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1974-02-14 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十四日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 羽田  孜君    理事 阿部喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       中馬 辰猪君    坪川 信三君       西村 英一君    長谷川四郎君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       久保  等君    平田 藤吉君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         郵政政務次官 三ッ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浅見 喜作君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         大蔵省銀行局総         務課長     米山 武政君         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   広沢 直樹君     田中 昭二君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     広沢 直樹君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 二月十三日  祝日の郵便配達廃止に関する陳情書  (第一九三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きのう大臣から所信表明をいただいたわけですが、かねて私どもは、郵政省が「郵政大臣所管事項説明」というこの冊子になっておったのですけれども、この委員会で、ほかの各省では大臣所信表明になっておる、郵政大臣所管事項説明でなく所信表明とすべきであるという意見を申し上げ、今回からその意見を取り上げていただいたことに、たいへん敬意を払いたいと思います。内容も、従来の数字の羅列から比ぶるならば非常に充実したものになっておるというふうに考えます。この点も非常にりっぱになったと思いまして、関係の向きの努力敬意を表したいと思います。  そこで、まず、本日は所信表明に対するいわば総論的な質問をさせてもらいたいと思いますけれども昭和四十九年度の郵政予算を拝見させていただきましたが、郵便料金値上げが総需要の抑制物価抑制から見送られるという状況の中で、六百九十六億円の赤字計上、いわゆる借り入れをしなければならないという予算になっているように拝見をいたしますが、特別会計である郵政事業借り入れ金をもって年度の予算をまかなうという処理のしかたについて、一体大臣がどのようにお考えになっておるのか、承りたいと思います。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 阿部先生から所信表明に対する御意見を伺いまして、たいへんありがたく思っております。またただいまお話のございました郵便特別会計におけるところの来年度の四十九年度予算において借り入れをしなければならなくなっておるが、これについていかが考えるか、こういうお尋ねでございます。  たいへん基本的な問題でございまして、重要な問題と承知いたしております。すなわち、この業務に関しまして、すでに郵政省では郵政関係審議会にこの問題についての答申を求めておったわけでございます。この答申をいただきまして、今後の改善方についての具体的な答申をいただいておりますことは御承知のとおりであります。すなわち、郵便料金改定あるいはその他業務におけるところ改善方についてがこれでございます。しかしながら、何と申しますか、今日の経済状態、異常な物価の騰貴という問題がすべての政治課題に優先するという情勢にかんがみまして、政府ではこの問題の一つ対応策として、公共料金抑制ということを強く打ち出したことも御承知のとおりでございまして、すでに法律的に決定を見ております国鉄運賃改定あるいは消費者米価の問題これらも六カ月間は延長するということを決定いたしておる次第でございます。これらの問題とからめまして、郵便料金昭和四十九年度予算の中では改定をすることを扱わないという措置をとりましたことは、今日の政治課題の中で一番優先をしておる問題という見地からこれと取り組んだのでございまして、政府がかかる措置をとっておることにかんがみて、いわゆる経済界社会一般方々も、物価というものに対するところの御協力を賜わりたいということを示しておる次第でございます。したがいまして、物価を安定せしめて鎮静をし、すべてのものがバランスがとれてきました際には、当然この問題に対するところ事後処置というものは必要でございますが、このことが会計上、運営のために経費に欠陥を生じてまいりますので、とりあえずこれは借り入れ金をもって運営をしていくという措置をとっておるわけでございます。一応この措置をとって切り抜けることによりまして、大きな目的であるところ物価抑制という問題にまず対処していきたい、こういうことを考えておる次第でございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この時期に公共料金の引き上げを押えたという点について、私も非常にけっこうだ、同感でございます。しかし郵政事業というまあ企業見地からするならば、郵政審議会答申のように独立採算制というたてまえがある限り、これは郵政審議会答申——郵政に限りませんけれども審議会意見は十分尊重するという政府方針が片方に一つあります。その答申は、郵政事業特別会計の中でいずれは国民負担になるものだから、料金値上げもやむを得ないだろうという答申が出されておる。これは郵政事業という見地から私はその意味では正しいと思います。しかし国家全体の政治としてはこの時期に公共料金値上げは好ましくない。そこで当然、独立採算制というたてまえの郵政事業と、国家的見地からながめた国全体の経済の動きというものとの間にギャップが生じてきておると思うわけです。そうなれば、もし国全体の施策として郵便料金値上げをしてはいけないというたてまえに立つならば、この赤字というものは国全体の責任処理すべきものであって、郵政事業特別会計に押しつける限り、おそかれ早かれ国民負担に転嫁せざるを得ない、そういう性格のものに変わってくると思うのです。したがって、郵政事業特別会計あり方と、国全体が一つ方針施策として打ち出したものとの間にこのようなギャップが生じたときに、単に借り入れ金でまかなうという安易な方法で、いずれ六カ月先なり一年先に同じように利用者負担をさせる結果に終わるわけですから、これはむしろ国全体の財政の中で措置すべきが妥当ではないかというふうに考えます。たとえば食管会計赤字にしても、これは農林省が特別会計でよそから持ってくるわけではありません。いずれは国家財政負担をしていくたてまえのものだと思うのです。そういう点についてはどうお考えですか。
  6. 原田憲

    原田国務大臣 この郵便事業というものは利用者負担ということをたてまえとした独立採算制をとっておる事業であります関係から、この制度の中で、郵政審議会から郵便料金改定その他の方策をとるべきであるという答申をいただいておりますことに対しまして阿部委員も御理解を賜わっておるようでございますが、私どもといたしましても、この答申をいただきながら、このことを具体的措置として審議の場に供し得ないということにつきましては、審議会皆さん方に御理解を賜わるべく私からもお願いを申し上げたところでございますが、いまもお話に出ましたように、これは異常な経済情勢でございまして、このことを突破するためにとる特別な措置でございます。したがいまして、阿部さんのいまおっしゃっておることをふえんしてまいりますと制度上の問題にからんでくると思います。したがいまして、私どもは、ただいまのこの問題につきましては、まず一応借り入れ金をもちましてこの危機を突破して、後、この制度答申もいただいておりますから、十分に運営ができますように心がけてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 確かに制度上の問題がからんできておりますけれども、きわめて端的にものを言うならば、六百九十六億という郵政事業運営上赤字国家的見地からこれを押えるということになれば、当然国の財政の中で、他の緊急を要しない財政をもって充当をする、そういう方法をとらない限り、いずれは利用者負担に変わってくるではないか、そう私は考えるのです。したがって、これを借り入れ金一でまかなうのが正しいのか、国の一般財政の中で緊急を要しないものを繰り入れていくのが正しいのか、その辺についての見解はどうでしょうか。
  8. 原田憲

    原田国務大臣 このことがすなわち、私は広く言えば制度上の問題に関連をしてくることになると思うのでございまして、私どもは現在の制度というものの中でこれを処理していこうと考えておりますので、最も有利な方法による借り入れ金によって処理をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは議論しても平行線になるかと思いますけれども、これはひとり郵政事業に限らず、独立採算制、まあ国鉄の場合が最もいい見本だと思うのですけれども独立採算制のそれぞれの国家企業あるいは公営の企業にとって、当然公共料金というものが物価に与える影響等から、国全体の視野に立って今回のような方針がとられることは間々あると考えます。間々あるが、その場合に独立採算制はあくまでも残して、その責を負わせて、一時的に当面を糊塗するという措置をとるならば、おそかれ早かれ利用者負担という肩がわりにすぎないではないか、そういう意味から、こういう措置をとる場合には、やはり緊急を要しない国家財政から穴埋めをしていく、それがあわせてとられない限り、これは全く当面を糊塗した措置にすぎないのではないか、そういう気がするし、その意味では郵政審議会答申しておるように、将来一気に大幅な値上げをするよりも、むしろ段階的に上げていったほうが経済に与える影響は少ないのではないかという審議会考え方のほうが正しいのではないか。もう極端な言い方をするならば、たとえば防衛費などを少し押えて、六百億か七百億のことですから、それを郵政事業に持ってくれば、これは大体値上げを押えた、公共料金を押えたという価値ある措置になるだろう。そうでない限りは、単に当面を糊塗したにすぎない、そういう気がしますけれども、これはまあ一応方針がきまったようですから、今後この種の財政あり方について十分検討を願いたいと思います。  いま大臣答弁の中で、なるべく有利にというおことばがありましたが、したがって六百九十六億という事業赤字借り入れ、これはどこから借り入れ——利子を払うようなばかげたことはさせないと思うのですが、どういう措置をおとりになるのか、承りたい。
  10. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 技術的なことでございますので、私から答弁させていただきます。  予算上は業務運営不足のために必要な借り入れ金ということで措置をいたしておりますが、四十九年度の資金不足につきましては、でき得る限り利子を払わないような借り方をしたいということでいろいろ考えておりますが、さしあたり私ども考えておりますのは、国庫余裕金の繰りかえ使用によってしのいでまいりたい、かように考えております。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体わかりました。借り入れ金で、利子まで払って借り入れ金をせんならぬようなことでは困りますので、これは国で、全体の施策の一環でございますから、極力経理局のほうでは努力をして、せめて利子を払わぬぐらいな金を融通してもらわなければ、ますます利用者に与える負担が大きくなると思いますから、これは非常にいい措置だと思いますから、十分努力をしてもらいたいと思います。  次に、大臣所信表明の中で、私は、当然触れられるべくして忘れたのではなかろうかと思うのは、新聞発表によると、三月一日でございますか、郵便専用機夜間飛行をやめるという発表がなされておりました。これはほかの保険事業貯金事業のいろいろな問題よりも、郵便事業の骨格をなす問題でありますし、また、かねて郵政省が翌日配達というふうなことで航空機利用について大きく宣伝をしてきた経過があります。今日的な公害問題等もありまして、私ももちろん夜間郵便飛行廃止は賛成です。そうあるべきだとは思いますけれども、しかし、郵政事業をつかさどる大臣としては、この所信表明の中で第一に取り上げなければならない問題だったと思うのです。残念ながらこの所信表明には全然出ておりませんが、この夜間専用機廃止郵便サービスに与える影響等を私なりに考えてみて、なぜお触れにならなかったのか、大臣所信の中で私は疑問に思う点でありますが、いかがですか。
  12. 原田憲

    原田国務大臣 阿部委員から、いまの航空機によるところ郵便サービスに対して御質問がございました。このことを特に取り上げなかったという点につきましては、実はこれが具体的になりましたのは、いまおっしゃるように三月から大阪空港を利用しておるところ夜間便をやめるということからでございまして、このことにつきましては、国民理解も得るべく各マスコミを通じて発表いたしたところでございますので、ことさら取り上げなかったということでございますが、御指摘のように少し足りないじゃないかと言われますと、そのとおりであろうかと思います。この問題につきましては、郵政省といたしましては、大阪空港を通じましてサービスをいたしておりますところのエリアの方々におきましては、いままでのサービスが低下をするということになるわけでございまして、このことにつきましては申しわけないことでございますけれども、従来夜間飛行というものがない状態に返るということでございまして、一方このことは環境公害問題等を考慮をして、閣内におきましてもこの大阪空港の騒音問題というものに関連して勧告も出ておることでございますから、私は責任者といたしましてこのことについての決断をいたした次第でございますので、てまえみそになるようなこともございまして、すでに決定をいたしたことでございますから、あえてこれは所信表明には取り上げなかったわけでございますが、このことは、今後の問題につきましても、国民に対するところ環境の問題と、そして豊かな生活の問題との関連したところの非常に考えなければならない重要ないろいろな問題がからんでまいっておるところでございますが、このたびのとりました措置は、大阪空港という町の中にあるところの飛行場というところに起こった問題でございますので、郵便サービスを受けておられる方々にひとつごしんぼうを願いたいという措置でとったと御了解を願いたいのでございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大阪空港夜間便廃止すればどうなるかとか、どのくらいサービスが低下するかとか、大阪空港における夜間便環境公害がどういうものであるかということについては、たいへん失礼ですが、率直に申し上げて大臣よりか私のほうが詳しいつもりです。これはもうこの前、郵務局長とも公害委員会でずいぶん論争したところでございます。  私がいまお伺いしておるのは、そういう重要な問題をなぜ所信表明の中に入れなかったか。あなたはすでにきまっておることだからとおっしゃるけれども、すでにきまっておることを所信表明の中に入れないのならば、NHKのテレビの放送を十一時で打ち切るなどということはすでに実施されておることなんですよ。すでに実施されておることさえ所信表明の中に入れておきながら、三月一日から行なおうとする郵便の運送の根幹にかかわる問題が所信表明に入っていないというのは手落ちではないかということを私は指摘をしておるのです。それをあなたが詭弁を弄して、すでにきまっておる問題だというならば、すでに実施しておるNHK放送時間の短縮を何で所信表明に入れるのですか。それはどういうお考えですか。
  14. 原田憲

    原田国務大臣 詭弁を弄したわけではございませんので、私はてまえみそにはなってもと申し上げたのでございまして、最初にこのことでことばが足りなかったとするならばまことに手落ちでございますということを申し上げながら御答弁を申し上げてきたところでございます。  この問題の結論は、環境の問題とそれから国民サービスの問題と二つの大きな問題点がございますが、このたびは環境という問題に重点を置いた措置をとりまして、このことは所信表明に取り上げておらないではないかという御指摘に対しましては、阿部先生、いま承りますと環境委員会で強く指摘されたようでございますが、十分散意を表しまして、私が責任者といたしまして今後も気をつけてまいりたいと存じます。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実はあげ足をとるつもりじゃなかったのですけれども大臣がそういうふうにおっしゃるものですから、そうすればちょっと論旨が徹底しないと思ったので……。  私が申し上げたいのは、いまの郵政省の中で郵便事業、その他の付帯業務に分けて考えた際に、どうも貯金保険というふうな付帯業務のほうに重点が置かれて、本来の任務である郵便事業に対する感覚が事務当局で若干薄れておるのではないか。もちろん所管局長は一生懸命だと思いますけれども郵政省全体として、この郵政省の一番基本の事業である郵便事業に対する認識が薄いのではないか、そういう意味から私はいま特にこの夜間航空便廃止の問題についてお伺いしたわけです。その点、郵政省全体としてどうも郵便事業に対する認識が少し薄れておるのではないかという点については、どうお考えですか。
  16. 原田憲

    原田国務大臣 郵政業務についての重点的な配慮というものが欠けておらないかということについては、そうではないと思いますが、いずれにいたしましてもこの事業が、もう阿部さん先ほど言われたように私より詳しいぞとおっしゃっておられますように、非常に人力にたよっておる事業であります関係から、省力化し、合理化し、あらゆる努力をしておりますけれども、最後に至りますと、一個一個を人が運んでいくという業務であります関係上、何と申しましても非常にむずかしい仕事になってきておる。したがって、どういうふうにしてこれを円滑にうまくやっていくかということは、ひとり日本のみならず、世界的にやはり郵便業務というものの問題点として指摘されておるように承知をいたしております。したがって、一生懸命になってこれをどうしたらよいかということについて考えておりますけれども、まだ具体的に、画期的に、なるほどなというところまで来ておらないというところにあると思いまして、それだけに私はこの郵政省の中で、後ほどお尋ねも出てくると思いますけれども人力、人との問題についての重要問題といたしましては一番重点的にまた考えられておる業務ではないか、このようにも考えておる次第でございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 付帯業務貯金とか保険とかいうのは、これは民間にも競合するそれぞれの仕事があるわけです。郵便事業独占事業ですね。独占事業だから競合するおそれがない。そこに悪乗りをして郵便事業を安易に考えておるのではないか。郵便事業独占事業であるだけに、これが郵政事業根幹をなすものであり、貯金保険とは性格の違うものだということを認識をしなければならないのではないか、そのことを私は指摘をしたいのです。その点でどうも取り扱い方が、独占企業だから、どうせ競合する相手はないんだから、むしろ競合の相手のある貯金保険郵政事業重点が移行していって、本来の郵便業務をなおざりにしておるのではないか、そういうところがら所信表明の中に重要なサービスのダウンを伴う環境公害との関係夜間飛行の問題が入ってこない、そういう風潮が郵政省の中にあるのではないかということを懸念してお伺いしたのです。
  18. 原田憲

    原田国務大臣 これはもうなかなかたいへん重要な点を指摘していただいて、私は郵政大臣としてありがたいと思っております。阿部さんがいま御指摘になったところ郵政省郵政局職員一同がよく考えて、何といいますか、お山の大将になっておったらあかんぞというところまで指摘されておると思います。拳々服膺してまいりたいと思います。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あまりうれしくないことを次々に申し上げますが、もう一つお伺いしたいのですけれども、実はちょうど国会の開会中ではありましたが、今月の六日から九日まで、災害対策特別委員会が、昨年の暮れ以来の東北裏日本を襲った豪雪被害視察に出かけました。新潟、福島、それから秋田、青森の各県について豪雪被害状況をつぶさに視察をしてまいりましたが、私も長ぐつをはいてずっとお供をしたわけでございますけれども、県知事あるいは地方の市町村長はもとよりでございますけれども、国の各出先の関係の機関が、林野庁なり、農政局なり、建設省なり、通産省なり、あるいは気象庁なり、電気通信局東北責任者もお見えになっておりました。豪雪の中で交通が途絶をしたときに人間として残される方法通信です。その通信に隔絶をした地域の住民がいかにたよっておるかということを私はしみじみ感じました。特に逓信委員会に籍を置く私としましては、電信電話並びに郵便がどうなっておるのだろうかということについて深い関心を持っておったのでありますけれども、たしか郵政省組織規程によれば、東北のほうにも郵政局などを置いてあるはずでございますけれども、どういうものか郵政省のほうからはその被害状況なり今日までの対策、今後こういう点が問題であるということについての説明をしていただく方が一度も、一人もお見えにならなかった。本来なら、私はこれを大臣に来ていただいて災害委員会で取り上げたいと思ったのですけれども、率直に言って気恥ずかしいのです。だから身内の逓信委員会でお伺いしますが、東北郵政局はそういうような場合に国政調査について協力する意思はない、郵政当局としてはそういうことは問題でないというようにお考えでしょうか。日ごろ口を開けば利用者の便宜のためにとか、サービスだとかいうことをおっしゃる郵政省にしては、あの豪雪に対するわれわれの国政調査に対する協力の姿勢は、率直に言ってまるでなっていなかった。ここにも郵政省郵便事業に対する認識に相当な欠陥があるのではないかということをしみじみ感じます。ただ、きょう総裁見えですが、通信局のほうはお見えになっていただいてつぶさに事情を聞かしていただきました。そのことは申し上げません。郵便のほうはそういう事情でございましたので、どういう経過になったのか承りたいと思います。
  20. 神山文男

    神山政府委員 お答えいたします。  災害特別委員会先生方東北を御視察になって、豪雪対策をつぶさに勉強されたお話承りまして、実は私のほうの連絡上の不備でございまして、東北郵政局に御視察の御計画を連絡いたしておりませんでございまして、せっかくの御視察の席に所管の者が参上していなかったということでございまして、まことに遺憾であると思います。私からおわび申し上げます。非常に東北地方、豪雪でございまして、所管郵政局あるいは本省の郵務局を通じまして、その対策は講じておるわけでございますが、そういうことで、先生方の御視察の連絡を私のほうから漏らしたということでございまして、この席をかりて深くおわびいたします。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私どもが行ったときに来ておったから、おらなかったからということを私は特段言おうという意思はないのですよ。さっきから申し上げておりますように、郵便事業というものに取り組む郵政省の姿勢それ自体に私は問題があるという気がするわけです。  郵務局長見えのようですが、今度の豪雪に伴って、裏日本一帯における郵便の集配の業務はどのくらいの支障を来たしておるのか、概略でけっこうですから、ちょっとお聞かせ願いたいのです。
  22. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  先ほど来、郵便事業に対するわれわれの取り組み方につきまして、たいへん貴重な御激励をいただいておりますことを厚くお礼申し上げます。  ただいま問題になっております豪雪地帯の、特に交通の途絶地帯における郵便の取り扱いでございますが、御承知のとおり、豪雪地帯におきましては雪のため配達作業がたいへん難渋いたしておるわけでございまして、こういった場合に備えまして郵政省では、これは毎年やっておるわけでございますけれども、冬季になりますと普通の郵便局の集配の区画を増加いたしまして一人当たりの配達員の負担を軽くする、受け持ち区域を小さくするということによって、こういった場合の配達の確保につとめておるわけでございます。ただ実際には、ふぶき等がございましたりいたしまして、朝の一号便の出発がおくれるというようなことも間々あることがございます。また、場合によっては配達も一日できないということもあるわけでございますが、極力平生のサービスを確保するように努力いたしておるわけでございます。なお積雪の期間中には、これは本省から郵政局に委任いたしまして、郵政局から現場の局長に委任しておるわけでございますけれども、市外地での二号便の減回の問題とか、あるいは場合によりましては市外区の隔日配達といったようなことも措置ができるようになっておるわけでございます。しかし、現実にはほとんどそういったことが適用されておる例は少ないようでございます。ただし、二号便の減便のほうは、これはふぶき等の場合はよくやっておるようでございますが、隔日配達というのはほとんどないようでございます。また実際には、積雪のためにこういった場合の配達ができないという場合には、当該局限りで措置するのではなく、すぐ郵政局に報告されますし、郵政局から本省に報告してくるということでございまして、ことしの、特に東北地方におきましては豪雪がありまして、先生が向こうにお行きになりましたよりちょっと前の一月二十六日の日は特にひどかったようでございまして、秋田、弘前あるいは大曲、土崎といったような普通局でも、市外の休配をその日はやったというふうに報告を受けております。それ以外の日はどうにか無理をして、職員としてはたいへんな苦労をしていると思いますけれども配達をしておる。こういった場合の予算等も、四十八年度で申しますと八億三千万ばかりの冬季増役の請負費を流しておりまして、そのうちの二億数千万が東北地方にも令達されておるわけでございます。予算的にはそういったことで措置いたしまして、何とかこういう場合の冬季の積雪期の、特に豪雪地帯の配達を確保するように努力しているところでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 冬季に増区をして集配を確保しておる、これはかねて聞いておったのですけれども、私がいまお伺いしたがったのは、隔日配達でもできるところはそれでいいのです。いわゆる交通が完全に途絶をして、だれも行くことができないような地域が幾つかあるということを、私は現地の町長さんや村長さんからお伺いをしたわけです。一週間も十日も郵便配達が不能なところがあるのではないか、そういう気がするのです。それは、一つの部落、一つの集落、そういう地域なんですよ。全体的に、一つ郵便の区内全部に集配が不可能になることはないと思います。しかし、非常に遠隔の地で、一つの集落、一つの部落というようなところには一週間も十日も郵便の集配ができないところが幾つかあるのではないかということで私は聞いたのですが、それは全然報告はありませんか。
  24. 石井多加三

    ○石井政府委員 私たちのほうに報告としてまいっておりますところによりますと、先ほどの一月二十六日は非常にそういった例が、先ほど申し上げました大局でもあったようでございますが、それ以外の日につきましては、あるいは一号便だけで終わっておるにいたしましても配達をしておる。これは市外区の配達も含めてでございますので、現実に、いま仰せのように、一週間あるいはそれ以上もにわたって郵便物数の配達すべきものがありながら配達をしていないということは、私のほうではそういった例はことしはないというふうに思うわけでございますが、ただ、このほかに、配達すべき郵便物数がその局に届かないということも実際にはあるかと思うわけでありまして、特に今年度は豪雪のために東北地方の秋田、山形方面におきましては、国鉄がストップしておるということになりますために、いわゆる郵便車あるいは貨車、コンテナといったものが一切動かないということもございましたために、特に今年度は東京あたりから、たとえば米沢でありますとか横手とかあるいは長野といったようなところまで、従来はなかった長距離の自動車便を特に走らせまして、運送便を何とか確保するということをやっておるわけでございますが、ただいま御指摘のような点は、私のほうではそういったことはないというふうに承知しておるわけでございます。なお必要ならもう少し詳細を調べてみたいと思います。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 現地の地方自治体のお話と少し違うようです。もう一週間にわたって電話も通じない、郵便も来ないというような意見もありました。米澤総裁見えですから、またいずれ詳しく申し上げますが、会津若松市の奥のほうに一集落ありまして、電話が全然ない。電話だけがたよりだけれども、電話がなくて困るというようなお話がありましたから、これを一ぺん検討しておいてもらいたいと思いますが、いま郵務局長お話から承りますと、全然そういう地域はないはずだということでありますけれども、われわれの聞いたところでは、電話もなければ郵便も来ないという地域が幾つか報告をされておりますので、なお東北郵政局を通じて、そういう部落あるいは集落があるかどうか調査をいただいて、今後の課題にしておいていただきたいと思います。  続いて、同じく郵便事業ですが、大臣所信表明によりますと、年賀郵便については大体順調に配達することができたというふうに報告をされておるようでございますが、一月一日配達の結束の状況は何%ぐらいですか。
  26. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  昨年末の年末始の年賀郵便物の結束状況でございますが、御案内のとおり、昨年は十二月の十三日に労使の交渉が妥結いたしました後、順次正常に復しまして、元旦の配達は、三十一日の正午までに配達局に到着したものを一〇〇といたしますと、その一〇〇・一%を元旦に配達いたしたわけでございます。この数字は、四十七年度の一〇〇・四%あるいは四十六年度の一〇〇・五%と比べますと若干落ちますけれども、同じく四十五年の十二月十四日に妥結したという四十五年度の場合の持ち出し率が九九・一%でございましたので、それと比べますと、かなりこの成績はよかったというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 三十一日の正午までに到着したものの一〇〇・一%を結束したということになれば、この一〇〇・一%は、引き受け年賀郵便ですね、例の年賀郵便の引き受けの何%に当たりますか。
  28. 石井多加三

    ○石井政府委員 元日に配達いたしましたもののパーセンテージは、引き受け全体の——一月十日に大体年賀が終わったといたしましてそれを一〇〇といたします。つまり年賀の引き受けて配達したものが全部で十日までにすでに配達になったと見て、これを一〇〇といたしますと、その七九・四%が元日に配達になっております。この数字は、ちょっと御参考までにその前年の四十七年度の七九・四四%という数字がございますが、若干それよりは落ちておるわけでございます。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれにしても、去年、おととしとも一〇〇%台を確保して、それは年賀郵便の総引き受け数の約八〇%であると理解をします。そうすると、二〇%の郵便は、今度は二日は休みでしたから三日以降に配達されるという理屈になるわけですけれども、私どもの手元に届いた年賀郵便は大体五〇%ぐらいが元日に配達をされて、あとの五〇%ぐらいは三日以降にずっと続いて八日、九日ごろまでずっと配達されたわけです。したがって、一〇〇・一%の結束をして、それが全部の八〇%であるならば、八割が元日にわれわれの手元に届かなければならなかったはずですけれども、おそらくおいでの皆さん方も経験があると思うのですけれども、八割の郵便が元日には年賀郵便として配達されておりません。よくても六割、四割は三日以降になっておるわけです。悪いところでは五割を割るぐらいじゃないかと私は思うのですが、その辺の食い違いは、あまりあなたがやかましく言うから現業の局が少しうそを報告してきたのと違いますか。どうです。
  30. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいま先生の御指摘の数字は、大体全体の五割ぐらいしか元日に配達されなかったという例は、過去に例の簡保転貸債の闘争がありました非常に混乱したあの年でも、もう少し上だったように思うわけでございますが、局によりますとそういったことがあり得ないことはないと思いますが、全一国を平均いたしますといま申しました数字でございまして、あと残りの二〇%近いものが大体三日、四日以降十日ぐらいまでに配達されておると思うわけでございまして、かつて各郵政局に元旦の配達率の競争をさせるようなムードがあった時期がございますけれども、いまはそういったことのないように、実態を各郵政局に的確に報告させるような指導もいたしておりますし、徹底しておると思いますので、特殊な労働情勢その他がありました局で年賀の配達率が一〇〇%を割った局が東京近辺でも若干ございますけれども、一番悪いところでもこの近辺では九〇数%でございまして、五〇%を割っているという局はちょっと私のほうではほとんどあり得ないような感じを持っておるわけでございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は年賀郵便の趨勢が少し変わったのではないかという把握をしたわけですよ。従来はなるべく早期差し出しということで早目に書かせておったが、ことしはもうガソリンの異変で正月もうちにおらなければならない、したがって、ひとつ年賀郵便は元日か二日に書くかということで、元日、二日にみんなが年賀郵便を書くようにかなり風潮が変わって、そのためにおくれたのではないか。たとえば、別府の郵便局の場合、私は現地ですから行ってみましたが、到着した郵便物はおっしゃるように一〇〇・一%配達にかかっておるのです。何がおくれたかというと、東京あたりから来る郵便がおくれておるわけなんですよ。だから全体的な風潮が少し変わってきたのではないかと思ったけれども、いまのお話を承ると、数字としては前年とほとんど変わっていない数字になっておるようですから、そうすればどうも実感として、郵務局が把握をされておる数字とは少しわれわれの実感が違う。例年よりもだいぶん年賀郵便がおくれてきた。私はおくれてきて悪いと言うのじゃないですよ。これは私は正月の元日に書くのがほんとうだと思っておりますからおくれて来てもかまわないのですが、そういう風潮が変わったのかなと思ったけれども、数字の上でそうでないとすればこれは問題のあるところですから、もう一ぺんその点では御検討願っておきたいと思います。  それから、次に移りたいと思いますけれども、今回は先ほど来お話がありましたように、年末に早く労使関係が妥結をして、大臣は特に所信表明の中でも「幸い、昨年末、省から組合側に対して」云々と、労使の正常化ができたというふうなことで、これは何もことしに限ったことじゃなくて、毎年ずっと、いま委員長廣瀬大臣のときも御苦労されたのですが、例年そう言ってきておるところですけれども、ことしは幾らか例年とは違った前進があったのかどうか、いわゆる年末段階においてどういう形で労使の関係大臣が自信を持って報告できるように正常化したのか、ちょっと承りたいのですが……。
  32. 原田憲

    原田国務大臣 お尋ねのように労使関係は従来からの懸案でございましたが、特に去年の年末は長期かつ激しい状態を呈したことは御承知のとおりでありまして、そのために年末の業務が停滞し、年賀の郵便のこともうまくいくかという懸念を持たれたことは御承知のとおりであります。しかし、このことも解決をいたしました限りにおいては、その後非常な努力が遂げられて、いまお話しのように一〇〇・一%という年賀の郵便も達成ができたということでございまして、闘争も激しかったが、話がつけば業務に対してのことは達成ができた、こういうことが基本にある、こういうことを基本に考えながら私は所信表明の中で申し上げておるところでございますが、具体的に申し上げますと、あれは昭和四十五年でございましたかに労使間で話し合いをして今日まで来た、そして昨年の年末の十二月一日にお互いにこれを再確認した形ということが言えるでございましょうか、正常化をしようという話をきめたのでございますから、これからの労使関係についての見通しについてお尋ねの基本的な問題は私として承知をいたしておるのでございまして、これからの具体的な問題につきましては、必要があれば事務当局から答弁をさせたいと思います。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はその基本的な問題でけっこうです。基本的に両者の合意が得られて、確認できて、労使関係が正常化する、それが私は一番問題である。現象はそれほど私は問題にしていない。個々で起こってくる現象は、これは数の多い事業所でございますし、数の多い職員の問題ですからそれほど考えていませんが、基本的に了解ができたということは非常にけっこうなことだと思います。  そこで大臣にお伺いしますが、「郵政残酷物語」という本が最近出ました。これはベストセラーやなんかになっているそうでございます。人事局長、これをお読みになりましたか。
  34. 北雄一郎

    ○北政府委員 しさいに読みまして、内容の一つ一つにつきましても私どもなりに考えがございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も部内ですからこれを読みまして、非常によく書いてあると思っております。もちろん郵政当局としてはすべてそのとおりだとはお考えになっていないとそれは思いますよ、それぞれの立場があるわけですから。あれは、あの出ている札は三角ですが、あれは見方によっては違うんです。向こうから見るのとこっちから見るのとでは見方が違うんです。それぞれ見方はあると思いますが、私はまず七、八〇%は過去こういうことであったと思うのです。したがって、それはいろいろ人事局長も、いや、そこは違う、ここは違うと個々のところを取り上げればいろいろ意見があると思いますし、これはまた論争になるところですから、そこまで私言う気はありませんが、かりにこれを他山の石としても、もって玉をみがくべきだと思うのです。したがって、この中で、やはり人事局長としてもなるほどというようなことをお考えか、こんなものは全然違うんだというふうにお考えか、どうでしょう。
  36. 北雄一郎

    ○北政府委員 私しさいにそれを見まして、ごくわずかは全然なかったことが書いてあります。きわめてわずかであります。大部分はかつて問題になったことばかりでございます。しかし、それは昭和四十六年以前のものがほとんど全部でございます。で、それぞれ四十五年、四十六年あるいは四十七年におきまして労使間で問題になりまして、いわゆる六人委員会ものになったことばかりでございます。それで、その書いてありますものは六人委員会で全部処理が済んでおります。そのうちの七割とおっしゃいましたが、私見ますと、いま的確に持っておりませんが、二、三割が多少何かあったというようなものでございまして、それなりの処置をしてございます。大部分は誤解に基づくものということで処理が済んでおります。したがいまして、その本によりまして本自体を他山の石と私どもはそう考えておりませんので、六人委員会においてそういう問題があって、いろいろ労使間で意思疎通をし、それから正すべきものについては正したというのが他山の石であった、こういうふうに考えておる次第であります。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 人事局長、私が言っておるのは、個々の問題ではいろいろ意見があるだろう、しかし、あなたがおっしゃるように、私は、最近の労使関係については前から言っておるように非常によくなってきたと思っております。その点は。解決すべきものは努力をしてきたことも承知をしております。けれども、私がやっぱり思うのは、こういう体質が、郵政省の幹部の意思いかんにかかわらず、こういう体質が現場であったということについて私は否定ができないと思うのです。それがむしろ今日改められたというふうにお考えならそれでけっこうですけれども、そういう体質はなかったんだということになると、やはり基本的にさっき大臣がおっしゃった、了解ができたということについては、私はまだ釈然としないんです。したがって、そういういわゆる体質がやはりあった点もある、そういう点については今度の年末で改まったんだということになれば、私はそれでけっこうだと思います。しかし、いまおっしゃったように、これは全然問題にならない、二、三割は事実がある程度だということであれば、そういう体質がなかったということであれば、それは基本的な認識の違いになりますから、郵政の労使関係が正常化されたとは私は思えないんです。どうですか。
  38. 北雄一郎

    ○北政府委員 そこに書いてございますことの事実については、私ども先ほどお答えしたように考えております。それで、六人委員会で扱ったことばかりでございますけれども、六人委員会で扱った扱い方と、その本に書いてありますことと、いわゆる提起された問題としては同じなんでありますが、結論といいますか、結論は先ほど申しましたように違っておる、それが結論的にも少しおかしいぞというのが二、三割であったというふうに記憶しておるわけでございます。  それから、そういったことがとにかく去年の暮れで一切けりがついたのかということもございましたが、先ほど来申しておりますように、四十五年、四十六年、四十七年、去年の暮れとかかりまして、それぞれ処理をしてきております。むろん年を経るに従って、提起された件数も大幅に逐年減少してきておる、去年の暮れではほとんどその種の問題は提起されなかったというような状況にございます。  それから体質の問題ですけれども、二、三割といえども若干問題になるものがあったということ、それから結論的には誤解その他であったといたしましても、そういったような問題が問題とされたということは、先ほど来申しておりますとおり事実でありまして、そういったことについて、先ほど大臣がお答えされましたように、四十五年の一二・一四確認というものがまずどかんと労使間にきまりまして、自後その定着、浸透ということでつとめてまいりまして、その経過の中で毎年そういった問題が激減してきておるということであります。  それから、これも大臣おっしゃいましたが、一二・一四確認というのは、当時の情勢の中で組合のほうからいわゆる労務政策を変えろという要求がありまして、省としてはいわば受け身の形で問題を受けまして、それで一二・一四確認というものがあったわけです。去年の十二月一日にそれを再確認したというのは、これは今度は私どものほうから実は再確認を提起いたしまして、組合のほうももっともだということで、今度はこちらが積極的に出まして、そうして同じことを再確認した、ここに私はやはり意義があると思っておるのであります。受け身の形で再確認するのと、そういう中でかつて問題とされたようなことが、問題自体が激減してきた、そうならば、そういったことに一々苦情をつけるとかいうことでなくて、不信感というものが一応相当大幅に減った、それならば一二・一四の中の今度は正常な関係を積極的につくっていこう、信頼関係を積極的につくっていこう、こっちのほうにウエートが今度は出たのだ、こういう理解で、こちらから再確認を求めてそれがなった、こういうふうに考えております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 こまかい点ではいろいろありますけれども、大体大筋として人事局長お話で了解ができました。この上ともひとつ努力をしてもらいたいと思いますが、いまこちらのほうで、自民党を悪く書いてあるからだめだ、こうおっしゃるのですが、自民党をよく書こうと悪く書こうと、大臣、ひとつこれは郵政省の幹部に、私は頼まれたわけじゃありませんが、一読してもらう価値のある本でありますから申し上げておきます。  次に、ちょっとお伺いしますが、予算関係でございますけれども郵政省予算の中で特に私が問題になると思うのは、昭和四十九年度予算重要施策の中に入っておりますが、第七項「国際放送の充実強化」二億四千五百万という予算が計上されております。これは大体放送法の何条でございますか。「国際放送実施の命令」三十三条、三十四条、三十五条による政府が命令をする国際放送に対する政府からの負担金だというふうに考えますが、NHKのほうから国際放送に要した予算として郵政省に請求をされておる額は幾らになっておりますか。
  40. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 今年度は二億でございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKが国際放送のために命令されて必要であるという経費は二億でございますか。間違いございませんか。去年は四億六千万の要求が出ておった。ことしはそれが二億にNHKは減っておるのですか。でたらめ言うと困りますよ。
  42. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 それは、御承知のように政府が命令をして国際放送をやってもらう分と、NHKが自前でやる分と両方あるわけでございまして、その額の合計が約十六億、そのうちで、郵政省NHKが要求するわけではございませんで、私のほうが予算を取りましてその予算の範囲内でNHKにお願いする、こういうたてまえになっておりますから、その額が来年度の予定額は二億四千五百万円でございます、こういうことであります。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたのほうが確かに命令をする。しかしいままでの議論でいきますと、NHKがその命令をされたために国際放送を行なう。その国際放送を行なった部分は、NHKの国際放送の十六億のうちのどの程度の積算になるのかということを聞いたら、去年は四億六千万の要求があったのです、ところがそれを二億に押えた。ことしは二億四千五百万に押えて、あなた方の言い分はこれでやれ、こういう言い方になっておるのです。しかし放送法はそうなっていませんよ。放送法は、国がNHKに国際放送を命令する、命令したら、NHKはそれを受けて国際放送をする、その費用の負担は国がしなければならない、しかしそれは国会の議決が云々というのはついていますけれども政府がかってに予算をきめてこ、れでやれということにはなっていないですよ。国際放送を命令することはできるが、予算をもって命令するということになっていませんよ。予算は国会がきめることになっていますよ。どうですか。
  44. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 先ほども申し上げましたように、NHK政府が国際放送を命令する。命令するのは予算の範囲内で命令するということになっておるわけでございまして、そのほかにNHKが自前で、自分の経費でやる分がまだあるわけでございます。ただ政府が命令る分は、二億の範囲内で国際放送をやってもらいたいという命令になっておるわけでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これを役人的発想と私は言うんですよ。現実にNHKは国際放送で十六億ことしかかるんでしょう。これはNHK予算審議のときに私は明らかにしますが、去年どのくらいかかるかと言ったら、NHKは四億六千万かかると言ったのですよ。ところがあなたのほうは、NHKからそういう要求があったので大蔵省と折衝したけれども、結局二億になったということで、それはおかしいではないか、NHKの積算が四億六千万かかるということで、四億六千万の数字が誤っておるという根拠がない限り、四億六千万の支出をするかどうかを国会にはかるのがあなた方の仕事だ。そうなっておるでしょう。それをかってにあなた方が、四億六千万かかるというものを二億でやれというふうに押えつける権限はどこにあるのですか。
  46. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 約十六億の国際放送予算の中で、政府が交付金を出しておるのは二億でございますけれども、現行法のたてまえからまいりますと、予算の裏づけのない命令は出せないわけでございまして、したがって成立予算の範囲内で命令を出す、こういうことでございます。ただ、先生がおっしゃいますようにそれで十分か、あるいは十分内容のある国際放送ができるのかといいますと、必ずしも私たちはそれで満足しているわけではございません。したがって、ことしの要求におきましても四億数千万円の要求を出しましたけれども、それが二億四千万円に削られたというのが実情でございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから私はその辺が役人的発想だと言うのですよ。法の精神はそうじゃないでしょう。放送法の三十三条、三十四条、三十五条をよく読んでみてください。郵政大臣が国際放送NHKに命ずる、NHKはそれを受けてどのくらいかかるかを言わなければならない、それを予算に計上して国会の承認を得て、その国会の承認を得た予算の範囲内でやることになるわけでしょう。したがって、まだ国家予算はきまっていないのでしょう。もうきまったのですか、国家予算は。きまってないのでしょう。きまってない国家予算を、あなた方がかってにこれでNHKにやれなんてことをきめることに初めからなってないでしょう。あなた方に必要なのは、国際放送をこれだけやってくれということを起案をする。それに対してNHKからこのくらいかかると思いますということが出てくる、それを国会で、それは高過ぎるからこの範囲にしなさいと押えることはできたとしても、初めからあなた方がこの範囲でやれということをきめてやることになっておらぬでしょう。どうです。
  48. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 国際放送の命令のしかたはいま御指摘のありました三十三条でございますけれども、これは郵政大臣が国際放送を命ずる、そして三十五条でそれの費用を国家予算でもってまかなう、こういうことになっているわけでございまして、NHKが自前でやる分はこれには入っておらぬわけでございます。したがいまして、NHKからこれこれの予算がかかるという要求はいままで一いままでといいますか、出てくるたてまえにはなっておりません。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは去年ぼくがNHKに、国際放送の中で命令をされた部分として積算できる分は一体どのくらいになるかと聞いたら、四億六千万ぐらいで、郵政省にもそのことを申し上げてありますというのが去年のNHK予算審議のときの経過ですよ。あなたもおったでしょう。それじゃ、それがなぜ二億に押えられたかと言ったら、大蔵省のほうでは、一ぺんにふやすわけにはいきませんので、ことしは何千万かふやして二億にしました、来年もまたふやしますという話であったわけです。そうでしょう。  したがってあなた方が命令した内容について、NHKのほうで過去の実績から積算をしてみてこれくらいの金が要るというならば、それだけの金は国が負担しなければならぬのがたてまえです。その負担の可否について国会が議論をし、きめることはできるでしょう。しかし、あなた方行政当局はその金額までかってにきめることができるんですか。
  50. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 郵政大臣が国際放送NHKに命ずる場合には、たとえば今年度の予算で申しますと、大蔵省と折衝いたしまして二億という額が予算に計上されたということになりますと、その範囲内でしか命令ができないというのがたてまえでございまして、まあこれは骨組みばかりでございますので、あと肉をつけたりいろんなことをするのはNHKにお願いしておるというのが現状でございます。ただし、これはNHK自体でも国際放送がやれるたてまえになっております。もちろん、国会の御承認を得なければNHK予算あるいは政府予算は成り立たないわけでございますので、その際に十分御審議をいただいて国際放送を実施しているというのが現状でございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあ世界的な視野からいえば、NHK日本の受信者の負担で国際放送をやっておるわけでしょう。国民は国際放送の恩恵に何も浴さないのですよ。これは出るほうですからね。聞くほうなら浴することがあるけれどもNHKの電波がよその国まで届いたからといって受信者にとっては何の利益もないのですよ。それにもかかわらず受信者は若干の負担をしながら、まあ国際放送というのも必要であるということで認めておるわけです。したがって、受信者が負担すべき分については十六億のうちの何ぼかがある、これはわかりますよ。  しかしもう一方、国が命令をする国際放送は、これは国家の政策としてやることになってきます。したがって国がNHKに命令をする以上は、このくらいの放送をしてもらうのにどのくらいかかるかというのが普通じゃないのですか。あなた方物を買うときに、これだけのものがほしい、予算はこれだけで持ってこいということになりますか。ならぬでしょう、一般の商行為として考えても。当然、これだけのことをしてもらいたいがどのくらいかかるかというのが原則だと私は思うのです。それを国家機関であるからといって、これでやれといって押しつけるというやり方はおかしいじゃないですか。こういう放送を命令したい、ついてはNHKはこれにどのくらい金がかかるのか、それについて郵政省政府として大蔵省と折衝してその費用の負担をする。それが不当であるか妥当であるかは国会が審議をして、国会がきめればこれは受信者の代表がきめるわけですから、NHKはその範囲でやらなければならぬでしょう。したがって、十六億のうちの国が負担しない分について受信者が負担したとしても、その場合はこれはやむを得ないのです。しかしあなた方がNHK放送を命令する以上は、これだけのことをやってもらうがどのくらい金がかかるのかというのが原則じゃないですか。どうですか。
  52. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 法律のたてまえといたしましては、郵政大臣が命令できるのは予算の範囲内のことだということでございますので、はなはだ不十分だとは思いますけれども、ひとつその範囲内でやっていただきたいという命令を出しておるわけでございます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それなら大臣、あなたは二億四千五百万という数字の根拠はどこから持ってきてこれで命令するのですか。あなたに権限があるというのですが、受信者のすべてを代表して初めてあなたの権限は行使さるべきであって、私が言う理屈から言えば、確かに法の上では大臣が命令できます。大臣が命令するのには命令する根拠がなければならない。単に法ではなくて、その法の精神をくまなければならぬはずです。その法の精神とは何かといえば、国際放送というものが必要である、それがNHK全体で十六億金がかかるとするならば、そのうち国が命令する部分はどのくらいかかるだろうか、それを予算に計上するのがあなたの責任であって、二億でやれ──しかしNHKの十六億の予算については、けさの新聞によるとおおむね認めておるのですよ。国際放送十六億を認めておって、そして国が二億四千五百万でやれと言うならば、あとは受信者の負担になるでしょう。ならば受信者が何ぼ負担をして、国の命令部分が何ぼになるというふうな根拠を持っての命令でなければ、私はおかしいと思う。単に命令権があるから命令をするというが、命令権というものは、よって来たる精神があるはずです。その精神は、私がさっき申し上げたように、大臣としてはNHKにこれこれの国際放送をやってもらいたい、それがどのくらいかかるかということを命令して、そのNHKの出してきた積算の根拠に従って予算を計上する、これが私は命令をする根拠にならなければならぬと思うのです。単に命令権があるから、それなら千円でやらしてもいいということになるのですよ、NHKに国際放送を。十五億九千九百九十九万九千円受信者に負担をさせて、国際放送は千円でやれといったって、やはりNHKは十六億でやらねばならぬことになるなるでしょう。十六億という大ワクをあなた方は大体妥当であろうといって認めておるのですよ。それならば、国が負担する部分が少なければ当然受信者が負担する部分がふえてくる。何といおうと国際放送は明確に区別はできないのですよ、これは。どんぶり勘定なんです。どんぶり勘定の中でNHKが命令される部分が四億六千万ありますというならば、四億六千万を予算に計上をして国会にはかるのが私は筋だと思うのです。命令権があるからといって、十六億の大ワクを認めながら、その中で国際放送は大蔵省が金をくれぬから、まあこのくらいにしておけなんというような、そういう命令がありますか。どうですか、これは。
  54. 原田憲

    原田国務大臣 NHKというのは独自の立場で受信料を取って経営をしておる。その中で国際的な放送もやるということは、見たり聞いたりすることは確かに日本国民はできませんけれども、外国に日本のことを紹介することによって返ってくる利益というものは私はあると思うのです。だから、見たり聞いたりするということは、直接の利益はないけれども、お互いに世界の国々が理解し合うというためにやっておることでありまして、そのことの利益というものがあるから、当然これは行なおうということで皆さん方に御理解を得ておることで、予算審議の際にもそういう議論は私、なされてきておると思うのでございます。それが、いま話のように十六億の予算が組まれておる、その中にNKHが政府から出してもらいたい金が四億ほどあるということに対して、政府のほうではこれを二億に、まあ査定しておるといいますか、私どものほうでいいましたら、それを二億にしておるということは財政上の大蔵省での査定だ、こういうことになってまいりますので、先ほど局長が言いましたように、私どもではそれが十分とは考えておりませんけれども、できるだけそれに沿うようにだんだんとよくしていくということを言ってきておるという話でございましたが、そういう意味予算の拡大につとめておる、こういうことであろうと思います。  私は就任をいたしまして、来年度の予算の際に、やはり国際放送という面につきましては重要な課題であるという取り組み方、金額全体というよりもこの問題としての取り扱いは重要であるというので、二億二千万幾らでございますかに決定をいたしておると思いますが、これは相当思い切ってやらなければならぬ問題であるぞというたてまえをとったのでございます。  いまお話しのように、阿部さんの言われるところでありますと、これはNHKが言っておる額を当然予算のときに全額をつけるべきじゃないか、こういうことでございますが、これは国家財政全般の問題で査定をいたしております大蔵省の査定ということで、それが実現できなかったところでございますが、私どもといたしましては、今後とも予算面については十分な配慮を払ってまいりたいと思っております。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、その大臣考え方もおかしいと思うのです。大蔵省の考え方もおかしいと思うのです。まず国際放送を国が命令をする、その費用は国が負担するのが原則なんですよ、そうでしょう。国際放送を命令する、その費用は国が負担する、これが原則です。ただ、そのあとに出てくるのは、国が負担する金額は国会の議決を経た予算の範囲内でなければならぬ。それは一番最後に出てくる問題で、それを国会が認めるかどうかというのは、一番最終的な問題なんです。したがって、これはほかのと違うのです。一般の国家財政とは違って、言いかえるならば、国がいわば業者に仕事を発注するわけです。国が業者に仕事を発注して、業者がこれだけかかりますと、こう言ってきておるのを、それをあなた、これだけでやりなさいと、こう押えておるのとちょうど同じことです。四億六千万かかりますというのを二億でやりなさい——今度は二億四千五百万ですか、二億四千五百万でやりなさいと、こういうことになってしまう。そして逆に局長は、予算の範囲内でしかできませんと、予算を先に持ってくるのです。私は逆なのです。命令をして、その費用は国が負担する、これが原則だ。ならば、命令をしたものは幾ら負担をしなければならないのかというのが先に出てこなければならない。その命令についてNHKが幾らの支出を必要とするのかということが先に出てくる、それを計上する。当然これは国が負担するとなっているから、これは査定のできる問題ではない。査定ができるかできないかは、それは国会だけです。このあとに出ておる。国会の承認した範囲内でしかできないのですから、国会は査定することができるが、命令をしてそれが必要であるという額が報告をされたならば、国としてはそれを査定する権限はないのです。なぜならばNHKは国の機関じゃないですよ。あなた方一番よく知っておられるわけです。NHKは国の機関じゃないのですから、だから国が命令した以上はそれに対する負担をせよと、ちゃんと法律に書いてあるじゃありませんか。その額が妥当かどうか、あるいは国家予算見地からいいか悪いかは国会がきめると書いてあるのですよ。国会にはからないうちにこれでやれとあなた方がきめる権限はあなた方にはないと私は言うのです。そうでしょう。これはほかの地方に金をやるのとは違うのですよ。いわばNHKに国が注文しておるのですよ。注文されたNHKが、これだけかかりますというのですよ。それを二億でやれなんて、それはちょっとおかしいじゃないか。あなた方はNHKを国の機関だというふうな錯覚を起こしているのじゃないですか。これは受信者の機関なんですよ、NHKというのは。ならば、あなた方が命令をして、それでNHKが四億六千五百万なら四億六千五百万かかるというならば、それを予算として国会に提起して、国会がこれは不当であるときめれば──国会にはその権限があるでしょう、なぜならば国会は受信者の代表として、この法律は認めておるわけでございますから、あるでしょう。そうでない限りは、そういうかってな査定などができる内容のものではない。  私がくどく言うのは、これはことし初めての問題じゃないのですよ、三年、四年にわたって議論されてきている問題なんです。それにもかかわらず、大蔵省が一般の予算と同じように軽々に査定をして、まあ四億六千万出ておるから、ことしは四千万ふやして二億四千万にしておけというふうな、そういうものの考え方、大蔵省の発想が間違っておる。そしてまあ各省、大蔵省には弱いといわれておりますが、大蔵省からそう言われると、しかたがない、大蔵省は神さまなりということで頭を下げて引き下がってくる、そういう発想は私は全然間違っておると思う。なぜ郵政省は堂々と——NHKがこれだけかかるというならば、その根拠に間違いがあるかどうかを見る権限は郵政省にあるのですから、それは郵政省が、その積算の根拠に違いがあるじゃないかということがわかれば査定してけっこうです。その査定は郵政省が行なうのです。そして郵政省が出したものは当然国は支出しなければならないことになります。それが妥当かどうかは国会だけがきめる権限がある。私はこの放送法をそういうふうに解釈しております。もしあなた方がおっしゃるようになるならば、今度NHK予算審議で、あなた方が妥当であると言ったのは間違いになってきますよ。いいですか。十六億の国際放送が妥当であるというその中に、NHK政府から四億六千万ほどもらうという勘定で予算を組んでおる、これだけかかるということで組んでおる。それが二億四千万しかなければ、NHKの歳入は明らかに欠陥を生じてきますよ。国際放送を切り詰めるか、十六億を十四億に切り詰めるかなんかしなければならない。修正を余儀なくされる。それにもかかわらず、あなた方は諾々と、大体おおむね妥当であるということを、きのうかなにか自民党の通信部会にはかったのでしょう。新聞に出ておるでしょう。十六億が妥当であるというならば、国際放送も十六億を含めて妥当であるというならば、その国際放送の命令分に対するNHKの積算についても妥当であるという根拠が出なければならないはずだ。それを削っておきながら、妥当であるという理屈は成り立たぬはずですよ。どうですか。
  56. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 国際放送の実態をよく御承知だと思いますけれども、実態を申し上げますと、去年までは数年間一億四千五百万円という線で査定されておったわけでございます。それがいろいろ議論がありまして、去年二億に増額された、それからことしがまた四千五百万円増額されております。それで、私のほうがことし要求した額は四億六千万円でございます。それがいろいろな財政上の問題で査定を受けまして、二億四千五百万円、したがって、郵政省の立場といたしましてはその範囲内でしか命令が出せない、こういうことになるわけでございまして、NHKが四億六千万円かかるとかあるいは五億かかるとかいろいろな計算のしかたがあると思いますけれども政府といたしましては二億四千五百万円の予算の範囲内でしか命令ができない、こういうたてまえでございますので、現実全体の額から見ますと政府負担分は非常に少ないという事柄はお話よくわかりますけれども、いろいろな財政上の事情から一挙にふやすことはなかなかむずかしい、しかし徐々にでもひとつそこまで持っていきたいといって努力をしている段階でございます。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 では、四億六千万というNHKの国際放送に対する積算については郵政省は大体妥当であると認めた、大蔵省が査定をしたのですね。役人根性で、去年よりもことし少しふえた、ことしより来年のほうが少しふえたからまあしかたがないじゃないかというのは、これは私は役人根性だと思う。要るべきものは、法に定められたものは当然出すのはあたりまえの支出だ、私はこう思います。     〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕 しかしそれならば、百歩を譲って電監局長の言うように理解をするならば、具体的に昭和四十九年度に郵政省が命令しようとしたものはどれだけの範囲で、そのうち二億一千五百万削られたならば、二億一千五百万削られた分はどことどこか、そこに出してみなさい。出ますか。
  58. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 郵政省の国際放送の命令の内容でございますけれども、きわめて大ざっぱな内容になっておりまして、放送区域——、どちらの方向にやるかという問題、これは十八方向でございますけれども、それから放送時間、これはどの程度やってもらうか、それから使用国語、もちろん目的はございますけれども、そういうことで、この範囲内でやっていただきたい。これが来年度の予定額が二億四千五百万円ということで、非常に大ざっぱな要請、命令になっておるわけでございます。したがいまして、積算しましてそれがどれぐらいかかるかという事柄は、見方によって相当違うだろうと思います。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから見方によって違う。違って、NHKの積算の四億六千万の根拠が間違いがあるならば、あなたのところで、これはこれだけはかからないじゃないかとか言うことができると思うのです。しかし、大体あなたのほうがいまおっしゃった各方向に何時間、こういう国のことば放送をするという大まかな構想で、NHKが積算をしたものが四億六千万かかると言ってきて、あなたのほうも大体それは妥当であろう、こうなったわけです。ところが、大蔵省のほうで二億一千五百万ほど削られた、早く言えば。二億一千五百万削られたならば、時間をどれだけ短縮するのか、放送の方向を幾つ減らすのか、具体的にあなた方がそれを削ってやらなければ、NHK予算は削られたのに同じ内容の放送をしなければならぬでしょう。そうならないですか。そんなむちゃなことがありますか。     〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕 だから私が言うのは、あなたのほうが二億一千五百万削られたならば、まずNHK予算全体について国際放送二億一千五百万落とさなければならない。そうでしょう。予算上落とさなければならない。落とした以上、あなたのほうの命令する内容も変わってこなければならない。時間帯なり方向なりが変わってこなければならない。変わらないでしょう。変わらないということはどんぶり勘定でしょう。NHK負担分と国の命令分とがどんぶり勘定になっていることは間違いないでしょう。あなたが幾ら強弁してみても、ぼくのほうが実態を知っておるのです。これは明らかにどんぶり勘定なんですよ。そのどんぶり勘定の中で、NHKが国際放送に四億六千万かかると言ってきた、内容をいろいろ検討してみたが、これだけかかるだろうとあなたのほうも認めた。それならば、あと大蔵者がそれを査定する権限があるかないか、私どもの一番大きな問題点なんです。  私は、そこで大蔵省がこれを査定する権限はない、郵政省がこれだけかかる、郵政省が命令したものについてこれだけかかるときめたならば、大蔵省はそれを予算に計上して国会にはかる、これがたてまえではないかというのが私いままでずっとここ二、三年主張してきた内容なんです。一般の予算のように、これでやれと削られて、それでようございますと引き下がったならば、責任はあなたに戻ってくるのです。戻ってきたらどうなるかということは、十六億の国際放送予算上二億一千五百万少なくして、そして命令する国際放送の内容をこれとこれとこれをこう削ることによって二億四千五百万でできますというあなたのほうに積算が今度逆に出てこなければならないはずでしょう。責任はあなたに戻ってきたわけですよ。大臣、この点はどうですか。
  60. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 四億六千万円かかるというNHKお話ですけれども、これは国会で御質問がございまして、それでしいて分けるとその程度でしょうということでありまして、私のほうに提示された額ではございません。ただし、私たちとしましても、十六億あるいは十七億の予算の中で二億程度のものは非常に少ないだろうということで増額には努力いたしておりますけれども、われわれが命令した国際放送をやるためにはどうしても四億六千万円かかるのだというような事柄は、私のほうとしては実はNHKから事務的には聞いていないわけでございます。ただ国会の質疑応答の中で、なかなか分け切れないけれども、しいて分けますとこの程度になるでしょうという言明はあったことは承知しております。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは去年の話です。どんどん物価は上がっておる、人件費も上がっておる。おそらく同じ内容のものをことしNHKが国際放送でやるとするならばもっと大きい額がかかると思いますが、経理局長、経理担当として大蔵省に予算要求をするにあたって、いま電監局長の言ったような、まあ十六億何千万のうちで何ぼくらいかかるだろうというふうな、いわゆる何というのですか、日向算用と私のほうでいいますが、かってに頭ででっち上げて、大蔵省に四億六千万要りましょうと言ったのですか。NHKの国際放送に要するものはこの程度のものが必要だという何か根拠あるいはNHKの主張、そういうものを取り入れて経理局のほうでは積算をしたのですか、どうなっていますか。
  62. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 電波監理局の要求に基づきまして私ども予算要求をいたすわけでございますけれども、ただいま電波監理局長が申し上げましたように、一応いろいろな資料を参考にした上で要求をいたしますが、最終的には、国家予算でございますので、その範囲内で査定というようなことが行なわれるわけです。私はその詳しい内容は知りませんけれども、その範囲内で命令をするということでは、ただいま電波監理局長が申し上げたとおりだ、こういうふうに思っております。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経理局長、あなた人件費の計算もされると思うのですが、たとえば、あなたのほうでかちっとはじいてはじき出した昭和四十九年度の人件費が大蔵省から査定されても黙って引き下がりますか。これだけ人件費がかかりますということを出しますね、大蔵省がそんなにかかっては困るから少し減らせということで人件費を削られたら、そうですかといってあなた黙って引き下がりますか。それは困ります、人件費はこれだけ要るのですから、いやでもおうでも認めてもらわなければなりません、あなた、そうおっしゃるのではないのですか。経理という立場はどうなりますか。
  64. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お説のとおりでございまして、私どもは私どもの必要とする額を要求いたします。しかしながら、一般会計総体の規模の中で何を優先し、何をいかにするか、いかほどの額にするかということになりますと、これは全体の計画の中での問題になると思います。ただ一般会計の経費につきましても、電波監理局のほうで最後まで確保するように努力したことは事実でございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは私は了解ができません。しかし、何か時間のほうも言ってきておりますから、したがってこれは保留して、NHK予算の際にもう一ぺんあらためてやりましょう。よく大臣も研究しておいてください。どうも私はここ二、三年、この取り扱いが納得がいかないのです。大蔵省の考え方が納得がいかないし、それをまた黙って引き下がってきてNHK負担をさせておる——ぼくはNHKがどうこう言うのじゃないのですよ。NHKというのはわれわれ受信者の受信料でまかなっておるところだからぼくは問題にしておるのですよ、国民の代表として。それを国の権力があるからというのでかってに予算を査定して──人件費を査定されたらあなた方どうしますか、郵政省の人件費を査定されたら。NHKだって同じでしょう。この中には人件費も入っているのです。それを、命令しておって、法律で国が負担せよとなっているものをかってに査定をして、そしてたまたまどんぶり勘定であるということを奇貨として国民負担に転嫁しておる。これはもってほかだと思うのですよ。委員長、これは問題を保留して、次のNHK予算の際にやらしてもらいます。  それから次に参りますが、予算でもう一つお伺いしておきたいのですが、いろいろありますけれども、特に人件費についてですが、二一・四%の増が見込まれておるようです。これは昭和四十八年度の人件費に比べてすでに一七、八%程度のベースアップがあっておるはずであります。それに定期昇給を含めれば今年度のベースアップ分はどの程度見積もってあるわけですか。
  66. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 昭和四十九年度予算におきましては、仲裁裁定分一五・〇一%、そのほかに二・五%の昇給原資を見込みまして一七・五%程度の増加ということで見積もっております。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、逆算すると二一・四ですから、大体五%ぐらいがベースアップ分として見込まれておる、こういう理解になると思うのですが、ことしの春闘は、すでに巷間うわさをされるように三〇%台ではないかとか、いろいろいわれておりますが、かりに二〇%であったと仮定をしてみても一五%の歳入欠陥を生じてくることになります。こういう点について、たださえ六百九十六億の借り入れをする郵政省が、この年度中に、おそらく四十九年度の四月に行なわれるであろうベースの改定、ベースアップについてどう措置をされるか。
  68. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま申し上げましたのは本年度のベースアップの額でございますが、それがベースになりまして四十九年度さらに仲裁裁定が行なわれるといたしますと、その上積みになるわけでございますが、私ども予算措置といたしましては、御承知のように五%を仲裁裁定のベース改善の原資として考えてございます。そのほかそれ以上の仲裁裁定が出るか出ないかということはただいまのところ予想がつきかねますのでお答えできませんが、従来のやり方は、その仲裁と申しますか給与改善の原資のほかに、予備費あるいは年度途中におきます節約、増収、そういった経費を全部合わせましてその措置をするということをやってきておるわけでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政予算の中で一五%なり二〇%というものがそういう措置でできるとすれば、郵政の財政というのはたいへん苦しいようで楽なけっこうなものだと思いますけれども、おそらくことしのベースアップは二〇%を下ることはない、どうかすれば三〇%をこすのじゃないかと思うのですが、それでもやりくりして何とかやれますか。
  70. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、まだその比率と申しますかパーセンテージと申しますか、それが明確でございませんので、その時点におきまして財政状態等を十分勘案して検討いたしたいと考えております。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 行政ですから、法ができてからぼつぼつあとをついていけばいいというのかもわかりませんが、やはりある程度見通しを持っておかないと、場当たり場当たりではそのときそのときがたいへんなことになるのじゃないかと思いますが、経理局長としてはその域を出ないでしょう。しかし物価抑制見地から郵便料金値上げを押えなければならないというふうな大きい国の動きの中で、春闘で大きい賃金の引き上げが行なわれなければならないし、行なわれることもまた当然だろうと私は思うのですが、それさえ仲裁裁定が出てみなければわからないというふうなお考えですか。大体そういう際には、郵政省としては財政的にはこういう措置をとるのだというぐらいなことは大臣はお考えだろうと思うのですが、どうですか。
  72. 原田憲

    原田国務大臣 ことしはなかなかむずかしい年であるということは阿部さんのお尋ねの中に述べられておるとおりであります。したがって、政府はきょう——まだ私は正式に連絡は受けておりませんけれども、二十一日でございますか、政府と労働界の代表の方々と話し合いをしよう、こういうことを決定したと報ぜられておりますが、いま経理局長が言いましたことが現在の郵政省のとっておるところの立場を申し述べておりますが、私どもは十分これらにつきましてどうなるかということがまだ確定はいたしておりませんので、確定をしておらないことにつきましてお答えをいたすことは困難でございますが、十分に重大性というものを認識しながら対処してまいりたいと存じております。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 しょせんそういうことで、郵政省というのは、お役所というのは、いつもあとを追っかけてトカゲのしっぽばかり押えていくようなことになるのだろうと思いますけれども、それ以上のことをいま大臣が言うとぐあいが悪いのでしょうから私もそれ以上聞きませんが、しかし大臣、これは常識的な判断というものがあるのですよ。どう見たってこれだけ物価がどんどん上がっていって、常識的な判断というものはあるはずです。そういう事態に対しては郵政省としてはこういうことをしたいのだというぐらいなことはあらかじめ考えておくことが必要じゃないかということだけは申し上げておきます。  その次にお伺いしますけれども大臣所信表明の中で、郵便貯金について「健全な資産形成に寄与しつつ、」とありますが、大臣は率直に今日郵便貯金を集めることが健全な資産形成に寄与しておるとお考えですか。
  74. 原田憲

    原田国務大臣 やはり貯金をふやしていくということは、個人の生活というものを守っていくための役に立っておるということは間違いないと思います。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 資産を形成するということは、持っておるお金の価値がだんだん減っていくことを意味するのですか、大臣。そういうことをあなたが御答弁なさるならもっとお伺いしますが、資産を形成するということは、大事に持っているお金の価値がだんだん減っていくことが資産を形成することになるのですか。
  76. 原田憲

    原田国務大臣 これはいろいろ意見の分かれるところでございまして、その自分の持っておる金を使うことによって、それがいわゆるお金の値打ちを低くしていくことがございます。現在私ども貯金をしてくださいと申し上げておることは、貯金利子よりも物価の高騰のほうが高いではないか、そのときに貯金を持っておることはかえって損じゃないか、こういうことが阿部さんのおっしゃっておる論拠になっておるのではないかと思いますが、それでは貯金をしないで、その金で物をいろいろと買いあさるといいますか、買った場合に、そのことがインフレというか、通貨の膨張というものをもたらした場合に一体どういうことになるか。値打ちのないお札がたくさんちまたにはんらんするということが資産の減少ということになってまいりますから、いま一番大事なことはそういうことを押えるということでございますから、貯金をしていただくことが決して損はいたしません、こういう立場に立って、私ども貯金をいたしてください、こう申しておるところでございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やはり大臣、基本的に、皮肉なようですけれども貯金をしておって、その価値が減っていくことが財産の形成に寄与することにはならないのですよ。それならむしろ土地を買っておって、土地の値が上がったほうが財産の形成に寄与したことになりますよ。むしろ私は大臣からもっと変わった答弁がいただける——今日のインフレ的な傾向を押える、それを前提にしながら貯蓄というものの価値が財産の形成に寄与することになってくる、そういう施策をとりたいのだという御答弁があるだろうと思ったのですけれども貯金せぬよりもしておったほうがいい、物を買えば物価が上がるばかりじゃないかと……。しかし国民一人一人にとっては、自分の財産がどうなるか、自分の金がどうなるかということが問題であって、あなたのおっしゃるように、インフレになるかもわからぬから物を買わぬで貯金しておけば、しておかぬよりもよかったやろう、インフレにならぬために貯金しろ、こうおっしゃるけれども郵便貯金というのは零細な国民の金を集めておるんです。前の郵政大臣がよく庶民金融のときに言われましたが、大衆の零細な金を集めているのが郵便貯金であって、何ぼ国民が一生懸命郵便貯金協力してみても、大企業、大商社がどんどん土地の買い占めをやり、物のつり上げをやればどうしようもないじゃありませんか。明らかに政策の欠如ですよ、それは。それを前提にして、そういうことをないようにしながらという前提が入るならば私は大臣答弁を了解するのですが、何か私が皮肉言ったからと思ったのかしれませんが、貯金せぬよりもしておったほうがいいじゃろう、物を買うて物価が上がったらどうするかなんというような開き直ったものの言い方はないでしよう。
  78. 原田憲

    原田国務大臣 ことばは足りなかったというか、簡単な御質問でございますから答弁を申し上げたのでございますが、いま阿部さんの言われるように土地の問題はどうであるか、こういうような問題を下げてまいりますと、施策が十分でない場合に貯金をしておったらそれは資産の増強にならないではないか、こういうことは議論としては十分あると思いますし、そうでないようにつとめなければならぬと思います。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣も閣僚の一人ですから、まず国民に貯蓄をしてくれという以上は、貯蓄をしても目減りがしないような施策を講ずることを前提にしてでなければ、あなた方、物を買うよりも貯金したほうがいいですよと言ったって、だれもそれはほんとうにしませんよ。やはり基本的な政策が一つぱちっとあって、その上に立って初めて第一線の貯金を集むる人たちも自信を持って集むることができるでしょう。ただ片方でインフレの高進を放置しておきながら、大商社、大企業の物の買い占めによる物価の上昇を放置しておきながら、貯金せぬよりもしておったほうがいいでしょうなんて言ったのじゃ、これは私は、いやしくも一国の大臣のおことばだとは思えませんので、ひとつ十分考えてもらいたいと思います。  少し具体的に承りますけれども、この郵便貯金がいま資金運用部に回っておるのが、去年の暮れで十四兆ぐらいと記憶しておりますけれども、この預託の利率といいますか、資金運用部から郵政省に戻ってくる、たしか昔は一ころ六分五厘だったと思うのですが、いま何ぼになっておりますか。
  80. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えいたしますが、一月十四日の一般、預金金利の引き上げに伴いまして、資金運用部から郵貯会計に繰り入れます預託利率は、二月一日から新規に預入するものにつきまして〇・七五%上げまして、七分五厘ということになっております。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 六・五%の預託利率の際の預金に対する支払い利率の平均はどのくらいになっておりましたですか。
  82. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えいたします。  コストとしましての支払い利子率でございますけれども、四・八九%になっております。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 続いてお伺いしますが、七・五%の際の平均の支払い利率は何%ぐらいになる見通しですか。
  84. 船津茂

    ○船津政府委員 七・五%のときは五・三三%の支払い利子率であります。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 現場のほうでは、なるべく長期の貯金をとってもらうように一生懸命努力をしておるわけです。そうしますと、特に定額貯金の場合ですが、三年以上になりますと、新しい利率では七・五%ということになります。資金運用部からの預託の利率も七・五%、もし全部が三年以上の長期の定額貯金になったとするならば、郵政省貯金局はどういうことをして運営しますか。
  86. 船津茂

    ○船津政府委員 全部の定額貯金が三年超のものになりますと、七・五%がさかのぼって半年複利で計算されますので、預託利率の七・五%のつり合いがとれませんけれども郵便貯金を構成しております通常貯金、これは四・二%の利率、また積み立て貯金、これが四・八%の利率、それからまた全部が三年超ということでございませんで、大体一億一千万以上の口座の定額貯金の平均値をとりますと二年をちょっとこす程度でございますので、そういうふうな集積を計算いたしますと、七・五%の預託利息収入でほぼ郵貯特別会計は相償うという計算になっております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはまた貯金の法案があるようですから、そこでもう少し詳しく伺いますが、ちょっと私の感じに違いがあるといけませんが、通常貯金の利率は何ぼですか。
  88. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えします。  利率が目まぐるしく変わりまして、四・二と先ほど申しましたが、一月十四日の利上げによりまして四・三二と、〇・一二%上のせされております。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つ続いてお伺いしますけれども、それで大体いまの状況では資金運用部からの戻り利息、預託利息の七・五で大体貯金事業運営は可能であると理解してよろしゅうございますか。
  90. 船津茂

    ○船津政府委員 長期的に見まして、さよう御理解願ってよろしいかと存じます。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで大臣、目減りの問題がもう一つ出てくるのですが、けさの新聞ですから確かなことかどうかわかりませんが、きのうの委員会で大蔵大臣は、大幅な貯金の金利の引き上げをやりたいというお話が出ておりましたが、大体この郵便貯金というのは、先ほど来申し上げておりますように庶民のきわめて零細なお金を集めたものなんです。しかも、その集まった金が資金運用部に回って国の施策に使われていくという特殊な、国家的な見地もあるわけですから、したがって私は、これは一般の利益を追求する、われわれのいう民間の金融資本とは明らかに区別をして考えなければならないものだというふうに思っております。したがって、そういうふうに一般の民間の貯金の金利を大幅に上げなければ、いまのインフレの抑制なり総需要の抑制あるいは目減りをとめることができないという大蔵省の考えだと思うのですが、郵政省はこの点についてどうお考えですか。
  92. 原田憲

    原田国務大臣 さきの委員会でもこの金利問題についてお尋ねのあるところでございましたが、私は慎重に考えなければならないというお答えをいたして、結論としては申し上げておるのでございますが、それは、いまもお尋ねになりましたように、郵便貯金は資金運用部にお金を持っていってその金利で運用をされておるというところが一般の民間金融と違うところでございまして、こういうときに貯金をふやしていく、貯金の目減りというものに対するところ措置が必要ではないかというところは政策的にも考えなければならぬことでございまして、そのために先ごろ定期貯金の金利を引き上げて、六カ月ものをつくったということもその方策の一つであったわけでございますが、なお考えところはないか、阿部さんのお尋ねもそこに関連しておると思うのでございますが、その場合にほかと違うのは、私どもの場合は財政投融資資金になっておるということでございますが、そのことも勘案しつつ、私どもは何とか前向きに、大衆の皆さん方郵便貯金を伸ばしていただく面での方法はないものか、検討してみたいと考えております。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 時間の関係がありますから、大蔵省お見えのようですからちょっと大蔵省にお伺いしたいのです。大まかでけっこうですが、郵便貯金のそれぞれの金利と銀行の預金のそれぞれの金利を、大体比較をしてお知らせを願えませんか。
  94. 米山武政

    ○米山説明員 お答え申し上げます。  民間の定期預金金利三カ月ものは現在五・二五%でございます。それから六カ月ものは六・二五%、これに対しまして郵便貯金が、定額預金の金利は六カ月以上五・五%になっております。それから民間の一年ものの定期預金は七・二五%でございます。定額郵貯のほうは一年以上六%になっております。それから民間の二年ものの定期預金の金利は七・五%でございます。郵貯の定額預金は二年以上七・二五%になっています。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで大蔵省のほうにお願いしておきたいのですが、先ほど来申し上げておりますように、郵便貯金というものは一般の銀行の貯金とはまず預ける対象が違う、それと同時に、集まった金の使途が完全に国家目的に使うのと、利益の追求をしていく民間の銀行とは違うのです。しかし、どうもやはり大蔵省の立場からすれば、民間の銀行の肩を持って、郵政省をいじめる傾向があるようですけれども、私は別に郵政省がかわいいわけじゃありませんよ。その対象となる一般の大衆、それと集まった金を国家目的に使っていくという見地から、いまの利率の比較をしますと確かに定額貯金の場合、これは六カ月ごとで複利で計算していきますから長く預けておけば有利だというようなこともあります。しかし、今日のような情勢ですと、そんなに初めから十年も貯金をしようというような者はそうたくさんあるわけじゃありません。大体やはり貯金というものは一年か二年というのが大体の目標になって、そこら辺で子供ができるだろうとか、学校に行くだろうとか、家を建てようとか、そういうのが大体目標になっておるわけですから、さっき貯金局長も申しておりましたが、これがまた、もしも定額貯金が三年以上のものばっかりできたら、これは郵政省貯金局つぶれるのですよ。その例から見てもわかるように、民間に比較をしてまず三カ月、六カ月、一年、二年と、ここら辺までは明らかに民間のほうが利率が高いのですよ。この辺は今度、何でも大蔵大臣が、きょうの発表によるとかなり大幅に貯金の金利を引き上げよう、考えなければならないだろうとおっしゃっておるようですから、郵便貯金についてはその性格は違うという観点から、民間に比べて見劣りのしない貯金の金利を出すようにひとつ考えてもらいたいと思いますが、いかかがでしょうか。
  96. 米山武政

    ○米山説明員 ただいまお答え申し上げましたのは表面金利でございまして、いま先生御指摘のように、郵貯の場合半年複利でやっておりますので、二年のところへ行きますと、実質手取りはもう定額郵貯のほうがよくなるようでございます。これはいろいろ計算のしかたがあると思いますが、二年もの定期預金は、民間の場合先ほど申しましたように七・五〇、私ども複利で計算しまして二年で引き出しますと郵貯の場合は七・六五というくらいになりますので、もう二年になりますと定額のほうが有利になる。ここだけちょっと……(阿部(未)委員「それはいいです。下のほうです」と呼ぶ)下のほうは、大体民間の場合は比較的短期、二年が最高でございますので、どちらかというと短期は民間が有利、長期は郵貯のほうが有利というふうに従来考えております。まあ、先生の御指摘もございますので、いろいろ検討させていただきたいと思います。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 言い過ぎになるかもわかりませんが、それでは単にそれぞれの特色が生かされておるということだけであって、郵便貯金の私がるる申し上げた経過から考えてみると、必ずしも郵便貯金が有利であるという理屈にはならないわけですよ。したがって、短期における貯金利子も民間銀行と同じであり、長期のものがさらに郵便貯金のほうが有利であるときに初めて郵便貯金が有利ということが出るのであって、いまは単に特色が生かされておる。——長期のものは郵便貯金がいいわ、短期のものは銀行のほうがいいですよと、それぞれの特色が生かされておるにとどまっておると思うのです。したがって、私はそういう意味で、特に大蔵省は神さまですから、今度の大臣の金利の引き上げということにつきましては、ひとつ十分な配慮を願っておきたいということを要望しておきます。  それから保険局長はお見えになっておりますか。保険についても大体同じことが言えるのですが、今日、目減りがしてきておるようでございますけれども、この目減りを何とか考え方法はございませんか。
  98. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  確かに、おっしゃいますように生命保険、これは簡易保険に限りませず、一般にインフレといいますか物価騰貴には弱いわけであります。おっしゃいますように、物価騰貴あるいはインフレに対応する対策としまして、現在簡易保険の置かれておる立場からいたしますと、その分を一般の会計から持ってくるということも不可能でありますし、現在の既契約といいますか、現在われわれが持っております契約につきましては、今後経営努力によって事業費を減らすなり何なりによりまして、あるいは運用のほうを非常な努力をもって、高利回りに回すというようなことによりまして剰余金を大量に発生をさせまして利益配当を非常に行なっていく、あるいは福祉施設というようなものを数多くつくりまして、そういう現物のサービスというようなものをもって還元をしていくというようなこと以外にはさしあたり困難であろうか、このように考えております。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私、新聞の切り抜きを忘れましたが、保険局長、ずっと昔入った保険で、満期になって百二十円もらえるというので通知があったから、もらおうと思ったら、何か戸籍謄本をとれとか、いろいろありまして、戸籍謄本と死亡診断書と何んとかをとると、何か四百円とか五百円とかかかる。百二十円の保険をもらうのに、証明料だけで何か倍の上ぐらいかかる。どう考えても、もらわぬのも悪いが、もらうのも困る、ばからしいということで、せめてこういう際にはもうそういう証明などとらずに保険金を支払ってもらえないものだろうかという意見が出ていましたが、まあ百二十円というのは極端な例でしょうが、既契約の非常に少額の満期を迎えた、あるいは死亡の保険について膨大な証明料等がかかるというようなものについては、これは何かもっと簡単な措置がとれないものですか。サインしてみたって、千円か二千円でしょう。逆に言えば。それにまあ一割も二割もかかる死亡診断書や戸籍謄本をとらして、それをとってこなければ渡せぬという、いまの約款はそうなっておると思うのです。これは何か便宜措置について考えておられますか。
  100. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 先生がおっしゃいました新聞投書を私も拝見をいたしまして、現実にいろいろ調べましたところが、御本人はそういう死亡診断書の提出等の手続あるいは戸籍謄本を出すというようなことをしないで、保険金並びに利益金を受け取っておられました。  先生御指摘のように非常に少額の保険がございますが、こういうものに対しましては、昭和四十七年に通達を出しまして、四十七年の四月だったと思いますが、五万円以下の保険金につきましては、戸籍謄本及び死亡診断書を添付せずして適宜証明できる方法保険金を支払う、こういうふうに手続上なっております。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もいま初めて聞いたので、不勉強で申しわけありませんが、そういうことについては新聞か何かで加入者に知らしてやりましたか。
  102. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 一般的な周知方法についてあるいは欠くるところがあったかもしれないと思いますが、これを新聞広告その他によって広告したことはございません。ただ、窓口に照会がありました際にはそういうふうに指導をいたし、また現実にそういう取り扱いをいたしておりますし、保険のほうで、たとえば加入者の会というような会を持っておりますが、そういうものを通じたりいたしまして周知ははかっておるつもりでございます。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やはり新聞記事で出ておったわけですから、一番いいのは、新聞に郵政省から回答をして、こういう記事があったけれども、実際はこうなって、五万円以下のものについては謄本や死亡診断書なんか要らないのだということで周知してやるのも、一つ保険の周知の仕事になるんじゃないかという気がする。これは余談ですけれどもね。私もそういうものを見なかったものですから、つい新聞記事をそのまままるのみにしておりましたし、おそらく多数の国民は、保険についてまだそういう認識を持っておるのではないかと思います。  いまメモが回ってきまして、休憩をしてくれということですから一応質問を打ち切りまして、午後またやらしていただきます。それでは午前中の質問はこれで終わります。
  104. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  105. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。阿部喜男君。
  106. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電電公社さんに御出席をいただきましたので、公社のほうに少し質問させてもらいたいと思いますが、いずれまた時間をいただきまして、予算の内容等については御質問さしてもらいたいと思いますけれども、特にいま私が気になっておる点が二、三点ありますのでお伺いしたいのですが、来年度の建設の資金調達計画の中で、特別債が千七百五十億ですか、このうちの特に外部資金の中の特別債ですね、いわゆる縁故債等といわれるもの、この千七百五十億というのはかなり大きな数字にのぼっておるのですが、最近の金融事情等から考えまして、従来のようにこれだけの資金が集まるだろうかということを非常に懸念しておりますが、公社のほうの見通しはどういうものでございますか。
  107. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  いま御指摘の四十九年度予算資金計画上の千七百五十億円の特別債起債の見通しでございますが、御案内のように、四十八年度予算では、四十九年度予算の千七百五十億円に相当するものは千九百八十億円でございまして、建設勘定の予算の繰り延べもございましたので、若干起債の繰り延べもございます。けれども、四十八年度は御案内のように年度当初から非常に金融市況のきびしい年でございまして、相次ぐ金融引き締めによりまして、相当起債がきびしい環境にございますのは、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。四十八年度におきましても特別債の中は御案内のように公募債と非公募債と二つございまして、いま御指摘になりました縁故債というのは非公募でございます。その両者を合算いたしまして、四十九年度は千七百五十億を達成したい、こう思っておりますが、四十八年度におきましてもまだ一カ月ちょっと残しておりますが、ただいまの見通しでは、資金計画上のそごを来たさないように予定どおりの公募、非公募の資金調達は十分いけるという見通しを立てております。したがいまして、四十九年度も今年度に引き続きまして金融市場なかなかきびしいかと思いますけれども、一千七百五十億円、この程度のものでございますと、四十八年度と同じぐらいの努力をいたしますと何とか対処できるのじゃないか、かように見込んでおります。
  108. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ちょっと参考までにお伺いしますが、あと一カ月残っておる中で、四十八年度の特別債の千九百八十億の残り、いわゆる未達成といいますか、どのくらい残っておりますか。
  109. 好本巧

    ○好本説明員 四十八年度千九百八十億円でございますが、その中で三百五十七億円は、建設勘定の支出の繰り延べということと関連いたしまして四十九年度に繰り延べるというように計画中でございますので、千九百八十億円から三百五十七億円を引きますと一千六百二十三億円ということに相なりますが、この一千六百二十三億円の中で一月末までに発行いたしましたものは九百七十八億円でございまして、残りの約六百五十億円につきましては、公募債を百五十億円、これは三月の二日に発行するということでただいま各関係方面と詰めておる最中でございますが、非公募債で約五百億円、これは金融機関あるいは電電公社の共済組合との間で話が大体相済んでおりますので、一千六百二十三億円につきましては十分起債は完了できる、こういうふうに考えております。
  110. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、総裁事業の繰り延べにしたがって起債のほうも特に三百五十億が繰り延べられるわけですから、四十九年度がきわめてノーマルな状態で建設工程が進むとすれば、特別債のみで千七百五十億に三百五十億というものが入ってくる、二千百億の特別債になるわけですが、いまのお話でも、四十八年度についても銀行いわゆる金融機関関係からの債券の引き受けもだいぶあるようでございます。最近聞きますと、金融機関の資金というのは非常に詰まっておるように聞いております。それはおそらく成算があってのことだと思いますけれども、非常に需要の大きい電話の架設をかかえておる問題でありますだけに、この資金計画に狂いがくると一般に与える影響は非常に大きいわけですが、だいじょうぶですか。
  111. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  四十八年度から四十九年度に行きます公共事業の繰り延べという関係で、金にいたしまして約四百億円、資金にいたしまして約三百五十億円、次年度に債券発行がずれるわけでございますが、しかし四十九年度はまだ四月から先になるわけでありますし、いまのような物価の騰貴もいずれは鎮静化するというふうに考えられますので、私たちといたしまして総合的に考えて、この計画は十分達成できるというふうに考えております。  なお、特別債の中で、これは二つに分けられまして、いわゆる一般の公募特別債、公募電電債というものと、それからもう一つは、通称縁故債といっておりますが、共済組合なりあるいはまた金融機関とかいうところに直接公社が交渉してやっておるものと両方ございます。大体この割合をどうするかということは、これからの金融情勢その他も十分考えてやりたいと思いますが、これまでいろいろ発行の実績もございますし、公社の信用もあると思いますので、私は十分これは四十九年度中にできるというふうに考えております。
  112. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 当然特別債については利息の関係が大蔵省の預貯金利息の関係と非常に関連が深いと思うのですが、先ほども議論になりましたように、大蔵大臣は預貯金金利の引き上げを考慮しておる、何か一〇%とか一三、四%とかいろいろ意見が出ておるようですが、ヨーロッパにそういう国もあるわけです。そうすると非常に高い利回りの債券を発行しなければならないことになるのじゃないか。いま考えておられる利回りはどのくらいか、そうなったときに公社の予算上のそごを来たさないか、利子が非常に高くなったときの支障はないか、そういう点はいかがですか。
  113. 好本巧

    ○好本説明員 ただいま御質問の電電特別債の発行条件の金利でございますが、公募特別債、これは昨年の十二月に発行いたしましたものは表面利率が七・八%、九十九円二十五銭の発行価額でございますので、最終応募者利回りは七・九三四ということでございました。先ほど申し上げましたこの三月二日に発行を予定しております第六回債の金利につきましては、関係方面と折衝しました結果といたしましては、表面利率、クーポンレートが八・八%、発行価額は九十九円二十五銭でございまして、最終応募者利回りは八・九四二ということになろうかと思います。御指摘のように、四十八年度中に長期金利体系が三回あるいは四回も改定になりまして、そのたびに発行の電電公社債券の利率がだんだんと上がってまいりまして、これによりまして四十九年度の支出予算の中で占めますところの利払い金が、四十八年度と比べますと約四百億円ばかりふえておりますが、その中で百億あるいは百十億円ぐらいがこの金利改定によるものだ、こういうふうに理解しております。
  114. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあ見通しですから、いまここで断定的なことは申し上げられないと思うのですけれども、おそらく新しい年度に入っても、利回りは高くなりこそすれ下がることはないのじゃないか、かなり高い利回りの債券を発行しなければならないとなれば、額が大きいだけに公社の建設の運営の中にも影響が出てくるのではないかというような懸念がありますが、これらにつきまして、いずれまた御出席いただきまして予算関係の詳細な質問をさせてもらいたいと思います。  あと緊急を要する一、二点ですが、最近この電電公社の工事の下請等の工程の中で、事故が頻発しておるといえば言い過ぎになりますけれども、東京都内でも死亡をされたのが二件ぐらいあるやに聞いております。前々から、公社の工事について特に人命の尊重という観点から手抜かりがあるのではないかというふうなことが指摘されてきたところですが、なかなか直らないようですが、何か原因があるのかどうか、一つお伺いしたいのです。
  115. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  建設工事、特に請負工事におきまして、人身事故あるいは重傷というような事故が起こっておりますことは、まことに遺憾というふうに考えております。実はこの問題は昨年のこの委員会でも御質問ございまして、その後公社といたしまして建設に関する審議会をこしらえまして、この審議会の中には学識経験者も入っていただきますし、それからまた労働組合の代表者、請負工事をやる工事業界の代表者、また工事業界にある労働組合の代表者にも入っていただいて、特に安全の問題を昨年の五、六月ごろから審議会の本委員会だけでも七回ぐらいやりまして、その具体的な方法等についていろいろやっております。詳しくはまた御質問があったらお答ええいたします。  その審議会が始まりましたあとからは、幾らか事故は減っておるのでございますが、しかし四十八年と四十七年を比較いたしますと、これはあまり減っていない、大体横ばいということでございます。ただその内容を見ますと、たとえば従来土木工事が一番多いのでございます。しかしその土木工事の中でも、たとえば電柱から落ちるとか、そういう事故はわりあいに減りまして、たとえば土どめが悪かったとかあるいは感電事故、こんなような問題が起こって、たとえばガス爆発、ガスによる事故、こういうものは非常に減ってきたということでございます。人身事故はわれわれといたしまして絶滅を期したいというふうに考えておりまして、今後とも一そうの努力をいたしたいと考えております。
  116. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 鋭意努力されておるようでございますけれども、事故が起こってしまえば取り返しがつかないわけでございますから、ひとつ極力事故の起きないように人命の尊重ということで御配意を願いたいと思います。  もう一点ちょっとお伺いしますが、データ通信協会というのが十二月に発足したというふうに聞いておりますが、これはどういうことをやる協会でございますか。
  117. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまお話がございましたように、財団法人日本データ通信協会は昨年十二月十日に設立許可されまして郵政省と通商産業省の共管法人に相なっております。この法人は、データ通信その他情報処理に関します調査研究、それから情報の収集、提供並びにデータ通信のための電気通信回線利用者の利便を促進しますために、電気通信回線利用についての相談、指導等を行なうことによりましてデータ通信の健全な発展及び普及をはかりまして、経済社会の発展に寄与することを目的といたしております。
  118. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この新聞記事に誤りがなければ、総裁もこの協会の理事になっておるというように報道されておるのですが、いま監理官から話がありましたような内容のものであるならば、むしろ関係の深い国際電電とか電電公社というものからそういう協会に役員を出すことがはたしていいことかどうか、ちょっと疑問に思うので、これは大臣のほうの所管ですね、どうお考えになりますか。
  119. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、やはりデータ通信業と申しますか、そのものがまだ揺籃期にございまして、今後こういう業界を育成助長します一助といたしましてこういう財団法人の設立が行なわれ、私どもこれを認可したわけでございまして、そういう点におきまして関係の各機関がこれに手をかすと申しますか、ただいま御指摘関係機関の役職者は非常勤理事でございますが、何か執行上問題があります場合に相談に応ずるという立場の程度でございましたらよろしいのではないか、かように考えたわけでございます。
  120. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総裁は何かお考えがございませんか。私は、やはりこの種の開発とか、しかも業者があるわけですから業者と一緒になった協会で、そこに役員として公社の総裁が臨んでおられるということは、いわばそこできまったことはそのまま公社が受け入れねばならぬというような性格のものにもなってくるおそれがあるし、さなきだに、そういう関係での癒着といいますか疑惑を持たれる仲ですから、私は総裁のようなりっぱな方ですからそういう心配はないと思いますけれども、機構上そういうところにいやしくも公社の総裁理事としてお入りになることは国民の疑惑といいますか、そういう点から考えても好ましくないのじゃないか、これは私の偏見かもわかりませんけれども、そういう気もしますので、総裁のお考えがあれば承りたいのです。
  121. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  データ通信協会ができました趣旨は先ほど監理官から御説明があったと思います。私も非常勤理事でありまして、実は理事会に出たことは一回もない、名前だけ貸しておるというわけでございますが、確かに私も、創立のときだけ引き受けて、適当なときに適当な人にかわりたいと実はいま思っているわけなんですが、スタートしたばかりでございますから、国際電電の社長や私がユーザーということで入っているのだというふうに私理解しております。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ユーザーとして国際電電も入っておられるようですが、私は、やはりいま総裁がおっしゃったような考え方で、当初はしかたがないとしても、なるべく早い時期に、少なくとも役員としても籍をおやめになるほうが一般の疑惑を招かないというような意味でもいいのじゃないかという気がします。しかし私は、これは決して強制するとか、そういう考えはございません。ただちょっと気になりましたものですから参考までにお伺いしたのですから、あまり気になさらぬでけっこうですけれども、私の考えだけ申し上げておきます。  公社のほう、それでけっこうでございます。  それから次にもう一点だけお伺いしたいのですが、科学技術庁お見えになっていただいておりましょうか。——科学技術庁にお伺いいたしますが、新聞の報道によりますと、通信衛星、放送衛星が昭和五十一年を目途にいよいよ打ち上げられる、試験をやるということになっておるようでございますが、大体の大まかな計画をちょっと知らせてもらえませんか。
  123. 千葉博

    ○千葉政府委員 実はもう御案内のとおり、宇宙開発計画は政府部内では宇宙開発審議会政府の全体の計画につきましてこれを統一的、総合的に検討して計画を策定する、それを尊重いたしまして、その計画に基づいて総理大臣が計画をつくりまして、これをまた宇宙開発事業団が一元的に人工衛星を開発し、それでこれを打ち上げる、こういったような仕組みになっておるわけでございます。  それで、いま御質問通信衛星、放送衛星につきましては、昨年の十月二十九日でございますが、宇宙開発委員会におきまして、実験用の中型の放送衛星と通信衛星、これの二つを五十一年を目標に開発してこれを打ち上げるということを決定いたしまして、その線に沿って政府はいま開発を進めておるわけでございます。
  124. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 不勉強で申しわけないのですが、いま宇宙開発審議会というお話がございましたが、宇宙開発審議会、宇宙開発委員会、二つあるわけじゃないでしょう。宇宙開発委員会ですね。
  125. 千葉博

    ○千葉政府委員 委員会です。
  126. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 宇宙開発委員会はかねて自主開発といいますか、国内でその開発をしていきたい、いわゆる何とかNロケットという名前をつけて大型のものにするとか、そういう方向でずっと進んできたので、二年前でしたか、郵政省のほうから通信衛星、放送衛星の打ち上げについていろいろ話し合いがあったときに、若干意見の統一を欠いたような話があったように聞いておりますが、それが急遽郵政省の要請のように二つの衛星を打ち上げるということになったのは、しかも内容を聞くと、ほとんどこれはもうアメリカの技術にたよらなければならないようでございますが、これは科学技術庁なり宇宙開発委員会として、いまの日本の自力では自主開発ができない、あきらめたということを意味するわけですか。
  127. 千葉博

    ○千葉政府委員 先生いま御指摘のとおり、宇宙開発委員会は従来、日本の宇宙開発は要するに人工衛星もみずからつくるのだ、それからそのロケットもみずからつくっていくのだ、こういう路線でいわゆるNロケットを開発し、それで四つの実験用の衛星を打ち上げる、こういったような線でずっと来たわけでございます。しかしながらその完成は昭和五十二年ごろになるわけでございます。ところが一方、利用機関、これは通信それから放送に限りませんで気象衛星もそうでございますが、そういったようなところから、もっと重いものを、大きなものを早く打ち上げてくれ、こういろ要請が、利用機関を所管する官庁からも強く出てきたわけでございます。  それでこの通信放送衛星について申し上げますと、一昨年の夏でございますが、委員会に対しまして郵政省側からも強くこの実験用の通信衛星、放送衛星の二つを五十一年度に打ち上げてほしい、こういう要請が出てきたわけでございます。委員会といたしましてはこれにつきまして、世界の開発の趨勢あるいは技術的に成り立つかどうか、いろいろ調べたのでございますが、まだいわゆる開発というのに入る前にいろいろな開発のための研究を進めなければならぬ、もっと具体的に言いますと、いわゆる予備設計をやって、もちろん概念設計から予備設計までやって、これは利用機関がやるのでございますが、そういった設計をやって初めて開発のめどがつくのだ、だからそこまでを早くひとつやってください、こういうことで四十八年度つまり昨年の十月まで郵政省を中心にこの検討がなされまして、それでその検討の結果を宇宙開発委員会のほうが十分検討いたしまして、それで十月二十九日に、じゃ五十一年度までに実験用の中容量放送通信衛星、この二つの衛星をつくってそれを打ち上げるべしということを決定したわけでございます。  それじゃ、そういった決定が従来のものと矛盾しているのじゃなかろうか、要するにみずからつくるんだという点とちょっと矛盾してやしないか、こういうことでございますが、これは従来の路線はくずしておりません。ですが、利用機関がなるべく早い機会にこれを開発して打ち上げてほしいという強い要請がございますので、特例といたしましてこれもN計画にプラスしてあわせて進めていこう、こういうことでございます。  それからいわゆる米国からの技術導入でございますが、これはもう御案内のとおり、技術導入なしでやった場合はたいへん時間がかかるわけでございます。それで宇宙開発委員会がいろいろ検討しました一つとして、米国からの技術導入が円滑にいくかどうか、そういった技術を出してくれるかどうか、それと日本での開発とがうまくマッチしていけるかどうか、そういった点も十分に検討した結果、いけそうであるということでこの計画を決定いたしまして、いま実施を進めておる、こういったような段階にあるわけでございます。
  128. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  129. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 速記を始めて。
  130. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、経過はいろいろあったようですが、早く言えば、日本の自主開発は日本の自力ではこの段階では困難だから、アメリカのロケットなりアメリカの技術導入をしてやらざるを得ない、こういうことに結論はなるわけですね。  そこで郵政省のほうにお伺いしますが、郵政省なりNHK、電電公社がユーザーですけれども、五十一年までどうしても打ち上げねばならぬという理屈はどこにあったのでしょう。
  131. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 世界の宇宙開発の現状は先生よく御承知のとおりでございまして、きわめて急速な進展を遂げているわけでございます。国際通信について申し上げますと、インテルサット系の衛星が世界公衆通信の大宗を占めているわけでございます。あるいは東欧圏にはまたソビエトを中心にした通信系が一つあるわけでございますが、これは国際通信の場だけではなしに、各国で国内通信に衛星を使うという機運が急速に高まってまいりまして、これが将来はおそらくは地上をはう施設よりも経済的であり、あるいは災害に強いというようないろいろな利点が考えられるわけでありますが、そういうようなことで急速に世界の通信衛星、放送衛星開発の機運が高まってきたということが一つでございます。それが背景でございますが、これを踏まえて、ユーザー側としましてはできるだけ早くひとつこれを開発して将来の技術の確立に備えたいということでございまして、これは一つには国際的な権益の確保という問題があるわけでございます。これは平たく申しますと、計画を持ってある一定の場所に一定の周波数でこれを打ち上げるということになりますと国際的な保護を受けるわけでございまして、一ぺん上がりますと、その場所とその周波数で飛ばした国は、その衛星が生きている時間はもちろんでありますけれども、それが死んでも、五年間は優先権があるというような電波権益の確保の問題がございます。それから、できるだけ早く衛星の技術を確立しておきたい。御承知のように日本は地上局の建設では世界で最もすぐれておる国の一つだと思いますが、それが、自前の衛星がないために、衛星の発展、発達とか開発と申しますか、これが地上に偏しておって跛行的にできておる。これは衛星と地上施設をあわせてひとつ将来の技術の確立に備えたいというような考え方。あるいはまた放送衛星につきましては、NHKの例で申しますと、難視聴、これが約百万世帯あるわけでございますが、これは、いまNHKの総合テレビ千七百局ばかりあるわけでございますけれども、これをもってしても九十数%しかカバーできない。山間僻地で地上の方式で、従来の方式を延長していきましても、五%をつぶすということからは相当困難である。難視聴解消をできるだけ早く効果的にやるということのためには、やはり放送衛星の開発を急ぐべきである、こういうような、世界の趨勢、わが国の需要、必要度、そういうことから考えまして、ユーザー側としてはできるだけ早い機会にこれの開発に着手したいということで、それがいつかと申しますと昭和五十一年度が最短距離である、こう計算したわけでございます。
  132. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう少し意見があるんですが、委員長から時間の点でおしかりを受けておるようでございますから……。  ただ私は、率直に言って、あなたのおっしゃるとおりであるとするならば、日本の技術開発が世界の趨勢についていけなかった、いわば科学技術庁なり宇宙開発委員会が立ちおくれておるということにしかならないと思うのですけれども、もっとほかの面から考えてみますと、私は、たとえばNHK放送衛星の問題にしても、それを開発することによって直ちに難視聴が解消できるだろうか。難視聴の解消ができるかわりに、今度はもっと変わった受信機を受信者が買わせらるるというふうな問題が当然私は起こってくると思いますし、ローカル放送は一体どうするのか、そういう問題についてはまだ多くの問題点が残っておると思います。ですから私は、やはり可能であるならば科学技術庁なり宇宙開発委員会がもっと積極的に自主開発をやるべきであったし、またユーザーの側としてもそれをやらせるようにもっと早くから努力をしていくべきであったと思いますけれども、この段階に来てとやかくは申しませんが、しかし少なくとも郵政省なりがアメリカの技術を導入しても急がなければならないと考えておった日本にドルが余っておったころの日本の国の経済と、今日の日本の国が置かれておる経済の国際収支の状態とは大きい変化を見せてきておる。総需要の抑制ということが非常に叫ばれておる今日です。その中にあってもなおかつこの五十一年というタイムリミットがあるのかどうか、私は疑問に思います。またいずれ時期をあらためて質問さしてもらいたいと思いますけれども、約束の時間ですから、一応きょうはこれで終わります。
  133. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  134. 土橋一吉

    ○土橋委員 原田郵政大臣が熱発で非常に苦しんでおるにもかかわらず出席をして答弁をしてくださることに、私は心から感謝をし、また敬意を捧げるものであります。  さて、ちょうど八日に大阪の国際飛行場の騒音問題についての陳情の方々がお見えになりまして、あなたは御都合で出られなかったのですが、郵政省よりまかり出まして、そしてあなたの英断によって十時までの夜間郵便飛行は停止をする、しかしながら、九時四十五分のいわば最終便といいましょうか、これは依然としてあるというので、それをやめてもらいたいということで伺って、その内容とかその他、三ッ林政務次官も立ち会っておられて、そういうふうに努力をするということになってお別れをしたのですが、郵政大臣はこれはやめるという決意を持っておられるかどうか。大阪の方々は非常に心配しておりますので、まず男頭にその問題についてあなたの決意のほどをひとつ承っておきたいと思うのであります。
  135. 原田憲

    原田国務大臣 この問題は従来から、私はもう一番地元で古くから手がけておる問題でございますから、たまたま郵政大臣になりました際に、事務当局にできることならということで指示をいたしておりましたのが実現をいたしました。まあてまえみそになってもと思いまして所信表明には入れてなかったということを先ほども申し上げたのでございますが、実はそのときに深夜便ということでございましたので、深夜便は取りやめたのでございますが、やはりこのことによりましていままでのサービスが低下するということは言をまちませんので、当局といたしましてはそれを減らす分をどう埋め合わすかという計画をした。そうしますと、いま飛行機が十時まで飛んでいるわけです。それ以後を深夜便、こう言っているわけですね。十時までで割り振りをした。その中に一便残っておるというのがあなたのお尋ねの問題だと思うのです。そこで私は、そのことはわかりましたので、当局にこのことを含んでこれからの——三月からの問題でございますから、できるだけ要望に沿えるように処理をしてみたらどうだという趣旨の指示はいたしております。これはなかなか飛行機の便の寄り当てというのがむずかしい問題でございますので、こういたしますという確定的な答えはまだ得ておりませんが、そういう指示はいたしております。
  136. 土橋一吉

    ○土橋委員 その席で三ッ林政務次官やあるいは郵政当局の幹部の説明がございましたけれども、わが国の郵便制度はいまバイ・エアメールとかパーラビオンという制度をとっていないのであります。したがって、速達制度をとっておりますからして、もしどうしても九時四十五分の郵便物が着かなければ明日の配達に支障がくるというならば、鉄道郵便もあるし、また航空郵便でも鉄道郵便と同じように機内において取り分けしない配達のものと、あるいは紀伊半島とか四国とかあるいはまた九州方面のものを大分けに区分して日本逓送に委託をするという形をとれば、そんなに九時四十五分の一機が着かなければ明日の市内配達は困るというような状況ではないので、やはり逓送の方法を十分研究するならば私は可能であろうというふうに思っておるのであります。しかもお客さんには航空郵便の指定配達をするということを言っていないのですから、速達でやっておるわけですからして、これはかつての船便を指定するとかあるいは航空機内容等の時間を指定するという制度で受けていないわけですから、いま申し上げるような点をはっきりすれば問題はないのでありますので、最善の努力をしてやはり九時四十五分の大阪着の郵便機はこれをやらない、やはり環境保全に協力されることを強く要望して、すみやかにさような決定をされることを要求したいと思うのです。  さて、私は、一昨日到着をした「ポスト」という郵政省が指導的に出しておる雑誌をずっと拝見しました。当初からいろいろ疑問を持っておりますが、現在郵便官署は、私の記憶ですと全国で大体二万をこえると思っておるわけです。ところがその席上で、ある有名な婦人と対談をしておられる武田建築部長さんのお話ですと、一万七千の郵便官署があるということを言っておるが、はたして一万七千の郵便官署があるのか、二万をこえる郵便官署があるのか、この点をひとつ郵政の関係方面の詳しい人に説明していただきたい。それ以後の内容については、私は非常に研究して内容を拝見しました。ただ、官署の数が一万七千ということを公言しておるとすれば、私どもの記憶では二万をこえる郵便官署を持っておると思っておるけれども、その点はどうであるか、ちょっと……。
  137. 武田礼仁

    ○武田説明員 簡易郵便局の数を入れないで考えておりましたので、一万七千ということ、まあ非常にまるい数字でございますので、多少違うかもわかりませんが、私は簡易郵便局を入れないで計算いたしました。
  138. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政省の二万をこえる郵便官署というふうに聞いておるが、一体何ぼあるのか、正確な数をきちっと教えてもらいたい。
  139. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  昭和四十七年度末の数字でございますが、全国ですべての、ただいま申しました簡易局も含めますと二万一千五百三十五でございます。
  140. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政省の最高幹部の一人でも一万七千と言ってみたり二方一千と言ってみたり、こういうことについては、大衆があの「ポスト」を読んだ場合に非常に疑問に感じますので、ぜひそういう点を間違いないように、ちゃんと明確に答えておきませんと、私が昨晩読んでも非常に疑問があったわけです。  次に、郵政大臣お尋ねしますが、あの「ポスト」の最後のところに、あなたは昨年の十二月、いわゆる飛鳥保存財団というところの松下幸之助という理事長に、いわゆる議員立法ということで一昨年の春ごろ通過した寄付つき記念切手の金を六億数千万円渡したというふうに書いておるが、間違いないのかどうか。
  141. 原田憲

    原田国務大臣 私が就任いたしまして、記念切手の六億数千万円を松下さん、この方はお出ましになりませんけれども、代理の方にお渡しをいたしました。
  142. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたは、寄付つき記念切手の発行がどういう制限があって、どういう措置をしなければならぬとか、あるいは郵政審議会にかけて各団体にそれぞれ配分をするとか、また——この法律は議員立法という形式をとって実は自民党から提案をされまして出た問題であります。われわれ共産党はこの問題については非常に疑問を持っておるわけです。というのは、従来、との寄付つき記念切手の法文を見ますと、これはちゃんと限定されておるわけですよ。どういう団体が、どれほど、どういう内容で要求しておる、その要求しておる内容は、ここにもありますように、つまり風水害あるいは震災、非常災害あるいはガン、結核、小児麻痺、その他特殊な疾病の学術的研究を行なうとか治療を行なう団体とか、原爆の被爆者に対する治療とか、そういうもの以外には寄付つき記念切手を発行してはならないという基本的な原則を持っておるわけなんだ。そうして、たまたま万博とかオリンピックだけは例外的に認めたのであります。  ところが、御承知のように高松塚古墳が一昨年発見をされまして、わが国の文化を代表するということで多くの国民の視聴を集めたわけです。これは私はけっこうだと思うのです。また非常にいいことであったと思うわけですよ。わが国のいわゆる古代といいましょうか、そういう文化が発掘されたことは非常に喜んでおるわけです。本来ならば文化庁や文部省が責任をもってそれを保存をするとか、あるいは後世の国民に伝えるというために国家予算を編成してきちっとやるべき問題であったわけですよ。ところが松下幸之助といわれる、これはもうよくいわれておる人で、よく知られておる人のようなんですが、この男を中心に関西、東京の財界が、約四億円前後であったと記憶しておるけれども、この資金を集めるために飛鳥保存財団なるものをつくったのです。このことも決して悪いことじゃございません。国が基本的なそういう体制をとっておるところに財界の諸君が協力をしてくださることはまことにけっこうです。しかし国自身が別の項目で、飛鳥地域における文化、風土あるいは歴史的なものを保存をするということは一応予算を組んがやりましたが、高松塚古墳についてはやっていないわけです。そこで松下幸之助という者がとこに着眼をして、約五億円前後であったと記憶していますが、資金を集めようとした。ところが一昨年は経済の不況によって金が集まらない。どうしても集まらない。そこで彼は寄付つき記念切手ということを思いついて、これを国会へ持ち込んできたのであります。われわれ共産党は、こういうことについて非常にその内容に疑問の点が多いわけです。しかもこの法律の規定によると——彼らが企てておった計画は、約五億円前後のうちどうしても金が一億前後しか集まらぬというので、寄付つき記念切手を募集してこれで何とかつないでいこう、こういう一つ意味もあったと思うのです。当初郵政省が計画していた記念切手は大体四億円前後であったと私は記憶しておるわけです。ところがいまお話しのように、六億何千万円の金を渡したというのはどういう根拠によるのか。どういう根拠で、四億数千万円の予定したものが六億五千万も金を渡すような事態になったのか、明確に答えてもらいたい。どういう理由でそんな余分な金を松下幸之助に渡したのか。
  143. 原田憲

    原田国務大臣 いまの高松塚古墳に対する寄付つきの記念切手の発行につきましては、いまお話がございましたがそれぞれの基準というものがございまして、それに適合するものは許可するということに当てはまるということは、これは議員立法でございますから議員の専門家の皆さん方よく御存じのとおりでございまして、これに対する意見の一致で賛成をしていただいた、このように承知をいたしております。  それで、私なりの見解を申し上げますならば、万国博覧会も一つの大きな行事であるならば、高松塚古墳というものの示したものも、文化的な面から取り上げますと画期的なものであったと思います。これに対しまして国家からこれの保存に対する助成策を講ずること、民間もこれに呼応するということは適当な措置ではないかと思うのでございます。したがいまして、これについて国会において、政府提案ということでは間に合わないから議員立法という措置をとろうということでおはかりをして、これが国民の意思として決定された措置であると考えております。  いまの四億の問題に六億出したのはどうかということにつきましては、これはちょっとつまびらかにいたしませんので事務的に答弁をさしていただきますが、私ども承知いたしておりますのは、このことはたいへん国民的な共感を得たためにそれだけの金が集まりまして、事業といたしましては、これは金はあればあるほどいいんでございますけれども、そうむちゃくちゃに要望することもできない。それが六億集まりましたのでたいへんけっこうであった、こういうことになったと承知いたしております。あとのことは事務的に報告をさしていただきます。
  144. 土橋一吉

    ○土橋委員 その法律はここにあるわけです。これは御承知のように議員立法という形式をとって、われわれ共産党はこの法律について討論もしたい、この内容について十分検討もしたいということを言っておったにかかわらず、急遽これが通ったわけであります。したがって共産党は棄権をいたしました。  そこで、御承知のようにこの法律の内容というのは、最後のところをちょっと読みますと、「第五条第一項に規定する寄附金つき郵便葉書等は、同条第二項に規定するもののほか、飛鳥保存財団が調達する飛鳥地方における歴史的風土及び文化財の保存等に関する事業で政令で定めるものに必要な資金に充てることを寄附目的として発行することができる。」したがって、私はこの財団が悪いとかなんとかということを言っておるのではないのです。つまり、国が飛鳥地方全体に文化庁を中心にそういう歴史的な風土を保存することはまことにけっこうで、その不足分を日本の財界が金を出し合ってやってくれるというならまことにけっこうなことなんです。ところが、この寄付つき記念切手を発行する場合にはその事業団体の計画の半分をこえてはならないといったようないろんな規則があると思いますが、それをはるかこえるような金を松下幸之助さんに渡すということは、これは私あまり芳しくないと思うのです。第二点としては、これはついせんだっての二月十二日の朝日新聞です。この朝日新聞を見ると、「国民協会献金割り当て一覧表」というので、自由民主党が国民協会を通じて財界にどういう割り当てをして金をもらっておるかという表があります。これは朝日新聞です。そうしてこの中で松下電器産業というのが、従来は八十万円献金をしておったが今度の要請では四百万円、こういう割り当てが新聞に載っておるのであります。  それで、要するに、この主たる責任者である松下さんというところへそういう金が回ってくるということはわれわれどうしても納得できない。しかも四億五千万円程度の寄付つき記念切手が六億も回ってくるというようなことはどうしても考えられないので、この明確な答弁と、こういう問題についてはっきりした態度を示していただきたい。これは後ほどでけっこうです。時間がありませんから、あとできちっと——わかれば答弁してもらいたいが、どういうわけでそういうことになったのか。しかもこれは国民協会に寄付をやっておるいわば大口の松下電器であります。そういう点ひとつどうですか。
  145. 原田憲

    原田国務大臣 いまの飛鳥保存財団が寄付金を集めて飛鳥のこのたび発掘されました高松塚の古墳保存という問題で、六億という金が集まったということが非常に膨大であるということでございますが、実はこの飛鳥地方全般に、明日香村一つとらえてみましても、これ全体がいわゆる日本の歴史というものの幕明けを告げるところの重大な国民的な文化遺産でございまして、これを全部国の費用でどうするかということにつきましては、根本の飛鳥をどうするかということからきめてかからなければなりません。したがいまして、それは各方面で研究中でございまして、このことについてのほんとうの根本的な結論というものはまだ出ておらないように私は思います。しかしながら現実には、たとえば文化財保護のために、この高松塚古墳を発掘した網干助教授もその一員でありますが、そのグループの方々がすでに発掘されてきておるところの文化財というものもたくさんございまして、これらを集めて保存をする、そしてどういうふうに持っていくかということについては、金の面でいうと私は膨大な金がかかると思いますが、それではいま発掘したものをどう保存して、どのように国民的な財産にするかということについて放置することはできませんので、そのためにこの記念切手を発行いたしましてその一助にしたということでございまして、六億だけの金をもってしますとたいへん膨大なように見えますけれども、これからの飛鳥保存という全般的な問題からいたしますと、これは、これくらいこのことをやっておいたおかげでよく残してくれたということになろうかと思うのでございます。  後段の指摘されました政治献金の問題は、これはまた別個な問題であると思いますので、またあとでもいいからとおっしゃっておられますので、このことはいま私が答弁する飛鳥の問題とちょっと問題が違うのではないかというように心得ております。
  146. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたがいまお話しくださったことは、ここにちゃんと大体十二億七千万円の計画で、そして高松塚古墳その他の問題についても、あるいは川原寺はどうするか、あるいは橘寺はどうするか、周辺の遊歩道路はどうするかというようなことについていろいろこまかに出ておるわけです。そういうものに協力をする飛鳥保存財団という一財団であるわけです。したがって、彼らが計画をしておるのも、まず宿舎を建てるとか飛鳥駅頭の広場をつくるとか、あるいは同じ形の、この古墳と同じようなものを別につくって、そこに入らなくてもその模型の中に入れば飛鳥古墳と同じような姿を再現をするとかそういうことと、その周辺に小公園をつくる、これだけの目標を立てておるわけであります。ですから私はそれが悪いということを言っておるのではなくて、財界のきわめて有力な方が、金が集まらぬからというので急遽寄付つき記念切手にこられるようなことについてはまことに遺憾であるということを私は言っておるのであります。この問題については後ほどきちっと報告を受けますけれども、これは委員長、よろしく、ひとつきちっと郵政省で、どういう計画で四億五千万円のものが六億何千万円渡すようになったのか、どういうふうになっておるか、これをひとつ簡単に——時間がないからあとでいいです。  その次にひとつ郵政大臣お尋ねをしたいのは——この問題ははっきりさせておきたいと思います。(「何でそこで国民協会を出したのか聞けよ、もう一回言えよ」と呼ぶ者あり)  その次に、沖繩県で近々海洋博覧会が催されるといわれております。それで中央郵便局の姿なんか見ると大きなたれ幕で、これの記念切手が発行され、寄付つき記念切手が同時に発行されるというようなことを承っておりますが、これは大体何枚ぐらい、寄付の内容はどの程度の寄付をこの海洋博に与えるということ、そして海洋博に協力する諸団体があると思うのですが、これはやはり郵政審議会で公平にその寄付金を分配しなければならない。一団体にやるということは、これはこの法律の趣旨からいってもさようになっていないわけです。  いま私が質問しておるのは、一団体である飛鳥保存財団だけに金が入っておる。これは明日香村のほうの諸君もいろいろ活動されておる。地元の観光関係団体もいろいろやっておる。そこに公平に六億何千万の金を与えるならば、これはたいした問題ではない。いまあなたがおっしゃった趣旨に沿うものなんだ。しかし寄付つき記念切手を一飛鳥保存財団という財界を中心とする諸君に与える、ここに問題が一つあるわけなんだ。だから私は国民協会のこういう内容に……(「関係ない」と呼ぶ者あり)直接関係しておるとは一言も言っていない。こういう方に与えることについては非常に問題があるということを言っておるのであります。ですから、その内容について簡単に示してもらいたい。
  147. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいま御指摘のありました沖繩の海洋博の寄付金つきの記念切手の発行は、来たる三月二日を予定いたしておるわけでございますが、その内容は、寄付金つき一枚につきまして五円の寄付金をつけまして五千万枚を発行いたします。したがいまして、それによって得られます寄付金の総額は二億五千万円を予定しておるわけでございますが、今後の海洋博全体のために必要ないろんな設備費は、ちょっといま資料を持ってまいっておりませんが、百億以上の膨大な計画でございまして、私たちのほうの郵便の切手によって期待されておりますものは、その中の中央ゲートのところのある部分を指定しまして、そこで使う金ということでお話がございましたので、われわれとしてもこれには協力申し上げるということでいまもうすでに印刷できまして発売を予定しておるわけでございます。
  148. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体わかりました。ありがとうございました。  それでは私は、切手制度の問題について基本的ないろいろな疑問がありますので、質問をさせていただきたいと思います。  わが国の切手制度は、御承知のように明治の初年にこれができまして、今日百年近くをけみしようとしております。したがって、この切手制度そのものが郵便業務の中に占めておるウエートはきわめて重要だと思うのです。そのうち、記念切手の問題についてとりわけ私はいろいろ聞きたいと思うのですが、郵政省説明によると、切手総額は大体一千八百億くらいであるといわれておる、こういうのです。そのうち記念切手は百五十億のウエートを占めておるのであります。記念切手は年間大体どの程度発行するのかと聞いてみますれば、その年にもよるけれども、いま申し上げた大体百五十億の総水揚げをするにふさわしいだけの記念切手を発行しておる、こういう結果になると思うのであります。  そこで記念切手は、国民が現在の文化、科学の水準からいいますと非常に多くの方が関心を持っておられる。つまり郵便官署としては非常にありがたいことであって、国民が記念切手について非常に関心を高め、あるいはこれを集めたい、これを買いたい、あるいはこれを保存しておきたいということは、わが国の文化全体の観点からいっても一定の貢献をしておると私は思っておるわけです。とりわけ、あの狭いところに非常に文化のかおりの高いものであるとか、あるいは風光明媚な地域を指定してこれをやるとか、非常にけっこうだと思うのですよ。ところが一般の大衆がこの記念切手を買いたいといっても、いろいろ郵便局に行かなければならぬとか、あるいは為替を組んで送ってもらうとか相当手数をかけておるのであります。ところがこの切手が、どういうルートか知りませんけれども、私の見たところでは、郵便料金別納という方にその記念切手を持っていったというふうなことになっておりますけれども、記念切手というのは郵便業務上に乗っかっておるものはそうたくさんはない、多くあっても半分くらいである。半分くらいはその切手を保存をしたり、あるいは友人に上げたりというようなことで、郵便業務ルートに乗る記念切手というものは、そうたくさん——全般としては数はよくわかりませんが、そういうことであると思うのであります。そこでその記念切手というものが最後にどういう経過で、そしてこの業界に渡るまでの間どういう道筋を通っておるのかということをごく簡単に、簡明に答えていただきたい。どういうルートで消却をした切手が業界や一般個人に渡るのかというそのルートだけを簡単に説明してください。
  149. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいま御指摘の切手のことは、すでに使用済みの、したがって消印済みの切手のことであると考えます。これは郵政省から財団法人切手普及協会に一括して払い下げておるわけでございます。この切手普及協会から個人あてに、郵便切手の趣味のある方がこういった使用済みの切手がほしいという御要望がございますので、これをお分けしておるというのが実情でございます。もともとこの切手は、ただいま御指摘のとおり全国の郵便局でいわゆる料金別納制度がございますので、その際に普通の切手あるいは中には記念切手も入っておりますが、それをかつては全国の郵便局でそれぞれ処分しておったわけでございます。その際にとかく問題がございまして、この一部が切手の商売人のほうに流れていろいろ問題がございましたので、わざわざこれを全国の郵政局を通じまして本省に一括して集める、本省はそれを、ただいま申し上げました財団法人の切手普及協会に一括して払い下げる。その切手普及協会はこれを業者のような会社、団体には分けてはいけないことになっておりまして、先生御存じのとおり、これを個人あてに販売する。予約があり次第、予約の順番に従って分けるということでございます。  それから、もう一点ございますのは、したがって、そういった個人が買われたものが、またこれを自分が必要なものだけを集めて残りを販売する、またそういったものを集めておる業者もあるようでございますので、そういったものが市販されておるということもあるように思います。  それからもう一点、これは使用済み切手の、こういった協会から販売されるもののほかに、青少年団体等でこの使用済みの切手を収集いたしまして、その売り上げ金を慈善団体等に寄付しておるような例があるようでございます。たとえて申し上げますと、日本キリスト教海外医療協力会といったようなところがございまして、そこでは現に十キロ入りの段ボール箱に約七万五千枚ぐらいの切手が入ったものを一般に広く販売しておるようでございまして、その売り上げ代金をいろいろな施設に寄付するとかというふうな目的にも使っておる、そういったものが両方があるように思うわけでございます。
  150. 土橋一吉

    ○土橋委員 よくわかりました。郵政省へ一括をして、そしてこれをくずとして払い下げをする、貫目で払い下げをする、その払い下げを受けるのは切手普及協会というものが一手にこれを引き受ける、その切手普及協会は個人には百グラムあるいはまた別に少しほしい人には五百グラム、これ以上は絶対売っていない、どこにも流れていない、こういうことがいまあなたの御説明でわかったと思うのです。  ところが、実際はそうではなくて、現在そういう記念切手が大量に流れておる、そういうことが推定できる事実がたくさんあるわけです。たとえば、私も切手のことについていろいろ研究さしてもらっていますが、これは大丸で買った外国の切手です。これは大体百枚から百四、五十枚ある。外国の切手ですね。大体イギリス系統、ドイツ系統のものです。こういうふうに切手は非常に多くの方に売られておるわけです。そうしてここで、過日、現天皇の五十周結婚記念とかというので記念切手が発行されておりました。そのときちょうど私早朝から中央郵便局へ参りまして、どういうふうな状態で多くのお客さんが買っておられるかを朝から見ておりました。私の見たところでは約七、八百人ぐらいが並んでおられまして、そこでこの記念切手の整理をする郵便局の方々が非常に御尽力なさっておった。ふしぎなことを私はそこで発見したのは、郵便局の方はこれをうずたかく持っていて、そうしてこの、つまり「少年切手マガジン」というので、これをたくさん持って、並んでおる人に配っておられる。私も一冊くださいと言ったら、はあどうぞというので、郵便局のネームプレートのついた課長級と推定できる方がこれを配っておられた。たいへんこれはおもしろいので、ごらんになりますように相当の金をかけてつくっておるものであります。(「ただですか」と呼ぶ者あり)ただです。こういう、少年が見てもおとなが見ても興味深いものであります。これがただで配られておる。私はこれは異様な感じでこれを受けたわけであります。  さてそこで、いまお話しになったような——それだけではございません、この業者がたくさんこういう切手の、つまり趣味の切手とかいろいろなものをつくっている。これは非常におもしろいです。皆さんがごらんになっても郵便局を御支持くださるわけで、私もお願いしますけれども、非常にいいわけです。非常に内容も、ちゃんといつ発行して、そしてどれだけ発行したと、全部ここには書いております。高松塚古墳のやつもちゃんとここにございます。これを見れば大体日本の切手制度、外国の切手がみなわかる仕組みになっておるわけです。切手がそれだけ国民に浸透しておる。この間の二千万円の切手のやつもここへちゃんと出ておる。アメリカの商人が持ってきて競売に付した問題もここに出ておる。たいへん興味深いものであります。  さて、そういう中で奇態なことに、いまお話のようなことから出てくる疑問がたくさんあるわけです。たとえば、私が買い求めたのですが、ここに書いてあるように、これは郵政弘済会で私は買いました。それでこの中を見ると、これは消印したと思われないような切手が二百円で売られております。消印をしておるけれども、消印はしていないように見える、こういう切手が二百円であります。中にはこういうのも、ほとんど下のほうだけ消印しておる、消印したかしないかわからないようなものがやはり——これは一番安いのを私は買ったんです。高いのは五百円のも千円のもありますよ。原切手よりか高いわけですよ。しかもこれは中央郵便局の窓口の郵政弘済会で売っておるわけです。こういうふうに明確に、ちゃんと消印をしたということがわかるものもあります。こういう状態で切手が大量に流れておるのは、いまあなたがお話しになったルートからはどうしても出てこない。どういうルートでこんなことになっておるのか、この点をまずお聞きしたいわけです。これが第一点。  第二点としてここでお尋ねをしておきたいことは、いまお話しした切手普及協会が百円で売っている口はこれです。記念切手と一般切手が全部入っておる。これは書いてありますね。切手普及協会で百円で青少年に売っておるやつです。これもおもしろいです。たいへん興味があります。ちゃんと台紙がついていますね。これもまたたいへんおもしろいものです。まあ百円にすればそう高い品物ではないでしょう。次の問題は、これは五百円で売っておるやつ、これはまた興味しんしんたるものです。これは五百円で売っておるわけです。それで記念切手もございます。こういうふうにね。それで普通切手がたくさんある。割合が大体一〇%前後といわれています。それで記念切手が、先ほどお見せしたようなものも入っております。だから全国からこれを求めて殺到しておるわけです。消印をした切手に殺到をしておる。なおここでふしぎなことは、私ははっきり申し上げるが、あたかも消印しないような切手が百種類、一種類が百枚、全部私は数えました。確かに百枚ある。最初は九十枚ぐらいかと思って心配して数えてみると、みなこれは百枚あります。ごらんなさい。こういう消印をしたかのような形をとっておる記念切手が大量に、私の手に入るぐらいですから、大量に出回っておる。これは一体どういうわけなんですか。さっきあなたが言ったようなルートからいって、一キロ二十六円で売って、貫目で売っておる。そうして普及協会は、いま話したように青少年に百円で百グラム、ちょっとほしいという人は五百グラム、これで売っておる以外にはこの切手が出ていく場所がないわけです。そうすると、これは私は三万円で買ったわけなんです。三万円の受け取りがあります。ちゃんと三万円で売っておるわけです。そうすると、この切手はこういう形では集めることのできない切手であります。つまり五百円の箱を十箱買って五千円。五千円買ってもその切手の種類を五十種類集めることは困難だと思うわけです。まして百種類となると、百箱買って五万円。百箱買えばどうにかそれは——あるいは集まるかどうかわからない。ものによっては集まるかもわからぬけれども、中には九十八種類くらいのやつも出てくるかもわからない。全然出てこないかもわからない。そうすると、どうしても推定するのは、要するに二百箱、三百箱買って、それで一々台紙をはがして、そうしてこういうきちっとミシンをかけて三万円で売って、商売できますか。十万円ももとをかけて、それで一々はがして、それでこれを三万円で売るなんということは一体——まあ大臣、見てください。こういうふしぎなことが一体世の中にできるかどうか。そうすると、郵政省がいま言ったちゃんと貫目で払い下げをしておる、それで切手普及協会がそういう業者やあるいはその商売人には売らないんだ、こういうものがどうして三万円で買うようなことができるのですか。これは少なくとも百箱買って五万円、五万円でも百種類そろうことが困難だと思う。ましてや百枚きちっとそろえてなんて、どういうことなんだ。そうすると、これは郵政省でその物品を払い下げる諸君が何かしておるんじゃないか、あるいは払い下げた後、切手普及協会が何かしているんじゃないかとだれにでも推定できるが、どうですか、答弁をしてください。どういうわけでこういうことになっているのだ。
  151. 石井多加三

    ○石井政府委員 先ほど答弁申し上げましたルートにつきましては、私たちそういったルート以外にはあり得ないと思うわけでございまして、ただいまお持ちになっておるその切手も、やはりおそらく切手普及協会のそういったものの中から記念切手の使用済みのものの中で美しいものをできるだけたくさん集めて、三万円とおっしゃいましたが、そういったような値段で売っておるのではないかと思うわけでございまして、そのほかには、先ほど申し上げましたように、一般的によくわれわれも新聞等で見ますが、青少年のいろいろの団体等で、先ほど宗教団体等がやっておることを申し上げましたけれども、使用済みの記念切手等があった場合には、それを送ってほしいということによって、そういうものの売り上げ代金を一般的に施設等へ寄付するとかといったようなこともありますので、そのいずれかのルートからじゃないと、私たちのほうではそういったものがほかに出回ることはあり得ないと思うわけでございます。
  152. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 大臣が三時半までのお約束ですから、大臣に対する御質問はなるべくそれまでにしてください。
  153. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは大臣もひとつ研究をしておいていただきたいのです。これはたいへん興味しんしんたるものです。ただ一般の、大臣も私も買う場合には五百円出さなければいけませんよ。ただではくれませんよ。五百円出して買うのですが、この切手、これだけでもたいへん興味のあるものなんですけれども、この三万円で買うという内容のものは百箱買っても集まるか。いまの説明で一体どこからそういうことになっておるのか。それではこれは偽造物であるか贋造物件であるかどうかということになるわけです。贋造物件でないのです。これは明らかに郵政省が出した記念切手で、しかも消印が非常に巧みに消されたようなかっこうになっておるわけですね。それでくると、第一この消印をした切手が現在日本において非常な価値があって、しかも国民がほしがっておる、しかも切手普及協会は結局年間に千箱ですか、売らないといったようなそういう規制を実際材料の面から受けておるわけです。そういう中でこういうことが行なわれておるということは、結局において郵政省が集約したときにどこかに払い下げておるか、あるいは切手協会が特別の業者と組んでこんなことをやっておるか、それ以外にないじゃないですか、郵便局の消印を一応形においてしておるわけだから。おわかりになるでしょう。そうすれば、結局郵便官署がそういうものを業者にやみに流しておったといわざるを得ないのです。これは偽造物や贋造物ならば別だけれども、本物で消印しておるということになれば、そういう方法を講じなければならない。そうすると、いま逆に推定できることは、別納で料金を納めた、ではあなたの会社のことにしてこの切手を消印しておきますからということで大量に流さなければ、こういう結果は出てこないわけですよ。そういう郵便官署が一体まじめに切手問題について考えておるかどうかということであります。つまり、値打ちのある消印をされた切手を貫目で払い下げるということ、そこに一つ問題がある。なぜそういうくず紙のようなことをして処理をしなければならぬのか。そのくず紙を処理したといわれておる切手普及協会は、驚くなかれ、十六年勤続の婦人に対して三万六千円しか給与を与えていない。そうして、この切手普及協会が切手問題についていろいろないわゆる月報なり週報のようなものを出しておる。それを郵政省が買い上げて、二万一千もある郵便局にこれをばらまいておる。業者は業者でこういうものをやっておる。つまり古い切手が値打ちがあることを百も承知の上で貫目で払い下げた。そういうことを、事情を知っていながら郵政省は貫目で、一貫目ごとに古い材料として払い下げるようなことをなぜやったのか、答弁を求めましょう。そういうことを知っておってなぜ貫目で払い下げたのか。
  154. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいまお示しのものは、いずれにいたしましてももうすでに使用された切手でございまして、郵便法の上でいきますと、もう御案内のとおり、これを再使用して郵便に使うということは一切できないわけでございます。そういう意味では、これはもう一切焼却してしまっても郵政省としてはちっともかまわないわけでございますけれども、こういったすでに消印済みの、法律的には無効な切手でありましても、切手の趣味の収集家と申しますか、そういう人たちの中には、こういったものもほしいというかねがね御要望がございましたので、しかも全国の各局でかってにそれを払い下げさせますととかく問題が起こりますので、これを昭和二十九年以来一切中央に集めまして、一括して財団法人に払い下げる、その財団法人はそういった健全な切手の趣味の普及をはかるということを目的にしてつくられた団体でございますので、そういった方法をとっているわけでございます。たまたまいまのようなものが三万円で売られておるということでございますけれども、百種類のものがかりに百枚ずつありますと一万枚の切手でございますので、一枚についていえば三円ということになるわけでございますか、そういったことで、いろいろいま御指摘のような手間ひまをかけて集められたものとすると、これは商売的にはあまり妙味のない品物ではないかと思うわけでございますが、私のほうもそういったものが大量に出回っておるということをいま御指示いただきましたので、私は、先ほど申し上げましたように、ほかのルートからはまた流れておることはないと信じておりますけれども、省の内部でいま御指摘のようなことが万一あるとたいへんでございますから、なお品物もあとで見せていただきまして、十分調査して、もし私のほうでどこか漏れているようなところがあれば、直ちに措置をしてまいりたいと考えます。
  155. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまの郵務局長の御答弁は、率直に申し上げて非常に熱意がない。しかもその内容についてこういう事態が起こっておるにかかわらず、その問題についてほんとうに追及しようという熱意があなたの答弁でどうもうかがわれないのです。これは原田郵政大臣、ひとつ十分こういう問題について検討していただきたい。と申しますのは、切手というものは、先ほど申しますように特に記念切手というのがいま大量に出回っておる。予算はなるほど全体から見ればわずか百五十億ですけれども、こういうことを放置しておくと、郵政省の腐敗、堕落、こういう点が指摘されざるを得ないのです。  そこで、今度はこの内容について、あとでまた郵政省の正確な答弁その他をお願いしますが、全日本郵便切手普及協会がやっておる仕事の内容というものはいま申し上げた内容でありますけれども、そこで働いておる、名前をローマ字でいいましてHという婦人です。この人は十六年つとめていて本俸が三万六千五百円です。こういう低賃金で働かしておるわけですね。つまりその方々はこういうふうに切手を切っておるわけであります。その出てきた、貫目で売られたやつをどんどん切って、そしていま申し上げた割合でこういう指定の袋に入れたりあるいはこういうボックスに入れたりして、ちゃんと普及協会の——そういうことに対してやはり善処をしなければならない、こういう点が明瞭であります。そこで次の問題として、郵政省の外郭団体というのは一体どれくらいあるのか。私が聞いたところによると百二十くらいあるといわれておりますが、その百三十の外郭団体の定款あるいは責任者の名前、住所、電話番号、あるいはどういう事業内容をやっておるのかというようなものについて、簡単に資料を出していただきたいと思うわけであります。というのは、郵政省は、きのうの大臣説明によっても、約七百億の赤字を出しておるということを仰せになっているわけであります。私の見るところでは、この百二十余あるといわれておる郵政省の外郭団体の中に、もっともだと思われるものもないわけじゃございません。しかしながら、切手普及協会などに見られるようなことは何も財団法人でやらなくてもできることなんです。特に郵便友の会なんてものは、これは会員が全国で二万いるといわれているけれども、子供の変動は激しいのでその内容もきわめてさだかではない。あるいは官業労働何とか会というようなものもある。官業労働であるとすれば、これは全逓関係も官業労働ですけれども、いわゆる統計をするとしたら、これは総理府のどこかにお願いしておるべきであって、郵政省に置く必要はない。特に郵政弘済会について少しくお尋ねしたい。郵政弘済会というのは一体どういう目的でどういう仕事をしておられるか、現在どの程度のいわゆる執務をする方がおられるか、あるいは事業内容はどんなことをやっているのか、郵政弘済会についてお聞きしたいのです。
  156. 北雄一郎

    ○北政府委員 弘済会は、郵政省職員が職務により死亡または傷病の場合、あるいは火災、風水害等に罹災したようなときの相互扶助としての救済、見舞い、また郵便局の食堂、売店の経営、生活用品の供給等をその事業として行なっておるわけでありまして、総じて申し上げれば、郵政省職員の福祉厚生面に有効な働きをしておる、こういう機能を営んでおる財団法人でございます。
  157. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 なお、資料要求につきましては提出ができますので、後日差し上げます。
  158. 土橋一吉

    ○土橋委員 はい、お願いいたします。  それでは郵政弘済会というのは、いわゆる郵政省側と、組織を持っておられる労働組合側の皆さんの御尽力によって文字どおり弘済、つまり郵政労働者に対する、あるいは郵政職員に対する弘済的な活動をしておられるわけでございますね。間違いございませんね。
  159. 北雄一郎

    ○北政府委員 そういった仕事が根本になっております。
  160. 土橋一吉

    ○土橋委員 この切手を買ったのも弘済会で買わしていただいたわけでございますが、その弘済会というのは——いわゆる弘済会という判こを押していて、実際業者は全部別の人がやっている、弘済会とは関係のない方がやっていらっしゃる。たとえば、これは大出さんという方が中央郵便局で、玄関を入っていった左側のところで店を開いていらっしゃる。その大出さんは弘済会に家賃を払っております。弘済会は郵政当局から比較的安い値段でその場所を使うように配慮されている。東京中央郵便局には、たしか五階でございましたか、食堂も経営されております。あるいは物品販売所の日常必要なもの、薬品あるいは衣類も弘済会の名前で売店がございます。これは全部業者が別です。それだけではございません。全国の各郵政局管内において郵便局の清掃、あるいは窓をふくとか廊下をきれいにするとか、そういうことは全部またこれは別の私株式会社が弘済会の要請によって担当して、各郵便局とか郵政局を掃除しておるわけです。そうすると、弘済会の幹部の方々は全国に一千名ほどおるといわれていますが、その方々は結局、郵政省官署、郵便局官署の場所を借りるようにお願いをし、そして業者からはそういう家賃を取ってやっていらっしゃる。ほんとうに生活協同組合のように御自分で産地直売をやるとか、あるいは安いものをさがしてきて自分でどんどん郵便局の人のために自分たちも一緒になって働くというのではないので、何か下請け機関に全部それをやらしておるというならば、これは郵政省がやったほうがいいじゃないか。何で弘済会にそんなことをやらせるのか。郵政省がきちっとやったほうがまだいいのじゃないですか。二重、三重の手間をかけて、また業者はそういう家賃も払っておるし、場合によっては権利金も払っておるかもわかりません。高いものを郵政職員に買わすという意味では弘済の名に価しないようにも思うのですが、こういう点はいかがなものでしょう。
  161. 北雄一郎

    ○北政府委員 同会は、全国に役職員約一千名をもちまして事業活動をやっております。そのうち役員というのは七名でございます。あと一千十九名というものが現在そのほかの職員でございます。それで清掃などとおっしゃいましたが、清掃につきましては、同会が出資をいたしまして別の株式会社をつくりまして、その株式会社がやっておるわけであります。その株式会社はむろん郵政省の建物もやっておりますし、それ以外の所在の建物についても清掃という営業活動をやっておるというふうに聞いております。  それから一般の事業活動につきまして、大部分は自分で商品を開発するといいますか、自分で商品をさがしてまいりまして、いま品物を安く売るということでやっております。一部、御指摘のように直接やらないで、いわゆるだれかに請け負わせるという形、請け負わせましてもむろん事業責任は弘済会自体が負っておるわけでございますが、請け負わせるという形も一部ではあわせ用いている、こういう実態でございますので、総じまして弘済会としては先ほど申し上げました事業目的に十分かなった仕事をしておる、かように考えております。
  162. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、私はついこの間郵政省の元貯金局あとへちょっとおじゃまをしてこれを買わせていただいたのですが、ここの面積は相当広いわけです。そこに麻布郵便局というのが開局されていますけれども、麻布郵便局の面積よりもはるかに大きい。麻布郵便局の二倍ぐらいの面積がここで使われておるわけですね。この外郭団体が約二十ほどあるというのです。互助会とか、あるいは弘済会とか、あるいは切手普及協会であるとか、あるいは官業労働なんとか協会であるとか、あるいは郵便友の会であるとか、その他いろいろあると思うのです。しかし私は、節約する意味からも、こういうりっぱな建物がそういう外郭団体で大部分占められておるということはまことに遺憾に思うわけですね。やはり節約する意味において、相当部外へ出ていただいて活動していただくものはそういうふうにする、どうしても郵政省と切り離すことのできないいろいろな関係がある、また従来のいろいろな関係でどうしてもここで仕事をしてもらったほうが郵政のためになるというのはやむを得ないと思う。それ以外に大体百ほど外郭団体がある、そうなってくると郵政省は、いま節約しなければならない、赤字を七百億もかかて郵便料金を上げるかどうかという大きな問題を起こしておるときに、そういうものを淘汰し整理をしなければますます問題が混乱してくるのじゃないかというふうに私は思うわけです。ですから、いま申し上げたような百二十有余の外郭団体といわれておるすべての団体のいま申し上げた目的あるいはこの責任者名、住所、事業内容の簡単なものについて私のほうへ報告していただいて、ともに検討しようじゃありませんか。国家として、当然そういうあまり関係ないものにそういうところに入られては郵政省も迷惑でしょうし、国民も迷惑するわけです。また統合できるものは統合していただいて、そうして御一緒にやはりその事業の推進のために努力をする、郵政大臣、こういうふうに約束ができましょうか。
  163. 原田憲

    原田国務大臣 いまのお尋ねの結論は、郵政省関係ある外郭団体についての資料を出してくれ、こういうことでございますから、これは委員会のほうで皆さんが御相談下さいまして、出せということならいつでもお出しいたします。
  164. 土橋一吉

    ○土橋委員 それと同時に、先ほど申し上げましたそういう外郭団体では、ほかのことはよく存じませんけれども、切手普及協会のHという方が三万六千円というような低賃金で使われておるということは、これは現在の一般常識から見て非常に遺憾なことでありますので、この切手普及協会のそういう方々には大幅な賃上げができますよう、いろいろ御尽力を願いたいし、これは郵政弘済会の場合もほぼそういう形をとっておるのじゃなかろうかと推定しておるのです。それ以外の業界の団体もそれに似たようなことではなかろうか、もしそうでなければ非常にけっこうなことですけれども、そういうこともやはり整理してみる必要があるというふうに私は考えている。こういうことで、ひとつこの問題については外郭団体の——この前、井出一太郎郵政大臣のときに、御承知かと存じますが、互助会のいわゆる資産の使い方その他について私はいろいろ御質問いたしまして、郵政大臣からは五つの注意事項が発せられておる。そして、従来不動産をやるとかあるいは手形の割引をするとか、さらに焦げつきが出てくるとか、こういうようなことを互助会の幹部諸君も一部やっておられた、こういうことがないようにやはり互助会は互助会にふさわしいような形態と、何ぴとも納得できるような——郵政弘済会であるとか互助会であるとかいうようなゴム印を出しますと、一般の人は、郵政省じゃなかろうか、あるいは郵政省関係する団体だからだいじょうぶだ、こういうような推理を普通はするのであります。そのために郵政省が受けておられる有形無形の損害もありましょうし、また場合によってはいい点もあるかもわからぬ。しかしいずれにしてもこの問題は真剣に検討して、不急のもの、役に立たないもの、これは直ちに切り捨てる、役に立つものは一緒にやはり郵政事業のためにやっていく、こういう体制をぜひとっていただきたいわけであります。これは大臣、よろしいでしょうか。
  165. 原田憲

    原田国務大臣 給与問題等につきましては、これは労使の方々でおきめになることでございますから、あなたが要望されたということで、私は理解しております。  あとの問題は、委員会の皆さんで御相談くださいまして結論が出ることであると了解しております。
  166. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 資料要求につきましては、さっき差しつかえないと申し上げましたけれども、いま大臣答弁のとおり、よく理事会で協議いたしまして結論を出して、御要求に応ずることができるかできないかきめたいに思っておりますから、さよう御承知願いたいと思います。
  167. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま申し上げたことはそんなにむずかしいことではないので、外郭団体はわかっておるわけです。したがって、何という名前で、何という方が主宰をして、どういう仕事の内容で、そして所在地がどこで、電話番号はどうか、こういうことでございますので、これは理事会でそういうことまでやっていただかなくても、大臣のほうで出していただけばけっこうでございます。その内容をどうするかということはあとでまた御相談すればいいことでありまして、ぜひそれは出していただきたい。
  168. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 いま大臣委員会の御意向によってきめていただきたいという御答弁をされましたから、それに応じてこちらの理事会で協議をいたしていきたいということをお答えしておきます。
  169. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではこの切手問題、外郭問題については、一応また後日機会を求めてさらにいろいろ質問をしたりお聞きしなければなりませんが、時間の関係がありますので……。  次は、給与関係の問題について少しくお尋ねしてみたいと思います。現在郵政省の職員は、このあなたのお出しになった四十七年度郵政統計年報によりますと、大体三十二万というふうにいわれておるが、間違いないのかどうか、現在も三十二万であるのかどうか。
  170. 北雄一郎

    ○北政府委員 統計の数字に間違いございません。
  171. 土橋一吉

    ○土橋委員 よく郵政では人件費が非常にかさんで、人件費及び物件費の九割は人件費だ、したがって郵便事業としては困難の限りをきわめておる、こういう御説明をいつも承っております。私も一部分はさようだと思っております。しかし郵政の事業全体を見ると、御承知のように本来の郵便事業をやっておる方々は、その三十二万といわれる中でそうたくさんはないわけです。せいぜい十八万ぐらいです。あとは、御承知のように保険が四万六千人程度、貯金が約六万三千人、電波関係の、要するに電信電話、いわゆる交換手さん、電報を打つ人、とれが二万四千人、そうすると、郵便事業以外の業務の内容に携わっておる人が約十三万三千人。そうすると郵便業務の人は大体十八万であります。私は、この予算を見まして、十八万で郵便事業収入が、ここにも書いてありますように大体三千九百六十三億初業務収入を持っておるわけです。それならば、そんなにえらいきついことはないというふうに、逆算をしてずっと私は考えておるわけであります。特に私は、あなたのほうでいただいた資料を見ると、ここに受託業務収入というので来年度で四千八百四十一億円計上しておる。受託、これはどういう業務であるか、業務内容を簡単に説明してください。
  172. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 予算上受託業務収入ということでまとめておりますものは、貯金関係保険関係、それから電気通信関係、あるいはその他一般会計会計からの受け入れ、それを含めまして技術的には受託業務、こういうふうに称しております。
  173. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま廣瀬さんが言われたとおりですが、貯金業務郵便局の本来の業務じゃないですか。どこから受託を受けたんですか。法律の規定によって郵便局がやるようになっているんですよ。どこか、大蔵とかあるいは財政投融資部があって、そこから委託を受けておるんですか、貯金業務や簡易保険業務は。いまの電信電話、あるいは印紙の取り扱い、あるいは放送料の料金を徴収するとか、あるいは市町村の税金を一緒にして集めてくるとか、こういうのは受託業務でしょう。なぜ貯金保険を受託業務の中に入れておるんですか、根拠を聞きましょう。
  174. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 これは予算編成上の技術的な問題かと思いますが、貯金事業関係につきましては貯金特別会計がございます。それから保険につきましても同様に特別会計を持っておるわけでございます。そして、実際郵便局で仕事をいたします場合にはそういった三事業が一体になって行なわれるということになるわけでありますが、その経理は、経理関係だけで申し上げますと、各特別会計から郵政事業特別会計に繰り入れて、そして執行される、こういうことになるわけでございますので、受託ということばは、法律上の意味よりも、予算編成上の技術的な用語というふうに解していただきたいと思います。
  175. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま鹿瀬さんがおっしゃったように予算編成上の内容から、本来の郵政業務である貯金業務保険業務郵便業務と同じように取り扱わないでおいて、そういう技術的な措置からなぜ受託業務なんというこういう名前をつけてここへ予算を計上してくるのか。郵政大臣いかがですか、いまお聞きのとおりですよ。
  176. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 会計間の取引という意味で受託ということばを使っておるわけでございます。
  177. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは郵政の名誉のために、郵政業務の将来の発展のために……。これは郵便貯金、簡易保険という名前を付して郵便局が業務として行なっておるのであります。なるほど財政面からは、それは大蔵省に吸い上げられるかもわからぬ。そんなことは大衆は知ってはいませんよ。郵便局の仕事としてこれを受け取っているわけだ。ですから、郵便業務と同様にこういう業務をやはりきちっとその範疇に入れる、そして、ほんとうに受託を受けたものだけ受託業務として計算をするようにしたほうがわかりやすくて明瞭だというふうに思うわけです。  そこで、予算の問題ですが、いま春闘で——御承知のように田中政府のいわゆる狂乱状態をつくり出した政治責任は非常に重要であります。特に石油十二社のやみカルテル等の問題は、田中政府が文字どおりこれらの業者のやみ行為を、何と申しましょうか、あまり手をつけなかったということに大きな基因を持っておるし、最近の物の隠匿、あるいは洗剤をはじめとする建築用材、その他すべての生活関連物資が非常に国民を苦しめておるわけです。したがって、非常に物価は上がっております。これは卸売り物価でも、知御承のように三五%とも新聞は書いておるように、上がっておるわけです。したがって、労働者の要求というのは、御承知のように、いま新聞でも発表されておりますように、少なくとも三万円の大幅賃上げ、三万五千円、ある労働組合は四万円という要求を掲げておるわけです。そうすると、いまのああな方の推定をされておる郵政省特別会計で見ますと、こういう形をとっておるわけですね。業務費全体では九千六百五十億円、そうして人件費は七千六百四十五億円、物件費は二千五億円、合計九千六百五十億円です。私はこれを推算してみました。郵政職員一人に平均して大体二百万与えなければいかぬと、かりに推算をしてみました。それは手当、基準内の賃金、それ以外の被服、そういうものを支給するとすれば、一人二百万円と見て計算をするとこれはどうしても数が合わないのです。これが二百三十八万円から二百三十九万円を一人に与えるという計算をすると、ぴたっと合うわけです。そうすると、いま春闘で要求しておるのは、三万とか四万とかの要求がこれから必ず出てくるわけです。そうして人事院なりあるいは公共企業関係の裁定なり、そういうものが出まして、こういう大幅賃上げをすると、昨年に比してことしの人件費は約千三百億多いわけですが、この千三百億の予算でまかなうことができるかどうか。つまり、一人頭、要するに本給と諸手当とそうして昇給することを見込んで、そういうもので二百万見込んでおく。二百万見込んでおいて、大体三十二万人ですから、金は大体六千数百億になるわけです。そうすると、どうしてもここで千何百億というものは、将来の、つまり大幅賃上げをしたときに与えるであろうという見通しの財源であるかどうか、そういう点の説明を聞きたいのです。
  178. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいまの人件費でございますが、確かに全体といたしましては二百四十万程度になるわけでございますが、平均いたしまして、郵便事業だけをとってみますと約二百万ということになるかと思います。総体にふえておりますのは、御承知のように四十八年度におきまして仲裁裁定がございまして、その他で一七・五%ばかりのアップがありました。それが四十九年度にはベースになってまいりますので増加してまいります。その他につきましては、これも先生御承知のように、給料改善原資といたしまして五%の計上がされております。その他は、仲裁裁定がどのように出ますか、現在の段階では推測できませんが、従来のやり方では、そういった給料改善原資、予備費あるいは節約、増収等によってまかなってまいったわけでございます。
  179. 土橋一吉

    ○土橋委員 労働者はほかに収入の道はございません。つまり雇い主から賃金やあるいは手当、あるいはボーナス、その他の内容によって労働力を提供する以外に道はないわけです。現在のように組織立った、高度に発展をした資本主義体制ではそれ以外に方法はないわけです。そうすると、物価が異常な状態で上がっておる。卸売り物価が三十何%も上がっておる。消費者物価は、御承知のように大根一本いま百九十円ですよ。私の握りこぶし二つぐらいのキャベツが大体二百円しておりますよ。どこのスーパーに行ったって二百円ですよ。そしてラーメン一丁にしたって非常に上がっておる。こういう、つまり政府の政策よろしきを得ないで労働者の生活が困窮しておるといえば、大幅賃上げを要求されることは必然であります。これはまことに正当な要求であるし、生きるためには必要な要求であります。そうすると郵政省は、先ほど申し上げた一人年間二百万円与えるという計算で出てくると、どうしても予算は一千億円ぐらいのものをそういうものに充てておると推定できるような予算である。電電公社の予算も調べました。電電公社は二十八万八千人います。——電電公社、おりますか。おれば、そうでしょう。大体二十八万八千人。国有鉄道は約四十四万人おります。そしてその予算の支給のしかたは、国有鉄道は約一兆一千億です。郵政はここに書いてあるように七千六百億です。電電公社は六千億をちょっと下回りますか、要するに郵政との差は、大体一千七百億ほど少ないわけですね。そうしますと、電電公社は二十八万人を擁して千七百億ほど少ないわけです。説明を聞いておると、婦人が多いから、婦人が多いからというわけですね。婦人は電電公社は七万人おります。郵政は何ぼいるのか、郵政は五万五千人婦人がいます。そうすると、その差は一万五千人です。一万五千人の差をいま申し上げたような計算からいきますと、どうしてもこの郵政省が組んでおるいわゆる七千六百数十億の予算というのは計算が当たらないのです。国有鉄道の場合の一人頭の計算を割って出してみると、どうしても当たらない。一千億円ばかり、つまり人件費二百万円与える仮定を立てれば、大体五万人の金はどこかにひそんでおるようにどうしても思えるわけです。いま廣瀬さんは一人二百四十万だと言いました。それは、三十二万人でこの予算を割ってみれば、正確にいうと二百三十九万円になるわけです。そんなに郵便局の人はもらっていますか。平均して年間二百四十万円ももらっていますか。その程度もらえる人は勤続その他は大体どれくらいになりますか、いまの計算で。要するに基準内賃金と諸手当と、そしてそういうもので二百四十万円もらっておる人たちは、勤続どの程度の人ですか。
  180. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 電電との比較で、先ほど先生、構成の性別の問題をおっしゃいましたけれども、実は総体で私どものほうで調べてみますと、総額が、損益勘定だけで千七百九十六億ですか、約千八百億ばかりの差があるわけでございます。しかしながら建設関係は電電公社と郵政の場合は非常に違っておりまして、規模が圧倒的に電電のほうが大きいわけでございます。したがいまして、人件費の予算上の比較をいたしますと差額が九百六十二億ということに相なります。したがいまして、先生のおっしゃいました千七百九十六億は、正確には九百六十二億というふうに申し上げていいのではないかと思います。  そこでその理由でありますけれども一つは平均年齢がだいぶ異なっております、郵政の場合は約三十七歳でございますし、電電公社の場合は三十三歳ということでありまして、その間に格差がございます。そういう意味で事実上ベースの差が出てくるか、こういうことでございます。  それから、先ほど言いましたように、定員の問題でございますけれども、定員も差がございます。郵政が三十二万に対しまして、建設を含めますと電電の場合は三十万ということになるわけであります。四十九年初めの定員で見ますと、郵政が三十二万一千、電電が三十万四千という数字でございます。この定員差、あるいはそういった単価差等を考えますと、ほぼ大部分はそういったことで差が出てまいりますので、特に郵政会計がその中におきましてよけいな人件費で保留があるということにはならないわけでございます。
  181. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま廣瀬経理局長さんからお話がございましたが、九百四十億というと一人二百万円年間に支給するぞということにしても、これは三万人以上なんですよ。四万何千人になりますよ。結局三万ちょっとぐらいの差でしょう。しかも婦人は、同じように電話局で働いておる人も貯金局で仕事をしていただく方も、それは結婚すればやめるとかそういう関係はそんなに差はないわけなんです。ただ初任給が低い、そういう方が電電には多いというならば、いま申し上げたように、逆に今度は二百万円与えるということで計算をしていっても郵政は余分な予算を組んでいるんじゃないかということになる。つまり、結局婦人関係で一万五千人、男女数えて三万人の差があるんだ。そうすると、二百万円年間に支給するぞという形をとるならば六百億で間に合うわけだ。あなたの差では九百四十億。そうするとまだ三百四十億の金がある。どうする考えでそんな金を持っているのですか。
  182. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 土橋君、大臣がお願いしました三時が参りましたので、もう御退場いただいてよろしゅうございましょうか。
  183. 土橋一吉

    ○土橋委員 大臣はどうもお気の毒でした。すみませんでした。ひとつ大事にして、どうぞ。
  184. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 私どもが人件費と称しております中には共済組合負担金等も入っておりますので、厳密な意味ではいろいろ科目別に整理する必要があろうかと思います。先生のおっしゃいました例の差額の一つの要素はやはり新陳代謝等にもよるかと思います。実は私も電電の内容につきましてはそれほどつまびらかにしておりませんが、予算の計数から見る限りにおきましては単価が低いわけでございます。これはやはり新陳代謝その他が多くて、そういう意味での差額が出ておるのではないかというふうに考えます。したがいまして、定員差と単価差と両方合わせますと、先ほど申し上げましたほぼ九百何十億の大部分はそういうことで説明ができるのではないかと思うのであります。
  185. 土橋一吉

    ○土橋委員 廣瀬さん、私はあなたのほうを責めているんじゃないのよ。労働者は今度の春闘では大幅要求してくるであろうということが当然に予定されるわけなんです。したがって、ここで先ほど何回も言うように、定員の二、三万人分の余分を持っておったからといって、それは悪いことではないわけなんだ。郵便業務遂行のためには要するにそれだけの措置を持っていなければ、大幅賃上げを要求されて今度はどこかからまた金をくめんしてこなければならない、あるいは異常な切り詰めをしなければならないということになってくるから、だからそのことを私は責めているんじゃないのです。つまり、ここで郵政省が春闘に立ち向かう上において相当な予算を準備し、あるいはそのことがあるであろうということを十分かまえていかないというと、裁定が下った、もう四苦八苦するということがあっては困るということが第一の理由です。  第二番目は、やはり低水準にあるところの労働者、たとえば配達で五万円だとか五万五千円なんて非常に低いわけですよ。この底を上げてやる体制を常に考えなければならないということを私は言っておるわけなんです。幸いに昨年の暮れの全逓と北さんの努力などによって労使関係は正常化しておるというふうに大臣も報告しておるし、それならばなおさらのこと正常化を一歩進めなければいかぬじゃないかということを言っておるので、その余分な金のあることを責めているんじゃないのです。私は、それは国有鉄道の場合の会計も電電公社の会計もいろいろ都合あるけれども、要するに郵政は常に郵政労働者の最低の線を上げておいて、配達業務やその他の業務を一完遂できる体制を常にとるべきだということを言っておるのです。物件費だって、あなたも知っているようにこの中にはたくさんのいろいろな被服とか器材とか、あるいはチャーターの金とかある。そういうものを払っていっても、なおここで人件費は相当あるわけだ。これはあなた認めるでしょう。つまり、二千億有余の予算を組んでおるわけだ。そのうちで、要するに鉄道郵便に払う金とか飛行機に払う金とか被服とかいろいろある。それはそれでちゃんと支払いをしなければいけませんよ。しかしながら、パートタイマーで来ておるママさんの配達であるとか学生のアルバイトとか、そういうものにもきちっと、郵政省だけが特に単価を上げたようなそういう賃金の支払い体系をこの物件費の中でも当然組まなければいかぬ。そうでないと郵便業務は遅滞をするわけですよ。あなた方の報告だと二千万通滞留したという。ところが「ポスト」を見ると三千七百万通滞留したと書いているんですよ。それだって大臣の報告と「ポスト」の報告は違うわけなんです。二千万通であろうと三千万通であろうと、かりにもそういうものが滞留するということは業務にとって悲しいことなんだ。そういうことを保全をすることが必要だということを私は願って、そこを聞いておるわけですから、そこのところをよう考え予算の支出をやってもらいたい。  時間がありませんので委員長、もう一つだけね。  この前、私がUHFの免許の広島の問題について、郵政大臣のいわゆる行政行為あるいは行政的な措置について、ここに「行政指導」と書いてありますが、いろいろ質問をしました。齋藤さんお聞きください。あなたのほうで私のほうへこういう御丁寧なものをいただきました。それでこの内容は、第一に法制局の長官の林修三君がいろいろ説明しております。その次は塩野宏という東京大学の助教授さんがいろいろ説明されております。第三番目には成田頼明さんという横浜国立大学の助教授の先生のから引いておるわけです。  第一に私の言いたいことは、なぜ余分なこういう手数をかけるのか。電波法第七条の規定を見れば、郵政大臣はそういう申請があったときには遅滞なくこれを審査をするということを書いておるわけだ。遅滞なく審査を「しなければならない。」と書いてあるんですよ、電波法第七条は。電波取り扱い規定を見ると、郵政大臣はさように免許を申請した者が多いときには必ずその優劣を決定して予備免許を与えるということを書いておる。そうすれば、永野元広島県知事に行政指導したというのはこれは違法行為じゃないか。七条では「しなければならない。」と書いてあるし、次の取り扱い規定では優劣をきめて予備免許を与えなさいと明らかに書いてある。  ところが大学の先生方のこれをずっと拝見すると、特に林さんのところ、まん中から下のパラグラフをちょっと読んでみますと、こういうことを書いておる。「行政機関の任務や所掌事務の範囲は、それぞれの機関の設置法、組織法に明定されている。したがって、行政指導その他の任意的行為が、この行政機関の任務や所掌事務の範囲を越えて行なわれた場合は、もちろん違法、不適法ということになるが、」と林君が書いておるじゃないか。法制局の幹部がそれは違法だとちゃんと書いておるんだ。それでこの前のほうを見たら、これはあなた方の実際困っておる内容をつまびらかに説明してないじゃないかね。それでくだくだ書いているけれども、結局ここではこういうのは違法だとちゃんといっておるじゃないかね。まん中から下のパラグラフ読んでごらんなさい。林さんは違法だとちゃんといっておるじゃないか。  次は塩野東京大学助教授のもの、ここでもいろいろ書いておるよ。「行政主体は組織規範によって与えられた権限内においてのみ行動し得るのである。そして通常法律の根拠なくして行なわれる行政指導も現在では各省庁の設置法にその行為の究極の根拠を見出すことができる。」これは肯定論のほうなんです。この肯定論の根拠は一体どこかというと、各省の設置法にその行為の究極の根拠を見出すものである。どういう究極の根拠なんだ、この学者は説明していないじゃないか。究極の根拠というのはどういう根拠か。それが違法な行為じゃないということを説明する究極の根拠というのをこの中で説明していないじゃないか。  次の横浜大学の成田さん、これははっきりしておる。最後のパラグラフ三行です。「法令の根拠に基づかないで行政機関としてこのようにしたい、ありたいと希望し、願望するところ相手方の自発的な協力、同意の下に実行するように働きかけることであると理解されている。」だって電波法の規定には、郵政大臣は直ちに遅滞なく、要するに取り調べをしてそして予備の免許を与えなければならない。電波取り扱い規定を見れば、郵政相は優劣を決定した上でやりなさいといっている。この規定は強行法ですよ。しなければならないと法律は規定しているのですよ。なぜあなた方の行為は正当だというのですか、説明を聞きましょう。どういう根拠で正当か、説明を聞きましょう。
  186. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 先生が去年の十二月に御指摘いただきました行政指導の問題でございますけれども、これはいまお読みいただきましたようにいろいろな学者の説があるわけでございますけれども、行政指導というものは全然認めないという学説はないわけでございまして、事実問題として、国民に強制力を伴わない自発的な協力とかあるいは助言とか、こういう事柄は違法ではないということが一般的には言い得ることだと思います。それと、いま御指摘がありましたように、郵政大臣放送局の免許権を持っておることと行政指導することとは一応別問題だと考えておるわけでございます。たとえば行政指導にいたしましても、強行法規がありました場合には行政指導は違法だということではないと思います。(土橋委員「どういう根拠でそういうことを言うのか」と呼ぶ)いま読み上げました法制局長官のお話あるいは学者の見解……(土橋委員「何という学者がそんなことを言っているのか」と呼ぶ)先生がいまあげました学者の方々でございますけれども、こういう方々も、強行法規があるから行政指導は絶対やってはいかぬのだということではありませんで、あるいは立法措置といたしましても……(土橋委員「おかしいよ君、法律はこうしなさいといっているのに、別の行為をしていいのかね」と呼ぶ)行政的な、行政行為の前段階としてむしろ行政指導によって相手方が自発的に協力するという体制をとったほうがかえって行政の目的が達成されるという事態も当然考えられるわけでございます。しかもこれが世間——世間といいましょうか、官庁ではしばしば行なわれておるわけでございまして……(土橋委員「どこでそんなことをやっているのか、どこの官庁でどういう事項でそういうことをやっているのか」と呼ぶ)たとえば価格の引き下げで、通産の問題でございましょうけれども、価格の引き下げというような問題、これは強行法規がもし存在いたしましても、その強行法規があるから行政指導はやってはいかぬのだというような学説はないようでございます。
  187. 土橋一吉

    ○土橋委員 価格を引き下げてはいかぬという法律がどこか商品取引の中にあるかね。商品取引市場において、民法の規定であれ、商法の規定であれ、価格を引き下げてはいかぬという法律があるのかね。たとえばいま標準価格制度をとって、標準価格というものが今日の市場においてこれ以下で売りなさい、これは行政指導だ。しかしそういうことをしてはならない、その商品の価格の上下を動かしてはならぬという法律があるのかね。聞きましょう。どういう法律があるのかね。私は寡聞にして聞かないよ。ただ砂糖の場合にはこれは問題がある。国際価格の変動が激しいために、要するに砂糖業者で一定の拠金をしておいて、そして上限がさらに越えた場合にはそこから金をもらって価格を安定させるという方法はある。米の値段も異常に上がってくる、その場合には消費者米価を規制するという食糧管理法の規定がある。しかし、それ以外にあなたが言うような商品の価格を上げてはならない、下げてはならないという法律があるのかね。食管法とか砂糖の輸入に関する規定とか、あるいはいま石油の標準価格をきめておる問題以外にそういう法律があるかね。聞きませんよ。あったら示してもらいたい。いまあなたはあるというのだから、例を示しなさい。どういう法律があるのかね、そういうことについては。
  188. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 私がいま申し上げましたことは、免許権あるいは強行措置が可能な法律が存在いたしましても、その法律があるからといって行政指導はやってはいかぬという学説はないようでございますということを申し上げたわけでございます。
  189. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたは勘違いしてはいけませんよ。私が言うことはここに書いてある。第七条の規定には、これは「申請の審査」という題で書いてありますよ。あなたも条文をごらんなさい。第七条「郵政大臣は、前条の申請書を受理したときは、遅滞なくその申請が左の各号に適合しているかどうかを審査しなければならない。」こう書いてあるわけです。そうすれば、当然郵政大臣は繁雑であろうとめんどうくさかろうと、これは郵政大臣に与えられた法律の基本的な、要するに拘束を持っておる法律の規定なんですよ。それで同時に、この取り扱い規定を受けてさらに郵政大臣は、その免許を申請しておるそれぞれの人々に対して——それぞれの人々は一定のいろいろ目的を持っておる。つまり放送を行なう権利とか表現の自由を持っておる権利とか、知る権利とかいろいろな権利を持っておる。しかしながらそれがUHFの電波を、一つしかない波を与えるにふさわしい本人たちの協会なり団体であるかどうかを審査しなければならない。その上優劣を決定して免許を与えよとなっておるわけなんです。これに反対する行動をとってよろしいという根拠をいまあなたは盛んに説明したわけだ。しかし林さんはそれに対してちゃんといておるよ。これはそこにあるように法制局の責任者である「行政機関の任務や所掌事務の範囲は、それぞれの機関の設置法、組織法に明定されている。したがって、行政指導その他の任意的行為が、この行政機関の任務や所掌事務の範囲を越えて行なわれた場合は、もちろん違法、不適法ということになるが、」と書いてあるじゃないかね。あなたが言う適法だということは、どの条項から説明しておるのかね。それは違法だといっておるのだ。その違法行為を、あなたが適法行為だ、適法行為だと言っておるわけだ。何々しなければならないと法律が明定しておる場合は、明らかにこれはもう制限をし、そのことについて義務を与えられた者はちゃんとしなければなりませんよ、ほかの行動はしてはならぬということになっておる。取り扱い規定も、その優劣を見て、そして仮免許を与えなければならない。なるほど私は同情はしますよ。ここで仙台をはじめとする五地区でこれだけの申請が出ておるわけです。約七百近い申請が出ておるので、郵政省の電波監理局としては非常に苦しんでおることもよくわかる。それは同情するし、私はよくわかる。しかし郵政大臣の持っておる権限は、都道府県知事やあるいは地方自治体にそんなことをしていいという権限を与えられていない。「しなければならない。」と書いてあるわけなんだ。ましてやその知事が参議院選挙に出るというので、今度は広島の市長にそんなことを委託しておいて、その後一本化する問題について、その法人の設立を準備する人々がまともなことをやっていないじゃないかね。この間私が委員会で読み上げたように、まともなことで皆さんに集まっていただいて、そしてひとつこういうふうにやりましょうというんじゃなくて、一片の通知を出しておいて、そして設立者が持っておる名前もはっきりさせない。これには桜田武さんという方の名前があがっておる。広島商工会議所の会頭の名前があがっておる。そして一般のその広島地域における何十社かの方々に対しては有無を言わさないような方法でこれが一本化する方向が行なわれておる。そんな行政指導があるのかね。その受けるほうは了解済みでなければならぬことはもちろんだが、受けたほうの一本化する人がえてかってにそんな制限を、表現の自由やあるいは協会設立の自由を持っておるものを、ただ一片の通知でかってにそんなものを切り落とすようなことができるのかね。できますか、そんなこと。そういう行政指導をやっておることは、明らかにこの七条の規定や取り扱い規定の範囲を越えた行動をやっておるのじゃないかね。さらに答弁を求めましょう。
  190. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 おっしゃいますように、電波法では、テレビジョン放送を行なう放送局の免許につきましては、提出された免許申請、これを電波法に照らして審査して諾否を決定する、これが法律上のたてまえになっておるわけでございますけれども、いま各地に出されております申請はきわめて多数にのぼっておるわけでございまして、しかもこれが電波法の第七条の規定は一応ことごとく満足している、第七条の規定で欠格だと称する申請は、まずあまりないわけでございます。したがいまして、いま広島の場合につきましても、三十八、申請があるわけでございますけれども、一応優先順位を別にいたしますと、すべての申請が電波法の第七条の規定に適合している。ただその場合に、波が一波しかないという現実があるわけでございまして、これが広島は三十幾つでございますが、百あったり、二百あったり三百あったりというところ、しかもこれがことごとく一応は電波法の規定を満足している。  こういう場合に、しからばその優先順位をどうするかということでございますけれども、これが現実にはきわめてむずかしい問題を含んでいるわけでございます。これは先生御指摘のとおりでございまして、したがいまして、郵政省といたしましては各申請を一つずつ優劣判定を下して、あとのやつを全部拒否するというような考え方、これも確かに一つ考え方ではございましょうけれども、先ほどから問題になっております行政指導的なことやりまして、それで三十八の申請が、できるならば幅広い結成基盤を持った一つの強固な申請ができ上がることを実は期待しておるわけでございます。もしそれができ上がりますならば、その地域の民放の結成基盤としてはきわめて望ましい姿である。ただ一つずつ審査しまして、三十八なら三十八を審査しまして、それで三十七は全部ペケにして一つだけ残すという方法もないわけではないと思いますけれども、それよりもむしろ地元に密着した幅の広い結成基盤を持った事業体の出現を期待して、そういう趣旨で、いわば行政指導をしてそういう出現をお願いしている、これが……
  191. 土橋一吉

    ○土橋委員 はい、わかりました。あなたは混同しているのよ。つまり、郵政大臣の行政指導というものと、それからその行政指導を受けて会社設立の免許を得ようとするその団体と、この二通り中にあるわけなんです。つまり、行政指導という内容には、郵政大臣が都道府県知事に対してこういうふうな方法をやっていただきたい、よろしゅうございますか、はあ私のほう受けましょうといってやる行政指導の内容と、さて具体的に、それじゃこのUHFの波を得るために地方の方々が寄ってたかってどうして一本化するかということについていろいろ話し合いをする、それを電波監理局が乗り込んでいって指導する、二通りの内容があるわけだ。私が攻めておる大事な問題は、第一、都道府県知事に対してそんなことができるのか、この電波法第七条や、あるいは取り扱い規定から見るならば、そういう指導をすることは間違いじゃないか。かりに相手方がよろしゅうございますと言っても——永野君は参議院選挙に出るために自分は今度はやらないわけだ。広島の市長に今度はやらしておるわけだ。再委任をしておるわけだ。そういうことが許されるかということが一つの問題。  もう一つは、そういう業者の皆さんが集まってどこか会社を一本にしましょうといっていろいろ話をされる。これは当然だ、そういう委任を受けたのだから。そうすると、その人たちに対して電波監理局が乗り込んでいって、いやそういうことを書いちゃまずい、ここで突っぱられたら困る……。たとえば新聞社が申し込んでおる、放送局が申し込んでおる、財界の有力者が申し込んでおる、そういう中で、三十七社のすべての人に十分な話のいくようなそういう形で一本化が進められていない。一片の通知を出して、これで賛成かどうか、これに賛成でなかったらあなたのところは申請権を取り消したものと思いますよという、こういうものが出ておった。これはこの前私が読み上げたでしょう。そういう指導がいいのかということを聞いておる。二つ内容があるわけです。齋藤さん、こんがらかってはいけませんよ。聡明なあなたがそんなことをこんがらかるわけはないじゃないですか。行政的な何だか行為とか、何のことなんです、それは。あなたはそんなことをえてかってに発明しちゃだめですよ。答えてくださいよ。そこを私は言っておるわけです。二つの内容を持っておるわけです。
  192. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 郵政大臣が地元の有力な方にお願いした内容は、地元を中心にした幅の広い結成基盤を持つような一つの申請ができないだろうか、お骨折り願いたいというところまででございまして、そのあとのことは、地元の方々がいろいろな方の意見を聞いて、それで一つにまとまるだろうという一つの原則を設けて、それで統合と申しますか、一本化と申しますか、そういうことに努力された。したがって、いま先生が言われております文書を発送して云々という事柄については、その文書の内容については行政指導しているわけではございません。
  193. 土橋一吉

    ○土橋委員 齋藤さん、あなたはそんなことを言っていいのですか。電波の免許を受けることについて何もわからない業界の代表の方であるとか学者の先生方であるとか、あるいはそういう自治団体の有力な方、免許申請についてはあまり詳しいことを知っていらっしゃらない方々、その方々が一本化する問題について、先ほどから申し上げておるように肝心なことは全部言わないでおいて、それはもう知らせないでおいて、たとえば、新聞社は持ち株五%持つことができる。放送局も地元有力放送の五%持つことができる。ところが申請をした者は〇・五%しか株券を持つことができなくなっているのだ。そういうことまでもちゃんとできるようなのは、電波の、UHFの免許申請についてくろうとが入っていなければできないことなんだ、そんなことは。私だって知らなければ、皆さん集まってください、ここで一本にしたいがどうでしょうかというような話から始めるよ。ちゃんともう筋著きどおりやっておって、それがその団体の方々がやったことになっておるわけなんです。けしからぬじゃないか。それならなぜここに書いてあるとおり優劣をきめて一それは悲しいことだ、気の毒だ。同じような人に対して、この人は甲だ、この人は乙だなんということをきめるのはなかなか困難かもわからないけれども、これは事明瞭じゃないかね。そういうことをやらないでおいて、そういう脱法行為をして、おまけに違法な行政行為をやっておって、しかも問題が紛糾して今日どうにもならないという羽目に郵政省は落ち込んでおるんじゃないかね。この表は端的に示しておるじゃないか。それならば、法律第七条の規定と第八条の規定、第九条の規定、これを順守をして取り扱い規定どおりにきちっとやったらいいじゃないか。なぜできないのか。明確な答弁をしてください。
  194. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 先ほどから繰り返すようになりますけれども、電波法の規定では、先ほどから申し上げておりますように、免許申請について法令に適合しているかどうかという判定をして、それで諾否を決定する、こういうたてまえになっておりますけれども、それも一つ方法とは思いますけれども、できるならば地元の方々が打って  一丸となった一つの結成基盤の強い事業体、申請、こういうものの出現が期待されるわけでございまして、もしそれができないという場合には、あるいは先生のおっしゃるように一つずつ優劣判定ということになるかもしれませんけれども、これは現実の問題としては、たとえば百なり二百なりある、しかもそれがすべて電波法上一応合格しておる、その中から一社だけ選定するということは必ずしもそう容易なことではないということと、でき上がります事業体が幅広い結成基盤を持つほうがむしろ望ましいのではないかというわれわれの考え方から、行政指導ということで地元の有力な方々にお願いして、それで内容の詳細はわれわれがタッチしているわけではございませんけれども、地元の方々が大同団結できるような条件のもとにひとつお骨折り願いたいというのが趣旨でございます。
  195. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後になりましたので、これ以上しつこくは言いませんけれども、あとでまたこの問題を私はっきりしますが、要するにあなたはこの法律をたてまえだたてまえだともう三回くらい言っておる。たてまえじゃないのですよ。法律がちゃんと明記しておるのです。法律が一定の目標を持って——たてまえだたてまえだなんというようなことを書いているんじゃないですよ。ちゃんと法律は「審査しなければならない。」と書いておるわけです。取り扱い規定で見ると、ちゃんと優劣を決定して仮免許を交付すると書いてあるのですよ。あなた方のやっておるほうが間違ったことをやっておるということ、この林君のいう規定から見たって間違ったことをやっておる。それで自分で苦しんでいる。それで最後の詰め、あなたの説明によると、地元の皆さんも仲よくやってもらいたいというこういう行為でございます、しかし、最後には遺憾ながら先生のおっしゃるようなことにも踏み切らざるを得ない。一体何を言っておるのか。それならば初めからきちっと直ちに遅滞なく審査をして、ちゃんと千何百名も電波監理局の責任者方々おるのだから、優劣を調べて、それでやったらいいじゃないですか。こういうことを温存すれば、郵政省の電波監理当局は一体何をしているかということになる。しかも要らないことにちょっかいを出している。市町村、自治団体、そういう人たちにも迷惑をかけ、それで違法な行政行為をやっておって、百害あって一利もないじゃないですか。これはまたあとでします。あなた、たてまえじゃないですよ、法律の規定の明記したところですよ、法律はたてまえなんかいっていませんよ。こういうことを間違えないでください。  きょうは時間もありませんので、ひとつこれで終わらせていただきますが、この電波の監理問題、これは国民放送を行なう権利なんですから、またどなたもそういうことを申請をする権利を持っておる。これをおいて、えてかってなことをして、そして地方自治団体にかってにそんなことをやらすことはもってのほかといわなければならぬ。それを適法化するような解釈をしているけれども、解釈の正しいものはどこにも一つもない。これを銘記するようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
  196. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会