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1974-03-07 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月七日(木曜日)    午前十時七分開議  出席委員   委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 羽田  孜君    理事 阿部未喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       志賀  節君    高橋 千寿君       中馬 辰猪君    坪川 信三君       中村 寅太君    西村 英一君       金丸 徳重君    久保  等君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     不破 哲三君   正木 良明君     田中 昭二君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     平田 藤吉君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 若干の質問をいたしたいと思います。あとでそれに関連して郵政大臣のほうにもお尋ねをしたいと思うわけです。  最初に、NHK予算の非常に特徴一つは、人件費伸びが多くなって、総予算の中に占めるウエートがだんだん高くなって、それと見合って、国内放送費はだんだんだんだん総予算の中に占める割合が低くなっておる、こういうのが非常に顕著な特徴ではなかろうか、こう思います。ちょっと読み上げてみます。昭和四十三年度のときには給与費が二六%、それが年を追うて二七・五、二九・七、三一・六、三三・二、三一・二、四十九年度、ことしの予算では三七・四%、こういうぐあいに構成比がだんだん上がってきているわけであります。それに引きかえて、最も大切な使命である国内放送費は、昭和四十三年度のときは三〇・六、それからだんだん下がって二九・八、ちょうどこの年に同じであります。四十五年度のときには人件費国内放送費がちょうど同じでクロスするわけであります。それからだんだん下がって二八・四、二六・七、二三・一、ことしは二四・一、こういうぐあいに、この前受信料値上げした四十三年度から見ると、片方はこういうふうに上がってくる、放送費はこういうふうに下がってくる。こういうかっこうで四十五年度にちょうどクロスしている、こういうようなかっこうだと思います。私は、これはたいへん憂うべきことで、一面においてはこれほど物価が上がるので、人件費が上がっていくことはもう不可避的な要因だと思います。しかし、それによって国内放送費構成比割合からいうとだんだんウエートが低くなっていくということは、これはまた憂うべきことではなかろうか、こういうように考えます。  それに関連して、絶対増を、人員増をやっているのかどうか。私は、なるべく人はふやさず能率をあげていく、こういうことでこのピンチを切り抜けていかなければならないんではないか、こういうように考えるわけであります。まずそれについて……。
  4. 小野吉郎

    小野参考人 最近の傾向を見ますと、御指摘のような状況になっております。放送をもって使命といたしております事業体といたしましては、放送関係の費用が漸次上がってくることが正常な姿であろうと思います。いまのような姿になりますことは、これはやはり収入伸びがこれに伴っておらないということが大きな要因でございましょう。かりにその収入伸びに対して人件費あんばい等ができれば、いわゆる所得政策的な歩みをかりにやるとすれば、また別の姿が出ましょうけれども、これはなかなかやり得ないことでございます。しかも、社会水準に照らしまして適正な給与水準を保ちますことは、現下のまた非常に重要な問題ではないかと思いますし、特に人の思想あるいは情操に深いかかわり合いを持ちます放送事業といたしましては、そういった意味における人材の育成、この面は放送内容向上と相まってきわめて重要な問題であろうと思いますので、人件費伸び現下客観情勢社会情勢経済情勢等関係から見ましてそのように上がってまいりますことも、これまたやむを得ないことではないかと思います。  そういう中で放送費もそれに随伴して上がれば、これは非常にいいのでありますけれども予算の規模、財政現状収入伸び等からまいりますと、なかなかそうもまいりません。とは申しましても、非常にそういった困難な財政状況下におきまして、四十九年度におきましては前年度よりも三・三%の増は見込んでおります。昭和四十八年度におきましては対前年比二・七%の増しか組めなかったわけでございますけれども、比率としては〇・六%多くを見込む、こういう努力もいたしております。もちろんそれには、現下物価上昇等関係から見て〇・六%名目では上がっておりますけれども、実質的にはどうかという問題もありましょうけれども、この苦しい財政の中からも四十八年度の対前年増よりも多くを努力をいたしてみた、こういう苦心あともあらわれておるわけでございまして、そういった面から何とぞ御了承を得たいと思います。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 予算を見ると苦心あとが見えるわけです。ただ、ことしの受信料伸びが五・六%、六十五億、人件費伸びが一八・二%、七十五億、それから構造的な赤字だと称せられるそれが四十五億、簡単にはこの三つの要素が特徴をあらわしておると思います。ことしはそれで四十九年度予算はやっていけると思いますが、来年は受信料伸びは一体幾ら見込めるだろうか、四%とすれば五十億か五十五億。人件費は、もう御案内のこの物価上昇の中ですから、消費者物価が二四%だ、卸売り物価がもう四〇%に近いということになると、ことし以上の二〇%も二五%も上げなければならないということになると、来年の人件費伸びは百億をこえるような状態になる。受信料伸びは、私が大まかに判断するだけですが、そうするとまあ四十億くらいしか伸びない。そうすると構造的な赤字は来年は百億、百五十億になるであろう、五十年度ですね、そういうことが予想されるわけであります。これに対する対策ですね。値上げをしないということは、前田会長が四十八、四十九、五十年度はやらない、これは新会長も踏襲するごとくきのうも答弁をお聞きしましたので、それじゃ、いま言うような構造的な百何十億の赤字が来年出るであろう、こういうものに対していかに対処しようとするか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
  6. 小野吉郎

    小野参考人 現在の四十九年度予算に端的にあらわれております構造上の一つのウイークポイントと申しますか、欠陥と申しますか、あるいは将来の進路を示す一つの方向づけといたしまして、いまの三点がありますことはそのとおりでございます。これは経営上きわめて深刻に……。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと委員長、声が小さくて聞こえないです。
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 声が小さいようですから少し御注意願います。
  9. 小野吉郎

    小野参考人 はい。深刻に受けとめなければならないと思います。そういった面から、前の質問にお答えをちょっと失念をいたしておりましたけれども人件費ウエートが非常に大きい。しかもベースアップの関係については、社会水準におくれることはこれはなすべきでもありませんし、またやってはいけないと思います。そのような面からやはり人件費が大きな圧迫のウエートになっておりますので、できるだけ人員はふやさない、こういう方向が基本的に据えられなければならないと思います。この面につきましては、四十九年度も一名も増員は入っておりませんし、四十八年度もそうでございました。将来といえども能率向上期待をいたしまして人の増加は極力避け、できるならば業務合理化、サービスの低下につながらない合理化をいたしまして、より少ない人でより多くの効果をあげるような方途を講じなければならないと思います。  五十年度の予算編成を、いまのような構造的な変化のもとにおきまして一体どのように編成するか、これは数字的には現在まだ申し上げる段階でないと思います。客観情勢は非常に動きつつありますので、これを計数的に固めることは今日の段階では非常に至難でございまして、今後いろいろ検討を進めながら固めていかなければならないと思いますけれども経常収支で見れば、端的に言えば四十九年度ですでに四十五億の赤字予算になっております。収入の面では四十九年度六十五億の増収期待をいたしておりますけれども、五十年度におきまして、今日のテレビの発展の段階におきまして普及率が非常に高くなっておりますので、なお努力する余地はありますけれども、どう努力いたしましてもこれを上回る増収を得ることも困難のように見受けられます。かたがた人件費もやはり適正な水準を保たなければなりませんので、ウエートとしては人件費の増が多くなるであろうことは予想されるわけでございます。しかも田村町の土地建物売却の益金の中から将来の経営安定に備えました金額はすべて四十九年度に投入をいたしておりますので、収支の不足を来たせばこれは自然、借り入れによらざるを得ないと思います。その額が幾らになりますか、現在まだ確定しかねておりますけれども、極力業務効率運営をはかりつつ、いろんな面であとう限りの措置をとりまして赤字の幅を少なくするというのが、われわれのやらなければならぬつとめではないか、かように考えております。
  10. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私ももう少し突っ込んで質問したいと思いますけれども、時間の関係ではしょって先にいきたいと思うが、ただ一つ前田会長が三年間は値上げしないというときの経済的な情勢と最近の情勢とはまるで変わってきているんではないか、こう私は思います。だが、いま会長の御答弁を聞いていただけでは、来年上げないでもよろしい、再来年も上げないでもよろしいというぐあいには受け取れないわけであります。これはもう、こういう構造的な赤字がことし百四十五億、来年百何十億、二百億近くになろうというときになって、何らかの対策を講じなければNHK経営に対して必ずしも忠ではない、こういわざるを得ないのじゃないか、こう思います。  この点はひとつあとで御答弁をいただきたいと思いますが、その前にどなたからか、きのうちょっと欠席して、質問があったかと思いますが、なかなか活発に受信料を払わない運動不払い運動――これは二月二十一日の週刊新潮ですか、こんなにでかく書いてあるわけです。「NHK受信料を払わない二六〇万世帯の分析と対策」。これは一通りべつ見をさしていただいたわけですが、運動としてこういうことがだんだん浸透していく可能性がある、私はこういうように思います。もしこの次にNHK料金を上げるなんということになると、より一そうこういう運動に拍車をかけるであろう。俗にいう悪貨は良貨を駆逐するみたいなことなんだから、払わなくていいぞ、そうかね、そんなにうまい話があるかね、どんどん伝播していくに違いない、こう思いますが、これに対する対策はどういうようにお考えであろうか、それをまず……。
  11. 小野吉郎

    小野参考人 そのような運動も一部にございますけれども、今日そういったことで不払いのそれが拡大するような現象はそうあらわれておりません。現在そういった不払いシールを発行し、これを玄関に張りつけて不払い実行運動を要請をしておる団体もございますけれども、私どもとしては、この対策としてはどこまでも聴視者との共感の上に運営をはからなければなりませんので、いろいろ御理解をお願いして契約をしていただき、払っていただく、こういう努力を続けることをやはり本旨とせざるを得ないと思います。そのようなことで、一応シールは張っておられても、やはり円滑に支払ってもらえるというような状態も多いのでございまして、現在その運動の趣旨のとおりに支払わないということで支払いを拒否せられておる数は全国で大体三万世帯ぐらいと見ております。  そういったような意味合いから申しまして、好ましいことではございませんけれども、われわれはいろいろ公共放送機関としての本来の姿に立ちまして、放送に対する歓迎される番組を編成をいたしますとともに、それによってNHKに対する理解を深め、しかもそういう理解の上に立って、進んで払っていただけるというような努力をいたす必要があろうかと思いますし、常にそのようなことを基本として運営をいたしております。と同時に、不払いのそういう実行運動をやっておられる方につきましても、これに対して強制的な何かの手段を用いるといったようなことも非常に問題でございますので、外務関係のベテランあるいは管理者等が出向きましていろいろ御協力をお願いする、こういう措置をとっておるような次第でございます。  ちなみに、二百六十万余の未払い者、こういうようになっておりますけれども、現在の契約の実態から申しますと、テレビ所有推定世帯の九〇%は現実NHK契約をいたしております。その中で未払いと申しますか、収納が滞納をしておると見られますものが約四十万世帯ぐらいはございますけれども、これはそういう未払い運動の結果起きるわけではございませんで、やはり世帯の動態が激しゅうございます、あるいはいまの社会情勢から申しまして、いわゆる核世帯等においては、若い人たちでは特に共働きというような現象も多いわけでございまして、そういった面からなかなか御面接ができないといったような世帯もございます。その他、移動その他の関係もございまして、これが支払いを拒否する意思によるものではございませんけれども、そういったような状態収納が滞りがちになるといったようなものはございますけれども、いま週刊新潮に掲げられましたような、意図的に支払いを拒否するといったようなそれは現実には約三万と見ております。
  12. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 二千六百万世帯でしょうか、運動するほうは、これはわが運動が盛んに浸透するということでその一割の二百六十万はわが不払い運動に消極的か積極的か参加したみたいに宣伝をしがちであろうし、またいま会長の御答弁にあるように、NHKとしては、そんなものにわずらわされているものは三万世帯、流動的で人が移動するものだから四十万ぐらいは捕捉不可能だ、こういうようなそれぞれ宣伝――宣伝というか、立場立場によって数字の扱い方が違うと思います。  そこで、ちょっと私お尋ねしたいのは、正式に免除している世帯は、これは事務当局でいいわけですか、何戸――いま捕捉困難なものは四十万、それから不払い運動三万、こう聞いたわけですが、正式に免除しているのは、簡単でいいです、何万ですか。
  13. 小野吉郎

    小野参考人 四十九年度末におきましては、百十六万になる予定でございます。
  14. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 昨年の当委員会だと思いましたが、企業やホテルが事業所みたいなところがなかなか捕捉が困難で、十分収納できておらない、こういうように去年たしか論議があったと思います。これに対して、大いに馬力をかけてやりましょうみたいな結論だったと思いますが、そっちのほうの収納状況はりっぱな成績をあげていますか。概括的でいいです。
  15. 小野吉郎

    小野参考人 前回委員会におきまして、この方面につきましてわれわれの努力の足らないところを叱咜激励をいただき、またいろいろ世論も喚起していただきました。前回予算審議の際に、四十一万の契約現実に持っておったわけでございます。これはあまりに非世帯契約の把握としては低位に過ぎるではないか、もっと努力をすべきだという御鞭撻をいただきました。われわれといたしましては、四十八年度中に三万件の増を見込んでおったのでございますが、これも目標として非常に低過ぎる、こういうおしかりも受けたわけでございます。その他いろいろ有益なる御示唆をいただきまして、われわれもそういうことでそれをバックとして大いに努力をいたしました結果、三万増の目標現実には六万を上のせした九万増になりまして、現在では五十万の非世帯契約を持っております。これは大体非世帯契約対象数の約七〇%になっているような現状でございまして、なお今後一そう大いに努力しなければなりませんけれども、このような成果をあげ得ましたことは、本委員会に対しまして厚くお礼を申し上げ、特に田中昭二先生から非常に熱心にこの点については御鞭撻をいただいたわけでございますけれども、この機会をかりては非常に恐縮でございますが、厚くお礼を申し上げます。
  16. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 努力すべきところは努力をしてきたようですし、二百六十万が運動に参加でなくて三万ぐらいだ、こういう違いがあって、ここはわれわれもまださだかにはわからないわけですが、これは郵政大臣にもお尋ねをしたいと思うわけです。汽車じゃないが無賃乗車をやれという運動で、ほんとに汽車にただ乗ってしまっているのを、これは郵政省としてもこれを捨てておいていいものだろうか。郵政省は単にこう書いてあるだけであります。「受信料収入の確保に努めるとともに、」――十五字ばかりで、ちょこっとこうやって年に一ぺん紙を出しておくだけで、この法律に平気で違反して、それを教唆扇動をしてやっている者に対して、十五字か十六字意見郵政大臣はつけて、それでほうっておくだけなのか。これはNHKも現地においては努力をやらなければならないが、政府当局はどういうように考えているか。何らかの具体的な措置がなければ、私はいずれどうせこのNHK料金値上げという段階が来る、そのときはまた燈原の火のごとく爆発の潜在力になっておって、ばっと広がってくる、こういう可能性もなきにしもあらず、こういうように考えます。郵政大臣のこれに対する具体的な対策、どういうようにしたらいいだろうか、何とか公表による制裁とか、これは放送法を変えて強制的に取るということは前々回以来長々言っておりますけれども、これについては、この法律のたてまえ上、根本的な問題があるとするならば、何か社会的な制裁、何らかの方法、そういうものを郵政省当局としてもこれについて考えなければならない、こう思いますが、いかがでしょう。
  17. 原田憲

    原田国務大臣 具体的にやれと言われますと、いまお話がありました後者で、放送法改正してもというお話が出てまいりましたが、そのようなことはいま私どもでは考えておりません。まことに簡単、十五字でございますけれども、やはりNHKは独立をしてりっぱに業績を果たしておる機関でありますから、私ども意見を付するときに、まずやはり契約料金をもってやっておる事業であるから、これが十分に入るように努力をしなさい、こういうのがたてまえであると考えております。  なお、いま当委員会で話が出ましたが、小沢委員なり田中昭二委員お話会長から出ておりましたが、皆さま方の督励によりましてNHKも一生懸命になって成績をあげておるということでございまして、行政府として私どもNHK努力をしなさいということで、何といいますか、小沢さんから言うと隔靴掻痒という感があるかもわかりませんが、基本的な態度というものを、いま法的な措置によって変えるということは考えずに、やはりいま会長が言われましたような努力をすることによって契約者との間に収入をするためのあらゆる努力をする、こういう線を押し通して、間違っておる人たちについていかないようにということで進めてまいりたいと存じます。
  18. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 確かに歯がゆいような御答弁しかいただけないわけです。だが、こういう人が法律に違反をしておる、こういうことは無賃乗車みたいに悪いことだと、名前をあげて公表して警告をして、もしこういう運動が続くならば、法律を改正しても税と同じように取らなければならない事態に立ち至る、そういうような警告なり何なり、そういうことは郵政省のやる立場ではないでしょうか。これを何にもしないで十五字書いて、NHK努力しろだけでは、私は郵政省としては済まされない事態にだんだん来ておるのではないか、こう思います。これはひとつしっかり省内で御検討をいただいて、何らかの方法を私は講じていただかなければ、将来こういう運動が広がるならば、放送法を変えて強制的にも税と同じように取り立てて、そういうように持っていくことは、また運動をする人の本意でもなかろう、こう思いますから、そういう警告なり何なりすることは、当局としてはできるはずじゃないでしょうか。どうでしょう。
  19. 原田憲

    原田国務大臣 まずNHK努力をして進めていくということがあくまで第一番でございまして、その努力をもっと進めてもらうことということで意見を付しておるわけでございます。そのことが済まないうちに役所が、要するにNHK料金不払い運動者に対して出ていくということよりも、もちろん検討はいたしますけれどもNHKがまず自分のことをつとめていくということが大事であろうと思って私ども意見書を付しておる、こういうことでございます。
  20. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 せっかくNHKで御努力いただくようにまずお願いをすることは当然のたてまえでありますが、それはさておいて、さっきからの続きでありますが、再来年、昭和五十年度は、とうてい現状のままでは、いかに収納率を高めようと努力しようと、なかなか困難であろう、それは、前田会長の言われたときの情勢とは激変をしているという、こういう情勢の中においては困難だ。しかしなおかつ五十年度、五十一年度までは上げていただかないように私たちは求める。が、しかし、そういうことをやっていればNHK経営自体がなかなか困難な経営になるということになれば、またこれを経営に対して責任を持てない、こういうジレンマにおちいると思うわけであります。  そこで、去年前田会長が四十八、四十九、五十年度はテレビ受信料は上げないと言ったときに、新聞社のとり方が間違っていたのか、前田会長の真意であったのか、あとになっていろいろ当委員会でも論議がありました。一つ世帯の中で二台目、三台目のテレビをつけるようになったときには、その二台目、三台目からも受信料をもらうことは、放送法を変えなくも何しないでもできるじゃないだろうか、こういうことを発表されて、だいぶ論議をかわしたわけであります。当委員会で私が質問したら、絶対にそういうことを言ったこともありませんみたいなことであったけれども、この時点に及んでみると、そういう問題もまた検討の爼上にのるのではなかろうか、こういうように考えます。たとえば、四百六十五円が二台だから九百三十円、こういうことでなくて、四百六十五円かける二台の場合には一・五とか、四百六十五円かける三台の場合には二・三とか、ある程度倍率を落としてでもこういう問題を検討しなければ、五十年、五十一年度に対して責任を持った経営が不可能になるのではないか、私はこう思いますが、この問題、小野会長の御意見をお伺いしたいわけであります。
  21. 小野吉郎

    小野参考人 前会長時代にそのような記者会見におけるいろいろやりとりもありました。その話題には確かにのぼったわけでございまして、前田会長検討一つにはなるだろう、こういうことだったのですけれども、記事としては、もうおそらくそういう方法を採用するように取り上げられた経緯がございます。  それはともかくといたしまして、一つ意見として、各世帯契約でなしに、台数契約にしたらという意見は確かにあると思います。一つ方法としては考えられると思いますけれども、現在テレビ設置の申告制もございませんし、NHK側にはこれに対する調査権もございません。そういうような状況で、はたして正確に台数を把握し得るかどうか、これは現在の制度のもとにおきましてはきわめて疑問でございます。そういう中においていまのような方法を観念的に取り上げましても、受信料負担の公平を期するようにうまく把握され、徴収が万全にいくかどうか、きわめてむずかしい問題であろうと思います。おそらくそういう方法をとるとすれば、その前提として、そう守られるかどうかは別として、台数に対する申告の義務を国民に課さなければならぬだろうと思いますし、NHKとしても何らかの調査し得る手がかりが法律上なければ、そういった台数把握ということ自体が不可能でございますので、にわかに採用し得る方途ではないだろう、このように私は考えております。
  22. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 問題は申告の問題や調査権の問題があろうと思いますが、いまだって理解と納得の上で契約をしているわけであります。だから、これからもこの法律を変えなくも、理解と納得の上で台数契約なり何なりは私は選択の余地があるんではなかろうか、こう思います。その場合に、三台のときには三台分でなくて二・一とか二・三とか、二台のときには四百六十五かける二台ではなくて、二台のときには係数は一・三とか、そういう方法にすれば、先ほど来問題であった事業場やホテルやそういうところの契約もスムーズにいくという問題が出てくるのではなかろうか。私は、この問題は五十年、五十一年度の経営はもうまるでやみでありますから、具体的に実施を目途に検討をしてみなければならない段階だ、こう思います。もう一回会長から……。
  23. 小野吉郎

    小野参考人 将来の検討問題の一つではあろうと思います。が、先ほど申し上げましたようにこれはやはり前提条件としてスムーズに台数把握が可能なような配慮が先行しないと、なかなか正確には把握できない。かえって不公平だという非難をつのることになろうかと思いますので、慎重を期さなければなりませんけれども検討一つの問題点ではあろうと考えております。
  24. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次に進みます。  放送文化基金は、去年の当初予算の審議のときには、たしか十月一日発足、これは間違っているかどうか知りませんが、こういうような記憶でありますが、先般来聞いているところによると二月一日発足、こういうことになると、この事業に充てるべき百二十億の果実のこの四十八年度分についてだいぶ額が違ってきはしないか、こう思います。たとえば百二十億で年間の利子八億、これで運営しよう。去年の十月、四十八年十月からやるのとことしの二月からやるとでは、その四カ月ばかりの開きの中でどのくらいになるだろう、八億を十二で割ると〇・六億ですから、十-一の四カ月分、四、六二億四千万前後、こういうものが当然文化基金の中にプラスされなければならないのだが、これはだんだん発足をおくらせることによってNHK本体の経営にプラスさせるようにしたのかどうか、その辺まず……。
  25. 小野吉郎

    小野参考人 別段に意図があるわけではございませんけれども、十月発足を考えましたのは、あの代金は一度に全部が入るわけではございませんで、数次にわたって金が支払われております。最初の支払い段階でまだ百二十億は集まらぬでも発足してはどうか、こういう気持ちではあったわけでございますけれども、これも変な話でございまして、やはり百二十億全体が支払われた段階で寄付行為を明確にしたほうがいいだろうということで、実際に金が入りましたのが一月末でございますので、その時点に設立をすることを可といたしましてとった措置でございます。
  26. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、したがって四十九年度は人件費幾ら、事務費幾ら、実際事業費幾らということについてはまだ予算はできておらぬわけですか。それが一つ。  ここで、財団法人放送文化基金の設立云々で中山伊知郎委員長以下大ぜいおえら方がずらずらっと、何かどこかの審議会とか委員会に出てくるようなメンバーの人がずらずらと何人か載っかっています。それからまた、審議会を何とかやろうというようなこともたくさんあります。これは事務の費用も要ると思います。八億のお金を寄ってたかって食ってしまうみたいなことになると これをつくったこの意義がないんじゃなかろうか、こう思いますが、来年度の予算というのは、実際の事業費八億プラス、四十八年度の利子の残りがあるから、これが二億ばかりいけば十億ばかり四十九年度は実際には動くんじゃなかろうか、こう思うんだが、大体のめどでいいわけです、一体どういうぐあいに具体的に事業費をやっていこうとするか、簡単にひとつ……。
  27. 野村忠夫

    ○野村参考人 お答えいたします。  この基金の運営にあたりましては、事務所経費というものを最小限度にコンパクトに押えよう、さきの国会でもそういう答弁をいたしておりますが、年間約五千万円程度で押えられるということでございます。したがって、事務職員は五名というきわめてコンパクトな形でやっておりますので、御懸念のような運営にはならないと思います。  なお、百二十億の四十九年度の事業につきましては、現在予算の作成中でございます。四十八年度は、先ほど来のお話のように、二月と三月と二カ月しかございません。この二カ月は将来の事業運営に対する準備期間といたしまして、まず事務所を借りました。いろいろな電話、什器等内容の整備、それから四十八年度に事業を立てるためのいろいろな資料の調査等の期間に充ててございます。したがいまして、四十九年度は事業計画にのっとりますそれぞれの部門の助成、援助の審査機関の設定がまず第一に行なわれると思います。  現在はそういう状況でございます。
  28. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間の関係で先を急ぎます。  ことしは、まだ日がはっきりしませんが、参議院選挙があるわけであります。全国区等があるわけであります。放送に負うところが非常に大きいと思います。だからことしの参議院選挙は、いま自治省といろいろ打ち合わせがあろうと思いますが、従来と変わっておるか、大体どういうようにやっていこうとしているか、もしおわかりならこれを……。
  29. 坂本朝一

    ○坂本参考人 ことしの参議院の選挙につきましては、大体の規模は前回と同様でございます。ただ、テレビの政見放送はカラーになるわけでございます。  それで、大体いま予定されております私どもの考え方といたしましては、三百名ぐらいの方が立候補されるんではなかろうか、それらを考えまして、前回設定いたしましたように、できるだけ――できるだけという言い方はおかしいかもしれませんが、一番視聴好適時間等を設定いたしまして、そして政見、経歴放送を実施する、どういう段取りになっております。その他協会の責任において実施いたします参議院の選挙にかかわりますいろいろな番組ないしは開票速報等々も従来に準じまして実施する、そういう計画になっております。
  30. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは先を急ぎます。  われわれ山間僻地に選挙区があって、いつもたいへん陳情があるわけであります。NHKのほうは一生懸命に御努力いただいて、山間僻地まで難視聴の解消の対策のために予算を計上し、建設を進めていただいておるわけですが、民放とのズレがたいへんひどくなってきておるわけであります。  そこで、事務的に簡単でいいですから、NHKと民放と難視聴解消がどういうように進んでいるか、ごく簡単な数字で御説明をいただきたいと思います。
  31. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 昭和四十八年三月末におけるテレビジョン放送の難視聴の世帯数、これはNHKが百十七万、民放が約二百五十万でございます。  それから参考までに申し上げますと、NHKが置かれておって民放の置かれていない設置場所と申しますか、NHK四十九年三月末で千九百カ所に置局がなされるであろう、それに対して民放は七百四十一、その差が千百六十地区ということになっておりまして、民放の置局がNHKに比べて相当おくれておるということでございます。
  32. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は当委員会でこの問題をしょっちゅう問題にしてきたわけであります。  これもNHKお尋ねをしたいのですが、中継局を建てる場合にはどのくらいな規模までを中継局にして、どのくらいな規模以下は共聴にするか。それからことし昭和四十九年度の予算においては、中継局の場合には、三百戸を対象に中継局を建てて一千五百万かかるとすると、一戸当たり五万円であります。一戸当たりサテ局については、ことしは建設費はどのくらいになるか。共聴であったならばどのくらいになるか。それと――まあそれだけ先に答弁してください。
  33. 藤島克己

    ○藤島参考人 NHKの場合、共聴と置局の仕事をスタートするときの区分でございますけれども、それぞれの特徴がございますので、一応小さなグループ、つまり二百世帯くらいを一つめどといたしまして、それ以下のほうは大体共聴でやっております。それからそれ以上のところを置局でカバーするという形をとっておりますけれども、これはあくまで基準でございまして、現地の地形とかその他の関係を勘案いたしまして、必ずしもこれでない例外も多くございます。  そこで、先ほど二番目の、どれくらいかかっているかというお話でございますけれども、四十八年度の置局の場合で申し上げますと、一世帯当たりにして二万一千四百七十円という計算でございます。これはまだ四十八年度は決算いたしておりませんので、一部見込みの数字が入っておりますけれども、予定いたしました数字でいきますと、一世帯当たり二万一千四百七十円というのは置局の数字でございます。それから共聴施設の場合でいきますと、これがだいぶ過疎地帯になっておりますので、非常にケーブルの長さが一世帯当たり長くなりまして、一世帯当たり三万三千五百三十九円というのが四十八年度の決算をした場合に大体予定されている価格でございます。
  34. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまのは、四十九年度はどういう見込みですか。
  35. 藤島克己

    ○藤島参考人 お答えいたします。  ただいま申し上げましたのは四十八年度の予定でございますけれども四十九年度の、ことしの予算に一応考えております建設単価は、置局の場合は三万二千七百三十円でございまして、約一万一千二百六十円ばかりアップいたしております。それから共聴の場合は、一世帯当たり三万八千八百一円ということを予定しておりまして、これは約五千円近くアップいたしております。
  36. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 難視聴――全然見られないところがこの時代に百十七万戸あるわけであります。それを解消するための努力として、置局の場合には四十八年度二万一千四百円、四十九年度になると五割増になって三万二千七百円。共聴であったならば去年は三万三千五百円、ことしは三万八千八百円、約二割増。こういうことで、困難な地点に行けば行くほど一戸当たりの建設費がかさんでいく。こういうことはもう争えないことで、ことしはNHKの建設費もだいぶ少ないようでありますが、これからは、実は解消のために一戸当たりの金が非常にかかってくる時代に際会していく、こういう趨勢にあると思います。そういう中で、民放を一局さえも全然見られないというところが二百五十万戸。NHKとの比は倍と半分ぐらいです。百十七万が全然見られないところ、二百五十万戸が民放一局すら見られないところ、これだけのおくれを民放はしておるわけであります。ここに私は問題があって、当委員会においても去年るるいろいろ提案をしてきたわけですが、私たちは昔県会におったときに、この時代にまだ電灯を見られないところがあるものか、県会でもって県の補助金でもって――中部電力だか東京電力にやらせていたのでは、一戸当たりとてもじゃないが建設費がかかってどうにもならぬから、国や県から援助をしてもらって、無点灯、電灯のない部落を解消して、いまそういうところはないわけであります。だから、いよいよこれからはもう一戸当たり五万円近くもかかるような建設費になってくると、この経営困難なNHKにそれをまかせる、あるいは営利をやっている民放にただまかせる、これだけでは解消が進んでいかない、こういうように考えます。これは国家的な援助をする必要があるのではなかろうか、こういうように考えますが、どうでしょう、郵政大臣
  37. 原田憲

    原田国務大臣 ただいまの問題につきましては、小沢委員が熱心に御意見を述べられておることは承知をいたしております。そこで、政府といたしましては、難視聴問題を解決するために調査会をつくって、そこで御審議を願っておるという過程であります。一つには山奥の問題、一つには都会の問題。都会で新しく高層建築が建てられるたびに難視聴問題――私も赤坂の宿舎におりますが、どうしても陰になる。しろうとでございますからいろいろいじってみますけれども、聞いてみますと、結論は建物の関係というものが出る。これもやはり難視聴の問題ではなかろうかと存じます。こういう問題に対しまして、一応本年の五月ごろまでには都会の問題をどうするかということについて、会社をつくってやったりいろいろなことをやっておるわけであります。一方においては騒音対策等で国が負担をするというような手も行なわれておることも事実でございます。こういうことで、大体都会の難視聴問題はことし結論を出して、そしていま小沢さんの言っておられる問題等を踏まえて、可及的すみやかに次の結論を出す。可及的すみやかにというのはよく役所で使うことばですが、私はこの難視聴問題について事務当局に早くやらなければいかぬということで督促をいたしております。大体ことしじゅうにその問題が片づけば、来年度には調査会から答申が得られるというふうに努力をする、こういうことで、いま鋭意努力を続けておる最中でございますので、この答申が出ましたならば、いろいろな面で難視聴対策に対する具体的な措置というものは行なわれていくと思いますが、それまでの間にも、いまお話が出ておりますように、難視聴問題を解決するために、NHKあるいは民間放送でも、昨年からことしにかけてそれぞれ難視聴地域を解消していくということをやっておることは御承知のとおりでございます。
  38. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 続いて大臣にお尋ねしたいが、去年もさんざんやったわけであります。同じ置局の場合に、NHKがここへ建てるがということでNHKが一人だけで置局をしても、本来NHKは見えますが民放は全然入りません、民放も何とかそこへ建ててくれ、こういう問題が出てくるので、NHKと民放とが共同して置局をしたらどうか、これはたいへん効率的なことであります。ところが国でそれを言うだけの力がないわけであります。なぜならば国でも三分の一とか四分の一を補助するから民放も一緒に建てろ、それじゃNHKも民放も建設費が安くて済むじゃないか、住民が喜ぶじゃないか、こういうぐあいに実は国でもって指導するためには、どうしても補助金を立てなければならないわけであります。  ちょっと資料が古いけれども、置局が四十七年度は二百二十建てたるうち共同でできたものは二十二、一割しかないわけであります。四十六年度においては二百二十のうち二十一局、やはり一割であります。これはもったいない話であります。共同で置局さえすればみんな喜ぶのを、それができない理由は、国でも援助をするからあまりペイしないところだが民放でも建てろとこういうようにやっていかなければ、私は解決が進んでいかない、こういうように考えるわけです。民放はもうけだけでやっていますから、もうからぬところはやらないわけです。  そういうことから、私は新大臣に一回ぜひ聞いておいていただかなければいけないことがあるわけです。去年の三月、七月ごろ、二回当委員会でやったのは、目的税として電波の使用料、使用税、こういうものを民放、NHK、だれといわず取ったらどうだろうか。発電所をつくるときには水利使用料というものを取っているわけであります。国の財産である水を発電所が使うなら水利使用料を払え、治山治水のために要るから、こういうことで取っているわけであります。それと同じように、電波使用税、電波使用料、こういうものを目的税として、あまねく国民に電波の恩恵に浴せしめるために、国で取って、それを財源として、それにプラス国から純然たる金を出して、トータルして補助金を出していく、こういうようにすればいいではないか、こういうように私は言っているわけであります。民放というのは、もうかるところはうんともうかっているわけであります。いなかの民放はもうかっていないわけであります。もうかっていないいなかの民放へ、山奥まで行って置局をしろと言うのはなかなか酷な点があるわけであります。東京やそういうところのもうかっている民放では、そういうこと言う必要がないほど、笑いがとまらないほどもうかるわけであります。だから電波税というものは全国一律でなく、その取り方もさんざん研究してみました。カバーするエリア等、それから電波の強さというのもなかなかむずかしいことを聞いてきたわけであります。201log10hルートGPこういうむずかしい単位が電波の強さにあるそうであります。そういう電波の強さかける面積というウエートでもってこれを国で取って、それに国庫の金を入れて、難視聴解消のための補助金を出せ、こういう提案であります。このことについて前郵政大臣は一いま言う調査会において検討をして、こういう御答弁があったようですが、どうでしょう大臣、この問題については。もう直感でいいわけです。
  39. 原田憲

    原田国務大臣 前大臣が答弁をいたしておることは私も承知をいたしております。これを含みまして先ほど御答弁を申し上げておる次第でございます。私は、政治というものは、具体的にいいか悪いかということは行なわなければその成果が出てまいりませんから、この問題につきまして、難視聴問題が非常にやかましくいわれておる、これを解決するために調査会が設けられたならば、この調査会の結論を早く出してもらって、そして行政の上に具体的に反映をしていくというために、前大臣のときにこういう問題を小沢さんから提案されておるならば、これをくんでひとつ調査会に早く答申を求めるようにということを指示いたしておるわけでございます。事務当局ではこのことは十分承知をいたして、小沢さんの御意見は貴重な御意見として、それらも含んで調査会の答申が出されてくるものと私は思っております。それを待っておると、えてして世の中というものは、政府のほうがこうしてくれるまで待っておったらということになりかねませんので、私は先ほど最後につけ加えておりますのは、そういうことはそういうことといたしまして、現在の段階でこれを進めていかなければならぬ、NHKも民放のほうでもこれこれの努力をいたしておるということをことさらあとでつけ加えておるのはそこにあるわけでございまして、民放に対しましても、私はお会いをする機会はあまりそうはございませんけれども、私が民放の大会にこの間出ましたときも、これらの問題は必ずそのあいさつの中に加えて、難視聴問題等について十分言うように心がけておるつもりでございまして、御意見はよく承って、これらのことも含めての処置ということにつきまして、先ほど申しましたように、調査会から出ましたならばそれに沿って処理をしてまいりたいと存じます。
  40. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が参りましたから、私は最後に一つだけつけ加えておきたいと思いますが、私は、電波というものは国民の財産である、宝である、こういう立場に立たないとこれから言うことがどうもぴんと来ないわけであります。民間で適当にやっているものをいろいろくちばしを入れることがあるか、こういうことになると思いますから、電波は国民共有のかけがえのない財産だ、こういう立場に立っていただかなければならないと思います。それを民放は国から免許を受けて営利事業に使っているわけであります。ちょっとべっ見すると、やはり国際電電なんか国策的な会社までうんともうかっているが、よくしっかり押えて一割しか配当してないということで、私この前も追及したわけですが、民放は一割五分――静岡放送一割五分配当プラス記念配当五分。中国放送一割五分配当、これは去年ですか、二期決算で二度ともそうで、片方には四分記念配当。いいですか、記念配当まで入れれば二割であります。熊本放送、これはだいぶ遠くに行って、もうかりそうもないと思っていたら、そこは一割二分配当、記念配当三%。たいがいのところは一割二分配当。それで去年はどういう年か、記念配当をどこでもずいぶんやっているわけであります。二割からの配当。国民の財産宝を使って、その使用料は何にも払わぬで二割も配当しているわけであります。そして株主はたいへん閉鎖的であります。ごく少数の人しかありません。私は、国民の財産を使うべき民放は、その民放の放送のあり方についても、経営についても、もう少し国民がそれに参加をするという体制もまた必要ではないか、こういうふうに考えます。それは、民間会社にくちばしを入れることは私たちはなるべくしないほうがいいと思いますが、しかし使うものは国民の財産である電波を使っているわけであります。そして、ごく閉鎖された二百人か三百人の株主でもって一割二分、一割五分、二割、記念配当、こういうことをやっていることが、一体これからの情報化社会において許されるであろうか。私たちの山奥においてはまだ電波のデの字も、テレビのテの字も見えない人が山のごとくいるわけであります。どうでしょう、大臣、私は電波使用料を取るということは、民放というもののあり方ともだんだん関連をしてくるのではなかろうか、こういうように考えます。大臣の御所見をひとつお伺いして、質問を終わることにいたします。
  41. 原田憲

    原田国務大臣 言論というものを背景にしておる企業に対しては、でき得る限り干渉しないということが良識というものであろうと思っております。ただし、いまお話のございましたように非常に問題は多い、こういうことで、先ほども申し上げましたように、私どもは何割配当がよい、何割配当にしろということは、小沢さんみずから言われておるように、このようなことをいたす筋合いのものではないと思いますが、しかしそのことは、それでは山奥でまだ見られておらないのに一方においてそういうことでいいのかというお尋ね等含めまして、先ほども私は申し上げましたが、民放の方々には難視聴の問題とか、あるいは番組向上のためによく心を使ってもらいたいということを申し上げておるところでございます。  これから世の中は非常にきびしい状態を呈しておりますけれども、この難局を突破されたならば、現在でも国民の余暇の状態を見ますとテレビを見る時間がふえていっております。このことは、テレビを見るということに対して山の奥でもそれだけの要望があるというだけに、この事業というものは私は必ず伸びていくと思います。このことをよく認識されて、経営をする方々が良識を発揮されるように、私どもも行政指導と申しますか、私どもに許された範囲内での良識を求めてまいりたいと存じております。
  42. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これで質問を終わります。またいつかの機会に……。
  43. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、田中昭二君。
  44. 田中昭二

    田中(昭)委員 私最初に大臣の意見につきまして、簡単にお伺いします。  原田郵政大臣意見がここに付されておりますが、その中で、最初に、ことしもまた同じくこのNHK予算については「おおむね適当である。」というようになっております。しかしNHK四十九年度予算経常収支で――先ほどから話がありましたが、重複しますけれども、ひとつなるたけ詳しくまた御答弁いただきたい、また大臣も変わった点から御意見をまぜながらお答え願いたい。経常収支で四十五億五千万の支出の超過。このために大事な三十四億九千万円の事業安定化資金を全額使用するということとなっておりますが、このような物価高騰のおりでございますし、このような処置もある意味においてはやむを得ないものがあるかとも考えますけれども、この事業安定化資金というのは大事な大事な、昨年あれだけごうごうたる批判の中で、前田会長、当委員会にも御出席いただいてできました貴重な安定化資金であります。それを考えますと、そういうものを使いまして五十年度までには受信料値上げしない、また値上げしない財源にこれもしていかなければならないと強い決意の御発表があったわけです。一方当局NHKの今後の財政を考えてみますと、受信料収入の増加は、四十七年度をピークとしまして四十八年度から下降を示しております。このままではこの増加率というのはもう下がる一方でございまして、ますますその増加率の下降の傾向は増大するものだと考えざるを得ないのであります。そういうことに対しまして、経費は年々増加することはこれは必然であります。そうしますと、五十年度以降におけるNHK財政支払い超過、支出超過の事態が避けられないことは先ほども明らかになったとおりでございますが、このように考えてきますと、NHK四十九年度以降において事業安定化資金を使い切ってしまったということは、五十年度までは受信料値上げもしないと公約しておられましたところのことが、はたして守られるかどうかということが大きな危惧でございますし、心配でもあるわけでございます。  そこで大臣は、こういう点を十分勘案した上で「おおむね適当である。」と判断されたと思います。大臣のお考えを承っておきます。
  45. 原田憲

    原田国務大臣 NHK昭和四十九年度収支予算におきましては、いまお話のございましたように経常事業収支におきまして四十五億五千万円の赤字になっております。経常事業収支につきましては慎重に検討いたしてみたのでございますが、NHK事業が主として受信料収入を財源として運営されるものでございまして、この受信料収入伸びお話のごとく鈍化する、一方人件費、諸経費の大幅の増加が避けられない、これもお話のように人件費NHKだけは安くしておくというわけにはまいりません。そこで、こういったような事情によりまして赤字が出ざるを得ない。ちょっと田中さんも最初に申されましたが、それをどうするかということにつきまして、お話のございました三十五億をことしに使う、あと不用の財産を処分して十億ほどの金を持ってきて、それで事業収支を埋めてとんとんにした、こういうことでございますので、これはやむを得ないだろうということで「おおむね」と、こう申したところでございます。
  46. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの大臣のおことばでございますが、受信料が安いとか高いとかそういう問題じゃないのです。いわゆる事業安定化資金を、せっかく受信料を上げないという公約をした翌年で使ってしまう――そういいましても、大臣が一々こまかくNHK予算について、いまのお話では検討なさったということですが、全部お知りになっているんじゃない面もあろうかと思いますからやむを得ないかと思いますが、簡単にこの四十九年度の意見書と四十八年度を比較してみたんですけれども、こういうNHKとしてはいままで経験しなかったような未曽有の危機感、たいへんなときに遭遇しているNHK予算に対して、大臣の御意見は四十八年度よりもぐうっと簡単になっておりまして、たいへんそういう面でもどうかなというふうな気持ちもしますけれども、これはまたあと論議することにいたしまして、次に移っていきます。  それじゃNHK当局のほうにお尋ねしますが、財政の見通しについてでございますが、当局としましては、四十九年度の事業安定化資金の全額を使ったあと、五十年度以降の財政についてどういうお見通しを立てておられるのか、五十年度までは受信料値上げしないとの公約も守られる自信はありますかどうか、お考えをお聞きしたい。
  47. 小野吉郎

    小野参考人 四十九年度の予算編成にあたりましては、五十年度末まで現行料金でいく、こういう公約を守り通しますためにいろいろな配意を下しました。  まず第一点は、金利負担を増大せしめる建設投資を手控えすることでございます。その関係で四十八年度百七十億の建設費をかけておりましたそれは、三十億削減いたしまして百四十億にとどめてございます。  次に第二点は減価償却方式の変更でございますが、在来定率方式で償却をいたしておったわけでございますけれども、これを建物、構築物につきましては定額償却に切りかえました。このために約二十六億積み立て不要になるわけでございます。  第三点は、いまの諸物価高騰のおりから、この関係NHK財政に及ぼします影響は大体物件費だけで四十七億と推定をしております。もちろん人件費等にも影響があるわけでございますけれども、そういったさなかにおきまして、できるだけ既定経費の中で切り詰め得るものは切り詰めるという配意をいたしまして、二十一億の節減を強行したわけでございます。  そういうことをいたしましても、なおかつ三十五億保有をいたしておりました将来への安定資金を全額投入せざるを得ない状況になりました。これは四十八年度以降将来三年間、と申しますのは五十年度末まで現行料金据え置きをする、こういう前会長の公約を私ども踏襲し守っていきたいと思います。これをそごなくいたしますためにあとう限りの努力をいたしました最大限度の措置が、四十九年度はそういうことでございます。三十五億の安定資金全額投入、これも非常に痛いところでございますけれども、何しろ客観情勢の変化はそうせざるを得ないような状況に立ち至ったわけでございます。  一応そういうことで、四十九年度は表面づらは均衡予算の形を保つことができたわけでございますが、五十年度におきましてはそのような遊軍的な原資を持っておりません。そういう関係で、現在から推移をいたしますと、この物価情勢その他がどのように推移いたしますか的確にはまだ予測はつきませんけれども、少なくとも五十年度におきましては経常収支にかなりの赤字が出ることは当然であろうと思います。これは必然の傾向であろうと思います。そういう中で受信料を上げないでやっていくためには、実質均衡予算を組むことは、はっきり申しまして不可能でございますし、安易に外部資金に依存するといったことも経営上どうかと思われますので、いろいろこの点につきましては、経営上考えなければならぬ点については今後深刻なる検討を下してまいらなければならないと思いますので、経営万般を通じまして節減できるものは節減をいたしていきたいと思います。もちろんその余力はそう多くあろうとは思われません。今日までいろいろそういう努力を重ねてまいったわけでございますので、そう大きな節減は期待できません。大きな節減をしようと思えばサービス低下につながるわけでございますし、こういったことは放送機関としてなすべきことではございませんので、番組の制作の質を、金額的には少なくても、より向上できるような方途も講じながら、いろいろな配意を下してまいらなければならないと思いますけれども、この公約を履行いたしますことは、同時に、実質均衡予算を組みますと、こういう公約ではございませんので、何がしかの――これはおそらく、今年、四十九年度の実質四十五億赤字のそれを、赤字幅が上回ることは必至でございますけれども、できるだけこれを低い額にとどめたい、このような努力を今後重ねてまいりたいと考えております。
  48. 田中昭二

    田中(昭)委員 私たちは単純でございますから、国民の皆さんも、公約というものは守られるものでなければならないと思っている。特にNHKは公共放送として日本の全世帯に及ぶような聴視者から、放送機関としてはただ一つ料金を取っておられる。その公共放送NHKさんが公約を、いまのお話では、前段のほうを私聞いておりまして、なるほど五十年度までは公約を守るというような、客観情勢から考えてみても、そういうお話があったようです。後段になりましたら、いろんな理由をあげられましたが、どうもそれをそのままとりますと、五十年度は値上げするんだ、受信料値上げをやるんだというふうにもとれますし、そうなりますと、何のために安定化資金を全額使ったかというようなことと、それからいまのおことばの中にはたいへん重大な問題が含まれておる。経費を節減するということは、国民の、いわゆる聴視者のサービス低下にならないように、だけれども経費は少なくしていきます、これじゃ単純な私たちは、また国民はわからぬと思います、そういう理屈は。ただその努力をですね、その経営内容について努力されることは、これは評価しなければならぬと思いますけれども、ただお話の中に、均衡予算を組むことと受信料値上げとは関係ないというようなこともおっしゃいましたけれども、私は少し、ものの基本的な考え方に、その場限りの言いのがれ的なお話になっているような気分がしてならないのです。それは均衡予算NHK努力によって組むのが当然でございましょう。これは努力によってできるのです。外部資金を持ってこようが何しようが、天下のNHKでございますから、そんな何十億かぐらいの金額にこだわる必要はないと思うのです。しかし、五十年度までは受信料値上げしないということに対して、これは先ほど言いましたように、公共放送として二千何百万かの聴視者から受信料をいただいているそのNHKが、政府と同じく公約をいつもかつも破るようでは、これは社会に対してほんとうにたいへんな問題だと私は思うのです。  それじゃ経費の節約の問題で一つ申し上げてみましょう。いま世間では、悪徳企業、大企業の悪徳商法によって利益が出過ぎて、それを隠そうとして、償却費にしましても、定額法を定率法に直して積み立て金をつくってみたり、方法を変えたりしてやっている。そういう時代に、公共放送としてそれと逆に定率法を定額法に変更してささやかな節減をやっているというこのNHKの姿勢、これはいま申し上げましたような面から見ればたいへん公共放送としてつつましやかな、控え目な経費の節減の方法をとっている。何かしらん、いまの悪徳商法の大企業が問題になっていることを意識されたのかどうか知りませんけれども、全然逆なことをやっている。そのことについてはほめなければならないかもしれませんけれども、そういうこまかい問題について入っていきますと、まだたいへんな問題を含んでおる。  もう一ぺんお聞きします。五十年度まで均衡予算を組んでNHKは公約を守るべきだと思いますが、いかがですか。
  49. 小野吉郎

    小野参考人 予算の均衡をはかりますことは当然でございましょう。これは形式的には均衡を維持すべきものと思います。と同時に、料金の面につきましては、先ほどの私の答弁が誤解を生じたようでございますけれども、五十年度までは値上げをしない、こういう意味を現行の料金を維持する、こういうことで申し上げたわけでございますので、この点ははっきりさしておきたいと思います。
  50. 田中昭二

    田中(昭)委員 わかりました。それでは安心して質問を続けさせてもらいます。  そこで、次は受信料収入につきましてお尋ねしたいわけでございますが、その前に、やはりいまの問題を少し具体的にこまかく入っていきたいと思います。  まず、いわゆる収入伸びがたいへん鈍化してきた。そこで、まず収入関係のある経費といえば何かといえば、未収受信料の消却でございますね。これが、いままでの収入がずっとふえてくるときと同じように見込んでございますね。受信料収入の大体一・一%ですか。これはある意味におきましては、こういうものこそ、収入伸びがないというときにはこれはもうNHK努力だけでできることでございます。そのためには、未収受信料、未契約については、最大の努力をしてものすごい経費を節減しなければならないときにかかって、膨大な伸びを示しておる、ということは、私はこの未収受信料の見方は、こういうときこそいままでの半分ぐらいにすべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  51. 小野吉郎

    小野参考人 未収受信料関係につきましては、いろいろ予算審議を賜わりますつど問題になるところでございますけれども、これも現在の収納実態等から考えまして、いろいろ社会情勢受信料徴収にはむずかしい方向に複雑化し、多様化しつつあります。そういう状況から、最近の実情に照らしましてその程度の見込みをすることが必要であろうと思いますし、この点は一応未収に入りましても、これを回収する努力は大いに行なわなければならないことは当然でございますけれども、やはり、起こるであろう現実の未収のそれを低目に見ることは、予算計上上かえってつまずきを起こすことになるんではないかと思いますので、実態に即して測定をいたした数字がいま予算計上になっておる数字でございます。もちろんこの回収については最大の努力を払うことにいたしたいと思います。
  52. 田中昭二

    田中(昭)委員 会長さん、私が、しろうとがあまりそういうことを言ってはどうかと思いますけれども、いまおっしゃったおことばそのまま受け取るわけにはいきません。ということは、未収受信料というのは、そんな感じだけで、感じでおっしゃったんじゃない、実態を調査しておっしゃったのでしょうけれども、これはどこから見ましても、収納実績いわゆる受信料収納というのはずっと大体予算額と同様になってきているわけですね。そうしましていわゆる受信料の見積もりの伸びはぐっと減らしたわけでございます。そうしまして、それに今度は未契約なり未収受信料を集めてくる人たちの経費は、私当たってみてこれだろうと思います、営業費の中に未収受信料欠損償却費、こういうのがございますね。これは四十七年度までの決算が出ておりますが、四十三年度から比較しましても約二五〇%の伸びを示しておるのです。この間の受信料収入はどうかといいますと大体一一〇%くらいしか伸びていないですね。これは私、事務当局のほうへもう一つよくこまかく詰めたいと思いますけれども、そういう感じがしてならないわけです。申し上げておきます。  そこで経費の節減ということに入っていきますが、先ほども話がありましたように人件費伸びは、ここに資料が四十三年からございますから、四十三年度と四十九年度を見てみますと、大体二四〇%の伸びですね。これはNHKだけじゃなくて、公団、公社、御存じのとおり国鉄をはじめたいへんな状態になっておりますが、そういうことと関連して考えますとたいへんな伸びであります。その反面、聴視者に直接影響のあります国内放送費というものは、大体四十三年度当時より伸びだけで見た場合、一三〇%しか伸びがない。大体半分です。そして営業費というのが大体二倍。ところが営業費の中で、たいへん残念なことには、周知広告費とか受信改善費とかいうのは四十三年よりもずっと減額されておる。ではその中で一番ふえたのは何かといいますと、未収受信料の欠損金だけが二五〇%、倍以上ふえているために、営業費全体としては二〇〇%くらいふえる予定になっております。そのほか調査研究費、管理費等も見てみますと、私ずっと一応予算の内容を見てみましたが、経費の節約をする中で、まず経費を節約されたと思われるものの中で顕著なものを申し上げますと、番組編成企画考査費、これが約三千百万円の対四十八年度減少であります。私内容はよくわかりません。これは確かに聴視者に影響のある番組の考査、番組審議会、そういうものに必要な費用ですね。それから通信施設専用費、これは放送中継用テレビジョン等の通信連絡回線経費、これが一億四千万減っていますね。これも私は聴視者にたいへん影響があるものだと思うわけです。先ほど最初に経費の節約をしながら効率的にやる、サービスを落とさない、こういう御発言があったこととちょっと問題でしょう、こういうことは。まだたくさんございます。私がここに見たものだけでも、一七ページにございます協会事業広報費、受信改善費――電波障害対策等受信の改善並びに受信相談業務に要する費用、これは聴視者に一番親しみやすいというか関係がある費用が、この両方の合計で約八千五百万円、四十八年度よりも減っておりますね。そうすると、これは電波障害の受信の改善並びに相談に要するための費用がこういうように減っておる。さらに一八ページを見てみますと、技術調査研究費、放送技術の開発研究、カラーテレビの改善研究、放送衛星云々、こういう費用がまた約一億円。それから、先ほどおっしゃった外部からの借り入れ金、この残高を見てみますと、四十九年度よりも四十八年度のほうが残高が多いのですね。ところが支払い利息は約七億五千万円ふえておる。これは数字ですから間違いないと思いますけれども、それからまたおかしいのは、予備費が一億五千万。経費を節減しなければならぬといって、大事な国民にサービスする関係の費用を減らしながら、予備費を一億五千万ふやしてありますけれども、その予備費をふやしたことについては説明は何もない。ほかのことはずっと説明がありますけれども、この予備費ということは私、ちょっと問題にしなければいかぬと思いますけれども、ちょっと最初におっしゃった経費の効率的使用というようなものと、こういう経費の節減されたものが聴視者に直接関係のある費用だ。それから内部的ないわゆる減価償却とか、いま申し上げました支払い利息とか予備費はぐっとふやしてある。まだ言えばたくさんございますけれども、どうも私、こういう予算の内容のこまかい事務的なことを一々言うわけではございませんけれども、見た感じで、先ほど会長がおっしゃったようなことについては疑問を持たざるを得ないわけです。いかがでしょうか。
  53. 小野吉郎

    小野参考人 計数的に見ますと、そのような御指摘もごもっともと思いますけれども、私ども聴視者サービスについてのそれを低下するような意思は毛頭ございません。一例をとりますと、たとえば予備費がふえたような面につきましては、在来ずっと四億を維持しておりました。予算の全体の規模からいえばきわめて少ない予備費でございます。今日三千五百局の特定局に集金の委託をいたしておりますけれども、この委託費の関係が、ベースアップの関係で年度末に調整しなければならない額が年々ふえてまいりまして、もう四億の予備費では大かた一ぱい一ぱいになるようなことでございます。災害等の関係については措置できないような状況になっておりますので、一億五千万ふやさざるを得ない、こういうようなことになっておるわけでございまして、その他いろいろな面につきまして、増加しなければならない面のそれはこれを目をつぶるわけにはまいりません。と申しまして、いろいろ受信相談の関係とかいろいろな関係で経費が減っておるじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、これはやはりそういった経費ばかりでなく、その他の関係で受信サービスの精神を旺盛にすることによってカバーし得る道もあるわけでございますので、この活動を決して縮小するようなつもりは毛頭持っておらないということを申し上げます。
  54. 田中昭二

    田中(昭)委員 私たち単純でございますから、経費が減ってサービスをよくするというようなことは、大体いまのようなときですから、何かやろうといえば金がかかるのはあたりまえと国民は常識的に考えませんかね。それをうんと減らしておってサービス向上は落ちないようにしますというようなことは、私も単純過ぎるかもしれませんけれども、ちょっと納得いかない点がまだ残ります。予備費のことは、それはいろいろ立ち入るあれはございませんけれども、単純に国民の側から見れば、ほんとうに公共放送としてがんばっているNHKさんですから、金があればどんどん予備費も使ってもらって、それでも行き届かない点がまだたくさんありますから、そういうところに金を使ってもらうことはりっぱなことだと私は思います。しかし、あれだけ去年問題になって、あの安定化資金を生み出して、そして三百十何億かの特別収入を得たものについての批判、いろいろ検討がなされ、安定化資金までつくって、予備費までふやさなければいけないのですか、こういう単純な疑問が出てくるのじゃないでしょうか。その点、大臣いかがでしょうか。もう一ぺん申し上げます。収入伸びが少なくなるから経費を効率よくするために減らした、それは視聴者サービスの落ちないような経費の減らし方もあると思います。しかし、いま私が指摘しましたように、これは金がなければできないという一般的な常識から見て、それは内容はいろいろあるかと思いますけれども、そういう中でさらに受信料を五十年度については――NHK経営内容自体から見れば、ほかに収入を求めることがないというような、経営の悪化しているそういう見通しが立っておるときに、安定化資金を使ってそして予備費だけふやすという考えに対して、そのNHKのりっぱな予算に対して、大臣はおおむね適当だ、それはおおむね適当だというのは、私も毎年毎年意見書を五年分ぐらい見ていますけれども、こういう役所の発想はひとつこの際新しい原田郵政大臣のときに発想転換をして、ほんとうにNHKを助ける意味で意見書もきちっとされたほうがいいと思いますが、そういう意味も含めて、おおむね適当ということばにこだわりませんから、ひとつ大担な意見開陳をお願いします。
  55. 原田憲

    原田国務大臣 大胆なと言われましても、NHK予算法律的な根処からいいまして、私どもはできるだけ簡単率直な意見書というものを、精密に検査をいたしますけれども、付するのが一番いいのではないか、私はそのように考えておりますが、ことしは非常にむずかしいときでございますから、話のございましたようにおおむねよろしい。このおおむねで足らないところはどこだといったら、やはり聴視料をもって立っておるNHKであるから、このものが満ちてくればそれに対する逓減傾向が出てくることは当然のことでございますけれども、それにしてもやはりそれに努力をすること、それからくふうをこらして――いまおっしゃっている中に、経費を減らしてサービスがうまくいくわけがないじゃないか、これは常識だと私は思います。そこに人間のくふうというものがあると私は思うのです。そこで、くふうをこらしてということを先般からも申し上げておるわけでございます。率直に言いましたら、苦しいときには聴視者の皆さん方にもごしんぼう願います、こういう姿勢が大事なときがあると思う。私は政治の場面がいまそうじゃないかと思っておるのですが、NHKといたしましてはまだ料金値上げしなければならぬというところには来ておりません。先ほどあなたも明快に言われたように、五十年度までは値上げをしない、その中でくふうをこらしてやっていくということ、この二つがおおむねの一番重要な点ではなかろうかというような考えで意見を付しておるというふうに御了解願いたいと思います。
  56. 田中昭二

    田中(昭)委員 受信料収入についてお伺いしたいと思います。  カラー契約の増が二百四十三万件とことし見込んでございますが、その根拠は大体どうなっているのか、これが一つです。また、金額にして六十五億五千万円の増加を見込んでおりますが、昨年この委員会でいろいろ議論したときに、いわゆる五十年度までは値上げしないでいけるというその数字的な根拠の説明の中で、四十九年度の受信料収入の増加は八十八億でしたか、八十八億の受信料収入の増を見ておる、それが簡単に言うと今度六十五億になったということですね。五十年度は八十九億円というふうに大体四十九年度と変わらない、こういう見通しが昨年出ておったわけですが、実際今度の四十九年度の予算を見てみますとこれが違いますね。八十八億が六十五億になったわけですが、見込み違いだとするならば、その理由はどこにあったのか、ひとつその差額、そういうことを頭に入れながら当局の御説明を聞きたいと思います。
  57. 川原正人

    ○川原参考人 四十九年度のカラー契約の数の見込みでございますけれども、これは私どもがここ数年にわたりましてカラー契約の獲得と申しますか、契約業務を通じまして得ました毎年の契約伸びの傾向、こういうものが一つの基礎になります。それからもう一つは、電子機械工業会等の資料に基づきまして、毎年カラーテレビの受像機の販売の見込み、特にその国内出荷台数等も必要の数字としてめどといたしております。それに対しまして、なお私どもの現場の各営業所、営業部等におきまして、これは各地の地域を個別に見ておりますので、その中でのこのぐらい契約伸びるであろうという見込み数、こういうものを勘案いたし、なおそれに対しまして、現場から上がってくる数字はどうしても慎重な数字が出てまいりますので、数字が控え目になりますので、私ども経営上の判断を加えましてこの二百四十三万という数字を確定し、各現場にこれをおろして、それでもって来年度の事業の計画を立てるようにいま指示しておるところでございます。  なお、最近におきましてこのカラーの契約の見込みが、御指摘のとおり一年前に私どもが考えましたよりやや伸びが落ちておることは事実でございます。この点につきましてはわれわれの内部の体制ももちろんございますし、外部の一種の社会環境と申しますか、私どもが見込みました計画数字が甘かったというか、あるいはきつかったと申しますか、カラーの受像機の外部資料によりまして、たとえばメーカーの販売台数等から申しますともう少し契約はとれてもしかるべきだと私どもは考えて幾つかの数字を立てたわけでございますけれども、実際に最近の社会環境の中で、現場の職員あるいは委託契約の受託者等を督励いたしましていろいろ契約活動を進めているわけでございますが、やはり個々のおうちをお訪ねいたしましてカラーテレビが設置されたかどうかとお伺いしておりますけれども、これはカラーテレビはないという御返事がありますと、そこから立ち入ることがなかなかむずかしいという状況のために、いまの社会環境の中で見込みが少し落ちていることは事実でございます。
  58. 小野吉郎

    小野参考人 補足いたしまして御答弁申し上げますけれども、八十八億の見込みだったそれが六十五億に落ちておる、以後、後年度においてもそのような現象があるじゃないか、こういうことでございますけれども、あの八十八億を見込みました当時は、長期の構想を立てまして、およそそのくらいが取れるであろうし、また取るべきだということで構想としては立てたのでございますけれども現実の歩みはなかなかそう参りません。まだ十分努力の余地はあると思いますけれども目標を設定をいたしましても、その目標達成がなかなかそのとおりにはいかないような実績が出てまいっております。  予算編成にあたりましては、やはり努力目標もさることながら、やはり可能な、得られるであろうそれを踏まえまして編成をいたしませんと、執行過程におきまして非常なそごを来たすわけでございますので、六十五億と策定をいたしましたそれは、二百四十三万件のカラーの増、契約総体で六十七万の増、こういうことにせざるを得なかったところに原因があるわけでございますが、これは最近における契約伸び、白黒からカラー契約への転換の実情、そういったような実績を踏まえての数字でございますので、長期構想のとおりにはどうも参りかねるというようなところで現実に合った計数を計上したものでございます。
  59. 田中昭二

    田中(昭)委員 おことばを返すようでございますけれども、長期計画とおっしゃいますけれども、  あのときはたしか五十三年までの計画で、そんな長期という意味であれは八十八億が出たのではないかと承知をしております。それと、いま大事なことは、たった一年間たったわけですよ。一年前ですよ。そのときに契約予想数が、実数がそれに伴わないような実績が出たから簡単に八十八億を六十五億と見ましたという、その辺で少し私はまだ納得がいきません。これをやっておりますと時間を食いますから、いまの答弁ではちょっと私も心配ですけれども、そのまま次に移っていきたいと思います。  次に、いわゆる受信契約の把握の問題でございますが、四十九年度におきまして非世帯契約は幾らに見込んでおられるのか、また四十八年度の実績はどうだったか、これは先ほどちょっと出ておりましたようですけれども、ひとつ重複しますけれども、もう一回はっきり言っていただきたいと思います。  次に未契約状況はどうであるか。いまのやつは非世帯でございますが、今度は未契約状況はどうか。昨年の説明では、たしか四十七年度中に契約がとれなかったものが四十八年度にずれこむ、いわゆる四十八年度の契約となる分が二百六十八万、非世帯で十七万だったと思います。同じく四十九年度では世帯が二百八十九万、非世帯で十七万、答弁を見てみますとそういうふうになっているようでございますが、四十八年度の達成状況ですね、これは大体どういう状況になっておるのか。また四十九年度の達成見込みはどのようになるものでしょうか。  たくさん申し上げましたから一つ一つ、わからなければまた申し上げますから、お答え願いたいと思います。
  60. 川原正人

    ○川原参考人 それでは、最初に御質問になりました四十九年度の非世帯契約獲得の見込みでございますけれども、私どもでは五十五万というふうに予想しております。最終数字が五十五万、増加は五万というふうに予想しております。  それから全体の数の問題でございますけれども、四十七年度末に翌年度の対象となって残るであろう世帯、これは二百六十一万というふうに、前に御説明申し上げたかと思いますけれども、その数字は年度末においても大体それに近い、ちょっとふえておりますが、二百六十八万という数で終わっております。それに対しまして四十八年度の活動でございますけれども、これは年度内にいまなお最後の活動に力を入れているところでございますけれども、新規の契約としては二百七十万の獲得をいま目ざして、最後の数字の詰めをいたしております。ただ、これも前回お話し申し上げたと思いますけれども、一方では年度内の契約者が移動その他のために契約の減少がまた出てまいります。これがやはり二百二十万余り出てまいりまして、四十八年度末の数字といたしましては、やはり二百九十万を少しこえるくらい翌年度へ契約の対象が回るかと思います。それに対しまして、さらに四十九年度は三百万近い新規の――二百九十六万でございますか、一応端数をつけて私どもは計画を立てておりますが、二百九十六万の新規の契約をとろうというふうにいま計画を立てておるところでございます。
  61. 田中昭二

    田中(昭)委員 あと四十八年度の非世帯
  62. 川原正人

    ○川原参考人 失礼いたしました。四十八年度の非世帯は、先ほど会長からもちょっと答弁がありましたように、年間でおかげさまで九万の増加をはかることができる見込みで、大体年度末には五十万の非世帯契約になるというふうに見込んでおります。それに対しまして、四十九年度にさらに五万とって五十五万と、冒頭申し上げました数をいま見込んでおるわけでございます。
  63. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは技術的にいまの数字を突き合わせますと、たいへんおかしなものがちょっと出てくるようですよ。簡単に申し上げますと、世帯のやつは大体予定どおりいっておるようでございますけれども、非世帯でいけば、たいへん去年問題にしました。さっきおほめのことばをいただきましたのですが、三万予定しておるのが九万非世帯契約がとれた、五十万になった。ところがまだ全体は七十万近いテレビの設置がある。契約のとれない部分が二十万か十八万かそのくらいあるというような見込みになっておりますね、去年九万とれたのですからね。そして営業経費の中で、この関係の費用は二倍近くふやしてあるのですから、これはあまりに効率が悪いですね。九万非世帯契約が四十八年度にとれておれば、見込みからいえば三倍とれるはずですよ。ことしの見込みからいけば三倍の十五万とってもあまり努力したとはいえない。前の年と同じだということになる、伸び率からだけいけば。実際の数からいっても去年九万の非世帯テレビ契約をとったのですから。それは去年はたいへんいろいろ議論しまして、体制も整ったはずなんです。そうしてことし五万というのはちょっとおかしいのじゃないでしょうかね。そうでしょう。四十八年度末で、大体おっしゃるとおりでいけば五十万くらいの非世帯契約がある。それを五十五万といまおっしゃった。一生懸命力を入れて、いろいろ指摘されて、研究もして、そして経費もよけいつけて、これはこのことだけで経費がついたわけじゃないでしょうけれどもね、経費もつけて、そして目標は去年、四十八年の半分しか見ないというようなことが、これはやっぱり契約数を余分に見ることは、年度末になって実際の実績が出た場合に少なくなればたいへんよくないことだと思いますが、しかし、いまの数字を見ましてもちょっとその辺は――簡単に四十九年度は五万を十五万に伸ばしなさいとは私は申し上げません。大臣、そういうふうなんですよ。大臣、おわかりいただけるでしょうか。去年たいへん問題になりました非世帯契約が、当初三万新しい契約を増加したいということで言っておったわけです。それがいろいろ議論されて、その後の努力によって九万にふえた。約三倍にふえた。その九万昨年ふえたのに、ことしは、四十九年度は五万しか見てない。これはものすごく能率ダウンするのですから、これじゃ経費の節約と――当然努力しなければならないところに経費をよけい見たわけですから、それと相反する結果が出た。そういうことをいま言ったわけです。これはどうでしょう、会長。ちょっとおかしいじゃないですか。
  64. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘の筋まことにごもっともだと思います。四十八年度にいろいろ激励を賜わり、また環境的にもそういう一つのムードをつくり上げていただきまして、おかげをもちまして目標の三倍の実績をあげました。その実績を下回る数字を四十九年度に計上することは、せっかくできたそういう環境を利用しての努力に少し意欲が足らぬのじゃないかということはごもっともだと思います。これはもうどうこう口実を私が申し立てる筋ではないと思います。  ただ、予算編成の上からと実際の非世帯契約の獲得の現実の困難性、こういった点を見ますと、なおかつまだ非世帯契約についてはいろいろな問題がございます。それぞれ自分の地元の世帯契約しておるのに、それよりほかに二重にまた非世帯でもとるのか、こういうような反発もあるわけでございます。そういうような面もございますので、いろいろ苦慮しておるところでございますけれども、もちろんそうであっても、制度が、世帯世帯、同じ人であっても非世帯事業場を別に持っておればそこでいただくんだとなっております限りにおいて、最大の努力を尽くさなければならぬことは当然でございます。予算計上の計数からいえばまことに当を失しているじゃないか、おかしいと言われるそれは言い返しできません。そのとおりだと思いますけれども、一応予算計上は計上の数字といたしまして、実際の努力においては、御趣旨に沿えますように最大の努力を尽くしてまいりたいと思います。  なお、先刻の私の答弁を訂正をさせていただきますけれども、八十八億の収入を見込んでおったそれが六十五億になっておる、これは、私はその後の契約の獲得の実態に即してと申しましたけれども、八十八億と六十五億は同じ二線棒でつながるものでございませんで、八十八億の中には、受信料収入のほかに交付金収入とか雑収入、そういうものをまぜてのそれでございますので、受信料収入としては、おおむね六十五億見当のそれに差はないわけでございます。
  65. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣は、いまの会長さんのお答え、特に前段のほうのお答えをいただきましたが、そういうことであっても、やはり「おおむね適当」でお済ましになりますか。
  66. 原田憲

    原田国務大臣 「おおむね」といいますと、そのおおむねがどこだということですね。本来ならば、もうりっぱな予算であったらば、先ほど言いましたように意見なしという答えが一番簡単明瞭だと私は思うのですが、ここにつけてあります聴視料を努力して集めなさいという旨のことばが書かれておるということで、いま私お聞きしていまして、あなたに指摘されて、会長は、それは言いわけがないほどもっと努力をしなければならぬと思いますということを言われておることと、私どもの言っておることと――私も援護するわけではありませんが、いろいろむずかしい点がやはりあると思います。ありますけれども、率直にそう申されておることを思いますと、私ども意見はこれこそ適当ではないか、こういうように思っております。
  67. 田中昭二

    田中(昭)委員 たいへん適当であるというのは抽象的な言い方ですからあれですけれども、おおむね適当であると言ったことが適当だというふうないまの最後の大臣のお答えだけはいただけない。適当でないということが予算の見積もりの段階ではっきりしておれば、これは努力すると同時に発想の転換をやらなければいけませんよ。発想の転換をやらないから、いままでこういうふうにわが国の全般の政府の財政においてもあやまちを繰り返してきたんじゃないですか。私はNHK予算だけを考えてもらう郵政大臣じゃないと、実力をまともに評価して提言を申し上げておるわけですよ。しかし、それ以上のお答えはできないと思いますから、たいへん不満足でございますが、次に進みます。  次に難視聴対策でございますが、四十九年度の難視聴のための建設費を見てみますと、先ほどもありましたが、全額において四十八年度とほぼ同額を計上しておられます。しかし、中継局の完成が二百二十から二百に減りました。また共同受信施設が千十から九百と約一割の減少でございます。これは経費節減の一環としてこのように減ったものであるとも思いますが、今日のような経済情勢から見ましてやむを得ない点も認められるわけでございますけれども、先ほどから言いますように、NHKの公共放送としての使命から考えてみますと、せめて四十八年度並みの建設はできなかったものだろうか。  もう時間がございませんから続けて申し上げますが、次に解消世帯も四十八年度の十九万世帯から十四万世帯に減っております。これでは、昨年お答えいただいた五十一年度末のいわゆる残存難視聴世帯の六十万ですか、これの達成はたいへん困難ではなかろうか、こう思います。この点についてお答えをお願いします。
  68. 小野吉郎

    小野参考人 難視聴解消の置局数あるいは共聴の設置数が減りましたことはまことに遺憾でございますけれども、これまた予算編成上、最後まで前年度並みというようには考えておったわけでございますが、全体の編成の作業上それだけの削減をせざるを得ない立場になったわけでございます。他面、現在地元その他の関係からいろいろな要望を受けておりますが、この要望を満たすのには十分な数と考えます。表面は数字が減ったようでございますけれども、現在における要望に沿い得る数ではあると私どもは考えまして、一割の削減をいたしたような次第であります。
  69. 藤島克己

    ○藤島参考人 ただいま会長が申し上げたとおりでございますけれども、先ほどからるる説明がありましたように、協会全体の予算がたいへん困難な状態の中で、建設費総額は百七十億から三十億削りまして百四十億という収縮をせざるを得ない形になっておりまして、その中で難視聴につきましては、従来からの御指摘もございますとおり私どもの本来業務でございますので、最後までその線はくずさないということで努力をしてまいったわけでございますけれども、最終的にはごらんのとおりに、金額的にはほぼ同額でございますけれども中身の数からいたしますと約一割減ということで、たいへん残念に私は思っております。そういう点から言いますと、たった一年前に約束したことと違うではないかと当然おしかりを受けると思いますけれども、おしかりは覚悟で、正直に申しましてたいへんに困難な状態に来ているということは事実でございます。確かに昨年、五十一年度末六十万ということを申し上げたと思いますけれども、ただいま申し上げましたような諸物価の高騰もございますし、たいへんに困難な状態でございますけれども、その中で私どもは技術的な改善もいろいろいたしまして、現地の工事のしかたも改善をいたしまして、できるだけそれに近いところへ持っていくべく努力をいたしたいと思っております。
  70. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは先ほどいろいろ問題になりましたけれども、具体的な問題は時間の都合上省きます。  それで、これはこまかい問題でございますけれども、私は事実をもって計画の内容について意見を申しながら少しお聞きしたいと思いますから、資料の四〇ページを会長ちょっと見ていただきたいのです。いわゆる建設関係で「昭和四十九年度難視改善対策の概要」というのが四〇ページにございます。これは、具体的なことを私また申し上げますけれども、大臣ひとつ聞いておってください。そこに「都市難視対策」「鉄道障害対策等受信改善」こういうところでいわゆる難視の問題が出ております。こういうこまかな内容が出たのは、これはことし初めてだと思います。この算定の根拠は――いわゆる対策世帯九万三千世帯とか鉄道対策世帯二万二千世帯とか、そういう世帯に対して難視を解決するために、これは二億三千万ですか、両方で五億四千万ですかね、こういう予算をつけてありますが、まずこの救済するところの世帯数の根拠はどういうふうになさってますか。
  71. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 最初に申し上げますけれども、資料としてこまかく出しましたのはことしでございますが、この項目につきましては昨年度も同じようにやっております。この本年度、四十九年度百四億に相当いたします金額は、昨年は九十一億でございます。  それから都市難視のための二億三千万円、救済世帯九万三千といいますのは、四十八年度でいいますと、金額は同じでございますけれども、救済世帯は八万五千でございました。この九万三千の中身は次のようになっております。いわゆる受信改善その他によって、各受信者のお宅のアンテナを直すことの御相談に応ずるというような軽微ないわゆる改善対策というものを約七万七千世帯、地区にいたしまして五千五百三十地区。それから特別改善対策といたしまして、これは小さな共聴でございます、この中で、技術的には単なる御相談というよりも一歩踏み込んだ改善をいたします数が一万六千で、地区の数にいたしまして五百七十地区というような、そういうこまかいものを積み上げましてこの数字は出ております。それから鉄道につきましては、昨年度は三億四千万を投入いたしまして三万四千世帯でございました。昨年度は新幹線の延長が非常に激しゅうございましたので数がふえておりますが、ことしは三億一千万で二万二千世帯というふうになっております。
  72. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、聞いておっていただきたいのですが、やはり難視対策が全体的にはたいへんな問題で、費用の問題もございますけれども、ここにあります鉄道の障害による対策等受信改善、いまお聞きしましたら、世帯数は、いわゆる鉄道の音等によって、または振動等によって障害を起こす世帯は七割以下に減っているわけです。それは、昨年は新幹線の、何とおっしゃったのですか、はっきりしませんでしたが、新幹線のためによけい要ったけれども、ことしは要らないんだ、こういうお話だったのですね。ところが、私、九州でございますけれども、新幹線は四十九年度博多まで開通しますね。会長さん、大ワクいって、私は新幹線のために障害ができる世帯はものすごくふえると思うのです。その、ものすごくふえるものは全部切り捨てごめんで、そういう予算を組んであるというような感じがしてならない。  それから申し上げますけれども、時間がございませんからあとでまた説明を聞くことにしまして、こういう具体的な事実を申し上げるのです。私は博多に住んでおりますけれども、博多の国鉄の駅のホームから、私がおりましたところは約二百メートルの下りに寄ったほうなんです。原田大臣は運輸大臣をなさっておりますから鉄道のことは御認識があると思いますが、その二百メートル博多駅のホームから下りの、鉄道の線路から約百メートルの建物の中におりました。その建物は十一階ですか、鉄筋コンクリートの建物でございますが、その建物の百メートルそばを通る。そして駅ホームから二百メートルですから、そのときには列車はものすごく減速して入ってきておるわけです。そういう状態でありますけれども、その状態の列車は静かに入ってきておるわけだけれども、鉄道の線路から約百メートル離れた十一階建ての鉄筋コンクリートの中のテレビが、振動と音、というよりも振動ですね、テレビが見えなくなる。そういうことがいま問題になっておるわけです、ずっと前から。私のところにも、実は今度別に都市難視でございますけれども、すぐそばに十三階建てのホテルが建ちまして、それで建設する場合の打ち込むあれで家の中の物が落ちるくらいに振動を受けて、そのためでしょう、テレビも全然見えなくなってしまう。そういう場合、いままではNHK受信料だけ納めてテレビを見させてもらっております。いまの鉄道のこともですけれども、都市難視のいわゆるビルの陰になる問題にしましても、ビルができたためにたいへんな精神的なものや生活の破壊も受けておる、そしてテレビは見えなくなっておる。ホテルのほうから建設会社のほうから、しかたがないから有線テレビを引いて、その有線テレビの月間使用料といいますか、そういうものは払ってくださいといって契約書を持ってきます。そうしますと、いままで静かにテレビ受信料だけお払いして見ておったものが、今度は有線テレビの使用料も払わなければならぬ。そしてテレビは一台もうだめになってしまった。こういう聴視者が至るところに出てくるんですね。NHK当局の方も、私は先ほど鉄道の近くにある建物の中の問題を言いましたけれども、想像してみてもおそらく想像もつかないだろうと思います。しかし現実はそうなんです。そういういわゆる公害によりますところの難視の問題、これが今年度予算においては全国的に見て救済される世帯数は六割から七割しか見てない。現状は山陽新幹線と、岡山から博多まで本年度に開通します。たいへんな、いままでの新幹線の倍近くの騒音を出すことになるでしょうね、住民に対して。そういう背景のもとで、こういうわずかな救済しかできないというのは私はたいへん残念であると同時に、やはりものごとに対する計画の立て方、予算のつけ方ということについては、大臣は適当だとおっしゃいますけれども、どうもそれは少なくすることが適当なのかなと、こういうふうに思わざるを得ないような現状を私いま申し上げたのです。いかがでしょう。
  73. 原田憲

    原田国務大臣 難視聴をなくすることに努力しなさい、これはもう「おおむね適当である。」というおおむねでない部分ですよ。おおむね適当であると言ったらもう完全なんですよ。おおむねと言っていることの足らないところは何だと、こういうことで、私どもは先ほども言いましたように努力して料金を集めなさい、それから今度は難視聴をなくするようにしてください、こういう意見を私は付しておるのですよ、私の意見書には。だからそれは適正ではございますまいかと、こういうことです。難視聴をほっておけと私が言っているならあなたにしかられなければならぬけれども、難視聴をなくしなさい、料金を一生懸命集めなさい、こう言っておるのですから、私は先ほども適当ではなかろうか、私の言ったことに対して会長は一生懸命やります、こういうことをあなたにお答えいたしておったのでございます。だから難視聴問題も、あなたがおっしゃっておりますように今後非常に重要な問題になってきますからNHK意見も申し上げておりますけれども、私どものほうでも、先ほど言いましたように調査会を設けて、これらに対するところの対策というものを英知を集めて対処いたしたい、このように考えております。
  74. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 先ほどちょっとことばが足りませんでしたので補足させていただきます。  国鉄関係につきましては、ちょうど基地その他と同じように、当初障害が起こりましたときにおきましてはNHKみずからの手で聴視者状況をできるだけ軽減するということで手がけておりますけれども、漸次いわゆる原因者責任主義といいますか、そういうことの浸透とともに、NHKみずからの部分が減ってきているということでございまして、その救済の全体が減っているということではございません。つけ加えさせていただきます。
  75. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは全体的に、鉄道の問題、都市難視の問題について、ひとつ当局から私の申し上げたことに対する決意をお聞きしたい。
  76. 小野吉郎

    小野参考人 これは原因者責任主義をもちまして、航空騒音のそれはあるいは防衛庁あるいは運輸省関係、国鉄の関係につきましては鉄道当局措置されるようになっておりますけれどもNHKはこれにやはり協力をいたしまして、ともどもに解消をしようということでございますので、先生御指摘のいろいろな計数上の問題、実情はこんなものではない、こういうようにおっしゃっておられる、それはそのとおりに私ども考えております。そういうような観点に立ちまして、今後十全の努力を尽くしてまいりたいと思います。
  77. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は具体的なお話を、こういうことはしておくほうがよかろうと思っていま申し上げましたけれども、何か一方的に担当者のほうでお答えをいただくようなことはたいへん私不満足です。ですけれども時間もいまないような状態でございますから入れませんけれども、どうしても聞かなければならない問題がまだたくさんあります。  もう少しこまかい問題で簡単に一つお聞きしておきたいことは、本年度の予算の中で建設勘定ですか、これは減っておりますね。そうしますと、私昨年も問題にしたのですけれども、経費の効率的使用というようなことも考えますと、福岡の放送会館の建設は前田会長も第一番に取り上げたいというような御発言もいただいておりますけれども、しかしことしの予算案を見てみますと、放送会館の建設等はもう一切やらないというような意味で計上してございますね。そうしますと、これは福岡だけではないと思います、全国で、NHKが一生懸命努力して仕事するために会館の中で仕事がたいへんしにくくなる。福岡の場合で申し上げれば、営業関係の方は離れたところにビルを借りてまで仕事をしておるような状態ですよ。そうでしょう。私はこれは放送会館を建てたほうが建設の効率的な運用になると思うのです。ああいう一等地に、ああいう狭いところで、ごちゃごちゃしたところで、設備的にも悪いようなところで能率のあがらぬような仕事をしておるよりも、二千五百坪ですか広い環境のいいところをもう四十五年に収得して、二億五千万近くの土地を――もういま四十九年でございますから四十五年といいますと四年前ですよ。いま世間ではやりの、NHKは土地を先取りしておって、いわゆる便乗値上げといいますかそういうことばは悪うございますけれども、そういう土地の値上がりを待っておるというような、逆から見ればそういう見方も地元の人はできるわけです。それはどうでしょうか。
  78. 小野吉郎

    小野参考人 会館の整備につきましては、大体は一段落しておりますけれども、まだ手をつけなければならぬところがありますことは事実でございます。いつかはつけなければならぬのでございますけれども四十九年度予算編成の重点事項といたしましては、予算の均衡をはかりますために、ばく大な借入金による金利負担を避けますために、具体的ないまの福岡の会館にいたしましても土地はすでに用意しております、いつでも建てられる状況でございますけれども、そういった面で一時先に延ばしてありますけれども、これはかわり財源があるわけでございます。現在のところは非常にいいところでございます。地価も相当高いと思います。現在保有しております建設予定地よりもはるかにいいところでございますから、おそらく結末をつければその売却代金で措置できるのではないか、このようにも考えられるわけでございますけれども、一般的に四十九年度はそういった建設投資を圧縮しようという大前提に立った方針によりまして将来に引き延ばさざるを得ない、こういうような実情になっておるわけでございます。
  79. 田中昭二

    田中(昭)委員 時間も来ましたようですから、最後に一言提案を申し上げて――提案になるかどうかわかりませんが、私のいままでの論議が必ずというか、できるだけNHKの健全な均衡予算の実施にあたってプラスになるかどうかということをお聞きすると同時に、提案と申しますのは、私昨年の当委員会前田会長とのいろいろな意見の開陳によりまして、去年はまだ初めてでございましたから、おまえはテレビを見ておらぬからそういうことを言うのだというおしかりをいただいた。というのは、先ほどもちょっと小沢委員から問題になっておりましたけれども受信料を一般の国民にNHKが公共放送として納めていただくのだ、それによってこれだけの天下のNHKとして、国際水準的にもおかしくない放送をしているのだということについて、マスコミ機関として自分のほうでそういう媒体物を持ってやるし、やろうと思えばできるのだし、私はそういうことをすべきじゃないか。それと不払い運動等につきましても、これは先ほどいろいろお話があったことを思い出していただきますと、不払い運動についてもそれはよくないことであるということをおやりになったらいいんじゃないですか、こういうことを申し上げた。そうして、いやそれはやっているんだという前田会長の私に対するおしかりだった。それでこの一年間見てきました。私はもうできるだけNHK放送は、それからそういうものは絶対のがさないように見ることにつとめておりますけれども、まあ一年間振り返ってみますと、ただ受信料は早く納めると割引をしますよとか、受信料は納めてください、こういうことをおっしゃるだけで、なぜ受信料を納めなければならぬかということと不払い運動との関係等についてのPRはほとんどなされていない。これはひとつ今後十分考えられまして、私の言った意見も、いまのNHK立場としては当然やったほうがいいんじゃないかということは立証されたと思うのです。そういう意味で御提案申し上げまして、質問を終わっておきます。
  80. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、久保等君。
  81. 久保等

    ○久保(等)委員 私、最初に大臣にお尋ねいたしたいことは、実は委員会でも何回か政府の考え方なり、また時の郵政大臣のお考えを承っているのですが、なお片づかない問題として、例の放送法と電波法の改正問題があるわけですが、昨年やはり当委員会でも、久野郵政大臣当時ですがお尋ねしたことがあります。当時何か郵政大臣のほうで、遠からず出されるような口吻で御答弁になったこともあるのですが、しかしついに提案されないまま今日に至っておるのですけれども、この問題について現郵政大臣がどんなふうにお考えになっているかお尋ねいたしたいと思います。
  82. 原田憲

    原田国務大臣 この問題は確かに久野さんから、懸案の問題で重要な問題であるという旨の引き継ぎをいたしております。したがいまして、私はこの問題につきまして、正直に言いまして私専門家じゃございませんので、どのようになっておるかということで事務当局に聞くと同時に、督励をいたしまして、お話のように引き続き大臣が検討をして提案をする努力をしておるということでございますから、今国会に提出ができるかどうかということで作業を進めてまいりましたけれども、正直に私から申し上げさしていただきますと、予算関連法案は二月十五日まで、その他の法律案は三月十五日まで――私も国対をやっておりまして、御審議を願う国会に対して政府はできるだけ審議の期間を置いてやってもらうようにという意味でやってまいりました。その意味では、ことしは法律案もできるだけ早く提出せよということで作業をいたさせまして、他の法案につきましてはすでに院のほうへ提出済みでございますが、残念ながらお尋ねの電波関係の懸案の法律に関しましては結論が出ませんので、なお検討を進めておるというのが、私がただいま御報告ができるところの状況でございます。  なお、事務当局から経緯につきまして答弁をいたさせたいと存じます。
  83. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 電波法、放送法の改正の問題につきましては、御案内のように昭和四十一年国会に提出いたしましたけれども意見の一致を見ないということで廃案になったわけでございます。それ以来事務当局といたしましては、大臣の御指示を受けまして鋭意検討を進めておったわけでありますが、これは非常にむずかしい問題を含んでいる。四十一年の改正案におきましては電波の計画的使用の問題、いわばチャンネルプランの法定の問題、それから免許基準の確立の問題、これも法定の問題、それからNHKと民放に何を期待するかというような問題、いろいろ問題がありましたけれども、一番問題になりましたのが、御案内のように民放に対する政府のタッチのしかたと申しますか、どういうようなタッチをするかという問題、それから番組の適正化をどうはかるかという問題、これは一応改正案では、番組の世論調査委員会的なものを設けまして、ひとつ自主的に番組の向上をはかってもらおうというような改正案の趣旨であったわけでありますけれども、主としてあとの二つの問題につきましていろいろな国会の御議論をいただいたわけであります。あるいはまた国会以外におきましても、新聞論調その他からいろいろ御意見をいただいたわけでありますけれども、この問題は、日本に限らずきわめてむずかしい問題でございまして、NHK、民放に対する政府のタッチのしかたをどうするか、現行のままでよろしいのか、よろしくないのかというような問題、あるいは、番組の適正化というようなことをはかる上においてどういう方策をとるべきかというような非常に困難な問題が、各方面で議論されたわけでございます。  そういう議論を基礎にいたしまして種々検討してまいりましたけれども、事は言論に関する立法でございますし、大方の御意見の方向が定まるというところで成案を得るということが最も望ましい姿だと考えまして、いろいろその後検討を進めてまいりましたが、ただいままでのところ、そういういま申し上げました諸点につきまして成案を得るに至っていないというのが実情でございます。
  84. 久保等

    ○久保(等)委員 まあ状況は、いま電波監理局長の説明せられたとおりだと思うのですが、私は、郵政大臣が年々かわられて、結局こういった重要な法案に対する御理解がきわめて短期間の中で確信が持てない、ここに最大の理由があるだろうと思うのです、ざっくばらんに言って。事務当局がいま言われるようなことは、もう十年近くも――一ぺん法案を国会に出された経過もあるわけですし、しかも電波法、放送法が制定せられて約二十五年近くになるわけですが、そういう長い年月の中で日進月歩の電波、放送関係の非常な変化なりあるいは進歩、そういった点から考えると、この現行法そのものが現在の状況に対して全く合わない情勢に置かれておりますことは、いまさら申し上げるまでもないと思うのです。いま問題点の若干を電波監理局長が説明をせられましたが、そういったような問題そのものについて、私は、事務当局が内部的に検討しておって、かりに十分に国民一般、あるいは特にマスコミ方面の意見が徴取できないということなら、これはまた徴取する方法はあると思うのです。だからそういった点では問題点を一つ一つ片づけていかなければ、十年一日のごとくというけれども、まさに十年一日のごとくであって、なおかつ成案を得ないという状態にあるわけです。  そこで、今国会に提案できるかどうかという問題は、事実上の問題として、郵政大臣からいまお話もありましたように私は非常に困難だと思うのです。したがってここでは、今国会に提案できないならできないというふうに明確にお答え願う、と同時に、引き続き検討ということはこれは当然やってもらわなければならぬし、同時に、こういった重要案件について早急に結論を見出し、政府として提案ができる状態に持っていくべきだと私は思うのです。これは一現郵政大臣の責任ではもちろんないのですが、長い間の懸案問題です。こういうことでは、現実の電波行政なり放送関係の適切な措置が講ぜられないと思うのです。事ごとに問題になってくるわけなんですが、ぜひひとつこの問題について、従来のような態度じゃなくて、ケリをつけるんだという気持ちで取り組んでもらいたいと思うのです。  郵政大臣の先ほどのお話、だいぶ率直なお話なんですけれども、私なお明確にしていただきたいのは、今国会に提案できるのかどうかということについて、ひとつ明確に御答弁願いたいと思うのです。
  85. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府のほうといたしましては、官房長官から三月の十五日までに法律案を提出するように、今国会は大体四月二十九日までの会期、あと参議院という状況でございますから、こういうところに置かれておるということは御理解賜わっておると思います。私といたしましても、きょうの段階でこれを提出しないということはここでは申し上げかねますけれども、党のほうともよく相談をし、また私といたしましては、先ほどあなたから言われておりますようにこれをどうするのか、ずるずるいっておってどうするのかということでは政治というものはならないと思いますから、何らかの結論を得るために、すみやかに私の努力を傾けてまいりたいと存じます。
  86. 久保等

    ○久保(等)委員 比較的率直な御答弁だというふうに理解したいと思うのですが、なおかつ、いま言われたようにもう会期末が迫っておるので、そういう点からすれば提案することはきわめて困難だということは、郵政大臣も言っておられると思うのですが、ここで明確に、提案は今国会にできませんというところまではここで答弁しかねるというお話なんですが、これは党のほうに相談するとかなんとかという前に、郵政大臣として一体この法案が出せる状況にあると判断されるのかどうか、ここがまず問題だと思うのです。私は時間的にいってそんなことは不可能だと思います、率直に言って。いまごろこういった重要法案についてまだ成案が得られておらない段階で、国会に出すことができますなんというようなことは不可能だと思います。そういったことについて、前大臣も当委員会で、出さないとは申し上げられませんというようなことを言いながら、ずるずる国会が終わってしまったのですが、私は、これだけの重要法案ですから、決して急いであわてて早く出しなさいということを言っておるわけではさらさらありませんが、しかしじんぜん日を延ばしますと、とにかく一年二年ならばなにですが十年、あるいはさらにさかのぼれば、四十一年に出されたのも実は長い間検討検討を重ねて、非常に時間がかかり過ぎるほどかかったあげくの果てに出てまいったのが昭和四十一年なんです。そういう経過等を考えますと、私は決して拙速主義でこの問題を片づけなさいということを申し上げておるつもりではさらさらありません。しかし漫然と、ただ決断しないままにああでもないこうでもないという議論だけを積み重ねておっても、成案を得ることは不可能だと思うのです。したがって、もしなお足らざるところがあるのならば、ある程度これをオープンにして、この問題についてやはり郵政当局として取り組む、それらに対する決断を最終的には郵政大臣がいたすわけでありますから、そのことに対する最後のボタンは郵政大臣が押されて国会に提案をされるという運びになるんだろうと思うのです。しかし現状においては残念ながらそういう見通しは私はないんだろうと思うのですが、ひとつ再度お尋ねいたしますが、ほとんどそういったことは可能性がないと思うのですが、党のほうにはかって云々という問題よりも、郵政当局そのものがまだ成案を得ておらないというお話なんですから、そういう問題はきわめて事務的な問題だと思うのです。成案を得ておれば何も、しかも各政党の政審のほうでもすでにもういろいろ何回か検討した問題ですから、そういった問題についてさらに何カ月もかかって検討しなければならぬという問題ではないと思うのですけれども、問題は事務当局そのものが成案を得ておらないという状態なんですから、ほとんど不可能だと思うのですが、その点をもう一ぺんひとつ郵政大臣から簡単にお答え願います。
  87. 原田憲

    原田国務大臣 非常に困難でございます。これは結論でございます。役所というところは、大臣がもうだめだと言うと、もうそれで済んだかというようなことになりかねませんから、私は、局長にもほんとうに真剣に、これをどうするかということについて作業をするようにということを指示いたしておりますので、そのこともよく御承知を願いたいと思います。
  88. 久保等

    ○久保(等)委員 この問題についてはなにしますが、いま大臣が言われたように事務の停滞をおそれて言っておられるとすれば、私は、かりに五月の末なり六月の末までに成案を得るようにとにかく努力せいという御指示をされてもいいと思うのです。何も今国会に出さぬからあとはまた凍結しておけということにはならぬと思うのです。非常に重要な問題ですから、ぜひひとつ不断の努力事務当局でもやってもらって、成案を得るようにひとつ御努力を願いたいと思います。  次は、時間があまりありませんからできるだけ簡潔にお尋ねをいたしますが、放送文化基金の問題。これもすでに当委員会質問がだいぶなされておりますから、重複しない形でお尋ねしたいと思うのですが、昨年の逓信委員会、衆参両院とも非常に議論になった一つの問題でございますが、百二十億という相当な資金をもって運営がなされてまいるわけなんですが、この資金そのものが今日どういう形で運営をせられておるのか、あるいはこの放送文化基金財団そのものが、この説明によりますと評議員会によって役員を選ばれるようなことになっておるようですが、評議員会の構成がどういうようになっておるのか、あるいは常任理事がおられるのかどうなのか、それからこの資金の運営については、十分にひとつ効率的な、またその事業の目的が十分に達し得るような形で運営をしたい、それには審査委員会等を設けるというような説明もこの前お聞きいたしておるのですが、そういったものが現実に発足しておるのかどうか、ここらの経緯について、これは郵政省から答弁をせられるのが適当なんだろうと思うのですが、あるいは放送協会の、どちらでもけっこうですが、ひとつ御答弁願います。
  89. 野村忠夫

    ○野村参考人 御指示によりまして、簡単にお答えいたします。  まず第一に資金でございますが、百二十億の資金は、二月一日に財団設立と同時に基金の財産になりまして、直ちに国債、金融債、政府保証債等を中心にして新発債、既発債等を買い入れております。一部は貸付信託に振り向けてございますが、貸付信託を利用しました理由は、当基金が当初から事務機構をコンパクトにするというたてまえで、金融運営の専門家の有数な信託会社のアドバイスを得てやりたいという御希望のようでございます。評議員の人選につきましては、お手元の五一ページ、五二ページの資料の中の準備委員の先生方十九名が中心になりまして、そこに若干、協会の会長以下関係の役員が加わる程度でございます。合計二十名でございます。執行の形態につきましては、理事会がございまして七名、理事長は中山伊知郎先生でございます。それもそこの資料に掲載されてございますが、現在毎週この七名の方が理事会を開いていると聞いております。常任という制度は寄付行為上はございませんけれども、その中で加藤さんと長浜さんが常務という形で常勤しておられます。  以上でございます。
  90. 久保等

    ○久保(等)委員 昨年、この放送文化基金財団をつくる際に議論されておったことですが、これは設立をされた後は決してNHKの外郭団体ではないんだという御説明が強調されておったと思うのですが、その点明確に確認をする意味でお答えを願いたいと思うのですが、それと、NHKが従来やっておられたような仕事を相当おやりになるんだろうと思うのですが、特にいろいろな放送に関する問題についての技術その他の点に対して助成金を出す、あるいは援助金を出すといったようなことが主たる事業のようですが、そうすると、従来やっておられたたとえばテレビの贈呈ですね、こういったようなことは、これは当然今度の財団でやられるんでしょうが、そうするとこういった仕事はNHKからなくなっていくというふうに理解していいんでしょうか。それともNHKもやるがこの財団のほうでもやるんだということなんでしょうか、どうなんでしょうか。これは一例でお尋ねしたのですけれども、全般的に見てNHKと重複するような形でやられる面があるのかないのか。それから同時に、この放送文化基金、こちらのほうで仕事を相当おやりになったためにNHKの仕事が相当なくなっていくというか、それだけ移していく、移管をしていくという形になる面があるとするとどういった面なのか、そういった業務の内容についてお尋ねいたしたいと思うのです。
  91. 野村忠夫

    ○野村参考人 昨年の当委員会の御意向もありまして、この財団の設立にあたりましては、NHKの外郭団体というような、あるいは郵政省の外郭団体であるというような印象を与えないような中立公正な運営をしたいということで、昨年六月に中山伊知郎先生と鈴木竹雄先生の両先生に一切設立に関する準備をお願いしてございます。その結果、資料にもございますような十九名の、各界の客観的な御意見を代表されるような方々が準備委員に任命されまして、十二月の十日に答申をいただいております。この財団の設立者は基金の出損者である協会でございますので、NHKから財団の設立をいたしました。したがいまして、当初の役員は民法の規定に従いまして設立者の申請によって理事構成ができてございます。しかしその場合でも、準備委員会の先生方にすべて御相談いたしまして、その御意見を中心にして役員の構成その他も決定させていただきました。今後の運営につきましても、ここに新しい財団が生まれたわけでございますから、設立の趣旨に従いまして放送界全体のために事業運営していくというたてまえでございます。したがいまして、NHKが従来から本来業務としてやっておるような仕事をこの財団が重ねてやるというようなことはございません。  ただ、御指摘の、テレビの僻地もしくは社会施設等に対する寄付でございますけれども、協会も先年来、細々ではございましたけれどもその事業を継続しておりましたが、ここ一、二年、その寄付はやっておりません。この財団設立にあたっての国会審議その他の状況も、すべてこの準備委員会の先生方にも御説明いたしまして、その結果、準備委員会の先生の御意見も、設立後の理事会の御意見も、やはりこの教育施設並びに社会施設に対する寄付は重点的にやっていこうということで、四十九年度以降の事業計画には大きな柱として計上される予定だと聞いております。  それから、私ども事業の幅の広がりの中で、この放送界全体としてやる、この基金の仕事との重複はあるかないかという問題に関しましては、準備委員会段階から非常な議論になりましたけれども、それはあり得るだろう、しかしNHKが現在やっている仕事を肩がわりするというような形ではこの財団はやる必要はない、むしろ従来NHKがやっておるような付帯的な業務の中で、もう少しこの財団から助成し、力をかせば、その仕事がさらにエンリッチされてりっぱなものになり得る仕事があるので、そういうものに対してはこの財団が助成したらどうだというような問題はいろいろな部面においてあると思います。  以上でございます。
  92. 久保等

    ○久保(等)委員 この資金財団の対象にNHKそのものはなるのかならないのか。たとえばいろいろ技術開発等をやることに対する助成を行なうのだというようなことになれば、NHKは当然そういった技術開発についてたいへんな力を入れてやっておるわけですし、それから昨年もらったこの事業計画の中を見ますと、先ほど来問題になっておりまする難視聴対策の問題についても「受信障害防止施策の開発等に対し援助を行なう。」というようなことにこの放送文化基金の財団自体の事業内容の中にいわれておるわけですが、こういったような問題か一体とういう方面に――NHKを除いて受信障害防止施策の開発等を、どういった方面が予定されるのか、予想されるのか、したがってNHK自体にはこの資金的な助成だとか補助だとかいったようなものは全然考えられない、NHK以外なんだというふうに理解していいのかどうか、そのあたりをひとつお答え願いたいと思うのです。
  93. 野村忠夫

    ○野村参考人 御承知のように放送の技術に関しましては、協会にも技術研究所がございます。したがいまして、中心的な仕事はそこで多々やっていると思いますが、この放送の技術の広がりの過程で、たとえば電池の問題では太陽電池とか、いろんなそういう広がりの分野の技術は各方面でもやっております。それが完成されますと、ある意味においては放送の技術が非常に向上するという面もございます。また受信関係の技術にいたしましても、私は技術者でないのでよくわかりませんが、当然協会としては受信機の改善なり受信設備あるいはその資質の向上というような問題もやっておりますが、民間で、たとえば昔、八木アンテナというものが発明されまして、それが非常に画期的な普及をいたしておりますが、民間でも、あるいは大学でも、あるいは一介の学者でも、そういう問題についての研究があり得るだろうということで、この財団の助成の対象としましては、そういう方面に対して助成をしよう、NHKが研究している技術の研究に対しての助成は考えておりません。
  94. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは次に移ります。  非常にたいへんなインフレあるいは物価高、そういったようなことで国民全体の経済生活が非常に脅威を受けておるわけなんですが、職員の給与問題で簡単にお尋ねいたしたいと思います。  すでに質問をされた問題でもあるようですから、お尋ねいたしたいと思うのですが、現在のNHKの職員の給与状態がどうなっているか。民間放送等に比較してどういうことになっておるか、簡単にひとつ現状を御説明願いたいと思うのです。
  95. 斎藤清

    ○斎藤参考人 現在のNHKの職員の給与の状態でございますが、新聞社、民間放送の代表的なところと比較いたしまして概略申し上げますと、全国紙の代表的な新聞社では大体十一万一千円台から十二万一千円というような程度の給与でございます。民間放送の場合には、ほぼ十二万円から十二万七千円というような数値が出ております。全国的な規模を持ちますNHKのものと比較できます代表的なものは以上でございまして、平均しますと大体十二万円というのが四十八年度の実情でございます。  これに対しましてNHKの場合で申し上げますと、NHKの従業員の平均額は、四十八年度の状態におきまして十万九千五百円ということでございまして、やや低位にあるという状況でございます。
  96. 久保等

    ○久保(等)委員 それから、この予算を作成するにあたって、当然NHKの労働組合との間に妥結をした金額を盛り込んでおられるようでありますが、その妥結の状況をちょっと御説明願いたいと思うのですが、どの程度の引き上げになっておるか。
  97. 斎藤清

    ○斎藤参考人 来年度の、四十九年度のベア問題につきましては、労働組合との間で昨年暮れにおきまして団体交渉を継続してまいりました。年末にほぼ話し合いが済んだわけでございます。それで、内容といたしましては、基本給部分につきまして一万七千百二十円のベアを行なう、それから家族給部分につきまして、一人当たり平均千八百九十円に該当いたします改善を行なう、かような妥結条件でございます。
  98. 久保等

    ○久保(等)委員 パーセンテージはどのくらいになりますか。
  99. 斎藤清

    ○斎藤参考人 総体で申しますと一万九千十円に相なりますので、元数が十万九千五百円でございますから、ほぼ一八%程度に相なります。
  100. 久保等

    ○久保(等)委員 これはこの予算の中に織り込まれておるわけなんですが、しかしなおかつ経済そのものが非常に流動的というよりも激変している状態だと思うのです。そういう点では、今日の物価高に一体給与をどう順応させてまいるか、これはたいへんな全般の問題であり、特に労働組合にいたしましても、当面の春闘の問題として非常に大きな問題になっておるわけでありますし、したがって、政府としても全体の問題として非常な努力をしてもらわなければならない問題なんですが、NHKとしては、先ほど来お話がありましたように、明年度予算そのものは従来に比べて非常に窮屈になっておるし、同時に、したがってあまり弾力性のない経理状況だと思います。しかし、さればといって、こういった職員の処遇の問題、特に経済生活そのものの重要な脅威を感ぜざるを得ない今日の情勢の中でどう対応してまいるか、これも非常に大きな問題だろうと思います。先ほど来お話がありましたような状態の中で、なおかつ、しかしこの問題も今日の経済情勢に即応した形で対処していかなければならぬと思うのですが、こういったことについて、どういうお考えで明年度予算案成立の暁、対処してまいろうとしておられるのか、会長のほうからひとつ心境をお聞かせいただきたいのでございます。
  101. 小野吉郎

    小野参考人 給与改善関係につきましては組合と妥結を見まして、この予算の中に織り込んでございます。その後いろいろ春闘等の関係もあり、いろいろな一般情勢が出てこようかと思いますけれども、そういう情勢ができましてもそれにスライドしてベースをどうこうするわけにはまいりません。そういうことは、予算のいまの弾力のない状況におきましてそういった措置もとれませんし、また給与ベースの改定についての団体交渉のルール等から申しましても、これはいわゆる給与ベース自体を事後に発生した事態に合わしてスライドするといったようなことは何ら取りきめてもおりませんし、またやるべきでもないと思います。ただ問題は、いろいろ客観情勢が明確になりまして、この予算に計上したそれではやはり非常に見劣りがするというような段階になれば、いろいろ組合側としてもおさまりにくいところでございましょうし、あるいはそういうことをめぐっていろいろな交渉も開かれるかもわかりません。そういった面におけるそれはそうたいした幅のものはないと思いますけれども、あるいはよく他の方面にもありますようないわゆる何がしかの一時金の措置、こういったような面の措置はあろうかとも思いますけれども、これによって給与ベースを変更するとかいったようなことはあり得ないことでございます。
  102. 久保等

    ○久保(等)委員 これは政府も全体的な問題として考えなければならぬ重要な問題でありますし、また現在の経済の状態というものは異常な状態だと思います。したがって、かつて経験したことのないような、私はこれから一年間というものどういう形で推移してまいるか非常に心配をしておる一人ですが、NHKの場合について言うならば、非常に苦しいふところぐあいの中でありながら、なおかつそういった異常状態に対して対処していかなければならぬということが十分に予想されるわけですし、また現実、見方によってはこれまた発生をしているといってもいいんじゃないかと思うのですが、それだけに、非常に困難な問題ではありますが、その事態の推移に即応できるような今後の対策等も十分にひとつお考えおきを願いたいと思います。  それで、次にまた移ります。  難視聴地域の問題については、これはもう各質問者から非常にやかましく言われておる問題でありますし、またNHKにとっても最大の問題であり、また不断の努力を今日まで払っておられることを私も高く評価をいたします。しかしなおかつ難視問題についての解決は、一体いつが来たら解決するのかという問題を考えてみますると、もちろん先ほど来お話がありました都市問題といわれる難視の問題やら、あるいはまた交通関係から出てまいる難視あるいは難視聴、そういった問題がありますが、かねてから本来ある難視地域の問題、自然条件その他の条件による本来の難視地域の解消の問題、これについては私はやはり当然一つの計画を持って対処させられてしかるべきだと思うのです。どんどん新しく出てまいる問題は、予想されないところに新しく団地ができたりなんかして、それがまたたまたま難視地域だというようなことで随時出てまいると思うのですが、こういった問題はこういった問題として対応しなければならぬと思うのですが、しかし私がいま申し上げた本来的な難視地域の解消の問題については、これはやはり一つの計画を持って対処せらるべきだと思うのです。  多少意見を含めてのお尋ねになるのですが、昭和四十七年に非常に精力的に相当精密な調査をせられた結果、それまで把握をしておられました難視対象数に比べて格段の数がふえたというようなことが過去の経緯にあるようですが、先ほどもお話がありましたように、百十七万世帯というような数字の御説明がございましたが、今日ただいまこれからの長期計画を立てることは、それこそ財政現状からして非常にむずかしいし、したがって、はたして妥当であるかどうか私は疑問があると思うのです。しかし一昨年ですか、四十七年に調査をせられて、百十七万世帯ぐらいの難視地域が把握されたあの段階で、一体それならばそれをどういう計画で消化していくかというふうなことは当然お考えになったと思うのですが、私が不明にして知らないのかどうか知りませんが、あまり長期的な計画をお立てになったような話は私は聞き及んでおらないのですけれども、今日ただいまだけの時点でいえば、いま申し上げたように必ずしも適当でないと思うのですけれども、難視解消問題はNHKに課せられた最大の課題の一つだと思います。これは放送法にも規定せられておる問題ですから、この本来的な難視問題について一体どういう計画で取り組んでこられたのか、それから現時点において一体この問題をどうお考えになっておるのか。これは当然先ほど来お話しになっております建設費の問題に直接的な関係があるわけですから、いまこれから計画を立てるということだとすれば、適当ではないのじゃないかと思いますが、どういうふうにこの問題を全体的に考えておられるのか、お答えを願いたいと思うのです。
  103. 藤島克己

    ○藤島参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、難視聴解消は私どもの基本的な義務でございますので、従来とも最大の努力を尽くしてまいったつもりでございますけれども、はなはだ残念ながら、御指摘のとおりにかなりの難視聴がいま残っておるということは事実でございまして、ただ難視の実態といいますか、難視の様相がテレビが始まりましたころと違いますのは、始まりましたころはテレビが見えないから難視だということでございましたけれども、最近の難視は、十分電波は届いておるはずのところが、つまり見えるはずのところが見えない。これは絵としては出ておるかもしれませんけれども、非常にゴーストが多いとか雑音が多いとか、ましてビル陰ですと絵も見えないかもしれませんけれども、そういうふうに、要するに本来は良視地域であるべきところが難視になっているというところが現在の難視の実態でございまして、先ほど電波監理局長から四十七年度末百十七万という御説明がございました、そのとおりでございまして、四十八年度ももう余すところわずかでございますので、若干の推定を加えまして四十八年度末を申し上げますと、いま申し上げましたような難視が約百万でございます。先ほど御指摘の昭和四十七年の当初にいろいろ再調査をいたしまして百三十三万というところから逐次減らしてきたわけでございますけれども、これがいまもって百万ということは、まことにどうも申しわけないような数字でございますけれども現実にはそのとおりでございまして、この百万を現時点に立ちまして多少中身を分析をいたしてみますと、そのうちの約三十万というものは、ずっと過疎地帯で、自分のうちの隣の山の上に高いアンテナを立てまして、自分の個人の努力で引っぱってきて何とか見ておられる、あるいは二、三人で語らって簡単な共同聴視みたいなものをおつくりになって見ておられるという、言うなればNHKが本来手を差し伸べなければいけないところが、そこまで手が届かぬものですから、自分らの手でやっておられるという難視が約三十万ぐらいございます。これは一応何らかの形でそういう点でいま見えているわけでございますけれども、私どもとすれば、当然これはある時期が来れば手をつけなければいかぬものでございますので、難視の数に入れてございます。それからもうあとの半分の三十万ぐらいは、これはたいへんな過疎地帯と申しますか、集落が非常に散在しておりまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、有線共同聴視にいたしますにしても、とにかくケーブルを一軒当たり四百メートルも五百メートルも引っぱらないと見えないというわけでございますので、そういう計算をいたしますと、一世帯当たりの改善のための対策、約十四、五万の金がかかるということになりまして、こういうことを申し上げてはいかぬかもしれませんけれどもNHKのいまの受信料の四百六十五円から申しますと三十年かからなければ償却しないというような数字になるわけでございます。だからといって私どもはこれを放棄するわけではございませんので、いろいろくふうをいたしまして、こういうところこそ将来の衛星放送と結びつけて第一番に難視の解消に持っていくべき地域だと考えております。そうしますと、その三十万と三十万を引きますと残りの約四十万ぐらいが、現時点で私どもがこれから対策を重点的に進めていかなければいかぬ難視の数でございまして、この四十万と取っ組んでこれからやっていくわけでございます。  その中で、いま申し上げましたように四十九年度では、先ほどから申し上げていなかったかもしれませんけれども、資料にはございますけれども四十九年度は約十万解消ということになっておりますので、そうすると四十九年度の末は約九十万ということになるわけでございます。それで、あと五十年度、五十一年度――先生御指摘の当初のときはたしか五十一年度末で六十万ぐらいにしたいという見通しで一応の施策を立ててきたわけでございますけれども、御承知のような諸物価高騰の中でなかなか予定どおりに進みませんので、六十万にはたいへん困難な状態にいま逢着しておりますが、いま技術的なくふうをいたしまして、あるいは特別な工事のやり方もいたしまして、できるだけそこに近い数字に持っていきたいと努力をいたしておりますが、おおよその俯瞰的な数字は、ただいま申し上げましたようなのが現在の実情でございます。
  104. 久保等

    ○久保(等)委員 この難視状態を把握すること自体もなかなかたいへんなことだと思います。金もかかることだし、手数はもちろんのこと、たいへんなことだと思うのですが、四十七年にやられたような調査というものは、年々はもちろんできかねると思うのですけれども、どういう方法でおやりになったのか、一々こまかいことはけっこうですが、平年度においてもそういったことはもちろんやっておられると思うのですけれども、要するに、できるだけ詳細にということで四十七年度にやられた調査の方法をひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  105. 藤島克己

    ○藤島参考人 四十七年度の当初に――四十六年度末でカラーがかなり普及してまいりまして、白黒とカラーが大体同数ぐらいになりましたのですが、その時点で、いままでたいへん苦情の多かったカラーのゴーストを含めた見にくい、難視と言いましたけれども、見にくい映像が相当ふえておるという実態をこの委員会でも再三御指摘をいただいたものですから、当時私どもはカバレージということばで表現しておりましたけれども、これはおもに送信側から見ました電波の広がりをさしているわけでございまして、それだけでは先ほど申し上げましたように実態にそぐわない、したがって今度は受信者の側からこれを調査をし直そうというのが四十七年度の調査の要点でございまして、当時約四万ポイントのサンプルポイントを全国に設定いたしまして、この四万ポイントのサンプルポイントの集計を集めて推定いたしました数字が四十六年度末、百三十三万ぐらいだという数字でございます。     〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕 それで、その後のことはその数字をもとにいたしまして、全国各営業の基地が、ポイントがございますので、その数字を逐次修正し、検討しながら翌年の計画を立てるというようなのが実情でございまして、その四万ポイントというサンプルポイントをまたつくってやるということはなかなかたいへんでございますので、この一、二年はやっておりませんけれども、いずれある機会にはまたやらなければいかぬとは思っております。
  106. 久保等

    ○久保(等)委員 私は、いま申し上げた難視解消の問題について、いまのふところぐあい、経済状態、経理状態の中で立てること自体が若干疑問があると思うのですが、とにかくいずれにしても、難視問題の解決に対して、いまお話のあったような調査についても、これは徹底的にやっていただかなければ計画がもちろん立たぬわけですから、当然そういった調査をやっていただくと同時に、この難視解消の問題についてもう少し計画的なものをおつくりになって、解消にひとつ努力をしていただきたい。これはもう耳にたこのできるほど指摘されている問題でありますし、またNHKが現に取り組んでおられる問題でありますが、ひとつ今後長期的な計画等も立てることについてもお考えを願いたい。そのことを申し上げて、時間がございませんので次へ移ります。  いまの問題にも若干関係があると思いますが、通信衛星と放送衛星の打ち上げの問題、これまた委員会で毎度よく問題になっておるわけですが、昨年あたりの委員会での政府答弁を聞いておりますと、郵政当局のほうでは、ぜひ五十一年度中には通信衛星なり放送衛星の打ち上げを実現をさせたい、そういうことで予算の要求等も行なって努力をしておられるわけでありますが、片や宇宙開発委員会答弁等を聞いておりますと、極力五十一年度中に打ち上げられるように努力はしたいけれども、必ずしも確約なり明確な答弁をすることはいかがなものだろうかといったような答弁がなされておるように私見ております。しかし一年もたった今日でありますし、また四十九年度の予算の中でも郵政省は相当な金額を要求しておられるようですが、この五十一年度の打ち上げ問題をめぐって、郵政省と開発委員会との見解がその後一致を見るに至っておるのかどうか、そこらを中心にしてひとつ簡単に御説明願いたいと思うのです。
  107. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、当初は郵政省と宇宙開発委員会との間に技術的な見通しについての見解の相違があったわけでございますが、郵政省の主張どおり去年の十一月の末に宇宙開発計画の見直しが行なわれまして、郵政省の主張が全面的に通ったということでございます。     〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、現在におきましては郵政省と宇宙開発委員会の間に見解の相違はないということでございます。  開発の状況でございますけれども、これが四十八年度から着手したわけでございますが、概念設計、予備設計の段階を終わりまして、設計の最終的な段階でございますところの基本設計にいま取り組んでいるところでございます。したがいまして、いままでの経過からかんがみますと、両衛星とも開発の状況がきわめて順調であると申し上げ得ると思います。  それから予算関係でございますけれども、四十八年度に当初予算で八億七千万円いただいたのでありますけれども、その後予備費が十億三千万円つきまして、これで四十八年度の全体が十九億幾らという予算で開発を進めてきたわけであります。それから四十九年度の予算、これは衛星の本体をつくるあるいはミッション機器をつくるという予算でございまして、相当大幅なものでございますけれども、これも大蔵省と折衝いたしまして、これは郵政省予算と科学技術庁につく予算と両方に分かれるわけでございますけれども、それを取りまとめて申し上げますと、二つの衛星で現金と国庫債務合わせて約二百八十億という予算が確保される予定でございます。したがいまして、これによりまして衛星の開発が経費面では順調に進むはずでございますので、格別の事情のない限り五十一年度の打ち上げは可能である、あるいは確実であると申し上げてよろしいかと思います。
  108. 久保等

    ○久保(等)委員 非常に大きな前進を見たと思うのですが、細部の質問は時間がありませんから省略いたしますが、ただ、この放送衛星の打ち上げによっていよいよ、先ほど来お話のあった難視地域の問題との関連においてNHK自体もいろいろ準備を進められたり取り組んでおられると思うのですが、しかし難視問題としてこれを考えてみても、では、このことによって、何か雨が降ってくる、その雨をみんなが浴びるように、とにかくどこもぬれないところがないように雨が降る形で一体電波というものが受けられるものかどうかということになれば、ある特定の地点から発射される電波でありまするから、当然天から雨が降ってくるようなわけにはまいらないと思うのです。したがって、おのずからその利用範囲というか限界が当然あるわけですけれども、このことによって、まだ若干先の話なんですが、NHKが考えておるこの関連における難視対策として、どんなように考えておられるのですか。これまた今後一つの大きな争点というか、いろいろお尋ねをしなければならぬと思うのですが、時間がございませんから、簡単にひとつ、素案の素案かもしれませんが、お聞かせ願いたいと思うのです。
  109. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 先生御指摘のとおり、この実験はまだ技術実験の段階でございますので、NHK自体といたしましてもいろいろ考えておりますけれども、具体的な施策には至っておりません。ただ、難視解消との関連におきまして、当面技術実験のワク内において、と申しますのは、受信者の側の受信装置の用意その他ということを考えないということでございます、技術実験のワク内においてやりたいと思っておりますのは、現在の二千地点になんなんとする置局の中で、これは中継局でございますので、直接親局から東京なり、各発局から電電公社のマイクロリンクを通して番組を送っておりますが、これは良質でございますが、その次は放送波中継で多段中継をしてまいります。大体七百地点までは一段中継で親局からすぐ受けて、受信者のお受けになる電波になりますけれどもあとの一千数百地点の中継局というのは多段中継をしております。ひどいところは八段中継でございます。そういたしますと、天候その他で、正直申し上げまして全く同じ画質ではございません。それから、先ほど技師長が説明いたしました三十万のいわゆる散在地帯、それから、現在努力しておりますがなかなか進まない一つの原因が、親局の電波が届かない、そのために幾ら放送局をつくっても番組が来ないというような問題、そういうところに対して、NHKの側の施設として、衛星から受信をいたしまして、そして画質の改善とそれから難視帯のすみやかな解消という計画は立てられておりますけれども、先ほど冒頭にも申し上げましたように、技術実験のワク内と、それから実用ということにはまだまだ調整しなければならない問題がたくさんあるというふうに考えております。
  110. 久保等

    ○久保(等)委員 これからいろいろ研究をせられたり、またいろいろ調査なり検討を加えなければならぬ問題が非常に多いと思うのですが、いずれにいたしましても、いまお話がありましたように、五十一年度には何とか打ち上げを実現させようということで政府の見解も一致したそうでありますから、そういったこととの関連において、NHKのほうでもひとつせっかく御努力を願いたいと思うのです。  それから次に移りまして、この予算の中に固定資産の売却益を計上しておられます。十三億四千万円になるようでありますが、この内訳を簡単にひとつ御説明願いたいのです。
  111. 山本博

    ○山本参考人 ただいま考えております内容は、ほぼ九件の予定をいたしております。その大半、ほとんど全部が宿舎あるいは寮、こういうものの不用になった土地建物の売却でございまして、ほとんど千坪以下、数百坪程度のものを寄せ集めて、大体このくらいの金額というふうに目当てをしておるという内容でございます。
  112. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは一々お尋ねするのは省略をいたします。資料でひとつ具体的に所在、それからいま言った土地あるいは建物といったようなこと、それから坪数、そういったようなことを別途お出し願うように委員長のほうからお取り計らい願いたいと思います。
  113. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御要求の資料につきましては、理事会で協議いたしまして、提出することをきめたいと存じます。
  114. 久保等

    ○久保(等)委員 時間の関係で最後にいたしますが、今度新しい放送センターができて、大ぜいの一般国民の方々がNHKの見学をされておるようでありますが、今度新しい放送センターが完成をしたといったようなことで、従来にも増して大ぜいの見学者が訪問をしておるのじゃないかと思うのです。そこで、こういった面に対してNHKがどういう取り扱いをしておられるのか、また現にどういった方々、人数の点ですが、見学をされておるのか、あるいはそれに対してどういう受け入れといいますか、NHKの側で扱っておられるのか、あるいは放送センターと同時に例の大ホールも完成を見たが、そういったホールはどういう利用状況にあるのか、概略、できるだけ要点をとらえての御答弁を願いたいと思います。
  115. 吉田行範

    ○吉田参考人 最初の御質問の、センターのほうをまず申し上げます。  放送センターにつきましては、これは、合併と申しますか、内幸町の会館、あれと統合する以前にできておりましたので、四十年十月でございますけれども、それ以来の約八年間で一千八百万人の見学者がございます。年間平均にいたしますと二百二十万人でございます。一日平均で六千人でございます。ただ、夏休みとか新年とか、そういうときには一日平均一万五千人というような数も出ております。それから、ただいま先生御質問のあれは、統合されたあとのことのようにもお聞きしたわけでございますが、これは昨年のことでございますから、あまり精密な統計はございませんが、たとえばただいま申し上げたような夏休みとかあるいは新年とか、その比較はしておりまして、夏休みにつきましては、それ以前の場合よりも三一%ぐらいふえている。それから年始は三六%ぐらいの見学者の増になっているというのが実態でございます。中身は、大体団体が六〇%ぐらいで、個人が四〇%ぐらいの割合でございましたが、だんだん半々ぐらいに近寄ってまいっております。最も多いのが小中学生の団体でございます。  それから、受け入れ側につきましては、現在約二十名の人間がこれに対応しておりまして、冬は午前十時から五時まで、それから春、夏は六時までこの見学に応対しているわけでございます。大体見学コースは五百メートルぐらいで、それに要する時間が五十分ぐらいでございます。  それから、その反応でございますが、反応については年に二回、これはアトランダムに、つまり無作為で意向調査をやっております。その意向調査の結論は、まあまあよかったというのが大部分でありますけれども、若干不満としては、スタジオの中に入れない、現在の見学コースでは窓からのぞいてみるというやり方のところがございますので、できればスタジオの中に入って、もっと臨場感を持ちたい、そういうふうな意見が不満としては大部分でございます。  次はホールでございますが、ホールにつきましては、昨年の六月十日から開いたわけでございます。したがって現在までの日数は二百八十五日でございます。この中でNHKが使用いたしましたもの、これは有料、無料あるいは定時番組その他を含めまして百四十四でございます。百四十四というのは本番が百四十四ということでございます。それからN響のNHKシンフォニーホール、これはNHKの中に入れても、別に勘定してもよろしいわけですけれども、ただいま申しました以外にN響使用が三十六回でございます。それから純粋の外部といいますか、よそから申し込みがあってお貸しした純粋の回数が二十五回でございまして、合わせて二百五回でございます。ただしかし、これは先ほどお断わりしましたように本番でございますから、リハーサルとかそういうものを含めますと、さらにこれが日数にいたしますと五十日くらいいまの回数にプラスになるわけでございます。それから二百八十五の中で引いた残りの三十日というのは、これは保守日でございます。大体そういうのが実態でございます。
  116. 久保等

    ○久保(等)委員 非常に大ぜいの方々がNHKを見学して、いろいろな意味で勉強になっておると思うのですが、実は最後にひとつ苦言を呈したいと思うのです。  ことしの一月の五日の朝日新聞の「声」という投書欄に、「見学を断るNHK」というような見出しで投書が載っておるのですが、これは御存じでしょうか。
  117. 吉田行範

    ○吉田参考人 ただいまの御指摘のことは十分存じております。これはお断わりしたということは、ホールにつきましては先ほど申し上げましたセンターと違いまして、常時見学をしていただくという体制にはなっておりません。これは内部のいろいろな事情がございまして、したがって、特にホールについていろいろ研究したいとかそういうことでお申し込みになられた方についてはいろいろ御便宜を計らっておりますけれども、一般の方は、先ほど申しましたNHKの催しものというのが相当あるわけです、そのときに申し込んでいただいて、その機会にホールの中を見ていただく、そういう仕組みになっておりますので、NHKにお見えになってすぐにホールを見せてほしいとおっしゃった場合に、その御要望に応じかねることがあるというのが実態でございます。
  118. 久保等

    ○久保(等)委員 ちょっと中身を申し上げますと、これは建築学を専攻している学生、金子千秋という東京都在住の学生なんですが、劇場設計の参考のためにということでNHKに問い合わせたというのですから、実際行ったんじゃないと思いますね。そうして、われわれしろうとにはわからないのですが、NHK放送センターのオーディトリアムの舞台、それから音響設備等を見学をしたいので問い合わせたら、「一般公開はしておりません。スケジュールが一杯です」とむげに断わられた。ところでそのほかの日生それから新宿のコマ劇場の方面に問い合わせたところが、興行日であっても、平日午後はだめだけれども、午前中ならけっこうですから、そして簡単な何だったら説明もしてあげますよというので、そのほうで勉強した。「最後にNHKにひとこといわせてもらえば、見学日時を指定するなりして、どうぞ、というのが、NHKの本当の姿ではないのでしょうか。」という結論的なことを提言しているのですが、もちろんいまお話があったように、いつ来てもすぐ見学ができるということにはならぬと思います。だからいま言ったように、いつの日ならばいいがといったようなことで、親切に返事をしてやるべきではなかったかと思うのです。と同時に、新聞に載ったこういった投書問題については、私は、投書欄を通ずるなり何なりして、やはりNHKとしての返事を出すべきではないか。非常に小さなような問題でありまするが、影響するところはやはり大きいと思いますし、また非常にまじめな建築学を専攻しておる学生が非常な期待を持って問い合わせたところ、いま言ったすげない断わり方をされたので非常に落胆をしたというようなことを言っておられるのですが、これは私は九牛の一毛というか、まことに小さな問題のようですが、特にNHKは何といっても公共放送であり言論機関であり、マスコミの代表的な立場にあるNHKが、こういった問題に対してやはり対応することが非常に必要だと思うのです。単に一個人の問題とか、一つの単なる問題というのじゃなくて、やはりこういった事後の問題についても――だから私は何らかの形で返事を出すというようなことを、特に専門家が大ぜいおられるわけだし、部署がどこになるか知りませんけれども、こういった問題についてやはり事後処理もきちっとおやりになることが必要じゃないかと思うのです。  これは苦言ですけれども会長も御存じなかったようですが、少なくともこういった投書になれば、私は当然だれかが、NHKの方が見ておられると思うのです。それならそれをしかるべきところに持ち込んで処理をするというふうに、即応して対処されることが必要だと思います。特に専門家のマスコミ機関であるだけに、こういったことに対する対応が、一般の会社なり何ならば鈍いのもある程度わからないでもないのですが、こういったことに対して見落とされるということであれば非常に残念だと思うのですが、会長からひとつこの問題について、今後のあり方としてNHK一つの姿勢を示すことにもなると思うのですが、お答えを願いたいと思うのです。
  119. 小野吉郎

    小野参考人 御質問のようなケースにつきましては、これはまことに遺憾だと思います。おそらくある特定の日を指定されて、それでお申し込みになったんではないかと思いますし、その当日がいわゆるNHKとしては作業上の関係で公開できないような状態にあったんではないかと想像いたしますけれども、そうならやはり支障のない日においでくださいと、こういうそれを親切に取り扱って、広く――NHK独自につくった建物ではありますけれども受信料で成り立ったホールでございます。広くこれを開放して皆さんによく見ていただき、利用していただいてこそその建物の本意ではないかと思いますので、これは喜んで都合のいい日においでいただくことがいいのではないかと思います。またそのような事態がありましたあとに、あと処理としてやはり何らかのあいさつをすることは公共機関として当然ではないかと思います。これは私の重大な落ち度だと思います。将来は十分に気をつけてまいりたいと思います。
  120. 久保等

    ○久保(等)委員 終わります。
  121. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて本件についての質疑は終局いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十八分散会