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1973-12-06 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十八年十二月一日)(土曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 梶山 静六君    理事 金子 岩三君 理事 羽田  孜君    理事 阿部喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       加藤常太郎君    加藤 六月君       金丸  信君    志賀  節君       園田  直君    高橋 千寿君       中馬 辰猪君    坪川 信三君       中村 寅太君    長谷川四郎君       廣瀬 正雄君    村岡 兼造君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    下平 正一君       米田 東吾君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君       池田 禎治君     ————————————— 十二月一日  久保田円次委員長辞任につき、その補欠とし  て廣瀬正雄君が議院において、委員長選任さ  れた。     ————————————— 昭和四十八年十二月六日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       坪川 信三君    西村 英一君       長谷川四郎君    村岡 兼造君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    米田 東吾君       平田 藤吉君    大野  潔君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         労働省労政局長 道正 邦彦君  委員外出席者         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 十二月一日  辞任         補欠選任   金丸  信君     小沢 辰男君 同月三日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     西村 英一君 同月六日  理事小澤太郎君十一月二十七日委員辞任につ  き、その補欠として加藤常太郎君が理事に当選  した。     ————————————— 十二月四日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二号)      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、はからずも私当逓信委員会委員長選任せられました。  御承知のように、私は委員会の運営には全くの不案内でございまして、しかも時局きわめて困難なおりからでございます。当委員会の使命もたいへん重大だと思うのでございますが、幸いに当委員会には事業にきわめて深い御理解を持ち、また練達の士がたくさんお集まりのようでございますので、もっぱら皆さん方に御依存を申し上げて、皆さん方の御協力に御期待をいたしたいと思うのでございまして、非才愚鈍な私でございますが、格別の御指導、御鞭撻を切にお願いを申し上げまして、簡単でございますけれどもあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、御報告申し上げます。  すでに御承知のことと存じますが、本委員会委員でありました楢橋渡君が去る十一月十七日に、草野一郎平君が同月二十二日に急逝されました。まことに痛惜の念にたえません。ここに委員各位とともに、故楢橋渡君、故草野一郎平君の御冥福を祈り、つつしんで黙祷をささげたいと存じます。全員御起立を願います。     〔総員起立黙祷
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ————◇—————
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  理事小澤太郎君が去る十一月二十七日委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例により委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。それでは、加藤常太郎君を理事に指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  7. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。      ————◇————— よって、
  9. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、原田郵政大臣及び三ツ林郵政政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。原田郵政大臣
  10. 原田憲

    原田国務大臣 このたび内閣改造がございまして、郵政大臣に就任いたしました原田憲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま委員長から発言がございましたが、この委員会委員皆さん方が熱心に国政問題について取り組んでおられることに対しまして深い敬意を表しますとともに、委員長以下練達の方ばかりでございまして、私はいまだ浅学非才郵政問題につきましてつまびらかにはいたしておりませんけれども郵政業務国民に密着する重要な問題をかかえておるということを認識いたしまして、微力でございますが、誠心誠意尽くしてまいりたいと考えておりますので、どうぞひとえに皆さん方の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、まことに簡単でございますが、これをもちまして就任のごあいさつとさしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  11. 廣瀬正雄

  12. 三ツ林弥太郎

    三ツ林政府委員 お許しをいただきまして、ごあいさつを申し上げます。  このたび郵政政務次官を拝命をいたしました衆議院議員三ツ林弥太郎でございます。  微力不敏の者でございますが、懸命に努力をいたしたいと思いますので、どうか皆さま方の特別な御支援と御指導お願い申し上げまして、ごあいさつにかえたいと存じます。よろしくお願いをいたします。(拍手)      ————◇—————
  13. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案議題とし、審議に入ります。     —————————————
  14. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。郵政大臣原田憲君。
  15. 原田憲

    原田国務大臣 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金貯金総額制限額を三百万円に引き上げることを内容とするものであります。  現在の預金者一人当たりの貯金総額制限額は百五十万円でありまして、この額は昭和四十七年に百万円から引き上げられて今日に至っているものでありますが、現下の経済情勢並びに最近における国民所得貯蓄保有額の伸びの状況などにかんがみまして、これを三百万円に引き上げ、郵便貯金預金者の利益を増進し、あわせて貯蓄の増強に資しようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は、公布の日といたしております。  以上がこの法律案提案理由であります。  何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  17. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいま、大臣から郵便貯金法の一部を改正する法律案提案が行なわれました。非常に緊急を要するものだろうというふうに理解をしておりますが、この郵便貯金法の一部を改正する法律案につきましては後ほど詳細に質問をさしてもらいたいと思いますけれども、確かに今日、郵便貯金総額制限の引き上げが焦眉の急であることについて理解をするにやぶさかではございませんけれども郵政事業根幹ともいわるる郵便事業が非常に混乱におちいって、最近の新聞等の報道するところによると、二千万通とか四千万通というような、郵政史上前例のない滞留を来たしておるというふうに承っておりますが、その間の事情、どういう状況になっておるのか、ひとつ大臣から御説明願いたいと思います。
  19. 原田憲

    原田国務大臣 阿部委員お答えを申し上げます。  ただいまお尋ねになりました、現在、年末を控えて、かつてないような郵便物滞留を来たしておる。これは私、たいへんなことだと認識をいたしておりまして、目下これの解決をするための方策を鋭意進めておるところでございますが、具体的な事実問題等もございますので事務当局からお答えを申し上げ、最後にまた先生の御質問お答えを申し上げたいと思います。
  20. 北雄一郎

    北政府委員 日々の滞留につきましてはいろいろな手だてを講じまして、その滞留を少しでも少なくするようにいろいろな手を打っておるわけでございます。  この滞留根本原因でございますが、全逓の年末闘争という事態がございまして、それが根幹でこういうことにいまなってきておるということでございます。全逓との間の年末要求解決につきましても、一日も早くその解決を見るように私どもとして全精力を費やしておるつもりでございますが、要求項目の中で解決の非常にむずかしい問題がございまして、遺憾ながら今日まだ解決を見ておらないわけでございます。今後とも鋭意お互いに歩み寄りまして、この労使間の紛争を一日本早く終結をいたしまして、そうして業務が一日本早く正常に運行できるようにさらに精力的にやってまいりたい、かように考えております。  ただ、年末の諸要求のうちで、すでに御案内かと思いますが、大きな問題でありました春闘処分問題等につきましては解決をいたしました。それから生活危機突破臨時賃金というような問題も掲げてありましたが、これも御案内のように解決を見たわけでございます。  おおむね以上でございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 恒例というと問題があるのですけれども、毎年年末になれば郵政労使紛争のために国民が多大の迷惑をこうむるというのが一つ恒例みたいになってしまっておる。なぜ日常話し合いの中でそういう問題を解決をしておかないのか。たとえば今回の生活危機突破資金というようなものについては、これはひとり郵政だけの問題ではないでしょう。したがって、これが年末に提起をされたからといって、これは私は特段郵政当局だけを責める気はありません。しかし、そういう大きい問題が解決をしておるのに、なおかつ国民に迷惑をかけるような多大の物の滞留を来たす、問題の解決ができないということは、日常労使コンセンサスが不足をしておる。それがあったならば、何も年末だけに毎年こういう事態が起こらなくても済むはずだ。一体日常労使コンセンサスはどうなっておるのか、その点を少し承りたいのです。
  22. 北雄一郎

    北政府委員 仰せはまことにごもっともに思っております。私どもといたしましても、こういった問題のうち年末独得の問題もございます。いま先生があげられましたほかにも年末手当でありますとか、いろいろこの時期独得の要求となるものもございますが、確かに御指摘のように、何も年末にかけなくてもいいようなそういう問題も多々あるわけでございます。こういった問題を含めまして日常組合との意思疎通を密にするということにつきましては、それなりに私ども努力をしておるわけでございまして、従来そういうものとして団体交渉でありますとか、あるいはいろいろな意思疎通機会がございましたが、近年そのほかに労使懇話会と申しますかそういうものも設けましたし、それからことしの春四月から、現場におきまして折衝ルールというものを、協約を結びまして実際にこれを動かしておるというような、いろいろな具体的な手だても新たに起こしまして、そうして日常意思疎通につとめておる次第であります。  でありまするが、これは労使両方の問題であると思いますけれども、残念ながらそこで若干の問題は解決いたしましても、やはり年末でありますとか、あるいは春でありますとか、そういった時期に問題の解決が片寄るふうに現実になっておること、これについては私どもも大いに反省をしておるわけでございまして、将来そういった問題はできるだけそういった時期じゃなくて、一年じゅうほかの時期たくさんあるわけでございますから、解決の時期というものを一定の時期に片寄らせないように今後ともつとめてまいりたい、かように考えております。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 聞くところによると、何か十一月の二十一日からですか時間外労働協約がなくなって、それから物が非常に滞留しておると聞いておるのですけれども、しかしこの状態が二年も三年も続くとは私は考えられないのです。いずれかの時期には決着をつけなければならない問題だと私は思います。物がたまって国民に迷惑を及ぼさなければこういう問題の解決ができない。それなら十二月段階解決できるものならば十一月段階だって解決可能性はあるはずだと私は思うのです。その辺の努力をなおざりにして、滞留を生じて世論が非常に起こってくる、その中で解決をするというふうな考え方が、そのほうが解決しやすいというふうな考え方当局にあるとするならば私はたいへんな間違いで、いずれかの時期に解決せんならぬものならば、十二月の十日で解決できるものならば、十一月の二十日だって解決はできるはずだ。そういう努力一体どういうふうになされてきたのか。おそらく私は、全逓といえども要求を出して翌日から直ちに時間外労働協約を破棄して実力行使に入ったものとは思えません。かなりの期間を置いて話し合いの時期はあったものと思う。その時期をずっと漫然とじんぜん日を送って、そして滞留を生じて、それからでなければ本腰に取り組まないという当局の姿勢に私は非常に問題があるように思うのですが、どうでしょうか。
  24. 北雄一郎

    北政府委員 秋季年末闘争というものが、現実には夏の間にも構想をされるわけでございます。それに基づきまして組合側要求が出そろいますのがおおむね十月の終わりもしくは十一月の初めでございます。その時点から、その各個の問題に対しましていかに対処するかということにつきまして、私ども内部でもいろいろ打ち合わせをいたします。また組合とも折衝をするわけでございます。その中で、御指摘のように郵便が十一月の終わりからふえてまいります。したがいまして、それまでに話をつけるということで私どもとしては毎年最大の努力を払っておるわけでございます。現に、御承知かと思いますが、昨年はそういう経過で十一月の二十六日に妥結をしたわけでございます。本年は、要求事項内容等からいたしまして残念ながら今日なお解決を見ない、こういう状況でございますが、御指摘のように早期に、年末時にかかる前に解決をするということで今後とも努力はするつもりでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまいみじくも局長から話がありましたが、秋季年末闘争というものを組合予定をする。これはまあ解決を目途にしてそういう予定をするでしょう。たとえば今度の危機突破資金の問題にしても、いわゆる公共企業体労働組合が十二月の四日を何か実力行使に設定をして、それまでに解決をしたいという意欲で両方がやってきて、若干時間切れにはなったが、しかし十二月の四日に危機突破資金については一応の妥結を見て闘争終結をしたというふうに私ども理解をしておるわけですが、そういう問題からあわせて考えますと、秋季年末闘争というものは、いわゆる組合の側としては当然予想をしてスケジュールを立てておるものなんですから、それが秋季年末闘争に入らなくて済むような手段を講ずるのが当局の責任だと私は思う。  大体、かねてから私は思うのですが、郵政当局はここで御答弁なさるときは非常にいい答弁なさるのですけれども日常努力に欠けておるように思えてならないのです。まあ、委員長よく御存じと思うのですが、私はかねてから人事局長に、郵政労使に非常に大きい不信感がある、それを除去するのが基本的な問題ではないかということを口がすっぱくなるほど申し上げてきたし、そのことについて人事局長も、まあそういう点もあるということで努力をされてきたことは私は率直に認めます。しかしその努力が、努力をしたといっても十の力を全部出し切って努力をするのか、一か二努力してこれだけでございますというのかということになると、これは努力のしかたにもいろいろ問題があると思うのです。  たとえば、私はかねてからあなたに職員処分の問題についてずっと申し上げてきております。職員処分の末端の管理者の一方的な判断によって、恣意的になされることは労使不信感をますますつのらせるものであるから、明らかにストライキ等に参加をしたというふうな場合を除いて、職員処分をするような場合には、その本人なりその他関係者意見を十分聞いて、それが管理者の一方的、恣意的な処分であるかないかということを判断できるような措置を講ずべきであるということをもう三年か四年前にあなたに申し上げたわけです。それであなたは、そのことを検討してそういうものをつくりましょうということを約束された。今日に至るもなお私はそういうものを全然見せてもらっていないのですが、今度の年末闘争の中でも一つの大きい問題は、そういう管理職にある者の恣意的な処分によって感情的に反発をする、そういうものもかなりあらわれておるようでございます。あれから三、四年たつのに、一方的な処分をやるということについてもう少し公平な処分ができるような措置一体なぜ講じられないのですか。そういう点で、私はあなたの熱意になお欠けるものがある、当局熱意に欠けるものがあるように思われてならないのですが、どうでしょうか。
  26. 北雄一郎

    北政府委員 先生から御指摘ございまして、私もそういうふうに努力しますと申し上げましたのは、事実の有無の問題だったと思います。処分等をやります場合に、これが公正に行なわれるかどうかという問題は、私、二つあると思うのでございまして、一つはどういう方針でやるか、ものの見方でございます。いま一つは、その方針の中へとらえられるべき事実の認定の問題、この二つがあろうかと思うのでございます。前者につきましては常々指導をしておりますので、公正なものさしでもってものを見ておる、こういうふうに考えております。それから、それにはまるような事実につきまして、局のほうで、管理者側のほうで事実があったというふうに認めまして、本人が事実がないというような問題が間々ございます。そういった場合になるべく本人の見解も聞けというお話でございまして、それは聞くようにつとめますということで、現につとめております。  まあそういう経過の中で、最近では、やったことについて始末書を出してくるような職員もございます。それから聞くことに対してすなおに返事をする職員もございますが、こちらで多くの者がはっきり現認しておることにつきましても全然そういう事実はないと言い張る者もあるわけでして、こういった人たちとその事実の認定について話を合わせて処分をする、これは不可能だ、こういうふうに考えておるわけですが、そういう意味合いにおきまして、先年お答えしたことは徹底さしておるつもりでございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣は新任ですけれども、運輸のほうにも経験があるわけですから、大体似たような労使関係でおわかりと思いますが、実は郵政において職員処分をさるる場合、普通事務上の事故を起こした場合にはてんまつ書とか始末書とかいうふうなものを徴して、その事実があったかどうかを明らかにして法に照らして行政処分を行なう、こういう手続になっております。労働運動に関する場合にはそういう手続を省略をして、一方的にいわゆる管理職が現認をしたということによって処分が行なわれてきたわけでございます。これが事実関係について——、いま公制審の答申なりそれからILOの勧告等もありますから、ストライキ是非についてきょう論じようとは思いません。明らかにストライキ等に参加したというふうな場合には、いま局長も言ったように、これは事実の認定においては誤りがないわけでございますからその処分是非については別といたしまして、Aなる職員管理職に暴言を吐いたとか、あるいは管理者指示に従わなかったとか、そういうゆえをもって膨大な処分が行なわれておるわけでございます。ところが事実を調べてみると、むしろ管理職のほうが感情的に職員を挑発をするとかそういうことを行なって、そして自分の言うことを聞かない者を恣意的に処分をするという傾向が郵政の部内において非常に多いのでございます。私はかねてから申し上げておるのですけれども、たとえ尊属を殺したような極悪非道な犯罪者でも、本人に疎明をする機会は与えられる、さらに第三者の現認というようなものについては非常にそれが尊重さるる、これが裁判所が判断を下す基本になるはずだ。ところが郵政の場合には、労使関係というのは本来使用者の側と労働者の側が対立しておるのです。その一方の使用者の側の認定だけによって労働者行政処分にするということは片手落ちになるから、まず本人に疎明の機会を与えなさい、同時に片方の側、労働組合の側に処分さるべき理由があったかどうかについても調査をしなさい。私はその結論が、意見が必ず一致するとは思いません。しかし国鉄の場合にはそういうものを調査する機関が労使の間にあったと私は思うのですけれども郵政にはそれさえない。全く一方的な処分になる。そうすると、本人は全然自分に思い当たらないことによって行政処分を受くるから、当然抵抗をし反発をする。そういうものが郵政省現場の中に相当蔓延をしておる事実は、これは否定ができないのでございます。したがって、私はかねてから人事局長に、そういう暴力行為があったとか上司の指示に従わなかったとか、そういう個々の処分にわたるものについては、本人の疎明の機会と、相手の側の言い分も聞いて、それを集めて、管理者言い分相手の側の言い分を聞いた上で公正な判断を下すような措置をとるべきであるということをずっと申し上げてきたのです。この点について大臣はどうお考えになりますか。
  28. 原田憲

    原田国務大臣 阿部委員お尋ねでございますが、使用者側と被雇用者というものはその立場がいま対立的にある、こうおっしゃいましたが、それは労働組合法とかいろいろな問題がございまして、そういうことで対立という見方もございますけれども、私は本来は、一つの仕事に、管理者立場とそれから被雇用者という立場であるけれども一体となって初めてその業務が円滑に遂行でき、いわゆる国民へのサービスという形が円満に行なわれる、こういうことだと認識をいたしておりますから、本来さような、いまおっしゃっておるようなことが起こらないようにつとめていかなければならぬ、これが私の考え方の根本にございます。しかし人間のことでございますから間々いろいろな問題が起こりますが、いまおっしゃるように、そういうことでひとつ郵政省の中でもそういうようなときに何か起こらないような具体的な方策が考えられないか。人事局長に、おまえさんに前から話してあるじゃないか、こういうことでございましたが、これはやはり私就任日も浅うございまして、現場でどのようなことがあるかということを具体的な問題になりますと、いま即断して、こうだとお答えすることはできませんけれども、抽象的な答えになりますけれども、いままでそういうことが懸案になっておる、こういうことでございますれば、この問題について事務当局側によい考えがないかということを、早くそういうことで解決していくようにいい道を考え出すように督励をいたしてみたいと思います。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでもう少し具体的になりますが、郵務局長、見えておりますね。きのうぐらいまでのところで一体全国の滞留郵便物はどのぐらいになっておりますか。
  30. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  十二月の五日現在の数字で申し上げまして、全国の通常郵便物滞留状況は千八百四十七万通、小包が十七万一千九百個というふうな数字になっております。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵務局長のほうのお調べでも約二千万の郵便滞留しておる。これはいままでの年末の滞留の例に比べて十二月五日現在でどういう数字になりますか。
  32. 石井多加三

    ○石井政府委員 過去の年度の郵便滞留の一番多かったのは去る昭和四十五年の年末のときでございまして、このとき約八百万近い数字があったわけでございます。いまはもうそれよりはるかにオーバーしておるわけでございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、貯金法の一部改正も大切ですが、先ほどから申し上げておりますように、きのう現在で過去に類例を見ない二千万通という郵便滞留をしておるんです。  この間私は公害対策の特別委員会で郵務局長ともずいぶん話をしたんですが、東京から大阪に届ける郵便を翌日配達したいということで、夜間の航空便を利用して、このために大阪の飛行機の発着する地域の人たちは夜眠られないというふうな状態にあるんです。いま郵政省郵便を東京から大阪に翌日配達をするということ、そのためにその付近の方々が神経衰弱になるようなつらい思いをしてもなお郵便を早く届けたいという意欲のある郵政省が、今日二千万通、日数は聞いておりませんが、おそらく五日から六日ぐらいの遅配になるのではないかと思いますけれども、年末のいろいろ商用の多いときにこういう状態になっておることについて、どういう措置大臣はおとりになるつもりですか。先ほどちょっとお話がありましたが、もう少し具体的に、いつごろまでにはこういうふうに解決をしたいのだというぐらいな熱意を示してもらいたいと思うのです。
  34. 原田憲

    原田国務大臣 私が就任をいたしまして一番気になったことは、いまお尋ねの、いろいろ郵政省業務というものはすべて国民に直接サービス機関として直結しておる。いまの郵便貯金の問題もございますが、年末の郵便物がいままでにない滞留ぶりを示しておる、こういうことでございまして、これはいかぬというので、その原因は何かということを事務当局説明の際には聞いております。それが、冒頭にお尋になった問題がその中に一つの大きな問題として横たわっておるということを把握をいたしておりますので、早くその問題について、私が就任をいたしましたからといって長い長い懸案のものが一ぺんにすべてふっ切れるということはなかなかそれはできかねると思いますけれども、少なくとも前向きに熱心に取り組んで、そしていまのかつてないような滞留というものは早くなくして、皆さんが新聞を見られて、きょうは千万通も滞留しておるとか、あるいは千五百万通にもなったとか、事実、議員の皆さん方国民の間で一番多く郵便物を交流される方々じゃないかと思いますが、そこにも具体的な問題としてあらわれておると思いますから、それを可及的すみやかに解決するためにということでそれぞれの当局を私は督励をいたしております。したがいまして、努力いたすことによりまして、いままでの組合側が申しておること——組合側自分たちの要求をすることは私はそれがいかぬとは申し上げませんが、お互いに努力をして解決のめどをつけて、可及的すみやかにいまの御指摘滞留問題というものを解決して、これから年賀状が一番問題になってきますが、年賀状が必ず正月に着くであろう。それからいま小包の問題があります。この小包の滞留というようなことは、これはわがほうだけではなしに、運輸省関係で列車がとまると必然的に小包がとまるということでございますが、これらのことの解決を、けさも運輸大臣に先ほど会いましたときに、あなたのところがなくなったんだからうちもすぐにやらしてもらうからということを具体的に連絡をいたしておきましたが、督励をいたしまして解決の道をはかっていきたい、このようなことをやっておるということをお答え申し上げます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも大臣を責むるのは少し酷なようですが、さっきも申し上げましたように、十一月二十一日からこういう事態が起こることは予想されておったわけです。したがって、普通の場合ですとそういう事態が起こる前に、あるいは起こってからでもなるべく短い期間に決着をつけていくというのが常識なんですけれども、すでにこれは二週間以上になるわけでございます。しかも史上最高ということになっております。  私は、その原因は、さっき申し上げたように労使間の不信が一番大きい原因だと思うのです。その労使間の不信は、最近、一昨年ですか、一二四の確認とかいって郵政省労働組合の間にいろいろ不当労働行為の問題等について確認が行なわれて、少なくとも私は本省なり郵政局の姿勢はかなり変わってきたと思っておるのです。しかし末端に行きますと、まだ——いまさらほじくり出したくないのですが、かつて郵政省がとった政策で、いわゆる全逓組合の言うことを聞かない職員をつくる、こういう方針が、全逓の言うことも聞かないが管理職の言うことも聞かない職員がだいぶ生まれてきておるようです。そういう敵視政策が今日なお末端では続いているように思われる。それは単に労使間の不信だけではなく、われわれに対しても非常な不信感を持っておるようでございまして、私は過ぐる四日にいわゆる生活危機突破のストライキが行なわれるということなので、逓信委員でもございますから、深川の郵便局に現地に調査に行ってみました。朝七時から行きましたから非常に寒いときでございましたけれども、しばらく外で様子を見て、それから局長にもいろいろ聞きたいので、局長に会いたいということを申し入れをしたのです。それから三十分待たされまして、いま本省と連絡中でございますからもうしばらくお待ちを願います。さらに二十分待たせられまして、あの寒風の吹きすさぶ中で五十分待たせられまして、やっと局長さんにお目にかかれる、こういう状況になっておるのですが、一体ども会議員が、現場に行ってどういう状況だろうか、いろいろ両方言い分も聞いてみたいし、問題点があるならばひとつ国会の場でも解決をしていきたい、そういう期待をもって現場に臨んでおるのに、一々郵政本省の指示をいただかなければ国会議員と局長が会うこともできない、こういう不信感現場にみなぎっておるわけで、これは大臣は新しいからわからないと思うのですが、人事局長、どういう指導になっておるのですか、ちょっと聞かしてくれませんか。
  36. 北雄一郎

    北政府委員 当日、深川はストの拠点局であったのではなかろうかと存じます。御承知のように、ストの拠点になりますと欠務が非常にたくさんあるわけでございまして、業務を回すとか、あるいは中には就労する人もあります。そういった場合、局前でピケがある場合が多うございまして、ピケの中で就労者を就労させるというようないろいろ問題もございます。こういった問題にはえてしてトラブルも起こりやすいということで、一言で申し上げれば現場は非常に緊張しておる、こういう状態であったろうというふうに思うのでございます。  そういった場合、先生方がお越しになるということが事前にわかっておれば、これはそのときどうこうということはなかったと思いますが、おそらく当該局としては突然であったのではなかろうか。突然お越しになりました場合に、別に本省に意向を聞けとかそんなことは何も言っておりません。その場合、はたして本省へ聞いたのかどうかも私は全然存じませんが、そういう指導は別にしておりませんが、そういった緊迫した事態の中で先生がおいでになる。先生が単独でおいでになるのか、あるいはまた現に闘争しておる組合の執行部の連中もついてくるのか、いろいろどういうことなんだということで、おそらく当該局としては組合の執行部に聞いたりなんかしておったのではなかろうか。  そこでもう一つ先生がおいでになる場合、そんなことは絶対ないわけでございますけれども、そういったつき従う連中がございまして、何かそういうところでいろいろまたトラブルが発生するというようなことが万が一あってはならぬというようなところから何か配慮したのではなかろうかと存じますけれども、要するに本省なり郵政局として、そういった場合にどうせい、あるいは聞けとかいうことは別に言っておりません。判断に余るときには当然郵政局にものを聞くと思いますが、特段のことは指導しておりません。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 人事局長も知っておるように、私は大体おとなしいほうですから事を荒立てないほうなんです。したがって、行ったときに申し上げたのは、私は衆議院の阿部喜男という者で、逓信委員会に所属をしておる、したがってきょうここでストライキが行なわれて——現にまだ七時ちょっと過ぎですからね。官庁執務の出務者なんかはまだ入る時間じゃないのですよ。その時間で、後ほどまた申し上げますが、そこで、このストライキの問題についていま門前でもいろいろトラブルが起こっておるようだし、局長にも会っていろいろ話を聞きたいので局長に会いたいのだということを、私は個人で、あそこに来ておった郵政局という腕章を巻いたのに言ったわけです。それが中に入っていって、そしてしばらくお待ちください。それで三十分待たした。三十分待ってから、まだ話がつかぬのかと聞いたら、いま本省のほうに連絡をとっておりますからとまた二十分。五十分待たしたあげく、局長がお目にかかります。上がっていったら、局長局長室で一人でお茶を飲んでおりました。それでいろいろ局長と話をしました。これが国会議員に対する態度です。いわゆるそれは基本的に労働組合を敵視する、その労働組合全逓と仲のいい社会党の議員を敵視する、こういう思想にずっとつながっておると私は思うのです。だからぼくも入れてくれない。そういう点はあなたは何ならあとで問い合わして、なぜ私がそれだけ事を分けて、逓信委員会所属の衆議院議員として現地を見たいのでやってきた、局長に会いたいと言ったのを、五十分もあの寒風の吹きすさぶ中に立たしておったのか、責任を明らかにしてくれますか。
  38. 北雄一郎

    北政府委員 私どもとして、私どもから現場末端に至るまで、特定の組合を敵視するというようなことはさらさらないわけでございます。ただ当日はストということでありまして、いわば組合のほうが団体として労務を提供しないという手段をもって当局に対抗しておるその当日であったわけですから、そのときの現象は、これはある意味では敵対関係であったのではなかろうかと思います。ただ、先生をその場合五十分間お待たせしたという事情につきましては私つまびらかにいたしませんので、よく調べましてお答えを申し上げたい、かように思います。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、いまの問題は、私はあなたをいま特段責めようとは思いません。しかしあなたが特定の労働組合を敵視しておりませんというならば、昭和三十六年ごろから郵政省がとってきた全逓に対する政策は、明らかに労働組合無視、労働組合敵視、全逓の言うことを聞かない組合員をつくるという方針で一貫して流れてきた。それが新しい管理者方式でそれを変更するというふうな経緯があったわけですから、そこは私はいま論争しようとは思いません。  さて、そこで現実に起こった問題として、まだ八時半にほど遠い七時半から八時ぐらいまでの段階で、今度は黄色い腕章を巻いた人が、ちょっと数えてみて三十人ぐらい。組合が門のほうから外側に向かってピケを張っておる。向かって向こうから、これは深川郵便局という腕章だったと思いますが、そういうものを巻いた者がたくさん来ておるわけです。そこであなたはどこの局ですかと聞いたところが、私は下谷の局とか、私はどこどこの局です。役職は何ですかと聞いたら、主事ですとか課長代理ですとか、みんなこう言うわけです。そこでおたくの局には郵便滞留していないのですかと聞いたら、いや、滞留して困っておりますというわけです。自分の局に郵便滞留しておるのに、まだ勤務時間にもならない前によその局にやってきて、組合と押し合いへし合いもみ合っておる。これは一体国民が期待をしておる郵便を早くはかそうという郵政省の姿勢と、末端のいわゆるそういう主事とかよその局から出てきた連中との関係はどういうことになるのですか。そういうひまがあるなら、ああいう人は超過勤務でけっこうでしょう、そのほかできるのでしょうから、早く行って自分の局の郵便を一通でもはがせればいいじゃないですか。それを自分の局の仕事をおっぽり出して、わざわざ深川の局までまだ朝早い時間に出ていって、どうせ勤務時間がこなければ職員は出てこないものをやんさやんさいって、あの門のところで押し合いへし合いして、公衆が一ぱい立って見ておるのですよ。何とまあ郵政事業のぶざまなと私は情けなくなりましたよ。何でああいう連中が自分の局署を拾てて、自分の同署に郵便滞留がたくさんあるというのによその局まで押しかけていってわっさわっさやらなければならないのですか。あれはどういう指導をなさっているのですか。
  40. 北雄一郎

    北政府委員 いずれの場合でも、どこかの局が拠点になるというようなことでありますと、その局にはもちろん労働力がないわけですから、あるいは激減するわけですから、非常な業務の停滞が起こる。あるいは中には就労する者もあります。そういった場合、いろいろトラブルも起こる。平常の管理者の数あるいは能力だけではとても処し切れないというような場合に、近隣の管理者を応援させるということであったのであろうと思いますし、そういう指導はいたしております。そういった場合、そういった管理者を出す局自体郵便が詰まっているではないか、ごもっともでございます。これまた常に滞留を少しでも少なくするということももちろん片一方では重要でございます。しかし、その近隣局から応援した連中と申しますのは、おそらく郵便課や集配課の連中ではなかったろうと思うわけでございまして、それ以外の部署にあるそういった人たちを、やはりどちらが大事かという観点からそういった拠点局に応援さしておる、こういうふうに思います。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 拠点局で事務量が激減をするだろう、あるいはその集配が停滞するだろうから、その応援にかけつけた、事務処理をやった、そういう内容なら私はある意味では適切な措置だったかもわからないと思うのです。行っておる連中はそういうことではないのですよ。何をしておるかというと門のところにピケを張っておる組合の連中とぶち当たっては押し返され、ぶち当たっては押し返され、私が見ておる五十分間そういう行為をずっと繰り返しておるだけなんですよ。すると、早く言えば、組合が力をもってピケで阻止しておるから、あなた方のいう管理職なるものもまた力をもってそれを破ろうという、そういうことにしかならないのであって、しかも一般の職員は大体出てくるのが八時から八時半ぐらいのようでございます。その時点を見ておりましたら、深川の警察が来まして、何ということはない、ずうっと入りたい職員はみんな入って仕事をしたわけです。深川の警察が出てきて就労したい職員を入れた。そうすると一体その入れるまでの間、何のためにあそこに集まって、何のために大騒ぎしなければならなかったのか、私は全然事情がわからないのです。なぜあそこによその局の職員が集まってわっさわっさ組合と押し合いへし合いやっておらなければならないのか。それで、やるのならもう警察は来ないのかと思っておりましたら、八時半ごろでしたか——これは紳士的でしたよ、機動隊でなくて普通の警察官が来て、そして通らしてくださいということで、何のことはない、就労したいという職員はずっと中に入って就労したわけです。しからば七時から八時半近くまでに至る間、よその局から来た連中は何の目的で来て何をしようとしたのか。全く組合と押し合いへし合いするためにあそこに動員されてきたにすぎないじゃないですか、そういう実況なんですよ。これはどういうことになっているのですか。
  42. 北雄一郎

    北政府委員 私も当日の深川のその時点の状況というものはよく調べてみます。いまは存じません。ただ、推察いたしまするに、やはり八時前の出勤者もあり得るわけでございます。八時になればたくさんの出勤者があるわけでございます。そういった場合、おそらく当該局でストに参加しないで就労しようという者があったんだろう。そのための道を開くために、ピケ隊にそこをどけという行動、あるいは職員でなくても、郵便を積んだ車、運送便がそういう時間帯にやはり出入りがあったんじゃないだろうか。むろん運送便の場合、自動車はそういった門の直前まで来るということでなくて、どこかで状況が開くのを待って待機しておったんではなかろうか。そういった運送便、それから出勤者、こういった人たち、あるいは物がピケのために入れないという状況を、その人たちが啓開すべく、開くべくつとめておったんではなかろうか、こういうふうに思いますが、詳細調べます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は非常に感心したのですが、やはり労働者というのはそれぞれ責任を感じておるようでして、運送便が来ました。私が深川の局で見た限りでは自動車はずっとスムーズに出入りをしておりました。したがって、私が見た限りでは何のために来たかというならば、ピケと押し合いへし合いするために来たにすぎぬような気がしたのです。これはどういう指導をしておるのだろうか。とにかく早く集まってわんわんやれ——それでは管理職なる者が中に入れないのかというと入れるのですよ。門の外におった者に、私はこうこういう者だから局長に会いたいと言ったら、ずっと入っていって連絡に行ったんですから、管理職なる者は自由に出入りができるのです。最近三、四日前に深川の局に何か次長というものをあらためて任命したんだそうです。見ておると、それが先頭に立って、こうやってこういくわけですよ、入れろとかなんとか言ってね。けんかしに行っておるようなもんですよ。ごろつきとごろつきがけんかしておるようなもんですよ、見ておりますとね。全くめんどうしいったら限りがない。しかも、それがあなた方が言う業務の確保なり業務の運行に大きい影響を与えるものであるならば、私はそれなりにあなた方のおやりになったことを認めます。しかし何にもならない。マイナスにはなってもプラスにならないようなことを、七時から八時半まで、実に一時間半にわたって繰り返しておる。そうして八時半ごろでしたか警察が来て、みんな入った。そのあとは何ということはない、それで終わりですよ。付近の局から来ておった連中は、ぼくが見ておった限りでは自分の局に帰ったようです。それなら七時から八時半まで一時間半だけ、全逓のピケと押し合いへし合いするために、あそこにたくさんの金を使って動員してきたんだろうと思うのですが、あなたはいま、それはおそらく郵便課とか集配課とかの職員ではないでしょうとかなんとか言っていましたが、私が見た限りでは郵政局から派遣をされた職員でも郵便を一生懸命区分したり、応援に行ってやっておるでしょう。郵便課、集配課の職員でない者は郵便を扱ってはならぬということになっておるなら、その辺もちょっと聞かせておいてください。
  44. 北雄一郎

    北政府委員 そういった拠点局等へ人を出します場合、あるいは拠点でなくても非常に荒れておる局、業務が停廃して荒れておる局、こういったところへ人を出します場合に、大分けして二つ部類があるわけです。一つの部類は、そこの、たとえば窓口の人がいなくなるということでは困りますから窓口応援をやらせるとかあるいは内部の大事な書留とかいろいろなものがございます。あるいはある程度のさばきをつけなければいかぬというような仕事もございます。窓口、内部、そういったいろいろな事務をやらせるための業務応援というグループがあり得るわけでございます。いま一つのグループは、やはり先ほど来申しておりますように、運送便の出入、それから就労者の入局、その他いろいろな状況の中で、やはり最底限秩序を維持するという必要もあるわけでございます。そういった関係の要員、大きく分けてこの二グループの要員というものが原則的には必要になってくる、こういうふうに考えております。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いろいろ考え方もあるかもわかりませんが、今度の四日の場合でも、たとえば国鉄等は事前に、もうあしたはこの列車とこの列車は運行できませんということを国民の前に明らかにして、国民は不自由ではあってもそれなりにそれを忍ぶ、そういうような状況になっておるわけですね。ところが郵政の場合には、いまおっしゃったように、最小限の業務を確保するためにとかなんとかいうような名目で、あの門前で押し合いへし合いやっておるわけですがね。あれをやって一体どれだけの業務の確保ができたのか、やらなかったら一体どうなるのだろうかということを私は考えてみました。あれはやってもやらなくても同じだったと私は思うのです。八時半には、就労したい者はちゃんとみんな中に入って窓口の業務をそのまま開いたわけですからね。郵便集配の最小限の確保もしたわけですから。だから私が言うのは、七時から八時半に至る一時間半、何のためにああいうことをやらなければならないかということなんです。それをやったことによって、あなたは効果があると思っておるのですか。
  46. 北雄一郎

    北政府委員 あまり具体的なことは——非常に概括的で恐縮でございますが、四口の場合でも、当日ストの拠点になりました局で、午前中の予定された出勤人員のうちの四〇%は就労いたしておるわけでございます。そういった就労者が全国的におるということ、それからやはりその時間帯に当然運送便の出入りがある。これはやはり入り口を確保することによりまして運送便の発着が可能になる、こういった状況、こういったものが確保されたという効果は確かにあったというふうに思っております。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたは力でもってピケを破って運送便を入れるとか——深川の場合には力で破ったのじゃなくて組合が自主的に運送便を入れましたね、見ていたんですから、私が。力で就労する職員を押し込もうとか、そのために何十人という人間を連れてきておるようでございますけれども、そういう力によって組合とけんかをしよう、やり合おうというものの考え方が私は間違っておるのではないかと思うのです。たとえば、あなたお聞きになっているかどうか知りませんが、十一月の二十日ですか、九州のある県の拠点です。ここはピケなど張らずに、組合員が自主的に全部ストライキに参加をしたわけですね。ところが、その中で三名か五名か知りませんが、郵政省管理職のほうで、組合に言わせるとパクったというのです。無理に連れていった。が、まあ、本人たちはどうかわかりませんよ。本人たちの意思だと、おたくのほうはこう言うでしょう。そこで組合のほうは、ほんとうに本人の意思で就労する気になったのか、まだ時間前ですからね、それとも無理に連れていかれたのか本人たちに会ってそれを確かめたいから、組合の代表一名と本人たちと会わしてくれということを申し入れた。ところが会わせなかった。会わせなかったためにどうなったかというと、もう一つ拠点を追加したんですよ。一局のストライキで済むはずであったのが二局に広がったんですよ、これは。力によってあなた方が何とかやろうということが、結果的には一つの局で済むはずだったストライキがさらに拠点が追加をされて、二つの局でストライキが行なわれた。こういう事実があるのを知っておりますか。
  48. 北雄一郎

    北政府委員 そういう事実は実は存じません。ですが、やはりそういった人たちのところへ、緊迫した状況下に、その説得ということでも、一応その時点において反対の立場の人が入るということは、そこにやはり不測の事態が生ずる可能性もないではないというふうな判断であったのではなかろうかというふうに思います。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたは大事なところのほうをお答えになりませんが、私が言っておるのは、その説得といいますか、話し合いをしてみたいという場合は、だから不測の事態が起こらないように組合の代表一名がその四名か五名かおるところに行って会いたい、会って向こうも立ち会いで話をしたいと言ったのを、だめですと言って断わったわけですよね。そのために一局さらに指定が追加をされて、二局のストライキが行なわれたわけですよ。国民立場からするならば、一体どうなるでしょう。あなた方の立場からすれば、たとえ五名でも職員ストライキに参加させなかったことによって、その局長なり課長がえらい功績があがるのかもわかりません。しかし利用する国民立場から見るならば、ストライキに入るはずでなかった、拠点でなかったところが追加をされて、その局全体の郵便が一口完全にとまる、こういう事態に起こってきておる。それを一体どう判断しますか。私は国民立場から聞いておるのですよ。
  50. 北雄一郎

    北政府委員 それは拠点の追加がありますということがはっきりわかっておったのかどうか、それはそういうことの報復行為として、むしろ相手方が報復行為としてそういうことをやったのだろうと思います。したがって、そういうことを当局側が予知しておったというふうには思わぬわけでございますが、いずれにいたしましても、いま御指摘のことは私具体的に存じませんので、よく私なりに調べてみたいと思います。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 調べぬでも調べてもそれはわかっておるのですが、はっきりしておるのですけれども、そういう事態が起こるということになれば、あなた方が力によって最小限業務を確保しようというものの考え方は間違っておるのではないかと私は言いたいのですよ。運送便を力によって通し得るというのがたいへんな間違いで、それは何といったって労働者の数が多いのです、これは初めから。全逓だけで足らなければ、さらによそからも連れてくるでしょう。そういうピケを力によって排除して就労者を就労させようとか、運送車を通そうとかいうものの発想が間違っておる。むしろ、そういうストライキが起こらないような労務管理を行なうという基本の姿勢がなくて、拠点になれば、そこには近所の局から管理者を動員して、そのピケを突き破って運送車を入れようとか、二人か三人かの就労者を無理に送り込んでみようなどという発想が郵便事業全体を国民のサービスとして考えていない。労務管理があって業務がない、私はかねてそう言っておるのですが、そういう姿勢に私はつながると思うのです。  そして現地は、あなた方が考えておるよりもっとそのことがきびしいのです。一人でもいいからストライキ脱落者を出す——業務の運行を確保するとかしないとかいうことではないのですよ。ストライキに参加をしない者を一人でも出し切ったか出し切らないかということが局長なり課長なりの管理職の能力につながる、そういう考え方をしておるのですよ。なるべくトラブルを避けて、そして可能な限り業務の運行を確保しようという考えではなくて、業務の運行なんかそっちのけです。一人でも二人でもいいから、上局に顔の立つように、ストライキに入らない人間をつくっておこう、これが大体いまの現場考え方です。この考え方でいいか悪いか聞きたいのです。
  52. 北雄一郎

    北政府委員 先生のおっしゃいますように、ストライキが起こらぬようなやり方をするのがこれが最上だと思います。ただ、不幸にしていろいろ労使間が険悪になるという場合、それでもストライキというものは、やはり御承知のように、私から申し上げるまでもなく現在の法律でも禁止されておるわけですから、そういった場合、やはりストライキとかそういう違法行為はするなということも、これは言うほうが当然ではなかろうかと考えられます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ストライキをするなというところまではいいのです。それを力によって押し破ろうというふうなものの考え方が無理ではないか。むしろ業務の確保ということのほうを重点に考えて措置をすべきであって、いまあなた方がおやりになっておるのは、ことばの上では業務確保ということを言いますけれども、実質的には、いかにしてストを破るかあるいは何人かを就労させるか、ストライキに行かない者をつくるかということに重点が置かれて、業務の確保のほうに重点が置かれていない。その証拠には、役にも立たない人間が一時間半も何十人も深川の郵便局の前に集まって、わっさわっさやっておったじゃないかと私は言っておるのです。そういう状態が好ましいものか、それともそういう力があるのならば、それを滞留した郵便物をはかすために回すのが正しいのか、その辺の判断を聞きたいというのです。
  54. 北雄一郎

    北政府委員 業務確保ということは、もちろんいかなる時点においても一番大事なことでございます。ただ、ピケがあって、そのことが就労者あるいは運送便の出入りに差しつかえのもとになるという場合には、やはりこれを開くという努力は放棄してはならないというふうに思うのであります。そのこと自体がやはり業務の確保につながるからであります。ただ、その場合の手段方法といたしまして、何も初めからゴリ押しで通路を開くということはしておりませんので、やはり事前にそこをあけなさいというような説得行為をやりまして、それでもなかなか聞かない場合に、力と申しますか、要するに実際にあけるようにつとめるということでございまして、何も初めから先生おっしゃるような力を用いようという意味ではございません。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 説得でいくのならば、よその局から主事や何かを連れていかなくても、自分の局におる局長なり課長なり、そういう人が説得をすればいい。説得でも聞かなければ、これはあなたの言うように不測の事態ですから——両方とも好ましいことではないでしょう、不測の事態ですから、やむを得ぬじゃないですか。それを力ででもやるというのならば、それはだめですよと私は言っておるのです。初めから力で勝つわけはないですよ。勝たぬから最後におまわりさんに来てもらったのでしょう。あれはおそらくそうだと思うのですがね。おまわりさんに来てもらったというのは、力で勝たぬことを立証しておる。それなら郵政職員郵政職員らしく、余力があるのならば滞留郵便物の配送にでも当たるべきだ。それをそういう人間を何人か集めて力で押し通そうとすれば、ある局でそれは突破することができるかもわからない。そうすれば組合の側は、その次はもっとたくさんの人間を連れてきて、突破されないようにやるでしょう。ますます紛争が大きくなるだけであって、対立が大きくなるだけであって、一向に業務確保の面からは効果があがるものではない。そういうことに重点を置くよりも、もっと一般的な業務の確保ということに重点を置くほうが施策として正しいのではないですかと言っておる。
  56. 北雄一郎

    北政府委員 スト当日につきましてはやはり私の言ったようなことでございまして、むろん説得から始めますが、それでもどうしても聞かない場合には、おっしゃるようなやはり力を用いる。なお、みずからの力ででもだめな場合には、場合によっては警察のほうを要請するということもあるわけでございます。しかし、こういった遅配、滞留というもの、これはもちろんその解消を一日としてもゆるがせにはできないわけでございますが、現に千八百万通も積み上がっておるというのは、一日二日のストで積み上がったわけではございませんので、先生も仰せのように二十一日から毎日積み上がっておるわけでございます。そういった全体の滞留という中で、これは当然近隣の管理者というものも、状況に応じまして、特に滞留の激しいところに投入するとか応援させるとかということ、これはむしろ一日や二日のストの場合だけでなくて、もっと幅広く毎土曜、日曜というふうな、あるいはその曜日以外の曜日におきましても、非常にたまった局あたりはそういうことで大いに近隣管理者の応援もさせておる、こういうことでございます。全体としては、当然そちらのほうに重点を置いておる、こういうことであります。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなた方のほうがそういう姿勢である限り、私は、説得をして最大限就労させるとかあるいは運送車を投ずるように努力をするということについてまで否定をするものではありませんが、あなたが最後に言った、それでもだめなら力ででもというその考え方は改むるべきだということを申し上げておきます。これ以上もう論争する気持ちはありません。全く無意味だ。もしあなた方が力ででも押し通すというなら、おそらく組合の側はそれに倍する力を持ってきて通さないという姿勢になるでしょう。労使紛争はますます大きくなるだけであって、一向郵便業務を確保するという上からは意味をなさないものだということだけはここで私は申し上げておきます。  それから次に移りますけれども、こういう労使間の不信というものは、特に郵政省が公労法の適用を誤っておるところにその原因があるのではないかと思うのです。  そこで、郵政省以外のところから意見を聞きたいのですが、労働省お見えになっておりますか。——労働省にお伺いしますが、公共企業体等労働関係法というものは日本に私は一つしかないと思っております。したがって、それが適用さるる場合に、Aの職場とBの職場で違った適用があろうとは思われません。そこで、電電公社あるいは日本国有鉄道なり——いまここで出た国鉄公社なり、それから専売公社等が同じ公共企業体等労働関係法の適用を受ける職場でございますが、これらの職場で団体交渉をする場合に、どういう段階に分けて団体交渉をし、それぞれの団体交渉の場で、どういう内容のものがいわゆる協約として結ばれあるいは妥結して話し合いがついておるか、概略でいいですからお知らせ願いたい。
  58. 道正邦彦

    ○道正政府委員 お答え申し上げます。  三公社五現業の労使間の団交の事項につきましては、公労法の八条に規定がございます。その規定によりまして各当局と各組合とが話し合いをされるわけでございますが、どのレベルで団交をやるかということにつきましては、これは原則としては当局と各組合間の自由でございまして、それぞれ三公社五現業によりまして事情も異なっております。したがって、どのレベルでどの程度のことをやるかということも、これはそれぞれ三公社五現業によって差異があるわけでございます。これはあくまでも両当事者が話し合いによってきめるというたてまえでございますので、私どものほうからとやかく申し上げる筋合いではございません。  なお、団交によって協約を締結した内容でございますけれども、これも原則としては公労法八条に基づきまして交渉するわけでございますけれども、これも三公社五現業によりましていろいろ業務内容その他について差異があるわけでございまして、おのずから差異が出てくることも避けられないことだと思います。特に問題になりますのは、三公社五現業につきましては法定事項があるわけでございます。たとえば退職金等は法律できまっておるわけでございます。しかし、法律できめられておる事項につきましても、交渉の対象とすることは妨げないのでございますけれども、法律に違反する内容の交渉、これは無効になるわけでございます。しかしながら、その法律の範囲内におきまして、法律によって定められておる事項につきましても当事者が交渉すること自体は自由でございますけれども、実際上大きな制約を受けるということもやむを得ないことだと思います。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が労働省にお伺いしたのは、現在国鉄公社なり電電公社なり専売公社なりで、それぞれのレベルでどういうものが団体交渉事項として扱われておるかという実態をお伺いしたのです。どうなっていますか。
  60. 道正邦彦

    ○道正政府委員 事項はたくさんございまして、たとえば基本給であるとか諸手当、退職金あるいは旅費の問題、労働時間、休憩、休日、休暇、安全、衛生、災害補償、あるいは団体交渉のやり方、苦情処理の方法、紛争調整の処理の方法、そのほか昇職の基準であるとか降職の基準であるとか、先任権の基準であるとか懲戒の基準であるとか、そういうことが事項としてはございます。ただ、先ほども申し上げましたように、三公社五現業それぞれ同じ法律の適用を受けるわけではございますけれども業務内容その他につきまして差異があるわけでございますので、その辺は両当事者が信頼関係を確立されまして、話し合いによっておきめいただくことを心から期待しているわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それぞれのレベルですね。たとえば国鉄公社に例をとってみましょう。本社、本部間でどういうものが協約として締結されるか。これは大体全体的に、公労法にいうところのものは全部含まると思います。その次に、何というのですか、地方本部とそれぞれの局ですか、こういうものがあると思います。それから電電公社の場合にも、本社と本部、地方本部と通信局ですか、それぞれの支部とその対応するところの機関、そういうところで取りかわしておるいろいろな交渉事項があると思うのです。その内容はどうなっておるかというのです。
  62. 道正邦彦

    ○道正政府委員 お尋ねの点も、三公社五現業によりましていろいろニュアンスの差があると思いますが、たとえば一例を申し上げますと、中央あるいは地域、地方、地区というふうに四段階に区分してそれぞれ交渉をやっているところもあれば、そうでないところもあると思います。いずれにいたしましても、どの程度の権限を下部の組織に与えるかということにも関連するわけでございますので、この点も、どのレベルで一律にどういう内容の交渉をしろというふうに一がいに言うわけにはまいらないというふうに思います。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 労政局長の答弁はきわめて抽象的で、私が聞いておる具体的な内容を一向答えぬようでございますけれども、しかし私はひょっとするとあなたよりか詳しく知っておるかもわかりません。なぜならば、県総評の議長をしておりましたから、あなたよりもう少し詳しいかもわかりませんがね。  そこで郵政当局にお伺いしますが、郵政当局はかねてから、本省、本部の交渉を除いては、地方の交渉、いわゆる郵政局と地方本部、あるいは支部とそれに対応する機関の交渉で、基準法三十六条、基準法二十四条以外の団体交渉はないのだというふうな指導をずっと続けてきておったようでございますが、最近はどういうお考えですか。
  64. 北雄一郎

    北政府委員 現場段階におきましては、御指摘のとおりのような指導を続けてまいりました。すなわち、そういったことについての協約締結権限しか権限の分配をしておらなかったわけでございます。それで、端的に言いまして、それではこの現場におきましてそれ以外に労使で話をする問題がないのかということでありますが、実はそれはそうではございませんで、それ以外にもいろいろな問題につきましていわゆる話し合いをするということはずっとあったわけでございます。ただその話し合い現場によってむらがございますといいますか、非常によく話し合いをするところもあれば、あまり話し合いをせぬところもある。非常にむらがある。どちらかというとルールなしでそういった話をされる。したがって、いわゆるその力関係というものが働いたりしましてむらがある、こういう状況もございました。  そこでそういったことじゃなくて、やはり団体交渉は一応その二つだけれども、それ以外の話し合いにつきましても一定のルールをつくろうじゃないか。ルールの中できしっと話をしていこうじゃないかということで、これがことしの四月一日に労使協約でもって発足をいたしました折衝ルールというものでございます。これによりまして、従来のどちらかというと無秩序になりがちであった話し合いというものの大部分を、この折衝ルールに編成いたしまして、ルールの中で整斉と話し合う、こういう道を開いたわけでございます。この折衝ルールというものが現場に定着をいたしまして、労使間末端におきましても整斉たる話し合いができるというような実情ができましたときには、現在の二つ以外にも、この団体交渉の権限というものを特定の事項を限りまして現場長に付与してもいい、こういう腹を持っておるわけでございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 労政局長さんにお伺いをいたしますが、話し合いというのはこれはどこにもあると思うのですが、労働組合を代表する者と使用者を代表する者とが話し合い折衝といいますか、折衝というようなものはこれは労働組合法のどこにあるのですか。公労法のどこかにございますか。
  66. 道正邦彦

    ○道正政府委員 どのレベルでどの程度のものを話し合いするということは、そういう内容のことを定めた法律の規定はございません。基本的な考え方といたしましては、当局労働組合側もそれぞれみずから信ずるところに従って、こういう段階ではこういう事項をしたいというふうに希望表明をする自由はあると思います。したがいまして、それは両当事者の話し合いによってきめていくという性質のものと思います。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 法制局に伺います。労政局長あまり勉強していないのですか、いま私が聞いたのは、折衝というのは労働組合法なり公労法のどこにそういう条項があるのですかと聞いたのですが、あなたは妙なことを御答弁なさいましたから法制局のほうに伺いますが、法制局来ていますか。——いま私が質問したのと同じことです。折衝とは一体労働組合法なり労働基準法のどこに定めがあるか聞かしてください。
  68. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答えいたします。  折衝ということばは労働組合法あるいは公企体等労働関係法にはございません。これは事実上のものでございます。ただ法律上ございますのは、これは御案内のとおりでございまして、団体交渉ということばがあるわけでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 続いてお伺いしますが、それではその折衝というものが労働組合法なり公労法に定めがないとするならば、さっき人事局長話し合いということばを先に使われて、あとで折衝ルールということばを使われましたが、これは法制局、そういうものがあったとして、それを履行しなかった場合にどういう法的な拘束を持つものでしょうかね。
  70. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまお話しの折衝でございますが、これは先ほど御答弁申し上げましたように事実上の話し合いの問題でございまして、これは特に法律的な拘束力あるいは契約的な拘束力というものが出るものではございません。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もそう理解をしておるのです。  そこでさっきの人事局長意見は多とするのです。いわゆる話し合いから団体交渉に移していきたい、こういう御答弁でございましたね。そうじゃないのですか、ちょっともう一ぺん。
  72. 北雄一郎

    北政府委員 そういうつもりではございません。端的に申し上げれば、先生御了解の話し合いという事実状態、これは別にこれまではその間何もルールがなかったわけでございます。ルールと申しますのは、労使間の協約というものにささえられておらなかったわけでございます。事実上組合がある問題を持ってくる、これに対して当局側が答える、こういう事実上の触れ合いというものが話し合いであったわけであります。それはそのままにしておきますと、さっきも言いましたように現場でいろいろむらが出てくる、あるいは端的に言いまして組合が非常に強い場合には押し込まれて不要なことまで話をする、それから組合側小力が弱い場合にはろくろく話もようせぬ。その他問題のないところでは話もなかったでございましょう。いろいろむらがあったわけであります。そういう一種の無秩序といいますか、そういった状態に意思疎通をゆだねておくということが必ずしも感心した状態ではないというので、その話し合いというものの大部分を、秩序ある状態に置こうということで、ここに法律でも何でもございませんけれども労使間で約束すなわち協約を結びまして、折衝ルールという中で数十項目の問題を取り上げていこう、こういうふうにしたわけでございます。したがいまして、これはよけいなことかもしれませんが、これに反すれば協約上まずいということになるわけでございます。ですから無秩序だったものを労使間の協約によって秩序立てたのが折衝ルールだ、端的に申しましてこういうことでございます。したがって、そのこと自体の団交ではございませんから、団交ではないという協約なんでございます。あくまで折衝ルールという、折衝というものだ、こういう協約でございますから、そのことすなわち団交ではございません。しかしそういうことで現場が秩序ある形でいろいろな話し合いができるというような状態が折衝ルールの定着によって確保された場合には、いま団交事項を二つに限っておりますけれども、もう少しふやしてもいいのじゃないかという腹は当局として持っておる、こういうことでございます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はやはり本来——いま私はこの段階でそのことが悪いと言いません。それは無秩序だった段階からせめて話し合い折衝というルールというものをつくったということは悪いとは言いません。しかし法的にいうならば、いまあなたもおっしゃったし、それから法制局のほうの見解もありますが、本来労働組合使用者の間には団体交渉しかないのです。話し合いについては法的な拘束はないわけでしょう。そこで問題になってくるのは、最近はどうか知りませんが、支部とたとえば局、対応する機関の間で、まず労働組合の側はこれは団体交渉だ、ちゃんと公労法にきまっておるではないかと主張するのです。あなた方の側は折衝事項でございますというのです。折衝団体交渉かということで、まず紛争が始まるのです。事の起こりがそこから始まってくる。したがって、いまあなたがおっしゃったように、将来の目標としては、ちゃんと法律にのっとった団体交渉事項として処理をしていくような方向で拡大をしていくというのですか。広げていくということであるならば、私はこの問題についてこれ以上言う気持ちはありません。しかしあくまで労使間の問題は話し合いだ、団体交渉ではないのだということになると、これはやはり法的に少し解釈がおかしくなってくる。今日一番大きい不信の原因はそこにあったのです。支部で組合を代表する者と使用者の間の話し合いがなかった、交渉がなかった。だから組合の代表に対する不信感が出てきて、組合の言うことも聞かない、使用者の言うことも聞かないというふうな変なのがたくさんあらわれてきたわけです。これは私はやはりあなた方が誤っておったと思うのですよ。いまそれをとやかく言いませんけれども労働組合法から公労法に定められておるのは、これは明らかに団体交渉です。したがって、団体交渉というものを基底に置きながら、これからそういう方向で進んでいくというなら私はこれ以上言わぬつもりですが、どうですか。
  74. 北雄一郎

    北政府委員 折衝ルール指摘されておる数十項目が団体交渉になる直前の姿であるということではございませんです。これは繰り返し恐縮でございますが、話し合いというものを組織化したのが折衝ルールであります。したがって折衝ルールというものは、そのこと自体直接団交事項とはかかわりない、こういうつもりであります。しかし現在、先ほどおっしゃったような、現場で団交の相手にはうちはならぬのだというような問題につきましても、組合対省という関係ではすべて団交事項になっておるのでございまして、すなわち本部、本省という中央段階での団交事項になっております。ただ、こちらがそれを現場長に権限を委任しておらぬ、こういうことであります。なぜ委任しておらぬかというと、ずっと昔はその点があいまいでございまして、二十年代、三十年代の初めあたりあいまいでございまして、現場でさまざまな約束がなされた時代がございました。その結果、局によって労働条件がはなはだしく異なるとか、非常に不都合な状態がございました。またそれをめぐって、かえって労使間の衝突ということがあっちこっちでひんぱんに、また大規模に起ったわけでございます。そういった状態がございましたので、権限委任というものを明確にいたしまして、たった二つということに現場では限っておったわけですが、そういうことでなくて、折衝ルール等の助けによりまして現場における秩序ある話し合いというものができるというような習慣ができた場合には、現在本部、本省でやっておりますことを、これは一ぺんにはできませんのですが、少しずつでも現場段階の長に権限を委任することによって結果的に現場の団交事項がふえていく、こういうことはあってもいい、こういう腹でおるということであります。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 少しかみ合わないのですが、これ以上あまり論争したくはありません。ただ、いまもあなたおっしゃっておりましたけれども、本省、本部で協約を結んでも、現場事業というものは生きておるのです。そこで、その協約の覊絆の中で、実際の運用についていろいろな話し合いというのはこれは当然行なわなければならないし、それが本来電電公社なり国鉄公社で行なわれておるいわゆる各ランクごとの団体交渉になっておる。ところが郵政の場合はそれは団体交渉といわずに、権限を委任してないというゆえをもってこれは一方的にいまや折衝だとか話し合いだとかいうようなものを設けてきておる。これが実態だから私は冒頭そのことを労政局長に聞いたんですが、本来の姿としてはやはりそういうものが団体交渉なのです。けれども、いまあなたがおっしゃるようにいろいろな歴史的経過があるわけですから、そのことを直ちにどうこうということは言いませんが、本来の姿に戻していくべきであるし、もう一つ大きな間違いは、あなたのほうは権限委譲をしないというけれども、権限の委譲というものはそれはあなたのほうの問題でしょう。省側の問題でしょう。しかし、一方労働条件というものは労働組合側も主張になるわけでございますから、そうするとどこまで権限を委譲するかということについても、いわゆるどのランクでどういう団体交渉をやるかということについても、これは両者の意見の一致をみるべき筋のものだと思うのです。一方的に、おれのところはこの二つしか権限を委譲しない、あとはしないのだという筋のものではない。これは本省と本部の話し合いで、このランクでこの辺まではやる、このランクでこういうことをやるということを、話し合いで権限の委譲をすべきであって、一方的に決定すべきものではないと私は思うのです。こういう点について、ひとつ十分考えておいていただきたい。  それと、さっき申し上げた不当と言うとあなたは腹を立てるかもわかりませんが、いわゆる一方的な処分の問題についてはさらに検討する意思があるのかどうか、これは明確にもう一ぺんしておいてください。
  76. 北雄一郎

    北政府委員 権限の委任は、最終的には当然省としてやるべき問題、ある意味では省の一方的にやることでございます。でありますが、むろんこういった問題につきましては組合意見に耳をふさぐということではございません。現にこの年未交渉の問題といたしまして、組合のほうから現場における団交事項をふやしてくれ、こういう要請がございます。これに対して私ども耳をふさいでおるわけではなくて、さっきから申しておりますように、若干は対応してもいいなということで前向きの姿勢で実はただいまも検討しておる、こういうことであります。  それから処分の問題でありますが、処分につきましてはっとめてそれが恣意にわたらないように、いろいろな角度から方法を講じていきたいと思います。これまでもその点につきましてはいろいろつとめておるところでございまして、その結果やはり話が合わないでいわゆる第三者機関あたりへ出ていく問題がありますが、第三者機関の結末を見ましても、ほとんど全部やはり私ども処分が、必ずしも全部ではございませんが、圧倒的大部分がやはり当方の考え方というものを結果的には支持していただいておる。しかしそれに安んずることなく、さらにそれが恣意的にならないような具体的な方途というものを講じてまいりたい、こういうふうに思っております。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もうあまり言いたくないのですが、あなた方のやった処分が大体認められておるというようなことでは困るのですよ。少なくとも、された本人にとってはこれは一生の問題でしょう。それが第三者機関にかかって、一件でも誤っておったものがあるということはたいへんな状態だということをあなたは反省してもらわなければ困るのですよ。九〇%うちの言い分が通ったから、あとの一〇%は不当な処分、間違った処分だったけれどもかまわないなんというような考え方があってはたいへんな間違いで、少なくともそういう誤った処分一つでもあってはならないのだという考え方に立ってもらわないと、処分されたほうはたまらないですよね。そこのところはひとつはっきりしておいてください。
  78. 北雄一郎

    北政府委員 それはまことにお説のとおりでございまして、私どもは一件でもそういったことがあってはならないというつもりで対処していきます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、ずっといままでの議論お聞きのとおりでございまして、最近この郵政労使関係は若干よくなってきつつある、率直に言ってそう思っております。しかし今日まだ下部の末端の管理者というものは、何しろ全逓組合の言うことを聞かぬ組合員をつくれということを長年ずっと教え込んできたわけですから、なかなか一朝一夕に変わらないのです。もう井出郵政大臣のころから委員長廣瀬郵政大臣、ずっとこの点について非常に努力してきていただいて、北人事局長もだいぶ努力しておるようですから、きょうはもうこれ以上言いませんが、しかし私がいま深川の局に行った例を申し上げましたけれども、社会党の代議士というと敵が来たような顔をして、五十分も門の外に立たせておくというような状況ですから、いわんや現場全逓組合員に対するものの見方というものは、まだ日常でも非常にたくさんの差別扱いが行なわれております。例をあげよというなら、私は幾つでもあげることができます。転勤の問題一つ取り上げても、昇格の問題一つ取り上げても、多くの例をあげることはできますが、いま省のほうでも、はっきり誤っておるというものについては是正しつつあるようですから、もうきょうはこれ以上言いませんけれども、ひとつ大臣は特にこの点に力を用いて、労使関係の信頼感を取り返してもらいたい。そのためにはやはり法に定められたことを、ただ労働組合のやることだけを違法だ違法だと言うのでなくて、管理者と名のつく諸君のやることも違法なものは違法なものとしてかちっと処置をしていく、そういう姿勢をとらなければこの労使不信感というものはなかなか直らないと私は思うのです。これはひとつぜひ大臣のほうでも意にとどめていただいて、この上の努力お願いしたいと思います。  それから次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げますが、大臣のお経続みというと失礼ですが提案理由説明によりましても、なぜこの時期に急遽これを出さなければならないかということについてあまり明確でないようでございますが、仄聞するところでは外的な事情もあったようでございますけれども、その辺はいかがですか。
  80. 原田憲

    原田国務大臣 この問題は、実は郵便貯金の預金の限度額という問題で先ほど提案理由説明の中でも申し上げましたが、いままでも数年にわたってそのたびに限度限の引き上げということを行なってきた。したがいまして、四十九年度の予算の折衝に、郵政省関係ではこの問題を取り上げて大蔵省との間で折衝いたしておったようであります。  しかるところ、きょうも新聞に出ておりますが、昨日ですかボーナスが出た。公労のほうはまだでございますけれども、一般公務員のほうは出ておる。こういうことで六兆近いお金が一ぺんに年末に出てくる。特に今国会で、いま予算委員会も開かれておりますが、日本の現在置かれておる立場というものを考えるときに、まずこの六兆に及ぶ金が需要となって年末にそのまま使われるということになると、いわゆる通貨膨張という形で現在の物価問題等にも及ぼす影響が大である、何とかいい知恵はないかということで、まず皆さんのお金を預金をしていただく。使うことは今後考えていただいて、まず預金をしていただく、こういうことを目途にいたしまして、百五十万円から三百万円に限度額を引き上げる、こういうことで提案理由説明をいたしたわけでございますが、唐突であったとおっしゃるように、実はこの預金をしてもらうことにつきまして、利子の引き上げをすることによって預金を求めるという方途がございます。それから、いまの限度額を引き上げるということも一つでございますが、預金の利子という問題になりますと、これは法律事項ではなしに政令によって行なうことができますけれども、預金の限度額を広げるということになりますと、特に郵便貯金は非課税でございまして、いま預かっておる金自体が、利子に税金がかからないという特典を持っておりますことを拡大するためには法律を施行しなければならない、こういうことになってまいりますので、早いほうがよいというので、急遽これを提案をさせていただいたということでございますが、なお足らざるところは事務当局から御説明をさせていただきたいと思います。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この委員会でも、いままでしばしば預金の総額制限を引き上げるべきだということは議論されてきたのです。いま提案されている三百万についても、われわれとしては不満です。五百万ぐらいにすべきだ。この前、総理大臣は一千万ぐらいにしたいと言うから、これはたいへんいい考えだと思っておったのですが、出てきた法案は三百万で、われわれの期待したところに比ぶると少ないぐらいの感がするのです。ただ急遽出してきた理由の中に、民間のいわゆるマル優、申告免税との関係があるやに聞いておるのですが、その辺はどうですか。
  82. 原田憲

    原田国務大臣 いまお話のございました非課税の限度を拡大するということにつきましては、阿部委員はふやしたほうがよいという御説でございますが、これにつきましては、あまりふやすということは不公平になるというような議論もあるわけでございます。そこで、非課税限度額というものはどの程度がよいかということで、現行では郵便貯金の百五十万円、そのほかに国債あるいはいわゆる財形貯蓄といわれておるマル優というようなものを集めまして五百万円ということでございますか、それで大体国民の可処分所得というか、月給をもらって、そしてそれを貯金に回したりいろいろするところで妥当ではないかという議論の結果、いまの制度があるわけでございます。それは可処分所得といってもまだ余裕が出てくるはずであるし、これはベースアップも行なわれますがら出てくるはずであるし、やはりまず貯金をすることによっていまの物価対策になる、こういうことからでございまして、田中総理が二千万円と言ったとかあるいは千二百万円がいいとか、いろいろの議論が出ておりますけれども、さしあたりいま郵貯は百五十万を三百万円にする、したがって、いま言われているところの非課税限度額合わせまして五百万を一千二百万にする、一千二百方の中の郵便貯金を三百万にする、こういうバランスをとっておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一番おもなところは答弁がないから……。
  84. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えします。  阿部委員の御質問の、唐突に郵便貯金法の改正、総額制限額三百万は何かほかの理由があるのではないかというお尋ねのようでございますが、これは民間の金融機関におきましては、今年の年末賞与を目当てに非課税限度額の効果が遡及して及ぶように、ボーナスも含めまして十二月一日以降の預入にかかわる民間預貯金に対しまして所要の法改正をいたしまして、利子の支払い期が四月以降到達するものについてはさかのぼって、十二月、一月、二月、三月預けられたものにつきましてはいままでの非課税限度額百五十万円を三百万円まで免税するという措置がとられる予定になっておりますので、これに対応するためには私のほうの貯金の総額制限額を一日でも早く三百万にしていただこうというのが趣旨でございます。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。その関係があるのだろうと私は思ったのですが……。  そこで大臣にお伺いしますが、引き上げの沿革のところにこういうのが出ておるのです。「最近の郵便貯金利用者の所得、貯蓄保有額の伸びの状況、財政投融資に郵便貯金の果たす役割の重要さからみて低きに失するため。」というのが四十七年までの理由になっておるわけですね。今年、財政投融資との関係はどういうふうにお考えになっておりますか。
  86. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えいたします。  先生の御質問は財投に関係してこの限度額がどういう影響があるかという御質問と思いますが、大体この限度額を倍にしていただきましても、貯金の利用者そのものは全部が全部郵便貯金の場合最高限度額まであるのでございませんで、上限が限られておりますが、この限度額を引き上げなければ大体二兆九千八百億来年度できるだろうと思いましたところ、これは三兆五百億円、都合七百億円程度がこの限度額引き上げによりましてよけい預入を期待できるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 財投に大きく回れば政府の意図するところとは若干食い違ってくることになるおそれがあるわけです。この辺はひとつ政府全体の問題でしょうから、せっかく限度額を引き上げて購買力を押えるという方法をとってみても、これが財投に回ってまたどんどん金が出ていったのでは、政府の意図とは変わったものになってくるおそれがありますから、ひとつ大臣も閣議等で、財投については特に細心の注意を払ってもらわなければ、購買力を押えるという点からはあまり意義がなくなるのではないかと思います。  時間の関係がありますから、あと貯金局長にまとめて聞きます。預金者貸し付けについて、どういうふうに考えておるのか。先ほどの財形貯蓄郵便貯金関係について、どう考えるか。それと、貯金利息についても当然何らかの措置をとるものと思われますが、この三点について、郵政省のお考えをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  88. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えいたします。  先生質問の第一点、預金者貸し付け限度額についての考えでございますけれども、現行は、その預金者の貸し付け額の限度は十万円になっておりますが、これを五十万円の幅に上げたい。非常に利用者の好評を得ており、かつまた預金者の方々の要望も非常に熾烈でございますので、関係方面と詰めまして、この実現方にいま大いに努力中でございます。  第二点の郵便貯金と勤労者の財形貯蓄関係でございますけれども、由来この郵便貯金と申しますものは、御説明申し上げるまでもなく大衆の零細預金、国民の六〇%が利用しております。その中の七〇%が勤労者ということでございます。かつまた、そういうふうな資産の形成に役立たなければいかぬという国の経営する貯蓄事業が、財形貯蓄に参入といいますか参加してないというのが、もともと奇異の感を持たれるわけでございまして、私のほうは鋭意、主管する労働省その他のところと意見を調整しまして、これに参入するといいますか参加するように努力を重ねております。  もう一つの点は、利率の点で何かほかに考えが断るのではないかという第三の点でございますけれども、私のほうでは年末の、特に大型化を伝えられておりますボーナスの吸収、過剰流動性の吸収と、また貯蓄の増強という点で物価の抑制につながるという観点から、時限的な短期のものではございますけれども、半年の定期郵便貯金という制度を創設いたしまして、大体民間もその同じ商品を売り出す予定でございますが、半年定期預金は、現行五・二五%の利率が付与されておりますけれども、これを民間も一%上のせいたしまして、六・二五%の商品を売り出す。郵便貯金の場合におきましても、全く同じ半年の定期郵便貯金というものを創設いたしまして、利率、特利一%ということで六・二五%の商品を売り出して、その所期の目的を達成したい、こういうふうに考えております。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 第一点の預金者貸し付けの限度額を五十万に引き上げたい、これはその時点で議論をしますが、全く賛成ですから……。それから、財形貯蓄郵便貯金も入れてもらうということでいま折衝中、これも賛成でございますが、その貯金利息の関係ですけれども、定期貯金の五。二五%、六カ月ものですか、これを新設するということですが、今日まで郵政省がとってきた貯金の大きい目標は、長期の預金というのを大きい目標にとってきておるわけです。したがって、一年ものとか、あるいは一年ものというよりも定額にしてころがしていく、これが一番多いと私は思うのですが、そういう中で六カ月間という、ある意味では非常に短い期間を切ったものだけに、いわば特利をつける、そうすると、いわゆる一年目当ての定額預金をするよりも、六カ月の定期預金にして、六カ月目に切りかえて、あと六カ月を定額にする、そのほうが利子勘定すれば多くなるわけですね。そして、一年ものを最初から契約したものは利子が少なくなる、こういう形になるわけですが、その点、いままで郵便貯金というのは定額貯金で預けて六カ月ごとに複利がついていくから、しかも長くなるほど利子が高くなる、そこで、非常に有利であり、長期にわたって預けられるという他の金融機関とは違ったイメージなり、また宣伝もできたわけですけれども、こういう六カ月の定期を設けることによって、むしろ六カ月の定期のほうが有利じゃないか、あとを定額に切りかえよう。それも二年、三年という余裕のあるものは別ですよ。今日のように経済情勢の変転が激しいときに、おおむね一年間を目途として貯金をする場合には、定額よりも定期がいいというかっこうになってきて、郵便貯金の今日までのイメージがこわれてくるような気がするが、どうですか。
  90. 船津茂

    ○船津政府委員 阿部委員の御質問、全くもっともだと思いますが、この半年の定期郵便貯金は全く時限的な、今回限りの商品でございまして、売り出されまして、十二月十日から来年一月十二日まででございますけれども、その後半年で消滅するわけでございます。おっしゃるとおりに、半年定期貯金をしていただいて、それをあと払い戻しを受けられて、その実額そのものを定額郵便貯金に預けられますと、一年五カ月程度まではその仕組みのほうが利率は高うございますが、一年半を過ぎてまいりますと、もともと定額郵便貯金に預けていただいたほうが利率がわずかながらもよくなります。そういうふうな仕組みになっておりますので、私のほうも、イメージがこわれるという御指摘はあるいはもっともかと思いますけれども、やはり長期の貯金をしていただくならば定額郵便貯金、今度の年末のボーナス獲得その他、郵便局の人が一生懸命やっていただいておりますけれども、やはり主力は定額郵便貯金でございまして、その余力ではございませんけれども、一けた違うぐらいの目標額が定期郵便貯金に期待されております。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この構成比を見ますと、定期貯金は郵便貯金の中で一%しかなってないようでございます。この一%の定期貯金が、今回貯金の利息一%の上積みでどれだけ集まるか私はわかりません。どれだけのものが集まるかわかりませんが、こういうものをわざわざつくることによって、いままで長くあった貯金は郵便局だというイメージがこわれていくおそれがある、そのことを非常に心配をしますし、現場で募集をされる方々も非常に説明しにくいのではないか。あなたは一年預けますか、一年ならばこれに六カ月預けて、それから定額に六カ月して、それが一番有利ですよ。一年半ですか、一年半ならば、これは初めから定額のほうが有利ですよとか、こういう説明をずっと繰り返していかなければならないだろうと思うのです。そうしてそういう説明を繰り返して、一年半以上は定額が有利であるということをPRをしたとして、六カ月でこの特利の貯金が終わりになればいいのですが、もし六カ月先の経済状態がいまと変わらなくて、さらに六カ月ものの利子の上積みなどが出てきたときには、うそを宣伝した結果になってくるわけなんですよ。非常に私はこの貯金を新しくつくることについてそういう点で懸念をするわけです。やすきにつこうとして、郵便貯金の持っておる一番いいものをこわしてしまうのではないかという懸念と、それから、これは六カ月ものですと言い切っておるが、六カ月先にもう一ぺんこういう制度が生まれる心配がないかどうかです。この点が非常に気になるのですが、六カ月先はどうですか、大臣、こっちのほうは。
  92. 原田憲

    原田国務大臣 阿部さんのおっしゃる点は私も同感を覚えるのです。何しろ緊急の対策で、少しでもお金が散らばらないようにという方策で経済閣僚懇談会で話があり、そういう意味で、それではわがほうも協力しよう、こういういまの定期預金ですね、これはおっしゃるとおりだと思うのです。そこで、これはその時限のものだけだ、預け入れの期間もきまっておるし、六カ月だけだ、こういうことで踏み切っておりますので、御心配のないようにつとめたいと思います。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つ貯金局長に、直接これと関係ありませんが、要望しておきたいのですが、いわゆる住宅貯金でございますね。これができて、かなり売れておると思うのですけれども、あれは本来窓口で受け付けるということを原則にしておるようでございます。しかし実際にはやはり足を運んで話をしなければなかなか住宅貯金の趣旨が徹底をしないので、窓口まで出てきて住宅貯金をしたいがという人は少ないので、実質的には第一線の外部の方々が足を運んで、こういう制度が郵便局にありますから住宅貯金をしませんかということを勧誘しておるような実態です。  ところで、この住宅貯金は窓口受け付けを原則としておるために、幾ばくかの募集手当がほかの貯金にはあるわけですけれども、住宅貯金にはこれがないわけです。しかし、人の家に募集に行けばいろいろな雑費も要るわけでございますし、そのために募集手当もあるわけでございますから、踏み切るのがいいか悪いか私問題があると思いますけれども、ほかの貯金との均衡上、局外での募集に踏み切って、そしてこれに募集手当を出すというふうなことについて検討する余裕がないのかどうか、ひとつこれは専門の貯金局長のほうからお答え願いたい。
  94. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えします。  住宅積立郵便貯金は四十七年の一月からだと思いますが創設されまして、初め窓口ということで、おっしゃるとおりあまり成績の伸びはよろしゅうございませんでしたが、外野の方も一生懸命、手当てがないのにもかかわらず奨励していただいたおかげで、本年度に入りましてから飛躍的に伸びまして、三万件程度になっておりますが、先生おっしゃる意味のいわゆる募集手当、何らかの意味で労に報いるべきではなかろうか、ごもっともでございまして、いま研究中でございます。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、いずれにしても、こういう制度が一つずつふえていくことについて、やはり第一線で働いておる職員の方々はそれなりにたいへんな苦労をされておるわけです。その上にもってきて、さっきから種々論争をしたような労使間の不信があって、職場はおもしろくない、こういうような状態になっておるわけですから、私は一線の諸君に報いるようなあらゆる努力と、もう一つ労使間の不信を除去して利用者の 貯金に限らず郵便すべてを含めて郵政事業の利用者へのサービスということを第一に考えて、過去の行きがかり、メンツにこだわることなく、やはり一線の労働者を大事にする、特に郵政事業は人間でやっておる事業であるということを念頭に置いて、格段の努力大臣が傾けていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  96. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 午後一時二十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十八分開会
  97. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土橋一吉君。
  98. 土橋一吉

    土橋委員 さきの理事会でも申し上げましたように、やはり定員の半数がそろいまして委員会を開くのは国会法の規定でもちゃんと認めておることでありますので、今後さような取り計らいと、また善処のほどをお願いをしたいと思うのであります。なるほど、大臣の都合によって私の質問が早くなっておることについて、私は決して異議を言いませんけれども、しかし郵政大臣は、初めの約束のように、本委員会を開いたときにはできる限り出席をして、説明をし答弁をするということになっておりますので、ぜひこれを実行していただきたいと思うわけです。  そこで、短時間であります。私は、郵便法の一部改正に関する問題と、それから郵政省が最近膨大な局舎建設あるいは宿舎の建設など行なっておる、この問題にからんで、過日十一月の八日に一般新聞で報道されておりますように、郵政省及び郵政局の高級官吏諸君の汚職腐敗の問題が大きく取り上げられております。この問題をやはり質問したいと思っています。第三番目には、ついせんだって一万二千五百四十三名の大量処分を出しておるわけです。そしてまた現在、全逓労働組合との間においていろいろな紛争状態を巻き起こしておりまして、全国の郵便局至るところできわめて緊張した状態にあるわけです。でありますから、この一万二千五百四十三名の大量処分というような問題について少しく質問をしてみたいというふうに思っております。以上大体三つが私の質問の中心であります。  郵便貯金法の一部改正によって、先ほどいろいろ説明がございまして、大臣も詳しく述べられました。  その前に、言い落としましたので、原田憲郵政大臣三ツ林郵政政務次官の就任に対しまして、まことにたいへんどうも御苦労さまでございます。  さて、ここに提案理由説明しておりますように、「郵便貯金預金者の利益を増進し、あわせて貯蓄の増強に資しようとするもの」であるというふうに説明されております。はたしてこれは郵便貯金預金者の利益をほんとうに増進をし、あわせて貯蓄の増強に資しようとしておるのかどうか、非常に私は一つ疑問を持っておるわけです。なぜかと申しますと——これは国対委員長でよく御承知であった、原田さんは。七十一特別国会において、経済企画庁長官だった小坂善太郎氏の説明によりますと、ことしは秋及び暮れは経済が鎮静をする、全体の成長率は、経済が安定をしてくるんだから大体六%前後を考えておる、特に最近の物価から考えて、秋口から暮れには鎮静する。これを繰り返し本会議においてもあるいはその他の委員会においてもお話しになったと思うわけです。ところが、あにはからんや最近の物価の異常な高騰は、もう皆さんのよく御承知のように、卸売り物価で二〇%上がっておる、一般の小売りその他の消費者物価は一五%をはね上がっておるわけです。そういう中において、灯油がないとかあるいはちり紙がないとか、あるいはお砂糖がないとか、お砂糖のごときは、特に最近でありますけれども、一キロが百二十八円であったわけです。これが私の立川方面では大体二百八十円くらいしている。二百八十円ですよ、百二十八円のものが。灯油にしましても、最近いろいろ通産大臣説明をされておりますけれども、四百円以下の灯油なんというものはどこをさがしたってないわけです。こういう状況で、異常に消費者物価が上がっておるわけです。したがって、前内閣を引き継いだ田中政府の国務大臣として、郵政大臣はこういう問題についてどういうふうに物価の値上がり、物不足を真剣に解消しようとしておるのか。そういうことをやらないでおいて、あるいは独占物価を下げないでおいて、ただ六兆円のボーナスが出るからこれを吸収しなければならぬというだけで——いろいろなことを考えていらっしゃる点は、私わからないじゃあないんです。わかるわけです。しかしながら、田中自民党政府が基本的な国民本位の政治をやるかどうか、それとも日本列島改造を中心とする生産第一主義、高度経済成長政策をやめるかどうかというところがやはり視点であるわけです。中心点であるわけです。  それと、郵便貯金法の一部改正によって百五十万円の限度を三百万円にするという問題と、それから金利を幾らか上げることによって吸収できるかどうかという問題との関連、関係といいましょうか、そういう点は一体郵政大臣はどう考えておられるのか。ただ六兆円のボーナスが出るからといったって、いま労働者は一カ月のインフレ手当を要求しております。それで、鉄鋼労働者にしても、御承知のように、この暮れにもらう金は、新聞にもみな書いておりますけれども大体二十五万円くらいだろう、この夏の手当で二十四、五万出したのだから、合計すれば大体四十何万、五十万近いものであろうというようなことも新聞は報道しておるわけです。そうすると、鉄鋼労働者の二十五万円前後もらうといわれる内容は、勤続年数において十年前後つとめておる人よりいないわけです。ですから、相当長期間つとめて、しかも会社ではあるいは職場では、あの人は上のほうだというような方が二十四、五万円のいわゆるボーナスをもらう。大多数の郵政労働者あるいはほかの労働者もそうですが、その平均賃金まで至らない君が多いわけですね。そうすると、もらう額というのは、御承知のように二・三カ月とプラス——かりに国家公務員は三月の手当を二つに割って〇・三を出す、いわゆるこういう労働関係勧告等も出ておることから見ますと、二十万円未満の者が多いわけですね。三百万円ということを掲げておるけれども、実際はもらう大多数の青年労働者、婦人労働者はきわめて少ない金額をもらうわけです。そこにもっていって洋服の一つも買う、くつも買う、こういう事態が起こってくると、一体郵政省が三百万円を限度とするようなものを掲げておるのは、これは田中総理大臣やあるいは最高裁判所長官は二百何十万円もらうそうですから、相当税も引かれましても百四、五十万円入るでしょう、こういう人はこの三百万円預金には該当しますけれども、国会議員は、新聞で拝見しますと百三十万円だそうです。これは税込みですから、税金を引かれますと、国会議員といえどもそんなに三百万という金を預けることはできない、あるいは二百万という金を預けることはできない。大多数の働く人々は——こういう法律をつくって、つまり官吏でいえば本省の局長、課長級以上、中小業者でいえばかなりの生活の余裕のある者はこの恩典によってたいへん利益を受ける。大多数の人はこの恩典によって一体何ぼ利益を受けるか。つまり二十万円貯金したところで、御承知のように、それほどさしたるあれはないということになってくると、これは結局田中政府が国民に今日まで示しておる総需要の抑制ということから出て、こんなきわめて見通しのない、しかも一般勤労者のいわゆる貯蓄というものに対して真剣に考えていないのではないかというような気が私はするわけです。  ですから、郵政大臣はこの問題について、先ほどあなたもお話しなさったように、千二百万円とか言っていますけれども、こういうものを上げることによって、その恩典に浴する者は社会においてはかなりいわゆる収入の多い人が大多数だ。二十万円貯金できる人はたった千円しか利益は上がらない。そうしますと、六・二五%に金利を上げてやるといっても、物価が一五%も上がっておるのですから、経済の原則に従って換物運動、つまり金を物にかえて持っておるという方向に動いてくるわけです。これは資本主義の原則です。そういうものにこういう法律ではたして対抗できるのかどうか、あるいはこれがつまり国債とかあるいは有価証券などの関係とか、そういうものとどういうバランスをとっておるということもさっき御説明がありましたけれども、私はこれはむしろ奇怪なる法律じゃないかというような気がしておりますので、簡単にお答えを願いたいと思います。
  99. 原田憲

    原田国務大臣 だんだんと土橋委員のお説を拝聴いたしておりますが、確かに先ほどもちょっとお答えの中に言いましたが、国民の可処分所得の問題と非課税限度額の問題は議論の的でございますが、先ほどの阿部委員もお述べになりましたように、この拡大ということはやはり逓信委員皆さん方からは相当強く御要望もあるようでございまして、これは来年度、四十九年度の施策として実現をするという目標が立っておりましたわけです。いまあなたがおっしゃいましたように、確かに前の小坂経済企画庁長官がこういうようになってくるであろうという答弁をいたしておりましたが、そのようになってきておらない、それに処するためにどうしたらよいかということで、その上に石油問題というような重要な問題まで加わってまいりましたので、この国会の壁頭、石油法案あるいは生活法案を政府は提出いたしまして、早くそういう事態に対する処置をとろうと考えておるのでございますが、物価問題と取り組むというこの一番の大事なことならば何でもひとつやってみるべきじゃないか、こういうことの一つとして、いまいわれておりました問題を早く取り上げて実現をすることによって、総需要の抑制、こういう対策の一つになる、こういう判断のもとにこれを提出いたしておりますが、銀行預金と比べましてこの郵便貯金が最も零細庶民といいますか、それの貯蓄であるということは皆さんもお認めになっておるところでございます。その銀行預金に対しまして、一方の法律をもちまして非課税限度額を三百万円まで拡大した処置をとろう、これはあとで法律をつくりましてもさかのぼってこれを適用するということが法律上できる。ところが、郵便のほうはこれは法律で限度額がきめられておりますので、その施行の日から初めてその非課税限度額というものが実現をする、こういうことになれますので、この法律をぜひ一日でも早く実行することによってバランスをとるようにしたい。いわゆる庶民の預金というものの制度の中で最も重要な役割りを占めておる郵便貯金にその第一番の適用をしなければならぬのじゃないか、こういうことが今度の法律改正の主眼になっておるわけでございます。  したがいまして、なるほどおっしゃるように一ぺんに三百万円預けられる人があるか、これは私は少ないと思います。これは田中さんにしたって、ボーナスをもらってすぐ郵便貯金にするわけではございますまいが、限度額が百五十万から三百万に拡大することによりまして、郵便貯金を利用されている方の非課税限度額がふえていくということで、あとで出ました法律で適用された人たちはさかのぼって適用を受けられるというならば、こちらはそれよりも早くなるくらいの速度でやらなければならぬ、こういうことで皆さんの御理解を賜わりまして、この予算委員会のございます中でお許しを得まして私が提案理由説明をし、御審議を願っておる次第でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  100. 土橋一吉

    土橋委員 いま大臣もおっしゃいましたように、小坂経済企画庁長官や前内閣はことごとにそういう説明をしてきて、そして御承知のように今日は異常な状態になってきておる。この責任は田中内閣の重大な失態でもあるし、またその責任をわれわれは予算委員会などで追及いたしております。しかしながら、追及しただけでは解決しませんので、やはり大資本がつくっておる自動車であるとか車両であるとか飛行機であるとか、とりおけ鉄などについて不当な価格を操作をしておる大資本のそういうもうけに対しまして、やはり国会の調査特別委員会等をつくって厳重に原価計算等いたしまして、もちろん商行為でありますから適正な利潤は保証しなければなりません。しかし、自動車一台が御承知のようにアメリカへは三十五万くらいでアフターバーナーをつけて出しておる、日本国民にはそれを七十万で売りつける、こういう悪質ないわゆる取引行為をしておるわけです。そういう諸君に対する徹底的な措置がとられないでおいて、わずか手当の十万とか十五万もらっている人から、要するにこの寒さを控えまして灯油がないとか高いという事態で、貯金せよというほうがどっちかというと少し無理じゃないか。  労働者が一カ月インフレ手当を要求して御承知のように全国的にいま戦っておるわけです。おそらく全逓の戦いもその一環であろうと思う。そういうものも一つの中に入れての戦いだと思うのです。そうしてくれば、三百万円という限度は、あなたのお出しになったこの資料を見ても、ここで見ますと定期貯金は全体の口座のうちのたった〇・一%ですよ。そうしてその金額は御承知のように平均しまして三十五万五千円だという例を出しておるわけです。一般の国民が平均したら三十五万円しか定期貯金を預けないような状況の中で、三百万だ。結局三百万円前後近い、たとえば二百万円であるとか、一歩譲って百万円であるとか八十万円なんという貯金のできる人は、これは国民の全体から見るならばごくわずかなものであります。そうすると、少なくとも国民生活の中においては非常に余裕のある者にさらに、まあ言えば高い利子を与えてやる。それじゃ十万とか五万円預ける人といえば、その利子の関係はたった五百円かたかだか六百円、これじゃ品物を買っておいたほうが物が上がるんだから、どんな人だってばかばかしくてこんなものに半年間も金を縛られることはいやだというのもまたもっともなことだというふうに私は思うわけですよ。ですからここらの点は、私もまだ初歩的でございますのでもっと資料を研究しなければ、この問題について経済全体の問題と田中政府の姿勢の問題から検討いたしまして後刻に質問を保留しておきますけれども、こういう事態でこれを出しましても、結局のところは田中政府のいわゆる年末六兆円ボーナスの吸収策をとったという名前を残すだけであって、その恩典に大部分浴する者は、結局多くの勤労者階級の人より地を抜いた部長であるとか課長であるとか、あるいは業者でいえばかなりいいもうけをしたという人がこの恩典に十分浴することができるのであって、大多数の十万とか十三万預ける人にとってはほとんど、この物価の上がっている状況から、あんなところに預けて、あの際に灯油を買っておいたほうがよっぽどよかった、こういう結果を招来するようなこういう政治が行なわれておる。その基本問題にメスを入れないで、ここだけ一生懸命で、それ以外は御承知のように国債です。あるいは有価証券です。そんなものを買う余裕のある人はかなり余裕のある人です。ですから全体のバランスから見ると、この郵便貯金は、ほかの国債を買う人とかあるいは社債、公債を買う人とかあるいは銀行に金を預けておるような諸君とだいぶん質が違うわけですね。  こういう点から見て、私はこの法案については非常に疑問を持っておる一人であります。特に田中政府は物価抑制の政策は根本的にやらないでおいて、こんなところで総需要の押しつけをするような一環にこれが使われたんではたいへんだということを私は先ほどの答弁から、またいまの答弁から考えておりますので、詳しいことは保留いたしますが、最後に、私はそういう考えを持っておるわけですが、郵政大臣どうでしょう。
  101. 原田憲

    原田国務大臣 議論をするために申し上げるんじゃございませんが、収入が入ったものをみなが物にかえにほうがよいということですぐさま物を買う、これがまた一方で買いあさりとなり物価の騰貴を呼ぶという影響が必ず起こってくる。それをひとまず貯金をしてもらうということで、何を買うかということはそれからひとつ判断をしてやってもらいたい、また簡単に申し上げるとそういう手法の問題になってくると私は思います。したがいまして、いまこの際にはぜひ早く御賛成を願いまして、もう保留もせずにひとつ土橋先生に御協力を願いたいと思います。
  102. 土橋一吉

    土橋委員 ですから、私は、田中政府にまっこうから対決をしておる政党でありますので、田中政府の名をなさせるようなことに賛成するわけにはまいりませんので、気持ちはよくわかりますし、またそういう全体の総需要を抑制するということの基本的な態度もわからないわけじゃございません。ただ問題は、そういう買い占めとか売り惜しみをしたり価格を異常につり上げておる大資本の価格抑制対策を十分講じなければならぬということはまぎれもない事実であります。でありますから、私は決して無法なことを申し上げたつもりは毛頭ございません。この点は原田郵政大臣も御了承願いたいと思います。  次の問題は、一体郵政省は、私の記憶ですと、今年度四十八年度で郵便局舎、寄宿舎その他の建築物については八百四十数億円の予算支出をするようになっておったが、はたしてそうであるかどうか答えていただきたい。
  103. 武田礼仁

    武田説明員 今年度の建設勘定の予算は四百三十億です。(土橋委員「建設費に使うお金、宿舎を建てるとか局舎を建てるとか」と呼ぶ)家を建てるための金というのは三百四十億程度だと思いますが……。
  104. 土橋一吉

    土橋委員 それはもう一回研究してください。たしかあなたの出した予算は八百四十数億円であった。ちゃんと私は記憶しておる。それは寄宿舎もありますよ、老朽舎の修繕もありますよ、そういう金です。
  105. 武田礼仁

    武田説明員 建設勘定で建てます建設、ほんとうに建物を建てる金ですね。それは三百四十億ぐらいでありまして、郵政省建築としましては、そのほかに共済組合で宿舎を建てるということをやっております。共済組合で建てます宿舎といいますのはせいぜい五十億程度でございますので、それを足しましても本年度の——どうも建設というのでことばがすぐ出てしまうのですけれども、建築のための金は合わせましても四百億を切ると思います。
  106. 土橋一吉

    土橋委員 私も調べましてから、もう一回またいろいろ検討をお互いにしましょう。  それにしましても、郵政関係は全国で約十一でございますか、そうしますと、かりに四百億であっても、あるいはちょっと出て五百億であっても、各郵政局管内では、十一でございますから、ならして言えば大体四、五十億の建設をする、こういうことになると思うのですね。したがって、いま問題になっておる近畿郵政局の橋川という建築部長、橋本という建設関係の課長、それから中村という関係のいわゆる公務員が業者から金をもらったとか呼ばれたとかして、そして建築したということが新聞に出て、橋川建築部長の顔まで新聞に出ておるのですが、こういう事実があったかなかったか。
  107. 武田礼仁

    武田説明員 非常にぶっきらぼうな返事ということになりますと、起訴された者あるいはいまだに起訴されていない者もございますが、まだ裁判は行なわれておりませんし、この段階でちょうちょうするということは避けたいというふうに申し上げれるわけでございますけれども、あるいは本人が認めたことも多少あるかもしれませんですけれども、新聞に出ておりますこと全部が真実ではないと私は信じております。
  108. 土橋一吉

    土橋委員 世間にはよく火のないところに煙は立たないと申します。これは一つの真理だと思うのです。この橋川君が業者であるところの佐伯建設から関西方面において金をもらって、どこかのレストラン等で遊興しておった事実もこれは新聞には書いてあるわけですよ。これは、あなたがおっしゃったように裁判にならなければ、なるほど裁判において判決決定しなければ、いわゆる罰金とか、牢獄に入れることはできません。しかし、国家公務員がさようなことで世間から糾弾をされ新聞に載るというようなことについて、いまあなたの仰せになったような説明だと、判決がでなければ何とも言えぬというような答弁に聞こえるような説明だったと思います。これは国家公務員としてまことにふがいないことであって、国家公務員は少なくともこういうことについて真剣に取り調べたり、事実の有無もはっきりさせなければならぬ。あなたの説明だと、あったかなかったかわからぬようなことを言っているけれども、なかったらなかったでけっこうです。いいことですよ。あったとすればけしからぬことであるから、かりに四百億にしてもあるいは八百億にしても、郵政省が建物をつくるとか宿舎をつくるとか、あるいは器具器材を購入するとか、一般の国民から見るならばたいへん膨大な予算であるわけですよ。それを預かっておる建築部長という職責の人がこんなことをやってくれるんじゃ、これは郵政省と建設業者とのいわゆる癒着、あるいは汚職、腐敗というものが限りなくあるといわなければならないように思えるわけです。私は決してそういうことを思いたくありませんけれども、これは郵政の健全な発展のためにはまことに重要な問題です。これは国民事業でございまして、国民のいわゆる郵便切手その他の料金を払った金によって採算をとっている事業体でありますから、だから明確にしてください。ないならない、あるならある、あるならどういう処置をしておるのかきちっとしてください。
  109. 武田礼仁

    武田説明員 ことばが少し足らなかったかと思いますが、新聞にいろいろ書かれておりますことについて、いまここでちょうちょうして、一部分が正しいとか正しくないというふうなことをこの時点で言うのははばかられることではないかというふうに思いますのでそのように申し上げたわけでございまして、国家公務員としていささかも疑いを受けるようなことをしたということは確かに申しわけないことでございまして、おわびを申し上げておきます。いろいろ新聞に書かれておるわけでございますが、そのことにつきましては、あるいは逮捕されておりまして直接接触できない者は不可能なのでございますけれども、私たちが調べると申しますか、聞くことができる人たちには聞きまして、そのような事実はないという返事をいただいております。  それから、そういうふうなことで、あるいはここでちょうちょうするべきではないとか、あるいは、そんなことはないのだというふうにてん然としているのではないかというふうな言われ方をされたわけですが、そのようなことはございません。そういうようなことが起こりまして、さっそく私どもはどういうことをすればいいか、どういうふうに措置をすればいいかと申しましても、大きく分けまして三つあるかと思います。まず一つは……(土橋委員「簡単でいいです。あったかなかったか、あったとすればどういう処置をしておるのかということを聞いておる。ないならないでいいです」と呼ぶ)ないという返事をもらっておるわけでございます。  それから、逮捕されております者については、まだ接触いたしておりません。
  110. 土橋一吉

    土橋委員 いま、部長さんだと思いますが、ないと言われました。しかし、現に中村君という関係係長は逮捕されておりますよ。しかも汚職、これはあなたもお読みになったでしょう。「エリート部長も供応」という題で、これは学校を出た方々に対しても非常に一つの衝撃を与えておると思うのです。こういう記事が載っておって、ないと言うならないでけっこうだ。しかし中村君は逮捕されて、まだ勾留中ですよ。あなたがいまここでおっしゃったように、検察官がはたして起訴するかしないか、まだあなたにはわからぬでしょうけれども、もし起訴をしたときには、いまあなたがおっしゃったようなこの答弁はどういうことになりますか。もし検察官が橋川君と橋本君——どうも橋のつくのはあまりよくないのが多いようですけれども……。この橋本君と橋川君ですが、要するに問題があると思うんですよ。あなたがそういうきれいな答弁をされまして、それで終わるような結果ならこれはけっこうですけれども、もし起訴をされたということになれば、あなた方の監督不行き届き、また、そういう面におけるルーズさが天下にいわゆる暴露されるわけですね。そういうことについてあなたは責任を負えますか。
  111. 武田礼仁

    武田説明員 新聞に出ておりますので、こういうことをおまえしたかということを聞きまして、そのようなことはありませんという返事をもらっておるわけでございまして、それ以上突き詰めたやり方というのは一般的にはできかねるのではないかと思うのですが……。
  112. 土橋一吉

    土橋委員 私はそれ以上追及いたしませんけれども、いま申し上げた金を取り扱ったり建築関係あるいは用度関係あるいは器材購入関係はとかく世間からいろいろうわさをされるものなんです。非常にまじめにやっておっても、何かくさいじゃないかとか何かどうだというようなことが間々言われるものです。ですから、よほど高潔な体制をとっておりませんと、これはとんでもないぬれぎぬを着る場合もあるし、実はそれは本物であったという場合もあるわけです。だから、これがいまあなたの御答弁の程度で終わればけっこうですけれども、特に金銭を取り扱ったり資材を購入したり建物をつくるというところは、これはどこの官庁でもやはり厳重にやらなければいけませんよ。これは重要な問題です。ですから、この橋川さんという方や橋本さんという方だけを私は責めておるのではないのです。郵政全体の、要するに全国のものを買い入れたりあるいは払い下げをしたりする、そういうところにとかくそういう問題が起こりやすいですからね。各省でも、そういうことは最近新聞でごらんのとおりであります。  さて、この問題については、私は先日、東京の高仲郵政局長に連絡をいたしまして、各郵便局を回りました。ずっと現場視察をいたしましたが、いろいろ御努力をされております。特に窓口なんかは目をみはるほど改正をしております。たとえば私は昨日広島県の御調町というところの郵便局を訪問しました。また同じくきのう夕方に尾道の郵便局を拝見さしてもらいました。ここで私が特に感心したことは、御調町の二十二名程度の特定局でお年寄りのために、まっかにふちをとった老眼鏡を三つ、ちゃんと窓口のところにやってあるわけですよ。この局長、幹部諸君の、特に農村における、つまりほとんど文字が読めますからね、老人をいたわる気持ちに私は涙が出るほどうれしかった。それほど配慮をしておる局もあるわけです。また歳末を控えましてどこの郵便局でも非常にくふうをしまして、窓口を非常に明るくしておる。かつて見られないほど大きな成果をあげておるわけです。たとえば八王子郵便局にはお花の師匠さんが、この方は非常に熱心な方らしいですけれども、ばっとしたいけ花をちゃんと窓口の横のところへやりまして、御本人の名前が書いてあります。ですから私はこれ以上申しませんが、いずれにしてもそういう奇特な方もいるし、またそれが局全体の空気、窓口を非常に潤しておるわけです。こうした非常に進んだ面があると同時に、逆にこういう面が出てきたんじゃ話にならないということをぜひ皆さんに知っていただきたいために、私はこのことをつけ加えておくわけです。  さてそこで、私はちょうど二十九日に小平の郵便局を訪問しました。そしていまの滞留騒ぎで郵便物滞留しておるというので、いろいろ事情も聞きました。また労使間のそれぞれの問題も拝聴いたしまして、そして局舎を見せていただきました。新しく建築したところとかそういうものを全部見せていただきました。ところで、この小平郵便局というのは、人口十五万ほどでございまして、局員さんも大体国分寺の郵便局から分かれまして現在は二百名足らずくらいな局でございます。この局は、前に多摩湖線という電車が通って、その横に大通りがございまして、多くの人々がその郵便局の姿をよく見るわけです。小平の郵便局というのはつまり地勢の関係上、その横の大通りは学生とか、つとめ人とか、一般の主婦とか、買いものの人たちがわっさわっさ通るところなんですよ。そこに建てられた郵便局の建物、何とこれが古材で、どこかのお湯屋さんか何かにもらったそれこそちぐはぐな材料で、柱を二本も継ぎさしていたり、あるいははりになっているところをちょっと切ればいいのを切りもしないで、つまりきたない木がそのまま出ていたり、突っかえ棒に打っておった板が割れておって、もうどこかから拾ってきたような板を打っておるわけですよ。私は郵便局の外観も大切だと思うわけですよ。今度年末を控えまして、たとえば郵便物を置くとかあるいはかりに自転車を置くとか、あるいは人がちょっと入って雨宿りをするとか、人目のつくところで一体何たる建物だ、局長さん、あんたこれ点検したかと言ったら笑っておったのです。林さんという局長さんです。それに引きかえて、私は八王子郵便局の作業場を見たが、これは非常にきれいです。人間が千人くらい入れるような作業場で、そこに百二十九名移動して八王子の年末のそれをやるというわけですよ。これは木造のいわゆるプレハブの建物ですけれども、ばりっとしておる。そうすると、局長がそういう単価をきめるときに——ただで大工さんにやってもらったのなら別です。ただでやってもらったとしても、一人役、二人役を加えて、そんなきたない柱を出したり、古トタンで屋根をしておるわけですね。私はすぐ、これはどうも黒い霧があるのじゃないかと思う、局長決裁で建て増しをしておるようだけれども、これはひとつ調べたほうがいいと言って、すぐ電話で高仲東京郵政局長に連絡をしておいたはずだが、どういう回答になっておるのか。ただでやったのか、きちっとした正規の建て増しの料金であんなものをつくったかどうか、この点を明確にしていただきたい。
  113. 武田礼仁

    武田説明員 ただいまの御質問の件は、おそらく郵便局の年末の作業用につくられました通称年賀仮設というものだろうと思います。ですから恒久的な建物ではございませんで、年末、あるいは年始にも少しかかるかと思いますが、膨大な量になります作業に対して、平生建てております恒久的な建物では作業面積が足りなくなるものですから、一時的に仮設の建物を建てまして、そこで作業を処理するという方法で年末の作業を行なっておるわけでございまして、そういう建物はかなり前からいろいろ使われておりまして、去年使いましたものを夏の間はどこかの倉庫にしまっておきまして、またことしも使う、あるいはおととし使いましたものを使うというようなやり方で長年やってきておったわけでございます。それがあまり作業環境がよくないのじゃないかということで、プレハブのリースと申しますか、冬の間だけ建ててもらって借りるんだというようなやり方で良好な作業環境の仮設の建物をつくろうということに移行してきております。  しかしながら、まだ全部がそのようになっておるわけではございませんで、一部分古材と申しますか、去年も使いあるいは三年前にも使ったというようなものを利用して、やむなく年末の仮設をつくっておる局もございます。おそらく小平の場合はやむなくそういう古い材料を使いまして建てたものだと思います。
  114. 土橋一吉

    土橋委員 建築部長さんの説明はきわめて抽象的で誠意のない説明のしかたであると私は思うのですよ。私がいま申し上げたように、八王子の新しく郵便物をさばくところの建物は、バラックではあるけれども千人も入れるようなきれいなきちっとしたものである。片方は、いまどき鳥小屋だってあんなきたない小屋は全国歩いたってないですよ。プレハブの野菜栽培のところだっていまは鉄骨できちっとビニールを張っておるのですよ。どんな山の中へ行ったって今日は全体の関係はそういう点は非常に進んでおるわけですよ。しかも局舎の見えないところで、ちょっとお手洗いに入るとか、ちょっと品物を置くとかいうのは、そんなことを私は文句を言わないのです。人さまがどっと通って見るところに、しかも古トタンで材木をこんなに継ぎ合わせて、継ぎ合わしたならちゃんと板でも打っておけばかっこうがつくものを、わざわざ上と下と切り離したところがはっきりしておるような、しかも軒になるところのそでが、ちょっと切ればいいものをきたないこんなかっこうした木が出ておる。こんなのは郵便局の権威に関するじゃありませんか。そこを私は言うのですよ。ですから、同じ仕事をするにしても、局長さん、あなたはあなたの責任でやったと言うならなぜ点検しなかったのか、こんなきたならしい建物はいま小平の町どこへ行ったってありませんよということで、高仲東京郵政局長に調べなさい、すぐ板でも打ってきれいにするようにしておきなさい、みっともなくてしょうがない。あんなかっこうで薄ぎたないところで、トタン屋根で、柱の曲がったようなところへ郵便物を入れたらお客さんのほうだって心配しますよ。そういうことは単価がきまっておるならば、ぜひ単価でちゃんと買うように、ただにしてもらったら、ただでございますというならきちっと説明したらいい。局長はただと言わなかった。日当がどんなに高いにしても、一度行ってごらんなさい、あんなのが郵便局の建物の端っこにたくさんつくってあったんじゃみっともなくてしょうがない。ですから、私は黒い霧だと思うのだがどうかということを言っておるのですよ。何も林さんという局長さんが悪いわけでもないでしょうけれども、十分点検をしていない。あんなきたならしいものを郵便局の回りじゅうに建てて、それこそ郵便局員が肩をすぼめるような建物ですよ。建物というのは名ばかりで堀っ立て小屋ですよ。ではほかの郵便局はどうか。かなりきれいなものを使っておりますよ。ベニヤ板にしたってなかなかいまどきの値段にしては相当なものを使っておりますよ。なぜ小平だけそんなものを使わせるのか、特別意図があるのですか、あなたのほうは。小平局を憎んでおるのですか。さもなければ、与えた単価をどういう方法でいわゆるしっぽを切ったものかというような点が、私は非常に疑わしい。ですからすぐ高仲君のほうへ電話をかけて聞いてみてください。ちゃんと私はそのことを忠告もしてあるのですよ。あなた行ってすぐ点検しなさいよ、あんなきたないもの、きたなくてしょうがないからということまで言ってあるのです。よろしいですか。ではこれ以上質問しません。  その次は、あなたのほうはどういう関係か、この新聞を見ますと小包は当分停止をすると十二月四日新聞に発表しておるのだが、そんなことをやるのですか。これから、何といいますかお世話になったからというので、郵便局は安直に早くやってくれるというので皆さんが喜んで、デパートあたりでもサケとかそういうものをどんどん郵便局へ小包で送っていただくように皆さんが心配しておるのですよ。はたして停止をするなんということ、これは一体何に基づいてそういうことを言い出したのです。どういう根拠があって停止しなければならぬのですか。
  115. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の小包の引き受け制限を去る十二月の四日のお昼からやっておるわけでございますが、これにつきましては、御案内と思いますが、郵便法の第七条に「郵政大臣は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な郵便物の取扱を確保するため必要があるときは、郵便の利用を制限し、又は郵便業務の一部を停止することができる。」という法律的な規定があるわけでございます。実はこういった規定がありましても、こういったような小包の引き受けを制限するというようなことは、われわれとしてはもちろん最大避けるべきことでございますので、従来もめったにやったことはないことでございます。  ただことしの、特に十二月に入りましてから、郵政省の内部事情と申しますよりも、この小包の輸送を担当してもらっておりますのは御案内のとおり国鉄でございまして、貨物につきましては一日から順法闘争が行なわれております。また、二日からは特にそういった輸送が混乱してまいりまして、三日におきましては貨車、コンテナといったようなものはほぼ全面的な運休が行なわれておったわけでございます。そのような情勢がございましたので、国鉄のほうにおきましても十二月二日の夕刻から小荷物につきましては鉄道管理局の一つの管内のみを引き受けることにしまして、他のもの、つまり遠方に行きますものはすべて停止という措置を国鉄当局でもとったわけでございます。まあそのような情勢の中で、小荷物と、私たちのほうの小曲といいますのは相関関係がございますので、小包の引き受けをある程度制限せざるを得ないというふうな状況でございましたので、去る四口からこの引き受けを制限したわけでございます。  四日以降の引き受け制限によりまして、実は四口の正午から昨日一ぱい、一日半制限をしたわけでございますが、御案内のとおり国鉄のほうのストも中止になりましたし、まだ貨物のほうは必ずしも運休は全面的に回復いたしておりませんけれども、けさの九時から郵便局におきまして小包の引き受けの制限を解除いたしました。東京、関東一円のもののみ明日の朝九時から解除するということを現在計画いたしまして、すでに新聞等にそのことを発表しておる次第でございます。
  116. 土橋一吉

    土橋委員 これは郵政大臣もよく御承知のことなんですが、この第七条の規定は、あなたが説明しておられるような簡単なものじゃありませんよ。あなたは何げなく説明しておるけれども、この規定は郵便業務をとめることでありますから、ここに書いてありますように、第七条は「天災その他やむを得ない事由」と書いてありますよ。あなたは国鉄が半日ストライキをやるとか順法闘争をやるとかというようなことを言っておるけれども、これは天災ですよ。関東大震災のようなものが起こってきたとか、あるいはやむを得ない、もう万追ってどうしても郵便が出せない、こういう重要なときには、郵政大臣は国会において事故の説明をしながら——郵政大臣に与えられた国民の基本的な権限ですよ、それを順法闘争をしておるとか、貨車がちょっとゆるくなったとかどうとかいうことだけで、小包郵便の停止とは何ごとですか。郵政大臣は簡単に——そんな権限を与えていませんよ。郵政省は責任をもって、小包であろうと書簡であろうと、切手の張ってあるもの、一定の料金を納めたものは、それこそ自分もかついででも輸送しなければいけませんよ。あなただってそうですよ。郵政職員はそこはつらいところですよ。そういう重大な使命を負って、しかも競業を許さない。同じような商売をすることは断じて許さない。これは明治五年以来の基本的な方針ですよ。それについてあなたのいまの説明では、順法闘争をしたから小包をとめたっていいというものの考え方説明した。とんでもないことですよ。第七条はそんな簡単なときに郵政大臣郵便業務停止を命じておるものではないですよ。あなた方は安易に第七条の規定を読んでいましたけれども、天災ですよ。これはたいへんな騒ぎですよ、その一地方においても。あるいは「その他やむを得ない事由」、やむを得ない事由ということは、いかなる説明も答弁もする余地のない重大な事故が起こったために、一時国民の皆さんには御迷惑をかけるけれども郵便物は停止をいたします、それだけの権限を郵政大臣に与えている。それは郵便物の保全がその状況下においてはきわめて困難だという状況において許された問題ですよ。順法闘争で一時間半おくれとか二時間おくれるくらいのことであなた何で郵便業務を停止するのですか。あなた方えてかってにそんなことをしていいのですか。当然それは国会の承認を得なければならないし、郵政大臣逓信委員会において、かようかくかくの事情で私は第七条の規定を適用すべき事態であったと思うからして、この郵便業務は停止をいたしました、国民の皆さんよく知っていただきたい、こういうことであるのですよ。あなた方は簡単にこれを読み下しておいて、かってに郵便業務を停止したり、かってに料金を上げたり、そんなことできませんよ。郵便職員全体が、要するにかついででも、どのような事態でも、郵便物はきちっと切手のある限度においては責任をもって輸送する。これは全責任を負っておるのですよ。何ですか、いまの説明は。順法闘争で何日おくれたというのですか。この間の闘争では、もうあくる日は全部回復しておるじゃありませんか。そんな、あなた、かってなことをしていいのですか。郵政大臣、どうですか、あなたは。
  117. 原田憲

    原田国務大臣 土橋委員のおことばは、私は全くそのとおりだと思います。郵便業務というものは国民の負託を受けて、ほんとうに大臣が荷物をかついででもいかなければならぬという心がまえのものである、そのとおりだと思います。  そこでこのたびの滞留という問題がかつてない、いままでにないような事態が起こっておる、これが現状でございます。これはまことに遺憾なことでございまして、私は申しわけないと思って、これの解決のために、微力でございますけれども全力を尽くしておるつもりでございます。その最中に、小包を運んでくれる運輸機関が小包の受付を停止するという、あまりない異常な事態が発生をしておるわけでございます。  そこで、いま御質問の中に保全ということばが出てまいりましたが、現在の小包受付のところで起こっておるところの状態を見ますと、まさにこの受付をさせていただいた大事な品物の保全ということにも危険をすらも感じられるというようなことでございますので、この小包を一時受付を中止をさせてもらいたい、こういう事務当局からの話に対しまして、私は万やむを得ない事態であると承知をいたしまして、この措置をとった次第でございますが、すでに国鉄のほうでもこれを解除いたしておりますから、さっそく解除して、もとの状態に復して、早くいわゆる年末小包のふえてくるところの体制をとるようにということを指示しておるような次第でございますので、どうぞ御了解を賜わりたいと存じます。私どもはそのような決意でやっておりますので、重ねてよろしく御了解をお願いいたします。
  118. 土橋一吉

    土橋委員 この新聞の報道によりますと、同一地方の郵政局管内で発着するもの、沖繩から各都道府県あてのものを除いて、と書いてあるわけですね。そうすると、これは決して全面的な小包の停止ではなくて、部分的に、たとえば列車ダイヤが混んでおるために、どうも東海道方面はちょっと日にちもかかるようだというような配慮であったと思うのです。それは私もよくわかるわけですよ。しかし現在、昔と違いまして、昔は御承知のようにおもちを送るとかミカンを送るとか、そういうことを盛んにやっておりました。しかしいまは、ミカンも相当出回っておるし、おもちも各地方地方にちゃんとございまして、そんなにもちを送らなければならぬというような時代でもないわけです。おもに、たとえば敷布とか、そういう繊維製品が多いようにも見受ける。場合によっては石けんであるとか、最近欠乏しておる洗剤であるとか、こういうようなものが贈答品には多いようです。ですから保全ということは、私はこの内容がミカンとかモチ米とかそういうようなことを頭に入れておったものですからちょっとそういうことばが出たのですが、結局いまの贈答品というのは、それほど日にちを置いても、一日くらい置いたからってカビがくるというような品物は少なくなってまいりました。ですから、郵政省としてはこの第七条の「天災その他やむを得ない」という事由は正確に読んで、やはり国民の小包輸送業務を停滞させることなくやっていただきたいというのが私の願いであるわけですよ。それをただ事務当局は、ちょっと鉄道小荷物引き受けをとめたから、さあ郵政も便乗して——それは便乗値上げと同じことなんだ、便乗でそんなことするわけなんだ。それはいけませんよ。やはり国民が信頼をしているのですから、受けて、それで事情こういうふうになっておりますから、一日おくれますよ、あるいは半日ぐらいおくれますよ、よろしゅうございますかといって、やはり受けるべきではありませんか。それを、国鉄がそんなことしたからって、すぐしり馬に乗って、便乗値上げみたいにすぐ停止をするなんてもってのほかではありませんか。そこのところを私は厳格にすべきだということを要請したいわけであります。郵政大臣、いかがですか。私の考え、賛成しますか。
  119. 原田憲

    原田国務大臣 私は、その心がまえにおいては賛成でございます。しかし預かったものが間々、かってないような滞留をいたしておるということから、もし積み重なっておる中で事故が生じた場合というようなことを考えますと、やはり万全を期して、御不便でございましょうが、ごしんぼうを願うという措置をとりましたので、今後はそういうことが起こらないように一生懸命やりたいと思っております。
  120. 土橋一吉

    土橋委員 ですから私の言いたいことは、第七条の規定は厳格に読んで、そして事情をつまびらかに説明をして、それならやめましょうという人にはやめていただくし、ちょっと半日くらい残りますよ、それでもいいというような場合にはちゃんと受けて、そして業務を執行する、これぐらいの親切さが——窓口だけよくしちゃったって、内はそんな状態じゃ話にならぬですから、中もそういう体制をきちっととることが必要だということを私は郵政大臣に要望しておきます。これはいいですね。今後そういうことのないように、国鉄がどうやろうと、そのしり馬に乗って郵便もすぐこの第七条の規定を拡大解釈なんかしないで、やはり厳重にやるということでお願いをしたいと思うわけです。  次は、それとからんで処分の問題です。これは一般新聞に出ておりますので私は多くは申しませんが、どういう理由で一万二千五百四十三名という大量の処分をしたのか。簡単に、どういう理由処分したのか。そのつい前には八千数百名の者を処分しておる。処分するために北人事局長おられるような感じを受けるほど処分ばかりやっておるんですが、どうですか。根拠とその理由
  121. 北雄一郎

    北政府委員 一万二千何がしという処分につきましては、ことしの春闘におきまして五波にわたるストライキもしくは休暇闘争がございました。これは公労法によりまして禁ぜられておる行為でございますので、これに対する問責をなしたものでございます。その前に八千名とおっしゃいましたが、それは心当たりございませんが、十一月に千四百名ばかりについて処分をいたしました。これは暴力行為でありますとかあるいは業務規制闘争、すなわちサボ行為であります。サボ行為でありますとか、それから職場の秩序違反、こういったものに対するものでございます。
  122. 土橋一吉

    土橋委員 はっきりと申しますと、昭和四十五年の年末の闘争で八千五百名あなたは処分しておるんだ。そんなことは知らないはずはございません。あなたはちゃんと八千五百名、ここにちゃんと新聞にも、四十五年の年末闘争処分をしておるんだ。私はうそを言いませんよ。処分をしたでしょう。それからついこの春に千八百名ですか、千何百名を処分している。それでまた今度あなたは三日の午前この一万二千五百四十三名を処分しておるわけです。その処分は、公労法の規定の違反ですか。公労法第何条の規定の違反ですか。公労法のどういう規定に違反をしたから処分をしたのですか。何という規定に違反したから処分をしたんですか。
  123. 北雄一郎

    北政府委員 スト等につきましては御案内のように公労法の十七条で禁止をせられておるわけでございます。こういった行為をしました場合に、公労法の十八条に解雇という規定がございますし、また公務員法の八十二条でも懲戒免職から戒告に至る処分がなされるべき旨規定がございます。
  124. 土橋一吉

    土橋委員 公労法第十七条の規定は、一切の行為を禁ずると書いてあるわけであります。「一切の行為をすることができない。」と、禁ずると書いておるわけです。禁ずるということは、するなということですね。処罰のことは書いていませんよ。処罰はどういうわけでしたんですか。しちゃいかぬということを、要するに職員及び組合公共企業体等に対する同盟罷業、怠業その他そういう行為をしてはならないということが書いてある。処罰の規定はどこにあるんですか。これは、しちゃいかぬということを労働者に教えておる規定ですね。処罰はどの規定によってやったんですか。
  125. 北雄一郎

    北政府委員 その規定を受けまして公労法に十八条、その次の条文でございますが十八条がございまして、「前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇される」というのがございます。先般の一万二千五百数十名の処分の中に、解雇というのもございました。それはこの法条によって解雇をしたものであります。自余の懲戒免職あるいはその他の処分がございましたが、これは国家公務員法の八十二条というのがございまして、「左の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として」云々「の処分をすることができる。」とございます。その公労法十七条違反の行為があったということ、これはすなわち公務員として、二号の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った」というのに該当しますし、また三号の、そういったことで業務の停廃を来たして国民に迷惑をかけるということは「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」である、こういうふうに考えまして八十二条を適用したわけであります。
  126. 土橋一吉

    土橋委員 八十二条ですか、八十二条なんて公労法にあるんですか。——国家公務員法、そうでしょう、公労法にはないはずです、そんな条文は。  これは争議行為によって起こった事件なんですよ。争議行為と、ほかの行為は——ほかの目的を持って、たとえば仕事をしなかったとかなんとかいう場合には当然十七条の規定を受けるわけですよ。しかし、争議行為というのは憲法第二十八条を見てください。憲法第二十八条はどう書いているか。これはもうあなたもよく御承知と思うのです。憲法第二十八条には、「勤労者の團結する権利及び團體交渉その他の團體行動をする権利は、これを保障する。」と書いておるわけです。したがって、この憲法第二十八条の規定からいうならば、公労法十七条の規定はどういう地位に立っているのか。これはあなたも研究されておると思いますけれども、これは不当な法律なんですよ。不法な行為なんです。憲法第二十八条が厳然として改正をされないで現存しておる限りは、この規定に従って国の法律やその他の省令は決定すべきものですよ。憲法第二十八条を犯して、こういう基本的な権利として認められておる争議行為やあるいは団体交渉その他の権利は、この公労法、公共企業体等労働関係の法律によって十七条で制限を受けていいというふうにあなたは解釈しているのかね。そんなことはできないですよ。国家公務員法だってそうですよ。憲法第二十八条を犯すことはできませんよ。まして、憲法第九十九条を見てください。国家公務員やあるいはすべての国の重要な機関の責任者は、この憲法の規定を尊重し、実証しなきゃならぬと、ちゃんと書いてあるのですよ。そうすると、あなたの処分をしておる一万二千五百四十三名、その前の千八百名、その前の年の八千五百名、こんなのは憲法第二十八条に違反する処罰といいましょうか、処分じゃありませんか。どうですか。ここのところ、ひとつ明確に答えてください。
  127. 北雄一郎

    北政府委員 憲法の各条章はもとより尊重さるべきでございます。ただ、お示しの二十八条に公労法十七条その他が違反しているというふうな御見解でございますが、私どもがそういった見解を持っておらないということも、先生つとに御承知のところだと存じます。
  128. 土橋一吉

    土橋委員 もしあなたがそういうことをこの委員会で仰せになるとすれば、まあ例は違うのですが、憲法第九条における自衛権の問題から出てくる自衛隊というものに対して、ついせんだって長沼裁判というのが出ました。これは憲法違反だといっているわけです。これも司法裁判所で御承知のように決定した事項です。ですから、いま私たちは、憲法第二十八条に違反をするようなそういう処分やそういう不当な処置をなるたけしないようにしてほしいというのが私たち共産党の基本的な態度なんです。  そこへもってきまして、ILOの全逓労働組合に対する勧告が出ておるでしょう。これはどんな勧告が出ましたか、ILOから。どういう勧告をしておるのですか、この労働運動について。この労働者の争議行為その他の処分についてはどうしなければならぬかという、憲法第二十八条と関連をしてどういう勧告を出してきていますか。
  129. 北雄一郎

    北政府委員 二十八条との関連ということはなかったと記憶しておりますが、処分等につきましては、全逓案件におきましては、懲戒処分をやる、しかしその事柄によって給与上の永久格差が出るとか、あるいはキャリアに及ぼす不利益な影響というものがずっと残る、こういったことについてはかってドライヤー勧告というものがあったはずだから、あれを思い起こせ、こういう内容でございました。
  130. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、ちょっとある新聞にも書いておりますように、これはILOの機構から勧告をされた内容をちょっと取り入れたということで、従来ならば訓告処分あるいは戒告するというようなことであるけれども、ちょっと注意処分みたいなことをする、そういうようなおまけをしてやったんだということをある新聞は報道しております。  しかし、私はさようなことであってはならない。全逓も御承知のようにスト権奪還あるいは公務員のスト権奪還、こういうことが全国的な労働運動一つの柱になっておるわけです。これは二十三年の政令二〇一号というので、マッカーサーが公務員のストライキ権を奪ってからの事態でございます。ですから、少なくとも国際連合の労働機構からも、そういうふうに日本の全逓とか、あるいは他の公企体関係もそうでありましょうが、ストライキをやることに処罰をもってやるような方法は非常に正しくないという勧告でしょう。そうすれば、憲法第二十八条の基本的な立場からいってもそうだし、いまの公務員のストライキ権を取り上げておるのは、ダグラス・マッカーサーが軍事占領下において彼がかってにつくったいわゆるマッカーサー政令といわれるものであって、今日はあれから二十四年もたっておるのですよ。二十四年もたっておって、まだそういうことで一万二千五百四十三名も処分する。つい二年ほど前に八千五百名処分するというようなことを繰り返しておる。これは結局郵政事業全体の中から見て、労働運動をことさらに、特に全逓労働運動をことさらに目のかたきにしてそういうことをやろうとしておるというような節があると言っても過言じゃないじゃないですか。言い過ぎじゃないじゃないですか、皆さん。なぜそういうことを繰り返しておるのですか。一方においては、あなたも御承知のように、全郵政という第二組合を全国至るところにつくらしておいて、それで一方ではこれをまくらにしておいて全逓労働組合に攻撃をかける。いわゆる全逓マル生運動というので、前の国会でもいろいろ追及されたし、私も追及しました。そういうことを再び繰り返して、また今度一万二千五百四十三名の処分者を出す。しかもこの中には首切りとか、あるいは何といいますかたいへんな処分をしておるじゃありませんか。解雇十八名、懲戒免職八名、こういうえらい処分をしておるわけですね。つまり第二組合郵政組合をつくったり、一方においては全逓労働者に対して、たとえば昇給をおくらすとか、学校にあげないとか、寮に入れないとか、あるいは本人が希望しても配転をしてくれないとか、あるいはブラザー制度で締めつけておくとか、あらゆる労働運動の最もいかがわしいやり方、最も擯斥すべき、排斥すべきやり方をずっと手を打っておいて、それで暮れには要するに仕事をしなさいというようなことだけ強要したのでは、解決しないじゃないですか。何でこんな処分をするのですか。一万二千名も処分するのですか。  私は、過日いま申し上げた八王子とか小金井とか小平とか町田とか三鷹の郵便局を回ってまいりました。そうすると、廊下にどういうものを張っておるかというと、注意処分だとか戒告処分というのがべたべた張ってあるわけだ。これは局長の専権でできますということで、もう廊下に十枚くらい並べておるわけですよ。それである局長が、ことばのあやであったと思いますが、こういうことをしなければ郵便事業は進まないのだというような意味のことをお話しになっておられるのですよ。私は、その方に対して、りつ然として、そうじゃないという趣旨を説明しましたけれども本人も納得されました。こういう処分でもやらぬと解決しないのだというものの言い方をしておるわけです。  そういう全体を取り締まる人事局長がいまのようなことをやっておるからますますこの争議が拡大をし、それでこの問題の決着はつかない。これは原田郵政大臣が新しく就任をされて、知ってはいらっしゃると思うけれども、これはずっと続いておる、こんなことをやっておることは。きのうきょう始まったことじゃないのですよ。ですから私は、厳重にこの問題について郵政大臣が——やはりそういう悪い労使間の基礎を築いておるものは郵政官僚であります。つまり彼らは、御承知のように上司にあまりいやな思いをさせないという配慮もあることでしょうし、あまり労働問題で郵政大臣や世間からとやかくされないということをおそれることのあまりに、あらゆる方法、ブラザー制度だあるいはシスター制度だというあらゆる方法で局長の権限を強化して急いでやる。一方においてはトラック部隊というものを派遣して………
  131. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 土橋君、御質問中ですが、大臣の約束は三時まででございますので、そのつもりで御質問願います。
  132. 土橋一吉

    土橋委員 こういうことでありますので、阿部委員も先ほどお話がございましたけれども、この問題を処理をすることは、私は原田郵政大臣に英断をふるっていただきたいと思うのです。郵政歴代の人事局長や労務担当官がこういうことをつくりあげて、今日抜き差しならぬ状態になってきておるわけですね。ですから、郵便物がちょっとたまってくる、ちょっとつかえてくるといえばもう何千万という郵便物がたまってしまう。そして常に局長は戒告だとか、訓告だとか、べたべた廊下に処分を張り出す。そういうことをするから局員の人は反撃をする、反抗をする、こういうことに相なっているのであります。ですから私は、原田郵政大臣がこの問題と真剣に取り組んでいただきたい。これは廣瀬郵政大臣もたいへん努力されたと思うのですけれども、一向に解決しない。でありますから、この点について大臣の所見をちょっと聞いてみたいと思います。
  133. 原田憲

    原田国務大臣 現在起こっておる郵政省関係労使の問題についてお尋ねでございますが、古い沿革から説き起こしてお話がございました。土橋さんは全逓輝ける第一代の委員長でございましたが、その述べられた中に、労働者に与えられた権利というものを憲法についてお述べになりましたが、同じ憲法の中に、特に公務員は、全部の国民に対する奉仕者であるということも書かれておることをよくお読みであると思います。したがいまして、公務員というものの立場というものをどうするかということで、いま占領下にできた——憲法も占領下にできた憲法でありますが、その当時の日本の政治の上に君臨しておったマッカーサーがその労働者に与えられた権限を奪い去った、こういう話がございましたが、日本の国の政治の中でどうしたらよいかということで知恵を出してつくり上げた制度、人事委員会というものがあって、その間に公務員の問題を処する、三公社五現業の職員もこれに準ずるという立場にあるということが現在の日本の制度であると思います。したがいまして、その制度の中で、考え方、主張の違いというものがILOに持ち込まれて、そして、その結果、先ほど話が出ましたような勧告というものが行なわれておる。これをどう処理していくかということは、もはやこれから改めて、またまた同じ問題でILOに提訴して、日本の代表者が向こうでお互いに、世界のILOの場で話しておるという時代は去って、日本の国内で解決をしなければならなぬという事態に来ておるのではないか、このように私は考えます。  したがいまして、この際、いわゆる歩み寄りということによって、先ほど話が出ましたが、荷物を与えられた者はかついででもこれを運ばなければならぬという精神は、これは労使ともに一致して持つべき精神であって、おまえがやれ、おれはやらぬでもいいのだ、こういうものであってはならないと私は思っております。したがいまして、いま当面しておるところの、長い間懸案であったものを、朝も申し上げましたが、私が二十五日に就任して一ぺんに解決するというような大きなふろしきは広げることはできませんけれども、誠心誠意取り組みまして、この年末におきまして出されておるところの労働者諸君からの——郵務局あるいは人事局と関係当局と私が相談をいたしまして、一日でも早く解決をして、国民皆さん方に、いわゆる憲法にいわれておる公務員は国民への奉仕者であるという点を実現してみたい、このように考えております。  幸い、土橋委員も長い間この道に邁進してこられた方でございますから、先ほどの質問の中にありましたが、私は自民党に反対だから、これは反対せんならぬから保留をするということもありましたが、私はそういうことをおっしゃらずに、自民党が言っておることでもいいことはいいということでひとつ御協力を賜わり、お互いの英知を集めて、同じ人間でございますから、処罰が行なわれてまたこれを繰り返すというようなことが早く解決するように努力してまいりたいと思っております。何とぞ御理解を賜わりたいと思います。
  134. 土橋一吉

    土橋委員 たいへん明快なお話であったと思います。これは戦後長い間のいろいろな労働運動その他で、双方やはりよく研究もし努力もしなければならぬ問題を持っておると思いますが、とにかくILO八十七号条約あるいはその他の勧告が出ておるさなかに、かつてない大量の処分を出しておいて、そして今日また局長決済でそういう訓告だとかあるいは戒告であるとか、さらには減俸であるとか賃金カットとか、こういうものが乱発をされる、そういう状況下にあるように見受けられるわけですよ。したがってこれは大きな問題だ。郵政全体の観点からいうならば、こういうことを続けてばかりおると、全逓労働組合も非常にしんどいでしょうけれども郵政もやるたびに、今度は一万二千五百何名だからこの次に一万八千人、その次は二万五千人、こういうようなエスカレートをしておるわけですね。ここのところは北君も非常に考えなければいかぬと思うのです。こんなことがエスカレートして、それで従業員が仕事ができるなんと考えている局長がいるとすれば、これは大きな心得違いであって、ある局長ははしなくもそういうことを言っておるわけですから、これはたいへんなことだというふうに私は直感したわけですよ。ですから、ぜひひとつそういうことがないように、また第八条の解釈にしましても、これはただ本部、郵政省関係とか、あるいは地本と郵政局の間とか、この第八条の解釈はそういうワクだけをきめてはいないのです。支部末端でも、あるいはできれば自分たちの課で、たとえば配達課で課長さんや課長代理との間で、こういうふうにしましょうという話し合いでりっぱに解決できるものは解決したらいいのですよ。何をそれを、これは団体交渉ではない、ただこれは折衝とかなんとかであるということで、いろいろな解釈上のあれをつけておるわけですね。ですから、まだるっこしくてどうしようもないというような事態にまできておるわけです。ですから、どうかこの問題はまたあとでいろいろ、私のほうでも調べる点調べまして、ただします。  それから郵便貯金の三百万円の限度引き上げの問題についても、私のほうでもう少し研究させていただきまして、この内容をもっとよく見なければ一がいに賛成とか反対は言えないというふうに私たちは考えざるを得ないと思うのです。ですから私は、以上をもって私の質問を終わらせていただきます。
  135. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は明七日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十八分散会