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1974-04-23 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十三日(火曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    大野 市郎君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    住  栄作君       武藤 嘉文君    渡辺 紘三君       井岡 大治君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君         消防庁長官  佐々木喜久治君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         議     員 井岡 大治君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         厚生省医務局総         務課長     金田 一郎君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松木 洋三君         建設省道路局次         長       中村  清君         建設省住宅局建         築指導課長   佐藤  温君         消防庁予防課長 永瀬  章君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 四月十五日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案井岡大治君外三名提出衆法第二七号) 同月十六日  地方公務員共済制度改善に関する請願(坂口  力君紹介)(第四二九一号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四二九二号)  同(石田幸四郎紹介)(第四三六二号)  同外一件(大野潔紹介)(第四三六三号)  同(鬼木勝利紹介)(第四三六四号)  同(小濱新次紹介)(第四三六五号) 同月十七日  地方公務員共済制度改善に関する請願(諫山  博君紹介)(第四五〇六号)  同(石母田達紹介)(第四五〇七号)  同(浦井洋紹介)(第四五〇八号)  同(梅田勝紹介)(第四五〇九号)  同(木下元二紹介)(第四五一〇号)  同(栗田翠紹介)(第四五一一号)  同(瀬崎博義紹介)(第四五一二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四五一三号)  同(田代文久紹介)(第四五一四号)  同(田中美智子紹介)(第四五一五号)  同(多田光雄紹介)(第四五一六号)  同(谷口善太郎紹介)(第四五一七号)  同(津川武一紹介)(第四五一八号)  同(寺前巖紹介)(第四五一九号)  同(中川利三郎紹介)(第四五二〇号)  同(林百郎君紹介)(第四五二一号)  同(三浦久紹介)(第四五二二号)  同(三谷秀治紹介)(第四五二三号)  同(山原健二郎紹介)(第四五二四号)  同(北側義一紹介)(第四五二五号)  同外六十九件(山口鶴男紹介)(第四六四九  号)  同(小川新一郎紹介)(第四六九七号)  同(近江巳記夫紹介)(第四六九八号)  地方自治体超過負担解消に関する請願(關谷  勝利紹介)(第四五五八号) 同月十九日  地方公務員共済制度改善に関する請願井岡  大治紹介)(第四七九五号)  同外二件(岩垂寿喜男紹介)(第四七九六  号)  同外二件(小川省吾紹介)(第四七九七号)  同外二件(佐藤敬治紹介)(第四七九八号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第四七九九号)  同外五件(山口鶴男紹介)(第四八〇〇号)  同外二件(山田芳治紹介)(第四八〇一号)  同外二件(山本弥之助紹介)(第四八〇二  号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四九二八号)  同(佐藤敬治紹介)(第四九二九号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第四九三〇号)  同(山田芳治紹介)(第四九三一号)  地方財政の確立に関する請願小沢辰男君紹  介)(第四九二七号) 同月二十日  地方公務員共済制度改善に関する請願(有島  重武君紹介)(第五一七五号)  同(小林政子紹介)(第五三八五号)  地方自治体超過負担解消に関する請願(天野  光晴君紹介)(第五二八四号) 同月二十二日  地方公務員共済制度改善に関する請願(新井  彬之君紹介)(第五七五三号)  同(田中昭二紹介)(第六一三〇号)  同(山本弥之助紹介)(第六一三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第七  七号)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七九号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案井岡大治君外三名提出衆法第二七号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 最初に質問いたしたい点は、消防庁長官法制局のほうに、法律の書き方といいますか、タイプについて、基本的な考えをお伺いしておきたいと思うのです。  去る四月十一日に、衆議院本会議地方交付税法の一部を改正する法律案が可決されました。この可決されました地方交付税法の一部を改正する法律案附則の十一と十二において、消防施設強化促進法という法律の一部を改正いたしまして、従来の補助率三分の一というものを、人口急増地帯については、政令の定めるところによって二分の一にするという内容が含まれております。  私が質問いたしたい点は、いろいろな火災事故、そういう経験の中から消防体制充実強化しなければならぬ、こういう観点で、いま審議しております消防法の一部を改正する法律案というのが出てまいりました。この消防法の一部を改正する法律案の中でこういう財政措置、いわゆる消防施設強化促進についての改正を行なうべきである。しかも、消防法の一部改正というのは、今度の国会が始まる前から、大洋デパート等火災経験にかんがみて、消防法改正をするということは既定方針であったわけでありますから、当然この法律の中でそういう改正をすべきであったと思うのであります。なぜ一体地方財政関係する問題でありますけれども、交付税法の中で、しかも、附則の中で法律改正したのか。この点について、消防庁長官法制局考えをただしておきたいと思う。
  4. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防施設強化促進法は、御承知のとおり、市町村消防施設整備を促進するための財政援助法でございます。そういう意味におきまして、財政援助措置であるというような観点から見ますならば、地方交付税法改正によりまして、一般的に消防費にかかる財源措置というものも昭和四十九年の改正強化をされるということになっておるわけでありまして、これとの関連、いわば市町村財政強化という観点から見ますならば、その法律目的とするところは相類似しているということが言えるわけでございます。  それからもう一点、ただいま御指摘のとおり、消防施設強化促進法は、市町村消防力強化するという目的を持っておるわけでございます。そして消防法改正は、民間一定規模の、あるいは一定防火対象物に対する消防設備強化を行なうことによって、いわば民間側からの防火体制強化していくという内容を持っておる法律でございまして、そういう意味から申しますならば、市町村消防力強化、それから民間側からの防火体制強化という観点で、ともに防災体制強化していくという点では、その目的はまた相類似しているということが言えると思います。  そういうことで、この考え方でございますけれども、この消防施設強化促進法改正というものは、本年度、昭和四十九年度の予算編成との関連を持つ法律になるわけでございまして、いわば予算関連法案というようなものになってまいります。そういたしますと、そうした法案性格から申しますならば、むしろ地方交付税法という予算関連法案一緒にして、財改強化という観点で御審議お願いするということのほうが、今回の場合には適当ではないだろうか。こういう観点から、地方交付税法附則におきまして、消防施設強化促進法改正を同時にお願いをするという体制をとったわけでございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの長官のお答えによりますと、財政財政として切り離して交付税の中でやるのが妥当だ、こういうお話ですね。そしてこの消防法というのは、民間防災体制強化するということに主眼があるのだから、交付税法のほうでやるのが妥当だ、こういうふうな説明ですね。  それでは一体、この三分の一を二分の一にするという金額は幾らですか。交付税なんというのは何兆何千億という数字でしょう。交付税はかなりこの委員会審議されましたよ。その際に消防補助率の問題なんて、一口でも議論がありましたか。消防体制強化するということは、民間も同様でありますけれども、同時に市町村消防力整備充実しなきゃならぬ。そういう問題として補助率引き上げを行なったのならば、やはり消防法改正一体として出すのが常識じゃないでしょうか。私はいまの説明はわからぬ。もう一度お答えいただきたい。
  6. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防施設強化促進法は、一面におきまして市町村財政援助のための法律である。そしてまた他面としては、市町村消防施設強化をはかって、防災体制強化していくということがねらいであります。そういう趣旨でありますので、消防法目的とするところとも相通ずるものがございますし、また地方交付税法目的とするところと相通ずるところがあるわけでございまして、この両面を持っておるというふうに考えるわけであります。もちろん、消防施設強化促進法は、場合によっては単独立法の形で御審議お願いするということでもいいわけでありますけれども、今回の改正内容は、人口急増地域に対する国庫補助率引き上げという、いわば地方団体から見ますならば、その関係する対象というものは二百数十カ市町村関係をするというようなことでございますので、扱い方としましては、予算関連法案というようなこともございますので、今回の場合には地方交付税法一緒に御審議お願いをした、こういうことでございます。別に消防法のほうと全く関係のない法律だというようなことは考えておりませんで、これは両面性格を持っておるわけでありますけれども、できるだけ早く国会の御審議お願いをしていく、こういうことのために、むしろ予算関連法案として一緒のグループに入れて御審議お願いした、こういうことでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 法制局は、こういう法律の形態をとった理由は何ですか。
  8. 茂串俊

    茂串政府委員 一般論をまず申し上げますと、同一の、あるいはまた関連性の深い政策の実現のための法律改正は、それが複数の法律にまたがるような場合においても、一本の改正法にまとめるという方針一つあるわけでございます。  本件の場合、その方針に当てはめた場合には、確かに先生の御指摘のように、消防法消防施設強化促進法を一本化するという行き方も当然考えられる方向でございます。ただ、ただいま消防庁長官からもお話がありましたように、この消防施設強化促進法内容というものを検討してみますと、これはまさに消防施設面における国の財政援助措置内容とするものでございまして、その面からいたしますと、今回の地方交付税法の一部改正の中で、消防経費にかかわる単位費用の増額がございまして、これはまさに同じ方向と申しますか、消防施設強化充実をはかるという同じ政策なり目途、ねらいを持った、そういった改正でございまして、その面でいわば共通性があるわけでございます。  その面と、それからもう一つは、これも消防庁長官が御指摘になりましたように、これはいずれも予算関係法案でございますし、その面からいっても、この二つの法律改正法案を一本化したほうがより合理的ではないかというふうに考えまして、このような措置をとったわけでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 私が申し上げたいのは、予算関係法案だと言う。この消防法だって予算関係法案だ、そうでしょう。そういう意味において、いま消防単位費用の問題が出ましたけれども、単位費用交付税そのものですよ。国の補助率の三分の一を二分の一に上げるということは、しかも消防施設整備充実、それも人口急増地帯に限って政令の定めるところにやるということなら、これは消防法という法律が出るということが現実には確定しておったわけでありますから、その中で対処していくのが私は妥当ではないか。言ってみますと、交付税というのは地方財政の重要な柱でありますから、関係ないとは申しませんけれども、消防法の中で消防そのもの補助率引き上げというのが起こるわけでありますから、この法律の中で処理していくのが妥当ではないか、こう私は思うのです。  私があえてこの問題を取り上げたのは、最近ロケット方式という形で、便宜主義で、附則のところへ非常に重要なものが法律改正として織り込まれる、そういう傾向が非常に強まっておりますが、しかし、国会審議でもそういうものは扱いにくいわけです。現に、さっき申し上げたように、交付税審議の中で消防のしょの字も出ませんよ、消防財政の問題は。そういうことでありますから、消防法が出ることは確定しているわけでありますから、その中で対処していくのがよろしいのではないか、こう私は思うのです。  今後のこともありますから、ひとつ政務次官消防法が出ないんならいいですよ。そんなものは交付税だということになりますけれども、今度消防法が出るわけですね。そういうことであるならば、やはり消防施設そのもの充実のための補助率引き上げということでありますから、消防法改正の中で処理するのが常識だろうと私は思うのです。今後ひとつそういうことでやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  10. 古屋亨

    古屋政府委員 細谷先生のただいまの御意見を承っておりまして、先ほど法制局並び消防庁長官から、今回の場合はこういうような措置をしたという気持ちを申し上げたのでありますが、実際申しまして、いまのお話のように、消防法の一部改正ということでやることはきわめて合理的だと私は考えております。  今回、予算関連法案として、消防関係につきましては、大洋デパート火災でいろいろ他省との折衝その他の問題もたいへんありましたというような事情もございまして、実は御指摘のようなふうにいかなかったわけでございますが、将来におきましては、いま御意見のありましたような消防法という点からいたしまして、十分私ども検討してまいって、交付税の場合に消防の論議がなかったというようなおしかりも受けたのでございますので、できるならば消防法改正をしていくというような方向に向かって検討してまいることを申し上げておきます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題で、そう長く、くどくどしく私は言うあれはありませんけれども、問題は、一事が万事、法律が適当に、恣意的に消防庁法制局で、あるいは自治省と法制局でという形で、適当な、ロケットのつぎ合わせみたいな、木に竹をつぐような法律の出し方は困る、こういうことで私は申し上げているわけであります。  そこでお尋ねいたしたい点は、せっかく三分の一を二分の一にしたわけでありますから、前進でありますけれども、三分の一の補助率を二分の一にしたために一体幾ら消防力強化のために金がふえたのですか。
  12. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 三分の一を二分の一にすることによりまして、そのかさ上げ分を一応予定しております額が、二億六千万円でございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 二億六千万円、大枚といえば大枚、全くささやかなものといえばささやかなもの、それを三兆数千億の交付税の中で議論するというのですから、話が出てこないのがあたりまえです。  そこでお尋ねいたしますが、この交付税法改正段階で、政令で定めるところによる地域で、政令で定めるものにかかって補助をやるというのですが、その二億六千万円は対象になるのは何と何ですか。具体的にあげてください。
  14. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防施設のうちで、基本的な施設になるものという趣旨で、普通ポンプ自動車はしごつきポンプ自動車、それから化学消防車、それから防火水槽、以上でございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 消防無線も入っているのじゃないですか。
  16. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防無線も入っております。以上五つでございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 自動車ポンプ防火水槽消防無線化学車とはしご車、五つですね。  ところで、なぜ一体これを昭和四十九年度から五十三年度に限ったのですか。五年間に年限を限っておるのです。これはなぜですか。
  18. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 最近の、特に大都市周辺地域における人口増加状況というものから見まして急速に整備をしていく、このために、他の義務教育施設等のいまの扱い方というものを見まして、とりあえず五年ということに措置したわけでございます。その後におきまして、また人口急増状況というものが今後とも継続していくというような情勢がなお見込めるということがありますれば、さらにその段階において再検討したいというふうに考えております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 五十三年度以降のことについては、その状況に応じて再検討をいたしたい、こういうことであります。  私は、いまの教育施設人口急増地帯についての措置という話が出ましたけれども、なぜ一体二分の一の補助にしたのかわからない。消防特例で、幾つか三分の一の補助という原則特例がありますね。どんなものについて特例補助率を適用しているか、あげていただきます。
  20. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、消防施設強化促進法の三分の一という原則に対しまして、過疎地域でありますとか、あるいは離島でありますとか、同和対策でありますとか、沖繩でありますとか、こういう地域消防施設につきましては、三分の二の特例措置があるわけでございます。これは、それぞれの立法におきましてその特例措置がとられておるということになっております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 時間の節約ですから、丁寧に答えてくだざいよ。あなたはまた一つ落としているじゃないですか。三分の二の特例は、いまあなたが言ったのは四つですよ。もう一つあるのですよ。ぴしゃっと答えてくださいよ。何ですか、それは。
  22. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま申し上げましたほかに、成田空港の周辺市町村に対する特例がございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 それだけ加えておけば話が進むんだよ。これは補助率幾らですか。
  24. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 先ほど申しましたように、三分の二でございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 特例五つありますね。五つ法律があるのですよ。みんな三分の二じゃないですか。過疎地域対策緊急措置法による過疎市町村に対する消防力整備のために三分の二、離島振興も三分の二、これは過疎地ですね。同和対策、これは特別なあれで三分の二、沖繩振興開発、新東京国際空港、みな三分の二でしょう。しかも、昭和四十八年度に人口急増市町村等における公共施設公益的施設整備等特別措置、これも補助率を上げたでしょう。三分の二でしょう。特例で二分の一なんてどこにもないでしょう。どうしてこれだけ二分の一という特例になるのですか。しかも二億六千万円。おかしいでしょう。全国消防長会議でも、少なくとも人並みに他の特例法補助率にしてくれというのが長い間念願だったのでしょう。ようやく実現した。それがまた特例特例だ。特例はみな三分の二、これだけ二分の一。どういうわけですか、私はわからぬですよ。
  26. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、特例補助率三分の二で規定されておりますものは、それぞれの特別立法に基づきましてその特例措置がとられて、他の施設補助率との均衡を見ながら三分の二という措置がきめられておるわけでございます。  今回、人口急増地域に対しましてとられました二分の一という措置は、この人口急増地域についてとられている特別措置というものとの均衡を見まして、現行補助率の一段上の補助率補助率にしていくというような措置で三分の一を二分の一にした、こういうことでございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 ここに来てしまったのですが、あなたも予算要求を三分の二で要求したのでしょう。そうでしょう。削られたのでしょう。五つあったその例外として二分の一で……。あなたのほうの予算要求は三分の二でしているでしょう。それが二分の一になったのでしょう。大蔵省主計官、おりますか。——どうしてこれだけ二分の一にしたのですか。根拠はありますか。
  28. 名本公洲

    ○名本説明員 人口急増地帯消防施設に対しましては、先生おっしゃいますとおり二分の一になっておるわけでございまして、そのほかのところは三分の二で、これだけ、言うならば仲間はずれになっておることは先生のおっしゃるとおりでございますが、人口急増市町村関係学校につきましては児童急増ということになりますけれども、そういうものの補助金かさ上げについて各種のものを見てまいります場合に、たとえば学校施設、これは通常補助金が二分の一の補助率でございます。これが三分の二に上がっておるというように、言うならば、先ほど長官がお答えいたしましたとおり一ランク上、と申しますと、ランクというのがどういうふうになっておるかという問題がございますけれども、ごく常識的に考えまして一ランク上というような考え方が、一般的に貫かれておるというのが実情でございます。そして今回やはり文部系統補助金におきまして、人口急増関係補助金補助率かさ上げ一つ行なわれておりますが、これは幼稚園でございますが、これは三分の一の補助率でございましたところをやはり二分の一というふうにいたしてございます。そういうふうな全体的な、人口急増地域に対します補助率かさ上げの幅というもの全体をにらみ合わせまして、三分の一から二分の一へかさ上げするということで、消防庁御当局と御相談申し上げたわけでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 固まっちゃっているから、適当なへ理屈をつけておる。これはみんな理屈にならないのですよ。政務次官、せっかくおやりになるなら、二億六千万円で、法律もちょっと変な形で、予算関係法案でございますというような形で、十七兆円の予算関係法案でございますと言って、たった二億六千万円をそこまでやっているのです。しかも例外中の例外で、ほかの特例は全部三分の二、ほかの人口急増学校施設はみんな三分の二です。これだけ二分の一にしている。これほど消防予算というのは軽視されておる、しいたげられておると私は申し上げなければならぬと思うのですよ。  こういう点でひとつ、今回はもう法律が通っちゃったんだからしようがないけれども、来年は人並みのことをやりますというぐらいなことをここではっきり言ってくださいよ。
  30. 古屋亨

    古屋政府委員 人口急増市町村消防施設整備費に対する補助率が三分の一から二分の一に上がったが、二分の一では足らぬから三分の二にしろという御意見でございます。  私どもも、率直に申し上げまして、消防関係予算につきましては、現下の社会情勢下における防災重要性ということからいたしまして、これで十分であるというような気持ち一つも持っておりませんし、むしろただいま先生の御叱正がありましたように、消防関係につきましては補助費をできるだけたくさん、基準につきましてもあるいは補助率につきましても増加していきたいという気持ちでございます。ただことしは、先ほどからいろいろ長官から申し上げましたような事情で二分の一に落ちついたということでございますが、将来におきましては、御趣旨の点もございますので、私どもは消防全体の、とにかく防災重要性ということからいたしまして、これを増強していくように努力をしてまいりたいと思っております。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 長官、この「近代消防」五月号、これはきのう私は手に入れた。もうあなたのところの次長じゃありませんけれども、新次長ここに見えておりますけれども、いままで審議に参加した山田次長はこう言っているのですよ。「特に人口急増市町村について主な消防施設補助率を二分の一に引上げたことは消防力の拡充にとって大きな意味があると思います。」二億六千万で大きな意義があるのですか。  そこでお尋ねしたいのですよ。四十九年度の消防予算の特徴をあげてください。
  32. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防予算ということで、国の消防予算について申しますならば、消防施設関係補助金について補助基準額を相当に引き上げたという点が一つでございます。それからもう一つ、大震火災対策につきましての補助予算を大幅に増額をしたという点が第二点。それから第三点としましては、消防団員等に対しまする待遇改善につきまして、相当額の改定経費を見込んだ、こういうことであろうと思います。そのほか交付税単位費用におきましては、消防職員の充実なりあるいはまた消防施設整備のための、いわば投資的経費に必要とする部分の減価償却費相当分というものについて、相当な増額を行なったという点であろうと思います。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 消防予算の特徴で、これも山田前次長がこう言っているのだ。「消防庁予算が四四・五%という伸びを示したことは先づ特筆すべきことでしょう。」四四・五%、確かに国の予算は一九・七%でありますから伸び率は高いわけだ。しかし、一億円が二億円になれば、これは伸び率一〇〇%だよ。そうでしょう。  そこで、具体的にお尋ねしたいのですが、今度の予算を洗ってみましたので、間違っておったらひとつ言ってください。その消防施設充実ということに特徴を置いたというのでありますけれども、消防ポンプ自動車は、四十九年度では一般の場合では四百十六台減るでしょう。過疎地離島沖繩それから同和分、人口急増、全体として三百十五台減ることになっているじゃないですか、予算上は。小型動力ポンプはどうかといいますと、四十八年度に比べて百十三台減るでしょう。消防無線も三百減るでしょう。防火水槽は十八減るでしょう。化学消防ポンプ自動車はとんとん。はしご車が十五台ふえるだけ。これで一体、四四・五%の予算の伸びでありますから特筆大書すべきだと評価できますか。お答えいただきたい。
  34. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 予算の伸び率自体で、単に総額の比較においての伸び率を見て評価しておるというわけではございません。その内容が、私どもが考えておる予算というものを実現しておるかどうか、こういう観点で評価すべきであろうというふうに考えております。  現在の消防施設整備費の補助金は、昨年の予算のときに計上いたしました整備台数というものから見ますと、ただいま御指摘のように台数等で減っている面がございます。ただ、昨年の予算の執行の過程におきまして、現実には各市町村からの補助要求というものが、特にはしご車を中心にいたしまして相当ふえておった、そういう意味で、予算内容につきまして、市町村施設の要求の実態に合わせて操作をしております。それに対しまして比較をいたしますならば、それほど大きい変動はないというふうに考えております。昨年の実績に対しまして、消防無線防火水槽というものが減っておりますけれども、その他のポンプ自動車関係は、昨年の実績に対しましては、減っておるというような状況になってはおらないのでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 実績に対して減っちゃおらぬと言うけれども、「全国消防長会会報」というのがありますよ。これを読んでみると、ポンプ自動車は、四十八年度の予算では千五百八十一台、四十九年度では千二百六十台、三百二十一台減ることになるでしょう。小型動力ポンプは、四十八年度は千九百二十五台、四十九年度は千八百十台、百十五台減るでしょう。消防無線というのは、昨年は二千百二十、四十九年は千八百二十、三百減るでしょう。はしご車は、九十七が百十二になりますから十五ふえます。  そうして、消防白書にも書いてありますように、最近の火事の特徴というのは、人命が失われるということと、林野火災がふえておる。その林野火災というのはどういうふうになっているかといいますと、これも数は減っておりませんけれども、ふえたのはどこですか。ふえたのは林野火災工作車がたった二台ふえるだけ、あと同じですよ。言ってみますと、千五百八十一台のポンプ自動車が千二百六十台で三百二十一台減るということは、絶対数が三〇%減るということですよ。新鋭のに取りかえるからいいんだ、三〇%ポンプ自動車が減っても、これで消防体制整備されたなんてかりそめにも言えますか。これは問題です。政務次官、三〇%機械が減って、これで充実したと言えますか。もう予算が通っちゃっているのだからしようがない、適当に答えて時間が来れば終わるから、そんなことじゃいけませんよ。どうですか。
  36. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 いまのポンプ自動車の例でございますが、昨年の予算の際には、ポンプ自動車の台数、ただいま御指摘のとおり千五百八十一台を計上しておったわけでありますが、その実績は千百五十二台でございました。それに対して本年度見込んでおりますのが千二百六十台ということでございますので、百八台の増というのが実績に対する見込みでございます。実は、これは市町村補助金に対する要望の内容が、最近の火災状況に応じまして次第に変わってきておる、こういう点から見まして、そうした市町村の実際の要求に合わせまして予算の配分を行なっているわけでございます。そういうことで、昨年は、たとえばはしご車は九十七台を予算として見込んだわけでありますけれども、百十一台の実績になってきた、こういうことで、本年の予算におきましてははしご車を百十二台見込む、こういうようなことにいたしたわけでございますので、そういうことで各種類ごとの数量は、昨年の予算対比におきましては若干変動しているということは、御指摘のとおりでございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、予算をたてまえにして議論をしているのであって、予算と決算は違う、こういうことで話をそらしちゃいかぬわけですよ。言ってみれば、九十七台が百何台になったということは、市町村の超過負担でやったのでしょう。一体国のほうでどういう予算措置をしたかということは、四十八年度の予算と四十九年度の予算を比べてみなければ議論になりませんよ。実績はこうでありますからこうなりますとか、そんなことでは話になりません。さっき言ったように、消防自動車ポンプ予算計上額よりも実績ははるかに少ない、はしご車が予算よりもふえたと言うが、みんな地方自治体が、補助がない場合には手出しで単独でそういうことをやっている、こういうことからきているわけでありますから、予算を比較しながら議論をしていただきたい、こう思うのです。  そこで、さっきも補助基準の引き上げをやったと言うのでありますが、答えをいただくと時間が足りなくなりますから聞きますが、ポンプ自動車は三〇%、小型動力ポンプは二〇%、防火水槽三〇%、化学車三〇%、はしご車三〇%、これだけ基準を改定いたしましたね。突っ込み加重平均二五・三%、間違いありませんか。
  38. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 突っ込みの計算はいたしておりませんので、合計で二五・幾らになるかどうかという点は、ちょっと私どもも数字を合わせかねる次第でございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 二五・三というのは、私が計算したのじゃなくて、これにちゃんと書いてあるのだよ。突っ込み加重平均二五・三。去年消防施設が相当値上がりしていると思うのですよ。二五・三ぐらいの是正で償えますか。いかがですか。
  40. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 基準額のアップによりまして、昭和四十八年の実績を見ますと、昨年実際に買った金額よりはやや上回るぐらいの数字になっているというふうに判断しております。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 かつて、消防ポンプの基準額のきめ方で、いわゆる消防関係の製作会社がいろいろな協定をしたとかなんとかという問題があったわけですけれども、今日の異常な物価の値上がりの中で、二五・三ではかなりの手出しが起こるのではないか。これははっきりしている。学校や何かは単価の改定で四五%ぐらい上げているのですよ。消防はたった二五です、全般的にはポンプなどは三〇%、これでは超過負担が起こるのではないかと私は思います。  そこで政務次官、こういうことを洗っていきますと、人口急増地帯について二億六千万円補助はふえましたけれども、大震火災の十億円ばかしを取ってみますと、消防力整備というのは全然行なわれておらないで、言ってみますと、三分の一を二分の一にしたという犠牲を、全部その他の市町村消防力整備あるいは消防ポンプの台数等を切って、とにかく人口急増地帯補助率特例中の特例の二分の一にしたという結果になっているわけです。そう思いませんか。
  42. 古屋亨

    古屋政府委員 人口急増地域を二分の一にした、少ないながらも二分の一に上げたということ。それから、ただいま消防関係予算につきまして御指摘がございましたが、大震火災対策の十億ちょいとを除けばたいして変わりがないんじゃないかという御意見でございます。実はこの予算編成のときにも、私ども、微力でございましたが、いろいろ大蔵大臣とも折衝いたしまして、消防力強化につきましては、先ほど申し上げました人命尊重の見地から、特にいまお話しになりました点、先般も小濱委員が御指摘になりました大震火災の点につきましても、十億程度のものでございましたが、地震の起こった場合を想定いたしまして、そのための最小限度の費用、私は十億でも十分ではないと思うのですが、とりあえず、とにかく十億の費用をそれに充てる、特に大都市周辺における大震火災対策ということで予算お願いしたわけでございます。  そういう意味におきまして、消防力全体としても若干増加していることは数字が示しておりますが、私どもも、率直に申しますと、たとえば消防ポンプなりあるいははしご車なりというものにつきましては、町村の需要その他を考えて基準額を三〇%引き上げたわけですが、ただ、ものによりましては、ただいま御指摘になりましたように、一部については地方の需要がはるかに多い、こちらで数字をあれしてもまだまだ足らぬというものがございますので、防火水槽とかそういうものにつきましては、これは来年度は飛躍的な増強をしなければとても需要には応じられないという実情だと、私も率直に考えております。  そういう意味におきまして、全体として消防庁予算はふえておりますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、消防予算全体につきましては、人命尊重という見地から私どものなすべき分野は非常に多いが、かたい決意をもって努力をしたいと思っております。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 後ほどいろいろ議論いたしますけれどもね。消防予算は画期的な伸び率であると言いますが、その内容は、言ってみますと、人口急増補助率は上がりました、これはけっこうでありますけれども、全体としては、消防力施設整備どころか、現実には四十九年度は四十八年度より後退するのではないかということを私は憂慮いたしております。今後、こういう心配が起こらないようにひとつ善処していただきたい、こう思います。  こういう問題に関連してお尋ねいたしますが、今度賞じゅつ金は上がりますか。消防署員あるいは団員が犠牲になった場合の賞じゅつ金は上がりますね。どうですか。
  44. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 賞じゅつ金の金額につきましては、昭和四十九年度より最高額を一千万円まで引き上げるという方針でおります。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 現在三百万円の賞じゅつ金を最高限一千万円に引き上げる、こういうことはけっこうでありますけれども、それはどういう法的根拠に基づいて行なわれるのですか。
  46. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 市町村並びに府県の場合におきましては、それぞれの地方団体における条例の規定でございます。また国の場合におきましては、消防表彰規程の改定によって行なう予定でおります。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 消防表彰規程の第五条によるのでしょう。  そうでしょう。
  48. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 そうでございます。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 第五条を読んでみますと、「災害に際し、一身の危険を顧みることなく職務を遂行して傷害を受け、」云々と書いてあるわけです。「災害に際し、」という解釈と運用はどういうことですか。
  50. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この辺の規定の解釈がいろいろ問題になっておるという点は御指摘のとおりでございますが、現在、「災害に際し、」というのは、災害現場における事故ということに解釈をいたしております。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 災害現場における事故、いわゆる死亡、そういうものについては一千万円の賞じゅつ金をやる。「災害に際し、」というのはそんな狭いのですかね。従来の解釈というのは、火災ということで消防署を、ブーッとサイレンを鳴らして出発いたします。消防現場に到着いたします。到着いたしましてホースで水を吐き出した。それから死んだ場合に賞じゅつ金がくる。けがをした場合に賞じゅつ金がくる。ところが、御承知のように、公務員は出勤途上でも災害補償を受けられるようになったでしょう。こんなばかなことがありますか。かつて、たとえばサイレンを鳴らして行きました。ところが十字路のところで、これは急ぐわけでありますから、一分いっときを争うわけでありますから、車がひっくり返りました。無蓋車なんでありますから、ひっくり返ったらこれは死にますよ。そういうものは災害現場じゃないから、これは「災害に際し、」ということに適当しないというわけで賞じゅつ金がもらえなかった。  政務次官、私は、消防署をサイレンを鳴らして出動したら、現場に到着する到着しないにかかわらず、サイレンを鳴らして行動に入ったら、これはもう災害に際して事故が起こった、こういうふうに解釈していただかなければ、消防吏員なり消防団員はたまったものじゃないでしょう。どうなんですか。
  52. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この賞じゅつ金の取り扱いにつきましては、同じような内容の支給が警察の場合あるいは防衛庁の場合、その他にあるわけでございますが、この賞じゅつ金の性格と、いわゆる公務災害補償との関連をどういうふうに考えるかという問題があるわけでございます。  現在、賞じゅつ金は確かに、災害に際して、一身の危険を顧みることなく職務を遂行したことによって死亡し、または廃疾になった場合、そしてそれについてまた功労があったと認められるという場合に、支給が行なわれるということになっておるわけでございます。その場合に、一般の公務災害との関係というものをどこで線を切っていくのか、この辺が賞じゅつ金の扱いについて、非常にいままだ私どもの事務段階におきまして話のまとまっておらないところでございます。やはり警察の扱い方あるいは防衛庁の扱い方といったようなものとその考え方を合わしていかなければならないというふうに考えておるわけでありますが、まだこの点の最終的な結論は私ども得られておらないわけでございます。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 自賠責だって金額は五百万になっておるのだが、警察官の場合は、えいやあとやり始めたときが災害に際してですか。どうもたいへんな事故が起こったという形で、あそこで無頼漢があばれている、こういう形で、交番所を出て急いで行うた、それはまだ災害に際してじゃなくて、犯人とえいやあと打ち合いとかなぐり合いを始めたときが災害に際してですか。どうなんですか。
  54. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 警察における取り扱いも、ただいまのような事例の場合には、交番を出ただけでは、「災害に際し、」というような取り扱いにはなっておらないようでございます。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 消防の場合は、サイレン鳴らしてからと私は言っているんですよ。これははっきり火災現場に出動するんだ。自動車が急いで行くからひっくり返る、サイレン鳴らしてひっくり返った、そのために死んだ、これは災害として認めてやらなければどうにもなりませんよ。警察官だって、とにかく強盗が入ったというところで、それに直行しようとしている際に、急いだあまりバイクがひっくり返ったということだって、これは賞じゅつ金の対象にしてやらなければいかぬと思うのですよ。政務次官、こんなことで、ホースから水を出し始めなければ賞じゅつ金をもらえないというのでは、とてもじゃないが、精神訓話だけではだめなんですよ。どうですか。
  56. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいまのお話、数年前に私の地元におきまして、消防団員が出動する場合に、団員の事故でない事由によりまして自動車がひっくり返りまして死亡した事故がございます。公務災害にはもちろんなっておりますけれども、ただいまのお話しのような消防団員の士気の高揚、そういう点からいいますと、賞じゅつ金の「災害に際し、」という解釈につきましては、ひとつ前向きに検討さしていただきます。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 委員長まあ政務次官は前向きにやると言っていましたけれど、これは各所で問題が起こっておりましてたいへんなことだと思う。私は、少なくともサイレンを鳴らして消防署を出動したら、もうすでに災害に取り組んでおるわけでありますから、「災害に際し、」という形で賞じゅつ金の対象にすべきである、こう思います。委員長は内閣委員会等もやりまして、こういう問題については多年の経験者でありますので、ひとつこの時期に、ぜひこれをやはりこの委員会として解決すべきであると私は強く要請したいと思うのですが、委員長、一言決意のほどを伺いたい。
  58. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御希望の向きはよく了承いたしました。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ、御希望の向きは了承するということでありまして、政務次官も前向きにということである。これはぜひやっていただきたい。どこが抵抗しているか知りませんけれども、大蔵あたりが抵抗しているのだろう。きょう主計官にはあまり聞きませんけれども。  こういう問題に関連して、救急業務についてひとつお尋ねしたいのです。  私が消防白書から拾ってみますと、現在救急業務に従事している救急隊員は、一台当たり十・四人おります。四十九年度の交付税では何人見るのですか。九人でしょう。あと一・四人というのは手出ししなさいということでしょう。そうじゃないですか。お答えいただきたい。
  60. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいまの十・四の数字は、兼務も含めての救急隊の人数でございます。昭和四十九年度、標準団体における救急隊員の数は九人ということを予定しております。これは専任で九人の計算でございます。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 四十八年度は七人、二人ふやして九人。しかし、兼務だとすぐ逃げますけれども、大体救急車を動かすには一台六人要るのですよ。標準団体は二台でしょう。十二人要るわけですよ。昼夜二十四時間やるわけですから、二台持っておればどう見ても十二人要るわけです。それを現実に地方公共団体でもそれまでの負担はできませんから、十・四人ということになっております。交付税は七人が九人になったのですから前進したことは認めますけれども、これでは十分じゃありませんね。あえて超過負担を強要しながら救急業務をやらしておる、こういうことになるじゃないですか。どうですか。
  62. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、標準団体における救急隊の基準は一隊でございます。したがいまして、週休を含みまして七人で一隊を維持するというのが通常でございますが、現在の救急需要の様子を見ますと、標準団体におきましては二隊を設置すべき時期に来ておるというようないまの実績の見通しがございますので、ここ二、三年のうちに、標準団体において二隊を設置するようにいたしていきたい、こういうことで、ことしは初年度ということで二名の増員を見込んだ、こういう数字でございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 消防法によりまして救急業務が行なわれ始めたときは、交付税では救急隊員たった二名からスタートしたわけだ。標準団体二名からスタートしました。それが今度七名から九名になるわけでありますから、逐次財源措置が行なわれていることは認めますけれども、二隊ということになりますと、これは不十分であることは明白であります。ですから、これも不十分であると申し上げる以外にないと思います。  そこで、私は一つお尋ねしたいのでありますけれども、高速道路救急業務研究会が昨年の十二月二十一日に中間答申をして、ことしの三月十五日に報告書を出しましたね。いわゆる全国にいま網を張りめぐらそうとする高速縦貫自動車道、この救急業務についてどこが責任を持つのですか、お答えいただきます。
  64. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 答申の考え方は、高速自動車国道のいわば管理者としての日本道路公団、それから消防法の規定によって救急業務をその行政として行なうべき市町村、この両者の共同責任で実施をする、こういう考え方をとっておるわけでありますが、私どももそういう考え方でいいのではないかというふうに考えております。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 道路公団あるいは建設省にお尋ねいたしますが、一体高速縦貫自動車道に対してどういう救急体制をとっておるのですか、あるいはとろうとしておるのですか。
  66. 中村清

    中村説明員 いま御質問がございましたように、四十九年の三月十五日に「救急業務に関する調査研究報告書」というのが出ております。これによりますと、エッセンスだけを申し上げますと、大体高速自動車国道は区間が四十キロほどでございます。四十キロほどある区間については、沿線の市町村のほうは財政力が必ずしも十分強くないという場合には、高速自動車国道は出入りがインターチェンジだけに制限されておりますから、インターチェンジの所在の市町村財政といいますか、あるいは救急処理能力が必ずしも十分でない、そういう区間につきましては、公団のほうで救急基地をつくりまして公団で自主救急をやる。それ以外の区間につきましては、インターチェンジの所在の市町村で救急業務をやっていただく。ただ、いま申し上げましたあとのほうの、公団が自主救急基地を設置しない区間について救急業務を実施していただく市町村につきましては、高速道路自身の構造が特殊な構造でございますし、それからそういう関係市町村にも財政的な負担をずいぶんかけるという意味で、公団のほうでそういう市町村に対して財政的な措置を講じたいというふうに考えております。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 中間答申なり報告書を見ますと、もともと原則としては、交通安全基本計画に基づいて、公団が道路の管理業務と一元的に自主救急体制を整えてやれというのが原則でしょう。この原則に基づいて四十九年度に道路公団が措置したものは、自主救急の基地として九基地、人員として七十七人、その予算は一億四千七百万円、市町村に対する財政措置四億五千万。これでやれますか、お答えいただきたい。
  68. 中村清

    中村説明員 まず、最初の御質問でございますが、なるほど現在の交通安全基本計画の中には、「道路公団が道路交通管理業務と一元的に自主救急として処理する」ということがございまして、三月十五日の研究報告書の中にも確かにそういう文句がございます。この研究報告書によりますと、ちょっとくどいようでございますが、「道路公団が道路交通管理業務と一元的に自主救急として処理する責任を有するとともに、沿線市町村としても消防法の規定に基づく処理責任を有する」云々ということがございまして、先ほど長官がお答えになったように、いわゆる消防法上の市町村の救急という立場と、それから公団の自主救急というのが併存して、相協力して高速道路の救急業務を実施する、こういう体制になると思うわけでございます。  そこで、四十九年度の問題でございますが、自主救急基地の数は確かにおっしゃるように九基地で一億四千七百万、それから救急業務を実施する市町村に対する財政援助は、総額が約四億五千三百万で、六億ということでございます。ここに至りました経緯でございますが、実は昨年の十二月にいまの調査研究報告書のもとになる中間答申が出まして、それ以前は実はいまの数字とは相当食い違った予算要求をしておったわけでございます。せっかくこういう答申をいただいたわけでございますから、改要求いたしまして、それで要求をほとんど認めてもらって、合計約六億という数字になったわけでございます。今後の推移を見まして最大限の努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 原則は公団の自主救急体制でやる、それに市町村の救急業務が協力をする、こういう原則で貫かれておるのが中間答申であり、あるいは最終報告書であるわけです。この点について具体的にお尋ねしたいのですよ。  昨年の十一月十六日に九州縦貫道路が熊本から鳥栖まで開通したわけです。そのうち、熊本県の南関というところから佐賀県の鳥栖までが、いま申し上げたように十一月十六日に開通したわけですよ。その救急体制を調べてみますと、どういうことになっておるかというと、久留米の救急隊の受け持ちは久留米から佐賀県の鳥栖の間の片側ですよ。片側、上りです。いいですか。鳥栖のほうから久留米のほうに下ってくる片側はどこでやるかというと、これは鳥栖の消防署がやるのですよ。それから久留米から八女のほうはどうなっているかといいますと、八女のほうから久留米のほうに上るところは八女の消防署がやるのです。久留米のほうから八女のほうに下る片側は久留米が持つのですよ。いいですか。その次に八女と南関のインターチェンジの間はどうかといいますと、南関から八女のほうに上ってくる片側は南関消防署が持つのです。その片側のほうは、八女から筑後のほうに向かっていくやつはどうやるかというと、筑後市消防署が持つのですよ。片側ずつですよ。  そうして、久留米なら久留米の消防署は片側を救急いたしますから、おりたところは鳥栖ですよ。一番不案内の、救急病院がどこにあるかわからぬところにおりるわけですよ。救急のためには一分一秒を争うということがあるでしょう。これはとにかく分割路線方式なんですから、路線を上りと下りを分けて、そしてそこの消防署が所在するところの病院に運ぶことはできないで、全く不案内なところで救急をしなければならぬという事態になっておりますよ。そうして、たとえば南関といってもこれは町でありますから救急病院がありません。そうしますと、筑後のほうは片側を受け持って、そこで救急を行なわれますと大牟田のほうに行かなければいかぬですよ。その大牟田の救急病院は、病院が返上しているのですよ。こんな体制で救急体制、できますか。少なくともこのブロックとこのブロックはという形ならわかりますけれども、そうじゃなくて、とにかく分割分担方式なんですから、上りと下りはもう違った消防署が受け持つのですから。  どうしてこうなったかといいますと、根本原則は、公団がそういう自主救急体制を拒否した、こういう点から起こっているわけですよ。この事態、御存じですか。御存じだとすれば許されないことでありますから、早急に改めていただきたい。いかがでしょう。
  70. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいまの九州の自動車道につきましての救急の問題は、先ほどの中間答申というあの中間答申の原則からすれば、公団が自主救急をすべき地域に該当しているわけでありますけれども、これは地元インターチェンジ所在市町村との話し合いによりまして、インターチェンジ所在市町村が救急業務を行なうという場合におきましては、インターチェンジ所在市町村消防署のほうで救急業務を行なうことができるようにいたしております。そしてここのインターチェンジ所在の市町村は、ただいまあげられました事例のインターチェンジのところは、それぞれ市町村が救急業務を行なうという意思表示をされているところでございます。そしてまた、特にこの八女のインターチェンジの場合には、筑後市の消防と八女組合の消防とがいずれも救急業務を行なうという意思表示をいたしまして、それぞれその担当路線というものを地元においてきめたというふうに私どもは聞いております。  したがいまして、原則的には、私どもとしましては、インターチェンジ所在市町村が上下線方式によって救急業務を行なうということが望ましいと考えておるわけでありますけれども、八女のインターチェンジの場合には、片側ずつそれぞれの消防組合、市の消防が行なう、こういうふうになっておるわけでございます。この点は、十分道路公団とインターチェンジ所在市町村のほうの話し合いによりまして、その救急業務の分担をきめるというたてまえをとっております。そういうことで、地元との話し合いがそういう形でついておるというふうに考えております。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお答えを聞きますと、いかにも地元のインターチェンジの所在市町村消防署がやっているようでありますが、もともとは道路公団が拒否したからこうなっているのですよ。そして上下分割、こういうかっこうになっているわけですね。そしてかりに救急出動いたしますと、一番不安内なよそのところの病院に運ばなければいかぬ。あるところでは救急病院が返上している。こういう事態では、これは救急体制が一応整っているなんということはかりそめにも言えません。消防庁長官は調べて結論だけで言っておりますけれども、建設省、公団、こういう事態ではどうにもなりませんので、ひとつ善処方を強く要請をしておきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  72. 中村清

    中村説明員 確かに、高速道路は上下分離という構造をとっております関係上、いまおっしゃったような問題もございます。それからインターチェンジの区間がわりあい長いというふうな問題もございまして、ある市町村が自主救急をやると、相当向こうのほうまで運んでいかなければいかぬというふうな問題もいろいろございます。私どもとしましては、新しい高速道路における救急体制を今度スタートさせたばかりでございますので、その中からいろいろな経験をくみ取りまして、前向きに考えていきたいと考えております。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひひとつ前向きに早急に結論を出していただきたい、こう思います。  次の問題は、この間新聞をにぎわしましたが、自民党の本部で、車庫か何かで炭酸ガスで危篤状態の人が起こりましたね。その数日あとに、今度は新橋のビルで、地下街で不燃性のガスの消火設備で、これはまた酸欠病でやられかけたわけですね。新聞によりますと、これはボタン一つ押しますと、炭酸ガスでありますから、消防上効果はありますけれども、人間が死ぬわけですよ。空気中の酸素は二一%でありますけれども、一五%ぐらいになったら二、三分で人間は死んでしまうわけです。ボタン一つでいくわけですから、これは殺人器具にならぬとも限らぬわけですね。しかも、調べてみますと、東京都だけで駐車場で八百八十二カ所、それから電気機関室で千百九十六カ所、二千七十八カ所の炭酸ガスによる消火設備があるということでありますから、これは消防上は効果がありますけれども、どうこれを管理していくのか、どういうふうにボタンを押すのか、どういうふうに安全性を守るかということが非常に重要な問題だと思うのでありますが、どういう対策をお持ちですか。
  74. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 こうした不燃性ガスによる事故というものが最近発生いたしまして、確かに消防設備としては適当ではあるけれども、同時にそれが人命に対する危害を及ぼすという点におきまして、私どもにとりましても非常に反省をさせられた点があるわけでございます。  現在の装置は、確かに、警報を鳴らしながら一定の時間後に炭酸ガスが噴出をするというような設備になっておりますけれども、その場合におきましても、炭酸ガスを噴出した場合に、そこに人間がおるかどうかという点の確認が行なわれないままに一定時間を置きますとガスが噴出する、こういうことのために、ややともともすればこの安全確認のないまま炭酸ガスが発生する結果になってしまって事故が発生する、こういうことになるわけでございますので、さらに、私どもといたしましてもこの安全対策のために、該当する場所に人がいるかいないかということを確認をする、あるいはまた、最近テープレコーダー等の開発も進んでおるわけでありますから、人声による避難を促す装置をこれに付加をしていく、こういうことによって、まず人を排除してから炭酸ガスの噴出をはかるというような安全対策を指導してまいる必要があるということで、現在、そうした方向での指導の強化を行なっているところでございます。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 これも重要な殺人器具に転化しないとも限りませんわけですから、ひとつ十分に対処していただきたい。  もう一つ、この問題で私は憂慮している点は、毎日のように新聞をにぎわしている、密閉したアパートなりマンション等における爆発事故ですよ。これに対してうまい手ありますか。その対策、いかがですか。
  76. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 特にプロパンガスというものが空気より若干比重が重いという関係で滞留をいたしますために、事故はプロパンガスのほうに多く発生をしている事例が見られるわけであります。この点におきまして、いま建設省当局ともいろいろ相談をしておりますけれども、ガス警報器といったような、いわば家庭用のガス警報器的なものが、何らか簡素につけられないものだろうかというようなことでいま検討を進めております。まだ結論は得られておりませんけれども、早急にこうした対策、非常に最近ふえております関係で、私どももその対策を急いでまいりたいというふうに考えております。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 これは、たとえば住宅公団等のプロパンガス、家庭にももう一千万もこすぐらいのプロパンガスがあるわけですね。これについて、消防庁はどういうふうにチェックする権限をお持ちですか。チェックする権限ありますか。
  78. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、消防につきましては立ち入り検査権というものがございますけれども、この立ち入り検査は、いわば火災についての緊急の情勢がない限り、一般の住居について立ち入り検査は行なってはならないということになっておりますので、現在やっておりますのは、予防の、いわば防火の指導という形で行なっておるというのが現状でございます。  ただ、実際には人手の関係等もございまして、重点的に現在一般家庭に対してこうした火災予防の指導を行なっておりますのは、たとえば老人の世帯といったようなところを重点的に行なっておるということでございまして、一般家庭すべてに、そうした予防指導的なものまで全部行なわれ得るような状態にはなっておらないというのが現状でございます。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう現状であるから、毎日のように新聞で、爆発して人身事故が起こっておると報道される、こういう事態であります。これを解決する具体的な道はどうするか。そういう危険物というのは各家庭にある。しかも密閉しておるわけです。昔のようなあばら家ならいいですよ、爆発になりませんから。こういう点で、私は、各家庭にプロパンガスがここまで発達した段階においては、政務次官、やはり消防法で何らかのチェックをする以外にないと思うのです。  たとえばそういう問題について、各家庭がやる場合には、どこの家庭に設けました、どういうかっこうになっているということについては、やはり消防署を通すとか、必ず意見を聞くとか、こういうことが必要であろうと思う。残念ながら、LPガスは高圧ガスだという形で通産省の専管事項になっておる、消防庁はくちばしをいれるわけにはいかぬ、こういうところに私は問題があると思う。しかも残念なことには、消防庁というのがからきし、消防上問題があっても他省にものが言えないところなんですね。そういうところに問題があるのですから、これは抜本的な対策をしなければいたずらに新聞をにぎわすだけにすぎないと思う。私は時間がありませんから、これ以上立ち入ってきょう申し上げませんけれども、政務次官のき然たる何らかの態度をここで示していただきたい。
  80. 古屋亨

    古屋政府委員 まことにごもっともな御意見でありまして、私も全く同感でございます。  それにつきましては、消防陣営の一そうの整備強化をはかりますと同時に、必要によりましてはそういうような法律の問題にも関連をしていかなければなりませんし、また現在の役所の横の組織で、LPガス等が通産の所管になっております、そういう点につきましても、人命尊重、防災という見地から、消防が十分連絡し、またそういうような事故の起こらないように、消防の立場の上からも関与できるように、私どもはくふうをこらしてまいりたいと思います。御趣旨の点は私も同感でありますので、今後関係方面と十分協議をいたしまして、ただいまの御所見の点につきましては推進をしてまいりたいと思っております。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題は、私は住宅等を申し上げましたけれども、たとえば港等で頻発する船舶火災の問題、これも言ってみますと、岸から離れればもはや消防庁は手が出ない、運輸省の所管、海上保安庁だ、こういうことにもなっておるわけでありまして、私はこの辺に消防サイドから、もち屋はもち屋として従来の経験なり研究成果というものを生かしていく、そういう体制を法制的に確立しない限りは、この問題を克服することはできないと思う。しかし、きょうこれ以上やる時間がありませんから、いずれ機会を見て、この問題についてはいろいろな具体例について明確にいたしたい、こういうふうに考えております。  そこで、きょうは次に進みます。  消防庁長官にお尋ねいたしますが、昨年の十二月十日、全国消防長会から、大洋デパートの事故にかんがみまして、こういう点について消防法改正していただきたい、こういう十四項目の申し入れがあったはずであります。御存じですか。
  82. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 全国消防長会からの要望事項は、私ども伺っております。
  83. 細谷治嘉

    細谷委員 知っているならば、長官、その全国消防長会——この消防長会というのは、日本で一番経験豊かな権威ある会議であろうと私は思うのです。その会議が十四項目にわたって、大洋デパートの経験からこうすべきであるということを言っております。それが今度の法改正の中において、あるいは建設省の建築基準法の改正の中においてどの程度実現いたしておりますか、お答えいただきたい。
  84. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 全国消防長会からの要望事項は、ほとんどが建築基準法関係の法令改正の要望でございます。  この要望の中には、建築基準法自体の、法律自体の改正によりまして措置すべき部分と、それから政令あるいは省令の規定によって措置されるべき部分というものがございまして、まだ政省令段階につきましては現在いろいろ協議中でございます。法律段階のものは、必要なものは、防火区画の設置でありますとか、あるいは避難階段の設置等につきましては、今回の法令改正として提案されておりますが、そのほかは、法律の規定に基づく政令段階の協議になると思います。私どもは一応この全国消防長会の要望というものを前提にしながら、現在建設省と打ち合わせ中でございます。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 全国消防長会が十四項目の要求をいたしましたが、この十四項目のうち、政令で解決できるものはどれとどれですか。
  86. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 項目が非常に多うございますが、政令改正によるものは、まず一つが、不特定多数の者を収容する建築物におきましては、その用途、規模に応じた一定の広さの屋上広場を設けさせる、そしてヘリコプターの接近を阻害する工作物を設けさせないようにするという点、これが政令事項。  それから第二点が、避難階段につきましては、屋外階段または特別階段の構造として、これらは売り場に面して設けることとされたい、こういう要望でございます。これも政令事項。  それから、百貨店の各階にはバルコニー等の設置を規定してもらいたい、これは新たな規定でありますけれども、これもこれからの処理の問題でございます。  それから、百貨店については内装制限の緩和を認めないという点、これも政令事項でございます。  それから、百貨店の売り場は十一階以上または三十一メートルをこえる階には売り場を設けさせない、これも新しい規定でありますが、政令の事項でございます。  それから、百貨店の各階の階段直近の外壁には、避難上有効な採光窓を設けることとしてもらいたい、これも政令事項。  それから、百貨店に設ける階段については、建築形態によって偏在しないように配置をするようにしてほしいという点でございます。これも政令事項です。  それから、階段の最上部分はすべて屋上に通じさせるとか、いわば外気に開放するような形のものにしてもらいたい、こういうような事項でございます。  それから、排煙設備あるいは避難階段その他現在の規定の遡及適用の関係がございます。これは法律政令に分かれてまいります。  それから、階段に付設している部屋で外気に向かって開くことができる窓を有しているものについては、特別避難階段から除外をする、これも政令事項でございます。  あと、政令でまだ話し合い中のものは、道路上の連絡階段、これについての許可の取り扱いを緩和をする、これは政令の取り扱いの問題でございます。  大体以上のようなものが、現在政省令の事項としてこれから協議する段階のものでございます。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 いまくどくどと言われたわけでありますが、お聞きしておりますと、ほとんど全部政令のようですね。あなたのほうからもらったので、消防長会の見解というのをどのくらい今度の法改正政令改正等で実現するかといったら、この十四項目のうち、大体私の見たところでは一つ半くらいしかないのですよ。いまおっしゃったように、ほとんど全部政令で片づきますか。重要な点であります。あなたのほうの資料をせっかくいただいた、「全消防長会からの要望事項に対する処理状況」あなたのほうで〇のついたのはたった一つしかないのだよ。なるほどこの十番目の遡及問題については政令法律がありますからいいわけですけれども、〇のついたのはほんのわずかですよ。あとみんな×じゃないですか。いまあなたのことばを聞きますと、大体ほとんど政令でいっちゃう。ほんとうですか。きょうは時間がありませんから具体的に聞くのをやめますけれども、信じてよろしいですか。
  88. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま申しましたように、私どものほうの資料で差し上げております、いわば×のついております事項は政令事項でございます。これは今後建設省のほうと十分打ち合わせをして、その実現をお願いしていく事項でございます。すべてが完全な政令改正になるか、あるいはある部分につきましては行政指導という形でやるか、この辺はもう少し話を詰めて、その実現方を強く要請していきたいというふうに考えております。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、なるほどこの十四項目は政令で片づく部分も多いけれども、法律改正をしなければどうにもならぬものもある。たとえばこの十二の、防火、防煙性能に対して消防庁長官意見を聞くようにしていただきたい、これはやはり法律でなければならぬですね。防火、防煙性能ということになりますと、これは意見を聞かなければならぬ。あるいは排煙設備、こういうものも、これはやはり法律で規定をしなければならぬと思うのです。  そういう場合に、建設省もおいでいただいておりますけれども、まあ住宅関係の専門じゃありませんけれども、私はこの建築基準法というものは、それはもう権威あるものとして認めますけれども、建築基準法でどんどんどんどん経済ベースで建物が建っていく。これは佐藤委員からも質問がありました。ところが、防火上あるいは人命救助、こういう観点からは全く対策は講じられておらない、自治大臣の意見を述べることも法律的に保証されておらない、こういうところに私は問題があると思うのです。でありますから、佐藤委員が質問したように、とにかくはしご車が届かないところはもうどうにもならぬ、こういう現況であります。少なくとも、こういう建物を建てるのだというのは建築基準法で建築士の問題でありますけれども、それが防火上、人命を尊重するというサイドから消防庁として許せるものかどうか、こういう点についてのチェック、意見を述べることを法制的に確立する必要があると私は思うのです。  こういう点について、自治大臣においでいただきましたが、今度のやつはその点においてはきわめて不十分であります。千日デパートの経験にかんがみて法律改正したけれども、それが大洋デパートには効果がなかった。大洋デパートの経験にかんがみて法律改正したけれどもまた効果がない、こういうことになると私は思うのであります。この点について、自治大臣の御決意のほどをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  90. 町村金五

    ○町村国務大臣 このたびの建築基準法の改正の問題に関連をいたしまして、ただいまも御指摘がございましたように、いわば非常な高層建築で、消防のはしご車といったようなものが全く用をなさないというような建築が、確かに現在すでにでき上がっておることは御指摘のとおりでございます。そういうものに対して、消防に責任を持つ消防庁として、一体これにどういう対処のしかたをしているのか、無責任じゃないかといったような意味の御指摘であった、こういうふうに私は伺ったのでございます。  この点については、すでに消防庁長官からもお答えを申し上げておることかと思いますが、消防上の意見については、建築基準法で建築の許可をいたしまする場合にも、その建物について消防上万全を期するという点については、当然消防庁意見というものが反映される余地が十分でき上がっておるもの、かように実は私は承知をいたしておったのでございます。ただ、いま御指摘のように、単に意見を述べましてもそれが十分に反映できないということになりますれば、実効があがらないということになってしまうことも明らかでございます。この点は、私どもも、今回の大洋デパートの大きな惨害に顧みて、建築基準法の改正も行ない、同時に消防法改正も行なう、そうしてこういった問題にひとつできるだけ対処をしたいということを実は考えて、今回の改正を企図することになったのであります。  ただ、御指摘もございましたが、やはり今回の場合、私どもとしては、不特定多数の人の入るいわゆるデパートであるとか地下街であるとか、そういったものを主として考えるということに相なりましたために、いままですでに高層建築が許可になっておるものに対しては、特にこの際としては新たな立法的の措置をするということにはならなかったと私は承知をいたしておるわけでございます。この点はなお法的にも不十分な点が確かに存在をしておるのではないかと思いまするが、これはさらに今後の問題としてひとつ十分検討をさせていただかなければならぬのではないか、こう考えておる次第でございます。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、建物については、消防専門家の意見というのはほとんど入らないのですよ。それなるがゆえに、消防設備士というのが法律で制定される際の、四十八国会地方行政委員会でも附帯決議をつけておるわけです。読んでみますと、「消防設備士の業務に消防用設備等の設計監理を加えるなどその業務範囲を明確にすること。」四十八国会以来今日もう十年になんなんといたしますけれども、一歩も進んでおりません。国会意見というものを全く軽視しております。その責任はやはり消防庁にあると私は思うんですよ。  かつてこの問題は、東京都の条例で消防設備士というのがありました。そして消防設備士は、東京都の条例の中では、設計の問題、消防上この設計でいいか悪いかについて意見を述べることができるようになっておりました。ところが、今度は法律のほうで、消防法の中で設備士というのができて、設計にはものを言えないということになりましたから、東京都の条例は自治法の十四条の規定によってパアになったわけですよ。それを受けて、それではいかぬということで、地方行政委員会でこういう附帯決議をいたしたわけであります。  ところが今日、十年を経過いたしまして一つも進んでおりません。こういうことでは、何べんやってもこう薬ばりの消防法改正にすぎぬ、建築基準法の改正にすぎぬ、災害は必ず起こる、こういうことだと私は思うのです。こういう点について、適切なことばではありませんけれども、自治大臣と消防庁長官は、消防のためにはき然たる態度でがんばっていただきたい、主張していただきたい。そういう意味で、ひとつふんどしを締め直して、人命を守るという消防法一条の目的を達成するためにがんばっていただきたいということを、強く要望しておきたいと思います。  あと、時間がありませんから、一つについて御質問したいと思います。  今度の改正で、石油パイプラインについて、いわゆる移送取り扱いについての規定が盛り込まれております。これについて幾つかの点で質問をいたしたいと思うのであります。  今度の移送取扱所の許可権については、二つ以上の市町村に対しては県知事が許可権限を持つことになりました。二つ以上の都道府県にわたる場合には自治大臣が許可を与えることになりました。この問題は、パイプラインの広域化、こういう点からいって私は常識的には考えられますけれども、この際お尋ねしておきたい点は、消防組織法第十九条との関係はどうなっているのか。消防組織法第六条との関係一体どうなるのか。消防原則市町村消防であります。市町村消防原則というのは、消防庁長官といえども、県知事といえども、その「運営管理又は行政管理に服することはない。」と、ぴしゃっと言っておるわけですね。こういう消防組織法のたてまえとどういう関係になるのか、これをひとつ明らかにしておいていただきたい、こう思います。
  92. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 危険物の規制の一環として、パイプライン関係の規制が規定されておるわけであります。この危険物の取り扱いにつきましては、国の事務を地方に委任をしているという法律構成をとっておるわけでありまして、そういうことから、国の事務を市町村あるいは府県にどういう形で行なわせるか、こういう関係の規定であるというふうに考えております。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 そうなってまいりますと、今度のこのパイプラインの事業法の適用除外になった十五キロ以下あるいは自家用のものについては、許可権限というものが県知事と自治大臣になったわけでありますから、消防組織法の例外として行なうのか。あるいは原則なんですか例外規定なんですか、どちらなんですか、お答えいただきたい。
  94. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防法の規定に基づくパイプラインというものは、石油パイプライン事業法の対象にならないパイプラインということでございますから、まずほとんど多くのものは同一の市町村内のパイプラインであることが多いだろうというふうに考えますけれども、そのパイプラインの施設性格上、二以上の市町村にまたがるものもあるわけでありますから、そういうことで、その許可行政庁を、原則市町村であるけれども、そうしたパイプラインの敷設の状況に応じまして、府県知事あるいは自治大臣というものを許可行政庁にしたということでございます。
  95. 細谷治嘉

    細谷委員 消防組織法十九条に基づいて、そういうような消防署を持つ市町村長が、これで安全であるということで、知事等の指導、助言は仰ぐにしても、そこを通る市町村長が責任を持って許可権を与えるということはどうしていかぬのですか。この許可権というものを、消防法十一条に基づく危険物についての取り扱いを、市町村長の権限からはずして県知事と自治大臣に吸い上げていった、これはそれだけの説明でははっきりしませんよ。どうですか。
  96. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 同一の対象物につきまして許可行政庁が二つ以上あるというような場合におきましては、当然にその間の意見の調整の権限を持つものをまたきめておかなければならないというような問題も出てまいるわけであります。そういう点からしますと、やはり同一の対象物については単一の行政庁が許可を与えるということが、国民の側からいたしましても便宜であるというふうに考えられるわけでありまして、その場合におきまして、各関係市町村意見というものは、知事なり自治大臣なりの許可に際して十分反映するように、法律におきましてもそれを予定しながら規定を設けたわけでございます。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣なり知事が、それじゃパイプラインという危険物の取り扱いについて権限を持っているかといいますと、これは火事が起こったら消防の問題になるわけですね。たとえばパイプライン事業法第四十条では、国鉄のパイプラインについては十五キロ以下と同じように適用除外です。自家用の移送取扱所と同じように適用除外。この場合には、自治大臣は、どういうふうに設計されて、どういうふうにパイプされて、どういうような基準に基づいてパイプラインができるかということを知らないで、ただ保安だけについて意見を聞くなんというかっこうになっているでしょう。こんなことでやれますか。責任持てますか。都市消防問題研究会でも、「防災都市づくりのための積極的作用について」という報告を出しているんだけれども、石油パイプライン事業については、基本計画の許可について自治大臣と知事は関与しないでしょう。そうして、工事検査と保安検査だけは自治大臣の権限でしょう。パイプラインの事業法ではそう書いてある。適用除外のこういう問題についてもそういうことになりますよ。これで自治大臣が保安上の責任が負えますか。この研究会でもそういう点を指摘しているでしょう。
  98. 永瀬章

    ○永瀬説明員 石油パイプライン事業法が制定されます際の各省庁間の折衝、協議の際におきまして、基本計画というものは、国全体のパイプラインをどういうぐあいに敷くかということについての考え方でございまして、どこからどこまで、起点、終点及びおもなる経過地を明らかにする程度の計画でございまして、具体的にどの場所のどの道路をどういうぐあいに通っていくかということについては工事計画で出てくる。したがって、基本計画については意見を申し出る範囲で十分であるという考え方で当時はまとまったわけでございます。
  99. 細谷治嘉

    細谷委員 予防課長、成田の空港へのパイプラインをつくるときはパイプライン事業法ができておらなかったでしょう。そのときは法律がありましたか。ないでしょう。ない前にやったのでしょう、新空港へのパイプラインは。そうでしょう。その際にあなたが、この間予算委員会の答弁を見ますと、そのパイプラインの保安上の問題について、これは消防庁の非常に重要な問題点だということを放棄しているじゃないですか。議事録を持ってきていますよ。そうじゃないですか。お答えいただきたい。
  100. 永瀬章

    ○永瀬説明員 成田の、千葉から成田まで送ります、いわゆる本格ラインと申しておりますパイプラインにつきましては、当時まだ石油パイプライン事業法が公布施行されておりません時期に計画がなされてまいったわけでございます。ただ、私どもがこの前申し上げましたが、いつあのラインが正式に始まってきたかはなかなか正確なところがわかりませんでしたが、当時の考え方といたしましては、消防法の適用はあるという考え方でおったわけでございます。ただ、この違反処理という面につきましては、この前もお答え申し上げましたとおり、いろいろ意見がございましたので、まだ違反処理をするというところまでには当時達していなかったわけでございます。
  101. 細谷治嘉

    細谷委員 それはあなた、違反処理をするまでに至っておらぬと言うけれども、予算委員会の議事録を見ますと、運輸大臣は、申しわけありませんでした、消防庁を無視して申しわけありませんでしたということが議事録に出ているじゃないですか。何で自分の権限を、消防庁の問題を放棄するのですか。そういう消極的な態度でありますから、自治大臣がどう言おうと、建築基準法との問題あるいは運輸省との問題、そういう問題については、消防庁の本来やるべき職務を果たすことができない。それほど消極的な態度なんですよ。時間がありませんからそれ以上言わぬです。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますけれども、今度危険物移送取扱所の処理については、その技術基準というのは何によってつくるのですか。自治省令できめるということでありますが、石油パイプ事業法の技術基準に基づきますか。その辺、どうですか。
  102. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、省令並びに告示の準備をしておりますけれども、大体石油パイプライン事業法の規制に準拠して制定する方針でございます。
  103. 細谷治嘉

    細谷委員 石油パイプ事業法の政令から省令というのを私はずっと調べてみたのです。これでだいじょうぶとお思いですか。なお欠陥があるとお思いになる点はありませんか。いかがですか。
  104. 永瀬章

    ○永瀬説明員 この内容につきましては、パイプラインの構造、安全関係の専門家も入って、それの意見も聞いて定められた経緯もございますので、これに従っておれば一応安全であると考えております。
  105. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは具体的にお尋ねしますが、ここに政令、省令に基づいて技術基準をきめる告示があります。その告示の二十二条、「工作物に対する水平距離等」工作物に対する水平距離というのは、建物に対し水平距離で一・五メートルあればいいというのですよ。一・五メートルということで実験をやったら、一瞬にして燃えてしまったでしょう、一・五メートルのところの建物は。そういう実験があるでしょう。せっかくの実験を無視するのですか。この聞こういう問題について沿道の住民が千葉地裁に仮処分の申請を出したでしょう。そのときに千葉地裁は、とにかく千メートル以内は危険でありますからそういう訴訟をやる権限がありますということで、仮処分を認めたでしょう。実験の結果も、一・五メートルはあぶないということがわかっているのですよ。でありますから、少なくとも消防のサイドで、その専門家でありますから、一・五メートル、告示の二十二条では不十分であると私は思うのですよ。改めませんか。
  106. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生お尋ねの工作物からの一・五メートルという距離は、地下に埋設されましたパイプと他の工作物との間の距離のことでございます。  なお、実験は、先生指摘のように、過去、行なわれたことがございます。この場合は、パイプそのものは非常に性能のいい、かつ厚いパイプを使うことになっておりますが、もし万一それが割れた場合にどうなろうかということから、傷をつくっておきまして、そしてそれに圧力をかけて漏洩させたわけでございます。そのような破損が起こるとは普通では考えられないのではございますけれども、一応漏れた場合の広がりがどのようになるのかを測定するための実験でございまして、当時の実験のあとの反省会でも、一応その基準で十分であろうという結論を四省庁間では得たようでございますので、私どもも、現段階ではそれを踏襲したいと考えております。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 そんなこと言ったって、一・五メートルという告示二十二条に基づいて実験してみた。国会議員も立ち会っているのですよ。もののみごとに燃えた。これは実績でしょう。それを踏襲するというのもおかしいでしょう。少なくとも今度は消防庁が専管のパイプ事業法の適用以外の十五キロ以下あるいは自家用の移送取扱所についてやるわけでありますから、こういう問題についてもきちんとひとつ調査して、自治省令で責任ある技術基準を設定していただかなければならぬ。こういうことを、予防課長ばかりではなくて、大臣や消防庁長官、こんなことは技術上の問題でおれは知らぬなんということではだめですよ。  もう一つお尋ねしますが、漏洩の拡散防止措置でありますけれども、これは省令二十三条で、告示で定めるところ以外は必要ない、こういうことです。しかも、漏洩しているかどうかということをやる検知用の管、これも地下水等が入ってきますと検知できなくなりますよ、平地ならともかくとして。そしてそれをずっと防護する装置がなければ、せっかくの輸送管とそれから検知用のパイプを張っても意味ない。しかも、その検知用のパイプというのはビニールパイプでやる。こんなことではどうにもならぬと私は思うのですよ。こういう点、どうですか。
  108. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お尋ねの防護装置あるいは検知用の管の関係でございますが、先生指摘のように、あるいは極端な地形の場合、傾斜地等で、かつ水位が高い場合に、傾斜に沿ってうまいぐあいに油が流れてまいりませんで検知できないということはあるかとは思いますが、このパイプの防護措置については、諸外国でもまだこれという方法が実は固まっておりませんで、いろいろ国内の技術屋を集めまして検討いたしてまいっております。その告示の中で、現在大体これならばと思われる工法がとられておりますが、今後、未経験なことでございますので、なお外国の資料その他を取り寄せつつ検討をした上、不十分である場合はそれを直していくという考え方を、それについては持っております。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 成田空港に送る石油のパイプラインの圧力は、どのくらいで送るのですか。
  110. 永瀬章

    ○永瀬説明員 圧力は九・七キロを予定しております。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、パイプの内圧はどのくらいまでテストするのですか。三十気圧くらいでやるのですか。
  112. 永瀬章

    ○永瀬説明員 パイプのテストは、七十五キロのテストを行なっております。
  113. 細谷治嘉

    細谷委員 輸送する油の圧力が九・七。そうすると、もしパイプが破れたら油はどのくらいの距離吹っ飛びますか。約十キロの圧力で送っている油が、途中、パイプが破れたらどのくらい油は吹っ飛びますか。
  114. 永瀬章

    ○永瀬説明員 九・七キロの輸送圧に対しまして、パイプそのものはいま申しましたように非常に高いテストをいたしておりますから、まず漏れることはないと思いますが、いままでの実験からいたしますと、地中に埋まっていれば、持に二メートル近く埋まっております場合は、九・七キロで漏れましても地上に吹き上げないで、地中で油の拡散があるという程度でとまっております。
  115. 細谷治嘉

    細谷委員 理屈が合わないですよ。二メートルの深さに埋めたって、大体において土の圧力はどのくらいかといいますと、比重にもよりますけれども、〇・二気圧くらいの圧しかありませんから、十キロの油が吹き上げたらそんなのは突破してしまいますよ。理屈上は一気圧で十メートル上がるわけですから、大体において七十メートルぐらいふつ飛ぶのですよ。パイプはなるほど十分な内圧試験をするでありましょうけれども、もしもつぎ目が破れたら五十メートルか七十メートルぐらいは石油が吹っ飛びますよ。理屈上そういうことでしょう。これは物理の初歩ですよ。そうじゃないですか。どうですか、間違いですか。
  116. 永瀬章

    ○永瀬説明員 先生おっしゃいますとおりに、計算上はさようなことに相なるかと思いますが、ただ、パイプがきれいにすぽんと割れてしまうということを予想いたしますと、土圧をはねのけて上へ上がるのは、十キロでございますと七十メートルぐらい上がることは考えられますけれども、そこまでパイプが勇断してばかんと割れて大きな穴をあけるということは、溶接部分の検査等も十分に行ないます関係上、実際にはそういう事態になることはないだろうと考えられております。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 溶接部分は十分にやると言うのだが、私は溶接を心配しているわけだ。溶接は一重壁の撮影をするのですか、二重壁の撮影でやるのですか。どっちですか。
  118. 永瀬章

    ○永瀬説明員 溶接は二重でやる予定でございます。
  119. 細谷治嘉

    細谷委員 空港公団、二重壁撮影でやりますか。そうじゃないでしょう。一重壁でやっているんじゃないの。はっきりしてくださいよ。
  120. 松木洋三

    ○松木説明員 成田の現在の暫定パイプラインのエックス線の試験は、二重のほうでやっております。
  121. 細谷治嘉

    細谷委員 二重では困るわけですよ。二重はそれだけ不正確なんです。やはり安全性をとるためには、パイプの外からとるのではなくて、手前のほう——二重ではいけぬわけですよ。やっぱり一重壁の撮影をしてもらわなければいかぬというのが専門家の意見です。こういう点も改めていただかなければならぬと私は思うのです。  私は、いま幾つかの例をあげました。時間も来ておりますからこれでやりませんけれども、そういう意味におきまして、残念ながら告示自体も不明の点があります。たとえば諸外国では、地下水に対する影響等では、スイスあたりでは根本的な地下水の調査をやった上でパイプラインをきめているわけですよ。そういうこともやらないで、そうしてこの技術基準は告示に示したとおりでございますと言われますと、私がいま幾つか指摘した点で問題があるわけです。  そういう点で、少なくとも消防庁が、この石油パイプライン事業法適用以外のものについては責任を持つことになったわけでありますから、しかも市町村長の許可権ではいかぬ、もっと権威ある、知事か自治大臣の許可にしょうなんていうことまで消防法原則を踏みにじってやる決意をした以上は、安心できるような技術基準をきめていただかなければいかぬ。とにかく、運輸省がきめた、建設省がきめた、新空港公団がきめた技術基準だけで押し通すわけにいかぬ。はっきりわかっておる欠陥は、ひとつそちらのほうもこういうふうに改めていただきたいということを積極的に指示していただかなければならぬ、こう思うのです。こういう点について、長官と大臣の御決意のほどをひとつお聞きしたいと思うのです。
  122. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 私どものほうの省令、告示も近く出さなければならないことになっておるわけでありますけれども、確かに、このパイプラインにつきまして、まだ十分な検討が済まされない、未知の部分もあるだろうというふうに考えるわけでありまして、さらにこの点につきましてはこれからも常に再検討を行ないながら、万全なものに切りかえていくということをこれからもやっていきたいというふうに考えております。
  123. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、おことばはもう長官で代理してしまったと思うのですけれども、最後に一言、私は、消防の問題についてはやはり専門家である消防庁が、人命を守る、人の財産を守っていくという消防法の一条の目的を達成するためには、もっと積極的な姿勢で取り組んでいただかなければならぬ、こう思うのです。今日までの中央の、消防庁の消極的な、縦割り行政の弊害をそのまま消防問題に持ち込んでおる、そういう消極的な態度が、私は大洋デパートのああいう惨事を生じた一つの原因だと思う。消防庁がそういう消極的な態度でありますから、熊本の消防長は、あの大洋デパートがいろいろ消防の違反を犯しておる、こういう点が設備上不十分だということを知りながら、それをようやり切らなかった。でありますから、忠告もした、あるいは勧告もしたでありましょうけれども、それを検分もしないし、チェックもしなかった。そこでああいう大事に至った。一ぺんも演習などをやらないで過ごしてきた。これはある意味では、消極的な態度が、ことばを変えていきますと、そういう大洋デパートとなれ合いになったというところから、ああいう大事故が起こったと言っても差しつかえないと私は思う。  そういう点でも、こういう時期においてもっと消防庁は積極的に、消防のことについては他省をリードする、そういう決意で取り組んでいただかなければ私はならぬと思うのです。大臣、いかがですか。
  124. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほど来いろいろな角度からの、消防庁と申しましょうか、そういうものの根本的な態度なり考え方についての御指摘をいただいたわけでございますが、確かに、最近における非常な高層の建築物、あるいはまた産業にいたしましてもきわめて危険な産業というものが次第にふえてきておる。そういうものに対処して、消防が国民の生命、財産の安全を守るということについて、私、かなり努力はしてきたとは考えますけれども、いま御指摘を伺ってみて、なおまだ足らざるところが確かにあったのじゃないかという感じが私どももいたします。  いよいよこれからむずかしい、きわめて危険な産業というようなものがますますこれからふえてまいるわけでございましょうから、その場合、常に人命の安全を守るという消防的な見地というものが、そういったものの施設が行なわれる場合には十分反映できるようにするという基本的な態度がたいへん私は大事だと思うのであります。従来もそういった点は努力はしてき、あるいは十分配慮はいたしてまいったかとは思いますけれども、御指摘を受けて、必ずしもまだ十分でないというところがあるようにも感じますので、今後はそれらの点、さらにひとつ十分注意をいたし、関係省との間にも、そういった点についてはもっと消防的な見地というものが十分重視をされるというような体制を、ほんとうにつくり上げていかなければならぬのではないかということを私も深く感じた次第であります。その点は、今後もひとつ一そう努力をいたしてまいりたいと考えます。
  125. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  126. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  127. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありません。  これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  128. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  129. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、中山利生君、佐藤敬治君、三谷秀治君、小濱新次君及び折小野良一君から、五派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨説明を求めます。中山利生君。
  130. 中山利生

    ○中山(利)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五派を代表いたしまして、消防法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近における火災その他の災害の実態にかんがみ、消防体制の近代化と消防力充実強化をはかるため、左の諸点につき、すみやかにその実現を期すべきである。  一 高層建築物、地下街、複合用途建築物等多数の者が出入する施設について、火災予防および火災時における人命安全に万全を期するため、防火管理体制強化、避難施設充実および救助体制整備強化をはかるとともに、防火管理上の違反および消防用設備等の設置義務違反については、強力な是正措置を講ずること。    なお、既存の不適格防火対象物に対する消防用設備等の遡及適用の猶予期間における防火体制については、消防機関による指導を強化すること。  二 石油コンビナート地帯等における火災等の災害を防止するため、事故防止責任に関する企業の自覚を徹底させ、事故発生防止措置と自衛消防力強化を推進するとともに、あわせて予防行政の徹底を期するため、専門的知識を有する消防関係職員の確保および現地消防機関に対する技術指導体制強化をはかること。    なお、石油コンビナート地帯等災害発生源の所在する市町村に対しては、十分な補助措置を講ずること。  三 自家用パイプライン等消防法適用のパイプライン施設の設置ならびに災害発生時における応急措置等については、公共の安全を確保するため、万全の対策を講ずること。  四 地震による被害の防止と軽減をはかるため、消火体制、避難体制および情報の収集伝達体制整備強化を促進すること。  五 交通事故をはじめとする各種災害の増大に対処するため、救急車の増強等救急搬送体制の一層の充実をはかるとともに、救急医療機関の拡充等救急医療体制強化をはかること。  六 消防施設整備費補助金の拡充強化および消防費にかかる地方交付税措置充実をはかること。 右決議する。 以上であります。  何とぞ、皆さまの御賛同をお願い申し上げます。
  131. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  132. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、中山利生君外四名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣。
  133. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、その実現に努力いたしたいと存じます。     —————————————
  134. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  136. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 内閣提出にかかる昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び井岡大治君外三名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。     —————————————  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  137. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 まず、両案について、それぞれ提案理由の説明を聴取いたします。町村自治大臣。
  138. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  政府は、恩給年額の増額をはかるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い、地方公務員の退職年金制度についても、恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるほか、長期給付の給付額の算定の基準となるべき給料の算定方法の改善、退職年金等のうち低額なものの年金額の引き上げ、遺族年金の扶養加算制度の創設及び短期給付の任意継続制度の創設等の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の算定方法について、地方公務員共済組合が支給する年金の算定方法に準ずる措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合制度の改正に関する事項のうち恩給制度の改正に伴うものについてであります。  その一は、恩給年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する退職年金等の額について増額することとしております。すなわち、昭和四十七年度以前の退職にかかるものについては、その額を一五・三%増額するものとし、加えて、昭和四十四年度以前の退職にかかるものについては、退職時期の区分により恩給水準と公務員給与水準との格差を是正する措置を講じ、その改定された退職年金等を昭和四十九年十月分から支給することとしております。  その二は、恩給における最低保障額の引き上げに伴い、退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることの措置を講ずることとしております。  その三は、恩給における増加恩給の額が増額されたことに伴い、公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることの措置を講ずることとしております。  その四は、年金条例職員期間等を有する七十歳以上の老齢者等に支給する年金について、その額の算定の基礎となる期間に戦務加算等の期間を加える措置及びその額に最短年金年限をこえる年数一年について、給料年額の三百分の一に相当する額を加える措置を講ずることとしております。  その五は、以上の措置のほか、外国政府等の在職期間の通算条件の緩和及び教育公務員の勤続加給の改善等の措置を講ずることとしております。  第二は、その他の地方公務員共済組合制度の改正に関する事項であります。  その一は、長期給付の給付額の算定の基準となるべき給料について、従来、退職前三年間における掛け金の標準となった給料により算定することとなっておりましたが、これを退職前一年間における掛け金の標準となった給料により算定することとしております。  その二は、退職年金の年金額の算定にあたって、現行の算定方式により算定した額が通算退職年金の額の算定方式に準ずる算定方式により算定した金額に満たないときは、その金額によることにより低額年金の額の引き上げをはかることとし、廃疾年金及び遺族年金についても、これと同様の措置を講ずることとしております。  その三は、妻または子に対する遺族年金について、新たに扶養加算制度を設けることとしております。  その四は、組合員がその資格を喪失した後、一定の期間内に、引き続き短期給付を受けることを希望する旨を組合に申し出たときは、資格喪失後一年間に限り、任意継続組合員として、短期給付を受けることができるものとしております。  その五は、短期給付制度を適用しない組合が行なう福祉事業について、その費用に充てるための掛け金及び負担金の額についての特例を定めることとしております。  第三は、その他の制度の改正に関する事項であります。すなわち、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の算定方法について、地方公務員共済組合が支給する年金の算定方法に準ずる等の措置を講ずることとしております。  以上が、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  139. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次に、井岡大治君。
  140. 井岡大治

    井岡議員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。  最近の異常な物価上昇は、狂乱物価、投機物価といわれ、卸売り物価、消費者物価ともに二〇%をこえる状態となっており、勤労国民の生活は、ますます圧迫されてきております。労働者の賃金は実質的に切り下げられ、賃金の引き上げも物価のあと追いにすらならないのが現状であります。このようなインフレ、物価高のもとで、最も被害を受けているのは、いわゆるインフレ弱者といわれる各種社会保障給付の受給者であります。  インフレは国民生活を破壊し、所得格差の拡大、富の偏在など社会的不平等をさらに拡大するものであります。ことしの国民春闘が、こうした社会的弱者の救済を掲げたのは、まさに当然なことと言わねばなりません。  また、その国の文化水準、福祉水準は、老齢者、母子世帯、社会福祉生活者の生活水準を見れば明らかになるといわれております。  このような観点から、現在の地方公務員共済組合の現状を見ますと、その実態は、きわめて憂慮すべき状況であります。地方公務員及びその遺族に対し、共済組合が人間らしい生活を保障することは、その趣旨に照らして当然の任務であります。  さらに、最近の医療の急激な増高は、各種共済組合の短期給付財源の収支を悪化させ、組合員に過重な掛け金負担をしいることになっており、また長期給付におきましても、インフレのもとで極度に逼迫しているのが実情であります。  このような事態に直面し、共済組合制度を充実強化するため、給付内容を大幅に改善し、賦課方式を採用するとともに、国庫負担制度の導入を行ない、あわせて共済組合制度が組合員の福祉の増進のために運用されるよう規定の整備をするほか、退職者の短期給付の特例等の措置を講ずることは、緊急かつ重要な課題となっているのであります。  以上が、本法案提出いたした理由であります。  次に、法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方共済組合の給付に要する費用について新たに国庫負担金制度を設け、組合員及び地方公共団体の負担を軽減することにしております。すなわち、短期給付に要する費用の負担割合については、現在、地方公共団体の負担金と組合員の掛け金がそれぞれ百分の五十となっているのを、国の負担金百分の二十、地方公共団体の負担金百分の五十、組合員の掛け金百分の三十とし、また、長期給付に要する費用の負担割合については、現在、地方公共団体の負担金百分の五十七・五、組合員の掛け金百分の四十二・五となっているのを、国の負担金百分の三十、地方公共団体の負担金百分の五十、組合員の掛け金百分の二十といたしております。ただし、短期給付にかかる組合員の掛け金率の最高限度は、当分の間、千分の三十五とすることとし、この場合において、費用に不足が生ずるときは、国は当該不足額を組合に補助することとしております。  第二は、長期給付の財政方式について、現行の積み立て方式では、本改正案による給付内容を大幅に改善充実し、その他年金額の改定にスライド制を実施するためには限界がありますので、現行の積み立て方式から新たな賦課方式に移行することといたしております。すなわち、現行の長期給付についての財政方式に関する規定を削除して、新たに、三年を一期とする期間内の費用の予想額と掛け金及び負担金の額の合計額が均衡を保つことができるように定めることとしております。  ただし、長期給付にかかる組合員の掛け金率は当分の間、組合員の負担、長期給付に要する費用の見通し等を配慮し、必要な調整を行なって定められるべきものといたしております。なお、これとの関連で、現行の長期給付に充てる責任準備金制度を廃止することとしております。  第三は、給付内容について、その支給率の引き上げ等により現行の給付水準を大幅に改善することといたしております。  すなわち、短期給付については、家族療養費の現行支給率の百分の七十を百分の八十に引き上げることとし、また長期給付については、現行の退職年金の支給率のうち、その基本率の百分の四十を百分の六十に、その最高支給率の百分の七十を百分の八十一にそれぞれ改めるほか、その最低保障額の三十二万千六百円を七十二万円に引き上げることとしております。  なお、これに準じて、退職一時金の額の引き上げ、廃疾年金及び遺族年金の支給率及び最低保障額の引き上げ、通算退職年金の定額及び報酬比例部分の計算率の引き上げ等により、それぞれその給付内容改善を行なうこととしております。  さらに、長期給付の算定の基礎となる給料は、退職前三年間の平均額となっているのを、退職時の給料に改めることにより、退職年金等の給付水準を引き上げることとしております。  第四は、遺族に対する給付について、遺族の範囲を拡大するとともに、新たに年金者遺族一時金制度を創設する等の措置を講ずることとしております。すなわち、遺族の範囲の拡大について、年金を受けるべき遺族としては、現行の「死亡の当時主としてその収入により」とあるうちの「主として」を削除して、一部でも組合員によってその生計を維持している者にまで拡大することとし、年金以外の給付を受けるべき遺族には組合員と生計維持関係のない者も含めることとしております。  また、年金者遺族一時金は組合員の死亡の当時、遺族年金の支給要件を満たしていても、遺族年金を受け取る遺族がないときは、生計維持関係のない者に対して支給されるものであり、その額は遺族年金の額の七・五年分からすでに支給を受けた退職年金等を控除した額としております。さらに、在職年が二十年未満の短期在職者にかかる遺族年金の支給要件の現行一年以上二十年未満を、六カ月以上二十年未満に改めるとともに、その年金額の計算率の一年につき百分の十を百分の二十四に引き上げることとしております。  第五は、組合員の退職後における医療等の給付水準を維持するため、新たに任意継続組合員制度等を創設することとしております。すなわち、組合員期間が二十年以上の者または組合員期間が十年以上で五十五歳以上の者が退職した場合に、その者の申し出により、十年間に限りなお引き続き短期給付の規定を適用することとしております。また現行の福祉事業は組合員のみを対象としているが、新たに組合は、組合員以外の年金受給者の退職後の福祉を増進するため、老人福祉施設その他必要な施設の設置及び運営の事業を行なうことができることとしております。  第六は、長期給付に充てられる積み立て金等の余裕金については、組合員の意思を反映して、もっぱら組合員の福祉の増進のため運用することとしております。すなわち、長期給付に充てる積み立て金等については地方公共団体の行政目的にも使用することができることとしている規定を削除するとともに、その運用について、現在は法令に定めた基準に基づいて組合または連合会が行なっているのを、運営審議会等の議決事項とすることといたしております。  第七は、職員団体等の組合専従者は職員とみなして、地方公務員共済制度を適用することとしております。  すなわち、昭和四十三年十二月十三日に職員であった者のうち、同日以後昭和四十八年十二月十三日まで引き続き、地方公務員法の規定による職員団体及び地方公営企業労働関係法の規定による労働組合の役員としてその業務にもっぱら従事した者が、同日に職員を退職した場合において、その退職の日の翌日において、職員団体等の役員であるとき、その者は、その後における職員団体等の役員である間、職員である組合員と同様に取り扱うこととしております。  第八は、退職一時金から通算退職年金の原資控除を受けないことを選択することができる特例の期限のうち、男子については、昭和四十四年十月三十一日にすでにその期限が満了しているが、今回その期限を昭和五十三年五月三十一日まで延長することとしております。  第九は、地方職員共済組合等の運営審議会及び地方公務員共済組合審議会の委員は、それぞれ組合員から任命することになっておりますが、その運営の実態及びその特殊性にかんがみ、かつて組合員であった者のうちから、職員団体または労働組合が推薦した者を任命することができることにしております。  第十は、以上の改正措置に伴い、新法附則、施行法及び四十二年度以後年金額改定法について、それぞれ所要の特例及び経過措置を講ずることとしております。  なお、さきに四野党で共同提案いたしました賃金及び物価の変動に対応する公的年金給付等の額の改定等に関する特別措置法案におきまして、共済組合法についても賃金、物価スライド制を適用するよう規定しておりますことを申し添えておきます。  以上が、本法案の提案の理由とその概要であります。慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  141. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で両案についての提案理由の説明は終わりました。  次回は、来たる二十五日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四分散会      ————◇—————