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1974-05-15 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十五日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 羽田  孜君    理事 阿部未喜男君 理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       高橋 千寿君    西村 英一君       村岡 兼造君    久保  等君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       平田 藤吉君    田中 昭二君       小宮 武喜君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         大蔵政務次官  柳田桃太郎君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浅見 喜作君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     山田 英雄君         法務省民事局第         二課長     田代 有嗣君         法務省刑事局公         安課長     俵谷 利幸君         法務省人権擁護         局調査課長   加藤 泰也君         大蔵省印刷局長 上月 重雄君         厚生省社会局老         人福祉課長   山本 純男君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    小松 国男君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  謝敷 宗登君         海上保安庁警備         救難部長    山本 了三君         郵政大臣官房資         材部長     中市 彩也君         自治省行政局振         興課長     田中 和夫君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社営業局長   玉野 義雄君         日本電信電話公         社データ通信本         部長      朴木  実君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     大石 武一君   村岡 兼造君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     村岡 兼造君   大石 武一君     高橋 千寿君 同月十五日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     松浦 利尚君   池田 禎治君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     米田 東吾君   小宮 武喜君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮武喜君。
  3. 小宮武喜

    小宮委員 まず大臣にお聞きしますが、大臣は、先月の九日、十三日、十五日、十七日と連続して大阪西郵便局南郵便局でどういう事件が起きたか御存じですか。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 本年の四月に、大阪の西及び南及び茨木局暴力的な事件の起こっておることを承知をいたしております。お問いがあればお答えをいたしたいと思います。
  5. 小宮武喜

    小宮委員 具体的な事件内容については、時間がもったいないですからそれは申しません。大阪のほかに浜松郵便局でも、四月一日、二日、七日と、同じような暴力事件発生しております。これはもういま大阪とか浜松ばかりでなくて、私の選挙区の長崎北郵便局でも、全国的にこういうような暴力事件発生しております。その中で一番私が遺憾に思うのは、こういった暴力事件発生した場合に、責任者である郵便局長がどういうような態度をとったかということでございます。この問題については、西郵便局南郵便局局長がどういうような態度をとったのか、その点について御説明願いたい。
  6. 北雄一郎

    北政府委員 お示しの局につきまして、不幸にして暴力事件発生したわけでございますが、かねて私どもそういった事態は許すべきでないということで指導をいたしております。それによりまして、それらの局におきまして次のような措置を講じております。  まず、局内管理体制というものを強化いたしまして、こういった非違行為の現認にまずつとめる。それから局内の巡視ということも強めまして、暴力行為再発防止ということに全力をあげるように具体的に指示をいたしました。さらに当該局管理者だけではそういった事態が防げないというような場合には、即刻郵政局の応援を求めるように、特に指示をした次第でございます。また、当該組合に対しましては、厳重に各段階におきまして警告をいたしました。また当該局内におきましても、職員に対してそういった行為の絶滅につきまして徹底をはかったところであります。なお、自後の行政処分の執行ということのために、すみやかに所要の措置を講じた次第であります。また警察当局とも緊密な連絡をとりまして、局外のパトロールを強化するように要請するとともに、事件発生のときは可能な限り警察に即報するという措置をとった次第でございます。
  7. 小宮武喜

    小宮委員 局長、それはほんとうですか。うそを言ってはいけませんよ。こういうような暴力行為がひんぱんに行なわれているにもかかわらず、局長はじめ管理者は見て見ぬふりをして、あるいはそれは説得活動だと思っていたということで、うそぶいているのが実情じゃないですか。たとえば、民社党調査団に対しても局長は何と言っているか、読んでみましょうか。郵政局指示を得ていないので告発は行なっていない、こう答えている。また、少ない管理職では手が回りかねるので、指摘された点をも含めて、今後の対処のしかたは真剣に取り組みたい、こんなことを言っているのですよ。これは事件発生してから何日目ですか。パトロールするといったって、暴力行為の起きないときにパトロールしたって何の役に立ちますか。郵政省当局は、暴力行為に対して本省としてどういうような指示をしておりますか、大臣——局長はいい。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 局長が担任をしておりますから答弁もいたしますが、私から申し上げますと、暴力行為というのは許されないことであって、それが指示がなければ管理者が見のがしておるというようなことは許されません。私どものほうは、そういうことがないようにということを常に指導をいたしておるところであります。個々の問題になりますと、めだるい点を指摘されるような点がないとは断言いたしませんけれども国家公務員というもの、あるいは公務員というものは、安心して国民、市民に対するところの奉仕をしなければならぬという地位でありますから、それにはそれとしての法的な根拠も与えられておるのでありますから、その管理に立つ者は、暴力が振るわれても、それに対して間違っておるなら敢然と自分職務を執行しなければならぬ、こういう立場で仕事と取り組む、こういうことを基本的に——これはもうほんとう指示なんかがあるなしにかかわらぬ問題でありまして、私どもはそのようにつとめるように指導をいたしておるところであります。
  9. 小宮武喜

    小宮委員 大臣指導しておられると言うけれども現実にはこういうような問題が起きておるじゃないですか。それは全国そういうような状況だということは申しません。たとえば長崎においてはすぐ局長警察連絡をして、すぐ出動をして検挙するという問題をやっておりますけれども大阪西郵便局南郵便局ではそんなことは全然行なっておらぬじゃないですか。それで説得活動をやっておったなんてうそぶくような、こういうようなありさま、また大臣が言っておるようなことは、大臣はそういうような指示をしておるかもしれぬが、各地方の、近畿郵政局あたりではそこでとまっておるんじゃないですか。郵政局長から局長あてにそういった指示、命令が徹底していますか。徹底していると考えられますか、大臣
  10. 北雄一郎

    北政府委員 暴力事件につきましてその非なることは明々白々でございまして、そういう中で残念ながらやはり従前からそういったケースが間々あるのでございます。その点につきましてはあらゆる会議におきまして、その他あらゆる機会を通じまして、そういう場合の対応措置というものにつきまして徹底をはかっておるわけでございます。またこういった問題が労使関係あるいは組合組合関係の中で起こるケースが多いものでございますから、そういったところに対しましてもそのことを常に言っております。やはり労働組合側におきましても、暴力行為ということは事案いかんにかかわらず、理由いかんにかかわらず、避くべきことだという認識は持っておるわけでございます。  それから具体的にたとえば南局の場合でございますが、これはある組合に所属する二人の人を、順次別の組合の大ぜいの者がその組合事務室へ連れ込みまして、事務室を閉ざして、その中で暴力を加えたわけでございます。当該局管理者も、情勢がおかしいということで、そちらのほうへ救出におもむくべく努力をしたわけでありますが、その事務室に至る間におきまして多数の組合員に妨害をされてなかなかその現場へ到達できなかった。しかし究極的には、けしからぬということで現場へ入ったわけでございますが、当該局長が入ると現場では暴力をやめるというような事態でありましたので、その瞬間におきましては、その時点におきましては、当該局長としては暴力行為というものを現認しておらない。そして大ぜいで取り囲んでおった者を、組合人たち説得をやっておるのだ、こういう言い方をする。それまで暴行を受けておった人はうつむいて何もしゃべらない、こういう状況であったので、そのときはそう思ったという言い方をしたんじゃないかと思いますが、しかしその部屋の雰囲気からいたしまして、これは異常な雰囲気であるということを当該局長も気がつきまして、そうして一刻も早くその事務室内におる者を解放しろということをはっきり再三にわたって言っております。また警察にも連絡の必要があるように思うということも言っておるわけでございます。ただ、そうこうしているうちにその人間が解放された。そこで聞いてみるとたいへんな暴行を受けておる、こういうことでございまして、告発等につきましてその時点においてはしなかったわけでございますが、あとで両局とも告発手続はいたした、こういう次第でございます。
  11. 小宮武喜

    小宮委員 人事局長、それでは郵便局内において郵政省内では説得活動というものを公然とやっていいわけですか。局内でそういうような説得活動というものが自由にやられても、たとえば危険を感ずるとか暴力行為が伴わなければそれを見て見ぬふりをするというのが郵政省方針ですか。
  12. 北雄一郎

    北政府委員 勤務時間外でございまして、勤務時間が終わった時点だったと思います。本人勤務時間外でありましても、その職場勤務時間内の者が職務に従事しておるというような場合はむろんいけません。しかし組合事務室というところ、あるいは組合事務室へ拉致されるまでは、要するに廊下でありますとか階段というところでございまして、そういったところでいろいろ行動があるということに対しましては、それが局内秩序を乱るものでない限りにおいては、これは許容せざるを得ないことであろうかと思います。
  13. 小宮武喜

    小宮委員 局長、あなたの白々しい答弁を聞いていると、あなたは実態を知っておるのかということです。そういうような説得活動が時間外で行なわれておるという保証がないのです。われわれは時間内でどんどん行なわれておる事実も知っている。あなたが実情が欲しいというならいつでも出しますぞ。しかもそういった行動郵政職員として、公務員として暴力行為が公然と行なわれるということをどういうふうにしますか。こういうような人たち処分をしますか。
  14. 北雄一郎

    北政府委員 私、ただいま申し上げましたのは南局事態でございまして、全国的に見ますれば、御指摘のように勤務時間中に勤務しておる職員に対する執拗な説得、あるいは極端な場合その人の業務を停止させてまで説得をするというような態様もございました。これらに対してはやはりその職場におる管理者がそういうことをしてはならないということで制止をいたしております。制止をしても制止を聞かないという例も確かにございました。こういった暴力案件あるいは勤務時間中にそういうことをする、制止を聞かないというようないろいろな案件につきましては、すでにこの春闘期間中に起こりましたもののうち、一部につきましては処分を了しております。それから自余のものにつきましては処分検討中でございまして、私どもといたしましては、そういった違法、不当な事態というものを処分しないで看過するというつもりは毛頭ないわけでございます。
  15. 小宮武喜

    小宮委員 あなたはそう言われても、結局現地管理者から、いわゆる局長から、あるいはその地方郵政局から何も上がってこなければ何もしないということじゃないですか。  それで、今度の場合でも郵政省当局としては、こういった暴力行為が起きた場合には直ちに警察を入れて暴力行為を排除するということを指示しておるとはいいながら、大阪南郵便局にしても西郵便局——私は大阪西だけを言っておるのですよ。浜松もそう、東京も一ぱいある。こういうような問題で当局指示、指令、指導に従わぬような局長をこのままおきますか。これは現地局長だけじゃない、近畿郵政局局長にしてもしかり。こういうような人はどうですか。処分しますか。
  16. 北雄一郎

    北政府委員 本年一月から四月までのそういった関係暴行傷害事件というものが八十一件ございます。被害者が百三十六名、こういうふうになっております。うち告発したもの、これは重大なものは告発することにしておりますが、告発が三件、それから被害者本人が告訴したものが十六件、こういうことであります。そのうち、この四月の春闘の時期にありましたものがその八十一件のうちの六十件でございまして、被害者が百十五名、こうなっております。うち暴行事件あるいはその説得いやがらせ、こういったものを含めまして、すでに三十九名については処分を了しております。自余のものについては処分の量定を検討中であります。  こういった案件は、どういう事態があったということにつきまして、すべて私ども速報を受けるシステムになっております。速報を受けたものにつきましては、その内容につきまして当方としても直接関心を持ってこれをあとづけまして、そして処分を量定し決定する、こういうシステムにいたしておりますので、そういった違法な案件が、処分というフィルターにかからないでどこかへもぐってしまうというケースは一件もない、すべてそれなりの処分ということで一件一件できるだけ早く結末をつけるつもりでありますし、これまでもそうしてきたと私は思うのであります。去年四十八年一年間にも、残念ながらこういった事件が百八十件ほどございました。そのうち現在なお検討中というものは二十四件でございまして、他の百六十件というものにつきましてはすべて措置済み、こういうことでもありますので、そういった事件があって、やみからやみへ葬るということはあり得ないと私は思います。  それから、局長あるいは現場段階管理者対応でございますが、先ほど申し上げましたようなことで、たとえば南局の場合は、管理者がその現場へ行きましたときには暴力行為をやめる、被害者のほうもいすにすわってうなだれておるという状況で、暴力行為現場というものをその時点においてはつかまえておらなかったというような事情がございまして、対応が若干敏速でなかった、あるいはもう少しその実情を当時知っておれば、即刻関係の筋ともっと密接な連絡がとれたものをといううらみは確かにございますけれども、特にそれでなまけておったというふうには私ども思わない次第でございます。  いずれにいたしましてもたいへん遺憾な、相当重傷を負うというような事態が出ておりますので、結末についてははっきりいたしたいと思いますし、また今後そういったことの起こらないように全国的にも具体的な指示をしたい、かように考えております。
  17. 小宮武喜

    小宮委員 どうもあなたの答弁を聞いているとわれわれにはぴんとこないのですよ。やはり現場局長というのはその局内職場規律職場秩序を守る責任があるのです。あなたが答弁されているように現実全国郵便局で実行されておるかどうか、あなたはチェックしたことがないでしょう。しかも、説得活動をやっておったのだというようなことで、それを見て見ぬふりをしたり傍観的な態度をとるということは、そのような施設管理者でもあるし、そのようなことが許されるべきはずがないのです。あなたが幾らここで強弁しようと、現実にその問題が起きておるのだ。ちょうどこれは、もうただ卑近の例だけを申し上げますが、昨年の四月一日からことしの三月三十一日までに集団暴力事件全国で二百二十四件、ことしの四月一日から五月の十日までに、一カ月半もたたぬうちに八十七件発生しておるのですよ。しかも、実際の数字はこれの三倍といわれておる。このような事故被害を受けた、暴力行為を受けたと届け出る人は後難をおそれてなかなか届け出ない。それが二回、三回重なったり、特に重傷を負った場合とかは、これは訴え出ておるのです。そういうようなことを考えただけでもいまの数字になるわけです。だから実際いやがらせをやられたとかこんなことぐらい、この三倍以上の数字なんです。そういうような実態というものを十分郵政当局では把握して今後の問題に対処していただかないと、ただ国会においておざなりのその場だけの答弁を済ませばよろしいというような、そういうような問題では済まされぬ問題ですよ。  それから次に移ります。郵便局長が、管理職が少ないから手が行き届かないというのはどういうことなんです。もし暴力事件発生したならば、局長はいち早く警察通報して警察の導入をはかって排除すべきだ。それに管理職は、管理体制が少ないとか、そんなことはどういう関係がありますか。私が言っておるのは、そういうような事故発生の場合に、なぜ警察連絡をして警官を導入して排除しないかということなんです。そういうような措置をやられていないじゃないですか。その点で管理体制が少ないとか人数が少ないとかということは理由にならぬと思う。どうですか。
  18. 北雄一郎

    北政府委員 管理者の数が少ないことは事実でございますけれども管理者の数が少なかったからいろいろそういった傷害事件が起こったということは、お示しのように全く理由にならないと思います。トラブルがあったら何でもかんでも警察を入れるということはよくないと私は思いますけれども、やはり現実にそういった傷害まで引き起こす可能性のあるような、しかもそれを当該局管理者でその発生を押え得ないというような事態が予想された場合には、やはり仰せのようにそういう関係当局連絡有効適切にとるということは必要だ、こういうふうに考えます。
  19. 小宮武喜

    小宮委員 管理職が少ないのはあたりまえです。職員が百人おるのに管理職が百人おったらたまるもんですか。郵便局がつぶれてしまう。少ないのがあたりまえです。しかもその場合に、いま言われたように何もかも警察を導入しろということは実は私も言ってない。そのような暴力行為発生した場合は直ちに導入するような措置を講ずべきである。またそうでなくても、警察官を導入する以前に、職場規律職場秩序を保つのが局長の使命でしょう。その努力もせずにいて、ただ警察を導入するのは何もかも悪い、したくない一みずからの努力をやってからそんなことを言いなさい。みずからの努力をしないでおって、そういうような甘っちょろな態度だから、郵政省職場内では全く無秩序無法地帯を招来しておるのじゃないですか。まああとでまたやります。  そこで今度は警察庁にここで質問しますが、大阪茨木局では、民社党調査団質問に対して、市の警察に対し事犯発生について通報しても、内部で起きた問題は内部でできるだけ片づけてほしいと言って出動してくれない、そんなことがこれまでも二、三回あったという不満が茨木局では述べられておりますが、そういうような事実がございますか。
  20. 山田英雄

    山田説明員 お答えいたします。  茨木郵便局について大阪府警から報告も受けておりますが、出動要請があったにもかかわらず出動してないというような事実はございません。
  21. 小宮武喜

    小宮委員 それでは茨木局局長がまたうそを言ったことになりますね、人事局長自分責任警察のほうに転嫁するような、こんなひきょうな無責任局長がおるから職場が混乱するのです。  それから警察のほうにお聞きしますが、もし局内において暴力事件発生した場合は、その施設責任者である郵便局長出動要請しなければ警察出動しませんか。それとも、たとえばそんな被害を受けた人、あるいは所属する組合、あるいは外部からでもこんな問題が起きておりますよという連絡を受けた場合は、警察出動しますか、どっちですか。
  22. 山田英雄

    山田説明員 国民の生命、身体、財産を保護し、犯罪捜査に当たるというのが警察の責務でございます。したがいまして、暴力事案についてどなたが被害者であろうと、どなたから申告がございましょうと、急訴事件といいますか一一〇番通報がございますれば、直ちに現場出動警察措置がとれるように、平生からパトカーの運用にいたしましても、また夜間、休日における警察官の迅速な出動体制にしましても十分検討を加えて、国民の期待にこたえるよう努力しているところでございます。そういうことでございますので、御質問の点、何も管理者からの通報でなければ出ないというようなことは毛頭考えておりませんし、各都道府県警察においても区別しているというようなことは全くございません。
  23. 小宮武喜

    小宮委員 いま警察のほうではそう言われますけれども、われわれが見聞するところによれば、警察も、この組織のこういう暴力問題についてはできるだけ避けたいという気持ちのあることは事実なんです。これは北海道の函館でも、ある事件の場合にこのことを私は耳にしております。警察出動を要請して——その場合も組合員が二十八名負傷しております、一方的にしかけられて。その場合でも警察はなかなか出動してくれなかったということを聞いております。そのほかにもまだ聞いております。したがって警察庁としては、こういった組織内あるいは組合間のこんな組織的な暴力に対しては、警察は不介入とまではいかぬでも、なるたけかかわり合いを持たないような何か方針を持っておるのじゃないかというような印象を強く受けるのです。そんなことは絶対ないですか。
  24. 山田英雄

    山田説明員 組合内の対立をめぐる事案であるから出動を避けるあるいは警察措置を講ずることを避けておるというようなことは絶対ございません。もともと労働運動に対します警察立場でございますが、正当な労働運動に対しては関与すべきでない、これは当然のことでございますし、関与しないという方針をとっておるわけでございます。ただ、いろいろ御質問にございますような暴力の行使、そういった違法な事態が起きますれば、正当性の限界を逸脱しているようなケースが起きますれば、一般の犯罪と同様に鎮圧、捜査ということを法の定めるところに従いまして行なう、場合によっては被疑者を検挙する、これは警察の責務に照らして当然のことでございますから、今次春闘につきましても、それから全逓、全郵政の組織対立をめぐる事案につきましても全く同じ方針をとっておるわけでございます。したがって、一般の暴力事件と異なった取り扱いをする、避けているというようなことは全く一線においてそういう考え方はないと思いますし、そういう考え方があるとすれば間違いである、こういうふうに考えております。実際ケースとしてそういう事態が起きているということはないと承知しております。
  25. 小宮武喜

    小宮委員 しかし、いまそういうふうに言われても、個々の署長の判断がやはり大きく左右しているわけですよ。特にわれわれが見ている限りにおいてもそういうふうな印象を受けます。しかしそれは別として、法の厳正な執行者である警察に少なくともそういう考え方がもしもあるとするならば、ほんとうにまじめな善良な人たちが救われないことになる。この人たちは法を守ってまじめに正常に勤務している。やはり善良な人間はいざという場合の暴力に対しては法にたよる以外にないのです。その法の厳正な執行者である警察庁あたりがそういうような考え方があったとしたらたいへんですが、しかし、いまのお話ではそういうことではないということでございますので、それを信じたいと思います。これは郵便局内といえども治外法権地帯ではないのです。こういうような問題は労働組合運動以前の問題である。こういった問題については特に警察庁としても十分配慮して、少なくとも管理者からの要請あるいは一般通報者からあってもどんどん出向いて、こういうような暴力を排除するという姿勢をひとつ堅持してもらいたい。  それからもう一つは、最近職場内における暴力から今度は家庭にまで及んでおることは、大臣、あなた知っておりますか。
  26. 原田憲

    原田国務大臣 そういう話は聞いておりますけれども、具体的にはどこの家にだれがどう行ったというところまで承知はいたしておりませんが、そういういまのお問いのようなことまで行なわれておるのではないか、そういうことに対しても十分注意をしなければならぬという姿勢で、先ほど申しましたように指導をいたしておるところでございます。
  27. 小宮武喜

    小宮委員 郵政当局は、局内のことならいざ知らず、自宅の問題までは責任を持ち切れぬとかあるいはそこまでの責任はないとか逃げたがっているわけです。しかしながら問題は、郵政省職員として、公務員としてあるまじきそういうような行為がもしあったとした場合は、これは処分をすべきだと思うのです。局長どうですか。
  28. 北雄一郎

    北政府委員 やはりそれが違法行為であるというような場合には、当然お示しのとおり処分ということを考えなければならぬと思います。
  29. 小宮武喜

    小宮委員 大臣、こういうような事例が幾らでもあるのですよ。というのは、多人数で組合員のうちまで行って面会を強要するわけです。そうししておそろしいからそのまま屋内に入れると、これが長時間にわたって説得活動と称して悪質ないやがらせをやっておる。そのためにそこの家族を含めてノイローゼぎみになって、局をやめたいとか、もう自分も局をやめて目には目、歯には歯をやりたいと訴える人すらいるのですよ。こういうようなことが許されていいでしょうか。しかも面会を強要して断わられると、マイクで家の前で、犬は死ね、局をやめろ、家を燃やす、こういう聞くにたえないようなばり雑言をやっておる。そうしてシュプレヒコールをやっておる。したがってこれは家族ばかりでない、周囲の人も迷惑しているのです。これに対して郵政当局として、いま罪になるかどうかは、その罪になれば処分するとか言っておりましたけれども、それではこういうようなことを行なった場合にどういう罪状が成立するのか、犯罪が成立するのか、これは警察のほうからひとつ御答弁願いたい。
  30. 山田英雄

    山田説明員 お尋ねの事案は私どものほうでも認知しております。ただいまの御質問のように、家に火をつけるぞ、あるいはおまえなんか殺してしまうぞということで大声でシュプレヒコールを行なっている事案が静岡県内であるわけでございます。法律判断としましては、暴力行為等処罰に関する法律違反、集団による脅迫に該当すると考えております。現在、静岡県警において捜査を進めておるところでございます。
  31. 小宮武喜

    小宮委員 静岡県警ばかりでなくて、類似行為全国至るところで行なわれている。どうですか局長、この問題でこういうような行為をしても、郵政省職員としての体面を保ち、郵政省職員としての、公務員としての体面をこの人は汚したということにはならないですか。
  32. 北雄一郎

    北政府委員 いま例示されましたようなケースでありまするならば、これは、勤務外でありますけれども、やはり官職の信用を傷つけ、あるいは公務員としてふさわしくない行為ということで国家公務員法に触れるというふうに思います。
  33. 小宮武喜

    小宮委員 それでは局長はこの問題について、こういうような事例がどれぐらい起きておるか、全国的に何件ぐらい起きているかということはまだつかんでいないんですね。これは私はいま現在調査中で、近々全部集まりますから、そのときはまた資料を提出しますけれども、やはり郵政当局としてもそのことは、たとえば局外のことだからわれわれとしては関知せずというお考えなのか、それともそういうような事実をいま初めて知った、そういうような事実があるとするならば調査でもしようというお考えがあるかどうか。
  34. 北雄一郎

    北政府委員 そういった事態につきましては大いに関心を持っておるところであります。したがいまして先ほども、本年四月におきまして、残念ながら暴力傷害、その他いやがらせ、不当説得というような行為が六十件あったというふうに申し上げました、その中に含まれておるわけであります。なお、そういったことにつきましては十分正確な、徹底的な調査をしつつあります。
  35. 小宮武喜

    小宮委員 それでは警察のほうに質問しますが、こういうような局内暴力事件によって現行犯か、まあ事後の問題にしても、いままで警察として逮捕したという例がありますか。
  36. 山田英雄

    山田説明員 これは今次春闘に関連した範囲で申し上げましても、警察が独自に認知いたしましたり、あるいは当局告発被害者の申告等を含めて百二十七件の労働関係をめぐる違法事案発生を確認しております。そのうち、ただいままでに四十五件、八十八名を検挙しております。特に先ほど御質問ございました南郵便局事件につきましては、今朝、全逓南支部青年部長を含む六人の被疑者を監禁、傷害罪で逮捕いたしました。  そのほか、たとえばピケの問題もあるわけでございますが、今次春闘に関しましては八十一件の威力業務妨害罪を構成するピケについて部隊出動して、警告して解除しておりますし、五十二件については実力排除を行なって、二件、三名の威力業務妨害の検挙を違法ピケにつきましてもしておるところでございます。
  37. 小宮武喜

    小宮委員 警察のほうへも特に要請しておきたいのは、町で善良な市民が酒に酔っぱらってガラスを一枚割ってもすぐにブタ箱入り、人をなぐってもブタ箱入り、そういったことは警察はよくやっておられるけれども、こういうふうな集団暴力等については、やはり弱い者を保護するという立場から取り組んでいただかないと、警察に対するとかくの批判も出てくると私は思うのです。その意味で、いまの御答弁でいろいろわれわれも信頼いたしますけれども、やはり特に警察の場合に、いまのような家庭訪問でそういうようないやがらせをやられておる場合、たとえば家の中に入って長時間にわたって悪質な説得活動と称するいやがらせをやられる場合に、御連絡をいただけば警察としてはすぐ排除に来ていただくということは、ここで確認していいですね。
  38. 山田英雄

    山田説明員 先ほども答弁申し上げましたように、警察の責務に照らしまして、犯罪の発生なり被害を受けた方なり、そういう事実を確認しました場合には、直ちに臨場して措置を講ずる、これは当然のことでございますし、特に今次春闘における違法事態措置状況も、先ほど申し上げましたように、全国都道府県警察、各警察署長が通報を受けた場合の措置については十分に積極的に活動するよう指導もしておりますし、また指導もしてまいりたい、かように思っております。
  39. 小宮武喜

    小宮委員 この家庭訪問、家庭へのいやがらせの問題も、パトカーが来ますとぱっと散ってしまう。パトカーが行くとまた寄ってくるというような、まことに悪らつな、悪質きわまる行為が行なわれているわけですから、その点もひとつ十二分に配慮をしていただきたい。  それから、次は法務省にもお伺いしますが、昨年の四月から現在まで暴行傷害の告訴がなされたものが何件あるのか、ひとつ教えていただきたい。
  40. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 御説明申し上げます。  全国の検察庁が、警察が捜査を遂げまして受理いたしました事件に関連するわけでございますが、その中で警察が独自で、あるいは一般人の通報等によりまして事件を立てて送致したもの、それから被害者その他から告訴なりあるいは告発があって警察が調べて検察庁に送付した、こういう二つの形の事件の受理のしかたがあるわけでございますが、昨年の一月から本年の四月までに検察庁に送致されました事件、これはこの郵政の職場におきます関連事件で申し上げますと、全部で百十六件、二百七十七名、こういう件数になっております。この内訳の告訴の件数でございますが、告訴、告発にかかります事件は全部で五十九件、百六十五名、こういう数字になっております。
  41. 小宮武喜

    小宮委員 私の調査でも、昨年の四月から、先ほど申し上げました五月十日までの時点でも、告訴した件数だけでも百五件と私の調査の結果は出ているのですが、いま言われた件数とは若干違いはありますけれども、お手元に届いておるのがおそいのではないかという気もしますけれども、いまその審理状況はどうなっていますか。たとえば検察庁関係でやっているもの、あるいは法廷に移されたもの、その点の審理状況はどうなっていますか。
  42. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 この事件の処理状況でございますが、現在までのところ八十二件、百八十七名の処理が終わっております。このうち、裁判にかけまして現在公判中であるものあるいは罰金相当ということで略式命令を請求いたしまして罰金の処置をしたもの、これを合わせまして二十二件、三十四名、それから犯罪の情状によりまして裁判請求あるいは罰金請求までの情状がない、こういうことで不起訴などになりましたものが六十件の百五十三名、こういう数字になっております。
  43. 小宮武喜

    小宮委員 それから、先ほどから申し上げておりますように、家庭におけるいやがらせ、この問題はやはり大きな人権侵害だと思うのですよ。この人権侵害について、これは郵政当局調査をやるでしょうけれども、人権擁護委員会としてこういうような問題はどういうように考えられておるのか、人権擁護委員会として独自の立場から調査する意思がおありかどうか、その点ひとつ……人権擁護委員の方、来ておりますか。
  44. 加藤泰也

    加藤説明員 お答えいたします。  犯罪にならない程度のものでありましても、いやがらせとか威圧とか、御指摘のように人権侵犯に当たる事象は相当ございます。特に先ほどからの点につきましては国民の自由及び幸福追求の権利あるいは労働者の団結権に対する侵害行為だと思います。したがってこのようなケースにつきましては、法務省の中の人権擁護部門におきましては、組織または多衆の威力による人権侵犯としてとらえまして調査しております。この調査は強制力はございませんけれども関係人から事情を聞きまして、その内容によりましては加害者に対し反省を求める勧告をしたり、あるいは侵犯状況を排除するように説得したり、さらに広く国民世論に求めてそういう事犯を防ぐというような努力をしております。したがいまして、この種の事案については、郵政ばかりではございませんけれども、この数年間私どもの機関で扱っているのは平均三十件ほどございます。私どもは手足が非常に弱いといいますか、絶えず情報を収集しているわけにはいかないので、できれば被害者側の方が申告していただければ積極的にこの種の事案について取り組んでいく。もちろん新聞紙上でわかったような場合について、犯罪の場合は捜査機関にお願いするわけでありますが、それに至らない場合でもこの種の調査に着手するつもりでおりますが、被害者の積極的な申告をお待ちしております。
  45. 小宮武喜

    小宮委員 それじゃ、こういった家庭におけるいやがらせ行為があった場合はどういうような措置をすればいいのか。たとえば具体的な事例をあげて人権擁護委員会に、それぞれ各地方にもありますから訴えるか、あるいは法律上の犯罪をも犯すことになりますので、そういった場合は警察に届けるのか、こういった皆さん方の悩み、苦しみ、こういうふうな善良な人たちのそういった暴力から受けるいろいろの諸問題を解決するためには、どういうような措置をとったほうが一番いいのか。私法律のほうはあまり知りませんので、ひとつ警察でもいいし、法務省のほうでもいいですから、こういうふうなことをやりなさいというような方法をひとつ教えていただきたい。
  46. 加藤泰也

    加藤説明員 明らかに犯罪となる場合には警察のほうへ申告していただくのが一番よろしいと思うのですが、そのボーダーラインは非常にむずかしいと思います。私どもの機関として法務局並びに地方法務局に人権擁護課というのがございまして、そこで人権相談というのをやっておりますから、そこへ申し越しいただければ、その内容によって警察のほうへ行ったほうがよろしいとか、私のほうで調査するとかいうふうにいろいろと示唆することができると思いますので、そういう機関も御活用願いたいと思います。
  47. 小宮武喜

    小宮委員 こういった問題は郵政省内の問題ではなくて、国鉄の職場の中でもこれと同じような行為が出ております。これはまた運輸委員会でやりますけれども、やはりこういうふうな問題について職場のほうでほんとうに暗い空気がみなぎっておることは事実なんです。  そこで、ひとつ管理者としての心がまえの問題でこれは大臣にもお聞きしたいんですが、ややもすればわれわれが現地管理者と会う場合感じられることは、たとえば郵政省がこういうような方針を出した、その方針に従って現場管理者が一生懸命まじめにやっておる、ところがどういう風の吹き回しか、そんなことまでやるなというような押えがかかる場合がある。しかものんべんだらりとしてただ自分局長をしておる間はまあ波風が立たないように、何事も起きないようにということで無為徒食しておる局長連中は次々に出世していく。ほんとうに一生懸命方針に従ってやっておる人は抵抗が多いから左遷されるというような事例も出ております。だからそういったことでほんとう現地管理者の中ではやる気を失ってしまっておる人たちもおる。そういったことで、むしろ郵政当局としては、ただ何事もない、無風状態の中でただ漫然としておる連中は出世していく、何かあると、あれは問題ばかり起こすからだめだというようならく印を押してしまう傾向がないでもない。ここに私はやはりいまのたるんだ原因があるのではないかと考えます。その意味でいずれまたいろいろなことを皆さん方にぶつける機会があろうかと思いますが、こういったほんとう郵政省当局方針に従って忠実にやっている現場管理者こそを優遇すべきであって、そういった誤った判断を郵政省当局がやられるということになると、現地ではやる気を失ってしまうというようなことが職場規律の確立、職場秩序の保持のためにも大きなマイナス要因になっておるということも私は指摘をしたいと思うのです。その意味で、本委員会での質問はこれが最後ではないですから、また来ますけれども、ひとつここで時間も来たようですから、大臣の決意をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  48. 原田憲

    原田国務大臣 冒頭にお答えをいたしましたが、郵政省で働く職員、それが郵便局員であれあるいは保険局員であれ、公務員として国民に奉仕をするという立場に立って職務を実行していくのが当然のつとめであります。その中に暴力行為が持ち込まれて、それが国民に対して悪影響を及ぼすということは許されないことでございますから、それに対するところの大臣としての態度は最初に申し上げたところであります。近来組合との間に正常化していこうという原則的な話ができて、鋭意これに邁進をしておるところでございます。したがいまして個々に起きてくる問題につきましてまことに遺憾な点は率直に認めなければなりませんし、御指摘のようなところで法に触れるような問題に対しましては厳正な態度で臨まなければならぬと考えますが、御存じのように、いま何が何でもだれの言うことも聞かないというような連中さえも出てきておることでございますから、組合とそして管理者というものが相対的に、お互いに、冒頭に申しました公務員として国民に奉仕するという基本的な考え方に徹して、私は大臣といたしまして、管理者に対しましてもそのことを繰り返し厳重に指導してまいりたいと存じますが、そのようなものに左右されることなく、お互いの職場というものを通じて明るい職場ができますように全力を尽くしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  49. 小宮武喜

    小宮委員 あと四分ありますから、ちょっと簡単な問題で一つ……。  長崎から東京まで手紙が何日かかりますか。
  50. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  まず、郵便局で掲示しておりますいわゆる標準の送達日数から申しますと、東京−長崎間の、両方の市内相互間でありますと大体三日というところでございます。ただ、いろいろ最近の状況を見てみますと、必ずしもこの標準日数どおりいっていないというところがございまして、春闘の後遺症と申しますか、春闘が終わったあともまだいわゆる超過勤務協定の結ばれていない職場等ございまして、そういったところではそれより若干おくれているという状況でございます。
  51. 小宮武喜

    小宮委員 私が言っておるのは、春闘の後遺症じゃないのです。長崎から出した手紙が十日以上かかって来るのです。そのためにあらゆる団体の会合の案内状がいつも間に合わぬのです。それで、はっきりここにもありますけれども、これは東京から送った長崎までの書留が岡山に行っておったのです。これはちゃんと証明書をもらってきました。それは人間だからまあ間違いもたまにはあろうと思います。しかし最近の傾向は、どのような理由か知らぬけれども、郵便物がわれわれの分はどうもおくれるような気がする。まさかそういうようなことはないと思うけれども……。  いずれにしても、そういうようなことをわれわれもいまから事実を突きとめてきます。そしてその場合、ここでどんどん事実を明らかにした上で、郵便法違反にもなるわけですから、やりますけれども、そういうようなことがないようにひとつ厳重にチェックしてもらいたい。  私はこれで質問を終わります。
  52. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、堀昌雄君。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、本日は、私が昭和四十七年の十月三十一日の衆議院の本会議田中総理に代表質問を通じてお尋ねをしました老人福祉電話を中心に、福祉電話の問題を少し論議をさせていただきたいと思います。  それで、当時私は、大体九万五千人くらいの寝たきり老人が、一人で寝たきりの老人がおられるのではないかという推計のもとに、年一万個の老人福祉電話をつけてもらいたいと総理に質問をいたしました。総理も、突然のことであるけれども検討したいということでございました。引き続き、その年の十一月七日の衆議院の大蔵委員会であわせてこの問題を取り上げまして、当時の植木大蔵大臣は、私としてもたいへんけっこうな提案であるからできるだけそのような処置をしていきたいという御答弁を実はいただいたわけであります。しかし、その後の経過を見ておりますと、私が予想をしたような形でこの老人福祉電話が広がっていっておるかというと必ずしもそうではない、まだきわめて不十分な状態でございます。  そこできょうは、私は、なぜこれが十分に拡大されていかないのかという問題点を少し明らかにしながら、この問題が何となくやられるということではなくて、少なくとも各自治体におけるこのような老人福祉電話を必要とする老人というのが一体どのくらいあるのだという実態調査がまず明らかになってこなければ、幾らふやそうといっても計画的にも見通しが立たないということになりますので、この点が、実は私はこの問題を提起をしながら本日までこの論議をしてまいっておりませんけれども、非常に不十分であったというふうに痛感をしておるわけであります。  郵政省では実は昨年の六月でありますか調査をされまして、老人福祉電話を必要としておる者が調査対象の中から六二%もあるというようなデータをお出しになっております。これもまあサンプル調査でありますが、その必要があるということはこれでよくわかるわけです。しかしそれでは一体各自治体にどういうふうな予算がつき、国がどれたけの予算をつけて処置をすれば——私は当初一万個十年計画と、こう言ったわけですけれども、そういうような計画がこのままでは立たない、これが私はこの老人福祉電話の推進に非常に大きなネックになっておる、こう考えておるわけであります。  そこで最初に厚生省のほうからお願いをしたいのですが、厚生省としては現在この老人福祉電話に対する取り組みとして、こういう電話を必要とするところの世帯数といいますか、そういうものについては過去にどれだけの調査をしたのか、今後はどういう調査をしようとしておるのか、ちょっと最初にお答えをいただきたいと思います。
  54. 山本純男

    山本(純)説明員 老人の実情をどういうふうにつかまえているかということにつきましては、二つの方面から私ども調査をいたしておりまして、一つは国といたしまして毎年一度老人の生活実態調査するということをいたしておりますが、これは調査対象もあまり多くございませんので、それほど正確を期するわけにはまいりません。私どもが現在つかんでおりますところでは、こういう福祉電話のようなものが一番必要が高いと考えられますのはひとり暮らしの御老人でございまして、これが昭和四十九年度で申しますと四十八万八千人おられるというふうに考えております。その中で病気がちである方がどのくらいであるか、あるいは近所に子供がないというふうに日々の暮らしの上でいろいろ不安を持っていらっしゃる方がどのくらいであるか、そういうふうにしてこれをしぼっていきまして、電話のぜひ必要な対象というものを考えたいというおおよその方針でおるわけでございますが、全国的な調査からはそういう数字はあまりはっきりしたことは出てまいりません。きわめて大ざっぱなものしか出てこないわけでございます。  もう一つの面からは、それぞれの自治体に対しまして、ひとり暮らしでありますとかあるいは寝たきりであるというふうに、いろいろ生活上問題のございます御老人についてはつとめて調査、把握いたしまして、さらにできることなら老人台帳というような形でそれを整備するようということでいろいろお願いをし指導をいたしているわけでございまして、そういうものは各県あるいは市町村それぞれの段階でいろいろくふうをしながら調べておられるわけでございます。そういうところから、たとえば電話の事業でございますと、老人福祉電話についてこれを積極的に推進し、やっていこうという市町村はどうであるかというようなことを必要に応じて私どもで調べる、そういう形で進めております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 実はいまのお話を聞いておりまして、老人福祉課というのは老人福祉を中心に担当しておられるところでしょうが、さっきのお話のように確かにひとり暮らしの老人が四十八万八千人いる、これは間違いないのでしょうね。ただひとり暮らしの老人が四十八万八千人いるということでは、これは老人福祉の対策として実際は必要にして十分なデータということにならないのじゃないでしょうかね。ただいるということはわかっている。それはそれでいいと思うのです。私どもが政治の問題として取り扱う場合には、そういう実態と財政とを組み合わせなければものごとは前へ進まないわけですから、そうするとその実態をいまあなたのほうでお話しのように、まあ全国市町村、数は多いと思いますけれども、しかしいま老人福祉問題というのは国の政策としても重要な施策の一環になっておると私は思うのです。ですからあなたがいまおっしゃったような老人台帳まで行けばたいへんけっこうですけれども、そこまで行かないとしても、少なくとも各自治体で集約をされてきたものというものが厚生省にありさえすれば、そうするとどの自治体には何人どういう形があるのだなということがわかっておれば、あとはその自治体に連絡をすれば、そこでは具体的な老人台帳式のようなものを持っておられれば老人福祉対策が行なわれる、こういうことになるでしょうから、私はきょうこの論議をいたしますときに、少なくとも今年度に、来年度予算に間に合うような全国的な調査の要請をひとつあなたのほうが自治省とも協議の上でやってもらって、五十年度予算を要求される時期に、まあもう五月ですからそんなに間がないかもしれませんけれども、私はそんなにむずかしい調査だとは思わないのです。各自治体で寝たきり老人で病弱である、そういうようなことを調査すること自身はそんな困難を伴うものではないと私は思うのです。数からいっても、いまあなたの四十八万八千人という数は都道府県当たりにすれば平均一万人ですね。都道府県で一万人ですから、自治体単位でいえば、まあ多いところは二、三千人あるところもあるでしょうが、小さいところは百人とか二百人とかの範囲にすぎない。だからそういう意味では、現在の自治体の能力からすれば私はそう調査困難なものではないと思うのですが、厚生省側としていま私がお願いをしておる老人福祉電話の必要だと目されるもの、実は私ここに文京区の老人福祉センターの調査をしてみました。文京区が、四十八年十二月現在でありますけれども百五の老人福祉電話を架設しておるわけです。その老人福祉電話架設のうち、ひとり暮らしの老人というのは七十八人であります。その中で寝たきりの方が十人、病弱な方が四十八人、健康であるけれどもひとり暮らしというのが二十人、合計で七十八人に実は電話を架設しておるわけです。それから同居者のいる者というのがですから残り二十七でありますけれども、二十七のうちお年寄り御夫婦、老人だけの世帯というのに二十三つけて、そうして若い人も一緒におるのには四世帯つけてあるということですね。昼間は働きに行っていて、いないものだからつけられておる、こういうことになっているわけですが、少なくとも東京都の中でも文京区は非常に熱心にこの老人福祉電話を推進しておられて、私もこれを調査をして非常に参考になっておるわけですけれども、自治体側のそういう熱意に待っておるのでは私は国の施策としてはいかがであろうか、こう考えますので、ひとついま私がお願いをした五十年度予算を要求するまでに、厚生省のほうで自治省と協議の上で全国にひとり暮らしの、この四十八万八千人はあなたのほうでデータを持っているのでしょうから、この中で主としてひとり暮らしから先に処置をすればいいと思いますので、いまここで私が申し上げたように、文京区でも百五のうち七十八というのがひとり暮らしの老人に架設をしておることですから、まず順序としてひとり暮らしの老人の、そしてその中の寝たきりの方、病弱の方に処置するというかっこうで調査を進めてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 山本純男

    山本(純)説明員 御指摘のとおり、老人の実情というものを詳しく把握するということが行政の出発点であると考えております。ただことし直ちにそれが全部できるかどうかということになりますと、実は各自治体でいろいろ実施しております老人福祉施策、これは施設に収容するような施策につきましては全国的に非常に統一的に実施してもらっておるわけでございまして、これは数字も非常によくわかりますし、実施状況その他もきわめて統一的に行なわれておるわけでございますが、在宅の御老人に対する施策は考えられる項目が非常に多うございまして、それぞれ自治体の御老人の実情なりあるいは地域の住民の方々の老人福祉に対する御理解、御協力といったもの、あるいはその自治体のいろいろな御方針、そういうものが組み合わさりまして非常に多様に行なわれているわけでございまして、たとえば老人福祉電話の場合でも、すべての自治体が同じ考えでこれを実施するということになりますと非常な数の要望が上がってくることになるわけでございますが、実際はたとえば四十九年度におきまして御尽力がありまして、かなりの台数の予算が計上されておるわけでございますが、そういうものを補助を受けて事業をやるところはどうであろうかというふうに具体的に相談をいたしますと、やはり自治体によりましてはまだだいぶ先にやりたいとか、あるいは当分の間は手がつけかねる、いろいろな状況があるわけでございます。ですからこれだけのために全市町村を通して調査するというのは、費用の面その他を見ましても非常にむずかしいのでございますが、やはり在宅福祉の体系の中でどういうふうに考えていくか、さらにほかの在宅福祉対策をどう進めるか、そういう問題すべてが在宅老人の実情の把握からスタートするわけでございますから、そういう在宅老人の福祉ということを頭に置きまして、ひとつ地域の老人の実態の把握というものにはできるだけの努力をしていきたいというふうに考えております。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 私、できるだけの努力なんという答弁、大きらいなんです。なぜかといったら、できるだけの努力なんというのはやってもやらなくても済むようなことになっているのですね。  では、ちょっと私の方式で伺いますが、調査が必要なことは認めるのでしょう。確かに財政の問題があるかもしれない。財政は、きょう大蔵省来てもらっていますから、この問題について植木大蔵大臣がやるとこう言っている以上、これは財政の問題は大蔵省にめんどう見てもらいますからね。ただそれは時間がかかるでしょうし、私はことしの予算要求までにどれだけできるかわからないけれども、しかしやらないでいればいつまでたってもできないですね。だから私はスタートしてもらいたいと思うのです。そうして、たとえば概算要求の時期では無理でしょうから詰めるところまででいいでしょう、そうするとまあ大体十一月末までにかなり正確なものが集まってきておるということになれば、そこで五十年度予算についての処理がかなり具体的な見通しが立つ。ただ私はここで実際に調べてみて必要なのは大体八万ぐらいがあるとこう言ったから、そうしたらそれをどうするかという問題はいまの自治体の側の受け入れ問題もありましょうから、その情勢に応じて、しかしあなたのほうでは何かだいぶ満足のようなことでお話がありましたけれども、今年度予算というのは四千百九十一万七千円で二千五百台分を国が財政的に見たという範囲にとどまっておるわけですね。私の目から見ればきわめて不十分なわけです。しかし不十分なんだけれども、客観的な状況がわかってないのに財政当局としてもほいほいとつけるわけにもいかないというのも、私は財政側の立場としても理解ができるわけですから、まず何よりも先にそういう在宅老人の、そうしていま私が申し上げたような電話を必要とする人たち立場を少し明らかにする必要はないのか。  私は文京区のこの老人福祉センターに行って調べてみましたら、これは非常に有効に機能しておりますね。大体かかってくるのとかけるのとがほぼ同じぐらいで、一週間に大体四回ぐらいずつかけられたりかかったりしておる。通話数としては六十通話までは自治体で通話料を持って、六十通話以上は本人が持つということになっておりますけれども、これらの方を調査した結果では、この電話というのは自分たちひとり暮らしの者にとっては非常に力強いものだ、安心できるという声が異口同音はね返ってきておるというのが実は実情なんですね。それはケースワーカーやその他が訪問したり、老人福祉のいろいろな行き方がありましょうけれども、しかし一番必要なのは、何かぐあいが悪かったりするときに一人でどうにもならぬ——よく新聞でわれわれ承知しておるのですけれども、ひとり暮らしの老人が死んで三週間も四週間もだれも何ら処置することなく放置されて気がついたということは、しばしば新聞の上に出てくるわけですね。だから、いまボタン一つぱっと押せば、そこで関係の向きに通話ができて、テープで異常な状態を知らせるというような電電公社の電話の開発について、米澤総裁のほうからも御発言あったのであとで伺っておきたいと思うのですけれども、それは非常に重要なことだと思うのです。私は実は長く衆議院の九段宿舎にいたわけですけれども、九段宿舎ではやはり私ども一人で住んでおる者が多い。そうして議員ですからかなり老齢者も多い。そうすると、実は急に気分が悪くなって事故が起きておっても、一人の場合にはなかなか処置ができない。電話をかけるといったって電話をかけるのもなかなかむずかしいというので、もう五年くらいになりますか、非常ベルというものがわれわれの部屋に取りつけられるようになったのです。だからともかくそのベルだけを一つ押しさえすれば管理室のほうから人間が飛んできてくれるということになった。そういう非常ベルがつけられたわけですが、それもまさにある程度の年齢に達しておる者が一人でおるときに対しての対策としては必要であったと思うのです。一般のこういうお年寄りのためには、そういうものがつけられることがこの人たちに非常に大きな安心感を与えることになると私は思うので、結果は自治体の協力いかんによりますから思うようにいかないかもしれないけれども、ひとつぜひスタートをさしてもらいたいと思うのです。厚生省としてはこれからいろいろな調査項目を整理をして、いつならスタートできますか。
  58. 山本純男

    山本(純)説明員 国のほうで統一的にやる調査では行き届かないということは初めに申し上げたわけでございまして、そういたしますと自治体のほうの自発的な努力による調査を私どものほうで集めるということでございますが、これは現に私どもことしの補助金を分配する上にも自治体にはそういう依頼をしているわけでございます。これをさらに詰めて、これから先明年度の事業をどうするかその他もいま現に自治体とは相談しながら進めておるわけでございますが、きちんとした調査を、実際に調査票を配り、それらを集計するという形でやってもらうということも実はまだはっきりとしておらなかったわけですが、御指摘のように自治省なり関係方面とひとつ相談いたしまして、それがもしできるならば、私どもはたいへんありがたいことでございますから、さっそく相談を始めたいと思います。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 率直に言って、自治体の自発的なことに待っていたって私はできないと思うのですよ。だからあなたのほうで、いまの自治省なり財政当局とも相談をされた上でモデルの調査票をきちんとつくられて、こういう形式のものでひとつやってくださいという要請をやってもらいたいし、いまお話のあるように、老人福祉関係で、自治体はあなたのところでいろいろな予算関係についていまでもネゴシエーションやっている場合が多いのでしょう。だからそういう機会に、そういうものに協力しないところには老人関係のものについてだめですよというくらいにきびしくやって、老人のためにやることなんですから、自治体がサボっているのはおかしいじゃないかという指導くらいやっていいだろうと私は思うのです。ひとつそれは私がいま申し上げたような形で早急にスタートさしてもらいたいと思いますが、いつからスタートできますか。それをもう一回ちょっと聞かしてもらいたい。
  60. 山本純男

    山本(純)説明員 これはさっそく直ちにスタートすることにいたします。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 直ちにスタートしてもらえるそうですから、自治省はきょうは財政関係が入っていただいておるのですね、ちょっと担当じゃないかもしれませんが、ひとつ自治省の立場から自治体に対してそういう指導をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  62. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 国の施策といたしましてこの事業を計画的に推進するということになりますれば、当然のことでございますけれども、われわれといたしましては地方財政計画あるいは地方交付税の配分を通じまして財源措置をしていくということになろうかと思います。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで今度は負担区分の問題なんです。現状の負担区分を調べてみますと、大体基本料は自治体が持っておる、債券は公社が免除しておる、あとの要するに架設の費用について三分の一ずつ、国、県、市町村という形で負担をしておる、こういうふうに承知をしておるのです。これが一般的な例のようでありますけれども、これは大体こうなっておるのでしょうか。厚生省で答えてもらいましょうか、どっちがいいかしら。厚生省、一応答えてもらいましょう。
  64. 山本純男

    山本(純)説明員 私どもがいままで老人電話相談センターというような名称のもとに、補助制度のもとで実施また指導してまいったわけですが、その中では四十八年度までの間に九カ所のセンターができておりまして、そういうところの実施状況を見ますと、基本料金は大体自治体が負担しておるようでございます。通話料金は原則としては個人負担というふうな整理になっておりますが、一日一通話等、ある限度のもとに自治体が通話料の一部を持つというところが相当数ございます。通話料金については負担しない自治体もございます。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 最初の架設料のほうについては……。
  66. 山本純男

    山本(純)説明員 架設料は、私どもの在宅福祉関係の施策共通でございますが、国と県と市町村がそれぞれ三分の一ずつ負担するというたてまえで実施しております。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、これは実態調査ができてからのことになりますけれども、さっき厚生省が言っております中に、自治体のほうではもうちょっとあとにしてくれとかいろいろな話が出てくるというのは、やはりいまの地方自治体の財政問題が必ずしも十分でないから、ほかのほうに回したいのでこれは二の次にしたいということになっておるのじゃないかと思うのです。  そこで、きょうは大蔵省も入ってもらっておりますし、自治省も入ってもらっておりますから、ひとつ交付税なりそういうものの基礎に必要な範囲のものを計上してもらって、一応自治体の負担で持ち出したということではなくて——それは一部基本料程度のものが負担になるというようなことは場合によってあれですけれども、一番大きいのは基本料だと私は思うのです。架設のほうは一回こっきりですからね。だからそれは出してしまえば済むのですが、特に基本料というのは千円内外毎月負担するということになりますとかなりになるので、どうかここらをひとつ交付税その他の基準財政需要額等の中身に入れて見てもらうということにしますと、自治体側としても、あまり大きな負担にならなければこれは喜ばれることだからぜひやりたい、こうなるだろうと思うのですが、自治省はその点どうでしょうか。
  68. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 本年度の二千五百台につきましては、モデル事業だということで国、都道府県、市町村が三分の一ずつ負担するということで、地方団体の持ち分、約八千万だと思いますが、これは地方財政計画に計上し、交付税で財源措置を講じたという状況でございます。  それで今後の問題でございますけれども、今後これを国の施策として、モデルじゃなくて全面的に事業として実施していくということになりますと、この三分の一ずつという負担、これでいいのかどうか、基本料はどうするのか、通話料はどうするのか。現在御案内のように基本料、通話料、団体によってまちまちでございます。国と地方公共団体だけで負担するのかどうか、またその負担区分はどうか、こういったことについてもおそらく関係各省で詰めなければならないと思います。そこで国の方針として地方団体の持ち分がこうであるというふうにきまりますれば、当然自治省といたしましてはその財源措置を講ずるという形になろうかと存じます。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、大蔵政務次官にお入りいただいておりますのは、この問題で、最初の負担は一回こっきりですから私はあまりそう重視しなくても、一応国が三分の一、それは国が持てば一番いいのですけれども、現状からいって三分の一。三分の一程度はいいとしても、基本料の問題についてはこれはずっと継続していきまして、だんだん新たにふえてくれば積み上がってくるわけです。これはかなり大きな負担になるのですね。ですから私は、この部分についてはひとつ国で全額見ろというのは一番望ましいですけれども現実問題として全額を見ろというのはちょっと無理があろうかと思いますから、そこでこの分については少なくとも国が三分の二ぐらい持ってもらって、あと三分の一は自治体負担というようなことにしてもらえれば——自治体側としては一回つけるときの最初の架設費は、だんだんやってきてある一定の規模になりますと、これは自治体名義の電話ですから、お年寄りの中に不幸にしてなくなられた方があればその電話は戻ってくるわけですね。そうすればそれは新たに使えるわけですから、一回自治体が持っておる電話はもう新しい架設費は要らないわけです。問題は継続しておる基本料だけになってきますから、そこでこの点を、いますぐ御返事をいただくわけにもいかぬでしょうけれども、ひとつ前向きに検討していただいて、望むべくは三分の二、もし三分の二が非常に無理ならば二分の一、二分の一を下回らない額にひとつしてもらって、基本料についてはそういうこと。架設料は一回ですから、架設料はいま三万円ですかね、ちょっと公社の方、答えてください。
  70. 玉野義雄

    ○玉野説明員 債券は各局の種類によって変わっておりますが、設備料は一律五万円になっております。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 設備料五万円だそうですからそうすると一台につき一万六千円ぐらいいまの地方交付税の中に見込んでいただいているならばそれなりの効果があるわけですから、そういう形でひとつ財政的な問題を含めて一回お考えを願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  72. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 たいへんけっこうな御提案だと思いますが、昭和四十六年から昭和四十八年までの電話相談センターにおきまして、予算では二千・五十二台認めておったのでございますけれども、取りつけになりましたのは千三百七十七台だと聞いております。したがいまして、本年度の予算のときに、御説もありまして、なるたけこれを多く見るように努力をしようということになりましたけれども、どれだけ要求があるのか、あるいはどれだけ積滞があるのか非常に把握が困難でありましたので、過去三年間で取りつけましたものの約倍数、二千五百台をとりあえずトライアルとして計上しておこうということでこの予算が成立したわけでございます。寝たきり老人あるいは病気をしておる老人あるいはひとり暮らしの老人に対してはきわめて適切な福祉施設だと考えておりますので、大蔵省は積極的にこの予算を組む方針でございます。ただその負担の問題につきましてはいまから研究をいたしますが、老人福祉の末端の行政費はこれは地方団体になじむ経費でございますので、これを地方団体に持っていただくということになれば、地方交付税の中で特別に持つようにするのか、あるいは政府の予算の中で初めから堀先生のおっしゃるように組むべきかということにつきましては、五十年度予算を組むときにこれは前向きの姿勢で検討をいたしたいと思います。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話で、私も実はこの二千五百台については予算が少ないとは思ってないのです。ということは、一体幾ら需要があるのかもよくわからない状態で、そうやみくもに一万台組んでみたところで使われなければ意味がありませんから、ですから私は今度は、四十七年十月に問題を提起して以来、昨年一年ちょっとここで触れる機会がなかったものですから、ことしは少し本式にこういう形で具体的に詰めさしていただきながら、やはりほんとうにどれだけの需要があるのか、一体その需要があるについては年度計画を立てて、そして年次的にこういう形で処理をしていく、ある年次のところまで行けば、さっき申し上げたようにお年寄りがふえますからもちろんふえますけれども、しかしターンするものもお年寄りの場合には生じてくるわけですから、いつまでもこれがずっと続いていくというものではありませんから、ですから一定のところまで行けば、私はそれからはごく微増の形での財政需要だと思いますので、そこらをひとつ自治省と厚生省と財政当局で十分協議をしていただいて、私がいま申し上げておるような方向で、要するに地方自治体として非常に負担になると、どうしても、架設はいいけれどもあとずっと続くやつはかなわぬなという問題がありますから、基本料の問題についても御考慮をいただきたい。通話料は、どうも調べてみるとそんな大きな通話になっていませんから、ですからこれはそう大きな自治体の負担ではないと思いますけれども、どうもやはり基本料がかなりな負担になっておるようでありますから、ここらをいま私が申し上げた形でひとつ御検討をいただきたいと思います。  郵政大臣にお伺いをいたしますが、これは電話のほうは電電公社でありますけれども、あなたのほうも郵政省としての管理監督の立場にありますので、いままで私が申し上げたことについて、まずひとつ今後のそういう進め方について郵政大臣も御協力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  74. 原田憲

    原田国務大臣 堀さんが、四十七年ですか、冒頭に言われたように本会議場で質問をされたのを私も聞いております。その後私は郵政大臣になりまして、この問題について国会でも質問を受けておりますが、きょうは非常に具体的にこの政策を進めるための手法まで堀さんからお尋ね、また御要求があって、非常に私はけっこうだと思っております。厚生大臣にも、事あるごとにこういう政策を進めようということは私は申しておりますので、いまも厚生省の課長さんがここへ来て答弁をいたしておりますが、きょうからでも始めたいという御答弁を聞いておりますので、私も、大臣と話しておることが通じておると思って満足をいたしておりますが、先ほど、あなたの調査で九万ぐらいじゃないかということを言ったんだとこういう話ですが、老人にもいろいろありまして、老人ですから、めおとでだんだん暮らせなくなって、どっちか片っ方になっていくわけですが、その片一方になって寝たきりで困っておるという人が一番優先さるべきもの、それが一体何人ぐらいあるかとか、こういうデータを出して、それからどれだけ金をつけていくかとこういうことになってくる。根本が一番大事でございますから、いま申しましたように、厚生省から、調べて、そして私どものほうへ協力しろということがございましたら、いまもうすでにやっておることでございますから、大いに進めていくように、私は早くやりたいと思います。電電公社のほうでも、そういう方々に対する電話ですね、寝たきりの方の電話というものをすでに研究開発しておる最中であるということも聞いておりますので、これらとあわせて施策を進めていくように努力をいたしたいと思います。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 電電公社の総裁にお伺いいたしますけれども、この前に、この寝たきり老人なんかが使いやすいような電話を秋から発売したいというふうな報道を私耳にしておるのですが、これについては大体今日どういう様子になっておるか。お話しになっておりましたように秋からこれを発売できるのかどうか、そこらについてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  76. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  一年以上前から、特に寝たきり老人に対しまして、一々ダイヤルを回すということもなかなかむずかしいので、ボタンを押せば福祉センターとかあるいはお世話をしている場所へつながるような電話の開発を至急するように指示いたしまして、それが大体できておりまして、いまいろいろ現場試験をしております。二つタイプを考えたのでございまして、一つは、押せば何番の番号だというのが福祉センターへつながるというもの、これをAタイプといたしますと、もう一つは、そのときに、あらかじめテープを吹き込んでおきまして福祉センターにそのテープが流れる、Bタイプといいますか少し複雑なものと、この二つを開発してまいりました。今後このどちらかといいますか、あるいは二種類をやるか、あるいはもう初めから先ほど言いましたテープがあったほうがいいということにするか、その辺を含めまして郵政省とも御相談いたしましてやりたいと思います。四十九年度の半ば以降にぜひやりたいということでいま準備を進めておりますが、詳しくは局長から説明させます。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 大体いまの程度で、時間もありませんから……。ひとつ今度はその電話ができましたら、試験的にどこか現在すでに老人福祉電話を架設しておりますところに、それをちょっとチェンジしてもらって、たとえばいま私は東京で申し上げましたように、東京の文京区というのはたいへん熱心にやっておりますから、そういうところと御相談をいただいて、その中の適当なところに実際のあれをやってもらってみて、A型がいいのかB型がいいのか、それもA型、B型両方あっていいのじゃないかと私思うんですね。というのは、非常に弱っていらっしゃるような方の場合もありましょうが、場合によっては寝たきりといいながらも比較的元気な方もあります。しかし、事故が起きたときは何にしても何らかのかっこうで鳴れば異常事態だぞということをそれらの方が承知するような信号音か何か出るということになっておれば、必ずしもテープがなくてもいけるのではないかと思いますが、何かそこらは、そういう老人福祉電話のすでに架設されておるところにそれを架設をしてみて、ひとつ実験をやっていただくとより有効な検討結果が出るのじゃないかと思うのですが、そういうことをやっておられるのかどうかだけ、それじゃ事務当局のほうからお答えいただきましょうか。
  78. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  いま総裁から申し上げましたのですが、A型、B型とございますが、最近アンケートをとりまして、どちらがよろしいでしょうかというのをとったのですが、テープでも最初吹き込んでおいて流すタイプのほうがいいという御意見のほうが非常に強いようでございます。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 それでしたらそのほうでけっこうです。そういう調査をしていただいたらけっこうですが、少し使用試験等もあわせてお願いをしておきたいと思います。  そこで、いま老人福祉電話をずっとやってきたのですが、たしかこの前、厚生大臣が、重症身障児の家庭にも福祉電話をつけたいというのを私新聞で承知をしておるのですが、あわせて母子家庭でも、非常に病弱な母親と小さな子供というようなところもやはりこういうような福祉電話を必要とする対象ではないか、私はこう考えておるわけです。本日は時間がありませんからこれらについては詳しくは述べませんけれども、ひとつ関係の皆さんのほうで、この老人福祉電話とあわせて、たとえば重症身障児をかかえているおかあさんというような場合には、これは外へあまり出られないわけですね、この子供の介護のためにつきっきりになってくるということになりますと、いろいろな連絡その他の問題については、電話のあることはこれらの家庭にとってたいへん助かることだと思います。ただし、それらについてはいろいろ基準があって、電話をつけるだけの能力のない人というような経済的な条件をいろいろな形で勘案する等は必要だろうと思いますけれども、ともかくひとつこの重症身障児の方たちの問題と、もう一つ母子家庭における問題もあわせてひとつ検討をしてみていただきたい、こう思いますが、やはり問題は、これは厚生省がもとでしょうから、厚生省としてひとつあわせて検討の余地があるかどうかだけ答えてください。
  80. 山本純男

    山本(純)説明員 重症身障児あるいはその他の身体障害者、老人と似たような必要があるということは私ども話も承っておるわけでございますが、いまのところ、それをどれを取り上げてどういうふうに進めるかというところまで実は私承知しておらないわけでございますが、そういう必要があるということは省としても認識しているところでございます。
  81. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは社会局長に来ていただきたいと思ったら、何か休んでおられて出席がいただけないので、あなた老人福祉関係で、障害その他は無理ですからけっこうですけれども、帰られたら、そういう幅広い問題について厚生省側としてひとつ検討を求めておったということをぜひ伝えておいてもらいたいと思います。  大体以上で老人福祉電話関係を終わりますけれども、こういう情勢でありますから、来年度予算が編成される前にもう一ぺん、臨時国会等もありましょうから私はこの問題を取り上げて、それまでに厚生省の集まっておる範囲のデータをちょうだいをしたいし、同時に、先ほどからお願いをしております財政上の処置その他について御検討をいただいた結果についても御報告をいただいて、少なくとも五十年度子算ではもう少し着実な老人福祉電話の推進をはかるという取り扱いをしていただきたい、こう思っておりますので、本日御出席の関係の皆さん方は、ひとつそれを頭に置いて今後の検討を進めていただきたいということを要望いたしまして、私のこの老人福祉電話に関する質問は終わります。その関係の皆さん、御退席いただいてけっこうです。ありがとうございました。  次は、実は私この週末に地元へ帰って医師会の会合へ出ておりましたところが、お医者さんの中から、どうも簡易保険の勧誘というのはずいぶんむちゃなのがあるなあという話が出てまいりました。そこで私、どういう情勢かということで二、三の方のお話を聞いてみました。そこで、私も大蔵委員会に長くおりまして、生命保険問題というのを長くやってきておりますので、私は生命保険の問題を論議しますときには、簡易保険はたいへんうまくいっておる、なぜ簡易保険と民間の生保との間に問題があるかといえば、それは簡易保険というのは常勤職員が保険を扱っておるので、だからいいかげんな加入というものをすすめるはずはない、ところがターンオーバーで激しい民間の生命保険の場合には、家庭の主婦のみなさんを動員をしてきて、そうして親戚縁者、知人等をばあっと無理やりに入れさせたらそこでおしまいで、また新しい人を入れてその手をやるというようなことで、生命保険募集がきわめて適切を欠くというので私は長年この問題を主張して、現在、保険業法の改正にまで大蔵省側も取りかかっておるというところまで来ておるわけでありますけれども、私がそのお医者さんたちの話を聞いて非常に意外であったので、ちょっとその実情をひとつお話ししますと、ある一人のお医者さんのところへ実は簡易保険を勧誘にやってきた。そうしてまず最初に、どこのお医者さんは幾らの保険に幾ら入ってもらいました、家族はこうこうこうでこういう保険に入ってもらいました、どこのお医者さんはこうです、どこのお医者さんはこうですと言って、ともかく医者仲間の加入状況を逐一話をして、皆さん、たいへん喜んで入っていただいておりますからおたくも入ってください、こう言う。これは問題が一つあるわけですね。  その次は、その方は六十歳になっておられる方なのですが、養老保険を御家族とも一緒にひとつお入りくださいとたいへん熱心にすすめた。お医者さんは簡易保険のルールなんか知りませんから、家族一緒に何人かが養老保険に入った、そこで自分は養老保険に入ったのだと思っていたところが、証書を送ってきたら、自分のものだけは終身保険で、あとのものは養老保険だった。そこで、そのお医者さんは、けしからぬ、自分は養老保険だと思った、終身保険、死亡保険だということは一言も言わないで勧誘をしておいて、そうして証書を送ってきたら死亡保険とは一体何事かということで、カチンときたので、郵便局長に会いたいと言ってそのお医者さんが行かれたら、郵便局長、会ってくれなかった。それで、課長が会いましょうというので課長が会った。課長と会って、ともかく自分は死亡保険というのは初めから入らなかったのだ、ところが、皆さん養老保険へお入りくださいと言うから、自分も入れるのだと思って入ると約束をしたら、証書を送ってきてみたら事実と違うではないか、おかしいではないかと言って抗議をされたら、それはどうもたいへん御迷惑をかけましたと言って第一回の払い込み金の半額を返してもらいましたということですね。これで二つ問題があるわけですね。  私はこれを聞いたときに、簡易保険というのは郵政職員がやっていることですから、いまさっき申し上げたような家庭婦人が一時の腰かけで、アルバイトの気持ちでやっておるものと違うから、まさかそんなことがあろうなどとは夢にも思っていなかったので、そのお医者さんに、それはたいへんまずいことでしたという話で、一ぺんそれは今後そういうことのないようにやりましょうという話をしてたら、またもう一つ話が出てきて、ちょっとそれに似たような話があるぞ、この前うちで旅行保険というので、何か簡易保険へ入った、そのときの話では、この保険に入ってもらってたら旅行に行けますという話なので、家内がやったんだけれども、それならけっこうな保険だといって実は入った。ところがそれからあと、今度は金を取りに来て、旅行に行く金はまたこれだけ要りますということで、あとで金を取られた。どうもいまのもう一人の先生の話と同じで、簡易保険だからと思って安心しておると、言うこととやることは非常に違う、堀さん、これはもうちょっと考えてもらわないと困りますなという話が二つ出てきたのです。私はその話を聞きながら、ちょっと旅行保険て——簡易保険法を調べても旅行保険というのはどこにもないのですよ。おかしな話もあるものだと思って、実はちょっと簡易保険の方に部屋へ来てもらって聞いてみたところが、旅行保険というものはないのですね。要するに配当金か何かがあったときに、その集団の保険か何かで金が出てくるというときに、それを集めて旅行するというので旅行保険。私はどうもその簡易保険の勧誘のしかたとして旅行保険などという勧誘のしかたは、もうそのこと自身がきわめて適切でないというふうに思うのですけれども、この二点の問題にぶち当たったので、きょう、もう時間があと十五分程度しかありませんけれども、時間の許す範囲で、もう少し簡易保険業務のあるべき姿というものをきちんとしてもらわぬと困るな、こう思いまして質問をする気になったのです。  そこで大臣、いま私が二つ設例しましたね、こういうことは大臣としてどう思われますか。
  82. 原田憲

    原田国務大臣 実はこの問題については、この委員会でもっとこまかく相当皆さんから追及を受けておるところなんでございますが、いまいみじくも堀さんが最初に言われたように簡易保険がしっかりしておるぞ、民間の保険はだめじゃないかと言っておる、こういうことですが、今度は逆に、このごろ日本の生保は世界一になった、こういうことで民間はしっかりやっておるのに国の、国営の保険はこれでいいのかという御議論もありまして、これは一生懸命やらなければいかぬということがいまおっしゃっているような行き過ぎというか、御指摘のような面にあらわれてくるということはまことに遺憾なことでございます。私自身もこの間問われて、局長、保険に入っておるのかというような質問が参議院で出まして、私も皆さん方に言う限りは入らなければいかぬと思いまして、入りますと言ったところが、くじ引きのほうは年齢が、私は五十五歳になりましたのでこれはだめだ、こういうことでございまして、これは大臣は言われても入れませんよと逆に向こうが親切に言ってくれたのですが、御指摘のような点が確かにないとは申し上げません。ゆえにそういうようなことがないようにということは積極的に答弁をいたしまして、そしてここで、たとえば成績がよいといって表彰を受けている、それが事例を調べてみたら間違った、やり過ぎであったというようなことがあるではないかというようなことまで御指摘を受けております。そのようなことに対しましては、綱紀粛正の意味からも行き過ぎがないように厳重に指導してやっていくように、私はこのように指導しておるつもりでございます。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話で、生保は世界一だから簡保もしっかりという話ですけれども、私は率直に言って、これは簡保を勧誘するということに一つ非常に問題があると思うのですね。特に現在のように金利が高くなってきますと、生命保険の運用利回りというのは非常に高いのですね。ところが簡保の利回りというのは、御承知のように資金運用部で押えられていますから限界があるわけですね。私も前にこの問題を大蔵委員会でやって、運用について少し考えてやれと大蔵省に要求をして、今度もそういうことでかなり事業債等にも運用ができる道が開かれつつありますが、それにしても知れているのですよ。実は知れている。だから私は、あれはもう十年ぐらい前になりましょうかね、大蔵委員会でこの問題をやりましたときに、運用利回りが正確に出ますと、実は私は簡保を売る人というのは非常に気の毒だと思うのですよ。だってあなた、民保よりも安いとわかっている保険を売れなんということは、私は全く売る人たちに気の毒だと思うのです。ただしかし、私は簡保を調べてみていいところは、事故が起きてから保険金が早く支払われるということは、これは民保に比べてはるかにすぐれておりまして、その点とか、やはり民保に比べてすぐれておる点を強調することによる以外にはどうも私はこの商品はなかなか売りにくいものだ、こう考えておるのですけれども、しかしそうだからといって、いま私がちょっと述べたように、だれが保険に入っているというのはこれはプライバシーですね。それもともかく財産上の問題を含めたプライバシーで、本来、たとえば銀行がどこの人の貯金が幾らありますなんということは絶対言わないですね。だから当然私は郵政省だって、郵便局に行ってあの人の郵便貯金幾らありますかなんて聞いたって言わないと思うのです。それが聞かれもしないのにべらべらあそこは幾ら入っている、ここは幾ら入っている、こうこうだ、おたくもどうぞなんという話、これは私は国家公務員としてまことに適切でない勧誘方法だ、こう思うのですがね。これはひとつ事務当局のほうで答えてください。
  84. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 御指摘のとおりでございまして、知人などから紹介されました場合にその紹介をされた方がどの程度入っておられるかというような例としてあげる場合とか、あるいは簡易保険が国営でございますので有名な何々大臣が入っておられるというような程度のことでありましたら一応許される範囲内だと思いますが、例としてあげられましたように、だれだれがどういう保険種類に幾ら入っておる、しかもそれを列挙するというようなことにつきましては、当然に公務員法あるいは私どもが持っております服務規律の職務上知り得た秘密を守る義務に違反をいたしておることは明らかでありますので、そういうことのございませんように、また違反をしました場合に適切な処置をとりたい、かように考えます。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでひとつそういうことはぜひやめてもらいたい。これは今度が初めてかと思って聞きましたら、医師会の事務長は、いや、五年ほど前に一ぺんありましてね、医師会でえらい問題になりまして、次々そういうのが起きましたのでねというので、そうか、五年に一ぺんぐらいこういうのは来るんだなといって私は笑ったのですけれども、これは局長、こういうことだと思うのです。いろいろ事故が起きるときには実はその人が問題なんですね。要するに、私はいまここで論議しておりますけれども、簡易保険の職員全部が悪いということは一言も言う気はないのですよ。みんなまじめに一生懸命やっておられる。常に例外がこういう問題を引き起こしておるわけですね。だからひとつそういう問題の起きた方については、かなり注意をしてもらいたいと思うのです。注意をするというのは、また起こる可能性が少しあるわけですよ。それはなぜそういうことが起こるかといえば、やはり一種の報奨金制度というのですかね、これがありますからね。そこでどうしてもやはりたくさんいろいろとればそれだけ報奨金もふえるということの仕組みですから、そこに問題があるので、この点はひとつ十分注意をしてもらいたいというふうに思います。  その次に、私は取り扱い上瑕疵ありと考えておるのが、先生が抗議に行かれたら保険課長が会ったんだと思うのですが、最初の払い込み金の半額返してくれたというのですね。これは私は一体何の金を返したのかと思って、これはちょっと問題があると思っているのですよ。保険法によれば、たしか六カ月間は解約があっても返戻しないというのが法律の定めだと思っているんでね。だから、それじゃこれは間違った契約だったというなら全額返しておかなければいけないんでね。全額返すのか、返さないのか、どっちかでなければいけないのに、まん中をとって二で割って半分返したなんというのは、法律処置としては私は全く理解ができないというふうに思うので、これはその当事者が私に半分返してくれたとおっしゃるから間違いがないんですが、そこらの点はそういうミステークが起きたときの処理は、私はやはり全額返すべきだと思うのですよ。私は、言わなかったということは、こういう場合は虚偽の勧誘とみなしていいと思うのです。要するにほかの人全部養老の話をしておいて、先生の年も聞かないで、六十歳くらいの方だから見ればわかりますけれども、見ればわかるにもかかわらずそのことも言わないで、本人に年齢を聞いたから承知しているのでしょうね。終身保険にしたところを見るとわかっているはずだから、そういうことを知りながらそれを逆に告知していないわけだ。だから告知義務違反というのは何も被保険者側だけにあるのじゃなくて、勧誘者の側にも告知義務違反があると思うのですね。そういう場合には契約無効なんだから、無効の契約を官の側がした場合には全額お返しをしますという、誤った契約での処理をするのが相当ではないか、こう思いますので、これはひとつ精査をしてそういう取り扱いにしてもらいたいと思うのです、この場合は。当然言うべきことを言わないで、本人が期待しなかった契約を結果的には強制したと同じことになっているわけだから、これは無効だということで全額お返しをするというのが相当だと私は思うのですが、これはどうでしょう。
  86. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 昨日のお話でございますので、私ども事実関係調査が全部済んでおりませんし、私ども完全にこの場所で申し上げるほど掌握をいたしていないわけでありますが、(堀委員「私が言ったとおりなら。」と呼ぶ)実は終身保険にも二年ばかり前から新しい種類ができまして、十年払い込みの特別終身というのがございまして、これは保険金の一部を生存期間中に先払いをする制度でございます。それで先生が御指摘のこの事実関係はたぶんそれだろうと思うのでございますが、お医者さんにおすすめし、かつ一応証書が届いた保険書類は、十年払い込みの特別終身保険ということで、死亡しなければ保険金が渡らないという種類とちょっと違うようでございますが、いずれにいたしましても、御本人が養老保険だと思い込んでおった、しかも現実に締結せられた契約が終身保険だという場合に、その契約締結に至る説明が、受理者といいますか取り扱い者側の不十分な説明によるものだといたしますと、これは当然に契約者の側としましては要素の錯誤ということになって、契約は成立をいたしていないと思います。したがいまして、保険料を折半してお互いに責任半々ずつだということは、法律的な取り扱いとしては誤っておると思いますので、十分事実関係を精査をいたしまして、御指摘のような事実がございましたら、無効処理をして保険料は全額お返しをするのが私は筋だと思います。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いまの終身保険というのは死亡保険であったかどうかは別として、養老だというのが終身になっていれば同じことなんですよ。それは十年先に返そうと返すまいと、養老保険でないことは間違いないのですね、これは。そこのところをはっきりしてもらいたいと思います。  最後に、時間がありませんから、もう一つ問題があるのは限度額ですね。法律で限度額がちゃんと書いてありますね。限度額をこえて実際はずいぶん契約をされておるようです。特に医師会なんか行くと、いろんなふうに言ってやっておるようですよ、実際に。私は少しデータを持っていますが、きょうは時間がありませんから……。簡保の皆さんハッスルしてくれるのもわかるし、今度は五百万に変わりますけれども、いまの状態で三百万というのが生命保険としては非常に不十分だという点はわかるけれども、しかし公務員は定められた法律に従ってやってもらわなければ困ると思うのです。  そこで郵政大臣、これは全国では同一人が幾つか入っているという例ですね。要するに三百万をこえて五百万や一千万円に入れようはないので、同一人が三百万円で幾つか入っているという問題が実はかなりあるわけです。これらは一ぺん調査をしていただいて、私ここで公開しろとは言いませんが、そういうことのないように、確かに保険をたくさんとるということは、財政問題としては意義があるかもしれませんけれども、やはり私は公務員というのは法律を守ってもらわなければいかぬ、こう思うのです。こういう例があるのです。私は、架空名義預金というのを大蔵委員会でずっとやっているわけです。だいぶこのごろ進んできた、まだもう一ついきませんがね。私が議員である限りはずっとやっていくつもりでおるのですけれども、架空名義預金などはやめたい。それをずっと前にやるときに、小林さんが郵政大臣のときに大蔵委員会に来てもらったことがありましたが、私は、郵便局もどうも架空名義があるのじゃないかと思う、いや堀さん、それは私もそう思う、それについては今後は米穀通帳か何か持ってこぬことには、ちゃんと証明せにゃいかぬようにでも考えなければいかぬという小林さんの発言があって、あとから与党のほうから、そこのところはちょっと言い過ぎているから取り消してくれぬかという話が来たことがあるのです。私は、小林さんというのはなかなか問題を起こす人ではあるけれども、この件に関してはたいへん公正な発言をしておると思うのです。だからひとつ原田郵政大臣、限度額問題というのは、やはり郵政省としては法律の定めに従って行なうということをちょっときちんとしてもらいたいと思うのです。どうでしょうか。
  88. 原田憲

    原田国務大臣 堀さんが大蔵委員会で名寄せの問題で奮闘しておられることはよく承知いたしております。たてまえといたしましては郵便貯金あるいは保険の問題もおっしゃるとおりであろうと思います。だから、法律違反を起こさないようにということで、十分検討していきたいと思います。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは郵便貯金のほうは別で、簡易保険の限度の問題なんですけれども、ひとつどうか簡易保険というのの勧誘の態度が、少なくとも民保の模範になるようにやってもらいたいと思うのです。解約失効率を見ると、私、ちょっと過去のやつを調べてくださいといってお願いしたのですが、四十三年、四十四年は解約失効率が、件数率で一・六一、一・六三と低かったのが、四十五年に一・七〇になり、四十六年一・九四まで上がって、四十七年一・八八見込み、こうなっているのです。四十八年が一・八二ですか。いずれも四十三年、四年に比べて解約失効率がたいへん高くなっています。解約失効率が高いというのは、勧誘に無理があるということが、民保の場合でも大きな原因になる。この解約失効率が高い原因を、皆さんのほうの郵政統計年報を見ますと、単位当たりの高いもの、学資保険等に問題があるというようなことのようですが、問題があるとすればそれは学資保険の勧誘のあり方に問題があるのじゃないかなという気もするので、こういうデータをひとつ分析をしてもらって、一体なぜ解約失効率がこう高くなっているのかということについて、適当な機会に一ぺん御報告をいただきたい、こう思います。  終わります。
  90. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十八分開議
  91. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  92. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、私はきょうは主としてデータ通信それからデータ通信にからむ情報プライバシーの問題等について各政府委員の皆さんに具体的に詰めてお尋ねをしたいと思います。  この前も本委員会でOECDの質問、それに対する政府回答問題をめぐりまして的確な政府答弁がいただけずに、私は審議ができないということで中断をして、そのままになっておったわけでありますが、きょうはそういった問題は、一応事後に郵政省の監理官のほうから詳しくそのいきさつを御報告を受けましたから、その点については触れることを省略をして、さらに発展をさせた議論をしてみたいと思うのです。  その前に、郵政大臣にお尋ねをするのでありますが、昭和四十八年度の通信に関する現状報告をいただいたわけであります。この第六七ページ、第二章の「情報化社会と通信」第一節「情報化社会の基盤整備」という内容にこういうことが書いてあります。簡単でありますから続みます。「今後、飛躍的な増加が期待されているデータ通信についても、プライバシーの侵害、企業機密の漏えいや情報の集中に伴う管理社会化が指摘されている。これまで経済的豊かさの追求が公害を生みだしていることにかんがみ、情報化の推進に当たっては、他人の情報の漏えい・窃用・改ざん・損壊の防止、プライバシーの保護、情報処理業者・情報提供業者による誤処理・誤情報提供の防止及びこれによる損害の救済、ソフトウェアに関する権利の保護などの諸問題に対し、慎重な配慮が加えられなければならない。」こういう記述がされておるわけであります。ところが、これは私は本委員会で再三、もう四年ぐらい前になるのでありますが、本委員長さんも郵政大臣時代に議論をしたことがあるのでありますが、こうした社会の発展に伴って情報産業というものが非常に増大をする、こういう状況のもとでは、どうしてもこれに対する立法措置が必要である、特にプライバシーの保護というものについてはゆゆしき問題だ、こういうことで、早急にこれに対しての結論を出すという回答になっておるわけです。ところが今日すでに四年近くたっております。にもかかわらず、何らそれに対しての対応策が出てこない。現にこの白書では慎重な配慮が必要だという程度でお茶を濁しておるということは、私は委員会に対する一つの軽視だ、委員会の議論というものをあまり重要視しておらぬのじゃないかという気がしてならぬのです。そういう面について郵政大臣はどのようにお考えになっているのか、この問題について郵政省としてどのように取り組んでおられるのか、その点をひとつ明確にきょうお答えいただきたいと思うのです。
  93. 原田憲

    原田国務大臣 松浦委員が、情報化時代に備えて、すでに相当以前にこの問題に取り組むべき政治姿勢等について議論があったということを聞きまして、非常に先見の明がおありだったと敬意を表する次第でありますが、ただいまもお話のございましたように通信白書、初めてこれを出したわけでございますが、その中に御指摘のように確かに六八ページでございますか、これから情報化社会に対し慎重な配慮が加えられなければならない、こういうことが記してあるわけでございますが、私の承知いたします範囲におきましても、公衆電気通信法ですか、これを改正してデータ通信というものの拡大というものが実際化されてきておる。ついこの間のことであるように思いますけれども、国鉄の新幹線のみどりの窓口ですか、あるいは自動車の車検の問題とか、これらをコンピューターを利用してサービスするといった、いまやそういうことになってきておる。しかも個人のプライバシーの問題まで、この進歩によって弊害となって侵されるのではないか、こういうようなことになってきておるのに、一体どういう基本的な態度で臨むのか、こういう御指摘でございます。  ごもっともなことでございまして、最近におけるところのコンピューターの著しい普及や各種通信手段の発展などによります情報化の進展は、社会経済の発展、国民生活の向上等に大いに寄与しておるところでございますが、ただいま申し上げましたように、情報化が進展するのに伴って情報の漏洩や改ざん、プライバシーの侵害、情報処理業者、情報提供業者による誤処理、誤情報提供、ソフトウェアに関する権利の侵害などの諸弊害が発生することが考えられ、これらに対するところの適切な対策について慎重な配慮が加えられなければならないと考えられます。これらの諸問題の処理にあたりましては、法律制度の面あるいは技術の面、多角的に検討する必要があろうかと存じまして、その具体的な方策につきましては目下検討を進めておるところでございます。
  94. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま常任委員長お聞きになりましたように、常任委員長大臣でおられたときと答弁は全く同じなのです。一つも前進しておりません。  そこで、行政管理庁長官の御出席をいただきたかったのですが、実は昨年の国会で福田前行政管理庁長官が、統一個人コード制、国民総背番号制については国民のコンセンサスが必要であり、いまは考えていないのだ、こういう御答弁を実は第七十一特別国会で公明党の方の質問にお答えになっておるのです。ところが、実は私の手元になかなか入らなかったので東京大学の図書館から資料をとったのですが、行政管理庁は四十六年三月に、情報社会におけるプライバシイ保護に関する調査研究報告書というものを受け取っておられる。その点については間違いありませんか。私の手元に来ておるのは昭和四十六年三月のものであります。これは間違いありませんか。
  95. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 お答え申し上げます。  そういう研究報告書をいただいておることは間違いございません。
  96. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは長官もお読みになったし管理局長も読んでおられるだろうと思うのですが、この中に具体的に問題点が指摘されておるのですね。これの五八ページに「コンピュータのデータ管理上の技術的な対策、コンピュータ室の機密保持の管理態勢の確立(特に規定化)、および、プライバシイ保護に関して罰則を伴った法律、条例の立法化などの、いわゆる制度的な側面から固めてゆく必要があろう。」こういう内容が入っておることについても読んでおられると思うのですね。ところが実際にこういうものに対してどういう対応策をしてこられたのか。現にこの前、例の公電秘密漏洩事件問題をめぐりまして、昭和四十年四月三十日行管総第八十三号の「秘密文書の取扱いについて」という行政管理庁の秘密文書取扱例規というのが直ちに出たのですね。公電秘密が漏洩したときには直ちにこういう文書、内規が各省にばっと通達されたのです。ところがプライバシーの問題についてはすでに一あとから例示をしますが、たくさんの問題が弊害として出されてきておるのにかかわらず、四十六年三月にばく大な経費をかけて調査研究報告書が出されておるのに、これに対して何らの処置がなされておらない、こういう点について一体あなた方はどういうふうに考えておられるのか、これが第一点。  それからもう一点は、実は行政管理庁が四十五年から四十七年度にかけて事務処理用標準コードというものを計画してすでに現実的に調査研究作業が終わっておりますね。一体この結果についてなぜ国民の前に明らかにしないのか。そこでこの際、本委員会に対して、どのような調査研究をしてどのような成果があったのか、その具体的な内容についてもここで明らかにしていただきたい。この二点をひとつ局長から明確にお答えいただきたいと思います。
  97. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 第一点でございますが、情報社会におけるプライバシー保護に関する調査研究報告書に基づきましてその後どのような検討を進めているかという点でございますが、御承知のようにプライバシー保護問題というのはきわめて広範多岐にわたっておりまして、かつその範囲も公的部門におけるいわば行政に関連したプライバシー保護問題と、あるいは私的、民間の部門における保護問題等にもわたっております。したがいまして、これらについての立法化なりあるいは保護対策を考えます場合にはきわめて広範かつ多岐にわたるわけでございまして、そのために私どもといたしましては、まず電子計算機の利用を中心にした公的部門におけるプライバシー保護問題を中心にして進めるのがいわば行政管理庁としての立場でございますので、その観点に即しまして今日までいわば予備的と申しますか、準備的な調査検討を進めてきております。その一つのあらわれといたしまして、ヨーロッパ等におけるこの問題に関します調査なり、あるいは立法化の過程につきまして検討を進めております。御承知のようにスウェーデンにおきましては、昨年このための特別立法がなされておりますし、西独におきましても、昨年秋そのための立法化の草案が国会に提出されて審議中と承っております。こういう段階でございますが、一般的に申しますと、そういった中でプライベートセクターとパブリックセクターというものをどういうように扱っていくかというような点についても、なおわが国の実情等に合わせて検討しなければならない問題がございますので、そういう点をどのように扱っていけばいいか、私どもただいま検討しているところでございます。  それから第二に、立法化を要しないいわばコンピューターの実際の管理面における改善と申しますか、そういう面についても努力を続けなければならないことはもちろんでございまして、そのために昨年度、データ保護のための研究会を各省庁通じてつくりまして、いわば電子計算機の管理規程と申しますか、保守管理のための規定をもう少し明確にしていこうではないか、そういったものを統一し、完全なものにして、まず法制上の問題とは別途に、実際上の問題としてできるだけ保護をはかっていく必要があるであろう、そういう体制でただいままで検討を進めておるわけでございます。ただ、実際上の問題だけでは解決できるものでないことは先ほどの報告にも指摘されておるところでありまして、立法化の問題につきましては、いよいよそういう意味で本格的な検討を具体的に始めるべき段階へ近づいているのではないかというふうに私ども考えております。
  98. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう少し具体的にお尋ねしますが、行管で行なった事務処理用標準コードの調査研究の結果について、すでに調査結果は終わっておるでしょう。それで、その調査結果として国民総背番号制はとらない、とらないが、年金に関しての、国民年金とか厚生年金とかありますが、その年金に関しての一本化、個人コードの統一化というものについて取り扱いを行ないたいということが結果として出されておるでしょう。行政管理庁、出されておるじゃないですか。出されておらないのですか。その点をひとつ明確にしてください。
  99. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 お答え申し上げます。  俗にいわゆる国民総背番号といわれております統一個人コードというものを完全な形で考えますと、いわば日本の場合を例にとりましたならば、住民台帳というようなものと連結したような形で、あらゆる国民についてのデータを統一個人コードのもとに入れるということが一つの考え方であろうと思いますが、こういう考え方をとるべきか、あるいはプライバシー保護問題その他いろいろな問題を考えますと、そういった問題を処理することなしに、この問題にこういう形での統一個人コードの推進をするのには無理があるのではないか、そういう意味で、むしろ国民的に見て利便のある年金等の諸制度につきまして、そのいわゆる背番号の統一をはかるということは、これはたとえば通算年金の支給その他国民サイドから見ても当面非常にプラスになることでもございまして、そういう問題について統一的な推進をはかってはどうかというのが各省庁の連絡会議の結果でございまして、そういう線に基づいて厚生省を中心に御検討いただくという体制にいたしております。
  100. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまお聞きのように、最終的にはすでにもう、国民総背番号制ではないが、年金を一本化する統一コードですね、こういう方針がすでにもう調査研究の結果として出されておる。現に厚生省にそういったものの委員会を発足させて、厚生省独自で検討にすでに入っておるのですよ。そうすると、逆に言うと、アメリカがとっておるのは社会保険番号にある統一コードですからね、一つの分野で統一個人コードができ上がると、それを具体的に社会番号を中心としたものとして使えるようになるわけですね。アメリカは全部そうなんです。社会番号を中心とした統一コードなんですよ。そういうところにどっどっどっどっ踏み込んでいく、知らず知らずの間に。だから、私が前から指摘するように、すべては事実が先行して保護対策があとから行くことが危険だ、こう言っていた、四年前から。私が指摘してきたとおりにいまなっておる。そのことについての批判はまたあとから局長何かあれば答弁いただいてけっこうだが、私らもまたいろいろ質問します。  そこで、さらに具体的にお聞きをしますが、いまあなたが言ったように、年金のコードを整備するために厚生省の官房統計調査部に二月八日データ保護研究会が発足したことも事実ですね。そのことは局長御存じですか。
  101. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 お答え申し上げます。  厚生省にデータ保護研究会が発足したことは事実でございますが、実はこの研究会はいま申し上げましたような国民年金の問題だけに限らないで、医師とか歯科医師あるいは薬事業の登録とかそういう問題も含めまして、厚生省が持っております個人的なデータに関するファイルについて、そのプライバシーの保護問題を考えるという観点で発足しているわけでございまして、若干そういう意味では範囲の広いものであるというふうに承っております。
  102. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの局長答弁でおわかりのように、さらに発展をしていっている。年金の問題からさらに医療とかそういったものに発展をしていくのです。ですから、行政管理庁で一つの結論が出たら、その結論を受けて各省がさらに拡大するという方向に進むのですよ、結果的に。なぜかというと、コンピューター利用というのは非常に便利だから、それにどんどんどんどん経費節減という意味で進むのですよ。保護と立法措置あと追いするわけです。要するに事実だけが先行する。行管にもある、厚生省にもある、通商産業省にもある、郵政省にもちろんありますよ。ばらばらばらばらそれぞれデータのことについていろいろなことをやっておられる。しかし、それを具体的にそれじゃどこでコントロールするのですか。いますべての各省にわたってやっておることをコントロールしておるところはどこですか。これは行政管理庁ですか、郵政省ですか。コントロールしておるところから答弁してください。
  103. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 プライバシー保護問題、非常に範囲が広くまたがるわけでございまして、たとえば通商産業省で考えております問題点等を考えますと、単に公的部門における問題だけではございませんで、そういう部門については私どもは関与をいたしておりませんが、いわば行政部門における電子計算機の利用を中心にいたしましたプライバシーの保護問題については、行政運用の総合調整という観点から私どもがお世話を申し上げておる立場でございます。
  104. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは局長にお尋ねいたしますが、いま政府が持っておるコンピューターシステムですが、コンピューターが幾つで、何システムありますか。しかもそのシステムの中で、個人コード的なものが幾つありますか。それをはっきりしてください。
  105. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 各省庁における電子計算機利用の現状でございますが、昭和四十八年度におきまして台数が二百二十二台でございます。ただシステムの数につきましては、非常に技術的な問題等もございまして明確な数は出ておりません。  なお次に、各省庁における個人等に関する電子計算機の適用業務をとりますと、総理府の国勢調査集計業務、警察庁の運転者管理業務、法務省の出入国の確認業務、犯歴票の管理業務、外務省の旅券発行業務、国税庁の申告所得税納税者管理業務、社会保険庁の厚生年金、船員保険、国民年金の管理業務並びに社会保険徴収業務、特許庁の工業所有権出願審査業務、運輸省の自動車登録検査業務、郵政省の通常貯金原簿業務、地方簡易保険局の簡易生命保険業務、それから電波監理局におきます船舶局原簿ファイル処理業務、さらに労働省におきましては失業保険期間の通算業務、労災保険年金支払い業務、就学資金援護資金支払業務等が適用になっております。
  106. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまお聞きになりましたようにすでにコンピューターが二百二十二台、しかも個人コード的なものが実に約十七システム入っておるんですね。これに対する保護対策というのは全くないわけでしょう。何ら法律的な保護も何もない。  そこで電電公社にお尋ねをするのですが、電電公社はデータをたくさん扱っておられるのですが、このデータの扱い業務について何かこういったものに対する保護義務としての内部規定、そういったものはすでにつくっておられるんでございますか。
  107. 朴木実

    ○朴木説明員 お答え申し上げます。  電電公社は、公衆電気通信法第五条によりまして他人の秘密保持という非常に強い義務を負っておるわけでございますが、それだけでは足りませんので、データ通信のセンターの中におきましては厳重な秘密保持に関します管理要領というものをつくっております。これは本社あるいは各通信局が指導いたしまして、各データセンターが管理要領というものをつくっておりまして、それによりまして厳重に秘密保持の問題についてこれを守り、実行しておるわけでございます。この管理要領の中身でございますが、簡単に申し上げますと、第一番目に、データ通信センターに入る入局者の管理、それから二番目に、コンピューターセンターが入っております機械室への出入りの管理、それからユーザーさん関係の情報をたくさんデータセンターでつくるわけでございますけれども、その出力資料の管理あるいは記録媒体、いろいろな磁気テープとかファイル等がございますけれども、そういう記録媒体の管理、そういうような問題につきまして具体的な項目をきめまして要領をつくり、それを実施しておるということでございます。
  108. 松浦利尚

    松浦(利)委員 おそらく各省庁そのものについても、政府が行なう内容でありますから、それぞれのそういったものに対する管理規程その他はつくっておられるというふうに推定をするわけでありますが、ここでちょっと通産省にお尋ねをしたいのですけれども、通産省が先般企業秘密に関する問題について、これは企業に関するプライバシー保護の問題について産構審部会に諮問をなさったという事実があるわけですが、そういうことが現実にあるわけでありますか。
  109. 小松国男

    ○小松説明員 いま先生が言われた点につきましては、特にプライバシーの問題について諮問したということではございませんで、従来どちらかといいますと産業の情報化が中心でございましたけれども、最近はさらに社会とか生活とかかなり情報化の範囲が広まってまいりましたので、通産省といたしましては四十四年に一度、産業構造審議会の情報産業部会から情報化施策のあり方について答申をもらっておるわけでありますけれども、かなり事態が変わってきたということで、昨年その情報産業部会を再開いたしまして、大臣の諮問としては、情報化及び情報産業のあり方、またこれらに対する施策のあり方いかんということで、非常に広い角度から諮問いたしております。ただその情報産業部会の中に現在、情報化小委員会と情報産業小委員会と二つの小委員会がございまして、さらに情報化小委員会の中にまたワーキンググループが設けられております。そのワーキンググループの一つとして基盤整備ワーキンググループというものが現在いろいろ勉強をしておるわけですけれども、その基盤整備の中の一環としてプライバシーの保護の問題も検討をしておる、そういう段階でございます。
  110. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで大臣、これは郵政省の電気通信監理官室が発行した「未踏社会への挑戦コンピュータと通信の融合がもたらす未来」こういうりっぱな本なんです。これは翻訳したものなんですが、この本の中にたいへん示唆に富むことが書いてあるわけですね。どういうことが書いてあるかというと、サービス部門、特に政府等が行なうサービス部門について、要するに「アメリカにおいては、政府は社会福祉計画に今後十年間におよそ一兆六千億ドルを費す予定であるが、コンピュータ通信技術を統合的に使用することによってそのうちの一〇%以上が節減できるといわれている。」約一千六百億ドルを節減できる、こういう膨大な節減の可能性を持ったコンピューターだ、こういうことをいっておるんですね。ですから政府部内でもあっという間に二百二十二もコンピューターが導入され、たいへんなシステムがもうすでにどんどんと利用されておる。私が調べた範囲内では行政機関で約五百近くのシステムが使われておるんですね。  ところが一方「人権と科学技術の進歩——コンピュータとプライバシーの問題に関する国連報告書」が翻訳をされておりますね。各省庁全部持っておられるし、読んでおられると思うのですが、この中に「人権の見地からの危険性と問題点」というのがあるんですね。この中で、いかにコンピューターというのがいろんな問題について危険を生ぜしめるか、そのことについて訴えておる。しかも人権に与える影響はきわめて重大だということを警鐘しておられるのですね。ところが、こういった問題が現に国連の報告書なりあるいは政府から出されておるいろんなものについて具体的に指摘されておるにかかわらず、これに対して法律的なあるいは行政的な措置が何ら明確になっておらない。私たち社会党は現にいままで、民主的な管理、そして国民生活向上に利用する、しかもそれはプライバシーというものが保護されるといういわゆる情報三原則というものを土台にして四年間ずっと議論をしてきたはずです。そうすると郵政大臣は、あなたの指摘しておることは全部そのとおりだ、ですから早急にそういう措置を講じますと言いながら何らこういうことがなされておらないのですね。  そこで私は、郵政大臣にこういうことをきびしく言うのは気の毒ですけれども、しかしあなたのほうが一番かかわり合いのある問題ですから、国務大臣であるあなたに私は指摘をするんですが、これは四十九年二月二十五日の朝日新聞の報道でありますけれども、アメリカ政府は電算機の弊害を是正するためにプライバシー委員会を設置するとして、「ニクソン米大統領は二十三日午後、全国向けのラジオ放送で、最近コンピューターの乱用で個人のプライバシーが侵されはじめ、大きな社会問題となっている点を指摘、」そのためにフォード副大統領を委員長としたこういうものができた。そして「立法措置、行政措置などを含めた、直ちに実行可能な方法を、四カ月以内に打ち出す」ということをアメリカの大統領は明確にしたのですね。四カ月以内ですよ。アメリカの大統領はいろいろいわれておるけれども、この問題についてはきわめて迅速にやるということをアメリカの国民に向かって宣言をした。ところがわが国の政府はどうです。四年前から指摘をし、そういった問題について早く立法措置をしなければいかぬ、あるいは行政措置を早くしなければならぬと言ったにかかわらず、同じことの繰り返し、万べんの繰り返しが行なわれるだけで事実だけが先行してしまっているでしょう。これは私は責任問題だと思うのですね。  そこで、きょうは行政管理庁長官の御出席もお願いしたのですけれども、都合でおいでになりませんから、国務大臣から明確にお答えをしていただきたいのですが、こういう事実が先行しておる現実にかんがみて、一体いつまでに立法措置あるいは行政措置について国民の前に明らかにするか、いつまでという期限についてこの際はっきりさせていただきたいと思うのです。
  111. 原田憲

    原田国務大臣 いま伺いまして、アメリカではプライバシーの問題をつかまえて、この情報問題で委員会を設置する、こういうことがあるということを伺いました。先ほど平井局長からもスウェーデンの問題、スウェーデンにおけるところの状態等の答弁をいたしておるのでございますが、御指摘のようにこの問題は非常に多岐にわたっております。私の所管をいたします郵政省の中でも、御指摘のような問題に対しまして基本的にどう取り組むかということは調査会を設けて推進をしておるところでございますが、松浦さんから、きょうは私に国務大臣として、これはどちらかというとしっかりやれ、こういうことも含めての、御意見を含めてのお尋ねであると思いますので、当然私どもはしっかりしてイニシアチブをとってやらなければならぬ性格のものであるというふうに把握はいたしますし、またやらなければならぬとも思いますけれども、先ほどから御指摘のように、これはプライバシーの問題もございますが、情報化の時代に備えてたくさんの問題がこれにかかわっておりますから、関係各省ともよく連絡を密にいたしまして対処をする、こういうことをお答え申し上げる次第でございます。
  112. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、先ほど申し上げましたように、あの公電漏洩のときにはさっと各省庁間の「秘密文書の取扱いについて」という行管の文書が出たのですよ。私もここに持っているのですがね。ところがこういう問題についてなぜできないのです。立法措置がまだ当面むずかしいとすれば、各省庁間のこの問題に対する行政上の扱いの問題についての統一をはかるということはすぐでもできるはずだと私は思うのです。そういうことも何にもなされてないのですね。  それじゃ私はいまから具体的に問題の指摘をしたいと思うのですが、その前に局長、政府が、各省の情報処理関係で四十九年度に総体で一体幾らの予算を組んでおるというふうに思っておられますか。きのういろいろ申し上げましたから大体推計でおわかりでしょう。各省庁の四十九年度の予算総額幾らですか、情報処理でコンピュータに使うお金。
  113. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 コンピューター運営関係の経費にも実は取り方によりましてかなり差はございますが、一応私どもが使っております数字から申し上げますと、コンピューターの運営経費が四百七十三億、システム開発の関係経費が三十七億、情報産業及び情報処理教育振興経費が三百八十七億、合計八百九十八億というふうになっております。
  114. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまお聞きになったように、約九百億近く、一千億近くの金が現に使われておるのですよ。先ほど言ったように、ただ便利だから、節約できるからということだけが先行してそれだけのことがなされておるので、そのためにどういう弊害が起こったかということをいまから具体的にお尋ねしたいと思うのです。政府機関でないからまだいいけれども現実にお尋ねをしてみたいと思うのです。それは自治省にお尋ねをいたします。  実は第七十一特別国会で、わが党の佐藤敬治委員地方行政委員会で指摘をいたしました例の鶴岡市で起こった住民基本台帳の売買の問題です。これについて当時の江崎自治大臣は、非常に重要な御指摘であり、また全面的に公開されるなんということは夢にも考えておらなかった、重要な要素を含んでおるのでしばらく時間をかしてくれ、しかし当然この問題については早急に結論を出すんだ、こう言っておられるのです。その後自治省はどういう結論を出されましたか、具体的に。
  115. 田中和夫

    田中説明員 いま御質問いただきましたように、鶴岡市で住民基本台帳をまる写ししてそれを出版したのではないかというような事件がありまして、これはやはりプライバシーの問題というのはきわめて重要である、政府関係各省で考えるべき問題だというようなことで、当時の江崎大臣が閣議でもそういう話をされまして、私どもも法制局や法務省とも相談をいたしたことがあるのでございますが、その後自治省として現在の住民基本台帳法に基づきまして、住民基本台帳は一応公開の原則ということになっておりますけれども、執務に支障がある場合にはこれの閲覧を拒否することができるというような規定もございまして、そういったような法の運用によりまして、結果的にそういったプライバシーの問題が起きるようなことのないように、いまお話もございましたように、そういうことを法律は予想していないわけでご計いますので、そういった事態を起こさないようにというようなことで、各都道府県に対して昨年の十月に指導をいたしております。
  116. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その指導だけだから、その後立川市、それから福島市、私がこのプライバシー問題をこの委員会で取り上げるかどうか、皮肉でやったのかどうか知りませんが、宮崎市ですね、ここでやはり基本台帳から全部写しとられまして売買に使われておるのですよ。現に商品になっておるのです。しかも甲府市では今度は選挙人名簿が全部ファイルから抜き出されて、多額でどんどん売りつけられているのです。たいへんな問題だと思うのです。しかも私のところの宮崎市の人権擁護委員会協議会から、これは明らかに人権の問題、プライバシーの権利が侵害されておる、こういうことについてはもう少し慎重に扱えということが市長のもとに注意されておるのです。こういう問題がいま現実にこうして起こってきておるのです。にもかかわらず、ただ一片の注意だからどうだからという、そういうことだけで問題の本質は解決されておらないでしょう。またこれからどこかやるかわからないですよ。そうすると、法律が通ったときには、あなた方が法律をつくったときには、もうすでにそれが業者の手に渡り、ダイレクトメールの基本台帳に使われたりあるいは選挙に使われたり、あるいはいろいろなものにどんどん使われる結果になってしまうのです。事実が起こってあと追いしたんではおそいから、さっきから言うように早く法律的な措置をしなければいかぬ。ですから、基本台帳についても公開が原則だけれども、一定のやはりこういう商品として、現実にコンピューターというものが導入されてきたからこういう予想されない事態というものが起こってきたのです。コンピューターが導入されていなければこんなことはないのですよ。簡単に写しとれるというコンピューターシステムが採用されてきたからこういう事態にどんどん発展をしてくるんでしょう。だからいま大臣が言うように、これはしばらく時間をかしてください、時間をかしたのが四年、四年の間にこういう問題が起こってきた。これでは私は国民は納得しないと思うのですよ。そういう事実があったことを自治省の方は確認されるでしょう。そういう事実があったかどうかということは調べておられるでしょう。
  117. 田中和夫

    田中説明員 いまお話のございました中で、立川と福島については承知いたしておりませんが、宮崎の問題につきましては承知いたしております。これは調べましたところ、公刊されたものではなくて、銀行等に対しまして有料貸し出しと申しますか、そういうような方法で何冊かを貸し出しておるということでございます。しかし、それも市民のプライバシー保護というような観点から考えると問題があるということで、現在いろいろ市当局においても検討中だというふうに聞いております。
  118. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ですから、検討中だ検討中だとこう言われましても、市独自でどんどんやっていくわけですね。要するにプライバシーの保護規定がないまま、現実に住民管理システムというものを徳山市、広島市は導入しているのでしょう。住民管理システムです、これは。住民管理システムをすでに広島市、徳山市は採用しているのです。現実に統一コードでやっているのです。あるいは兵庫県全体では健康管理システム、要するに各個人のカルテを、病歴から何から全部集中的に管理するシステムというものもすでに行なっているのですね。カルテなんというのは最もプライバシーのものでしょう。そういったものがすでに兵庫県では進行しておる。政府自身が何もしない間に、ただ便利がいいからやれ、便利がいいからやれということで先行して、結果的には国民のプライバシーというものが、人権というものが大きく侵されるという危険性をさらされておる。現実にそのことが具体的にあちらこちら全国で出てきておるにもかかわらず、政府としては何らの対策も持っておらないというのはゆゆしき問題だと思いますね。だから私は行政管理庁長官にここに来てくれと要求したのですよ。逓信委員会、軽く見られておるのかどうか知らぬけれども、長官の御出席がない。局長にこういうことを聞いたって無理ですよ。  そこで、国務大臣も最終的な責任者じゃないけれども、やはり国務大臣としてデータそのものを扱っておられる象徴として非常に重大であると思うのです、大臣としては。さっきのような抽象的なことじゃなくて、少なくとも次の国会までにはこういうものを努力する、そして努力した結果については国民の前に明らかにするのだ、できなかったらなぜできなかったか、できなかった理由はこうだということを明らかにする、立法措置ができなかった場合には次善の策として行政的に、たとえば先ほど自治省が言ったように、あるいは和歌山県の白浜とかあるいは岡山県三次市がやっておるように住民基本台帳についての閲覧の一部制限をやる、本人の承諾がなければ制限をする、大量に閲覧をしようとする者については制限を加えるというような指導の方法も、自治省にまかせるのではなくて、一貫してあるでしょう。そういうことを明らかにしてもらわないと、何のためにここで一生懸命いやな思いをしてこんな簡単なことを議論をし合うのか、私は情けなくなるのですね。これは野党とか与党とか政府とかの問題じゃないと思うのです。そういう意味でこの際明確にもう一ぺん、くどいようですが抽象的な答弁じゃなくて、次の参議院選挙が終わったあとの特別国会なら特別国会までには政府の方針を具体的に出します、アメリカのニクソン大統領が四カ月後に出すと国民に明らかにしたように、それは何も法律をこうこうして出すという具体的なものじゃなくていいから、具体的にこういう問題についてはこうするのだ、いつまでにはこうするのだという、そういう方針を出すということくらいは逓信委員会の皆さんに約束されてしかるべきだ。そうしなければ、現実に人権が侵されるばかりですから、これからますますコンピューターが導入されればされるほど問題点が出てくると私は思うのです。そういう点についてもう一ぺん、くどいようですが大臣から明確にお答えいただきたいと思うのです。
  119. 原田憲

    原田国務大臣 現在まで政府は何もしておらないじゃないかといういま御指摘もありますけれども、それはそうじゃないと思うのです。先ほども言いましたように、各省にまたがって、仰せのごとく統一的に行政管理庁長官が長官として責任をもって連絡をしてちゃんとやる、こういうことはまだやっておりませんけれども、それぞれの省にわたって、コンピューター時代といいますか情報化時代に対処するところのそれぞれの研究調査を進めておる、私どものほうでもそういう会議を持って進めておるということを申し上げたところでございます。これらにつきましても答弁をいたさせますが、そういうことを集約していって、そしてこういう形にいたしますということを私が答弁を申し上げるのでなければ、ただ何もないのにいつこれをやります、そういう無責任なことはかえって——いま仰せのごとく与党野党の問題じゃない、非常な技術革新というものを生み出しておる時代に対処する重要なことでございますから、私は先ほども申し上げましたように私のほうは私のほうとして進めておりますけれども、激励の意味で郵政大臣率先してやったらどうだというようなことと受け取って御答弁を申し上げたのでございますが、各省との間に早くいままでやっておることを詰めまして対処をいたす、こういうことを重ねてお答え申し上げますとともに、国民の前に、私どものほうが何をやっておるかということを、必要であればお答えをさしていただきたいと思います。
  120. 松浦利尚

    松浦(利)委員 法務省にお尋ねをいたしますが、法務省は三月十三日に民事行政審議会に戸籍法の改正について諮問をして、審議会は戸籍部会を設置して、要するに戸籍法から起こるプライバシーの保護についての立場から、公開の原則について検討に入るということを、すでに法務委員会を通じて明らかにしてやっておられますね。その点どうですか、間違いありませんか。
  121. 田代有嗣

    ○田代説明員 仰せのとおりでございます。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣見てごらんなさい。いま言われたように、法務省のほうではみずからの関係しておる戸籍簿について、これはやはり個人のプライバシーの問題だ、だからすでに諮問をして、それに対する立法措置に入っておる。ところが自治省管轄の住民基本台帳ですね、こういったものについては何ら措置されておらないでしょう。江崎大臣地方行政委員会で、たいへんだから注意しましょうと言った程度。そうすると、いま言ったように、コンピューターシステムの問題で、現にOECDを含めてあらゆる世界の機関が人権が侵されてたいへんだたいへんだ、こういっておるにかかわらず、政府のほうは会議は踊るだけでしょう。私は会議をやっておることは認めますよ。会議をやっておらないとは言いません。会議を行政管理庁もやっておる郵政省もやっておる、通産省もやっておる、厚生省もやってますよ。しかし、統一してやっておるところはどこかということがない。それではプライバシーの問題についてどこが責任をもってびしっとやるのか、立法措置なり行政措置をどこがやるのか、そういった点についても非常にあいまいでしょう。そういうものがびしっとしておるならば、通産省が何も産構審に対して通産省独自でプライバシーの問題などをいう必要はない。政府の機関で、一つのところでいろいろ議論していけばいい。各省にばらばらまたがっているのですね。これがこれにちゃんと書いてある。この「コンピュータと通信の融合がもたらす未来」という中に、結局それができない最大の理由はなわ張りがある、ここからここまではおれのところ、ここからここはおれのところ、そこははっきりしておるが、その接点はだれがするかということは全然議論されておらないのだ、そこが非常に危険だという指摘が、現実にこれをさっと目を通しただけである。郵政省が翻訳して指摘している。現に日本政府もこの本の指摘のとおりのことでしょう。だからいつまでたったって結論が出ない。だから、私は前からここでくどいように言っているのは、これは逓信委員会だから、少なくとも郵政大臣がイニシアティブをとって、いつからいつまでの間に必ずこういうふうにする、各省を集めてこうするのだ、そういうことをここで明確にして、そういう方向に全体の意思を集約していかない限り、事実だけが先行する。コンピューターの利用は日本は世界で二番目でしょう。アメリカと日本は非常に格差がありますけれども現実的にコンピューターの利用というのは世界第二位。しかも法律的なそういった立法措置がない。さっきから言ったようにスウェーデンとかそういったところはすでにできた。ところが日本は世界第二位でありながら何もない。こういった問題について、これは法務大臣がおいでになったら法務大臣にお聞きしたがったのですが、説明員の方ですけれども、宮崎の人権擁護委員会が指摘するように、こうした問題がどんどんこういう形で公開をされていく、売買の対象になっていくということは、明らかに人権侵害でしょう。軽く見るべき問題ではないと思うのです。その点は課長さんどうですか。
  123. 加藤泰也

    加藤説明員 御指摘の問題につきましては、確かに公開される方法に問題があって、プライバシーの問題を含んだものと思います。そこで私どもとしては、人権擁護局の関係だけでございますけれども、そういう事態がわかった段階関係人に自粛を喚起してやめてもらうという方向で指導していくつもりでやっております。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、もうくどいようですが、現実的に利用価値だけが先行するというところに問題がある。ですから、私はそれがいけないと言っておるんじゃなくて、それと並行して、やはりそれから来る人権侵害なりそういった危険性についての歯どめをかけていくということが必要だ。大臣、先ほども行政管理庁の局長がお話しになりましたように、現実に行政管理庁では、総背番号制ではないが、年金については個人コードを設定をするということについてどうだろうかという結論に達して、それを受けて厚生省のほうは、それも含めて医療行政についての問題を議論をしていく。またさらに拡大しておるのですね。そういった年金なら年金というものが個人コードとして使われるという段階になりますと、そういうものについてかりに銀行な砂銀行が、Aという銀行ならAという銀行が、アメリカがやっておるように社会保険番号を、あなたの社会保険番号は何番ですか、私は十番です、それなら十番で打ち込んでごらんなさい。自由に利用できる統一コード的な年金の個人コードというものが、事実はアメリカでやっておるように社会保険としての保険番号が統一コードとして使われるのですよ。しかもこれは非常に信用の置ける統一コードになる危険性すらも厚生省ではすでに研究され議論されておるのですよ。ところが、そういった問題について歯どめがないでしょう。そういうことが起こったときはどうしますか。だから、郵政大臣は激励だ激励だ——それは激励もありますよ。ぜひやってください、一生懸命やってくださいという激励もありますが、この際、大臣は国務大臣ですから、くどいようですが国務大臣としての立場から、それじゃいますぐここで私はいつまでに立法措置をするあるいは行政措置をするということを言いなさいと言っているんじゃないのですよ。少なくとも次の臨時国会までは、参議院選挙後の臨時国会までには具体的なものを整理をして、そして国民の前にこういうことについてこうしますという方向性を明らかにすることはできませんかということをお願いをしておるのです。これはおそらく政府の意思としてコンセンサスが必要でしょうけれども、国務大臣としてそういう努力をなさる意思があるのかどうかということについて、それではお答えいただきたいと思うのです。それくらいもらわないと、何べんも同じことをやらぬといかぬのです。
  125. 原田憲

    原田国務大臣 いまお聞きしていまして、そういうことを取りまとめてやるということの重要性については私も同感であります。いままで行管庁の平井君が答弁をしておりますことは、大体この問題が起きてから行官庁を中心に——中心といいますか、関係者が寄って話を進めてきておる、こういうことであろうと思います。いまのお話の中で、これは行政の関係で私どもがどういうふうにしてこの問題と取り組んでいくかということと、いまのお話に出ましたようにすでにもうユーザーといいますか、使うほうにおいて各方面で問題が提起されておるということでございますから、私は、これはもう閣議ででもこういう問題が出ておるということはすでに答弁で明らかでございますから、これらについて可及的すみやかに問題が処理できるように進めてまいりたいと存じます。
  126. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣のお気持ちはわかるのですけれども、どうでしょうか、私たちは、どうなっておるかということもわからないのですよ。郵政省側のはわかるのです。各省庁間の問題がどうなっておるかということは国民全体はわからぬのです。行政管理庁そのもののプライバシー保護に関する委員会が議論をして、そして年金についての云々ということもきょうわかったのです。はっきりしたのです。そういうことは全然国民に発表されておらぬわけですから、ですからそういった意味について整理をされて、そして次の国会には経過について報告していただいて、それをステップにして次はこうするという方向性だけでも出してもらえませんかということを申し上げておるのですが、それももう無理なんでしょうか。無理なら無理でけっこうです。無理なら無理、やれるかやれないかでけっこうです。やれませんならやれませんでけっこうですから、そういう御回答をいただけませんか、簡単に。松浦の言っておることはできぬならできぬでけっこうです。
  127. 原田憲

    原田国務大臣 先ほども答えましたけれども、これは個々にやっておる問題については事務当局からも答弁させますということを申し上げておるところでございますが、これらのことを総合してまとめていくということにつきましては各省とよく相談して進めてまいりたい、こういうことでございます。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣のお気持ちはわかるんですよ。わかるけれども、そういう御答弁ばかりです、四年間。同じことです。会議録を見ていただいたら大臣おわかりになるのです。もう同じことなんです。各省庁まとめてやります、まとめてやりますと、こう言っておられるだけなんですね。  それでは法務省の課長さんにお願いをしておきますが、この問題はお帰りになって法務大臣にこういう私の議論をお話ししていただいて、法務省のほうから、この問題については非常に重要な問題だからということの提起を政府にしていただけるように、課長さんのほうから大臣に伝言していただけないでしょうか。
  129. 加藤泰也

    加藤説明員 ただいま御指摘の問題については、さっそく大臣に報告いたします。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで行政管理庁の局長さん、行政管理局長さんのほうからも、この問題については早急に内閣としての意思をまとめるということで、あなたのほうもお帰りになったら長官に話をしていただいて、郵政大臣が言っておられるように、すみやかにこういうものについての方向性が出るように御努力していただけるように約束していただけますか。大臣にそういうことを言っていただけますか。
  131. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 御趣旨の点は確かに大臣にお伝えいたします。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ自治省の田中課長さん、あなたも、江崎前大臣が約束をしたことが守られずに現実にこういうことがばらばらばらばら起こっているんだから、帰られたら大臣にそういう報告をして、内閣でやってもらうように約束してください。いいですか。答弁してください。
  133. 田中和夫

    田中説明員 きょうのお話を大臣に報告いたします。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 電電公社の総裁、情報処理を担当なさっておられる総裁としても、こういう問題について政府と一体になってやられるという約束について、ここでやっていただけますか。
  135. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  松浦委員のお考えは十分理解いたしまして、今後ともそういう方向に努力いたしたいと思います。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで、最後にもう一ぺん大臣にお尋ねをします。  いま言ったように、みなお帰りになったら政府委員あるいは政府説明員の方が大臣に言って、援護というよりもこの問題を提起するそうですから、ひとつリーダーシップをとって、大臣が積極的に、こういった問題が二度と起こらないように歯どめをかけるための努力をすみやかにやっていただけるということについてもう一ぺん御答弁をいただいて、子供の議論みたいになりましたけれども、大切なことですから最後に大臣に締めくくっていただきたいと思います。
  137. 原田憲

    原田国務大臣 まことに念の入ったことでございまして、私は国務大臣として答弁をいたしたのでございますが、各省の政府委員がそれぞれ大臣に言うそうでございますから、私は先ほどお答えいたしておりまするように、松浦委員のおっしゃっていることよくわかりますので、努力をいたしたいと存じます。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 たいへん長い間いろいろなことを質問したようでありますが、これは非常に大切なことで、もう四年前からここで議論をしておることでございます。それで、あまり子供みたいな質問大臣もあるいは気持ちも悪かったかと思うのですが、しかし非常に大切なことで、同じことの繰り返しだから、もう念を押すためにやっておるわけですから、その点はひとつ御理解いただいて、もう二度とこういった議論がないように、私が期待をするのはアメリカの大統領が四カ月後には実施する、こういうことを国民の前に明らかにした例もあるわけでありますから、そういった意味ですみやかにこの情報の問題について立法的なあるいは行政的な措置をされることを期待をして、たいへん長くなりましたが私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  139. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、平田藤吉君。
  140. 平田藤吉

    ○平田委員 私は、電電公社に関連して幾つかの問題で質問したいと思います。  その第一の問題ですけれども、十二月二十日、この委員会で質問しました中央築地第一阿波屋ビルとタクミビルとの間に結んだ専用線について、・公社は調査し、不法設置だというふうに認めていますけれども、この不法設置についてどう処置したか、お答え願います。
  141. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  これにつきましては契約等を調べまして、一部間違い等もございましたので訂正していただきました。
  142. 平田藤吉

    ○平田委員 玉野営業局長が十二月二十日の私の質問に対して説明をしておりますけれども、その中で、不法設置の場合契約を解除するというふうに言っております。なぜそれをやらないのですか。それから契約の解除というのは、間違っていたために書き直してあるということなのかどうか。明らかにちゃんと処置をしなければならぬはずです。契約を解除するという規定になっておるのですから解除しなければならないはずです。なぜそれをやられないのかお聞かせいただきたい。
  143. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  一般の加入電話の場合もそうでございますが、注意をいたしましてそれで直ちに直していただく、それを直さない場合には契約を解除するとか、そういうことをやるようにいたしておるわけでございます。
  144. 平田藤吉

    ○平田委員 承知の上で違法設置をしているわけです。違法設置をしていたものについて注意をして、それじゃ契約を書き直せばいいということになるのですか。契約を書き直せば違法設置じゃなくなるのですか。
  145. 玉野義雄

    ○玉野説明員 ただいま申し上げましたように、たとえば電話の場合なんかでもそうなんですが、料金を納めない場合とか、それから端末器が違う場合とかというような場合がございますわけですが、そういうときには私たちもチェックをいたしておるわけでございますが、その場合に、向こうの方が不慣れな点もあるのかもしれませんが、届け出の表示が違っているとか、そういう場合に注意しまして直していただくとか、こういうことをやっているわけでございまして、そのあとで直さない場合には直ちに解約、こういうことをいたしておるわけでございます。
  146. 平田藤吉

    ○平田委員 そうじゃないのですよ。承知の上で違法設置をしているのです。契約に反して違法設置をしているわけです。よその問題を聞いているのじゃないのですよ。ちゃんと場所を特定して聞いているのです。この場合に、違法設置をしたのを契約解除しないで、注意をしてそれでいいんだ、そのまま違法設置が認められるということになるのですか。
  147. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  契約を解除する場合に順序がございまして、最初は通話停止をするとか、そういう順序があるわけでございます。したがいまして、その前段としていろいろ注意をするとか、そういうことから入っていくわけでございまして、いきなり頭からやる、こういうふうにはいたしておらないわけでございます。
  148. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた方は、違法設置をして、そして違法設置をした者を——つまり承知の上で違法設置をしているわけです。契約したものとは違うものをつけているわけです。それを契約どおりに直させる、とにかく一たん解除して契約どおりに直させるという措置をとらないで、書類を書き直したらそれでようございますというやり方をしている。こういうところについてはずいぶんあなた方は手ぬるいというのですよ、承知の上であなた方はこういうやり方をしているのですから。何べん繰り返しても同じですよ。逃げ手ですよ。違法設置をあなた方は認めて、違法設置の上にさらに書き直してまでやっているということだというふうに理解していいですね。
  149. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  ただいまの点につきましては、先生の御指摘にもございますので、今後の処理のしかたをさらに検討してまいりたいと思います。
  150. 平田藤吉

    ○平田委員 処理のしかたを検討するといったって、きまっているのですから、きまったとおりおやりなさいと言うのですよ。あまり人をたぶらかすようなものの言い方をしなさんなよ。  第二の質問に移ります。ビル電話についてですけれども、一般加入電話とビル電話の基本的な機能は同じだと思うのだけれども、どうなのかお聞かせいただきたい。
  151. 玉野義雄

    ○玉野説明員 一般の電話につきましては、電話局からその電話のところへ参りますのに、局線が一本で、そこに電話機が一つつくというのが通常の状態でございます。もちろん付属機器がつく場合もございますが、普通はそういうことでございます。ビル電話の場合ですと、その局線に相当するものが中継線になっておりまして、それの先に電話が一個ではございませんで、通常大体五個以上ついておるという数の点か違うわけでございます。ただし、先生おっしゃいますようにダイヤルですぐかかるという点は同じでございます。
  152. 平田藤吉

    ○平田委員 ダイヤルでかけて、そうして向こうでベルがなって、とれば聞こえるというのでしょう、同じなんじゃないですか。ややこしいことを言わなくたって、同じだでいいのですよ。  機能が同じなのにどうして負担に大きな差ができるのか、この点がたいへん疑問です。たとえば設備料で見ますと、一般加入電話は五万円です。ビル電話は二万五千円です。つまり一般電話の半分です。債券で見ましても一般電話は十五万円——大体ビル電話の入る地域における一般電話というのは十五万円です。ビル電話は九万円ですよ。これもビル電話のほうが六万円も安いのですね。これは明らかに利用者に対する差別だと思うのだけれども、なぜこんな差別が行なわれておるのかについてお聞かせいただきたい。
  153. 玉野義雄

    ○玉野説明員 一般の加入電話につきましては、局線当たり電話機一個、それから付属機器がつきましても、先ほど先生がおっしゃいましたように東京ですと債券は十五万円、設備料は五万円でございます。ところがビル電話につきましては、その局線相当部分に電話機が通常五個ついておりますので、その局線当たりでやるのでなくて電話機当たりでまいりますので、これを局線に直しますと、債券は局線当たり通常四十五万円、それから設備料は十二万五千円、こういうふうになるわけでございます。
  154. 平田藤吉

    ○平田委員 末端機能は同じじゃないですか。いずれにしましても末端機能は同じですよ。ですから一般電話とビル電話との差というのは非常に大きいものがあるということははっきりしていると思うのです。しかもビル電話の場合はたいへんなメリットがあるわけですね。公社編集のセールスブック、これに出ておりますけれども、このセールスブックによりますと、セールスポイントをいろいろあげております。一般電話よりたいへんに便利でございますというふうにたくさん書いてあります。たとえば交換手をめぐる問題一つをとってみましても、A商社の場合は、一般電話でやると三十一名必要であるが、ビル電話の場合は八名でよろしい。B市役所の場合、一般電話十三名だけれども、ビル電話でやれば九名で済む。それからC卸売り市場の場合は、同じく交換手十二名必要だったものが五名になる。Dデパートの場合は、十六名であったものが十名になるというふうに、人員削限の面でもたいへん有利でございますというふうに書かれております。  それからさらに保守費、いろいろ故障が起こったり何かするわけですけれども、保守費も節約できるというふうにいっております。二種、つまり公社の交換機を公社の建物でなくてビルなどを借りて置いてあるところには何人かの保守要員が置かれているはずですけれども、このビル電話の関係でつまり二種で、保守要員は全体でどれぐらい置かれているのか、聞かせていただきたい。
  155. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  ただいまちょっと手元に資料がございませんので、後ほど調べまして差し上げたいと思います。
  156. 平田藤吉

    ○平田委員 それはすぐ調べられませんかね、保守要員。簡単に計算出ませんか。できれば質問している間に計算して出してもらいたい。  ビル電話を専用線で結ぶとどうなるのだろうかということですが、AビルとBビルで専用線を結びますと、そしてビル電話でつなぎますと、AとBのビル相互間で内線で通話ができる仕組みになっているのじゃないかと私思うのですけれども、そうですか。
  157. 玉野義雄

    ○玉野説明員 これはいろいろ規定はございますが、専用線が引ける場合にはそういうふうになっております。
  158. 平田藤吉

    ○平田委員 ビル電話を入れると、同一ビル内は内線で通話ができるようになっていますね。
  159. 玉野義雄

    ○玉野説明員 ビル電話の中の内線相互は通話できるようになっております。
  160. 平田藤吉

    ○平田委員 AとBのビル相互間の専用線の電話料金は、幾らかけても一カ月二千二百八十三円。これは前回の質問に対する答弁にそう答えておられます。二千二百八十三円で内線からもかけられる仕組みになっているわけです。したがって、これは内線からかけた場合でも度数料には関係ないわけですね。ビル内通話も度数料には関係がない。それなのに設備料も債券も一般電話よりもはるかに安いというのは一体なぜなんです。もう一度そこのところを聞かせてもらいたい。
  161. 玉野義雄

    ○玉野説明員 内線相互は無料、料金いただきませんが、専用線で結んだ場合には専用料をいただいておりますので、この専用料は距離によっていろいろ違います。たとえば近いところですと七、八千円もございますし、遠い所になりますと月百四十万円になったりいろいろいたしますので、これは距離別に料金が変わるようになっております。
  162. 平田藤吉

    ○平田委員 つまり専用線でつなぎさえすれば、もちろん専用線は専用線として使うけれども、ビル相互間で通話を幾らやったって、料金は同じ、通話料は同じだということには変わりないのでしょう。したがってビル電話というのはたいへん有利になっているということなんですよ。これはあなた方のこのブックに宣伝用にちゃんと書いてあるのですよ。だからビル電話をこういうふうにすすめなさいといってちゃんと書いてある。  第三の質問ですけれども、これはデータ通信についてお聞きしたいと思うのです。  まず設備料についてですけれども、四十九年のデータ通信の投資額が六百四十五億円、利用者が支払う設備料は五億円、投資総額の一%にも満たないのですね。〇・七幾つになりますか、一%に満たないのです。一方一般電話のほうはどうかといいますと、全投資額一兆二千五百四十億円からデータ通信の投資額六百四十五億円を差し引いた残り、これが全部一般電話に対する投資だとしても一兆一千八百九十五億円、これはこんなにはならないのですね。この金額の中には、たとえばビル電話だとか、ビジネスホンだとか、PBX、専用線、それからテレックス、ファクシミリ、画像通信その他の費用が含まれているわけですから、こんな金額にはならないわけですけれども、計算上こまかい計算が出しにくいので、一兆一千八百九十五億円ということで計算しておりますけれども、一般電話の設備料としてとられるものが千六百億円なんですね、一般電話から支払われるものが。そうしますと、これは設備料の割合は一二・四五%に相当するわけです。これは負担率はもっとはるかに高いのですがね。さっき申し上げたようないろいろなものが入っていますから高いのですけれども、一三・四五%に相当する。つまりデータ通信の利用者は、データ通信全投資額の一%足らずしか支払わなくてよいわけですけれども、一般電話利用者は全投資額の一三・四五%も支払わされる結果になっている。     〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕 一般電話加入者の負担割合は、データ通信加入者の一七・三五倍になるのですね。一七・三五倍もつまり支払わされているということなんですよ。二月二十日この委員会で私が質問したのに対して好本経理局長は、設備料は電話を増設するための資金の一部を御援助いただく、一部負担していただくのが設備料だというふうに説明しております。しかしこの設備料のきめ方、まことに不合理きわまりないというふうに思うのです。公衆電気通信法によれば「合理的な料金」というふうになっておりますけれども、なぜこんな不公平がつくり出されるのだろうか。これで合理的な料金なのだろうか。この点についてひとつお答え願います。
  163. 朴木実

    ○朴木説明員 お答え申し上げます。  データ通信関係の設備料は、確かに先生御指摘のとおり四十九年度は約五億円を予定しております。しかしデータ通信関係の設備料と申しましても、これはコンピューターセンターを建設するに必要な資金の一部を御負担いただくという性質のものではございませんで、センターと端末機との間を結ぶ通信回線の建設費の一部を負担していただくという考え方のものでございます。一般にコンピューター関係は、民間の場合でもそうでございますけれども、レンタル制あるいはリース制ということでございまして、初期の投資をユーザーの方に負担していただくというケースは非常にまれなんでございます。その民間の状態と全く同じように考えまして、公社の場合も、コンピューターセンターの建設資金は別途調達して建設する、その必要な建設資金を毎月の料金で回収していくという考え方になっておるわけでございまして、その点電話の設備料あるいは債券引き受けというのと少し考え方が違うわけでございます。
  164. 平田藤吉

    ○平田委員 何で考え方が違うのですか。
  165. 朴木実

    ○朴木説明員 これはコンピューター関係の民間での商取引の伝統が大体レンタル制、リース制になっておるわけでございまして、それと歩調を合わせたということでございますが、実態的には一つのセンターをつくりますのに相当膨大な初期投資が要りますので、やはりデータ通信の今後の発展のためには、毎月の料金で回収していくという形態のほうが日本のデータ通信の発展のためにもなるというふうに信じております。
  166. 平田藤吉

    ○平田委員 料金でもってまかなっていくんですよというけれどもあとでまた質問しますが、料金でまかない切れるものじゃないのですよ。計算が合わないことになってくるのですよ。それはまたあと質問しましょう。  朴木データ本部長は、やはり二月二十日の委員会で、静岡銀行システムの投資額は約十三億だというふうに説明しております。     〔加藤(常)委員長代理、委員長着席〕 設備料が幾らなのか、債券は幾らなのか、経常維持費はこれまでの年度ごとに幾らかかっているのか、これについてひとつお聞かせいただきたい。
  167. 朴木実

    ○朴木説明員 お答え申し上げます。  私どもデータ通信サービスを提供しておりますのは、公衆データ通信サービスと各種データ通信サービスとございますけれども、各種データ通信システムにつきましては、いろいろユーザーさんの都合もございますので、個別にこまかな数字の発表は差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。ただ、静岡銀行さんだけのは、これは四十五年一社だけでございましたので申し上げたわけでございますが、設備投資額は、先ほど先生御指摘のとおり十三億かかりまして、銀行さんに負担していただきました債券額は三億円でございます。それから、そのときに御負担いただきました設備料は二百万円でございます。年度ごとの数字は発表さしていただきたいと思います。それからこのシステムにつきましての維持運営費用、コストがどのくらいかかっておるかという点でございますが、いろいろ電話関係とデータ関係と、支出の面で複雑に交錯しておりますので、現在その分計方法をしっかり確立すべく努力中でございまして、分計方法ができましたらまたお答えすることができるかと存じます。
  168. 平田藤吉

    ○平田委員 維持費もきまってないのですね。それで、料金でまかなうからだいじょうぶだとあなたは言うんですよ。そんなばかな話をしていたんじゃ通りませんよ。  次に、各種システムで設置後四、五年を経過したものとして運輸省自動車局システム、群馬銀行システム地方銀行協会システムがあります。それぞれの投資総額、それから債券、設備料、経常維持費の毎年度分とそれからそれぞれの合計ですね、これまでの維持費の合計、これ、出してみてください。
  169. 朴木実

    ○朴木説明員 ただいま先生御質問の点、整理してございませんので、暫時お時間をいただきたいと存じます。
  170. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、その際に損益勘定収支がどうなっているかもあわせて聞かしてください。  一般電話のほうは初めから大きな黒字が出るように仕組まれているんです。それなのにデータ通信のほうはもう最初から赤字なんですよ。さっき、つまり業界でずっと始めていた実績があるんで大体それに合わせたんだという説明をされましたけれども、今日たいへんな赤字を出しているわけですね。ですから、あなたのほうの説明だと、八年間で料金で回収するようになっているから心配ないんだと言っているけれども、今日に至るも、つまり投資した額に対して見合うようなものが入ってないで赤字が累積しているというのが実態だと思います。データ通信は四十七年度末で六十九億円の赤字になっているわけですからね。四十七年度末が六十九億だが、その後どうなっているか、わかりましたらお聞かせいただきたい。
  171. 朴木実

    ○朴木説明員 お答え申し上げます。  データ通信のセンターを建設しますのは御承知のとおり非常に巨額の資金を必要とします。大体普通数十億の金がかかるわけでございますが、そのセンターを建設しまして第一年目にお客さんが入ってくる、第二年目にお客さんが入ってくるというような形でございまして、サービスを開始したときはそのセンターの能力を一ぱいに活用するに足るだけの仕事量がないわけでございます。一方減価償却その他はもうサービス開始後始めるわけでございますので、センターのサービスを開始しましてから一年、二年、三年というような初めのうちは、支出のほうが収入を上回るというような傾向がどうしても出てまいるわけでございます。しかしだんだんとセンターの能力を十分に活用するだけに業務量もふえてまいりまして、八年間の後半で前半の赤字を埋め合わせるということで、八年間通して投下資本全額を、適正報酬率を含めて回収できるという考え方で料金をいただいておるわけでございます。したがいまして、まだ私どもデータ通信の商売を始めまして日が浅うございまして、新しいシステムが数多くございます。現在四十四システムございますが、その平均寿命と申しますか、サービス開始してから今日までの平均サービス期間というのはおそらくまだ一年何カ月ぐらいじゃないかと思うわけで、非常にサービス開始後間もないシステムが多うございますので、やはり赤字と申しますか、支出が収入よりもふえておるという状況でございます。しかし初めに始めましたシステムあたりはずいぶんと業務量がふえておりますので、システムによっては相当なところまで行っておるというのもございます。
  172. 平田藤吉

    ○平田委員 あなたのほうの数字、いまちょっと出してもらってから、またあらためてこのことについては質問することにいたしましょう。  第四の質問ですけれども、共同専用線について質問したいと思うのです。銀行と証券会社、それから証券会社と商社、商社と銀行、それから銀行と短資会社、これらの相互間の専用線はどんな基準で認めることになっているか、お答え願います。
  173. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  共同専用の場合いろいろ規定がございますが、先生がいまお話しございました会社の場合でございますと、緊密な関係がある場合に共同専用ができるようになっておりますが、その具体的考え方といたしまして、出資総額の一割をこえているような出資額を持っている会社相互とか、あるいはその双方の取引が二割以上を占めている程度の関係があるとか、あるいは業務委託契約をやっておりまして、しかもそれを継続的にやっておるというようなものといいますか、そういう関係がある場合には認められております。
  174. 平田藤吉

    ○平田委員 公衆電気通信法第六十六条を受け、五十七条との関連で専用設備利用規程があるわけですけれども、その五条で、いまいわれたように共同専用線契約を結べる場合を限定しているわけです。四十六年十二月二十七日付の「専用契約業務運営指針」なるものがありますけれども、その第一節第一項「共同専用契約の取扱い」というのはいま言われた点だと思うのですが、もう一度ひとつはっきりさせておいていただきたい。
  175. 玉野義雄

    ○玉野説明員 この場合、専用線は共同専用する場合に「相互に業務上緊密な関係を有するためその間の通信を必要とする二人以上の者」というまず定義がございまして、その緊密関係の定義といたしまして、先ほど申し上げましたように「専用設備を共同して専用しようとする者相互間において、発行済株式総数または出資総額の百分の十をこえる株式または出資の所有関係があり、かつ、業務上継続的な取引等の関係がある」場合というのが一つでございまして、それからその次に「専用設備を共同して専用しようとする者相互間において業務上継続的な取引等の関係があり、かつ、いずれか一方にとって相手方との取引額が自己の取引額の百分の二十以上を占めること」というのが次の場合でございます。  それから三番目といたしまして、「専用設備を共同して専用しようとする者相互間において、業務上の一部について、業務委託を行なう等密接な共助関係等の継続的な契約関係があること」というのが第三番目です。
  176. 平田藤吉

    ○平田委員 そこでお聞きしたいのだけれども、住友銀行と住友商事、伊藤忠と住友銀行間に専用線が引いてあります。これは「専用契約業務運営指針」、いま読み上げられた点について違反ではないかと思うのだけれども、どうなんだろうか。
  177. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほど私が申し上げましたのは一般の専用線の場合の共同専用でございますが、いま先生がおっしゃいました点は、具体的にちょっと調べないと申し上げかねる点がございますが、そのほかに、データ通信関係につきましては専用線でデータ通信をします場合には、一般の専用線の場合の共同専用と違いまして、緊密関係でなくて相当関係ということで少しゆるくなっておりまして、そういう関係がございますと、いわゆる製造業者とそれからその下請の間とか、あるいは問屋等で元請とその中間とか、そういう関係がありますとやれるとかいろいろございます。それから銀行相互ですと、違う銀行でも、預金の受け入れ、払い渡し等につきまして業務委託契約を締結しておりますとやれるという場合がございますので、そのデータのほうの特定通信回線か、それからあるいは一般の専用線の場合か、ちょっと調べさせていただきたいと思います。
  178. 平田藤吉

    ○平田委員 これは専用線が入っておるのですよ。それがデータの場合じゃないのかというふうにあなた言っておるけれども、いずれにしても、いままで入れられているのですから。これは市内専用回線ということになっています。ここに資料がありますけれども、住友商事と住友銀行との間のものが市内専用回線というふうになっていますよ。ですから、データ通信用じゃないですか。
  179. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  ただいまの場合、先ほど申し述べましたように、たとえば先生おっしゃいました住友銀行と住友商事、こういう場合に、先ほど申し上げました出資の関係が一割以上ですとできるとか、こういう関係がございますので、ちょっと出資関係とか取引がどうなっておるか、おそれ入りますが調べさせていただけないかと思います。そうでないとなかなか判定ができない点がございます。
  180. 平田藤吉

    ○平田委員 これは出資関係ではできないのですよ。つまりいま言ったような銀行と商社の関係ですね。あなたのほうにデータを出してくれといって出してもらってあるのだから、当然この問題は問題になることを承知だろうと思っておったのですがね。伊藤忠商事と住友銀行、三井銀行と日本銀行、三井銀行と平和相互銀行、それから三井信託銀行と野村証券投資信託株式会社、それから三井信託銀行と山一証券、同じく朝日証券、新和光、それから三菱銀行と三菱商事、三菱銀行と日本銀行、その他ありますけれども、一連のものが大企業の間でずっとやられているのですね。ですから、これは資本金の項には該当しないのですよ。一〇%以上というふうにいわれますけれども、大体独占禁止法十一条で銀行が会社の株式を一〇%以上取得してはならないということになっておるのですから、これは資本の関係でないことは明らかです。そうすると、何なのだろうということなんですね。あなた方は何を基準にしてやっておるのだろうかということが考えられるのです。何も住友銀行と住友商事、伊藤忠と住友銀行というだけじゃないのですよ。みんな大銀行と大きな商事会社との間やそれから信託銀行との間に全部引かれているのですからね。あなたはこれを承知の上だろうと思うのですよ。小さいことじゃないのですよ、大企業間、大銀行間でやられているのですから。だから調べてみなければわかりませんというのじゃ話になりません。業務の一部提携等の関係があるときは、そのためにのみ使用することができるというふうになっておりますけれども、この銀行と商社は業務提携があるんだろうか、ありはしませんね。つまり、普通電話ではなく、専用を使って全部内線で通話するようにできているんでしょう。私は、最初からこの問題はずっと押しているわけですよ。これはあと質問しますけれども、米澤総裁が電話料金の値上げ云々という発言をしたということは新聞で報道されている。こういう状況のもとにあって、やはり大企業に対してはこういう措置をとっておいて、そうしてデータ通信にしても、それからいまの専用線にしても、これはほんの一例です。こういうところに対してはたいへん出血で仕事をやって、その赤字を一般電話から入った収入で埋めて、なおかつ、電電公社の経営がたいへんになってきましたから、労働者が賃上げをいたしましたからということで、七円の度数料を十円に上げますなんということがいわれるようになってくる。黒字のところからさらにもうけをしぼり取ろうとする話が出ているから、ここのところを聞くのですよ。こういう点もあなたのほうでやはりはっきりさせなければ困ると思うんだね。そのためにこの前の委員会で私は聞きますよと言っているんですから。そのために専用線の調査もしているわけですから、あなたが具体例でわかりませんというんじゃ、ここで論議になりませんよね。  最後に残ってくるのは「業務上継続的な取引等の関係があり、かつ、その業務に関し相当程度の依存度」とあって、いずれか一方にとって相手方との取引額が自己の取引総額の二〇%以上を占めるというふうになっているんですよ。まさか商社から銀行が洗剤を大量に買うわけでもないでしょうから。品物を買うわけでもないんでしょうから。  そうしますと、ここにあなたが引いてはいけないという基準をもうけてある。この基準との関係で見たら、いずれも該当しないのですよ。契約することができないことになるわけです。そうでないんだというんなら、言ってごらんなさい。ところが、これがこうやって契約をして、公然と使われているんですよ。一カ月何ぼかけても二千二百八十三円で済むようにできているんですね。これは全国で見たら相当な量ですよ。こういう仕事がやられていて、大事なところへくると、わからないから調べさしてくださいという話になるのですよ。いつだってそうでしょう。全然わからないんですか。
  181. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほど申し上げましたように、データの場合もございますし、いろいろございますので、やはり実態を、おそれ入りますが、ちょっと調べさしていただきたいと思います。
  182. 平田藤吉

    ○平田委員 材料あげましょうか。ありますよ、ちゃんと。
  183. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  わが国の専用線は確かに非常に厳重にいたしております。それから、この間のデータ通信で特定回線というのは楽にいたしましたが、電話のほうはその機会にさらにシビアにいたすつもりでおります。  ところが、何しろ終戦以来、この実際的な事務は電話局で扱わせておりましたので、実態の中には、いま先生御指摘のようなものが率直に申し上げましてあると思います。それは私どもいま直ちに調査をいたしまして、いま先生御指摘のような事実がございましたら、直ちに契約を解除いたします。
  184. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた方はとぼけたようなことを言っているが、四月段階全国から専用線関係者を集めて会議を持ったんじゃないですか。持ったんでしょう。会議を持って検討したのでしょう。どういうことを検討したのです。
  185. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  実は私ども、専用線につきましての緊密関係というものを出していただきますときは書類上で出していただくわけでございますね。したがって、書面審理が中心でございまして、私ども電電公社として経営の実態まで立ち入るということは事実上できませんし、そういう関係で、まだあるいは御指摘のような事実もありますので、書面と実態が合っているかどうかをこの機会に全国的に見直すということは相当時間がかかると思いますが、必ずやります。
  186. 平田藤吉

    ○平田委員 この間四月の段階で、全国から専用線担当者を集めて会議を持った。その会議の席上でそういう指示をしているのですか。あなた方は、私がこの前専用線の資料を出しなさいということを要求したら、ぐずぐず言っておったのですよ。それで一覧表しか出さなかった。契約状況まで出せと言ったのだけれども、一覧表しか出さなかった。そうしておいて、四月段階に担当者を集めて会議を開いているわけです。だとしたら、こういう質問を受けて答えられるような準備がなされていていいはずなんですよ。私のほうだって一定の期間を置いて調査をしているのですからね。あなた方はあなた方の手の中にあるのですから、すぐわかってしかるべきなんですよ。これは電話料だけでもばく大な金額ですよ。普通の一般電話と同様に、つまり商店や何かが使っておると同様に電話料金をいただくとしたら、ばく大な金額になると推定される。あなた、調べてみなければどういう項目に該当してつけたのかよくわかりませんみたいなことを言っているけれども、そういうことじゃ済まされる問題じゃないと思うのです。もう一度、その実態についてほんとうに知らないのか。じゃ、どうするんだ。いま言ったように、どの条項をとらえてみたって、こういう銀行間で通用するようなことはできていないはずですよ。あなたのほうで答えてください。
  187. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほど遠藤さんからもお答えいたしましたように、実態を調べまして、そのとおりになっておらなければ契約解除等の措置をしたいと思っております。
  188. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、もう少し読み上げておきましょう。あなた方がそう言って、次の質問をする段になると、その場で答えられないようなことを言うんじゃ困りますから。  住友銀行と日通東京現送事務所、それから住友銀行と平和相互、それから住友銀行と太陽投信委託KK、三菱信託銀行と日光証券の投資信託、こういうものについて調べて、そしてその結果をはっきりさせていただきたいというふうに思います。  そこで、朴木本部長、データ通信の先ほどの質問に対する説明ができるようでしたら、お願いします。
  189. 朴木実

    ○朴木説明員 お答え申し上げます。  先生御質問の群馬銀行の為替交換システム全国地方銀行のシステム、運輸省の自動車登録検査システム、この三つ合わせまして建設投資額は、四十八年十二月までのうちに九十五億円でございます。この三つ合わせまして債券を引き受けていただきましたのは、これは御案内のとおり端末機だけに見合う債券でございまして、約五億円でございます。それから設備料は、これも電話回線見合いのものでございまして、約六千万円でございます。それから収入、支出関係の収支率でございますけれども、この三システム合わせまして四十六年度は一七一%の収支率でございました。まだまだペイしておらない状況でございます。四十七年度は四三%改善ができまして、四十七年度の収支率は一二九%でございます。だんだんとこのように向上してまいりまして、私どもも八年間で収支が完全に回収できるものというふうに考えておるわけでございます。
  190. 平田藤吉

    ○平田委員 この場合の経常維持費についてはどうなんですか。
  191. 朴木実

    ○朴木説明員 お答えを申し上げます。  各システムそれぞれ分離した経常維持費というものを出すのは非常にむずかしゅうございまして、先ほどお答え申し上げましたように完全な分計方法を現在検討中でございますが、いま申し上げました三つのシステムは、私ども最初にサービス開始したシステムでございまして、相当実績も積んでおりますので、大胆な仮定条件を設けまして特別調査をやりまして支出をつかんだわけでございます。
  192. 平田藤吉

    ○平田委員 維持費の計算もできないで、よくこういうふうに数字が出たものだというふうに思うんですね。これは維持費がばく大な金がかかっているのです。しかも最初の時期ですから、これはたいへんな金がかかっているのです。ですからこれはさらに突っ込んで検討しなければならない問題だ。いま私も、時間があれば各システム単位を聞かしてもらって、そうして突っ込まなければならぬと思っていたのですが、もう時間もなくなりましたから、あらためてまたこの問題はお伺いすることにしましょう。  いずれにしましても、この前の質問のときは独立採算でありますというふうに言っておったけれども現実は独立採算になってはいない。独立採算にする根拠すら明らかでない。しかも料金をきめる根拠すら明らかではない。総合された経費も、経常維持費、ばく大にかかるあの経常維持費をも含めて、そして料金というものがきまってくるはずなんです。ところがそういうものは一切計算に入っていないで料金がきめられている。暫定料金といわざるを得ない。独立採算なんということはどこを押したって言えた筋合いじゃないと思うのだが、これは米澤総裁、どうなんです、独立採算問題……。
  193. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、データ通信を始める場合にあたりまして、いわゆる個別データ通信、個々の団体あるいは企業あるいは組織、そういうところから依頼がありましてやるデータ通信と、それから一つのコンピューターを時間で分割いたしましてやりますいわゆる公衆データ通信、その二つの大きなシステムに分かれていたしました。データ通信については、ヨーロッパの国あたりを見ましても、アメリカの非常な巨大な資本でそれがうまくいかないという例がございましたので、逓信委員会あたりでも、電電公社がしっかりやれということも、しばしばそういう質問がございました。公社といたしまして、本格実施を公衆法の改正で実は三年前から始めたというのが現状でございます。それ前は試行サービスということで進めてまいりました。その際に幾つかの基本的な考え方を立てまして、独立採算というのは、とにかくデータ通信というのは何といっても、たとえば中小企業が使うにいたしましても、やはり利用者が限られているから、その赤字というものを電話でかぶるのはやはり望ましくない、したがって、とにかく新しい技術であり、技術革新のものでありますから、八年間において収支をペイさせよう、とにかく投資いたしましたときにいきなり黒字というわけにはいかないのでありまして、初めのうちは赤字が多うございますが、公正報酬率八%を含めて八年間で投資額を全額回収することにしております。先ほどデータ通信本部長が言いましたように、稼働して非常に間がない設備が多い、大体一年とか二年ぐらいのものだと思います。したがって公社といたしましては、この独立採算というものは私も非常に熱心に実は公社の部局を督励しているわけでありまして、どっちかといいますと技術がおもしろいので、技術サイドだけで走ることのないようにというようにやっている次第でございます。ただ、何といいましても、初めは赤字だということだけは御了解願いたい、八年間で公正報酬も入れてきちっとした収支を立てていく、こういうことを考えております。
  194. 平田藤吉

    ○平田委員 総裁はそうおっしゃるけれども、独立採算制でやっているのでございますと言うけれども現実は独立採算制になっていないんですよ。八年間でペイすると言うけれども、四年ないし五年たったものが依然として赤字が続いているんですよ。もう大幅に黒字に転化しなければもとは取り返せないんですよ。だから、やはり実態を正確に国民の前に明らかにしていく必要があると思うんですね。だからそこら辺は、あなた方も手探りの分野もあるだろうと思うんですよ。それはそれではっきりさせて、この点はこうでわからないというふうにはっきりさせながら、問題を国民の前に明らかにしていくという態度がやはり必要なんじゃないか。いや、八年間でペイしますからだいじょうぶです、八年たつというと、いままで四システムでしたが今度は十システム新たにできまして、そのほうの経費がかさみましてなんて、赤字が続いていっても、また同じでございます、でも前のはもうだいじょうぶなんです、個々に出しなさいと言うと、いろいろユーザーとの関係がありますので、その発表だけは御遠慮をさしていただきたいというような話になるんですよ。だからそういうことではいけないので、もう四年も五年もたっているのだから、最初のうちからちゃんとしておかなければいけませんよ。独立採算制ができていないなら、できておりませんということをはっきりさせて臨む必要がある。料金についても、暫定料金でございます、とにかくまだ始めたばかりで、進めてみなければよくわかりませんのでと言うなら、それはそれで了解がつくんですよ。八年でペイする——計算ができないで、八年でペイするなんというようなことばかり言っていたのでは話になりませんよ。いずれにしましても、この問題は電電公社の赤字をつくり出していく重大な問題になってくるので、やはり負担の公平からいっても、合理的な料金という面からいっても、今後十分検討していただかなければならない問題だというように思うのです。  それで、専用線の問題も中途はんぱになっております。これもあらためて検討さしていただくことにします。  ついでに注文しておきます。全国の専用線がどうなっているのかということもあわせて——私はいま幾つかの専用線だけ申し上げましたけれども全国で専用線がどれくらい結ばれているのかも含めて、専用線の問題についてはあとで明らかにしておいていただきたいというふうに思うのです。  時間もなくなりましたから、最後に米澤総裁にお伺いしておきますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、四月二十四日と五月八日の記者会見で、電話料金を来年度から値上げしたいとの考えを明らかにしたというふうに新聞に報道されていますけれども、これは事実かどうかということについてまずお聞きしたいと思います。
  195. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がございました新聞記者会見で質問が出まして、私のほうが先に発言したわけではございません。それは今度の春闘で、昨日、例の仲裁裁定の実施の問題を国会で御承認いただきました。昨年の例を考えまして、昨年は資金といたしまして約八百五十億円ベースアップに金が要りました。とにかく昨年の十一月以降の物価の異常な上昇、こういうことがありましたので、ことしは仲裁裁定で定昇を入れまして約三〇%のベースアップになりました。金といたしまして約千八百四十億円要る。これは郵政省に出すものも入っておりますが、したがって、それに対して資金的なり、あるいは収支がどうなるかというそういう質問がございました。私は前々から昭和四十九年度は値上げしないということだけは申し上げておったのでありますが、昨年の例もございまして、昨年八百五十億円要ったので、大体ことしは一千億円ぐらいのものは用意できておったのでございます。しかし今度のベースアップが非常に大きいのと、その他いろいろ物価の上昇も激しいので、それからまたこの四月の公社の収入状況を見ましても、やはりちょっと増収より、幾らか予定収入も減るような傾向にございます。したがって、このままで節約あるいは増収努力をしても、やはり本年度千億ぐらいの赤字になりはしないかということを言ったのでございます。ただ、実際問題といたしましてまだ来年のことでございますから、はっきり来年料金値上げを考えているということを言ったわけではございません。ですからたしか新聞にも、示唆している、そういう表現になっておると思います。八月末に郵政大臣のところに昭和五十年度の予算を概算要求で出すわけでございまして、いまよりもう少し経済情勢もはっきりしてまいります。いまのままでは、昭和五十年度が赤字のまま組む形になりはしないか、こういう発言をしたのでございまして、新聞も、私が昭和五十年度に料金値上げをやるというふうには書いてなかったと思います。示唆しているというふうになっている。あとは従来からいろいろ問題になっておりましたことを書き上げていたというように思います。  大体そういう経過でございます。
  196. 平田藤吉

    ○平田委員 示唆している、まあ微妙なことなんだけれども、総裁自身としてはどう考えているのか。実際には上げざるを得ないだろうと思っているのかどうなのか。
  197. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  私は、八月末の時点では赤字で組まなければならない、これはそう考えておりますが、その後どうするかはもう少し先の時点でお答えしたいと思います。
  198. 平田藤吉

    ○平田委員 私は電話料金の値上げはやるべきでない。私もこの電話問題についてはいままでずうっと取り組んできておりますけれども、どう計算してみても大きな黒字を出しているんでね。その上また大衆収奪の電話料金を値上げするというようなことはやっちゃならないというふうに思うのです。赤字が出てきているとすれば、電話料金をどうやって上げようかなあということを考える以前に、いま申し上げましたようにビル電話の問題や専用線の問題、専用線も各種専用線がいろいろありますから、そういう問題だとか、あるいはデータ通信をめぐる問題だとか、電電公社のそういう分野全体をもう一度まず見直してみる必要があるというふうに思うのですね。そのことに手をつけずに電話料金の値上げをまず発想するというような考え方は正しくないし、現状に合わないし、公衆電気通信法の第一条の精神からいってもはずれるものだというふうに思うのです。そういう意味で、これまでの論議もお聞きになった大臣の見解をひとつ聞かせていただきたい。電話料金は上げるべきではない、そして赤字が出ているとすれば、いま言ったような分野を見直すべきだということについて見解を聞かしていただきたい。
  199. 原田憲

    原田国務大臣 私はあなたのおっしゃるとおりだと思う。何でもかんでも進んで上げたい者はだれもいない。上げるということの前提のもとには自分たちのやっている企業というものについての努力がどれだけできるかということをまず前提に立てなければならぬというあなたのおっしゃっていることは、そのとおりだと思います。  いまの電電公社が持っておりますところの五十二年度までの事業というものは、これはここでも議論がされておるように、この方向というものは大体そうだろうということをお認め願っておると思います。したがってそれをやっていくのに、ことし総需要抑制という中でも、一般の生活電話といいますか、それは苦しい中でもできるだけ伸ばしていくという方向をとった。この生活電話というものは、先ほどもあなたがおっしゃっていましたが、いままでは収益という面に相当大きな貢献ができたけれども、これがシビルミニマム的なほうへ拡大していくと、大きくかせいで大きな黒字を出せというような事業性というものは私は低下していかざるを得ないと思う。だけれどもこれを独立採算制でやっていく限りは、どこかでかせいでこなければその人たちのサービスはできないということになる。先ほど指摘されておりました専用線であるとかデータ通信というものが、かせぎ出すより逆に足を引っぱっておるというようなことになったら、これはもうたいへんな間違いが起こる。これは最初からもうかる商売というのはありません。借金してでもものをつくって、そしてそれを使用料をもって収益をあげていって借金は返していくということになるのであって、この八年間にいまの事業もペイするように持っていきます、こういうことを電電公社が申しておるのでございますから、指摘を受けたような点につきましては、企業努力を十分に注意をいたしましてやっていくということが根本であろうと私は思います。それから問題についての検討をしなければならないならそのときに考える、こういうことであろうと思います。
  200. 平田藤吉

    ○平田委員 まあどっちともとれるような答弁をされております。いずれにしましても、もう時間もなくなりましたから私は最後に一言申し上げておきますけれども、値上げを検討する前に検討をすべきことは、やはり政府と公社の姿勢だろうというふうに思うのです。きょうも質問でいろいろ行ないましたように、どれをとってみても大企業奉仕が平然とやられているわけです。公衆電気通信法第一条では、合理的な料金でなければならないというふうにいわれております。ところが合理的な料金ではなくて、たいへんな黒字を一般電話から生み出して、それを大企業のための他の事業につぎ込んでいくというようなことになっているわけですね。この姿勢こそ洗い直さなければならないものだというふうに思うのです。大企業奉仕をやめて公平の原則に立って、しかも合理的な料金という立場をしっかり守るべきだ。そうすれば電話料金の値上げなど、わざわざ示唆したとかなんとかいわれるような、奥歯へもののはさまった、何とはなしにそうなんではないかと思わせるような、もったいぶってあらためて検討する必要はないのだというふうに思うのです。たとえば沖繩の例にいたしましても、あなた方のほうから出していただいた資料によれば、設備料はいままで九千円だったのですね。債券なし、設備料九千円ですよ。これは本土では五万円取っているわけでしょう。これが九千円でできている、債券はなしでやっている、そういう状況なんですね。ですから決してできないことではないんだというふうに思うんです。  私は、公社の姿勢を洗い直すこと、大企業奉仕をやめて国民に奉仕する立場に立つことを要求しまして、時間が参りましたのできょうの質問を終わります。
  201. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、田中昭二君。
  202. 田中昭二

    田中(昭)委員 逓信委員会もこれが最後になるかと思いますからいろいろな問題をお聞きしますけれども委員長におかれましても、答弁者におかれましても、ひとつ十分その点を配慮いただきたいということをまずお願いします。  質問申し上げます項目をまず最初に申し上げておきますと、最初に郵便料金等の値上げ問題、これを最初にお伺いしたいと思います。次に人命尊重と船舶の安全、緊急発信装置といいますかSOSブイについて、三番目に、これに関連し電波法の改正についてお尋ねし、最後に記念切手の発売についてお尋ねしたい、このように思います。  簡単にお尋ねしてまいりますが、今月に入りましてまた、いまの狂乱物価がまだおさまらない中で当局は本年度内に郵便料金を値上げするかもわからない、こういう報道がなされておりますが、これは具体的な値上げの幅とかそういうものを発表できるものであるかどうか、それから実施時期は大体いつごろを考えておるか、そのための郵便法の改正はいつごろ提出する考えでありますか、簡単にお答え願いたい。
  203. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  昨年の十二月に、郵便事業の健全な経営を維持するために昭和四十九年度から五十一年度までの三年間の収支均衡を目途としました郵便料金の改正をすべきであるという答申をいただいたわけでございます。しかしながら、物価抑制策が政府の最大の課題であるという判断の中で、最終的には小包料金を除きまして郵便料金の改正を織り込まないということで昭和四十九年度の予算を編成いたしまして、すでにその予算は通過したわけでございます。しかしながら、先日出されました仲裁裁定に示されましたような給与改定を実施することといたしますと大幅な財源の不足を生ずることになるわけでございます。四十九年度の予算の中で、先生御案内のとおりすでに六百九十六億の財源不足がございまして、これを借り入れ金によるということにいたしておりますが、今度の給与改定のために必要な不足原資が約六百数十億ございますので、合わせますと約千三百億円ばかりの赤字ということになるわけでございます。  これに対する措置といたしましては現在まだ検討中でございまして、ただいま御指摘がありましたような郵便料金の改正をするということも一つの方法でございますけれども、また六百九十六億のほかに、いま足りなくなった六百数十億借り入れ金をふやすということも一つの方法でございます。また一般会計から繰り入れをもらうというようなことも考えられるわけでございまして、それらにつきましては今後政府内部におきましていろいろ検討して、その上で結論を出すということでございます。
  204. 原田憲

    原田国務大臣 いまお尋ねの問題、非常に具体的にお尋ねになっておりますけれども、私どもは、いま局長もお答えいたしましたけれども、そのような具体的なことはいまは考えておらないのでございまして、この郵便料金の問題につきましては、もう田中さんもよく御存じのとおり、昨年、今日の郵便は九〇%までが人手である、その人たちの給料も、ほかの事業も上がっていくのですから当然ベースアップもしなければならぬ。そういうことを考えていくとこれはどうしてもやっていくことはむずかしかろうというので、審議会からすでにこれは具体的な答申が出されたわけでございます。ただし、先ほど局長も言いましたように、その当時の情勢というものが大蔵大臣のことばで物価は狂乱状態にあるというように、石油問題その他あらゆる問題が重なってまいりまして、どうなるかわからぬというような状態、これを何としても鎮静させることが一番大事な政治課題であるというので、そのために私どもは郵便料金の値上げの問題は、国鉄運賃がきまっておるものを半年延ばすということで十月まで延ばすという施策をとる、これに平仄を合わせて、小包は十月までは上げません、あとの問題はことしは織り込みません、そうすると、一体給料もどうして払うんだというような問題になってきます、費用等の問題で。それは借金でやりますということで、初めて六百七十億ですか、これを借り入れ金でまかなうという予算を組んでいまやっておる最中でございます。この政府の政治姿勢、国民の御協力によりまして、物価は、昨日も発表されておりますけれども、これは日銀の発表でございますけれども、対前月比を見ると〇・七でございましたか、その前の月、その前の月を見ましても、いわゆるまだ物価が下がったとかいうような状態ではございませんが、いわゆる安定の方向を見出しつつある、こういう状況下にございますが、しかしその中にありまして、仲裁裁定が行なわれて、これに約三〇%の給与ベースアップを行なわなければならないという問題が生じてきたわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、やはり物価が上がっておるときに生活も苦しいというのを当然であるからというのでこの仲裁裁定を実施をするということに積極的な姿勢で臨むために国会に承認を求める、こういうことをいたしたわけでございます。そういたしますと、これだけに要する費用というものを勘案してまいりますと、いまも局長が言いましたように相当な経費がここに要る、これはどうしていくのかということでございます。しかし冒頭に、私どもが今年度物価問題が最大問題であるということから、値上げをせざるを得ないという答申をいただいておるものすらもこれを押えてきたということも考えながら今後に処していきたい、こういうのが現在の率直な立場でございまして、まだいつから幾ら上げるというような問題につきましては考えておらないところでございます。
  205. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵政事業が赤字であるということは何べんも承っておりますが、私はそれに対してはたいへん疑問があります。赤字だからこういう方法があります、こういう方法があります、そんなことを私は聞いたんじゃないんです。それに対して大臣の懇切丁寧な御説明がございましたけれども、それはそれでわかりますけれども、ベースアップがあったといいますけれども、去年の年末からのあの狂乱物価は一般世間ではほんとうに生活に困って、サラリーマンの方も、聞くところによりますと、お昼弁当も全部うちでつくって持っていく、それで百円でも五十円でも生活のかてをつくり出すというのが現実なんです。そういう現実と、それじゃここに新聞報道がなされておりますけれども、私は具体的に申し上げますけれども、具体的に報道されていることはうそでございますか。それは端的に言えばそういうことになりますけれども、答申で出たものよりも、一種で、答申で出されたもの三十円のものが五十円になるであろう、二種が二十円で答申が出されたものを三十円で検討しておる、これは政府、自民党の料金抑制方策とまっこうから対立するだけに今後問題化するだろう、こういう報道がなされております。あまりにも無神経じゃないですか。いま物価は安定したと大臣はおっしゃいますけれども、それはどの辺で安定しているか。それは安くなったのじゃないということは大臣もお認めになっておる。その現実国民生活というものから、本年度は郵便料金は小包以外は上げない、こういうことで国民もそれなりに了解していると思うのです。  そこで、これは新聞報道でございますから、先ほどの電話料金と同じでそういう問題も含んでおると思いますから、こういう議論をしておりましたら時間がもったいのうございますから先に進みます。  郵政省の事業収入、支出が一応独立採算制の形をとっておりますから、私もどこでそういうふうに赤字になっておるのかと思っていろいろ勉強もしてみました。一番問題になるのは、郵政事業の中で人件費が八割も九割も占めるということは、私たちここでは聞きますけれども、それじゃ実際に郵便事業で入ってくる金、収入があるところ、それから支出がなされるところ、そこでこの問題を、人件費が八〇%も占めておるということをいろいろ探索してみますと、はっきり言ってその実感がないのです。そこで、そういうこともいろいろございますが、またあとに回しまして、この郵便事業が独立採算というものでいくとするならば、いまの郵便料金で大体どのくらいの原価がかかっているだろうかということを一ぺん教えてもらいたい、私はこう思います。四十七年度のものはお聞きしておりましたけれども、四十八年度ができておれば四十八年度で、できておらなければ四十七年度でもけっこうでございますから、いわゆる郵便物一通といいますか一個といいますか、それにかかる原価というのはどういうふうになっておるのかお聞かせ願いたいと思います。
  206. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 昭和四十七年度の原価計算の結果しかただいまのところは出ておりません。先生御承知かと思いますが、原価計算をやります場合は決算に基づきまして、その中から原価要素を引き出して計算するわけでございますが、四十七年度の原価計算の結果によりますと大体次のようになるわけでございます。  第一種の定形は、十八円七十一銭の原価に対しまして十九円九十六銭の収入で、四十七年度におきましては一円二十五銭の黒字が出ております。それから第二種、これははがきでございますが、十三円二十一銭の原価に対しまして九円九十八銭の収入でございますので、三円二十三銭の赤字でございます。それから第三種でございますが、定量扱いの週三回以上のものにつきまして見ますと、二十二円二十八銭の原価に対しまして六円八十七銭の収入でございますので、十五円四十一銭の赤字と相なります。同じく月三回以上のものは十九円四十二銭の原価でございますので、収入が六円五十四銭で、十二円八十八銭の赤字ということになっております。それから、その他の第三種につきましては二十五円十三銭の原価に対しまして十七円六十九銭の収入でありますので、七円四十四銭の赤字ということになっておりまして、第三種につきましてはいずれも相当な赤字になっておるわけでございます。また小包につきましては、全体は赤字でございます。その中で利用の大宗を占めております普通小包について見てみますと、三百四円七十二銭の原価に対しまして二百七十七円九十六銭の収入でございますので、二十六円七十六銭の赤字ということに相なっております。  以上でございます。
  207. 田中昭二

    田中(昭)委員 少し黒字が出ておるものを省略なさったようでございますけれども、まずそういう原価計算といいますか、全体の総収入、総損益といいますか、そういうものではどういうふうになっておるか。特に第一種の定形外なんかというのは、相当四十七年度でも原価計算では収入の四割ですか、四割ぐらい黒字になっておるようですね。そういうものがあるわけでございますが、いわゆる総収入、損益から見た場合にその黒字はどういうふうになるのか。それからはがきが、だいぶ赤字が単価の上では少ないようでございますけれども、総体では大きいようでございますが、それはどのくらいを占めるものかお答えを願いたい。
  208. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 一総収入とそれから総原価で比較いたしますと、第一種につきましては八百二十三億の総原価に対しまして総収入は八百七十八億でありますので、原価上の損益といたしましては五十五億の益が定形で出ております。定形外では二百十億の総原価に対しまして総収入三百七十五億でございますので、百六十五億の益が出ております。先生御指摘のように第二種につきましては、総原価が七百二十六億でありまして総収入五百四十九億でありますので、赤が百七十七億ということで出ております。それから第三種につきましては、定量扱いにつきましては週三回のものにつきまして六十二億の赤、それから月三回で五十二億の赤、その他で二十八億の赤、このようになっております。
  209. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは四十七年度でございますからどうかと思いますが、もう一ぺんお聞きしますが、この四十七年度の原価別の損益を見てみますと、小包は別にしまして、通常の郵便物の中では赤字が最も大きいのが、いまおっしゃった第二種ですね。それが全体の赤字の四〇%以上を占めておりますね。どうしてこれは第二種、はがきだけがこんなに赤字になるのか、その原因は何でしょうか。——正確に答えてもらうために、あとでまたお答えをお願いします。  そこでいまいろいろ原価計算を聞きましたけれども、これは整理してみますと、結局人件費が八割も九割もかかっているということは、これはただそういうふうな計算が出るというだけで、私はこれをそのまま原価計算の中に入れるということについてはたいへん問題があるし、また私現場に行ったところで郵政職員のほとんどに聞いてみますと、そういう感覚は全然ないんですね。たとえば自分郵便局で、それは郵便局は大きいところも小さいところもありますからいろいろありましょうけれども、ほんとに自分たちの給料がその郵便局全体の収入の八割も九割もかかっておるとするならば、私はもう少し郵政省のいろいろな問題がはっきりならなければ、国民に対してそれは説得力はない、こういう一点を強く感じたわけです。  集約的にまたお尋ねいたしますが、今回のこの大幅な値上げが予想されるという段階で、たいへん国民の感じとしては、この新聞報道を見ましても、さらに政府の物価上昇の追い打ちがかかったというような感じがしてならないと思うのです。日ごろ、多くの人たちがこの郵政事業に対してたいへんな不満を持っております。この不満の解決の道を見出さずに値上げだけを国民に押しつけるということは言語道断であり、許すことはできないことである。当局はこの国民の不満をどのように受けとめ、その責任をどう考え、その不満の解消をどう国民に約束し、実行する決意がありますか。こういうところかはっきりしなければ——これは大事なことだと思うのです。そういうことがはっきりしなければ、国民としては道理を無視する料金値上げ、この問題の多い郵政事業の、いままでここでいろいろ論議をされました労使関係郵政省職員には残虐物語という本まで出ておる、こういうものの解消にはならない。ひとつ国民に向かって納得のいく御答弁をもう一回大臣から承りたいと思います。
  210. 原田憲

    原田国務大臣 郵便局員に尋ねたら満足しておる者がないというお話ですけれども、それはだれだってそうだろうと思いますよ。あの山奥で一人の郵便局員が一生懸命遠い山道を歩いていって届けておる、その月給がほかと比べてこれで十分だろうかという思いをしているのは、私はみなそうだろうと思う。それが払えないということはなぜか、こういう問題が先ほど私が申し上げておるところにあるわけでございまして、どこで働いている人だって——まあ人間てございますから欲というものは切りがありませんから、一億も金を持っておってまだ満足でないやつもいれば、一万円でもありがたいと思う人もありますけれども、一般に働いておる郵便局人たちが、なまけておるなら知らぬこと、一生懸命働いておる者が人並みに暮らしたいと考えることは私は当然だろうと思います。  それを払うためにどうしたらよいかということでございまして、いま御指摘の皆さん方にサービスをしてそして収入を得て月給を払っておるのでございますから、そのサービスが行き届かなかったら国民の皆さんから反撃を食らう、こういうことになるのでございます。国民は郵便から何を一番期待しているか、争いこともそうでしょうが、私はいまのところ正確に出したものが届くことであろうと思います。そういうことについて、きょうも朝の委員会で、どこからどこまで十日もかかったというような御指摘もありました。こういうことにならないように、労使がよく話し合いをして、職場を正常化して、そして国民の要望にこたえるということを着実に行なっていったら、国民の皆さん方が、それは一枚十円のはがきを二十円で買ってもかまわぬと私は御理解も賜わることができると思う。日本の、物を運送しておる中で、これだけ仕事を一生懸命やっておる職場というものは私は少ないと思います。指摘をされれば欠点もございます。それをなくしながらつとめてまいりたい、こういうことが基本にございますので、田中さんの言われるように、国民に十分なサービスをしておると国民の皆さんから言ってもらえるように努力を重ねることは一生懸命やりますけれども、一生懸命やることをつとめても、もとがなかったら給与も払えないということではこれはやっていけないのでございまして、そのことすらも、私どもはことしの予算の冒頭に、これをこのくらいにしてもらったらどうだという答申をいただきましたけれども、おわびを申し上げて、ことしは織り込みません、こういうことをやっておることも御理解を賜わりたいと思う次第でございます。
  211. 田中昭二

    田中(昭)委員 委員長にお願いします。私の聞いたことにひとつ答えてもらいたい。  私はまずこういうことを論議する前には、当局国民の不満は大体どういうふうにあるか——それでは言ってみてください。何か調べたものがございますか、まずそれからお尋ねいたしましょう。国民は郵政事業に対してどういう不満をどのくらい持っておるか調べたことがありますか、それから解決してもらいましょう。
  212. 石井多加三

    ○石井政府委員 郵便事業の中でいろいろ国民の皆さま方から寄せられておる不満ということを特に郵政省から一般国民調査して調べたというデータはいまここに持っておりませんけれども、郵便事業をスムーズにやるために郵便のモニター制度というふうなものをつくりまして全国のたくさんのモニターの人たちにお願いいたしまして、その方々あるいはその周辺の方々が郵便に持っておられるいろいろな不満を絶えず吸収するようにいろいろな意見を取りまとめております。また随時随所に、けさほども質問がございましたような郵便の遅配に対する苦情は、非常に残念なことでございますけれども、たくさんわれわれのほうにも寄せられておる、これを正常化することをいま一生懸命やっておるわけでございます。
  213. 田中昭二

    田中(昭)委員 国民の不満がどういうふうにあるかということもよく調査もできないのでは、国民にサービスを提供する郵政業務がうまいぐあいにいかないのはあたりまえじゃないですか。  私は指摘をしておきましょう。去年一年間に新聞紙上に投書された郵政事業の不満というものは国鉄の次に多いのです。そういうことはあなたたちちょっと注意をすればわかることです。その内容たるや郵便料金を値上げするなどといえる内容ですか。私がここで郵便法をいろいろしろうとが言うまでもなく、第一条を見ましても、この郵便法の目的は、郵便の役務をなるべく安い料金で公平に提供する、こういうことがうたわれております。第三条には、料金は適正な費用を償い、その健全な運営をはかることができるに足りる収入を確保しろと書いてあるじゃないですか。第五条には、この郵政事業はほかのものではできない独占の事業であるということも法律できめてある。この法の規定から見ましても、こういう安易な値上げを考えるということ、いま大臣は郵便物が正確につけはいい——つかない事実がこの委員会でどれだけ指摘されましたか。郵便の遅配、欠配、事故による被害、現金の抜き取り、預貯金、保険料の詐欺、不当契約、その他当局の監察局が指摘した事故は、内外部にわたって事例が減らないじゃないですか。最近は、零細な貯金者が貯金した貯金とか簡易保険が、多額な保険金詐欺事件によって損害を受けている。こういうものを数え上げれば切りがありません。そしてまた労使問題についてもこの場で多く指摘されておることを聞きますと、私たちはもう聞いておって忍びがたいような気持ちがしますよ。当局がこれらの内外の問題をかかえながら、赤字だからその犠牲を国民にしいるということは、問題の解決にはならないということだけ、私はひとつ十分認識してもらわなければ困る。どうですか。
  214. 原田憲

    原田国務大臣 御指摘のような点は先ほども申し上げましたけれども、私どもが厳に戒めて、国民の皆さん方からいま投書の件も国鉄の次に多いと御指摘がありましたが、そのようなことのないようにつとめることがまず第一番でございます。そのことにつきましては先ほども申し上げたわけでございますが、このようなことをやり、企業努力を行ない、あらゆる面で検討をしていく、その上でなければ安易な値上げというものはそれは考えられないということは、先ほどの電電公社の問題につきましても私が御答弁申し上げたところでございまして、私は安易に値上げをするということはどうも考えておりません。
  215. 田中昭二

    田中(昭)委員 料金問題はこれで終わっておきます。先ほどのあれはあとでまた私に書類でお答え願いたいと思います。ようございますか。  次の問題に移ります。次の問題は事柄が変わりますが、先ほど言いました人命尊重という問題で、海難事故発生しました場合に、その事故の救助ということは何といっても人命救助と船舶の安全が最優先されなければならないことであるということは申すまでもないことでございますが、その場合、遭難船が発する緊急発信装置といいますか、SOSブイは重大な関心を持たざるを得ないのであります。このSOSブイについて、まず当局並びに大臣の御所見を伺いたいと思います。
  216. 齋藤義郎

    ○斎藤(義)政府委員 お話のございましたSOSブイでございますけれども、これは運輸省の省令をもちまして最近非常に小さな船までも強制されるということになったわけでございまして、海上の安全という観点からいたしますと、非常に大きな重要性を持っておるものでございます。それで、その後最近において普及したわけでございますけれども、その数が約二万ということでございまして、あらゆる船が海上において安全に航行できるように、あるいは万一が一の場合には人命の救助という面で間違いなく作動できるようにということで、われわれは腐心しておるわけでございます。
  217. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体大臣も同意見ですね。では時間がございませんから、次に海上保安庁来ていただいておりますか。——海上保安庁にお尋ねしますが、私先日お願いしておりました海難事故の件数並びに内容について、ひとつお知らせしておったようなことで御報告ください。
  218. 山本了三

    山本(了)説明員 御質問の件でございますが、海難の発生件数は四十年以前の二、三年の平均をとりますと約二千八百隻台であります。四十年からの二、三年の平均は二千七百隻台、それ以後、四十三年以後は大体二千六百隻台で横ばいの状態であります。
  219. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、具体的な遭難数の中から、特にSOSブイにかかわる状況をお聞かせ願いたい。このSOSブイの取り扱いについて、海上保安庁においてもいろいろ御指導なりなさっておると思いますが、SOSブイについての海上保安庁の持っておられる率直な意見がございましたら、それも一緒にお聞かせ願いたいと思います。
  220. 山本了三

    山本(了)説明員 船舶に装備されておりますSOSブイでございますが、大体四十八年度末で私どもが調べたところでは二万三千二百五十六隻約二万三千隻程度であります。このSOSブイの中には、七N型と八N型と俗にいわれる型がございます。持ち運び式のものと自動発信式のもの、いわゆるSOSブイと、それからSOSブイではないいわゆる持ち運び式のものと、この二つがございます。海難の中で、海難の発生しました場合に大体どのくらいその装置を使用した実績があるかということに触れてみますと、四十八年度では九十三件の海難がこの装置を利用いたしております。前年度は八十八件であります。大体その程度の船がSOSブイを使用いたしております。このSOSブイを使用いたしました場合に、救助にどういうふうにつながったかという実績を調べてみますと、発信したものにつきましてはおおむね救助の措置がとられております。私ども調査いたしました段階で、四十七年中に三件ほど救助に結びつかなかったという実例が報告されております。それからもっと以前の四十六年ごろでしょうか四十五年ごろでしょうか、一件というのがあがっております。それ以外はおおむね完全に、船舶を救助しあるいは人命を救助したということではなくて、一応救助の措置がとられておる。現場に巡視船艇その他が行きまして救助措置をとっておる、そういう実績になっております。さっき私が申し上げました四十七年度中に起きましたSOS発信ブイの救助に結びつかなかった実例でございますけれども、これは、一件はSOSブイがボートと一緒に流れておりまして、そのSOSブイを伝って巡視船艇、航空機が一応行ったけれども、乗り組み員は乗っていなかったというので救助に結びつかないということが一件あります。それからもう一件は、これはSOSブイを使用するというに必ずしもふさわしくなかったと思いますけれども、乗り組み員が海上に落ちたので、付近の漁船に応援を求めるためにSOSブイを発信したということで、これは結局転落した人については救助ができなかったというようなことが報告されております。なお、直接救助に結びつかなかったのじゃなくて、結びついてはおりますけれども、その間においてSOSブイが適当に作動していなかったという事例が毎年数件発生いたしております。この件につきましては、私どもといたしましては一応救助しだあと調査をいたしまして、そのSOSブイを製作しました会社にその原因等を究明させまして報告をさせ、あるいは同種類の機器の総点検、あるいは機構上もし不備な点があった場合にはその是正をするようにというふうな事実上の指導をいたしております。
  221. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣お聞きのとおり、SOSブイが——これはたいへん問題か大きくなりますからしぼっていきますと、SOSブイが正確に作動しなかったということをいま最後に海上保安庁がおっしゃいましたが、これがたいへん問題になってくるだろうと思います。このことについては、・電波局長のほうから、いま何か運輸省のほうでやっておるというようなお話がありましたけれども、運輸省の船舶局のほうから、私、先日お願いしておりましたSOSブイについてのいままでの経過をお聞かせ願いたいと思います。
  222. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 先生の御質問に対してお答え申し上げます。  船舶には従来から海難の際の遭難緊急通信のために、船舶安全法に基づいて無線電信または無線電話施設を強制するようにしておりますが、これらの施設は、遭難いたしますと、船舶とともに沈むということになりますので、遭難緊急通信のための特別な施設ということで国際条約ができました。これは一九六〇年のSOLAS条約でございますが、これに基づきまして昭和四十一年以降から二つの措置をとっております。一つは、国際航海に従事をいたします船舶は持ち運び式の無線電信を設置することを義務づけました。もう一つ同時に、先生がお話しの遭難信号自動発信機、通常SOS発信機といっておりますが、これは国際航海に従事しない船舶でありましても、沿海区域二十マイル以上の航行区域を有する船舶には、私どもの安全法の下にあります船舶救命設備規則を改正して設置を義務づけたわけであります。したがいまして、以後SOS発信機につきまして、従来から検査を行なってきておりますが、これは外観検査とそれから電池の有効期限の確認等でございます。発信テストにつきましては、これを行ないますと実際の遭難緊急通信と誤るおそれがあるということで従来はやってきておりませんでした。しかし、先ほど海上保安庁の答弁にもありましたように、海難の事例から考えますと作動の確認ということがぜひ必要となってまいりますので、発信テストは行なうことが必要であるということを考えております。発信テストを行ないますために、外部に電波を伝播しないようなシールドルームを設けたい、こういうことでございます。このために、運輸省といたしましては、現在救命いかだの整備事業所がございますが、これに救命設備の試験施設の一環といたしましてシールドルームを設置するように指導してまいっております。このために必要な融資も運輸省といたしまして準備をしております。したがいまして、これらの施設が四十九年度に完成いたす予定でございますが、これができますと先ほどのSOS発信機の自主的な発信テストを運輸省ができますし、また運輸省といたしましても従来の性能検査に加えまして、ぜひ発信テストを行なうということにしたい、こう考えておるわけでございます。
  223. 田中昭二

    田中(昭)委員 少し省略なさった点があるようですけれども、時間があれですからそのままお尋ねしていきますが、先ほど保安庁のほうから、SOSブイについては作動したとか作動しないとか海の中に入るとか簡単に言われますけれども、それをメーカーのほうに指導したとおっしゃいますね。大臣、これは大事なところですから聞いてください。海上保安庁は海で船が遭難したら何を差しおいても救助しなければならない。その救助する第一原因がこのSOSブイが発信をするということですね。そのブイが作動しなかったとか、悪かったからメーカーのほうに注意をしたとかというお話が先ほどありました。いま船舶局のほうではこれを船舶救命設備規則というもので設備を義務づけさした、そしていろいろやっておる。それは船舶安全法がありますから、その基本のものを受けて船舶救命設備規則によって義務づけた。これは聞くところによると昭和四十年だそうです。それでいろいろな検査をやっておる。最近はまた何かシールドルームなんかつくってどこかの外郭団体にやらせよう、こういう話があったわけです。私はいまのいろいろお話を承って、大事な点だけもう一ぺん大臣に聞いてもらおうと思って確認しておるわけです。  次に、SOSブイというのは法律上は一つの無線局なんです。郵政省の管轄なんです。電波当局からこの問題について、私が先日お願いしておりましたものの一連の経過と考え方を聞かせてください。
  224. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 SOSブイは、おっしゃるとおり無線局の一種でございまして、これは電波法の管轄下にあるわけでございます。したがいまして、この無線局の免許関係、運用その他一切電波法の規定が適用される、こういうことでございますけれども、ただ私のほうとしましては、人手その他の関係から必ずしも十分な検査回数ということを確保することがなかなかむずかしいというような事情もございまして、幸いにして運輸省でいま——実はこれではやたらに実験しますと本物と間違えられるわけでございますので、やたらに実験ができないという性質のものでございまして、これを実験してみてほんとうに動くかどうかということをなにするためには相当な設備が要るわけでございますけれども、幸いに運輸省でそういうシールドルームというようなものをつくりまして、そこで実際に働かせてみて、そこで働くかどうか性能を試験してみて持っていくというような措置をとられるということでありますから、これは電波法上でもきわめて好ましい事例だと思いますので、その措置をわれわれは歓迎し、かつ期待しておるわけでございます。
  225. 田中昭二

    田中(昭)委員 あなたそういうことを言うけれども、いつからそう言うのですか。あなたいまここでそういうことを言いますけれども、それ以前の電波監理局がやってきたことはどういうことをやってきましたか。私それを聞いたのです。私もしろうとですからよくわかりませんけれども、いまあなたがおっしゃったことは私は理解できるのです。だけれども、それ以前にあなたたちはこの無線局に対してどういうことをやってきましたか。その経過を聞かせてくださいと私はお聞きしたのです。  大臣、いいですか。政府は人命救助最優先に考えるのでしょう。そうしますと、海上保安庁の説明にもあったとおり、船舶局は四十年に規則を改正して、これを義務づけて、そしていろいろなことをやっておる。その間、電波法には、第二章の第四条「無線局の開設」、第三章の二十八条以下、無線の設備の規定が全部あるわけです。私は、いままで法律があって、そのそれぞれの法律が必要に応じてつくられたことは、それなりの理由があると思います。しかしこのSOSブイが発信するか、正確に作動するかしないかということについて、そこに問題をしぼってみますと、たいへんな問題です。それがいままでのような、いわゆる電波監理局は電波法によって規定されたものがあるけれども、運輸省が最近こういうことをやっておられるから、これはいいことだからやってもらいたい、こういうことで、電波法を現在あるそのままで、こういうことで実際問題としてできるかというと、実際はこの問題について末端は何もできないのです。  それじゃ一つお聞きしましょう。SOSブイをどこでつくって、それをどういうふうに買いに行って、それがどういう船につけられて、その船につけられたものは電波法によってはどうしなければならないか、そういうものが行なわれておりますか。人命救助を最優先にする、その一つの原因になるSOSブイについて、その辺の船具屋さんに行くとあるというのですよ。それをだれでも行って買ってくればいいのです、つければいいのです、無線局ですから。そういうふうになっていますか。
  226. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 このSOSブイ、これが作動するしないということは非常に大きな問題でございますけれども、機械それ自体としてはそれほど雑複な機械ではございませんで、郵政省としましては型式検定ということをやっておりまして、それでこの機械が型式検定に合格いたしますと、書類審査で無線局の免許がなされるというかっこうになっております。ただ問題は、その据えつけるときではなしに、これは海上において持ち運ぶわけでございますから、それからなお非常に小さな船にまでつけられるということでございますし、したがって保守その他についてふなれな方々がこれにさわる、あるいはさわらぬかもしれませんが、保守その他については相当問題があるだろうと思います。そういうことでふだんの指導と申しますか、そういうような事柄が完ぺきでないとなかなかうまくいかない。したがって、先生が先ほど言われましたように過去二年間で八十八件か九十三件、そのうちの五件ばかり作動しないということでございますけれども、これはおそらくは保守その他について若干の手落ちがあったのではなかろうか、こういうぐあいに想像されるわけでございますけれども、何せ電波監理局でも百万局をこえる無線局を実はかかえておるわけでございまして、できるだけの手は尽くしたいと思いますけれども、いま運輸省が計画されておりますようなことが実現されますならば、これはSOSブイの機能の保持という点からいきまして非常に完ぺきな措置ではなかろうかというぐあいに考えます。もちろんわれわれも金と人手があれば同様のことをやりたいのはやまやまでございますけれども、何せそういうような事情でございまして、したがって、運輸省がおやりになるということでありますれば、もろ手を上げて賛成する、こういうことでございます。
  227. 田中昭二

    田中(昭)委員 電波監理局長、いまあなたの最後におっしゃったことはほんとうにそのとおりだと思うのですよ。百万局無線局があるわけでしょう。それを七百四十一名の検査官が、SOSブイだけじゃありません、無線局だけでもないでしょうし、船も——何ですか規定によりますとSOSブイは原則として定期検査が二年に一回でしょう、中には一年に一回のもありますね。しかし五年に一回か、全然行なわれてないという状態でしょう。しかも法律じゃちゃんとやらなければならないときまっている。そういうことがあるから、末端のSOSブイを扱う人たちはこの法律に縛られて、船舶局のほうは船舶局のほうでどんどんやっている。そういう実際の困っておることをどうも電波監理局長さん御存じで私の質問にはっきり言わないのか、全然知らないでそういうことに触れられないのか、どうも私はそこがまだ疑問が残ります。ずっと詰めてやっていけば、これはもう開会じゅうやっておっても議論できないくらいということです。これにつきましては昭和の初めに船舶安全法ができたときからの問題だそうです。四十数年前ですよ。あなたがまだ子供のとき、私もまだ子供のときです。そのときからある問題を、ほんとうに人命の尊重ということを原点において考えたら、こういう法律はどんどん改正すればいいじゃないですか。そうでしょう。先ほどからデータ通信のことで各省はなわ張りで大事な問題が一つも解決できないということで、大臣もたいへん真剣な御答弁をなさっております。すべてについてそういうことがあるということは、このSOSブイ一つを取り上げてみてもそういうことがネックになっているということが、私はしろうとでございますから、わかってもらわなければいけないと思うのです。百万局ある無線局を七百四十一名で、まだほかの検査もあるというのでしょう。その辺の——簡単に百万局を七百名で検査するといいますけれども、そのちまたにある現実はどんなものか、どんなことが行なわれているか、関係業者と利権のからまった人たちがどういう動きをしているか、そういうことを一ぺんこの国会の席上ではっきりしていったほうがいいわけですか。そうしなければ電波監理局としては手を下さないわけですか。  それから船舶局のほうもおかしいじゃないですか。電波法でそういうきまりがあるものを、かってに船舶局は検査をしてやっているというけれども、一つの問題に行政が二つ重なって、そのためにあなたたちがいろいろな会合でどういうことを言ってどういう問題が起こっておるかということは私も少しは聞いておりますけれども、たいへんな混乱を来たしている。人命尊重につながるこの問題が、その他たいへんな多くの問題があると私は思いますが、SOSブイは電波法に全部関係がある。その結果、いわゆるその関係業者並びに人命尊重がそこなわれておるということであればたいへんなことじゃないでしょうか。いかがでしょうか、大臣
  228. 原田憲

    原田国務大臣 ちょっと私もよくわからぬところがあるのですが、先ほど齋藤君が言いました点については、田中さんは、そういうふうになったらよいということをおっしゃっておるので、そういうことがよいならばそういうふうな方途に進めていくということが結論であろうと私は思うのでございます。なお、この電波の問題につきまして、いろいろな問題点があるということについて御指摘があるならば、これは検討を進めて処理をしていかなければならないと思います。  いまのいわゆる小型ブイですね、SOSブイの問題につきましては、電波監理局長が申し上げましたところで処理をすることがよいという御判断であるのは私も先ほどから聞いておりますけれども、運輸省との間によく話をして万全を期していけたらそれに越したことはない、このように思います。
  229. 田中昭二

    田中(昭)委員 ということは、簡単に言えば電波法を改正すればいいんです。電波法改正です。電波法改正を大臣お約束できますね。これはさっそくやらなければだめですよ。そうでしょう。その問題になりますと、またあなたたちが——一応局長から聞きましょう。
  230. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 ただいま私が申し上げました点を実行するという面では必ずしも電波法の改正は必要ではないように思われます。ただ将来の問題として、こういうようなSOSブイとかいう位置づけをどうするか、もう少し根本的に考えたらどうかという問題であるならば、これはまた将来の問題として検討すべきであろう、こう思います。ただ、いま運輸省がおやりになろうとしている事柄、私たちが賛成をしている事柄については、電波法の改正は必ずしも必要ではないと考えております。
  231. 田中昭二

    田中(昭)委員 私もしろうとでございますから、あなたがそう言われればそうかと思う反面、そんな——これはひとつ後の問題にしましょう。電波法を改正せずにこんなことができるんだったら、そんならなぜ早くやらないか、こう言いたくなるのですよ。そうでしょう。やはり電波監理局長さんは、この問題について、SOSブイが電波法とすべて関係しているということについての末端のほんとうの動きというのは御存じないということになるんですね。私がいろいろな関係者から聞いた場合にはそう聞いているんですから、そういうおたくの航空海上課長さんの発言もちゃんとありますよ、記録を出せといえば。そういうふうに、あなたとあなたの部下が電波法の改正ということについて御意見が違うのであれば、これはまた徹底的にあとで詰めていかなければならないという気がしてなりません。この次の国会にまたひとついろいろ議論さしてもらいましょう。  最後に、このSOSブイの問題で、もしもこのSOSブイがいざというときに——現在のままでは、正確に作動し、そしてブイの当初の目的を果たせない実情があるんではなかろうか、私はこう思うのですが、これについて保安庁、船舶局からそれぞれ意見を交えながらでもけっこうですから、簡単にひとつ御発言ください。
  232. 山本了三

    山本(了)説明員 先ほどいわゆるSOSブイが遭難の場合に発信されまして、それが必ずしも正確に、適正に作動しなかった実例がありますということを申し上げました。私ども海上保安の立場からいたしますと、SOSブイが正常に作動してくれますと、われわれの救助活動は最もスムーズに円滑にいくということであります。  先ほどからいろいろ問題点の指摘等があったように思いますけれども、現在市販されております型式承認されております八N式にしろ七N式にしろ、ほんとうに完成された遭難信号自動発信機とはいえないのではないかという気は確かにいたします。海難の場合には確実にこれが作動して、われわれを現場に誘導してくれる、そういうものであってくれるよう、私どもは心から期待するものであります。
  233. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 お答え申し上げます。  遭難信号の自動発信機器につきましては、私どもとしましては、いまの要件としまして、軽量小型であるとか、あるいは持ち運び便利とか、水密であって水上に浮くことができる、それから水上に投下してもこわれない、あるいは見やすい色である、それからもう一つ、非常の際に未熟練者でも使用することができる、こういう要件を付して実際の製品を検査しておるわけでございます。それからもう一つ、このSOSブイの作動に関連いたしまして、船舶に積む場合の積み方を規定してございます。それは救命艇もしくは救命いかだと一緒に使用できるように積み込まなければならない、こういうことで、積み込みの規定と二つ置いてございます。  それで実際の製品はどうかと申し上げますと、現在持ち運び式のものが七社で八型、自動式のものが三社で三型ある、こういう現状でございます。船が遭難にあいましたときに、これは先ほどの積みつけの要件で申し上げましたように、非常に余裕がある場合は、持って救命艇とか救命いかだに乗って、あと所要の作動をさせれば自動的にSOSの信号が発信されていく、こういうことでございますが、かりに救命艇なり救命いかだと離れてこれが浮いた場合、このときは、先ほど申しました全自動のものにつきましては、三メートル以上の水圧がかかりますと自動的にアンテナが出て遭難信号を発信する、こういう仕組みになっております。それから半自動、手動のものも浮きますので、実際にそこで遭難乗り組み員がアンテナを伸ばすとか、あるいはアンテナを伸ばしてなおかつ必要な作動をさせるとか、こういうことをしなければならないわけであります。したがいまして、私どもとしましては先ほどお答え申し上げましたシールドルームによって発信の作動の確認を行なうのを一方でやりました上に、セーブマニュアルあるいは操作マニュアルをつくりまして、半自動式あるいは手動式のものが未熟者によっても十分作動できるようにしたい、こういうことで実際のSOS発信ブイの性能の向上ということを考えていきたいというふうに思っております。
  234. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題はあとまた時間をいただきましてやることにいたしまして、次に最後の記念切手の発売についてでございますが、今月の十七日から売り出される予定になっておりましたおまわりさん誕生記念切手が、何か大蔵省印刷局のミスで一カ月延期したということでございます。これはどういう経過になっておるか。どういう状況になっておりますか。まず状況を……。
  235. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  このおまわりさん誕生百年の記念切手の問題は、ただいま御指摘のとおり五月十七日に三千五百万枚を発行する予定で準備を進めておったわけでございますが、去る五月九日の夕刻に東京中央郵便局から、この切手の発送準備作業中に刷色の一部が水に溶けるという切手を発見したという報告があったわけでございます。さっそく事実を確かめました上、このような切手を発売いたしますことは、利用者であるお客さまにたいへん御迷惑をかけることはもちろんでございますが、わが国の切手の信用にもかかわるものであるというふうに考えまして、この切手の発行を中止いたしました。すでに配給済みの切手を回収いたしますとともに、いずれにしてもこの切手をあらためて調製し直すということをすることになりまして、一カ月おくれの六月十七日にこれを発行するということにしたわけでございます。一カ月おくれることになりましたので、こういった点につきましての周知を、まあ発行日間近にやっとこういうことがわかったものでございますから、とりあえず十一日に発行延期について報道発表をいたしました。新聞とかテレビ等で報道されましたけれども、さらに十四日に全国の主要新聞に郵政省から広告を掲載いたしまして発行の延期とか、また同時に、東京中郵に通信販売等についての申し込みをされた方々に対する措置をして、周知いたしたわけでございます。またこれについての郵便局の掲示も現在やっております。また、この切手の回収につきましては、五月十日全国郵便局指示いたしまして目下取り運び中でございます。現在までのところ非常に順調に回収されておるようでございます。こういったようなことは実は従来例を見なかったことでございまするので、この善後策につきまして慎重に、間違いを起こさないように取り運ぶようにいまいたしているところでございます。
  236. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 田中君、先ほどの御質問に関連いたしまして廣瀬経理局長から答弁をつけ加えたいそうですから……。
  237. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先ほどの、一種と比較して二種が著しく赤が出ておるのではないかというお話でございますが、二種の取り扱い方法につきましてはほとんど一種と変わっておりません。したがいまして、経費の面で見ますと、たとえば配達面で見ますと、取り扱いの五二%くらいは配達費でございます。これをとってみますと一種の約七割くらいが二種の費用ということになっております。ところが収入の面で見ますと、御承知のように半分が二種でございます。したがいまして、二分の一の収入に対して約七割の配達費がかかっておる。全体の経費も約七割程度、七五%程度かかっておりまして、そういう関係で赤が出ておるということに相なっております。
  238. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの問題はわかりました。  次にいまの切手のことについてでございます。これは郵政省側が手違いを起こしたということでなくて、大蔵省の印刷ミスだということでございますが、この損害額が何か二千百万円くらいというふうなことが新聞に報道されております。これは大体どこが責任を持つものか。それからまた郵政省としては、この切手をつくって全国に配給するといいますか、そういう場合に、事前に検査をするというようなことはなかったのかどうか、また、検査体制というものはどういうものがあるのか、そういうことについて大蔵省側と郵政省からお答え願いたいと思います。
  239. 上月重雄

    ○上月説明員 それでは最初に大蔵省の印刷局のほうからお答え申し上げます。  このたびのことは実に印刷局のほうの落ち度でございまして、郵政省はじめ各方面に多大の御迷惑をかけましたことを深くおわび申し上げます。  お尋ねの損害の問題でございますが、これはまだ損害額につきまして郵政省のほうと話をするという段階に至っておりませんけれども、損害の額と申しますよりも、ただいまも郵務局長のほうからお話がございましたように、この切手を全面的に私どものほうでつくり直します。完全なものを再びつくりまして、郵政省のほうに納入をいたします。そのため一カ月の発行日の延期をいただいたわけでございますが、そういう形でもちまして第一義的な損害賠償の形をとらしていただく、かように考えております。
  240. 田中昭二

    田中(昭)委員 そんなに簡単に言いますけれども、簡単なものじゃないのですよ。大蔵省印刷局は間違って、それをまた一カ月間で刷り上げてしまうというのですけれども、印刷局も手一ぱいで仕事をやっているはずなんですよ。そういうものが他に及ぼす影響、それから国民の税金をかってにそういうようなむだな金を使ったということに対する反省、大蔵省は税金は税金で取り過ぎてばかりおるのですから……。  私は、郵政省としてはこれをもう現場に配っておったわけですから、現場郵便局ではたいへん混乱して、それはもう想像以上のことが行なわれております。私は、具体的にそれを申し上げて、こういう問題が起こった場合の対策をもう少ししっかりしてもらわなければいかぬということをきょうはお話ししたかったわけでございますけれども、時間がございませんし、委員長のほうからの要請もございますから、とにかくこれを回収する——回収するといっても、これは必ずとこかにまだ残っておる、そうしますと、これがまた、六月十七日に新品が出ましても、たいへんな投機的なものに使われたりいろいろな問題を起こしてくる、こういうことをひとつ十分——それからこの切手については日本郵趣協会なんかにも売らせますね、こういうたいへんな問題があると思いますから、ひとつ郵政省はたいへんでございましょうけれども国民の正常な切手趣味愛好家に対する配慮も考えて、ひとつ慎重にやっていただきますことを要望いたしまして、質問を終わっておきます。
  241. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四分散会