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1974-04-05 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月五日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 服部 安司君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君       赤城 宗徳君    越智 伊平君       大石 千八君    笠岡  喬君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       藤尾 正行君    三塚  博君       吉永 治市君    横路 孝弘君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       木下 元二君    瀬長亀次郎君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         運輸大臣官房長 内村 信行君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部施設調査官  鈴木 覚義君         外務省アジア局         次長      中江 要介君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       巣山 庄司君         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         運輸省船員局労         働基準課長   吉末 幹昌君         運輸省船員局教         育課長     村上 正秀君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         運輸省航空局管         制保安部長   松本  操君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 四月五日  非核三原則の立法化等に関する請願岩垂寿喜  男君紹介)(第三五三九号)  旧海軍軍属在職期間恩給通算に関する請願  (谷垣專一君紹介)(第三六四三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
  3. 大出俊

    大出委員 ちょっと関連をして。  十時からだいぶ待ちましたので、あと運営の問題もありますので、一言委員長に申し上げておきたいのです。きのうの理事会で、委員長から、内閣委員会はあまり審議に時間を使っていないような発言がありました。調べてみましたら、ここのところ、二十六日からのものをずっと当たってみますと、この委員会が一番長時間、おそくまでやっておりまして、三月二十六日の火曜日は、六時七分に終了いたしておりますし、三月二十八日は七時四十五分、四月二日が七時二十三分、四月四日が八時七分、こういうわけでございまして、ほかの委員会を見ますと、どこの委員会も、大体六時くらいでみんな終わってしまっておりまして、文教あたりは、三月二十七日と四月三日が四時四十五分、四時五十四分、外務委員会が、三月二十七日が五時五分、三月二十八日が五時二十五分、きのうが六時二十五分、社会労働委員会が、三月二十六日が五時三十三分、三月二十八日が六時四十一分、四月二日が六時十四分、四月四日が六時四分、農林水産が、比較的やっておりますが、三月二十六日が七時五十八分、三月二十七日が五時十七分、三月二十八日が七時八分、四月二日が四時三十九分、きのうが四時五十二分、よけいやっているところで、このくらいでありまして、あがっている法案の数からいきましても、もちろん法案が多いわけでありますから、それほどのことはありませんけれども、たいへん精力的にあげているわけでありまして、きのうのああいう御発言があると、きのう八時過ぎまでやっている各党の理事委員の方々から、けさ、たいへんに苦情がありました。  したがって、そこらのところは、委員会運営について、この委員会が今国会構成をされましたときに、委員長から特に御発言があって、時間はむしろ早目から始めようじゃないかということで、私は、そのときに、といってみても、お集まりにならぬのは、たいてい皆さんのほうなんだからと申し上げたはずであります。私ども、国対からやかましく言われておりまして、成立をしなければ即座にやめて帰ってこい、こういうことになっておりますから、ぜひ、そこのところは、委員会運営にもう一段御努力いただきたいと思うわけでございます。あわせて、おそくまで審議をいたしておりますから、その辺のこともお考えをいただいて、そこにもひとつ、運営についての御配慮をいただきますようにお願い申し上げます。  いろいろございますが、事、一々国民にとってたいへん重要な法案でありますので、審議を尽くすことにつきましては、精力的にやることを、野党間話し合いをいたしまして、意見が一致いたしております。したがって、きょうは、たいへんおくれて成立をしたわけでございますが、審議はいたします、そのことだけ申し上げておきます。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 では質問していただきたい。横路君。
  5. 横路孝弘

    横路委員 この法律は、一つ那覇航空交通管制部設置をするということで、五月十五日から日本が――これは、いわばわれわれのほうに主権がありますから、当然なわけですが、ようやくその体制ができたという意味では、やはり重要な法案だろうというふうに思います。  そこで、二、三お尋ねしたいのでありますけれども、この那覇航空交通管制部、七十名ですか、一体この内訳は、どういうことになっていて、そのレーティング関係は、どういうぐあいになっていますか。
  6. 寺井久美

    寺井政府委員 お答え申し上げます。  七十三名の航空交通管制官で出発いたす予定になっておりまして、そのほかに管制部といたしましては、総務課十名、通信課十五名、通信技術課二十四名、技術通信課二十九名、こういう構成になっております。  それで、管制官の中でレーダー管制官が三十名、それからマニュアルが二十名、こういうようになっております。
  7. 横路孝弘

    横路委員 レーダーが十で、マニュアルが二十で、あとは補助ですか。
  8. 寺井久美

    寺井政府委員 さようでございます。
  9. 横路孝弘

    横路委員 そのレーティングはどうですか。もう完全にみんなとっていますか。
  10. 松本操

    松本説明員 三十名のレーダーレーティング取得に関しましては、現在、嘉手納にございます米軍管制所に、訓練を依頼いたしまして、そこで訓練をしております者が十四名、これは一名を除きまして、全員レーダーマニュアルレーティング取得しております。ほかにマニュアルのみを持っておりますのが一名ございます。そのほかに十六人のレーダー管制官候補者につきましては、十名をアメリカFAA訓練学校がございますが、そこに送りまして、レーダーレーティングの基本的な研修をいたしております。さらに六名のレーダーレーティング候補者につきましては、ホノルル管制機関現場研修に送りまして、ここで相当優秀な成績をおさめて帰ってまいりました。現在、いずれも嘉手納及び那覇におきまして、最後仕上げをいたしておりますので、この十六名についても、ほぼ全員レーダーレーティング取得するというふうな予定でございます。  マニュアルにつきましては、現在、那覇にございました訓練室及び東京福岡札幌にそれぞれございます現行の管制部におきまして、基本的な訓練をしてまいりました人間を、全員那覇に移しまして、最後仕上げをするとともに、一部の人間は、現実嘉手納の中にクルーのメンバーとして入りまして、現場訓練を、いま一生懸命にやっております。ぼちぼちとレーティング取得する、これはマニュアルレーティングでございますが、レーティング取得ができるところまで仕上がってきておる者がございます。したがって、これも五月十五日までには、ほぼ全員がそろうものというふうに期待しております。  ただ、一つお断わり申し上げなければならぬと思いますのは、いま私が申し上げましたレーティングといいますのは、航空局レーティングでございます。したがって、現在のところ、那覇航空交通管制部というものが発足いたしておりませんので、正式のレーティングとしては発行するわけにまいらないということで、われわれが内部的に持っております試験委員判断で、この人間ならもうレーティングは出せるというふうに判断をしております人間の数を申し上げたわけでございまして、正式のレーティングというものは、本航空交通管制部発足後、成規の手続をとってレーティングを発行する、こういうふうな段取りになる予定でございます。
  11. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、三十名の、一応レーダー関係資格を持っておる。そしてマニュアルの二十名については、確実にそろうわけですか、間違いなく。
  12. 松本操

    松本説明員 ちょっといま御説明が至らなかったかと思いますが、三十名のレーダー要員のうち十四名につきましては、米軍のほうからレーティングを出します。この米軍から出したレーティングというものは、われわれのほうで再チェックをいたしまして、管制部が正式に発足いたしましたときに、航空局正規レーティングに切りかえます。それから残りの十六名につきましては、米軍のほうでレーティング発行相当の腕前があるということを保証いたしまして、これも正式に組織発足後におきまして、われわれのレーティングに切りかえます。  マニュアルの二十名につきましては、これはレーダーの十六名と同様に、米軍のほうで一応の、われわれチェックアウトと呼んでおりますが、最終の試験をいたしまして、これならレーティングが出せるのではないかという評価を、いまだんだんと得つつあるわけでございますが、このマニュアルの諸君につきましては、最終的には、われわれのほうが最後試験をいたしまして、組織発足後に、航空局正規レーティングを発行する、こういう予定にいたしております。
  13. 横路孝弘

    横路委員 当初から米軍との間の訓練関係がうまくいかなくて、はたして五月十五日に間に合うかどうかという心配をみんなしておったわけです。いまの状況を調べてみると、やはりかなり無理をしておるわけですね。かなり無理をしていて、あとに実は心配が残るわけであります。その十五日以後、ほんとうにやれるのかどうかということですね。特に機械関係はいつからですか、電波を出すようになったのは。
  14. 松本操

    松本説明員 施設のほうにつきましては、三月十五日に、八重岳設置してございますレーダー電波を正式に発射いたしまして、稲福中継所を経て、那覇にございます管制部のほうに中継を完了いたしまして、その後、最終的な電波監理局検査がございます。この検査を終わりまして、三月二十五日からであったと記憶いたしておりますが、私どものほうの飛行試験を現在実施いたしております。三月十五日に正式に電波を出します前に、二月十五日からすでに試験電波を出したり、細部の機器の調整をいたしたりなどしておりますので、現在までにほぼ二カ月にわたってレーダー関係機器は運転をいたしております。  それから、海底通信施設につきましては、三月の初めに正式に電波を出しまして、これも三月十五日から二十日ごろまでの間に、正式に電波監理局検査を終わりまして、これも現在、私どものほうの飛行試験を受けている状況でございます。
  15. 横路孝弘

    横路委員 そのフライトチェックは、いつ終わる予定ですか。
  16. 松本操

    松本説明員 現在の予定では、四月十五日から二十二日までの間、早く終わればより早い時期に、おそくまでかかっても二十二日、これは、なぜそういうふうに不確定なことを申し上げるかと申しますと、フライトチェックの場合には、天候に左右されることがございますので、沖繩近傍天候のいかんによっては、天気が非常に良好であれば十五日あるいは十六日ごろにほぼ終わるというふうに考えております。
  17. 横路孝弘

    横路委員 この管制官訓練ですが、一部はpAAとかホノルルでやっておるようでありますが、那覇の場合と嘉手納の場合は、レーダー出心点というのは、相当距離的に違いますね。二、三十キロ離れておるのじゃないですか。そうすると、嘉手納のほうでやっても、すぐ那覇のほうでもってやれるかどうかという習熟の問題があると思うんですね。  慣熟状況がどうなのかという点ですが、一般に、たとえば札幌から東京でも福岡でも変わった場合は、そこの資格といいますか、やれるようになるのには、二カ月ぐらい準備期間みたいなものが必要なんでしょう。その関係でいうと、これはどういうことになるのですか。
  18. 松本操

    松本説明員 先生指摘のように、レーティングというものは、施設に付属いたしました、通堂ファシリティーレーティングというふうに呼ばれておるものでございますが、Aの施設からBの施設に変わりましたときには新しく取り直す。形式的には認定でございますが、実体的には取り直す必要があります。  そこで、現在、われわれが計画しております那覇管制部引き継ぎについて申し上げますならば、おっしゃいますように、現在、嘉手納で主として訓練をやっておりますが、嘉手納で用いて去りますレーダーは、与座岳レーダーでございます。私ども那覇管制部で行ないます場合には、八重岳レーダーを使いますので、三十マイル程度の地形上のズレがございます。しかしながら、私どものほうは、レーダーの端のほうにまいりました場合に、中心点が映っておりますので、レーダーの端のほうの見えぐあいが与座岳レーダーに比べますと――八重岳レーダーは、市北のほうがより遠くまで見えて、南西のほうが子う遠くまで見えない。つまり三十マイルのズレが出るということになるわけでございますけれども、先ほど私がお答えいたしました、施設を変わったときに、相当訓練が要るということは、主として空域構成がどうなっているか、それから、その空域の中にどのような航空路が走っておるか、どこにどういうレポーティングポイントがあるか、どこにどういう出発進入経路が置かれておるかというふうなことが、管制官は一々参考書を見ないでも、頭の中に入っておりませんと、生きた管制ができませんので、それを頭の中にたたき込むのに、先生がおっしゃいましたような期間が要る、こういうことでございます。  那覇におきましては、ただいま私の申し上げました空域構成航空路のあり方、トラフィックの状況出発進入経路位置、こういうものは、レーダー位置が変わりましても、全く変わっておりません。レーダーの上には、逐一とういうものが、ビデオマップというふうに呼んでおりますけれども、目に見えるような形にして乗っておりますので――一番肝心なことは、レーダースコープに映っております地形が、いま申し上げましたように、やや中心がずれるということと、もう一つは、米軍の使っております管制施設と、私どもが、これから使おうとしております管制施設との操作方法が違っております。この点についての慣熟というものが不可欠であるというふうに私ども考えております。  現に、先ほど御説明申し上げましたように、三月十五日から那覇管制部の中で、レーダースコープが映っておりますので、そのころからチームを組みまして、現在、集中的に午後の期間慣熟訓練を行なっておりますが、四月十五日ないし二十二日と、さっき申し上げましたフライトチェックが終わりますころからは、さらにチーム編成を、通常編成に近い形に変えまして――実際の管制と違うところは、ただ、こちらから電波を出さないだけで、航空機に直接電波を出すのは、現在のところ、嘉手納から出ておりますから、那覇から出すわけにはまいりませんが、それを除けば、フライトプランのファイルからそのほか一切がっさい、現実管制と同じにできるような形で最後仕上げ慣熟をしたい、こういうふうに考えております。
  19. 横路孝弘

    横路委員 その辺のところ、実は一番心配なわけでありまして、普通、機械というのは、電波を出すようになってから半年とか一年とか、落ちつくまで非常に問題が起きるわけです。しかも、やはりレーダー中心点が、それだけ距離が離れているということになれば、嘉手納のほうでやったとしても、さらに、この那覇における慣熟がきちんと行なわれないと――特にこの場合は、嘉手納関係進入管制が、米軍のほうに残るわけでしょう。その辺のところの問題も出てくるんじゃないかというふうに思いますので、その辺の慣熟を十分やって、事故など起きないように、ひとつしてもらいたいと思うわけです。  そこで、今度、航空路管制を引き継ぐわけなんですが、嘉手納のほうの進入管制関係ですね、これは、どういうことになりますか。
  20. 寺井久美

    寺井政府委員 進入管制のほうは、実はあそこに、米軍の使っております嘉手納、普天間の二つ空港と、それから那覇空港、この三つの空港至近距離にございます。したがいまして、これは日本側レーダー進入管制をやる体制が整うまで、暫定的に米側にこの業務を行なってもらうということになっておりまして、これは米軍との沖繩航空交通管制の合意におきまして、暫定的にこれを残しておく、日本側体制が整い次第、日本側がこれを引き継ぐ、こういうかっこうになっております。
  21. 横路孝弘

    横路委員 嘉手納進入管制ですね、大体どのぐらいの半径で、高度はどのぐらいになりますか。
  22. 松本操

    松本説明員 通常進入管制の行なわれます空域というものは、管制所から半径五十マイルというのがめどでございます。羽田のように、一部六十マイルのほうにふくらんでおるとか、空域構成によって多少凹凸はございます。したがいまして、嘉手納の場合にも、進入管制を委任いたしますのは、基本的には半径五十マイルの円の中でございますが、北側のほうは一部航空路関係等もございまして、削れております。それから久米島の付近につきましては、非常に低い高度に限って、久米島に対する進入管制嘉手納のほうで一括して行なうようにいたしております。  それからまた、高度的には、いま申し上げましたように、久米島の近辺は五千フィート以下でございます。それから嘉手納の主たる管制圏につきましては、二万フィート以下、それ以上のところは、すべて航空路管制といたしまして、那覇管制部のほうの所管する空域、こういうふうに考えております。
  23. 横路孝弘

    横路委員 そこで、七二年の五月十五日ですか、航空分科委員会覚書というのがありますね。その覚書の中で、いま御答弁のあった嘉手納、それから那覇も含むわけですか、飛行場に対するレーダー進入管制を行なうことができる体制ができるまでは、米軍がやるということになっているわけでありますけれども、たとえば今回の航空路管制については、米軍との間に訓練を含めた約束ごとをして、その体制をつくってきたわけですね。いまこの進入管制については、皆さんのほうで、つまりこれは、どういうことかといえば、管制官等要員の問題になるわけでありますけれども、それをどういう計画で、いつごろまでをめどにして引き継ぐつもりなのか。
  24. 寺井久美

    寺井政府委員 われわれコモンIFRと申しますか、こういう管制を複数の空港について行なっております経験が、実はまだないわけでございます。そこで、こうした経験を積み、かつ、もちろん必要な施設をつくる必要がございますが、した上で、進入管制を引き継ぐという必要があるわけでございまして、このためには、相当長期の準備期間が必要である。  私どもが現在考えておりますのは、たとえば羽田と成田という二つ空港につきまして、当面別別の空域で、別々の進入管制をやるわけでございます。この辺で実験をいたしまして、管制官のそういう二つ空港進入管制の取り扱いを慣熟させました上で、那覇空港中心といたします沖繩進入管制というものに取りかかりたいということを考えておりまして、先生指摘のように、具体的にいつまでにやるというような計画は、現在のところ、残念ながら持ち合わせておりません。
  25. 横路孝弘

    横路委員 しかし、これは二、三年前の国会議論のときには、大体、五年ぐらいをめどにして計画を立ててやりますという答弁だったんですよ。しかも航空路管制進入管制といっても、ほとんど沖繩の本島の上空あたりは、要するに全部米軍の手にあるということになるわけですよ、五十マイルの半径ということになれば。ですから、これは航空路管制のほうから日本側がやって、一度翼手納に渡すわけでしょう。嘉手納に渡して、また那覇に行くわけでしょう。つまり、むしろ複雑になるわけですよ。いままでのように、たとえば嘉手納でもって米軍なら米軍が一緒にやっているというよりは複雑になって、これは、あとでお尋ねしますけれども、いろいろな問題が、そこに生じてくるわけですね。  だから、そういう意味では、この規定は、いろいろな経過があって、初めは米軍のほうは、アメリカ側の軍事的な必要性があるまでだめだと言っているやつを、皆さん方がんばっていただいて、こういう形になったわけでしょう。ですから、その辺のところは、きちんとやはりいまから大臣――これは、何かというと、もっぱらそうい汽体制ができるかどうかという、その問題があったわけです。日本側のほうは、管制要員そのほかが足りないということで、復帰してから二年間、アメリカ側のほうにこれをやってもらっていたような形でしょう。したがって、いまからやはりきちんと要員計画そのほか、この嘉手納進入管制あたりも考えて、計画を立てられてやられるということでなければ、いま全然考えていないなんといったら、これはまた十年も二十年も先になってしまいますよ。横田みたいになってしまう。  その辺のところを、いまから大臣のほうでぜひ検討されて、大体どのくらいをめどにして要員訓練していくというやつを、きちんと定めてもらいたいと思うんですけれども、いかがですか。
  26. 徳永正利

    徳永国務大臣 ごもっともな話でございまして、要員訓練あるいは充当する要員のそれぞれの数あるいは施設等につきましても、そういう点を十分配慮いたしまして、計画的な腹案をつくって検討いたしたいと思います。
  27. 横路孝弘

    横路委員 それじゃ大臣、ぜひそういうことでおやりになっていただきたいと思います。  そこで、航空路管制から進入管制にバトンタッチをする、これは米軍との間に協定が必要でしょう。この話はどういうことになっていますか。
  28. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいますように、航空路管制進入管制進入管制飛行場管制、この間には、一定の基本的なルールはございますけれども、具体的に技術的な取りきめが要るわけでございます。現実には、米軍航空路管制進入管制を現在、同時に行なっておりますので、基本的な一つの取りきめはございます。ただ、私どもは、それをそのまま引き継ぐということはしない。われわれの流儀というとおかしゅうございますけれども航空局としての基本的なやり方というものもございますので、それに照らし合わせまして、直すべきところは直しております。  ただ、先ほども先生から御指摘がございましたように、管制引き継ぎというのは、非常にむずかしい問題でございますので、あまりに大幅に変えてしまいますと、管制官が非常に戸惑うというふうなこともございますので、私どものほうのやり方として、非常にぐあいが悪いのではないかというふうに思われるところを、技術的な点は変えましたけれども、大筋は大体、似たような形での取りきめを現在、案として終わっております。最終的なサインと申しますか、関係機関の間で、私どものほうは、まだ正式に機関がございませんので、サインをするわけにまいりませんので、押えてございますけれども、基本的な話し合いについてはほぼ終わっておる、こういう状況でございます。
  29. 横路孝弘

    横路委員 そこで、これは例の自衛隊の雫石の事故のときに、例の昭和二十七年の日米合同委員会航空交通管制に関する合意と、それから第三付属といわれるもの、あれは昭和三十四年でしたか、あれについて、軍事優先の考え方だから改定をするということで、当時の佐藤総理大臣が、そのことを言明されてから、もう三、四年たっておるわけなんですけれども、この適用の関係は、これは、そうするとどういうことになりますか。
  30. 寺井久美

    寺井政府委員 先生いま御指摘航空交通管制に関する合意と申しますものは、現在、改定作業を進めておりまして、かなり見通しがつく段階になっております。これは沖繩と切り離してやっておりまして、これが改定ができますと、一体化して適用になる、こういうかっこうになっております。
  31. 横路孝弘

    横路委員 切り離してとおっしゃっても、七二年の五月十五日の合意の第一条の三項の中には、付属書の規定が沖繩に適用されるということに同意するということになっていますね。同意するということになっているでしょう。したがって、本来ならば、そこを改定した上で、今度の嘉手納との間の関係も、ほんとうは締結するということでなければ、軍事優先思想そのままのやつが、沖繩航空路管制から進入管制はどういうぐあいに引き継ぐのか、向こうのほうからどういう要求が出てくるのかという関係に適用されるということになると、これは非常に混乱をすると思うのです。  そこのところで、皆さん方のほうは、ほぼ米軍でやっていたやり方を踏襲したというわけでしょう。やり方というか、流儀の問題だけは、ちょっと変えたけれども、基本的なところは変えてないというわけでしょう。そうすると、そのまま軍事優先の考え方のこれを適用したのじゃないですか。切り離したのじゃなくて、そのまま適用になっているのでしょう。
  32. 松本操

    松本説明員 私が基本的には、米軍やり方を引き継いだと申し上げましたのは、先ほどもちょっとお話に出てまいりましたようなレポーティングポイントとかフィックスとか、そういうふうなものをやたらと動かしますと、また覚え直さなければならないということがございますので、どのポイントで航空路管制から進入管制に引き継ぐ、どのポイントで、どの高度で進入管制から航空路管制に引き継ぐ、そういうふうな点については、それぞれそのままの形で踏襲した、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。  それから、航空交通に関します日米の合意は、先生おっしゃいますように、従来二十七年、三十四年にできましたものが一本ございますが、沖繩につきましては、すでに御承知のとおり、沖繩の返還にあたりまして、沖繩に関する別途の合意があるわけでございます。その別途の合意の中に、先ほど先生から御指摘のございましたような、進入管制はわがほうの準備ができるまで暫定的に米軍がやるとか、そういった一連のことが書いてある、こういうことになっておるわけでございます。  先ほど局長が申し上げましたのは、基本的な二十七年、三十四年にできておりますこの合意というものが、雫石の事故を契機として御指摘がございまして、これの改定作業というものが行なわれ、現在ほぼ見通しがつくという段階にまできておるということでございますが、これが基本的なことになりまして、沖繩特有の、いまのように進入管制をどうするかとか航空路をどうするかとかいうふうなものだけが沖繩の協定に切り離されておる。したがって、私どものほうで進入管制とそれから航空路管制との間のつながり、それから進入管制飛行場管制との間のつながり、こういうふうなものを取りきめをしていきます場合には、まさに先生指摘のとおり軍事優先というふうなことではなくて、民間航空の安全の確保ということを最大の眼目として諸般の取りきめというものに臨んできておる、こういう次第でございます。
  33. 横路孝弘

    横路委員 そこで、外務省のほうにちょっとお尋ねしますけれども、合同委員会航空交通管制に関する合意書、これの改定作業のほうは、見通しがついたと運輸省のほうはいっているわけなんですけれども皆さん方のほうとして、大体どのぐらいのめどで話ができそうですか。
  34. 角谷清

    ○角谷説明員 この改定作業は、航空業務に関するものでございますので、主として航空局のほらで御担当いただいて話をしていただいておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、その話が詰まり次第、これは正式の合意の形式をとりたい、そのように考えておるわけでございます。
  35. 横路孝弘

    横路委員 過去一年間、どのぐらいアメリカ側と話し合いをしましたか。
  36. 寺井久美

    寺井政府委員 回数は、私、つまびらかにいたしませんけれども、かなりしばしば話し合いを、公式、非公式といいますか接触をいたしており永して、文面その他の詰めも、ほぼ終わっておる段階にきております。  ただ、一点問題点が残っておりますけれども、これが解決いたしますと、改定作業が終わるというふうに了解いたしております。
  37. 横路孝弘

    横路委員 本来ならば、私は、やはり五月十丁目引き継ぎ前までにきちんと改定をして、基本的な点でやはり軍事優先ではないという点を明らかにしておかないと、進入管制引き継ぎのときに、向こうのほうが軍用機を飛ばすという場合、あるいはあそこには、いろいろな空域米軍がかくさんとっていますから、待たされることになるんじゃないかという心配が非常にあるわけですね。その辺のところは、どういうことになっていますか。
  38. 松本操

    松本説明員 先生すでに御承知のことと存じますけれども管制の対象は、計器飛行方式で飛んでおる飛行機でございます。  そこで、まず出発のほうから申し上げますと、飛行場から飛行機が出ようといたします場合には、当然フライトプランを出します。このフライトプランによって、どの航空路をどういう高度で飛ばすかということをきめていかなければなりませんが、五月十五日以降は、この航空路に関する部分は、私どもが直接管制をいたしますので、当該航空路のこみぐあい、その他からいま直ちに出発させていいとか、あるいは何時何分までに出すならよろしいとか、高度は何フィートでなければならない、こういうふうなワクと申しますか、指示は、すべて私どものほうの管制部のほうからするわけでございます。それを受けまして、進入管制所のほうは、たとえば十時なら十時に出発いたしました飛行機を、どこそこポイントで高度幾らで航空路管制に引き渡す、その引き渡すまでにどういう経路を使って上げていくか、これはレーダーを使っておそらく上げるのだろうと思いますけれども、どういう経路を使って上げていくかということをつかさどるわけでございまして、進入管制所のほうが恣意的に、私どもが行なおうとしておる航空路管制に対してとかくの干渉をする、あるいはましてや優先権を持つというふうなことは、全くないというふうに私どもは承知しております。
  39. 横路孝弘

    横路委員 そう願いたいと思うわけでありますけれども、あの協定が生きておれば、そういうことにはならぬのじゃないかという点を非常に心配をしておるわけであります。  そこで、次の問題ですけれども沖繩のFIRですね、それと台北のFIRとの関係が、この五月十五日以後どうなるかということなんですが、従来は米軍との間に、つまり向こう側で結んでおったわけですね。今度こちら側が全面的にこれを引き受けるということになりますと、その辺のところは、いまどういうことになっておりますか。
  40. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、現在は米軍管制と台北の管制部との間で飛行機の受け渡し、その他に関する技術的な取りきめがございまして、それによって飛行機が安全に往来をしておるという状態でございます。  五月十五日以降、日本側がこの航空路管制を行なうようになりますと、日本側管制機関と台北の管制機関との間に、同様の技術的な取りきめが必要になるという状態になります。したがいまして、五月十五日までに何らかの形でこの技術的な取りきめを行なう必要があるというふうに考えておりまして、これの準備を現在いたしております。もし、この技術的な取りきめができませんと、航空機の安全な航行を阻害されるというおそれがございます。これは鋭意、そういう協定の締結と申しますか、技術的な取りきめを進めるべく、いま努力をしておる段階でございます。
  41. 横路孝弘

    横路委員 台湾の場合は、いまICAOからは自然に脱退した形になっているのですか。
  42. 寺井久美

    寺井政府委員 台湾はICAOから脱退いたしております。
  43. 横路孝弘

    横路委員 そこで、これは微妙な問題ですから、議論のほうもしづらいわけですけれども、日中航空協定との関係で、一つは、五月十五日以降、米軍と台北のFIRとの関係が切れるということになって、日本の場合は、一応、国交回復を中華人民共和国と行なうという形で、政府としては認めていないわけですね。そうすると、それを政府機関として提携をするということになると、やはり問題が非常に大きくなるのじゃないかというように考えるわけですが、これは外務省あたりでは、どういうようにお考えですか。
  44. 中江要介

    ○中江説明員 先生おっしゃいましたように、日中国交正常化後は、日本側としては、中国の唯一の合法の政府は、中華人民共和国であるということを承認したことになっておりまして、台湾との関係は、これは当時、日中両国首脳の間でお話し合いがありまして、実務関係は継続していくという日本側の考え方に対して、中国側が理解を示したということになっておるわけでございます。  この実務関係を継続するために、それではどういうチャネルを使うかという点につきましては、これも御承知のとおり、日本側では交流協会というものをつくりまして、台湾側では亜東関係協会というものをつくりまして、この両方の民間機関である協会同士の話し合いによって、実務関係継続についてのもろもろのアレンジをしていく、こういうことになって、現在までこの交流協会の経路でいろいろの問題が処理されてきているわけでございます。  いまのFIRについての話し合いも、きわめて技術的な問題でありますし、また、これは日本の飛行機、台湾の飛行機のみならず第三国の飛行機も含めまして、この地域の航空運航の安全のために必要な話し合いということでございますので、この話し合いを、いま日本と台湾の間で持っておりますルートを通じて、どういうふうに実際的な解決をしていくかということを検討している、こういうことで、こういう考え方に対しては、中国も理解を示すのではないか、こういうふうに思っております。
  45. 横路孝弘

    横路委員 だから、運輸省が前面に出て、向こう側と話をしているというわけではないんでしょう。それはどうなんですか。
  46. 寺井久美

    寺井政府委員 前面に出てということではございません。やはり正式には、ただいま外務省から御答弁がございましたように、民間取りきめというワクの中で処理をするということでございまして、私どもは、非常に技術的な問題につきましては、ときどきコンタクトがございますし、そういうことで実質的な話し合いと申しますか、実質的な意向打診と申しますか、そういう程度のことを過去において行なっておった。しかし、これを最終的にどういう形で取りきめるかということにつきましては、ただいま外務省がお答えになりましたようなかっこうで目下検討中である、こういうことだと了解いたしております。
  47. 横路孝弘

    横路委員 日本の領土の与那国そのほかも、台北のFIRに入っていますね。そして、いま南西航空のほうが与那国に、YSでしたか、飛ばしていますね。やはりその辺のところの関係も、きちんとして――修正といっても、どういうことになるのでしょうか。向こうの島の上なり、十二海里なら十二海里、三海里でもいいわけですが、その上空ということになれば、また別でしょうけれども、それ以外のところであるといえば、かってに、自由なんだということでやることだってできないわけじゃないと思うのです。ただ交通管制の観点からいうと、そんなかってなこともできないでしょうが、その辺のところは、どういうことになっていますか。
  48. 松本操

    松本説明員 いま先生から御質問のございました与那国との間の飛行機の飛ばせ方につきましては、現在は嘉手納にございます米軍管制所が、台北の管制所に対して、適当な日本語がないので、たいへん失礼でございますけれども、承認のリクエスト、アプルーバルリクエストと呼んでおりますが、こういうものを出します。これは、なぜかと申しますと、いまお話がございましたように、与那国という島が、いま台北のFIRの中に入っているということは、台北の管制所は、台北のFIRの中で何らかのIFR機を飛ばしておるはずでございます。したがいまして、それとの間に異常接近等の問題が起こるおそれがないとはいえない。理屈の上でございますが、ないとはいえないということから、嘉手納のほうから台北の管制所のほうに、何時何分に高度幾らで与那国に飛行機が行く、帰りは何時何分に与那国を通って高度幾らでこっちに戻ってくる、この間に交通を出陣するものなきや、なければオーケーと言ってくれ、こういうことで簡単な電話をいたしますと、台北のほうからオーケーの返事が返ってくる。そこで嘉手納米軍管制所のほうから管制上の承認を出す、こういう形で現在、安全に航空機が編んでおるわけでございます。  われわれがテークオーバーをいたしました後に、どうするかという点につきましては、いろいろな考え方がございますけれども引き継ぎの時点において大きな混乱を防ぐ。現在、われわれの管制官訓練をしておりますその形を引き継ぐことによって、なるべく無用の混乱を管制官側の伺うにおいても起こしたくないというふうなこともございまして、同様に、新しくできます那覇管制部のほうから台北の管制部にリクエストを求める、そしてオーケーをとれば、那覇管制部のほうが従来と同様に管制上の承認を出す。したがって、与那国自身は、台北のFIRの中に入っておりますけれども、実際の管制という行為につきましては、あらかじめ通告をいたしまして、オーケーをとるという作業だけで、現実管制上の承認はわがほうから出す、こういうふうなやり方で持っていきたいというふうに考えております。
  49. 横路孝弘

    横路委員 それはテレタイプとか通信回線の問題でも、同じような問題が起きるのじゃないかと思うんですけれども、この辺のところは、どうお考えになりますか。
  50. 松本操

    松本説明員 非常に厳密な形で飛ばします場合には、出発する空港、到着する空港両方に、きちっとした通信回線がございまして、これが管制部との間につながっていないといけないわけでございます。現在のところは、与那国とわがほうの管制部との間には、通信回線がございません。ましてや与那国と台北との間には何もございません。したがいまして、先ほど申し上げましたフライトプランは、一ぺんに出してしまいます。石垣を出て与那国に何時に着いて、与那国を何時に立って石垣に何時に帰る、こういうフライトプランを、石垣を出ますときに一挙にファイルをしてしまうわけでございます。したがいまして、この間に飛行機がたくさん飛んでおりますと、問題があるわけでございますけれども、現在及び近い将来に考えられます運航回数というものは、一日に一便、ふえても二便、こういう程度でございますし、これに充当しております機数も、一機でございますので、一機が行ったら必ずそれが帰ってくる。ちょうど鉄道の単線運転の場合に、一つの列車が往復しておるというふうな形でございますので、現実に、御指摘のテレタイプ回線その他はいまはございませんけれども、さしあたって航空の安全という点からは、支障なく運営ができるのではないか、こういうふうに考えております。
  51. 横路孝弘

    横路委員 沖繩国会のときにも、結局、空も主権の一部なわけですから、与那国そのものが台北のFIRに入っているのはおかしいじゃないかということで、それは修正をしますということだったわけですね。それが今日まで来ているわけなんですが、大体、わが国の国内で飛行機を移すのに、台北のFIRに連絡をして承認をもらわなければならぬというのは、やはりばかな話なんで、その辺のところを、実質的に修正する話があるのかないのか。今日までともかくやってないようですが、これは大臣としてどういうぐあいにお考えになりますか。
  52. 徳永正利

    徳永国務大臣 私も全くそのように考えるのです。この引き継ぎのときに、そういうようなことは何とかできないかということで検討させたわけでございますが、いま申し上げましたように、当初この引き継ぎのときには、いまのままで引き継いだほうがスムーズにいく、だろうということで、これまで切り出しておりません。しかし日本の領土に飛び込むのに、よその国の上を通るというなら別でございますけれども、これは非常に不自然な問題でございますから、私も、何かのチャンスを見てこの修正はすべきだ、またそういう交渉に入りたい、こういうふうに考えております。
  53. 横路孝弘

    横路委員 特に中華人民共和国との国交回復以後は認めておらないわけなんで、そんなところに一々また承認を得なければならぬというのは、ますますおかしな話になるわけで、その辺のところは、外務省のほうが――これは交渉といっても、本来ならば、実は沖繩の復帰のときに解決すべき問題だったろう。そのチャンスをのがして今日に来て、さらに問題が、ある意味では複雑になったということがいえるだろうと思うのですが、運輸大臣のその意向で、ひとつぜひ、そのようにしてもらいたいというように思うわけです。  あと那覇空港中心としてずいぶん航空の問題があるわけですが、これは、あとで上原議員のほうから質問があるようでありますので……。  最後一つだけ。自衛隊のほうから、また沖繩について訓練空域の要求なんか来ているでしょう。そうでなくても、あの沖繩周辺の空というのは、ウォーニングエリアそのほかたくさんあって、しかも管制が非常に複雑になっている。いわば三つできるわけですね。したがって、引き継ぎに際しての混乱もあるでしょうし、また訓練空域を認めるなんということのないように、ひとつしてもらいたいと思うのですけれども、その辺のところはいかがですか。
  54. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のとおり、沖繩本島周辺にはウォーニングエリア等がございます。自衛隊からの御要求があるということは、実は私まだ確認いたしておりませんけれども訓練空域の設定につきましては、民間航空の障害とならないように設定をする方針でまいっておりますので、沖繩にそういう要求のありました際にも、十分その辺を検討いたしまして、対処いたしてまいりたいと思います。
  55. 横路孝弘

    横路委員 あそこは、どこを見たって、そんなとれるような余地はないわけですから、ひとつぜひ、その辺でがんばってもらいたいというように思います。  そこで、航空のほうは、これくらいにして、外務省はけっこうです。航空局もけっこうでございます。  今度の法律のもう一つは、波方の海員学校設置ということでございます。海員の養成体制の強化ということが、今度の法律のねらいのようでございますけれども、いま海員学校全体の状況というのは、どういうことになっておりますか。毎年大体どのくらいここに入る人がおって、どのくらい出ておるのですか。
  56. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 お答え申し上げます。  海員学校の応募状況でございますが、昭和四十九年の三月におきます海員学校生徒の応募状況は、次のとおりでございまして、生徒定員千二百五十五名に対しまして応募者数は千二百五十二名、約九九・八%でございます。合格者数が千四十七名でございまして、定員の約八三・四%、そういう状況になっております。
  57. 横路孝弘

    横路委員 四国のほうには、従来からあるのは一カ所ですか、そことの関係はどうなりますか。
  58. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 お答え申し上げます。  四国には、粟島海員学校というのがございまして、それの分校として従来から波方分校というのがございますが、それを今回、強化して、波方海員学校としての設置予定されているわけでございます。それで、粟島海員学校と申しますのは、本科生でございまして、定員約百六十名でございます。
  59. 横路孝弘

    横路委員 そこの応募状況そのほかというのは、希望者が相当たくさんおるわけですか。
  60. 村上正秀

    ○村上説明員 粟島の海員学校につきましては、もともとこの学校は、もとの商船学校のあったところでございまして、希望者は一般に非常に多かったのでございますけれども、ただいまの海員学校は、中学卒業者を対象として教育しておりますために、中卒者の最近の減少傾向に伴いまして、応募者がだんだん減少しておる傾向でございます。したがいまして、ただいまの定員に対しましては、まだ十分応募してこないという現状でございまして、先ほど船員局長から答弁ありましたように、全国的に見ました場合には、ちょうど定員一ぱい一ぱい程度の応募者があったということでございます。
  61. 横路孝弘

    横路委員 地域的には少し離れておりますけれども、そっちのほうは、あまり応募状況はよくなくて、こっちにつくってどうなりますか。
  62. 村上正秀

    ○村上説明員 波方の海員学校は、ただいま粟島海員学校分校として設置されておるわけでありますが、波方の海員学校は、中学卒業者に対しまして一年間の教育をして、内航の職員を養成するという目的のためにつくった学校でございます。粟島の海員学校のほうは、二年教育をやっておりまして、これは主として外航船の部員になるための養成をやっているわけでございます。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 したがって、目的からいたしますと、必ずしも粟島と波方とは競合していないわけでございます。そういうように波方は、特殊な学校だということになると思います。
  63. 横路孝弘

    横路委員 そこで、最近の特に海上交通事故というのも相当ふえておりますので、その関係の質問を、関連して少し質問していきたいと思います。  特にカーフェリーが、最近日本の沿岸に激増しているわけで、カーフェリーそのものも、大型化かつ高速化、長距離化している。事故も、昨年非常に続発しているわけで、安全対策が非常に重要な時期になってきているわけです。そこで、その安全確保のための監督官庁としての体制とか運用の実際について、少しお尋ねしていきたいわけです。  最初に、長距離フェリー、中距離フェリーの概要と、今後一体どうなるのか。いま免許がおりて、これから走るというもので申請中のものも相当たくさんのようですね。そして瀬戸内海等を見ても、もうほんとうに過密になってきている。簡単に認可していいのかどうか非常に疑問なケースも、二、三見受けられるわけで、その辺の概要と見通しについてどうお考えか、その辺のところからお答えいただきたいと思います。
  64. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 長距離フェリーにつきましては、現在、開業中のものが十七業者、二十二航路ございます。それから、すでに免許が終わりまして、開業を準備しているものが三事業、三航路ございます。申請中のものが、その他に十事業者、九航路ございます。全国に大体、航路網が行き渡ったという感じでございますので、私ども質的な充実というものを考えながら、今後の免許申請については対処していきたいという考えでございます。
  65. 横路孝弘

    横路委員 それで、最近の事故の関係ですが、旅客船の関係の海難事故というのは、ここ二、三年どういう状況になっていますか。
  66. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 旅客船全体で申しまして、四十五年から申し上げますと、四十五年に海難事故の発生隻数は四十三隻、四十六年に四十七隻、四十七年に六十隻、そのうちカーフェリーの事故を申し上げますと、四十五年に三隻、四十六年に十一隻、四十七年に十二隻でございます。
  67. 横路孝弘

    横路委員 昨年はどうですか。
  68. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 昨年は、フェリーのみで申しますと、十九隻でございます。
  69. 横路孝弘

    横路委員 どんどんふえてきているわけですね。その事故の原因というのは、どういうことになっていますか。
  70. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四十八年の実績で申しますと、衝突が十二件、機関故障が四件、火災が二件、その他が一件でございます。
  71. 横路孝弘

    横路委員 特にカーフェリーの場合、自動車のガソリンで、ある意味では弾薬庫を積んでいるようなもので、去年、特に「せとうち丸」の事故があって、国会でもずいぶん議論されているわけですけれども、四十八年の五月十九日だったと思うのですが、「せとうち丸」の事故直後、再三にわたって皆さん方のほうから、たとえば運航基準図を再検討するとか、出港前の検査をきちんとやりなさいとかいう運航管理体制の強化ということで、いろいろな通達はずいぶん出ておるわけです。通達は出ておりますけれども、そういういろいろなことを五月段階でもおやりになったけれども、六月、七月、八月、九月とそれぞれやはり事故が続発しているわけです。  そこで、一つお尋ねしたいのは、事故を起こした場合に、皆さん方としては、各企業に対してどういう行政措置をとられておるのか、その辺が一体どうなっておるのかお聞かせ願いたい。
  72. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 事故が起こった場合の行政措置につきましては、私どもは、海上運送法の十九条に基づきまして、安全の確保についての改善命令を出すということにいたしております。
  73. 横路孝弘

    横路委員 去年、おもに改善命令を出した点は、どういう点ですか。
  74. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 一番の重点を申し上げますと、事故の再発を防止するために実地航海訓練の実施を命ずるという点を重視して行ないました。
  75. 横路孝弘

    横路委員 実地航海訓練といっても、これは、ほんとうはいろいろな天候そのほかの悪い状況の中でやらないと、事故というのは――特に衝突が多いわけですね。霧の中で発生している事故が相当多数あるわけです。ところがその訓練といっても、これは天候のいい状況の中でやっても、あまり実は効果があがらないわけです。それだけですか、改善措置をとったのは。
  76. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 運航管理規程には、いろいろな点が定めてございますけれども、一番私どもが重視しましたのは、発航前あるいは出航後において霧中で航行をいたしますときなどについて、視認距離に応じて、その運航の安全をはかるということを主眼にして、その後の改善を命じたわけでございます。
  77. 横路孝弘

    横路委員 こまかく議論すれば、いろいろ問題がたくさんあるようでありますが、たとえば、いまお話のあった運航体制ですね。霧の中の衝突が非常に多い。大きな船でレーダーもついていて、どうしてそういう事故が起きるのか、しろうと考えでは非常にふしぎなわけです。しかし実情を聞いてみると、たとえば、そのレーダーを監視するような人間が、相当船が大型化された中で乗員の問題も、これは問題があるのでしょうが、きちんとされていない。やはり一つ大きな点は、動かすということが中心になっていて、安全ということが、これは、どの場合でもそうなんですけれども、そちらのほうがおろそかになって、企業はどうしても、できるだけダイヤどおり走らせて、利益をあげるというあたりから、無理が相当来ているんじゃないか。たとえば発航の決定についても、どういうときに船を出すのか、どういうときはやめるのかというような問題についても、昨年あたりから皆さんのほうでも、いろいろ検討はされているようですけれども、まだまだどうもいろいろ問題があるように思うのです。  そこで、そういうたとえば判断ですね、運航管理者というのがおるようですけれども、その辺のところ、皆さん方としては、どういう基準でおやりになっているのか。しかもお互いに、これは各企業ごとではなくて、気象とか海象条件ということになりますと、それぞれの企業間でも、きちんとその辺のところを、横にお互いに連絡をとって、情報を交換できるような体制があるのかないのか、その辺のところは、皆さん方はどういうぐあいに御指導されておりますか。
  78. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 私ども一番心配しておるのは、その点でございまして、視程と申しますか、とにかく視認できる距離について、私ども一定の条件を設けまして、企業が商売上、経営上のことで、そういった自然条件を無視して違った基準で運航する、そのために安全航行が期し得られないということが、一番いけないことだと思いますので、やはり同一航路について、企業が違った場合に、そういった点についての基準が違うというのは、おかしいということを考えまして、私ども、今年早々に、一定の距離をきめるというのは、また虫は、反面非常に心配な点もございますけれども、そういった経営上のことから安全が無視されることのないように、同一航路については、大体、規程距離の条件というものが同一になるようにということを考えまして、私どもは、長距離の航路につきましては、これは三百キロメートル以上の航路ですが、千メートル、それから、その他の航路については、五百メートルを標準としてやれということを定めました。  ただし反面、心配だと申しましたのは、その航路の自然的条件ですとか船舶の交通のふくそう度というものによって、いろいろな点があると思いますので、私どもは、一応これを標準として、同一航路で企業が経営上のことから違った基準を設けることのないようにということで、ひとまず統一をいたしまして、なお、この標準に即して見張り員の配置とかレーダーワッチ等について、十心気をつけるようにということを通達いたしました。
  79. 横路孝弘

    横路委員 大体いままでのパターンを聞いてみると、皆さん方のほうで、いろいろひな形をつくって、各企業に、それでまた管理規程みたいなものをつくらしているということで、実際にそれが、そういう運用になっているかどうかというのは、今度は実は、皆さん方の監督体制の問題になるわけですけれども、ただ管理規程といっても、長距離、短距離相当違ってくるわけですね。  たとえば北海道ですと、いま小樽から舞鶴のほうへ行くカーフェリーが走っていますけれども、あれを考えてみても、たとえば出航の場合の条件をきめても、相当距離になるわけです。しかも途中に何か起きた場合に、避難する港だって十分あるかどうかということを考えてみれば、何か起きたときに、やはり最低どうしたって五、六時間はかかるようなことになるわけですね。したがって、気象の状況等が、季節によってだって違ってくるわけです。日本海の場合ですと、特に冬は状況の変化というのが非常に激しいわけです。そういうような航路の実情に応じて、やはりきちんと考えるべきじゃないか。ひな形をつくってやって、各企業みんなそれでやりましたということだけで、そういう配慮が非常に欠けているような点、少し心配があるんですけれども、その辺のところはどうですか。
  80. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生おっしゃるように、千メートルとか五百メートルとかいうことを、一般に機械的にきめてしまうことについても、非常に心配な点がございます。そこで、たとえ千メートルという視程が航行中に見えなくなった、あるいは五百メートルというのが三百メートル程度になったというようなときには、原則としてい停船をして、しばらく運航を中止するというような点もございますでしょうし、あるいは適当なところに、できる場合には避難するという点もございますでしょうが、とにかく私どもは、そういった標準値を上回るような条件が出てきましたときには、十分見張りをする、それから速力の制限をするというようなことで、その安全運航の確保に十分気をつけるようにということを言ってございます。  それからなお、やはり航行中は、何といっても船長の判断だと思います。ただ会社としても、絶えず運航管理者というものが責任を持って、本船の運航中は、絶えず適当な場所で本船と連絡をとっているという体制をしくようにいたしてございます。
  81. 横路孝弘

    横路委員 避難港なんというのは、認可するときにきちんときめられておるわけですか。
  82. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 船長の判断と運航管理者の命令というものできめることになっておりますが、おそらく各社では、それぞれの航路について、万一の場合の避難港というものは、適当に選択していると思います。
  83. 横路孝弘

    横路委員 それはやはり適当な選択じゃなくて、何か事故が起きた場合には、どこに避難するか、飛行機なんかの場合、ちゃんと代替空港が最初飛ぶときからきまっているわけですね。やはりそういうような措置も必要じゃないのですか。特に大型化、長距離化、しかも夜間走るということになると、何か大きなものが起きた場合に――これは「せとうち」なんかの事故を見ておっても、やはり何が起きるかわからない。毎年毎年どんどん件数がふえてきているわけですが、それも、大きな人命事故になっていないから、これは不幸中の幸いなわけなんで、件数そのものが伸びて、しかも危険度というのが非常に強くなってきているというように思いますので、その辺のところも、ぜひ考えてもらいたいと思うのです。
  84. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 失礼をいたしました。  いま調べましたら、運航管理規程の細則で、避難港を定めることにすでになっておるようでございます。先生お話しの趣旨については、十分、今後も監督をしていきたいと思います。
  85. 横路孝弘

    横路委員 それから、やはり運航ダイヤが問題だと思うんですね。飛行機の場合、よく過密ということが問題になるんですけれども、たとえば高松港を見てみますと、朝の六時から夜の十時までの間に、貨物とか国鉄関係の連絡船やホーバークラフトを除いて、フェリーの関係だけで、一日の発着が合計で百八十四回ですね、これは三月の時間表を調べてみると。つまり六分間に一回ですね。これに連絡船や貨物船、ホーバークラフトを含めると、ほんとうに一分ぐらいで、飛行機よりもさらに過密な状況で、発着が行なわれているという現状にあるわけです。  この辺の運航ダイヤの問題点、これもやはりきちんとしないと――発着のときの事故が起きてきている。これは、やはりカーフェリー等のもう一つの、事故が増大している要因にもなっているんじゃないかというように思うんですけれども、この辺のところは、どういうぐあいにお考えでしょうか。
  86. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 運航ダイヤにつきましては、確かに無理をしたら、事故につながるという点は非常に多うございます。  そこで、もうすでにいままでにも、海上交通安全法の施行のときとか、また昨年も、地方の海運局に命じまして、無理な運航ダイヤで行なわないようにということで、よく監督をさせまして、それで、すでにかなりの港路について、ダイヤの変更が必要であるということで、その変更を命じたという実績がございます。  今後とも、ダイヤの点につきましては、無理のないように、またおくれたときに、調整の余裕等が十分あるようにということ、それから同一の港については、あの高松の例についても、着くバースがいろいろ違いますので、そう同じバースが、たいへんな混雑を示しているという実態ではないと私は思いますけれども、いずれにしても、港の中が混雑するということは、事実でございますので、その辺は現地の、海上保安庁の出先機関、海運局、港湾管理者その他と十分連絡をして、無理な運航ダイヤにならないように、今後とも十分気をつけさしていきたい。なお、引き続いて、ことしもその実態調査を、海運局に命じてやらせまして、ダイヤに改善を要する場合には、その改正をさせるということを続けてやる予定にいたしてございます。
  87. 横路孝弘

    横路委員 そういう運航管理体制ですね、これもまた、一つ一つ議論をすると、こまかいところまで含めれば、ずいぶんありますが、きょうは省略いたします。  もう一つ、乗り組み員の乗務体制ですね、「せとうち」なんかの場合も、乗客が少なかったということが、やはり不幸中の幸いだったと思うんですが、ウエートレスなどのサービス部門は別にして、船舶職員の配乗ということについての基準みたいなものは、どういうことになっているのですか。
  88. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 先生指摘の、職員の問題につきましては、船舶職員法の別表に、それぞれ規定されております。
  89. 横路孝弘

    横路委員 そこで、その基準なんですが、いすの大型化されていく中で、一体十分なのかどう九のか。これは去年のいろいろな事故のときにも、さらにきびしくすべきじゃないかという議論も、ここで行なわれたと思うんですけれども、その切のところは、現在はどういうぐあいにお考えでしょうか。
  90. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 ただいま旅客船、特にカーフェリーを中心といたしましての事故防止の点について、先生からいろいろ御指摘がございました。これにつきまして、船員局の立場から、以下お答え申し上げたいと思います。  まず、第一点といたしまして、いまの船舶職員の問題でございますが、これは昭和四十六年の桶達によりまして、甲板部の船舶職員でございますが、これにつきまして、カーフェリーの操船等に関します特殊性とか、あるいはそういった航路の状況に非常に精通している方、こういった者を薫り組ませるということが第一点と、それから航海時間なりあるいは航海の態様に見合った数の船舶職員を乗り組ませる、こういう二つの事項を盛りました通達を出した次第でございますが、これに基づきまして、業界並びに関係方面その他、積極的に指導してきたわけでございまして、今後ともこの指導を強力に推進していきたい、かように考えておる次第でございます。
  91. 横路孝弘

    横路委員 議論したいのは、実は、これからなんです。確かに、通達はたくさん出ているし、いろいろな調査も、特に去年以降行なわれているわけなんですけれども、一体ほんとうにやれる体制にあるのかないのかということ、それが本論なわけです。  その前に一つ、運輸省の中でも、海運、船員、船舶、海上保安庁というように、安全対策を担当する分野というのは、それぞれの視点からいろいろございますが、これを、やはりきちんと一元化されているのかどうか、この辺のところについて、安全対策の一元化ということについては、どういうぐあいにお考えでしょうか。
  92. 佐藤久衛

    ○佐藤説明員 官房の中に安全公害課という課がございます。そこにおきまして、海陸空、この場合、海の関係でございますと、海運局、船員局、船舶局、港湾局といったような、それぞれの関係の部局がございますが、それぞれの海難防止関係体制というふうな方針につきまして、調整いたしまして取りまとめ、それによって整合性のとれた事故防止対策を進める、こういうふうなたてまえになっております。
  93. 横路孝弘

    横路委員 行政としては、海難の原因というのを追及し、究明をして、それを行政に反映するという体制あるいは組織的にそれを行なうということが、一番大事だろうと思うのですが、現実は、事故が起きてから、どうもあとあとにできて、通達だけは――ですから、どういうときに通達が出ているかというのを見ると、大体、事故のあと通達が出ているということで、通達を見ておれば、この辺に事故が起きたなというのがよくわかる仕組みに、日本の行政というのはなっているわけです。  ちょっと四国の海運局について、お尋ねしたいのですが、各支局、たとえば徳島支局の場合は、これは一体、現員はどのぐらいで、欠員はどのぐらいございますか。
  94. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 四国の海運局の四十八年度の定員は、九十五名でございます。いま手元に持っておるのは、これだけの資料でございます。
  95. 横路孝弘

    横路委員 徳島の支局、私のほうの、これは去年の十二月一日現在ですけれども大臣、徳島支局の場合は、当時、これは四十九年度予算で、若干ついている部分もあるかと思うんですけれども、どこに配属になっているか、ちょっと調べておりませんが、現員が十四名で、欠員が六名おるんですね。船舶係長、船員係長、それから船舶の関係、船員の関係で欠員が出て、欠員六名ですね。それから松山支局の場合は、現員が二十五名で、欠員がやはり七名です。船舶関係に欠員が三名もおりますね。それから宇和島の支局では現員が九名で、欠員が六名、これもやはり船員、船舶関係に欠員が出ております。それから新居浜の場合も、現員が六名で、欠員が六名、それから高知の場合も、現員十六で、欠員四名、係や何かがありながら人がいないというわけですよ。  これは海運行政改革そのほかでもって、きびしい状況はわかるのでありますけれども現実には、そのように非常に欠員がたくさんおるわけです。特に四国の海運局というのは、あそこは内航の海運関係の業者数でも、いろいろな関係で全国の大体二〇%ぐらいを占めている。そんな意味では、去年一年間とってみても、仕事も非常に多かったところだろうと思うんですね。それがこういう欠員の状況なわけですよ。  ですから、通達を出すのはいいわけなんですが、実際には、皆さん方、先ほどあれもやりました、これもやりましたというお話を、ずいぶんお話しいただいたわけですが、あと指摘しますけれども、実質的には全然やられていないわけですよ。ある意味では、業界にお願いをして、業界サイドでもって何かまとめてもらって、その報告を受ける程度で、実質的に運輸省として、きちんと監督をするという体制にはなっていないと思うんですけれども、この辺の状況は、認識されておられるのか。
  96. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま四国の、それぞれの支局につきまして、御指摘がございましたが、私、実は詳細については、これは頭の中にございません。まことに申しわけないことで、どういう事情になっておるか十分調査いたしまして、間違いのないように、いま御指摘の点等については、鋭意調べてみたいと思っております。
  97. 横路孝弘

    横路委員 これも、私たちのほうの調査なんですけれども、去年、四国の海運局の関係では、ずいぶんいろいろな事故が起きたわけです。事故が起きて、運航部においては、これは定期船係、それから船舶部は検査官、船員部は労務官の関係ですね。これが安全対策で相当な稼働をしておるわけです。ところが、稼働をしておっても、たとえば予算の関係でいいますと、ろくに旅費もないのです。延べ人員で、たとえば去年二百四十六人の稼働、これは実施日数と人員とを計算してです。そうして旅費としての支出は、二十五万ぐらいの実質的な支出になっているけれども、実際予算としては、五万ぐらいの予算しかないわけであります。ですから、きっと庁費そのほかでやりくりしながらやっておるのでしょう。  つまり、四国の体制だけをとってみても、事故はどんどんふえるということの中で、しわ寄せは、その現場の検査官とか労務官とか、そのほかのいろいろな係の方のところにいっておって、予算もついてなければ、人は欠員で、通達は出したって、ろくに監督もできない。あとで、ちょっと検査官の実例をいろいろお話ししますけれども、全く業界におぶさらなければ何もできない、こういうことになっておるわけですよ。この辺のところを、皆さん方は御承知かどうか。これは組合のほうからも、四十九年度予算の関係で、いろいろな要求が、皆さん方のほうに上がっているだろうと思うのですが、それを一体承知されているのかどうか、これは今年度の関係では、どうなっているのか、その辺のところを、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  98. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 御指摘のとおり、地方海運局の旅費、庁費については、十分でない点があるかと思います。私どもは、四十九年度の予算のときにも、心配していろいろ折衝もいたしましたけれども、引き続いて、そういった予算の増額には、五十年度以降も努力をしてまいりたいと思います。  人員につきましては、実は安全関係といたしまして、地方の海運局で十八人増員を、四十九年度行なっておるということは、御承知かと思います。
  99. 横路孝弘

    横路委員 きょうは、実は行管も大蔵も呼んでないんですよ。なぜ呼んでないかというと――どうもほんとうにいまの体制をどうするかということが、海運の関係が、皆さん方のほうが非常に賜いわけです。むしろ組合あたりから、いろいろ問題が出されて、要員闘争のときでも、ほかの関係の航空そのほかは別にして、海運というのは、あきらめてしまっているのかもしれぬけれども、きちんとやる気があるのかないのか、われわれから見ると、非常に疑問があるわけです。  きょうは、呼ばないで、皆さん方のほうの姿勢の問題として、それは、どこだってきびしい査定を受けているわけですけれども、きちんとやる気になれば――特にこういうフェリーの関係で、海運も、新しい意味で仕事の分野というのは、やはり広がりを見せてきているわけです。予算の分科会で議論した倉庫の関係だってそうです。その辺のところを、皆さん方としてきちんと掌握をされてやってもらわないと、事故のあとに通達を出して、それを全部下のほうにといったって、通達は出された形になっていますけれども現実には、そのことが行なわれていないのが実態なわけです。  いま例にあげたのは、四国ですけれども、北海道だって同じでありまして、大臣として、ぜひ海運の関係も少し調べられて、その辺のところを、旅費とか定員というような問題でありますけれども、ひとつ十分検討されたい。また運用面で是正できる点は是正されて、きちんとやる体制を、子算と人の面から、ひとつきちんとつくってもらいたいというように思うんですけれども大臣どうでしょうか。
  100. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろごもっともな御指摘でございまして、海運の実態を一ぺん調査いたしまして、予算の面あるいは人の面等から一ぺん練り直してみます。御指示のことは、まことにごもっともなことだと私、思います。
  101. 横路孝弘

    横路委員 たとえば船舶検査官ですが、検査官に聞いてみると、特に最近の技術革新に、とてもじゃないけれども、みんなついていけないというわけです。研修もろくにきちんとやってくれない。  それから、配置を見ると、一名のところが非常に多いわけなんですけれども、その中身は、船舶検査官といっても、船体の関係の専門家と、それから機関、エンジンの関係の専門家がおるわけです。そして、これは全国的に検査官の配置表を見てみますと、たとえば一名のところ、北海道の場合ですと、稚内にいま一名おりますが、これは船体の関係の専門家です。だから、機関のことはさっぱりしろうと、まあ、しろうととは、違うかもしれませんが、同然のようです。それから東北へいきますと、酒田におるのは機関の専門家、釜石におるのは船体、宮古におるのは機関というように、一名配置になりますと、どうしても両方きちんと見れるというような形になっていないわけですね。そうすると、実際に行ってみても、きちんとやれているのかどうか、なかなか自分でも自信がない。しかも技術革新が非常にハイスピードで行なわれますから、しかも特殊船が最近ふえておるわけでありますから、たとえば船体の人は、機関そのほかの問題についてはわからない。  そういうことで、この辺のところも、皆さん方どういうぐあいにお考えになっておられるのか。配置を、すぐ二名にするのが無理ならば、きちんとした研修体制をつくるとか、方法はいろいろあるだろうと思うのですが、こういう検査官の現状については、どういうようにお考えになっておりますか。
  102. 内田守

    ○内田政府委員 基本的には船舶検査官は、現在、船体と機関と両方の部門におるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、船体、機関とはいいながら、学校としては工学部の出身でございまして、他の部門について、全くしろうとというわけではもちろんございません。  ただ、確かに一人を一地区に配置するということは、望ましいことではございませんけれども、最近、船の所在がわりあい分散してまいりまして、そして、そういう意味から、業務量に比較して特に船体、機関の二名を配置しなくても、業務的には一名の業務量のところがあるということで、特にむずかしい問題につきましては、他支局から応援をするという体制で、現在やっておるわけでございます。ただし、基本的には、だんだん業務量がふえてまいっておりますので、現在、極力集約する方向ですでに何カ所か二人区にするというふうに進めております。
  103. 横路孝弘

    横路委員 最後のところは何ですか。二人にするような体制をつくりたい、こういうことですか。
  104. 内田守

    ○内田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  105. 横路孝弘

    横路委員 ぜひ、そういうことでの体制をひとつ考えてもらいたいと思うのですが、仕事の現状を見てみますと、あちこちに事業場が散らばって、飛び回らなければならない。そうすると、どうしても能率的にやらなければ、仕事が終わらないということで、どうなるかというと、やはり業者に頼んで、車を手配してもらって、それに飛び乗って回らなければ仕事ができぬという現状になっているわけです。   〔小宮山委員長代理退席、服部委員長代理着席〕 確かにいろいろ話を聞いてみますと、たとえばある検査官の一週間のスケジュール表なんというのを見てみますと、朝早くから家を出て帰ってくるのは、もう五時過ぎてしまう、七時、八時になってしまうというようなケースも相当たくさんありますし、事業場も一日に三、四カ所回らなければならないというのもあるわけですね。  一つ一つは、申し上げませんけれども、一日に五、六カ所回るということになりますと、通常の交通機関を使っていたのでは、これはとても仕事ができない。じゃ、どうするかというと、その事業場のほうに依頼をして、車の手配をしてもらって、それに乗って回らざるを得ない。そういうところからも、そういうことで世話になればなったで、どうしてもやはり心理的に、きちんと仕事ができぬというような問題も出てくるわけですね。それを検査官みずから、そういう問題点を自分たちのほうで明らかにしているわけです。  それは何かといえば、いま言ったように、一人で勤務しておれば、専門外の仕事もしなければならぬ、事業場があちこちに散らばっておれば、それらを飛び回って歩かなければならぬということで、やはり人間の問題になってしまうわけですね。その辺のところも、地方のそういう現状というのは、皆さん方も十分承知だろうと思いますけれども、事業者に車を手配してもらえば、見るのだって時間を区切ってやる、ということになれば、十分そこで時間をかけて検査をするということには、これはならないわけです。いつも癒着の問題というのが、問題になるわけですけれども、小さなことのように思われるかもしれませんけれども、しかし、やはりきちんと検査をするという関係からいえば、その辺のところは、そんなことでなくともやれるような体制というのをつくるべきじゃないか。  これは車検の民間委託みたいに、事業場を指定しておるようですけれども、じゃ、それの監督だって、きちんとやれるかといえば、その体制もない、こういう実態になっているわけですね。ひとつその辺のところも、大臣として、船舶検査官というのは、たいへんな仕事でありますから、十分考えていただきたいと思います。
  106. 徳永正利

    徳永国務大臣 私も不勉強で、いまお話しになったような点を、詳細まだ注意して見ておりませんけれども、十分ひとつ、そういう実態を掌握いたしまして、今後できる限り善処をしてまいりたいと思います。
  107. 横路孝弘

    横路委員 これは皆さん方のほうにも出されていると思うのですが、船舶検査官の実態調査報告書という組合のほうでつくったやつですね。これなんか見てみますと、年休だって、年間で七日以下というような状況ですし、それから仕事をやっておって小さなけがというのは、ひんぱんにあるようですし、それから仕事をしながら、なかなかやっぱりいまの体制で十分仕事ができていないという感じを、自分たちが持っているわけですね。ですから、その辺のところも、現場の声をぜひ聞かれて、ひとつお考えを願いたいというように思うわけです。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕  たとえば船舶検査官の検査というのは、ずいぶんいろんな検査が、船舶安全法によってきまっていますけれども、随時立ち入り検査なんかをやらなければならぬというような行管からの勧告もあるようですし、そして皆さんのほうも、十二条の規定に基づく抜き打ち検査を行なうというようなことを、行管に対しては回答していますけれども、私のほうで二、三の海運局に聞いてみたら、十二条検査なんかとてもやれるような状況ではありません、私のところはやったことがありません、全部調べたわけじゃありませんから、何とも言えませんが、私のほうで調べた二、三の海運局では、そういう回答が来ているわけですよ。  ですから、一番初めに戻るわけですけれども、通達を出したり、行管の勧告に調子のいい回答はなさって――もちろん私は全部やってないと言うわけじゃなくて、幾つか改善されている点もあるようでありますけれども、たとえばこの検査体制についていえば、とても検査をやれるような状況じゃないのじゃないかということも言えるわけです。  したがって、ちょっとまとめてお願いをしておきますと、一人配置を二人配置にするということと、それからもう一つ研修ですね。やはりいまの技術革新に追いついていく研修体制を、皆さん方として確立をする。そのために検査官の実態の姿というのをきちんと掌握をされるという、この三つを船舶検査官について、ちょっとまとめておきたいと思うんですけれども大臣、この三点についてどうでしょう。
  108. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま、機関あるいは船体の検査官一人のところを二人に配置がえをする、それから研修体制の確立、これは技術革新に伴ってそういうような体制を確立しろ、それがためには、実態を十分掌握しろということでございますが、私どもも、その線に沿って努力してまいります。
  109. 横路孝弘

    横路委員 国会答弁だけに終わらさないで、これは、ぜひそういうことをおやりになった上で来年度どうなるか、私たちのほうでも、注目をしていきたいというように思いますので、ひとつ、きちんとやっていただきたいと思います。  それからもう一つ最後に船員労務官なんですが、これも私、北海道で労務官の人と一緒に検査に同行させてもらいまして、その実態をちょっと見てきたこともあるんですけれども、いま大体、船員労務官あたりが対象にしなければならない隻数なんというのは、北海道ではどのくらいございますか。
  110. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 対象船舶といたしまして全国で約三万弱と思いますが、北海道について、まだ詳細はわかっておりませんが、わかり次第、後ほど御説明させていただきます。
  111. 横路孝弘

    横路委員 全国で三万ですか。船員の保護という立場、船舶とかいろいろな問題の仕事、船員と船主との間の問題とか、いろいろございますけれども、そういうものを対象にして、業務内容というのが非常に幅広くあるわけで、検査官もある意味では、幅の広い仕事だということもいえるだろうと思うんですけれども、全国で三万ですか、間違いございませんか。
  112. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 お答え申し上げます。  約三万でございます。詳細に申し上げますと、二万九千六百七十九隻でございまして、なお乗り組み員数が約二十五万でございます。
  113. 横路孝弘

    横路委員 その三万の内訳は、どういうことになっておりますか。
  114. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 内訳を申し上げます。  まず四十七年度でございますが、汽船が約一万八千隻でございます。それから漁船が九千九百隻でございます。その他が約千二百三十四隻でございまして、合計二万九千六百七十九隻、こういうふうになっております。
  115. 横路孝弘

    横路委員 それは四十七年か八年の実績じゃないの。いまの数字は、実績と違いますか。
  116. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 実績でございます。
  117. 横路孝弘

    横路委員 実績じゃなくて、本来対象にしなければならぬのはどのくらいあるのか、こういうことです。
  118. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 ちょっと修正さしていただきますが、先生おっしゃるように、本来対象となるべきものが、いま申し上げた三万、こういうことでございます。
  119. 横路孝弘

    横路委員 じゃ、私のほうの調査とちょっと違うわけですけれども、たとえば北海道の場合、四十七年度の臨検対象監査の隻数は一千百八十三隻、対象隻数はいろいろなものを含めまして、大体五万八千隻ぐらいだというようなことを聞いておりますが-……。
  120. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 もう一度修正さしていただきますが、いま、本来対象船舶となるべきものが、私、先ほど申し上げました約三万隻でございます。そして四十八年度におきましての実績でございますが、これは船員労務官が監査いたしました結果、船舶が一万二千三百二十三隻、こういうふうになっております。事業場が千二十一カ所でございます。
  121. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、何%ぐらいですか。
  122. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 約四割でございます。
  123. 横路孝弘

    横路委員 ちょっとそれは、私のほうの数字と違うので、これも、あとで調べて――私のほうも調べてみますけれども、私のほうで聞いているのは、北海道の場合の四十七年度実績監査隻数千百八十三というのは、これはどうでしょうか。私が北海道のほうで聞いたのは、実施状況は、大体二%だというように聞いておるんですけれども……。
  124. 吉末幹昌

    ○吉末説明員 数字の点ですので、御説明さしていただきたいと思いますが、先生おっしゃいました、北海道五万隻ではないかという点は、出入港船舶を数えた数ではないかと思うわけです。先ほど全国で三万弱だというふうに申し上げましたのは、全国の船そのものの数を申し上げたわけでございまして、何度入港しても、一隻という計算をしますと三万隻だ、こういうことになろうかと思います。出入港延べにしますと、おっしゃいましたような数になると思いますけれども、現在ちょっと手持ち資料がございませんので、わからないわけでございます。
  125. 横路孝弘

    横路委員 つまり北海道の場合ですと、イカ釣りならイカ釣りでずっと入ってくるわけですね。それが基地からまた出ていく。北海道でいうと、たとえば古平あたりにイカ釣り船が集中するわけなんですが、船員労務官の立場からいうと、そこで、その状況はどうなのかということで、北海道の場合は、特にあちらこちらからずいぶん船が入ってきますから、きちんと監査をして点検をしたい、むしろ問題は、その辺にあるわけですね。タンカーそのほかというのは、いまはわりあいとそういう労務関係も、きちんとされておるようでありまして、したがって、北海道では――全体で労務官、いま何名でしたか、十一名ですか。
  126. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 十一名でございます。
  127. 横路孝弘

    横路委員 そこで、その十一名全部で必死になって、休暇もとらずにやっても、いま言った出入りの船からいうと、大体六千ぐらいしかこなせない、実質やっているのは千百ぐらい、そして全体的に出たり入ったりするのが、六万弱というような数字になっているわけです。ですから、あちこち移動しますから、船員労務官が、同じ船にわりあいと立ち入り検査をし得る場合も偶然あるわけです。四国のほうで入った、北海道のほうで入ったというのもありますけれども、落ちるやつは、すぽっと落ちてしまっているわけです。ですから、数字をあげてみても、実際にどの程度行なわれているかということを、正確に掌握することにはならないかもしれませんが、いずれにしても、そういう現状なわけで、この辺のところも、特に北海道の場合は、漁船の海難事故が非常に多くて、昨年も、救命ボートが使いものにならなくて、みんななくなってしまった、流れついたのを調べてみたら、全然役に立つものではなかったというようなケースがあって、そういうものを、きちんと立ち入り検査しておけば、そういうチェックはできたのではないかということで、非常に残念がっておりましたけれでも、そういうような状況が、検査官と同じように労務官についてもあるのではないかと思いますので、その辺のところは、皆さん方としてどういうぐあいにお考えになっているのか。
  128. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、船員労務官の仕事の重要性ということは、言うまでもたいことでございまして、特に事業場あるいは船舶の監査というものを、従来実施しておるわけでございますが、先生、御指摘のように、予算その他の関係で十分な人数が配置されていない、非常に残念に思っておりますが、こういった点につきましては、ただいまお話しございました船舶検査官と同じような問題でございますが、こういった本のにつきまして、さらに増員方その他につきまして、今後、関係当局と鋭意折衝を進めていきたい、かように考えておるのが第一点。  それからもう一つは、船員局といたしましては、次のような点もあわせて考えておる次第でございます。もともと船員の災害というものは、非常に重要な問題でございまして、私どもも、この防止という問題については、いろいろと鋭意、従来、検討をはかっておったところでございますが、まず第一点といたしまして、法律的には昭和四十二年の七月に、船員災害防止協会等に関する法律というものを設けまして、それに基づきまして、五年ごとに船員の災害防止基本計画というものをつくっております。それに、さらに関連いたしまして、毎年実施計画というものを樹立して、安全防止ということに鋭意努力を払っているのが第一点と、それから、いまお話ししました船員労務官による監査と相関退いたしまして、次のような点も考えておる次第でございます。  すなわち、運輸大臣の委嘱によりまして、船員の安全衛生に関する学識経験を有する者でございますが、これを船員災害防止指導員と称しておりますが、これを各現場に配置いたしまして指導している。海運局の人間だけでは、十分にその完ぺきを期しがたいということで、そういった民間の方で、しかも学識経験を有する方を防止指導員といたしまして、委嘱いたしまして各現地に配置いたしまして、安全防止に対しまして十分な配慮を払っておる、こういう事情でございます。  なお、先生、御指摘の点につきましては、今後一そう努力を払っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  129. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと最後になってしまったのですけれども、今年度の場合、労務官と検査官の場合、どういう要求をされて、査定でついたのは何名ですか。
  130. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 今年度、四十九年度、安全検査等の監督行政の強化のためにつきました実績を、まず私から申し上げたいと思いますが、地方海運局としまして、運航管理官が七名、それから船舶検査官が六名、船員労務官が五名、計十八名。それから本省に運航管理官が一名ということでございます。
  131. 横路孝弘

    横路委員 要求は、どういう要求ですか。
  132. 内田守

    ○内田政府委員 船舶検査官の要求は、四十二名でございます。
  133. 住田俊一

    ○住田(俊)政府委員 船員局といたしましては、二十九名要求いたしまして、五名ついております。
  134. 横路孝弘

    横路委員 海運の関係も、私、議論するのは初めてなんですが、少し調べていくと、これから特にカーフェリーを中心とした状況の中では、先ほど言いました大型化、スピード化、それから長距離化といわれる中で、やはり問題が、これからさらにどんどん出てくるのじゃないかというように思われるわけです。去年も幾つか大きな事故が起きているわけです。  そこで、従来とはまた違った、そういう観点から、やはり全体的な状況というのを掌握されて、しかもできるだけ行政も一元化されて――見ておりますと、海運局のほうから船舶局へとか、船員局へとかというような、そういう横の通達がずいぶん出ておるようですが、ひとつできるだけ統一的な指導をされて、海上交通の事故の起きないように、万全の措置をとってもらいたいということを最後に要望して、そして、そのためには、やはり皆さん方の体制をどういうぐあいにつくるのかということが必要じゃないか。さっき言ったような欠員の状況もありますので、ひとつお考えを願いたい。それを最後にお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  135. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま横路先生に私、お約束した項目がいろいろございます。私は、これはみんなメモしております。これを各局に、さらにもう一ぺん、十分間違いのないように整理させまして、検討させることをお約束申し上げます。  それから、何と申しましても、特に船の安全というのは、船が事故を起こしまして人がなくなっても、陸上と違いまして、新聞の三面に出て、それで終わりというようなことで、とかくこれに対する問題が、世論の中からも薄れがちでございます。私ども、こういうようなことがあってはならないということで、いままでも十分注意してきたつもりでございますけれども、安全の問題につきましては、さらに一そうの努力をしてまいる決心でございます。  私は、長い間、船乗りをやっておりまして、船の上の仕事あるいは船に乗っておる人の気持ちというものは、十分承知しておるつもりでございます。今後一そうの努力を続けてまいることを、お約束申し上げます。
  136. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  137. 徳安實藏

  138. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、三つほど確かめたいことがあります。一つは、日本空域で、進入管制を運用、管理している個所、すなわち、アメリカが進入符制を握っている個所は、どこどこの飛行場で、どこどこの基地であるか、その点を明らかにしてほしいと思います。
  139. 寺井久美

    寺井政府委員 日本空域の中で、米軍関係進入管制を行なっているところはどこかという御質問でございますが、まず関東地方では横田基地、ここで進入管制を行なっております。それから中国地方の岩国、ここがやはり進入管制を行なっております。それから沖繩におきます那覇嘉手納、これが現在は沖繩進入管制を行なっております。
  140. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうすると、民間空港進入管制アメリカが握っているところは、現在のところ那覇空港だけですか。
  141. 寺井久美

    寺井政府委員 那覇のほかに松山がございます。
  142. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一つ確めたいと思いますが、一九七二年、昭和四十七年七月七日に改定されたSARP協定、この十五条、これは沖繩における航空交通管制が、運輸省で運用をする以後も、そのまま生きるのかどうか、効力はそのまま発生するか、十五条は、「那覇空港から発進する要撃機等に対する管制及び誘導については、当分の間、運輸省那覇空港事務所長、沖繩に所在する航空自衛隊の部隊の長及び合衆国空軍の間で協議して定めるところによる。」、これはSARP協定の十五条です。
  143. 松本操

    松本説明員 先生のいまおっしゃいましたのは、SARP中央協定の条文をお読み上げになったのかと思いますが、そこに書いてございますように、当時の時点では、沖繩航空路管制、それから進入管制、これが米軍の手に実務上ゆだねられておりました。運輸省しましては、那覇空港飛行場管制だけを実施しておった、こういう経緯がございます。したがいまして、SARP協定、つまりスクランブルに発進いたします航空機の取り扱いに関する取りきめといたしましては、運輸省と米軍と自衛隊、この三者の間できめなければならない、こういういきさつになったわけでございます。  内地におきましては、当然のことながら、運輸省と自衛隊の間だけですべてが済んでおる。そこで、いまの御質問は、変わるのかというふうに私、承ったのでございますが、五月の十五日に、私ども那覇航空路管制を引き継ぐということになりますと、航空路管制がわれわれの手に戻ってまいります。飛行場管制については、従前どおり、私どもがやってまいります。ただ、進入管制の部分だけが――ほとんどこれは、あまり大きな関係はございませんが、進入関係の部分が米軍の手に残っておる。そのほかに当然のことながら、運用する、つまりSARP機を発進させる防衛庁がございますので、その間の、三者間の合意という形は、そのまま残りますけれども、内容的には、航空路管制が私どもの手で直接行なわれるということになりますので、その内容を改定する、こういうことになろうかと考えます。
  144. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、四十七年の五月、合意された協約みたいなものですが、沖繩における航空交通管制の五項目、この中に「日本国政府がこれら飛行場レーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に」云々とありますが、「これら飛行場」とはどこどこですか。
  145. 寺井久美

    寺井政府委員 那覇空港嘉手納空港、普天間空港、この三つでございます。
  146. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま読みました沖繩における航空交通管制の六、項目、「右の合意事項の他、昭和二十七年六月及び昭和三十四年六月の合意(今後行なわれる改正を含む)が適用される。」、これに関連いたしまして、昭和二十七年の六月、と申しますのは、その年は、ちょうど講和条約が発効した年で、その二カ月後にこの合意事項がありますが、その昭和二十七年六月の合意の第一項に、「日本国は、日本領空において完全かつ排他的な主権をもちかつそれを行使する。」、これがあります。これは日本国民として、だれも賛成しない人はいないと思う。私も賛成なんです。  ところで、「但し、一時的な措置として、」云々ということがあり、さらに最後にカッコして、「(航空局注、当時わが国が航空交通管制を実施するためには、施設要員とも皆無にひとしい状況にあつたので、前記のような一時的措置をとつたものである)。」、この点について大臣にお聞きしますが、第一項目が一番最初に生まれた。すなわち、平和条約が発効した五二年四月二十八日、その二カ月あとに合意事項が生まれております。いわゆる「日本国は、日本領空において完全かつ排他的な主権をもちかつそれを行使する。」、現在までこの合意された事項を実施するために、どのように運輸省は努力されたか。この点を、概括的にまず明らかにしてほしいと思います。  この「領空」というのは、主権に関係するもので、領空が完全に日本国の政府、これが、いわゆる主権者としてこの主権を行使するということにならない限り、真の独立国とはいえないという意味で、これは書かれている、確かに。だが、すぐ移すわけにいかぬから、いま申し上げたように、施設その他整備したら、こうこうするのだという意味なんですね。その意味で、どのようにいわゆる主権国日本として、日本の領空において完全かつ排他的な主権を持ち、これを行使するために奮闘されたか、そこら辺をまず第一にお聞きしたいと思うのであります。これは大臣のほうで簡単に答えてください。説明あとで……。
  147. 徳永正利

    徳永国務大臣 この「昭和二十七年六月および同三十四年六月日米合同委員会において次のように合意された。」という文書、航空交通管制の昭和四十七年六月の合意の点を、いま朗読されまして、その後、航空関係で、日本の領空において完全かつ排他的な主権を持つ、これを行使するために、どういうふうな今日まで努力をしたかというお話でございますが、いろいろその後におきましても、交渉は続けておると思います。  私、その一つ一つについて、一つまびらかにいたしませんから、あとで政府委員から御答弁申し上げますが、その後においても、日米合同委員会において、いろいろな航空交通管制の念慮を取りつけたり等の点、この線に沿って努力をしているわけでございます。
  148. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、合意されたのが昭和三十四年六月。この年は、ちょうど国民の反対が押し切られて、新安保条約が締結された、その前年です。すなわち五九年六月に合意されたものの中に、「防空任務に従事する軍用機に対しては交通管制上、最優先権を与えることに同意している。」と書かれています。これは第二項です。  さらに第一項は、「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、すべて、日本側において運営する。」、その次に、「軍用機に対しては交通管制上、最優先権を与えることに同意している。」、これは現在でも有効であるのか、あるいはそれはもう有効でなくなっているのか。
  149. 寺井久美

    寺井政府委員 ただいま御指摘の、この航空交通管制に関する合意というものは、現在でも生きております。ただ、これの改定作業というものを、ここ数年来やっておりまして、先生、御指摘のような最優先権というような点につきまして、米側との間でこれを改定する作業をやっております。全体にいろいろ見直しを行なっておるわけでございまして、平和条約直後に、日本が主権を回復して、航空交通管制を行なうというたてまえになりましたが、その後、いろいろと事情の変化もございます。そこで今回、この基本的な合意というものを改定しようということでやっておりまして、先ほどもお話し申し上げたのでございますが、おおむね、そのめどがつきつつあるという段階に立ち至っております。したがいまして、先生指摘の、最優先権を与えるというような趣旨のことは、改定される予定になっております。
  150. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは、たいへんなことを書いてあるんですよ。いま申し上げましたように、「防空任務に従事する軍用機に対しては交通管制上、最優先権を与えることに同意」したんだな、日本政府は。そして、「これらの軍用機の離着陸に際しては、その迅速な行動を可能ならしめるため予め定められた一定の空域をあけるように他の航空機の管制が行なわれる。」、これなんです。これは、いわゆるアメリカの軍用機ですね。これに対して日本の領空、空域を使用させる。しかも迅速に最優先権を与えると同時に、今度は他の航空機の管制をして、一定の空域をあけるようにするなどといわれているんですね。これこそ主権ですよ。いわゆる領空に対する主権が、このような形で制限されておる。最優先権を与えると同時に、これの裏側は、米軍機が来たら、日本の民間航空機は道をあけなくちゃいかぬというふうなことまで規定されているが、最初確かめました、これは、まだ効果があるかと言ったときに、あるんだということですね、それで改定のために努力するんだということであるが、それでは、具体的にどのような努力をして、日本国が主権者として日本の領空の主権を行使できるか、その点を具体的に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  151. 寺井久美

    寺井政府委員 航空交通管制という立場から申し上げますと、航行の安全ということが目的でございます。したがいまして、空の交通整理を行ないます観点から、いろいろ技術的な取りきめをいたします。日本の主権というような観点から申しますと、この第一条にも書いてございますように、主権そのものは、排他的にあるということが認められており、確立いたしておるわけでございまして、あとは交通整理をいたします際の技術的な取り扱い方でございます。したがいまして、私は、こういうことがあるために、日本の主権が侵されているというふうには、必ずしも考えられないというふうに存じます。
  152. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ところで、いかに主権が侵されておるかということを現実に――これが、まだ効力があるというだけではなくて、排他的な主権を持つという最初の規定、これは正しいのです。それで、当時、わが国が航空交通管制を実施するためには施設要員ともに皆無にひとしい状態にあった、その特殊の状態――もうすでに二十二年経過しておる。二十二年経過しておるとすれば、現実に政府が主権者として、ほんとうに領空の主権な行使するということであるならば、二十二年かかって現在なおこういった状態、しかも最初に確かめたところによると、横田、岩国、松山、さらに嘉手納、普天間、那覇、こうでしょう。これが御帰後は、特に――以前も原則的にはそうですが、復帰後はとりわけ、沖繩は法的にも日本の領土になったわけである。沖繩の領空も日本の領空である。  にもかかわらず、沖繩を含み、さらに松山から岩国、横田、こういったところの進入管制が依然としてアメリカに握られておる。しかも最優先権を与えているということには間違いない。さらに、これはまだ効力があるわけなんだから、米軍機に最優先権を与えるとすれば、その離着、どこに進撃していこうが、そのためには民間の飛行機は航空路をあけないといけない。そうすれば、現実が示すように、やはり領空の完全主権、排他的な主権はまだ持っていない。あなた方がいかに抗弁しようが、現実に事実はそうなっているのです。だから、これに対してどういうふうに努力して改正すべきかということになれば、了解はできますが、政府委員が、いまどんなに抗弁されようが、現実は排他的に領空の主権は行使されていたい。大臣、いかがですか、認められるのですか。それを認めなければ、改善の道はないですよ。
  153. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、瀬長先生のお話はよくわかるわけでございますが、いま、これを再検討するということで、いろいろ機関で努力している最中のようでございますし、それがいま御指摘になった、第一項の二行を踏まえていろいろ交渉がなされておるだろうと思うのでございますけれども、これは、私のほうから答弁するよりも、むしろ外務省の問題であろうと思いますけれども、その間には、御承知のようないろいろ歴史もございますし、今日までたどってまいりました、他の条約等によっていろいろな制約もあろうかと思いますが、お説のようなやむを得ない場合は別といたしまして、今後もできるだけ、そういう方向に努力してまいらなければならないだろうと思います。
  154. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務省は、あと答弁していただきたいと思います。  私が運輸大臣に確かめておきたいのは、いま申し上げましたように、現実の問題を指摘しているわけです。現実の確認なんです。これは政府委員答弁したわけなんです。横田も日本の土地であり、日本の領空に違いない。さらに岩国同じ、松山同じ、沖繩嘉手納、普天間、那覇、とりわけ那覇のごときは、これから本論に入りますが、進入管制は、もちろんアメリカが握っておる。いま示しました中でも、飛行場だけでも横田、岩国、松山、嘉手納那覇、普天間、この六カ所の、依然として航空交通管制のうちで、むしろ首根っこである進入管制アメリカが握っておるということ、これが現実なんです。その事実は否定されぬでしょうなということを確かめておるわけなんです。これは外務省じゃなしに、そういった運輸関係、交通関係ですから、とりわけ大臣の御意見を聞いておるわけなんです。これは現実の姿です。
  155. 徳永正利

    徳永国務大臣 先ほど政府委員の申し上げました、いわゆる基地については、多少いろいろな問題がありますようですから、もう一ぺん整理させます。その上で私が確認することにしたいと思います。
  156. 寺井久美

    寺井政府委員 米軍進入管制を行なっております場所は、横田、岩国、嘉手納、この三カ所でございます。その進入管制を行なっております結果、空港といたしまして那覇嘉手納、普天間、この三空港沖繩の場合には進入管制を受けるという状態になります。ただ、現状の沖繩は、沖繩の他の空港も、その嘉手納進入管制を受けておるわけでございます。それから岩国につきましては、岩国の空港と松山の空港が岩国の進入管制を受けておる。横田につきましては、横田のほかに厚木と入間がございます。米軍が地位協定に基づきまして、提供を受けております空港進入管制を行なっておるのが大部分でございまして、那覇が民間空港になり、松山が民間空港になる、この二空港だけが便宜、米軍進入管制を受けておる、こういうことでございます。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大臣、いいですか。
  158. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいま政府委員答弁いたしましたとおりでございます。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それは、いままで現実に――現在でも、独立国日本は、領空の完全主権者ではない、排他的に領空の主権を行使していないということが明らかになりました。  そこで、次に移りますが、いまの運輸省の設置法の一部改正法律案とも関連して沖繩における航空交通管制、この第五項、これは「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。なお、那覇空港に近接して嘉手納飛行場位置していることから、これら区域における航空交通の安全を確保するためには、単一の施設によつて進入管制を行なう必要があるので日本国政府がこれら飛行場レーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が那覇空港進入管制業務を実施するものとする。」とありますね。この場合、飛行場レーダー進入管制業務を日本政府が行なうまでということがありますが、そのレーダー進入管制業務を行なうということができましたら、これら飛行場、いま確認しました那覇空港をはじめ嘉手納、普天間、これも進入管制は、日本国政府が運用、さらに権限の行使をやるということに理解していいのか、そこら辺を明らかにしていただきたいと思います。
  160. 寺井久美

    寺井政府委員 那覇嘉手納、普天間、この三つの空港が非常に近接して所在しておりますために、一カ所で進入管制を行なう技術的な必要がございます。したがいまして、日本側の準備が整うまでの期間、暫定的に米軍にこの進入管制をやっていただくということでございますが、日本側がこの進入管制をできるようになりましたならば、この三つの空港は、日本側進入管制を一括して行なう、こういうことになります。先生の御質問も、そういうことだと思いますが……。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、日本国政府が、これら飛行場レーダー進入管制業務を行なう、こうなりますと、那覇空港は民間空港ですね。私、この前、現地参加で内閣委員会の調査に行きましたが、そこで、いまのレーダー進入管制業務が行なわれるのか、嘉手納にある施設も引き受けてやるのか、これは別として、現実那覇空港に設けられておる運輸省のレーダー施設で、アメリカの軍事基地、嘉手納、普天間、そこの進入管制までできますか、どうです。
  162. 寺井久美

    寺井政府委員 複数の空港を一括いたしまして、進入管制を行なうということにつきまして、残念ながら、現在のところ、日本ではその経験がございません。したがいまして、こういう複数空港を一括して行なうような進入管制、特にレーダー進入管制につきましては、それを行なうまでに相当長期の準備期間が必要であろう。ただいま、先生はできますかという御質問でございますが、これは施設、人員、慣熟に必要な訓練期間を十分とりますれば、もちろん技術的には可能なことでございます。
  163. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 技術的な問題に移る前に、いま横田あるいは岩国、これは米軍基地なんです。米軍基地は安保条約、地位協定、地位協定に基づくいろんな合意事項その他で、日本にほんとうに腰を据えているんですよ。だから、米軍基地がある、あるいは米軍日本に存在する目的は、一貫して軍事目的のためであって、別に民生安定のためにどうするということはないわけなんです。だからこそ、進入管制アメリカが握るわけなんですね。これは理論的に言ってわかりますよ。  ところで、いま申し上げましたのは、現実那覇空港が民間空港である、レーダー進入管制がほんとうにできたら、嘉手納、普天間の進入管制まで日本国政府が握れるのか、そこら辺を明らかにしてほしいと思います。これは、そこを明らかにしないとはっきり浮かび上がってこないんですよ。どうです。そう書かれておるのだから、はっきり「単一の施設によつて進入管制を行なう必要がある」――「単一の施設」というのは、これは対策上、いま申し上げました嘉手納、普天間、那覇、これが単一のものとしてここにやはりあらわされておる。この点を明らかにして、そして、そのレーダー進入管制がまず整備されたならば、嘉手納空軍基地や普天間基地まで、日本政府がそういった進入管制までほんとうに掌握できるのかどうか。これを明らかにしてもらいたいと思うのです。
  164. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、この沖繩における航空管制につきます日米合同委員会におきます合意の五項、先生も御指摘になりましたが、ここで、はっきりいたしておりますように、日本側が、飛行場レーダー進入管制業務を行なう体制になれば、これは引き継ぐということになっております。したがいまして、問題は、その準備期間なり、施設なり、人員の養成ということがございますけれども、それができた段階においては、この三つの空港進入管制は、日本側が行なうということでございまして、軍事目的のためにおるから、進入管制をとらなければならないというふうな御意見でございましたけれども、必ずしもそういうことではないのではないかと思います。  飛行場に進入してまいります、あるいは飛行場から飛び立って、航空路なりに入ります、その中間の飛行機の誘導を行なうわけでございますから、これは全く技術的に可能なような状態になれば、当然、日本側が行なうべき性質のものであって、米軍が行なわなければならないという理由は、何らないのではないかと思います。
  165. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、これと関連して、横田、岩国、これも当然のことながら進入管制、これは運輸省がやっていいということになるんですね。これがいまだに行なわれていないということは、どういう理由に基づくのか。
  166. 寺井久美

    寺井政府委員 御指摘の横田、岩国は、飛行場そのものが米軍に提供されております飛行場でございまして、その飛行場に出入りする航空機でございますので、横田なり岩国なりの基地が進入管制までやりますことは、非常に合理的だという判断をしております。そこまで航空局、つまり日本側がその進入管制、これはレーダーによる進入管制でございますが、その米軍飛行場進入管制までやることは、必ずしも必要ではない。  ただ、沖繩の場合は、三つの飛行場が併設されておりますから、これは那覇空港を民航に使い、そこでレーダー進入管制をやる場合に、三つの空港をともにやらなければならないという技術的な問題がからみますので、日本側が準備が完了した暁には、この三つの空港進入管制を行なう、こういうことでございまして、単独の提供施設に伴います進入管制まで運輸省がやらなければならないということではないと思います、実質的に。
  167. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの御答弁の中で、横田、岩国は、米軍の飛行機がいるという問題と、それから空域がそういった独立した空域であるという問題の指摘がありましたね。ところで嘉手納基地は、アメリカの発表だけでも、極東の一大軍事基地で、しかも空軍基地なんだ、それは、あらゆる――あなた、おわかりと思いますが、SR71というスパイ機までいる、一切の飛行機がいる、KC価まで。そういったような嘉手納基地なんですよ。普天間しかり。純軍事的な目的を持った飛行機、スパイ機あり、あるいは核兵器を積み得るような飛行機もやってきている。この進入管制というのは、離着の管制業務なんでしょう、実質的には。  これが、はたして日本政府が、そういった進入管制をするような、いわゆるここに書かれておる、はっきりいえば、レーダー進入管制業務まで行なうことができたならば――安保条約がなくならぬでも、あるいはなくならぬと軍事基地はありますから、軍事同盟がなくならぬでも、米軍基地があるという現段階でも、政府がそういった準備を進めていけば、嘉手納空軍基地、さらに普天間空軍基地、そこの進入管制ができるといういまの発言ですか、答弁ですか、これをあらかじめ……。
  168. 寺井久美

    寺井政府委員 それは必要な準備が整えば、できるということでございます。
  169. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点は、重要な点でありますので、大臣に責任ある御答弁をお願いしたいと思うのです。  この問題は、これは日米安保条約と関連し、地位協定と関連し、それから条約や協定にないのが、幾つも法的力を持った合意事項というのが、どんどん生まれてきておるわけでございます。そこで、この飛行場レーダー進入管制業務まで行なうことができた段階で、現実米軍基地あり米軍飛行場がある、飛行機もいるという段階でも、米軍の軍用機、これに対して発着のいろいろな信号をしたり、業務を行なうということがはたしてできるのか、できないのか、大臣いかがですか。
  170. 徳永正利

    徳永国務大臣 それをやるまでには、もちろんいろいろな施設の整備あるいは要員訓練相当な時間がかかるだろうと思います。しかしながら、それは先ほど来、政府委員説明しておりますように、もちろん米軍との交渉もございましょう、それまでに。そういうようなものを経てできないことはない。先ほど横路委員の御質問にもございましたが、もういつの国会でしたか、御指摘国会は、私、ちょっと忘れましたけれども、五年ぐらいならできるじゃないかというようなことだったがどうだ、計画的に米軍からの引き継ぎというものを、一ぺん検討してみたらどうだというような先ほど御指摘がございまして、私も、そういう点につきましては、ひとつ検討してみたいということをお答え申し上げたわけでございます。  これには、重ねて申し上げますけれども要員訓練とか、あるいはまた施設でございますとか、米軍とのその間におけるいろいろな交渉もございましょう。したがいまして、そう簡単に私はできるとは思いませんけれども、しかしながら、繰り返し政府委員答弁いたしておりますように、三つの空港の中には那覇空港という民間空港があるわけでございますから、そういう意味からすれば、横田とか岩国とかいう単独の管制とは、意味が違うんだということを繰り返して申し上げておりますから、こういう点についても、私、今後、検討してみたい、かように考える次第でございます。
  171. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さすがに大臣は、少し返事のニュアンスが違っておりますが、いずれにしても、いま申し上げましたように、米軍日本に駐留しているというこの事実は、軍事目的を達成するためである。そんなに簡単に進入管制を、日本が全部運用していけるかどうか、非常に大きい問題だと思います。  さて、もう一つ確かめたいのは、岩国、横田、これが違うという点を、もう少し明らかにしてほしい。いわゆる進入管制というのは、全日本の領空で、主権だとして進入管制までを含めて日本がやるというのがたてまえでしょう、事実は。これは単にアメリカが、安保条約に基づいておるから、こういった形になっているわけなんです。いなければ、何もそんな必要はないわけですからね。そういったような政治情勢、そういういろいろな情勢の中で、横田と岩国が、特別に進入管制アメリカが単独に握っている事実。それは政府が、その腹になれば、すでに要員もおるし、準備もできておる。その腹になれば、岩国でも横田でも進入管制を行ない得るというふうに理解していいのか、そうではないのか、そこら辺も明らかにしてほしいと思います。
  172. 松本操

    松本説明員 先生の御質問の中に、進入管制が非常に浮き彫りにされて御指摘になっておるわけでございますが、御承知のように、管制というものには、大きく分けて三つございます。  空全体を管制しておる、航空路管制と私ども呼んでおりますが、この航空路管制というものが、すべての管制の根っこでございます。これをやらない限りは、飛行機は飛び立っても、当てもなく飛んでいくだけでございます。航空路管制というものが根本でございます。  次に、飛行場から出入りするのが飛行機のたてまえでございますので、飛行場に直接おりてきて、車輪が飛行場に着く、飛行場から離陸滑走をいたしまして車輪が離れる、それからある程度の高さに飛行機が行く、あるいはある程度の高さからおり始める、ここの部分が飛行場管制でございます。これは飛行場飛行場として運営してまいりますためには、どうしても飛行場運営しているところが、直接これのめんどうを見ませんというと、非常な混乱が起こってまいりますので、飛行場管制というものは、おしなべてと言っていいほど少ない例外で、当該飛行場運営するところが行なっておる、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、大空を飛んでおりました場合に、管制というのは、計器飛行で飛ぶ飛行機が対象でございますから、たとえば一例で申し上げますならば、高度三万一千フィートでグリーン4をどこからどこへ飛んでいきなさい、こういうふうに指示するのが、航空路管制でございます。そうすると、グリーン4という航空路に、三万一千フィートという高さでどこかで取りつかなければならない。したがいまして、飛行場を離陸いたしましてから、その航空路の一定の高さ、あるいはその一定の高さに取りつくための、自動車でいえば高速道路への取りつけ道路みたいなもの、そこまで持っていってやらなければなりません。これが進入管制と呼ばれておる管制の部類に属するものでございます。  したがいまして、飛行場がそこにあれば、そこに飛行場管制というものがくっついている。ずっと空が広がっておりまして、そこに航空路が四通八達しております限りにおいて、航空路管制というものがございます。その航空路管制のもとに飛んでおります航空路、その航空路の一定の高さあるいは特定の航空路、特定の方向、そういうところへ飛行場を離陸しました飛行機を持っていく、これが進入管制。それから名前は進入といっておりますが、今度は航空路をはずれまして、飛行場に着陸できるようなきわめて低い体勢まで持っていってやる中間のところ、これも、やはり同じように進入管制と呼んでおります。  したがいまして、たとえば沖繩から飛行機が飛んでまいりまして、羽田におりようといたしますと、沖繩から大島の上を通って御宿の上あたりまでは全部、東京航空管制部航空路管制としてめんどうを見ております。そこら辺から木更津の近くまでおりてくる、このおりてくる途中のところ、これは同じく羽田の中にターミナルレーダー管制所という管制機関がございまして、いまの大分類で申すならば、進入管制というのを、東京管制部から受け取ってやるわけでございます。  最後に、東京のタワー、俗にタワーと呼ばれておりますが、羽田飛行場の中に、飛行場管制所というのがございます。これが木更津なら木更津の上空で受け取りまして、最後にILSの波に乗せて滑走路までおろしてやる、こういうことで無事飛行機がおりるいこういうことになるわけでございます。  そこで、御質問の本旨に戻りまして、横田の進入管制の場合でございますが、先生、御承知のように横田あり、入間あり、厚木ありということで、米車に提供されました基地、飛行場が、あの近所に集約されております。それぞれの飛行場飛行場管制というものは、かつてすべてこれは米軍がやっておりました。現在、厚木は、私の記憶によりますと、自衛隊ではなかったかと思いますが、記憶がさだかでございません。したがいまして、この三つの空港が非常に近接しておりますので、飛行場から出る、おりる、これが交差をいたしますと、非常に危険でございます。したがって、一カ所で全部のめんどうを見ないと、航空交通の安全上はなはだしく支障があるということで、この三つの飛行場を主といたしまして、このまわりを囲む空域というものが、横田の進入管制のための空域というふうにして考えられておるわけでございます。  岩国の場合には、これも先生、十分御承知と思いますが、岩国は基地でございます。そのほかにわが民間空港でございます広島の空港と松山の空港、この三つの空港の滑走路の向き及び相互の距離、これが非常に隣接しております。したがいまして、当初は岩国の進入管制所というものが、岩国の基地とそれから広島空港、松山空港、この三つの空港をまとめて、そこにおり、そこから出ようとする航空機の管制をしておったわけでございますが、岩国につきましては、私どもレーダーを広島につけまして、広島については、岩国の空域を削りまして、広島の空域と岩国の空域を分離いたしました。そして広島につきましては、広島のターミナルレーダー管制所が、広島空港に対する進入管制を行なう、こういう形に現在なっておるわけでございますが、松山につきましては、現在、私どもレーダーがございませんので、したがいまして、これはノンレーダーでございますが、総合的な空域の有効利用及び出入りする航空機の安全性ということを考慮いたしまして、岩国の進入管制所が、現在、松山に出入りする航空機の進入管制もあわせて行なっておりますが、松山については、私ども四十九年度予算が成立いたしました後において、空域をどのように使えばより効率的、かつ安全に使えるかということの研究をいたす考えでおります。その研究の結果いかんによりましては、現在、岩国にゆだねております松山の進入管制を分離するかどうかというふうなことについての結論を出したい、このように考えておる次第でございます。
  173. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、いまの私の質問の、日本の政府がその腹になれば、横田でも、岩国でも進入管制もともにやっていけるのかということに対しては、答弁ないんですよ。ただ全体の航空路、その中でいわゆる進入管制飛行場管制の関連性は説明があった。ところで、日本政府がその腹になれば、現実に岩国であれ、横田であれ、もちろん関連して、嘉手納の関連からきたわけなんですが、アメリカの空軍基地、その空軍基地の空域に対する進入管制、これを日本が、その腹になればできるのかどうかということに対する答弁はないんですよ、どうですか。  御答弁を容易にするために、これを申し上げますが、一九五九年の合意です。三十四年六月ですが、その一項「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、すべて、日本側において運営する。」、これがあるのです。これを逆に言えば、米軍に提供する飛行場周辺の飛行場管制業務と進入管制業務は、アメリカがやるということなんです。そのほかは日本側において運営する。このことを最初に、まだ効力があるんですねと言ったら、あなた方は、あるのだと言った。だから、いまこれに関連する質問をしているんですよ。  現実にこれは、この合意事項にはかかわりなく、日本政府がそういった設備もでき、用意もできた、さあ横田も、岩国もやろうじゃないかという腹になれば、基地にいるいわゆるアメリカの戦闘機その他、この進入管制がはたしてできるのかできぬのか、さらにこれとの関連性はどうなるか、これを聞いているのです。
  174. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘の、この航空交通管制の三十四年の六月の合意につきましては、飛行場進入管制の関連が除かれております。ところが、沖繩航空交通管制に関する合意書、これは新しくできましたが、これについては、日本側の準備ができるまで暫定的に米軍がやるというふうになっておりまして、三十四年のこの一項と趣旨が違っております。  ただ、私が最初に申し上げましたように、この三十四年の合憲は現在生きておりまして、横田なり、岩国なりというものは、それなりにこれが生きておるわけであります。したがいまして、先生指摘のように、できるのかということにつきましては、この合意のたてまえから申しますと、簡単にはできないということに相なります。こういうことも含めまして、実はかなり年月もたっておりますので、いま見直しをやっております。その結果によりまして、これがどういうふうに変わりますか、最終的にならない段階では、御紹介いたしかねるわけでございますが、確かに先生指摘のように、現状は、そういうことで、これが生きておるということでございます。
  175. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この沖繩における航空交通管制、この第五項の一番最初に、いま申し上げました三十四年六月の合意、これと関連したのが、ここにまっ先に書かれておるんですよ。「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。」、いいですね。地位協定に基づいての嘉手納飛行場でしょう。空軍基地の普天間が認められている。これを、ちゃんとはっきり書いた上で、ここに「なお、」があって、「那覇空港に近接して」云々が書かれている。  したがいまして、私が指摘しましたのは、あなたが答弁を訂正されるかどうかわからぬが、この前にぽんと一言打ち込まれておるわけだ。この打ち込まれておるこれは、地位協定の規定により使用を認められている米軍基地でしょう。さらにこの中で、「米軍に提供している飛行場周辺」というのは、もちろん地位協定に基づいて提供されている。そういう「飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、」ということと、この五項の「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。」と、これとは関連しておるんですよ。関連しておって、しかし「那覇空港」はと、こうきておるわけです。  ですから、あなたの答弁で、いまのあとに続く「単一の施設によって進入管制を行なう必要があるので」――次だ。「日本国政府がこれら飛行場レーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が那覇空港進入管制業務を実施するものとする。」という場合、これは、いかに飛行場レーダー進入管制業務を行ない得る状態になっても、この前文は生きているんですよ。そうでしょう。「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。」、これは、そうじゃないですか。明確に答弁してください。これは訂正しないとおかしいかっこうになってきますよ。  そんなに、この協定が日米間で――いわゆる地位協定によって提供されたとの米軍基地にいる飛行機まで、管制進入管制ができるのかどうか。これは、ちゃんとあなた方は有効であると言うから、私は聞いておるのです。無効であるとなれば、別の質問のしかたがあるんですよ。
  176. 角谷清

    ○角谷説明員 それでは、この際、ちょっと答弁さしていただきたいと思います。  まず第一点、実は先ほど主権のお話がございましたので、述べさしていただきたいと思いますけれども、これは、もちろん人によりまして、いろいろ考え方があると思います。それからまた、一般論になって恐縮でございますけれども、安保条約そのものは、もちろん主権者たる日本政府の自由意思によりまして、わが国の安全保障を、ああいう形で持つのが最も好ましいということから、ああいう現在の条約というものがあるわけでございます。  したがいまして、言いかえれば、これは、まさに日本の主権の発動であるといってもよろしいと思うのでございます。したがいまして、この協定のもとに、アメリカ軍というものが駐留しておりまして、これに対して、いろいろな権利を認めておるということも、これは別に日本の主権の侵害であるということではない、このようにわれわれは思っておるわけでございます。  それから第二の点の、ただいまの特定の問題でございますけれども、これも、したがいまして、その協定のもとにおきまして、認めましたところのアメリカの軍というもの、これは地位協定の三条、六条というものによりまして、一定の権利を持っておるわけでございます。たとえて申しますれば、アメリカ軍に提供しております飛行場についての進入管制というようなものは、そういう法律関係から現在、米嗣がやっておるということであろうと思います。  それで、いま沖繩の普天間と嘉手納の件がございましたけれども、少なくとも現時点におきましては、この四十七年五月十五日の合意書に基づきまして、アメリカ側進入管制の権限を持っておるし、それによってやっておる。しかし将来、那覇との関係でどういうふうになるか、つまり近接しておりますから、どういうふうになるかということ、これは、ある意味におきまして、技術上の問題でもあろうかと思うわけであります。したがいまして、将来の点につきましては、これは、いろいろまた将来の話し合いということになろうかと思います。  私の申し上げたいことは、要するに先ほど航空局長からもお話しございましたけれども、いろいろな技術上の問題、便宜等がございまして、その観点からアメリカ側といろいろな話をして、航空の取りきめをきめておるという点が多いのでございまして、これが主権の侵害かどうかということ、これは人によっていろいろ考え方があろうかと思いますけれども、少なくともわれわれといたしましては、これは主権の侵害というようなことでは考えておらないわけでございます。
  177. 徳永正利

    徳永国務大臣 なお、いろいろ御質問の点に答えが明確でございませんが、その点は統一いたしまして、後刻お答え申したいと思います。
  178. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後委員会を再開いたします。    午後一時五十七分休憩      ――――◇―――――    午後四時六分開議
  179. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬長亀次郎君。
  180. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 午前中に引き続き質問いたしますが、沖繩における航空交通管制の第五項、「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。」、この場合の飛行場は、当然、地位協定に基づいて施設、区域として日本政府から与えられた嘉手納那覇空軍基地、普天間ですね。それと関連して、次にあります「これら飛行場レーダー進入管制業務」の中の「これら飛行場」は、いま申し上げました地位協定に基づいて、アメリカ飛行場として使用しているところである。この場合、当然、レーダー進入管制業務を日本が行なうまで、暫定的にアメリカ那覇空港進入管制業務を実施するということになっておりますが、逆に飛行場レーダー進入管制業務、これが完成したら、当然のことながら、地位協定に基づく飛行場嘉手納、それから普天間、那覇、これも含むわけなんで、その進入管制日本がやるという理解ができるわけなんですね。  それと、三十四年六月の合意事項の「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、」、すなわち、これは除かれておるが、これとの関連性はどうなっておるのか。もしこれが効力を持たないということになれば、地位協定に基づいて施設、区域としてアメリカに与えられた横田、岩国は、当然のことながら、その範疇に入るというふうに理解していいのか。ここら辺、外務省あたりで何か統一見解があるのか。あるいは運輸省として統一見解があるのか。ここら辺は、午前中不明確であったので、明確にした上で前に進みたいと思います。
  181. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、三十四年六月の合意の第一項「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、すべて、日本側において運営する。」という規定は、事情のいかんにかかわらず、すべてを米軍に行なわせる趣旨ではないというふうに私どもは考えております。しかしながら、現在、横田あるいは岩国で行なわれておりますような進入管制業務というものは、これに基づいて行なわれておるわけでございます。  そこで、今度、四十七年の沖繩における航空管制に関する合意、これは沖繩に関する一つの特例を定めたものでございまして、その第五項の「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。」とございますのは、これは、いわゆる飛行場管制をさしていっておることでございます。つまり、それはなぜ明らかかと申しますと、後段におきまして、「レーダー進入管制業務を行なう」ことができるまで、つまり日本側がこれを行なうことができるまで「暫定的に米国政府が那覇空港進入管制業務を実施する」というふうになっております。したがいまして、この二つの取りきめの間に矛盾はございませんで、これは沖繩の特例というかっこうになっておるわけでございます。
  182. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務省に伺いますが、いまの答弁、すなわち昭和三十四年六月の合意、「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、」というのは、文字どおり全部除かれておるんじゃないというふうに理解していいんですか。ここら辺といま答弁のありました沖繩における航空交通管制の第五項との関係、地位協定の規定により使用を認められておるというふうなものとの関連性なんですが……。
  183. 角谷清

    ○角谷説明員 ただいま航空局長から御答弁のありましたとおり、その合意は、要するに何が何でもアメリカがやる、つまり、必ずしもすべてアメリカがやるということでもないわけでございまして、事情のいかんによりましては、アメリカ側がやらないということもあり得るわけでございます。  たとえば地位協定の三条によりましても、いわゆるアメリカの管理権というようなことも、「すべての措置を執ることができる。」のでありまして、その続きに「日本国政府は、」云々と書いてございます。ですから、向こうとの話によりまして、アメリカがそういうことを「執らない」ということも、これは理論上可能でございますし、現に普天間と嘉手納の件につきましては、将来の形態につきましては、日本側がテークオーバーするということが合意されておるわけでございますから、そういう点、そういう状態を全面的に排除するということではないという御説明がございましたが、そのとおりであります。
  184. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その取りきめなり合意事項なり、どこにそんな解釈をやる根拠があるのですか。いま、ここに「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、」と書かれ、それを除くすべてですね。いまの局長のような説明をする根拠はどこにあるのですか。いわゆる合意事項のどこかにあるのか、地位協定のどこかにあるのか。  さらに、いま最初に申し上げました「米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場に関する航空交通管制業務を実施する。」、こうなっておりますのと矛盾するものですから、私、聞いておるのです。それを書いておいて、さらに「飛行場レーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に」米国がやる。もしレーダー進入管制業務、これを日本政府が行ない得る状態になれば、いま申し上げました地位協定の規定によってアメリカに提供された施設、区域の中の飛行場でも、日本政府は進入管制の業務をやり得るというふうな理解ですか。
  185. 寺井久美

    寺井政府委員 御質問の趣旨がよくわかりませんが、まず、この地位協定に基づきまして提供された施設、つまり飛行場につきましての飛行場管制というものは、この飛行場運営者が行なうというのが、大体通常の例でございまして、これをこの場合、米軍が行なう。それから、それの次の進入管制につきましては、三十四年六月の合意に基づいて米軍に提供された飛行場については、進入管制も行なうということになっておりますが、この沖繩の協定の場合には、それがございませんで、提供された飛行場に関する航空交通管制業務を実施する、飛行場管制は実施いたしますが、つまり、そのなお書きが、ここで意味がございますわけで、「那覇空港に近接して嘉手納飛行場位置していることから、これら区域における航空交通の安全を確保するためには、単一の施設によって進入管制を行なう必要がある」ということで、この点、進入管制がはずれております。そうして、この進入管制につきまして、日本政府が準備ができるまでの期間、暫定的に米国政府が行なうというふうになっておりますので、日本政府が準備ができましたならば、これは日本政府が進入管制を行ない得るというのがたてまえになっております。
  186. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日本国政府が、これら飛行場レーダー進入管制業務を行なうまで、それでは、いつ行なうことができるのか、そこら辺を明確にすると同時に、それまでにどのような準備をしていくのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
  187. 松本操

    松本説明員 まず、先生御質問の後段の、いかなる準備が要るかという点について、御説明を申し上げます。  複数の空港につきまして、レーダーを用いた進入管制業務を行なうという事例が、現時点において私ども経験がございません心したがいまして、複数の空港に関しレーダーを用いて進入管制を行なうのには、どのような方式、基準を定め、どのように実施をすれば、最も安全かつ効率的であるかという点についての十分な研究というものが、まず第一に必要でございましょうと考えております。  次に、そのためには、レーダー進入管制でございますので、レーダー設置し、あるいはスコースをふやし、あるいはそれに関連して対空通信施設をふやす、こういうことが必要になってまいるものと考えております。  第三番目には、これらの管制を行ないますのは、管制官でございますので、レーダー管制官であり、かつ複数の空港について、レーダーによる進入管制を行ない得る十分な技量を保持した者を、必要な数だけ養成をいたさなければならないわけでございます。御承知のようにレーダー管制官を、一人前に仕上げますのには、かなりの年月を要するわけでございます。そういった準備にも、かなりの時間をかけなければならないのではないか、このように考えております。
  188. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、その準備のために、要員を含めて施設など整備するまでに、大体何年ぐらいかかるのか。これが協定されてからもうすでに二カ年。その二カ年の間に、そのための準備をどうやったのか、あるいはこれからどういうふうにやろうとするのか。現在たとえば二十余名あたりでできるのが、進入管制も含めると六十名余り必要であるとかいう場合に、一体、何年間かかれば、いまのレーダー管制までやり得るような状態になるのか、ここら辺を明確にしてほしいと思います。
  189. 寺井久美

    寺井政府委員 この合意書ができて、すでに二年をたっておる、その間にどういう準備をしたかという御質問でございますが、私どもがいたしましたのは、御承知のように、来たる五月十五日に航空路管制の移管を受ける、このために必要な施設管制官の養成ということに主力を注ぎまして、ようやくこれが無事に移管を受けて、差しさわりなく運用できるという状態に現在なっておるわけでございます。その前に、たいへん努力をいたしまして、那覇空港そのものの管制を、復帰と同時にこちらに引き取りましたけれども、そういうことがございまして、この進入管制の移管を受けるという実質的な準備は、過去二カ年間において行なわれておらないということを、残念ながら申し上げざるを得ない状態でございます。  それでは、今後どうするかという点でございますが、先ほど管制保安部長から御説明申し上げましたように、相当各方面の準備が必要となります。また、事前にそれなりの検討もいたさなければなりません。現在の時点で、何年先に確実にこれを引き受けられるというようなことは、ちょっと申し上げかねる状態でございます。
  190. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、この暫定的というのは、これは何年先であるかわからぬというふうな暫定的であるということになりますね。
  191. 寺井久美

    寺井政府委員 いま申し上げましたように、田時点では、何年先に確実にこれがテークオーバーできるということを申し上げることはできませんが、何年かわからない、永久に続くという意味の暫定ということではございませんで、あくまでこれは、経過的な措置として存在をしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  192. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 何年先かわからぬという不特定な時期、これが暫定的だということになりますと、牛に進みますが、沖繩返還協定が結ばれる前後、政府は沖繩返還の場合には、全面的に沖繩を本土並みにするのだ、こう言った、これは大臣も御記憶だと思います。  ところで、民間空港で、米軍、自衛隊、運輸省関係の民間機、この三つが同居しておるのは、那覇空港だけだと思います。これは私の考え方が間違いであるのか、那覇空港だけが三つ仲よく――あるいは仲よくでないのかわからぬが、いずれにしても、米軍、自衛隊それから民間機、これが那覇空港にいます。このほかに日本にそういった飛行場があるかどうか。あれば、どこと指摘してください。
  193. 寺井久美

    寺井政府委員 現在、そういう空港はございません。
  194. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 したがって、那覇空港だけに、地位協定に基づいて施設、区域が提供されて米空軍基地がある。さらに南西航空団といって自衛隊の基地ある。それに民間機がいる。これが目玉商口として、那覇空港は返還するんだという宣伝が、もうずっと二年前から行なわれてきて、いまだに那覇空港は返されていない。これが現実なんです。  ところで、この法案が通って、那覇航空交通管制部あるいは建物ができ、施設もありますが、これができても、相変わらず那覇空軍基地は存在し、自衛隊もいる。こうなりますと、那覇空港は、いつ民間空港として、アメリカとも関係なしに普通の空港として使えるのか、これも不明である。暫定的にということと関連すれば、不明になってくると思うんですが、ここら辺についての御見解はありますか。これは大臣にですね、いわゆる沖繩を本土並みに返還すると言ったわけなんだから。しかも那覇空港は、目玉商品として返すのだ、ところが、いまの状態では三つが雑居している。  ですから、これが完全に民間空港として、米軍基地もなくなり、そうして自衛隊も同居しないでやり得るような、あるいはまた、自衛隊の問題は宿借りだから別として、那覇空軍基地がなくなるのはいつであるのか、また、どのような努力をされるのか、これも暫定的の期間との関係があるのか、そこら辺を明確にしてもらいたいと思うのです。
  195. 寺井久美

    寺井政府委員 まず、ただいま御指摘の、米軍那覇空港から出ていくかどうかということと、ここに書いてあります暫定的にということとの関係があるかという点につきましては、これは全く関係ございません。  それから、米軍がいつ出ていくのかという点につきましては、これは、むしろ外務省から御答弁いただいたほうがよろしいかと思います。
  196. 角谷清

    ○角谷説明員 那覇にP3というのがありまして、これが移るという話につきましては、先日、国会でも御説明申し上げている次第でございまして、大体、明年の海洋博を――当初、海洋博を目途としてこれを移すという話でございました。その後、海洋博の時期が多少ずれましたけれども、それにもかかわらず、その時期を目ざしてこれを移すという計画をいたしております。
  197. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうなりますと、この那覇空港は、日本でたった一つの、米軍、自衛隊、民間機の飛行場になるということがはっきりしました。これで結局、本土並みというものが、事実、本土並みではなくて、特別に那覇空港だけに限って、米軍がおり自衛隊がおり民間機がおって、三つとも雑居しておる。実際の飛行場の理想的な形としては、民間機は民間機で専有できるような飛行場が理想的な飛行場だと思います。それに自衛隊が入り込んだりするのでもなく、米軍が入り込んだりするのでもない……。  ところで、いま那覇空軍基地の実際の管理権、これはアメリカが握っておる。アメリカが長男で、自衛隊が次男で、民間機が三男みたいになっている。事実は、ほんとうの主人公が民間機にならなくちゃいかぬ、これが理想だと思うのです。そのためには、P3を嘉手納に移駐するのではなく、P3を撤去させるということは、この前、沖繩県議会で与野党全会一致で決議されて、来たる七日に県議会代表が上京することになりますが、いずれにいたしましても、現時点では、たとえこの法案が通ってみて、嘉手納飛行場を含めて、航空交通管制業務が、進入管制を除いて運輸省関係になったといたしましても、依然として那覇空港は、相変わらずアメリカ、一自衛隊、民間機が雑居する空港になるという事実は、おおうべくもない事実だと思うのですが、そのとおり解釈していいのですか。
  198. 寺井久美

    寺井政府委員 米軍、自衛隊、民間、この三者が現状は雑居する空港であるわけでございます。  米軍がいつまでいるかという点につきましては、米軍に出ていっていただくように、いろいろ努力をしておるわけでございます。ただ、自衛隊と共同で使用するという形は、これは将来とも残るというふうに私ども考えておりますし、自衛隊と共同して使用しております空港は、わが国内にも相当数ございますし、これは理想といたしましては、民間航空と軍の航空は、別の飛行場を使うことが望ましいわけでございますが、わが国の空港事情その他から考えまして、やむを得ないというように考えております。
  199. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 やむを得ずそういったような、自衛隊とも雑居しなくちゃいけない、さらにアメリカ軍とも別居じゃなしに、雑居しなくちゃならないということの中に、日本の領空に関する主権の問題、これがあると考えます。  そこで、もう一つ質問したいのは、沖繩における航空交通管制についての合意事項で、いままで発表されていないのを調査した結果、明らかになっておりますが、これを認められるかどうか。こういうことなんです。「合衆国政府は一九七二年五月十五日の合同委員会合意にもとづいて特別使用空域の使用を許される。合衆国はすべての特別使用空域は既存の航空路空港周辺の空域の五海里の緩衝空域をおくべきであるという日本国政府の方針を認識する。」、こういったのが合意事項の中にある。これを認められるかどうか。外務省から発表されたもののほかに、合意事項として、いま読みましたのが、調査の結果出てきております。これを確認されるかどうか。
  200. 角谷清

    ○角谷説明員 御指摘の点は、沖繩に関する五月十五日の合意に関します部分であろうと思いますが、そのような内容はございました。それは外部に発表するというようなものには、特に入れてございませんけれども、特別空域というようなものは、すでに施設庁の五月十五日の別途の合意がございまして、それに基づきまして、施設庁が告示というようなことをいたしておりまして、はっきりいたしておるわけでございます。それを重ねて発表を行なわないということでございまして、特に意味があるわけではございません。
  201. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この合意事項があることを認められましたが、いま徳之島に至る航空路、これはキャンプ・ハンセンの空域を通っております。このキャンプ・ハンセンの、実弾射撃演習場は、りゅう弾砲をもって演習するところでありますが、この空域航空路とキャンプ・ハンセンの飛行場との関係について、説明を願いたいと思うのです。
  202. 中曽敬

    ○中曽政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のキャンプ・ハンセンでございますが、沖繩本島にございます演習区域でございます。これは防衛庁の四十七年六月十五日付の告示で、はっきりと告示されている演習区域でございますが、この演習区域の直上を航空路が通っておることも事実でございまして、航空路アンバー82ないしアンバー86と称する航空路が通っております。ところが、このキャソプ・ハンセンは、高度がこの告示にはっきり指定してございますけれども、高度は三千フィートまで、三千フィート以下というふうになっておるわけでございます。そうしまして、私どものほうの航空路は、最低経路高度と称するものがございますけれども、それ以下の高度を通ってはいけないという規定がございますけれども、最低経路高度が四千フィートというふうになっておりまして、キャンプ・ハンセンの制限高度と航空路の最低制限高度とは千フィートの間隔、余裕を持って設定されておるということでございまして、御指摘の安全性において問題がなくはないかというふうなことについては、私どもとしては、ないというふうに思っている次第でございます。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 わずか三百メートルぐらいの間隔ですが、これで安全であるのかどうか、ここら辺はどうなんですか。
  204. 中曽敬

    ○中曽政府委員 これは、私どもの理解といたしましては、防衛庁のほうで告示で指定されましたキャンプ・ハンセンの最高高度と申しますか制限高度、これは、りゅう弾砲の演習区域というふうに伺っておりますけれども、りゅう弾砲の到達高度に若干の余裕を見積もられた高度であるというふうに聞いておりますので、さらに、それよりか千フィートの上にわれわれのほうの航空路が設定されておりますので、その点については、御指摘のような心配はないというふうに私らといたしましては思っている次第でございます。
  205. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので締めますが、いままでの質疑応答の中で、安保条約あるいは地位協定、合意議事録の中における合意事項などによって、特に一九五二年の合意事項の中にうたわれている「日本国は、日本領空において完全かつ排他的な主権をもちかつそれを行使する。」、こういったような合意に達するにははるかに遠い。一例を那覇空港にとってみても、この施設、区域々アメリカに与えた中に空軍基地がある。したがって、那覇飛行場を、ほんとうの民間空港として日本国民が使用できる段階は、いまほとんど見通しがついていない。  したがいまして、特に大臣に、これは外務大臣が主かもしらぬが、あなたにも関係があります。その意味で、一日も早く那覇空軍基地を返還してもらって、那覇飛行場を、ほんとうに民間空港として使えるような状態に持っていくことに、当然、政府として努力すべきじゃないかというふうに考えますが、この点について努力してもらいたい、その意味答弁をお願いいたしたいと思います。
  206. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように努力をいたします。
  207. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  208. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まず初めに、新東京国際空港、成田空港のことについて少しお話を聞いた上で、東京国際空港羽田空港に入りたいと思うわけであります。  成田空港が開港されることについては、何回もその予定が発表されていながら、実際には現在開港をされていない状態であります。成田空港の進捗の状況について、まず御説明を願いたいと思います。
  210. 寺井久美

    寺井政府委員 成田空港につきましては、現在、航空燃料輸送用のパイプラインを除きまして、主要施設はすべて完成をいたしまして、供用開始を待つばかりの状態になっております。燃料輸送のこのパイプラインでございますが、当初、千葉港頭から東関東自動車道路沿いに成田空港まで約四十四キロございますが、パイプラインを布設するという計画で進めておりましたところ、鉄道、河川、道路横断部分の工事に相当長時間かかるということ、また千葉市内のルートの一部について沿道の住民、千葉市当局の関係から、工事を中止せざるを得ない状態に立ち至りまして、全体の完成には今後、相当の時間を要する状態になっております。このため、暫定的に、パイプラインにかわります方法といたしまして、鹿島臨海地区並びに京葉地区から、鉄道によりまして燃料を、成田市の土屋というところまで運びまして、この土屋から暫定的なパイプラインによりまして、空港の中まで油を供給するという計画を、四十七年の夏に公団において立てました。  その後、運輸省、公団において、関係機関といろいろ折衝をいたし、御協力を得まして、この暫定輸送方法というものの実現方に鋭意努力いたしてまいった次第でございますが、昨年の暮れに至りまして、この暫定パイプラインの布設に関しまして、地元住民、地権者との協議がととのいまして、ようやく着工の運びとなりまして、現在のところ、本年中に完成することを目途といたしまして、工事が進められております。  これに関連いたしまして、鹿島地区に燃料取り扱い施設設置することにつきまして、茨城県知事の承認等が必要でございます。かつまた、油を鉄道輸送する関係上、関係の市町村から安全対策等についていろいろ御要望もございます。こうした問題につきまして、現在、鋭意折衝いたしまして、解決いたすべく努力を続けております。  これは燃料輸送関係の状態でございますが、もう一つ、御存じのように四千メートル滑走路の末端に、妨害鉄塔が二基現在立っております。開港までには、この妨害鉄塔を除去するという手続作業が必要でございます。これも各方面の御協力を得まして、すみやかに解決をいたしたいということで、現在、努力中の状態でございます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまのお話を総括いたしますと、ターミナルビルその他の付属機関というものは、ほとんどでき上がってきておるけれども一つは、暫定パイプラインの設置がなかなか進んでいなかった。しかし鉄道輸送の問題についても、だいぶ明るい見通しが出てきたということを踏まえて、今後、安全対策、その点の煮詰めが必要になってきておるということは、どういうことを意味しておるか。  それから、開港のめどというものを、一応どこに置いておられるかということ。開港のめどが大体きまりますと、それに伴って、現在、鉄塔が立っておるわけでありますけれども、その鉄塔を取りはずさないという状態になれば、それに対しては、当然、収用か何かをかけられるのか、その点についての御回答をお願いしたいと思います。
  212. 寺井久美

    寺井政府委員 安全対策につきまして、御説明申し上げますと、まず鉄道で油の専用列車が走る、そういうことでございまして、沿線の住民の方々は、踏切事故というものをたいへん御心配になっておられます。したがいまして、踏切関係の整備ということが一つございます。また万一、脱線等の事故によりまして、油が流れるというようなことがあっては困るので、そういう貨車の技術的な構造等についても、十分説明をしてほしいということ、あるいはまた防火用水を、しかるべきところに設けてほしいというような、かなり具体的な御要望もございます。したがいまして、こういう安全面の対策につきまして、私どもといたしまして、十分手を打ち、また地元とのお話し合いで、最も合理的な方法をとらしていただきたいということでいま進めておるわけでございます。  次に、開港のめどという御質問でございますが、油が空港まで到達する時点に合わせまして鉄塔を除去し、一刻も早く開港できる態勢に持っていきたいというふうに考えておりますが、具体的な開港の日時につきましては、こういった関連の諸問題が解決する見通しをはっきり得た段階で、関係閣僚協議会で御決定願えるものだというふうに考えております。  これと関連いたしまして、鉄塔の除去をするためには、開港の数カ月前にこれをとって、いろいろな航行援助施設等の、電波上の検査等もございますので、やや前広に鉄塔を除去する必要がございます。したがいまして、この鉄塔の除去のためには、仮処分申請等の法的な手続をとらなければならない、こういう状態でございます。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに国際空港が開港するということは、いろいろの意味においても重要なことであると思います。そのためには関係航空会社に、当然通知をしなければなりませんし、常識からいえば大体六カ月ぐらい前には、関係航空会社等の移転あるいはその従業員等を含めての問題等があるわけですから、そういうことから考えますと、六カ月ぐらい前までには、すでにめどをつけなければならないわけであります。  先ほど局長がお話しになりました、本年度じゅうには一応そういうものを完成したいということであれば、少なくとも本年度じゅう、そう遠くない時期には開港ができるのではないかというふうに思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  214. 寺井久美

    寺井政府委員 開港の時期、つまり私、申し上げましたのは、本年じゅうに油が空港まで到達できるべく努力をしている、こういうことであります。具体的な開港の時期につきましては、別途御決定いただけると思いますが、そういう状態が、いつの時点で確実に見通せるかという問題でございまして、先生指摘のように航空会社等に対しましては、できるだけ前広に予定期日をお知らせすることができれば、それにこしたことはございませんし、またそうすべきであろうかと考えておりますが、確実に見通せる時期というのがいつになるか、現時点ではまだはっきりいたしません。  私ども、おおよその見当といたしまして、航空会社にいついつから開港するということは、三カ月前程度に確定的なことを言うということを、過去に約束した経緯がございまして、六カ月程度前から、大体おおよそこうなるかなという程度の非公式な見解は言うことができるかもしれない、しかし具体的に正確な日時というものは、三カ月前でなければ通達できないということで御了解をいただいておる次第でございます。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その他の航空機の進入路の問題で騒音公害の問題ですが、これは地元の方々のほうでかなり心配な問題があるということで、そのほうの話のほうも煮詰まっていないというふうに聞いているわけでありますが、少なくとも、こういう問題を、開港は行き当たりばったりということでなくして、一つめどをつけて、それに向かって、言うならばスケジュールを組まなければならないわけです。たしか四十九年一月二十三日に、空港公団の今井総裁は、今秋開港という自信のほどを見せられたわけでありますけれども、今秋はとうてい間に合わないということになったわけですけれども、少なくともその開港のめどというものを、ただばく然と、まあこちらができれば、その成り行きにまかせようというやり方では、開港はほとんど延期をされてしまうかっこうになると思うのですが、’そういう点については、どういうふうにお考えになっているでしょうか。
  216. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のように、私どものんべんだらりとやっているわけではございませんで、部内的には一つの目標を置きまして、それに向かって努力している次第でございます。ただ過去に、何年何月開港ということで、公団側が期日を明示いたしまして、それが数回にわたって実行できなかったという事情がございます。したがいまして、この次、政府として何年何月ということをはっきり申しますには、相当確実な見通しがなければこれができない。したがいまして、対外的には何月というようなことは申しておりませんけれども、部内的には一つの目標を定めまして、それで努力しておるわけでございます。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地元の公害の問題についての話し合いはどうなっておりますか。
  218. 寺井久美

    寺井政府委員 空港周辺の地元の方々とは、主としてこれは公団が中心となりまして、騒音対策に関する打ち合わせをいろいろやらしていただいておるわけでございます。私どもといたしましては、この空港が開港する時点におきまして、環境基準の五年達成目標という程度にできるだけ近い状態にしておきたいということで、この方面はこの方面なりに、具体的に対策を進めるべく準備をいたしております。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 成田のほうは、それくらいにさしていただきまして、羽田のほうに移らしていただきます。  今後、国際線が成田のほうに移った場合、国内線を主体として羽田空港が使用されるようなかっこうになるわけでありますが、それについて今後の将来計画といいますか、需要といいますか、そういうのを、どういうふうにお考えになっているか。たとえば五十年度においては、大体これくらいの需要がある、あるいは六十年代においては、これくらいになるであろう、そういうふうな将来計画というものをお考えになっているならば、羽田の問題を、計画もし、立案もしなければならないと思うのですけれども、その点については、どのようにお考えになっていましょうか。
  220. 寺井久美

    寺井政府委員 この将来計画と申しますか、現在、空港整備は、第二次空港整備五カ年計画に基づきまして実施いたしております。ところが、この現在の計画をつくりました時点から現在までに、環境問題をはじめとして諸条件がかなり変わってきております。また特に、環境基準というものが、昨年末告示された関係もございまして、従来のように空港をつくればいいというわけにはまいらなくなっております。したがいまして、今後この空港整備をどういうかっこうで進めていくかということにつきまして、やはり現在の整備計画を再検討せざるを得ないということで、目下新しい五カ年計画のようなものをつくる準備作業に入っております。  したがいまして、この需要見通しというようなものも、最近の経済情勢の変化あるいは環境問題に対応するための対策費の増大というようなことから考えまして、需要そのものも、過去の需要予測をかなり修正した手法で行なっていかなければならないというようなことでございまして、現実には現段階で、先生指摘のように、六十年にどのくらいの人数になるのだというようなことの計算は、まだ確実にできておるわけではございません。ただ新しい空港整備の考え方の中におきまして、羽田の問題も具体的に取り上げていく、こういうことになろうかと思います。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 羽田空港の沖に、埋め立ての認可を旧埋立法に基づいて行なったというふうに聞いておりますけれども、その点、どのようになっておりましょうか。
  222. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 羽田の沖の埋め立てにつきましては、あそこの部分に、以前から東京都が東京湾港内におきますところのいろいろな土砂のしゅんせつをいたしまして、運河であるとかあるいは港湾あるいは河川の土砂のしゅんせつの処分場といたしまして、あの地域の水域を占用いたしまして、そこに投棄処分をしていたわけでございます。ところが今後、昭和六十年ごろまでに、その地点に約三千六百万立法メートルのいろいろな廃棄物を捨てることが計画されまして、三月十八日に埋め立ての追認を行なったものでございます。  いろいろな理由があるわけでございますけれども、毎日発生する大量の廃棄物の処理を中断できませんし、また改正後の埋め立てにつきましては、追認制度が廃止されますので、三月十八日までにもし追認しようとしますと、原状を回復しなければいけない、また原状のまま国有に付属せしめるというような措置になら、ざるを符なくなりますので、このような措置自体が、いろいろ妥当でないと判断いたしましたので、事務手続を急ぎまして、三月十八日に追認の認可並びに追認の許可をしたわけでございます。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 埋め立ての追認が三月十八日、運輸大臣の認可が三月十八日です。ちょうどそれは、旧法の言うならば時間切れになるわけですね。そういうことからいいますと、全くこの埋め立ては、かけ込み認可をしたというふうに思えてならぬわけですけれども、その点どういうふうにお考えになっているのか。そして、その追認をしなくても、新しい埋め立てに対する法律に基づいてこれができなかったかどうかという問題が、私は残ると思うのですけれども、この点については、いかがお考えでしょうか。
  224. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 時間的な形から見ますと、確かに先生のおっしゃったような形にならざるを得なかった事情がございます。ただ、先ほど申し上げましたように、追認を三月十八日までにいたしませんと、いままで投棄してきた部分でございますが、その部分が、今度改正埋め立て法によりまして、三月十八日以降になりますと、原状、もとのままに復旧しなければならない。あるいは原状を復旧するということになりますと、ヘドロがいまあそこにたまっているわけでございますが、それを取らなくちゃいかぬ。そもそも東京都は、ヘドロを保管している場所ございませんので、あそこのところに捨てていたわけでございますが、それをまた取らなくちゃいかぬというような処置が要る。あるいは、そのできている部分の土砂等を、国有に帰属させるというような措置をとらざるを得ないわけでございます。  もう一つは、実は三月十八日以降になりますと、追認制度がなくなりますので、そこに埋めていること自体が違法な行為になりまして、工事をストップしなければいかぬ、こういうことになります。そういたしますと、もう毎日毎日山ほどごみが出てまいりますので、その工事をストップしなければならぬ。いろいろな点で、確かに先生のおっしゃるように、かけ込みというような見方をすれば、そのような感じがなきにしもあらずと私も思いますけれども、このような措置をしたということは、結局まあやむを得なかったと私ども判断いたしておる次第でございます。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東京都が申請を出された埋め立ての目的は、どういうことになっていましょうか。そして大体、埋め立ての期間というものをどのような期間見ておられるか、それについてお伺いしましよう。
  226. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 東京都が港湾管理者である東京都に申請を出しましたのが、今年の一月の二十六日でございます。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕 その埋め立ての面積でございますけれども、四百三・三ヘクタールでございます。それから埋め立ての目的は、一般廃棄物、都市施設廃棄物及び建設残土の処理のため、このようなのが目的でございます。  それから、埋め立ての期間でございますけれども、追認の日から十三年間、すなわち昭和六十二年三月十七日に完了する、このような姿で追認申請が出た次第でございます。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 追認制度がなくなったというふうに言われたわけでありますけれども、今度の埋め立てをする場合においては、非常に環境問題には力を入れていると私は思うのです。そのほか、埋め立て地の用途を出願書に記載して公示、縦覧をされるということになれば、使用目的というものを明らかにしないと、言うならばそういうふうな行動がとれない、あるいは許可がとれないということになろうと思うんですよ。その点はどのようにお考えになりますか。
  228. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先ほど申し上げましたように、羽田沖の埋め立ては、その埋め立て目的を一般廃棄物、都市施設廃棄物及び建設残土の処理のためとしている。先ほど申し上げたわけでございますが、これは一般廃棄物等の処分が緊急の課題であって、さしあたって土地利用が特定できない。現在、土地利用がなかなか特定できないという事情から、埋め立ての動機を埋め立ての目的としたわけでございます。これは旧法では、それが許されているわけでございますが、考え方自体は、先生のおっしゃるように、やはり土地利用をきめまして、埋め立てをするというのが当然のことだと思います。しかしながら、先ほど申し上げたように、現在の段階では、これができませんので、旧法に従いまして動機を目的にした埋め立てにしたわけでございますが、こうした措置は、当面としては私たちやむを得ないというように考えておりますけれども、埋め立て法本来の趣旨を考えますと、やはり埋め立て地の利用計画を早急にきめる必要がある、そして、そのことにつきまして、地域の方々とかあるいは関係の方面といろいろ御相談する必要があると思います。  したがいまして、今回におきましては、この追認をするにあたりまして、「埋立に関する工事の竣功までに可及的速やかに広域的かつ総合的な観点から関係機関と十分連絡調整を行ない、具体的な土地利用計画を策定の上、東京都知事の許可を受けなければならない。」、こういう条件を東京都知事が追認にあたって出しまして、そういう追認のときの条件を出すということを確認の上に、運輸大臣といたしましては、これを認可した、こういう次第でございます。  なお、当然この埋め立てに関しましては、東京都議会の御審議をいただいているわけでございますし、また、この東京湾の中のいろいろな仕事に関しまして、いわゆる関係六省庁というのがございまして、環境庁とかあるいは首都圏、建設省、通産省等の御意見も十分承った上、このような認可をしたわけでございます。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あと地の利用計画については、免許条件として、可及的すみやかに広域的、総合的な視点から、できるだけ早い機会に関係機関と調整をとって、埋め立て地の用途をきめなさい、こういうことでありますけれども、可及的すみやかに広域的、総合的な視点ということになりますと、いつごろ、そういうふうな大体のめどを立てておられるのか。広域的、総合的視点ということになりますと、どういうふうにお考えになっておられるのか。その点を……。
  230. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 実は、この埋め立てに先立ちまして、いわゆる港湾計画というものをきめたわけでございます。そのきめ方は、港湾管理者である東京都が港湾の計画をつくりまして、それを運輸大臣が審査するわけでございますが、その際にも、この部分につきましては、現在のところは廃棄物の処理場とする、しかしながら、将来ここのところは、公園であるとか緑地であるとか、あるいは都市再開発の用地であるとか、道路用地であるとか、あるいはそのほかいろいろなものに考えなければいけない、そういうことで、この審議会を終わったわけでございます。  その前に、先ほど申し上げました六省庁会議に、これをはかったわけでございますが、その六省庁会議におきましても、この埋め立て地の将来の利用というものは、たいへん広範な範囲に関係するので、十分慎重にやってもらいたい、そして、これをきめるときには、また六省庁会議に報告をしてくれ、このような示唆もいただいているわけでございます。  港湾計画のほうから申し上げますと、この計画は、できるだけ早くやっていきたい。何年何月というところまでは、何とも言い切れませんが、この埋め立ては、昭和六十年までの計画でございます。当然それ以前にやっていただきたいというように、港湾のほうからは考えている次第でございます。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま御答弁の中に、今度できるいわゆる埋め立てというのは、緑地並びに公園その他の団地云々というお話でございますけれども、実際に常識的に考えまして、羽田空港の沖合いにできるわけですね。そうしますと、緑地とか公園とかいうような使用目的に使うということ自体、常識的には考えられないような状態なんですね、私が考えるには。ですから、第二次空港整備五カ年計画のいわゆる航空審議会の空港整備部会の報告に基づきますと、五十年ごろには、国内線も一ぱいになるという考え方から、羽田沖に団地を造成するということも含めて、答申をされているわけですね。  となりますと、現在の埋め立ては、その答申に基づいてなされた、言うならば、埋め立て自体が、いずれは空港の一部分になる、そのようにしか考えられないんですけれども、これを公園、緑地と、あなた方がそのようにおっしゃっても、住民の方々は納得しかねる点があるんですよ。その点は、どのようにお考えになっていましょうか。
  232. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 私の申し上げました公園、緑地云々ということばは、実はこの港湾計画をつくるときに、羽田沖だけでなく、中央防波堤というのがございまして、その沖のほうにも、やはり廃棄物処理場を、三百十四万平方メートルでございますが、つくりまして、その処理場も含めましてのことばでございます。公園、緑地その他のことについて、できるだけ早くその利用を検討してほしいということでございますが、当然、その地域の方々とのお話し合いの上で、たとえば公園というのはまずいということになれば、公園でなくてもけっこうだと思いますし、いろいろその他の用途として考えることは必要だと思います。  ただ、そのときに、現在では直ちにきめきれませんので、地域の方々――港湾のほうから申し上げますと、港湾というのは、東京都がつくるこになっておりまして、十分地域の方々の御意見を聞きながらきめていってほしい、こういうことでございます。
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 おたくからいただきました「第二次空港整備五カ年計画に関する報告」の中で、「新東京国際空港の供用開始後は、国際線を同空港に移すことにより東京国際空港羽田)の混雑は緩和されるが、旅客需要の増加に伴い、昭和五十年代当初には、その限界に達すると予想されるので、騒音問題も比較的軽微と予想され、アクセスについても比較的条件のよい東京国際空港の拡張に早急に着手すべきである。」ということを、ここでははっきりいってあるわけであります。そのほか、東京圏内にある自衛隊及び米軍管理の飛行場等も、防衛構想とのかね合いも考えて民間航空が使用できるようにというふうになっているわけですね。  ですから、そういうことからいいますと、あなたが先ほど言いました三百十四万平米のその場所は、確かにあなたがおっしゃる緑地、公園等に使われるかもわかりませんが、しかし羽田の沖に公園をつくって何になるのですか。緑地をつくって何になるのですか。結局は羽田の沖に、この計画に基づいて拡張計画がなされなければ何の意味もない、私はこの答申の考え方からするならば、そう思うのです。  そういう意味において、いま埋め立てをしているところも、しょせんは羽田空港の拡張の一部分の中に含まれるかどうかということをお聞きしているわけですから、その点はっきりしていただかないと……。
  234. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾計画並びに埋め立ての処置のほうから申し上げますと、羽田空港の拡張のためということは現在ございません。ただ、先ほども申し上げましたように、利用計画をできるだけ早くつくってほしい、こういう形になっております。私ども羽田空港の、たとえば移転の問題であるとか、騒音がいまのところでは、たいへんであるとか聞いておりますので、当然、そういうことも含めまして、将来検討いたしまして、地元の方々とも十分話し合った上で、その土地の利用の計画をきめてほしいというのが、港湾のほうの計画あるいは埋め立てのほうの態度でございます。  ですから、それを期待するわけじゃなく、拒否するわけでもございませんし、その利用の計画につきましては、全部含めながら、よく考えてほしいということまでが、港湾の計画並びに埋め立てのほうの処置でございます。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空局のほうとして、将来計画はどのようにお考えでありますか。
  236. 隅健三

    ○隅説明員 先生ただいまお話しのとおり、四十七年の三月九日に「第二次空港整備五カ年計画に関する報告」が航空審議会の空港整備部会から出されました。これに基づきまして、われわれといたしましては、積み上げ計算の中で、第二次空港整備五カ年計画羽田には一応二百五十億の金額を予定いたしました。その中で、新規計画といたしまして、用地造成用に百二十三億の計算を行なったわけでございますけれども、この点につきましては、東京都とのお話も正式にはいたしておりませんし、新規分についての進捗率はゼロ%でございます。  将来、この埋め立て地をどうするかという問題につきましては、昨年の十二月二十七日に出されました環境庁の航空機騒音に係る環境基準の実施につきまして、できるだけ大田区あるいは品川区の住民の皆さま方に御迷惑をかけない、そして環境基準を達成するためには、やはり空港の滑走路の向きの変え方とか、あるいは移転ということも必要ではないかということで、事務的にいろいろの線を検討いたしておりますけれども、まだ、これを正式の案といたしまして、東京都とお話をするというところまで至っておりません。
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 運輸省では、要するに羽田の拡張計画というものは、現在の空港の沖合いの埋め立て地のそれを、言うならば利用をしていきたいという考え方をお持ちになっているのじゃないでしょうか。それは東京都との話し合いは、全然されてはいないかもしれませんが、この埋め立ての認可自体が、かけ込みの状態を考えても、何か東京都と運輸省とは、それなりの話がなされているようにしか思えないような、そういう認可のしかたもしているわけでありまして、そういうことが続きますと、住民のほうは、羽田の沖にかなり大きな空港の拡張計画があるのだ、そういうふうにしか実際において思えないわけです。  しかも、その羽田の沖の埋め立て地は、公園にするとか緑地にするとか言ってみたって、もう常識から考えて、羽田空港の沖合いに緑地地帯をつくって一体何になりますか。公園をつくって何になりますか。結局は、羽田空港の拡張という問題に、埋め立て地構想が一致していくというふうにしか、常識的には考えられないわけですね。その点については、どういうふうにお考えになっていましょうか。
  238. 隅健三

    ○隅説明員 地元の大田区あるいは品川区のほうから、私自身といたしましては、環境基準の達成のためには、飛行場を移転してもらいたい、そして現在の空港を、むしろ緑地あるいは公園にして、そうして現在の範囲で移転をしてもらいたいというお話を、確かに伺ったことはございます。  これにつきましては、現在、航空局におきまして、私のところで事務的ないろいろの線を引いてはおりますけれども、あるいは現在の空港が、やはり貨物その他について手狭でございまして、最小限でもどのくらいの敷地が必要なのかどうかということを、一応は検討してございますけれども、地元から現在の空港の敷地を地元に提供したらどうかというようなお話があることは事実でございます。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 御存じのように、羽田空港周辺の七町会、そしてまた、浜川、鈴ケ森等は、航空機騒音で相当悩まされているわけです。それが解消するという方向であるならば、私は住民の方々の同意は当然得られるであろう、そういうように思うわけです。移転といいましても、それでは実際に羽田以外にどこか移転をする場所があるかということになると、これまた、むずかしい問題が出てくるでしょう。そうした場合に、いま現在の羽田空港の沖合いの埋め立て地に、現在の範囲内においてそれを移すということになれば、これは一応は移転という形にもなるでしょう。そういう意味において、言うならば、いつまでもいつまでも航空局のほうではひた隠しにして、東京都とも話をしておりません、埋め立て地は今後何になるかわかりません、緑地になります、あるいは公園になります、こういうふうなことを言っても、現実にいましゅんせつがもう進みつつあるから、これから埋め立て地がどんどんふえてくるわけですよ。そういう状態で、しかも現在の空港と同じくらいの埋め立て地ができようとしているわけでしょう。  そうした場合、運輸省自体が、少なくとも私どもはこういうふうに考えております、だから、住民の皆さん方の御意見もお聞きしましょうという姿勢が続かない限りは、この問題はいつまでたっても、決して住民の合意は得られない。むしろ唐突してあなたたちが出された場合には、住民の反対運動は、おそらく火の手のように上がってしまう、私はそういうようにしか思えないのですが、運輸大臣、その点どうなんですか。
  240. 徳永正利

    徳永国務大臣 たいへんいろいろと御心配、御親切にありがたいと思っておりますが、私どもも、思いは思いとして実は持っておるわけでございます。しかし、それをまだいまから――埋め立てを許可したばかりでございますし、いろいろな問題もございましょう。また東京都にもお考えがあろうと思いますので、この思いをいつの時期に、どういうふうにするかということについて、ひそかにいま悩んでおる、思いが遂げられるように悩んでおるというような時点でございまして、まだ私のほうから、どうこうするというような具体的なものは、その域にも至っておりませんし、また東京都に対して、御協力をいつの時点で願うというところまで、突き詰めたところまで行っておらないわけでございます。  しかし先生のおっしゃることはよくわかります。私は、御指摘の点は十分理解できるわけでございます。いろいろとまたお力やら、お知恵やらを貸してもらいたいと思いますが、これからの問題として、ひとつ検討さしていただきたいと思っております。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 言うならば、思いをめぐらしながら悩んでおられるというけれども、実際にその思い自体が、住民の方々にしてみれば、どういう計画であるかということについて、非常に不安があるわけです。あるところから聞いたわけでありますけれども、大体、四案ぐらいあるのじゃないか。一つは千二百九十ヘクタール、一つは千二十ヘクタール、あるいは一つは七百六十ヘクタール、あるいは一つは六百ヘクタールという四案ぐらい、いろいろ御検討をされているとか、そういうことを私は耳にしたわけです。そうなりますと、ますますもって、どういうふうな計画になるのだろうかということについては、非常に心配になると私は思うのです。  ですから、そういうことの考え方から、確かにそのときに、いろいろ計画あるいはプランをお立てになったにしても、現在の経済情勢からいえば、それはむずかしい問題であるし、また言うならば、住民の皆さん方の御意見もお聞きしなくてはならないということで、そういうような考え方は、全く机上のプランでありまして、もっともっと私ども考えているスケールというものは、小さいなら小さいというふうにおっしゃってもけっこうなんですよ。ただ黙って、思いだけは何としても、いま悩んでおりますなんということを言わないで、どういうふうな考え方で今後進んでいかれるのか、また言うならば、そういうプラン自体が全く机上のプランであって、もうそんなものは問題じゃないというなら、それはそれでけっこうです。その点はいかがでしょうか。
  242. 寺井久美

    寺井政府委員 先生指摘のいろいろなプランと申しますのは、過去に第二次空港整備計画をつくりました後におきまして、いろいろプランがあったことは事実でございます。ただ、私が先ほど申し上げましたように、いままでのような空港整備のやり方では、空港というものを整備していくわけにいかないという状態になっておりまして、今後、新しい観点から空港整備をしよう、したがいまして、需要予測も現在の五カ年計画の需要予測とはかなり違ったものになる可能性がございます。そういう範囲内において羽田空港というものがどういう姿になるか、ただいま埋め立て地のお話がございましたが、埋め立て地がまわりにできてまいりまして、当初、羽田は海に突き出ておったわけでございますが、現在では中に入ってしまった。確かに先生のおっしゃるように、先へ出したほうが、これは騒音対策の面から申しましても、合理的な話でございまして、私どもも、そういうことは当然考えなければいけない。  ただ、具体的にどういう案があるかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、現在まだ基本的な考え方の整備がついておりませんし、どういうかっこうで羽田空港を将来置くかという位置づけにつきましても、基本的にびしっと詰まっておりません。したがいまして、そういうものがはっきりいたしました段階で、先生指摘のように、こういうかっこうで運輸省としては羽田空港を持っていきたい、したがって、どうですかということで御相談をするのが、私は筋であろうかと存じます。  飛行場部長がいろいろ御説明申し上げまして、東京都との間にも十分了解がついていない、これは事実でございます。これはなぜかと申しますと、私どものほうにも、こういうかっこうで今後持っていこうという確たる計画がまだできておらないということが、一つの原因になっております。そういう計画ができ次第、はっきり公表をいたしまして、いろいろ御批判を仰ぐのが筋であろうかと思います。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 基本的な考え方を、ちょっとお聞きしたいわけです。それは羽田が、いま航空公害がひどくて、言うならば、そういう意味において、羽田というものをとらえていくというお考えであるのか、航空公害よりも、むしろ需要の問題を主体として今後羽田空港というものをとらえていくのか、どちらに力点を置いてお考えになるつもりなんですか。
  244. 寺井久美

    寺井政府委員 現在の空港整備計画は、主として需要充足というたてまえで貫かれております。しかし、いま検討中の考え方と申しますのは、やはり公害の-騒音の公害あるいは排気ガスの公害等がございますが、そういう観点から環境基準に合った空港にしていくということが一つの柱になります。したがいまして、需要と公害排除という二つの間の調和点に立って、どういう空港ができるかということが基本的な考え方でございます。
  245. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第二次空港整備五カ年計画のいわゆる羽田の考え方は、拡張ということばを使っているわけですね。拡張ということになりますと、現在よりももっと大きくならなければ、拡張といえないわけです。これは御存じのとおりなんです。  ところが、まず第一に、ターミナルビルなんかをつくるということに立って、その沖合いにできた埋め立て地に、現在の滑走路を移すということになれば、私は、これは移転になるというふうに思うわけですが、その基本的な考え方をどういうふうに――おそらく頭の中で御構想を練っておられると思うわけでありますけれども、やはり羽田の方々も、たいへんに心配をしておる問題ですから、その点について、御構想をちょっとお聞かせ願いたい。
  246. 寺井久美

    寺井政府委員 実は、具体的な構想と申しますか、そこまで固まっておりませんので、まことに恐縮でございますけれども、かりに、この滑走路を沖に出すことができますと、これは騒音対策上非常に有効な手段になります。先生指摘の、拡張ということで、いまの計画にはなっておりますが、これは空港の離発着回数をふやすということが一つございますし、また面積的な拡張ということも考えておったと思います。私どもが、これから考えなければならないのは、当然のことでございますが、せっかく新たに移設なり、つくるなりいたします以上は、当然、将来の交通需要というものにある程度マッチしたものでなければならない。しかし、それは騒音等の公害を、それによってより大きくするというようなものであってはならないわけでございまして、現在の騒音問題の解消に役立つものでなければならないと考えておりますから、沖に出すことによって、非常にメリットがあることは事実でございます。  じゃ、滑走路を沖に出して、ターミナルビルはいまのところに残しておくのか、ターミナルビルごと向こうへ移ってしまうのか、これは空港運営上いろいろやり方があると思いますが、その辺の具体的な詰めは、現在まだ御紹介申し上げるほどのものがないというふうに私も了解しておりますし、私自身も、そこまで実は知らないわけでございます。
  247. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 面積的な拡張ということをおっしゃいますと、これはまた、現在のA、B、Cを使って、さらに今度Dを沖合いに持っていくというような考え方がちらっと――私は、そういうふうにしか考えられないんですよ。いま埋め立てしているいわゆる四百万平米、これを、さらにもっと拡張して、大きなものにするというお考えであるとするならば、また、そういう面積が拡張されるということは考えられますけれども、その点、現在の埋立てが四百万平米になっておるわけですから、ちょうど同じ状態において面積が拡張されるということ、こういうあなたのお話は、やはりいま使っている現在の滑走路も使用して、さらに向こうに大きなものをつくろう、そういうお考え方じゃないかというふうに私は疑えてしようがないのですが、その点はどうでしょう。
  248. 寺井久美

    寺井政府委員 かつて、もう一本、滑走路を沖につくって、ふやそうという計画があったやに私は記憶いたしておりますが、いま私が申し上げておりますのは、そういうことではございませんで、羽田の現在の空港というのは、滑走路の容量よりも、むしろ飛行機を置く駐機場所、お客が乗りおりするスポットが不足しております。  したがいまして、沖に滑走路をつくるという場合には、既存の滑走路をつぶすという考え方のほうがむしろ強く出てまいります。で、何本滑走路をふやすということではございませんで、やはり現在程度の滑走路の中で、どう処理できるかということになろうかと存じます。
  249. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ようやく話がわかってきたような感じがします。要するに、あなたの考えておられるお考えというのは、言うなれば、現在の滑走路はそっくり埋め立て地のほうに移ってしまう、しかし駐機場がないんだ、だから駐機場を含めてターミナルビルは現在の場所を使えば、言うなれば面積もふえる、拡張もされる、こういうふうな構想に私はとれてしようがないのですけれども、一応そういう考え方で運輸省のほうは一まあ局長さんの頭には、そういうものがあるのだというふうに考えてよろしゅうございますか。
  250. 寺井久美

    寺井政府委員 私は一例として申し上げましたので、確かにそういうことも、一つのいき方でございますし、全部移してしまうのも一つのいき方だ。これは、先ほどから申し上げておりますように、具体的にこれから詰めていかなければ、はっきりした計画にならないというのは、そういうところでございまして、いろいろな考え方があるかと存じます。したがいまして、そういういろいろな考え方を整理した後に、これが一番よさそうだというものができました暁に、やはりこれは公開をして御意見を伺う、こういう趣旨でございます。
  251. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 わかりました。いずれにしても、地元のほうは拡張されると騒音が拡大される、そういうことに対しては、絶対お断わりということでありますから、そこで、これからいろいろ煮詰め等が行なわれるでありましょうが、そうした場合に、もっとこういうふうなかっこうにしたならば、公害は軽減されるのだという説得力があるデータとかそういうものをお示しになって、地元の方々の御協力を得なければ、これはとてもできる問題ではないというふうに私は思うのですが、そういう点について、そうなされますか。
  252. 寺井久美

    寺井政府委員 御指摘のように、やはり必要なデータがございましたら、私どもは包み隠さずお示しをして御意見を伺う、あるいは私どもが考えているよりもいい知恵が出てくるかもしれません、そういうこともございますので、先生のおっしゃる御趣旨、まことにごもっともだと存じます。
  253. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新整備計画というものをお考えになっているというようなお話ですけれども、その立案のめどは、大体いつごろつくのでしょうか。ことしの終わり一ぱいまでには、何とか仕上げたいというようなお考えでありますか。
  254. 寺井久美

    寺井政府委員 少なくとも基本的な考え方というものは、できるだけ早くきめたいというふうに考えております。もし間に合いますれば、来年度の予算に組み込みたい。しかし、これは政府部内でやはりいろいろ問題もございますし、今後どうなりますか、残念ながら、いまこの席で、大体このぐらいということをはっきりお答えできません。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、当然その中から羽田空港の部分も触れなくてはならない部分が出てきますね。
  256. 寺井久美

    寺井政府委員 最終的に、この総額の経費を積み上げます際には、そういう羽田のことも、積み上げの要素に入りますので、当然入ってきます。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは新整備五カ年計画ということになれば、すぐ羽田の埋め立てとか、そういうものが進んでいくいろいろの計画もあろうし、東京都との話し合いもあろうし、地元との話し合いも当然出てくると思いますけれども、そういうことになると、少なくとも当初の五カ年の中の一、二年は、そういうふうな予算がつかないにしても、もう三年、四年、五年になってまいりますと、かなりそういうふうな予算は見えるというふうに私は考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
  258. 寺井久美

    寺井政府委員 かりに、次の五カ年計画が制定されますならば、先生のおっしゃるような結果になろうかと思います。
  259. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 羽田のことを再三、再四お聞きいたしましたのは、実は、私の地元でもあるわけでして、地元の方々は、このことについてたいへん心配をしているわけです。初め東京都がしゅんせつをする計画をされたときに、地元の方にそのことを何にも話がなかったんです。ところが、実際にしゅんせつを始めて、そして翌年になってみますと、今度は東京都のしゅんせつ計画の地図がさらに拡大をされている。そういうことをしているうちに、今度は埋め立ての許可をとられた。その埋め立ての許可をとられたその埋め立ては、何と緑地並びに公園に使用するということで、羽田空港とは全く関係がない、そういうものにするのだというふうにいっても、住民の方は、これは、もうはだ身で感じておかしいということで、今日までそういうことの疑念は、ずっと絶えなかったわけでありますけれども、きょうは、だいぶお聞きしましたものですから、その点について大体の構想というものは一いま考えられているのが、また変わるかもわかりません。変わるかもわかりませんが、しかし構想というものはお聞きしましたので、羽田の問題については、それくらいにします。  次に、P3の移転については、沖繩返還の目玉商品といわれてきましたが、しかし、いまだに移転をされておりません。昨年の一月二十一日、第十四回日米安保協議委員会の合意書七項の内容において、そのことに触れられておりますけれども、詳細はどのようになっておりましょうか。
  260. 鈴木覚義

    ○鈴木説明員 P3の問題につきましては、昭和四十八年度から工事を実施しておりまして、昨年三十八億円をもちまして現在、着々進行中でございます。さらに四十九年度予算といたしましては、国庫債務負担行為を含めまして、約百二億円の予算が計上されております。これに基づきまして、直接P3が機能上移転の可能な工事は四十九年の三月末までに完了させたい。さらに、その付帯工事として若干は四月にずれ込むということの可能性はありますけれども、そういうことでただいま着々準備中でございます。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
  261. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たしか昨年一月二十三日の第十四回の日米安保協議委員会においては、日本政府の措置を待って那覇空港を完全返還した上、米海軍及び海兵隊の航空機が、那覇空港から移転する先の嘉手納飛行場における代替施設の提供並びに那覇空港の完全返還に関連し必要とする普天間飛行場における改良措置を含むこととなっております。ですから、言うならば嘉手納飛行場と普天間との改良措置も含めて、その問題が四十九年度には全部終わる、このように考えてよろしゅうございますか。
  262. 鈴木覚義

    ○鈴木説明員 いまの先生のお話、大体そのとおりでございますが、ただ、予算的に見ますと、百二億円というのは、国庫債務負担行為になっております。ですから、若干四月にずれ込むだろう、しかし機能上の大筋の移転の確保できるような工事は完了いたしたい、そういうことでいま準備中でございます。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府は、海洋博を五十年の三月として、それまでに移転をするということを公約されてきたわけでありますが、その後、経済情勢に伴って公共投資の抑制で、海洋博が五十年の七月ごろになるのではないかというふうにいわれておるわけですけれども、そういう意味から言いますと、まさか七月まで延ばすというのではなくて、五十年三月の既定方針どおりに那覇空港というのは完全返還になる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか、大臣からひとつお答えいただきたい。
  264. 徳永正利

    徳永国務大臣 これは、実は外務省がその折衝をしておるので、私は詳細存じませんが、聞くところによりますと、やはり最初の計画のような、海洋博のめどというのは延びましたけれども、その以前の、延期される前の時点を一応めどにして努力しているようでございます。
  265. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど防衛施設庁のほうから、大体、予算がそれだけあれば、いわゆる返還に必要な部分はほとんど全部充当されるであろう、しかし少しは残るだろうというふうにおっしゃったわけですが、残る部分というのは、どんなものがありますか。
  266. 鈴木覚義

    ○鈴木説明員 残る部分と申しますのは、兵舎だとか住宅とかというものをつくりますので、その付帯的なもの、たとえば整地とか道路とかユーティリティー、そういうふうなものがずれ込むでしょうということを申し上げたわけです。格納庫とかそういった、要するに機能上の問題は、何としても三月までに完成したいということで計画しております。
  267. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 言うならば、那覇空港の完全返還ということ、P3が移転をするということとあわせまして、アメリカの艦載機がいま那覇空港から飛び立ったりなんかしております。この間も私、見たときに、そういう状態が見えたんですけれども、そういうものについてはどうなんですか。
  268. 寺井久美

    寺井政府委員 艦載機でございますけれども、地位協定上、米軍の航空機につきましては、日本飛行場におりることができるということになっております。ただ、実際問題といたしまして、民航の専用の空港には遠慮してもらうということで、羽田などにはおりておりません。  那覇の場合、今後どうなるかということにつきましては、実はこれは、むしろ外務省がおらないと、はっきりしたことはわかりませんけれども、たてまえとしては、できるだけ御遠慮していただくということであろうかと思います。
  269. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、航空局のほうも、完全返還ということを一つのたてまえとして、米軍の艦載機について、あそこのところで艦載機が飛び立つということは、これは、おそらく民間機の離発着に非常な危険を感じざるを得ないわけですから、この際、そういう意味において、なるべく御遠慮を願いたいということを、運輸省としても、外務省を通じて米軍のほうにお話しになるおつもりはありましょうか。
  270. 寺井久美

    寺井政府委員 これは、P3の移転が完了いたしました後におきまして、やはりそういう申し入れというものも、必要に応じてやっていきたいと存じますが、ただ、具体的にどの程度入ってくるかということは、全く予想がつきません。
  271. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法案関係するわけでありますが、航空交通管制部那覇空港事務所にできるということで、今度その法案が出ているわけでありますが、いままで米軍が一部を除き、航空交通管制業務を行なっておったのが、昭和四十七年の五月の十五日に、日米合同委員会における合意によりまして、五月十五日から日本側でやることになるわけでありますが、管制の中でアメリカが継続をしている進入管制――この進入管制というのは、計器飛行方式で、離陸し上昇中の航空機、着陸のため降下中の航空機を管制する業務であり、航空路管制飛行場管制との、言うならば橋渡し的な管制であるわけでありますから、そういうものが相変わらず、米軍に継続的に残っているということになりますと、何らか支障を来たすのではないかというふうに思うわけでありますが、技術的に今後予想される問題というのは、どういうことなんでしょうか。
  272. 松本操

    松本説明員 お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、航空路管制飛行場管制の中間的な、中継ぎ的な処理といたしまして、進入管制があるわけでございます。私どもが五月十五日から引き継ごうとしておりますのは、航空路管制でございまして、これは、いわゆるタワーで行なっております管制ではございませんので、全然別の個所に施設を設けて、そこで行なうわけでございますが、当然のことながら、航空路をはずれて、着陸するために降下をしてまいります航空機、これは進入管制空域の中を通って、最後飛行場管制空域の中に入ってまいります。そこで航空路管制のほうから進入管制のほうへ引き渡しをしなければなりません。逆に離陸をしていきます航空機につきましては、飛行場管制から進入管制にまず引き渡されまして、進入管制から航空路管制に引き渡されていくわけでございますが、最終的には航空路管制というものが、どの航空路をどの高度でどちらへ向かって飛んでいくかということを決定するわけでございますので、したがいまして、基本的な問題といたしましては、沖繩に出入いたします計器飛行による航空機の管制は、根っこのところを、私どものほうで、これから行なおうとしておる航空路管制が掌握する、こういうふうにお考えいただいて、よろしいかと思います。  そこで、米軍が実務上の問題として、進入管制を、なお暫定期間引き続き行なうことになるわけでございますが、この場合は、基本的には、国際民間航空機構、つまりICAOというところがきめました国際的な標準がございます。そもそもわが航空法自身も、第一条に、はっきりとICAOに準拠する、こういうことを申しております。また日米間の四十七年五月十五日の合同委員会の合意におきましても、これら米軍が行ないます管制業務は、ICAOに準拠して行なわれるということが明記してございますので、技術的な問題といたしましては、双方がよりどころとする基本は、ICAOの基準でございます。したがって、基本的な点において、何ら支障はないというふうに私ども考えております。さらに具体的な点につきましては、これは全く技術上の問題といたしまして、関係する管制機関の間で取りきめを結ぶということによって、支障なく運営できる、こういうふうに考えております。
  273. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度五月十五日をもってこちらのほうに管制部が移されますと、いままでの米軍と台湾のACCとの関係が、沖繩ACCと台湾のACCとの間の関係に変わるわけであります。御存じのように、台湾というのは、先ほどおっしゃいましたICAOから追い出されているということでありまして、中国はICAOに対して、現在、意思表示をしていないとなると、その点どのように調整をされるか、ひとつ……。
  274. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいましたように、ICAO的な場で見ました場合に、台湾は、ICAOのメンバーではもはやございません。中国が正式のメンバーであるのかないのかという点につきましては、多少議論があるようでございますが、これはICAOの取り方と中国の立場に食い違いがあるように私ども承知をしております。  それは別といたしまして、ICAO的な、もっと大きな目で見た場合にどうなるかということでございますけれども、このFIRというものをきめますのは、ICAOが地域計画というものを立てまして、その地域計画の中で、地域別にFIRがここからここまでがどこで、ここからここまでがどこであるというふうなことを、プランニングといっておりますが、計画をつくるわけでございます。そのICAOがつくりました地域計画によりますと、現在、これから私どもが実務上の管制を行なおうとしております沖繩FIRの西側に台北FIRというものが、ICAO的には存在をいたしております。さらにICAO的には、中国大陸の上にも幾つかのFIRというものが、点線で書かれておるわけでございます。しかし、これらのFIRというものは、ICAO的な考え方において計画されておるということであって、現実に、そのFIRの中で仕事をいたします中国側が、これを容認して、実際の作業をしない限りは、発効はしないというふうな、ややわかりにくいのでございますが、ICAO的にはそういう形になっております。  そこで、現実の問題はどうなるかと申しますと、沖繩FIRというものは、ICAO的にはけっきりと存在いたしますし、私どもも、これを容認して仕事をしようということでございますから、これは問題ない。台北FIRというものも、ICAO的には地図の上に、その範囲が明記されております。現実に、そこで仕事が行なわれておるのも、また事実でございます。これがどういうよりどころによるのかということは、議論が非常にややこしくなるかと思いますが、現実にそこで管制業務が行なわれておるというのが事実でございますので、したがいまして、私どもが、テークオーバーをしました後の沖繩側から台湾側のほうへ、あるいはその逆の方向へ航空機が飛びます場合には、基本的には、ICAOのルールに従った形で、管制の引き渡しが行なわれるというふうに考えておるわけでございます。
  275. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまの御説明によりますと、台湾もおそらくICAO的な処理をされるであろう、こうおっしゃっても、現在、台湾と日本の間には国交がありません。そういうことで現実的にいま仕事が行なわれておるといっても、それは言うならば、米軍と台北との間の問題であって、今度、日本と台湾の問題になってくると、なかなかそこはむずかしい問題も出てくるんじゃないかというように私は思うわけでありますけれども、その煮詰めについては、民間のルートを私はとらざるを得ないのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  276. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいますように、現在は嘉手納におります米軍と、それから台北にございます管制所との間に、技術上の取りきめが行なわれており、それによって飛行機が飛んでおる。私どもがテークオーバーをいたしますと、当然、私ども管制機関と台北の管制機関との間で取りきめをする。内容は、きわめて技術的な問題でございますけれども先生も御承知のように、現在のわが国の立場といたしまして、これを形式的にどうするのかという点になりますと、たとえば隣のグアムの管制機関と取りきめをするというのと同じようにいくわけにはなかなかいかないであろう。したがいまして、現在のところ、台湾との関係は、航空につきましては、民間の取りきめの上に乗るというのが基本的な考え方、こうされております。  したがいまして、内容的には、何ら政策的なものを含まない技術的なものでございますし、形式的には一般の日台間の航空問題に右へならえをいたしまして民間の取りきめという形をとる、あるいはそれが何かのイニシアチブをとる、こういうふうな形で内容的なものを詰めるようにいたしたい。この点につきましては、外務省とも相談をしつつ、目下作業を準備しておる、こういう段階でございます。
  277. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日中航空協定にも関連をしてくるんじゃないかと思いますけれども、中国と日本との間においては、中国はICAOに入っておりませんので、そういう場合には、別途のやはり取りきめがなされるというように思いますけれども、その点については、ICAO的な構想で、大体そういうふうな関係になるのかどうかということについては、どのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  278. 松本操

    松本説明員 先生いまおっしゃいましたように、中国自身がICAOの正式のメンバーであるのかないのか、現時点では確かに疑問がございます。そこで日本、中国の間に航空協定を取りきめまして、定期便の航空機を飛ばすということになりますと、双方が共通に理解し合える一つの原則というものを、はっきりさしておきませんと困るのではなかろうか。  したがいまして、考えられますことは、日中航空協定の何らかの付属文書あるいはその他適当な形によりまして、このような技術的な問題を、両国間で相互に合意をしておくというふうな形になるのではないか、こういうふうに考えております。
  279. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日中航空協定も、だいぶ実務的な問題が煮詰まってきているというようなことで、場合によっては、早く協定が批准をされるということになることを望んでやまないわけでありますけれども、しかし、もしその日中航空協定がおくれますと、五月十五日にすでに管制部が移るということになると思いますが、そうすると、やはり台湾のほうでは、その成り行きを見て、それについてのアクションを起こすというような関係になりますと、いまの問題が非常にむずかしくなりやしないかというように私は思うのですけれども、その点については、どのようにお考えになりましょうか。
  280. 寺井久美

    寺井政府委員 この管制に関します技術的な取りきめにつきましては、管制部長から御説明申し上げましたとおり、全く技術的なものでございまして、これを取り結びませんと、定期航空が二つのFIRの間を安全に行き来できないおそれがございます。これは何も日本の航空機あるいは台湾の航空機というだけではございませんで、第三国の航空機を含めまして、この二つのFIRを通過する航空機全部に影響いたします。  したがいまして、台湾側といたしましても、この技術的な取りきめに、特に問題を差しはさむというようなことは、まあないであろう。多少楽観的な観測かもしれませんが、私どもは、これは純技術的な問題であって、政治的な問題ではない、また、その上に第三国にも影響を及ぼすというような性質のものでございますので、これは話し合いをいたしまして、合意ができる性質のものであるというように考えております。
  281. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、以上をもって終わります。
  282. 徳安實藏

    徳安委員長 和田貞夫君。
  283. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 続きになって恐縮なんですが、いま鈴切さんが質問をやっておられたFIRの問題については、台湾問題が国際的に解決しない限りは、実質的に取りきめができても、形式的な取りきめというのは、どうもこうもならないということになるわけですね。
  284. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいますように、内容的には特にむずかしいことをきめようとしておるわけではない。それから台湾側におきましても、この技術的な取りきめにあえていろいろとこだわりました場合には、日本及び台湾の航空機だけの問題ではございませんで、台湾の上を飛んでおります航空機、台湾の上を飛んで沖繩のFIRの中に入ってくる飛行機あるいはまた逆の飛行機、これは、かなりあるわけでございます。たとえていうならば、南回りで日本にやってまいりますような、ルフトハンザとかエールフランスとかいろいろございますが、これらは、すべておそらく台湾のFIRの中を通って沖繩のFIRの中に入ってくる、こういう状態になっておるわけでございますので、台湾側がこの技術的取りきめにはなはだしくこだわりました場合には、これらの航空機、第三国の航空機につきましても、安全かつ円滑な管制の遂行ということに問題が生じてくる、こういうことになるのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、先ほど鈴切先生の御質問に局長がお答え申し上げましたように、形式的な点については、なお私どもも検討中であり、いろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、実態的な問題については、何らかの方法によって取りきめができるのではないか、こういうふうに私どもはいまのところ考えております。こういう次第でございます。
  285. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 那覇航空交通管制部発足するまでには、そのことが可能であるというように解釈しておいていいわけですね。
  286. 松本操

    松本説明員 那覇管制部発足までに何らかの形で支障のないようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  287. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それができなければ、管制部発足しない、こういうことになるわけですか。
  288. 松本操

    松本説明員 二つのFIRにまたがって航空機を飛ばします場合の基本的な原則は、先ほども鈴切先生の御質問にお答えいたしましたが、ICAOでいろいろと取りきめたことがもとになって吹ります。したがいまして、この二つ管制機関の間に技術的な細目取りきめができていない場合、絶対に飛行機が飛ばないのかというと、そういうことはないわけでございます。これは飛ばす方法はございます。しかしながら、これは決してほめた方法ではないということでございますので、私どもとしては、先ほどお答えいたしましたように、九月十五日までには、何らかの形での取りキめをいたしたい、こう考えておりますが、先生ただいま御質問のように、これの取りきめができ汗ければ、那覇管制部自身の発足意味がないのか、こういうことになりますと、おことばではございますが、実は東京から那覇あるいは沖繩空域の中、こういうふうなところをたくさん飛んでおる飛行機もございます。さらにまた、いま私が申し上げましたように、沖繩のFIRを越えて他のFIR、グアムのFIRでございますとか大邸のFIRでございますとか、こういうところへ飛んでおる航空機もあるわけでございまして、これらがすべて、現在は米軍の実務上の管制に属しておる、こういうことでございますので、これをわが国政府が実際に管制をするというところにも大いに意義があろうかと存じます。  最後最後ということになりますれば、先ほどちょっと御説明いたしましたように、台北のFTRに飛んでいく航空機につきましても、全く方沖がないというわけではないというふうに私ども理解をいたしておりますので、台北との間の問題が解決しなければ、この那覇ACC、那覇管制部というものを発足させても、意味がないではないかという御質問には、たいへん失礼でございますけれども、そういうふうには私ども思っていないというふうにお答えいたします。
  289. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 念を押しておきますが、安全は保てるというように解釈していいわけですね。
  290. 松本操

    松本説明員 航空機の管制は、安全の確保と効率の確保でございます。安全の確保がないがしろにされては、管制は成り立ちません。したがって、その点については、十分に留意をして行なう。ただし、効率の点について、非常にぐあいが悪くなるであろう、こういうような趣旨で申し上げたわけでございます。
  291. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 進入管制が移管できないという理由を、先ほど私も聞いておりましたが、もう一度あらためて、日本側の条件をどのように整えれば引き継ぐことができるかということを、念のためにお聞きしておきたいと思います。
  292. 松本操

    松本説明員 進入管制を引き継ぐまでにまずいたさなければなりませんことは、複数の空港に離発着いたします航空機について、レーダーを用いて管制を行なう。しかも、それを一カ所の――私ども混合IFRと、こういうふうに呼んでおりますが、共通計器飛行方式という形で、一カ所の管制所レーダーを用いて管制をする、こういう方式を、まずはっきりときめてまいらねばなりません。  次に、このためにどのような施設が要るか、レーダーがまず必須でございます。それから対空通信施設というものが必要でございます。それからレーダーに伴いまして、レーダー卓と私ども呼んでおりますが、レーダーの見える管制卓、これを必要数整えなければなりません。さらに管制を実施いたします管制官、これに相当高度の訓練を施して、しかも必要な数だけそろえるということが必要になってまいります。また、いま申し上げましたように、レーダー及びレーダー卓、それから通信施設、こういうふうなものを整備してまいりますので、これらの施設の整備、保守に当たります無線関係の技術員、こういうふうな者も必要数そろえ、かつ所要の技術上の訓練を行なう必要があるように考えます。
  293. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、その三つの中のレーダー管制機器施設、これは経費でもって解決することができますね。
  294. 松本操

    松本説明員 もちろん最終的には、先生おっしゃるとおり、相当の予算の手当てをするということになろうかと思いますが、ただその執行にあたりまして、どのような機器をという基本的な仕様書の策定及び当該機器が満足に動きますための事前の評価試験、そういうふうな過程を経る必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  295. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その機器、設備の見通しは、いまから検討されて結論づけられるのは、どのくらいの日数がかかりますか。
  296. 松本操

    松本説明員 どのような機器を使えばよろしいのか、あるいはそのような機器を幾つどこへ置けばよろしいのか、またどのような用い方をするのかという点から、まずきめなければなりませんので、申しわけございませんが、現時点において、これだけのものを、こうしてああしてという、そこまでの成案を私、持ち合わせておりませんので、御質問に直蔵的にお答えするのは、御容赦いただきたいと思います。
  297. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 相当高度の無線技術者あるいは管制官の養成、これはどのぐらいかかりますか。
  298. 松本操

    松本説明員 これも一律に申し上げることは、省かさしていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、管制官を養成するに要する年月というものは、三年半ないし四年かかるというのが通常の形でございます。これは何ゆえかと申しますと、高校を卒業しました通常の人――通常というのは、おかしゅうございますが、通常の人は、私どもの学校へ入れまして、そこで管制の基本的なことを教えます。それから、これを現場へ出しまして、実習をさせながら、きわめて初歩的なレーティングをとらせます。さらに私どもとしては、今後、航空保安大学校の分校をつくって運用していく考えにしておりますので、この分校に入れまして、やや高度の管制技術を教え、これをまた現場に戻してレーティング取得させる、そういうふうな形にして養成していかなければなりませんので、いま申し上げましたような三年半ないし四年というのが、これらの管制官の養成に必要な年月ではなかろうか。  それから、無線技術者のほうにつきましては、これも教え込むべき技術の内容によって、いろいろ変わってまいりますが、現在の制度になぞらえてお答えいたしますならば、レーダーの技術屋、管制技術官と私ども呼んでおりますが、この管制技術官を養成いたしますのには、二級の無線技術士の免状を持っておるということが、まず大前提でございます。これを持っておる人たちを現場に入れまして、一応、管制あるいは航空保安のための機器の取り扱い及びその保守についての基本的なことを、実習をしながら覚えてもらいまして、そして、それを必要な時間がたちました後に、先ほど申し上げました航空保安大学校の分校へあらためて入れまして、そこで、たとえばレーダーならレーダーあるいはVORならVOR、こういうふうなものについての学科と実習をさせまして、そこでレーティング取得させてから初めて現場へ戻して、基本的な点よりやや高度の点について仕事をさせるというふうにして、だんだんと訓練をしてまいりますので、これは対象の技術によって一律に言いがたいのでございますけれども、数年はかかる。数年と申しますのは、四年を中心にして前後幾らか、少なくともその程度はかかりませんと、一人前に機械にさわらせるという点については、ややはばかるというふうなことではないかと思います。
  299. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、その技術者なり管制官、それと、いま答えることができないと言われた機器並びに施設計画と購入に至るまでを含めて、いま答弁をお聞きすると、早くて五年、おそくても六年後には、日本側の準備が整うというように受けとめていいですか。
  300. 松本操

    松本説明員 おことばを返すようで、たいへん恐縮でございますが、一つ管制所というものを、自前でやってまいりますのは、ちょっと気どった言い方で申しわけございませんが、一つのシステムとして組み上げていくということでございます。一つ一つの単位、エレメントに分けて、ただいま御質問に逐一お答えしたわけでございますので、それを単純に足しますと、まさに先生おっしゃるように、五年か六年でよろしかろう、こういうことでございます。しかし全体のシステムを組み上げるということになりますと、前に航空局長も御返事申し上げておりますけれども、いまのところ、明確なシステムをデザインする基本的な考え方というものを、私どもまだ完全に立て切っておりませんので、いろいろな個々の要素を単純に足せば、先生仰せのようなことかと存じますが、システムとして取りまとめていくということについてのむずかしさを考えますと、いまの時点で、私の口から、この程度の年限があれば可能ではなかろうかということを、肯定的に申し上げるのは、ちょっと御遠慮申し上げさしていただきたい、こういうふうに思います。
  301. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 答えられないということでなくて、答えないという答弁の方針に立ってそういうことを言っておるのじゃないんですか。質問者がすなおにあなたの答弁を受けとめると、どう考えても――もっと言うならば、私は五年と言いましたけれども、四年半から六年までの間にこれは可能だ、こういうふうに私は受けとめたいわけなんですが、すなおにひとつ、なんだったら大臣のほうでお答えを願いたい。
  302. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろ技術的にもむずかしい面があるようでございます。三つの飛行場一つ管制するとかいう、まだ日本でもやったことのないことを、いまからやろうというわけでございますから、いろいろむずかしい問題点はあると思います。思いますが、午前中の横路先生の御質問にも、私はお答えしたのですけれども、予算の面もございますし、そういまから、ここできちっとこうというような言い方はできぬと思いますが、しかし、それはそれとしまして、いつになるかわからぬといって、ほっておくわけにいかぬと思うのです。でございますから、いま御指摘のような点につきまして、一ぺん計画を、計画的にひとつ詰めてみたい、かように考えておる次第でございます。  したがいまして、それが実際の運びになりますと、申し上げましたように、いろいろなむずかしさも出てくるだろうと思いますが、それはそれとしまして、一応、発足計画だけは立てていかなければならぬ、かように考える次第でございます。
  303. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、日本側が準備が整うまでということは、いまなお検討に入っておらない、きょうの段階でまだ答弁ができないということは――その日本側というのは、航空局が担当するのか、自衛隊が担当するのか。私は、どうも推測するわけなんですが、日本側ということは、自衛隊ということですか。
  304. 寺井久美

    寺井政府委員 管制を指示する権限は、運輸大臣にございまして、ここで日本側といっておりますのは、この場合、運輸省でございます。
  305. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、航空局のほうが担当するということであれば、これは早い機会に、進入管制も受け入れる、技術者の養成も、機器の開発についても検討して、早い時期に受け入れる、こういう基本的な姿勢の中で、やはり考えてもらわないといけないと私は思うんですよ。そういう観点に立って、先ほど来の答弁をお聞きいたしまして、私が算術計算すると、大体、四年半から六年までの間。来年からやれとか再来年からやれという無理なことを言っているんじゃないですからね。だから、先ほどの答弁を聞くと、大体四年半から六年までであれば、もう検討が終わってしまう、要員の確保もでき、要員の養成も終わる時期だというように私は解釈するわけなんですが、それぐらいの程度をめどにして検討されるかどうか、その点はどうですか。
  306. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は、ほんとうのところ、まだそういう計画も何も持っておらぬようでございますから、私は、きょうの御質問の経緯もございますし、そういうようなものを立案、計画するように――私も、全くのしろうとで、いま御議論を通じて、大体おっしゃるようなことにはまるのじゃないかと感じている程度でございますが、そういうようなことにつきまして、検討することにいたしたいと思います。
  307. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そういうようにひとつ進めていただきたいと思います。  そこで、管制要員の確保とその定着の問題に触れたいわけでありますが、これらを含めまして、ことしから来年程度で、管制要員は大体どのくらい必要なのか、あるいはいまから五年ないし六年後には、大体どれくらいの管制要員が必要なのか。これを管制官管制通信官、無線技術者、それぞれ別に、大体どれだけの要員を確保すれば、空の安全を確保することができるのだというように試算されておるか、ひとつお答え願いたい。
  308. 松本操

    松本説明員 現在、管制官につきましては、九百六十四名の定員を擁しておるわけでございますが、これを四十九年度につきまして、百一名の増員を目下お願いしておるわけでございます。  無線要員につきましては、八百四十七名の定員をもって仕事をしておるわけでございますが、これも四十九年度につきましては、百二十三名の増員をお願いしておるわけでございます。  さらに通信、航務、これを私ども運用業務というふうにあわせて呼んでおるわけでございますが、五百九十五名の人員をもって現在仕事をしております。これに対して、四十九年度には五十四名の増員をお願いしたいということで、いま予算の中に出してあるわけでございます。  今後、五年間でどのように管制官をふやしていったらよろしいのかということでございますが、現在、私どものほうで、これらの要員の養成の、財源というとおかしゅうございますが、もとになっておりますのは、先ほどもちょっと申し上げました航空保安大学校というところがあるわけでございます。この航空保安大学校の養成規模を、昨、四十八年度から年間百九十名ということでやってまいっております。そのほかに、一般の高校卒あたりを対象にいたしまして、初級または中級というふうなことで職員を採用し、現場において教育をしていくというふうな形で、増員に対処している部分もあるわけでございますが、今後、五年間に何人の人が要るのかという点につきましては、現在、私ども、今後の五年間において、航空の伸びがどうなるのか、それに対応して施設の整備をどうすればよろしいのか、あるいはそれに関連して管制やり方をどのようにしていったらよろしいのかという点について、これから検討いたそうという段階でございますので、現時点で五年先にこの程度というところまでの見通しの数字は持っておりません。
  309. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、これから検討されるわけですか。少なくとも、これから検討されるということじゃなくて、航空機の需要の推移あるいはあなた方のほうで、将来計画があれば、これは自然的に三年計画、五年計画、長期の計画を立てて、要員確保というのは、推定でもされておるのじゃないですか。私が聞くところによりますと、少なくとも最低ここ三年後には、いまの大かた倍に近い管制要員が必要だというようなことを耳にする向きもあるわけなんですが、全然検討されておらないのですか。
  310. 松本操

    松本説明員 第二次の空港整備五カ年計画というものがあることは、先生御承知のとおりでございます。四十八年がその第三年目、四十九年度が第四年目、こういうことになるわけでございます。その第二次の空港整備五カ年計画を立てました時点におきましては、それなりの五カ年間の見通しと申しますか、計画と申しますか、というものは持っておったわけでございます。ところが、その後、いろいろな社会情勢の変化等もございまして、航空機の、旅客ではございませんで、私どものほうから見ておりますのは、フライトの数でございますけれども、フライトの数の伸びというものが、第二次の五カ年計画を策定いたしましたときほど、激しくは伸びていかないという事実がございます。  したがいまして、そういう状態でありましても、例を管制にとりますならば、管制官の業務がやりやすくなるようにということでいろいろとくふう、手当てはしてまいっておりますけれども、ここ二、三年のことをながめてみますと、特に四十七年以降の数字をながめてみますと、当初予定したようには伸びていないわけでございます。  そこで、午前からの御議論にもしばしば出てまいりましたが、あらためて長期的な見通しというものを、この時点で考え直そう、需要というものが今後どのようになってくるか、たとえば空港というふうなものも、従来のようにただ需要追随型というのではいけないのではないかというふうなことで、いろいろといま研究を始めたという段階でございます。  したがいまして、第二次五カ年計画のときの一応の数字というものの中には、先生おっしゃったように、五年が終わるころには、倍以上になってしまうのじゃないか、そのくらいの人間は必要たんじゃないだろうかというふうなことも、数字上してはあったわけでございます。現時点で、これを私どもの確定した数字であると申し上げるのは、いささかはばかりがございますが、正直のところ申し上げますと、先ほどお答えいたしましたように、これから検討を始める段階というふうに御理解をいただきたいと思います。
  311. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、管制要員は、戦後、民間機が就航するようになってから、どの程度いままで採用されて、どの程度やめていかれた、そういうデータはないですか。
  312. 松本操

    松本説明員 管制を私どもが始めましてから以来の数字というのは、ちょっといま私、手元に持ってもおりませんし、記憶もさだかでないのでございますが、最近の五カ年間の数字について調べてみたところによりますと、航空保安職員、これは管制官だけに限っておりませんで、航空管制官、それから無線要員、それから先ほど申し上げました運航要員、こういうふうな者を全部含めてでございますが、航空保安職員については、大体一・四%程度の退職率というふうな数字になっております。
  313. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私が聞いておるところによりますと、一・四%という数字が、いまあげられましたけれども、もっとひどい退職者があるように聞いているわけです。そこで、それほどの退職者が、せっかく少ない中で養成をしてなぜ退職していくのか、検討されたことはないですか。
  314. 松本操

    松本説明員 私どもの調査によりますと、一・四%という退職率は、国家公務員の全般的な退職率四%程度というふうに承知をしておりますけれども、それに比べて非常に低い率ではないだろうか。それからまた、先ほど来何度も申し上げております航空保安大学校というものをつくりましたときの定員の考えというものが、大体三%程度の減耗があるのではないか。これは、しかし退職という意味ではございません。中途退職ということではなくて、むしろ相当のポストまたは相当の年齢までつとめた後に退職されるという人を含めての自然減耗が、大体三%程度ではなかろうかというふうなことをベースに置いて計画をしてきたわけでございますが、いずれも、これらの数字は、平均的な数字よりも少ないということでございますので、特に私どものほうで追跡調査的なものを集中的にやったことはございませんが、私の承知しております限りにおきましては、個人的ないろいろな理由がございまして、たとえば一応保安大学校に入って管制官をやってみたが、どうも自分は向かないようなので、別にこういうことを勉強して、そちらのほうに行ってみたいというふうなことから、職をかわっていくというふうなのが大かたで、むしろ個人的な理由によって職を退いていく人が大かたであるというふうに承知をしております。
  315. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 管制官についてだけ見ると、昭和二十七年から四十四年までの間に八百四十五名採用して、その間二百八十名退職しておる。実に退職率が三〇%に相当する。こういう数字が出ているのですが、そういうことはないですか。
  316. 松本操

    松本説明員 先ほどもおわび申し上げましたように、ちょっと二十七年以来の数字を、私手元に持っておりませんので、何とも申し上げられません。
  317. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 二十七年からいままで、採用年次別にどの程度の採用をしていて、毎年どの程度やめていっているのだということを、これは管制官だけに限らず、通信士も、それから無線技術者も一応一覧表にしてもらって、一回資料を出していただけますか。これからのひとつ検討課題にしたいので……。
  318. 松本操

    松本説明員 別途、調査をいたしまして、御説明するようにいたしたいと思います。
  319. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いまもお答えになったように、せっかく航空保安大学校に入っておられて、その途中でやめていく者もおるし、せっかく卒業されて見習いの過程でやめていく者もおる。一人前になって、ようやく役に立ってもらう時期になっても、やめていくというのが、管制官についても通信官についても言えるわけなんです。これは何といいましても、本来そういう専門職的な性格にあるにもかかわらず、一般行政職員と同じ給与体系にあるというところから、勤務場所が勤務場所だけに、民間の航空会社の人たちと一緒に働く場所である、そういうところから給与面、待遇面が一番その原因をつくり出しておるのじゃないか、こういうように思うのですが、その辺についてはどうですか。
  320. 松本操

    松本説明員 先生おっしゃいますように、航空行政の中におきまして、保安行政の第一線を担当しております航空保安担当職員というものの処遇については、常々私どもも、いろいろと関係の向きにお願いをしてまいったところでございますし、また仕事の内容からいいましても、確かに御指摘のとおり、かなり人里離れたところも中にはございます。あるいは夜間勤務あるいは交代制勤務といったような特殊な勤務もございます。したがいまして、そういう勤務に対応できるような、何らかの処遇上の措置を講ずるということにつとめてまいったつもりでございまして、たとえて申しますならば、航空管制官につきましては、行政(一)としての俸給表を実質的に多少修正をしたというふうに御理解いただいてよろしいかと思いますが、調整額というものをつけまして、これが管制官の場合には、現在、本俸の八%ついておるわけでございます。  こういうふうな形で、通常の勤務をしておる者、通常の公務員というものよりは、違った処遇の体系をとってまいってきておりますし、航空管制官というものは、専門職でございます。したがいまして、ほかの一般の公務員に比べますと、非常に早く四等級までなっていくというふうな進級上の配慮というふうなものもなされておるわけでございます。
  321. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 通信官はどうですか。
  322. 松本操

    松本説明員 管制通信官につきましても、同じようにこれは専門職でございますので、先ほど申し上げました調整額が四%ついておるわけでございます。
  323. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 調整額がそれぞれ四%、八%ついておるといたしましても、管制官については四等級まで、これは行政職の課長補佐級ですね。それから通信官については五等級、これは係長級なんです。それで頭打ちをしてしまうわけです。三十八、三十九、四十というようになれば頭打ちをしてしまって、昇給が延伸をしていく。それ以上は見込みがないということになっておるのじゃないですか。
  324. 松本操

    松本説明員 昇格の点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、他の職種に比べますと、四等級までは相当早く上がってまいります。しからば、それから上、三等級はどうなのかと申しますと、主任という制度が私どものほうにございます。この主任ということになりますと、何人かのグループのリーダーになって仕事をしてもらうわけでございますが、この主任につきましては、三等級に処遇をする、こういうことでございますし、さらに最近、だんだんと管制官の中にも、年限がたちまして、相当の年齢の方あるいは職務経歴の長い方も出てまいりました。したがいまして、専任管制官でございますとか、あるいは大きな空港管制部長でありますとか、こういう管制プロパーの職種におきましても、二等級をもって処遇するというふうなポストを、いろいろとふやしてまいってきておる次第でございます。
  325. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 通信官についてはどうですか。
  326. 松本操

    松本説明員 通信官につきましては、いろいると努力をしてきておるわけでございますが、管制官管制通信官との間に、現時点におきましては、多少の段落がついておることは、いなみがたい事実でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、管制官については、あるいは管制部長あるいは大きな官署の専任管制官、扱う人数も非常に多いのでございますが、管制通信官の場合には、所管する人数が、多くて十数名という程度の小世帯でございます。したがいまして、そういう面からも、管制官に比べますと、たとえば二等級への昇格といったような点において、かなり難点があるということは事実でございます。
  327. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 管制官よりも管制通信官のほうが、民間航空会社も含めて待遇面のいい民間企業のほうに、せっかく得た技術を持ちながら、その技術を捨てて転職していく、こういう流れが、よりあるわけですが、そういう点を何とか食いととめる方策というものを、給与面で考えられる余地はないですか。
  328. 松本操

    松本説明員 給与上の問題については、先ほど来繰り返しお答え申し上げておりますように、処遇の改善について、われわれなりに相当の努力を払ってまいったつもりでございます。ただ、この問題は、運輸省一存によってとやかくなし得るものでもございませんので、関係の省庁等とも十分に相はかりまして、御趣旨のような方向に進んでいけるように今後とも努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  329. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大臣、いま言われますように、定着率を高めていこうと思いましたら、通信官についても、それから技術者についても同じこと下すが、管制官を含めて待遇上の抜本的な改善をやらないと、幾ら養成をやっても、一人前になったらやめていく、それでなくても要員確保に難儀している、こういうことでありますので、これは、ぜひとも早急に、次の人事院勧告というのがまたあるわけなんですから、この勧告に間に合わすように、大臣、いまの部長の答弁をいれて、何とか努力してもらいたいと思いますが、どうですか。
  330. 徳永正利

    徳永国務大臣 技術者の引きとめというのは、いろいろな面でむずかしいことがあるだろうと思います。また、それが給与だけにとどまるのか。それにいたしましても、いまの給与は、必ずしも満足なものではないと思いますし、この点につきましては、いま御指摘のようなことを、一ぺん真剣に検討させてもらいます。
  331. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その点、真剣にお願いしたいと思うのです。  そこで、要員不足の中で、無線標識所の要員が確保されないために、航空安全協会に下請委託をしていく、そういう動きはないですか。
  332. 松本操

    松本説明員 無線標識所の保守につきましては、現在、私どもの無線職員が実施いたしております。現時点において、これを下請に出すような考え方は持っておりません。
  333. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 無人化したところはないですか。
  334. 松本操

    松本説明員 いま、どこがどうなっておるというところまでは、つまびらかに記憶しておりませんが、機械が最新式になってまいりますにつれて――無人化ということばの意味でございますけれども、絶えずそばに人がついていてめんどうを見てやらないと、故障が出てくるというふうな機械では、実は航空安全の確保の上からもいかがかと存ぜられますので、そういう意味において、機械の性能向上には、従来とも努力をしてまいったつもりでございます。  その結果として、朝一回、昼一回、夜一回というふうに絶えず見て、なぶってやらなければいけないというふうな機器をなるべく減らしてまいりました。しかし、それによって整備の要員をどうこうするということではございませんで、むしろ小さな官署に小人数で山ごもりのような形でやるよりは、大きな官署に集中的に配員をいたしまして、そこから何らかの手段によりまして、多くは車を使っておりますが、車を使って巡回して歩く。ただし巡回があまりにも遠くなるとか、あるいは非常に難渋になってくるとかいうことでは、所期の目的に反しますので、その点については、十分に配慮をしてきておるつもりでございますけれども、むしろ小人数で人里離れたような――また無線標識所というのは、えてしてそういうところがございます。そういう傾向がございますので、そういうことにならないようにという意味においての改良はいたしてまいっておりますけれども、無人化して、そのままほったらかしにしてしまう、そのために、いままで何人か必要であった人間をおろ抜いてしまうというふうな措置はとっておりません。
  335. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、無人化のところはないのですか、あるのですか。
  336. 松本操

    松本説明員 無人化ということばの定義が非常にわかりにくいので、ないのかあるのかとおっしゃられますと、非常に私、返答に苦しむのでございますが、一般的にいって常時人が住んでいなくてもいいような標識所というものは、どこというふうに記憶はいまいたしておりませんけれども、幾つかはございます。
  337. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 無人の無線標識所を、あとでけっこうですから、どことどこが無人標識所だという資料をひとついただきたいと思う。  それから、念のためにもう一度お答え願いたいのですが、今後とも下請をしないということは確言できますね。
  338. 松本操

    松本説明員 無線標識所を、下請にそのままそっくりぶん投げてしまうというふうなことは考えておりません。
  339. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 地方のローカル空港で、管制官や無線技術者を配備しておらないところはないですか。
  340. 松本操

    松本説明員 まず、管制官のほうについて申し上げますならば、三種空港でありまして、飛行場管制を実施していないところがございますが、これは管制通信官が配置されております。それから、この三種空港の中でも、きわめてフライトの少ないところ、たとえば午前一便午後一便、こういう非常にフライトの少ないところであって、しかも、もよりに管通官の配置された空港がございまして、そこからの無線を使っての通信のかさの中に入るようなところにつきましては、管通官の無配備のところがございます。  それから、無線要員につきましては、小さな空港におきましては、無線要員と通信要員との複合業務という形で、無線屋ではあるけれども、しかし無線の仕事を朝から晩までいじくり回すほどの無線機械もございません。したがいまして、手のあいたときには、たとえば通信の仕事も一部手伝ってやるという形の複合業務になっておるところが、ごく小規模の三種空港の中にはございます。
  341. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その点についても、将来の私どもの検討資料にしたいので、ひとつ資料をつくって出してもらいたいと思います。  それから、気象要員が不足しているという向きはないですか。
  342. 松本操

    松本説明員 これは、私からとかくお答えすべき立場にないかと思いますが、私どもの目から、つまり管制をするという立場から見ました場合には、特に気象情報が不足をしておるというふうには考えておりません。
  343. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 気象庁来ておられないらしいのですが、管制の面からは支障はないかもわからぬけれども、しかし気象要員が不足しておるために、目的地の気象条件を把握して、それを伝えるということがやはり欠けてくると思います。なるほど管制には関係なくとも、安全に就航さすためには、気象要員が不足している、欠けているということになると、これは、また全体の航空の安全からいうと私は欠けておると思います。これについても、ひとつ資料をいただきたいと思います。  それから、念を押しておきますが、このようなことやら、あるいは先ほど指摘いたしましたように、無線技術者やら管制官を配置をしておらないということで、就航に差しつかえはないですか。安全を保つことができるというように確言できますか。
  344. 松本操

    松本説明員 安全の確保につきましては、何よりもまず私どもの最大の命題でございますので、そのために不便であるということは、あるいはあるかとも思いますけれども、安全を欠くようなことはしないということを、はっきり申し上げてよろしいかと思います。
  345. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、先ほど申しましたように、ひとつ資料をお出し願いたいと思います。  そこで、航空のほうは、その程度で終わりまして、自動車局のほうに質問したいのですが、特に貨物輸送業、運送業についてであります。この運送業というのは、日通という大規模な独占化した、寡占化したような企業もあれば、一台で一人が個人事業をやっておるというような運送屋もありまして、大体、二十台以下、一台も含めて二十台以下で事業をやっておるという個人事業や小規模企業者が、大体、全体の六〇%程度じゃないかと思うのです。三十台以下でこれらの事業をやっておられる方が、大体、運送業全体の八〇%を占めておるのじゃないか。それに間違いないですか。まずお答え願いたい。
  346. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  347. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうなってまいりますと、片方の乗用車のほうのタクシー、ハイヤー、これは、あなたのほうの認可料金で、チップこそ渡せ、認可料金よりも安く乗るという客は、私はまあまあないと思うのですが、そのとおりですね。
  348. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 旅客輸送につきまして認可料金よりも安く乗る、こういう事実はないというふうに存じます。
  349. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 貨物の場合はどうですか。
  350. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 貨物の場合には、先生御承知のように、現在の認可運賃の立て方が、いわゆる確定額ではなくて、上下一割の幅を持たせました、いわゆる幅運賃というものを認可しているわけでございます。これは、やはりそのときそのときの経済状況によりまして、そこに若干の幅を持たせておる、こういうことでございます。貨物輸送につきましては、私ども、もちろんその下限と上限の間で厳に認可運賃を守るようにということで、指導してきておるわけでございますけれども、何ぶん、ただいま御指摘ございましたように、非常に規模の小さい事業者も多うございます。それから事業者と荷主との力関係ということもございます。そういうことで、従来、認可運賃の下限をさらに下回る、いわゆるダンピングというようなことが間々あったことは事実でございます。  われわれといたしましては、こういうものについては、できる限り認可運賃を守るように、監査等を通じまして指導してきておるところでございます。
  351. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 認可運賃よりも上回って料金をいただいているというところは、私はどこもないと思うのです。やはり貨物につきましては、荷主さんのほうが強い。そこで大きなところと小さなところ、極端にいうと日通や西濃運輸と、いま申し上げましたように一台、二台で商売をなさっておるところがある、荷主さんを確保するためには、どうしても料金でサービスをしないと、大きなところにうちかっていくことができぬということで、そういうようにダンピングをしているわけです。  そこで、大手の――大手というよりも、二〇%の大体三十台以上、それについても、まだまだ五十台、六十台、百台というようなところと、西濃運輸や日通と比べたら比較にならないですが、零細業者あるいは小規模の業者、中以下の業者、それから大手の業者、これについて、何かそういう小規模業者や零細業者の事業の分野を守っていくために、大手の企業の規制とかいうようなことを考えてやってもらったことがありますか。
  352. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 大規模業者とそれから中小零細業者、こういう格差から生じますいろいろな問題を解決する方法といたしましては、先生指摘のように、大規模業者に対してこれを抑制する、こういうふうなことよりも、むしろそういうふうな小さな業者を、できる限りまとめるといいますか、一つの力にいたしまして、そして荷主とも対抗できる、こういうふうにしていくのが、本筋ではないかということで、従来からそういうふうな行政の指導をいたしておるわけでございます。  それで、その一つといたしまして、いわゆる中小企業近代化促進法によりまして、特定業種の指定をいたしまして、構造改善、こういう計画を進めてまいりました。これは四十八年度から進めてきておるわけでございまして、そうすることによりまして、個々の業者でやるということではなくて、たとえば施設を共同して持つとか、あるいは帰り荷のあっせんをするとか、あるいはさらに進みまして協業化する、あるいはさらに進んで集約、統合する、こういうふうな近代化あるいは経営基盤の強化、こういうふうな計画を、私どもといたしましては、構造改善事業として推進するということもやっておるわけでございまして、現在のところ、四十八年度につきましては、第一グループとして約七つの県につきまして、この実施がきまっておるわけでございますけれども、さらに四十九年度につきましては、約三十ぐらいの県について、このような構造改善事業の計画をまとめ、これを推進する、こういうふうにいたしたいと思うわけでございます。
  353. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 共同化、協業化あるいは経営の近代化、これはけっこうな話でありますが、これに対して財源的に、具体的にどのような援助の方法をやっておられるのですか。
  354. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 こういう構造改善事業を進めてまいります場合には、たとえば共同の施設、こういうものについて低利の資金の融資を行なう。それから機械施設等につきまして、減価償却をいたしますけれども、その償却を五〇%多くする、二分の一割り増し償却制度を認める、こういうふうな措置を講じまして、この構造改善事業の推進をはかる、こういうことをいたしております。
  355. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それで、この業者のほうは喜んでいますか。
  356. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 業者自身の中には、いろいろやはり自分の事業遂行について計画もあり、また思惑もございます。したがいまして、私どもの指導あるいは慫慂に対しまして、全部が全部これに参加する、あるいは喜んで参加するということにはなりにくいわけでございますけれども、この事業を推進するためには、たとえば各府県で、この構造改善事業を進めます場合に、業者の五〇%、以上がこれに参加した場合に、この種計画を認めこれを推進する、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、いわゆる賛同者が半分以下のところでは、現在のところ、この計画を進めることは不可能でございますけれども、たまたま半分以上あればこれを進める、こういうことでございます。  私どもといたしましては、各府県におきまして、そういうふうな機運が自主的に高まり、その賛同者がふえて、この計画を推進されることが非常に望ましいのではないか、われわれも、そういう線でできる限り事業者を指導してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  357. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いわゆる運送屋さんというのは、運送屋のおっさんと、こういう市民から親しまれるたぐいの業者でありまして、なかなか広大な理想をもって指導されたところで、みんながみんな飛びついていくというような業態じゃないわけですね。それから共同事業をやろうと思いましても、都心部の場合はいかに指導されても、まずその土地を確保するということさえも事欠くということなんですね。そういうところにこそ、先ほど私が申し上げた二十台以下の、全体の業者の六〇%も八〇%も占めるような業者が散在しているところがあるんです。  そのこともさることながら、大手の業者に対しましては、路線免許と区域免許と両方とも差し上げておる。だから、片方では、そういう改善事業を指導したり、あるいは協業化、共同化をはかっていくような指導をしても、反面では、そういう小規模や零細の業者の事業分野が大手に食い荒されておる、こういう側面があるわけなんです。ここらあたりを何とかしないと、これは片方では、小さいところを何とか援助せにやというけれども、実際は両免を持っておる大手には、立ち向かうことはできないんですよ。ここらあたり、検討する必要はないですか。
  358. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 確かに、いわゆる大手事業者と申すものにつきましては、路線の免許もし、かつ、いわゆる区域事業というものをやっておるわけでございますけれども、しかしながら、全体的に見ますと、先生指摘になりましたように、いわゆる中小業者の数が、これは圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、トラック輸送をされております実情というものの中でも、やはりそういうような小さな事業者が運んでおる量が、全体としては多いのではないかというふうに思います。  それからまた、荷物のいろいろ性格によりましては、大規模の業者よりも、中小規模の業者の特性を生かして運び得るものもございます。したがいまして、それぞれ分野、分野というものがあると思うわけでございまして、やはりそういうふうな中小規模の業者が、その事業の持っておるよさといいますか、特性を生かしながら、しかも全体として経営基盤を強化し、また能率をあげる、こういうふうな方法を講じまして、大規模の業者に対抗し得るような力をつけていくということが、われわれとしては、とるべき方策ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
  359. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 タクシーの場合は、僻地の五台、六台というようなところは、大手が営業する地域と分けて、そういうところに食い込まないように、割り込んでいかないようにある程度できておりますよ、これは。完全じゃなくてもね。ところが、輸送の場合は、貨物の場合は、いま申し上げましたように、路線もやれば地域もやればということでは、これは何ぼやったところで、いかに団結せいと言うたところで、まあ団結をしてやったところで、やはり資本力があるわけですから、宣伝やらあるいはその他のサービス面やらで太刀打ちができないですよ。  だから、私は、いますぐとは言いませんけれども、小規模の業者あるいは零細業者を、やはりどうしても守ってやろうと思ったら、そういうところに大手が介入しないように、荒らさないように、免許の区分で事業分野を守ってやる、こういうことでないと、抜本的にやはり私は解決しないというように思うのですが、これはひとつ、検討課題にぜひともしてもらいたいと思うのですが、検討していただけるのかどうか、ひとつ大臣のほうからお答え願いたい。
  360. 徳永正利

    徳永国務大臣 やはりトラックは、特に最近に至りまして、長中距離にまで大手が出てきたわけでございます。これから、いわゆるいろいろな分野を再検討しなければならないと思います。長距離等は鉄道であるとか、資源問題からも検討してみなければならぬ時期にきていると思うのです。それから海運を、どういうふうにこの輸送の面で重点を置いていくかというようなことも、見直す時期があろうと思います。  したがいまして、それぞれにやはり線の面と面の面との活躍の部面があろうと思いますが、いずれにいたしましても、小規模の業者、中小企業の皆さん方が圧迫されるということは、これは、いいことじゃございません。私どもも十分配慮してまいらなければならぬと思います。  おっしゃるように、いますぐどうこうというような、明快な歯切れのいい答弁もできませんけれども、こういう面は十分考えて、今後ひとつ検討してみたいと思っています。
  361. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ぜひともひとつ、小企業の事業分野をやはり守ってやるという立場に立って、免許面で検討していただきたい。  そこで、去年の十二月の一日に、大蔵省の方来てもらっておると思いますが、自動車の損害賠償責任保険の保険料率を改定されているわけなんですが、ことさらに自家用車と営業車、これが料率が違うわけですね。私は、大手のほうはどうでもいいと思います。けれども、いま先ほどから私が言っておりますように、非常に大手のほうに事業分野を食い荒らされて、そうして経費がかさんできて、あなた方も御案内のように、こういう運送魔さんだけでなくて、特に去年の十二月から一月、二月、この三月あたりになりますと、もう資本力の弱い小規模企業が一千から一千五百くらい倒産している。その中に運送屋さんもかなり含まれておるという、こういう事実なんです。多少なりとも、経費の面からもやはり考えていただくという面で、これは保険屋をもうけさすことですから、やはりことさらに、自家用車と営業用車とを、料率に大きな差を置くというようなことは、私はけしからぬと思うのです。十二月一日付で自賠責の料率を変えられた点ですね、どういう角度から変えられたのか、ひとつお答え願いたい。
  362. 巣山庄司

    ○巣山説明員 まず、先生御質問の昨年の十二月一日の料率改定でございますが、この経緯を申し上げますと、実は国会の交通特別委員会でいろいろ自動車の議論をされまして、当時、自賠責保険の支払いの最高限度が、死亡につきましては五百万、それから傷害につきましては五十万であったわけでございますが、被害者救済の見地から、この支払い限度額を大幅に引き上げる必要がある、こういう御指摘がございまして、支払いの最高限度額引き上げを検討したわけでございます。  その際に、自賠責の保険収支を、われわれ見直しを行なったわけでございます。そういたしますと、全車種平均して、損害率と申しますか約五九%という数字が出たわけでございます。見込み数字でございます。五九%の損害率と申しますのは、保険料収入、それから、それに対する保険金支払いの割合でございまして、これが一〇〇%をマークしたときに収支が相当する。したがって、五九・何%と申しますのは、ほぼ四〇%保険料をもらい過ぎである、こういう形が出たわけでございます。  この際、保険料を引き下げるべきか、支払い限度を上げるべきかという議論があったわけでございますが、被害者救済の見地から、この財源をもって自賠責保険金の支払い限度を上げるべきである、こういうことになりまして、昨年十二月一日、支払いの最高限度を、死亡は五百万から一千万に、傷害は五十万から八十万に上げたわけでございます。そういうふうなことでございまして、全車種の平均保険料率は、この際、引き下げず据え置きのまま、その財源を最高限度の引き上げに充てる、こういうことに審議会で決定になったわけでございます。  その際、特にいま申し上げました五九・五%に対して、損害率がはなはだしく高い、ないしは著しく低いものについては、負担の権衡をはかる見地から、若干この際微調整を加える必要がある、こういうことで十二月一日の保険料率改定は、むしろ数種について微調整にとどめたわけでございます。これが十二月一日の経過でございます。  それから、第二点でございますが、先生先ほどから御指摘の中小零細業者あるいは大手の保険料の関係でございますが、われわれ保険料率を決定する際は、保険の数理というものを求めております。保険の数理と申しますのは、その一つ一つの集団、たとえば先生指摘のトラックの保険集団、営業車の保険集団、そこの事故発生の割合それから事故が起きた場合の損害、そういうもので保険の事故の数理から料率を決定する、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがって、各車種間の保険料率は、全く保険数理に基づいて客観的に出てまいります。ただいま先生指摘のような、政策的なものは入れておらないということになって、いままできておるわけでございます。われわれが、保険の理論、筋、保険料率の客観性、そういうことを考えますと、先生の御指摘、先ほどから承っておりましたが、保険料率については、なかなかむずかしい問題があるのではなかろうか、このように考えております。  それから、第三点でございます自賠責保険、この料率をきめるにあたりましては、保険会社の場合にはノーロス、ノープロフィットと申しまして、損得なし、保険会社の利益にもならないし、損失にもならない、別途、区分経理、こういう仕組みになっておるわけでございまして、その点、御了解いただきたいと思います。
  363. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その中の事故率、営業目的を持っておる自動車と自家用の自動車、貨物車と乗用車、ともに確かに事故率は高いです。ところで、事故率は高いですが、この警察庁の資料を見てみますと、四十六年よりも四十七年のほうが、四十七年よりも四十八年のほうが、自動車一万台当たりのいわゆる事故率は、自家用車よりも営業車のほうが大幅に少なくなってきておるわけです。全体として事故率は少なくなってきておるけれども、自家用よりも営業車のほうが一万台当たりの事故率は大幅によくなってきておるわけです。自家用車と営業車と、事故率だけを見てみたら、自家用車に事故が多いのは当然な話ですよ。食わんがために運転者は運転しておるんですからね。遊びに行くために運転しておるんじゃないんだから。  そうすると、最近のようなふくそうした道路の中で、できるだけ早く、できるだけ数多く運搬をしないと、業者もさることながら、運転者も実入りにならないわけですから、これは事故率もふえてくるのは当然です。しかし私がいま申し上げましたように、その減少しておる事故率ということで見てみましたら、かなりの努力をしておるということがうかがえると思うのです。だから、そういう点を考え合わせると、やはり単に事故率が多い少ないということだけで保険料率を、自家用車よりも営業車のほうを高めるということは、私は再検討する必要があるのではないかと思うのですが、どうですか。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
  364. 巣山庄司

    ○巣山説明員 先生指摘の事故率の下がりぐあいが、営業車に大きいという点は、われわれも、そのような数字をつかんでおるわけでございます。  それで、もう一つ、損害率と申し上げましたのは、事故率と、それから車が損害を起こした場合の、われわれのことばで申しますと、一件当たりの支払い保険金、それが関係してくるということでございます。その辺、下がりぐあいが大きいわけでございます。  事、こまかくなって恐縮でございますが、四十四年の十一月に、平均保険料を二倍に引き上げたことがあったわけでございます。その際に、いろいろ議論があったわけでございますが、一挙に二倍に引き上げる。各車種によって見ますれば、二・五倍ないし三倍に引き上げるというものもあったわけでございますが、あまり料率を激変させることは好ましくない、こういうことで、営業車につきましては、保険の理論の筋の通る限り、激変緩和措置を講じております。  それで、いままさに下がりぐあいが、常業車の場合に現実に下がってきておるわけであります。その激変緩和によってげたをはかせた率を見ますと、まだ現在の料率で、見込みとしては相当しておるのではないか。ただ今後、毎年毎年収支の見直しを行なうわけでございまして、今後の下がりぐあいによっては、先生の御指摘のような形があらわれるかもしれない、こうように考えておる次第でございます。
  365. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大蔵省のほうは、損害率あるいは事故率、そのことだけしか考えないのですが、運輸省どうですか。私が先ほど申し上げました、大きな問題として、免許について小さいところは救ってあげる。それとあわせて、小さいところの経費を、何とかカバーしてやるというためにも――大きなところは大きなところで、保険料率は高くても安くても問題ないのです。小さなところであればあるほど、保険料率が高いということが、非常に経費がかさんでくるわけです。  この点、大蔵省と一回話をしてもらって、次の保険料率の改定の際に、零細規模の業者の経費負担を軽減する、こういう立場に立って、あなた方のほうの意見というものを、その中に取り入れてもらえるように努力してもらえるかどうか。してもらいたいと思うのですが、その点どうですか。
  366. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 この自賠責保険制度につきましては、この法律自体が、大蔵省と運輸省の共管になっておるわけでございます。したがいまして、保険料率の決定等につきましては、これは常に大蔵省と運輸省は緊密な連絡をとって、思想統一をしてやってきておるわけでございまして、いかようにこれを将来変更するにいたしましても、常に意思統一を行なってやってまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  先生おっしゃいましたような御趣旨は、私よくわかるわけでございますけれども、ただ大蔵省から、ただいま御答弁ございましたように、保険というものは、きわめて数理的また技術的といいますか、そういう部面のものでございまして、これにいわゆる企業規模の大小による差を設けるということは、これは現実の問題としては、むしろ理論的にきわめてむずかしい問題があろうかと思いますので、これは保険制度そのものだけの分野ではなくて、もう少し広い範囲で、広い視野で、いわゆる中小企業対策というものをどうするかという観点から検討してまいるのが、本筋ではないかというふうに存ずるわけでございます。
  367. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それぞれ大蔵省の立場もあると思いますけれども、先ほどから論議いたしておりますように、自賠責の保険料については、かなり高いウエートを経理面では、零細企業の場合、小規模企業の場合はかかっているわけです。  ひとつ運輸省、大蔵省にお願いしておきますが、次の改定の際に、ぜひとも私の意見としては、これを参考にして、保険料率の改定に当たっていただきたい、こういうことを私の希望意見として申し上げておきたいと思います。  私、肝心の泉南空港の問題について、地元ですので、ぜひとも話をしたいと思っておったのですが、大臣しかおられませんし、次に、もしも時間がありましたら、そう長く言いませんので、ひとつ、その泉南空港の問題だけについて、意見をはさませていただきたいという希望を申し上げまして……。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 私の質問、きょうは終わらせていただきたいと思います。
  368. 徳安實藏

    徳安委員長 本日は、これにて散会いたします。直ちに理事会を開きます。    午後七時三十一分散会