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1974-02-27 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十七日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 加藤常太郎君 理事 梶山 静六君    理事 金子 岩三君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       高橋 千寿君    坪川 信三君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       久保  等君    堀  昌雄君       平田 藤吉君    大野  潔君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ッ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省貯金局長 船津  茂君  委員外出席者         大蔵省銀行局金         融制度調査官  窪田  弘君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     渡辺 武三君 同月二十三日  辞任         補欠選任   渡辺 武三君     池田 禎治君 同月二十六日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     前田 正男君   村岡 兼造君     奥田 敬和君 同日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     村岡 兼造君   前田 正男君     高橋 千寿君     ————————————— 二月二十六日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号) 同日  簡易郵便局法等改正に関する請願(越智伊平  君紹介)(第二二九八号)  同外三件(近藤鉄雄紹介)(第二二九九号)  同(菅波茂紹介)(第二三〇〇号)  同外一件(竹中修一紹介)(第二三〇一号)  同外一件(水野清紹介)(第二三〇二号)  同(越智伊平紹介)(第二三一五号)  同(仮谷忠男紹介)(第二三一六号)  同外一件(三枝三郎紹介)(第二三一七号)  同(戸井田三郎紹介)(第二三一八号)  同外六件(山下元利紹介)(第二三一九号)  同(奥田敬和紹介)(第二三二四号)  同(服部安司紹介)(第二三二五号)  同(越智伊平紹介)(第二三四四号)  同外五件(大久保武雄紹介)(第二三四五  号)  同外一件(菅波茂紹介)(第二三四六号)  同外三件(瀬戸山三男紹介)(第二三四七  号)  同(森喜朗紹介)(第二三四八号)  同(村山達雄紹介)(第二三四九号)  同外一件(山田太郎紹介)(第二三五〇号)  同外一件(江藤隆美紹介)(第二三六五号)  同外四件(大石千八紹介)(第二三六六号)  同(越智伊平紹介)(第二三六七号)  同外一件(片岡清一紹介)(第二三六八号)  同外一件(瀬戸山三男紹介)(第二三六九  号)  同外二件(西村英一紹介)(第二三七〇号)  同外一件(八田貞義紹介)(第二三七一号)  同外五件(坊秀男紹介)(第二三七二号)  同外一件(渡部恒三紹介)(第二三七三号)  同(奧野誠亮紹介)(第二三九八号)  同外一件(瀬戸山三男紹介)(第二三九九  号)  同(田村良平紹介)(第二四〇〇号)  同(原健三郎紹介)(第二四〇一号)  同外一件(内海英男紹介)(第二四三四号)  同外二件(金子一平紹介)(第二四三五号)  同外五十一件(園田直紹介)(第二四三六  号)  同外七件(高橋千寿紹介)(第二四三七号)  同外二件(竹下登紹介)(第二四三八号)  同外一件(登坂重次郎紹介)(第二四三九  号)  同(羽田野忠文紹介)(第二四四〇号)  同(石原慎太郎紹介)(第二四八六号)  同(小坂善太郎紹介)(第二四八七号)  同外五件(正示啓次郎紹介)(第二四八八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号)      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します、阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今回の郵便貯金法の一部を改正する法律案の趣旨は、一の預金者に対する貸し付け総額制限を二十万円に引き上げようとする、そういう内容のものでございますが、現下経済情勢の中で、貸し付け金額総額制限が二十万円が妥当であるとした根拠について、大臣のお考えを承りたいのです。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 この貸し付け限度額の問題につきましては、これをやったのは廣瀬委員長大臣のときであったと思うのでありますが、阿部委員が御議論をされておりまして、その際に、現行十万円でございますか、その十万円の限度額についてお話がありまして、一応制度を出発させるということを一つの大きな目的とし、また、庶民事業というよりもさしあたりのお金が要るということに役立てるための新しい制度であるから、これを十万円で出発したいということで御理解を願っておるわけでございますが、そのときから議論がありましたように、十万円では少ないではないかという考え方からこれを増額しようということを考えておりまして、こう制度発足以来一年たちますので、最近におけるところの、いまもお話しの消費者物価の高騰や郵便貯金利用実態等を考慮いたしまして、当面倍額の二十万円としようとするものでございまして、なお今後ともこの問題については検討してまいりたいと考えております。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ばく然倍額の二十万円とおっしゃるのですが、いま大臣からもお話がありましたように、本制度発足の当時、委員長大臣でございましたけれども、その当時でさえ、わからないが三十万ぐらいは最低必要ではないかという意見が相当多かったわけです。にもかかわらず、初めて発足する制度であるからということで、いろいろ大蔵省との関係等もこれあって十万円で発足をしたのです。しかし、当時の経済情勢のもとにおいてさえ三十万円ぐらいはせめて必要ではないかという声が相当多かったわけです、それを十万に押えて発足させたのですが、その後著しい、いま大臣もおっしゃった経済の変動もある、そういうことを考え合わせてみますと、これはやはり二十万円というものを出す以上は何かの根拠があったものと私は思うのです。したがって、貯金局長のほうでけっこうですが、一年間この貸し付け制度を行なってきて、たとえば無記名アンケート等をおとりになって、これはどういう目的でお使いになるのでしょうか、あるいはどのくらいの額がほしいと思われますかというふうなことは、当然事務局としても御研究なさっておると思いますし、そういう結果に基づいて私は科学的な根拠による二十万円という数字が出たものと思うのですが、そういう点について、貯金局長のほうで資料があれば御披露願いたいのです。
  6. 船津茂

    船津政府委員 お答え申し上げます。  二十万円の根拠はあとで御説明申し上げたいと思いますが、アンケート利用者の間でとったかという御質問でございますけれども、正規に広くアンケートをとったことは実はいたしておりませんが、いろいろの利用者団体、私のほうでいわゆる預金者の会というものを持っておりますが、そういう人たちに代表されますところ利用者の声というものを徴しておりまして、やはり十万円ではいかにも一般主婦といたしましても低過ぎるということで、これを二十万円ということでございません、もっと上げたら利用実態も広がろうということでございまして、私のほうでそういうふうなあれを受けまして、一応倍額の二十万円、先ほど大臣説明のように制度発足から一年しかたっておりませんので、ひとまず倍額ということで御審議を願うわけでございますけれども、利用実態といたしまして帯に短しというような感じはもちろんいなめませんけれども、大体利用実態は五万円以下の貸し付けというものが六八・二%、十万円ジャストというぎりぎりの貸し付け額と申しますものが一三・八%ということでございまして、倍額にしますと利用の形態が相当変わってくるかと思いますが、現下経済情勢ないしは貯金利用実態等から考えまして、ひとまず二十万円で御利用願っておきまして、大臣御答弁のように、また経済情勢の変化その他に応じまして早急に引き上げ方が望ましいのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 最初の出発の当時の十万円というのは、これは、まあやってみなければわからないということでわれわれも納得したわけです。しかし申し上げたように、当時でさえまず三十万ぐらいは必要じゃないかという声が非常に高かったということは御承知のはずです。したがって、私は、この一年間にもっと明確な資料に基づいて幾らにすべきかという科学的な根拠が必要だったと思うのですが、いま承れば、大体大臣にしろ貯金局長にしろ、内容はきわめてばく然としておって、去年が十万だったからことし二十万にしてみようか、それで都合が悪ければまた変ようかというのなら、一年間何のためにこれをやってきたのか。そういう点について全く根拠がないわけで、私はこの二十万円という額については、そういう根拠がない限りなかなかそうですかというわけにはまいらないわけです。したがって、かりに今回二十万円でこれを通すとしても、少なくとも次の機会までには、いま申し上げましたように貸し付けを受ける方々負担にならないような、たとえば無記名でもけっこうですが、そういうものをアンケート等調査をされて、確固たる資料に基づいてこういう要望が多いのだ——いまのお話では十万ジャストが十何%ということですが、十何%という数は最高を借りられる方々は、もっと高いものを期待しておると私は思うのです。ですからまず第一点として、次の機会までには、そういう無記名アンケートか何かで、何にお使いになりますか、どのくらいな額があったらいいとお考えになりますかという点について資料をそろえてやってもらいたいと思うのです。その点約束してもらえますか。
  8. 船津茂

    船津政府委員 先生の御指摘のように、利用実態を見きわめるために無記名アンケートを徴しまして実態をつかみたい、こういうふうに存じます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それからもう一つ、二十万円という額は郵政当局のほうから提起をした額ですか。そうであるならば、私は今日までの経緯を無視し過ぎておると思うのです。少なくとも郵政当局提起をする以上は、やはり五十万ぐらいの貸し付けができるような提起をすべきではなかったか。したがって、二十万円で提案をした経過について少し御報告願いたいと思うのです。
  10. 船津茂

    船津政府委員 御参考までに申し上げますけれども、わが国の郵便貯金利用方々保有額、まあ定額貯金がおもでございますが、大体二千七百万人くらいの方がお持ちでございまして、世帯数で千八百万世帯ということでございます。一人当たり定額貯金保有高と申しますものが三十七万円かと思います。一世帯当たりに引き直しますとこれが五十五万円、こういうようなことの数値を踏まえまして、ひとまず平均値を踏み台にいたしまして、実は一人当たり限度を五十万まで引き上げたいということで努力いたしたのでございますけれども、いろいろ原資の関係その他先ほどの——遁辞かとも思いますけれども、制度発足から一年しかたっていないというようなこともありまして、すぐ五倍ということでもということでございまして、二十万円ということにいたしたわけでございます。先生指摘のように利用実態を見きわめまして、これの実態に沿うような引き上げ方検討してまいりたい、こういうように考えております。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 事務当局のほうからは五十万ぐらいにはしてもらいたいという希望があったというお話ですが、それがさっき以来申し上げておりますように、二十万円で提案をせざるを得なかったとなると、あなたはかぜも引いておったようですが、少し大臣の努力が足らなかったのじゃないですか。大臣はどういう話し合いをされましたか。
  12. 原田憲

    原田国務大臣 この問題は、先ほど話がありましたように十万円でまず制度に踏み切ろう、こういうことでございまして、一方に、郵便貯金利用しておる国民はいままでお金を借りられなかったわけであります。しかし地方団体でも庶民金融事業をやるところもあり、広範な社会情勢に対応するために、郵便貯金をいわゆる財政投融資というような形その他の方法をもって国民還元をするということよりも、預けておるものを直接貸し付けるということで還元をするという方法をとってもよかろうじゃないかという議論が展開されて、それは、もうそうしないほうがいいという議論もあったことば承知と思います。それが結局一応それでは——先ほど申しましたように、たとえば学校へ行くときにちょっとお金が要る、そのときに下世話で言うと質屋へ走ってお金を借りてくる人もある、そういうことを考えると、郵便局に金を預けてあるんだから、それを見返りに金を借りるということで切り抜けるぐらいのサービスはしてもよいじゃないかということでこれに踏み切ったわけでございますが、その際に金額幾らがよかろうかということで、これはいろいろ見方がございましたが、さしあたり十万円ということでやってみた。いま報告がありましたように、実績が一件当たり大体五万円前後、一口当たりにいたしましても大体その辺で上下しておるという実績でございますが、これは十万円であるためにあるいはそうであるかもわからぬという点があると私は思いまして、今度の予算の際に、実は、まず制度の発展をしたのであるから、この際は——この貸し付け限度額を引き上げるということについては財政当局としては消極的でございましたけれども、私といたしましてはこれは増額すべきである、こういう態度で臨みまして、最後まで向こうのほうは抵抗いたしておりましたけれども、結局二十万円ということで結末をつけた次第でございまして、この点につきましては皆さん方の御理解を願った上で、これで十分とは考えられませんので、なお今後ともこれにつきましての検討を加えていきたいと思います。阿部委員お話のように広く利用者に対するところの感触も調べまして、あらゆる正確なデータも集めた上でまた検討を進めさしていただきたい、このように考える次第でございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の意見ですが、本来郵便貯金というものが庶民の零細なお金を預かる制度ですから、したがって、幾ら預金をしたくとも郵便貯金でできる額は一の預金者が三百万円以上はできないわけです、この前法改正があったけれども。それまでは百五十万円でしたね。それ以上の預金ができないわけです。したがって、本質的には、そこに預金があるならば、三百万円以内ですから、その九〇%まではいつでも貸してあげられるという預金者保護の対策が原則でなければならない。そうすると、預けてあるからいつでもそれを借りて使えるという安心感があるから、みんな喜んで預金ができる。そして、必ずしも預金した人は全部が全部借りるわけでもないでしょうし、預金してあっていつでも借りられるという安心感が、この預金の吸収にあたって非常に大きい役割りを果たすと思うのです。民間銀行のように何千万も貯金ができるわけじゃないのですから、三百万が限度になっておるのですから、したがって、この法改正をするならば、基本的には預金をしておる額の九〇%まではお役に立てます、これが私は預金を吸収する上からも、預金者安心をして預金ができるというたてまえからも、妥当な法改正ではなかろうか。それを十万とか二十万とかで押えるというやり方がそもそも間違っておるんじゃないか。ほんとう預金者保護する、特に国営事業としての郵便貯金というものの性格から考えて、一般の利益を追求する民間預金とは違うのです。そこに思いをいたすならば、大蔵当局話し合いをしたが、大臣ことばによれば抵抗があったということになるのですが、何で大蔵省が抵抗するのか。しかも集まった貯金資金運用部に回されて、いわゆる政府目的に使われるという性格のものなんでしょう。なぜそれが預金者保護立場から、安心して預金ができるという立場から預けた額の九〇%まではいつでも御用に立てますよという制度に切りかえられないのか、この基本的な問題がわからないのですよ。どうでしょうか。
  14. 原田憲

    原田国務大臣 これは、集めた金を資金運用部へ持っていって、そしてそれを事業につぎ込んでいって、預金者に対するところ金利負担というものを確実なものにしてサービスをし、一方では国民全般サービスをする、こういう制度が確立をされておりましたので、いまおっしゃるように郵便局郵便貯金というものは、一般金融機関で扱う金融という制度のもとに成り立っておりませんから、そこに議論が分かれまして、いま阿部さんのおっしゃるような金融という考え方に立ってやってもいいじゃないかという問題と、国の財政上の問題で対立するところがあったわけでございます。そのことが、この額で申しますと、庶民に対する金融ということまで行かぬと思います。あなたのおっしゃるのは金融という概念に当たるかとも思います。したがいまして、そういう面で一応十万円というもので新しい制度に踏み切った、こういうことでございまして、あなたのおっしゃっておられますことは、国民貯金銀行預金も、同じように銀行業務である金融業務ということにも進んでもいいじゃないかという御意見であるように承っておりますが、そのことについて、国の現在の制度上そこまで踏み切ることは、現在の財政投融資資金その他の制度考えるときに、財政当局が一度に同意は与えられない、こういうことであろうと思います。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 金融ということばをどう理解するかですがね。たとえ十万でも二十万円でも貸し付けをする以上は、これは金融と見れば見られるわけです。しかし、これは預金者保護という立場から見るならば、せっかく定期貯金をしてある、したがってそれを取りこわさずに一部を貸し付けましょうという範囲でいくならば、これは預金者保護という立場から、いまの十万、二十万が、あなた方のことばで言えば、金融ではなくて預金者保護だということになると思うのです。その意味なら二十万ならば金融ではなくて預金者保護であり、預金総額三百万ですから、総額の三百万の制限の中の九〇%だと金融であるという理屈は成り立たない。どっちにしても同じです。それは大臣、二十万なら金融ではないが四十万なら金融になるという根拠があるのか、ちょっと示してもらいたい。どうでしょうか。
  16. 原田憲

    原田国務大臣 それは十万で金融でない、二十万なら金融であるということは、ちょっといま私申し上げられないと思います。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうでしょう。十万なら金融でない、二十万なら金融だということも、成り立たぬし、総額三百万で、その九十%を見合いとして貸し付けをするからこれは金融だという理屈も成り立たないわけです。他の融資を行なわない、いわゆる定期に、定額に預けた貯金を基礎にして、それを取りこわさないことを条件に融資をするという限りにおいては、これは預金者保護といえば、たとえ三百万の九〇%までいっても、私はやはり預金者保護というたてまえに立つと思うのです。したがって、本制度原則が、せっかく有利な預金をこわさずに短期の融資をしてあげましょうという制度に立つならば、しかも総額は三百万なんですよ、何億も預けておって、有利な貯金で預けて、これを悪用して金をかせごうというようなものじゃないのですから、もともとが三百万で押えられておるのですから、しかもいま聞いてみると、五万円以下が六十何%もあるという貯金局長お話です。したがって、そう大口があるかないか私はわかりません。わかりませんが、制度としては、こういう制度をつくる以上は、預けた金の九〇%まではいざという場合には利用ができるという安心感があれば、庶民大衆は喜んでこの貯金をすることができるだろう、その安心感を持ってもらう預金者保護という立場からするならば、二十万円が妥当であるという線はどこからも出てこない。九〇%というものがあるならば、総額制限があるのですから、九〇%全部いけばいいじゃないですか。この考え方に間違いがあるかどうか、どうでしょうか。
  18. 原田憲

    原田国務大臣 ぼくは間違いがあるとは思いませんが、しかし、そういたしますと、議論をするために言うのじゃありませんけれども、そちらのほうにウエートが行きますと、先ほど金融ということば使いましたけれども、三百万円借りた、そうすると、これは庶民方々でありますから、借りて、一ぺんにそれを返せるかどうかという問題が出てきます。これは十万円ということをやったときには、十万円の中なら、最高が十万円ですから、いま平均が大体五万円前後という数字が出て、きていますが、これならばボーナスをもらったときとかそういうときにも返せる、そして、そういう程度ならば広く皆さん利用してもらえる。たいへん郵便貯金のなには零細な方が多いのでありますから、広く使える。何百万という金を借りたということになってきますと、それをボーナスで一ぺんに返すことは不可能であるから、今度は分割返納というようなことを考えていかなければならない。広くそれが、その人が借りたためにほかに及ばないというような問題も生じてまいりますから、——これは非常に専門的な、具体的な問題を私は言っておりますけれども、これらのことにつきましては事務当局でもっと詳細にこの問題についての説明をいたすと思いますけれども、そういうようなことを考えまして、大体まあ十万円から二十万円、こういうことで、いま事務当局が言いましたように、五十万円までは何とかしたいというのを考えておりましたが、結論は二十万円で、この際、制度上十万円で始まったことを今度は二十万円にさしていただきたい、こういうことでございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もその制度としてのあり方を問うておるわけです。制度としてこれを認むる以上、実際の利用平均十万円になるのか、平均十五万円なのか、それはわかりません。ただ、制度としてこういうものをつくる以上は、いつも、預金者貯金は三百万なんですから、ここに庶民性があるわけですから、それ以上はできないのですから、その九〇%までは借りることができるというし安心感と、借りた場合に預金保護されるという、この預金者保護立場から、その精神としてはそうあるべきだ。  いま大臣お話を承っておりますと、もしここで五十万円というものがかりに決定したとするならば、五十万円もボーナスで払える額だという理屈になるのですよ。五十万円がそう簡単にボーナスで払えるでしょうか、私はそうは思いませんが…。そうなるでしょう。ですから、私はそこにどこが限度だというものはない。三百万の貯金をする人は三百万を払い得る能力があると見なければならない、百万の貯金をする人は百万払い得る能力があると見なければならない。そして緊急な場合、たとえば家を建てるのに、郵政省の場合なら共済組合から貸し付けを受くる、しかしその貸し付けを受くるまでの間どうしても先に手付を打っておかなければならぬ、そういう問題が起こった場合、これは五万や十万じゃ間に合わない、やはり五十万の貯金をこわさずに四十五万借りて、これで手付を打てるという、その制度にすべきである。これがほんとう預金保護である。何も貸し付けることを奨励するわけではありません。ただ預入した人がいつでも安心して、いざというときにはあれを借りて使えるのだということにしておくべきではないかというわけです。
  20. 船津茂

    船津政府委員 先生指摘の点についてお答えいたしますが、大体制度発足のゆえんが、小口な不時の出費を、貯金をおろさないで、それを継続したまま担保にいたしまして不時の出費に充てるという発想で制度発足いたしましたので、ひとまず十万円ということでございまして、建築資金だとか何だとか、そう大がかりなものを想定しておりませんので、たとえば医療、教育、冠婚葬祭ないしはレジャー、そういうようなものを想定しておりましたので、大体先生がおっしゃるような、預金額はいま総額制限額三百万円ですから、三、九、二十七で二百七十万円まで借りれるという制度のあり方はほんとうは理想的だと思いますけれども、先生のおことばをかりるわけではございませんけれども、利用者方々アンケートを徴しまして、実態に沿う、どの程度が妥当であろうかというようなものを見きわめたい、それによって政策といいますか、今後の預金者貸し付け制度の進路を見出したい、こういうふうに考えております。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは私の想定で申しわけないのですが、おそらくそういうアンケートをとったならば、私の言うように、自分の預金の、いまの法律で九〇%ですから、九〇%まではいつでも融資してもらえる、そういう制度が望ましいというおそらくアンケートの結果が出るだろうと思います。したがって、期間をおいて、十分この点についてはアンケート等をやって、次の機会には、どういう貸し付けのあり方が一番皆さんの要望に沿い得るのかということについて、資料をもって、大蔵省とも折衝して、そして納得のいくような制度に発展をさしてもらいたいと思います。  そこで、ちょっとお伺いをしますが、いただいた資料の「郵便貯金預金者貸付けの利用状況」が、四十八年の十月までしか出ていないのですが、これは十一月以降どういう趨勢にあるか、もしわかっておれば十一月以降の趨勢を知らしてもらいたい。
  22. 船津茂

    船津政府委員 預金者貸し付け制度利用状況でございますけれども、いままとまっている最近の数値は四十九年の一月三十一日現在でございます。ここは十月で累計二百六十三万件でございますけれども、一月三十一日現在でございますと三百四十六万件になっております。そしてまた十月までの総トータルの貸し付け額が千二百五十五億になっておりますけれども、一月三十一日現在では六百二十四億と、順調な利用を見ております。貸し付け残高は五百六十七億円になっております。  以上でございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、これは当初予定した額よりも貸し付け残高ではまだ余裕があるということになりますね。その意味では、資金運用部にあまり影響を与えずに、もっとワクを広げても差しつかえがないということになると思います。  そこで、ちょっとその次にお伺いしたいのですけれども、この郵便貯金法施行令の第四条の貸し付け金の金利は、その後いろいろな変動があったと思うのですが、現行どうなっておりますか。
  24. 船津茂

    船津政府委員 貸し付け利率でございますけれども、おもに定額貯金定期貯金及び積立貯金を対象に貸し付け得るわけでございますが、おのおのの利率に対しまして〇・二五%上のせした数字貸し付け利率でございまして、たとえば定額貯金の場合、六カ月こしますと五・五%と思いますが、もしその六カ月超のところでお借りいただくならば五・七五%の貸し付け利率、こういうふうなことでございます。積立貯金の場合でございましたならば、四・八%と思いますが、それに〇・二五で五・〇五%というようなことでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何ですか、もう一ぺん言ってください。預入をした金利に〇・二五上のせをするわけですか。
  26. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたしますが、例を定額郵便貯金にとりますと、現行利率が六カ月以上が五・五%、一年以上六%というふうな刻みになりまして、三年超が七・五%になっておりますが、かりに三年超の定額郵便貯金を担保にお借りいただく場合には七・七五%が貸し付け利率ということで、〇・二五%おのおの上のせいたします。二年以上の場合は七・二五%の利率でございますので、七・五%が貸し付け利率ということでございます。積立貯金の場合は、先ほど申し上げましたように四・八%に〇・二五%上のせして五・〇五%というようなことでございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この施行令の四条は、したがって次表は常に変わっていくわけですね。預入金利が変わるたびにその貸し付け金利は変わっていく、原則的には常に預入金利の〇・二五%上のせで貸し付ける、そういうことになるわけですか。
  28. 船津茂

    船津政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうなると、施行令四条はこういう形でなくて、いま貯金局長がおっしゃったような形で、相当する貯金の利率に〇・二五%上のせさせたものでありますよということにしておいたほうがよろしいんじゃないでしょうか。
  30. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたしますが、先ほど積立郵便貯金を簡単に現行四・八%の利率に対しまして〇・二五上のせをすると申し上げましたが、定額郵便貯金につきましては先生のおっしゃるとおりでございましたが、積立郵便貯金の利率の体系はちょっと違いますので、この一月十四日の利率改定以前では、貸し付け利率は積立郵便貯金の場合は四・七五%でございましたが、現行は五・二五%と簡単に〇・二五上のせした数字ではございません。ですから規定のしかたも、一律にすべての貯金に〇・二五上のせしたという規定のしかたができない規定のしかただろうと思います。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、ややこしい積立郵便貯金は別にして、普通、定額郵便貯金が担保になる場合が多いと思うのですが、これがもし、いま貯金局長のおっしゃるように担保にされる貯金の利率に〇・二五%上のせしたものだという表現になっておれば、だれが見ても一目りょう然とわかるわけです。たとえばわれわれが聞かれます。どのくらいの利息を取られるのでしょうかと聞かれた場合に、それは取りくずすよりも有利ですよということは言えても、どのくらいかわからないのです。したがって、いまの話にありましたように、定額貯金の場合は〇・二五の上のせなら、担保とされる貯金の利子に相当するものに〇・二五プラスしたものが貸し付けの利息になります、こういうふうに施行令をもっとわかりやすく変えるわけにはいきませんか。
  32. 船津茂

    船津政府委員 お答えします。利率が変わった場合に、既往の利率の体系のときにお借りいただいたときの貸し付け利率というものは残存いたしまして、また新利率の場合にお借りいただいたものとの区別がございますので、一律に何%ということを申し上げられませんけれども、郵便局の窓口におきましては大体各利率の〇・二五%が貸し付け利率ですということは周知しております。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは法令集ですが、ここで八月一日からの分と八月一日までの分とに対する貸し付けの利率が出ておるわけです。その後ずっと動いてきておるわけです。ずっと動いています。おそらくこれからもまだまだ動くでしょう。全くわからなくなってしまう。何かもっとわかりやすく——これはおそらく訂正になっているのだと思うが、私のは印刷してありますから、訂正にはなりません。非常にわかりにくいのです。何かもう少しわかりやすい、いま貯金局長の言うような方法で、もちろん貸し付けのときで、これはここに表につくってあろうと法文に書いてあろうと、既往の契約は既往の契約ですから、そのまま生きることはこれは同じことなんですよ。ただ表示のしかたに私は問題があるというわけですよ。もっとわかりやすい表示のしかたはないかというわけです。  それなら、あなたは私から聞かれて、それは何ぼ利子がつきますとぽんと言えますか、言えぬですよ、私から聞かれて。どうですか、いまからぼくが何年ものを借りますが、何ぼ利子がつきますかと言ったら、何ぼですと、あなたはそこで言えますか。おそらくあなたも表を引っぱり回してみなければわからないでしょう。それよりもわかりやすく、利率は大体あなたわかっておるでしょう。二年ものなら六%です、こう言えるでしょう。それに〇・二五上のせしたのが貸し付けの利息になりますよ、こう言うならわかりやすいと思うのです。預金の預入金利の変わるたびに貸し付け金利が変わっていく。それが表になって出ているから、しかもその表が貸し付け金利だけ出ているわけですね、したがって、一般の人が見るならば、七月三十一日以前に預けたものと八月一日以降に預けたものと、貸し付け金利はなぜ違うのだろうか、これはなかなかわかりませんよ。どうですか、もう少し何とかこの施行令を改正してみる意思はありませんか。
  34. 船津茂

    船津政府委員 先生のおっしゃる意味は非常によくわかるのでございますけれども、また一般事務を取り扱います郵便局、特定郵便局長を含めまして、利率があまりにも複雑多岐にわたる、一々説明するのに手数がかかり過ぎるという声も聞こえてまいりますので、大臣からもこの点もう少し単純化する方法はないか検討しておけという御下命がございますので、一応検討はいたしております。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何も私の主張だけが正しいとは思いませんが、いわゆる貸し付けを受ける方がすぽっと胸に落ちるような、ひとつそういう法改正について検討を願いたいと思います。  次にお伺いしますけれども、最近における総需要の抑制と預金者保護立場から、預金の金利の引き上げの問題が非常に強く要請されております。特にこの前も申し上げましたが、零細な庶民お金を預かっているわけですから、トイレットペーパーを買ったらもうかったが、郵便貯金をしたら損をした、やはりこういうことだけはないように、預金者保護をしていかなければならないと思いますが、大臣として、いま問題になっている預金金利の大幅な引き上げという問題については、どういうふうにお考えになりますか。
  36. 原田憲

    原田国務大臣 そういう御意見があることは万承知をいたしております。したがいまして、私どもは昨年中に金利の引き上げを四回行ない。また御案内のように、私が就任をいたしましてからも、新しく半年高金利の定期預金制度等、あらゆる手段をもちましてそのような要望にこたえておる次第でございますけれども、なお今後とも検討を進めてまいりたいと存じております。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ところで、政府のほうでは、割増金付貯蓄に関する臨時措置法というものを制定しよう、そういうお考えで先般衆議院のほうは通過をして、いま参議院で審査中のようでございますけれども、郵政省も何かこの機会郵便貯金法五十五条の二による割り増し金をつける取り扱いをしようというようなたくらみがあるように聞いているんですが、そういうたくらみがありますか。
  38. 船津茂

    船津政府委員 民間金融機関で、割増金付貯蓄に関する臨時措置法案が成立しましたならば、おそらく四月ごろ、くじつきの定期預金を売り出すだろうということが想定されますが、この臨時措置法案の御審議の模様あたりを考え合わせまして、政府機関であります郵政省貯金局といたしましても、先生指摘貯金法五十五条の二が生きておりますので、やはり総需要抑制といいますか、貯蓄の増強、消費物価の鎮静化の一環をになうという立場から、割り増し金つき定額貯金を、その民間の動向を見合わせながら慎重に検討していきたい、こういうふうに考えております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 確かに郵便貯金法の五十五条の二には割り増し金品をつける制度が生かされております。政府のほうでは四十四年か五年かに一ぺん取り消しておるようですが、今度また新たに法律をつくるようでありますけれども、大臣、私は、やはり郵便貯金政府事業として貯金の本道を歩いてもらいたいと思います。いわゆる国民の射幸心をあおったり、あるいは投機的な気持ちを醸成するような、そういう割り増し金つきというふうな貯金は、郵便貯金ではやるべきじゃない。むしろそれに充当できる手数料なり雑費があるならば、たとえ〇・一%でも〇・〇〇一%でもいい、郵便貯金の金利を有利にして確実な預金者保護をやるべきで、射幸心をあおったり投機をあおったりするような制度を取り入れるべきではない。たとえ法律上できるとしても、そういうことは民間にまかしておいて、やはり政府事業である郵便貯金はその本道を歩いてもらいたい。いまそういうたくらみがあるやに聞きましたが、これはここで思いとどまってもらいたいと思います。いかがですか。
  40. 原田憲

    原田国務大臣 いまのこの経済情勢下にあって、国民の利益を守るための方策としてやはり高利の貯金を求める本道を歩んで、そういう射幸心的なことは取りやめたらどうだという御意見でございますが、私が就任いたしましてからここでの御意見の中には、そういう方面も思い切ってやったらいいじゃないかという御意見もあったように私は——これは私の記憶違いかとも思いますけれども、そういう御意見もあったように思います。要は、結論といたしましては、先般大蔵委員会で、民間金融機関がこの制度を再び復活して割り増し金つきの預金制度というものをつくり出すということを行ないます際に、在野の政党の皆さん方は、これは積極的でない意見という意味での反対意見を示されておることは承知をいたしておりますが、何とか異常な物価騰貴というものを押えるための万々の方策を講じようという意味で大蔵当局はこれを出したと考えておりますので、阿部さんの御意見は十分散意を表して御意見として承って、今後わがほうの検討を進めてまいりたいと存じます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、想定をしておるたくらみがあるやに聞きましたから、参考までに、想定しておる内容はどういうものですか。
  42. 船津茂

    船津政府委員 具体的に固まってはおりませんけれども、大体考えられます形といたしましては、実は割り増し金品つきの定額貯金というものを昭和三十九年まで売り出しておったわけでございまして、その後は中止しておることは御承知と思いますけれども、大体前例にならったような形で、この金品の、品物はつけませんでございますが、割り増し金をつけまして、定額郵便貯金につけるならばつける。いままでどおりの前例でございます。一年間に限りまして、それに見合う利子相当額を割り増し金に振り当てる、こういうふうな構想にあるいはなろうかと存じます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一年ものというものを対象にして考えた場合に、郵便貯金民間に比べて、一年ものである限り利子総額で有利になる理屈はないのです。たしか私の記憶に間違いがなければ、民間貯金は一年ものの場合六・二五です。郵政省は六%までです。それを全部集めたものが割り増し金に回るわけですから、民間に太刀打ちできよう道理がないのです。割り増し金の額において、絶対額において少ないのですから。だからそういうものを売り出したって、郵政省が集める預貯金の割合というものは知れておると思うのです。だからそういう邪道を歩むよりも、郵便貯金のほうが、特に二年、三年になればより有利である、しかもその貯金の利息を、こういうことをやらないかわりに〇・一%でも上げていきましょう、そういう本道を歩むべきである、私はこれを強く主張しておるのです。  ちなみに、いままでおやりになった定額貯金の中で、割り増し金つきの貯金が占めた割合はどのくらいになっていますか。
  44. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように定額郵便貯金が大宗をなす郵便貯金でございまして、割り増し金つきの郵便貯金というものは、邪道とは言い切れませんですが、比較的にパーセンテージは低うございまして、二十八年から三十五年までずっと計数がございますが、最高五・一%、最低一・六%、各年度によって違いますけれども、総定額郵便貯金の中に占める割合は五%から二%、こういうふうな感じでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体そういうことで、最後のほうは三十一年をピークにして逐次それから下がって、三十五年には定額貯金の中に占むる割り増し金つきの貯金は三%しかないのですよ。大臣、おわかりですか。せっかくやってみた経験があるのです。総額の中の三%にすぎない。しかもいま私が申し上げましたように一年ものという限定でいくならば、農協や——まあ農協は特にいいのですが、農協や民間金融機関に勝つ道理がないのです。向こうは六・二五%の金利の総額を集めて割り増し金をつけるわけでしょう。郵政省はどんなにがんばっても六%の総額を集めてしかつけられないのですからね。だから勝つ道理がないのですよ。ただ、外野の人がおいでになって非常に手広くやっておるから郵便局がやるのがいいんじゃないか——少しでも金を集めたいという気持ちがわからないわけではありませんが、私はこの機会にこそ郵便貯金の本道を郵政省は歩むべきだと思う。それが三〇%も四〇%もあったとするならば、それは金を集むる手段として郵政省もやらねばならぬかもわかりません。しかし一年ものに関する限り、明らかに預金者にとっては郵便貯金よりも民間なり農協のほうが有利なんですから、どうしてもそれをやりたいという人はそっちへやらすべきじゃないですか。そして郵政省として長期の二年もの、三年ものでほんとう預金者が有利になる定額貯金をとっていく、この原則を私はこの機会に打ち立てるべきだと思うのです。いま大臣はせっかくの意見だからと言うけれども、一向やる気はないような返事でございましたが、この際思いとどまってもらいたい。大臣、どうですか。
  46. 原田憲

    原田国務大臣 阿部さんの御意見でございますから、十分御意見として承っておると申し上げておりますので、決しておざなりで私は答弁をいたしておるわけではございません。あなたのおっしゃっていることもよくわかっております。しかし、あなたのお説の中にもありますように、この際相手がやっておる、そのときに多様化した中で動いておりますから、その要望という立場からも考えなければならぬという面もあろうかと思いますので慎重に検討させていただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 余談ですが、けさ大臣はもちろん出ておられませんでしたが、理事会で土橋先生からお話がございまして、大体役人はその場のがれのうそを言う、見えすいたうそを言うていかぬということを特に指摘をされたのですが、どうもいまの大臣の答弁もその部類に属するのではないかという気がします。むしろ貯金局長どうですか、ひとつぼくの申し上げたことについての考え方は。
  48. 船津茂

    船津政府委員 たびたびお答え申し上げましたが、あらゆる手段を講じまして現下の情勢に対処したいというその一環でございますので、もし民間がやりますならば、政府機関といたしましてもこれを無視するわけにはいくまいという考えでおります。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金局長は追随したいという考えのようでございますけれども、いつもここで私が議論してきたように、何も私は郵便貯金民間貯金に比べてすべて有利であるなどと思っていないのです、これは。不利な場合もあるのですよ。しかし、それぞれの特色が生かされているところ郵便貯金性格があり、民間金融性格がある。したがって、いま私が申し上げたように、これは宣伝したら明らかなんですが、六・二五なり六・三という貯金利息の総額を集めてくじを引かすのと、六%で総額を集めてくじを引かすのとでは、郵便貯金が不利なことは初めからわかっているでしょう。この不利なものをここで売り出して、そして郵便貯金に対するイメージダウンになりますよ、これは率直に言って。しかもそのシェアというのは、定額貯金の中に占むる割合は非常に低いのです。こんなことを何も郵便貯金はやらなくても、本道を歩いて、二年、三年がんばりましょう、貸し付けはします、そして預金者保護していくという大道をここで歩く、いわゆる郵便貯金民間金融の違いを明らかにしておかないと、民間がやるから郵政省もやるといって、明らかに不利なことはわかっているものを売り出して、そして何がしかの金を集める、こじきみたいな根性をこの際は出しなさんな。ほんとうの本道を歩きなさい。それとも大蔵省から頼まれてどうしても郵便局もやらなければならぬのかどうか。  大蔵省お見えになっていますが、あなたのほうはどうしても郵政省にやってもらわなければ困るのかどうか、答えてください。
  50. 窪田弘

    ○窪田説明員 お答え申し上げます。  割り増し金つき貯蓄につきましては、現下経済情勢に即応して貯蓄手段を多様化するという貯蓄手段の多様化という観点から御提案を申し上げているところでございます。現在参議院で御審議をわずらわしておりますが、私どものほうに内々民間金融機関から計画が出されておるものを見ますと、大体年間一兆から一兆五千億円くらいの募集規模になろうかと思います。したがいまして、今日郵便貯金国民の貯蓄吸収手段として非常に重要な地位を占めているという観点から申しますと、郵便貯金だけがやらないというふうなことは、あるいは適当ではないのではないかというふうな感じを持っておりますが、この実施の問題については郵政省がお考えになって実施することでありまして、お話しのように大蔵省がぜひやれというふうなものではないわけでございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは大蔵省国民を惑わせないために、民間金融機関なり農協でやるものは利子がこれだけのものであって、これだけの割り増し金に回る部分がある、郵政省のやる分は利子がこれだけだから、郵政省のほうが不利でありますという宣伝をやりますか。
  52. 窪田弘

    ○窪田説明員 民間金融機関の中におきましても、たとえば都市銀行のような大きなところがやる場合と農協等がやる場合とにおいて、有利不利の差があってはいけないわけでございます。したがいまして、その辺は大蔵省令あるいは通達で一つの基準を設けて、金融機関ごとに差ができないように指導する方針でございます。郵便貯金がもしおやりになるといたしますと、やはりそれと歩調を合わせてバランスのとれた形でおやりいただくことになろうかと思います。この辺は御相談をしてまいりたいと思っております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そもそも私は、この割り増し金つきなどということばが間違っておると思う。どこに割り増し金をつけてあるのですか。もともともらえる利息を分け合うわけでしょう。ただこっちにうんとやって、こっちに少なくやるだけのことでしょう。それともどこか特別の割り増しがついておるのですか、これに。これは大蔵省、どうですか。
  54. 窪田弘

    ○窪田説明員 割り増し金つき貯蓄は、御承知のように利子相当額をプールいたしまして、これをくじ引きの方法によって配分する、こういう方法でございまして、昭和二十三年の割増金附貯蓄の取扱に関する法律というものがございまして、それ以降こういうものを割り増し金つきという名称で呼んでおります。今回もそれにならったということであります。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それじゃ、まあ民間銀行は割り増し金つきでもいいが、郵政省はもう割り増し金つきなんかという、国民をだますようなことばはひとつこの際変えたらどうですか。一つも割り増しがついてないのですよ。私の調査した限りでは、預けておってもつく金利をたまたま全部まとめて、くじで当たった者にうんとやって、当たらなかった者に少しやるというだけで、ちっとも割り増し金がついてないでしょう。それを割り増し金つきといって、あたかも普通の金利よりもうんともらえるようにみんなが錯覚を起こすようなことばになっておりますが、これは法律用語も悪いと思うのです。これはちゃんと五十五条の二にありますからね。「割増金品」という「品」までついていますけれども、品をつける場合でもおそらくこの利息の中から出すのでしょうが、どっちにしても、いま申し上げてきましたように、私のほうは時間が終わるようでございますから、この制度貯金の本道——政府事業としての郵便貯金という立場からするならば、それほど大きいシェアを占むるわけでもないから、そういうものはかってに——ぼくは民間でやるのも反対ですが、まあそれは法律が通ればしょうがないから民間でやるのはけっこうですが、いやしくも政府事業を行なう郵政省国民の射幸心をあおり、しかも総体的な抽せんに回す金額においては民間よりも少ない郵政省が、イメージダウンになるようなこういう措置を私はとるべきでないと思う。もしあなた方がおとりになるならば、これは民間に比べて不利になるのですよと私宣伝しますよ。だからそんなイメージダウンになる措置をせずに、ほんとうの本道を歩いてもらいたいということを要望しておいて、私の質問を終わります。
  56. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  57. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほど阿部委員からもお話がございましたように、やはり逓信委員会においては、郵政大臣をはじめ郵政省の幹部の皆さんも、あるいは電電その他の関係方々も、誠実に答弁をしていただくよう、だれが見てもうそ偽りだというようなことはないように、先ほど理事会において申し合わせをしたわけでございますので、ぜひそういうことを念頭に置いて、この場限りの答弁をすればよろしいのだということではなしに、やはり誠意のあるところを示していただきたいと思うのであります。  そこで、私は貯金法の審議は後半の半分でやりたいと思いますが、その前半に、この間からの懸案になっておる問題に時間を配分しまして、半分ずつやります。  昨年の十二月二十一日、郵政大臣は、高松塚寄付つき記念切手の金を六億六千百八十八万二千二十四円を渡したということになっておるのですが、この経過について郵政省はいままでどういう報告を私にしたのか。従来は、最初は大体一億五千万程度の金であった、それがだんだん記念切手が多くなって、約四億五千万までは私は承知しておった。しかしながら、この十二月二十一日に郵政大臣は、いわゆる松下幸之助さん、これを中心とする財界の飛鳥保存財団に対して、これだけの大枚の金を渡しておるということは一体どういうわけであるか。経過を説明するようになっていたが、きょうは来てないのですか。
  58. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 土橋君、議題外の御質問でございますから答弁者を準備いたしておりませんが、他日に譲るというわけにまいりませんか。
  59. 土橋一吉

    ○土橋委員 きょう見えてなければ無理なことは言いません。これは報告を提出するようになっているわけです。ですから郵務局長の非常な怠慢を私はまずはっきりさせておきたいと思うわけです。来てなければやむを得ません。  それから、大臣に直接お願いしますが、私のちょっと聞いたところによると、大阪地裁で原告側が敗訴したというふうに聞いておりますけれども、九時四十五分東京発大阪国際空港着の郵便機についてどうお考えになっておるか、簡単にこれを——前向きの姿勢だということでございましたが、これを廃止するかどうか、あるいは廃止しないのかどうか、明確な答弁をお願いしたいと思います。
  60. 原田憲

    原田国務大臣 高松塚の問題は後日に譲っていただけるので、その際にまた申し上げますが、あれは議員立法で成立した法律に従って支出をしたものである、こういうことだけ申し上げておきます。  それから、いまの大阪空港問題につきましては、詳細な報告はまだ私は受けておりませんので、正確な答弁をいたすための十分な準備はいたしておりませんが、いまお尋ねの件は、私が指示をいたしまして、三月の一日からは、いま飛んでおりますいわゆる深夜便といわれております三便、いまここにおりませんが、三便だったと思いますが——八便ですか、要するに十時以降の便は取りやめる、こういう措置を指示して、これは実行いたします。いまの裁判はその十時をたしか九時にしろ、こういう訴でございまして、これがどうなったかということは正確にはまだ私は全部報告を受けておりませんから、お答えをするのに——この前の委員会で土橋さんが、この九時の間に飛んでおる飛行機がある、これはどうかというお尋ねがありましたので、これについてもできるだけ検討をいたしたいと思っておりますということをお答えをいたしたのであります。というその根拠は、この内容はいま飛んでおる飛行機に頼んで積み込んでおる便でございます。託送しておる。これは飛んでおるのでございますから、郵便事業というものは公共性の最たるものであると私ども承知をいたしておりますので、飛行機がお客さんを積んで飛んでおる限りにおいては、その間においては、それに積み込むことはこれはどこからも文句を言われる筋合いのものではなかろうじゃないか、こういう考え方もあるわけでございます。なお、しかしもう別にYS11を仕立てております。これはどうかという問題につきましては、やはりこれは、いわゆる裁判では十時以降にならないわけでございますから、その飛行機が飛んでおる中で飛ぶのでございますから、これも理屈では使わしていただいてもけっこうではないかと思いますけれども、今後とも飛行場の問題につきましては運輸省におきましてもいろいろな検討がなされていくと思うのでございまして、またわがほうにおきましても、それについて十分検討をいたしていきたい、こういうことを私は考えております。
  61. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほど申し上げたように、一時間前後の質問を半分郵政関係について質問したいというのでありましたが、関係当局が来ておりませんので、これは大臣にぜひお願いしたいと思うのですが、これは私の住んでおる地域の三多摩地方だけの問題じゃございませんので、特に東京、埼玉、千葉あるいは神奈川県、さらには愛知県とか岐阜県、さらにあなたの住んでおられる大阪府あるいは京都府あるいは兵庫県、さらには福岡県などでございましょうが、最近の郵便局設置に関しまして、それぞれ新しい都市が発展をいたしておりまして、どうしても郵便局をつくらなければならないという事態が差し迫った問題であるわけです。市町村の合併によりまして、従来ここの郵便局でよかったものが、どうもよくないというので、たとえば国道筋とかあるいはバイパスとか、そういうところへ新しくどんどん郵便局を移転をしておるわけです。これはそれなりに私は一定の成果があると思っておるわけです。  私は武田君がおられたらよく聞きたいのですが、最近の特に大都市の衛星都市の発展に伴いまして、この郵便局舎の新しいのをつくるのに畑のまん中にみんなつくっておるわけです。それは人口比率から、向こうの団地、こちらの古い町、あるいは向こうの旧村というようなことを考えましてつくっておるわけです。つまり場所で申し上げますと、日野の郵便局あるいは国分寺の郵便局、小金井はややそれに似ているわけです。町田の郵便局、あるいは古いのでは三鷹の郵便局なんかその最たるものなんですね。町のまん中にないわけですよ。つまり歩いていっても非常に遠いところにある。こういう郵便局の設置のしかたについて、私はよくわかるわけですよ。たとえば日野市の例をとるならば、日野市の町のまん中にある郵便局はいま廃局にしておるわけですね。遊ばしておくわけです。そうしてもとの忠生村ともと日野市の中間の畑の近くに郵便局ができておるわけです。あるいは町田市の場合も同様なんです。町からずっとはずれて山崎団地というところの近くに、つまり境川中心につくってあるわけです。ですから、郵便局を聞いたって町の人はどこにあるか知らないようなところ郵便局があるわけだ。現在の郵便の全体のそういうことから見ると、それでもいい点があるわけですね。  でありますから私は郵政大臣にぜひお願いしたいのですが、新しく人口の激増した大阪とかあるい名古屋、東京周辺、特に関東の東京中心の地域には、これからどうしても郵便局をどんどんつくらなければいかぬわけですよ。こういうことについて、少し大きくいえば百年の計をはかって、そうして単なる行政区域だけにとらわれないで、郵便の逓送関係その他の配達全体を見て、そうして畑の中であっても、それがほんとうに将来その町全体の発展のために必要だというところに建てなければならないし、あるいは実はそこに建てたことはまずくって、もとあった郵便局利用して新しく今度は団地ができたから建てることが適当だというような場合がどんどん出てきておるわけですよ。これはあなたおわかりだと思うのですよ。そういう建設上の費用の問題、それから郵便局設置に関する——単なる従来の市町村にとらわれなくて建てるような問題が出てくる。  こういう点について少し質問したいと思っておりましけれども、来ておらないということですが、私の地域における狛江市というところにやはり郵便局を設置することになっているわけですよ。たしかことしつくるはずなんですが、いまそれはどうなっておるのか。あるいはこの間から郵政当局に訴えておりますが、東大和市と武蔵村山市、これ大体双方の人口合わせますと十万くらいだと思います。十万ちょっとこえておりますか、ここに郵便局がないわけです。つまり西多摩郡瑞穂郵便局から持ってきたりあるいは立川郵便局に持っていったり、こういう状態になっておるわけですね。この二つの市は抱き合わせた市のようになっておる。そういう点をひとつ聞きたいわけです。  それから稲城市、いまこれを見ると、多摩郵便局ができたようですが、稲城市はぽつんと多摩川の府中の向こう側にある一つの市なんですね。この稲城市と多摩市は大きな丘陵地帯で分かれておる。こういうふうに狛江とか、あるいは東大和市と武蔵村山市、それから稲城、こういうところの市にやはり郵便局をつくる必要があるし、また秋川市、五日市線のところです。人口大体四万くらいになったと思います。こういう点もひとつとくと話し合ってみたいと思っておりましたけれども、大臣は御承知と思いますが、そういう点について十分研究してもらうようにお願いしたい。これはあとでまたゆっくりこの委員会でやりますけれども……。
  62. 原田憲

    原田国務大臣 いまの郵便局の設置の問題に関しましては、これは土橋さんおっしゃるように、選挙区からいいますとここに大野さんもおられますが、私もその一人ですが、いわゆる人口が急増してくるという地帯に住んでおる者が経験しておることを具体的にあなたがおっしゃっておると思います。これはもう縦割り行政で、郵便局だけじゃない、保育所だとか幼稚園だとか学校だとかいうすべてが総合的に、ハイカラのことばで言うとコミュニティーづくり、こういうことがいわれておりますが、そういうことを総合的に考えてやっていかないと、うまく住みよいということにならないわけでございまして、このことについては、私どももいまおっしゃっておることは同感であります。したがいましてよく当局にも指示をいたしまして、適当に皆さん方に、市民にサービスができるように配置をやるようにということは、後日またお尋ねがあろうかと思いますから、指示しておきます。
  63. 土橋一吉

    ○土橋委員 それに関連しまして、私の小さい経験なんですけれども、最近旧市内から郵便局を国道の近くに持ってくる。それは土地の関係とか、そういう関係がございまして、つまり国道で自動車が盛んに通っておる、その向こう側の北側とかあるいは南側で、町のないほうへ郵便局をつくっ ている。ですから郵便局へ行こうと思っても、旧来の町からは国道を越えて、あるいは陸橋を越え てその郵便局に入っていく、こういうようなところに建てておるわけですね。そして全体の合併した地域ですから、周辺は農村で片方は町である、  こういうようなものが非常にたくさんあるようです。たとえば出雲郵便局、米子の郵便局もそういう例です。その他の例もそうです。ですから、こういう点について十分検討する必要がある。もとの町うちにあった郵便局はやはり窓口として残しておく必要があるのではないかという点が、私どもが言おうとする主張の内容です。  それからそのあと地です。あと地の利用の問題です。たとえば国分寺の郵便局なんかそのままほったらかしているわけだ。あるいは日野市の郵便局などもそのままほったらかしておる。あるいはその他私の気づいたところですと、小金井の郵便局というのはどうしたのか、あるいは町田のもとの郵便局もそのままほったらかして、町のまん中にあれだけの土地とりっぱな建物を——鉄筋コンクリートであったと思います。これは単に三多摩だけではない。一部は、武蔵野郵便局のように職員寮をつくるなんということを言っておるところもあるけれども、その土地の管理と地方公共団体との関係をどうするかという問題がやはり大きな問題になってきているのではないかというふうに思うので、あとで私はこの点はやりますが、時間が経過しますから、十分研究していただきたい。  それから、この間の記念切手の問題でちょっと大臣お話し申し上げますと、それがどういうふうに利用されておるか、私もなかなか具体的に見ていなかった。そこで、私はなぜこれを追及したかという内容一つをお見せしますと、つまり少年たちがこういうものを町へ行って買いたいわけですね。これは模造切手取り締まりに関する問題も一つこの中に入っているわけだ、この国会において審議した。これは、これを二十円で子供さんが引いて、それで中に記念切手が、消印をした、この間お見せしたこの手が入っておるわけですね。これが入っておるわけです。これはどういうふうになっているかというと、これは二十円で子供さんが買うわけですね。二十円で買っています。そうしますと、これの当たりくじが出てくると、これをもらえるわけだ。これは模造切手で、取り締まりの規定によってできた。これに天宝銭であるとか笛であるとかあるいはおもちゃが出てくるんですね。幾らか射幸心をあおるわけです。これで十分商売できるというわけですよ。というほどこの記念切手というものの消印済みのものがどうしても問題にならなければならない。これは営業をやる人は営業の自由で、いかなることをやったってこれはしようがないわけです。そこまで押えるわけにはまいらない。この切手の出どころをどういうふうに押えるかという問題がやはりこの事実からもはっきりしてくるじゃないかということをぜひ大臣も知っていただきたい。郵政当局もこの点はよく知っていただきたい。どういうふうになるのか、ひとつ御答弁を……。
  64. 原田憲

    原田国務大臣 たいへん専門的なことでございますので、その切手がどのようにして流れていってそのようになっておるかということについては、いま私、尋ねられても実際わからぬのです。よく検討をいたして、十分答弁ができるようにいたしてから答弁いたします。
  65. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題についても郵政当局は責任をもって私に報告をすることになって、おるのだ。答弁はそういうことになっているわけなんだ。横着でやらないんですよ。不届き千万といわなければいけない。逓信委員会を何と考えているのか、郵務局長はじめ次官なんか。
  66. 原田憲

    原田国務大臣 そのことは、きょうはおそらく土橋先生からお尋ねがあるということがなかったので、そのほうの答弁者が出てきておらないと承知しております。責任者は私でございますので、十分な答弁ができるようにいたしましてから御答弁をいたすことにいたします。
  67. 土橋一吉

    ○土橋委員 きょうは単なる郵便貯金の問題じゃない。国政全般の中の郵便貯金の問題でありますから、ただ郵便貯金船津君が出てこられていいという問題ではないわけだ。それはあとほど郵便貯金について私はいろいろ質問したいと思いますが、時間がありませんし、ただ大蔵省が一人来ておられますから、私は大蔵省のことも兼ねてこれから質問していきたいと思うのであります。  今回の法案の改正は、先ほど同僚議員からもいろいろお話がございまして、第一に問題は、この法案は定額、それから定期、それから積立、この三者の預金者だけに、あるいは住宅積立も将来入ると思いますが、私がこう言うのは、やはり郵便局に少なくとも関係しているすべての国民には貸せるべきじゃないか、つまり担保力を持っておる者だけに金を貸せるというようなことじゃなしに、すべての者に貸せる必要があるのじゃないか。わずか二十万円の金です。ですからここにいわれておる、先ほどからいわれておる定期定額とそれからそういう一定のもの以外には貸せぬというようなことは、現在の世相に非常に合わぬのじゃなかろうか。少なくとも郵便局にそれぞれお得意としてやってきておる人には、二十万円ぐらいの金はさっさと貸せるという体制をとることが、郵便局の権威のためにも、また財投との関係から見ても至当ではないかというふうに私は考えているが、郵政大臣、どう考えていますか。
  68. 船津茂

    船津政府委員 先生のおっしゃる趣旨はよくわかるのでございまして、一般利用者にも貸したらどうだということでございますが、いまおっしゃったとおり、定額定期と積立だけに一応お貸ししまして、そのほかの種類といたしましては、住宅積立貯金及び通常貯金、こういうものの御利用の方には担保として貸してはおりません。と申しますのは、通常貯金は、借りるまでもなく当座制のものでございまして、必要がございましたならばおろしてお使いいただく、そうしてまた金が余りますれば貯金していただく。住宅積立貯金にいたしますと、これは特別の、自分の持ち家を建設するという目的のもとに五十万円まで積み立てていただくわけでございますので、そういうふうな目的のある貯金を対象に、金融といいますかお貸し付けするということは妥当を欠くのじゃなかろうか、こういうことではずしてございまして、先生のおっしゃる意味はわかりますけれども、そういう制度になっております。
  69. 土橋一吉

    ○土橋委員 妥当を欠くとは一体どういうわけだね。担保力を持っている者以外には金を貸さないという、いわゆる高利貸し根性じゃないかね。各市町村あるいは東京都においてすらも無担保、無保証で、たとえば二百万円まで金を貸しましょう、あるいは京都蜷川府政のもとにおいては、かけ込み融資といって、暮れになってきてどうにもならないというときは二万とか三万、いわゆるあるとき払い、ないとき何とかというような方法融資をしておるといわれているわけだ。まして十三兆から十五兆円も金を持っていて、しかも郵便局関係をしている通常貯金であるにせよ、その金額がかりに一万三千円であっても、郵便局のお得意さんじゃないかね。なぜそういう担保力のある者だけに金を貸せるかね。それがさっきのあなたの説明だと、何か妥当を欠くとか不適法だとかなんか言ったんですね。何事ですか、あなた。お客さんに対してそんな無礼なことを言っていいですか。お客さまは神さまといわれていますよ。
  70. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  あるいはことばが妥当を、それこそ欠いたと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、通常貯金は出し入れ自由でございますので、その利用のしかたがあるということでございまして、住宅積立貯金は、やはり自己の居住の用に供する住宅の建設につきまして必要な資金を貯蓄するということで、この五十万円を貯蓄することによって、三年、四年、五年とございますけれども、住宅金融公庫から貸し付けを受けることができます。そういうふうな特殊な目的を持った貯金でございますので、この預金者貸し付けの対象から、妥当を欠くというのは失言でございましたが、はずしておる次第でございます。
  71. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政大臣はいまのお話をお聞きになりまして、私が京都や東京や、あるいは立川市とかあるいは武蔵野市とかそういう例をあげましたが、こういうことを考えて現在の郵便貯金制度をどう、——いま私が申し上げた線に引き上げるかどうかについてあなたの所信を聞きましょう。
  72. 原田憲

    原田国務大臣 長い間の沿革がありまして、郵便貯金というものはこれを貸し出しをしない、普通貯金は出し入ればいたしますけれども、先ほど言いました金融貸し付けという形はとっておらない、それから、集まった金は財政投融資資金として使って、国民のために役立てる、こういう制度で進んでおりますから、この制度のまま進めという意見もあるわけであります。しかしさしあたっての金は貸し出ししてもよいじゃないかということで、いまあなたがおっしゃったような地方の団体でもやっておるじゃないかというようなことから、さしあたっての金を、たとえば入学資金にお金が五万円ほど要るというときでも、自分が郵便の定額貯金を持っておる、それの金も貸してもらえるということなら市役所に行かなくてもそこで借りられるという、長い間の郵便局との、それこそあなたおっしゃったお客さんでございますから、それに対する要望は達成してもいいじゃないかということで踏み切られたのが、この十万円を限度とするところの新しいやり方でございまして、このことにつきまして今度は二十万円にしていただきたい、こういうことを御審議を願っておるわけでございますので、いまの根本的な問題につきましてはなお検討を進めていかなければならないと考えております。
  73. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたは財政投融資お話しになりました。大蔵省から来ておりますが、私は聞きたいのです。「四十七年度末における郵貯資金は、郵便振替の資金(三百五十億円)を合わせて十二兆千六百二十二億円に及び、資金運用部原資現在高の五三%を占め、郵貯に次いで大きなウェートを占める厚生保険の二九%を大きく引き離して、資金運用部原資の大宗を占めている。」ということをあなたのほうの資料にちゃんと書いておるわけですね。そうしますと、その原資に充てているという大蔵省預金部資金の金の使い方は、一体どういうところに金を使っているのかという問題になってくるわけですね。そうすると、あなたのほうから出しておる資料を見ても、また私のほうのいわゆる共産党の「議会と自治体」の資料を見ても、大体同じように書いてある。どういうことになっておるかというと、結局鉄道公団あるいは道路公団あるいは輸銀、この間から問題になっておる輸銀です。つまり商社がたくさんの金を借りて、そうして買い占め、売り惜しみをやったところの元凶である輸銀、開発銀行あるいはその他のいわゆる特殊会計であるとか、あるいは公団公社、そういうところにどんどん金を出しているわけなんです。その金が結局日本のいわゆる高度経済成長政策の足となり地盤となり、そして国民大衆が今日の異常な物価高で苦しんでおる。こういう事態の基礎を、要するに零細な郵便貯金を集めてそこへ奉じておるわけなんです。なるほど住宅公団もありましょう、あるいは地方還元として地方公共団体に貸しておるものもありますけれども、一番大きな問題は何かといえば、明らかに高度経済成長政策、日本列島改造論につながるところに金をたくさんぶち込んでいられる、そういうことをしておるいわゆる財政投融資制度そのものが国会の承認を得ないということになっておるわけだ。これでは、田中自民党政府がえてかってなことをどんどんやってくる重大な基盤をつくっておるということになるとわれわれは確信をしております。でありますから、私が先ほど申し上げますように、郵便貯金制度は、少なくとも郵便局関係のある方には、東京都やあるいはその他の革新的な市町村がやっておるように融資制度のワクを広げる必要がある。そうすれば財投の金が狭まってきて、それでは内閣総理大臣は文句を言うかもわからない。しかし実際金を集めてきたのは郵便局じゃないかね。田中角榮さん、郵便貯金集めてやしない。集めておるのは、あんたのところの要するに貯金局だ。しかもこの問から私追及しておるように、その収支の決算を見ると、受託業務と書いてあるわけだな。どこが受託業務ですか。どこに頼まれて郵便局はそんな郵便貯金制度をやっておるのか。大蔵省預金部資金から頼まれてそういうことをやっているのか。会計のあれを見て、受託業務とみな書いてある。電信電話の委託とか放送局の金集めの委託とか、そういう委託業務のような会計のとり方をしておるじゃないですか。しかも従来の郵便業務と、それから郵便貯金と、また郵便簡易保険というものは、ちゃんと郵便局の三つの柱であるわけだ。それが片方はそういうことをやっておるようなことについて私は非常に理解に苦しんでおるわけですよ、大臣。ですから、こういう問題は郵便貯金としてもやはり地方還元をしなければならない。各貯金局で集めたものは、貯金局の傘下の方々に相当部分を使っていただくというふうにしなければいかぬと思うのですね。それをやらないで大蔵省へ全部まかせっぱなしで、大蔵大臣と大蔵官僚がえてかってに、国会の承認も得ないで、ここに資料出ておりますから詳しいことはこれをごらんになればいいわけです。あなたの出したこの資料の四九ページを見ればだれだってわかるようになっておるのだ。この使い方が問題であるわけだ。そういう金を結局郵便局では、今年度だって約三兆円の金を入れようとしておるわけだ。三兆五百億ぐらいの金を入れようとしておる。ちゃんと書いてある。そういうことをなぜやって、そうして地方還元をやらないかということが大きな問題になってくると私は思うのだ。郵政大臣、どう思いますか。その次は大蔵省、答弁してください。
  74. 原田憲

    原田国務大臣 いまおっしゃっておりますように、財政投融資資金の中で郵便貯金が集めているワクが非常に多いことも事実でありますし、そして過去においてこの投資によって現在の日本の国ができ上がってきたということも御指摘のとおりだと思います。それが全部悪かったかということになると、私はちょっと考え方が違いまして、まあそれはあなたはぼろくそにおっしゃるけれども、あなたもだいぶよくなっておりますよ、実際のことを言ったら、土橋さん。だから、これはいままでの一生懸命にやってきたところで悪かった点は悪いと改めるのが政治でありまして、そこでこの財政投融資資金使い方も、あなたのおっしゃるように、いままで使っておったところから方向転換して福祉型にやっていこう、こういうことをいま言っておりまして、その方向にこれから向けていこう、こうやっておると私は承知しておるのでございまして、いまあなたの御指摘のありました点につきまして、私は一部は承服しがたいところもございますけれども、これからの行政について十分意を尽くしていかなければならぬ、こういう考え方については同感でございます。
  75. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は原田郵政大臣に厳重な抗議を申し上げます。私がぼろくそに言った、あなただってその恩恵を受けておるじゃないかと、こういう発言があったように思います、速記録を読んでいただけば。郵政大臣としてかような不見識なことを、一体質問をしておる私に対して、ぼろくそに言ったとか、あんたもその恩典に浴したとは何ごとですか。
  76. 原田憲

    原田国務大臣 大阪弁でございますので、受け取り方が間違われますので取り消しておきます。
  77. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は財政投融資制度が全部悪いとは一口も言っていない、先ほど申し上げるように。財政投融資制度で特別会計とか公団とかあるいは公社とかその他のところへ金を使っておるけれども、特に道路公団とか鉄道建設公団とか輸銀とかあるいは開発銀行とか、そういうところへたくさんの金を使う、こういう状態がはたしていいのか、それなら地方還元すべきじゃないか、そういうところを減らして公団住宅に回しなさいとか、あるいはこれから土地開発公社もできようといっておる、これほんとうに本物ならば、やはり郵便貯金を回してやってけっこうなんだ。つまり、従来のいわゆる商社の買い占め、売り惜しみの元凶であったいわゆる開発銀行に対して、御承知のように今度もたくさんな金を貸しておるんだ。もしあなたがおわかりにならなかったら、数字をあげましょうか。開発銀行に投資をしておる金はたいへんなものですよ。開発銀行に投資をしておるのは、四十九年は三千九百八十億円というものを投資しておるのですよ。輸銀に対しては六千百六十五億ですよ。この中で占めておる郵便貯金の比率というものは先ほど申し上げたように五三%でありますから、その五三%の比率は相当なものがここに入っている。それはそうでしょう、年金と簡易保険と郵便貯金をどんぶり勘定にしてここへ出してくるんだから。それで、五三%を占めておる郵便貯金というものは、この中で大なるものを占めているんだ。これが今日の物価高と買い占め、売り惜しみの元凶をなしておるわけです。そういうことを私は言ったのですよ。そうしたらあなたの答弁は、土橋さん、そんなあなたぼろくそに言うけれども、あなたもこの恩典に浴している、こういう不届きな発言をしたでしょう。委員長、どうですか。
  78. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 いま大臣は取り消されましたから、そういうことで御了承ください。
  79. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは当然取り消さなければならぬ、そんな不届きなことは。私は全部悪いと言っていないんだから、それは皆さん聞いておられるとおりですよ。これが全部悪いということは一口も言っていない。こういうところへ金を使うのはどうかということを私は言ったんだ。大蔵省、どういうふうに答弁をしますか。
  80. 窪田弘

    ○窪田説明員 私は財政投融資の担当ではございませんが、財政投融資のあり方につきましてもいろいろ御批判がございまして、三十年代の御指摘のような使い方から、最近は住宅金融公庫でございますとか、そういった国民の生活基盤的なもののウエートが非常に増大をしてきております。そのウエートが最大になっていると思います。  そういうふうに中身も変わっておりますし、それから財政投融資の中身につきましても、国会の御審議に資するようにことしから財政投融資説明を提出いたしております。そういうことで御了承いただきたいと思います。
  81. 土橋一吉

    ○土橋委員 四十九年度は住宅公社が七千五百六十二億円、住宅公団が四千二百九十四億円、これから発展するであろうといわれておる宅地開発公団が四百三十五億円、ずっと書いてあるわけですね。そういうものから見ると、どうしても私は、そういうわが党の主張に従ってこれをやはり国民の前へ明らかにしなければいかぬということからいま申し上げているのであって、この点について、いま申し上げるように、たとえば住宅公団であるとか、あるいはこの最後のところに書いてある地方公共団体に対しては、全部の比率の一一・九%なんだ。一兆四千百億しか出してない。四十九年度予算では七兆九千億、約八兆円の財政投融資をするところを、一二%に満たないものしか地方公共団体に出していないわけだ。ですから私は、その郵便貯金局ごとに、金を集めたところへ少なくとも三分の一の貸し付けなり融資方法をとるべきじゃないか、こういうことを言っておるのであります。そのことは、地方の学校とかいうような点において水道とか建設事業をするわけですから、あなたがおっしゃるように、私はぼろくそに言っていないのですよ。地方公共団体も発展させておられるということを言っておるのですから……(原田国務大臣「もう自分は取り消したから」と呼ぶ)  さて、それでは取り消されたからもうこれ以上言いませんけれども、そういうことの趣旨をやはり十分郵政省考え大蔵省考えてもらわなければ困るということを私は言っているのである。しかも国会の承認を得ないで、えてかってに大蔵省は、大蔵大臣と、そして一部のそういう諸君がどんどんこの金を使って、それで国民がいま困っておる問題について解決をしないということはまことに遺憾千万であります。この点、私はやはり明確にしていただきたいと思うのであります。  さて、これは追って詳しくいろいろ論議をいたしますが、その次の問題は金利の問題であります。ついせんだって、ある労働組合が浜松の大会において、郵便貯金をしたところがたいへん目減りがきた、つまり卸売り物価が三四%も上がっておるし、消費者物価が二二%ですか、上がっておる、こういう状況で金利がわずか、たとえば六分五厘であるとか六分七厘であるとか、六・七五二であるとか、つまりこういうパーセントでは結局のところ郵便貯金したたびに損がくるのじゃないか、たいへんな損害がくる、したがって、これは郵便局に対して大阪方面を中心に訴訟を起こそう、こういう事態が起こっておるが、この金利が非常に低いために、いま金利問題は郵便貯金制度の最も大きな問題であります。いかほどあなたや船津さんがどんどんやられても、この郵便貯金の金利が非常に少ないということ、そのためにこの間ボーナス的な預金のようなことをやってはみたけれども、結局最近は農協の伸び率に比べて郵便局はおくれておるじゃないか。このあなた方の資料そのものを見たって伸び率がおくれておるじゃないか。この事実は何かというと貸し付けの問題や金利の問題が大きく影響をしておるのであります。郵政大臣はおわかりでしょう。したがって、ここにも書いてあるが、この労働組合が郵便貯金損害賠償、これを要求するということを言われておるんですね。これは民事裁判でどういう判決をするか私は知りませんけれども、きわめて妥当な要求を出しておると思うのですよ。いまの状態において非常に安い金利で、そしていま申し上げたような財投の使い方をしておる。それで、物価が上がってしまったから貯金をするよりは品物を買っておいたほうがいい。事実そういう状況下にあることは委員先生方御承知のとおりであります。この問題について郵政省は一体どう考えておるか。貯金の目減り、これをどういうふうに防ごうとしておるのか。定額貯金にしても定期貯金にしても、つまりインフレに強い貯金制度をどうしてつくるか。零細なそういう貯金者、預金者が、いまのような状況下においてインフレで困っておる体制について、どういうふうにするか、どういう考えを持っておるのか、郵政大臣
  82. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど大阪弁で、ぼろくそというようなことば使いまして、大阪弁の部分は取り消すと申し上げましたが、土橋先生に言われますとたいへんしかられているように思いますので、表現がぼろくそという大阪弁になってしまいましたが、できるだけひとつぼろくそと受け取られぬように、よろしくお願いいたします。私のほうも決してそういうことは——これから気をつけて答弁をいたします。  いまの金利の問題でございますが、これは確かに問題であるという認識は持っております。したがいまして、先ほど阿部委員にもお答え申し上げましたが、政府においては昨年において四回、金利の値上げをし改定をいたし、また私が在職しましてからも皆さん方にいろいろお願いをいたしまして、預金限度額の拡大、また新しい半年ものの高金利の定期預金をつくり出すとかいうようなことをいたしておることは御承知のとおりでございます。これもいまお話がございましたけれども、定期預金で半年もので、はたしてどれだけ金が集まるかという御議論もあったのでございますけれども、実際はこちらが考えております以上に金が集まっておるということは、一方で確かに国民の中では、こんな低い金利であるならば、物価の値上がりのほうが激しいんだから物を買っておいたほうが得だということに走りがちである、その中でもやはり預金が伸びておるということは、やはり総需要抑制、値打ちのないお金を世の中に散布しておったのでは、それがどんどんとインフレをますます激しくしていくことになるという国民の御理解を賜わっておる結果がそういうようになってきておると私は思います。したがいまして、預金の問題で金利問題が一番大事でございます状況下に置かれておるということは十分認識をいたしておりますが、まず総需要を抑制する、そして物価を安定せしめるということが一番大事なことでございます。その一方策といたしまして現在までの制度をとってきておるわけでございますけれども、なおこの問題につきましては検討を進めて、いわゆる積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
  83. 土橋一吉

    ○土橋委員 ある新聞はこういうことを書いておるわけですね。私がちょっと申し上げたと同じことをここでいっています。「卸売り物価は前年比三割、消費者物価は二割アップ——世界一の狂乱物価の中で、金利、元本とも日増しに目減りする「貯蓄」に、政府、日銀はインフレ補償的な新しい貯蓄優遇策を遅まきながら模索しはじめた。しかし「預金金利を一〇%程度に引き上げよ」「金利に物価スライド制を導入せよ」——と国会で追及される政府の姿勢は一応は前向きながら、いま一歩歯切れが悪い。このインフレ下にもかかわらず、生活防衛的な預金は着実に伸びている。せめてこうした小額貯蓄者のささやかな貯蓄を守る新手はないのか。これを実現させるのが政治というもの。」こういう題で、そしてここでこういうことをいっておるわけですね。福田大蔵大臣は「零細預金者には救済措置をとらねばならないという気持ちで、常々考えているのだが、名案が浮かばない」、何ですか、これは一体。大蔵大臣が名案が浮かばないというのは。大蔵大臣の経験が多年あって、名案が浮かばないと言うのですよ。日銀総裁はどう言っているのか。やはりこの問題について「本当ならば政府が割り増し金を出すのが一番良いが、私から口に出せないこと。」言えないというのですよ。ここでは言っているわけだ。「過去にも検討したが、日本の風土に合う預金のインフレ救済策は見つからなかった」、これは佐々木日銀総裁が言っておる。そうなってくると、郵便貯金制度そのものについて、ここではどういう見出しを書いておるかというと、「金利体系崩れる。預金者救済の名案浮かばず」。そこで大体二けたに預金者の金利を上げるべきだという——これはたくさん新聞はありますよ、同じようなことを金利についていろいろいっている。ここにもいっておりますが、要するに、こういう体制をどう救済するかという根本問題を考えないでおいて、わずか十万円を二十万円にした。しかも全部は十五兆円になろうとしておる。しかも郵便局はお得意さんは神さまだ、その者にやらないで、わずかな担保力を郵便局が保証しておる者だけに二十万円金を出す。こういうことではやはり貯金制度そのものの——国全体から見て、これは最近の指数が示しておるように、景気の悪いおととしあたりは郵便局の伸びが非常に激しかった。非常にいい成績をあげておるわけです、この表を見ると。しかしインフレが激化してくると農協に押されてしまう。こういう状態になっておることを見ても、きわめて明瞭といわなければなりません。でありますから、私は本件について反対はいたしません。国民の現在要求しておる事情からいうならば、当然これは一般の人には二十万円貸せ、特に郵便局関係定額とか定期貯金なんか持っている人には少なくとも三十万円くらいの金を——いま十万円そこらの金ではどうすることもできないです。子供の修学旅行にも足らない、小学校へ一年生にあげることにも足らないです、十万円では。知っておられるでしょう。  しかも、それは期間は半年でしょう。半年でこれを回転をするわけでしょう。半年で回転をしますと、ここにあなた方が表を出しておられるのを見ますと、最初の四十七年一月から三月までは七十四万件あったのです。それで三百七十一億の貸し付けをした。ところがだんだんくると、ますます貸し付け件数が多くなるわけです。そうしますと、これで約一千億の金を財投からかんべんしてもらったわけだから、今度は二十万円になればこの金にさらに十万円分、つまり一千億の金をまた財投から入れなければこの融資ができないわけです。それに間違いないのかどうか。
  84. 船津茂

    船津政府委員 貸し付け限度額の十万円が二十万円になった場合にどうなるかということの見通しでございますが、見通しでございますからそのとおりになるかということは、まああれですが、大体制度発足のときは十万円、その原資一千億で発足しまして、本年度は貯金増加額の一%をそれに上のせできるということになっておりますので、千二百億が本年度の原資でございます。四十九年度は三兆五百億円と、先生おっしゃったように増加目標額を立てておりますので、三百億で、都合千五百億円が原資になるということでございます。先ほど申し上げましたように、現行の制度利用件数、金額を申し上げましたが、貸し付け残高が五百六十七億円ということでございますので、今度二十万円に上げました場合の想定でございますが、大体平均値といたしまして一人当たり九万円ぐらいの平均値になるか、こういうふうな想定をしておりまして、千五百億の原資で十分見合うのではなかろうか。もしそれで足りません場合は、大蔵当局と協議いたしまして原資の裏づけをしたい、こういうふうに考えております。
  85. 土橋一吉

    ○土橋委員 貯金局長に聞くが、そういう簡単な、子供でもわかるような計算でいいのかね、この問題は。つまりインフレが加速的に、この三月になってくるとまた石油その他の物価が上がりますよ。御承知のように消費者米価も上がってくるだろう。そういう事態において、現在の十万円というものは……(「消費者米価は上げないよ」と呼ぶ者あり)上げないか、それは取り消しましょう。要するに物価は上がってくる。そうなってくると、十万円が少ないから二十万円ということになっているわけなんだ。こういう比率の関係からいうと、いまあなたが説明されました、要するに一千億借りてしまったわけだ。それからさらに、一千何ぼですって、五百億ですか、一千何ぼです。
  86. 船津茂

    船津政府委員 来年度の預金者貸し付け制度に充て得ます原資のワクというものが、千五百億になるということでございます。
  87. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、私が予定している二千億ではなくて、全部合わせて千五百億かね。それじゃ看板に偽りありじゃないですか。この表からいうと、要するに二十万円貸し付けをして、どんどん六カ月で回転をしていく。実際原資というものがたった千五百億しかないといったらペテンじゃないかね。つまり内容が看板と相違するんじゃないかね。二千億ならばある程度わかるけれども。
  88. 船津茂

    船津政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、現行十万円の制度のもとにおきまして一年一カ月たちましたわけでございますが、貸し付け残高——いわゆる一千億まで貸せるわけでございますけれども、一月三十一日現在五百六十七億円借りていただいたという事実がございまして、これを二十万円に上げましても、四十九年度は千五百億、そのワクがございますので、先生おっしゃるように、半年が期限でございまして、四カ月程度で回転していきますので、返していただきます。そういう関係上、千五百億のワクでまかなえるというような感じを持っております。  また、先生のおっしゃいます二十万円ではいかにも低過ぎるということは、私も思いますけれども、利用実態そのほか、先生のおっしゃる物価の状況などをにらみ合わせましてまた検討していきたい、こういうふうに考えております。
  89. 土橋一吉

    ○土橋委員 つまり私が言いたいことは、貸し付け件数が逐次累増してくるわけですね。そして物価はいまのようにどんどん上がっている。そうしてくると、貨幣価値は非常に下落しているわけなんだ。したがって、この二十万円だって、去年の一月当初の十万円にも当たらないほど今日は貨幣価値は下落しているわけだね。そういう点の国民全体の経済から見て、私はもっとこれを上げて要求してしかるべきじゃないか。(「……数字だから訂正しておけよ」と呼ぶ者あり)いや黙っておれよ。何で君がたがた言うんだ。悪かったら私のほうがあやまってちゃんとするよ。そんな要らぬことを言うな。物価は非常に上がっているんだから、あなた知っているでしょう。  どうかね。それは二千億という金は出ないのかね。千五百億でやる考えですか。
  90. 船津茂

    船津政府委員 申し上げましたように、想定でございますけれども千五百億で足りるだろうということでございまして、もし足りないような事態になりましたならば、大蔵省との覚え書きがございまして、協議して原資のワクをふやすということになっておりますので、御利用の方に不便はおかけしないで済むだろう、こういうふうに考えております。
  91. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、その千五百億はかりに千七百億になってもそれはいいと思います。私も計算がなかなかできない。むずかしい計算になってしまってできない。だからこれは私も譲ります、一応あなたの御説明したように。  ただ問題はこの金利ですが、金利が、要するに貸し付けは先ほど〇・二五%の上のせをして貸せる。ところが半年でしょう。半年で〇・二五%は高いじゃないですか。そうすると一年に換算すれば〇・五%になるんじゃないですか。そんな高い金利で貸してよろしいですか。
  92. 船津茂

    船津政府委員 貸し付け利率は一年でそういうふうに〇・二五%、ですから〇・一二五ということに半年の場合にはなりますし、四カ月で返していただく場合には四カ月の計算、こういうようなことになっております。
  93. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは最大限が半年であって、借りる本人の力量その他の関係では三カ月でもいいし四カ月でもいいのですか。
  94. 船津茂

    船津政府委員 貸し付け期限が六カ月に限られておりまして、一カ月でお返しになる場合もありますし、五カ月の場合もございますし、平均をとりますと四カ月ちょっとという期間でお返し願っている次第でございます。
  95. 土橋一吉

    ○土橋委員 それですと、今度一カ月で返したときに金利は一体どういうふうになるのですか。
  96. 船津茂

    船津政府委員 一カ月のときには〇・二五の一カ月を上のせした数字でございますが、その十二分の一という数字になろうかと存じます。
  97. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間がぼつぼつ来ましたので私はやめますが、先ほど読み上げましたように、郵政大臣は金利問題について国務大臣としてどういう態度をとってこの悪性インフレ下に国民のこの零細な貯蓄を保証しながら、いま申し上げたようなスライド制にするとか、あるいは佐々木日銀総裁が言っておるそういう特別の割り増し金を出すとか、こういうことをやる意図はないのかどうか。あるいは訴訟を提起せよというある労働組合のこういう問題については、これは御承知のように憲法第二十五条を基本として、憲法第二十九条を根拠としているわけです。そして郵便貯金法の第一条の規定やその他の規定を根拠にして要求してくるわけです。そういうふうにこの新聞には書いてあるわけです。そうすると、これは国の大原則ですよ。こういう問題について国務大臣としてはどうお考えになりますか。金利の問題とこの二つの問題について。
  98. 原田憲

    原田国務大臣 訴訟の問題は現在のところまだ仮定の問題でございますから、これが起こりましたときにそれに対するところ考え方を述べさせていただきたいと思いますが、金利問題につきましては、先ほども申し上げましたように、私も重要な問題点であると認識をいたしております。したがいまして、これらの問題につきましては、新聞記事でございますから大蔵大臣が名案がないとおっしゃったということは——直接大蔵大臣と私とでは話し合っております。何かやらなければならぬじゃないかというふうに私は考えております。
  99. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、あなたの御意見、何かしなければいかぬということは——いま佐々木日銀総裁はこういう形がいいと言っておるわけですね。またあるところで私は読んだんだが、スライド制にするとか、あるいはインフレに強い要するに定額定期貯金は、一体あなたどういう考えを持っていらっしゃるのですか。
  100. 原田憲

    原田国務大臣 先ほども割り増しの問題で、佐々木氏は、割り増しを私から云々という記事がございました。これは大蔵省提案をいたしておりますね、民間銀行の措置として。先ほど阿部さんは、それはとどまるようにという御意見でございましたが、私どものほうでは、それは御意見として承って、慎重に検討をしていきたいというお答えをいたしております。これをいまやるということを申し上げておるのではございませんが、金利の問題につきましても検討をしてまいりたい、こういうことを考えております。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 ある経済の新聞には、最近の金融関係その他から見て、定期貯金とかそういうような定額貯金を、いまちょっとあなたもお話しになったように、日銀総裁もちょっと言いましたように、あるいは福田赳夫大蔵大臣もちょっと言いましたようなスライド制を加味した定額貯金、これをやはり研究しなければいかぬじゃないかということを書いている人もいるんですね。こういう点をやはり貯金局の局長も大いに勉強していただきたいと思うのですよ。  それで締めくくって言いますが、これはできるだけ原資で使う大蔵省が国会の承認をいただいて、一般会計予算と同じように、国会の審議のもとに財投の金を使うようにしてもらいたい。そうしてとりわけ緊急必要な公害の問題あるいはいわゆる住宅の問題、あるいは地方公共団体の下水であるとかあるいは学校建設とか、こういうようなところへ主たる力を入れることを中心にして、そしてたとえば国際基金であるとかあるいは輸銀であるとか、こういうのは二の次三の次でいいじゃないかというふうに私は考えている。これは大幅に減らす必要がある。特に輸銀の最近の伊藤忠商事とかあるいはその他の商事会社に五千億円も金を貸しておるわけだな。これは国会で、予算委員会で明瞭になりましたが、こういう点を厳重にひとつ郵政省もあげて、郵政大臣もこの点について御尽力願いまして、それでこの貯金制度の健全な、それこそ国民の輿望をになう内容のために奮闘されることを私は心から願っておるわけでございます。  いろいろ質問いたしましたが、これで私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  102. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、大野潔君。
  103. 大野潔

    ○大野(潔)委員 逓信の先輩議員からそれぞれ問題点が出ましたので、私は、法案に限って基本的な問題を取りまとめという意味で質問していきたいと思います。  最初に、最南貸し出し限度額十万円を二十万円に引き上げる理由、いわゆる根拠、これをもう一度ひとつ御説明願いたいと思います。
  104. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  貸し付け制度発足の本来の意味が、預金者の不時の出費に充てるということでいろいろいきさつがございましたようでございますが、十万円ということでございました。この二十万円に引き上げまするものも、利用者の間でこの引き上げ方——希望金としてはもう五十万とかなんとか大きな金額が出ておりますけれども、とにかく引き上げてほしい。十万円じゃ一般の主婦でもちょっとたすきに長く帯に短いというようなことを申されまして、強い要望がございます。それからまた物価の趨勢、郵便貯金利用実態、こういうものをいろいろ考え合わせまして二十万という数字を出しましたが、制度発足以来一年ちょっとでございますので、倍額ということでひとまず御提案、御審議を願っておる次第でございます。
  105. 大野潔

    ○大野(潔)委員 貸し出し件数が過去三百四十六万一千件ですか、これが二十万にした場合にはどのくらい見込んでおられますか。
  106. 船津茂

    船津政府委員 二十万円に引き上げますのは来年度からということでございまして、四十九年度一年間の利用件数は、私のほうの推定でございますが大体四百万件、総額が三千六百億円程度は貸し付けできるのじゃなかろうか、こういうように考えています。
  107. 大野潔

    ○大野(潔)委員 現在までの貸し付け金額を段階的な構成比で示すと大体どういうことになりますか。
  108. 船津茂

    船津政府委員 貸し付け金額を段階的にとった数字がございますが、あらまし申し上げますと、五万円から一万円、もっと小さな額はないと思いますが、一万円から五万円、こういう数字が全体の貸し付け件数の中の六八・二%でございます。それからそれ以外の六万、七万、八万、九万、十万が三一・八%あるわけでございまして、一番最高の十万円ジャストをお借りいただいている件数が二二・八%、こういうふうな数字がございます。
  109. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私のほうで調査しますと、一万円以下が二〇・五、それから一万から三万までは二三・二、それから三万から五万までは二四・五、要するに五万以下の利用者が六八・二で一番多いというわけですけれども、これは大体どういう用途でお使いになっているのかお調べになったでしょうか。もしおわかりになったら聞かせていただきたい。
  110. 船津茂

    船津政府委員 先ほど阿部先生の御質問がありましたアンケートをとったかということでございいましたが、どういう用途でという統計その他は実はとっておりませんけれども、用途といたしましては、医療、教育、冠婚葬祭、レジャー、その他不時の出費に充てるというようなことを想定いたしまして、基本的な住宅の建設だとか事業資金だとか大がかりなものは想定しておりません。
  111. 大野潔

    ○大野(潔)委員 これが十万から二十万になると、大体どういう用途のものがふえるかということについてはどう研究されておりますか。
  112. 船津茂

    船津政府委員 十万円から二十万円に引き上げていただきます場合の用途でございますが、ほぼいま申し上げましたところであろうかと存じますが、大体私のほうの想定では平均金額としては九万円前後の御利用が多いんじゃなかろうか、こういうように考えております。
  113. 大野潔

    ○大野(潔)委員 やはり五万前後が一番多いということは、いわゆる庶民金融として出発しましたその目的を達しているのだと思いますけれども、二十万円に上げることによって、大体事業資金、運転資金、こういうものがふえるのではないかと私は思う。そうなりますと、先ほど出ております千五百億のいわゆる準備金ですね、これで足らなくなるんじゃないか。もし足らなくなった場合には、やはり急に必要になった者が、いわゆる五万前後の方が郵便局に行っても借りられない、そういう事態も発生するのではないかと思いますが、それが発生してから急遽大蔵省と打ち合わせしてもどうしようもない。その辺の対策についてどのようにお考えになっているか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  114. 船津茂

    船津政府委員 先生指摘の懸念が全くないというわけではございませんので、来年度千五百億のワクが突破されそうだという場合、これは日々、私のほうには日報といいまして計数が上がってまいりますので貸し付け残高というものが刻々につかみ得ますので、千五百億をオーバーしそうな趨勢になりましたときには大蔵省と協議してその手当てをいたしたいと思っております。
  115. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣に伺いますけれども、将来この貸し付け限度額の引き上げについてはどのように考えておられるか。私はお断わりしておきますけれども、十万が二十万になることについては賛成であります。かねて同僚議員が三十万にすべきではないか、こういうような意見もあったわけでありますが、将来の問題として大臣としてはどう考えておられるか、ひとつお伺いします。
  116. 原田憲

    原田国務大臣 これは将来の問題といたしましては、結論的にはもう少し上げる方向で検討すべきじゃないか。と申しますのは、わがほうでは、この予算に際しまして大蔵当局との間に折衝をいたしましたのはもう少し高い額でできないかという根拠があったわけでございます。結局は話し合いでございますから二十万というところで落ちつけて、これで今後成り行きを見てみよう、こういうことでございますが、先ほどから御質問の中にありましたように、また、いま大野さんのおっしゃっておりますように、初めてやっておることでございますから、この金がどのように使われておるか、どのような方々が使っておられるか、それから方向としてどのように進んでいくであろうか、十分な検討をいたしまして対処していきたい、このように考えております。
  117. 大野潔

    ○大野(潔)委員 次は返済期間について伺いますけれども、二十万になってきた場合に、やはりこれを一ぺんに返すという方式、また返済期間、こういうものが問題になってくると思いますけれども、この六カ月を延長するという考え方、また分割払いという考え方、こういうことについてはどうでしょうか。
  118. 原田憲

    原田国務大臣 いまちょっとことばが足りなかったのでございますが、先ほども申し上げました中にいまお尋ねの問題も含んでおったのでございますが、もし額がふえてきた場合には、これの返済ということがいまのままでよいかどうかというような問題も起こってまいりますので、それらの問題を含めまして検討していきたい、こういうことでございます。
  119. 大野潔

    ○大野(潔)委員 この一年間やってみて、貸し付け期間内に弁済がなかったものが全部で三・八%ですか、あるわけですが、この三・八というのは大体どういうクラス、いわゆる一万円クラスとか五万円クラスとか、また十万円クラスとか、そういうクラスで言うと大体どういうクラスが多いのですか。
  120. 船津茂

    船津政府委員 先生がおっしゃるように半年の期間で支払いがない、ぎりぎりまでいった件数が全体の件数の中で三・八%ございますのは事実でございますが、どういうクラスかというところまでは細別して統計といいますか、実情を把握しておりませんで、どうも済まぬことでございます。
  121. 大野潔

    ○大野(潔)委員 やはりこれももう少し研究されまして——私は感じとしては金額が多くなるほど返しにくくなってくる、こう思いますので、先ほど大臣の答弁もありましたけれども、返済期間並びに分割払いの方法、これはひとつ十分御検討さされたほうがいいのじゃないかと思います。  以上、基本的な点を伺いましたので、以上をもって終らせていただきます。
  122. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は明二十八日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十九分散会