でありますし、午後の本会に緊急上程ということもありますから、ごく簡潔に二、三御質問したいと思います。  看護婦の皆さん給与改善ですね、これによって看護婦の希望者もふやして、看護婦不足の問題を解消するという方向をとっておられるということは認められるわけですが、しかし、この改正でいまの深刻な看護婦不足の問題を解消できるものではないと思うわけです。現在の看護婦不足の問題が、国民の生命や健康保持にかかわる重要な問題でありますし、特にこの問題が、給与だけではなくて、労働条件の問題と不可分の関係にあるわけですが、劣悪な労働条件をどうしても解消していかなければならない。この点で、いろいろ問題はありますけれども、私は、時間の関係で一つの問題だけ、看護婦の皆さんの夜勤制限の問題に限って二、三御質問したいと思います。  三十八年に、当時、人事院が病院や療養所を対象に、四項目に基づいて調査をされまして、これに基づいて人事院が二・八の判定を下されたわけですが、この中では、夜勤は月一人八日とする、個々の看護婦もこれを上回らない、また欧米の例をあげながら、一人夜勤は少ないとして、一人夜勤廃止を計画的に努力する、複数夜勤にする、こういった内容の四項目の判定が出ているわけですが、これから九年間たっているわけですね。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 厚生省は、三十九年以降、これらの問題について、どのように改善されているのか、実態を御存じでしたら、最初に、簡潔にお伺いしたいと思います。
  52. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の、四十年の人事院判定によりまして、その後、看護婦の夜勤の関係につきまして、これを合理化する、いわゆる二・八制というものにつきまして、その普及をはかるということで、厚生省におきましても、各病院における看護の内容につきまして、いろいろ指導してまいりました。特に厚生省におきましては、国立病院、療養所を持っておりまして、約二百五十五の病院がございますが、何を申せ、看護の世界では、官主導型、官がやれば民がついてくるというふうな傾向がございまして、私ども国立病院、療養所につきまして、つとめて複数夜勤制に持っていくという努力をやってまいりました。  具体的に四十年の判定が出ますし、また四十四年には参議院の附帯決議等もございまして、四十五年から——もちろん、その間も看護婦の増員につとめましたけれども、四十五年から四カ年計画をもって、二・八制度をさらに普及していくということで、計画的に増員をはかり、実は四年計画を三年に縮めて、四十五年から四十七年まで実は大いに増員もはかりましたし、また、その後におきましても、四十八年、四十九年度と——具体的に四十九年度の例をあげますならば、難病対策ということで、手厚い看護が要るということで、看護力の増強につとめるというふうなかっこうで、これまで鋭意努力を続けてまいっております。
  53. 中路雅弘

    中路委員 いまお話がありましたが、四十四年には参議院の社会労働委員会で、この問題についての五項目の決議が行なわれているわけですね。この中にも、先ほどの人事院判定のすみやかな実施ということをいっていますし、この決議では、両三年を目途にして改善をはかるという年限も明示してあるわけです。  そこで、全医労の皆さんの調査結果をいただいて見たのですが、これは四十七年二月の国立療養所、診療所ですが、百二十六の施設、八百五十六の病棟を対象にした調査です。これによると、夜勤日数が病院で九・八日、療養所で九・六日、平均して九・七日。一人夜勤率、病院で五八・一%、療養所で五八・五%、全体でも五八・四%となっています。四十八年の調査を見ますと、百三十六の施設、九百七十八の病棟を対象で、夜勤日数で見ますと、病院で九・四、療養所で九・一、全体で九・二、こういうふうに夜勤日数も、依然として九日以上、三十八年当時とほとんど変わっていないわけです。また複数夜勤についても、約半数でしかないわけですから、こういう点では、現実のこの実態を見ますと、人事院の二・八判定も十分具体化されていない、実施するための処置がとられていないというふうに考えられるのですが、この点で、どこに問題があるのか、もう少し簡潔に、明確に問題点を指摘していただきたい。
  54. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 ただいま先生の御指摘でございますが、確かに月間夜勤日数につきまして、ある程度の改善は見えますけれども、あまり向上していないという面があるかもわかりません。ただ、複数夜勤、二人制につきましては、相当程度前進のあとがあろうかと思うわけでございます。  私ども、いま手元に、三十八年十月現在の人員調査でございますが、当時、国立病院におきまして、二人夜勤が二三・八%、約二四%、国立療養所におきまして、約三五%という状況でございましたけれども、去年の十月現在では、すでに国立病院は約五七%の複数実施、国立療養所におきまして、約五〇%ということでございまして、私どもは私どもなりに、与えられたいろいろな制約がございますけれども、その中で努力をしておるつもりでございます。  なぜ、一挙にいかないのかというお話でございますけれども、もちろん政府全体といたしまして、限られた定員のワクの中で、政府全体でいろいろ増員に苦労しているわけでございますけれども、その中で、重点的に必要なところには傾斜配分するというかっこうで、現在、関係各省においても、いろいろ御査定もあるわけでございますが、病院、療養所につきましては、その中でも特に配慮をいたしまして、年々増員をやっておるということでございまして、現に、四十九年度におきましては、看護婦の増員が、全体で約千二百名という状況でございます。
  55. 中路雅弘

    中路委員 いま増員のお話がありましたが、これは四十四年の六月に、わが党の岩間議員が、夜勤制限のための増員の必要数を質問した際に、お答えになっている数字を見ますと、病院で二千八百六十九人、療養所で七千百九人、合計九千九百七十八人という数字が出ているわけです。実際に、いま相当増員されたというお話ですけれども、四十四年以来、実際の増員数、合計しますと幾らになりますか。
  56. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 具体的に二・八分といたしまして、四十四年度以来ふやしました数が、約二千六百でございます。ただ、このほかに、先ほど申し上げましたように、四十九年度におきましては、難病ベッドを持っているところは、できるだけ手厚く看護する、これは実質的に二・八になるわけでございますが、そういう関係で約二百名強の増員をするとか、あるいはまた、外来患者の対策の関係で看護婦を増員するとか、あるいはインテンシブ・ケア・ユニット、ICUの関係で増員するとか、いろいろな面でその他にも多数の看護婦をふやしております。
  57. 中路雅弘

    中路委員 これも全医労からいただいた資料で見ますと、だから、若干数字に正確でないところがあるかもしれませんが、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年まででとってみましても、日給、月給の賃金職員を含めても、増員必要数、先ほど夜勤制限のための増員必要数ということで四十四年の、答弁をされた九千九百七十八人と比較してみますと、こまかい年度の数字は省略しますが、合計して引きますと、六千百八十八人少ないのですね。賃金職員を含めないと六千三百五十人の不足になるわけです。まだ、たいへんな不足数であるわけですが、こういう実情を見ますと、さきの人事院の判定や、また、参議院の社会労働委員会の決議そのものも、実際には努力をされているといっても、この決議から見れば、ほとんど無視されたような状態ですね。早急に手当てをしないといけないということが現状だと思います。  もう一つ、お尋ねしたいのですが、これは、たとえば総定員法に基づく定員削減、第一次、第二次というのがありましたが、行政管理庁、お見えになっていればお聞きしたいのですが、医療職の場合の削減率というのは、おわかりになりますか。
  58. 門田英郎

    ○門田説明員 ただいま手元に詳しい資料を持ってきておりませんので、確実なことは申しかねるのでございますが、医療職、特に御指摘の看護婦さんの場合には、第二次削減計画で一%削減率、こういうふうに考えております。
  59. 中路雅弘

    中路委員 先ほどの実態でおわかりのように、非常な看護婦不足が見られる中で、看護婦が削減できない現状なんですね。これは、はっきりしているわけですが、これが実情を無視して削減を、たとえほかの行政職に比べてパーセントが少ないといっても、やはり削減を強制されているところに、非常に重要な問題があるのじゃないか。このことが結局、国立の医療機関の機能を非常に困難にしていますし、特に国民の健康保持や生命に大きな支障を来たし、四十八年には国立の武蔵野療養所あるいは千葉の病院等では、一時病棟を閉鎖するという事態までいま起きているわけですね。こういう実態について、行政管理庁が実態を調査して、あるいは厚生省からも、先ほど数字も出ているわけですから、そういうのを聴取して、この問題を早急に解決をする、定員の削減をやめて大幅増員の処置を私はとるべきだというふうに思うのですが、このような現状について、行政管理庁としてどうしていくかという、事、国民の健康、生命に関する問題ですから、お考えのほどを、もう少しお聞きしたいと思います。
  60. 門田英郎

    ○門田説明員 ただいま御指摘の定員削減の問題でございますが、総定員法並びにいままで行ないました第一次、第二次定員削減計画というふうなものの趣旨は、先生御案内のとおり、政府全体としての定員の総数というものの増大をできるだけ抑制していく、そうして、そのワクの中で行政需要の変遷というものに対応して、弾力的な定員管理を行なうという趣旨のものでございます。  そこで先生から、看護婦さんについて、特に国民に対する医療サービスという見地から、その辺はどうだというふうな御指摘があったわけでございますけれども、看護婦さんの場合、あるいはそのほか国立病院における医療関係の職員の方の場合に、やはり何らかの合理化あるいは簡素化というふうな面はあるわけでございます。一部にあるわけでございまして、たとえば機械化でありますとか、あるいは外部委託でありますとか、あるいは請負でありますとか、そういった面もあるわけでございますけれども、これだけを削減計画の対象外として算定基礎からはずすというわけにはまいらない、かように考えておるわけでございます。  他方、定員削減の算出にあたりましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、看護婦さんの場合には一%というふうな形で、他の一般行政職員に比べますと、格別の配慮を加えておるというところを、ひとつお含みいただきたいと思います。
  61. 中路雅弘

    中路委員 いま行政管理庁からお話がありましたが、もう一度、厚生省にお伺いしたいのですが、いまの看護婦不足を解消していくという上で、たとえば看護婦資格を持っていて、実際に就業していないのは半分くらいあるでしょう。こういう問題も改善していかなければいけないのですが、いまお話しのように、非常に機械的な総定員法による削減ですね。こういうもののワクの中で問題が考えられているというところに、問題があると思うのですが、厚生省の皆さんは、いまの看護婦不足を解消していく上で、いま行政管理庁の答弁もありましたけれども、この問題について、どのようにお考えですか。率直なところを伺いたいと思います。
  62. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 看護婦対策については、いろいろな対策があるわけでございまして、給与問題あるいは養成力の強化あるいはまた勤務条件とかいろいろございます。ただ、いま先生から特に問題提起がございました、行管の定員簡素化の中の関係ということでございますから、定員問題にしぼって申し上げますならば、現在、政府全体の意思といたしまして、極力定員の増員を押えていく、与えられている定員の中で傾斜配分しながら、うまくやっていく方針でございますから、その中で私ども処理しているわけでございますけれども、将来の希望を申しますならば、定員削減の中でほとんど削減することのできない看護婦とかあるいは医療職のうちの医師、こういうものにつきまして、定員削減が平均にかかってくるということは、今後も避けていきたい、こういう気持ちを持っております。
  63. 中路雅弘

    中路委員 時間が限られていますから、もう一、二問で終わりますが、私は、先ほど行政管理庁のほうで答弁された、ここに非常に問題があると思うのです。いまの下請け導入の問題についても、結局、総定員法のワクによって縛られて、また機械的にこの定員削減が強制されてくる、これが、こういう問題を生み出す大きな原因になっているわけですし、問題は非常に複雑、深刻にして解決をおくらしている、遠ざけているというふうに思うのです。  こういう面では、いま厚生省からも意見がありましたけれども、看護婦不足の問題を解決する上で、こういう部面には機械的な定員削減のワクをはめるのではなくて、やはり事、国民の健康、生命に関する問題ですから、増員が強く要請されておるところですから、これについては、やはり先ほどのお考えを再検討さるべきじゃないかと思うわけです。やはりもっと実情を調査されて、削減でなく、むしろ増員措置を早急に講じなければならないというふうに考えるのですが、この看護婦不足の問題で、総定員法のワクということの関連も出ているわけですけれども、やはり実情を調査をしながら、早急に何らかの形でこの問題の増員措置を講じなければならないというところにきていると思うのですが、大臣のほうから、ひとつ政府のお考えもお聞きしたいと思います。
  64. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 看護婦が不足であるというのは、ちまたにあふれた声だと私は思っております。これが国立病院関係だけではなしに、また一般の医療機関において特に激しいと私は思うのでございます。そういう意味で、単に国立関係のことだけでなしに、民間の、一般の医療機関における看護婦の非常な不足状態を直すということが、広い意味での国民の健康な生活ということにとって、きわめて重要な問題だと認識しております。  ただいま中路委員からの御指摘についても、やはり機械的な人員削減ということについては、多少考えたほうがいいんじゃないかと私は個人的に思っておりますが、この点については、担当の行政管理庁あるいは厚生省の間において、十分議論を詰めてみたらいいんじゃないかというふうに考えております。
  65. 中路雅弘

    中路委員 私は、行政管理庁がもう一度、厚生省等からこの看護婦不足の実情についても、よく事情を聴取されて、この看護婦の不足問題の解決は、この前からのしばしばの国会の決議や、また人事院の判定から見ても、極端にいえば、これが非常に無視されているという現状でもあるわけですから、そういう点からも、改善について具体的に、早急に検討をしていただきたいというふうに特にお願いしたいわけですが、最後に一言御答弁願って終わりたいと思います。
  66. 門田英郎

    ○門田説明員 昭和五十年度以降、どういうふうにするかというふうなことにつきましては、なお検討の緒についておりません。いずれにしましても、昭和五十年以降につきましては、先ほど申し上げましたような弾力的な定員管理をはかっていくという見地から、何らかのくふうをしなければならない、こう考えております。  しかし、こういったことを考えていきます段階におきまして、先生御指摘のように、厚生省のほうとも十分協議いたしまして、慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  67. 中路雅弘

    中路委員 終わります。
  68. 加藤陽三

    加藤(陽)委員長代理 鈴切康雄君。
  69. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 午後の本会議で緊急上程をするということに約束がなっておりますので、時間も制約をされた中で御質問を申し上げたいと思います。  初めに、人事院は民間における特別給の支給状況について、職種別の民間給与実態調査対象事業所から抽出をいたしまして、七百一事業所の調査が行なわれたわけであります。それは作業員を除く職員に対する特別給の支給の数値を〇・四八カ月分、そのように計算をされ、期末手当については、支給する額を〇・三カ月分増額をされるということで勧告をされましたが、その勧告をされました、〇・三カ月分というものを出された算定根拠についてお伺いいたします。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、抽出調査の対象が、毎年の本格的な調査の場合に比べますと、本格調査で七千事業所というのが、今度は七百でございますから、とにかく一割程度の数になりますのと、それから作業員などを除いてやっておるというようなことなどを勘案いたしますと、やはり相当安全度というものを考えていきませんと、あとでまた困ったということになってもいけませんので、したがいまして、〇・三というところが、一番適当なところじゃないかということになったわけでございます。
  71. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 安全度ということを考えてというお話でございますので、結局はある程度、政治的な配慮というふうなことも考えられるのではないかと思いますが、今回、期末手当として〇・三増額支給するということになったわけですけれども、民間における特別給が、今後、本調査によって、すなわち〇・三よりも上回る数値が出るというような状態になった場合、夏の勧告においては、どのような措置をされるおつもりでしょうか。
  72. 茨木広

    ○茨木政府委員 これから相談をすることになりますが、先般の勧告の文書の中にも示してございますように、本年の期末勤勉手当の一環として今回のものを出しておりますので、したがって、かりに〇・三以上のものが出ました場合には、その分を従来の六月期、十二月期、三月期のいずれかの期に配分をするということに相なろうかと思っております。
  73. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年、公務員の看護婦は一六・七%改善をされました。だから、昨年の勧告時点においては、公務員の看護婦が民間より一六・三%高くなっております。そういう観点から見ると、看護婦においては、公務先導型となっていることは、すでに御承知のとおりだと思いますが、それを今回、さらに全体的に考えまして、八・九%ベースアップをしたということに対する勧告がなされたわけでありますけれども、その改善をする理由については、どういうふうにお考えになっておりましょうか。
  74. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 公務先導型をとっておりますものは、従来、御承知のように教育職の方々と、それから看護婦、これらは、いずれも民間の私立の病院や学校よりも上回っておるわけでございますが、これは、やはりその職務と責任なり、あるいはその仕事に必要な資格というようなものを取られていました場合には、やはり相当の配慮をしてしかるべきものだということを考えつつ、従来、無理をしながら上げて、逆較差であるにもかかわらず、優遇につとめてまいったわけでございますけれども、昨今、特に看護婦の問題というのは、社会問題にもなっておるということで、結局どこかで手をつけなければならぬ問題には違いないわけでございます。したがって、従来のわれわれの立場をさらに推し進めて、看護婦について優遇の道を考えた、そういうことでございます。
  75. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十九年度の公務員の看護婦の処遇改善では、五%アップが厚生省の予算の中に組み込まれておりますが、その五%に見合う勧告であるというふうに考えていいのでしょうか、それともどういうような考え方でしょうか。
  76. 茨木広

    ○茨木政府委員 ただいまの予算の点は、夏の人事院の給与報告の際に、看護婦の給与についても、改善の必要があるというふうにとれました関係上、その後、検討いたしておりまして、増額する必要があるという大体の見通しが得られましたので、うちの総裁から厚生大臣のほうにお願いをして、予算を要求していただいたわけでございます。  ただ、その後、おおむねあの予算の範囲内でまかなえるめどをつけるようにしたいと思いますが、若干よくなっておるかというふうな見当をつけております。詳細は、また、いろいろそれぞれおろしていきまして、人員等の関係もございますので、夏の際に精算をするということに相なろうかと思います。大体まかなえるだろうというふうに考えております。
  77. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告では、「当面の社会的要請である看護婦の不足問題の解決に資することを主眼とした。」としておられますけれども、この問題は、給与改善のみで解決できるものではないと思います。政府の解決策として、根本的な対策としては、どのようにお考えになっておりましょうか。看護婦の問題ですが……。
  78. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 看護婦の需給が大いに逼迫しておりまして、私ども、大いに頭を悩ましておるところでございますけれども、その対策としましては、最も関心が高いものが、一つは給与でございます。この給与関係につきましては、人事院関係の御好意によりまして、昨年の夏の勧告でも、一般より高く、しかも、また今回、二次勧告も出していただいたということで喜んでおります。  また、四十八年度に、夜間看護手当制度ができまして、夜勤一回やれば千円出るという制度が、新たにできておるというふうなことで、関係者も大いに喜んでおりますが、そういう給与問題のほかに、ストレートに問題がございますのが、看護婦の養成力の強化ということでございます。具体的に養成所をどんどんつくっていく、ピッチを上げる、そのための財政的な配慮もするということが、特に必要かと思います。また、そのほか看護婦の勤務条件につきまして、いわゆる二・八問題を含めて勤務条件を改善する、また看護婦が使います、病院における福利厚生関係の施設につきましても、できるだけの配慮をするということで、職場に魅力を持たせるということが必要であろうかと思いまして、たとえば四十九年度、一例を申し上げますと、病院内に子持ちの看護婦の、子供さんを預ける保育所をつくるなんということも、新しい芽として打ち出したわけでございます。  そのほか、看護婦の確保のために、特に現在、約三十万人ほどの有資格の看護婦が、在野で家におられるわけでございますが、もちろん年齢あるいはまた職業の関係で、全部が全部というわけではございませんけれども、そのうち十万人程度は、掘り起こしていけば引っぱってこれるという可能性もあるというので、こういう潜在看護婦に対する対策につきましても、新たに四十九年度に、ナースバンクの設置というようなことで芽を出すというふうに、いろいろな対策がございますけれども、それらの対策を総合いたしまして、いずれにしても看護婦にならんとする人がふえる、また喜んで働いてくれるというふうな施策を万般講じてまいりたい、かように存じております。
  79. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十九年の一月二十八日に、厚生大臣の私的諮問機関である社会保障長期計画懇談会が提言をされております。五十三年度をめどに、十二万人の看護婦を増員することを提言されておるわけでありますけれども、どのように具体化をされていくつもりでしょうか。
  80. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 厚生大臣の命を受けまして、作業を急いだわけでございますが、結論的に、四十九年度から五十三年度までの五カ年間に、看護婦を外国並みのレベルにまで持っていこう、一言で言えば、そういうことでございます。特に進んでおりますヨーロッパ、あるいはアメリカは、特に進んでおりますけれども、ヨーロッパの中どころの、たとえばイギリスとか、あるいはスウェーデンとか、こういうところに負けないように、看護力をふやしていこう、こういうことでございまして、いま先生御指摘のとおり、四十八年四月現在、約三十七万人の看護婦がおりますが、これを四十九万人まで持っていく、その中で、やはり最もかなめになってまいります給与問題あるいはまた勤務条件その他の改善をはかりつつ、魅力を持たせて、養成所に高校卒あるいは中学卒の人たちがたくさん押しかけてくれるということを期待しながら、主軸になっております養成所の増のピッチを上げるということでございます。  私ども、大体、試算いたしまして、現在、一学年定員約六万人の養成力を持っておりますけれども、これにつきまして、五年間に約二万人程度は養成力をふやしたい、それだけの財政誘導をはかりたい、こういう気持ちでございまして、従来の例でございますと、毎年二千七、八百人から三千二、三百人程度の、養成所の一学年定員の増の推移をたどっておりますけれども、四十九年度は、思い切って四千人の定員増をはかるということで、養成所の施設定員も大幅にふやします。その他の運営に対する具体策につきましても、配慮するというふうなことで、主軸は、特にこの養成力の増に置いております。  そのほか、先ほど先生御指摘の潜在看護婦の活用という面でピッチを上げる、あるいは看護婦さんになられて、短い時間でやめてしまわれると、まことに残念なことでございますから、職場に魅力を持たせるために、いろいろな施策を講ずるというふうなことを柱にいたしております。
  81. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 看護婦の給与は、いわゆる人材確保法案、教員と同様な考え方から、今後も計画的に改善をされていくお考えがあるのかどうか。すなわち教員については、本年度また一〇%、人材を確保するための財源措置がなされておりますけれども、同様にやはり看護婦に対しても、そういうような計画のもとにやっていかれるかどうか。その点についてどうでしょうか。
  82. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おもに給与の関係について申し上げますと、先般の勧告の中にも、なお今後も、改善について努力をするという気持ちをあらわしております。われわれとして、これでおしまいという気持ちでは絶対におりません。
  83. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうことになりますと、人材を確保するためには、教員と同じような方式で、看護婦についての給与の改善をしていくことが、やはり今後、看護婦を確保する道である、そのような判断でよろしゅうございましょうか。
  84. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 看護婦の確保には、いまお話しに出ましたように、諸般の周辺のいろいろな条件の整備というものも、まだ必要だと思いますけれども、給与の面につきましては、いま申しましたような心組みで、今後も改善をはかってまいりたいと考えております。
  85. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員の看護婦の給与の改善によって、当然、民間の看護婦も、これに準じて改善されるというふうに思いますけれども、民間のほうの看護婦の給与の改善ということになってまいりますと、しょせんは、それは、すぐに医療費へはね返ってくるような感じがするわけであります。そうなりますと、結局、そのしわ寄せを受けるのは、国民になってくるわけでありますから、そういう点について、政府は、何かその財源措置をお考えになっておるかどうか。その点についてお伺いいたします。
  86. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 先生御指摘の医療費の問題は、具体的には、社会保険の診療報酬の問題でございまして、私ども医務局の所管でございませんけれども、便宜私から御答弁申し上げれば、今日いろんな物価もだいぶ上がっておりますし、大臣も先般、この年内に緊急是正ということも検討しなくちゃいかぬということを、某地で発言されておりまして、新聞に載っておりますけれども、そういうお気持ちのようでございます。  そういう中におきまして、この看護婦の給与につきましても、これだけ上がってまいりますので、当然、診療報酬の検討の一環といたしまして、その中で御吟味あるもの、また御吟味をしてほしいということを部内で申しております。そういう状況でございます。
  87. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 看護婦の実態というのは、かなりひどい状態にあるわけなんです。実は、私ども調査をいたしたところでありますけれども、甲府市の郊外にある国立療養所山梨清楽荘に行ってきたわけでありますが、これは四、五年前に結核の療養所であったのが、いまは重度心身障害施設になっておりまして、三歳から二十七歳までで大体、八十人が収容されておる場所です。  ここで働いておる看護婦さんは約二十九名、看護助手三人など。厚生省の基準では、重度心身障害者の場合、四十人に対して看護婦十五人となっております。そういう意味においては、清楽荘も一応基準だけは、帳じりで合っておりますけれども、実際には、勤務の状態がたいへんにきびしい。まず二十四時間看護のため、勤務は三交代制、たとえ基準どおりの数がいても、深夜勤務、すなわち零時三十分から八時三十分の人や、準夜勤十六時三十分から零時三十分の人、それに定休の人を除くと日中は八、九人の看護さんしか残らない。そのために一番忙しい朝の食事時には、子供たちの父兄が手伝いに来ておる状況でありまして、深夜勤務については、多い人で月に十三回、平均一人十回で、翌日休まずに働くので、たいへんにからだが疲れてしまう、こういうことが、調査の結果わかりました。  それも国の基準で縛られているからということでありますけれども、やはりせめて基準を広げてもらいたいというのが、現地の強い要望でありました。それについて、厚生省のほうとしてはどういうふうなお考えでしょうか。実際はたいへんに苦しい状況にある、こういうことです。
  88. 宮嶋剛

    ○宮嶋政府委員 いま先生からお話しございましたとおり、現場の看護婦の皆さん方は、たいへん御苦労でございます。また私どもも、日夜努力しておりますけれども、足らざる点ございまして、現場現場では、いろいろつらい目にあわれ、苦労があるということも、十分存じております。  いま先生御指摘の療養所の個別の実態は、私はつまびらかでございませんけれども重心筋ジス、これが現在、国立の療養所に約八千名入所しております。山梨のいまの設例の問題も、重心筋ジスのことをさしておる、こう御理解をいたします。重心筋ジスにつきましては、特にやっかいな看護でございまして、たいへんな労働も伴うわけでございますが、私どもも、重点的にその定員配分はやっております。いま先生、一看護単位四十人に対して十五人の看護婦とおっしゃいましたけれども、二・八体制のもとでは、婦長以下十六名というのがモデルのタイプでございます。  現在、私ども、これまでは、先ほど来いろいろ御質問ございますが、二・八を普及するについて、重点的にまず重心筋ジスからということで、そこに傾斜配分いたしまして、その後、四十八年度に至りまして、関係当局の御理解も得まして、年次計画でございますけれども、重心筋ジスについては、これを一・五対一に持っていく。二・八の場合には二・五対一、患者二・五人に対して看護婦一人でございますが、これを一・五対一に持っていく。さらに四十九年度、今年度でございますが、ここにおきましては、おおむね一対一、厳密に申しますと一・一対一ぐらいでございます。機械力の導入その他によりまして、おおむね一・一対一という看護ができるという状況に持っていくべく、すでに計画の設定を見まして、その第一年次の定員分もついております。  そういう状況でございまして、現場の看護婦さんにはたいへん苦労をかけておりますけれども、私どもも、乏しい努力ではございますけれども、しかし年々改善をしつつある、今後とも努力をしたい、かように存じております。
  89. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはり個々においては、かなりたいへんな御苦労をされておる場所があるわけでありますから、そういう点について、厚生省はもっと実態調査というものに対して、綿密にこれを調査された上において善処をする。ただ基本的には、やはりあなたのおっしゃるような方向で、今後どんどんと改善をされていかないと、こういう問題は、いつまでたっても解決ができない、このように思うわけでありますから、その点についての御配慮をお願いしたいと思います。  最後に、いわゆる人事院勧告が八月に出されるように毎年なっております。そして八月に人事院勧告がなされるのは、民間給与との比較によりまして四月に実施をする、こういうことでありますが、実際には、法案が出されて国会で成立をするということになりますと、いつもかなり年末に近い状態になってしまうのが通常であります。  そこで、勧告を出された場合、いわゆる国会の審議権の範疇に入ってしまうということは、まずいわけでありますけれども、しかし、そういう意味において、範囲内において、至急に支給する方法を、何らかやはり人事院規則によって、こういう問題が解決できないだろうかということが、やはり今後大きな問題ではないかと思うのですけれども、その点について、いかがでございましょうか。
  90. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 早期に何か支給するような便法と申しますか、そういうことを考えてほしいという要望は、職員団体の方面からはありまして、私ども聞いております。  ただ、私どもは、先ほどもちょっと触れましたように、本筋としては、やはりがっちりしたデータに基づいて本勧告を申し上げる、それをできるだけ急ぐ、昨年もおかげさまでだいぶここで御激励を受けまして、しかも会期延長がありましたために、それに飛び乗ったような形で、九月にはちょうだいできたわけですが、ことしは、どうも参議院の選挙のあとに国会があるのじゃなかろうかということを、これは推測ですけれども、考えますと、ぜひ、それに間に合わせて、早目に皆さんのお手元に差額が回るようにすることが、まず正道であろうということで、先ほどちょっと触れましたけれども、毎年、民間調査の締め切りを、六月十五日に締め切っておりましたのを、各方面の御納得も得まして、それを八日まで繰り上げたりして、非常に涙ぐましい努力をしておりますので、その点は御了察を願いたいと思います。
  91. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これでおしまいにいたしますけれども、確かに本勧告を出された上において出すということは、これは当然だと思うわけです。つかみどりというわけにはいかない。しかし少なくとも、本勧告が出されたあとの処置が、かなりの日にちをずらされてくるわけでありますから、そういう意味において、本勧告が出された範囲内において支給するということを、人事院規則において今後考えられていくという方向も、これは公務員の皆さん方が、いま物価高にあえいでおる中において、たいへんに私は配慮すべき問題ではないか、このように思うわけでありますので、その点をつけ加えた次第でございます。  以上で終わります。
  92. 加藤陽三

    加藤(陽)委員長代理 受田新吉君。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 佐藤先生、あなたは国家公務員法によって人事院を統轄し、総理する立場ですね。そうすると、三人の人事官で、総裁を兼ねておられるあなたは、他の人事官に対してどのような権限を持っておられますか。
  94. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 人事院の活動は、御承知のように三人の人事官の合議によってなされるわけで、意思決定は合議によってなされる。その場合の人事院会議の議長役を私が承っておる。それ以外に、こうしろああしろというような命令がましいようなことを、これは同格ですから、ほかの人事官に対して申し上げるということは許されない、完全に同格の同僚として扱っていく。もちろん会議の主宰は、私がやります。まず、その辺のところを、お答えしておきましょう。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 国家公務員法には、人事院総裁の権限に「総理」ということばが使ってあるわけです。内閣総理大臣の総理とよく似通ったことばが使ってあるのですが、そうすると、三人の人事官、これは御自身の職務を、いまじっと認識していただく段階でございますが、この三人の人事官の中で、総裁だけは給与も高いのです。他のお二人よりも高い。高い給与を持っておられることは、他の人事官より、どこか高い部分だけ責任が重いと思うのですが、その差異を御説明願いたい。
  96. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それと似たようなものに、最高裁判所とか会計検査院がございますけれども、あれは、みんな大体、一応は裁判官は平等、検査官は平等のたてまえで、院長なり裁判所の長官は、やはりいまの私と同じような、議長的なそういう役をしておると思いますけれども、どういうわけか月給が非常に高い、他の裁判官あるいは他の検査官よりは月給が高くなっているということは、やはりそこに何か期待される大きなものがあるのじゃなかろうか。私についても、何かそういう面で、高ければ高いだけ期待されているところがあるのだろうというわけで、大いに奮励努力しておるわけでございます。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 これは人事院の総裁で、総理です。しかも人事院は、政府機関の中においては、独立性が豊かで、あなた方人事官は、特別の何か変な事態が起こらぬ限りは、任命された以上は罷免されないのです。お隣の小坂国務大臣のほうは、あすにでもおかしければ、すぐ罷免できる。非常に不安定な地位に小坂先生はなっておられるが、人事官は、任期中特別へまをやらぬ限りは、首を切られないという安定した職務をお持ちであるということでも、人事官の使命は非常に重いわけです。首を常に洗わなくてはいかぬ立場の職種と、安定した首がひっついている人事官、それだけに責任関係において、安易なお気持ちでなくして、任期中には安定したお仕事ができるということでがんばってもらいたい。  そこで、きょうは加藤事官も御出席いただいたのですが、先月二十三日、認証式によって加藤先生は、東京工大の前学長というりっぱなお仕事を持った方として人事官になられたのです。島田巽人事官も三期目を迎えておられる。この機会に加藤事官、任命されて一カ月、御就任後の御決意のほどを、人事官の使命の重さ等につき、ごあいさつをいただけば、たいへんありがたいと思います。
  98. 加藤六美

    加藤政府委員 人事官加藤でございます。まだ、ごあいさつも別に申し上げておりませんで、こういうところでごあいさつ申し上げることを、お許しをいただきたいと思います。  私、いままでは国立大学協会のほうの立場から、人事院にもっぱら要請、おねだりに参っていた立場でございますが、さて今回、人事官としてそのようなものを受けるという立場に立ってみますと、これを受けるというほうは、たいへんなことだということを痛感いたしました。特に私、まだ一カ月しかなりませんが、中へ入っていろいろと経験いたしますと、私が、いままで外から想像していたよりは、はるかにたいへんな調査、厳密な調査に基づいて、また私が想像していたよりも、はるかに広範な範囲から、いままでこれを検討しておきめになってこられておるようでございます。そういうことを知りましたので、私、いまねじりはち巻きで、一生懸命いろいろな方面の勉強をいたしておりますが、そういう点につきましても、委員の先生方に今後ともいろいろと教えていただきたいと思っております。  しかし、幸いに私は過去四十年間、東京工業大学で技術者、科学者、研究者あるいは教育者として、世の荒波を乗り越えて現在まで参っておりますので、私のいままでの半生の間の経験が、今後の私の人事院における仕事に少しでも寄与することができれば、たいへんしあわせであるというふうに考えております。  これは抱負とか決意とかいうことには、御質問には当たりませんで、まあ私、就任いたしました感想というぐらいでお聞き流しをいただきたいと思います。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 総裁の佐藤先生は、昭和二十二年に国家公務員法を制定され、二十三年の七月から臨時人事委員会がスタートし、そして、この恒久的な人事院が生まれるときの創設者であり、政府委員であったわけです。佐藤の前に佐藤なく、佐藤のあとに佐藤なしといわれるほど、知能すぐれて、十二年近い間苦労されてきたわけです。十月に任期が満了されるわけでございまして、私たちは、佐藤先生に引き続き御苦労願いたい気持ちで一ぱいですが、十二年間しかやれない規定が一つあるものですから、佐藤先生に御在任中、そうした国民的規模の御期待にこたえた有終の美を発揮していただくことを要望申し上げて、同時に、人事官の先任順に総裁の代行者になる法律の規定があるわけでございますが、加藤先生は一番お若い人事官でありますので、せいぜい人事官の任務を御検討いただき、佐藤総裁の統括のもとに、人事院の権威を高めて一われわれは人事院の存在を、非常に強調しておる政党です。この人事院が、公務員に身がわりしたお役人に、りっぱなお仕事をしていただく、その中央人事行政機関としての権威を一そう高めるために、奮励努力されんことを、新人事官加藤先生に要請申し上げておきます。よろしゅうございますか。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 加藤六美

    加藤政府委員 ただいま激励叱咤いただきまして、私も就任いたしましたときから、たいへんこの使命の重大であるということを、痛感いたしておりまして、私のあらん限りの力を捧げて国民のために奉仕いたしたい、こういうふうに思っておりますので、今後ともひとつ、先生はじめ皆さん方のますますの御鞭撻をお願い申し上げます。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 質問に入ります。  きわめて端的な質問でございますが、今回の一般職給与法の改正案の中の〇・三カ月分の繰り上げ支給、これは年間を通ずると、結局いま四・八カ月分、これに〇・三カ月分入れば、昭和四十九年度の期末手当の合計は、五・一カ月以上になると了解してよろしゅうございますか。どうですか。
  102. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そのとおりでございます。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 公社に対する最終的な仲裁裁定が、どうなるかでございますが、いずれにしても、定期昇給分が三%、一般ベースアップ分が二六%というような調子が進行をするとみなして、大体、昭和四十九年の一般公務員——民間給与、もちろん企業の中には五十人、百人の例の中小が入るわけで、民間給与の実態調査の中には、今度の民間闘争とは違う性格が入りはしますけれども、昭和四十九年の民間給与の実態調査の結果、公務員の七月あるいは八月に勧告される一応の基本線は、大体二割以上の大幅ベースアップとなるということは、常識として考えてよいかどうかを御答弁願いたいのです。
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、いま調査中でございますが、そういう点についての観察は、受田委員とわれわれと完全に同じ立場にいるわけで、同じ権威を持っているわけでございますから、いまの御観測は、十分拝聴しておきたいと思います。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 観測が大体同じようでございます。しかも、ことしは非常にテンポを速めて、精一ぱいやろうという熱意のほども伺っております。公務員に希望を与え、安定した生活の上に公務の執行に当たってもらえるような勧告をお出しいただくことを要望しておきます。  次に、この改正案の中に看護婦の処遇改善が出されております。先ほどからの御議論で、厚生省の看護婦対策も伺いました。医療供給体制の中における医師、歯科医師、薬剤師、看護婦等の人的資源の確保を、どう展開するかの構想もいま伺ったわけでございます。これに対して給与上の問題が一つある。私、この人事院勧告及び報告書の中の医療職(三)の看護婦の現在の人員配置を見ると、総婦長の欄の人間が少ない。二十六の号俸にはるかに及ばない二十号俸程度の人的給与配置しかされていない。つまり、はるかに余裕ある一等級になっておるのです。つまり総婦長の配置は、せっかく号俸があるにもかかわらず、上位の号俸に該当する者がおらぬという状態であるが、これは、どういうことなんですか。他の職種と著しい特色があるわけです、これは給与局長でけっこうです、
  106. 茨木広

    ○茨木政府委員 特一等級というのは、大病院の総婦長でございます関係上、一般病院の総婦長が一等級のほうになっているわけでございます。一等級と特一と両方に総婦長が分かれる関係上、そういうことに相なるわけでございます。特に大病院のほうが特一等級のほうに相なります。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 医療職(三)は、上位の該当者が少ない、こういう状態、これを下をぐっと切り上げて、上を押し出すぐらいの馬力にこの号俸を活用してもらいたい。  看護婦の皆さんの名称の問題などにも私、異論が一つある。看護婦ということばよりも、医師補助者とか、モンゴルなどが使っている大医師、小医師、医師の資格を持った者が大医師、看護の資格を持った者が小医師、小さなお医者さんだというぐらいの権威ある存在にする必要があると思いますが、厚生省は、どなたか残っておられますか。——一斉総引き揚げですか。看護婦の給与の担当をする者であるから、当委員会に最後まで残っていただかなければならぬ。私は、お呼び出しはしなかったけれども、せっかくおそろいだと思って、張り切っておったんだが、それはそれとして、国務大臣小坂先生は、この点についてどうお考えですか、御答弁を願いたい。
  108. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 御質問の趣旨がよくわかりませんでしたので、おそれ入りますが……。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、もう一ぺん申します。  つまり看護婦の地位を高めるために、モンゴル等では医師を大医師、看護婦は小医師とまでいわれておる。だから、ただ看護するだけの職務ではなくして、ある意味においては医師の補助者としての重い使命があるということになれば、医師に準じた、あるいは医師の補助者としての高い使命を持つことを名称の上にも示す。あるいは給与のほうも、いまのようにずっと下にばかり配置される、給与表の中で二等級、三等級辺だけに集中して、一等級なんというのは、該当者が数えるほどしかない、こういうへんてこなアンバランスを直していくために、看護婦の処遇をしっかり改善して、名称等を含めた思い切った高度の福祉国家らしい体制をしいてはどうかという意味でございまして、大臣が、ほかの省の問題だと思って聞きのがしておられると、やはりこういうことになると思う。  たいへん申しわけなかったのですが、きょうは国務大臣は小坂先生しかおられませんので、国務を担当する立場で、看護婦の処遇の改善、それは名称と給与を同時に含んで、医療供給体制を、しっかりこの方面でも固めることに御協力いただけるかどうかということです。
  110. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 まず、最初に、私は、女性の日本の社会における、あるいは職場の中における地位の向上の問題これが社会通念としてもっと定着することが、非常に必要ではないかと思います。これが、やはり給与にも当然、反映するわけであります。近代的な社会におけるところの、女性の職業においての地位の向上ということが、さらに政治の中でも色濃く取り上げられていくことが、同時に、いま受田委員の御主張になるような看護婦としての地位の向上、あるいは医師の補助者としての地位を、他の名称で呼ぶというようなことにふさわしいものにつながるのではないかと考えます。  ですから、私は、女性の社会における地位の向上という問題を取り上げていく姿勢の中で、同時にまた、この看護婦の地位の向上あるいはまた名称の改善ということが考えられていってしかるべきではないかというふうに思います。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 時間も参りました。お約束した時間で質問を終わりたいと思います。  国家公務員退職手当法等にも、波及する問題があるわけでございますが、それらの問題は、また別の機会がございましょう。人事院が権威ある機能を発揮していただくと同時に、公務員に希望ある勧告と、それに伴う法律をどんどん出して、国民全体の奉仕者の使命遂行に熱意を示していただくことを要望申し上げまして、質問を終わります。
  112. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  113. 徳安實藏

    徳安委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  114. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  115. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  117. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、中小企業庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  118. 大出俊

    大出委員 提案された法律案要綱によると、「小規模企業部を設置するものとする」、「次の事務を所掌する」、「商工会の組織等に関する法律、中小企業近代化資金等助成法及び小規模企業共済法の施行、小規模企業者のための相談・あっせん業務の小規模企業者関連事務」と、こういうわけですね。それから長くなりますから省略しますが、中小小売商業あるいは中小サービス業、これらの経営診断になるのでしょう。あるいは「中小小売商業及び中小サービス業関連事務」、その他いろいろやる、こういうわけであります。  そこで、先般御説明いただいたわけでありますが、私どもの部会においでをいただいていろいろ承りましたら、小売商店をはじめとして、最近はマグロの一船買いだ、あるいは冷凍魚の場外取引などが非常に盛んになっております関係もあって、方々で中小の仲買い業者その他がつぶれていっておりまして、昨年などはひどいものでございます。本年、静岡県下を調べましたら、たいへんこれまた激しい市場内の混乱でありまして、そこらのことは、どうなんだと言ったら、そういうことも相談、あっせん、あるいは金融措置、その他お手伝いをするのだ、こういうお話などなど、たくさんございました。その意味では、たいへん幅広く、小規模企業問題を、小売店舗その他を含めましてお扱いになる、こういうことでございました。  そこで、まず第一に、これは政策とからみまして、小規模企業が困ったから、通産局にも相談部門ができるのでしょうけれども、たいへんに困っているのですがと、出かけていって相談をかけた、困っているその時点をとらえて、では、こうしたらいかがですかと言ってみても、実は小規模企業対策には、全くならないという現実がたくさんございます。例をあげれば、三十でも五十でも実は出てくるわけでございまして、資料をここに一ぱい持っておりますが、あらゆる業種を含めまして、小規模企業というのは、いま帝国興信所の調査なんかでも、倒産件数が千何百件になっている。まさに、にっちもさっちもいかないのですが、まず第一番目に、たとえば石油が値上げになったということだけでも、大企業はともかく、中小零細企業にとっては、たいへんな痛手であります。  そのことが、関連製品に及んでまいりますと——たとえば塩ビ関係を扱っている管工事などという水道あるいは下水道等の工事の小零細企業がございます。神奈川県下に、やはり相当な軒数ございます。横浜の鈴木理事長さんに聞いてみましても、千百六十軒くらいあるということでございます。また中曽根さんの大臣談話で、昨年の十二月に、プロパンガス等の小売価格の凍結を行ないましたが、この措置をめぐりましても、千三百軒からなる末端のプロパンの小売業者は、実はたいへんな目にあっている。どちらをながめても、ただ単に、窓口に相談に行って片づく性格のものではないので、もし、ここまでお考えになるのだとするならば、通産省主導型で、やはりこれは関係各省庁と、たとえば農林省あるいは水産庁をはじめといたしまして、たくさんの省庁とのかかわり合いからこれが出てくる。そこらを政策的にとらえて、一体なぜ、こういうことになるのかという基本に触れて、そこを変えていこうとしない限りは、小規模企業あるいは商店等の問題は解決をしない、私は、昨年末から今日に至る間、物価問題等と関連をしまして、ずいぶんこまかく方々を歩いてみましたが、こう痛切に身にしみて感じているわけであります。  したがって、今回この措置をおとりになる、つまり機構の上でこうなさるということは、その基本に何かもう一つなければならないという気がするのでありますが、政策的な面をどうお考えになるが。ここらのところは、一体何が基本になっているのか。このことをやるだけなら、これは県だって、市だって相談員を置いたり、いろいろやっているわけであります。通産局にわずかの方々を置いたからといって、どうなるものでもない。何かそこに、もう少し突っ込んだお考えがなければならぬと思うのでありますが、そこらのところは、大臣どう判断すればよろしゅうございますか。
  119. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御指摘の向きが多々あると思います。中小企業庁ができましたけれども、いままでの成果を反省してみますと、わりあいに、中堅企業とか商工会議所や商工会の、比較的経営力のある人にまではタッチできるけれども、弱いところまでなかなか手が届かぬ。弱い方々は、そういう組織にもなじみませんし、それから、そういう情報を求めるという力もあまりないようであります。したがって、いわば毛細管にどうして血を送って、そして、いろいろな情報を与え、あるいは企業の改善を指導し、金融のめんどうを見させていただくかということが、実は中小企業政策のいま一番大事なポイントであります。  特に、最近のように、人手の問題や資材難という問題が出てまいりましたり、あるいは総需要カットの影響を受けまして、繊維のように一番末端で停滞して困っているというところを考えてみますと、いままでわれわれが接触し得た、なじんでいる分野は、ほっておいてもある程度やれるものがあるのですけれども、実際は、もっと末端の困っている方々に手を差し伸べなければならぬというのが、正直のところなのでございます。  それで、法律をつくりましたり、あるいは調整法をつくったりいろいろやっておりますが、法律を幾らつくったところで、どうしてもそれで届かぬという分野がある。そういう面から、実際、正直に申し上げますと、どう打開したら手が届くものかというふうに、日夜腐心しているというのが実情でございまして、この法律改正していただいたところで、万全に行なえるという確信はまだありません。しかし、ないよりはこれは一歩前進になる、こういうところではしごをかけ、だんだん下へおりていく、そして努力の累積、蓄積をもって、次第次第に核心に迫っていこう、そういう考えに立脚してやっていきたいと思っております。
  120. 大出俊

    大出委員 確かに、いま大臣が話しておられますように、むずかしいことは、私も幾つもいろいろなものを手がけまして、身にしみて感じているわけでありまして、つい、どうもぐちめいた点まで含めた質問などをするような機会がよくあるのでありますが、何とかしなければならぬ。  それで、一つの問題を突き詰めていきますと、ぶつかるところが必ずあるのでありますが、結局、時の政治、つまり政策とからんでいる。ここ抜きに、実は末端の現象形態をつかまえて、だから、こうだと言ってみても、解決をしない。結局、塩ビ関係の問題なんかをつかまえましても、通産省にずいぶん私自身が、業界の諸君を連れて、何べんかおじゃまをするようなことができ上がってしまった、こういう実績もあるわけでございます。  しかし問題は、機構を変えて、つくってみても、そのことが有効に機能しないのなら、これは、つくってもしようがない。気持ちの上の一歩前進にとどまってしまう。たとえば昨年、燃料資源の統一的な行政が必要だというので、資源エネルギー庁をつくる御提案をいただきました。私は、はていかがなものかと思って、ずいぶん迷ったのですけれども、まあしかし、エネルギーは一本化していかなければならぬのだということを力説なさるので、一昨年八月のニクソンのエネルギー教書もこれあり、昨今になってみると、それなりのたいへん大きな政治的意図が、いい悪いは別としてあった気がするのでありますが、そこらとあわせて、実は、資源エネルギー庁をつくることに賛成をしたのであります。  ところが、非常に不愉快なことに、そのすぐあとに、たしか九月まで国会はあったと思うんですけれども、資源エネルギー庁の汚職事件が起こりまして、私は、あ然としたわけであります。当時、関係の方々いろいろおいでをいただいて、承ってみたいのでありますが、どうもこんなふざけたことであっていいのかと思うようなことでございました。まあ目下捜査中でございますと、こういうお答えがございましたから、がまんをしたのでありますが、今回の石油危機等をながめましても、当時、爼上に上がっている方々が、またいろいろ動いていることが明らかになってきている。ずけずけ言ってしまうことは、属人的なことになりますから、差しさわりがありましょうが……。  そこで、まず法務省に、あってはならぬことでございますが、先般、資源エネルギー庁の、これは昨年の九月でございますか、問題が起こったわけでありますが、事はたいへん古くから引き続いておる問題でございまして、名前を少し申し上げなければ、法務省の方々も、答弁しにくいだろうと思いますから、この際、少し名前に触れて承りますが、四十六年六月十五日から四十八年七月二十四日まで通産省鉱山石炭局石油計画課長さんで、石油及び石油製品に関する長期計画の立案、石油製品の流通及び消費にかかわる事務の総括、これをやっておられた鈴木両平さんという方、それから通産省鉱山石炭石油業務課長さんを、四十・六年十二月二日から四十八年七月二十四日までやっておられた根岸正男さんという方、石油及び石油製品の需給調整、石油製品の輸入割り当て基準の策定、石油製品販売業の指導等に関する事務の統括、これがこの方の職務であります。  これらの方にかかわる汚職事件、これは法務省側としてどういうことになっておったのか、承っておきたいのでありますが、いかがでございますか。
  121. 根來泰周

    根來説明員 ただいま御質問の点について御説明申し上げます。  ただいま御指摘のありました鈴木課長及び根岸元課長は、いずれも起訴猶予になっております。
  122. 大出俊

    大出委員 この事件の中で起訴をされている人はおりますか。
  123. 根來泰周

    根來説明員 当時、石油関係の担当をしておりました課の課長補佐をしておった役人が一名、公判請求をされております。
  124. 大出俊

    大出委員 小田肇さんという方ですか、元資源エネルギー庁課長補佐に対する収賄事件の公訴事実の要旨、これは、被告人は昭和四十五年四月一日から昭和四十七年六月三十日までの間、通産省の鉱山石炭局石油計画課長補佐、計画調査班長ですね、この人は。そしてこの間に、昭和四十六年の十月一日から昭和四十七年の六月三十日まで全国石油商業組合連合会が、中小企業団体の組織に関する法律に基づき設定する石油製品の販売方法、販売価格等に関する制限等の総合調整規程の認可申請の受理、審査及び給油所の新規建設に関する——給油所、末端の小売りまで入っているのですが、給油所の新規建設に関する調整指導等の職務に従事し、同年七月一日から昭和四十八年七月二十四日までの間、同省同局石油業務課課長補佐(需給班長)、同年七月二十五日以降、資源エネルギー庁石油部精製流通課課長補佐(需給班長)として勤務し、原油及び石油製品の需給の調整、指導、石油製品の生産計画、石油製品販売業の指導、前記総合調整規程の認可申請の受理、審査、給油所の新規建設に関する調整指導等の職務に従事していたものであるが……。  それで、私、実はあとで、プロパンその他にかかわる貯油施設等を含めてのことを聞きたいのでありますが、どうも皆さん担当の衝にある方々が、天下の大企業と手を結びまして、飲んだり食ったり金をもらったりというようなことを次々やって、その数あまたにわたる。そういうところに中小、零細企業の問題を持ち込んで、はたして親身になってやってくれるのかくれないのか、私は非常に疑問を持つ。  そこで、この小田肇さんという方は、いま私、読み上げましたが、末端の給油所の新規建設その他まで含めて指導してきた。こういう事件が起こったんですが、機構、組織を含めまして、中小、零細企業の方々が、いろいろ申請をするのでありますけれども、これは大きな系列企業はどうでもいい、そこらのところに責任の持てるようなことにしてもらわぬと困るんですけれども、この事件が起こって以後、何かお考えになったことがございますか。
  125. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 資源エネルギー庁といたしましては、先般の不祥事が起きましたので、エネルギー庁の中での綱紀の粛正のための措置をとりまして、外部との接触につきましては、世間、国民から非難の的あるいはこの種の懸念を抱かれるような、いやしくもそういう行動のないよう厳重に、いつも行動については注意をし、国民のための行政に徹底するように、こういう部内での綱紀粛正の措置をとっております。  小田肇班長が起訴になりまして、その後の体制につきましては、庁内並びに省内の人事の面で有能な人員を新たに配置いたしまして、現在の仕事は、精製流通課におきまして、こういったスタンド関係を含めました流通一般につきましての仕事をやっておりますが、先生の御指摘の中小企業等に対する配慮につきましては、私どもとしては日ごろ念頭に置いて、こういった仕事をやっておるつもりでございます。今後とも、エネルギー庁の組織並びに仕事のしぶりにつきましては、今回のことを契機といたしまして、むしろこれをもとに懸命に努力を続けたい、かように考えておるわけでございます。  なお、省全体といたしましては——これは官房のほうでお答えしたほうがいいかもしれませんが、綱紀粛正のための改善措置を、省全体としても綱紀粛正委員会を設けてやっておるということでございます。
  126. 大出俊

    大出委員 何のことはない。あなた、綱紀粛正しなさいと言ったということだけじゃないですか。いま小田肇さんという人は、どうなっていますか。
  127. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 退職をいたしまして、民間に勤務をいたしております。
  128. 大出俊

    大出委員 そこから先は触れませんが、どうもあぶなっかしくて、うっかりおまかせできぬじゃないですか。これは昭和四十七年の五月十七日ごろ、東京都中央区新富町二丁目四番地、石油会館ビル内全国石油商業組合連合会において、同連合会専務理事森下三郎から、同連合会が通商産業大臣に対して申請する総合調整規程の認可及び同省が策定実施する給油所建設に関する調整、指導等の措置についての好意的な取り扱いを受け、このことに対する謝礼及び将来も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨で、供与されるものであることを知りながら、現金を受け取ったわけですな。  そこで、私がなぜこんなことを言うかというと、当時——これは、いろいろ私、記者諸君も知った方がたくさんありますから、ほとんど中身はわかっていた。ところが、目下、法務省がとかなんとかいうことで申し上げられないということです。最近は、公判ということになりまして、起訴、不起訴がきまって、ようやくこれは正規にものが言えるようになった、だから、申し上げるのです。  それで、前記森下三郎から、同様の趣旨で供与されるものであることを知りながら——これは給油所の建設その他を含めてうまく計らってもらう、将来とも計らってもらう、そのためにということを承知しながら、昭和四十八年六月十二日、東京都中央区銀座八丁目山田ビル内、ここに料亭があるわけですが、飲食代金を全部ここで払わせた。そして住友銀行新橋支店における普通預金口座へ会社から払い込んでいるんですからね、金を。そこで、この方の飲んだやつは、みんなそこで払っているんですね。これは会社がちゃんと銀行に金を入れてくれて、それで、この人の飲んだやつは、みんなそこから払ってくれるシステムです。これは、ずいぶん都合がいい話であります。  第三番目、神奈川県中郡大磯町黒岩レークウッド・ゴルフコースほか四カ所のゴルフ場において、共同石油株式会社取締役仕入部長早猛力から、石油の供給、生産計画の策定に関する情報提供、石油製品の需給調整に関する指導、同社に対する給油所建設数の割り当て——よけい割り当てております。これは、小さなところから一生懸命、中小が一緒になって資金を集めて申請したって、ぽんとけられてしまう。これはけられるわけなんだ。まあ銀行に会社から金を払い込んでおいてもらって、かってに飲んで歩けるようにしておいて、今度はゴルフ場のほうは、何べん行ってもみんなただ、表に出ただけで十一万七千だというんですね、ここにあるだけで。回数はずいぶんありますよ。これは、ゴルフに行ったって、全くただだし、飲んだってただだし、みんな銀行にちゃんと振り込んであって、そこからみんな金が出ていく。そして、それとは別にもらうものはもらっておる。そして給油所なんというのは、ここに書いてありますが、たいへんに割り当て数をふやしておる。そっちにみんな認可しておる。こういうことをやっておるところに、うっかり相談に行ったって、ろくな相談はできやしない。  ところで、法務省に少し承っておきたいのですが、この根岸正男さんという方、元通産省鉱山石炭局石油業務課長さん、この方は相手方があるんじゃないですか。共同石油専務取締役井上清さんという方がいますね。いまでもそうなんでしょう、共同石油専務取締役井上清さん。それから全国石油商業組合連合会専務理事森下三郎さん、これもそうです。相手は主としてその二人でしょう。一体これは何をやっているのですか。どういうことになっているのですか。
  129. 根來泰周

    根來説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、ただいま御指摘の会社の方がゴルフにさそって接待した、こういう事実でございます。
  130. 大出俊

    大出委員 このときの、新聞の調べているのを読みますと、エネルギー庁汚職事件で、四十七年十一月に、いまの小田肇さん、これが川越のゴルフ場の接待事件から始まりまして、このすぐ直後にやみカルテル協定が結ばれた。起訴されたから、こういうところで議論ができるようになりましたが、この中に、少額だが、便宜を受けていた同庁幹部は数え切れないほどあるという。数え切れないほどいるとすれば、同庁幹部、ここにたくさんおいでになるのだけれども、そこらじゅうに、そういう皆さんがおいでになるんですね。そういう数え切れないほどいる人のところへ、中小企業の相談なんか持っていったって、しようがないじゃないですか。  それで、森下三郎という全国石油商業組合連合会専務理事、この方は略式起訴で罰金十五万円で、これを認めて罰金を払っちゃった、こういうことです。それじゃ、いま根岸正男さんや鈴木両平さんのほうは、どうなったのですか。
  131. 根來泰周

    根來説明員 刑事処分といたしましては、先ほど申し上げましたように、起訴猶予になっております。
  132. 大出俊

    大出委員 いや、通産省のほう。根岸さん、鈴木さんは、いま何をやっているのですか。
  133. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 根岸課長につきましては、諭旨免職によりまして退職をいたしております。  それから、鈴木両平課長は、現在官房審議官で勤務をいたしております。
  134. 大出俊

    大出委員 これは、まあ私、別にやめてくれとかなんとかいうことは言いませんよ。言いませんけれども、やめた方の先行き、残っておる方、どうも不納得ですよ。そういうことになっていて——これは御本人の生活かありますから、四の五の申しませんが、さっきの熊谷さんの答弁のように、綱紀粛正で気をつけろと言いましたというようなことで、事が済むものではない。せっかく私は、去年あれだけ念を押して、資源エネルギー庁にすることについて賛成の立場をとった。とたんにこういうことでしょう。  そこへ持ってきて、いま私が申し上げました共同石油専務取締役井上清さん、全国石油商業組合連合会専務理事森下三郎さん、この方が、また昨年の石油の値上げをめぐるやみカルテル云々のときに一その前もあります。たいへん親しく皆さんの関係の方々と御交際がある。それは時の関係者だって、まだ官房においでになるのだから、それはあたりまえでしょう。しかし、これはたいへんひんぱんなんだ。  そこで、法務省に承りたいのですが、あなた方はお調べになりましたね。そこのところは、どうなっているのですか。この昨年の値上げ、四十七年のときの関係もある。四十七年だって、やみカルテルは結ばれている。検察庁は議事録を入手している。四十七年のやつは、十一月の二十七日、大手町の全共連ビルの特別会議室の議事録、三十日、大阪のロイヤルホテルの議事録、これは、みんな皆さんのところにあがっている。みんな関係がある。そこでまた、昨年末の問題をめぐっても、通産省との関係における相手の井上清さん、これは共同石油の方、それから森下三郎さん、調べておりますな。いかがでございますか。
  135. 根來泰周

    根來説明員 先生御承知のように、告発を受けまして、現在検察庁で捜査中でございます。ちょっとその辺はごかんべん願いたいというふうに思います。そして、ただいま御指摘の方は、ごかんべん願いたいというのは、被疑者になっておるとか被疑者になっていないとかいう問題でないことを御承知おき願いたいと思います。
  136. 大出俊

    大出委員 この前のときも同じ答弁をなさった。しかし、いまあなたがおっしゃったのは、捜査中というお話でしたよ。調査中じゃないんですよ。調査と捜査は明確に違う。捜査というのは、ある意味の告発がどこかでなければ捜査はできない。任意調査じゃない。捜査ということばをお使いになった。それは、あなたは立場が立場だから、どうしてもそれが口に出るのでしょうが、捜査という限りは、告発その他がなければ捜査はできない。だから、あとからつけ加えて、被疑者であるとかないとかいうことをおっしゃるけれども、捜査中ということになれば、そういうふうには受け取れぬのです。  だが、私も、あえて属人的な問題を、この席で突っ込み過ぎて——私は、例の吹原産業事件で、時の大蔵大臣田中角榮さんですけれども、この席で質問したことがある。このときも調査、捜査の問題は、たいぶ食い違いまして、捜査中かと念を押したら、捜査中であるということに結論的になった。ならば、告発がなければおかしいではないかということになって、告発がございましたとなった。翌朝七時に吹原さんを逮捕したいきさつがあります。その前の晩に、記者発表されたときには、告発はなかったと言っていた。捜査だということをごまかしていた。いろいろ問題がございました。だが私は、ほんとうはこの席で全部ぶちまけて言いたい。どういう関連、つまり通産省のどなたの関連で調べたかということを、正直いうと実はここでぶちまけたい。そのくらい腹に据えかねる。なぜならば、この二人の人は、前回の明確な前科がある。そうでしょう。しかも、このときの相手方になった通産省の方は、まだ官房に残しておられる。やめた方だって関係がある。  そういうことを今日やっておって、中小零細企業に対する相談を通産省が引き受けるというのだが、よほどそこのところは、その根底にあるものを考えてもらわぬことには、にわかにこれはうんとは言えぬじゃないですか。そこを私は言いたい。法務省が、いま捜査中であることをお認めになって——今回のこの事件の捜査の対象は何かといえば、石油業界と通産省との関係を含めて、行政指導というもの等を中心にして調べている。大手十二社のみならず、調べてみると、現実は石連に入っていない会社にまで実は波及している。  だから、もう一つ、ここで承りたいのだけれども、大臣、私は、この事件は非常に不愉快千万なんですよ。したがって、私は、将来に向かって、業界と通産省のあり方というものについて、きちんとしていただく責任が、中曽根さんにおありになると思っているので、途中まででこれはやめますけれども、大臣の考え方を、はっきりしていただきたいのであります。
  137. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 昨年、エネルギー庁で不祥事件が起きまして、そのときも、申し上げましたが、はなはだ遺憾なことで申しわけない事態であると思っております。これは、やはり長い間、安い石油が日本に大量に入ってくるという高度経済成長期に、石油の輸入と日本の経済、産業成長が同行した時代のややなれ合いぎみの悪習慣と申しますか、そういう点がなきにしもあらずであったのではないかと思います。これをぶち切りまして、しっかりとした基礎に立った指導を行なうように鋭意改革し、また人間の入れかえ、あるいは庁内の指導等もやってきたところでございますが、なお一そう自戒いたしまして、清潔な行政指導をやるようにしていきたいと思います。
  138. 大出俊

    大出委員 石油連盟の方々の、四十七年十月二十七日だと思いますが、公正取引委員会と両方に承りたいのですが、公取は告発をしたわけでありますが、当時の議事録を入手されておられますか。私は、ここに持っていますが……。
  139. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 いまの御質問は、いつの会合の、どういうあれか存じませんですけれども、告発の起訴となったような事実については、みな一応証拠をもちましてやったのでございます。その点については、十分な証拠があったものと思っております。
  140. 大出俊

    大出委員 いま公正取引委員会からお答えがありました。国会空転何がしで、手元の資料の整理に事欠いておりますから、いま出てくると思いますけれども、あとから御提示をいたしますが、私が当時調べました議事録によりますと、十月二十七日に、大手町の全共連ビルで、日石の瀧口社長さん以下、大手十二社の社長さんが、全部お集まりになった社長会であります。全共連ビル特別会議室であります。そして、この議事録を読む限りは、ここで結論が出ませんで、三十日に大阪のロイヤルホテルに場所を移しまして、ここでまた会議を開いております。この会議で結論めいたものが出ている。  その中のやりとりを見ておりますと、石油精製の、つまり四十七年下期における割り当てをめぐりまして、日石の瀧口社長さんが言っておりますのは、通産省の方々と十分話し合っているのだ、この辺で石油業界は好況に向かいたい、ついては、各社いろいろの考えがあろうけれども、業界全体が一本にまとまるならば、通産省が示した下期の精製量というものを、業界が一本にまとまった数量に差しかえてくれる、こういうことになっているのだから、一億一千三百四十六万キロリットルぐらいでございました、通産省が提示した下期の数量は。それを九千八百万キロリットルぐらいに落とす、このやりとりであります。結果的に落とすということで話をまとめている。これは四十七年の値上げです。  問題は、ここで通産省が、石油精製量の下期の提示数量を差しかえてくれる、ただし石油業界が一本にまとまれば。これは実は重大な発言、こういうふうに私は考えております。そこまで業界と通産省の側がなれ合っている、そのことは何かというと、精製量が減るのでありますから、少なくなる、少なくなれば当然石油不足が起こる、そのことを理由に石油の値上げ、これをやろうというわけだ。はっきりしている、議事録に。しまいには滝口さんがイエスかノーかを迫っている。そうしたら極東石油の藤本社長、この人がイエスかノーかはヒトラーのやり方じゃないか。いやヒトラーじゃない、通産省と十分話し合って、数量まで入れかえることになっている、好況に向かうかどうかということについてのせとぎわなんだ、説明をしているじゃないか、だから、おれのやり方はニクソンのやり方だ、こう言っているんですね。  ここまで事がはっきりしているとなると、調べている、いないは別として、通産省として私は責任を持ってもらいたいですね。これは通産省の方々、知らぬはずはない。公取の方々は、告発した限りは、資料をそれぞれ持っている、こういうふうにおっしゃっているわけでありまして、この辺の関係、これは、さっき私が例にあげました告発事件云々、この問題とからんで当然あってしかるべきことですよ。さっき私は、小田肇さん以下の例をあげた。こういうことになっておっては、これは、もう通産省信用ならぬということになってしまう。  念のために、私は、もう一ぺん聞きたいんですけれども、ただ単に、そういうことをなくしますということで、はたしてできるのかどうか。石油連盟なんというものを、一体存在さしておいていいのかどうか。石油部長さんお見えになっているけれども、機構的に一体どうすればいいのか、そういうことが行なわれないようにするのには。そこらまで触れて、私はものを承らぬとこのままほっておけない、こう思います。議事録は、あとから見せてもいいですが、ここらのところは、一体どういうふうにお考えになりますか。
  141. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 いま先生御指摘になりました四十七年度下期の問題につきましては、業界がどのような会合を持ったかにつきまして、私ども承知をいたしておりません。四十七年度の供給計画は、一億一千三百六十九万六千という計画をつくって指導をやってまいったわけでございます。  なお、ただいま先生御指摘の、組織面でこういったことが起こらないように心がけるべきではないかという点につきましては、私ども先ほど申しましたように、当然、綱紀粛正の面での配慮を十分いたしますが、組織の面といたしては、たとえば本件の担当でございます精製流通課での仕事のやりぶりにつきましては、課長以下特定の係長限りでの処理ではなしに、その点を他の面からチェックできる仕組みを当然考えて配慮をいたしてまいる必要がある、そういうことで指導しております。
  142. 大出俊

    大出委員 これは横浜の場合でも、先般、末端のそういう事件が起こりまして調べてみましたが、どろを持ってきて埋め立てに入れるんですね。その裁量を一人でやるようになっている。分任するとかその他いろいろくっついておりますけれども、形の上では一人だ。一人というのは、どうしてもうまくないですね。やはり機構的に欠陥がある。起こるべくして起こったという感じがする。  ですから、前回不起訴になったとはいいながら、罪状明白なんですよ。十何回もゴルフ場どうのこうの。共石の専務なんという方は一ぱいある。そういう方が、今回また捜査対象になっている。相手はどこか、通産省だ。皆さんの側だ。そういうことが繰り返されるようでは、これは明らかに制度的な欠陥までありますよ。だから、この点は、皆さんのほうで、再びそういうことの起こらぬように。去年といまと幾らも時間がたってはいない。これは、私、御注意を申し上げておきますが、ぜひ、そこらは御検討願いたい。法務省の皆さんも、いま、この時点で属人的なことにまで触れて云々は困るという、私がお出かけをいただきたくて、いろいろお話をいたしました過程で、そういうお話でございましたから、知らぬわけではありません、黙っておりますが、様子いかんでは黙っていられない時期が参りますので、これはひとつ、御注意を申し上げます。そうでなく、これは対国民という意味できちっとしていただきたい。そうしませんと、いまここで中小企業相談だといって提案されても、まことにどうもそらぞらしく聞こえまして、つい質問する気になりきれぬ感じがいたしますから、そこらぜひひとつ、お願いをいたしておきます。  そこで、あわせてもう一点だけ簡単に承りたいのですが、電力料金の値上げのほうは、一斉値上げというのは二十年ぶりなんですね。しかも、いままでの値上げは、ある意味のインフレ調整、物価調整のような感じの値上げでありますけれども、今回は六三%もの一斉値上げになりかねぬわけであります。これは一体、これからどういうふうに運ぶのか。そして省資源、高福祉ということが、通産大臣の諮問機関である審議会から出てきているのでありますけれども、この辺の新料金体系、どうも私は中身を調べてみまして、まともに受け取りませんが、たいへんどうもふざけた中身だという気がするのであります。  そこで、結論めいたことを先に申し上げてしまえば、この電力値上げ石油値上げ、ともに動力の面では二本の柱であります。これは表面的には、卸売り物価を押し上げるのは一、二%と皆さんは言うんですけれども、そんなわけにいかない。食糧庁の方にもお見えいただいておりますけれども、粉だって、実は私、食料品万般にわたる値上げの大きな引き金は、粉であったというふうに見ている、調べてみて間違いなく。同じ意味で、これは一、二%では済まない。そうすると、電力業界の中でも、最近幾つか意見があるようでありますけれども、石油であるとか電力であるとかいうものは、この辺で根本的にやり方を考えなければならないのじゃないかという気がしているわけであります。  たとえば石油管理特別会計をつくるとか、あるいは電力管理特別会計をつくるとか、米だとか国鉄だとか健保だとかいうシステムに何か——一ぺんに現状変更はできませんが、ものの考え方を、そこまで持っていく必要がありはせぬかという気がする。特に西ドイツあるいは西欧諸国などの例から見まして、自由主義経済の中で計画化を迫られる分野がふえている。混合経済体制なんということばまで生まれている。イタリアなんかでもいろいろ議論があります。そういう意味で、やはり電源開発をやっていかなければ、私の持っている資料に関する限り、電力は五十一、二年で足らなくなりそうであります。そうすると、これは簡単にできない。やるとしても、何か国鉄と鉄道建設公団の関係のような形の新しいシステム、管理体制をつくり上げていく方向をとらなければ、つまり、そこから電力会社は電力を買う、そして供給をするというふうな形ぐらいは、何か考えなければならぬ時期に来ている気がする。そうでないと、こういう形でこれからぞろぞろと値上げをする。  どうもけさの新聞を見ると、一括値上げだというんでしょう。公聴会を開かなければいかぬですから、連休明けに開くんでしょうけれども、一括ばんと上げる。それで次官の発言の、一〇%を押えたいと言っていたものも、どうも押えられそうもないという。これは、まさに狂乱物価再燃の可能性を含んでいます。そこらのこともございますから、一体これはどういう処理をなさろうとするのか。これまた中小零細企業に大きくしわが寄ります。そこらのところは、一体これからどういうふうに進めていかれるのか、念のために聞いておきたいのです。
  143. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電力につきましては、主として原油代の値上がりが一律に各社に響いてきまして、いま審査を鋭意続行してやらしておりますが、やはりある程度の値上げはやむを得ないという方向に傾きつつあります。  それで、五月の中旬から下旬くらいまでの間に決断しなければならないのではないかと思います。大体、原油の値上げの幅というものは、すでに明確にきまっておりますから、各電力会社の経理内容も、いろいろ監査いたしておりまして、やはりある程度の同じような要因が同じように響いてきておる、そういうところから、ばらばらに、時間的に差をつけて、さみだれ式に値上げを認めていくということよりも、同じような条件を全部横にらみににらみつつ、各社で合理化すべきものは、同じように合理化させつつという——査定等も考えてみますと、一律にやってみて、時期をずらすとか率を変えるとか、そういう形でいくのが適当ではないかというふうに、いま傾きつつあるというのが実情であります。  この場合、もちろん民生、福祉優先という考えを徹底してやりたいと思っておりますし、それから上げ率は、できるだけ圧縮して、物価に影響を及ぼさないようにまた努力してみたい、そのように考えております。
  144. 大出俊

    大出委員 そこで、三点ばかり承っておきたいのでありますが、時間がないこの機会でありますから、深く突っ込まないように気をつけて承りますけれども、ここでいま料金に触れてお話しになりましたが、まずこれを上げる、五月の中下旬に決断をする、こういうことになるというお話がまず前段にあって、ただ、料金そのものは、旧来のようなことでなくて、家庭用電灯であるとか、そういうところのことをさすのでしょうが、しわの寄らないように——しきりに政府は省資源、高福祉、こういう形の料金体系という説明をしておられます。これは本来、業界が出したものではないんですね、この省資源、高福祉という料金体系は。大臣の諮問機関である電気事業審議会の中の料金部会、奥田新三部会長、ここから中間報告が出ております。ここで出てきている問題であります。  これは旧来の原価主義、英国流の論理でございますけれども、つまり、固定資本と可変資本と分けまして、いままでは石油が安いから、変電所をつくるとか発電所をつくるとか、あるいは送電線だとかいう固定費用の面に非常に高く金がついた。ところが、さて燃料が安い火力、東電なんかは火力中心ですから、家庭用電力というのは、比較的送電距離その他が長い、使用量が小さい、だから、こっちにしわが寄っていった。これを今度はそうではなくて、燃料が高くなったわけでありますから、発想が変わらざるを得ない。そういう変え方が基礎になっているということであって、私は、何も、これは高福祉とくっついているけれども、本ものだとは思えないわけであります。ここのところを、皆さんが省資源、高福祉と言っているのは、一体どういう意味なのかという点を承りたい。  あわせて、高福祉というのが、もし一般家庭用の電灯料金などをさすのならば、三段階制度をつくっているわけでありまして、百キロワット以下と百キロワットから三百キロワット、二百キロワット以上、こう分けているわけでありますが、ところが、これは調べてみると、三段階の刻み方の差をとってみると、まず百キロワット以下というのは、夫婦共かせぎで家にあまりいないとか、あるいは独身だとかいう人なら別ですけれども、標準世帯を対象に考えれば、百キロワット以下なんという家庭なんかありはしません。そこにも大きな問題がありますし、それから二百キロから以上のところと百キロから二百キロのところと百キロ以下、つまり、よけい使うところのほうが、キロワット単価というのは安くなっていく。そうすると、三段階制度というものは、はたしておっしゃるとおりに受け取れるのかという問題が実は出てくる、これが二番目。ここのところをどうお考えなのかという点。  それから、この固定費用、可変費用の比率、これは一番基礎に上級逓減でなくて上級逓増、こういう言い方をしているんですけれども、それにしても、よけい使うところのほうが同じ工場でも安くなっている、ここのところ。  もう一つ、時間がないから一緒に言いますが、ことしの電力の総量、昨年も光化学スモッグだ何だという夏の騒ぎのときには、東京なんかそうですけれども、かろうじて何とか規制しようという形をとって、かつかつ切り抜けたということなんですね。高値原油ですから、多少輸入制限の方向を向いている。そこで皆さんのほうは、ことしの電力需要というものを、七%くらいたしかふやしているように思いますけれども、はたしてそういうことになるのかどうかという点、この三点をとりあえずお答えをいただきたい。
  145. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 今回の料金問題の処理につきましては、やはり一種の原価主義というものが基礎にございます。しかし、いままでいろいろ国会からも御批判をいただき、社会からの批判にも耳を傾けまして、福祉政策を政策的に注入しようという考えに立って、うんと使う者はある程度高くなる、しかし使わないシビルミニマムというような程度のものは、できるだけ現状に近く行なおう、そういう考えに立って、シビルミニマムというような考え方を頭の中に置きながら、一つの体系をつくっていこうと思っておるわけであります。  それで、家庭用のものについては、申請が三段階になっておりますが、これは答申も三段階、中間報告も三段階でありますが、大体それに準じて考えておりますけれども、百キロワットというものが、標準家庭の一般的な平均的なものとして通用するかどうかという点は、検討しなければならぬ要素もあると思っておりまして、私個人としては、もう少しふやしたほうがいいのではないか、そういう考えに立って査定をさせてみたいと思っております。  そして、いままでのように電灯をつけっぱなしにしておいていいという時代ではございませんから、うんと使うところは高くなる、節約すれば安いもので済む、そういう方向に政策的にも体系づけを行なって、工場にいたしましても、家庭にいたしましても、使えば使うほど高くなるんですよという観念を入れて、省資源、省エネルギーという方向に誘導していきたい、そういう考えでございます。  なお、夏の電力需給につきましては、八月十二、三日ごろ、甲子園の野球があるころが、一番実は足りなくなるのでありまして、これはテレビを全国一斉につけるものですから、それからルームクーラーが、そのとき一斉に動き出すものですから、ピークになるのであります。しかし、ことしは、いまのような規制をやっておりまして、この規制をいつまで続けるか問題ではございますけれども、やはり何らかの形における節約ないし規制というものをやっていただかざるを得ぬだろうと思います。石油をふんだんに使うという経済から少しずつ変わっていこうという考えでございますから、やはり一〇%大口について節約してもらっただけでもかなり、影響がございます。そういうような節約の努力をやりまして、ことしの夏は、こういう電力危機というものを起こさないように、鋭意努力をして克服していきたいと思っております。
  146. 大出俊

    大出委員 この問題を突っ込み過ぎますと、委員長が時間を心配しながら寝ておられますから、遠慮をいたしまして、いまの問題の締めくくりを……。  私は、将来の電力需給というのを、ちょうど一月ごろに、この話が出始めたころに調べてみたのですけれども、どうも気になるわけであります。高値原油、これも気になるわけであります。さっき、ちょっと申し上げましたが、だから、何とかこの石油あるいは電力というものは、米なり国鉄なり健保なりというふうな形のものを少し導入して、ものを考え直してみる必要がありはせぬかという気がするのであります。  その辺のところを、いまから考え始めないと、発電施設をつくるといったって、地域住民の反対の声もなかなか強いわけでありますから、そう簡単にいかない。これは基本に触れる問題ではありますが、そこらのところの御見解を、念のために大臣に承っておきたいと思うのであります。
  147. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石油について、食管的な思想を入れるということは、いま考えておりません。食糧の場合は、非常にストレートに家庭に響いてまいります。燃料の場合も響いてくることは、響いてくるのでございますけれども、食糧ほど大量に緊切に来ているものではございません。しかし必要とする最小限のものは、あくまでそういう政策的配慮を行ないながら進めていこう、そういうふうには考えております。しかし特別会計を設けて、バッファーの余地をつくるというようなことは、いまのところは考えておりません。
  148. 大出俊

    大出委員 中小企業相談ということをお考えでありますから、いま食糧の話が出ましたから、幾つか例をあげて、そこの中心を承りたいのでありますが、小麦の値上げというのが非常に大きく、原麦で三五%、小麦粉で三七%。そして、この値上げが、非常に大きく関係部門の値上がりに、あるいは便乗値上げ、かけ込み値上げという形で影響をいたしております。  驚くべきものがございまして、そこで、まず基本となるべきものという意味で承りたいのでありますが、農林省、ここにお書きになっている家庭への影響、これはうそっぱちでありまして、皆さんが、どうもこうはなりませんとお認めになっているようだが、時間がありませんから、詳しくは言いませんが、一つだけ、これは政府の悪徳商法ではないかという気がする点を申し上げたいのであります。小麦、小麦粉というのは、食管法のワク内であります。商社が代買いをオール商社でいたしますが、たとえばダブダブなどと言っております北のほうの小麦を買うにいたしましても、すべてそれは代買いをして、食糧庁が移しかえる。帳簿上の操作でございましょうが、ここから始まる。そして製粉会社に配送していく。製粉する。そこから先、また商社が出てきたりいろいろしますが、そこから先が問題なのであります。  そこで、その一番確実に確保され、流されていくはずの小麦、これが実は食管会計の中に輸入小麦が、別な会計が一つある。小麦の会計。これは一体、ここ十年ばかりどんなふうに動いておりますか。
  149. 志村光雄

    ○志村説明員 輸入食糧の勘定は、食管会計における輸入食糧勘定でございますが、御案内のように、小麦、大麦ともに、一昨年までは非常に安定した状態でございましたので、食管会計の中では大体、関税相当分程度、二割程度の利潤があって黒字になっておったわけでございます。  それから、一昨年、国際的な気象条件の変化あるいはソ連、中国の買い付け等がございまして、小麦の価格が急騰いたしまして、その反動が会計にも及んでまいりまして、四十八年度では、食管会計に初めて百九十億の赤字を計上いたし、今年は約二千億の赤字を計上いたしております。
  150. 大出俊

    大出委員 これは、正確にお答えいただかぬと、私は、政府の悪徳商法と申し上げたのですから困るので、腰だめで言われても困る。確認をいただきたいのですが、食管会計の中に勘定区分というのがございます。勘定区分で、国内産の米、国内産の麦、輸入食糧で外米、外麦、こうなっておるわけですね。つまり、輸入小麦、外麦、これ三十九年の黒字は百五十一億円、四十年が百七十七億円黒字、四十一年が百六十三億円黒字、四十二年が百四十五億円黒字、四十三年が百七十六億円黒字、四十四年が二百二十七億円黒字、四十五年が二百十五億円黒字、四十六年が二百四十三億円黒字、四十七年が二百四十七億円黒字なんです。ここまでが全く黒字の連続なんです。つまり、安い麦を買ってきて、国民に高く食わしたわけです。それだけ食糧庁はもうけておる。この黒字額を累計いたしますと、外国産の麦が千七百四十四億円黒字なんです。全く赤字になっていない。黒字の連続。千七百四十四億円。安いのを買ってきて、高く売って、国民からいただいた。千七百四十四億円。  ところで、四十八年の値上げのときの基礎資料を、私は農林省に確かめた。確かめたら、いま四十八年百九十億円が赤字、こうおっしゃいましたが、初めて百九十億円赤字になりました。四十八年、何で一体原麦で三五%、粉で三七%上げるのだと言ったら、いや、本年は四百七億円ぐらい、見込みでございますが、赤字になりそうでございます、こう言う。よしんば四百七億円赤字と見込まれても、結果的にいま百九十億円赤字だとおっしゃるのだから、四百七億と言ったのはうそになる。うそもうそ、大うそですよ。百九十億しか赤字にならぬものを、四百七億赤字になる、そういう見込みですとあなた方はおっしゃった。見込み違いにしても、半分以上山をかけて、赤字だなんということになるのは不見識です。そうでしょう。そうすると、千七百四十四億円も黒字なんだから、百九十億円の赤字が立ったからと言ったって、まだ千六百億も黒字が残っている。何で上げなければいかぬですか。そうでしょう。  いまになったら、四十九年たいへんな赤字になりそうだからと言うが、私が聞いた限り、ここにちゃんと書いてあるのだから、印刷してあるのだから、四十九年の赤字なんか何にも出てきやせぬ。四十八年ということでいまの話です。それを、あなた方は、このことを理由に、麦に関する限りは大黒字になっているのに、三五%いきなり、ことし赤字見込みになりそうだからというので、ぽーんと原麦で三五%、粉で三七%、こういう言い方でしょう。このことが実は、たいへん食糧全般に、インスタントラーメンから、ゆでうどんから、乾めんから、パンから、ビスケットから、子供さんのおやつに至るまで、やたらむしょうに上がり続けた。石油に中心が行ったから、こっちのほうは、実はおろそかになっているけれども、明らかにこの小麦の値上げは、物価狂乱の大きな柱だ、引き金だ。  私は、こまかく調べてみて、ほとんどのところ間違いない。至るところそうだ。あとから幾らでも例がありますから申し上げますが、これは明らかに政府の悪徳商法で、こういう物価が上がった時期に、四十七年までに千七百四十四億円も黒字を続けているのに、これを四百七億赤字見込みだからといっていきなり上げる。なぜ、そんな不用意なことをなさる。いま聞いてみたら百九十億だという。百九十億ぐらいの赤字を差し引いたって、千六百億近い黒字が残るじゃないですか。  こういう不必要なことをやって——食管の全体のたいへんな赤字というなら別な問題、何千億も赤字になるのだから。そういう政治姿勢と申しますか、政策姿勢といいますか、これが物価を押えるどころじゃない、上げることに協力している。いかがでございますか。悪徳商法だ。
  151. 志村光雄

    ○志村説明員 先ほどの答弁の中で、百九十億と申し上げましたが、ちょっと記憶違いでございまして、おわび申し上げて、訂正しておきたいと思います。  予算ベースで申し上げた関係で、四十八年の当初予算では、十九億の赤字を輸入食糧勘定では計上いたしております。私、先ほど百九十億と申し上げましたが、これは誤りでございます。  それから、実行見込みでございますが、これは先ほど申し上げましたように、非常に海外相場が上がりまして、実行見込みとしては、いま先生おっしゃいました四百億程度の赤字になることになっております。四十九年は、先ほど申し上げたような予算の計画でございます。千九百億程度の赤字になります。  それから、小麦の値上げが、次の小麦粉関連製品の値上げに、非常につながっておるのじゃないかというような御指摘でございますけれども、小麦の、昨年の米価審議会あるいは政府の内部の検討の時期が、ちょうど石油問題の前でございまして、その当時、海外の相場等の反映を見まして、三五%の引き上げを、十二月一日から実施するということにきめさせていただいたわけでございますが、その後、やはり三五%の値上げというのは、相当大幅であるということで、そのとき十二月の約一カ月間は、小麦粉の価格を据え置きますということで、麦価引き上げの決定時に、そういう決定をいたして、中小企業内部あるいは二次加工業者に与える影響を、極力少なくするということで、製品価格を据え置かしていただくというようなこともしておりますので、私たちのほうも、たまたま十二月に、石油問題以来の物価の大幅値上がりの中で、加工食品関係も含まれたわけでございますけれども……。そういう状況であるということを、御説明させていただきたいと思います。
  152. 大出俊

    大出委員 かくて、いまここに子供さんの——あなた方、六十円以下の、子供さんのおやつになるような菓子は据え置いてくれなんということを、森永、明治、不二家、グリコなどを相手におっしゃった。ところが、そんな六十円以下のお菓子なんか森永、不二家、明治、グリコの製品価格表の中に載ってない。みんなとっくの昔に上がっちゃった。上がっちゃったあとになってから、六十円以下のところは据え置きにしてくれなんて、ていさいのいいことを言ってはだめですよ。それが新聞に出されて、さもあなた方やっているように——冗談じゃない。私は、ここに全部持っている。これは昭和四十八年の十一月、小麦を上げたとたんに、これを見てごらんなさい、べらぼうな値上げだ。一月まで据え置くどころの騒ぎじゃない。ビスケット、クラッカー、どれもこれも、みんな「下記の商品は十二月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。昭和四十八年十一月」、百円のチョイスは新価格百五十円、ムーンライトビスケットの百五十円を二百円、クリームウェファー、チョコウェファー、この二つとも百円のものが百二十円、クリームクラッカーの百円のが百二十円、これは普通のビスケットから始まりまして全部、これは十一月の新価格表で森永製菓株式会社。  不二家は、ここにありますけれども、不二家も「昭和四十八年十二月、下記の商品は昭和四十九年一月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。」、これまた上がっている、一つ残らず。ふしぎなことに、この価格表が、「下記の商品は一月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。昭和四十八年十二月」、こっちが森永製菓株式会社で、こっちは株式会社不二家、中身を見ればほとんど変わりはせぬ。森永もこの色のものを使っている。同じ仕組みで、同じ印刷で、何が違うか。片一方は、見ればわかるように株式会社不二家、こっちは森永製菓株式会社。何もかもみんな同じだ。何が違うか、商品名が違う。商品名が違うが、単価の同じものは、大体同じように上がっている。これは、ふしぎに思いませんか。公正取引委員会もおいでになるのですが……。これは全部、四十八年十二月一日からの新価格、仲よく不二家も森永も全部一緒です。  今度は、四十九年の一月、「下記の商品は二月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。森永製菓株式会社」、十一月、十二月、一月、毎月上がっている。六十円なんてのはありはしないのです。七十円が一応最低だ。そうなってから、あなたのほうで六十円以下のものは据え置けと言ったって、全く意味ないじゃないですか。見てごらんなさい、月別に続々と片っ端から値上げしている。しかも同じ用紙です。私は、かつて森永、明治、不二家、グリコ等の問題につきまして、三十七年でございますが、不当景品類及び不当表示防止法がございまして、三分から一割二分のリベートの問題もある、こまかく聞いたことがありまして、そのときに申し上げた。そうしたら相手が大きいから、なかなかそういうわけにいかぬとあなた方はお答えになった。しかし、こういうやり方については、公正取引委員会だってお調べいただかなければいけません。そうでなければ、どこにしわが寄るかといえば、すべて末端の小売商店なんです。たいへんなことですよ、末端の小売商店は。  私は、ある社の社長さんのところに電話をかけて、どこで御相談なさったのですかと聞いたことがある。ある社にしておきますが、たいへん困ったような返事をしておられました。どこかで何かがなければ、こんなにそろって上がりはしません。そうしておいて何をやるかというと、今度は各社が——ここにありますのは、神奈川県菓子卸商業組合連合会、ここから個々の菓子屋に文書を出しまして、「支払条件改訂等についてのお願い、御得意様各位」、たいへんなことになっているんですよ。口上が書いてありまして、最近は粉が上がった、砂糖も上がった、容器類も不足になった、メーカーも生産減少とあわせて価格の値上げということになってきている。メーカーの方々に問屋さんが呼ばれる。「然し乍ら私共卸問屋は、メーカーと協力して商品の集荷に一生懸命努力いたして居りますが、此の様な品不足の時はメーカーも強く厳しい条件付での出荷となって居ります。」、メーカー主導型なんです。メーカーがきびしい条件を問屋さんにつけてきている。「寒さ厳しき折柄、ご貴店様に於れましては益々御清栄の事と存じ上げます。さて、最近の諸物価の高騰は今迄にない大きな社会問題となって居ります。我々菓子業界に於きましても、砂糖の値上り、諸容器類の不足等に依りメーカーも生産減少と併て価格の値上となって居ります。  然し乍ら私共卸問屋は、メーカーと協力して商品の集荷に一生懸命努力いたして居りますが、此の様な品不足な時はメーカーも強く厳しい条件付での出荷となって居ります。支払は即金、返品は「皆無と言う案件でありますので、御得意様各位に於れましても下記事項ご了承頂き、尚一層のご支援を賜ります様お願い申し上げます。」、ていさいのいいことばを使っててますが「記」として「(1)御支払は即金又は請求時に、現金又は当日小切手で全額お支払い下さい。」、そうでなければおろしません。  見てごらんなさい、第一項。これはひどいものですよ。そんな、そこらの子供さん相手の菓子屋さんが、そんなたいへんな金ありはしませんよ。「御支払は即金又は請求時に、現金又は当日小切手で」、当日小切手というのは現金と一緒です。「全額お支払い下さい。」第二番目、「価格は当日値段でお願い申し上げます。」、当日値段という値段はないのです。当日値段というのは、仕入れのそのときの値段、それまでわからないのだ。「価格は当日値段でお願い申し上げます。(値引は出来ません)」、値段は当日値段。三番目、「返品はメーカー及び問屋の責任に依るもの以外は受取出来ません。」、四番目、「御注文品に付きましても、品切れが多く成ります事もありますので御了承下さい。」、五番目、「ガソリンの不足等に依りまして、即日配達出来ぬ場合もありますので何卒御了承下さいます様お願い申し上げます。」、これでは、しわはまるきり全部中小、零細のお菓子屋さんにいく。  そこで、何をやっているかというと、当日値段というのは、これなんです、ここにある。値段を入れないのです。値段は入っていない。これは森永製菓、ハーバートクリーム、これの原料は小麦です。あなたにあげたものです。ハーバートクリームビスケット、ビスケットの上にちょっとクリームがついている。二十二個入り百円とここには書いてある。次の商品は、これは、この百円を書きませんと、書いていない。二十二個、その下は空欄、何もない。それで売れという。どういうふうに売れというかというと、これを見てごらんなさい。これを張れというんです。百円の上にこの二百円を張れという。当日値段だという。全部そのとき変わりますということです。こういう芸当を平気でやる。これが天下の森永です。ひどいものですよ。これなんかもインチキがたくさんありますけれども、みんなこういうものを張らせる。  ところがさて、小売屋さんは困るんですよ。なぜ困るかというと、百円と書いてあるものをまだ持っている。わずか一カ月ちょっとで二百円と倍になったんですから、うっかり二百円を張って、これを店へ出したら、お客さんがあけてみた。そしたら百円。百円で売れるものを、あそこの店は二百円で売ったといって、客が来なくなってしまう。そうでしょう、奥さんたちというのは敏感ですから。おやじが酔っぱらって帰ってきたって、女房のほうは、曲がった茶わんだって安ければ買ってくるんだから。そうでしょう。だから、これは売れない。売れないと、今度は監視員が回ってくる。おたくは、これは何で百円で売っているのだ、なぜ二百円と張って売らないか、今度はおろしませんよ、こうくる。それこそ四苦八苦もいいところですよ、ほんとうに。おたくもこれを二百円と張って売れば、もうかるじゃないですか。張りなさい。いや、うちはそれはできません、信用がある。それじゃ、あとはうちの商品はおろしません、そういうことになったのじゃ、小麦の値上げは、一体どこにしわが寄る。中間に何もしわは寄らない。  不二家のを、ついでに申し上げます。これを見てごらんなさい。これは皆さんのところのお子さんが好んで食べるもの、ライスアンドチョコ、米粒みたいなチョコレート、こういうものです。これは不二家製菓株式会社。この中身はチョコレートじゃないんですよ。ところで、これなんか見てごらんなさい。これも小麦関連食品。ここに二百円と張ってある。新しい価格表二百円と張ってある。張ったのをあけてみると、百七十グラム百五十円というのが下から出てくる。これを張れと言うので、しようがなく張らされた。張るほうには百八十グラム二百円になっている。そうでしょう。これはパックしてあって、取ったらしけてしまうんですよ。中身は変わりないんですよ。変わりないのに、この袋に直接印刷してある。袋は印刷してつくってある、百七十グラム。手品でもない限りは、十グラムかってにふえはしません。そうでしょう。これは百八十グラム。さすがに、百五十円のものを、いきなり二百円に値上げするんですから、気がひけるのでしょう。百七十グラムと袋には印刷してあるものを、ペーパーのほうには十グラムふやしている。こういうことは片っ端しですよ。出せば切りがない。  時間もありませんからやめますけれども、これで困るのはどこかというと、みんな末端の小売り屋です。しかも、これだけ上がるんだから、こういうまねをされるんだから。そうすると何が起こるかというと、二十四年間お菓子屋をやっていた、三カ月たたないのに、百円のものが二百円になったというのは、いまだかってないというのです。そうでしょう。それで百円で売るやつを、二百円では売れないから、どうしても張らずに自分でこっそり売る。さて次に仕入れに行くと倍になっている。そうすると、売り上げの二割くらいを生活費に使うというんですが、その売り上げの二割を使う、その二割を食わないで、全部突っ込んで仕入れに行っても、いまあった品物だけは買えないというんです。買えない、それじゃ何で食っていくかというと——つまり末端の菓子屋さんか、そういう意味でたいへんに困っている。奥さんにしたって、先月子供が、これはほしい、好きなんだというので、百円で買えたものを、買いに行ったら、今度は二百円だという。見たら、なるほど二百円とペーパーが張ってある。あわててペーパーをはがしてみたら百円だった。これでは奥さん、納得できないですよ。そうでしょう。これは小麦の値上げがみんな引きがねになっている。もう一つは砂糖です。ただ、これのほとんど大きいのは小麦です。そういう形にしたのじゃ、これは末端の小売り屋さんが困るばかりです。  そうすると、この政策的な根っこを直さないことには、それは幾ら中小零細の小売店に——この設置法にありますよ。小売り店がお困りだろうから指導員を置きます、相談員を置きます——何を相談するか、相談することはない。だから、私は冒頭に言うように、農林省の皆さんと相談をされて、森永なら森永、明治なら明治、不二家なら不二家、グリコならグリコというのが、一体どうなっているかを、商品を調べて、こんなに毎月、毎月上げられるものじゃないんですよ、普通の常識では。これは毎月でしょう。そうでしょう。だから、そこらのところは皆さんかお調べになって——十一月のやつを見れば十二月から新価格、十二月のを見れば一月の新価格、一月のを見れば二月の新価格。それで今度は、六十円売りというのがなくなっちゃってから、農林省のほうは、六十円以下の商品は、子供さんのおやつ相当額の商品なんだから上げないでくれ、上げないでくれといったって、上げちゃって、六十円以下のものがなくなっちゃってから、上げないでくれと言ったって、どうにもならぬじゃないですか。そうでしょう。そのことを、わざわざ新聞に載せている。書くほうも書くほうだと思うんですね、新聞のほらも。六十円以下のものは、ほとんどありはしない。よく見て五十円が一つくらいあるくらいのところのものを——これは食糧庁か悪いのです。皆さんたちが新聞記者に発表して、わが省は森永、明治、不二家、グリコ等を呼んで、六十円以下のものは据え置くように言ったら、気持ちよく了承してもらった——気持ちよく了承しますよ、ないんですもの。そうでしょう。そういうことをやっていて、何を一体相談するのか。そうでしょう。困るのは、末端のそういうところなんですよ。  だから、私は、一体、相談をするとおっしゃるけれども、親身に行政官庁が中小零細な店舗等を相手に相談をなさる姿勢なのかどうか。冒頭にいやな言い方をしましたが、石油の例をあげて申し上げた。そうでしょう。どうですか、これを皆さんお調べになったことありますか。
  153. 齋藤稔

    ○齋藤説明員 食品流通局の齋藤審議官でございます。  菓子のほうは食品流通局の管轄でございますので……。  一々の数字につきましては、不明なところもございますが、全体といたしまして、昨年の十月から十二月にかけまして、さらに今回、大体、二月でございますが、同一のものがダブっているものもだいぶございますし、中にはダブってないものもあるわけでございますが、大体、御指摘のような状況で菓子の値上がりがしているというのは実情でございまして、私どものほうでも、一応把握をしてございます。  また先ほど、お話のございましたように、私どもといたしましては、値上げの抑制につきまして、関係者を呼びまして、値上げ幅の縮小なり、あるいは延期等につきまして、いろいろ要請をいたしたわけでございますし、また、ただいま御指摘のありましたような、小売り段階に対するそういう行為につきましても、行き過ぎのないように注意をした経緯はございます。  ただ、御指摘のように、その指導が不十分でございまして、行き渡っていないということは遺憾でございます。これからも、さらに実情を把握しまして、できる限り措置をいたしたいというふうに思います。
  154. 大出俊

    大出委員 公正取引委員会、さっきちょっと触れましたが、別に悪者にしてくれというんじゃないですよ。やはりそこらは御検討願いたいのです。こんなにぞろぞろ、ここに一ぱいあるんだけれども、片っ端からこれじゃ困る。明治パンなんてひどいものですよ。だから、そこらのところをお調べ願いたい。  もう時間がないようですから、あとは本会議後にさせていただきます。
  155. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後、委員会を再開いたします。    午後二時十一分休憩      ————◇—————    午後二時五十六分開議
  156. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中小企業庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  157. 大出俊

    大出委員 先ほど途中で切れましたが、食品関係、粉の値上げ等をめぐります問題の決着をつけておきたいわけであります。  そこで、総括的に申し上げますと、私は、食糧庁の方々に御回行いただきまして、粉の値上げをめぐりまして、本年に入りましてから、横浜市内にございます日本製粉から始まりまして、その前に食糧庁の横浜の食糧事務所から話したわけでありますが、ずっと歩きまして、末端の第一次卸あるいは即席めん、インスタントラーメン、日清食品あるいはゆでうどん等をつくっております工場あるいは末端の西友ストアー等まで、全部調べてみたわけであります。第一パンなども、こまかく当たって調べてみました。何とかひとつ標準パンの原価などを知らしてもらいたいということで、いろいろお願いもいたしまして、それぞれ表をつくっていただいて、原価を提示していただきました。ところが、その中身を見ますと、まぎれもなく粉の値上げが、たいへん大きな引き金になっていた。それが非常に克明にわかるのであります。  そこらの点に関連をいたしまして、食糧庁にあらためて承りたいのでありますが、昨年の十一月における小麦粉の値上げが、関連の食品に、いろいろなものがございますが、非常に大きな影響を与えたことをお認めいただかなければならぬと思うのでありますが、その前に、私が皆さんにお出かけいただいて、十一月の小麦の値上がり、それで十二月を押えまして一月から値上げを認めるということでございましたから、標準パンで申しますと、一斤パンで十月には七十円で売っておったのが、九十円に上がるということでございましたから、これはどうするのかと言ったら、皆さんは、まん中の八十円で押えるべく努力をしている、こういうことでありました。なまめん、これはゆでうどんでありますが、十月は一玉三十円、これを四十円に値上げするというので、どうするのかと言ったら、まん中の三十五円で押えたい。乾めん一わ四十円、これが六十円になるということでありますから、高過ぎやせぬかと言ったら、まん中の五十円で押えたい。即席めん、これは公正取引委員会が、やみ値上げの疑いあり、談合の疑いありというので、五大メーカーに勧告をお出しになりましたね。立ち入り調査をなさいました。その中に日清食品が入っておりますが、私は、日清食品を調べまして、すぐものを申し上げたわけでありますけれども、即席めんが当時一袋四十円のものが六十円になるが、これは、どうするんだと言ったら、農林省、食糧庁は、まん中の五十円でまとめたい。マカロニは、これはデューラムという別の粉でありますが、これが三百グラムのもので十月七十円のものが、百円になる。これをどうするかといったら、まん中の九十円で押えたい、こういうわけであります。  そこで、これは全部小売りにからむ問題であります。消費者がたいへんなことになる問題であります。ところが、この農林省がおっしゃった価格は、ついに一つも守られない。七十円の一斤パンは、先年値上げしたばかりなのに、また二十円上がって九十円。一束三十円のゆでうどんは、三十五円にならぬで四十円。一わ四十円の乾めんは六十円。即席めんも、四十円は末端小売価格で六十円。すべてそういうことになってしまった。  そこで、さらに突っ込んで調べてみると、この一斤パンで、ソフトゴールドという第一パンの製品でありますが、この原価を、こまかく計算さしたものを出していただきました。そうすると、一斤パンの中身に占める粉の値上がりは、原価計算すると、わずか七円五銭なんですね。第一パンは、副原料について、二円七十六銭値上げをするという。七円五銭の粉の値上がり、これは三七%上げたわけでありますから、これに副原料の二円七十六銭、そうすると、合計九円八十一銭、これが粉と副原料の値上げ分であります。それで包装紙が二円四十九銭、ラベルが三十二銭、合計いたしますと、全部で十二円六十二銭になります。そうして労務管理費その他の値上がりというのがございまして、これが三円五十二銭。そうすると一斤パンでソフトゴールドの七十円を九十円にする基礎になる原価計算では、十六円十四銭の値上げになるんです。これは、粉の値上げ分のほかに副原料だ、やれ包装紙だ、ラベルだ、これらを一斉に値上げ部分に取り入れて、労務管理費まで入れて十六円十四銭というものが出てきた。  そこで私は、この二十円の値上げというのは、まことに不当であるということで、いろいろやりとりをいたしましたが、農林省の皆さんも、食糧庁の皆さんも、いや二十円は確かに、いささか不当な気がする、十六円ぐらいが正しいように思うというお答えを、当時やりとりの中でいただきました。しかし十六円というのは、売り買いに非常に不便だから、二十円はしかたがないのではないかと言わんばかりのお話が、実はありました。これは、たいへん間違っておると私は思うのです。なぜ間違っているかといいますと、実際に上げなければならない、つまり、どうひいき目に見ても、こんなことはないと思って、それでがまんして聞いても、十六円十四銭しか上げる必要のないものを二十円に上げた。食糧庁の方も、十六円ぐらいが正しいと言っておられた。そうすると、残り四円というのは、どんなにひいき目に見ても、全く理由のない値上げだということになる。  このことは、一般の家庭ならば、十六円で四円なんという金はというようなことで、めんどうくさいからということになるかもしれませんが、そんなことを言ったら、じゃ特別養護老人ホームだとか施設の子供さんだとか、これには東京都だって、うんと苦心しております。そういうところは、一円、二円のことで一生懸命厚生省ともやり合っているわけでしょう。そうなると、そういう安易な、十六円しか理由がないのに二十円に上げた、この四円は、ここのやりとりで、売り買いにはんぱな金でどうのこうのと、そういう筋道のものではない、こういうふうに私は思うわけでありまして、このあたり、もう少し——いまから説明してもおそい。  さっき一応ありましたから、結論を聞きますが、つまり、そういう指導のあり方ではほんとうの行政指導にもならぬし、値上げを押えることにもならないという気がするのであります。そこのところを、皆さんが一体どう考えられるのか。私は、こまかく説明を承りましたが、皆さんは、こういうふうに考えて話しているが、結果的に業界が上げるという金額に全部なってしまった、こういう現状であります。そこらについて、私は、大いに食糧庁に責任ありと考えているのですが、いかがでございますか。
  158. 志村光雄

    ○志村説明員 いま、パンの値段について、本年一月に七十円から九十円に引き上げたことは、小麦粉価格が大きな原因ではないか、しかもまた、先生お調べの小麦粉あるいは副原料等を入れますと十六円何がしになる、二十円は大幅ではないか、こうおっしゃいますが、第一パンの調査では、まさにそのとおりだと思うのです。ただ、パン企業は、全国に六千ございまして、しかも大半が中小企業であります。原価計算といいましても、業態が非常に多種多様であって、しかも製品も、非常にバラエティーに富んでいるというようなことになりますと、なかなか原価計算を、一義的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、非常にむずかしい状況があるわけであります。  そこで、私たちも、十六円程度が、工場の出し値の段階では妥当かと考えますけれども、そのあとは、一次、二次、小売店という流通段階があるわけでございまして、流通段階のコストにやはり四円程度はかかるというふうに認識をいたしまして、二十円というのは、まあやむを得ないといいますか、許容され得る範囲内の価格ではなかろうかというふうに考えて、二十円ということで御指導申し上げたわけでございます。  それから、先ほどの話に返って恐縮でございますが、ビスケットなりパンなりは、小麦に全部五〇%のウエートがあるようなお話のような印象も受けたわけですけれども、ビスケットにいたしましても、小麦粉のウエートというのは、配合比率で申し上げましても、大体二八%程度でございます。これはハードとソフトがありますから、多少の変化がございますけれども、ビスケットでいいますと、配合比率が二八%ぐらい。小売価格一〇〇にいたしますと、先ほどのパンと同じように、原価の中では、小麦粉代というのが八%なり、あるいは五%というような程度になっているのではないかと思います。
  159. 大出俊

    大出委員 だから、引き金になったということになる。  そこで、いまお話しのように、パンの製造業というのは、六千店舗もあるとおっしゃる。千差万別ですよ。そこに中小零細企業対策をどうするかという問題が出てくるわけですね。だから、皆さんはお出しになっているのでしょう。第一パンで私が取り上げたこれ——大きなところというのは、いろいろなことをする。ここに明治パンがございます。天下の大企業。これは明治パンの価格表です。これに名前と番号がついている。ここに、何個くれというのを記入して出すと、商品を持ってくる。  ここに、無漂白の食パンで九十番というのがある。大きな見出しで食パン。その中身が、第九十番無漂白食パン。これを、七十円を九十円にいたしましたというわけです。そして百九番というところには、同じ無漂白の食パンがありまして、これは百円で売りますという食パンです。そこで九十円のほうを、これは標準パンのつもりで申し込みますと——明治パンは、最初のうちこれを少しつくった。すぐそのあとからは、いや、当店は注文書の中に九十番の無漂白パンを入れておりますが、実はもう製造していないのです、この百円のほうにしてください、こう言うわけです。ここへ載っけておきませんと、いろいろ問題が出るんです、皆さんのほうだって、そう指導しているんだから。載せてはあるけれども、これはつくらないのだ。しようがない、申し込んだほうは、ここと取引しているんだから、泣く泣く九十円のものを消して百円のほうに書く。何のことはない、九十円が実際には百円なんだ。実際には、こういうことになっている。  あなた方、何も知らぬじゃないですか。困るのは、あそこのパンは高いわと言われる小売店なんです、実際には。標準パンを下さいと言ったら、これは九十円で買えるはずなんだ。そうでしょう。価格表にあって、申し込み書にあったって——これは注文書というのです。これは全部番号を振って、品名が書いてある。ここへ鉛筆で書けば、裏に全部写るようになっている。そうでしょう。それが、九十円の申し込みはないんだ、百円だ。形の上で、農林省がやかましく言うから、そういう逃げ方をして、実際にはつくっていない。そういうことにばかりなっているところあたりまで突っ込んで、きめこまかくやってくれなければ、小売店舗の指導なんかできやしませんよ。そうでしょう、何べん言ったって、しようがないけれども。これは人の問題もありましょう。そこまで、こまかくやっているひまがあるとかないとかもありましょうけれども、そこらのところは、もう少し私は気を使っていただきたい。  これは、お願いでございます。だから、とやかく言うつもりはありませんが、こういう商法のあり方は、ほとんどが突き詰めていくと、小売店にしわが寄っていく。非常に売りにくいと困りはてているのです。だから、そういうところを、やはり皆さんのほうで気を使っていただくように。これは通産省で、相談の窓口をおつくりになって小売店舗、こうなっていますけれども、それは、やはり関係の省庁との関係をお考えいただいて、政策的にこういうことにするということでなければ、相談に来た、ああそうですが、お困りでしょうかといって話を聞いたって、これは相談にはならぬ、指導にもならぬ、そこを心配するのです。せっかく、こういう協会がお出しになったものだから、例をあげたわけでございまして、そこのところは、通産省だけにしないで、ぜひひとつ、食糧庁その他の関係のほうも、一緒になってこれは御相談いただきたい、そういう意味で申し上げているのです。
  160. 志村光雄

    ○志村説明員 いま先生御指摘のようなことは、私たちもいろいろ聞きましたし、事実あったわけでございます。  そこで、九十円パンを常置するように、三月の初めと思いますけれども、さらにまた、九十円を引き上げるというような話もありまして、急遽、主要都市の食パンのウエートの高い大メーカー、それから中小の団体の関係者を呼びまして、九十円パンの常置販売については確実にしてもらうように、そして、その過去の九十円パンの全製品の中に占める各社のウエートを報告させまして、その比率は、常時今後守るように、強力に長官から行政指導をいたしておりますし、また三月十六日の閣議決定による物価対策等もありまして、私たち組織をあげまして、食糧庁関係の品物については、常時、事務所をして定点観測をやらしておりまして、そういうことのないように、強力に物価安定のために努力をいたしておりますので、そういう状況を御報告申し上げて、御理解を得たいと思います。
  161. 大出俊

    大出委員 ここに、小売店舗の方々が、自分で商売をおやりになっていて、抜き書きをしてまとめている資料があるんですが、小売店の商売を始めて何十年にもなるが、たった三カ月足らずで倍の値段になったのは初めてである、これでは全く売りにくくて、生活ができないというんですね。そして中にこまかく、森永のビスケットというのは、百円だったものが十一月になったら百五十円になって、一月になったら二百円になったというところから始まって、こまかく書いてあります、自分のところの商品の扱いを。  で、この中には森永、明治、不二家、グリコという四大メーカーがありまして、五番目は長崎屋でございます。それでチョコレートもそうでありまして、このチョコレートというのは、全国六十何軒ありますけれども、あとは、まあココアパウダーに詰めて、銀紙をかぶせて売るという程度ですから、大手のこの商品がなければ小売店舗は商売にならないのです。そこを、こういうふうに上げていきますと——実はこの森永も不二家も、私の足元の横浜に工場がありまして、そこの組合の方々とは、十何年にわたる、最も近い関係にある労働組合なんで、たいへんどうも恐縮に思うけれども、その組合の方々には。まして私自身も、こういう政治をやっておりますから、その支持団体ですから。だけれども、それはそれとして、やはり納得できないことは、はっきりさせなければいかぬと思って、ものを申し上げているので、ひとつそういう意味で、これは公正取引委員会の方に、私が疑問に思いますので、皆さん、お調べいただかなければ——どこがとうなっているのかというようなことを、私から申し上げるわけにはまいらない。まいらないが、不合理に思えることだらけでありますから、そう点は一ぺん、やはり公正取引委員会の責任もございましょうから、そういう意味でお調べいただきたい、こういうふうに申し上げたわけでありまして、その意味での御回答をいただいておきたいのであります。
  162. 後藤英輔

    ○後藤(英)政府委員 先生の御指摘になったこと、初めて実は知ったような次第でございまして、いろいろ私どものほうといたしましても、独禁法の点から見まして、問題になると思われる点がございますので、ぜひその点については調べて、至急明らかにしていきたいと思っております。
  163. 大出俊

    大出委員 これは、他意があって申し上げるのじゃなくて、やはり取引は公正でなければなりませんし、そのことが小売店舗に集中的にしわが寄っては困りますし、そのことが今度は、消費者にはね返るということは、なお重大でございますから、そういう意味で申し上げているわけでございますから、ぜひひとつ、事を荒立てて云々じゃございませんので、公正な立場で一ぺん御検討、御判断をいただきたい、こういうふうにお願い申し上げておきます。  次に、簡単にかけ足で承ってまいりたいのでありますが、長い時間はかけないつもりでおりますが、ここ数年、マグロの一船買いをはじめとする凍結魚、正式には凍結魚という表示をしてありますが、これが、たいへん大きな問題になっております。神奈川県、そして静岡県、ここらは、たいへん問題が多いわけでありまして、ここでも一番私が心配をいたしますのは、ここに新聞の記事もございますが、これは昨年のことでありますけれども、零下大体四十五度近辺まで冷凍をいたしておきますと、マグロ船で帰ってくるのは、みんなそのくらいになっておりますが、そういう低冷温の倉庫というのは、非常に少ないのでありますけれども、大体二年間、色も変わらぬ、味も落ちないという。ただ置いておきますと、国会のすし屋のマグロもそうでありますが、すぐ黒くなります、これは冷凍期間が非常に長いものでありますから。  しかし、そういうものは味も色も変わりませんために、たとえばいま食べているマグロがいつのマグロか、実はわからぬのです。花見どきになると、まさか花の下へ行って、ウィスキー持っていって、チーズ食うわけにいかぬわけでありますから、どうしてもマグロになる。とっくり下げていくことになる。ところが、その時期はマグロはべらぼうに高い。しこたま冷凍をしてためておいて、たいへん高いところで一船買いしたものを持ち出すという。たいへんなこれは利益を上げることになる。そういう一船買いのシェアがどんどんふえていくために市場に出ない。出ないから、この新聞にありますように、中小の仲買人にとっては、まさに死活問題である。加工用の雑ものは別として、さしみ用のメバチ、キハダ、本マグロなど上物のマグロは、極端な品薄となり、相場は高騰、五、六本という小単位の取引をしている仲買人の資力では手が出せなくなった。  この二年間で、これは神奈川県の三崎でございますが、同市場の二百人近い仲買人のうち十六人が転廃業をしており、今後もふえそうな気配である。そこで、この仲買人の方々二百人ばかりが加盟している三崎水産協同組合、組合長は久野又兵衛さんという方でございまして、水産庁の調査官の中山さんたちとは、昔からの知り合いだそうであります。この久野さんも、とうとう責任を負っていまやめてしまいました。ここに役員が全部辞表を出しているんですね。本年に入りまして調べてみますと、もう減る一方で、この仲買の方々は、かといって長年なれた商売だから転業もできず、とにかくどうにもならぬ。  この間、清水へ私、直接三回ばかり参りましたが、行って調べてみますと、こちらもそうです。にっちもさっちもいかない。これは二百人もいる仲買人の方々がどうにもならぬ。みんな中小零細、五、六本のマグロしか買えない。おりてこない。  それで、私、行きまして、車頼んで乗って、清水の、江尻と申しましたか、新しいマグロの防波堤、マグロ岸壁、ここを案内してもらいましたら、全くめちゃくちゃで、清水の地元の人が、一年間でマグロを食うことは、ほとんどないというのです。目の前にマグロをぶら下げて、起重機で運んでいるわけですね。岸壁へ満ぱいなら船が九隻着くのです。それがもう目の前に見えている、それでマグロを食ったことがない。赤マグロといわれるビンナが、トンボと現地では言いますが、これなんかでも、何と一人前百五十円から二百円はする。さすがに食う気はしない。そういう状況になぜなってしまったかという、これは非常に実は大きな問題であります。  実は、事こまかに調べておりますけれども、清水の例で申し上げますと、目の前にこのマグロ、新しくできた埠頭でありますが、たしか江尻港といいましたが、目の前に三菱商事のでっかい看板がかかっておりましてね。三菱商事総代理店東洋冷蔵、こう正面に書いてあります。それで三菱の冷凍車、自動車ですが、これが、いや百二番だとか何番だとか、ずらりと並んでいる。たいへんなものであります。この東洋冷蔵という倉庫は、三菱商事の総代理店です。ここに書いてありますが、三菱商事総代理店東洋冷蔵、こうなっている。六千トンの倉庫なんですね。これは、もうここへ揚がってくるのは、みんなここへ吸い込まれていってしまう、こういうかっこうでありますパレット方式なんていいまして、風を送って氷の膜を魚につくっておくような形で、非常によくできております。こういうシェアが非常にふえてきている。  皆さんに、この一船買いの問題を、どこかでメスを入れる気になっていただかぬと、高値安定で、消費者は常に高いマグロを食べざるを得ないし、中小零細の仲買いは、みんななくなってしまう。このままほっておけない。最近、特に私が心配をするのは、だんだん寡占化してくる、一船買いがどんどんどんどんふえてくる。そうすると、最初のうちは、十カ月あるいは一年かかって、シドニーからあっちのほうへ行ってとってくる生産者の側も、無線で海上連絡をして買ってくれる、その場合に市場へ出すよりは多少高く買ってくれるから、一船買いに安心して売っていた。ところが最近は、シェアが完全に確立してきているものですから、逆にたたく。そうすると、生産者の側は押えられて安く買われる。それて消費者の側は——東京築地の例を申し上げれば、五つばかり元請があります。この五つの元請の大株主はみんな商社だ。だから、一日二百本しか出しちゃいかぬと言われると、二百本しか市場に出せない。五軒の元請があったって千本しか出せない。そうして千本しか出ない上に、商社が考えていたような値がつかなければ、ダミーや仲買いを置いておいて、それを、ぽんと少し高値をつけて一括買っちゃって、もとの冷凍倉庫に舞い戻り。焼津でもそうです。清水でもそうです。そういうかっこうにしちゃっちゃ、これは、えらいことだという気が私はするわけであります。この寡占化された姿というのは、値段をつり上げているのみならず、結果的に、いま私が申し上げたような、生産者の側、とってくる側もたたかれて泣かされる。もうここまでくるとほうっておけない、こういう気がいたしまして取り上げるわけであります。  そこで、水産庁の方々がまずどう考えておられるのかという点。それから最近、行政管理庁が物価問題について幾つかお調べになっているが、その中で、静岡の行監で「物価対策に関する行政監察 流通機構を中心として」、「第一、監察目的」から始まって、静岡はマグロどころでございますだけに、マグロ重点に調べています。これは、いただいて全部ここにございますけれども、ただ行監の内部で、いろいろ全国的な視野でものを見たいというお話でありますから、直接的にこれをぶつけて云々ということは避けて通ります。しかし非常にいいことが、この中には書いてありますから、その辺だけは申し上げなければならぬと思います。  そういう意味で、これをどうするか、死に絶えていく中小の数百軒の仲買いの諸君を一体どうするか、深刻な問題でありますから、お考えをお聞きしておきたいのであります。
  164. 月本道彦

    ○月本説明員 お答え申し上げます。  いま先生の御指摘になりました、まずマグロの値段の問題でございますが、マグロの価格につきましては、昨、四十八年の暮れが一番高かったわけでございまして、この四十九年に入りまして、二、三月は、生産者価格、消費者価格とも、弱含みに推移をいたしております。  それから、一船買いの問題でございますが、私どものほうで調べましたところによりますと、三崎におきましては、四十七年の暮れごろ行なわれたような一船買い、すなわち全然物を見ないですばり船ごと買い取るというような形のものは、少なくなってきておるのではないか。といいますのは、仲買いの方が見本を見た上で、共同でお買いになるというようなケースも、相当ふえてきておるように聞いております。  先生が御指摘になりました清水につきましては、あそこは商港と漁港と二つ分かれておるわけでございますが、商港のほうにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。  それで、これを今後どういうふうにするかという問題でございますが、これは昨年も先生に御指摘をいただいたわけでございます。しかし、この一船買いの船主側からするメリット、すなわち短期間に見通しのついた額でさばけるというメリットが、船主側からするとあるわけでございますが、零細な中小の仲買いの方からいたしますと、やはり先生御指摘のような問題もございます。  それで今後、そういった仲買いの方の協業化と申しますか、そういう方向への指導を強化してまいりますとともに、大消費地にストックポイントをつくりまして、これは本年度予算から手当てをいたしたわけでございますが、価格の安定をはかっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  165. 大出俊

    大出委員 時間を節約いたしたいので、たいへんこまかく私は調べてあるんですけれども、ポイントだけ申し上げます。  まず第一の問題は、一船買いといわれる形のものが、どんどんどんどんふえているという現実は、正しくつかむ必要があると思う。水産庁の皆さんに、私、昨年も承りましたが、さっぱりどうも確たる資料をお持ちでない。お出しにならぬ。しかたがないので、私は清水へ自分で出かけて何回も調べてみた。あそこには、御前崎の漁業家の方々が集まってつくっている明星という倉庫があります。これは新しい倉庫でありますけれども、そこの櫻田専務にもお目にかかったり、あるいは清水市の水産課の責任者の方にもお目にかかったり、いろいろやってみました。かつ「漁港清水」という資料がございますが、これは清水漁業振興会がおつくりになっておる。本年分ができたという連絡をいただいておりますが、これは昨年度のものであります。  ここに昭和四十三年、四年、五年、六年、七年の、クロマグロ、カジキ、キハダ、メバチ、インドマグロ、ダルマメジ、トンボ、これまでがマグロであります。以下カツオ、アジ、サバ、その他、こうなっておるわけでありますが、この各マグロの種類別に各年度の水揚げ総量、その水揚げ総量を、鮮魚と凍結魚に分けて、おのおのの魚種の、カジキならカジキの鮮魚のトン数、その下に、鮮魚でさばかれた金額、凍結魚で揚がったトン数、取引された価格、これが全部記載をされております。ずいぶん苦労してのお調べであります。  これを、中に入ってさらにこまかく検討いたしますと、こういう結論が出ます。簡単に申し上げますか、四十五年、六年、七年——八年分もございますが、三年分だけ申し上げますと、四十五年はカジキで鮮魚、冷凍でないほうが二千五十一トン、金額で五億九千五十三万円、キハダが三千七百九十トン、九千七百九十七万円、メバチが三千六百三十六トン、金額にして十六億七千七百四十万円、インドマグロというのは非常に少なくて五十トン、百二十五万円、こういうことになっているのです。  これは、数字だけあげて、あとは結論を申し上げますが、冷凍のほうが、カジキが八千六百五十一トン、三十六億九千八百七十六万円、キハダが一万百三十一トン、二十六億五千六百四万円、メバチが一万四千八百二十四トン、四十七億六千百六十九万円、インドマグロが千四百五十四トン、六億二千二百九十七万円、こういう数字になるのですが、この総計をいたしますと、一船買いが七八%、そして鮮魚が二二%であります。  なぜ、こういう数字になるか。皆さんの静岡局がとったのとも違うのですが、なぜそうなるかといいますと、ダルマメジであるとか、トンボであるとかいうのは、品種が落ちますので、ほとんど鮮魚で、凍結魚のほうには入っていないのです。これは市場に出るんです。かん詰め用にこれを使ったりしますけれども、取引が違う。凍結魚にしてみても採算がとれない。この分まで入れて計算をするから、行管の調べで、六七%が一船買いだというような数字になる。  ところが、商社のやつを調べてみますと、時間がありませんから、こまかく申し上げませんが、実は商社というのは、もうかるもの以外は買わたいのです。この点はみごとなものです。だから、カジキやキハダというのは、もとはさしみ用ではないんですけれども、最近はもうりっぱなさしみ用です。カジキ、キハダ、インド、メバチ、これしか買わないのです。そうすると、四十五年は七八%が一船買いで二二%が鮮魚なんです。それが四十六年になりますと、いま七八%と申し上げましたが、さらに一%上がりまして、七九%が一船買いで二一%が鮮魚なんです。四十七年になりましたら、さしみ用マグロ、何と八六%が一船買いです。そして一四%が鮮魚なんです。  さて、昨年、四十八年度になりますと、これは新聞に出ております。サンケイ新聞でありますが、サンケイの方々がお調べになって、お書きになっている。静岡の行政監察局が調べるというので、そのことに触れて、ここにお書きになっている。おおむね九〇%です、さしみ用でいいますと。八六%じゃない、まだ上がっている。そうすると、さしみ用マグロの九割からのものを、一船買いで押えたのじゃ、あまり商社か買い過ぎまして——築地の周辺のやつも調べてみましたが、主として静岡や何かのああいうマグロが入ってくる、マグロ船が着くところの倉庫を使っているが、完全に満ぱいです。  私が三月に、一生懸命調べましたら、倉庫に入って聞いてみると、四月の花見どきをねらって完全な満ぱい、荷動きありませんというのです。買えるだけ買った。そこで買い過ぎまして、古いものもありますから、それを市場には少しよけい出している。よけい出しているから、少し値段が落ちているということなんです。そのかわり、新しいものを一ぱい買っちゃっている。四月の花見どきにどっと出ています。  たから、その形をながめてみると——私は、全部こまかく調べ上げてありますが、さすがにこれは行管だと思うのでありますけれども、行管の世てっぺんの方々には、全国的視野での判断がおありだということは承っておりますから、そのことをじゃまする気はありません。ありませんが、これは行管の静岡の監察局の方々が、先ほど表題で申し上げました行管の方針でお調べになった。ここで実に的確に指摘している。三菱商事とか日本冷蔵とか極洋などの商社や大手水産会社が、やたら一船買いをやってしまっている。これは年々ふえている。市場へ出ない。市場に出ないから、仲買いの諸君というのは、ほんとうに消えていきそうになっている。そして、この形の寡占化がどんどん進んでおる。  もともとは、一船買いは船主側、とってくるほうも、メリットがあったということなんだが、ここまで来ると、そういうことにならないというのです。そして管理価格の形成が可能となったと書いてある。調べてみたら、少数の商社、水産会社に一船買いは限られてしまっておる。だから、一般の買い受け人は、完全に締め出されてしまっておる、仲買いは。将来、一部の大手企業に買い占められた場合、これ以上買われたら、完全な管理価格の形成が可能となる。だから、相対取引であるため、市場の必要性が希薄となり、市場否定にもつながる。ここまで来ている、行管の現場の方はこう言っておられる。  これは、私どもが調べて、数字を克明に当たりましたが、まさに同じ結論が出てくる。だとすると、行管のてっぺんの方々、本庁の方々が、いろいろな配慮をお持ちのことはわかる。実にいい資料をまとめておられます。こまかいことは申し上げませんが、しかし、ここで指摘しているこのことについては間違いがない。そうすると、何らかのことを、この際やらなければ、消費者の側から見ても、おさまりがつかぬという気が私はするのであります。  そして、価格のお話がありましたが、二つの価格のとり方がございます、まるのままとそうでないものとの場合がございます。だけれども、私の調べた限りでは、年間ずっととってきますと、十二カ月の間に波はあります。ありますが、焼津の例でいいますと、これはキロ当たり平均単価でありますが、四十三年が二百六十八円、四十四年が三百六円、四十五年が四百十二円、四十六年が四百七十五円、四十七年が五百三十四円、四十八年が六百四十九円、ずっと上がってきてしまっておる。これは焼津の市場調べです。そうすると、起伏があったって、一つも下がってはいない。高値安定どころではない。高値のまま推移しておる、こういうかっこうなんですね。  これは、もうほっておける段階ではないという気がいたします。このあたりで一体どうすればいいか、中小の魚屋さんまで含めて——マクロというものは大衆魚で、みんな食べたいというのに、どこの魚の小売り屋さんに聞いたって、先生、マグロより肉のほうが安いから、みんなそっちへ行ってしまいますよというわけです。そういう形にしていいはずはないという気が私はするので、ここらのところは、行管の方々からも一言ほしいのであります。御答弁をいただきたいのであります。
  166. 大田宗利

    ○大田政府委員 ただいま先生から御説明がありました、静岡のマグロの一船買いにつきましては、本庁といたしましても、よく承知をしております。たしか、四十七年度の実績も載っておったと思いますけれども、静岡全体で十二万トンくらい、その中で清水港についてが大体六万一千トン、その中で一船買いが大体五万トンくらいと承知しております。  静岡局の調査といいますのは、実は昨年度の終わりに実施しました流通機構に関連いたしまして、報告したものでございますが、本来的には、アジとスルメイカを中心に調べたいということでございましたが、特に静岡局では、一船買いの問題につきまして、報告したものでございまして、それの問題点というのは、よく承知しております。  ただ、一船買いの問題につきまして、全般的に行政管理庁として意見を申し上げるにつきましては、まだ若干不足であるということで検討しておるわけでございます。流通機構の問題もございますし、それから、いろいろ派生する問題もございます。それから実際問題として、消費者はどちらが有利なのかという問題もございます。そういういろいろな点を検討いたしまして、時期を見て、その実態を調査してみたいという考え方でございます。
  167. 大出俊

    大出委員 これで私、もう締めくくりますが、昨年、船のトン数に比べて一番よけいマグロをとってきたという第十八南海丸というのがありますが、この船は三百三十トンです。マグロ船というのは、大体、三百トン前後のマグロを積んできておるというんですね。ところで、マグロ一本大体五十キロなんです。ですから、二百五十トンぐらいマグロを積んできますと、一つのマグロ船で、まあ四千本から五千本積んでくる、最近は八百トンだ、千トンだというのがありますけれども。こういうことで、実はこれだけの漁獲量があって、これは減っていないんです、皆さん、公害騒ぎで減った時期がございましたが。日本が海賊だといわれまして、ソ連の悪口を言えないんですけれども、豪州近辺、シドニー近辺へ行って、マグロの影がなくなるまでとっちゃうんですからね。日本の船というのは、いなくなるまでとっちゃうんですからね。  これを見ていきますと減っていない。私、ここに全部計算して、四十三年からございます。四十三年、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、こうありますけれども、減っていない。四十七年が六万九千四百五十一トン清水へ入ってきている。四十六年が五万六千八百五十三トン。だから、四十六年に比べますと、一万三千トンばかり四十七年が四十六年より多い。確かにこれは、四十四年ぐらいですと、七万七千トン入っておりますから、六万九千トンという数字は、幾らかこれより量は少ないんですが、中だるみがありまして、漁場を新しく開拓している関係もあって、上がってきているというかっこうなんですね。  そうすると、なおのことこれは、マグロが少なくなって、高くなったんだと言い切れない面が実はあるわけであります。したがって、こういうたくさんのマグロをながめていて、高いマグロだから手も足も出ないというようなかっこうのままになぜなっているかというと、この一船買いが原因なわけでありますから、その意味では、流通経路を追って、もう少し実は皆さんにお調べいただきたいところなんであります。これは、何らかの手を、水産庁側として打つべきではないかと考えるのですけれども、いかがでございましょうか。
  168. 月本道彦

    ○月本説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の一船買いにつきましては、先ほど申し上げましたようなメリットの点——これは船主の側からするところのメリットということですが、それもございますが、先生御指摘になりましたような問題点も確かにございますので、十分調査をいたした上でなお検討を加えたい、こういうふうに考えております。
  169. 大出俊

    大出委員 これは、運輸省が業務用倉庫などを管理しておられて、おたくのほうは、自家用その他をやっておられるわけですね。これは比率もございます。  そこで、皆さんのほうでは、管理費などまで出して倉庫をこしらえようとなさっている。冷凍倉庫を漁協などに持たせようとしている。それは一体、何なんだと聞いてみると、安いときに買っておいて、高くなったところで、いまの一船買いがどんどん詰まっていくから、それを放出して調整をする。ところが、じゃ、それはどのくらいのものに当たるかというと、二千万トンからの凍結魚のうちの、わずか三%から五%なんですよ。言いわけにはなっても、実質的には何の価値もない。  だから、これでもうおしまいにいたしますが、エビなんかながめましても、私、下の衆議院の食堂のすし屋さんに聞いてみて調べてみた、ことしになってさっそく。ほかもずいぶん聞いていますが、一番皆さんにわかりよいと思いますから。そうすると、皆さんすしを食っておられるけれども、アオヤギ一つ、あれ六十円なんですよ。アオヤギなんていう、ほんとうにばかみたいなものが六十円。皆さん、すしに食べるエビですが、中身百匹から百十匹入っている二十六の三十という、これは箱の形ですが、これが去年が四千四百円、ことしの一月になったら五千二百円にはね上がった。そのエビをみんな食べているわけですよ。それから三十一の四十という、これは中身が百二十匹から百三十匹だから、ちょっと中型、これが三千九百五十円が四千四百円、去年とことしの開きが。四十一の五十八、安いところのすし屋さんが使っている小さなエビ、これは百三十匹以上入っているが、これは三千百円が何と四千円。この月また上がると言う。   こういう形になっている根本原因は何かというと、いまの冷凍魚、凍結魚の流通というものに対する寡占化なんです。商社その他を中心とする寡占化なんです。だから、そういう点を考えていかなければ、中小仲買いなんか、これは、みんな持ちはしません。  この間、通産省の方がお見えになって、これは、そういうところまでの方をどういうふうにするのですかと聞いたら、そういうところも相談したいのだと言う。したいのだと言うんなら、一体この根本的な問題をどう考えるかを、詰めていかなければ、これは水産庁として、あるいは農林省として政策をお持ちにならなければ、この中小零細の市場内で商売をしておる方々は救済できません。金貸してみたって、品物がなければどうにもならぬ。そこらのところを、どういうふうに大きく押えていくかという考え方が基本になければ、これまた中小零細企業、商店の救済はできない、こう私は思います。  これは、実はそこらのところまで入って、せっかくおつくりになる機構ならば、ものをお考えいただくことにしていただかなければならない、こう実は思っているわけでございまして、実は数々ございますけれども、時間の関係がございますから、この辺にいたしますが、ひとつ最後に大臣のほうから、せっかくおつくりになるのですから、この中小零細企業あるいは小売店対策というものを、単に中小企業の窓口だけにしないでいただいて、ひとつ閣内で御相談をいただいて、できることならば、関連をする幾つかの省庁があるわけでありますから、そこらで横の連絡協議をするような形をお考えになって——それは、方々に中小零細企業の相談場所がございますが、せっかく小規模企業部と銘打って、しかも小売商店とまで銘打ってこしらえるということであるならば、そこらのことを、これは皆さんのほうでお考えおきをいただかないというと、せっかくつくったけれども、何をやっていたのだということになったのでは、せっかくの御提案が意味をなさない。  大臣がおっしゃる、ないよりはあったほうがよかろうという程度になったのでは、これはまた困るわけでありますから、そこらのところをどうお考えになるか。例を幾つかあげましたが、一応お答えをいただきたい、こう思うのであります。
  170. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いろいろ具体的な例をお示しいただいて、中小企業政策の大事なポイントを御指摘いただきましたが、要するに、ばんそうこうと赤チンキで出先をかけめぐるという程度のことではだめで、もっと基本を正せ、物流の流れの基本を、各省庁協力して正しておけという御指摘のように思います。確かに指摘されてみると、そういうこともあるように思いますので、各省庁とも相談をいたしまして、そういう基本的な問題について、斉合性が行なわれるように努力してまいります。
  171. 大出俊

    大出委員 たいへんむずかしい問題ではございますが、こういう世相になりますと、小規模企業部というのは一まあ管工事の問題にきょう触れようと思ったが、時間がなくなりましたけれども、最近また塩ビ関係の値上げ、二次製品の値上げが出てきておりまして、どうにもならぬ状態でもございます。どうかぜひひとつ、むずかしいのですけれども——だからこそ、何とかしなければならぬ、そういうことでのまた御提案だと思いますので、いまの御趣旨に従って、前向きに取り組んでいただきますようにお願いいたしまして、長くなって恐縮でございましたが、終わりたいと思います。
  172. 徳安實藏

  173. 中路雅弘

    中路委員 きょうは、自動車の関係の問題を御質問したいのですが、最初に一、二点、法案に関連してお聞きしておきたいと思います。  今度の改正が、現在ある計画部、指導部の二部のほかに小規模企業部を設置して三部とするという内容ですが、いま非常な金融引き締めその他で中小、特に零細企業の経営が苦しくなっている中で、小規模企業者が非常に不安な状態に置かれているわけですが、今度のこの小規模企業部というものが、ほんとうに小規模企業のために、指導援助が行なわれるという機関になるためには、この運用やあるいは運営について、公平、適切にやられる必要があると思うのです。  今度の予算を見ましても、小規模事業対策費あるいは小企業経営改善資金融資等が中心にあるわけですが、こういう予算が適切に使用され、また関連して商工会、商工会議所の経営指導員あるいは記帳指導員、これが非常に大量に増員されますが、こういう人たちが公平な運営をやられる必要があるという点から、一、二点、最初お聞きをしておきたいのです。  通産省の都道府県あての通達、これは指導文書ですが、「小規模事業指導費補助金の運用について」という通達が出ています。四十八年度、こういう指導文書が出ていますね。
  174. 外山弘

    ○外山政府委員 「小規模事業指導費補助金の運用について」という通達を出しております。
  175. 中路雅弘

    中路委員 この通達のなかで、たとえば補助対象職員の「採用のあたっては、多方面に募集する等、人材の確保に努めつつ、既存の補助対象職員については研修、不適格者の排除等により」云々というのがあるわけですが、この補助対象職員についての何か特別な基準というのはあるのですか。
  176. 外山弘

    ○外山政府委員 経営指導員の採用基準というのがございまして、これは学歴と経験年数と両面にわたって一つの基準を設けまして、そして資格づけを行なっているわけでございます。つまり、それに基づいて、採用するようにということで、指導をしているわけでございます。  いまの「小規模事業指導費補助金の運用について」の通達中にございます補助対象職員の資格というのは、まさにそういった採用基準に基づいて、採用された人に対する運用通達ということになる  わけでございます。
  177. 中路雅弘

    中路委員 そうしますと、ここで書かれている「不適格者の排除等」という、これが具体的に、何かさすのはあるわけですね。
  178. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘の「不適格者の排除」ということの意味は、小規模事業者に対します経営指導を行なうに足る能力を欠くに至った者が、経営指導員としてはふさわしくないということから、指導能力のある者にするようにということの趣旨でございます。経営指導というのは、相当な激務を伴うということも考えられますので、たとえば指導員が高齢に達してしまう、あるいは病気で長期欠席をするとか、経営指導を十分に行なうことができない場合があるというときに、これは小規模事業対策として問題であるというふうな判断に立ちまして、極力、指導能力のある経営指導員として、と置きかえるようにというふうな趣旨を込めて、そういった表現をとっているわけでございます。  小規模事業者に対します経営指導に携わる経営指導員が、その任務の重要性にかんがみまして、指導能力を十分備えていることが必要である。したがいまして、こういったようなことを書きまして、能力を欠くに至った場合には、それに対して適当の措置をとるようにしてほしい、こういう意味で、こういった表現がとられているというふうに御理解願いたいと思います。
  179. 中路雅弘

    中路委員 そういう趣旨で見ますと、職員の研修といいますか、質を向上させるというところに重点があるとすれば、また、能力を欠くという場合に、老齢だとか病気等によって十分職務ができないということになりますと、結局、その職員はやめる。そのやめた場合の生活保障のことも考えなければいけない。そういう者が対象だとすれば、ここで「不適格者の排除」ということばが使われているわけですが、いまお話しされた趣旨からいえば、この中心の問題は、いまおっしゃったように、適切な能力を高めていく、質の向上、研修、そういうところに重点が置かれ、また老齢になってやめざるを得ないという場合のことをさす。それ以外にほかの意図はないのだというお話だとすれば、職員について「排除」ということばを、こういう通達で出されるというのは、私は、この問題で別に深く突っ込むつもりはありませんけれども、適切じゃないのじゃないか。通達の中で、こういう「職員の排除」というような用語は削除をされて、何か適切な用語に変えられる必要があるのではないかというふうに思うのですが……。  同じ問題でもう一点だけ、一緒に聞いておきたいのですが、この同じ文書の中で、「経営改善普及事業等の実施方針」というのがあります。この中で、「商工会の役職員が特殊な考え方を持っていたりする場合には、片寄った指導が行なわれることもあり得るので」云々ということで、ずっと指導改善の問題が出ていますが、ここでいわれている特殊な考え方を商工会の役員が持ったりするという、これも、やはり何か基準がおありなんですか。
  180. 外山弘

    ○外山政府委員 この実施方針の中にございます「特殊な考え方を持っていたりする場合には、片寄った指導が行なわれる」という文章が、確かに、御指摘のようにございます。  この文言の意味は、まず商工会の行なう経営指導は、その内容としては、御承知のように、金融とか税務、経営、労務、技術、こういった万般のことにつきまして、小規模企業者の経営全般にわたって指導するわけでございますから、その方法としても、窓口の指導とか巡回指導とか専門指導とか、あるいは講習会、講演会、いろいろな方法もあるわけでございます。さらに、中小企業としても、これらの内容、方法で、適切かつ総合的に、こういった経営指導が行なわれるということを期待もしているわけでございます。  ところが、商工会の役職員が、特定の考え方を持っているために、経営指導員をして特定の内容、特定の方法で指導させることになる。つまり、たとえば自分は税務指導だけに限りたいというふうな例があるとか、あるいは講習会で十分じゃないかというふうな考え方を持つとか、これは例でございますが、そんなようなことになる場合には、これは小規模事業者の経営改善の実効をあげるという意味では、先ほど申しましたような趣旨から見て、いかがというふうな場合もあるかと存じます。また、各般にわたる内容及び方法の指導を総合的に行なうために、補助金を交付しているわけでございますから、そういった趣旨から見ても、当初申し上げましたような全般の点にわたって、いろいろな方法でやはり指導してほしいというのが、私どもの希望でございます。  こういう観点から、指導する際の基準を、ここにきめているということでございまして、こういった指針が通達として出ているということで、私どもとしては、こういった方向でやるのが、やはり適当なのではないだろうか、こう考えている次第でございます。
  181. 中路雅弘

    中路委員 いまおっしゃったように、指導が公平、適切にやられる、あるいは総合的にやられるという趣旨だ。総合的という中には、税務指導だけとかそういうことじゃなくて、もっと総合的にやられる、そういう趣旨だとすれば、いまおっしゃったようなことを、そのままここに、通達に書かれたほうがより文章としても適切です。ここで特殊な考え方となると、いまおっしゃったような総合的ということにとうていとれないですね。幾らか政治的な意図だとか、そういうものにも受け取れる。片寄った指導、特殊な考え方、「排除」ということばが、通達の中に各所にあるわけですが、いま説明されたこの運用が、中小零細の企業者に対する行政の指導が、ほんとうに公平に、適切に、また総合的にやられるという趣旨だとすれば、そういう趣旨を徹底させるという意味での通達を出す。そうでないと、このような中では非常に誤解を与える内容が、この文章の中に含まれているのじゃないか。  あるいは不適格な職員を排除する、いまお話を聞きましたら、それは老齢になって、この仕事はむずかしいとか病気だとか、そういう場合には、当然やめざるを得ないという場合がある、そういう職員の場合に、排除するというような用語で指示をされるというのも、適切でないじゃないかと私は思うのですけれども、この点で——これだけにとどめますけれども、これは三冊になっている相当膨大な通達ですね、全体の都道府県にあてた。そういう中で、こういう明らかに誤解を与えるような内容も含まれていると私、思いますので、この通達について、いま説明されたような趣旨を徹底させるという意味で、不適切な文章のところについては、内容を改めるというほうが、より趣旨がはっきりするのじゃないかと考えるのですが、大臣のほうで一言——この問題で、この通達の文章の上で誤解を与えるようなところは、改善される必要があるのじゃないか。いまの御答弁を聞いていますと、趣旨はわかりますから、その趣旨を、もう少し徹底させるという意味で、正確にされたらどうかと考えるのですが、一言お考えをお聞きしたいと思います。
  182. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 趣旨は、いま申し述べたような総合的な指導をやれという意味でありまして、前後の脈絡を見ても、特に偏向するようなことに受け取られる危険性はないと私は思うのです。でありまするから、通達を変える必要はないと思いますが、しかし、いかにもそういう誤解をする向きがないように、よく注意してやらせたいと思います。
  183. 中路雅弘

    中路委員 特に、先ほどの職員の排除とかそれから片寄った指導、特殊な考え方ですね、こういった点は、あらためて何か出される場合には、ぜひより趣旨が明確になるような方向へ、ひとつ改善をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  きょう御質問したいのは、これは七十二年の六十八国会ですか、ここで私どもの林百郎議員が、一度質問した問題でもあるのですが、陸送中に事故にあった自動車を整備をして、外装して、新車として販売している、いわゆる再生車の問題について、通産省、運輸省に質疑を行なったことがあります。  この中で林議員は、たとえば長野県の当時、実例であげましたが、窪田という人が日野自動車から購入したトラックに、四十六万円の保険金を支払ったいわゆる再生車である事例、これは通産省に対して、この車を新車と偽って売られていたという例もあげまして、こういう問題はどうかという質問をしたことがあります。それについて、当時の中村通産省重工業局自動車課長は、このような車を新車として販売するということは、たいへんおかしなことだ、まずいことだということで、やめさせるように行政指導したいという答弁をされていました。  その後、この問題に関して通達が出されているわけですが、この行政指導をしたいという御答弁がありましたが、その後、この問題について、いわゆる再生車を新車として消費者に偽って販売しているという問題についての行政指導について、自動車業界にどういう行政指導をやられているのか、最初、簡潔にお聞きしたい。
  184. 野口一郎

    ○野口説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘になった問題でございますが、その後、当方でとりました措置を御報告いたしたいと思います。いま問題になっております陸送中の事故車の件につきましては、あれ以降、当省といたしましては、運輸省と連絡をとりながら、運輸省のほうの措置につきましては、後ほど御説明があろうかと思いますが、私どものほうといたしましては、一昨年の夏以来、自動車業界に対しまして、こういうような輸送中に事故を起こした車につきましては、車をユーザーに売る場合には、その事故が起きた内容あるいはそれに対して修理をした内容というものを明らかにして、ユーザーの了解を求めるなどの措置をとるように指導したわけでございます。  これに対しまして、業界側も、その指導の中身に従いまして、各社、それから各社は、それぞれのディーラー、販売先等につきまして、この行政指導の内容を受けて、それぞれ内部で指導をしております。この措置の中身は、大ざっぱにいえば、二つあるわけでございまして、一つは、例の安全性の見地からどうしているかというような問題もう一つは、商品としてどうであるかという商品性の問題でございますが、この二つの面があるわけでございます。  第一のほうにつきましては、これは役所のほうでいいますと、主として運輸省の担当している問題かと、こういうふうに思うわけでございますけれども、私ども聞いておるところによりますると、完成検査証は無効にする。つまり構造とか装置とかそういうようなものが損傷したものについては、完成検査証を無効にして、すべて中古車の扱いにする、こういうふうに指導しているというふうに聞いております。  第二の、私どものほうの問題でございます安全性については、問題はないけれども、商品性の問題上、これをどうするかというような問題があるわけでございます。こういう場合には、大体、損傷も軽微なものだろうというふうに考えるわけでございますけれども、この問題につきましても、自動車の業界は、当方の指導の趣旨を受けまして、基本的には、これは、もう販売社の取引モラルの問題であるということで、一社一社きびしく販売規制というものを正すように指導をしておるわけでございますが、本件の取り扱いにつきましても、同じようにユーザーの了解をとって、あとあと問題にならないように売るということでやっております。
  185. 中路雅弘

    中路委員 いま御答弁がありました中で、「完成検査終了証の取扱いについて」という通達が出ていますね。運輸省の自動車局長からですか、四十七年十月十六日に出ていまして、この中では、いまお話しのように、「指定自動車が完成検査終了証の発行時点から道路運送車両法第七条の新規登録時点までの間において、事故等により道路運送車両法第四十条又は第四十一条各号に掲げる構造・装置が損傷した場合は、当然、当該完成検査終了証は無効となる」ということで、無効となったこの検査証には「無効」と赤字で記載するとともに、無効となった理由の概要を記載する。そして販売業者等の関係者に、十分周知徹底させるということがこの中にも書かれているわけであります。  それでは、いま一社、一社きびしく、販売についても指導しているとおっしゃったわけですが、この通達が出されて以後、大きな事故のあった再生車は、新車として販売されていないという、そういうことについて、はっきりした報告もとっておられる、あるいは指導もやられておるということでお受けしていいですか。
  186. 野口一郎

    ○野口説明員 私どものほうからお答えいたしますと、ただいま言いましたように、運輸省の省令、この道路運送車両法で定めているようなところに、具体的に部品とか個所とかあがっているわけですが、それは結局、構造とか機能に非常に大きな影響がある部分だと思いますけれども、そういうものが損傷した、それで先生の御指摘になったように、完成検査証が無効になるというものにつきましては、これは、はっきりと、名前は中古車といい、再生車といい、いろいろあろうと思いますが、中古車の扱いで販売されております。
  187. 中路雅弘

    中路委員 大蔵省の方、お見えになっておりますか。——陸送中の事故車で保険金を引き出した件数は、おそらく銀行局でおわかりになると思うのですが、私のほうで四十五年ごろまではわかるのです。  そこで、最近のでお聞きしておきたいのですが、たとえば四十六年度ですね、この陸送中の事故車で保険金を引き出した件数、金額の総額でいいのですが、その金額。それから四十七年度、同じようにその件数と金額というのが、おわかりになりますか。
  188. 巣山庄司

    ○巣山説明員 自動車料率算定会の統計資料によってお答え申し上げます。  四十六年度でございますが、車両保険につきまして、陸送中の販売用の自動車、支払い件数十二万七千三百二十二件、支払い保険金三十一億三千百四十八万九千円と出ています。それから四十七年度でございますが、件数十四万五千五百八十四件、支払い保険金額三十七億一千三百一万三千円でございます。  なお一言、この数字につきまして、補足申し上げさせていただきたいと思いますが、この支払い先と申しますのは、いろいろの形態があるわけでございまして、一つは自動車のメーカー、それから通常ディストリビューターと称されておるようでございますが、総販売業者、それから各地に散在しますディーラー、それから中古業者、それから車体架装業者、それらの業者の方々に対して、販売用の自動車車体保険としてお支払いしておる、こういうことでございます。
  189. 中路雅弘

    中路委員 いま、お聞きしましたところでは、四十七年度でとりますと、陸送中の事故で保険金を引き出した件数だけでも十四万件をこえているわけですね。この中で、軽微なものも多くあると思うのですけれども、完成検査証のさっきの取り扱い、この通達にも関係する損傷を受けたのも、あると思うわけですが、たとえば相当の保険金ですね、三十万とか四十万とか、そういうもの以上の保険金を支払った車の件数というのは、この中でどれくらいかというのは、いまちょっとおわかりになりませんか。
  190. 巣山庄司

    ○巣山説明員 その点についてでございますが、もし、そういう件数を出すということになりますと、保険会社の伝票を一つ一つくくって、見直しをするということでございます。ただいま申し上げましたように、非常に膨大な件数である、それから各保険会社の伝票の整理、保管の状況は、必ずしも統一がとれていないというふうな状況でございまして、考えてみますれば、できる話ではないかというふうにも考えられますが、実際上はなかなか不可能、と申し上げるのは恐縮でございますが、現状ではむずかしいことであるということでございます。
  191. 中路雅弘

    中路委員 その点については、もう少し質問してから、あとでもう一度お尋ねしたいのですが、この前の答弁でも中村課長は、こういう車がすべて新車として売られていないという保証があるかどうかという問題については、十分これを調べてみたいという答弁も前回されているわけですが、相当むずかしい問題もありますけれども、調べようと思えば調べられないことはないという問題です。  あとで、もう少し関連してお聞きしたいのですが、それでは具体的に私は幾つか例をあげておきたいのです。私のところにも、再生車、中古車が新車として売られている、また購入してからあとどうもおかしい、非常に疑義があるという例が幾つも寄せられているわけです。たくさんありますけれども二、三例を、きょうすぐ御答弁できないと思いますので、調べていただく意味で車体番号等も出します。一つは、日産プリンススカイラインのG二〇〇〇、車体番号KGCの〇一七八五三、購入された氏名等は省略しますけれども、この車は日産プリンスの京都販売所から、四十八年三月に新車として百四万六千円で購入されたものです。塗装が塗りかえられているということは、非常に顕著でありますし、その他にも再生車らしいという疑義がたくさんあるという車です。もっとはっきりしているのでお話ししますと、トヨタコロナのマークIIL二〇〇〇、車体番号MX二〇の〇三一四一四、これも四十八年六月の二十六日に、下取りを含めて百三十万で新車として東京トヨペット町田営業所で購入されたものですけれども、これは右のドアが前半分黒ずんで、たびたび板金をして直したのですが、他の部分と異なっている。この購入者がディーラーに文句を言って問い合わせたら、確かに、これはぶつかった車だということを認めまして、九十万円で買い戻したい、しかし百三十万円で買ったわけですから、その点で差額が非常に大きいので交渉しましたら、その後、交渉に応じないで、その分そのままユーザーの損害になっているというケースで、これについては、私も、直接トヨペットの町田営業所の所長に連絡しまして調べましたら、この車は事故車であるということを認めています。これは、いま言いました車体番号ですが、それからもう一つ、例をあげておきますと、日産プリンススカイラインの車体番号JC一〇一二三三、四十七年の八月に、日産プリンスの神奈川販売所から購入されたものです。これは走っているうちに、うしろの車軸が折れて、車輪がはずれて横転をした。この折れ方が、明らかに急に折れたもので、塗装の点でも、再生車の疑いが非常に強いということです。  例は、たくさん寄せられているのですけれども、一、二あげたのを、全部私、調べ切っていないので、確かめていただきたいのですが、通産省が通達を出した以後、売られた中でも、私は、多数こういう再生車の疑いの強い、中古車で無効になっているものが、新車として売られているという疑いが非常に濃いと思うのです。先ほど非常にきびしく行政指導をやっているということを、言われているわけですけれども、たとえば、いま私があげました幾つかの例だけでも、これは砦さんのほうで調べていただいて、しかも二番目のは、私自身も確かめまして、向こうが、それはぶつかった車であったということを認めているわけです。それが新車として売られたわけです。認めて引き取る。引き取る場合は、百三十万のを九十万で買い戻すということで話がつかない状態ですが、いまあげたような件で、これが中古車、再生車ということが明確になれば、やはりこの通達からいっても、非常に重要な問題だと私は思うのですが、いま具体的にあげました車両について、正確に調査していただけますか。
  192. 野口一郎

    ○野口説明員 いま先生が具体的に、詳しくその実例をあげられましたものにつきまして、私どものほうで、さっそく調べてまいりたいと思います。  ただ、私どものほう、運輸省としていま行政指導をしているわけでございますが、先ほども言いましたように、構造とかあるいは機能とかに損傷があるものは、当然それは無効にすべきものでございますけれども、ただ、この運輸省の通達に該当するかどうかという、なかなか判断に微妙なところがあろうかと思います。それは、各メーカーが自分でこの通達を解釈いたしまして、自分で取り扱う、処置するということになっておりますので、間々その判断に、各社によって、あるいは甘いとかからいという問題も出ておるやに、これは、まあ想像でございますけれども、考えるわけでございます。ともかく、以上の例は、さっそく調べてみます。
  193. 中路雅弘

    中路委員 大蔵省で、せっかく車体番号をあげましたから、保険金を引き出した車かどうか、この点も調べていただければ、相当多額の保険金が引き出されているという——損傷の非常に軽い場合は、いまおっしゃったようなことも、あるかと思いますけれども、これが相当多額の保険金が引き出されて、文字どおり再生車として、無効に当然すべき——その完成検査終了証の取り扱いについて、無効にすべきものが新車として売られているということになれば、当然、通達からいっても問題ですから、その点もあわせて調べておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、この通達の中にありますように、この通達についての報告を、この中で求めていますね。「本通達に伴い、貴社が実施した措置について、昭和四十七年十一月十日までに関係書類を添えて報告されたい。」ということを、やはりいっていますが、それと関連してもう一つ二つ、実例でお話し申し上げますが、これは通達が出る以前に、新車として売られたもので中古車、再生車の疑いの濃いもの、その一、二をあげます。これは報告しろという通達とも関連していますから……。先ほど申し上げたのは、通達が出た以後の幾つかの実例ですけれども……。  一つは、日野自動車のKF三八〇、車体番号がKF三八〇の一二〇一一という車です。これは横浜港北営業所から四十七年の六月、通達の前に新車として六百万で購入されたものですが、荷台がねじれて、ボディーが五センチほど右後方が下がって、左の前方が上がる、ひっくり返った車であることに間違いない。それで損傷したということで、これも購入者が交渉しましたら、港北営業所で引き取りたいということを、いま言ってきているわけです。いままで修理した金額だけでも、百五十万円にのぼっているわけですけれども、この点についても、この通達に基づいて報告を要請されているわけですが、それとも関連して調査をしていただきたい。  多くあげてもあれですが、もう一つあげておきますと、通達が出る以前のもので新車として売られた中で、中古車の疑いの濃いというのは、日野自動車の日野の七〇一、十一トンダンプですが、車体番号KF七〇一の一〇一四三。これは四十五年の五月に兵庫県の姫路の日野自動車株式会社から新車として売られた。これは運転台とボディーの間のシャシーの左側、上部から下に大きな亀裂が入っております。塗装も非常におかしい。これも非常に再生車の疑い、中古車の疑いが濃いということになっておりますが、やはり新車として売られておるということであります。  私は、このことで前回の、この点も先ほどとあわせて調べていただきたいのですが、当時の、この前の林議員の質問の際に、当時の隅田整備部長は、これは実態調査をぜひやりたいという答弁をされているわけです。そしてメーカーを調べることも、保険を調べることも可能だ、あらゆる手段を考えながら、正確な調査をするということを答弁で約束されているわけです。  もう一度、お聞きしておきたいのですが、この通達が出てから運輸省のほうは、どういう調査をされているのか。答弁では、あらゆる手段を考えながら、正確な調査をするという答弁をされていたわけですけれども……。
  194. 田村健次

    ○田村説明員 いま、いろいろ先生からお話がございましたが、冒頭にお話のございました、林先生からの御注意がございました直後、先生からもお話の出ましたメーカーあてに対する注意の通達を出しました。要点は、三つございまして、先ほど来、お話がいろいろありましたように構造、装置について損傷があった場合は、その完成検査終了証は無効であるということと、その無効である旨を終了証の上に表示して、その記録をとどめるということと、これらのことを、ディーラーに徹底させるということの通達を当時出しました。関係のディーラーに全部周知が行なわれたわけでございます。  その後、私どものほうといたしましては、定期的に、型式指定自動車をつくっておりますメーカーの監査をやっておりますので、監査に参りましたおりに、完成検査終了証の発行状況、記録状況等を調べて、ふぐあいのものにつきましては、改善を指示、指導してまいってきております。  それから、先生のお話のございました当時の部長が申し上げました、いろいろな実態の把握の問題でございますが、この点につきましては、ややその後の私どもの措置が十分でないというふうな点もございますので、なるべく早い時期に、先生の御指摘になったような実態の把握の方法として措置をとってみたい。現在の体制では、一応監査をしましたときに実態がわかりますが、さらに、その中で、完成検査終了証が無効として処理されたものが何件あるかという実態もわかります。わかりますが、いまいろいろと例をあげられましたようなことになりますと、なかなかアンテナが高くない部分もございますので、そこまで詳しく処理する体制にはなっておりませんので、何かいい方法がないかということで、いろいろ検討いたしておりますが、とりあえず、その型式指定自動車をつくりましたメーカーに、無効にした場合には、さらにその後の処置をどうしているかということを含めて報告をさせるようにしたらどうか。それから回送運行しております方々が、事故を起こすわけですから、できることであれば、その事故の実態をつかまえる方法がないだろうかという点につきまして、至急に検討して、なるべく早い時期に対策をとりたい、こういうふうに思っております。  なお、先生がいろいろあげられました具体的な事例につきましては、私どものほうも、通産省と一諸になって調査をしてまいりたいと思っています。
  195. 中路雅弘

    中路委員 最初に、おっしゃったように、中古車の疑いの濃いものが、新車として販売されているという問題は、一つは、安全上からいっても重要な問題だと思うのです。それと商道徳からいっても、これが新車として販売をされる。先ほど例に上げましたように、町田営業所で売られた車は、向こうのほうが追及をされて、再生車を新車として売ったのだということでそれを買い戻す。そして買い戻す際は、百三十万で売りつけたのを九十万で引き取る、こういうことになれば、それは消費者に大きな被害を与えることになるわけですから、一つは、この前も答弁されていますし、調査をしようとすれば、努力をすれば可能なわけですから、完成検査証の無効の通達が再生車について出されているわけですから、これがどのように守られているかということについて、メーカーの報告をとり、点検もやり、きびしいチェックをする必要があるということ。  もう一つは、これが新車として売られたということにはっきりなって、先ほど一、二例であげましたように、戻すという場合には、当然、消費者のほうに損害がかからないという方法で引き取るべきだと思うのですが、その点について、きびしい行政指導が必要じゃないかと考えるのです。  もう一言、それに関連して、特にあとの、その問題で戻す場合の金額についても、解決してない例が、いま私があげましただけでも、二、三あるわけです。それについて、行政指導としてどのようにされるか、それもお伺いしておきたいと思います。
  196. 田村健次

    ○田村説明員 いま御指摘のございました安全の問題と商品性の問題と二点あると思いますが、安全の問題につきましては、おっしゃるように、また私も先ほど御説明いたしましたように、なるべく早くその実態をつかまえられるようなシステムを考えてみたいと思います。現在、型式指定規則という省令がございますが、その中にメーカーが完成検査終了証を発行いたしました場合には、その記録をとり、報告をする旨の義務規定がございますので、さらに、それを少し拡大していく方向で、事後処理についても含めて実態を把握することができるのではないかと思っておりますので、そのようなことを検討してみたいと思います。  それから、第二の商品性の問題につきましては、運輸省、ちょっと直接のあれがございませんが、そのことが常識はずれのことになっていることは、商業道徳上よくないことだと思いますので、一般的な意味で、そのようなことのないように、良心的な販売をするように、私どももサイドから指導していくことにしてまいりたいと思います。
  197. 中路雅弘

    中路委員 私は、次の問題に移りたいのですが、大臣も、いまいろいろ御質問したので、お聞きいただいていると思いますけれども、自動車業界が、一片の通達だけで事を済ませるということで解決しないことは、皆さんのほうも御存じだと思いますけれども、行政指導がやられて、また通達が出されて以後も、いま私があげました点を調べていただきたいのですが、こういうことが事実だとすれば、私は通産省の責任も非常に大きいと思います。しかも、それが新車として売られているということになれば、一種の詐欺行為になるわけですから、そういう場合は、直ちに車を交換するとか、ユーザーの負担なしに手だてをとるべきじゃないかと思いますけれども、そういった点についての、通達に基づいた行政指導の点を、一そうきびしくやっていただく必要があると考えますので、大臣からも一言お答えを願いたいと思います。
  198. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もし御指摘のような事実がそのままあるとすれば、これは信義誠実の契約の原則にも私は反すると思います。したがいまして、適切な是正措置を講じさせるようにいたします。
  199. 中路雅弘

    中路委員 もう一つ、次にお聞きしたいのですが、自動車業界がモデルチェンジによって、大幅に増産計画を立てているというこの問題は、たしか国会では、三月に参議院の予算委員会で社会党の上田議員も質問されたわけですが、この問題と関連して、さらに二、三御質問したいと思うのです。  最初に、これは運輸省にお聞きしたいのですが、日産サニー、ロータリーエンジンのサニーの新型、社内開発番号三八二及び日産サニーの普通型エンジン車、これは計画では、私が調べましたところ、前者のロータリーエンジン車は、六月二十日から生産開始、その一、二カ月後に発売するという計画になっています。後者の普通型エンジン車は、六月一日生産開始、一、二カ月後に発売という計画だそうですが、両方で月一万台を生産する。これの型式認定を得るための申請が、運輸省に出されているかどうか、最初にお聞きしたいと思います。
  200. 田村健次

    ○田村説明員 先生御指摘の車名のものは、私どものほうに参っておりません。なお、先生いまいろいろお話しになった中に、生産月日とか発売月日とかおっしゃいましたが、私どものほうには、そういうことは一切わからない状態でございます。
  201. 中路雅弘

    中路委員 型式認定の申請が出されてから、それの検査、承認するまで、普通どのくらいかかるものですか。
  202. 田村健次

    ○田村説明員 標準としてのお話を申し上げさせていただきますが、申請が出ますと、私どものほうの研究所にございます審査部で、審査いたします期間が約一カ月ぐらい。それが終わりましたあと、関係省とのいろいろな打ち合わせ等もございますが、その事務処理に約一カ月ぐらい見ますと、二カ月ぐらいが標準だと思います。
  203. 中路雅弘

    中路委員 検査、承認するまで、いまのお話の標準ですと、二カ月ぐらいかかるというお話ですね。  そうしますと、通常、生産開始の三、四カ月前には、申請がやられないといけないのではないかと思うわけです。生産開始ということになりますと、準備して、そう簡単に変更できないわけですね。六月一日生産開始のサニー普通型エンジンあるいは六月二十日生産開始のサニーのロータリーエンジン、この型式申請がまだ出ていないというのは、出てから二カ月ぐらいかかるといういまのお話からいっても、私はおかしいと思うのですが、このロータリーエンジンの場合は、きょう持ってこなかったのですが、申請を出したというのは、何か業界新聞には出ていたわけです。  もう一度、お聞きしますけれども、これの申請は、まだ全く出ていませんか。
  204. 田村健次

    ○田村説明員 先ほど先生サニーとおっしゃいましたので、そのような車名のものは出ておりませんとお答え申し上げました。ロータリーのお話は、新聞に出たのもございますが、その件については出ております。ただ、審査期間その他が二カ月ぐらいかかりますし、当方の体制が全部終了するまでの間は、もちろん型式指定の正式な告示ができませんので、そのことと生産をする日取りのことは、一応無関係になっております。私どもは、そういう認定のことには触れておりませんのでわかりません。
  205. 中路雅弘

    中路委員 自動車メーカーの生産開始計画というのは、そう簡単にあまり変更もできないわけですし、二カ月ぐらいかかるということであるなら、当然出されなければいけないわけですから、普通二カ月ぐらいかかるのを、間に合わせるということで運輸省が検査や審査の期間を短縮する、そういうことはないでしょうね。
  206. 田村健次

    ○田村説明員 私どもは、御承知のように安全と公害の審査ということでやっておりますので、その審査が終わりますまでは、指定の告示をいたさないことになっておりますので、先生のおっしゃるとおりでございます。
  207. 中路雅弘

    中路委員 もう一つ、ついでに聞いておきたいのですが、日産チェリーのセダン、クーペ、これについても、これは四十九年の八月、生産開始になっていたのですが、自粛の宣言が出てから逆に早まりまして、一カ月早めて七月生産開始ということに——計画だそうですが、これも申請が出ていなければならないと思うのですが、これはまだ出ていませんか。
  208. 田村健次

    ○田村説明員 ちょっとお答えがむずかしいのですが、実は私どもの立場からは、このような申請が出ました場合に、こういうお席でお話しをし、お答え申し上げられる立場でございません。  ただ、先ほどのロータリーのお話のございました分は、実は新聞にもう出ましたし、そのことでお話を申し上げたという意味でございまして、原則的には、私ども、申しわけございませんが、お話ができない立場でございます。
  209. 中路雅弘

    中路委員 私がこのことを質問したのは、自動車メーカーがモデルチェンジをユーザーには知らせないわけですね。アメリカでは、三カ月前に公表しているわけです。そして日本の場合には、ユーザーは車を買うほとんど直前まで知らない状態なわけですから、新車の発売直前にモデルチェンジを知らされるという状態にあるわけです。ですから、チェンジ以前の車を買わされるということになる。アメリカの場合、調べてみますと、少なくとも三カ月前には公表して、前の車を買う場合は値引きをする、そういう消費者保護の立場をとっているわけですけれども、ユーザー保護という立場から考えると、いまのやり方は、私は、非常に問題があるのじゃないかというふうに思います。自動車メーカーが、モデルチェンジを計画しているとすれば、少なくとも型式承認を得た時点では、それを公表する。それも官報に出すということでなくて、もっと消費者にわかるように公表をして、ユーザーに損害を与えないようにしなければならないのではないかと思うのです。  これについて、私は、そういう方向での行政指導が必要じゃないかと考えるのですが、どういう処置をとるかということを、具体的な点はともかくとして、メーカーに対する行政指導をやる、あるいは公表を義務づけるということ、そういう消費者保護という立場から、もう少し具体的な指導が必要ではないかと私は考えているのですが、この点について、何か具体的なお考えがあれば、この機会にお聞きしておきたい。
  210. 田村健次

    ○田村説明員 いまの御質問の営業政策的な面につきましては、ちょっと運輸省は、とやかく申し上げるべき筋合いでないのかもわかりませんが、消費者を保護するという意味においては、全く同感でございます。ただ、企業秘密等がございますので、必ずしも先生のおしっしゃるような形で、事前的なPRができる体制にはなかなかいかないのではないかと思います。しかし一応指定が終わりまして、安全とか公害の基準を満足したということになりましたその後において、販売をさせるということは、私ども指導をいたしておりますし、なお官報等では、見ない人もいるということもあろうかと思いますので、その点は、もちろんメーカーも自衛上宣伝をするということでやっているはずでございますが、現状におきましては、告示をしたその時点から、営業活動をさせるということで指導しているのが現状でございます。
  211. 中路雅弘

    中路委員 私も、少なくとも、いまおっしゃった型式承認を得た時点で官報に告示するだけ、これではユーザーにわかりませんから、官報告示というだけじゃなく、これでも公表したのだということじゃなく、やはりわかるようにするという行政指導が必要じゃないかということを、一言つけ加えておきたいのです。  これと関連して、運輸省にお聞きしたいのですが、型式承認を与える際の審査の基準ですね。大きいのは安全性と公害防止ということを中心にして審査をやっておられると思うのですけれども、この点について、モデルチェンジの型式承認を与える際の中心の問題は、やはり安全性の問題あるいは公害防止の問題、これに置かれているということで間違いありませんか。
  212. 田村健次

    ○田村説明員 運輸省の審査部におきます審査は、道路運送車両の保安基準という省令がございますが、その中に一切の安全上、公害上の基準が明記されておりまして、その基準に適合しているかどうかという審査を行なっております。
  213. 中路雅弘

    中路委員 時間が限られていますので、この問題で、あと一つだけ、しぼってお聞きしたいのですが、たとえば車内の内張りとかシート、こういった問題についての安全のための基準というのはありますか。
  214. 田村健次

    ○田村説明員 現在、先ほどお話ししました運輸省令である保安基準の中には、車内の内装についての特に詳しい規定はございませんが、一般的な趣旨としての乗りごこち、その他の規定がございますす。
  215. 中路雅弘

    中路委員 この点については、明確な安全基準がないわけですね。アメリカの場合に、ここにありますけれども、車内の内装、いまのシートその他について基準が明確にされているわけです。あとであれしますが、国産車の場合を見ますと、輸出車の場合、アメリカのほうにこの基準がありますから、いまの内装部分だけとってみますと、これは七二年の九月一日から、室内材料の難燃性の問題の基準が出ています。だから、いま輸出車については、この基準を守らなければいけないということで、難燃性の材料が使われているわけですですが、国内の車については、はっきりした基準がないために、可燃性の材料でつくられているということで、現在、国内で使用されている車の内張り、シートなどの材料で、このアメリカの基準で見ましても、三倍ぐらいですね。四、五分で——アメリカの基準でいいますと、燃え出すのに十五分ぐらいかかるのですが、国内のでは、いま売り出されているので見ますと、四、五分で燃え出してしまう。非常に可燃性が強い材料も使われているわけですから、車両火災という事故につながることが非常に大きいと私は思うのです。  時間もないから、実例は幾つもあげませんが、最近の自動車事故の新聞記事を見ましても、車内の火事で閉じ込められて数分で——たとえば父親の留守に車が炎上して、車に入れておいたふたごの幼児が焼け死ぬとか、いろいろ悲惨な事故が新聞記事に出ていますが、こういう問題とも非常に関連があるのではないかと私は思うのですが、可燃性の材料を使っているために、助かるはずの人間が死亡したり、やけどをしたりする事故が幾つもあるということですね。この点について、モデルチェンジの際に、何よりも安全、公害防止が基準だといわれているわけですから、しかもアメリカには基準があるから、輸出車にはそういう材料を使って、国内販売車には可燃性の材料でも通るということでは、やはり安全という点から非常に問題があると思うのです。  そこで、消防庁の方にお伺いしたいのですが、去年一年、車両火災による事故というのは、どのくらいありますか。
  216. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答え申し上げます。  昨、昭和四十八年の車両火災、これは、いろいろの車両をすべて含んでおりますが、これの火災件数は三千九百八十二件ございます。
  217. 中路雅弘

    中路委員 四千件近い、非常に多いわけです。こういう事故のすべてが、私は、この可燃性材料が原因だということは言いませんけれども、可燃性の材料によって事故が大きくなった、助かる者も助からなかったという場合も、相当あるはずだと思うのです。  そこ点で、これと関連して、消防庁にもう一つお聞きしたいのですが、去年の十二月ごろだったと思いますが、富山県の高岡消防署が、ホンダN三六〇の販売店に対して、昭和四十六年六月以前の生産車は、火災のおそれがあるということで、予防を講じるようにという勧告を行なっているわけですが、この事実関係や、勧告内容は、消防庁は御存じですか。
  218. 永瀬章

    ○永瀬説明員 私ども、高岡消防本部のほうを調べてみますと、四十八年の十二月の四日と七日に、いま御指摘のホンダ四十三年式のN三六〇、これの火災事故がございました。調べてみますと、キャブレーターと燃料ポンプを結びますところのパイプがはずれまして、そして火災になったようであります。このパイプは、合成ゴムでつくられておりますが、ただキャブレーターへの取りつけ部が、ナットでの取りつけでなくて、差し込みで、その上をバンドで締める形式であったために、合成ゴムが経年変化をいたしまして、かたくなって、そして抜けたという事故であったようでございます。  したがいまして、高岡市の消防本部としましては、ホンダの富山営業所に、事故内容を話しながら、同年式は同じような構造であるかどうか、これを問いただしましたところ、同年式は全部同じような形式であるということがわかったわけでございます。こういうことがわかりましたので、この消防本部は、富山県の自動車整備振興会に対しまして、十二月十九日でございますが、そのような同型式の車両の点検を要請したという事実がございます。その後、この型の問題になりましたキャブレーターへのパイプの取りつけ部は、ナットに変えられたということを聞いております。
  219. 中路雅弘

    中路委員 私は、この富山の高岡消防署の勧告は、非常に大事な勧告だと思うのです。ただホンダのN三六〇というのは、富山だけ走っているわけではありません。しかも四十六年の六月以前の生産車は、相当まだ走っているわけです。その点で運輸省としても、こういう重要な勧告が出ているわけですから、いずれにしても、そういうことが明らかになった以上、全国的にホンダN三六〇の販売店に対して、その危険性を防止する処置を講ずるような、あるいは本田技研に対して勧告行政指導をやるべきじゃないかと思うのですが、この点については、どのように処理されるお考えなのか、お聞きしたい。
  220. 田村健次

    ○田村説明員 ホンダのお話の件が一つございますが、その前に内装のお話がございましたので、ちょっとその件に触れさせていただきたいのでございますが、現在のところは、内装についての防燃的な規定はございませんが、先ほどいろいろお話がございましたように、最近、火災が非常に多うございますので、私どもとしても、実は着目をいたしております。安全上の問題として、今後、何を取り上げるべきかというような意味での長期計画を定めましたので、その線に沿いまして、いま着々といろいろな基準の改正を行なっておる最中でございますが、その中に、車内の内装に関する難燃性の問題を取り上げるということで予定をいたしております。  ただ、先ほど外国にはあるというお話でございましたが、確かにその事実はございます。私どもとしては、その基準がそのデータとしてよろしいのかどうか、耐久性の問題とか、特に難燃性の物質になりますと、火がつきますとおそく燃えますけれども、かなり有害ガスが出るおそれがあります。そういうような点などを、実際に私たちの目で確かめたいと思いますので、現在のところ、その研究を続けておる段階でございます。したがいまして、全く考えていないのではございませんので、長期計画の上で将来、その点を検討して規制化したい、こういうことでございます。  それから、ホンダのお話でございますが、高岡消防署のほうから、現地の振興会のほうに、そのようなお申し出があったという件につきましては、ごく最近、私どものほうに情報が入りましたので、現在のところ、関係者から事情をいろいろと聴取しておる段階でございますが、何せ構造的な問題でございますので、いろいろな要因がその中に入り込む余地があります。整備上の問題がないかどうか、メーカーのほうの製作上の問題がないかどうか、いろいろな要素が入り込む余地がありますので、十分その点を調べました上で処置をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  221. 中路雅弘

    中路委員 私は、こういう消防署の勧告というのは、非常に重要なものですから、やはり消防庁は高岡署から、こういう連絡があった場合に、運輸省にも連絡をし、やはりホンダN三六〇というのは、いま言いましたように、問題が起きた富山県の高岡だけで販売されているわけじゃないわけですから、全国的に点検もし、必要な行政指導もやるということを、やはり早急にこういう場合やる必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。  いま難燃性のお話がありましたけれども、だんだん最近の車は、難燃性の材料を使うようにもなってきているわけですけれども、やはり一つの基準が必要だと思うわけです。国内向けとアメリカ向けと違うのでやっているということも問題ですし、やはりこういう差別ではなくて、ほんとうに自動車の安全という立場から重要な問題なので、この点では、いま検討中というお話でしたけれども、私は、この問題については、明確な基準を至急につくっていかないと——モデルチェンジそのものが、こういう安全ということを一番基準にして皆さんやるとおっしゃっているわけですから、たとえば金がかかるから少しおくらせるとか、そういうことでもし延ばされているとすれば、これは重要な問題だというふうに思うわけです。  それから、モデルチェンジといっても、重要な、いま言いました安全性の点で、まだ検討中なわけですから、私は、運輸省が基準を明確にして、このモデルチェンジに対しては、やはりそういう安全の問題が中心ですから、安全の問題について明確な基準をつくって指導していく、それまでは型式承認についても、そう簡単にやるというのじゃなくて、安全性については、もっと厳格な検討をやり、基準を設けてやっていくというふうにしていただきたいと思うのですが、その点についてはどうですか。
  222. 田村健次

    ○田村説明員 先生の御趣旨よくわかりまして、私どもも同感でございますので、なるべく早く基準ができますように、努力をしたいと思います。  型式指定そのものは、先ほどお話し申し上げましたように、保安基準に適合しているかどうかという審査をいたしますので、基準が直りません場合には、それができないことになりますから、基準のほうを早く整備するように努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
  223. 中路雅弘

    中路委員 あと二、三あったのですが、約束の時間も来ていますから、きょうは、これで終わりますが、いずれにしても、自動車のメーカーが、モデルチェンジを、いま販売競争の中で申請されるわけですけれども、きょう公害の問題もお聞きしたいと思ったのですが、時間がないので、その点省略しますが、やはり自動車の安全、それから公害防止、こういった点を明確にして、その基準も——これだけ事故か出てきているわけですから、自動車の火災事故も、そこに問題があるわけですから、基準を明確にして、あくまでやはり国民の安全を守っていくという立場での行政指導を、一そう徹底させていただきたいということをお願いしたいと思いますが、最後に大臣からも、いまの問題についての通産省の行政指導についての考え方を、一言明らかにしておいていただきたいと思います。
  224. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 モデルチェンジその他につきましては、物価の関係及びユーザーの利便等々、よく考慮いたしまして、国民経済的にもロスのないようにやっていきたいと思っております。
  225. 中路雅弘

    中路委員 終わります。
  226. 徳安實藏

  227. 和田貞夫

    和田(貞)委員 設置法の改正の理由、あるいは今年度の中小企業施策の重点というのも読ましていただきましたが、中小企業行政の必要性、特に小規模事業対策というものについての必要性を強調されておるわけであります。でありましたならば、まずお聞きしたいのは、権限も機構もない、屋上屋を重ねるような、海外経済協力担当大臣をつくるというような、そういうところまで閣議決定されておるにもかかわらず、長年の私たちの主張でありました中小企業庁を中小企業省に昇格させて、抜本的に中小企業の施策を講じようという考え方に、なぜ踏み切られなかったのか、その点について、まず大臣のほうからお伺いしたい。
  228. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中小企業省という思想もございましたけれども、やはり何が中小企業のためになるか、機構をつくることもさることながら、足腰を強化して、金融や経営指導員やそのほかの面で、実質的に手当てが十分に届く体系をつくることが先である、そういう考えに立って、今回は、この中小企業庁設置法改正になったものであります。
  229. 和田貞夫

    和田(貞)委員 小規模企業部をつくるということですが、内容は、従来の官房の一部あるいは計画部、指導部の事務分掌の一部を、それぞれ集めて小規模企業部を新たにつくるということにすぎないのであって、そこからにじみ出るべき小規模事業対策について、どうしても本腰を入れなければならないという強い意思というか考え方、決意というものがみなぎっていないのです。あらためて小規模事業対策についての抜本的拡充ということや、この重点施策も読ましていただいたのでありますが、小規模事業をやっていなさる商工業者が、いま一体、どういうような実態に置かれておるというように把握されているのか、その点をひとつ、お聞かせ願いたいと思います。
  230. 外山弘

    ○外山政府委員 中小企業と一口に申しましても、非常に多種多様でございまして、事業所の数だけでも五百万をこえるわけでございます。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 その中で、数の上でも大部分を占めるのが小規模事業者でございまして、三百八十万という数を数えるわけでございますが、ともかくも数の上でも、たいへん大きな、広範な分布をしておるというのが実情でございます。  さらに、その持っている問題点も、中小企業の持っている普通の問題点が、小規模企業の中では、さらに明確に出ていると申しますか、著しく出ていると申しますか、そういった点が指摘できるのではないかと思います。つまり、たとえば賃金の問題にいたしましても、経営の能力にいたしましても、あるいは全体としての収益の動向から見ましても、経営の安定さから見ましても、いろいろな面で、中小企業の中でも、さらに問題を持つ実情にあるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  もちろん、従来から、国民金融公庫の制度とか信用保証の制度、あるいは設備近代化助成制度、小規模企業共済制度、こういった諸種の制度のほかに、小規模企業経営改善制度というようなことも加えまして、いろいろやってまいりましたけれども、いま申しましたような広範な存在であり、かつ問題の多い存在であるという認識に立ちますと、さらに、ここで施策の集中強化をはかることが非常に大事である、さらに、これを機構的にも表現することが大事である、こういう認識に立ちまして、今回の改正に踏み切っておるわけでございます。もちろん、機構の改善だけがすべてだとは思っておりません。施策の強化が、何よりも大事でございます。そういった面を、これを機会にますます強化をはかっていかなければいけない、私どもは、さらにこれを機会に、そういった覚悟を新たにしておるというのが現状でございます。
  231. 和田貞夫

    和田(貞)委員 重点施策を読ませていただきますと、たとえば融資制度を拡充改善するとか、あるいは経営指導員、記帳指導員を増員するとか、顧問税理士制度を新設するとか、こういうようなことが並べ立てられておるわけなんですが、小規模事業をやっていなさる商工業者が、はだ身に感じるその実態というものを把握してもらえないと、ここに並べられてあるような、こういう政策に事終わってしまうわけです。これでは、やらぬよりましですが、ほんとうに今日の実情の中を泳いでいなさる小規模企業者を、抜本的に救うということは、私はできないと思う。  今日、小規模企業者が置かれておる現状、もともと小規模企業というのは、それぞれの地域の伝統産業であるとか、あるいはそれぞれの地域の地場産業であるとか、あるいは商業をやっていなさる方々、サービス業をやっていなさる方々、従来から中小企業といわれる企業の中で、戦後二十九年の間、資本の役に立つ企業は、ほとんど資本の系列下に置かれておる、子会社になったりあるいは同族の会社になったり、それとは逆に、資本のほうが、この企業はとうてい利用する価値がないということで、見捨てられた企業が、今日、小規模企業として存在しておるのだ、こういうようにあなたのほうで把握をしてもらわなくてはならないわけです。  いろいろ多種多様な企業の経営内容がございますが、これらの企業は、いま申し上げましたようなことでありますので、事務能力からいいましても全くない、労働力あるいは経理、それから労働時間、作業時間、そういうものからいきましても、ぎりぎりの経営をしておる、これが実態じゃないか。あるいは安い工賃で、悪い条件で下請、孫請を、親会社、元請業者のほうから押しつけられて、家内工業的な実態のところが非常に多い、こういうように把握してもらわないと、次に出てくる政策が、ここに並べられておるようなことになってしまうわけです。  いま私が申し上げましたような実態把握を、あなた方はされておるのかどうか、一言お答え願いたい。
  232. 外山弘

    ○外山政府委員 当然のことながら、大部分の小規模企業の持つ問題点は、いま先生の御指摘のような点を多分に持っておるわけでございます。もちろん、これが先ほどおっしゃいましたように、全体として見捨てられた存在であるというふうには私ども思いません。しかし固有の分野におりながら、経営の不安定に悩み、工賃の低いのに悩むというような面が多々あると思います。もちろん小規模企業の大部分が、小売業であり、サービス業であり、また製造業であり、建設業であるというふうな業種の、それぞれ特殊性も持ち、小規模企業としての長い存在を持っている面が多分にございますが、同時に、その問題の解決も、なかなかはかれないというふうな問題点もあるわけでございまして、いま御指摘のような点を、十分私ども頭に置いて、施策の強化に努力をしなければいけない、こう考える次第でございます。
  233. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いつものことながら、必ず行政のほうが言われるのは、協業化をさしていくとか、あるいは共同事業化させていくとか、あるいは低利の金融をするとか、税の面で何とか恩典の措置を講ずるとかいうことで、俗にいう中小企業の政策、行政ということを、必ず口にされるわけなんです。  ところで、そのことだけじゃ今日、この小規模企業者を救う道がありません。たとえば、ここで述べられているように、指導員の充実体制をとるということでありましても、これが具体的には、それぞれの地域の商工会議所であるとか、あるいは商工会に指導員を配置する、こういうことですが、先ほども申し上げましたように、筒一ぱいの経営をしておる、事務的にも能力がない、ひまがない、そこへ相談に行くにも相談に行けないという実態であるということを把握しないと、次の政策が出てこないじゃないですか。どうですか。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 外山弘

    ○外山政府委員 いろいろな施策を用意いたしましても、なかなか浸透しない。それから、いま先生が御指摘のように、なかなかそういうひまもないので、そういう勉強をするチャンスもない。したがって、なかなか役所の窓口に来るとか商工会、商工会議所の窓口を利用するとかいうことが不十分であるという点も、御指摘のとおりだと思います。  私どもも、その辺、頭に入れまして、たとえば同じ指導でも、巡回指導というふうなことも必要であろうとか、経営指導員がもっとまめに、何度も足を運んでやるような相談も必要であるとか、いろいろな点はやっております。やっておりますけれども、これは、その小規模企業者自身が、みずから助かろう、みずから努力しようという気を持たない限り、なかなか生きてこないかもしれない。その辺は、両々相まってやらなければいけないと思いますが、いま御指摘のように、ひまもないし、余裕もないという人が多いということを十分頭に置いて、私ども、施策はいろいろ考えなければいけない、そういうふうに考えます。
  235. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いまも、ことばにはさまれましたように、やはり相談に来いということじゃなくて、巡回相談員制度というような形で相談に行ってあげる、こういう姿勢が必要であります。そうすると、その商工会議所や商工会というようなところにとどまらないで、市町村の末端に至るまで、役場の窓口、市役所や出張所の窓口に、相談員を配置するというような手も一策であるわけですね。私は、そういうような前向きの姿勢でみずから乗り出していってあげる、そして相談に乗ってあげるという姿勢を、ぜひともとっていただきたいと思うわけです。  あるいは税の面につきましても、これは減税だといったところで、帳簿をつける記帳の指導員を、いかに充実いたしましても、先ほども申し上げましたように、帳簿をつける能力さえもないわけです。そういう面から、税の申告についても、きわめて簡略化した申告制度にするというようなことを、あなた方のほうから、大蔵省に意見を具申するとか、あるいはあなた方のほうから、金融面につきましても、非常に複雑な金融の申請、申し込みというのをしなければならないという手続上の問題があるので、これも、きわめて簡略化した申し込み手続によって、政府関係の金融機関から金を容易に借りられるというような面まで目を向けて、考慮を払うというようなことを検討されたのですか。
  236. 外山弘

    ○外山政府委員 もちろん、制度が本来の目的を達成するためには、その運用が非常に大事でございます。いま御指摘のように、税の問題をとりましても、制度としての税の軽減措置というのは、かなりとってまいりました。しかし同時に、記帳指導というふうな面を通じまして、税務事務がもっと簡略化されるということが非常に大事な点でございます。  私どもも、従来からそういう点の主張はしておりますが、最小限度、税としての要請もございましょうから、思うようにはいかない点もございますけれども、しかし、そういった点の努力も絶えずしているつもりでござますし、その点の改善も、いろいろなされているというふうに考えます。  一方、金融につきましても、政府系金融機関等が、いま御指摘のような批判を受けるようでは困るわけでございまして、やはりいろいろ金融機関にもそれぞれの事情がございます。中小公庫のように、新しいお客さんが多いというところは、なかなかスムーズにいきにくい点が、ほかの銀行よりは多いかもしれません。まあ、そういった点の考慮はございますけれども、できるだけ簡素な事務手続で、また書類も簡素にして、そして金融が受けやすいように、そういった面での障害にならぬように、そういった点の配慮は十分しているつもりでございますし、そういう指導を絶えず続けてまいりたい。従来もしてまいりましたけれども、これからも、そういった点については、気がつき次第、どしどし指導をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  237. 和田貞夫

    和田(貞)委員 経営指導員や記帳指導員、あるいは顧問税理士を新設あるいは増員されるわけですが、いま申し上げましたように、商工会だとかあるいは商工会議所だとかいう窓口にとめないで、先ほども申し上げましたように、市町村の窓口まで広げていくというような考え方はないですか。
  238. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほど私、巡回指導という点を申しましたけれども、現在の数字で申しますと、四十七年度の指導実績としまして、都道府県から報告を受けている内容によりますと、巡回指導が全体の三百五十一万二千件のうちの百五十五万一千件を占めている。それから窓口指導が百九十六万件、そういうことで約四割ぐらいが巡回指導ということになるかと思います。かなり、そういった面の努力はしているところでございまして、この制度は、都道府県中心に、商工会、商工会議所の指導というかっこうで、また法律上も、そういうことが一つの根拠になっておりますから、それを原則に考えていくのが、私は適切な行き方ではないだろうか。そして、いま先生が御指摘のような、指導員の活動というのが、積極的に零細企業者のためになるように、やはり窓口にすわっているだけではない、そういった指導にも十分気をつけるように、今後も、こういった実績が、ますます巡回指導の面でもふえるように、私どもも指導してまいりたい、こう考えます。
  239. 和田貞夫

    和田(貞)委員 将来にわたっても、市町村の窓口まで指導員を配置するというような考え方はないですか。
  240. 外山弘

    ○外山政府委員 商工会、商工会議所の小規模企業経営改善指導というのが、私どもから見ましても、まだ十分ではございませんので、これの充実をまずはかるということ、これが基本的に大事であろう、私はそう考えております。
  241. 和田貞夫

    和田(貞)委員 商工会議所だとか商工会ということになりますと、小規模企業を経営なさっておる方々にとっては、これは御案内のように、必ずそれぞれの地域の大きな企業の経営者が、たとえば会頭になったり、会長になったりしておるわけなんですね。だから、小規模企業の経営者は、そういうところとは無関係だという、こういう印象が現実の姿として多いわけなんです。だから、そういうようにあまり固執しないで、市町村ということであれば、これは非常に安易に行きやすいわけなんですから、そういうことにこだわらないで、ほんとうに小規模企業の方々のことを考えて、巡回指導までするのだというような姿勢があるのであれば、なぜ市町村まで広げるという考え方がないのですか。
  242. 外山弘

    ○外山政府委員 商工会議所と商工会は、一つの特殊法人として法律根拠を持った組織でございます。また、商工会の組織等に関する法律でも、ごらんいただくとわかりますように、こういった両方の組織の中に設けた小規模企業経営改善指導というのが、小規模企業政策の基本であって、しかも、それに対して、国は県と一緒になって補助をすべきであるということが、法律的にもうたわれておるわけでございます。その基本に立ち戻って、そして、この制度の充実をはかるということが、まずもって私は大事であろう、こう考えるわけでございます。  経営指導員の性格から見ましても、現在のような商工会議所と商工会の経営指導員というかっこうで、その充実がはかられていくということが、やはり基本的に大事だろう。いま御指摘のように、商工会議所はなっておらぬではないかというふうなお話がある地域もございますが、こういった点は、むしろ商工会議所が、そういった小規模企業者の要請にこたえられないような運営であり、組織であっては困るわけでございまして、いま、そういった点の改善にも私どもは努力を傾けているところでございまして、たとえば支所の増設というふうなかっこうで、大都会については、その要請にこたえるようなことも必要だろうということで、その応援もしているわけでございますし、商工会は、もう各県のすみずみまで組織は普及しておりますから、この点は、まず小規模企業者にとっても、商工会は重要な、親切な役割りを持つのではないだろうか、こう考える次第でございます。
  243. 和田貞夫

    和田(貞)委員 何ぼ言っても、これはもう尽きないので、これは、そういうようにあまりこだわりなさんな。やはり先ほど言われておるように、巡回までやろうというような姿勢があるのであれば、これにこだわらないで、市町村の窓口と商工会議所の窓口——実際に小規模経営をなさっている方々は、それじゃ、どちらのほうに行きやすいとお考えなんですか。市町村の窓口に行くのと、商工会議所の窓口に行くのと、どちらのほうが行きやすいと思っておるのですか。
  244. 外山弘

    ○外山政府委員 商工会が、具体的にそういった意味の親切な窓口になることを——私どもは、なっていると思いますし、また、そういった点での不備な点は、私どもは是正しなければいけないと思います。また商工会議所については、いま申しましたようなことで、不備な点があれば改善していかなければならない、こう考えるわけでございます。
  245. 和田貞夫

    和田(貞)委員 もう言いませんが、そういうことだからだめなんですよ。あなた方の考え方と、実際に小規模企業を経営なさっている方々の間にはズレがある。だから、幾ら増員をしたところで、あるいは顧問税理士を新設したところで、相談に行きっこないですよ。だから、やらぬならやらぬでいいです。  それから、そのことだけじゃなくて、やはりこれはどの業界についても、最近に至りましては、非常な大企業が、小規模の企業の事業分野に食い入ってきて、そこらあたりから、どうもこうもならぬという状態になっているところが非常に多いわけです。  たとえば、具体例を一つずつあげていきますと、関西に多いわけですが、いわゆる小売市場があります。この小売市場はスーパーによって、非常に悩まされたという過去のいきさつがある。その中から、小売商業調整特別措置法という法律ができて、それらのスーパーについては、生鮮食料品を販売させないという規制があり、小売商業調整特別措置法によって、一定の距離制限をもって、小売商業者の生活を守る、こういう行政措置がされたわけです。その当時は、スーパーというのは、いまのようにそんなに大きな、巨大資本によるスーパーじゃなかった。小型のスーパーであった。それでずっと経過している中で、そういう小規模のスーパーと小売市場が競合するんじゃなくて、お互いに助け合って、協力してやっていこうじゃないかという姿になってきた。それは何といいましても、巨大スーパーの進出のためであります。  最近におきましては、これは大阪の例をとって、非常に恐縮でありますが、大阪に岸和田市というところがあります。この岸和田市の久米田という南海電車の駅に、スーパーダイエー久米田店というのができた。その次の同じく春木という駅に、これまたスーパーダイエーの春木店というのができたということで、それぞれの駅の周辺の商売屋さんが、非常に脅威を感じている。転業していったり廃業していったりしているわけです。これらの巨大スーパーの進出について、これは、もう小売商業調整措置法では、どうもこうもならぬわけです。最近、巨大スーパーの進出で、それぞれの地域の商業者あるいは市場、商店街は、非常に恐怖におののいているわけなんですが、これらの点について、何らかの措置というものを考えておられるのかどうか。
  246. 森口八郎

    ○森口政府委員 中小小売業の事業活動にとって、いろいろ問題を生じておりますものは、百貨店とチェーンストアーがございます。百貨店につきましては、御高承のとおり、百貨店法に基づいて店舗の新増設の規制等を、従来からはかってまいったところであります。またチェーンストアーにつきましては、おっしゃいますように、だんだん大きくなってまいりまして、巨大化をしてくるというようなところから、昭和四十三年以来、スーパーのうちの大きなものの店舗新設については、行政指導をはかってきたところであります。  ただ、中でも百貨店と同じように、大きな面積を持つ、いわゆる疑似百貨店については、小売商のほうから、いろいろ問題も提起されまして、御高承のとおり、さきの七十一国会において、いわゆる大規模小売店舗法が可決成立されまして、本年三月一日から施行に人っております。問題のようなケースにつきましては、大規模小売店に該当いたします限り、同法の厳正な運用によって、中小小売商業者の事業活動が、適正に確保されるように運用をはかってまいりたいと考えております。
  247. 上原康助

    上原委員 ちょっと関連でお許しいただきたいのです。いま大型スーパーの件が出ましたので、せんだっての質問でも、若干触れたいと思ったのですが、時間の関係もありまして……。実は、きょうも関連でお願いしてあったのですが、時間帯がなかなかむずかしいということで保留をしてございました。  そこで、沖繩の場合、特に小売店舗が多いということと、復帰後、中小零細小売店の方々、中小企業の方々が、制度的にも金融面でも、あるいは自力更生の面でも、本土と比較して非常なハンディをかかえておられる。そういう中で復帰後、どんどん本土企業の進出あるいはいまあげられたダイエースーパー等の進出計画がなされて、地元の小売業者に大きな恐怖を与えております。この点については、すでに政府のほうに、まあ自由経済体制ですから、いつまでも全面的に反対ということも、なかなかまいらないかもしれませんが、当面、そういった諸制度になじみ、あるいは諸施策を充実せしめていくまで、ダイエースーパーの進出を中止してもらいたい、行政指導で考えていただきたいという強い要求がなされていると思います。  これに対して、政府として、どういう行政指導なり、あるいは方針をお持ちなのか。消費者の立場も、若干二分化されている面もあるのですが、先ほど申し上げた実情にかんがみて、この種の問題については、いま少し時間をかけてお考えになっていただきたい。中小企業の保護育成という立場で、ひとつ対処をしていただきたいということを、強くお願いもしたわけですが、この点についてのお考えを、この際、明らかにしておいていただきたいと思います。
  248. 森口八郎

    ○森口政府委員 いわゆる大規模店舗につきましては、従来の許可主義から届け出主義に変わっておるわけでございます。大規模店をつくりたいと思います者は、四カ月前に届け出るということになっておるわけでございます。これを政府は審査いたしまして、中小小売商業者に問題があるというようなケースには、開店日を延期さしたり、あるいは店舗面積の縮小を勧告し、勧告でもだめな場合には、場合によっては命令を出すというような体系をとっておるわけでございます。  したがいまして、新しい法律体系におきましては、一定の届け出が出ましてから一定の日にちまで、つまり小売業者としての届け出が出ましてからは四カ月、それから大規模小売店舗の届け出でありますと六カ月、建物の届け出では六カ月前でございますが、その間に結論を出さなければいけない。出さなければ、先生おっしゃいましたように、自動的に営業が自由にできるようなたてまえになっておるわけでございます。  先生御指摘のダイエー那覇店につきましては、四十九年の三月の十三日に届出書が受理をされております。先ほど申し上げましたとおり、三月の一日から大規模小売店舗法は施行されておりますので、この問題につきましては、全面的に大規模小売店舗法の適用を受けるということになるわけでございます。先ほど場合によっては、通産大臣が勧告をし、あるいは命令をすることができるいうように申し上げましたけれども、当然、命令をいたす場合には、大規模小売店舗審議会の意見を聞かなければいけないということになっておりますし、また大規模小売店舗審議会は、その店舗が所在する地区の商工会議所の意見を聞いた上できめなければいけないということといたしておるわけでございます。こういうふうにきめておりますのは、当然のことでございますが、やはり小売り問題というのは、きわめて地区的な問題でございますので、やはり地区の実情によって、いろいろ状況が違ってくる。だから、何よりも地区の間で、そういう大規模小売店舗の進出についてどう考えるかということを、その地の小売業者はもちろんのこと、消費者代表までいろいろ意見を聞いた上できめなければいけないということでございまして、現在すでに、その地の商工会議所におきましては、この問題について、いろいろ下審査をしておられるというように聞いておりますので、私どもも、現地の商工会議所の意見並びに大規模小売店舗審議会の意見を十分聞きまして、その上で、この問題についてどういうふうにするかということについて、きめていきたいというように考えております。何よりも現地の意見をまず第一に聞かせていただきたいというのが、私どもの考え方でございますし、その意見は十分尊重してまいりたいというように考えております。
  249. 上原康助

    上原委員 関連ですから、これでとめますけれども、いまおっしゃるように、申請もされて受理されている、しかし認可はまだということですね。したがって、大規模小売店舗のいわゆる審議会など、あるいは地域の状況判断等を含めて、最終的な結論を出すという手順が、店舗法でなされているというのは理解をいたします。  そこで、現地のほうも、商工会議所なり、あるいは沖繩で現在そういったスーパー的な営業をしておられる方々を含めて、おおむねいまの段階で、これ以上大規模のスーパーを入れる、特にダイエーの進出ということに対して、非常に疑問を持っております。  大臣、そういった面は、海洋博にいろいろ関係もあると思うのですが、そういった現地の事情を十分聞いて、結論を出すということですから、この問題については、単なる審議会の諮問を受けるとか、あるいは形式的な手順だけではなくして、沖繩の中小企業の方々に対して、どういう方向でなければ当面いかないかということを重点に結論を出していただきたい一その点を強く要求をしておきたいと思います。
  250. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いまも上原委員のほうからありましたように、このダイエーというやつは悪いやつで、いま申し上げましたように、全く商業道徳というのはないわけです。また、いま言われた大規模小売店舗法が施行される寸前に、あちらこちらもとっととやったわけです。だから、事前に手を打っていたという非常に悪質なやり方、こういうような巨大スーパーがやってまいりますと、大体、半径十一キロの周辺が営業下に置かれるというくらいに、そのことによって小さな小売市場がつぶれたり、あるいは先ほど申し上げましたように、個々の商店がつぶれていくというような状況が出てきておるわけです。  それだけじゃなくて、これらの巨大スーパーの横暴というのは、全く弱肉強食の商法で、最近では小売商店も、やはり週休制でなければ従業員が集まらぬというようなことでありますが、年中無休というような、こういう商法でやられる。あるいは朝の十時から夜の七時、八時ごろまでやられる。それから生鮮食料品まで扱うというようなやり方、これは生鮮食料品を扱うということになりましたら、小売商業調整特別措置法に明らかに違反をしておるのです。そういう違反をやってでもやっていく。あるいはパン屋さんとうどん屋さん、パン屋さんというのは、比較的小規模の企業でありましても、うどん屋さん、製めん屋さんより、わりかた規模が大きいわけです。だから、スーパーに納入さす、納品さす製パン屋さんのほうはあまりたたかない。だから、スーパーで売っているパン類は、大体市価の一割引きであるとか市価の二割引きであるとかいうのが限度です。ところが、製めん屋さんというのは、非常に小さな規模でありまして、そこを徹底的にたたくわけです。そうして売っている値段というのは、市価の半値以下です。私がいま取り上げておりますダイエースーパーによりまして、いままで取引しておる製めん屋さんで倒れたところ、あるいは言うことを聞かぬからということで取引を停止されたところ数件に及んでおるわけであります。  卑近な例をあげてみますと、こういうやり口をやっております。先ほど申し上げましたように、スーパーダイエーの久米田店が、ことしの三月二十九日にオープンをいたしまして、三日間のサービスデーをつくっております。そうして目玉商品に、うどんのたま、これを目玉商品にやっておる。その目玉商品として、大体、市価でうどんのたまは、小売価格二百グラム四十円で売っているわけですが、このダイエーの場合、その倍の四百グラムを三十八円で売っている。そういうやり方をやっているわけなんです。しかも三日間のサービス期間は、四百グラムのたまを十八円、それをダイエーが犠牲になっておれば、これは、まだしもでありますが、その製めん所に犠牲をしいているわけです。  それで、久米田店で開店のオープンサービスデー、それを、前からある隣の駅の春木店まで、それをやらすために、製めん屋さんに犠牲を押しつけておるというようなことをやっておる。あるいはこのダイエーが、それぞれの食料品について、地域の衛生試験所に検査の依頼をする、この検査の依頼をするのも、みんな出入り商人の犠牲です。その負担でさしておる。あるいは残品の返品は、仕入れた価格で返品するのじゃなくて、仕入れは安く仕入れておいて、今度返品するときには、ダイエーが売っておる価格で返品をさせておる、受け取らせておる、こういう仕組みでやっているわけです。  そうすると、取引先である製めん所は、持ちこたえることができないので、ついていっているところは、先ほど申し上げましたように、倒れたりあるいは取引を、言うことを聞かぬからということで停止されたりしておる。ある製めん所が、こんなことをしていたのでは、たまったものじゃないということで抵抗運動をやりましたら、そんな言うことが聞けぬならということになりまして、さっそく停止だということです。ところが、前日に停止されると、その翌日のうどんの玉が、もうすでに生産されているわけですが、それをも引き取ろうとしない。  こういう、たとえばの例でありますが、こういう形でどんどんやられれば、巨大スーパーの進出によって、その周辺の影響圏にある小売商人が困るということだけじゃなくて、スーパーに出入りしておる、こういう小規模の企業までも、巨大スーパーによって、非常に手ひどい仕打ちを受けて泣かされておる、これが実態であります。  だから、そういうように大規模小売店舗法によって、設置を云々するというような行政指導じゃなくて、こういうような巨大スーパーの横暴きわまる商法の内容にまで食い入って、やはり行政指導をするということでなければ、とても及びもつかぬ影響を、小規模企業が受けてくるわけです。だから、そういうような内容にまで立ち入って、行政指導をされてきたのかどうか、あるいはこれからされようとしておるのかどうか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  251. 森口八郎

    ○森口政府委員 やはり一般の商取引におきましては、ともすれば力の強いものが、力の弱いものに不当な取引条件を課することが起こりがちであります。先ほど申し上げました例でも、やはり百貨店にも、そういうような例がございまして、派遣店員の問題あるいは不当返品問題等々、いろいろな問題がございまして、私のほうでも、百貨店業者の指導をいたしておりますが、公正取引委員会のほうで、独占禁止法の立場から、厳格にその改善を現在、指導されておるところであります。  おっしゃいましたケースにつきましては、一般的には商取引の問題でありますので、当事者間にまかせなければいけない問題ではございますけれども、独禁法上の問題に該当するのではないか、不公正な取引方法になるのではないかというような感じを、私どもは持っておりますし、公正取引委員会のほうで、その点について厳重に取り締まりを期待をするものであります。  ただ、私のほうも一般的にチェーンストアあるいは百貨店等を指導いたします官庁として、一般的に不利な立場にあります中小企業者を、やはり保護いたしますために、大規模店の横暴を押えるというような内面指導はいたさなければいけないところでありまして、百貨店と同じように、今後そういうような指導を強く続けてまいりたいというように思うわけでございます。
  252. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それにつけ加えて、私は一つダイエーのことを話しますと、ダイエーに別会社の「大中」というのがある。この「大中」のリーフレットを見てみますと、もちろん「生みの親はダイエーです」と、こう書いてあって、そこへ、いろいろな家具類を売っているわけですが、見てみますと、「中国直輸入による良心的価格」、「中国直輸入」と書いてある。「良心的価格」と書いてある。その中の品物、家具とか陶磁器が並べられておるのですが、家具は、ここではちゃんと総シタンというようにうたっておるんですね。ところが、総シタンと称されるこの品物を、専門の家具屋さんに見てもらいましたら、総シタンじゃない、一部カリンが使われておる。一部カリンを使っておって総シタンだという、こういう誇大広告。しかも中国直輸入ということばが使われておりますが、これは中国直輸入じゃなくて香港製。これも専門的な家具屋さんに見てもらったら、確かにうちに入れておる香港製の品物に間違いありません。これは一つ買ってあるんですよ、隠したらいかぬので。  そういうようなあくどいことも、別会社をつくってやっておるわけです。これは、あくどいということだけでは、私は済まされない問題だと思う。中国直輸入といううそをいったり、しかも総シタンというような誇大広告をやったり……。これは日中共同声明によりまして、実務協定が次から次からつくられていく中で、こういうようなあくどい商売のやり方をやっている。これは行政指導だとかいうようなことだけではなくて、事、中国に対する不信行為です。こういうようなことまでやっておるという点について、一体、大臣どういうように考えておられますか。
  253. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もし真実なりとせば、非常に悪いと思います。
  254. 和田貞夫

    和田(貞)委員 悪いということで、そのまま済まされるわけですか。
  255. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 調べてみまして、悪ければ是正させます。
  256. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、厳重にひとつ調査をしていただいて、強くやはりしかり飛ばしてもらわぬと——これは、けしからぬ話でありますから、先ほども申し上げた行政指導につけ加えて、このことをひとつ申し上げておきたいと思う。  次に、申し上げたいのは、これは法規制がないと言われれば、それまででありますが、ボーリング場の問題です。  日本の場合に、昭和四十五年に約三万レーンでありましたが、四十六年、四十七年、急激にボーリング場がふえてまいりまして、四十六年でば千八百六十センター、四万八千八百五十レーンでありましたのが、四十七年に三千八百六十二センター、十二万四千七十レーンというように急激にふえたわけです。これは一体、どういうような過程でこういうようになったというように把握しておられるのか、ひとつ教えてほしい。
  257. 森口八郎

    ○森口政府委員 ボーリング場は、早いものは二十九年ぐらいから、すでに日本に発生をいたしております。ただ、本格的にボーリング場ができてきましたのは、大体、昭和三十年代の後半になってからであります。ただ、初期のころは、ボウリング人口が急増いたしまして、ボウリング場の数はふえていったわけでございますが、それ以上にボウリング人口が急増して、需要にむしろ供給がなかなか追いつけなかったというわけでございます。  ただ、ある時期を過ぎますと、特に四十六、七年ぐらいから、ボウリング場の建設が非常にふえますとともに、他面、ボウリング人口の増加のテンポも鈍るというような交錯状況がありまして、現在では、ボウリング場のレーン数が、ボウリング需要に対してどうも過大ではないかというような状況になっておりまして、ただいまの状況では、転廃業が各地で出ておるというように聞いております。
  258. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ボウリング場の業界は、資金力のあるところと資金力のないところがありまして、いま言われたように、また転廃業ができる条件のところは、それなりにしていっておりますが、それができない条件のところが、今日、非常に困り果てておるわけなんです。転廃業ができるような資金力のあるところというと、これは私鉄関係であるとか、あるいは大紡績会社であるとか、あるいは商社関係が非常に多いわけなんです。  たとえば、これも一つ例をあげてみますと、高石市というところに、エアシップボウリング場(五十レーン)というのができた。ところが、その全く目と鼻の先に、日商岩井が子会社でヤングボウリング場というのをつくった。計画はエアシップボウリング場のほうが早かった。あとでそういうことを聞いたので、やがては今日のようなことになりはしないかということで、日商岩井のほうへ申し出た。ところが、なかなか言うことを聞かない。むしろ、あとで計画したんだけれども、突貫工事で先にオープンしてしまうというようなことで、資本力のある日商岩井は、いまなお生き長らえておるけれども、先ほど申し上げた、先に計画したエアシップボウリング場は、年間一億三千万程度の赤字で、もうにつちもさっちもいかぬというような状況を訴えております。  この日商岩井というのは、もちろん御案内のとおり、ボウリングの機械の輸入業者でもないし、販売業者でもないわけなんですが、商社の一例として、そういうように小規模の資金力のないボウリング場をいじめておる、弱らせておるという例をあげたわけなんです。このボウリングの機械は、御案内のとおり、国内産、輸入もの、四社で販売しておりますが、このボウリング場の業界と四社のボウリング機械のメーカー、これが集まってボウリング協議会というのをつくっておるわけです。もちろん、いま申し上げているように、売っている側の四商社も入っておるのです。  そこで、アメリカのほうは、先ほどもちょっと御説明がありましたように、すでに最高の時点はかなり過去です。昭和四十一年ごろです。そのピーク時から減少していっているわけです。しかも、そのことをちゃんと知りながら——いま申し上げましたボウリング協議会が、昭和四十三年に野村総合研究所というところに「ボウリング場の将来性について」ということで、調査を依頼しているのです。その結果、同研究所から、昭和五十年に五万レーンが適正である、こういう調査報告を受けておるわけです。にもかかわらず、そのことを知りながら、どんどんと商社が売りつける。そうして今日、いま申し上げましたように、約十六万レーンというような状態になって、調査の結果の三倍に及ぶところのレーンを売りつけた。売りつけた価格は、一台五百万円、今日になりましたら十四万、十五万で引き取ってあげる、こういうあくどい商法でメーカーが売りつけておる。そのメーカーがことごとく商社です。また商社がかんだ別会社であります。  こんなようなことを、たとえ法の規制がないこととはいいながら、こういうあくどい商売をやって、資金力のない小さなボウリング場が倒れていく、今日、転廃業もできないというような状況を知って、どういうように対処されようと思っておるのか、お聞かせ願いたい。
  259. 森口八郎

    ○森口政府委員 先生御引用になりました野村総合研究所の推計ば、昭和四十三年四月、日本ボウリング協議会が委託調査をいたしたものであります。この推計では、おっしゃるような結果が出ておるわけでございますが、同じように日本ボウリング場協会が、昭和四十七年の三月に、やはり将来推計をいたしております。これによりますと、同じ五十年に十三万レーンというような結果も出ておるわけでございまして、事ほどさように、遊技に対する需要というのは、人間の心理要因がからむ問題もございますし、いろいろ他の娯楽要因とのかね合いもございますので、なかなか予測のむずかしいものであります。  したがいまして、おそらく当時措置されました方は、自分の経営者としての判断に基づいて、当然、ボウリングは将来とも伸びていくというようなお考えでおつくりになったというように考えるわけでありますけれども、やはり一方においては、絶えず供給がある、他方においては需要が落ちついてくるというような事情で、今日のような状態を招いたのではないかと思うわけでございます。  なお、現実問題といたしまして、一レーン当たりのゲーム数というものは、昭和四十二年から四十六年まで、逐年上昇しておるわけでございます。ということは、逆にいいますと、四十六年までは、何とかボウリング場はもってきた、四十七年ぐらいから大体おかしくなってきて、先ほど申し上げたように、最近では転廃業者が出ておるというような状況になっておるわけでございます。ただ、こういうように、つくられた方は、当然数億の投資をされるわけですから、厳密な考慮をされた上で投資をされたであろうというように推測するわけでございますけれども、この人たちは、現実には、やはり中小企業者というようなことに相なるわけでございまして、実際上、現在の状況において、ボーリング場が、若干供給のほうが需要よりも、ただいま現在の時点においては、上回っておるということは事実でございますので、転業をする人は、当然考えられるわけでございまして、転業等につきましては、当然、中小企業庁のほうにお願いをして、いろんな中小企業金融機関がございますので、妥当な転業先でありますれば、かつその転業計画が妥当なものであれば、中小金融機関から融資をお願いするということに、私どもはいたしたいというように考えております。
  260. 和田貞夫

    和田(貞)委員 しかも大阪の場合を例にとりますと、中小の繊維業者が、脱繊維後を、各社ともボーリング場に求めて、そして小さなボーリング場をつくっていったわけです。しかし、つくっていこうと思えば、先ほども一つの例を申し上げましたように、商社がそれをじゃまする、しかも商社のかんだメーカーが、知りながら売りつけるというようなことで、繊維からボーリング場、ボーリング場からまたあとは行くえが非常にまっ暗、こういうような状況になっておるわけですね。  いま金融面のことをおっしゃられましたけれども、これも、やはり別な資料はあったとしても、やはり野村総合研究所が出したデータが、五万レーンという数字を出しておる。アメリカの数字からいいましても、大体、六万レーンが日本の人口からいって常識的な数字です。十三万レーンというのは、ためのデータじゃないか。アメリカは、人口が日本の倍として、十一万レーンが大体妥当だということであれば、日本の場合は、やはり五万レーン、六万レーンというのが常識的な数字じゃないか。  だから、そういうように売りつけた悪どい商社、これは十分やはりあなた方のほうでしかりつけなければいかぬし、困り果てておる小規模なそういうボーリング場、融資の面だけじゃなくて、今後、法的な行政指導はできないといたしましても、転廃業に非常に困っておるわけでありますから、十分ひとつ相談に乗ってやるというような、大所高別からの措置を強くひとつ要望しておきたいと思うわけなんですが、大臣いいですか。
  261. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 気の毒な者については、いろいろ相談に乗ってやって、転廃業等のめんどうを見てやりたいと思います。
  262. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その次に、これは御案内のとおり、大阪で泉州方面の繊維業界というのは、機屋さんの一台の織機から始まっているわけです。ですから、二十台以下の織機程度というのが、大体九〇%ぐらいを占めておるという、泉州特有の繊維業界です。それが、この間の十七日に、いても立ってもおられぬということで、一部の反物は施設に寄付いたしましたけれども、どうもこうもやっていけぬということで燃やしちゃった。いろいろと批判もあると私は思います。批判もあると思いますが、これらの業者のとった措置、これは、やはり労働者のストライキあるいは示威運動と同じように見るべきであろう、こういうように私は思うわけです。  このことを、あなた方のほうは、どういうたてまえでおられるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。あわせて、今日置かれておる小規模の機屋さんを中心に、繊維業界に対するところの抜本的な政策がおありでしたら、ひとつこの機会に御説明願いたいと思います。
  263. 外山弘

    ○外山政府委員 金融引き締めがだんだん強化されてまいりまして、総需要の抑制の効果が出てまいりますと、一番先に影響を受けておりますのが、私は繊維だろうと思っております。公共投資の削減等で建設業が、いち早く影響を受けましたけれども、建設業と並んで繊維工業が、全体として需要の停滞ということに一番悩んでいると思います。その辺の端的なあらわれが、いまおっしゃったような現象にもあらわれているのではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、私は、その泉州の繊維業の具体的な実情が、特に繊維業界の中で特別に違っているのかどうかという点については、つまびらかにいたしませんけれども、しかし全体の傾向といたしまして、非常に過剰在庫がふえてきているということは言えるわけでございまして、いまのような現象も、その一つのあらわれであろうと考えるわけでございます。  目下、私ども生活産業局とも御相談をいたしまして、中小繊維業の金融上の救済策はいかにあるべきかという角度でいろいろ検討しているところでございますが、先般も三月の初めに、若干の緊急融資をいたしました。これは繊維業等に重点を置いてやるようにということで、一カ月分のワクを政府系三機関に五百億追加したわけでございますが、同じようなことを今後も考えていかなければいけないのではないだろうか。主力は御承知のように、新年度になりまして五千五百億のワクが政府系三機関にございます。しかし、これがただならぬ情勢の中にある繊維業にとって、はたして適切な配分になるかどうかという点については、私どもも調べなければいけない、また、それについての配慮もしなければいけないという角度から、いま作業しているところでございます。何らかの意味で繊維業については、対策を講じなければいけないのではないか、こう考えております。
  264. 和田貞夫

    和田(貞)委員 低利長期の金融特別措置も必要でありますけれども、やはりこれも一つの大きな要因として、商社の先を見越しての大量輸入ということが、御承知のとおり大きな要因になっておるわけです。金融面とあわせて繊維製品の輸入の制限というようなことは考えておられますか。
  265. 外山弘

    ○外山政府委員 生活産業局長が見えておりませんので、私も的確なお答えをする立場にない以上、お答えするのもどうかと思いますが、生活産業局の御意見を聞きますと、相手国との関係もあって、なかなかむずかしい情勢にあるように聞いております。確かに輸入はふえたようでございますが、最近はだいぶ輸入量は減ってきているというようなことも聞いております。今後の方針については、私自身承知しておりません。
  266. 和田貞夫

    和田(貞)委員 担当局長あられぬのですが、これは綿だけじゃなくて、タオルに至るまで同じような境遇に置かれているわけです。大きな業界のあなた方に対する要望としては、輸入制限がやはり根本的だ、こういうように言っているわけなんですが、大臣、その点はどうですか。
  267. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま、わりあい問題になっているのは、LDC諸国、いわゆる発展途上国からの輸入がふえてきておるわけです。それは、わりあいに大衆的な品物で、どっちかというと、あまり質のよくない物が多いのです。それらは非常に荷もたれして、不景気になっているものだから、売れなくなって、非常に困っておるものも出てきているわけです。しかし、これが輸入制限をやるということは、いまでは実はガットの繊維協定で、日本はアメリカその他にどんどん輸出しておって、輸入制限に一番反対してきた国だ、それが、にわかに変わって、輸入制限をやるということは、国際信義の上からも変なことになりますし、それから、それをやるというと、日本全体が輸出輸入の貿易で生きている国ですから、保護主義をできるだけやめさせようと思ってやってきているわけで、口実を与えるということにもなります。  そういう意味で、輸入制限はやってはいけないし、やらぬつもりです。しかし現実問題として、業者に対しては、いろいろ品物をよく選別して、入れる場合には、慎重に考えてやるように、私たちは事実上指導していきたいと思っております。
  268. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そういう弱小小規模の繊維業界が大半を占めておるわけでありますから、ひとつ十分業界等の相談に乗ってやっていただきたいと思います。  つけ加えて、一つの例でありますが、昭和四十一年のできごとです。熊本県に企業の誘致条例というのがありまして、大阪の泉州方面から、十企業が熊本県に誘致を受けて、それぞれ企業進出をしているわけです。そのうち豊野織物株式会社というのがあるわけなんですが、これが企業誘致条例によって、同じように十社の中での一企業として進出をいたしました。そして四十二年に操業開始したわけですが、当時、従業員が、男子が十一名で女子が五十二人、これだけの規模の企業です。ところが、そのとき県と豊野村当局と当事者の豊野織物との三者によりまして、誘致後十カ年間は、同村に他企業の誘致はしない、こういう約束が、協定書によって結ばれておるわけです。  ところが、その後その約束をたがえて、当時の村長にかわった村長が選出されてまいりまして、企業が誘致された。しかも、その企業というのは、かなり大規模な企業でありまして、しかも、この豊野織物と同じように女子従業員を主とした企業であった。日本ゴム豊野工場というように、いま呼ばれておるわけですが、それがやってきた。したがいまして、その条件が破られたために、昭和四十六年の十二月に工場を閉鎖せざるを得ない、こういう状況になったわけです。企業は進出いたしまして、工場の用地取得あるいは工場の建設その他のために、商工組合中央金庫より当時再千万円の借り入れを行なっておる。それが損害利息であるとか、あるいは約手利息であるとか元金の一部返済というようなことをやってまいりましたけれども、いまだに残金が、四千二百八十一万九千円というようなのが残っておる。利息に利息が重なってまいりまして、せっかく二千五百三十万二千円の返済をしておるにもかかわらず、結果的には七百十八万円程度しか返済をした形になっておらない。こういう状況に置かれておるわけです。  このような点、これは熊本県の問題だといえば、それまででありますが、一つの県に誘致条例があって、その誘致条例に基づいて協定まで結んで行った結果、それが違約されてこういう状況になった、このような企業に対するところの対策というのは、あなた方のほうでどういうように受けとめられ、どういうように対処されようというお考えか、ひとつお答え願いたい。
  269. 外山弘

    ○外山政府委員 私ども、まだ十分調査しておりませんけれども、いま大体、先生のおっしゃるような経緯をたどっているようでございますが、一つ問題点としてございますのは、やはりその豊野村というところが、他の企業は誘致しないという約束までして、それが重要な判断となって、その織物会社が出たのかどうかという点が一つございます。この点は、私どもはまだはっきりわかりません。それからもう一つは、やはり結果として大きな企業が、そこに競合して出てきたために、従業員の離脱状況が起こった。これは引き抜きではないにしても、結果として引き抜きと同じようなことが生じたということにもなるわけでございまして、その間に不当な行為があったかなかったかは別といたしまして、結果としては大きな影響を受けたのだろうと思います。そういった点、いろいろな点を、もう少し経緯的に見ないと、今後の対策を考える上での問題点としては、十分ではございませんけれども、現実問題として、いま御指摘のように、この豊野織物が業績不振におちいって、四十六年の十二月に工場の閉鎖にまできているというふうな話でございます。商工中金がいろいろいままで指導してきたようでございますが、これが四十五年の不況の前後に、もう相当経営が逼迫してきたような判断もしているようでございますし、また、この織物会社自体が、もともと卸業が中心であって、製造業はふなれなところが多かったというふうなこともあったようでございます。今後、これをどういうふうにするかということでございますが、これは、また具体的な問題として、金融機関なり県当局なりとも御相談して、お手伝いしなければいけない点があれば適切な御指導をしていきたい、こう考える次第でございます。
  270. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは当時の協定書も県のほうにもあります、三者で結んだから。村のほうにもあります。該当する旧豊野織物株式会社も持っております。一回これらの点をひとつ確かめていただいて、県に対するところの行政指導あるいは直接倒産した企業に対するところの相談あるいはまだ残金がある商工組合中央金庫に対するところの返済の方法、そういうような点についても、十分ひとつ親身になって相談してやってほしい、こういうように考えますが、いいですか。
  271. 外山弘

    ○外山政府委員 御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  272. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その次に、私、申し上げたいのは、昨年の国会で議員立法という形で動物保護という法律ができました。そして、この四月一日から発足になっているわけです。もちろん議員立法で満場一致できめたわけでありますが、動物を大切にしなければいかぬ、かわいがらなければいかぬ、こういう気持ちが、私たちも賛成した一人としてあります。ところが、そのことによりまして、非常に困り果てておる業者があるわけです。いわゆるネコの皮を使ったり、イヌの皮を使ったりしておる三味線の製造業です。これは長い間の伝統の楽器でありまして、きょう参議院で、おそらく伝統工芸産業の振興法という法律が、質疑が終わりまして、まさに成立されようとしておるわけでありますが、まず、あなたにお聞きしたいのは、あなたがたの所管であるかどうかわかりませんが、三味線の製造業、これは、その伝統工芸産業の法律が成立いたしました暁において、その伝統工芸品に入るかどうか、まずお聞きしたい。
  273. 外山弘

    ○外山政府委員 伝統産業振興法は、私どもの行政機関の立場からいいますと、通産省では生活産業局が所管しております。それから、もともと法律自身が国会の御提案でございまして、私どもも、その辺つまびらかにした理解を持っておりません。したがいまして、いまあまり確たる御返事を申し上げても、なんでございますので、これは、また生活産業局長のほうに連絡して見解を求めたいと思います。
  274. 和田貞夫

    和田(貞)委員 一回聞いてください。これは、いま始まったようなものじゃなくて、もう古典楽器ですね。ですから、当然、伝統工芸産業の部類に私は入ると思いますが、これは、あとでお聞きします。  この法律施行された四月一日から以降、警察庁の方来ておられますが、この法律によって違反者は、いままで全国に何件出ておりますか。
  275. 武田安雄

    ○武田説明員 お答え申し上げます。  現在、警察庁が認知をいたしておりますのは一件でございます。去る四月十日の夕方、金沢市のほうで、酒に酔っぱらいました四十五歳の男性が、道路と家との間に、三メートルの小川がございまして、その玄関との間に私の橋をかけているわけですが、その玄関の前に犬小屋を置きまして、そこに鎖で縛りつけられていた犬がほえるものですから、足でけとばして犬小屋もろとも川へ落っことした、この事案一件でございます。
  276. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ、伝統産業である邦楽器の製造業者あるいは販売業者には関係ありませんね。
  277. 武田安雄

    ○武田説明員 御質問のとおり、関係ございません。
  278. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この法律施行前に——これは、もちろん材料が必要であるわけですから、三味線の材料としてのネコ、犬の原皮、これは、どうしてもなければ製造できないわけですからね。これが、いままで、のらネコであるとかのら犬であるとかを、依頼されて、保健所が犬は捕獲するけれども、ネコは捕獲しない、またする能力がないということで、業者のほうに、従来、保健所自身からも依頼がある、あるいは市町村自身からも依頼があるということで、たくさんあちらこちらから表彰まで受けて、感謝状までもらって、ネコの捕獲に協力をした、また、それが邦楽器業界の材料になるわけですから、喜んで協力しておった。  そういうような過程で、この動物保護法ができ上がる過程で、その運動をなさった動物の愛護家といいますか、ネコや犬を伺っておられる方で、盗まれた、とられたということで被害を受けた方々、そういうような方々の間に、いままでいざこざというものが、大体、年にどのぐらい程度あったのですか。
  279. 武田安雄

    ○武田説明員 その件については、あまり聞いていないわけでございます。それから、御存じのとおり、財産犯罪につきましては、年間数十万件の認知件数があるものでございますから、システムといたしまして、オンラインシステムによる電算組織を導入いたしまして統計をとっているわけでございます。そういたしますと、犯罪統計原票によりまして打ち込まれてまいりますワクの中に、被害品といたしまして、通貨以外のもので貴金属その他十四種類ございますが、十五番目に、その他の物品ということで一括して処理をされておりますので、ネコや犬の被害が何件あるかということが、ちょっとわからないというふうなシステムになっておりますので、御了承願いたいと思います。
  280. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、原皮を徴集するために、いま申し上げましたように、従来から業者が依頼を受けて、のら犬、のらネコの捕獲に従事しておる捕獲人とそういう動物愛好家との間に、直接の摩擦があったりしたということは、はっきりわからぬわけですか。なかったのですか。
  281. 武田安雄

    ○武田説明員 私の警察のほうでは、格別聞いておりません。
  282. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この保護法ができまして、もちろん、その法の趣旨から動物を愛護する、こういうことでありますが、それがために、従来この法律施行前までは、先ほども申し上げましたように、のら犬狩り、のらネコ狩りをやって原皮を集めておった、それが、この四月一日から一切できない状態になっておるわけです。  そうすると、邦楽器というのは、単にこの産業の振興ということだけじゃなくて、この邦楽器を使った日本古来の古典芸能自体が、ネコや犬の原皮が使用できないということになりましたら、衰亡してしまうということで、これは非常に問題が波及してくるわけです。通産省として、これらの点について何とかいい考え方がないかどうか、何か考えられたことないですか。また、この業者のほうから、そういうような陳情とかあるいは要請だとかいうようなことば、いままでなかったですか。
  283. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は、日本動物福祉協会の会長をしておりまして、大出さんや皆さんにお願いして、あの法案をつくっていただいたほうで、たいへん感謝しておるところでありますが、あの法律によりましても、捕獲することを禁止はしていないと思うのです。ただ、残虐な扱いをしたり、残酷なことで殺したりすることは、いけないということではないかと思うのです。ですから、のらネコやのら犬というようなものは、一般が迷惑することですから、捕獲してもいいと思うんですね。  ただ、それを今度はどう処理するかという点について、これは動物愛護の精神から見て、適切なやり方で行なうべきである、そういうように私は考えます。それが第一で、そういうふうにひとつ、警察庁のほうでも御理解願って、のらネコやのら犬を捕獲することについては、これは、むしろ積極的にやっていただいたほうが、公衆のためになるのではないか、こう思います。  それから、しかし一方、そういう犬やネコの身になってみれば、皮をはがされるということは迷惑な話ですから、やはりこれは、いつまでもそういうものを、時代の進歩とともにやっていいかどうかということは、一つの問題点ですね。だから、犬の皮やネコの皮にかわる代用品を、通産省が研究して、もっといいものを発明したらどうだろうかということを、実はいま考えたところです。そういう代用品や化学が進歩していなかったから、犬やネコにたよったのでしょうけれども、近ごろは人造ゴムというようなものも出てきて、普通のゴムよりいいものが出てきております。そういうわけですから、これはひとつ、そういう邦楽研究関係団体等とも協力して、そういういい代用品というものを、そろそろ研究したらいいのではないか、そう思います。
  284. 和田貞夫

    和田(貞)委員 太鼓の場合は、いま言われるように、代用皮革でできるのですが、あなたは三味線の音色がいいか悪いかという専門家であるかどうかわかりませんが、やはり三味線というのは、馬の皮や牛の皮ではどうもいかぬ。また、犬の皮よりもネコの皮のほうが音色がいい、非常に大事に育てた愛玩用のネコよりも、いわゆるのら犬、あばれ回るそういうのらネコのほうが、やはり音色がいい、こういうように専門家から聞いているわけです。  したがいまして、これは、やはり代用ではとってもいかぬわけです。特に、やはり芸能を専門になさっておられる方々においては、どうしてもいい皮を使用した、音色のいい三味線というものを要求されるわけでありますから、太鼓のようにいかないということですね。ひとつあらためて御自覚いただきたいと思います。  そこで、この法律が、もう施行をされておるわけでありますが、この法が施行されたということで、いま申し上げましたように、いまだにこの捕獲がとまっておるわけです。そこで警察関係に、直接その担当じゃありませんけれども——やはり法の違反だということになりはしないかということなんですね。通産大臣は奨励されるのだけれども、当人たちとしては、法の違反になりはせぬかということで、いまちゅうちょして、捕獲を全然やっておらないというのが実情なんです。  それで、この法律の主務庁である、総理府ですか、これを、いつまでもほっておくと、これが、もう一カ月、二カ月、三カ月とたっていきますと、原皮がとだえてしまって、修理さえもできない、こういう状況になるんですよ。  だから、これは審議会がどうやこうや言わぬで、現実に製造ができないということで、困っておるわけですから、また捕獲人自身も、その捕獲をして、やはり食って生きておるわけですから、生活にもかかっていっておるわけですから、ひとつ、これはこれとして、通産大臣の言われたように、捕獲は禁止しておらないという、ここを、やはり産業振興の担当の主務大臣が、そういうように言っておられるわけですから、警察、通産省でやはり早急に打ち合わせをして、この伝統産業を振興させるという立場に立って、これらの業界のために対処していく早急な措置を講じてほしい、こういうように思うのですが、総理府、どうですか。
  285. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 お答え申し上げます。  いま、先生の御指摘の、各府県で法律を所管する部局が、はっきりしないという点が一つだと思いますが、そういう点も、確かに現在まだ十数県程度しか、この部局で所管しますということがはっきりきまっておらない。この点につきましては、私ども再三、電話あるいは公文書をもって、所管部局を早くきめてほしいということは申しておりますし、さらに督促をいたしたいと思っております。  それから、もう一つの点でございますが、ネコの捕獲そのもののことでございますけれども、私ども現在のところは、いわゆるのらネコ、のら犬そのものを捕獲することそのこと自体は、この法律によって禁止されておるというものではないというふうに考えております。ただ、それが飼いネコであるか、そうでないかというところで、実はネコにつきましては、飼いネコかそうでないかという登録制度というふうなものがございませんので、その辺のところで、従来、捕獲する側と一般のネコを飼っておられる方との間にトラブルがあったというふうな話は聞いておりますが、その辺が一つ問題だろうと思います。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 言われました捕獲すること、そのこと自体につきましては、この法律で禁止はされてないというふうに考えております。いわゆる罰則の問題につきましても、虐待し、あるいは遺棄するというふうな問題について、罰則があるということでございますので、先ほど申し上げましたように、のらネコ、のら犬そのものを捕獲すること自体が、禁止されているというふうには考えておりません。
  286. 武田安雄

    ○武田説明員 警察庁のほうにおきましては、外部から御相談があった場合に、こちらのほうで知らないと困りますし、あるいはこういう法律ができて「十三条の罰則ができたということにつきまして、急に厳格に取り締まるというふうなことがあっても困りますので、四月一日が施行でございますが、三月の初めに、主管部局の総理府総務副長官から、各都道府県知事あて通達された法の趣旨及び施行上留意すべき事項につきましての文書を、参照として流しますとともに、十三条の罰則にできましたが、同じに、同じような趣旨の軽犯罪法第一条第二十一号違反の条項が削除されておりますので、調べてみますと、大体年間に一件かそこら、特に鎖でたたいたとか、あるいは犬にガソリンをぶっかけて火を放ったというような、非常に悪質なものがございますので、この本条違反の事件を処理するにあたりましては、十分慎重な処理をするとともに、特異な事件については、本庁とよく打ち合わせてやってもらいたいということを通達いたしております。  そこで、通産大臣がお答えになりましたように、私どもといたしましては、この罰則の点だけ慎重に処理をするという考えでございまして、捕獲をする、あるいはこれを営業としている者が困るというふうなことがないように処置をいたしておりますが、このことも、いろいろな外部との会合の場合にはよく徹底をさせたい、あるいは御相談があった場合には、その点、十分にお知らせするというふうにしたいと考えております。
  287. 和田貞夫

    和田(貞)委員 実は、きょう邦楽器商工組合連合会という業者団体のほうから、いままで大かた一月も遊んできたのだから、何とかしてほしいという陳情を受けまして、それが終わったと思いましたら、今度は、この法律を守るためには、そういうむやみに盗まれたり、捕獲されたら困るという愛護家の奥さん連中からも陳情を受けたのですが、いま警察のほうから、法の施行前あるいは法の施行後をお聞きいたしますと、邦楽器の業者のほうは、そういうネコや犬を盗んでおらぬわけですね。盗んでおるというのは、そうじゃない人が盗んでおる。ところが、被害を受けた側からいうと、その捕獲に当たっている業者のほうが盗んだのじゃないかという考え方を持っているわけなんです。いま総理府が言われたのは、この法の施行のために、各府県で窓口をつくるということでありますけれども、いま私が言っておりますのは、業者が非常に困っておるわけでありまして、たとえばいま約百人ほどの業者のほうの捕獲人がおるのですが、この業者のほうの捕獲人に対しましてはどろぼうでないんだという何か身分証明書とかいうものを持たして、通産大臣の言われたように、産業振興のためにどんどんのら犬、のらネコを捕獲していくということができるように考えてやってもらいたい。これは総理府もさることながら、産業振興という面から、通産省のほうで早急に警察あるいは総理府と打ち合わせをしていただいて、いま非常に困っておる業界を、この法の施行後において、何とか再出発できるように、何らかの手当てを講じてやってほしい、こういうように思いますが、どうですか。
  288. 外山弘

    ○外山政府委員 三味線の業者の人も、おそらく中小業者であろうと思います。私も、これに対して無関心でなく、いま御指摘の問題点を、よく頭に置いて、担当の局とも相談をしまして、いま御指摘の問題点に対して、対応できるようにさっそく勉強してみたいと思います。
  289. 和田貞夫

    和田(貞)委員 早急にそのことをお願いしておきたいと思うのです。時間が参りましたが、もう五分ほどお願いしたい。  この機会に、LPガスの敗売について、一言触れておきたいと思うのです。これは重量敗売の中で、消費者のほうから、いろいろともんちゃくがあって、メーター制にするように措置を講ぜられたわけなんですが、現実の姿として、たとえば旧集落がある、その旧集落の周辺に、宅地開発をして団地ができた、あるいは文化住宅、アパートができていった。そうすると、旧集落の外側の団地だとか、あるいは市街化したところに、都市ガスが入っていく。残された旧集落のほうも、せっかく都市ガスが来たのだから、何とかせにゃならぬということで、村の財産があるところは、村の財産を売ってやったり、あるいは個人個人で負担をして、都市ガスの導入のために村をあげて努力をする。しかし個人負担をどうしても余儀なくされておる家庭にありましては、その経費を出せないということで、いまだにプロパンガスを利用しておるところがあるわけです。あるいは十キロボンベ、二十キロボンベ、五十キロボンベ、それぞれ種類がありまして、十キロボンベの場合は、片手でも持ち運びが可能でありますので、メーター化すると、メーターのほうをのけて、二階へ持って上がってすき焼きだというようなことになり、小売敗売店のほうが、そのことによって損をするということも、一つの例ですが、あるのです。  こういうように小売販売店のほうからいっても、画一的にメーター化していくというところに問題があるし、あるいはいま申し上げましたように、せっかく都市ガスを導入する機会がありましても、そのことによって経費がかさむので、やはりプロパンでしんぼうするという底辺の家庭が多いわけですね。そういう両面からいって、画一的にメーター化していくということを、せっかく方針として打ち出されたわけでありますが、いま申し上げましたように、そういう問題が現実の姿としてあるわけなんです。  したがいまして、時間がありませんので結論を申し上げますと、五十キロボンベは家庭では持ち運びできない。十キロボンベについては、これはメーター化の対象にしないとか、あるいはメーター化するが、従来の重量売りについては、消費者のほうの選択の自由にまかすというような措置を、この際とってもらいたいと思うのですが、そのことについて、どういうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  290. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 ただいま御指摘の問題は、家庭用のLPガスの敗売方式につきまして、現在までメーター制と重量制の二つの方式が、選択的に認められておるわけでございますが、五十年三月末には、メーターに一本化するという点につきまして、十キログラムのものを適用除外にすべきではないか、こういう御指摘でございます。実は、この点につきましては、私ども、この方針を出します際に、今後の配送の合理化とか、あるいは十キロボンベの場合には、残ガスの面前計量というようなことをやる、残ガスについて精算をして取りかえる、こういった点で、特に消費者の方から、しばしば不正が行なわれるという御指摘がございまして、なるべく十キロボンベにつきましては、メーター化してほしい、こういった背景で、五十年三月までの猶予期間を置きまして、メーター化をきめたわけでございます。  いま先生御指摘の、携帯用その他の問題につきましては、通常十キロ未満のものが多うございまして、五キロあるいは二・五キロ、こういうボンベが多うございますが、こういったものにつきましては、従来どおりの方針で適用除外を省令でいたしておるわけでございます。いま先生御指摘の問題につきましては、私ども、最近の実態についても、さらに調査をいたしてみるつもりでございまして、検討はいたしてみますが、従来の私どもの考え方は、以上のとおりでございます。
  291. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これも、そうこだわりなさんなよ。それぞれの地域によって、産気率が違うわけですからね。もう都道府県にまかしておるわけですから、そのことによってやった結果、いま申し上げましたように、消費者の立場からも、あるいは敗売店の立場からも、やはり問題があるということを指摘しておるわけです。特に十キロボンベの場合は、片手でさげていけるわけですからね。だから、消費者のほうは盗み取りをすることができる、敗売店のほうは被害をこうむる、こういうことで、敗売店のほうからも、やはり問題点があるし、それから低所得者層のほうも、都市ガスを導入する場合の経費の負担ができない、これはもうたえ得ないという、こういう実情の中から言うておるわけですからね。  これは、ひとつこだわらないで、二十キロボンベ、五十キロボンベの場合は、メーター化してもいいとしても、十キロボンベについては、私は、メーター化するなということまで言っておらないわけなんですからね。メーター化しないという方法もいいし、あるいは消費者の選択にまかすということも考えられるわけですから、そういう点を含めて、ひとつ検討してもらいたいという私の希望なんですが、どうですか。
  292. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 明年の三月末までということになっておるわけでございますが、いま御指摘の点につきましては、私どもも、これからの推移につきましては、十分実態を精査いたしまして、実情に沿うように判断いたしてまいりたい、かように考えます。
  293. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、時間が参りましたので終わりたいと思いますが、いま、いろいろと実情を訴えました。皆さま方のほうに関係がありませんけれども、林野庁のほうの木材業者と商社との関係、あるいは運輸省関係では、タクシーあるいは貸物自動車ともに、大企業が路線免許を持っておりながら、地方の中小の一般運送の分野にまで入るという問題、あるいは大商社が中心となった業界とその他の小規模の業界との関係、巨大スーパーと小売商店との関係、これがあるわけです。したがいまして、単に金融面であるとか税金の面であるとか、あるいは行政指導の面であるとかいうことだけじゃなくて、それぞれ大企業や大商社が、小規模の企業の事業分野に非常に食い入っておるというところに問題があるわけですから、これは法的措置を含めて、将来的な問題といたしまして、小規模企業を根本的に守っていくためには、小規模企業の事業分野というものをば、中企業以上の企業のほうから荒らされないような措置というものを持つということが、非常に重要な問題であろうか、私は、こういうように思いますので、その点を含めて、ひとつ小規模企業の行政指導に当たっていただきたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わらせてもらいたいと思います。
  294. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 木下元二君。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  295. 木下元二

    ○木下委員 衆議院予算委員会等におけるわが党などの追及によりまして、大企業、大商社が、石油危機による便乗値上げ、やみカルテル、物不足による価格つり上げなど、あくどい手口で大もうけをしていた事実が明らかになりまして、そのために中小零細企業は、かつてない経営の苦況にあえいでおります。大企業の製品値上げによる原材料の高騰、入手難で契約は達成できず、受注、売り上げは減少し、採算は悪化しているという状態に追い込まれております。このために、運転資金が不足しておるのに加えて、昨年四月から五月にわたる金融引き締めで、公定歩合は四・二五%から九%へと高金利になった上、大蔵省通達——これは四十八年十二月二十五日でありますが、この通達による選別融資は、四十九年二月二十八日の通達によりまして、さらにきびしい内容のものになり、中小零細企業者への金融面のしわ寄せば、強まるばかりでありまして、金融上の問題は深刻であります。  この結果、中小企業の倒産は、昨年後半以降増加を続けまして、本年一月には、負債額一千万以上で八百九件に達しております。一月としては史上最高を記録いたしております。二月に至りましては、さらに増加をし、負債額一千万以上のみで八百五十二件と、戦後二番目の高水準を記録いたしております。政府は、この事態をどう考えておられるか、どのように具体的な措置を講ずるお考えであるか、伺いたいと思います。さらにあわせて、負債額一千万以下の中小零細企業の倒産件数も、さらに広がっていると思われますが、調査の結果がありますれば、御報告をいただきたい。  以上であります。
  296. 外山弘

    ○外山政府委員 金融引き締めのもとにありまして、健全な経営を行ないます中小企業者の資金面に、重大な支障を生ずることのないよう、十分配慮する必要があるというふうな考えで、先般も、とりあえず四十八年度末に、運転資金の貸し出しワクとしまして、五百五億円を政府系三機関への追加として行ないましたし、また民間金融機関に対しましても、緊急に必要な中小企業向け運転資金の貸し出しについて、より一そう円滑化をはかるように要請してまいりました。  現下のこの金融環境というのは、ますますきびしくなることが予想されるわけでございまして、私どもとしましても、今後、ますますその事情の精査が必要であり、かつ新しい年度になりましてから、四−六としても五千五百億円を用意しまして、そして重点業種を中心に、金融の円滑化を推進しているわけでございますが、これでも、はたして今後の情勢の逼迫の中で、十分対応できるかどうかということについて、目下検討を加えているところでございます。必要に応じまして、この貸し出しワクの増加ということについての配慮をしなければならない、こう考えている次第でございます。
  297. 木下元二

    ○木下委員 この一月、二月の中小零細企業の倒産が、なぜ起こったかと申しますと、物不足による便乗値上げを行ないました大企業には、資金、資材などが豊富に集中いたしております一方、中小零細業者は、資材は入手できず、資金難が顕著になった上、金融引き締めの強化が重なって、倒産を増加させたことは明らかであります。結局、しわ寄せが全部、中小零細業者に来ておるということであります。このような結果は、政府が大企業には厚い手だてを講じてやっておるが、中小零細企業の深刻な事態に対しては、何ら手だてを講じようとしない、顧みようとしない、そのことのあらわれではないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  298. 外山弘

    ○外山政府委員 昨年の夏ごろから、いろいろ資材問題が起こりまして、それが中小企業へ物の面でのしわが寄りがちであるというふうな問題点を、私どももいち早く指摘いたしまして、これに対していろいろな手当てを、つまり資材のあっせんといったようなことについての配慮をしたわけでございます。しかし、その後、石油の問題等が加わりまして、物不足状態というのが、各方面に加わり、したがいまして、原材料の加工という面に多くの分野を持っております中小企業にとっては、非常に大きな影響があったと思います。これは物の面、価格の面、両方の面であったと思います。ただ、ことしに入りまして、若干、その物不足の状態は、緩和をしてきたというふうな感じがいたしますが、しかし反面、金融のほうのしわが、一方寄りがちであるというふうな状況が、むしろ深刻になってくるような懸念がございます。  そういった状況判断を、私どもはしておるわけでございまして、そういった中で見ますと、中小企業者の、昨年の後半から出てきております倒産件数の中に、その理由としてやはり物不足問題がぼつぼつ出てきていたというところでございましたが、ことしに入りまして、むしろ金融引き締めによる影響、そういった原因が多く見られるといったような倒産件数がふえてきた。業種もだんだん広がりつつあるというふうな感じがいたします。
  299. 木下元二

    ○木下委員 倒産につきましては、民間の信用調査機関である帝国興信所、東亜興信所の分析が出ておりますが、これによりましても、金融財政の両面の金融引き締め強化で中小企業金融が逼迫し、倒産は増勢をたどる、インフレ、物不足倒産が依然高水準にある、一月は百九十件、二月は二百十七件という数字が出ております。また今後の見通しにつきまして、この両興信所とも、貸し出しワクの縮小、選別融資の強化など銀行の貸し出し規制が一段と強まっていく、物不足を背景に、現金決済の比率が高いことなどから金融逼迫、在庫吐き出し、需要、売り出し減などの要因が重なって、六月ごろまで中小企業の倒産は、一段と増加すると予想されております。  この状態が示しますように、このまま推移いたしますと、雪だるま式に連鎖倒産が広がることは、当然予想されます。このような事態に対しまして、緊急対策が必要ではないかと思うのであります。これをぜひとも講ずる必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  300. 外山弘

    ○外山政府委員 倒産件数も、御指摘のように、現在わかっております最新の三月が、御承知のように一千件をこえたわけでございまして、四十三年のとき以来の件数でございます。そして四月以降、先ほども申しましたように、やはり金融引き締めの影響がますます広範に、かつ程度を深めて中小企業に影響するのではないだろうかという懸念があるものですから、先ほど申しましたように、いろいろな事情を調べながら、これについての対策を打たなければなるまい、こう考えているわけでございます。  いま御指摘のように、六月までには相当問題になりはしないかという点は、私どもも同様に思っております。したがいまして、先ほど申しましたように、ことしの四−六の通常の貸し出しワク五千八百億に加えまして、何らかの追加ワクを考えなければいけない。そして、それの重点的な使用ということに配慮をいたしまして、やはり問題の大きそうな分野に重点的に考えるというふうなことが必要ではないだろうか、そういう問題意識で現在作業もし、かつまた、早急に関係当局とも話し合いをしたい、こう考えている次第でございます。
  301. 木下元二

    ○木下委員 いろいろな業種がありますけれども、たとえば印刷業を見ましても、あるいは建築業、金属加工業などを見ましても、資材の高騰、入手難、これに加えまして運転資金が、いままでよりも二倍も三倍も、あるいは三倍以上も必要になってきておるという状態であります。それに引きかえて、金融の引き締めで金融は引き締められ、金利は上がる、こういうことで金融面でもきびしく、営業はもう非常に苦しいという状態が出ております。  政府は、中小零細企業のこのような深刻な現状に対しまして、いまいろいろ言われますけれども、あまり考慮が払われていないのではないかと思われるのです。そのことは、予算の上にも、はっきりあらわれておると思います。四十九年度の中小企業対策費は、一千二十億八千三百万円であります。これは全予算の〇・五九%でありまして、一%に満たないわずかなものであります。四十六年度予算の中の中小企業対策費の比率は、〇・六一五%でありまして、これに比べて、わずかとはいえ、後退しているという状態であります。これで一体、政府の言う優先的配慮ということがいえるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  302. 外山弘

    ○外山政府委員 確かに、御指摘のように、予算は一千二十何億でございまして、一般会計としては、総予算の〇・五九%というところでございますが、私どもから見ますと、中小企業の対策費として、一般会計の予算が一千億をこえたのは、実は初めてでございまして、最近になく、小規模企業対策を中心といたしまして、一般会計の金は、かなり増額されているというふうに考えます。  一方、中小企業対策費は、一般会計だけで見るべきではございませんで、何と申しましても、金融が大事でございます。したがいまして、財政投融資による配慮、政府系三機関に対する貸し出しワクの増加という点も、もう一つ、たいへん大事な柱でございます。この辺は、やはりことし初めて、二兆円をこえる貸し出し規模でスタートをするというふうなことが、初めて実行されるわけでございまして、その辺も、いつもに比べれば、努力のあとが見られるといってもよいのではないか、こう考えるわけでございます。  ただ、こういった制度のほかに、もう一つ財投と一般会計、両方含めておりますが、中小零細企業に対しましては、小企業経営改善資金というものを昨年から始めております。無担保、無保証のこの経営改善資金が、やはり金融上の措置として小規模零細企業者にとって、たいへん役立っているのではないだろうか。特に、昨年の秋からの実行でございますけれども、最近のような事態を迎えて、やはり非常に有用な役割りをしてはいないだろうか、こう考えているわけでございまして、この制度自身も、さらにふくらませるということで、ことしは御承知のように、千二百億の貸し出しを予定しているわけでございます。そういうようなことを含めまして、中小企業対策費というものを含めて御判断願いたい、こう考えるわけでございます。
  303. 木下元二

    ○木下委員 大臣が帰ってこられましたので、先ほど大臣がいられない間に、少しお尋ねしておったのですけれども、金融引き締めで中小企業金融が非常に逼迫しておって、倒産もどんどんふえておるという状態が生まれておりまして、このまま推移いたしますと、もう連鎖倒産がどんどん広がっていく、こういうことに対して、緊急対策が必要ではないかという質問をしたわけであります。先ほど、これに対しては、別に融資のワクをとって、ひとつできるだけのことをしていくというふうな答弁があったわけでありますけれども、この点について、もう少し大臣のほうからも、具体的な御答弁をいただきたいと思います。
  304. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中小企業関係、特に零細企業関係の事態は、憂うべき徴候がございます。特に、それは繊維関係、それから自動車の下請関係、機械工業関係、そういう方面に最近は出てきております。その前には、すでに建設業とか、あるいはさっきお話のあったボーリング場とか、あるいはそのほかの仕事にも出てきておるわけです。それで、総需要引き締めが、このまま続いていきますと、この六月にかけて、かなり心配しなければならぬ事態が出なければよいがと思って、いろいろ対策もただしておるところでございますが、何といっても、それは金融措置が大事でございます。  そこで今回、法律でも保証関係に関する非常に大きな前進をやらしてもらいました。信用保証協会を中心にする措置であります。また、一面においては、政府系三機関等を通ずる金融措置について、ことしはたしか第一・四半期、五千五百億円のワクをとったはずでございますが、この情勢を見ながら、必要に応じてそれを下期のものを繰り上げるとか、あるいはさらに別ワクとして中小企業対策用としてとるとか、そういう点について、大蔵省とも折衝して、時期に間に合うように適切な措置をしたいと考えております。
  305. 木下元二

    ○木下委員 大蔵省に伺いたいのですが、融資抑制あるいは選別融資を強化するために、四十九年の二月二十八日付の各銀行あての大蔵省銀行局長通達というのがありますが、これは中小企業も対象にいたしております。ところが、その前の四十八年十二月二十五日の通達によりますと、中小企業は除外されておったのです。それが中小企業も対象にしてきたのは、どういう理由なのか、伺いたいと思います。
  306. 山田幹人

    山田(幹)説明員 御指摘のとおり、二月二十八日付と十二月二十五日付では、若干表現の差がございますけれども、二月の際には、お読みいただいてわかっていらっしゃると思いますが、全体的な金融引き締めの浸透にもかかわらず、なお、その浸透状況に跛行現象が見られるということでございまして、中小企業の中にも、一部にはまだ浸透していない面もございますという認識のもとに、全体としての中小企業には十分配慮しながら、その中で流通段階の在庫保有等に問題はないかというような点を総点検してくれ、こういう趣旨でございまして、中小企業を特にねらい打ちというようなことでは決してございません。跛行現象を踏まえまして、実情に即してきめこまかく対応してもらいたいという趣旨でございます。
  307. 木下元二

    ○木下委員 今度のこの通達によりますと、「金融機関においても、金融引締めの影響が健全な中小企業経営に不当にしわ寄せされることのないよう配意しつつ、」というふうに書かれておりますね。健全なという語彙が、何を意味するか理解しかねますが、いずれにいたしましても、中小企業経営へのしわ寄せに対する配慮ということが、一応うたわれてはおるのです。うたわれておりますけれども、先ほどの興信所調査によっても明らかなように、選別融資の強化、貸し付けワク規制による金融難が、倒産の一つの主たる要因になっておることば事実であります。  このような事実から見ましても、中小企業経営に不当なしわ寄せのかからないような配慮がなされているといえるのかどうか、むしろ、このしわ寄せが一番かかっておるのではないかと思われるのです。中小零細企業に対する選別融資あるいは融資抑制は、やめるべきだと思うのですけれども、この点は大蔵省いかがでしょうか。
  308. 山田幹人

    山田(幹)説明員 倒産につきましては、先ほど来、中小企業庁長官からお話がございましたように、件数は確かにふえております。その中でインフレ、物不足倒産という分類をされている数字も、先生御指摘のようにふえております。ただ、全体としての倒産原因というものを、私どもで——興信所の発表にもございますが、倒産原因を見ますならば、放漫経営なり経営計画の失敗ということが大半を占めているわけでございまして、確かに金融引き締めが直接の契機になったことは、事実でございましょうけれども、潜在的により基本的な原因が伏在していたわけでございまして、それが、こうした引き締めを契機として表面化したということでございまして、現在のような、こういった現状認識でございますので、いま、ここで中小企業に限っては、引き締めを解除するというようなことは、とても考えられないことだと思います。
  309. 木下元二

    ○木下委員 私は、ここで一つ、具体的な事実で例をあげまして質問したいと思います。それば東京都の中小企業向け融資制度というのがありますが、その中に無担保、無保証制度がありまして、これは貸し付け限度二百万円、返済期間三年、据え置き六カ月、利息七%、保証料は都が全部負担するというものでありまして、保証協会が審査をし、保証するものであります。保証され、審査にパスをしたものは、市中、都市銀行に行きましても、無条件に、優先的に貸し出しがなされることになっております。ところが、銀行は再審査をしたり、貸し付けをこばんだり、あるいは預金を強要したりする事例が出ておるのです。  少し具体的に申しますが、たとえば、これは中央区の太陽アート株式会社という印刷零細業でありますが、保証協会の審査決定額は百三十万円です。大東栄信用組合銀座支店に行きました。そうすると、引き締めが強く、融資ワクがないといって断わられたのです。三月上旬のことであります。都へ事情を話しますと、第一勧銀に行けといって紹介をされました。ここでも、都の制度融資ではなくて、第一勧銀の貸し付け制度なら貸しましょうというふうなことを言われた。結局、本人はこういうことで申請を取り消しております。こういう事例がございます。  幾つもあるのですけれども、これは機械加工を行なっておる人でありますが、東京都に申し込みまして、信用保証協会の決定が五十万円で審査が通りました。東京相互銀行古川橋支店へ行きましたところ、ワクがないから貸せないと断わられております。こういう事実。  まだ幾つもありますが、こういうふうな東京都の無担保、神保証制度を利用して融資を申し込んでも、保証協会の審査がパスをしておるのに、実際に銀行へ行っていると窓口で断わられる、こういうケースが続出をしているのですが、御承知でしょうか。
  310. 山田幹人

    山田(幹)説明員 先生から具体的に御指摘がありました事実を、私どもとしてば存じておりませんが、東京都の制度融資を利用する場合でございましても、金融引き締めという信用総量の調節という見地からは、やはり全体としての貸し付けワクのワク内で考えてもらう、例外扱いとするわけにはまいらないのが大前提だろうと思います。  ただ、その際に、その中で健全な中小企業、零細企業が必要とする資金につきましては、できるだけ優先的に資金配分を行なっていくべきであるということも、また原則でございまして、私ども、あるいは日本銀行といたしましても、できるだけそのような方向で運営していくように、金融機関を指導しているところではございますが、具体的な事例として、そういったものがあるのかどうか、私どものほうでも調査してみたいと思います。
  311. 木下元二

    ○木下委員 まだまだあるのですが、たとえば、いま申しましたのは、そのワクがないという口実で断わられたケースを言ったのですけれども、こういうのがあります。都の融資制度による利息、これは七分ですか、この利息をこえる利息を要求されるというケースが出ておるのです。これは喫茶店経営をしておる人でありますが、保証協会の審査決定額二百万円、三菱銀行大塚支店へ行きますと、年利七%ではメリットがない、支店では決済できない、本店と相談をすると断わられておる。その後、一カ月ほど何回も何回も交渉いたしまして、やっとこれは解決をいたしております。それから東京都の小規模企業融資制度ですが、これは限度額五百万円になっております。年利は七・五%でありますが、保証協会の決定額四百万円ということになりまして、大洋信用金庫板橋支店に行きますと、契約内容には年利九・五%になっておった、どうしてかと言って聞きますと、利息が上がりましたと言われた。そういうことはないはずだということで、これも再々交渉をいたしまして、やっと銀行側が、実は職員がふなれでございましたということで訂正をして済んでいる。これは相当ねばって交渉をいたしまして、こういうふうに解決をした例でありますが、言われるままにそういう利息をきめられたケースもたくさんあると思うのです。  それから、預金などの条件を、銀行のほうから要求されたケースもあります。これは、プラスチック加工をやっておる葛飾区の例でありますが、保証協会審査決定額百万円、中央信用金庫の葛飾支店に行きますと、定期積み立て百万円を要求されまして、積み立てをしなければ貸せないということで断わられている。これも二カ月間かかって何回も交渉して、やっと解決はしました。これは申すときりがないのですが、そういう例が私の手元に幾つもあるのです。  東京都が、こうした無担保、無保証制度あるいは中小企業に対する融資制度をつくって、これを利用しようとしておる人たちが、金融引き締めという口実のもとに、銀行側のほうでこういう融資を拒否されたり、あるいは不当な条件を持ち出されて、事実上拒否をされる、こういうケースが続出をしておるということでありますが、これは放置できないと思うのであります。  これに対して、一体どういう措置をおとりになるか。調査をされるということでありますが、これは私のほうで十分に調査をした上で、ここで申し上げておるのであります。だから、決していいかげんなことを言っているわけではありません。私のほうでは、名前もきちんとわかっておるのです。ひとつ大蔵省のほうで、厳重に調査をしていただきたい。そして、こういう事実があるとすれば、十分に監督をしていただいて、戒めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  312. 山田幹人

    山田(幹)説明員 先生、御指摘ありました金利を、約束以上に要求したということは、そもそも私どもとしては、制度融資を受け入れた以上、そういうことはあり得ないことだと思っておりますが、調べまして、もし事実であれば、厳重な指導を行なっていきたいと思います。  それから、預金を要求したというお話でございますが、こちらのほうは、確かに現在のようなきびしい金融引き締め下におきましては、金融機関が、融資に際しまして、債務者の意思に反する拘束預金を要求するなど、種々問題が起きやすい現状にあることは、私どもとして承知しております。この問題につきましては、昔からいろいろ問題になっておりまして、種々の機会をとらえまして、自粛方指導してきておるわけでございますが、最近の状況にかんがみまして、最近では、特にきびしい態度でもって指導を行なっているわけでございまして、そういうことの万ないよう十分注意してまいりたいと思っております。
  313. 木下元二

    ○木下委員 それは、そういうことで伺っておきます。  今度の法案によりますと、小規模企業部を設置したということでありますが、設置した主たる目的は、どういうことでございましょうか。また、これと関連して、新たな具体的な施策としてどういうことをなさろうとしておるのか。そういうことも含めて、簡単でけっこうですから……。
  314. 外山弘

    ○外山政府委員 小規模企業部の設置によりまして、私どもとしては、小規模企業施策を集中したいということが一つございます。つまり、小規模企業施策をいろいろなところでやっておるわけでございますが、この企業部に集中いたしまして、その強化をはかりたいということが一つ。それからもう一つは、小規模企業部に、参事官と小規模企業指導官という制度を置きまして窓口となり、いろいろな相談相手にもなり、苦情の処理 あっせんも行なうし、施策の徹底にもつとめたいし、また、それを通じて、施策の強化をはかるための材料にも——材料といいますか、そういういろんな要素も勉強したい、こういうことも考えております。  こういったことをねらいとしまして、小規模企業部をつくるというのが、今回の法案の主たる趣旨でございますが、これによりまして、新しい施策と申しますれば、いままでもやっておることではございますけれども、特に小規模企業者に対する親切な相談相手になる。そして具体的な苦情の処理なりあっせんなりをする。もう一つは、いろいろな実態の把握をすると同時に、小規模企業施策の充実のために、窓口での勉強を大いに活用したい、こういうことも、もう一つの新しい行き方かと存じます。
  315. 木下元二

    ○木下委員 この小規模事業対策費を見ますと、四十九年度は百十二億二千三百万円になっております。これは前年度と比べますと、四四%増しということになっておりまして、相当ふえております。ところが、このうち百四億八千四百万円、これは約九三%ぐらいでありますが、この百四億八千四百万円が、商工会議所、商工会の経営記帳指導員の大幅増員とその待遇改善に充てられるということであります。一体、それ以外に、この小規模事業対策費の使途は、どういうものがあるのでしょうか。
  316. 外山弘

    ○外山政府委員 確かに、小規模事業費補助金は、商工会、商工会議所による小規模事業者のための経営改善指導に要する経費の補助でございまして、人件費が相当部分を占めていることは、御指摘のとおりと思います。  ただ、そのほかにも、もちろんこの人件費だけではなくて、まず第一に、指導事業に必要な旅費、事務費あるいは記帳指導のための費用、これは謝金でございますが、それから専門指導のための費用あるいは商工会議所の支部活動推進費、それから小規模事業施策の普及費とか商工会等の指導施設の建設費、顧問税理士への委嘱費、記帳機械化用の電算機の設置費こういったような経営改善指導を、きめこまかく行なうための経費に対する補助も、その内容になっているわけでございます。  また、当然のことでございますが、この小規模事業者に対する施策は、これらの補助金に限られるものではございませんで、先ほども御説明申し上げましたように、無担保、無保証の融資制度であるとか、あるいは小規模企業の共済制度、小規模企業等の設備近代化のための助成制度及び貸与制度、それから中小小売商業に対する施策あるいは振興事業団の工場共同化、国民金融公庫の一般融資ワクの増大あるいは課税の上での小規模企業者に対する配慮、こういった諸施策が、小規模企業対策として行なわれているということも、あわせて申し上げたいと思います。
  317. 木下元二

    ○木下委員 私が伺いましたのは、あなたのほうからもらった資料によりますと、百四億八千四百万円、これが、いま申しましたように、指導員等の増員と待遇改善にほとんど充てられているような資料になっているのです。これを見ますと、さっきもあなた言われましたけれども、一部、商工会議所支部活動推進、支部借館料三十カ所増しと書いてある。それから顧問税理士の設置、これだけが書かれておりまして、あとはみんな人件費のような書き方になっている。  そこで、聞いたのですけれども、それでは、いまの支部活動推進とか、あるいは借館料とか顧問税理士の設置、この費用は幾らですか。
  318. 小山実

    小山(実)政府委員 小規模事業対策推進費の百十二億二千三百万円のうち、まず人的指導体制の充実といたしまして六十二億一千三百万円、これが指導員等の費用でございます。それから指導事業費、これが二十四億六千七百万円、それから第三に、商工会議所支部活動推進費でございますが、これが一億六千八百万円、それから第四に、記帳機械化でございますが、八億六千六百万円、第五に、小規模事業施策普及費、これが一億六千六百万円、第六に、小規模事業対策特別推進費、これが二億二百万円、第七の商工会等指導施設建設費三億円、次に、海外研修事業費千九百万円、次に、顧問税理士制度一億五千万円、これで全部でございます。
  319. 木下元二

    ○木下委員 いま言われたうち、商工会議所なりあるいは商工会に補助金として渡すお金ですね、それはどのくらいになりますか。パーセントでもけっこうですけれども、何かそういう商工会、商工会議所への補助金と、それから、そうでなくて直接中小企業の対策費に回すのがあると思うのですが、その区分けは、どういうことになっていましょうか。
  320. 小山実

    小山(実)政府委員 ただいま御説明申し上げました総額百十二億二千三百万円のうち、商工会議所及び商工会に対する補助金として交付されます金は、百四億八千四百万円でございます。
  321. 木下元二

    ○木下委員 結局、この小規模事業対策の飛躍的強化といったことをうたっていられるようでありますが、それは、しょせん商工会なり、あるいは商工会議所の強化をもたらすものなんですね。その強化をもたらすことは、確かに中小零細業者の発展ということにつながるのでしょうけれども、しかし、いま中小零細業者というものは、非常な苦境にあるわけですね。その苦境を抜本的に打開するということには、なかなかならないと私は思うのです。何か、商工会や商工会議所さえ強化すれば、それで零細業者が助かるような、そういう発想のような気がするのですけれども、それは私はやはり違うと思うのです。その点は、どのようにお考えなんですか。
  322. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほども申し上げましたように、いま御指摘の金額は、一般会計の小規模事業対策費でございます。これは御指摘のように、商工会、商工会議所の経営指導員に対する補助というふうな点が、多大の分野を占めているわけでございまして、これは一般会計の金でございまして、そのほかに小規模企業対策といたしまして、先ほども申しましたように、財政投融資が大部分でございまして、一般会計の若干の補助がございますが、小企業経営改善資金千二百億というのは、これは、このいまの金額とは別でございます。  それから、そのほかのいろいろな諸制度の充実、先ほども大臣からお話がございましたように、たとえば信用補完制度につきましても、特別小口といったものを、今回の法律改正で百万円から百五十万円に上げるといったことも、これは、ほとんど小零細企業者の利用する分野でございまして、そういった信用補完制度の充実とか国民金融公庫のワクの強化、こういった点もあわせて、小企業対策として非常に役立っているものであるというふうに考えます。
  323. 木下元二

    ○木下委員 そこで、じゃ融資制度について聞きますが、この融資制度というのは、四十八年九月に作成されました小規模企業経営改善融資制度要綱というのがありますが、この要綱に基づいて、四十九年度も実施をされておるわけでありますか。
  324. 外山弘

    ○外山政府委員 原則としてそうでございます。
  325. 木下元二

    ○木下委員 四十九年度は、この貸し付けワクを、前年度比四倍の千二百億円ということになっております。設備資金につきましては、限度額も百万円から二百万円に引き上げられております。貸し付け期間も、二年から三年とされております。  ところが、実際は全体の一〇%、つまり百二十億円分についてだけ、設備資金として二百万円を限度額として貸すけれども、残り一千八十億円は、従来どおり百万円、運転資金については五十万円、貸し付け期間も、二百万円分だけは三年間だけれども、あとは二年間というふうに、従前どおりとなっておるようであります。しかも据え置きはなしと聞いております。この点については、一体どうなんですか。政府は口を大にして、この点言われておりますけれども、言われるほどの内容には、なっていないのではないかと思うのです。むしろ、これはおそ過ぎたぐらいであって、あたりまえのことではないかとも思うんですけれども……。
  326. 外山弘

    ○外山政府委員 確かに、無担保、無保証という点が、画期的でございますけれども、そのほかの条件については、いろいろまだ改善の余地があると思います。四十九年度におきましても、発足の四十八年度に比べまして、いま御指摘のように、いろいろな点での改善は加えましたけれども、しかし、まだまだ御要望の全部に沿うような改善にはなってないということは、私自身も思っております。  ただ問題は、多数の小企業者に、できるだけ広くこの恩典を普及すると申しますか、使っていただくという点が、まず大事であろう、こう考えているわけでございまして、そういう面で見ますと、据え置き期間とか貸し付け期間とか、そういうことについて、ある程度やはり漸次これを緩和するといたしましても、一挙に緩和することにより、特定の人に片寄るよりも、できるだけお金を広く、あまねく使うというふうな趣旨も考えまして、そして改善の余地が、まだあるということは、よくわかりますけれども、とりあえず最小限度の改善にとどまった感がございますが、何がしかの改善をいたしまして、今回の千二百億の実施をはかりたい、そして、できるだけ多くの人に早く均てんしてもらいたい、こう考えている次第でございます。
  327. 木下元二

    ○木下委員 大臣、いまの答弁でも明らかなように、改善はされておるけれども、非常に不十分な改善だということであります。私は、この貸し付けワクを、さらにもっと大幅にふやすことが必要だと思います。また当面、この千二百億円につきましても、これは二百万円限度額の対象といたしまして、貸し出しをすべきだと思います。貸し付け期間も、三年にすべきだろうと思います。据え置きも、六カ月以上の期間を設けるべきではないかと思います。こういった点、改善すべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。また運転資金につきましても、限度額を五十万円から大幅に引き上げるべきだと思います。ほんとうに小規模雰細業者に役立つ内容のものに大きく改善をしていくために、ひとつ努力を願いたいと思うのです。
  328. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 実情に合うように、一歩一歩前進、改善をしてまいるつもりです。
  329. 木下元二

    ○木下委員 先ほど触れましたこの小規模企業経営改善融資制度要綱なるものですね、この要綱によりますと、この融資というのは、商工会なり商工会議所の推薦を必要といたしております。商工会、商工会議所の推薦を条件としておるのは、公平さを欠くものになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  330. 外山弘

    ○外山政府委員 この制度は、商工会、商工会議所が実施しております経営改善普及事業における経営指導を、金融面から補完しようということでございます。つまり経営改善普及事業というものの実効性を確保するというのが趣旨でございます。したがいまして、経営指導に基づいて企業者が経営改善を行なうにあたり、必要とする資金を融資するということでございますから、この対象となる企業は、商工会や商工会議所の経営指導を受けまして、そして経営改善のために必要な資金であるということを認めてもらいまして、そして、その推薦を受けることが必要であるというふうにしているわけでございます。  したがって、本制度の趣旨にかんがみまして、私どもから見ますと、やはり法律で小企業経営改善指導ということがうたわれておりますこの商工会、商工会議所の措置を実効性あらしめるということが、まず大事な方針であるということで、このたてまえをくずさずにいきたい、こう考えている次第でございます。
  331. 木下元二

    ○木下委員 この推薦制度に関しましては、中小零細業者のほうも、どうもこれは利用しにくいという批判があるのです。このような推薦制度をなくして、国民金融公庫をはじめとしまして、中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫、こうした政府金融機関を直接の窓口といたしまして、貸し出すことのほうが、中小零細業者にとっても、利用しやすいように思われるのでありますが、いかがでしょうか。
  332. 外山弘

    ○外山政府委員 商工会、商工会議所の経営指導員の推薦ということで実行しております小企業経営改善資金、これは、やはり何と申しましても、法律上に根拠のあります特殊法人である商工会、あるいは商工会議所法に基づく商工会議所、そういった公益性の高い法人が行なっておりますし、しかも法的な根拠のございます小規模企業の経営改善普及事業、それに対する金融上の補完措置ということでやっているわけでございます。したがいまして、このたてまえをくずさずにやることがまず大事である、そして、これが国民金融公庫の賃し付けに結びつくわけでございますが、こういった公益性の高い法人の行なう事業というかっこうで進めることが、私どもとしては、大事であるというふうに考えているわけでございます。
  333. 木下元二

    ○木下委員 私がいま言っているのは、これが運用されておりまして、利用者のほうで、どうもこういうのは利用しにくいという声もある。それから、こういう推薦制度があるために、時間もかかるし、どうもめんどうだという業者が多いのです。そういう批判が出て、あまり利用されないということになると、小規模企業者のために、あまり意味がなくなるということにもなってくるのです。ほんとうに利用しやすい制度にするために、改善すべきではなかろうかということを、まず言っているわけですが、いかがですか。
  334. 外山弘

    ○外山政府委員 小規模企業者が利用しにくいというふうなことでございますが、私どもとしては、いまのところ、むしろ実施状況から見まして、たいへん歓迎されている、運用上もほとんど問題なく進んでいるのではないか、こう考えているわけでございまして、昨年の十月以来、毎月非常に順調に取り運びが行なわれていると思っております。  それで、また事実、御指摘のようなことがあれば、これは私どもとしても、いまの制度の基本の運用を改善すべきである、そして、あくまでも経営改善事業の有効性を確保するということに、金融を結びつけるということを考えていきたい、こう考えている次第でございます。
  335. 木下元二

    ○木下委員 その点で、ちょっと伺いますが、それでは、経営指導員というのは、これは一体、四十九年度で何名になるのでしょうか。そして四十八年度は何名だったのでしょうか。  また、これの資格は、どういうものが必要とされておるのでしょうか。
  336. 外山弘

    ○外山政府委員 四十九年度で総計六千百四十九名になることになります。ことし千人増加をいたしまして、そうなります。  それからもう一つ、資格でございますが、これは学歴と経験年数、この両方から経営指導員の資格を定めておるわけでございます。
  337. 木下元二

    ○木下委員 だから、その資格を聞いているんですよ。
  338. 外山弘

    ○外山政府委員 学歴は、大学卒の学歴の人は、経験年数が二年以上、それから短大卒の人にとっては三年以上、それから公認会計士、計理士、税理士等の経歴のある人は、経験年数は要らない。その他は五年以上の経験が要る。こんなような経営指導員の資格を定めております。
  339. 木下元二

    ○木下委員 その他と申しますのは、つまり高校卒等ですね。——それから二年以上、三年以上という経験、これは何の経験ですか。
  340. 外山弘

    ○外山政府委員 商工鉱業の指導または経営実務に携わっていること、これを経験としております。
  341. 木下元二

    ○木下委員 経営指導員といっても、そうすると、たとえば高校を出て、あるいは高校も出ずに会社などに行って、会計なり総務におって、五年働いておれば、指導員になれるというものなんですね。経営指導のために、特別の資格が必要とされていないわけなんですね。一体、ことしから六千名余りになるということで——ことしまでは、五千名余りぐらいしかいなかった。この経営指導員でもって、小規模企業の指導をどの程度やられるのか。小規模企業と申しますと、約四百万あるといわれておりますね。四百万の小規模企業に対して、実際にどの程度の指導が可能なのかですね。これは、もうとても全体を見ることもできないし、これによって指導ができるというのは、ごく一部だと思うんですけれども、その点はどのようにお考えなんですか。
  342. 外山弘

    ○外山政府委員 四十七年度の経営指導員の指導実績ということで、都道府県から報告を受けている内容は、合計で三百五十一万二千件というふうに承知しております。小規模企業者の数が三百七、八十万というところだと思いますが、一企業一件というわけには、まだまいっておりませんけれども、ほぼそれに近づいておるという感じはいたします。これは四十七年度でございまして、四十九年度になりますれば、経営指導員もふえることでございますし、さらに、この実績をあげることは可能だろうと思います。したがいまして、まあまあのところに大部分、指導の実績が行き得るというだけの件数にはなっておる、こういうふうに考えます。
  343. 木下元二

    ○木下委員 いま三百五十一万といわれましたけれども、それは一体どういうものですか。たとえば、ある企業がちょっと相談に来て、何か話をしたというようなものも、含んでおるという件数なんでしょう。そうでなくて、その企業を、その経営がうまくいくように常時指導をしておる、そういう常時指導の体制ができ得る企業の数ですね。四十九年度は六千名余りということでありますが、この人数の体制で、常時指導がなし得る企業の数というのは、どの程度なのか。これを聞いておるのです。いまの三百五十一万というのは、そういうふうな性質の数字ではないでしょう。
  344. 外山弘

    ○外山政府委員 もちろん、私が先ほど申しました件数は、御指摘のような、ともかく一回相談相手になれば、それも一件というふうに数えて、トータルした数字であると承知します。実際問題としまして、まだ、これで私は十分と申し上げておるわけではなくて、今後も経営指導員の数の増加ということについては努力をしなければならないし、また、その質の強化、いろいろな研修とかその後の指導によりまして、その質の充実もはからなければいけない、こう考えるわけでございますが、総トータルの件数としては、先ほどのようなことが言えるということでございます。  それからもう一つ、いま御指摘のように、それでは念入りな指導といいますか、そういった件数が、どのくらいになるのだろうかという点になりますと、これは、なかなかまとまった数字が手元にございませんけれども、まあ、この件数全体を薄めることになるのかもしれませんが、やはり地域の中で、一年に数回その指導を受けるという件数は、案外多いように聞いております。
  345. 木下元二

    ○木下委員 もう質問の時間が短いですから、簡単に、私の質問だけに答えてほしいのですが、そうしますと、一人の指導員で大体、常時指導ができる企業の数というのは、どのくらいというふうにお考えですか。
  346. 外山弘

    ○外山政府委員 先生の御指摘のような、非常に密度の濃い指導となりますと、一人がどのくらいの企業を持ったらいいかということについては、いろいろな問題点があると思いますが、私どもとしましては、とりあえずは、少なくともそういった意味の指導のできる企業を、一人がせめて五百ぐらいまでは持てるようなところに持っていきたい、こう考えておるわけでございます。
  347. 木下元二

    ○木下委員 なかなかあなた、五百も持てないと思うんですよ。まあ、ここで私は、議論をしませんがね。それは税理士だって、あるいはいろんな経営コンサルタントとかありますけれども、そういうものの実態から見ましても、一人で五百も持つなんというのは、とても無理です。  私が、ここで聞きたいのは、結局、五千とか六千の指導員でもって、現在日本にある四百万の中小零細業者の指導を、全部まかなうということは、とてもできない。結局、放置される企業というのが、たくさん出てくるわけですよ。その指導員によって、まかなってもらえない、指導してもらえない企業というのが、少なくとも現状においてはたくさん出てくる。その指導される企業だけ、それの推薦によって融資の道が開けるということは、これは公平性という点から見て、問題があるんじゃないかということを一つ言っておるのです。  それからもう一つは、商工会等の経営指導を受けている者だけが、なぜ融資を受けられるのか、その合理的な理由ですね。結局、この推薦がないと融資が受けられないということでしょう。指導を受け、その指導によって、推薦してもらえないと、融資が受けられない。なぜ、そういうことになるのか。私は、指導と融資というのは、全然別個なものだと思んのですよ。  たとえば経営指導というのは、商工会や商工会議所以外にも、行なっておるところがたくさんありますね。計理士であるとか、あるいは中小企業診断員であるとか、あるいは経営コンサルタント、特に計理士あるいは中小企業診断員なんというのは、一定の資格を持っているんですよ。そういうところの指導もたくさん入っているわけでしょう。ですから、そういうところの指導と、それから商工会等の行なう指導、これは指導の内容あるいは質は違うものでしょうか。どうお考えですか。
  348. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほどから申し上げておりましたように、この小企業経営改善資金と申しますのは、商工会、商工会議所が行なっております小規模企業経営改善普及事業の指導を、金融面から補完する制度でございます。したがいまして、この制度に結びつけて、指導と金融が結びつくわけでございます。  もちろん、御指摘のように、そのほかにいろいろな指導もあるだろうし、同時に、ほかにいろいろな金融制度もございます。それは、それぞれの結びつき方が、実際上あり得ると思います。ただ、この制度は、そういった商工会、商工会議所が行ないます経営改善普及事業の指導を、金融面から補っている、こういうことで指導と金融が結びついているわけでございます。
  349. 木下元二

    ○木下委員 時間がないですから、私の質問に答えてください。  私がいま聞いたのは、いまの民間の計理士とか、あるいは経営指導員などが行なう経営指導の内容、質と、それから商工会等の行なう経営指導の質、内容と違うかどうかを聞いているのです。違うか違わないか、一言で答えてください。
  350. 外山弘

    ○外山政府委員 形式的には、違うわけでございますが、内容的には、同じ場合もあると思います。
  351. 木下元二

    ○木下委員 同じ場合もあるというのは、どういう意味です。私が聞いているのは、その指導内容そのものですよ。それは、それぞれ人が指導するわけですから、内容には、いろいろとニュアンスの違いはあるでしょう。しかし商工会等が行なうその指導員の指導と、それから、そのほかの指導の内容と、これは質的に特別違いはないでしょう、その経営指導という面だけから見ると。いかがでしょう。
  352. 外山弘

    ○外山政府委員 それは事実問題としてどうかということが、別個にあると思いますが、私がいま申し上げているのは、この経営指導員の行ないます経営指導の金融上の補完措置である、こう申し上げているわけでございます。
  353. 木下元二

    ○木下委員 そんなことは、聞いていないんですよ。聞いていることに答えてくださいよ。指導の内容に違いがあるのかないのか。答えられませんか。
  354. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 あなたのおっしゃることは、経営指導の内容の相違点ということをおっしゃっているのでしょうけれども、それは一致する場合もあるし、一致しない場合もある。それはケースによって、みんな違うと思います。しかし、ここで問題にしているのは、国の政策としていろいろなチャンネルを通じていろいろな仕事をやっておるけれども、この制度は、国会の議決を経た法律によってつくられておる商工会とか商工会議所という、権威のある、普通の団体と違って、国会の議決を経た法律でできている団体による国の意思としての政策的な金融という意味がここにあるわけであります。政策的な経営指導という意味が強くここには出てきているわけです。その一つの部面としてのこれは中小企業政策、零細企業政策であるというふうにおとり願いたい。場が違うということで御理解願いたい。
  355. 木下元二

    ○木下委員 いや、私の質問は——質問以上のことをお答えになるから、こんがらかるのですが、言われる趣旨はわかるんですよ。商工会等は、公の法人で、そういうところが指導をする、権威がある、わかりますよ。けれども、その指導というものと、それから業者が困って、そして、その金融を受けるということとは、これは、また違うと私は思うのです。そういうふうな商工会等の指導を受けた者に対してだけ推薦をして、金融の道を与えるという、それは非常に問題がある。それでは、ほかのいろいろなところから経営指導を受けておる者は、一体そういう道をふさがれるということになるのか。なぜ商工会等の指導を受けた場合だけ、そういう金融の道が与えられるのか、その合理的な説明は、大臣のいまの答弁でもされていないと私は思うんですよ。それは、それ以上の説明はできませんか。
  356. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 世の中には、金融を受けたい人が非常に多いので、選択の問題が出てまいりますね。そういう場合に、どういうふうにやったら、国家として一番適切であるかという判定を考えてみると、やはり国会の議決を経た法律に基づく商工会とか商工会議所という団体を経由した経営改善指導による金融を求めてきている人に、その金融をしてあげるということが、選択の問題としてより妥当である、そういうふうな考えに基づいて、この制度が行なわれているというので、そういう場の問題としてお考え願いたい。
  357. 木下元二

    ○木下委員 もう私は、時間が超過もしておりますので、これで質問を終えますけれども、結局、この制度というのは、この指導員と融資を無理に結びつけて、離反をしていく業者を、商工会なり商工会議所に、何とかつなぎとめようという意図以外に考えられないわけですよ。それが、まさに、いま言われる政策だと思うのです。それがいいか悪いかという問題になってきますけれども、しかし私は、やはり中小零細業者の救済とか、あるいはその経営の維持とかいう角度から見るならば、その指導をする側の性格によって、金融の道を与えたり、絶ったりするということには、大きな問題があると思うのです。ほんとうに小規模企業者のことを考えるならば、もっと簡単な手続で、しかも迅速に借りられるように、この制度融資を考え直すべきではないか、このことを私は強く提案をいたしましますが、大臣、この点いかがでしょうか。もう最後に、一言でけっこうですけれども、非常に問題があるという点の指摘にとどめておきますけれども、ひとつ再検討をいただきたいと思いますが……。
  358. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中小企業、零細企業の対策には、いろいろな方法がありまして、政府系三機関による場合もあれば、あるいは近代化促進法に基づくほとんど無担保に近い融資もありますし、ともかくいろいろな態様があるわけです。したがって、おのおのの態様を利用されて、金融あるいは指導の道を受けられたい方は受けていただくように、われわれは、できるだけあらゆる場面を広げつつ、そういう場所を提供し、そういう便宜をつくっておるわけであります。これは商工会議所と商工会を通ずる指導の一つのやり方である、そういうふうにお考えいただきまして、ほかの方途その他を十分善用されんことを希望いたしておきます。
  359. 木下元二

    ○木下委員 まあ、納得できませんけれども、時間が来ましたので質問を終わります。
  360. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  361. 徳安實藏

    徳安委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業庁設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  362. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  363. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  364. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  365. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は、明二十六日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後八時三分散会      ————◇—————