○土橋
委員 いまの小野
会長の御発言で、一応そういう客観的な事実関係においては困難があったという御説明で、その点も私
たちはわからないわけではございません。しかしながら、たとえば解放民族戦線がグエン・チュー
政府の暴政に対していろいろ戦っておるとか、あるいは南ベトナムの平和を愛する一団の
方々がグエン・チュー
政府の施策についてはいろいろ批判を持っているというようなことについても、適切、妥当に放送しておったかというと、私の見るところでは必ずしもそうでない。こういう点がありますので、今後さようなことがないように、できる限り公平に、この原則どおりやりませんと、番組を組む場合の
基本的な
基準でありますので、私がとやかく言うまでもなく、これを守らないということになってくれば、
日本放送協会は
基本的な使命を自分から投げ捨ててくるということになります。ぜひとも今後はこの
基本的な原則を堅持していただきませんと、あなた方がいろいろなものを放送されましても、この原則をはずれたようなことが出てくると
国民の信頼を失うわけですね。したがって受信料の問題にも関係してくるでしょうし、この点はNHKの、単に
会長さんだけでなくて、すべての
職員が銘記しなければならない問題だと思うのです。
さて、そういう御発言がございまして、そう遠くないつい最近の問題でありますが、いまも御発言があったのですけれども、私が新聞をもって
指摘するまでもなく、きのうから公共料金アップ火ぶたを切るというので五六・八二%の各電力会社が大幅の
値上げをしてまいりました。これは
国民に対してまことに現
田中内閣が物価問題についてはほとんど無能といっていいほど施策を行なっていないという一つの表現であるというふうに私
たちは
考えておるわけです。郵政
大臣もおられますけれども、こんな異常に物価を上げてきて、日々のいろいろな新聞その他雑誌にもあるように
国民はほとほと困っておるわけですね。この原因をなすところの石油問題についてあなた方の放送がどういうことであったかといいますと、これは率直に聞いていただきたいのであります。四月三十日の朝日新聞に「報道のNHK どこへ」という題で書いてあります。これはあとでお見せいたしますけれども、(ら)という人が書いております。この
内容を読んでみますと「連休も日曜日は、まったく久し振りの晩しゃくでホロ酔い気分。うつらうつらした後、ふろへはいってサッパリする。NHKテレビの「ニュース展望」(夜の9時45分)をみているうちに、完全にさめきってしまった。」その次が問題なんです。「「アラブの戦略」というテーマで、最近帰国した
田中・前カイロ支
局長に緒方解説
委員長が
質問する番組だった。緒方氏はしきりに、四年間カイロに在住した
田中氏を、わが国最高のアラブ事情通と印象づけていた。」印象づけておった。一生懸命持ち上げておった。「その
田中氏は淡々と、現地での経験・観察に基づく判断を述べていた。私の注意をひいたのは、昨年秋以降のアラブ産油国の石油政策がもっぱら、日本を標的としていたという点と、それに対して日本外交はなすすべもなく、アラブ側のねらったツボにはまってしまったという見方である。わが国は産油国のかけひきに対して切りかえすだけの能力がなく、押し切られてしまった訳だ。NHKカイロ支
局長は、そういう判断をキチンともっていた。それなのにNHKの石油報道や外交報道は、現地のそうした
意見を積極的に採用しようとはしなかった、ということになるのではなかろうか。「報道のNHK」というイメージの風化を、まざまざとみせつけられる思いがした。」こう朝日新聞の(ら)という記者が書いております。これと同じような事実で、やはりNHKのある解説をやっている方の報道を聞きまして、この
委員会でも私は
指摘したはずです。その方が、社会主義の国はどうなっておるのか、日本のエネルギー問題についてどういう見解を持っておるかを示さないで、ただ
アメリカとかフランスがどうしたとかいうことだけを述べて、それが全世界の石油問題であるかのような解説をしておった。私は非常に異様に
感じてそれも心にとめておるわけですが、この事実から察するならば
——、要するに、御承知のようにメジャーがばく大な利潤をあげて、そして日本
国民の物価高に対しては非常に悪い
影響を与えておるのだ、だからやはりメジャーを排除して、できることなら二国間の協定その他によってやればもっと石油の問題もうまくいきますよというようなことの
意味については、すでに新聞にも報道にもかなりいわれておるわけですよ。サウジアラビアのヤマニ石油
大臣も日本に来ていろいろ述べておるわけですね。ところが、メジャーがどんなに暴利をむさぼっておるのか、どのように石油業界においてそういうことをやっておるかということについて、
田中さんは淡々として述べておるにもかかわらず、あなたのほうの論説
委員なりそういう
方々は、その問題をできるだけ伏せるようにしておったという事実、これはやはり事実を報道していないじゃないか。いまあなたは、さっきおっしゃいましたように、できる限りやると言っているけれども、しかも四年間もカイロに駐在をしておって、それで事実をちゃんと的確に、メジャーの操作の上に立ってはいけませんよという主張も十分述べられておるにもかかわらず、依然としてそれをあまり取り上げて
国民に知らせない。でありますから、この狂乱的な
値上げ問題が起こってきたということにも関係するではなかろうかと私は
考えるのであります。ですからやはりこの解説担当の
方々も、現地の実際そういうことについては
国民に正しく事実を報道するということをやりませんと、やはりNHKが、現
政府がやっておるこういう問題や、ガスの
値上げ、あるいは電気料金、タクシー
値上げ、そういうことに一臂をかすような、そういう
意味合いの報道をしてはならないということを私は
指摘しておるのであります。いかがでしょう。