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1974-03-26 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 服部 安司君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    笠岡  喬君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       竹中 修一君    藤尾 正行君       吉永 治市君    和田 貞夫君       木下 元二君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省刑事局長 安原 美穂君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君         文部政務次官  藤波 孝生君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君  委員外出席者         警察庁警備局外         事課長     佐々 淳行君         法務大臣官房秘         書課長     豊島英次郎君         法務省民事局第         一課長     廣木 重喜君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   地崎宇三郎君     越智 伊平君   三塚  博君     塩崎  潤君 同日  辞任         補欠選任   塩崎  潤君     三塚  博君     ————————————— 三月二十二日  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第七四号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八三号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 徳安實藏

  4. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本年二月二十日、人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき国会及び内閣に対して、最近における社会経済情勢等の実情にかんがみ、国家公務員災害補償制度における障害補償年金障害補償一時金及び遺族補償年金給付水準改善をはかる等の必要がある旨の意見申し出がありました。  政府としましては、その内容検討した結果、この意見申し出どおり国家公務員災害補償法等の一部を改正する必要を認め、この法律案提出した次第であります。  次に、改正内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、障害補償年金及び障害補償一時金の額を、一律に一一・七%引き上げることとしております。  また第二に、遺族補償年金について、遺族二人の場合、現行平均給与額の年額の四五%から五〇%に引き上げる等、遺族の数に応じてその支給割合を五%から七%引き上げることとしております。  第三に、遺族補償年金の前払い一時金について、現行では平均給与額の四百日分とされておりますが、これを最高一千日分まで支給することができる等の改善を行なうこととしております。  なお、この法律は、労働者災害補償保険法改正の時期に合わせて本年十一月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 徳安實藏

  8. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  先般、学校教育水準の維持、向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法が施行されましたが、これに伴い、人事院は、去る三月十八日、教育職員給与について、教育職俸給表の改定を内容とする勧告を行ないました。政府としては、その内容検討した結果、人事院勧告どおり、本年一月一日からこれを実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、教育職俸給表俸給月額を改定することとしたことであります。  第二は、附則において、この法律施行期日適用日俸給月額の切りかえ及び切りかえに伴う所要措置等について規定したことであります。  以上、この法律案提案理由及びその概要について御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  9. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  10. 徳安實藏

    徳安委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
  11. 塩崎潤

    塩崎委員 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、時間がたいへん限定されておりますけれども、二、三御質問を申し上げたいと思います。   〔委員長退席小宮山委員長代理着席〕  まず、総務長官にお伺いをいたしたいと思いますが、この法案をいまごろ、つまり、年度末に提案した理由は何か。そして一月にさかのぼってこれを支給することにしておる理由は何か。つまり、この改正動機ですね。たいへん期待の大きい法律でございますけれども、いつもの人事院勧告に基づく給与法改正は、大体、人事院勧告が夏出て、そして秋行なわれるにもかかわりませず、その慣行と違って、いまこの法律改正をされる趣旨は何かという問題なんです。  総務長官、これは、いろいろバックがあることは言うまでもないところでございますが、この法律を、つまり、教育職員給与改正に関する部分だけを取り出して改正するという動機は、先般、義務教育学校における人材確保法の制定がございましたが、これに基づくものか、あるいは人事院勧告に基づくものか、あるいは一月から計上されております予算に基づくものか、いかなる動機提出されたか、一ぺん総務長官の御意見を承りたいと思います。
  12. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  この一般職職員給与に関する法律の一部改正は、二月末に人材確保法として国会で決定されましたものに従って、人事院が今回、教職員給与改善をはかる勧告をし、それを受けまして、今回国会提出をいたしたわけであります。
  13. 塩崎潤

    塩崎委員 いま総務長官から、この法律は、人確法に基づく人事院勧告、それに基づく法案である、こういうお話がございました。私もそのとおりだと思うわけでございます。それだけに、人確法に関与いたした文教委員方々、あるいは文教政策に非常に関心を持っておられる方々にとっては、この給与法改正は、たいへん関心が深いと思う。  そうすると、私は、この法案を見て非常に残念に思うのは、この改正法律案のどこにも人材確保法のことが出ていない。これは、どういうことなんですか。理由を見まして、やっと人事院勧告のことが出ておる。人確法、あれだけ苦労して、非常な論議があって通った法律、それに基づく法案といいながら、この法律題名にも出てこない。提案理由にも出てこない。こんなことでいいんでしょうか。総務長官、どうなんです。  私は、民主主義国家、新憲法後は、法律というものは、題名を読めば、すぐどういう趣旨であるかわかるような法律であらねばならないということを、いま隣におられる人事院総裁にも習ってきた。人事院総裁が私どもに教えたにもかかわりませず、こんなわけのわからぬような法律を出して、どんな理由改正するのかわからないようなことでは、これは不親切で、ほんとうの民主的な法律とはいえないと思うのですが、総務長官、いかがですか。
  14. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの御趣旨は、私もよくわかります。しかし、これの提案理由にも申し上げましたとおり、教職員人材確保に関する特別措置法が施行されたことに基づいて、人事院勧告があったわけでございます。内容は、人材確保法案というものが表題には出てまいりませんでも、おのずからそこに、きっちりとした連絡があるというふうに私は理解をいたしております。
  15. 塩崎潤

    塩崎委員 私は、総務長官のおことばにしてはおかしいと思うんですね。人事院勧告のほうが法律より上でしょうか。文教委員の連中が、たいへん心配しておるこの法律だけに、私は、このような提案のしかたが非常に残念でございます。  きょうは、非常に時間がない、緊急上程するからと言われておるのですが、ほんとうなら委員長、これは時間があれば、連合審査文教政策の観点からも論議されるべきだ、こんなふうに思うのですが、幸いに文部政務次官が来ておられますので、文部政務次官、いまの私が申し上げたようなことについてどう思われるか。あなたが一番心配されておる点だと思いますので、ほんとうのあなたの真情を、一ぺん吐露していただきたいと思います。
  16. 藤波孝生

    藤波政府委員 世界に例のない、一般公務員よりも教員待遇を優遇する、こういう高邁な精神によって、人材確保法案国会成立を見たわけでございまして、今後、教育の改革をいろいろ進めていくまず最初の仕事として、たいへん大きな意義を持っておる、このように考えておるわけでございます。その人確法に基づいて人事院勧告が行なわれ、このたび上程になりました給与法改正という運びになったわけでございますので、必ず人確法精神が、この給与法改正に盛り込まれて今後生きていくもの、このように考えておるわけでございます。
  17. 塩崎潤

    塩崎委員 少しぼうばくたる御答弁で、私は非常に不満なんですけれども、これは総務長官ほんとうは間違いなんでしょうね。法の案文の作成などは、まあ事務官僚にまかしてあるから、そこまで政治家として、かゆいところに手の届くようなことができなかったという意味、これは間違いだろうと思う。本来、人確法という法律をあらわしたいという気持ちはおありなんだから、ほんとうはあらわしたらいいと思うんですが、そんなふうに考えて、この次、何か改正する際には、人確法という題名を引いていただくことはどうでしょうか。  私は、総務長官にまずお伺いし、その次は、私の法制立案についての大先生でございます人事院総裁にもお伺いしたいのですが、人事院総裁なら必ず——法制局長官のときは、非常にやかましくいわれた方でございますから、人事院勧告よりも人確法のほうが程度が下だなんというようなことは、考えておられないと思うんですが、総務長官佐藤人事院総裁にひとつ、今後また、このような法律が出てくるに違いないと思うので、そのときのお気持ちを伺っておきたいと思うのです。(中山(正)委員「いま入れてもらえばいいじゃないですか。」と呼ぶ)
  18. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの御趣旨は、私も非常によくわかりますし、また人確法——人材確保に関する特別措置であるからこそ、こうした異例な給与引き上げが実現したんだろうと私は思うのです。そういう意味からいうならば、本来、私らの立場から申し上げますと、この人材確保法によって、教職員のほうが九%給与引き上げになるということは、その他の影響等も考えますと、やはりそれはそれなりの重要性があるということをはっきりとうたって、そして御審議をいただくというのが筋だというふうに思います。
  19. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 たいへん恐縮でございますが、ちょっとお答えに先立ちまして、御報告をさせていただきたいと思います。  本日、別途、看護婦給与改善につきましての勧告を、国会及び内閣に御提出申し上げました。このほうも、よろしくまたお願いいたしたいと思います。  そこで、ただいまのお尋ねでございますが、法制上の形式あるいは技術の問題は、もうすっかり私は卒業してしまいまして、これは、いまさら権威のあるお答えをすべき立場ではございませんけれども、ただ、私ども勧告を重く見てくださるとすれば、私ども勧告の中に、御承知のように、「一般職職員給与に関する法律及び人材確保法に基づき、別紙のとおり勧告します。」と書いてありますから、勧告に基づきということがはっきりしていれば、そのことはおわかりいただけるだろうと、もう私ども立場としては、それだけしか申し上げられません。
  20. 塩崎潤

    塩崎委員 この点につきましては、いま中山委員から即座に直せというお話がありまして、私は、非常に意を強くしておるわけでございますが、これはひとつ、あと理事会ででも御賛成願いたいと思うわけでございます。つまり、これは文教政策と非常に関連のある改正だと私は思うのです。人確法がなければ、いまごろ出るはずがない、そんなような気持ちがあるものでございますから、御提案申し上げておるわけでございまして、そこでひとつ、今後とも十分に御検討をわずらわしたいと思います。  そこで、時間がございませんので、その次の問題に移りたいと思います。  まず第一点は、この法案内容でございますが、人事院勧告の三月十八日の分、この三の(二)の中に、「大学卒採用十数年経過後の教員給与について」云々とございますが、これが根本的な教員給与改善の思想だと思うわけでございます。行政職とのアンバランスの問題が、この発端であることは間違いありませんが、これは、どの程度修正されるか。今後の人確法精神から見て、将来、教員給与をどの程度に考えておられるか。まず総務長官お答え願いたいと思うのでございます。  つまり、私ども人確法の際に、いろいろと論議をしましたけれども、まず五〇%アップぐらいのことを考えてみるという意見もあるわけでございます。倍という説もある。しかし、そこは予算上の問題、財政上の問題もあるし、また、いろいろな問題がありますので、明確にいたしておりませんが、今度は予算に計上された一〇%程度を上げただけにとどまっておりますが、将来、これをどう考えておられるか、総務長官、ひとつお答えを願いたいと思います。
  21. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 給与の問題につきましては、もちろん個人的な考えは一応持ちますが、内閣のシステムといたしましては、人事院勧告を尊重していくというたてまえをとっております。したがいまして、人事院がどのような勧告をこれからされるか、私はそのほうに譲ってまいりたいと思います。
  22. 塩崎潤

    塩崎委員 当然の法律的な仕組みを申されたわけでございますが、私は、人確法という大きな精神のもとで初めて教員給与改善ができる、こういうふうに考えるわけであります。いままでのような人事院勧告精神から、直ちには教員行政職との間で五〇%アップするというような考え方は容易に出てこない、これは私、政策的な問題だと思うわけでございますが、これにつきましては、人事院総裁、今後どう考えられるか。私は、人事院勧告に関連し、その内容でありながら、同時に、それをこえた政策的な、多分に政治的な直観的な問題だと思うわけでございます。それは多分文教政策と関連する問題であるだけに、私は、今後の教員給与あり方について、簡単に御意見だけ承っておきたいと思う。
  23. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 他の機会にも申し述べたことがあると思いますけれども、私どもとしては、従来の教員給与あり方は決して満足なものではない、これを一そう改善すべきであるということは、常々申し上げておったところでございます。ただし、五〇%とか何十%とか、理想の目標はいろいろ考えられますけれども、結局、その辺のところになってまいりますと、教員人材としての質そのもの充実確保ということとこれは並行しながら考えられていかなければならぬことじゃないか。たとえば裁判官並みということになれば、裁判官は一体どういう修練を経て、どういう養成過程を経て一人前になっておられるかということも、これは今後の問題としてはにらみ合わせながらいかなければならぬことじゃないかというように、一口に申し上げればそういう気持ちを持っておるわけでございます。
  24. 塩崎潤

    塩崎委員 時間がございませんので、次の問題に移りたいと思いますが、そこで今後、教員給与については、私どもは、計画的に行政職との間あるいは他の公務員との間のバランスを離れてでもよくしたいと考えているわけでございます。しかし、あの人確法義務教育職員に限られておった、その影響がどこまでくるかと考えておりましたが、参議院附帯決議もあり、高校先生までにもこの調整を考えなさいということになったわけでございます。いわゆる三本立てとして古くからあって、これが非常に文教政策にも関連いたしておったわけでございますが、この三本立ての、つまり大学高校小中幼稚園という三本立ての教育職員給与法、これを今後どのように考えていくのか。  これまでの考え方よりも、若干変わったようにいま見受けられるわけでございますが、基本的には三本立ての線は維持されている。これまでは、もう二年目から高等学校先生のほうが給与がよくなったわけでございますが、今度は大学卒業生小中学校先生より多くなったという理由のもとに、十一年までは同じにして、十二年目から変えておることになっておりますが、これが、いまたいへんな不安を与えている向きがあるわけでございます。ことに高等学校先生方は、小中学校先生方と違って校長や教頭になる機会が少ない。したがって、この三本立ては維持さるべきだという意見がある。こんなことについて、人事院総裁はどう考えられるか。  あの法律は、確かに義務教育職員だ。田中総理大臣は、大学先生よりもよくしていいのだというようなことも言っておられるわけでございますが、バランスを考えられるのが本命の人事院総裁でございますので、これをどう考えられるか、ひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  25. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おっしゃるとおり、このいわゆる三本立ての発足いたしました昭和二十九年当時と今日とを比較いたしますと、たとえば免許の基礎資格その他において、あるいは学歴構成において、だいぶ変わってきているという点がございます。したがって、その辺にもわれわれは目を配りながら措置をしなければなりませんが、それよりも例の人材確保法案が、義務教育ということを非常に重くお扱いになっていらっしゃるということも考えますと、やはり義務教育を中心として今回の勧告は申し上げざるを得ない。しかしながら、いまのおことばにもありましたように、いわゆる逆転現象をはじめとして、均衡問題というものは、やはり当面無視するわけにいかないということで、その辺のところを勘案して勧告を申し上げたわけであります。  しかし今後、三本立てを一体どういうふうに持っていくかということは、私ども非常に重大な問題であろうと思います。したがいまして、現にそれらの点に関しまして、学識経験者その他各方面意見も伺いつつ勉強しておるわけでございますが、これはまた、今後、各方面の御意見もさらに慎重に聞きながら、十分検討を続けていきたいと思いますし、またお気づきの点がありましたら、そのつどお教えをいただきたいという気持ちでおります。
  26. 塩崎潤

    塩崎委員 時間がありませんので、あと二点ばかり御質問をさしていただきたいと思います。  まず第一点は、人事院総裁、三月十八日の勧告の五の「その他」の中の(一)でございますが、学校における事務職員について御質問したいのです。先般、人確法それから教頭法成立の際に、確かに参議院で、事務職員についても給与改善附帯決議がついたと思うのです。ところが、この勧告を見ますと、さっぱりそのことについてこたえていない。「学校における事務職員の任用、配置等の処遇についても、今後とも十分配慮することが望ましい。」というふうに、何かから振りを食らわしたような感じでございます。   〔小宮山委員長代理退席委員長着席〕  どういうお気持ちなんですか。同じ学校という場において、学校先生だけがよくなる。しかし、その場におる教育事務職員は、やはり普通の行政職と違った感覚をもって出てくるのが当然じゃないでしょうか。そうなると、行政職と離れた事務職員にして、待遇改善をはかる必要が十分あると思うのですが、おこたえになっていないのは、どうなっておるのかということでございます。  もう一つ、第二点は、「その他」の中の(二)でございますが、例の付属学校先生方の長年の悩みでございます。これだけ学校先生の給料がよくなってくると、行政職の例を持ってくること自体がまずいと思うのです。ところが、いま国立付属学校先生公立の小、中学校に、交流で行くと給与が下がる、これが多年の悩みでございます。これも「均衡が保たれるよう特に留意されることが望ましい」というふうに、何を言っておるのか、どうしたらいいのか、さっぱりわからないような、いつも明確な御答弁をされる佐藤総裁と思われぬようなものが書いてある。これは、どうすればいいんですか。  なお、中央官庁の役人が地方へ行ったときに、二号俸昇給させてバランスをとるのだというようなことでは、教育職員の問題は考えられないほどいま待遇が変わりつつある。したがって、教育職員の間だけの関係として考える。行政職との間の交流などというのを例にして——しかも行政職との間の交流というのは、きわめてわずかなんですから、これは、ひとつバランスをとる方法を考える。それにはどうすればいいのか、ひとつこの勧告意味を教えていただきたい。この二点、最後に御質問申し上げます。
  27. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 割り切った書き方をいたしませんでしたことは、正直に申しますと、実は国立はわれわれのほうの所管になりますけれども公立関係はわれわれの所管の外になるものですから、その意味で、そう単刀直入に表現をするということは差し控えざるを得ない。これはおわかりいただけると思います。  事務職員お話でございますけれども、たとえば国立付属学校の例をとりますと、これは事務職員の人間の交流配置あり方等から、そうたいして待遇上不当な結果にはなっておりません。そういうことで、われわれとしては、人事扱い方、あるいは級別定数などの扱い方というような点において、いままでも努力をしてまいりましたし、今後もそういう方面に力を入れていけばよろしいだろうということが、まず出発点になっております。あとはニュアンスの問題で、公立学校の場合を見ますと、一人か二人しか事務職員の方はいらっしゃらないというのが、おそらく多くの例じゃないか。そういう方々に対して、どういう適切な処遇というものが考えられるかということ、これは、われわれの所管を越えた別の問題ではございますけれども、われわれの経験から申しましても、いま申しましたように、昇進の関係あるいは人事交流関係というような面から、その辺の待遇考え方扱い方というものは、またあるだろうということも含みとしながら触れた、きわめて遠慮深く触れたということでございます。  それから、第二の公立学校先生給与の問題についても、これも、いま申しましたようなことから、そのものずばり真正面から打ってかかるということではなしに、われわれが国立学校先生方人事関係給与扱い方を見ておりまして、公立から国立のほうにかわっていらっしゃると、とにかくひどい、非常な差がその間にあって、公立並みの給与上の待遇を維持するというためには、相当苦労する場面がありますので、そういう経験に足場を置いて、そうして公立先生方給与というものは国立に準ずるという、これは教員特例法にはっきり書いてあることでございますけれども、なお念のためにそういう点についてのわれわれの気持ちを述べたというのが、率直なお答えになると思います。
  28. 塩崎潤

    塩崎委員 これでやめたいと思います。この法律は、私どもが苦労いたしました人確法に基づく、その第一年目の待遇改善だと思うわけでございます。これからも計画的に行なわれる。そういった意味でまだまだ不十分な点がございますが、同時に、これは文教政策とも関連がございますので、私は、本来なら連合審査、こんなことが必要だと思うのでございますが、時間がないと言われますので、単独の審議になったので、非常に残念に思うわけでございますが、これからも、もう少し総務長官あるいは人事院総裁、文部省にもお考え願って、根本的にひとつ改めていただきたいと思うわけでございます。  この程度できょうは終わらしていただきます。
  29. 徳安實藏

    徳安委員長 大出俊君。
  30. 大出俊

    ○大出委員 質問に入ります前に、二月二十一日に、私がこの席で、総務長官並びに人事院総裁に、給与各般にわたりまして質問をいたしましたが、そのときにおける総務長官並びに人事院総裁の御答弁、この口調にかかわる幾つかの、そのことば自身が穏当ではないのではないかという文書を実はいただきましたりいたしておりますので、したがいまして、その点について、私が質問者でございますので、私にも責任があるわけでありますから、そういう意味で再度御真意を伺いたいのであります。  中身は、私が、昨年末、〇・三カ月分の期末手当の繰り上げ措置が行なわれたのでありますが、その事後処理をどうするかという詰めをやりとりいたしました中で、いま、それについて確たる答えができないという総裁の答弁がありましたあと、「しかし、いつも申し上げますけれども、わが事なれりということだけで、周辺の事情にわれわれは目をつぶり、耳をふさいでいるわけじゃないんで、これは、現下の物価の上がり、下がりと特に申し上げますが、上がり、下がり等についても、常に注視をしております。」、こういう総裁の答弁がまずございました。これが実はこの議論の締めくくりだったわけでありますが、小坂総務長官のほうから、私とのあとのやりとりの中で、「私、」、つまり小坂さんでありますが、「私、先ほど来、人事院総裁の御答弁をいろいろ伺っておりまして、自分たちは何も見ないようにしているんじゃないんだ、つんぼやおしでいるつもりはないんだということをおっしゃいましたので、そうしたお考えで人事院でもいろいろ考えていらっしゃるのではないかというふうに思います。」、こう、人事院の見解をそんたくされて、総務長官から御答弁がありました。  ここで、つんぼやおし、こういう言い方なんですが、この種のことばを、まあ冗談ということは、世の中にありますけれども、公のところでということになりますと、とかくこれは、穏当を欠く発言ではないかという御批判が出てくる世情であります。この小坂さんのお答えにつきまして、人事院総裁から「先ほど、総務長官は、つんぼでもおしでもないとおっしゃったが、私は、めくらでもつんぼでもないという趣旨で申し上げたわけなんです。」と、つまり少し言っている趣旨が違うということを、ちょっとそこで軽く触れられたおつもりだったと思います。  いま、三つの議事録に書かれております点をあげて申し上げましたが、実は私も真剣なやりとりをいたしておりましたから、この場の雰囲気というものは、決して批判をこうむるような意味のやりとりではなかったつもりなんであります。総裁もずいぶん用心深く、目をつぶり耳をふさいでいるわけじゃないんだというのが本旨だったわけでございまして、そこらのところが、とかくこういうやりとりの中では、ひょっとことばがはずむ場合もあります。  そういう意味で、ことばが穏当でないと私どもに連絡をいただくような——これは二十二日でございましたか、朝日新聞の朝刊に「国会」という欄がございますが、そこに総裁の写真入りでこのくだりがちょっと載っておりまして、何とかするという意味の示唆であったという結びになっておりました。これが皆さんの目に入ったんだと思います。他意なきやりとりであったわけでありますが、そういう意味総務長官にも一言御真意を承りたいし、また、あわせて総裁のほうからも、御発言をいただいておきたい、こういうふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  31. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま御指摘の二十一日の大出委員とのやりとりの中で、私の申し上げましたことばの中で、きわめて不穏当であったことを反省いたしまして、できますれば、この部分は取り消させていただきたいと考えております。
  32. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 二十一日の御審議の次第は、ただいま大出委員おっしゃるとおりでございました。あえてそれを繰り返して私、申し上げる必要もないくらいにそのとおりに承知いたします。しかし、いきさつはともあれ、私自身、一部ではありますけれども、不用意な、あるいは不謹慎なと申しますか、発言があったことは、これは、まことに深く反省しているところでございますし、そのために例の新聞の記事となり、ひいては身障者の方々のお気持ちを、非常に著しく傷つけたという結果になりましたことについては、深く反省いたしますとともに、ここでおわびをいたしたい、こう思います。
  33. 中路雅弘

    ○中路委員 関連して一言だけ意見を述べたいのですが、経過は、いま大出議員からおっしゃったとおりですが、私も、もう一度議事録をよく読ましていただきました。朝日新聞では、人事院総裁ことばが問題になっていましたが、議事録をよく読んでみますと、小坂総務長官も同じような趣旨の御発言にほぼなっているんですね、よく読んでみますと、やはりこれは、不用意な発言ではあったと思います。内容はめくらとかつんぼ、おしであればだめなんだ、ものが考えられないんだというふうにとれる、やはり差別用語でありますし、この問題で私たちのところにも、聴覚の障害者、視力の障害者の皆さんから強い抗議が来ているわけですから、いまこの問題について、発言の取り消しと陳謝をされましたが、私は行政の責任ある立場にある皆さんから、こういうことばが出ている点で重要だと思いますので、この機会に、やはり総務長官から障害者の皆さんに対する見解、人権の問題にもかかわる問題ですから、政府としての障害者の皆さんに対するお考えについて、一言この委員会で述べておいていただくということが、陳謝とあわせて重要ではないかと思いますので、その点を一言要求しておきたいと思います。
  34. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの御発言、まことにごもっともでございますし、私もこの機会に、身障者の方々を、不用意に私が申したことでたいへんに傷つけたということを申しわけなく思っております。また身障者の方々に対して、私は、今日までも常にこれらの方々を社会が、あるいは政治があたたかく考えて、これらの方々の負っているいろいろな社会的な非常なマイナス面を、何らかの形で政治というものが常に保護し、勇気づけて差し上げなければならぬものだというふうに考えておるものでございまして、そうした私の本来の考え方から見ても、この発言は、まことに不用意であったし、御指摘いただくまでもなく、心から陳謝をいたしておるわけでございます。
  35. 大出俊

    ○大出委員 たいへん筋の通った再度の御発言をいただきましたから、この向きの方々のお気持ちがございますので質問したわけでありますが、しかるべき処置を、ひとつ委員会等でおきめを賜わりますようにお願いを申し上げておくわけでございます。  本題に入らせていただきます。時間がございませんので、問題をしぼりまして、三点ぐらいを中心に承っておきたいのであります。  一つは、さきの質問者の方の最後にございました学校事務職員の方の問題でありますが、たいへん舌足らずな勧告の中身になっておりまして、総裁の答弁を承っておりまして、気持ちがわからぬわけではありませんが、しかし私は、やはりこれは、もう少し突っ込んだ考え方をしておく必要がありはせぬかという気がするのであります。もちろん行政職でございますから、そういう意味では、他の行政職との関係も当然出てまいります。  そこで、まず一つ承りたいのは、特に義務教育関係における学校事務職員の方が、どういう環境に置かれているかということであります。時間がありませんから、私のほうから申し上げてお答えいただきたいのであります。小規模校などではないところもありますが、そうでないところに大体一名ぐらい、私、横浜でありますが、おいでになるのであります。職員室に一緒においでになりまして、給与、経理等の関係からいろいろな事務をおやりになっている方々であります。最近は、学校事務職員になかなかなり手がないのでありまして、いやがるわけであります。先生方の中に一人いて事務をとる、こういう立場だからであります。  もう一つは、学校の子供さんの側からすると、職員室においでになりますから、事務職員の方も先生というふうに子供は考えておりまして、そういうふうにまた呼んでおります。だから、何か事にぶつかったときに、あわてて飛んで行く、先生がおいでにならぬ、事務職員の方がおられると、先生といってその人を呼んで相談をする。相談された方も、私は先生じゃございませんからといって答えないわけには、相手が子供さんですからいかない。それなりの答えをしておいて、担任の先生に、何々君がこう言ったからこういうふうに話しておいたということを相談をする。そういう環境に実は置かれているわけであります。その意味では、事務職員方々立場というのは非常に重要でありまして、ここは教育の場にあって先生方と同じような立場でものを考えて終始しませんと、学校教育それ自体がうまくいかないという側面もございます。  今回の措置に基づきまして、先生は俸給が上がっていくのでありますけれども、この方々だけは取り残されていく、こういうかっこうになりますと、ますますもってなり手がないということが出てくる。それでは困るわけであります。何らかの立場でこれは考えなければならないことになる、こう私は実は思うわけでありまして、したがって、ただ単なるこの触れ方ではどうも感心ができない。これが第一の点であります。どういうふうにお考えになっておられるかということ。  それからもう一点、給与法の十条がございます。給与法の十条は、よく御存じのとおりに、「俸給の調整額」、こういうわけであります。この十条を受けて、人事院規則の九−六だと思いますが、規則が出されております。たとえば結核などの場合に、一二%調整額がついているわけでありますけれども、時代の流れということの中でずいぶん変化がございまして、はたしてここにいう調整額というものが、このままでいいかどうかという疑問の点がたくさんございます。いずれこれは、何らかの形で考え方を統一する必要がありはせぬかという気がするのであります。  したがって、直ちにだから事務職員に何がしかの調整額をということと結びつくつかぬは、議論のあるところだと思いますが、何らかの措置をここで考えなければならぬとすれば、一つの方法としてそうした考え方も、十条を根本的に考え直すという必要がある段階でありますだけに、必要ではなかろうかという気がするのであります。  時間がありませんから、ほかのことを申しませんが、もう少し調整額で見ていく必要のある職種もほかにないわけではない、こういう気が私はいたしますので、基本的な十条にかかわる問題とあわせて、この問題についてお答えをいただきたいのでありますが、いかがでございますか。
  36. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほども触れましたように、国の場合を考えてみますと、これは、多くの職場において俸給上の扱いを異にする人たちが一緒におられるという場面がございます。どこにもあり得る問題だとは思いますけれども、特に、この学校の場合を考えてみますと、国立学校に関する限りは、先ほど触れましたような任用上の扱い配置のやり方あるいは定員のきめ方、級別定数のきめ方というような点で、まずまずというところをいっているものですから、そういう経験を踏まえて、われわれの気づきを申し述べたというのが率直なところでございまして、そういう扱い方による是正の方法もあるんではないかということに尽きるわけでございます。
  37. 大出俊

    ○大出委員 これは総裁、あなたの所管をされるのは、国立学校、つまり国家公務員をさすわけであります。だから、付属ということばが出てくるわけでありますが、付属のほうはまだいいんですよ。これは大学の事務局がありますからね。そこには何人もの事務職員の方がおりまして、事務長さんもおいでになって、付属事務職員の方と交流は常時できるのです。私も知っているところが幾つもあります。私の友達もそこにいます。事務長をやっております。だから、これは組合という、つまり労働組合の分野でいっても、そちらのほうの方々からは、あんまり強い御発言はない、全くないわけじゃありませんが。  ところが、そうではなしに、離れ小島みたいに地方公務員である、つまり学校先生方職員室にみんなおいでになる中に事務職員がぽつんと一人いる、こういうふうなところに実は問題があるわけなんですね。ただ人事院は、そこまでの所管はいたしていないというお話が出てくるかもしれない。しれないけれどもあとの平準化の問題にちょっと触れておられるけれども、やはりそれは、地方公務員立場からすれば、国家公務員に準ずることになっておりますので、そういう意味では関係があるわけであります。だから、あんまり所管がこっちだからということだけでなしに、官民比較その他もおやりになる人事院でございますから、一般論として、人事院所管云々ということとは別として、そういう事務職員立場というのをどうするかというそのことに、やはり焦点をお当ていただきたいという気がする。  だから、私は、県庁なら県庁から事務職員学校に行った、その間は何がしか、やはりそこで調整をされる何%というようなものがあって、戻ればなくなっていく、だから、まあ何とか行ってくれといって人を見つけて行ってもらえる、そういうふうな措置が必要ではないか、こういうふうに言っているわけです。決して一般行政職とからましているわけではない。だから、そこらのところは、所管がという意味ではわかるんですけれども、もう少し前に出てものを言っていただきたい気がするのでありますが、いかがでございますか。
  38. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実情は、公立学校先生方ともしょっちゅうわれわれ接触しておりますものですから、一人か二人しかいないとかいうような、その他の点も十分心得ながら理解はしておるつもりでございますけれども、結論は、いかんせんいま申し上げましたようなことになります。しかし、それをほっておいていいものかどうかということについては、われわれも所管外だからという冷い態度でなしに、文部省と接触する機会がありますごとに、その辺についても、お互いに検討しようじゃないかというような意思の疎通といいますか、勉強といいますか、そういうことは心がけてやっております。そういう方向でなお今後も臨んでまいりたいと考えております。
  39. 大出俊

    ○大出委員 私も、実情を知っているだけに、よく職員室に行って、皆さんと話したりしますから知っているだけに心配をするんで、ぜひひとつ、これは前向きで御検討願いたいんですが、いかがでございますか。
  40. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま申しましたような態度で、前向きで勉強を進めてまいりたいと思います。
  41. 大出俊

    ○大出委員 時間がございませんから、あえてくどくは触れませんが、ぜひひとつお願いをいたしておきたいと思います。  次に、〇・三%のあと処理という問題がなお残っておりまして、人事院は二月の二十六日から三月の二十六日、一カ月間、七百カ所前後のところを、官民比較という意味で調査をされておるのではないかと思っておりますが、調査をお進めでございますか。
  42. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 調査は、相当進捗しております。ただ、まだ回答の来ない部分がございますので、それを待ちながらその結果をながめたい、こう思っております。
  43. 大出俊

    ○大出委員 結果的に何百カ所ぐらいになりそうでございますか。
  44. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 給与局長からお答えいたします。
  45. 茨木広

    ○茨木政府委員 いま七百カ所ばかり、実地調査とそれから書面調査と併用していたしてございます。八、九割のところまでは集まるのではなかろうかと思っております。
  46. 大出俊

    ○大出委員 この問題は、先般いろいろやりとりをいたしましたので、突っ込み過ぎる言い方はいたしませんけれども、時期の判断がございまして、つまり、おのおの生活をかかえている公務員の諸君でございますだけに、これは今次春闘云々なんというものとは切り離してものを考えているわけでありまして、そうした意味で時期的な、あと処理という問題を考えての勧告等が必要であろうという気がするのでありますが、勧告になりますか。  それと、来月の上旬ということのように思いますけれども、できれば五日ぐらいの見当でお考えを願いたいという、私はあとを考えて意見を持っているわけであります。と申しますのは、いずれにせよ、これは新年度予算を考えなければなりません。暫定予算では、期末というものは組まれておりませんから措置できません。そこで十二日にこっちを通っておりますので、四月の十一日が自然成立だろうと思うのでありますが、そうなりますと、それ以後ならば新年度予算を使えることになる。そうなると、なるべくその辺で早い時期にという気がするのでありまして、そこらの事後処理を考えると、どうも上旬、といって十日ぎりぎりになってしまいますと、ひょっとすると、また少しずれて——当然国会も通さなければなりません、勧告がもし出されるとすれば。  だから、勧告をお出しになるのかどうかという点を承りたいのと同時に、法改正が当然必要になると思うのでありますが、そこらもひとつあわせて、どういうふうに判断されているかという点を承っておきたいわけであります。
  47. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 特に、異例な調査ということをやっておるわけでございますから、その気持ちはおくみ取りいただけると思います。  ただ、いまお話にもありましたとおり、結局は、四十九年度分の問題になるということは、これは動かせませんけれども、その範囲の中でどういう具体化の形になりますか、これは、なお十分検討を詰めてまいりたいと思っております。
  48. 大出俊

    ○大出委員 給与局長さんのほうでおやりになっておる事務的な面がおありになると思うのでありますが、やはりこれは、筋道としては勧告ということになるのだろうと思いますが、いかがでございますか。
  49. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 もちろん勧告の形で御提案申し上げるつもりでおります。
  50. 大出俊

    ○大出委員 まあ二十五日が、大体三月の賃金台帳に載る時期だろうと思うのであります。したがって、二十六日ぐらいまでの調査をされれば三月までの賃金、こういうことになるだろうと思うのであります。だから、いまおっしゃったように異例な、また忙しい御調査だと思うので、事務的にもたいへんなことはわかるのでありますが、いま私が申し上げましたように、あとの処理をできるだけ早く——こういう異常な物価上昇の時期でもあります。先般、物価上昇を注視するというふうにお話しになった総裁のお気持ちもございます。そういう意味で、差し迫ったこの忙しさはわかるのでありますが、何とかひとつ、早く決着のつくようにお願いをしたい、こう思うのであります。できるだけひとつ、四月の上旬も半ばぐらいのところまでに御処理願いたいと思うんですが、見通し困難でございますか。
  51. 茨木広

    ○茨木政府委員 いま鋭意やっておりますので、できるだけ御趣旨に沿う方向で努力いたしたいと思います。
  52. 大出俊

    ○大出委員 次に、先生方の俸給が、義務教育において九%、高校においても五%何がし上がるわけでありますけれども、ところで問題は、かねてから懸案の一つになっております、一般行政職の、総合較差なるがゆえに出てきております、逆格差という問題がございますために起こる目減り、それに持っていかれる、だから、減ってしまうという行政職の一表、二表等の関係方々があります。この方々に関して、旧来、人事院もそのことはお認めになっておって、そこらのやりとりが、ずうっと職員団体の側と続いている。だから、そういう意味では、昨年の十月の二十四、五日だと思いましたが、人事院にもまた小坂総務長官のほうにも、何とか五%ぐらいを考えてもらいたいという、当該団体からの文書等も出ているのだと思うのであります。  それが今日、この時期に、看護婦さんの勧告が出される、あるいはこれから先、また給与法改正にかかわるかもしれない官民較差の勧告が出てくる、こういう過程を経ておりますので、そうした時期に、なぜこれを処理できないか、できない理由がどうもはっきり受け取れないのであります。つまり、一般行政職等に関する今回の措置に伴いましての総合較差からくるところの目減りというものに対して、今日、人事院がどうお考えかという点を承りたいのでありますが、いかがでございますか。
  53. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま御審議教員関係、それから先ほども触れました看護婦関係等の給与改善をお願いいたしまして、これが実現いたしました後においての官民の比較の問題となりますと、これは従来の総合較差方式が正しかったであろうとなかろうと、とうてい維持できないということは、かねがね申し上げておりましたところでもございます。今回の夏の勧告の場合においては、いま申しましたような従来の総合較差方式は改めざるを得ないという気持ちで、これに臨んでおるわけでございます。
  54. 大出俊

    ○大出委員 これは長年の私の主張ですが、官民較差を比較した場合に、公務員のほうが圧倒的に数も多いし、また民間が非常に少ない、だから、公務員のほうが高い、こういう分野は、私は比較の対象外にすべきだということを、何べんもいままで言ってきたわけでありまして、別に考えるべきだという主張をしてきたのでありますが、発想はどうあれ、今回この法律では、違った形で別に扱われているわけであります。その最たるものが教員であり、看護婦なんですね。看護婦の正規の免許証を持っている方は、二十万をこえる方々がおいでになるはずでありますが、御家庭に入ってしまっている方々を、年間二千人ぐらい厚生省などでは一生懸命呼び出しているわけです。そういう分野でありますから、これは特殊なんです。  だから、きょうも先ほど御報告がありましたが、看護婦さんの勧告も出ているわけであります。いみじくも私どもが言っておりました教員看護婦というものが考え方の上では抜けていった。そうすると、どういう結果が出るかと、ちょっときのう私、計算してみたんですが、計算機がありませんので、手書きの計算でありますから、正確さを欠きますが、これは人員ウエートで見まして、学校先生あるいは看護婦さんという方々が一五%ぐらいおいでになる。茨木さん、ここらは一体どれくらいかという点を、あとお答えいただきたいのでありますが、私は一五%ぐらいになるのではないかと思います。そうすると、他の公務員方々が八五%、こういう分かれ方をする。看護婦さん、先生を分けますと一五%、こっちが八五%、こうなる。  そうしますと、この部分が総合較差ということからはずれていくわけでありますから、今回、たとえば二五%、三〇%——どのくらい人事院勧告されるか、それはわかりません。たとえば二五%と低く見ても、一二五掛ける百分の八十五、つまり〇・八五、これは一〇六・二五になる。そして片や対象になる民間の側の落ち、これがございますから、そういう意味では九〇と見て、掛ける〇・一五、つまり百分の十五、これが一三・五という数字が出てまいります。そうしますと、一〇六・二五ということは六・二五ということでありますから、六・二五から一・三五を引きますと、大体四・九から五ぐらいの数字になるのではないかと思います。つまり目の子計算をいたしましても、実は三%ではなくて、五%ぐらいの差になるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そうなると、これは決して小さい額ではない、そういう気がするのであります。  そこらを、人事院側は一体どういうふうにお考えになっておられるのか。また計算をしておられるのか。だからこそ、私は、この処理を的確にしていただかぬと困る、そういうふうに思うわけでありまして、結果的にそう小さいことにはならない。いままで私は二・六二なんという数字で申しておりましたが、ゆうべ調べてみると、どうもそういうことじゃないので、そこらのところを、どうもいままで私は人事院にちょいちょいごまかされていたようで、総裁も人が悪いですな、全くもって。人事院の数字から計算したら二・七だなんというので、そうだとばかり思っていたらどうもそうでない。そこらは一体どういうふうにお考えになっておられるのか。総裁笑っておられるが、みんなが関係するのだから、あらためて言うてもらわなければ困る。
  55. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 行政職方々にとっては、たいへん耳寄りな御観測になるわけでございますけれども、そういうことになりますかどうですか。この比較のやり方そのものについても、なお現在、鋭意検討中でございまして、たとえばいまお話にも出ましたように、こういう教員なり看護婦が抜けただけで、もうあとはいいのかというような話から始まって、処理するやり方の問題もあろうと思いますし、これは、またちょっと時間もあると思いますから、今後またいろいろとお知恵を拝借しながら、妥当な結論が出るように努力をしてまいりたいと思っております。
  56. 大出俊

    ○大出委員 見方、角度というのはございますが、旧来の議論からすれば、抜けていくのだから、私がいま言ったようなことになる。茨木さん、ひとつ事務的にそこらのところ、給与局としてはどう考えておられますか。
  57. 茨木広

    ○茨木政府委員 その前に、先ほど御質問ございました数字の点を申し上げます。私どもの扱っております対象が、総数四十九万人弱でございますけれども、この中で看護婦が約三万人、教員関係が約五万人弱でございます。  それから夏の勧告で、総合較差の比較方式を、若干変更ということを触れておりますので、その観点からいろいろ検討を加えておるわけでございます。ただ、いま総裁からもいろいろございましたが、従来、平均較差以上に出ております職種、それからそうでない職種もなお残っております。そんな関係もございまして、これを今後どういうふうに扱ったらいいか、そういうことについても、いろいろ議論をやっておる最中であります。
  58. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんから締めくくりますが、いわば本年度の本勧告と言ったらいいのかもしれませんが、例年やります給与勧告、この中でとなりますと、原資の行ったり来たりというのは、ちょっとわからぬですよ。旧来言っておられる三%前後なら、これは一号俸なんですね。そうしますと、一号俸なら一号俸というワクを、はっきりさせませんと、この分はこうなるんだと言われてみても、先ほど総裁笑っておられましたが、調査資料もお出しになるわけじゃないのだし、なかなかわからぬのです。  だから、やはり目に見えるようにしていただきませんと、皆さんのほうは、目に見えないことにしようというお考えかもしれぬけれども、それでは困る。やはり目に見えるようなことにしないと大方の方々は納得しない。したがって、そこらのところは、方法はいろいろありますので、ぜひこれは早目に、関係団体の方々もおいでになるわけでありますから、詰めるところは詰めてみていただいて、一つの方向づけをしていただく必要がある。そうしないと全体のおさまり方が非常にぐあいが悪い。士気にもかかわります。どうも先生だけ上がってといって——上がることが悪いわけじゃありませんけれども、いざこの法案審議となると、皆さんから意見があるところである。それくらい関心の高い問題でございますから、ぜひそういうふうな方向づけをしていただきたいと思いますが、総裁いかがでございますか。
  59. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 十分御趣旨はわかりました。それらの点も含んだ上で十分勉強してまいりたいと思います。
  60. 大出俊

    ○大出委員 これで終わりますが、文部省の方々にお出かけいただいたんですが、学校先生方給与を上げる、賛成でございます。しかし人材の確保というのは、それだけでできるわけではないはずであります。したがいまして、そこらの問題点に触れて、とかく男子、女子の差があるわけではありませんけれども、集まる人材が女性のほうに大きく片寄っているという感じもするのでありまして、なぜ一体そういうことになるのか。片や給与が上がる、法律が通るとたんに、政治の分野では——これは総務長官にも承りたいのであります、この席に御出席の大臣は、総務長官ただお一人でありますから。とかくどうも、やれ教職員団体がけしかる、けしからぬという議論がこの国政の場で出てくる。  まあ、国鉄は民間に切り離すなんというようなことをおっしゃる総理でございますから、どこまで真に受けていいか、これは別として、どうもそうなると、あめとむちではないかというものの判断がすぐ出てくる。ここらもあわせ考えまして、この際、給与を上げるんですけれども人材を確保するという意味では、一体何が中心かという、もう一つお考えを聞いておきたいわけであります。これは文部省の側から、ひとつお答えをいただきたいのと、この法案を御提案なさる総務長官からも、ひとつ御意見をいただいておきたい、こう思うわけであります。
  61. 藤波孝生

    藤波政府委員 先ほども塩崎先生お答えをいたしましたように、今回の人確法案に盛られております教育を大切にする、教員を優遇する、これを、恒久的に計画的に優遇措置を講じていくという大原則を確立していただきまして、今回の給与法改正という運びに至ったわけでございます。  したがいまして、国民の皆さん方の教育に対する御熱意、りっぱな教育を進めるように、こういった非常に強い御要請にこたえて、政治の世界がこういった法律をつくってくださった、こんなふうに考えておるわけでありまして、教育界にとっては、非常に意義の大きなものであり、これは、もう文部省とか日教組とか言わないで、教育界全体がこの期待と要請にこたえなければいかぬ、こういう非常にきびしい、引き締まった気持ちでこの給与法改正を見守っておるわけでございます。  先生御指摘のように、給与改善されて、それで何もかも解決をするわけではありません。りっぱな教員を養成するという仕事も、もっといろんな面から検討をしてまいらなければなりませんし、すでにことし、大学によりましては、実は教育学部の受験の倍率が上がってきておるというような例もございまして、やはり教育職というものに対する青少年の期待というものが、自分の一生をかけて使命感に燃えて教育に取り組んでいく、そういうふうな感じの職業としてすでに浮かび上がってきておる、こういう感じがするわけでございまして、こういった仕事をさらに進めていくことにいたしたい、こんなふうに考えております。  同時に、教育の現場におきましても、校長を中心にいたしまして先生方に、十分御協力をいただいて、りっぱな教育の場をつくり上げていく。PTAの皆さん方、国民の皆さん方の御協力もいろいろいただきながら、ほんとうに美しい、豊かな人間をつくり上げていくという、心の通い合う教育の現場をつくり上げていく、このことが非常に大事なことだと考えておりまして、今後、そういった面につきましても、各方面の御協力をいろいろいただきながら、文部省として最善の努力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。  同時に、先ほど来もいろいろ御指摘がございましたけれども学校の中で教育一筋に携われない事務の繁雑さでありますとか、いろいろな面もございます。そういったことも、できる限り今後努力をいたしまして、別の意味から、先生ほんとうに全力投球で教育に取り組んでいただける、そういった環境、条件をつくり上げていくためにさらに努力をしていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  62. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私は、教育というものが非常に大事であるということは、これは論を待たないと思います。やはりこの法案といいますか、今度の給与改定は、教職員の人たちが安心して生活していけるということを、まず実現するためのものであって、それ以上のものであってはならないというふうに私は思います。安心して生活をしていけるということから、すべてが、教育態度もあるいはまた考え方も、いろいろなものが機能されるのではないかと私は考えます。  そうした意味で、私といたしましては、この異例ともいうべき教職員に対する九%の給与引き上げということが、結果において、他の公務員諸君にとっては、非常にアンバランスをただもたらしたというだけでは困ると思うわけでございまして、ぜひひとつ、こうした思い切った措置がとられたそれなりの意味が、日本の教育界にはっきりとあらわれるような方向で指導していくべきものではなかろうかというふうに考えております。
  63. 大出俊

    ○大出委員 先生方が安心して生活をしていける、それ以上のものであってはならないというところに私は賛成なんですがね。とかく、異例な措置に対する受け取り方が、何か別なものがついているという受け取り方になりますと——たとえば創造をするとかあるいは自由とかいうことばがありますけれども、そうでなしに、締めつけ強化というふうなことばもまたありますが、そちらのほうに、別な角度からのこの政治の場でいわれるようなことが出てくるということは、あってはならぬことだというふうに私は思っているのでありますが、しかしこれは、時間のないこの場所で、これ以上議論はできませんから、将来に向けての大きな課題であろうというふうに思っておりますから、そういう意味で、これ以上のものでないというところで、ひとつお進めをいただきたいと思っているわけであります。  議論をしたい問題はたくさんございますが、時間の関係がございますので、以上で私の質問を終わらしていただきます。
  64. 徳安實藏

    徳安委員長 中路雅弘君。
  65. 中路雅弘

    ○中路委員 時間がたいへん限られていますから、二、三問御質問したいと思います。  いままで、人事院の場合、民間との較差が特に五%以上生じたときは必ず勧告を出しておられたわけですが、今度は別の、人材確保法との関連で、平均九%出してこられた、この九%という根拠ですね、これを簡潔にお伺いしたいと思います。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、率直に申しまして、今度の人材確保法案によって、あるいはそのための予算において、大体一〇%というようなことは、一般の相場と申しますか、概念として徹しておるところでもございまして、われわれとして、これを全然無視して作業するというわけにも、正直な話いかないだろう、しかし、われわれは、われわれの立場として筋の通ったものでなければならないということから、この改善を考えました場合に、ただいま御審議のような結果になりました。その結果が大体九%になりました。  これは、いままで伝えられております一〇%という点からいえば、昨年の一五・三九%というような一般の給与の増額がございましたから、それらを勘案していただければ大体一〇%ぐらいにはなるだろう。その結果によっては、どのくらい正確な数字になるか、これは、われわれが所管じゃないので、財政当局その他が計算してくれることではありますけれども、大体は、ほどほどのところにいくだろうというようなことで、主体は、そういうことも考えには入れますけれども、りっぱな俸給表をつくり上げたいということに尽きる。それで初任給に力を入れ、それから例の行政職との交差点に当たる部分を、従来の懸案であったところをすっぱりと解決をしたというようなことに尽きるわけでございます。
  67. 中路雅弘

    ○中路委員 経過でいいますと、法案ができて予算措置ができている、それで勧告が出されたという経過ですね。この人材確保法案の中では、五段階ぐらいの職階の点なんかも問題になったそうですが、国会審議の中では、一応こういう点は、いま封じられた形になっているわけです。おそらく、最初予算措置をされた、それを今度は、頭で割ったというような関係で出てきたのではないかとも思うのですが、これは、いずれにしましても、今度出された問題を見ますと、現行給与体系に基づく改善ということになっているわけです。しかし中を見ますと、初任給は三千五百円アップ、対して従来行政職に比べれば低かったとはいえ、中堅クラス以上、たとえば五十五歳で見ますと、二等級三十七号俸で一万六千九百円という大幅な値上げになっているわけですけれども、一方、事務職員や現業職員給与改善は、まだこの中では出ていないという関係で、いま教頭法案も出ているわけですが、この今度の俸給が、将来のこういう段階的な賃金体系の導入の俸給表の地ならしになりやしないか、ステップになりやしないかという心配も一部出ているわけです。  先ほど大出議員の質問に対して、安心して生活していけるということで検討したのだ、それ以上のものでないという御答弁もありましたけれども、全体としてまだ給与が低いわけですし、特に低い給与の部分を改善していくという立場検討されたんだと思いますが、今度のその点についての考え方を、もう一度はっきりとさしておいていただきたいと思います。
  68. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のとおりに、従来、教員、それから看護婦もそうですが、これは官民比較からいうと逆較差で、国立のほうが高くて民間のほうが本来低いんです。したがいまして、現行給与改善すべきそういう比較の面からの根拠というのは、なかったわけですけれども、それにもかかわらず、教員の仕事の重要性あるいは看護婦の使命の重大性ということに着目して、私どもは、例の総合較差の中のやりくりとしてずいぶん努力をしながらやってまいりましたことが、従来の現実なわけであります。したがいまして、今回予算その他の措置も整えまして、それで、われわれとして従来懸案としておったところが、まずまずきちっとした形で解決できたというふうに考えておるわけでございます。  先ほど、ちょっとお触れになりましたけれども予算が先でというようなことがございましたけれども、われわれは予算が先なのはあたりまえじゃないか、普通の一般職の毎年のベースアップの場合も、ほんとうをいえば、当初予算で相当たっぷりと原資を組んでいただきたいということを、前からもう大蔵当局には申し上げて、総理府にも大蔵大臣にも言ってきたわけですが、大体その方向にいきましたけれども、残念ながら五%というのがちょっと入っている程度なんです。その点からいうと、この教員の場合などは、まことにけっこうなことであります。今度の看護婦予算措置も、われわれのほうがイニシアチブをとって、来年度の予算に入れていただいたということでございます。予算との関係は別に気にするべきことではない、むしろそれは、けっこうなことじゃないかという見方もできると思いますが、結論は、いま申し上げましたようなことでございます。
  69. 中路雅弘

    ○中路委員 教員看護婦引き上げ、これは、まあ当然のことなんですが、先ほど大出議員も、総合較差方式の問題について御質問されて、比較のやり方についての御意見も述べられたわけですが、従来、人事院の皆さんのお話でも、行政職全体で二・六ですか、二・七ぐらいの較差が残っているというようなお話もあったわけです。そこで教員給与を、これを改善していく引き金にしたいというようなことも、お話になっていたときもありますが、七四年度の今後の勧告の中で、この較差をなくす、いままで言ってこられた問題ですが、教員、それから看護婦というふうに上がってきたわけですが、全体として、これからこの較差をどうなくしていくというお考えなのか、内容について、できましたら、もう少し説明していただきたいと思います。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いま触れましたように、従来は逆較差で、本来、改善の必要が官民比較からいえばないのにもかかわらず、われわれ努力して、配分の中でまかなってきたということから出発して考えますと、今度のような、さらに逆較差が大きくなるような措置をとりますと、これは、その措置として、私は正しい措置だと思いますけれども、その結果を受けて、今度の夏の勧告に備えて官民の比較をする場合に、従来のような方式では、これはとてもやれないことだ、当然そこに、根本的な変更を来たさざるを得ないということで、従来の総合較差の方式は、この夏の勧告にあたっては、もう一てきせざるを得ないだろうというところまでは、はっきりしているわけでございます。  それから先は、先ほど大出委員にもお答えいたしましたように、まだいろいろやり方はあるものですから、目下鋭意検討しておるということでございます。
  71. 中路雅弘

    ○中路委員 長い懸案でもありますので、今後七四年の勧告の中では、較差をなくすという従来の言ってこられた線を、具体的な提起としてぜひ出していただきたいと思います。  もう一、二点で終わりますが、先ほどお話ししましたように、今度の場合、いままでの人事院勧告、それから給与法改正予算措置という方向じゃなくて、法案予算措置が先行して、いわば上げ幅までほぼきまるというふうなことで、新聞によりますと、人事院勧告制度の空洞化だとか、あるいは人事院勧告の形骸化というふうに書いた新聞もありますけれども、しかし私は、これまた考えようによっては、こういうことできめられるわけですから、政府が直接当事者と話し合いをして、あるいは交渉によってもできるのではないかということもいえるわけですね、今度の経過を見ましても。  きょうですか、新聞に出ていましたが、総務長官が昨日、春闘共闘委員会の皆さんとの会談の席上、人事院公務員給与について勧告を行なう前の民間給与調査に、政府、労働者側双方から意見を聴取する制度を設けたいという趣旨の新聞報道ですが、給与調査にあたっての意見聴取の制度について触れておられます。  そこで、こういうものと関連して、直接いろいろこの点で交渉をしていくこともできないことはないということが、逆に今度の経過を、また別の面から見た場合にいえるのではないかと思うのですが、こういう点について、総務長官のお考えを一言お聞きしておきたいと思います。
  72. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 昨日、ストを直前にいたしましての春闘共闘委の方々とのお話の中で申しましたことは、これは別に目新しいことではなかったわけでございます。  しかし私は、公制審の答申の中にありますそこの部分を、特に具体的な問題として、政府部内でもそうした方向で意見の一致を見ておりましたので、そこで、あのようなことで御返事をしたわけでございますが、私は、やはりそうした問題と本来、人事院というものの存在、また人事院公務員給与について指導的な役割りをしながら、きわめて公正に決定をしていくというこのファンクションは、今度のような人材確保法案が出て、教職員給与がきまったというプロセスとは、私は直接的な意味を持たせたくないと考えます。  やはり公務員給与というものは、国民の税金でありますから、やはりこの国民の税金が、どのような形で個人消費に回るかということ、その労働の評価というものに対する公的な一つのスタンダード、そうしたものを人事院が明確に決定していくという、そのファンクションは、ぜひ今後もやはり維持したい。ただ、その活動の中に、多少は今度のような問題点もあっていい、いままでのように画一的な方向だけでなくて、今度のような人確法案というものが先行した形において、それで人事院が、またきわめて公正妥当な九%のベースアップを考えるということをしていただいたということ、たいへんよかったと思うわけでございます。
  73. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、先ほども質問になった点で、もう一言しておきたいのは、〇・三の問題ですけれども、年度末手当ですね。いま調査をやっておられて、先ほどのお話だと、やはり臨時の勧告を出されるというお話なので、三月十五日の支給には、いままでありましたようには、とうてい間に合わないわけですけれども、大体いつごろを予定されているのかだけお聞きしておきたい。
  74. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど触れましたように、まだ調査の回答が届いておりませんものが相当ございますので、それを待ちながら、いずれ集計の結果、適当な措置をとりたいと思いますが、これは勧告事項であるというふうに考えておるということに尽きるわけでございます。
  75. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法案に入る前に、本日、三・二六のストに突入をした問題について一、二お聞きしておきたいと思います。  春闘共闘委員会が、社会福祉の充実、年金の改善、インフレ抑制という生活防衛を主体として、国民的な諸要求並びに賃上げを含む労働条件の改善、交通政策の要求等を掲げて、国民春闘としてこの問題をとらえながら、政府側と折衝をされてきておりますが、昨日、二十五日でありますが、午後三時半から、政府と共闘委員会との間の会談がもの別れになったというふうに伝えられております。  そこで、政府としてスト回避に対してどのような努力が払われたか。むしろ形式的にその場を終わったというような政府側の不誠実さが指摘されておるわけでありますけれども、その点について、昨日、その場所におられた担当大臣といたしまして、その状況をまず御説明願いたい。
  77. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  私たちは、今度の三・一スト、それからまた、本日の三・二六スト、いずれもこれは、違法なストであるというふうに考えておりまして、違法なるがゆえに、これは、ぜひやめてほしいということを、再三再四にわたりまして、春闘共闘委員会のほうに申し入れをしておるわけでございます。  しかし残念ながら、こうしたわれわれのスト中止に対する要望を全く顧みないで、スケジュールに沿った活動の中で、今度のストに突入してしまったということで、その点について、いま鈴切委員から、むしろ何もしない政府側というおしかりをいただきましたが、決してそういうものではございませんで、ずいぶんあらゆる面で努力をいたしましたが、やはりスケジュール闘争という一つの、もうきまった路線の中を機械的に走る現在のストのやり方には、いかなる説得も効果が出なかったということで、われわれは残念に思っておりますし、また、こうした効果のなかった努力をしたことに対して、国民には申しわけなかったと私は率直に思っております。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度のストは、言うならば、いつも行なわれるストとはおのずと性質が違うのじゃないだろうか。このようにして、インフレが狂乱状態になっておるもとにおいて、何とかわれわれの生活を防衛しなければならないという切実な中から、そういうことを承知の上で踏み切らざるを得ないという状態に追い込まれてきた。それに対して、政府自体のそれに対処する態度というものは、ただただ違法であるということだけを取り上げて、そしてすべてをはぐらかしてしまう。どうせ四月にならなければ、この問題は解決をしないだろうということで、何ら具体的な措置を示さないところに、あえてそういう問題が残ってくるのじゃないかと私は思うわけでありますが、四月にかなり大きなゼネストということが予定されるということになると、国民はたいへんな迷惑をこうむる問題があるわけであります。  そういう意味において、少なくとも政府としては、もう極力回避をする、そういう前提に立って、今後どういうふうな具体的な折衝をされていくか。また、そういう努力をするについて、どういう具体的な案を持って、それを示されようとするか、その点についてお伺いします。
  79. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私がこの戦術、戦略すべてを知っているわけでもございません。私に関する限りは、一応公務員のスト権と申しますか、公務員制度審議会の答申をいかに実現していくかということについての責任を負っているわけでございまして、それは、それなりに公制審の答申の実現をはかるという方向で努力いたしておりますし、また、昨日来の春闘共闘委との話し合いの中でも、一昨日、一昨々日、いろいろな時点における会合を持っておりますが、政府がまず具体的な案を示してくれ、それをもとにして議論をしようではないかということで、一応この問題については、やや土俵に乗ってきた感じがいたしております。私らは、そうしたことを、これから捨てることなく追求しながら、国民に多大の迷惑を及ぼすような大きなストライキには、入らないような努力をしてまいりたいと考えております。  もう一つは、常に問題になることでありますが、このインフレの中で弱者を保護しようというスローガンでございますが、これは、だれも反対する者はないほどきわめて重要なことであるし、当然のことだと思います。これに対しまして、春闘共闘委は約三百億円の金を出せということでございます。政府は、そうした要求の前から考えておったわけでございますが、百三十億円を用意して、現実にもうすでにそれは谷間の弱い方々の手元に渡るように、具体的に配分を始めておるわけでありますが、この三百億円から百三十億引き算しますと、約百七十億くらいの差が出るわけですが、この差を詰めていくということ、これはやはり政府としても当然考えなくちゃいけない。  同時にまた、すでに百三十億まで、期末の非常な財政逼迫のおりであっても、それだけのものを支出したという政府の行動を、もう少し春闘共闘委の各位は、評価してしかるべきではないかと思うわけでありますが、そうしたことについての評価は、口先では評価すると言っておりますけれども、この政府は何もしない政府だということで追及しておる。それが春闘共闘の一つの大きな柱になっておるわけでありますが、これらの問題につきまして、政府内部では、すでにいろいろとさらに問題を煮詰める努力をしておるところでございます。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このような異常物価高の中においての国民の諸要求というものは、多種多様だと私は思うわけであります。その意味において、共闘委員会政府との間の折衝が続けられておるわけでありますから、ただ、それは国会審議だけにまかせるというのでなくして、そこには、やはり政治的な問題等の話し合いがいろいろなされなければならない、私はそのように思うわけでありますが、精力的にその問題をまず解決して、少なくとも四月のゼネストに対しては回避するということに対して、今後最大の努力をされることを、私としては要望いたします。  次に、いままで官民較差に基づいて人事院給与勧告をし、それに基づいて給与の改定をしてこられたわけであります。しかし今回は、教員人材確保のために給与を大幅にアップし、そして本日看護婦に対しても、給与改善勧告がされました。となりますと、総合較差方式は、もうすでに根本から考え直さなければならない時期に来ておるのじゃないか。本年の夏に行なわれる人事院勧告は、どのような方式をとられるか、それについてまず人事院総裁にお伺いしたいと思います。
  81. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、昨年の勧告の際の報告の中にも、われわれ明記しておりましたとおり、おっしゃるような問題は、当然ことしの勧告については出てくるわけでございます。これは私、避けることができない問題だと思います。したがいまして、今回また、官民の給与比較のための民間の調査はいたしますが、その民間調査の結果を、どういうふうに今度突き合わせて、従来どおりの総合較差の中での配分というわけにはいきませんから、どういう形に持っていくか、これは何かそこのところに対策を加えなければならぬということは、もう当然のことであると考えております。  ただ、その総合較差方式をやめて、どういう形にするか、われわれの基本的の立場といたしましては、やはり民間がこうだからということだけは、はっきりとらえておきませんと——多数の納税者の方々の御納得を得るという面からいっても、これは基本的には、やはり堅持していかなければならぬことだと思いますから、そういう官民比較の原則は堅持いたしますけれども、今度は総合較差方式でいくのか、これをやめてどういう形で比較をするのかという点になりますと、卑近な考え方としては、たとえば教員とか看護婦の場合、これが成立いたしました暁においては、それらの人々は抜かして比較をするのか、あるいはそういうことじゃなしに、もっと基本的に比較の方式を考えるべきじゃないかというような、問題もいろいろございますので、これは、先ほども触れましたように、十分慎重に検討をしておるという段階でございます。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ことしは、人事院勧告で非常にお忙しいだろう、私はそのように思います。  そこで、行(一)、行(二)は、たいへんに割りを食っている、二・七%かあるいは三%くらい割りを食っているんじゃないかというふうに言われているわけでありますけれども、それに対して、私は、やはり追加勧告をして、是正をする考え方はないかどうかということをお聞きします。
  83. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これも、かねて申し上げておりましたはずでございますが、要するに教員なり看護婦給与成立した後の問題になります。成立した後に、今度は、先ほどのように例年の民間調査をやります。そして、その民間調査の結果が、官の分と突き合わしてどう扱うかというときの問題になるものでございますから、結局、いわゆる夏の勧告の際の問題だ、これは筋としては、そうだろうと思っております。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 夏の勧告ということでございますけれども、少なくとも官民較差を早く反映させる意味においては、勧告を早くなされなくちゃならない、私はそのように思うわけであります。四十八年には、八月九日に人事院勧告がなされたわけでありますが、諸般の事情にかんがみて、例年よりもやはり勧告の時期を早める努力をされるのか、あるいはその見通しは、どういう状態でしょうか。
  85. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 夏の勧告も、要するに四月にさかのぼってお願いするはずでありますからして、結局、尽きるところは、いまおっしゃるところだと、もっと早く成立させて、早く差額がいただけるようにすべきじゃないかということに、煮詰まった問題としてはなると思います。昨年もそういう趣旨で、ずいぶん努力をいたしましたけれども、その努力は、ことしも続けてまいりたいと思いますけれども、何ぶん国会の立法を必要とするものでございますから、非常にわがままなことを言わしていただければ、たとえば夏に、何らかの機会国会が開かれるならば、せめてそこで成立させていただければ、たいへん助かるなというような気持ちを持ちながら、これからの作業に臨むということになると思います。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 〇・三の問題でありますけれども、〇・三を繰り上げ支給をされました。しかし、従来、公務員方々は、昨年度の物価高騰において民間が、言うならば、生活防衛資金とかあるいはインフレ手当とかいうことで支給をされている現状にあって、やはり〇・三というものについては、そういうふうな意味合いであるというふうに、多くの労働者の方々はとっているわけであります。  そこで、それについて、人事院としては七百社に及んで、言うならば、すでに調査に入っておられるということでありますけれども、その結果というものは、近々出ると思いますが、その結果によって、支給をしなくちゃならないということになれば、勧告をされるわけでありますけれども、支給方法としては、六月分を先食いする考え方であるか、あるいは新しい形として、一時金として支給するということになるのか、私は、臨時手当として出すべきが、本来のあるべき姿じゃないかと思うのですけれども、その点についてのお考えを……。
  87. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 まだ、その具体的な方式についても、結論は得ておりません。目下、鋭意集計中であり、まだ来ておらないところもございますし、それらを待って、資料を整えての上の話になるわけでございます。  とにかく、異例な調査をやったわけでございますから、やはりそれに対応する措置も、従来のように、夏の勧告と一緒にということは、これはあり得ないことでございます。やはり何かその辺のところは、気のきいた措置をとるべきじゃないかという気持ちを持ちながら、事態に臨んでおる段階でございます。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 町村自治大臣が、十九日の閣僚協議会で、団結権を持たない警察官あるいは消防士にも、待遇改善の配慮をしてもらいたいという発言をされたけれども、そういう問題については、どのように人事院としてはお考えになっているか。あるいは試験場、研究所等の研究職について、今後どのようになるのか、何らかの手当てがされるのかどうか。たとえば研究職は、いままで教育職と同じ取り扱いを受けておったわけでありますが、今回は見送られたわけでありますが、そういう点については、どのようにお考えでしょうか。
  89. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それらの点については、かねがね御要望も強いところでございますので、例年の勧告において、いろいろその点は注意をしながら、重点的に措置をしてきたと思いますけれども、問題は、やはり全体の給与改善の際の一つの研究事項だということになると思います。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間ですから終わります。
  91. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官、この法案質問に先立ちまして、すでに昨年の九月三日に、第三次公務員制度審議会の前田会長から田中総理に、「国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について」という答申書が出されております。そして、その答申書の中には、いろいろの意見が並列してあるところもあるわけでございますが、その中で、特に「労使関係改善は、制度の運用にまつところが大である。この答申による制度改正が行なわれるまでの間においても、答申の趣旨にのっとり、労使関係改善のために、」云々と、こう政府の努力責任がうたってあるのですが、答申による制度改正は、いつごろ行なわれる見通しでございましょうか。  本日の闘争段階、きょうの状態などを見ても、これに関係するところが大でありまするので、あえてこれをお尋ねさしてもらいます。
  93. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 公務員制度審議会の答申が出ましてから、昨年の九月でございますから、もうすでに相当の時間は経過しております。しかし実際の、現在の政府の姿勢等について申し上げたいのでありますが、ほんとうのところをいうと、この公制審の答申が、ああいう形できまりますまでは、公務員のスト権などということを言うことは、ほとんどタブーだったというのが実情であります。いまも組合の諸君が、非常におそいおそいと、こう言うのでありますが、全くタブーのような状態の中で、急に光が当たって、すぐどうこうしろといったって、それはなかなか動くものじゃない。やはり動くには動くだけの時間と仕組み、いろいろなものが必要なんで、あせらぬでくれということを申している、これは一言にして申し上げれば、現在のわれわれが非常に悩んでいる点であります。  同時にまた、公制審の答申の中で、いろいろと、いままで当然やっていなければならぬ点もあるし、また新しい面もございますが、種々の有力な示唆に富んだ結論が示されておると思います。こうした問題を、一つずつ取り上げて、具体的にこれを考えていかなければならないと思いまして、御承知のように、各省次官を構成メンバーとする連絡協議会をつくりまして、また、その下部機構に局長クラス、課長クラスの幹事会を持ちまして、今日まで約二十回、それぞれの問題について、それぞれに議論をいたしておるわけでございます。しかし端的にずばりそのものの結論は、まだなかなか出ておらないのが実情でございます。  こんな御説明で御満足いただけるかどうか、もし重ねて御質問があれば、多少具体的に進んでいる点もございますので、御報告いたしても、よろしゅうございますが……。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 多少具体的に進められておるということであれば、お伺いしたいのですが、すでに答申が出て半年以上たっておるわけで、公務員関係の団結権、団体交渉権、争議権等あるいはその対象になる職種等を含めた協議というようなものがある程度進んでおると思うのです。また、それぞれの組織の申し入れ等もあって、その組織とのお話し合い等もされておると思うのでございますが、労働基本権に関する具体的な進展があるのでございますか。
  95. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 基本権、これは非現業の職員であるとか、あるいは三公五現の現業職員であるとかいうことだけをとらえましても、団結権、交渉権、スト権それぞれまたニュアンスが違うわけでございます。それらの問題をひっくるめまして、現在検討いたしておりますが、要点を特に申し上げるならば、すでにこの三公五現については、ある程度それぞれの官庁において、公制審の答申に基づく経営形態も含めての検討を開始してもらっています。
  96. 受田新吉

    ○受田委員 私、時間の関係で直接この法案に触れますが、総務長官、この法案成立しますと、教職員の、特に義務教育課程の教職員待遇が一歩前進という答えが出るわけです。  そこで、政府は、この教職員待遇改善について、専門職としての立場で、身分に適当な、またその職務の責任の重大性に応ずる待遇をしたという考えでございますか、あるいはそうした専門的な立場を考慮はしていないのだ、ただ単に平凡な待遇改善ということなのか、これは文部省の御意見でもけっこうですが、しかし、この法律は、総理府が出しておられるわけでございますので、どちらからもお聞きしたいと思います。
  97. 藤波孝生

    藤波政府委員 今回の教員給与改善は、申し上げるまでもなく、国会において人確法成立をさせていただきまして、その趣旨に基づいて人事院勧告があり、給与法改正という運びになったわけでございまして、あくまでも教員という教職にある方々の仕事の重要性というものを国会で非常にお考えになって、この運びになったわけでございますが、教職員の専門性というものを大事に考えて今回の改正になった、このように考えておるわけでございます。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、裁判官とかあるいは検察官あるいは現に国立大学先生方というものは、停年というものが六十三——たまに六十歳というところもあるが、大体、六十三歳というところまで勤務できることになっている。小中学校先生も、大体六十三ぐらいまでは教職に専念する職員として、いまのように五十七とか五十五とかでやめてもらうのじゃなくして、そういう方向へ行くのが好ましいという考え方に立っておるのかどうかでございます。
  99. 藤波孝生

    藤波政府委員 新しく教育界に入ってくる非常に若々しいりっぱな教員が、教育水準の向上のために教育的にあげる効果は非常に大きなものがある、こういわれておるわけでございます。同時に、経験豊かな先生が、教育界においてお進めをいただきますお仕事の効果というものが非常にあがるという面もあるわけでございまして、そういう面では、年々おやめになる年齢を上げていくだけがいいというわけではありませんけれども、経験豊かな先生に、さらに十分力を発揮をしていただくということは、今後も仕事を進めていく上で大事ではなかろうか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 この法律のじかの直接の適用を受けるのは、国立学校先生方国立大学付属高校付属中、小、幼稚園で、こういうところへはね返るわけですが、国立大学付属先生方は大体六十三が停年です。六十三まで現実に国立大学付属の中学校や小学校先生は勤務している。この法律の適用をじかに受ける方々は、六十三まで勤務しているのですが、それがさらに地方公務員先生方にはね返るとするならば、この待遇改善とあわせて国立学校並みの勤務という方向へ漸次指導されようとするのかどうか。あわせて、専門的な職種に対する待遇改善という御答弁であるならば、その方向へ行くべきではないか。五十五や五十七、八でやめてもらうような情勢が地方にあるわけです。そういうものを、国立学校付属学校や小学校並みに文部省は勤務を延長する、これは非常に重大な問題になりそうでございますが、しかし大事なことでございますので、ちょっとお尋ねをしておきたいのです。
  101. 藤波孝生

    藤波政府委員 先生御指摘の方向で、従来も行政指導をいたしてまいっておりますが、さらにその指導を強めてまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 長期勤続者に対する配慮というものは、これは最高号俸を二号ほど上げるような案が、きょうのこの改正案に出ておるのですが、大体、校長にもなれない、教頭にもなれない、けれども、非常に精励恪勤しておる先生方で二十五年、おおむね四半世紀を勤務したような先生方には、何とか現行給与の体系の中で一等級に特に格づけするなどの配慮をするというような、そうした道を人事院として検討されておるかどうか。長期勤続者に対する一等級への格づけ、これはどうでしょう。
  103. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のように、現在の教員給与表での等級別は、一等級、二等級となっておって、その一等級は校長さんのための等級であります。それから国立学校の場合では、専任の校長がいませんものですから、教頭の仕事をされる方が便宜一等級になっておりますが、こういう等級別で、これは校長さんよときめておくことがいいのか悪いのかということに、御指摘の点はつながる問題であります。これは俸給表の構成からいうと、相当基本的な、根本的な問題だろうと思います。私どもは、当面、現在のところでは、従来の等級の区別というものは正しい、しかし、おっしゃるような趣旨は、よくわかります。したがいまして、われわれは、そのつど配慮はしておるところでございますけれども、結局、二等級なら二等級のままでも、相当の、いい給与はもらえるような方向に持っていくということで、名よりも実のほうを考えていくべきことではなかろうかというふうに考えながら、その方向で努力をしておるというのが実際でございます。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、一等級への格づけも含めた検討をしておることはしておるんですね。ただ現実には、二等級の中で大いに内容を充実していきたいということでやっておるわけだ。しかし長期の勤続者に対して、やはり一等級への格づけというのは、一つの希望であり、職務に精励する根源にもなるわけだ。文部省としては、そういう配慮を好ましいと思いますか、どうですか。
  105. 藤波孝生

    藤波政府委員 たてまえといたしましては、いま人事院総裁お答えになったとおりであろうと思います。しかし教育の仕事というのは、校長さんであるからえらいとか、それがりっぱな待遇で迎えられるべきであるとかいうことではなくて、あくまでもその先生の持っている資質の高さ、あるいは人格の高さ、それが与える教育影響というものが第一に考えられるべきだと思いますから、先生御指摘の考え方につきましては、文部省としましても、今後そういう方向で検討を進めていくようにいろいろ働きかけはいたしてまいりたい、かように考えております。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 たいへんけっこうな答弁だと思います。  もう一つ、人事院総裁、今度の給与改定、俸給表の作成は、国家公務員法給与準則の中にある「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」の「適当な事情を」人事院が根拠にしたと考えてよろしゅうございますか。生計費とか民間における賃金とかいうものとは全然関係なくて、そのめったに適用されない三番目の「事情を考慮」ということの適用かどうかです。
  107. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そこまで持っていきませんでも、給与の鉄則として「職務と責任に応じてこれをなす。」という大原則が、法律の中にあるわけですが、その職務と責任の面から照らしてみますと、先生方の職務と責任は相当重い、ですから、そこから出発するのがすなおな考え方だろうという気持ちで、今回の勧告も申し上げているというわけです。  それから、先ほど申し落としましたけれども、たとえば二等級でも、校長さんにならなくても、二等級の俸給表をごらんなればおわかりのように、二等級のずっと上のほうの俸給は、校長に当たる一等級のところの人々よりも、ずっと上の俸給も盛りつけてありますから、これは大体、御趣旨に沿ったことに現在なっておると御了解いただいていいと思います。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 しかし俸給表の作成についての一応の基準があるのですから、その基準は、一体どれにのっとっておるかということも、無視はできないわけですよ。「俸給表」という規定が、ちゃんと国家公務員法の六十四条にある。それには全然関係なしにこの俸給表がつくられたとなると、私は問題だと思います。この六十四条には関係なしにつくられた俸給表——職務と責任ということだけで取り上げる問題じゃないと思う。六十四条のどれに当たるかです。今後、政治的にどの省かから、かってにこうした法案が出されて、人事院あとからこれを追っかけて、追認のかっこうで勧告するというような、これは、そういう原則じゃないわけですよ。  これは非常に変則的なやり方が、このたび行なわれておるので、私は、やはり人事院が他の省からハッパをかけられて、政治的に政策的にどんどん追い込められて、政策的俸給表というかっこうにならぬように——つまり、それは人事院そのものが根本においては常に頭の中に入れて、人事院が適当と認めるその他の事情でぴしぴしやっていけばいいわけです、他の省と相談されて。よその省から出た法案を、あとから追っかけて、人事院勧告を強要されて、そして人事院の独立性を喪失しながら勧告案を出されるということは、ほんとうはまずいと思うのです。
  109. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そんなことは、もう全然私どもはないと思っております。完全にわれわれの自主性に基づいての勧告である。しかも、この方向は、かねがねわれわれの努力してきた方向なんで、やっと念願が果たせたわいとせっかく喜んでおるのでございますから、その点においては、われわれの自主性をいささかも害しておるものではない。  そこで、いまのお話は、それを、いまの「その他人事院の決定する適当な事情」ですか、その中に入れて——それは文章としては、私は入らぬとは申し上げません。入らぬとは申し上げませんが、もう一つ手前の六十二条という根本基準があります。この根本基準は、「職員給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。」というのですから、これは、やっぱりわれわれの責任において、われわれの判断に基づいて、六十二条の判定の結果、教員方々については、職務と責任からいって、これぐらいの待遇はしてあげなければいかぬということで出しておるのですから、その点は自主性の問題とは全然違うわけです。われわれが自主性に基づいてそういう判断をして、これを勧告申し上げた。ただ、いまのように、条文からいうと、もう一つあとのほうに、人事院の適当と認めるというのがありますから、それに入りませんよとむきになっては申し上げません。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 では、これでおきましょう。
  111. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  112. 徳安實藏

    徳安委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  113. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  115. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後委員会を再開いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後二時五十五分開議
  116. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  117. 木下元二

    ○木下委員 私は、登記所の統廃合をめぐる問題について伺いたいと思います。  登記所の統廃合につきましては、昭和四十五年十一月二十日、「行政機構の簡素、合理化の推進について」という閣議決定に基づきまして、同年十二月二十二日の「地方支分部局の整理再編成について」という閣議報告がなされております。この中で、法務省関係につきまして、「法務局および地方法務局の出張所について、昭和四十六年度以降五年間に、極力整理統合するとともに、地方法務局についても、出張所の整理統合に応じて措置する。」、こういうふうにうたわれております。登記所の統廃合の方向が打ち出されておるのであります。  そこで、この統廃合の五年計画全体の概要を、明らかにしていただきたいと思います。
  118. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいまの登記所の適正配置に関しましては、四十六年度から五年間ということで極力整理統合するということでございまして、それについては、民事行政審議会というのが、法務大臣の諮問機関として審議をされまして、その基準が出たわけであります。そうして、その基準に当てはめまして、また、いろいろな地域社会の実情を加味しながら進めていく。現在までのところ、昭和四十六年度に四十一庁、それから四十七年度に六十一庁、四十八年度の三月十五日現在で四十庁ということになっております。そして、そのあとほぼ二年余りございますけれども、それにつきましては、おおむね三百五十庁前後というところが、一応民事行政審議会の答申の基準の対象庁と考えられますので、そのものにつきましても、具体的な条件を検討しながら進めてまいりたい、さように思っております。
  119. 木下元二

    ○木下委員 状況はわかりましたけれども、私の質問は、この五年計画全体のまとめられたものはあるのかどうか、あれば、それを明らかにしてもらいたいということなんです。
  120. 廣木重喜

    廣木説明員 民事行政審議会の答申の基準は、おおむね小規模庁を統合していくということで、四つの基準がございまして、第一の基準は、甲号事件五千件以下庁で、受け入れ庁までの所要時間がおおむね六十分以内。第二の基準は、甲号事件二千件未満で、おおむね九十分。第三の基準は、交通至便庁、それはおおむね二万件以下庁で三十分以内。第四の基準が、同一市区町村内にある登記所という四つの基準がございますが、実施にあたりましては、第二の「登記所の適正配置を実施するに際して留意すべき事項」ということで、地域社会の社会、経済的条件、自然的な条件ということを加味しながらやるべしということになっておりますので、そういう点と、それから受け入れ庁の施設の状況、これは予算関係がございますので、そういうものの諸条件が整うところから、順次折衝に入っていくという形で進めておりますので、最初から具体的な計画というものをきちっときめまして、それでそれを実施していくという形ではございません。
  121. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、その五年計画というものは、内容としてきめられたものはない、こう聞いていいのですか。あるのかないのか、簡単に答えてください。
  122. 廣木重喜

    廣木説明員 民事行政審議会の答申に形式的に当てはめた大体の庁数というものは出ておりますけれども、いま木下先生のおっしゃるような個々具体的な、何年度はどこそこ、何年度はどこそこというような具体的な計画はございません。
  123. 木下元二

    ○木下委員 そのいま言われた民事行政審議会の答申ですが、これは法務大臣の諮問機関であって、単に答申をしておるだけの話なんで、聞いておるのは、その答申に基づいて法務大臣が、具体的な五年計画をつくっておるのかどうかということなんです。いま「登記所適正配置の基準」あるいは「登記所の適正配置を実施するに際して留意すべき事項」、この答申の中にうたわれた事項、こうしたことについて、るる言われましたけれども、このことについて聞いておるのではないのでありまして、そうした基準なり、あるいは留意事項に基づいて、具体的に統廃合をどう進めるのか。当然、計画がつくられていなければならないと私は思うのです。ただその場の行き当たりばったりで進めていくということでは、私は国の行政ではないと思うのです。諸条件を見ながら、いろいろ考えていく、これはわかりますけれども、やはりその諸条件を見ながら、進めていくもとになる基本計画というものがなければいけない。ないのですか、これは。
  124. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいまおっしゃるような意味での統廃合の対象候補庁というようなものは——これを折衝いたします実施庁は、各地方法務局及び法務局がやっておりまして、そこにおいて、その管内の出張所について、それを候補庁という意味であげておるものはございます。
  125. 木下元二

    ○木下委員 候補庁としてあげた計画というものがあるわけですね。これは、私が聞いておるところによりましても、この答申が出て、答申後に各法務局などから計画表が出されておるということなんです。この計画表に基づいて、少なくともおおよその大綱はつくられておるというのが当然だと私は思います。  そこで、その内容ですが、これは、ここでこまかく網羅的には言えぬでしょうけれども、少し輪郭だけ言っていただきたいと思います。いま庁数は言われましたが、庁数は、あと二年でおおむね三百五十庁ほど残っておるというふうに聞いたのですけれども、もう少し骨組みを述べていただきたいと思います。
  126. 廣木重喜

    廣木説明員 いま、おっしゃるような意味での具体的な、たとえばこの第一基準に当てはまるものは何庁ぐらい、第二基準が何庁ぐらいという見当の候補庁の数は拾えば出てくると思います。(木下委員「それを言ってください」と呼ぶ)いま、ちょっとここに持ってきておりません。  それで、その候補庁の考え方でございますけれども、それは、あくまでも答申その他こちらの内輪でやられておる資料その他に基づきまして、この答申がいっておりますような、小規模分散機構というものを適正に配置していくのには、どのあたりの統合庁を考え、それの廃止庁を、どのあたりを考えるというふうに、個々的に、具体的に検討しておるわけでございます。そういうものを積み上げまして、内輪で候補庁を一応考え、具体的な地元との折衝というものは、いろいろ地元の事情がありますので、そういうことを考えながら折衝に入るということにしております。したがって、候補庁の数全部がすでに折衝に入っておるというものではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  127. 木下元二

    ○木下委員 いま候補庁については、資料を持ってきておられないということですが、候補庁はあがっておるそうですから、その資料をあとでいただけますか。
  128. 廣木重喜

    廣木説明員 はい。
  129. 木下元二

    ○木下委員 それは了解していただきましたので、それでは四十九年度の計画、これを明らかにしていただきたいと思うのです。統廃合する数、それから該当庁、これもいろいろ条件を見て、実際に統廃合されるかどうか不確定な要素はありましょうけれども、一応その候補庁、それから時期、こうした内容について明らかに願いたいと思います。
  130. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいま申し上げましたように、受け入れ庁の施設の整備状況と非常に関連が深うございますので、これは予算が伴うわけでございます。しかも現在の庁舎そのものを増改築する場合と、それから場所を変えて新築する場合と、いろいろございまして、まず前提としては、そういう受け入れ庁の整備状況がどの程度蓋然性、可能性を持つかということを考えねばならない問題が第一にございます。  それから、五カ年で極力ということでございますので、四十六年度から四十七年度、四十八年度とずっと折衝してきておるものの繰り越し分がございます。したがって、現在も、そういう意味では四十六年度以来の折衝を持っておるものについて、ねばり強く交渉している、そういうものの繰り込し分と、それからいま申し上げました受け入れ庁の整備状況とのからみで、どこあたりが四十八年度あるいは四十九年度には進められるのかというようなものを、四十九年度に入りまして、具体的に検討し、本省とそれから現地との間で打ち合わせいたしまして進める、こういう状況でございますので、現段階では、その数が幾らというととろまでまだ詰まっておりません。
  131. 木下元二

    ○木下委員 いま言われますように、予算関係であるとか、新築するのか増改築するのか、そうした問題もあるので、確かにそういう不確定な要素はありましょうけれども、少なくとも四十九年度がいよいよ始まるのです。五日先から四十九年度になるので、この時点でそういう不確定要素があっても、法務当局としてお考えになっているその基本線というものは、四十九年度中に幾ら、どういうふうに進めるのか、それがなければ私はおかしいと思うのです。そうでしょう。だから、それを明らかにしていただきたいと思うのです。
  132. 廣木重喜

    廣木説明員 現在のところ、大体、約三百数十庁くらいが、候補庁として、将来、四十九年度、五十年度に考えられるものでございますので、したがって、そのうち四十九年度にどう選定していくかということになろうかと思いますが、その数字は大体、百数十庁ということに一応考えております。
  133. 木下元二

    ○木下委員 これも、ただ百数十庁なんというようなあいまいなことではなくて、候補庁もあがっておるそうですから、もっとこれも明らかにして、そして時期としては、四十九年度内のいつごろになるのか、そうしたことも、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。  少なくとも、この登記所の統廃合問題というのは、これまで法務当局は、国民のほうにも明らかにせず、また、そこで働く職員のほうにも明らかにせず、極秘のうちに進めてこられたような節が多分にあると思うのです。私は、そういうことではいけないと思います。法務当局は、一方では事前に地域住民の納得を得て進める、こういうふうに言われておるわけなんですね。これは国会答弁を見ましても、あるいは答申などを見ましても、そういった趣旨が貫かれておる。少なくとも地元住民の理解と協力を得るためにも、国会審議機会におきまして、こうした問題を明らかにされるべきだと思うのです。大臣、この点は、ぜひともひとつ——いま当面問題にしておりますのは、四十九年度の登記所の統廃合の具体的な計画を明らかにしていただきたいということをお願いしているわけですが、してもらえますね。
  134. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 お答え申し上げますが、大体、四十九年度は、どこらを候補庁にしておるかというものは持っておるはずでございます。ただ、実際にこれを円満にやっていくのには、前後したり、いろいろな変化があろうかと思いますが、その点をお含みいただきまして、候補庁の数字は、追って資料をつくりまして、お届けしてもけっこうでございます。
  135. 徳安實藏

    徳安委員長 資料のときは、理事会で一ぺん相談して、こっちへ要求するようになりますから、直取引でなしにやってください。
  136. 木下元二

    ○木下委員 それでは、ひとつ理事会のほうではかっていただきまして、ぜひ取り寄せできるようにお願いいたします。
  137. 徳安實藏

    徳安委員長 よく相談します。
  138. 木下元二

    ○木下委員 そこで、一つ具体的な問題をお尋ねいたします。  能勢町に大阪法務局の森上出張所と地黄出張所というのがありますが、この二つの出張所の池田出張所への統廃合問題が起こっております。詳しいことは申しませんけれども、経過だけ申し上げますと、四十八年八月七日ごろに、大阪法務局から能勢町の議長、町長に口頭で、四十八年度内に統廃合を行なうという通知がありました。その後、三度にわたりまして、大阪法務局に対しまして、能勢町長は、文書で統廃合は反対であるという意見を出しております。そして大阪法務局は、当面見合わすという回答をいたしております。そして、さらに四十八年十月ごろに、わが党の村上議員が、当時の田中法相との交渉で、この問題について検討をするという回答をいただいております。  そこで、この問題はどうなっておるのか。もう四十八年度は末でありますから、四十八年度内に実施されないことは明らかなのでありまして、見合わせることになったと了解しておるのでありますが、この点は確認していいわけでありますか。
  139. 廣木重喜

    廣木説明員 地黄出張所それから森上出張所につきましては、先ほど申しました民事行政審議会の答申の基準に一応当てはまると思うのであります。  ただ、いまお話しのように、地域開発がその管内で非常に活発に行なわれておる、したがって、そういう社会、経済的な条件をよく見きわめながらやっていくことは、当然のことでございますので、そういう意味で、この池田出張所への統合問題につきましては、その地域の状態を見きわめて検討するというふうに聞いております。したがいまして、先ほど申しました候補庁の中には、もちろん入っておるわけでございますが、具体的な折衝をどういう形で今後進めるのかという点、いま申しましたような事情等を十分検討の上、取りかかるということになろうかと思います。
  140. 木下元二

    ○木下委員 この統廃合については、住民は全く知らされていないのです。  少し問題点を申しますと、能勢町と東能勢町は、農民が約八割から九割占めておるのです。土地の移動が非常に多いところなんです。これが池田市のほうに統廃合されますと、非常に不便になってしまいます。マイカーで行きましても、三十分かかりますが、バスなどを利用しますと一時間ぐらい、実質時間に待ち合わせなども含めますと、池田の登記所に行くということになりますと、半日から一日かかるということになってしまうのです。また能勢町の住民の半数ぐらいが、乗用車を持っていますが、池田市への乗り入れは、池田市内は交通渋滞の非常に激しいところでありまして、大阪府のほうに対しましても、陳情が再々行なわれております。統合によりまして、池田出張所の管轄範囲も非常に広くなってしまう、これによって現地調査もきわめて困難になる、こういう問題もあるわけです。  こうした問題点についても、十分考慮をされまして、私は、答申の趣旨に照らしましても、ひとつ中止をしていただくべきだというふうに思うのです。特に答申の趣旨によりますと、住民の意見を尊重する、住民の理解と協力のもとに進めるということがうたわれておりますが、住民に知らせもせずに、どんどん進めていくといったことはやめていただきたい。特に要請しておきます。
  141. 廣木重喜

    廣木説明員 登記所の適正配置、いまお話しのように地域住民の利便、また地域社会からいろいろと御協力をいただいてきておりますいままでの歴史的な沿革と申しますか、そういう点も十分加味しながら、いま申しました地域の開発状況、他方、登記所の全国的な適正配置ということとをいかに総合的に勘案しながら対処するかということでやっております。  いま御指摘のような池田から能勢のほうにかけてのいろいろの諸条件、諸事情というものは、私どもも現地から報告を受けております。そういう点は、現地も十分に考慮しながら対処しておるというように理解しておりますので、御了承いただきたいと思います。
  142. 木下元二

    ○木下委員 いまの統廃合の問題は、よく検討していただくことにいたしまして、次の問題に移ります。  統廃合に伴う職員待遇問題でありますが、これは基本的には、どのようにお考えですか。簡単でけっこうです。
  143. 廣木重喜

    廣木説明員 出張所の職員というのは、いま統廃合の主たる対象になっておりますのは、小規模庁でございますから、一人庁とか二人庁とか非常に数の少ない職員しかいないところが大半でございます。したがって、廃止されますと、当然所長あるいはその職員が、他に移らざるを得ないという問題が出てくるのでございます。ところが一人庁というのは、その庁舎の続きに宿舎がございまして、一年じゅう拘束されておるというような状況から、言うなら、そういう勤務条件が非常にひどいところもございまして、これの受け入れ庁あるいはその他人事異動を考えまして、十分な執務環境のある、あるいは生活条件の整ったほうへ移動する、そういう点。  それからまた、処遇ということになりますと、従来所長であった人でありますから、それが実質的に下がることのないように、いろいろと配慮をしながら進めておる現状でございます。
  144. 木下元二

    ○木下委員 その待遇問題について、遺漏のないように配慮するという点は、答申の留意事項の中にもうたわれておるのでありますが、問題は、それがほんとうに実行されているかどうか、ほんとうに配慮されているかどうかということなんです。  私は、具体的な問題に立ち入ってお尋ねしたいと思いますが、この統廃合によって、所長はそのポストを失うことになるわけですね。二つ統廃合する場合は、必ず一人は失う、そういう結果になるのですが、所長であった者は、一体どうなるのかということであります。大体一人庁、二人庁の場合は、所長というのは行政職五等級であります。統廃合によって、所長でなくなると、係長になる場合もありますが、係長のポストが埋まっているときは係長にもなれない。そして登記専門職にされる。登記専門職ということになると、標準職務表の上で四等級になれないんですね。また、かりに係長になりましても、これは、いわゆる充て係長でありまして、実質は登記専門職であります。本省と管区の本局の係長は四等級の道が開けておりますが、それ以外はないのであります。こういうことで身分保障についての配慮が私は足りないと思うのです。  統廃合されるような地域の登記所の所長といいますのは、予算の上でもあるいは機構の上でも、これまできわめて冷遇されてきたのです。これは私、詳しくは申し上げませんけれども、冷遇されながらも営々として登記所をささえてきた人たちであります。だから、この統廃合でさらに格下げが行なわれたり、あるいは昇進の道がはばまれるということは、あまりにも酷だと思うのです。行政への意欲にもかかわる問題です。だから、私は、この身分保障につきまして、あたたかい配慮をぜひともお願いをいたしたいと思うのです。いかがですか。
  145. 廣木重喜

    廣木説明員 いまお話のございました、所長が五等級で、係長ポストがないんじゃないか、そのために実質的格下げになるというようなおそれはないかという点は、私どもの係長ポストというのは、一つの基準がございまして、その基準に合わない場合に、係長を設けることはなかなかできないわけですけれども、統廃合は、定期的な異動の時期ばかりに行なわれるわけじゃございませんで、年度の途中においても行なわれるわけでございます。そういう場合に、暫定的に係長というものを省内で認めてもらいまして、そして次の人事異動の時期に、さらに昇進、配置がえということを考える、また、それが定期的な人事異動期に当たっていれば、その機会に、そういう格下げ的なことの起こらないように対処しておるということでございまして、これまで百数十庁の統廃合において、職員のいわゆる実質格下げということが行なわれた事例は一つもございません。  以上でございます。
  146. 木下元二

    ○木下委員 それは、ないですか。私が聞いているのを具体的に出してもよろしいが、統廃合によってポストを失った所長が、係長にもなれなかったというケースは一つもありませんか。
  147. 廣木重喜

    廣木説明員 私、そういう意味で、そういう問題が従来から出ておりましたので、十分に官房とも御相談いたしまして、暫定的な係長ポストを個々的に認めてもらいまして対処してきておりますので、そういうものはない、そのように記憶しております。
  148. 木下元二

    ○木下委員 たとえば、私、具体的に聞いている例から申しますと、これは鳥取県ですか、三朝出張所というのがありましたね。これが倉吉支局に統合になりましたけれども、出張所の所長は係長にもなれなくて、登記専門職になっておる、こういうケースがあるんですよ。その点は、いま、そういう格下げになったり、あるいは昇進が妨げられることのないように今後十分な配慮をするということを、ここでお約束されるわけでありますから、私は、それ以上追及はしませんけれども、そのことは必ず履行する、そう伺ってよろしいですね。——そう聞きまして、次の問題に移ります。  それは宿舎の問題であります。答申でも、特に宿舎の確保がうたわれております。これまでの実際の進み方を見ますと、この点についても、私は配慮が十分ではなかったと思うのです。所長の宿舎というのは、普通は町役場が提供する町の建物ですね。それが統廃合で廃止をされるということになりますと、町のほうも明け渡しを要求してくるという問題が起こります。所長はやむを得ず、自分で苦労をして家さがしをする、適当なところが見つからない、こういうケースは多々あったと思うのです。これは、ないとはいえませんよ。この宿舎の確保について、今後どう処理されるか、伺っておきます。
  149. 廣木重喜

    廣木説明員 御指摘のように、法務局は地方に非常にたくさん分散しておりますので、合同庁舎というようなものが非常に乏しゅうございます。したがって、省庁別の宿舎が必要になってくる場合が多うございますので、統廃合関係につきましては、統廃合に伴うところの所長の代替宿舎とわれわれは呼んでおりますけれども、そういう予算を格別認めてもらっておりまして、それによって宿舎の整備をしていっております。ただ、御指摘のように、この統廃合は、実現して初めて宿舎状況が変わってくるような関係が出てくるものですから、統廃合したとたんに、すぐ宿舎ができ上がっているというわけにまいらぬことがしばしばございます。そのために、宿舎の問題で職員が不便をするということはかつてございましたが、そういうことのないように対処していっておりますので、この代替宿舎については、相当の配慮が、適配を進める段階においてなされておる、そのように思っております。
  150. 木下元二

    ○木下委員 この統廃合さえなければ、住宅問題について何一つ心配がないのに、統廃合問題が起こることによって、新たに住宅を確保しなければならない、こういう問題が起こるわけなんで、統廃合に伴って生ずる問題の処理として、これは所長の個人負担にするのでなくて、最後まで法務当局のほうで住宅確保の手を打つべきだと思います。これは、そういう方向できちっと処理をするということでありますので、そうしていただくことにいたします。  ただ、もう一つ、住宅の問題にも関係して問題を出しておきたいのですが、統廃合を進めてきて、いろいろな事情でそれが中止になったというケースが、これまでにあります。たとえば広島あるいは岡山でもそうです。官報で告示までされながら、これが中止をされる。職員のほうは、統廃合ということで、いろいろと引っ越しの準備をする、それが中止ということになると、いろいろと損害を受けることになります。子供の通学問題だって、転校ということで手続まで進めておって、中止ということになれば、それもやめなければならない、こういう問題が起こるわけなんで、今後、十分に配慮をして、こうしたことのないようにお願いをいたしたい。
  151. 廣木重喜

    廣木説明員 その点、統廃合の最初のころに、そういう事例がございまして、それに関係している職員が、非常にいろいろの負担をしたという事例は承知しております。したがって、その後は、途中で中止というようなことにならないように、統廃合実施は慎重に進めておりまして、施設の問題、宿舎の問題、それから居所を移さなくちゃならないその手当て、そういうものを、総合的に整理統合の際に考えて、対処するというようにいたしております。
  152. 木下元二

    ○木下委員 少し問題を変えますが、申すまでもなく、登記所というのは、国民特に地域住民に対する一種のサービス機能を果たすものであります。その統廃合につきましては、地域住民への利便の問題が、特に考慮されるべきであります。この点も答申にはうたわれておるのですが、四十五年以降、これまで統廃合が急速に進んできました。四十五年から四十八年まで、私のほうで調べたところによりましても、ざっと百三十カ所の登記所の出張所等が廃止になっております。これらの統廃合については、地元住民の十分な理解のもとに進められてきたのかどうか、あるいはまた地元住民の意見が、十分に尊重されて進められてきたのかどうかきわめて問題だと思うのですが、この点については、いかがお考えでしょうか。簡単でけっこうです。
  153. 廣木重喜

    廣木説明員 登記所の整理統合については、登記所自身が明治以来、地域社会とともに歩んできて、しかも地元の御協力を得てきて今日に至っておる、また地域の方々の非常に身近な国家機関であるということで、御愛着を持っていただいておりますので、登記所を受け入れ庁のほうへ統合していくことについては、いろいろな面で地元の方々から非常な関心なり反響がございます。したがって、そういう地域の方々の十分な理解あるいは協力というものなくしては、統合はとうてい進めがたいわけでございます。  したがいまして、先ほど百三十ということでございますけれども、実際は、もっともっとたくさんの折衝をやっておって百三十というところでございまして、これには相当な時間をかけて、しかも、いろんな機会をもちまして進めておるということでございますから、一方的に強行するということは全くございませんので、御理解いただきたいと思います。
  154. 木下元二

    ○木下委員 統廃合を進める基本方針なりたてまえとしましては、地元住民の理解とか意見の尊重とかいいましても、それを、どれだけ統廃合を実際に進める中で考えてきたのか。私は、これは決して十分ではなかったように思うのですが、この点は時間もありませんので、一つ一つ触れないことにいたします。  さらに問題は、統廃合に際しまして、地域住民と話し合い、あるいは意見を聞き、あるいはいろいろなことを約束いたしましても、要は、それが実行されなければならないということなんです。実行するには、それに必要な体制を整えるということであります。  たとえば統配合に際しまして、住民のほうに、窓口サービスの万全を期す、こう約束をいたします。私、いろいろ聞いておりますけれども、登記簿の謄本や抄本などは、郵便の申し出によってもけっこうです、あるいは電話の申し出によってもやります、こういうことを廃止になるほうの住民に対して約束する、ところが、電話での申し出でもけっこうだということにいたしますと、電話ですから、対面して申し出を受けるわけではありませんのでミスも起こる、あるいはその電話に従って事務を進めましても、取りに来ないといった事態も起こる、こういうことになると職員が非常に困るわけです。非常に忙しい中で仕事をしているのに、その仕事がロスになる、こういう問題も起こるわけです。  それから、住民のほうに対しまして、登記相談所を設けて、一週間のうち一回とか二回ここで相談をやる、こういうことを約束をいたします。さらには、相談だけではなくて、謄本や抄本の申し込みの受け付けも一緒にやりましょう、そういうことになって、さらにまた、今度の相談のときに、そのできた書類を持ってきましょう、こういうふうなことにまでなってくるんですね。こういうことになりますと、職員のほうの負担は、いよいよ加重されます。まあ住民の要望をいれまして、住民に対するサービスの徹底を期することは、非常にけっこうなことなんです。また必要なことであります。しかし、それにはそれなりの必要な体制というものがなくてはならない。そういう体制をつくらずにやるところに問題が起こるのです。  だから、住民の要望にこたえたサービスというためには、登記所の人的、物的な体制の整備が絶対に必要であると思うのです。これなくしては、幾ら住民に約束をしましても、履行不能の状態におちいる。そうではないでしょうか。その点は、法務当局としてはどうお考えですか。
  155. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいまの点につきましては、たとえば電話予約受け付けをするということで、廃止になる登記所にございます電話を受け入れ庁のほうに持ち込みまして、そして、そういうサービスに使えるようにするとか、あるいはいまおっしゃいました謄、抄本のサービスにしても、一人庁であれば能率機器と申しましても、さほど優秀な機械は持ち込みにくくて、中以下というものを持っておりますけれども、受け入れ庁が整備されてくれば、そこに大型の複写機を持ち込むというようなことで、非常に能率をあげるということは可能であり、また、そのようにやっていくわけでございます。  登記相談所のお話がありましたが、地元のほうでは、いままで親しんできた登記所がなくなるということによって、住民の方々が非常に不安がられる。また宿舎の問題ともからみますけれども、すぐ右から左に代替宿舎ができないというような事情もございます。それで従来の登記所の居住室を、当分の間お借りしまして、受け入れ庁のほうへ勤務しながら、あるいは地域の社会の人たちの相談に応ずるとか、いろいろ現実に合った形でそういう問題を解決していこうとしております。したがって、いま御指摘のように人的、物的な体制の整備ということは、予算的にも相当配慮をいただきまして、来年度あたりには、従前あるいは整備の十分でないところも、この機会に整備するというふうに配慮しておる次第でございます。
  156. 木下元二

    ○木下委員 その程度では、まだまだ不十分だと思うのです。これは、もう私どもだけでなく、だれが見てもそうですよ。この統廃合問題がもたらすもの、これは単なる住民に対するサービスの不徹底という問題ではないと私は思うのです。登記所として、登記官として法規に従った職務の遂行が行ない得ないという事態も起こっておるのです。  たとえば管轄の問題でありますが、統廃合によって管轄が非常に広域化いたします。北海道では香川県一県分ぐらいを一人庁で持っておるところもあるというふうに聞いております。たとえば建物表示登記、これをするにも、実地調査が行ない得ない、一人庁とか二人庁でこんな広域化したところになってくると。不動産取引法五十条によりまして、必要があるときは実地調査をやるということになっておりましても、これができない。こうした事態の結果、起こり得ることは、たとえば建物の二重登記が起こる。これは現場を見ていないと起こりがちであります。建物が建築をされましても、建築主と業者の間にトラブルがある、両方から登記申請があったというようなことになって、二重登記の問題が起こる。これは現場が現地調査をやっていないことの結果、起こり得るわけです。あるいはまた地籍の訂正なんかにいたしましても、これは、たとえば山をくずして宅地化するといった場合に、隣地との関係でいろいろ問題が起こるわけでありまして、こういう場合も、やはり現地調査を進める必要があるんですが、これもできない。あるいは農地の宅地調査にいたしましても、たとえば現に畑になっておるというような場合には、これは現況主義でありますから、こういう場合には宅地変更はできないはずであります。そうしたことについても調査の要がある。こういうことで、不動産登記法に定められたところに従って登記官が職務の遂行ができない。  そこで、たとえばこの前の、東京地裁判決がありました大宮事件というようなものも起こるのです。だから、私はこうした事態というのは放置できない、ゆゆしい重大事だと思うのです。不動産に関する国民の権利関係の明確化、安定化が、統廃合問題によってより妨げられる結果が起こっておる、こういうことであります。だから、問題の解決は、登記所の人的、物的施設を抜本的に改善するほかにないと私は思うのです。そのために、これまで一体どれだけ努力が払われてきたのか、私は疑問に思っております。これからひとつ、大臣、最大の努力を行なわれることを通じて、この抜本的解決のために御努力願いたいと思いますが、いかがですか。この点についての答弁を求めます。
  157. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 お説のとおり住民と非常に密着した問題でございますから、最大の注意を払って、御期待に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
  158. 木下元二

    ○木下委員 もう一点だけ問題を提起しますが、いまも少し触れましたことでありますが、地図の問題であります。大宮登記所におきまして、公図改ざん事件の東京地裁判決がありました。国は敗訴をいたしました。六百万円の損害賠償支払い義務が認められました。  この事件は、もう私から申すまでもないのですが、何者かが公図の閲覧の際に、公図に示された地番を改ざんしておったのです。それを誤信して売買取引をいたしました。登記には公信力がないわけでありますので、有効に所有権取得をいたしません。その結果、代金は支払ったけれども、所有権取得ができなかったということで損害賠償を国に請求したわけです。不動産登記法施行細則三十七条に照らして、公図の閲覧は登記官の面前においてしなければならないし、万一、公図に虚偽の記載がされておるときは、直ちにこれを発見し、訂正の措置をとるべき注意義務を果たさなかった点に過失がある、この点に過失を認めた判決です。法務省は、この東京地裁の判決をどのように受けとめておられますでしょうか。
  159. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいまのお話の地図の閲覧ということにつきましては、非常な繁忙庁あたりでは手が回りませんで、御指摘のような大宮の国家賠償事件が起こったりして、たいへん申しわけないと思っておるわけですけれども、これについては、そういう地図の閲覧の場所の机の配置とか、それから閲覧者の整理とか、そういうことも考えられますが、同時に、地図そのものの整備と申しますか、それが明治以来の台帳付属地図を持ち込んでおりまして、なかなか一般の方がすぐ右から左に見にくいというような状況があって、地図の閲覧が非常に込み合うという状況があるわけでございます。  したがって、地図の問題は、そういう執務体制と同時に、地図そのもののもっと整備をはかる。要するに、すぐにでも見られるような状態、しかも滞留することなく、次々に閲覧が行なわれるようにしていきたいということで、来年度あたりからは、地図の閲覧の机あたりも改良いたしまして、地図閲覧の業務が非常にスムーズに運ぶようにしていきたい、そしてまた、地図自身を大事にしてもらうように、これは多くの人が利用するものでありますから、いまの大宮の事件のように、地図にかってに筆を入れるということのないようにしていきたい、そのように思っております。
  160. 木下元二

    ○木下委員 私の質問に答えてほしいんですがね。対策を言われましたけれども、私は、その判決をどうとらえているかというふうに聞いたんです。簡単でけっこうです。
  161. 廣木重喜

    廣木説明員 地図の閲覧によって、そういう一般の申請人の方々が不測の損害、御迷惑のかからないように、地図問題に対しては、閲覧を中心にしまして、いろいろの手法を考えながら、また、その各登記所に合った最もいい方法というものを考えて、対処していくというふうに、具体的にあの判決以来、いろいろの会合、会議で指示をし、また研究をしてもらっておる現状でございます。
  162. 木下元二

    ○木下委員 それでは、ちょっと質問を変えますが、この登記所に備えてある公図というもの、これは一体どのようにお考えなんでしょうか。これは、きわめてずさんな、不正確なものが多いのです。  私も弁護士の経験がありますが、たとえば一番と二番の土地がある。実際は一番が東で二番が西にある、ところが、これが逆になっておったり、面積なんかでも全然違っておったり、これは非常にずさんなのが多いのです。この公図というものを、一体どのように考えていられるのか伺いたい。
  163. 廣木重喜

    廣木説明員 いまお話しのその公図というものは、土地台帳付属地図ということで、戦後、税務署から引き継いだものでございます。したがって、これは、おおむね明治の初年に、地租改正その他の事業を通じましてでき上がった地図でございまして、御指摘のように、非常に見取り図的なものが多いわけです。また、中には非常に正確なものもございます。したがって、その精度が、現地と合わせてみますと、非常にまちまちである。したがって、そういう精度の度合いというものを、利用される方々が十分認識して用いていただかないと、いま御指摘のように、場所が違っておったり、その他いろいろと問題を引き起こすわけでございます。  したがって、そういう台帳付属地図というものの精度が、今日おおむね高いものでございませんので、もっと精度の高いものをというのが、不動産登記法の十七条に所定しておる地図であるわけですけれども、これは法務局が、もしそれを整備していくということになりますと、長年月を要するばかりでなくて、相当な費用がかかるので、国土調査という形で進めておられる国土調査地図、地籍図というようなものが各登記所に送られてくるわけでございますので、それとか、あるいは土地改良による換地確定図とか、地域のいろいろと正確な地図を私のほうに受けまして、そういうものからも、精度の高いものを整備していくということを他方で考えておるわけであります。
  164. 木下元二

    ○木下委員 公図は、非常に精度が低いということで、これは問題があるんですけれども、閲覧をする国民の側にしますれば、やはり登記所に備えつけの図面ですから、これに信を置きがちであります。一々職員が注意をするといたしましても——まあ、そういう体制も非常に困難でありますが、注意をするといたしましても、それが一体どこまで徹底するか、非常に疑いがございます。そもそも、この登記制度というものは、不動産取引の安全をはかる制度なんですね。ところが、その登記所に備えつけの公図が、かえって不動産取引のガンになっている、安全を期することができない、こういう問題をもたらすわけです。だから、むしろ取引の安全の害にもなる、このガンを取り払うべきではないか。そういう方向で進めるべきではないか。  先ほど精度の高い図面の作成を準備ということがありましたけれども、これは確かに国家的立場に立って、この公図問題を、私は早急に処理すべきだと思うのですが、いかがですか。
  165. 廣木重喜

    廣木説明員 御指摘のように、地図が取引の非常に重要な資料になっておる、また、その必要性というものは、ますます高まりつつあるように認識しております。  ただ、先ほども申し上げましたように、地図というのは、現地を復元して、現地を克明にあらわすというようなものでなくてはなりませんので、そういうことになりますと、そういう精度の高いものをつくっていくのに、たいへん時間もかかりますし、費用もかかる。したがって、われわれとしては、いま社会で、あるいは世間で使われておるいろんな意味での地図を、できるだけ受け入れて、しかも現地を正確に反映するような地図を維持していく、それにはどうしたらいいかというようなことで取り組んでいるわけでございます。  ただ、売買や取引の際には、地図だけで取引をなさるわけでは毛頭ございませんで、現地を見て、それから所有者あるいは隣接者の方々に聞く、これも限度がありますけれども、そういうようなことをしながら、かつ登記所の公図を、参考までにごらんになるというような状況かと思います。しかし、だんだんとそういう隣地の方に会って聞くとか、あるいは故老に聞くというような機会が少なくなってきておりまして、地図にたよらざるを得ないという場合も非常に多かろうと思います。したがって、早急に、この地図の整備ということに取り組んでいくという姿勢で臨んでおるのが現状でございます。
  166. 木下元二

    ○木下委員 大臣、この問題は、非常に大事だと私は思うんですよ。  それで、いま、参考のためにこの図面を置いておる、参考のために見てもらうと言いますけれども、国民のほう、見るほうからすれば、やはり登記所にあるのですから、それを信用するんです。だから、少なくとも、登記所に取引の安全のために備えてある図面なんですから、そういう図面である以上は、やはり精度の高いものでなくてはならない。そんなでたらめな、面積が違ったり、場所が違ったりするような図面、これは改ざんといった問題もありますが、そういう問題ばかりでなく、この図面そもそもが不正確なんですね。ですから、この図面の整備といった問題について、早急に国が取り組んでもらいたいと私は思うのです。いかがでしょうか。
  167. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 確かに、お説のとおりと私も思います。戦後、税務署から図面を引き継ぎまして、古いものに至っては、明治の初年からのものがあると思いますし、いま御指摘のような点が全国にはたくさんあると思うのです。しかし、これは実際問題として、重大な問題でございまして、まあ地境の訴訟なんかを、われわれ担当してやってみましても、ほんとうにわからないものがあるんですね。ですから、これは費用もかかり、相当の年月がかかると思いますけれども、国で、やはりこういう公図というものの整備を努力する必要がある、私もそう思います。したがいまして、そういう方向に向かいまして、今後とも努力を続けてまいりたい、かように思います。
  168. 木下元二

    ○木下委員 いまの公図の問題で、もう一点だけ聞いて、終わりたいと思いますが、この東京地裁判決の過失の点についての判示であります。ちょっと援用いたしますと、「登記所においては、原告が本件公図を閲覧した当時、前記事務処理量に見合うだけの人員の配置がなされておらず、十分な閲覧監視態勢をとるだけの人的な余裕がなかったことが認められるが、いやしくも国が行政施策の一環として不動産取引上重要な機能を営む公図の閲覧を認めている以上、担当職員の不足をもって、前記過失を否定する根拠となし得ないことはいうを俟たない。」、こういっているんですね。登記官の過失を認めておるのでありますが、この点は、東京地裁の判決ですけれども、私は、非常に問題だと思うのです。  つまり、この閲覧監視態勢をとるゆとりが全くなければ、これは登記官個々の過失責任は、理屈からいっても追及できないと思うのです。この場合は、私は、登記官の過失というのではなく、むしろ事務処理量に見合う人員配置をせず、閲覧監視態勢をとり得ない状態に置いた国の管理運営上の責任、これが問題だと思うのです。この点に過失があるというふうに私は言うべきだと思うのです。  これは判断の問題ですので、それはともかくといたしまして、問題は、この事務処理量に見合う人員配置をして、閲覧監視態勢をきっちりととることが必要であります。そのことを、この不動産登記法もはっきりと求めておるわけなんですから、法律的にも必要だし、実際上も必要なんです。もし、これをしなければ、私は第二、第三の大宮事件というものが起こってくると思うのです。そしてまた、不動産取引の安全がいろいろと阻害されるという問題が起こるのです。  だから、これは、先ほどちょっと対策を言われましたけれども、こまかくはけっこうですから、この点についても、抜本的な対策をひとつ整備願いたいと思いますが、いかがですか、大臣。
  169. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 この点につきましては、法務省歴代各大臣も努力をしまして、人員の確保に努力しておるところでございますが、なかなか意のごとくに、行管が厳格でございまして、うまくいかないわけでございます。  御承知のとおり、行政の簡素化ということで、閣議決定によって、五%ずつの人員カットというものがございます。カットされた上にふやそうというんですから、今年も最大の努力をして、百八十人登記所関係がふえたわけですが、カットを受けた分も含めて、それを消して、さらに増員をしていこうという努力でございますので、なかなか遅々として進まないわけでございます。  できるだけ御趣旨に沿うように、われわれとしましては、いまの登記所の事務の繁雑の現状にかんがみて、これを穴埋めして、そして十分な人員確保ということにつとめていくことが、労働力の上からも必要でございますし、いま御指摘のような事務の正確を期する上からも非常に大切なことである、かような考え方に立ちまして、引き続き努力をしてまいりたい、かように思っております。
  170. 木下元二

    ○木下委員 それから最後に、もう一点だけ。法務当局は、この登記所等の統廃合問題につきまして、これは住民のほうの要望や意見などを聞くだけでなくて、全法務労組と交渉を進めているように聞いておりまして、これは、たいへんけっこうなことだと思います。ひとつ誠実に、時間をかけて、また遺漏のないように、今後とも進めていただくように、これは特に要請をいたしておきます。その点、これまでも交渉を進めてこられたわけでありますが、今後もひとつ交渉を進めていかれるようにお願いをいたしておきますが、よろしいでしょうか。
  171. 廣木重喜

    廣木説明員 仰せのように、この職員の処遇その他いろいろと問題がたくさんございますので、その点では組合との話し合いというものは、従前もそうでございましたが、今後も鋭意進めてまいるというつもりでおりますので、よろしくお願いいたします。
  172. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  173. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 入国管理局長にも御質問がありますから、ちょっとお待ちいただきまして、中村法務大臣、法務大臣二度のおつとめでございますが、御感想はいかがでございますか。
  175. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 だいぶしばらくたちましてから、また再任をしまして法務省に参りましたが、法務省の役所というのは、ほかの役所とはだいぶ違うような感じがいたします。十何年前も今日も、同じような建物で、同じような体制にあるような気がいたします。できるだけ法務省の行政としては、厳正な態度で臨むべきである、かように考えております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 あなたのような貫禄をお持ちの方に、法務大臣を再度つとめていただくわけですから、法務省も非常に心強いことだと思います。そこで、いまから法務大臣として、同時に国務大臣として、より高度の御判断による御答弁を仰ぎたい問題があります。  この法務省設置法の一部改正法律案そのものは、これは単に機構の小さな部位を改善しようとするにとどまっておるようでございますが、法務行政の基本にも関係し、また国務大臣の重い使命にも関連する問題として、昨年来懸案の韓国金大中事件、金東雲一等書記官の捜査の事件、こういう問題をちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。  これは警察庁の幹部の方々もおられるが、同時に国務大臣として国政の全般にわたる御判断を、特に議長経歴者として非常な権威を持たれた法務大臣でありますがゆえに、御質問したいと思うのですが、さきの国務大臣である田中法務大臣は、非常に明快にこの問題に意見の表明をしておられました。ときに国務大臣の立場のほうが先行して、法務大臣という立場が乗り越えられるような御発言が、ちょいちょいあったわけでございますが、いまからお尋ねしたいことは、その田中前法務大臣、非常にすなおに見解を表明されたという点において好評を博しておられた、ところが、昨年、この事件の発生以来、金鍾泌総理が日本へ来られて陳謝をされると同時に、政治と捜査とは分離するというたてまえから、日本国政府は、閣議の了解のもとに、捜査とそして政治的な諸問題とを分けるというたてまえをとったと思うのでございますが、大臣は、そういう御認識でおありになりましょうか、どうでしょうか。
  177. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 非常にむずかしい御質問でございますが、捜査は、御承知のとおり、まだ警察から法務省所管のほうには送致されていないわけでございますが、日本の国としては、日本の治安の上から見ましても、非常に遺憾なできごとで、あくまで実態を究明して、事態を明らかにしたいのは当然であり、また警察当局も、そういう熱意を持って今日までも捜査を続けておられると思うのでありますが、ただ、その金大中という人が拉致されて、韓国に行ってしまって、肝心の被害者がいないものですから、これは非常に捜査上困難をしておるだろうと私どもも察しておるわけでございます。  そこで、韓国から金総理が来られまして、外務大臣、総理大臣とお会いになって、事件は事件として、政治的な了解といいますか、政治解決といいますか、そういうようなことで一段落をつけようということにしたようでございまして、私ども、その後に政府に入ったものですからよくわかりませんが、捜査としては、別段、そういうことがあったからといって、これは中止すべきものでもないし、あくまで私は、年月をかけてでも努力をして解明につとめるべきである、かように存じております。  これは、金大中氏が日本にもう一ぺん来て、被害者としての立場で捜査に応じてくれれば、たいへん便宜なことだと思いますが、それも目下かなわない状態でございますので、もう少し推移を見る以外には方法がない、かように考えております。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 警察当局にお答えいただきましょう。この捜査と政治的解決は別個ということで、対韓経済援助等も続行されてきておるわけですが、金大中事件に関係しての捜査というこの懸案は、その後、韓国側から何かの報告が来ておりますか。
  179. 佐々淳行

    佐々説明員 お答えいたします。  金大中事件に関しまして、現在まで、私どものほうから韓国側に対し、外務省を通じまして捜査状況を、五回にわたって通報し、また外務省を通じまして金大中氏の来日要請その他要望を七回、合計十二回の要望を行なっておりますが、これは、いずれも文書によって行なったものでございまして、そのほかにも、必要あるごとに、口頭での回答の催促その他をいたしておるところでございますが、十一月二日に、金鍾泌総理がお見えになりまして、金東雲書記官についての容疑を認め、その捜査結果のいかんによっては、これを処分することを約束し、かつ、その結果を通報することをお約束いただいており、その回答を待っておるところでございますが、現在までのところ、回答に接しておりません。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 金東雲書記官の、この犯罪事実というものの証拠の裏づけがどうなっているかという問題については、御本人の指紋も検出されていることなんですが、このことは、何か韓国側で意思表示がされておるのかどうか。また指紋の権威というものは、韓国では認めていないのかどうかです。
  181. 佐々淳行

    佐々説明員 指紋の問題につきましても、私どものほうからは、重要な容疑性の裏づけの事実として、つとに韓国側に通報してあるところでございますが、この点に関しましても、現在までのところ、何ら回答に接していない状況でございます。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、金大中その人が、まだ向こうへ残っているわけですし、アメリカ等へも旅行ができないというかっこうです。日本へ御苦労願おうとしても、それができない。ちょうどよく似通った事件で、ソ連でも、反体制運動のリーダー格であったソルジェニツィン氏が国外へ一応出ておる。それを、ソ連は手助けをしておるようなかっこうで国外へ出しておる。これは、なかなかふるった行き方だと私は思うのです。ところが、韓国は、よく似たような立場の金大中氏を、依然として韓国へ残しておる。どこかに何か暗い印象を与えておる。これに対する認識は、警察当局どう持っておられるでしょうか。
  183. 佐々淳行

    佐々説明員 私ども、直接、韓国政府と交渉する立場にございませんで、外務省を通じて交渉しておるわけでございますが、この金大中氏の来日は、私どもにとりまして、被害者調書を作成するという刑事手続上重要なことでございますので、金鍾泌総理の来日に際し、私ども基本的には、いつかは金大中氏が来日するであろうというお約束をいただいたように理解をしておりますので、国際的な信義、誠実の原則に基づいて、韓国がこの約束を果たしてくれる、こういうことを期待しております。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 期待したままになって、じんぜん月日をけみしておるわけですね。私は、日本国政府そのものが、この問題で韓国側に非常になめられておるという印象を受けざるを得ない。指紋の権威は、一体、警察ではどう判断しておるのですか。韓国は、指紋の権威をどう見ておるのですか。
  185. 佐々淳行

    佐々説明員 すでに先生御承知のとおり、指紋は終生変わりませんし、万人不同でございます。指紋が犯罪現場から出たということは、国際通念といたしまして、どこの警察でも、非常な動かしがたい容疑事実ということで観念されておりまして、私ども、日本の警察官の常識といたしましては、指紋が現場にあったということは、非常に容疑性が濃いというふうに考えております。韓国側が、この指紋についてどういう考えをしておるのか、公式回答がございませんので、残念ながらわかりかねますが、おそらく指紋の重要性というものは、十分認識しておるというふうに推察しております。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 課長は、外事担当をしておられるし、外交官としても、海外に御勤務された豊かな経験をお持ちなんでありますが、犯罪人引渡条約というのがありますが、この条約の日本における価値判断は、どこへ置いておられますか。
  187. 佐々淳行

    佐々説明員 現在、犯罪人引渡条約を締結いたしております相手国は、アメリカ合衆国のみでございまして、残念ながら日本と韓国の間にはこれがございません。また、かりにこの条約が日韓間に存在いたしたといたしましても、自国民不引き渡しの原則という国際法上の観念がございますので、この逃亡犯罪人引渡条約による本件の解決は、はなはだむずかしいのではないかというふうに考えております。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 こうした国際的な犯罪を行なった人々に対する捜査というものは、やはり国際間の何かの取りきめによって、それを促進するように仕向けていかなければならないわけなんです。だから、逃亡した犯罪人を引き渡しする条約というのが、たとえ韓国との間で取りきめされておったとしても、なかなかむずかしい問題だというようななまぬるいやり方では、国際的な犯罪人の捜査、検挙というようなことは非常に困難ですね、実際問題は。
  189. 佐々淳行

    佐々説明員 この金大中氏事件の場合には、一つ申し落としましたが、もう一つ捜査上の大きな障害がございます。それは、容疑者として私どもが任意出頭を要求いたしました金東雲氏が、韓国一等書記官ということで、外交特権の保持者であったということでございます。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 いろいろと問題が残っておるわけですが、中村法務大臣、この問題を、このままずっといつまでもだらだらさせることでなくして、日本政府としても、いま聞いておると、十数回にわたって督促をしている、しかし、それは文書であるということだが、現地には大使もいるわけなんで、そういうところから、大使が直接外交交渉によって、この国際的な疑惑を一掃して、日韓両国のほんとうの親善が可能であるように仕向けていかなければならぬと思うのです。  こういう問題がうやむやにされたままで——いま世間では、いろいろ新鮮な話題が出ておるので、ちょっと忘れられたような印象を受けておるが、しかし外交関係の非常に困難な問題として長く尾を引いておるわけなんで、これを、このあたりでいつごろめどをつけていくというかっこうにしておるのか。警察当局と法務当局との間で、まだ検察のほうへ回っておらぬから、おれのほうの仕事じゃないなどというような意味で、まだ警察段階で、いずれ検察に回ってきたら、おれが手を打とうというような意味でなくして、法務大臣としては、国務大臣たる立場から、この問題をきわめてすみやかに解決して、日韓間に横たわる非常な暗い関係を吹き払うようにしなければならぬと思うのですが、どうでしょう。
  191. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 日本、韓国両国間の関係を考えますと、全くお説のとおりだと思います。おそらく外務省といたしましても、警察当局は文書で出しておりますが、文書だけでなしに、出先の大使を通して、大使も何べんか、この問題に関係して韓国の当局と会っておるようでございますから、口頭で話はしておると思いますが、何とかこれは解決しなければならない問題だとわれわれも考えておりますが、目下、これという妙手がないというので困っておる現状でございまして、なお一そう努力を続けて、金大中氏が日本を目ざして直接来られるか、あるいはアメリカに行く途中で寄られるか、いずれの方法かによりまして、捜査の打開ができるようにわれわれも考えてまいりたい、かように思っております。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 それを強力に要請します。  次に、もう一つ、外交問題に関係した法務省の御所管事項で、ピンポン選手がいま入国を要請しておる、ピンポン選手が日本に入国しようとしているときに、未承認国の選手に一つのワクがはめられる懸念があるわけですが、これはいかがですか、御答弁を願いたいのです。
  193. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 近く、第二回アジア卓球選手権大会というのが、横浜の主催で行なわれる予定でございます。これにつきましては、確かに、正式に四角ばった話をすれば、未承認国からの入国は、容易には認められないというのが基本であると思いますけれども、しかし事柄が卓球選手権大会というスポーツの親善に関したことでございますから、国際親善の上からも、われわれは、できるだけ前向きにこれに対処してまいりたいという考え方でおります。  そこで、いま入管局長も来ておりますが、入国管理局としましては、横浜の大会準備委員会の事務局と緊密な連絡をとりまして、毎日詰めておるところでございますが、いま残されております問題は、チームの名称、たとえば南ベトナム解放戦線にせよ、カンボジアにせよ、チームの名称をどういうふうにとられるか、日本が国交のある、承認しておる政権なり政府と国際的にあまりまずい結果を来たすのもよろしくない、その点を考慮に入れて、チームの呼び名、呼称等について、目下交渉しておるというのが現段階でございます。  それで、北朝鮮のように、国境がはっきりしておるところは、たとえ未承認国でありましても、国交がなくとも、これは考えようによっては、簡単でございますが、片方のほうは、そうはいかない現状にありますので、これをどう扱うべきかということについて、卓球選手権大会に来た人間が、一体、幾日滞在するのか、ほんとうにスポーツだけで滞在するのが目的であるか、あるいはその国の名称をどういうふうな呼び名にするか、そういうようなことについて、目下折衝中でございまして、こまかい折衝の経過等につきましては、入管の事務当局から御説明あとでさせるようにいたしたい、かように思います。
  194. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいま大臣から御答弁のありましたとおり、日本が承認いたしておりません国あるいはその地域の政権、それぞれにつきまして事情がございますので、承認をしてないということであろうと思います。しかしながら、他方、今回の卓球大会が、アジア地域を中心といたしました人々の集まるスポーツの大会である、その性格にかんがみまして、これが多数国の若い人たちが集まったスポーツの大会であれば、日本がその国を承認していない、あるいはその地域の政権を承認していないという事情がありましても、この人たちの参加を認めるということは適当でもあろうというふうに考えております。  ただ、繰り返しになりますが、日本がとっております基本的な立場を害さないという範囲内でひとつ御行動願いたいということで、私ども立場は、この大会の準備委員会の皆さま方に明確にお伝えしてございます。また準備委員会方々にも、十分にこれを御理解いただいておりますので、この問題は、ごく近い将来に解決するだろうというふうに考えております。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 日本の立場を理解していただいておるというのは、どういう問題ですか。
  196. 影井梅夫

    ○影井政府委員 日本が承認していないという事情があるわけでございます。それに対しまして疑惑と申しますか、日本が承認してないにかかわらず、その日本の立場に対して疑惑を生ぜしめるような行為、その中には、それぞれのチームの呼称の問題も含まれてくるわけでございますけれども、そういった点、私ども立場を、準備委員会の皆さま方に明確にした、そういう意味でございます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 いま中村法務大臣は、たとえば国境が明確になっている北朝鮮、すなわち朝鮮民主主義人民共和国のごときはいい、しかし、ほかにはちょっとおかしいのがあるという分類的な発言があったのですが、局長は、その点について、御説明を付加する必要はありませんか。
  198. 影井梅夫

    ○影井政府委員 大臣の御答弁趣旨は、北朝鮮、それから他方カンボジアあるいはベトナムの臨時革命政府、この間には、性格の相違があるという意味で御説明になったものと思います。しかしながら、日本がこれらを、いずれも承認していないという点におきましては、これは共通でございますので、そのわが国の立場というものは害さないように、私ども気をつけておるわけでございます。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 承認している、いないという、そういう前提の問題でなくて、こうしたうるわしい文化交流は、承認国、未承認国というようなそうした小さな量見でなくして、また国の名前もいろいろとこだわる必要がないようなかっこうで国際親善に貢献するのが、私は日本国のたてまえだと思うんですがね。あまりこういうものに神経を使って、通常の外交事案と同じような考えでなさる必要なし、国名にこだわる必要なしという前提で、文化交流、スポーツ、芸術等のそうした問題に取っ組むべきだと思うんですが、法務大臣、このあたりは割り切って、一般外交問題とこうした文化交流、スポーツ、芸術問題というようなものとを混同しないほうがいいんじゃないかと思うんです。大国日本の文化国家らしい寛大さが要ると思うんです。あまりきびしく考えず、自民党の法務大臣でなくして、日本国の法務大臣として御答弁を願いたいのです。
  200. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 お説のとおり、われわれは、スポーツということでありますから、スポーツの親善ということから考えて、そういう差別をしないで入国を認めるようにしたいというのが基本方針でございます。  ただ問題は、カンボジアにいたしましても、南ベトナムにいたしましても、その地域に日本と国交のある、日本が承認した政府があるわけですから、その政府との外交的配慮というものも考えませんと、今度、来られるチームならチームの呼び名、呼称等によりましては、何か新しい国を日本が承認したような形になることも困りますので、そういうような混乱を起こさないように整理をして、入国を認めるようにしたいというのが、目下入国管理局を中心にとっておる方針でございまして、それさえ片づけば、いま受田先生の御指摘のような考え方に立ちまして、さっくりとした気持ちで認めて大会のできるように進行いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、私も提唱し、また大臣が前進して考えたいというような御発言の線で解決するように要望をしておきます。  そこで、もう一つ、法務大臣は非常に大きな使命をお持ちなんです。つまり、立法、司法、行政の三権のうちの司法機関の最高責任者である最高裁長官、最高裁判事、そういうものを選出されるために、あなたはどういう役をお持ちですか。選出される過程において、法務大臣の持つ手続上の使命は何があるかです。
  202. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 御指摘の点につきましては、内閣が推薦をするたてまえになっておりますから、内閣の仕事でございますが、内閣の中でも、私、聞かれれば助言をする立場におるわけでございます。したがいまして、あくまで厳正かつ公平な態度で臨むべきものである、かように考えております。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 法務大臣は、その推薦のあっせんの労をとるとかいうような、何らかの形で最高裁長官や最高裁判事の選出にあたって、他の閣僚と違う角度の使命をお持ちではないかです。
  204. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 そうでもないと思うのです、内閣の責任においてすることでございますから。ただ、法務省担当である最高裁とは、非常に近い距離にあるということで、意見を聞かれれば、公正の立場意見を具申するということになっておるだろうと思います。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 内閣の責任者の総理が最終的な判断をする、そのときに相談をする国務大臣は、だれであるかということになると、法務大臣以外のものに相談をして、あなたをあと回しにするとか除外するとかいうことがあり得ますか。
  206. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 それは、ないだろうと思います。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、あなたがやはり内閣できめるときの一番主役になるわけです。それは、おわかりではないですか。
  208. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 結果的には、そうなるかもしれません。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 それはそうなる。だから、法務大臣というものは、最高裁の長官や判事にだれを選ぶかというときには、最も大きな、つまりスクリューになる役を事実果たしておる。その判断を誤ると、最高裁の人事に非常な不公平の結果が出るわけなんです。  そういうところで、あなたは、つまり自民党の法務大臣というよりも日本国の法務大臣として、最高裁の長官以下の選任にあたっても、日本国の最高裁長官、最高裁の判事、こういう選出がされて、どこかに偏狭さを持った判事が誕生しないような公正さを期する必要があるわけです。そういうところを、ひとつ十分留意してもらいたいと思うわけです。おわかりでしょうか。
  210. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 それは、そのとおりでありまして、あくまで厳正に行動すべきである、かように思っております。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 それではもう一つだけ。今度は、ちょっと少年法の問題を聞いてみたいのですが、少年と成人の間に青年層を設けようという少年法のねらい、私も長い間これを勉強させてもらっているつもりですが、これを一体、政府としては、いまどういうふうに推進しようとしているのか。  裁判所側の抵抗もあるわけですけれども、現実の日本の現状を考えたときに、少年、成人、その中間に十八歳、十九歳程度の青年層というものが設けられて、法律上の特殊の扱いを受けるという形は、一応かっこうとしては認められると思うのです。これは、いまどういうふうに進行しておるのですか。
  212. 安原美穂

    ○安原政府委員 受田委員、御指摘の青年層を設けるということを基本的な骨格といたします少年法の改正につきまして、法務省では、これを骨格とする要綱をつくりまして、昭和四十五年の六月十八日に、法務大臣から法制審議会に諮問がなされまして、少年法を改正する必要があると思われるので、別紙要綱について意見を承りたいという諮問でございますが、その要綱は、いま御指摘の青年層を骨格とする少年法の改正要綱でございますが、それにつきましては、自来、法制審議会の中に少年法部会というものを設けられまして、四十五年七月以来、ほぼ毎月一回の割合で会議を開きまして、昨日で四十回の会議を開いて、目下審議中でございますが、現在の進行状況は、特にこの骨格をなします青年層を設置するとすれば、どういう点に問題が起こるかということを中心といたしまして、青年層の設置の可否ということを巨視的に検討するという意味での問題点の検討が鋭意行なわれている状況でございます。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 いま日本の法律の中には、十八歳を児童の頂点として、それ以下の若い人々を、特別に保護する規定が数多く並んでおります。それから民法第三条には、二十歳をもって成年とするという規定がありまして、法律上のあらゆる権利義務関係が、この時点で明確にされるように規定されておる。ところが、十八歳と二十歳の間には空白がある。つまり、行政法各部門を展望しても、十八歳までの保護的な諸法規と二十歳を過ぎてからの法規との断層が事実出ておる。この断層の時点において、少年法をどう扱っていくかという問題が、結局、法務省の苦悩しておられるところだと思うのです。  そこで、民事局長おられますか。——それじゃ、刑事局長でもけっこうです。成年を二十歳とするこの規定ですが、ソ連その他がすでに成年を十八歳にしておる。それから選挙権が、アメリカその他では、十八歳から行使されるようになっている。日本も、非常な時代の進運とともに、高校を卒業して十八歳という年齢に達するような普通教育の高等段階を終えた者が、ちょうど成年の手前にきておるわけです。  そういう意味から、別に少年法と成年齢の関係はないといえばそれまでですけれども、他の国々の情勢が、そういうふうに引き下げの方向へ行きよるときに、むしろ成年齢を十八歳とするという民法の改正のほうも、あわせて検討するほうがいいのじゃないかと思うのです。法務大臣どうでしょう。
  214. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 どうも世界の大勢を見ますと、やはり十八歳以上を成年としておるところもありますけれども、まだ数が少ないような気がいたします。  そこで問題は、日本の場合には、少年からいきなり成人になる、そこにいろいろ問題がありまして、自動車の免許証なども満十八歳だし、犯罪などを見ましても、高年齢少年とほんとうの少年との間にだんだん差ができてきているように思います。そういうような点から、法務省としては少年、青年、成人というようなぐあいに分けて、少年期というものを二つに区分したほうが、諸般の点から適当ではないかということを考えたのだろうと思います。  私も、まだ勉強が足りませんけれども、この点につきましては、法制審議会で四十回にわたって議論して、なかなかここも議論がありまして、議論は尽きないようでございます。ですから、そういうような世間の学識経験者の議論も徴しまして、慎重に結論を出していくべきものである、かように考えております。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 私、これは、しばしば気にかかってしようがないから、質問を繰り返しておるのですが、十八歳という年齢は、もう子供の限界になる年齢で、それ以下の問題については一応解決しておる。保護規定その他がある。今度、刑事訴訟関係などで、一応その対象になる年齢が二十歳以上になっておる。しかし十八、十九という年齢は、保護処分でもどうも軽過ぎるし、刑事訴訟としても問題だというようなところから、そこに特別に青年層のワクをはめようという御企図のようです。しかし、これをすかっと解決する問題が一つあるのです。  それは天皇、皇太子が成年は十八歳となっておる。皇室典範でそうなっておる。象徴天皇のお立場、皇太子の立場が十八歳になっているということは、もうすでに十八から一応成人としての道が開けておるということ、国の中心になるお方の年齢をそこにきめているということは、右へならえをしてもいい一つの道が開けておるわけです。それから国家公務員でも十八歳で採用している。それ以下の少年兵というような防衛庁の職員がある。少年自衛官。だから、そういうところでも、十八歳でも一応権利、義務関係の能力発生の時点として公認していいじゃないか、そこへもう大勢はおもむいているわけです。  そうすると、むしろ民法の規定を変えて、一応成人として十八から扱っていく。公務員でも十八から相当数採用されておるわけでございます。高等学校を出た初級職の公務員なんというのは、もう十八でみな公務員になっておる。それが二十歳になるまでの二年間は、権利義務関係で正規の成人と認められないというので、無能力者的な要素をなお温存するような行き方というのは、これは人権の上からも問題があると思う。それから十八歳から二十歳未満の未成年の公務員が犯した行為に、国が責任を負うときにどうするかという問題も起こってくる。むしろ成年齢を十八と引き下げて——ソ連その他の新しい方向はそういっている。そして一般行政法の関係にも、十八歳というところが頂点になっている。いま自動車の免許の例も引かれましたが、そういうことで、十八歳で一応成人に達したものとする。  ただ、選挙権の行使あるいは選挙せられる権利を得るためには、二十歳とか二十五歳とかいう現在の規定をそのまま、つまり、高度の価値判断の能力が必要だという意味で、二十歳とか二十五歳とかいうものにすればいい。こういう意味で、ただ刑事政策だけでなくして、民事政策としての年齢を検討されていく必要が私はあると思うのです。法務大臣、非常にむずかしいことに見えますが、しかし、すなおな感じでこれをお聞き取りいただけばいいと思うのです。
  216. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 たいへん貴重な御意見として拝聴いたします。ただ問題は、おそらく法制審議会でも、三段階にしたほうがいいという議論と、いや同じような——きっといろいろな議論をしておられるのだと思います。そういうような学識経験者意見を、十分にそんたくした上で最終結論を出すべきものであろう、かように考えております。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 私は、単に刑事政策的な意味でなくして、民事政策的な意図をもって検討をする面をいま指摘したわけです。そのほうを、民事局長来られましたのでひとつ……。
  218. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 成人年齢を引き下げてはどうかという御意見でございますが、この点は、民法の成人年齢は、仰せのとおり、行為能力、取引をする能力というものを基準にして考えておるわけでございまして、これが二十歳がいいか、十八歳がいいかという問題は、必ずしも世界共通のものではないと思います。その国なり社会の程度にもよるものと思いますし、御指摘のように、なおよく検討をしてみる必要はあろうかと思いますが、まだ法制審議会のほうで、いろいろほかの問題も検討しておりまして、そういった問題について検討したこともございませんので、さらに外国の例その他も引き比べまして、よく研究をさせていただきたい、このように考えております。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 これは、そうした刑事政策、民事政策の論争に時間をかけるわけにいきませんので、これで質問を終わりまして、この問題もあわせて法制審議会で検討をされるように、つまり、成年齢を民事的にどう見ていくかという問題、天皇や皇太子は十八歳で成人になると皇室典範に明確にうたってある、それは一般国民も同様であっていい、そこまで世の中はもう進んでおる、青年層を新しく創設されるにあたって、刑事政策と民事政策を調整されるならば、行政法一般に及ぶ十八歳未満の扱い方にも、また——十八歳で子供の時期が終わり、これより成人、青年になるのだというきわめて明確な整理ができる。  法律的には、ものを整理するのに、どこへ基準を置くかが大事なポイントだと思いますので、法務当局は、法律の文章を従来、かたかなでやっているものもあれば、ひらがなでやっているものもあれば、文語体もあれば、口語体もあるというようなものの整理をすると同時に、こういう問題も、ひとつ近代的な国家らしい体制に切りかえることを要望しておきます。  これで質問を終わります。
  220. 徳安實藏

    徳安委員長 和田貞夫君。
  221. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今回の法務省設置法の一部を改正する法律案内容でございますが、一つには入国管理事務所の出張所を、別表十二を廃止して、自由に国会のチェックもなしに省令によって廃止統合をやっていく、こういうやり方を考えておられるのでありますから、そうなってまいりますと、住民の利便というものを全然無視し、住民の意思というものも全然聞き及ぶところなしに、自由に出張所を置いたり廃止したり統合したりすることができるのですが、これは住民のサイドからいいましても、問題がありますし、あなたのほうの労働組合のほうでは、このことによって、今後、一そう管理職を増大させていく結果になるということを非常に心配しておるわけであります。  第二点の問題につきましても、東京法務局については、日本橋出張所を廃止いたしまして、民事行政第一部、民事行政第二部を設置する、こういうことでありますから、これまた管理職が強化されて、それに伴うところの人員配置というものは保証がない。むしろ最近の登記関係の事務というものは、中央、地方を問わず、非常に増大している傾向にありますので、労働組合としては、御案内のとおり、かなりの増員を要求しておるはずなんです。  したがいまして、そのような心配が非常にあるわけなんですが、この際、この二つの法律改正にあたって、私がいま申し上げましたような内容、あるいは組合が心配しておるようなことと関連して、この機会にひとつ、法案改正にあたってのあなたのほうの考え方を、一言述べていただきたいと思うのです。
  222. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 初めにお尋ねの入国管理事務所の出張所を、省令で定めることとする点についての御懸念についてでございますが、先生御指摘のような点は、私ども十分考慮しなければならないというふうに考えております。  今回、この法律案提出いたしました理由といたしましては、近年出入国者が非常に著しく増加いたしておりまして、迅速にこれに対応するという、いわば政府側の必要性というものもあるのでありますけれども、一方、それは地元の住民の方々からも、その点についての強い要請がございまして、この種の出張所の改廃を容易にするという点にねらいがあったわけでございます。そういった意味合いにおきまして、むしろ地元の住民の皆さん方の御要望に沿うた改廃をするということを念頭に置いて立法しようとしておるわけでございまして、もちろん、これを省令にいたしました場合におきましても、地元の御意向というものを十分そんたくいたしまして、必要なものはつくる方向で考え、不必要だと地元の考えられるものにつきましては廃止の方向で考える、地元の意向を十分に反映した措置をとっていきたいというふうに考えております。  なお、登記所の関係の問題につきましては、民事長局から御返答いたします。
  223. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 登記所の関係についてお答えを申し上げます。  管理職の問題は、先生御指摘のように十分配意しなければならないと考えておりますが、今回の東京法務局の機構の改革でございますが、これは先生御承知のとおり、近年、登記事務が非常に激増をいたしております。ことに東京管内は、事件が増加いたしておりまして、東京法務局は、全国の法務局の中でもずば抜けて忙しい。人質的にも非常に多いわけでございますが、そういう状況でございます。  したがいまして、現在、民事行政部というところで登記、戸籍、国籍、供託といった各種の事務を取り扱っておりますが、このうち事務量の比較において見ますと、登記事務が圧倒的にふえておりまして、しかも管内に出張所、支局といったようなものがございますが、こういったところで増加する事務を処理してまいりますために、物的設備の充実でありますとか、あるいは事務の改善でありますとか、そういった問題が絶えず起こってまいりますので、その登記の専任の部長を置きたいということで、民事行政部を二つに分けまして、登記専門の部として民事行政第一部、そのほかの戸籍、国籍、供託、こういった事務を扱うものとして民事行政第二部の二つに分けようとするわけでございまして、これは、もっぱら東京法務局における業務が円滑に推進されるようにという配慮に基づくものでございます。そういう趣旨でございますので、ほかに別に意図はございませんので、よろしく御理解いただきたい、このように存じております。
  224. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 機構の改承というのは、まず一つには、先ほど申し上げましたように、住民がそのことによって利益をこうむる、これが大前提でなければいかぬ。第二点は、やはり機構改革によって職員が合理化されて、より一そうの労働をしいられるというようなことを排除しなくちゃならない。  ところで、いまの御答弁で、たとえば入国管理事務所の出張所を、省令によって自由に統合、廃止することができることによって、むしろ住民の要請に沿ったことになるのだという旨の答弁があったわけですが、本来、国の出先機関というものが、そう身がってにどんどんと設置をされたり、なくなっていったりすることにならないように、特にどんどんと中央の権力が伸びていって、地方に介入するようなことを制御をするために、地方自治法でしかとそのことが規制をされておるのであります。また住民の意思を十分に伝えるために、従来のように省令でなく設置法の中できめられておることによりまして、国会で私たちが意見を述べるということができるわけです。いまの御答弁とこの法の改正趣旨がまっこうから相反するように私は思うわけなんですが、そのことについて、もう一度お答えいただきたいと思います。
  225. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 組織の関係を担当しております関係上、私からお答えいたします。  先生御指摘の点は、たいへん重要な点であると私も認識いたしております。地方自治法で国の出先機関を設置する場合に、国会の承認が要ることにいたしており、その例外として特別法律で規定を設けておるという点は、まさに先生の御指摘の趣旨からであるというふうに私も理解いたしております。それからまた、国の組織をつくります場合に、法律にしておく意味も、先生御指摘の点に理由がありというふうに考えております。  ただ御説明いたしますれば、入国管理事務所の出張所につきましては、これが数名というたいへん小規模の庁でございまして、その権限におきましても、たいへん小さなものでございますし、むしろ、これは住民サービスの機関であるというふうに私どもは考えておるわけであります。そういった意味で、港の出張所の設置を容易にするということは、地方の利用者の利便を増進することにつながりますし、また地域の発展にもつながるというふうに実は考えておるわけでございまして、そういった意味で、地方自治を制約するという要素は、たいへん少ないものではないかと考えるわけでございます。また職員の面につきましても、出張所のないところにおきましては、出張所がなくても外国船が入ってまいりますので、遠い事務所から職員がかけつけて審査業務を行なうといったような形をとっておりまして、それは利用者に負担をかけるのみならず、職員自身の負担にもなるわけでございます。  そういった点を解消するという意味からも、この港の出張所の設置を容易にする点はメリットがあるわけでございまして、そういった点を彼此勘案いたしまして、今回のような案を提出したという次第でございます。御理解が得られますれば幸いだと存じます。
  226. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 こういうことは繰り返しませんが、やはり国会であなた方の考え方について、私たちの意見を述べることが保証されるほうが、より民主的であり、より当を得た結論になっていくことだと私は思いますので、そのことはあまり言いませんが、できれば、この点については、いさぎよく撤回するということを私は要請しておきたいと思うのです。  それから、東京法務局の機構改革についてでありますが、これも先ほど御答弁がございましたが、やはり先ほど申し上げましたように、機構改革によりまして、管理職だけふえていく。管理職だけ必要であるから、登記担当の専任部長を置くのだということでありますが、これにつきましても、やはりせっかく機構いじりをし、機構改革をするのであれば、そのことによって、どれだけ住民に利便が与えられるのだということから、やはり考えていかねばいかぬと思うのです。だから、組合の諸君も、管理職はふえるけれども、おれたちの事務量をこなしていくために、日常要求しておる増員について一体どうなるのだろうという心配が非常にあるわけなんです。  したがいまして、この機会に、できれば、そのような内容についての人員配置の問題、人員増の問題、このような問題について、ひとつ御答弁いただきたい。
  227. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 お答えいたします。  現在、東京法務局の登記課におきましては、不動産登記の仕事だけを扱っておりまして、商業法人登記の仕事は取り扱っておりません。これは法務局としては、非常に変則でございまして、本来、東京法務局が管轄すべき商業法人登記の事務を、別に日本橋出張所という出張所を設けまして、そこで扱っている、こういう形になっております。現在、この日本橋出張所に六十六名の職員が勤務しておるわけでございますが、今回の機構改革に伴いまして、この日本橋出張所を、民事行政第一部に取り込みまして、そこで商業法人登記の事務を取り扱わせるようにする、こういう構想でございます。現在、この日本橋出張所というのは、東京法務局の中にございますので、これを本局に取り込みますと、名実ともに本局の登記課という形になりまして、申請人の側からいたしましてもわかりやすいし、ほかの法務局とも均斉のとれた体制になるわけでございますが、人員の関係で申しますと、この六十六人の職員を、そのまま民事行政第一部の法人登記の関係の係に充てる、このように考えておりまして、人員の増減はございません。したがいまして、この機構改革によって、特に事務の取り扱いが困難になるというようなことはないわけでございます。  なお、法務局全体といたしましては、来年度、四十九年度におきましては、ある程度の増員をいただいておるわけでございますが、これは最近、不動産登記の関係が非常に増加しておりますので、そちらのほうで、増加した事務を処理するために充てる、こういうことにしたいと考えております。
  228. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、この東京法務局の今回の機構改革については、日本橋出張所に配置しておった職員を、そのまま東京法務局へ持ってきて、東京法務局に管理職が一名ふえて職員がふえないということになるわけでしょう。管理職はいままでよりも一人ふえて、職員は六十六人の日本橋出張所そのままを持ってくる、こういうことですから、そこが組合の言っておるように、肝心の職員がふえないで管理職がふえるだけじゃないか、こういう指摘が今回の改正について当たっておるわけです。どうですか。
  229. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 四十九年度に、先ほど申し上げましたように、若干の増員が認められますので、東京法務局には八名、全体で増員することを考えておるわけでございます。したがいまして、これをどういうふうに配分するかというのは、東京法務局で仕事の繁閑を見てきめるということになるわけでございますが、ただいま御指摘の点、日本橋出張所で六十六名の職員がおって、管理職が一人ふえるから実働職員が減りはしないかという御懸念だと思いますが、実働の職員の数には変動を来たさないようにいたしたい、その点は機構改革によって職員の負担量が増すということのないようにいたしたいと考えております。
  230. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 機構改革によって頭だけできて——私は先ほど言うたように、やはり機構改革をするということは、よりそのことによって、住民の利便に供するのだということであるわけでね。ところが、この日本橋出張所の六十六人を、そのまま東京法務局へ繰り入れて、それに民事行政部長が二人できた、登記専門の部長が一人できた、こういうことにすぎないようなことであれば、これは機構改革によって頭でっかちになるだけで、住民に何にも利便を供するということにならないじゃないですか。  ただ、四十九年度で八人増員するのだということでありますが、しかし四十八年度におきましては人員がふえない、こういうことであるわけですね。だから、私の言うように、機構いじりをやって、機構改革をやって、そのことが住民の利益になるのだということにならないと思う。そこが、私たちだけじゃなくて、組合もそのことを、かえって管理職がふえるだけで、職員がそれに伴ってふえていかない、今回の機構改革によって決して住民のためにならないのだという心配をしておるわけなんですが、いまの答弁では、組合の言っておる心配が、まさにそのとおり当たるわけなんです。管理職をふやすが、やはり職員も増員をはかっていくのだ、そうして住民のサービスを高めていくのだということでなければ、今回の行政機構の改革というのは、これは何をするかのわからない、やらぬほうがいいと思うが、その点どうですか。
  231. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 お答えいたします。  現在、日本橋出張所には所長が一名と、それから課が二つございまして、第一課、第二課、それぞれに課長がおるわけでございます。今度、これがなくなりまして、民事行政第一部に入りました場合に、民事行政第一部長というのが新しくできるわけでございます。そのほか法人登記の関係では、法人登記第一課と法人登記第二課というものができるわけでございまして、結局、問題は、日本橋出張所の一課、二課は、そのまま本局の民事行政第一部の法人登記一課、二課に当てはまるわけでございます。  ただ、日本橋の出張所長、これが商業、法人登記の事務に専従しておったわけでありますが、これが民事行政第一部長となりまして、行政事務に携わりますために、その面で若干仕事の範囲が広くなる、その結果として、商業登記事務にかけておった負担といいますか、商業、法人登記事務の処理のために用いておったところの人員が、いわばこの管理職の一人分だけ減ることになるのではないか、こういう心配があるわけでございます。そこで、その分につきましては、先ほど申し上げましたように、実働の人間が減らないように、東京法務局に八人増員いたしますので、その範囲内でもって十分に措置をしてもらいたい、このように考えておるわけでございます。
  232. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 どうも、いまの御答弁では、私の質問している——そうすることによって、なるほど民事行政第一部長が、従来の日本橋出張所の所長よりも幅の広い視野の上に立った管理職になるんだという答弁は、私はわかりますけれども、しからば、そのことによってどれだけの住民利益があるんだ、そのことによってどれだけ住民に利便が供されることになるんだという答弁にはならないと思うのです。また組合員が言っているように、管理職がふえることに伴って人員がふえていかぬじゃないか。  これは、省の法の改正を言うておるんですからね。四十九年度に、なるほど八人の増員があるといたしましても、これじゃ組合員が言うておるように、管理職をふやすだけであって人員がふえない、そのことによって決して住民サービスということにはならないんだと言うておることが、まさに当てはまるじゃないか。それでは私は納得するわけにいかぬ。私の心配するところ、あるいは組合の心配するところ、これに対して、そうじゃないんだ、こうなんだ、だから、管理職の強化にならないんだ、いままで以上に住民に利便を供することになるんだという答弁をしてもらわぬと納得するわけにいかぬですよ。
  233. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 最初に申し上げましたように、民事行政第一部というものを設けて、この第一部長に登記事務全体の統括をさせるということは、ひいては東京法務局全体の登記事務、これは本局だけではございませんで、管内の支局、出張所を含めまして登記事務を行なっておるわけでございますから、その登記事務を円滑に処理するための専門の管理職というものができるわけでございますので、その面でのプラスというものは考えられると思います。最近、登記事務が増加しておりますのは、本局だけでございませんで、管内の出張所全般的に増加しておりまして、特に時期によりまして、年度末とかそういう特殊な時期には、事件が非常に集中してまいります。そうしますと、本局といたしましては、そこの登記所に応援の人員を送り出すとか、いろいろ機械設備を増加するとか、物的、人的な手当てをしなければならないわけでございますが、現在は、民事行政部長が登記事務だけでなく、そのほかの国籍とか供託とか、こういった仕事もやっておりますので、登記事務のみに力をそそぐわけにまいりません。それを、今度は登記専門の部長というものを設けまして、管内の支局、出張所の登記事務の運営がうまくいくように、それを専門に監督してもらう、こういうふうにいたしたい。これによって、本局のみならず、管内の登記所の業務の円滑が確保される、そういったプラスが出てくる、このように考えておるわけでございます。
  234. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと関連。  登記事務、私も行ってみたこともありますし、何べんも質問したことがありますけれども、たいへんなふえ方ですよ。そこで、やはりこれは思想的なものがあるのじゃなくて、職場で働いている人の労働の密度の問題とからむわけで、今回の機構改革で部長が一人、民事行政第一部長ができる、だが、現実に実務をやっている諸君の側からすれば、ここに人の配置がふやされなければ、今回の機構改革は、単なる管理職の面からくる締めつけぐらいが落ちで、仕事の軽減にもならなければ、つまり能率化にもつながらない、だから、そういう意味では、全く意味がないからやめてもらいたいというのが、職場の諸君の言い分ですよ。  これは思想的な背景でなしに、現実に仕事をしている職場の諸君が、実際やってみて、忙しいということは、これはたいへんなことだということなんですから。だから、そこの問題が片づくようにするのが、管理者の管理責任ですよ。そういう意味でできる限り、これは話し合ってもらって、そこらの忙しさというものは、皆さんのほうでわからぬわけじゃないんだから、解決をする方向に一歩でも二歩でも前進をさせるということにしてもらわぬと困る。  東京法務局で四十九年度の予算定員の中で何名かふえるというわけでありますが、さっきからの答弁では、それは民事行政第一部を対象にしていないという言い方をされるから、それじゃそこにいく可能性がないことになる。東京法務局でふえるのは、法務局全体でということだから、そっちでやるんだというわけですけれども、あなたのほうが東京法務局にものを言って、その点は、法務局のほうにどういうふうにやるんだと言ってやらせればいいわけです、あなた方の対象にする職員団体は、その組織というのは一本の組織なんだから。その中で、ここのところは、こういう機構改革ではだめだ、これをふやせと言っているわけだ。そうでしょう。話がつかぬはずはない、定員配算になるんだから。だから、私のほうは、そこの話をつけていただきたいと言っているわけです。  だから、つかぬのだとすれば、そう簡単にこれを通すわけにいかぬ。私のほうは、これから参議院もあるわけですから、職場の諸君のためにならぬというものを、そんなものを通すわけにいかぬ。話がつかぬ、職場の諸君がどうしても大きな不満を持っていて納得しないというのなら、われわれの側としては、この法案はつぶそうじゃないかということにせざるを得ない。  だから、そういう意味で、早急にこれはひとつ話をつけてください、思想的な話じゃないんだから。忙しくて忙しくて困る、機構改革をするのはいいが、部長が一人ふえるだけだ。部長なんていうのは、どうせろくなことをしやしないんだということになるんだからね。部長というのはえらいんだから。実際仕事をするんじゃないんだから。はんこつくのが関の山ぐらいなものだ。だから、そういう意味で、話をつけてくれるのかどうかということをこの間から申し上げているので、そこらの運営よろしきを得て、うまくやっていただけますかね。
  235. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、東京法務局におきましても、その点には十分配慮をいたしておるというふうに聞いております。先ほど申し上げましたように、八名の増員がいくわけでございますが、これをどの職場につけるかというのは、東京法務局が責任をもってやることでございますけれども職員の意向も十分に聴取いたしまして、不満のないような配置をすることに努力をいたしておりますし、われわれもそのようにいくように、東京法務局にもよく連絡をいたしておる次第でございます。
  236. 大出俊

    ○大出委員 これは、ぼくも何べんも出かけていって——実測車なんていうのは、あれはまたインチキで、予算上は少ないのに、実際にはいろいろな差し繰りをして、よけいこしらえてみたりしてやっておった時期があるんですが、そこまではここでは悪いから言わなかったけれども、しかし、私は知らないわけじゃないんだ。だから、私の心配するのは、法律を通すのはいいけれども、通したあとで職場のほうから、何でこんな機構改革を通してくれたんだなんていうことで、わいわい文句がくるのじゃ、私のほうもかなわぬですからね。だから、せっかく出してくるのなら、職員団体があるんだから、人の配置の問題なんだから、仕事の量の問題なんだから、せめてもうちょっと詰めていただきたい。  あなたは、いまお話しのように、本局のみならず至るところ、登記事務がふえているとおっしゃっている。ふえているから、忙しいから人をふやせというんだから、これはあたりまえのことだ。だから、これは話をして、どうしても行政管理庁が人をふやさぬというなら、行政管理庁とひざ詰めでやってふんだくればいいんだ、定数は行政管理庁が押えているんだから。そして、それが総定員法のときの約束なんだからね。だから、そのくらいのことは、皆さんだけじゃなく、ぼくらだって幾らでもやりますよ。そういう意味で、ともかくこういう性格のものをお出しになるのなら、その辺の話をつけて出してくるのが筋であります。そうでないと、今度は審議する側が、職場の諸君のほうから、こんなものを通されちゃ困るから踏みつぶしてくれと言われる。それじゃ困るんですよ。話つけてくださいよ。
  237. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 必ず円満にいくようにいたしたいと思っております。
  238. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、いまの問題につきましては、東京法務局の問題ではありますが、組合のほうが、管理職をふやして職員がふえないという不満を持っておるわけですから、これは、ひとつ責任を持って解決をするように話し合ってもらいたいと思うのです。  先ほど登記事務が特に最近ふえて、増員計画というものも持っておるのだというように言われたのですが、特に登記所といわれる出張所を中心に、登記事務に携わっておられる職員を中心とした今後の具体的な増員計画——東京法務局については、四十九年度で八人増ということはわかりましたから、全体として、これから四十九年度には一体どれだけの増員をやって、五十年度には一体どれだけの増員をやって、その次には一体どれだけの増員をやってというような、具体的な計画がありましたら、この機会にひとつお知らせいただきたい。
  239. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 四十九年度予算におきましては、三百三十七名の増員が認められたわけでございます。もっとも、このうち定員削減措置によりまして百五十七名差し引かれることになりますので、純増は百八十名でございます。この百八十名の増員予算が認められますれば、これは全国の法務局に、その事務の繁閑の度合いを見ながら配置することになるわけでございまして、先ほど東京法務局八名と申し上げましたのは、この百八十名の予算が認められました場合に、東京法務局に八名を増員したい、このように考えておるということでございます。
  240. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、もちろん登記官だけじゃありませんが、組合のほうで、登記官を中心としてどうしても六千四百人ほど増員をしなければいかぬということを言うておるわけですね。それに対して、あなたのほうは、それじゃどれだけの増員の必要性があるのだというように考えておられるのですか。とれたとれないは別として、どれだけの増員が必要だというように考えておられるのか、お聞かせ願いたい。
  241. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 四十九年度予算を要求する当時におきまして、私のほうで積算いたしましたところによりますと、三千九百三十四名が必要である、このように考えたわけでございます。もっとも予算要求に際しましては、現在の定員の実情から申しまして、これは無理であると判断されましたので、二年計画にいたしまして、その半数に当たります千七百十一名を要求いたしたわけでございます。
  242. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 組合のほうが六千四百九名必要だ、あなたのほうでは三千九百三十四名必要だ、この間の数字の違いというのは、これはあるといたしましても、三千九百三十四人がどうしても必要なんだという考え方を、あなたのほうが持っておられる、そして初年度で一ぺんに増員計画をということは不可能だろうから、二カ年計画で四十九年度としては千七百十一名の要求をされた、千七百十一名の要求をされて、先ほどお答えのありましたように、三百三十七名、百五十七名差し引かれて百八十名、あなた方のほうで必要だといわれる四十九年度の千七百十一名の一割しかとってきておらぬじゃないですか。それじゃ、自信のある増員要求じゃないじゃないですか。一体、いままで法務省として、増員要求について、ただ増員を要求したけれども、だめだったんだというような形式的な要求をやったわけですか。どうですか、大臣。
  243. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 決して形式的な要求ではございません。しかしながら、現在の総定員法のワク内においては、なかなか人員の余裕というものが得られないということで、やむなく涙をのんで今回の数に甘んじたわけでございます。したがいまして、今後の増員要求におきましても、なお必要数の獲得に全力を尽くしたい、このように考えております。
  244. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 努力も努力のしがいのあるような努力をやらぬと、千七百十一名の要求をして、これは半数になったんだ、これならまだしも、一割しかとってこないで、これは努力したというようなことを言えないじゃないですか。どうしても、あなたのほうでは、組合員の要求とかけ離れていても三千九百三十四人が必要なんだ、単年度では無理であっても、その半数の千七百十一名はどうしてもとるのだというような考え方をとってきたのであれば、こんなばかげた数字じゃないですよ。だから、私は形式的な要求にすぎない、こういうように言うたんですが、どうしても千七百十一名必要だということで、これはからだを張ってとるような努力をされたのかどうか、ひとつ法務大臣お答え願いたい。
  245. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 昨年、前年度も似たような要求をしたようでございますが、諸般の状況で純増百二十名で終わりまして、来年度の予算編成にあたりましては、いま局長が申し上げたような数字の要求をしたわけでございますけれども、国全体として閣議決定までして、公務員を、できるだけ簡素化して人数を減らそうという方針がありまして、五%カットという閣議決定の方針があるものですから、なかなか行管もやかましゅうございまして、私も行管長官には、しばしば行きまして懇請をしたわけでございますが、結局、純増百八十名というところに終わってしまったわけです。  これは、われわれの努力が足りないといえば足りないかもしれませんが、次の年度におきましては、さらにこれは努力をし、議員の皆さんにも御声援をいただいて——現在、とにかく法務局関係の登記事務は非常に混雑をしておる、その日に登記を申請しても、その日にできないというような地区がたくさんあるような現状でございますから、権利義務の重大な関係がありますから、登記申請をしたら、その日のうちに登記が完了するような状況になるまで、何とか努力を続けていかなければならぬ、かように思っております。
  246. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 末端の出先では、これは、あなた方も指摘されたように、非常に事務が増大して、住民が困っておるわけです。職員も困れば、住民もやはり不満なんです。だから、昨年度はこうだったから、ことしはこのぐらいのことでよかろう、また来年はこのぐらい積み増しをしたらいいんだというような、それを私は形式的な要求だというように言うておるのです。どうしても、これだけなかったら仕事ができぬのだ、これだけの人をくれぬのであれば、おれはやめてもいいというぐらいに、胸を張って、からだを張って折衝してくる、こういうことでなければ、これは話にならぬですよ。いつまでたっても、去年はこれだけつけてやったのだから、ことしはこれだけでしんぼうせいということでずっと続いていく。(発言する者あり)職場の末端の職員の不満、住民の不満、これは、いつまでたっても解決できないですよ。  かたがた、いま上原委員のほうから発言があるように、惜しみなく自衛隊のほうは人員がふえていくじゃないか。やろうと思ったら、それはできるんですよ。なるほど、総定員法でワクはきめられておっても、各省庁にわたって、形式的に、定員内の職員を、そのワク内で行管があっちへやり、こっちへやりしてやっておる。しかも、その実際に働いている人たちは、ややこしい定員内職員だとか、非常勤職員だとか、アルバイト職員だとか、何やら現業職員だとか、それぞれやはり、やっていけないから、それに合うように、何とかかんとかやりくり算段をして仕事をやっているのが現実じゃないですか。  そうすれば、やはりこれは、あなた方だけじゃなくて、各省庁が——現実には定員外の職員であろうが、定員内の職員であろうが、払っている金の面については同じことなんです。だから、形式的な総定員法にこだわらないで、やはりどうしてもこれだけ必要なんだということであれば、各省庁が打ち合わせをして、総定員法を改正して定員のワクを広げていく。そのことによって、むしろ、いま身分の不安定な臨時職員であるとか、あるいは非常勤職員であるとか、あるいはアルバイトであるとか、こういうような職員を解消することになって、身を粉にして定員内の職員としてがんばり通す、それが、ひいてはやはり住民のサービスになっていく、こういうことになるわけなんですよ。  そこらあたりひとつ、おれのところは、法務省としては、これだけの人がなかったらどうしてもやっていけないのだという確固たる信念のもとに、ことしは済んだといたしましても、来年以降そういうような考え方で必ず人をとってくる、こういうような覚悟のもとに増員要求をやってもらえるのかどうか、法務大臣、決意のほどをひとつ……。
  247. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 お説のとおりです。われわれも大いに努力したいと思っております。
  248. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと関連。  十年ばかりの間の登記事務の増加傾向を、東京法務局管内、できれば全国ほしいのだけれども、おたくのほうで数字があると思うんですが、一ぺん出してみていただけませんか。委員長にお願いですが、登記事務の増加傾向、これは件数で出るわけですから、私、数年前にお出しいただいたことがございましたけれども……。  いまの大臣の言う五%削減というのは、条件がついている。総定員法というのは、この委員会審議した。私は、三日もかかった。三年、五%ということだったんですけれども、これは一体どういう思想なんだ、総定員法という、頭の数がきまっているんですから、それじゃ、その削減した定数はどこへ持っていくんだ、行管がプールしますというんですね。じゃ、プールした定数はどうするのだ、必要なところに配置します、それで行管が定数を押えてきた。ところが、その五%削減のときに、各省のやっていることはみんな違う、各省に一括その数で出せと、行管はこう言うんですから。  そうすると、運輸省のように、ローカル空港の、消毒薬や何かをまいたりするような、小さな飛行機が飛ぶようなところの人を、全部かんなをかけて削っちゃった。そうすると、飛んでいるときに、風向きが変わったり、気候が変わったりしたって、連絡のしようがない。そうでしょう。これは、あぶなくてしようがない。しかし、そういうあぶないところを削ったところは、あとから理由がつく。飛行機の事故なんかがありますと危険だ。だから、一ぺん削って出したけれども、また、ぼつぼつ復活している。削るべからざるところを削っておいて、ぼつぼつ復活している。頭のいい省がある。  気象庁なんかだって、露点や何かをやっているのをみんな削っちゃった。だから、富士山頂レーダーといったって半日しか動かない。そういうところを削っておいて、だからといって、あとからぼつぼつふやしているところがある。ところが、そうでないところというのは、まともにかんなをかけちゃって、いつになったってふえない。たいへんなオーバーロードをそこでやっている。そういう違いが、各省別に見ると実際には至るところに見える。だから、現実に非常な不公平、アンバランスがある。  そこらのところは、皆さん、幾ら何でも、千七百名も要求して百八十名、一割だなんていうばかなことはほっておけない。合理的な理由があるんだったら、これは出していただきたい。千七百人、二年に分けた三千幾らというんだから、それで出していただいて、この委員会で、行政管理庁に対する質問をこれからぼくらやるわけだ。今度、保利さんが行政管理庁長官だから、じっくり法務省問題をつかまえてやってみたらいい。  実測車の件だって、ぼくはあのとき、ほんとうに腹が立った。また一人官署なんていうのも、いろいろ問題があった。御夫婦でそこへ住んでいる。登記事務が来る。御主人が土地の実測に行く。あとから登記に来た人は、奥さんが受け付ける。奥さんは給料をもらっている役人じゃないですよ。今度は実測に行く車の問題だが、予算上を見たら、車は幾らもない。ところが、これは聞いてみたらたくさんある。これは何だというと、予算を流用してこしらえたという。違法ですよ。だが、実際に要るんだから、ぼくは黙っていた。つまり、登記事務というのは、それぐらい忙しい、末端へ行けば行くほど。おまけにまた、土地がやたらあっちこっちに飛びかうものだから、よけい忙しくなる。  しかし大臣が言うように、大事な仕事だ、財産権の確定をやるのだから。そうでしょう。だとすれば、そこのところに、これだけの要求をあなた方がするならば、登記事務が忙しいということをお認めになっているわけだ。お認めになっていて、一割しか定員がつかなければ、職場の諸君にすれば、実際にこれだけ正当な要求ならば——十分の一しか認められていないのだから、それだけ忙しい。現実に労働過重になっている。そのため問題が起こる。  だから、あなた方のほうは、あとからおそらく和田君が質問するだろうと思うんだけれども、登記事務の乙号なんというものは、みんな切り離して請負じゃないですか。そうでしょう。司法書士の方々だって、みんなこれは文句を言う。だから、そういう形にしないで、それは皆さん、和田君が言っているように、正当な理由があるものならば、これは、どこまでも主張する必要がある、こう私は申し上げたい、特に登記事務というのは、財産権の確定なんだから。  そういう意味で、資料を出してください、委員長。これは、また行政管理庁ともやりましょう。
  249. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いまの点、ひとつよろしくお願いいたします。  そこで、いま大出委員のほうから触れましたが、人をとることをやらないで、困り果てたあげく、下請とは何事だ。登記の写しを発行するについても、あるいは人の財産を、第三者を含めて閲覧をさすというような事務もある。そういうようなものを下請さしていくということは、どういうことですか。  いま具体的に、登記関係でどれだけの事務を、どの個所に、どれだけの分量を下請さしておるのか、この際ひとつ明らかにしてほしい。
  250. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 下請とおっしゃいますのは、乙号事務の問題であろうと思いますが、これは登記所で登記簿の謄本、抄本の交付をいたしておりまして、この交付の請求がありました場合に、登記所としては、登記簿の用紙を複写機にかけて複写いたしまして、そうして、それに証明を施して謄本として交付する、こういうことになるわけでございますが、この交付事務のうちの機械にかけて複写をする、コピーをとるという仕事を、外部のものに請け負わしておるということでございます。  これは、比較的機械的な事務でございまして、しかも量的には相当分量がございますので、これを忙しい登記所で職員がやっていたのでは、事務に支障を生ずる、また事務の内容から見まして、非常に機械的な仕事でございますので、必ずしも職員がやらなくても、なれた者が扱ったほうが早いということもございます。そういう関係で、下請の仕事を実施しておるわけでございまして、現在では、たしか、特に事件の繁忙な登記所二十二カ所において、この下請を行なっておるという状態でございます。
  251. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それで、二十二カ所の事務繁忙なところに下請をさしておるというこの事実につきましても、ひとつ、どことどこであるかということの資料を出していただきたいと思います。  そこで、いかにコピーをとるだけだ、単純な機械作業の面だけだとはいうものの、たとえば郵便業務で収集を下請しておるが、配達ということについては、これは下請ではなくて、郵政の職員がやっておるということ、あるいは国鉄の事業につきましても、運転をしておる者は、これは下請ではなくて、車内の掃除をするのが下請だ。おのずから下請をするところについては——せっかく役所がやっておるのだから、やはり責任を持った業務とそうでない業務とあることはわかるけれども、あなたのほうの、いかに謄本、抄本を交付するにあたって、コピーをとるだけだとはいうものの、本来、住民の、ことによれば秘密に属することにもなるんですから、それはあなたのほうの職員が、公務員が、やはり機械事務を含めてやり遂げて、判を押して交付するというが本来の姿です。  多少断片的にしろ、多少短時間にしろ、第三者の下請業者が、その内容を見ることができる、そのようなことは、これは単に単純な作業だ、業務だというようなことで、そう簡単に下請にされては、住民はたまったものではない。おのずから違いますよ、国鉄の場合や郵政の場合と。こういうようなものを、下請にさしていくという考え方に根本的な誤りがある。むしろ定数をふやして、そういうような下請機関に下請させない、こういう前提に立たなければいけない。  私は、いままでの二十二カ所、どこかわからぬけれどもあとで資料をいただきますが、少なくともいま下請をさしておるというようなところについては、いま申し上げましたように、下請をさしているということは、この業務の内容から見ても誤りである、私はこういう考え方に立っておるのですが、下請を廃止して、もう一度本来の姿に返る、こういう考え方にあるかどうかということを、この際ひとつ明らかにしていただきたい。
  252. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 本来は、登記所の職員が、自分でやるべきであろうというお説は私も同感でございます。しかしながら、一つは登記所の現状が非常に忙しくて、そこまでやっておったのでは、事務が渋滞する危険がある、こういうことで幾らかでも職員の手を助けるという意味において、これは現在においてはやむを得ないのではないかというふうに思うわけです。  それから仕事の内容から申しますと、先ほど申し上げましたように、機械的な事務であるということで下請を実施しているわけでございまして、取り扱う量が非常にたくさんでございますので、かえって機械を取り扱うのになれた者がやったほうが能率があがるということもございます。  それから秘密の点でございますが、これは下請を頼む契約におきまして、その秘密は十分厳守せよということを契約にうたっております。また非常にたくさんのものを取り扱いますので、内容についてどうこうという危険は比較的少ないのではないか、このように思うわけでございまして、最善の措置とは申しかねますけれども、現在の登記所の実情から見ますと、これも非常に繁忙の実情にあります登記所の対策の一つといたしまして、やむを得ないことである、このように考えておる次第でございます。
  253. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 こういうことがやむを得ないことだというふうに言い切れますか。たとえ短時間であっても、断片的であっても、自分の財産が公務員でない第三者に見られるんですよ。ここで利害関係が伴ってきて、一つ間違いが起こるというようなことになれば、一体だれが責任を持つのですか。私が先ほど具体的に言いましたように、国鉄の車内の清掃だとかそういう性格のものじゃないでしょう。少なくとも個人の財産ですよ。個人の財産権の内容を他人に見られるという機会を与えておるんですよ。これは、いいことですか、悪いことですか。どうですか。
  254. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 登記というのは、御承知のように権利関係を一般に公示するというのが目的でございます。したがいまして、閲覧の申請があれば、これはだれでも見られるわけでございまして、そういう意味においては、必ずしも秘密の事柄とはいえないわけでございます。ただ、そういう閲覧なり謄本を交付する者でない者が、登記簿をいじるということになりますと、やはりそういう成規の手続を経ないで、他人の財産の内容を知る機会を与えられることになりますので、そういう意味においては、十分そういった点に留意をしなければならない、このように思うわけでございまして、先ほど申し上げましたように、これを扱う者につきましては、その点も十分注意せよ、秘密は厳守するようにということで仕事をさせておりますので、現在までにも、それで問題になったことは特にございませんし、今後も十分気をつけてまいりたい、このように考えております。
  255. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 いままでなかったということが、これから絶対にないということは保証できぬでしょう。間違いがないということが保証できますか。ここで確言できますか。
  256. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 間違いが起こりませんように、十分に留意してまいりたいと思います。
  257. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それは留意、努力であって、絶対に間違いがないということは保証できないでしょう。できますか。起こったらどうするのですか。できないでしょう。できない、できるをこの議事録にとどめるように、私が責任をもって努力しますとあなたが言えないなら大臣に言ってもらう。保証できぬでしょう。保証はできないのです。  したがって、下請化していくこの過程に、その原因というものがあるわけですから、やはり根本的に定員が足らない、そういうところから下請化していったわけですから、これからさらに下請を増大していくのだ、こういうんじゃなくて、やはり本来の姿に返って、むしろ、いま言う二十二カ所に下請化を進めていったのであれば、逐次下請化の縮小をしていくという努力をやっていって、先ほど申し上げましたように、その分を含めて、これだけの事務量の上に立って、これだけの人員要求が必要なんだという考え方に立って人員要求をしていただいて、そして下請を、将来廃止に向かって努力をしてもらう、こういう姿でなければ私たちは責任持てないと思うのです。  そのことについて、私がいま申し上げましたような観点に立って努力してもらえるかどうか、この機会にひとつ法務大臣から御答弁願いたい。
  258. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 お説のように当然努力をしてまいりたいと思います。
  259. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この下請化の問題につきましても、組合の人たちは、やはり心配しておるのです。だから、いま大臣のほうから答弁がありました趣旨にのっとって、この点につきましても、ひとつ組合の諸君と話し合いを進めていただきたいことを、この機会につけ加えて申し上げておきたいと思うわけであります。  その次に、この機会にお尋ねしたいわけなんですが、いわゆる戸籍事務というのは、本来、国の固有事務なのか、市町村の固有事務なのか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  260. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 これは、ややはっきりしない点がございます。と申しますのは、少なくとも以前におきましては、戸籍事務は国の委任事務であるというふうに考えておりましたし、われわれは現在でもそのように考えております。  ただ、問題は、地方自治法の第二条という規定がございまして、その中に固有事務を列挙しておるわけでございますが、そこに戸籍の事務があげられておりまして、その規定の解釈いかんという問題がからんでまいりますが、その規定を根拠にして、むしろ市町村の事務であるという見解もないことはございません。ただ、私どもは、委任事務であるというふうに考えております。
  261. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、地方自治法の別表四で、市町村長が管理し執行する事務、いわゆる国の機関委任事務という中に戸籍事務というのが明確になっておる。したがって、国の事務であって、市町村長に対して与えておる機関委任事務である、こういうことが法的には明確になっておるのです。いま何かややこしい御答弁ですが、本来は、国の事務であって、市町村長に対する機関委任事務である、こういうことが明確になっておるのですが、もう一度お答え願いたい。
  262. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 私どもは、そのように考えております。
  263. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、機関委任事務として戸籍事務をさせておるわけですが、それでは法務省として、これら市町村に対してどれだけの負担金を出しておるのですか。
  264. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 戸籍事務の経費といたしましては、これは地方財政法の規定によりまして、全額市町村が負担するということに定められております。ただ、戸籍法の中に、戸籍の手数料は市町村の収入とするという規定がございまして、手数料は当然市町村の収入になるわけでございます。それから地方交付税法におきまして、国が地方交付税を定める場合に、戸籍事務の経費を算定して、地方交付税の中に含めるという趣旨の規定がございます。
  265. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そのとおりだと思う。そこで、戸籍住民基本台帳費という形で、地方交付税の算定にあたって、財政需要額と財政収入額とを計算して、交付税の中に含めておるというのは、あなたのほうの立場だと思う。ところが、本来、国の固有事務であって、市町村に義務づけておる戸籍事務が、あまりにも市町村の負担というのが多過ぎる。住民の皆さんは、市町村の役場に行きましたら、極端に言うならば、いかに事業量の少ない役場に行きましても、戸籍の事務については、かなりのウエートを占めておりますので、市町村の固有の事務だ、こういう認識のほうが強いと私は思います。  ところで決してそうじゃない。いま御確認いただきましたように、国本来の事務であって、機関委任事務として市町村に与えておるのだ、そういうことであれば——交付税ということになりますと、もちろん交付団体については、物足らずの、寸足らずの負担金でありましても、交付税という形でいきますが、不交付団体については、国の固有事務でありながら、一文も国の負担がないということに相なるわけなんです。  したがって、戸籍事務ということについては、交付税の中に含んでおるのだというようなことでなくて、やはり別ワクで——たとえば国民健康保険の事務あるいは国民年金の事務、これも、まさに国固有の事務です。これを、それぞれ団体委任事務として市町村に与えておるわけですが、これにつきましては、やはり別ワクで、国民健康保険についての事務費は幾ら、国民年金についての事務費は幾らというように、明確にその額が市町村にわたっておるわけです。  これは、いまどうこうというわけにはいきませんけれども、本来の姿といたしまして、不交付団体には一文も国本来の固有事務の分担金はいっておらない、こういうことになるわけですから、あなたのほうも、交付税の中で国本来の事務である戸籍事務を包含されておるというようなことが、いいことか悪いことかということは、おのずから明らかであるわけですから、あなたのほうの立場としても、この点についての御検討をいただけるかどうか、この機会にひとつお尋ねしておきたい。
  266. 川島一郎

    ○川島(一)政府委員 戸籍事務の経費につきましては、従来から、先ほど先生御指摘のような取り扱いがなされてきておったわけでございまして、私ども現行法のたてまえのもとでは、これは、ほかに方法がないというふうに考えておったわけでございますが、御指摘の問題につきましては、私も十分研究したわけでございませんので、なお、よくその辺調べまして、研究をさしていただきたい、このように考えます。
  267. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは大臣、いま私が言いましたように、国本来の固有事務なんです。しかし住民のサイドでいうならば、長い期間の中で、市町村の固有事務だという錯覚をしておる。ところが、そうでない。いま財源措置というのは、地方交付税の中で、ほかのいろいろな事務費の中に包含されておる。そうすると、不交付団体については、一文も国の負担がないわけなんです。これは、いいことじゃないということを、お互いに確認できると思うのです。  したがって、いま答弁があったわけなんですが、大臣のほうも、ひとつこの機会に、こういう原則を踏まえて、地方交付税の中に包含するというようなやり方じゃなくて——国民健康保険の事務費、あるいは国民年金の事務費、これは、もう交付税とは別ワクに、国のほうで、厚生省なら厚生省のほうから負担金がちゃんといっておる。だから、国の固有の事務であるから、不交付団体であろうが、交付団体であろうが、国の金が一文もいっておらないというところはどこもないわけなんです。そういうような観点に立って、御検討願いたいと思うわけなんですが、御検討願えるかどうか、ひとつ大臣のほうから御答弁願いたい。
  268. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 たいへんむずかしい問題が提起されまして、私も、どうすべきか迷っておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、ひとつ今後、十分に検討してまいりたい、かように思います。
  269. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ひとつ十分検討していただいて、国の固有の本来の事務でありますから、市町村に一文の金も出さないで迷惑をかけるということのないように御努力をいただきたい、このことを申し加えまして、私の質問を終わりたいと思います。
  270. 徳安實藏

    徳安委員長 他に質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  271. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、先般、運輸省設置法の一部を改正する法律案審査のため委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員より報告を求めます。大出俊君。
  272. 大出俊

    ○大出委員 沖繩の実情調査について、派遣委員を代表してその概要を御報告申し上げます。  派遣班は、私、大出俊と服部安司、中路雅弘、竹中修一、和田貞夫、鈴切康雄、受田新吉の七委員で構成し、現地において上原康助、瀬長亀次郎の両委員の参加を得て、三月十五日より同月十七日までの三日間の日程で、運輸省設置法の一部を改正する法律案の審査に資するため、沖繩における航空交通管制の実情等を視察、調査してまいりました。  なお、これとあわせて、さきの日米安全保障協議委員会で合意された返還予定の米軍基地の実情並びに沖繩配備の自衛隊の実情等も視察してまいりました。  まず、沖繩における航空交通管制の実情について申し上げますと、現在、沖繩の航空交通管制は、那覇空港の飛行場管制を除き、航空路管制、進入管制ともに米軍が行なっているのでありますが、航空路管制については、昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会における日米間の合意により、本年五月十五日から日本側が行なうこととなっております。そのため、那覇を中心に航空交通管制施設の整備が進められており、現在、電波監理局による無線の検査、フライトチェック及び総合慣熟等、最終的な機器の整備と管制要員の訓練が行なわれているのであります。なお、これらの業務を行なうための組織として、那覇空港事務所に、運輸省令により航空交通管制整備部が置かれ、百六人の職員配置されておりますが、本年五月一日には百五十二人に増員される予定であり、そのうち航空管制官は七十三人となる予定であります。  次に、那覇空港について申し上げますと、同空港は、沖繩の本土復帰に伴い、米軍管理から運輸省所管となり、現在、第二極空港の国内幹線空港として供用されているとともに、米軍及び自衛隊との共用飛行場ともなっているのであります。  同空港は、面積が二百三十七万平方メートルで、昭和四十八年の利用状況は、離発着回数九万五千六百三回、旅客二百十二万五千百六十六人、貨物二千七十五万二千二百四十一キログラムとなっております。しかしながら同空港は、民間航空地区が狭隘で施設が十分でなく、来年七月の沖繩海洋博覧会もあり、急増する航空需要に対処するため、現在、暫定ターミナルビルの工事等の空港整備が進められているところであります。  また、同空港を管理する那覇空港事務所の組織は、空港長のもとに二次長、十三課、航空管制官、航空管制通信官及び航空交通管制整備部からなり、職員は計三百十四人となっております。  なお、これらの視察、調査とあわせて、那覇防衛施設局、沖繩総合事務局、航空自衛隊南西航空混成団及び陸上自衛隊第一混成団において、業務概況の説明を聴取するとともに、自衛隊基地並びに去る一月三十日の第十五回日米安全保障協議委員会において、合意された返還予定の米軍基地のうち、那覇港湾施設、キャンプ瑞慶覧、キャンプ桑江、ボロー・ポイント射撃場等の基地も、それぞれ視察してまいりました。  これらの調査の内容等につきましては、今後、委員会における質疑を通じて明らかにされることと存じますので、省略させていただきます。  なお、各機関より受けました資料等は、当委員会の調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上御報告申し上げます。
  273. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて報告の聴取は終わりました。  次回は、明後二十八日木曜日正午理事会、午後零時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時七分散会