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1974-04-04 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    木村武千代君       島田 安夫君    武藤 嘉文君       保岡 興治君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    小川新一郎君       小濱 新次君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      後藤  宏君         自治大臣官房審         議官      山本 成美君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         自治省財政局交         付税課長    森  審一君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君 四月四日  地方公営企業法の一部を改正する法律案(井岡  大治君外六名提出衆法第一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  地方財政確立に関する陳情書  (第三五八号)  地方財政危機打開に関する陳情書外三件  (第三五九号)  市町村生活関連公共事業の確保及び財源措置に  関する陳情書  (第三六〇号)  地方公共団体起債償還等に関する陳情書  (第三  六一号)  地方議会議員年金制度改善に関する陳情書外  一件  (第三六二号)  電気に対する消費税撤廃に関する陳情書外一件  (第三六三号)  地方事務官制度の廃止に関する陳情書外二件  (第三六四号)  自治体病院財政健全化に関する陳情書  (第三六五号)  土地開発公社公有地先行取得円滑化に関する  陳情書  (第三六六号)  東京都特別区の区長公選に関する陳情書外四件  (第三六七号)  地方公営水道事業に対する国庫補助制度確立  等に関する陳情書  (第三九二号) 同月四日  地方財政法第二十条の二の規定による堺市長外  十二市町長提出意見書  地方財政法第二十条の二の規定による大阪府大  東市長提出意見書  地方財政法第二十条の二の規定による旭川市長  外五十六市長提出意見書  地方財政法第二十条の二の規定による大牟田市  長提出意見書 は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかわる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案について、大蔵大臣出席されておりまするが、出席時間も限られておりますので、質疑者各位におかれましては、理事会の申し合わせのとおり、質疑時間の厳守方をよろしくお願い申し上げます。  それでは、質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 地方自治体財政につきましては、すでにもう以前から国の財政に組み込まれまして、自治体の独自の自主的な運営というのは困難になっておるわけであります。ことに昭和四十七年下期以来というものは、全く国の経済政策誤りと申しますか、こういうことによりまして、実は地方公共団体は右往左往といいますか、国の政策のもとにその場限りの対応を示してまいったわけであります。  四十九年度におきましても、国の総需要抑制施策協力を迫られておるわけであります。私は、こういうインフレの高進、異常な物価上昇下におきまして、地方公共団体がその財政面あるいは行政運営におきまして、いろいろな地方自治体住民要望がある中で、物価抑制という、国民生活に密接な、場合によりましたら生活を破壊するような体制下で、総需要抑制協力するということについてはやむを得ない当然な措置だというふうに考えておるわけであります。  それにいたしましても、本年度経済見通しと国の予算との関係におきましても納得のいかない点もありますし、地方公共団体といたしましては、どう対処するかということについて非常に苦慮いたし、すでに府県市町村予算も成立をいたしておるわけであります。府県におきましては、概して抑制型の予算編成しておるようであります。市町村におきましても、やむを得ず住民の要求に応じて従来と変わりない予算編成をしておるところがありますけれども、いずれにいたしましても、私は、非常に地方公共団体としては見通しのない体制下に、住民要望にこたえ得ないという推移をたどるのではないか、かように考えるのであります。  大蔵大臣は総需要抑制物価対策、いわゆる短期決戦というお考えインフレに取り組んでおられると思うのでありますけれども、最近、石油の値段の値上がり等に関連いたしまして、電力料金の問題が大きくクローズアップされておるのであります。これもわずかばかりの値上がりでなくて、六〇%とか七〇%とかいうような値上がりになっておるわけであります。それに関連いたしまして、いろいろな交通料金等値上げもきわめて大幅な値上げの要請が出ております。短期決戦どころか、大臣の言われるインフレとの取り組み、異常な物価抑制ということにつきましては、私、真剣にことしは取り組んでいかなければならないというときだと思うのであります。巷間、多少景気が沈滞し過ぎるとかあるいは民間の流動資金も底をついたとか、いろいろ新聞論調に出ておるわけであります。  この際、せっかく大蔵大臣おいでを願ったのでありまして、なかなか予測しがたい経済見通しだと思いますが、今後の経済見通し、あるいはこれにどう対応をしていこうかというお考えをお聞かせ願えればしあわせだと存じます。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 お話のとおり、非常にいま激動の時期でありまして、この激動の時期というのは、これは私は戦後初めて体験するようなむずかしいことかと思います。  そういうふうになった原因は一体どこにあるのかということになりますと、いろいろ見方があると思います。それには触れませんが、私は、昨年の暮れ以来、この対処方策として、総需要抑制だということを打ち出しておるわけですが、これには、私は今後を展望しまして三つの段階があると思うのです。一つは、狂乱といわれるこの事態を克服する、そういう第一段階です。第二段階は、それを克服した後の新価格体系を整えなければならぬ、こういう時期。その第三段階は、それを踏まえてこれからの新しい国づくりをどういうふうにするか。そういう三段階があると思う。  とにかく私は、その第一段階、これは狂乱状態を撃滅することである。こういうふうに考えまして、短期決戦方策としては総需要抑制だ、こういうことを打ち出したわけでありますが、この効果はかなり私はあがってきておる、こういうふうに見ます。  狂乱とは一体何だ、こういえば、物価というものは、これは生産費要因でもきまる。また需給要因がこれに影響する。この二つの要因できまってくるのですが、暮れから正月にかけての狂乱という事態は、これは需給に狂いが生じた。つまり国民の中に投機的な思想というか、物価は先高である、ものを買っておけばそのほうが有利である、こういう空気が出てきたのです。そこで仮需要が起きたわけですね。投機需要であります。  それだけに、私は、この問題に対する対処はこれは道がある、そういうふうに考えたわけです。つまり、先高でない、持っておったら損が出るのだという状態をつくり上げれば、この状態は克服し得る。それには供給過剰ぎみ経済をつくり上げる。それには総需要抑制だ。その抑制政策、あるいは財政におきまして、あるいは金融におきまして、あるいはその他個別物資対策におきまして、そういう政策をとったのですが、二月以降卸売り物価は大体横ばい状態になって今日に推移しておるわけであります。そこで私は、八割方この狂乱状態は克服し得た。もうちょっと固めをすれば、人心は昨年の暮れごろ、正月ごろに比べて一変をする。さあ、ものを持っておったのではたいへんだ、こういうふうになってくるだろう、こういうふうに見ております。  ところが一方において、生産費を押し上げる要因が幾つかある。石油価格の問題であるとか、また電力料金の問題であるとかあるいは国鉄、私鉄の料金改定の問題であるとか、そういう問題を早急に処理する必要に迫られており、まず石油問題は手をつけたわけであります。次に電力問題が控えておる。しかし、これらのコスト要因というものは、総需要抑制政策の中で物価が下向きの傾向にある、そういう中において行なわれる生産コスト上昇である。それでありますので、需要超過ぎみの中におけるコスト要因引き上げとはかなり違ってくるのではあるまいか。理論値からいいますと、電力料金をかりに申請どおり引き上げるというふうにいたしましても、卸売り物価にして大体一%そこそこのことになるのですが、需要超過の時期にそういう軽微のことをやりましても、それが一〇%ないし一五%になるというような波及効果を持つかもしれぬ。ところが供給過剰ぎみ状態においてさようなことがありましても、物価にはそう大きな影響はあるまい。  そこで、第二段階といいますか、そういう生産費要因をここで調整するというこの半年ぐらいの期間、この間におきましては、コスト要因ということで物価を押し上げる力も働くわけでありますが、同時に、総需要抑制政策としてこれを引き下げる要因も働く。その引き下げ要因引き上げ要因とがどの辺で交錯するか、その交錯の点で新しい価格水準というものがきまる。そのあとは、国内的な要因物価がどうのこうのという事態はもうなくしたいし、なくすることができる。ただ、国際経済が非常にゆれ動いておりますので、国際的要因とこれは完全に遮断することはむずかしゅうございます。その程度のことはがまんしなければならぬ。しかし、それを捨象して考えますと、まず国内的に物価引き上げるという要因の出てこないように緩急よろしきを得なければならぬけれども、一方において国際収支の動向なんかもにらみながら、総需要抑制の姿勢は、経済がほんとうに安定し、立ち直り、そして将来の日本経済の展望ができるまでは続けていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 一応大蔵大臣経済見通しをお聞きいたしたわけでありますが、この問題につきましていろいろ御質問をしておりますれば、時間の制約もあり、時間も尽きないわけでありますが、要するに、大蔵大臣短期決戦というお考え方は、今後の総需要抑制と、それからいろいろ、電力をはじめその他物価上昇要因等もあるわけでありまして、秋には、お話がございました国鉄運賃値上げの解除、あるいは消費者米価の問題もありますし、また農産物もすでに手を打たれたようであります。いわば本年も、通じまして大臣としてインフレ対策に十分真剣に取り組んでいただきたい。  その間、国民の低所得者層、あるいは弱い立場にある国民福祉関係その他について、地方公共団体はそれぞれの立場において対処しなければなりませんので、乏しい財源対応を失うことのないような御配慮を願うとともに、国の政策の場合も、まあ大蔵大臣はそういうことないと思いますけれども、巷間伝えられております、参議院選挙の前後では様相が変わるだろうという、いわゆる国民福祉という問題よりも選挙対策が優先することのないように、これはわれわれも大蔵大臣期待を申し上げておきます。真剣に国民生活安定のための施策を誤らないように対処願いたいと存じております。  それにいたしましても、かつて大蔵大臣をしておられたときに、地方公共団体につきましては、ことに地方財政につきましては、大臣は非常に大蔵大臣の中では御理解のある大臣とわれわれは理解をしておったのでありまして、当時そういう立場に立って、昭和四十三年から交付税税率が三二%に上がりました以後、金額はわずかでありますが、当時の金としては相当なものであります。四十三年は御承知のとおり四百五十億、四十四年には六百九十億、四十五年には三百億という、いわば国に交付税をさくというような事態が連続して続いたわけであります。もっとも、地方公共団体が困窮しているときには、一般会計からの特別会計への繰り入れ金等も御配慮願ったわけであります。ただこのときに、大臣としては、地方公共団体に最も理解のある大蔵大臣として、地方財政の問題は十分配慮する、こういう交付税を減額する措置はいたしませんと、いわば地方団体立場に立っての考え方を貫くのだというお約束を願ったはずであります。今回の千六百八十億という交付税減額措置につきましては、御理解のある大蔵大臣処置としてはどうも納得のいかない処置が出てきたわけであります。これはお取りやめになる御意思はございませんか。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 結論から言いますと、これは取りやめるのはなかなかむずかしゅうございますが、山本さんからこの問題を御指摘を受けると、私もまことに申しわけないことをしておる、こういうふうに申し上げざるを得ないのです。率直に言います。  私はこういうふうに考えるのです。中央地方、これは、財政はもとよりでございますけれども、車の両輪として日本社会運営しておるその大もとだ、こういうふうに考えますが、そういう立場に立ちまして、財政面におきましてももとより車の両輪としての役割りをしなければならぬ、そのためには中央地方財政調整は必要である、そういう基本的な考え方ではあります。  ただ、この前も山本さんから御意見等も承ったわけでございますが、交付税地方固有権利である、固有権利固有財源として考えるべきものじゃないか、こういうお話があった。私もそのとおりに考えております。その固有財源を国の一方的な事情で削減をする、これは妥当ではない、こういう御指摘がありました。それに対しまして、私は、私もそう考えます、しかし、財政調整ルールというものは必要なんで、何とかこのルールづくり考えましょうということだったのでございます。そういうふうにお答えもいたしておるわけなんです。  ところが本年は、そのルールのできないままに、国の政策に御協力願いたい、こういうので、地方交付税千六百八十億円を削減する、こういうことを自治省に申し入れた。自治省におかれましても、非常にお立場、苦しいところであったのでございましょうが、御理解を得た。それはどういうことかといいますと、先ほどお話がありましたが、いま日本国は戦後最大の危局に当面しておる、そういう際に、これは臨時非常の措置としてひとつ御協力を願いたいのだ、こういうことだったのですが、私は前の考え方と、考え方においてはいささかも変わりはございません。交付税地方固有財源である。これを国の一方的な事情でどうこうするということは妥当でない、そういうふうに考えまするけれども、非常の際でございますので、やむを得ずそういうことをお願いした、そういうふうに考えておりますので、これはまた別途、非常にむずかしい問題でありますけれどもルールづくりという問題につきましては、大蔵自治、両省間において話し合いをしております。これを何とかつくり上げたい、こういうふうに思いますが、これもだんだん両当局の御議論を聞いていきますと、非常にむずかしい問題に突き当たるのです。  たとえば、いわゆる、国会でもお話がある交付税の特会への直入問題などというのが出てきまして、なかなか一進一退というような状態でありますが、とにかく今回の措置は、今回の非常の事態に際しての臨時的、異例の措置である、かようなことをみだりにいたすべきではない、さように固く考えておりますので、御理解のほどをお願い申し上げます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大蔵大臣はもうすべてのことについて御承知になった上の御答弁だと思うので、どうも突っ込みにくくなるわけでございますけれども、四十六年、四十七年の二千八百三十億程度特別会計借り入れ金ですね。これは昨年の補正予算の際に半分返しまして、残りを今度は、五十二年以降に返せばいいものを返しているわけなんですね。返しているというよりも、返すのではなくて、いわば国債肩がわりをされたというような感じなんですね。国債を減額されましたが、本来なれば減額されないで当然そのまま計上しなければならぬ、あるいは歳出のほうを削らなければならぬということで、貸し借りというよりも、当然、われわれ地方公共団体が返さなければならない、五十二年度以降に返せばいい金を、国の国債肩がわりにされたということなのです。理屈はそう言っていないのですね。地方財政計画等におきましても、きのうも参考人から指摘されましたけれども自治省財政都合という程度のことで、すらっと逃げているのですね。  これはいままでいろいろな沿革があるわけですよ。これは私は、非常に賢明な大蔵大臣としては、こういう時代には地方公共団体に留保させておいて、そしてやはり歳出を思い切って削減するとかということで処理すべきであって、ただ単に表面づらを合わせるというようなことを大蔵大臣がおやりになると私は思わぬのですけれども忌憚なく言わせていただければ、そういう非常に小手先みたいなことで伸び率を押えたということは意味をなさぬのですね。  それからもう一つ、私の考えますのに、福田大臣大蔵大臣就任されたときに、いままでの政策誤りを思い切って是正される、これは国民のために必要なことである。すでに予算編成前にできておりましたいわゆる二兆円減税、これについても再検討されるという発言をなすって、私どもも、非常に英断的な発言であり、そう願いたいということを期待したわけなんですが、結果におきましては一兆八千五百億ですか、所得税減税は断行されたわけですね。そのうちに、所得控除の頭打ちの撤廃だとかあるいは税率是正等によりまして、いわゆる巷間伝えられておる金持ち減税という姿になっているわけですね。一方地方税のほうは、税収はふえておりますけれども、これは一般大衆課税と思われるような減税にすぎない。わずかに一千七百七十三億、個人事業税を含めましても二千億にすぎない。  これはやはり当初大臣就任のときにお考えになったように、所得税減税は必要なことであります、こういうインフレ下のときでありますから。しかしあれほど税の理論に基づいた、大臣も言われているように、そういった金持ち減税につきましては、ある程度減税はやむを得ないとしても、一般国民感情あるいは経済学者財政学者から見ても、ことに中山さんの関係する経済会議ですかでは、これに対しまして取りやめるべきだというふうな発表もしておるわけでありまして、必ずしも私ども個人意見ではございません。当初就任のときのお考えのとおり、国税減税ということをもう少し圧縮することによって、国がかりに必要であるとするならばその財源を浮かせる、交付税地方法律規定どおり交付するという措置をなぜおとりにならなかったか、このことがどうも私ども解せないので、税制国税関係地方税法もすでに国会では議決をしておりますけれども、どうもあと味の悪い印象を受けるわけです。これは忌憚なくお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も、二兆円減税という話を総理が言われておるというのを、昨年の夏口ですか、新聞紙上を通じまして承りまして、さて二兆円というような大規模な減税がどういうものかなという気持ちを持っておったわけです。ことにその中で、新聞の論説なんかでは重役減税なんというような批判もある。私も、どういうふうにすべきかなということにつきましては、若干の問題をこれは含んでおる、こういうふうに思っておったところ、今度ははからずも大蔵大臣就任をした。その段階ではすでに税制調査会意見がかなり固まっておりまして、その小委員会の報告なんかもできておった、そういう段階です。   〔委員長退席中山(利)委員長代理着席〕  私はしさいにそれを点検してみたわけであります。それで、一時は私もこれは手直しをするということを考えるべきかとも思った時期もあるのでありますが、また他面、そういうふうに作業は進んでおる。同時に、国民が二兆円減税というのでたいへんな期待をしておるということもまた考えざるを得ない。そういうような事情にもありましたので、最終的には、言い出された二兆円減税というもの、その内容をそのままこれを実行する、そういうことにいたしたわけでありますが、あれはいろいろ議論があると思います。思いますけれども、あれほど国民にPRが行き届き、国民期待を持っておる、こういうのを引っ込めるというのもどうかな、あるいは大幅にこれを変えるというのもどうかなということで、最後的にはそういう結論になった、かように御了承願います。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それで、交付税につきまして結論をお聞きしたいと思いますが、大臣もすでにお話しになりましたとおり、交付税等特別会計に繰り入れるということが当面緊急な問題である、私はこう思うのです。それから年度間の調整につきましては、地方財政法四条の三でありましたか、規定もありますし、地方公共団体自体調整財政調整年度間調整ということも制度的にあるわけなんですね。ありますけれども、これは当時自治省との話し合いにおいて、年度間調整ルールづくり、これはいま大臣お話しになりましたが、これは早急におきめになりますか。もう数年たっておるわけですが、非常事態になってルールができてない、できてないから自治省と話し合って応急措置をとったんだということでは……。過去三年間も大蔵大臣として言明したことでありますので、まず第一点は、特別会計に直入をする。年度間調整を早急に一つルールをおきめになる、ということはお約束できますか。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一点のいわゆる直入問題ですが、これはお約束することはむずかしゅうございます。つまり、この制度自体地方財源調整というところにある。それから同時に、国の主力財源を二口に分けてしまう、これも財政運営のたてまえから問題があり、また同時に、国民に税を理解していただくという上におきましても、一体所得税というのはどんなふうになっているのだ、国のほうも調べなければならぬ、特別会計のほうも調べなければならぬ、こういうようなことになり、いろいろ考えてはみまするけれども、これはなかなかむずかしい問題で、そう簡単には結論の出にくい問題だ、こういうふうに考えます。  それから第二のルールづくりの問題は、これはもう四年目になりますか、そういう状態、その経過がありますけれども、なかなかこれはむずかしい問題のようです。両当局ではいろいろ議論をいたしておるわけです。私は観念的には、中央地方財源調整、これは必要がある、そういうふうに思うのです。しかし、これが国の都合で行なわれる、そういうことでもまずいし、あるいは地方だけの都合で行なわれる、こういうようなことでもまずいし、やはり何らかの一つの基準というものがあってしかるべきである、こういうふうに考えますが、いま御指摘の直入問題ともからみまして、これはなかなか結論が出ないのです。なおこの上ひとつ議論はしていただきますけれども、そう簡単にはこれもお約束はできかねる、こういうふうに存じます。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 期待を申し上げておったような答弁をお聞きできないわけですけれども地方譲与税の問題は直入しておるわけです。それで、大臣がもうすでに年来主張というか、御理解願っておる固有財源だとかというようなお考えからいえば、これは真剣にもう一ぺんお考えを願いたいと思います。調整の問題も何らかのルールをつくるということで、むずかしい問題であっても、お話し合いを願いたい。これは福田大蔵大臣のときにきめておいていただかないとますますできなくなる。総理大臣にでもなれば別問題ですけれども。この問題は地方にとっては非常に重要な問題であります。真剣に御討議を願いたいと思います。  あと事務的な問題でお聞きしたいと思うのですが、税制は固まったわけでありますが、来年ということもあるわけであります。その地方財源を確保するという意味で、これは行政事務配分の関係もありましょうけれども、本年度の大幅所得税減税によりまして、そのまま来年度地方住民税に響いてくるわけです。そのことは、地方は課税最低限が低い、それを引き上げなければならぬということは当然でありますけれども、それがそのまま国と同じように相当高額所得まで影響を受けるわけです。この意味におきまして、来年度におきましては、府県は二段階でありますが、市町村におきましてもゆるやかな税率に手をつけるべきである、そして、国の減税効果が、下には不十分だった課税最低限の引き上げと同時に増税にならない範囲内で、不当に減税を受けた層の場合は、地方財源の確保ということあるいは所得の再配分というような関係からも、多少税率を上げるべきであるというふうに私は考えております。  もう一つは、御承知のとおり今度の画期的な二兆円減税というのが行なわれた中で、従来不公平だった資産の優遇課税というものが是正されていないわけです。これは当然来年度は総合課税の方向、あるいはこれにかわるべき方向、分離課税にいたしましても総合課税と同じような効果のあがるような税体系に変えていく。土地譲渡課税もそのとおりであります。これが必要になってくるのではないか。いわば特別措置によるはね返りというのは、地方関係から言いますと前年度よりことしはまだふえているわけです。そして固定資産税や電気ガス税の非課税措置と合わせまして、租税特別措置の影響は一千四百四億というような大きな影響がある。これは所得税の場合はなお大きな影響がある。それから非課税を合わせますと三千五百億という額にのぼるのです。  したがいまして、いまの、来年度住民税の、国の所得控除の頭打ちを廃止することによりましての地方税率の是正の問題、それから特別措置の影響を地方税に遮断をする。これは国においても必要だろうと思います。総合課税の方向に向かうということに御配慮願いたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一の、今回の四十九年度税制改正、国のそのような措置によりますところの地方財政への影響、こういう問題でございまするが、これは地方財政の角度から見るといろいろ御議論のあるところだろうと私も思います。ただ、気持ちといたしましては、一番大きな問題は給与所得の天井撤廃の問題だろうと思いますが、このような問題につきましては、国のほうでそういう措置をとった。これは私はいろいろ考えたんです、そういうことがいいのか悪いのか。論説なんかを聞きますとかなりの批判がある、世間的にもそういう声もある、各党からもそういうお話を承る。ただ、税体系から言いますとやはり、たとえば所得税と事業税との関係という立場から見て、租税公平というか均衡というか、そういう立場から言いますると、やはり青天井方式のほうがいいんだという議論、これも私はうなづける。税制調査会でも御議論がありまして、初めはどうも青天井ということは妥当でないというような議論が多かったようです。ところが最終的にはほとんどの人が、これは青天井方式をとらなければならぬ、こういういきさつになり、その間かなり議論議論があったようでありますが、それだけの有能な方々の御議論がそこまで詰まっておるのにこれを改正するのもどうかなと思いまして、それを採用することにいたしたわけでございますが、もともとの制度自体にも議論があります。その地方財政への波及という問題もあろうかと思います。これは、地方財政へのはね返りはいずれ昭和五十年度地方財政にあらわれてくるわけでありますが、まあひとつこれは税制調査会にもよく検討していただきたい、かように思っております。  それから第二の、国の特別措置、特に分離課税、これが地方財政にマイナスの影響がある。これも地方財政自体から見るとそのとおりだと思います。国におきましてもこれは非常に議論のあるところでありますが、たまたま両分離課税とも、つまり利子配当また不動産譲渡所得、この両者とも五十年をもって有効期限が来るのです。そこでどうしても次の通常国会には、これのあとをどういうふうに始末するかという具体案を政府としては御提案をしなければならぬ、そういう立場になっております。それまでに十分検討いたしまして、どなたからごらんになりましてもこれが妥当だろうという、そういう成案をひとつ御審議願いたい、かように考えております。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 どうぞぜひその点は真剣に御討議願いたいと存じます。  それから、これは予算委員会で質問がありまして、大臣の答弁をいただいておるわけでありますが、今回、不十分ではございますが、超過利得の吸収という意味におきまして会社臨時特別税法というのが成立を見たわけでごあります。これの使途につきまして大臣の御答弁が予算委員会でなされたわけでありますが、私はやはり何としても社会福祉のほうにこれを充当すべきであるというふうに考えておるわけでありますが、その後大臣のお考えは変わらないかどうか、どういう方面にお使いになるのか、お聞かせ願いたいと思います。  と同時に、もう一つ地方財政は非常に苦しいわけでございまして、福祉重点、生活関連施設重点という編成になっておることは私どもも希望するところでありますが、それにいたしましても、あとで申し上げます超過負担の関係、これは物価値上がりの影響があるわけですが、それに関連いたしまして非常に苦しい状態であります。この特別税法は地方税にはね返らないわけでありまして、遮断されておるわけであります。もし社会福祉等に充当する場合、あるいはその他の施設というか、国民福祉に充当する場合には、当然その財源というものを配慮願わないと、地方公共団体は苦しくなるのではないか、かように考えますので、それらの点を、もし補正予算等で追加で社会福祉に充当するという場合には、地方財源のめんどうもあわせて見ていただきたいということを要望いたしたいと思います。  それからもう一点は、ちょっと触れました超過負担の解消の問題であります。これは四十七年の調査に基づく四十八年、四十九年の、大蔵省、自治省関係省の調査によりまして、本年度の既定計画に基づく超過負担の解消措置がとられます以上に、四十九年度物価上昇に関連する措置予算に組まれております。このことは私どもは異議はございません。しかしそれでは不十分だということはもうすでに数字的に明らかになっておるわけです。従来の地方行政委員会の論議におきまして、また、昨日の参考人の過密地帯の市長のお話からいいましても、とても四十九年度予算に盛られている前年度当初予算の四五%増、教育施設にいたしましてもあるいは住宅の建設にいたしましても、それではもうおさまりがつかないという状況になっているのであります。この問題はぜひ四十九年度におきましても見直しを願いたい。応急的な見直しをすると同時に、さらに、まあ将来の問題はともかくとして、とりあえず応急的に四十九年度中に見直しをしながら、せめて、圧縮された予算の中から、必要な社会福祉施設、教育施設の建設が順調に進め得るような配慮を願わなければならぬと思うのですが、この二点についてお伺いします。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回、会社臨時特別税が成立をいたしました。そこで千七、八百億円の収入が見積もられる、こういうことでございますが、これはいずれ下半期になって国庫の収入になってくる、こういうふうに見ております。  そこで、この収入を一体どういうふうに使うか、こういう問題でありますが、これは、いまこの段階でこういうふうに使いますということは予断はいたしておりません。まあ、年度中の推移を見まして、どういう社会経済上の変化があるか、そういう事態に応じて、かりに補正予算というような事態がありますればそれを財源に充当するということになるし、また、補正の必要はないのだというようなことになれば、まあ、公債がずいぶん多額に出ておるわけであります、それの減少に充てるというようなことになるかもしらぬ。とにかく、財源はいまはこう使いますと言う段階ではないというお答えをするほかはないのです。ただし、それとは別に、経済情勢の推移、社会情勢の動き、こういうことは注視しております。そして、いま私どもが見ておるような経済見通しと非常に狂った状態が出てきた、こういう際には、どうしたって特に優先して社会弱者対策、こういうことを考えなければならぬと思います。それはもう情勢の推移に応じて必要な措置をとる、こういうことは当然であると考えております。  それから第二の問題である超過負担問題、これは従来とも気をつけておりますが、特に四十九年度予算におきましては、いま御指摘のありましたように、あるいは文教でありますとかあるいは福祉でありますとか、そういう諸事業に要する経費につきましては、四十八年度の当初の予算に比べまして四五%の単価引き上げということをやっておるわけなんです。四五%というとかなりの額になろう、こういうふうに思うのです。ことに、これからの物価の推移がどういうふうに動くか。今日は、あの予算をつくった当時に比べまして、鉄材につきましては当時商品価格トン十一万円というのが今日は七万円程度に落ちてきておる。木材の価格も落ちました。セメントだけはしつように値下がりをしないので、私もずいぶん注目をしておったのですが、昨今これも落ちてくるというので、公共事業を執行するための主要資材というものが値下がりの傾向です。また土地は全国的に価格が頭打ちの状態であります。売り手は多いけれども買い手はない、そういう状態で、いま土地価格というものが持ち合いの状態でありまするけれども、そのうちに、土地を持っている人も金利負担等を考えると持ちきれない、土地の価格も落ちてくるという傾向になってくるだろう。ということを考えますと、地方の公共事業の執行というものも昨年のような状態ではない、こういうふうに私は見ておりますが、万一私どものそういう見方通しというものに狂いが出てきて、地方団体の事業執行のために不便が出てくるというようなことであれば、これは妥当な見直しを行なう、こういうふうに考えております。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 昨年暮れの銀行局長の通達によりまして、地方公共団体は公有地の確保ということについて金融面から非常に拘束を受けまして、年度末にかけまして、契約が成立しておる問題も解約しなければならぬという状況に追い込まれておるわけであります。これは来年度におきましては、ぜひ公有地の拡大ということについての配慮もしなければいかぬと思うのであります。こういう時期に公有地を確保しておかなければいかぬので、金融の面の選別融資の際には、いわゆる地方公共団体の公有地拡大推進法に基づく土地開発公社ですか、これは市町村が全額出資をしておるわけでありますが、こういうところの買う資金はやはり窓口規制を緩和していただかなければならぬと思うのであります。これはぜひお願いしたいというふうに思います。  それから最後に、これは大臣が行管長官のときに非常に御理解を示していただいたところの、いわゆる地方事務官の問題ですが、今日、府県におきまして、厚生行政あるいは労働行政は非常に支障なく運営されておるわけなんですね。これは大臣も十分お認めになると思うのであります。ただ、身分が知事の監督下にないものですから、各県の知事からも強い要望があり、これは昨年の予算委員会で私も行管長官としての福田さんに御質問申し上げ、非常な理解を示していただき、江崎前自治大臣とともに協力してぜひ実現するというお話があり、今回の地方自治法の改正に当然盛り込まれる、四十九年度中に解決をつけるという前大臣の言明によりまして期待をいたしておったんであります。やはり話がまとまらぬで出てまいりませんか、大臣は依然として大蔵大臣としても——行管長官よりより以上重要な地位に私はあると思う。今日の労務行政、厚生行政というものは円滑に知事の監督のもとに事務が運営されておると思うのであります。この組織はお認めになっておられると思います。ただ、身分をなぜ知事の監督下に移管できないのかという、なぜもたもたしておるかということを私ども疑問に思っておるわけであります。これはいろいろな意味におきまして、国家全体の予算に関連しております大蔵大臣としては、行管長官と同じように熱意を持って、知事の傘下にある事務が円滑に行なわれるために、身分の移管を断行することに推進役をつとめていただきたいということを最後にお願いを申し上げておきます。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一の地方開発公社に対する金融機関の融資問題であります。  この問題につきましては、たいへん地方の皆さんに御心配というか御迷惑をかけておるわけでございますが、これは公有地拡大法の趣旨からいいますと、そういう地方開発公社の事業が支障があるということは、これは好ましくないことなのです。ただ、いま非常に国として大事な時期に際会しておる。先ほども申し上げましたが、とにかく物価がこういう異常な状態になっている、その引き金的な役割りをしたのは何だというと地価です。この地価を何とか下げなければならぬ。そこで全国の金融機関に対しまして、不動産投資というものは厳にこれを抑制する、こういう指導をいたし、その効果がもうかなり顕著にあらわれてきておる。  そこで、土地を持っている人、個人あるいは業者、そういう方々は、土地を持っておっても、金利の負担もある、しかし先のことを考えてもどうも高くなりそうもない、そこで売ろうか、こういう考えになってきております。ですから今日は、売り手は殺到するけれども、買い手もまた金を詰められておって買えない、こういう状態です。そこで、そういう土地を持っている個人なり業者というものが、国でいえば住宅公団でありますとかあるいは国鉄でありますとか、あるいは地方でいいますれば開発公社、こういうところにみんな買ってくれ、買ってくれで集まってくるのです。これを買いましたら、これはもう地価の高値安定になってしまう。そこで何とかしてとにかく物価の主軸をなすところの地価を下げたい、こういう念願からいいますと、地方開発公社にも土地をこの際買い控えてもらいたい、こういうことになる。  ただ、地方開発公社は大事な仕事をしておる。学校だとか病院だとかあるいは下水道だとか、そういう地域社会と密接し、しかも学校の問題というのはこれは猶予を許さざる問題ですから、そういうものにつきましてはこれを特例的に考えなければならぬというようなことで、金融機関に対しましては、これは一般的に、地方公共団体といえども不動産投資だとかそういう不要不急の投資についてはひとつ国の方針に協力せられたい、ただし地方の緊切な問題、たとえば特に人口急増地帯における学校の建設であるとかあるいは福祉政策、そういう問題につきましてはできる限りの便宜をはかってもらいたい、こういう指導をしておりまして、まあ判定上問題があるというようなものにつきましてはずいぶん相談に来ます。自治団体からもやってくるのですが、そういう問題につきましてはケース・バイ・ケース、これは何とか支障のないような措置を講じておるわけでございまして、いま大体自治省なりあるいは大蔵省に言ってまいるそういう問題はまずまず順調に処理されておる、こういうふうに見ておりますが、この上とも緊切な問題につきましてはさような方向で処理します。ただ、いま大事な時期でありますので、一般的にはそういう方針でやっていきたいということですが、公有地拡大法の精神から見ますと多少窮屈なことであろうと思いますけれどもしばらく御協力を願いたい、かように考えておる次第でございます。  それから、第二の地方事務官の問題につきましては、私もあれはほんとうに一刻も早く解決すべき問題だというふうに、行管長官のころも考えておりましたが、大蔵大臣としても全く同様であります。私はその問題につきましてはいまわき役でございますけれども、推進役はいたします。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 どうもありがとうございました。
  18. 中山利生

    中山(利)委員長代理 三谷秀治君。
  19. 三谷秀治

    ○三谷委員 先般の本会議地方財政地方交付税等についてお尋ねをしましたが、そのときの大臣の答弁につきまして私はなお納得しがたい点がありますので、その点からお尋ねしたいと思うのです。  一つは、今回の地方交付税の削減処置というものが異例な処置であるとおっしゃっておる。この特例処置というものが、今回だけでなしに、四十五年、四十七年、四十八年、四十九年と例年化してきております。借り貸しによります恣意的な調整がなされております。したがって、特例処置によりまして本法そのものが全く変質するというふうな事態が起きてきておりますが、これがはたして異例と言えるのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  20. 福田赳夫

    福田国務大臣 私としますと、昭和四十四年でありましたか、野田自治大臣との間で覚え書きまで交換いたしまして、地方交付税をめぐって中央地方のやりとりはもうやめようじゃないか、そして中央地方財政調整につきましてはルールづくりをしようじゃありませんか、こういう申し合わせをいたしたわけであります。私の頭の中には、その覚え書きを尊重したい、そういう考え方でまいりたいということでありましたが、何せ、いまは戦後初めて際会する日本国危急の時代である。そういう際に中央地方協力してこの事態に当たる、これは当然のことである。まあ地方団体、これはとにかく自主性を持って自治行政に当たっておるわけでございますが、自治団体にも御協力を願わなければならぬ、こういうふうに考えまして、異例の措置としてお願いをするということにいたしたわけであります。異例という意味は、今後これを例としない、こういうことでありまして、今後におきましては、こういうことをみだりにやって、恣意的というお話がありますが、国の財政需要地方交付税が減るというような事態をなからしめたい、かようなことを表明した次第でございます。
  21. 三谷秀治

    ○三谷委員 異例とおっしゃいますけれども、これが例年度化しているというところに、私がいまお尋ねしました一番の根本があるわけであります。ですから、たまたま本年度におきまして、政府の総需要抑制という政策によりましてこの削減がなされたというだけでなしに、今日まで、一年間正常な時期がありましたけれども、過去四年間にわたりまして調整がなされてきている。こういうやり方を恣意的ではないかというように私ども指摘を申し上げたわけであります。  交付税というものが、大臣も先ほどおっしゃいましたように地方自治体固有の自主財源でありまして、ただ国が一元的にこれを徴収しているという性格のものであるわけでありますから、これが足りない場合には、交付税法の規定によりまして交付税率の引き上げを行なっていくという処置が保証されておるわけでもありますし、そういう恣意的な調整によりましてこの交付税率の改定まで歯どめをかけるというふうなことがなされてはならないというふうに考えておるわけでありますが、今後、こういうことは異例なことであって、むやみにあり得ないことであるということは大臣として明言していただくことができますかどうか、お尋ねしたいと思います。
  22. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはそのとおり、はっきり申し上げて差しつかえないことでありまして、これは異例なことであって、みだりにこういうことをいたすべきではない、かように考えております。
  23. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう一つは、本年度における交付税の算定の基礎につきましてお尋ねしたいと思いますけれども、本年度交付税の算定におきまして、人件費の上昇率が八%より見込まれていない。三千億円と説明を聞いております。本年度の給与アップが八%で押え得ないことは明白でありまして、民間労働者の賃上げを見ますと二〇%から三〇%の水準に達しております。地方公務員の給与にもこの程度のはね返りが来るのは当然でありますが、二〇%の上昇としましても四千五百億円の財源が不足すると説明されております。八%というふうな非科学的な見込み額でいいのかどうか、これで責任が持てるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  24. 長岡實

    ○長岡政府委員 四十九年度地方財政計画におきまして、地方の公務員の給与改善に八%の財源をリザーブしてあるという点は御指摘のとおりでございます。ただ、これは毎年のことでございますけれども予算編成の時期におきまして、翌年度に大体どの程度の給与改定が行なわれるかということは非常に見込みにくいいろいろの要素がございまして、的確に所要財源を留保しておくということは、国の場合も地方の場合も共通の問題として困難な問題でございます。したがいまして、毎年やっております方法は、はっきりと給与改定の幅がきまり、全額が計算できます段階におきまして、ただいま御指摘がございました留保財源以外に、一般財政全体の中でどれだけの経費が捻出できるかというようなことを考え、また地方財政の場合には、地方補正予算を組むような段階におきまして、その段階における地方税の収納の状況はどうであるかといったようなことを総合勘案して措置をいたしてまいっておる次第でございます。
  25. 三谷秀治

    ○三谷委員 八%というのは何を基準にしてお出しになりましたものか、例年度にならったという程度のことでしょうか。
  26. 長岡實

    ○長岡政府委員 例年度にならった数字でございます。
  27. 三谷秀治

    ○三谷委員 本年度が、大臣の表現によりますと狂乱物価といわれますほどインフレ要因の強い年度であることは言うまでもないわけでありますが、そういう時期におきます給与に対する考え方としまして、例年度並みの算定でいいのだというふうなことで、適正な地方財源の把握ができるものでしょうか。
  28. 長岡實

    ○長岡政府委員 御指摘の点は、私どもとしても、ただいまの経済の情勢その他から考えますと、四十九年度の公務員給与改定の幅というものが、何も経済的に問題のない平常の状態に比べてそのとおりで済まないというような要素もあろうかと存じますけれども、ただ、しからば八%を何%に置きかえてリザーブしておけばいいかという判断は、先ほど申し上げましたように、予算編成段階におきましては確定しにくい要素が多々ございまして、結果的には、私ども自治省と御相談の上で、地方財政計画には従来どおり八%の留保財源を盛っておけばいいのではないかという結論に達したような次第でございます。
  29. 三谷秀治

    ○三谷委員 不足が生じました場合にはどうされるおつもりですか。
  30. 長岡實

    ○長岡政府委員 財源に不足が生じました場合と申しますのは、八%で足りない場合という御趣旨だと思いますが、その点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、地方公共団体財源措置を講じます時期に、その段階において所要財源がある程度確定いたしますので、これを留保財源でどの程度まかなえるか、あるいは国の場合にもそういう例がありますが、既定の人件費の中に不用を生ずる場合もございますから、そういうようなやりくりでどの程度カバーできるか、また一般行政的な経費の節減によってどの程度まかなえるか、あるいは地方公共団体固有財源であります地方税その他雑収入等の収入がどの程度伸びていくか、すべてを総合勘案してきめるべき問題であろうかと存じます。
  31. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういう処置をとりました上でなお財源不足が生じてくるという場合に、どうされますかというお尋ねなんです。
  32. 長岡實

    ○長岡政府委員 あらゆる手だてを尽くしましてなおかつ地方財政の上において財源が不足する場合には、その時点におきまして大蔵省、自治省間において十分相談の上、適切な措置をとることになろうかと存じます。
  33. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう一つは、事業費補正の単位費用が御承知のように国庫補助単価とひとしいことになっております。そこで、国庫補助金で生じます超過負担が交付税におきましては不足額となって、これで自治体財政を圧迫する、こういう内容になっておりますことは御承知だと思います。  そこで、先ほど超過負担の問題が出ましたけれども、たとえば義務教育施設の建設単価というものが平米当たり六万一千七百円になっておる。しかし実際には十万から十万五千というのが今日の実勢単価だ。そうしますとここで四〇%の不足が出てくる。交付税にも四〇%の不足が出てくるわけです。この不足につきましてはどう対処されますのか。これは住宅建設費等全部一緒でありますけれども、お尋ねしたい。
  34. 長岡實

    ○長岡政府委員 文教施設、公営住宅等の補助単価の問題、これの超過負担を生じた場合の措置の問題と存じますが、これにつきましては、国の補助金の単価がどの程度不足しておるかというような問題、それから地方公共団体が、ただいま御指摘がございました交付税の算定基準とどの程度乖離しているかというような問題、この両者を合わせまして、結果的に申しますと、一体どの程度地方公共団体の超過負担が行なわれているかという実態を把握した上で従来措置をいたしてまいっておりますので、国の分についてはどう、地方公共団体の分についてはどうというような分けた措置をとる問題ではないのではないか、かように考えております。
  35. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方自治体に出てきます超過負担の問題をお尋ねしている。この超過負担が出ますのは、基準単価が低いところに一番の原因があるわけです。そしていまの現状を見ますと、各事業費を見てみますと依然として実態に合っていない。超過負担が出てくる。その超過負担が出ます分だけは、同じ単価を基礎にして交付税の計算をしておりますから、交付税におきましても同じだけの不足額が出てくるわけです。これがすでに交付税の計算の中に含まれている。それについてはどういう措置をおとりになりますか、お尋ねしているわけであります。
  36. 長岡實

    ○長岡政府委員 ただいま御指摘の問題は、議論をいたしますと若干時間のかかる問題ではないかと存じますが、私どもは、交付税には超過負担という概念はあり得ない、さように考えております。単位費用その他いろいろ計算の根拠はございますけれども、これは地方公共団体に公平に財源を配分するための一つの仕組みでございまして、交付税は特定の財源ではございませんから、その算定の基礎どおりに使わなければならないという性格のものではございませんので、非常に理屈っぽくなって恐縮でございますけれども交付税には超過負担の概念は存在しない、かように考えております。
  37. 三谷秀治

    ○三谷委員 ですから、交付税で超過負担が出ると言ってないでしょう。超過負担は国庫補助金で出てくるんだ。おっしゃいますように、交付税一般財源で、あげたように承知している。しかし計算の基礎は、特に事業費補正におきましては事業単価を基準に積み上げをやっていくわけですね。そうしますと、国庫補助金におきまして出る超過負担というものは、同じ基準単価を基礎にして計算をします事業費補正の計算からも不足額となって生じてくる。これは当然のことなんです。これは自治省がいつでも認めている点だ。それは一体どのように今期におきましては計算をされておりますのかということをお尋ねしている。子供が聞いているんじゃないから、そういう構成上の問題などにつきまして一々説明する必要はない。
  38. 長岡實

    ○長岡政府委員 事業費補正の問題ではございませんで、交付税の積算一般の問題であろうかと存じますけれども、この点につきましては、私どもよりもむしろ自治省にお答えいただいたほうがよろしいのではないかと存じますが、要は国の補助金の単価が現実にマッチしなくなりました場合に、そのしわ寄せが地方公共団体に及ぶというところに超過負担問題があるわけでございまして、この点につきましては、私どもは、従来もやってまいりましたように、実態を十分に把握いたしまして、適正な国庫補助単価にしていくというような措置を従来もとってまいりましたし、今後とも必要に応じてとってまいりたい、かように考えております。
  39. 三谷秀治

    ○三谷委員 必要に応じて是正をするとおっしゃるわけですけれども、本年度におきまして是正されましたものが、たとえば学校、義務教育施設におきましては平米当たり六万一千七百円になってきている。これが是正されたものだ。しかし実勢は十万から十万五千しております。実例は幾らでもあげられますが、そうしますとそこに大きな差が生じてくる。その差はもちろん国庫補助金の不足になってきますから、超過負担が地方にかかってくる。同時に、その裏負担をすべき地方交付税の算定におきましても、同じ算定するわけですから同じ不足額が生じてくる。そういう構成になっている。その事態に対しては一体どのようにお考えになっているのかということを聞いているわけなんです。
  40. 長岡實

    ○長岡政府委員 その点、先ほどからお答え申し上げておりますように、私ども交付税の分についての過不足というような考えは持っておりませんけれども、たとえばの話でございますが、ある地方公共団体に一億なら一億の国庫補助金が参りまして、そしてそれでは単価が適正でないために事業が執行できないという場合、これは必ず一億にたとえば一千万なり二千万なりの国庫補助金が追加されることによって措置されるということでもないわけでございまして、四十八年度の場合などは、その一億は変えないで、事業量を圧縮いたしております。その場合には、その裏負担になります、かりにいま五千万の地方負担があるとすれば、その地方負担につきましても事業量の圧縮によってまかなっていただくというようなこともあり得るわけでございまして、ただいま御指摘の、交付税の積算の基礎と現実とが違った場合にどう措置するかという問題につきましては、再三お答え申し上げておりますように、国としては、交付税についてはそこまで積算基礎を厳密に把握いたしまして過不足を論ずるというやり方はいたしておらないのが実情でございます。
  41. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、大まかに言いますと、足りないというものは事業量を圧縮せよということなんですか。
  42. 松浦功

    ○松浦政府委員 交付税の問題に話が及びましたので自治省のほうからお答え申し上げますが、たとえば義務教育施設の国の全体の予算が百あった、ところが事業量は国の方針として圧縮はなさらない、単価が足りないから百を百二十に上げる、こういうことになりますと、財政計画の中には百に相当する事業費でしか組み込んでおりません。したがって、百二十になれば、当然地方財政計画の変動要因が出てくるわけでございます。したがって、それに対する裏負担部分については、去年の補正におきましても大蔵省にお願いをして、それぞれ実質的な補正に相当する形をおとりいただいて、そしてそれを交付税の単価の中では、先生御指摘いただきましたように、改定をされた単価に組み直して差額を交付するという仕組みは、これまでもすでに行なってきておるところでございます。したがって、当省といたしましては、国の財政当局において必要な単価をお組みいただいたものに即応した地方財政運営、これが可能なようにこれまでも措置してきております。今後もそういうお願いをしてまいりたいと思っていますが、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  43. 三谷秀治

    ○三谷委員 せっかく大臣がお見えになっておるのにあなたと議論したって始まらぬので、これはあとのほうでやらしてもらいますが、私がいまお尋ねしておるのは、交付税を削減するような要因はことしはないということなんですよ。人件費にしましても物件費にしましても、これだけのインフレによりましてどんどん高騰してきている。したがって、地方財政需要というものは膨張してきている。その中で削減をおやりになっている、そこに問題があるんだということを私は指摘するためにお尋ねしたわけです。  そこで、先ほど聞いておりますと、大臣物価の鎮静につきましていろいろ御説明なさいましたけれども物価の鎮静がはたして期待できるかどうか。本年度後半期におきましては、第二次物価上昇国民を全般的に襲ってくるということは常識になっております。石油、電気、ガス、私鉄、食肉等の値上げに加えまして、延期されておりました国鉄、米価などの公共料金値上げが政府のスケジュールとなっております限り、物価の安定などということが全く期待できない状態にあるんではないかということを私どもは懸念しておりますけれども、こういう状況におきましてもなお物価の鎮静というものが実現できるという確信をお持ちでしょうか。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 物価につきましては、まず第一段階として、いわゆる狂乱状態、これを克服しなければならぬ。私は、もう現にそういう国の施策はかなり奏功しておる。次に、生産費上昇要因があるのですが、生産費が上がるというような事態がありましても、もう再び混乱状態は起こらないということにつきましては、かたい見通しを持っておるわけであります。これから数カ月の間は、総需要抑制政策下において物価は下落傾向をたどる反面におきまして、コスト要因があって上昇傾向はたどる。その交錯した時点、これが安定点、こういうことになってくるだろう。しかし、いずれにいたしましても、もう物価問題で民心が動揺するというような事態は起こらないということについては、かたい見通しを持っております。
  45. 三谷秀治

    ○三谷委員 人心が動揺するしないということよりも、実際に物価が上がりまして、これが国民生活に対して重大な影響を及ぼすというふうな事態があり得ないかどうか、この点を私どもはお尋ねしたいと思うのです。  いま総需要抑制とおっしゃっておりますけれどもインフレの根源になっております大企業の行動につきましては抑制がなされておりませんし、それから公共料金値上げにつきましても、これを押えるという処置がなされておりません。そして生活関連投資やあるいは国民消費を抑制する、それではたして物価の問題が解決するかどうか、これは根本的な問題として疑問を持つわけであります。たとえば今般の石油値上げなどにしましても、これが総物価に及ぼします影響が甚大でありますから、これを押えますためには、たとえばガソリン税、軽油引取税など、関税を除きます石油関係の税を撤廃しますならば、いま一キロリットル当たりの上げ幅が八千九百四十六円といっておりますけれども、約四千円程度の引き下げができるじゃないか。緊急事態対処しますためにはこのような処置も必要ではないかと考えておりますけれども、こういう面も含めまして、はたしていまの生活関連や国民消費の抑制だけをもってしまして物価問題の解決ができるだろうか、この点についてお尋ねをしたいと思うのです。
  46. 福田赳夫

    福田国務大臣 どこまでも総需要抑制対策でいこうと思うのです。つまり、国、地方公共団体が率先してその需要を差し控える、これが一方にあります。それから他方におきましては、金融政策を通じまして、企業の新規設備を抑制するというような方法によりまして需要抑制をする。そしてその需要のほうが抑制される結果、国全体としてはやや供給過剰の経済状態だというふうに誘導したい。これが現にできつつある。さらばこそ主要資材が軒並み下落傾向をたどっておる、こういうことになる。また、そういう事態でありますから、昨年の秋から暮れにかけて、そういうような情勢下において石油価格引き上げをしたなんというたら、これはほんとうに石油に火をかけたような形になっただろうと思いますけれども、これもさして影響というか、重大な影響はありません。これから電力料金の問題を処理しなければなりませんけれども、これもこういう総需要抑制策をきちんとしていけばさしたる影響はない、こういうふうに見ております。国際社会からくる影響、これを遮断するわけにはいきませんよ。これは国民理解を持たなければならぬ、こういうふうに思いますけれども、国内要因国民に御心配をかけるというような物価上昇、これは避け得る、かように考えております。
  47. 三谷秀治

    ○三谷委員 ガソリンの税の問題はどうでしょう。
  48. 福田赳夫

    福田国務大臣 なお、ガソリンの税の問題につきましては、三谷さんの同志の皆さんからもそういう御提案を承っておりますが、わが国のガソリン税というのはいま非常に低いのです。国際社会では一バーレル当たり大体十ドル以上の税をかけておりますが、わが日本ではわずかに三ドル程度である。一方においてそういう事実があるわけでございますけれども、さて、非常に軽い、一バーレル当たり三ドルぐらいの税ではありますが、わが日本におきましてはこの税が道路財源等非常に貴重な役割りをしておるのです。それを撤廃してしまうということになると、それではかわり財源をどこに求めるかという問題があり、これはゆゆしい問題になってくる。そういうようなことがありまして、この税を撤廃するということは、これは妥当ではない、かように考えております。
  49. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう一つ大蔵大臣にお尋ねしておきたいのは、参議院の選挙を控えまして、自民党の十大政策が政調審議会で決定したようであります。この中に、一定の年所得まで無税にする、年度減税を行なうという項目が含まれております。これは大蔵省も年度減税を行なう意思がおありなのかどうか。それと地方税との関連はどうなるのか。交付税との関係はどうなるのか。これをお尋ねしておきたいと思います。
  50. 福田赳夫

    福田国務大臣 党からそういう話も聞いておりませんし、私は年度減税を行なうという考え方を持ったことはございませんです。
  51. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、そういうお考えはない。これは結局、選挙向けのから手形になるということになるわけなんでしょうか。もちろんこれは、大臣でありますからこのことについては責任がおありかどうか知りませんが、これを引き合わしてみた場合に、結論的にはそういうことになるということになっていくのでしょうか。
  52. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう手形を党が出しておるということは考え得られざることでありますが、三谷さんの何かのお聞き違いじゃあるまいか、かように考えております。
  53. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはここに時事通信が発表しておりますから、全然根拠のない架空のことではないと思っておりますが、そういう考え大蔵省はお持ちになっていないということでありますならばそれでけっこうであります。  もう一つは、大蔵省におきましては、交付税年度間調整勘定を設けるという構想をお持ちかどうか、お尋ねしておきたいと思うのです。
  54. 長岡實

    ○長岡政府委員 御質問の趣旨は、たとえば交付税特別会計の中にそういう特別の勘定を設け、そこで年度間調整を行なっていくかどうかということであろうかと存じますが、年度間調整の問題につきましては、先ほど来大臣からも答弁がございましたように、たいへんむずかしい問題がいろいろございまして、私どもといたしましては目下自治省との間で鋭意詰めてはおりますが、その特別会計に勘定を設けてやるべきかどうか、あるいはその他の方法でやるべきかどうかといったような、具体的な調整策までは話がいっておらないのが現状でございます。
  55. 三谷秀治

    ○三谷委員 この年度間調整勘定という問題は、昭和四十年以降、自治省大蔵省の間におきまして、交付税地方財源をめぐりまして論争がなされておりました。その過程におきまして大蔵省から出てきました一つの案でございまして、国の景気調整効果的にするために、年度間調整勘定を設けて交付税の額を増減するという案になっております。今日の実態を見ておりますと、この勘定はできておりませんけれども、事実上そういう調整が行なわれつつあるという印象を受けておりますので、こういった制度上の一定の案といいますか、構想といいますか、そういうものをお持ちになっておるのではないかというふうに推定をしてお尋ねをしたわけですけれども、どうでしょうか。
  56. 長岡實

    ○長岡政府委員 ただいま御指摘がございましたようなお考えは、確かに一つの制度として考え得るものであろうかと存じますが、お答え申し上げましたように、現段階では大蔵省といたしましてもまた自治省といたしましても、地方交付税年度間調整の仕組みにつきまして具体案まではまだ至っておらないという実情でございます。
  57. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間ですから終わります。
  58. 中山利生

    中山(利)委員長代理 小川新一郎君。
  59. 小川新一郎

    小川(新)委員 最初に大臣にお尋ねいたしますが、金融政策福祉政策関係についてでございます。確かに、狂乱物価を押えるという政策的な面からいえば、総需要抑制ということになります。その総需要抑制ということの裏づけとして金融政策が当然出てまいると思います。そこで、先ほどもお話がありましたように、土地の問題とか、また石油関連企業に対する問題、金融の引き締め等の問題がいまございまして、これは地方公共団体も選別融資の対象になっている、たとえばその関連であるところの各地方の公社、こういうお話がありましたが、この公社の問題でさらっと大臣お答えになっておりますから、私はこの問題と農協金融の関係のあり方とリンクいたしてお尋ねしたいと思うのでございます。  第一点は、金融引き締め政策というもので選別融資の対象になっている業界、こういうものを一体いつまで引き締めていかれるのか。この土地問題については大臣も非常に御理解をいただいております。確かに土地の安定というものは、不動産業者、建設業者に過剰流動資金が回っていた。そういうことで土地を買いあさった。ところが、いま金融が引き締めになりまして、その買い上げの面で非常に規制を受けてきた。しかし、これは一面においては土地政策、総合的な立法の中から考えるべき問題を含めながら金融問題を論じなければなりません。そこで、中小企業の倒産というものが対前年度比、大幅に上回っている、こういう問題から考えまして、金融引き締めというものがただ単なる参議院選挙の取引とか、そういう問題ということでない立場に立って大臣はもちろんお考えになり、またこれを実行なさっていると私たちは思っております。この見通しにつきまして、非常にむずかしい問題ではございますでしょうが、お尋ねしたいと思います。
  60. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、四十九年度というこの四月から始まる一年は、初めの半年、これは経済、どうしても横ばい状態たらざるを得ない、こういうふうに思うのです。しかし下期はやや上昇過程に転ずる、こういうふうに誘導したい。そして年平均すると実質成長二・五%、その辺に持っていきたいということを考えておるわけなんです。  そこで、一年を通ずるとそうでございまするけれども、いまはとにかく、昨年の暮れから一月に続けてああいう日本経済は混乱状態である、すみやかに人心の安定ということが実現されないと日本社会がどうなるかわからぬぞ、こういうふうに思いまして、総需要抑制政策というものを非常にきつくとっております。このきつくとっている状態というものは、これは上半年はもう当然続かなければならぬ、こういうふうに考えております。  つまり、引き締めをしておる過程においていろいろ問題が起こってくる。電気料金の問題、国鉄、私鉄の問題、そういう問題です。これらの問題を処理せざるを得ない、そういうような状況になっておりまするので、引き締め体制下でその処理が行なわれましても、物価に対し、あるいは経済全体に対し、動揺なからしめるということでなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。ただ下半期になりますと、そういう展望を持っておりますので、経済が安定する。その安定の度合いに応じまして多少ずつ、緩急を見計らいながらの弾力的な考え方というのが必要になってくるだろう。  ただし、物価の問題が片づいても、まだもう少し物価より深刻な問題があるのです。それは国際収支の問題です。これはほうっておきますと、物価だけなら国内だけで苦しみ合えばという問題になりますが、そうじゃない、日本丸が行き着いちゃう、こういうことになりますので目を放すわけにはいかぬ。ですから、物価はもとよりでありまするけれども国際収支についての確固たる見通しがつくまでは総需要抑制政策は堅持する。ただし、堅持の度合いにつきまして弾力的な配意をしなければならない。また局所的には、中小企業対策等々におきまして適時適応の対策をとってまいります。
  61. 小川新一郎

    小川(新)委員 国際収支の問題や物価の問題は、大臣のテレビ討論などでもよく拝聴いたしておりますが、具体的な問題としまして、下半期の弾力的という意味は、不動産業者とか建設業者のような、土地に関連しているような企業については、これはあくまでも今年一ぱいぐらい引き締めていく、もっと大事な生活関連物資を扱う中小企業の金融については下半期に多少ゆるめる、こういうふうに理解していいのでしょうか。
  62. 福田赳夫

    福田国務大臣 中小企業の問題なんかは、私はこの第一・四半期がすでに相当重大になってくるだろう、こういうふうに思うのです。そういう事態に対しましては、これは機を逸せず適切な対策をとります。ただ、物価が大体安定の見通しがついたという時期、つまり下半期以降になりますと、これは総需要抑制政策は堅持しますよ。堅持はするけれども、いつまでも棒立ちで行っているというわけじゃないのです。堅持の程度につきましては、そのときの情勢に応じて若干の緩急の措置が必要であろう、弾力的な配意が必要であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  63. 小川新一郎

    小川(新)委員 具体的な私の質問にはちょっとお答えいただけないのですが……。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 なお、弾力的だなどと言っても、土地の問題なんかは非常に重大な問題だ。とにかく今回の物価混乱を起こしたその引き金的役割りをになっておるこの土地の問題、これはどうしても地価を下げなければならぬ。そして住宅対策というもの、これはもう経済が安定すれば国の最大の課題になるわけですよ。そういうようなことを踏まえても、不動産金融がゆるまるといったような見通しは私はいま持っておりません。
  65. 小川新一郎

    小川(新)委員 不動産金融については今年は見通しがない、そう理解してよろしいですね。  そこで私は、農協の金融について非常に問題があるように思っております。農協資金の貸し出しというものは、本来、日本農業の政策的、金融的な面からの発展、向上をはかり、農民の福祉向上、生活向上ということが目的でなければならないにもかかわらず、実際は、貸し出し資金の行くえが、不動産業者や建設業者や、また企業に回っていく。こういう問題があったのでは、幾ら銀行局長の通達が出ても、都市銀行で引き締められても、だぶついております農協金融が逆流してまいったのでは、総需要抑制という面からいっても、インフレ対策からいっても非常に疑問が出てまいります。  そこで、私は「四十八年末の農協資金貸出残高と都市銀行貸出残高の比較」をいただきましたけれども、四十八年十二月末残高、農協が五兆三千八百二十三億円、対前年同期比で貸し出し伸び率が四五・三%、四十八年中の貸し出し増加額が一兆六千七百八十七億円。信農連が残高二兆九千二百八十二億円、何と貸し出しの伸び率が七六・四%、四十八年中の貸し出し増加額が一兆二千六百八十三億。合計農協関係だけで八兆三千百五億の残高で、対前年同期比の貸し出し伸び率五四・九%。しかし、都銀のほうは三十九兆百六億の残高がございますが、一六・一%の伸び率に押えられている。ところが信農連は七六・四%も伸びている。こういうことが私は非常に問題があるのじゃないかと思うのです。  そこで、過日大蔵大臣は通達を出したやに聞いておりますが、一方において、農民からいただいた、また預かった土地代金とかその他の多額の金が信連とか農協に集約されてくる、その金を今度通達によって引き締めますと、一体この金はどこへ行くのですか、これがい体どこで使われるのか。また、銀行の保証制度というものがあれば員外貸し付けというものが許されている。こういう法の盲点について、大臣の、法改正もしくは農協関係の金融についてのあり方、これに対して明快な御答弁をひとついただきたい。
  66. 福田赳夫

    福田国務大臣 いわゆる系統金融は金融界における聖域といいますか、そういう形で多年推移してきたのです。そこで、この系統金融について手をつけるということはなかなかむずかしい事態であったのでありますけれども、今回のような非常な事態に、農協系統金融だけが別で自由にされておるという事態は、全く金融政策のしり抜けということになる。これを放置すれば、もう総需要抑制政策の金融部面は破綻をするというようなことになるのです。全く小川さん御指摘のとおりだと考えます。  そこで、農協系統金融というものがなぜ聖域であるか、なぜ非常に特別の配慮をされておるかというと、農業協同組合というものが零細な農民の出資によって成立をしておって、そしてその集まった資金をまた必要な農家に還元をする、そういうたてまえでできておるわけなんです。ところが、この制度には准組合員制度というのがありまして、協同組合の地区内に居住し、それに出資をするといえば、その個人に対しまして融資ができる。それは農業であろうが何であろうが目的は問わぬ、こういう制度になっている。その制度が使われておるんじゃないかと思いますけれども、いまお話しのような、金融引き締め体制下でたいへんな農協系統融資というものが行なわれたわけであります。  それで、農業協同組合には、こういう時世になりますと金が集まるのです。集まりますのは、土地が高く農家から売られるでしょう、その代金は大かた農協に集まっちゃう。そういうことになるものですから膨大な資金を擁するということになり、大企業等多額の資金を要するものが農協に目をつける。農協は、ぷらっと来た企業に貸し出しをするというのに不安を感じますので、そこで企業の取引のある銀行に対しまして保証を要求する。銀行は保証する。銀行が保証するというならだいじょうぶだというので、そういう企業に金を貸すということになります。  これは非常に憂慮すべき事態であるというふうに考えまして、通牒を発し、融資状態の報告を求めるというふうにしたのですが、それだけじゃもちろん足りません。農協の側の御協力も求めなければなりませんけれども、同時に、今月から農協に対しまして、大蔵省、日銀等の金融検査官を動員いたしまして調査するということにいたしたわけなんです。これはなかなか重大な問題なんです。御指摘のとおりでありますので、これからもなお、農協金融によって総需要抑制政策がしり抜けになるというようなことのないように万全の配意をしていきたい、かように考えております。
  67. 小川新一郎

    小川(新)委員 東京都だけで七十五以上の農協がある。たんぼも畑もないところに農業協同組合だけがあるのです。農民のためといったって、農民は全部サラリーマンになっちゃっている。大東京のまん中に七十幾つも農協がある。これはどういうふうに理解したらいいのか、私にはちっともわからないですね。東京のどまん中に、聞いたら驚くようなところに農協がありますね。そうしてお金は、単一農協としては最大の金を持っている。完全に農業経営をやっているような東北方面の農協の金額よりよっぽど持っています。  そこで、地方公共団体財政援助のためにこの金を回せないだろうか。飼料が高くて、豚を養っているある青年が自殺をする。一面においては農協に金がだぶついちゃって、企業に金を貸し付けている。国民の素朴な感情からいたして全く理解できません。でありますから、具体的にはこの引き締められた金をどう使うかということが一番大きな問題になります。これは地方公共団体の貧困財政のほうに何らかの形で回せるのか、それとも公社等に貸し付けられるのか、いかがでございましょう。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 農協が、特に単位農協がみずから融資をしないということになれば、自然にそこに金が余る、こういうことになります。その金は一体どうするかというと、本来はまず県信連に上がってくる。県信連は県規模の農業関係の方々に融資をする。しかし、自然そこにも金が余る。それは農林中央金庫に上がってくる。こういう形で、農林中央金庫が農業政策推進の国家的目的に使うということになるのが自然の姿なんです。しかし、地方公共団体が資金が必要であるという際に、農協がこれに対して何らかの形の融資をする、これは別に支障のないことである、かように考えております。
  69. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がございませんので、この問題で深く掘り下げるわけにまいりませんが、ひとつ厳重な監督のもとに御配慮をいただきたいと思います。  次に、開発公社の用地の取得状況でございますけれども、先ほども御質問がございましたが、一月現在、都道府県、指定都市、市町村、合計の契約締結済みの金額は一千六十八億、契約予定分が一千百十九億、合計二千百八十七億必要なんです。ところが、三月までの支払い義務発生額が二千二十億、そのうち翌年度へ繰り越し可能額が五百九十八億。差し引きますと、土地開発公社だけに限っても一千四百二十二億、年度内借り入れ所要額がございます。ところが、先ほどもございましたように、公社は選別融資の対象になっております。でありますからこれが借りられません。  昭和四十八年十二月二十五日の大蔵省銀行局長吉田さんの通達によりますと、同じ引き締めの中でも、金融を優先的に取り扱うものと抑制的に取り扱うものと二つありますが、その中に「医療、教育、住宅等国民生活の基盤として不可欠なものに必要な資金。」というふうになっておる。この問題についてまず優先的に取り扱わなければならないのにもかかわらず、一例を申し上げますと、埼玉県教育委員会財政課で調べたのでございますが、学校建設用地、五カ年計画に必要なものが七十億七千九百四十万円、これは埼玉県でございます。そのうち選別融資の対象になった新規必要額、四十九年度の必要額が、土地、小中学校の上ものだけで百十四億六千百万円、建物が七十七億二千十三万円必要とされております。ところが、いま言いましたように引き締めの対象になってしまいましたが、四十九年四月一日以降の新規事業でなくて、四十八年度の積み残しについての緊急性のものをひとつ何とか助けてもらいたいということなんです。  一例を申し上げますと、埼玉県越谷市の場合、これは上ものだけでございますが、義務教育施設の小中学校校舎、体育館でございます。そのうち、越谷第二北中では、四十九年四月一日に開校いたしまして、名前も北陽中学と改まっておりますが、契約額は四億八千百万円。実際に完成しておりながら全額未払い、金がないからです。そうなっておりますために、工事出来高認定を受けておりません。これは公社でやらしておりますが。それから大袋第三小学校と東小学校、これも四十九年四月一日に開校しておりますが、契約高は三億五千七百万円。しかしそのうち五千七百万円しか支払っておりません。これも認定を受けておりません。蒲生南小学校においては九〇%完成しておりますが、契約高、契約額は、体育館だけでございますが、七千四百五十万円について二千二百万円しか支払いができていない。  こういう現状の中で、開発公社を含めた各地方公共団体の公社の選別融資の問題、これをどうしてもゆるめていただきませんと、現状がただいま私が申し上げましたような現状でございますので、工事出来高の認定も受けられないという小学校や中学校もある。全額払っていないところもある。全くもって困った。埼玉県住宅供給公社では、契約した金額を入れますと六億から七億の赤字になって、供給公社が破産をするということになっていま騒いでおります。ですから、今度契約高の四〇%近い上のせを、契約した住民に押しつけなければ住宅供給公社が破産になる。それでいまもめております。  こういう実態の中で、優先的に取り扱うべき教育、住宅等、国民生活の基盤として不可欠なものの必要な金額については御配慮いただかなければならぬのでございますが、先ほどの山本先生への御答弁においては大臣が非常にさらっとお答えになられて、深刻度があまりよく御認識がないのじゃないか。それで私は失礼とは思いますけれども、あえて例を引きまして、供給公社関係の選別融資の対象を、ただ単なる公共用地の先行取得のたてまえだけでなくして、こういう、現実に小中学校の上ものについての支払いの金が必要になっている開発公社、供給公社の実態をひとつ御理解いただきまして、少なくとも昭和四十八年度における積み残し分についての融資の緩和ということはできないでしょうか、お願いいたします。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 小川さん御指摘の問題、これは私もよく陳情を受けますので、実情は承知しております。そこで、大体問題になりそうな案件は全部処理されておるというふうに承知しておるのです。四十八年に上ものまででき上がりました、その未払いがありますというようなケースにつきましては、これは大体処理済みであるというふうに承知しておるわけです。  基本的に申し上げますと、いま五年計画があって五年先の土地を買うというような計画の金の話もありましたが、そういうものは私は今回はこらえてもらいたい、こういうふうに思います。しかし、いままで計画があって、そして事業が執行された、その支払いができないというのを放置しておくわけにはいかぬだろうと思います。それは自治省あたりと十分御相談くださって、自治省が、これはほうっておけぬという問題がありますれば、大蔵省といたしましてはあっせんにやぶさかではございません。
  71. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題につきましては、私は何もはったりをかましているわけではありませんで、きのう調べた実態でございますし、先ほど申しましたのは、今回の調査は三月分で、一千四百二十二億円の全国の公社関係が必要とする金額でございます。前回調査したのは一月でございます。今回が三月でございまして、この点は、大臣、何も私のほうで余分なことを言っているわけではございませんから、お願いいたします。  そこで、時間がございませんから一問だけ最後にお尋ねいたしますが、過日お尋ねいたしました地方公務員と国家公務員の守秘義務の点につきまして、国家公務員法百条、地方公務員法第三十四条は全く同格である。地方税においては個人の滞納者の名前を地方でもって発表している。これは国家公務員、地方公務員を問わず、公務員が守らねばならない、法律に従って守るのだということで本会議の御答弁をいただきました。これは自治省大蔵省がその後どういうお話し合になったのか。大蔵大臣の所管である国税のほうでは、国家公務員法第百条によって、脱税、滞納については国会の場においても発表していただけない、法人の名前を発表していただけない。調査だけではなくして、その結果である脱漏または申告漏れ、そういった名誉に関する問題についてはいろいろ弊害があるからこれはだめだ。過日、本委員会におけるやりとりにおきましては、憲法の基本的人権にまで抵触するという内閣法制局の見解まで出ております。そういう問題について自治大臣大蔵大臣の見解の相違があってはならないということで、統一ということで御配慮いただいたわけでございますが、大蔵省が自治省に歩み寄るのか、自治省大蔵省にならって今後はこういう問題はもうやらないのか。だいぶ日もたっておりますが、いかがでございましょうか。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 守秘義務の運用につきまして、大蔵自治両省の扱いが異なっておるという点を、過日、本会議で公明党の坂井さんでありましたか、御指摘がありました。私も初めてそういう違いがあるということを承知しておそれ入ったような次第でございますが、さっそく調整話し合いを始めております。大蔵省、自治省、それから法制局、この三者で煮詰めておりますが、守秘義務というものは非常に厳粛なものであります。これは運用を誤りますと憲法問題というか、非常に重大な問題に発展する、こういうことでありますので、すみやかに結論を出します。いま話し合いを始めており、そう時間はかからぬ、かように御了承願います。
  73. 小川新一郎

    小川(新)委員 まことにしつこい言い方で恐縮でございますが、大蔵大臣といたしましては、その話し合いの方向というものは、国家公務員、地方公務員の守るべき義務、それが法文によってはっきりしておる以上は当然守っていくほうへやらなければいかぬのだ。いままでやったことについては勇み足だ、行き過ぎである、こういう御理解だと私は大臣の御答弁を聞いていて感ずるのでございます。  そういたしますと、問題がたくさん出てまいりますね。現にもう、地方税を滞納したというかどによって、公開の県会の本会議の場や、監査及び常任委員会の秘密会等において発表になり、ひどいところによっては掲示板にまで個々の名前が張り出されました。そういう人たちが、憲法の基本的人権の抵触であると告発してくるおそれも出てきますね。こういう複雑な問題やら、身分の保障、またそれに対する損害の補てんという問題も議論になってきた場合、そういう重大な背景というものを踏まえておっても、今後なおかつこの傷を広げるわけにはいかぬ。地方公務員法第三十四条に従って公務員の守秘義務ということを今後貫くためには、大臣としての御決意なりまた御見解なり御所見なりというものは当然あってしかるべきだと思いますので、それをお聞きいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
  74. 福田赳夫

    福田国務大臣 私としては過日申し上げましたとおり、守秘義務というものは非常に厳粛に守っていかなければならぬ問題であるという考え方に変わりはございません。自治省並びに法制局と十分相談をいたしまして、そして、私としてはなるべく私の意見に同調していただきたい、かように考えております。
  75. 中山利生

    中山(利)委員長代理 以上で大蔵大臣に対する質疑は終了いたしました。  引き続き、質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  76. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は地方交付税の改正問題について質問をするわけでありますが、その質問に入る前に、その判断の基礎になるべき数字の問題についてまず明らかにしておきたい、こう思います。  これは昨年出された地方財政白書であります。お持ちになっているかどうかわかりませんけれども地方財政白書の二二二ページ、それから三六ページの図表、二十四表のいわゆる「昭和四十六年度一般財源の人口一人当たり額の状況」この数字は違っておりますね。表と図表は一致しなければならぬわけでしょう、数字が。これはどうしてですか。
  77. 松浦功

    ○松浦政府委員 財政白書の二二四ページの表を御指摘をいただいているのだろうと思いますが……。
  78. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二二二ページ。四十八年ですよ。四十八年、お持ちじゃないですか。
  79. 松浦功

    ○松浦政府委員 ちょっと、四十八年のを持ってきておらないのでございますが……。
  80. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは、持ってきておりませんので、実はこの問題については、せんだって私も気がつきましたので、自治省財政局のほうに、特に数字の扱いについては注意するようにということを申し上げておきました。この場合、二二二ページの「昭和四十六年度一般財源の人口一人当たり額の状況」これによる歳入構成比、一般財源の歳入構成比というものを三六ページの図表にしてあるわけです。その図表の数字とそれから図表のもとになっておるこの表との数字が、小数点以下でありますけれども、違っておる。小数点以下の違いでありますけれども、数字は厳粛でありますから、これはやはりきちんと、表と図表の数字が一致していただかなければならぬ、こういうことを私は申し上げたいわけであります。これはひとつ数字を十分扱っていただくことにして、今後ひとつ自治省として、判断の基礎でありますから、数字をきちんと扱いますか。
  81. 松浦功

    ○松浦政府委員 おそらく端数の切り上げ切り捨て、そういった問題もからんで、不注意から出た問題だと思います。まことに申しわけないと思います。以後、数字については御指摘のように慎重に取り扱うことをお約束いたします。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷委員 はい、わかりました。  それでは、今度出ました四十九年度財政白書、これはちょっと数字の扱いだけでは片づかぬ問題であります。きわめて重大な問題であります。二二四ページに「昭和四十七年度一般財源の人口一人当たり額の状況」というのが載っております。この数字は、言ってみますと、地方税地方交付税、その地方税の中には譲与税も含まれるわけでありますけれども、いわゆる一般財源というのがどうなっているかといいますと、全国平均で三万五千九百七十円、こういう数字になっております。ところが、せんだって地方税法の審議の際に税務局から出た数字、四十九年度の「地方税に関する参考計数資料」というのがございます。その「参考計数資料」を見ますとどういうことになっておるかといいますと、数字が違います。数字が違うのです。三万九千百四十九円。四千円ぐらい違うのです、人口一人当たり。もっと拾っていきますとどういうことになっているかというと、一般財源の神奈川県、これでは二万七千九百十七円となっておりますけれども、税務局の資料では三万一千七百四十三円であります。大阪府はどうかといいますと、この白書では三万四千八百九十六円でありますけれども、税務局の資料では三万七千二百十五円であります。この中にも三千円ぐらいの違いがあります。一体これはどうしているのですか、明らかにしていただきたい。
  83. 松浦功

    ○松浦政府委員 一般財源の額そのものに、税務局で発表いたしました資料と財政白書との間に食い違いはあるとは存じておりませんが、一人当たりに直します際に、除する分母、これが、財政白書では住民登録台帳に記載されておるその数を用いております。税のほうは国調人口を用いているということで、こういう差が出てきたというふうに考えております。
  84. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういう分母のほうはこの白書にどこに書いてありますか。書いてないでしょう。分母のほうを書かぬで、そして脚注も何もつけぬで一人当たり幾らですと。そして同じ自治省から出ている一人当たりの税額も交付税額も、税務局の資料と財政局の資料とは三千円とか五千円なんという食い違いが起こっておっては、一体何を信用していいですか。数字というのは厳粛でありますけれども、同時に、その数字がどういうおい立ちで、どういう基礎に基づいてはじかれているかということをはっきりしていただかなければ、われわれ判断できませんよ。どうなんですか。
  85. 松浦功

    ○松浦政府委員 分母について正確な注書きがなかったことは、表をお読みいただく方々に対してまことに不親切、不適当な取り扱いだったことば率直に認めざるを得ないと思います。なお、国調人口を今後使用するのか、あるいは現在の人口に近い形でなるべく住民台帳をとっていくのか、この辺についてはいろいろ御意見もおありだと思います。十分御意見を拝聴した上で一つのタイプをつくってまいるようにつとめてまいりたいと考えております。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長、いらっしゃいますか。——税務局長、おたくのほうの地方税に関する参考提出資料に国調人口を使っておる根拠はどういうことですか。
  87. 首藤堯

    ○首藤政府委員 地方税のほうの人口でございますが、御指摘のように主として国調人口を使っておるわけでございますが、これは従来からそのような扱いをしておりましたので、ほぼそれによっておるということでございます。ただ、国調の間は、御案内のように五年間期間がございますので、大体原則的には、当初の二年間は国調人口による、それからあとの三年間は、人口の移動等がございますので、住民基本台帳登載人口による、こういったような扱い方を従来からもいたしておったようでございまして、そのまま現在踏襲をしておる、こういうことでございます。
  88. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの税務局長のお答えは、税については最初の二年間は国勢調査の人口に基づく、しかしそれからだんだん偏差が起こりますから、三年以降については、税は現実に一人当たり幾ら負担しているかということを見ることが大切でありますから、その辺をある程度補正をして使っておる。私は、税の場合はこれは妥当であろうと思うのです。しかしその場合でも根拠をはっきりしておかなければ、四十七年度の表と四十八年度に出てくるこの表が、基礎が違っておったのを比較しておった。われわれは知らないわけですから、また一般の人はこれを使うわけですけれども、知らないわけでありますから、その辺の計算基礎というのはみんな同じだと思うわけです。そうすると、違ったものを、竹と木を比較しているような理論では、これは的確な判断はできないわけですね。そういう点で、その際にも明らかにしていただきたい。  しかし、税の場合は、私は、現実にその府県の人があるいは自治体住民がどの程度の負担をしているかということは、人口の過疎過密が進んでおる段階においてはそういう手だても必要であろうと思うのでありますけれども、少なくとも「地方財政の状況」というのは、地方財政法に基づいて毎年国会に出される権威ある書類であります。これは税法審査の際の参考資料でありますけれども、これは間違いなくれっきとした白書ですね。権威あるものですよ。その権威あるものの計算基礎が毎年毎年変わってきているわけですね。私もこれは重要だと思いましたから、ひっくり返してみました。  ここに持っておる「都道府県財政指数表」、四十七年十二月のあれを見ました。そうしますと、「人口は、昭和四十七年三月三十一日現在の住民基本台帳登載人口を用いた。」いまの財政局長の御答弁のとおりであります。住民基本台帳登載人口を使った。ところが財政局長、これの四十四年の十一月を見ますとどういうことになっているか。「人口は、総理府統計局の推計人口」。四十四年十一月に出した指数表は四十三年十月一日現在を用い、人口を計算している。でありますから、四十七年は住民基本台帳でありますけれども、四十四年の数字は、言ってみますと総理府統計局の推計人口ですよ。すでにこれ、基礎が、分母が一貫してないわけですよ。こういうことでありまして、その前もどういうことかといいますと、総理府統計局の推計人口。何年に総理府統計局の推計人口から住民基本台帳に変わったかということを、私はそこまで調べてきませんけれども、二、三年前と現在の分母は違うのですよ。  それでは、どの程度、総理府統計局の推計人口と国調の人口と四十七年度住民基本台帳の人口が違うかといいますと、ここにちゃんと書いてある、あなたのほうの資料の中に。これはかなり違うのですよ。一例を申し上げますと、全国の総平均では、四十七年の住民基本台帳の数字と国勢調査の数字では二・五%違う。これは全国でありますけれども、過疎過密が進んでおる県ごとに見ますと五%以上違っているところがあるのですよ。こういう形でありまして、白書自体が、総理府統計局の推計人口を使ったりあるいは住民基本台帳を使ったりする。白書自体が、基礎数字が一貫してないわけですね。しかも同じ省から出る、財政局と税務局の数字が分母が違うなんて、これは一体何を求めているのか、一々そこまでやらなければ自治省の数字は信用できない、理解できないということになるわけです。これはたいへんな問題ですよ。両局長、どうするのか。大臣、途中で見えましたけれども、一体どうするのか。これは明らかにしなければ質問が先に進めない。
  89. 松浦功

    ○松浦政府委員 財政なり税なりという観点から、いまのような、先生の御指摘をいただきました計数表をつくるにあたりまして、当該年度に国調がございますればその点はわりあい現実に合っておるわけでございますが、これが五年ごとでございますために、三年、四年とたちますと、現実の住民の数と国調人口の数とが食い違ってくる。どちらをとったほうがより正確に現在の地方財政なり地方税収入なりの実情を示すものであるかということになりますと、われわれも非常に判断に迷うわけでございます。いずれにいたしましても、われわれとしては、年々出てまいりますものが、比較をしてそれが意味がありますように、また現実に出てまいりました一人当たりの一般財源なりあるいは一人当たりの税収入なりというものが、お読みになります方にはっきり理解をしてもらえるためにはどちらがいいかということでございまして、その中間はないわけでございます。しかも、住民台帳登録人口は、われわれの推定でございますけれども、はっきり現実より多いわけでございます。それは職権抹消が行なわれない部分だけに関しましても、必ず多くなって出てまいる。どちらがより正確に実態を伝えるものであるかということについて、また先生からも御意見をいただきまして、同じ省内で違った取り扱いが起こらないように、先ほどから申し上げているように一つルールあるいはタイプ、そういったものをつくってまいるようにつとめてまいりたいと思っております。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長、あなたのほうは先ほど御答弁いただいたような方針で今後貫くつもりですか、税は。現実にその年に存在しておった納税者の人口、そういうものが基礎で一人当たり負担という実態を見るという意味においては、住民台帳等が正確でいいと思うのですよ、偏差が起こってませんから。そういう方針を続けるつもりですか。住民基本台帳で三年目ぐらいからいくのですか。これも、私はいま聞いてはっきりしましたけれども、一々脚注につけなきゃいかぬですよ。それと前の年と比べることになりませんよ。  ですから、私は確かに、現実に一人当たりというものがどう負担しているかということを見る場合には、やはり脚注に、四十五年の国調の人口によると、こうやっておけばそういう形で理解するわけですから、そういうからくりというと失礼でありますけれども、そういう配慮は統計数字の場合はおやめになったほうがいいんじゃないか。ずっとやはり一貫して国調人口、そしてこれが昭和五十年になりますと国勢調査が行なわれます。そうしますと五十一年か二年に国調人口で変わってきますから、その際には四十五年国調と五十年国調の関係というものを何らかの形で明示するなり、あるいはその間の比較というものを都道府県別あるいは市町村別に明らかにしておけばいいわけであって、やはり三年目からはこの数字、その前はこの数字ということはおやめになったほうがいいと思うのですが、どうですか。
  91. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のように、実際の税負担のあり方がどうなのか、こういうことを把握することも税の場合は非常に大切でございますので、現在三年目から基本台帳を使っておるというやり方をやっておるわけでございますが、こういった方針につきましては、今後財政局とも十分相談をいたしまして、両方の数字を合わせるというかっこうで作業をしてまいりたいと思いますし、またいずれの方法を用いるにいたしましても、脚注等を親切につけまして、その間の消息がはっきりするように取り扱ってまいりたい、こう考えております。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この四十九年の三月の白書を見ますと、「都道府県別国勢調査人口の状況」という表は載っているのですよ。国勢調査のあれは載っているのですよ。この表の基礎にしていないで、分母はこれを使っていないで、わざわざ「都道府県別国勢調査人口の状況」という表を白書に載せておいて、この数字は分母に使わないで、住民基本台帳、これを基礎なら住民基本台帳の数字を載せたほうがいいですよ。国勢調査の人口を表で示しておいて、そうして一人当たりの計算の分母のときは住民登録人口というのは全くの不合理ではないか。  そこでひとつ財政局長、私の意見は、せっかくここに国調人口を載せているし、これは白書であります。しかも、税よりももっと、いわゆる各地方公共団体財政実情はどうなのか、その中に一般財源というのはどういう程度になっているのか、税はどうなっているのか、交付税はどうなっているのか、こういうことをやるわけでありますから、税ほど一人一人の負担というのは現実に示す必要はないわけでありますから、私はさっきも税務局長に申し上げたように、国調人口というものを基礎にして、五年目ごとに、変わったときには変わったということを明らかにした上で、ひとつ国調人口というものを常に分母にするということで貫いていただきたい。そうすれば、私は貴重な時間にこんなことを指摘する必要もないわけですから、私はたまたま指摘できたけれども、ほかの人はこんなことわからないで使っておるかもしれませんよ。税務局の資料が正しいんだ、いや白書のほうが権威があるんだからこっちが正しいんだと言って。両方正しいかもしらぬ。しかしわからない場合にはけんかする。また判断を誤るかもしれません。そういうことでありますから、私の考え、どうですか。
  93. 松浦功

    ○松浦政府委員 一番確定力と申しますか、現実に近いものは国勢調査だと思います。これ以外にはそれ以上の数字はないわけでございますから、それを万事に使っていくというのは全く一つのやり方だと思います。  そこで、いま御質問をお伺いしながら考えておったわけでございますが、いずれにいたしましても、注書きで、誤読を起こさないようにということで注をきちんとすることは御指摘のとおり当然でございます。  もう一つの方法としては、たとえば国調の人口で割った一人当たりを出しておきますと、人口急増のようなところは年々補正係数がかかっていきますために需要がふえていく、ほかのところはふえないということで、少しずつ五年の間に多い少ないの順番が狂ってくる、こういうような問題も起こり得る可能性もございますので、正確にお読みいただく方に十分御判断いただけるためには、これはちょっと私の思いつきでございますが、両方を、注書きを別々にして二つ表をつけておく、これも一つのやり方かと思いますけれども。  いずれにしても、いまここでどういう方法にするということは述べることをお許しを願いたいと思いますが、先生がおっしゃられる趣旨、十分理解できましたので、よく内部で相談をいたしまして、今後おしかりを受けることのないようにつとめてまいりたい、こう考えております。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は法律案の審議に協力する意味において申し上げておるのであって、こんな、基礎がぐらつくのなら、予算委員会あたりならストップしちゃいますよ。しかしそんなことをする意思はありませんから何ですけれども大臣、これはたいへん重要なんですよ。たまたま私がこの表をいただいて、前に地方税の際にそれに関心を持って、数字が若干頭に残っておったものですから、どうも税務局の一人当たりのオーダーと財政局のオーダーが少し違うものですから、調べてみたらぞろり全部違う、こういうことに私は気づいたわけでありますけれども、こういうことでは一般の人は自治省の数字というのは信用できない、こういうことになりかねません。そうなってまいりますと、この法律に基づく財政白書も問題です。国会でもこれはわからないですよ、全部。数字そのまま信用します。ある大学の学者が白書の数字を使って最近本を書いております。それも脚注はないのですよ。その学者の本でありますから、これは権威あるものなんですよ。ところがどういう根拠でその数字が出てきたかということは、学者もおそらく御存じないでしょう。私はおそろしいことだと思いました。大臣、これはひとつ私はやはり国調によるべきである、そうして変わったときにはその間の関係というものを明らかにしておくべきだ。少なくとも分母というものが、この数字はこういう基礎に基づいて生まれてきたのですよというおい立ちは親切に脚注で示すべきである、こう思うのですよ。大臣のひとつお考えと、どうするか、その方針をひとつお聞きしたい。
  95. 町村金五

    ○町村国務大臣 おくれてまいりまして、この議論を中途から伺ったわけでございますが、財政局と税務局との間で資料に違いがあるということで、これをごらんになる方に非常な誤解を与えるということはまことに申しわけのないことだと私は考えます。したがって、私はこういった点の知識が皆無でございますので、いずれが国調によるべきかあるいは住民登録人口によるべきかということについては、私自身からいま確たるお答えをいたすだけの用意はございませんけれども、いま財政局長もお答えを申し上げておりまするように、ぜひこの両者の間で食い違いの起こりませんように、なおまたそういったことをよくわからせるような意味におきまして、資料の作成において足らざるところがあったようでございますので、それは今後ひとつ十分注意をいたしまして、こういう重大な統計にいやしくも誤解を生ぜしめることのないように、できるだけ正確を期するということで、今後自治省といたしまして、ひとつできるだけやり方の統一をすみやかにさせるようにつとめたいと思います。
  96. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、数字はできるだけ正確を期するじゃ困るわけですよ。これは、数字は出てきた数字というのがやはり権威あるものでなくちゃいかぬ、こういうことでありますから、できるだけじゃなくて、これはやはりきちんとしていただかなければならぬ。  そこで委員長、お願いしたいのです。財政白書と税務局の資料の基礎が違っておって、いまも明らかになったことは片や国調人口、片や住民基本台帳ということでありますけれども、いまひとつ白書に基づいて少しく疑ってみる、そういうことであるならば、単に分母ばかりじゃなくて、内容もこれまた違っておるのじゃないかという感じが私はいたしました。そういうあかしを立てる意味において、国調人口で計算した場合、住民基本台帳に基づいて計算した場合の一覧表、基礎が違っただけであって、人口のとり方が違っただけであって、間違いないのだということを自治省で確認した比較表、一覧表をひとつこの委員会に出していただきたい。それでないとちょっと納得できませんから、そういうお取り計らいをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  97. 中山利生

    中山(利)委員長代理 細谷君の御意見、まことに重大であると思いますし、もっともだと思いますので、自治省にそのように取り計らうようにいたしたいと思います。
  98. 首藤堯

    ○首藤政府委員 分母の話が出たわけでございますが、分子も、御指摘のように、税によりまして、たとえば娯楽施設利用税交付金でございますとか、こういう市町村に交付する額があるわけでございますが、その交付されました額の扱い方、こういう点におきましても若干の相違がございますので、そういったものを明確にしたもので御連絡を申し上げたいと思います。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういうことがあって、かつて、数年前でありますけれども、あなたのほうの出てくるこの計数がずいぶん誤っておった。これはもうまさしく誤っておったわけですけれども、そういう県と市町村の間にやりとりや何かありますが、白書が何といっても法律に基づいた根拠でありまして、これは審議の資料でありますから、白書をもとにして、そして税務局の資料というものと白書というのはどういう関係にあるかということ、税の県から市町村に交付する分等も明らかにしていただかぬと、どうも自治省の扱いの数字というのは粗雑だ、こういう印象を私は持っておりますから、ひとつその印象をぬぐい去る意味においてきちんとしたものを、白書を基礎にして比較表を出していただきたい、こういうことです。どうですか。
  100. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のとおりでございますので、その間の扱いの違い等を明確にして御連絡を申し上げたいと思います。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは次に進みたいと思います。  私は毎年自治省から発表されます地方財政計画というものを拝見いたしまして、これは地方交付税法に基づいて国会提出されるわけでありますが、これはあくまでも参考資料ということであります。ところが、この地方財政計画というものがその年度の決算と著しい乖離があります。そういう点をこの委員会で、他の委員からも、私も数回にわたって指摘をいたしました。おそらく、その根本原因というのは、国の一般会計予算の規模とこういうものの連関において、自治省があるべき地方財政計画というのをつくりにくい政治情勢があるのではないか、こういうことを指摘したことがあります。いずれにいたしましても、そういう委員会意見もありまして、四十六年度地方財政計画の以降、国の一般会計予算よりも地方財政計画の規模のほうが大きくなっております。四十九年度もそのとおりであります。  ところが、四十六年度から規模是正をいたしたわけでありますけれども、四十六年度の決算と財政計画の乖離の状況を調べてみますと、歳入面において二五・三%、歳出面において二二・五%の乖離があります。四十七年度はどういうことになるかというと、もっと乖離が大きくなりまして、歳入面において三一・一%、歳出面において二四・四%という乖離が起こっております。それでは、規模の是正が行なわれない、いわゆる国の一般会計予算よりも総ワクが小さい時期の昭和四十二年あたりはどうかといいますと、歳入において二一%の乖離、歳出で一六・九%の乖離ということであります。規模是正をいたしましてから乖離がある程度是正をされたかといいますと、是正されるどころか拡大されていっております。  申すまでもなくあなたのほうが編集しております「地方財政」の三月号に、一橋大学の木村元一教授が地方財政計画と決算の乖離の問題について巻頭言を書いております。こういうことを見ますと、なるほど平衡交付金の時代よりもこの地方財政計画の必要性というものは薄らいだかもしれませんけれども、今日なお地方財政運営の指針として、あるいは標準的な収支の均衡状況を明示するという意味において、あるいは国が地方団体に対して必要な財源をどの程度付与したか、こういうことを明らかにする意味において、この地方財政計画の必要性はごうも失われておらぬ、こういうふうに判断をいたします。  したがって、木村元一教授が指摘するように、これを一体どうするのか、今後の方針をひとつ財政局長と大臣に伺っておきたい、こう思います。
  102. 松浦功

    ○松浦政府委員 御指摘のとおり、地方財政計画と決算の間には相当の乖離がございます。四十七年度におきましては二兆をこえる乖離がございますが、この原因をさぐってみますと、地方税におきましては、計画に盛り込みましたものより自然増が相当多額にのぼった、あるいは超過課税による収入が相当あった、さらに地方債が計画のいわゆるワク外債の発行というものが相当額あったためにそれに見合う歳出が執行された、さらに貸し付け金の回収金あるいは受託事業の収入、そういったような雑収入が、自治省では個々の団体の事情がつかめないために、そういうものが膨大にのぼりましたことが大きな原因であろうかと思います。  さらに、歳出面におきましては、職員数の食い違い、それから給与単価の食い違い、あるいは先ほど申し上げました税収、ワク外債あるいは事業受託等によりまする財源、特定財源でございますが、これをもとにいたしました投資的経費の増大、あるいは貸し付け金回収金等、これは財源に当然なっておりますが、出資、貸し付け金等の歳出、こういったことが歳出面では大きな原因になっていると思います。  この中で、われわれが全体的に理論的に把握できるものあるいは現実問題を正確にある程度つかみ得るものについては、できるだけこれをなくすために努力をいたしていかなければならないと思いますが、受託事業でございますとかあるいは貸し付け金の額でございますとかいうものは、歳入歳出にそれぞれ立つものでございます。これをどういうふうに把握するかということが非常に問題でございます。技術的にも非常にむずかしい問題だと思いますし、また、こういった歳入と歳出のバランスがとれている経費を財政計画に載せたからといって、これが直ちに地方団体財政運営の指針になるとも必ずしも考えられません。したがって、われわれといたしましては、技術的に措置が可能であり、なおかつそうすることが地方団体財政運営の指針としての地方財政計画の権威を高からしめるものであるということを前提にして、先生御指摘のように、乖離が現実に少なくなる方向で努力をしてまいりたい。たとえば職員数の問題、これは先生御承知のように五年に一度調査を行ないまして、それを基礎に整理をいたしております。したがって、四十八年四月一日現在でいま給与の実態調査を行なっております。その結果がことしの秋には出てまいると思います。それをもとにいたしまして、人数の乖離につきましてはできるだけこの乖離を埋めるべく、明年度地方財政計画で大蔵省と折衝いたしたい、こういう考え方を持っておるところでございます。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 局長から少し細部にわたって話がありましたので、私からもちょっと申し上げますけれども、四十七年度地方財政計画と純決算額とを比較いたしますと、地方税というのは一四・六%の乖離があるわけです。これは当初計画でありますから、その前の数年間の地方税の推移をながめてみても、やはり計画と実際の地方税の決算額との間には一割程度の乖離があるわけです。これはまあこのくらいの乖離がなければ運営できないと思う。国庫支出金だって一割くらいの乖離があるわけですね。頭をひねっておりますけれども、そのとおりでしょう。問題は、地方債が昭和四十七年度は計画額と決算額との間には七四・四%の乖離があるわけですよ。御指摘のように、使用料及び手数料で七六・七%の乖離があるわけです。いわゆる雑収入において二五五%の乖離があるわけです。言ってみますと、計画額に対して三・五五倍の決算額ということになっておるわけですね。  歳出のほうを見ますと、給与関係費というのが二九・七%の乖離があります。これは当初計画でありますから、人事院勧告等で是正されますから、給与関係についてはある程度の乖離は当然なことでありますけれども、これは後ほど議論いたします。こういう給与関係費の乖離というものも、自治省が給与関係費について押えよう、押えようとして、定員是正等もやっていないというのが非常に重要な原因だということは後ほどまた指摘しますけれども、そう思います。一般行政費が二四・九ぐらい、それから投資的経費は二五%ぐらいの乖離があるわけです。公営企業繰り出し金、今日都市交通をはじめ公営企業というのはかなり重要な段階にあるわけですから、これが計画の二・一倍ぐらい、一一一%の乖離が起こっているわけですね。こういう実態であります。  私はずばり言いますと、この地方財政計画のこういう乖離は、給与関係費等について実態に即応する見方をしておらないということが一つ。もう一つは、諸収入等なかなかつかみにくいと思いますけれども、毎年の実績がこういう状態でありますから、これは、自治省が三百五十人といっても、みんな有能なエキスパート、よりすぐった官僚中のエリートでありますから、私はできないことはないと思う。しかし何といっても収支のバランスをとらなければならぬので、山を売ったり木を売ったり、こういう形で、諸収入を得るために自治体が企業化をしていっておる。そしてどうにもならぬ段階で、ワク外債という形で地方債の許可をいただいて収支のバランスをとっておる、こういう実態だと思うのですね。言ってみますならば、地方財政計画は住民のためにあるのではなくて、財政バランスのためにある、あるいは自治省のためにある、こういう印象すらぬぐえないのであります。  こういう点について、私の指摘が誤っておるのか、そんなことはないのだ、こういうふうにお思いなのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  104. 松浦功

    ○松浦政府委員 幾つかの御指摘をいただいたわけでございますが、そのうち幾つか具体的な事例をもってお答え申し上げるほうがよろしいかと思います。  たとえば公営企業の繰り出し金は、純計では四千八十億という数字になっております。ところが、その四千八十億の中には一千億ばかりの貸し付け金が入っております。これは資金繰りのために貸しているわけでして、年度内には回収をされております。そういうことを考えますと、四千八十億となっておりますけれども、実際には三千億、こういうふうに読まなければいけない面があろうかと思います。  それから建設事業も非常によけい伸びておりますが、これは受託事業も約八百億程度ありますし、それからワク外債充当によって仕事を行なったものもあります。そういうふうにしていきますといずれにしてもつじつまが合うわけでございますが、当初から受託事業が幾らあるかということは、各地方公共団体別に調べるということはまことに困難でございます。  それから貸し付け金等につきましては、たとえば中小企業の年末融資でございますとか、あるいは夏の融資でありますとかいうものは予算に組みまして、三カ月なり六カ月なりの期間に回収をするという形で、歳入歳出のバランスを合わせた形で地方団体予算に計上し、これは決算面に出てくるわけでございます。こういうものはむしろ考え方によっては財源とそれから歳出とがバランスがとれているものでございます。これを幾らということを、地方公共団体全体に推定することは非常に困難でございます。ある程度目の子でふやすということはできるかもしれませんが、この問題を正確にわれわれが把握するということは現実の問題として非常に困難であろうか、こう思います。  最後に給与の問題でございますが、給与を押えるためという御発言がございましたが、財政計画上ではあくまで公務員のベースで見る、このたてまえをくずすことはできないと思いますが、人数について現実の問題と食い違いがあることは御指摘のとおりで、それが大きな要因になっております。それにつきましては、毎年度はなかなか実数がわかりませんので、五年ごとに行なう指定統計に基づいて是正をするということについては、先ほどお答えを申し上げたとおりでございます。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これにあまり時間をかけるわけにいきませんので、財政局長、あなたの配下で編集しておる「地方財政」この巻頭言に木村教授が書いております。地方財政計画を今後どうするか、いろいろな意見がありますけれども、木村教授の意見というのは、この巻頭言の終わりのほうに書いてあります。  一つは「標準的な収支の均衡状況を明示して、国に対し必要な財源保障措置をとらせ、その上で標準的な収支について地方団体毎に交付税算定基準に基づく財源を保障することが一番重要で、実態との即応はつけたりということになる。」要するに、ナショナルミニマムを確保するためにはどうすべきかということを一つ地方財政計画を策定する場合の重要な柱にしなさい。  それから第二番目には、「地方団体財政の自主性の尊重という点からすれば、単独事業や雑収入まで計画化することは穏当を欠く。枠外債についても或る程度の自由を認めざるを得ない。」こういうことを指摘しております。そういうような観点から、地方財政計画策定については基本的に再検討をすべきであるという提言をしております。  私は長い間これは議論してきたことでありますけれども、いまのような形では百年河清を待つにひとしい。そして地方財政計画の重要さ、必要性というものが全く形骸化してしまう。そういう意味において、福祉重点、ナショナルミニマム保障、こういう観点に立って地方財政計画の策定の基本態度を検討すべき時期に来ているんじゃないか。木村提言も一つあります。こういう点、大臣いかがでしょうか、お答えいただきたい。
  106. 町村金五

    ○町村国務大臣 財政局長から……。
  107. 松浦功

    ○松浦政府委員 財政計画自体を基本的に改めるべきだという御指摘でございますが、その点についてはどうも私も十分に理解がいかないのでございます。財政計画は財政計画としての意味があるということでございまして、これに万能の力を与えることは私は非常に危険だと思いますし、またそういうことになりますれば、地方公共団体の自主的な財政運営にもいろいろ支障が出てまいるものと思っております。したがって、われわれはあくまで指針という考え方でおります。ただ、個々の問題のやり方についてはいろいろと御指摘をいただいております。先生からもこのたびも御指摘をいただきつつあるわけでございます。これらの問題、十分検討をいたしまして、よりよい方向に地方財政計画というものを改めていく努力は怠らないつもりでございます。基本的に財政計画の考え方をやり直せという御主張の真意が那辺にあるか、ちょっと理解に苦しむところでございます。
  108. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題はこれから具体的にひとつ明らかにしていきたいと思います。  そこで、財政課長見えておりますね。——話をひとつ進めますから。  あなたは同じように「地方財政」の二月号で、「昭和四十九年度の国の予算地方財政対策」という論文をお書きになっておるのですよ。その論文の中を拝見いたしますと、こう書いてあるわけです。「地方交付税率の引上げが行われなくても昭和四十九年度地方財政計画上の収支はかなりゆとりのあるものとなることが明らかとなった。」交付税率の引き上げじゃないのですよ。いま問題になっているのは削減の問題が含まれている。あなたは昭和四十九年度地方財政というものはかなりゆとりがあると理解されておるのかどうか、まずお尋ねいたします。
  109. 石原信雄

    ○石原説明員 いま御指摘の論文でございますが、これは「地方財政」の二月号に私書いたものであります。四十九年度地方財政対策として掲げられております幾つかの事項について、その経緯などをしるしたものでございますが、特にポイントになりました地方交付税の総額の特例をきめるに至る背景について、ただいまの御指摘の点は述べたところでございます。  昨年末以来、新年度予算編成作業の前提といたしまして、地方財政の収支がどうなるかという点につきましては毎年度いろいろな角度から検討が加えられるわけでありますが、その際の基礎になりますのは、地方財政計画上の収入見込み及び支出見込みが一応よりどころになっております。で、四十九年度の収支につきましては、当初はデータ不足もありまして、また国の予算の性格がどうなるかもわかりませんので、早い段階におきましては、かなり財政収支が苦しくなるのではないかというような予測をしておったわけであります。しかしその後、国の予算におきまして公共事業実質伸びをゼロにするというような方針が打ち出されてまいりまして、一方税制調査会における税制の論議、その前提としての経済見通し、税の自然増収の見通し、こういったことも次第に明らかになってまいりまして、その時点で一応財政計画上の一定のルールに従いまして収支予測を立ててみたところ、地方交付税につきましては現行法のたてまえで計算し、地方税につきましては当時の税制調査会の動向なども見ながら収支の予測を立ててみますと、かなり収支のバランスは黒字になるのではないかという予測が立ったわけであります。そのことを書いたのでございます。
  110. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたの論文のあれは、きわめて用心深く書いていると私は感心したんだ。「昭和四十九年度地方財政計画上の収支は」と書いているんだね、昭和四十九年度地方財政の収支はと書かぬで、「計画上の収支はかなりゆとりのあるものとなることが」明白になった。私、この論文を読んで、うまいこと書いたものだと感心した。しかし、あなたの本心は、昭和四十九年度地方財政そのものはかなりゆとりがある、こういうふうに理解しているのじゃないですか。文章じゃない、ほんとうの腹の中をはっきりしてください。
  111. 石原信雄

    ○石原説明員 先ほど来御指摘がありましたように、現実の地方財政の動きと、それから地方財政計画上にあらわれます数字とには毎年度かなりの乖離がございます。私ども地方財政の仕事に携わっておりますので、現実の財政の動きと、それから計画上の数字が必ずしも同じものであるというふうには考えておりません。  四十九年度の場合につきましては、一方では物価の問題あるいは景気の見通しの不安、いろいろな問題がありまして、現実の財政運営、現実の予算編成においてはかなり苦しいという声を訴える向きもあり、そういったことは私どもも十分承知いたしております。ただ、地方財政対策を講ずる場合におきましては、一定のルールといいますか、私ども大蔵省と財政の論議をする場合の一つの共通の土俵としまして、地方財政計画上の一定の収支の見込み方のルールを持っております。それによって収支の見通しを立てますと、かなりゆとりがあるものになるという状況にあったわけです。一例をあげますと、しょっちゅう議論になります国庫補助事業の単価の問題などにつきまして、国庫補助金の単価に乗っかる、国の予算編成の前提になります単価を適当に使うというような方法をとっておりますので、あくまでこれは、地方財政計画上の一定の約束ごとの上に立っての収支についてはゆとりがあるというふうに判断したわけでございます。
  112. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほど御指摘申し上げたように、計画と決算との間には二割五分あるいは三割前後の乖離があるわけでありますから、計画上はかなり収支にゆとりがある、こうおっしゃったので、なかなかうまいことを言ったと感心しているわけですが、私はいまのおことばで、計画上はわりあいゆとりがあるようにつくれたけれども、四十九年度地方財政というのはかなりきびしいものがある、こういうふうにいまあなたはお答えしたと理解してよろしいですか。
  113. 石原信雄

    ○石原説明員 きびしいといいますか、そういった声を私どもちょっと聞いておったという点は先ほど申し上げたわけであります。と申しますのは、たとえば投資的事業につきましては、総需要抑制という国の大方針に従って、地方財政計画上かなり抑制ぎみに積算しておりますけれども、現実の地方団体におきましてはなかなかそうは押えられないというような意見もあります。そこで、事業の組み方をどうするかというような方針の差によっては、収支は苦しくなるという事態が起こり得ると思いますけれども、私自身としては、国の総需要抑制の基本方針に沿った予算編成を行なう場合においては、収支バランスはとれるものというふうに考えております。
  114. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今度は局長にお聞きしますが、日本経済新聞の一月十五日号を見ますと、「四十九年度抑制予算をみる」という題で解説をいたしておりますが、昨年の十二月二十一日、四十九年度予算大蔵原案が示される前夜に、福田大蔵大臣と町村自治大臣が協議した。そして一定の結論が出たわけであります。その結論に対して松浦財政局長は、「万事うまくいった」、こういうふうに新聞記者に言ったと書いてある。万事うまくいったというのはどういうことですか。
  115. 松浦功

    ○松浦政府委員 千六百八十億の減額調整を受けることについて当省が積極的であるはずはございません。ただ、大蔵省の方針で総需要抑制をする、そのためには地方財政のほうにも、いま石原君から話がありましたように、いままでのようなやり方で計算をすると余裕があるじゃないか。そこで、貸しておるものを、少し時期は早いけれども返してくれないかという大蔵省からの申し込みがあったわけです。それに対しまして私どもといたしましては幾つかの条件をあげて、千六百八十億、もし大臣が御理解なされて減額調整に応じるということであれば、この金は地方財政に資するような形で使ってもらわなければ困るということをお話し合いをいたしました。それらのことについて基本的な詰めを行ないました結果、ほぼ当省が考えております方向が確認できた、そういうことでございますので、われわれとしてはうまくいった、こういう表現を使ったんだと思いますが、私はどうも「うまくいった」という表現を使ったかどうか記憶がございません。あるいは私が、無難にとかなんとか言ったことを新聞のほうでそういうふうにお書きになったのかもしれません。まあ、新聞に出ていることですから、絶対なかったということは申しませんけれども、真意はそういうところにございます。
  116. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞ですから、私は、言ったじゃないか、言わなかったということをここでやろうというわけじゃない。ただ、問題は自治省の基本的態度だ。  大臣、いらっしゃいますけれども財政局長は、地方財政計画上は四十九年度地方財政はかなりゆとりがあると判断をしている。あの千六百八十億の削減があった直後に、局長が「万事うまくいった」こう言っておるということになりますと、どうも大臣はそれをまともに受けて——大体何時間大蔵大臣自治大臣が折衝したか知りませんけれども新聞によりますときわめて簡単に、大蔵原案の発表の前にきまっているのですね。そのことはこの委員会でも議論がありました。千六百八十億の削減には反対である、こう与党の代表の方も質問しております。自治大臣、どういうふうな御判断をお持ちですか。財政局長は、うまくいきました、それでけっこうですと、財政課長は、ええ、財政上はゆとりがありますからけっこうですと、こう言った。それを、重要な補佐官の意見を尊重して、大蔵大臣から申し入れがあったので、ええけっこうです。異議ありません、こういうふうに簡単に答えたように新聞ではなっておるわけですね。どうなんですか、大臣
  117. 町村金五

    ○町村国務大臣 新聞に出ているほど簡単な経過でこれが決定したわけのものではございません。実はこういった、決定いたしましたような方向で、ことしの交付税については総需要抑制にひとつぜひ協力をしてもらいたい。そこで内容としては、いま借りている分を返してもらうような形で減額に応じてもらいたいという話は大蔵大臣から私にもございましたし、同時にその際、事務当局同士でもまたそういった話が当然行なわれておったわけでございます。  当時、こういったきわめて重大な措置を私が就任してすぐ講ずるということについては、よほど慎重にやらなければならないということは私も十分考えておりましたので、自治省としてはいろいろな角度からずいぶん検討を加えてきたわけでございます。その結果、いま財政局長が言われておりますように、最近における公共事業等におきまして、御承知のように地方の負担と申しましょうか、補助率等についてももっと改善を加えてもらわないと、事業の執行等にも困難を生ずるというようなものがございまして、かねて大蔵省とは、それぞれの省もやってはおりますけれども自治省もそういう点はかなり努力をしてきた。そういった点で、かなり今度は前進をするという点について大蔵省側も応じてくれるというようなこともあった。かたがた、本年は何と申しましても物価抑制のための総需要抑制という措置をどうしても強力にやらざるを得ない、こういう時期であるので、これに応じようという私の考えに対しまして、これはやむを得ないであろう。また、これに応じたからと申しまして、現段階では本年の地方財政運営に非常に重大な支障が起こるというようには考えなくてよろしいのではないかということで、内部における相談の結果、私としては大蔵大臣の申し出に応ずることにいたしたようなわけでございます。
  118. 細谷治嘉

    ○細谷委員 せんだってのこの委員会において委員の質問に対して、大臣は、事務当局とも相談して応じたということを言われました。松浦局長からは、応じたけれども、倒れても何かつかんでおったぞということで、譲ったことによってたいへん大きなメリットがありましたと、こういうお答えがありました。具体的に、その大きなメリットというのは何ですか。時間がありませんからそんなに内容にまで立ち入っていただく必要はないのですよ。
  119. 松浦功

    ○松浦政府委員 当時の大蔵省の予算編成段階で、大蔵省の方もおいでになりますが、総需要抑制という形で、補助率の引き上げなどというものは全然手をつけられない、そういうお考えのところに、われわれとしては、道路と同じような性格を持つ下水道などについてそのままにほっておくことは不届き千万である、あるいは人口急増地帯の補助率の引き上げをやってほしい、基地交付金——これは先生お気に召すのか召さないのかわかりませんけれども、基地交付金の問題についても、基地所在市町村は非常に困っておって、固定資産税相当額のものも入っていないじゃないか、そういった幾つかの問題を私のほうから提起いたしました。その問題に対する交渉を進めて、ほぼ私ども考えております線に大蔵省が同調してくれた。  そうすると、千六百八十億というものは、これは時期の問題がございますけれども、いずれ返さなければならない金である。返さなければならない金は、時期は早いけれども一応返す。そのかわり、返した金で地方財政が楽になるようにしてもらいたいという趣旨、いま申し上げたようなことについて申し入れをして実現をはかったつもりでございます。ちなみに、下水道の補助率の引き上げによりまする地方負担の減は五百五十億というふうに算定をいたしておりますが、そういうような形で積み上げてまいりますと、千六百八十億がすべて地方財政のほうへ回ったかどうか、これはちょっと数字の詰めができないかと思いますが、非常に大きな部分を地方財政のためにいろいろと配慮をしてもらったということは、言って差しつかえのないことではなかろうかと考えております。
  120. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞によりますと、その交付税減額の見返りとして、緊縮財政の中で地方財政対策として、一つ地方の超過負担の解消、二番目は下増対策の拡充、四番目は基地交付金の増額、五番目が大震火災対策、六番目が公立病院経営合理化対策、それから七番目が地方債資金の質の改善、これがいまおっしゃったようにたいへんなメリットがあった、こういうことだと思うのです。  その個々について、ここで本論に入る前でありますから、本論でまたやりますけれども、いまこの中では御努力を評価できるものもあります。御努力を評価できるものもありますけれども、全く評価できないものもある。それから、去年とあまり変わらぬじゃないか、メリットなんていうものじゃないじゃないか、値しないじゃないかというものもあります。私はそういうふうに、まことに残念でありますけれども、御努力は評価しますけれども内容はあまり評価できない、こう思っております。  このほかに何か大蔵省なりから条件をつけられたものはありませんか。いま私は新聞に書いてある七つをあげましたのですが、まだあったでしょう。自治省に対して注文つけられたものがあったでしょう。お答えできなければいいですよ。
  121. 松浦功

    ○松浦政府委員 私のほうからいろいろ注文をつけまして、なるほどちょっとむずかしいというような観点から一、二問題になっておるものもありますけれども、向こうから注文をつけられたということは全然ございません。
  122. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、ありませんでしたか。
  123. 町村金五

    ○町村国務大臣 私はなかったと承知しております。
  124. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いや、あったと私は仄聞しているのです。しかしきょうはその内容は申し上げません。  そこで、さっき言ったように、確かに七項目についてあるものは前進を見た。地方財政上よかったものもあり、たいして評価できないものもある。これはむしろ地方財政についてはあめとむちで、問題があるというようなものまで取り込んだ、その辺に議論の存するところでありますけれども、私はこういうことに関連して、従来の自治省交付税の問題についての基本的態度は総需要抑制という名のもとに放棄したのではないか。  と申しますのは、国家財政の中でフィスカルポリシー、こういうものが導入される際に、交付税率三二%の上げ下げというものが毎年予算編成の際に問題になってまいりました。その際に、地方交付税三二%というのが地方の自主財源である。地方の自主税源である。でありますから、国の一般会計予算を経由するのではなくて、いわゆる税の収納の特別会計から直ちに交付税譲与税特別会計に入れていくべきである、これが自治省の基本的態度であったと思うのであります。言ってみますならば、フィスカルポリシーには協力はいたしますけれども地方財政はその性格上、構造上、フィスカルポリシーの中に取り込むことはできないのです。これが自治省大蔵省に対する態度であったと思うのであります。今度は交換条件で七項目やったわけでありますから、その基本的態度は放棄なさったのかなさらなかったのか。依然として交付税についての考えは変わっていないとおっしゃるのかどうか、これを明らかにしていただきたい。
  125. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、交付税に対する考え方は、自治省といたしましてはごうも変わっておりません。先ほど大蔵大臣からもお話がございましたように、これまでのような考え方ではこの経済の動向というものを建て直すことはできないという内閣の強い決意、それにやはりこの際は自治省としても従わざるを得まいという判断、これは大臣がおっしゃられたとおりでございます。そういう判断から、千六百八十億については大蔵省の御要求に応じたわけでございますけれども、しかもこれは私どもがお借りしているものがなければおそらく最後まで絶対に抵抗したと思います。お借りしたものをただ早く返すという観点からの問題になりましたので、こういう時世のもとでは国の方針に協力せざるを得まいという判断をしたわけでございます。ただその際に、細谷先生御指摘のように、私どもとしては、かりに借りておるものを返すにしても、あとで返せばいいものをことし返すのだから、それはできるだけ地方財政に役に立つように使ってほしいということを強く大蔵省にお願いをしたというのがほんとうの気持ちでございます。
  126. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの答弁で、自治省のいわゆる交付税についての基本的な方針、態度は変わっていないということであります。  それではお尋ねいたしますけれども、四十四年の一月六日に、当時の大蔵大臣と、なくなりました当時の自治大臣野田武夫さんとの間に覚え書きがあります。その覚え書きの第一項に「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととするとともに、」と書いてあります。大臣にお尋ねしたいのでありますが、覚え書きは四十四年でありまして、ことしは四十九年でありますから、五年ぐらいたっている。ですから、「当分の間」というのは過ぎたんでしょうか。  お尋ねしたいのは、大臣がこの委員会における所信表明の冒頭、戦後、二十二年に自治法というのができました。そして国費職員というのは、「当分の間」国費職員といって、戦後二十何年まだつながっているんですよ、もう三十年近くつながっているんです。それから学校図書館法には司書教諭というのがあります。司書教諭は置かなければならぬ。ただし「当分の間」というのでいまだに続いているのですよ。この場合は三十年が「当分の間」でまだつながる。この覚え書きというのはもう二、三年ということですか。私は、「当分の間」というのが、こんな行政上一貫しないやり方というのはどうしても解せない。四十四年に約束して、「当分の間」やらぬというのが、四十九年になったら「当分の間」が消えた、一方では「当分の間」が堂々と三十年もまかり通っている。大臣、どうお思いですか。
  127. 町村金五

    ○町村国務大臣 確かに、当時大蔵大臣自治大臣との間に、「当分の間」こういうようなものは今後は避けるようにするという覚え書きがかわされたことは、実はこの減額調整お話大蔵省からございましたときに、事務当局からも実はこういうようなものもあるのだという点について私も報告を受け、そして検討はいたしたのでございますが、先ほど来申し上げておりまするように、何といっても今日のわが国としては、物価の早急な鎮静をはかるためのいわゆる総需要抑制というものを強力に推進しなければならぬという一種の緊急事態のもとにおける緊急措置だということでございますので、こういった覚え書きはございますけれども、この際はこの緊急の措置自治省としても応じて協力をしなければならぬ、実はこういう判断に到達をいたしたのでございまして、「当分の間」が過ぎたとか過ぎないとかいうことは、実は当時その問題は特に論議はいたさなかったようなわけなのであります。
  128. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わからないといえばわからない。大臣、やはり「当分の間」というものは常識的に当分の間だと思うのです。そうなってまいりますと、大臣がこの委員会で約束したことまで話ができないで、二十八年も九年も「当分の間」を続けるというのは、これはやはりおかしいと思うのです。ですから大臣、よく沖繩返還の際に、いわゆる数年というやつは両三年だというようなことでずいぶんもめたことがありますけれども、「当分の間」というのはまさしく当分の間で、「当分の間」で法律の本則がひっくり返るようなことはおやめになったほうがいいと思うのです。  そこでちょっとお尋ねしておきたいと思うのでありますが、この覚え書きの中に「別途地方交付税年度間調整措置を検討する。」こういう字句がございます。私は、別途年度間調整について検討するということについて結論が出ないのでまたこういうことになったのじゃないか、こう思うのですよ。「当分の間」ははずしてしまったけれども、その間、当分の間やるべきことをやっていないところに問題があるのじゃないか。これはどこに難点があるのですか。
  129. 松浦功

    ○松浦政府委員 年度間調整というものをどういう形でやるかという基本的な問題にいろいろ議論もあるようでございますが、先ほどの大蔵大臣への御質問にもございましたように、大蔵省は直入は絶対反対である、当省は直入をやってくれ、こういったところにも大きな難関があるように存じております。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題につきましては、第十五次の地方制度調査会が「今後の地方財政のあり方に関する中間答申」ということで、この問題についていっております。  第一は、原則的には地方財政法第四条の三によるべきである。先ほどあなたが、基本的態度はごうも変わっていないという、その態度が基本である、こういっております。  二番目に、最近国税三税の大幅な増減収があるため、地方交付税の安定的確保をはかる必要がある。いわゆる自治省の基本的態度に基づいて、そして安定的確保をはかるということでありますから、国と地方との間でやるのじゃありませんよ、交付税率を上げ下げする年度間調整でありませんよということをいっております。  三番目に、この場合に、地方固有財源としての地方交付税の基本的性格に立脚して、国の一般会計を通ずることなく、地方譲与税と同様、国税収納金整理資金から直接特別会計に繰り入れる措置を講ずべきであると指摘しております。これについては大蔵省ががんとして受け付けておらない。  それから四番目に、年度間調整を実施するため、一定基準に従って行なうようあらかじめルール確立することが望ましいが、その具体的な内容については引き続き検討する、こういっております。  大蔵省、おいでになっておりますね。なぜ断固反対しているのですか、年度間調整というものを検討するといっておきながら。あなたのほうの考えはどういうことですか。
  131. 名本公洲

    ○名本説明員 その点につきましては先ほども大蔵大臣のお答えしたところでございますけれども、まず一つの大きな問題としまして、財政局長もお答えになりましたように直入論の問題がございます。この問題につきましては、まず酒税、所得税、法人税という、国の主力財源をなしておるものにつきまして、これを二つに分けまして、片や一般財源、片や特別会計というふうに分かれてまいりますことは、その税の仕組みとしまして非常にわかりにくくなる。その上に持ってまいりまして、そういうことでございますので、そういう主力財源につきまして国民の方々に税の成り立ちというもの、そしてどのくらいのどういう税負担になっておるかというようなことをよくわかっていただくためにも、そういうところを一つにまとめてまいるというような考え方を私どもはどうしても持っておるわけでございます。それからまた、現在の交付税法の前身でございます、戦前からございました配布税法、そういうようなときにおきましても、同じように一たん一般会計に入れまして、それを地方特別会計のほうに入れまして交付するというような、そういうような歴史的な経緯もこれあるわけでございます。  さらに、そういう直入論のほかに、年度間調整の問題といたしましては、先生御指摘のございましたように、財政法の規定にありますように地方の団体においてやるという方法、それから特別会計の中でやるという方法、あるいは一般会計から特別会計に入れる段階でやるという、そういうふうに段階的に考えますと三つの方法があるわけでございますが、それはどこでどういうふうにやればよろしいか。たとえば特別会計の中でこれを留保する、あるいは一般会計から特別会計へ入れる前に留保するということになってまいりますと、そもそも御専門でいらっしゃいます先生にこんなことを申し上げるのはたいへん恐縮でございますけれども、例の平衡交付金時代に、平衡交付金の額をきめるにつきまして非常に大きな議論が毎年毎年あった。そういうことを避けるために交付税法というような制度が設けられたという一つの経緯もあるわけでございますから、幾らのお金を年度間調整用としまして留保したらよろしいのかという問題につきまして、これはまた非常に算定がむずかしい問題が出てくるというような問題もございまして、自治省それから私どものほう、おのおのお互いに研究もし、意見の交換もいたしておるのでございますけれども、まだそれは成案が得られる段階に至っていないということでございます。  私どもとしまして、年度間調整につきましてこれに反対するというのではなくて、いかにすれば最も合理的であり、かつ、かつて平衡交付金時代のような毎年毎年の大議論を呼ばないような制度ができるかということを、自治省当局と御相談申し上げながら研究をしておるというのが現在の段階でございます。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷委員 「当分の間」が済んでしまったのに、こういう問題について結論も出ておらぬというのはおかしいじゃないですか。こういう問題については幾つかの提言がありますよ。大蔵省の協力をいただいたという、名古屋大学の藤田晴という教授がおりますが、「日本財政論」という本を書いていますよ。その中にも、交付税年度間調整というのは、三税というものの弾性値が大きいだけに、景気、不景気の場合のフィスカルポリシーを推進する意味においても年度間調整が必要である。その場合に、国と地方ではなくて、やはり自治省が主張したような特別会計の場においてやったらどうか。地方制度調査会が主張している原則は、全部必要なら配ってしまって、地方団体独自でその辺の積み立てをさせておけばいいじゃないか、調整をさせればいいじゃないかというけれども、きのうの参考人も言っておりましたように、地方団体三千もあるところでは、どうしてもミクロの判断しかできないから、やはりマクロ的に特別会計の場においてやるのが妥当である、こういう参考人意見もありました。大蔵省が協力してやった「日本財政論」の中にも藤田教授の提言もある。「当分の間」は済んでしまったのにこれはまだ結論が出ません。これも三十年も続けるつもりですか。おかしいじゃないですか。私はおかしいと思うのですよ。大臣、これはどうお思いですか。
  133. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほど御指摘いただきました大蔵大臣自治大臣の覚え書き、これは、「当分の間」こういうことはしないとともに何々することとし、「別途年度間調整措置を検討する。」こうなっております。私どもとしてはまだこの覚え書きは、「当分の間」で当然生きておるという考え方でおったわけでございます。この「当分の間」についてはいろいろと御意見がございます。この全体の文意から解釈をすると、年度間調整の方法を見出して、そこで初めてこの覚え書きの効果がなくなるというふうに、「当分の間」という字句だけにとらわれずに私はざっぱくに読んでおりました。しかし「当分の間」が三十年だとおっしゃられると、それは私も非常におかしいと思います。年度間調整のよりよき案を求めることに最大の努力をいたしまして、そしてこの覚え書きが実質的に姿を消すことになるようにつとめさしていただきたいと思います。
  134. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、お答えなかったのですけれども、私はやはり自治省の基本的な立場、第十五次地方制度調査会の答申の原則、こういうことを踏まえて、藤田教授の「日本財政論」における提言もあるわけでありますから、そういうことで年度間調整をやることが、千六百八十億なんという問題を起こさない、そして安定的に交付税ができる、あるいは景気の変動に対応できるということになると思うのでありますから、真剣に、やはりいま申し上げた前提に立って基本的態度で検討をし、成案を得るべきだと私は思うのですけれども大臣のひとつ決意のほどを承りたいと思います。
  135. 町村金五

    ○町村国務大臣 実は私も、この交付税年度間調整ということは、先般こちらへ参りましてから、財政当局からいろいろ今日までの大蔵省との間の話し合いの経緯等については報告を受けたのでございます。ただ、いまだ最終的な結論を得るに至っていない、こういうことであったのであります。  私も実は、地方交付税というものの額が三税の三二%ということでございますから、三税そのものが景気の好況、不況によって非常な大きな差異が年によって出てくるわけでございますが、一方交付税というものは、われわれから考えますと地方団体に対して安定的な財源を常に確保するというたてまえのものでございますので、この年度間調整ということばがいろいろ私はその解釈があるんだろうと思いますけれども、私は私なりに解釈いたしまして、むしろこれはそういった、いわば、ときに非常に増額され、あるいはときに思ったほどふえないという場合の年度間の調整をはかるということは、私はまあこれはむしろしかるべき事柄だというように、実はこの文言だけを表面的に見ますとそういう感じがしておりまして、ぜひそういうふうにあってしかるべきではないかというように申しておるのでございますけれども、これにはいろいろなまたむずかしい、私どもがちょっと知らない、検討をしていないようなむずかしい問題等も多々あるということを聞いておりますので、ぜひひとつこの点は、交付税そのものの今日ある立場と申しましょうか、存在というものが十分生かされていくようなぐあいに、この年度間調整の問題をぜひもう少し掘り下げて検討し、両者の間で話し合いが煮詰まるようにありたいものだ、こう私も念じております。
  136. 細谷治嘉

    ○細谷委員 両省の間でというので、国と地方とのことでは困るわけですから、ひとつ十分に検討して成案を得ていただきたい。地方制度調査会も検討しておるようでありますから、ひとつこの点は特に要望を申し上げておきたいと思います。  そこでもう一点、マクロな質問でありますけれども、先ほど質問いたしましたこの地方財政白書について、これに基づいて、どうも数字がまだ私もきちんとしておりませんけれども、一体、地方財政の中で、地方財政の現況なりあるいは交付税役割りというものを、この数字を見て心配しております。そのことは、都道府県の例をとりますと、一般財源の人口一人当たりの額というのを財政白書から拾ってみますと、昭和四十五年は都道府県の総平均が大体、一般財源が五二・四でありました。ところが四十七年度の決算を見ますと、これに書いてありますように、四六・一であります。四十五年と四十七年の分母が、人口が違っておらなければ、違っておってもそう大きな判断の違いにならぬと思いますけれども、五二・四という一般財源の構成比が四六・一に下がったということは、これは地方財政一般財源のウエートが大きく下がったということを意味すると思うのであります。  それからもう一つの点は、これにも書いてありますように、たとえば一番高い大阪府を例にとりますと、四十七年度には五四・五であります。一番自主財源がない、税源がない鹿児島県が、一般財源がどうあるかというと四三・四であります。言ってみますと、トップとびりのほうでは、大阪と鹿児島県では自主財源の比率が一一・一%違いがあります。これはかなり大きな問題ですね。いわゆる地方税、譲与税、交付税を加えた財政の構成比というのが、大阪と鹿児島では一一%も違う。四十六年度の決算ではどうかと、いますと一〇・二であります。  歴史的にずっと精査しておりませんけれども、どうもこの格差が開いていっているように私は思うのであります。このことはやはり、税源とそれから交付税とのいわゆる相補い合う形における交付税制度になお問題点があるのじゃないか。自主財源のないところに傾斜的に交付税を配っていく、こういうことは交付税役割りでありますけれども、そういう点でこの統計表を見ても心配の数々がある、こういうふうな印象を持っております。こういう点について自治省大蔵省はどう見ているのか、お答えいただきたい。
  137. 松浦功

    ○松浦政府委員 初めに御指摘をいただきました、自主財源が五〇%台から四六に落ちてきているじゃないかという問題でございますが、これは、自主財源の割合というものは、ほかの歳入が多くなってまいりますると、税が、あるいは交付税が相当伸びておっても率が下がってくるわけでございます。特に御指摘をいただきました年次においては、仕事をどんどんやらなければいけないということでワク外債をどんどん認めたというような形で、地方債の割合が非常にふえております。それから国庫支出金につきましても、公共事業を大幅にふやしておる、そういう影響が端的にあらわれてきておると思います。逆に申し上げますと、本年度財政計画におきましては去年より自主財源が逆に上がってくるということは、公共事業費が圧縮される、すなわち国庫支出金が減ってくる、こういうこと等もからんでおりますので、一がいには一般財源が減っておるとは申せないかと思いますけれども、ともかく地方財政のためには自主財源が少しでも多いほうがいいことは間違いないわけでございます。今後地方税の税源強化あるいはその他の問題について、自治省としては当然のことながら十分配慮をしていくべきだと考えております。
  138. 名本公洲

    ○名本説明員 ただいま財政局長がお答えになりましたとおりでございますけれども、いわゆる一般財源以外の財源、特定財源あるいは地方債、そういうようなものにつきまして考えますと、これは景気の問題がございます。ちょうど四十七年当時におきましては景気のてこ入れという問題がございまして、公共事業を大いに伸ばすというような時代でございました。したがいまして、そういう意味におきまして地方にも御協力をいただきまして、国庫負担金をふやしますと同時に地方債等も伸ばしてまいりました。しかし、財政局長申し述べましたとおり、四十九年度には、そういう点におきまして総需要抑制の面から圧縮するということになってまいります。したがいまして、そういう景気の調整、いわゆるフィスカルポリシーという面から見まして、自主財源の全体の歳入に占める率というものが、場合によっては上がり場合によっては下がってくる、これはやむを得ないことではないか、かように考えております。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 簡単にやむを得ないと言うが、私は、都道府県のグループ別のこれを基礎にして議論しておるわけです。これは都道府県ですけれども市町村はもっと厚いやつがあるんですよ。私が申し上げた自主財源が多いところと悪いところでは、構成比で一〇%以上違う。三千二百幾つある市町村の場合はそんなものじゃないですよ。もっとひどいですよ。県が一〇%ならば、市町村ではこんなにあるんですよ。そこで、三千の自治体を全部つかむことはできないでしょうけれども、そこに交付税役割りがあるわけであって、いまのような大蔵省の認識ではどうにもならぬ、こう思います。これは具体的な問題をあげてこれから議論をしたいと思いますけれども、本会議のベルが鳴りましたので、本会議後にさらに質問することにいたしまして、一応終わらしていただきます。
  140. 中山利生

    中山(利)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————    午後三時十九分開議
  141. 伊能繁次郎

    伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本案に対する質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  142. 細谷治嘉

    ○細谷委員 引き続いて御質問申し上げますが、昭和四十九年度のこの法律案に盛られておりますものが実施されたとした場合に、補正による増加需要額というのは一体どのくらいになるのか、お尋ねいたします。
  143. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十九年度財政計画ではまかない切れない補正要因、こういうお尋ねだと思いますが、これについては私どもはちょっと何ともいまの段階では申し上げかねます。ベース改定の率が何%になるのか、あるいはきょう午前中議論になっておりました物価の問題……
  144. 細谷治嘉

    ○細谷委員 残念ながら私の質問の意味を取り違えていらっしゃるようでありますが、私がお尋ねしたいことは、地方交付税法十三条による各種補正というものが行なわれるわけであります。その各種補正による増加需要額は総額でどのくらいになる見込みか、これをお尋ねしておるわけであります。
  145. 森審一

    ○森説明員 四十八年度の実績で申し上げますと、補正による増加額が、道府県分におきましては、寒冷補正が三百九十六億、事業費補正が六百二十八億、密度補正が四百八十六億、僻地補正が六十億、人口急増補正が五十四億でございます。市町村分につきましては、寒帯補正が四百五十七億、事業費補正が三千三百四十一億、密度補正が百八十億、人口急増補正の一が二百六十七億、同じく人口急増補正の二が三百二十九億、数値急減補正が二百四十七億、隔遠地補正が四十一億、大体以上でございます。
  146. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おたくのほうから出ましたこの資料、六ページの道府県分の主要費目の増加需要額、それから七ページに市町村分がありますね。これは合計いたしまして、あなたのほうの増加需要額というのは道府県分が五千七百六十三億、市町村分が四千九百二億です。これは増加需要額ですけれども、いまの補正による増加需要額というのはどうして資料として出さないのですか。わかっているなら出せばいいじゃないですか。ぺらぺらっといま言ったって検討できませんよ。  それではお尋ねいたします。おたくのほうの「地方財政要覧」というのが出ていますね。その本御存じでしょう。「地方財政要覧」という本が毎年出ているでしょう。その「地方財政要覧」を見ますと、「特別な補正による増加需要額」というものが一覧表として出ております。お尋ねいたしますが、四十七年度は特別な補正による増加需要額というのが、道府県分において交付、不交付の合計九百六十九億、市町村分が合計三千七百六十五億、合わせまして四千七百三十四億、地方交付税の総額二兆四千六十五億に対して一九・七%である。これは確認できますか。
  147. 森審一

    ○森説明員 失礼いたしました。先ほど申し上げましたのは、補正による増加額としまして府県分、市町村分に分けまして各補正の種類ごとに申し上げましたが、その数字は実は四十八年度の実績でございます。先ほど言われました国会提出資料の六ページないしは七ページに掲げてございます増加需要額は、これは補正による増加需要額ではなくて、四十八年度需要額に対する四十九年度需要額の差額、つまり四十九年度が四十八年度よりも増加すると見込まれる額、これをあげたものでございます。
  148. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の質問もちょっとまごついたんだけれども、さっき私が申し上げました四十七年度の特別な補正による増加需要額、交付税法十三条に基づく増加需要額は、都道府県市町村合わせて四千七百三十四億、間違いないかと、こう言っているわけです。——交付税課長、きのうあなたのほうの理事官が来たんですよ。私はどういう質問をするかということを洗いざらいこの原稿をあげて見て行かせたんですよ。それで答弁できないのですか。全部資料あげたんですよ。こういう形で質問しますからって資料まであげて、そしてわからないんですか、冗談じゃないですよ。
  149. 森審一

    ○森説明員 四十七年度の補正による増加需要額は県分が千三百三十六億円、市町村分が三千七百七十四億円、合計五千百十億円でございます。
  150. 細谷治嘉

    ○細谷委員 府県分について私の数字と若干違います。私は自治省編集の「地方財政要覧」から取り上げたわけでございます。市町村分については大きな狂いがありませんが。そうしますと、その年の交付税に対してどのくらいの割合になっていますか。
  151. 森審一

    ○森説明員 割合について申し上げますと、府県分につきましては、需要額の四・四%、市町村分につきましては一四・〇%、平均八・九%ということになっております。
  152. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の質問をよく聞いておいていただきたい。私は、都道府県の特別な補正による増加需要額は九百六十九億円であろう、そして市町村の場合に三千七百六十五億になっている。両方合わせて四千七百三十四億円で、四十七年度交付税総額二兆四千六十五億に対して一九・七%になっているんですよ。あなたのおっしゃったその数字は私よりも大きくて、それで率だけは小さくなっているのはおかしいじゃないですか。はっきり答えてくださいよ。
  153. 森審一

    ○森説明員 私が申し上げたのは、基準財政需要額に対する補正による増加額の比率でございますので、先生おっしゃいました交付税額に対する補正による増加需要額の比率ではございませんので、そこで数字が違っておると思います。
  154. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは交付税に対してお答えいただきたい。四十八年度は——私の数字は私か計算したのでありますから若干違っておるかもしれませんけれども、四十八年度は、道府県の特別な補正による増加需要額というものは千五百七十六億、そのうち交付団体分が千二百六十三億、市町村分が四千八百六十六億、うち交付団体分が四千五百三十一億、交付、不交付合わせた都道府県市町村の合計は六千四百四十二億。そういたしますと交付税に対して二一・八%、この数字は大体了承できますか。
  155. 森審一

    ○森説明員 私のほうの数字を申し上げますと、四十八年度の補正による増加需要額は、府県分におきまして千六百四十四億、市町村分におきまして四千九百七十三億、合計六千六百十七億で、先生のおっしゃった数字と非常に類似しております。なお、交付税に対する比率は現在のところまだ出しておりません。
  156. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはあなたのほうから出た資料を私が拾って計算したのだからそう違うはずがない。二一・八%、二二%ですね。  そこで局長、もうあまりまだるっこくていけませんから、私申しますと、同じように私は四十三年度について拾ってみました。この特別な補正による増加需要額は、四十三年度交付税に対して一六・九%です。四十七年度が一九・七%です。四十八年度が二一・八%です。だんだん、だんだんと特別な補正による増加需要額の交付税に対するウエートは大きくなっていっております。このことは、補正というものがどんどん拡大していっておるということを意味するわけでありますが、お認めいただけますか。
  157. 松浦功

    ○松浦政府委員 そのとおりでございます。
  158. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、このような補正が、交付税法十三条に基づく各種補正が交付税総額の二割をこすという事態がいいか悪いか、こういう問題であります。申すまでもなく交付税は、単位費用については法律で決定いたしますけれども、その単位費用にいろいろな補正がかけられます。その補正は十三条できめられておるわけでありますけれども、その内容はすべて政令にゆだねられておるわけであります。言ってみますならば、法律で単位費用をきめますけれども、政令できめられた補正によりまして大きく法定の単位費用がゆがめられて、そしていまや特別な補正による増加需要というものが交付税総額の二割をこすに至ったということがいい姿かどうか。昨日の参考人は、こういう補正によって交付税がいよいよ複雑になっていくので、いよいよわからなくなっていく、もっと簡素化すべきである、そして一般の人がわかるようにすべきである、こういう主張をなさいました。私も全く同感であります。いま私が指摘したことについてどうお考えか、御答弁いただきます。
  159. 松浦功

    ○松浦政府委員 私も十数年前に財政課の課長補佐として勤務したことがございますが、新しく財政局長になってみまして、実はあまりにも複雑なのにびっくりしている、これは本音でございます。ただ問題は、いろいろと交付税制度が地方団体あるいは学者の先生方、あるいは国会議員の先生方に深く御研究をいただいて、だんだんと公平性の確保という点からこういう点に配慮をすべきだという御意見が積み重なって、次第にこういう形になってきているという一面も否定はできないと思うのであります。私といたしましては、きのうの参考人の御発言にもございましたように、また地方制度調査会の十五次の答申の中にも簡素化の問題に触れておるところでございますが、簡素化という方向と、それから実態と申すとおかしゅうございますが、地方団体間の公平性の確保、こういう点とをどこでつなぎ合わせるかという問題だと思います。公平性を失わず、なおかつどれだけ簡素化できるかという、両方が納得する答えというものはなかなかむずかしいかと思いますが、その答えを得るべく今後努力を重ねていきたいと思います。
  160. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、交付税総額の二割をこえるに至ったという、そういう巨額の補正が、補正を積み上げることによって生まれてきた。それは年々ふえていっておる。そしていまや、法定した単位費用の本質そのもの自体が補正の積み重ねによってゆがんでしまった、現実にそぐわなくなった、こういうことを指摘いたしたいのであります。  具体的な例を申し上げてみたいと思います。これは自治省の資料に基づいて私が算出したわけでありますけれども、都道府県分の経常経費の土木関係費で道路橋梁費、道路の面積に基づいて行なうわけでありますけれども、補正前が四十八年度の場合に九千六百三十八億円、種別補正後はどうかといいますと、九千六百七十四億円でこれはあまり違いません。最後の補正をしたものが、補正前は九千六百三十八億円であったものが、補正後は一兆三千八百四十七億円となります、測定単位の集計されたものが。言ってみますと、単位費用で機械的に計算されたものから四三%の乖離があるわけであります。その次に産業経済の商工行政費を見ますと、補正前が千四十七億円、補正後が千六百七十一億円で五九%の乖離がございます。たとえば今度は土木費の河川の投資的経費でありますが、河川の延長が測定単位になりますけれども、補正前が二千三百十億円でありますけれども、補正後は四千七十七億円であります。言ってみますと七七%、補正によって変わってきているということであります。反面、徴税費を見てみますと、これは税額について単位費用がきまるわけでありますけれども補正前が一兆五千二百六十六億円、補正後は七千六十四億円、三九・六%、言ってみますと、補正前の四割、六〇%の乖離が起こっております。単位費用を法定したものが、七〇%とか六〇%も乖離してよろしいかどうか、こういう問題があります。  これは都道府県の場合でありますからこういうことでありますけれども市町村になりますとこれはたいへんな、話にならぬ乖離が起こっております。一例をちょっと申し上げます。道路橋梁費については補正前と補正後の乖離は一一六・五%であります。言ってみますと、単位費用から機械的に出された数値と補正後は二・一六倍になっているということであります。教育関係の小学校費はどうかといいますと、驚くなかれ一四八〇%の乖離があるのです。中学校は一〇八五%の乖離があります。土木の投資的経費の道路橋梁の場合は二九七%の乖離があります。例をあげると切りがありません。  こういうふうになってまいりますと、法律できめた単位費用というのは意味があるのかないのか、問題であります。私が指摘したことは大体認められるかどうか。いかぬければ数字を突き合わせますよ。
  161. 松浦功

    ○松浦政府委員 私のほうで補正前と補正後の数値が一番違っておるのは五倍見当でございますので、一四〇〇とおっしゃられたのが二つございましたけれども、われわれにはちょっと見当がつかないのでございますが、千四百何%とおっしゃられたのは、たしか二カ所あったはずでございますが、もう一度……。
  162. 細谷治嘉

    ○細谷委員 申し上げますと、経常経費の教育費の小学校費の学校数であります。中学校は同様にこれも学校数であります。それから投資的経費の道路橋梁は、道路の延長の部分、さらにいま問題の下水道費、これは補正前の五・一三倍になっております。ですから、あなたが言った最高限の五〇〇%になっておるわけですね。正確には五一三%。都市計画は計画人口に対して四八〇%、清掃費は三〇五%、こういうふうになっております。私が申し上げました十倍とか十五倍というのは、これは経常経費の学校のところにありますけれども、ほかのところでもこれは四倍とか五倍とかというのはうんとあるのですよ。これをお認めになるかどうか。
  163. 松浦功

    ○松浦政府委員 いまの学校数のところは、こちらでお示しをする数字の点の打ち方が悪かったのだと思いますが、小学校の校数で見ますと、補正前が二万四千四百五十三、それに対して補正後の数値は二万六千三百七十七・八〇でございます。したがって、先生のおっしゃられるような計算でございますと一・〇八ということで、私のほうで点を打って、端数を切り捨ててお出しすればよかったのですが、小数点以下を出しているために先生が二けた、けたを取り違えられる形になっておるのじゃないかと思いますけれども、その他のことについては先生のおっしゃるとおりの数字だと思います。
  164. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も資料を見るときに大体三けたごとにちょんちょんとやっておるのだけれども、この部分については確かに二けたでちょんとあったので、これは数字の扱いの間違いかなと見ておりましたが、この問題は全体の補正額に対しては大きなウエートを持っておりません。いまあなたのほうで、小数点の打ち方が悪かったのだ、こういうことであります。その点は了承いたしますけれども、大きな違いのところは認める。  それでは徴税費についてはお認めになりますか。市町村の場合の徴税費は補正前と補正後では半分になっております。
  165. 松浦功

    ○松浦政府委員 認めます。
  166. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで私もさらに立ち入って、大都市と市町村というのに対して一いわゆる標準都市十万でいっておりますから、大都市、いわゆる百万以上の都市と普通の町村の間で、この測定単位による補正前、補正後の数字がどういうふうに狂っているのか、違いがあるかということを比較してみました。  そうすると、大都市の場合には、道路橋梁費は補正前と補正後では、補正後が約四倍、それから町村の場合には補正後が八八・七%となっております。投資的経費では、大都市は補正前と補正後では十四倍になっております。それから町村の場合には一・七六倍であります。それから清掃費はどうかといいますと、大都市の場合は二・九倍です。町村の場合はちょうど一・〇九であります。徴税費の場合は、大都市の場合は三六・六%、ですから単位費用の三分の一になってしまっている。町村の場合は一一二%でありますから、単位費用に一割二分加算されている、こういうことであります。この事実をお認めになりますか。
  167. 松浦功

    ○松浦政府委員 そのとおりであります。
  168. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そのとおりですね。  そこで私は、大臣、ひとつ決断をお願いしたいのです。都道府県の場合は百七十万というのが標準団体になっておりまして、そして一番多いところは一千万とかありますけれども、大体において標準団体一つでカバーできておる。言ってみますと、百七十万を標準団体として選んで、そこできめられた単位費用というのが補正をされても、大きく開いても大体六〇%ぐらい、こういうことであります。でありますから、単位費用を法律できめたわけでありますから、それを一〇〇としますと、五〇から一五〇ぐらいの間におさまっているのならいいのでありますけれども、一〇〇であるべきものが補正したために五〇〇とか一〇〇〇になっているという、この市町村の実態というのは、間違いなく、十万の標準団体で三百万の大都市も一万人の町村も全部それでカバーするということはむずかしいのだ。そういうことを無理してやっているものですから、一見精緻、巧緻なように見えますけれども、補正を重ねることによって本質が失われた、こういうようなことになっていると思うのであります。  きのうの参考人も、やはり一万から三百万を一つの基準で、ものさしではかるということはできないですから、町村なり都市、あるいは大都市と、こういう三つぐらいに分けて、そうして単位費用を決定して適度な補正をする、こういうことが正しい、そうしていただきたいということを訴えておりました。私もいま申し上げた根拠からいって、そうしなければいよいよ交付税は不明朗化をする、法律できめたものをどんどん政令がひっくり返しておる、こういうことになろうかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  169. 松浦功

    ○松浦政府委員 問題は二つあると思うのでございますが、補正というものがあまり大幅に働き過ぎて、本来国会で御議決を願った単位費用というものの精神から離れるという御指摘一つ。もう一つは、むやみやたらな補正で精緻に見えるような算定方式をやめて、団体を政令都市あるいは十万市あるいは一万町村というぐらいに分けて、別々に単位費用をつくったらどうかという、二つのお説であろうかと思います。  前段の問題については、先ほど来申し上げておりますように、もともときわめて簡素な形で、人口、面積というものを主体にはじいておったわけでございますが、そうなりますと、非常に人口の薄いところとかあるいは面積の狭いところ、こういうところが非常に財政的に現実に圧迫を受けてくるということから、次第にこういうふうに複雑になってきたと思っております。しかし複雑化するばかりが能ではございません、できるだけ簡素化の方向をとりながら、いまのような均衡のとれた配分ができるように努力したいということは先ほどもお答えを申し上げたとおりでございます。  またさらに、大都市、都市、町村、そういうふうに分けたらどうだというお説でございますが、これは確かにそういう考え方一つ考え方で、われわれも検討いたしてみました。過去にも、私も課長補佐時代に検討したことがございますが、これを行ないますと非常に内容が複雑になってまいりまして、かえって交付税の簡素化という方向からは逆行するようなおそれもございます。また同時に、財政計画がきまりましてから単位費用を算定いたしまして、国会のほうに御提出を申し上げるのでございますが、これを三つに分けて計算するというのは、いまのような時間的な間差ではまず実施不可能だというふうにわれわれは事務的に考えておるわけでございます。そういう意味で、せっかくの御指摘でございますが、私ども検討をなお続け、努力もいたしてみますけれども、現在の段階で直ちに市町村分の単位費用を分割するというようなことは非常にむずかしいかと思っております。  ただ、先生御指摘をいただいておりますように、それぞれ段階補正なり権能差補正なり、いろいろな補正がございますが、たとえば端的に段階補正を一つとりますと、二百万、百万、四十万、二十五万、十万、三万、二万、一万二千、四千、それだけの段階区分を設けて、単位費用をつくったと同じような形である程度作業をいたしました上で補正係数を出しております。そういう意味では、なるほど十万の標準団体の単位費用を使って補正で動かすのは絶対にいけないのだということになれば、単位費用をばらばらにしなければならないことになろうかと思いますが、私どもとしては、単位費用をばらばらにしたと同じような形になるように補正で努力をしておるというふうに御理解をいただきたいのでございます。
  170. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、補正というのは絶対使っちゃいかぬなんということは言っていないのです。補正によって、法律できめられた単位費用というものが政令によってもとの姿が全くうせてしまう。そういうあり方が問題があるじゃないか。法律よりも政令が先行するなんということは許されないことだと思うのです。何のためにわれわれが時間を使って、ここで交付税の問題を真剣に審議しているのですか。審議して単位費用きめましたけれども、その単位費用で計算したものよりも、あるものは五倍にもなっている、あるものは十倍にもなっている、あるものは三分の一になっている、こういうことは私は許されないと思います。ことわざに、急がば回れということがあります。単位費用を三つの段階に標準団体を選ぶということは、一見、単位費用は複雑になりますけれども、複雑な補正というのがなくなるし、そして妥当な範囲内において測定単位がきまってくるわけでありますから、そういう道を選ぶべきである。これは法律と政令との関係からいっても当然のことだと私は思うのです。大臣、ひとつ御答弁いただきたい。
  171. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいまのお話を伺って、私どもも実は交付税というものの勉強がはなはだ不十分でございまして、たまに、今度も法律を見たのでございますけれども、どうもなかなかよく私どもにも頭に入らぬ。ただいまもお話がございましたが、法律できめられておるものが政令で非常に曲げられてしまっておるという結果が実際に出ておることは、はなはだおもしろくないではないか。確かに私も御指摘のとおりであろうという感じがいたすのでございます。  ただ、財政局長からもお答えを申し上げておりまするように、いまかりに、もう少し単位団体の規模を同じくしたようなことにして幾つかに分けてやるということは、私必ずしも不可能なことであるとは思わず、またそのほうが実際に近いようなことになるという御指摘はごもっともじゃないかと思いますけれども、事務当局といたしましては、今日の段階でそれは非常にむずかしい、こういうふうなお答えを申し上げておりますので、いま細谷議員のおっしゃるようなぐあいにさせるというお答えは、今日のところ私としてはどうもいたしかねるような次第でございます。
  172. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはやはり法律と政令との関係、現実に交付税というものを国民にわかりやすくする、あるいはわれわれ審議しておる議員にもわかりやすくする、こういう意味において御検討をいただかなければならぬ。しかも、二兆数千億というばく大な金を配分するわけでありますから、公平の原則は貫かなきゃならぬわけでありますから、ひとつ具体的に御検討をしていただいて、そして来年度あたりにぜひひとつそういうことをとっていただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。  そこで、さらにお尋ねいたすわけでありますけれども、四十八年度の事業費補正であります。いまも申し上げましたように、補正額の一番大きいのは何といっても市町村であります。その市町村の中におきましても、ばく大な補正がありますけれども、その中における事業費補正、これが言ってみますと半分占めております。それでは、その事業費補正の内訳を洗ってみますと、圧倒的なものは、四二・五%というのは道路橋梁費であります。下水道が一六・三%、小学校等が一四・四でありますから、圧倒的に多いのが事業費補正で、これが全体の補正による需要額の増の半分以上を占めておる、その事業費補正の四二・五%というのは道路橋梁費であります。その道路橋梁費のほとんど大部分というのは広域圏の道路橋梁の補正であります。  そこでお尋ねいたします。この広域圏の道路の事業費補正というものを今度もまた続けようということになっておるのでありますけれども、その法律的根拠は交付税法何条何項でございますか。
  173. 森審一

    ○森説明員 お答え申し上げます。  地方交付税法の第十三条第四項第三号ハの規定に基づいて行なっております。投資態容補正の一種でございます。
  174. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまお答えによりまして、この事業費補正の中の広域市町村圏に関する道路の事業費補正というのは、法第十三条四項三号ハだ、こういうことであります。大臣、ちょっと読んでみます。「投資的経費で自治省令で定めるものに係るものにあっては、公共施設の整備の状況その他地方団体の態容に応じて当該投資的経費を必要とする度合について、自治省令で定める指標により測定した自治省令で定める率を乗じて算定した数値を当該率を乗じないで算定した数値で除して算定する。」何言っているかわかりませんけれども、少なくとも政令が三回ひっかかってきておるわけですよ。政令で三回ひっかかっておる十三条の四項三号ハのこれに基づいて、四十八年度で幾ら交付税が配られたかといいますと、言ってみますと需要額として千七十億円も配られておる。大臣、政令で三回ひっかけるなら、もう法律の精神なんてあとかたもなくなっちゃいますよ。どうですか、これ問題がありますよ。お答えいただきたい。
  175. 町村金五

    ○町村国務大臣 たいへん精緻をきわめた法律のようでございます。先ほども財政局長お答えを申し上げておりますが、できるだけ公正を期そうということから、だんだんとこまかくそういったものがきめられるようになってきた。しかしだんだんやって今日のような段階に入りますと、細谷先生のような方以外にはちょっとおわかりにならぬというような、まことに複雑なものになってしまっておるようでございまして、これは一体このままにしておいていいんであろうかどうであろうかという感じは、私どもも非常に深くいたすところであります。むしろ、もっと簡素なことがやれないものであろうかどうであろうかというような感じが非常に深くいたすわけでございます。おそらく自治省当局といたしましてはそういう点はすでにかなり勉強はしておることでございましょうけれども、しかしいまのところは、公正にやろうという考え方でこういうような、まことに複雑な状態になってしまっておるというのが実情でございましょう。これはやはり公正を期しながらも、もっと簡素にすることができないものであるかどうかということは、今後ひとつ十分に検討すべきものではないか、こう私も感じた次第でございます。
  176. 細谷治嘉

    ○細谷委員 精緻巧緻をきわめておることについては世界に冠たるものである、これが日本の地方交付税法だ、こう言いましたけれども、洗ってみますと、精緻巧緻をきわめている間に、いつの間にか骨がなくなってしまって、そして政令だけがひとり歩きしている。そしてその交付税が人の近づきにくいものになってきておる。これは私が一例をあげただけできわめて明白になっておる。精緻巧緻をきわめる以上は、かゆいところにも手が届いて、常に合理性が貫かれておらなければ精緻巧緻とは言えないと思う。私はきょう限り、自治省がおっしゃっている、日本の交付税法は精緻巧緻をきわめておるということばは断固返上いたします。それにしても大臣、千六百八十億はたいへん問題になっておりますけれども、その残った分の一千億以上の金額を配るのに、法律によらないで、単位費用もなしに——単位費用は別途にきめておりますけれども、それだけで、政令を三べん重ね合わせて千七十億円をひねり出すということはやはり問題がある。そういう、地方に配ってやることは当然でありますけれども、やはりもっとすっきりした形で、法律をもとにして配っていくことが正しいわけでありますから、そういう線でひとつ努力をしていただきたい。これをひとつ特にお願い申し上げておきたいと思います。  第二点は、四十九年度財政局からの資料によりまして、増加需要額というのが、県の場合に、小学校の場合に千三百六十億円、中学校費で七百十一億円、高等学校費で八百三十七億円、その他の教育費で四百七十六億円、合計三千三百八十四億円となります。このうち、人材確保法による増加需要額は幾らですか。
  177. 石原信雄

    ○石原説明員 一応地方財政計画ベースで人確法関連の給与費の増加額を申し上げますと、四十九年で、四十八年度の先般の人事院勧告による改善の平年度化の額が九百四十四億円でございます。内訳は、義務教育六百八十二億円、高等学校、幼稚園等が二百六十二億円ということになります。それにさらに四十九年度の追加分、具体的には五十年一月から五十年三月までにもう一度人事院勧告があるものとして義務教育費国庫負担金が組まれておりますが、それに対応する一般財源所要額が百七十四億円であります。
  178. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、石原課長、五十年度には、四十八年度の平年度化による九百四十四億円と、四十九年度の二度目の一〇%のアップで、これは一千億をこえますね。合わせて、そのための増加需要額は二千億をある程度こえる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  179. 石原信雄

    ○石原説明員 五十年度になりますと、一つ不確定要素は、義務教育については一応義務教育費国庫負担金の一月から三月までの分を平年度化するということができますが、高校、幼稚園のほうが現時点で根拠とする数字がありませんので、その点の計算はちょっと問題がありますけれども、一応確定している数字の平年度化だけを積み上げますと、五十年度になりますと千七百六十三億円、二千億円ちょっと切れる数字になります。
  180. 細谷治嘉

    ○細谷委員 念のためお尋ねいたしますが、私立大学の国庫の補助制度ができまして、それに伴う私立の高等学校等に対する補助金を交付税で見ておりますが、四十九年度はどの程度と見積もられておられますか。
  181. 石原信雄

    ○石原説明員 五百十九億円でございます。
  182. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういたしますと、お尋ねいたしますが、その分は過去にずっと交付税の中に算入してきたわけでありますけれども、今度の人確法による財政需要等を見ますと、交付税の総額の中でやがて一割くらいに近づきますね。一割くらいになりましょう。どうですか。四十九年度は三兆四千百四十四億円。三千四百億円でありますと一割、もうなっておるのじゃないですか。どうですか。
  183. 石原信雄

    ○石原説明員 御指摘のように、平年度計算にいたします場合には交付税のもとの数字も動くわけでございますけれども、かりに四十九年度交付税総額三兆四千百四十四億と対比いたしますと、平年度にさらに私立学校助成等を加味してまいりますと一割近い数字に近づいていくということは事実だと思います。
  184. 細谷治嘉

    ○細谷委員 交付税法の需要額と収入額との差、あとで収入額は議論しますけれども、第六条の三の第二項、「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」制度の改変があって、たいへんな需要額が入っておるわけです。  お尋ねいたします。第六条の三の二項というのはいつ適用になるのですか。
  185. 松浦功

    ○松浦政府委員 条文にございますように、「引き続き」という要件と「著しく異なることとなった場合」、この両方の要件がかみ合って発動されるものと考えます。
  186. 細谷治嘉

    ○細谷委員 かみ合ってなるわけですね。ところが、かみ合ったものについて何ら措置されてないわけです。交付税率の三二%というのは一つも動いていません。人確法だけでも相当な需要額の増になることはいま具体的に数字で証明されました。私の計算では、拾ってみると三兆四千百四十四億の交付税の総額の九・九%あるわけですよ。どうですか。六条の三、二項はもう適用しなければならぬ時期に来ているでしょう。何で適用しないのですか。
  187. 松浦功

    ○松浦政府委員 「引き続き」という問題と「著しく異なることとなった場合」というのにそれぞれいろいろ議論もあるようでございますけれども、われわれとしてはこれをそうむちゃくちゃにかたく解釈するつもりはございません。たとえば本年度でございましたならば、確かに先生がおっしゃられるように人確法がらみの給与費の増高というのは相当な経費にのぼっております。さらに私立学校を加えれば、先生御指摘のように、あるいは「著しく異なることとなった場合」に該当するという解釈もできようと思いますが、片一方におきましては税源の強化、そういった問題も行なわれておるわけでございまして、総体としてそれらの経費をある程度まかなうこともできますし、差し引き増減をいたしますと「著しく異なることとなった場合」に該当するとは考えておりませんので、税率引き上げという問題に立ち至らなかった、こういうふうに考えております。
  188. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政局長、「著しく異なる」というのは、基準財政需要額と収入額とを積み上げていった場合に、百億円狂った場合を大体「著しく異なる」と理解する、こういうあなたのほうの解説本があるのですよ。当時の交付税の総額は千二百億くらいですから、大体において一割程度。このことは明らかに国会における答弁で、著しく異なったという場合はどういうことかというと、大体一割程度、引き続いてというのは何かというと二年だ、こう言っておるのですよ。はっきり国会の議事録に残っておるのですよ。そうなってくると、そろそろ六条の三の第二項は動き出さなければならぬのじゃないですか。
  189. 松浦功

    ○松浦政府委員 「引き続き」ということが、私どもでもいろいろさがしまして、細谷先生の御質問に対する当省のお答えもそれぞれ調べておりますが、二年、そして三年目も明らかにそうだというようなことを前提に議論が繰り返されておるのも承知しておりますし、おおむね一割程度じゃないかというような議論があることも承知をいたしております。先生おっしゃられるように、なるほどいろいろ積み上げますと九・九%になるかもしれませんけれども、それは税源の強化というような部面をお考えいただかないとそうなるわけでございまして、今度は法人税がふえました。当然交付税にそれがはね返ってまいります。市町村の法人税割も増強いたしました。道路財源も増強いたしました。そういったものはそういう経費とある程度刺し違えということをお考えをいただきませんと、片一方ではふやしておいて、片一方では歳出が要るからといってこの条項を発動するといっても、これはなかなか理屈が通らないのではないかというふうにわれわれとしては考えております。
  190. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、あなたのほうで策定されました交付税の全体計画を踏まえてものを申してあげているわけですよ。これをスポットで申し上げているわけではないのですよ。交付税の全体計画を踏まえてものを申しているわけです。そういう踏まえた中において六条の三の第二項はもう適用すべき時期に来ているのじゃないか、こういうことを私は指摘しているわけですから、税のほうは見ておらぬじゃないかとか、そういうことは答弁になりませんからね。  そこで大臣交付税率が三二%になりましたのは四十一年ですか、そのころです。そしてどんどん財政需要がふえてきておるわけです。それが何もかにも全部、いわゆるごみ捨て場のごとく交付税の中に押し込まれていっておる、これに問題があるのであって、やはり適正、妥当な交付税率をつくり上げる時期に来ているんじゃないか、こう私は思うのであります。大臣、いかがですか。
  191. 町村金五

    ○町村国務大臣 現在の三税に対する三二%というものがきましましてから、相当の年数がたっておるということは私も承知をいたしておるところであります。そこで、最近における財政需要が、特に人確法等の施行によりまして非常に地方財政需要がふえておる。したがってそれに対処して、どうしてもいまの交付税法の六条の規定でございますか、それによってこの際改定を求むべきではないかという御指摘でございます。  私ども自治省といたしましては、常に地方財源の確保ということには懸命な努力をいたしておるところでございますが、ただ最近までの状況では、御承知のとおり、財政需要も非常に伸びてはおりますけれども、一方また交付税収入も相当に大きく伸びておるというようなことからいたしまして、特に財源上非常に不足を生ずるというふうな事態にはいまだ至っていないということで、この交付税率の引き上げを特にいまの段階では要求するということをいたしていないことは、細谷委員も御承知のとおりでございます。確かに人確法の施行によってかなりの大幅な財政需要がふえたということは事実でございますけれども、少なくとも今日までは、かなり一方におきましては交付税も増額になっておるというような現状からいたしまして、いま直ちに交付税率の増額を要求しなければならぬ、そういう事態には立ち至っていないというふうに私どもとしては考えておるところでございます。
  192. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、一面的に交付税率を上げろなどという議論をしているのじゃない。ただ、私が基準財政需要額に問題点があるということを具体的に指摘しているゆえんは、最初に交付税の総額ありき、千六百八十億円を減額した交付税の総額ありました、去年と比べてその差額、伸びた交付税は何千億円である、それに合わせるように基準財政需要額をしぼっておるのじゃないかということを具体的に証明しようとしているのですよ。  それじゃお尋ねいたします。基準財政需要額は交付税に合わせるように合わせるように設定しようとして、県でやっている密度補正を、市町村に同じような密度補正を適用しない例がありますね。たとえば政令指定市の保健所の結核患者の密度補正は、都道府県に対しては行なって、政令市に対する密度補正はなぜ行なわない。これは体系上もおかしいでしょう。どうですか。
  193. 松浦功

    ○松浦政府委員 政令市及び政令で保健所を置いておる都市は数も少のうございますので、補正という形をとらずに、実質的に、結核入所者については、不足する金額はすべて特別交付税措置をとるという形をとっておるわけでございます。都道府県につきましては密度補正によりまして、よけいいくところにはよけいいくようにし、少ないところには少なくいくという形をとっております。
  194. 細谷治嘉

    ○細谷委員 特別交付税の問題はあとでちょっと議論したいのですけれども、それを特別交付税でやるのじゃなくて、密度補正は、保健所の結核患者、入院患者についてやっているならば、やはり同じように適用をしていくということがあるべき姿ではないか、こう私は思います。  基準財政需要額を押えつけている重要な一つの問題点が給与関係費であります。これはすでに他の委員から御質問があって、財政局長からもお答えいただいたのでありますが、自治省発表の四十九年三月の「地方財政の状況」の財政計画の計画人員と四十八年四月一日の財政白書の計画人員とを見ますと、おおよそ五十万人近い乖離が計画人員と実人員の間にございます。計画人員と人数が一番合っているのは警察官ですよ。その次によく合っているのは消防職員。それから学校の先生方はさすがに計画人員と合っております。しかし、一般職員についてはものすごく大きな乖離があります。財政局長は、今度は調査をして、おそらく十二、三万人ぐらいおるんじゃないかということであります。私はこの点について、昭和四十年に十二万六千三百八十一人の、地方公務員の給与の実態調査と学校基本調査に基づいて規模を是正いたしたことがあります。この程度あるいはこれ以上の規模を是正しなければ地方財政計画と決算の乖離が一段と進んでいきますし、また交付税等措置も不的確になる、こういうふうに思うのであります。若干重複いたしますけれども、明快な方針をお尋ねしておきたいと思います。
  195. 松浦功

    ○松浦政府委員 指定統計ではございませんが、四十七年度で調べたものによりますと、実態調査の人員と計画人員との間には先生御指摘のように三十数万の差があるようでございます。その三十数万の差の中には補助職員と臨時職員が入っております。それが二十一万ばかりございますが、補助職員は一般行政経費の中に入れておりますし、臨時職員については賃金ということで一般行政費の中に入っております。これらを除きますと現在の差は十三、四万だろう。そのうちから、ことし規模是正を二万四千やっておりますから、それだけは当然計画上落ちてくるはずでございますので、まあ計画的にいって十一、二万というところの数字が最終的に出てきはしないだろうか。ただ、これは七年でございますから、八年までの一年間にまた開いている部分があれば、それは当然積み重なってくると思います。四十八年の指定統計の結果、その中を洗いまして、乖離のある部分について、それぞれ理屈の立つものについては規模是正をするという方向でいることは先ほどもお答え申し上げたとおりでございます。
  196. 細谷治嘉

    ○細谷委員 念を押しますけれども、来年度においては給与の実態調査あるいは基本調査に基づいて大体十二万前後の規模是正は行なう、こういうふうに理解してよろしいですか。
  197. 松浦功

    ○松浦政府委員 数字の点についてはここで御確約はできかねます。中身を洗ってみませんといけませんが、出てきた差の数字に基づいて、理屈の合うものについては完全に規模是正をするように努力をいたします。
  198. 細谷治嘉

    ○細谷委員 理屈の合うものと言われるが、理屈は十分あるわけですよ。ですから、いまのあれからいきますと十二万前後の数字の規模是正をしなければ、これはもう四十年にやっただけですから追いつきませんよ。しかし、なかなか確たる答弁を言いませんからこの程度にいたします。  総じて、私は、いま申し上げたように、当然なこととして基準財政需要額は交付税の全体計画に示されたものよりも大きくなっていなければならないのに、これを押えておる、こういうふうに理解いたしますが、反論はありますか。
  199. 松浦功

    ○松浦政府委員 交付税で見ておりますのは、できるだけ定型的な形、標準的な形でつかんでおります。税収入を一〇〇%基準収入に入れておるわけではございませんので、基準収入が地方財政の実態よりは少な目に出てくることは私は当然だと思っております。押えようという気持ちは毛頭ございません。
  200. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まさしく見解の相違であります。  そこで、いま税収の問題が出ましたが、交付税需要額と収入額との差が来るわけであります。それでは、税収は適正な見積もりとして基準財政収入額に織り込まれておるかということでありますけれども、私は、税収に比べて基準財政収入額がやや過大に見積もられておるのではないか、こういうふうに思います。  具体的に申し上げてみたいと思いますけれども、四十八年度と四十九年度で、都道府県について私が自治省の資料をもとにして計算いたしますと、四十八年度地方財政計画に見積もられておる税収入に対しまして基準財政収入額が八二・二%、四十九年度地方財政計画の税収に対して基準財政収入額が八三・九%、本来八〇でなければならぬものが二%とか三%上回っております。市町村を例にとりますと、四十八年度は七五・六、四十九年度は七六・八であります。市町村の基準税率は七五でありますから、これも基準財政収入額をやや水増しをしておる、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  201. 松浦功

    ○松浦政府委員 確かに私のほうから先生のお手元に、基準財政収入見込み額と財政計画の税収入見込み額との関係の表をお出しいたしております。正直にお出しいたしましたので、基準財政収入額が財政計画の税収見込みよりも多くなっております。これは大部分は、昨年の好景気によりまして法人系統の税金でまだ精算済みでないものがございます。これが非常に多額に含まれておるためこういう結果になっておるというふうに承知をいたしております。
  202. 細谷治嘉

    ○細谷委員 たぶんそういう答えで、はぐらかすだろうと私は想像しておった。法人税のやりくりですね。私は四十八年度と四十九年度、さらに四十七年、六年、五年まで調べました。いずれの場合も、市町村の場合は七五を上回っております。都道府県の場合は八〇を上回っております。でありますから、基準財政収入額は、ややということばを使いますが、やや過大に見積もっておる、こういわざるを得ないのであります。ある年には八〇をこしておった、七五をこしておった、ある年には八〇を割る、七五を割る、こういうことがなければやりくりになりませんよ。
  203. 松浦功

    ○松浦政府委員 お説のように、たとえば県、市町村ともに、所得割のように、どちらかというと低目に地方財政計画で収入を見積もっておるものについて、やや、先生から御指摘をいただいたような一面があることは否定できません。
  204. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、私はさっき言ったように意見がやや違いますけれども、基準財政需要額を押えて収入額をやや水増しして、ちょうど地方交付税法による地方交付税の総額の決定とは逆に、まず最初に交付税の総額がきまって、そして基準財政需要額と収入額をずうっと押えていってその間にはまるように、そういうしかけをしている、それが全体計画です。こういうふうに申し上げざるを得ないじゃないですか。
  205. 松浦功

    ○松浦政府委員 あまりこちらの手のうちをお話ししてしまうことはどうかと思いますけれども——手のうちということばがいけなければ取り消さしていただきますが、税収入と交付税の額を交付税法のルールによって足したものが需要額になるわけでございます。したがって、需要を圧縮するという必要は私どもにはないわけでございまして、収入をよけい見れば需要がよけい見れるという形になる。偽らざるところを申し上げております。これは制度の問題ではないと思います。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  206. 細谷治嘉

    ○細谷委員 全体計画をつくるのに幾つかの方法がある。需要額はふやしておいて、そして交付税がちょうど間へはさまらぬときは、収入額を八〇から八五ぐらいまで上げれば間にはさまるように逆算することもできますが、それはあまりしろうとめいておりますから、上のほうも押えて下のほうも押えて、ちょうど予算できまった交付税がはまるようにしたとしか理解できない、こう言っているのです。大蔵省主計官、実際そうなんだよ。あなたのほうが自分のほうの予算都合上むちゃなことをして削るからですよ。そう思いませんか。千六百八十億なんていうものを根拠なしに国の予算編成上の都合で削るから、交付税の方式によって積み立てていってびしゃっとはまったんじゃなくて、できたんじゃなくて、こういうものが最初にきまってしまって、その間におさめるのに上と下のやつを数字を操作している、こういうことになっているのです。法律の精神に逆行しているのですよ。そう思いませんか。
  207. 名本公洲

    ○名本説明員 千六百八十億を減額したことによりまして、その残った三兆何がしの交付税がちょうどはまるように基準財政需要財政収入を調整したというようなお話でございますけれども、私どものほうといたしましては、四十九年度、本年度財政というものを、国全体の経済というものをいかに持っていくかという観点からいろいろ検討いたしまして、自治省にお願いをいたし、減額の方向を出さしていただきまして、御審議いただいておるわけでございまして、私どものほうといたしましては、その結果出てまいりました実際の交付税額に合わせて基準財政収入なりあるいは需要なりをいろいろ計算をして、そこに合わせていくようにしておるというような操作を自治省のほうとしてなさっているというふうには考えておりません。
  208. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたのほうで理屈なしに押えるから、自治省はそうせざるを得ないようになっているということを私は指摘しているのです。問題はあるのですけれども、もうちょっと先へ進みます。  この点について財政局長にちょっとお尋ねいたしますけれども、全体計画を拝見いたしますと、市町村の場合に、不交付団体はわずかに市町村が全体の一・六%しか占めてないのです。その基準財政収入額を見ますと、不交付分というのが金額では大体二五%あるのです。団体数は一・六%しかないのです。三千二百七十八のうち五十二団体が不交付の市町村であって、そしてそこの基準財政収入額というのは市町村全体の二五%あるわけです。どこが原因かと思いましたら、不交付団体になっておる東京都二十三区を一大都市として計算しているのです。それが圧倒的に基準財政収入が多いのです。そしてそれが全体計画に織り込まれているからきわめて不自然なかっこうになっております。それは地方交付税法二十一条の都の特例の問題です。二十一条があるためにそういう全体計画が不自然になり、交付税の全体計画の景色というのは非常によごされております。これを改める意思はありませんか。
  209. 松浦功

    ○松浦政府委員 東京都の特例というものは先生御承知のとおりでございます。この部分を都分と区分に分けることが非常に困難でございます。しかも、これは先生の御指摘になっておりますように、東京都というものだけをながめてみますと、おそらく収入のほうが多い、区だけながめてみると需要のほうが多い。東京都という性格から法律で一本で計算をするから不交付になる、これを分離をするということはまことに困難でございます。私はきのう言ったんですが、何か技術的に分ける方法はないか、これはいかにしても読み違えられるおそれのある数字じゃないかということを言ってみたのでございますが、担当官にもなかなかいい知恵が浮かばないようでございます。決してここで否定を申し上げるわけではございませんが、景色が悪いのを景色を直すように、何か仮定を設けてでもくふうをできないだろうかという方向で検討はさしていただきたい。
  210. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一番いいことは交付税法二十一条の都の特例というのを削除することです。頭を振っていますから、それについては十分検討をしていただかなければならぬと、こう思います。  そこで今度はややくだけた具体的な質問をいたしたいと思いますけれども地方公営企業について、昨日の新聞で、再建計画二十四団体に対する許可が出ました。そこでお尋ねしたいわけでありますけれども、局長がこの問題について、元利四五%を見ますというふうにお答えになっておる。内訳として元金について二五、利子について二〇ということでしょう。もう少し具体的に御説明いただきたい。
  211. 松浦功

    ○松浦政府委員 交通の再建につきましては、お認めをいたしました起債については利子がつきます。利子補給がございます。これは団体ごとに財政力によって差がついておりますが、平均的に申し上げますと、将来までにわたって全部元利償還をするのに必要な経費の二〇%弱に当たるものが国から利子補給としてまいるはずでございます。そのほかに、この前お答え申し上げましたように、普通交付税において、各再建団体が一般会計から元金相当分を繰り入れられた場合には、その二五%に相当する額を普通交付税に入れてまいりたい、こういうことをお答えを申し上げた次第でございます。
  212. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これについて今年度法律はつくりませんけれども、同様の方式で自治体病院についての再建を講じようとしております。この場合は同じようにおやりになるおつもりですか、どうですか。
  213. 松浦功

    ○松浦政府委員 病院の場合については、御承知のように法律もつくれませんし、また再建計画というものも、御承知のようにほかに他動的な要因でしか動かし得ない診療報酬等の問題がございますので、なかなか将来にわたっての長期的な再建計画をつくらせることは困難だと思います。したがって、経営内容を改善をするということについてできるだけ御指導申し上げるということを前提に置いて地方債を認めるわけでございますので、利子補給については、交通よりはやや率のよくないと申し上げたらいいかと思いますが、利子補給の程度としてはやや薄い利子補給の形で予算をとっております。それからもう一つは、そういったような事情がございますので、交通というものを頭に置きながら元金償還のどの程度を入れるかということを検討してまいりたいと思っておりまするが、交通より多くのものについて見るということは、そういった縛られ方がゆるい強いがございますので、あり得ないのではなかろうかということを考えております。
  214. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が申し上げたいのは、都市交通の第一次再建の際に、いろいろな措置も不十分であった、あるいは不良債務に対する再建債の切りかえの不十分さもあった。いろいろな問題があって、交通の第二次再建ということになったわけであります。これも私どもから言いますと不十分な点がございます。しかし、すでに二十四団体について許可をしたわけでありますから、この一年間、私はその状況を見守りたいと思いますけれども、病院についても、これから再建を始めるし、福祉政策重点といわれておりますし、また地域医療のセンターともいうべき自治体病院の今後というのは、まさしく福祉政策推進の重要な柱であろうと思いますから、ひとつ十分な体制、そうして今度のこの措置で、また第二次何とやらはないように、ひとつ格段の御配慮をお願いしなければならぬと思いますが、大臣、いかがですか。
  215. 町村金五

    ○町村国務大臣 このたび公立病院の再建に対する緊急の対策として、いまもお話がございましたけれども、特に不良債務たな上げのための公立病院特例債の発行をいたしました。御指摘になりましたように、こういうことをしばしば繰り返されないようにしてまいらなければならないということは言うまでもございませんが、この問題につきましては、単に私どものほうでこういう措置を講ずるだけでは、御承知のとおりなかなか完全な対策にはなりかねるのでありまして、やはり現在の診療報酬体系といったようなものが、公立病院の運営の上において赤字にならないような仕組みというものも並行的に進んでまいるのでなければ、これだけの対策ではなかなか、私どもは再び同じようなことが繰り返されないという保証はつかないわけでございます。厚生省としては、これらの点を特にいま検討をしておるわけでございますので、そういったものと両々相まって進んでいくならば、こういったことを再び全面的に繰り返さなければならぬというような事態にはならないのではないか、私はこう考えておるところでございます。
  216. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは非常に重要なものでありますから、ひとつ大臣の格段の御努力をお願いしたい。  この際、大蔵省にお尋ねいたします。  昨年の地方行政委員会で、交通問題をどう再建していくかということの幾つかの附帯決議がありました。その際に、やはり一般会計特別会計関係というもので行政路線という問題が非常な大きな問題になりました。自治省みずからこの問題に取り組もうといたしまして、百六十万円ぐらいの予算要求をしたそうでありますけれども、総需要抑制の犠牲に百六十万がひっかかったようであります。しかしこれも、いま大臣がおっしゃったように、せっかくの利子補給とかそれだけでは片づかない重要な問題点が多々あるわけでありますから、行政路線に対してどう対処していくのか。委員会の重要な附帯決議でもありますので、それらを直ちにやるような予算上の措置考えられないかどうか、これを大蔵省と、自治大臣、あなたは予算を、千六百八十億を協力しながら切られたわけですから、ひとつお答えいただきたい。
  217. 名本公洲

    ○名本説明員 行政路線の問題につきまして附帯決議をちょうだいしていることは、私どもよく承知いたしておるところでございますが、この問題につきましては、私の所管いたしております自治省予算で手当てをしてまいるべきものか、あるいは運輸省のほうのいわゆる交通行政というものの中で措置してまいるものか、そういう問題が一方にあるわけでございますが、そして現に運輸省のほうにおきましては、行政路線に類するようなものにつきまして一定の補助も出しておるようでございます。  自治省関係予算をあずかっております私どものほうといたしましては、この行政路線問題につきましては、そういう行政路線そのものを取り上げるという問題ではなくて、公営企業全体の問題として扱ってまいるべきものであるというふうな考え方に立っておるわけでございます。行政路線そのもの、それを一つ一つ取り上げて、いかように措置をするかという問題につきましては、むしろ交通政策そのものとして、運輸省系統のほうから何らかの、必要ならば措置があってしかるべきか、そして現に相応の措置はされているというふうに私ども聞いておるところでございます。
  218. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この点については一般会計特別会計との関連ということもあるわけでありますから、自治省も調べると言っているわけでありますから、ひとつ善処方を特に要望いたします。  委員長から御注意がありますので、私も委員長の御意見に全面的に御協力しますから……。  最後の点でありますけれども、特別交付税について、参議院におけるわが党の和田議員の質問に対して、自治大臣は、特別交付税と普通交付税率の九十四対六の分割について、特別交付税の百分の六というのを改めるということをお約束したと承っておりますが、いかがですか。
  219. 町村金五

    ○町村国務大臣 私、改めるというふうにお約束をしたつもりはないのでございます。ただ、御承知のように、現在の特別交付税も相当大きな金額にのぼっておるわけでございますし、また現在特別交付税措置をいたしておるものの中には、普通交付税になじむようなものも、これから検討してまいりますれば必ずしもないわけではあるまい。したがって、今後一般交付税としてなじむようなものはそちらのほうに回していくということに相なりますれば、自然、特別交付税の割合を減らすということも可能になるのではないか。そういったことを一切含めましてひとつ検討をしたい、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  220. 細谷治嘉

    ○細谷委員 きわめて妥当な大臣の答弁だと、敬意を表します。  そこで、私は数年前でありますが、この委員会で、特別交付税の六%という率をお変えになったらいかがですかと言ったら、三十二年か三十三年に変わったばかりであります、多々ますます弁ず、変える意思はありません、こういう答弁を聞いたことがあります。財政局長、そういう考えはないでしょうね。多々ますます弁ず、私はどういう意味かわからないのだけれども
  221. 松浦功

    ○松浦政府委員 ほんとうに普通交付税の中で捕捉できないような特殊な要因を補正するに足る特別交付税があればけっこうだと私は思っております。したがって、多々ますます弁ずとは、私はむしろ逆の考え方に近いということを申し上げたのであります。
  222. 細谷治嘉

    ○細谷委員 多々ますます弁ずるなんという不見識なことばをこういう席上で聞いたこと、私はいまだにもう忘れられない、遺憾に思っているわけでありますけれども、いま、大臣財政局長の、あるべき姿を率直に言われたことについて敬意を表します。  そこでお尋ねいたしたいのでありますけれども、四十八年度の特別交付税は去る二月末に交付されたわけでありますけれども、総額千八百二十五億円、そのうちルール項目、準ルール項目、それから減額項目等いろいろあるようでありますね。いろいろあるようであります。それはどういう状況になっておるのか、都道府県市町村についてひとつお答えいただきたいと思います。
  223. 松浦功

    ○松浦政府委員 都道府県について申し上げますならば、ルール項目は九十二億、準ルール項目は四百八十六億、減額項目が三十八億。それから市町村分につきましては、ルール項目が百八十九億、準ルール項目が千二百四十三億、減額項目が千五百三億ということになっております。
  224. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまのルール項目の中で、いま大臣がおっしゃいましたように、災害とかなんとかはルールに入りますけれども、これはちょっとなかなか予見できません。しかし、いまおっしゃった準ルール項目の中に、病院が三十八億、重要文化財が十四億、公害対策が二十五億、過疎対策三十七億等がございます。あるいは市町村の場合でも、たとえば病院とか僻地診療所とか、同和とか公害対策とか、重要文化財とかあるいは救急業務等については、私はやはりルールに乗せ得るだろうと思うのです。  そこで、長い間それと取り組んでまいりました財政局長、大体において、千八百二十五億のうちどの程度がもう普通交付税の中に移していいと、四十八年度の特別交付税の配分から大体お見通しかどうか、お尋ねいたしたい。
  225. 松浦功

    ○松浦政府委員 ちょっと、軽率な発言を申し上げるとあとでおしかりを受けるようなことになって困りますのですが、ルール項目の中にも、先生御指摘のように、現年災害のように普通交付税に入れれないと思われるようなものもございますし、準ルール項目の中にも、普通交付税の中に入れようとすればあるいは入れれるものもあろうかと思います。したがって、これらを検討いたしまして、できる限り特別交付税の率を下げるという方向に向かうべきだと私は思っております。ただ、こういったものをまたいろいろな補正を使ったり何かして入れるということになりますと非常に複雑になりますから、複雑にならないような範囲でこれをじょうずに入れるということもあわせて検討しなければならないかと存じております。いずれにいたしましても、現在の六%を将来に向かって率を下げていくということについては、真剣に検討さしていただきたいと考えております。
  226. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、この交付税率、特交が八%から六%に変えられました昭和三十三年の国会における論議を議事録で読みました。ちょっと重要な点について読んでみたいと思います。「交付税の配分はなるべく一般的なルールに従って配った方が、交付税の方式としては合理的でありますので、今度交付税の総額がふえました機会に、特別交付税の実質上の額は現状にとどめる程度にいたしまして、そして率を改訂した方がよかろう、」ということである。これは当時、小林典三次さんがお答えをしております。そうして、おおむね八%でありますと百五十億くらいになるのだけれども、大体においてそのうちの二十億くらいは普通交付税の中に入れていい。正確に言いますと、本年度の特別交付税の総額は御指摘のように百四十九億何千万円、大体百五十億円でありますが、このうちから三十七億円ばかりのものが減ってまいる、ルールのほうに乗せる、普通交付税に移す、こういうことで八%が六%になりました。  そこで、私は四十八年度の実際の状況を見まして、ひとつ六%という交付税率が二千億をこえる今日の姿でありますので、なるべく普通交付税ルールに乗せることがよろしいわけでありますから、減らしていくべきではないか。大臣、そういう意味におきまして、私はそれなりに拾ってみました。おまえしろうとじゃないか、ですからあまり言いませんけれども、大体において、この自治省が配りましたルール項目の中、あるいは準ルール項目の中で二割ないし二割五分はルールの上に乗せられる、こういうふうに私は大づかみに読み取りました。そこでひとつ特交の率を六%から四%くらいに来年度変えることが妥当ではないかと、こう思います。大臣、いかがですか。
  227. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたのであり、さらに財政局長からもお答えを申し上げたのでありますが、私どもとしては、やはりこれだけ特別交付税の金額も大型になってまいりましたので、いまお話が出ましたいわゆるルール項目と申しましょうか、そういうものに乗せ得るものは私は乗せていくということが大体の考え方、方針としてはその線に沿って私は検討を進めていくべきだ、こう考えておるのでございます。  ただ、御承知のとおり、昨今の情勢から考えてみまして、やはり特別交付税が存在しなければならないというものも、これはもとより存在するわけでございまして、しかもその金額は必ずしも予見できないというようなものも相当にあるわけでございますので、私どもいまここで直ちに、明年から四%に引き下げるということのお約束はちょっといたしかねるのでございますけれども、私はいま申し上げたような検討を進め、そうしてその検討が十分に行なわれまして、しかも将来の見通しの上に立ちましてある程度の引き下げを行なっても差しつかえがないというふうに判断ができましたならば、それを実行に移すということにいたしたいと考えておる次第でございます。いま直ちに明年から何%ということは、ちょっといまの段階で私からお答えをいたすことを差し控えさせていただきたい、こう思っております。
  228. 松浦功

    ○松浦政府委員 三十三年の議事録などをお読みいただいたわけでございまして、当時、私、財政課の課長補佐をいたしておりまして、いま考えて、記憶を呼び戻しておったところでございます。そういう方向で、大臣がお答えになられましたように、可能な限り引き下げるという方向でこれから努力をいたします。この席では、率をどうするかということについての言明は避けさせていただきたいと思います。
  229. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょっと概算してみますと、今度の二千億をこした額でかりに六%を五%にしても、四十八年度の千八百二十五億に対して九三・五になるのですよ。ほとんど変わらないです。それからかりに四%といたしますと、四十八年度の総額の七五%になるわけです。二五%しか減らないのです。日本沈没なんという事態になれば別ですけれども、この程度あれば私はいいと思いますから、ひとつその辺で御検討いただきたい。  これに関連して、先ほどのお答えの中で、ギャンブル問題であります。私は地方税法審議の際に、特別な大規模償却資産について、本来市町村の税であるべきものが県に取られていっておる、その総額は約二十五億円、固定資産税は市町村の税だから、この際そのくらいの金額は全部市町村の税にしたらどうかと言いましたら、三千三百ある市町村のうちたった一つ、そのために十億円ばかり税収がふえるところがあるのです、だからだめだ、こういうお答えでありました。当時大臣はこっちにおりませんで、私は質問を留保したのでありますけれども地方税法はもうすでに可決したわけであります。当時私は、それならギャンブルは一体どうするのだと言った。私の住んでおります県でも、二億五千万円の税収しかないのに二十五億円のギャンブルの収入が一般会計に入ってきまして、来年度はこの銭をどこへ使うかということで頭が痛いというのですよ。金がなくて頭が痛いのじゃないのですよ。そういう実態であります。  そこで私は、自治省財政白書を拝見いたしましたところが、この収益事業のうち、宝くじもありますけれども、圧倒的な部分というのは大体競馬、競輪、オートレース、競艇であります。そしてそこの収益というのがわずかに三二%しか、三割くらいしか一般会計に入っておりません。これは地方財政の秩序というものを混乱におとしいれていると私は思うのであります。  そこで、いろいろ問題点がありますけれども地方財政法第三十二条の二をもっと強化したらいかがかということであります。言ってみますと、公営企業金融公庫に対して支出する百分の一以内で政令できめる、これを強化してはいかがか。同時に、いまの限られた公営企業金融公庫というのは、まさしく公営企業であります。そうじゃなくて、地方団体の金融公庫、そういうものに発展強化をさせるべきではないか、こう思うのです。自治省はそうお考えのようでありますけれども大蔵省が、参議院で議論されたように、どうも銀行と非常に密接な関係があるものですから、公共団体の銀行を強化することについて非常に強い反対をしているというように仄聞をしておるのです。事実でなければたいへんけっこうでありますが、そういう公営企業金融公庫の強化について、資本金はわずかです、五十億もないんですよ。商工中金には二千数百億の資本金を出しておきながら、三千数百もある地方団体、そして財政計画も一般会計の規模と同じくらいのものをやっておるのに、たった四十数億円の出資しかしておらぬ。おかしな話でありますから、これも聞かしていただきたい。  それから、きのう参考人は、基準財政収入額にギャンブル収入をある程度取り入れたらどうかということがありました。もう一つの問題点は、知事の権限を強化するということは困ります、ギャンブル収入の分配で市町村長を押えるなんということは困るわけですけれども、知事が主催するという形で、県で何らかのプール方式をつくって、周辺市町村にもそういうギャンブルの収入が均てんするような配分委員会等をつくって、民主的にできるようなそういう方途を講ずる。地方財政法に基づく公営企業金融公庫の強化の一助に役立てる、基準財政収入額にも取り入れていく、あるいはその利益のおすそ分けを広く全国の地方自治体に及ぼさせる、こういういろいろな方法の組み合わせで問題を解決すべきではないか、こう思います。そうすると、特交で三角をつけるなんということもありません。これは気持ちが悪いですから。そう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  230. 松浦功

    ○松浦政府委員 まことにごもっともな御意見でございまして、そういう方向を目ざして検討する必要があろうかと考えます。  ただ、現実の問題といたしましては、個々の団体が一定の権利化した形で持っておる問題でございますので、だいぶ時間をかけて苦労して、公営企業金融公庫の納付金を、ただいま〇・五%納付してもらっておりますが、五十年度以降一%に何とか引き上げるという方向で努力をいたしておりますので、こういった制度で一部分を吸い上げるということのほかに、公営競技等の非常に大きな収入のございますものについては、地方債の配分等についてもある程度勘案していくという配慮のほか、関係市町村の協議によって、現実に昨年も一、二カ所できたようでございますが、まわりの市町村に利益金の中から一部当該団体が配分するということも行なわれておるようでございます。こういったことを通じまして徐々にこの問題に手をつけてまいりたいと考えております。
  231. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政法のこれを設けるときも、自治省もずいぶん圧力を受けてここまでこぎつけたわけでありますけれども、ギャンブルが今日の地方財政の秩序を混乱さしておる一つの原因でありますから、これは公正妥当な決着を大臣つけていただきたいと思いますが、一言、大臣の御決意のほどをお聞きしたいと思います。
  232. 町村金五

    ○町村国務大臣 私は、公営競技を実施しておりますところの市町村が、どの程度これによって多額の収益をあげておるかということの検討もまだ実はいたしたことがございませんので、確たることを申し上げにくいのでありますけれども、しかし、最近競馬が非常に盛んになってきておるということから、これを実施いたしております当該地方公共団体はおそらく相当ばく大な収益があがっておると思うのであります。  大体、ギャンブルによりまして地方財政の相当部分が運営をされるということは、私は好ましいことだというふうには考えておりません。元来そういうようなお金で地方団体運営されるということは決して好ましくないというふうに私は考えておりますが、現実にそういうことで地方財政の重要な部分を実施しておりますところでは、すでにかなり大事な役割りを果たしておるというような現実もございましょうし、いま財政局長お答え申し上げましたような一種の権利化してしまっておるというような問題等もございますので、私どもといたしましては、これはやはり何らかの形で均てんをさせるという方向に行くか、あるいはこういうものはできるだけ将来自粛をさせるというふうな方向に行くべきか、いずれにいたしましてもその辺はなお検討をさせていただいて、できるだけ財政秩序がこういうことであまり邪道に入っていくということのないようにぜひ私もしたいものだ、こう思っておりますので、十分関係当局に検討させることにいたします。
  233. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大蔵省、公営企業金融公庫を押えているじゃないの。
  234. 名本公洲

    ○名本説明員 公営企業金融公庫の問題でございますけれども、もう先生先刻御承知のことでございますが、この公庫ができますにつきましては、いろいろな経緯がございましてできてきておるものでございます。ただ、この公営企業金融公庫がますます発展いたしまして活躍していくということについて反対する向きがあるというお話がございましたけれども、少なくとも私ども主計局といたしましてはそういうようなことは考えておりませんので、その点御了承いただきたい。
  235. 細谷治嘉

    ○細谷委員 銀行局が悪いのだ。大体、公営企業金融公庫といってあれだけの措置もしようとしているのに、資本金がたった四十数億円。商工中金の資本金は二千五、六百億円でしょう。公庫の定員は七十九名、これでやれますか。どうもあなたのほうは主計官でいいけれども、これは銀行局だろう。それはそのときまたやります。  大臣、私もあえて、ギャンブル反対という基本的な態度に立ちながら、今日の地方財政の実態がありますから先ほどのような具体的な提案をいたしたわけでありまして、基本的な点については、私は基本的な問題として提案しているのじゃなくて、現実にこういうふうに解決するしかないだろう、こういうことを申し上げているわけですから、誤解のないようにお願いいたします。  この問題に関連いたしまして、ギャンブルの問題でやはり現実に問題が出てきております。競輪をやるために一部事務組合というのが設けられております。私は、福岡県の競輪の一部事務組合の四十七年度の決算と、それから競輪場を持っておる市議会の議決による特別会計として運営しておるところの予算と比較してみました。ちょっとかいつまんで申し上げてみます。  一部事務組合も、単独で市でやっている、特別会計でやっているところも、いずれも歳入が六十億から六十五億であります。そして歳出も大体六十億前後であります。それから繰り越し金もほぼ同じであります。ところが、一部事務組合と、単独でやっている市の歳出事項を見ました。驚きました。ちょっと申し上げておきます。  一部事務組合の議会費というのがあります。十五名の議員で構成されている。その議会費の報酬は三百七十一万八千円。議員だけにですよ。内訳を申し上げますと、月手当は九千円でありますけれども、九千円の十八カ月分の期末手当が出るのですよ。一年間に七万円の打ち切り旅費が三回出るのです。その三回も、議会があって出張できないようなときにちゃんと支出されているのです、三月議会があるときに。それから、よく売れたというのでもち代とキャンデー代というのが夏と冬渡される。それがどのくらいかというと、五万円から九万円の間。その上の大入り袋というのがある。月日もわかっておりますけれども、大入り袋が大体十五人の議員に四十五万から五十万ずつ、十五人についていえば三万くらいずつ配られているのです。最近問題になりまして、この大入り袋だけはやめたようであります。  そこでさらに言いますと、その議会費の交際費が、たった十五名の議員でありますけれども、一年間に四百三十九万五千円。予算がそうでありますけれども、支出済みは一文残らず使っております。きわめて簡単です。予算も支出も同額。それから総務費というのがあります。総務交際費が四百六十三万六千九百四十三円、歳出も全く円まで同じ、全部出ております。それから需用費というのが、食糧費なんかも含めて百六十万円あります。開催総務費というのが、交際費が四百四十五万円あります。ですから、交際費とつくものが四百五十万円かける三倍だ。全部の款項のところに交際費がある。そこへまた需用費という食糧費などがはまっておるのです。そしてどうやったかというと、六億二千五百万円の繰り入れをしております。五つの組合でありますから、一つの市は一億二千五百万円の配当を受けております。ところが一つの市でやっているところはどうかといいますと、やや予算の規模は小さいのでありますけれども、八億円の繰り入れをしております。交際費は驚くなかれ、一年間五十六万円であります。五市競輪の場合は——五市と言っちゃって失礼しましたが、とにかく事務組合の場合は、四百五十万円の三倍ぐらいの千数百万円の交際費を使っておる。単独でやっていれば六十五万円の交際費で済んでいるのですよ。問題がありますね。  こういうことについて、競輪のほうの運営に当たっておる通産省は、ここまで経理の内容あるいは予算の内容、決算の内容には立ち入らないかもしれませんけれども、どういうふうにお考えなのか。これは自治大臣も通産大臣と協議するわけですけれども、どういうふうにお考えなのか。こういう事実を御存じなのかどうか。  私がこの問題を国会のどこかの委員会で質問をするかもしれないということがわかったようであります。ところが私のところへどう言ってきたかというと、あなたが質問をされると、通産省から競輪開催権を取り上げると言ってきておりますから……。そういう圧力をあなたのほうでかけたのかかけないのか。私に圧力がかかってきたのですよ。言語道断です。その辺についてお答えをいただきたい。
  236. 後藤宏

    ○後藤説明員 お答えいたします。  まず第一の点でございますが、いわゆる、いま御指摘の点は、福岡県の五市組合の問題ではなかろうかと思います。私ども、実は自転車競技法では事務組合が表面的に出ておりませんで、五市町村について自治大臣の御指定をいただきまして、いわばそれの施行者という立場で五市が共通の立場をとっておるわけでございます。それで、いわば競輪の施行の事務を五市でやるという趣旨で、地方自治法に基づきまして、これは県が五市事務組合というものを認可、許可されているんだと思います。したがいまして、ただいまの問題は、第一義的には事務組合の管理運営問題でございますので、これは直接は県が担当なさるはずでございまして、すでに福岡県で本件につきまして特別の調査をなさっておられまして、それに基づきましていろいろな改善措置についての勧告が出、当該事務組合はそれに従って改善をする旨の約束をしておりますので、私ども通産省といたしましては、内容的には県と一体として処理をすればよろしいということで、とりあえず特別の措置は講じておらないのが実情でございます。それが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、私ども、施行者一般につきましては、当然に競輪の施行が経理運営につきましても適正に行なわれる必要がございますので、たとえばそれに基づく報告の徴取権なりあるいは立ち入り検査権といったものを持っておりまして、全国に数多い施行者でございますのでなかなか全部を一ぺんにやれませんが、一部につきましては、施行者監査等もいたしておるような次第でございます。そういった面から考えますと、ただいま御指摘の点は非常に問題があろうかと思いますので、こういったことが二度と行なわれませんように、たとえば競輪の施行者で構成されております施行者協議会等に対しまして、こういった事例がないように今後注意をしてまいりたいと考えております。  それから第三番目に、これについて通産省から何らかの圧力をかけたのかという御質問でございますが、私どもは、先ほど申しました立ち入り検査権とかそういうものを背景にいたしまして、もし競輪の施行について公益を害するおそれがある場合等におきましては、施行者に対して開催の制限なり、あるいは開催の一時停止といったことにつきましての命令権は持っております。しかしながら、本件につきましては、先ほど御説明いたしましたように、第一義的には事務組合、したがいまして自治省関係、特に県の責任の問題でございますので、私どもといたしましては県の措置以上に特別に本件について措置を講ずる必要はないと考えておりますし、またそういった点につきまして、県その他あるいは施行者に対していろいろな圧力をかけた事実は全くございません。
  237. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省は圧力をかけたですか。
  238. 松浦功

    ○松浦政府委員 圧力をかけるということについて、何らそういうことは私ども関知をいたしておりません。圧力をかけたなどということは絶対にございません。自治省といたしましては、一部事務組合といいましても当然地方公共団体でございますから、その内部機構として監査委員等の制度もあるはずでございます。それがこういうことになっておるというのはまことに遺憾でございます。しかし、一部事務組合の許可は、ただいま通産省のほうからお話がございましたように、都道府県知事が許可しているわけでございますから、私のほうといたしましては、地方自治法の規定に基づいて、都道府県を通じてこういうことが二度と起こらないように十分指導してまいりたいし、また知事のほうから意見を求めておいでになられるようなことがあれば、私どもとしては遠慮会釈のないきちんとした定木をお示ししたいということを考えております。
  239. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一部事務組合のこの種の経理については、議員の何人かの代表が出ているだけであって、それぞれの構成団体の議会は全く関知しない。そして全部伏せちゃっているわけです。そこに問題があるわけでありまして、一部事務組合の予算なりあるいは会計等についてはその辺にたいへんな問題があるということを指摘し、特に自治省、通産省等で今後善導していただきたい。同時に、こういう汚職の温床にもなるようなことについて、県議会であろうと市議会であろうと国会が取り上げることは当然なことでありまして、そういうことを取り上げたら開催権を失うという思想、考えが、いまのことばによってどうも一部事務組合にはある。こういう考え、くさいものにふたをしろという考えは改めるように御指導いただきたいということをお願いしたいと思います。  委員長あと一点だけです。  最後に、特別交付税の減額要件として、期末、勤勉手当について都道府県の場合は二億円です。市町村の場合には三百三十五億円減額されておるわけです。私も過去の経緯を調べておりました。私がこの委員会理事をしたときにこの問題が議論になりました。ちょっと、おたくのほうをまた引き合いに出して恐縮でございますけれども財政局編集の「地方財政昭和四十一年四月号というものを拝見いたしました。そのときに、あなたのほうの担当者の論文でありますけれども、特別交付税の配分についてこう書いてあるのです。「プラスアルファの支出状況は大きく分けると、昨年度より引き上げた場合、昨年度と横ばいの場合、昨年度より引き下げた場合」と、三つある。「そこでこのそれぞれの支給実態に応じて当該団体の財政状況の判定をなして調整がなされ、」こういうことを書いてあります。このときは三〇%であったものが、その三〇%は調査が未了だったので、調査が完了いたしましたので減額率を五〇%にしたということがこれに書いてあります。四十八年度は九〇%ですね。そういう過去のいきさつもありますし、特にこの問題については、やはり地方公共団体の自主権、それから職員団体の交渉権、こういうものもありますし、また給与水準も必ずしも画一じゃありませんから、そういう点を配慮して、画一的に九〇%を自動的に引く、こういうことは、理由が財政的見地からということだけでありますけれども、問題があるかと思うのでありますが、この点、大臣どうお考えですか。
  240. 松浦功

    ○松浦政府委員 九〇%を減額項目に立てましたのは昨年からでございます。プラスアルファを出しておる団体は、出しておらない団体に比べて財政的に余裕があるという判断をいたして減額項目に立てておるわけでございますが、三百三十五億がすべて具体的に減額をされておるわけではございません。引き切れないようなものもあるわけでございます。もちろんそのほかに最後には調整項目がございますので、当該団体の財政需要等も配慮してやっておるところでございまして、現実の問題として、先生が御承知のように、プラスアルファということを理由にしてあまり大きな激変を与えるということはいかがかという観点も含めまして、実際に三百三十五億円という減額項目がございますけれども、それが全部有効減額にはなっていないのであります。その点は先生がよく御承知だと思います。
  241. 細谷治嘉

    ○細谷委員 終わっておきます。どうも長いことありがとうございました。
  242. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、明五日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十七分散会