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1974-02-21 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十一日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 服部 安司君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       三塚  博君    吉永 治市君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         宮内庁次長   瓜生 順良君         皇室経済主管  野本 松彦君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸大臣官房長 内村 信行君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曾  敬君         労働省労政局長 道正 邦彦君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君  委員外出席者         経済企画庁物価         局物価調査課長 加藤 和夫君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         大蔵省主計局給         与課長     西垣  昭君         大蔵省主計局主         計官      廣江 運弘君         運輸省船員局教         育課長     村上 正秀君         自治大臣官房地         域政策課長   四柳  修君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   大石 千八君     山下 元利君   地崎宇三郎君     小泉純一郎君 同日  辞任         補欠選任   小泉純一郎君     地崎宇三郎君   山下 元利君     大石 千八君 二月二十日  国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公  務員災害補償法等改正に関する意見 は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  昨二十日、人事院より国会に、国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員災害補償法等改正に関する意見申し出があり、同日、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告をいたしておきます。      ――――◇―――――
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  4. 大出俊

    大出委員 天皇訪米問題をめぐりまして、明日、宇佐美長官に御出席をいただいて承ろうという予定になっておるわけでありますが、質問時間がたいへん短い時間でございますから、関連をする幾つかの問題を、前もって瓜生さんに承っておきたいと思います。  昨日の外務委員会外務大臣答弁によりますと、新聞で見る限りは、この質問者が、天皇訪米は、時期だけではなく、御訪米自体白紙ということかという質問をしたわけですが、これに対して外務大臣は、そのとおりである、こういう答弁をしております。  時期だけではなく、御訪米自体白紙であるということか、これに対してそのとおりである、ということになると、訪米そのもの白紙白紙ということは、何もないということですから、何もきまっていない、こういうことになる。  ところで、このあとで、宇佐美長官答弁は、昨年の首相訪米に先立ち、政府から打診があり、いつかは天皇も御訪米されることは了解済みだったとお答えになっております。  ところで、瓜生さんが新聞記者訪問を受けて、お話になっている中身がございます。昨年、この委員会でも、訪米問題がいろいろ問題になりました。私も何回か、外務大臣中心にこの質問をしたことがございますけれども、そこでは、まあ見合わせることになった。ところが、瓜生さんのここで話しておられることが、ほんとうならば――宮内庁は、中止とは言っていないのです、こう述べられておる。つまり白紙ではないということですね。あなたのお話では、見合わせるということは中止ではない、こういうことです。  そこで、承っておきたいのですが、一体天皇訪米というのは、宮内庁としては、ほんとうのところ、どう考えておられるのか、はっきりしていただきたい。
  5. 瓜生順良

    瓜生政府委員 宮内庁といたしましては、昨年の夏、田中総理ニクソン大統領が会われて、そのあと共同声明が出ておりますが、それによりますと、アメリカ大統領側から天皇、皇后両陛下アメリカに招待したいということを再確認し、それは近い将来、双方都合のいい時期に来ていただきたいということを表明されて、それに対して田中総理大臣は、謝意を表しておられる。はっきりした約束ではありませんが、謝意を表しておられるわけでありますが、そういうようなことを運ばれることにつきましては、事前に宮内庁のほうとも、意見を確かめてなさっておるわけであります。その点の意見のそごはございません。  なお、いま、ある新聞中止ではないと言った私のことばが載っておりますが、それは先方が、何か去年の春、いかにも去年の秋に両陛下アメリカおいでになるようなことが新聞にも載ったことがございますが、その際に、一部の人が、何かきまったことを、宮内庁がキャンセルしたというような表現があったりしたことがあるものですから、それは違うので、何もきまったことをキャンセルしたのではない、その当時きまっていない、したがって、キャンセルしない、つまり、それは中止したわけではない、一ぺんきまったのをやめるのは、中止したということになるので、その当時、何もきまっていないということを申し上げたわけでございます。そういうことでございますが、それでおわかりいただけましょうか。
  6. 大出俊

    大出委員 はっきりしないのですが、訪米白紙だという解釈を、外務大臣みずからとっておられる。きのうの答弁は、時期も含めて白紙、こういうことになっているわけですね。天皇訪米は、時期だけでなく、訪米自体、つまり、アメリカに行くということ自体白紙である、白紙ということは、将来に向かっても、行くか行かないかわからないということです。  もう一ぺん言いますよ。天皇訪米は、時期だけでなく、御訪米自体白紙ということかとこう聞いているわけです。これに対して、全くそのとおりだと答えておる。そのあとで、宇佐美長官のほうが、これと違った発言をちょっとされておるんですね。昨年の首相訪米に先立って、政府から打診があって、いつかは天皇訪米される、このことは了解済みだったというのですから、了解済みだったが、いまは了解済みでない、変わったということか、それはわかりません。わかりませんが、私が承りたい中心は、宮内庁として、天皇訪米の時期は別として、これは、もう天皇の側も御了解になっておられる、アメリカもそう了解している、アメリカに行くのだということ、つまり、訪米そのものははっきりしている。ただ、時期については、いろいろな検討が必要だという、そういう立場なのか。それとも外務大臣が言っておるように、将来を含めて行くか行かぬか、これも全くきまっていない、つまり、白紙ということなのか、どっちなんだと聞いておるのです。
  7. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その点は、私は、近い将来、双方都合のいい時期においでになろうということは了解済みでありますから、その点は、われわれもそういうふうに考えております。  ただ、これは想像ですが、外務大臣が言われたのは、近い将来、双方都合のいい時期というようなのが、それがどうなるか、話がつかなければ、全然実現しない場合もありますから、必ず実現するということにも言えないものだから、そういうことをおっしゃったのではないかと想像いたします。
  8. 大出俊

    大出委員 簡単に聞きますが、共同声明に、天皇訪米問題を並べるなどということ自体が、象徴天皇という新憲法下の新しいあり方からいって、感心したことではないと思うのです。つまり、共同声明というものは、二つの国の政治的な所産です。国際的に政治的な分野でものを判断して合意した、そのことを載せている、これは政治的な所産です。  この共同声明に、政治的な行為については、これは厳にお慎みいただかなければならぬ。天皇訪米というものの受けとられる範囲というものは、非常に広いわけですから、いろいろな意見が出ているわけで、国内にも御存じのとおりたくさんの意見がある。そういうものを、政治的所産共同声明にうたうということ自身が、いささか私は不穏当である、まずこう考える、この点は、一体どうお考えかという点が一つ。  もう一つ。私は、かつて宇佐美さんでしたか、瓜生さんでしたか忘れましたが、政治的な天皇の利用というようなことが行なわれてはならない、この点をとくと詰めたことがございますが、宮内庁側答弁にいわく、天皇の御意思がございます、新憲法下のお立場というものもある、したがって、決して政治的に利用されるなどということはあり得ないし、あってはならない、こういう意味答弁をなさっている。天皇の御意思がある……。  ところで、天皇は、いままでに、訪米という問題について、みずから御発言なさったことがございますか。この点をとりあえずお答えいただきたい。
  9. 瓜生順良

    瓜生政府委員 最初の、共同声明の中に、そういうような儀礼訪問ということまでうたわれるのはどうかという批判は、確かにあると思います。われわれも、そういう気持ちがしていたわけでありますけれども、しかし、その儀礼的という点が、はっきりしておるならばということで、それに載ったのだと思います。  第二の点で、陛下訪米について何かおっしゃったか、これは、よく新聞記者とお会いになる場合がございますが、そのお会いになったときも、そういうことに触れておられますから、陛下が、そういう席で、将来、適当な時期があれば、事情が許せば、アメリカへも旅行をしていいと思っているというようなことをおっしゃったことはございます。
  10. 大出俊

    大出委員 これは、正確に受け取ってよろしゅうございますか。いまの二番目のほうから申し上げますと、一昨年の秋に、栃木県の那須御用邸で、陛下がいまお話しのように記者会見をなさった。このときに、訪米は以前からの約束です、したがって、ヨーロッパへ行った以上は、アメリカとの親善のために約束を果たさなければと思っているという御趣旨の御発言をなさっている。これは、いまのお話からすれば、事実のようでございますが、そう陛下の御意思を受け取ってよろしゅうございますか。  それから、前段にお話しになりました共同声明というものは、政治的な行為所産である、私は、こう申しました。だから、天皇の今日のお立場からいって、この中に儀礼的な訪問というようなことについて、それが国事行為私的行為のまん中の公的行為だという点については、憲法解釈上いろいろな意見がある、公的行為論というのは、少数意見ですけれども、そういう非常にむずかしい問題があるわけでありますから、そういう立場で、共同声明というふうなものに、天皇訪米の時期などが、いろいろ取りざたされるというようなことは好ましくない、私は、こういう意見を持っておる。  あなたも、いま、あまり感心をしたことではないという意味のことをおっしゃいましたが、これと関連をして、宇佐美さんが、外相の錯覚発言をめぐりまして、外務省にまかしておけない、こういう発言新聞紙上になさっておる。まかしておけないということは、そうなれば、いままでまかしていたことになる。まかしたことになれば、それは政治的なやりとりが相手国との間で行なわれる、そういう結果になる。これは当然であります。だから、共同声明に載ったのです。だから、そのことに私は触れている。  そこで、まかしておけないというのだとすれば、一体宮内庁はどうするつもりですか。とりあえず、瓜生さんから承っておきたいわけです。
  11. 瓜生順良

    瓜生政府委員 読売新聞記事に載っていたことをおっしゃっていると思いますが、あの記事について、私も、その席に立ち会っておりませんでしたが、こんな記事が載っているのだが、どういうことなんでしょうかというので、実は、宇佐美長官に聞きましたら、自分は、そういうことは言っていない、非常に困ったことだ、相手記者の人がそういうふうに言って、記者の人がしゃべられたのを、いかにも自分がしゃべったようにカッコして書かれちゃったので、ちょっと困ったな、そういうことを言っておられました。その点は、御了承願いたいと思います。  なお、外務省との関係でいきますと、天皇陛下が外国御旅行の場合に、相手国相談をしたり、そういうようなことは、やはり外務省のルートを通じてやらなければならないわけでありますから、そういうつもりで現在もおります。
  12. 大出俊

    大出委員 一昨年秋、栃木県の那須御用邸で、陛下記者会見がございました節の、この陛下のお述べになったことは、正しいと受け取ってよろしゅうございますね。
  13. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その当時、そういうことをおっしゃったようであります。しかし、五十年前、アメリカの人と話をされたというのは、どちらかというと、ユーモア的な意味でおっしゃったと私はとります。しかし、陛下は、都合のいい時期で、適当な時があれば、アメリカへ行くことを考えているというお気持ちを表明されたことは、事実だと思います。
  14. 大出俊

    大出委員 そこが、はっきりしておればいいわけであります。  そこで、もう一つ承りたいのですけれども、アメリカという国は、いま、いろんな問題が起こっておるわけでありまして、大統領暗殺から始まりまして、たいへん暗い世相の反面には、治安問題もございましょう、さらにウォーターゲート事件を通じて、やれテープの欠落の原因は一体何だというような騒ぎが、いまだに続いておる、まさに花盛りであります。そういう時期でございますだけに、これは国内国民一般からすれば、統合の象徴でございますから、いろんな意見が出てくるわけであります。  そこで、双方都合のいいときに訪問するということ、この都合の中には、何と何が含まれておりますか。
  15. 瓜生順良

    瓜生政府委員 それは、いろいろのことを含んでおると思います。陛下が御都合がいいというだけでなくて、その当時の国内諸般情勢というものも含んでの、双方都合のいい時期というふうに私たちは考えております。
  16. 大出俊

    大出委員 そうすると、いま私が申し上げた治安問題であるとか、大統領暗殺をされた云々から始まって、いろいろなことが起こっておるのですが、治安問題であるとか、あるいはウォーターゲート事件でたいへんな国内問題をかかえておるわけです。  これは、双方都合という中に、その国のおのおのの事情があるというふうなお話もございますが、天皇アメリカ訪問をする御意思をお持ちである、その点は確認をされましたが、また、共同声明に、双方都合のいいとき、こういうふうになっておることも、そのとおりでございますが、その中に、いまの二点、私が取り上げました問題が含まれているとすると、御訪米意思のある天皇あるいは宮内庁の側にとって、この種の問題は、たいへんに――都合のいいとき、こういっておるわけでありますから、本来なら、都合の悪いときに当たると判断をしなければならぬ筋合いのものだと私は思う。たいへんに都合の悪い時期である。  どうも国内でやたらたたかれ切っている。びっこのアヒルじゃありませんが、たたかれ切っているニクソン大統領がいる。本来ならば、天皇が御訪米にあたっては、たいへんに都合の悪い時期であるはずだと思う。それに当たるのではないかと思う。  この辺のところは、慎重にお願いをしたいのであります、慎重な瓜生さんでございますから。この辺の事情は、つまり、都合のいいときという意味での事情は、都合の悪い時期である、こういうふうに考えますが、どう御判断でございましょうか。
  17. 瓜生順良

    瓜生政府委員 双方都合のいい時期の判断については、慎恒諸般情勢を考えて判断して進むというふうに思っております。
  18. 大出俊

    大出委員 宇佐美さんが言ったか言わないかわかりませんが、困ったと言った、まかしておけぬと考えておる、困った、こういう話でしたね。  それこそ、宮内庁なり天皇の御意思というものを中心にして、おたくの側から判断しなければいけません。慎重にと言うのだから、まさに外務省にまかせておけない、天皇の御意思もある、都合のいいときということが書いてある、都合がいいのか悪いのかという情勢分析は、おたくのほうでしなければいけない。こういう時期に、政治分野で、外務省ベースで――外務省ベースというのは、政治分野です。錯覚かどうか知らぬけれども、あるいはキッシンジャー氏に言われたかどうか知らぬけれども、あわててあとから取り消しても間に合わぬような発言をする。それは、まかしておいてはいかぬ。  だから、そういう点は、はっきり、都合が悪いなら悪いということを、好ましい時期でないならないということを、明確にする必要があるのだと私は考えますが、いかがですか。
  19. 瓜生順良

    瓜生政府委員 現在は、まだ具体的に、いつおいでになるのかというような相談に入っていないわけであります。したがって、いまここで、すぐどうこうとこちらから積極的に意思表明をするのもどうかと思われますものですから、慎重な態度でいくということを申し上げておきます。
  20. 大出俊

    大出委員 時間がないから簡単に言いますが、瓜生さん、新聞記者にお会いになったときに、この問題を聞かれていますね。あなたのお答えは、政治的に利用されるようなことは、何としても避けなければならないということをまずおっしゃっておられます。そうして昨年の共同声明の中にも、双方都合のよいときに訪問をするという一項がありますが、これは、陛下大統領のお互いの都合のほかに、国内政治情勢といった都合も、当然含まれるものと宮内庁解釈しています、こうあなたはお答えになっている。いま、私に言ったことを、一歩前に出て言っておられる。いま私に答弁されたほうが、いささか控え目だ。  だから、その考え方は、国内政治情勢といった都合も、当然含まれるものと宮内庁解釈しています、その意味では、ウォーターゲート事件模様次第でしょうね、というのが、あなたの答弁になっている。模様次第でしょうね、というのは、どうも、いまのように花盛りじゃぐあいが悪い、これが落ちついて、何とか鎮静するというふうになれば、これは、また模様次第だ、つまり、いまの状態ではぐあいが悪い、だから、模様次第でしょうねと、あなたはおっしゃった、こういうことですが、これは瓜生さんの本心でございましょうね。
  21. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そのインタビューを受けた際の、私のことばのとおりではございませんけれども、はっきり言ったら、そういうものですが、そういうような気持ちは、そこにあらわれていると思います。
  22. 大出俊

    大出委員 大体わかりました。どうも、これは国内政治情勢といった都合も、当然含まれるものと宮内庁解釈している、これはお気持ちの上ではっきりしているようであります。その意味で、ウォーターゲート事件模様次第だ、どうも、あまりニクソン大統領ぐあいが悪いところへ、詰まっていくということでは、これは都合が悪い、だから、その辺がどうなるかということを慎重に判断しなければならぬ、こういう趣旨だと思います。  お気持ちを承りたいのですが、そういうことでございますね。よろしゅうございますね。
  23. 瓜生順良

    瓜生政府委員 はい。
  24. 大出俊

    大出委員 いいようでございますから、あとは、ひとつ宇佐美さん御本人に承ることにいたします。  そこで、今回の皇室経済法でございますが、二、三点だけ、簡単に触れさせていただきます。  一億三千四百万の内廷費、以下こうずっとございます。同僚各位方々が御質問なさいましたから、多く触れませんが、承っておきたい点は、内廷職員方々でございます。掌典七人、内掌典四人、生物学研究所職員四人、その他の職員が十人、これが内廷職員でございますね。こういう数字であろうと思うのでありますが、もし間違いがあれば、御指摘いただきたいと思います。この内廷職員、計二十五名でございましょう。それから、各宮家職員おいでになります。常陸宮さんが五人、秩父宮さんが六人、高松宮家が十四人、三笠宮家が六人、計三十一人おいでになるだろうと思うのです。  そこで、時間がありませんから、私のほうから申し上げますが、今回の、これは二年間ほっておいたというかっこうになっておりますから、この二年間の公務員賃金アップ率、これを四十七年分一〇・六八、四十八年分一五・三九、これを計算をいたしますと、一一〇・六八かける一一五・三九という数字になりますから、これが一二七・七一、こういうことで二年間のブランクを埋めるという計算をされて、ここに、物件費の面で七千三百万とございますが、人件費の面で二千九百万かける一二七・七一、こういうふうな計算をなさっているわけであります。そして、いまの物件費人件費を足しまして、この両方の十分の一、これを予備費という形で見ておられる、計算の基礎は、おおむねこういうことですね。  その辺に間違いがないのだろうというふうに思いまして、その上で承りますが、二年間ベースアップをしていないのだから、それは、あるいは一〇%の予備費でまかなったということになるのかもしれませんが、はたしてまかない得る範囲公務員賃金引き上げだということになるのかどうか。予備費というのは、ほかにもお使いになるのじゃないかと思うのですが、そこのところを一つ承っておきたい。  もう一つ、昨年末に〇・三の繰り上げ支給というのがございましたが、こういうものは、一体予備費範囲でまかなっておられる筋合いであるのかどうか。だとすれば、この一〇%は、一体どう使われたのか、そこらのところを、簡単に御説明いただきたい。
  25. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この二年間、内廷職員給与に関しましては、やはり国家公務員ベースアップのありました節には、それに見合うようにずっとベースアップをいたしております。  なお、お尋ねの、昨年末の、年度末手当の繰り上げ支給の〇・三、これも、そういう格づけをしておる常勤的な職員につきましては、国家公務員と同じように出しております。その場合の財源の関係は、いま、おっしゃいましたように十分の一の予備費がある、そういうものも使い、なお、足らない場合には、前からある程度預金しておられるところから引き出して使っておられるわけでありますが、大体は、この予備費範囲でありますけれども、そのほかに不時の支出の場合もありますから、合わせてみて、それでは足らないという年もあります。そういう点は、それ以上に、預金された分を引き出しておられるというのも、少しは加わっております。
  26. 大出俊

    大出委員 英国の王室の経費が高い少ないといって、いろいろ議論があるところであります。日本皇室と、内容をいろいろこまかく積算をいたしませんと、高い安いが言えないわけでありますが、金額的に見れば、英国のほうが安い、日本皇室のほうがたいへん高い、そういう予算の支出であります。  実は、いま預金がある、こうおっしゃるのですが、つまり、どの程度の余裕ということになっておるのかという点が知りたいから、申し上げるのですが、足りなければ預金と、こうおっしゃるのですが、そんなに預金がたくさんございますか。幾らぐらいありますか。
  27. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そうたくさんあるわけではありませんけれども、いつかも申し上げましたように、終戦後、皇室財産は、すべて国有とするというふうなことになったときにも、不時の支出に充てるために、千五百万円の預金というものは認められた。預金といいますが、有価証券になったものもございますけれども、それが減ったりふえたりしました。それのもとになったものが、そうたくさんじゃありませんが、不時の場合の備えとしてあるわけでございます。
  28. 大出俊

    大出委員 実は、大蔵省にいろいろ聞きまして、天皇家のことでございますから、ここから先は申し上げられませんとかいろいろなことを言っておりますけれども、それでもだいぶ調べてはございますが、時間の関係がございますから割愛をいたします。  そこで、そうすると、〇・三%の繰り上げなどという措置が行なわれた場合に、即応して同じようなことをおやりになった、こう解釈できるわけでありますが、昨年末に、公務員の皆さんに、年度末手当〇・三%を、十二月に繰り上げて支給をすることになった。人事院がいいときにお出しになりました。そうすると、それに準ずる限りは、ならったようなことをなさらねばならぬ筋合いであります。そうでなければお気の毒だ。  瓜生さん、昔、私に、皇室に働いている方々は、奉仕の精神が非常に強いので、もう一銭も要らないからという方がたくさんあるのだなんというようなことをおっしゃった。議事録ございますよ。私が出てきたばかりですから、もうかれこれ十年ぐらいになりますかね。あなたは、ずいぶん長くやっておられるから、お忘れになったかと思いますが、それではいけないので、やはり労働の対価である限りは、きちっとしていただかなければならぬ、財源は国費でございますから。したがって、そこのところをはっきりしていただきたいのですが、〇・三%はどうするのですか。
  29. 瓜生順良

    瓜生政府委員 〇・三%は、一般公務員と同じように、やはり支給をされておるわけであります。
  30. 大出俊

    大出委員 そうしますと、ここで人事院が何かものをおっしゃって、〇・三%の穴埋めをするということでない限りは、この三月、年度末になりまして、準じて出す際に、〇・五カ月分というのが〇・二になる、〇・三がすっぱり切られる、三月十五日にもらえない、同じ運命にあるわけですよ、この方々は。これは隣におられる総裁の胸一つにかかっておるわけです。いかがですか。
  31. 瓜生順良

    瓜生政府委員 一般の公務員と同じようにやるつもりでおります。
  32. 大出俊

    大出委員 じゃ、隣の総裁に、何とかしてくださいと、瓜生さんおっしゃらなければいかぬわけですね。そうでなければ払えないということになる。宮内庁職員の皆さんに共通するこの〇・三カ月につきまして、お隣に総裁がおいでになりますから、承りたいのですが、その前に、道正さんお見えになっておりますので、一つ承っておきたいのであります。  公務員団体の方が、人事院にお伺いをして、給与局長さん等にいろいろ陳情あるいは質問をされている中で、私がちょっと目にいたしましたものがございます。この中で何と言っているかといいますと、これは二月六日でございますけれども、公労委が調停案をお出しになりましたが、別記というところに「応急措置」と、こう書いてある。公労委が一体どういう意味で「応急措置」と書いたのかわからぬということを、お隣においでになる茨木人事院給与局長お答えになっておるようであります、私が直接聞いたのじゃないですから。  この際、公労委の事務局にきわめて近い立場おいでになる労政局長の道正さんから、この「応急措置」というのは、一体どういう意味かということを、ちょっと解明をしていただきたい。いかがでございますか。
  33. 道正邦彦

    ○道正政府委員 昨年の十二月三日に、公労委に調停申請があった件につきまして、調停案が出されておるわけでございます。  要点だけ申し上げますと、「民間における今次年末一時金の支給の状況にかんがみ、年末一時金の支給に当たっては、応急措置として、年度末手当〇・三月分を年内に繰り上げて支給すること。」ということでございますので、民間における今次年末一時金の支給の状況から見て、応急的に措置する必要があるという判断をされたものというふうに理解しているわけでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは、重ねて道正さんに承りたいのですが、民間の年末手当の支給状況にかんがみというのは、民間が少ししか出していなければ、少しのほうにかんがみなんですから、民間が多いから多いことにかんがみと、こうなるわけでしょうね。これが一つです。  民間の支給状況が、例年に比べてたいへん多いという状況にかんがみ、年末一時金の支給にあたっては、応急措置として年度末手当〇・三カ月分を年内に繰り上げて支給すること、こうなっておりますね。民間が出した数字を、全部ここに持っておりますが、確かにたいへん多い。たいへん多いから、その多い民間の支給状況にかんがみ、年末一時金の支給にあたっては、応急措置として年度末手当〇・三カ月分を年内に繰り上げて支給すること、こうなっておる。まず、多い、これはお認めになる。労働省の数字が出ているのですから、これをお認めいただきたいのです。その上で、多い、だから、〇・三を応急措置として積み上げた、こうなる。  そこで、この応急措置というのは、まさに応急の措置、一番手軽な、一番やりやすい方法をとったということなんですね。そうすると、応急手当てのあとは、ほんとうの手当てをしなければならぬ。それでないと死んでしまいますからね、人間というのは。死なないように、とっさに応急手当てをしておく、あとから本格的な手当てをする、これは、あたりまえのことであります。  これは、応急措置だということになると、とりあえずの措置なんだから、あとの措置が残っていると解釈をしなければならない、その点はいかがでありますか。
  35. 道正邦彦

    ○道正政府委員 大出先生、御承知のとおり、三公社五現業の職員給与につきましては、毎月支払われる給与につきましては、春の賃金改定期に、公労委の仲裁等を通じましてきまっていくわけでございますが、ボーナス類につきまして、いわゆる一時金につきましては、人事院の勧告によって措置をする。ただ、一般の公務員と違いまして、団交のマナーになっております。それで、団体交渉できめるわけでございますが、そのきめるにあたって、応急措置として、年度末の手当から一部年末に繰り上げたらどうか、そういう趣旨でございます。  本来ならば、大きく変動しなければ、一年おくれでも、これはそう問題がないだろうけれども、民間における支給の状況にかんがみて、応急措置をとったらどうか、こういう趣旨できまったものというふうに理解するわけでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 ならば、あとの措置が要ることになる。そのあとの措置に触れていまお話しになりましたから、再度質問をいたします。  私も、公労協の出身の一人でございまして、長年やっておりました。そのときの代表幹事でございますから、知り過ぎている一人ではございますけれども、念のために、ここで承りたいのですが、いまのお話の中に、団体交渉できまる筋合いのものなんだけれども、一時金については、これは、どうも人事院のほうにならうという趣旨の話がありました。これは不文律として、期末手当をふやすことは、人事院の算定をしてお出しになるその線に右へならえをしてきている、またもう一つは、仲裁事案等という形の中で、期末手当については、人事院のお出しになる方向にならってやっていくんだということになっている、そこらの経緯があるはずであります。  ここのところを、つまり今日、四・八カ月分というのが、公務員の年間の一時金であります。その四・八カ月分に〇・三カ月分を足すことになると、これは五・一カ月になる。だから、ずばり申し上げますれば、四・八カ月分の一時金を五・一カ月分にするのは、人事院の権限であって、公労委は、これに本来右へならえをしてきている、それが不文律であり、あるいは仲裁事案という形の中でそういうことになっている、そこらの経緯を、ちょっとお話しいただきたいのであります。
  37. 道正邦彦

    ○道正政府委員 経緯は、ただいま御質問の中で、大出先生おっしゃったとおりでございまして、そういう経緯で、そういうふうになっているわけでございます。  繰り返しになりまして、恐縮でございますけれども、調停案が出され、両当事者が、それを受諾したわけでございますので、政府としても、今回の措置は、応急措置としてやることは、けっこうである、しかし、年度末手当の繰り上げ支給ということまで応急措置か含んでいる――年度末になったら、その穴埋めをするというところまで含めて了承しているわけじゃないわけでございます。
  38. 大出俊

    大出委員 一つよけいなものが最後につきまして、前に言い間違えたところでやめておけば、それでおしまいなんですけれどもね。どうも語るに落ちるで、玉虫色の本心が出た感じがするのですけれども、それを、もうちょっと言っていただけば、いまのところは、片づいてしまうんですが、あと一つよけいなもの、一言多いですよ、道正さん。前でやめておけばいい。そうすれば、瓜生さんも、帰って、だいじょうぶだから心配するな、こう言えるわけであります。  道正さん、いまの経緯については、私も、ことばの中で触れましたが、団体交渉権がありますから、その限りは、それに制約はできません。できませんから、四・八を五・一にしようとして団交できめることだって、論理的には可能なんですね。だがしかし、不文律として、あるいは仲裁事案の過程において、人事院との相談も当時はあった、そうして、この点は、人事院のほうにということになっているわけでありますから、そうだとすると、ますますもって昨年末の応急措置は、じゃ〇・三ふやしましょうと言うことは、できない立場に実は公労委の側はあった、経緯からいきまして。  そうすると、繰り上げて応急措置をやる以外にとるべき手段がない。ないから繰り上げた。その繰り上げにあたって、人事院の側も、国家公務員が置いてけぼりを食っちゃかなわぬということで、大蔵省にも官房にも、きょうは小坂さんお見えになっていますが、総務長官にも、人事院一つ一つ意思表示をなさっている。つまり、結果的にその措置に同調された。だとすると、そこらあたりから先は、さっき私は、瓜生さんの隣の総裁の胸一つだと申し上げたんだが、ますますもって、これは、佐藤人事院総裁の胸一つにならざるを得ない。これが私は経過だと思う。  だから、応急措置というのは、あくまで応急措置である。だが、そこから先〇・三足して四・八を五・一にするについては、そこらの約束が当時できない事情にあった。なぜならば、それは人事院と不文律あるいは仲裁、調停事案の過程におけるいろいろな問題がございまして、人事院の線に合わせていこうということになっておるわけでありますから、それを踏み越せない。だから、繰り上げにあたっては人事院とも連絡をおとりになっている。そこで、人事院のほうも意見書をお出しになった限りは、そこのところの応急手当てのあとほんとうの手当ては、人事院総裁がおやりにならなければならぬ筋合いになる。これが、私は、過去を振り返った経過の上に立っての正しい結論だと思うのですが、人事院総裁、いかがでしょうか。
  39. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 昨年末、出しました意見の申し入れにつきまして、たいへん味もそっけもない表現だとしかられましたが、これは、ことば数が少なくて、よかったなといまつくづく思っているわけです。必要最小限のところをずばり提案してよかったと……。また、その節、御審議の際に申し上げておきましたとおり、これは、これ自体で完結することでございます。この次の問題は、次の例年のとおりの給与勧告の問題になりますということも、はっきり申し上げておる次第でございまして、ただいまのところは、もちろんそういう気持ちを持ち続けております。  しかし、いつも申し上げますけれども、わが事なれりということだけで、周辺の事情にわれわれは目をつぶり、耳をふさいでいるわけじゃないんで、これは、現下の物価の上がり、下がりと特に申し上げますが、上がり、下がり等についても、常に注視をしております。それからなお、現に、たいへん各方面、職員団体の皆さんが、熱心に入れかわり立ちかわりいまいらっしゃりつつあるところでございますので、それらの御意見も承りつつおるというのが現状でございます。
  40. 大出俊

    大出委員 そこで、経済企画庁の方に承りたいのですけれども、消費者物価の上昇は、全国、東京に分けてとっておられますね。昨年の三月から一月まで、あるいは速報で出ておると思うのでありますが、どのくらい物価が上昇をしたのか、それをひとつ聞いて、それから道正さんにもう一つだけ質問して、お忙しいようでございますから、労働省の皆さんに対する質問は、そこで締めくくっておきたいと思うのですが、そこで、とりあえず昨年一年間、どのくらい消費者物価が上がってきているかということをお話しいただいて、本年のわかっているところまでちょっと数字を述べていただきたいと思います。
  41. 加藤和夫

    加藤説明員 消費者物価は、四十八年の一月には、前年に比べて八・四%上昇しておりましたが、十二月全国では一九・一%上昇でございます。この間、差し引きの計算は、概略荒っぽく申しますと、一〇・五%の差が生じております。なお、四十九年一月東京速報では、前年に比べて二〇・四%上昇しております。
  42. 大出俊

    大出委員 それだけではわからぬと思いますから、私は、念のために申し上げますが、四十八年の三月、いま一月が出ましたが、つまり、去年の三月が消費者物価全国で八・四、四月で九・四、五月が一〇・九、六月が一一・一、七月が一一・九、八月が一二・〇、九月が一四・六、十月が一四・二、十一月が一五・九、十二月が一九・一で、一月が二〇・四、こういうことですね。そうでしょう。
  43. 加藤和夫

    加藤説明員 先生おっしゃったとおりでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 いま一〇・五とおっしゃいましたが、私がおたくに確かめた限りは、全国で年間平均をいたしますと、一一・七という数字を私に伝えてこられました。全国で一一・七、東京で一一・八、実はこういうことでございます。応急措置をおとりになったのは、道正さん、昨年の年末であります。一九・一%の物価上昇のさなかでございます。  ところが、一月になって二〇・四という東京の速報がすでに出ている。卸売り物価の上昇傾向からいたしまして、これも企画庁にちょっと一言触れておいていただきたいのですが、大体、卸売り物価のほうは、一体昨年どういうふうに動いたかという点を、先ほどのようなことでもけっこうでございますから、ちょっと触れてください。
  45. 加藤和夫

    加藤説明員 卸売り物価につきましては、三月は前年に比べて一一・〇でございます。十二月は昨年に比べて二九・〇%上がっております。なお、一月は七・六、二月は九・二、こういうふうに年間ずっと上昇傾向を続けております。
  46. 大出俊

    大出委員 卸売り物価が三月が一一、四月が一一・四、五月が一二・三、六月が一三・六、七月が一五・七、八月が一七・四、九月が一八・七、十月が二〇・三、十一月が二二・三、十二月が二九。  で、この卸売り物価の上昇傾向というのは、いわゆるタイムラグを考えますと、一つ間違うと、四、五月あたりに、集中的に消費者物価の上昇を加速するという形が考えられます。実は、こういう状況でございますから、国際的に調べてみましても、こんなべらぼうに高い数字になっておる国はない。これは、まさにたいへんな、狂乱以上の状況にある。  七三年の国際消費者物価の比較がここにございますけれども、一九六三年を一〇〇とした場合に、七三年の十月で日本は一八六・五、イギリスが一七五・五、フランスが一五九・八、アメリカが一四七・七、西ドイツが一四四・四。日本は十月ですが、ほかの国は昨年の九月です。  こういうべらぼうな物価の上昇、しかも四月という時点を考えた場合に、米があり、国鉄運賃があり、石油化学製品があり、一つ間違えば電力も、いま一五%削減しておりますが、これを回復させないのは、させればさせるだけ赤字がふえる、そういう状況にある。いつ上げることになるかわからない。だから狂乱、これが多少下を向いたにしても、暴騰、異常がそこまで下向いただけでありまして、また狂騰する、こういう事情にある。  そこで、昨年末に応急措置をおとりになった。だとすると、応急措置のあとの処理は、いまの物価事情を考えれば、当然これはしなければならない、こう私は考えているのでありますが、三月の年度末手当というものが〇・二でいいとお考えでございますか。道正さん、いかがでございますか。
  47. 道正邦彦

    ○道正政府委員 年末に調停案が出された背景は、物価が高騰している、インフレ手当をもらいたい、こういうことから始まっておるわけでございますけれども、インフレ手当という形で民間において支給されているのは少ない、インフレ手当という形ではなくて、年末一時金の形で処理されているという現実があったわけでございます。その労使の話し合いの過程で、物価問題が争点になったことは、いなめない事実と思いますが、直接、物価が上がっているから、どうこうということで調停案が出されているわけではございません。  したがって、私ども物価問題について、労使、なかんずく労働組合側が非常に関心を持つ、これは当然であるというふうに思いますし、十分理解できるわけでございますけれども、物価が上がったから、年度末の手当をどうこうするということには、直接にはならないというふうに思います。
  48. 大出俊

    大出委員 直接にはならない、こうおっしゃった。十分理解できるともおっしゃった。十分理解できるが、直接的な手当てができない立場にあった、だから、応急措置をとった、こういうことになる。  だとすると、もう一ぺん念を押しますが、応急措置をとった、つまり年末に生活費とその他がかかるから応急措置をとった、かからなければとる必要はない、生活に苦しい方々が、公務員の中にたくさんおる、公労協の中にたくさんおる、だから、応急措置をとった。そうすると、それ以来、物価値上がりというものが鎮静し、なくなってしまえば別ですけれども、いまのような上がり方が続いている、加速をしているということになると、たださえ少ないから、十二月に応急措置をとって、その方法が繰り上げという方法であった。繰り上げたんだから、通常の年度末手当よりなお少なくなって〇・二、業績手当及び勤勉手当、それでいいことには、これは少なくともならぬ。ここらあたりの出す、出さぬは別ですよ、先刻言ったとおり。しかし、一般論として考えて、年度末手当〇・二でいいということになるはずはない。そこのところを、間接的にお答えいただくぐらいのことはできるでしょう。いかがですか。
  49. 道正邦彦

    ○道正政府委員 三公社五現業におきましては、手当類は団交マターでございます。したがいまして、まだ団交は行なっていないようでございますけれども、そのうちに団交が開始される、その場合に、組合側が物価の高騰ということを一つの理由にされることについては、私どもとして十二分に理解できるという意味で、先ほど申し上げたわけでございます。  しかしながら、最初に大出先生御指摘のように、手当類につきましては、三公社五現業は、人事院勧告待ちという慣行であり、一部仲裁裁定も出ておるわけでございますので、私どもといたしましては、人事院がどういうふうに御方針をお出しになるのか、それによって措置がされるのが一番妥当じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  50. 大出俊

    大出委員 きょうお忙しいところ、道正さんたいへんどうもすみませんでした。ありがとうございました。  そこで、経済企画庁にもう一つ承りたいのですが、四十九年度の経済見通しの見直しをやり、珍しいことでありますけれども、多少の手直しをされている。  そこで、これから先の物価動向というものをどう判断なさるのか。「四十八年度の経済運営とその見通し」、一月六日におきめになった。閣議決定をしておりますが、五・五%ばかりの消費者物価上昇になっていたはずであります。だがしかし、一一・七とかたいへんな数字になっている。四十九年度は、おたくは、そこにいろいろお書きになっているようでありますけれども、たいへんな消費者物価の上昇が招来されることになる。世の中の経済学者の大半がそう言っている。下村治さんのように数量経済学なんということをおっしゃる方以外は、ほかの方は、ほとんどそういう見通しであります。  だとすると、おたく公務員の一人でございましょうが、一体どういうことに物価というのはなりそうであるか。たいへんに上がる、こう見ていいと思うのですが、いかがでしょうか。
  51. 加藤和夫

    加藤説明員 閣議決定されました物価の見通しにつきましては、消費者物価は、来年度、前年に比べて九・六%、それから卸売り物価指数は、前年に比べて一四・六%上がると見ております。なお、年度間の上昇率は、それぞれ四・八%と五・二%と見ております。
  52. 大出俊

    大出委員 四十八年度の経済見通しからいきますと、五・五ぐらいに消費者物価はなっておりました。それが、いまのように一一・七だということになる。今度は見直して九・六だ。九%こえる。これは銀行金利などと比べてみて、べらぼうに高いわけでありますが、そういう見通しをお立てになるとすると、ひとつ間違うと二〇%くらい上がりかねないと私どもは考えている。そうすると、これは、実は、異常な状態だということになる。  そこで、総裁に承りたいのですが、先ほど総裁は、繰り上げというのは、意見書で何も書かなくてよかったというようなことをおっしゃっているのですけれども、公労委は「応急措置」と書いている。人事院は全く無味乾燥というか、非人情というか、情け容赦もない。全くひどいものですよ。「昭和四十八年度における期末手当の支給の特例措置についての意見の申出」、そして「佐藤達夫」なんて書いて、「人事院は、昭和四十八年度に限り、昭和四十九年三月に支給する期末手当のうち〇・三月分を昭和四十八年十二月に繰り上げて支給することが適当であると認める」、こう書いてあります。ただ一つだけ「適当であると認める」と書いてあるところが、味もそっけもない無味乾燥の中のたった一つの、錦上の花みたいなものです。ほんとうに砂漠の中の一滴の雨みたいなものです。  そこで「適当であると認めるので、」というのだが、これは、総裁、どういう意味なんだとこの間聞いた。そうしたら、いや、年末手当の足しにしていただこうと思ってやったのです、まあ、こういうことでした。年末手当の足しにしていただこうと思って繰り上げたというからには、年度末手当が年末手当の足しというのだから、年末手当を足す必要がない世の中の状態ならば、年末手当の足しにしていただこうと思ったなんということを総裁言う必要はない。ここで「適当であると認めるので、」というのは、つまり、年末手当の足しである、年末手当がいまのままでは、いささか公務員の諸君の生活が苦しいであろう、だから、〇・三を繰り上げた、それは適当と認めたのだ。つまり、足しにしてあげよう、こういう気持ちだった。年末手当は、物価上昇の中で足りない、だから、三月分から〇・三持ってきて足しにしてやった。その意味で、ここには「適当であると認める」、こう書いてある、こういうお話なんです。  そうすると、三月が〇・二残っておる。これは、片や業績手当、片や勤勉手当ですから、勤勉でない人にはくれない。それが人事院のなせるわざなんだ。勤勉手当なんというのは、勤勉でなければくれない。  そうすると、年度末手当は、そういうことでいいということになるかどうか。また足す必要はないのかどうか。年末手当の足しにしていただきたいから適当だといっておるのに、〇・三がなくなってしまう。勤勉手当というのは、格差がついて払われることになっておる。だから、もらえない人もある。にもかかわらず、人事院は、三月は、去年で終わりなんですよ、あとは知りませんと腕を組んでおりますか。そうはいかないでしょう。そこのところは、いかがでしょう。
  53. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 重大なことばづかいの点について、弁明を申し上げておきますが、年末手当の足しと言った覚えはないのです。年越しの足しにと申し上げたのです。春まで待つよりも、いま年の瀬を控えてとまで申し上げたはずです。年越しの足しにということを申し上げたのです。  私は、いつも、じっくりと申し上げますと、ゆっくりと受け取られて、よほど発音が悪いと思いますけれども、私の申し上げた趣旨は、そういう趣旨でございますから、したがって、先ほど来申し上げたとおりのことにこれがなるわけでございます。
  54. 大出俊

    大出委員 前法制局長官なんということになりますと、私のような下々の世情に通じておる人間と違いまして、年越しの足しにといえば、年越しには年末手当をもらうのだから、年末手当をもらって年を越すその手当が少ないので困っておるから、インフレ手当をよこせ、だから、その年越しの足しにと、こういうことだと私は思ったのですが、年越しの足しにと言ったけれども、年末手当の足しにと言った覚えはない。だけれども、年末にもらったでしょう。いままでの金より〇・三よけいにもらったでしょう。年末手当の足しじゃないですか。そうでしょう。年越しの足し――まあ、いいですよ、年越しの足しでも。  それじゃ、言い直しましょう。年越しの足し、年が越せないから足したんでしょう、正直いって。年を越せないから足したのなら、あとの三月は足しちゃってないんだから、一般的な年度末手当がないが、それでいいということになりますか。ずばり聞きます。
  55. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それも、前回、だいぶ御追及を受けて、お答えしたとおりでございますけれども、要するに、口数多く申し上げたことは、三月末の特別手当というものは、ほんとうは民間にもないことである、しかし、新学年を控えてお困りであろうということで実は私が始めたことだが、いろいろ反省すべきところはあるだろうというところまでたしか申し上げたつもりなんです。  それですから、われわれ明治生まれとしては、年の瀬というのが一番つらいなという感覚を持っているものですから、そこに重点を置いて、三月の分を繰り上げて差し上げる、一応それで適当な措置になるであろうという気持ちはかねて申し上げたとおりでございますし、いまも間違ってはおらないと思います。
  56. 大出俊

    大出委員 あなたがお始めになった。あなたは明治生まれで、新しい世の中には、年度末手当などないんだけれども、年度末手当ができた、年度末というのは、それなりの物入りがあるからということでおつくりになった。確かに物入りですよ。学校へ行く子供さんを見てごらんなさい。たいへんな金がかかる。机一つ考えてごらんなさい。  ここで、物価の問題をやってもしようがないけれども、べらぼうな金がかかってくる。ことしの入学なんというのは、どうにもならぬですよ。しかも、物価狂騰の世の中だ。あなたがお始めになった年度末手当が繰り上がったから、もうない。ないんだけれども、それでいいと言って、あなたそこにすわっていられますか。もう一度念のために聞きます。
  57. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもは、一般的に大根が幾らになったとか、むしろ、そういう日常の生活の面について、相当これは圧迫感を持たされておるということは、事実でございまして、年度末とかなんとかいうこともさることながら、そういう基本的な生活の条件というものについて、やはり次の、ことしの夏の勧告で適当な数字が出ればいいやという考え方に、これは結びついておるので、いまの年度末手当がどうこうということは、昨年末で、これはきれいに片がついたというふうに考えておるわけでございます。
  58. 大出俊

    大出委員 あなたが幾ら片がついたと言ったって、年が越せないから金を出した。年度末越せなくなりますよ、〇・三繰り上げで、ないんだから。それを、ことしの勧告といえば、八月じゃないですか。こんな物価上昇の中で、八月までほうっておけということにはならぬ。あなたが言っている意図がわからぬわけではない。腹の中は……。  そこで、この点だけは、少しこまかく承っておきたい。これは経過がございますから、一つずつ承ってまいります。  公労委の、先ほど私が質問いたしました経過、つまり期末手当は、人事院にさや寄せをしておる、この経過は総裁も御存じですか。
  59. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもの勧告は、地方公務員方々にも、相当大きな影響を及ぼしまして、いま御指摘のような事柄でも、事実上関連を持つということは、当然認識をしておるわけでございます。
  60. 大出俊

    大出委員 ここで、ひとつ総務長官に承っておきたいのですが、総理府と各種の職員団体の方々のやりとり、これは私、間接的に目にしているわけでありますけれども、その真偽のほどが、どこまでほんとうであるか、それはわかりませんが、二月の十五日に、人事局長の皆川さんと関係職員団体の方々がいろいろやりとりをされておる。この中で第一に、三月十五日を素通りはできないだろうということを言っておるわけです。何も言わないわけにはいかないだろう。三月十五日というのは、年度末手当の、ほかならぬ支給日です。これを素通りはできないだろう。つまり何も言わないわけにはまいらぬだろう、これが第一であります。  第二に、この問題で再度紛争は起こしたくはない。つまり〇・三を穴埋めしろということ。する、しないということ。いまの時期だから、する、しないと申し上げますが、この問題で再度紛争を起こしたくはない、これが総理府のものの考え方だと思います。  第三番目に、処理は人事院が勧告してくれる。つまり人事院が勧告をしてくれれば、政府は受けて立つということになるだろう。この処理は、人事院が勧告をするということになれば、政府は受けて立つ、こういうことになるだろう。  この三点が、二月十五日の人事局長皆川さんと関係団体との間のやりとりであります。それを、私、目にしているわけでありまして、そこで、総務長官に、この答弁は、このとおり受け取ってよろしいのかどうか、よろしくないということであれば、どういうふうにお話しになったのか、明らかにしていただきたい。
  61. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ただいまのお話、私がその席に出ておったわけでございますが、いきさつを申し上げますと、まず、年末手当の〇・三カ月分がどうなるのか、組合側としては、年度末手当が当然〇・五出るものと理解しておる、こういうお話でございました。  私は、この問題は、去年の十二月に、そういう趣旨ではなく、三月の〇・五を〇・二に減らされておるのだ、こういう経過をはっきり申し上げました。それは、あなた方のほうは、そうかもしらぬけれども、私のほうは、実は、そういう理解をしてないというようなお話がございまして、したがって、自分たちとしては、〇・五出してもらうように要求します、これは、文書の要求は出てないけれども、当然、そういうことが措置されるものと思って期待しておるのです、こういう話でございました。したがって、政府が現在の法律のまま行くのであれば、自分たちとしては、そういうことは承服できないという話でございました。  私は、現在、少なくとも〇・二になっているのに、職員団体の方々が〇・五を要求するということであれば、そういう問題がこの時期において発生する、そういうことは避け得ないでしょう、したがって、三月の十五日に出すとか出さないとかいうことでなくて、この時点にそういう問題が発生するということは、双方立場からしてやむを得ぬだろう、こういうことを申し上げたわけであります。  それからまた、問題が紛糾することも好まない。これは、常々そういう立場でおるわけでありまして、私たちとしましても、何も職員団体との間に、いろいろなトラブルが起こることを好んではいないわけであります。そういう趣旨で申し上げたのであります。  それから、人事院の勧告の問題につきましては、これは、常々申し上げておる原則論でありまして、君たちが何か積極的に考えを出したらどうか、こういうお話でありましたから、これは、給与決定の仕組み上、原則的に人事院判断というものに全幅の信頼を置いておるのである、したがって、政府としては、その判断に基づいて善処をするという従来の態度をとっていきたい、このように申し上げたわけであります。
  62. 大出俊

    大出委員 総務長官に御出席いただいておりますから、念のために承っておきたいのですが、総務長官自身は、この〇・三問題をめぐって、ここで争いが再燃をする、これは、好むところではないだろうと思うのです。私も当時、ずいぶん詰めた話をしておりまして、非公式の話を公開するわけにまいらぬから、苦労してものを言っているわけであります。  さっきちょっと玉虫色なんてことばが出て、しまったなと思ったのですが、そういう意味で、知り過ぎているだけに、ここで、ざっくばらんな話、紛争を起こしたくはない、きれいな処理をしてあげたいと政治的には思っている。  そういう意味で、私は、人事院が、やはり一番御研究をいただいて、意思表示をなさることが――これは、出すとか出さぬとか、額が幾らとかいうことは別として、合理的な理由がなければ、職員は納得をしないのですから。年越しの足しにしてくれと発言された総裁がそこにおいでになる。年越しの足しに〇・三ふえたと理解している職員がいるとすれば、三月十五日は支給日でございますから、〇・三減ったままで、何も言わぬで過ぎていくということにはならぬ、職員の生活を考えれば。そういう意味で、私は、素通りはできない、何かこれはものを言ってやらなければならぬ。  もう一つは、この問題で知り過ぎているだけに、妙な紛争の再燃は避けたいと思っている。そういう意味では、人事院が御研究をいただいてものを言うという、これが私は筋であろうと考えておりますが、ここらは、総務長官いかがですか。
  63. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  前回は、いま大出委員がおっしゃったとおり、たいへんお世話になってありがとうございました。いろいろ教えていただきました。その点は、あまりはっきり言えないのが非常に困るわけでございますが、いま大出委員の言われたことの意味もよくわかります。私、先ほど来、人事院総裁の御答弁をいろいろ伺っておりまして、自分たちは何も見ないようにしているんじゃないんだ、つんぼやおしでいるつもりはないんだということをおっしゃいましたので、そうしたお考えで人事院でもいろいろ考えていらっしゃるのではないかというふうに思います。私は、そうしたお考えの末の結論が出れば、もちろん政府としては、人事院のお考えをさらに十分伺って、そして善処するという気持ちでおります。  繰り返して申し上げますが、公務員の持つウエートはいま非常に大きいと思います。そうした意味で、むだな紛争でエネルギーを使うことは、国民にとっても非常にマイナスではないかと考えております。そんな気持ちでおります。
  64. 大出俊

    大出委員 たいへん前向きの御答弁でございますから、お互いわかるところはわかっているわけでございますので、再度の質問はいたしません。いまの前向きでお答えになっております筋道で、ぜひひとつ、これを進めていただきますように、総務長官にはお願いをいたしておきたいのであります。  先ほど三点、皆川さんがお答えになりましたが、この点も、私は、人事院側の考え方というのも知らないわけではなく、かつまた、皆川さんが応対をされるにあたって、人事院と全く無連絡であるとも考えられないわけでありまして、その上に乗って、いま総務長官自身がお答えになっておりますから、それが一番いい方法であろう。つまり人事院がよくお考えをいただいて、結論を出していただくことが一番大きな筋であろう。そして、わかり過ぎていることでございますだけに、紛争は避けなければならぬという気が実はするわけであります。あわせて、公務員諸君の置かれている今日的事情の中で、生活が楽でないことも、これだけの物価上昇でございますから、一般的にわかっていただいているわけであります。そういうふうに考えるわけであります。  そこで、人事院に再度承りたいのでありますが、いずれにしても、いまから調査をしていただきませんと――さっき、物価の動向は、経済企画庁からお話をいただきましたが、七千カ所も調査をするというわけには、いずれにしてもまいらぬだろうと私は思う。そうすると、とりあえず三月の賃金台帳まで見るかどうかという問題もございましょうが、五百や六百カ所ぐらいのことは、お調べいただかなければならぬと思います。そういうことになると、やはり調査をする方向をおとり願いたいというのが、まず第一の論点であります。  実は、私は、当時、事情もございまして、この人事院意見書が出たときに、人事院は、いつも口ぐせのように調査をする、その上でと、こう言ってきたのだが、今度は調査したのか。何もしやせぬじゃないか。公労委が調停を出した、しようがないから意見書を出した。全く無味乾燥だ。応急措置とも書いてない。あとで、ひっかかりを避けたのかもしれませんけれどもね。これは調査をしていないだろう、こういう言い方をした。御無礼であったかもしらぬ、時の政治情勢からすれば。だから、そのことは、釈明をさせていただくとして、やはりここまで参りますと、調査をする機関はあるわけでありますから、まして昨年の勧告にあたっては、期末手当〇・〇六の切り捨てという問題まである。かつて〇・〇九まで切り捨ててきているいきさつがある。それを集計すると幾らになるはずだと、私は申し上げたことがある。  だとすると、昨年末、民間の手当がたくさん出ていることは、さっきの公労委の調停案の中に書いてある。民間の動向というものが、一つの論点になって出している。また、調停委員長等の共同談話の中にも、民間の問題が出ている。実は、こういう背景があるわけであります。  つまり「民間における今次年末一時金の支給の状況にかんがみ、」、道正局長の答弁によれば、民間がたくさん出した、そういう状況にかんがみ――民間かたくさん出したということは、官民比較の上で、官業が、基本的な、つまり年末手当なりその他の手当について格差が出てきているということなんです。  そういう客観情勢があるわけでありますから、当然、私は調査をする責任が、人事院にあるのではないかというふうに思うわけであります。したがいまして、とにかく調査をしていただきたい。その上で三月十五日を、何にも言わぬで、旧来、この委員会等で言っているからというだけで黙って過ごすということは、いかにも不親切である。年度末手当が出ない人もあり、あるいは少ないのに、人事院はどうしてそういう判断をして、補てん措置がとれないのか。もし、とれないとすれば、これは、明らかにしていただかなければならぬわけです。  そこらのこともございますから、何百カ所かの調査ぐらいのことは、人事院がおやりになる筋合いがあるのではないか、こう思うのですが、総裁、いかがでございましょうか。
  65. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 強い御要望の趣旨とともに、いろいろ具体的なお知恵までお授けいただきまして、たいへんありがたいと思います。十分承っておきたいと思います。
  66. 大出俊

    大出委員 いつからということは申し上げませんが、調査をする気持ちがおありになるのかないのか、総裁の気持ちを聞いておきたいのです。
  67. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 昨年末、調査もせずに、こんなものを持ち出してという強いおしかりを受けたことは、肝に銘じております。
  68. 大出俊

    大出委員 ならば、調査をするというお気持ちだということでございますか。
  69. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 あのときは、どうせまた、四月調査をやりますからというようなことで申し上げたつもりでございますが、そういう下地はもちろん持っております。  先ほど、総務長官は、つんぼでもおしでもないとおっしゃったが、私は、めくらでもつんぼでもないという趣旨で申し上げたわけなんです。そこだけ訂正さしていただきたいと思います。
  70. 大出俊

    大出委員 つんぼとおしと、めくらとつんぼですか、やはり総裁は、生まれが生まれ、育ちが育ちですから、人品骨柄の面からいっても違うと見えまして、いろいろなことをおっしゃいますが、気持ちがわからぬわけではない。ですから、その気がないわけではない、そういうことでございますから、それはよろしゅうございます。  そこで、次の問題に入らしていただきますが、時間もございませんので、できるだけ簡単な質問をしていきますから、簡単な答弁をいただきたいのであります。  つまり、三月十五日という支給日がある。私は、せめて調査を急いでいただいて、それは何カ所でもいいのでありますが、人事院の御判断でございましょうが、やはり三月というこの月の段階で、何がしかの将来展望というものは、お出しをいただきたいというふうに思っている。   〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕 それでないと、各公務員諸君の職場というのは、年度末手当がもらえない、あるいは少ないということの中で、やはり相当の混乱が起こることは間違いない。家庭を持っておりますから、当てにしている奥さんもいるのであります。したがって、そこらの点を考えますと、何か言ってあげる必要がある。そうしないと、職場が落ちつかない。仕事に影響するということにもなりかねない面もある。そういうふうに考えますから、そういう意味で、できる限り、これは早目に御判断を願いたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、予算の使い方について、ここで大蔵省の方に、ちょっと聞いておきたいのでありますが、たとえば〇・三の穴埋めをするとすれば――国家公務員は五十万ぐらいだと思うのです。地方公務員は二百五十万ぐらいではないかと思うのですが、公労協の方々は七十万ぐらいになりますかな。それから政府関係機関、政労協などという組織もございます。こういう方々を入れてまいりますと、大体どのくらいの予算がかかるのか、〇・三の穴埋め財源は、幾らぐらいかかるのか、お示しをいただきたいのであります。
  71. 西垣昭

    ○西垣説明員 公務員の分が、一般会計と特別会計と合わせまして、純計で約四百六十億円、地方の分が、一般財源分といたしまして約五百億円、それから三公社五現業の分が、全体として三百五十億円程度、以上合計いたしまして、約千三百億円でございます。  政府関係法人につきましては、私のほうは、推計しておりませんので、お許しいただきたいと思います。
  72. 大出俊

    大出委員 そうすると、政府関係の機関、政労協関係を抜いて千三百億、こういうことになりますね。  そこで、実は、できなければ、来年度の予算の繰り上げということだって考えられないわけではない、現に、本年は、繰り上げをやったのですから。来年度の六月の夏の手当を、三月に繰り上げるということだって技術的にはできる、これは、たとえての話でありますが。その場合に、四月にいって、この六月の分を繰り上げる、このときに、いまの状況で暫定予算を組むというようなことになるとすると、暫定予算には、期末手当は入らぬのじゃないかと思いますが、旧来の例からいきまして、そこらが、まずどうなるのかという点も、技術的な点でございまして、これは先の話でありますが、念のために聞いておきたいのです。いかがですか。
  73. 西垣昭

    ○西垣説明員 暫定予算のことにつきましては、私ども、まだ考えておりませんので、これは、ちょっとお許しいただきたいと思います。
  74. 大出俊

    大出委員 いまの話をしているのではないんですよ。暫定予算を組むとすれば――いままで組んだことは何べんもございます。おそらく期末手当などというものは、暫定予算に入ってくる筋合いではない、こう理解していいですか。
  75. 西垣昭

    ○西垣説明員 昨年の例で申し上げますと、給与費につきましては、その暫定期間中に支払い期日が来ているもの、これだけに限りまして計上をいたしました。
  76. 大出俊

    大出委員 ということになると、これは、本予算が通らなければ、繰り上げ措置が不可能である。  もう一つ、技術的に聞いておきますが、これは、人事院のどなたでもけっこうですけれども、俸給の支給日というのは、これは、給与法上の措置でございます。これは、人事院規則に委任をするということになるとすれば、技術的には、人事院の規則制定権にゆだねられるということになる。そこらは、一体どういうことになりますか。そういう措置はありますか、ありませんか。これは一般論として聞きたい。
  77. 茨木広

    ○茨木政府委員 現在の制度でございますと、給与法で支給日がきまっておりまして、ごくわずかの範囲内のことはできますけれども、その他はできませんので、おっしゃるようなことになりますと、立法上の問題になると思いますが、何らかの措置を、やはり法律上授権をいただくようなことをしていただかないと、できぬだろうと思います。
  78. 大出俊

    大出委員 つまり、俸給の支給日は、人事院規則によるなんというようなことにして整理法でも出して通せば、俸給支給日を、別に人事院が規則を出してきめて臨時の措置はとれる、こういうことになりますね、技術的に。いかがですか。
  79. 茨木広

    ○茨木政府委員 そういう授権をいただければ、そういうような余地が出てまいると思います。
  80. 大出俊

    大出委員 たとえば国会職員方々のように、五日に給料が支払われる方々のところもある、あるいは十五日のところがあり、十六日のところがあり、調べてみると超過勤務手当というのは、ほとんど二十日ですね。各省によって非常に区々なんですね。公労協関係なんというのは、四月に入ってから年度末手当の処理をしているところもいろいろある。そうすると、それだけ大きく違いますと、技術的な詰めと申しますか、処理がなかなかたいへんなんですね。  したがって、いまの私の論点というのは、そういう方法が可能かどうかということですね。つまり、規則できめるということはできるかどうか、法律の手直しをすれば。ここを承ったわけでありますが、そういう方法があるが、法律の手直しが要る、こういうことでございますか。
  81. 茨木広

    ○茨木政府委員 私どもの所管しております一般職の職員に関しましては、御案内のように、九条のところに「毎月一回、その月の十五日以後の日のうち人事院規則で定める日に」、こうなっておるものですから、十五日が限界になるということでございまして、この点について、いまお話のようなことをするということでありますれば、何らかの措置はやはり講じていただかなければいけない。ただ、私どもの所管以外のものにつきましては、また、それぞれの問題があるのだろうと思います。
  82. 大出俊

    大出委員 それでは、列挙的に承りますから、あとひとつお答えをいただきたい。  いまの問題は、総務長官の御答弁がございましたから、いまの段階でございますので、たいへんこまかいことまで承る気はございませんから、先へ進めさせていただきます。  そこで、俗に言う人確法案ですか、人材確保の法案がございます。これについて、もちろん、これは国会かやることでございますから、衆議院の再議決で、修正するとすればいいのでございましょうが……。  そこで、百三十六億程度の予算があるのではないかと思うのです、これは大蔵省から確認をいただきたいのですが。その百三十六億ばかりのうちで、国家公務員である先生と地方公務員である先生とに分かれている。私のつかみで申し上げますと、国家公務員の先生が一億ぐらいで、あとの百三十五億ぐらいは、地方公務員方々ではないか、こういうふうに思うのでありますが、そこらは、どうなっているかという点。  もう一つ、大蔵省に。一体、この百三十六億を使うのは、どの辺までならば可能なのかということです。つまり人事院が勧告をすることとからみ、三月中に勧告が出てこなければ、そして給与改正に触れてこなければ、勧告、法改正にならないのか。四月に入っても可能なのかという問題であります。ここらは、大蔵省から御回答いただきたい。  それで、総裁には、もしこの国会で処理ができるとして、タイムリミットがございましょう。いつごろまでならば――いままで法案か通っても準備に一カ月かかる、こういう答弁をいただいておりますが、ここまできて準備をなさっていないとは思えませんから、そういう意味で、そこらの手順は一体どうなるか。勧告は、いつごろになるか、もし通ったとすれば、一月遡及でございますから、そのことは、一体、大蔵省の皆さんに承りたいのだが、どのくらいのタイムリミットで可能となるのかという点、ここらをそのときになってあわててみてもしかたがありませんので、明らかにしていただきたいのです。  それから、総裁にもう一つ承りたいのは、ここで旧来から問題になっております総合較差というものの考え方で官民比較をおやりになってまいりましたから、一般行政職などの場合に、実際には官民比較でもっと差があって高くなるべきものが、逆に官民比較の面で公務員が高いところもあるというようなことで、財源がそっちにとられる。それが、先般、この委員会で私申し上げましたが、私どもの計算では、おおむね二・六二ぐらいの数字になっている。これが実は、三%上乗せをしてくれという、公務員共闘その他の方々の、先生だけでは困る、それは認める、私たちも認めるけれども、一般行政職のほうだって、そういう損をしているのだから、これは積み上げてくれ、こういう意見が前々から根強くある。  そこらのことの扱いは、総裁は、私に、そこらも、何がしかのことを考えざるを得ないというようなことをおっしゃった時期もございます。だから、額はともかくとして、やはり何らかの、見合う手直しをしなければならぬと思っておるのですが、たとえば一〇%といっても、ベースアップしておりますから、九%ぐらいしかないかもしれない、新ベースですから。それを六%なら六%を、四十歳ぐらいの方で、行政職でいうならば四等級にわたっていないで五等級にあるというような方々、そこに六%ぐらいを使うとすると、残り二%を、調整額に二%を入れるとか、あとは二%積み増し分を伸ばすとか、いろいろあると思いますが、つまり、そういうことをおやりになるとすれば、やはり一般行政職のほうも、同じ意味で何がしかの手を打たなければならぬ理屈が私は出てくると思う。  そこらのことは、一体、人確法案が通ったと仮定した場合に、そこで、人事院がお考えになる勧告の中に含まって出てくるのか。欲を言えば、〇・三カ月分の穴埋めも、そこで出していただきたいのです、時期的にはできるのですから。そこらのことを、一体人事院は今日どうお考えか。  それで、その勧告にあたって、看護婦さんなんかというものは一体どうするのか。教員が一月から予算を確保してあるとすれば、看護婦さんは四月新年度から、予算がないのだからと、こうなるのかもしれませんが、そこらのことを含めて、どう考えておられるのかという点、これを明らかにしていただきたい。  もう一つ人事院に承っておきたいのは、寒冷地手当でございますけれども、これは給与局長に承りたいのですが、私の質問に、かつて答えて、寒冷地手当の加算額、燃料費でありますが、二〇%以上の動きがあれば手直しをするというお答えがございました。灯油の値上げというのは、三〇%以上ございました。たしか、その基礎になっておりますのは、二百八十円から三百円くらいのときの基礎計算だったと思います。四百三十円で固定するにしても、たいへん大きな開きがあるはずであります。かつまた、その間の、実はことしは買えなかったわけでありますから、そこらの値上がり分というのは、一体どう見たらいいのかという問題がございます。これも、私は避けて通れる筋合いではない、こういうふうに思っておりますから、そこらをまずどういうふうに考えるかということ。  それから、自治省の皆さんに承りたいのですが、これは、お書きおきをいただきたいのですが、いま大きな問題が二つ起こっております。  その一つは、何かというと、六大都市を中心にして、地方公務員給与国家公務員よりもよけい払われている、これは古くて新しい問題です。これを、いろいろ調査されて、特別交付税その他で、その九割くらいを切ろうというお考えがあるように承る。特交は、御存じのとおりに、交付税全体の六%くらいに当たるのでしょうけれども、そうすると、それを切って、〇・三という問題が一つにはありますから、財源の問題でかみ合ってまいります。六大都市並びにその周辺の公務員の諸君は、たいへん大きな騒ぎになりつつある。ここらは、一体どういうふうにお考えかという点、はっきりしたところを聞きたいと思います。  それからもう一つ、いま各都市が、学校用地の先買いであるとか先行取得であるとかいうことで、買い付け証明まで出して土地を買っている、買おうとしている。あるいは市営住宅等で、同様に、つまり先行投資の形で買おうとしている、買い付け証明を出している。たくさんございます。全国の自治体を合わせると、一兆円くらいの起債要求になっているのですけれども、それを補正予算との関連で一千億なら一千億に切ろうという。切られてしまえば、自治体としては、内部財源を捻出して何とかしなければ、買い付け証明を出すというのは困る、大きな意味では、自治体財源そのものにからんでくる。  そこらの、この二つの問題は、これは大蔵省、自治省両方に承りたいのですが、一体、どういうふうにお考えになっているのか。後者は、通達等もお出しになっておりますから、そこらをお答えいただきたいのであります。ひとつ、委員長のほうで、各所管別にお答えを求めていただきたいと思います。
  83. 廣江運弘

    廣江説明員 お答えいたします。  人確法関係の財源は、どうかということでございますが、先生お示しのとおり、地方分が約百三十五億円、国立学校分が約一億円でございます。  二番目に、これからどういう順番でいったら大体できるかという御質問でありますが、給与改正法案が年度内に成立することが必要だと思います。
  84. 森岡敞

    ○森岡政府委員 特別交付税の件について、まずお答え申し上げます。  特別交付税は、御承知のように、普通交付税では算定し得ない特別の財政需要の差異がございますが、そういうものを計算しております。その場合に、やはり当該団体の財政需要を考慮して算定する。たとえば不交付団体でありますと、財源超過分がございますから、それを差し引く。あるいは競馬競輪収入がある、これは財政に余裕がある。いわゆる期末勤勉手当につきまして、国家公務員給与をこえる、いわゆるプラスアルファを超過して支給している。私どもは、それは、やはり財源に余裕があると考えるわけでございまして、ことし、特に新たにそういう考えを持つわけではございません。昨年も九割を減額項目に立てる、こういう措置を講じておるわけでございます。やはり国家公務員に準じた期末勤勉手当を支給している団体とそうでない団体と、その財源構成あるいは財政需要に差があると考えざるを得ないわけでございまして、昨年と同様に、本年も九割程度の減額項目を立てたい、かような考えで計算しております。
  85. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 三つお尋ねがございましたが、第一の、人材確保法案の関係の日取り、これは、かねがね一月半と申し上げておったはずなんですけれども、しかし、そんなことを言っておっても、このどたんばになって、もしも成立させていただければ、たいへんなことだということで、どうなるかということでございますけれども、最低二、三週間ということ。普通の法案なら、事前に、御審議中に相当やれますけれども、こういう、ものがものですから、御審議中に、もう準備をしておれなんということになると、これは、またたいへんなおしかりを受けることになるということで、慎重にかまえておれよということをかねがね申しておりましたこともあって、いよいよ成立を見きわめてから、本格的な起案に取りかかる、これは当然のことだろうと思います。  したがって、大いに急ぎますけれども、まあ、すれすれのところにでもひとつ持ち上げまして、一日で通していただければということを希望しております。  それからあと、例の総合較差の問題も、あのようなことになりますと、従来の逆較差であった看護婦の逆較差が、さらにまた、大きなものになりますから、従来の総合較差の中での配分というたてまえは、とても踏襲できない、これは、もうはっきりしております。  したがいまして、ことしの夏の勧告の際においては、もちろん官民の比較は、鉄則としてやりますけれども、従来の総合較差の中での配分という方式は、どうしても改めなければならないだろうという気持ちで――まだしかし、その方法については、これからまた検討しますけれども、いろいろな方法はあると思いますから、これはまた、後日お教えをいただいてけっこうだと思います。  ただ、総合較差に関係して、行政職の人が非常に割りを食っているといいますけれども、職員団体の方には言っているのですが、御承知のように、初任給はもうぴったりいっておるのだぞ、しかも、初任給周辺のところは、ずっとそれで上げておるのだから、まあ、割りを食っているということになれば、若いところではなくて、多少お年の方のほうだけれどもね、ということは言ってきておりますので、それで御了承いただいておきたいと思います。  それから第三の、看護婦の問題は、これも、御承知のとおり、教員の関係に準ずる確保の措置は、どうしてもとらなければならぬということで、予算のほうの措置もお願いしております。その予算の成立を待っておるわけでございます。  それから、寒冷地は、これは給与局長ということでしたけれども、ちょっと口がすべりましたから、言わせていただきますと、灯油の問題、これは、かねがね御心配で、われわれも終始、その値幅を見ておるわけでございます。ただ、従来、石炭中心主義でたてまえができておるものですから、これを灯油本位に切りかえるとなりますと、これは、ときどき申し上げておるのですけれども、どうも夏に一括払いというのは、もうだめじゃないか。  それで、後に世帯の構成が変わったとか、あとで採用された人はどうなるかというような問題、いろいろ夏に一括払いであるために、問題が起こっているので、もしも灯油を表に立てて切りかえていくということになれば、そっちのほうの基本問題も、あわせて考えないと、これは、すっきりはいかぬぞというような問題もかかえつつ、目下、注視を続けておるということでございます。
  86. 茨木広

    ○茨木政府委員 いま、総裁から、基本的な考え方についてお答えがございましたので、数字的な問題についてだけ、補足いたしておきたいと思います。  灯油の北海道の加算額の問題でございますが、最近の状況は、一応八月以降、ずっと各月動向を見ておるわけでございますが、平均で八月が四百五円、九月が四百七円、十月が四百十四円、十一月が四百四十四円、十二月が四百五十円というのが、公式の統計局のほうの小売り物価統計調査報告による分でございます。  先ほど、二〇%云々というお話がございましたが、現在の方式は、六十五対三十五というような、石炭と灯油との比率で計算をされて、八月に支給されておるわけでございますが、まあ、そういう比率でもって、一つは、先ほどお話に触れられました、公定価格というようなものも現在ございます。かりに、これで三月までいったというふうな推定を、その後はいたすというふうにいたしますと、一一六%ぐらいになろうか、これは前の改定時以後のアップ率でございます。  それが最近、多少灯油のほうの消費量が上がっておりますが、これでいきましても、五六対四四ぐらいの比率になっておりますが、かりに、そういう基礎計算の方式を変えるといたしましても、まだ二〇%までにはいかない、こんなところでございますが、たいへん危険な状況にあることは、事実でございまして、うまく政策が成功いたしまして、その以内におさまってくればいいな、こんなふうにして見ておるところでございます。
  87. 四柳修

    ○四柳説明員 一番最後のお尋ねの点でございますけれども、お耳に入っております点は、実は、公共団体プロパーの問題ではなくて、いわば土地開発公社等の問題であろうと思います。この点につきましては、さしあたって契約いたしました分だけを、いわば日銀のワクの中で優先して措置できますよう日銀、大蔵省等々といろいろ協議中でございまして、もちろん他の金融機関等の御援助も必要と思いますけれども、何とかしてこの三月までに確保したいと思っております。
  88. 大出俊

    大出委員 気がついたところから申し上げますが、それで終わりにしますが、寒冷地問題は、これは茨木さん、いまの答弁は、小売り物価の云々ということでございますが、統計数字をおあげになりましたが、私の家庭をはじめ、この統計数字で買っているところは一カ所もない。当時、四百八十円、ところが、私のところなんかでも、五百円払わなければ持ってこない。つまり、この統計数字が、そのままならばですけれども、実際の実勢価格というのは、そうじゃないことはおわかりになっている。  そこらのことを考えますと、二〇%はとうにこえている、こういう数字が、実は私のほうにあります。だから、これは、おたくのほうでも、実際にどうなっておるかということを十分お調べいただいて、かつまた、該当のいろいろな団体もあるわけでございますから、十分聞いていただいて、いま、ここで申し上げると時間がありませんから申しませんが、その上で、これは御検討いただきませんと――これは総裁にも申し上げておきますが、これは紙の上の数字だけで、ものごとが動いている世の中でないことは、物価諸般質問を聞いていればおわかりのとおりです。  かつまた、これを算定したときの基礎、したがいまして、とうに二〇%をこえている。さっきは、非常にあぶないところだ、こうおっしゃるのですが、何とかすれすれでも、うまい数字で逃げていこうというのではなしに、実際にやみで買っているのですから、そっちのほうを、これから先考えていただきたい。あなたの答弁、逆なんでございます。何とかすれすれのところでございますから、あぶないところでございますなんで、あぶなく上げないで助かったなんという気持ちではなくて、実際によけい高いものを買っているんだから、そこのところは、そちらのほうにさや寄せしてものをお考えいただかぬと、給与局長、妙なことになってしまいますので、総裁、これは、ぜひお考えいただきたいところでございます。  それから地方公務員の皆さんに対する例の九〇%云々の件は、四十三年ごろに、いきさつもございまして、あのときだって、高いから騒ぎになった。なったが――これは一般的に、人か公務員をやろうと考えたときに、国家公務員、地方公務員とあれば、普通なら国家公務員をやろうということになる。だが、自治体というのは、常に昔から、国家公務員に比べて、特に六大都市等は二〇%から給与がいい。だからというので、自治体に行く人がたくさんある。これは、やはりそうでなければ、人材が実際に集まらぬ。だから、頭のいい首長なら、おそらくそのくらいのことはやりかねない。そういう特性がある。  しかも、準ずるということで、厳密な意味では、団体交渉できまっていくわけです。そうなると、それを、何でもかんでも切ってしまうということで事が済む筋合いはない。たいへんな混乱が起こる。したがって、できるだけ自治体の管理者は、その辺は、自制をしていけということで、一ぺんにとやかくというのでない形にして進めてきたいきさつがある。ただ、自治体から上がってきている報告書その他が、ほんとうのところ、報告になっていないということが、一つひっかかる点があったりするのであります。  そこらを全部洗い出して、この際、九〇%なんということになると、これは旧来と違った形になるのです。だから、そこらのところを聞いている。昨年もやった。形式的にやったって実害はない。そこらのところは、今度は、実害を百も承知でおやりになるとおっしゃるなら、これは六大都市あげて大げんかしなければならない。そこらのところを聞いておきたい。現状変革をそう急激にやられたのでは、職員はおさまりはしません。生活をかかえているのです。それに合った生活になっている。そこのところは、ずばり答えてください。あなたのほうで、いろいろ洗い直しもやっておられますが、松浦さんが一生懸命、担当者のほうに出かけて、督励しているんだそうですけれども……。  それで、六大都市というのは、革新首長がみな割拠しているところだからというので、ある人が、ねらい撃ちをやるのかと言ったら、いや、革新首長は考え方が違いますから、こう言ったという。そうなると、これは基本的に大げんかをしなければならぬ。そこらのところは、一体どういうことになるのですか。
  89. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年も、いわゆるプラスアルファの九割を減額項目といたしております。ただ、地方団体によりまして、報告に、いま大出委員御指摘のように、やや差がございました。これは、やはり公平という意味では問題があろうかと思います。ですから、やはりその公平は確保いたす必要があろう。減額項目を立てる以上は、たまたま報告に非常に格差があって、それがそのままうのみにされるということは、やはり問題があろうかと思うのであります。ですから、そういう点は、明確なる報告を求めて、きちんとした措置をとりたいという気持ちでおるわけでございます。  その他の点につきましては、私、ここで申し上げる問題ではないと思いますが、いずれにいたしましても、先ほども申しましたように、いま、また大出委員御指摘のように、かなり自制をしておるというお話でございますが、若干やや自制の範囲を越えている向きもないではないという感じもいたします。ですから、私どもは、公平を確保するという観点から計算をしてまいりたい、そういう見地に立って計算をしてまいりたい、このように考えております。
  90. 大出俊

    大出委員 この点は、旧来もそうでございましたが、現状、変革をそう急激にやったのでは、これは、おさまりがつかぬことはあたりまえです、人間ですから、生活をかかえているのですから。だから、そこは、やはり十分話し合いをして、納得ずくでものごとを処していただきませんと、これは開き直ったけんか支度では、それこそ自治省にかねや太鼓で六大都市の職員が押しかけるなんという騒ぎを起こしたらしようがないのだから。これは長い歴史があるわけですから。  これは何も自治省に限らず、税務署関係なんかをながめてみたって、古くて新しい問題が山ほどある。だから、そういう点は、ぼくらもわかっているのです。これは再建計画をお立てになるときだって、そうです。なかなか鎌田さんが立案したとおりにいかない、一々話し合いで片づけているわけでありますから。ずいぶん苦労した時期もございました。だから、そこらのところは、ものを言うことはいいけれども、そこから先は、自治体との間の話し合いを十分詰めていただく、大都市おのおの事情は違うわけですから。そういう姿勢でいっていただきませんと、いきなりどうも、事をかまえてものを言うかっこうになると、これは、おさまりがつかぬことになるという必配をいたしますから、取り上げたわけであります。慎重にやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  91. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ただいま申し上げましたように、昨年までの実態というものに、率直に申して問題がございました。ですから、そういう点の是正というのは、やはりいたさなければならぬと思っております。しかし、いたずらに事をかまえるという御指摘のような気持ちはないわけでございますので、公平にきちんと計算をいたす、かように考えております。
  92. 大出俊

    大出委員 そこは、また話を詰めますから、よろしゅうございますが、本題でございますが、総裁の御答弁もございましたけれども、経済企画庁の方々のほうでおあげになっている数字等からいきましても、たいへんにどうも、異常な物価の上昇、さらに狂乱といわれるぐらいの上昇でございますだけに、公務員おのおの苦しい生活をしているわけであります。  そういう意味で、これは各般の官業労働者に該当する問題でございますので、まあ、目と口と耳と三つあって、一つ抜けているようでございますけれども、そういう点もひとつ総裁、十分御勘案をいただきまして、前向きにこの問題の処理に当たっていただきますように。  紛争の再燃は、私どものほうも、あの問題をまとめる意味では、それなりの、わがほうの側に立っての努力をしてきているわけでありますから、これがまた、一つの紛争の火種にならないように、その意味では、できるだけ早目に、公務員の諸君にものを言っておく必要がある、こういうふうに私は思っておりますので、そこらまで御配慮をいただいて、ひとつ慎重にお進めいただきたいのです。  最後に総裁に。表街道でそうは言っているけれども、かと言って、逐次、職員団体の方々も、意見を持っておいでになる、あるいは物価の動向などということもある、そういう点も十分――総裁は、先ほどおことばにありましたように、見ていないわけではない、こう言っているわけですから、そこらを踏まえて、ひとつ、なるべく早めに見通しをお立ていただくように、最後に、総裁に、その意味でひとつ御発言をいただきたいと思います。
  93. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 御趣旨よくわかりました。とくと承っておきたいと思います。
  94. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 吉田法晴君。
  95. 吉田法晴

    ○吉田委員 宮内庁から資料をいただきましたのに関連をして、お尋ねを保留しておりましたから、時間がございませんから、特別に御了解を得て、十分か十五分で終わるということでやりますから、一ぺんにお尋ねをいたします。答弁も、なるべく簡単にお願いしたいと思います。  天皇は、人間宣言をされたんですから、神様でなくて人間になられたと思います。憲法のたてまえも、国民主権の原則に立って、象徴である天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づくと書かれております。したがって、人間になられた。そうすると、憲法の条章、国民の権利義務を規定しております第三章は、法律に特別に規定のある場合を除いては、精神的には適用されるのではないかと考えられますが、いかがでしょうか、それが第一点。  全部聞いてしまって、あとお答えをいただきたいと思います。  それから、第三章の中の十四条に、法のもとにおける平等、それから貴族の禁止等、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という人間平等の原則がうたってあります。これは原則的には、基本的には、やはり人間になられた天皇にも適用される精神ではなかろうかと考えますが、いかに解釈をしておられますか。  私の解釈によると、人間として法の前には平等あるいは生まれてきた身分あるいは信条、門地その他によって人間的な差別がないとするならば、政治的あるいは法律の上だけでなしに、経済的にも社会的にも差別されないということになれば、人間としての生活のほかに、象徴天皇としての必要な御経費を、皇室経済法で見るのが本筋ではなかろうかと考えますが、どういうように考えますか。  この間から、説明をいただきましたパーセンテージを、金額に直していただきたいと申し上げましたが、金額的にはお出しをいただきませんでした。私が不正確な計算をいたしますと、一億三千四百万というのは、月額に直すと千八十三万になると思われる。それから、いただきました御料牧場から生産されて、皇室用に供される生産品が、全部で七百七十三万四千三百三十円ですから、十二月で割りますと、六十四万四千円、そうすると、これを加えますと一カ月に千百四十七万余となるのであります。  人間は、法の前には平等、社会的、経済的には差別をされないと書いてある。あるいは二十五条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と書いてございます。  ところが、一カ月にもらいます給与その他を、他の例について比較をいたしますと、事務次官なりあるいはわれわれ議員も月額が五十万円、公務員の平均が、これは推計ですが、人事院に聞きましたところが、月に十万八千六百五十五円、生活保護が大都市において、一級地において五万二千七百九十六円、失対労働者は、それよりも低くて、一級ですけれども、三万三千三百二十五円、これで一カ月が食っていけるかどうかたいへん疑問があると思います。  先般、テレビで見ておりますと、五万二千七百九十六円、それで正月の元日には、雑煮をつくって、もちを食べたけれども、あとは米を食うわけにいかない。めしを食うと、おつゆも飲みたい、つけものもほしい、それは、この生活保護費の中からは出ないから、日に一わの割合で乾めんを買って、それをといて、栄養は足らぬかもしれぬけれども、それで食っております。一カ月の初めに、三十日分あるいは三十一日あるときには三十一日分買っておかなければ、食えないという現実が生活保護者にはございます。  それから失対労務者は、三万三千三百二十五円、これは公務員との差もございますけれども、同じ人間で生活をしていくのに、これはカロリー計算まですることはできませんでしたから、あるいは細目を教えていただけませんでしたから、その時間はございませんけれども、総額で千八十三万、このうちには、象徴天皇としての必要な諸経費が含まれていることも承知の上で、そのふるい分けができませんから、ラウンドナンバーで申し上げますが、皇室は百万、それから公務員は、先ほど申し上げましたような平均でいきますと、月十万そこそこ、生活保護者は五万二千円、もっと級地の低い郡部等では三万八千円というところもございます。同じ一級地で失対労務者は三万三千円。  私は、この数字を比較をしながら、やはりここにも、民主主義なり合理性の日を当てるならば、説明のつくものでなければなるまい。象徴天皇として必要な経費を否定するものではございません。説明のつかないものがあるところに、なかなか出しかねるところもあるし、あるいは触れさせない、のぞかせないという姿勢も出てくるのではなかろうかと思いますが、それには民主主義なり合理性の日を当てて、説明のできるようにせられるべきではなかろうか、それが第三点。  それからあわせて、別な機会にもお尋ねをいたしましたけれども、説明のつかない経費あるいは必要以上の邸宅――これは国会の建物でも、明治憲法時代に建てられた建物ですから、議場の構造を見ましても、主権者である傍聴者、参観人が入っていくところ――これは参議院の議長が幾らか直されました。あの議場の議員のおるところと大臣のおるところに段がついているのも、これは世界でも例が少ないと思いますが、御座所というのが、やはり頭の上につくられておる。これは昔の明治憲法のたてまえからつくられた構造ではございますが、それが、いまもなお残っておるのではなかろうか。  それで、パスカルの随感録を思い出しますが、裁判官が法衣を着て威容を飾る、あるいは大邸宅や必要以上の建物に住むのは、人間以上の飾りをこしらえて、その威厳を保つためのものだという説明があったことを思い出します。これを、民主憲法のもとで、皇室の民主化に努力をしておられます宮内庁は、どういうぐあいに考えられますか。  もし、私が心配しましたような方向にだんだん強化されていくならば、また、皇室に迷惑をかけるようなことが起こるのではなかろうかということを心配するだけに、以上の四点について、総務長官それから宮内庁次長に御答弁をいただきたいと思います。
  96. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 吉田委員のただいまの御発言は、意味は非常によく私はわかります。同時にまた、そうした意味合いを、われわれも決して否定しているものではないのでありまして、やはり天皇が、われわれの国民の象徴であるというその地位を長く保っていただくということが、私は非常に大事なことだと考えております。  そうした意味で、ただいまの吉田委員の御発言についても、よく今後は反省しながら、事態が曲がった方向にいかない努力を私はしてまいりたいと思います。
  97. 瓜生順良

    瓜生政府委員 宮内庁として、いま総務長官が申されたと同じ気持ちでございます。  お尋ねがありましたのは、第一に、憲法第三章については、精神的には天皇についても適用があるのかということですが、精神的には、やはり天皇日本国民の一人というふうに言っておられますから、そういう点はございます。しかしながら、特別規定がございますから、そのままではございません。  それから、十四条の平等の規定ですが、これも第一条とか第二条、そういうところに特別規定が憲法に設けられておりますので、そのとおりではないのでありますが、そういう精神を踏まえての特別規定であると思います。  それから第三に、経費の点で少し多いのじゃないかというふうな感覚をお述べになっておったのでありますが、あるいは一般の人に比較いたしますと、そういう点があるかとも思いますが、これらの計算については、過去において、日本と幾らか事情が似ている英王室の例なんかを調べたりもいたしておりますけれども、そういうところと、いろいろなきめ方は違いますけれども、おおむね似ているというふうに考えております。  なお、象徴というお立場で、普通の方とまた違った出費のある点もございますので、そういう点も御了承いただきたいと思います。  なお、いま資料としてお渡しいたしました「皇室用として供出された御料牧場生産品の見積金額(昭和四十七年度)」、これは、私生活の場合と宮中での公的な宴会とか、そういうときにお使いになったのと両方含んでおりますが、大体の感覚を申しますと、私生活の分は、これの半分くらいになります。そういう点を御説明としてつけ加えておきます。  なお、将来の問題として、いま先生おっしゃいましたような気持ちは、われわれも十分腹におさめて――いままでも入っておるつもりですけれども、一そうよく反省して、新しい時代に即応して皇室があられるように、われわれとしても、できるだけのくふう、努力はしたいと思っております。
  98. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 ほかに質疑もないようでありますので、本案に対する質疑は、これにて終了いたしました。      ――――◇―――――
  99. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤陽三君。
  100. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 本法案の提案理由の中で「沖繩の空域につきましては、現在、アメリカ合衆国政府が、一部を除き、航空交通管制業務を行なっております」、こう書いてありますね。一部を除き、航空交通管制業務を行なっております」――現在アメリカが行なっておる航空交通の管制業務と「一部を除き、」というのだから、日本がやっているのだろうと思うのですが、その辺を明らかに説明していただきたいと思います。
  101. 寺井久美

    ○寺井政府委員 「一部を除き、」と申しますのは、現在、那覇空港の進入管制業務、空港の管制業務を日本側が行なっております。それで、管制の中には、航空路の管制と、それからいまちょっと進入管制と申し上げましたけれども、それがありまして、那覇空港が行なっておりますのは、空港自体の管制でございまして、その進入管制の部分は、実は、まだ米軍が現在行なっております。
  102. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、逆に、いま米国政府が行なっておる管制業務は、どういうことかということを答えてください。
  103. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まず、米軍が行なっておりますのは、航空路の管制業務、これを行なっております。それから、航空路から空港の管制に移ります中間に進入管制というのがございまして、これは那覇空港、普天間、嘉手納の三空港を一括いたしまして、米軍が進入管制業務を行なっております。
  104. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、航空路管制と進入管制をやっておる。これは、沖繩空域について、日本がやっておるのは、空港自体の管制だけだと、こういうことですか。それでいいのですか。
  105. 寺井久美

    ○寺井政府委員 さようでございます。飛行場の、空港の管制業務です。
  106. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、今度、四十七年五月十五日の日米合同委員会における合意によって、本年五月十五日からおそくない時期に、日本政府がこれを行なうことになっている、こうなっていますね。そうすると、沖繩の空域の航空路管制と進入管制を引き継ぐ、こういうふうに解釈していいわけですね。違ったら、言ってください。
  107. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいまの御指摘の中で、米軍が使っております嘉手納、普天間の進入管制というものは除かれますから、その意味では、進入管制の部分が除かれます。ですから、航空路の管制を引き継ぎます。あと那覇の飛行場の管制は、現在やっておりますが、ちょうどその間に入ります進入管制の部分が、当方の準備ができるまで、つまり五月十五日には間に合いませんので、これは、将来に少し延ばされるわけであります。
  108. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。  そうしますと、私、ぜひお聞きしたいと思うのは、ことしの一月の二十六日の日本経済新聞、同日の朝日新聞に「管制空白の恐れ」があるということ、両方とも、相当大きな記事を載せておるわけです。国民の大多数は、これを読んで心配しておられるのじゃないかと思いますので、この点について、若干詳しくお尋ねをしたいと思うのです。  日本経済新聞記事によりますと、いま米軍が航空交通管制をやっておる、ところが、その航空交通管制を米軍から引き継ぐのに、「運輸省では、期限切れ後の対策見通しが立たず頭を痛めている。協定がなければ管制情報の交換ができず、安全運航は確保できない。」、こういうふうに書いてあるのです。現在の、米軍が台北の政府と結んでおる合意は、これは引き継ぎの時点で効力を失う。また、こうなると、国際航空路のみならず、「沖繩・那覇と与那国島を結ぶ南西航空のローカル定期便の運航に支障が出ることが予想されている。」、これは日本経済新聞記事なんです。  朝日新聞のほうは、この沖繩の「空域と隣接する台湾のFIR」、飛行情報区ですね、「FIRについて台湾と航空交通管制の協定書を結ぶ必要があるが、日中航空協定交渉に関連する日台路線の取り扱いで、台湾側が硬化すると、この協定の締結もむずかしい」、そこで、いま運輸省は、この問題で外務省を通じて台湾に打診をしておる、こういう記事が朝日新聞に出ておるのですが、この辺のところを、ひとつ詳しく御説明願いたいと思います。   〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 寺井久美

    ○寺井政府委員 沖繩FIRとわれわれ通常申しておりますが、飛行情報区と台北のFIRとの間に、現在、米軍との間の業務の協約と申しますか、航空機の受け渡しに関する技術的な取りきめが存在しておりまして、これを、日本側が五月十五日に受け継ぎますと効力を失うということでございますが、確かに、日本側がこのFIRを運用いたすようになりますと、台北FIRとの間に、そういう技術的な取りきめをしておく必要がございます。  そこで、この技術的な取りきめでございまして、新聞に日中航空協定に関連いたしまして云々ということがございますが、このFIR間の円滑な航空機の受け渡しが行なわれませんと、日本の航空機のみならず、台湾FIRあるいは沖繩FIRを通過する各国の航空機すべてが支障を来たすおそれがございます。  したがいまして、これは純技術的な取りきめでございますので、当方といたしましては、台湾側も、本取りきめの締結については、理解ある態度を示すものというふうに期待いたしております。  ちょっと先生が触れられました、打診中である云々と申しますのは、おそらく当方から、そういう技術的な取りきめをする必要があるということで申し入れ、過去に非公式な打診をした経緯がございますので、そのことをいっておるかと思いますけれども、現在のところ、台湾側から正式な意思表示というものは、全然まだ参っておりません。  したがいまして、この五月十五日までに、何らかの取りきめを、われわれとして進めなければならないというふうに考えておりまして、現在、その準備をいたしておる、こういう状態になっております。
  110. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま、台湾との間に、民間航空協定を結ぼうという話を進めておる、これは、これでいいと思うのですが、FIRの協定というものは、民間協定というわけにいかぬのじゃないですか。どうなるのでしょうか。政府政府との間の協定になるのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  111. 寺井久美

    ○寺井政府委員 この取りきめの性格については、外務省とも打ち合わせた上で御返答申し上げたほうがよろしいかと存じますが、私どもの考え方といたしましては、これは管制業務を営む機関の長同士の技術的な取りきめであって、政府間の取りきめというふうに必ずしも考えなくてもよろしいのではないかというふうに考えております。
  112. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そういうふうな政府間の取りきめでない交渉も、協定も、いろいろたくさんあります。ありますが、いずれも、やはり政府の機関同士の協定になるわけですよ。これは外務省いかがですか。この点について、どういうふうに思われますか。
  113. 中江要介

    ○中江説明員 ただいまの点は、航空局長がいま御答弁しましたように、いずれにしろ、国際航空業務上重要な地位に関する問題でございますので、何らかの取りきめが必要であるということは、台湾の当局も理解するであろうという予測がまずございます。  その上で、それでは、どういう取りきめが結ばれるかというのは、これは実際に取りきめの交渉が始まってみないと、最終的にはわかりませんけれども、外務省の考え方といたしましては、日中国交正常化前に、中国大陸との間で気象その他についていろいろ打ち合わせをする、あるいはそういうアレンジをするということは、これは国交のあるなしと関係なくできることであるという基本的な考え方を持っておりますので、今回の場合は、日中国交正常化後、台湾の当局との間に、いわゆる外交経路を通ずる接触なり、政府政府の間の、国家間の取りきめというものは、残念ながら結べませんけれども、こういった種類のものについて、当事者同士の間でアレンジをする、そして、その結果、何らかの取りきめができるということは妨げない、こういう考え方でございます。
  114. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま、日中国交正常化以前に、中国大陸の気象等について、北京政府との協定ができておったという御答弁でしたが、それは、どういう形式でやったのですか。
  115. 中江要介

    ○中江説明員 私の答弁が、あるいは誤解を招いたのかもしれませんけれども、日本政府の考え方として、そういったたぐいの協定をかりに結んでも、そのこと自身は、国家の承認とか政府の承認とは関係なくできる技術的な取りきめであるという認識であったということで、具体的に協定があったかどうかということとは違って、日本政府の、特に外務省の一般的な考え方として、そういった技術的なものについて、関係当局間で取りきめができても、そのことは、いわゆる国家の承認とか政府の承認を伴うような政府間協定というふうに認識する必要はない、こういうことでございます。
  116. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 先ほどの航空局長の御答弁では、一回台湾のほうへ打診したことがあるようなことをおっしゃっておりましたけれども、これは、お答えできなければいいのですけれども、外務省は、そのことを知っていらっしゃるのですか。また、もし、こういう協定を結ぼうとする場合に、どういうふうな経路で台北政府と話ができるのでしょうか。国民みんなふしぎに思うんですね。ちょっと御説明願いたいと思う。
  117. 中江要介

    ○中江説明員 本件について何らかの取りきめが必要である、その必要性については、運輸省のほうからも、いろいろ御説明を受けておりますし、外務省としても、その必要性を認めておりまして、五月十五日までに円満に話し合いがつくことを期待しておるわけですが、じゃ、さて、どうしてやるかという点につきますと、先ほど申し上げましたように、外交ルートを通じての話ができない相手でございますけれども、日中正常化後の実務関係その他のために、日本側には、交流協会というもの、台湾のほうでは、亜東関係協会というものをつくりまして、政府間交渉に至らない話し合いというものは、このルートで話し合いをし、また、そこを通じて相手の意向を打診するということが可能かと、こういうふうに思っております。
  118. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、交流協会と亜東協会で話をつける、これが民間の航空協定だったら、その話し合いの上に乗って、すぐに約束ができると私は思うんですが、いやしくも、これは政府機関でしょう。向こうだって政府機関だと思うんです。そういう例があるでしょうか。その辺が、私、ちょっとわからない。
  119. 中江要介

    ○中江説明員 日本と現在の台湾との関係というのは、ちょっと国際社会で例があるかといわれますと、現状自身が、例のない、非常に特異な関係になっておりますので、この関係、交流協会と亜東関係協会との話し合い、それを通じての打診の結果、どういう形にこれが落ちつくかということについては、先例その他にこだわらないで、実際的に目的が達せられる方法を探求したいということ以上には、いまのところ、こういう先例があって、それにのっとるのだというわけには、ちょっとまいらないのが実情だと思います。
  120. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ほんとういえば、この点は、法案の審議に関連してはっきりさしていただきたいのですが、法律が通った、五月十五日に航空交通管制権がこっちへ返ってくる、その間の航空の安全には支障ないのだという確信を国民は得たいと思うんです。  ただ、朝日新聞を読んでおりましたら、こういうことが書いてある。「民間航空機の安全航行をはかるために、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)は、世界の空に飛行情報区(FIR)の網を設けている。」、そうすると、これは、あるいはICAO自体で、FIRの協定ができるのかなというふうな気もするのですが、そういうことは望み得ないのですか。
  121. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ICAOでFIRという――こういう飛行情報区の制度と申しますのは、ICAO加盟国の間で実施されておるわけでございます。それで、非常に不幸なことに、中華民国政府、つまり台湾が、ICAOから実は脱退をしておるという状態になっておりまして、現在、ICAOの組織を使ってどうこうするというわけにはまいらない状態になっております。  ただ、台湾が脱退するに際しまして、ICAO方式によるこういう航空機に対するサービスは続けますということを声明いたしておりまして、そのとおり現在実施されておる、こういう実態になっております。
  122. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは、政府のほうでは、責任をもって五月十五日までの間にFIRの協定か――台北のFIR、沖繩のFIR、マニラのFIR、グアムのFIR、大邱のFIR、全部接続しているわけですね。これは責任をもってやれるということでお出しになったと思うのですが、間違いないでしょうね。
  123. 寺井久美

    ○寺井政府委員 それは、間違いなく実施いたしませんと、航空交通に支障がございますので、何らかの形でこの技術的な取りきめ――取りきめまでまいりませんでも、技術的に差しつかえのないという状態は、政府の責任においてつくらなければならない、こういうふうに考えております。
  124. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私は、ひとつそれを信用して、なかなかむずかしい問題があるようですけれども、政府のほうで、責任をもってFIRの協定はお結びになるんだということで、一応この問題は打ち切っておきたいと思います。  その次に、航空事故の問題。これも一月の十六日の日本経済新聞ですが、これを見ますと、東北の戸井ポイントで管制官の怠慢によってニアミスが発生した、こういう記事が載っているんですね。今度また、沖繩にこういう航空管制部をおつくりになるわけですが、管制官はだいじょうぶなんですか。管制官の確保、人員なり素質は、だいじょうぶなんでしょうか。また、戸井ポイントのニアミスは、管制官の怠慢だというふうに新聞に書いてありますが、この事実はどうなんですか。
  125. 寺井久美

    ○寺井政府委員 まず、管制官がだいじょうぶかという点につきましては、沖繩の管制部の設置に関連いたしまして、所要の定員の増をお願いしております。一応、量的にはまかなえるというふうに考えております。  なお、管制官の質の問題につきましては、航空保安大学校等において養成をいたしますと同時に、再研修というような制度も取り入れてやってまいりますので、質的な維持ということもはかれるというふうに考えております。  第二点の戸井ポイントの件につきましては、これは同じ高度を指示して、それを修正いたしましたのですが、その時間的な余裕がございませんで、事実上ああいうニアミスが発生しております。したがいまして、この管制官の執務体制、訓練体制等について必要な指示をいたしまして、今後、こういう事態が発生しないような手配をとりあえず行なっております。
  126. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 新聞を見ますと、当時、戸井ポイントの付近には、飛行機は二機しかなかったと書いてある。三機の飛行機を管制するのに、ニアミスを起こすような管制官というのは、情けないのですが、これは、ほんとうに経験のある人だったのですか、未熟な人だったのですか、間違いを起こした管制官は。
  127. 寺井久美

    ○寺井政府委員 この間の事情を、やや詳しく御説明申し上げますと、まず函館を出発して、東京へ向かう航空機がございました。通常、函館を出て、この戸井ポイントを通って、東京へ上ってくるルートを使います航空機は、YS等の飛行機でございまして、比較的低高度を飛ぶ飛行機でございます。  それで、たまたまこのニアミスの発生しましたときの全日空の航空機は、ジェットでございまして、ただ、故障があったために、ジェットの高度まで上がれないということで、比較的低い高度を希望して、その高度で飛んでおった。片方、東京からこの戸井ポイントを通って千歳に参ります  ルート、これは常時ジェットが使っておりまして、次第に千歳に向かって高度を下げていく中途に戸井ポイントがある。出発機に対して、この高度を指示しまして、管制席におりました管制官が、ほかに電話がかかってまいりまして、その電話をとっている間、別の管制官が、これを見ておったわけでございますが、そのときに、戸井ポイントで同じ高度になるということを、頭のどこかにあったのだと思いますが、はっきり思い出せずに、全日空に対して、その高度まで下がってよろしいという指示をした。この指示がおかしいということに気がついて、訂正をしたところが、すでにおそかったというのが実態でございまして、御指摘のように、比較的練度の低い管制官がやっておりました関係上、その点のチームワークに非常に問題があったというふうにわれわれは反省いたしておりまして、この点の改善策を至急指示をいたしました。たとえば戸井ポイントというところに、一つのストリップを置くというようなことによって、そういう錯誤が起こらないような手当てを直ちに実施いたしております。
  128. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私も、今度、沖繩の航空交通管制がこっちに返ることは大賛成なんですが、管制官の能力がどうだろうかなという心配が、心の底から消えないわけでございます。十分な御配慮をなさっていることとは思いますけれども、なお、より以上の管制官の養成、訓練、勤務については御配慮願いたいと思うのです。  それから、いま第二次航空管制近代化五カ年計画ですか、これをやっていらっしゃるのですが、この第二次航空管制近代化五カ年計画の中には、いまのようなニアミスを防ぐような点については、どういうプログラムがあるのでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思う。
  129. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま御指摘のニアミス防止に関連いたしましては、二つの面から問題があるし、対策を考えなければいけないと考えております。つまり人の面と施設の面と両方ございます。これらを両方総合いたしました対策として、第二次空港整備五カ年計画を実施中でございますが、まず人の面につきましては、四十九年度に開校を予定いたしております航空保安大学校の仙台分校において、研修等を行ないまして、管制官の技能の維持、向上をはかると同時に、航空交通量の量に応じました管制官の適正な配置及びダブルチェック方式、ただいまの戸井ポイントのようなケースが起こりますのも、ダブルチェック方式が不完全であったということでございますので、こうしたダブルチェック方式を採用することにいたしております。  それから、施設の面につきましては、まず、全国に八カ所の航空路監視レーダーを整備いたしまして、いわゆる目で見る管制、つまりレーダーによる管制方式を採用していく、このほかに、電算機を利用いたしました航空路管制システムというものを整備していきたいというふうに考えております。これによりまして、目で見て管制ができますので、管制官の記憶のロードを軽減することができる、また同時に、管制という航空交通の整理、安全間隔あるいは運航順位などを判断することに専念することができるようになるだろうというようなことでございまして、当面、この全国八カ所の航空路監視レーダーの整備と、それに伴います処理システムというものの完成を、この航空整備五カ年計画の中で実施いたしております。
  130. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは、ぜひやっていただきたいのですが、八カ所の航空路監視レーダーとおっしゃいましたが、このうちで、四十九年度にはどれだけできるんですか。また、航空路監視レーダーの処理システムが四十九年度予算では、どことどこができるか、どういうふうにできるかということを御説明願いたい。
  131. 寺井久美

    ○寺井政府委員 現在、八カ所のうち、箱根、山田、それから九州の三郡山がございまして、近く沖繩の八霞岳が完成いたします。このほか、四十九年度には、東北と近畿、この二カ所が完成いたしまして、北海道と南九州の二基が五十年度に入る、こういう一応の見込みになっております。
  132. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 航空路監視レーダーの、いまゆ処理システムとおっしゃいましたが、よく私はわからぬけれども、これは近畿とどこでしたか。
  133. 寺井久美

    ○寺井政府委員 東北と近畿の二カ所でございます。
  134. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 東北と近畿には、その処理システムも四十九年度には全部できるわけですね。
  135. 寺井久美

    ○寺井政府委員 処理システム、これを、ちょっと簡単に御説明いたしますけれども、まずレーダーで飛行機をとらえまして、これをレーダースコープに映す場合に、飛行機がナンバーをしょいまして、高度、方向、スピード等が表示できるようなことを考えております。これがレーダーのほうから入ってまいります映像と、それから飛行計画と申しまして、飛行機が出発する前に所定の高度、時間等を飛行計画として出します。これを電算機に入れまして、予定の位置を、電算機が計算して出しておく。実際に飛行機が出発いたしますと、これを修正いたしまして、その映像と飛行方式の情報とが組み合わさりまして、数字となって映像に出てくる、こういうことでございますので、各飛行場からとりますフライトプランと、それから現実にレーダーでとらえます飛行機との組み合わせが必要になってまいります。  そこで、ただいま御指摘の、全部それが出てくるのかということでございますが、これは実は、四十九年度では、すぐには出てまいりませんで、全部のレーダーが完成いたしました時点で全部が一緒に動く、こういうことになっております。
  136. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまの処理システムは、私、非常にけっこうだと思うのです。そういうものが、一日も早くできることを希望するのですが、これが八カ所の航空路監視レーダーができる時点でないとできないんですか。全部が完成しなければ、こういうシステムはできないんですか。
  137. 寺井久美

    ○寺井政府委員 実は、これは、もう一つ要因がございまして、そういうレーダーと電算機の両方の面がございまして、現在あります管理保安部が大型電算機を入れますのに非常に手狭でございまして、たとえば東京の管制部というものをもう少し拡張しなければならぬ、ところが、現在そういう余地がございませんので、これを移転することを考えております。したがいまして、移転先で新しい庁舎ができ、新しい電算機を入れるというような入れものの工事もございまして、これらが一貫して全部完成しなければ、ただいま申し上げましたように動かないわけでございます。  したがいまして、このレーダーの完成の時期に、こうしたほかの仕組みを合わせまして、総合的な計画でやっておりますので、レーダーが先にできても、こちらのほうの電算機の関係がうまくフォローアップできないというような問題がございますので、ただいま申し上げたように、多少おくれる。理論的には、もちろんその一つのレーダーと飛行場のそういうフライトプランを組み合わせることは、可能でございますけれども、それをやりますと、手戻りになりますので、段階を追ってそういう整備のしかたを実施しておるということでございます。
  138. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。そういうふうなことがあっておくれるのならしかたがないと思うのです。  次に、これも、この間新聞に出ておったのですが、千歳の空路が、ソ連からの電波の関係でどうも西にぶれるということが、どの新聞だったか、出ておりましたが、こういう実実があるのですか。また、どうしてこういうことがわかったのか、また、これに対する対策は、どういうふうにお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  139. 中曾敬

    ○中曾政府委員 お答えいたします。  この件に関しましては、私どものほうで、一月二十四日、それから二月十三日以降数日にわたりまして、いわゆる飛行検査と申しまして、飛行機を飛ばしまして検査をする方式がありますが、この特別飛行検査を実施いたしておりましたところ、二月の十四日に至りまして、千歳のNDBの周波数に対しまして、これは二百二十キロサイクルでございますけれども、西北のほうから出ております外国の放送周波数が混信しておるという状況が認められたわけでございます。  そこで、直ちに私どもといたしましては、電波監理局に通報いたしますと同時に、この旨を、NOTAMと申しまして航空情報でございますが、NOTAMによりまして、運航関係者に周知徹底いたしまして、注意を促しておるというふうな手を打っております。  一方、日本航空、全日空、東亜国内の定期三社に対しましては、実は、この千歳NDBのほかに、あの近辺に、無線標識といたしまして函館VOR・DMEというのと、それから千歳のNDBのちょっと北のほうに、防衛庁が設置しております熊NDBという無線標識がございますけれども、これらを併用いたしまして、正確に航空路上を飛行するようにというふうに指示いたしますと同時に、航空交通管制機関との連絡を密にいたしまして、航空路から逸脱をせぬように、すみやかに乗員に対して周知徹底をはかるように指示しております。  なお、私どもといたしましては、引き続きまして、その原因の具体的な究明と、そして根本的な対策につきまして、主として電波監理局でございますけれども、相談をしながらやっておるというのが現状でございます。
  140. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは、千歳のこっちの周波数を変えるというわけにいかないのですか。
  141. 中曾敬

    ○中曾政府委員 ただいま申しました根本的対策と申しますのは、二つ考えられます。一つは、先生がおっしゃいましたような周波数を変換するということ、もう一つは、これは真相を究明しなければわかりませんけれども、たぶんソ連のほうから来ておるだろうというふうな推測がなされるわけでございますが、それがはっきりとしました場合には、そちらのほうの電波を何らかの形でとめるなり、あるいは強さを弱くしていただくなり、そういうふうなことが考えられると思いますけれども、こういった問題につきましては、郵政省とよく相談してやっていきたいと思います。
  142. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その問題は、よくわかりました。  これは、ちょっと法案との関係がないかもわからぬけれども、この際、お伺いしておきたいのですが、二月の九日に、日本航空の機長会の会長さんが声明書を出されたのが、各新聞に載っておりました。これは田中内閣総理大臣に対する抗議の声明ですね。今般のシンガポール石油タンク襲撃事件及び武装ゲリラによるクウェート日本大使館占拠事件に関連して、日本航空機長の乗務を前提とした航空機の提供による解決策について、非常な不満を表明しておられるわけです。これを読んで、もっともだなと思ったのです。「政府は明確な生命の安全についての保障、事件解決の具体的な見通し、及び潜在する数多くの危険に対する方策がないまま、多数の民間航空従事者を、武装したゲリラの銃口の脅威のもとに曝らしたことは、まことに遺憾にたえない。」これが最高の決定は、大臣や総理大臣がおやりになったのでしょうが、一体日本航空に、こういう飛行機の提供を要請をするという例は、いままでありましたか。
  143. 寺井久美

    ○寺井政府委員 先般のような形で、日本航空に運航を要請した前例はございません。
  144. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうすると、日本航空は聞かないこともできるわけで、かりに聞いたとしても、こういうふうなものについて、日本航空は機長に対して業務命令は出せるでしょうか。
  145. 寺井久美

    ○寺井政府委員 先生御指摘のように、これは政府がお願いをし、要請をしたケースでございまして、当然、日本航空としては、断わることは可能でございました。また同時に、日本航空といたしまして、パイロットに対して、こういう飛行機を飛ばせろという、おそらく命令もできない立場であったろうと思います。
  146. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 あれは、幸いにして、無事に帰れましたから、私もうれしいのですが、もしかりに、事故があった場合の、機長に対する補償とか会社に対する補償というものは、一体どういうふうにお考えになっておりましたか。
  147. 増岡博之

    ○増岡政府委員 ただいま加藤先生の御指摘のとおり、政府といたしましては、命令プラス法律上の権限がないままに要請をいたしまして、飛んでいただいたわけでございます。したがって、今回につきましては、もしかりに、万一の損害があった場合についてのお話し合いをする時間的余裕がなく、実施されたわけでございます。  今後は、このようなことのないように期待いたしておるわけでございまするけれども、もし万一、同様のことが行なわれた場合には、私は、まず政府が責任を持つべきであると思います。もちろん犯罪の態様といいますか、犯人と被害者との関係、いろいろな問題が考えられますけれども、そのようなことを考えてみましても、まず第一に、人命尊重ということから、お願いをする場合には、政府が第一義的に全責任を負うということでなければならないと思います。
  148. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 もちろん、そうでしょうけれども、人命尊重は、人質になった方々の人命も尊重さるべきですが、同時に、日本航空の飛行機に乗った乗員の方々の人命も尊重しなければいけない、こう私は思うのです。この声明を読んで、非常に深く考えさせられましたので、お伺いしたわけですが、ただ、ほんとうに、もしかりに、乗員に死傷事故でも起こったら、政府は、一体どうしようとしたのでしょうか。その点がどうもわからぬ。何でもやります、全責任を負いますということだけで飛び立って行ってくださったのですけれども、いつもいつもこういうことは考えられぬと思うのです。  こういう事故が起こらぬことが第一ですけれども、今度の政府のおやりになった措置に対して、若干、国民の中には、あれでいいのだろうかというふうな批判の声がたしかあったと思います。これは、これで終えます。  その次に、また法案のほうに返りまして、今度の提案理由の中に、海員学校を設立することについて、最近の内航海運における海員の不足の状況にかんがみ、波方海員学校を設置し、生徒数八十名を百六十名に倍増したい、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。  現在の内航海運における海員の不足の状況はどうなっておるのか、また、百六十名になさった根拠は、どういうことだったのか、あわせて御答弁願いたいと思います。
  149. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、内航について御説明申し上げます前に、まず、船員全般はどうかということを一応御説明申し上げます。  現在、昭和四十七年十月のデータでございますが、船員法の適用を受けます船員は、約二十八万名ございます。その内訳は、海運業で十三万六千名、それから漁業関係で十二万五千名、そのほかに官庁船等がございますが、そういったものを含めますと、その他船舶が一万九千名となっております。なお、外航、内航というものを、海運業の中で区別いたしますと、外航が約四万六千名、内航が約九万名というのが、船員法適用船員の現状でございます。  それから次に、その需給関係といった問題でございますけれども、外航におきましては、四十八年度当初、若干余裕が見込まれたわけでございますが、その後は必ずしも余剰の発生は見ていない。それから内航については、輸送事情が、やや回復基調になりまして、新造船も再開されるために、労働力はやや不足傾向になっております。それから水産業について言いますと、これは労働力不足の傾向がございます。ただ、省力機器の導入等によりまして、漁労形態の合理化とかあるいは船型の大型化とかいったものによりまして、全体として労働力は安定を保っておりますが、若年労働力の不足ということが言えるかと思います。  そこで、内航の問題でございますけれども、実は、内航、外航というものが、そのときの市況によって非常に左右されるわけでございます。外航のほうが基調が強くなってまいりますと、内航から外航に出ていく、外航が弱くなってまいりますと、外航から内航に流れていくというふうなことが現実にあるわけでございまして、端的に、どれくらい不足しているというようなことは申し上げかねますが、ただ、申し上げられますことは、そういった中で、いわゆる内航船というものも、最近だんだん近代化してまいりまして、そういった意味で、内航船の近代化に対応します知識、経験を持った人間の不足、いわゆる基幹職員と申しますか、そういったものの不足が特に言えるのではないかというふうに考えております。
  150. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 内航海員が不足だという点についての御説明が、どうも十分でなかったように思うのですが、この間「内航船舶の海難発生状況」という表をいただいたのですけれども、これを見てみますと、一番多いのが船の「乗揚げ」と書いてありますから、陸か何かに乗り上げるんでしょうね。その次に多いのが、水が入る「浸水」ですね。その次が「衝突」。四十七年度で「乗揚げ」が三百四十三件、浸水が二百三十六件、衝突が二百十五件というふうに記録してある。これは、やはり幹部船員というものが、数も足りないし、素質も十分じゃないのじゃないかというふうなことを考えるわけです。  今度の波方の海員学校は、どういうふうな資格の、どういうふうな学生を養成しようとしておられるのでしょうか。
  151. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに、先生御指摘のように、最近の四十五、四十六、四十七年の内航船舶の海難発生状況を見ましても、乗り上げとかあるいは機関故障とか衝突とか浸水とかいうものが、やはり事故原因として多いようでございます。こういうようなものは、やはり何といたしましても、乗り組み員の運航技術と申しますか、そういったものが影響するというふうに考えられます。  したがいまして、内航船員でございますけれども、先ほど申し上げましたように、内航海運業におきましては、新規の学卒者というものがきわめて少ない、その大半は、既存の船員を雇うとかあるいは外航とか漁船とか、そういうふうなところから流れてくる既成船員を採用するとかいうふうなことでございまして、基幹的な者が質的に足りないというのは、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。  したがいまして、波方の海員学校でございますが、この波方の海員学校と申しますのは、これは内航の職員の養成を基本的に考えておるものでございます。従来とも、これは粟島に、海員学校がございまして、その分校といたしまして、内航の職員の養成を専門に、目的にいたします分校がございまして、これが八十名定員でございました。ただ、これだけではいま申し上げたような内航海運の基幹船員と申しますか、そういう者の養成は不足でございます。  そういった意味で、ちょっと話がずれますが、いままで全国で十三の海員学校でございましたけれども、その中で、内航職員の養成を主体にしているのが、いま申し上げました粟鳥の分校の八十名だけでございました。したがって、これを、そういった意味からもっと強化するという必要がございまして、そのために、その分校を、さらに強化いたしまして、幸いにいたしまして、施設あるいは人員等の予算も従来からできまして、来年度は開校の運びに至ります。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕  そこで、波方で定員を倍増いたしまして、百六十名という数にして、この内航の基幹船員の養成をはかってまいりたいというのが趣旨でございます。
  152. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうすると、海員の不足の状況について、大略の話を伺いましたが、百六十名で、あなた方の考えていらっしゃる幹部海員といいますか、職員といいますか、これの充足が十分できるという意味ではなしに、施設や何かの関係で百六十名くらいにしておかなければいけない、これ以上は、急にふやせないということなんですかどうか、そこだけ最後に伺いたいと思います。
  153. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 教育課長のほうから御答弁申し上げます。
  154. 村上正秀

    ○村上説明員 お答えいたします。  わずか百六十名では、内航海運の全部につきまして、どれだけの充足ができるかということでございますけれども、実際には内航職員の充足というものは、外航海運の海員の中から、いろいろな講習とかあるいは海技大学校の講習を受けて、そこで勉強いたしまして、それで一定の海技従事者免許をとるというふうな人たちがたくさん入ってきております。  そういう人たちと、それからもう一つは、先ほど官房長が説明いましましたように、外航海運のほうから内航海運へ流入してくる、あるいは漁業の乗り組み員のほうから入ってくるというふうなものによって構成されておりまして、そういう経験を主体とした職員によりましてやるのでは、やはり船舶の近代化に直ちに対応できるというふうにはまいらないのでございます。それで、この場合、百六十名に波方の定員を倍増いたしまして、そうして質のいい船員を再補充してまいりたい。これが毎年出てまいりますと、全体的に少しずつ質が上がっていくという、そこにねらいがございます。
  155. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 質問を終わります。     ―――――――――――――
  156. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において審議中の運輸省設置法の一部を改正する法律案について審議の参考に資するため、委員を派遣いたしたいと存じます。  つきましては、議長に対し、委員派遣の申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、明二十二日金曜日、午後三時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十五分散会