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1974-04-25 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       片岡 清一君    島田 安夫君       住  栄作君    武藤 嘉文君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    山田 芳治君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治政務次官  古屋  亨君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君  委員外出席者         総理府恩給局恩         給問題審議室長 海老原義彦君         大蔵省主計局共         済課長     鈴木 吉之君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         厚生省保険局保         険課長     吉江 恵昭君         自治省行政局公         務員部福利課長 大嶋  孝君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   島田 安夫君     大西 正男君   林  百郎君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   大西 正男君     島田 安夫君   瀬崎 博義君     林  百郎君     ――――――――――――― 四月二十三日  地方財源確保に関する請願瀬崎博義紹介)  (第六四八〇号)  地方公務員共済制度改善に関する請願外二件  (井岡大治紹介)(第六四八一号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第六四八二号)  同外一件(佐藤敬治紹介)(第六四八三号)  同(細谷治嘉紹介)(第六四八四号)  同外十二件(山口鶴男紹介)(第六四八五  号)  同(山田太郎紹介)(第六四八六号)  同(岡本富夫紹介)(第六八一〇号)  同(大久保直彦紹介)(第六八一一号)  同(沖本泰幸紹介)(第六八一二号)  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願小平久雄紹介)(第七〇〇五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  地方自治法の一部を改正する法律案早期成立  に関する陳情書外一件  (第四五六号)  地方税における大口償却資産評価基準改正に  関する陳情書  (第四五七号)  地方財政超過負担解消に関する陳情書外四十  六件  (第四五八号)  地方財政危機打開に関する陳情書外七件  (第四五  九号)  地方交付税率引上げ等に関する陳情書外三件  (第四六  〇号)  競輪等各種公営競争事業収益金基準財政収入  額算入等に関する陳情書  (第四六一号)  地方事務官制度の廃止に関する陳情書外一件  (第四六二  号)  地方公営交通事業既設路線確保等に関する陳  情書(第四六三  号)  地方公営水道事業に対する国庫補助制度の確立  等に関する陳情書外二件  (第四六四号)  消防職員団結権保障及び消防施設の整備に関  する陳情書(第四  六五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七九号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案井岡大治君外三名提出衆法第二七号)      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び井岡大治君外三名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。住栄作君。
  3. 住栄作

    住委員 ただいま議題になっております年金改正について、時間の許す限り質問さしていただきたいと思います。  まず、今度地方共済関係既裁定年金改定が行なわれたのでございますが、それは恩給に準じてということでございます。新しいものについては公務員関係給与アップ率でやっております。それから四十五年三月三十一日以前の分につきましては従来の恩給審議会方式給与率の差を二年間にわたって埋める、こういう方式でやられているようでございます。  そこで、恩給水準給与水準格差というものがそれで完全に解消するのかどうか、これを恩給局のほうからひとつお答え願いたいと思います。
  4. 海老原義彦

    海老原説明員 ただいま先生の御質問公務員給与水準恩給水準との格差、一四・七%というものにつきまして、この一四・七%で完全に解消するのかという御趣旨の御質問と伺いましたが、この一四・七%と申しますものは、公務員給与昭和三十四年以降の改善率をずっと累積してまいりますと、三十四年度を一〇〇といたしまして、四十七年度で三二五・六八というような数字になっております。これに対しまして、恩給公務員給与改善率そのものによりませんで、いわゆる恩給審議会方式によって増額をしておったという経緯がございますので、そのために、改善率を累積いたしまして二八四・〇六というような水準になっております。したがいまして、この間に二八四・〇六分の三二五・六八という相違が生じておるわけでございまして、これが率で申しますと一四・七%ということになるわけでございます。したがいまして、この一四・七%を埋めますれば、公務員給与伸び率から見ました水準恩給伸び率から見ました水準と一致するということになるわけでございます。
  5. 住栄作

    住委員 恩給水準あるいは年金水準給与水準との格差は、直せばなくなる、こういうことだと思いますが、そこで、昨年もそうでございましたが、大体公務員給与アップ率年金修正していく、しかも格差の半分は来年度埋めるということですから、大体、既裁定年金については給与率というもので修正していこうという考え方が定着した、こういうように理解していいかどうか、お伺いしたいと思います。
  6. 海老原義彦

    海老原説明員 先生示しのとおり、この二年間、昨年と本年とこの二度の改善につきまして、公務員給与そのものによるということを実施しているわけでござまして、昨年の場合は、昭和四十六年度の公務員給与上昇率と四十七年度の公務員給与上昇率、この二つを合わせまして、二三・四%という引き上げをしたわけでございます。それから、本年のただいま国会に提出をしております改善案では、四十八年度の公務員給与引き上げ率一五・三%と、それからいま申し上げました一四・七%の格差の半分の七・三五%、これを合わせまして、二三・八%という引き上げを予定しております。このようにいたしまして、先生示しのとおり、公務員給与による改善というものが積み重なってきておるわけでございます。
  7. 住栄作

    住委員 そこで、実は昨年度の法案審議の際においてもスライド制の問題がたいへん問題になっておるようでございます。その附帯決議におきましても、「給与改定率による年金スライド制制度化を図ること。」このような附帯決議がございます。そこで、昨年、本年、それからさらに積み残し分、来年度も一掛け合わせて格差をなくしよう、こういうことでございますので、仏の顔も三度ということではございませんが、給与率スライドというものが実質的には確立される、こういうように理解できるのじゃないかと思うのでございます。附帯決議には「スライド制制度化を図ること。」こういうことになっておるわけでございますが、実質的にはそういうような制度がルール化してしまった。そうだとするならば、制度化をできるのじゃないか、踏み切れるのじゃないか、こういうようなことも、言えるのじゃないかと思うのでございますが、この点についての自治省の御見解を承れればと思います。
  8. 植弘親民

    植弘政府委員 全く住先生の御指摘のとおりでございまして、先ほど恩給局のほうからお答えいたしましたように、実質的にはスライド制がルール化されておるわけでございますけれども、いわゆる法律上の制度としてはまだ定められていない。したがって、恩給と非常に密接的関係がございまして、これに準ずる地方公務員年金につきましては、同じように、実質的には賃金にスライドすることでここ数年改定をさせていただいているわけでございます。  ところで、これを法律をもちまして制度化するということになりますと、他の公的年金、すなわち厚生年金といったようなものとの均衡をどのように考えていくか。厚年等におきましては消費者物価スライド規定制度化されておるわけでございます。そういたしますと、現在年金につきましてスライド制制度化するということになりますと、やはり厚年との関係消費者物価スライドという程度になるだろうと思います。いまのように給与自体消費者物価にスライドいたしておりますと実質的には変わりないのでありますが、そこらのところ、やはり若干のニュアンスがございますので、仏の顔も三度というおしかりでございますが、もうしばらく検討させていただきたい、恩給とも一十分相談させていただきたいと思います。
  9. 住栄作

    住委員 総理府公的年金制度調整連絡会議があるようでございますが、これは恩給局が世話人というようなかっこう——恩給局じゃないですか。それでは、おそらく自治省のほうも出ておられると思うのでございますが、調整連絡会議スライド制制度化の問題、その点についていろいろ議論があると思うのでございますが、去年一年だいぶやられたのでございますか、そこらあたりの実際の状況をちょっとお伺いしたい。
  10. 植弘親民

    植弘政府委員 政府連絡会議総理府審議室が主管されておりますが、その中では、公的年金でもスライド制その他いろいろと問題がございますので、四部門だったと思いますが、分けて審議されております。まず一つ公務員年金グループ、これは国家公務員共済地方公務員共済公企体共済恩給、私どもの属するグループであります。それから二番目に民間の年金グループ厚年国年船員保険、それから三番目には私学共済農林共済といったグループ、四番目には労災とか公務災害といったグループ、こういうことでやっておりますが、先ほどもお答え申し上げましたように、厚年そのものを直ちに賃金スライドにするかどうかという問題とからんでまいりますので、各省寄り集まって議論はいたしておりますが、しかるべき結論は得ていない状況でございます。
  11. 住栄作

    住委員 附帯決議にも「制度化を図ること。」ということになっております。それは物価スライド賃金スライドか、これはたいへんな問題だろうと思うのです。それでどちらが有利であるか不利であるか、これも必ずしもにわかに判断がつきにくい。ただいずれにいたしましても年金というものが経済変動とか物価に左右されないで年金実質価値というものの維持が制度化されておるということは、やはり年金受給者にとってたいへんな安定感を持つことになるだろうと思うのです。そういう意味で、やはりどう考えるのだ、こういうことについて制度として担保するということが非常に重要なことじゃなかろうかと思うのでございます。ただいまのところいろいろな事情があって踏み切れないということでございますが、これはいろいろ毎年議論になることであるし、これからも法案審議にあたって議論になることだと思いますが、ひとつ十分検討をしていただきたい、こういうように思いますが、政務次官、御意見がございましたらちょっとお伺いしたいと思います。
  12. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいまのスライド制制度化の問題でございまして、たびたび附帯決議もされておるところでございます。実は私も政務次官になります前に、委員会共済組合法の問題はたびたび質問しておりまして、実はいまお話しのような総理府審議室においてそういう会があることもよく存じており、その当時の審議室長、いまたしか主計局長だと思いますが、呼びまして、いろいろ質問して促進方を要請しておったのでありますが、会議をやることはけっこうでございますが、たいへん長くなっていつまでも結論がなかなか出てこない。ほかの、ただいまの地方公務員共済あるいは公務員年金あるいは厚生年金等関連がありましても、私はほどほどにして早く結論を出すべきではないかと思っておりますので、メンバーの一人であります自治省といたしましても、総理府審議会に対して、とにかくできるだけ早い機会におきましてそういうような答申を出していただきますように、これからも強く要請してまいりたいと思っておりますので、どうぞ住先生におかれましても、こういう問題につい一そう御叱正、御激励をお願いしたいと思っております。
  13. 住栄作

    住委員 そこでもう一つ実施時期の問題についてお伺いしたいわけでありますが、法案では十月一日になっております。これは一つ制度として定着しておると思うのでございますが、実は厚年とか国年におきましても、御承知のとおり社会労働委員会でその実施時期を三カ月ないし四カ月繰り上げる、こういうような法案修正が行なわれております。それは一つは、最近の非常に激しい物価状況あるいは経済変動ということからそういうような修正がなされておるわけでございますが、特に恩給とかあるいは公務員共済年金の場合は、給与にスライドされておるといってもやはり一年半おくれの実施でございます。私はできるだけその期間を縮めるべきだと思うのでございますが、ほかの厚年国年におきましても、特にことしは実施時期を繰り上げた、こういう事情もございます。そこで年金について一体どのようにその点お考えであるかということ、これは政務次官でけっこうでございますからお考えを伺いたいと思います。
  14. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、地方公務員共済組合が支給いたします年金額改定につきましては、従来、恩給改定措置に準じて行なっておるのでございまして、その改定時期も恩給に準じておるところでございます。そういう意味におきまして、共済年金改定時期の繰り上げの御指摘の問題でございますが、恩給並びに国家公務員共済制度との取り扱いの関係を考慮しながら措置をしてまいりたいと思っております。
  15. 住栄作

    住委員 ぜひ、今後の情勢の推移もお考えになりまして対処していただきたいと思うのでございます。  次は、最低保障額の額の引き上げの問題について二、三といいますか、ひとつお伺いしたいと思いますが、今度年金最低保障額引き上げられた。短期在職者について新たに新設された。これはやはりいろんな意味があると思うのでございますが、年金というのは保険方式をとっておりますけれども、そこにはやはり保障的な性格も持たせなければいかぬ、こういう意味で、私は最低保障額引き上げ、特に短期在職者最低保障額の新設については評価するものでございます。ただ、非常に大幅な引き上げではございますけれども、まだ、保障と見るかどうかいろいろ議論がございます。そういうような立場に立って考えるならば不十分じゃないか。と申しますのは、これは制度の比較ということで直ちに議論にはならぬと思うのでございますけれども、たとえば生活保護制度における生活扶助基準、たとえば東京の一級地考えてみますと、いろいろ年齢その他によって相違がございますけれども、大体二万二千五百円あるいは二万二千六百九十円とか、その最低保障額と比べますと、最低保障額のほうが非常に少ない、こういうようなことになると思うのです。私はいま申し上げましたように、直ちに生活保護制度がこうなっておるから年金もこうあるべきだ、こういうことにはつながらないと思うのでございますけれども、しかし、生活保護制度生活扶助というもの、これは憲法の規定に基づいて出てきている制度でございます。そういうようなことから考えて、評価はしますけれどもまだちょっと不十分なんじゃないか。そういうことを踏まえて、ひとつ自治省の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  16. 植弘親民

    植弘政府委員 いま住先生の御指摘ございましたように、生活保護制度というものと共済制度基本的に異なるものであることはもう御説明するまでもないと思います。しかしながら、共済制度はいわゆる掛け金主義といいますか、相互扶助方式でやっているという立場からいいますと、どうしても生活保護と異なるところは出てまいりますが、それにいたしましても、国で最低生活保障ということで生活保護基準を定めております以上は、そういったものとの関連を考慮しながら、年金において生活する者が生活保護法最低基準より低いということは、これは御指摘のように好ましいことじゃないと思います。したがいまして、私ども最低保障制度引き上げ充実という点については、従来から少しずつではございますが努力してきたところでございます。  ただ問題は、先ほど来いろいろと質疑の間にうかがえますように、年金制度が、発足経緯等からいいましてやはり恩給との関連が非常に強いということ、それからまた一方では、三十七年にこの新しい制度ができましてからは、厚年といった社会保険制度が導入されている、この二面性を持っておりますために、両方のほうに均衡をとらなければいけないというところがございます。そこで、恩給における最低保障がどのように上がっていくかということもございますので、そこらのところが地方共済だけの立場措置するというわけにまいりませんので、若干隔靴掻痒の感がございますが、関係省庁十分連絡をとりながら、いまの御趣旨に従って今後とも充実につとめたい、このように考えております。   〔委員長退席高鳥委員長代理着席
  17. 住栄作

    住委員 いろいろ、一つ恩給のほうを考えぬといかぬ、あるいは国公共済のほうを考えぬといかぬ、こういうことでございます。同時に生活保護制度のほうもにらんでいただいて、ひとつこれからも改善につとめていただきたいと思うのでございます。  ちょっと私も調べればよかったのですが、一つ二つ事務的なことをお伺いしたいと思います。  大体年金の対象となる給料それから基本率というもの、これは現状はわかっておるのでございますが、従来変化があるのかどうか、恩給局のほうにお伺いしたいのですが、要するに給料の範囲とかそれから基本率、これは制度発足以来変わっていませんか、それとも変わっておりますか。ちょっとその歴史的な沿革というものがわかったら教えていただきたい。
  18. 海老原義彦

    海老原説明員 恩給制度におきまして、この基本になる給与を何をとるか、またそれに対して乗ずる率をどういうふうに定めていくか、そういったものの沿革という御趣旨と思いますが、恩給では、基本となる給与俸給をとっております。この俸給というのは、いわゆる諸手当をすべて除きました純粋の本俸部分でございまして、これは制度発足以来一貫して俸給でやっております。この俸給のどういうものをとるのかというと、退職当時の俸給をとるという、これも一貫したたてまえになっておりますが、ただ、退職当時の俸給とり方につきましては途中若干の変遷はございますけれども、戦後は一貫いたしましていまの方式になっております。  それからこれに乗ずる乗率でございますが、これも大正十二年恩給法発足以来一貫しまして、基本的には最短在職年限で百五十分の五十、これをこえる一年ごとに百五十分の一を積む基本的な率は一貫しております。
  19. 住栄作

    住委員 私は、さっきの最低保障額との関連の問題におきましても、やはり給付率基本給付率というような問題になってくるのじゃないかと思うのですけれども、そういう基本給付率によって財政が計算されておる。   〔高鳥委員長代理退席委員長着席〕  したがって掛け金も計算されておると思うのでございますけれども、どうも三分の一というのはもう一ぺん見直してみる必要があるのではなかろうか、こういう考え方を持っておるわけでございます。これはどこに聞いていいかよくわからぬのでございますが自治省のほうにでもひとつお考えがございましたら伺っておきたいと思います。
  20. 植弘親民

    植弘政府委員 どうも、先ほど来申し上げておりましたように、独自性があまりないので申しわけないのですが、いま地方公務員の場合を見ますと、二十年に達して百五十分の四十にいたしております。これは十七年で百五十分の五十ですから、三分の一を二十年にしましたときに引き延ばしただけでございますので、どうも、それを基本的にどう考えるかということになりますと、やはりもとになっております恩給等考え方によるわけになってまいりますが、いずれにいたしましても、その沿革は別といたしまして、それではいまの基本率でいいのかということになってまいりますと、たまたま年数と給付率との関係恩給をスライドさせたようなかっこうでもってきておりますが、同じく社会保険制度の一環としての厚生年金保険年金制度共済とを一体どういうふうに考えていくか、そこのところには保険理論等を持ってきてどう考えていくか、非常にむずかしい問題がありますので、どうも私、不勉強で的確のお答えできませんが、全体的な財源率の計算、それから掛け金率負担金率、そういったものとをからませながらそういった支給率検討すべきものであろう、こういうふうに考えます。
  21. 住栄作

    住委員 私も、長年続いてきた制度でございますので、どう考えていくか、非常に問題点が多いだろうと思うのです。しかし、最近たとえば厚年あたりではいろいろな意味基本的な検討が加えられておる。特に総理府のほうに調整連絡会議もあるようでございますから、なかなかその点は実現はしにくい点は多々あると思いますけれども、そういう基本的なものについても、いまの情勢でいいのかどうなのか、少なくとも検討をして、考え方というものを確立しておく必要があるんじゃないか、できればそのようにしていただきたい、これはお願いでございます。  それから次の問題は、今度の法案で、いわゆる算定の基礎となる給与とり方について、三年間を一年間にされております。これも附帯決議趣旨に沿った改善だと思いますが、そこでお伺いしたいのは、一体三年間を一年間にすることによってどの程度改善されたのか。  それから第二点としまして、一年間になったわけでございますが、これは附帯決議では退職時の給与をとれ、こういうことになっておりますが、一年間と退職時の給与というものに一体どれだけの格差があるのか、この二点についてお伺いします。
  22. 植弘親民

    植弘政府委員 まず、計数的には、三年を一年にさしていただいたことによりまして、基礎給料で大体一二%程度アップになるだろうと思います。  それから、一年間の平均退職時の給与との関係ではどうかということでございますが、それは退職時の給与のほうが若干いいであろうということは当然でありますが、今回、改正をお願いしております規定によりますと、ベースアップがあった場合には、一年前にベースアップがあったものとしてその一年間の平均をとるというかっこうにいたしておりますので、実質的にはほとんど差がないであろう、こういうふうに考えております。
  23. 住栄作

    住委員 実質的な差がないということでございますので、これはただ単に時期のとり方であって、差がないということでございます。  その次の問題でございますけれども財政方式を今度の改正で変えております。従来の平準保険方式修正した、こういうようになっておりますが、この考え方をひとつ御説明いただけたらと思います。
  24. 植弘親民

    植弘政府委員 財源計算方式を、現在のような積み立て方式にするか、もう一つの賦課方式にするかといったことは、年金制度におきましては従来からいろいろと論議のあるところでございまして、先進諸国におきましても両方の制度がそれぞれとられておるということになっております。そこで、今回の改正によりまして「平準的」という文句を取りましたために、賦課方式に移行するのかといったような御疑問も一あろうかと思いますが、私どもはこの財政方式を直ちに賦課方式に変更するという気持ちは持っておりません。ただ、現在のように急激な経済変動が起こってまいりますと、これに適切に対応できるかどうか。それからまた、現在の年金制度がまだ十分成熟していない段階におきまして、今後ともつい数年のように大幅なベースアップをさせていただくというようなことになってまいりますと、現行制度で十分に対応できるであろうかというようなこともございまして、一応「平準的」ということばを取らしていただきましたが、根本はやはり積み立て方式である現行制度にのっとることは変わってございません。いわば弾力的な運用を行ないたいという考え方でございます。
  25. 住栄作

    住委員 私も、積み立て方式か賦課方式か、これはほんとうに制度の根幹にかかわる大問題だと思います。そしてまた意見も分かれております。いろいろその点について議論したいのでございますけれども、時間もございません。  そこで、平準保険方式を変えたその趣旨はいまお伺いしたわけでございますが、年金制度について、客観情勢の変動に弾力的に対処をするために平準条項をはずしたのだ。ところが、それに関連しまして、ほかの制度ではやはり財政再計算期というような制度制度化されておるわけですね。ところが共済についてはそういうような考え方がない。実質的には同じようなことをやっておられるのじゃないかと思うのでございますが、平準化方式をはずしたために掛け金率がふえるかもしれぬ、こういうような不安も出てくる。そこらあたり、はずしたということの理由はわかるのでございますが、今後結局、給付総額と掛け金、負担金運用収入とのバランスをとってやる、こういうことになるわけですが、そのバランスというものを一体どの範囲で見ようとしておるのか、そういうような実際のやり方についてお伺いしたいと思います。
  26. 植弘親民

    植弘政府委員 共済制度におきましても一応五年ごとに見直しをすることになっておりまして、本年度がちょうどその年に当たります。そこで、いま先生るる御指摘のございましたような諸点も含めながら見直しを行なうわけでありますが、その場合に、一体全般的な改定等に伴っての掛け金、負担金を上げていくのかどうか、これは非常に大きな問題でございます。いわば共済制度発足以来、責任準備金問題というのは相当大きな根幹問題になっておりますが、それを具体的にはどのように措置するのかということになってまいりますと、正直なところまだいま模索中でございまして、しっかりした算定方式ができておりません。しかしながら、少なくとも責任準備金そのものについての年利とかいったようなことを考えまして、これをある程度リザーブしておくことによって、長い期間における保険数理的な意味の健全性が保てるであろう。ただ、いろいろな諸制度が変わります。たとえば三年を一年にするといったような場合の増加、こういったものについては、これは当然に掛け金なり負担金にはね返らざるを得ないであろう。大体大ざっぱなところはそういう考え方でございますが、いま先生も御指摘のございましたように、財政方式をどのようにするかということは非常に大きな問題で、政府の諮問機関でございます社会保障制度審議会等におきましてもいろいろと御意見を賜わっておるところでございますが、今後とも関係省庁とも十分連絡をとりながら、公的年金としての共済保険制度に最もふさわしい財政方式はどのようなものであろうかということを真剣に検討さしていただきたい、このように思っております。
  27. 住栄作

    住委員 いまもお答えございましたように、去年といいことしといい、たいへんな改善でございます。いまの掛け金率でいいのかどうなのか、これは先のことを考えると、私はいまの率では足りなくなる、こう思うのです。そういうようなことからまたいろいろ問題も起きてくる。その際にやはり掛け金を上げなければ財政が破綻するということですから、いろいろ御苦労があると思うのでございますが、かえって、保険方式をとるのだとするならば何も平準化条項をはずさぬでもよかったのじゃないかというような気もするのです。それは五年なら五年の再計算期という一つのワクがあるわけですから、それを埋めればいいのであって、はずしたことによって対応できるのはそれはいいけれども、そうすると一体何年間くらいのめどで掛け金を算定するかということになると、やはり五年間くらい、こういうことでしょう。ですから、基本問題としては賦課方式か積み立て方式かという大問題があるわけですが、これをはずすことによってそういうようなところまで問題がいきかねないというような感じもするものですから、そこらあたり議論があるところだと思いますが、ひとつ慎重に対処していただきたいと思います。  それから、今度、公的負担の割合でございますが、これも昨年附帯決議に載っておるわけでございますが、特に私学共済とか農林共済については百分の十八の公的負担がある。厚年についてはやはり百分の二十の公的負担がある。私は、それはいろいろ制度沿革によるそういう差があると思うのでございますが、その掛け金率の問題にからみまして、ひとつこの負担率を引き上げるべきでないか、こう考えるのでございますけれども、その点についてお考えを承りたいと思います。
  28. 植弘親民

    植弘政府委員 公費負担の割合を現在百分の十五ということにされておりますが、他の私学共済なり農林共済といったものとの均衡考えますともう少し上げるべきではないか。実は私どももそう思っておりまして、もう二、三年前から、国家公務員共済を主管いたしております大蔵省とも、もう少し公費負担を上げようではないかということで折衝しておるのでございますが、大蔵省は、共済の主管者と同時に国全体の財政も持っておりましたり、いろいろと全体的な財政の割り振りといいますか、そういったものもございまして、なかなかうんと言ってくれません。しかし、私ども考えてみますと、他の公的年金との関係からいいましても、少なくとも、公務員共済であってもある程度それとの均衡考えながら公費負担の割合は上げさせてもらいたい。今後も関係省に強く働きかけるつもりでおります。
  29. 住栄作

    住委員 これも昨年の附帯決議関係でございますが、退職後の組合員としての資格の継続の問題でございますが、これは一年というようにされております。私どもいろいろ御要望を承っておるわけでございますが、その要望は二年というのが多いのでございますが、一年とされた。二年でどうしてだめだったのだ、二年にできないのか、こういうことについて御意見を伺いたい。
  30. 植弘親民

    植弘政府委員 二年とか五年とか、いろいろと要望がございます。私どもも、別に一年でなければならないという制度的な意味における歯どめはあるとは思いません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、健康保険との関係も考慮しなければなりません。現在の健康保険制度が一年ということにされております。本来共済制度というのは大きな意味社会保険、本来ならば健康保険の中にあるものの特例だということになっております。したがって、公務員の身分を離れますと自動的に健康保険のほうに入っていくというのが、将来を展望した場合における社会保険の一本化といったような線からは考え方として適当なのじゃないだろうかと思います。そういうことからいいますと、やはり本家でございます健康保険制度とのバランスを考えざるを得ないであろう。それからまた実質的にいいましても、あまり的確な数字じゃございませんが、公務員退職後一年くらいというのが、病気の発生率といいますか、罹病率が高いようでございますし、一年の継続期間を持っておりまして、不幸にしてその間に病気にかかるといったようなことになりますと、今度は五年間また継続療養ができますので、まあまあその意味では、一年間でもこの際お認めいただくことによって相当救われるのではないだろうか、このように考えております。
  31. 住栄作

    住委員 年金のほうは恩給が本家であり、短期のほうは健保のほうが本家であって、どうもなかなか議論しにくいのでございますけれども、同じような問題で、公有地拡大推進法に基づいて土地開発公社ができ上がっておる。あるいは地方自治情報センターあたりや、ほかに道路公社とか住宅公社あたりは団体共済に入っておる、それと同じように扱ってくれというような要望が非常に強い。これも一本家分家の関係になると思うのですが、なかなか解決できないのかどうか、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  32. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいまの土地開発公社の職員が地方団体関係団体職員共済に加入されることにつきましては、私どももぜひ積極的に前向きに推進したいと思っておりますし、また、六十八国会、七十一国会の附帯決議もございます。関係各省と鋭意協議を進めてきたところでございますが、今回御提出申し上げております法律案の作成段階までにおきましては、いわゆる土地開発公社が厚生年金特別会計からの責任準備金の移管等の問題などもございまして、取り扱いの結論を得ることができなかったのでございまして、そういう意味におきまして、私どもは今後も前向きに検討を進めたいと思っておりますが、内部で話がつきますればぜひそういうようにいたしたいと考えて、気持ちとしてはそういうふうに進めておりますが、なおこの法案の審議過程におきましてもそういうような気持ちで進めてまいりたいと思っております。
  33. 住栄作

    住委員 ひとつその線でよろしくお願いをしたいと思います。  年金関係は大体以上でございますが、それに関連して地方議会議員の年金について二つ三つ御意見を賜わりたいと思っております。  こういうように各種年金公的年金、どんどん年金額引き上げられておるわけでございますが、地方議会議員の年金改善についてどのようにお考えになっておられるのか、承りたいと思います。
  34. 古屋亨

    古屋政府委員 地方議会議員の年金につきましては、昭和三十七年度に制度発足して以来一度も改定が行なわれておらないことは御承知のとおりでございます。一方、地方公務員年金につきましては、四十二年度から恩給の年額改定に準じまして年金改定されてきておるのでござまして、その間、給与水準の大幅な上昇あるいは物価の値上げなどによりまして、地方議会議員の年金につきましても、各地でも改定を要望する声が非常に高まってきておりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、地方議会議員の年金制度地方公務員共済年金と異なりまして、給付に要する費用は議員である会員の掛け金をもって充てることを原則としておることにかんがみまして、これをどういうふうに上げるかという点につきまして、いまその取り扱いにつきましては慎重に検討中でございます。聞くところによりますと、一部におきましてそういうような一案というのもできておるということを聞いておりますので、私どもはそういう点も十分考慮に入れまして、積極的に、前向きにこの引き上げの問題については考えてまいりたいと思っております。
  35. 住栄作

    住委員 そのことをいろいろお考えになっていただく際に、要するに議員としての、たとえば県議会議員あるいは市議会議員あるいは町村議会議員、この期間通算ですね、なかなかこれもまたたいへんむずかしい問題だと思うのでございますが、そういう点についてどのようにお考えでございますか。
  36. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほど政務次官から御答弁がありましたように、三十七年にこの議員共済年金制度発足いたしました際にも、やはり一本化の問題というものがだいぶあったようでございます。要するに、都道府県の段階、市の段階、町村の段階の議員さん方が一本の共済をつくりますと、これは相互通算になるわけでありますが、やはり掛け金が主体で発足いたしておりまして、掛け金基礎になります報酬というのが、現実問題として都道府県、市、町村では相当格差もございます。それからまた、現実に議員さんの昇級昇格みたいなかっこうでいいますと、市なり町村から県会議員になられる先生方が多いのですけれども、県会議員から市なり町村の議員におなりになるということはほとんどないものですから、結局県のほうでは損するとかなんとか、こういったようなことで、本質はそれぞれ同じグループにおける掛け金によって、主体によって相互扶助を行なうという精神に立っておりますから、そこらのところは掛け金という問題がどうしても根っこにありますので、なかなかうまく話がつかなかったようであります。したがって、その以後は県のグループ、市のグループ、町村のグループというふうに三つの共済会としてだんだんと成長してきておりますので、相互通算というのは現実の問題として、制度よりもむしろ相互の問題としてむずかしいのじゃないだろうかというように感じております。
  37. 住栄作

    住委員 もう一つお伺いしておきたいのですが、地方議会議員の場合に、実際問題として他の公的年金制度を受けておられる人もおられるわけです。最初の発足にあたっては、議員相互の掛け金で互助会方式でやっておった。その後やはり公的負担も加わってきた。そこで、今度年金改定するにあたってやはりそこは調整すべきじゃないか、こういうような意見もあるわけでございますが、そういう意見に対してどのようにお考えになっておられるか、最後に承っておきたいと思います。
  38. 植弘親民

    植弘政府委員 いまお示しのございましたように、従来は、従来といいますか、三十七年度に制度化されるまでは、本来の互助的な意味における任意の団体でございまして、議員さんといえども加入は任意だったわけでございます。ところが三十七年に強制加入という制度になりました。それから今度は、掛け金だけで推移しておったのでございますが、将来にわたっての年金額の確保だとか財政の健全性といったような観点から、四十七年度から、公費の補助といいますか、公費負担するということが当委員会等でも御議論いただいてきめられまして、そして毎年百分の一ずつ交付税措置によって地方団体が負担するということになってまいっております。  そこで、他の公的年金におきまして、先ほど来御議論のありましたように、国庫負担なり県費負担なりといった公費負担がありますものと、今度のように議員さんにつきましても四十七年から公費を持つということになってまいりますと、同じ公費負担というものを二重にするというのはいかがであろうか。したがって、年金の支払いにつきましては、その公費負担に当たる部分の一部をやはり調整で落とさせていただくということが、国民全体のための負担の公平といいますか、そういったものから適当であろうか、こういうように考えております。
  39. 住栄作

    住委員 質問を終わります。
  40. 伊能繁次郎

    伊能委員長 小川省吾君。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 共済組合法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  第七十一国会においてもいろいろ質問に立たせていただきまして、御指摘をした、あるいはまた要請をした多くの諸点について、今回の提案でこれを取り入れられてまいっているわけであります。とりわけ、退職年金基礎となる給料退職前三年間から一年間に改正をした点、いわば共済年金基本にかかわるような改正に踏み切られたわけでありますが、これらの点については高く評価をしながらも、このような抜本的ともいえるような改正をしながら、まだまだ幾つかの諸点について改善を要する点がありますので、このような観点に立ってお尋ねをしてまいりたいと存じます。  まず最初に大臣にお尋ねをいたしたいと思っています。  この四月、いわゆる国民春闘といわれる春闘の中で、特に社会的弱者に対する制度要求の中で、四野党の共同提案という形で、賃金及び物価の変動に対応する公的年金給付等の額の改定に関する特別措置法案を提案をいたしまして、結果として、国民年金厚生年金において、厚生年金が三カ月、国民年金が四カ月の遡及をした、いわゆる繰り上げ支給が決定を見たわけであります。現在のような異常なインフレや物価が高騰をしている時期においては当然のごとだというふうに実は思っているわけでありますけれども、国民年金厚生年金の受給者も、あるいはまた恩給共済年金受給者も、年金所得をその収入の主としている年金生活者にとっては同じように社会的な弱者というふうに目されているというふうに思うわけでありますが、大臣のお考えはいかがですか。
  42. 町村金五

    ○町村国務大臣 最近における物価の異常な高騰によりまして、いま御指摘になりましたいわゆる社会的弱者といわれておりまするような年金受給者にとりましても、これは重大な生活の脅威になるということから考えてみまして、年金につきましても御承知のように相当なこのたび改正が加えられた。この辺について必ずしも十分でないという御意見も一部にあるようでございますけれども、しかし、このたびこういった問題についてはかなり前進した措置が講ぜられているというふうに私は見ておるところでございます。  なお、私は、こういった一種の年金制度というようなものにつきましては、今後の物価の高騰の推移というものがどういうふうになるだろうかということにも関連をいたすことは申し上げるまでもございませんけれども、やはりこういった制度のできた趣旨が十分満たされるようなぐあいに必要な改善を加えるということは、今後の問題として当然のことだ、かように私ども考えておるところでございます。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 いずれにしても、このような非常にインフレの高騰期におきましてはあのような措置がとられるのは当然でありますし、そういうことであるとするならば、同じような法のもとで取り扱われるべき共済年金の生活者に対しても当然そのような措置がとられてしかるべきだと思いますが、大臣はこれを少なくとも繰り上げていかれるような御意思をお持ちかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
  44. 町村金五

    ○町村国務大臣 いま御指摘のございました各種のこういった年金制度というものの間において、今回のこういった改正がはたして総体としてバランスがとれておるかどうかといったような問題も当然検討されたものと、かように私は承知をいたしておるのでございます。このたび御提案申し上げておりまするこの問題につきましては、言うまでもなく、地方公務員のための共済組合が支給いたします年金改善ということも国家公務員恩給改定措置に準じて行なわれたものでありまして、したがってそういった点では十分バランスが、少なくとも国家公務員地方公務員とでは十分そのバランスはとれておるものでございますが、他の一般の年金制度との関係におきましては、言うまでもなく制度自体の根本のたてまえが違っておるものがいろいろあるわけでございます。そういったたてまえの違いというものを念頭に置きながら、総体として政府としては十分バランスがとれるという判断のもとに今回の改正というものが行なわれたものと、こう私は承知をいたしておるわけであります。  なお、いまの点についてさらに公務員部長からもう少し補足してお答えをさせましょう。
  45. 植弘親民

    植弘政府委員 いま大臣から基本的な考え方をお答えいたしましたが、いま小川先生からは、支給期の繰り上げの問題の御質問だったと思います。いま大臣のお答えのありましたように、恩給、国家公務員共済とのバランスというものが大事でございますので、地方公務員につきましてだけ繰り上げするというわけにまいりません。やはり恩給なり国家公務員共済の動向と合わして措置させていただく。先ほど大臣もその点でバランス論をおっしゃっておりますが、そのように御理解いただきたいと思います。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 提案に踏み切られた町村自治大臣の意思は、いま言われたように、恩給法なり国共法なりとバランスがとれてこの地方公務員共済組合法の提案に踏み切った、そういうことはよくわかるのですよ。  しかし、今月の中旬にそういう形の中で、国民年金なりあるいは厚生年金なりが繰り上げ支給を決定したという新しい事態が提案後に発生をいたしているわけであります。制度の違いというのはわかるけれども、同じ年金を生活の主たる収入としておるところの年金生活者にとっては、制度は違っても同様であります。そういう点については、担当の責任者である自治大臣はそのような措置を講ずるような努力をなされるのが当然だというふうに私は思っているわけであります。しかし、御承知のように恩給法はまだ内閣委員会では審議に入っていないという現状であります。しかし実際には、院内でも、恩給法も若干の繰り上げをするというふうなことがささやかれているのが、実は与野党を問わず、議員間の実情であります。そういう点を勘案をしてか、昨日の大蔵委員会の国家公務員共済組合法の審議にあたっては、恩給法が上がった際には当然そのように措置しますという答弁が出ているわけでありますが、町村さん、国共法というのはいわば地方公務員共済組合法の兄貴の法律であり、恩給法がいわば母法というふうなものであります。それならば、国共法がそういう方向であるならば、町村自治大臣としても、恩給法等の実情に合わしてそのような措置をとり、また閣議の中でそのような意見を開陳をしていかれる意思があるかどうか、あわせてお伺いをいたします。
  47. 町村金五

    ○町村国務大臣 いま御指摘のございましたように、国家公務員恩給等が他の年金との関係でさらに改定時期を繰り上げることに相なりますれば、これは地方公務員も、先ほど申し上げましたようにそれとのバランスをとるということは当然でございますので、そういった点はそれらの状況を十分勘案しながら、適当に対処するようにいたしてまいることは当然だと考えておる次第であります。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 また、年金受給者の間では、いわば年金のスライドが、現状では現職公務員との間に一年半格差がある。これを少なくとも四月にさかのぼらせて、一年のおくれにしてほしいという声が非常に強いわけであります。そういう点も勘案をしながら、当然一年半のおくれを一年に詰めていく、四月に遡及して実施をするということについて、おそらく、昨年の委員会の中でも、どうも推察をするところによると財源問題のようでありますが、そういう点から勘案すれば、四月に持っていけるようにぜひ継続的な努力をこの際強く要請をしておきたいと思います。  あと一点、大臣にちょっとお伺いしたい。後ほど詳細に触れますけれども先ほど住委員質問にもありましたが、前向きの形で地方議員の年金改正について検討をされておるという答弁がございました。年金という以上は、少なくとも年金に値するようなものでなければならぬというふうに思っています。しかしながら、実は地方議員年金については、まるでたばこ銭のような額のものが現在でもあるわけであります。そういう意味からするならば、少なくとも議員年金についても一つ最低保障給なりあるいはスライド制というふうなものを取り入れていくべきではないかというふうに思っています。こまかい具体的な問題は後ほど触れますが、その点だけについて大臣から御答弁を承りたいと思います。
  49. 町村金五

    ○町村国務大臣 現在の地方議員の年金は、開始されましてからまだそう長い時日も経過をいたしておりませんし、また御承知のように、地方議員というのは、いわゆるその歳費的なものも団体によって非常な違いがあるということは申し上げるまでもございません。そういったようなことからいたしまして、一般の市町村議会の議員の年金はいま御指摘のようにきわめて僅少なものになっておるというのが実情であろう、私どもさように見ているところでございます。現在国会議員の歳費が年々上がり、これに伴います年金というものもかなり増額になってきておるというようなことからいたしまして、地方議員の間にも、同じ議員でありながら地方議員と国会議員の間にあまりに差があり過ぎるではないかというような意見、あるいはそういった指摘というものが現に存在しておるということは、私どもも重々承知をいたしておるのであります。  ただ、これは御承知のように、相互の掛け金制度をもって行なうというのがたてまえになっておるものでございます。近年、各地方団体の議員の歳費もかなり増額になっておる、したがって当然年金もそれに伴って上がるということに相なっておるわけでございますけれども、現在議員側から、もう少し増額をしてもらいたいという要望がかなり強いようでございます。それには単なる掛け金だけではやれないということにおのずからなってまいるのでありまして、たてまえ論と現実の支給との間の一種のギャップをどういうふうにしてこれから埋めていくかといったような問題もあります。  地方議員については、その方のやめた後における生活を保障するだけの年金を支給するということには、実はかなり問題が存すると私は思うのであります。したがって、現行のような制度のたてまえで、しかも今日歳費等がだんだん上がってまいりますのに伴って上がるということは当然やってまいるべきことでございましょうけれども、いま一部の御意見の中には、もっと思い切った増額をはかるべきであるという強い要望がございまして、それには御承知のようにいろいろな問題がなお存在をいたしておるわけであります。自治省といたしましてもこの問題は、いま一つの問題として検討をいたしておるということはいままでもお答えを申し上げているところでございますけれども、なおそういった点については諸般の情勢を勘案しながら目下検討を加えておるところだ、さようにお答えを申し上げるのでございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろな意見がありますが、後ほど具体的な問題で触れさせていただきます。  以下、具体的な問題についてお尋ねをいたしますので、専門家である植弘さんのほうからお答えいただきたいと思います。  政府提案の恩給法では、いわゆる従来の積み残し分の格差といいますか、一五・三%の賃上げに対応する分と、それから今回は一四・七%を二年にわたって是正をすることにしているわけですね。そして現職公務員給料年金仮定給料との格差はなくなるというふうになっていますね。昨年も指摘をいたしたのですが、これによって退職時期による年金額格差ははたしてなくなっていくのでしょうか、どうですか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  51. 植弘親民

    植弘政府委員 なくなっていくものと考えております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 いま例をあげるのでちょっとお聞き取りをいただきたいと思うのですが、四十八年度の改定で三十七年度に退職をした者の年金の月額二万七千二百円のものが、本年の改定では月額三万九千百円になります。これは昨年の改定と本年の改定の比較であります。四十六年度の退職者の場合を見てみますと、年金月額が四万七千百円のものが、本年の改正で六万四千七百円になります。そうしますと昨年よりもさらに格差が拡大をする結果になるわけですね。この点についてどうお考えですか。
  53. 植弘親民

    植弘政府委員 この数字についてはもう少し詳細検討を要するかと思いますが、いま考えられますことは、三十七年ごろから昨年度までに至りますベースアップの率が、従来は大体一〇%以下でずっとおおむね横ばいみたいなかっこうでまいりましたが、四十七年からですか、相当大幅なアップになってまいっております。そこらのところがいま御指摘のような点に作用したのではないか、このように考えます。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 これはやはり格差が増大をするのですよ。だから、この是正を考えなければほんとうの意味での改善じゃないと思うのですね。これはなぜこういうことが出てくるかというと、今度の改正で三年間を一年間に変えますね。そうしますと、三十七年度はいわば改善率がゼロの場合、四十六年度になりますと二〇%程度が増額をされてくることに基因するんだというふうに私は思うのですが、そのことによって格差が拡大をするんだと思うのです。だから、今度は改善をしたわけだけれども格差が増大をしたようでは、この是正を考えなければほんとうの意味での制度改善にはならぬというふうに思いますので、いわゆる改善によるところのひずみが出てきた点について今後どのように対処されるのか、お考えのほどを承りたいと存じます。
  55. 植弘親民

    植弘政府委員 年金におきましていろいろな、退職時における差によってのそういったアンバランスといいますかギャップが出てくることは好ましいことでないことはもう当然でございます。したがって、昨年も御指摘がございましたが、あとで御質問があると存じますが、いわゆる厚年との関係における逆転といいますか、水びたし現象の解消といったもの、それから今回も給与水準消費者物価水準との差を埋めようという、こういうのはいま先生指摘のような一連の立場に立っての措置でございます。したがいまして、私も不勉強で申しわけございませんが、いまの較差がどうして出たのか十分検討いたしまして、それが改善できるものであれば当然改善のための努力をいたしたい、このように考えます。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 いま申し上げたような形が現実に出てくるわけです。自治省改善をされている意図はよくわかるわけですが、そういう中にひずみがどうしても出てくるわけですよ。それはおくれてもよろしいですから、そういう改善に伴うところのひずみについての是正をさらにひとつ検討して対処してもらいたい、こういうことを要請いたしておきます。  この年金額改定関連をして、昨年も私取り上げたんですが、四十五年四月と四十六年四月の退職者の給与改定時期によるいわゆる落ち込みのものについての是正ですね。本年は政令によってこれを是正するというふうに伺っておるわけでありますが、当然政令によって是正をするのであって、給与改定の遡及時期の問題だけでありますから、完全に同じような形に是正をされるのが至当だというふうに思うわけです。漏れ聞くところによると、何か二分の一程度などというこそくな手段をやられているようだけれども、そんなばかな話はないというふうに思っていますが、四十五年四月と四十六年四月の退職者の扱いについてどのようにやっていかれるのか、お伺いをいたします。
  57. 植弘親民

    植弘政府委員 政令で定めるところによりまして改定をするというのは先生指摘のとおりでありますが、半分じゃございませんで、一年でやる予定にいたしております。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、四十五年五月の退職者と同額にするという意味ですね。
  59. 植弘親民

    植弘政府委員 そのとおりでございます。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、特例保障年金について若干お尋ねをしたいと思います。  厚生年金水準との均衡をとるという意味で新たに特例保障年金制度を取り入れたわけですね。特例保障年金という趣旨からして、私、幾つかの点でどうも特例保障というその趣旨に沿わないものがあるんじゃないかというふうに思うので、若干お尋ねをしたいと思うのであります。  組合員期間が二十年を下回る者で受給者があるわけですね、十九年とか十八年とか。そういう人たちは当然、二百四十カ月といいますから、いわゆる二十年として保障を行なっていくべきではないかというふうに思うのです。いわゆる特例保障という形を考えるならば、当然、十九年、十八年であっても、いわゆる二百四十カ月としての保障をしていくのが特例保障をしていくところの趣旨だと思うけれども一、その点についてはどうなのか、お尋ねをいたします。
  61. 植弘親民

    植弘政府委員 いま御指摘の特例計算の問題でございますが、御承知のように、勤務年限といいますか、これに応じて年金の額を算定するというのがたてまえでございます。ところが、現行方式によっても非常に低額であるという場合に特例措置を講じようとするものでございますが、二十年の者とそれに満たない者というものは本来のたてまえによって均衡をはかるのが、やはり年数によって年額をきめるというたてまえからいってはやむを得ないところじゃないか、このように思います。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 理屈が合っているようでまさに通らない理屈だと思うのです。十八年か十九年の者を、特例として二十年で与えるべき年金を支給するようにするわけですね。そして、少なくとも保障をするという観点からいうならば、やはり最低二十年のところに合わせていくのが当然だろうと思うのだけれども、兄貴分であるところのいわゆる国共の中ではどう考えているか。大蔵省の鈴木共済課長においでをいただいておりますが、大蔵省としては国家公務員共済考えるにあたって、この辺についてどのような検討をされたか、お伺いをいたします。
  63. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 途中で参りましたので正確に理解しているかどうか、もし間違っておりましたら御指摘いただきたいと思いますが、現行の共済年金制度につきましては、御承知のとおり相互扶助による社会保険制度でございますので、その給付は、組合員が掛け金の負担をした期間について基礎とすべきものというふうに考えておるわけでございます。いま御指摘ございました組合員期間が二十年未満のそういう方につきましての、現行の共済制度の施行の日まで引き続いていないような、そういう期間を加えまして二十年以上になるような場合ということが想定されるかと思うのでございますが、そういう場合の退職年金を受けることにつきましては、制度発足前の在職期間を何ら給付の対象としないとしますと、年金制度の成熟に著しくおくれるというような支障を来たすことも考慮してそのような措置がとられているわけでございますから、申し上げましたような年金制度のたてまえあるいは退職年金最低保障というような観点から見ましても、現在のような方式によることが適当であるというふうに考えておるわけでございます。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 あまりよく理解はできませんが、ぜひひとつこの点については、やはり特例保障をして年金を支給するということであるならば、少なくとも三十年という観点の中で保障をしていくべきだというふうに思いますので、さらに検討を国共、地共、ともどもお願いをいたしたいと思っているわけでございます。  控除期間、百分の四十五の控除の問題がありますね。これについては私どもは廃止すべきだというふうに思っているのですが、どうなんでしょうかね。
  65. 植弘親民

    植弘政府委員 もう先生よく御承知のとおりではございますが、共済組合自体は、いまもお答えございましたように、掛け金を主体にした相互共済制度といいますか、そういうものでございますので、やはりこの掛け金を現に負担したかどうか、納めたかどうかというものが年金の場合における重大なポイントでございます。したがって、やはり掛け金を納めてない期間というものは年金計算の期間から控除されるというのは、これもやむを得ないところであろうと思っております。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 趣旨はわかるのですよ。私は百分の四十五という控除が少しきつ過ぎるのではないかというふうに思っているので、その辺はひとつ検討をしていただきたいと思うのです。  それから、いわゆる七〇%の頭打ちの問題がありますね。これは特に現業職員等の低い賃金の場合にはどうも不利になってくると思われますので、一定額以下の場合には七〇%の頭打ちというのをはずすべきだと私は思っているのですよ。実際に計算した額よりも低くなる場合が生じてくるのです、退職賃金が六万とか七万なんという低い場合には。これは私ははずすべきだと思うのですが、この辺については大体自治省の中で検討されたことがあるのかどうか、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  67. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 最初のほうの百分の四十五という問題でございますが、これはその当時の国の負担が百分の十、残り九十を四十五ずつ負担をしておったので百分の五十五を除いた、したがって掛金の分だけ残ったという問題でございます。掛けけ金分を控除したということでございます。  それから百分の七十の頭打ちにつきましては、恩給とはずを合わせておりますので、これもやむを得ないのじゃなかろうかと考えております。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 総理府の海老原恩給室長においでをいただいているのですが、総理府のほうでは、恩給でいま言った百分の七十の問題について、特に退職賃金の低い者について検討をされたことがありますかどうか。
  69. 海老原義彦

    海老原説明員 恩給制度といたしましては、在職年につきまして文官は四十年、軍人は五十年というような頭打ちがございます。しかし計算率の面では特段にそういった頭打ちを設けておりません。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 たとえばやめるときに六万円の場合、組合員期間が三十年として計算をしてみたのですが、そうなりますと五十七万六千円の年額になるのですよ。ところが七十の頭打ちで五十万四千円ということで、七万二千円ばかり七十の頭打ちによって不利をこうむる者が出てくるのですね、実情では。ですから私はそういうふうな点で、退職時の最終賃金が低い者については七十の頭打ちというのはどうもあまり感心をしないというふうに思っておりますので、ひとつ公務員部長を中心にしてぜひそういう点についての検討を強く要請をいたしておきます。  次に、通算退職年金額改定において、他の公的年金制度と同様に遺族年金制度を設けるべきだというふうに思っていますが、なぜこれは設けられないのでしょうか。
  71. 植弘親民

    植弘政府委員 その点は、同じような公的年金制度におきましてもまだ創設されておりません。したがって、他の年金との関係等も考慮しながら、その間の連携をとりつつ検討さしていただきたい問題でございます。
  72. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、自治省の主張で大蔵なり厚生なりにそういう主張をいままでにやったことがありますか。あるいはそういう主張を今後やっていただけるということですか。
  73. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほど住先生質問のときにもございましたが、総理府審議室を中心にやっております公的年金連絡協議会ですか、この場におきましてもそういう問題を取り上げられたことがございまして、将来の課題として検討していこうということになっておりますが、いまのところまだ結論が出ておるわけではございません。
  74. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ強く主張をしていっていただきたいというふうに実は思っておるわけであります。  次に、昨年も実は義務教育学校等の学校の給食調理員等の例をあげてただしてまいったのでありますが、いわば給食調理員でありますとかというような、中年以上で就職をする職員というのがたくさんあるわけであります。で、退職の勧奨を受けるような五十八歳、五十九歳、六十歳というところになっても、実は二十年の年金受給資格が得られないまま退職をしていく職員がかなりたくさんあるわけでありますが、今回の改正の中でそのような点が入れられていないわけなのですが、私は、少なくとも四十歳以上で、しかも組合員期間が十五年以上あるような者については、当然年金受給資格を与えるべきだというふうに思っているわけでありますが、これに対して自治省見解をお示しをいただきたいと思いますので、お尋ねいたします。
  75. 植弘親民

    植弘政府委員 昨年の当委員会の審議の際にも御指摘ございまして、私どももその実態を十分きわめた上で対処いたしたいということで、昨年から今回の法案改正まで検討してまいりました。ところが、いま御指摘のPTA関係だけでございますと実態もおおむねよくわかりますので、何とか措置できるのではないだろうかと思いましたが、やはり私ども、この年金制度公務員全般に当てはめます場合においては、PTA雇用の職員と同じような業種といいますか、非常に関連性の深い業種についてもやはり同じ取り扱いをすべきではないだろうか、そこで国家公務員においてそういうものがあるのじゃないだろうかということで、国家公務員担当の大蔵省とも御相談したわけでありますが、やはりそういうふうになってまいりますと、非常に業種が多岐にわたっておりますために本年度の改正に間に合わなかったのでありまして、両省とも今年一年をかけまして十分に実態を見きわめた上で、明年度にはできるだけ創設させていただくというふうに考えておるわけでございます。
  76. 小川省吾

    小川(省)委員 今度は間に合わなかった、来年度の中ではそういう趣旨といいますか、要望を生かして、実現をさせていただくようにやっていきたい、こういう理解でよろしいですか。
  77. 植弘親民

    植弘政府委員 できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと思っております。
  78. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  次に、遺族年金制度についてお尋ねしたいわけでありますが、最低保障額制度においても、いわゆる退職年金額は三十二万一千六百円ということで、遺族年金額は約七割以上の二十五万四千四百円に保障されているわけですね。しかし、年金受給者が死亡した場合の遺族年金は半額にされているわけですね。遺族年金というのは退職年金額の七割程度に、遺族が遺族年金を受けることになった場合には保障をしていくべきだというふうに思うのですが、その点についてのお考えはいかがですか。
  79. 植弘親民

    植弘政府委員 御趣旨のほどは理解できるわけでございますけれども先ほど来同じような答弁をして恐縮でございますけれども、やはり恩給だとかその他の制度とのかね合いがございますので、そこらのところとの調整を十分はかりながら、将来の問題として検討させていただきたいと思います。
  80. 小川省吾

    小川(省)委員 海老原恩給室長、いかがですか。
  81. 海老原義彦

    海老原説明員 遺族年金最低保障関連して恩給の問題で申し上げますと、共済年金保険数理に基づく社会保険の一環として成り立っている年金制度でございまして、厚生年金が一般被用者を対象とするのに対して、公務員という特殊な職域というものを対象とするところから、いわば厚生年金の特別法という関係に立っているのでありますが、それに対しまして、恩給制度社会保険に基づくこういった年金制度と異なりまして、公務員を対象とする全額国庫負担の特殊な年金制度でございまして、独自の長い歴史を有するものでございますから、厚生年金制度共済年金で取り入れましてこの特別の保障を設けておるというようなことと、ちょっと経緯沿革が違っておりますので、恩給制度のサイドからこの最低保障のやり方についてどうこうということはちょっと申し上げにくい問題でございます。ただ、恩給制度といたしましても、遺族扶助料について一定の最低保障を設けておるということはいたしております。またその額は今回大幅に改善する予定でございます。
  82. 小川省吾

    小川(省)委員 いずれにしても、沿革なり制度なりが異なったいろいろ歴史があることは十分承知をいたしておりますが、やはり遺族年金についてもそれらの点について勘案をしなければ、遺族の生活を保障するということにはならぬと思うのですね。受給者がなくなる、とたんに二分の一になるということは、大体二分の一の根拠すらこれはいろいろな意見のあるところでありますから、これらの点についても、諸制度勘案があるわけでありますが、ぜひひとつ検討をお願いをいたしておきたいと思います。  それと関連をして、新たに扶養加給制度が設けられたわけですね。恩給法では今度は一万二千円にしていこうというわけでしょう。そうですね。
  83. 海老原義彦

    海老原説明員 恩給制度では、傷病者に支給されます増加恩給、それから傷病年金に妻がいる場合には加給をつける、増加恩給については妻とその他の扶養家族について加給をつけるというような制度がございます。それからまた公務扶助料につきまして、扶養する他の遺族がいる場合に加給をつけるというような制度がございます。
  84. 小川省吾

    小川(省)委員 一万二千円ですね。
  85. 海老原義彦

    海老原説明員 はい。その公務扶助料の扶養遺族の加給というものは現在九千六百円でございますが、これを一万二千円にするということで御審議をいただいております。
  86. 小川省吾

    小川(省)委員 共済では、これを今度設けたのに、九千六百円ですね。恩給法の上で一万二千円にされたものが、なぜ地共済では九千六百円なんですか。なぜ一万二千円にできないのですか。大体恩給法を母法としながら進んできたものが、恩給法を改正する、その一年おくれであとを追いかけるということなのですか。
  87. 植弘親民

    植弘政府委員 そこが共済の二面性といいますか、先ほども申し上げましたように、発足経緯からいいますと非常に恩給の流れをくんでおりますから、いわば恩給は母法でございますが、現実には社会保障といいますか、社会年金制度の一環として厚生年金との均衡という、この両方の二面性、両方から制度考えなければならないつらさを持っております。この加給制度は、どちらかといいますと厚生年金保険におきますところの加給年金という制度でございますが、これに相当するものとして創設しようとするものでありますから、したがって金額も厚年の九千六百円というものになぞらえるということにさせていただいているわけでございます。
  88. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、やはり掛け金をもって運営をしていくところの、いわゆる厚年からいえば一種の職域年金のような性格でしょう。だから私は、厚年の九千六百円ではなくて、恩給法にある一万二千円を適用していいと言える根拠があると思うのですよ。ですから、掛け金をもってやっていくのだから、そういうようなより前進をした他の制度があるのだから、そういう改正をしていく恩給法というのがあるのだから、少なくともそれにならうべきで、厚年にならわなくてもよろしいというふうな理解に立って主張しておりますので、そういう点は若干立つところで違うようでありますが、そういう点も今後法改正にあたってはぜひひとつ勘案をしていただきたいと思います。  それから、最低保障額の適用者にあっても、いわゆる既支給の退職一時金を減額しておりますね。していると思うのですよ。私はまだ受けていないからわからないけれども、適用を受ける者の退職一時金の調整が実施されていると思うのです。最低保障額という考え方からすれば、最低保障というのは一体何なんだということになるわけでありますが、これらの既支給の一時金について最低保障額適用者からはぜひ取りやめてもらいたいという立場で御質問を申し上げますが、いかがですか。
  89. 植弘親民

    植弘政府委員 制度としては御指摘のようなことになっておりますが、これは、一時金の基礎となりました期間を年金基礎となる期間とすることになりますと、いわば重複支給といった不合理が生ずるわけでございます。したがって、そういう不合理を避けるといいますか、排除するために、全般的な意味における受給者相互間の均衡をはかるといったことからそういう措置をされているものでございます。
  90. 小川省吾

    小川(省)委員 受給者間の均衡をはかるといっても、最低保障という考え方がいわゆる共済の中に持ち込まれた以上は、均衡ということじゃなくて、その最低保障があることが均衡なんですよ。そうだとするならば、その中から調整を受けるなんということは均衡を失するのですよ。ですからそういう意味でやはり均衡という考え方を受けとめてもらわぬと、これは組合員にとって不利益になるし、組合を守る観点に立たないというふうに思いますので、だいぶお考えが違うようですが、均衡というのはそういう上に立ったのがほんとうの意味均衡だというふうに私は思うので、ぜひひとつこの点も御検討いただきたいと思います。
  91. 植弘親民

    植弘政府委員 いまの最低保障制度というものの性格からいいますと、小川先生の御指摘もごもっともだと存じます。しかし、これは何といいますか、通算退職年金制度のいわば基本的な問題にもかかわる問題でございますので、単に私ども地方公務員共済だけでこれを処理するというのも問題があろうかと思います。したがいまして、御趣旨を体しながらこの点も十分真剣に検討させていただきたい、このように考えます。
  92. 小川省吾

    小川(省)委員 これも昨年実は取り上げた問題なんですが、いわゆる断続職員期間の通算の問題なんだけれども、二十四年十月一日という旧国家公務員共済組合法の施行時期というのは、やはりはずれていないのじゃないかというふうに思いますが、これがはずれないところの理由はどこにあるのか。  それからあと一つは、退職理由によって——まあ勧奨によるものというふうなことになっているようだけれども、いろいろな経済変動期等で職員は退職をし、ある際にはまたつとめてくるということもあるわけでありますから、退職理由による差別というのを断続職員期間の通算に設けるのは不当ではないかというふうに思っておりますけれども、この点については是正をされたのですか、それとも現在でもまだされていないのですか、それとも今後どうするのですか。
  93. 植弘親民

    植弘政府委員 まず断続期間の問題でございますが、これは今回の改正案によりまして、外地等から引き揚げの一年を三年まで延長させていただくことになりましたので、それによりまして大部分が救われるのじゃないだろうかと思います。もちろんまだ残る問題はあると思いますが……。ただ、二十四年という問題は、国家公務員共済との基本的な問題がございますので、これもやはり国家公務員共済との関係を十分慎重に考えなければならない問題である、こういうふうに思っております。
  94. 小川省吾

    小川(省)委員 私、去年も申し上げたわけですよ。外地の方々をそういう形で救済をしていくのはたいへんけっこうなんですよ、私も外地生活者ですから。あれらの中に、はたしてあれが半官半民か、おそらく五分の四ぐらいは実際には民のものだってあるわけですよ。そういう者が通算を受けておって、かつて町村職員であった者がまた町村職員になった場合なんか通算されないのですよね。そういう不合理があってよろしいのかという問題なんですよ。外地の場合には外地の引き揚げ団体のプレッシャーもあるんでしょう。しかし私は、そういう現に町村役場につとめていたというふうな者が、断続期間があることによって通算をされないというふうな不合理が、明らかにつとめておったことがわかりながらできないという実態があるからお尋ねをしておるんですよ。
  95. 植弘親民

    植弘政府委員 昨年もその点は御指摘ございまして、国家公務員のほうの関係とも調整をはかりながら検討を進めてまいりましたが、前進的な結論を生み出しておりません。したがって、引き続きこれは検討をさせていただくことにお願いいたしたいと思います。
  96. 小川省吾

    小川(省)委員 これが実現しないのはどこに隘路がありますか。
  97. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 地方公務員の場合の断続期間の問題については、自治省とも再三協議いたした問題でございますが、国家公務員共済先生御承知のとおり、旧法の発足が二十四年当時でございますが、その際にとられた制度のたてまえが、それ以前の断続している、切れている期間につきましての取り扱いとの関係がございますので、直ちにこの問題を先生がおっしゃるようなことで解決することはなかなかむずかしい問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  98. 小川省吾

    小川(省)委員 鈴木さん、国家公務員のほうが該当者が少なく、地方職員のほうに多いというふうな理由で、大蔵がこれに対して、自治省が持っていくのをけっているのが真相じゃないのですか、どうなんですか。
  99. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 私のほうが別にけっているというふうなことではございませんで、公務員全体の共済制度のたてまえとしていま申し上げましたような制度になっておりますので、全体の制度を乱すということはやはり問題があるということで、協議をしながら検討はいたしておりますが、なかなかむずかしい問題であるということでございます。
  100. 小川省吾

    小川(省)委員 鈴木さんにお尋ねしますが、外地の、たまたま一緒にいたというふうな、一緒にいたかどうかわからないような証明で外地期間が通算をされて、しかも現実に役場にいたというので、その当時の同僚もいるというふうな者がそういうことによって通算をされないということについて、あなたはどう考えますか。そんな制度がありますか。
  101. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 旧共済制度発足した当時の制度のたてまえの問題がございますものですから、ただいま私が制度のたてまえとしてこのようになっておることを申し上げたわけでございますが、特殊な事例としては、ただいま公務員部長からも御説明ございましたように、外地からの引き揚げ者等につきまして特別な措置がとられている、あるいはさらにその期間については緩和をする措置を今回もお願いをいたしておるという現状になっておるわけでございます。
  102. 小川省吾

    小川(省)委員 私も外地におった人間ですから、外地の人を救済するためにはたいへんけっこうですよ、引き揚げてこられたわけですから。しかし、いまあなたはたてまえだと言うけれども、生かされないたてまえなんてくずしたらいいじゃないですか。たてまえによって、当然救ってしかるべきものが救えないなんという制度は、これは守る制度じゃないですよ。それはあなたがそう思っているの、辻さんがそう思っているの、どうなの。
  103. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 制度のたてまえがそのようなことで取り扱われてきているということを申し上げているわけでございまして、考え方によってこれをどうこうということではございません。ただ、それ以前の期間でいろいろな事例があろうかと思いますが、かつて二十四年以前につとめたがその期間が切れておってそのままになった人の取り扱いをどうするかというような問題にまで波及してまいりますので、なかなかむずかしい問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  104. 小川省吾

    小川(省)委員 それは、ここのところで年数をかせいでいけばそのような人がなくなるから自然と解決するなんというようなことではいけないんですよ。事実そういう状態にある者を、救済できるものは救済をしていくというのが、相互の、掛け金をかけてやっていく共済制度なんですよ。その辺のところは、私がそんななまいきなことを言わなくともあなた百も承知のはずだし、共済の番人でしょうが。それだったならば、そういうふうなたてまえがどうだこうだ言わないで、そういうものは救済をできるというふうなことを考えていってもらわぬと困るんですよ。地方公務員共済は、大蔵がそういう態度でいたんじゃ、なかなかもって努力をしても何ともならないのですよ。そういうところが大蔵の中にあるわけだ、現実に。ぼくら審議を通じてわかるんだけれども、そういう点を大蔵省のほうで少し検討するよう強く要請いたしておきますが、ぜひひとつその点については再検討してもらいたいと思います。  それから次に、長期給付に対する公費負担の割合は現在一五%ですね。二〇%に増額をぜひしてもらいたいという声が非常に強いわけで、私どももそう思っておるわけです。共済財源の再計算期に入っていることもありますので、ぜひこれは実現をしてほしいと思うのですが、自治省としての努力なり心組なりをお聞かせをいただきたいと思います。
  105. 植弘親民

    植弘政府委員 公費負担の関係につきましては、他の私学共済等との関係からいたしましても、百分の十五をもう少し増額さしていただくべきではないだろうかという考え方基本的に持っております。二、三年来、国家公務員共済を主管いたしております大蔵省ともそういうことでどうであろうかという相談をかけているところでございますが、大蔵省の財務当局といたしましては、やはりいろいろと相互間のバランスなり財源の問題なりといった点から、いまのところでまあまあやっていけるんではないだろうかという立場から見送られてきておるわけでございます。しかし私どもは現状からいうと、一歩でも二歩でもこれは前進させるべきものじゃないだろうかということで、今後とも大蔵省には強くお願いをしていくつもりでおります。
  106. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつそういう形で努力をしていっていただきたいと思っております。  次に、最近成人病が減ったといっても老人性結核などがかなりふえてきておって、休職者が復職をして、そして一年以内に退職をしていくようなケースがかなり出てきているわけであります。またこの点については組合専従者等についてもそういうケースもあるわけであります。当然、復職をすることによって二分の一なり三分の二なりの昇給延伸等の所定の復元措置が行なわれることになりますね。しかし実際に復職後直ちに、あるいはまた一年以内に退職をする場合には、いわゆる一年間の平均給料額になることになったわけですから、十二分の一なり十二分の二なり三なりということになるわけですね、復元をした期間というのが。これを、こういう不利なような形をやはり救済をしていかなければ、一年間に短縮をしたといっても、このような非常に高い給与改定、ベアが行なわれる時期でありますから、やはりこれは魂を入れなければならぬというふうに思っています。これらの職員が不利をこうむらないように、政令等によって何らかの救済措置を講ずべきではないかというふうに思いますが、自治省としての御見解を伺いたいと存じます。
  107. 植弘親民

    植弘政府委員 この休職者の復職時調整というのは、基本的には給与制度基本的な問題でもございまして、病気休職にしてもその他の休職にいたしましても、いろいろな事例がございます。現実には給与というものが重大な勤務条件でございますから、人事院が所掌いたしまして国家公務員に対してその扱いをきめておりますし、地方公務員につきましてもこの国家公務員の扱いに準じて措置をさしていただいておるわけであります。したがって、いま御指摘のようなものが現実には出てくるであろうということは私どもも十分想像できます。しかしながら一方では、共済制度はもうすでに御承知のように掛け金というのが主体でございますから、掛け金基礎となった給料をどのように考えるかという問題が前提になってまいります。そうなりますと、かりにそこで給料の調整をしたといたしましても、それではその掛け金をどのように擬制して徴収するのかといったような問題も出てまいるわけであります。したがいまして、気持ちとしては、あまり低額のものについては何とか不利にならないように是正の道は講じたいと思いますものの、手続的にはなかなか困難な問題も多いだろうと思います。慎重に検討さしていただきたいと思います。
  108. 小川省吾

    小川(省)委員 また今回の改正で、二年間の限定ということで地共済の運営審議会委員等の任命の特例措置がとられたわけですね。あらゆる団体の役員というのは更新を妨げないなんというのが大体規約なり定款なりにあるのですが、これは二年間の限定の措置のようであります。この中で、いわゆる運審委員等ということですから、「等」という文字がありますから、これはある意味では拡張をして解釈をされるのでしょうが、執行機関的ないわゆる運審と、決議機関的な組合会の議員と、それといわゆる救済を目的とする審査会の委員がこの「運営審議会委員等」という中には入っておるわけでしょうね。その辺はどうなんですか。
  109. 植弘親民

    植弘政府委員 附則の改正で入れさせていただいておりますのは役員なり審議会の運審の委員でございまして、御指摘の審査会の委員は含まれておりません。  それでは、なぜ審査会の委員は入れなかったかということになってまいりますと、やはり制度のたてまえからいって違うのじゃないだろうか。運営審議会というのはいわば議決機関でございますし、役員といいますと執行機関でございますが、これに組合員の代表の意見を十分反映させるということは非常に大事なことであろうと思います。そこで、本来のたてまえとしては職員の身分がなくなりた者は組合員ではないのでありますけれども、やはりそういった共済組合の健全な円満な運営というもの、従来からの経緯を育てていくというたてまえから、二年間ではございますが、委員として就任していただいて共済組合を円滑に運営したい、こういうことで今回お願いしているわけでございます。  一方、審査会になりますと、これはいわば準司法機関でございますね。不服審査を行なう準司法機関でございますから、そこに従来からの経緯によっての組合員の意思の代表といったものがそれほど必要であるだろうか。いわば審査機関には、審査が適当でない場合は行政不服審査法によっての訴訟手続もできる。そこはもう先生よく御承知でございますからそれ以上申し上げませんが、そういうところにやはり何といたしましても機関の性格というものが違っているんじゃないだろうかということで、この審査委員については、そこまで組合員の意思というものを代表するという立場で入れる必要はないのじゃないだろうかというのが今回の改正でございます。しかし、どうしてもその点が問題ということになりますと、将来の問題としてはまた検討する余地はあろうかと思いますけれども、少なくとも基本的には、いま言いましたように機関の性格論じゃないだろうかというふうに考えております。
  110. 小川省吾

    小川(省)委員 部長の機関の性格論、よくわかりました。しかしそれによってこれを入れないという理由にはいかにも乏しいというふうに思っているわけであります。確かに準司法的な、いわゆる不服審査をやる機関ではあるけれども、組合員の意思を代表して審査委員になっているというようなケースもあったわけでありますから、そういう意味では、運審等の委員を認めていくとするならば、これを拒否するはっきりした理由がないわけですよ。そういう意味では、いま検討されるということでありますから、ぜひそれを拒否しないように、当然含めていくことが健全なる発展、円滑なる運営に寄与するというふうに思いますので、これはそうしちめんどくさい問題ではありませんから、ぜひひとつ配慮をお願いいたしたいと思っております。  それから、実は都道府県段階に互助会というのがありますね。互助会職員の共済加入というのが、現在各種の互助会、約千五百人程度共済互助会の中で職員の要望として強く出されているわけであります。互助会の職員の加入というのは、住宅供給公社なりあるいは道路公社以前の問題であろうと私は思うのであります。互助会は職員の福利厚生面の仕事を担当してきているわけでありますし、言うなれば共済組合でカバーできない面をカバーさせている、いわゆるチープガバメントみたいな形で、共済組合でカバーできない面を互助会がカバーしてきたのが実情だろうと思うのですよ。そうだとするならば、この人たちを共済組合に加入させていくべきであろうというふうに思うのです。自治省側にはいろいろな理由があるようでありますが、やはり何といっても共済組合活動、いわゆる職員の福利厚生活動の面を、地方公共団体と共済組合と互助会とが三者一体になって同じような立場でやってきたわけでありますから、互助会職員を当然共済組合に加入をさせるべきだというふうに私は思っているわけでありますが、自治省としてはいかがでしょうか。
  111. 植弘親民

    植弘政府委員 実は、互助会のみならず、団体共済にいろいろの団体を加えることにつきましては非常に大きな問題があるわけでございます。すでに御承知かと存じますが、年金の社会保障制度全般の立場からいいますと、共済制度すら年金の中に含めるべきではなやかという純粋な統一議論もあるわけでございます。そういう点からいたしますと、現在厚生年金保険に入っていますいろいろな団体を、そこから脱退させまして共済組合に持ってくることについては、基本的には社会保障制度審議会等においても異論のあるところでございます。しかしそういたしましても、地方団体、地方行政の運営に重大な影響のある、ないしは密接な関連を持つものについては、地方関係団体共済組合というものをつくっていただいて、そこで職域保険的なものをつくらしていただくということがきまったわけであります。しかし、その際にも非常に大きな歯どめといいますかワクがございまして、その団体自体が法律に基づく団体であるというのが第一の条件にされております。  そこで、今回、先ほど住先生の御質問にもございましたが、土地開発公社につきましては、当委員会で御審議いただきまして法律をもってつくった団体でございますが、この土地開発公社を団体共済に入れていただきたいという希望を持ちまして、厚生年金担当の厚生省と折衝いたしましても、厚生省は先ほど申し上げましたような基本的な立場から反対しているわけでございます。したがって、私どももこの政府原案に入れさせていただくことはできませんでした。厚生省のみならず、社会保障制度審議会も反対でございます。そこで、入れていただくためには、先ほど政務次官からも、うまく表現しておられたのでありますが、いろいろと御心配いただくというようなことになってくるわけでありますが、それにいたしましても、もうこの土地開発公社は住宅公社なり地方道路公社と同じように、いわば公社という三本柱で法律をもって規定された特別法人でございますから何とかお願いできるのじゃないかと思いますが、いまの互助会ということになってまいりますと、任意の法人でございますために——もちろん県によって条例でつくっておりますが、そのほかにも県自体で議会の議決を得て設置されましたいろいろな公社等も土地開発公社以外にございます。単なる開発公社というのがございますから、そういうものを一体どうするかといったようなことになってまいります。それから、自治省関係関連の深い、地方行政に関係の深い事務を処理しておりますいろいろな団体もございます。そういったものも入れるかということになってまいりますと、これはなかなか大問題じゃなかろうか。したがって、互助会については、先生指摘のように、共済組合の補完的な事務をやっているということで、非常に関連性が強いように私どもも承知いたします。しかし、そういったような厚生年金全体の立場からの問題とどこで調和を見出すか、なかなかむずかしい問題であろうというふうに拝察いたしております。
  112. 小川省吾

    小川(省)委員 社会保障制度審議会なりあるいは厚年サイドとの問題をお述べになったわけでありますが、しかし地方公務員共済から考えれば、やはり福利厚生活動を同じような立場でやっている職員なんですから、同じ中に入れていくべきだというふうに思っているわけであります。そういう点からすれば、いま二つの点を申し上げたいのですが、一つは、共済組合で兼務辞令を出すというような方法もあるでしょうし、大体が多くは県議会等の条例で設置されているところが多いわけでありますから、当然県費が支出をされております。そういう点ではこれは条例に基づいている団体でありますので、いわゆる一般の任意のあれとは違うわけでありますから、そういう点についてぜひ御配慮をいただきたいというように思っているわけであります。  それと、特に昨年は、いわば地方公務員共済の育ての親であり、地方公務員共済の大功労者である佐野前課長さんを地方関係団体等職員共済組合に、天下りじゃないけれども、なったわけですね。そのぐらいのごめんどうを見る自治省であるならば、やはりそこのところの組合員をある程度ふやしてやる、厚年関係はこうあろうと、そのぐらいの親心がなければ——どうも昔の町村さんが官僚であったころの官僚と違って、親心がなさ過ぎると思うのですよ。そういうふうな点等もありますので、互助会の問題については、いろんな諸般との関連もありましょうが、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思っています。  それから、地方議員年金について若干お尋ねをしておきたいと思います。  年金である以上、この改善等も当然今度の中で出てくるのかと私は思ったけれども、これはいままでの地方行政委員会の慣習として、すべて議員修正という形で上げていくべきものであって、自治省が出すべきものじゃないんだということなんですか。
  113. 植弘親民

    植弘政府委員 議員修正によることがたてまえであるかどうかという、正直のところは存じません。ただ問題は、議員年金共済発足しましてからの事情ないしはその制度のたてまえ、こういったものが、本来、掛け金を主体とした相互互助、扶助といいますか、それでございましたので、掛け金の行くえを考えながらその水準考えてきたわけであります。先ほども大臣からその点についてはお答えをいたしましたが、いろいろと問題のあるところでございます。しかしそれにいたしましても、発足以来全然既裁定年金改定をしないということについていかがであろうかという点について、私どもも私どもなりに検討は進めてまいっております。  それから、毎年自治大臣の認可事項になりますが、当該共済会の財政事情考えながら、掛け金基礎になります標準月額報酬につきましては年々改定はしてまいっております。したがって、現職者等につきましては、掛け金の額の基礎になる報酬月額が上がってきますから年金も上がるのですが、問題はすでにおやめになった方、既裁定者の非常に低額のものをどうするかという問題はあろうかと思います。その点は関係共済会もだいぶ熱心に要望しておられるようでありますので、そこらのところ、しかるべくお取り計らいいただいたらと考えております。
  114. 小川省吾

    小川(省)委員 おっしゃる意味はわかります。どうもいろいろ聞いてみると、特に町村議会議員の古い退職者などは月額三千円だとか、年金といえるような状態じゃないわけですよ。これは何らかの措置をとっていかなければならぬというふうに思ってるのです。私もかつては互助年金の会員でございますから特に痛切に思うのですが、少なくともそういう意味では、古い人たちを救済するためには最低保障額を設定すべきだというふうに思っています。自治省としてもいろいろ何らかの試案があるようですが、最低保障額を持ち込むところのお考えがあるかどうか。当初自治省が心配をされた各共済会の財政状態も、自治省が見ていたような状態ではなく、最近比較的健全にやられてきているようでありますけれども自治省としては最低保障額を設定をしていくという御意思がありますかどうか、試案的な中で持っておられるのかどうか、お伺いします。
  115. 植弘親民

    植弘政府委員 やはり繰り返しお答えいたしておりますけれども、本来は掛け金主体の相互扶助のあれでございますから、最低保障額の定めをするということは、制度的にはきわめてなじまない問題じゃないだろうかと思います。それよりもむしろ、標準報酬の問題なりあるいは既裁定年金アップの問題なりということで対処すべき問題になる。もちろんあまりにも低い場合に一体年金といえるのかといった基本的な問題がありましょうから、それについて、やはり掛け金基礎になった標準報酬額をある程度引き上げるといったことによって掛け金も上げていただくといったようなことはできるのかもしれませんが、そこらのところはいま検討中でございまして、試案というのはございません。
  116. 小川省吾

    小川(省)委員 事実そうなんですね。だけれども、いずれにしても改定をしなければならぬというふうに思っています。漏れ聞いたところでは、自治省考え方基本になっているのはどうも——この互助年金といいますか、地方議員年金が国の負担を受けずに発足をしたのは三十六年七月のはずであります。ところが自治省のやっているのは、いわゆる法の改正時、三十七年の十二月に置いているようですね。その辺のところに若干問題があるのではないか。国の補助を受けないで掛け金によって発足をした互助年金制度でありますから、試案をつくる際にも当然三十六年七月という線を一応基本に置くべきではないかと思うのですね。それで見ますと、いわゆる物価調整という数字が出ていますね、一・四四四六というのが。これを三十六年にさかのぼらせれば一・五四というふうな数字が出てくるわけですね。そうなることによって、少なくとも三十年代におけるところの古い、まさに低額の、年金といえないようなたばこ銭程度の人たちをある程度救済できるわけです。そして各共済会もその負担にたえ得るだけの体質をいまや持っているわけです。そうだとするならば、私は、自治省が何も三十七年十二月の強制加入に踏み切った時期を基本にしなくても、互助年金として発足をした三十六年七月に基本を置くべきだというふうに思っていますが、植弘部長さん、いかがですか。
  117. 植弘親民

    植弘政府委員 いまのお話でございますが、三十六年の場合に御承知のように任意加入制度でございまして、実際にも入ってない方がおられるわけであります。それから三十七年以後の方におきましても、三十六年から通算することにしておりますが、その分はやはり割り落としをします。そういうようなかっこうで、やはり基準として三十六年をとるというのは制度上適当でないだろうと思います。
  118. 小川省吾

    小川(省)委員 だから、三十七年十二月に強制加入したわけでしょう。三十六年七月は任意加入だった。加入をしておった者はやはりそういう措置をとらなければ私は改善にはならないというふうに実は思っています。どうも自治省の試案なるものを漏れ聞いたところによるとその辺のところがあるようなので、ひとつ再考慮をお願いをいたしておきたいと思います。しばらくの間この法におつき合いをするのでしょうから、ぜひその中で検討をしていただきたいと思っています。  それから、今度の国共法の改正と地共法の改正によって、三年平均というのをとるのはどうも議員年金だけになりそうであります。すべてのものが一年間平均給料になるわけであります。そういう意味では議員年金というのも、いまの物価の高騰状況からしますと年々歳費が改定をされていくわけでありますから、三年平均というのを、何も遺物を議員年金だけに残しておく必要はないのではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
  119. 植弘親民

    植弘政府委員 もうすでに御承知と存じますが、四十七年に公費負担を始めました際に——これはなぜかと言いますと、掛け金だけで運営するとするならば掛け金も相当高額になる、それではちょっと共済会の経済としても適当でないということから公費負担の制度を採用したわけでありますが、そういったような財政事情のもとでございましたために、当時の一般職が三年平均でございましたから三年平均にしてもらったわけであります。したがって、その問題は当然に給付水準アップの問題とからんでまいりまして、いま小川先生は、私どもが心配しているほど、そんなに財政事情は悪くないよとおっしゃいますが、今度のアップなりそれから改善なりによって相当財原構成も変わってまいりますから、その意味では私どもの心配がそう杞憂ではないのではないだろうかという心配もございます。そういう点を考えますと、三年、一年の問題も、やはり給付水準アップの一環として、一挙にすべてやっていただかぬでもいいんじゃないだろうかという感じを私ども持っているわけでありますが、十分に検討に値する問題と思っております。
  120. 小川省吾

    小川(省)委員 いずれにしても一年間の平均給与額というのがすべての公務員関係年金になったわけでありますし、これも地方公務員共済組合法の中に入っている年金制度の一環でありますから、これだけに残さないで、負担も四十七年から一%、二%というようにだんだんふやしていくのでしょうから、そういう中で勘案をしながら、ぜひひとつ近々の機会に、これは先ほど言われたように、自治省としては委員会のほうにすべてげたを預けたような法案でございますから、私どももいろいろ協議をしなければならぬと思いますが、自治省のほうでもひとつ十分に御検討をお願いをいたしておきたいと思います。  最後に、短期給付について二、三お伺いをいたしてまいりたいと思っています。  今回、任意継続組合員制度を設けたわけですね。健康保険の例に準じたわけでありますが、非常にけっこうな制度だというふうに思っています。画期的なことを植弘部長さんは決断をされたというふうに思うのでありますが、厚生省のほうからおいでいただいておりますが、吉江保険課長さんにお伺いいたします。健保で現在任意継続組合員というのは具体的にどの程度任意継続に加入をしておられますか。
  121. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 昭和四十八年三月末現在で、一万七千二百四十二人がこの任意継続制度の適用を受けております。
  122. 小川省吾

    小川(省)委員 これは非常に少ない数字だと私は思うのです。私は任意継続組合員制度というのは非常にいい制度だと思いますが、これはいわゆる組合健保、政管健保、合わせた数字なんでしょう。そうだとすると非常に少ない数字だと思います。少ない理由について、厚生省としてはおそらく、なぜこういうふうな数字に終わっているのかということについて一定の見解がおありだろうと思いますので、お尋ねをいたしたいと思います。
  123. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 この任意継続被保険者の制度は、先生御承知かもしれませんが、健康保険制度発足当初から、いわゆる、何らかの事由で退職してまた次に就職するまでのつなぎの措置として設けられたものでございます。特に昭和三十六年以前は国民皆保険ということではなかったわけで、退職とまた次の就職の間に谷間ができる。その間、健康保険制度の適用が受けられないという事態が生ずることをも考慮して設けられた制度でございますが、この制度があまり利用されておらないという実態につきまして、詳しい調査その他は行なってはおりませんが、いま申しましたような関係で、国民皆保険達成後は国民健康保険という受けざらがあって、相対的にこの意義が制度発足当初よりは薄れておる。それからないしは、保険料の納付とか各種の届け出事務あるいはその他の手続を、これは事業主というものがございませんので、雇い主というものがございませんので、自分で社会保険事務所に行ってやるというような事務的な問題、あるいは、現在の制度保険料が事業主、被保険者の折半負担ではなくて、これも事業主というものがございませんので全額負担となっておるというような、まあいろいろな理由があるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  124. 小川省吾

    小川(省)委員 いま御説明のように、国保の受けざらができた、あるいは事務的な煩瑣がある、あるいは保険料の問題があるということですが、私はやはり保険料の問題にあるのではないかというふうに思っているのです。要するに事業主負担の分までも当人が払わなければならぬということになりますし、そうして保険料の基礎になる報酬というのは退職時の賃金ですか、それとも退職したあとのあるいは厚生年金の受給額なりが対象になるのですか、それとも退職時の賃金を対象にした保険料をもって継続にするのですか。どうなんですか。
  125. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 退職時の保険料を基礎にしております。
  126. 小川省吾

    小川(省)委員 そうなんですね。これが圧倒的に少ない理由は、退職時というのは、これは民間であってもそうなんですが、大体生涯の中で比較的高い賃金をもらっているわけですから、保険料も高いわけですよね。それに対する事業主負担も合わせて納めなければならぬ。ところが退職をして収入もあまりない、厚生年金だけだ、ちょっとその辺でアルバイトをするだけだということになれば、こんないい制度でありながら、任意継続の資格者が比較的少ないところの一番大きな理由はそこだろうというふうに実は私は思っているわけであります。  植弘さん、いまのような厚生省のそういう御答弁をお聞きして、新たにこの制度を設けたわけでありますが、こういう形では、公務員退職時の賃金をもってこの任意継続をしていくというふうなケースは比較的少ないのではないか。しかも地方公共団体が払うべき負担金までも含めて払うわけでありますから、非常に高額になってくるわけですね。そうなってくると、このような制度をつくっても、仏をつくって魂を入れないことになるのではないか、そのためには、やはり共済年金なりを受ける退職後の収入をもってその保険料とするということになれば私はこの任意継続組合員制度をつくった意義があると思いますが、いわゆる職員であった最終時の賃金保険料ということでは、任意継続組合員制度をつくっても、私はあまりこれに加入する方はいないのではないかというような点を実は心配をいたしておりますので、保険料の取り方等について何らかの考慮を加えられたのかどうか、加える意思があるのかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  127. 植弘親民

    植弘政府委員 お説のように、退職時の給与をとりまして、掛け金及びこれに伴う負担金まで負担するということになりますと相当高額なものもあるだろうということは想像できます。しかしながら、先ほど来お話のございましたように、やはり健康保険という親元のほうとの関係もございまして、その均衡を保持する必要がございます。また少々高くとも、一般的に国民健康保険保険料との関係考えてみますと、若干程度高いというくらいじゃないかという感じがいたします。そうして、不幸にしてそういった病気等にかかりました場合には、国民健康保険よりもまだ相当優位な給付が受けられるわけでございます。特に家族等につきましても。そういう点からいいますと、健康であればかけ捨てになってこれはむだなことになるかもしれませんが、やはり不時の災害に備えるというたてまえからいいますと、給付というものも考えていただく必要があるんじゃないだろうか。そこらのところは実態としてはなかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、やはり健保との本質的な扱いを変えるというわけにもまいらぬだろうと思いますので、検討はいたしましたが、なかなかむずかしい問題だと思っております。
  128. 小川省吾

    小川(省)委員 実にいい制度なんです。確かに公務員というのはあまり賃金よくありませんけれども、あまり能力ありませんけれども、わりと生懸命こつこつ仕事をやるんですよ。そういうものですから有給休暇も満足にとるわけじゃなくて、そして退職していくと病気になる者が非常に多いのです。健康であっても病気になるケースが多いわけですから、こういう制度は非常にけっこうなんです。だから、そういうのであれば、少なくとも組合員の平均賃金に対応する掛け金額というふうな形にしていったっていいだろうと私は思うのです。そういうふうな検討をやはり保険制度全般からお願いしたいのですが、厚生省のほうはあれですか、そういう形に、退職賃金にしないと健康保険とのつり合いがとれないからだめだなんと自治省に文句を言うのですか、どうですか。異論がありますか。
  129. 吉江恵昭

    ○吉江説明員 先ほども申し上げましたが、現在の任意継続制度というのは、どちらかというと退職から再就職までのつなぎという趣旨でできております。ところが、いままさに要請されておるのは、高齢退職者と申しますか、老齢退職者の医療保険制度のことではないかと思います。そうなりますと、これはまたいままでのいわゆる任意継続制度とは若干観点が違ってくる面もあるかと思います。そういう観点から、厚生省といたしましてもこの問題はかねて検討課題としておるところでございますし、各種審議会等でもしばしば議論があったところでございます。それで、このいわゆる高齢退職者医療保険制度、医療保障制度というものにつきましてはいろいろな観点から検討する必要があるわけでございまして、他制度の仕組みとかあるいは他制度との関連とか、あるいは収支両面にわたる保険財政の面とか、いろいろ検討するべき問題が多々残されておるわけでございまして、これは私ども社会保険審議会におきましても今後検討いただくということにしております。
  130. 小川省吾

    小川(省)委員 そういう検討をされるのは当然でありましょうが、少なくとも自治省としては、これは組合員の平均賃金くらいに対応する掛け金というふうな形にして発足をしなければ、法改正をしても任意継続をする組合員はほとんどないだろうと思いますので、ぜひひとつ検討をしていただきたいというふうに思っています。厚生省にも当然その点はいままでの反省の上に立って検討を要請いたしておきます。  最後に一点、要望を申し上げて質問を終わりたいと思うのですが、短期給付の家族療養費の足切りの問題であります。これは事務的な、いわゆる事務処理上の問題であろうというふうに思っています。組合員多数の強い要望でもありますので、善処をいただきたいということを要望を申し上げたいと思うのです。  最近の物価高によって、いわゆる俸給生活者は支出を抑制をしなければなかなか自分の生活が守れないという状態であります。少なくともこういう状態の中で事務処理上の指導として解決をしていっていただきたいのですが、現在の家族療養費は千円の足切りがワンレセプトごとにやられているわけなんですが、たとえば家族が三人あって、三人医者にかかったということになれば三千円持ち出しということになるわけであります。これの具体的な解決の方法とすれば、やはり一共済組合員証に対して足切り千円というふうに、いわゆる事務処理上の方途をやっていくべきだろうというふうに私は実は思っているわけであります。そういう点で、いわゆる現在の非常に高い物価の中での組合員の生活費の支出を守っていくということをやっていくのも、共済組合の一つの大きな仕事ではないかというふうに実は思っているわけでありまして、これはあくまで事務処理上の問題でありますので、答弁は要りませんが、また具体的なお話し合いをいたしたいと思っています。ぜひ処理改善事項ということで植弘さんのほうで受けとめていただいて、近々にまたお話し合いをいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思っています。  それから、大蔵省の伊豫田課長さんにおいでいただいたのですが、私は恩給年金に対しては税の減免をすべきだと思う。現状ではまだまだ税金が併課してかけられるという状態で、やはり年金等に対しては完全に免税にしていくべきだということで、時間が来たようなので触れませんが、ぜひそういう点で検討、御配慮をお願いをいたしたいと思うのです。  以上、幾つかの点にわたってお尋ねをしてきたわけでありますが、いわば地方公務員共済組合法に関しては三年間、一年間というふうな問題、あるいは厚生年金に準ずる改善ということで大きな前進を見たことは事実であります。そういう点については心から植弘務員部長を中心とする自治省の皆さんに敬意を表したいと思いますが、私が以上申し上げたような諸点でまだまだ改善をしなければ、ほんとうの意味での共済組合員の利益を守るという点に立ち至らない面がございますので、ぜひ十分に御検討をいただいた上で、しかも、私ども委員会の中の議員相互の修正をめぐっての話し合い等の点も残されるわけでありますから、そういう点についてもぜひ自治省としてもしかるべき前向きの姿勢で対処していただくように要請をいたしまして、私の質問を終了したいと思います。
  131. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  ただいま社会労働委員会において審査中の内閣提出にかかる雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに川俣健二郎君外九名提出にかかる国有林労働者の雇用の安定に関する法律案及び森井忠良君外九名提出にかかる失業保険法及び労働保険保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時等につきましては、両委員長協議の上決定し、公報をもってお知らせいたしたいと存じますので、御了承願います。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時五十六分開議
  133. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出にかかる昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び井岡大治君外三名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案についてお尋ねをします。  総理府統計局発表の本年二月の全国消費者物価指数は、前年同月比二六・三%となっております。この異常な物価高はすべての国民の生活に重大な影響を及ぼしておりますが、特に年金生活者は生活の基盤を根底から破壊されようとしております。昨年度の悪性インフレが年金生活者に及ぼした影響について、大臣の所見をまずお聞きしたいと思います。
  135. 町村金五

    ○町村国務大臣 年金で生活をしておられなければならぬ、他に特別の所得もないというような立場の方にとって、今日の異常な物価の高騰というものが生活にきわめて重大な脅威を与えるということは、これは明らかなところでございます。したがって、御承知のように、このたび政府におきましては、恩給あるいは共済年金、その他の年金につきましても、それぞれ増額改定措置を講じたということはあらためて申し上げるまでもないのでございます。政府としてもこういった点、できるだけの努力はいたしておるということは、私どももお認めを願いたい、かように考えておるところでございます。
  136. 三谷秀治

    ○三谷委員 昨年十一月の社会保障制度審議会の総理大臣への建議でも、「インフレの最大の弊害は所得および資産の分配に好ましくない変化を生ぜしめ、少数の豊かな人々を一段と豊かにし、貧しい人々を一段と貧しくする」と指摘しております。こういう異常な状況のもとで、年金等の改善については抜本的な処置が必要であると思いますが、今般の改定案はそれにこたえるものかどうか、所見をお聞きしたいと思います。
  137. 植弘親民

    植弘政府委員 いま大臣もお答えいたしましたように、そういう実態を踏まえながら、できるだけ全般的な改善へ努力しているところでありますが、三谷先生指摘のように、これでもって十分だというわけにはまいらないと思いますが、今後ともその充実には努力しなければならない、かように存じております。
  138. 三谷秀治

    ○三谷委員 十分でないということをお認めになっておりますが、算定基礎になります給与額の増額が一五・三%にすぎません。全国消費者物価指数は二六・三%の上昇率示しております。この格差年金額の低下を意味するのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  139. 植弘親民

    植弘政府委員 標準生計費なり、そういった関係は御指摘のとおりだと存じます。しかしながら、午前中にも繰り返しお答え申し上げましたように、やはり共済制度基本的に掛け金を主体とする相互扶助制度といいますか、そういう性格でございますので、若干その点は、直ちにいわゆる標準生計費を持ち込むということがどうかという点につきましては、共済その他の公的年金制度基本的問題であろうかと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、なお充実をはかるべき点もございますので、そこらの点からは充実のために努力すべきである、かように存じます。
  140. 三谷秀治

    ○三谷委員 政府昭和四十八年から五年度の期間における経済運営の指針として発表しております経済社会基本計画によりますと、社会保障の分野における資源配分がたいへん少ないことが指摘されております。そして老人問題というのがきわめて重要な課題になってきておる。年金によります所得の保障、医療等による健康の増進及び必要な施設の整備等がきわめて重要であるということとを示しております。これが政府基本的な政策でありますが、それに照らしまして、掛け金がどうとかこうとか盛んにおっしゃっておりますけれども、この政府の老人問題あるいは年金問題に対する基本的な方針からしまして、今般の処置がどうかということを私はお尋ねしたいと思うのです。
  141. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほども大臣からお答えしましたように、恩給その他の公的年金充実ともからみ合わせながら、相当大幅に公務員給与アップの例によって措置したわけでございますし、それからまた、給与水準と消費生活物価水準とのアンバランスにつきましても、これを是正するというかっこう措置を講じておりますので、最終的な目標について十分であるとは言えないまでも、本年度の改善措置は相当前進したものであろうというふうに理解いたします。
  142. 三谷秀治

    ○三谷委員 政府の方針というのは、社会保障充実の目標ということを高く掲げておるわけです。あなたの答弁を聞いておりますと、社会保障という要素よりも、社会保険立場から出ていない。保険制度になっている。そうでなしに、いま経済社会基本計画によりまして政府が指向するところは、社会保障充実である。この観点に立ちまして、年金問題、老人問題、これをすべて重大な課題として取り組んでいくのだということになっている。この政府の指標というものと、あなたがいまお答えになっている答えというものの間にたいへんな格差があるわけなんですね。そういうことでは政府の方針に沿ったものとは言えないという指摘をせざるを得ませんけれどもそこら辺はどのようにお考えでしょうか。
  143. 植弘親民

    植弘政府委員 社会保障全体の充実という方向からいいまして共済年金の位置づけをどうするかという基本問題になるかとも思いますが、今回の改善につきましても、年金そのものの改善率公務員給与水準に合わせるということと、それから差額を縮めるということのほかに、遺族についての扶養加給制度を新しく設けたり、それから三年を一年に短縮するとかいったかっこうで、総合的には充実をはかりつつその目標に近づこうとしているものだと考えます。
  144. 三谷秀治

    ○三谷委員 目標に近づきつつあるとおっしゃいますけれども、そうでない要素が非常にたくさん見受けられます。これはまたあとでお尋ねしますが、今回の改定は、四十八年四月一日の人事院勧告のアップ率を本年十月から実施しようとするものでありまして、午前中も質疑がありましたが、実施時期に一年半のズレが生じている。もともと、物価が上昇しましたあとに民間給与改定されている、そのあとに人勧のベースアップが出てくる、それからさらに一年半おくれて年金額改定が行なわれるという事態そのものが不合理である。その間における給与物価とのズレはますます拡大する一方である。ですから、実質的にいいますと二年のズレというものが出てくる。なぜこのような実情に合わない不合理な処置がいつまでもとられておるのか、お尋ねしたいと思います。
  145. 植弘親民

    植弘政府委員 実施時期の問題につきましては、なるほど現実の物価等の実態に比べましてズレのあることは御指摘のとおりでございます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、やはり全般的な公的年金制度全体の立場においてのバランスというものを考える必要がございまして、恩給なり国家公務員共済年金なりあるいは厚年といったものと横にらみをしなければならない実情でございます。恩給につきましても逐次改善をはかってまいりまして、一年半になっているわけでありますが、その恩給自体も、ことし初めて先ほど来の給与水準消費者物価水準との差額を補てんするというふうに前進しておるわけであります。今後ともこの点は実態に近づけるように努力すべきものであると思いますので、各省庁とも十分協議いたしたい問題だと思います。
  146. 三谷秀治

    ○三谷委員 お答えを聞いておりますと、いままでの制度がいかに不合理であったかということを反証するだけにすぎない。いま恩給法あるいは健保などの問題と関連しておっしゃっておりますけれども、それでは答えになりません。合理性に立って、道理に立ってどうだということでありませんと、健保がどうだから、恩給法がどうだから、こういうお答えになってきますと、これは政府の方針としては承るわけにはいかぬわけなんですよ。それは政府内部の矛盾であるとかあるいは事情というものがあると思います。それは政府の内部で調整してもらって、そして全般的な検討を行なった上で、そして基本的理念を示してもらうということでありませんと、お答えを聞いておりますと、この地方公務員共済組合法の問題を論議しますときには国家公務員共済法がどうだ、あるいは恩給がどうだ、こうなってくる。他に籍口するわけであります。他のほうで審議しますときにはまたこちらのほうのものを条件にして、相互にこれを利用し合って遁辞として使っていく、こういう傾向がある。ですから、その各法律間における問題は政府として練り上げて方針を示してもらいませんと、どの法律がどうだから、どの法律がどうだからというので、お互いに責任をそこに求めるというようなやり方、これは改善してもらいませんと私ども納得できません。その上に立って、理念としてはこうなんだ。論理的にこうなんだということを示してもらいませんと、午前中の質疑を聞いておりましてもすべてその手口でありまして、問題は実態として明らかになってこないうらみを私は感じております。この点について見解をお聞きしたいと思う。
  147. 植弘親民

    植弘政府委員 その点はまことに先生の御指摘のとおりであろうかと思います。しかしながら、地方公務員共済制度自体を考えてみますと、公務員という職域におきまして、まことに国家公務員共済制度均衡をとることは大前提になります。ところが、この公務員共済年金制度というものの発足考えてみますと、やはり恩給制度を引き継いだものであり、同時にまた民間における厚生年金保険制度との均衡をはかりながら、それとはずを合わせてやってきているという経緯がございますので、おっしゃるように、地方公務員共済自体についても何らかの理念を示すことが必要かと思いますけれども、やはりそこはそういった基本的な発生経過を考えまして、恩給法なり厚生年金保険なりの立場、やり方、こういったものを踏襲せざるを得ないという実情でございますので、その点はいかにも遁辞のように聞こえますが、全く実態を申し上げている点でございます。  しかしながら、いまおっしゃいます政府全体として考えてみますと、その点は統一的に共同で考えなければならない問題が多いことも事実でございます。その点では、午前中も申し上げましたが、総理府審議室が中心になりまして、公的年金の連絡協議会を設けて、そういった問題を逐次審議いたしておりますが、何ぶんにもいろいろな財政その他の問題もございましたりいたしまして、そういった御指摘のような問題を直ちに解決するということに至っていない点は遺憾に存じております。
  148. 三谷秀治

    ○三谷委員 給与改定をやりますと同時に年金の増額を実施する、こういう処置が必要である。給与改定自体が実際の物価の変動よりもかなりずれてくるわけでありますから、そのあとで行なわれます給与改定というものが一年半の後に年金に反映をするということになってきますと、一年半の間にさらに物価給与格差が生じてくる。この矛盾をどうするのかという問題。これはだれが考えても不合理な話であって、これは即時解決してもらう必要があるものだと私は思います。  それで、いま恩給法等の時代からの沿革を聞きましたけれども恩給法の時代と、いまの社会情勢やあるいは国民の感覚といいますか、これは全然違ってきている。恩給という時代、陛下の御恩で金を出すという時代といまの時代は変わってきているということですね。ですから、そういう沿革はあると思いますけれども、やはりそういう時代感覚に応じた処置というものが迅速にとられるということが私は必要だと思いますけれども、いま申しました一年半のズレなんというものは、そういう面から申しますときわめて立ちおくれております典型的な現象だと思っております。これの改善などはおやりになるのかどうか、お聞きしたいと思う。
  149. 植弘親民

    植弘政府委員 いまも申し上げましたが、その点につきましては公的年金連絡協議会等でも一つの問題になっておりまして、協議を進めておるところでありますが、まだ結論は出てないという状況でございます。
  150. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは大臣、いまの点でありますが、これから少しずつお尋ねしますけれども、いろいろな点で不十分な要素があります。いま申しましたような矛盾につきましては政府部内でも強力に意思を統一していただいて、すみやかに解決するという処置がとられるべきだ。またこの経済社会基本計画というものは、その方向をはっきりと指標としておるというふうに私は考えますけれども、大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  151. 町村金五

    ○町村国務大臣 だんだんいまも御質疑を伺っておったわけでございますが、確かに、現在の年金改善を行なう場合に、給与改定から一年半でございますか、その間に相当のズレができておるというのはまさに御指摘のとおりと伺ったのであります。従来は、御承知のとおり今日のような激しい物価高騰がございませんから、かりにそういうような若干のズレがございましても、過去においてはそれほどの重大な問題にならなかったのではないか。したがって、従来は大体そういう仕組みのもとに物価あるいは給与、さらには年金というようなものが大体そういう段取りで常に改善が行なわれてきた。しかも、物価がそれほど著しく高騰いたしませんときにはそれほど重大な問題にはならなかった。ただ昨今は物価がたいへん高騰いたしておりますので、そういった、従来はあまり問題にならなかったようなことがいまは問題になってきた、こう私どもも判断をいたしておるのでございます。  ことに、御指摘がございましたように、物価高騰によりまして年金生活者の生活というものも前に比べまするとかなり苦しくなってきているという一面は確かにあるのではないか。御承知のとおり、これは私が申し上げるまでもございません、いまも恩給論の話が出ましたけれども、現在恩給で生活をいたしておりまする者が必ずしもその俸給でりっぱに生活ができるかどうかというところにも問題があるわけでございまするので、いわんやそれの三分の一程度しかたとえば公務員共済年金は入らぬということになりますれば、実はそれだけではとうてい従来とても生活はできなかった。いわんや今日のように物価が上がるということになればますますその点はそういったことになるわけでありまして、これはやはりこういった年金制度の根本にかかわる重大な問題とも実は深い関連のある問題でございまして、したがって、今後こういった年金というもので一体生活費を全部保障するというたてまえのものであるのかどうかという基本の問題もあり得るのではないか、私はこう思うのでございます。  そういった問題に立ち入りますると、なかなかいまにわかにここでどうこうということも申し上げかねるのでありますが、ただ、御指摘のございましたようなズレが、今日のような物価高騰の時期には従来とは違って著しくその点が明瞭に痛感をされるということに相なっておるわけでございます。こういった点は、長い間こういう仕組みでやってきておりますので、また物価が上がる、それに伴って給与改定が行なわれる、さらにそれに応じまして年金改定という従来のそういった仕組みは、従来はそれなりに十分事が足りておった、私はこう思うのでありますけれども、いまのような時期でございまので、そういった点は、いまも公務員部長がお答えを申し上げましたが、政府全体としてさらに十分検討を加えて、そういった今日の国民的な要請に十分こたえるように、今後はさらにひとつ制度改正を含めて検討をしてまいらなければならぬのではないか、かように存じます。
  152. 三谷秀治

    ○三谷委員 昨年の審議におきましても、実質的なスライドが行なわれておると答えていらっしゃる。しかし、年間に、政府の計画によりましても一〇%の物価上昇を見込む、実際には二〇%も物価が上昇する、そういう状況の中におきまして、一年半も実際の改定がおくれてきますと、これはスライド制とは言えないじゃないでしょうか。明らかに一年半というものの間におけるズレというものが生じてくるわけですから、スライドになっていない。ですからこの点につきましては、いま大臣がおっしゃいましたように、根本的な問題として改善を願いたいと思います。  それから、退職年金最低保障額が昨年三十二万一千六百円に引き上げられました。ことしは据え置きになっております。月額にしまして二万六千八百円になります。昨年の審議におきましても自治大臣はこうおっしゃった。「ことしは倍額にした。来年も倍額というわけにはまいりませんが、相当な額をまた修正して、少なくとも将来は年金によって最低の生活が保障されるようにする、これが理想である。」こう答えていらっしゃる。この最低保障額につきましては、昨年度におきまして各党からこの合理性のない点を指摘されましたが、それに対する答えがそうでありました。とにかくことし倍にした、もちろん不十分であって、来年も倍とはいかぬが相当な修正をする、そういう約束になっておる。ところがこの改定案を見ますと、それは全然据え置きのままになっておる。この大臣のお答えとこの改定案との関連は一体どうなっておるのか。
  153. 植弘親民

    植弘政府委員 昨年の当委員会の御審議でもそのような御論議をいただきました。そして同時にまた、当時、本来公務員の身分の特殊性といいますか、共済制度の特殊性からいって、厚生年金保険よりも低いということはおかしいのではないかという御指摘も同時に行なわれたわけであります。それこれを考えまして、今度の改定におきましては、厚生年金よりも低くなると思われるものにつきまして通算退職年金制度方式を採用いたしまして、いずれか高いほうということになりますので、その意味では実質的に最低保障額改定をやったということになろうかと思いますので、御理解いただきたいと思います。
  154. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはどういうことになるわけですか。いまの最低保障額というのは三十二万一千六百円になっている、月額にして二万六千八百円になっている、それがどう変わるとおっしゃるのですか。
  155. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 今回新たに算定方式を取り入れまして、二十四万円の定額部分に比例報酬部分を加えるといったような、いわゆる通算退職年金に準ずる算定方式改正をお願いをしておるわけでございます。それでまいりますと、従来の算定方式によりましたものと比較をいたしましていずれか高いほうということでございますが、大体退職されるときに十万円以下でやめられる方は、今回新たに取り入れました算定方式をとられたほうが従来の算定方式による年金よりも有利になるであろう、一応こういう試算をしておるところでございます。
  156. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはどのように有利になりますのか、物理的におっしゃってみてください。
  157. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 ここでちょっと試算をしたのを申し上げますと、組合員期間が二十年の方が、たとえば給料月額九万円であって、そこでおやめになるといま申し上げました特例ルールのほうが得である。十一万円の給料月額の方は、勤続年数二十年であれば従来の本則ルールのほうが得であるけれども、勤続年数二十五年ないし三十年になりますと特例ルールのほうが得である。こういうような大体の結果になっております。
  158. 三谷秀治

    ○三谷委員 聞いておりますと、それは損得があって、一律に改善されたという性質のものではないようです。  それで一つの問題としましては、この年金制度が計算が非常に複雑であるということが一つの弊害として公務員の中からも指摘されておりますけれども、説明を聞きましても、たいへん計算の複雑な様式でなしに、たとえば最低保障額をさらに幾らに上げるとかいうことにすれば、そういう複雑な形態をとらなくたってごく単純に理解しやすいわけですから、もしも改善をする意思があるならば、わかりやすいほうをとってもらうということを私どもはお願いしたいと思うわけです。  それで、今日二万六千八百円、若干改定されたとしましたところで五十歩百歩でありますけれども、これで年金生活者が生活できるかどうかという問題です。昨年江崎自治大臣は、働けるうちは働いてもらうのだ、こうおっしゃった。しかし、年金は本来老後の生活を保障すべきものではないのか、高齢者は一体どうなるのか、働くことのできない方たちは一体どうなっていくのか、こういう問題についてお尋ねしたいと思う。  それから、これは林行政局長の昨年の御意見でありますが、勧奨退職についても定年制をしくにつきましても、老後の保障というものが絶対の条件である、こうおっしゃっておる。しかるに退職勧奨は早くから実施している、絶対条件はますます遠ざかりつつある、この状態というものは一体どのように理解すればよろしいのか、お尋ねしたいと思います。
  159. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 昨年の私の答弁をお引きいただきましたので、私からの見解を申し上げますが、昨年申し上げた考えはいまでも変わっておりません。退職あるいは定年制をしくにしろ、それを受けられる方々がこれから生活できるという安心感がない場合はものごとがスムーズにいかない。そういう意味では退職後の生活の保障をできるだけよくするということがそういうものに対する条件であるということは、昨年来変わっておりませんし、ことに昨年からことしにかけての物価の騰貴、これだけの激しい騰貴があるようなときは、その問題はますます切実であろうという考えは変わっておりません。  それに対しまして現在の制度が、いまおっしゃったような二万八千円、一体これで生活できるのか、こうおっしゃられると、まさにこういう物価の騰貴の時代にはそのとおりでございまして、現在退職後の年金だけでの生活が完全に保障されているとはいかにしても言えない実情であろうことは間違いないと思います。そこで老後の生活を保障すべき共済制度、これの充実には年々つとめておるところでございまして、去年の改正あるいはことしの改正におきましても、相当各方面の御要望をとって改善につとめたつもりではございます。ただそれが財政事情その他からいって、十分に、これで完全だというところまでいっていないこと、あるいは去年からことしのいままでなかったような物価の狂騰という状態のところにおいて、必ずしもこれが十分でないことは重々承知もしておりますし、今後もあらゆる努力をこれにさきまして、老後の生活が安心できるような方向に、これは逐次ではございますけれども、持っていく、この努力をお約束すべきことと存じておる次第でございます。
  160. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは将来の問題を論議しているのではなしに、いまこの物価上昇の中において、たとえば高齢の年金生活者などが実際に生活をしていこうとされているわけですね、自殺者が出たりしておりますけれども、いま進行中の問題なんですよ。ですから今後の方針とか計画とか、ゆうちょうなことが言っておれない。現在進行過程にある問題です。それについて毎年毎年努力している、あるいは検討しているということでは、みすみすこの矛盾の焦点にある人たちを見殺しにしてしまうということになってくる。そういう問題だということを自覚されますならば、毎年度毎年度におきまして善処する、検討するということで済ましておけるものじゃないということですよ。  それで、ことしの人事院の標準生計費を見ますと、昨年度と比べまして四千四百円余り上がっている。これは単身者です。ところが最低保障額というのは据え置きになっておる。これもやはり問題なわけです。物価状況などが停滞しておりまして、あるいは物価の下落傾向にあるという場合におきましてはともかくとしまして、実情はそうでないわけですから、物価が上がってくれば最低の保障額も上げるという処置が当然とられるべきだというふうに私は思うわけです。それで、それについてさっき、ことしおとりになった処置を説明なさいましたけれども、それは内容としましては取るに足りません。これはもう少し改定をしてもらう必要があると思います。これについてもう一ぺん答えてください。  それから、今回の改定最低保障の該当者は減少する、これはわかります。ただし、もともと在職中がら低賃金に甘んじた最低保障該当者に対する処置としましては冷酷に過ぎるというのが私の考え方であります。これについても御意見を聞いておきたいと思います。
  161. 植弘親民

    植弘政府委員 繰り返しお答えするようでありますが、先生の御指摘の問題は、共済年金制度のいわば根幹に触れる問題であろうと思います。と申しますのは、老後における保障というものと、共済制度が本来掛け金を主体にして運営されるという性格のものであるということの関係からいって、全般的な社会保障制度自体が充実する形の中においてどう位置づけるかという問題は、他の恩給その他公的年金との関係においても十分検討しなければならない問題であると思います。しかしながら、現実の問題として相当な乖離があるということになりますと、これを充足するための努力は払わなければならない。先ほど大臣からお答えしたとおりでございます。  それから最低保障関係でございますけれども最低保障につきましても、何か手続的には、説明が若干まずくて、めんどくさいようでございますが、実際は低額の者につきましては、最低保障の額をある程度上げるよりも相当優遇されるのじゃないのかという感じがいたしております。もちろんそれで十分ということは、先ほどから申し上げておるように思っておりませんが、今後とも改善に努力させていただきたいと思います。
  162. 三谷秀治

    ○三谷委員 その優遇される内容につきましては、できるだけわかりやすい内容でやってもらうということがつのたてまえ、これはさっきから申し上げております。  それから共済制度になってとおっしゃいますけれども、いま御承知のように福祉年金などが創設されまして、老人に対する保護政策というものが普遍化しつつある時代でありますが、共済制度というものはそういう時代でない前からあったものでありますから、その中に新しい福祉の理念をどう盛り込んでいくかという問題、これはいまの次元の問題としては当然考えて処置するべき問題だと思います。かつてから共済制度であるからいつまでも共済制度だ、そういうことでなしに、時代の進歩に伴って、共済制度の中にいかに公的な福祉制度を盛り込んでいくかという問題が当然生じてこなくてはいけませんし、それは一つ問題意識として持ってもらっていると思いますけれども、説明を聞いておりますとたいへんその点が弱いわけですね。この点について私は注意を喚起しておきたいと思います。  続きまして、年金額の算定の基礎になります平均給与額の計算が若干改善されました。退職前三カ年平均から一カ年平均になりました。しかし公共企業体は退職時の給与基礎としておる。地方公務員も同様に扱うべきではないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  163. 植弘親民

    植弘政府委員 年金算出の基礎をどこにするかということについては、だいぶ関係者の間でも真剣に検討された問題でございます。従来の三年平均をたとえば一年前で一号アップだとか、今度お願いしておりますような一年平均だとか、あるいは最終俸給だとか、いろいろと考えてみたわけでありますが、やはり掛け金という問題を考えてまいりますと、年金の算出基礎になります給与というのは、掛け金を支払った給与とリンクするというのがこの共済制度のたてまえのように存じております。したがって、そうなりますと、退職時の給与と申しましても、かりにやめるときにアップした給与があるといたしますと、それは掛け金の対象としてはほんのわずかの期間になるわけでございます。最低一月になるかならないかという感じでございます。そこでそうなりますと退職年一年間の平均ということで、まあまあ大差はないのではないだろうか。しかし、それをカバーするために昨今のように毎年四月にさかのぼって改定をさせていただくということになりますと、改定があったものとして一年間の平均をとらせていただく、こういうことになりますとほとんど大差のないところでございますので、やはりこちらのほうが合理的であろうかというふうに考えて今回の案をお願いしたわけでございます。
  164. 三谷秀治

    ○三谷委員 実質が大差がないわけですか。年間の平均給与というものと退職給与というものが差がないとおっしゃるわけですか。
  165. 植弘親民

    植弘政府委員 こまかく計算いたしますと差はあるかもしれませんが、実質的にほとんど大差はないというふうに私ども試算では見ております。
  166. 三谷秀治

    ○三谷委員 大差がなければ、これも一般公務員にわかりやすい基準をとってもらう。つまり、自分がやめたときの給与が何ぼか、これは容易に理解し得るわけなんです。それを月別に合算をして、そしてこれを除するというふうな手続、これなしで済むわけですから、実質が変わらなければできるだけ単純な方法でやってもらう。さっきもそれを言いましたけれども、それが望ましい。ですから、それならそれでも一向に差しつかえないわけであって、そのような処置をなぜおとりができないのか。昨年度のこの問題の質疑にあたりましては、これも行政局長がおっしゃっている。不均衡であることは否定できない、昨年は三年でありました、ぜひとも改善したいとおっしゃっている。その改善されましたのがいまの一年であるとおっしゃればそうですけれども、しかしこれは、四党が一緒に要望しておりますのは退職時の給与を基準にしてもらいたい、こういうことでありますから、そのようにしていただきたいと思いますけれども、これはできますでしょう、実質が差がないわけですから。
  167. 植弘親民

    植弘政府委員 やはり、退職時そのものの給与をとるということについては若干問題があるんじゃないだろうかという気もいたします。本来ならば、厚生年金保険制度の例によりますと、全体の平均給与でございますね。それが、掛け金と給付というものをリンクさせるという保険制度保険理論等からいきますとより妥当かなという感じがするわけでございますが、そういう点からいきましても退職時の給与——たとえばこれには特別昇給等もあったりいたしますでしょうから、そういうことを考えてまいりますと一年間の平均で、しかもそれを、いまのようなベースアップという事態を考えますと、ベースアップがあったというふうに擬制して有利に計算するといったほうがこの段階では合理的ではないだろうかという判断でございます。したがって、その意味では、退職時に合わせるよりむしろこの線をしたほうが適切じゃないだろうかという感じを持っているわけであります。
  168. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなた方はよくこの権衡の問題をおっしゃるのですが、たとえば公共企業体におきましては退職給与というものが基準になっておる。そうしますと、地方公務員国家公務員におきましてもそれと権衡をとっていくということは何一つ差しつかえがないわけであって、そこで大きな矛盾が出るというふうなことも私ども考えられないと思っております。  いまあなたがおっしゃいますのを聞きますと、共済制度という問題を盛んに強調されております。しかし、この共済制度そのものを社会保障的な要素のものにしていくんだ、またそれが理想であるということは昨年自治大臣もおっしゃったのです。そういう面に向かって前進するという観点に立って問題を論議しますときに、これが共済制度だからということだけでお答えなさいますと、それはきわめて一面的になってしまう。そうでなしに、社会保障という側面からも問題を考えていただいて態度をきめていただかなければ、いまの時代が要請しているそういう公務員の老後の問題というものの解決にはなりません。そこは少し改善してもらう必要があると私は思っています。
  169. 植弘親民

    植弘政府委員 おことばを返すようでございますけれども、別に共済制度の面を強調してという強い位置じゃございませんで、全体的な社会保障制度の中におけるいまの共済制度の位置づけをどう理解し、どう改善していくかという観点については変わりないのでございまして、それはやはり抜本改正の問題だと思うのであります。現行の共済制度の中において年金の計算基礎となるのにどれをとるのがいいかという観点で考えると、これが合理的ではないだろうかということを申し上げているだけでありますから、その点は御理解いただきたいと思います。
  170. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういう観点でいきますならば、共済制度だから掛け金掛け金といつでも掛け金が先に出てくる。もちろん、掛け金というものはかけておりますけれども、これに対しては掛け金のみに依存するのでなしに、当然国庫負担も行なっていく。いま一五%やっているとおっしゃっておりますけれども、これをさらにふやしていくというのが時代が要求する社会保障の前進という問題なんです。ですからそういう観点に立って問題を見てもらいませんと、共済制度だから掛け金だと、いつでもこれが出てくるわけです。これはもちろん無視はできませんでしょうけれども、その一面だけで問題を見ていきますと社会保障という見地が薄れてしまう。そういう要素のものじゃないかと私は思っております。あなた方のお答えを聞いていますと、その要素がきわめて希薄だということを私は感じております。しかし、これはいわば意見でありますが、この意見についても検討してほしいと思うのです。  そうしてもう一つお尋ねしたいのは、積み立て方式検討する時期に来ていると昨年の審議でも行政局長がおっしゃっている。積み立て方式検討を加える、その準備をしなければいけないと答えていらっしゃる。この準備は一体どう進んできたのか、お尋ねしたいと思うのです。
  171. 植弘親民

    植弘政府委員 共済におきます財政方式を大きく分けて、積み立て方式と賦課方式の二つになろうかと思いますが、いずれによるべきかということにつきましては非常に論議もございますし、問題もあるように承知いたしております。  そこで、現在のたてまえは積み立て方式基本考えているわけでございますが、これを賦課方式ないしはそこまでいかなくとも積み立て方式修正型といいますか、そういったものをとるかという点については、関係省庁の間でもだいぶん論議をいたしているところでございます。御承知のように、財政計算につきましては五年ごとに見直しをすることになっております。たまたまことしもその時期に当たりますので、やはりそこらの観点をどのように把握し理解するかというのが大きな問題だろうと思います。しかしいまのところでは、直ちに賦課方式へ行こうというのは適当でないだろうという感じでございます。今回の再計算にあたりましても、そこらのところを踏まえながら慎重に検討いたしたいと思います。
  172. 三谷秀治

    ○三谷委員 この賦課方式につきましては、西欧諸国の年金制度というのはおおむね賦課方式だと聞いておりますが、こういう実態につきまして調査ができておりますか。それから、経済社会基本計画によりましても、年金財政については賦課方式の問題を含めて検討して、長期構想を立てる、こうなっておる。ですから、賦課方式という問題は私どもが事新しく言っておるのではなしに、政府の計画の中にも検討すべき課題として提起されておる。これがどのように検討されましたのか。その検討の結果どのようなメリットあるいはデメリットが明らかになってきたのか、こういう点について説明をお聞きしたいと思う。
  173. 植弘親民

    植弘政府委員 まだ具体的に、いずれの制度によったほうがメリットがあり、デメリットがあるかという点までは詰めておりません。ただ、昨年もそういう御論議があったと存じますが、賦課方式を採用いたします場合におきましては、だんだんとわが国がいま高齢化社会になってまいりつつございますが、後年度における対象者が、対象者といいますか、負担すべき組合員が相当高額の負担をしなければならない事態になってくるかもしれない、そういったようなこともございますために、なかなか結論を出し得ないわけであります。  西欧諸国につきましても、私どももおおむね賦課方式によっているという話は聞いておりますが、個々具体的にまだ十分調査が済んでおりません。ただ、スウェーデンあたりの話を伺いましても、最近では、もちろん社会保障全体が進んでおるという点もございますけれども、この年金問題について、現在働いておる人の賦課方式による負担が非常に高いというのが大きな問題になっていることも聞いておりますし、そこらのところも踏まえながらやはり慎重に検討する問題でないだろうか。十分な検討の経過を御説明できませんのが申しわけございませんが、そういうようなつもりで、ことしは一つの見直しのときでございますので、検討さしていただきたいと思います。
  174. 三谷秀治

    ○三谷委員 昨年も検討するとおっしゃったのです。いまお答えを聞きますと、それ以後一向に検討がなされていない。いまおっしゃいましたような一般論は、昨年林行政局長がもっと詳しくおっしゃっている。そういう一般論を聞くのではなしに、具体的な調査に基づく資料というものを私どもはほしいと思うのです。ヨーロッパ諸国の賦課方式につきましても仄聞はしております。私は具体的にはまだよく知りません。そういう問題につきましても調べていただいて、問題点を明らかにするという処置がなされなければ検討したことになりはしませんよ。口先で検討検討とおっしゃいますけれども、実際は何もしてない。ですから、至急に、賦課方式というものがとられました場合には年金額がどうなるか、掛け金がどうなるか、治療費がどういう比重を占めるか、それに対して公費負担をどうすべきかという問題などを明らかにしてほしいと思います。いつごろやってもらえますか。
  175. 植弘親民

    植弘政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、昨年以来それほど検討の成果があがってない点は率直に遺憾に思います。しかしながら、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、他の公的年金との関係もございまして、いろいろと関係省庁も多いわけでございまして、その間で寄り寄り話はしておりますものの、なかなか的確なるものがございません。  西欧諸国の問題等につきましては、早急に調査をいたしたいと存じますが、その成果をいつまでに報告申し上げるということにつきましては、いまのところ見通しが立ちません。
  176. 三谷秀治

    ○三谷委員 御承知のように、今度四党共同提案で改正案が出ております。その中に賦課制度という問題が入っております。ですから、この賦課制度という問題は政府が全然知らないということで済ませる状態でなくなってきている。しかも、いつになってくればその調査ができるかわからない、こうおっしゃっている。これでは困りはしませんか。これは大臣、どうでしょう。これについては早急に調査を進めていただく。たとえば地公共済の場合、賦課制度をやった場合にはどういう変化が生じるかというような点について素案をつくるということをまずやってもらわぬと問題は前に進みはしません。どうでしょう。
  177. 植弘親民

    植弘政府委員 いまの答弁、少し補足をいたしますと、社会保障制度審議会におきましても、政府の諮問機関でございますが、そこにおきましてもこの問題を検討するということで、今般この法案をかけます前に若干の御意見もありました。したがって、私どもといたしましては、そういう社会保障制度審議会が全般的な公的年金のあり方として検討いたします、それにあわせまして努力するつもりでございますが、たとえばことしじゅうに結論を出すとかいう意味についてのお約束をできないということを申し上げたのでございますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  178. 町村金五

    ○町村国務大臣 公的年金のあり方について、いわゆる積み立て方式を維持するのがいいのか、それとも新たに賦課方式というものを取り入れるべきであるかということは、確かに私どももきわめて真剣な論議が行なわれておるということはだんだん承知をいたしておるところでございます。おそらくこれは制度の根本に関する問題でありまして、いまの公的年金制度というものがいわゆる相互扶助的な共済制度というものをとっており、それが適切な制度だとしていくか、この年金を賦課方式によって一切後代の人の負担にまかせると申しましょうか、後代の人の負担に一切残していくということが適当かどうかという、私は根本に触れる問題のように考えるのでございます。しかしこれはやり方の問題であるという見方もございましょう。したがって、私自身まだ両者について深い検討をいたしたことがございませんので、ここで私が確たることを申し上げることはできませんけれども、確かに一つの有力なお考えであるということは間違いがないと思うのであります。いまも公務員部長もお答えを申し上げておりまするように、今後ひとつ十分検討をさるべき重大な課題であろう、かように存じております。
  179. 三谷秀治

    ○三谷委員 大臣にお尋ねしましたのは、この賦課制度についての調査——検討とおっしゃっていますけれども検討は一向に進んでいないから、迅速にその制度自体についての調査を進めていただいて、それを示してもらいたい、こういうことをお願いしたわけです。それで部長の答えだと、ことしじゅうにできるかどうかわからぬ、こんなことをおっしゃっている。それでは少し怠慢に過ぎる。適当な時期を目標にして一定の調査をやり遂げるという立場をとってもらいたい。
  180. 町村金五

    ○町村国務大臣 これは私が申し上げるまでもなく、自治省だけの問題ではございません。むしろ国全体としてのこういった共済年金制度の根本にかかわる問題でありますので、公務員部長としてはただいま申し上げた以上のことはお答えできなかったのではないか、こう思うのであります。いずれにいたしましてもこれは非常に重大な問題でございますので、十分ひとつ政府部内において検討を急いでいくべきものだ、こう私も存じており、そういった考え自治省といたしましてもとれに対処させるようにいたしたいと存じます。
  181. 三谷秀治

    ○三谷委員 この賦課制度についての昨年の答弁では、老人の割合がふえるので非常に過重な掛け金になるとおっしゃっている。そこで国庫負担をすればいいという議論も出てくるかもしれない。国庫負担をふやすという方式を持ち込んでこなければ賦課方式は困難であると行政局長がおっしゃっている。で、この国庫負担をふやすという問題でありますけれども、これは当然考えていかなければならぬ問題なんだ。これを掛け金で全部やってくれというふうな考え方では、いまの福祉時代の方針としては認めることができないものであります。  そこで国庫負担の問題でありますけれども、昨年の質疑の中でおっしゃいましたのは、地方交付税の〇・四%が国庫負担分だとおっしゃった。こんな議論は通用するものじゃない。交付税は基準財政収入額と基準財政需要額の差額を一般財源として補てんするものであって、特定財源でないことは明確なことなんだ。しかも〇・四%という固定した率をもってそれがきめられておるのも奇怪な話だ。これは除外しますと、たとえば交付税率は三一・六%なんだ。つまり三一・六%に大蔵省がしょうとしたけれども、それに〇・四%上のせした、それがつまり国庫負担分なんだと、こんな議論は牽強付会の議論なんだ。だれが聞いたって納得のいく議論じゃない。しかも、その後交付税というものが絶えず不足が生じてくる。交付税率の引き上げという問題が自治体からも叫ばれるという事態の中でも改善されていないわけですから、そういう中で〇・四%というものが地公共済組合に対する国庫負担分だというような主張は、これはもう通用しませんよ。ですから、当然これは国庫負担制度実施すべきだ。国がもう金を出すべきだ。これにつきまして昨年も議論されまして、そういう立場に立つ検討が約束されておりますけれども、この点についての見解をお聞きしたい。
  182. 植弘親民

    植弘政府委員 私どもの交付税による措置というものについての御指摘でございますが、三十七年発足の当時に、公費負担を純粋の国庫負担にするか、交付税を通して公費負担を行なうかというのは、たいへん議論になったところのように聞いております。その結果、やはり当時の交付税率で〇・四%相当額をふやすことによって共済に対する公費負担を持つんだ。なるほど、先生のおっしゃいますように交付税の性格論からいいますと、本来一般財源として地方団体共通財源ですから、それに何らかの特定のものをつけるのは若干問題はあろうかと思いますが、少なくとも地方団体がこれに対して、何らかの地方公務員に対する助成措置を講ずるとするならば、国庫負担によるがいいのか、地方団体共通の固有財源考えられます公費でやるのがいいのかという点は、その当時もだいぶ論議があったようでありますが、やはりこれは地方交付税によって地方団体共通の財源から負担するのが適当であろうということになってそうなったようであります。  その後固定されているかどうかといいますが、御承知のように地方交付税の総額もだんだんふえてまいっておりますし、その意味では当時の考え方に基づいて補てんをされてきている、こういうふうに理解いたしております。それを国庫負担に変えるかどうかについても、昨年来検討ということばがあったというふうに聞いておりますけれども、やはりこの考え方はこのまま続けたほうがいいのではないか。特に、実現を見ておりませんけれども、数年来百分の十五のアップにつきまして大蔵省に強く要請いたしてきておりまして、まだ実現を見ていないのは残念でありますけれども、それも地方団体の固有共通の財源によって措置しているという強みがあるからではないだろうか。これはできるだけその要求を通したい。したがって、やはり現行のように交付税をもって措置するほうが地方共済としては妥当な措置ではないだろうかというふうに考えております。
  183. 三谷秀治

    ○三谷委員 部長は地方交付税法についてあまり御承知がないようですけれども、地方交付税というのは使途を特定することはならないとなっている。これを、〇・四%というものを使途を特定をしてしまっている。これは明らかに交付税法に反する処置なんです。ですから私どもは、〇・四%が、これが年金に対する国庫負担分だなどとおっしゃったところで、そんなばかなことはあるかい、全然問題になるものじゃないという立場で見ております。これは確かにそのとおりなんですよ。この交付税のうちの〇・四%、これだけは年金の分として使途を特定するという処置はとってはならぬことになっている。だから便宜的におやりになっているにすぎませんから、法令に反するものだ。だからそこは厳密にいきますとそんな理論は成り立たない。大蔵省と自治省との間で、何か窮余の一策としてそういう便宜的な処置をおとりになったか知りませんけれども、それは法令上から見ますと認めがたいものです。  ですから私どもは、いまごろその〇・四%というものが年金の国庫負担分だなんてやぼなことを言わずに、二〇%なら二〇%国が当然負担をする、そういう処置をとるべきだ。またとれるものでありますし、政府の方針もそのことを示しておるわけであります。要するに社会保障の分野に対する資源配分がたいへん少ない、これを改善するんだという立場に立つ経済社会基本計画がある限りにおきましては、これはできることなんだ。ですからここのところは改善をしてほしいと思う。
  184. 植弘親民

    植弘政府委員 〇・四%、使途を特定してと言われますと、私も前、財政局におったので非常におしかりを受けて恐縮でございますけれども発足のときに、地方団体が共通固有の財源である交付税から持つという立場でその分がプラスされたということを申し上げただけでありまして、その後それじゃずっと〇・四%だけひもがついているのだということになりますと若干問題ですが、やはり実質的にはその分が、国と地方との財源配分関係において、国税三税の一定割合が地方団体の共通財源の形で負担するんだ、公費負担をするんだということに理解してもそれほど違法じゃないのじゃないだろうかと思うのです。どうもそこのところは先生見解が少し違うようでございますけれども、もちろんおっしゃるように、交付税法からいきますと、この分だけ別だよ、こういうことはこれはちょっと無理かと思いますが、現実にまたそういうことで、基準財政需要の見方の中にその分がちゃんと見込まれているという実際でございますので、それでいいのではないだろうかというふうに考えております。
  185. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこがたいへんあいまいなんですね。あなたのおっしゃる話を聞きましてもそうなんですよ。そもそも初めに、この〇・四%というものを年金の国庫負担分として交付税で見るというその定め自体が、〇・四%の使途を特定しようとするものなんだ。しかし、いま現実におきまして〇.四%そのものがはたして年金の負担額に相応した額になっているのか、不足しているのかあるいは余っているのか、そこはよくわかりません。その面からいきますとごくあいまいになってきている。しかし、絶えずおっしゃっているのは、交付税の〇・四%を国が見ております、国庫負担やっております、こうおっしゃっている。そうしますとやはり〇・四%の使途を特定しているんだということにもなってくる。だから、そういうあいまいな論議というものはきれいに清算すべきだ。そして〇・四%というものを、これをどうするかというのは別問題にしまして、国庫負担は国庫負担として国が正常に出すべきだ。そうしますとそういうあいまいな議論が起きてくる懸念もないわけですから、そういう法令上の疑惑を残さない処置をとってもらいたいと思う。大臣、どうでしょう。
  186. 町村金五

    ○町村国務大臣 年金の国庫負担の問題については、確かにいま三谷議員御指摘のような問題があると私どもも承っておるわけでありますが、いま御指摘になりましたように、確かに交付税法の基準財政需要額というものの中に、いわゆる積み上げ方式でいったというこの制度が立てられたときに、おそらくそういう含みのもとにこれができたものではないかというふうに、私もそう理解をいたしておるわけであります。はたして一体そういうやり方でいくべきか、それともいま三谷議員が言われますように国庫負担にするかということになりますれば、これは国が負担を、交付税というやり方でいくかあるいは直接負担をする方式をとるかということになるわけで、いずれにしても実質的には国が負担をしておるということには間違いがないわけで、それをいまおっしゃったように直接に国庫負担という形式をとるか、いまの交付税の中でそれが算定をされておるというやり方がよろしいのか。厳密な考え方からいえば、あるいは三谷議員のお考えのことも確かに有力な御意見かというふうに思えるのでありますけれども、いずれにいたしましても、そういうことになりますれば結局財源配分というような問題に当然触れてこの問題の解決に当たらなければならぬということに相なるわけでございますので、御意見、御議論としては私は十分承っておきまするが、今後そういった点もさらにこれらの問題を検討する場合の重要な問題の一つとしてひとつ承らしておいていただきたい、こう存じます。
  187. 三谷秀治

    ○三谷委員 この〇・四%に対する見方といいますか、これは実際に〇・四%というものを年金の引き当てとして地方自治体に付与するというんでなしに、たとえば三二%の地方交付税率、それ以前ですと二九・五%の交付税率、その中から単に〇・四%を年金に回すのだという立論をしただけであって、これを加えてそれが二九・五%の税率になったんだ、あるいは三二%の税率になったんだ、そんなものじゃない。つまり、この〇・四%というものは、ことばの上でそういう理屈を言っているだけであって、実際に計算をして交付税率に加えた分じゃないということはだれが考えてもわかることなんであります。それでは一体この〇・四%がなければ、昭和四十一年以後ですと三一・六%が交付税率になるのか、それ以前ですと二九・一%が交付税率なのか、そんなややこしい勘定が出るわけはないのだ。だからこの〇・四%というのは単に便宜的にそう称しておるだけのことであって、計算の根拠に立ってやったものじゃないということはだれが考えたって容易に推定できることなんです。ですから、そこに一つの観念のマジックがあるということだ。それはもうもともとそういう欺瞞的なものですから、改善をしてもらって、そして国庫負担は国庫負担として正常に計算をして出してもらう。そして交付税率は交付税率として出してもらう。これはもともとこんなものが勘定に入って税率をきめたものじゃない。ただその税率をきめるときにそういう便乗をして国庫負担を肩がわりしたという性質のものだ。ですから、それはいまの税率を見れば非常に明確でありますから、そういう努力をしてもらいますことをここで要望しておきます。  それから、昨年の十二月の十九日に自治省が提示しました共済組合制度改善試案では、「退職年金に係る受給資格の特例」として「組合員期間のうち年齢四十歳以上の期間が十五年以上の者がその事情によらないで退職した場合には、退職年金を支給する」という方向が出ておりましたが、今回の法改正でははずされております。これがなぜはずされましたのか。これは昨年私どものほうの林議員がお尋ねしましたPTA雇用の給食婦の問題など、これが大きく救済されるという要素のものでありましたが、これが除外された、その理由についてお尋ねしたいと思います。
  188. 植弘親民

    植弘政府委員 いわゆるPTA雇用の職員等につきまして、中途採用によって退職のときに二十年の最低年金年限が満足できないというものを救おうということにつきましては、昨年も強い御論議、御意見を賜わりまして、私どももそのつもりで努力をいたしました。そしてことし、できることならこの法案に盛り込みまして御審議をわずらわしたい、こういうふうに考えてまいったのでありますが、大蔵省と細部の詰めをいたしております段階に、大蔵省のほうは、PTA雇用の給食婦だった人だけであるならばいいではないかということになったのでありますが、私どもといたしましては、そういう制度をとります場合には、これに似通ったような業種の方もおられるわけでありますから、そこらのところを詰めてどういうふうにするか。そういうことになってまいりますと、今度は国家公務員にはほとんどいないという話でございましたが、業種を広げることになりますと、当然に国家公務員にも同じような職員がおるのじゃないだろうか。それでは、申しわけないけれどもどの一年見送って、この間に両省とも十分に検討しよう、そして来年度はこれを制度化しようではないかというようなことになって、先ほど小川省吾先生にもお答えいたしましたように、申しわけございませんがもう一年だけこの検討、調査期間をお許しいただきたい、こういうことでございます。
  189. 三谷秀治

    ○三谷委員 一年たてば実施するということが確言できますか。
  190. 植弘親民

    植弘政府委員 一〇〇%ここで約束するということは、これはちょっとできないかもしれませんが、一〇〇%やるような気持ちで努力いたします。
  191. 三谷秀治

    ○三谷委員 努力はいつでもおっしゃっているのです。その努力はもう聞き飽きたんだ。聞いているのは、やるかやらぬかと聞いているんだ。
  192. 植弘親民

    植弘政府委員 特別の事態が起こらない限りやるつもりでおります。
  193. 三谷秀治

    ○三谷委員 午前中にも質問がありましたが、土地開発公社などの共済加入の問題です。これにつきましては自治省としては促進したいというお答えがありました。しかし今般の本法改定には間に合わなかったというように聞きましたが、これにつきましては明年度におきましてはおやりになる見込みがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  194. 植弘親民

    植弘政府委員 これは今般間に合わなかったと申し上げますよりも、そう御理解いただいたのだと私の答え方が悪かったのだと思いますが、政府部内ではこれは調整がなかなか困難な問題でございます。それは三谷先生もよく御承知だと存じますが、社会年金一本化というような基本立場で、社会保障制度審議会も、そういったふうにいろいろな団体を厚年から分離することは好ましくないという態度をとっておられるわけであります。そう言いながらも、実際は住宅供給公社なり地方道路公社なりを入れていただいたわけでありますが、これも実は国会のおはからいでお願いしたのでございますが、そういうような形で、政府では来年になりましても社会保障制度審議会を通る見込みはございません。したがって、私どもとしては、道路公社なり住宅供給公社と同じような性格の団体でございますから、できることなら同じ扱いをさせていただきたい、こういうふうに期待いたしておるところでございます。
  195. 三谷秀治

    ○三谷委員 部長は見かけによらずたいへんやさしいものですから、質問しにくくて困っております。  短期給付については任意継続の制度がやっと取り入れられましたが、この「一年間に限り」というのはさらに延長すべきだと私たちは考えております。  この制度を希望する既退職者についても適用する方法はないものか。  それから任意継続の負担金、これは先ほど質問がありましたけれども、これも組合員であったときと同じ個人負担だけにすべきだ。これは午前中の審議でも明らかになりましたように、健康保険の任意継続がたいへん数が少ない。一千万人からの保険者がおりまして一万七千人という説明を聞きましたけれども、とるに足りないわけです。一番大きな要素というのが掛け金の問題いわんや健保より掛け金の高い共済制度におきましては、個人負担額のいかんによりましては任意継続の実効がなくなってしまう。実効があるようにしてほしいと思う。いわんや、ほとんどその利益を受けることができない福祉事業の掛け金などというものは負担させるべきでないというふうな考え方でありますけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
  196. 植弘親民

    植弘政府委員 先生にまた遁辞と言われると困るのでございますけれども、やはり社会保険の一環といたしまして、短期のほうは健康保険が親元でございまして、それから特別に認められている制度でございますので、そういった制度の特別の措置をとるということになりますと健康保険のほうにならわざるを得ないだろうと思います。したがって、認める期間にいたしましても掛け金等にいたしましても健康保険に準ずるわけでございますが、午前中の質疑の間に健康保険のほうでも非常に加入者が少ないといったようなお話も聞きました。やはりこれは健康保険制度全般の問題であろうかとも思われます。したがって私どもといたしましても、厚生省あるいは社会保障制度審議会等の意見をお聞きしまして、改善には努力いたしたいと思いますが、今回これを直ちにどうするということは、地共済立場だけでやるわけにはいかないだろうと思います。
  197. 三谷秀治

    ○三谷委員 改善に努力するとおっしゃるのは、いかように改善するとおっしゃるのですか。
  198. 植弘親民

    植弘政府委員 いま先生のおっしゃられましたような、午前中からの御議論を踏まえまして、健康保険においてどういう改善措置をとるか、その一環の中において私どもも一緒に勉強してまいるという意味でございます。
  199. 三谷秀治

    ○三谷委員 これはさっきの議論ですけれども、どうもあれこれと問題が出ると、これは健康保険だ、いや恩給だ、こうおっしゃる。そこは政府として議論を練って、そして別の法案に籍口するのでなしに、この法律独自のものとして十分にそれに対して理念を持って答え得る、そういうことにしてもらいませんと、随所でそういう問題が起きてくる。この委員会に行きますと、たとえばあそこの国公の共済法がどうだ、向こうへ行ったら地公の共済法がどうだ、こんなことになってきてしまったのでは審議も何もありはしません。これは部長では解決しない問題でしょうけれども、大臣、こういう点につきましては、責任がきわめて不明確な状態の審議というのは非常にしにくいわけですから、そういうことがないように、こういう関連する法案があります場合にはこれが連合して方針を固めてもらって、そして質問に対しては政府基本理念に基づく回答をしていただくように努力してほしいと思いますが、いかがですか。
  200. 町村金五

    ○町村国務大臣 それはもう私は御指摘のとおりであろうと思うのです。私はそういった他の委員会の模様を存じておりませんが、国家公務員の場合には地方公務員、こちらではまた国家公務員と言って、お互いに何か責任ある答弁を避けておるという御指摘がただいまございましたが、私はそうではないのではないか。やはり関連がございますから、お互いにそういうようなことは言及はいたすでございましょうけれども、いま公務員共済については国並びに地方公務員ともに同じような方式で臨んでいくというたてまえで進んでおると私は思うのでございまして、あえてお互いに責任をなすりつけるというような態度でやっておるのだとは実は考えておりませんけれども、いま御指摘の点もございましたので、その点はなお十分留意して対処するようにいたしてまいりたいと考えます。
  201. 三谷秀治

    ○三谷委員 先ほどお尋ねしました年金最低保障額でありますが、若干の改善措置について説明がありました。いまこの場で説明を聞きましても、すぐさまその実態を私どもが行政的に理解できませんが、ひとつお尋ねしたいのは、いまの生活保護費の実態についてどのような捕捉をされておりますか、お尋ねしたい。七十歳以上の単身の生活保護者が、働けない場合にもらいます生活保護費は幾らか、これをお尋ねしたい。
  202. 植弘親民

    植弘政府委員 老人の二人世帯で七十二歳という数字を持っておりますのでそれでお答えさせていただきたいと思いますが、七十二歳の男が無職で、奥さんが七十歳、これも無職といった場合に、一級地におきましては生活扶助費が三万五千四百四十円、老齢加算が一万円、住宅扶助が五千五百円、合計五万九百四十円という計算が出るようでございます。
  203. 三谷秀治

    ○三谷委員 退職年金最低保障額の受給者は、同年で幾らになりますか。同じ条件で幾らになりますか。
  204. 植弘親民

    植弘政府委員 モデル計算で試算したものがございますが、二十二年ぐらい勤務した方で月給が十七万円ぐらいでございますと大体同じような額になります。
  205. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、二十二年勤続しまして、そうして掛け金を払って、もらいます金額と、生活保護によりまして受ける給付額は同額であるということになるわけですね。そういうことでこの年金制度というものがあっていいでしょうか。
  206. 植弘親民

    植弘政府委員 冒頭にも答えしたところでございますが、生活保護制度というものの目的と共済制度基本的に違うわけでございますために、必ずしも生活保護基準年金水準と一致させることが必要かどうかという点は、これは基本的問題であると思います。しかし、先ほど来三谷先生指摘のように、共済年金も社会保障立場に立ってものを考えるといったようなことになってまいりますと、そこらのところは社会保障全般の立場考えなければならない問題でございますので、それはいわば共済制度ないしは公的年金制度全体を通ずる基本的な抜本改正の問題であろうかと思います。いまのところは、またおしかりを受けるかもしれませんが、掛け金その他の問題とからんでの共済制度をとっておりますために、なかなか生保と合わせるということもむずかしい問題じゃないだろうかと思います。
  207. 三谷秀治

    ○三谷委員 生活保護者が受ける程度保障というものは、少なくとも二十数年間公務員として働いて、しかも年々掛け金をかけてきた人は当然これは享受する資格を持っておる、そういう観点に立ってこの年金制度を見ました場合、あまりにもこれはいまの生活の実態、経済社会の実態にそぐわない、そういう感じを免れません。生活保護費より安い年金なんていうものでは、年金なんかかける価値はないわけだ。かけなくたっていいわけなんだ。そういうものであってはならぬ。掛け金をかけて老後の保障というものを期待しているわけですから、それに対する処置としましてはこれはまことに論外である。これについてはすみやかに改善してもらいたい。生活保護費以下なんていう年金掛け金をかけてきた価値を全くなくしてしまう。
  208. 植弘親民

    植弘政府委員 繰り返しお答えして恐縮でございますけれども、やはり社会保険制度生活保護というものとの基本的な違いがございますので、年々改善をはかり、また共済年金で老後が生活できるように充実をはかっていくことは必要だと存じますが、必ずしもこの生活保護とどうということは、これは制度基本上割り切れない点があるのではないかと思います。しかし、そう言いながらも、そういう生活保護費の基準という実態をも踏まえながら年金充実ははかっていかなければならない命題であろうと思います。
  209. 三谷秀治

    ○三谷委員 それで、改善をしてほしいという、たとえばいまの最低保障額なんというものは、少なくとも生活保護程度には引き上げるという処置をとらなければこれは首肯できるものじゃありません。東京在住者ですか、一級地ですけれども、七十歳以上の単身の婦人ですね、これが働けないという場合には、これは保護費が二万七百十円、老齢加算が五千円、家賃の、最高限ですけれども一万六千五百円、四万二千二百十円になるわけです。これが夫婦の場合ですと、同じ様式になっておりますけれども、六万一千九百四十四円なんです。ところが、いまあなたがおっしゃいました二十二年つとめました方が二万八千六百円程度ですか、それではあまりにもひど過ぎる。これはもう少し今日の実情にふさわしい内容に改善してもらえませんと、年金制度そのものが、社会福祉的な、社会保障的な要素を全く疎外されたものになってしまう。これについてやっぱり大幅な改善をやるべきだし、やらなくちゃならぬと私は思っております。大臣のお答えを聞いておきたいと思います。
  210. 町村金五

    ○町村国務大臣 いまも公務員部長がお答えを申し上げましたように、やはり生活保護公的年金というものはたてまえが違うということで、いまたまたま御指摘になりましたような、生活保護費よりも少ない公的年金の受給者がいるということは、確かに私どもから考えてみても、まことに、たてまえは違うとは申しながら、どうも私どもにもそれがすっきりしたもののようには考えられません。この点は、生活保護はおそらく、最近の物価の高騰によって、最低生活の保障をしなければならぬということで近年かなり生活保護費が向上をしたということがただいま設例をいたしましたようなことに相なってしまった、こう思うのでありますが、しかし、これはいろいろ御意見のあるところであろうとは思いますけれども、私どもといたしましても、公的年金、少なくとも長い間掛け金をしてきておりますところの退職公務員年金生活保護費よりもなお少ない受給金額になっておるというのは、どうも私、たてまえがいかに違うとは申しながら、合点のいかぬと申しましょうか、やや不合理の感じを深くいたすのでありまして、こういった点はおそらくすでに各方面で私は検討をされておる問題だとは思いますけれども、なおこの点はひとつ十分そういったことをひとつ踏まえて、今後検討を急ぐべき問題であろうというふうに承知をいたしております。
  211. 三谷秀治

    ○三谷委員 これで終わります。
  212. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 次回は、明二十六日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十分散会