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1974-03-06 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 羽田  孜君    理事 阿部喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       高橋 千寿君    中馬 辰猪君       坪川 信三君    西村 英一君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       堀  昌雄君    平田 藤吉君       大野  潔君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         内閣官房副長官 大村 襄治君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         大蔵政務次官  中川 一郎君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         郵政政務次官 三ッ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   広沢 直樹君     正木 良明君 同月六日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 本日は、NHKの役員の皆さんには御多忙のところを御出席いただきまして、たいへん恐縮に存じます。  実は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、日本放送協会四十九年度の収支予算事業計画及び資金計画等につきまして、郵政大臣から意見をつけての提案が本委員会に行なわれましたので、これに基づきましてNHK皆さん方にいろいろお伺いをしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  私ども四十九年度のNHK予算を拝見をいたしまして、しろうと目にも非常にきびしい予算内容だというふうに考えております。それだけにNHKとしては全国視聴者皆さんの御理解をいただいて、受信契約の率を高め、受信料の収入を高めていかなければ、なかなか運営がむずかしいのではないか。そういう意味合いからしますれば、いやしくもNHK運営なりあるいは番組内容等について、放送法一条にいうところの「不偏不党」という精神が貫かれ、あまねく全国視聴者の共鳴を得る運営内容でなければならないというふうに考えるところでございますけれども巷間いろいろうわさをされるNHKに対する若干の不満を代表して、私は会長に二、三点質問させてもらいたいと思います。  その第一点は、かつて「総理と語る」という番組がございました。いま何かそのタイトルは変わっておるようでございますけれども、要するに、総理大臣と選ばれただれかがいろいろなお話し合いをする。これはまた別の説によりますと、総理と語るのではなくて、総理が語るのだ、こういう意見もございます。確かに田中総理ブラウン管に入ってきますと、相手の言うことは聞かずに一人でしゃべりまくっておる場面が非常に多いわけですから、視聴者の間から総理が語るのだという意見が出るのももっともなことだと思いますけれども、私は、一国の総理国民皆さんと対談をすることを否定するものではありません。しかし同時に、田中総理行政最高責任者であるが、自民党総裁であるという半面もあるわけでございます。したがって、この番組が、石油危機等による電力の節約から全体的な番組時間を削減をするという状況の中で、ことさらにふやされておる、従来二カ月に一回程度であったものがいまや毎月総理が語る状況になってきておる、このことについては国民の中からかなりの批判があり、一方的ではないか。具体的に言うならば、総理という半分を取り上げて総理と語るならば、自民党総裁としての半分を取り上げて、総理が二回出るときに一回ぐらいはたとえば他の野党の意見を聞くというようなこともあってしかるべきではないか。しかるにそういうことはなくて、逆に二カ月一回の番組が一カ月一回にふやされたということは、冒頭申し上げたNHK公共放送としての、特に第一条の「不偏不党」という観点から国民誤解を招くもとになっておる。この点について会長がどうお考えになっておるかお伺いしたいわけです。
  4. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  この番組はちょうど池田さんが総理のころに始まった番組でございます。むしろこれはNHK率先提案をいたしまして始まった番組でございます。と申しますのも、行政最高責任である総理大臣が、その行政分野についての考えなり見解なり、あるいは現在やろうとしておられること、これが国民に十分に知れ渡ることが非常に必要であろう。と申しますのは、国民生活の発展の上には行政がどういう方向に向いておるのか、こういうことが非常に重要な関係でありましょう。この行政は日々国民生活の中に浸透しなければほんとうにその実をあげ得ないものでございます。そういう意味合いから発端をいたしたのでありますけれども、その後民放さんのほうの関係も、NHKばかりはおかしい、民放さんもやはりそれをやりたいので交互にやるべきじゃないかというようなことで、回数は減っておりました。たまたま最近になりまして、政府筋でもNHK民放に毎月やりたい、こういう要望もあり、かねがね私ども希望にも沿うわけでありますので、現在のような状況になっております。  もちろんただいま御指摘のような放送法の大原則であります国民に公平な立場で真実を伝え、不偏不党でなければならないことは当然でございます。その意味から申しますと、全般的にはそのようなものばかりではないのでありまして、あるいは国会中継を通しましても、あるいは国会の場を離れても政治討論会あるいは国会討論会等におきまして、各分野意見が十分に浸透できるような配慮をいたしておりますので、これら全体を通じて見ますと、決してこれは片寄ったものではない、かように考えておりますし——もちろん運用の問題もございましょう。御指摘のとおり、総理大臣は同時に今日の政党政治の時代におきましては党の総裁でございます。その面はありましょうけれども総理大臣として、行政府最高責任者としての立場からものを言っていただくということにいたしておりますので、私は御懸念になるような、そのような偏した状態にはない、かように信じております。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 偏した状態にあるかないかは会長判断するのではなくて、視聴者判断をする問題だと私は考えます。その視聴者の中から、やはりこういう全体的な放送時間が短縮をされておるという時期に、総理が語る番組だけが倍増さるるということについて、特にいまのお話を承れば政府のほうからの要請もあったというふうに聞きますが、そうすると、なおのこと国民はその疑惑を深めざるを得ないと思うのです。政府政府としてことさらにNHKを使わなくても、他にたくさんの広報の手段はあるはずでございます。したがって、私はすべてやるなとは言いません。すべてやるなとは言いませんが、この時期に総理が語る番組だけを倍にするのはいかがなものか、そういう国民に多くの声があるという点について、もっと会長、真摯に率直に受けとめてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  6. 小野吉郎

    小野参考人 一部そのような意見のあることも承知をいたしております。国民の大多数は、この番組については非常に関心を持ってこれを歓迎しておられると私は判断をいたしております。そのような面から、この番組の、毎月総理出演番組によってNHK姿勢が一方に偏しておるというような状況では決してないと思いますし、きわめてこの関係においてはこの番組の及ぼす一つのいい面の効果があがりつつある。しかも視聴率は非常に高うございますし、ただ聞き手のほうについていろいろな注文はございます。もう少し突っ込んだ質問をするような人が出るのが好ましいのじゃないか、こういうことは意見としてございます。万々承知しておりますので、運営上においてはそのような面を満たしていけば決して御懸念になるような番組ではない、こう考えております。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 視聴率が高いからいいのだという理屈も私は成り立たないと思うのです。どういうこと言うか聞いてやれという、文句を言うために見るのが多いんじゃないでしょうか。たとえば私なんかその一人ですが、不都合な番組だ、これをふやすなどということは、しかし総理がどんなばかなことを誓うか聞いてみるかというふうな気持ちで見る人だって相当あるし、新聞投書等にあらわれておる声というものを無視して、ただいいんだ、いいんだという一方的な押しつけというのはあまり好ましくないのではないか。特に私が強調したいのは、従来ずっとやってきた二カ月に一回程度、これならば、私はもうそれ以上言う気持ちはありません。ところが総体的な番組の時間を短縮しなければならないという時期に、ある分野ではほかの放送いろいろ見たいものもありましょう、そういう期待がたくさんあるのに、放送時間全体を短縮しながら「総理と語る」だけが倍加をさるるという番組内容については、間違いない、いいのだ——それは視聴率が高いのがよければ大河ドラマみたいのばかりやっていれば一番視聴率が高いんです。そうは私はいかぬと思うのです。NHK性格上そうはいかぬ。そうはいかぬから、その辺をどう調整していくかが会長責任だろうというふうに私は考えます。その意味で、視聴率が高いのだ——まあ聞くほうの相手の問題はあとでもうちょっと触れますが、というだけでこれをやはり倍加するということについては、特に私は会長言いにくい立場にあるかもわかりませんが、政府から要請があったのでふやしたというに至っては、私はNHKの自走性についてきわめて疑問を持たざるを得ないのです。むしろNHK世論調査をやった、その結果、この番組をふやしてもらいたいという意見が圧倒的に多かったから、こういう時期ではありますが倍にしました、毎月出演にしましたということになるならば、まだ幾らか理解ができるでしょう。政府要請によってやったというに至っては、残念ながら国民の中に、不偏不党という精神についてNHKほんとうにそれを守る姿勢があるかどうかに疑問を持たざるを得ない。むしろこの際ですから、よく政府相談をされて、前の二カ月一ぺん、それもやめろとは言いませんから、その程度には戻すのがこの時期としては正しい、そう思いますが、どうですか。
  8. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま私の答弁があるいは十分でなかったかもわかりません。政府要請があったからということではございません。たまたま政府でもそういう希望を持たれて要請もあり、その線がわれわれの希望に合致しておりましたので、年来のわれわれの願いに合致しておりましたので増加をいたした、こういうわけでございます。もとよりこの番組についてはいろいろその後の反響等世論調査等で十分に把握をいたしております。ためになる、参考になる、それがきわめて。パーセンテージとして多いのでございます。このことは非常に歓迎をせられておる、大多数からは歓迎をせられておる、こう判断すべきでありましょうし、いわんや行政の重みが、今日社会の非常な困難な問題の続出、ふくそう、こういう中においてきわめて重要な要素を占めつつありますときに、やはりこれを減らすということは、あるいは減らすのでなくもとに返すということは十分ではないのでありまして、在来二カ月に一回を現在毎月にしておりますが、現在の時点における情勢を判断をいたしますと、これでさらにもとに返す、減少するというような段階ではないと、かように判断をいたしております。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 国会では自民党が多数を占めておりますし、政府からの要請もあったということになれば、これはまあ数の上で私ども勝ち目はありません。しかし、いろいろ新聞投書等も出ておりますように、そういうことを不満として受信料を払いませんよという国民の数がふえてくるというふうな状態になっても、なおかつ、この番組は正しいからNHK受信料が半減されようとも私はこれをやり抜くというふうなものの考え方があってはならないと私は思うのです。そういう意味から考えるならば、私もいまここで直ちに減せという約束を取りつけようとは思いませんけれども、やはりこの時期にふやしたということについて十分私はNHK首脳のほうでも考えていただいて検討してもらいたい。  もう一点は、さっきいみじくも会長からお話がありました、聞く人の声、これはうわさによると総理のお気に入りの人を、この人に聞かしてくれというような注文がついておるやに聞いておりますが、まさかそういうことはないと思いますけれども、そういううわささえ巷間飛んでおるのですよ。総理の気に入った人を、この人を出して聞かしてくれ、こういう注文さえついておるというふうなうわさが流れるほど、この番組についてはいろいろ問題があるところなのです。したがって、私は、まず従来の二カ月一同程度に戻すべきであるという主張を検討していただくということと、二点目に、聞く人については広く国民の中から、たとえば希望者をつのって、大体の層はきめてもかまいませんが、その中から無作意抽出か何かによって聞く人を選ぶ、そういう方法をとってもらうほうが疑惑を招かないゆえんになるだろう。一つ検討事項としてお願いしたい。二つ目は聞く人についてもひとつ御検討を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 小野吉郎

    小野参考人 現在、先ほどからるる申しましたような状況でございますので、これを減少することを検討するつもりはございません。  それと、第二点目の、聞き手のほうのそれにいたしましては、現在もNHKが自主的に選定をいたしておるわけでございまして、決して総理意向によって出演者をきめておるというものではございませんので、何とぞ御了承をいただきたいと思います。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 くどくなりますが、私がこう言うだけならかまわないのです。しかし、会長も御存じのように、新聞等に今日そういう声がかなり出ておるという実態について、やはりNHKとしては十分考えていただかなければならない。でないと、さっき私が申し上げましたような事態が起こるおそれもあるということについて私は心配をするから申し上げておるのでございまして、それは突っぱねられれば突っぱねられていたし方がないのでございますけれども、もう少し私は責任者として慎重な検討の態度が望ましいと思うのですが、それは、私はもうやる意思はありませんとおっしゃられればそれまでで終わりでございますけれども、そういう点について、非常に国民疑惑のあるところですから、特にもう一ぺん会長考えを承っておきたいのですが……。
  12. 小野吉郎

    小野参考人 NHKのあり方あるいは今後の受信者との関係におきまして、これがあるいは反NHK受信料不払い、こういう面につながるおそれがあるのではないか、こういう御心配からいろいろ御親切に御質問をいただきました。その御親切な御質問に対しましては、これは胸に銘記いたしまして、私は今後の運営に当たりたいと思います。  ただ、現在のこの番組の取り上げ方、回数等につきましては、先ほどから御答弁申し上げましたような状況でございますので、直ちにどうこういった気持ちは現在持っておりません。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まことに残念ですが、平行線のようですけれども、ひとつ、そういう声が国民の中にあるということだけは、それがどの範囲にあるのかそれは別です、しかしそのことを無視はできないだろうということについて、会長の十分な検討を私はお願いしておきたいと思います。  次の質問に移りたいと思いますが、同じように国民疑惑を招いておる第二点目は、過日、新聞の報道するところによりますと、NHK理事待遇を受けておる、しかも人気番組出演中の某アナウンサーが、最近に至って辞任をして、特定の政党の公認の候補として全国区の参議院選出馬をするというふうに伝えられておりますが、このような事実があるのかどうか承りたい。
  14. 小野吉郎

    小野参考人 率直にお答え申し上げますと、宮田輝君が最近やはりそのような意向を固めまして、辞任申し出ました。私はこれを受理いたしました。選挙に出る出ないは個人の自由でございますので、本人がそのような気持ちになれば、これはやはり激励をして送るのが筋ではないか、かように考えまして、これを了承いたしました。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 昨年の春の終わりから夏の初めごろにかけてそういううわさが出まして、何か下馬評に上がっておったように私は記憶をしております。もし昨年の春の終わりなり昨年の夏、本人から立候補をしたいという申し出があったと仮定をするならば、会長はどういう措置をおとりになったでしょうか。
  16. 小野吉郎

    小野参考人 宮田君につきましては、選挙に出るのではないかという、それはうわさとしてはきわめて久しいものでございます。本人にはそのような意向は最近まで毛頭なかったようでございます。私の見る目ではそのように判断をいたしております。御設問のように、昨年の春あたりからそのような意向を持っておるのではないかということが探知できれば、それをはっきり確かめまして、そのような意向があれば番組からおりていただくことが至当な措置であろうと考えます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 個人の自由という観点からすれば、公示の前の日におやめになって立候補されてもかまわぬ理屈になるのですけれども、しかし、もし昨年の夏にでもそういう事態があったならば、番組からはおりていただくという会長お話、なぜ番組からおりてもらわなければならないのでしょうか。
  18. 小野吉郎

    小野参考人 やはり選挙に出るという気持ちが内在しておれば、番組を通して自分名前を売り込むような行動につながりがちでございます。このことはNHK性格と相いれないものではないかと思いますので、そのような気持ちに傾いておれば、これは本人としては番組をおりるべきだと思いますし、おりなければ、われわれのほうからやはりそういう勧奨をすべきではないかと考えております。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その点私も全く同感で、法的にはともあれ、きわめて道義的な責任があるだろう、特に公共放送人気番組に出ておるということを利用し、あるいはこれを奇貨として選挙をするということについては、それは何党から出るにしろ、私はやはりこれを利用したというふうな疑いを持たれるべきではないし、持たれるような行為をすべきではない、そういうふうに考えるわけです。  ところで、いやしくもNHK経営に参画をする理事待遇を受けておる方でございますから、そういう問題について会長に全然どこからも相談がなく、あるいは本人からも相談がなくて、ある日こつ然としてそういう事態が発生をしたとは考えられないのですが、会長はこの問題についてはどの程度までお聞き及び、あるいは思意表示をなさってきたのですか。
  20. 小野吉郎

    小野参考人 私はうわさとしてはいろいろなうわさを聞いておりました。その真偽はやはり確かめる責任が私にあろうかと思いますので、間接に本人にそういった意向があるのかどうなのか、これは確かめてございます。辞表を提出する前日までそのような気持ちは毛頭ないということで推移してまいったわけでございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 仄聞するところでは、私も、一月段階ですか、NHK昭和四十九年度の番組の編成にあたって、この「ふるさとの歌まつり」などの担当をだれがやるかという時点でも、なおかつ本人にはその出馬意思がなかったということを確かめて、引き続いてこの番組を担当するようになったやに聞いております。真相はわかりませんけれども……。それが一カ月余を経た二月の何日ですかに、突然立候補意思を固めておやめになった。りっぱな方ですからそういうことがないとは万々思いますけれども見方によっては、ぎりぎりまで自分名前全国皆さんに知ってもらうためにNHKブラウン管を利用した、非常にこれは皮相な見方ですし皮肉な見方だと思いますけれども、そういうことも考えられなくはありません。この時期になってこういうことになったということについて、経営責任者として会長はどうお考えですか。
  22. 小野吉郎

    小野参考人 私は、もちろん彼も急速そういう決意を固めるまでに何らかのいろいろな話がなかったわけではないと思います。そういうことはあり得ないと思います。そういう意味においては、出るというはっきりした決意にはまだ至らないまでも、考えておったことはおったであろうと思います。しかしそれは、出る、そのために自分受け持ち番組をそれに利用しようという意思はなかったと思いますし、またいろいろ彼の出演番組を見ましても淡々とやっておりましたので、そのような意図は毛頭に番組面からも想像できないような状況であったと思いますので、この点について別段の差しつかえはなかったのではないか、かように考えております。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も党人でございますから、したがって、自分の党からなるべく当選者をたくさん出したいという気持ちはわからないわけではありません。しかし、少なくとも普通の職員の方と違って、ブラウン管を通じてその名前国民の中に知れ渡っておる、とりわけ人気番組司会者としてそれを利用させる、あるいはした、いずれにしてもそういう結果になったことだけは私は間違いがないと思うのです。そのことをNHK会長として今日までわからなかった。本人がきめなかったからわからなかったんでしょうけれども、その不明については視聴者の前に遺憾であったというくらいのことは会長の口から出て、視聴者誤解を招かないようにすべきではないかと私は思いますが、どうでしょう。
  24. 小野吉郎

    小野参考人 選挙立候補いたします以上は、何がしか自分の持てる過去におけるいろいろな経歴、これをフルに利用することが必要であろうと思います。この面につきましてはNHK職員も同様であろうと思います。NHKの職員に限って絶対立候補してならぬとかいうようなことは、これは言えないと思います。そうだとすれば、いままで立候補意思のなかった者が、急遽そういう意思を持つようになったときに、過去にいろいろブラウン管を通じまして自分名前が知れた、そういうような問題があるいは投票の結果に何らかの影響を及ばしましても、これはとやかく言う筋合いではないのではないか、このように私は考えますので、私がやはり立候補意思ありやに判断しつつ番組にずっと出演させておりましたら、これはまずいということでございますけれども、そういう面は全然なかったのでありまして、また彼もはっきりそのような気持ちをきめたときにはあっさりと辞表を持ってまいっておりますし、この点について最高責任者としての私のそれに手落ちがあったとは実は考えておりません。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは私は手落ちがあれば責任問題だと思うのです。手落ちがあれば責任問題だけれども、手落ちはなかったけれどもこういう結果になったことについて、やはり国民疑惑を招くということになったのではないか。申し上げたように私も政党人ですから、私の立場ではなくて、ここに新聞の投書があります。お読みになったと思うのですが、これは二月二十三日の読売新聞の投書です。これはお読みになりましたか。読んでおるならば多くを言いませんが、最後のところに「私は絶対に受信料は払わないつもりだ。」というこの人の決意が述べられておるのです。ここが私は問題だと思う、そういう誤解を与えたということについて。したがって、私が冒頭お伺いした理由は、去年の夏だったらどうか、いまならどうか、理屈からいえば、法的に投票日までずっとNHKの職員であってもかまわないわけなんです。NHKの職員であるから立候補できぬ何ものもないのです。しかし、それにもかかわらず、やはり去年の夏わかっておれば去年の夏番組をおりておってもらったでありましょうという会長のその気持ちの中に、この投書と同じようなブラウン管を利用するというその気持ちが多分に流れておったのでなければ、と思うのです。これはすでにきまった問題ですから私はここでことさらにどうこうということは言いません。それを申し上げるならば、個人の権利の侵害にもつながる問題でございます。ただしかし、NHK公共放送としていささかの疑惑も持たれないような運営をするにあたってはもっと細心の注意を払って、申し上げましたようにもっと早い時期で処理をすべきではなかったかということについて、今後の問題もありますので、会長に十分留意をしていただきたい。断わっておきますが、何党からであろうとこのような行為がぎりぎりになって行なわれるというようなことについては好ましいことではないと私は思いますので、その点だけ会長のお考えを聞いておきたい。
  26. 小野吉郎

    小野参考人 御説のとおり、この問題につきましては、公共放送機関としては指弾を受けないような態度で臨まなければならないと思います。将来、一そうそういった面につきましては十分な注意を払いまして、善処してまいりたいと思います。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 では、次の問題に移りたいと思います。  いただきました協会の説明資料をもとにしてお伺いしますが、説明資料の七ページに国際放送費が八億四千五百四十七万六千円、こう計上をされております。その次に、同じ資料の九ページには国際放送番組の制作及び放送施設の維持運用を含めて十七億八千八百五十三万七千円というふうに計上をされておりますが、七ページにいう国際放送費と九ページの国際放送費のこの違い、これはどういうものが内容になっておるのか、御説明をいただきたいのでございます。
  28. 山本博

    ○山本参考人 その内容の大半は人件費でございます。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKの人件費比率は何%になっておりますか。
  30. 山本博

    ○山本参考人 全体で申しますと三七・五%です。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま山本理事お話では大半がということですから、やはり国際放送分野でも三十数%程度が人件費だと見ていいのではないかと思います。したがって、国際放送を行なう上で、厳密に言うならばNHKが自主的に行なう分、政府命令分を含めて十七億八千八百五十三万七千円が必要であるということについては間違いがないわけでございますね。
  32. 山本博

    ○山本参考人 そのとおりでございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、放送法三十三条の規定によって、郵政大臣が国際放送を命令をする。これは放送の時間、放送の区域、いろいろ必要なものを指定することになっておるようでございますけれども、いま郵政省がNHKに対して命令しておる国際放送の一日の延べ時間、放送の区域、何カ国語を使っておるか、この命令の内容をちょっと知らしてくれませんか。
  34. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 政府の国際放送の命令の内容でございますけれども、方向につきましては十八方向、それから放送時間は、NHKが現実にやっておりますのが三十七時間でございますけれども、これが政府の命令分としては二十三時間を予定しております。使用の国語、これが二十一、これはNHKの全体計画と同じでございます。(阿部(未)委員「済みません、もう一ぺん、ちょっといまのところを繰り返して……」と呼ぶ)放送区域、これはNHKが、いま言われました全体で十七億幾ら、これの中で実施しておる方向と同じでございまして、十八方向、それから放送時間が、NHKが現実に行なっておりますのが全体計画で三十七時間、そのうちで政府がやっていただきたいということで予定しております時間が二十三時間、国語はともに同じでございまして、二十一カ国語でございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣から命令を受けてやる国際放送の分が、大体使用国語については同じ、それから放送区域についても同じ、放送時間三十七時間のうちの二十三時間が政府命令によって行なわれておる国際放送である、大体こう理解ができるわけでございますが、そうしますと、先ほど申し上げました十七億八千八百五十三万七千円という国際放送費のうちで、政府命令分を実施するためにNHKが実際に負担をしておる額が、これはぴしゃっとは出ないと思いますけれども、おおむねどのくらいになるというふうにNHKの経理のほうでは算定されておるわけでございますか。
  36. 山本博

    ○山本参考人 ただいまお話がございましたように、両者を明確に区分するような形はなかなかとれません。と申しますのは、国際放送NHK自身が自主的に行なっております部分と国の命令によって行なう部分と両者が一体として運営されておりますから、はっきり区分することはできませんが、理論的には国から命令を受けた放送はそれなりに独立して行ない、NHKが自主的に放送する部分はNHKなりの自主的な計算をもって行なっておりますので、理論的には、国の命令を受けた部分は国の予算で成立をし、命令を受けた部分として実施いたしておりますというふうに申し上げるよりほかございません。ただ、現実的にはこれは両者一体となって行なわれておりますので、よりいい番組をつくり、より合理的な運営をするためにはもっと予算が多いほうが適当であるというふうに考えております。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 放送法の三十五条だったと記憶をしておりますけれども郵政大臣が命令をした国際放送に要する費用は国が負担をするとなっております。最後の三十五条二項ですかは別にして、要するに三十五条では負担する、こうなっているはずでございます。したがって、負担をするという以上は、郵政省から命令をせられた放送にどのくらいの予算がかかるかについて、これは国のほうに要求をしなければならない、予算の要求を提起しなければならぬと思うのです。その清算の根拠はあるはずです。それはどのくらいになっていますか。
  38. 山本博

    ○山本参考人 この予算NHKのほうから要求するという性質のものではございませんで、国の予算が成立をいたしましたら、その予算の成立した額で命令という形が行なわれるわけでございまして、こちらからことしの国際放送について命令分はこのぐらいの金額がなくてはいけない、あるいはこれだけが必要であるという形で要求するという性質のものではございませんので、あらかじめ積算をするという形はとっておりません。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは電波監理局長、両方の解釈ができると思うのですが、すなおに前から読んでいきますと、まず郵政大臣に命令権がある、郵政大臣が国際放送に命令権があるかわりにそれに要した費用は国が負担をしますよ、ただそれは野方図ではありません、ワクがありますよ、国会の議決を経た予算の範囲内になりますよ、こういう考え方ができます。反対に読んでいけば、この予算の範囲内で郵政大臣が命令しなさい、こういう読み方にもこれはなるわけでございます。しかし、私はNHK性格上、当然郵政大臣が命令する以上、これだけの金が要るということについて、かりにいまNHKがおっしゃるように要求はしないまでも、NHKはその積算の根拠を郵政省に示すべきだ。命令されたものについて、実は郵政省の命令を実施しますとこの程度のお金が必要ですと示すべきだ。それを受けて、郵政省はまた当然大蔵省に対して国の予算を負担するように話をすべきだ。その結果、国会でそれが多過ぎて削られれば、そこで計画の変更が起こってくるだろう、こういうふうにも考えられるわけです。いまの行き方から行きますと、山本理事の話では、まず予算がきまるのだ、その範囲内でやるのだ、こうおっしゃいますけれども、しかしそれでは郵政省が何をもって国に予算の概計要求をするのか、財政法二十一条に基づく各省の大臣が持ち出すところのもとになるものは一体何なのか、根拠がないことになってきます。したがって、これは公式上はNHKが要求するものではないとおっしゃっても、実質的には、この放送を実施するためにはこれこれの予算がかかりますというくらいの根拠は当然なければ概計要求だってできないと思うのです。その間、郵政省とNHKの間でどういう話が行なわれておるのか。あまり木で鼻をくくったような話でなくて、もっと実態をつぶさにここに知らせてもらいたいと思うのです。
  40. 山本博

    ○山本参考人 ただいま申し上げましたように、形の上では国の命令という形を受けて実施いたしておりますので、こちらからあらかじめ、ことしの命令の内容がこのぐらいでなければいけない、したがって金はこのぐらいであるという要求はいたしておりません。しかし実質的にいろいろ両者の間でその年度、成立した以降におきましても、この運営につきましての接触はたくさん機会があるわけでございますので、そういういろいろなインフォーマルな折衝なり交渉なり意見なりの交換の結果が翌年の予算の要求に出てくる、こういうふうに考えております。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電波監理局長、いいですか。
  42. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 公式的には、いまNHKから申し上げましたとおりでございますけれども、その間、予算要求に至るまでにはわれわれもいろいろな知識を求めまして、しかし最終的には郵政省の責任において大蔵省に予算を要求する、そうして大蔵省からいただいた予算の範囲内で命令を出すというたてまえは放送法に書いてあるとおりでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうもやはりお役人さんというのは法のたてまえばかりを言って、法のほんとうの運用ということについてあまり意を払っておられないようでございますけれども、私は、法には確かにたてまえと、その実際の運用にあたって、たとえば三十三条、三十五条、三十五条の二項をどう運用するかという実態に即した運用が行なわれなければならないだろうと思うのです。常識的に考えても、十八方向、二十一カ国語、そして三十何時間のうちの二十三時間を命令しておるとするならば、十六億のうちの十億程度政府が命令をする国際放送のために使われておると言っても私はまず常識的に間違いがないと思うのです。しかし、今日まで政府が支出をしてきた経緯もあるでしょう。したがって、これは今日始まった議論ではないのです。かねてから議論のあったところで、たとえば昨年のこの委員会における議論では、NHKの衝に当たられた方に、実際どのくらいかかっておるでしょうかと言ったところが、四億六千万ないし四億八千万ではなかろうかという非公式な見解も述べられております。郵政省当局も大体そのくらいの額は最低要るだろうというふうにお考えになって大蔵当局と折衝されたという経緯についても私は大体了知をしております。ところが、それがたまたま三十五条の二項によって半額程度に削られておるということになっておるわけですけれども、私は法のたてまえはともあれ、運用上、この種の内容を持つものについて、郵政省がこの程度必要だというものを大蔵当局が査定をするということについてはどうも理解のできないところがあるわけです。  ちなみに、今年度郵政省が大蔵当局に要求をした国際放送の概計要求は幾らになっておりますか。
  44. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 四億六千百万円でございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、当初郵政省が命令をされた国際放送が、結果的に大蔵省で予算が四億六千何百万を二億四千万円に削られたわけですから、約半分に削られたとなれば、当然NHKの国際放送内容は当初の計画よりも大きく狂ってこなければならぬから、郵政省の命令内容が変更されなければならない。しかし十年一日のごとく同じ内容で国際放送は命令されてきておるのです。そうすると私は非常に大きい疑問を感ずるのです。そこで、これはもう単にNHK、郵政省の責任ではなく、むしろその査定をする大蔵省にもうちょっと法の運用上考えていただかなければならないのではないか。御承知のようにことしのNHK予算は非常に苦しい。口にこそ出していない、文書にこそしていないけれども、これはもう受信料の値上げをせざるを得ない状態がちゃんと資料の中では出ておるわけです。そういう状況で、受信者受信料の値上げを余儀なくされるかもわからないというような苦しい状態にあるときに、実態としては多くの経費のかかる国際放送を国が命令しながら、たまたま財政法二十一条によって大蔵大臣に予算の査定権があるからといって、ネコもしゃくしも一緒に削ってしまうというその運用について非常に疑義を持っておるのですが、せっかく大蔵次官お見えになっていただいていますから、これはことしにどうこうというわけにいかぬでしょうが、将来の問題として、そういう性格のものなら考えなければいかぬだろうとかいうようなところを、ひとつすっきりと御答弁を願いたいのですが……。
  46. 中川一郎

    ○中川政府委員 外国放送につきましては、阿部先生御承知のように、四十三年から一億四千万程度でずっと据え置かれておったわけでございます。それを四十八年度では二億、そして四十九年度では、いま御指摘のありましたように二億四千万円ですか、前年度に比して約二二%ふやしてございます。ことしの予算は、緊縮財政下、押えなければならないという一方の要請もありましたのでそういう額にはなっておりますが、今後また実態を把握して、前向きで検討してまいりたいと存じます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 せっかく大蔵政務次官からりっぱな御答弁をいただきました。ただ私はその性格上、実際にこれだけかかっておるものを、国に予算の査定権があるからといって減らすということについては、これは人件費を考えればわかると思うのです。幾ら予算を圧縮するといっても、人件費を押えるわけにはいかぬだろうと思うのですね。NHKの場合に実際に四億六千万かかっておるならば、これを押えれば、NHKの一般財政にこれは食い込んでいくわけです。結局は受信者がそれを負担しているということになるのですよ。政府が負担すべき国際放送の命令されたものを、受信者に負担させるという結果になっておる。法解釈上いろいろあると思うのですが、ちょうど人件費を押えられないように、この国際放送の問題についてはやはりこれは押えるべきではない。大体、それだけ要ったものならばしかたがないではないか、その上に立って来年度以降の予算について十分な配慮をお願いしたいと思います。政務次官にせっかくのおいでをいただきまして、りっぱな御答弁をいただけましてきわめて満足でございます。もうけっこうでございます。  次に、NHKの職員の給与の実態について少しお伺いしたいわけでございますけれども会長は、四十九年度の収支予算事業計画等の説明の中で、職員の給与については適正な水準を維持していきたい、こういうお考えを述べておられます。非常に抽象的でございまして、どことどう比較をして適正というのか、どういうものを基準にしながら適正とおっしゃるのかということについて、適正ということをもうちょっと具体的に、たとえば似通った業種の中でとかいろいろあろうと思いますので、もうちょっと具体的に御説明願いたいと思うのでございます。
  48. 小野吉郎

    小野参考人 適正水準もいろいろございます。われわれが考えておりますのは、放送事業体でございまする同種の企業といたしましては民放がございます。また新聞社もマスコミの同業のような状況になっておりますので、大体そういうところに比較をいたしまして見劣りのしない水準にすべきではないか、かように考えております。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も、NHKという国民の期待を集めておる仕事でございますから、トップに行けとまでは言いませんが、会長と同じような、同種の、大体民放なり大手の新聞社等に比較をして見劣りのしない、その辺は最低の線ではないかという気がするわけでございます。ところでこのNHKは、予算編成の関係からちょうど年度の途中くらいで、途中というとおかしいのですが、春闘が四月から五月ごろ終わって、大体日本の一般の給与の水準がきまってくる、そして十二月ごろNHKは次の年の給与をきめなければならないという宿命みたいなのもを背負っておるわけでございます。したがって、いままでの給与をずっと見てきますと、途中できまるから早く上がったような、いいような印象を受ける。しかし、春闘が終わって結果を見ると、必ずしもよくない、どうもそういう結果が数字の上で出ておるようでございます。私も若干の資料を持ち合わせておりますけれども、この機会でございますから、NHKの担当の方から、先ほど会長おっしゃいました比較できる民放なり新聞社とNHK皆さんの今日の給与について、概略の御説明をいただきたいのでございますが……。
  50. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  給与の比較は、端的に申し上げまして新聞民放等と労務構成が必ずしも一致いたしませんし、さらに給与体系そのものの一致いたしておりませんので、直接そのままが比較値というのはなかなか言い切れない点があろうと思います。ただ大ざっぱに申しまして、基準賃金という概念で概略把握いたしますと、ほぼ大差のないものが出ようかと思いますので、そのレベルで申し上げたいと思います。  大体、私どものほうといたしましては全国組織でございますので、新聞放送の一番大きいところと比較するのが大体合ってくるんじゃないかと思います。その意味で申し上げますと、新聞関係全国紙の大どころ、この辺の高いところが現在平均基準賃金で十二万円程度、安いところで十一万一千円程度でございます。民間放送関係で高いところで十二万七千円程度かと思います。そのようなレベルで申しますと、大体大どころ四社を平均いたしました場合に、労務構成の基礎でございます平均年齢が三十七歳程度でございまして、NHKの場合とほほ似てまいります。平均勤続年数も十三・六年というふうな数値になっておりまして、NHKの場合が十三・七年でございますので、これもほぼ似てまいります。それで、概して申しますと、四十八年度の場合の数値が、新聞放送等の平均額が十二万二百円という数値が報告されています。これに対しましてNHKの場合には十万九千五百円ということでございまして、ほぼ一割方の差があるというのが実情かというふうに思っておるところでございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体大手新聞についてはほとんど私のほうの資料と数字が一致しますけれども民放、たとえば日本テレビ、東京放送、日本教育テレビ等は、斎藤理事お話よりもだいぶん高いようでございます。年齢構成三十六から三十七、これはほぼ似ておるようでございます。ちなみに申し上げますと、日本テレビの場合が、平均基準賃金で十四万七千円ぐらいになっておるようです。東京放送は十四万六千円、日本教育テレビが十五万七千円、したがって、この辺に比ぶると大体四万円近い差が昭和四十八年度で出ておるというふうに考えられます。それから新聞社については大体十二万程度でございますから、これは一割程度の差というふうに考えていいと思います。したがって、会長おっしゃった、少なくともこういうところの中辺ぐらい、見劣りのしないということになると、一番下では見劣りがするわけでございますから、ぐらいには行っていただきたいと思うのです。そうすると、やはり一九七三年、昭和四十八年の賃金で見ても、最低一割以上はやはりNHKの職員のほうが安いことになります。けれども、これは過去の経緯があるわけですから一挙にどうこうということにはいかぬでしょう。  ところで、すでにNHKでは、新しい年度に新しい賃金が、話し合いの結果計上されておるようでございます。これは大体どの程度になっておりますか。
  52. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  昨年十二月二十七日に交渉を終えておる数字で申し上げます。一般職員の平均改善額につきましては、基本給部分で一万七千百二十円でございます。ほかに家族給の調整、これは昭和二十七年以来据え置いておったものでございますが、これを補正するという約束をいたしました。この部分が千八百九十円、一人当たりの平均額でございます。合わせますと一万九千十円に相なるわけでございます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはパーセンテージで二〇%ちょっとぐらいになるのではないかというふうに考えられますが、この数字は間違いありませんか。
  54. 斎藤清

    ○斎藤参考人 ただいま申し上げました部分だけについて申しますとほぼ一八%でございますが、これに定期昇給部分がほぼ三%ございますので、御指摘のとおり二〇%をややこすというふうに相なります。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ところで、これはまだ、会長、未知数でございますけれども、ことしの春闘は異常な物価の高騰の中で、しかも大企業、大商社がたいへんなもうけをしておるということで、三〇%台になるのではないかというふうなことがうわさをされております。しかし、ちなみにNHKと同じように定昇を含めて二〇%若干の賃上げになったと仮定をしても、NHKの場合、明らかに大手新聞に比較をしても一割程度悪い。民放の大手に比較をすれば実に三〇%以上低いことになってまいります。そういうことから考えまして、すでに賃金の問題については一応話し合いのついたところではありましょうけれども、新しい情勢が生まれてくる、いわゆる春闘が妥結をして、日本全体の労働者の賃金が一定の水準が出てくる、当然そこには会長が比較をさるる民放の大手なり大手の新聞社の賃金が出てくるはずでございます。その結果、会長の信念に従って、見劣りのしない給与、こういうものをひとつ十分配慮をしていただかなければ、なかなか意欲を持って職員の皆さん国民の報道を担当するということにならないのではないかということを心配をいたしますが、もし、すでにそういうきまったものではあっても、新しい事態、いま申し上げましたような情勢が生まれてきた場合には、会長として十分配慮をしていただくようにお願いをしたいのですが、いかがでしょうか。
  56. 小野吉郎

    小野参考人 春闘の相場はまだ現在予知できません、どういう結果になりますか。NHKで今回のそれは定昇を含めますと二〇%をこえる改善になっておりますけれども、その帰趨がはっきりわかりませんけれども、わかれば、しからばそれに順応して四十九年度予算においてそのような見劣りのしない措置ができるのかという点になりますと、これは不可能でございます。基準賃金あるいは賃金ベースそのものを、一たん予算できまったものを改定することは技術上できません。そういうことで、これは翌年度において可能な限り検討する以外に道はない、かように考えております。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま基準賃金だけについてお話をして、かなりの差があることを申し上げたのですけれども、私の調査によれば、基準外の賃金、いわゆる夏期あるいは暮れのボーナスではさらに大きい差が出てきておるのです。  ちなみに申し上げますと、四十八年度のNHKの夏期手当は二十五万ぐらいに平均がなっております。それからその前の年の暮れ、四十七年の暮れのボーナスは三十三万ぐらいになっておるようでございます。日本テレビの場合には、夏期手当が五十六万五千円、それから前年の暮れの手当が四十九万一千円。あるいは東京放送を見ましても、夏期が六十三万、前年の年末が五十六万と、膨大な差がここでも出ておるわけです。そうすると、会長のおっしゃっておる見劣りのしないところというのは、いつも見劣りをしているじゃありませんか。ボーナスで見劣りがし、基準内賃金で見劣りがして一番下位に落ちちゃって、口だけ見劣りがせぬ見劣りがせぬと言ったって、それは職員の皆さんが納得しませんよ。これはもうこの辺でひとつ、もしベースの改定等について非常に困難があるとするならば、たとえば国家予算でも弾力条項等がありますように、極力——おそらく相当節約されておると思いますけれども、あらゆる分野にわたって節約をして、少なくとも早目に交渉が妥結をしたことをもって職員が損をするというようなことがないような配慮をしてやっていただかなければ、十二月に賃金交渉をすることが不可能になってくる。NHK予算は毎年暫定予算でいかなければならぬ、春闘が終わるまで予算が組めない、そういう状態だってこのまま推移すれば起こりかねない。よく私は今日までNHKの職員の皆さんがしんぼうしてきたと思うのです。いつもこれはびりっこでしょう。口では適正な水準、見劣りのしない、こう言いながら、十二月にきめるばかりにいつも一番びりっこを歩いてきておる。ボーナスに至っては、これは問題にならぬほど悪いですよ。そういうことを考慮してみますと、私、いま取りきめたものをほごにせよとか、そういうわけではありませんけれども、新しい経済の変動の事態が起こったならば、たとえば去年の暮れに政府だって〇・三カ月分を繰り上げて支給したという経緯だってあります。おそらくこれはまた近いうちに人事院の再勧告が行なわれて、年度末手当が四月に入っても支給されることになるでしょう。現実にそういう措置がとられておるんです。そのことを全然無視して、約束ごとでございます、予算でございますからあとは一切できませんでは、いかがなものでしょうか。
  58. 小野吉郎

    小野参考人 賃金ベースとしては先ほど申し上げましたようなことでございますけれども、はなはだしく均衡を失するような事態が春闘後において出れば、これはやはり業績手当と申しますか、そういう一時的ないわゆる手当等の関係においては、財政がもし許せばその関係においてやはり配慮すべきであろうと思います。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そのお気持ちがあればもう十分です。したがって結果的に、私は結果論で申し上げますが、会長の信念とされておるところの適正な水準、それは他の大体同種のものと見劣りのしないところになるのだ、結果がそうなれば、それはけっこうです。あとは該当する方々で話し合っていただけばけっこうですから、そのことだけはひとつ十分含んでおいていただきたいと思います。たいへんけっこうな答弁をいただきましてありがとうございました。  続いてもう一つお伺いしたいのですが、受信料契約の中に無料契約、特にカラーテレビの関係ですけれども、四十八年度では無料契約が六万四千件ばかりですが、四十九年度では十四万二千件と倍にふくれ上がっておるようでございますが、どうして無料契約は異常に四十九年度でふえてくるわけでございますか。
  60. 川原正人

    ○川原参考人 営業総局長の川原でございます。  この点は、従来とも協会といたしましては、受信機を設置される聴視者の方とはきちんと契約を取り結ぶように努力をしてまいったのでございますが、どうしても営業の現場では、勢い収入につながります有料契約のほうに力が向いておりまして、私どもの反省として、若干無料契約といいますか、生活保護の方あるいは学校、施設等の契約に多少もう少し意を用いなければならぬ点があるのじゃないかということを考えまして、特に四十八年から四十九年にかけましてその種の方向にさらに契約をきちんとするように、特別な重点事項としていま指導しております。そのほうの面から申しまして、その程度の無料契約の増は予想できるという判断をいたしましてそこに計上したわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ちょっとわかりにくいのですが、この資料の二二ページにいう無料契約というのは、これは有料契約に変更する部分でございますか。
  62. 川原正人

    ○川原参考人 資料の二二ページ——横長のほうでございましょうか。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうです。わからなければもう一ぺん申し上げます。  資料二二ページの上段の、まずカラーの欄を見ていただきます。四十九年度有料の契約は二百四十三万件、無料の契約が百四十二万件とこうなって、合計二百五十七万二千件となっておりますね。ところが昭和四十八年度では、有料契約が二百九十万件で、無料契約は六万四千件。本年度、一挙に無料契約が倍の上になる、これはどういう意味ですかということです。——なりませんか。
  64. 川原正人

    ○川原参考人 これは先ほど申し上げましたとおり、四十八年度におきまして無料契約と申しますのは、たとえば学校、施設等で教育のために設置している受信機の契約、あるいは生活保護を受けておられる世帯が設置されます受信機、こういうものを含めまして六万四千の契約になる見込みである、こういうふうに推定いたしておるわけでございます。  先ほど申しましたように、現在この種の契約の面でなおもう少しきちんと事務をする必要がある。この契約は収入にはつながりません、あくまで全額免除でございますから。つながりませんので、従来ややもするとその辺がきちんといってなかった面があるので、そのほうも協会としてはきちんと契約は、無料であってもすべきものはしていただかなければならぬだろう、こう思いまして、今年度から来年度にかけまして、ここのところを一つの重点の施策として営業の面で努力をいたしたいということでございます。それでこの程度、十四万ぐらいのものをさらにきちんと契約がしていただけるのではないか、こういうふうに思って、ここに計上してあるわけでございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、続いて伺いますが、その次の二三ページの受信料免除額というのは必ずしも正確な数字ではなくて、まだ把握できてない無料契約がたくさんあって、把握できておるものが大体こういう件数になる、契約数で百十六万四千五百件ですか、こういうことになるわけですか。
  66. 川原正人

    ○川原参考人 実際の受信機の置いてあります台数は、これが何十万ぐいあるかということは、率直に申しまして、これはなかなか資料等はないわけでございますけれども、ここに掲げました数字は、私どもが無料の契約として四十九年度にきちんと把握をいたしたいということで計上してある数字でございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 四十九年度で総数で百十六万四千五百契約ですね。それはこの前にある十四万二千件も含めてこういうことになるだろうという推定で出しておられる。したがって、その下の各項にあるそれぞれの施設にある契約総数というのは、ある意味では正確なものではなくて、ある程度架空の数字ですね。
  68. 川原正人

    ○川原参考人 御指摘のとおり、これは四十九年度末でございますけれども、四十九年度末において、全額免除となるべき受信契約が七十五万、そのほかに半額の免除になるものが四十万、合わせまして百十六万の契約になる、これはそういう予算の数字でございます。これは決して架空というわけではございませんで、これだけのものは私どもは本来の仕事としてきちんと契約をいただかなければならない、こういう意味予算に計上したわけでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは何ぼ計上してみても、金の入るのは下の二つだけでしょう。基地周辺と射爆場のところから金が入るだけで、あとは金が入らないのですから、何ぼ計上してみてもしてみなくてもかまわないのですが、問題は、それでは四十八年度末の同じ資料、これはきょうはできぬでしょうから、四十八年度でおたくが把握しておる実数があるでしょう。それでもって受信料免除総額は何ぼになっておるか、わかっておるなら知らしてください。
  70. 川原正人

    ○川原参考人 四十八年度も現在最後の契約につきまして努力をしておりますので、まだ最終的な数字は出ておりません。出ておりませんが、現在私どもで持っております見込みはございます。それでは、免除総額……(阿部(未)委員「免除総額だけでいいです」と呼ぶ)件数でございますか。(阿部(未)委員「件数じゃない、金額」と呼ぶ)金額では全部で二十五億円になる予定でございます。ただし、これは免除の額でございますから、予算には入ってまいりません。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  そうすると、実数として大体把握できるところの免除の額が二十五億。この四十八年度末における二十五億の免除額というものの中には、一番下の二つ、基地周辺の受信者と射爆場周辺受信者、これはここに免除となっておるけれども、取り扱い上は免除ですけれども、これは実際は入ってきますね。そのほかのは入ってこないのでしょう。二十五億という数字の中に射爆場の周辺の受信者受信料と基地周辺の受信者受信料がどのくらい入ってくるものですか。
  72. 川原正人

    ○川原参考人 いま阿部先生御指摘のとおり、この基地と射爆場の分合わせまして約六億くらいのものが、これはあとで別のルートで入ってまいります。ですから、先ほどの二十五億からこの六億は差し引いていただかなければなりません。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは私どもしろうとでもわかるように、この表を見ますと、あたかもNHK受信料の免除をしておるのが四十九年度末では三十六億三千五百万円になるというふうに見えるのですけれども、実際はこのうちいまの六億くらいは雑収入で入ってくるはずですね。したがって大体三十億くらいが四十九年度末の全免、半免の免除額になるだろう、こう想定がされる、これで間違いございませんね。
  74. 川原正人

    ○川原参考人 そのとおりございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでお伺いしたいのですが、郵政大臣、四十九年度末でNHK受信料の全額免除あるいは半額免除をして何らの補てんを受けない額が約三十億になるだろうといわれております。その内訳は、全部は申し上げませんが、大きいものを申し上げますと、たとえば児童福祉施設、これは二万二千契約、あるいは学校二十二万八千九百契約、それから生活困窮者四十三万七千契約、膨大な数字があるわけでございます。本来私は、これらの生活困窮者であるとか、あるいは児童福祉であるとか学校教育の関係等については、国の施策としてそれぞれのところで受信料を払って受信をすべき性格のものであるというふうに考えるのです。なるほどNHKの非常に公共的な性格と国の性格とは似通ったものがあります。ですから、受信料の中からそれをまかなってやってもいいではないかという見方もないではありません。けれどもよく考えてみますと、受信料というのは非常に貧しい人もテレビが一台あれば、やはりカラーなら四百六十五円払わなければならない、巨万の富を持つ人もカラーテレビ一台については四百六十五円毎月払えばいいのです。それを積み上げたものがNHK受信料の総額になるわけですから、その中でいわばこれだけのものを負担しているわけですから、これは社会福祉あるいは学校教育という国全体の立場から考えるならば、社会から大きい恩恵を受けておるたくさんの収入のある方からたくさん税金をいただいて、収入の少ない者から少し税金をいただいて、集めた税金によってそれぞれの省が措置をすべきものであると私は考えるのですが、まず該当の郵政大臣はこの点についてどうお考えですか。
  76. 原田憲

    ○原田国務大臣 そういうお考えをお持ちの方があること、阿部さん自体がそういうお考えのようでございますが、私は一がいにそれを否定いたしません。ただNHKの場合は、これは調べてみますと、設立のときから、いま話のありました学校とかそういうところには初めから無料で行なう、こういうことでやってきた、こういう経緯があるようであります。これはあなた自体も、そういうこともある、こういう考え方もある、それを認めつついまの御意見を展開されておるのでございますが、そういうことでやってきておる。これをいまあなたのおっしゃっておるようなところへ持っていきます前に、私はやはり本来の、まだ努力をして聴視料を集めなければならぬ、これをちゃんとしなければならぬ、そして経営を完全にしていくということが第一番ではなかろうか、このように考えておりますので、いま御意見がございましたが、先走って答弁するようでございますが、いまのところそういうふうな学校まで、いまやっておるものまですぐに文部省予算でやるかどうかということには、これはもう学校ということになりますと、国と地方団体が、だれが持つかというような問題になってきますが、現に、いまお話のありました基地の問題あるいは飛行場周辺の騒音対策にとりました措置がだんだん改善されてきておるというような具体的な事例もございますけれども、まず私は、そこへ行きますまでに、基本的には聴視料をつとめてNHKは集めるということを第一番にしてからである、このように考える次第でございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣も御承知のように、これはいずれもそうなんです。たとえば基地周辺の受信料の問題にしても、初めはだれも負担してなくて、これはここで議論をして、当然原因者負担の原則ということで取り上げられて、去年からですか、総がかりになったのは。私はそういう記憶がありますが、射爆場もそうなんです。私がここで議論しておるのは、来年度の予算でどうするかというようなことではありません。それは大臣のおっしゃるように、今日までの経緯があるわけですから。ただ原則として考えられることは、これはNHKが負担すべきものなのか、NHKが負担するということは、言いかえれば受信者が負担していることになります。いわゆるNHK受信者視聴者が負担すべきものか、それともこういう施設を持つ関係の国の予算でまかなうべきものかという原則についてどうお考えかということをお伺いしておるわけです。
  78. 原田憲

    ○原田国務大臣 それが、国が持つという場合には、いま受信料を払っておる人がまた税金で二重に負担をしなければならないという問題が生じてくるわけでございますから、私はまず基本である受信料というものを完全に集めるということが先にならなければならない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何もそこで受信料の収納が全額いっておらぬからどうこうということはそれほど問題にならないのです。受信料の原則に立ち返って議論をするならば、もちろん契約視聴者はみんな納めてもらわなければならぬ、当然のことです。ただ私が申し上げておるのは、あなたは確かに受信料を納めた上に、税金からもまた負担をするとおっしゃいますけれども受信料の中でまかなうのも税金でまかなうのも、ある意味では非常に似通ったところがあるのです。その負担の割合、社会福祉という観点、教育という観点から考えるならば、うんと持っておる人が、いわゆる社会からたくさんの恩恵を受けておる人がたくさんの負担をし、恩恵の少ない人が少ない負担によって、社会全体の福祉なり教育というものについて見ていく、これが私は国の施策でなければならない。それをたまたま国の予算が少ない——まあ三十億くらいですから知れているのですが、それを小さいNHK受信者におっかぶせて、きょうの生活に困る人でも今日の社会情勢の中ではやはりカラーテレビが置いてあるのです。税金を納められない人だってカラーテレビを置いてあるのです。いまはこれは常識でしょう。その方々からも、百万の富を持つ方々からも、受信機一台について同じ料金しか取っていないのですよ。それでもってこういうものを負担せよという考え方が、NHK性格から考えて私は基本的に間違っておる。いつからするかは別です。いつからするかは別にして、原則としては、当然社会福祉の問題については厚生省がそれを負担すべきである、学校教育の問題については文部省が負担すべきである。たいした額じゃないのです。やろうと思えばすぐにもできるのですが、ともかく、ともすると国はその権力を利用して、NHKとかあるいは公団、そういうところにおんぶしたがる傾向があるのです。そこで、大臣のお考えはわかりました。あなたはもうちょっと勉強しておいてください。受信料が集まる集まらぬは別でしょう。原則的な問題なんです。  文部省、お見えになっておりますか。文部省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  80. 今村武俊

    ○今村政府委員 文部省としましては、放送法を根拠にして、学校、公民館等で受信料の免除が行なわれておることは非常にありがたい措置だと思っております。いまおっしゃいます問題点につきましては、文部省としてといわれますと、社会教育局長という資格でお答えできることではございませんので、持ち帰りまして十分検討させていただきます。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから私は文部大臣に出てくれ、こう言ってあったのですけれども、文部大臣が出れぬならば、責任をもって答弁できる人が出てください、こう申し上げておいたのです。  それから厚生省お見えになっておりますね。厚生省も同じですか。
  82. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答え申し上げます。  厚生省といたしましては、NHKの公共性にかんがみまして、深い理解と御協力のもとに、現行制度が継続されることを希望いたしております。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは大蔵省から予算を締められていろいろ言われるよりも、黙ってただで見せてくれるのが一番ありがたいことは間違いないですよ。しかし、こういうものがあるがためにNHK——NHKというと、何かここにおいでになっている会長や役員の方のようにお考えですが、そうじゃないのです。NHKとは視聴者全体のものなんですよ。その視聴者全体の負担によって、本来国が負担すべきものを負担していない。これは誤っている。しかも大厚生省、大文部省が年間三十億やそこらの予算が何ですか。それをみみっちい予算におんぶして、そして受信者の負担にしておいて、国がほおかむりをするようなことは、きわめて不当だと思うのです。NHKがどうこうというのではないのですよ。私は受信者立場から、負担の公平を欠いておると思うのです。当然これは国が負担すべき性格のものだと思う。その点については会長はどうお考えですか。
  84. 小野吉郎

    小野参考人 NHKといたしましては、事業創設以来、公共性の一端といたしまして、社会福祉関係に益すること、あるいは学校教育関係の助長に役立つ面、こういったようなことから、可能な限りにおきまして減免の措置を講じてまいりました。これを一切国に肩がわりしていいかどうかは、いろいろな問題があろうかと思います。ただ、今日、NHKの財政能力にも限界がございますし、また現在の減免の状況でものごとは安定いたしておりません。社会福祉関係にいたしましても、あるいは母子家庭がどうであるとか、あるいはいろいろな身体障害者関係も、NHKはそれが世帯主である場合に限っておりますけれども、世帯主でなく、世帯構成員であっても免除すべきではないか、いろいろな要望があるわけでございますけれども、現在のNHKの財政能力ではこれらを十分満たすことはできません。そういったような将来の問題につきまして、あるいは福祉国家を目標とする国の政策として、そういうための一助として幾分その方面へも手をつけられるという情勢になれば、NHKの財政能力の許す限りの減免措置と、国の福祉政策、教育政策、こういった面との総合の一体化の上に、現在の要望をできるだけ満たすことができるんじゃないか、かようにばく然とは考えておりますけれども、現在三十億のNHKの減免をいたしておりますそれを、財政が非常に窮迫だということでこれを国に肩がわりしていただきたい、こういう要望は現在持っておらないような状況でございます。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何も国に肩がわりしてもらうわけじゃないでしょう。私は、本来国が払うべきものをNHKが肩がわりしているのだ、こう思っておるのです。そうでしょう。その原則をきちっと踏まえておらぬから、何か頭を下げて国に頼まんならぬもののように考えておるけれどもNHKの独立性、NHKの公共性から考えれば、私の考えでは国との間に貸し借りがあってはならないのです。もらうものも要らないものは一切もらってはいけない。しかしもらうべきものはちゃんともらわなければならない、それが私は原則だと思うのです。そして、会長は確かに運営責任者ですからいろいろお考えになると思いますけれども、大事なことは、NHK視聴者のものであるというこの原則です。その視聴者意見をやはり聞かなければならない。視聴者立場からすれば非常に似通った点がある、私は率直にそう思うのです。国から出すか、NHK自体で負担するか、似通ったものがありますが、負担の公平ということを考えてみますと、これはやはり受信料から措置すべきものではない。しかも、いまちょっと漏らされましたが、いまのNHK経営内容は率直に言ってここ一、二年の間には受信者皆さん受信料の値上げをお願いする以外にないんじゃないですか。そう思うのです。そういう状態にあるときに、何か歯を食いしばって、いや私はそういうことは言いませんなんて、会長、これは会長としてちょっとおかしいんじゃないですか。むしろ、これは当然国からもらうものだからそういうふうにすべきだ、国が負担すべきものだと、あなたは受信者を代表する立場からおっしゃるべきだ。少し政府のほうに肩入れが過ぎているんじゃないですか。もっとき然たる公共放送としての態度を守ってもらわないと……。そんなに政府をおそれることはありません。国会があるわけですから、別におそれることはありません。どうですか、原則論として。会長は国に肩がわりしてもらうと言われますが、私は国がNHKに肩がわりさせておる、受信者に肩がわりさせておると思っている。本来国が持つべき性格のものだ、こうお思いになりませんか。
  86. 小野吉郎

    小野参考人 なかなかデリケートな問題でございますけれども、理論的に御質問のような趣旨の考え方もあろうかと思います。そういう点はあろうかと思いますけれどもNHKといたしましてもこれを大きな政策の一つに掲げて、ここ五十年来こういった政策を重点施策として行なってまいったわけでございます。そういう意味合いから、筋は筋といたしましても、むしろ重点は、現在の減免の範囲におさまらない、これで安定をしないいろいろな要望があります。そういう要望を満たす面につきましてはNHKに能力の限りもございますので、そういった面について国策としての手が打たれれば、これは非常に万全ではないか、かように考えておる次第でございます。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 率直に申し上げて、受信者は国策にあまり関係がないのです。受信者は、納められた受信料でなるべく内容のいい、負担の少ない方法で運営をしていただいて、いい番組を見せてもらいたいのであって、そう国策国策といってそっちのほうに肩入れしなくてもいいと思うのです。  大臣、その問題について最後にあなたにお伺いしておきたいのですが、いまるる話をしてきたとおりです。確かに今日までの経過がありますから、いますぐどうこうということは困難だと思いますけれども、少なくとも原則としてはやはりNHKと国というのは違うんだ、したがってたとえ国であろうともNHKに負担をさしてはならない。この原則はやはり認めらるべきだ。その上で具体的な措置をどうとっていくかは、これは行政の問題でしょうからこれから先でけっこうですけれども、原則だけは私は明確にしておくべきだという気がします。いかがでしょう。
  88. 原田憲

    ○原田国務大臣 これはまあ時代というものがありまして、ものは時代によって変わっていきますが、いま会長が言われたように、NHKというものをつくったときの初めから、学校とかそういうところにはもうただで見せるということを含んでやってきておる、こういうことであります。その後、いま起こっております騒音対策でどうこうしたということは、それが見られないということに対して原因者に負担させるのが当然じゃないか、こういうことで、これは私自身もそういう議論を展開してきたものでありますから理解ができるのです。あなたのおっしゃっておること、そういう意味からの問題はよく理解ができるのです。したがいまして、NHK経営をしていく一番基本的な立場は聴視料をもって経営をしていく、こういうことでございます。あなたが先ほどから展開されておる御意見の中にも、金持ちで三台も四台も持っておる者と一台持っておる者と云々という御意見がございましたが、こういう問題までひっくるめて、このNHK経営というものに対して、あなたの言われるような将来問題まで含んで料金、聴視料というものをどうするかというときが来ると思うのであります。  それと、いまの問題は、文部省なりあるいは厚生省なりが、その予算の中で当然大蔵省に要求をして、それをNHKの聴視料がわりに払うべきものであるということを考えておかなければならない、こういうことは考えますが、先ほどあなたも、あしたすぐということは言わないとおっしゃっておりますが、問題のあることは十分認識をして私は今後に処してまいりたいと存じます。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまの郵政大臣の御答弁で、これは十分原則的な問題を含めて検討をしていただくということで、この質問を終わります。  最後に、もう一つお伺いしたいのです。これは郵政省のあれだと思うのですけれども放送番組センターというのがありまして、ずいぶん余裕があると思うのですが、NHKが年間三億円くらいのお金をずっと出してきたようでありますけれども放送番組センターの顧問、評議員あるいは役員の名前をずらっと言うてみてください。あるところで私がとめるから、そこまで。まず顧問から。
  90. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 顧問でございますか、会長はよろしゅうございますか。(阿部(末)委員「あとでいい」と呼ぶ)顧問植村甲午郎、小林中、佐藤喜一郎、永野重雄、松下幸之助、森戸辰男、安川第五郎、この方々が顧問でございます。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会長はだれ。
  92. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 会長は石坂泰三、副会長今道潤三、それから副会長小野吉郎、副会長高田元三郎、専務理事磯村幸男、理事岩崎一太、それから同じく……。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もういい。大臣、いまお聞きのとおり、小野会長などは別でございますが、そういう方を除きますと、この放送番組センターというのはどうやら財界の大立て者の会合場所みたいな観を呈するのでございます。NHKがこの放送番組センターに三億円毎年お金を、助成金というのですか、何か名目はわかりませんが、出しておられる。民放は一体どのくらい負担をされておるのですか。
  94. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 一億二千五百万円でございます。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 民放は何社加盟をして一億二千五百万でございますか。
  96. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 八十七社でございます。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 民放八十七社、その中には、NHK職員の給与を大幅に上回った給与を職員が受けておる民放もたくさん入っておるわけでございます。その八十七社で一億二千五百万の負担をして、非常に経営の苦しいNHKが三億円もの負担をして、そしてこの財界大御所のオンパレードが行なわれておる。  この番組センターはどういうことをやっておるのですか。内容を少し説明してみてください。
  98. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 放送番組センターでございますけれども、これは番組問題がやかましくなりましたときに誕生した組織でございまして、教育、教養番組の企画、制作、管理、配給、こういう仕事をやっております。教育、教養番組の充実、向上をはかるということを目的として昭和四十三年設立された財団法人でございます。設立以来、放送番組センターが制作または制作費の一部を負担した番組は約九十番組ありますが、このうちいままでに二十番組が芸術祭その他で、優秀な作品であるといって優秀賞を受賞しております。またあるいは文部省あたりから推賞を受けておるということでございます。それから、このセンターが制作、協賛した番組並びに他から供給を受けて保管しております番組は、主として一般放送事業者によって大いに利用されておるところであります。  これらの点から見ましても、放送番組センターはすぐれた教育、教養番組の企画、制作、放送番組の充実、向上という目的を十分に果たしているものだと考えられます。したがいまして、日本放送協会放送番組センターに対して出捐するということは、放送の進歩、発達という面から適当な措置であると考えております。  それから、ちなみに利用社数を申し上げますと、テレビは約八十何社ございますけれども、六十七社、これが利用しております。貸し出しフィルムの本数が八千百十一本ということでございまして、相当の利用本数があるわけでございます。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこの保管しておるフィルムで、NHKが作成をしてこの放送番組のほうに提供したといいますか、それは何本くらい、全部の何%くらいになっておりますか。
  100. 坂本朝一

    ○坂本参考人 四十三年度からNHKから番組センターに供与いたしました番組の数は、合計いたしまして大体五百八十五本ございます。それでおもなる中身は、いわゆる教育、教養番組で「あすをひらく」「日本の伝統」「新日本紀行」「ある人生」等々でございまして、大体五百八十五本でございます。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKの作成したりっぱな教育、教養番組民放を通じて放映をされる。このことは私はそれほど別に悪いとは思っていないのですけれども、では、この放送番組からNHKが受くるメリットはどういうものなのか、どういうものを放送番組センターのほうからNHKは供与していただいて視聴者皆さんにサービスをしておるのか、ちょっと……。
  102. 坂本朝一

    ○坂本参考人 NHK放送番組センターに協力するというたてまえで番組を提供いたしておりますので、その番組の供与料と申しますか、そういうものは実費ということでございまして、したがいまして、それがいわゆるメリットとして返ってくるというような性質のものではございません。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 財政的にはまずそうでしょう。私も内容を調べていますが、非常に安い、低廉な料金で供与をしておる。それはまああとで議論をしますが、放送番組センターのほうからNHKに何かのフィルムの提供があって、それを放映しておるかどうかを聞いているんです。
  104. 坂本朝一

    ○坂本参考人 ただいまも申し上げましたように、目的が目的でございますので、番組センターのほうからNHK番組を提供してもらって放送するという事例はございません。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、NHKは三億円の出しっぱなしの上に、自分のところでつくったフィルムをまた低廉な料金で放送センターのほうに供与をする、こういうことになって、放送センターのほうはたいへんもうかって楽をしているけれどもNHKにしてみるとちっともメリットはない。三億円も金を出した上に、フィルムまで安く売る。しかも私の聞いたところでは、NHK職員がせっかく心血を注いで作成をした教養、教育番組の一部を削除して、そこにコマーシャルを入れて放送しておると私は聞いておりますが、そういう事実があるかどうかです。
  106. 坂本朝一

    ○坂本参考人 たとえば「新日本紀行」というようなものを例に取り上げますと、NHKは二十九分三十秒というような形で作成いたしておりますが、それを民放が御利用になる場合には、その前後にコマーシャルを挿入するということから、二十九分三十秒では利用できないということでそれを多少編集いたしまして、コマーシャルが入り得る時間に編集いたしまして提供いたしております。
  107. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そのコマーシャルを入れる手続までNHKのほうでちゃんと仕上げてあげて、それから供与をされるそうですね。自分のところでせっかくつくった番組の中の一部を削ってコマーシャルを入れて、それから供与されておるやに聞いておりますが、それで電監局長、さっきからの議論ですが、NHKが三億円負担をして、民放何十社が一億二千五百万しか負担しないというその算出根拠を明確にしてください。
  108. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 これはセンター自身の決定によるものでございますが、第三者的に考えてみますと、NHKの負担に対して民放が少し不足ではないかという感じはいたします。
  109. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、いま電波監理局長さんから非常にいい御答弁がありました。常識で考えてもほとんどNHKにはメリットがない。三億円も出した上に、せっかくつくったフィルムを非常に安く提供してやる、提供にあたっては心血を注いだフィルムの一部を削ってコマーシャルまで入れて——金額申し上げますとびっくりしますよ、全く民放のほうを助けるためにNHKがたいへんな負担をしておる結果になっておる。しかも経営内容考えてみますと、民放を育成せんならぬ時期ならともかく、今日の情勢になってくれば、民放のほうがはるかに経営内容がいい状況なんです。そうして片一方で、NHKは近い時期に受信料の値上げでもせにゃならぬというこういう時期に、もうそういう負担はすべきではない。まあ経緯がありますから、一銭もするなと言いません、それは無理でしょうから。しかし、このセンターでもう今日まで育った以上は、平等の負担ということでNHK民放の一社と同じような立場——大手でいいですよ、大手の一社と同じような立場で参画をすることまで私はとめませんけれども、その負担の割合やフィルムを供与するだけだって、たいした私は放送センターにとっては有益なことになっておると思うのですから、もう財政三億の負担については、この辺で他の民放同様くらいでひとつこらえてもらう。そういう形で、まあ一ぺんにおりよといってもこれは会長立場もありましょうから、すぐにおりよとは言いませんが、あまり益のないところですからね、NHKとしては。この放送番組センターについては電監局長さんからもたいへんいい御答弁いただきましたので、大臣、これは処置をするという答弁をいただいて私終わりたいと思いますが、どうですか。
  110. 原田憲

    ○原田国務大臣 これは処置するといいましても、私にはその権限がないのじゃないかと思います。したがいまして、私は事実を聞いておりましたけれども、こまかくあなたのほうがよく御存じのようでありますので、電監局長が答弁をしたということをもって御了解を賜わりたいと存じます。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、この前から放送免許の問題でいろいろもめていますが、そのときは行政指導とかハチの頭とか、こういう話がいろいろ出まして、たいへん電監局長は、私の聞く限りではかなり苦しい答弁をされておったようでございますけれども、つくるときだって郵政省がかんでおるのですよ。郵政省がまとめてつくらしているのです、ほんとうのことを言うと。いまになって責任のがれで、私は知りませんなんて、それは不都合きわまる話ですよ。もともとこういうものは、電波監理というたてまえから郵政省が相当なてこ入れをしてつくった経緯があるのですよ。したがって、あなたの権限で直ちにどうということはできぬかどうか知りません。それは金を出すのはNHKですから、NHK会長のお考えもありましょう。ただ、この委員会としてこういう意見があったことについてあなたは適当な措置をとらなければならない、こういうふうに御理解願いたい。
  112. 原田憲

    ○原田国務大臣 政府委員の答弁は私の答弁と同じことでございますから、そういう意味で私は答弁をいたしたのでございます。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これで終わります。
  114. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 午後一時十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時十八分開議
  115. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  116. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、最初に昨年論議をいたしました日本放送協会経営委員会の問題を取り上げたいと思ったのでありますが、主たる責任者総理大臣でありますが、官房長官にお聞きをいただいておかないと適切を欠くと思いますので、いま官房長官の出席をお願いしておるわけであります。そこであとの問題を先にいたしまして、後半でこの問題を取り上げることにいたしたいと思います。  そこで、本日の議題でありますNHK予算案について少しNHK側にお伺いをいたしたいと思います。  この予算案を拝見をいたしておりまして、これまで予想をしておりましたよりも収支状況の悪化が少し大きくなってきておるのではないか。昨年、御承知の放送会館の売却費の中から今後の安定資金といいますか、運営上の余裕金として考慮をしたものを本年は全部使った上に、なおかつ資産売却をしてようやく収支相償うという状態になっておるところから見まして、NHKの収支関係というのは今後たいへんきびしい情勢になる、こういうように判断しているわけであります。そこで、一方では前の前田会長が、昭和五十一年までは受信料の値上げはやらないというふうに当委員会で御発言になったわけでありますが、来年度予算というのは、その意味ではたいへんきびしい情勢になってまいろうかと思うのであります。  そこで、まず最初にお伺いをしたいのは、ことしの予算の、昨年から見て受信料収入の伸びと、それから事業支出の伸び——もちろん事業収入の中には受信料収入だけではありません、ほかのものがありますから、それは込みでもけっこうでありますが、いわゆる特別収入なるものをはずしたネットの収入支出の昨年からの変化と、あわせて、昨年、四十八年から四十九年度に対する増加部分に見合って、四十九年度から五十年度にはいまの趨勢からすればどういう状態になると予想しておられるのか、この点について最初にお伺いしておきたいと思います。
  117. 山本博

    ○山本参考人 四十八年度の経常事業収支は九億八千六百万の赤になっております。それが四十九年度では、経常事業収支において四十五億五千万円ちょっとでございますが、それだけの赤になっておりまして、昨年度に比べまして三十五億六千万の経常事業収支上では赤字の増大ということになっております。  なお、受信料の収入は、四十八年度には前年度に対しまして六・八%増でございましたが、四十九年度は五・六%増でございまして、実質において約十億の額としての減少ということになります。したがいまして、こういう傾向といたしましては、経常事業収支の面におきましては五十年度においてはなお拡大をするのではないかと思いますが、その額についていまださだかに試算をいたしておりません。
  118. 堀昌雄

    ○堀委員 五十一年度までは上げないという話ですが、いまの情勢からすれば、そのときの物価の情勢いかんにもよりましょうけれども、おそらく五十一年度には値上げは避けられないだろうと私は考えておるわけであります。それはそのときの情勢で考えるとしても、今日のNHKにとって必要なことは、少なくとも今後値上げをするときには何らかの中期計画、要するに毎年毎年、単年度単年度で、そのときの情勢に応じて値上げをしたりしなかったりなどということでは、私はやはりNHK経営上に問題が生じようかと思うのであります。現在までは試算がしてないということでありますから、今年度及び五十年度は値上げをしないという前提に立っておるとすれば、これまでにその準備がないのはやむを得ないと思いますが、少なくともこの四十九年度じゅうには、五十年度から五十五年度というような中期的な、そういう経済的な見通しというものを準備をして、そこでやはりある程度——これは物価上昇等外部的な経済的要素によって動くから、物価の問題が動き、賃金の問題が動きますから、それは非常にきっちりしたものをつくるということは困難でありましょうけれども、趨勢的に一応の見通しは立てられるはずでありますから、その趨勢的な見通しを立てた上で、料金の値上げ問題というものは、少なくとも来年の予算提示の時期には論議がされてしかるべきものではないかと、こう考えますけれども会長、いかがでございましょうか。
  119. 小野吉郎

    小野参考人 NHKの財政が、収入をどう努力いたしましても、受信料収入の伸び率がここ四十四年ごろから見まして逓減の傾向にございます。明年度予算では五・六%を見ておりますけれども、その前年度は六・八%でございます。その前は七%をこえておりました。そのように漸滅をいたしておりますのは、やはりテレビがここまで普及をいたし、しかもその中でカラー契約なるものが今日全体のすでに七五%を占めております。明年度、四十九年度末になりますと八二・五%と、こういうような比率を占めるようになってきますと、四十三年度にカラー契約料金を別建てで設定をいたしましたその財源の源泉というものは、非常に底をついてきたということがいえましょう。したがいまして、五十年度予算におきましては五・六%の収入の伸び率すら得られない。私はまだ正確には試算をいたしませんけれども、四%台に落ちることは必至と考えております。他面には支出の関係では、やはり放送サービスを落とさないたてまえでやります限りにおいては、これはやはり必要な支出は組まざるを得ません。そのようなことになってまいりますと、将来、単年度単年度だけを見て問題を処理する姿でいきますと、毎年値上げをしなければならないような姿が出ようかと思います。こういうことが許されるはずがございません。もちろん料金の改定をいたしますためには、NHK経営の中で切り詰め得るものは極力切り詰める、そういう基盤の上に立って考えなければなりません。前会長時代に、五十年度末までは値上げをいたしませんと、こうやっておりますので、この公約は守ってまいりたいと思いますけれども、先生御指摘のとおりやはり五年が見通せるのか、あるいは三年くらいしか見通せないのか、その辺はございますけれども、年度年度の場当たりでなしに、そういう中期構想と申しますか、中期の見通しを持ってこれに処していくべきではないかと、かように考えております。
  120. 堀昌雄

    ○堀委員 私が御提示をしたことについて、おっしゃるように五年は少し長い場合もありましょうから三年でもけっこうですけれども、中期的な見通しを立てて対処をしていただく必要がある、かように思っております。  そこで、まだ値上げ問題というのは早いのですが、その中期計画を立てるためにも、私どもこういう論議をするのは本日のこの場しか実は本年じゅうはないわけです。ですから、その点について少し過去のことをお伺いしておきたいと思うのですが、現在の放送法による日本放送協会ができまして、テレビの受信料は最初は一体幾らだったでしょうか。
  121. 小野吉郎

    小野参考人 テレビ創始当初の料金は三百円でございました。その後三十七年でございましたか、当時はテレビの料金とラジオの料金が別建てになっておりまして、これを一本化いたしまして、三百三十円がテレビ料金、ラジオの料金はそれまでが八十五円だったわけでございますけれども、減額いたしまして五十円と、こういたしております。四十三年に至りましてテレビ料金をカラー料金と白黒料金に分けて今日に至っておるわけであります。と同時にラジオ料金はすべてテレビの中に吸収いたしまして、別建てのラジオ料金は持っていない、こういうのが現状でございます。
  122. 堀昌雄

    ○堀委員 私、資料をいただいたのでは、ちょっと相違があるようですから、事務当局のほうから……。
  123. 小野吉郎

    小野参考人 ちょっと訂正をいたします。  テレビ開始当時に二百円でございまして、それから一年経過いたしましたときに三百円に改定をいたしております。
  124. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いまのNHKのテレビで値上げらしい値上げをしたというのは二回だと思います。一つは、いま訂正なさいました二十八年にスタートしたときが二百円で、それが二十九年の一年目で三百円、おそらく二十八年から二十九年というのはテレビの受信料によってNHK運営されていたのではなくて、ラジオの収入が主体であったのだろうと思いますが、たいへん古い話です。ですから、そのときの二百円から三百円の値上げというのはごく小範囲のテレビ受信者でありましたでしょうから、あまり問題はなかった。その次の三百円から三百三十円になりましたときは、いまのラジオとの関係から見ますと、片一方が三十五円下がって、片一方を三十円上げたということですから、実質的にはあまり負担増とは受け取られなかっただろうと思います。その次に、今度はカラー契約というものができて、四百六十五円、ここが私は初めての本格的な値上げだと思う。これはしかし質が違うものですから、白黒テレビからカラーテレビということですから、やはり同時にカラーテレビの料金がきまりましたころは、カラーテレビの受信者というものよりも実は白黒テレビの受信者が多かったということで、カラーテレビの料金設定は質的な転換もありましたけれども受信者にとっては、総体はまだ白黒テレビの受信者であって、カラーテレビは新しいということでは、値上げではありますが、新製品の開拓という感じの処理をなされた。NHKが今後値上げをしますのは、まさに放送法によるところの日本放送協会ができて最初の値上げを行なうということになろうかと私は思っています。ですから、この値上げというものはきわめて重大なNHKとしては料金の歴史上の変革になる、こう考えるわけであります。  そこで、きょう午前中にも阿部委員から、いまの社会福祉施設や学校あるいはその他に対する問題の指摘がありました。私も実は当委員会に二年がかりで、本来NHKが負担しないでいいもの、国が負担すべきものはまず国に負担をさせたいという論議をしてまいったわけです。それはなぜかといえば、きょう阿部委員指摘をされたように、NHKの本来負担すべきものは負担しなければなりません。本来負担しなくていいものは、当然それは本来負担すべきものに負担を求めることによって——やはり受信料の値上げという非常にNHKとしては重大な問題に対処するためには、放送聴視者がともかく、なるほどそこまですべてが整理をされてなおかつ費用がどうしても要るという場合にはやむを得ないという納得の上に問題が処理されるということが非常に重要だと考えて、私もかねてやってまいったわけであります。きょうは阿部委員が御指摘のように、国際放送については法律では「国の負担とする。」となっていますから、本来はまだ不十分な点が残されていますから、ここらは法律の定めに従って、ただし書きのほうには国の予算の範囲内とこうありますけれども、前段はやはり「国の負担とする。」と書いてある以上、これは一般受信者が負担をすべき性格のものではないと法律が明記しているわけでありますから、これらについてはひとつ郵政大臣——郵政省という役所はやはり放送法の定められたところに従って、NHK予算要求については郵政省の立場からも筋を通してひとつ今後とも御努力をいただきたい、こう考えるわけであります。  そういうふうなもののほかに、ではNHK予算上の問題として、多少とも今後に費用の軽減ができる部分はないのか、私は私なりに少しいろいろな資料を分析をしてみたわけでありますが、一つ問題が出てまいりますのは、この営業費の中の契約、収納費、これは受信料を集めるための費用でありますが、これがやはりかなり年率大きく伸びてきまして、ついに四十九年度では受信料の総収入の一〇%をこえるところにまいっておるわけであります。そこでこの問題は、やはり伸び率は人件費が主体でありましょうから、今後ともかなりな伸び率を考えなければなりません。時間がありませんから私のほうで申し上げますと、現在ことしの伸び率は一七・四%、昨年一二・三%でありますが、一七・四%という年率の伸び方をしますと、大体四年くらいで倍になるのですね。だから、これは今後もう少し検討を要する項目ではないかというふうに私はいま感じておるわけです。  そこで、ちょっとお伺いをしたいのでありますけれども受信料のうち、現在銀行の振替制度というのがありますね、これはどのくらい利用されておるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  125. 小野吉郎

    小野参考人 その前に一言お礼を申し上げなければなりませんけれどもNHKの財政のあるべき本来の姿に戻しますために、在来NHKが負担すべからざるものを負担しておりました関係、その中でも最たるものは航空騒音あるいは高速度列車による障害に対する処理の問題でございます。これは堀先生、いろいろわれわれをきびしく鞭撻をされましたし、関係方面にも注意を喚起していただきまして、この関係は原因者責任主義をもって今日処理される、こういうことになりましたことは、私どもとしても非常に喜びにたえません。この機会に厚くお礼を申し上げます。  収納比率が年々高まっておりますことは事実でございまして、四十八年度における収納費のコスト計算をいたしますと大体一一%になっておりました。今回提案をいたしております四十九年度予算では、一・六%こえまして一二・六%が収納コストということに相なっております。このよって来たるそれは、多くを個人委託その他の関係に置きまして、NHKが直接委託契約関係で集金をお願いをいたしておりますものが、人数にいたしまして約三千七百名ございます。そのほか一括機関に委託をいたしまして、郵政省関係の特定局関係に委託をいたしておりますものは三千五百局ございます。大体一人それにかかるとして三千五百人でございます。そういうような状況の中で多くをそういう人力に依存をいたしておりますので、非常なコスト高になることは当然でございます。やはりこういう状況になりますと、職員に対するべースアップと同時に、年々その方面に対する手当てをいたさなければなりませんので、これが上がりますことは当然だと思います。  そこで、経営の中で合理化できるものとなりますと、サービス低下につながらなくてやれるものはなかなか見つかりません。特に今回の予算関係につきましても、できるだけ均衡を保ちますためにいろいろな努力をいたしておりますけれども、在来、節約節約を重ねてまいりましたそれが、いまのような経済環境の中で節約どころではなく、むしろふえるのが当然でありましょうが、なおかつ二十一億円の節約はこの中に織り込んでございます。そういう面で、非常に将来の運営上節約可能なものとなりますと、ほとんど通常の節約ではもう限界に来ておりまして、目ぼしいものは見当たらないわけでございます。問題はいまの収納コストをいかに低下し得るかということにつきまして、先生御指摘のいわゆる銀行振替といったような制度になれば人力をそれだけ省けますし、収納のコストも低下し得るということでございますが、現在いろんな努力をいたしておりますけれども、大体全体の二九%ぐらいが口座振り込みというような現状になっております。私どもはこの実をあげますことを非常な重要な施策の一つとしてあげておりますけれども個人の契約関係に委託しております限り、やはり個人のそれでは、これがずっと進めばあるいは解約、あるいは収入減、こういうものにつながるわけでございまして、そういう面から、従業員個々がそういった制度があるんだということを積極的にやるのには、やはりいま弱点があろうかと思います。私どもは他の方面で、あるいは放送を通じて毎日やっておりますけれども、こういう便利な方法があるんだということはやっておりますが、なかなかそうこれが行き届いておらないようでございます。したがって、この方面において大いに努力する余地がまだあるように考えますので、こういった方面は大いに考えてまいりたいと思います。
  126. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、いま指摘を申し上げたものの中で、確かに特に現在収納に携わっておられる三千七百人の方の生活がかかっておりますから、私どももこれを合理化して、この人たちが職を失うということになるのは適当でないと考えておりますから、その点は少し配慮してまいらなければなりませんが、あとのほうの特定郵便局の三千五百局はこれはプラスアルファの問題であって、本来これは郵政業務をやっていらっしゃる方にお願いしておる問題ですから、この点はもしうまくいけば合理的な処置ができるだろうと思うのです。  そこでちょっとお伺いをしたいのは、現在NHKの前納制度ですね、この前納制度というのは一年分と六カ月分と、こういうのがありますね。御承知のように、やはり当然払うものですけれども、一年払うというのはそれだけ割り引き率が高い。一年で一カ月分ですか減免になる。そうすると六カ月のときは半分かそれ以下になるのでしょうが、そういう減免率がある。やはり多少余裕があれば結局少しでも払っておいて安くなるということでしょうが、必ずしもそれだけ余裕がないというのがいまの物価高の中における国民生活の実情だと思うのですね。そこで、いま三〇%ぐらいというお話でありますが、私はここでひとつ三カ月前納制というものも、まあ三カ月がいいか二カ月がいいかはちょっと検討する必要があると思うのです。一カ月というのじゃ前納制という意味がありませんから、二カ月か三カ月の——御承知のように定期預金でも六カ月、一年とこうあるのですが、そういう意味では、中に一つ三カ月というものを考えてみると、もう少しこの部分はプラスが出てくるんじゃないか。というのは、いまのように大体収納率が一〇%をこえておりますから、これが三カ月になれば——ゼロにはなりません、手数料その他がありましょうから。三カ月分なら二五%くらいを引いてもなおかつその時点でペイすることと思うのです。片方は人件費はずっとふえていくわけですから、振りかえになればそのふえ一方はもうそこでストップですからね。もちろん減免は、割り引き分は残りますが、それはもう固定するわけです。ですから私はひとつこの際、前納制度を一年、六カ月の上に、まあ二カ月というのは無理でしょう、三カ月くらいが適当かと思いますが、ひとつそういうわりあい負担のしやすい前納制度というものを考えて、もう少しこの前納制度が有効に使えるということになれば、たいへん問題の処理がうまくいくんじゃないだろうか、それが一つです。  それから同時に、それだけでなくて、隔月振り込みについても振り込みのほうに何らかのフェーバーを少し与える。現在の料金というのが四百六十五円というふうに端数がついておるわけですから、何らかそこを少しまるくして、振り込みの場合にはこれだけでけっこうですというような処置、これは皆さんで十分くふうをなさればいいことですが、やはりそうやったからといって一ぺんにふえるのではないけれども、それと、そういう放送その他を通じての適切な周知、PRと重なって、要するに経費の節減ができるのは一つはどうもここだな、こういうふうな感じがしておりますので、ひとつそういう私の問題提起を含めて検討していただいて、しかし、あわせてさっき申し上げた、現在働いておられる方の職場をまでどうこうという気もあるわけではありませんので、その点は十分配慮をしながら、しかし合理的な対策を講じていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  127. 小野吉郎

    小野参考人 きわめて示唆に富んだ御意見を拝聴いたしました。現在、口座振替の問題につきましては大部分がやはり前納との関連において利用されておるようでございます。そういった面もあわせ考え、現在一年前納、半年前納しかございませんけれども、その中間に何がしかやはり前納制度を取り入れる、これはきわめて傾聴に値する意見だと思います。と同時に、口座振替の面につきましても、毎月の料金を集金でなく、前納、口座振り込みができるというような制度につきましても、経営上あるいはプラスばかりでなしにいろいろな要素も出てこようかと思いますので、それらを総合検討いたしまして善処してまいりたいと思います。
  128. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に一つ目につきますのは、財務費の中の支払い利息の問題であります。この支払い利息を見ておりますと、昭和四十六年くらいまでは大体この支払い利息というのが二十億程度のところにあったのが、四十七年に二十九億になり、四十八年には二十五億九千八百万円でありましたのが、四十九年は三十三億五千七百万円と、ここで約三〇%ぐらい実は四十八年から四十九年にかけて支払い利息がふえておるわけですけれども、この経過について少し御説明をいただきたいと思います。
  129. 山本博

    ○山本参考人 非常にこまかいデータはいま持ち合わせておりませんので、調べまして、申し上げる機会があれば補足をいたしますが、この上がってまいりました理由のほとんどは、NHK自身の持っております借り入れ金の金利が昨年からことしにかけまして公定歩合の引き上げに基づきまして非常に上がってまいりました。現在公定歩合が九%になっておりますので——年度の初めにはこれは四・五%でございました。それが年度中途で九%の金利ということになりまして、これにさらにプライムレート、あるいはそれに関連した銀行との間のいろいろな交渉、こういうことによりまして相当多額の金利を負担しなければならなくなっておる、これが数字がふえておりますおもな理由でございます。
  130. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの答弁、ちょっと私納得できないんですがね。というのは、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件という文書が私どもの手に配付をされておるわけです。この書類の別表というのがうしろのほうにくっつけられております。別表というのは要するに資金計画ですね。各年度の資金計画ですか、これは予算そのものだと私も思っていませんけれども参考資料としてつけ加えられておるものがあります。これを四十七年から見ておりますと、前期末資金有高という最初の項目の第一・四半期、それが四十七年の場合は五十億円になっているわけです。今度は第四・四半期の期末資金有高というんですか、これは五十三億一千四百五十四万五千円というふうに書かれておる。これは四十八年を見ると、もちろん計画でありますから毎年大体五十億ぐらいのところに来ているので、一応期首は五十億、期末は五十二億九千七百万円、こうなっています。四十八年です。四十九年にいきますと、とたんに前期末資金有高が百三十九億にふえている。要するに四十八年から四十九年の繰り越しが百三十九億ある、そうしてまた期末は五十五億になる、こうなっているわけです。この中を見ますと、これに説明がちゃんとついておりますけれども、本年度出金額、事業経費千百十三億三千六百四十四万五千円、建設経費百四十億円、放送債券の償還二十億円、前年度から繰り越した八十七億円を含め長期借り入れ金の返還百十四億、こうなっていますね。そうするとではその八十七億円というのはどこで返済するかというと、四十九年度の第四・四半期、最後のところで八十七億円返還するという計画。この八十七億円というのは昨年の、要するに放送会館の売却に伴う、借金を返しますといって国会に報告のあったものがおそらくここで繰り越して、こうきているんでしょう。ことし非常に金利が——四十八年に金利がどんどん上がって、さっきお話しになったように四・五%の公定歩合が九%になった。どんどん金利が上がるときに、どうしてこれを四十八年に繰り越し、さらに四十九年、この金利の高い間、年末の第四・四半期まで持っていって、八十七億じっと抱いていなければならないか。金利が上がった分もさることながら、このほうが大きいんじゃないですか、いまの金利分と比べて。ちょっとそこ、詳しい答弁をしてほしいんです、いまのあなたの答弁間違っているから。
  131. 山本博

    ○山本参考人 ただいま御指摘になりました数字の点はおっしゃるとおりでございまして、八十七億円と申します数字は、昨年度内幸町の会館売却の際に、これは返却をいたしますために予定をしておりました金額百八十億円のうちの一部でございます。それを来年度、四十九年度まで持ち越しまして、第四・四半期に返還の計画を立てましたのでございますが、私が答弁いたしましたとおり金利が非常に上がっておりますが、同時にここを一つ判断といたしまして、一方預金金利のほうも、いわば運用金利のほうも相当上がっておりますので、ここの金利の差だけで考えますと約一億四千万ぐらいの年間の差がございます。しかし、四十九年度の経営全体を考えまして、この際非常に金融が逼迫してまいっておりますし、また新たに借り入れ金をするということの折衝というものが現状においては非常にむずかしい情勢にございます。それから、明年度の経営全体の情勢もこの時点においては完全に見きわめるということが困難でございますので、この際、この八十七億円を翌年度の返還金に繰り越して、しばらく経営全体の行くえというものを見定めて、その上で一応の計画として第四。四半期に返すという計画を立てたわけでございます。これは一つ判断でございます。
  132. 堀昌雄

    ○堀委員 判断の話は聞いてないのです。要するに私が伺ったのは、あなたは、支払い金利がふえたのはレートが上がったからそれでふえたのです、こう答弁しておるわけでしょう。しかし、それだけではないわけですよね。八十七億も借りっぱなししておれば、それだけ金利の支払いはふえるわけですね。だから、それを預金にして、いまあなたは差額は大体一億四千万というふうにおっしゃったのですが、私はこれはたいへんNHK経営の問題としてはたいへん考え方が甘いという感じがしますね。なるほど年間一億四千万円かもしれませんけれども、私どもがさっきも前段で申し上げたように、その他のところに本来必要のない経費を払うべきでないということで一生懸命われわれやっておるわけですね。そうすれば、要するに内部的にはたとえそれが一億四千万円であろうとも、これはやはりできるだけそういう経費のないことが望ましい、そう思うのです。だからこの問題は、確かにそれじゃ借りられることがどうなるか、こういうことが、資金計画を拝見すると、第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期はそういう借り入れ金をする計画になっていませんね。第四・四半期にきて借り入れを二十二億して、そうして返済を八十七億する、こういうことになっているのですね。相殺すれば六十五億返すということですよね。だから、いまのあなたのお話で、いつまた金が要るかもしれないというお話はちょっと、実はこの資金計画をあなた方が国会に提出をしておる前提からするならば、そんなにいいかげんなものを国会に提出されたら困ると思うのですよ。だから、いまのお話の、それは年度末に——これを返したところで年度末まではいけるはずなんですね、あなた方の資金計画は。違いますか。その点ちょっと伺っておきます。
  133. 山本博

    ○山本参考人 明年度の資本収支の中でNHK自身が資金支出として計画しておりますのは、放送債券の返還をいたします金額と、それから現在NHKが借り入れをいたしております借入金を返還いたします計画、それ両方合わせて二十億並びに二十二億、これでございます。これはいわば借りかえと申しますか、返すべきものを——放送債券を二十億発行いたします、それから借り入れ金返済のために二十二億借り入れをいたします。いわば現在の放送債券の償還分を放送債券によってまかない、それから借り入れ金の返還の計画にほぼ見合うものを借り入れする。いわば右から左にころがすだけの資金計画でございまして、実質的には八十七億をいつ返すかということだけが、第何四半期にするかという場合に第四・四半期まで模様を見ようということにしたのが資金計画の中身でございます。
  134. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから、要するにこの問題は、あなた方は第四・四半期までは借り入れ金を必要としない。要するに、第四・四半期にきたときに二十二億借り入れをすれば、これで資金計画が成り立つようになっておるわけですね。  そうすると問題は、しかしその二十二億は当然借りるわけですからね。これは返す話と別でしょう、借りるのでしょうから。いま確かに金融を引き締めていますね。これは政府は短期決戦といっておるのであって、これは今年じゅうずっと引き締めが続くかもわかりませんが、いまのような引き締めを一年じゅう続けたら、これは日本経済はだいぶどっちかへ向くようになるだろうと思うんですね。どこかではやはりゆるめなければならぬところもくるだろう。もう一つは、私が前段で少しお話をしておった銀行振り込みその他の問題は、銀行側にすればかなりこれはメリットのある業務でありますから、ですから結局のところNHKのような公共的なところが借り入れをしに行ったときに、NHKには貸せませんなんというような話は本来あるべきでもないし、もしそういう話があるのならば郵政省を通じて大蔵省に話をされればいいと思うんですね、銀行局に対して。これは公共のため、国民のためですから、民間の企業に貸すのとわけが違うわけですから、だから金もうけのために金を貸すのではなくて、要するに国民のための放送を維持するために金が要るということであれば、当然貸し付けの順位等は高いはずであって、民間の金もうけ専一の企業の貸し付けとは私は異質だと考えますからね。だからそうなってくると、出入りで一億四千万円と言われたけれども、この部分に該当するこの一年間の金利は幾らですか。預金金利を除いて、要するに支払い金利としては幾らですか。
  135. 山本博

    ○山本参考人 七億七千万でございます。
  136. 堀昌雄

    ○堀委員 支払い金利は、もし返してしまえば七億七千万円はこの中から減りますね。  ことし財産の売却をされていますね。このことについてちょっと、どういう財産を売却されたのか、その売却はおそらく今回の赤字部分に見合うものを補てんする意味で売却したと思うのですが、それはどういうものでしょうか。
  137. 山本博

    ○山本参考人 これは全部で十三億ございます。それで件数といたしまして九件ございますが、そのほとんど大部分が現在NHKにとっては不要の財産でございます。特に従来宿舎用地として持っておりましたものが、まわりに工場ができたとかあるいは道路ができたとかというようなことで、宿舎として適当な場所でなくなったものを売却をするというケースがほとんどでございまして、この結果、十三億の収入が見込んでございます。しかし、そのうち約三億につきましては、これは簿価に組み入れますので、実質的に十億ということになります。
  138. 堀昌雄

    ○堀委員 会長、実はいまのは土地のようですね。売却されたのは大体土地のようです。土地というのは、どこの土地かわかりませんが、おそらく山奥の土地ではないでしょう。いまのお話では、道路ができたり工場ができたり、都市部分の土地だと思いますね。土地は最近金融引き締めで上がり方が少しは鈍化しておりますけれども、しかしこれは一年間置いておけば土地は必ず値上がりをするのは間違いない。幾ら上がるかは別としても、値上がりをするのは間違いがないわけですね。そうすると、片や借り入れ金を借りたことで——この年度に必要のない金を八十七億借りておるために七億七千万円実は支払いをして、そうして今度はこの七億七千万円分だけをもし置いておかなければ、十三億の中の半分が土地で残っておるわけですね。それを値上がりした将来に売れば、それだけNHKとしてはプラスができるわけですね。言うならば、この上下見ると十億くらいの差はこの問題で出てくるのじゃないか。なるほどそれは金利が入ったからということはありますが、金利が入ったというのは、これはちょっとこの話にはつながらない話だと思うんですね。やはり支払い利息に着目をしなければこの話はちょっとおかしいのではないか。ともかくそういう意味では、まあ今後これは検討していただければけっこうですが、まだこれは資金計画ですからね。年度がまだ始まっているわけではありませんから、一ぺんひとつ——売っちゃったもの、これはもう売っちゃったのですかな、売っちゃったものはもういまさら返ってきませんからこれは別かもしれませんが、しかしいまの問題は、少しこれは資金の借り入れの難易度という問題としては私はあまり合理性がないと第一に思います。  二番目に、さっきのお話で、プライムレートが上がってきて、いま安い金利のものが据え置かれているというなら別ですね。六・五%で借りたのは、これを据え置きしてあげます、しかし返したら、次に借りるときは新しいレートになるのはあたりまえですからね。そういう見越しがあるというなら別ですが、これは第四・四半期ということは昭和五十年の一−三月の話ですね。だからさらに昭和五十年の一−三月に依然としていまのように高金利であるかどうか。それなら自民党政府はたいへんだと私は思うんですね。だって一年間高物価が続くということですよ。もっとうんと、まだまだ、まだまだ上がると、そんなにどんどん上がるほど一年たったら国民も困りますしね。政府はおそらくいまのままでは持たぬでしょうね。だからそういうことから考えてみると、いまより高くなることはないと私は思う。そんなに高くなることはない。大体いまが貸し出し金利はおおむね頂上に近いところにある、こう考えますと、何もそんな高いレート、九%をこすような金利で——さっきの話で七億七千万円というと、八十七億ですからほぼ九%近い金利を払っていることになるわけですから、これは今後の問題ですから、ひとつ御検討いただきたいというふうに考えます。ひとつ会長から御答弁をいただきたいと思います。
  139. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ御指摘を受けましたそれを採算的に考えますと、幾多問題があろうかと思います。私どももそういう点はいろいろ各ケース、ケースによりまして判断をいたしておりますけれども、問題は、四十九年度の予算執行期間だけでなしに、それに続く五十年度以降の問題もあるものでございますから、そういう先の展望を持ちながら、どちらが有利であろうか、こういうような面も考えております。それはやはり金銭的に見積もった、どっちが得かどうかという問題以外に、やはりいろいろな予算の表に出てくる一つの現象もあろうかと思います。そういうような面から、いましばらく検討を続けたいということで、返還繰り越しの処置をとったわけでございます。
  140. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私、この値上げ問題というものはかなりシビアに見ているものですから、そこでその値上げをするためには、できるだけ私ども考えて適当でないなというものは削ってもらいたい。ほんとうに裸になったところで、それがベースになってものを考えるということにしたいというのが、まあ私どもの基本的な考えです。予算面のいろいろな問題から見ると、かりにこれを第四・四半期に返さないでさらに繰り越していけば、確かに五十年の値上げをしなくて済みますね。大体いまのギャップ、まあ多少足らなくなれば、また財産処分等で五十年はいけると思いますね。だけれども、五十年にまた借りたって、返すべきものを返さないで持っているということは、余分の金利がかかるわけですね。だからもしこれを返してしまって——差し引きはいま一億四千万円だということでありますけれども、しかしそれだけ次に借りるのなら、それだけ少なく、要するに支出は減っているわけですから、内部に残っているわけですから、借りて済むわけで、貸し借りというのは私は同じだと思うんですよ。外部資金に依存しているということの限りにおいては同じで、いま返しておいて、来年一年は放送料金の値上げをしないために、この一年はひとつ借り入れで処理をしたいということと、このままつないでおいて借り入れしなくても五十年はいきますという話と、これは大体返すという話が先にきているのであって、初めから、放送会館を売って、残りは返しますという話でなくて、これは内部で全部持っています、持っていて将来の資金の処理にいたしますという話なら、これはまた話は別ですが、あのときはやはり返すという話が国会でされたわけですね。返すという話がされた以上は一応返して、必要があれば借りるというのが私は筋道だと思いますので、そこらあまりわかりにくいことでなく、これは国民相手の業務ですから、国民が納得ができることが望ましいと思いますので、あわせてひとつ御検討をお願いをしておきます。もう御答弁は要りません。  時間がありませんので、官房副長官お入りになりましたから、NHK経営委員会の問題についてちょっと論議をしておきたいと思います。  実は昨年、私、このNHK予算に関連をいたしましてこの問題をやりました。法制局にも入っていただいておりますからあとでそれを伺いますが、それで私が昨年いろいろ申し上げたのですけれども、こういうふうに当時の久野国務大臣が答弁しておられます。いま大村さん、突然お越しいただいたので、御理解がしにくいかもわかりませんから、ちょっと放送法を読んでみますと、放送法第十六条に「委員の任命」というのがありまして、「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」こういうふうに実は規定されておるわけです。これを受けて、私昨年、どうもこの経営委員の中はこういうふうになってないじゃないですかという議論を実はしたわけです。それに対する久野さんの答弁をちょっと申し上げておきますと、  ○久野国務大臣 厳密に科学、教育、文化、産業の代表者とこれを分類することはなかなか私はむずかしいと思うのでございます。企業の代表の方もお入りになってみえるようでございますが、しかし企業関係者といえども、科学技術に相当な力を持っておいでになる方もあるわけでございますから、さような意味から選定されたものと私は存じます。しかし、御指摘の点につきましては、将来私といたしましては十分検討すべき事項であると考えておるような次第でございます。 と、こういうふうに答弁されておるのです。さらにもう一回最後のところで、  内閣総理大臣の任命人事でございます。私が任命するわけではございませんが、しかし監督権限があるわけでございますから、その点は十分配慮して行ないたい、かように存じます。先ほど事務当局からお答え申し上げましたように、本年度任期が参ります者は五名でございます。任期満了は四十八年十二月のようでございます。でき得る限りさように指導いたしていきたい、かように存じます。 と、こういう御答弁をいただいておるわけです。  そこで郵政の事務当局にお伺いをいたしますが、一人欠員があったようですから、六名が新任されていますね。この新任の六名の方の氏名と、あなたのほうの言う分野とをちょっとお答えいただきたいのです。
  141. 神山文男

    ○神山政府委員 現在のNHK経営委員分野でございますが、言論関係が三名、それから……。
  142. 堀昌雄

    ○堀委員 いやいや、現在でなしに新任です。
  143. 神山文男

    ○神山政府委員 新任でございますか。新任は二月の二十六日に再任及び新任の委員の発令がございました。
  144. 堀昌雄

    ○堀委員 氏名と分野を言ってください。
  145. 神山文男

    ○神山政府委員 その分野を申し上げますと、伊藤義郎さん、この方は再任でございまして、一期だけでございましたので再任していただきました。この方は産業でございます。それから長谷慎一委員、この方も再任でございまして、科学の分野でございます。それから村井八郎委員でございます。この方は中小企業と科学の分野でございまして、中小企業——産業の中の一分野かと存じますが、産業と、また科学ということになっております。それから田部長右衛門委員でございますが、この方は林業関係でございまして、産業、それからその他いろいろ文化的……
  146. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 もう少し声を大きくお願いいたします。
  147. 神山文男

    ○神山政府委員 文化的な面において活躍されておりまして、文化という分野も入っておるということでございます。それから河原由郎委員、この方は教育でございます。それから花村仁八郎委員、この方は経済界の分野でございますが、その他幅広い分野で活躍されておるということで、その他の分野に入ろうかというふうに存じます。以上、六名でございます。
  148. 堀昌雄

    ○堀委員 法制局にお伺いをいたします。  いま郵政省のほうから、私が伺っておる分野ということについてお話がありました。そこで、放送法についての法律的な解釈といいますか、この法意を少し伺っておきたいと思うのでありますけれども放送法第十三条に「協会に経営委員会を置く。」「経営委員会は、協会の経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する。」ということで、第十四条に「左の事項は、経営委員会の議決を経なければならない。但し、経営委員会が軽微と認めた事項については、この限りでない。」ということで列記がされております。  一 収支予算事業計画及び資金計画  二 収支決算  三 放送局の設置計画並びに放送局の開設、休止及び廃止  四 第四十四条の二第一項に規定する国内番組基準及び第四十四条の五第二項に規定する国際番組基準並びに放送番組の編集に関する基本計画  五 定款の変更  六第三十二条の受信契約の条項及び受信料の免除の基準  七 放送債券の発行及び借入金の借入  八 事業の管理及び業務の執行に関する規程  九 役員の報酬、退職金及び交際費  十その他経営委員会が特に必要と認めた事項ということで、十の項目が経営委員会の議決を経るということに書かれておるわけですね。  それで、いま私がずらっと読みましたけれども収支予算とか決算とかいろいろ書いてありますですね。NHKの、要するに固有の経理上の問題、あるいは放送局の設置等の問題、あるいは債券、それから事業の管理、役員報酬、これらのことは確かに経営委員会の業務でありますけれども、その業務は業務としましても、十六条とのかかわり合いで見ますと、私はこの経営委員会の業務の中で最も重要なのはこの四号ではないだろうかと思う。四号の「第四十四条の二第一項に規定する国内番組基準及び第四十四条の五第二項に規定する国際番組基準並びに送放番組の編集に関する基本計画」という項目がありますね。これはさっき大村副長官がおいでになったときにちょっと読んだ第十六条とのかかわりで、「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」こう規定しておりますが、要するにここでいう教育、文化、科学というような専門の方が、経理上の問題について特別の知識を持っておられるわけではありませんから、放送番組あるいはその番組の編成の基準であるとか、こういう本来のNHK放送業務の最も中核的部分について、特に比重をかけて十六条が書かれておるというふうに私は見るのですが、法制局の見解はいかがですか。
  149. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 十四条に経営委員会の議決事項が書いてあるわけで、一号から十号までどれが一番重要だと書いてあるわけではございませんけれども、まあしいて申し上げれば、一号の収支予算云々、これはあとで国会承認にかけられるものでございますからむろん重要だと思います。しかし御指摘のように、やはり四号というものが十六条とのかかわり合いにおいて一番重要であるということは、おそらく法の趣旨がそこにあるものだと思います。特に御参考までに申し上げますが、放送法が最初制定されましたときの網島政府委員の逐条説明の中にも、経営委員会というものは協会の経営を民主的に行なうためであるということとあわせて十六条とのかかわり合いに触れております。ちょっと読み上げますが、「放送番組の編集につきましては、この協会に全権が委任されておるのでございまして、政府の監督、或いは政府行政命令というものがこれに加え得ないということを決めてございまする上におきまして、特に必要だとこう思ったからでございます。」「特に必要だ」というのは、先ほど申し上げた十六条のような選び方が必要であるという意味でございます。
  150. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで私は、いま郵政省のほうが中小企業と科学だとか、田部さんの場合は林業と文化だとかそういうふうな言い方をしておられるのですが、法制局に伺いますけれども、私はいまのこの法意から見ますと、ここで書かれておる「教育、文化、科学、」というようなものは、片手間にやっておるような人をもってここに例示がされておるものではないと思うのです。というのは、前段で「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、」教育、文化、科学と、こうなってくるわけですから、要するに教育について広い経験と知識を有し、文化について広い経験と知識を有し、科学について広い経験と知識を有するということは、言うなれば今日私どもが一般的に使う学識経験者といいますか、たとえば教育については、やはり長年教育に携わっておられた方をもって教育というふうに見るべきであって、この点今回の選任の中で河原委員が選任をされたことは、私も教育という分野において適当な方であろう、こう考えるわけであります。ところがいまのような論理でまいりますと、今回選任された中の田部長右衛門さんというのは、これは林業としては私は専門家であろうと思います。ですから、それは産業のうちですね。林業というのは産業のうちなんです。だからこれは産業と見るべきであって、文化というようなことで二つをかけ持つような安易な規定を第十六条はしておるのではない、こういうふうに思います。村井さんについても中小企業と科学、こういう言い方をしていますね。中小企業というのはこれは産業であって、そんなものはこの分野にはないのですね。実際ないわけですから、これは産業であります。そこで「科学」というのですが、これも科学というのなら、少なくとも科学を専攻しておられる大学の教授であるとか教授であった方であるとか、あるいは研究所の研究員であるとか、だれが見てもこれは科学について広い経験と知識を有する者を選任するのがこの法律の期待しておるところである、こう考えますが、法制局、いかがでしょう。
  151. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 具体的な人選と結びつけてのお答え、ちょっとお答えしにくい面がございますが、一応法律的な面からお答えしたいと思います。  ここでは御指摘のように「教育、文化、科学、産業その他の各分野」ということが書いてございますが、まさに御指摘のように、そういう各分野について広い経験と知識を有するということが前提になっていると思います。同時にこれは、なぜ教育、文化、科学、産業というものがここに掲げられているかというところに問題の本質があると思います。これは例示といえば例示でございますけれども、しかしNHKの業務と非常に密接な関係があるということでここに掲げられているのだと思います。そのことは、実はこれも昔の話でございますが、放送法が最初に国会提案されましたそのときの政府原案については、「教育」というのがなかったのでございます。まあ推測すれば「その他」に入っていたのかもしれません。しかし国会で修正されまして、「教育」というのが加わったわけであります。そのときの修正案の説明の中に、「教育」というものを加えた理由といたしまして、教育が放送との関係が非常に密接であるということからこれを追加したということが述べられておりますから、そういう意味において教育、文化、科学、産業というのが非常に重点的に考えられるべきものだということはいえると思います。そういう意味において、片手間かどうか、その辺のところになりますと私申し上げにくいのですが、教育、文化、科学、産業というものについての広い経験、知識というものをこの十六条が法意として要求しているということだけはいえると思います。
  152. 堀昌雄

    ○堀委員 そうなりますと、やはりこれは、この広い知識と経験ということは、簡単に言いますと専門家ということですよ。だれが見てもその科学なら科学において専門家として、学識経験者として通用するということが実は十六条の法意だと私は理解しているわけですね。ですから、今回はすでに任命されておることでありますからあれでありますが、少なくとも私が期待をしたのは、委員が交代をするときにそういう法律の趣旨を正しく解して行政に反映することが私は内閣総理大臣の任務だと、こう思うのです。大村さん、いかがですか。
  153. 大村襄治

    ○大村政府委員 放送協会の経営委員会委員の人選に関しまして、放送法第十六条の規定に基づいて昨年も御指摘があり、今回も重ねて御指摘がございましたが、私ども放送法第十六条の規定精神からいって、いま先生御指摘の点については十分配意していかなければいかぬ、かように考えています。
  154. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いまの現在の方を私なりに分野考えてみますと、古垣さん、これは文化でいいと思います。鈴木さん産業、村井さん産業、田部さん産業、藤田さん産業、河原さん教育、新里さん産業、伊藤さん産業、その次の伊藤さん産業、花村さんその他というんですが、経済というのは産業と密接不可分ですから、これも産業ですね。だから花村さん産業、工藤さん文化、藤田さん教育、長谷さん産業。言うなれば、十三名の委員の中で九人、産業が代表している。これは放送法がここに期待をしておるものと著しく異なるわけです。一名だけ今度郵政大臣の御努力によって河原さんが加えられるというその御努力は評価をしますが、こんなに十三名中九名も産業代表者があるということならば、次回のときには一まずここで完全に抜けているのは科学ですよ。今日ほど科学が重要な時代はないんじゃないですか。文化もたいへん大事です。産業も大事です。しかし産業にしても、科学がきちんとならないような産業なんというのは今後考えられないわけですね。だからひとつここで副長官、お約束をいただきたいのは、次回に任期が来ましたときには、必ず最低二名はだれが見ても納得のできる科学の学識経験者を経営委員の中に加えていただきたい。それでもなおかついまの分布では、文化が二人、教育二人、科学が二人とすると六人でしょう。残り七人がまだ産業というのは私はこれちょっと問題があると思います。例示されておるのは「教育、文化、科学、産業」と並んでいるわけですよ。重さは同じなんですよ。いいですか。だからこの点を十分配慮していただきたい。  それからちょっと法制局に伺いますが、その他の分野とここに書いてありますね。このその他の分野とは一体何だろうか。一体これ以外のその他の分野が、このような大きいくくりの「教育、文化、科学、産業」以外にあるのか。私はないような気がするんです。何かあるといけないというので書いたのではないか。この「教育、文化、科学、産業」というのが主たるものであって、その他の分野というのはどうも法意が何を期待したのかよくわからぬのですが、法制局はどう理解されておりますか。
  155. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 その他の分野ということですが、確かに教育、文化、科学、産業まで入れますと非常に包括的になりまして、ほかに何が残るかというわけですが、何かあるだろうからと書いたとは私の立場からちょっと申し上げにくいので、実はいろいろ調べてみました。そうしますと、この十六条の一項の後段というのは、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども関係方面との折衝でこういう形に最後になったようであります。当時、最初のほうの郵政省なりの原案では、ここに書いてあることがむしろ一項の前段の「広い経験と知識」のほうにくっついていたわけです。ここでいいますと、教育、文化、科学、産業等について広い経験と知識、という書き方をしていたわけです。それで、その当時には実はまだたくさんずらずらと書いてありまして、これは法制局に、全く非公式のメモでございますから証拠というわけでは決してございませんけれども、そこにずらずらと書いてあったものがございますが、それを申し上げますと、産業、経済、労働、教育、文化、芸術、科学、技術等について、と書いてあります。当時そういう考え方から言えば、経済とか労働とか芸術、技術などがあるいは「その他」に、逆の推測ですが、入っていたのかもしれません。しかし公式的に申せば、当時政府は、先ほど申し上げたように教育がなかったわけでございますから、これは証拠がございませんけれども、「その他」を聞かれたら教育とおそらく答えたのではないかと思います。
  156. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。経過はもう済んだことでありましようから……。
  157. 大村襄治

    ○大村政府委員 ただいまのお話、御趣旨を体して今後よく検討してまいりたいと思います。  ただ、ちょっと申し上げたいのは、いま先生の区分によりますと、産業がいまのところ非常に多いようなお話でございましたが、今回再任をお願いしました長谷慎一委員につきましては、東北帝国大学工学部電気工学科を卒業されまして、あと逓信省関係の電波関係をずっと専門にやっておられますので、先生の基準からいいましてもこの方は技術じゃないかという、科学の分野に属するのではないか、産業に入れるのは先生の言われた基準からいいましてもちょっとどうか。それから田部さんにつきましては、確かに林業の経験が豊富でございますが、過疎県の代表の知事として長く貢献され、また博物館の館長、ボーイスカウトの連盟の役員等もされております。田部さんは第十六条第二項の全国のほうの——これまでは中国の代表が中国電力の桜内会長さんでありましたので、その後任として過疎県の地域代表という意味もあって選びましたところで、純然たる産業代表ということではないように私ども考えておりますので、御参考までに申し上げておきます。
  158. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの二点のお話は、私は納得しないのは、あなたもいまちょっと科学の前に技術とおっしゃいましたね。まさに技術の代表とおっしゃるのなら私も了解いたします。科学というのは技術じゃないのですよ。よろしゅうございますか。その点ひとつ大村副長官も一ぺん科学とは何ぞやというのを少し御勉強いただきたいのですが、科学というのは技術ではございません。科学から技術が生まれてくるかもしれませんけれども、技術から科学は生まれないのですから、その点はひとつ御認識を改めていただきたいと思います。  それから田部さんを私は産業と申し上げましたのは、産業というのを広義に解しておりますから、林業も漁業も農業も産業だと私は思っておるわけです。私がここで産業といっているのは、何も経営者、財界だ、こう言っているわけじゃないのですよ。ただここで産業と規定されている以上、要するに農業、林業、漁業の代表者がいることは当然であって、私は差しつかえないと思うのです。ただその方を含めて、その他に要するに建設業だとかホテル業だとかなんとか、これはいろいろあるわけですよ。そういういわゆる一般産業というものとの権衡から見ましてもやや問題があるということでありまして、田部さんの文化というのは、ここでちょっとまだどうも認識が不十分なのは、文化ということなら文化として、なるほどこれは確かに文化として学識経験者というふうに考えられる方ですね。いまここには古垣さんがおられますね。私どももこの方は文化を代表するりっぱな方だと思いますよ。だれが見ても、見たらわかる人にしてもらわないと、一々履歴をくって、何かちょっとこれ一つやっていますからこれは科学だなんという、そんなことをこの放送法十六条は期待していないのですよ。だからその点を確認しておいてもらわないと、この次の人選がまたあいまいになりますからね。だから、私は人数のこともさることながら、人数の前に、十六条をいかに正しく理解をしていただいて、十六条の法意が期待をしておる人、言うなれば、前段の十四条の中の第四号を決定するについてきわめて公正に判断のできる方を求めるということをいっておるわけですから、その点についてもう一回ひとつ官房副長官の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 大村襄治

    ○大村政府委員 ただいまの御発言の趣旨をよく体しまして、今後検討してまいりたいと思います。
  160. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一つだけ。次回の改選には、またそのころ副長官がかわってほかの人が来て、またそれは知らなかったというんじゃ済みませんから、ひとつ十分その点は、郵政大臣、あなたもこれと関係がないとはいえませんね。やはり放送法の監督をしていられる大臣でありますから、ちょっと郵政大臣もあわせて御答弁をいただきたい。
  161. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま堀さんがおっしゃっておる趣旨は、この前の大臣から引き継いだつもりで、私の人事ではありません、内閣の人事でありますが、私は、先ほどあなたが——私が推薦したわけではありませんが、あなた方がおっしゃておる意味を体した人事をやってもらうようにということは内閣のほうへ申し上げて、その結果——何しろかわりましたのは五人ですからね。だから十三人のうち半分以下かわるのですから、それで一ぺんにあなたのおっしゃっておるように分野分野でやるということも、これも分野で何名選べということを書いてあるわけではございませんから、よくその意味を体して私どもは人事をやっていくように心がけてまいりたいと存じます。
  162. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  163. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  164. 土橋一吉

    ○土橋委員 小野会長はじめ参考人として出席していただきまして、いろいろこれから質問をさしていただくことを私はたいへん喜んでおります。小野会長が就任されまして今度初めての質問でありますので、専務理事並びに幹部の皆さんの率直な御答弁をお願い申し上げたいと思っておるわけでございます。さらに、小野会長の就任されたことについて、一言祝辞を申し上げておきたいと思います。  さて本日は、三十七条第二項の規定に従いまして、郵政大臣がわが逓信委員会へ上程されましたいわゆる四十九年度NHK予算関係事業計画、資金計画などについてこれから討論をいたしますが、その前に、原田郵政大臣はよく御承知と思いますが、これは先月の五日の日に郵政省に案が提出されまして、そして八日の日に、御承知のようにいろいろな会合を開いて皆さんが大体了承をされまして、そして十五日前後に電波監理審議会にかけられて、そして先月の二十七日に上程されたわけです。当委員会としてはできるだけ早くかような案件は提出していただきませんと、御承知のように三月三十一日をもって一応予算年度としては切れるわけです。御承知のように、ただいま衆参両院でこの問題はやはり早急にやるということになっておりますので、簡単に申し上げると、郵政省はなぜ遅滞なく本案件について電波監理審議会の審議をいただいて、そして本委員会へもっと早目に上程しなかったか、こういう点が私は非常に疑問になっておりますので、おくれた理由をごく簡単に説明していただきたいと思うのであります。
  165. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま土橋さんのお尋ねは、おくれたということでございますが、私は逆に、去年より一日早く提出をさしていただいた、こう思っておる。事実、去年よりも一日早く御提出しております。私は、国会の御審議をいただくためにはそれだけの時間を十分とらなければならないということは、この前国対委員長もつとめておりまして十分承知をいたしておるつもりでございますので、大臣就任以来、予定法案があるならば、すみやかに作業をして、そして早く国会に提出ができるようにということを指示いたしてまいりまして、すでにわがほうの提出いたしました案件につきましては、皆さま方の御協力を得まして、今国会に至りまして、例の郵便貯金の拡大の問題、それから、先般も十万円を二十万円にいたしますところの貯金の貸し出しワクの問題、これらはいち早く衆議院を、前者はもうすでに成立した問題でございますが、後者もすでに衆議院を通過して、参議院に送り込まれておるということでございまして、いまお尋ねのNHKの問題につきましても督励をいたしておりましたので、私なりにお答えを申し上げさしていただきますと、二月五日にNHKからもらって、これは大事な問題でございまして、私ども意見を付する、こういうことになっておりますので、作業をいたし、これを提出をいたしましたのは、去年より一日早く出させていただいた、このように私は承知いたしておるところでございます。
  166. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、この五日から二十七日までの間の足取りをいろいろ研究してみました。この内容から見ますと、「自民党政調通信部会は十三日午前八時半から開催されNHK昭和四十九年度収支予算事業計画及び資金計画の内容について、NHK当局の説明を聞いた。」こういうのを、いわゆる日刊電波タイムズが二月十四日に報道しておるのであります。そうしますと、私の非常に疑問になる点は、自由民主党から出られておる原田郵政大臣は、御承知のようにこの前は国対委員長もされておるし、党の幹部であられると存じております。それじゃなぜ一体、通信部会であるとか、あるいは政調審議会とか、さらにはそういう関係の自由民主党の部会のところで議を経なければならぬのか、なぜ一体、NHKはそういうところへ出ていって説明をしなければならぬのか、私にはどうもよくわからないわけです。郵政大臣責任を持って、要するに出てきたものを調べて、そして電波監理審議会へ答申を求めて、そのあとで国会へ上程する段階で日本共産党にもいろいろお話がございまして私は了承したわけですけれども、そういう電波監理審議会にかけて最後の決をとる前に、なぜ一体——もちろん与党の関係でありますので、ある政府委員の説明によると二十年来の慣習であるという説明をしたのであります。ところがNHKは不覊独立の体制をとって、法律の規定によってちゃんとその成立は保障されておるわけであります。でありますから、通信部会とかあるいは政調審議会であるとか総務会になぜかけてNHKはそれを説明しなければならぬのか、そういうことは郵政大臣自身が、自分の裁量で与党関係の間で調整連絡をすべきものであって、NHKが出て説明をするというのは筋が違うのじゃないか、かように考えますが、郵政大臣はどうようにお考えでありますか。
  167. 原田憲

    ○原田国務大臣 政務調査会で報告をいたしたと思っておりますが、私ども政府といたしましては、この予算をどうこうせよとかなんとかいうことを、党のほうでもNHKに言っておらないと思います。私どものほうでは、政府ではこれに意見を付する、こういうことになっておるわけでございます。意見を付するという——政府と自由民主党とは一体になって国会運営その他政治の責任ということを、常に皆さん方も自由民主党・政府は、こうおっしゃるように、一体に動いておるわけでございますので、意見を付するという問題と自民党の各機関というものとのつながりがあるのでございまして、NHKが自由民主党に予算の説明をしてオーケーをもらうということでやっておるとは解釈いたしておりません。
  168. 土橋一吉

    ○土橋委員 それならば非常に筋は通っておるし、だれが考えましてもNHKは不覊独立の体制で、しかも法律の規定によって年度の予算収支その他の計画を決定するものであって、もしそういうことについて問題があるとすれば、内部関係においてよく齋藤局長などが指導あるいはサゼスチョンを与えるべきであって、自由民主党の政調会あるいは通信部会、総務会へNHKが出ていって説明をするという点が、この電波タイムズの報道が誤りならば別でございますけれども、かようなことが今後ないように、NHKは厳然たる態度をとって、やはり郵政大臣にきちっとしたものを出した以上は、何もそういうところに行く必要はございませんので、私はその点をはっきり小野さんにも申し上げたいのであります。これは、政権を担当している与党としては無理もない点も、私もわからないわけではございません。しかし、その党を代表して原田郵政大臣が出ておられるのでありますから、政調会であろうと通信部会であろうと、あなた方のほうがのこのこ行って説明する筋はございません。なぜかようなことをやられるかについて、私は二十年来の慣習などということでこの問題は解決をするのではなくて、やはり単独官庁制をとっておる郵政大臣NHK関係を明確にすべきである、かような観点からこれを質問したのであって、いま郵政大臣の御答弁によりますと、意見書の審議をしたという御説明でございます。  なるほど昨今の物価狂乱状態あるいは田中自民党政府に対する国民の声が非常にきびしいわけであります。また国会におきましても、御承知のように予算委員会などでは今日も非常に異例の状態において混乱をきわめておる、こういう状況でありますので、私は、さような点も十分郵政大臣は考慮せられて、十分腹に据えて、そうして意見書を出されたものと思っておったわけです。ところが、この意見書を拝見しますと、この内容については私は詳しく読まなくてもけっこうでございますが、当然これは三十七条第二項の規定に基づいて、郵政大臣の職責としてやる仕事でありますが、ここにこういうふうに書いてある。「昭和四十九年度予算は、前年度予算において保留した事業安定のための資金を使用する等して、収支の均衡を図っているが、昭和四十九年度予算の執行に当たっては、受信料収入の確保に努めるとともに、経費の効率的使用を図り、視聴者に対するサービスの向上に努めるべきである。」こういう意見書が出ておるわけです。第二番目には、「テレビジョン放送の難視聴解消については、国民の強い要望と放送全国普及を図るべき協会の使命とにかんがみ、更に効率的にこれを実施するよう格段の努力を傾けるべきである。」こういう意見書が出ておるわけです。  それで、私は原田郵政大臣にお尋ねをしたいのですが、現在物価狂乱状態で、異常な物価の値上がりでございます。先日から受信料の問題についてもいろいろの意見が出、すでに与党の志賀委員からも当初出されておる、本日もこの問題についていろいろ検討されておる、こういう状態の中で、いまお書きになった意見書だけで、はたして一体この物価狂乱状態あるいは異常な物価の値上がり、こういうことに対する政府側の腹組みといいましょうか、NHKといえども事業を行なっているのでありますから、大道具、小道具からあるいは従業員の給料を上げる問題、あるいは新しい庁舎その他の問題で、いろいろな経費がかかってくるわけです。ただ、ここに書いてあるように「経費の効率的使用を図り、視聴者に対するサービスの向上に努めるべきである。」一体これで意見書として妥当なものであるかどうか。私はこれを拝見したときに、原田郵政大臣ともあろうものが一体この意見書ではたして内容がきちっとできるのかどうか、非常に疑問を持っておるのであります。  郵政大臣に重ねてお尋ねをいたしますが、いま申し上げましたような問題についてここでやはり明確にしておいた上でこういうのをきちっと出しませんと、一方物価は異常な状態であって、放送局も事業経営上非常に困難を感じておる、ただ効率的な運用をせよというだけでは一体どこをどう効率的にしていいのか、NHKとしては困ると思うのですよ。それは全般だといえば全般でもございましょうけれども、もっと具体的に、だれが見ても納得のできるような、要するに経費の効率というようなことについて具体的にやはり明示すべ層では装ったろうかというふうに私は考えますが、郵政大臣のお考えどうでしょう。
  169. 原田憲

    ○原田国務大臣 いま土橋さんのお話でございますが、具体的にこれをこう倹約しなさいとか、こう始末しなさいということは、これは口では言えますけれども、実際にはなかなかむずかしいと思います。したがいましてそのように表現をいたしておるのでございまして、これはNHKさんがよく気をつけてやっていただいたらよかろうと思います。やはり、世の中物価が上がった、それだから苦しいというときに、個人でも物価が上がったから苦しいが、それじゃ幾らでも金を使うか、そうはいかぬ、やはり始末をすべきところは始末をするというのが道でございますから、そのような意味で私どものほうは意見を付しておる次第でございます。
  170. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題について、この場で私は決着をつけようとは思いませんけれども、いわばこういう非常に不親切な意見ではNHKさんもたいへんお困りだし、当面足に火がついておる状況でありますので、——————————————————————、あるいはこういうふうにしてこの物価上昇については政府はこういう考えでおるから、この点は安心をしてやりなさいというような点がないと、こういう抽象的な効率的使用をはかり、視聴者に対するサービスの向上につとめよなんて、これは明治以来のいわゆる官僚的な作文にすぎないのであって、私はいま少し親身になった気持ちでこれはやるべきだ、こういうことをはっきりあなたに申し上げておいて、今後さような面について十分な御指導と協力をまずNHKに賜わりますよう、私はお願いをしておきたいと思うのであります。
  171. 原田憲

    ○原田国務大臣 おっしゃっておるところは大半同意見でございますが、ただ一つNHK先ほど言われたように独立部隊である、これは何ものからも干渉を受けないという点は、————————————————————— 。これは御質問に対して議論をするわけでございませんが、大半はおっしゃるとおりNHKにやっていただきたいと私は思っております。
  172. 土橋一吉

    ○土橋委員 ——————————————————————。  さて、会長さんに一つたいへんめんどうなことを御質問いたしますが、あなたさんは御承知のように郵政省の事務次官をしていらっしゃられたということを承っておりますので、憲法その他の規定については十分御承知のことと存じますけれども、憲法第十九条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という規定がございます。また第二十条では信教の自由を保障しておる条文もございます。これはよく御承知のことと存じます。それから憲法はさらに身分的な諸問題についても、いろいろ民主主議の原則をちゃんと規定していることは御承知のとおりだと思うのであります。とりわけ労働運動、つまりNHKを中心とする労働関係のそれぞれの団体に対しましても、憲法第二十八条の「勤労者の団結権」という題で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」というふうに明確に規定しております。これと放送法規定でございますが、これはまた釈迦に説法のことで、あなたもよく御承知のとおりでありますが、放送法の第九条の規定には業務内容が七つに分けてきちっと規定しておるわけですね。  そういうことについて、従来日本放送協会というのはこういう規定を実際どおり実行してきたかどうか。足らない点があったならば、率直にここで足らなかったという点を示していただくし、いま申し上げたような点はもう満点でやっておるんだということならばそのように、簡単にイエスかノーかで答えていただきたい。もし足らない点があるとすればどういう点が足らないか、その点だけ説明していただきたいと思います。
  173. 小野吉郎

    小野参考人 憲法の条章を重視することは当然でございますし、これはその精神を十分に尊重し、万遺憾なきを期して運営をいたしております。放送法規定またしかりでございまして、放送法NHKに関する規定、また放送万般にわたります大原則、この点につきましては万遺憾なきような運用をいたしておると確信をいたしております。
  174. 土橋一吉

    ○土橋委員 小野会長は確信でございますか、確信をしておると……。じゃ、漏れたところもあるんだろうということにやはり肯定してよろしいでしょうか。簡単に確信と言っても、どの程度、どういうことをやっているのか、さっぱりどうも私にはよくわからないわけですよ。
  175. 小野吉郎

    小野参考人 確信と申しますのは、そのとおりに実行いたしておりますということでございます。
  176. 土橋一吉

    ○土橋委員 まことに恐縮ですけれども小野会長さんの御答弁はどうも少し陰があるような意味合い内容を含めておるように私は拝聴いたした次第でございます。  そこで、あなたもよく御承知のように、放送法は第一章において基本的な放送関係に関する大原則を第六条までに規定いたしております。この原則を放送局ははずれることはできません。そして第二章で「日本放送協会」というので、その目的として掲げておるようなことをやるわけです。そうしますと、その次に大事なのは、いわゆる法人格としてどういう業務をやるかというととが一番NHKのかなめでございますね。このかなめのところの八条の次は九条でございます。この九条には第一項で「協会は、第七条〔目的〕の目的を達成するため、左の業務を行う。」と規定をしておりまして、一号では「次に掲げる放送による国内放送を行うこと。」これは技術的な問題その他を含んでおりまして、放送をやるということになっておるわけです。第二号では「放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行うこと。」これは一定の予算を今年度も計上しておりますね。そして大きく2で「協会は、前項の業務の外、第七条の目的を達成するため、左の業務を行うことができる。」現に行なってもおられるし、また将来もこれを拡大しなければいけませんね。そこの一に「放送番組編集上必要な劇団、音楽団等を維持し、養成し、又は助成すること。」こういうふうに書いております・ね。そして第二では「協会が放送することを主たる目的とする公開演奏会その他の催を主催し、又は後援すること。」そして第三には「放送の普及発達に必要な周知宣伝を行い、出版をし、及び放送の受信に関し公衆の相談に応ずること。」こういうことを書いておりますね。これは重要な業務の内容でございますね。次、第四号には「放送番組編集上必要な文芸、音楽、美術及び学術の著作権並びに著作隣接権を取得し、使用し、又はその使用を承認することと。」あとは著作権のことを書いております。そして御承知のように、これは最後の七項のところを見ますと、いろいろな機械類とか修繕の問題まで書かれておる。  そうしますと、とこで私はこれから質問をいたしますが、NHK関係放送管絃楽団、合唱団、劇団その他これに関係をするたとえば大道具、小道具あるいは放送センター、あるいはプリント、こういうものについても、この法律の規定から見れば明らかに放送局は雇い主側に立って、そしてそれぞれの方々の一定の組織、つまり労働組合と諸般の折衝やあるいは交渉やあるいはその他の基本的な問題を従来もやっておったかどうか、今後もこの規定に基づいて雇用関係としてこの問題をきちっと取り上げるかどうか、明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
  177. 小野吉郎

    小野参考人 NHKの業務はただいま御指摘のとおり、第九条の第一項、第二項並びに第九条の二に規定をしてあります。  第九条の第一項はNHKが他にまかすことのできない必須業務と申しますか、NHKが直接やらなければならない業務と観念されておるものでございます。第二項は第七条の目的を達成するためにこれこれの業務を営むことができる、その可能な表現をいたしておりまして、これは必要があればやってもいいし、やらなくてもいい、これは任意業務でございます。現在、この分野においてもろもろの活動をいたしておりますけれども、たとえばいまの劇団とかいうような問題について、日本にあるあらゆる劇団をNHKが直接維持運営しなければならないというような筋合いではなく、NHKが必要とする限りにおける劇団等の維持助成、そういったことが規定してあるものと考えます。第九条の二は国際放送でございますけれども、そのように理解をいたしております。
  178. 土橋一吉

    ○土橋委員 第九条第二項目のところは「左の業務を行うことができる。」と書いてある。しかしながら、この「業務を行うことができる。」と書いてある内容は、しなくてもいいものもあるし、やらなければならないものもあるだろう、こういう解釈にただいまあなたは御答弁されました。しかし、現実に日本放送協会がやっておるたとえば娯楽番組、あるいは最近のドキュメンタリーについても音楽を入れておるとかそういうことが非常に多くなっております。ですから、そういうものの培養とかあるいはそういうものに対する養成とか助成をすることが、やってもよろしいしやらなくてもよろしいというものではなくて、むしろこの規定内容を受けるものは、機械の修繕だとか受信機の修理業者をどう利用するとかというようなことについては必ずしもこれは放送局としてやらなければならない義務というようには考えられない点がある。しかし、要するに現実の放送で管絃楽団が要るとか合唱団が要るとか、あるいは劇人が出てきていろんな劇をやるというようなことは、こういうことについては娯楽番組全体を通じてみましてもやらなければならない宿命を持っておる問題であります。要するに、そういう楽団や合唱団を育てなくてもよろしい、そういう任意規定ではなくて、現実にそれは行なわれておる内容でありますから、——何も私はこれを強行的な規定とは申しません。申しませんが、現実においては他の民放さんなんかはNHKさんなんかよりももっとはでに、コマーシャルなんかもただ宣伝をするだけでなくて音楽を入れ、タレントを入れ、あるいは芸人さんを入れてちゃんとやっているわけですね。そういうことから見れば、これは当然そういうことについては最大の関心を払わなければならないという問題になってきておると思うのですが、いかがですか。
  179. 小野吉郎

    小野参考人 御趣旨はよくわかるのでございますけれども、任意規定におけるそれは、これこれの業務を行なうことができるとなっておりますし、またそういった状況から申しまして、NHKの財政の可能な範囲においてこれを越えてやるわけにはまいりません。そういう意味から、ある種のものに対しましてこの規定を適用をし、あるいはNHKが直接そういった面について設立、維持をはかるものについてはそのようにやっておりますし、その他のものについてはあるいは助成をするというような現状になっております。
  180. 土橋一吉

    ○土橋委員 小野会長さんはたいへん私の申し上げました質問の範囲を越えて、全国のあらゆるものについてもそういうことをやれということはむずかしいということをちょっと冒頭仰せになりました。私はさような無法なことは一口も言っておりません。これは会長さんの思い過ごしであろうと思いますので、私は、全国の芸人さんあるいは合唱団全部にそれをやってくれなんて一口も——速記録を見れば明確になる、私はさようなことを申し上げておるわけじゃないのです。いま私のほうで承知いたしております劇団あるいは労働組合、そういう方々からたくさんの苦情が来ておりますので、これはNHKを対象としての活動をしておる劇団あるいは芸能人の方あるいは管絃楽団、そういう方でありますことをあらかじめ了承しておいていただきたいと思います。そういう無法なことを私は質問いたしませんので、きわめて平易な労働法の規定、たとえば労働組合法の第七条の規定から見ましてもそういう点があるんじゃないかと思うわけであります。  そこで私は最近——ちょっとその前に—————————。  —————————————については取り消しをいたしておきますので、ぜひその点をひとつお願いをしたいと思います。これは速記録のほうでぜひ計らっていただきたいと思います。
  181. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ただいまの御発言はそのとおりにいたします。
  182. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこで、「七四年NHK交渉始まる」というので、御承知かと存じますが、職能労働組合日本演奏家協会というのでございまして、私のほうへお見えになっておるのは副委員長の宇野浩二さん、その方からいろいろお話を承りました。またその幹部の皆さんからもいろいろお話を承りました。ここに書いてあることはどういうことかと申しますと、要求書の内容から見ますと、「七三年九月三十日の第二回定期大会及び十月二十一日の七四年度第一回中央委員会において、貴協会に対する左記の要求を決定しました。」というので、これはNHKに要求として出ておるわけであります。この内容は、「NHK出演する演奏家の最低演奏料は、一番組、一回拘束二時間までを六千円とし、これをこえる場合は一時間について三千円とする。」これが第一です。第二に「録音、録画したテープの再使用は、原則として最初に放送した日から満一年以内とする。万一、上記録音物を満一年以後に使用するときは、出演演奏家の新たな許諾を得、当初出演料と同額の出演料を支払うこと。新たな許諾を得た録音物の使用期限は、それを新たに使用した日から一年以内とする。」第三項は「日本演奏家協会と演奏家の出演に関する協約を結ぶこと。」協約を結んでくれといっているのです。第四番目、実施期日は昭和四十九年四月一日より。第五の回答期日は昭和四十八年十一月二十日まで。昨年の十一月二十日までに回答してくださいという要求が出ております。「木要求書に明記されない部分は、我が国著作権法、及びNHK現行内規を基準として定めるものとする。」というような要求六項目が出ておりますが、この回答はおやりになったのでしょうか、それともまだ回答は出ていないのでしょうか。
  183. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま土橋先生からの御指摘の点につきましては、御指摘のとおり要求書を演奏家協会からいただきまして、昨年来私どもと先方の代表の方とお話し合いを進めておりますけれども、結論を申し上げますと、まだ具体的な回答を申し上げる段階に至っておりません。
  184. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは当初読みましたように、一つの労働組合としてこういう基準をそれぞれの機関において決定されまして、常時NHKさんあるいは民放さん、それ以外のいろいろな団体ともこの基準で出演をしたい、あるいは出演料をいただきたいということであります。でありますから、これについては専属的な労働組合の場合とちょっと違う点はございますけれども、少なくとも昨年の十一月ごろこういう要求が出ておるにもかかわらず、いまは三月の、確かきょうは六日だと思いますが、今日になっても回答しないというおもな理由は一体何でしょうか。
  185. 坂本朝一

    ○坂本参考人 先ほどどものほうの会長からも申し上げましたように、NHKをささえてくださいますいろいろな出演の団体は、この演奏家団体だけでございませんで、いろいろございまして、執筆者のグループもございますし、演劇関係出演者の方々の御要求もございまして、それらの御要求をいろいろ予算とのにらみ合わせの中で検討しながら回答を策定していかなければなりませんので、まことに恐縮でございますけれども、いましばらく回答を御猶予願いたい、こういうことでございます。
  186. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは毎日放送したり、あるいは月には相当回数の方々がここへ出られまして、NHKがいわゆる企画しておるところの娯楽とかあるいはそういうような番組の中で大きく活動していただく、毎日のことであります。ところが、要求が十月の二十一日前後に出されておって、今日もう三月六日にもなっておるのに、依然としてその回答すらも与えない。それは、経済が異常な変動状態にない場合はそういうことも間々あるのですね。しかし今日は御承知のように狂乱状態で、品物によっては二倍、三倍、あるいは少なくとも三〇%以上上がっておるといわれる、こういう中において、また来たるべき石油問題、御承知のように大幅にまた石油は上がろうとしておるわけですね、こういうときに生活が非常に困窮しておるこの方々に対して、あなた方幹部の方はそれはけっこうかもわかりませんけれども、毎日バイオリンを持ったり、大きな何とか楽器を持って苦労していらっしゃる皆さんの心情を考えると、すみやかに、これはどういう内容にしろ、誠意をもって回答するのが雇い主、労働法の規定の基本的な原則ではないでしょうか。いかがでしょう。
  187. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま先生は、雇い主の責任としてというふうにおっしゃいましたけれども、私どもは、出演者と私どもの間には、出演の契約をして御出演願うということで、雇用関係はないというふうに判断しておりますので、その点はあらかじめ御了解いただきたいと思いますけれども、しかし御指摘のように、回答については、誠意をもってできるだけ早く策定して御回答申し上げたいという真情であることには間違いございません。
  188. 土橋一吉

    ○土橋委員 坂本理事さんでございますか、あなたは異なることを仰せになるものですね。坂本朝一専務理事さんは異常なことを仰せになりますね。労働組合をつくって、その労働組合から、NHKのいろいろな関係の仕事によっては、たとえば音楽のほうに出るあるいはオーケストラに参加する、こういう関係になっておるのでしょう。その関係は雇用関係じゃありませんか。出演契約だとかいろいろなことをおっしゃっているけれども、それは明らかに労働者がそこに行って、自分の技能とする、要するに技術をそこで披露するということになっておって、雇用関係じゃありませんか。その雇用関係をなぜそういう否定をして、何だかわけのわからないような関係にあなた方はしいておやりになるのでしょうか。先ほど法律を読み上げましたように、そういう方々が労働組合をつくって、そうしておやりになることは皆さんお認めになっているでしょう。そこできまった、たとえば左官屋さん、大工さんも同じことですよ、そういう一つの組合をつくって一日の日当が六千円なら六千円ときまっておることについて、そこへ行って雇われる、これは雇用関係じゃございませんか。この雇用関係出演契約と、どんなに違うんですか。そのはっきりした区別を聞かしていただきましょう。
  189. 坂本朝一

    ○坂本参考人 放送に御出演願うことには変わりはございませんけれども、私どもは、その放送番組の中でその御出演の方々の芸術的な成果を聴取者の方にお届けいただくということで、その一回一回御出演願うということでございますので、雇用をするというような考え方を持っておりません。
  190. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここがこれから申し上げる問題の最も紛糾点の中心であるし、NHK側の考えておるその雇用関係を否定をしていろいろな策動をするというようなことをやってくるという根源にもなる。俗にいうなら、諸悪の根源はここにあるわけですね。つまりこの出演契約というものが雇用契約じゃないという論理を展開しているわけだ。そうしますとこれは一体どういう契約なんだ。これは明らかに近代法が示しておりますように、文化的なものであろうと科学的なものであろうと、あるいは肉体労働であろうと、さらには頭脳労働であろうと、そういうもので生活をしておる人に対して一定の報酬を払うというのは賃金じゃございませんか、名前出演料であるとかあるいは出演契約であるとかいろいろなことを言っておりますが。それは、放送局がかってにそんなことをいったってかまいませんよ。しかし労働法規全般からながめてみるならば、これは明らかに賃金形態じゃありませんか。これを否定する論拠はどこにあるでしょうか。もう一回重ねて私はお尋ねいたします。会長さん、いかがですか。あなたも郵政省におられてそんなことはよく御承知ですが、たとえば技術者である、その人は毎日出ておる、本来ならば普通の肉体労働と違うというような場合もあり得る。また、経営の才にたけた人が、たとえば経営上の問題をやる、これはこれでまた労働者として、勤労者として賃金という態形のものをもらっておる。名前は要するにいろいろな名前がついておるですよ。なぜ映画、演劇関係の人だけにこういうふうな、従来のいわゆる労働関係から見ない観点をどうしても強調するのか。これは諸悪の根源になっておるわけですから、お聞きしましょう。
  191. 小野吉郎

    小野参考人 NHK出演をいたします場合にもいろいろなケースがございます。必要によって恒久的に雇用従属関係もとに置いてやる方法もありましょう。これには当然にある種の制約、束縛が付随するものであります。そうではなく、出演をしていただきますけれども、必要なときに出演をしていただこう、こういう契約関係もあり得るわけでございます。しかもそういう場合に支払います対価がすべて賃金というような状況にはならないと思います。雇用従属関係にあれば、これははっきりした、固定給が幾ら、超勤をすれば幾ら、こういうそれは労働協約によってきまるわけでありますけれども、現在の契約によって出演をお願いをしておるそれにつきましては、それの対価として払っておりますけれども、雇用関係を前提としての賃金ではございません。しかも、他のいかなるときにもNHKばかりに束縛されるのでなくて、ほかに自由な活動をできる、こういうような状況になっておるわけでございまして、現在、先生の御質問になっておられる部門のそれは、NHKとの関係においては雇用従属関係ではなく、もっとフリーなNHKとの契約関係に置いておるわけでございます。
  192. 土橋一吉

    ○土橋委員 この種の要するに演奏家の場合は、御承知のように、いま仰せになったような面も三〇%ぐらいあろうかと思うわけです。しかし全体はやはり雇用関係であることは間違いございません。そしてこの方々が出演をいたしましても、その出演したときだけではないわけです。その練習をするとか、あらかじめの準備のいろいろなことで、やはり一定の拘束時間を持っているわけですね。それはNHK専属のそういう劇団とか管弦楽団と歩調を合わせて、NHKのそういう関係の方の指導のもと一つのものを完成していくわけですから、そうするとその時間というものはもうちゃんと拘束されておるわけです。つまり自分の好きなことをマイクの前に立ってやるというのではなくて、一定の制約と、それから練習とかいうような、NHKのそういう業務の内容に従って、要するにからだの拘束を受けるわけです。同時にいろいろな指導も受けなければいけない。また他の団体との関係のいろいろな調整もとりながら一定の期間を拘束されるわけですよ。ですから三十分の演奏であったって、その背後には表にあらわれていないところは何時間あるかわからない。ものによっては七時間も八時間も、そういうものがあるでしょう。あるものによっては二時間ぐらいでちゃんとできるものもあるでしょう。そうしますと、一回出演したといったって、出演というものはそういう積み重ねの中でそれが行なわれるのであって、ですから、たとえば二日間練習をやるとかあるいは調整のことをやるとか、さらにそういう関係の演出家の指導を受けてやるということになってくるわけですから、これは全部拘束時間じゃありませんか。それは現に演奏していなくたってちゃんと拘束されておるわけですから、そうするとその間は雇用関係が成立しておるじゃございませんか。それは大工さんが一日行って窓を直したり、左官屋さんが二日来て壁を直すのと同じことじゃありませんか。どうして雇用関係がないというのですか。なぜあなた方はそういうことについて、単なる出演契約だというようなことで問題の本質をそらそうとされるのか。これは、映画、演劇関係、あるいは芸能人関係といえどもその範疇をはずれるわけにはいかぬわけですよ。一定の労務を提供するわけですから、しかも拘束時間をちゃんと持つのですから、自分の好きなことをただやっておるということじゃないのですから、NHKのその番組全体のワクの中でどういう位置づけでその人がやるかという問題でありますから、当然じゃございませんか。これが雇用関係でなくて出演契約だということだけで事が済むでしょうか。さらに会長さんの明確な答弁をお願いしたいと思います。
  193. 小野吉郎

    小野参考人 出演をいたします限り、一定の時間拘束を受けることはこれはございましょう。これは契約の条項に従う拘束でございまして、雇用関係はかなり長期の継続を前提といたしております。そういった意味合いにおきまして、この拘束を雇用関係上からくる拘束と考えるのはこれは間違いでありまして、われわれとの関係におきましては、出演の契約関係による条項に従っての作業であり、その限りにおきまして、その作業中における拘束はもちろんございますが、これは契約上の義務履行上における拘束である、雇用上からくる拘束とは全然別種のものであり、したがって、その関係で雇用関係からいたします内部の一切のその関係の規律上の問題は適用されない、こういう区別が明確にあるわけでございます。
  194. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのその御説明は、結局、出演契約というものはそういう雇用契約と違うんだ違うんだという面だけを説明しようと思ってたいへん御尽力になっているわけです。しかし、いま申し上げますように、雇用関係という大きい筋からいうならば、その出演契約も雇用関係の一種であることは間違いない。出演契約というものが日本の法制上別の分野を占めておるというならば、あなたのような御説明、けっこうでございますよ。しかし、合唱団とかあるいは管弦楽団とか、あるいは漫才をするとか、そういういろいろな芸能をやるとか、こういうのはやはり雇い主との関係においては明らかに雇用関係であることは間違いない。この方々が別の財産を持って、そういうこととはもう関係なしに暮らしておる人で、趣味でやっていらっしゃるというならばこれは別のものである、この出演を通じて自分の生活のかてとして、これで生き、子供を教育し、それで社会生活を営んでおるということになれば、雇用契約じゃありませんか。雇用契約以外の出演契約なんというものが一体日本の法律体系の中で特別に認められておるのでしょうか、あなたがおっしゃるように。承りましょう。どこの法律にいまあなたが説明されたような契約関係があるのでしょうか、聞きましょう。それじゃ、どういう契約ですか。出演契約というものが、わが法体系にそういうものがあるのですか。反対しよう、反対しようという説明だけであって……。
  195. 小野吉郎

    小野参考人 いや、そうではなく、いわゆる労務を提供する場合においても、これは雇用につながらなくて労務提供の契約というものもあるわけでございます。これは厳然とあるわけでございまして、現在の法制下において雇用以外にはそのような時間拘束を受けるような状態はあり得ないというのは、むしろ現行の法体系に非常に合致しないのではないかと思います。契約関係における出演関係があっても法律のそれに何ら違反するものでもございませんし、ある一定の必要なときに契約によって出演をしよう、その限りにおいて自分の技能なり労力なりを提供しよう、こういう契約関係というものはあり得るわけでございます。
  196. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういうことを仰せになると、私は言いたくはございませんけれども、この内容について「NHK出演料改善についてのお願い」という題目で、これらの方々はこういっていますね。「日本薄謝協会の異名を持つNHK出演料が上がらない限り、他の分野出演料も容易に改善できないからです。」こういうことをいわれておるのですね。このことは何を意味しておるかというと、NHKが、どういう芸能人といいましょうかあるいは音楽団体といまいしょうか、こういう方々の出演料をぐっと押えておるために、私たちは非常に生活がここにも書いてあります。「六〜七万の収入です。さらに十数年の努力を続けても十万程度でしょう。」この物価じゃやっていけませんということをちゃんと資料に書いていらっしゃるわけです。そうしますと、いまお話をするように、公益的な送放団体としてあなたのところがそういう態度をおとりになっておるから、なかなかレコード会社に行っても他の関係でも困るということは、ひとりあなたのところの問題だけではないわけですよ。この人たちの生活に関係してそういう苦情が一つ出ておるということと、それから当初申し上げましたように、すでに他の民放関係においてはいちはやくそういう点について改善をしておるわけですね。おたくで出しておる出演料の倍ぐらいのところは大体どこでも出しているわけです。おたくだけが低いのですよ。それでそういう出演契約のようなところにすべての問題を集約して答弁をなさっている、こういう状態であります。ですから私はぜひひとつ、この第一項に書いてありますように「一番組、一回拘束時間二時間までを六千円とし、これをこえる場合は一時間について三千円とする。」これを何とかやってくださいよ。こうでありませんと、せっかくここで論議をしましてもその肝心なところがぼやけてしまいますので、この一回六千円ということをここでやはりきちっと、まあ約束するということはなかなかむずかしいけれども、ぜひこの問題について十分研究して、これを上げるということをひとつはっきりさせてもらいたいわけです。
  197. 坂本朝一

    ○坂本参考人 その第一項の考え方につきまして、全般的に私どもは、先ほども御説明申し上げましたように、番組出演料、出演謝金は、その方の芸術的成果を問います番組出演謝金という考え方が私どものほうの謝金の体系をなしておりまして、拘束何時間で幾らというような計算をいたしておりませんので、そこら辺のところは、先生の御指摘ではございますけれども、その謝金の改定改善につきましては、苦しい予算の中ではありますけれどもできるだけ考えたいと思っておりますが、その考え方につきましてはやや考えを異にする部分がございまして、今後その演奏家団体の方々とお話し合いを進めていきたい、そういうふうに思っております。
  198. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほど私が法文を読んだのは、だてや冗談で読んだわけではないわけですよ。つまり放送法規定によっても、ちゃんとそういうものを育成強化し、助成しなければならぬ。ここに「助成すること。」と書いてあるわけです。したがって、これは現実問題として、あなたの直属の合唱団やあるいは管弦楽団じゃなくても、臨機応変に来てもらうんですから、当然それはちゃんとした出演料と称するいわゆる賃金といいますか、あるいは料金を払うというのはあたりまえなんですよ。ですからこの九条の第二項の規定に準じて、こういうフリーでやっていらっしゃる方についてもちゃんと生活を保障するという体制をとりませんことにはいかないということ。いまあなたが仰せになりましたけれども、拘束時間を考えていないとは一体何事ですか。出演をする、テレビで表に出てくるのは三十分ですよ、あるいは四十分とか一時間ですよ。その準備がたいへんじゃございませんか。その準備の基礎の上に立って、初めてそういう演出とか楽団とか合唱ができるじゃありませんか。それを見ないというのは一体どういうわけですか。なぜそういう無慈悲なことを言うのです。
  199. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私の御説明が多少舌足らずで、誤解を招いたらおわびいたしますけれども……。
  200. 土橋一吉

    ○土橋委員 大いに誤解を招きますよ。
  201. 坂本朝一

    ○坂本参考人 私どものほうは三十分なら三十分の放送時間のその謝金の額を基礎にしたい、こう申し上げておりまして、そしてその三十分の放送時間が三十分ふえればそれだけの割り増しをいたします、それからリハーサルにお越しいただきますときは、その基本になります額の何割かのリハーサル料をお払いいたします、そういう計算のしかたと申しますか考え方で、あくまでも放送時間、放送になって聴視者にお届けするその時間の謝金の額をできるだけふやしていきたい、そういう考え方で、その放送になります部分も練習いたします部分も、要するに時間でもって計算して、上げていくというのではなしに、放送するその中身の時間のお礼を上げる努力をしたい。したがいまして、そこら辺のところの考え方が必ずしも先方さんといまだ合意に達しない点がございますけれども、これは何とかお話し合いを続けたい、そういうことでございます。
  202. 土橋一吉

    ○土橋委員 委員の先生方もお聞きになりますように、出演をする三十分というものは、そういう積み重ねの上にそれが突出をして映像になるわけなんですよ。したがって、その映像したところだけしか考えないなんというものの考え方は、近代的な雇用関係なりあるいは労務関係というものを全然顧みていないじゃありませんか。ものによっては八時間も練習しなければならない、ものによっては二時間で済む場合もあるかもわからない、先ほどから何回も申し上げているように。その基礎の上に出演をしたその三十分というのが出てくるのであって、その基礎がたいへんじゃありませんか。そのことを顧みないなんという、そういう計算では話にならない。これはぜひもっとあなたのほうで研究してください。これは私のほうでも研究いたします。最近のNHKの現行出演料の基準というのが非常に安いことは天下周知の事実であります。この問題はこの一環であります。資料がありますので、私はそんなにたくさん申しませんけれども、非常に低い。これをやはり上げるということが第一どうしてもやらなければならない大きな問題であります。  次は、出演のそういう楽団関係が非常に減ってきておるということですね。ここにも資料がございます。三十六年の「娘と私」、このときには大体十七、八人が音楽に参加しておられるわけですね。ところが四十六年ごろになって「繭子ひとり」のときには六、七人というふうに減ってきておるわけです。四十九年の「鳩子の海」ですか、これはもう五、六人でやっておるというふうに、管弦楽団のようなものはだんだん数を減らしておるわけですね。たとえば三十九年の「赤穂浪士」のときは三十人がオーケストラで盛んにやった。ところがそれが四十四年の「天と地と」のときには二十人だ。まあ半分に減ってしまっておるわけですね。また四十八年の「国盗り物語」では十五人前後でやっておるわけです。つまりだんだん質を低下させていくわけですね。これは一体どういうわけなのか。郵政大臣の勧告からいったらもっとよくやらなければいかぬのに、逆にどんどん減らしてくる。こういうことをNHKはおやりになっておるわけですね。特に「歌のゴールデンステージ」、これも従来のあれから見るとずうっと減っておるわけですね。  こういうことから見て、NHKのいまの御答弁にしましても、かりに出演料を上げても、今度は回数を減らしていく、まるで、悪徳商人とは申しませんけれども、それに近いようなことをだんだんおやりになっておる。ところが、先ほど放送法の条文の九条の三項の規定は「営利を目的としてはならない。」ということをちゃんと書いておるわけですね。まるで商人のように、だんだん物価が上がってきたから管弦楽団も減らしていくというような、こんなことは許されないことです。そういうことすらもやっていらっしゃるじゃございませんか。そうしますと、かりにここで出演料を上げていただいたと喜んでおっても、今度は出る回数をどんどん削ってくる、こういうようなことをやったんではいけませんので、従来の番組全体から考えていま申し上げるようにだんだん落ちてきておるわけだから、これを上げるようにして回数もふやしていく、こういうことで出演料を上げるという体制をぜひとらなければならぬと思うのだが、いかがでしょうか、会長
  203. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ御出演を願っておりますいまの出演契約の対象の芸術団体につきましても、番組の質を向上いたしますために、私どもはその技能その他の関係につきましては多大な敬意を払っております。その意味におきまして、いろいろ出演料等につきましても、画面に映る時間のその限りにおいてものを考えておるわけではございませんで、その背後には平素技能を研磨されなければならぬでございましょう、また番組出演するためにはいろいろ前後の準備あるいはあと始末もありましょう、そういうこと一切を計算をいたしまして一定の出演料を計算しておるわけでございまして、この関係につきましては、将来ますます技能をみがかれ、十分な成果を発揮していただけるような配意のもとに、従来もこれの改善についてはいろいろつとめてまいっておりまして、将来といえども同様でございますけれども、決してその関係を、まあ俗に言えば悪徳商人のような安く使えばいいんだというような見地ではものを見ておりません。財政の許す限りできるだけ多く出せれば出せるようないろいろな検討もいたしておりますけれども、やはりそこには有限な一つの限界もございますので、そういった点をにらみ合わせながら検討をいたしておる次第でございまして、先ほどの御要望書に対する回答等もいま鋭意検討をいたしております。今日まだ御回答申し上げていないのは遺憾でございますけれども、できるだけ早く御回答を申し上げたい、このような気持ちでおるわけでございます。
  204. 土橋一吉

    ○土橋委員 それじゃ、この日演協会の問題はこれで一応終わりまして、最善の努力をぜひお願いしたいと思います。  次は、日本放送協会芸能員労働組合、略して日芸労といっておりますが、この日芸労が最近出しました「国会議員の皆さんに訴えます 日芸労(NHK芸能労組)」としてありますが、「日芸労問題でNHKを追求して下さい」という題目でこういう文書が出ております。これは御承知でございましょうか。また、この労働組合があることを御存じでしょうか。
  205. 坂本朝一

    ○坂本参考人 承知しております。
  206. 土橋一吉

    ○土橋委員 御存じになっておるとすれば、ここに書いてあることをちょっと読み上げてみますので、これについて意見があれば述べていただきたいと思います。   私たちはNHKの合理化と番組中央集権化の  ために、大阪は仕事が著しく減少、名古屋以下は  ほとんど干し上げの状態です。NHKはその実  態の上から芸能団の解散を考えたのでしょう  が、日芸労との争議—→中労委和解協定のため  に、一方的にそうもいかず、毎年毎年賃上げは極  めて乏しく、なま殺しの状態が続いておりま  す。そして昨今のインフレ下、私達は一体どう  なるのでしょう。まあ、こういう要求的なものが出ております。「私たちは訴えます」次はこういうふうに訴えています。「仕事を地方に返してください。」これは名古屋とか大阪とかあるいは仙台とかというところです。「地方本位の番組をつくって下さい。」カッコして「(労働協約を守れ)」と書いてあります。これは中央番組審議会や地方番組審議会というものがたしかあるはずです。そして放送法規定に従って放送しておるものはだんだん中央集権化して、地方では管弦楽団あるいは合唱団、そういうものがだんだん乏しくなっておるということを意味しておると思うのです。これは法規の違反であります。「人間並みの賃上げをしてください。」こういうことを書いておるわけであります。次に「私達の賃金は以下のようにひどいものです」四十八年度月最低保障給全国平均では七万七百二十三円だというのです。そしてこの勤続年数平均十九年、勤続十九年でございますよ。そして平均年齢四十七歳です。そして内訳というので、東京支部楽団が、いろいろ端数がありますけれどもこれは略しまして、大体十一万円程度、東京支部合唱団、これはまだ調査できていないというのでここには書いておりません。大阪本部楽団が八万七千円余です。それから合唱団が五万九千三百余円です。それから劇団が九万二千五百余円です。名古屋支部楽団が六万三千二百何ぼで、これも六万三千前後です。名古屋支部劇団が六万四千円余ですね。それから仙台支部楽団が五万五千円余です。それから札幌支部楽団が六万三千四百円余、福岡支部楽団が五万五千余円です。それから松山支部、これがひどいですね、ここでは五万八千余円になっております。こういう状態だというのであります。さらにボーナス、退職金などについていろいろ私のほうで調べて、御本人たちからいろいろ聞きましたところ、大体二十年以上勤続で二十万円、そしてこれが一つの退職制度になっておる。人員補充なし、そして四、五年前から、退職をしたとき大体八十万円ぐらいいただくようになっておる、こういう説明でございました。ここに書いてありますように「三十三年勤務して死亡したら、たった五十万円支給」。現に首をくくって死なれた方が名古屋におられます。その方にあなた方は二十五万円の慰労金と焼香代が二万円ですか、五万円だか二万円だかお出しになった。そういう実例がみな出ておりますが、なぜこんな低い賃金になっておるのでしょうか。七万円余で一体この物価高で暮らしていけるでしょうか。お聞きしましょう。どういう理由でしょうか。
  207. 坂本朝一

    ○坂本参考人 おっしゃるとおり、この回数出演契約者の契約形態は昭和十四年から始まっておるわけでございますけれども、その昭和十四年から始まりました契約形態は文字どおり専属契約でございましたので、これは先般来先生がおっしゃるような雇用従属関係にあるということでございましたが、それが昭和三十四年に切りかわりまして、昭和三十四年の六月から専属契約を廃しまして優先出演契約になりました。そしてさらに昭和三十七年から回数出演契約ということに相なりましたので、三十何年というおっしゃり方は、その専属契約の時代の年数を合算しておっしゃっているんだろうと思いますけれども昭和三十四年に優先出演契約に変わりましたときに、専属契約時代の諸問題を一応クリアーにいたしまして、そこでピリオドを打ちまして、新しく昭和三十四年から優先出演契約ということになりましたので、その点は御理解いただきたいというふうに思います。
  208. 土橋一吉

    ○土橋委員 これはごく最近の資料でございますが、たとえば名古屋劇団支部の模様を申しますと、この方々はAからKまでの方です。そしていまあなたがおっしゃいましたように、三十七年ごろ当時からいろいろ変わったのでしょうが、出演料が、これは劇団の方です、ある人は七千円です。それで回数は七十回。契約金が一番いい方で四十万円、奨励金が七万、これで大体年収が九十六万になるというので、月平均では大体八万円なんです。同じようにある方は、Gという方を申しますと、この方は出演料が四千円です。そしてこの回数がこの方は五十回です。契約金は三十万円です。そして年収が五十七万円です。そうしますと月平均は四万七千五百余円ということになっておるわけです。これは要するにNHK専属の劇団の方です。これで一体食っていけますか。あなた方はこういうような賃金体系をつくっておって、そして出演契約だとかあるいはこれでピリオドを打ったとかおっしゃいますけれども、これは明らかにNHK名古屋劇団というので、ちゃんと看枚もそういうように出ておるわけですよ。松山の場合もほぼ似たような——松山の場合には名前は書いておりませんが、たとえば仙台の楽団支部なんかも大体こういう前後の低い月収ですよ。なぜ一体こんなことになるのでしょうか。これはNHK専属の要するに合唱団とか管弦楽団とかがそういうことになっておるのですよ。どうでしょう。
  209. 坂本朝一

    ○坂本参考人 ただいまも御説明申し上げましたように、先生の御指摘のように専属という形のものは昭和三十四年五月三十一日で終わっております。その後契約を新たにいたしまして、優先出演契約になり、さらに昭和三十七年から回数出演契約になっておりますので、現状、皆さま方はNHKの専属という形でございませんで、それぞれNHK以外のお仕事をしておられるわけでございます。
  210. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまのお話でございますと、NHKは場当たり的で、ほかの何かそういういろいろなところにつとめておるようなお話のようでございますね。それに間違いございませんか。
  211. 坂本朝一

    ○坂本参考人 NHKとその皆さま方とは回数出演契約を結んでおりますので、その皆さま方が場当たりにNHKにお出になっておるとは私は思っておりませんので、それはひとつ誤解のないように御理解いただきたいと思います。
  212. 土橋一吉

    ○土橋委員 この表を見ますと、少ないので大体八十回前後ですよ。あとは百六十回とか二百二十回という出演をしておるのですよ。しかも、たとえば二百二十回出ておる方で約十三万円の月収ですよ。百五十回をとっても大体七万、八万というところですよ。そうしますと、あなた方がおっしゃっておる内容は、つまりほかにも出れるからいいんじゃないというような説明をしようとしていますけれども、これは御承知のように、長い間NHKの専属的な合唱団、管弦楽団としてこられて、NHKさんの都合でそういう形をとったというところの一つの労働組合員の一人であります。ですから、ちょっと話が違うんじゃないですか。いま仰せになったこととはだいぶ違うんじゃないでしょうか。  さらに私はお尋ねを申し上げますが、ここに大阪地労委の命令書というのが、昭和四十三年、いまから約五年ほど前、十二月十二日の日に大阪府地方労働委員会会長川合五郎さんという人から命令書が出ておるのです。そしてこの内容を読みますと、申し立て人は日本放送協会芸能員労働組合花木一浩という方で、そして被申し立て人は日本放送協会会長前田義徳というふうに書いて出ておるわけです。大体この出ましたのが、昭和四十三年のころであると思いますが、「次のとおり命令する。」という命令書が出ておるわけです。これは小野会長も大体御承知かと思いますが、ちょっとその命令書の内容を読んでみます。  一、被申立人は、申立人組合員と被申立人との間に使用従属関係がないことを理由に、申立人との団体交渉を拒否してはならない。  二、被申立人は、今後、福利厚生および技能向上の面において、申立人組合員に対し、各運営会員が被申立人の助成金によって受ける待遇より不利益な取扱いをしてはならない。つまり、各運営会員というのは、これはいろいろ調べてみましたところ、この内容は第二組合ですね、これは芸能団の第二組合、それと差別をしてはならないという命令書が出ております。  三、被申立人は、申立人に対し、すみやかに下記文書を手交しなければならない。」 というふうに書いてございます。その下記文書はどういうことを命令しておるかといいますと、前田会長から日芸労の労働組合委員長の花木さんあてに  当協会は、貴組合から申入れのあった団体交渉を、貴組合員との間には使用従属関係がないとして拒否し、また、各運営会にのみ福利厚生および技能向上のための助成金を支給することによって、貴組合員に対し、これらの面で不利益  な取扱いをするとともに、貴組合の運営に支配  介入いたしました。これらの行為は、労働組合  法第七条第一号、第二号および第三号に該当す  る不当労働行為であったことを認め、ここに陳  謝します。 第四番目に「申立人のその他の申立ては、これを棄却する。」というふうに書いて、前田会長は陳謝文をこの芸能労働組合に出す、こういう事態が起こったことを御承知ですか。かようなことがあったかなかったか、お聞きしましょう。
  213. 坂本朝一

    ○坂本参考人 大阪の地労委でそのような審判が下りましたことは事実でございます。
  214. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうするとこれは重大な問題じゃございませんでしょうか。NHKは、御承知のようにこの放送法規定によりますると、明らかに番組その他を通じまして、まず日本の民主主義の発達のために大きく努力をしなければならぬということが、ちゃんと法律の規定に書いてあるわけです。そしてまた公共放送でありますから、全国民がそういう関係の管弦楽団であるとか芸能人の方々とか、こういう方とどういう関係に立っておるかは、きわめて公正妥当な方法でこれを取り扱かわなければなりませんけれども、前田会長当時にかような大阪地労委の命令文が出たということは、最も恥ずべきことじゃないでしょうか。しかもその内容はずっと項目に書いてあります。私もずっと拝見しました。第二組合をつくって、そしてこれが不当労働行為の数々を重ねておった、そしてこの日芸労という労働組合を圧迫をして、そして運営会というのに盛んに助成金を出したり、料理屋に連れていって一ぱい飲ましたり、あらゆる悪徳の限りを尽くしておった、こういうことがちゃんとここに書いてあります。最後の項にどういうことが書いてあるかというと、この裁定文は不当労働行為だということをちゃんとうたっておるのであります。かようなことについて、小野会長はこの事件当時も大体おられたと思いますが、どういう御反省をしていらっしゃるでしょうか。
  215. 坂本朝一

    ○坂本参考人 その大阪の地労委の審判に対しまして、私どもは、「この初審命令は、初審における協会の主張を充分検討することもなく、しかも、充分な証拠に基づかずしてこれを排斥したもとになされたものであって、到底承服することばできない。以下、その点についてあらためて協会の主張を補足し不服の点を明らかにする。」ということで、中労委に上申いたしました。そして、中労委は昭和四十三年十二月十九日に和解のあっせんをなさいまして、そして日芸労と私どもとの間に和解が成立いたしました。中労委の協定の大要は  回数出演契約の法律的性格に関する論議を避け、かつ争訟の対象としない。  回数契約の諸条件に関する基準については、誠意をもって交渉を行ない、実質的解決を図るよう努力する。  日芸労に所属する回数出演契約者とそれ以外の集団に所属する回数出演契約者とを正当な理由なくして差別しない。 という和解の協定に従いまして、NHKと日芸労との間に和解が成立いたしまして、自今私どもといたしましては誠意をもって日芸労の代表の方々とお話し合いを進めておる次第でございます。
  216. 土橋一吉

    ○土橋委員 この和解のときにあなた方がいろいろ行なわれましたいわゆる日芸労という労働組合に対する諸問題は、今日もう白日のもとにきわめてはっきりしているわけです。つまりこの内容の一部分を表明しておると思いますが、全部が全部私は内容とは申しません。しかしながら、ここに「王国の芸人たち」というこういう本が出ておるわけです。この「王国の芸人たち」のそれぞれの部門を読みますと、明らかにNHKがアカ攻撃を中心に労働組合に対していろいろな策動を行なったということを書いておるのであります。この事実はかなり真実に近いものをたくさん持っております。したがって、私は、いまあなたが御答弁になりましたようないわゆる和解という内容も、NHKのいわゆる実力と申しましょうか、この作者のことばをかりて言えば王国といいましょうか、そういう力を背景に、この日芸労という労働組合に対していろいろなことをやっておられました。大阪地労委で裁定を下した根拠になっておるようなことはここにもほとんど書いてあります。なぜこういうことをおやりになるのでしょうか。  それだけではございませんよ。いまあなたがお話しになったその協定文の内容についても、誠意をもって円満に交渉を行ないと、いままで誠意をもって円満に交渉をしたのですか。七万円というこういうことが出てくることは、明らかにこの日芸労の百数十名の方々の要求をまともに受けて、そして交渉した結果こういうことになったのでしょうか。私は、ことばではいろいろなことをおっしゃっているけれども、さらさら誠実を持っていないということ、さらに、運営会というのは依然としてこれは存続しておるわけです。差別をしないと言いながら、この方々にはいろいろ差別をしておるわけですね。これは管弦楽団もございます、合唱団の方々、いま大体八十名ぐらいとも承っておりますけれども、こういうつまり一方の労働組合をいわば追い込むために、片方に、何と申しましょうか、そういうものをつくって、これはチョウよ花よと育てる、そして見よがしにこちらのほうをどんどん痛めつけていく、そして合唱団の定員もふやさない、もうそれこそ野たれ死にをするかっこうにいくという、こういう悪徳商人とも思われるような行動があるのではないでしょうか。この内容を見まして、いまあなたがおっしゃるように誠実にやっておるならば、これはとてもじゃないが七万円なんということで済まされる問題ではないでしょう。七万円でとどまっておるということは、明らかにあなた方が、要するにこういう「王国の芸人たち」とかあるいは大阪地労委がそういう裁定を下しておるような内容とか、あるいはこの和解の文書についても、この内容を誠実に実行すればこのような事態は起こらないのです。  でありますから、私は端的に申しまして、たくさん議論をする気持ちはございませんが、いま当面して要求していることはこういうことなんです。こういう人たちが要求しておる内容は、低賃金を与える一方的な単なる出演契約じゃ困るというのですよ。きちっとして出演料をまずいただきたい。これにはランクがあります。だから三つのランクをやはりアップさせるということであります。これは労働組合側から主張が出ておりますから詳しく私申しません。三つのランクをアップさせることと、そして契約料を年間少なくとも二十万円アップしてくれ。ここにいっておりますように、あなた方の契約料でございますと、たとえば三十万円とか二十八万円とか三十五万円とか、こういうのが多いわけですね。こんなことではとてもやっていけないというのです。ですから、管弦楽団の方も合唱団の方も、ぜひこういう点をやれるかどうか、またやってもらわなければならないというふうに思うわけです。三番目には、雇用者としては人並みの退職制度をつくってくれ。過日放送局から来ていただきまして、いろいろ説明を私も聞きました。そしたら翌二十七日の日にはいろいろなものが私の手元にも入りました。皆さんの奮闘努力されましたそういう一部分の資料は入っておりますけれども、これだって非常に低いのですね。その次の要求の内容としましては、地方に仕事を返してくれ、回数を減らさないでもらいたい。それから特に管弦楽団、合唱団がどんどん老齢化して、歌を歌うにしてもあるいはそういうのにしても非常に困っておる。こういうことが端的にNHK皆さんにぜひ要請をしたいという希望でありますが、この一から五までの内容についていかがでしょう。
  217. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま先生の御指摘の諸問題につきましても、私ども少なくとも誠意をもって交渉、話し合いをしておるということは申し上げられるかと思いますけれども、ただ一番の問題は、回数出演契約という契約の形態と、現在の地方の演劇芸能ないしは管弦楽の方々にお働きいただきます場とのアンバランスが最近特に顕著になってまいりまして、これにつきましては私どももできるだけ努力はしておりますけれども、しかし世の中のいろいろな態様が変わってまいりまして、御承知のように放送の形態も特にラジオを中心とした情報、いわゆるニュースを中心とする情報の問題が取り上げられるようになりまして、なかなかこういう方々の御活躍の場が従来と比較して十分でないというのは、これは世の中の全体、放送全体の動きの中でやむを得ないことなのではないかというふうに思っております。そして回数につきましても、御指摘のようにできるだけ回数を減らさない努力はいたしておりますけれども、しかし実際に回数の契約をしていただきましても、なかなかそこまでの回数を満たしていただくような仕事の場が、いま申し上げましたような放送の全体の態様の変化の中で見出し得なくなりつつあるということで、言ってみればそこら辺のところが私どもの一番苦しむところでございますけれども、しかし現在の契約態様を続けるという限りにおきましては、そういう点についての誠意を持った努力をしたいというふうに考えております。  なお、いま先生御指摘の退職金に見合うようなお話の件につきましては、これはまた話がもとへ戻りまして恐縮でございますけれども、これは一年一年の契約ということでございますので、退職金というような形での制度を確立することは私どもとしてはいたしかねますが、しかし例年NHK放送に御協力いただいているという前提から、解約時にあたって長年の御協力に対する慰労金というような形でのパターンで、できるだけの改善をしたいというふうに考えております。
  218. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのほうは、何かこういう芸能関係あるいは管弦楽団の人は、とにかくそういうわけだから長い間そういうことでNHKはやっておるのだ、そういう趣旨の意味がいまの御答弁の中にありありとあらわれてきておるわけですね。先ほどから私申し上げますように、第九条によって業務の内容としてちゃんとこれは規定されて、しかもそれを現実にやるという体制下にあるわけですから、したがって第二項の劇団、音楽団、これらについては相当努力しなければならぬということは、これはイの一番にうたっておるわけです。もちろん大道具、小道具の問題もありますよ、機械修理の問題もありますよ。しかし、これはいわば当時のラジオを中心とする、あるいはテレビの初期のときですから、そのときですらもこれはちゃんといっておるわけです。そういうことを考えるならば、いまお話しになったような筋合いからの説明では納得できないわけです。特にあなたのほうで運営会という第二組合的なものを各地方にもつくって、これにはどんどん助成しておる、片方には人員は減るだけ減らしておこう、こういうような体制をとっておることが許されますか。憲法の規定やあるいは先ほど申し上げたような諸規定から見て許されないことをしておいて、しかも大阪府労委ではこういう命令書まで出ておる。こういう事態の中であなた方の行動を見るならば、これは正しい労使関係といえないわけです。しかもそれも出演契約であるということで突っぱねてしまう、こういうことをとってきておられるのであります。ですから、私はいま申し上げた五つの問題、要するに低い出演料の問題あるいは最低の三つのランクをアップするという問題、現在の契約金にさらに二十万円をアップするという問題、あるいは退職をした者についても——当然じゃございませんか。いまのようなそういう理屈をつけていくならば、これはわが国の雇用契約関係とか、いわゆる人的な債権関係において別な分野をあなた方はつくってそういう説明をしておるのですよ。法体系からそんなものないですよ。法体系から見ますと、やはりもとに返って、要するに雇用関係の体制をきちっとしておやりにならなければならぬと思うのですよ。  たとえばここに二月二十七日です、この間あなたのほうからお出しになった資料、私のほうで計算してみたのです。これは委員長の花木さんの例に当ててみたわけです。この方は勤続が相当長いのです。二十一年ですけれども、あなた方おっしゃる昭和三十四年からということにして、それでこの六カ月こえるものは一年に繰り入れる、六カ月未満は切り捨てるというただし書きによってみますと、この方は二十一年間働いていて百五十一万円じゃありませんか、全部計算してみても。これは芸能人としてはかなり、私よく存じませんけれども、中以上の方だと思うのです。これが退職して百五十一万円ですよ。それからあなた方は御承知かと思いますが、名古屋の支部で緒方三郎さんという方が、この方はヴァイオリンですが、四十八歳で自殺をされました。このときあなた方が先ほど申し上げたようにお出しになった金は、見舞い金が二十七万円、香典が五万円じゃございませんか。こういうような始末でございまして、何とおっしゃいましても、これはまことに痛ましいというほかありません。  NHK全体の芸能人の方々あるいは合唱団、こういう方々に対する仕打ちというものは、こういうところに集中的にあらわれておるのじゃありませんか。しかも回数が、いま申し上げるように年間を通じまして百回以上、中には二百回も出ておるというような方ですよ。ですから、ぜひこの善処方を強く私は要望して、時間の関係がございますので、いま申し上げた五つの問題は、あとでまた労働組合も出ましょうから、誠意をもって団体交渉、折衝するように重ねてお願いしておきたいと思うのですが、会長さん、よろしゅうございますか。
  219. 小野吉郎

    小野参考人 ただいませっかくそういう要望もわれわれのほうに出ておることでもございますし、またいろいろお互いに誠意をもって話し合いをいたしておるさなかでもございますので、そういうことについて私どものほうも要望の聞けるものは聞きますし、またそうでない点もございます。問題はその話し合いにかかっておるわけでございますので、その点でおまかせをいただきたいと思います。
  220. 土橋一吉

    ○土橋委員 誠意をもってぜひ積極的、前向きで、よろしゅうございますね。  次は、これは直接あなたに関係のある問題です。日放労さんと同じように関係のある問題です。時間もございませんから、あなたのほうに関係しておるものを読み上げますが、あなたのほうの下請的な従業員さんとして、百六十八名をもって構成するNHKサービスセンター労働組合というものがある。これは御存じですね。それからNHKの大道具、小道具をつくっていらっしゃるNHK美術センター労働組合というのがございます。これは従業員さんが約三百七名で構成している組合でございますけれども、ありますね。それからNHKプリントセンター労働組合というのがございまして、これはNHKの台本をはじめいろいろなことをおやりになっていますね。結局ここでは九十四名と臨時雇い、その他パート等入れますと百六、七十名という団体がございますね。これもよろしゅうございますね。それから日本放送協会共済会労働組合というのがございますが、これも職員さんが現在三百四十名ほどいらっしゃいます。これはございますね。それから日本放送出版協会労働組合というのがございまして、これは大体二百名くらいで、いろいろな出版物を出していらっしゃいますね。これもございますね。それからNHK学園というので職員百六、七十名でございますか、こういうのもございますね。これらはすべてNHKの仕事を中心にそれぞれお仕事をなすっていらっしゃること、間違いございませんか。——はい、間違いありませんね。先ほどいろいろ賃金の問題が出ましたけれどもNHKの職員さん一万六千何名で今年度の給与幾ら出ておるのですか。
  221. 山本博

    ○山本参考人 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねますが、給与の全額でございますか、それともベースアップの話でございますか。
  222. 土橋一吉

    ○土橋委員 全額です。職員さん全体で幾らくらい……。
  223. 山本博

    ○山本参考人 給与の全額は四百八十九億八千八百六十三万八千円です。
  224. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまのは四百八十九億何ぼですから、大まかにいいまして約四百九十億近い。そうしますと、一万六千何ぼでございましたね。これを目の子で割ってみますと、大体一人の職員さんについて三百万円くらいになりはしませんか、年間に与えられているものは。大体そうですね。多少のあれはあるけれども、一人の職員に大体三百万円前後のものを与えている、こういうことになりますね。そうすると、先ほどの給与が、職員さんが一人で大体十万九千円とか十一万円とおっしゃいましたね。それに六カ月分あるいは、かりにいま七カ月分の手当を差し上げたとしても、一体どれくらいになるわけですか。共済関係とかを別にしてみると二百万に足らないじゃないですか。そうしますと、今度かりに先ほどの話で二〇%上げてあげて、十一万円前後に二万円ないしちょっとくらい加わっても十三万でしょう。十三万の一年間の給与は何ぼになりますか、山本さん、十二カ月掛けますと。それに、半年分と仮定して、あるいは半年ちょっとこえてもけっこうだと思いますが、標準の十三年勤続の人に年間何ぼ払うことになりますか。大まかでいいです。
  225. 山本博

    ○山本参考人 実は基準内のほかに、普通ですと基準外が加わりますし、基準外がどれくらいかというのは企業によってみんな違いますので、ちょっと簡単にほぼ幾らだと言うことはできないと思います。
  226. 土橋一吉

    ○土橋委員 基準内はきまっておりまして、基準外のものだってどの程度出すかということはわかっておるでしょう。一万六千か何千名かの者に要するに四百九十億出すのですから、目の子で計算すれば一年間一人について大体三百万ということは、だれが考えたってわかるわけですよ。そうでしょう。三百万前後が出ておる。そうすると、NHKは勤続十三年が平均だ、こういうならば平均の十三年以下の者がふくらんでおるのか、上のほうがふくらんでおるのかによって、給与体系全体の支給がどうなっているかということは目の子でわかるわけですね。  そこで私はお聞きしたいのだけれどもNHKの人員が、十三年勤続で大体十万九千円という方、こういう方々が中心になっておるとするならば、この下がふくらんでおるのか、それとも上がふくらんでおるのかによって、給与体系も変わってくるわけですね。これは私は国鉄や電電公社や郵政のそういうものだって見ておるわけです。そうしますと、NHKが、先ほどから阿部委員指摘しておりますように、民放関係よりはさらに非常に低い状況に置いておるならば、一人頭三百万円出しておるのだから、二十万円までは支給したって、結局年間給与としては二百四十万でしょう。そうでしょう。二十万円まで給料を与えたって二百四十万。金額にすれば二百四十万でしょう。そういうことから考えてみると、この給与体系自身の給与の総額というものは、少し私は疑問があるわけです。それで、会長をはじめ専務、部長さん、課長さん、そういう一定の職歴を持った人々は、NHKには中央と地方でどれくらいいらっしゃるのですか、それをまずお聞きしましょう。要するに課長以上は何百名くらいいらっしゃるのですか。
  227. 斎藤清

    ○斎藤参考人 給与関係について、御質問にお答えいたします。  全体の来年度予算の給与額についての数値を先ほど財務担当から申し上げました。この内容は財務担当も指摘いたしておりますように、基準賃金と基準外賃金、基準外賃金に通常の超過勤務手当等のほか、基準法上認められたような各種の手当が入っておりますが、そういうようなもの、それに加えて賞与がございます。大きく申しますとその三要素でございまして、さような観点で四十九年度のベースを申し上げますと、けさほど申し上げました十万九千円というのは、率直に言いまして、一般職というふうに私当時申しましたが、ほぼ労働組合員のことであります。それ以外に管理職がおります。管理職の分を加えたものが給与の総額でございます。給与の総額の中に入っております管理職、特別職、これらを総体で申しますとほぼ二千七百人おります。これらのものが加算されて総体の数値が出てきておるわけでございまして、一人当たりの年額で申し上げますと、以上のものを入れて総合計で二百八十五万六千円に相なります。それに対して総人数は一万六千九百二十ございます。これらを合算しますと四百八十億ということに相なります。
  228. 土橋一吉

    ○土橋委員 これではっきりしてきました。つまり職制といわれる方々が、いまのお話のような数字から見まして、遺憾ながら——私はやはりNHKの労働組合、日放労の皆さんの給与を上げるべきだと思うのです。これはやはり少ないのですから、上げてあげなければいけません。と同時に、上の方にはあまり厚くしない、上は薄くして下に厚く、底を上げるという基本方針をとるべきだと思うのです。これは会長さん、よろしゅうございますか。会長さんだから何百万も取るなんということじゃなしに、やはり労働者の全体から見て給与その他のものを考えなければいかぬと思うわけです。  さて、それよりももっと低いのはこれなんです。いま申し上げた七つの組合ですけれども、この方々はNHKの仕事をやるためにNHKの方と同じような仕事をやっていながら、会社であるとか別の法人であるということで給与は低いわけですね。低いほかに、あなたのほうではいろいろな仕事のそれを押しつけていらっしゃるということはどうですか、いろいろな仕事が出てくるわけですよ。たとえばNHKサービスセンターは、新しいホールができたから、今度ホールの切符とかホールへ案内をするとかあるいはホールの宣伝をするとか、そんな余分な仕事が加わっておるわけですね。そういう仕事は加わっておるけれども、給与は依然として放送局につとめておる方よりは二割方低い、こういう状況にあるわけです。プリントセンターなんかもそうです。出版協会もそうなんです。特に美術関係は、従来NHKのやったもののほかに、ほかのところからも仕事を受けなさい、あなた方はこういう指示をしておられるけれども、この内容を読んでみると、そういうところに出向した職員は再びNHKへ就職をしたという気概でやりなさいということまでまた指示していらっしゃるところがあるわけですね。そうしますと、そういう方々が仕事の量がふえてきて、しかも同じような職場で同じように働いていながらNHKより給与が低い。と同時に、健康保険に入れてくれないというわけですよ。ここ十二年間の闘争をしておるけれども、一向にやってくれない。これが一つの大きな問題であります。私は、NHKの健康保険の問題についてどういうふうになっているかと思っていろいろ読んでまいりますと、東京都の健康保険関係の方々も、大体NHKさんがやってくれたらいいんだというような意向のようなものを漏らしております。それから各センターの幹部の方々も、NHKさんがこれについて努力してくれ、そうすれば私どもも非常にいいんだ、こういうふうに要請されているわけです。これが最近四年間のいろいろな経過をみなここに書いておりますが、私ももっともだと思うわけですね。でありますので、この外郭団体の方々をNHKが健康保険に入れてあげて、そして給与を上げるということ、こういう面について積極的な姿勢を示していただきたいと思いますが、会長さんどうでしょうか。
  229. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま申されました諸団体は、それぞれ独立の事業体をなしております。独立の事業体をなしておれば、その事業体それぞれが自己の発展を考え、それによって給与問題その他健康保険問題等も扱うのがこれが通常であります。いろいろそういう要望も聞いております。気持ちとしてはわかるのでありますけれども、これは事業体の独立自主を傷つけるものではないか、私はかえってそのように考えておりますので、NHKがここでなさなければならないことは、健康保険加入を認めるとかどうとかという問題ではなく、関係諸団体の発展向上についてNHKがなし得る限りの努力をしてあげることが先決であろうと思います。あとの問題は、それぞれ自主独立の事業体の面目を発揮されて善処されることが、これが好ましい方向ではないか、かように考えております。
  230. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 一時間五十分経過いたしましたので、結論を急いでください。
  231. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間がありませんので……。  いま仰せになりましたことは、それは一応表街道としては筋の通った説明だと思います。しかしながらあなたもよく御承知のように、これらの会社はほとんど株式会社で、放送出版協会にいたしましてもあるいはサービスセンターにいたしましても、その幹部の方々が全部NHK出身の方であります。そうして、NHKの仕事の内容も十分心得て、そして別会社、別の法人をつくっていらっしゃるわけです。そうして、それが給与が二割程度低い。そしてあなた方は、別になったんだから別の考えでおやりなさいということをいま仰せになったけれども、しかしこれらの団体はすべてその仕事の大部分はNHKの仕事をしておるわけです。ほかの仕事をしておるんじゃないですよ。たとえば美術センターにいたしましても、多少の、それはたとえばほかの放送局からの依頼もあるでしょうけれども、全体が要するにNHKの仕事を中心にやっておるわけですね。そうすれば、いまおっしゃったようなことは、それは何も知らない人には通るかもわからないけれども、実際のNHKとこの外郭団体というものはそういう筋では通らないところを持っておるわけですよ。これはあなたもお認めになりますか。つまり、雇用関係は、なるほど別の法人態形をとっておるけれども、仕事全般はやはりNHKの仕事をやるし、NHK自身にかわってNHKを代表しておるわけでしょう。その大部分の仕事が、NHK自身がいろいろな業務をやるたびにそれらの団体にはいろいろな形でもって仕事が入ってくる。とてもじゃないが、ほかの放送局の仕事をやるなんていうところまできていないわけだ。これは美術センターもはっきりそういうことをしておる。独立してやりなさいやりなさいといったって、たとえばイタリアオペラが来た、さあやれ、というわけでイタリアオペラを専門にやるわけだ。これはほかのほうを受けようったって受けられない。今度は「北の家族」のここのところをつくってくれといわれれば一生懸命やらなければいけない。また「勝海舟」だというんで勝海舟のいろいろなものをつくっている。とてもじゃないが、そんな器用なことはできませんよ、あなた。そういうことを知っていながら、このような態形をとって低賃金に置くというのは一体何事ですか。これは、先ほど申し上げたように、放送法第九条の規定によっては、ちゃんと、そういうこともやりなさい、できるだけ努力しなさいと書いているじゃありませんか。それを別会社をつくっておいて、そしてどんどん締めつけをするという体制はけしからぬじゃございませんか。第九条違反じゃないでしょうか、会長さん。第九条は、ちゃんとあなた方の仕事を書いておるんですよ。放送番組上必要な文芸、音楽その他についてもいろいろ配慮せいとか、出版をせいとか書いておるじゃございませんか。いかがでございましょうか。そうすれば当然NHKのために一生懸命努力されているこの方々、たとえばNHK学園もそうですよ、NHK学園の先生方だってみんな努力されておるんですから、当然給与の体系とかあるいは健康保険についても御尽力をくださることが必要だ、かように私は信じて疑わないわけです。ですから、きょうここで決着はつかぬでしょうけれども、積極的に前向きでこの問題についても善処せられるように、また大幅賃金、労働条件の問題についても最大の努力をしていただいて、要するにそこへ金を相当入れなければならない。ぜひひとつお願いしたいと思うが、いかがでしょう。
  232. 小野吉郎

    小野参考人 いまの七つの団体がNHKNHKの業務の関係についてきわめて緊密であり、非常な重要な部門を占めておることは、これは事実そのとおりでございます。それゆえに、一方にはNHKが直接そういうことに当たらないで別の事業体をもってやることに大きな意義もございます。そういう面で独立の事業体になっておるわけでございますけれども、いい面は本体へすがればということでは、私はかえってこれは独立を害すると思いますし、むしろ、そうであればこれは全部NHKが直営したほうがいいんじゃないかと思うのでございますけれども、その直営よりも、別事業体で存分に活躍するところに意味があるわけでございますので、われわれとしては、前向きに、積極的にそれぞれの事業体が健全に発展していけるようなあらゆる努力をするということがたてまえであろうと思いますので、その意味における前向きの検討はいたしてまいりたいと思います。
  233. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に、郵政大臣、いまお聞きになりましたような諸問題については、積極的に日本放送協会についていろいろ指導といいましょうか、あるいは協力を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  234. 原田憲

    ○原田国務大臣 私どもNHKに対して差し出がましいことは言えないということは、先ほどあなたみずからお取り消しになった問題等もございますから……。  ただ、いま聞いておりまして、私も大体好きなんですよ、音楽とかなんとか、自分はわかりませんけれども。そういう人たちが平均年齢五十近くなってくる、若い下からどんどん突き上げを食らって仕事場が減ってくる。そういう人たちがどうしてやっていくかというようなことについて、長い職場であったものが、NHKで一本でいけたらよろしいけれどもNHKNHKとしてなかなか一本でいけない、新しい人も入ってくるというような問題、いろいろな問題があると思います。それはここでなかなかこんな短い時間で、やりとりを聞いておりまして、私どもはかり知れざる問題があると思いますが、要はその人たちが心配がないように、何とかいけるようにということは、NHKさんたちもいまよく考えて交渉する、こうおっしゃっておりますから、私からもそのように望んでおきます。
  235. 土橋一吉

    ○土橋委員 ありがとうございました。終わります。
  236. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は明七日木曜日、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会