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1974-03-29 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十九日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 中村 弘海君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       片岡 清一君    亀山 孝一君       木村武千代君    島田 安夫君       住  栄作君    武藤 嘉文君       保岡 興治君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    多田 光雄君       小川新一郎君    小濱 新次君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         警察庁刑事局長 田村 宣明君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省薬務局長 松下 廉蔵君         厚生省保険局長 北川 力夫君         建設大臣官房会         計課長     森田 松仁君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    妹尾  明君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         大蔵省主税局税         制第三課長   西野 襄一君         文部省大学学術         局審議官    安養寺重夫君         文部省管理局振         興課長     宮地 貫一君         建設大臣官房地         方厚生課長   重見 博一君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         自治省財政局交         付税課長    森  審一君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   林  百郎君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   谷口善太郎君     林  百郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四一号)  警察に関する件(最近における爆破事件及び千  葉県下における暴力団抗争事件)      ————◇—————
  2. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため出席できませんので、委員長指名により私が委員長の職務を行ないます。  警察に関する件について調査を進めます。  この際、最近における爆破事件及び千葉県下における暴力団対立抗争事件について警察庁当局から報告を求めます。田村刑事局長
  3. 田村宣明

    田村政府委員 それでは御報告をいたします。  最初に爆弾事件関係でございます。  まず、三グループございますが、栃木県下で発生いたしました事件でございますが、これは二月十二日の二時半ごろ、宇都宮中央警察署の東武駅派出所横ビニールバッグ爆弾がしかけられたのを発見いたしましたのをはじめといたしまして、二十一日までの間、派出所あるいは警察署前警察の寮、県庁前等でダイナマイトを使用した爆弾発見したのでございます。真岡警察署前トランジスターラジオ爆弾爆発によりまして警察官一名が重傷を負いましたが、他は不発ということになっております。  栃木県警におきましては、これらの事件について諸般の捜査を強力に推進いたしまして、二月二十六日、真岡市内高校生数人のグループによる犯行であることを解明いたしまして、現在までに五名の少年爆発物取締罰則違反等逮捕したほか、主犯格少年一名を全国に指名手配をいたしまして、行くえを追及中でございます。なお、検挙後判明したところによりますと、宇都宮市内のデパートにも爆弾をしかけておったものでございます。なお、これらに使用されましたダイナマイト雷管等は二月六日に茨城県下の採石場で窃取したものであるということが判明いたしておるのでございます。  次に、大阪におきます近鉄上本町駅のコインロッカー爆破事件でございますが、これは二月十八日の午前零時五十三分ごろ、近鉄上本町駅のコインロッカー爆発をいたしまして、幸い負傷者等はございませんでしたけれども、その爆発あとから、近鉄社長あての五千万円要求脅迫文書発見いたしまして、これは現金奪取を目的とする爆破事件であるということがわかったわけでございます。  それで、この二月十八日から三月の十三日に至ります二十三日の間に、犯人近鉄側との間に電話あるいは文書犯人要求に対する答えとして新聞広告を出すなどの何回にも及ぶやりとりがございまして、三月十三日に犯人から京都府下の某ドライブインに現金を持参せよという指示がございまして、体制を整えて現場に向かい、現金を受領するためにあらわれました犯人恐喝未遂現行犯人として逮捕をいたしまして、二十三日ぶりに解決をいたしたのでございます。なお、この逮捕現場におきまして、自動車待機中本犯の失敗を知りまして逃走をはかった共犯一名を逮捕いたしております。  なお、これに関連をいたしまして、去る三月十七日、近鉄百貨店の阿倍野店で小規模の爆破事件発生いたしましたが、この際に文書がございまして、ただいまの被疑者二名の釈放を要求する旨の脅迫文があったものでございます。現在捜査中でございます。  それからまた、去る三月二十四日午前十一時二十分ごろに、大阪北区の扇町公園公衆便所内で爆発が起こったのでございますが、現場を通りかかった鉄道公安官がこれを発見して派出所に連行、捜査をいたしましたところ、大阪市内工業高校生三名だということが判明して解決をいたしたのでございます。  次に三番目の北九州のグループでございますが、これは三月七日から二十日までの間に、小倉駅の構内のコインロッカー爆破事件等四件の爆破事件発生をいたしまして、大体同期間に、市内乾電池等を取りつけましたにせの爆弾が置かれた事件が八件、またこれに関連をいたしまして、戸畑警察署長などに脅迫状が送られてくるというような事件発生をいたしました。  福岡県警では鋭意その捜査につとめまして、遺留品捜査等によりまして容疑者を割り出して捜査を続行中のところ、その容疑少年の両親から、自分の子供に不審な点があるので調べてほしいという申し出がございまして、検討いたしましたところ、遺留品同種のものを持っており、指紋も脅迫状から採取したものと合致をするということで、この少年に間違いがないということになったのでございますが、それは中学二年生、十四歳の少年でございまして、家庭裁判所の発した緊急同行状によりまして現在少年鑑別所に収容いたしておるのでございます。この少年捜査によりまして、爆破事件四件、にせ爆弾事件三件がこの少年によって行なわれたものと認められております。なお、うち一件につきましては、同級生二名が共犯となっておるのでございます。  各地の爆発事件爆弾事件、以上のようでございますが、ことしに入りましてから、にせ爆弾を除きまして、栃木県下で六件、大阪府下で三件、福岡県下で四件、十三件発生いたしておりますが、やはり同種事件の再発を防ぐ最大のきめ手は検挙であるということで懸命の捜査活動を行ないました結果、十三件中十二名につきまして被疑者を割り出し、現在なお捜査を継続中でございます。  これらに対する警察措置でございますが、まず、事件発生時の措置といたしましては、早期発見初動捜査徹底。次に第二は、大阪を除いてはいずれも少年でございますので、この少年対策、これを強力に推進をする。保護者あるいは教育の場ということで問題がいろいろございますので、警察庁といたしましても、文部省等あるいは県の教育委員会等連絡をいたしまして適切な措置を講ずる。少年補導にあたってもそういう観点からのことをやる。それから第三は、やはり火薬類等不正流出対策でございまして、これはそのような場所の立ち入り点検等をやり、なお再点検をする予定をいたしておるわけでございます。そういうようなことで、これにつきましても通産省あるいは厚生省文部省等に対していろいろと連絡をとって、そういうものの流出防止につとめるようにしてまいりたいと思っております。それからコインロッカーにつきましても、犯罪に使用されることが多うございますので、たとえばこの使用期間を短縮して、点検早期に行なえるような点についての検討お願いをしておるというようなことでございます。  以上が爆弾事件についてでございます。  それから、次は暴力団関係でございますが、暴力団の現在の状況は、警察が把握いたしておりますものは二千七百二十三団体、十一万四千五百六名ということで、十年前に比較いたしますと、千八百五十団体、六万二千五百二十九人の減少ということになっております。また、主要資金源としては麻薬、覚せい剤の密売、賭博、ノミ行為等が現在最も主要なものでございます。  動向といたしましては、現在まず組織防衛を強化するという動向が見られるのでございます。また、地域暴力団同士親睦会等をつくりまして、融和、協調をして警察取り締まり等を免れ、世間批判をやわらげようとするような動向がございます。それから第三番目には総会屋等への進出傾向がございます。それから大規模広域暴力団が弱小のものを吸収して組織を拡大していくというような傾向がございます。  警察といたしましては従来から、このような暴力団に対しまして、首領、幹部などの中枢部に対する取り締まり拳銃等の武器の取り締まり資金源取り締まり対立抗争事件取り締まり、それから小暴力事件取り締まり被害者参考人等保護措置徹底ということを強力に推進いたしてまいっておったところでございます。  そういうことと並行いたしまして、この資金源犯罪について、特に課税措置を促進するということで、これは昨年来国税庁と協議をいたしまして、暴力団構成員に対する適切な課税ということの推進につとめておりますし、またノミ行為防止につきましては、公営競技監督官庁協議をいたしましてその推進をはかっております。また企業を舞台とする知能暴力事犯につきましては、関係経済団体協力をして、この被害届け出等についてお願いをいたしておるところでございます。  そういうことで年々構成員も減り、団体も減り、また検挙件数、人員は、四十八年は四十七年に比べて増加をしておるというような状況であったのでございますが、そういう状況の中で、千葉県で一連の暴力団対立抗争事件発生をいたしたのでございます。  これは千葉市内の盛り場であります栄町のなわ張りをめぐりまして、住吉連合児玉組越川派稲川会大草一家対立事件を起こしたものでございまして、第一回目は三月十五日の午前零時、越川組組員二名が栄町をネーム入りの服を着て俳回中のところを大草組組員に暴行をされまして、これが発端で、四回にわたり猟銃がそれぞれの事務所に対して、大草組に対して二回、越川組事務所に対して一回、それから越川組首領の乗用車に対して一回、猟銃が撃ち込まれたのでございます。  千葉県警におきましては、この事件発生と同時に、日によりまして若干違いますが、百数十名あるいは二百数十名の警察官を投入いたしまして、事務所に対する張りつけ警戒集団警らその他所要の措置をとったのでございますが、この猟銃射撃のときには非常につかの間の、あっという間のできごとで、この追跡に間がなかった、あるいは追跡中、間に他の車に入られた、あるいは踏切で遮断機がおりたというようなことで、残念ながら現場で捕捉するということはできませんでしたが、その後、警戒を続けると同時に、被疑者の割り出しと犯行に使用した散弾銃等発見全力を傾注いたしました。四十一カ所の捜索なども行ないまして、登山ナイフ日本刀など三十二点を押収すると同時に、本日までに被疑者十一名、住吉連合側が九名、稲川会側が二名、を逮捕いたしまして、なお猟銃一丁を山林中から発見をいたしまして、本件の首謀者等の解明に現在鋭意捜査を進めておるところでございます。  千葉県警といたしましては、この種事件は市民に非常に不安を与える凶悪な犯罪でございますので、早期関係被疑者検挙すると同時に、関係組織の解散、壊滅に総力をあげておるところでございます。また栄町地域、これにつきましては、地域住民等浄化を望む声が非常に強うございますので、これに協力をして明るい町づくり全力をあげておるところでございます。  警察庁といたしましても、先般来申し上げました従来の方針を強力に推進いたしますとともに、全国的に、栄町のような、風俗営業などが密集をいたして暴力犯罪の温床になるような地域というものも相当ございますので、こういうふうな点について、警察の各分野からいろいろと点検検討を加えまして、暴力犯罪壊滅、その種地域浄化ということを強力に推進をいたしてまいりたいということで、現在具体的に検討を進めて、近く実施に移すことにしておるところでございます。  以上でございます。
  4. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 以上で説明は終了いたしました。      ————◇—————
  5. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 次に、内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、おはかりいたします。  本案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  8. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤敬治君。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、今度の交付税の中で、市町村あるいは県の非常に大きな問題になっております、市町村立あるいは県立等病院再建の問題、あるいはまたその中に含まれているところのいろいろの問題に限って質問をいたしたいと思います。  言うまでもなく、公的医療機関再建の問題は、現在の地方自治体の非常に大きな問題でありまして、これの再建が今度の国会に提出されたことは非常に喜ばしいわけでありますが、しかし、その中にはまだまだたくさんの問題が含まれております。これを一つずつ指摘して質問いたしたいと思います。  この前に、例の健康保険の問題を少しばかり質問いたしました。健康保険の問題につきましては、自治省が窓口にはなっておりますけれども、その実態は、ほとんどみな厚生省の問題であります。この公立病院等の問題におきましても、赤字のあと始末自治省でやりますけれども、しかし、そのよって来たるところはほとんど厚生省の問題であります。したがって、厚生省の方々に問題が集中されることは当然でありまして、お許しを願いたいと思います。  第一に考えられますのは、現在の医師不足の問題であります。医師不足いたしまして、公立病院等は非常に大きな存亡の危機におちいっておるわけでございますが、これの原因としては、もう早くから指摘されておりますように、医者の数はそんなに不足ではないと思われるけれども、これが開業医に偏在し、あるいは地域的にもうかる都市部に偏在しておる、いわば都市開業医、こういう形に偏在しておる。そのために、過疎地域だとか、もうからないところでは医師不足現実の問題となって、非常に困っておるわけですが、そのほかに、最近国民皆保険、こういうので非常に患者がふえてきた。あるいはまた、経済成長の結果自動車がめちゃくちゃにふえまして、警察庁の調べですと、交通事故昭和四十六年には七十万件もある、こういう状態、あるいはまた老人人口が非常にふえてきまして、このため病人の数が増した。こういういろいろな問題が起きて、一方では需要が非常に増大してきた。  ところが、これに対して医師養成の問題につきましては、厚生省がいままでとってきたこういう問題については、かなり立ちおくれがあるような気がいたします。昭和三十六年に医師の数が十万四千人、それが昭和四十六年には十二万三千百七十八人という厚生省統計が出ておりますが、一八%ぐらいの増になっております。人口十万当たり医師の数にしますと、三十六年が百十・六人に対して一人、四十六年が百十七・三人に対して一人、六%増、こういう微々たる増しか示しておりません。  厚生省はこれに対して、これは文部省の問題にもなりますが、二十九年以降、毎年医学部入学定員を大体三千人以下に押える。これは医師会等いろいろな圧力があったと思います。医者があまり多くなると医師が困るというので、あまり医者をふやさない、こういう方針をとったようでありますけれども、大体三千人以下に押えようという方針だったようであります。三十六年当時の医科大学状況を見ますと、国立が二十四校、公立が九校、私立が十三校、合わせて四十六校でありまして、この定員が二千八百四十人という状況でありまして、いま申し上げましたように、大体三十年代一ぱいは基本的には三千人以下に押えるという政策がとられてきたわけですが、医師不足が非常に目立ってまいりまして、ようやく四十四年までに二百二十人の定員増が実現し、さらに四十五年に秋田大学を新設してから、国立医大新設しよう、こういうのに踏み切ってきたわけでございます。  ところが、新たに医師をどんどんふやそう、こういっても、これはなかなか早急にはものにならない問題でございまして、厚生省目標としては、昭和六十年までかかって十万人当たり百五十人の医師を獲得しよう、こういう目標であるようでございます。四十五年に十七校、四十八年までに六千二百人を増加した。これで大体医師の充足のめどがついた、こういっておりますけれども医者がようやく一人前になるためには十年かかる、こういわれております。したがって、いま幾ら入れても現在の問題にはなりません。十年はとても待てない。こういう問題がありますので、この前私も指摘しておきましたように、現在ある程度余裕があると思われる開業医との連携をよくとって、これを十分に活用するようにならなければ、現在の医者不足幾ら大学をつくっても解決できないのではないか、こういうふうに考えてこの前は質問いたしたわけですが、この医科大学の問題につきまして最近非常に大きないろいろな問題が出ておりますので、この医大の問題についてちょっと質問申し上げたいと思います。  文部省の方、来ておられますね。——これは非常に即物的な話でありますけれども私立大学寄付金の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。これは参議院、衆議院の文教委員会でいろいろ質問されたことでありますが、この前の二月二十六日の参議院決算委員会で、わが党の須原議員質問に対して文部省が明らかにした統計によりますと、私立大学の二十六の医学部に三千二百六十九人が入学している。このうち六一%の千九百八十一人というのが、悪くいえば裏口入学の金を出し、よくいえば寄付金を出して入学しておる。六一%が何かしらの寄付金を出して入学しておる。その総額が百六十九億円、膨大な金額になっております。平均して八百五十万円ずつ入学者が納めている、こういうことがいわれております。一千万円以上一千五百万の金額を納めているのが二八・一%、三百万以上六百万が二六・八%、三百万未満が五%、二千万円以上納めたのが三%、三千万円納めたのが〇・二%、最高が三千百万納めている、こういうような統計が出ております。認可条件としては、寄付金は取らない、こういうような条件になっておるようですけれども現実にはこういうばく大な寄付金を取っておるわけです。この点に対して、まず文部省の態度をお伺いしたい。
  10. 宮地貫一

    宮地説明員 ただいま先生御指摘のように、私立医科大学のいわゆる入学時の寄付金問題ということが、社会的にもたいへん大きな問題になっておることは私ども十分承知しておりまして、これについてもできる限りの対策をとっておるところでございます。  御承知のように、医学教育という分野は、ほかの分野に比較いたしまして教育経費がたいへん多額にかかるということも事実でございますが、しかしながら、入学時に入学者から高額の寄付金を取るということは、入学者選抜の公正に関しまして世間の疑惑を招くということもございますので、また教育機会均等の趣旨から照らしまして好ましくございませんので、極力抑制すべきものということで関係者に強く自粛を求めております。お話しのように、認可申請がございました際に、各申請者側に対して、そういういわゆる入学寄付金入学条件とするような寄付金はもとより、高額の寄付金世間批判を浴びるようなものは取らないようにということは、私どもとして確約書を出さしておるところでございます。それから、特にこの春の入学者選抜の時期にあたりましてさらに重ねて、関係学校法人に対しまして文書入学寄付金の抑制についても指導をいたしてございます。  しかしながらまた一面、ただいま御指摘のございましたように寄付金現実学校がもらっているということも事実でございまして、ただいま御指摘のございましたのは、四十八年度の入学時の寄付金につきまして、私ども学校法人から回答を求めたものでございます。もちろん各学校法人からは、入学条件とする寄付金ではなくて、任意の寄付金であるということはいわれておるわけでございますけれども、実際のその扱いが、入学選抜に関して公正を疑われるような取り方になっているんではないかということは、私どももたいへん遺憾と存じておりまして、そのことについては強く指導をしております。  また、四十九年度の予算におきましても、従来経常費補助金新設医科大学については出していなかったのでございますが、医科大学教育に非常に経費がかかるということもございまして、四十九年度からは新設医科大学にも経常費補助金を出し得る道を開くというようなことで、積極的に国としてもそういう新設医科大学に対する援助を強化するということも、予算お願いをいたしておるわけでございます。  それとともに、もう一点は、文部省全体の政策といたしましては、そういう私立医科大学に非常に経費がかかるということでもございますので、むしろ国公立医科大学整備に積極的につとめるというようなことで、すでに四十八年度、四十九年度と、新設国立医学部整備ということにも取り組んできておるわけでございます。  そういうような全般の施策を通じまして、私立医科大学に対する積極的な援助とか、あるいは国立医学部新設整備というような施策を総合的に進めまして医師養成に対応するとともに、ただいま御指摘のございましたような、そういう寄付金問題についても行政指導を積極的に進め、またその自粛を求めて、世間批判を浴びることのないように十分措置をとってまいりたい、かように考えております。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 医大を設立するときにやはり一番先に考えられることは、寄付金をうんと取るんじゃないか、こういうことが念頭にあるようですけれども、十分に調査をしたのだと思うのですね。この点は許可をするときに非常に重点的に調査をしておりますか。
  12. 宮地貫一

    宮地説明員 私立医科大学の申請につきましては、文部省に対する申請としては、学校法人新設の場合でございますと、そういう大学の内容についての審査と、学校法人新設認可申請がございまして、資金的な面で申せば、主として学校法人新設認可にあたって資金的な面の審査を行なうわけでございます。従来、学校法人認可申請にあたりましては、医学部医科大学につきましても一年間の審査ということでやっておったわけでございますが、過去、たとえば浪速医科大学の問題等、その申請をめぐりまして刑事事件等が発生したこともございまして、私立大学審議会から建議をいただいて、従来の一年で審査するというのを二カ年の審査という方法に、四十八年度の申請から切りかえたわけでございます。したがいまして、医科大学医学部に限っては二年間の慎重な審査で臨むということにいたしたのが第一点でございます。  なお、資金的な点で申し上げますと、従来医科大学新設、あるいはその他の学部の新設も同様でございますが、資金計画としては、自己資金を三分の二必要とするということで審査基準を設けてございましたが、医学部医科大学に関してはそれを、四分の三の自己資金を必要とするということに改めまして、特に資金的な内容の充実と申しますか、自己資金を保有することをほかの学部よりもより比率を高めたというような点で、慎重な審査をいたしておるわけでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、いままで認可したものの基準は四分の三、これでもって認可しているのですか。
  14. 宮地貫一

    宮地説明員 従来は三分の二の資金でよかったわけでございますが、四分の三といたしましたのは四十七年度からの申請でございます。
  15. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、いままでの医学部設置に対する資金計画の調査というものは非常に粗漏だったと私は思うのですよ。いろいろ経済的な変化もあるかもしれませんけれどもね。前に出ているのが今度のインフレで非常に困ったというのはよくわかるのですが、ことしできたようなものでもやはりどんどん取っているのですね。だから、これはつくるときの文部省の粗漏な態度というものがこういうふうな結果になってあらわれてきているのじゃないか、こう思います。  それでちょっとお聞きしますが、そうすると今度は一年間の審査を二年にする、それから三分の二を四分の三にする、こういうことを厳重にすると、この次、四十九年度は終わりましたが、来年度からの入学の問題についてはこういう問題は出てきませんか。
  16. 宮地貫一

    宮地説明員 私どもとしては、そういう事態のないように十分指導いたしたいと思います。
  17. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それはひとつぜひ確信をもってやってもらいたい。おそらくこのままの状態で同じような問題がまた来春出てくると私は思いますよ。しかし、経常費の補助も来年はもっと増して、こういうような問題が出ないようにぜひひとつ考えてもらいたい、こう思うのです。  そこで、いま入学条件にした寄付金は取らない、こういうふうなんですが、いまあなたも認めたとおりに、これは大体入学寄付金として認めている、こう思わざるを得ないのです。そこでこの寄付金ですけれども、五十万、百万というのは、これは普通の状態で子供にかかる親の経費として考えてもよろしいかと思いますけれども、二千万、三千万という金になりますと、これはちょっと異常な状態だと思うのです。そこで、こういう金の動きに対して、国税庁として何かこれに課税するというようなことはありますか。たとえば子供に対する一つの贈与税、こういうようなことが考えられないことはないと思うのです。普通の常識からいきますと、これは当然贈与税として考えられると思う。税法上、あるいは国税庁としてこれをどういうふうに考えるか、ちょっとお聞きしたい。
  18. 西野襄一

    ○西野説明員 ただいま先生御質問の点でございますけれども、この御趣旨は、大学の入学に際しまして行なわれた寄付によりまして子供が大学に入学できたということでありますので、いわば子供の入学という利益を親から贈与されたものである寄付金相当額、これを贈与税の課税対象にすべきではないかということかと思われます。しかしこの点につきまして、この寄付でございますが、これは学校に対して行なわれておりまして、寄付金相当額の利益は学校が受けておるわけでございます。子供はそれによりまして間接的に利益を受けないわけではございませんけれども、その利益と申しますのは、他の学生と同様に教育を受けることができるというものでございます。子供が学校において教育を受ける利益を課税対象とする、これは適当なものではないということで非課税にされております。  なお、学校入学に際していまあげられましたように非常に多額の寄付を要するというようなことは、教育制度のあり方として好ましいことではないじゃないかということでございますが、この点は教育制度における問題として対処されていくべきものではないかというふうに考えております。
  19. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 問題はそのとおりですよ。学校制度なりのそういう問題にして解決しなければいけないのですけれども、結果としてあらわれたものに対して、国税庁として考える余地がないかと言っているわけです。というのは、いままでもいろいろこの問題が批判されてきまして、ただ文部省は警告を出した、強力に指導しているとはいっているけれども、一向に改まってこないのですね。この問題、大学に対して裏入学したり、試験問題用紙を高い金で買ったりして入った問題は、だいぶ前からの問題なんです。そのたびに強力に指導する、厳に取り締まるといっているけれども、問題は一向に改まっていないのです。何かしらの措置を講じなければ改めようとしない、こういうあれがあるんじゃないかと思われるのです。  それで、いま、親が学校に寄付したのであるから子供は関係がないのだ、ある意味では関係ありますけれどもと言う。私も当然そういうあれが出てくると思うのです。子供がいなければ、親が学校法人に寄付するということは私は非常にこれはむしろ奨励すべきことで、大いにいいことだと思うのです。しかしそれが子供の入学するパスを買ったということになりますと、これは大問題です。しかも常識を逸脱したたいへんな金で買ったということになりますと、あなたの言うように親がストレートに学校に寄付したとはだれも考えないのです。あなたは、たとえば三千百万という最高のこれが出ていますけれども、三千百万を寄付したから子供が入った、こう考えないのですか。普通の人間なら、この金を出したから子供が入ったと思う。あなたは、子供に対する利益の享受の場所を、単に入学したあとで一般の学生と同じように教育を受けるんだ、この利益しか受けない、そう言っているわけですね。この子供の利益というものは、親の経費というものは、毎月毎月の授業料なりあるいは当然払うべき入学金なり、そういう一般学生と同じ普通の経費、これは税法上、親が子供を教育するためには払わなければいけない当然経費として認められている。ところがこの三千百万という金は認められていないのです。これは学校へ入ってから教育を受けるところの金じゃないのです。入学の門を突破するための金なんですよ。あとから教育を受けるための金じゃないのです。これの証拠には、同じ金額を受けていないのです。  文部省にちょっとお聞きしますが、いろいろな段階があるわけですね。出した資料によりましても、百万円未満が〇・二%、百万円から二百万円が二・五%、二百万円から三百万円が一・七%、三百万円から六百万円が二六・八、六百万円から八百万円が一六、八百万円から一千万円までが一三%、一千万円から一千五百万円が二八%、一千五百万円から二千万円が八・七、二千万円から三千万円が二・八、三千万以上が〇・二と格差がついているのです。この格差の標準は一体どこから出てくるのですか。
  20. 宮地貫一

    宮地説明員 これはそれぞれの医学部ないし医科大学において、私どもそういう問題が非常にきびしい情勢になっているということを受けまして、各大学に報告を求めた結果としての数字でございます。
  21. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 こういう結果が出てくるということは、これは各大学から集めたからこういうばらばらなものが出たかもしれませんけれども、たとえば一つの大学に格差があるのですね。これは三月十八日の朝日新聞に出ている福岡大学の「裏入学寄付金」という新聞記事ですが、これははっきりと格差が出ているのです。この格差というものは公然の秘密になっていますが、これは点数の悪い者ほどよけい払う、こういうことなんですね。これはだれでも知っている事実なんです。この金というものが、これは明らかにあとから授業を受ける権利じゃなくて、まず大学の門を突破するところの金だ。これはそういうことのはっきりした証拠なんですね。  そうしますと、子供の利益というものはあなた方が言っているように単に授業を受ける利益だけじゃない。三千万なら三千万という金で、入るためのパスを買っているのですよ。もっと端的に言いますと、なぜこういうことを言うかというと、これは非常な社会的不正義なんです。というのは、同じように試験を受けて百人入る、五十点以上取らなければ落第だ、こう言われるかもしれません。そうしますと、その金を払って入学したために入学できる人が落第する、不合格になるのですね。これは明らかに金によって不合格と合格がきまってくる。しかもそれによって、当然合格しなければいけない人が不合格になる。これはたいへんな利益ですよ。普通の常識からいいますならば、私はもう明らかに親の子供に対する贈与だと思う。これは不正ですよね。カンニングして学校に入って卒業するのと同じですよ。  この間国税庁の課長さんとこの問題で議論しましたが、私にこう言うのです。あなたがそう言うならば、家庭教師を雇って子供に教えることもカンニングだと言う。しかし問題の本質は全然違うのです。家庭教師を雇って知識というものをはっきりと自分の子供の身につけて、そのつけた結果によって試験を受けて合格点を取り入学するのと、学問が全然身についてないで、ついてないかわりに札たばで横つらひっぱたいて入学するのと同じですか。あなた方の考え方はこれと同じ考え方を持っている。この間ぼくはだいぶ議論したのです。認識が違うのです。  こう考えてきますと、この二千万なり三千万なりの金は、あとからほかの生徒と同じように平等に授業を受けるという利益じゃないのです。人をけ落としてまず入る。これは重大な贈与だと思う。あなた方は故意に親と学校の間を直結させて、子供をオミットしようとしているのですよ。この中に子供がいなければ、親が何で何千万という金を払いますか。子供の存在が不可欠なんです。どう思いますか。
  22. 西野襄一

    ○西野説明員 いま先生おっしゃいましたように、入学できるべき人が不合格になる、これはたいへんな問題であるということにつきまして、その対策を立てるべきではないか。その対策につきましてはいろいろな方策が考えられるべきだと思いますが、いま御指摘の子供の立場という点でございますが、子供の立場で考えてみますと、これはやはり学校教育を受けられることになって受ける教育ということでございますので、この点では他の学生も同様な教育を受けているのであるというふうに、税の立場からは考えられるということでございます。
  23. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あなたが不満を持っていることはよくわかるのですよ。こんな問題を国税庁なんかに持ち込まれても困る、これは文部省の問題だ、そういう不満はよくわかるのですよ。しかし現実にこういう問題がありまして、これは非常に社会的な一つの不公正を出している。しかもそれをずっと分析していきますと、いまみたいに親が常識を逸脱したたいへんな金を出して、子供の利益のためにやっているんだ。こうなれば、普通の考え方からいけば、これはやはり親の子供に対する一つの贈与と考えるのはもうむしろ当然だと私は思うのですよ。  ちょっと例を申し上げますが、これは四十九年三月二日の読売新聞の読者の投書欄です。読者がこの投書欄に投書して、採用してもらうということは非常に大きな名誉なんですね。なぜかというと、この発言の中には大きな世論のバックがあるから新聞が取り上げるのですね。かなり多くの人がこういうふうに考えているという世論のバックがあるから新聞が取り上げるのですね。だから、この投書欄にあることは、世間のかなりたくさんの人がこう考えているということなんですね。いいですか。読んでみましょう。  「これも税免除の特典なのか」「親が支払う私立医大への寄付金」こう書いてあります。そして、「本年の私立医大入学寄付金が最高三千万円余平均八百五十四万円という報道がありました。この金は入学する学生でなく親が支払うものです。現行税法では、たとえ親子の間であっても贈与税がかかり、年額四十万円までが無税とされています。こうした多額な入学寄付金は、親が子に対する贈与とみなされないのでしょうか。私は、通信教育で某私大法学部に在籍する勤労青年です。入学時数万円の金を工面するのにさえ大変苦労しました。とてもそんな金と比較にならない額で、需要と供給のための必要悪として容認できても、税法上「通常必要と認める教育費」として課税対象にならないのは問題だと思います。医大志望の受験生には、お医者さんの子弟が多いとのことですが、現在医師は七二%も経費率が認められ、さらにこうした特典があるとすれば、租税負担公平の原則から見過ごすことはできないことと思います。税務当局のご見解をぜひうけたまわりたいと思います。」こういうふうに書いてあるのです。これは率直な庶民の声だと思うのですよ。だから、これはもうただ寄付だからわれわれの問題じゃないというのでなくて、現実の問題としてこうあるならば、あなた方にとっては迷惑なことでしょうが、考える必要があると思いますね。いかがですか。
  24. 西野襄一

    ○西野説明員 ただいまお話しの贈与という問題につきまして把握する考え方と申しますのは、やはり受ける立場、その受けている人がどのような内容の利益を受けているのかということになるわけでございまして、その意味では、確かにさっきも御指摘がございましたように、入学できるべき人が不合格になるという点で、社会的に見て非常に大きな問題であるという点がございますけれども、税の角度で見ますと、先ほど申し上げましたように、やはり学校教育を受けるという利益でございますので、この点につきましては他の学生と同様に考えていかざるを得ないということでございます。
  25. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 だけれども、いま皆さん聞いておられますが、これはどう考えても、単にほかの一般の学生と同じように教育を受ける権利だとは考えられませんよ。私はもう少し検討してみる必要があると思いますよ。  この問題だけやっていてもしようがありませんからやめましょう。ただ、文部省の方にお伺いしたいのですが、四十八年の九月に、文部省入学寄付金というものを規制するための法的規制措置検討を始めている、こういうような報道がありましたけれども、これは事実ですか。
  26. 宮地貫一

    宮地説明員 事務的な検討は部内でもいたしております。  なお、法的規制の問題については、私どもとしてなおいろいろ検討すべき課題もあるということで、規制をどう扱うかということについては立法の問題でもございますので、非公式には文教委員会のほうでも御検討いただいているやに伺っております。
  27. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この対策がもっと早く出ていれば、ことしのこういうような問題は起きてこなかったかもしれない。いたお話しされましたように検討しておるならば、来年度に間に合うように、ぜひ早急に検討してこの対策を練ってもらいたいと思うのです。そうしたほうがいいんじゃないか。こういうのは一日も早くやめたほうがいいと思います。  田中総理あるいは奥野文部大臣は、修身をやらなければいけないとか言って盛んに精神教育をやっておりますけれども、修身なんというものは、権力に対してある程度チェックするのが修身なんです。昔は、力の強いやつを何とかかんとか乱暴しないように押える、自分の利己的な欲望を押えていく、こういうのがいわば修身なんですね。ところが、それを教えるべき学校に金の権力でもって、暴力でもって入学する。こういうようなことでは百の説法もへ一つなんです。そんなことを言ったって何にもならぬですよ。まずこういうことを直していかなければだめだと思うのです。さっき爆弾事件がありました。子供たちはこういうのでどうせだめだと思えば、ある者はニヒリストになり、ある者は暴力主義に走り、ある者は無気力に社会の中に沈でんしてしまい、ある者はまた拝金主義になって、金さえあれば何でもできるというふうに思うのです。こういうことを教えなければいけない学校が、こういう何千万という裏口入学をいつまでも許しておくということは許されないと思うのです。前向きに、積極的にひとつ検討されるという確約をしてください。
  28. 宮地貫一

    宮地説明員 ただいま申し上げましたとおり、立法問題につきましては衆議院の文教委員会のほうでも非公式な御検討をいただいておるやに伺っておりますので、それらの十分検討いただいた結果をもとにいたしまして、私どもも取り組みたい、かように考えております。
  29. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう一つ新設医大のことについてお伺いします。  いま文部省の計画でもって、各県に一つずつ医大をつくって、医大のない県はないというふうに、いわば医者不足対策としてやっておるようでありますが、一番先にできたのは秋田大学の医学部ですね。この秋田大学医学部の場合に——私は秋田の一区の出身ですが、あそこの大館というところで市長をやっておりまして、医学部を設置するときに金を取られましたり、ずいぶんいろいろあれしましたのでちょっとお聞きしたいのですが、秋田大学の医学部設置の際に、敷地、基礎校舎、図書館、体育館、学生ホール、ボイラー施設、こういうふうな地元負担をさしております。ところがそれが地方財政再建促進特別措置法二十四条の二項に違反する。これは私ら盛んに取るな取るなと言ってやっているのですが、どうしてもやらなければできないからというので、その逃げ道として、秋田大学医学部設置協力会というものをつくって、県がそこに金を出して、そこからやっている。だから、間接だからこれは促進法に触れない、違反ではない、こう言っている。さっきの、子供がわきにいて、親が直接やっているから違反でない、これと同じ論理なんですね。形さえ整えば何やってもいいというような論理なんです。  それで秋田の場合は、こういうものを全部無償で文部省に貸与しているのですよ。現在でも秋田県の予算には約三億の経費を県の衛生費予算として、全体の五%を計上してやっていますよ。それで、これは財政局長さんにお伺いしますが、この間の新聞を見ました。そうしますと、何の新聞でしたか、こう書いてあるのですね。自治省は秋田県をよく指導して、こういうようなことのないように指導したい、こういうようなことを言っているのですね。私はあの新聞を見ましておかしいなと思った。同じ国の機関でありながら、何も自治省が秋田県を指導しなくても文部省指導すればいいのですよ。そうでしょう。同じ国の機関で、何もああいうくどいことを、秋田県をやって文部省へ行かなくたって、文部省に直接行って取るなと言えば、秋田県なんか出したくなくてしようがないのですよ。何でわざわざ、文部省指導しないで秋田県を指導するなんということを言うのです。ちゃんと書いたのがあるから見せますよ。
  30. 松浦功

    ○松浦政府委員 私、秋田県を指導するとは——どういう記事が出ておったのか存じませんが、ただいま御指摘をいただきましたように、地方財政再建促進特別措置法の二十四条に違反するような事実があって、これを直ちに解消するようにしかるべき措置をとるということになりますれば、文部省が大蔵省から適切な予算を認めてもらうということ以外に方法はないのではないかというふうに私どもとしては理解をいたしております。
  31. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 だから文部省に、大蔵省にかけ合ってこういうようなことのないようにやるべきじゃないかと言うべきなんです。秋田県を指導するというのは筋違いなんですよ。出すなと言ったって、出さなければ建てませんと言うから、ほしければ出さざるを得ないのですよ。大もとの文部省に取るなと言えば、そして文部省が取らないと言えば、秋田県なんか出したくなくてしようがない。ピーピーしている三割自治の市町村からみんな金を集めているのですよ。  それで、私なぜこういうことを言うかというと、去年医大新設されました。それで山形県の場合は敷地二十一万平方メートル、約八億、これしか負担していませんか。だれかわかりませんか。文部省わかりませんか。
  32. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 いまお話しの山形大学の医学部の件でございますが、いろいろ文部省としても地元とお話をいたしまして、国でさっそくにできないこととかで御協力願っておるものもあります。お話しの二十一万平米余の土地、これはまあ有償借用というようなことで四十八年度より実施しておるわけでございますが、そのほかに、新しくできます医学部には関連教育病院ということで、具体的には山形県立病院でございますが、その中にいろいろと管理、診療の施設をしていただくというようなことをお願いしておる。あるいは、一時にたくさんの職員が集まるものですから、とりあえず職員宿舎というものを用意していただきまして、これは教職員が個人的に貸与を受けるというような間柄に入るわけでございますが、そういうようなことをいろいろしていただいておるわけなんです。
  33. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 同じ時期に旭川と愛媛ができましたね。これはどうですか。
  34. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 旭川は単独の医科大学でございますが、愛媛は山形同様医学部でございまして、大学なり学部にせよ、しかるべき設置上の基準がございますので、それに応じた分の土地の借料を出しておりまして、職員宿舎の供与あるいは関連教育病院の強化、これなど大体同じような御協力を願っております。
  35. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 文部省にお伺いしますが、私ちょっとひっかかるのは、秋田の場合は無償なんですよ。ところが山形だとか旭川、愛媛の場合は有償なんですね。ほんの少しだけれども、八億の土地を山形の場合は賃貸料三百五十万で借りているのです。おそらく旭川も愛媛も同じだと思うのです。秋田の場合だけは無償なんですよ。これは中間に協力会なんという変なものが入っているから違反ではない、こう言いますけれども、これは形式的にはっきり違反なんですよね。どうです、局長さん。
  36. 松浦功

    ○松浦政府委員 なかなか微妙な問題のような気はいたしますけれども、どうも法律の裏をくぐっておるという感じを私どもとしては強く持っております。
  37. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 文部省お願いしたいのですが、ほかの大学は、少しではあれ賃貸料を払っているのです。一つの大学だけ、県だけ、全然無償で貸与しているというのはかっこうとしてもおかしいと思うのですよ。それ相応の賃貸料を払うなり、何年で買い上げるからちょっと二、三年待てとか、はっきりした形を整えませんと、いま財政局長非常に困って、微妙で、何かをくぐっているようだ、こういう発言をしていますから、これをひとつ考えていただきたい。いいですか。
  38. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 秋田大学の医学部をつくりますときの建て方と、来年度以降、無医大県に国立医科大学を全部つくっていくというような計画が政府としてきまりました時点とのズレはございますけれども、端的に御指摘の秋田大学の用地は、四十九年度以降、他と同じように有料でお貸しを願うという措置予算的にいま講じつつございます。御審議を願っている予算の中に入っております。  しかし、それはそれとして土地全体の所有権の問題はございますが、これはいろいろ文部省も、医科大学をつくることに先を急いでおるというとたいへん恐縮なことばでございますが、そういうこととのかね合いで、未来永劫ずっと借りっぱなしというわけではない。これは当然国として措置すべきものである。大臣もそういう気持ちでおりますので、できるだけそういう機会が早くなるような努力を事務当局としてはつとめたいと思っております。
  39. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 なぜ、こんな三割自治だとか一割自治だとかと、貧乏の代表者みたいにされている県や市町村がこんなに多額の負担をしてまでこれをつくりたいか。ほんとに医者がほしいからなんです。だからそういう足元につけ込んで金を出させる国というものはかなり私はひきょうだと思う。人の足元を見透かして、そして金持ちならいいのですよ、金持ちの国が最も貧乏な市町村から金を吸い上げるなんということは許される問題でないのですよ。笑っていますけれども、財政局長、こんなことは許されないのです。金持ちから吸い上げるならいいのですよ。逆だもの、そんなばかな話はないのです。だから、私はそう強いことを言いませんけれども、できるだけ早く正当な時価に見合った賃貸料を払うなり、あるいは年次計画を立てて買い上げるなり、やっぱりこうしてやるべきなんです。最初つくるときはやむを得なくても、あとからのところはやっぱりそうやってやるべきが至当だと私は思います。どうかひとつそういうふうに取り扱っていただきたい。  それで、もう一つなんですけれども、こういうふうにして、地元が一生懸命医者不足を解消したいといって、文部省もその上に乗っかって医大のない県はないようにしようじゃないか、こういうのでつくっています。ところが、はたしてこれに入ったところの学生がその地元に落ちつくか、こうなると、非常に私は寒心にたえないのですね。入学者の出身地を調べてみますと、これは非常に寒心にたえない。秋田大学の場合は、昭和四十五年秋田に医学部をつくって、秋田県から入ったのがたった六人しかいない。八十六人の入学者のうちたった六人しかいない。四十六年に、これはたいへんだというので特訓やりました。それで少し多くなって四十六年が十四人、四十七年が十八人、四十八年が十二人、こういう状態なんです。これをほかの大学で見ますと、山形大学は百人の定員に対して山形県からたった一人しか入ってない。愛媛大学は百人の定員に対して十四人。旭川は、これは北海道だからかなり多いんですね、遠いから。これは百人に対して四十六人入っています。こういうことを考えてみますと、この人たちがそのまま秋田県や山形県や愛媛県に残るとはちょっと考えられないのです。ちなみにやってみますと、秋田大学で昭和四十五年に六人入った場合に、近隣じゃなくて、もっと遠いところから、東京だとか、大阪だとか、勉強のうんとできるところから来て入ったのは六十五人いるのですね。こういう人たちはみんな卒業すればよそへ帰っていくのです。必ず帰っていきます。絶対残りません。そして、これだけ一生懸命地元負担して、これだけ大きな運動をして、地元に何にも残らない。こういうことになりますと地元は踏んだりけったりなんです。何にもならぬことになる。この点はどうですか。文部省自体も、医大のない県をゼロにしようということは、地元の医者不足を何とか解消しようということがねらいでしょう。ところが現実はこうなんです。この点を一体どういうふうに考えておりますか。
  40. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 いま御指摘になりましたような実態でございます。ただ、在来、国立大学医学部の卒業生が所在当該県にどの程度定着したかという比率がざっと五八%ぐらいございます。これはもちろん所々方々から来るわけでございますが、出ました者で六割弱が定着しておるという、多少年数かけての平均値が出ておりまして、こういうことからも、ぜひ卒業生に、郷土の希望をになって定着してもらいたいとわれわれも考えておりますが、これは先生からこの委員会の冒頭にお話ございましたように、養成だけでどうという問題でございませんで、医療の問題その他医療全体のしかけの問題ともかかわる問題でございますので、われわれとしてはつくりまして、現に病院ができることによって現実にさっそくの効果を出すということと、その当該地域からこういうことで地元の大学に入れる、そしてよそから来た者も多少加えて定着するだろうというような期待を持っておる、ぜひそうありたいと思って努力しておるわけであります。
  41. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私はその認識は甘いと思うのですよ。残らないのですよ、これは。現在の医療制度の根本はそこからきていると思いますけれども、これに入っているのはほとんど医者の子供なんです。そうでしょう。医者は自分の子供を一生懸命入れようと思って、ほとんど医者の子供なんですよ。みんな自分の家へ帰っていきますよ。二年か三年勉強するためにどこか勤務するかもしれませんが、ほとんどみんな帰っていくのです。私は、五五%という数字はどこで出たのかわかりませんけれども、残る者はほとんどないと思うのです。  これは山形の昭和四十九年三月十四日の毎日新聞ですが、県出身の合格者がたった一人しかないのでショックを受けて、こうなれば県費特訓だといって、医学部志望の学生だけに県が金を出して特訓をやらせる。これはたいへんな問題なんです。じゃなぜほかの学部に入るやつにも金を出さないか。全体の奨学資金と同じなんですね。入ってから奨学資金として出すのはいいのです。入らない前に金を出して特訓するというのは、プロ野球じゃあるまいし、とんでもない話なんですね。ところがこれは現実に秋田県はやったらしいよ、私は知らなかったけれども。山形県もこれをやろうとしているのですよ。こうなってくるとさつきの裏口入学みたいなもので、また非常に大きな問題になるのですね。せっかく医大を各県に一つずつつくって地元の医者不足を解消しよう、こういうねらいがあるんだが、野放しにしておけば東京あたりの受験のテクニックのうまいのが来て、あの秋田や山形や愛媛あたりのぼやっとしたのを全部け落としてみんな入りますよ。何か文部省として考えたことありませんか。
  42. 安養寺重夫

    ○安養寺説明員 どうもあまり妙案がなくて恐縮なんですが、国立大学はやはり国民全般に能力によって開放しておるというたてまえでございますので、いろいろ入試制度そのもののよしあしの議論はございまして検討を続けてはおりますけれども、先生御指摘のような問題に、端的にここで何か案はあるかと言われると、お答えするような妙案は実は持ち合わせしておりません。繰り返して申しますれば、十年がかりで医者ができ上がって出ていくということに対して、将来どのようにいろいろなことで定着するように働きかけができるかというような、多少年月をかけて全体的に検討していただきたい、われわれのほうもそう考えておるわけでございます。
  43. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ある県では、秋田県もそうですが、奨学金を出したりしているのですね。ところが、貧乏なものだから微々たるもので、とてもそんな奨学金をもらうような貧乏な学生は入っていないんだね。だもんだからだれももらわない。奨学金をもらおうとして医学部に入っているようなものはいないのです。この間も新聞に出ていましたが、一人か二人しかいない。もらわないのですよ。これはかなり大きな金額を出すか、かなり有利な条件を出してそして地元に定着させようとしなければ、これは地元なんかに絶対定着しないのです。われわれも妙案がありませんので文部省に何かないかと聞いたのですが、この点、たとえば地元を優先して半分はとる、こういう地元優先主義を確立するとか、何かしら対策を講じて、せっかくつくったこの大学の卒業生が地元に定着するような対策をひとつ早急に考えていただきたい。  次に、いま問題になっております救急医療のことについてちょっとお伺いしたいのです。救急医療はいま非常に大きな問題になっておりまして、これが不採算医療なもんだから地方の公的病院に非常に大きな負担になってかかってきております。こういう問題についていろいろお伺いしたいと思います。  救急医療というものを構成している要素は、救急車で運んでくるいわゆる搬送と、それから今度は運んできた患者を治療するところの救急医療機関、こういう二つのものから成り立っておるわけです。  まず、その救急搬送のほう、自動車のほうはどういうふうな状態になっているかということを調べてみますと、これは言うまでもなく、わが国では消防法に基づいて地方自治体がやることになっておるわけですけれども、この救急車の普及度というものを調べてみますと、全国の三千二百三十七市町村のうちで千六百三十二の市町村が救急車を持っておるのですね。大体半分、五〇・四%が救急車を持っておる。これを人口別に直してみますと、総人口の約八六%がこの救急車の体制の傘下に入っている。こういうことがいえるわけですね。それで台数からいいますと、昭和四十七年四月一日現在で千七百七十八台。これを見てみますと、普及度としてはかなりなものだと思う。全人口の八〇%以上を傘下におさめた搬送の体制というものはかなりりっぱなものだと私は思うのです。  一方、それじゃ運んできた患者を治療するほうの救急医療機関のほうはどうなっているか。これはまたちょっとおかしいことですが、法律ではなくて厚生省令で定められているのですね。そして強制的にこれをやれというようなあれではなくて、ボランタリーサービスなんです。私は非常にふしぎだと思うのですが、救急医療のほうではそういう状態になっておるのですね。四十七年四月一日現在の救急医療機関の状態を調べてみますと、これはおたくで出したのでしょうが、国及び公的病院、これは病院が七百六十、診療所が九で、合計七百六十九病院施設が救急指定病院になっておるんですね。これは全体の一六・二二%。これに対して、私立病院、診療所、これの総計は三千九百六十八、これをパーセンテージにしますと八三・七六%、こういうふうな状態になっておるんですね。日本のこの状態を見ますと、日本の救急医療を担当しているのは、私どもの常識からいくと国や公的医療機関だと思っていたら大間違いで、八九%が私立病院が担当している、こういうような状態です。これはボランタリーサービスですから、自発的にやる。やりたくなければやらなくてもいい。それで、全国の県市町村立病院、これは本来の使命からいっても当然救急病院にならなければいけないのですが、驚くなかれこれのうち約四〇%は救急病院になっていないのです。そして八九%ぐらいというものは私立病院が全部担当している。いわば、おのおのの使命からいくと非常にさか立ちした状態になっておるんですね。  それで、救急患者の搬送体制、これを受ける救急医療病院、こういうのを両方考えてみますと、数の上からいけば決して少なくない。ほかの文明諸国に比べて決して少なくないと私は思うのです。  それで、結局その救急車と病院が活動した結果がどうなっているか、これを申し上げますとこういうことですね。昭和四十五年の救急自動車の出場回数、これは消防白書によりますと八十七万二千五百四十五件となっております。   〔中村(弘)委員長代理退席、村田委員長代理着席〕 これは昭和四十五年の調査ですけれども、こういう数字が出ているんです。五万二千人の交通事故の患者があった。さっきの調査を裏づけておるのですが、五万二千人のうち五万人が私立病院で取り扱われ、処理されているわけですね。そのうちで病院収容後に死んだ人、これを調べてみますと千二百四人が病院に収容されたあとで死んでいるのですね。このうち、これはさっきの数と合っているのですが、八八%というものは公的病院じゃなくて例の私立の中小病院で死んでいる、こういうような状態です。これは東京消防庁の調査ですけれども、こういうふうに考えてみますと、この数字というものは日本の現在の救急医療制度というものを非常に端的にあらわしている、私はこう思うのです。完備した総合的な公的病院、これなら助かる率が非常に多いと思う。ところが公的病院じゃなくて、設備の悪い私立の中小病院でもって大部分が処理されているから非常に死亡率が多くなってきている、こういうことがいえると思うのです。  こういうふうな数字もあるんですね。わが国の年間交通事故の死亡率はおよそ二万人、そのうちの四千人というものは命が助かるチャンスがあったのではないか。ちゃんとした病院あるいは応急手当をきちんとやっていけば、適当な処置をしていけば助かったのではないか。それが中小病院であるとか設備の悪いところ、こういうようなところにたらい回しされている。そのために四千人という人がよけい死んでいるのではないか、こういうような調査もあります。こういうようなことを見ますと、いま私が申し上げましたような数字というものは、日本の救急体制というものに対してどうしなければいけないかということの一つのサゼスチョンになっていると私は考えます。  なぜ公的な病院が救急病院になりたがらないか、まずこの問題が一つありますね。これはもうここで言わなくともいいようなものですが、もうからないですね。もう絶対にこれをやってはもうからない。こういうような例を秋田魁新報が出している。秋田県の救急病院の状態です。「救急指定病院は消防法によってその基準が定められている。まずは搬送に便利な場所で、二十四時間診療で専用病床がある病院であること。そして手術室、輸血、麻酔、X線などの設備を備えていることなど、細かな基準がある。これに対する県の補助は、救急の研修費として医師会を通して年間二十万円だけ。「いろんな基準を設けながら、補助金はすずめの涙程度。これで医療機械を更新したり、看護婦を雇って二十四時間診療なんて出来っこない。もちろん赤字ですヨ」」端的にこう言われているのですね。もうからないからやらない。  しかし私が考えますに、元来、不採算医療、こういう事業というものは公的医療機関の本来の仕事であると私は思うのです。ところが、なぜいま言ったように救急病院に指定されたがらないか。本来ならば一〇〇%救急病院になるべきはずの公的病院というものがまだ六〇%しかなってない。なぜか。この根本にあるのは、いま読んだのでもわかりますように、独立採算制だ、私はこう思います。独立採算だ、赤字を消せ、こういう命令があるものだから、何をさて置いてもとにかくもうかることに集中する、こういうことになるのです。  この前の公立病院再建の問題あるいは去年の交通再建の問題、こういうことで自治省の江崎前大臣がこういうことを言っておるのです。独立採算をなくしますとなまけて、むだづかいをしてだめだ、経済効率が悪い、こういうふうに言っておるのですね。現実はもうすでにどんどん補助金を出しておるから、独立採算制は事実上は崩壊している。しかし、独立採算というワクをはずすと、でたらめをやって効率が悪くなるから、やらなければいけない。要するに、企業的経営の持つインセンティブ、これが必要だから独立採算のワクをはずされない、こういうふうに話しておるわけです。ところがこれが、いまの救急医療であらわされるように、非常に大きな問題だと私は思うのです。この場合の独立採算の持つところのインセンティブというものは、公的医療機関本来の仕事、いわば不採算的な仕事、この救急医療、こういうものを不可能にしてしまっている。これにブレーキをかけておるのです。独算制の赤字という大きなおもしは、公的医療機関に対してその本来の使命を捨てさせておる。そしてきゅうきゅうとして、開業医と同じようにもうける一方の仕事に堕落してしまっておるのですよ。これを堕落させておるのは何か。赤字というおもしなんです。なぜこれが必要かというと、あなた方の解釈によりますと企業的なインセンティブが必要なのだ。しかし、そのインセンティブのために病院そのものの本来の使命を抹殺してしまえば、インセンティブというのは何の役にも立たないじゃないですか。角をためて牛を殺すたぐいなんだ。そうでしょう。これはどう思います。
  44. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 一般的な意味で、先生先ほど来数字をあげて御説明の救急医療の問題等については、全くわが国の現状は先生のおっしゃるとおりでございます。基盤としてやはり私的病院、診療所が多いのでございます。先ほどの三千九百というのはほとんどが診療所を中心の私的のものでございます。一般的に申請主義に基づいておりまして、国公立に、まだ申請をして告示を受けていない病院があることも事実でございます。中には、市町村が消防法に基づく救急の指定を受けながら、その地区に病院がない、あるいは病院があっても指定を受けていない、こういうような問題すらございまして、われわれも今後この問題は、救急告示病院、診療所のあり方ということも含めまして——実は休日、夜間という一般病人の対策が非常に重要になってまいりました。これには四十九年度以降、休日、夜間診療所の設置、その運営費の補助等を行ないまして、これを推進いたしまして、これがほぼめどが立ちましたならば、従来消防法に基づいて考えておりましたこの救急病院、診療所の、機能的な意味も含めて整理をすることが私は必要であろうというふうに思っておるわけでございます。いま消防車以外のタクシーその他自家用車で運ばれる一般の時間外診療のいわゆる急病患者の交通事故は一五%から二〇%程度でございまして、八割が一般病院でございます。それが従来消防車によって告示病院にも運ばれたり診療所にも行ったりしておるというような実態もございまして、休日、夜間体制の確立と同時に、従来の告示病院というものの機能というものをもう一度直す必要があるというふうに考えます。  先生お尋ねの、独立採算が公的病院の使命の達成の隘路だというお考え、このことは私直接お答えする立場ではございませんけれども、公的病院で最も重大な点は、やはり医師不足が非常に顕著である。特に市町村立病院等は大体五〇%程度の定員が確保できておるだけであるというようなことでございまして、この点につきましては先ほど来文部省との御議論にございまして、先生は修学資金などはあまり効果ないということでございますが、現在十八の県が実施いたしまして、約六百名の修学資金の貸与を受けている医学生がございます。歩どまりは三分の一程度でございまして、やはり何らかの方法で返済して、目的どおりにはならないという面もございますが、三分の一は残って、それぞれの必要な県内の医療の活動をいたしておるわけでございます。  この点にかんがみまして、われわれは、不採算地区の市町村病院は僻地医療につながる面もございますので、僻地に勤務していただく医師の確保のための修学資金を月四万円、年間四十八万円を新たに、ただいま御審議いただいている予算の中に入れてございまして、約三百人を予定いたしております。県と国とが協力しましてこの制度を育成し、従来のような僻地そのものに長年行ってくださるというようなことだけを条件にせずに、もっと中心になる病院、あるいは僻地に近い親元病院というものに勤務していただくことも含めて、それを医療の義務を果たしたとみなすような、解釈を広げました制度として、少しでもこれが市町村公的病院等のてこ入れになることを期待いたしておるわけでございます。直接的なお答えにはならぬと思いますけれども、先ほど来いろいろの御意見を伺いまして、当面その医師不足対策には若干の処置を講じておることを申し上げておきます。
  45. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまの、私が話しました独立採算の問題について自治省からひとつ……。
  46. 松浦功

    ○松浦政府委員 一般的に病院の経営を独立採算制というたてまえで行なっておることについては、私どもとしては別に不適当な面はないと、これははっきり考えております。ただ、先生御指摘になられましたような救急医療でございますとか、あるいは特殊な高度医療でございますとか、まだほかにも特殊な医療があろうかと思いますが、そういったものにつきましては、最初から採算がとれないということがわかっております。そういう部分は一般会計から繰り入れを願うということを当然に認める。そして一般会計から繰り入れをするものにつきましては交付税等で裏打ちをするという形で、今後とも独立採算制というたてまえは維持してまいらなければならないと考えておる次第でございます。
  47. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 独立採算の現状というものは、これはたびたび自治省が言明しておられますように、すでに独立採算ではない、はっきりそういっているのですよ。去年の公営交通なんかのあれでも、もうどんどん補助金を出したりいろいろなことをして金を出しているから、事実上は独立採算じゃない、はっきりそういっているのです。  私は、現在の公立病院の状態というものは、あなたがどう言っても、赤字を消す、これが開設者の頭の九九%を占めていますよ。どんなことを言ったってそれは事実だと思う。それでもなおかつ、こういう不採算事業というものは地域の要望があるからやりたい。なけなしの金を出してやろうとしているのです。私はそれは当然だと思うのです。だから、実際問題として独立採算でないならばはずすべきだ。そして企業的な独立採算の持っているインセンティブというものは別の形でもって働かせるべきだと思うのですよ。たとえば、もっと金の出入りというものを厳重に監査する、監査機関をもっとしっかりするとか、あるいは非常に大きい問題ですが、薬の出入り、値段、こういうものをもっともっと厳重に、使用なり購入なり、取り締まっていく。私は七百ベッドぐらいの大きな病院を十年ぐらいやってきたのですが、かなり大きなむだがある。こういうむだをほっぽらかしておいて独立採算といってもだめなんで、こういう面をきちっとやれば十分やっていける。あるいは医療材料なんかもずいぶんむだがあるし、こういうものをびしっとやっていくことによって企業的なインセンティブというものを確保できると思う。いまの状態ですと、とにかく何でもかんでも赤字だ、赤字だ、この赤字が寝ても起きても頭から離れない。これをまず解放してやる。そして別の意味でもっと締めてやって、本来の目的である入院医療なり救急医療なり、あるいは高度医療なり僻地医療なり、こういうものに力を注いでやる、こういう余裕を与えるべきだと私は思います。いまこれをここで議論してもあれですけれども、私はぜひひとつそういう方向でこの問題を考えてもらいたい、こういうふうに考えます。  それから、これは最近新聞等で東京都の状態を見たりしましても、救急医療というものを辞退するところの救急病院が非常に多くなってきていますね。どんどん辞退してきている。ただでさえも足りないのがどんどん辞退してきておりますと、これはやっぱり大問題だと思うのです。これは東京都のあれですが、「都内で最近、救急病院の辞退が相次ぎ、都衛生局の調べだと四月から三十日までの間に、すでに十三の救急病院が減って、残るのは五百十五病院になった。さらに辞退を申し出ている病院もあり、経営難や看護婦・医師不足などで今後、救急病院はますます少なくなることが予想される。」こういうふうに書いてありますね。これに対して厚生省は何か対策を講じていますか。
  48. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 結論的に申しますと、先ほど来お話のございましたように、この告示がこちらの指定というような法的なものでなくて、病院の申請に基づくものでございますので、この辞退のことは医療の確保の上ではたいへんな問題でございますが、形の上ではある程度、病院側の医師不足あるいは看護婦の不足やで救急体制が十分とれない、責任が果たせないという事態が起こりましたときに、申請主義の形からいきますと、病院側からの辞退ということは、非常に残念ですがやむを得ない形でございます。この点につきましては、東京都が例に引かれましたけれども、地方にも若干あるやに聞いておりますが、当面は地方の衛生部局から特段これについての大きな問題としての指摘はございません。  しかし、やはり私は、先ほどお答えしましたように、救急告示病院、診療所の機能というものが、休日、夜間体制とあわせまして、その地域の急病対策全体に役立つような整理を、消防庁と協議の上急ぎたいというふうに思っておりまして、このときに、単なる申請主義でいくのか、もっと国がその問題に一つの機能を確保するという姿勢でいくのかという問題が私はあると思うのでございまして、この辺が非常に重要なポイントにはなろうと思います。そのことが明確になっていくときに、官民を含めまして救急病院、診療所の機能というものを確保するためにある程度の助成なり、あるいはそのようなものに対する資金の投入という順序になろうかと思います。現状の立場では、救急医療に対する助成措置の御要望がいろいろございますけれども、非常に千差万別の機能と実績に基づきます実態ではなかなか国の資金を投入することが困難でございますので、これらも懸案として考えたいというふうに思っております。
  49. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 その問題は非常に重要だと思うのですよ。これはいまのままでいけば間に合わない。あなた方、逐次改良して、補助金をやったりいろいろなことをやってはおりますけれども、とうてい現在の状態には追いついていけない。ますますこれが苦しい状態になることはもう目に見えておるので、早急にひとつ手を打ってもらいたい。いまのような状態でいいのか悪いのかということも十分検討して早急に手を打ちませんと、ほんとうにふん詰まりになってしまう危険性がある、こういうふうに思うのです。せっかく自動車で運んでみても入るベッドがない。この間、私たちは地方行政委員会で東京消防庁へ行ってみました。あそこで救急車のボタンのところを見ましたが、あの病院もだめだ、この病院もだめだ。ずらっと病院の名前が書いてあるけれども、有効なところは二つか三つぐらいしかない。ああいう状態を見て、みんなで、こういう状態ではまことに寒心にたえないといって嘆いてきましたのですけれども、このままではますますそういう状態が激しくなるということが考えられるので、ひとつ十分その対策を考えてもらいたい。  単にいま言ったように申請主義でいいのか、こういう問題もたいへんだと思うのです。開業医に対して大きな犠牲を払わせるということは考えものなので、公的医療機関に対して、申請主義ではなくて、これは必ずやらなければいけない、そのかわり十分な裏づけをしてやるとか、何かそういうことを考えて早急にひとつ手を打つことが必要だ、こういうふうに考えます。これは救急医療の根本の問題に触れると思うのですよ。自動車もたくさんある、病院もたくさんある、しかし死ぬ人も非常に多い、こういう矛盾した状態が一体どういうふうにして起きてくるかということなんですね。  これは、わが国の救急体制というものは、いわば自動車と救急医療と二つありますけれども、これがきちっと結びついていないのです。自動車病院が結びついていないのですね。そこに非常に大きな問題があるのですね。救急医療というのは、自動車病院を結びつける一番根本的なものは何か。これは時間なんです。ほかのあれと違って、時間というものが救急医療に絶対に必要だ。救急医療というのは時間的な制約の中で活動している、こう言っても過言ではないのです。たまたま私がいま指摘したように、自動車も多い、病院も多い、しかし死ぬ人も多い、これは何かというと、時間的な結びつきというものの欠陥がここに完全に暴露されている。だからいまあなたが言われたように、いつでも必ず行ったら見れるというような体制を地域的に一カ所は必ずつくっておく。できれば全部のほうがいいのでしょうけれども、なかなかそれができなかったならば、必ず一つそういうものをつくっておくという体制をぜひひとつ早くつくらなければいけない、こういうふうに考えます。車と病院がワンセットになったそういうような体制というものをきちっとつくるべきだ、こういうふうに思います。  これは調べてみますと、厚生省にも、人口百万人に一つの救急センターをつくるとか、イギリス方式にしてやるとかあるいは愛知県方式にしてやるとか、いろいろなことを考えておられるようです。しかし、都市部には都市部の、また地域が広くて人口の希薄な地方には地方の、いろいろなあれがあると思いますけれども、そういうものをよく勘案しまして、ひとつ大至急こういうふうな問題と取り組んでいってもらいたい。これは経済成長にまつわるところの必然的な問題だと思うのです。これに対するひとつ御感想をちょっとお聞きしたい。
  50. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 全く先生の御指摘のとおり、一つのシステムをつくらなければならないということと、車と医療という問題、もう一つは車に搭乗している方の判断力という問題は諸外国に比べますとたいへんおくれているということで、これは消防庁も講習会等をやりまして、消防隊員の判断力の的確性の向上につとめておられるということは聞いております。これらの点についても十分協議しまして、それと都会地などで採用しております、消防庁も補助をしておるようでありますが、いろいろのコンピューターシステム等によりますところの医療情報と、それから患者との結びつきというようなシステム化の努力も、われわれも研究費等で、医療情報の研究費をもって努力いたしておりますので、あわせてこれらの点、先生の御指摘のようなシステムがうまくできるような準備を急ぎたいというふうに思っております。
  51. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 救急の問題はそれで終わります。  次に、この前の新聞の報道等を見ますと、二十七品目がきかない薬だという報道が出ていますね。この問題についてちょっとお伺いしたい。  抗生物質、抗菌製剤は、これは最初にきいてあとからきかないということはいえるかもしれないけれども、これと精神神経剤と、この二つがきかない薬の中に出ていますけれども、これは最初にきいてあとからきかないということはないと思うのですよ。私はこのきかない薬というのは詐欺行為じゃないかと思うのですが、どうです。メリケン粉を薬だというのと同じだと思うのですよ。
  52. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 いまの先生の御質問は、昨年の十一月の二十一日に発表いたしました医薬品の再評価に関する結果に関するものだと思います。厚生省といたしましては、前に国会でも御質疑がいろいろございました医薬品の効能、効果及び副作用というような問題につきまして、これは医薬品の承認なり許可というものは、そのときどきの医学、薬学の水準に従いまして、中央薬事審議会に付議いたしまして検討した上でおろしておるものでございますが、医薬品の効能、効果なり副作用の判定の方法自体が、やはり医学、薬学の進歩に伴いまして大きく変わってきております。そういったことによりまして、ある時点においては学問上医薬品として適当と認められたものにつきましても、その後の学問の進歩あるいは疾病構造の変化、新しい医薬品の開発等によりまして、そういった判断が変わってくるということは当然考えられるわけでございまして、そういうことを前提といたしまして、昭和四十二年以前に承認、許可を受けました四万品目の医薬品につきまして、中央薬事審議会の中に医薬品再評価特別部会というものを設け、さらに専門家をもって構成いたしました薬効分別の調査会を設けまして、そこで検討しておるわけでございます。  その第一番といたしまして、いま御指摘の抗生物質の一部及び精神神経用剤の一部が結果が出されたわけでございまして、御指摘の二十品目ほどのものにつきましては医薬品としての有用性は認められないという判定の結果が出ております。それはいま申し上げましたように、学問的な医薬品の評価の基準、評価の方法というものが大きく変わってきておるわけでございます。昔の学問的な評価といたしましては、とにかく医寮用に相当の治験例を積み重ねまして、その治験例の中で有効と認められたものについて承認を下すという方式をとっておりましたものが、ダブルブラインドテスト等の比較試験というような方法が発達してまいりましたのと、もう一つは、特にいま御指摘の精神神経用剤などにつきましては、いわゆる向精神薬というものの発達は最近非常に著しいわけでございまして、そういったより有効な薬が開発された段階におきましては、副作用との関連におきまして、その前の段階ではほかに使用する薬がないために効能の程度に応じまして医薬品として使用せざるを得なかったものにつきましても、さらに有効な医薬品が開発された段階では、比較いたしましてすでに医薬品としての性格を失うというような学問的判断もあるわけでございます。そういったことを総合いたしまして行なっておりますのが、現在の医薬品の再評価の結果である、そのように私ども了解いたしております。
  53. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま言ったように、初めはきいてもあとからきかない、こういうことは確かにあると私も思います。そういうことになりますと、しょっちゅう薬がきくかきかないか調べていなければいかぬわけでしょう。それでなければ、きかないだけならいいけれども、初めは薬だったのがあとから毒になっている薬もあるかもしれませんよ。そうなりますと始終薬を検査していないとだめだ。厚生省だけがずっと時間を経過して薬を調査している。会社も調査しているのでしょう。いまあなたが言われたように、この間初めて四万品目のうち幾らか調べた。そうしたら二十品目出てきた、こう言っていますけれども、会社も同じようにこの間調べたばかりですか。やはりずっと前から調べているのでしょう。会社は自分のところで出している薬だから、これがきくものかきかないものか、いつになったら薬効がなくなるかあるいは毒に転化しないか、常にそういうことを調べていると思うのですね。どうですか、これ。
  54. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 もちろん、先生御指摘のように、こういったことは、やはり四万余りというような多数の品目でございますから、まず製造いたします企業が医薬品企業の社会的責任を自覚いたしまして、自分たちで自己評価をするということが基本だと存じます。厚生省でも今度やったのが初めてでございまして、国際的にもアメリカに次いで日本が二番目でございます。御指摘のように、学問の進歩に伴って常に再評価すべきものでございますから、厚生省としてもこういった施策は今後続けなければいかぬと思いますが、関係の業界に対しましても、昨年のこういった結果等もよく指示をいたしまして、自分たちでもまず副作用の収集あるいは薬効の見直しというようなことは常に努力をするように強く指導いたしております。業界といたしましてもそういう気風に向いてきていると私考えております。
  55. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 気風に向いてきているということは、いままで何もやっていないということですか。
  56. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 実はいま製造の承認許可を受けております品目は十一万ぐらいあるわけでございます。そのうちで実際に製造して発売されておりますものはいま申し上げました四万ほどでございまして、やはり効能、効果あるいは副作用等の関係で、業者といたしましては常に自分のところの薬の評価をいたしておりまして、相当のものが淘汰されて、製造、発売をもうやめておる実情でございます。私ども、そういったものは漸次手続的にも整理をさせておるわけでございますが、医薬品のライフサイクルというのは、新薬の開発に伴いましてかなり少ないわけでございまして、決していままでそういう評価を怠っていたということではございません。
  57. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私もそうだと思うのですよ。いままでも、自分の出した薬、しかも、これは四万品目あるというけれども、一つの会社にしてみればそうたいした数じゃないと思うのですね。かなり分散されておると思う。だから常に追跡して調査していると思うのです。  そこでお聞きしますけれども、いまこうして出している薬、二十七品目か二十品目、これを出している会社、製造業者が、有効であるか有効でないか、あなた方から言われるまで全然わからぬものですか。
  58. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 いま申し上げましたように、有用性があるかどうかという判断は、白と黒というふうに必ずしもはっきりするものではないわけでございます。比較試験をもちましてはっきりするものもございますけれども、専門家の間でも議論がございまして、相当多数の専門家が有用性なしと認めたようなものは有用性なしと判断するというような点もございますので、有効か無効かということは比較対照の問題でございますから、最終的に学問的な判断を下すということはなかなかむずかしいわけでございます。  ただ、いま御指摘になりました、この前、有用性なしと判断されました二十品目ほどの医薬品は、実はもう相当市場からは姿を消しております。つまり、使うお医者さんがだんだんそういうことに気がつきまして使わなくなってきておる。それに伴ってメーカーも製造を漸次減らしてきておりまして、その二十品目ほどの全部の生産額を合わせましても、四十七年度におきまして、数字はいまちょっと覚えておりませんが、非常に少ない額の生産しかなされておりません。そういう意味では、業者といたしましてもやはりそういう点は気がついておりまして、漸次整理しておったというふうにお考えいただいてよろしいんじゃないかと思います。
  59. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そこなんですがね。私は、何でも指摘されない間はだいじょうぶだといっている、そういうきらいがあるんじゃないかと思う。これは、モデルチェンジするというか、同じ値段で売れればそっちのほうがずっといいのですからね。そのままでどんどん売っているんじゃないか、国民はこういうような危惧を持っていると思うのですね。あなたはいま、きくかきかないかまだわからないようなあいまいな答弁をしておりますけれども、いやしくも厚生省がこの薬はききませんといって、こうして各新聞にこんなに大きく出ているのですよ。国民は大ショックですよ。たいへんな問題なんです。それを、まだきくかきかないかわからないようじゃ、これは少し無責任だと思うのですよ。わからないなら発表しなければいいんだし、発表した以上ははっきりした態度をとらなければ国民は混乱しますよ。こういうふうな、きかないという薬を発表したならば、何かの形でいままで売った分を返すべきだ。これは冗談じゃないですよ。かぜ薬だと思って飲んだらメリケン粉であった、薬だと思ったら毒だったというケースがないとはだれも言えぬでしょう。あなた方だって言えないと思うんだ。この薬を売った時点、いつだかわからないけれども、ある時点からこれを何らかの形で社会に返すべきだ。冗談じゃないですよ。  患者にしてみればこれは全然抵抗ができないのです。患者はどこから薬をもらっているか。これはほとんど医者から直接もらってくるのですね。医者が、これはききますよと言うと、患者は、ああそうですかと言って、持ってきて必ず飲むのですよ。患者は抵抗力は全然ない。そういうものを持ってきてどんどん飲む。これはきかない薬あるいは害になる薬かもしれない。このごろは薬害が盛んにいわれて、医者がたくさん薬をよこすので、それをみんな飲むとかえって病気になるという話もありますけれどもね。そういうような状態の薬がいまこうしてわかった段階で、これは何らかの形で業者が社会に還元すべきだ。これは非常に大きなショックを受けているのですよ。どうですか。
  60. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 私が先ほど申し上げましたことは、発表された医薬品につきましても現時点で有用であるかどうかまだはっきりしないという意味で申し上げたのではないのでございます。私が申し上げました趣旨は、医薬品の有用性、これは効能、効果、副作用、安全性等を含めましての総合評価でございますが、その有用性というものの判断が学問的にも臨床的にもかなりむずかしい要素を含んでおる。したがって、なかなかメーカーの自己判定だけで簡単にできるものではないということを申し上げたわけでございまして、そこであげられております品目は、最終的に、厚生省といたしまして現時点においては有用性がないというふうに判断をしたものでございます。したがって、そういったものについてはすでにもう承認の取り消し等も全部終わっておりますし、市場からも回収させております。ただ、先ほど申し上げましたように、こういうものはそれぞれの時点におきましてはやはり有用性があるものとして医学的にも認められ、使用されておったものでございまして、ただそういう状態を続けておることがよろしくない。やはり医学、薬学の進歩に伴って、常に最新の知識を医薬品に反映させるということを目的といたしましてそういった措置を行なったわけでございまして、先生方からも御指摘がございましたように、抗生物質等は、病原体の態様の変化と、あるいは精神神経用剤等につきましても、相当疾病構造等も変わってきておりまして、そういった全体的な、総合的な判定でございますので、過去においてもそういうものが有用性がなかった、そういうわけではないというふうに御了解いただきたいと思います。
  61. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 厚生省昭和四十八年の八月の発表によると、四十六年までの国民総医療費というものは約三兆円、二兆七千七百十億円ですか、になるといわれております。これは売薬は含まれておりません。これの中に、もしいまここに摘発されたようなきかない薬があったら、私はたいへんな問題だと思うのです。  これはこのとおりではないと思うけれども、精神安定剤百十二について調べたら、有効なのが三十八しかなくて、無効なのが七十四あるのですよ、六六・七%。抗菌製剤は二百七十四のうち、きくのが十しかなくて、あと全部きかない、一部有効なのもありますけれども。こういうような状態なんです。  三兆円の国民総医療費の中で薬代だけがどのくらいになるかというと、一兆八十億円というのが薬代だといっているのです、あなた方の統計が。これをこのままここにもし適用できるものであれば、これはたいへんな薬代、何もきかない薬を日本人は買っていることになるのですよ。まあそのとおりじゃないでしょう。おそらく調べたのは、きかないだろうと思われるようなのを集めて調べたからこういう数字が出てきたのだろうと思うけれども、しかし、調べたのは四万品目の中のほんの一部なんです。これからあと全部調べればどれぐらいきかない薬、あるいはかえって害になる薬、そういう薬が出てくるかわからないのですよ。あなた方だってそれがどのくらい、半分出てくるか、三分の二出てくるか、三分の一しか出てこないか、わからないでしょう。だれもわからないのですよ。こうやって調べてみたらこんな状態になってきている。  そうしてみますと、三兆円が今度は昭和五十年になると八兆円になるのじゃないかという推計さえあるくらいです。そうして薬が半分くらいです。四十何%、たいへんなでたらめな薬をわれわれは買わされて、国民医療の問題からいっても、国民経済の問題からいっても、たいへんですよ。いまの三兆円というのは、現在の日本の農業の生産量と同じくらいなんだ。その中の約半分を占めるところの薬がきくかきかないかわからない状態で、われわれが買わされて飲まされるという、そんな無責任な状態って一体ありますか。
  62. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 いま御指摘の、私どもで発表いたしました数字の意味でございますが、正確に申しますと、現在医薬品につきましては、その医薬品に対して表示することができる効能、効果というものを限定いたしまして承認、許可を与えております。したがいまして、その医薬品に認められております全部の効能、効果について有用性がなしと認められたものが、先ほど御指摘になりました二十品目ということでございまして、その他のものにつきましては、相当多数の効能、効果の標榜を認められておりました中で、ある効能、効果については現時点の資料では有用性、有効性は認められないということで、効能の一部の削除を命じたということでございます。  実態といたしましては、これは先生御指摘のように、いまやっておりますのは医療用の単味の医薬品でございまして、全部お医者さんが使うものでございます。そしていまやっております再評価の作業というのは、大体専門のその分野の臨床のお医者さんが集まって判定をいたしております。お医者さんがそれを使われます段階では、やはり経験的に、どの効能について一番この薬がきくか。標榜する薬は幾つもあるわけでございますので、その中でたとえ標榜されておりましても、従来の経験からして比較的効能が薄いというような用途につきましてほとんど処方されておらない。これは調査会の段階におきましても専門家が一致して言っておられることでございます。ただ、先ほどから先生御質問がございましたように、どんどん新しいお医者さんも出てくるわけでございまして、そういう方のためにも、やはり標榜する効能効果というものははっきりさせておく必要があるということも含めての再評価でございますので、その削除された効能に使われておったものが全部平等の率で使われておった、そういうことではないというふうに私ども考えております。  それからもう一つ、副作用の問題でございますが、副作用につきましてはもちろん再評価の対象にもいたしておりますけれども、同時に、全国相当数の病院をモニターとして委嘱いたしまして、また国際的なモニター制度にも加入いたしまして、医薬品の副作用の情報収集ということは、これはいろいろな別途の方法をもちましてさらに急いだ作業を続けております。そういったことによって重篤な副作用がわかった場合には、再評価を待たずしてそういった医薬品は禁止するという措置はとっておるところでございます。
  63. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 時間がないからあれしますけれども、薬というのは大体乱用を戒むべきものなんですね。これはどんな薬だってよけい飲めば害になりますよ。しかし、メーカーがどんどん新薬をつくって過当競争する。医薬品がはんらんしている。しかもそれを使う医者の側、特に開業医の乙表を使っている人たちは、潜在技術料と称して薬の中に全部入っている。薬をたくさん売らなければもうからないようにできているのです、仕組みが。だもんだからどんどん使っていく。製薬会社も次から次へと新しい薬をつくる。使うほうはどんどんこれを使っていく。これはどんなことをいったって、そういう一つの医療制度あるいは医薬品産業制度、こういうものから根本的には発生していると私は考えます。  これは安全性の確認というのが薬にとっては最大の問題だと思うのです。サリドマイドを見なさい。あなたの言われるように昔はいい薬だった。ところがとんでもない薬なんだ。この間問題になりました大腿四頭筋短縮症、これなんかも、抗生物質二十回やると足が動かなくなる、こういわれているでしょう。これが何から出てきたかというと、昭和三十六年に保険が適用されてから急に多発してきた、こういわれているんです。  薬というのはほんとうに慎重に取り扱わなければたいへんな問題なんです。人の命の問題です。それを取り扱っているのはあなた方なんです。それが四万品目、きくかきかないか、まだわかりません、こういう状態では責任を果たせないと私は思うのです。これは国民にとってはたいへんなショックですよ。いつできるかわからない。人数が足りなければ人数をふやし、予算が足りなければ予算をふやして、早急にこれに対して検査設備なり調査体制というものを整えて、国民が安心して薬を飲めるように、こういう状態を整えていただきたい。これに対してひとつ積極的な意見を聞かしていただきたい。
  64. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 まことに医薬品につきましては御指摘のとおりでございまして、これは必要なものを最小限度に使うということが原則であると存じます。しかも、その効能、効果と副作用、安全性とをにらみ合わせて使う。従来多少、薬につきまして効能、効果、メリットの面を強調いたしまして、その副作用についての情報が十分でなかったというきらいはあるいはあったかと存じます。  現在私どもがメーカーに強く指導いたしておりますのは、使用上の注意事項といたしまして、用法、用量、効能、効果と並行いたしまして、どういう副作用があり、どういう点に使用上の注意をしなければならないというようなことを、はっきり情報を伝達するということを最も大きな主眼といたしまして指導いたしております。日本医師会とされましても、医薬品カード等を会員に持たせるというような形で、使用上の注意、副作用等についても非常に大きな注意を払うような御指導をいただいております。  それから再評価の問題でございますが、これは現在御審議いただいております予算の中で、前年度に比べまして相当増額をいたしまして、従来、初めての作業でございますために、システムをつくるのにかなり手間どっておったきらいがございますけれども、四十九年度以降は相当ピッチを上げて、速いスピードでこの作業を進めていく。それと並行いたしまして、先ほど申し上げましたように、メーカーに対しましても、自主的にこういった検討は常に繰り返して、十分なケアーをしていくということを並行いたしまして指導いたしたい、このように考えております。
  65. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ぜひひとつそうやってください。  午前中の質問はこれで終わります。
  66. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  67. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤敬治君。
  68. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 時間がありませんので大至急質問します。医薬分業について質問します。  この前、厚生大臣は、医薬分業を五年後に実施する、こういうことを参議院で、和田静夫議員の質問で一月二十五日に答弁しておりますが、これは事実ですか。そのとおりやるつもりですか。簡単に答えてください。
  69. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 五年後におおむね完全に実施できることを目途といたしまして、準備を進めるというふうに考えております。
  70. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、この問題は非常に大切な要素を含んでいると思うのですよ。というのは、いまの健康保険医療費の支払い制度というものは、根本的に変わる可能性があると思うのですね。というのは、いまの一点単価出来高払い、しかも乙表によりますと、技術料というものが薬の中に入っている。だから開業医はどんどん薬を売ってもうける、こういうようなのがいままでの医療の支払い制度の根本だったのです。これがいまの、大きくいうと日本の医療制度というものを支配している根本的な原理ですよね。これが医薬分業を行なうということになると、これの根本に触れる問題じゃないか、私はそういうふうに考えておるわけです。単純出来高払いという一番もうかる根本のあれを医者から取ってしまうというかっこうになってしまう。  そういうことで、医師会の考え方というのが非常に大きな問題だと思うのです。医師会はどういうふうに考えているか、その点をちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  71. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 端的に申しますと、医師会は基本的には反対しておりません。条件というものに  ついていろいろ御意見があるようでございます。特に、薬局の機能というようなものについて、かなり公的な機関として、各地に薬局の設置というようなことを具体的な例示としてあげまして、そういうものの整備に伴ってこの医薬分業の実施体制に入るべきであるということで、基本的には反対しておりません。
  72. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、非常にこれはいいことだと思いますからぜひやってもらいたい、こういうふうに考えますけれども、いま言ったように、医師会の態度が一番大きな問題になるのじゃないか、こういうふうに思っております。  医師会は基本的には賛成している、反対していない。いままでの医師会のあれから見ると非常に大きな転換なんですけれども、その転換されているもとはどこにあるか、わかりませんか。
  73. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先ほど出ました五年というような問題も、先生御存じのように、先ごろ来、二月に改正になりました診療報酬の問題の討議の途中で、日本医師会長から、技術料の評価の問題が、ある要望する段階に達すれば、それをもって医薬分業の実施が可能になるというような趣旨の御発言がございまして、その点の一つの技術料評価、先ほど先生が言われた、薬価の中に潜在技術料が入っているのだ、こういう考え方が確かにございますので、したがって、技術料を抜き出して診療報酬の評価が適正になるなら、その時点においては医薬分業は可能である、こういう趣旨の御発言をなさっております。
  74. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 甲表をとるか乙表をとるかと言って、採用するときだいぶ議論になりました。厚生省指導では、公的医療機関は全部甲表をとれ、それに対して開業医医師会のほうは乙表を使う、こういうので大議論になりましたね。そのときの考え方では、医師会のあれは、技術料重視の甲表というのはけしからぬと言ってだいぶ攻撃したいきさつがあります。  それが現在、今度は技術料重点にしてやれ、こういうふうに転換してきた、ここのところの意味が私はよくわからぬので、はたして医師会がどういう態度をとるのか、これに対するあれがよくわからぬのですけれども、その点をもう少し解明していただきたい。
  75. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいま、甲表、乙表に分かれました当時のお話がございまして、これはあるいは先生のほうがお詳しいのかと思いますが、三十二年でございますけれども、その当時の経緯は、甲表は物と技術を分離をする、乙表はどちらかといいますと、そういう方向ではなくてでき上がったような経緯がございます。ただ、それ以後現在まで、たび重なる診療報酬の改正は、やはりいわゆる診療報酬の適正化という方向でまいっておりまして、現在の段階におきましては、大部分のものが甲表、乙表は一本化をされております。相当部分が一本化されております。今後もそういう方向を指向することだろうと思います。  そういう意味合いで、現在医師会のほうで基調として医薬分業は賛成であるとおっしゃっていますことは、いま先生の言われました三十二年の甲、乙表に分かれた当時とはだいぶ実情が違っておりますので、現在の診療報酬点数表というものをもとにして考えますると、また先般の二月改定というものの内容を御理解いただきますならば、関係団体である医師会のほうでもそういったような考え方を基調において持つということは、これはあるいは十分御理解願えるのだろう、こういうふうに思うわけでございます。
  76. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 実は、これはきのう来た医師会のニュースです。このトップのところに、日本医師会長武見太郎氏の論文が書いてあるのであります。これを私はきのう見て、そう思っていまちょっと質問したのですが、こういうふうに書いてあるのですね。「今回の診療報酬は、実質引き上げがきわめて低いと称する人々の診療形態が多剤投与であったことをみずから告発しているものであると思う。今後の診療報酬形態は、薬屋のピンハネ方式では医業は成立しなくなることを覚悟しなければならない。同時に医師技術料の適正評価の問題が計画是正の基本路線となっている。」こういうふうに、いまあなたが申されたようなことを書いてあるのですね。  私は、なぜこういうふうに転換してきたか、この根本は、やはり一つの世論の大きな圧迫があると思うのですよ。というのは、いままでとにかく医師会というものは乱診乱療、薬ばかりやってどんどんもうけておる、こういうような非常に大きな世論の反駁が一つあります。それからもう一つは、これ以上もう薬をやることができない限界まで薬をやって、薬ではこれ以上もうからない、こういうふうな一つの見切りをつけたのじゃないか、こう思うのですよ。そのために今度は、薬じゃなくて技術料にくらがえして、薬は薬でもらうし、技術料は技術料でもっともらおうじゃないか、こういうふうなあれがあるのじゃないか。これはどこかの部分にありますけれども、私はこういうふうな底意があるような気がするのですよ。  私は反対しているのじゃないのですよ。さっきも言いましたとおり、医薬分業をやるということは、逆に、そういうふうにいままで医師会が非常に大きな権力を持って日本の医療界を牛耳ってきた、これに対する一つの新しい方向として、技術重視といういままでの甲表的な方向というのは、不十分であるけれども非常にいい方向で、ああいうふうにいくべきものだと思いますね。今度この医薬分業によって、技術料が非常に重視されて本来の姿に戻るということは、非常にいいことだと思いますけれども、私がお願いするのは、こういう機会に、医師会がいままで自由にしてきたようなもうけ主義、と言えば医師会からおこられるけれども、そういうふうな現在の日本の医療体制というものを、これを機会にひとつ転換してもらいたい。それで、技術料を中心にして、公的医療機関でもゆうゆうとやっていけるように、医師会だけが特典を得るみたいにどんどんもうけていくと言って世間から批判される、こういうことのないような、ほんとうに国民全体が納得するような医療体制というものを、これを機会にひとつぜひつくり上げていただきたい、こういうふうに考えるのです。  それからもう一つは、先ほどの薬の問題でも言いましたけれども、医薬分業で一番大切なことは、何といってもこれは安全性の問題だと思うのです。これが確保されなければ、医薬分業というものは逆に非常に危険性を帯びてくる。だから、この安全性という問題についてはひとつ十分に心がけていただきたい。薬がきくのかきかないのかわからないような状態、まして今度は、薬剤師の手に薬が全部ゆだねられると、医者のチェックがなくなる、こういう問題が出てきますので、安心して薬局から薬が買えるようにひとつしていただきたい。  現状は、大体全体の九二%が直接医者から薬をもらっている。薬局からはわずか一%、これぐらいしかもらっていないのですね。ほとんど医者からもらっている。これが、全面的に今度は薬局からもらうということになると、やはり非常に不安だと思うのですね。これに対する世論というものが、この間の東京都ですか、あれで調査したのに出ていますけれども、この医薬分業に賛成しているのはたった一〇%しかいないのです。反対が七〇%あるのですね。これの理由として、医者から直接もらったほうが便利だというのが八八%、近くに薬局がないからとても不便になるというのが一五%、処方せんを書いてもらえばそれだけ高くなるからだめだというのが三%あるのですね。こういうふうなこともあるから、これは単に医師会だけじゃなくて、世論からもかなり反発を食らうと思う。これのために安全性というもの、それからこういういろいろな医薬分業が持つところの意味というものを、国民に十分にPRして納得さした上でぜひ実施して、先ほど言いましたように、医療体制というものを整えていただきたい、こういうふうに思いますが、ひとつ皆さんの御意見を……。
  77. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 いまの薬局の調剤の問題につきまして、私からお答えいたします。  いま先生が御指摘になりました医薬品の安全性の問題、これは医薬品について安全性が非常に大事であるという点では御指摘のとおりなんですけれども、医薬分業が行なわれますことによって、医師がまず必要な医薬品を処方せんに記載する、その処方せんが薬剤師のところへ回りまして、薬剤師がさらにそれを、薬学の専門家として、副作用問題も含めてチェックをするということによりまして、医薬品の安全性を確認するということは、専門家が二人関与することによってさらに高められる。これは御承知のとおり、薬剤師法の規定におきましても、処方せん中に疑義がある場合、たとえば量が極量を越しておるような場合に、それでも間違いではないのかどうかというような点は、これはもう一ぺん医師に確かめなければ調剤してはいかぬということになっております。それから医師、歯科医師の同意を得なければ、それを変更した調剤はできない、そういう制約もあるわけでございますので、そういった点におきましては、むしろ安全性を高める措置である、そういうふうに理解しておりまして、また、そういった点を国民にさらに十分PRいたしまして、趣旨を徹底させるということが必要だろうと存じております。
  78. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それは医薬分業におけるところのメリットなんですよね。ところが、逆にデメリットもあるのですよ。さっき言いましたように、現在の薬剤師というものは医学的な知識はそれほど持っていない。だからそれが一つのデメリッとになると思うのです。だから、これからの薬剤師に対するところの再教育の問題もありましょうし、いろいろな問題があるでしょう。そういう点を全部含めまして、ぜひひとつ日本の医療界が正常に戻るところの一つの基盤にしていただきたい、こういうふうに思います。何かあったらしゃべってください。
  79. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 御指摘のとおりでございまして、いまの教育面でも、先ほどお話がありましたように、薬局に回ってくる処方せんが比較的少ないために、薬剤師の再教育ということは当然必要であろうと存じます。また、国民に不便をかけないための薬局の整備、そういったことも含めまして、医療金融公庫の融資等も活用し、また厚生省からも医薬品検査センターの補助金を出すというようなことを総合的に活用いたしまして、御意見のような方向に指導いたしたいと存じます。
  80. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 その問題は終わりまして、病床規制の問題でちょっと質問します。  現在の公的病院は、保健所の範囲であるとかいろいろなあれで、厚生大臣から増床することを規制されておりますね、医療法の七条の二によって。知事から許可をとらなければいけない。そのとき一定基準以上は認めない、こういうふうな規定がありますね。  それに対してもう一つ、同じ医療法の五条の二に、今度は逆に、「国及び地方公共団体は、病院又は診療所が不足している地域について、計画的に病院又は診療所を整備するように努めなければならない。」こういう文句があります。この二つはどういうふうに調整されているのですか。
  81. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 七条の改正は、先生御存じのように、議員立法で三党共同提案の形でなされまして、私の承知している範囲では、そのときにこの五条の問題があわせて法定されたというふうに聞いております。  五条の問題につきましては、不足病床地区に対する積極的な予算援助という問題について、実は従来われわれの予算上の金額も、また都道府県、市町村の姿勢も、確かに具体的には弱かった面があろうと思います。したがって、五条の精神というものを具体的に指示し、あるいは発動した例というものはほとんどございません。そういう点が一つございまして、また予算上の措置も受け身で用意してある。しかし、希望があればもちろん予算措置は、たとえば予算上は二千万ですが、実行上は約一億近い御要望に沿っておるというような、いわゆる公的病院整備費全体の中で活用して、そのような実行上は一億近い予算の執行をいたしておりますけれども、まだまだこの点については、政策上は不十分であるというふうに思っております。
  82. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私の聞いておるのはそういうことじゃないのですよ。一方ではつくっちゃいかぬという、一方ではつくらなければいけないという、こういう二つの矛盾した法律があるのですが、これがどういうふうに調整されているのかということです。
  83. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この病床の規制の問題は、先生御存じのように、ある数値を設けて、その以上に病床がオーバーしておるところに新たに病院を設置する、あるいは既存の病院の病床を、結核から、あるいは精神から一般病床に切りかえる、こういうようなときに、過剰な数値のところではそういう適用を受けて制限されるということでございます。したがって、そのままにしておきますと、不足地区をどうするんだということになりますので五条が設けられたわけでございます。七条のほうは、一定の数値以上に公的医療機関が資金の投入をしないように——一時非常に争って市町村立病院等が建てられた。しかも、不足地区というようなことの意識よりも、むしろ市町村の当時のいろいろの実情によって資金の投入が競合した。こういうような実態に対して、当時議員立法で制限がされた、こういうふうに承っておりますので、私は、五条と七条とはやはり対になって生きていかなければいかぬものであって、決して矛盾するものではないと思います。
  84. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 七条の二があれば、私は五条の二は要らないと思うのですよ。というのは、七条の二というのは一定基準——、あなたの言われるようならばという意味ですよ、私の言うのは。七条の二というのは一定基準を定めておるわけだ。あなたはいま、一定基準以下のものをつくるために五条の二があるのだ。しかし、基準以下であればこれはつくるのはかってですよ。何も七条の二に束縛される必要はないでしょう。なぜこれをつくっているか、別の意味があるに違いないのです。だから、私はこれは矛盾するのではないか、こういうような感じを持っているのですがね。
  85. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 これは、先生の受け取り方もあるいはあろうかと思いますが、私は、当時立法の趣旨は、五条というものに対して七条で制限をするのは、資金の投入を五条のような不足地区にむしろ持っていくべきである、同じような性格の病院が競合するのはまずいんじゃないか、こういう趣旨のように承っております。受け取り方はいろいろあろうと思いますけれども、私は、七条の二の制限だけであとは放置しておけばというのじゃなくて、やはりこれに対して国庫補助の負担の原則等も盛られておりますので、やはり私は、五条というものはいま申し上げましたように、政策的にはいまだ弱い面がございますことは十分考えていかなければならないと思いますが、先生のような御意見だけではないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  86. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それから、医療法の中にもう一つ十三条がありますね。診療所は四十八時間以上ですか、患者をとめておいてはいけない。これは生きているんでしょう。
  87. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 生きております。
  88. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 現状を見ますと、七条の二というのは、許可しないことができるという文句のあれなんですね。ところが十三条のほうはそうじゃないのです。置いてはいけないという。それから、いま言った五条の二は、しなければいけないという。ところが現状を見ますと、「与えないことができる。」このほうが医師会の圧力によって非常に強く厳重に守られている。実情は病院が必要なところでも、医師会の圧力をもって絶対にできないようにできていますね。  これは、私が自分で管理しておりました、さっき言いました大きな病院の病床をふやそうとしました。そうしましたら、県へ行ったら、医師会の了承を得てきなさい、こう言われた。それで医師会長のところに日参しまして、医師会長に頭を下げて、何とかかんとか許してもらって広げた経緯があるのですよ。もうこうなりますと、どこが行政をやっておるかわからないのですよ。医師会に行政をまかせていることはいままでないですよ。医師会の了承を得なければ何もできない。  片っ方のほうは、今度は十三条でやっちゃいけないと、こういう禁止規定のそれを、医師会がどんどん有床診療所をつくって、できないどころじゃない、何カ月でもどんどんどんどんかげんして入れているじゃないですか。これもまた、医師会というのはものすごく力が強くてあなた方は文句をつけられない。いまぼくは死に文だと思っていたら生きていると言う。こんなばかな話はないですよ。  片っ方はゆるい規定で、「与えないことができる。」なんと規定をものすごく厳重にやられて、しかもあなた方の手を離れて、実質は医師会にもう行政権をまかされているようなものだ。片っ方ではやっちゃいけないというのに、医師会もどんどんどんどんやっている。こういう矛盾というのはありますか。私は非常におかしいと思う。ちょっと御意見を……。
  89. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 十三条の問題は、先生のおことばではございますが、「収容しないようにつとめなければならない。」ということで、一応罰則規定のない努力規定でございますが、実態としては、この問題はいろいろ地域によって必要性がある場合、有床診療所の必要性がある場合等を考慮いたしまして、罰則規定もございませんし、実際上の行政指導では、この四十八時間問題というものは、具体的にあまり取り上げて指摘する、不当であるというようなことをしないのが実態でございます。  一方、おっしゃるような、知事が「できる」ということになって、認めないことができるとはなっておる。しかし、これはそれ以上に非常に強い圧力がかかっておる、こういう御意見でございますが、これはやはり県の立場では、基本的には県の医療機関整備審議会、もちろん医師会の代表等も、三者構成でいろいろ入った審議会等に最終的にかかる問題でございますので、私は、県知事の一つの判断として、各県の衛生部長なり、あるいは事務担当者がそういう問題を円滑に運ぶために、ある程度医師会に事前に問題の性格を話し、問題を詰めてきてください、こういうことは実態としてやっているというふうに思うわけでございます。  これは、医療審議会でも実は毎々問題になることでございまして、日本医師会としても、中央の立場からは、基本的にそのような問題についてあまり理屈のない、反対のための反対ということについては、それぞれの県医師会等を通じて御指導願うことになっておりまして、われわれは特段、最近の越谷のような全くの不足地区に市民病院をつくるという問題にも、話し合いの経過の若干感情的な問題があってあのような状態を招いておりますけれども、あのような不足地区では、事務的には病床の、病院整備ということについて、基本的には医師会も反対できない立場であるわけでございます。したがって、医師会も建設委員会には参加しておったのでございますが、こまかい設計その他の医師会との約束が履行されないというような特定な地元の事情でございますけれども、このようなことを契機にしていろいろトラブルがありまして、医師会が強く根本的に反対しているというふうに受け取られておりますけれども、実態の事情は、それぞれの条件の中で十分理解が進まなかったために、若干感情的なトラブルとして起こっているように思います。  したがいまして、七条の二の問題は、「できる。」ということでございますが、知事としては、円満に事務を運ぶためにそのようなことを通例的にはやっておるようでございますが、われわれは、極端な例がございますれば、もちろん日本医師会とも話し合い、あるいは各県の医師会、衛生部長、知事と話し合いましてこの問題の処理をいたしておりますので、一時よりはこの問題は、かなりトラブルとしては少なくなっておるというふうに私たちは承知いたしております。
  90. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまあなた、だいぶ苦しい答弁をしていますけれども、これは非常に苦しいだろうと思うのです。法律がちゃんとあって、両方守るならいいんですよ。片方だけきちっと守って、きちんと以上に守って、片方はきちんと以下に守っている。これは非常にでたらめな法律の運用をやっているのです。こういうことは実際に私は許されないと思う。だからあなたはそういう苦しい答弁をすると思うのです。これをきちっと守る必要があると思うのです。  たとえば、いまあなたが言われた越谷の問題でも、あれは全く医療過疎地だ。だから私はさっき言ったのです。医療過疎地であれば五条の二というのは何も必要ないじゃないか。過疎地であろうが何であろうが、とにかく病院を建てさせないというのが医師会の態度なんです。これはさっき言った学校の問題でも同じですよ。昭和三十年代、医者は三千人以上ふやさない、これも同じだ。もっとふえると自分たちが困るからです。常に利己的な問題が中心になって動いている。病床規制というのは最高のそういう問題のあらわれだと思うのです。これからの日本の医療、特に公的な医療問題がたくさん出てきているとき、これをやるのはやはり公的な医療機関ですよ。それが何かしようとしても病床もふやせないというような状態で、どうして一体これからの福祉行政というのはできるのですか。  しかも、法律がないのならいいけれども、厳然として法律がある。それさえも破られておる。片方には厳然としてそれを守る法律がある。それさえもあなた方は守らない。なぜ、法律がちゃんとあるのに、あなた方はきちんとそれを守らせないのですか。さっき言ったように、県の医務課に行けば、医師会へ行って聞いてください。そんなばかな行政ってないですよ。これは厚生大臣は、原則的には廃止には反対である、こういうふうなことをこの前の国会で言明しているのですね。だからその趣旨にのっとって、この十三条というものをやるならばもっとしっかりやらして、片方であなた方——私はまあ間違っておったかもしれないけれども、両方ともゆるい規定だったかもしれない。しかし同じようなレベルの規定なんですよ。片方だけ守らせて、片方は何も守らない、それを許しておくという手はないでしょう。きちんとやってください。やりますか。
  91. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この四十八時間問題、有床診療所の設置の問題、これにつきましては、確かにおっしゃるように、医療金融公庫等で診療所を建てる場合資金を融資しておりますが、この場合でも、医療金融公庫の融資は不足地区にその融資を優先させておるのでございまして、やはり診療所のありぐあいということをチェックしながらやっております。  そういうことだけで、この四十八時間問題についての先生の御指摘は、四十八時間を守れということにも若干つながったお気持があると思います。この点については、それぞれ医療の必要上、できるだけ慢性疾患等が診療所で長期にわたって収容されているという実態がないように御努力願うことは、われわれも今後とも努力いたしますけれども、やはり地域的ごとの診療所、特にお産などはかなり一般的な診療所で行なわれることによって、わが国のお産の九五%が施設内で、家庭内分べんがなくなったというようなことにはわが国の産科の有床診療所も相当な役割りを果たしております。これは一つの例でございますけれども、そういうようなことでございますので、その効用、管理の実態、そういうようなものを見ながら、この十三条の趣旨に照らして、行政指導あるいは医療監視の面等では、十分チェックしてまいるように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  92. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 その十三条の問題ですが、たとえば越谷の問題ですと、最初につくるとき、医師会がこういうふうに申し入れているのです。市立病院は入院患者だけ見ろ、あるいは精神病のそういうのだけ見ろ、外来は見るなとはっきり言っているのです。それは知っているでしょう。片一方で診療所、開業医がちゃんとベッドをつくっておきながら、病院には入院患者だけ見なさいという、そういうばかな話がありますか。片一方で病院に入院患者だけ見なさいと言うならば、開業医が全部ベッドをやめなさいよ。そして外来だけ見て、病院に送ってよこすのが筋でしょう。自分は何でもかんでも、外来もあれもみなとっておいて、そして市立病院にだけは入院だけ見なさい、こんな筋の通らない話ってないでしょう。  片一方で、あっちのほうには四十八時間しか見るな、そうしたならば片一方のほうには入院だけ見ろ、これならば筋がわかります。そしてそういうふうに私もなるべきだと思う。ピラミッド型に医療を形成していかなければ、さっき言ったとおり、薬が何でもかんでも万能でもうかるものだから、そして片一方の公的病院は赤字赤字で、独立採算で追われているものだから、みんなもうかることだけで外来の取り合いをしている。だから開業医公的医療機関のけんかが絶えない。武見太郎と厚生大臣と、いつもけんかばかりしているじゃないですか。いつになったらこのけんかが終わって、そしてうまくいくか。常に医師会に牛耳られておるからそれほどトラブルは起きないけれども、これは早急に、これからの日本の将来の医療の考え方として、ベッドの規制というものはやめるべきですよ。もう原則的に大臣も認めておるんですけれども、一体どういうふうにこれをなくしていくか、そのプロセスというものはありますか。
  93. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題につきましては、法律がございます以上、われわれはその運営に当たっておるわけでございますが、御存じのように、二年ごとにこの病床の数値を変更することになっております。四十八年と四十九年はそれぞれ人口五万以下の、一番人口の少ない地域の数値を従来よりも、十三か十四だと思いますけれども、五十七に引き上げまして、逐次全体の地域差というものを解消しろというのがかなり公的病院等を代表する委員の方の御意見でございます。これは委員会の審議の問題でございますから、私からその内容あるいは将来の方向を限定的に申し上げることは避けたいのでございますけれども、いずれにしても審議の経過から申しまして、逐次地域差というものをできるだけ縮めていく。それから全体の数値というようなものについても、問題を検討していく、数値そのものも検討していく。  それから、御存じのように加算制度というのがございます。オーバー地区であっても、この数値にかかわらず、老人病床その他精神、小児、リハビリテーション等の必要な地域に必要な病床は、公的病院が必要ならば加算として認められるという制度になってございます。そういうものの活用、こういうものが一つ当面の課題であろうと思いますが、全体を解消する方向というのは、やはり地域ごとの医療計画というものをどういうふうにしてとらえていくか。いわゆる医療圏という、まあ広域市町村圏とかいろいろ考え方がございますけれども、そういう医療圏というものを設定して、その中でそれぞれの病院の役割りというもの、機能というものを整備していくときには、それがみんなその地域の行政なり住民の討議のもとでそういう地域医療計画というようなものができるような方向に向かうならば、そのときには、病床の数値というようなものは一つの基準としては考えられますけれども、規制というよりもある程度必要なものを設置していくという方向に変わっていく、あるいは既存のものでも、病院の性格なり機能を変えていくというような要望が出ればその方向に沿っていくというようなことで、規制という概念よりも、積極的に機能を、量より質の面で転換していくのが将来の方向であろうというふうに私は考えます。
  94. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 一つ確認しておきますが、さっきの十三条ですね。これは明らかに医師会が違反していますね。どうです。
  95. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題は、非常に事務的に申させていただくならば、罰則規定等もございませんし、「診療上やむを得ない事情がある場合を除いては、同一の患者を四十八時間をこえて収容しないようにつとめなければならない。」という規定でございますので、したがって、違反をしているというようなずばりの表現がいいかどうか、現状のわが国の医療と、有床診療所が国民医療に果たしている役割りからいって、これを違反しているというような表現でとらえるのがいいかどうかは、私もちょっとちゅうちょするわけでございます。
  96. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 罰則があるかないか、それは別ですよ。それから開業医のベッドが有効に働いているか働いていないか、それもまた別です。法律の十三条にいう、緊急やむを得ざる場合でないのに病床をつくっているということは違反であるか、このことを聞いているんです。
  97. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、病床過剰なところについては、現在のわが国の医療制度の中では病院、診療所を開業することが自由でございますので、資金的な面についてはチェックをいたしております。したがいまして、その十三条を裏から、先生のおっしゃるように有床診療所を必要でないと思われるところにつくるということについては、資金面の投入はいたさないようにしておるというだけでございまして、それ以上のチェック、あるいはつくることについて抑制するという点については、ただいま非常に慎重にかまえなければならぬ問題だろうと思っております。
  98. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私が間違っているのかもしれませんけれども、そうするとあれですか、開業医にはこれ以上つくってはいかぬという規制は何もないでしょう。ないですね。あるのは公的医療機関だけだ。  そうすると、いまあなたのお話を私はちょっとおかしいなと思って聞いておったけれども、余裕のあるところにはつくってもよろしい、そういうようないまの発言だったので、それでちょっとおかしいなと思ったけれども、余裕があるところにはつくってもいいが、余裕のないところにはつくってはいけない、こういうような趣旨の十三条じゃないでしょう。十三条というのは、公的機関と私的機関とを分けて、私的機関はこういうふうにしなさいというあれであって、余裕のあるところはどんどんベッドをつくってもいいという法律じゃないんでしょう。そうでしょう。公的病院は制限するけれども、私的病院は四十八時間以上は置いちゃいかぬ、緊急やむを得ざる場合のほかは、そういうものなんですよ。おかしいじゃないですか。
  99. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 これは診療所という表現だけでございまして、公私を問わず読めるわけでございますが、しかし実際としては、診療所の大部分は私的なものでございます。  余裕があるというのは、先生、社会的な観点から見て、ベッドを設けて住民に奉仕する余裕があると申しますか、そういう余地があるというふうな面に私、受け取らせていただきますと、確かにそのようだと思います。
  100. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 法律はそうじゃないんですよ。余裕があるところにはつくれとか、ベッドが足りないからつくりなさいとか、よけいだからつくりなさんなとか、そういうことじゃないんです、あれは。診療所というものは設備が悪かったりいろいろな問題があるから、四十八時間以上置いちゃだめですよ、こういう機能に対する制約なんですよ。あなたの言うのは少しおかしいんですよ。
  101. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この問題について、いろいろ解釈のこまかい問題がございますが、「診療上やむを得ない事情がある場合を除いては、」というのには、いろいろ法律上の立場だけでいきますというと、解釈が、たとえば病院の普及が十分でない地であって、次の各号に該当するもの、つまり病院からの遠隔の地であるとか、病院から必ずしも遠隔の地でないけれども、病床数その他の事情のためにその利用が困難であるとか、あるいは診療所において応急の処置を施した患者を他に移床することが、当該患者の病状に危険を生ずるおそれがある場合とか、あるいはその診療所の医師の診療によるものでなければ、当該患者の疾病に対する治療が十分に行なわれない。だから、この解釈を広げれば、ぜひそこに入院していたいというお医者さんと患者との信頼関係等があれば、ある意味ではこれに含まれる面もあると思うのでございます。診療所の管理者が、明らかに診療上やむを得ない事情がないと認められるにもかかわらず、みだりに同一の患者を四十八時間以上反復継続して収容するような場合は、罰則の適用はないけれども、管理者があまりにその問題に極端である場合は、管理者としては不適当であるというような解釈ができるのではなかろうかということであります。
  102. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 要するに、あなたの場合は、ベッドがなかったり、それから忙しかったり、そういうときには置いてもいいけれども病院がたくさんあって、ベッドも十分にあるようなところは置いてはだめだ、こういう解釈をしてもよろしいでしょう。あなたは非常に苦しい答弁をしているんだな。いいですか、病院が余っているところだって有床の診療所はたくさんあるんですよ。そういうのは明らかに十三条の違反でしょう。どうです。あなたの言われる、そういう例外のものはそれでいいんですよ。だけれども、例外でないのに四十八時間以上やっていれば、罰則があるなしにかかわらず、有用性の有無は別にして、これは十三条の違反でしょう。
  103. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 十三条について違反であるということについて、先ほどもお答えしましたように、これは非常に私は解釈がむずかしいと思うのでございます。「診療所の管理者は、」ということでございますから、診療所が無床で出発し、有床になる場合もあるし、初めから有床で出発する場合もございます。その後の運営の問題として、「診療上やむを得ない事情がある場合を除いては、」できるだけつとめなさい、こういうことでございますので、したがって、診療所の設置がその地域地域で行なわれること自体を、四十八時間問題と結びつけて、すでに根っこから有床診療所を許可すべきでないという議論は、私の段階では、いまの先生の御質問の趣旨にお答えする立場からは、にわかにそのとおりですと言うわけにはどうもまいらない面がございますので、この点については、十分検討いたしたいと考えております。
  104. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 とにかく、あなたはどういう答弁をしても、法律が厳としてあるんです。これは通達や解釈じゃないのですよ。法律が厳としてあって、数字がはっきり書いてあって、こうやっちゃいかぬとはっきりあるんです。それを、どうだかわかりませんと言うことは、あなたの立場にしてみれば、これは違反ですよと言うと医師会からぶんなぐられるでしょうから、これはもうしかたがないとして、これは明らかにそうだと思いますよ。  だから、もう一ぺん言いますけれども、片一方では公立病院をいじめるような法律を厳重以上に、必要以上に守らせて、片一方ではこういうのがあるのに全然顧みない、こういう片手落ちな厚生省指導のしかたというものはおかしいじゃないか。これはあなた、確認されますか。自分でもおかしいと思いますか。
  105. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 医療機関の整備関連して七条の問題と十三条の問題、これは確かに一つの考え方としては、矛盾しているんじゃないかというふうな御指摘は、ごもっともだと思います。  ただ、われわれの運営の問題では、基本的にチェックするよりも、実際の行政上やっております処置としては、積極的な金融措置などは決して、そういう個人が過剰地区において開業する場合には、融資というような資金の投入はいたさないというところまでは、行政措置としてはやっているわけでございます。
  106. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 まあ、この問題をいつまでやっていても限りはありませんので、私はおかしいと思う、それだけ申し上げて次に移ります。  財政局長さんに聞きますが、いまの、今度の特例債ですね、あれの問題について二、三お伺いしたいと思いますけれども、これを実際に実行しますと、公営交通の場合もそうでしたが、今度の場合はものすごく事務量が大きくなると思うのですよ。何かこれをもう少し簡素化してやる方法がないか。これは現地の人たちが、行きますとよく言っているのですが、場合によっちゃ資料の作成が非常に膨大なものになってきて、なかなかこれをつくるのは容易じゃない、これをもっと簡素化できないかという声が非常に強いのですが、それに対して何かお考えがありませんか。
  107. 松浦功

    ○松浦政府委員 きのうの御質問にもございましたように、公立病院のこれまでに生じました赤字の対策でございますが、これは、法律もつくっておらないわけでございます。しかも、御承知のように、一切他動的にしか動かせない診療報酬等の問題もありますので、長期にわたる再建計画を、交通のようにきちんとつくっていくということはきわめて無理だと私どもは思いますし、また作業をしてみても現実に合わない、むだな作業にならないだろうか、こういう気持ちを非常に強く持っております。しかも、当省といたしましても、わずかの職員で五百も六百もの病院の一つ一つの再建を見ていくということは、まことに無理なことでございます。  したがって、当初にどれだけの赤字に起債を認めるかということについては、ある程度やはり数字を出していただきますが、そのあとはできるだけ簡素な方法で——利子補給もするわけでございますから、いいかげんなことをしてもらうことは困りますけれども、簡素な方法で赤字の解消ということを見守っていくという考え方でおります。
  108. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それから特例債の、これは第二課で出したやつですが、償還の方法が二十五年ないし三十年とありますけれども、特例債の貸し付け年数はこのとおりですか。
  109. 松浦功

    ○松浦政府委員 二十年から二十五年とおっしゃっておられるのは、一般の建設起債の償還年限の問題であろうかと思います。当省として考えておりますのは七年、長いものでも十年、そのぐらいでないとちょっと無理ではなかろうか、再建債のほうは。そういう考え方でおります。
  110. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、大体長いもので十年、こういうような見当でいまおるわけですね。  それで、これはこの前の公営交通のときもそうでしたけれども、非常に私たち議論しまして融資をしていただきましたが、この特例債の許可を与える、これを条件にして職員の合理化を進める危険性が非常にあるわけです。そこでこの前も、公営交通のときも盛んにこれをお願いしてやったのですけれども、職員の賃金あるいは労働条件、人員削減、こういうものを絶対にひとつ強要しないように地方団体にも指導していただけないか、こういうことなんです。これは特に公営交通でも同じことですが、お願いしたい。
  111. 松浦功

    ○松浦政府委員 公営交通の再建計画、すでにおつくりをいただいて、起債の許可をいたしておる段階でございますが、その中でも個別に、給与ベースの問題とか人数をこうしなければだめだとかいうことを、個別に私のほうからどうこうという態度はなるべくとらないようにしております。  ただ、現実の問題としては、採算を合わせるために、人数がよけいであれば、なま首が出ない程度で欠員不補充にするとか、そういう方法は、各団体のほうからいろいろやはり案としてお持ちになってこられます。できるものはおやりいただくということだと思いますし、交通の場合にもプラスアルファの支給については、私のほうは計画に入れることは困るということを申し上げておるような次第でございます。
  112. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 結局、現地の問題というのは労働協約の関係だと思うのですよ。労使間の信頼関係、こういうものを確保するために労働協約を結んでいる。その労働協約をおたくのほうから侵害してこわさせるような、そういうようなことをひとつぜひやらないようにしていただきたい、こういうふうに考えます。  それから累積赤字の問題ですが、たな上げする累積赤字、こういうものを今年度たな上げしても、これは交通でも同じですが、こういうような物価狂乱になりますと、それに追いついていけない診療報酬の改定、こういうようなものを見ますと、またすぐ破れる、いまの公営交通と同じように。特例債は今回一回限りだということになっておるようですけれども、これまたこういうような状態だと必ず出てくると思いますが、これに対する処置はどういうふうに考えておられますか。
  113. 松浦功

    ○松浦政府委員 交通の問題と必ずしも一緒にはできないかと思いますが、御承知のように、交付税措置等の病院に対する拡充もいたしておるところでございますので、私どもとしては、一度たな上げをした赤字のほかに、さらに赤字が数年でまた五、六百も出てしまうというようなことを前提にしていま御議論をいただくことは、非常に私どもとしては困りますし、そういうことにはならないという前提でやっておるわけでございますので、そういう事態にならないように私ども指導していきたい。
  114. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは、ならないと言ったって、なると困るのですよね。この前も、ベースアップの分を上げる上げない、入れる入れないで、入れないからまたすぐ赤字になってくる。再び転落する要素はたくさんあるのです。だけれども、いまの状態でそれを何とか確約しろと言ってもなかなかできないでしょうが、そういうことを十分ひとつ腹づもりしてやっていただきたい、こういうふうに思います。  それから、これが助成する基準として、県及び指定都市は標準財政規模の二%、市町村は一%をこえた場合対象にする、こういうふうにありますね。この場合、実際問題として、県や指定都市というのはほとんど入らぬと思うのですよ。これはもうちゃんと書いてありますね。だけれども、実際問題としてこれはやはり同じことじゃないでしょうか。財政上の問題で少しは力が強い、こうは言うけれども、しかし、これを除外視するというのは、国の政策として見る場合、ちょっとやはりおかしいのではないか。できれば、こういう問題について今度すぐ、もう出てしまったので、あとからやることもできないでしょうから、困難であるとすれば、やはり交付税だとか特別交付税だとか、こういうので多少でも措置してやるのが至当ではないか。都道府県や指定都市だけが赤字を出してもかまわないというのはおかしいじゃないかという気がしますね。
  115. 松浦功

    ○松浦政府委員 これは、設置しておる地方公共団体の力との関係でございます。たとえば、税収入が一千万しかない町村でございますと、七五%は交付税の基準収入に入ってしまいますので、二百五十万しか余裕がないわけでございます。ところが東京都のように、かりに税収入が五千億あったといたしますと、その府県分と両方合わせてですから、率がどうなるかわかりませんが、一千億程度の交付税計算外の余裕、それに不交付団体分のプラスまで出てくる。それに対して、赤字がかりに三十億あったとしてもこれはもう微々たるものだ。そういう判断を団体別にしていかなくてはいけないだろうということで、こういう基準を引いたわけでございます。
  116. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それはわかるのですよ。それは財政力のあるところとないところとを一律には取り扱われないということはわかるのですが、同じような自治体の病院があって、赤字を出して、府県だけが、指定都市だけがそれに該当しない、恩恵にあずからない。やはりちょっと納得しないところがありますので、ぜひひとつ、あとからでも考慮をしていただきたい。  それから、地方公営企業法の十七条の二によって「経費の負担の原則」というのがきめられておりますね。この場合に、一般会計の負担をこえる場合は独立採算だ、こういうふうな指導をしておるようですけれども、こういう心配があるのですね。一生懸命一般会計から繰り入れまして赤字を少なくしたところは赤字が少ないのです。ところが、なまけたと言えば語弊がありますけれども、なまけて、繰り入れないで赤字がうんと多い、こういうところは赤字が多いから恩恵をこうむる、こういうことになって、うらはらの恩恵を浴する場合があるのではないかと思いますけれども、この場合に、やはりこれは非常に不公平が発生する、こういうことになりますので、いままで一般会計から繰り入れた分、これも十分考慮に入れた上でこの問題を処理していく必要があるのではないか、こういうふうに思いますけれども……。
  117. 松浦功

    ○松浦政府委員 再建債として起債の発行を認めるか認めないかの際に、一般会計から本来交付税等で見ておったものを入れないで、なまけて、ほかへ使ってしまっておるというような赤字まで再建債で見てしまうということは非常に不公平でございます。それは、計算をちゃんと入れたものと、し直したものにしか認めないという形で処理をしてまいりたいと考えております。
  118. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それから、三月の五日の衆議院の予算委員会で、私のほうの小林進議員が質問したのに局長さんが答えておるのですが、特例債の問題ですね。過去の赤字たな上げの利子、この利子補給の場合に、赤字は、認められた起債の償還、これに応じて一般会計から返させる。その一般会計から繰り入れたものに対して、一定部分については特交で手当てをする、こういうことですね。
  119. 松浦功

    ○松浦政府委員 交通の問題を御指摘になっておられるのではないかと思いますが、交通につきましては、すでにもう起債を認めております。起債の元金償還、これは年度割りがきまっております。それの二五%は四十九年度から、交通については普通交付税措置をいたしたい。そのほかに利子補給があるわけでございますから、総体的に、借りました地方債の元利償還金の約四五%を援助するという形になろうかと存じております。
  120. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ああそうですか。合わせると四五%になりますか。  それから、これは時間がありませんので、最後に一つ厚生省の方にお伺いしたいのですが、差額ベッドのことでお伺いします。これで終わりですから。  厚生省調査によりますと、公的病院の中で、昭和四十八年十二月の調べですと、平均して七六・六%が差額徴収をしている。この内訳は、国立病院が六六・七、公立病院が六七・六、公的医療機関が九三・三、法人病院は一〇〇%、合わせて七六・六%。これのほとんど大部分が、こういうふうにベッドで差額徴収をしておるわけです。しかもこれがどんどん多くなってきている。四十三年には一八・七七%だったのが四十八年には二〇・四%、こういうふうにどんどん上がってきておるわけです。それでこの問題は、これからの保険医療の根底をくつがえすような、やはり非常に大きな問題になってきますので、これはぜひひとつ質問いたしたい、こういうふうに思います。  ベッドの数の問題も非常に大切ですけれども金額の問題でも非常に変化があるのですね。四十三年の調べで、五百円から千円まで、このランクが一四・六八%でありましたけれども、四十八年になりますと二七%、第五位が最高にひっくり返っている、こういうような状況になっておるわけです。五百円以下のものは四十三年は七二・七四%、約七三%あったのが、四十八年には五三%に減っている。まさに約二割ぐらい減っているのです。それに引きかえて、五百円以上のものが、そのときは二七%あったものが四七%にふえている。これもやはり二割ですね。これは逆ですから二割。こういうふうに約二倍ぐらいにどんどん高いほうがふえて、安いほうが減っていっている、こういうような現実にあるわけです。特に百円以下の差額徴収になりますと、四十三年には二二・五%あったものが、四十八年には驚くなかれ六・七%しかない。どんどん金額が高くなっていっておるわけです。そういうのが実態であります。  さらに、その実態をもう少しあれしてみますと、非常に大きな矛盾があるのですね。差額を取っているところの状態はどういうふうになっているかというと、一人部屋が六九・六%ですね。二人部屋が四六・二一%、三人以上の部屋に入れられておるのが九・四四%、それから八人以上に入れてなおかつ差額を取っているところがあるのですね。もっとおかしいのは、例をあげてもおかしいのですが、大部屋にただカーテンで仕切っただけで差額を取っているのがある。もっとひどいのがあるんですね。日当たりの多いほうから差額を取っている。この逆の論法でいきますと、夏になると日陰のほうから差額をおそらく取られるでしょう。それからもっとひどい例がある。一つの病棟にペンキを塗っただけで、きれいだからといって差額を取っているところがある。これは明らかに例がちゃんとあるのです。でたらめで、何でもかんでもみんな差額を取るというような状態になっております。  さらに、ベッドだけではなくて、日本患者同盟の調査によりますと、このほかにガス代の徴収が三八%、電気代が六一%、洗たく代が一八%、入院保証料を四・四%、こういうふうに病院が取っておるのです。そのほかに付き添い料金、これは総評の調査によりますと、大体四〇%ぐらいのものが一日三千円、このぐらいが標準じゃないかといっていますけれども、こういうふうなあれでもって付き添い料金も取っている。こういうふうなので、いまや病院という病院はほとんどみな差額を取っておるわけですね。これはやはり大きな問題である、こういうふうに考えます。  この差額徴収で、いろいろな例が新聞等で報告されております。これはまことに奇抜な例があるんですね。片っ方のほうには具体的に人の名前が書いてないのですが、片っ方のほうには具体的に名前が書いてある。「東京大田区で赤ちゃんがひきつけを起こした。母親が一一九番し、救急車が指定病院に運びこんだ。注射で発作はおさまったが、赤ちゃんは三日間入院させられ、二万九千八十二円支払わされた。あまりに高過ぎはしないか。母親が冷静になって調べたら、十分に事情がわからないままに健康保険のきかない高価な差額ベットに入れられていたことがわかった。医療行政の矛盾。その被害をまともに受けたケースで、池上署は詐欺の疑いがあると内偵を始めた。」こう書いてあるのですがね。ひきつけを起こした子供が、目蒲病院に「入院してください」と言われたので入院した。それで「お子さんだから個室ですよ」と言った。個室というのは差額ベッドのことだったが、その母親はそのわけがわからずに、機械的に「はあ、そうですか」と返事をした。さらに「保険は何保険ですか」と聞かれたので、国民健康保険証を渡した。子供は次の日元気になったので「退院したい」と言ったら、「日曜だからだめです」と言われた。月曜日午前八時半ごろ、診療に来た医師に「退院したい」と申し出ると、「入院手続をとってください」と言われて、注射代、初診料、処置料、薬代、入院料として二千八十二円、これだけ取られた。そのほかに個室料として一日六千円、三日分として一方八千円取られた、こういうようなことなんですね。結局、医療費の分として取られたのはわずかに二千八十二円しかない。たった一割しかないのですね。あと九割は全部差額ベッドの分を取られている。  普通の人がいま保険でもって、三万円以上のあれは自分で支払わなくてもよくなっていますね。しかし、三千円の差額ベッドに一カ月入ると、療養費のほうは三万円だけれども、ベッドのほうが九万円かかるのですよ。これでは、せっかくそういうような制度をつくってくれても何にもならぬということですね。せっかくやっている保険、こういうものに対するところの不信感。ましてや、ペンキ塗ったから差額を取る、日当りがいいから差額を取る、こういうことでは医療、病院その他に対するところの信頼度というのが全然なくなると思うのですよ。この点をどういうふうに考えているのか、どういうふうにしてこれを押えようとしているか、お聞きしたい。
  121. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいまお話のございましたいわゆる差額ベッドの問題は、私どもも、現状が、いま先生が言われたような例もございまして、非常に乱に走っているという点につきまして、まことに遺憾に思っておりますし、残念でございます。  この差額ベッドと申しますものは、そもそもはいわゆる病院の特別室について、保険で見る診療費以外に、患者さん本人の御希望があって特別な部屋に入った場合にその上のせの料金をいただく、こういうことが本来の趣旨でございます。これは戦前からもこういう仕組みがございましたし、皆保険後も、そういった患者さんの希望というものを基本にしてやってまいっておるわけでございます。そういった意味で、皆保険になりました直後の三十九年に、差額ベッド特別室料についての相当詳しい規制をする内容の通達を出しまして、その後努力してまいったのでございますけれども、残念ながら、いま言われたような例があるわけでございます。  目蒲病院の例は、私も昨年の例としてよく存じておりますし、そういう意味合いで、何としてもこの問題はきまりをつけ、節度をつけなければならないと思っております。特に、今回診療報酬の改定もございましたので、こういう機会に、いまのお話に即して申し上げますと、患者さん本人が希望しないにもかかわらず特別室に入れられる、あるいはまた十分納得のいかないままに、わけのわからないままに差額を取られる、そういうことは非常に困ることでございますので、私どもきわめて近い機会に、こういう問題について、はたしてどういう基準で特別室というものを設けるべきか、またどういう要件で、どういうような手続で、患者さんが入院する場合に特別室の取り扱いを処理すべきか、またそういう問題についての不断の追跡というものをどういうふうにすべきか、またそういう一つの示した基準あるいは取り扱いというふうなものについて守られない場合には、いろいろ勧告もし指導もしなければならぬわけでございますが、最終的に守られない場合にはどういうような措置をすべきか、こういう問題について、詳細な具体的な考え方を示しまして都道府県を指導し、また関係団体協力も得まして、いま申し上げましたように、この問題の節度ある運営、きまりというものをつけたい、このように考えているのが現在の実情でございます。
  122. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまあなたも言われておるように、昔は、金持ちのほうから金をよけい取ったらいいじゃないか、何が悪いんだ、こういうようなことですけれども、いまのベッドの状態というものは、それほどどんどんふやしていけないのですね。片一方では看護婦や医者不足でベッドが逆に減っているような状況もある。限られたベッドなんですね。だから一方で、金持ちの人がどんどん出すのはあたりまえじゃないか、これはけっこうだ、逆に言えば所得の再配分じゃないかという理論も成り立つかもしれないけれども、ベッドに関してはもとが限られておるから、それがふえれば庶民の入る安いベッドがなくなってしまう、その被害が、金持ちの有利さが庶民にもろにかぶさってくる、こういうあれがあるので、特に平等を旨とする保険医療、こういう面からは、絶対にこれを規制してもらわなければ困ると思います。  それで、この間医療費を改定しましたね。医療費を改定した中に、この改定の基礎に差額ベッドのあれが入っているのですね。差額ベッドの収入を、差額収入を、医療外収入を、保険外収入を収入として基礎に算入しているのですよ。そうするとおかしいことになるのですね。一方ではこれをなくしよう、一方ではその収入を算定の基礎に入れている。収入として認めている。これは矛盾ですよ。私は、開業医はまずいいとしても、少なくとも公的医療機関、こういうものに対しては、絶対にこういう差額ベッドなどを置かないようにしっかり規制していく、そのかわり、いまの医療費の改定のほうも、この分は算定の基礎から除いてその分をつけ加えてやる、こういうような方法をとるべきだと思います。そうでなければ、あなた方何ぼこれを押えると言ったって押えられませんよ。自分でちゃんとその収入を認めている。そういうような方法をとる意思はございませんか。
  123. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 今回の医療費の改定にあたりまして、いま先生の言われましたように、差額収入というものを見込んでおるではないかということでございますが、これは、私がいま申し上げたことに関連してお話をいたしますと、差額ベッドを全くゼロにするということについては、私どもも多少その疑問はあるわけでございます。したがって、これは逆に申しますと、やはり高いお金を払っても特別室に入りたいというふうな希望もごく一部にはあるわけでございますから、その限りにおいては差額ベッドというものはあってもいいじゃないか。  ただ、一番問題なのは、いまのお話しのように、患者が希望しないにかかわらず無理やりに差額の部屋に入れられる、こういうことは何としても避けなければならない、こういうことでございます。皆保険下でございますから、保険診療ですべてをまかなうということがたてまえでございます。ただ、それに上のせをする特別室料というものは、やはりいま申し上げましたような、あくまでも本人の希望というものが基本になって、その限度にとどめるべきが原理、原則である、こういうふうに考えております。  それから、公的な病院についての話でございますけれども、これは先生のおっしゃるとおり、公的な病院というのは、特に地域住民に対するサービスということが非常に基本的な大きな使命でございましょうし、また、先ほどからたびたび議論されましたように、そのあり方というのはいろいろな面で問題がございますので、われわれはすでに四十四年のときにも、公的な病院の差額徴収問題については、できるだけ避けるべきであるということをいっております。現在でもそういう気持ちは持っておりまして、公的病院についての、公的な性格を有する医療機関についての差額徴収問題というのは、これは相当厳にすべきである、このように考えておることを、この際申し上げておきます。
  124. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、非常に心配なことが一つあるのですね。この差額ベッドの問題につきまして、厚生大臣が前から言明しておることがあるのですね。差額ベッドを一〇ないし一五%に押える、これは前々から宣言しているのですよ。一月二十日の国保新聞にも、それから一月二十二日の毎日新聞にも、一月十二日の読売新聞にも、すべてがもうはっきりと一〇ないし一五%に差額ベッドを押える、こういうふうに言明しているのです。ところが、今度のやつは二〇%以下にする、こういう表現にかわってきているのです。私はこれを見まして、わずか五%から一〇%だけれども、これは大きいと思うのですよ。これは次第にまた後退してきているんじゃないか、こんな気がするのです。ほんとうにあれするなら、一〇ないし一五%なんというものを三べんも四へんも公表しているのですから、二〇%と後退しないでやはりやるべきだ。  もう一つ、いま申し上げましたように、公的医療機関は個室は必要ですよ。個室が全然必要でないとは言いません。必要です。それは、たとえば泣き叫ぶ子供をそばに置かれては困るから、その子供を入れるとか、重病でうなっている人にそばにおられたら困るから個室に入れる。しかし、その状態がなおったらまた大部屋に入れてくる、こういうふうな問題として個室なりそういうものは使うべきですよ、公的医療機関では。ところが、公的医療機関でさえも、三万円も四万円も出して、ちゃんとやって、電話をつけて、二の部屋をつけて、応接のセットがあるところがあるのです。こういうのはやはり許されないと思うのですよ。厳重に、まず公的医療機関から差額ベッドをなくすように、ひとつ重大な決意でやっていただきたい、こういうふうにお願いしたいのですがね。
  125. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいま厚生大臣からのお話が引用されましたが、この問題は、先生先ほどからいろいろ例示されましたように、現在非常に乱れておる実情でございます。でございますから、私どもがこの問題について、新しいスタンスをとって新しい規制をやるという場合にも、われわれは、当面必ず実行でき得るというふうなそういうことを目途にして、この問題に対処しなければならないと思っております。  そういう意味合いで、いま申されましたようなパーセンテージの問題から、あるいはまた基準の問題から、あるいは取り扱いの問題から、そういう問題をきめこまかく検討いたしまして、御趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思っております。特に、公的医療機関についての問題意識は、先生と全く同様であることをつけ加えて申し上げておきます。
  126. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 終わります。
  127. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 小川新一郎君。
  128. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、地方交付税法、地方税法、また財政計画等の一連の地方自治体の財政問題に関係いたしまして御質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、第一に政務次官にお尋ねいたしますが、最近起きております商社、大企業の悪質な脱税問題、こういう問題が国会で取り上げられまして、狂乱物価に歯どめをかけるような国会の動きに対しましては、御案内のとおりだと思います。  そこで、過ぐる予算委員会におきましてわが党の代表の矢野書記長が、トーメン、丸紅飯田、伊藤忠等々の商社の脱税問題を追及いたしました。脱税の疑いがある、もしくは調査中である、こういう問題に対して、明確に法人、個人名をあかすよう衆議院、国会の場で要求したのでありますが、この問題に対して、大蔵大臣並びに国税庁長官は答えがありませんでした。その理由は何であったかをまずお尋ねいたします。
  129. 古屋亨

    ○古屋政府委員 ただいま小川先生からの御質問でございますが、むしろ国税の問題は大蔵大臣の所管でございまして、自治省としては地方税の問題が所管でございます。また、私はその点におきましては、大臣が御出席いただけませんので、自治省の大臣にかわりましてお答えしたいと思います。  いまの御意見で、脱税の商社等につきまして、地方税の問題について一定のワクのもとに公表すべきではないかという御意見でございます。御承知のように、一般には、地方税に関して知り得た秘密につきましては、地方税法第二十二条あるいは地方公務員法三十四条の規定によりまして公表することはできない。この場合、地方税法の二十二条の規定に該当しない場合であっても、たとえば滞納などの場合に、地方公務員法三十四条の規定に該当するものもあると考えておるわけでございます。  御質問の、問題の脱税にかかる所得につきましては、こういうような総需要抑制の場合におきまして、商社のみがそういうような脱税行為が国会でもしばしば論議されておりますことにつきまして、国民感情といたしましては、やはりそういうものにつきましても一般に知らしめる、そういう感情も非常に強いわけでございまして、それから現行制度のもとにおきましては、先ほど申しましたような、地方税法等の規定の関係でこれを公表することは非常にむずかしい。ただ、立法論としては別でございますので、そういう意見のあることは大臣にもよく伝え、また大蔵省とも今後十分協議をしてまいりますが、ただ、現在の法律のたてまえにおいては非常にむずかしい。  それなら、脱税の防止につきましてはほかっておくかということになると、それは困るわけでございまして、やはり国税及び捜査当局とも協力の上に適時適切な調査を行なうことによりまして、脱税をしないように防止徹底をはかっていかなければならないと考えております。
  130. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、重ねてお尋ねいたしますが、脱税と滞納とはどちらが悪いのですか。
  131. 古屋亨

    ○古屋政府委員 これは、技術的には非常にむずかしい問題もあると思いますが、やはり現に払うものがなくて払えないというような滞納の場合においては、情状等もいろいろ考うべき点はあると思うのでありますが、意識的に税をのがれるということは、私は、国民感情上からも許すことができない問題だと考えております。
  132. 小川新一郎

    小川(新)委員 滞納にはいろいろな理由があると思いますが、脱税には理由がないと思います。その点を申し上げますと、私は脱税のほうが悪いと思うのですが、いかがですか。
  133. 古屋亨

    ○古屋政府委員 いまのような御論点からいきますと、情状酌量すべき点がないという点については、脱税のほうが重いと考えます。
  134. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう悪い脱税を国会の場において発表ができないというのは、大蔵省は何の理由によるのですか。
  135. 西野襄一

    ○西野説明員 法人税法におきまして百六十三条の規定がありまして、これによりまして、税務職員が知り得た秘密を漏らしてはならないという規定があるわけでございます。  この規定が設けられております趣旨でございますけれども、この点につきまして、一般の公務員に課されたよりも重い条件をつけられておるという理由でございますけれども、これはやはり調査の内容が、私人の経済内容その他秘密に属する事項にもわたるであろうということで、税務職員がこれをみだりに漏らすおそれがあるということになりますと、納税者のほうでは安んじて調査を受忍することはできないことになるであろう、そういうことで守秘義務を重くいたしまして、その違反に対して罰則を定めているわけでございます。
  136. 小川新一郎

    小川(新)委員 社会的に悪いといわれる脱税行為をやる。またそれよりは悪くはないけれども滞納をやる。しかし、こういうことを求められて議会——この議会というのは、地方の場合においては県会また市議会、町村議会、国の場合には国会、これは明らかに分かれておりますが、いずれにいたしましても、国権の最高機関の場において公表を迫っても、法人税法百六十三条の守秘義務によって発表ができないのだ。この守秘義務は、調査だけではなくて、たとえば税金を脱税したという、もう結果行為についてすらも、その匿名の法人の名前とか匿名の個人の名前は発表できないものなんですか。
  137. 西野襄一

    ○西野説明員 この点につきましては、先ほども申し上げましたような内容にわたる事項でありますので、発表できないということでございます。
  138. 小川新一郎

    小川(新)委員 その理由については、納税者の納税の意欲を阻害する、またその姿を見て他の納税者が納税の意欲を阻害する、また個人及び法人の基本的名誉、基本的人権、これに抵触するから、法人税法の百六十三条というきびしい守秘義務があり、これに違反する者は懲役二年、罰金三万円以下の罰則があると理解されますが、そういう基本的な憲法の問題に抵触してきているからこそ、国家公務員は厳重な秘密を守るという義務を法律で課せられていると理解してよろしいのですか。
  139. 西野襄一

    ○西野説明員 税法上の守秘義務の点につきましては、先ほど申しましたように、やはり調査が十分に行なわれるということが必要であり、その場合には、私人の秘密にわたるような事項についてまで調査しなければならないであろう、そういう意味で重い罰則が科されているということでございます。
  140. 小川新一郎

    小川(新)委員 だから私が聞いているのは、そこまではあなたが先ほど答えたからわかっているのですが、その百六十三条という法律は、税金を取る立場の徴税官が、いろいろな技術的または内容に深く立ち入るために、個人及び法人の名誉、基本的人権、こういうものを、これを発表することによって侵害するおそれが出てくる。ただ単なる税金を取るという技術的な弊害のみではないのだ、もっと深い憲法の問題に抵触するからこそ、国家公務員はこれを守らねばならないという深い理念があってこの法律ができたと私は理解しているのですが、あなたはどう思うかということが一つ。  二点目は、調査が終わり、課税の対象が決定し、確かに脱税行為が認められた、もう調査の段階が過ぎた、その時点においても発表はできないということは——これは調査でないですよ。調査が過ぎて、もう課税対象がきまって、課税額が決定して、初めて実態が明らかになって脱税金額もわかった、滞納金額もわかった、それなら発表していいのかというと、発表はできないというお答えですね。いいですね。この二点。
  141. 西野襄一

    ○西野説明員 第一点につきましても、やはり基本的人権にかかわる問題が含まれていると思います。  それから第二点の、これを公表してはどうかという問題につきましても、基本的人権にかかわる問題があると考えます。
  142. 小川新一郎

    小川(新)委員 その基本的なものは、憲法第何条ですか。法制局、いたら答えてください。
  143. 茂串俊

    ○茂串政府委員 憲法の面に照らしまして、ただいまの御指摘のような税務調査につきまして守秘義務があることのバックとしまして、基本的人権の規定が即物的にどこにあるかという点でございますが、これはあくまでも、憲法の第三章に規定しておりますところの基本的人権一般の問題であろうかと思います。  なお、先ほど西野課長がるる御説明をいたしましたが、この法人税法の百六十三条あるいは地方税法の二十二条の、一般の公務員法よりも加重した刑罰を守秘義務違反について科しておるという点につきましては、確かに御指摘のように、社会通念から見てけしからぬことをやっているやつならいいのじゃないかという見方もあろうかと思うのでございますけれども、ただ、先ほど西野君も触れましたように、税務調査といいますのは、あくまでも現在は申告納税制度をとっております。したがいまして、納税者の協力なしには調査もできないというようなたてまえに原則的にはなっておるわけでございます。したがいまして、かりに調査の結果が出ましたあとで、その調査の結果、たとえば脱漏所得が幾らあったかということを開示することにいたしますと、事後の税務行政の運営の面で非常にいろいろな問題が出てくるという点の配慮もあって、特別な法人税法の規定あるいは地方税法の規定があろうかと思うのでございます。
  144. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは重大な問題ですね。憲法の第三章というのは、「基本的人権の享有」という第十一条が入っていますね。最高に大事なところでしょう。個人の基本的人権が民主主義の原則です。どんなに国民の数がふえても、一人一人の個人の名誉、一人一人の個人の基本的人権の尊重というものは、平和憲法の一大精神です。そのために税金も申告別がとられている。だから、社会的に見て脱税行為は悪い行為である、滞納行為は悪い行為ではあるけれども、憲法の基本的人権を尊重し、侵害するという重大な立場から立てば、これは発表することはできないのだ。だから、これに携わる職員、国家公務員や地方公務員は、この精神を尊重したところの法律、要するに百六十三条、二十二条、こういう問題になってきているわけですね。これは間違いありませんか。
  145. 茂串俊

    ○茂串政府委員 基本的人権の点につきましては、御指摘のとおりでもあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げました税務行政運営全体の円滑化をはかるという面からいたしますと、完全にこれは脱税であるということが判明いたした場合には刑事事件になります。刑事事件になれば起訴になりまして公判になります。その段階では、刑事訴訟法の規定によりましてこれは公にできるわけでございます。  ただ、いまお話しの点は、刑事事件に至らないようなそういった事件についてどうかという御質問だと、私、理解するのでございますが、その場合には、先ほど申し上げた趣旨からしまして、やはりそういった守秘義務によって、納税者のいわば私的な秘密というものを漏らさないことにしておくということが、申告納税制度を担保するための非常に重要な仕組みであり、制度であるというふうに考えられます。
  146. 小川新一郎

    小川(新)委員 刑事事件にまで発展しない段階ではもちろん漏らしてはならない、これは当然のことです。ましていわんや税金を滞納する、これにはいろいろな理由があると思うのです。私の個人の賃貸関係、借款関係の中においても、昭和四十九年三月三十一日までに百万円の金を返さなければならない期限が来ていたとしても、諸般の理由があってどうかひとつかんべんしてくれ、そのうちには利子も払う、あなたの言い分も聞きます、しかしいまはお金がないから払えないのだ、払う意思はあるんだけれども払えないのだ、こういうのが、要するに一般市中で行なわれているもろもろの世相であります。税金だって当然そうだと思う。そこで、税金には延滞料とか加算料が課せられて、そこに罰則が加えられるわけです。あなたが期限までに納めなければ、これだけの利子に相当する延滞料を取りますよ、これに対する罰則は当然受けてくださいよ、これだけで十分平和憲法下における基本的人権を守られている。日本国民の税金に対する義務、権利という問題に対する世間、国、地方公共団体からの範疇におけるところの罰則は受けているはずだ。それ以上は行き過ぎであるということを、私はいまここで認めるわけでございます。そうであるかないか、一言でけっこうです。
  147. 茂串俊

    ○茂串政府委員 一般論的には、いまお話しのとおりであろうと思います。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうなってまいりますと、ここで問題になってまいりますことは、国はこのように所得税、法人事業税、個人事業税、要するに国税といわれるものを取るにあたっては細心の注意を払われている。憲法に抵触する疑いが出てくる、しかも基本的人権の侵害さえも生ずるおそれがあるといって、重大なこの問題に対しては国家公務員に対して歯どめがある。では、地方税の問題はどうかという問題になってまいります。国税と地方税においては多少の性格の相違はあるにしても、日本国民が受ける税金という概念、国家及び地方公共団体から受けるところの私どもの義務、これは当然同じだと思います。そうなれば、地方公務員、国家公務員たるを問わず、守秘義務については同一でなければならぬと理解いたしますが、地方公務員と国家公務員とでは差があるのですか。
  149. 茂串俊

    ○茂串政府委員 御指摘のとおり、国家公務員法、地方公務員法にほぼ同じような守秘義務の規定がございます。また解釈論といたしましても、基本的には同様であるべきだと思います。
  150. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、全く同じであるということは、同じ性格であるという税金の問題に対処するにあたっての心がまえ、またそれに対処するところの罰則等についても同じである、こう理解しておりますからお尋ねいたしますが、地方税を取るにあたって、昭和三十三年六月二十一日、「秘密漏えいの範囲について」岐阜県総務部長から自治庁府県税課長あてに質問が出ておりますが、これに対して、いま言った六月二十一日、自丁府発第一一八号において答えが出ております。その質問の内容はこういうわけです。「次の場合において個人別滞納金額一覧表を書類により提出または、個人別滞納金額を口頭により発表すること。」要するに秘密を守らなければならないということに関連して、個人が税金を納めない、滞納しておった、このことに対して、その金額と名前を発表することができるかできないかという質問です。「1 監査委員の監査」監査委員の監査ができるかできないか。二番目は、「公開の県議会または県議会常任委員会の会議」たとえば埼玉県でありましたら、埼玉県の知事が召集いたしますところの県議会において、または常任委員会において、滞納者の一覧表を出したり金額を出したりすることはできるかできないかという問題であります。三番目は、「県議会常任委員会の秘密会」四番目が、「県議会より決算審査を付託せられた県議会委員会の会議」これに、次の場合において個人別滞納金額一覧表及び金額を出してもいいかという質問に対して、答えはこういっているのです。「「秘密漏えい」には該当しない。なお、徴税の政策上、個人別の滞納状況を積極的に外部に公表することを不適当とする場合においては、当該事項を取扱いの上で秘密とし、地方公務員法第三十四条の規定に係らしめることができることはいうまでもない。」何の意味だかよくわかりませんけれども、こういうことをいっている。秘密漏洩にはまず該当しないと結論が出ている。要するに地方公務員が、小川新一郎なら小川新一郎の住民税、それには都道府県民税と市町村税とあります。この二つの住民税の滞納の金額と名前を、公開の県議会の本会議の場または常任委員会の場、もしくは常任委員会の秘密会、決算監査の場、こういう場に出すことは秘密漏洩に値するかという質問に対して、漏洩には該当しないといっておるのですが、これは一体どのように理解したらよろしいのでしょうか。法制局いかがでしょうか、法制局の立場で。
  151. 茂串俊

    ○茂串政府委員 実は、たいへん不勉強で恐縮でございますが、このいわゆる行政実例につきましては、きょう午前中に自治省のほうからこういう話を伺ったばかりでございまして、この実例が出ました当時の沿革なりあるいは背景、あるいはその実例自体の趣旨、これにつきましてまだ十分に自治省の見解を伺っておりませんので、至急にひとつ自治省のほうからまたそういった点のお話を伺いました上で、また両方協議の上で結論を出したいと思っております。
  152. 小川新一郎

    小川(新)委員 そんな答弁は私は納得できない。少なくとも法制局は専門家です。たったいまこういう問題を私から提示されて、その前にあなたがずっと国家公務員から地方公務員に対して、秘密を守るということを言ってきて、矢野質問の例まで引いて、国税の場合においては法人税法百六十三条があるからできないと言っているんです、おたくの大将である国税庁長官は。法制局のほうではどう理解しているか知りませんが……。私がいま聞いただけだって、これは個人の秘密漏洩になってしまうじゃないですか。少なくとも、さっきから言っている脱税行為じゃないのです。滞納金ですよ。悪質な脱税行為だったならば、これはあるいはということもある。大蔵省の答弁では、それでもだめだと言うじゃないですか。基本的人権に関係するからだめだと言っている。ましてや地方住民の零細な住民税、個人ですから多くたって五万円、十万円まではいかないでしょう。それを県議会の場、常任委員会の場において出す、これをあなたが聞いて、朝自治省から聞いたからわからない、よく検討する、その当時のいきさつ——その当時のいきさつも何もないんだ。このとおり私が読んでいる。これがいま行なわれたとしてあなたはどう判断するか。いままでの法律に照らし合わせて、それは国家公務員法、地方公務員法、同じだといま言ったじゃないですか。同質だと言ったじゃないですか。だから、岐阜県の総務部長は心配だからこういう質問をしているわけです。  この辺の時代的背景はいろいろあると思います。住民税がなかなか徴収できないから困ってこういう徴罰的な、強制徴収です。延滞加算料どころの騒ぎじゃない。県議会というのは、公職選挙法によって出てきておるその県の代表の人たちです。たとえば、議員はこのことを聞いてもよそに行っていゃべっても、国家公務員法や地方公務員法のような罰則はないんでしょう。たとえば、県会議小川新一郎が埼玉県議会で知り得たことを、自分の川口へ行ってしゃべっても、私は地方税法二十二条の機密漏洩の罰にはならないでしょう。そうなれば、個人の名誉というものはここの点において重大な侵害を受けることになるじゃないですか。どうして自治省はこういうことを答弁したかという点がまず一点です。  さらに昭和四十四年、最近ですよ。四十四年三月十四日に重ねて大分県からの質問に答えておる。大分県では、こういうことが自治省から出たからこのとおりやったんだかどうか知りませんが、やったらこういうことになったというのです。「行政実例(自治省税務局監修 市町村事務要覧税務 総則四三八ページ記載)答二に「正当な理由がない限り応じないことは違法」とあるが、この「正当な理由」には次の(ア)から(ウ)までの理由は該当するかどうか。」ということの質問の中に、これは大事ですからよく聞いてください。「(ア) 滞納者の滞納金額がもれることにより本人の今後の経済活動が大きく阻害される。」これはあなた方がいま心配していたとおりのことが、地方税徴収にあたって出てきた。「(イ) 滞納者の経済的活動が阻害されることにより、その者の税の徴収が困難となる。」「(ウ) 滞納者以外の納税者への影響が大きく納税意欲を阻害することになる。」全く先ほどの大蔵省の答弁と同じことであります。発表することによって結果が出てきた。  そこで、「前問設例の(ア)から(ウ)までの理由は、行政実例(昭和三十三年六月二十一日付自丁府発第一一八号岐阜県総務部長あて自治庁府県税課長回答=注 本条前掲=)答一のなお書「徴税の政策上、個人別の滞納状況を積極的に外部に公表することを不適当とする場合」に該当すると解してよいか。」これに対して答え、「(ア)〜(ウ)いずれも該当しないと解する。」要するにそういう問題は該当しないのだ。だから大いにおやりなさいとまで言わないけれども、まあこの回答によっては、大分県の質問に対して、心配がないのだ、こういう答弁をしているのです。昭和四十四年からずっときょう現在までいまだ続いているのです。昭和三十三年に起きた問題が、昭和四十九年今日現在、滞納者に対しては、ひどい市町村では掲示板に張って、名前を一覧にして公表したところもあるということを聞いております。  こういうことは、好ましいとか好ましくないとかの問題じゃないじゃないですか、これは。憲法の基本的な問題に抵触するような問題が、自治省の地方税の徴収にあたっては行なわれる。所得税や法人税の国税においては禁止されている。これじゃ一体どっちを国民が信用したらいいかわからない。この見解については、統一をするとかしないとかの問題じゃないじゃないですか。しかも、不当な利益に対していま会社特別税法のように超過税を取るとか取らないとかいって、国会に会社の社長を呼ぶ場合に、証人として呼ぼうとすれば、それは基本的人権の侵害にもなるし、また名誉にも関することだし、参考人にしてくださいとおっしゃられる立場に立って守られている。しかも、だれが見ても脱税行為であるものでさえも、国会の場においてはとうとう国税庁長官は一言も名前を発表しない。  そのときの議事録をちょっと読んでみます。矢野質問に対して安川政府委員、これはずっときまして、どういうことかと申しますと、これは矢野が言っているのですが、「私は、脱税問題をこれから具体的に取り上げて、その手口を通じて、どのように利益操作、価格操作が行なわれておるかを明らかにしていきたい、」「つまり物価に関連があるという意味で脱税問題を伺っておるわけであります。このことをまず明らかにしておきたい。それで長官、当方の調査によりますと、某大手商社二社の脱税事犯について、国税当局は四十八年五月ごろあるいは四十七年五月ごろ、約二十五億円及び十億円の不正所得につき更正決定、つまり脱税の追徴を課した事実があると私たちは承知をしておりますが、これはまだ公表されておらないようでありますけれども、この事実がありますか。」という質問に対して、安川さんはこう答えている。「御指摘の点につきましては、私ども守秘義務がございまして、調査結果を個別の法人名をあげましてその内容を明らかにすることはできないのでございますが、私の記憶によりますと、おおむねその時期にそのような金額の脱漏所得につきまして更正をいたしております。」さらに矢野さんの追い打ちにかけて、「先ほど申し上げましたとおり、私ども法人税法で、調査の内容につきましては守秘義務がございますほか、これを結果を公開いたしますと、将来の税務調査に非常な支障がございますので、非常にこまかい具体的な内容はごかんべんをいただきたい。全体といたしまして、細部は別にいたしまして、方法その他おおむねそのような脱漏が行なわれたように記憶いたしております。」それから今度福田大蔵大臣が答えておりますけれども、その前に、もう一ぺんまた安川さんは言っています。「先ほど再三申し上げましたとおり、私どもは法人税法等によりまして、調査の内容を公表できないことに縛られております。」ごかんべんください、こう言っている。福田大臣は、「私も、いま矢野書記長と国税庁長官のやりとりを伺っておったのですが、まあ、国税庁長官としては精一ぱいのお答えをした、かように存じます。」これが国会におけるところの答弁のやりとりです。  ところが、自治省指導においては、どんなになったって、そういういろんな問題が起きても関係はないような意味のことをここで書いてありますが、全くこれは不可解です。しかも、地方税法第二十二条も法人税法の第百六十三条も全く同文同趣旨じゃないですか。「地方税に関する調査に関する事務に従事している者」この地方税と国税という変わり方だけで、あとは全く同じじゃないですか。それが片方では、このように守って守られ抜いている。しかも、国民からいま疑惑の目で見られている大商社、大資本、何十億という多額の脱税の疑いがあり、脱税された分についてさえも公表ができない。片方は延滞である。わずか何万か何千円か知りませんが、わずかな金を公開の県議会の場で公表してもよろしい。こんな不都合なことが許されていいのでしょうか。しかも、このことに対して法制局のあなたは、ここまで私が明快に質問をしているにもかかわらずお答えができないというのだったら、やめたらいいじゃないですか、あなた。何のためにきょうは私は呼んだのですか。専門家の中の専門家じゃありませんか。しろうとさんにお伺いしているのじゃないのです。いかがですか、この問題について。
  153. 茂串俊

    ○茂串政府委員 二つ問題がございますが、一つは、その秘密とは一体何かという点でございます。これは一般論になって恐縮でございますが、一般的には、実質的に秘密として保護に値すると客観的に認められる事項、これが秘密というふうに考えられておりますが、すなわち、それを分析して申しますと、非公知性、つまり公に知られていないということと、それから秘密保護の必要性を具備しているかどうかという点、この点を判断基準にして考えるべきだと思います。  そこで、この秘密保護の必要性というのは、国公法あるいは地公法がその第一条におきまして、「公務の民主的且つ能率的な運営を保障する」ということを目的としておりますところから、当該事項が外部に漏れた場合には、公務の民主的な、能率的な運営が保障できなくなるといったような程度の秘密、危険性が存在するという程度の秘密、こういう意味に解すべきであろうかと思うのでございます。これは一般の解釈論でございますが……。  それからもう一点は、法人税法あるいは地方税法に規定しておりますところの加重された秘密漏洩罪の規定でございますが、これはいずれも、「税の調査に関する事務に従事している者」が、その事務に関して知り得た私人の秘密を漏らすこと、これが刑罰による保護の対象となっておるわけでございまして、非常に技術的になって恐縮でございますが、こういった保護の対象になるかならないかという点に焦点を当ててみました場合に、滞納税額表というものは、そこにいうところの調査に関して知り得た秘密になるかどうかなどにつきまして、なお検討する必要があるのではなかろうかというような感触で現在はおるわけでございます。
  154. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは国税庁長官が、現実に法人税法の違法によって脱税した結果がわかったもの——調査じゃないと最初から私が言っているじゃないですか。調査をしている段階ではなくて、もう調査が終わり脱税の結果がわかった、その会社の名前ですらも言えないと言っているのじゃないですか。だから、私どもは、百六十三条や二十二条の解釈が、調査だけではないのだ、たとえ会社が脱税をしたにしても個人が脱税したにしても、その脱税金額と個人名や会社の法人名をあげることは、その税務に関係していた人たちが漏らすことは、国家公務員の守秘義務に違反するのだ、また地方公務員の守秘義務に違反するのだ。県会に発表しようがどこに発表しようが、その携わった人が言わなければどこから出てくるのですか。その人が県会へ行ってしゃべらなければ、その県庁の中の役人、徴税課の役人が言わなければ出てこないじゃないですか。調査じゃないですよ、ぼくが言っていることは。それだったら、国会の質問で、一党の矢野書記長が自分の責任にかけて、この問題を公の場に、内閣総理大臣以下閣僚のいる前で質問をしているのに対して、国税庁長官はコメントを拒否したじゃないですか。おかしいじゃないですか。  大蔵省に私、もう一ぺん聞くけれども調査でない、調査が終わってその結果がわかったものでさえも、さっき申し上げましたように、訴訟事件にならない、刑事訴訟にならない以前では出すことができないと言っているのだ。刑事訴訟になって裁判所にゆだねられたときには、名前が、それは裁判所において出てくるでしょう。じゃ、丸紅飯田もトーメンも日商岩井も伊藤忠も、脱税行為においてはまだ訴訟の段階になっていないじゃないですか。その問題について矢野が再三再四聞いたら、私がさっき議事録を読み上げたように、これは秘密の事項に抵触しますからごかんべんを、ごかんべんをと言っている。大蔵大臣も、おおむねそのような国税庁長官の言っていることが正しいのだからごかんべんをと言っているのです。私が言っていることは、二十二条の見解がどうのこうのじゃない。この問題の奥に流れている問題は、憲法の基本的人権に関係するから大問題だと言っている。現実に名前が張り出されたり県議会で出されているからこういう問題が起きてきた。では、その人たちの名誉や人権に対してはどう考えたらいいのですか。これはたいへんな問題じゃないですか。大蔵省答えてください。   〔中山(利)委員長代理退席、高鳥委員長代理着   席〕
  155. 西野襄一

    ○西野説明員 ただいまおっしゃいましたように、滞納者の名前が出るということによりまして、その人の信用というようなものにかかわることがあるというふうに考えられますので、その意味で、基本的人権にかかわることがあり得るというふうに思います。
  156. 小川新一郎

    小川(新)委員 だから、現実に大分県ではそういう問題が出てきたから指導を受けているのでしょう、四十四年の三月に。滞納者の滞納金額が漏れることにより、本人の今後の経済活動が大きく阻害される。滞納者の経済活動が阻害されることにより、その者の税の徴収が逆に困難になるのです。仕事が失敗したら、私から幾ら税金を取ろうと思ったって取れないだろう、また、それを見ていた他の滞納者が納税の意欲をなくすだろう、こういう混乱ができるから、重ねて自治省はどうするんだという質問なのですよ。それに対して自治省はどう答えたのです。
  157. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘昭和四十四年の通達でございますが、御指摘をいただきました(ア)、(イ)、(ウ)の三つの、滞納者の経済活動の阻害とか、それから徴収困難だとか、こういう理由でございますが、これが、この質問におきましては、議会から要求のありました資料を、「正当な理由がない限り」資料の提出を拒んではならぬ、応じなければならぬ、こういう場合の「正当な理由」に該当するのかという問い合わせに対して、それは該当しない、こう答えているのでございます。そのかわりそのあとで、前段の、お聞きになりました三十三年の通達の場合に、まあ三十三年の通達は、このこと自身が二十二条には該当しないけれども、なお徴税の政策上これを公開するのが適当でないという場合には、例の地方公務員法の三十四条、これの秘密にかけて、出さないことができるのだということをいっておりますが、その場合、三十四条の秘扱いとする理由に扱ってよろしいかと、もう一ぺんこういう問い合わせをしておるわけであります。その場合には取り扱ってよろしい。三十四条の秘扱いをする場合の理由でございますね、これには取り扱ってよろしい、こういうことを通達をしておるようでございます。  したがいまして、この通達の一連に流れております思想は、二十二条には該当をしないけれども、地方公務員法の三十四条、こっちのほうの秘密に該当するから、やはり出さないほうがいい、こういう思想で貫いておるように覚えております。
  158. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大事な発言ですよ。いずれにしても秘密を出してはいけないのでしょう。出してはいけないものを出してしまった。小川新一郎の個人の滞納の秘密を出しちゃった。いけないのです。二十五条ではひっかからないけれども三十四条ではひっかかる。それでは大蔵省の言っているのと違うじゃないですか。大蔵省は、二十二条と百六十三条、これともう一ぺん正確に言うと、法人税法の百六十三条と地方税法の二十二条は全く同一じゃないですか。調査じゃないですか。あなたのほうの安川さんは、百六十三条があるから言えないと言っているじゃないですか。ところが、こっちでは二十二条ではひっかからない、もっと軽いほうの地方公務員法三十四条のほうにかかるんだと言っているのです。重いほうにはひっかからない、調査ではひっかからないと言っているのだ。私が言っているのは、調査というのは、事後のことも全部ひっくるめて、国家公務員は守秘義務があると大蔵省も理解を持っているのです。そこだけだってもう見解が違ってしまうじゃないですか。——では、その前に大蔵省答えてください。
  159. 西野襄一

    ○西野説明員 国税庁長官が答弁されましたのは、脱税があった場合、ですから法人税法に抵触する場合につきまして、調査で知り得た秘密というのは、法人税法の百六十三条によってきびしくということを申し上げておるわけであります。
  160. 小川新一郎

    小川(新)委員 それではあなたにお伺いしますけれども、国税でもいいですよ。まあ法人税に置きかえて、法人税を滞納した人の名前を私が出せと言いましたら出せますか、国会で。——では出せますね。調査じゃないですよ。
  161. 西野襄一

    ○西野説明員 滞納者リストというものになりますと、これは国家公務員法の百条の関係で、やはり守秘義務が課されております。
  162. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、百六十三条ではあれだけれども、百条のほうでだめなんですね。いずれにしてもだめなんですね。
  163. 西野襄一

    ○西野説明員 さようでございます。
  164. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまお聞きのとおりですね、政務次官。国税においては国家公務員法百条のほうでひっかかるというのですよ。もしも私が所得税を納めるのを滞納した、滞納したその名前をある人が国会の場に出せと言ったときに、こちらは国家公務員法第百条の守秘義務があるから出せないと言うのです。では同じことじゃないですか。いま言った地方公務員法の三十四条と百条とは、これは全く同一です。ただ、国家公務員と地方公務員を、文章を置きかえただけです。そういう違法行為がどうして地方自治体には許されていいのですか。どうなんですか。
  165. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御質問の、秘密漏洩という、直接地方税法の二十二条に該当しない場合でも、これが徴税の政策上その他の理由で、当該地方団体の秘密扱い、こういうことになってまいりますれば、地方税法上の立場においても、やはり地方公務員法の三十四条が適用されることになりまして、秘扱いにされたもの、それについてはもう発表することができない、私どももそう解釈いたしております。
  166. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、あなた方は税金を取ることを目的として、地方公務員法違反を自治省指導したということになっちゃうじゃないですか。しかもそれは、先ほどから言っている憲法の基本的人権の侵害に当たる問題じゃないですか。では、そうさせられた方々はどうなるんですか。これは撤回して済む問題ですか。またはこれを一体どうするのですか。明らかに地方公務員が守らなければならないという最も大事な秘密を守る法律違反を自治省指導しちゃったということになったら、これはたいへんなことになっちゃうですよ。これは罪万死に値しますよ、そんなことがあったら。しかも、そのなった人たちの生活、経済的な問題、基本的な名誉の失地の回復、これらを考えたときには一体どう償ったらいいのです。しかも三千七百余の地方自治体に通達が行ってしまったのですよ。しかも昭和三十三年からですよ。これが約十六年間にわたってですよ。それは良識と判断にまかせてその自治体が行なったか行なわないかという話は別です。いやしくも政治の場にあり、法律の場にある専門家の集まりがこのような重大な過誤をしておって、国民に多大の犠牲をしいるような物価高誘発の犯人であるところの大企業、大商社に対しては、国家は手厚くこれを守っておる。一体こんなことが許されていいものでしょうか。国民が税金に対して納得しますか。ますます地方自治体の貧困な財政問題は輪に輪をかけていく。  しかも、こういう問題が起きる背景は、地方自治体の財政の貧困にある。その自主財源を徴収しなければ運営ができない、そういう基本的な問題が頭の底にあるからこういう問題が起きてくるのです。だから、国と地方の行財政の配分を変え、地方交付税の三二%のワクを大幅に変えて、地方自治体の固有の自主財源の強化をはからなければこういう問題が起きるんだということを私どもが言っているわけなんです。だから、これは単にこの問題を解決することのみによって解決できない、自治体の持っている宿命的ともいえる財政問題にこれが入ってきちゃうんです。  私は、そういう立場に立って、いまの自治省のとった立場、法制局はどう考えていらっしゃいますか。結果論でいいです。これからどうするんですか、一体。きのうの大臣の答弁では、大蔵大臣と自治大臣の答弁が全くおかしくなっちゃっているんです。こういうことを言っている、きのうの本会議の答弁では。これは福田大蔵大臣が言っているんです。「第一は、税務職員の知り得た秘密につき、大蔵省は、一切公表できない、さように言っておるが、他方、自治省は滞納税額の公表を認めておられるのは、不統一ではあるまいか、こういう御指摘でございますが、法人税につきましては、法人税法第百六十三条がありまして、この条項によりまして、税務職員が、企業の秘密、これを漏らしてはならないと、厳重な罰則が付されておるのであります。」「現行法に立っての立論でありますが、現行法に基づく限り、さようなことに相なっております。また、所得税などの問題でございまするが、いやしくも、所得税納税者が秘匿を欲する事項、漏らしては困りますというような事項を漏らすということは、これは国家公務員法百条、地方公務員法第三十四条の秘密ということに該当する、かように考えますので、特別の法律規定のない限り、漏らすことのできない事項に属する、かように考えておる次第でございます。ただ、御指摘の、大蔵省の扱いはそういうふうになっておりますけれども自治省におきましては滞納者の個人別滞納額を発表しておる、これは確かに御指摘のとおりであります。食い違っております。この食い違いにつきましては、これは自治省との間に十分調整いたしまして一本化いたします。」云々と、こうなっておる。これは大蔵大臣が昨日答えた。  だけれども、いま言ったように、明らかにもうこれは大蔵大臣がさらさらさらさらと言っているような問題じゃないのですね。まずいですよ、これは。内閣不統一、これは内閣、やめにゃならぬじゃないですか。全く不統一じゃないですか。それも文章の段階で聞かれているんじゃない。十六年間実施してきちゃった。どうするんですか、一体。これは覆水盆に返らずということばがあるけれども、全くもってたいへんなことですね。  しかも、この見解につきまして、法制局のあなたは、専門家の立場の御見解を何だかんだと延ばしていらっしゃる。ここまで私が微に入り細に入り質問しているんですから、御答弁ももう少し親切にしていただかなければ困ると思う。ただ私は、この問題についてどうだどうだと責め立てて、一晩じゅういじめている気なんかさらさらありません。これはもうお互いに人間でありますから、こういう問題を追及している側より追及されている側の皆さんの立場に立って私が考えれば、これは容易ならない責任問題でありますので、私としても、いつまでもこの問題で食いついている気はありませんから、結論を申し述べてもらいたいし、対策を講じてもらいたいし、どうするかという問題が大事であります。これについて、責任問題等をいまここで言ったらたいへんなことになりますから言いませんが、政務次官、この場の最高責任者としてどう納得させてくださいますか、私を、国民を。
  167. 古屋亨

    ○古屋政府委員 ただいま国税と地方税の取り扱い、滞納の問題についての取り扱いの違いということについての詳細なる御議論を伺いました。  実は昨日の本会議で、御承知のように町村大臣の答弁は、「個人別滞納税額を地方団体の議会等に発表することは、地方税法第二十二条に規定する秘密漏洩に該当するとは考えられない旨の行政実例を出しておるようでありますが、事柄の性質上、発表することは税務行政上不適当とする場合も多いと思われますので、地方公務員法第三十四条の秘密保持義務の規定との関連も考慮いたしまして、慎重に取り扱ってまいりたいと考えます。  なお、この問題に対する大蔵、自治両省間の取り扱いの相違については、すみやかに両省の間で協議をいたしまして、解決いたしたいと存じます。」という答弁をしていることは御承知のとおりでございます。  したがいまして、個人別滞納税額を地方団体の議会等に発表することは、地方公務員法三十四条の職員の秘密を守る義務の規定もあり、また事柄の性質上、外部に発表することは、税務行政上不適当とする場合も多いと思いますので、慎重に取り扱うべきものと考えており、この点につきましては、国税との取り扱いを異にすることは適当でないと思われますので、大至急、法制局をまじえて、三者で協議をいたしまして統一をしてまいりたいと思いますから、御了承を願いたいと思います。
  168. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、全面的に自治省の考え方が誤りであった、地方公務員法違反だ、だから、この問題については大蔵省の扱い方に準じて、今後こういうことを一切させないという方向に進まなければならないと理解いたしますが、あなたのお立場上これから御協議をしてということでございますが、協議ということは、その方向性がはっきりしない協議というのはあり得ない。少なくとも政務次官をまじえて——私は御要求いたしたいのは、その重大会議の中にあなたも入って、本日、大臣が当然来るべきところではあるけれども、暫定予算の場に町村さんが行かれておる。私は、大臣と思うてあなたに御質問いたしておりますから、この問題について私の要求をまずいれていただきたいことは、あやふやな解決を出してもらいたくないということです。あなたの政務次官としてのモラルの中からの御所見を承りたいと思います。
  169. 古屋亨

    ○古屋政府委員 先ほど、慎重に、早急に取り扱うということを私、申し上げたのでありますが、やはり私のその慎重に、早急にという考え方の中には、いま申し上げた、これから協議をすることでございますが、協議の腹がまえといたしましては、そういうような秘密を漏らさないという方向へ頭を置きまして協議をしてまいりたいと思っております。
  170. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、法律違反であることが十分私の質問の中で明快にわかったと思いますから、これ以上重ねて追及はいたしませんが、全面的に私の言っていることが正しい、確かに公務員法違反だ。こういうことは間違っている。自治省としては、あなたとしては、政務次官としては、当然この問題について訂正の方向に、慎重に、すみやかに御意見を申し上げて結果を出す、こう理解してよろしいですね。   〔高鳥委員長代理退席、中村(弘)委員長代理着   席〕
  171. 古屋亨

    ○古屋政府委員 間違っているということをまた申し上げますと……。とにかく、あやまちは訂正していくことが当然でございますし、また妥当でないものはすみやかに、ただいまの御議論にありましたように考えていくことが当然でございますので、先ほど私が申し上げましたような姿勢において、早急に検討をしてまいりたいと思います。
  172. 小川新一郎

    小川(新)委員 法制局の立場はどうですか。
  173. 茂串俊

    ○茂串政府委員 先生、いろいろ御見解を述べられたわけでございますが、確かにわれわれ、客観的にこの自治省の行政実例を見てみますると、一応地方公務員法の三十四条を援用して、そこで、いわば秘密との接点についてはりマークはしてあるわけでございますけれども、この内容が、いわば秘密の解除という点から見ますると、いかにもゆるやかになっているという点は否定できないと思います。そういった意味で、また先ほど政務次官からお話もありましたように、われわれも先生の見解を十分踏まえて、これからどうするかという点につきまして協議をしてまいりたい、かように考えております。
  174. 小川新一郎

    小川(新)委員 だけれども、これはあとの問題がたいへんな問題が出てまいりますよ。もう明らかに違反行為である。自治大臣もこう言っているのですからね。「地方公務員法第三十四条の秘密保持義務の規定との関連も考慮いたしまして。」ということは、十分わかった、三十四条には抵触してしまうんだという意味ですからね、ここでは、こういう問題が出ますと、あとにたいへんな問題が出てまいります。私はそのほうが心配なんです。だから、この委員会でいろいろとやりとりした議論が曲げられるようなことがあってはならない。その辺のところを私は十分くぎをさしておきます。よろしいですね。重ねて御決意を伺いたい。
  175. 古屋亨

    ○古屋政府委員 小川先生からたびたびの御所見、御意見でございますが、自治省といたしましては、先ほど申し上げましたような線で、この問題を早急に検討してまいります。
  176. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、この問題についてはこれ以上は申し上げませんが、地方公務員法三十四条違反ということが明らかになり、それをしいたという責任問題も出てくる。これはたいへんなことになります。いまここでそこまで追い打ちをかけることは、私の情において忍びませんけれども、やはり国民の立場に立ち、国会議員の立場に立って発言をしておりますから、どうか私の意のあるところも十分くんでいただかなければ困る。わかりますね。  そこで、この問題はようやく結論がやや出たということになりますからおきまして、問題の本論に入ってまいります。  国の昭和四十九年一般会計十七兆九百九十四億円の予算のうち、公共事業関係費は二兆八千四百七億、前年度当初比伸び率ゼロとされているものの、その構成比では四十八年度とほとんど変わっておりません。特に産業基盤の構成比は五三・五%で、昭和四十八年度、四十九年度とも全く同じであります。総需要抑制といっても、結果は同じということでございます。また、四十九年度の生活基盤の構成比が、四十八年度より三・二%増大したとはいうものの、これは四十八年度の災害が比較的少なかったための国土保全分が少なくて済んだことなどによるものであります。産業優先から福祉優先への姿勢が見られないと私は思っております。まず生活関連、福祉優先型の公共投資へと転換することであると思いますが、基本的な交付税の考え方についてお尋ねいたします。
  177. 古屋亨

    ○古屋政府委員 四十九年度の地方交付税の計上にあたりましては、ただいま申されました国の総需要抑制という方針にのっとって編成をしておるのでございますが、国のほうは、一般公共的な事業につきましてはできるだけこれを圧縮しているというので、地方財政におきましても、一般的な、道路その他の公共事業については、これを圧縮しておることはお話しのとおりでございます。  しかし、福祉施設あるいは生活関連物資につきましては、国のほうも、道路等と違いまして負担金等も担当ふやしておりますし、また、私どももその線に沿いまして、福祉関係、生活関連物資につきましては、地方交付税法案におきまして、国の方針と並行し、むしろ地方住民の生活の安定と福祉の推進という見地から、前向きに、積極的に予算の計上をいたしておるところでございます。
  178. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、ひとつその点を御注意申し上げたいと思います。  そこで、地方交付税のこまかい問題については、先ほどの問題でだいぶん時間をとりましたから、後日同僚の小浜先生やってもらうことにいたしまして、きょうは、私はどうしても行かなければならない用がありますので、はしょって次の問題に移らせていただきます。交付税の内容の問題も、実はいろいろと聞きたいことを用意してまいりましたが、そういう点を御了承いただきまして、残余の点については同僚議員から御質問させていただきますので、割愛させていただきます。  ただ、交付税の中で一点だけお尋ねしたいのですけれども、私の県の例を引いてまことに申しわけないのですが、埼玉県の場合は人口増加率が全国で第一位でございます。そして税収の面では、譲与税の場合が二十三位でございますが、交付税では全国最下位でございます。これは御案内のとおりでございますが、そういう点で、人口急増県として埼玉県の財政がいろいろな面で非常に圧迫されております。こういうアンバランスの点についてはどのようにお考えでございますでしょうか、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
  179. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいまの御指摘がわかりかねるのですが、埼玉県が最下位というのは何が最下位なのか。特別交付税でございますか。
  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうでございます。
  181. 松浦功

    ○松浦政府委員 わかりました。  御承知のように、埼玉県につきましては、人口急増地帯でございますから、普通交付税に盛り込めない財政需要も相当多額にございます。したがって、普通でございますれば非常に多額の交付税が交付されるべきところでございますが、先生御指摘のように、府県の中ではあれだけの公営競技の収入を持っている団体はないわけでございまして、これの差し引き減額をいたしておりますために、埼玉県は比較的特別交付税が出ない、こういうことでございます。
  182. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、埼玉県内の人口急増市町村が財政問題で非常に困ってまいります。私はまだあまり専門的なことがよくわからないので、まことにしろうとの幼稚な質問で恐縮なんでございますが、たとえば種地算定というのがございますね。その区域のランクづけでございますね。このランクづけが、いま、山手線のもよりの駅から草加の市役所までをはかった距離が算定の基準になっておるそうでございますが、何で山手線のもよりの駅から草加の市役所まではかった距離を出して、乙種第何地とかなんとかという基準がきまるのでございますか。東武電車の一番もよりの駅から種地算定すべきではないかと私は思います。これはもうあくまでも基本的な問題で、質問がまことに幼稚でございますが、こういう問題をお尋ねしておきたいと思うのでございます。
  183. 松浦功

    ○松浦政府委員 詳しくは交付税課長から御説明をいたさせますが、鉄道のもよりの駅からということで同じに取り扱うということになりますと、東武線でも非常に開発をされておるところとされてないところがございます。同じく秩父鉄道を見るのかということになると、秩父の種地と草加の種地が一緒になってしまっては非常におかしい、こういう一つの考え方がございまして、おそらく山手線というとり方をとっていると思います。詳しくは交付税課長から御説明いたさせます。
  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、京浜東北線のもよりの駅のほうが近いのですけれども山手線で、なぜ京浜東北線のほうの国電のをとらないか、こういう素朴な質問が実は出てきているのです。
  185. 松浦功

    ○松浦政府委員 御承知のように、一番発達した地域というのを東京に求めておりますから、それを基準に考えていかないと、それじゃ国鉄のレールが通っておれば何でもそこのもよりのところは東京並みに種地を見るのか、こういう議論になりまして、どこがどうであるか区別がつかなくなる、そういう観点があるかと考えております。
  186. 森審一

    ○森説明員 それじゃ技術的な問題でありますので、私から補足してお答え申し上げます。  ただいまの問題は、大都市の周辺に所在しております都市は、大都市の影響を受けましていろいろな財政需要がかさむであろう、こういうふうな観点から、大都市との距離を一つの基準にして種地を定めておるものでございます。従来は、埼玉県の場合を例にとって申し上げますと、東京が中心でございますので、東京からの距離が近ければ近いほど財政需要の増高の程度が高い、こういうふうな観点から、東京都庁を基準にとりまして、そこからの距離で種地の算定を行なっておったわけでございます。ところが、現実の東京周辺あるいは大阪周辺、こういうふうな人口急増の状況から見ますと、なお一そう財政需要のかさ上げをする必要がある。単純に東京都庁あるいは大阪市役所、これを基点にしますよりも、若干ワクをゆるめて、より周辺市町村に交付税が多く配分されるように考えなければならぬだろう、こういうことで、昨年度の改正で、従来東京都庁からとっておりましたものを山手線の駅からとる、こういうふうに周辺市町村の救済のために制度の改正を行なったものでございます。
  187. 小川新一郎

    小川(新)委員 それはよく理解いたしましたが、そういたしますと、地価の算定でございますが、埼玉県草加市の例を申し上げますと、昭和四十五年の宅地平均価格が坪当たり一万五千八百二十二円でございます。これに対して昭和四十八年度の当該年度の概要調書に基づく価格は坪当たり三万六千八百四十円ときめられておりますが、これは二・三倍になります。こういう問題を考えたときに、種地の算定に用いる宅地平均価格指数を当該年度の概要調書の数値に合わせて算定していただけないだろうかというのが地元の考え方なんですが、これはいかがでございましょうか。要するにその算定が、地価が高騰いたしまして非常に実情と合わないから、いま申し上げたような数値を出すことについて考えを変えてくれというのが草加市の要求なんであります。
  188. 森審一

    ○森説明員 これは、種地の算定にとっておりますいろいろな要素がそれぞれ毎年変動があるわけでございますけれども、一応客観的な指標をとるという意味と、それからあまり毎年毎年大きな激変をさせないというふうなこともありまして、人口集中地区人口その他いろいろの要素をとっておりますが、そのすべてにつきまして国勢調査の時点に合わせて指標を使う、こういうことにいたしておりまして、ほかの指標との関連もございますので、現在のような算定のしかたになっております。   〔中村(弘)委員長代理退席、小山(省)委員長代   理着席〕
  189. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、現実のそういった宅地価格に合わないような数値でもって種地の算定を行なうということは妥当なんですか。私どもはよくわかりませんが、その辺のところはいかがなんですか。
  190. 森審一

    ○森説明員 これはいまの土地の価格だけではなくて、人口あるいは経済構造その他につきましても五年間固定するという考えでやっておりますので、現状ではやむを得ないかと思いますけれども、なお適当な修正の方法があるかないか、検討してみたいと思います。
  191. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点の検討をよろしくお願いしたいと思います。  そこで、それは一例だけお尋ねしたわけですが、超過負担の問題で、四十六年度の実態調査によって一体何%の超過負担を生じていることがわかったのか。またどのように処置を講じたのか。四十六年度のあれで超過負担率が一体どれくらいになっておるのか。
  192. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十六年度の調査の結果は、約三〇%現実との食い違いがあったようでございますが、そのうち九%は単独事業に該当するもので二一%が超過負担であるということを調査関係各省で認定をいたしまして、その二一%に相当する金額につきましては、昨年と四十九年度で全部直すという形の予算措置をとっておるところでございます。
  193. 小川新一郎

    小川(新)委員 しかも、これは六事業にわたっての調査でございますね。この調査事業の対象についてはいろいろと意見があって、ここで議論されておりますから申し上げませんが、少なくとも地方単独分の九%について地方負担が過重になるということを考えたときに、地方単独分が、皆さんのほうで見られるように、デラックスになったとか、どうも基準よりもオーバーしておるじゃないかとか、たとえば保育所の面積当たりが五平方メートルですか、基準がきまっておるのを六平方メートルにしたとか、単価の範囲のそういった面の地方公共団体の考え方、当該市町村の考え方と国の考え方の違いが単独分の九%となってあらわれてきている。しかし、公共事業をやっていくのにただそれだけをもってものごとを割り切ってはいけない問題でございますので、私どもは、超過負担率が三〇%になっているのだという点を見て、三〇%の財政援助という面を主張したいのでございますが、この点について、私の考えが突拍子もないものであるか、またこれは機構的にできないのであるか、この辺のお考え、いかがでございますか。
  194. 松浦功

    ○松浦政府委員 いわゆる超過負担と地方公共団体にいわれておりますものの中に、要素が大きく三つあると思うのでございます。一つは単価の差、一つは数量の差、一つは対象差だと思います。いずれにいたしましても、国の政策として一つの標準的なモデルを描いて、それの一定割合という形をとりますので、やはり時々刻々の社会情勢の変化に伴って将来に向かって対象差を広げる、あるいは数量差を広げるということを私どもとしては各省にお願いしてまいらなければならないと思っておりますけれども、現在の段階では一番大きな問題は、対象の範囲が狭いとか、あるいはもっと対象を広くしてくれとかいう問題がございますけれども、それよりともかく単価差をまずつぶすということが私どもとしては先だと思う。単価差が全部なくなりましたあとで対象を広げるあるいは数量を広げる、こういう方向をとりませんと、本来どれが超過負担であるかということが、もうわからなくなってしまう。小学校の床はそのまま、木のままでよろしいという現在の考え方、それに対して、片一方ではじゅうたんを敷かなければならぬ、こういう考え方の違いは、どこで線を引くかということには非常に問題があるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、単独事業といわれる九%の部分については、地方団体が自分の財源の範囲で単独事業の量をできるだけふやすように財政計画で努力をしておりますので、その中からくめんをしていただくと申しますか、調達をしていただくという方向をしばらくの間はたどらざるを得まい。  ただ、先ほど先生に御指摘をいただきましたように、対象についても広げる、数量についてもできるだけ広げていくということについては、社会情勢の変化につれて、私どもとしては当然なすべきことだと思っております。そういうことで御了解をいただきたいと思います。
  195. 小川新一郎

    小川(新)委員 昭和四十九年度での超過負担解消の計画の概略をお伺いしたいのですが……。
  196. 松浦功

    ○松浦政府委員 まだ予算が成立しておる段階ではございませんが、私どもも、いろいろと大蔵省ともお話し合いをいたしまして、事務費等についても、現在御審議願っております予算が成立をいたしましたならば、私どもとしては、どれだけの能力があるか、その辺を非常に検討する面もあろうかと思いますけれども、できるならば、六項目に限らず、範囲を広げて、四十九年度において関係各省との合意を得て実態調査を行なってみたい、その方向で努力をいたしたいと思っております。
  197. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、自治省としては、六事業以上に範囲を広げるというお考えを持っていらっしゃいますが、具体的にはどのようなものを広げていくのですか、対象範囲は。
  198. 松浦功

    ○松浦政府委員 現在、地方公共団体で一番問題になっておるのはやはり建設費、特に建物の問題であろうかと思いますので、六事業以外の建物についても手を広げていけたらいいなと思っておりますし、また、消費的経費でも、ほっぽってあります人件費等については、社会党の山田委員から御指摘をいただいておりますように、退職手当が入っておらないとか、そういったいろいろ各種の問題、あるいは格づけの問題等にも問題があるようでございます。できれば、関係各省と共同で一度実態を調査いたしてみたい、このように考えております。
  199. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、あなたのほうで解消策を考えていらっしゃいますことは、四十七年度の調査、すなわち四十六年度の六事業の超過負担の実態調査をして、その超過負担率を出して、これを四十八年、四十九年度に適用していくという考え方なんでしょうか。
  200. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十六年度の調査に基づいて、一定の超過負担があることを関係各省で認め合って、これを四十八年と四十九年で一応予算の中に入れたわけでございますけれども、不幸なことに、それ以上のいろいろの経済的な要因が働いてきて、すでに解消いたしましたと言うにはちょっとおもはゆいような状況になっておりますから、四十九年度という年度をつかまえて行なう以上は、もう一度やはり基本的にやり直してみないといけないんじゃないか、そのように考えております。  ただ、調査をいたしまして結果が出るまでには相当の期間がかかる、その間には、調査をしてきた時点の資料では足らなくなるというような事態も、いまのような状況だと起こりかねないような気持ちもいたしますので、ともかく四十九年度においては、関係各省との協力を得て実態調査をやってみたい、そのように考えております。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、四十九年度の単価アップのお考えは、大体いつの時点を基準にお考えになられておるか。要するに、四十八年、四十九年度に解消するということでございますね。そういたしまして、当然四十九年度の単価アップということが考えられますね。それは、大体物価がスライドしておりますから、月々二〇%の消費者物価が上がるという中で、この物価狂乱の時代の中で、昭和何年、と言ってはおかしいですが、四十七年以降の中でどの時点をとらまえて四十九年度の単価アップというものを考えようとなさっておるのか、この辺のところをお答え願いたい。
  202. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十九年度の単価につきましては、四十九年度の時点でこの単価で建設ができるだろうという前提で計算をいたしております。したがって、四十七年度の調査に基づいて超過負担の解消の金額は中へ積み込んでおりますけれども、結果的にはそれをこえた、いわゆる経済変動分も積まれている形になっておりますので、どれだけ積まれたかという議論をすることは、あまり利益がないんじゃないか、実益がないんじゃないかという感じがいたします。  いずれにいたしましても、予算編成時点において大蔵省にもこちらから意見を申し上げ、関係省からも、四十九年度の時点ではこの程度でできるだろうという単価を大蔵省のほうで積算されたというふうに私どもとしては聞いております。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは予算編成の前の、昭和四十八年の十月の時点においてのことでございますか。
  204. 松浦功

    ○松浦政府委員 最終的には、十二月の概算の発表があった以降において、大蔵省が最終的に態度を決定されたということだと思います。
  205. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、昭和四十九年度の予算を執行する場合、早いものは昭和四十九年四月、おそいものは五十年三月、ここで一年半おくれるわけですね。そうすると、その間の物価のスライドまたは人件費の高騰、公共事業に伴うところの建築資材の高騰等勘案いたしますと、逆に歯どめにはならないのじゃないかという気がいたします。昭和五十年三月の時点まで同じ基準単価アップでは、ちょっとかわいそうな気がするのでございますが、ことしあたり、もう一ぺん単価アップの改正という基準をきめていただけるのかどうか、これはいかがですか。
  206. 松浦功

    ○松浦政府委員 どうもその辺になりますと、自治省は非常に受け身な立場でございますので、なかなか明確には申し上げかねるところでございますが、私どもといたしましては、地方公共団体が実際に事業を行なっていけるような単価をその時点時点でお組みをいただきませんと、地方公共団体が困ってくるわけでございます。したがって、あくまでその時点時点でそういう単価で地方公共団体に行なっていただけるように、関係各省並びに大蔵省にお願いをしてまいるということは当然のことであろうかと思いますが、五十年の三月にどうなるかということについては、どうも私にはかいもく見当がつきませんので、その時点で実態に合わなくなった場合には、実態に合わせるように関係各省及び大蔵省にお願いしてまいるということをお約束させていただいて、お許しいただきたいと思います。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでけっこうでございます。当然見通しについては、いまここで、前月対比で、積算基準を前月の高騰パーセントを加算させて、これだけ上がるだろうという予想はあなたも私もできますが、それではあまり能のない話でありまして、政治に携わる者、また関係の皆さん方がそういう積算の中でものごとを判断することは、いいか悪いかは別といたしましても、これが続くということになれば、当然いまのあなたのように、もう一ぺん改正をすることを協力するということで私も満足せざるを得ないと思います。この点につきましては、ひとつ御配慮していただかなければならぬと思います。  時間の関係で、一つ飛ばして、建設省も来ておりますので、きょうは公共工事の標準請負契約約款について少しくお話をしたいと思います。  最近の物価の高騰、資材の高騰、これはもう御存じのとおりでございます。そこで、こういった公共事業を請け負う地方の弱小零細企業または民間企業者が負うところの被害というものはたいへんなものでございまして、いろいろと各市町村、都道府県においては、公共事業の遅滞または契約の解消、不履行、こういう問題が問題になっております。  そこで、まず第一点は、このような事態に際しまして、公共工事を請け負った業者に対してどのような対策を講じたのか、これをまず建設省からお尋ねしたいと思います。
  208. 重見博一

    ○重見説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、建設省所管の事業に対しまして、過去三回にわたりまして官房長通達を出しまして、工事請負契約書第二十条第六項、物価変動条項と俗称されておりますが、それを適用いたしましてそれに対処したわけでございます。  第一回目の措置でございますが、これは昭和四十八年、昨年の九月十九日付の官房長通達になっておりまして、いわゆる鋼材方式といわれている方式でございます。その内容でございますが、これは昨年の七月一日以降の鋼材価格の上昇分につきまして、工期末に増額変更することとしておるわけでございます。なお、こまかいことでございますが、鋼材の使用量が二トン未満の工事及び鋼材の設計重量が百トン以上の橋梁、水門製作工事等は対象外にいたしております。  第二回目の措置といたしましては、同じく昨年の十二月六日付の官房長通達、いわゆる主要資材方式と俗称しておりますが、これで措置したわけでございます。その内容といたしましては、直接工事費に占めるウエートが五%以上で、かつ、基準日単価が設計単価に比較しまして二〇%以上上昇している建設資材、直接工事費に占めるウエートが二〇%以上の建設資材については、単価が一五%以上上昇しているものを対象といたしたわけでございます。なお、その際いま一つの条件といたしまして、いま申しました一の建設資材の価格上昇分が残工事代金額の百分の三をこえたときに増額変更するということになっているわけでございます。  第三回目の措置でございますが、今年の一月十四日付の官房長通達で、いわゆる労務資材方式といわれているわけでございます。その内容は、設計書による設計労務単価に比べまして、基準日における設計労務単価が上昇している労務費を対象としているわけでございます。第二点は、直接工事費に占めるウエートが二%以上で、かつ、基準日単価が設計単価に比べまして一〇%以上上昇している建設資材を対象としたわけでございます。なお、ただいま申しました二点の労務費と建設資材価格の上昇分が、残工事代金額の百分の三をこえたときに増額変更する。  以上が、建設省がとってまいりました処置でございます。
  209. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、私は自治省にお尋ねしたいのでございますけれども、公共工事標準請負契約約款というのがございます。それは中央建設業審議会が出しておるのでございますが、これは、作成は昭和二十五年二月二十一日になっております。改正が、昭和二十七年二月二十二日と二十九年三月十七日、三十一年十月三日、三十七年九月十五日、四十七年十二月十八日となっておりますが、この中で六番目、一一ページに出ておりますが、「工期内にインフレーションその他の予期することのできない特別の事情により賃金又は物価に著しい変動を生じ請負代金額が著しく不適当となったときは、前各項の規定にかかわらず、甲乙協議して請負代金額を変更するものとする。」とあります。この項目が変更になったのは何年でございましょうか、自治省
  210. 石原信雄

    ○石原説明員 標準約款につきましては、建設省のほうで改正をされまして、各地方公共団体におきましては、それをそれぞれの契約条例その他で採用しているわけでございます。
  211. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、なぜこういう問題を聞いているかと申しますと、聡明なあなたはよく御理解できると思うのです。公共工事というものは地方自治体に非常に関係がありますね。少なくともこういう建設省で出している、「工期内にインフレーション」云々、「甲乙協議して請負代金額を変更するものとする。」ということは、これは地方自治体の重大な財政の変化を生ずるのですよ。おわかりでしょう。たとえば、ここに何とか村という小さな村がある。ここで小学校を建設する。ところが、こういう甲乙協議して最初の契約を変更して、代金の変更ができるなんということになりましたら、その当該町村の財政を非常に圧迫する。もちろん超過負担になってまいります。  そこで、そういう問題がいま申し上げました昭和二十七年二月二十二日、昭和二十九年三月十七日、昭和三十一年十月三日、昭和三十七年九月十五日、昭和四十七年十二月十八日、五つ改正になった。いつの時点でこれが取り入れられたかということが問題なんです、私にとっては。あと質問関係してくるのです。自治省はこれをいつ認識したのですか。
  212. 石原信雄

    ○石原説明員 この標準請負約款を建設省のほうで改正されましたものを各地方自治体がどの時点で採用するかという点は、各地方公共団体の判断の問題になってまいりますので、逐一自治省のほうでは把握をしていないわけでございます。  ただ、その工事の内容が補助事業等になりますと、当然、その契約約款の内容が補助の基準と合っているかどうかということが重大なポイントになりますので、補助事業については、おそらく、建設省のほうで標準約款を改正されますと、そのつど変えていかれると思います。  問題は単独事業でございますが、単独事業については、各公共団体でそれぞれ選択されるわけでございますけれども、しかし、実際問題としては、同種の工事について、それが補助事業であろうと単独事業であろうと契約当事者にとっては同じでございますから、現実には、建設省のほうで標準約款を改正されますと、その直近の時点で公共団体においても同種の改正を行なっているものと理解いたしております。
  213. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、そういうあやふやなものの考え方で、三千数百の地方自治体の公共工事の請負契約がいつ変わったかもわからない。建設省が契約約款を変えたからその時点からなったのでしょう。そこは、私は経済の見通し、さっきから言っているように、インフレがいつから始まったかを自治省は理解しているのか、それが地方財政にどういう影響を与えてくるのか、当然こんなことは建設省と話し合いの上で、まだ早過ぎる、こういう問題は地方公共団体の財源を圧迫する、しかもそれをやれば弱小の請負業者が破産する、こういう問題を自治省側が建設省側に提起をしなければ、私は、建設省の言い分だけでこういう問題が出されたのだということは——これは建設省と大蔵省と関係してきますよ、これは財政の問題ですから。私は、まず自治省の認識の問題だと思うのですよ。政務次官、あなたはどう思いますか、この問題。——いや、これは政務次官にちょっと聞きたいと思う。わからないじゃ済まないじゃないですか。
  214. 古屋亨

    ○古屋政府委員 こういう物価の上昇につきまして、建設省でそういうような約款を変更して適切な値段をきめられるということにつきましては、いまのお話しのように、私ども連絡がなかったからと言って、ああそうですかと言っておるわけにはいかない問題と思っております。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 いかない問題でありますということは、いかに自治省が地方行政を正確に把握していないかという、あとの事例につながってくるのです。この問題は非常に大きな問題にいまなってきたのです。これは昭和四十七年十二月十八日が最終なんです。これは建設省、いつ改正したのですか。
  216. 重見博一

    ○重見説明員 ただいまの最終的な条文は、先生の言われましたとおり、四十七年十二月十八日でございます。しかしながら、同趣旨の価格変動条項は、三十七年の九月十五日の改正においてもうすでに入っているわけでございます。ただ、ただいまの問題につきまして、この二十一条六項の規定を適用いたしましたのは、この標準約款が二十五年にできまして以来、今回が初めてであったということでございますので、先生のお話しのような点があるわけでございます。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 政務次官、昭和三十七年九月にもうインフレですよ。「工期内にインフレーションその他の予期することのできない特別の事情により賃金又は物価に著しい変動を生じ請負代金額が著しく不適当となったときは、前各項の規定にかかわらず、甲乙」というのは受注者と発注者が、「協議して請負代金額を変更する」ことができるということで、昭和三十七年九月十五日、何内閣だったかちょっとわかりませんけれども、このときにもう日本はインフレということに入ってきている。そういうことを自治省がキャッチもしないで、超過負担を云々すること自体が私はおかしいと言うのだ。こういう認識論に立った上で、公共工事の問題がどうなっているかということを建設省と協議して、逆に建設省を指導していく立場にあるんじゃないですか、地方公共団体三千幾つの立場に立ったら。私はそういうところがずさんだと言うのですよ。  この点、通達がないからなんて、のんきなことをおっしゃっていますが、今後これよりまた何が改正されるかわからないのですから、今後は主体性の波を変えてもらって、あくまでも建設側の立場に立つのか、弱小の財源を守らねばならない自治体の立場に立つのかという点に関したら、この点もっと協議と連携を密にして——いきなり、建設省が主体をとっているものを自治省がとるというわけにはいかぬでしょうが、少なくとも何年何月にどうなったかということを把握しておいてもらわなければ、こんなことはあなたまかせ、建設省まかせですよ。そう思いませんか。
  218. 松浦功

    ○松浦政府委員 自治省が地方公共団体の立場に立って、地方行政を守る役所だという意味からの強い御鞭撻をいただいたものと私は考えておりますが、御承知のように、自治省には、私は言いわけをするつもりはございませんが、五百人ばかりの職員がおるわけでございますが、そのうち百五、六十人は消防でございます。わが省としては自動車の運転手さんまで含めて三百何人で、技術屋さんも一人もおらないわけでございます。したがって、物の値上がりがどうだというようなことは、全部ほかから調べてこなければわからない。本来、財政全般を見守って、地方公共団体が困ったことにならないようにという立場で一つの局を置いておるのが財政局でございます。これも定員は八十六人しかないわけです。  そういうことでございますので、私どもが主導的に……(小川(新)委員「わかりました」と呼ぶ)ですから、先生の御指摘のとおり、われわれとしては建設省からできるだけ御連絡をいただいて、われわれの立場からの意見を十分申し上げて、先生の御要望に沿うようにさせていただきたいと思います。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 悪いのはみんな建設省ですよ。そういう論法です。おれのところは数が少ないのだ、技術者もいないのだ、あわれな省なんだ、だけれども税金を取るときだけはおれのところは強いのだ、憲法に違反したって取るのだ、大蔵省が何だ、こういう意気込みでやっているのですよ、自治省というところは。そういうときばかり強くなっちゃ困るじゃないですか。そんなところでおがんだってだめですよ。  そこで、政務次官に——あなたでけっこうですが、この俗にいうインフレ条項はどういうときに発動するのですか。あなたです。建設省じゃない。
  220. 松浦功

    ○松浦政府委員 私も地方公共団体につとめてまいりました。端的に言えば、工事自体を施行することによって真の意味の採算がとれない、こういう極端な時点をつかまえて考えるべきだと私は思います。
  221. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう時点は、あなたの感覚からいうと、昭和何年に当たるのですか。
  222. 松浦功

    ○松浦政府委員 これまでは、こういうことを申し上げるとどうか存じませんが、確かに値上がりという問題がございましたけれども、常識的につかんでおります利益幅の中に吸収し得たのではなかろうか。私がやった限りにおいては、ある程度市役所のほうで立てました単価で入札は全部償ってまいりました。ごく最近の事情は知りません。したがって、おそらく、そういう事態に立ち至っておるのは、建設省もおっしゃられるように、最近の問題だと思います。
  223. 小川新一郎

    小川(新)委員 最近といってもいろいろあるのですけれども昭和四十八年七月二十一日、この時点はインフレ条項を発動する事態と建設省では把握しているのか。——もう一ぺん申し上げます。昭和四十八年七月二十一日現在は、インフレ条項を発動しなければならぬという事態に認識しているのかどうか。
  224. 重見博一

    ○重見説明員 九月の時点におきまして、この価格変動条項を適用すべきものと判断したわけでございますが、ただその場合に、適用の期日を七月一日にさかのぼったわけでございます。これは、この条項の発動条件が、物価の変動に伴いまして請負代金が著しく不当になったときということでございますので、そういう累積の点が考慮されているわけでございます。
  225. 小川新一郎

    小川(新)委員 この契約というものは商売人が契約するわけですね。また、地方公共団体でも、そのお役人の中でも専門家が見通しを立てて契約をする。その契約が見通しが立たなくなった時点がこういう時点になったのでしょう。見通しが立たないから、お互いに見通しを立てた契約に狂いが生じてきた、だから、甲と乙が協議して契約をもう一ぺんやり直すのだということでございますね。だから、私が言っていることは、昭和四十八年の七月にはもうギャロップインフレで、狂欄怒濤の物価高騰にもう突入している、最盛期になったと理解していることが、自治省の理解度と建設省の理解度で違いが出てくるから、私はいまこの問題をあえて取り上げているのです。その点はひとつ、三百八十人だの四百人だのなんて泣きごとなんか言わないで、あなたのようなごりっぱな方が一人で、一騎当千でがんばってもらえばいいのですから、少数精鋭だってやれるのですから……。まあ足りないところは、予算要求をしてどんどんふやしたらいいじゃないか。政務次官、そんな困ったことを部下に言わせておいて、あなた黙って腕組みしていちゃしようがないじゃないですか。大蔵省にどんどん要求して、その足りないところを補っていくのが政治じゃないですか。何やっているのですか、あなた。
  226. 松浦功

    ○松浦政府委員 御鞭撻をいただきましてありがとうございます。  当省としては、御承知のように、補助単価が上がりますれば、当然裏側については地方交付税等をもって財政措置をする。単独事業についても、そうなれば単価は上がるはずでございますから、これは起債措置をする、あるいは交付税措置も含めてとっておりますが、常に地方団体の自主性を見守りながら、過度の負担がかかって地方財政に悪影響が及ばないように、ことしも配慮してまいりました。今後も、御指摘のとおり、十分そういう事態に至らないように努力をいたすつもりでございます。
  227. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点はひとつがんばってください。  ここに、建設省から出ている「労務賃金等の高騰に伴う工事請負契約書第二十条第六項等の適用について」建設大臣官房長から出た中の、ページ数も出ていないのですな、これはページ数の出ていない不親切な書類がございますが、その中に、「建設省所管公共土木事業に係る工事請負契約の更改について」ここにありますが、一番うしろのほうに、「工事の適正な施工の確保を図るため、標準約款」云々とある。この「工事の適正な施工の確保」というのはどういうことをいうのですか。
  228. 重見博一

    ○重見説明員 「工事の適正な施工の確保」と申しますのは、資材の高騰等によりまして工事費が増大する、そうしますと設計書どおりの施工をするのに非常に困難を来たすから、このような措置をいたしまして、金額的に十分施工ができるような手当てをするように、そういう趣旨でございます。
  229. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、ここに一つの大福もちがある。この大福もちを食べるのに、一個幾らの値段が上がってきたから、一個幾らの値段のほうは変更できないけれども、大福もちのほうを小さくする、こういうことですか。
  230. 重見博一

    ○重見説明員 そういうことでございます。
  231. 小川新一郎

    小川(新)委員 それが要するに「適正な施工の確保」なんですよ。ものを小さくしちゃったので腹がすいて困る場合も出てくるし、いろいろな問題が出てくる。適正な確保というのは、最初の計画が必要であるから計画量が出たのを、金のほうに合わせて引っ込めちゃうということと、逆にそれにお金をつけてやって、満足を与えてやることと、どっちが大事なのか、一体どっちが適正な確保なのか、私はきのうから、ここに議論の二つの考え方が出てきちゃったのです。これは自治省政務次官殿にお願いします。
  232. 古屋亨

    ○古屋政府委員 結局、いまのお話で、適正な量を確保するということは……
  233. 小川新一郎

    小川(新)委員 量じゃないです。「工事の適正な施工」です。
  234. 古屋亨

    ○古屋政府委員 「工事の適正な施工」ということは、やはり必要な計画をした、それだけのものをやるということが適正な確保ということで、ただ、いまのもちが小さくなったというのは、ちょっと納得できないのです。
  235. 小川新一郎

    小川(新)委員 たいへんじゃないですか。ちょっと待ってください。これは大事な問題ですよ。建設省の「適正な施工の確保」というのは、お金に合わせて大福もちを小さくしちゃうというんだよ。ところがこちらの政務次官は、腹がすいているから小さくされては困る、おれは一食にこれだけのものを食べないと栄養確保ができない、だから、お金が高くなったらその分だけは補給をしてやって、最初の適正の確保だけの計画はやるんだというのが政務次官の考え方だというのです。自治省の考え方なんです。政務次官、もう一ぺん確認します。それで間違いありませんか。
  236. 森田松仁

    ○森田政府委員 御議論でございます物価変動条項を適用いたしました場合の手当てでございますが、二つございまして、一つは、建設省所管の中でも公共土木関係の事業、つまり道路、河川でございます。これらにつきましては、この場合基礎変更その他予算の個所の流用などを行ないまして手当てをする、これが大部分でございます。しかし、それができなかった場合には、工事内容を変更いたしまして手当てをいたしまして措置をする。この場合には、御指摘のとおり若干事業量が圧縮になります。しかし、これは四十九年度の予算におきまして、その個所を一体に取り入れまして新しい積算で補助金を交付して執行してまいる、こういうものでございます。  二つ目には、住宅建設事業のような建築関係でございますけれども、これにつきましては、戸数等その他はきまっておりますので、工事内容の変更はできません。したがいまして、これにつきましては標準工事費を引き上げまして予算手当てをいたしまして地方団体の財源の手当てをしておる、こういうことでございます。
  237. 松浦功

    ○松浦政府委員 いまの問題は、えらい話がこんがらがっちゃっているようなんでございますが、まんじゅうを減らすのは、これは道路のように、千メートル計画をしていたのを九百メートルにする、これはきちんとある程度の目的を達するわけで、これはまんじゅうを減らすのです。しかし福祉施設、学校のほうがいいかもしれません。学校のように単価が足りなくなるためにできないというのは、補助単価を現実に合わせるようにしてまんじゅうは減らさない。この二通りの問題が、少し込み入っちゃっているんじゃないかと思うのでございます。
  238. 小川新一郎

    小川(新)委員 そんなことを言っていいんですか。鉄筋コンクリートがプレハブ校舎に変わっている事例だってあるのですよ。まんじゅうがせんべいになっちゃっているじゃないですか、これは。そういうことを、松浦さんごとき財政のベテランが言っちゃいけませんよ。実態を知らな過ぎます。だから、いま「適正な」ということを私が言っているのは、むずかしいのです、ここは。こんがらがっているのはそっちなんですよ。まんじゅうとせんべいをこんがらがっちゃっているじゃないですか。そういうところをひとつ考えてもらわなければいかぬのです。これは、もうここでまんじゅう論議をやってもしようがないので、少し先へ進みます。  そのあとまだ重要なことがある。「別途措置する」というのだ。また変なのが出てきた。「別途措置する」これは何です。
  239. 重見博一

    ○重見説明員 四十九年四月一日以降の工事につきまして別途措置するということをこの通達の中に書いているわけでございますが、これにつきましては、いま現在の段階で検討しておりますことは、今後の四十九年度におきます価格の動向等をよく見きわめながら、その対策検討してまいるということでございまして、なおその際におきましても、物価の安定を最優先に考えていくべきであるというようなことを考えているわけでございます。
  240. 小川新一郎

    小川(新)委員 またその下がだんだんおかしくなっていくのです。いいですか、そのあとに、政務次官、よく聞いていてくださいよ。私がなぜこの問題をがあがあ言うかというと、「おって、貴管下市町村に対してもその旨周知徹底されるようお願いする。」と書いてある。何を一体周知させ、何を徹底させるのか、わからないような自治省が、何を一体周知させ徹底させる。建設省から一片の通達もない、つんぼさじきに置かれている自治省が、三百四十人しかいないからできない自治省が、何で一体「貴管下市町村に対してもその旨周知徹底される」ことができるのですか。周知とは何、徹底とは何ですか。自治省に聞いている。
  241. 松浦功

    ○松浦政府委員 三百四十五人のほうでございますが、そういう通達は私のほうでは出しておりません。建設省でお出しになっておられる。
  242. 小川新一郎

    小川(新)委員 だから建設省で出しているのですよ。ちゃんと見てください。
  243. 松浦功

    ○松浦政府委員 いや、持っておりますから……。
  244. 小川新一郎

    小川(新)委員 ここにあるじゃないですか。「貴管下市町村」あなたの関係じゃないですか。自治省関係じゃないですか。建設省の所管じゃないじゃないか。建設省が一々市町村に周知徹底するということの責任を負えるかと言うのだ。
  245. 松浦功

    ○松浦政府委員 公共事業の執行という点に関しまして、各省所管別になっておるそれぞれのものについては、建設省が市町村に御指導をなさるということは、これはできるようになっております。
  246. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは建設省がするのじゃないでしょう。知事が管下市町村長にするのでしょう。これは、埼玉県知事がこういう公共事業の問題については周知徹底をさせるのですよという通達ですよ。建設省が市町村にいうのじゃないですよ。だから、私がさっきから問題にしていることは、県知事がその周知徹底ということに欠けた場合には、自治省の責任管轄になってくるだろうということを言っているのですよ。ここは建設省の責任管轄じゃないじゃないですか、知事の問題になってくれば。
  247. 松浦功

    ○松浦政府委員 そういうことはございませんで、知事は御承知のように、自治法上、国の事務についてもタッチをするわけでございます。それは各省別に分かれておりますので、たとえば物価の問題でございましたら通産省、道路の問題でしたら建設省、あるいは公営住宅の問題でしたら建設省という縦割りで、知事さんに大臣が、布町村長にこういう指導をしてほしいということをおっしゃることは差しつかえないと思いますし、その点について、われわれの範囲ではないと思います。
  248. 小川新一郎

    小川(新)委員 その縦割りでセクションになって、あなたが関知しないじゃ……。だって、いま物価問題に対しては建設大臣だけが関知していればいいという問題でもないし、物価国会といわれたように、総理大臣以下ひな壇にずらっと並んで論議するのですから、あくまでも自治省としても、建設省の周知徹底ということは一体何なのかわからなければ——これは確かにあなたがおっしゃったように、直接は自治省のあれじゃないかもしらぬ。ないかもしらぬけれども、あなたの責任管轄下の、自治省のいろいろと関連のある都道府県及び全国市町村の問題、しかも公共事業の問題ですから、超過負担の問題等もあるのだし、財政の問題もあるのだから、何でも縦割りで、これは建設省でござい、これは厚生省でございと言っていたのでは、これは困ってしまうのであって、それは行政上——首をかしげちゃっているから、私もそれ以上介入することが一体どうなのかわからないけれども、政治家の立場から見るとまことに不可解なんです。執行官の立場からいけば合理的なのかもしれません。しかし、われわれが合理的だの不合理的であるという問題ではない。国民が合理的であればいい、県民が合理的であればいいのでありますから、この面で、いうところの周知徹底というものは、一体何を周知させ何を徹底させるかということなんです。  きょう、大蔵省、来ていますか。——これは財政的な面の周知徹底なのか、それともそういった建設省の内容的な問題の周知徹底なのか、どうなんです。これは大蔵省の答弁はちょっと無理ですか。
  249. 名本公洲

    ○名本説明員 私は、その通達なるものを見ておりませんので……。
  250. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、建設省でけっこうです。
  251. 重見博一

    ○重見説明員 この通達は、地方公共団体あてのものと、それから国直轄の場合のあてと、案文が異なっている点があるわけでございまして、直轄につきましてはそのようにするように命じているわけでございますが、公共団体に対しましては、建設省所管の補助事業につきましてそのように措置して差しつかえないというふうに、そのことにつきまして周知徹底を考えております。
  252. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしたら、県単独分の、地方公共団体の分については、どこが周知徹底するのですか。
  253. 重見博一

    ○重見説明員 単独事業につきましては、この通達の中におきましては触れていないということでございます。通達の内容としては触れておりません。
  254. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま建設省からお答え申し上げましたように、建設省所管の公共事業につきましてはああいう通達が出ておるわけでございます。私どもの理解といたしましては、会議の機会にも言っておりますが、こういうような通達が出ておる、したがって、この趣旨を十分了解して公共事業の執行に万遺漏のないように、単独事業はということになりますれば、これらのものを取捨選択をして地方公共団体できめてやってほしい、こういうことに相なるかと思います。
  255. 小川新一郎

    小川(新)委員 相なるように思いますが、と言ったって、いま私が言ったからこの問題はわかってきたのではないですか。いまあなたが、はっきりしている、どこでいつやったかなんということを答えたって、わからない、聞いてないと言うのだから。これは建設省の所管でございますと言うけれども、では、地方公共団体の分については自治省が責任を負うのですか。
  256. 松浦功

    ○松浦政府委員 地方公共団体の分については、地方公共団体が独自におきめをいただきたいというのが基本的な態度でございます。
  257. 小川新一郎

    小川(新)委員 そのことは、自治省がそういうふうに言っているのですね。いつ言ったのですか、それは。
  258. 松浦功

    ○松浦政府委員 それはもう、いつということでなくて、当然のこととして、もう初めからそういう考えでございます。
  259. 小川新一郎

    小川(新)委員 当然のことと言ったって、ここにさっきから言っているように、建設省は三度にわたって内容を変えた通達を出しているのです。当然のことと言うのだったら、昭和四十八年九月十九日に出した通達と、昭和四十八年十二月六日に出した通達と、昭和四十九年一月十四日に出した通達が、地方公共団体の単独事業分についてあなたのほうで明確に示さなければ周知徹底できないじゃないですか。これは三種類にも分かれているのだもの。これは国の直轄事業について三種類に分かれた。それと同じように、県単独事業についても、市町村単独事業についてだって、工事そのものの公共事業については何ら変わらないじゃないですか。世間の情勢が、そういうふうに物価の高騰になってくることにおいては、公共事業においてそういう手配をするのだということは。こういう三段論法で来ているのだから、三段論法に対することの周知徹底だというのであれば、要するに自治省も三段論法の指導というものを、だいじょうぶなのかということをやらなければ、末端の地方公共団体では、単独事業分の零細の工事の契約についてはおよそ無関心になってしまいますよ。それとも、そういう零細な工事の県単独分について、市町村単独事業についての、通達に従ったような契約約款の変更が行なわれている事実を、ではあなたは承知していますか。
  260. 松浦功

    ○松浦政府委員 具体的な契約の内容については存じませんが、先ほど来申し上げておりますように、先生も御指摘になっておられるように、公共事業が値上がりをする場合にはやはり単独事業も値上がりをする。公共事業について国がこういう限度でこうだという御指導をなされば、地方公共団体はそれらを参考にして、いままでもやっておりましたように、自分で適切にきめていくだろう、またきめていっていただかなければ困る。私どもとしては先ほど来申しておりますように、またおしかりを受けますが、わずかの人数で、単独事業がどこにどうあるかなんという調査はできません。地方公共団体の良識ある執行にまつという態度で、これまでも地方団体の独自の判断におまかせをしてきております。
  261. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは何千何万という単独事業の監督をして、というのではないのです。またそこまでいったら地方自治の本旨にさからってしまうから、私どもはどうのこうの言うのじゃないけれども、実態はたいへんな実態であるということをあなたが認識しでいるか、していないかという問題です。こういう問題が建設省から出ていることで、まずいつ出たのかということ、改正もわからない、通達も出てこない。いろいろな面で財政圧迫の要因になっている、この物価高騰や資材の高騰、人件費の高騰等についての市町村財政の実態というものは、どういうことで公共事業の阻害になっているかということを認識なされていらっしゃるかということで御質問したわけですよ。そこのところは、やはり血の通った政治じゃないじゃないかと言いたい。
  262. 松浦功

    ○松浦政府委員 どうも、私どもが主体になって建設行政にまでということは、先ほど来申し上げたようにできないわけでございますが、建設省も国の機関でございますから、きちんと一切のことを処理しておられる。そうなりますと、公共事業が予算単価ではできないで単価アップをする、そうなれば裏負担も当然ふえてくるわけです。われわれはその辺のところは十分連絡をいただいて、その裏負担については、たとえば先般の十二月の補正のときに裏負担の増額を、たしか六十数億であったと思いますが、措置をいたしましたし、その際には、公共事業が値上がりするようであれば、単独事業も非常に単価が上がるだろうということで、二百億に及ぶ交付税の補正を行なって交付税で配る。さらに足りないという御要請があれば、ある程度地方債でこれを補う、そういう努力はこれまでも繰り返してきております。  御指摘をいただいて、こういう点がまだ足りないじゃないかということがございますれば、われわれとしては、当然今後努力させていただくということを申し上げるわけでございます。
  263. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、建設省にもう一つ御注文しておきますが、インフレ条項を適用する際には、工事費の急騰分を補償する場合の最優先順位を、福祉、生活関連施設に限定して明らかにしておく必要があると思います。この点については、明確にこの指導の中に周知徹底させたのですか。建設省でいいです、これは。
  264. 重見博一

    ○重見説明員 そのようなことはいたしておりません。  補足いたしますと、約款の中の二十一条六項の趣旨そのままに適用いたしたわけでございます。
  265. 小川新一郎

    小川(新)委員 政務次官、これは確かに、質問のほこ先がいま建設省に限っては無理だという理解を私もしますが、こういう通達を出している以上は、閣僚会議もあることですから、きめこまかい話題の中から、あたなたの大臣である町村さんにこれは進言してもらって、こういうインフレ条項を適用する公共団体の工事の施行については、総需要抑制という名のもとにばっさばっさと切るのではなくて、こういう条項を適用するに際しての順位を、福祉、生活関連施設に限定して契約の更改ということをうたってもらいたい。お約束いただきたいのですが……。
  266. 古屋亨

    ○古屋政府委員 建設省所管の分につきましては、やはり自治大臣が国務大臣として建設大臣にお話しになっていただくことが適当かと思っております。  ただ、先ほどからのお話をお伺いいたしまして、私も昔は内務省の役人をやっておりましたが、地方の問題について、やはり各省がこう多くなってきますと、末端の問題についてやや連絡が不十分になっているということは事実でございまして、特にこういうような福祉優先それから生活関連施設最優先というようなときでございますので、一そうひとつ連絡を密にするということを申し上げますと同時に、ただいまの御意見をうちの大臣から、しかるべき方法によって担当の省にも御連絡をいたすということを申し上げておきます。
  267. 小川新一郎

    小川(新)委員 よろしくお願いします。  そこで、ここに工事契約書があります。これは昭和四十八年七月二十一日、中小企業の工事でございますが、三井楽町長にあてた契約書の中に、第十八条、これは全くインフレ条項ですね。ところが、この第十八条は削除と書いてある。読んでみますと、十八条というのは、「甲又は乙は、工期内に経済事情の著しい変動その他の予期することのできない異常な事由の発生により、請負契約金額が著しく不適当となったときは、相手方に対して工事現場の実情を参しゃくして請負契約金額又は工事内容の変更を求めることができる。」全く建設省の出した第六項のインフレ条項と同じなんです。ところがそのわきに、「第十八条削除」と契約書には書いてある。これは長崎県南松浦郡三井楽町長及び新魚目町長が建設業者と取りかわした工事請負契約書なんです。削除されております。こういう問題が現実にはみんな行なわれているんです。  そこでどうなっているかと申しますと、これからがだんだんとおかしくなってきちゃっている。ここに長崎県建設業協会五島支部長からの、昭和四十九年三月六日、「市町村工事のスライド実施に関する件」これはずっと協議書がございまして、こういうことなんですね。「市町村工事のスライド実施問題に付五島町村会と建設業協会五島支部と双方慎重協議の結果左記の通り協議成立いたしましたので茲に署名捺印し各々その一通を保有するものとする」どういうことをやったかといいますと、「一、市町村工事のスライド実施の件」「1、補助工事については全面的に対象とする」要するに全面的に契約解除ができる。補助工事というのは、要するに国の補助事業については建設省の通達のとおりいたします。二番目、「補助工事でも最終年度工事については対象としない」というのですよ。建設省の道路建設五カ年計画の最終年度については対象としない。三番目、「単独工事については(特殊事情のある)、一〇、〇〇〇、〇〇〇円以上の工事については対象とするがそれ以下の工事については対象としない。」これが、要するに三井楽町長、五島町村会事務局長、ずらっと並んでいまして、これはたいへんな数ですね。五島町村が集まってかわした協議書です。これが現実なんです、財政局長。だから、補助工事については全面的にあなたの言うことを対象とするけれども、補助工事でも最終年度工事についてはそういう契約解消の対象とはしない。しかも、単独事業についても一千万円以下の零細企業に対しては、どんなに物が上がってスライドしても契約更改の義務の対象とはしないんだというんです。泣き寝入りしろというんです。  どうしてこういうことが起きてきたかということには、いろいろな考え方が出てくる。何もこれは業者を泣かせるためのものじゃないと思います。町村の財政貧困がまず第一の理由にあげられる。こういうことを考えたときに、私は先ほどから申し述べているんです。一つは、こうやって契約書の削除をする。もう一つは、小さなものについての契約をまず対象としない。しかも五カ年計画の最終年度はしないというのです。要するに物価の問題のスライドです。工事費や建設資材が上がってスライドした分について、この通達の対象とするかしないかということのこれは協議書なんです。昨日、泣かぬばかりにこの関係者が来て陳情していった。こういう実態を建設省はどうお考えですか。少なくとも、補助工事についても五カ年計画とかの長期計画の最終年度を対象としないような協議書が発効している。またこうやって削除をする。こういう問題についてはどうお考えですか。
  268. 森田松仁

    ○森田政府委員 ただいま先生のお話しのケースは、ちょっと私も承知しておりませんですけれども、最終年度というのは、おそらくその当該個所の工事の年度割りの最終という意味だと思いますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、通達の趣旨からまいりますと、そういうことはおかしいんじゃないかと考えておりますし、なお通達の周知徹底をはかりたいと思います。
  269. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと内容を見てよ。ちゃんと判こ押してある。二番目のところです。
  270. 森田松仁

    ○森田政府委員 やはり、工事の年度割りの最終のものは対象としないということだと思いますけれども、いずれにしましても、通達の趣旨からいいますと、こういうことは遺憾だと思います。周知徹底をいたしたいと思います。
  271. 小川新一郎

    小川(新)委員 政務次官、これが自治体の実態ですよ。こういう小さな町村の集まっているところへ行くと、周知徹底なんといったって、周知徹底なんというのはみんな曲がっちゃうんですよ。これがいまの日本の政治の実相ですよ。どうするのですか、これ。これはもう覆水盆に返らないですよ、こういうものをつくったら。住民税をひったくっているところがちっとも生きてこないじゃないですか。困ったことですよ。それでおれのほうは知らない、縦割りだ、建設省にまかせている。まかせている建設省だって遺憾だと言っている。本来、大臣を呼んできて私は言いたいんだ。どうする。
  272. 古屋亨

    ○古屋政府委員 いまのお話を聞いておりまして、私もそう具体的な末端の問題はわかりません。  ただ、一般的に言えることは、建設事業等について、特に福祉だとか——それは道路の問題かもしれませんが、福祉とか生活関連物資については、先ほどお話しになりましたように最優先的にやっていく。それで、また、もちのことを申しては悪いのですが、そういうもののもちの姿を、国の適正な補助金というものを確保して、補助事業等につきましてはやはり考えていかなければならぬというふうに感じます。
  273. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういう実態であるという末端のことは、確かにおわかりにならなかったのでしょうけれども、こういう問題がいかに行なわれているかということですから、縦割りだ縦割りだなんて言わないで、よく話し合ってひとつ御検討いただきたい、こう思います。  そこで、その問題はもうおわかりにならないから、これ以上言ってもしようがないですから、ひとつ善処、対処方をお願いいたしまして、次に移らしていただきます。  公正取引委員会から提出されました、この前私が質問いたしました、租税特別措置による恩典を受けながら、一方では独占禁止法違反の勧告を受け、他方では大きな利益をあげているものについては、まっ先に租税特別措置の洗い直しを行なうべきではないか、こういうふうに申し上げまして、ここに資料が公正取引委員会から提出されました。「電気ガス税の非課税扱いを受けている業界の最近三年間における独禁法違反勧告事件一覧」がここにあります。これに対する御見解をお願いします。
  274. 古屋亨

    ○古屋政府委員 一般的な見解になるかと思いますが、租税特別措置の整理、合理化につきましては、先般来地方税の審議の過程におきましても、やはり社会経済情勢の推移に即応いたしまして、整理、合理化を要するものはできるだけ整理をはかるように努力したい、これは自治省所管の問題の租税特別措置の問題でございますが、一般的にはそう考えておるわけでございます。  そういう場合におきまして、非課税措置の内容について十分検討をしなければならぬし、また検討をするということをこの前申し上げておるのでございますが、ただ、公正取引委員会勧告の商社だけに限っていまのような点を別扱いにするということにつきましては、いまの税法のたてまえからいいますと、いろいろ問題があって、慎重に検討をしなければならぬ問題だと考えております。
  275. 小川新一郎

    小川(新)委員 公正取引委員会はきょうは来ておりますね。——せっかくおいでくださいましたので、ひとつこれに対するあなた方の見解を聞いておきたいと思います。
  276. 妹尾明

    ○妹尾説明員 地方税の電気ガス税の非課税扱いの対象となっております業界についての独占禁止法違反につきまして、勧告を受けた事件の一覧の資料でございますが、これは昭和四十六年度から四十八年度にかけましての三年間につきまして、対象品目について一応当たってみたわけでございますけれども、それによりますと、この三年間におきまして、鋼材につきまして一件、石油関係につきまして二件、アルミニウム地金の関係につきまして一件、建設研削材の関係につきまして一件、酸素、アセチレンの関係で計三件、セメント関係で三件、メタノール一件、石油化学製品、ポリエチレン、ポリプロピレン等でございますが、これで四件、それから塩化ビニールにつきまして一件、合成繊維の関係で二件、合計十九件の違反事件があるわけでございます。公正取引委員会といたしましては、これらの違反行為は、公正な競争秩序を侵犯する行為というふうに見たわけでございまして、公共の利益あるいは社会全体にとりまして有害な行為である、こういうふうに当然なろうかと思います。  租税特別措置の対象とするかどうかにつきましては、私どもの所管事項じゃございませんので、それぞれの主務官庁において御判断になることではないか、こういうぐあいに考えております。
  277. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはほんの氷山の一角の実態でございますので、私どもは国民感情からしても、企業が片面で電気ガス税の税金をまけてもらって、片面で超過利得を生み出し、そのために独禁法違反を行ない、やみカルテル行為を結び、そういった面で公正取引委員会から勧告や立ち入り調査を受ける、こういうことについては、たてまえ上はともかくとしても、感情論からしてまことに不愉快です。いま、超過利得税など、こういった税金の面でしぼり取ろうとしておりますが、一面において税金をまけてやっておるという実態は、産業優先保護の立場からすればあるいは理解できるかもしれませんが、私は、企業のモラルからいっても、こういう問題で保護されている業界は、少なくとも率先実行していかねばならない。いろいろな恩典を受けているのでありますから、私はそういった面の洗い直しを率先してやるべきだと思いますが、重ねて御決意を承りたい。
  278. 古屋亨

    ○古屋政府委員 感情論的な、また国民感情的なものにつきましては、ただいま小川先生のお話しのように私も考えます。先ほど申し上げましたように、租税特別措置ができてから相当たっておりますし、またその具体的問題、具体的非課税措置の内容等につきましては十分検討をしてまいりまして、私どもも整理、合理化を要するものにつきましては、できるだけ整理をはかっていくように努力いたしたいと思っております。
  279. 小川新一郎

    小川(新)委員 だいぶ時間を超過いたしておりますので、これで終わらせていただきます。  人事院来ておりますか。——では最後に、この問題で終わりますのでお願いいたします。個条書きに読んでまいりますから御答弁いただければけっこうです。  今回の小中学校教員並びに看護婦に対する勧告によって、従来からの総合較差方式がくずれたけれども、このような較差方式を今後どのようにするのか。
  280. 茨木広

    ○茨木政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、八月の勧告の際の報告文の中にも、今後総合較差方式の若干の変更について検討ということをうたっております。  それで、今回教員について別途財源を使いながら改善をやったわけでございます。看護婦につきましては、いま勧告を申し上げておるような次第でございますので、それに基づく国会におきます法律の決定等がございました後において、その辺のところをあわせまして検討をいたしまして、今年の夏に予定されております勧告の際までに結論を得たいと思っております。
  281. 小川新一郎

    小川(新)委員 二番目は、教員及び看護婦の待遇改善について、今回の勧告で若干の前進は見られましたが、将来においてもなお一そう改善に努力すべきだと思います。これについてのお考え方と、警察官及び消防職員については、勤務の特殊性から見てより一そう待遇改善を行なうべきだと思いますが、いかがでございましょうか、この二点。
  282. 茨木広

    ○茨木政府委員 最初の問題でございますが、教員については、今般義務教育につきまして、いわゆる人材確保法で一つの方針が出されたわけでございますが、そういうようなものも考慮に入れながら、またその結果、他のいろいろな職種の方々を刺激している面もございます。その辺のところもいろいろ考慮しながら、今後とも配慮をしてまいらなければならぬというふうに考えております。  それから看護婦につきましては、これからいろいろ御議論をいただくわけでございます。需給の点から見ますれば、一番この点が問題のあるところになっていると思います。その辺の点も考えながら、今後とも考えていくつもりでございます。  それから警察、消防関係でございますが、消防関係は直接私のほうで取り扱っておりませんが、警察官におそらく準じた取り扱いをしていらっしゃるものだと思います。警察官につきましては、公安職俸給表がございます。この点については教員よりも一歩先んじまして、いわゆる行政職に対します水準差を持っておりまして、すでにもう優遇されておる取り扱いになっております。しかし、今回の教員の措置等によりまして刺激されておりますことは、やはり同様な空気がございます。しかし、実態といたしましては、現在のところ優遇されておることは間違いがございません。今後ともしかし、それぞれの職種について、やはりそれぞれの立場から人材をという要望はあると思います。そんな点もいろいろ考えまして配慮してまいりたいと思います。
  283. 小川新一郎

    小川(新)委員 たいへん長時間ありがとうございました。  以上、終わります。
  284. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 次回は、来たる四月二日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会