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1974-02-28 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十八日(木曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 加藤常太郎君 理事 梶山 静六君    理事 金子 岩三君 理事 羽田  孜君    理事 阿部未喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       今井  勇君    越智 伊平君       大石 千八君    久保田円次君       志賀  節君    高橋 千寿君       坪川 信三君    楢橋  進君       西村 英一君    村岡 兼造君       金丸 徳重君    久保  等君       平田 藤吉君    大野  潔君       小沢 貞孝君     ―――――――――――――  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ッ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     楢橋  進君   園田  直君     今井  勇君   中馬 辰猪君     越智 伊平君   長谷川四郎君     大石 千八君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   今井  勇君     園田  直君   越智 伊平君     中馬 辰猪君   大石 千八君     長谷川四郎君   楢橋  進君     小沢 辰男君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま上程されている郵便貯金法の一部を改正する法律案審議にあたって、それと関連があることについて若干質問をいたしたいと思います。  去年の十二月十日から一月十二日の間、六カ月の特別の定期、六・二五%の金利の特別の定期募集することになりました。この募集成績はどうであったか、これが一つであります。そのときに、特別定期郵便貯金に関する貯蓄奨励手当の支給、これはどういう率でどういうように出したか。その二つにいて御答弁をいただきます。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 たいへん具体的なお尋ねでございますから、政府委員から答弁をいたさせます。
  5. 船津茂

    船津政府委員 先生お尋ねの、去年十二月十日からことし一月十二日まで売り出しました郵便特別定期貯金半年ものでございますが、この成績は、当委員会におきまして、予測といたしまして六百三十億ほど出ようかというようなことをお答え申し上げた覚えがございますが、成績といたしましてはほぼ二倍の、件数で五十九万八千件、金額で一千二百七十四億円、こういうふうな売れ行きでございました。またこの半年特別定期貯金募集手当でございますが、お尋ねの点は、募集金額の千分の二の募集手当を支給しております。  以上でございます。
  6. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、予定の六百三十億の倍にもなって、千二百億になったのでいいことですが、私は、これはやはり国民の金を吸収してインフレを何とか食いとめようという政策目標を掲げられての特別な定期貯金だったと思います。しかるにその手当が千分の二ということは、一般のものは千分の三を出しているんじゃないですか、私はこまかいことはわからないが、その手当が千分の二に落としてあるということは政策目標とは必ずしも一致しない。片方で千分の三を出しておるならば、これは千分の四も出して大いに資金を吸収しよう、こういうぐあいにいかなければならないはずだと思うわけです。その辺どうでしょう。
  7. 船津茂

    船津政府委員 お答え申し上げます。  現在、制度としてございます郵便定期貯金一年ものでございますが、これはまあ定期貯金に比べましたら微々たるものでございますけれども、この募集をしていただきます場合には千分の三の募集手当を支給しておる現状でございまして、この年末からほぼ一カ月間売り出しました特別定期貯金は実は半年ものでございますので、その半年というところに着目いたしまして、一年ものの千分の三に比較いたしまして千分の二、こういうことで策定いたしまして、両組合とも了承を得た次第でございます。
  8. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは十万円で幾らになりますか、二百円ですか。
  9. 船津茂

    船津政府委員 お答えします。  十万円で二百円。また御参考までに申し上げますが、この特別定期貯金半年ものも売り出しましたのでございますが、大体一件当たり四十万から五十万と記憶しております。
  10. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 両組合了承を得たと言われるから、それで何も言うことはありません。ただ特定局簡易局あたり局長さんなんかは、これは郵政省のことだから命がけでやらなければいけないといって、おみやげを持ちながらあちこち飛び歩いて十口ぐらい、一日かかっておみやげ持って飛んで歩いて十万円のやつ十口で百万円か、百万円としたところで二千円にしかならぬわけであります。おみやげ代にもならぬわけであります。これは両組合はそれでいいかもしれませんが、簡易局長あたりが一生懸命で山奥をかけずり回って歩いたのに対して、百万集めてたった二千円。おみやげ代にもならぬようなことでは、これは私はほんとう政策目標とは合致しておらない、こういうように考えるわけであります。そういうときに、こんなわずかな手当でどうするかといって局に聞いてみたら、局員はこう言うんだそうであります、いやならやらなんでおけばいいじゃないか、こういうようにさえ言っているというわけであります。ひとつこういう点は今後注意をしていただきたい、こう思います。
  11. 船津茂

    船津政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、特別の施策、総需要抑制施策でございまする点にかんがみまして、幾らか私のほうの配慮も足りなかったかと存じます。今後そういう施策につきましては特別の手当てをすべきではなかろうか、こういうふうに考えます。
  12. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 去年の暮れに、インフレ対策上緊急だから、郵便貯金法の一部を改正する法律案が去年の十二月幾日かに上がりました。百五十万を三百万にする、こういうのであります。それからまた、いまのは政令だけでやったと思います。こういうものを末端の局にまで周知するのにどういう方法を講じたか。私は確認をしておりませんが、伝え聞くところによれば、ポスターでも何でも間違いのないように、間に合わぬからおまえのほうで書いて公示しておけ、こういう通達のようであります。われわれは、国会において一日も早くこれを議決してもらわなければインフレがおさまらぬ、よしきた、それじゃ徹夜ででもやろうじゃないか、こういうことで一生懸命でやったあの生活関連法石油関連法と同じであります。その一環として徹夜審議をしてやった。ところがそれを執行する当局側は、間に合わぬからおまえのほうで書いて適当に張り出せ、こういうようなことをやっている、こういうわけであります。われわれが徹夜でやっているにもかかわらず当局側はそういうことをやっているということで、末端では憤慨するばかりではなく、われわれも、何もあわてて協力して審議する必要はちっともないじゃないか、こういうことを痛感をしたわけであります。どうでしょう、どういうような周知徹底のしかたをしたか。
  13. 船津茂

    船津政府委員 先生指摘のような事実が実はございましたのでございますが、貯金局郵政省といたしましては、十二月の中旬に、全国紙を含めまして四十三紙に特別定期貯金のこと及び総額制限額の引き上げのことその他織りまぜまして掲載いたしました。またポスター、チラシ等調製いたしまして配布いたしましたのでございますけれども、何ぶんにも緊急な事態でございまして、末端全国二万余の局全部に実はタイムリーには行き渡りませんで、御指摘のような手書きのポスターとかチラシでこれを周知する、局前掲示したりなんかした事実がございますのでございますが、ひとつ、何ぶん急いでおりまして間に合わなかったということで至りません点を、せっかく先生方の御審議をいただきながらそういうことでございました点をおわびしたいと思います。
  14. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、いま十万を二十万にしようというのは、いま委員長をやっておられる廣瀬郵政大臣が非常な熱を燃やして創設されたわけであります。ただこれが予定の額まで消化されておらない、貸し出しがいっていないということは、たぶんきのうあたりどなたからか質問があったと思います。それに関連して私はお尋ねをしたいわけなんだが、何々郵政局はどのくらい貸し付けろ、貸し付けワクはこのくらいだぞ、こっちの郵政局はこのくらい貸し付けろ、ワクはこれだけだぞ、それが末端の局へ来て、まだ貸し出しが足りないじゃないか、ハッパをかけろ、こういうようにしてやってはしないか、その点を……。
  15. 船津茂

    船津政府委員 お尋ねのこの預金者貸し付け制度はいま一年ちょっとたっておりますが、現在いまだに制度周知普及というものに力を入れている段階でございまして、郵政局ごとに何件、金額はどのくらいであるという、その規模に応じまして本省から割り当てを示す、目標貸し付け制度利用に関しまして割り当てをするというようなことはございません。ただ郵政局ごとに、個々の郵政局がある地況の同じような場合に、ある局ではこういうふうに周知して全額払い戻しを防止して預金者貸し付け利用していただいている実態その他を一応のめどとして、こういうふうな利用の幅もあるぞというようなところを利用の少ない局あたりに教えるというようなことはやっておると、こういうように考えております。
  16. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これもやはり成績表と同じように、預金者貸し付けがこれだけ進んだぞとグラフでもかいて一生懸命ハッパをかけるわけですか。大体私は、預金をしてある人というのは、自分の金をおろして使ったほうが借金よりはいいぞ、こういう心理を持っているから、なかなかこの制度は最初考えたように思うようにはいかないと思う。今度二十万円にふやしたらどんどん出るかといったって、そうは必ずしもいかないと思う。これはそうだと思います。それを上から、何々郵政局はまだ貸し付け状況が悪いじゃないか、この制度せっかくつくったけれども、フルに動いちゃいないじゃないか、こういう成績一環としてハッパをかけていはしないか、こういうことです。これは郵政大臣、大事なことなんですが、そういうことまでして無理して貸し付けなくもいい。特にインフレ時代においてはそんなもの貸し付けないほうがいい。それを無理やり割り当て貸し付けを一生懸命でやろうと、こういうようにしているようであります。末端では、われわれのところはまだワクを突破しない、借り手がない、しようがないから自分がかわりに借りて、何とかそっちのほうへ顔を立てなければいけない、こういうことを末端においては実際にはやっているようであります。どうですか。
  17. 原田憲

    原田国務大臣 前者のお尋ねの点につきましては、私は、委員皆さん方予算審議の間を縫って特別な配慮を願って逓信委員会出席をさせていただいて、法案審議を急ぎ、お話のごとく百五十万円を三百万円に拡大することを国会の議決を得ました。また特別半年ものの定期預金につきましても政令をもって施行いたしまして、お話のようにこれは私どもが考えていた以上の成績をあげておるということでございまして、この基本的な皆さんの方の御審議によりまして、御協力によりましてこのことが成果をあげておるものと考え、感謝をいたしておるところでございまして、なお一そう行き届かぬ点につきましては、お話のありました点に十分留意をしながら今後もつとめてまいりたいと存じます。  なお、いま提案をいたしておりますところの法案内容につきまして、いままでの実績等を勘案するときに、これを無理をさせてやるということがないようにというお尋ねであろうと思います。制度が出発いたしました際には、それをほんとうに生かすために、先ほどお尋ねの、十分にやっておるつもりでも足りないという点が御指摘されるほどみな真剣になるものでございまして、中には御指摘のような点があるかとも、ないとは私申し上げられませんが、十分先生のおっしゃっておる点にも留意いたしまして、この制度を十分活用していくようにににつとめさせていただきたいと存じます。
  18. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ、その件はそれでやめまして、この間大蔵委員会で可決して、直ちに本会議にかかりました割増金付貯蓄に関する臨時措置法案、これが通りました。郵政省においてもこれと同じことをやろうとしておるかどうか、やるとするならばいつからどういう中身でやろうとしておるか、郵便貯金についてもこれと同じことをやろうとしておるか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  19. 原田憲

    原田国務大臣 これは私のほうがやろうとする場合には、法律はすでにございますので、法律提案するという手続は必要がないのでございますが、この問題につきまして、預金を集めるという多様化の中での手段一つとして復活さして、利子の中で、くじ引き的に多く当たるというものをこしらえようということをやるかどうかということにつきましては、昨日もそれはやめたほうがいいんじゃないかという御意見もございました。そういう御意見のあることを十分踏まえながら、なお慎重に検討をさしていただきたいということを申し上げておるところでございます。  なお、足らざるところは、具体的には局長のほうからまた答弁させます。
  20. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは大臣、まだやるかどうか、やめたほうがいいという意見があったから検討中、まあ要約すればそういう答弁でありました。しかし、民間のほうでこういうことをやろうというときに、郵政省貯金のほうはやらぬでいて実際は済むかどうか、これはやる方向はきまっているわけじゃないのですか。もう一回お尋ねをしたいと思います。  それからやる方向がきまっているとすれば、例の一等一千万円、あれと同じような方法でやろうとしているかどうか、その点……。
  21. 船津茂

    船津政府委員 割り増し金つき定額貯金というものの制度がございまして、戦後から行なわれまして三十九年まで実は売り出したわけでございます。その後中止しておりますが、貯金法の五十五条の二にまだその規定が残っておりまして、省令を公示すれば、われわれのほうでも民間がやるならばそれと同じようなものが売り出せ得るわけでございます。実は民間のほうの動向あたりを冷静に見ながら、やはり大臣答弁のように、貯蓄手段多様化の中の一環としまして、物価鎮静、総需要抑制をはかるために、この方法民間がやるならば郵政省もこれと大体同程度の種類のものを売り出すことになろうかと存じます。
  22. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 貯金局長大臣で、大臣局長みたいな意見だな。大臣はこれからやるかやらぬかまるで白紙で検討するみたいにもかかわらず、局長のほうがまるで大臣より上でもって、やるような方向答弁があったんだが、これは主客転倒みたいなんだが、これは大臣どうなんだね。
  23. 原田憲

    原田国務大臣 主客転倒というより、事務局というのはいつでもどんなときでも応ずる体制というものをとっておくのがつとめでございます。この問題について昨日も同じような場があったわけです。ぼくは記憶違いかとも思いますけれどもと言ったのは、小沢さんきのうはおいでにならなかったのですが、小沢さんは、大いにこういうほうを考えたらどうだというお尋ねが一ぺんあったかとも思ったのですが、いろいろな意見があるわけです。こういうときに思い切った方法はどうだ……。しかし大蔵委員会で出ました結論を見ますと、これは自由民主党は賛成、野党は全部反対、これは結論を出すことですから、党としてのなにが明らかになったわけでございます。その中で、それを受けとめまして私どもは御意見があるところも伺いながら検討を進めていこう、こういうことでございますから、民間のものがやっておるから郵政もやらなければならぬということでは理屈上はないけれども、やはりおのおのごひいきということばが当てはまるかどうかわかりませんけれども郵便局利用しておる中にも、民間がやっておるならやったらどうだという意見も相当あるのではないか。この問題が起きましたときの調査等新聞世論等で見ましても、五五%くらいはやったほうがいいというようなことを考えておる人たちも多いようでございます。これらを十分検討して進めていきたい、こういう腹づもりのことを申し上げた次第でございます。
  24. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私たちは、大蔵委員会のほうの割増金付貯蓄に関する臨時措置法反対であります。そのとおりであります。われわれは、それよりはこっちの郵便貯金に対して定期性のものにちゃんとスライド制を設けて、物価の激しいときにやはりみんな国民がくっついてくるように、こういうことが好ましいと思うのです。一千万当てる夢でもってみんなかき集めるようなことは必ずしも好ましいとは考えません。それにつけても、いまはいずれにいたしましてもインフレ鎮静させるためには貯金をありったけ集めなければいけない、そういう目標においては私はもう全面的に御協力をいたしたいと思いますが、そのためには、冒頭に申し上げたように手当もしっかりつけてやっていかなければいけない、こう思います。それは要望であります。  それともう一つは、貸し出す金をたくさん出そうという方向インフレ鎮静政策目標とは必ずしも一致しないのではないか、こう思いますから、無理して割り当ててノルマをかけてやるようなことはひとつやめてもらいたい、こういうことを要望して質問を終わります。
  25. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  26. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。     ―――――――――――――
  30. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてはおはかりいたします。  すなわち、本件の審査が終了するまで随時参考人として日本放送協会当局出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  33. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 それでは郵政大臣から提案理由説明を聴取いたします。郵政大臣原田憲君。
  34. 原田憲

    原田国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十九年収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について、概略を申し上げます。  事業収支におきましては、経常事業収入は前年度に比べ七十二億二千万円増の一千二百六十億七千万円、経常事業支出は前年度に比べ百七億九千万円増の一千三百六億二千万円となっております。  その結果、経常事業収支におきまして四十五億五千万円の赤字となっておりますが、前年度予算において保留した事業安定のための資金三十四億九千万円を使用する等して事業収支全体の均衡をはかっております。  資本収支におきましては、中継局建設放送設備整備等のための建設費は、百四十億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送及びラジオ放送全国普及をはかるため、放送網建設を行なうこと、テレビジョン放送及びラジオ放送番組内容充実刷新を行なうとともに、教育、教養番組利用促進につとめること、積極的な営業活動を行ない、受信契約者維持増加をはかること等となっております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  35. 廣瀬正雄

  36. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和四十九年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対し、厚くお礼申し上げます。  協会昭和四十九年度の事業運営につきましては、社会、経済情勢に即応して、極力業務の効率化を推進し、テレビジョンラジオ放送全国普及につとめますとともに、すぐれた放送を実施して、国民要望にこたえ、国民生活充実向上に資するよう努力する所存でございます。  次に、そのおもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画でございますが、テレビジョンにつきましては、受信者の要請にこたえて難視聴地域の解消をはかるため、二百地区にテレビジョン中継放送局の建設を完成し、百二十地区の建設に着手するほか、辺地において共同受信施設を九百施設設置することといたしております。  一方、ラジオにつきましては、超短波放送局二十局の建設を完成するとともに、十局の建設に着手することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送は、テレビジョンラジオ放送ともに、番組内容充実刷新することとして、テレビジョンにおいて、総合放送では、内外の情勢に対応した新しいニュース番組及び幼児、青少年向け番組の開発を行なうほか、参議院議員通常選挙の放送等を実施することとし、教育放送では、カラー放送時間を一日一時間増加して、中学校向け理科番組等のカラー化の推進を行なうことといたしております。  ラジオにおいては、第一放送は、ニュース・インフォメーション番組の拡充と機動的編成につとめ、第二放送は、学校放送番組の刷新等をはかることとし、また、超短波放送は、その特性を生かした音楽番組の刷新をはかることといたしております。  また、国際放送においては、ニュース・インフォメーション番組の充実をはかるとともに、各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与することといたしております。  次に、営業関係につきましては、社会情勢の変化に即応した活動を積極的に推進することとし、聴視者の理解と協力を得るよう、協会事業の周知及び電波障害対策等受信の改善を積極的に行なうことといたしております。  これらにより、極力、受信契約者の維持開発につとめ、受信料の確実な収納をはかることといたしております。  調査研究につきましては、番組面において、国民世論調査、番組聴視状況調査等、技術面において、放送技術分野の開発研究、カラーテレビジョンの改善研究、放送衛星に関する開発研究等を積極的に実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、業務全般にわたり、効率化を積極的に推進して、経費の節減につとめるとともに、企業能率の向上をはかることといたしております。  また、業務の効率化により、要員数を前年度どおりとし、給与については、適正な水準を推持するよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げます。  事業収支につきましては、収入において総額一千三百九億四千五百万円を予定いたしております。昭和四十九年度における受信契約者の増減につきましては、カラー契約において二百四十三万件の増加を見込み、普通契約においては、カラー契約への変更等により百七十六万件の減少、契約総数において六十七万件の増加をはかることとし、年度末における契約数を、カラー契約二千九十四万二千件、普通契約四百四十二万件、契約総数二千五百三十六万二千件と予定し、これによる受信料収入を一千二百二十九億四千百万円と予定いたしております。  また、国際放送関係等の交付金収入二億八千八百万円、預金利息等の雑収入二十八億三千八百万円を計上するほか、特別収入には四十八億七千八百万円を予定いたしておりますが、このうち、前年度予算において使用を繰り延べた事業安定のための資金の受け入れ三十四億九千三百万円を計上いたしております。  これに対する事業支出は、総額一千三百九億四千五百万円を計上し、国内放送費をはじめとする事業運営経費、固定資産の減価償却費、支払い利息等の財務費、固定資産売却損等の特別支出及び予備費に充てることといたしております。  次に、資本収支は、支出総額百九十五億八千六百万円で、建設計画の実施に百四十億円、放送債券等債務の返還に四十七億円、放送債券償還積み立て資産の繰り入れに八億八千六百万円を計上いたし、これらの財源として、減価償却引き当て金、資産受け入れ等百五十三億八千六百万円のほか、外部資金の借り入れ四十二億円を予定しております。  以上、昭和四十九年度日本放送協会収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活の向上に放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたし、この重大な責務の遂行に一そう努力する所存でありますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞすみかに御審議承認を賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
  37. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。
  38. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。志賀節君。
  39. 志賀節

    ○志賀委員 ただいま提案になりました日本放送協会昭和四十九年度収支予算並びに事業計画及び資金計画をめぐって質問をいたしたいと思います。  ただいまも郵政大臣からその提案理由がございます。その中に、この予算経常事業収支は四十五億五千万円の赤字であることを言っておるわけでございます。実態は赤字予算、見た目は均衡がとれておりながら実態は赤字予算、特別収入でその赤字分を補てんをしておるということになっておるわけでございます。昨年、本委員会におきまして、当時のNHK会長前田義徳氏が、向こう三カ年間を受信料の値上げをしないようにするために、内幸町の放送会館の売却費の一部を充てるというようなお話でございました。ただいまこの数字をしさいに検討いたしてみますと、約三十五億円の事業安定のための資金が、ほんとうは来年度まで繰り越して使われれば、私どもは非常に納得がいくわけでありますけれども、つまり明年度五十年度分まで一挙に、これを事業安定資金として本年度昭和四十九年度の予算案の中の特別収入として組み入れておられる。そういうところが、私はこの予算を拝見いたしておりまして非常に気になる点でございます。したがいまして、このすっからかんになってしまっている事業安定資金――さきにちょうだいいたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件というこの資料の中を拝見いたしますと、「債務返還金のうち八十七億円については、経済情勢の推移等に伴い、その実施を本年度に繰り越すこととする。」ということで、これをあたためておられることはわかるわけでありますけれども、しかしこれはあくまでも債務返済金という性格であります。そうすると、三十五億円が一挙に昭和四十九年度に使われてしまうと、残りはないと考えてもよいわけであります。そうしますと、当時の前田会長が言われました向こう三カ年間の受信料の据え置きということが一体可能なのかどうかという明年のことにも思いをいたさざるを得ません。特に受信料につきましては、昭和四十八年度予算審査に際しまして、今年度の増収見込みは八十八億円というふうにNHKは言っておられたし、ところが一方この予算では六十五億円ということになっておるし、去年とことしと環境の客観的ないろいろな変化があるにいたしても、いろいろおっしゃられたことと違いが感ぜられるわけであります。  そこで、向こう三カ年間受信料を据え置くのかどうか。据え置くとすればどういうふうにしてそれを据え置くことができるのか。据え置くことができない場合には、その数字等もあげて御説明をいただけると非常に幸いだと思う次第でございます。
  40. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま御指摘の点ごもっともな節が多うございます。前会長が当院におきまして、向こう三年間は値上げをしないと公約をいたしましたこと、事実でございます。これも全く根拠なしのそれではございません。しかし必ずしもこれは完全に経常収支における均衡予算が組めるということを前提としたものではございません。いろいろな客観情勢その他を考えまして、できるだけ受信料についての手入れは控えたいという意味合いにおきまして、将来三年間は値上げをしない、こういう公約をしたことは事実でございますし、私もこの公約は守ってまいりたいと思います。将来三年間と申しますのは昭和五十年度末まででございます。  一方経営の現状を見ますと、その当時とは事情が非常に異なってまいっております。御承知のとおり、その当時見込みました物価指数等の関係も大幅に変わってまいっておりますし、そういう面から申しますと、当時の予測よりも、人件費を除いた物件費等の関係で四十七億円のより大きいしわ寄せが来ておるようでございます。人件費等を加えれば非常にばく大な金額にのぼると思います。そういう困難な環境の中で公約を実施いたしますためには、いろいろな施策を用いなければならないと思います。その第一点は、できるだけ建設投資を必要最小限に抑制する、こういう努力が一つでございます。そのためには昭和四十八年度百七十億円の建設費の規模は三十億節減をいたしまして百四十億にいたしております。その結果はいろいろな影響が出てまいろうと思います。特に地方においては、最近新しく免許をもらわれた民放局に劣る機械設備をもって、これに良質なサービスをしていかなければならぬというくふうもしなければならないことに相なるでありましょう。また難視聴解消等につきましても、これはNHKが非常に重点施策一つとして取り組んでまいった問題でございますけれども、これも四十八年度並みの置局あるいは共聴の施設数を維持することができない、こういう状況にもなりまして、わずかではございますけれども、四十八年度二百二十局の置局は二百局にとどめ、共聴施設は一千十施設を九百施設に落とさざるを得ない。しかしこれはやはり問題を軽視しておるわけではないのでございまして、現在までに地元その他から陳情を受けておりますこれは、その数の中で優にまかない得る、こういう成算も持っております。  第二点には減価償却のあり方でございます。これは在来定率法をもって償却をいたしておったわけでございますけれども、財政の安定的展望の上に立ってまいりますと、年々その額が違う定率法よりも、同じ額が大体予定される定額のほうがすぐれておる、こういうような見地もありますし、かたがたそういう減価償却理論の上に立ってのあり方のほかに、いま当面のこの非常に困難な財政関係のそれを、できるだけ均衡予算に近くいたす努力の一端としてそのようなことも考えておりますし、またさらに事業の効率的運営のためには、切り詰め得る経費はできるだけ切り詰めなければなりません。  そういうことで、こういった社会環境の中できわめてむずかしいことではありますけれども、しかも在来相当な程度においてそういう節約努力をやっておりましたので、いまの段階では、通常ではなかなかそのようなことも捻出しかねるのでありますけれども、より一そうやはりそういう面にもできるだけの知恵をしぼらなければなりませんので、在来の既定費等の関係についても二十一億円の節約を期しております。  かたがた、そのようなことを総合いたしまして、形の上では均衡がとれた予算になっておりますが、御指摘のとおり田村町の土地建物売却益金のうち、将来の経営安定に資するために留保いたしました三十五億円、これは四十九年度、五十年度に分割配分でなく、四十九年度に全額これを投入せざるを得ないはめになったわけでございます。これはやはり経済界の激変のもたらす一つの影響でございまして、この一部をということになりますと、足らずは外部の資金を借り入れ導入しなければなりません。そのようなことを避けるためには一応四十九年度は全額投入もやむを得ない、こういうことで形式上均衡はとれておりますが、実質的には経常収支で四十五億の赤字である。  したがって、翌五十年度まで値上げをしないと約束をしたそれを果たしますために、一体五十年度はどうするのか、何の成算があるのか、お尋ねごもっともでありますけれども、現在的確に計数的に五十年度のそれを見通すことはきわめて困難でございます。困難でございますけれども、経営の努力を最高限に発揮いたしまして、五十年度におきましても私は料金面に手をつけないで何とか予算を組んでまいりたい。これは必ずしも赤字を出さぬで済む予算であることを約束するわけではございません。かりにそういう借り入れ金導入のような事態になりましても、これは値上げの問題を取り上げるつもりは五十年度まではございません。通常でいえばもう今日すでに料金関係の面に手を入れなければやっていけないような状況でございます。それかといって、まず第一に私ども考えなければなりませんことは、契約の開発努力を大いに進めまして経常の収入をふやすことでございますけれども、四十九年度におきましてもそれを一ぱい一ぱいに検討いたしました結果、むしろ地方の各部門から、来年度の見通しではこのくらいしかできない、こういうそれをさらに叱咜いたしまして、それに上のせした数字をのせた収入額が六十五億でございます。前回、八十億余の増収が見込まれる、こういうことを言ったじゃないか、こういうような仰せでございますけれども、これは一応の取りまとめとしてそのような期待の額としてはあげておりましたけれども予算に計上する額としてそういう金額を現在予定することはきわめて危険でございます。そのような状況から見ますと、四十九年度予算でも収入の伸び率は五・六%、きわめて低うございます。しかも支出の面では、いまの客観情勢の中でどうくふうをし、努力をいたしましても、九%の伸びはこれはやむを得ない最低限の数字だろうと思いますので、その差額がやはり赤字予算という形になりますし、それを赤字予算にしないために、幸いに持っておりました将来保有資金の三十五億すべてを投入し、十億はほかの方面から捻出いたしまして、いわゆる特別収入からその不足分を補てんして均衡をとったというようなことでございます。この際、ばく然としてではございますけれども、五十年度も前会長の約束をいたしました料金の値上げには踏み切らない、こういうそれはできるだけ守っていきたい、かように考えております。
  41. 志賀節

    ○志賀委員 五十年度も受信料は値上げしないという前田前会長の方針を踏襲なさる、かように承ったわけでありますが、私はそのお約束はお約束としてお守りになさることはまことに当を得たことだと思うわけであります。しかしながら、やはり事は手品ではございませんので、少なくとも私の承知している数字で申しますと、受信料の伸び率は、なるほどNHK御当局は非世帯契約の推進とか、あるいは未契約の解消の面で一生懸命おやりになっておられる。いまのお話がございました。負担の公平という面からこれは絶対にすべきことでありますけれども、それでもなお受信料の伸び率は、四十七年度から見ましても、四十七年度一〇・六%、四十八年度六・八%、四十九年度が五・六%というふうに漸減の傾向にございます。また、ただいまもお話がございましたように、事業支出の面は毎年増加の傾向にあって、四十九年度が九%、こういう傾向が大体今後も続くと見通していいのではないかというのが常識的な判断でありますけれども、そうしますと、ことしは何とか約三十五億の内幸町の不動産を売却した分、その他の不動産等々の売却分で四十五億の穴埋めはできた。そういうことが今後なかなか見込めないとすれば、借入金ということにならざるを得ないと判断するのが常識論だと思います。しかしながら、経営の健全な姿というのは必ずしもそういうものではない、これはもう私から申し上げるまでもございません。特にNHKの最も大事なことは、やはり自主性、独立性、そういう公共性にあるわけでありますから、何らかの負い目を持つようなものであってはならないと考えるわけであります。  そこで、やはりNHKの基盤というものは受信料収入になければならない。そこで借入金にたよるか、あるいは受信料を上げるかという、極端に言えば二者択一しかない。もちろんそれ以外に番組の程度を落とすということはございます。そういうことはありますけれども、いままでの説明の中には番組を充実するということがうたわれておるのでありますから、このことは考える必要はない。さすれば借入金によるか受信料を値上げするか以外にないんじゃないか。ちなみに、これは私が調べた結果でございますけれども昭和四十年十月から四十三年十月までの間の一カ月間の新聞購読料、これは朝日、毎日、読売のような中央紙でありますが、これが五百八十円、それから四十三年十一月から四十四年十月まで六百六十円、四十四年十一月から四十六年三月まで七百五十円、四十六年四月から四十八年六月まで九百円、四十八年七月から一千百円になってきておる。この間NHKの受信料はずっと据え置かれておると申してもいいわけであります。四百六十五円に対して最初の五百八十円は一・二四倍に当たります。それから現行の千百円という新聞の一カ月間の購読料は、四百六十五円に対して二・三六倍に相当するわけであります。これはちなみに新聞というものが同じマスコミという性格を持っておる点から例としてあげたわけでありますが、それ以外にも、われわれがちょうだいしておる日本放送協会昭和四十九年度収支予算事業計画及び資金計画に関する説明資料の一二ページには「公共料金等の値上りの状況」というような対比等が出ておるわけでありますが、そういう面からも私は今後受信料の値上げというものはやむを得ないという考え方もいたしておるわけであります。どうか、ただやむを得ないからというので放漫なことにおちいらないように十分にこの点を検討して、配慮をして、しかもNHKの本来のあり方をくずさない、よそから金を借りたことによって自主性、独立性というものをかりそめにも失ったり減らすようなことはないように、そういうことを希望する次第でございます。その点に関しての会長のお考えをお述べいただきたいと思います。
  42. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘のとおり、NHKの経営は一つの大きな曲がりかどに参っておろうかと思います。かと申しまして、サービスを低下すべきではございません。これは絶対にやるべきではないのでありまして、放送によって国民の負託にこたえるNHKの使命はますます重大を加えつつありますので、この面については強化こそ必要であれ、決してこれを縮小するようなことはやってはならないと思います。そのために昭和四十九年度も、四十八年度の前年に対して番組費が伸びておりまして、この苦しい環境下におきましても、また財政下におきましても、二一七%が三・三%、〇・六%の増をはかってございます。そういうような状況でございますので、この辺の努力を大いにいたしますと同時に、やはり不足が来れば借入金――借入金でやるのもこれは限度があろうかと思います。いわんや現下の経済安定措置の一環として強力な金融引き締めもやはりございましょう。安易に調達できるような情勢でもないと思います。いつの日かやはり料金面に手を加えなければならぬ、こういう時期があろうかと思います。と申しますのは、今日、契約の状況は顕在契約において九〇%をもうすでに把握しておますし、いわんや、そこでいろいろなまだ未捕捉のものがあるじゃないかということを言われるのですけれども、それはものを固定的に考えますとそうでございますけれども、やはり年間三百万件くらいの契約はとっておるわけでございます。それがいろいろな事由で、御移転になるとかいろいろな状況で二百数十万の件数が契約から脱落いたしまして、純増が来年度では六十七万件、こういうことになっておりますが、そういう潜在の契約対象を考えますと九七%ぐらいは把握しておる、こういうことも申せるわけでございます。ということは、テレビがもう非常に普及をいたしまして、財源としては多くを期待できないという趨勢は否定できないと思います。カラー契約にどんどん転換する最盛期にはそういうようなことも考えられたのでありますが、今日すでにカラー契約自体が全体の中で七五%を占めております。明年度末になりますと八二・五%、非常に高率な普及を示しております限りにおきましては、収入面ではどう努力してももう畑があまりないというような状況でございますので、そうだとすれば、その不足は借り入れ金によるかあるいは料金調整でございましょう。借り入れ金が安易にいつまでもいつまでもそれだけで依存できないとすれば、やはり料金調整ということにも手をつけなければなりません。ただ、これも漫然とはできませんので、私は、いま曲がり角に来たNHKの経営は、あるいは膨張主義よりも非常な集約の時代に入っておるのではないか、経営の効率を最大限に発揮する責務があろうかと思います。そういうことと並行して料金調整が初めて是認されるのではないか。そういう努力を重ねつつ事態に処してまいりたい、かように考えております。
  43. 志賀節

    ○志賀委員 次に、昨年の内幸町の不動産の売却をされたもののうちの百二十億円を全額NHKが出資されて、放送文化基金ができたわけであります。これは二月一日に発足をいたしまして、私のところにも理事長中山伊知郎先生、それから松本重治先生理事さんの一人でありますが、そういう方々の連名でごあいさつ状が来ております。しかしこの百二十億円も、もとをただせばNHKに対する国民の受信料、これが根本でありますから、この放送文化基金のいままでの経過あるいは今後の運営計画等についての国会における、すなわち国民に対しての報告義務とでも申しましょうか、そういうものが当然あろうかと思うのであります。この際、ただいま申し上げましたとおり、いままでの経過とそれから今後の運営計画等について簡単に御報告を賜わりたいと思うわけであります。
  44. 小野吉郎

    小野参考人 御説のとおり、百二十億円の放送文化基金への拠出は、これは受信者の方々から納めていただきました受信料の集積でございます。その意味合いから申しまして、受信者の御利益になるようにこれを還元して使わなければならないと思います。そういった面から、私どももこの設立にあたりましてはきわめて慎重な態度をとりまして、有識者十九名の方々をわずらわし、数度にわたりまして設立準備委員会を重ね、また特にそういった方面についてのいろいろなそういう問題を手がけておられます中山伊知郎先生とか商法の鈴木竹雄先生、この御両名の方には、過去大かた一年にわたって慎重に検討をお願いいたしました。前回当委員会におきまして、事業目的としてはおおよそこういうことを考えておると申しました、それをさらに練りに練っていただきまして、現在二月一日に設立認可を受けましたような事業目的に相なっておるわけでございます。もちろんこの問題につきましては、私どもは早急に輝かしい実績があがるとは思いませんけれども、NHKといたしましては将来にわたって非常に充実を重ね、輝かしい成果をあげまして、放送界全体のレベルアップに役立つような活動をいたし、それによって受信者の方々の利益に還元されることを大いに期待をしておるような次第でございます。
  45. 志賀節

    ○志賀委員 次に、昨今起きましたエネルギー危機と申しますか、石油危機をめぐって一、二申し上げたいわけであります。  一つは、このことによっていち早くNHKが、これは公共的な性格を自覚されてのことでありますが、放送時間の短縮を断行された。これは非常に大きな意義があったし、私はこの点に関して敬意を表しておるものでございます。このこと自体はまことにけっこうでありますが、ただ、このことで受信者のほうはどういうような反応があるのか、それも簡単に承りたいと存じます。
  46. 小野吉郎

    小野参考人 現下の情勢にかんがみまして、NHKは自主的に、やはり国の運命にかかわる問題について、民族の運命にかかわる問題につきまして、公共放送機関としての御協力を申し上げなければならないということから放送時間の短縮をいたしました。その後の経過を見ますと、おおよそ受信者の方々から、これがけしからないというような意味合いの非難はほとんどないように思います。大体におきましては共感を持っていただいておるようでございます。ただ条件としては、それによって運営費が節減できるんじゃないか、できればそれを、一体受信料をまけてくれるのか、どう還元するのかと、ごもっともなそういう鞭撻はございますけれども、時間短縮自体がけしからぬと、こういうそれは、むしろ逆に、現下の情勢で適切な措置だと、こういうような支持を受けておるような次第でございます。ただ教育放送の問題につきましては、教育テレビの十一時から以後、いろいろ外国語講座の有益な講座を開いておりましたが、それが打ち切りになっております。ここにはごく少数でございましょうが、私どもも胸の痛む非常に深刻なそれがありまして、いままで続けた勉学がほかの時間帯ではどうしてもできない、その時間帯でなければならない、それを奪われたんだということでございますので、これはできるだけ早い機会に何とか善処をいたしたいと、かように考えております。
  47. 志賀節

    ○志賀委員 この石油危機が始まる端緒となりました昨年十月の六日から数えて一週間後、十三日に私は日本を立って中近東、アラブ諸国に行ってまいったわけであります。かの地に参りまして、私は、かの地で生活をし仕事をしている日本人、主として商社の人間でありますけれども、この人たちと会うつど言われましたことは、NHKのラジオ・ニッポンと申しますか海外放送、これは一体何をしておるんだ、自分たちは日本人であるからNHKの情報を聞きたい、そういう渇望している気持ちであるのに、さっぱり自分たちの望みを満たしてくれるような放送はなされない、われわれはもっぱらBBC放送にたよっているようなありさまであって、日本人であるがゆえにNHKのふがいなさがまことに遺憾にたえないんだと、こういうことが何人かの日本人の口から私に漏らされたわけでございます。私は、さきに文化大革命の際にNHKのこの海外向けの放送が相当な評価を得まして、マスコミ界の栄誉であるボーン賞でありますか、これを獲得された、そういうことからも、ちょうどこのような石油危機の時代に、心を満たし得る、欠乏する情報を満たし得る、そういう放送をなされたならば、悪徳業者の考えとは全然別の意味での千載一遇の好機であったのではないだろうか。まさに千載一遇の好機をのがされて非常に残念であるという気持ちがするわけであります。しかし同時に私がここで考えなければならないのは、NHKは、先ほども申し上げましたようにその基本は受信料に置いておるわけでありますから、海外の人たちからは受信料を取っておらない。そこで、やはり国からそういう海外放送、国際放送に対しての十分な援助がなされてしかるべきではないか、かようなことを考えておるわけであります。この点に関して、郵政省の担当御当局から御意見を承りたいと思うわけであります。
  48. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 国際放送につきましては、御案内のように政府命令の国際放送と、それからNHKが自前でやります国際放送と合わせて一本でやっておるわけでありますけれども、政府命令の国際放送、非常にこれが経費面では十分でないということでございますので、財政当局とも最近再々話し合いまして、去年とことしで、それまでは一億四千五百万円あったわけでございますが、四十八年度と四十九年度の予定額、これで約一億だけ予算案が通りますと増額になる、こういう計算でございますが、ただ、それだけで十分かといわれると必ずしもわれわれは十分だとは考えておりません。
  49. 志賀節

    ○志賀委員 最後に私は、これは要望でございますから、御返事をいただけるならばちょうだいしたいし、必ずしも御返事を賜わらなくてもけっこうであります。  先ほども、諸物価変動のおりから、難視聴地域の対策をおろそかにするわけではないけれども建設費の面でこれを押えなければいけない関係上、中継局も昨年度は二百二十であったものを今年度は二百にするとか、あるいは共同受信施設を、昨年度は一千十であったのが今年度は九百にするというようなお話があったわけでありますが、私はそれはそれでNHKの苦しい財政状態もわかるわけでありますから納得がいくわけでありますけれども、どうかそれはそれとしても最善を尽くしていただきたい。  それから、この難視聴対策の、われわれがほとんど抜本的対策になり得るやもしれないという期待をつないでおりますのが、放送衛星の五十一年における打ち上げであります。この放送衛星による情報の自由、放送衛星からいろいろ情報が下界に下ってくる間に、これをできるだけ一地域に律しなければいけないというような考え方と、それをもう少し広く受け入れられるようにして当然じゃないか、情報の自由化を考えていいじゃないかという考え方と、二とおり国際的にあるようであります。特にアメリカに代表される自由主義国家では、その情報の自由のほうを認め、これを主張し、また言論統制を行ない、言論の自由を封じて、過般もソルジェニツィンを追放処分にしたソ連、このような共産主義とか社会主義の国家ではそれを律すべきだという考え方、この両者の考え方が対立しておるわけであります。われわれは自由主義国家で生活を営んでおり、また言論の自由を亨受しているものでございます。われわれは、この放送衛星からの情報が自由に得られるような、そういう方向を切望してやまないわけであります。どうか、そのような方向で、この難視聴解決とあわせてこのことを要望し、お願いして、私の質問を閉じたいと思います。
  50. 小野吉郎

    小野参考人 御説のとおり、私どもは、五十一年度打ち上げを目途としていま開発研究が進んでおります衛星の利用につきましては、できるだけこれを難視解消に役立てたい、かように考えております。  それといま一つには、衛星利用の状況下において番組編成の自主性をどう扱うかという問題が大きな問題でございます。御説のとおり、アメリカは非常に完全自由化、ソ連ではやはりかなりの制限を加えるべきじゃないか、国際的規制を加えるべきじゃないか、こういう意見があります。その中間にカナダ、スウェーデンといったようなものもございますけれども、いまの段階でなかなかこの問題が解決できる問題ではないと思いますし、当面はやはり衛星から各世帯がこれを直接受けるような事態にはならないと思います。これは相当先のことでございまして、そうでないとすれば、どこかの基地でこれを受けて、それを国内に流すわけでありますから、それは国の実情によってその基地から操作ができるわけでありますので、現在の段階としては、いわゆる分配衛星であるとすれば、そういう問題について衛星開発を足踏みすべき段階ではない、かように考えております。
  51. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は公報をもりてお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十六分散会