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1974-02-28 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十八日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    島田 安夫君       住  栄作君    武藤 嘉文君       保岡 興治君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   伊藤 廣一君         自治政務次官  古屋  亨君         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         厚生省薬務局細         菌製剤課長   近  寅彦君         厚生省援護局庶         務課長     河野 共之君         水産庁漁政部協         同組合課長   剱持 浩裕君         水産庁漁政部沿         岸漁業課長   渡辺  武君         水産庁漁港部計         画課長     塩田 洋三君         運輸省港湾局計         画課長     鮫島 泰佑君         建設省道路局地         方道課長    高木 澄清君         自治省行政局地         域整備課長   緒方 喜祐君         参  考  人         (東京総務局         三多摩島しょ対         策室長)    美濃 広光君         参  考  人         (東京総務局         三多摩島しょ対         策室小笠原復興         課長)     生田 友也君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     松野 頼三君 同月二十八日  辞任         補欠選任   松野 頼三君     保岡 興治君     ————————————— 二月二十六日  宅地に対する固定資産税課税方式改定に関す  る請願外二件(田中榮一君紹介)(第二二八三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案について、参考人として東京総務局多摩島しょ対策室長美濃広光君、東京総務局多摩島しょ対策室小笠原復興課長生田友也君の御出席をお願いいたしております。  両参考人には御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、ありがとうございました。  それでは、まず美濃参考人から意見をお述べいただき、それから各委員からの質疑に対し御答弁をいただきたいと存じます。  それでは美濃参考人にお願いいたします。
  3. 美濃広光

    美濃参考人 東京都でございます。  小笠原諸島復興につきましては、特別措置法のおかげをもちまして、多額国庫補助によりまして、一部事業のおくれはありましたが、著しい成果を見せております。厚く御礼申し上げます。  小笠原諸島は、東京から約千キロ、約三十の島からなっておりますが、四十三年返還以来、復興事業の対象となっておりますのは、このうち父島母島で、硫黄島につきましては、不発弾処理遺骨収集の関連で当面はずされております。  以下、現況について申し上げますと、まず、特別措置法の眼目ともいうべき旧島民の帰島状況でございます。四十八年度末、千三百人の計画に対しまして、帰島者は五百六十人で、四三%という低い率になっております。もちろん、復興事業のおくれも関連いたしますが、大きな理由は、戦時中、本土へ強制疎開されてからの空白期間があまりに長かったためと存じます。帰島者の帰島前職業を見ますと、他に雇用されていた者が多く、自営業などに比べて身軽に転地、転業が可能のゆえだと思います。今後、おしなべて帰島希望者の意を満たすようにするには、生活再建のための援助を強化する必要がございます。  次に、復興事業としてまっ先に重点といたしましたのは、もとより港の整備でございますが、父島は三千トン級バース母島は五百トン級バースがすでに完成いたしております。ただ問題は航海数で、東京父島間はわずか週一回、それも片道三十八時間という鈍速でございます。また、父島母島間につきましては不定期という状況でございますので、行政用として都有船を配備しております。  次は、生活基盤ですが、まず水につきましては、父島人口千四百四十人に対し貯水量三万三千トン、母島は二百八十人に対し、取水、貯水、合わせて千トンでございます。いずれも配水施設整備されており、現在人口では水不足の心配はございません。ただ、今後観光など滞在人口の増加や、一人当たり使用量が増加することが考えられますので、貯水増強対策は講ずる必要がございます。  電気につきましては両島とも確保されております。  医療につきましては、父島母島にそれぞれ村立診療所がございまして、医師もそれぞれ配置されております。ただ、大きな手術につきましてはやはり内地へ送らざるを得ない実情にございます。  住宅につきましては、戦前の分散居住を避け、一島一集落をたてまえとして居住地域を定め、そこに都営住宅を建設し、学校も父島には小史局校母島には小中の併設校整備いたしております。  次に産業基盤ですが、農業につきましては、国庫補助による圃場造成の推進、漁業につきましては、二見港という天然の良港を利用しての漁港整備によりまして、生産も着実に向上いたしております。  今後の五カ年間に取り組むものといたしましては、もとより帰島促進の助長及び帰島者の生活安定が中心でございますが、このため、残事業分早期達成をはかることと、船舶整備住宅及び水対策、それと島内幹線道路整備を含めた観光産業の秩序ある対策があげられます。  また、問題のとらえ方が父島母島と異にいたしておりますが、硫黄対策がございますので、この点につきまして国家的観点からよろしく御指導いただきたいものとお願い申し上げます。  以上でございます。     —————————————
  4. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 小笠原諸島は、戦後二十三年たちまして四十三年に復帰をしたわけでありますが、直ちに小笠原諸島復帰に関する暫定措置法の制定に引き続きまして、小笠原諸島復興特別措置法の成立を見たわけであります。当時、私どもこの法案審議にあたりまして、委員長中心といたしまして、委員会から小笠原に派遣せられまして、現地状況をつぶさに調査もし、また、短期間でありましたけれども現地島民あるいは関係者と懇談をいたしまして、いろいろ要望を承ったわけであります。  当時、私どもの実感といたしましては、島民がほとんど引き揚げたという当然の結果といたしまして、また長年米軍の基地というような役割りも果たしてきた関係もあったと思いますが、全島がほとんど無人化あるいはジャングル化をしておりまして、この復興計画はきわめて困難を伴う重要な仕事になろう、また東京都におかれても非常な困難を伴うものだ、かように考えたわけであります。今回、同時に審議をいたしております奄美は二十年の復興計画振興計画を経て、さらに五年間の延長をすることになっておりますが、小笠原の場合も、政府あるいは都の努力にもかかわらず、終戦処理もまだ完全に終わったとはいえない状況にあるのではないか、こう想像するのでございますが、幸い東京都庁からお見えになっておりますので、この機会に二、三の問題につきまして御質問したいと思います。  ただいま室長さんから帰島の状況について御説明がありましたが、当初の計画から非常に旧島民復帰がおくれておる。その理由といたしまして、二十数年の歳月を経ての帰島でありますので、受け入れ体制はもとよりのこと、すでに本土におきましてそれだけ職業にもついておるわけでありまして、当然、二十数年の生活を捨てて帰島をするということになれば、やはり旧島民は新しい生活設計のもとに再出発をしなければならぬというむずかしい問題があるわけでありまして、高齢者などは働き手の家族とともに帰らなければ、かつての郷里に生活の安定を得て生活することはなかなか困難だということはわかるわけでありまして、計画よりも帰島がおくれている理由は、いまのお話、簡単な御説明でもよくわかるし、私どもも五年前に、旧島民が帰島することはなかなかそう思うようにいかぬのではなかろうか、島民の熱心な要望にもかかわらず、これはなかなかめんどうだ、こう思っていたわけであります。  それにいたしましても、いろいろ旧島民要望等も都には出ており、また今後の見通しも、旧島民がどのぐらい帰るか、その生活を優先的に確保し、受け入れ体制整備するということでなければならぬし、また小笠原諸島がそれなりに、いろいろな産業の面あるいは観光の面である程度人口を確保しなければ、小笠原村としても成り立たないということも考えられるわけであります。優先的には旧島民の帰島ということになろうと思いますが、さらに受け入れ体制整備に伴いまして、小笠原諸島生活環境におきましても、あるいは生計を維持するだけの産業基盤といいますか、そういうものが可能であるかどうかという見きわめも当然しなければいかぬと思います。いずれにしましてもさらに終戦処理延長として五年計画を立てなければならぬということは、これは当然なことであるわけでありますが、その見通しといたしまして、五年後といいますか、将来の人口がどのぐらいになるだろうかということは見通しを立てておかなければならぬ、かように私は考えるわけであります。  そういう意味におきまして、まず旧島民意向を含めまして、今後、五年後に小笠原諸島がどのぐらいの人口になるか、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  6. 美濃広光

    美濃参考人 まず、旧島民が今後帰るであろうという見通しでございますが、私どものほうの調べでは、戦時中に疎開をしておりました旧島民本邦各地分散居住しておりますが、一番多いのは東京都で、なかんずく八丈でございました。それから静岡神奈川千葉埼玉という順番になっております。現実にすでに帰島しておる者の出身県別を見ますと全くその順序になっております。それと、職業別には先ほど申し上げました雇用者が最も多くて、それから本土農業漁業、それで帰島後農業漁業というふうに継続した職業についている者が多くなっております。そういう見通しから、やはり県別としては先ほど申し上げました東京静岡神奈川千葉埼玉の順になってくるものと思います。職業につきましてもそういう形を踏んでいくものと思います。  それから推測してみますと、旧島民の帰島状況は、四十九年では九百六人、五十年では千二十九人、五十一年では千六十六人、五十二年に千百十九人で、一応五カ年の最終年度に予定されております五十三年度では千百九十六人——推測にかかわらず端数まで出しましてまことに恐縮なんですが、その程度の旧島民が帰るというふうに見込みをつけております。これはほぼ正しい推測というふうに私どものほうは思っております。それと、小笠原の将来人口は、やはり現行の五カ年で推定いたしました三千人というのが正しい数字になってくるというふうに踏んでおります。  それで、旧島民を含めた小笠原島民生計維持を見込んだ産業基盤整備でございますが、農業漁業は、労働人口にもよりますけれども、逐年着着と向上を見せております。これも、わずかながらの伸びではございましょうけれども向上していくものと思っておりますけれども、他の産業についての見込みが非常に薄いといいますか、弱いというふうに思っておりますので、これを補う上からも、自然保護関係もございますけれども、やはり景観を利しての観光基盤というものを固めてまいらなければならないのではないかというふうに思っております。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、将来の人口の三千人ということは、帰島者の意向その他もあろうかと思いますけれども、大体産業基盤整備漁業あるいは農業観光等含めまして、小笠原村が快適な生活を営む上に収容し得る限度から考えても大体三千人くらいが適当である、こういうことはいえるわけでございましょうか、どうでございましょう。
  8. 美濃広光

    美濃参考人 水だとか電気だとか産業だとか、そういった観点からしますと、常住人口は三千人で押え、観光などの短期滞在者を含めますと五千人がぎりぎり一ぱいというふうに思っておりますが……。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 よくわかりました。  次に、当時調査をいたしました際も、復帰関係あるいは復興関係からいいましても、輸送手段の確保あるいはその受け入れが緊急であるということが調査いたしました委員の一致した意見でございまして、港湾整備あるいは空港整備ということを報告をしたわけでありますが、港湾施設につきましては、ただいま父島は三千トンの岸壁母島は五百トンの岩壁ということで完成しておるわけであります。その場合に、当時空港復興計画の五カ年計画の中にはわずか千五百万円計上されたような感じがいたしますが、これは旧軍の使用いたしておりました空港補修程度空港が使用できるという考え方に立ったと思うのであります。私ども調査の際も、他の場所も含めて選定しない限りは、旧軍使用空港では十分な空港としての使命を果たすことはできないというような印象を受けたわけでありますが、おそらくそういう関係で今日空港整備されていないと思うのであります。やはり将来の小笠原村の発展からいいましても、また観光地といたしましても、空港整備ということは必要だと思うのであります。このことは、おそらく二種だとか三種だとかいう空港になると思うのであります。これに多額経費をかけて整備することは私は相当困難ではないかという感じを受けるわけでありますが、ことに四十九年が後期五カ年計画初年度になるわけであります。初年度予算は、自治省で計上せられた予算が約二十九億だと思うのであります。五年間に延ばしましても百五十億程度ということになりますと、とても空港は将来の計画に織り込めないんじゃないかと思うのでありますが、このことについて東京都はどう考えておられるか、あるいは自治省ではどう空港整備をお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  10. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この前の委員会でもこの問題は御議論になったわけでございますけれども空港整備につきましては、現在、正直なところまだいろいろな議論がございまして、確たる方針が得られておらないというのが真実に近いと思います。あれだけの離れた島であり、かつ観光その他のことを考えれば、何をおいても空港をつくるべきであるという非常に強い積極論関係者の間にございます反面、空港をつくって観光客がなだれ込むことによってあそこの自然が破壊される、それをおそれるという意味空港に対して非常に消極的な御意見も、これはいろいろあります。したがって、後期五カ年計画初年度にもちろん空港関係のことを考えておりますが、これの中身は、前年に引き続き立地条件その他の調査ということで五百万円の計上がなされているにすぎないわけでありまして、地理的条件からして空港の適地が非常に少なく、かろうじてつくれるというところでもよそに比べて五倍、十倍の金がかかるというのが技術的な見解でございます。それにさらに加えまして、空港早期整備すべきかどうかということに関する議論がまだやや混迷しているというのが現在の正直な立場でございますので、これについての確とした方針は、もう少し論を詰めないと、きまらないような感じを受けております。
  11. 美濃広光

    美濃参考人 東京都といたしましては、先ほど山本先生がおっしゃいましたように多額事業費が必要とされますので、もし、気象条件だとかその他いろいろな調査で実現の見通しが立ったときは、全額国庫でお願いせざるを得ないという実情がございます。  それと、ただいま自治省行政局長からお話があったことに尽きるわけでございますけれども問題点といたしましては、空港をつくったことによって観光客の急増が当然予想されるわけですけれども、水だとか宿泊施設だとか、そういったものの受け入れ体制をその前にどのように整備しておくべきか、この点も一応四十九年度の調査では組み込んではおります。  それと、自然公園法による利用規制はあるといたしましても、やはり島外の巨大な資本の進出を促して、乱開発というものは免れない状態が起きてくるのではないかということも考えられます。  今後の処理方針といたしましては、空港の設置は、やはり何といいましても救急医療の問題であるとか、民生の安定に寄与することとか、島民産業経済発展に大きく期待できる面があるわけですけれども、先ほど申し上げましたような事情から、旧島民の帰島状況だとか生活状況だとか、あわせて島民経済の推移などを見ながら、やはり慎重に決定する必要があるのではないかというふうに思っております。はっきり申し上げまして、東京都といたしましてもこの扱いについては非常に苦慮しているというのが実情でございます。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 先般の法案の際にも、空港整備については附帯決議をつけたわけであります。ただいまお聞きした将来常住人口三千名ということが目安であるということであれば、やはり乱開発を防ぎ、健全な農業あるいは漁業に依存しながら、観光ということも考えなければいかぬと私は思うのですが、その際に、観光客受け入れ体制として当然問題になりますのは、受け入れ宿舎の問題であり、それの基本的な問題としては水だとかあるいは汚水の処理だとかあるいは電気の問題ということになろうと思うので、そういう将来の村づくり関係からいいましても、私は漁業農業と関連いたしましての観光客受け入れとしての空港整備ということは、当然必要になってくるのじゃないかと思います。  その経費関係が問題だと思うのです。これは、空港整備も五十年度で一応切れるわけですが、おそらく第三次空港整備計画というものが策定されるだろうと思うのであります。その際に、本土重点を置いた空港整備大型化あるいは高速化ということについて、先般私は運輸省に対しまして将来の見直しということに対してちょっと質問したのでありますが、しかし小笠原の場合には、当然海上輸送と同じように空港ということは考えられるのじゃないか。これは五年計画に芽を出さなければいかぬ、第三次空港整備計画の中にも入れなければならぬ。こうなりますと、その負担からいくと東京都だけにまかすわけにはいかぬのでありまして、これは当然、計画に織り込んでも、かりに第二種であろうとも第三種であろうとも、全額国負担において整備をするよう計画に盛り込むべきであると考えますが、自治省、どうお考えになりますか。
  13. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現地にとって空港というのが是が非でも必要な、人命その他に関係もいたします事柄でもあり、最も大切であるということに関係者意見一致を見ますれば、当然いま先生の御指摘の負担問題について関係各省が詰めることになると思います。その場合におそらくそれぞれの省の意向もございますから、いまここで断定することはできませんにいたしましても、私のほうといたしましては、先ほど申しました地理的条件から非常に経費のかかる問題でもあり、できる限りの国の負担ということによって、地元負担を軽からしめてつくる必要があるという考え方は従前ともとっております。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、やはり空港は早い機会計画の中に盛り込むべきであるという考え方を持っておるものですが、自治省もこの点は、計画策定の際には審議会等議論を尽くしまして、ぜひ計画に盛り込むように強く要請いたしたいと思います。また東京都も、医療の問題あるいはまた民生その他の問題もありますので、負担は強く国に要請すべきだと思います。小笠原の問題は、人口は少ないにしても、戦後処理という色彩の濃厚な復興であり振興であるわけですから、当然東京都としても全額国負担ということで強く要求すべきであるというふうに私は考えております。  次に、そうなりますと、空港建設には相当の年月がかかると思うので、計画に織り込みましてもそれが将来五年間で完成するかどうか、いまの行政局長答弁を聞いておりますとどうも心配になってまいります。そうなりますと海上輸送の強化ということが当面非常に重要な問題になってくると思いますが、先ほどもお話がありましたように、岸壁は三千トン、いま就航しておる船も二千六百トンぐらいの船が運航しているようであります。しかし四十時間かかり、週一回ということになりますと、着いて翌日帰ってこなければ一週間滞在しなければいかぬということは、小笠原村を訪れる者にとりましてはこれはきわめて不便でありますし、また自衛隊その他に依存するにいたしましても、救急患者輸送等からいいましてもこれは不便なことであります。いわば船便を増便するとか、あるいは快適な新造船その他によりましてスピードアップする、これこそスピードアップをするという措置を将来の計画に当然考えなければならぬと思います。聞くところによりますと、このためにも多額経費東京都は盛っておられるようでありますが、その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 美濃広光

    美濃参考人 全く山本先生のおっしゃられましたとおりで、増便とスピードアップの問題ですけれども船舶建造には多額経費を要します。現在、就航しております父島丸耐用年数からいたしますと、五十二年度で限界ではないかというふうに思っております。五十二年度までもたしていいものかどうか、それは別といたしまして、ぎりぎりのところ五十二年度で耐用年数は切れるのではないか。そのときには是が非でも新造船建造ということは問題になってくるというふうに思いまして、いま国にもお願いしてございますが、船舶建造融資として、融資ワクを三十億程度のものをお願いしてみたい。それで、できれば一昼夜でもって片道到達できるようなスピードアップをはかっていきたいというふうに考えております。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この点、行政局長どうですか。
  17. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 つけ加えるべきあまり大きなものもございませんですけれども観光の場合はやはり飛行機というのでなければ先の伸びがもう知れているような気がいたしております。いまの場合はとにかく金よりも大体時間でございまして、片道二昼夜もかかるような観光であれば、現在も行なわれておるようでございますが、夏休みの学生さんの団体ぐらいを船を一隻チャーターして持っていくというのが限度で、これであれば年間回転いたしませんから、地元受け入れ施設その他も、採算の面で非常に悪くて、いつまでもいかない。だから観光のためには、とにかく船のほうは期待するところが非常に少ないだろうと思います。ですが、観光以外の地元民生の安定その他に関しましては、いま東京都のおっしゃったごとく、できるだけ早く現在の船を高速化するようにいたすべく、三十七時間、二昼夜近いような時間がかかるようではそちらのほうにも不安がございますので、これにつきましては計画樹立のときに関係者とも真剣に相談をして対策を立てたいと思っております。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いま東京都でお話がありましたように、非常に苦労しているようでありますので、融資ワクの確保その他、これはやはり計画の中に盛り込んで、増便あるいは時間短縮というようなことにつきましては実行可能のような計画にしていただいて、これは空港と違いまして相当早い機会に、将来の五年計画のうちでも最初の期間にこれが実現できるような体制をとるべきだと思います。これも十分自治省中心となってめんどうを見るような体制をとっていただきたいことを強く要望しておきます。  それから次に、当時私ども見ました場合も、全くジャングル化いたしまして、一部、港の周辺が利用されておるという状況であったわけであります。その後、五年計画において自然保護地域あるいは農業地域等の区分をいたしまして、この計画に従って一島一集落といったような効率的な村づくりということにも努力をしておられるようでありますが、私は適当な措置だと思うのであります。それにいたしましても、いろいろ私どもの聞きますところによると、在来島民の法定賃借権といいますか、それから農地法が適用になっておりませんので旧小作人の特別賃借権の関係、あるいは所有権の関係——これは、公図をつくり、境界を画定するということはたいへんな苦労があったと思うのであります。まず土地の利用区分はきまりましたけれども、権利関係を早く明確にすることにつきまして、道路の開設等につきましても、計画があるが土地の所有関係が複雑であるために道路の開設が思うにまかせないといったような、あるいは住宅を建てるにいたしましても、公共施設を建設いたします際にも、基本的な土地問題が大きな隘路になるということで苦労なさっておられると思うのでありますが、過去五年間におきましてこういった権利関係というのはある程度まで解決をし、問題はもうなくなりつつあるのかどうか、この点をお聞かせ願います。
  19. 美濃広光

    美濃参考人 まず、主として在来島民といいますか、欧米系の島民が使用しております法定賃借権の関係でございますが、法定賃借権者の件数といいますか筆数といいますか、それが四十八件ございます。そのうち、敷地の全部が国有地であるものが十八件で、この十八件については完全に解決しているわけです。ただ国有地以外の民地の部分については問題がありますので、これはまだ継続して問題となっております。四十八件のうち、契約といいますか、賃借料というものを地主と協議してきめるわけですけれども、そういう契約が一応なされたものは三十件ということになっております。他は依然として問題を投げかけたままの状態ということになっております。  特別賃借権ですけれども、これにつきましては父島で申し出人が三十七名、母島で五十名であります。申し出人といいますのは、優先賃借権の申し出が法によって認められておりますので、耕作の目的をもって使用していた者が地主に届け出ることによって賃借権が確定する、こういうことが優先的に認められているわけですけれども、それにいたしましても、地主と協議をして、ととのわない限り特賃権者も耕作ができない、地主も耕作ができない。東京都の場合も公共用地として、両者の協議がととのわない限り、買うこともできない。こういった状況でございますが、解決しておりますのは、父島三十七件のうち三件、母島五十件のうち二件というふうに、複雑な問題が潜在しておりますので、この取り扱いが非常に難航いたしております。東京都といたしましてもこのあっせんには努力を傾けておりますけれども、所期の成果というものはなかなかあがってこないという実情にございます。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この特別賃借権の問題は、在来島民が帰島することであればいいわけですが、帰島しないことが明らかになれば——私は、長年住みついたところから二十何年も離れて別の生活を営んできた、しかし、いわゆる小作権というような権利がないにしても、その権利を無視するわけにはいかぬと思いますけれども、人間はいろいろ考え方があろうかと思いますので、小笠原復興なり振興が行なわれて、帰島者の生活も向上しあるいは観光地としても活用されるということになりますと、ああいういわゆる平たん地の少ない、居住できる区域というものがきわめて限定されておるというところは、地価の上昇ということは当然伴うのではないか。そういたしますと、権利はなかなか話し合いで解決つくような状態にならぬで、ますます複雑化するのではないか、かような感じがするわけであります。一方では権利を守ってやらなければならぬと同時に、小笠原村の将来を考えますと、いつまでも不当に権利の上に眠るという考え方については何らかの措置が必要になってくるんではないかと思いますけれども行政局長、この辺のかね合いというのはどういうふうにお考えになっておりますか。
  21. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 非常にむずかしい問題だと思います。それは小笠原について特にそういうシビアな問題が起きておるし、今後も起こってまいると思いますけれども、結局一般的な私権問題と公益の問題、言ってみれば永遠の論争の問題だと思いますが、現在のところはまだ確たる、将来の方向についてこうであるべきだというところまで詰めてもおりませんし、またそういった権利の上に眠る者があってどうしようもないという状態、にっちもさっちもいかないというか、きつい状態までにもなっておりませんが、今後の推移を見比べまして、必要によればそういう議論を詰めて何らかの措置が必要ではないか。先生の御示唆、まことにそれが必要な事態が来るのではないかということを予想もしております。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この点はきわめて微妙な問題でもありますし、特別賃借権という問題の処理は当然将来の問題として私は残るのではないか、そう思います。ことに、こういった権利というものがありますと、先ほど申しましたように小笠原諸島振興に伴い、また観光施設の充実というようなことに関連いたしまして、現在自然保護をしながら快適な小笠原諸島復興ということが基本になっておりますが、先ほどちょっとお話がありました乱開発の問題といいますか、本土では盛んに商社の買い占めが行なわれまして、私どものほうの岩手県などもだいぶ買い占められておるということでありますけれども小笠原ではまだそういったことはありませんか。白地の地域に特別賃借権だとか所有権の意識が強ければ強いほど値段はつり上がるわけでありますので、そうなりますと普通の者は買えないで、投機的な買い方になるわけでありますが、そういったいわば投機の対象としての買い占め、買いあさりという現象はまだ出ておりませんか。
  23. 美濃広光

    美濃参考人 空港がらみになっているわけです。潜在的には大手の不動産業者も入っておりますけれども、潜在化しておりまして、空港ができるのを待っているという状態じゃないかと思います。現実に入ることは入っております。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうなりますと、空港が先ほども申し上げましたように必要だということであれば、それはやはり何といってもそういった投機の対象にならないような、将来五年間のうちにある程度まで土地を国有化する、あるいは地方公共団体の所有にするという体制が私は必要になってくると思うんです。そういったことも計画の中に十分配慮すべきではないかと思いますが、行政局長、どうでしょう。
  25. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 ものによっては今日でももうおそいんじゃないかという現象もあるように聞いておるわけで……(山本(弥)委員「補助金の出し方が少ないんじゃないか」と呼ぶ)ですから復帰した当時も、あれはそういう土地の所有ということがおそらく将来非常にむずかしい問題になるだろうから、必要な部門について国が全部買い上げたらという議論も真剣にずいぶん議論されたのでございますけれども、財政負担その他の問題からしてまだ実現をしておりませんが、まさに空港ができる、観光地として大きく浮かび上がってくるという場合、御指摘のような現象はもう必至でございましょうと思います。なお事態の推移を見ながら、(「おそいよ、見ながらじゃ」と呼ぶ者あり)それに対しても関係者と十分協議をいたしたいと思っております。
  26. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういうことは早く手を打つべきなんですね。この点はおそいけれども、直ちに着手を願いたいと思います。  そこで、私は先般も考えた、五年前のときもあれなんですが、あのときは防衛庁や防衛施設庁の関係で優先確保し、あるいは使用権を設定したところがあるんですね、軍事基地として。そういった関係が相当必要以上に確保したと思うのであります。過去五年間あるいは将来において、そういった基地用地と公共施設整備あるいはこれに準ずる施設整備との関連において、基地を解放するというようなことがあったかどうか。あるいは将来土地問題がめんどうになってくる場合、基地の縮小と同時に、公共施設用地あるいはその他民間の必要な用地に分譲あるいは払い下げということになりましょうか。そういうことが可能であるかどうか。
  27. 生田友也

    生田参考人 返還の当時優先使用になりましたものにつきまして、防衛施設関係の三年ものの告示になりましたものでございますが、三年たちました現在、国、関東財務局のほうですか、と防衛施設庁のほうで暫定使用の契約をしておりまして、民有地につきましては個々に賃貸契約を結んでおります。これにつきましては、私たちが復興事業をする場合に、その土地が必要なる場合には、それぞれ具体的な計画を示しましてお話を申し上げますと、協力をしていただいております。その点については非常に協力していただいております。
  28. 山本弥之助

    山本(弥)委員 先ほど、土地問題でいろいろな問題があって、そして計画的な町づくりをする上において今後もガンになるというお話を聞いたわけでありますが、その場合に、帰島者がふえるために受け入れ体制整備するということになりますと、どうしても住宅の建設、これは自力建築というのはいまの状態では、この資材の高騰の際になかなかめんどうなことではなかろうか。希望者のための帰島を促進するということになれば、やはり第一番に住宅の問題、農地の確保の問題あるいは漁業者として生業のできるような問題等に関連するわけであります。そういたしますと、土地問題の解決がついてからということではおそきに失するので、ある程度まで基地との関係あるいは国有林との関係において、払い下げもしくは永久使用権といいますか、そういうものを小笠原村あるいは都において強く将来の計画に織り込むなり、あるいは関係方面に要請することによって土地の造成をはかっていく必要があるのではないか、かように考えるわけでありますが、その点、まず行政局長のほうから御答弁を願いたいと思うのであります。
  29. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘のような必要性、たいへんあると思っております。この五カ年の間の具体的なそういうことに関する折衝その他は、私まだ詳しくは承知しておりませんが、東京都のほうでも具体的な計画についてそれぞれの関係機関に要請する場合は、よく協力してもらっているという話を伺っておりますし、一般的な制度というよりも、個々の振興計画の具体化については、いままでそういう問題についてある程度話はスムーズにまとまって、おそらく大きな支障はないのではないかと思います。これから計画にさらに一そう腰を入れまして、いろいろな公共施設整備が必要となってまいります場合、いままでのような個別の話でいいのか、もう少し一般的な制度といいますか、方針としてそういうことをきめる必要があるかどうかについて、さらに検討をさせていただきたいと思います。
  30. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この点も、将来の計画を作成いたします際に、審議会もあることだし、あるいは関係各省との協議もあろうかと思うのでありますが、小笠原村の振興あるいは復興のために必要な場合には、公共用地その他の確保の際には、自衛隊の基地、用地の解放、あるいは自然環境の破壊をしない程度において国有林の解放ということについて、やはり計画の中に当然織り込んでいくべきではないか。単に都営住宅の建設というばかりじゃなくて、ジャングルを切り開くわけでありますので、土地の造成ということが非常に重要な要素になってまいりますので、この事前の土地問題の解決をはかりながら、土地造成ということも当然十分計画の中に論議を尽くして、計画が実行しやすいような体制をつくることに国としても十分配慮すべきであるというふうに考えますが、それは相当強く努力願えますか、自治省は。
  31. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 復興特別措置法について、ほかの法律の例外規定とか、より一そう強い規定を設けるということも、それは一つの案かも存じませんけれども計画計画として、どれどれの事業をどれだけやるというようなことをまず総体をきめまして、そして年度ごとにきめてまいります。その場合に、都市計画法とかあるいは国有林野の払い下げに関するいろいろなきまりその他によって処置できる範囲のものも十分あるのではないか。それによって実際の運用上障害が考えられないとすれば、それ以上の強い措置というのは別に法的に考える必要はない問題じゃないかと思います。  土地の問題、非常にむずかしいといいましても、あそこは、非常に土地が狭くて事業に対して入手せられる土地が限定しているというような議論ではむしろなくて、逆に、その権利者が現地におらないとか、非常に離れたところにおる、しかも将来の値上がりを当て込んでという、そういう問題でむずかしさがむしろ多いわけでございますので、特に計画を推進する上において必要なことといえばもちろん計画の中では十分考えますけれども、さらにそれを法的な手続の特例としてまで必要かどうかということは、さらに検討を要する問題ではないかと思います。
  32. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この点につきまして、土地の利用ということがいろいろな施設を進めていく、復興事業を推進していく基本になるものですから、すでに確保しております基地の関係あるいは国有林との関連において、宅地の造成その他の問題に  ついて、民有地の活用と同様に十分配慮していくべきであるというふうに私は考えておりますので、この点は国としても努力すべきであるということを強く要請申し上げておきます。  次に、生活環境整備の問題は先ほどもお聞きしたわけでありますが、これは何といっても帰島する場合の重要な条件でありますので、東京都で相当力を入れておるという感じを受けます。ことに電力、水の問題あるいは住宅の建設の問題、さらにはごみ処理だとかあるいは汚水の処理といった問題は、過去五年間の百三十三億の一応の予算の中でそういった生活基盤整備につきまして一〇〇%以上の実施をしておるということについては私は敬意を表するわけでありまして、問題はないのではないか。ただ、先ほど、観光客のふえるに伴いまして、水、電力の問題といったことに配慮しなければならない、将来さらに拡張しなければならぬというお話も承ったわけでありますが、今後ともおそらくその点に力を入れていかれると思うのであります。  それにいたしましても、これは多年地方自治体にとりまして問題になっております、いわゆる計画はできたけれども、実施をいたしますときには年々物価が上昇する、建設資材が上昇するということで、私ども毎年のように補助金の超過負担については論議をし、強く要請をしてまいっておるわけであります。四十九年度の予算で、教育施設住宅施設補助金のアップを四五%やったとか五〇%やったとかいいましても、現にこの前三谷委員から大阪近郊の物価の上昇、建設資材の上昇の例示をされたわけであります。私どもの中都市におきましても、小学校、中学校を建てるのに、大阪近辺と同じように平米十万もするというような値上がりをしておるわけでありまして、来年度、はたして平米十万で建設できるかどうか、地方公共団体が非常に心配しておるという状況であるわけであります。補助金のかさ上げがあるわけでありますが、超過負担が出れば計画東京都の持ち出しになることは当然なわけであります。聞くところによりますと、単独事業で相当おやりになっておる。十七億からの単独事業生活環境整備については努力をしておられるようであります。そのほかに、その中に含まれるのかどうか、十億近い超過負担があるというふうに聞いておるのですが、これは、室長さん、ほんとうでございますか。
  33. 美濃広光

    美濃参考人 ほんとうですかと言われますと、ちょっと地方公共団体として申し上げにくくなるのですが、住宅、特に建築関係、こういったものの物騰が激しいということと、工事材料に限らず、それに伴って賃金の上昇も小笠原のほうでは非常に著しいものがございまして、十億程度の超過負担ということになりますか、そういうことはございます。
  34. 山本弥之助

    山本(弥)委員 室長さんは遠慮しておられるようですが、十割とか九割とかいう補助金をしましても、この超過負担に対する配慮がなければこれは補助金のかさ上げというのは意味をなさぬのです。行政局長は財政局長じゃないので逃げられるかもしらぬが、これは非常に大きな責任問題なんですね。東京都は財政力があるからまかしておけばいいんだというわけにはいかぬと思うのです。本土においてすら超過負担に悩まされておるわけです。これは都市の大小を問わず困っておるわけなんです。こういった補助金のかさ上げをして復興をやるということは、それだけ国の責任を感じてやっておるわけですね。何も小笠原島民のため、小笠原復興のためにということだけではなくて、人口が将来三千人ぐらいの村であっても、東京都には離島もたくさんあると思うのですが特に小笠原重点を置いてやらなければならぬということは、小笠原戦時中に置かれた地位、それらの配慮、国の責任ということがあるわけですね。それから言いますと、やはり国の責任を果たすという意味でも、私は、補助金のかさ上げをしても、補助率の関係からいって当然超過負担の解消ということには十分の配慮をすべきである、こう考えるわけであります。次の計画ではそういう超過負担が出ないように毎年度適切な配慮を十分して、経費の流用をやるとか運用の弾力性によりまして、計画事業がかりに全部必要であっても、特に必要な事業あるいは実施可能な事業については他の費用を流用し、超過負担の出ないような措置を講ずべきである、かように私は考えますが、いかがでしょう。
  35. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 かねがね、ああいう特別な地域でございますので、超過負担問題は、いま全国的な問題にはなっておりますけれども、それ以上にあそこの特殊な地域の情勢を反映して、私のほうも財政局といわず行政局でも一生懸命努力をしております。今後についてしも同じような配慮を払って、全国的な超過負担の問題の解消とは別に、小笠原について特別にそういう配慮をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  36. 山本弥之助

    山本(弥)委員 次に、産業の問題につきましてお尋ねしたいと思うのであります。  ジャングルを開墾してやっておられると思うのでありますが、私ども行きましたときには、試験地でまず病害虫の駆除だとか、あるいは適作、あるいは過去の経験を生かしての試験もやり研究もやるという体制をとっておったわけです。現在、農業はどのぐらいあそこでおやりになっておるか、あるいは将来の見通しにつきまして、農業地も指定されておることだし、その農業地における営農が若い者にとって魅力のある農業として育っていくのかどうか。これは島ですから、当然ある程度まで野菜その他の自給をやらなければならぬでしょうけれども、できれば、温暖といいますか、ああいう気候でありますので、適作物は逆にこちらのほうに輸出して、多少とも島民のふところをよくするというふうな方策もあろうかと思うのであります。そういう見通しについてお伺いをしたいと思います。
  37. 美濃広光

    美濃参考人 現在、農家数は三十八戸、九十五人でございます。圃場面積が四十・〇三ヘクタールございます。小笠原農業協同組合が四十七年の四月に設置されました。先ほど、所得も逐年着実に向上しているというふうに申し上げましたけれども、四十七年度中の出荷金額は千三百七十八万円でございまして、四十八年度は五千万円を見込んでおります。  それで、生産物ですが、カボチャだとかスイカだとかメロン、そういう蔬菜、果実類ですけれども、特に季節差のあるスイカ、冬に現地でスイカをつくって東京のほうへ送り込む、そういう季節差のあるスイカなどが非常に効果的のようでございます。  今後の見通しですけれども、一そう圃場面積を拡張しなければいけないということと、それから農業用かんがい用水ですか、これを考えなくてはいけないという問題があります。特にかんがい用水については配慮をする必要があると存じます。
  38. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういったスイカとかカボチャとかいうようなものを中心にしまして、場合によってはあちらのほうの農家収入が私どものほうの県よりも相当上がるような態勢にあるということは、非常に明るい希望が持てるのではないか、若い青年が向こうでの営農に希望を持って帰島するという者も出てくるのじゃないかという感じを受けたわけでありますが、今後とも都の指導によりまして、せっかく、農業用地として確保し、自然保護をはかりながら、小笠原村の自給体制にまでこぎつけようという計画を極力推進願いたいと思います。  漁業問題ですけれども、私が行きましたときに漁業協同組合ができて、農民の数よりも漁業協同組合の組合員が多くて、漁船も相当整備して、希望が持てるのではないか、あるいは水産物の加工その他に発展しまして、一次産業と二次産業との関連において漁業基地としての役割りも果たすのではないかというふうに見てまいったのですが、当時においても何となく、漁業組合の責任者に聞きますと、もう一つ意気が上がらないという印象を受けたのです。五年たった今日、漁業はどうなっておりましょうか。
  39. 美濃広光

    美濃参考人 まず、水揚げ高から申し上げますと、四十七年度で六千二百万でありましたものが、四十八年度では六千六百万を見込んでおりますので、先生がおっしゃったようにそう目ざましい伸展ということはございません。  どこに問題があるかということですけれども現地の事情を聞きますと、小型漁船ばかりで、大型漁船があれば水揚げ高は上がってくるんだというふうなことを申しております。それと、やはり水産加工ということを当然問題として取り上げなくてはならないということで、ただいま東京都のほうで伊豆諸島の島と提携をして、要するにくさやでございますけれども、これについて技術の導入をはかってまいりたいというふうに考えております。
  40. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は漁業としても有望じゃないかと思っております。観光客のふえるのに対応いたしまして、何も船で本土の魚を運ぶ必要はありませんので、地元の魚類で間に合わせる、あるいはそれに特色を持たせるという意味で、農業と同じように漁業をある程度まで振興させる。そして、漁民はいつも積極的で、どこへでも出かけるという気性があるわけでありますから、あそこが漁業基地としての役割りも果たしながら生活の安定をはかるように、きょうは農林省のほうの水産庁からは来てもらっておりませんけれども東京都としても十分配慮を願いたいと考えております。  一応時間の関係で私のお聞きしたいことはあれですが、当初私どもも、父島母島と関連いたしまして硫黄島の問題、これを復興計画に入れるべきではないかというふうに感じたのでありますが、遺骨の収集も進捗していない、不発弾処理も完了してはいない、最近は地震によりまして島が隆起するというような非常に不安な要素も出ておるわけでありまして、私はいまの考えでは、復興にしろ振興にしろ父島母島重点を置きながら、硫黄島はそういった国の措置によりまして、国の責任において遺骨の収集あるいは不発弾処理ということを早期に完了させるという政策、考え方のほうがいいんじゃないかというふうな感じがします。ただ、かつて硫黄島に居住をしておった島民の帰島ということですね。帰島の希望といいますか、そういうことにも関連すると思いますが、どのぐらいの希望者があるかということと、都としては硫黄島に対して、私がいま申し上げたような考え方でいいものかどうか、どういう変わった考え方がおありなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  41. 美濃広光

    美濃参考人 硫黄島への旧島民の帰島希望者は、十七世帯五十五名でございます。  それで、都としての硫黄島に対しての考え方ですけれども、やはり突破口となりますのは不発弾処理と遺骨の収集、それから島全体に張りめぐらされております地下壕を処理しない限りはその上に何の構築物もできないのではないかというようなこともございますが、どうしても最初は不発弾処理、それから遺骨の収集ということを国のほうでしていただきたいというふうに思います。開発の問題はそれから取り組むというようなことになろうかと思います。
  42. 山本弥之助

    山本(弥)委員 行政局長にお尋ねいたしますが、東京都の意向と私の考え方は大体一致しているようでありますが、今後の復興計画を樹立する際のお考えはいかがでございましょうか。
  43. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私のほうもその点では東京都と全く同じ考えを持っております。ただ、これは精を出して一生懸命やっても、たとえば三年、四年で全部きれいになるというところの問題ではない、たいへんな困難性を控えております。現在、遺骨の収集は厚生省でやっていただいておりまして、もう五年以上たっておるのですが、現在四千柱余り収集しておりますけれども、現実にあそこで戦死された方々は二万をこえるという状態。それから、いま地下壕が、米軍が占領したあとで、危険だもんで全部ふさがってしまっておるわけです。その発見されたところの中はみんなきれいにしていただいておりますけれども、あとの地下壕の入り口を発見することがまずたいへんだということ。それから不発弾も、あそこは一平米当たり何トンというようなたいへんな鉄がぶち込まれたところでございますので、この不発弾処理見通しは、その方面の技術者に聞きますと、一日三個班を、一班が三名ないし七名の人で探査機を一台持って投入してもあと九年かかる、こういうようなことが出ております。しかもそれに加えまして、最近硫黄島の近辺で新しい火山が噴火したとか、硫黄島自体が年じゅう隆起、陥没を繰り返しておりまして、港一つつくっても来年になれば沈んでしまうというように、先の見通しが非常に暗いわけでございます。  そこで、先ほどの東京都のお話にございましたように、帰りたいという方がおられまして、これはたいへんまた御熱心でございまして、去年あたりも私のほうにも御陳情に見え、こういう不発弾もあり、かつ火山活動で危険なところに国の責任でお帰しするわけにはいかぬと申しましても、いやもう戦前からそんな隆起、陥没はあたりまえだったというようなお話もありまして、この方々のお気持ちを考えますと何とかとは思いますけれども、確かに先々この不発弾、遺骨だけでもたいへんに時間がかかるということを憂慮しておる次第でございます。
  44. 山本弥之助

    山本(弥)委員 全く私どもと同じ考えなわけでありますが、この問題を計画の中に織り込んで東京都もある程度まで分担するということは酷な感じがしますので、遺骨収集あるいは不発弾処理といった問題は、ある程度まで東京都に協力を求めるにしても、やはり国の責任で、計画のワク外で推進すべきであると私は考えます。その点も計画策定のときに十分配慮願いたいと考えております。  次に、暫定措置法小笠原村はできましたけれども、いわば自治体としての組織機能というものは持っていないのですね。いまだに東京都の支庁長が村長職務代理ですか、職員も支庁の職員が全部仕事をしておる。議会もできてはいない。五人の、あれは審議会といいましたかな、審議会で相談をしているという状況であります。しかし、小笠原村で将来三千人、観光客その他あるいは臨時の居住者等合わせれば五千人ぐらいにしようということですと、やはり自治体の機能のことについて配慮すべきではないかと思うのでありますが、現況から考え島民意向はどういう状況でありますか。
  45. 美濃広光

    美濃参考人 まず、現地島民からは、積極的に自治組織をつくって、みずからの手で自治を行なっていこうという考えはあまり表面に出てまいっておりません。といいますのは、やはり現地の人は現地の事情を知っておりまして、完全な自治体をつくる場合に、それ相当の財政力がない限りは運営していくことは不可能でございます。現在の状況からいきますと、その機の熟するときというのはいつのことか私も全くわかりませんけれども、ある程度財政力のついた時期ということはいえると思います。現状では国なりあるいは都なりの財政援助、財政補完というものを文字どおり大幅に受けない限りはやっていけないという実態がございます。
  46. 山本弥之助

    山本(弥)委員 後期五カ年計画が経過するころには、やはり公選の村長さんを置き、議会を置くという考え方で進んでおられますか。これは行政局長にお聞きします。
  47. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 大体その辺がめどではないかと考えております。地方自治の理念から考えれば一日も早くと思いますけれども、現在は非常に流動性が多うございますし、むしろこちらから行ったいわゆる役人が過半数を占めるという状態では、まだ共同社会の形成の条件に当てはまったともいえない。後期五カ年計画が終わるころにはいろいろな意味で、帰島される方もほとんど希望の方は帰島されて安定されると思いますし、そのころがめどではないかと現在は考えております。
  48. 山本弥之助

    山本(弥)委員 小笠原村につきましての最後のお尋ねは、私どうも、過去五年間の経験からいいまして、今回十年に延ばして五年あるわけでありますが、村としての組織もできてないという現況からいいまして、終戦処理延長がこの将来の五年間だという感じを受けるわけです。それで、ほんとうに正規の村長を置き、議会を置いて、小笠原村が村としての機能を発揮しながら将来の振興をはかるというのはそれ以後になるのではないかという感じがするわけであります。そういたしますと、五年後のことを言うのはどうかと思いますが、とにかく終戦処理をさらに継続して五年やる、その後に初めて公選の村長を置き、議会を設けて、島民の自治意識のもとに小笠原村の将来の発展をはかっていくというためには、他の特別措置法の地域より以上に、人口は少ないわけでありますが、特別措置を必要とする地域ではなかろうかというふうに思うのです。五年後にはやはり奄美と同じように振興計画とかあるいは振興開発計画というようなことで、これは当然特別措置法のもとに振興をはかっていくというお考えでなかろうかと思いますが、行政局長、いかがですか。
  49. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 純粋の終戦処理という意味では、先ほどの不発弾とかあるいは遺骨の収集、これはまさに終戦処理でございまして、硫黄島についてはこの五年でもどうかという心もとない気持ちがしておりますが、小笠原自体につきましては、先ほどお話の出ました土地関係、権利関係の確定、こういうものはある意味では終戦処理であろうと思います。これはできるだけすみやかに片づけたい。そのほかには、民生の安定、振興に関する事業は、五年間もうやってまいりましたが、さらにこの五年間でできるだけ集中的に、自立できるような体制に持っていきたいという意気込みでこれには取り組んでおります。  しかし、先の見通しと申せば、五年たった場合、小笠原よりもある意味では非常に恵まれたといいますか、力のある奄美でさえ二十年間やりましてなお足らない、さらにこの上延長をお願いしているような事態でございます。小笠原についても、あと五年たった時点でどうかといえば、おそらくそれでもう力をかす必要はないという状態までいくのはたいへんむずかしかろう。おっしゃるような、五年たって、さらに一そうの振興というのをはかるような措置考えられるという可能性が非常に強いように私も思っております。
  50. 山本弥之助

    山本(弥)委員 あと、もう少しの時間をあれいたしまして、奄美についてお尋ねしたいと思います。  奄美につきましては、これは二十年特別措置法でやってまいりましたが、まだ不十分であることは私も率直に認めます。何とか五年間のうちに奄美群島がりっぱに発展をするという体制を、国、県の力で実行していただきたいと思うのです。  それにいたしましても、これは二十年たっておるわけでありまして、今度の計画は、何か従来の補助金のかさ上げをして産業基盤整備をする、あるいは道路その他の生活基盤整備をするという、所得格差の是正ということをねらいながら公共施設整備をはかるという惰性ではなくて、何か奄美はこれだというようなことが必要だと思うのです。それにしては、行政局長の補足説明にありました、一点から三点まであげて、「明るく住みよい地域社会を建設」「亜熱帯の自然的特性を生かした産業振興」「亜熱帯の海洋性の美しい自然と特色ある文化を生かし、海洋性レクリエーション地帯の形成を促進」、抽象的ですがこの三つをあげられたのです。これはだれでも考えられることだと思うのですが、どこに重点を置いてこれをやっていくかという問題だろうと思うのですね。  奄美の青少年が、惰性で女子は大島つむぎをやる、男子はサトウキビを耕作するということ以上に、何か意欲的にやらなければならぬという感じがするのですが、そのためには、やはりだれでも考えることですけれども、この第三点の「海洋性の美しい自然と特色ある文化を生かし、海洋性レクリエーション地帯の形成を促進」ということを大きく取り上げた機会に、俗にいえば観光行政ですね、これに何か筋金を入れられるのかどうかですね。たとえば、国定公園に指定されておる、私ども見に行きませんでしたが、古仁屋湾一帯、これを全国的な——何かいろいろ各省でありますね、青年の家だとか、あるいは中小企業の雇用者のためのあれだとか、国民宿舎だとか、各省競ってレクリエーションに対応する設備を、国民休暇村というようにやっておられますね。それを何か特色のある古仁屋湾一帯の国定公園の中心施設として、そこが島民の青少年の生きがいも感ずるような、いわゆる研修の場になり、レクリエーションの場になり、あるいは静養の場になり、それが全国的な施設の基地にもなるということでそれにあわせていく。  たとえば、あそこにこの前行ってごちそうになりましたが、鶏飯ということであれば鶏も卵も鹿児島県から持ってこなければだめだ、自給率はせいぜい二割とか三割とかというようなことではおかしいので、地元でそういうものをそういったことにあわせて、サトウキビ以外に、あれだけの亜熱帯性の気候のところですからそういったものをある程度まで自給をして、高いものを買わなくていい、島民生活も安く生活用品は供給できる、そういうような体制で自給体制を農業ではとっていく。漁業でも同じことですね、ほかから魚を入れないで、あそこでとれる魚をふやしていく。一本釣りだから漁業はなかなか振興しないのだということじゃなくて、それもあわせていくというようなことで、何か一本中心を国として持ち込んで、だらだらと振興計画の補助金のかさ上げじゃなくて、飛躍的に何か転換するような施設中心に、青年も永住する、農業にも精励する、漁業振興をはかるというような体制をこの際とらないと、五年やっても格差は解消されないという事態に追い込まれるのではなかろうか、こういう感じがするのです。  これは、何か今度の計画策定の場合には鹿児島県もいろいろ考えておるでしょうが、鹿児島県としてはやはり離島を持っておる、奄美にばかり力を注ぐわけにはいかぬし、鹿児島県全体の均衡をはからなければならぬというふうな考え方に立つ場合もなきにしもあらずだと私は思うのですが、しかし奄美復興については、これも過去の経緯、戦争の遺物がつきまとっておるわけであります。そういうことをひとつ考えるべきじゃないかと思います。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  ことに、私ども小川委員の言った、国鉄が本土からはない。あの辺は飛行機と海運だということであれば、いわゆる国鉄にかわるべき海運として鹿児島−奄美−沖繩を結ぶとか、そういったことで観光行政も助長するのだというような、国としてもこれだというようなことをやらないと、奄美の「振興開発」ということばを挿入したわけですが、なかなかそこまでいかぬのではないかと思いますが、その点をお聞かせ願いたいと思います。これは大臣がいませんので、林行政局長のお考えを承ったあと、政務次官は沖繩などへも何回も行っておられるので、その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。大臣のかわりにひとつ抱負を聞かせていただきたい。
  51. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私の補足説明をお引きになりましたが、その補足説明は、現在、後期振興開発計画を県が鋭意策定中でございまして、その策定の過程においてどんなことを柱にするかというようなことをまた聞きして御説明を申し上げたわけであります。したがって、その中身につきましては、県が考え、私がお答え申し上げようと思ったことを先生みなそこでおっしゃっていただいてしまいましたので、全く同感と申し上げる以外に申し上げようがないわけでございますけれども、基本的には、サトウキビとつむぎというあそこの基幹産業、これは手を抜くわけにはまいりませんので、それ自体の振興というのは相変わらず力を入れてまいらなければならない。しかしこれは、サトウキビにしましても、砂糖の価格の問題、現在キューバ糖よりも二倍ぐらいの価格で買い上げておりましても、なお農民の手元に残る所得は非常に少ないという先行きの非常な困難性を持っておりますし、それからつむぎと申しましても、われわれが着るぶんにはとても私も女房に買ってやれないぐらいの高いものになりますが、現実には生産性が決して高いものではなくて、農家の若い方が朝から夜の十時過ぎまでやっていて、手元に残る労賃はこれも決してほかのものに比べて高いわけではない。この二つにたよっておった日には、とても奄美はこれ以上の所得水準の向上、本土との格差是正をはかれないということはまさに御指摘のとおりでございます。  そこで、これらを基本的にはかりながらも、新しい道として、まさに先生のおっしゃいました観光、これは確かに、これから飛行場の整備なり航路の整備によって、将来相当広い期待が持てる分野ではないか。  もう一つは、その観光にも関連いたしますが、現在奄美の物価が高いのは、ほとんど本土から持ってこなければならないもののための運賃によるハンディである。これを克服するために、観光客の待遇まで含めまして、現地で消費する生活関連物資をできるだけ自給自足させたいという意味での比較的小さい第三次産業なり、あるいは農業にいたしましても、野菜とか鶏とかいうものの振興をはかる。  まさに先生おっしゃいましたとおりのことをおそらく県でも計画の中に強力に盛り込んでまいると思いますし、私も「開発」という字を入れました以上、もちろん従来の公共施設整備について力を抜くわけではございませんけれども、そちらの新しいほうも従来に比べてうんと積極的に進めてまいりたい、こう感じておる次第でございます。
  52. 古屋亨

    ○古屋政府委員 山本先生から私に御指名でございますので……。  私も先生と一緒に奄美に行ったことがございまして、沖繩と比べまして何とさみしい状況であるかということを痛感し、また私どもの責任を感じておるわけであります。地域の産業の現状等につきましては行政局長から申し上げたところでありますが、私もいまの先生お話を伺いまして、やはり、これは地元の青少年がほかに行かないためにも、また全国の青少年が奄美にぜひ行ってみたいということで、青少年の健全な育成をはかるという見地から、たとえば文部省と相談いたしまして、いろいろ条件がございますが、青年の家とかそういうものを持っていくことも一つの方法であると思いますし、それには何といっても輸送関係の隘路というものを改善しなければならぬ。お話しのように、地元消費の魚をよそから持ってこなければならぬ、卵もよそから持ってこなければならぬじゃどうにもなりませんので、そういうような第一次産業につきましてもなお振興すべきものは振興すると同時に、隘路になっている輸送関係を、いまのお話しのように鹿児島−奄美−沖繩というようなのをもっと抜本的に改善いたしまして、同時に、そういうように各地から奄美の魅力というものを感じて集まってまいりますれば、当然航路等もふやす。いまのようでは御承知のように非常に不便な輸送状況でございますので、そういうものを改善いたしまして、とにかく若い方々に魅力のある奄美にしてまいりたい。実は私、先生らと御一緒に参りましたときに、若い女性が二人飛行機に鹿児島から乗っておりまして、話を聞いてみましたら海水浴に行くのだということで、これは全日空か何かの職員でしたから飛行機はただだったので行ったかと思いますが、非常にきれいな海で、それを期待して行ったようでございます。こういうような健全な国民感情というものがほんとうに奄美で満たされるというような方向に、私どもも今後全力をあげて進めてまいりたいと思いますので、ぜひよろしく御支援をお願いしたいと思います。
  53. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 美濃生田、両参考人には、本案審査のため貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  この際、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後三時三十三分開議
  54. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。小濱新次君。
  55. 小濱新次

    ○小濱委員 最後になりましたので、かいつまんで基本的な問題を、主として自治大臣並びに関係各省の方々にお伺いをしていきたいと思います。  まず、何回か奄美群島、前に小笠原、いまも国会から派遣をされまして見てまいりました。いろいろと感ずるところはたくさんございましたが、今回の法案奄美群島振興開発特別措置法という、「開発」という題名を挿入されたわけでありますが、したがいましてこれは真剣に取り組む姿勢を示したものと私は理解をいたしております。そういうわけで、現在まで奄美群島に対しましては六百数十億投入してきたわけでございますが、大臣のお考えの中にも、小笠原諸島ともども、この振興策のおくれというものをお認めになっておられますが、このおくれの原因はどこに、また何にあったのであろうか。私どもはこういうふうに考えて、今回の視察は主としてこういう問題を見てまいったわけであります。  そこで、大臣にまずお伺いをしておきたいことは、奄美群島振興対策には、今後その重点的な施設としては何を目玉とされるのか、いろいろこまかい問題はございまするけれども、基本的なお考えをまず大臣からお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  56. 町村金五

    ○町村国務大臣 実は私は、この法案を提出する責任を持ちながら、まことに申しわけないのでございますけれどもまだ奄美群島には足を入れたことがございません。したがって、小濱議員のように、承りますればたびたびお出ましをいただいたという方に対しましては、たいへんどうもお答えがいたしにくいという感じがいたしておるのでございますが、一体なぜ奄美群島というものは本土に比べてみて非常にいろいろな点がおくれておるのであろうか、これは実は私は私なりに考えておるのでございますけれども、やはり奄美群島が長い間占領軍の占領治下にあったということで非常に荒廃したということもいわれておるのであります。しかし私の見るところでは、奄美群島というものはやはり戦争の前からかなりおくれていたんではないであろうか。にわかに占領でもっておくれてしまったということではないのではないか。それが多少拍車をかけるということにはなったかもしれないと思うのでございますけれども、やはりあの外海の離島であり、しかも適当な産業がなかなか育たなかった、どうも奄美のサトウキビと大島つむぎ以外にはなかなか有力な産業が育たなかったというようなことも大きな理由の一つになっておるのではないであろうか。  したがって、外海の離島であるというこの弱点をどうやって補っていくかということがやはり非常に大事なことでございまして、今度の開発振興計画の中でも、特に本土との間の交通関係というものを現在以上に整備をしていくことがまずもって非常に大事なことではないか。あるいは、私もまだ拝見はいたしておりませんけれども、港の問題などもあるでございましょう。あるいは島内の交通路の問題もございましょう。あるいは空港というようなものもあるわけでございましょう。いずれにいたしましても、そういった基本的な地域開発の要件というものをまずもって進めてまいることが何と申しましても非常に必要なことではないか。  さらに、いままであの地域というものは、先ほども申し上げましたが、大島つむぎとサトウキビのほかには見るべきものがない。しかもその大島つむぎも、またサトウキビも、なかなか前途にいろいろなむずかしい問題もかかえておるというようなことを聞くにつけましても、ああいった、わりあいに亜熱帯のところで、かなり温暖な地域にあるわけでございますから、そういった特性を生かした産業というものがあるはずだ。承るところによりますと、あれだけのよい地域でありながら、しかも魚族はその近くにたくさんおるにかかわらず、漁業というものが実はたいへんおくれておる。なぜ一体漁業というものが振興しないのであろうかというようなことを考えてみますと、いままでも鹿児島県当局なりあるいは地域の方の中には、いま私が申し上げましたような漁業の問題などについてはかなり真剣に考えられて努力をせられた先人があったに違いないと思うのです。にもかかわらずそれが今日一つも発展をしていない。それにはやはりそれだけの理由というものがどこかに伏在しておるように私は考えられてならないのであります。いま私どもも口では簡単に、ひとつこれから大いに産業を興すんだというふうなことを言ってはおりますけれども産業というものはそう簡単に、一朝一夕にして発展をすることができないものであるということを考えてみますと、奄美群島のほんとうに内容の充実した発展をはかるということは、私はこれはなかなか容易なことではないというように率直に考えます。  そこで、今度の、こういった振興法というものを振興開発法というものに改めることにいたしましたゆえんのものも、地域の方々のそういった熱意に応じて、政府としてもできるだけこの振興開発に手をかしていくべきだ、これはあらゆる点からそういうことをやるべきだという思いが実はしているわけです。まずこの法律案の名前を改めていこうというところにも、そういった地元の意気込み並びに私ども政府関係の者の考え意味がある、こう私ども考えておるわけでございます。
  57. 小濱新次

    ○小濱委員 人口の大幅減少という過疎地域になっております。お話にございましたように、行政が分離をされて、長い間占領下に置かれて、たいへん不自由を耐え忍んできた群島の方々であります。今日の生活水準というものの格差も、これは比べてみましたけれども、あまりにも大きくなっております。こういうわけで、特に物価問題の解決というのは群島民の最大の課題となっているわけです。こういう点で特に奄美群島は——審議関係奄美だけを前提にいたしますけれども、いままでのいきさつからも、心あたたかい、思いやりの深い行政というものを行なってあげなければならない、国にその責任がある、こういうふうに考えているわけです。  そういう点で、これから今回の振興策を通して、住民が安心して地元生活のできるような、安穏に余生を送っていくことのできるような体制をどうつくってあげられるか、そういうことで私ども、ともどもに悩んでおるわけでございますが、こまかい問題は別にいたしまして、ただいま大臣から御答弁がございましたように、これは交通基盤の整備ということがやはり施設関係では第一である。それには港湾あり、道路があり、あるいはまた空港、こういう地域開発というものの要件が当然出てこなければならない、こういうお話でございましたけれども、私も同感でございます。  そこで、この三つの問題について主としてこれからお尋ねをしていきたい、こう思うわけですが、この構想あるいはまたその中身、具体的にこれからの進め方をお伺いしたいわけでございますけれども、これはどなたからお答えいただけるでしょうか。
  58. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先日から御説明いたしておるとおり、今回この法案の名称を改めまして、新しい構想をもってさらに五カ年計画を作成してまいるわけでございますけれども、この五カ年計画は、現在県で、この法律の通ることを前提とし、予想いたしまして、関係者とともにこもごも協議をし構想を練っている段階でございます。したがって、この構想の細部につきましては現在まだ申し上げられる段階にございませんし、また今度の法案の体系といたしまして、いままでのように一括計上、一括施行、五年分を事業費まですっかり確定してしまうという形はとらないで、経済成長にも合わせて、その年その年の予算において次の年度の事業を確定していくという立場にございますから、県の基本計画ができました段階でも従来とはやや違いまして、基本的な構想というものを格調高く盛り込むということが主体になると存じます。  そこで、先日補足説明で申し上げたのは、現在県でいろいろ構想を練っている、その構想を練っているところの一つの傾向というものを伺いまして、それを補足説明に取り上げたわけでございますけれども、要約して三点ございまして、第一点の「明るく住みよい地域社会の建設」この中に交通体系の整備その他生活基盤の充実をうたい込むつもりでございます。申すまでもなく、あれだけの離れた離島において、交通体系の整備ということは何ものにも増して先決条件と申しますか、最も力を入れなければならない問題でございますので、港湾設備、空港設備、さらに島内の道路、これにはやはり従前と同じく今後とも重点を注いでまいりたいということでございます。  それから第二点は、そのことばでは地域の「特性を生かした産業振興」ということをうたっております。これは、いままでの主産業であるサトウキビ、それからつむぎ、これらに加えまして、亜熱帯の花卉、花木、野菜等も組み合わした営農体系をつくっていきたい。これは農林省の専門家とよく打ち合わせをいたしまして、地元の御要望その他も入れてこの産業振興をはかってまいる。先ほど大臣の説明にもございましたように、つむぎ及びサトウキビは従来から主産業でございますけれども、これ自体だけではとても所得格差、生活水準の格差を埋めるには至りません。したがって、新しい産業の誘導、振興ということも必要でございます。その大きな望みが持てるものの一つは観光産業でございます。もう一つは、これはいろいろ困難な問題もあるかもしれませんが、地理的な有利な条件を生かした漁業ということも大いに伸ばしていく余地があるのではなかろうか。  第三点は、自然を基調とする「海洋レクリエーション地帯の形成」いまのとちょっとダブリますけれども、あれだけの美しい自然を控え、今日だいぶ観光客がふえてまいりました。なお受け入れる設備を整えることによって、いまの五倍、十倍の観光収入というのも十分にはかる余地があると思います。この辺に力を注いでまいりたい。  現在県で着々検討中でございますが、その中身もいま言ったような三つの柱を中心に定められていくものと推測しておりますし、またそれが今後の奄美振興開発そういう方向で寄与することが最も効果的ではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもが二十三日に奄美群島に着きましたその夜のニュースの時間で、鹿児島県の四十九年度の財政計画を発表しておられました。たしか千八百億少しであった、こう思いましたけれども、非常に持ち出しが多いので何かと国の援助を特にお願いをしたい、そういう県のほうからの要望もございました。そういうわけで、非常におくれている問題はたくさんございますけれども、財政的な面で非常に困惑をしているところに大きな原因があるというふうに私は見てまいりました。  そこで、道路について整備状況を少し調べてみたわけですけれども、県道においてその舗装率二八%、市町村道では〇・三%少しでございました。こういう副知事からの説明もございましたけれども本土の水準から非常に下回っている、どこの県に比べても一番低いのではないか、こういうふうにも聞いてまいりました。御存じのように、あそこには一本主要地方道が名瀬港から瀬戸内町の古仁屋まで九十一キロぐらい通っておる。この道路も走ってみましたけれども、非常に舗装が悪いし、整備が悪いということで、これが国道に準ずる主要地方道であろうかなというふうにつくづく感じた次第でございました。  こういう点で、四十九年度の建設省の主要地方道の見込み額というのをいろいろ私のほうでも調べてみたのですが、間違っていたら訂正をしていただきたいと思いますが、四十九年度四億八千五百万円、四十八年度分と比較すると増額三千三百万円で七%の伸び率、前向きに開発するという精神からは何か少ないようにも思います。何か理由があるのであろうかなと思いますけれども、「開発」を特に題名の中に挿入した精神から見ると。主要道路でさえもこういう姿であるから、市町村道においてはこれはもって知るべしというふうに解釈せざるを得ないか、こう思うわけです。しかも、奄美の主要地方道の四十九年度の補助率は十分の九に改正され、下がったわけですね。一〇〇%補助であってもその額が非常に少ないということがおくれた原因になっておったわけですけれども、今後住民生活の広域化と輸送需要に対処するための主要地方道についての舗装、改装を早急に完成させる必要があると思うわけです。これは建設省ですが、その計画は、あるいはその目標はどういうものかということを御説明をいただきたい、こう思います。
  60. 高木澄清

    ○高木説明員 奄美大島の主要地方道の改良計画についてお答えいたします。  奄美大島の主要地方道、瀬戸内−赤木名線につきましては、従来とも建設省が所管で進めてまいったわけでございまして、私どもといたしましては、一応事業規模としても軌道に乗りつつあると理解しております。したがいまして、内地一般の主要地方道の改良の完成目標が昭和五十五年でございますが、奄美大島についてはこの一本でございますので、一応現時点におきましては昭和五十一年度におおむね完成できる目標で進めております。それから舗装につきましては、改良したところをただいま大幅に実施中でございますので、やはり五十一年度にはほぼ舗装も完了する予定でございます。  それから予算でございますが、いま御質問にありましたように、奄美群島全体の県道の整備率は内地に比べまして、改良においては若干上回っておりますが、舗装につきましては非常に下回っておりますので、今後特に一般県道−主要地方道以外の一般県道も含めまして、県単独事業もあわせ、舗装の促進をはかってまいりたいと思っております。全体の予算では、県道も含めますと事業費に直しまして二三%の増ということになっております。先ほど先生おっしゃられましたのは主要地方道だけの国費の伸びでございますが、事業費に直しますと約二三%程度の増になりまして、県道の内地の伸びが九八%強でございますので、それに比べますと本年度は大幅に伸びたということに相なろうかと思います。
  61. 小濱新次

    ○小濱委員 名瀬の空港から名瀬市に入ってまいりますあの道路を今回は通りませんでしたけれども、昨年の秋に行きましたときには見てまいりました。これが国道に準ずる主要地方道であろうかなというふうに感じました、率直に。そういう点で、いまのままで改良あるいは舗装ということになってもこれは主要地方道としては、ただ一本の帯状になった国道に準ずる主要地方道ですから、その誇りを持つことにはならないであろうというふうに私は見てまいったわけであります。住民の方々の意見も、どうしてもこれを整備をしてもらいたい。四十五年ごろからもう何回か行きましたけれども、行くたびごとに、この主要地方道を何とかならぬものであろうかという声はそのおりおりに出てくる問題でございまして、これからの観光行政ということを考えてみれば、瀬戸内から古仁屋、あの近所までいま二時間からかかっているようでありますが、空港からはもっとかかるそうですが、往復すると五時間ぐらいかかってしまうということで、飛行機でせっかくおりてもあそこまでは行けないような道路の情勢になっているわけでして、これはひとつ真剣に取り組んでいただきたい、こう思うわけですけれども、いまのままではだめだと思うのですね。一〇〇%国費を投入いたしましても、額が小さいものですからさっぱり進まない。特に台風の季節には、大きな建設業者がいないものですから、その災害対策のほうに労力をとられてしまいまして、どうしても道路のほうの整備がおくれていく、こういう形も生まれているわけですね。  何としてもこの主要地方道は国道に昇格すべきである。そしてまた五年ですから、五年間でもいいから思い切って整備をして住民の要望にこたえていくべきではないのか。あるいはこの国道昇格によってあらゆる産業、交通問題の解決ということが生まれてまいりますし、非常に振興策にプラスになるのではなかろうか、こういうふうにも考えておりますので、この国道昇格という問題について、私も道路法第二章第五条の法定要件に該当するかどうかということを少し読んでみたのですが、ひとつ専門の立場から御説明をお願いをしたい、こう思います。
  62. 高木澄清

    ○高木説明員 国道の昇格につきましては、たびたび当委員会でも御質問がございましてお答え申し上げておりますが、建設省といたしましても、次回には国道昇格の問題につきまして十分検討をしてまいりたいという予定にいたしておるわけでございます。  それから瀬戸内−赤木名線は、いずれにいたしましても整備を促進せよということにつきましては、現在名瀬市と瀬戸内間が非常に悪うございまして、一部自動車通行もできないようなところもございますので、取り急ぎこの間を早く、五十一年までに整備いたしたいということで、改良工事、舗装工事をやっております。  それから、ただいまお話のございました空港と名瀬市間の、おそらく本茶峠の問題だと思いますが、これにつきましては一応現時点で県のほうが単独で舗装もやっておりますので、十分ではございませんが、やはり名瀬市と瀬戸内間ができ上がりました後に、この問題につきましては調査の上、改良工事等につきまして進めるようにしてまいりたいということで、鹿児島県と協議を進めております。
  63. 小濱新次

    ○小濱委員 第二章第五条の法定要件にかなうかどうか、その説明をお願いしたいと思います。
  64. 高木澄清

    ○高木説明員 直接は道路局の企画課のほうで検討するわけでございますが、現在検討中でございまして、この席で私から、かなうかどうか、はっきり申し上げるというわけにはいきませんが、前前からの懸案でございますので、次回には十分検討いたしたいということで、現在作業中と聞いております。
  65. 小濱新次

    ○小濱委員 あなたに申し上げることは伝えていただきたいと思いますが、検討するということばはもう五年ぐらい前から聞かされてきた問題ですね。いつまで検討するのですか、ということになるわけです。ですから、検討というんじゃなくして——非常に全国から要望事項が出ているわけでしょう、国道昇格の問題については。その延長なりあるいは規模なり、検討する時期をいつにするのか、いつをめどにして検討されているのか。五年もたっているわけですから、検討なんということでここでごまかせるわけはないのですね。  そういうことでの法解釈をお願いをしたわけですけれども、第五条を全部読むわけにはいきませんが、一項の中に、「国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地(北海道の支庁所在地を含む。)その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市を連絡する道路」、こうなっているわけですね。ですから、これが法定要件だとするならば、どうしても、奄美群島にあれ一本ですから、この一本を九州とあるいはまた沖繩とどういうふうに交通網をつくり上げていくのかということになれば、奄美のあの主要道路の国道昇格という問題が出てこようかと思うわけです。そういうわけで、昇格問題についてはきょうもまた検討するという御答弁でございますが、そういうことじゃなくして、建設省はぜひひとつ回答を持ってきてもらいたい。私はもっとえらい人にも前々からお願いしてあります。きょうはその回答を持ってきてもらいたいということも要望しておいたのですけれども、いまの御回答は検討するということなんですね。それはえらい人からのあれですか、御伝言でございますか。
  66. 高木澄清

    ○高木説明員 国道の指定につきましては、その時点における社会情勢の進展に対応しまして、過去におきましても何回か追加指定を行なっておるわけでございますが、現在の国道は、昭和四十五年に約玉千六百キロメートル、それから昭和四十七年に、沖繩の復帰に伴いまして二百七十五キロメートルの追加指定を行なっているわけでございます。最近非常に全国各地から国道の追加指定につきましての御要望が出ておるわけでございまして、その後の交通需要増大、あるいはその他の諸懸案を勘案いたしまして現在作業を進めておるわけでございますので、その作業が進み次第、いろいろとやる時期等についても決定がなされるものと思いますが、私どもの関知している範囲ではそういうことでございますので、帰りまして十分御意見は伝えておきたいと思います。
  67. 小濱新次

    ○小濱委員 行政局長にお尋ねしたいのですが、四十九年度以降は、この予算計上は自治省に一本化された、この予算の執行については各省に移しかえるという形になっているようですね。そうするとこれは当然自治省に責任があるようにも思うが、その力がなかったのか、要求しなかったのか、どうも少ないではないか。こういう整備状況はどこに責任があるのかなと思って、ぐっとたどっていったら、自治省だというふうにも私は理解したわけですけれども、この点どうですか。
  68. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 自治省に一括計上してまいりましたのは、奄美復帰以来ずっとでございます。その意味では私のほうで全責任を持っておるわけであります。実は昨年までは自治省で一括計上して、さらにその施行の責任も私のほうで一括施行という形でやってまいったわけでございますが、施行のほうを、今後は一括計上された予算を各省に移しかえて、各省のそれぞれの専門的技術、知識を生かして執行していただくというふうに改善を加えたわけでございます。  そこで、今後の場合は一体どこに責任があるかというと、やはり計上を一まとめにやります点では私のほうに責任がございます。国土総合開発庁がもしできますればそちらに移るという予定にもなっておりますが、いずれにせよ一括計上するところにまず全責任がくる。ただ、施行を各省でやっていただきます関係上、要求のときも私のほうがひとりでやるのではございませんで、実際は施行に当たられる各省と綿密な相談をし、各省の御意向に沿って要求をし、予算をきめるわけでございますから、端的にいえば、取りまとめの責任は私のほうでございますし、さらにそれを要求し、予算を取り、実施する責任は今後応分のものを各省に持っていただく、こういうことに相なるわけでございます。  そこで来年の予算につきましては、道路だけに限って申し上げますと、そういう新しい方式によりまして、ことしも建設省当局とも予算要求の時期から綿密な打ち合わせをいたしまして計上させていただきました。先ほどのお話のように、こういう総需要抑制で全体としてはほとんど伸び悩んでいるときに、二〇%近い伸びをきめていただきましたので、これで十分とはもちろん申し上げませんけれども、できるだけの努力を各省ともども払うということで今後もやってまいるつもりでございます。
  69. 小濱新次

    ○小濱委員 責任は自治省だけではない、こういうことですね。  そこで、これからあの一本の主要地方道をどう整備するのかということになると、五十一年ということをめどにして整備ということですが、いまのままで整備では、拡幅あるいはまた側溝なんかはどうなるのか。そして舗装ということになると、九十一キロあるそうですから、これは相当の予算化をしなければならない、こういうふうにも感ずるわけですね。これは建設省、五十一年にはそういう点での完成のめどを先ほど御説明になったのでしょうか、どうでしょうか。
  70. 高木澄清

    ○高木説明員 先ほど申しましたように、名瀬市から瀬戸内町までの間は現在盛んに工事中でございますので、お通りになりますといろいろ不通区間もございますし、工事中の個所等、通りにくい面もございますが、これは五十一年までに完全に規格改良をいたしまして、その後続けて舗装をやります。特に本年は、改良済みの未舗装の区間が名瀬市−瀬戸内間では相当残っております。これを大幅に昨年から進めておりますが、四十九年度はさらに進めてまいります。したがいまして、五十一年になりますと名瀬市から瀬戸内間までは改良工事が規格改良で全部終わる。もちろん側溝その他必要なものは全部整備できるわけでございます。それから名瀬市の市内で一部改良工事をやっております。これにつきましてももちろん終わります。  先ほど御質問にございました空港から名瀬市につきましては、本茶峠という峠がございまして、これがわれわれの考えでは、一応現時点では規格改良になっておりません。しかし一応軽舗装が終わりまして、ごらんのとおりの状況になっておりますので、小型自動車等は十分すれ違いできながら走っておるわけです。地元ではこの本茶峠につきまして、将来抜本的に改良を進めてもらいたい、場合によっては、適地がございましたら隧道を掘ってもらいたいという希望がございますので、それらの点につきましては鹿児島県当局でいろいろと調査を進めまして、名瀬市といまの瀬戸内町間が完全にできました後においてこれらの問題については整備を検討してまいりたい。一部それの調査に要します費用等につきましては、すでに県のほうで始めておるわけでございます。
  71. 小濱新次

    ○小濱委員 わかってまいりましたけれども、古仁屋から瀬戸内の海岸を回るときに、私は地図で見たのですが、途中で二またになって三角形になっていますね。あれがいま工事中ですか、片方が通れないということで非常に遠回りをしているということですね。そういう点であそこまでの時間が非常にかかる。私どもも名瀬市に行きまして、一ぺん行ってみようということなんですが、往復がもう五時間ということになると予定がありませんので、やむを得ない、一ぺんも行ったことがない。そういう点で、観光行政というものを考えればあそこをもっと時間を詰めなければならない、詰められるような道路行政というものを完成していかなければならない。  それから今度は、飛行場から名瀬港までの時間がかかるのですね。あそこ、四十分ぐらいかかりましょうか、あれは道路が悪いんだ、スピードが出せないんだ。そういうことで、五十一年度以降検討するということですが、もっと真剣にこの問題は取り組んでいただかなければならない。奄美全体の問題なんですから、どうかひとつ、振興開発という今度は題名になった、そういう立場からも、まずその目玉というのは道路行政、この道路基盤というものを整備しなければならない立場からも、この問題だけは強調さしてもらわなければならない、また御協力をお願いをしなければならない、こういうように思うわけですね。何かその具体的な考え方、お耳にしていることがあれば建設省から伺いたいと思います。
  72. 高木澄清

    ○高木説明員 正式の現在の主要地方道は御存じと思いますが、いま不通区間の工事を瀬戸内町でやっておりますので、普通に通っておりますのはぐるっと回っておりますから非常に時間がかかるわけでございます。この工事が五十一年までに終わりますと直線になりますので、名瀬市と古仁屋間の時間的な距離はおそらく大幅に縮まってくるという予定でございます。  それから本茶峠につきましては、やはり現時点においてはこの不通区間を含めた名瀬市から古仁屋までの間が非常に悪いわけでございますから、これを取り急ぎ整備いたしまして、五十一年ごろにこれが整備が終わりますと、その後において、本茶峠については本格的な調査の完了を待って促進をしてまいりたい。ただそれがどういうルートで、隧道等も含めてどういう計画をすれば一番効果的な道路ができるかということにつきましては、さらに現時点より調査を続行いたしまして進めたいということで、鹿児島県当局で実施いたしているわけでございます。したがいまして、五十一年ごろになりますと、本茶峠の計画も定まってまいりましたら、ほかの県道の線もあわせまして整備の促進を計画し、進めることができるんじゃないかと思っております。
  73. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣にこれは要望しておきたいのですが、こういう事情でございますので、どうかひとつぜひともこの問題の国道昇格ということを頭に入れておいていただいて、これからの大臣との折衝の中にぜひひとつこのことの実現をはかっていただきたい、このように御要望申し上げたい、こう思います。  さらに、今度は空港のことについて少しお尋ねをしていきたいのですが、これは林行政局長にやはり御答弁いただきたいのですが、この自治省予算で、四十八年度国費九億五千二百万円の空港整備、四十九年度国費四億三千六百万円、対前年比マイナス五四%、加えて補助率も十分の九に下がりました。必要性を認めないというのでありましょうか、この点ひとつ御答弁をお願いをしたいと思います。
  74. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは必要性を認めないというものではございませんので、四十八年度においては与論空港の新設、それから奄美空港の拡張について大幅の予算が計上されておりました。与論空港につきましてはこの予算の計上どおりの事業が進捗しつつあります。それから奄美空港の拡張については、いま土地の入手の交渉がやや行き詰まっておりまして、どうもこのとおりに消化される見込みがややあぶなくなってきておりますが、いずれにせよ、四十八年度には与論空港の新設と奄美空港の拡張についての予算がございました。四十九年度におきましては、さしあたり今度はそういう拡張とか新設ということから離れまして、各空港の保安施設整備、こういうものの事業が主体となったために金額が減ったわけでございます。  そこで一応、奄美、喜界、沖永良部、与論と、空港は全部一とおりできておりまして、この次の課題となりますのは、奄美空港の滑走路の拡幅、延長、ジェット機がそのまま着けるようにするということが当然次の問題になっておるわけでございますが、まだそこに至るまでには、その土地の入手その他の交渉その他がやや渋滞して時期が熟しておりませんので、四十九年度の予算にはそれを考えていないということがこういう数字を示したことになったわけでございます。  それから次に補助率のほうは、従来のそういう空港自体の基幹施設について十分の十やってまいりましたが、これは一とおり終わりまして、これからの保安施設整備その他については、これはほかの離島でも全額国庫負担というケースはございませんし、奄美をそのために特別にほかの空港に比べてよくするという積極的な理由も乏しいということで、基幹になる問題については全部国が持ちますけれども、それから先の保安施設についてはどこでも何がしかの地域負担をいただいておるという、その方式に従いまして財政当局と話を詰めた結果でございます。補助率につきましては、先般の御説明のとき申し上げましたように、沖繩並みの補助率それから離島並みの補助率、離島よりもよく沖繩よりもやや低いという、離島と沖繩の中間というものを事業事業によって、それぞれ一つ一つについて話を詰めてきめたわけでございますが、この空港の保安施設等につきましては一応離島並みということで財政当局と話をつけた、その結果がこういう数値になって出ておる次第でございます。
  75. 小濱新次

    ○小濱委員 運輸省、来ておられましょうか。——お尋ねしたいことは、名瀬空港の地主との交渉過程、あるいはまた与論空港の強制収用の問題等等、私のほうでも聞いております。聞いておりますが、それはそれとして、今回五四%マイナスですから、こういう形でこれから整備をどう進めていかれるのか、今後の方針ですね、こういうものを伺いたい、こういうふうに思います。
  76. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 私、港湾局のほうから参っておりますので、自治省のほうからお答えいただいたらと思います。
  77. 小濱新次

    ○小濱委員 では行政局長から。
  78. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 実は最近、私お供できなかったのですけれども先生方おいでになりましたので、むしろ最近の状況につきましては私よりもあるいはお詳しいのではないかと思っておりますが、名瀬空港につきましては、滑走路を延長し拡幅する。それについては、従来の角度であると飛行技術上ややまずい点がございまして、角度を少し振るということで、土地の買収の交渉に県が熱を入れて入ったのでございますけれども、単価の点でどうしても折り合わなくて、この進捗度合いがどうも思うようにならない。昨年の秋に私が参りましたときは、これは何としてでも地元で話をまとめるという御決意が、県当局あるいは地元からもあったのでございますが、不幸にしてその点現在まで折り合いがついていないということを私は伺っております。  与論のほうは、やはり話し合いについてはやや難渋がございまして片づかないわけでございますが、大多数の方がもう話がついておる。なお話のつかないのが比較的少数になりましたので、これはどうしても、島の振興上、土地収用の手続を経てでもやるということで、この方針で進めておられるというふうに聞いておる次第でございます。
  79. 小濱新次

    ○小濱委員 これから力を入れてもらいたい、こういうことです。きょうは運輸省のほうからおいでになっておりませんので、それではこれで奄美空港については終わります。  港湾関係で少しお尋ねしていきたいんですが、これは運輸省、よろしいですか。奄美群島だけが運輸省の五カ年計画に入っているわけですね。入れてもらったわけですね。私ども現地を視察をいたしまして、特に山の上に登って港をよく見せてもらいました。感じたことは、港らしい港の風格というものはないのです、ただ入り瀬になっているというだけで。どこの港に行ったって外防だとか内防だとか、一応港の形というものはできているはずですよ。高波対策とかあるいは台風対策だとか高潮対策なんかのためのそういうものがきちっとできていなければならぬ。あるいはまた夜間のそういう標識なんかもきちっとそこには出ていなくちゃならないわけですが、何にもない。そういう状態で、国の補助率は一〇〇%補助率になっているけれども、防波堤とか防潮堤、こういう建設について建設省はどういうふうにお考えになっているのだろうか。まず、名瀬港について、あそこで、明治以来高潮の一番大きいのは何メートルか御存じでしょうか。
  80. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ちょっと、本日はその資料を持ってきておりません。
  81. 小濱新次

    ○小濱委員 四メートルということです。四メートルの高潮が押し寄せてきた場合には、湾口が広いですから、東京湾のように逆じゃないですから、広いですから、岸壁へ来たときにはそれが五〇%増しあるいは倍になっていくわけです。おそろしいような感じを受けました。これが名瀬港かなという感じ、こういうことで奄美群島の港湾建設というものをどういうふうに考えているのだろうかなという、いまの予算の内容で、何カ年でどういう施設ができていくのだろうかなというふうに私は感じました。こういうことで、この港湾整備もむだなようだけれども、実はむだじゃないのです。それによって避難港にもなる。九州、四国からどんどんと漁に行っている船が台風の襲来があるときには全部逃げ込みますが、その避難港としての設備がない。名瀬港には外防も内防もないのです。潮が満ちてきたら、船揚げ場もないのです。そういうことで、これはたいへんな港湾整備のおくれだなというふうに感じたわけです。この件についてひとつ御答弁をお願いいたしたい。
  82. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 港湾整備につきましては、先ほどお話ございましたように、来年度、昭和四十九年度から港湾整備特別会計という中でやることになったわけでございますけれども、名瀬をはじめといたしますおもな定期船の着く港につきましては、いろいろいままで自治省のほうで岸壁等の設備を進めてこられたわけでございます。ただ、私ども四十九年度からこの事業に関与してまいるわけでございますけれども、ただいま御指摘のような名瀬港の防波堤であるとかあるいは岸壁の前の泊地の広さとか、そういうものにつきまして、特に四十九年度は安全面と申しましょうか、そういうところで特に必要なものに重点を置いて事業を進めていきたいというふうに考えております。ちょっとまつ正面からのお答えではございませんけれども考え方として、四十九年度につきましてそういうふうな方向で予算を執行していきたいと考えておるわけでございます。
  83. 小濱新次

    ○小濱委員 これも自治大臣に要望しておきたいと思います。空港も、ほんとうに空港らしい整備がまだできておりません。それはちゃちなものでございました。そういうことで、この建設も本腰を入れて進めなくちゃならぬと感じましたし、この港の整備も——奄美群島、三十五港あるそうでありますが、この港の整備が、私はやはりこれからの水産業というものに力を入れるためにはどうしても急務であるというふうに感じました。前自治大臣が奄美群島の大島に行かれたときに、記者会見か何かの席上でお話しになったことが記録に残っておりました。なぜこの奄美の方々は水産業に力を入れないのであろうかということをおっしゃっておったそうであります。水産業に力を入れるにしても、協同組合に力がない、金がない。したがって弱体ですから中信金からの金も出ない。そういうことで、せっかく全財産を投入して船をつくったとしても、いつ台風その他の高波でやられないとも限らない、こういうことで消極的になってしまっているというのが事実だ、こういうふうに伺ってまいりました。ひとつ港湾整備についてもぜひとも、先ほどの道路問題とあわせて力を入れていただきたい、こういうふうに思いますが、この点を特に要望しておきたい、こう思います。  次に、水産庁来ておられますか。——奄美群島周辺海域における漁業振興をどう進めようとされるのか。この地域は御存じのように台風常襲地帯で危険性も非常に多い、こういうことで避難港の整備が急がれておるわけですが、そういうわけで、今度は大熊漁港をよく見せてもらいました。したがって、その問題を、その整備計画というものを今後どういうふうに進めていかれようとされるのか、あるいは流通施設などの共同利用施設整備をどういうふうに考えておられるのか、恐縮ですが、幾つかになってしまいましたけれども、こういう問題について水産庁のほうからお答えいただきたい、こう思います。
  84. 塩田洋三

    ○塩田説明員 水産庁の計画課長でございますが、漁港関係をお答えいたします。  奄美群島の漁港につきましては、御承知のように従来奄美振興計画というものに基づきまして整備されてまいったわけでございますが、四十九年度からは新しい奄美振興開発計画というものに基づきまして引き続き整備を行なうということでございます。  具体的には、御承知のように奄美群島には漁港が二十三港ございます。二十三港のうちいわゆる避難港、前進根拠港という四種漁港が四港ございますが、この整備につきましては、四種漁港の四港のうちの三港につきまして漁港改修事業ということで大幅な整備を今後とも実施してまいりたい。残ります一港につきましても、なお第一種漁港十九港ございますが、そういう漁港につきましても、必要に応じまして局部改良事業という事業漁港整備をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に恵まれた漁場ということで、やりたいわけですけれども、その施設が足りないということですね。ですからできない、こういうことになっている。魚を釣っておられる方がおられました。カツオの一本釣りというのは有名だそうですが、何がとれるのかと尋ねましたところが、クロダイですよと言っておりました。いまどきああいう高価な魚が釣れるのですね。クロダイだとかチヌなんという魚は最高ですからね。そういうものが釣れる。だが、やり手がない、意欲が出ない。何か。原因を突き詰めればいま申し上げたような内容になっていくわけです。そういう点で、せっかくとった魚もさばき切れないで腐らしてしまう、こういう流通施設という問題も出てくるわけですね。これも漁業組合ではどうにもならない、こう言っておりました。ぜひひとつ国の力で、この奄美群島の全体の問題ですからよろしくお願いをしたい。漁港には小さな施設が一、二あるところもあるようですが、概して漁師の意欲をそそるようなそういう施設がない、こういうことでたいへん苦しんでおられました。こういうことですから、こういう整備をどうするのか。ですから私どもは、小出しで、十年計画だとかいって少しずつ出して計画をするのではなくして、振興対策ですから五年間なら五年間でその能力の上がるような、そういう対策で処置をしてもらいたい、こういうように考えているわけですね。  こういう施設についてはどうですか、あるいは避難港の問題、あるいは漁業振興という、そういう問題等から、もう一度ひとつ取りまとめて御答弁をいただきたい、こう思います。
  86. 渡辺武

    ○渡辺説明員 先生おっしゃいましたように、流通施設につきましても従来から助成はしてきてまいっておるわけでございますけれども、まだ十分でないという状態にあろうかと思います。  今後の問題といたしましては、この助成をやる手段といたしまして、水産庁でやっております事業に沿岸漁業構造改善事業というのがございます。全国を百八の沿岸海域に分けまして計画的に事業を実施していく制度でございますけれども奄美群島につきましても、いまは予定地区ということに位置づけておるわけでございますけれども、早急にそれを事業をやる地区ということにいたしまして、各種の沿岸漁業振興のための事業を推進してまいりたいということでございます。  中身といたしましては、まず海の中での漁場をつくる。漁場を改良したりあるいは養殖漁場を新しくつくっていくという仕事をやることが一つでございます。二番目といたしましては、おっしゃいましたような流通関係、冷蔵庫とか荷さばき施設等の共同利用施設につきまして、その整備をはかっていくということが二つの大きな内容になる事業でございますが、これを早急に実施してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  87. 小濱新次

    ○小濱委員 この過疎地域という問題と生活水準の格差の是正という問題から、どうしてもやってあげなくちゃならないことはたくさんあります。ありますが、その中でも目玉ということになれば、当然、道路とかあるいはまた港湾の問題であるとかあるいは空港問題と、こういう道路基盤という問題にあわせてこの水産業というものに力を入れていかなくちゃならない、こういうふうに感じまして申し上げたわけですが、ぜひひとつ一そうの御努力をお願いをしたい、こう思います。  さらに、次はハブ問題を少し、特に感じてまいりましたのであれしてもらいたいと思うのですが、これは自治大臣、お聞きを願いたいのですが、農業とあわせて畜産業、これは言うならば一体のような形で進めなければなりませんね。それから林業、こういうこと、糖業もある。こういう産業振興させるためにはどうしても地盤の整備ということ、土壌の整備ということ、こういうことが出てまいりますが、私どもはずいぶん長い間車で走って歩きましたけれども、どこを見ましてもハブがいるような感じを受けました。ほんとうにハブの住みかとしては絶好の場所だなというふうに感じました。  そういうことで、ハブ退治というものをどうしても考えていかなくちゃならない。推定ですが、何匹ぐらいおりましょうかと言ったら、答える人はおりませんでしたけれども、まあ二十万とか。その二十万というのも、もう五年ぐらい先も二十万と言われたようですが、人口よりも多いであろうということです。人口十六万と仮定いたしまして、そしてそれだけのヘビがいるということでしょう。今度の厚生省の予算では、一万匹ぐらい年間にヘビを捕獲したい、こう言っておりましたけれども、その十六万の半分は女ヘビといたします。聞きましたところが、一年間で八個から十二個ぐらい卵を産むそうです。そうしますと、十年たつとどのぐらいの形になるのであろうかなあというふうに思いますと、これはもう戦慄を覚えるわけですね。特に便所の中でハブにかまれて命を失っていったとか、かやの中に忍んできて、ネズミを物色して来たらしいのですけれども、そこに人間がおって、おとなも子供もともに命を奪われていったとか、そういう話を聞きますと、これは農業意欲というものがなくなることも当然だなあというふうに考えました。これはどうしてもハブ退治はやってあげなければならない。この目玉の中にもハブ退治が入るんじゃないか、こういうふうにも感じました。  そういうことから、これはひとつ厚生省からお答え願いたいのですけれども、思い切った絶滅作戦というのですか、こういうものを展開してはどうかと思うのですけれども、厚生省の方、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  88. 近寅彦

    ○近説明員 厚生省といたしましてハブに取り組んでまいりましたのは、四十七年度の沖繩のハブ以来でございます。今回、来年度から奄美ハブにつきましても私どものほうの所管ということになりましたわけでございますが、先生も御存じのことでございますが、従来からハブ対策といたしましては三つの柱があるわけでございます。  まず、かまれました場合、咬傷の治療といたしまして、ハブ抗毒素の精製改良の要求でございます。次に、咬傷の重症化を予防いたしますために、ハブのトキソイドの開発の研究をやらねばならぬわけでございます。それから、先ほど先生から決意のほどをというお話のありましたハブ撲滅のための対策でございますが、これが非常にむずかしいわけでございます。しかしながら、私どもといたしましてこの取っかかりをつけますために、ハブの生態研究でございますエコロジカルの研究をやってまいりたいと思っておるわけでございまして、この対策につきましては、長年自治省のほうで奄美のハブ対策といたしましても推進されてきておったところでございます。  まず、ハブの抗毒素及びハブのトキソイドについてでございますが、長年の研究の成果も実りまして、有効かつ副作用の少ない、これは世界にも例のないものと私どもは思っておるわけではございますが、こういったものが開発されつつあるわけでございます。しかしながら、今後の課題といたしましては、安定しました量産、それから有効な接種方法、使用方法等を開発してまいらなければならないわけでございまして、これも奄美と沖繩におきます現地の研究をその重点に移しながら進めてまいりたいと考えているわけでございます。  次に、ハブ対策の抜本的施策でございますその撲滅であるわけでございますが、これはまず、撲滅いたします相手でございますハブの生態を十分に知る必要があるわけでございます。このため奄美では、東大の医科学研究所の佐々学博士を中心といたしました研究班を組織いたしまして、長年研究を進めてきておったわけでございます。しかしながら今後この方面の研究を一そう推進いたしますために、今年度中に沖繩で完成いたしますハブ生態研究所、これは来年度から本格的な研究に取り組むわけでございますが、ここの研究所と奄美と共同研究をいたしまして、ハブ撲滅のための飛躍的な前進をはかるという観点から、厚生省といたしましても全力を尽くしてまいりたい所存でございます。
  89. 小濱新次

    ○小濱委員 行政局長にお尋ねしたいのですが、奄美のハブ対策費が昨年度は五百十九万七千円、これは四十九年度から厚生省予算に移しかえられるわけですが、四十九年度は前年度並みの五百三十五万七千円、十六万くらい伸びておりましょうか。いま御説明のありましたように、これが厚生省に移しかえられて、いまの血清剤というのですか、その薬の買い上げだとかあるいは予防接種だとか、治療費であるとか、この治療のための薬の購入費であるとか、あるいはまた捕獲、ヘビの買い取り料ですね、こういうものを合わせて五百万。先ほど、八万匹の女ヘビが十個ずつ産むと一年間で八十万匹、十年たつとどうかということの計算を算数的にやっていきますとびっくりするわけですね。では保健所へ行きまして一匹幾らで買うのですかと聞きましたら、三百円。奄美の保健所は三百円でしか買ってくれない。それも傷のついたヘビはお断わり、みんな買わないというのですね。なるほどこの予算では買い切れないかもしれませんね。こういうことで、まことに少ないではないのか。これは七割補助で、そしてあとの三割は県負担、こういうふうになるわけでしょう。これは自治省の責任ではないか、こういうふうに考えるわけですね。ひとつ局長から御答弁いただきましょう。
  90. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 八万匹のハブが何匹ずつ産むという計算をしますと、それこそ十年もたてば日本の人口よりはるかに多くなる計算になるわけでございますが、現実にはこの二十年間、ハブというものは重大な問題でございますので、奄美復興当時からこのハブに対する対策は計上しております。これが大体、あまり新しい知恵はございませんで、いまの血清購入とかそれからハブの買い上げが主体でございます。そして昨年の予算の一万匹に対して大体買い上げ実績はこの一万匹よりほんの弱といいますか、大体実績どおりやってきておるという形でございます。このハブ対策によりまして奄美のハブが減ったかふえたかと申しますと、これがさっぱりわからないのですが、現実には毎年かまれる件数、これが三百件くらいでございます。それで結局不幸にして生命まで失われているというのが年間三人から四人という、この数字がこの二十年間ほとんど変わってないわけです。ですから、ちっともハブは減っていないのですが、逆にいえばふえていないのかも存じません。  そこで来年はとりあえずことしと同じように、買い上げと血清購入、トキソイドという従来の対策をそのまま踏襲するわけでございますが、ここで、先ほどの厚生省のお話にもございましたように、確かに重大問題で、より根本的な新しい方策を何とか見出していくということについて努力を払ってまいりたいと存じます。従来もこのほかに、マングースを放すとか、アフリカの何かヘビを食べる鳥を放したということもあったのですけれども、これもちっとも定着いたしませんで、ちっとも変わらないのがこの買い上げと血清購入、こういうことでことしまでまいりました。厚生省に移ったからこちらに責任がないという意味ではございませんで、やはり今後の産業開発を進めてまいります場合、この最も困難な問題を何とか解決していくよう専門的知識も十分動員していただきまして今後取り組んでまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  91. 小濱新次

    ○小濱委員 沖繩で徹底撲滅作戦というものを展開したそうであります。ハブとりの名人を十五人よりすぐりまして、そして約二十日間実施をしたそうですが、あまり効果はあがらなかったというのですね。商売人を頼んではだめだというのです。ハブとりの名人、その商売人では小さいのはとらないというのです。大きくしないと商売にならなくなっちゃうのですから、生活権問題になってくる。この生活権という問題も考えてあげなければなりませんけれども、そういう点で効果があがらない。なぜあがらないのかというと、陰でいろいろ教えてくださったのですけれども、商売人ではだめですよ、こう言っていました。  しからば、局長は、ふえてもいないあるいはまた減ってもいないといういまお話がありましたけれども、じゃ山本先生の言われるように、そういう計算でいくと二十万匹はおるわけですよ。そういう点で、これからの振興策を考えればどうしても相当の予算を計上して撲滅作戦をやらなくちゃならないであろう、こういうふうに考えるわけです。いまお話ありましたように、マングースを放したとかイタチをまた放してみたとか、あるいはまた野ネズミを退治してみたとかヘビを殺す薬剤をまいたとか、こういう例をいろいろ聞いてまいりました。いずれも結果は農地を荒らすことになるので途中でやめたというのですね。やはりとる以外にはないが、ただとるだけでは撲滅はできないと、こうも言っておりました。そこで、これはひとつ行政局長、名案をお示しを願いたい。あるいはまた厚生省は、引き受けたからには今後どのように対処するのか、ひとつ思い切ったやはり構想というものを出してもらわなくちゃなりませんが、いい知恵をひとつお示しを願いたいと思います。
  92. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私も、ハブの退治に関する名案というか、とても力が及びませんが、まあそちらの方面の権威者もおそらく厚生省なりあるいは学校のほうなり、いろいろおいでになると思います。何らかの効果的な方策を見出すよう努力を続けてまいりたいと思います。
  93. 近寅彦

    ○近説明員 いま局長からお話しになりましたと同様でございますが、私どもといたしましてもやはり、そういった製剤、抗毒素とかトキソイドの研究はさておきましても、この撲滅対策ということにつきまして、各局協力いたしましてこれから研究に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。なお、この問題につきましては各省庁との関係も多々あることでございますので、それらとも十分相談の上、推進に邁進してまいりたいと考えるわけでございます。
  94. 小濱新次

    ○小濱委員 名案なし。ほんとうにハブのおそろしさというものを知っているのだろうかなというふうに感じます、ぼくは。やはりあのおそろしさを知らなければこのハブ対策というものはできないと思いますよ。先ほど厚生省から御説明がございましたけれども、現在は命を守る程度の予防しかできないわけでしょう。だけれども、沖繩では年間四百人から五百人の被害者がある。そして奄美では三百人、それ以上ということですが、昨年度死者が大体八人か九人になっているはずです。被害を受けた人は不具者のような形になっている。命は取りとめても不具者になっているという、そういう形になっているわけですね。  これもひとつ自治大臣に聞いておいていただきたいのですが、研究開発をするにしても五百三十五万円、これでは……。ハブの専門の医者がいないわけですね。また学者が少ないわけです。そういう点で、奄美にしても沖繩にしても学者が少ないので、同じ人間が研究を続けて奄美では二十年、こういわれている。二十年たってようやく今回その血清剤ですか、その研究が厚生省で認められて認可になるという話も伺いましたけれども、二十年たってようやくそれだけの薬が発見できたということです。そういうことで、その薬、抗毒素の大量生産化という問題が一つ出てまいりました。それから高精製化の研究の完成、すなわち何べん打っても後遺症がないという薬、いわゆるからだに害がないという薬ですね、これの研究。この研究だけでなくして、これが安く、たくさん、大量にできなくちゃならないわけですね。この開発が急務と、こういうふうに思うわけですが、自治省からの今回のあのわずかな予算ではどうにもならない。ハブ対策手段と銘打つ自体がおかしいのではないかというふうに感じました。  これは人の命にかかわる問題です。けさのニュース、伺いました。小野田少尉が発見された。厚生省ではすぐに体制を整えて救援に行くということですが、一人の命を守る、救済をする、その精神は大事だと思いますよ。ところが、沖繩、奄美では年間千人からの被害を出している。しかももう八人、十人のとうとい命が奪われている。もう戦々恐々だ。私が自動車で走って歩いておりましたところが、偶然にも子供さん方がかまを持って歩いておりました。はて、あのかまは何に使うんだろうかなというふうに、私はやはりハブと結びつけて考えましたね。それから、ブロックべいのあるうちもあるし、昔のこういう石を積んでへいがわりにしているうちもあるわけですね。私は聞いてみたところが、いや、ハブの住みかになるのでいまはブロックべいにかえているんですよという。屋敷までもハブが近づいてきている、こういう状態です。ですから、もっともっと真剣にこの問題は取り上げていかなくちゃならない、こういうふうに思います。自治省、あまり少ない予算でぼくは腹に据えかねているわけですが、今後の対策計画等をひとつ行政局長からお答え願いたいと思います。
  95. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まことに御注意ごもっともでございます。ハブの問題に関しては、ほんとうに復興振興、いままでの二十年間を通じて全く手をやいた一つの問題でございます。確かにことしの予算は去年までと同じような買い上げ、血清購入、トキソイドその他にとどまっておりまして、ここに新しい着想なり新しい試みは考えられておりませんことは御指摘のとおりでございますが、これによってこれだけやっておれば済むんだという気持ちではございませんことは御了解いただきたいと思います。新しくハブの対策に有力な手段を発見することが今日先決でございましょうと思いますし、その発見をし、さらにそれが有効とわかった場合に、これに予算を大量投与して撲滅を期するということはぜひ近い将来にやりたいものだというふうに考えております。
  96. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、お答えいただきたいんですがね。これからのハブ対策についての御努力をお願いしたいと思います。これはほんとうに命という問題が前提になるので真剣に考えてもらいたいと思うわけですが、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  97. 町村金五

    ○町村国務大臣 私どももハブの脅威の中で生活をしたことがございませんので、どうもあるいは実感が出ないということであるかもしれませんでございますが、いま伺ったように、毎日ハブの脅威にさらされて生活をしなければならぬ、それではやはり地域の振興発展のそういうところにも一つのマイナス面があるのではないかというような感じもいたすわけでございます。自治省がハブ対策予算についてきわめて僅少の予算しかつけていないということについての御指摘をいただいたわけでございますが、いずれにいたしましても、沖繩とそれから奄美を通じまして、この地域だけに住んでおるヘビだというふうに私も伺っておりますので、何とかひとつこの駆除をどういうふうにしてやるかという基本的な問題を、ぜひひとつ今度は厚生省が中心になっていただいて具体的な積極的な効果のあがる方法をくふうをし、発見をするということに力を注いでいくようにしていただきたいと思いまするし、私どもも、関係をする自治省といたしましてもできるだけの協力をしていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  98. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣に重ねてお願いしたいのですが、これはもう来年の予算を待っていられないというような情勢下にあるわけですね。一日も早くこの対策は講じていかなければならないわけです。五百三十五万円ではどう考えてみても何らその打開策はないであろうと思うわけですが、予算の件については大臣からひとつ、予備費等のそういう余剰金もあるわけですから、そのほうから対策をするような、そういうお計らいを特にお願いしたいと思いますが、この点はいかがでございましょう。ひとつお答えをいただきたいと思います。
  99. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほど来いろいろ御質疑を伺っておったわけでございますが、どういうふうにしたならば一体駆除ができるのかという、まずその具体の駆除策が、いまだ有力な手段というものができていないということからこの問題には取りかかっていかなければならぬと思うのでありまして、やはり的確にして有力な駆除策をまず検討をしてもらうということに力点を置いて、今度は厚生省が中心になってやっていただく、やっていただかなければならぬ、私はこう思うのでございまして、もしそれを鹿児島県で行なうというようなことになりまするならば、これはまたそういった対策費につきましては自治省として特別の配慮をするということは当然できるわけでございますので、そういった情勢を私どももよく見ながらこの問題にはひとつ対処をさせていただきたい、こう思う次第でございます。
  100. 小濱新次

    ○小濱委員 大島でジャガイモがとれておりました。北海道のジャガイモは有名ですし、年収百三十万トンぐらいあるようでありますが、いまはこういう季節ですから非常にジャガイモが少ないので、奄美群島でつくられたジャガイモが九州、内地にどんどんと送られて、非常に重要視されている、また高値を呼んでいる、こういう話を伺いました。やりたいのですね。やりたいが地盤の問題でどうしてもできない、意欲がわいてこない、こういうことですから、ぜひひとつハブ問題については、これは農業も畜産も林業もあるいは糖業も全部関係しているわけですから、こういうものを振興させなければならないし、そしてまた生活水準というものの格差を、これは縮めていかなくちゃなりませんが、それにはどうしてもこの問題を力を入れていかなければならない、こういうことですから御決意を伺ったわけですが、ぜひひとつ一そうのお力添えをお願いをしたい、こういうふうに思います。それでハブは終わります。  小笠原群島の問題、一、二伺っておきたいと思います。  硫黄島の開発を云々する前にどうしても不可欠なものは、まず遺骨収集ということと、不発弾処理という問題があろうかと思います。午前の都庁の参考人からもいろいろ意見が述べられましたけれども国家的観点からよろしくお願いをした  い、こういうふうに言っておりました。厚生省に伺いたいのですが、私のほうの調べですと、集骨数は四千二百柱、戦死者二万百名、一万五千九百柱がまだ残っている、こういう計算になります。ところが調べてみると、四十七年度、四十八年度は遺骨収集のための予算要求はなかったわけであります。四十九年度に遺骨収集のものとして二百八十七万円、この二百八十七万円というのはどういう予算なのであろうかなというふうに感じました。戦後三十年たっておりますが、遺家族の心情から、あるいはまた国民感情の上からも、国が当然責務というものを感じなければならないであろう、こういうふうに思うわけです。そういう点で、いまのような問題点と、それから状況説明していただいて、今後の計画、構想などをお聞かせを願いたい、こう思いますが、厚生省、お願いしたいと思います。
  101. 河野共之

    ○河野説明員 硫黄島の戦没者の遺骨収集でございますが、これにつきましては、小笠原諸島本土復帰しました後、昭和四十三年にまず遺骨の状況調査を行なったわけでございます。その後昭和四十四年と四十五年の両年度にわたりまして計画的に遺骨収集を実施いたしました。御承知のように、同島の遺骨につきましては、地上にございますのはほとんどこれを収集いたしまして、現在は地下壕内に遺骨が残されておるのが実情でございます。  この地下壕は、戦闘中におきまして砲爆撃のために入口がふさがれ、あるいは戦闘の間におきまして入口をふさいでしまう、こういうようなことがございましたし、また戦後におきましては、危険防止のために米軍が地下壕の入口をふさいでしまった、こういうようなことがございまして、発見そのものが非常に困難であったわけでございます。厚生省といたしましては、これらの地下壕の発見につとめますとともに、発見いたしました場合は、地下壕の開口、不発弾処理、壕内におきますガス処理などを防衛庁の全面的協力を得て実施しておるところでございます。したがいまして、この両年度におきまして約四百六十カ所程度の地下壕を処理をいたしたわけでございます。その後、地殻の変動等によりまして未処理の壕が新たに発見されました場合におきましては、同島にございます海上自衛隊の基地から厚生省に情報が提供されることになっております。その際に政府遺骨収集団を派遣いたしまして、遺骨収集を行なう、このような措置をとっておるわけでございます。四十九年度におきましても、新たに壕が発見されたのでございまして、来年度におきましていま先生が申されました二百八十七万円の予算を計上いたしておるわけでございます。この予算の額につきましては、これは防衛庁の職員と厚生省の職員が共同いたして実施しております関係上、人件費その他等がございませんので、額といたしましてはかような額になっておるわけでございます。  ちょうど昭和二十年の二月の十九日に米軍が上陸をいたしまして、二月二十三日に南部の摺鉢山が落ちて、現在はちょうど島の中央部あたりで彼我の死闘が展開されておる、かような状況になっておるかと思います。私どもといたしましては、今後とも遺骨収集につきまして遺憾のないように努力してまいりたい、かように考えております。
  102. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本件に関連して小川新一郎君から質疑の申し出がありますので、これを許します。小川君。
  103. 小川新一郎

    小川(新)委員 関連して一言お尋ねしたいのであります。  きょうは厚生省の援護局から来ていらっしゃるので、いま国民的注目の的になっておりますルバング島の小野田元少尉についてどうしても聞いておきたいので、きょうはお尋ねしているわけでございますが、小野田さんの発見は事実であるのか、またあの写真に出ている、接触した問題等について厚生省ではどのように理解し、どういう対策を講じ、小野田元少尉に対する生存を確認をし、また確認が決定された場合の今後の問題について、厚生省でいま問題になっている点について一言お尋ねしておきたいと思うので関連をさせていただきました。お願いいたします。
  104. 河野共之

    ○河野説明員 現在ルバング島におきまして小野田元少尉の捜索が行なわれておるわけでございますけれども、今回の情報は、従来の情報がいずれも現地の住民の方がそれらしき人を見たというような情報であったわけでございますが、今回初めて日本人旅行者の鈴木紀夫さん、二十四歳と聞いておりますけれども、鈴木さんが一晩小野田さんらしい人と会っていろいろ話をした、かように聞いておるわけでございます。  その小野田元少尉を撮影したという写真二枚が昨日外務省を通じて厚生省に送られてまいりましたので、これを本人の実兄でございます小野田敏郎氏と実弟でございます小野田滋郎氏、それから昭和二十五年でございましたか、ルバング島から出てまいりました戦友の赤津さん、この方は小野田寛郎さんと戦後も行動をともにしておられた戦友でございますが、その三人の方をお招きしまして、この二枚の写真を見ていただいたわけでございますが、小野田滋郎さんがまずごらんになりまして、約十秒ほどごらんになりまして、これは兄さんに間違いない、かように申されたわけでございます。その後、小野田敏郎氏、お兄さんも、それから戦友も、これは寛郎氏に間違いない、こういうふうに申されたわけでございます。それで私どもといたしましても、このたび発見されました方は小野田寛郎氏であろう、こういうふうに確定をしておるわけでございます。  現在、本日朝、厚生省の柏井審査課長外一名を現地に出しまして、情報の確認、それから今後の救出のための準備ということに当たらせておるわけでございます。私どもといたしましては、小野田寛郎元少尉を無事に救出するために最善の努力を尽くしたい、かように考えておるわけでございます。
  105. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろといままでの救出作業については聞いておりますが、ひとつやはり、事、命にかかわる問題ですから御努力をお願いをしたい、こう思います。  硫黄島のあの遺骨収集ばかりじゃなくして、南方にはまだ相当の遺骨があるわけであります。そちらはそちらでまた進めていられるようだけれども、この硫黄島の問題については、泊り込みで遺骨収集に努力をしたというようなことはわれわれは聞いてないわけで、いまのお話しのように、地下壕が発見されたという自衛隊から報告があった、初めてそこへまた出かけていってその地域を調べるというような、そういう程度の収集しかやってないということであってはならぬ。これから一万五千九百柱ですから、アメリカ軍が上陸をしてきて非常に地域処理をやったということで、どのくらい処理された中に遺骨があったかは不明でありますけれども、そういうことからも、やれるだけひとつ抜本策を講じて努力をして、その上で、もうこれ以上手の施しようがないという、そういう状態でいまのような形になるならばしかたがないと思いますけれども、いまとっているような姿、しかも四十七年、四十八年度は予算要求は全然ない、ゼロ、こういうことで、四十九年になって初めて二百八十七万円がついたという、こういう状態であっては困ると思う。硫黄島に慰霊碑が立ったということですが、それがせめてもの遺族へのおわびのしるしであろうと私は思いますけれども、だれも参拝することもできないような地理的条件にある硫黄島、こうなるわけですから、やはり経済状態もここまで進んだ日本国という立場からも、これは戦争の責任は国にあるわけですから、抜本的な対策を講ずべきである、私どもはこう見ているわけですね。開発とは別にして、遺骨収集という問題については真剣に考えてもらいたい、こういうように考えるわけですね。  そこで、遺骨の問題でございますので厚生省からも伺いましたが、ひとつ自治大臣に、もう御存じのような状態で、玉砕された硫黄島のこういう遺骨収集については、やはり何らかの機会に閣僚間でこういう問題を取り上げていただいて、ぜひとも抜本策を講じていただきたい、こういうふうに考えているわけですが、大臣からお考えをお伺いしたい、こう思います。
  106. 河野共之

    ○河野説明員 私の説明が十分でなかったために申しわけないと思いますが、硫黄島の遺骨収集につきましては、延べ百六十日間海上自衛隊の基地に泊り込みまして、延べ人員にいたしまして約二百名の者が泊り込みでやっております。(小濱委員「それはいつですか」と呼ぶ)これは遺骨収集を開始しましてから昭和四十八年までの間のすべてを含みます。四十四年、四十五年におきまして遺骨収集に、硫黄島につきましては相当な力を注いだわけでございますが、四十四年におきましての実施の状況といたしましては、約五十名の職員が約四十日間泊り込みまして実施をいたしまして、さらに同年、同じ四十四年には四十二名が三十日間、合計いたしまして二カ月半泊り込みいたしまして遺骨収集を実施いたしたわけでございます。それからさらに昭和四十五年におきましても、合計いたしまして約三十名ぐらいの職員が延べにいたしまして五十日近くの間泊り込みまして遺骨収集を行なったわけでございます。この四十四年、四十五年度におきまして、発見できる壕はおおむね発見し尽くした。現在、硫黄島には長さ約三千メートルに及ぶといわれる飛行場がございまして、その飛行場の下にもかなりの地下壕があるわけでございますけれども、これは収集不能といたしましても、他の地区におきましては私どもとしてはできるだけの努力を傾けた、かように考えておるわけでございます。私の説明が足りませんでしたので、補足申し上げます。  昭和四十九年度の予算につきましては、先ほど申し上げましたように、その後の地殻の変動その他によりまして新しい壕が四カ所ほど発見をされたわけでございます。したがいまして、これらにつきまして遺骨収集を実施する、このための経費でございます。
  107. 町村金五

    ○町村国務大臣 いま厚生省の課長から御説明申し上げましたように、硫黄島の遺骨収集についてはかなり政府も力を入れておるように私も聞いたのでございます。本年度の新たな予算は、いま課長が御説明申し上げましたように、新たな壕が発見をされた、それに伴う遺骨収集をやろう、こういうことのようでございますが、おそらく厚生省としてもこのことに全力をあげておるものと、私はかように判断をいたしたわけでございます。  政府としては、もとより硫黄島ばかりでなく、その他の地域の遺骨収集につきましてもさらに力を注ぐべきもの、かように考えておる次第でございます。
  108. 小濱新次

    ○小濱委員 これはもう遺家族はもちろん多くの国民の方々が、この問題の処理の完成を心のうちではだれしもが望んでいるであろう、こういうふうにわれわれは考えておるわけでありまして、小笠原群島の問題を取り上げるならば、やはりこうした問題がまずやらなければならない一つの重要な課題であろう、こういうふうに感じましたのでお尋ねしました。よろしくお願いをしたいと思います。  それに続いてもう一つは不発弾処理でありますが、この硫黄島の不発弾処理費のための予算はどうなっておるのか。これは群島開発には自治省にも責任があるわけですね、これが一つ。自衛隊は施設のあるその周辺はみずからの手で不発弾処理をやっているという、これは伺いました。したがって、本来の責任官庁はどこなのかなという、いわゆる所管が非常にあいまいなような感じを受けるわけでございます。いまのような姿では、硫黄島の不発弾処理もこれはいつになるか、見通しも立たないであろう、こういうふうにも考えます。それぞれひとつ御答弁をお願いしたい、こう思います。まず行政局長
  109. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この不発弾処理問題は、一に硫黄島の問題ではなくて、まだ本土にも空襲のとき落とした爆弾の不発弾がちょくちょく発見をされたりいたしまして、やはり各省間の所管、その責任問題につきまして昨年あたりだいぶ議論がされたところでございます。  そこで、一応処理する技術は防衛庁のみにしかございませんので、発見をいたしますと、地元の地方公共団体、それから警察、それらが協力いたしまして処理を防衛庁に頼むという方法で、その取りまとめは一応総理府がやるということに、これは比較的最近きまったようでございます。  そこで硫黄島については、不発弾は、あすこに現在自衛隊がおられますので、発見され次第自衛隊に処理していただいておるということで、従来の復興予算その他には不発弾処理についての計上はしておりませんというのが現状でございます。
  110. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 不発弾等の処理につきましては、ただいま行政局長から申し上げましたとおり、昨年の十月二十三日の内閣総理大臣決裁によりまして、不発弾処理交付金交付要綱というものが設定をされまして、今後はそれによりまして不発弾処理をいたすということになっておりまして、その窓口といたしましては、内閣総理大臣官房の管理室がその事務に当たるということになっております。  この要綱の目的は、いま問題になっておりますような、戦争中におきまする陸上における不発弾処理をするということでございまして、実際にその処理をいたします事業、これは地方公共団体、まあ都道府県または市町村ということでございますが、地方公共団体におきましてその不発弾処理をいたす、そういう事業をやりました際にかかります経費、その一部を国が補助金として交付するというふうな仕組みになったものでございます。
  111. 小濱新次

    ○小濱委員 不発弾処理の国補は、いつから、幾らになりましたか、だれか御存じの方……。  昨年でしたけれども、ようやくここで九〇%、国補がきまったわけでしょう、不発弾処理費、地元は一〇%持てばいいということで。防空壕のあとの処理費にしても非常に論議になりましたけれども、これも、ある省では九〇%国補でございます、こう言っておりました。こういうことで、その現場が発見できれば国補九〇%で処理ができるわけです。こういう道が開けたにもかかわらず、いまの不発弾処理が何ら結論の見通しが立たないということで、政府がせっかくそこまで努力をしてくれたにもかかわらずその対策を講じないということになると、これはやはり自治省にも、群島開発という責任があるわけですから、そういう点から私はやはり御意見を伺っておかなくちゃならないし、これからの構想も聞いておかなくちゃならない、こういうことでお尋ねしているわけですよ。  いまのままでは、もう対策はないのだ、遺骨もしようがないのだ、あきらめてもらうしかない、まあそうも言えないから、いまのような形でだらだらと三十年も経過してしまった、こういう形になるのでは、私ども行政を預かる立場からはこれはやはり責任を感ぜざるを得ないわけです。どうしよう。もう一度ひとつ行政局長から……。
  112. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに、硫黄島におきます不発弾というのはほかの地域の不発弾とはまただいぶ、規模といいますか、けたが違っておりまして、一平米当たり何トンという鉄を撃ち込んだという戦場でございましたので、その数その他もたいへんな数にのぼるものと存じます。そこで防衛庁方面の説明を聞きますと、一班に三人ないし七人の人間で、探査機一台を持ってさがして処理するというやつを三班フルに動かしても九年かかるとかいうような御説明さえ受けておりまして、この不発弾処理というのはたいへんなものでございます。  だからいたずらにどうしようもないのだとあきらめて、ずるずる延ばしているという意図は毛頭ございませんけれども、とにかく硫黄島の場合は、振興開発に先立っていまの遺骨収集不発弾処理という難問題を片づけなければなりませんし、さらに、かりにこれらを一瀉千里で片づけたといたしましても、現在あそこの地殻というのが非常に不安定でございまして、隆起、陥没をもう繰り返す。港をつくってみても翌年はその港が海の中へ沈むかもしれないというような地球物理的な非常に不安定な立場にもありますので、本気になって腰を据えて開発振興に向かう時期のめどは、まあ現在ほとんど立っていないような状況でございます。いずれにいたしましても、来年の予算の各種調査のうちに不発弾処理の項目も加えまして、各省寄っていただきまして、あそこに対してどういう措置をとるべきかということを突っ込んで研究をし、結論を出したい、そう考えておる次第であります。
  113. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ、当時の見取り図も、ただいま大臣にお見せしてありますけれども、あるわけですね。写真にもとってある。こういう形ですから、その気にさえなれば相当作業が進むであろう。われわれはその期待を持っているわけですから、ぜひともひとつこの問題についても群島開発という立場から真剣に考えていただきたいことを心から御要望申し上げておきたいと思います。  それから、この小笠原群島の空港問題ですが、先ほどは東京都の参考人からいろいろ御意見を伺いました。東京都では八千万円かけて調査した結果というものが出ているわけです。で、百九十億円かかることがわかったという明細書が出ておりますが、全額国庫補助でお願いをしたいと先ほども言っておられました。局長のほうは何か検討中ということで、非常に消極的な、そういう御答弁のように伺っておりました。やはり自衛隊にたいへんお世話になって患者の輸送をやっているようでありますが、どうしても船旅は二日近くかかるということになれば、これからはこの空港整備ということが問題になってまいります。大阪の例のように、ああいうふうになってからではもう飛行場はできませんね。したがって、やはりいまのうちに何とかそういう騒音の問題だとか屎尿、ごみの処理の問題であるとか、いやなことは早く手をかけておかなくちゃならないであろう、対策を検討する必要があるとわれわれは考えておるわけですけれども、先ほどの局長の御答弁はちょっと私どもどうしてものみ込めませんので、意のあるところを御答弁をいま一度お願いをしたいと思います。
  114. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 来年度の小笠原振興に関する予算の中に空港関係その他も含めてございますけれども、さらに引き続き調査をするということになっておるのはたびたび御説明申し上げたとおりでございます。ああいう地域に空港が必要だというのは、むしろわれわれはもうすべての前提条件ぐらいに絶対に必要ではないかという考えを持っておりますし、それから御承知のとおり小笠原復興審議会は自治大臣の諮問機関ですが、小笠原復興審議会におきましても一日も早く空港をつくるべきだという御議論が非常に多いわけでございます。ところが関係者の中に、空港をあまり早くつくることは無秩序な観光客がなだれ込む、ないしは観光的にそれが非常に有望になるので、いわゆる不動産屋の買い占めとかその他が起こって、あそこの美しい自然を破壊することになるということで、それに対してやや消極的な御意見の向きもあって、全体としての結論がなかなかまとまらない。一方において地理的条件で非常にむずかしいところで、現在適地とされているのは父島と隣接した兄島のやや高原のような高いところでございますが、それに関する経費も通常の、奄美あたりに比べましてはるかに高い経費がかかるという問題もありますが、経費以前の問題で、あそこに空港早期に開くか、あるいはそれについては少し慎重に取り組んで、そういった乱開発がされないような、観光客に対する受け入れ施設あるいは屎尿、ごみの施設、それが整備された時点で考えるかということについての意見の一致を見ないという、現在のそういう客観的な事情を私御説明申し上げたわけでございまして、小笠原復興に取り組んでまいりました私たちとか、あるいは小笠原復興審議会あたりでは、空港はもう人命にも関する問題であり、何よりも早くすべきだという意見が相当あることは確かでございます。私たちもそう思っている次第でございますが、現在客観的にそういう一致を見ない面があるということを御説明申し上げただけでございまして、私たちのほうは消極的な気持ちでは毛頭ございません。
  115. 小濱新次

    ○小濱委員 経済調査ということで四十九年度は空港建設について五百万円今度は出ております。私ども小笠原島へ行きましてあちこち見て歩きました。旧飛行場それから兄島のあの山の頂につくったならばという、そういう検討をし、それから報告書も書き、そうしてその期待をになって私どもはもう何年になるのですか、四、五年になりますか、五年ですね、五年年になりますよ、局長。いまなお四十九年度の経済調査費ということで五百万円、先ほどの御答弁は検討中、こういうことであっては、やはり私どもはせっかく国政調査の任命を受けてそして派遣をされて行った、そういう意味がなくなるであろう、こう思いますが、ぜひひとつ空港問題についても、もう少し何か目標を置いた計画を進めるように努力すべきであると私ども考えております。さらに、全額国負担でお願いをしたいと先ほども東京都の参考人は言っておりました。当然そうあるべきであろうと思いますので、一そうの御努力をお願いしたいと思います。  最後に、船舶問題でひとつお尋ねをしておきたいのですが、東京都では相当調査を進めておりますね。先ほども、現在就航中の連絡船は五十二年度で限界である、こう言っておりました。五十二年度で限界、したがって、高速船の建造は三十億円かかる見通しだが、ぜひともこれも国の負担でお願いをしたい、こう言っておりました。やはり船の使命ということと小笠原群島の振興策ということを考えれば、建造という計画が当然浮かんでくるわけですが、補助費をどういうふうに国がつけてあげるのか、あるいはどういうふうにこれが建設のために国が促進に努力をしてあげるのか、お答えをいただきたいと思います。  さらに最後に、小笠原群島の将来計画について、どういう産業の島にするのか、これを結論にして私の質問を終わりたいと思います。
  116. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 飛行場につきましては、小笠原復興の責任に当たっておりますわれわれとしても、実はいまの小濱先生と同じような歯がゆさをこの数年感じてきております。私たちはやはり飛行場をつくるのが先決だという気がどうしてもしてなりませんので、それに消極的な御意見が一部あることに対する歯がゆさは、先生と同じことを実は私たちも持っておるわけであります。ぜひこれをやりたいものだと思っておりますが、当事者の間に話がまとまらないことにはなかなか計画としても上がってこないという歯がゆさがございます。なお努力をしてまいりたいと思います。  それから、飛行場ができない以上、船というのが唯一の足になります。これも現在の速度のおそい船で三十七時間、これが表向きでございまして、現実にはもう四十数時間、まる二日もかかるようなことがしばしばだと思います。これについても当然改善しなければなりません。そこでこれに対する措置は今後計画としても当然出てまいりましょうし、慎重に検討してまいりたいと思いますが、これは現在は民間の営業路線でございますので、補助というか、融資というか、いろいろな措置もあると思います。それらの負担問題につきましても、関係団体と国との間でよく協議をして、できるだけすみやかにこの交通状態が改善されるよう、なお努力を続けてまいるつもりでございます。
  117. 小濱新次

    ○小濱委員 終わります。
  118. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  119. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本案に対して、中山利生君外四名提出の修正案が提出されております。
  120. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。中山利生君。
  121. 中山利生

    ○中山(利)委員 ただいま議題となりました奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  案文は御手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。  まず、提案理由について申し上げますと、奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法は、いずれも、昭和四十九年三月三十一日をもって失効することになっておりますが、引き続き振興開発計画及び復興計画に基づく事業の円滑な実施をはかり、かつ奄美群島振興開発基金の業務の円滑な運営を期するためには、奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案をできる限りすみやかに成立させてその公布施行をはかる必要があります。このため、現段階においては現行の法律を前提として同法律案の附則に規定する経過措置等について所要の規定の整備を行ない、同法律の早期実施に備えようとするものであります。  次に、修正案の内容について申し上げます。  政府原案の附則中の「内閣総理大臣」を「自治大臣」に改めるとともに、附則において自治省設置法の一部改正を行ない、同法中の「奄美群島振興特別措置法」を「奄美群島振興開発特別措置法」に、「奄美群島振興信用基金」を「奄美群島振興開発基金」に改める等の所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上が、この修正案の提案理由とその内容であります。  何とぞ、皆様の御賛同を得まして、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  122. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  123. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより原案及び修正案を一括して討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決いたします。  まず、中山利生君外四名提出の修正案の採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  124. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案の採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  125. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて、原案は可決いたしました。したがって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  126. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、保岡興治君、山本弥之助君、三谷秀治君、小濱新次君、折小野良一君から、五派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。保岡興治君。
  127. 保岡興治

    保岡委員 私はこの際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五派を代表いたしまして、奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の諸点に留意し、奄美群島の振興開発および小笠原諸島復興に遺憾なきを期すべきである。  一、奄美群島振興開発計画の策定にあたっては、地元市町村の意見を十分に反映させるとともに、その計画に基づく事業の実施については、関係各省庁間の連繋を密にし、重点的かつ効率的な推進を図り、計画期間内に本法の目的を達成するように努めること。    なお、計画期間後も諸格差が是正されない場合はさらに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。  一、奄美群島の振興開発事業については、補助採択基準の緩和等、十分な予算措置を講ずるとともに、補助単価は同群島の特殊事情に即応した適正なものとし、超過負担を生ずることのないように努めること。    また、振興開発にかかる地元負担については、引き続き、起債の特別枠の確保及び充当率の引き上げを図ること。  一、奄美群島の特性に即した産業振興を図るため、引き続き、大島紬などの伝統産業、さとうきびなどの地場産業の保護育成を図り、その振興を推進するとともに、豊かな自然を活かし、かつ、群島経済の発展と住民福祉の向上に結びつく観光開発をすすめる等、新しい産業を開発し、就業機会の増大と生活の安定に努めること。    また、このため、国の助成措置及び奄美群島振興開発基金による金融措置の拡充強化を図ること。  一、奄美群島においては、道路、港湾空港整備が群島住民の生活基盤に深いかかわりをもつことにかんがみ、今後、主要地方道の国道昇格、一般道路の改良・舗装の促進、港湾及び関連施設整備等に重点をおいた交通体系の整備を図るほか、医療の確保その他社会福祉施設の充実強化を積極的に推進すること。  一、奄美群島における輸送費等による離島特有の高物価問題に対処するため、港湾機能施設の充実、商業の協業化等による流通の合理化、生鮮食料品の自給率の向上等を図るとともに、本土奄美、沖繩を通ずる国鉄航路の開設について検討すること。  一、小笠原諸島復興計画の策定にあたっては、長期的な社会経済の発展及び諸情勢の変化を慎重に検討するとともに、事業の実施については、今後における予期せざる事態に対し、国は東京都と緊密な連絡をとり、弾力的に対処するほか関係各省庁間において十分な調整を行い、その効率的な執行を図ること。  一、小笠原諸島における幾多の戦後処理問題、とりわけ硫黄島における遺骨収集不発弾処理等については、早急に現地調査を行ない、その実態と処理方針を明らかにし、国の責任においてその解決を図ること。  一、小笠原諸島復興計画期間内において、住民が安定した職業につき、豊かな生活を営みうるよう船舶、空港等各種の基盤整備を図るとともに、小笠原村が本来の自治体として、すみやかに自主的な運営ができるよう各般の施策を推進すること。    なお、計画期間後も、所期の目的が達成されない場合には、さらに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。  一、小笠原諸島復興事業については、十分な予算措置を講ずるとともに、補助単価は、同諸島の特殊事情を考慮した適正なものとし、超過負担が生じないように努めること。  一、小笠原諸島の旧島民が帰島する場合に必要な代替地等を確保するため、国は国有地の払下げ等を行うなど必要な措置を講ずること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ、皆さまの御賛同をお願いいたします。
  128. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  129. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、保岡興治君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣。
  130. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、御趣旨を体してその実現に努力してまいりたいと存じます。(拍手)
  131. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  133. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十分散会