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1974-02-26 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十六日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    亀山 孝一君       木村武千代君    住  栄作君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       井岡 大治君    小川 省吾君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         人事院給与局次         長       長橋  進君         環境庁水質保全         局水質管理課長 山村 勝美君         厚生省薬務局細         菌製剤課長   近  寅彦君         農林省農蚕園芸         局畑作振興課長 本宮 義一君         林野庁指導部林         道課長     岩崎 成嘉君         通商産業省生活         産業局繊維製品         課長      田口健次郎君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省海運局参         事官      浜田直太郎君         建設省道路局地         方道課長    高木 澄清君         自治省行政局地         域整備課長   緒方 喜祐君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     湯山  勇君   折小野良一君     安里積千代君 同月二十三日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     細谷 治嘉君 同月二十六日  辞任         補欠選任   小川新一郎君     近江巳記夫君   安里積千代君     折小野良一君 同日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     小川新一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、本案審査参考に資するため、去る二十三日、二十四日の両日奄美本島委員を派遣いたしましたが、派遣委員の皆さまにはまことに御苦労さまでございました。  この際、派遣委員から御報告を求めます。中村弘海君。
  3. 中村弘海

    中村(弘)委員 去る二月二十三日及び二十四日の二日間にわたり、鹿児島奄美群島について調査を行ないましたので、便宜上、私からその結果を御報告申し上げます。  このたびの委員派遣は、現在当委員会審査中の奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案審査参考にするため、改正案につきまして現地意見及び要望を聴取することを目的として行なわれたものであります。  派遣委員は、中山利生理事愛野興一郎委員片岡清一委員小川省吾委員多田光雄委員、小濱新次委員安里積千代委員と私の八名でありますが、保岡興治委員現地参加され、調査に協力されました。なお、調査室からは直江鷹郎調査員及び栗山正行調査員が同行いたしました。  次に、調査の経過を申し上げますと、二十三日午後、奄美大島空港に到着し、直ちに、富国製糖奄美工場視察した後、ほとんど未舗装の県道を経て、大熊漁港視察を行なったのであります。引き続き、奄美共済会館において、群島の十四の市町村長及び市町村議会議長出席のもとに、山口鹿児島県副知事黒田大島支庁長中島振興信用基金理事長及び師玉市町村会長から、奄美群島行財政の概要、振興事業計画実施状況改正案に対する意見及び要望を聴取した後、産業振興策をはじめとして、奄美群島をめぐる諸問題について、熱心な質疑応答が行なわれたのであります。  次いで、鹿児島県副知事をはじめとする県当局並びに十四市町村の長及び議会議長との懇談会に臨み、奄美群島振興開発をめぐり、数多くの切実な要望と貴重な意見の交換が行なわれたのであります。  翌二十四日の午前中は、まず名瀬港の現地視察を行ない、同港の改修計画説明を聴取した後、名瀬保健所においてハブ毒採取視察を行ないました。  次いで、同保健所において記者会見をした後、大島紬観光センターにおいて、大島つむぎ製造工程状況視察したのであります。  午後は、本年一月三日に大火が発生いたしました笠利町大笠利地区視察し、朝山笠利町長から被災の状況を聞き、今回の調査を終了したのでありますが、帰路、鹿児島空港において金丸鹿児島県知事と懇談を行ない、同日夕刻、東京に帰着した次第であります。  さて、奄美群島につきましては、昭和二十九年以来、復興計画及び振興計画に基づきまして各般の事業実施し、群島基盤整備主要産業振興をはかってきたのであります。昭和四十八年度までの群島に対する投資額は、事業費六百四十九億余円となっておりまして、そのうち国庫分は三百三十七億余円となっております。そのほか、一般補助事業県単独事業として二百億円が投資されておりまして、公共施設整備産業振興等かなり成果をあげてきたのであります。しかしながら、わが国の社会経済の著しい発展の中にあって、奄美群島をめぐる諸条件は依然としてきびしく、なお本土との間にかなり格差が見られるのであります。  以下、派遣委員が、今回の現地調査により、奄美群島現状及び課題として痛感した諸点を申し上げますと次のとおりであります。  第一は、人口労働力についてであります。  奄美群島人口は、昭和四十五年の国勢調査では十六万四千百余人、就業人口は七万三千八百人で、ともに昭和三十五年の同調査に比べて大幅に減少しております。同群島人口労働力を通じて特徴的にいえますことは、若年齢層群島外流出中心人口が著しく減少し、人口構成老齢化女性化が進行していることであります。また、農業就業者が大幅に減少したことなどによって、就業人口労働力人口を上回る速度で減少していることであります。このような現状において、奄美群島の今後の発展を期するためには、人口大幅減少からくる過疎化現象の進行をできる限り食いとめ、明るく活力に満ちた福祉社会の実現につとめることが要請されているのであります。  第二は、住民生活水準についてであります。  昭和二十九年度からの復興振興事業実施により、公共施設整備及び産業振興等についてはかなり成果をあげてきております。しかし、外海離島であること、亜熱帯であること、また台風の常襲地帯等という、その地理的、自然的諸条件特殊性からくる後進性の克服は容易でなく、群島住民所得水準等生活関係諸指標は本土に比べ低水準にあり、依然として格差が大きいことを示しております。  すなわち、昭和四十六年度の一人当たり郡民所得は三十一万八百四十一円でありまして、対県比では八七%、対全国比では五〇%となっているにすぎません。一人当たり個人所得を見ましても三十四万七千二百九十四円でありまして、対県比では九〇%、対全国比で六〇%にとどまっております。さらに、同群島外海離島としての遠隔性に加えて、港湾等交通基盤整備のおくれからの交通の不便、自然災害物価高生活環境のおくれなど、住民生活環境を総合的に勘案いたしました場合、その実質的な生活水準は、所得水準にあらわれた格差以上にさらに低い状態にあるといえるのであります。  このように低い水準にある群島住民生活水準向上させるためには、地域の特性を生かした産業振興をはかるほかに、生活環境施設社会福祉施設医師確保をはじめ、医療施設等整備充実を積極的に推進することはもちろんのこと、道路港湾空港等交通通信体系等整備充実して、本土との間及び群島内の時間距離の短縮をはかるなど、積極的にその振興開発を進める必要があるのであります。  特に、日常生活必需品をはじめ、産業振興経済基盤整備のための諸資材に至るまで、すべて船舶輸送によって本土から移入しておりますために、群島の諸物価は全国最高の指数を示しているのであります。そして、物価高最大の要因は船舶輸送費にあると指摘されるのであります。したがって、郡民所得船舶貨物運賃によりある程度目減りしているともいえるのでありまして、物価問題の解決群島民最大課題であります。  このような物価問題の解決のためには、根本的にはもちろん全国的視野からの交通、運輸の総合的対策によって解決すべき問題でありますが、当面、本群島については、港湾機能施設整備充実、商業の協業化等による流通合理化生鮮食料品自給率向上便乗値上げ防止のための行政指導の施策を講ずるとともに、指定品目輸送費に対する補助制度も検討する必要があると痛感されたのであります。  第三に、交通基盤整備について申し上げます。  まず、道路整備でありますが、未開通区間を早期に開通させるという趣旨から量的な充足を急いだ結果、道路幅員も狭く、舗装においては本土水準を大きく下回り、また交通安全施設の未整備など、質的にも著しいおくれを示しております。したがって、今後は、住民生活圏広域化輸送需要に対処するため、主要地方道についての改良舗装を早急に完成させるなど、各島の中心地または港湾空港と各集落を結ぶ島内交通ネットワーク整備し、確立する必要があるのであります。  次に、港湾につきましては、外海離島という特性から海上輸送に依存するところが大きいため、港湾重点的整備が行なわれてきておりますが、今後は、就航船舶大型化フェリー化コンテナ化に対処し、常時安全な出入港が可能となるよう港湾機能施設について重点的に整備をはかる必要があります。  第四は、産業構造について申し上げます。  生産所得産業別構成について昭和二十八年度と四十七年度を比較してみますと、昭和四十七年度には第一次産業が激減している半面、第二次、第三次産業は大幅にふえ、一見、いわゆる産業構造高度化が進行しているかに見えるのであります。  すなわち、第一次産業では農業の占める比重が高く、サトウキビ中心とする振興がはかられてきましたが、近年その生産が停滞し、これが主因となって農業生産全体の停滞をもたらしております。奄美群島生命作物というべき、サトウキビについては、新しい品種の普及更新機械管理組織化、一貫した作業体系の確立などの生産対策を進めるとともに、今後も生産者価格の大幅な引き上げをはかる必要があります。また、このサトウキビに、野菜、花卉・花木、肉用牛等島ごと振興作目を組み合わせた多角的農業経営を推進し、生鮮食料品島内自給率向上をはかることは、奄美農業発展させる上にも緊急の課題であると考えられます。  林業につきましては、チップ材パルプ材生産がほとんどでありますが、林木の生長が早いという点を生かして用材の生産へ転換をはかることも考えられます。  さらに、奄美近海魚類の生息に適した好漁場が形成され、未利用の豊富な資源に恵まれておりますので、一そうの漁港の整備充実や漁船の建造を進めるとともに、冬季でも比較的に水温が高く、魚類の養殖に適しているので、立地条件を生かした栽培漁業振興をはかる必要があります。  第二次産業では、純生産額において製造業が全体の七〇%近い割合を占め、その大部分が大島つむぎであり、次いで製糖業の順でありまして、この二つは群島経済をささえる柱であります。  大島つむぎについては、伝統産業保護育成をはかるとともに、すぐれた手織り技術を生かし、共同作業場整備流通合理化の促進、労働環境改善などの積極的な振興をはかり、つむぎ生産維持発展を期する必要があります。  また、製糖業については、原料不足によって経営が一段と悪化しているため、サトウキビ生産対策を進めるとともに、その経営基盤強化をはかることが要請されたのであります。  第一次、第二次産業振興に伴い、第三次産業伸びが期待されておりますが、中でも奄美群島への観光レクリエーション需要は著しく増大しつつあります。しかしながら、観光ルート受け入れ体制整備に立ちおくれが見られます。  今後、群島の美しい自然を活用して、自然保護をはかりながら、国民の健全な余暇活用の場としての大規模レクリエーション基地を建設するとともに、観光産業群島経済における産業の一つとして位置づける必要があると考えられるのであります。  さらに、観光と結びついた農業漁業島内地場産業振興をはかるなど、群島経済発展住民福祉向上に結びつくように、計画的な観光開発を進めていく必要があります。  奄美群島産業は、第一次、第二次、第三次産業のいずれの分野においても、その経営規模は零細でありまして、資本蓄積も少なく、経営基盤は脆弱であります。また、試験研究技術普及も十分でなく、流通体系整備もおくれている等、いろいろな面で後進性が強く残っていることが痛感されたのであります。  第五に、群島経済の特質について申し上げます。  昭和四十六年度の郡内純生産は四百八十九億円でありまして、群島経済規模は一応順調に拡大方向を示してはおりますものの、多くの面において後進性本土への強い依存度を見せており、振興計画の目標としている群島経済自立的発展への基礎はまだ確立されるに至っておりません。  すなわち、四十六年度の郡際収支を見ますと、移出約二百六十億円、移入約四百五十億円でありまして、約百九十億円の入超となっております。この入超分は主として郡外からの財政資金で補てんされており、財政主導型の経済であることを端的に物語っているのであります。  今後、群島経済自立的発展基礎を確立するためには、産業振興し、群島内の資本蓄積を高めるとともに、市町村行財政力強化住民地方自治に対する意識の高揚等により、地元が中心となって開発を積極的に進める必要があります。  第六に、市町村財政状況について申し上げます。  奄美群島市町村は、一市九町四村でありますが、そのうち過疎市町村は、名瀬市、笠利町、与論町を除く十一町村に達しております。  市町村財政は、復興振興事業の進捗に伴って着実な伸びを見せておりますものの、その基盤は著しく脆弱であり、体質的な問題点を内蔵しております。昭和四十七年度の決算状況を見ますと、歳入構成では、産業構造地域住民所得水準を反映して、自主財源割合は少なく、このため地方交付税、国、県の支出金割合が大きくなっております。四十七年度の財政力指数は、名瀬市の〇・二二が最高であって、〇・一〇未満が六町村もあり、国及び県に対する財源への依存度がきわめて高くなっております。  歳出構成を見ますと、人件費割合は二三・四%で、県平均を大きく下回っておりますが、これは、給与水準格差も原因ではありましょうが、半面生活環境施設社会福祉施設整備のおくれていることも反映しているといえるのであります。  一方、物件費割合は、物価高騰等の影響により比較的高く、特に扶助費等割合は一二・七%と高く、生活保護者の多いこと等を物語っております。また、投資的経費割合は県及び全国平均を大きく上回っておりますが、これは振興事業に基づく投資が多いこと等によるものであります。  以上のような脆弱な市町村の体質は、本来的には群島経済特異性住民の低い所得水準から生ずるものであり、財政面だけから改善をはかることは困難であります。したがって、引き続き産業経済振興策を重点的に進める必要があると痛感したような次第であります。  第七に、奄美群島振興信用基金についてであります。  奄美群島振興信用基金は、一般金融ベースになじまない中小企業者及び農林漁業者対象として、保証業務融資業務をあわせて行なっているのであります。  まず、保証業務について申し上げます。  同基金による保証承諾の額は、四十七年度まで二百三十億円にのぼり、第一次産業を含む全産業対象とした総合的、弾力的信用保証を行なっておりまして、基金役割りに対する今後の期待は非常に大きいものがあります。なお、保証業務の原資となる承継債権回収状況もほぼ頭打ちになっており、保証業務拡大に対応できなくなっておりますので、その根本的解決が重要な課題となっております。  次に、融資業務について申します。  同基金は、第一次産業に対する長期、低利資金を重点に融資しており、農協等系統資金農林漁業金融公庫等制度資金等を補完しつつ、積極的な役割りを果たしておりまして、四十七年度末までの貸し付け累計は六十八億余円、貸し付け残高は十五億余円となっております。なお、最近において転貸債による借入金が増加し、これが主因となって逆ざやの現象を生じ、将来、同基金経営が圧迫されるおそれがあります。今後とも、同基金の果たす役割り重要性にかんがみまして、その経営基盤強化機能の拡充をはかる必要があります。  次に、今回の法律案に対する意見及び要望を要約いたしますと、その一は、現行の奄美群島振興特別措置法が本年三月三十一日をもって期限切れとなることを十分に勘案して、年度内成立をぜひ実現されたいということであります。その二は、法律目的を効果的に達成するためには、少なくとも十年の期間が必要であるので、五年後になお諸格差が残存するときは、期限の再延長について検討を加えられたいということであり、その三は、ハブ対策特殊病害虫防除大島つむぎ振興観光開発等奄美群島特殊性に起因する事業については、財政上、金融上の特別措置を拡充強化するよう配慮されたいということであります。  次に、質疑応答の中で要望された諸点を申しますと、  その一は、振興開発事業の国の補助率については、一般離島と比較されやすいが、沖繩振興開発特別措置並みとすること。  その二は、振興開発事業実施にあたっては、超過負担が生じないよう配慮するとともに、地元負担については、起債の充当率を大幅に引き上げること。  その三は、医療施設整備はおくれており、医師をはじめとする医療従事者確保も困難である。特に医師確保については、韓国の医師に依頼するような状況にあるので、国において特段の措置を講ずること。  その四は、主要地方道については早急に改良舗装を完了するとともに、その国道昇格を実現すること。等であります。  以上のほか、特に名瀬市から、離島船舶航路については、国鉄並み運賃で船客、物資の輸送が実現できるよう、その方策について調査検討されたい。また、国鉄運賃が実現されるまでの間、現在の奄美航路船舶会社に対し、現在以上の運賃値上げの事態を招来しないよう、何らかの助成策実施する方向で検討されたいとの要望がありました。  以上をもちまして報告を終わります。
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。     —————————————
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  6. 小川省吾

    小川(省)委員 質問に入ります前に、ただいま報告がありましたように、去る二十三、二十四日の両日奄美群島への調査に行ってまいりました。非常にかけ足の強行軍視察でございましたけれども、郡内の各市町村長をはじめとして、いろいろな要請を承り、現地の実情を一応見させていただいてまいったわけでございます。しかしながら、こういう法案審議のさなかに、中村団長のほうもあいさつの中で申し上げておりましたけれども、異例なことだというふうな形で、法案審議のさなかに調査におもむいたわけでございますけれども、この決定にあたって、委員長をはじめとして各党理事の諸君のこのような法案審議に対する取り扱い方について心から敬意を表したいと存じます。さらに、地方行政委員会があらゆる法律案や事案の審議にあたって、具体的に調査といいますか、事実に触れて法案審議をされるというよい慣行を、あらゆる点についてぜひひとつ今後とも継続をしていくよう強く要望をいたしておきたいと思います。  そこで、御質問に入ってまいるわけでありますが、大臣のこの間の提案理由説明の中に、奄美群島については、復帰以来いろいろ計画実施してきたけれども、「しかしながら、奄美群島をめぐる諸条件は依然としてきびしく、住民生活水準はなお本土との間に相当の格差があります。」という御説明があったわけであります。このたびの調査の中で、依然としてきびしい状態をみずから目のあたりに見せていただいたわけでございます。私は、この御発言と、あるいはまたこの間林行政局長の補足の説明がございましたけれども、法律案が「振興特別措置法」から「振興開発特別措置法」というふうに名称の変更がされておるわけでありますけれども、これはあながち無関係ではないというふうに思っているわけであります。提案理由説明にあったきびしい条件というものと法律題名変更するという間に、当然その点についての、「開発」ということばを新たに挿入したことについて、私はそれなりの、従来実施をしてきたところの反省なりあるいは今後の展望というものに立っての題名変更だというふうに思いますが、この辺についてひとつ林局長のほうから詳しく御説明をいただきたいと存じます。
  7. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まさに先生がいま御指摘になりましたとおりのことでございます。確かに、復帰してまいりました当時は、それこそ道路舗装一つないといいますか、学校もわらぶきのぼろぼろであるとか、いわゆる公共施設というものの整備本土に比べてはるかに立ちおくれておりまして、そういうものの復興に全力を注いだということでございますが、これらの復興でそういう公共施設整備されてまいりましても、それ自体島民所得の増強には、まあそういう作業に従事するための人夫賃というような形でもちろん所得向上にも何がしかプラスしましたが、それ自体島民産業生産力を上げることにならぬ。そういう意味で、本土との収入面における格差というものは一向に改まらないというか、もちろんあの当時本土もどんどんと戦後の復興を続けておりましたので、奄美が何がしか伸びてみましても本土はそれ以上に伸びるというような状態を繰り返しまして、生活格差というものはずっと残ってきたわけでございます。  そこで復興特別措置法から振興特別措置法になりまして、そういう公共施設整備のほかに産業基盤整備とか島民産業振興というようなことに対しても、徐々に意を用いる余裕もできましたし、そちらのほうに意を用いてまいりましたわけでございますが、それでもなお、本土自体伸びるというような事情もかたわらにあり、なかなか格差は埋まらない。もちろん復帰当時に比べましては、それははるかに島民所得もふえてまいりましたし、格差もだいぶ縮まってまいりましたのはこの前申し上げた数字のようなこともございまして、それなり復興特別措置法振興特別措置法目的を達成をしたとは存じておりますが、にもかかわらず格差がなお埋まらないということ、復帰後二十年たってなお本土平均の半分に満たないという状態であることは、今度も御視察していただきまして十分見ていただいたことと存じ上げます。  そこで、今回さらにこの特別措置を延長するにつきまして、従来の「振興」からさらに「振興開発」にしたのは、ただ名前を変えたというだけのことではございませんので、そこにはいま先生の御指摘のような気持ち、前向きの姿勢といいますか、公共施設産業基盤整備も大事ではございますし、それらについても十分力を注いでまいりますけれども、それ以上にさらに産業振興し、大島つむぎでありますとかあるいは新しい観光開発であるとかいう、島民生活水準向上所得向上に直接役に立つものにも十分に力を注いでまいりたいという気持ちをあらわすという意味で、まあ気分を一新するということも含めまして名称を変えたわけでございます。いま先生の御指摘いただきましたとおりの考え方でこういう措置をとりました次第でございます。
  8. 小川省吾

    小川(省)委員 過去の二十年間の復興特別措置法振興特別措置法実施状況の反省の上に立って、前向きの姿勢で取り組んでいくという形でなされている。それなりの期待を当然持つし、それなりのことをやっていただかなければ困るわけであります。  主として大島本島の視察であったわけでありますが、ずっと車で回りまして、おそらく基幹道路でありますから国道だというふうに思っていたのでありますが、主要地方道であり、県道だというお話でございました。そして二十年間の計画事業の中で、おそらく基幹道路くらいは舗装済みになっているのだと思ったところが、未舗装部分がかなりあるわけであります。基盤整備というものは、基礎的なそういう整備というものが当然終わって、これから振興開発なんだということで私は「開発」という名前がついたのだろうというふうに思いましたが、基礎的なそういう整備がまだ済んでいないということなんで、私はそうなると、振興特別措置法の中でやはり道路に重点を置いて、確かに山を開きあるいは改良をしということですからたいへんだったと思うのですが、当初の振興特別措置法計画の中に、これが終わる四十九年の三月三十一日ころまでには少なくとも基幹道路くらいは舗装をしていこうというふうな計画があって、それがおくれて現状のようになっているのか。あるいはまた、一応この法が失効するといいますか、その期限である四十九年三月三十一日くらいまではまだ未舗装の部分が残るというふうに、当初の計画の中では道路については当然この計画期間内では終了をしないであろうというふうな状態で、振興特別措置法振興計画の中ではきたわけですか。
  9. 高木澄清

    ○高木説明員 お答えいたします。  第一点は奄美大島の国道昇格の問題でございますが、国道の昇格につきましては、道路法の第五条によりまして、国道指定の要件に該当しております路線につきまして、交通需要の増大その他社会情勢の進展に対応しまして逐次追加指定を行なっております。過去におきましては、昭和四十五年度に約五千六百キロメートル、それから昭和四十七年度に沖繩の復帰に伴いまして約二百七十五キロメートルの追加指定を行なって、総延長現在三万二千九百キロメートルでございます。御指摘のございました奄美大島の主要地方道国道昇格につきましては、今後の国道追加指定を行なう場合には十分検討してまいりたいと思っております。
  10. 小川省吾

    小川(省)委員 国道昇格については今後十分検討したいということですが、道路法の五条の中で国道昇格の問題があるのですが、建設省では一応毎年それをやっているわけではなくて、ある程度、四年おきとか五年おきとか六年おきとか、そういうふうなものがあるのだろうと思いますが、今後の最も近い段階でのそういう再検討をやられる時期はいつですか。
  11. 高木澄清

    ○高木説明員 現時点ではまだ正式にいつということはきまっておりませんが、この奄美大島につきましては、次回、一番近い国道昇格の時期に十分検討してまいりたいと思っております。
  12. 小川省吾

    小川(省)委員 建設省の課長さんが十分検討していくということですから大いに期待が持てることだと思いますが、建設省を代表して奄美振興審議会の委員を出されているわけでありますから、あの種の基幹道路というのは当然国道に編入をすべきであるというふうに私ども実際に見て感じてまいりましたので、ぜひひとつそういう形でお願いをいたしたいと思います。  自治省に率直にお聞きしたいと思うのですが、全国的にも鹿児島自体かなり後進県に属しているわけであります。郡民所得は、この間も御説明がありましたように、鹿児島の八七%、全国平均の五〇%を少し下回っているような状況ですね。そういう点で、いままでの振興計画を進めてきた中で——鹿児島の副知事さんや知事さんには、奄美の人もおりますので私は聞かなかったわけだけれども、鹿児島自体奄美をお荷物だというふうに考えているところがないのかあるのか。その辺のところを過去のいろいろな具体的な事業実施の中で鹿児島自体がどのように考えておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  13. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 もちろん鹿児島県としてはまさに県の一部でございますし、歴史的にも関連、因縁浅からぬところもあるので、決してよそ者とかお荷物とかいうような意識はなかったと信じてはおります。しかし、従来鹿児島自体が決して財政的に豊かな県ではない。それに対して七年間——八年間でしたか、占領という特殊な事情があるということで、復帰後、復興特別措置法振興特別措置法という、よそにはない特別措置を、国が法律をつくって実施をしてまいりましたので、本来自分のところも貧乏であるというのと加えて、何か奄美についてはひとつ国が主体となってやってもらうんだという気がなかったとはいえないということはあるように思ます。たとえば具体的な県費の投入その他につきまして、県としては十分配慮をしたことではございましょうけれども、地元からは、国はやってくれるけれども県は熱意が足りないというような声を私のほうで聞かぬでもなかったということは確かにございました。ですけれども、これはすでにもう二十年もたっておりますし、これからさらにあそこの島民所得を上げることについての熱意を持って、県はまさに自分の身内の一部として今後は十分取り組んでまいるであろうと存じております。
  14. 小川省吾

    小川(省)委員 幸いです。おそらくそうでなければならぬし、またそうあってほしいものだと思っています。  そこで、やはり鹿児島がそういう意味での後進県に属しているわけでありますから、自治省はそういう点でさらに、奄美をかかえているという実態の中で、鹿児島に対するところの、これは奄美に対するといってもよろしいわけでありますが、鹿児島に対するところの財源措置、起債のめんどうであるとかいろいろな点について十分に配慮をして当たっていただきたいというふうに思います。  それと、計画の期間についてでありますが、私もしろうとでよくわかりませんけれども、この種の計画というのは、今度も四十九年度を初年度とする五年計画になっているわけでありますが、従来の復興特別措置法でも振興特別措置法でも五年ときめて、さらに五年延長する、こういう形で十年になっているわけですね。小笠原のものでも今度延長して十年間にするわけですね。そういうのは、やはり計画自体がおくれている地域振興開発をしていこうというわけですから、なかなか五年間では達成することが困難である。初めの一年ぐらいはいろいろ計画なんかに手間どりますから、着手期間が少し先に行くわけでありますから、そういう点で、従来この種の計画というものは当初五年ときめて、さらに五年延長して十年というふうな形にしてきたのだろうというふうに思いますが、その辺の経過がよくわかりません。現地へ行きましても、さらに今後の開発計画を立てられて五十四年までの五年間ということになっても、やはり完全に本土との格差を解消するわけにもいかぬだろう、ぜひ期間を延長してほしいという声が現在すでに出ているわけであります。そういう点で、過去の計画等の推移から考えて、やはりそのような状態の中でかりに本土並みに格差が解消されない場合には、さらに延長をしていこうというふうなお考えもあられるわけですか。その辺についてお伺いしておきます。
  15. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 今回のこの特別措置を延長するに際しまして、地元からはひとつこの際十年にしてくれという御要望も確かに強いものがございました。しかしこれをあえて五年にいたしましたのは、五年で打ち切るという意図ではもちろん毛頭ございませんので、先ほどの中村先生からの現地視察の御報告の中にもありましたように、現地産業自体の力というのはなおなお弱いものがありまして、本土からの財政資金によってその収支を償っているという状況復帰後二十年たちましてなおそういう状況でございまして、今後この措置によりまして相当にそういう産業ないし生産力を上げる措置を講じてまいりましても、これが間違いなく五年たてば本土並みになって、そういう援助が要らなくなるということになろうとは、もちろんその時点になってみなければわからぬにいたしましても、その可能性は非常に薄いのではないか。ですから、これが五年たった時点でもう一ぺん新しい目で全部見直すというチャンスがあることは決して悪いことではないし、その時点に立った上で、なおその本土との格差を埋めるために継続措置が、これらの特別措置が必要であるという結論に達する蓋然性は非常に強いものではないかと思います。そこで、今回これを五年にきめますについても、そういう点も大蔵省、つまり財政当局と十分打ち合わせをしまして、五年たった時点でのまた見直し、その場合についての延長の可能性というものもある程度心証を得ましたために、一応今回は五年——従来五年、五年とやってまいりました経緯もあり、今回は五年といたしましたが、その時点においてのその事態に即した配慮というものは十分されるべきものであると考えております。
  16. 小川省吾

    小川(省)委員 よくわかりました。ぜひひとつ地元の強い要望を聞いていただきたい。地元では、いろんなあれがあっても、大蔵省の役人がちょくちょくかわってしまう、いろんなことを約束をしてもかわってしまうので、なかなか安心をした計画を立てられないというふうな声もございますので、ぜひひとつ地元の要請を聞いた上で法の執行に当たっていただきたいと思うのであります。  それから、それと関連があるかどうかわかりませんが、ちょっと計画のことについて伺いたいわけですけれども、現在四十九年度の予算が組んであるわけですね。現在鹿児島県を中心にして計画が組まれているわけです。しかし、こういうふうな変動の激しい社会情勢でございますから、計画を決定をして、その実行をしていくところのあるいは半年あるいは一年目にあっても、大きな事情の変更等によって事業の追加なり変更なりを余儀なくされる状態が、これは財政面だけでなくとも出てくるのではないかというふうに、私はこのような社会情勢の変化の激しい時代には思うのであります。そういう計画変更なり追加なりというものについては、従来どういうふうにやってきたわけですか。
  17. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 このような経済的変動の激しい時代におきまして、従来その五年なら五年分の計画を数字まで入れてぴしゃっときめてしまったということが、ある意味では従来の欠陥ではあったわけでございます。五年間の事業量が五年前からわかるということは、非常に住民に希望を与えてけっこうなことでございますけれども、その間の物価上昇とかその他の状況からして、国の予算の伸び率が非常に高い、ほかの離島はどんどん伸びるのに、奄美のほうはもう五年間の計画がきまっているからどうも伸び率が薄い、逆に奄美の方から見ればそういう不利な点もあったというふうに批判を受けておりまして、今回、新しいその措置につきましてはその点を改めましてといいますか、計画はつくりますけれども、それは五年間の数字まで入ったかちっとしたものではなくて、しかもその予算を、従来の一括計上、一括施行を改めまして、一括計上、移しかえで各省施行ということになります。各省がそれぞれの専門的知識を十分に動員していただきまして、計画の途中でもそれらについての必要な変更なり修正なりを加える余地は従来よりもはるかに多い。それから予算も一年一年で勝負していきまして、従来の、五年分をぴしゃっときめてその数字に従って割り振るというような措置を避けるというのも、いま先生の御指摘になったようなところの配慮からでございますので、この計画も一たんきめてしまえば五年間動かさないというものでないことはもちろんのことでございます。
  18. 小川省吾

    小川(省)委員 安心をいたしました。私も見てまいりまして、いろいろ聞いてまいりまして、計画をつくって、非常にいい計画だというふうに思って実施をしてくるが、社会変動が激しい、そういうことで当初の計画というものが社会変動についていけないのに、計画に縛られたことがかなりあったのではないかというふうにおそれておりましたので、いまの局長のような御説明で、この新しい法の中ではそういう形で対処していくんだということで安心をいたしました。  そこで、事業の中の基本になる問題でありますが、補助の割合の特例規定を整備をするということで付属の資料をいただきましたが、いろいろ載っておりますね。各種の補助率を見たんですが、ないものがあるのですね。奄美というのは、子供のころにも名瀬の大火とかというので、非常に火事の多いところであります。今度も笠利町の大笠利の火災現場を見てまいりました。ところがこの補助率のところを見ますと、私は当然消防についてもかさ上げをした補助率が決定をしているというふうに思ったのでありますが、消防等については実はこの補助率の中には全然載っていないですね。そういう点で、消防の補助の上積みといいますか、こういう点についてはどうなっているのか、伺いたいと思います。
  19. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この点に関しましては、地元財政力の弱さその他も考えまして、従来からも、法律上は規定はございませんでしたけれども、かさ上げの補助の扱いをしていただいております。これはこのまま続けていくように、消防庁というのは自治省の中と申しますか、たまたま同じところでございますが、その点完全に了解もついておりますので、特にここには特記してございませんが、御心配のような点はなく、かさ上げの補助率で今後もやってまいるということは確定しております。
  20. 小川省吾

    小川(省)委員 同じ自治省管轄の中ですから、おそらくそうやってきたろうし、そうだと思いますが、やはり親しき仲にも節度がなければいきませんから、補助率をずっと上げたらやはりその中に明記しておいたほうがよろしいのではないかと思いますので、ちょっとお尋ねをいたしたわけであります。  次に、事業執行をいまも言われたように各省直轄にした。いままでは自治省が取り仕切っていたわけでしょうが、各省直轄にしたのは、先ほども御説明の中にありましたけれども、やはり自治省がやられるよりもスムーズに執行をできるのではないかあるいは予算を取りやすいのではないか、ということになりますと、自治省がいままで何をやっていたということになるわけです。やはり直轄執行をしていくところのよさといいますかメリットといいますか、そういう点はいまもちょっと御説明の中にもありましたけれども、自治省がやってきたところのデメリットといいますか、そういうものがやはり官僚組織の中であるわけなんですか。
  21. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは、それぞれの方式の中に特色と欠点、メリット、デメリットがそれぞれあると存じます。ことに復帰直後の状態を考えます場合に、まあはるかに離れた鹿児島県の一地域であって、しかも全国的に見て非常に規模も小さいというような形のところを各省それぞれにまたがる形にいたします場合に、やはり事務的な煩瑣、相互の連絡不十分その他からいきまして、あるいは各事業事業との間の調整、そういう面からしてやはりまずい点がある。そこで自治省直轄、と申しましても自治省自体にそういう各種の事業に関する技術があるわけではございませんが、実はそういう技術は鹿児島県のそれぞれ農林部、土木部というものの技術を生かしていけばその点は支障はなかろう。そうすれば、国の予算折衝あるいはその五年間で奄美をどれだけのものにするかという各事業との間の総合調整の問題、これは一括してどこかが持っていたほうがよいのではないか、そういう意味で、あの当時自治省一括計上、一括施行という方式を、これも現地の賛成を得てとったわけでありまして、そのときにはそれなりのメリットはあったと存じます。  しかし、それが二十年たちまして、そのメリットの逆のデメリットという面では、それぞれの事業がどんどん進捗してまいります場合、技術的にもその鹿児島の技術のみでは十分にカバーできないような問題も起こってまいりますとか、あるいは国の経済が予想外に毎年の伸び率が多いために、その年々の予算折衝に勝負をかけるという場合には各省の専門的知識と各省の技術というものがどうしてもその裏づけになければならぬので、鹿児島の技術だけを背景にして自治省で一本でいくよりはむしろ現実に即した、あるいは国の予算の伸び率に応じた伸び率を確保できるとか、いろいろなメリットの面も考えられてまいりました。  それらをそれぞれ比較いたしまして、従来の方式はこれでよかった。たとえば復帰してからの十年間の事業は、確かにほかの離島とかほかの地域に対する伸び率よりははるかに高いものがあった。それが、今度は振興措置法になりました十年間見ますと、初めのうちはそういうものを持っていたが、だんだんとあとのほうになりますと、国の経済伸びが高いためにむしろ逆にマイナスが出てくるというような実績を反省いたしまして、今回、そのメリットとデメリットが逆になりますけれども、一括計上、各省移しかえ施行、各省の専門的知識なり各省の事業に対する熱意というものを奄美自体に反映していただくという方向に踏みかえたわけでございます。従来の時期の従来のやり方と今後のやり方というものは、それぞれメリット、デメリットございますけれども、総合してみますれば、従来はそれでもよかったし、今後はこの方式のほうが地元に対してプラスであろうという判断から、地元の御要望もこうでございましたし、私たちもそれに賛成したわけでございます。
  22. 小川省吾

    小川(省)委員 局長の説明のように、やはり計画自体に縛られたことと、振興計画事業がほとんど技術分野でございますから、いわゆる技術者の特有の心理もございますから、私はこのような各省移しかえ施行のほうが効果は今後大いにあがると思います。そういう意味で、自治省がそういう形にした上でプッシュをしていただくということが、行政の効率的運営には一番よろしいんではないかというふうに思っていますので、ぜひひとつこの形で、自治省がさらに地元鹿児島との間に立ってプッシュをしていただくことが今後の事業の運営には非常によろしいだろうというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、起債の問題について若干お伺いをいたしたいと思うのですが、振興のあらゆる事業は起債に依存する度合いが非常に強いわけでございます。そういう点で、この起債の問題について四十九年度以降かなりきびしい状態で自治省は一般的に対処をしていくわけでありますが、この種特別法が制定をされている特殊の振興開発地域でございますから、当然起債の充当率なり起債については見ていただかないと振興開発はできないわけでありますので、起債を今後少なくとも奄美振興開発については十分に見ていく、しかも充当率も上げていくというお考えでおられるんだろうと思いますが、その辺についてはいかがですか。
  23. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは本来財政局からお答えすべきでございますが、依頼を受けてまいりまして、私数字を持ってまいりましたので私からお答えさせていただきますが、これに関しては、私のほうは大いに胸を張ってお答えできる数字を持っております。確かに地元財政力の乏しいことを配慮いたしまして、十分の配慮を払っていくつもりでございまして、地元負担額に対し一応県分は四〇%、市町村分七〇%という数字で起債の充当を予定しておりますが、これは他の地域では起債の対象外となっております道路とか農業基盤整備とか、こういう事業についても奄美は一切それを対象に含めて考えておるわけでございます。  そこで四十九年度の数字をちょっと申し上げますと、地方負担額は県は八億八千百万円ということになっております。これが他の地域で同じ事業がありますと、起債の充当率はわずかに三・四%にすぎないところでございますが、これを奄美の場合四〇%にするという予定になっておりますし、市町村の同じく四十九年度の地方負担は八億七百万円でございますが、これにつきましても、もし他の地域であれば四七%しか見られないはずのところを奄美の場合七〇%、五億六千五百万円ほど見るという予定になっておりますので、奄美につきましては私のほうの財政当局、十分配慮しているつもりでございます。
  24. 小川省吾

    小川(省)委員 振興開発が順調に進むかどうかはこの起債の充当と起債の充当率にかかっていると思いますから、ぜひひとつ今後も充当率を上げると同時に、十分に見ていっていただきたいと思います。自治省、胸を張っているそうでありますから、その点について問題が今後ないようにぜひお願いをいたしたいと思うのであります。  産業振興関係についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、その基本は、やはり離島ですから、航路と道路の問題に主としてなってくると思うのです。運輸省にちょっとお尋ねをいたしますが、鹿児島から沖繩に通ずるところの国鉄航路を開くところのお考えはないのか。沖繩県があって、鹿児島と沖繩の間に鹿児島県に属する奄美があるわけでございます。四国なりあるいは北海道なりは国鉄航路等がちゃんとあるわけですね。ところがここには国鉄の航路が通っていないわけであります。こういう点は多分にやはり奄美生活水準が上がらないということにもつながってくるわけでありますので、当然、沖繩県があそこにあるわけでありますから、鹿児島から奄美を通って沖繩へ通ずるところの国鉄航路を新設をする意思があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 浜田直太郎

    ○浜田説明員 お答えをいたします。  離島航路は本来、御案内のとおり海上運送法によりまして、申請を待ちましてこの航路免許をするという考え方に立っております。いまのところ、御趣旨のようにあるいは沖繩ないし奄美というところに国鉄が航路を開設するということの申請はあるかもわかりませんけれども、私どもといたしましては国鉄と十分相談の上、その申請を待ってその後処置するということでございます。
  26. 小川省吾

    小川(省)委員 あなた、離島航路は申請を待ってと言うけれども、沖繩というのは日本の中の県ですよ。それで、そういう手続をやるというが、大体沖繩を離島と見ていること自体もおかしいのですけれども、いずれにしても申請を待ってということですが、そうすると、切なる要望があって申請があれば、運輸省とすれば当然これは認めていこうというお考えなのですかどうですか、重ねてお伺いします。
  27. 浜田直太郎

    ○浜田説明員 国鉄がもしそういう航路の御申請に及びました場合には、各般の事情を慎重に考慮いたしまして対処をいたしたいと考えております。
  28. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ、奄美から沖繩へ通ずる国鉄航路を開設の申請があれば、運輸省の方針として当然認めていくという形で対処をしていただきたいということを強く要請をいたしておきます。  それから、実に物価が高いですね。行ってみて驚いたのでありますが、すべての日用必需品は本土から入っているわけでありますから高いとは聞いていたけれども、あまりにも高いのに驚きました。産業が少ないわけでありますから郡民所得が少ない、それに物価高でありますからダブルパンチを受けているわけですね。一例をあげれば、鹿児島に対して、小麦粉が一キロ二四一%、牛乳一本が一八七%、あるいは野菜は平均一六九%、調味料が一四九%、くだもの類が一五三%、こんなふうな状態であります。驚いたのは、プロパンが十キロ千七百円、灯油が十八リットル六百円から六百五十円というふうな状態であります。標準価格は、御承知のように末端価格プロパン十キロ千三百円、灯油三百八十円というふうにきまっているわけですが、あまりにも高いのに実は驚いたわけであります。それで、物価問題の解決については、輸送費の補助なり物価対策として、計画の中に当然盛り込んでいかなければならぬと思います。聞くところによりますと、小笠原は、物価は高いというけれどもそんなに高くない。というのは東京都がかなり輸送費補助を実はやっているようであります。そういう点で小笠原はそう物価は高くないけれども、奄美は、鹿児島があまり財政的に楽でありませんからそういうこともできませんので高いのだろうというふうに思いますけれども、計画自体の中に、物価対策としてのこれらの輸送費補助というものをふやすなり、あるいは増額をするなりして物価対策の一助としていくお考えがあるのかどうか、お尋ねをいたします。
  29. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに、ああいう離れた島でありまして輸送費にだいぶ経費がかかる、それ自体物価にはね返りまして割り高となるという現象は多分にあろうと存じますし、現実に非常に高いようでございます。これに対する対策はいろいろ考えられますが、現在の県で考えております計画輸送費そのものを直接補助するという考えは、現在のところまだそういう予定はないようでございます。  まず考えられますのは、したがってできるだけ島内生産が可能なものについては生産を高めて自給対策を講ずる。こうしますと輸送費のハンデが克服されますので、ある程度そういうものについては物価を下げる力を与えられることができるということでございまして、たとえば野菜とか畜産という生鮮食料品、こういうものの自給率、あるいは米でも、現在自給率はまだ非常に低いわけでございますが、こういうものの現地生産をふやすということも必要だと思います。  それから輸送コストを下げるためには港湾設備、これを充実いたしまして、たとえばはしけを解消して直接岸壁に着けられる、それによって荷役の軽減をはかる、こういうようなことも考えてまいらなければならぬということでございます。  なお、従来大島電力の時代には電気料金が九州に比べてだいぶ割り高でありまして、これも物価に相当悪影響を及ぼしておったと思うのですが、この点は実は四十八年度に九州電力との合併というのができまして、九州と統一料金になりましたので、これはやっと解決済みになりました。  それらのあらゆる施策を各方面においてやってまいり、さらには、いま先生の御指摘のように輸送費補助ということも話題にのぼってくるときもあるかと存じますが、すべての面で総力をあげてそういうものに向かって対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  30. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ物価対策に対しては万全の手を打っていただきたいと思うのであります。いまこちら、本土自体がこのような物価高の中で、さらにそれを大きく上回るような物価高で、賃金は安いというような状態でございますから、これではたいへんでございます。生活を守るためにも、ぜひひとつ計画の中で輸送費補助等を含めた物価対策に取り組んでいただきたいと思います。  それと、いまもお話が出ましたけれども、台風等で船が欠航しますと野菜が暴騰をいたします。そういう意味では、その野菜の生産をやるのも必要ですが、冷蔵冷凍倉庫というふうなもので備蓄をやることが大切だろうと思うのですね。あるいは加工業ですね。見ると、漁業等についても、かつおぶしぐらい程度のようでありますが、そういう魚類の加工工場といいますか、そういうものであるとか、あるいは野菜等の冷凍冷蔵倉庫のようなものをつくって備蓄をして、台風でかりに船が欠航をしても急激な野菜の暴騰を来たさないというふうな、備蓄なり倉庫を、たくわえておくような施設計画の中に織り込んでいままでもきたのですか、あるいは今後するおつもりがあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  31. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 十分検討を進めるに値する御示唆と存じます。おそらく現地でも、生活に直結する問題でございますから、そういうものも十分考慮していると存じます。現在計画の大綱を練っている段階では、まだそこまでの話が進んでいるということは県のほうから聞いておりませんけれども、おっしゃいますとおり、直接島民の生活の難易に関する問題でございますので、十分の検討に値する御示唆としてありがたくいただきまして、さらに検討を続けてまいりたいと存じます。
  32. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、大島つむぎについてお聞きをいたしたいと思います。  一口に奄美といえば、大島つむぎサトウキビというふうなことになるわけであります。実際に大島つむぎ生産工程を見せていただきまして、非常にたいへんな染めであり、労働であり、付加価値が高いものだということで、いまさらのように値段が高い理由もわかったようなわけでありますが、最近これにはいろいろな問題があるようでございます。大体繊維業というのは後進国に追い上げられているのであって、あらゆる繊維産業がそうでありますが、このような付加価値の高いものが追い上げられるようなことはないだろうと思っていましたけれども、最近は韓国産の大島つむぎが何か出回っておって、支障を来たしているような話を承ってまいりました。韓国産の大島つむぎに対する対策についてはどのような対処をされていくわけですか。
  33. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この問題が確かに最近奄美大島つむぎ生産者に相当な衝撃を与えているということは、実はこの法律を準備するために昨年参りましたときも、地元のそういう業者の方々が口をそろえてその憂いを告げておられました。ただ、これは向こうのほうをとめるという措置はどうもございません。そこでこれに対しては、結局対抗力をこちらでつけるという方法しかないわけでございまして、具体的には品質の向上、それからコストの低下ということをあらゆる手段を通じてはかってまいるというしか手がないのではないかと存じます。ですから、商標の保護であるとか、不当表示に対する取り締まり等については関係方面とも十分協議してまいりたいと思いますし、それから本土の中のPR、本場奄美大島つむぎの宣伝強化あるいは組合統合というようなことの自主的活動にも期待してまいらなければならぬと思いますが、何せ、先生ごらんになりましたとおり、機械的な大量生産でなくて、一本一本の糸を手でしごき、足をたんぼの中へ、ひざまでどろをつけながらどろ染めをしていくという高い技術のものでございます。そこで、こういうものに関しましての技術の一そうの向上ということをはかって品質を保持し、韓国産のものに対して対抗できる力を高めていく、この方向大島つむぎ対策は考えてまいりたい。したがって、技術者の保存とか技術の養成とかいうものについても、あるいは補助その他も考えてまいるべきでございましょうし、それからこのつむぎの労働に従事する若い婦人たちの健康管理その他についても、施設その他を整備してまいる。あらゆる奄美つむぎ対策というものを一貫しましてこちら自体振興をはかり、コストの低減と技術の向上をはかって向こうと対抗していくという方向で対処してまいろうと存じております。
  34. 小川省吾

    小川(省)委員 伝統的な芸術的な作品、生産品でございますから、伝統技能の育成を含めて、あるいはまたいま言われたような従業員の健康管理を含めて、ぜひ対策を立てていただきたいと思うのです。  私、繊維業だけに、説明を聞きましても、たとえば図案についても京都から図案が示されてというふうなお話を伺いました。大体、織物産地というのは、私どもの桐生地域でもそうでありますけれども、買い継ぎなどというまさに前近代的な営業があるんです。奄美のつむぎには買い継ぎなどは介在はしていないんだと思いますが、流通過程で五段階ぐらいあるというんですね。そうすると、非常にいい品物で、最近の傾向からすれば大島つむぎを着たいというふうな気持ちもあるわけであります。そういう点では、私はやはりその五段階の流通過程を簡素化をしていくならば、少なくとも地元の組合なり織工さんたちもいいし、しかも消費者も現在よりも安い形で大島つむぎを着られるということもあると思うのですね。そういう意味では、流通過程を何としても省略をし、数少なくしていくという方向が必要だろうと思うのですね。奄美つむぎ対策について、この振興開発計画の中で少なくともマーケティングリサーチなりいろいろなものをやる。京都の胴元がやっておるようなことを振興開発計画の中でやって、少なくともデパートの店頭等へ展示をする以前の流通段階を二つぐらい減らす方法ができないのかどうか。その点について、そういう検討も振興開発計画の中でつむぎ対策としてやっていかれる意思があるのかどうか、伺いたいと思います。
  35. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この点、非常に問題が存するところでございます。昨年も行って伺いましたところでは、ちょっと耳学問で、正確な数字、あるいは間違えるかもしれませんが、図柄にしても京都からの注文生産が七割、地元の自主的な生産が二割というようなことも聞きましたが、この七割というのは、京都のほうから、本土の流行その他を見きわめまして、こういう図柄で織ってくれという注文が来る。こういう注文生産については、その注文についての資金的手当てもそういう問屋筋がする。したがって注文としては安定するという長所がある反面、今度はいまおっしゃった複雑な流通過程に乗りまして、何段階もの間の利潤を取られて、生産者の手元に残る金は末端の消費者に渡る何分の一というものしか残らない。しかし一方では資金的手当てはしてくれる。これらに対してまつ正面から戦いをいどんで自主生産を高めます場合には、そういうマージンによる中間で消える利益というのは少なくなりますが、反面注文が安定しないということ、あるいは資金的手当てが必要だというような点で、現地の業者に困難な問題が降りかかってくるということがございまして、いずれにせよメリット、デメリット、いろいろあることと存じます。  そこで、流通過程に手をつけるということは相当むずかしい問題ではございますが、たとえば今度の奄美振興開発基金からこれに対する融資の道も従来よりも大幅に開くということになれば、いま申しました資金的な問題が一つそこで片づく。そこで流通過程の改善のほうで、従来七、三であったのを六、四にするとか五、五にするとかいう方向改善を踏み出せる、そういう過程を通じまして現地振興をはかっていきたい。ですから、これらの問題は検討すべき点が実にたくさんございますが、中にはわれわれの知識なり技術では手に負えないものもあるかもしれませんけれども、そういう問題については十分現地と御相談をし、そういう専門家の意見も伺いまして改善をはかっていこう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 小川省吾

    小川(省)委員 非常にむずかしい。私もしろうとですからよくわかりませんけれども、繊維製品にはつきもののいまのような買い継ぎ制度というか問屋制度というか、そういう形の中で、奄美の伝統的な産業であり、しかもこれが奄美振興開発に相当なウエートを占めている産業でありますから、ぜひひとつこれは専門的な分野の方に入っていただいて、そういうつむぎ対策をでんと立てる必要があると思いますので、その点については強く要請をいたしておきたいと思います。  次に、林業関係についてお伺いをいたしたいと思うのであります。林野庁においでをいただいておりますのでお伺いをします。  行ってみて、大島本島は七割くらいが山地ですね。そういう意味では林業というものが占めている位置はたいへん大きいのだろうというふうに私は思っております。見ますと、確かにスーパー林道といいますか、基幹林道が中間部に開発をされたようであります。しかしまだ未開発の林業資源が三割ないし四割くらい、林道の整備ができていないために眠っているというふうな話も聞いております。さらにまた最近では、闊葉樹林がかなり多いそうでありますが、パルプやチップ材として利用されているようであります。用材は最近少ないようでありますが、パルプ材チップ材として闊葉樹を伐採したあとには当然針葉樹等を計画的に造林をしていらっしゃるのだというふうに思いますけれども、大島本島の将来を考えると、林業によるところの収入というのが振興開発計画の中でもかなりのウエートを占めるのではないか、こんなふうに思いますので、林業振興についての林野庁の考え方を承りたいと思います。
  37. 岩崎成嘉

    ○岩崎説明員 奄美群島離島という自然的、社会的な条件から、林業の発展は従来おくれておりました。しかし、先生の御指摘のように、総面積の六八%、八万五百ヘクタールにわたる森林でございまして、この森林は幸いにいたしまして温暖多雨という気候条件に恵まれております。また植林成績のきわめてよろしい琉球松という代表的な郷土樹種もございます。したがいまして、奄美の林業振興への期待はたいへん大きいのではないかというように考えております。このような考え方からいたしまして、大島の中南部地帯を重点といたしまして、琉球松の植林を進めて森林資源の充実をはかりたい。同時に、林業生産基盤といたしまして林道網を整備してまいりたい。このようにいたしまして林業の近代化を推進してまいりたいと思っております。  一方、この地域におきましては御承知のように台風の常襲地帯でございます。したがいまして、治山事業を推進して災害の早期復旧あるいは未然防止ということにつとめたいと同時に、また集落、公共施設が海岸地帯にたくさん分布しておりますので、潮害等を防止いたします防潮林あるいは海岸砂防林というものを十二分に実行いたしまして、森林の持っております公益的機能を拡充整備してまいりたい、このように考えております。
  38. 小川省吾

    小川(省)委員 林業が占めている地位というものはかなり大きいと思いますから、ぜひひとつ鋭意努力をして林業振興をはかっていただきたいと思うのであります。  統計をもらったのを見ますと、何か年間千二、三百頭くらいイノシシが捕獲をされているようであります。新規に植林をした苗木がイノシシ等の被害でやられる率は、千三百頭も捕獲をされるようではかなりあるのだろうと思いますが、そういう被害はございますか。
  39. 岩崎成嘉

    ○岩崎説明員 イノシシの捕獲につきましては現在環境庁が所管しておりますが、造林の立場から申し上げますと、この地域におきましてはイノシシの被害というものもかなりあるというように聞いております。したがいまして、イノシシの駆除につきましては、都道府県を通じまして環境庁のほうから捕獲に対しまして奨励金が出ていると思っております。このような形におきましてイノシシの駆除も進めてまいりたい、このように考えます。
  40. 小川省吾

    小川(省)委員 伺いますと、イノシシを駆除するのに、本土だったらハンターが大喜びで出かけるのですが、鹿児島からハンターを呼んだところが、ハブがこわくてなかなか入っていかないというのですね。それでなかなかとれなかったというふうな話も伺いました。造林に対してかなりの支障があるのならば、やはりイノシシについてはぜひひとつ対策を講じていただきたいと思うのであります。  さらにまた、基幹林道だけではなくて、林道課長さんのほうでぜひ林道を整備して、未開発の林野の活用をはかっていただきたいというふうに思っています。非常に高湿多雨の地帯でありますから植物の繁茂は早いんでしょうから、そういう意味でも他の本土地域と違って林業の占めている地位は高いというふうに思いますので、ぜひ努力をいただきたいと思うのであります。  次に、観光について伺います。これは林さんになるんですかね。  非常にすばらしい自然であります。この自然の景観というものを何としても保存しなければならぬ。そういう意味では、大企業が入り込みますとすぐに買い占めをして、そして山なんかもから坊主にしてしまうわけでありますから、そういうのをチェックをしながら、自然の景観を生かしながら、しかも非常に人情はこまやかで美しい、こういう意味ではほんとうに近いところにあり、日本人が忘れていた心のふるさとのような感じがある地域だというふうに思っています。そういう意味では、観光客がたくさん入り込みますとこれまた人情が悪くなる例もあるわけなんですが、ぜひひとつ、観光開発一つの柱になっているわけでありますから、観光を盛んにしていただきたいと思うのであります。  最近では新婚旅行などというとすぐグアムということになりますが、やはり国内に金を落とせばいいので、グアムに行かなくとも、四月から十一月までは海に入れるというふうな地域、しかもあのような美しい自然の景観、そしてまた自生のすばらしい大きなソテツの木のある、ソテツの原始林ですね、こういうようなところがあれば、これはもう新婚旅行のメッカとしても、まさにグアムなんかよりは数等まさっているんじゃないかと思うのです。ドルを使うのが魅力じゃなくて、大体新婚さんというのは二人でいればあとは何にも要らないわけですからね。「島のブルース」や「島娘」などという時代に奄美復興は乗れなかったわけですね、三十二、三年ごろは。そういう意味では、いまここへきてグアムにドルを流出させるようなことじゃなくて、グアムに行く旅行者を何割かこちらへ持ってくる必要だってあるんじゃないか。そして、ソテツの木に二人の名前のカードでもぶら下げるような形をつくって、帰りにはソテツの実でつくった人形を持たせて帰すとか、ソテツの実を持たせて帰すとか、私は夢のある観光というものがあるだろうと思うのです。そういう人がある年代になれば、今度は結婚十年目で大島つむぎを買いに行くことだってあるわけでありますから、そういう意味で私は観光というのは非常に大事な産業だというふうに思っています。最近、ソテツがかなり持ち出されているというふうな話を聞きました。それで最近では市町村が条例をつくったようでありますが、そういう点等はぜひ避けていただいて、ソテツの何十年、何百年という大きなやつを十分に生かした、しかも自然の景観と人情、こういうものを兼ね備えたところでありますから、そういう意味で夢のある観光開発をぜひお願いをいたしたいと思いますが、今後の新しい振興開発計画の中で占めていくところの観光開発の基本的構想についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  41. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘のとおり、観光というのは現地住民所得生活水準向上のための非常に重要な柱だと存じます。つむぎあるいはサトウキビ、これらについてももちろん十分な力を入れますとしましても、やはり限度もありまして、ああいう自然の風景、自然の美しい地域を利用して、観光の宣伝をし、大いに観光客を誘致するということも、今後の振興計画の柱にならなければならないということは全く御指摘のとおりでございます。  現在、まだ振興計画の策定中でございまして、その具体的な基本構想というのについて県のほうからの意見も十分に伺っておりませんが、要は、自然を荒らさない姿でできるだけ観光産業を伸ばす。たとえば路傍植栽というようなこともあります。ハイビスカスという非常にきれいな花がございます。何か沖繩では、あれは仏桑華といいますか、仏さまの花であまり縁起がよくないという地元の感覚があるそうでございますけれども、奄美には幸いそういうこともございませんので、あの南国を代表するようなハイビスカスあたりが、飛行場におりて島の道路に第一歩を踏み込むと、その両側にずっと咲いているような環境を整備することもあるいは計画されているということも聞いておりますし、そういうあらゆる努力を通じまして、御指摘のように、グアムにとってかわるようにといいますとあれですが、できるだけたくさんの観光産業の伸展と、観光産業による収入の増加というものをはかってまいることについては、全く御指摘のとおり同感でございますし、力を尽くしてまいりたいと思います。
  42. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、ハブ対策についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  ハブが現在、大体奄美人口よりも多いというふうに聞いてまいりましたが、やはりこのハブを根絶をしなければならないと思うのであります。子供たちでも山野に出て遊ぶということもしないそうでありますし、夜道の一人歩きはこわい、あるいは農作業に行ってもハブの姿を見ればその日はもうやめだということで家に帰ってしまうという、生産意欲の減退にもつながっているそうであります。そういう意味では、ハブの根絶をしていくことが必要だと思いますし、従来の振興計画の中でもいろいろそのような研究、検討をされてきたようであります。スネークロンというふうな薬剤を使って、皮膚から浸透させてハブを殺して、あとで確認をするとか、あるいは部落で一斉にハブ退治をやるとか、いろいろな方法がとられているようであります。特に野ネズミ、野鼠を退治してハブを根絶するんだというふうないろいろな方法がとられてきていますが、ハブ対策に取り組んでこられた上に立っての、ハブ根絶についての具体的今後の方策についてどのようにしていかれようとするのか、お伺いをしたいと思います。  特にその中で、最近いわゆるハブトキソイドの接種を実施をされているようであります。事実、ハブトキソイドの接種をやってきて、トキソイドの効果があるのかどうかわかりませんが、抗体ができるそうでありますが、トキソイドの接種を受けた人でかまれた人がいなければわからぬわけでありますが、その辺についての研究、検討はどんなふうになっているのか。厚生省からおいでいただいておりますので、ハブトキソイドの従来までの振興計画におけるところの具体的な成果についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  43. 近寅彦

    ○近説明員 ハブ対策でございますが、私ども、先ほど先生からお話がありました自治省からの移しかえの一環といたしまして、ハブ対策の中でトキソイドあるいは血清対策につきましては厚生省で来年度から所管することとなったわけでございます。御案内のとおり、ハブトキソイドは、ハブ毒をホルマリンでその免疫原性をなるべくそこなわないようにいたしまして無毒化して得られたものでございます。したがいまして、これを打ちますと、咬傷、かまれました場合の局所及びその全身症状が軽減いたしますと同時に、その重症化の予防に資することが期待されているわけでございまして、これにつきましては、昭和四十七年の八月に国の生物学的製剤基準にも定められまして、薬品化がなされてきたものでございます。しかしながら、人体に接種いたしました場合の免疫効果につきましては、ハブにかまれました場合の部位とか、あるいはハブの個体あるいは毒液の侵入量によりまして非常にまちまちでございます。そのためにその効果の判定は非常に困難なものがあるわけではございます。  四十七年度のハブトキソイド研究協議会、これは国立公衆衛生院の染谷院長が会長となっておりますが、ここの調査研究によりますと、トキソイドを接種した者で咬傷を受けた者九十六人につきまして調査したのでございますが、たいへん結果がよかったという者が二四%、まあまあと答えた者が二六%、変わらないという者が八%、わからないというのが四一・七%となっているわけでございます。すなわち、ほぼ半数の人がトキソイドの効果を認めているわけでございます。なおトキソイドの研究等につきましては、野外接種等も含めまして、今後年次計画を立てましてこれを推進、検討を加えてまいりますとともに、より有効で副作用の少ないものを製造をいたしますためにその製造法の改良と、それから最も有効な接種方法につきまして研究を今後一そう進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 生物学的製剤基準に合ってただいま製薬化が認められたんだということでありますが、よくわからないので、九十六人接種をした人がかまれた、そういう中で二四%と二六%ですから、五〇%がまあまあよかった、打っていたのでたいしたことなかったんだということでありますから、そういうのは、初期の接種、薬品の段階では五〇%がまあまあだということはかなりいいのではないかと思いますが、効果についてはどうなんですか。
  45. 近寅彦

    ○近説明員 一般にワクチン類、トキソイド等の効果につきましては、その判定は非常にむずかしいわけでございます。それは用い方でございますが、接種の方法によりましてずいぶん差が出てきているわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、約半数がかなり有効であるといえることは、ワクチン類といたしましてはかなり効果のあるものであると考えている次第でございます。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 ひとつさらに検討されて、副作用があるのかないのか、その当人の体質にもよるのでしょうけれども、義務的にトキソイドの接種を受けよう、受けたいというふうに、子供たち、小中学生、高校の学生までがなるような形に、ぜひハブの根絶と同時に、このような咬傷に対する予防対策を進めていって、すべてが受けたいような状態にまで一日も早くやっていただきたいと思うのであります。  四十九年度からおたくのほうへ行くわけでありますから、具体的にわからぬと思うのでありますが、これはそうすると自治省でしょうか……。スネークロンは一応その他の弊害でやめたようでありますが、野鼠退治あるいはマングース類だとかあるいはイタチ類だとか、いろいろ話があるようでありますが、野鼠を退治をして駆除をいたしますとハブの根絶にはかなりの効果があるわけでありますか。
  47. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 野鼠を退治して、ハブの食糧をなくしてハブを減らすというような着想も地元でもずいぶんございますし、前にも何度も聞いたこともございます。しかしこれも、地元に野鼠だけでなくて、天然記念物になっているような貴重な動物その他もいろいろあって、なかなかむずかしい問題もあるようでございまして、従来のハブ対策は、マングースを入れてみたり、中にはヘビクイドリとか称するアフリカ辺の何か鳥も入れてみたということもございますが、これも鳥が繁殖しないですぐだめになってしまったわけでございます。ずっと続けてまいりましたのは、まことにこそくではございますけれども、ハブの買い上げはやっておったわけです。これは生きたの死んだを問わず買い上げまして、それから血清をつくって、その血清を島内のできるだけたくさんの個所に、現在大体二百カ所でございますが、配置しておきまして、かまれたらすぐ血清を打つというような対策が従来の主体になっておりました。これによりまして、その対策を打つ前に比べてだいぶ犠牲は減ったわけでございますけれども、咬傷の数はずっとこの二十年、ほとんどふえもしないが減りもしない。毎年一万匹買い上げる、というのは一万匹を殺すわけでございますが、あるいはそれによってちょうどハブの数がほとんど動かないのかといえるぐらいの数字でございます。しかし従来の買い上げだけは、血清をつくりますにも必要でございますし、今後ずっと続けてまいろうと存じておりますけれども、御指摘の野鼠対策あるいはスネークロンでございますか、あるいは何か新しい化学的な薬品による対策、さらに精力的に研究は続けてまいらないといけないことでございますが、正直言って、一番手を焼いてまいっておりますのが従来のこのハブの問題でございまして、なお根本的な解決方法は見出せない現状でございます。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 かなり努力をされてきた様子が調査書類にも出ておりますが、いまお話がありましたような、奄美クロウサギですか、ああいうふうな天然記念物がいるから、根絶しようと思っても強い薬が使えないのだというふうなこともあったようでありますが、実際に環境庁等と折衝されて、根絶をするためのそういうものがだめになったのですか。おそらくだめになるだろうということでやらなかったのですか。それとも実際にあたってかりに奄美クロウサギが死んでも、ハブの被害のほうが大きいのだからといって根絶をするということを具体的に話し合ってきた経過はあるのですか、ないのですか。
  49. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 具体的な折衝はしておらぬようでございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 何か、伺いますと、奄美群島の中にハブのいるところもいないところもあるそうですね。そうだとすれば、奄美クロウサギが繁殖するぐらい、一部どこかへ移しておいて、それで根絶云々と——具体的折衝をしないで、天然記念物がいるからだめだろうというふうなことでなく、実際に年間三百人かまれて三人ぐらいなくなっているというふうな状態ですから、根絶についてはぜひあらゆる知識とあらゆる努力を惜しまないで、振興開発計画の中に位置づけてやっていただきたいと思うのであります。  それから、いま捕獲人の話が出ましたが、買い上げ価格が大体業者が二千円ぐらいで、市町村が三百円とか保健所が三百円とか出しているそうであります。しかし業者もかなりやはりこわい思いをしてやるわけですから、減ってきたといいますか、なかなかふえぬようでありますね。そういう点では、大体自衛隊には二千人か三千人の中に一人ぐらいヘビがむしょうに好きなやつがいるもんであります。だから自衛隊の中ででも募集をして、ヘビをつかまえる特別な班でも組織したらどうかと思うのですがね。ぜひそういう点もあわせて検討してもらいたいと思うのであります。  それから、実は農林省を呼んでいないのですが、病害虫の関係でミカンコミバエとかアフリカマイマイ等の被害がかなり農作物にあるようであります。これらに対する対策もやってきたのでしょうが、振興開発計画の中でもこれらの病害虫防除についての対策というのは当然位置づけられていくのでしょうが、どうなんでしょう。
  51. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは従来とも相当やってきておりまして、島ぐるみそれを駆除するということで、ヘリコプターで薬剤をまいてということを、徳之島をまずやったのです。それから本島をやり、今度はそのアフターケアで両方一緒にやるという計画を持っておりますが、これはさらに徹底的に続けてまいりたい。振興計画の中にも当然これに関する具体的な構想が出てまいるものと考えております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、信用基金についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  信用基金が果たしてきた役割りというのは非常に多いし、非常に高いし、特に他の金融ベースに乗らないようなものをここで見てきたわけでありますから、これの果たした役割りはたいへん大きいと思うのであります。今後もそういう形でさらに拡大をして、金融ベースに乗らないものを救済をしていくんだというふうなことですから大きく期待が持てるわけでありますが、これに対する問題として一つ、いわゆる承継債権の問題があるわけですね。これが回収不可能になっておる。当然返さなくもよかったガリオアですが、これの資金のもとになったわけでありますから、そういう意味で奄美については効果があるわけなんですけれども、未回収分については現状の中でもうほとんど回収不可能だというふうな形で、国庫の中で資金を投入をしていって肩がわりしていくとかして、ガリオアの未回収分についてはもうこの辺でそろそろ打ち切らざるを得ないのではないか、打ち切るべきではないかというふうに思っていますが、いかがですか。
  53. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 二十年間回収につとめてまいりましたので、御指摘のように回収できるものはほとんど回収しちゃったというのが実際の現状であろうと思います。これに関しては、結局この保証ワクを確保できるかどうかがやはり一番重要な問題でございまして、この前のここの委員会の御質問でもありましたが、現在保証ワクがもうぎりぎり限度一ぱいに近いところにきている、これを確保することを重点に、このガリオア資金のあと始末についてはなお財政当局と折衝を今後も強力に続けてまいりたいと存じております。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ、進める過程の中で早い機会に結論を見出していただいて、しかも基金制度として支障のないような国庫の繰り出し等をしていっていただきたいと思うのであります。  奄美の最後の問題として、実は職員問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  人事院においでをいただいておりますので伺いますが、給与法第十三条の二ですか、特地手当の問題がございます。規則の九−五五で特地手当についての官署指定があるわけであります。実際に特地手当というものの性格はどういうものか、そしてまた特に奄美大島、いわゆる鹿児島県大島郡に対する官署指定の実態はどのようになっておるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  55. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。  特地勤務手当は、昭和四十五年に、従来ございました隔遠地手当を改正いたしまして特地勤務手当にしたわけでございます。従来は、隔遠地手当制度のときは離島その他交通不便地でございましたのを、生活不便の土地に所在する官署に勤務する職員に支給する制度に改めたわけでございます。御承知のことと思いますけれども、国家公務員は全国各地に勤務個所がございまして、そこに勤務しておる関係もございまして、給与上の均衡をはかるということから、そういった生活不便の地に勤務する職員に対しまして俸給と扶養手当の月額の合計額の二五%をこえない範囲内で、六段階に区分いたしまして特地勤務手当を支給しているわけでございます。  お尋ねの奄美大島につきましては、人事院規則九−五五によりまして官署指定をしてございます。勤務官署によりまして五級地ないし三級地という指定をしてございまして、そのとおり特地勤務手当が支給されておるわけでございます。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 隔遠地手当にかわって特地手当ができたわけでありますが、大体、隔遠地、いわゆる僻地でありますから、文化的に、あるいは物価手当を含め、さらに医療の問題等を含めた、慰謝料ではないけれども、少なくともそういうふうな点をいやすという意味で、物価も高いだろうというふうな意味で、本給と扶養家族手当に対しての一定のパーセンテージが支給をされてきたんだろうと思うのであります。鹿児島県大島郡の奄美についても、これはいま言われたように、四級地なり三級地なりの官署指定が全部やられておって、人事院はそれらのチェックもされているそうでありますが、国の出先に勤務している職員、しかも中には現地採用の者もあるわけでありますが、それらについてもすべて支給をされているということを確認されておりますか。
  57. 長橋進

    ○長橋説明員 現地採用の職員につきましても特地勤務手当は支給されております。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 林行政局長にお伺いをいたしますが、鹿児島県大島支庁の職員については、現地採用を含めて特地手当は支給されていますね。
  59. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 そのとおりでございます。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 国家公務員に準ずるという地方公務員、というのは県の職員、市町村の職員、地方公務員すべてが国家公務員に準じて給料及び諸手当の支給を受けるはずであります。ですから市町村職員が、少なくとも国の給料表の中で、あるいは人事院規則の中で認定をされておるものが支給を受けられないということはないと思うのであります。ところが、奄美群島市町村に勤務している職員には、現在のところ特地手当が全然支給をされていないわけであります。昨年の六月に奄美名瀬市職員組合が名瀬の市議会に対して、特地手当を支給すべきであるという請願を出しました。六月二十一日、名瀬市議会の総務委員会がこれを採択をいたしました。採択をした段階で、どうしようかということで市長がお困りになって、おそらく自治省に協議、相談があったと思うのでありますが、どうもその後支給されていないのであります。自治省が、おまえのところはどうも財政事情がよくないからというふうな形で支給を差しとめたんじゃないかというふうに実は思っているのでありますが、少なくとも、これはプラスアルファならばいざ知らず、法に明らかに定められているところの手当の支給が受けられないなんというばかな法はないわけでありますが、この辺の経緯はいかがでございますか。
  61. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地元から私のほうに御相談があったかどうか、ちょっと私存じておりません。あるいは事務的な御相談があったのかも存じませんが、その特地手当というものの性格からまいりますと、たとえば国全体の中で離れ島であるとか、あるいは鹿児島県全体の中で離島であるというようなところに鹿児島県のベースに加えて何%ということでございますので、実は地元市町村というのは地元市町村まるまるが僻遠地にあるわけでございますので、地元市町村の中の特殊な地域、たとえば名瀬市の中にまた離れた離島でもあります場合に、名瀬市の体系としてそこに特地手当を出すということは国あるいは県に準じて考えられるわけでございますけれども、もともと全部地元であるという場合に、そこに特地手当という観念はあるのがおかしいと思うのでございます。  そこで現実に矛盾ができますのは、国あるいは県である場合は現地採用まで支給しているじゃないか。ですから、現地でたまたまきょうだいが、一人は市役所に行き、一人は県の大島事務所に行く。県の大島事務所に行くほうは、県の体系の中では県の中の特地ですから特地手当が出るけれども、名瀬市役所へ行った者は、市は全部が地元でございますから特地手当が出ない。給与の差があるという現実の矛盾が出てくることは確かでございますけれども、それは特地手当の体系上、現地採用の人にもひとしく払うということでそういうことが出てくるわけでございまして、現実に特地手当というのは、その全体の中で一部不便なところ、一部遠隔地がある、そこへ出すのが特地手当でございますから、むしろその特地手当と給与の均衡をはかる場合は、地元市町村であれば地元の給与ベース全体ということで考えないといかぬ。特地手当という形ではなくて、特地手当に当たる分も含めて地元の給与ベース全体が、国の、たとえば東京に勤務する、まあ市町村に当たるのは区役所でございますが、区役所の職員に対してどうかという議論につながってまいるわけでございます。そこで地元の給与ベース全体の問題としてこれをとらえますと、これはその地元にある国や県の役所との均衡ということももちろん考えますが、同時に地元の民間給与との均衡その他、いわゆる地方公務員の給与決定の一般の原則をすべて考えて決定をされるわけでございますので、国に準ずるといいましても、一から十まで何が何でも国と同じ数字ということでなくて、そういうような配意をされての多少の異同というものは準ずる範囲内に入ると存じますので、そういう観点からこれは解決されるべき問題だと思いまして、現地市町村における特地手当というのは観念上どうも矛盾で、考えるべきでないと考えております。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 それはあなた、特地手当の中にある一部の解釈を誇張をして話しているのであって、少なくとも国の官署指定になっているところの隔遠地、こういうところに勤務する職員が、東京あたりから行ったり、そういう転勤、異動する場合がありますから、給与法の中には十三条の三ですか、勤務地を異動する場合の云々の話があるのですが、国だって出先でつとめているのは大体出先採用の職員なんですよ。そういう点があれば、いまあなたが言われるような論は、一つの理論としては組み立てられるかもしらぬけれども、これは誇張です。そういう意味で、少なくとも県においても当然地元採用が多いけれども、支給をしている。三級地であるから一二%と準ずる手当ということで、大島支庁の職員には現地採用を含めて一六%の手当が支給されているのですよ。そういう点で市町村が、あるいは市議会が、確かにそれはそうだという形の中で決定をしてきたわけであります。そういう点になれば、これはほかについてもそうなんでありますけれども、いまあなたが言われたような誇張した解釈もありますけれども、市町村が特地手当というものを、首長、議会を含めて認めていくという場合について、当然法で定められ、人事院規則で定められてあるところの手当について、人事院が干渉する何ものでもないし、むしろそうなったら、おまえのところは財政力指数が悪いのだからほかのことで意地悪してやるぞなんという意地の悪い林さんではない、あるいは財政局長はどうか知らぬけれども、そういう人じゃないと思いますけれども、自治省は当然そういう形で手当は支給していっても差しつかえないというふうにお考えでしょうね。
  63. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 理論的にはその町村の給与ベース全体、給与ベースについて考えるべきことだと思います、その地元の国あるいは県の出先に勤務している方との均衡という問題で。そこで現実に、先生のおっしゃるとおり、国の出先にしろ県の出先にしろ、あるいは地元採用のほうが多いかもしれません。そういう数がどんどんふえてまいります場合に、当然市役所と県事務所あるいは国の出先との均衡というのが問題になってまいります。そこの問題を解決するのに、地元市町村としては特地手当という姿で解決するのはやはりおかしいので、給与ベースという姿で解決するのが筋ではないかと存じております。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 筋論は給与ベースだということですが、給与ベースは非常に低いですね、あそこの町村は。そういう点を考えれば、少なくともあなたが言われるように、本論のように、手当じゃなくてベースで考えるべきだなんというのは、非常にこれは理事者側にすれば、いわゆる経営側にすれば実に割り切った理論である、実際に実施するかどうかは別にして。しかし実際には多くの場合それをカバーするものは手当であり、実際には低い賃金ベースをカバーしている。プラスアルファなどというのがあるわけであります。そういうのをいやおうなしに特別交付税から差し引きをしているなんという、実にあこぎな態度を自治省はやっているわけですよ。そういうものと逆にして考えるならば、少なくとも法で定められた特地手当などというものは支給をしてもしかるべきだというふうに判断をします。そういうことで市町村の議会なり首長なりがそう判断をしていけば当然——まあ給与ベースで解決するのが本論だということは私もよくわかりますが、手当を支給していっても自治省としては差しつかえないといいますか、当然それはそうあるならばそれはそれで、別にとやかく言う、干渉する筋合いではないというふうに思うけれども、それでよろしゅうございますか。
  65. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 おことばを返すようでございますけれども、どういう形の名目にしても財政支出としては同じでございますが、地元市町村の場合は、まさにその地元にある国家公務員あるいは県の公務員との均衡というものを考えれば、市町村の給与体系の中では、特地手当というのでなくて給与ベースでなければいけないと思うわけでございます。そこで、その給与ベースとして考えます場合は、もちろん国、県との均衡ということも重要な考慮の要素でございます。と同時に、地元の民間のいろいろな給与、まあ先ほどまでも何度も御議論が出ましたように、奄美全体の島民所得といいますか、所得水準はなお本土に比べて相当低いものもございますので、その中にありまして地方公務員だけが国と県との関係を考えて特に高いということが、はたして地元感情で受け入れられるかどうかという点その他もすべて御考慮の上、名瀬市なら名瀬市の議会なり理事者なりでよく御相談して御決定になることではないかと存じます。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 あなたよく御存じのように、大体おくれた地域というのは、所得水準が低い地域というのは、公務員というのは比較的安定をした職業なんですよ。それは奄美についても否定できません。しかしそこに国家公務員があり、鹿児島県の公務員があり、片や市町村の公務員がいるわけですね。ですからそういう意味では、町村の職員などは特に国の公務員、県の公務員と比べて、特地手当だけではなくして、給与水準も低いわけですよ。そういう状態の中で、少なくとも特地手当について支給してほしいという声がある。市町村理事者がそれに対しては、確かに低いんだし、国や県の職員とも違うのだということになって、それは給与ベースで解決するのが筋だと言えば給与ベースで解決をするようにしましょうが、特地手当で当面解決をしようと思われれば、それは法に定められているものなんですから、自治省は干渉する筋合いではないのでしょう。どうなんですか、干渉するのですか。
  67. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 やはり何らかの給与改定の措置をとりますときに、たまたまそこに、ある名前の手当がある、その手当の名前でやろうということがあることはしばしばございます。特殊勤務手当などというものは、たとえばその手当の内容について、勤務が非常に不愉快であるとか不衛生であるとかいうことをどう評価するかということによって、金額はその団体でおきめになることはある程度自由な幅があるわけでございますけれども、特地手当というのは、先ほどから御説明いたしましたとおり、一つの給与体系の中で、一般はこれでいいのだけれども、ある非常に不便なところ、遠いところに対して積み上げようという趣旨の手当でございますから、名瀬市なら名瀬市、市ぐるみが奄美にある場合に、市の職員全部に手当を支給するという性格のものではないわけでございます。やはり給与の改善は必要でございますし、勤務意欲を向上させるためには財政上許す範囲で、あるいは地元の民間の給与等も考えまして、均衡をとりつつできるだけ御努力をしていただくのについては自治省は何ら干渉するものでもございませんけれども、市ぐるみ特地手当というのはどうも特地手当の性格に合わぬので、これは適当ではないのではないか。御相談を受ければ私はそういうふうにお答えせざるを得ないものでございます。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 あなたの言う、違法ではないが適当ではないということであれば、少なくともそういうことであれば、特地手当に見合うべき部分を別な方法で支給をするならばよろしいんだ、給与ベースでやることが望ましいんだということに理解をしますが、反論があったらやってください。
  69. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 筋としてそういう筋であるべきだと存じます。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 はい、わかりました。いいです。  そこで小笠原についてちょっと伺いたいと思うのであります。  小笠原は千四十キロ東京から離れているわけでありまして、空港設置が小笠原復興計画の中でかなり問題になって、調査費等もかなりつつ込んだようでありますが、具体的にはなかなか空港設置が実ってこないようであります。その経過についてはどうなっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  71. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 あれだけの遠い島でございますし、途中飛び石伝いに行くようなものもほとんどない。八丈島から先——東京から三分の一のところに八丈島がありますが、あと三分の二に当たるところはべた一面海でございまして、まさに、現在の社会におきまして航空路の確保ということは小笠原の復興なり産業振興なりに必須のことであると考えておる次第でございますけれども、これに対して空港をつくると、やたらに節度のない観光客その他も入ってきて島の自然を荒らすというような意見もあるようでございまして、確かに御指摘のとおり、復帰して五年になりますが、それについてはかばかしく進んでおらないのは事実でございます。そういういろいろな意見の交錯、それに加えまして地理的な条件が非常に悪くて、よそにつくる場合の、たとえば奄美のしかるべきところへつくる場合の十倍もの経費がかかるというような財政上の障害もございます。それにしても、まず先決の空港をつくるかつくらないかというところでこれに関係する人たちの意見がなお一致を見ないという点が、この問題があまり進展がはかばかしくない原因ではないかと存じますが、最初申しましたように、やはり足を確保するということはああいう地域については絶対大切なことだという認識をわれわれのほうは持っておりますし、今後もそれに即して進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  72. 小川省吾

    小川(省)委員 かなり空港の開設というのは金がかかるのだろうと思うのですが、あれは兄島でしたね、兄島にやっているわけですね。それで実際には小笠原諸島の中に硫黄島も含まれているわけですね、ちょっと離れていますが。硫黄島にはおそらく米軍が飛ばした三千メートルの滑走路を持った飛行場があると思うのですね。これを使えるのか使えないのか。  それと、小笠原諸島の中の硫黄島には遺骨収集の問題があると思うのですね。それと不発弾処理の問題があると思うのです。これは現在までにまだ済まされていないようでありますが、完全に硫黄島の遺骨収集と不発弾の処理をこの計画の最初にやっぱりやってもらいたいと思うのですよ。これは今度の計画の中に当然入れていただけると思うのですが、いかがですか。
  73. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 硫黄島も小笠原のうちでございますけれども、御承知のとおり、硫黄島自体から小笠原の中心をなす父島、母島、これがまたたいへんな距離がありますので、現在硫黄島にはおっしゃるようなりっぱな飛行場がございますけれども、これが民生の安定上、それを使って小笠原に行くという面ではほとんど役に立たない。硫黄島からさらにヘリコプターを飛ばして行って帰るような方法をとらなければならぬ。しかもヘリコプターは輸送力が限られているというようなことで、どうしても小笠原の兄島なら兄島に飛行場をつくるということが小笠原の中心部の復興にはぜひ必要なことだと存じております。  そこで硫黄島の問題でございますが、いまの遺骨収集、これは厚生省のほうにお願いしてやっていただいておりますし、引き続いてやってまいらなければならないと思います。さらに不発弾処理というのも大切な問題でございますが、それに加えて一つの困難は、地球の火山活動というのがなお硫黄島にはたいへんございまして、あちこちから湯げがふき出しておる。爆発はないけれども、島が何か隆起したり陥没したりするというのがなお活発に繰り返されておりまして、言ってみればいつ爆発するかわからぬ。これはだれにもわからぬことでございますけれども、最近硫黄島のすぐ近くでまた海底火山爆発があったようでございますが、そういう危険性というものがございまして、はたして不発弾を完全に処理し、遺骨を完全に収集しても、あそこに直ちに安心して帰島する人たちを帰せるかどうかという点にまだ多分に一抹の不安がございます。同時に、不発弾と申しましても、これは島の重さに匹敵する、でもないかもしれませんけれども、たいへんたくさんの鉄を撃ち込みまして、これがまことにたいへんな事業量があるということでございますし、遺骨のほうももう前から厚生省にお願いしておりますが、まだそういう火山活動とか不発弾というものがあって危険で、進捗もはかばかしくない。そこで、これは今回五年法律を延長しましても、この五年でこれらのうちの何分の一が片づくかという点では非常に見通しが暗いわけでございます。ただ、暗いからといってほうっておくわけにはまいりませんので、できる限りの努力は御指摘のように続けさせていただきたいと思いますが、前途、近い将来にという見通しは非常に苦しいのが硫黄島の実態でございます。
  74. 小川省吾

    小川(省)委員 確かに小笠原は遠いし、いま言われるように航空路をいまこれからというのはたいへん多額の金がかかってまいりますからたいへんだろうと思うのですが、現在、急病患者が出ますと自衛隊の飛行機を使っていますね。ところがあれを使っても二十四時間かかるというんですね。自衛隊が演習しているのを呼んでくるわけですから二十四時間かかるというんですね。そういう意味では何らかの航空路の開設が必要なんではないかと思うのですね。これは多額の金がかかることですから検討していただきたいとして、ではなぜ急患がこちらに来るかといえば、診療所はあるわけですが、ところが医師が三カ月交代というような形でなかなか定着をしない。そういう中で、ちょっとした手術になればこちらに飛んでくるということになるんですが、医師等が定着するように、診療所があり医師等がいるわけだけれども、交代制の勤務なんというのを、手当等でカバーして、もうちょっと長く何とかならぬものでしょうか。
  75. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在母島のほうは、外科のお医者さんが定着した方がおられるそうでございます。父島はいま御指摘のような状態でございますが、何よりも人命というものは大事なものでございますので、御指摘のような点、十分体して対処してまいりたいと存じております。  それらに関連いたしましても、定期航空路というか、YSぐらいは着けるような——YSは航続力の関係でむずかしいそうでございますが、とにかく定期便が飛べるような飛行場もどうしても必要だ。人命に関係してだけでも必要だと思いますが、現実にはその飛行場の問題が、調査費は来年もつけまして調査はずっと継続してまいりますけれども、まだ十分に煮えてまいっておらないというのを非常に残念に思っております。
  76. 小川省吾

    小川(省)委員 小笠原の最大の問題はやはり船だと思うのですね。現在小笠原海運が入っているわけですが、二千六百トンくらいの船で五百人くらいが乗れて三十八時間かかるというのです。おそらくこれは古い船なんだろうと思うのです。週一往復なんですが、三十八時間のものを、新造船にすれば快速で二十七、八時間くらいまでにはできるというふうに言っているわけですね。最近、船も値上がりしているわけでしょうが、何とか小笠原の復興計画の中で快速の船に入れかえて、現在三十八時間かかっているのを少なくとも二十七、八時間程度に短縮をしていく必要が小笠原についてはあるのだと思うのですが、この辺について、今度の新しい計画の中でこのようなものを織り込んでいかれるような意思があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  77. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 必要性については全く先生の御指摘と同感でございますし、技術的には十分可能な問題だそうでございまして、二十七時間から二十四時間ぐらいにするということは技術的には何ら支障はないそうでございます。そこで問題は結局採算ベースの問題です。そうすると、採算ベースに合わぬ場合に、これに対して国なり東京都なりからの補助を出すかどうか、そういう問題の解決が必要なわけです。現在、東京都はこれについて相当深い関心を持って検討を続けておるそうでございますので、新しい計画を定めるまでには何らかの結論が出てまいると思いますが、ぜひそういう方向にして解決をはかってまいらなければならない問題だと心得ております。
  78. 小川省吾

    小川(省)委員 いままでも、小笠原の復興計画の中では東京都に国がかなりおんぶをしてきておるわけですね。東京都だからこそあのような形になったのだと思いますが、この船についても東京都におんぶをするということでなくて、こういう特別措置法を制定して国が本腰を入れるということであるならば、これらについても、東京都とタイアップじゃなくて、東京都にも若干あれすることはけっこうでしょうが、やはり国が責任を持って、少なくともそういう二十数時間で行けるような状態になるように、この復興計画が公布をせられましたならばこれは計画の一番基本になるようでありますから、ぜひその点を強く要請をいたしておきたいと思います。  以上で終わります。
  79. 伊能繁次郎

    伊能委員長 午後一時十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————    午後一時二十一分開議
  80. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出にかかる奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、おはかりいたします。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  83. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 本案に対する質疑を続行いたします。多田光雄君。
  84. 多田光雄

    多田委員 この奄美、小笠原の法案を審議するさなかで、私も奄美に初めて行ってきたわけです。実際にこの目で見て、本土奄美との格差のあまりにも大きいことを、車で走りながらあるいはまた住民生活を見ながら痛感させられたわけですが、私、奄美について特に中心にお伺いしたいと思うのです。  復帰後二十年たちました。そして六百億に達する投資がされているわけです。あの小さい島としては決して少ないとはいえないと思いますけれども、なおこれだけの大きな格差がある主要な原因は何とお思いになるか、この点まず大臣にお伺いしたいと思います。
  85. 町村金五

    町村国務大臣 私は、残念でございますけれどもまだ奄美群島へ参ったことがございません。したがって、委員各位のように最近お出かけになりました方に私がお答えをするのはいかがかという感じがいたさないわけでもございませんけれども、何と申しましても奄美群島外海離島であり、しかも台風の通路に当たっておるというようなぐあいで、たいへん自然条件というものも恵まれていないところではないか。さらに米軍によります占領治下にあって、復興ということが必ずしも十分にできなかったんではないか。むしろかなり荒らされてきたというのが占領時代の姿であったのではないだろうか。ことに、承るところによりますと、主産業は昔からの大島つむぎサトウキビだけである。そういった産業構造自体もまことに旧態依然たるものであって、新しい産業が取り入れられるというようなことがなかなか思うように進んでいないのではないか。したがって、若い人たちもどうしてもこの島を捨てて他の地域に移っていく、そういうようなことで、そういった条件が悪いのに、中心になる働き手というものがあの島からだんだん出ていくというような、いろいろなことが重なり合っておるような感じがいたすのであります。  復帰後は今日までずいぶん、いま御指摘にもございましたように、あるいは復興のため、あるいは振興のためと称して相当ばく大な国費は投入されましたけれども、本土もまたこの間に相当の発展をいたしておりまするので、その格差は依然として解消するに至っていないのではないかというように、私どもも報告を受けながらそういう感じを深くいたしておるのでありまして、このたびの法律の改正等にあたりまして、特に奄美群島開発といったような考え方をこの中に導入するに至りましたことも、そういった格差を何とかすみやかに解消することに一そうの力を注ぎたい、こういうことでこのたびの法案の提出ということに相なった、こう私承知しておるわけであります。
  86. 多田光雄

    多田委員 この法案の趣旨説明のときのお話、さらにまた局長の補足説明、この補足説明にこういうことばがあるのですね。「郡民所得水準も、鹿児島県の一人当たり県民所得水準に比較して昭和四十六年度は八七・一%にまで到達しております。」私これを読みましたときに、非常に住民感情と違った表現だなということを感じたのですよ。ここでは私はきわめて第三者的といっていいか、つまり、いま大臣も述べられましたけれども、確かに遠隔の地であり、不便なところである。地理的にもっと遠隔な沖繩のほうが幾らかいい、こういうことになるわけですね。そういう自然条件というのはここ百年、二百年でできたものではございません。これに対する国の施策はやはりここに力点を置いて考えないと、雨が降ったら天気が悪いということと同じ理屈になっていくんじゃないかというふうに私は思うのです。実際に現地へ行ってみますと、本土との格差はもとより、沖繩——この沖繩も本土と差があります。これとの差にすらも憤りを持っているというこの住民の感情に、これはふさわしい表現ではない。あくまでもその格差を至急に埋めていく、そういう積極的な姿勢がやはり欠けているのではないか。ここに一つの根本の問題があるんじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。  そこで、実はいま大臣も開発の問題をお話しになりました。今度のこの改正案によりますと、振興のほかに「開発」ということばがつき、さらにこれは国総法との関係ということも位置づけられているわけであります。国総法それ自体がどういう法律なのか、そしてまたそのねらいは何かということは前回の国会以来いまなお決着を見ないところであり、これは野党がこぞってそれに反対しているという、いわばいわくつきのものであるわけです。しかしながら、いずれにしてもこの国土総合開発、これは皆さんどうお思いになるかわかりませんけれども、田中総理の列島改造、たとえスローダウンしたとしてもこれを法律化したものと私は思いますが、そういう国土総合開発という名のもとに、国総法あるいは列島改造の中に組み入れられていくということをだれしも感ずるわけです。したがって、いま大事なことは、この開発のあり方、特に占領下で非常にひどい目にあった、そしてまた本土の国民よりもはるかにおくれてスタートをしながら十分に足腰を強められなかった、その差がある、ここにもし従来のような開発が持ち込まれるならば、幾ら法の一部で私どもがこれはよろしいと思うことがあったとしても、結果としてもっと格差を大きくしていく、過疎過密を激しくしていく、そういうおそれがありますので、くどいようですけれども、私、開発の問題についてひとつお伺いしたい、こういうふうに思うわけです。そこで、この開発についてどういう点に基調を置かれるのか。この点、説明にもございましたけれども、もう一度伺いたいと思います。
  87. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 わが国全体の基調の上に立った開発、あるいはいま先生のおっしゃいました列島改造、国土総合開発のうちでどういう位置づけになるかということは別といたしまして、奄美自体については、午前中にも御説明申し上げましたとおり、七年間の行政分離のおくれを取り戻すために、道路その他の公共施設整備にまず力を注いだ、それから島民所得水準生活水準向上のための産業振興にも力を注いだということでこの二十年間やってまいりましたが、なおそれでさえ格差を埋めるに至らない。しかも、いま御指摘のように、あとから返ってまいりました沖繩が、これは苦労してきた時代は非常に長いのでございますけれども、地理的、あるいは那覇という都市もございまして、あそこ自体生産力その他において奄美をさらに上回っておって、おくれて復帰してきた沖繩にさえさらにおくれておるというこの地域につきまして、やはり島民所得水準を上げ、生活水準向上させるための開発というのは必須であろうと考えるわけでございます。  そこで今回の法律にも、従来の振興に「開発」という字を加え、その点への前向きの姿勢を示したつもりでございますが、この開発の基本理念と申しますか、新しくつくられます振興開発計画の主たる基調は、まず、従来やってまいりましたけれどもなお足りない交通、通信、こういった生活関連の基盤整備に重点を置くこと、これが一つ。それからいま申しました所得水準生活水準を上げるための産業振興ということが、これは大事な柱になると思います。しかもこの産業振興として、従来ありますサトウキビ、それからつむぎ、この二大基幹産業への努力の集中はもとよりでございますけれども、これだけではやはりいろいろな悪条件を克服して本土並み、鹿児島本土並みあるいは沖繩並みといったところまで上げるにはまだとうてい及ばないであろう。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕 おそらくここにさらにもっと新しい産業というものを導入しなければならない。その場合に、午前中にもお話がございましたが、観光という産業、これはまた地元にとっては非常に有望な産業でございます。観光というものの導入にも力を注いでまいりたい。さらにその産業構成をより高度なものにしてまいりますために二次産業、三次産業というものの導入もはかっていく必要があろう。この辺を主体に考えてまいるのが新しい振興計画の基調であろうと考えます。ただ、観光は別でございますけれども、さらに新しい第二次、第三次の産業を導入する場合、自然との調和あるいは公害の問題、そういう問題をすべて解決して、その上で地元の御判断に基づいてそういうものを進めていくというような慎重な態度が必要であろうと存じますし、そういうことも新しい計画を立てる場合の重要な柱と申しますか、配慮すべき項目として考える必要があろう。まあ一口に申しましてさように考えております。
  88. 多田光雄

    多田委員 確かに過去の投資によってまだ完全に舗装された道路はございません。舗装されていないとはいっても、道が切り開かれました。それから千トン以上の船が入る岸壁もできたことはこれは事実でございます。さらにまた飛行場もできた。私はこういう点で全くゼロであったということは申しませんし、それなりの効果があったと思います。しかしなお政治が対象にするのは、もちろんそういう基盤整備ではありますけれども、それを享受するそこの住民の生活はどうであったのか、そこに生きていることに喜びを感じているのか、ここが一番大事なところだろうと思うのです。  そういう視点から私見ますと、たとえば、確かに生産の設備、これは一定の前進を見たと思います。生産力もある程度前進したと思います。ところがここ数年、中心的なサトウキビの作付面積が減ってくる、生産力も若干落ちてくる、そしてまた農業をあきらめて離農する人が非常にふえてきておる。つまり過疎化の主要な階層が農民ということになってきているわけですね。そして若年労働者が沖繩なりあるいは本土のほうに渡ってくる。こういうことで、いっとき上がってきたけれども、これがまた下がってきている。一体これをどう見ておられるのかという問題があります。  それから私、数字を現地へ行って見ましたら、生産伸びておるのは大島つむぎぐらいのものですね。あと観光客が多くなったということです。この大島つむぎは何であるか。だれがささえておるのか。これは、御婦人は出かせぎできません。ですから織り子になるとか、あるいはまた農家のだんなが出かせぎに行った留守に主婦が、これが聞きましたら朝八時から、おそいのは夜の九時、十時まで、子供を保育所、学校にやりながらつむぎを織っておるわけです。また率直に言いますと、奄美経済をささえているのは婦人だと思っておるのです。だって奄美生産の三〇%近くをあげておる、二百二十億ですか、これは大島つむぎなんです。  そこで私お伺いしたいんですが、一体ほんとうの開発とは何か。確かに私は道路も必要だと思います。港湾も必要だと思います。しかし重要なことは、大島つむぎ奄美発展してきた、サトウキビ奄美に定着してきたということは、やはり何百年という長い歴史と伝統、気候、風土、その中から生み出されてきたものなんです。一朝一夕にできたものじゃないのです。このことを基盤にして発展させることでなくして、他から石油コンビナートか何か持ってくるならばその地域経済発展するというものではないだろうと私は思うし、過去二十年の開発の中で過疎化が進行していったという苦い経験からも私はそのことを考えざるを得ない。  そこでひとつお伺いしたいのですが、大島つむぎ振興にいままで国費としてどれだけの金を投ぜられたのか、それは国費の何%を占めているのか、これを伺いたい。
  89. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 従来の復興特別措置振興特別措置におきまして、道路港湾、そういった公共施設整備、それとあわせまして奄美の主産業たるつむぎに対してもいろいろな施策を講じてまいりましたが、いまちょっとその数字のパーセンテージは手元にございませんので、後ほど計算をして御報告申し上げることにいたしたいと思います。  いずれにせよ、すべての産業なり生活水準を上げるための基盤になる公共事業、これらは従来の復興振興計画で主力をなしてまいりましたことは事実でございますし、それから産業振興では大島つむぎサトウキビ、この二つの基幹産業にしぼりまして相当な施策をやってまいりました。国費のほかに融資措置その他いろいろな措置を考えてまいっておりますが、あるいは立ちおくれております公共施設整備のほうに従来国費の主力がいっておったことはおそらく違いのない点であると存じます。
  90. 多田光雄

    多田委員 きょうは地方財政のこまごましたことを聞いているのじゃなくて、奄美、小笠原の問題ですから、しかもこの奄美の一番大事な産業の問題、こういうのは来ているどなたかがすぐ答えるようにしなければ……。だからそこに私は問題があると思っているのですよ。つまり、目のつけどころがやっぱりどこか違っていると思う。たとえば四十九年度の、今回の皆さんのおつくりになった予算案を見ますと、大島つむぎ観光開発として出されている総額は六千七百二十六万、これは七十五億六千七百万という総事業費の中におけるこれだけです。そして国費は二千四百万なんです。そのほかに公庫からもこれは一定のものが出ると思いますが、しかしながらわずかこれだけなんです。しかも、これだけの金を投じている大島つむぎが実は奄美産業経済の大黒柱だということです。ここに私は一つ問題があると思っている。  私はきょうは時間がないので、はしょってもう少し先へ進めたいのですが、この大事な大島つむぎの問題で、私はどうしてもひとつ皆さんにもっとこれをめんどうを見てもらわなくちゃいかぬと思うのですが、さらにいま大きな問題は何かといいますと、これは大臣もお聞きになっているかと思いますが、韓国産のつむぎがいま入ってきている。これは現地へ行きましたら、もう与野党の議員さんみな見て知っているのですが、韓国のつむぎ輸入反対の立て看板が立って、せんだっては四千人からの業者、関係者が集まって反対の集会を開いているわけです。これも現地へ行って私は驚いたのですが、つむぎの生産に当たっている者は全群島で一万五千人だそうですね。そして就業人口の五人に一人がこれに関係している。そして名瀬市では働く人の三人に一人、関連する三次産業人口を加えると、島民のほとんどが何らかの形でこの大島つむぎ生産にかかわっている、夫なり妻なり子供なりが。こういう重要な問題なんです。ですからこの韓国産の問題については重大な関心を払うのは当然なことです。  そこでお伺いしたいことは、これは通産省ですが、韓国産のつむぎの輸入量は幾らなのか、これをひとつ反で言ってくれませんか。私は平方メートルなんかで言われるとピンとこないのです。わからなければメートルでよろしいですが……。
  91. 田口健次郎

    ○田口説明員 申しわけございませんが、平方メートル単位の統計しか持っておりませんので……。  大蔵省通関統計によりますと、絹織物の輸入統計の中で、つむぎ類、実はこれは羽二重を含めた数字になっております。これは四十七年の一−十一月と、昨年四十八年の一−十一月、両方数字を申し上げたいと思います。四十七年一−十一月でございますが、羽二重、つむぎ類等輸入全体で一千二百十万五千平方メートル、うち韓国からの輸入が四十九万八千平方メートル。それから昨四十八年一−十一月でございますけれども、わが国全体の羽二重、つむぎ類の輸入が二千五百十八万二千平方メートル、うち韓国からの輸入が百十万二千平方メートル。概略でございますが、全体の輸入の約四%が韓国からという見当になっております。
  92. 多田光雄

    多田委員 大島つむぎはいつときかなり高値をしたということですが、まあ現在もわれわれ庶民にとってはとうていこれは手に入る値段ではないのです。しかし現地へ行ってみると、売れ行きは鈍ってきておる。そしてまた好転のきざしがない。さらにまた、いま当面する悪性インフレ、それから石油危機、こういう問題で日本経済が混乱している。こういう中で中小企業あるいはその他家内工業に対していろいろなしわ寄せが来ているわけですね。いまメートルで言われましたけれども、私は数千反と聞いているのです、反に直して、現地で。たぶんそれぐらいだと思います。数千といっても四千もあるでしょう、五千もあるでしょうが、かなりの量です。奄美産業計画経済の目標を立てて、達成していっているのは大島つむぎぐらいですね。三十万反にようやくいま達しようとしている。これが深刻な打撃を受けているわけなんですよ。  そこで伺いたいことは、この韓国産はどういう経路で、どういう商社の手を通じて入ってきているのか、それを教えていただきたい。
  93. 田口健次郎

    ○田口説明員 恐縮でございますけれども、具体的にどのような企業がどういう経路で入れているかにつきまして、現在資料を持ち合わせておりません。
  94. 多田光雄

    多田委員 昨年十一月の韓国紬第四次調査団の報告でも、奄美鹿児島から韓国に原料が流されている。それから国内の優良業者のリストも出ているのです。知りませんか。それから加工技術者も韓国に行っているのです。そして輸入している業者は、これは韓国での和製絹織物生産の推進力になっている三井物産、丸紅、伊藤忠、こういう大商社なんです。これはあなた方がわからないというはずはないのです。しかもこれは現地の合弁会社をつくって、染色、織り、それから縫うことまでできる生産加工基地をつくって、日本の技術を移植する。そして現地の安い労働力で、いわば日本から見ればにせのつむぎを量産してこれを逆輸入しているのです。こうしていま日本の伝統産業に甚大な脅威を与えているというのです。韓国は韓国でまたこれに五カ年計画をつくって和製の推進をしているわけです。  そこで私伺いたいのですが、これは局長、大臣にお伺いしたいのですが、日本の伝統産業について、これはすでにいま与野党でもって議員立法の伝統産業を守るという法案がかかっておりますが、ほんとうに伝統産業を守っていく、そしてあわせて、日本の国土であり、苦労してきた、これに携わっている奄美住民の生活、営業を守っていくという意味でどういう対策をお立てになるのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  95. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在地元のつむぎの仕事に携わっておられる方々が韓国の問題について非常に脅威を感じていらっしゃるというのは、昨年この法案の準備のために私参りましたときも痛切にその声を伺っております。事実たいへん心配をしておるわけでございます。しかし、国際的にこれをどう防ぐかという対策は、どうも私のほうではいまのところ直接立てるひまもございませんし、それはさらに日本の産業保護の問題として政府全体で取り組んでいただくつもりでございますが、これに対して、地元の品質を高め、コストの低下をはかり、競争力を強めて対抗するという方策に精を出すしか私のほうとしては現在ございません。そのためにこれらの技術の保存とか、あるいはこれらの仕事に従事される若い御婦人方の健康管理の問題、そういったものを高めていくためのいろいろな施策、まあ来年度の予算ではつむぎセンターというものをつくるための補助もわずかながらでも計上してございますが、そのほかに基金からの融資措置その他で、できるだけ地元のほうの競争力を高めるための施策を展開してまいることを考えておる次第でございます。
  96. 多田光雄

    多田委員 私は局長のいまの御発言、お役人としてはもっともな発言なんだろうと思うが、それでは伝統産業を守ることも、奄美大島つむぎを守ることもできないですよ。現実に東京の村山つむぎ、これも伝統的なものでした。これは韓国からの輸入品で圧倒されてしまった。そしていまこれは大島つむぎをやろうとしている。それはなぜか。安い労働力でしょう。しかも韓国の場合は国策としてこれを目標をきめてやっているわけです、五カ年計画をきめて。しかも関税の上でもいろいろなめんどうを見てもらっている。こういうことで一体太刀打ちできると思いますか。競争力を強めると言っているけれども、国がごくわずかな投資しかしないで、援助をしないで、働く婦人の長時間の労働にまかせて、そして非常に不明朗な流通経路、つくったところの何倍でもって東京のデパートで売られている。こうしておいてはたしてこれが国際的な競争に勝てるのでしょうか。それを、私の担当でないからと言って逃げるところは、私はいまの政府がほんとうに住民の生活を守っていく、伝統産業を守っていく、そういうものを基盤にして開発するという政治姿勢に欠けているからそうなっちゃうのですよ。安ければ何でもいいだろうということになってしまう。  しかも、聞くところによると、これは私現物を見ていませんから、通産省にあとで調べてもらいたいが、私も現物をいまさがしている。向こうから来るつむぎにはたいへんまやかしの商標がついているということです、あたかも国内産であるかのごとく。これは現地の業者から何人も聞きました。メイド・イン・コリアと書いてあるそうです。これがいつの間にか日本の国内へ来ると消えてしまっている。その現物をさがしに私一晩かけずり回ったのですが、手に入りませんでした。何人の業者からも聞きましたが、これは調べてください。  ですから、私はこういう点で、われわれが税金から六百億円以上の投資をしてきている、基盤整備をつくってきている、それはそれなり成果をあげてきている。しかし、より根本的な、住民をささえているこの大島つむぎ発展させていくためには、私は一つはもっと国がめんどうを見てやる。そして、たとえば後継者や技術者を残すようなそういうセンターを、乏しい鹿児島県にまかせるのじゃなくて、国が援助してやるということ、あるいはまた老齢の職人に対してどういう措置をとるのか、こういうことをしなければ、日本の伝統産業は一片の法律ができたからといって守れるものじゃないですよ。  それからいま一つこの問題について言いますと、国内のそういう製品を守るという上で、やはり輸入関税の引き上げの問題だとか、あるいはまた原産地の表示をきちんとさせるような法律もつくる。こうしていかないと、大資本にのみ込まれて、やがて伝統産業が破壊されるだけじゃなく、住民の生活すらも失われていく、こういうことになるわけですね。こういう点についてひとつ積極的な御意見を、私は大臣にお願い申し上げたいと思います。
  97. 町村金五

    町村国務大臣 私も奄美の将来の発展ということをいろいろの角度から、関係者の話を聞きながら考えさせられたのでありますが、やはりいまもお話がございましたけれども、産業というものはなかなか一朝一夕にしてにわかに発展できるものではございません。やはりその地に長年定着をしておる産業というものが、その地域には何といっても一番適した産業である。したがって、奄美大島におきましては何といっても大島つむぎ最大産業であり、また最適の産業であるように私も思います。いろいろ最近そういった新しい困難な問題が起きておるということになってまいりまして、将来もし奄美群島から大島つむぎが著しく衰退をするということになってまいりましても、かわるべき産業がそんなににわかに成長するとは私は考えられない。だといたしますれば、いかに私どもが種々の基盤整備してあげましても、そこに産業がなければ地域住民は生活していくことができないということになることは当然でありますので、いまお話がございましたが、奄美大島つむぎ振興発展のためには、かなり広範囲にわたる各種の振興対策というものを進めていかなければならない情勢に最近は相なってきたのではないか、かように私は判断をいたしますので、いま御指摘になりましたようなことをも含めまして、さらに抜本的な振興対策をひとつはからせるということに私どもも一そう力を注いでまいるようにいたしたい、こう考えております。
  98. 多田光雄

    多田委員 ぜひひとつそういう方向で努力していただきたいというふうに思うのです。通産省のほうも、石油が幾ら入った、これも大事ですよ。しかしそういう日陰にある産業、とりわけ日本の民族の心を伝えておるようなこの伝統産業、そこにこそほんとうに生産の苦しみがあるのです。そういう人たちをほんとうにどうやって守ってやるかという立場からやはり目を光らせて、そういうまやかしのものが来た場合には厳然とした態度をとるということをひとつ貫いてもらいたい、こう思います。  さて、もう一つサトウキビについて伺いたい。  これは大島つむぎに次ぐ地場の重要な産業ですが、これまた最近たいへんなことになってきているわけです。昨年は沖繩、種子島その他から、数千名のサトウキビをつくっている農民が国会に来たことは皆さん御承知のとおりだと思うのです。ここもまたたいへんなんです。  そこで私は農林省の方に伺いたいのですが、政府の統計資料を見ますと、サトウキビがここ数年、作付面積でも減ってきています。それから金額も落ちてきていますね、ここ二、三年。これはどういう理由でしょうか。
  99. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答えいたします。  いま御指摘のございましたように、奄美におきますサトウキビの作付面積はここ近年停滞して、作付面積が減少しているのでございますが、その原因といたしましては、近年におきます経済の成長発展に伴いまして農業労働力の流出が激しい。これは奄美に限ったことではございませんで、農業地帯全体、そういうことが言われますけれども、そういうような傾向が著しいということ、それから、そういうことに伴いまして、サトウキビは非常に労働時間も多く、かつ労作業がきつうございますが、そういったものに対する機械化の体制が十分でなかったということ、それから四十五年の台風あるいは四十六年の干ばつといったような気象災害等もあったということ等がございまして、他作物に比べて、あるいは他産業に比べてサトウキビの収益が低かったということ等によって、生産が停滞したというふうに考えております。
  100. 多田光雄

    多田委員 機械化はこの数年一定の前進をしているのでしょう、この報告を見ても。機械化は一定の前進をしておりながら作付は落ちておる。それから非常に労力がかかる。いま省力化という非常にていさいのいいことが言われておる。私は、それは合理化して機械化すれば人間の手が要らなくなる、これはそれなりにいいと思うのです。しかし私が先ほどから言っておるように、大事なことは、生産も上がるけれども、上げた農民の暮らしがどうなのか。農業をやっていきたいという、住民がほんとうに農業に愛着を持っておるのか。ここが政治の眼どころですよ。機械化をしてぼつぼつ生産が上がってきておる。ところが農民はやりたいと思うキビをやめて離農していっているのです。  ですから、私はこの場合でも大事なことは、現地の農民が何を一番強く望んでいるかということです。機械化もしたがっていますよ、それは。県から入れた刈り取り機、何という機械でしたかな、入れてみたところが故障が多くてしょうがない。しかもあそこのキビというものは、風が強いのでまっすぐじゃないから、こうひん曲がっているのでなかなか機械がかみ合わない、故障が多いということは、これもまた何名かの農民から私は聞きました。ある町長さんもそれは言っていました。  ですから、問題は農民がどうなのかということなんですよ。一番農民の訴えているのは、これはキビの価格の問題なんです。昨年、四千名からの農民が押しかけてくる、そういう中で政府が幾らかこの価格を上げました。しかし実際にいって、農民はいまでも二万円にしてほしいと言っているのです。この二万円がいまの全体の農産物から見て適切かどうかということは別にしまして、一番大事な問題はキビの生産者価格を上げてやる、ここが必要なんです。だから農民は何と言っているか、製糖工場の雇い人みたいだと言っておる。製糖工場は金額にしても生産力にしてもそれほど落ちていないのですよ。結局、製糖工場を基盤整備でつくった、それはそれでけっこうだけれども、農民が製糖工場のいわば下請みたいになっちゃった。それに組み込まれてしまった。しかもキビの価格も思うように上がらない。こういう点にあなた方は目をつけて——私はこの問題でもうこれ以上論議する時間がございませんから、ぜひひとつ、ほんとうに離島や過疎の農民の苦衷を考えるならば、私は農林省の皆さんが、このキビの価格を上げてあげるということをひとつ努力してもらいたい、こういうふうに思います。これはこれで終わりたいと思います。  次に、私は開発の問題でもう一つ大事な問題に入るのですが、このように伝統的な農業、伝統的な大島つむぎが危機を迎えたり、困難を迎えていて、それに積極的に政府が援助をしないで、開発をやって波及効果を強めると言っても、その波及効果論というのはもうすでに水島の例でも、至るところのコンビナートの例でもこれははっきりしておるのです。  そこで、いまその波及効果でもう一つ大きな問題になっておるのが例の東亜燃料の石油基地の問題です。あそこに世界最大といわれる日五十万バーレルの石油精製基地を、これはエッソから資本の入っている東亜燃料がつくる計画で土地の買収や調査をいま始めてきているわけですね。そこで私は伺うのですが、この間、保岡委員質問に対して、まだ通産省としてはこの認可を出していない、正式の審査もしてない、こういうふうに言われたし、すでにもう昭和五十二年までの計画についてはこれは石油審議会の答申も得ている、ただしこれはまだ許可してないという話でしたけれども、正式にこれは通産省として何にも聞いておりませんか、これの計画について企業のほうから。
  101. 松村克之

    ○松村説明員 先生いまお話しがございましたとおり、石油審議会のほうに対しまして東亜燃料から設備増設の申請といったようなものは一切まだ出ていない段階でございます。
  102. 多田光雄

    多田委員 ちょっと最後のことばを聞き漏らしたのですが、ちょっともう一度言ってくれませんか。
  103. 松村克之

    ○松村説明員 もう一ぺん御説明いたしますが、先生いまお話しがございましたように、石油審議会のほうに東亜燃料から本件についての増設計画という申請は出ておりません。
  104. 多田光雄

    多田委員 正式の申請は出てないということは前回も聞いているのです。そういう話をうちうちでもってしてないかということを聞いておる。
  105. 松村克之

    ○松村説明員 東亜燃料が奄美大島に進出の計画を持っているということについては承知をいたしております。
  106. 多田光雄

    多田委員 承知しているということは、東亜燃料から聞いたということですか。
  107. 松村克之

    ○松村説明員 さようでございます。
  108. 多田光雄

    多田委員 それでよろしいと思います。というのは、これは現地の二月十日の新聞を見ますと、二月八日に名瀬市内某ホテルで東亜燃料株式会社調査室、千木良次長と会い、次のように言っているのですね。最後に、「枝手久工場は数年前に石油消費見通しをたてたうえでその設置は必要であったと内々に承認を得ているものである、当時、枝手久島とは決まっていなかったが東燃がどこかに工場を持つことは国内の石油消費の伸び率に見合わせて決まっていて、このほどの通産省の規制方針にふれるものではない。」こう書いてあるのですよ。これは事実に合っているかどうか。もし違っているとするならば、それはあとではっきりさせる必要があると思うのだが、しかし少なくとも通産省はもうこれは事前に知っていたというふうに了解してよろしいですか。
  109. 松村克之

    ○松村説明員 ただいま答弁いたしましたように、正式の設備申請は出ておりませんけれども、私どもは東亜燃料が枝手久島に進出の計画を持っているということは東亜燃料から伺っているところでございます。
  110. 多田光雄

    多田委員 そこで実は昨年の四月、衆議院の公害の委員会で私どもの同僚の木下議員がこの問題について、特に公害を中心にして質問をしているのですが、そのときの通産省の、政府側の説明はこうなんですね。一番の基本は、つけるかっけないかの基本は、つまり通産省が承認するかどうかの基本というものは住民の意思の問題だ。正確にこれを読んでもいいんだけれども時間がありませんので……。意思の問題だ、こう言っているのですね。それからこの間の保岡委員に対する回答では、企業の申請を承認するかどうかの前提は、土地を入手しているかどうかということも大事な要件だというふうに言っておりました。しかし何といっても一番大事な問題は、地元住民の多数の賛意を得られるかどうか、こういう問題だというふうに言っておりましたけれども、地元の宇検村、それからあそこの島全体、ここの反対運動の実情というものを知っておりますか。
  111. 松村克之

    ○松村説明員 概略については私も存じております。
  112. 多田光雄

    多田委員 概略ではなくて、具体的に知っている点を言ってください。
  113. 松村克之

    ○松村説明員 詳細にと申し上げるほどではないかもしれませんが、ある程度のことは具体的に存じております。
  114. 多田光雄

    多田委員 ある程度のことは具体的に知っていると言うけれども、その具体的なことを聞きたい。——それでは私のほうから申し上げましょう。宇検村はまつ二つに意見が割れています。そして、いまあの南のところが国定公園になりましたね、その国定公園を守っていくということ、漁民や農民を含めて。昨年の十月から東亜燃料がダム建設の、これは工業用水が要るのでその調査にかかっているのだけれども、その調査隊に対して、昨年から正月をはさんで、数名の農民が出て望楼の上から監視しているぐらいなんです。私が会ったあそこの会長さんやその他は、もしあそこを基地にするならば、文字どおりわれわれは沖繩の県民に負けないような戦いをやる、こうまで言っているのです、地元自身がですよ。それからあの奄美大島の十四市町村、この中で反対決議をしている市町村が九つまであるのです。あと五つはどうなのか、態度を表明しておりません。態度を表明しておらないけれども、せんだって奄美市町村議員の年に一回の集まりの中で全会一致で反対決議をしているのです。住民が石油の基地に対して反対している、こういう実態を知っておりますか。
  115. 松村克之

    ○松村説明員 大体において存じております。
  116. 多田光雄

    多田委員 それからもう一つ、これを伺いたいのですが、先ほど言ったように、石油基地をつくる場合、政府、通産省の許可が必要ですね。もちろんこれは正式には通産省にまだ出ていない。これも私は承知しております。しかし、いますでにこの東亜燃料は、自分の工場で使う工業用水のダムの建設の調査から土地の買収にまで入っているわけです。それに動揺した地主もいます。しかしあの島の大半の、一番大どころを持っている地主たちは、これも私は現地で会いましたけれども、これはノーと言っています。ところが土地の買収は進んできている。私はいままでのコンビナート、大規模開発の手口を見るとみんなそうなんです。最初に関係官庁、政府の内諾を得る、土地の買収に始まって、そしてのっぴきならない土地というものを入手して、その上に立って今度は反対住民を根こそぎに押していくのです。そういう意味でいまこの東亜燃料が土地の買収や調査をやっている。こういう実態に対して通産省としていまどういう態度をとっておりますか。
  117. 松村克之

    ○松村説明員 通産省といたしましては、いま先生がおっしゃったような地元の問題が相当深刻なものがあるという判断に立ちまして、会社に対しては今後とも十分地元とよく話し合いを進めていくように、一方的な進め方をしないようにという指導をいたしております。
  118. 多田光雄

    多田委員 それはいっそういう指導をしましたか。いつごろですか。
  119. 松村克之

    ○松村説明員 日にちまではっきり覚えておりませんが、私が精製流通課長になりましたのが昨年の十月の中ごろでございます。したがいましてそれ以降ということでございますが、それ以降すぐでもございませんでしたから、おそらく年末から年始にかけてのころではないかというふうに存じております。
  120. 多田光雄

    多田委員 それに対して東亜燃料側は何と言いましたか。
  121. 松村克之

    ○松村説明員 その点については十分配慮していきたいという趣旨の話でございました。
  122. 多田光雄

    多田委員 その十分に配慮すると言った十月ごろから、今度はその工場用水取得のための調査に入っているんです。つまり、これは、言うならば、通産省の言うことは表で聞いているけれども、裏でやっていることは違うんです。ちょうどいま予算委員会で喚問されている大企業の社長のやっていることと同じだ。さらに話を述べれば、先ほどの韓国のつむぎを入れて国内つむぎをつぶしてもかまわないというこの大企業のやり口というものは、戦争のときは武器を敵国に送るようなこともやったんです、この大企業というのは。口ではきれいごとを言っているけれども、民族の自決やその他のことを言っているけれども、実際はそうじゃないんだ。そういうこの新たな事態に対して、通産省はどういう態度をとりますか。
  123. 松村克之

    ○松村説明員 やはり一つの大きな精製設備といったようなものを、特にああいう離島等につくります場合には、これは地元の大部分の方の同意ということがなければ、実際上からいいましてもそういうものの設置は不可能であろうと思います。したがいまして、住民の方々の御反対の理由等も十分伺って、それに対しての説明を進めていく、これが前提であろうというふうに考えます。
  124. 多田光雄

    多田委員 この問題については、地元の宇検村では村議会の正式な場でもこれはまだ発表されていないのです。それから、地主を集めて一堂に会して、こういう計画でやるという説明もやられていない。一部の人からそれが始まっていった。だから手続からいったってこれは納得できる手続じゃないんです。これをもしあなたがわからないならば、これは世界でも有数な石油基地をつくることですから、私は十分調査してもらいたいと思うし、もう一度東亜燃料に対して、住民が反対し、平和であった島がまつ二つに割れてしまう、そういうことを政府自身がまだ認可も許可も与えていないのに先行してやってしまうということはまずいということを注意しますか、どうですか。
  125. 松村克之

    ○松村説明員 政府が認可をいたします場合には、それに先立ちましてある程度の地元住民あるいは県等の了解ということが前提になろうかと思うわけでございます。したがいまして、政府の認可の前に調査なりあるいは地元に対する了解のための努力ということを何ら行なってはいけないという指導は、いささか現実から異なっていると思うわけでございますが、いずれにいたしましてもそのような、住民の大多数がそのプロジェクトについて違和感を持っている場合にそういうような大きなプロジェクトは成功しないということは、私どもとしても十分認識いたしておりますので、その線に沿ってさらに地元、県等とも連絡をとりまして企業を指導していきたいと思います。
  126. 多田光雄

    多田委員 この問題ではあまり時間をとりたくないんだけれども、もう一つ最後に……。  つまり、村議会にも正式にはかっていないんですよ。ただし、村議会の開発委員会か何かに話しているようです。それから地主には、集めて説明会をやっていない。こういう正規の手続をやるべきだということは指導官庁としてあたりまえのことでしょう。幾ら私企業のやることだからといって、小屋一つつくるのとわけが違うんだから、あの美しい自然に甚大な影響を与えるかもしれない企業、いま政治的に村がまつ二つに分かれているという企業立地の問題、こういう問題なんだから、指導官庁としてそれぐらいの指導をやる、これはむしろ援助といってもいいでしょう、そういうものをおやりになりますか。もう一度……。
  127. 松村克之

    ○松村説明員 地元に対しての一つのプロジェクトを開始する場合に、地元にどういうアプローチをするかという件につきましては、これはやはりそれぞれの地域によっていろいろ問題があろうかと思いますが、したがいまして、その手続等に非常にまずい点があるという御指摘でございますので、その点については当該県のほうの御意見も承って、それによって企業を指導していきたいと思います。
  128. 多田光雄

    多田委員 環境庁、来ていますか。——この五十万バーレルのあれをつくるにあたって、県なりその他から環境アセスメントは出ていますか。
  129. 山村勝美

    ○山村説明員 県の情報でございますが、いま企業が立地の調査住民の意向打診を始めたという情報は得ておりますが、まだ環境アセスメントに関する調査にかかったという程度でございまして、まだ全く聞いておりません。
  130. 多田光雄

    多田委員 大臣、お聞きのとおりです。私は、石油のない日本に石油を一滴も入れるなということを言っているんじゃないのです。今日、インフレ、高物価その他で、石油の危機を迎えて総需要抑制というものをやられている。そして公共事業のスローダウンもやられているわけです。確かにこれは当面一、二年の問題ではありません。しかしながら現実に石油基地をつくるという建設が、通産省の意向を無視してこれが進められていっている。まだ住民の十分な同意も得ていない。この間も委員会報告があったことですが、阪神にいる奄美出身の人までがこれの反対運動をやっているのです、美しい郷土を守っていこうということで。そうすれば、大臣は所管の大臣ではございませんけれども、こういう問題についてどういうお考えでしょうか。
  131. 町村金五

    町村国務大臣 奄美大島に大きな石油精製工場をつくりたいということを計画しておる石油精製会社があるということは私も耳にいたしておるところであります。  御承知のように、今後石油というものの需給が一体どういうふうなことになるかということは、最近のこの石油の問題に関連をして種々将来にわたって検討をしなければならないという重大な時期である、こう私は思うのでありますけれども、しかし何といいましても、日本の産業構造というものがにわかに石油から他のエネルギーに大きく転換をするというようなことは、実はなかなか望みがたいことではないであろうか。そうだといたしますれば、将来やはり石油の精製ということを日本の国内で行なって、しかもそれが、いまある石油精製工場等は御承知のようにいろいろな地域に公害等の問題を引き起こしておるのでありますから、今後新しい立地をやる場合にそういったことのないような工場立地をしなければならぬということは、これはもう申し上げるまでもございません。おそらくそういった角度から、石油精製工場の中には新しい工場立地を求めようということでいろいろくふうをしておることが、たまたまいま御指摘のような問題になってきているのではないか、こう私伺ったわけであります。  しかしこの問題は、石油精製工場から起こる公害問題ですでに先進地域においてはみな非常に困った問題が起きておるわけでございますから、そこで地元の方々がやはり十分納得のできるようなことでなければ、いまも通産省の係官からもお答えがございましたけれども、地域住民の十分な協力、納得の得られないままにこういう工場をつくるということは事実上非常に困難があるであろう、こう私は考えるのでありまして、こういった問題については、今後関係会社においてどういうふうにされるか、あるいはこれを許可する場合に通産省としてはどういう態度をもって望むべきかといういろいろな問題がそこにあるわけでございます。私といたしましては、日本の将来を考えますときに、公害等の起こらない石油精製工場というものが今後石油の供給といいましょうか、需要がふえるに従ってやはりこれはどこかでやっていかなければならぬという事態が起こるんだということも考えなければなりませんので、そういったことをあれこれ考えながら、地元の納得の得られたような姿で今後も各地に石油精製工場というものを、まだ需要がふえまするならば私はつくっていかなければならぬという事態に相なるのではないか、こう考えておるわけであります。
  132. 多田光雄

    多田委員 問題は、当初言った開発の問題なんです。開発の問題というのは、これは私の見解ですけれども、やはりいままでの国土開発の進め方、そこにはいろいろな評価もあるでしょう。しかしながらはっきりしてきていることは、地場産業が相当な痛めつけを受けているということ、それからまた自然がかなり破壊されてきているということ、それから国土が均衡ある発展をしなくなってきている、そういう、政府のいうひずみ、しかし私どもはこれはひずみというものだけじゃないと思っております。ここで国土総合開発の問題に立ち入るわけにいきませんが、ですからやはり施策というものは、そういうひずみを是正するとするならば、思い切った措置を講じないというと弱いものはいつも泣かされるんです。弱い、強いとは何か。権力と金の問題です。そうすれば、いま大事なことは、先ほど言った、何百年にわたって奄美のこの経済をささえてきた大島つむぎあるいはまたサトウキビ、これから始まるであろう漁業の問題こういう問題に思い切った施策を講じてやらないというと、せっかく善意で開発をやろうとしても、振興しようとしても、それは結果としてまたその二の舞いをやって、これからまた五年後、格差がさらに大きくなってきて、またこれを五年、十年延ばさなければならないということになるわけです。したがって、今度は振興開発という「開発」の名前がついたわけですから、この開発のあり方の根本はそういうところに目をつける必要があるのではないかという点で私は述べたわけであります。  時間も来ましたから最後に一、二で終わらしていただきたいと思うのですが、なお非常に大事な問題は物価の問題です。東京では四十円そこそこで飲める牛乳が、行きましたら六十円なんです。しかも味が悪いんです。標準価格のきまっているプロパンガスが、全国では千三百円でございましょう、これが千七百円なんです。少し下がって千六百五、六十円になったといっております。それから、きょうも名瀬市の市の職員の方々から物価の指標をもらいましたけれども、行ってみて驚くことは物価の高いことです。  その一番大きな原因として、各市町村長さんが共同で私どもに陳情をなさったのは運賃の問題です。台風が一週間も来るというと野菜が急騰してしまう。いや、急騰するだけならいいんだけれども、手に入らなくなってくる。そういう状況の中で、物価を下げるためにもせめて国鉄並みの運賃にしてもらいたいと言っておるのです。これはささやかどころか最低の要求です。そういう意味で、さらに南には沖繩があります。ここには百万の県民がおります。そしてそれはほとんど民間の船であります。ほとんどというか、すべてです。そうすれば、こういう過疎になったところ、しかも日本の本土生活水準から、ほうっておけば当然おくれていくところに対しては、国が、たとえば国鉄がある意味では沖繩の航路をつくるとか、あるいはまた民間の郵船会社であるならば特段のいろいろな措置を講じて運賃を安くしてやる、こういう措置こそが私はいまの日本の政治に求められている問題だ、こういうふうに思いますが、大臣、これは非常に大きい問題でございますが、どうでございましょうか。
  133. 町村金五

    町村国務大臣 私が自治大臣の立場でお答えをするのにはちょっと適当な問題ではございませんけれども、しかし、何と申しましても、この細長い日本の国土にはずいぶんたくさんの離島というものがございまして、その離島の生活というものは概して本土に比べてみれば非常に遜色がある。この原因はいろいろあるでございましょう。いろいろな問題があるのでありますけれども、やはりその一つには、物資の輸送費離島なるがゆえに非常に高くなっておる。そのことがやはり物価の高騰の一つの要因をなしておることだけは、これは間違いがないと思います。  したがって、いま多田議員、あるいは午前中小川議員が言われましたように、そういった僻地に対して、あるいは国鉄並みの運賃で運ぶことのできるようなものを国がつくるべきではないか、確かに私は一つの有力な御提案だと思います。あるいはまた、民間でそういう船を運航いたしまするならばそれに対して相当な助成を与えるということによって、格差をできるだけ少なくするというようなことも、これは必要でございましょう。場所によりましては、小さな離島等については若干そういうことが、御承知のように運輸省の施策として行なわれておるところがございます。ただ、はたして現在のそういった格差を全部是正するに足るだけの補助金が出ておりますかどうか、それは私も確たることは承知いたしておりませんけれども、若干そういう措置が講ぜられておることだけは事実でございます。ただ、沖繩であるとか奄美といったような、非常に人口が多く、大きな地域に対しては、どうもそういう施策がまだ講ぜられていないように私も承知をいたしておるのでございますけれども、これは今後国全体の国民生活をひとしく安定をさせるという立場から考えてみますれば、政府としても十分考えていかなければならぬ問題であろう、かように考える次第であります。
  134. 多田光雄

    多田委員 そういうものの上に立って、またそれを援助するものとして、道路港湾整備ということをやっぱり位置づける必要があるのじゃないかというふうに思います。  なお、私は大臣にちょっとお耳に入れておきたいことが一つあるのですが、たとえば医師不足、これまたここはひどいのです。これは奄美だけではございません。医師不足で、あの小さなところに韓国から来ているお医者さんが四人もいるのです。そして、医者を見つけてくればおまえを村長にしてやる、こうまで言われているのですね。たとえば給料が、ある村では四十二万だそうですね。そして税金も自治体持ち、テレビから水道料から一切持って、また最近は往診料もくれと言われているそうです。これは韓国の医師の責任とは思いません。つまり、過疎というところ、離島というところはこういうところなんです。ですから、これは万般の施策をやはりする必要がある。  そういう意味で申し上げますと、実は現地でも、沖繩と離島との中間になるのじゃないか、いや離島並みになるのじゃないかという話がありますが、たとえば人口一人当たり投資額、これも聞きません、私この資料を見ますと、全国が二四・八ですか、それから離島が四〇・七、それから奄美が二四・五、沖繩は四二・九、これであれば奄美はまさに沖繩と離島との間に陥没してしまう、この不安を持つのはあたりまえのことです。特別措置よりは離島並みにしてもらったほうがいいぐらいだというのは、そういう不安を持っているからですよ。ですから、今度の新たな法改正、これはいろいろ問題はございましょうが、ぜひひとつそういう立場で奄美の処置をしていただきたいと思います。  最後に、実は小笠原の問題ですが、これは私まだ一度も足を運んだことがございません。しかしながら、小笠原はまた違った意味でこれは深刻な問題を持っているわけでございます。旧島民の帰る人、これもさっき同僚議員が質問しておりましたので、もう繰り返すまでもございませんが、やはり奄美に劣らず、あるいはその特殊性を生かして、ほんとうにこれを援助していただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  135. 伊能繁次郎

    伊能委員長 折小野良一君。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕
  136. 折小野良一

    ○折小野委員 今回の奄美群島振興開発、これに関連をいたしまして先ほど来開発の問題がいろいろお話がございました。奄美復帰いたしましてから、まず最初は「復興」という名前で特別措置が講ぜられてまいりました。その後は「振興」という名前で引き続いて特別措置が講ぜられて、そして今回は「振興開発」と、新たに「開発」という文字を加えて新しい特別措置が発足をしようとしておるわけでございます。  ところで、名は体をあらわす、こういうふうに申しますが、今回こういうふうに、従来「振興」とあったものを「振興開発」というふうに名前を改めて法律の改正が行なわれようとしておるんでございますが、その内容を見まして、すなわちその体、その名前にふさわしいような体はほとんど見当たらないんでございますが、どういうところに名前を変えた趣旨があるのか、その点まず御説明を願いたいと思います。
  137. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 実は午前中の小川先生の御質問でも、冒頭の御質問がこれでございましたのでございますけれども、復帰いたしました当時の「復興」、これは、長年日本政府の行政から離れてまいりまして、言ってみれば公共施設その他も荒れほうだい、これをできるだけ早く本土水準に近づけるという意味での復興という名前、これで十年間続けてまいりまして、それからさらにそれに引き続きまして、そういうものの復興は相当程度成果は見たけれども、なお生活水準あるいは所得水準本土との格差が一向に縮まらない。地元でも相当な成果をあげてまいりましたが、あの当時はさらに本土のほうで経済伸びが著しいということもございまして、追えども追えども相手が先に行ってしまうという状況、これに対しまして、従来の復興からさらに概念を広げまして、産業  の振興所得水準向上というものを目ざす事業をできるだけ取り込もうという意味での「振興」と名前が変わったのは御承知のとおりでございます。それで実は十年続けてまいりました。  で、それの目的は一応達したとも評価できますけれども、やはり本土経済伸び、さらにここに新たに加わってまいりました沖繩の復帰とそれに対する振興施策との間の谷間と申しますか、地理的にはちょうどその中間に位置する奄美につきましてさらに今後こういう特別措置を必要とする。そこで振興に対してさらに「開発」という名前を加えた。  単に名前を変えただけであるのか、中身についてあまり相違が見られないじゃないかという御質問でございますけれども、確かにいま具体的にここはどうということは持ち出せるものでもございませんが、まず従来の方式を取りかえたということでございます。一括計上、一括施行と、自治省が責任をもって施行してまいりました従来のやり方を各省移しかえ施行にしたということ、これ自体が直接「開発」という名に値するかどうかは別といたしまして、従来に比べてたいへん前向きな姿勢をとることになる、またそれをねらってこういう考え方をいたしたわけでございます。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、従来は一応予算としてまとめて自治省がとって、自治省が一括施行すると申しましても、それぞれの土木、農林あるいは厚生というものに関する専門的知識、技術等に欠けていた面が確かにあったわけでございます。これを、この段階になりましてフルにそういう各省の専門的な知識なり技術なりをお借りし、それから各省に奄美振興開発の熱意を持っていただくという意味でこういう方式に変えましたことが、おそらくこれから後の年々の振興計画に対する予算の裏づけその他については効果をあらわしてまいることをわれわれも期待しておる。  従来の五年、十年という計画を数字まで入れて初年度にぴしゃりと固めてしまうということは、最初からどのぐらいの事業をやってもらえるということがはっきりするという利点はある反面、国の予算の伸びが著しいようなときには、一方では予算の伸びに従った伸び離島なりあるいは沖繩なりそちらのほうにはかれるのに対して、奄美の場合は当初の計画に縛られるということが、何か地元からごらんになりました場合に非常に損をしたのではないか、それがまた数字にもあらわれてきているというような点もございましたが、今後執行体制をそういうふうに各省に移しかえると同時に、計画もこの五年分を数字まで入れて初めにきめるということは避けまして、計画自体には目的方向、大綱にとどめることにいたしまして、毎年の予算で勝負をする。勝負をするということは、離島に比べてどれだけ、沖繩に比べてどれだけという反省を毎年度の予算編成において加えられるということ、これ自体奄美の当然あるべき位置を保たせる上にも役に立つであろう。こういう計画のつくり方について従来に比べて変えたのも、そういうねらいを持ったものでございます。  あわせまして、今度の計画の基本的なものには、従来の公共施設産業基盤整備のほかに、先ほどからの御質問にもございましたが、つむぎとかあるいはサトウキビ、さらには地元の同意による新しい産業の導入、こういったもの、つまり直接の生活水準向上に結びつき、所得向上にも結びつくというほうにも、従来にも増して力を入れるという考え方で進めていく。これらを総合いたしまして、単に名前を変えただけではなくて、従来に比べてやり方も変え、意気込みも変え、重点の置き方も変えるということで今後の計画の策定、実施に当たってまいる、こういう考え方に立っておるのでございます。
  138. 折小野良一

    ○折小野委員 私はこのような特別措置法につきましては、やはり重点というものをきめて、そしてその重点に集中的な配慮をやっていく、そうすることによってできるだけ早く一般と同じような状態に持っていくということが非常に大切なことじゃないかというふうに考えるわけです。ところが、今回企図されておりますこの法律の改正におきましては、むしろその重点がぼけてしまって、一般的なものになってしまっておる、別に重点というものが身につかないようなことになってしまっておる、そういうふうに感じます。  大臣はこの法案の趣旨説明におきまして、「奄美群島特性発展可能性を生かし、」というふうにはっきりおっしゃっておる。ところがこの法律改正案におきましては、その奄美群島特性とか発展可能性、こういうようなものはほとんど法案の表向きには出てまいっておりません。むしろ、従来の法律におきましては「つむぎ」であるとかあるいは「製糖事業」であるとか、あるいは「はぶの類及び病害虫の駆除に必要な事業」とか「亜熱帯性農林作物」、こういうようなことばがあちこちに出てくるほど、奄美群島特性というのをある程度考慮した施策というものがこの法律によって行なわれるということが明らかであったわけであります。ところが今回、こういうような奄美群島らしいような文言というものはこの改正案の中からほとんど消えてしまっておるわけであります。こういうような点から見まして、はたして大臣が趣旨説明でおっしゃったようなそういうような趣旨がこの法律の執行によって生かせるかどうか、こういう点についてひとつお考えを承っておきたいと思います。まず大臣、お願いいたします。
  139. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 ちょっと字句の変更については私から説明いたします。  これは、先生のおっしゃいますような従来の特性のある文句が消えたというのは、それらを消し去り、今後配慮しないという意味ではもちろんございませんので、地域のいろいろな状況に適した産業振興ということばにすべて包括しているということでございます。したがって、要はこの法律に基づきます計画をつくる際の問題でございまして、この計画にいま御指摘のありましたような地域特性を生かす施策をできるだけ多くあるいは重点的に盛り込み、さらにそれを予算化するにあたって、毎年各省のそれぞれの専門的な知識と技術、さらに熱意を生かして進めていただくことによって、従来にも増した地元の特色を生かした産業振興策その他がとれるようにしていかなければならないし、そうしてまいりたいという考え方を持っておる次第でございます。
  140. 町村金五

    町村国務大臣 奄美群島の将来の発展をはかるということは、国としても私は非常に重大な問題だ、こう考えておるわけでございます。  先ほど来、御質疑を通じていろいろお話が出たのでございますが、何と申しましてもあの地域に対しましては、戦前も時の政府はかなり奄美群島開発発展というものに力を注いだことだ、こう私は考えますし、戦後、占領が終わりましてから後におきましても、すでに二十年の長きにわたりまして種々の方策が講ぜられてきた。しかしいま本土と比べてみますと、依然としてその格差はなかなか解消するに至らない。今後いかにして本土との間の格差を縮小することができるかどうか。これは結局、私は産業発展をはかってまいる以外に道がないと思うのでございますけれども、しかし、しからば一体、木に竹をついだようにわれわれが何か計画して、そしてこういう産業を興したら、こう申しましても、それはなかなかそう簡単にできるわけのものじゃございません。やはり奄美群島においては大島つむぎと、そしてサトウキビというものが産業の二つの大きな柱になっておるというのは、やはりそれだけの長い歴史の上にそういったものが一番適した産業だとして伸びてきた、こういうことでございましょう。  私ども今日外部から見ておりますれば、あの地域などは、たとえば漁業の基地としてはたいへんすばらしいところではないであろうか、私はこう思うのでございますけれども、しかし漁業といえどもそう簡単に、場所が適しておるからというだけではにわかに漁業発展というようなものはなかなか期することはできないのではないか。したがって、やはり当面といたしましては現在ある産業というものをできるだけ振興をさせる。その障害があるといたしますれば、そういうものを除去しながら、さらにそれにできるだけの協力をして発展をはかるということが必要でございましょう。  しかし、だからと申しまして、いつまでも奄美群島というものは大島つむぎサトウキビ以外には何も発展をしないところだ、こういうふうにきめつけていくということは、これはまた適当ではないのではないか。一朝一夕にはまいりますまいけれども、やはりこの奄美群島に将来発展の可能性がある産業というものがあろうし、日本経済全体がこういうふうに大きく移り変わってまいりましたので、奄美群島にやはり分担をしてもらわなければならない産業というものが当然あり、そしてそういうものには国もまたできるだけその発展に力を添えるということが当然行なわれると私は思うのでございます。そういった意味で、このたびこの法律題名などを振興開発法というふうに改めましたのも、ただ従来のものを振興させるというだけでなく、やはり新しい産業というものを開発をしていく。そういうことは非常にむずかしゅうございます。またそれがはたしてどういうものであるのか。またかりに開発したからといってそれがうまく定着し発展するかどうかということになりますと非常に多くの問題がございますけれども、だからといって従来のとおり二つのこれだけで、それ以外のものはとうてい開発の余地がないのだというふうにきめてかかることは、これまた長い目で見て適当でない。そこで私は私なりに振興開発法というふうに法律の名前を変えることにいたしましたのも、そういった将来にわたっての展望の上に立っての開発の可能性というものをこれから探求をいたし、そしてこれがほんとうに地域住民の方も賛成をし、これならひとつやってみようというような産業ができてまいりまするならば、それに対しては政府もできるだけの協力を申し上げるというような考えをも実は私どもは持っておるわけでございます。
  141. 折小野良一

    ○折小野委員 御趣旨はたいへんけっこうでございます。私どももおおむねそのように考えます。  ところが最近、わが国におきまして所得格差とかいろいろな問題が表面に出ました場合に、必ず開発ということが出てまいります。そうしますと、結局その中では、どこの町においても同じ銀座ができてくる、どこの開発におきましても石油コンビナートとか、こういうようなことで、すべて日本全体が一様になってしまって、その中においてその地域特性というものがなくなってしまってきておる、こういうことを私どもは現実に見てきておるわけなんです。  奄美におきましても、従来サトウキビであるとかあるいは大島つむぎ、こういうものにつきまして、その地域特殊性を生かした産業だということ、これはだれもがそういうふうに考えております。しかし今日までいろいろやってみた結果、サトウキビについても思わしくない、つむぎのほうはいままでのところはたいへんけっこうなようでございますが、しかしこれでは十分じゃない。そうすると新しい方策としては何かということになりますと、やはり日本全体として普遍的ないろいろな考え方というものをあの地域に押しつける、そしてその中にその地域特性というのが埋没してしまう、こういうおそれを私ども感ずるわけでございます。もちろん将来にわたりまして今日までの特性だけを生かすべきだとは思いません。しかし今後新たなものを生かすにいたしましても、やはり地域特性、そういうものを十分考慮してやっていくことが大切じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そういうような面につきましては、ひとつ政府といたしましての今後の指導よろしきを得て、効果のある発展が、あるいは振興が期せられることを心から念願をいたしたいと思っております。  ところで、四十九年度から新しいこの開発計画が発足することになるわけでございますが、政府といたしまして、ただいま局長あるいは大臣からおっしゃったような趣旨によりまして、今後あの地域特性を生かして、しかもあの地域発展に寄与するような産業、こういうものは具体的にどういう面があるというふうに大体お考えになっておりますでしょうか。もちろん大臣がおっしゃったように、現在模索しておるという段階でもあろうと思いますし、そしてそれがまた、ただ単に政府が見通しをつけるだけでなしに、十分地元の皆さんがお考えになる、これが一番大切なことだと思いますが、新しい計画が発足しようとしておる時期なんですから、政府としてはどういうふうにお考えになりますか。
  142. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 いま先生の御指摘のとおりに、地元の方々、県の方々が寄って真剣な検討を続けておられます。おそらく具体的にいろいろな知恵が出てまいると思いますし、それらについては親身になり、各省とも御連絡の上御相談に乗ろうと思っておりますが、具体的なものとして、まず一つ希望の持てるものとしては観光ではないかと考えております。あの地域の美しい自然、最近国定公園にも指定になりましたし、現在なおPRその他が不足でございますが、これらを高めていくことによりまして、これは秩序ある観光開発を進めてまいります場合は地元に大きなプラスをもたらすものではないか。  それから、先ほど来問題になっておりました石油コンビナートみたいなああいう種類のものの導入ということも、まあこれは地元でいろいろな議論がございますが、それらは地元のあらゆる角度からの御検討の上で御判断をなさっておきめになることと思いますが、第二次産業はあれだけにとどまるものではございませんで、現に二次、三次の率はまだ本土あるいは鹿児島本土その他に比べて低いということで、第二次産業製造業、工業というものも何か地元に適したものが相当あるのではないか、これらについては地元からの御発意を待っておる段階でございます。  それからさらには、つむぎとサトウキビに代表される地元の二大産業がございますけれども、先ほどの御質問にもございましたように、あそこの地域物価が高いということは運賃に基因している面が非常に高いことを考えれば、あそこの地元で消費をなさいます生鮮食料品とか、あるいはさっき大臣もちょっとお触れになりましたが、地理的には非常に優位なところに立っているはずの漁業というものが、現在地元にほとんど見るべきものがなく、わずかに一本釣りの少数の漁民がおり、それが地元で消費する魚さえもまかなえないという問題がございますので、これらのほうでも、たとえば冷凍保存の設備その他ができればあるいは相当発展する可能性があるのではないか。ここらあたりに相当の希望の持てる見込みを得られるのではないか。現在の段階ではこの程度の考え方でございます。
  143. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、現在奄美現状を見てみます場合に、今日まで二十年にわたりましていろいろと手を入れてまいり、また地元の努力もあったわけでございます。それなり成果というものは一応あがったと考えられますが、その結果といたしまして、いろいろの見方があると思いますが、いただきました資料によりますと、現在のあの地域人口をいろいろ分析いたしまして、年齢別人口から見ますと、零歳から十四歳までが三三・四%、それから十五歳かち六十四歳までが五五・一%、それから六十五歳以上が一一・五%、こういう人口の構成比が出されております。ところがこれを全国の同じような構成の比率と比較いたしますと、そこに非常に大きな開きがあることに気がつくわけでございます。それを申し上げますと、全国では零歳から十四歳までは二三・九%、それから十五歳から六十四歳までは六九%、六十五歳以上が七・一%、これがこの前の四十五年の国勢調査の結果なのでございます。これと比較してまいりますと、特に年少者の人口構成が高いということ、それからお年寄りの人口構成が高いということ、すなわち十五から六十四のいわゆる働き手というものが、全国の平均からいたしますと極端に低い、こういう結果が出てきておるわけでございます。これをさらに年少人口指数と申しますか、それを出してみますと、全国が三四・七であるのに対して奄美が六〇、それから老齢人口指数でいいますと、全国が一〇・三であるのに対して奄美は二〇・八、こういうことになります。  これを総合いたしまして従属人口指数、これでいきますと、全国が四五であるのに対して奄美が八一・四、こういうふうに非常に大きな数字の差というものが見られるわけでございます。これは奄美の実態の一面を物語っておる数字であるというふうに私ども考えるわけでございますが、こういうような実態というものをいろいろと施策の中に生かしていくということが必要でございましょうし、こういう実態から出てくるいろいろな問題というものに対して適切な政策的な配慮というものがなされていかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、ただいま私が申し上げましたこの数字、これが示す実態等につきまして、政府としてはどういうふうに御認識になっておいでになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  144. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まさに御指摘のとおりの数字が示しておりますこれが奄美の実態だと存じております。それは二十年間にわたりまして復興振興措置でいろいろの事業実施してまいりましたが、なおそれにもかかわらず地元の自然的条件、地理的に非常に遠いとか、台風の常襲地帯であるとかいう自然的条件、あるいは地勢が山岳が多くて平地部が少ない、そういうあらゆる面から、要するに働く職場と申しますか、雇用機会が非常に少ないことが、こういった事業実施してまいりましてもなおそのハンディは埋め切れなかった。結果において若い働く年齢の方々は島から抜け出して本土に行き、沖繩に行く、島にはお年寄りと子供が残るという状態をもたらしたゆえんであろうと存じます。  これらに対しましては、そういったお年寄りあるいは子供、こういう方々に対する福祉の増進、保育所、児童館、老人ホームというようなものの施策ももちろん当面必要でございますが、やはり基本的には若い人が島を抜け出ていかないだけの雇用機会、あるいは職場、産業振興ということをはかっていかない限り、この構成は変えることはできない。そこで現在この構成に対応するそれぞれの福祉施策ももちろん進めてまいりますと同時に、ある程度期間をかけましてこの構成を直していくための産業振興の面、両々相まって全体としての向上をはかるということで、これに関する近道はどうもないような気がいたしております。
  145. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまおっしゃるような解釈が当然できるわけでございます。これをもう少し端的に申しますならば、日本全国の平均からいいますと、大体働き手二人で一人の年少者あるいは老人を養っておる、こういうのが日本の実態でしょう。ところが奄美の場合はその倍の人を養わなければならない。確かに振興計画の一応の目標は達成した、鹿児島県の八割の所得水準には達した、こういうふうにおっしゃる。それも一つの評価だというふうに考えます。しかしそういうような状態の中におきまして、奄美において働いておる人は、内地であるならば一人の人を養えばいいものを二人を養わなければならない、こういうような実態があるわけでございます。したがって、ただ単に所得だけでその生活を判断するということがなかなかできない。これは必ずしも奄美だけの実態でもないと思います。過疎地域においてはほぼこういうような傾向もございましょうし、特に奄美はそういう点におきましては非常に顕著にその傾向があらわれておるのだというふうに考えるわけでございます。  したがって、こういう面につきましては、ただいまおっしゃったような社会福祉その他についての対策というのが他の地域より以上に行なわれなければならないというふうに考えますし、また行政上のいろいろな援助にいたしましても、その辺の実情を考慮した行政需要というものに対処する、それに対する配慮というものも行なわるべきであろうというふうに考えるわけでございます。従来過疎対策であるとか、あるいはこういうような離島地域に対しまして全然配慮がなされていないとは申しません。しかし、それはただ単にその地域に住む人たちの人口あるいは面積、こういうものを考慮した対策というものが考えられておるわけでございますが、こういう実態を考えた何らかの指数化と申しますか、それによる政策的な配慮、こういうものが行なえないものかどうか。そういうことを行なうことがより実態に即すると私どもは考えるのでございますが、いかがでございますか。
  146. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先生のおっしゃいますそれらのものの指数化ということが具体的にどういう配慮であるか、ちょっとすぐ頭に浮かびませんけれども、振興計画を立てます段階におきましてそういう事情も十分織り込んで、たとえばいまの、本土では働き手二人で一人が向こうでは全く逆になるという状態から考えれば、これらのものに対する施策は本土のどれだけの倍数と申しますか、何割増し必要だということは当然配慮した上でこの振興計画の素案が出てまいると思いますし、もちろんその振興計画自体が、先ほども申しましたように、最初から十年、五年間の数字が入ったものではございませんけれども、全体の進むべき目標として、たとえば社会福祉の目標を立てる場合に、そういう数字を考慮した上での立て方をするというような配慮をして計画を定め、それに基づいて毎年度の事業計画をきめていくということになりますれば、及ばずながらと申しますか、こういった実態に対して適切な事業実施が行なっていけるのではないか。そういう配慮を十分払うつもりでございます。
  147. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましてもこのような地域につきましては、その地域の実態というものに即した対策が行なわれませんと、なかなかその効果があがってこないんじゃなかろうかというふうに考えます。したがいまして、あらゆる面について実態を十分考慮した政策上の配慮というものをお願いをしておきたいと思います。  なお、地域振興発展につきましては、その地域産業というものが非常に大きく影響することは申し上げるまでもございません。奄美につきましても、今日までの経過を見まして、いただきました資料によりましても、従来非常に第一次産業の比重が高かった、その反面第二次、第三次産業の比重が低かった。これがその後二十年の経過で、第一次産業の比重が下がる、と同時に第二次、第三次産業の比重が高まってまいっております。これは確かに振興計画成果もある程度あがったという一つの裏づけでもあろうというふうに考えます。しかしこれも全国的なものと比較をいたしますと、やはりここに奄美の実態というものがあらわれておる、こういうふうにいわざるを得ないのであります。  たとえば第一次産業につきましては、四十五年の国勢調査では三五%という数字が奄美の場合出ております。ところが全国の場合は、この時期におきまして一九・三%という数字になっておるわけであります。それから第二次産業の場合は、奄美で三六%、全国では三三・九%、それから第三次産業の場合は奄美で三〇%、全国で四六・七%、こういうことでございます。この全国の比率と奄美の比率を比較いたした場合に、やはり奄美特性というものもございましょうが、何といっても全国平均からするとおくれておる、あるいは所得全国平均との格差というものがこういう産業構造の面にあらわれておる、こういうことがいえるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  そういう点から、今日まで二十年間いろいろやってきていただいておるのでありますが、奄美がなかなか全国平均まで追いついていっていない、あるいはこういう状態で推移しますならばますます格差は広がってくるんじゃなかろうか、こういうふうに考えられるわけでございます。こういう数字から、今後の産業振興政策、あるいは今後の振興開発政策の重点というものをどこに置くべきか、そういう点についての自治省の御見解を承っておきたいと思います。
  148. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まさに、一次、二次、三次の区別は御指摘のような数字になっておる次第でございます。  そこで、当然一次が高い。それから二次が数字の上では全国とやや近い数字を示しておりますが、この二次には奄美の主産業一つであるつむぎが入っておりますが、このつむぎは、この前の御視察でもごらんいただきましたとおり、効率のいい工場生産でも何でもなくて、わが家の小さい部屋でもって、一つの機織りの前に若い御婦人が朝から夜の九時、十時までやるという、まあ一次に近いような生産性と申しますか、労働に対する所得の低いものが相当大きな部分を占めている。そしてその結果として第三次産業は全国に比べてはるかに低い数字を示している。これは従来の復興振興計画実施にもかかわりませず、先ほど申しました地元の地理的あるいは風土的条件がなしているゆえんであろうと思います。  そこで、これらの数字を全国並みにするということもあるいは一つの目標かもしれませんが、地元の地理的条件、地勢とか気候というものから考えて、むしろこれらの数字にはこだわりを持たないで、毎度申し上げているわけでございますが、地元の地理的、気候的な特殊性、これはきびしい条件でもありますが、逆に反面、たとえば漁業とかあるいは亜熱帯植物とかいうようなことを考えれば、有利な条件もあるはずでございます。あるいは観光という面を考えましても、この地元の美しい風土を生かすゆえんでございます。したがって、特にこれらの数字を合わせるということではなく、結局は地元特殊性を一〇〇%生かすという方向にあらゆる努力を集中し、まあその結果、この数字がある程度全国に近づくとすればそれは喜ぶべきことでございますけれども、地元特性を伸ばすということをあくまでも中心に考えてまいりたい。  それにつきましては、毎度御答弁しておりますけれども、サトウキビとつむぎが二大産業だと申しますが、この二大産業も実は前途がほんとうにきびしいわけでございます。砂糖も、世界的な需給状況からいき、価格からいけば、決して奄美は有利な条件に立っていない。いま米と同様に政府が一括買い上げするということで、世界相場よりも相当高い値段をつけておりましても、農民の手元に残る労働に対する報酬というものはほかの農業に比べてなお低いような状態でもございますし、さらにつむぎともなりますと、先ほどの韓国が競争相手というのもこれは大きな心配の種でございますが、地元でもさらにいろいろな技術というものがだんだんと少なくなってまいりまして、そういう技術を保存するだけでもたいへんだという問題もございます。この二大産業も決して前途が洋々たるものではない。そこで、それらを極力進めつつ、先ほど申しましたように、あるいは観光、あるいは新しい工業、その新しい工業も公害とか環境とかいうものに対して十分な配慮が払えるものとか、そういう面での新しい活路を見出していかなければ格差は開くばかりであるということで、この法律一つできただけで奄美の前途が決して洋々たるものではございませんが、今後われわれ、そして地元の方々の努力と申しますか、それに対する熱意というもので補っていくという必要性をひしひしと感じておる次第でございます。
  149. 折小野良一

    ○折小野委員 奄美が返りましてから二十年、そして今回この法の改正によりましてさらに五年間特別措置が続くわけでございます。そういうことじゃないとは思いますが、いつまでもだらだらとやっていくことがはたしていいことなのかどうかということなのであります。私は、むしろ抜本的な問題にもっと重点的に金もつぎ込み、あるいは力も入れて、その問題一つ一つ解決をして、そして早く自力更生の道をたどっていただく、こういう施策というものが必要なことじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  五年前ですが、電力の問題が出ました。ところが一応今日はその問題は基本的には解決をいたしました。したがっていまその問題はそう大きな問題になっておりません。いま運賃の問題が出ておりますが、先ほどこれは国鉄並みという御提案がございました。私はむしろ全国的に見て運賃のプール制というのを主張したい。いずれにしてもそういう問題、こういう基本的なたくさんの問題、たとえばいまつむぎの問題にいたしましても、韓国から入ってくる、そういうのをシャットアウトするような政策というものを立てれば、その問題は基本的に解決をしますでしょう。そういう基本的なものを一つ一つ重点的に解決をしていって、そしてあとはできるだけ自分の力で、その地域に合った力を出していただいて地域発展をはかっていくということが一番大切なことじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。いまここでこれを打ち切れというふうに言っておるんじゃございませんが、そういうふうな施策を講ずべきである。  そういう点からいたしまして、今度はこれからの五年でございますが、いつごろこういう特別措置を打ち切る時期が来るのか。また、いつごろそういうところまですべての問題を解決しようというふうに考えておられるのか、その見通しをお聞きしたいと思います。
  150. 町村金五

    町村国務大臣 国土の均衡ある発展がはかられて、地域によりましてそれほど所得格差のないような国づくりをしていくということが一番望ましいことであることは言うまでもございませんので、こういった地域立法というものも本来ならば、ないような日本が一番望ましいことは言うまでもございませんけれども、現実には相当に格差がある。この格差をなるべく早急に解消をしたいというのが、こういった地域立法の大きな眼目であることは申し上げるまでもございません。したがって、いま折小野委員も言われましたように、私どもも、こういった法律がなくて済むような奄美群島にほんとうに早くしたいものだということを念願をいたしておるわけでございまして、こういうために今度も特に格別の力を注いで、そしてできるなら、ほんとうに五年くらいでこういう法律が要らなくなるんだというような奄美群島振興開発を私どもは進めたい、こうは考えておるわけでございます。  そのために、いま折小野議員も指摘されましたように、一体どういうふうに今後いわゆる振興開発というものを進めていくべきかということに私どもの重大な責任があるわけでございまして、この点は今後地域の方々、さらには関係者と十分協力もいたし、政府の施策として取り上げるべきものについてはできるだけ積極的に取り上げてまいる。そして地元の方々も、地域が他の地域に比べておくれておるというような状態を進んで解消をされる、そういうような気分をできるだけ盛り上げてまいるということによりまして、いま御指摘になりましたように、なるべくこういう法律が要らないような、そういう奄美群島に一日も早くしたいものだということを私どもは念願をしているというお答えを申し上げる以上には、ちょっと今日の場合それ以上のお答えはいたしかねるわけであります。
  151. 折小野良一

    ○折小野委員 せっかくひとつ御努力をお願いをいたしたいと考えます。  ところで、今度は小笠原でございますが、これは細部の問題につきましては別の機会にお伺いすることにいたしまして、基本的な二、三の問題をお伺いをいたします。  いただきました資料によりますと、現在小笠原の人口千二百四十三、これは常住人口です。短期的な人口四百十二を加えまして千六百五十五ということでございますが、開発の目標といたしましての計画人口は、常住人口二千四百と短期滞在人口六百ということで、三千というのが目標にされておるわけでございます。当初いろいろな問題がございまして計画を立てるのにも非常に苦慮されたことだと思います。そしてまた、その当初の計画実施してこられるにあたりまして、いろいろな隘路その他も出てまいっておろうかというふうに考えます。しかし今日、五年たちまして、今後いかにあるべきかというのを、復帰の当初でなしに、今日もっともっと現実的に考えていける時期になってきておるわけでございますので、私はこの際ひとつ十分な見直しをやっていただきたい。これもやはり現地の実情に即した計画、それから事態のいろいろな推移というものを踏まえた具体的な計画にしていっていただきたいというふうに考えるわけでございます。  そういう点から一、二お伺いをいたしますが、小笠原に昔住んでおられた方々が約九千あったというふうに聞いておるわけでございまして、小笠原が復帰いたします際に、それらの方々の帰島の意思をいろいろとお聞きされて、そして将来の計画を立てられたわけでございますが、その後の旧島民の帰島の意思、そういうものについての最近の動向というものはいかがでございますか。たとえばその当時は、いろいろなアンケートによりまして、結局三千から四千、旧島民のうちの約四〇%くらいの方々が帰る希望がある、こういうようなものを基礎にしていろいろな計画を立てられたわけでございます。その後現実に帰られた方もあるわけですし、また小笠原がその後どうなったか、これを知る機会もあるわけでございます。そういうようないろいろな事情がございますので、いろいろと変わってきておるだろうと思いますが、最近の動向を、わかっておりましたらお聞かせいただきたいと思います。
  152. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 小笠原が復帰いたしました当初の時点でのいろいろな調査その他におきましては、やはりどういう施策を政府がしてくれるかということがたいへん関心の的で、前提条件になりまして、相当な施策をこれこれしてもらうということを条件といいますか、そういう希望を持って復帰を希望された方がずいぶんたくさんおられたようでございます。ところがその後復興計画も、地理的な非常なハンディその他もございますし、資材の高騰その他もあって、やや進み方がおそく、当初予定したような事業の進捗が達成されませんで、その反面——反面と申しますか、それとどっちこっちの関係になるのでございますか、帰島を希望された方の帰島自体も進みませんで、最初一年度、二年度は当然このくらい帰るはずだという方の半分も帰らないというような状態で推移してまいりましたので、四十七年度において東京都が再び、その後の情勢その他を踏まえて、旧島民、前に島におられた方の帰島希望調査をいたしまして、その結果と、それから現在の計画期間中の趨勢からして、帰島計画に一応手直しを加えることにはいたしたようでございます。現実、結局は、この法案の最終年度である昭和五十三年度末において、現在の計画人口三千人とほぼ同じ数、三千人をもって一応安定と見るという手直しを加えておりまして、その三千人のうちで、帰島をされる旧島民の方は約千三百人、こう見ておるようでございます。  そうしますと、数字としてはそういう手直しを加えまして、期間が延びましたけれども、最終計画は当初見込んだのとほぼ同じという人口をとらえまして、全体計画はこれに合わせて、たとえば宅地であるとか水であるとかいうものの手当ても現在の計画をしておりますので、十分にと申しますか、旧島民千三百人というものをまかなえるという見込みの上に立って計画をつくることができるように相なっております。
  153. 折小野良一

    ○折小野委員 人が生活するにつきましては、生活のための条件というものがいろいろ整わなければなりません。資料で拝見する限りにおきましては、水等につきましては一応現在は一〇〇%条件が満たされておるというふうに伺っておりますし、また所得等につきましても、東京都との間には多少格差がございますが、全国平均等から見ますとまずまずの所得水準であるというふうに考えられます。しかし、今後さらに帰島する人がふえる、こういうようなことになってまいりますと、やはり水の限界、土地の限界あるいは産業の上におきましてもいろいろな問題があるわけでございますので、その辺は十分配慮していただきまして、現実に即した計画に直していっていただくことをお願いをしておきたいと思います。  ところで、当時、復帰直後一番の問題でございましたのは土地の所有関係、権利関係、こういうものがいろいろとふくそうをいたしておりました。それの解決というのが関係者の間の非常に大きな要請であったわけでございますが、こういうような土地の権利関係については、その後確定あるいは調整、そういうものがほとんど終わったんでございますか、どうですか。
  154. 緒方喜祐

    ○緒方説明員 復帰当初、御指摘のとおり戦前の所有権自体も非常に不分明になっておりますし、土地全体がジャングル化していてという問題がございます。また所有者と小作との関係、あるいは、昭和二十三年でございますか、在来島民、欧米系の人たちが先に帰りまして、米軍の指示のもとに居住を定めて家を建築している、その土地の権利関係、いろいろ複雑な問題がございまして、暫定措置法の中にそういう権利を調整する規定もございました。これは、在来島民の法定賃借権と称しておりますが、現実にそれを地主と協定、協議ができたら正式の賃借権を設定される、こういう制度でございます。これにつきまして、公有地については問題ございませんが、現在なおまだ旧所有者との間の契約ができずにいる者がかなりの数残っております。  それから所有権自体の確定でございますが、これは現在法務省のほうで公図作成中でございまして、できたところを逐次確定をしていっておりますけれども、まだ集落地域農業地域、こういうところ以外ではかなりの者がまだ未確定で残っております。  それから土地所有者と小作の関係でございますが、これは特別に農地法の適用外にいたしまして、いわば旧小作権を特別賃借権というかっこうで処理をするようになっておりますが、これが現在、所有者と旧小作との間の契約等がはっきりしていなかったという関係で決定をしていないものが、かなりの数申し出がありながら決定できずに残っているものがございます。
  155. 折小野良一

    ○折小野委員 わかりました。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  156. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、来たる二十八日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十五分散会