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1974-02-19 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十九日(火曜日)     午後二時三十四分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 山本弥之助君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    住  栄作君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    小川 省吾君       山田 芳治君    多田 光雄君       小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治省行政局長 林  忠雄君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 山村 勝美君         農林省農蚕園芸         局畑作振興課長 本宮 義一君         農林省畜産局畜         産経営課長   白根  亨君         農林省食品流通         局野菜振興課長 倉地 貞三君         水産庁漁政部沿         岸漁業課長   渡辺  武君         水産庁海洋漁業         部漁船課長   芝田 照夫君         水産庁研究開発         部開発普及課長 榎本慎太郎君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         自治省行政局地         域整備課長   緒方 喜祐君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 二月十八日  自治体病院振興に関する請願(井出一太郎君  紹介)(第二一一三号)  同(中村茂紹介)(第二二三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  ただいま運輸委員会において審査中の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案について、運輸委員会連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、両委員長協議の上決定し、公報をもってお知らせいたしたいと存じますので、御了承願います。      ————◇—————
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 内閣提出にかかる奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案について補足説明を求めます。林行政局長
  5. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案提案理由につきましては、さき自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、法律案内容等につきまして、補足して御説明申し上げます。  まず、第一条は、奄美群島振興特別措置法の一部改正であります。  その一は、法律題名奄美群島振興開発特別措置法に改めて、従来の「振興」を「振興開発」とすることにより、より前向きの施策であることを明らかにするとともに、目的規定振興開発考え方に即して改めようとするものであります。  その二は、「振興計画」を「振興開発計画」に改め、計画内容については、生活基盤整備重点を置くとともに、新たに自然環境保護及び公害の防止に関する事項を加え、また、計画期間については、昭和四十九年度を初年度として五カ年間としようとするものであります。  その三は、振興開発計画に基づく事業に要する経費について、国の負担または補助割合特例規定整備するとともに、別表を改め、同表に定める国の負担または補助割合の範囲について必要な改正を行なおうとするものであります。  その四は、昭和四十九年度から、振興開発計画に基づく事業実施については、従来の自治省で直接執行する方式を改め、それぞれの事業を所管する各省庁において行なうこととし、それに伴い、指揮監督等についての規定を整理しようとするものであります。  その五は、「奄美群島振興信用基金」を「奄美群島振興開発基金」に改称するとともに、基金業務内容を拡大し、新たに奄美群島における産業振興開発のために必要な事業として、政令で定める事業についての貸し付けを基金業務に加えようとするものであります。  その六は、この法律有効期限昭和五十四年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  その他、法律題名変更等に伴い、所要の規定整備を行なうものであります。  次に、第二条は、小笠原諸島復興特別措置法の一部改正であります。  その一は、復興計画計画期間を、現行の五カ年から十カ年に改めようとするものであります。  その二は、この法律有効期限昭和五十四年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  以上が、改正法の本則についての説明でございますが、改正法附則については、この法律昭和四十九年四月一日から施行することといたしております。ただし、奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法のそれぞれの有効期限に関する改正規定は、公布の日から施行することといたしております。また、この法律施行に伴う経過措置及び関係法律規定整備しようとするものであります。  次に、新しく策定することとなる奄美群島振興開発計画及び小笠原諸島復興計画基本的な考え方について、若干御説明申し上げたいと思います。  まず、奄美群島については、昭和二十八年十二月に本土復帰して以来二十年間にわたり、復興事業振興事業実施し、総事業費六百四十九億円、国費三百三十七億円をもって、道路港湾等交通施設生活環境施設文教施設等各種基盤施設整備事業主要産業育成振興等をはかってまいりました。  その結果、復帰当時の荒廃した諸施設状況と極度に疲弊した経済状態からようやくにして立ち直り、サトウキビと大島つむぎを中心として産業振興により、郡民所得水準も、鹿児島県の一人当たり県民所得水準に比較して昭和四十六年度は八七・一%にまで到達しております。  しかしながら、群島実質的生活水準はなお本土との間に格差があるものと見られること、本土から数百キロメートルも離れた外海離島であり、台風季節風も多い等の特殊な自然的条件を有していること、沖繩とともに広大な海域にまたがる亜熱帯地域としての特性を生かし、今後わが国経済社会発展国民福祉向上に寄与し得る発展可能性を有していること等から、今後もなお特別措置を継続し、積極的な社会開発産業振興を進めていく必要があるものと考えております。  このような見地に立って、今回特別措置法有効期限を延長し、新しい総合的な振興開発計画の策定をはかっているところであります。  この計画原案は、鹿児島県知事が作成することになっておりますが、県においても現在検討中で、いまだ成案を見るには至ってはおりませんが、現在のところ、次のような諸点を計画基本方向とする構想検討が進められているところであります。  その第一点としては、明るく住みよい地域社会を建設すること。第二点は、亜熱帯自然的特性を生かした産業振興をはかること。第三点は、亜熱帯海洋性の美しい自然と特色ある文化を生かし、海洋性レクリエーション地帯の形成を促進すること。  以上のような基本方向により、奄美群島潜在的発展可能性を活用して、国民経済社会発展に寄与し得るよう積極的な振興開発を進めてまいりたい所存であります。  次に、小笠原諸島については、昭和四十三年六月本土復帰して以来、復興計画を策定し、これに基づき五カ年間の事業費九十四億円、国費六十二億円をもって復興事業実施してまいりましたが、事業着手自体がおくれた上、まず必要な港湾整備にあたっても、不発弾処理に不測の日数を要したこと、輸送力が乏しいため、資材、労働力も不足したこと、台風季節風が多く、また予期しない渇水のため工事用水にもこと欠き工事実施がおくれたこと、土地所有関係が複雑で、公図も不備であり、用地買収等に困難が大きかったこと等のために計画実施が大幅におくれております。  また、計画のおくれたこともあって、旧島民の帰島が当初の見込みに比べ大幅におくれ、計画最終年度末の常住人口約千九百人、うち島民の帰島者は千三百人の見込みに対し、昭和四十八年十二月一日現在で常住人口千二百四十三人、うち島民の帰島者は五百五十八人という状況であります。  このようなことから、計画残事業が多額にのぼっており、また、復帰後五年を経過し、わが国社会経済の変化に伴い、小笠原諸島についても均衡ある発展をはかるため、生活基盤産業基盤整備を推進するとともに、自然保護等の新しい事業実施する必要があると考えております。  以上の見地から、特別措置法を延長し、復興計画改定を行なおうとするものであります。     —————————————
  6. 伊能繁次郎

    伊能委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。保岡興治君。
  7. 保岡興治

    保岡委員 このたび、奄美大島の過去の二十カ年間の国の特別措置に引き続いて五カ年の特別措置を継続することになって、その関係法案が上程されることになりましたことについて、地元を代表して政府並びに関係者努力に心から感謝を申し上げます。  そこで、この機会に若干の質問をさせていただきたいと思います。  さき大臣からこの法案提案理由説明があり、いままた林行政局長のほうから補足説明もございましたが、この法に基づいて作成される振興開発計画というものが、今後の奄美大島特別措置内容をきめる非常に重要な意味を持っていると思います。そういった意味で、基本的な考え方については一応の御説明をちょうだいしたわけでありますけれども、さらに大臣から多少ふえんをしていただいて、自治省、国のほうで具体的にどういう施策を講じていくことにより、御説明基本方針を具体化するおつもりであるか、お示しをいただければと思う次第でございます。
  8. 町村金五

    町村国務大臣 計画原案につきましては、ただいま行政局長が申し上げましたように、鹿児島県知事が作成をするということに相なっておるのでありまして、現在県において鋭意検討中のところであります。  現段階で、計画目標といたしましては、奄美群島特性とその発展可能性をできるだけ生かしながら、自然環境保全をはかりつつ積極的な社会開発産業振興を進めまして、本土との今日現存しておる種々の格差をできるだけ是正をいたし、住みよい地域社会実現をしたい。と同時に、あわせて奄美群島自体が今後わが国全体の国民福祉向上にも寄与できるというような発展をぜひ遂げるようにいたしたい。これが現在の計画目標として、きわめて抽象的なお答えではございますけれども、そういったことを念願をしながら今回の計画を策定するということに相なるものと考えておるわけであります。
  9. 保岡興治

    保岡委員 その改定計画は大体いつごろまでに作成することになるのか、その辺のところを林行政局長に伺いたいと思います。
  10. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 もちろん法案が通ってのことでございますが、この奄美振興に関しては、おそらく与野党とも、いままでのいろいろなお話でも非常に好意を持っていただいておりますので、予定どおり実施ができるものと考えております。それを目ざしまして、現在もうすでに県では鋭意検討中でございます。大体年度内にはその検討にほぼ必要な作業を終え、新年度早々この計画原案はきまるように県からも聞いております。それに従ってできるだけ早く手続を進めて、計画を確定してまいりますよう私たち努力をいたしたいと思っております。
  11. 保岡興治

    保岡委員 いま鋭意検討中であるというお答えを得て、たいへん力強く思いましたが、すでに計画の最後の詰め段階に入っておるというふうに考えられるところから、自治省でも県とかなり具体的なところまで詰めを進めておられるのではないかというふうに思います。  そういった観点から、法の第二条の各項について、大臣が先ほどお示しをいただいた基本構想を、さらに内容の明らかにできる分についてはお示しをいただいて御説明をいただければと思います。  まず、一号の道路港湾空港等交通施設整備という点に関してお尋ねをしたいわけでありますが、先ほど大臣基本構想の中でお示しになられました奄美大島発展可能性というものは、何といっても隔絶外海離島という悪条件を持っている奄美大島にとっては、交通基盤整備本土とのできるだけ近い強力な結びつきというものが前提であります。そういった意味でこの施策が非常に重要であるという点から、どういう構想を持っておられるか、お話をちょうだいできればと思います。
  12. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 全体として具体的なその中身を現在鋭意検討中と申し上げましたとおりでございます。したがって、個々の事業個所とか事業量については、まだ御説明を申し上げる段階には至っておりません。しかし、御説のとおり、交通体系整備というのはああいう地理的な地位におります奄美群島にとって、これは何にも増して最も先に考えなければならない重大な事項考える次第でございます。  そこで、この計画につきましても、道路、それから港湾、さらに空港、これらについてはやはり最重点的に考えてまいらなければならない事柄であろうと思いますが、まず道路につきましては、住民生活広域化輸送需要の増大に対処しまして、今後やはり舗装重点に置いていくべきものと考えております。前の振興計画段階で新設、改良までは相当進みましたけれども、何と申しましても一番基本的な舗装というものにつきましてまだ十分でない、これはやはり一番重点的に考えるべきものと考えておりますし、県でもおそらくその方向事業内容をいろいろ検討してまいっておるところと想像しております。  それから次に港湾でございますが、これもああいう地理的な地位におきましては、船舶による物資輸送ということが直接島民生活水準向上につながる重大な問題でございます。しかも季節風なり台風の多いところでございまして、端的にいえば海が非常に荒れる。一つ荒れてしまって定期船がしばらく来ないということになりますと、そのことだけででも生活物資に響く。これは全くあそこの特殊事情でございますので、そういう天候にかかわらず常時安全に出入港ができるということを目標にしてさらに港湾整備を続けてまいる。  さらに空港につきましても、これは今日の基本的な交通路線でございます。従来の計画でもやっておりましたが、さらに奄美空港整備あるいは各それぞれの島における空港整備につきましても、重点的に整備をはかってまいりたい、こう考えております。  なお、具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたようにもう少しと思いますけれども、この年度内ぐらいには、その計画個所なり事業量なり——全体の事業量ということは別でございますけれども、少なくとも早急に着手すべき具体的な事業個所の決定というようなことについては御説明申し上げられる段階にまいると存じます。
  13. 保岡興治

    保岡委員 道路については、いまお話をいただいたとおり、舗装が非常におくれておるわけなんです。それで、まあ地域の人々にとっては生活基本になる道路でございますので、ただいまお話しの趣旨を徹底的に伸ばすことができるような計画詰めていただきたいと希望したいと思います。  また、港湾につきましては、いまお話しのとおりでございますけれども、特にお願いを申し上げたい点は、復帰以来二十年たった今日、なお沖永良部、与論島の二島については、定期航路船舶が非常に大きくなり過ぎたという点もあるでしょうけれども、現実にはしけで乗りおりをしている状況でございます。ところが、四十九年度予算を今年度政府案として得たわけでありますけれども、それを見ましても、必ずしもこの一、二年にこのはしけ現象が解消する予算になっていないのではないだろうかという点が懸念されるわけなんです。これだけいろいろ日本の産業基盤整備される中で、なおこういう取り残された地域があることは非常に問題であるし、先ほど大臣お話し基本構想実現するためにも、まずそういうところを是正していただかなければならないと思うのでありますが、この点についての御努力をいただけるか、その辺のところの御答弁を得たいと思います。
  14. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 もちろん、私のほうといたしましては、そういうおっしゃる点に関してできるだけの努力を払うつもりでございますし、また、この新しい法律で従来の施行のしかたを変えまして、一括計上各省施行という形にいたしました目的一つにもそれがございまして、各省のそれぞれの専門的知識、優秀な技術をもってそういうところに取り組んでいただくことを期待もし、また御協力をお願い申し上げる所存でございます。
  15. 保岡興治

    保岡委員 次に、通信施設整備に関する事項について伺いますけれども、この点については、電話とかあるいはその他の通信施設整備はもちろんで、この点については基本的なことでございますから御努力をちょうだいしたいわけでありますが、特にここでお尋ねをしておきたいのは、それと多少はずれるかもしれませんけれども、民間テレビの誘致でございます。奄美大島はああいう離れた地域にあるものですから、鹿児島県の民間放送採算ベースでやるということがなかなか困難であるという事情から、NHKテレビだけをみんな見ておるという状況でございます。そういった点から、最近では、民間テレビ文化の一翼を形成して、国民の平等という点からもぜひ島の人たちは見せてもらいたいという強い要望がございます。この点について自治省でどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  16. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 本土と同じような生活水準文化的な生活水準を送るという意味で、今日、テレビの果たしております役割りというのは、NHK民間を問わず、たいへんなものだと存じます。したがって、御指摘のように、そういう離れた島嶼で民間テレビを見るのに非常に困難である、ぜひ見せてほしいというお気持ちは、まことに島民皆さんのお気持ちであろうとは考えますが、それに対しましては技術的ないろいろな限界その他もございまして、もしそれを克服しようとすればまたたいへん膨大な費用がかかる。その費用が、NHKのような公共放送は別としましても、民間の営業を主体とするテレビについて、どこまで公費なり国費なりでその島民生活水準向上のためということで御協力できるかという点については、なお関係方面と十分詰めなければならないと存じますので、それはさらに今後の課題として十分検討さしていただきたい。確かに同じような文化的水準を送るという必要性から、これについては熱心に取り組んでみたいと思いますが、いろいろな意味での制約は、今日ここですぐ気がつかない制約もあるいはあるかということで、さらに研究を続けさしていただきたいと存じます。
  17. 保岡興治

    保岡委員 次に、生活環境施設に関する点についてお尋ねをしたいわけでありますが、これもいろいろお尋ねしたい点がありますけれども、一つ特に御質問をしてみたいと思います。  それは、奄美大島は十六万という人口をかかえて、しかも非常にたくさんの島に五百ぐらいの部落が点在して存在しております。そういったことからいろいろな基準に合致しなかったという点はあるのでしょうけれども、最近本土の五、六万の都市におきましても、大体一千二百人から一千五百人入る文化ホールみたいなのがあるわけなんです。ところが奄美大島はこれだけの、先ほど申し上げたような社会環境にありながら、五百人入る公民館が名瀬市に一つあるだけで、あとは小さな集会場がそれぞれの部落にあるかないかといった状況でございます。そういった点から、復帰二十年たった今日、これからの振興開発の象徴となるような、全郡の文化の保存をしたり、あるいは全郡の社会活動あるいはその他の政治活動中心になるような、そういった文化経済センターというようなものの設立を強く地元が要望しております。そういった点についての御計画をいただけるかどうか、伺いたいと思います。
  18. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま、奄美大島文化センターというようなものをぜひ復帰二十年にあたって建設をしたいというお考えでありますが、将来、群島における文化振興発展のためには、確かにそういうものが存在をすることは非常に有意義なことであろうと考えます。したがって、この御提案は私どもとしても確かに検討に十分値するものだというように考えておりますが、ただ、御承知のとおり、こういったものも維持運営、相当に問題があるわけでございますので、そういったことも大体見当はつけておく必要があるわけでございましょう。地元負担等関係もございますし、事業主体を一体どういうふうにするかといったような地元構想などもひとつよく承りまして、御協議も申し上げ、検討も続けてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  19. 保岡興治

    保岡委員 ぜひ実現方、お力添えをいただきたいと思います。  次に、保健衛生施設並びに社会福祉施設整備に関する事項についてお尋ねをいたしますけれども、奄美大島はそういった生活水準が低いという点、あるいは生活環境が悪いという点から無医村が多いということでございます。しかしながら、点在する部落人たちにどうしても医療機会を与えなければならないということで、各町村は貧しい財源の中から、韓国からお医者さんを頼んだりしている。四十万ないし五十万くらいの財政負担をくめんいたしまして、お医者さんを雇ってその解消に努力をしております。しかしながら、聞くところによると相当な財政負担で、こういったことについて国が何らかの適切な措置をとっていかなければならないのではないかということを痛感ずるわけであります。いかに医療制度が充実しても、実際お医者さんがいないのではその実効は全く確保できないということになります。そういった点からも非常に重要なことだと思いますが、どういうふうにしていただけるものか、伺いたいと思います。
  20. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これも具体的なことは計画の中に盛られることになると考えます。確かにこの問題、奄美のような地域につきましては非常に重要な問題、人の生命に関する問題でございますから。何をおいてもという問題でございますが、ただ先生、これはひとり奄美だけではなくて、実は自治省として全国的に取り組むべき問題でございます。奄美は確かに一番、海上数百キロメートル離れておりますが、そういう意味では、逆の意味では飛行機も通っているという意味で、あるいはもっと、そういうものも通っていない離島もあったりいたしまして、自治省といたしましても長年実はこの問題に取り組んでまいったものでございます。先年私のほうが主張いたしまして、自治医大というものを府県の御協力でつくらせていただきましたのも、そういうものに対する対策の一つのつもりでもございますし、この卒業生でも出るころには、あるいは鹿児島県から自治医大に学んだ方が奄美医療に従事するというようなこともまた考えられることではないかと思います。いずれにせよ、全国的問題でございますが、特にああいう離島については重要な、より緊急度の高い問題と考え、そういう考えの中でこれを処理してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 保岡興治

    保岡委員 名瀬市に県立の病院があるわけでありますけれども、こういった中心地域医療施設を充実して、あと広域医療体制というか、ヘリポート等航空輸送による患者の輸送というようなことで、医療設備を充実するとか、いろいろ方法があろうかと思いますので、御努力をいただければと思います。  それから、社会福祉施設に関することでございますけれども、先ほどお話ししたとおり、奄美大島は幾つかの島に分散しております。そういったことから、たとえば老人ホームなどをつくろうとしますと、五十人という規格、それに対応する人口ということから、二つか三つの島を合わせて、その二つか三つの島の一カ所にしかそういう施設がつくれない。やはりこういう離島の特殊条件を生かして、基準の緩和というものを行なって、実情に即したものにしていかないと、なかなかそういった老人ホームに他の島から行くということができないために、当然その施設の対象になった地域の島でありながら施設を持ち得ないという不合理な結果も出ておる。そういったことを含めて、奄美大島の特殊条件を生かして社会福祉施設施策を行なっていただきたいと思うのでありますが、その点について留意していただけるかどうか、伺いたいと思います。
  22. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 基準の緩和というようなことにつきましては、主管省がございますが、そういったいまの御指摘のような事情を踏まえまして、主管省とよく御相談をさせていただきたい。積極的にそういうものにおこたえしていけるような方向で主管省と相談することに努力をさせていただきたいと思います。
  23. 保岡興治

    保岡委員 第四号の産業振興開発に関する事項については、また後ほど各省でおいでいただいているところで伺うつもりでありますけれども、特に自治省に伺っておきたい点をもう一つ最後に御質問したいと思います。  奄美大島は農業所得も非常に低いし、その他の産業もほとんどない。奄美大島の経済をささえておるのは大島つむぎであるといわれるほどでございます。実際に高度成長経済に乗り得たのはこの産業だけで、これがなかったら奄美大島はおそらく経済が相当疲弊してしまったであろうと思われるわけであります。ところが、最近この大島つむぎが、産地が拡大して、あるいは韓国に技術が流出して、韓国の低賃金でつむぎが織られて、それが逆輸入されておる等の事情も加わって、非常に不振をきわめる様相を呈しているわけであります。そういった意味で、この大島つむぎの振興というのは奄美の経済にとってきわめて重大なことでありまして、ついこの間も名瀬市で四千人くらいの人が一カ所に集まりまして、この島の宝であり生命であるつむぎを守ろうという決起大会を開いて、国に施策を要求するという運動をやっております。そういった観点から、特にこの点については自治省においても特段の御努力をいただきたいわけでありますが、その点について自治省に、つむぎ振興基本的な方針という点から伺いたいと思います。
  24. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに大島つむぎは奄美にとっては一つの希望の灯という気がいたします。生活環境基盤、それから道路、交通その他、幾らそういったほうの整備を進めましても、それ自体では郡民所得は上がらないわけで、何らかの形で郡民所得を上げ、生活水準本土並みに進めるためには何らかの産業を導入しなければならない。ところが、各種の産業については、立地条件、それから運賃のコストその他いろいろな制約がございまして、ほんとうに奄美に導入して郡民所得を上げるための産業というと、これはいろいろ知恵をしぼって考えるべきでありますけれども、当面そのつむぎということに重点を置くことが最も早道であり、また地元の方々の望まれるところでもあると考える次第でございます。  そこで、おそらく今度の計画の中にもこのつむぎについては相当重要な項目がさかれ、それに対して重点が置かれる、そういう原案がまた県からも出てくるということも予想しておりますし、来年度予算でも、奄美振興うちにつむぎに関して織工養成所の補助その他も計上されておりますし、それから基金からの融資措置も十分になされると思いますが、さらに今後、いま御指摘になりましたような他との競争の激化とか、あるいは地元の技術を保持している方々がだんだん少なくなってくるというようなむずかしい条件もございますので、これらを克服して、この大島つむぎを地元の方の郡民所得を上げるための主役、と申しますとなんでございましょうか、大きなシェアを受け持つものとして振興してまいるよう、いろいろな補助なり事業なりを今後も考えてまいりたい、以上のように考えております。
  25. 保岡興治

    保岡委員 こまかい施策について伺いたいのでありますけれども、その点については、大島つむぎをも対象にする伝統産業振興法案というものが商工委員会のほうでこれから議員立法により提案され、審議される予定でございますので、そこでまた伺うことにしまして、先に進みたいと思います。  次に、基本的な姿勢、自治省の意気込みというものが大体わかったわけでありますけれども、この法案有効期限について伺ってみたいと思います。当初、自治大臣に私が去年御質問を申し上げた際には、地元が期限を十年にしてほしいということで要望申し上げて、自治大臣もそれに努力するというお答えを得ているわけであります。これは、離島振興法がつい二年くらい前に十年の延長をされた。そして一昨年、沖繩振興開発特別立法が十年という期限で行なわれた。この離島とそれから沖繩の中間に奄美大島を陥没させてはならないという配慮で、ぜひこれとの権衡上十年の措置を行なってもらいたい、こういう理由であったと思うわけでありますけれども、これが今度五年ということになっておる。この辺について、まず自治省としてどのようにお考えであるか、伺いたいと思います。
  26. 町村金五

    町村国務大臣 今度のこの有効期限をさらに五カ年間延長をいたしたという理由につきましては、御承知のように、最近のわが国は非常に変動の激しい社会でございまして、五年よりも長期にわたる予測を行なって必要な事業を確立していくということにはかなりの困難があるのではないか。いま、他の振興法で十年といったような計画を立てたものがあるという御指摘でございますが、確かにそのとおりでありますが、しかし一面、道路港湾、漁港といったような基本的な公共事業は大体五年ということに相なっておるのでありまして、これまでの奄美群島復興計画なりあるいは振興計画も当初は五年でスタートしたわけでございますので、今回の振興開発計画につきましても、やはり五年間の目標を立てて、これを達成するために力をあげるということが適当であろう、かように考えたのでございます。もちろん、この振興開発計画をこの五年で打ち切ってしまおうという考えでは必ずしもないわけでありまして、将来、五年を経過いたしました時点で、十分に目的を達成し得ないという場合におきましては、その時点でさらに再検討をするということはもとより当然のことであろう、こう考えておるわけであります。
  27. 保岡興治

    保岡委員 大臣御指摘のとおり、従来、五年、五年で二十カ年間、四回にわたって法改正をして特別措置を継続してきた事情もある点から、特別措置という目標をできるだけ短い期間に限って具体的に強力に推進する、五年で見直していくという機会を持つという意味では、確かに一つの重要な理由があるだろうと思います。要は、地元として十年の希望があったのは、先ほど申し上げたような関係で、沖繩離島との間に陥没しないように、特に沖繩との関係で、一衣帯水の間にある沖繩との関係は、地理的、歴史的、経済的、社会的に非常に一体性を持っている地域でありますから、振興がともに不均衡になったのではお互いの発展のためにならない、そういった点から十年、それと肩を並べてという希望でございます。そういった意味から、五年たってあらためて見直しまして、目的を達していないか、あるいは周辺の沖繩その他の離島状況等を見てさらに特別措置の継続が必要である場合には、あらためて前向きに検討していただきたいと思う次第でございます。  次に、先ほど林行政局長からお話がありましたけれども、奄美に現存する産業構造というものはきわめて弱体なものでございます。そういった観点から、奄美大島の所得格差というものも国民平均の四九・一%程度になっているわけであります。そういうことから、どういうふうにしたらこういった生活水準格差を具体的に解消できるのか、奄美大島の郡民の所得が上がっていくのかという点について施策が要求されるわけであります。単に産業基盤整備の充実とか、そういった点だけでは必ずしも実効性があがらない。何か具体的な産業立地条件にかなう経済の構造というものを確立しなければならないというのが、今度の五年間の特別措置の最大の目標でなければならないとも思うわけであります。そういった点から、この格差をいかにしたら解消できるか、その点について伺いたいと思います。
  28. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほども申し上げましたように、基盤整備のみでは所得格差が埋まらない。どうしても新しい産業、まあ新しくなくてもよろしゅうございますけれども、大島つむぎあるいはサトウキビといった現在の産業も大いに振興をし、それによって所得を向上さしていくという努力、これももちろん怠ってはいけません。しかし、確かにああいう地理的条件にあって現在の状況考えると、それのみではとても本土との所得格差を埋めるということには至らないことは、どなたが見ても明瞭かとも存じます。やはり新たな産業の立地というのを見込まなければならない。この新たな産業の立地というのをどういうものを見込むかということについて、実はこれからの知恵の出しどころだと存じます。県のほうでもその点鋭意検討していると思いますけれども、さりとてああいう地域で、十五万人程度の人口規模、こういうところには、たとえば大規模装置産業というようなことは必ずしも適当ではないかもしれないし、むずかしいかもしれぬ。しかし、ああいう地理的地位を生かして、観光とかそういう方面に新たな活路を見出す、これらも十分考えられなければならないと存じます。こういうものについてはまさにこれから知恵の出しどころでございまして、われわれも一生懸命それを考える、地方の方もいろいろ知恵を出していただき、思いつきでも何でもけっこうでございます、いろいろな課題を出していただきまして、検討をしてまいりたいと存じておる次第でございます。  一方、所得格差のほかに実質的な生活水準格差というもの、これはたとえば水道をよくする、道路をよくする、交通体系をよくするというようなこと、あるいは交通体系整備することによって輸送費が軽減されれば、奄美における消費生活の、物価といいますか、経費も下がるということ、そういう方面の各種の施設、社会基盤整備というものもなおざりにしてはいけないと思いますので、両々相まちまして、この計画目標のように、できるだけ本土との格差を縮めていくということに努力を続けてまいりたい。ひとつ十分お知恵を拝借したいし、私たち考えてみたいということに尽きると存じます。
  29. 保岡興治

    保岡委員 ところが、こういった切実な地元の苦悩というものが一つの憂うべき事実を生んでおるのであります。というのは、産業を誘致するとその公害が問題になってくるのです。いま奄美大島の枝手久島というところに石油の精製基地をつくる計画検討されております。進出予定は東亜燃料株式会社という企業でありますが、これが現在具体的な立地計画に必要な調査をしているように聞いております。ところがこれに対して、地元の村はもちろんでありますし、近隣の町村で賛否両論が沸騰いたしまして、そして鋭く対立して、両派が相対峙してたくさんの人間を集めて集会を開いて、小ぜり合いをして流血事件を起こすとか、あるいは絶対阻止をするためにいろいろ物理的な抵抗の方法について憂うべき計画があったり、平和な村が非常な混乱を呈しているようなことになってきております。そういうことで、やはりこういった過疎地域の開発ということはどうしても必要で、そこに新たな産業の導入ということが必要でありますけれども、奄美大島のように、先ほど大臣基本計画にもありましたとおり、美しい豊かな残された自然というものは日本人にとっても数少ない一つの資源であり、奄美にとってはもちろん、いままで開発がおくれただけに、残された宝であるという点から、これを発展可能性の橋頭堡にして開発をしていきたいという一つの大きな基本があるわけなんです。したがって、この基本との衝突ということがこの事件の実態であろうと思うわけであります。そこで、こういう点について自治省としてはどのようにお考えであられるか、まず基本的なことについて伺いたいと思います。
  30. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 ただいまのお話しの問題、私も聞き及んでおります。昨年の秋、この法案をつくりますための準備のような意味で現地に参りましたときも、実は両方の派からたいへん差し迫った御陳情を受けまして、おまえはどう思うかというところまで実は問い詰められもしたことでございます。確かに、奄美の郡民の生活水準を上げるためにはこういう産業を導入するということは非常にプラスになること、これは疑いもない。同時に、いま先生の御指摘のような、残された唯一の自然の美しさというものを保護するということ、これもたいへん大切なことでございまして、こまかいデータその他に基づきまして、最終的には地元の御意思で御決定なさることと存じます。いま私がここでいいとか悪いとか言うような立場にもございませんし、申し上げる資料も十分持っておりません。しかしながら、こういう産業の導入ということについては、いま先生のおっしゃいました、豊かな自然の保護ということを重要に考えまして、もしこれを振興開発計画に組み込むならば、この場合はそういう自然をよごさないという確信の持てるような対策を十分に盛り込んだ上ですべきものであろうと考える次第でございます。おそらく県でも、この振興計画の中にこれを盛り込むにつきましては、細心なそういう御注意をお払いになると存じます。計画が国の段階に上がってまいりました段階でも、私のほうも関係政府機関とも十分連絡しまして、盛り込むならば、公害を起こさないという保障を安心のいくまでつけた上で考えるべきものであろうというふうに考える次第でございます。
  31. 保岡興治

    保岡委員 公害が絶対防げるという保障を得て、そういった計画については下からの計画が上がってくる段階でまた自治省としても配慮するということでございますので、ぜひそうしていただきたいと思うわけでありますが、この進出を計画されている宇検村という部落でありますが、この周辺に大和村、それから瀬戸内町という町村があります。これはその周辺が奄美大島の中でも非常にすばらしい自然を持っているところで、この両町村としては観光を一つの立町、立村の基本にしておるわけであります。ところが、いまこの両町村には、その基本的な方針はあるが具体的なプロジェクトというものはまだないのです。そういった観点から、すぐ周辺の町村でこれだけ大規模な精製基地の建設計画があれば、その地域の人は当然これに対して心配もし、対応のしかたというものに戸惑いを感じている面もあるのではないかと思います。そういった意味で、自治省としても、奄美大島の先ほど来出てきておる自然を生かした開発基本構想というものを生かすためにも、そこなわないためにも、この隣接町村のこれを具体化するプロジェクトというものの作成にぜひ積極的に協力していただいて、そういう計画の中でこの石油基地の計画というものがはっきり位置づけられて、その町村の者が自然を生かした開発に支障がないという、安心をしてみずからの町村のプロジェクトを実行していける、そういうことがきわめて大事なことであろうと思います。そういった観点から、その具体的プロジェクトというものを得るまでの間は、その進出計画について慎重な検討が必要であろうと思うわけでありますけれども、そういう点についても自治省に御配慮をいただきたいのでありますが、いかがでございましょうか。
  32. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御説のような点、十分心得ましてこれに対処いたしたいと存じます。
  33. 保岡興治

    保岡委員 石油問題の点についてはまた後ほど通産省に伺うことにいたしまして、次に補助率、国の負担について伺いたいと思います。  法に定められたものあるいは政令に定めることになっているものがありますけれども、ことしの予算でもこの補助率の線に沿って予算案ができております。そこで、この特例を設けた理由、その特例の程度についての合理的な理由等について自治省に伺いたいと思います。
  34. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 今回の法律で別表を設けまして、公共事業あるいはその他の事業につきましての補助率を特記してございます。これは一口に申しまして——一口にというか、全体を平均的に申し上げまして、沖繩離島の中間という感じでございます。中には沖繩並み、十分の十の国庫補助というものもございます。中には離島並みでとどまっているものもある。あるいはその途中、沖繩離島との中間の補助率をきめておるものもございまして、全体を平均して大ざっぱにいうとさっき私が申し上げたようなことになるわけであります。  では、一体なぜこういう沖繩離島の中間をとったか。本来沖繩と一体となって考えるべきではないか。地理的にも沖繩と密接な関係もあり、先ほどの本土沖繩との間の谷間になってはいけないというのが各政党からの御要望でもあったわけでございます。沖繩並みにしないかという御疑問が当然起こると存じます。しかしこれにつきましては、まず一つには、すでに復帰後二十年たちまして、復帰の当初は現在の沖繩よりももっといいというぐらいの、ほとんど全額国費でやったという時代もございましたが、こういう時代もすでに経過いたしまして、二十年間とにかく国費を続けて投入してきたという点が一つ。それから、しかしそれでも一般の離島よりははるかに距離も遠いし、いろいろな意味自然的条件はきびしいし、それから郡民の生活水準もなお低いという点も考えまして、一般の離島並みではもちろんいけない。そこで離島沖繩の中間ということになりました。もう一つには、沖繩には適用を排除しております過疎地域対策緊急措置法あるいはいわゆる辺地のかさ上げ、正式には辺地にかかる公共施設等の総合整備のための財政上の特別措置、いわゆる辺地かさ上げでございます、こういうような法律が適用にもなっておりまして、ある程度手厚い保護も与えられている、こういう事情考えまして、関係機関といろいろ相談をいたしまして、沖繩並みのもの、沖繩離島の中間、ないしは離島並みのもの、それぞれ一つ一つ事業につきまして議論を展開しましてここに落ちついたというのが実態でございます。
  35. 保岡興治

    保岡委員 確かに離島の中にも、奄美大島よりは財政力の弱い町村もあるでしょうし、沖繩にも同様な町村があろうかと思います。しかしながら、特に沖繩と比べた場合、必ずしも、劣るともまさっている状況でないのが奄美大島町村の財政力であります。そういった意味から、沖繩よりか低くなったということについては、やはりこの点のハンディをどこかで奄美事情に即して国のほうでめんどうを見ていただきたい。そこで、いま林局長がお話しのいろいろな方法があるわけでありますから、その点について、特段の御配慮をいただいていけるようにお願いをしたいと思います。  それから、今度の新しい特別措置の方法は、従来自治省だけで予算組み、執行を行なってきたわけでありますけれども、今度は各省予算組みをして自治省で一括計上して、さらに各省実施をする。専門家の技術あるいは意見というものが十分織り込まれて、さらに施策が充実するであろうということであります。その点で新しい制度ができたことはたいへんうれしく思っているわけでありますが、一方、今度は、一括計上になったものについては公共事業に限られたわけであります。したがって公共事業外の事業、一括計上外の事業についても、振興開発計画事業を行なう上で必要なものについては補助率の特例を設ける必要があろうかと思いますけれども、この点について自治省でどのようにお考えか、またどういう関与ができるのか、その点について伺いたいと思います。
  36. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 従来の一括計上一括施行の方式を、今回、一括計上移しかえ施行に改めたわけでございますが、これはもちろん地元からの強い要望もございましたし、その幾つかのメリットを考えましてこういうふうにいたしました次第でございます。具体的には、それぞれの各省庁の専門家の知識あるいはその専門家の熱意というものが役に立つ、大いに各省に力を入れてやっていただく。それから各省のそれぞれの長期計画との斉合性が容易になるとか、いろいろなメリットを考えたわけでございます。したがって、その一括計上以外に残りました事業についてやはり問題が生じたわけでございますけれども、今回、計上外につきましては、この改正法においては保育所それから義務教育施設等について補助率の引き上げを規定しておる次第でございます。それからそのほか、サトウキビ振興、ハブ対策、特殊病害虫防除事業等について特別の補助を行なうということになっておりますし、さらに今後出てまいりますその他の事業につきましては、そのつど、所管する省と積極的な姿勢で協議をして、前向きに取り組んでまいりたい。そして公共事業と非公共、一括計上外にされたものと、両々相まって全体の向上をはかっていくということを常に心がけてまいりたいと存じておる次第でございます。
  37. 保岡興治

    保岡委員 先ほど話の出てまいりました産業振興という点からも、公共外の事業についても特例が必要だろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それから次に基金関係のことについて伺いたいと思いますが、このたび奄美群島振興信用基金が開発基金ということで新しく継続されることになりました。この点についての四十九年度予算措置、運営の基本方向についてまず伺いたいと思います。
  38. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これらの復興計画振興計画という過程におきましては、やはり当初は道路とか港湾とか基盤施設整備、公共事業主体になってまいりますけれども、だんだんとそういうものの整備が進むにつれまして、今度は産業振興というか、郡民の所得の増加に直接お役に立つようなことにだんだん重点が移ってまいりますのは、これ当然なことと存じます。したがって、復興振興時代を経まして今度は振興開発時代になってまいりました。「開発」という文字を入れたのも、ある程度そういうことに視点を置くということをそこに表示したつもりでもございます。  それで具体的な施策といたしまして、この基金につきましては基金の名称も「開発」を入れたわけでございますけれども、この基金につきましては、従来に比べて飛躍的なその機能の拡大をはかるという考え方でございます。具体的には、来年度予算においては、まず出資は本年度と同額の二千万円そのままでございますが、融資財源に充てる、県を経由する地方債でございますね、これが従来というか本年度の五倍に当たるものを話をつけてございます。十億円の借り入れ金、これは国によって予算措置されておるわけでございまして、基金がこれによって新しい年度の融資計画——これの内容はまだ具体的に検討中でございますけれども、従来よりも業務の幅を拡大いたしまして、たとえば従来考えておられなかった製糖業に対する融資というようなこと、あるいは観光関連産業資金に対する貸し付けというようなことも今度の法律改正でできるようにも措置いたしますし、これは具体化してまいると存じます。ですから、基金の機能というのはこの振興開発時代に入りましてますます拡大してまいると思いますので、今後ともこういう方針を貫いてまいりたいと考えておる次第であります。
  39. 保岡興治

    保岡委員 次に、承継債権を出資金にして保証業務が行なわれておるわけでありますけれども、これの不良なものについて減免の措置を従来やってきております。ところが、この減免後の処理について、地元にはぜひ減資という方法でやってもらえないかという希望があるわけでありますが、この点について、多少小さな問題になりますが、自治省のお考えを伺わせていただけたらと思います。
  40. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この問題は、確かに問題として御指摘を受けながらまだ解決しておらない問題の一つでございます。減免後の処理についていま御指摘になりました減資という形でやりたいということに対して、現在法律上は、まず積み立て金を取りくずしてこれに充てるということが規定されておりまして、この規定を変えるべきであるという御意見は確かにございましたし、またそういうことで折衝もいたしましたが、現在まだ十分解決されておりません。さらに現地の実態に即して今後十分検討を続け、折衝を進めてまいりたいと存じております。
  41. 保岡興治

    保岡委員 承継債権の回収が従来順調に行なわれてきて、それをもとに保証業務を行なっていたわけでありますが、最近はもう優良債権が少なくなって、これがなかなかふえない。一方では、昨年来の金融事情の逼迫等のために保証需要が急激に上昇しておるわけであります。事実、国の制度資金あるいはその他の融資に対する基金の保証業務というものが、融資業務それ以上に非常に重要な役割りを従来果たしてきております。ところが、この保証限度というものが十倍ということになっているわけでありますが、すでにこれにもう差し迫って二、三千万しかワクがないというような昨今の状況のようでございます。そういった意味で、せっかく基金が継続された以上、やはり保証倍率を何らかの方法によって引き上げるのでなければ、基金の存在の半分の理由が失なわれるということになりますので、この点についてどのように対処していただけるか、伺いたいと思います。
  42. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この問題はまだ関係当局との間の折衝中でございまして、まだ結論を得ておりませんが、確かに御指摘のとおりもう保証限度一ぱいに近づいております。そこで、過去の代位弁済率その他を拝見してといいますか、これらをもとにしましてさらに折衝を続けて、この保証倍率引き上げという問題については近々何らかの結論を得たい。確かにこのままでおりますと保証限度額外に至ってしまいまして、にっちもさっちもならないという状況はよく承知しておりますし、また、その保証倍率の引き上げということは、まだ結論は得ておりませんけれども、十分希望が持てるような感触を得ております。
  43. 保岡興治

    保岡委員 次に、基本的な問題にかかわりますので、先ほどの石油の関係について通産省に伺わせていただきたいと思います。  まず、先ほどお話をしました宇検村に進出予定の五十万バーレルの製油所計画でありますが、これは昨年来の石油事情の変化によってどのような影響を受けるかというような点について伺いたいわけであります。まず、一般的に、石油事情が国内の石油精製計画にどのような影響を与えているか、その点から伺いたいと思います。
  44. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  昨年の十月十六日のOAPECの原油価格の引き上げ及び次の十七日からの原油の輸出削減という一連の措置によりまして、相当な石油危機が起こりまして、ここ、石油二法の制定とその後のその施行ということになっていることは御承知のとおりでございますが、その後、石油の輸入が一体どういうふうになっているかと申しますと、現在までのところ、四十八年度の石油の輸入量につきましては、当初予定しておりましたのは三億キロリットル程度でございますが、これに対しまして、実績からいいますと二億八千万程度であろうかというふうに考えるわけでございます。まだ三月分がございますので、はっきりした数字はわからないわけでございます。  それと精製工場との関係でございますけれども、現在のところ、石油業法という法律がございまして、石油業法に基づいて、各社の石油製油所の建設についてはこれを認可制にしているわけでございますが、四十八年度末の石油の精製設備の能力がおおよそ五百五十万バーレルでございます。その後、四十九年、五十年についてはそれぞれ一昨年許可を与えたわけでございます。昨年の十一月の十三日に石油審議会を開催いたしまして、五十一年及び五十二年の石油精製設備につきまして、約百十三万バーレルの許可を与えるべきであるという答申がなされているわけでございます。しかしながら、現在の原油事情がきわめて不安定でございますので、五十一年及び五十二年の設備については、現在のところ、審議会の答申はございましたけれどもまだ許可はいたしていない、こういう状態でございます。
  45. 保岡興治

    保岡委員 そうすると、具体的な製油所の立地許可については、五十二年度までなされているということでございますか。
  46. 松村克之

    ○松村説明員 昨年の十一月の石油審議会におきまして、五十一年度及び五十二年度の分について答申がなされているわけでございます。
  47. 保岡興治

    保岡委員 答申がなされている。
  48. 松村克之

    ○松村説明員 さようでございます。
  49. 保岡興治

    保岡委員 五カ年ずつ石油計画を立てて、審議会の答申を得て、製油計画を具体的に個所をきめていくというふうに聞いておるわけでありますけれども、そうすると四十九年度から四カ年分だけが答申に出ておって、これからきめられることになるわけですか。
  50. 松村克之

    ○松村説明員 五年といいますのは、石油供給計画はその当該年度を含めて五年間の供給計画をつくるわけでございます。したがって、四十八年から計算いたしますと四十八、九、五十、五十一、五十二と、この五年間の供給計画をつくってございます。それで五十二年がその最終年度でございますが、最終年度及びその前の五十一年、その二年分についてはまだ許可はいたしてございませんが、審議会の答申はいただいておる、こういうことでございます。
  51. 保岡興治

    保岡委員 そうすると、奄美大島に具体的に進出を予定している計画については、今後この全体の中での取り扱いでどういう位置づけをされるのか、その点について伺いたいと思います。
  52. 松村克之

    ○松村説明員 先生御質問の東亜燃料工業の奄美大島への進出計画でございますが、この件につきましては、まだ私どものほうに具体的な設備許可申請というものはいただいていないわけでございます。聞くところによりますと、その完成の会社側の目標が五十四年ないし五十五年というだいぶ先のことでございますから、あと数年の後にそういった申請が出てくるというふうに予想いたしております。
  53. 保岡興治

    保岡委員 この枝久手島の石油の進出計画は、枝久手島という島と本島との間の浅い海峡を埋め立ててそこに立地する計画のようです。そういった意味から、実際に通産省のほうで建設の許可をする際、埋め立ての時点、許可をしてから埋め立てさせるのか、あるいは埋め立ててから許可の申請を会社が求めるのか、その辺の関係を伺いたいと思います。
  54. 松村克之

    ○松村説明員 特にその点のはっきりした定めはございませんけれども、一般的にいいまして、私どもが石油精製工場の許可をする場合には、土地の入手が確実であることということが一つの条件になっているわけでございます。したがいまして、一般的に申しますと、たとえば鹿島なら鹿島コンビナートの中で一つの企業が土地の入手のお約束ができているということが先にございまして、そのあとで設備許可の申請が出てくる、こういった順序になるわけでございます。
  55. 保岡興治

    保岡委員 そこで、奄美大島のこれからの振興開発との関係について伺いたいのでありますけれども、先ほどもお話ししましたとおり、この計画は、去年の二月一日に地元計画が明らかにされて以来一年を経過しているわけであります。ところが、先ほど話したとおり、奄美大島のほとんど多くの人が、奄美大島に工業を興して所得をふやすということはどうしても必要だ。また石油精製の必要も、これも国民的要望であるということも十分わかっているわけでありますけれども、やはり自然環境との調和がほんとうにできるだろうか、その点について真剣な検討を抜きにしては、うっかりこの計画を受け入れてはならないのではないだろうか、積極的に反対している人もあるいは積極的に反対をしていない人も、ほとんど多くの人がそういう懸念を持っておるのが実情じゃないかと思うのです。そういった意味でその認識自体は正しいと思うのですが、実際の賛否両論のあり方というものは、検討を抜きに、ただ絶対に反対だという一方の動きと、絶対に賛成で一日でも早く何が何でも誘致しなければならない、過疎を解消する希望というものが行き過ぎて、両方で検討が冷静になされない状況で、抗争が物理的なものにまで発展してしまっておるという状況で、これはどうしても避けなければならないと思うわけであります。そういった中で、そういう真剣に考えている人たちの中に、企業ベースで実績をどんどん重ねて計画が具体化していくのはどうも適切でない。やはりこれだけ残された自然で、開発の基本にもなっている自然を守る、それをもとに開発するという特殊事情にある奄美大島であるから、国もほんとうに責任をもって検討の資料を入手して、ある程度客観的な判断材料、たとえば海流調査だとかあるいは気象条件の調査だとか、油の海水汚濁あるいは事故による油の流出等のサンゴ礁に対する影響であるとか、そういったものについて基本的な調査を企業に先行してやって、その間ある程度の期間、奄美大島の人々自身がこの問題について十分検討する期間がほしいんだという希望があるわけなんです。  そこで、通常であれば企業がまず立地調査、そういった環境条件の調査もした上で国や県がチェックするというのが基本であると思いますけれども、もし奄美大島に立地をするとするならば、全く無公害の製油所であって、他の地域のモデルになるような性質のものであることが保証される必要等から、国もこういった要望には十分配慮をして、事前調査に協力する等の必要もあるのではないかということなのであります。そういった観点から、通産省としてこの奄美大島特殊事情をどのように今後考慮していく姿勢を持っておられるか、その点について伺いたいと思います。
  56. 松村克之

    ○松村説明員 先生いま御指摘のとおり、一つの企業あるいは数個の企業が進出いたします場合に、これは政府全体の一つ基本的な考え方であろうと思いますが、企業責任と申しますか、それらの進出する地域における環境アセスメントは当該企業が当然責任をもってやるべであるという一つ考え方があるわけでございます。と同時に、やはり国といたしましてもそれらの地域について、大気汚染あるいは水質汚濁あるいは生態学的な影響というものについての客観的な一つの調査ということを行なう、これも一つの国としての責任でございまして、通産省は昭和四十年から、いま先生からもお話のありました産業公害総合事前調査というものを大気汚染及び水質汚濁について行なっているところでございます。ただ、現在までのところ、これらの事前調査といいますのは大規模コンビナート地域を対象といたしておりまして、たとえば電力等の単独立地につきましては、これはやはりそれらの電力会社が自分の費用で調査をする。その場合に、第三者のあるいは地元の方々から見て、企業の行なった調査についての若干信用度合いといいますか、そういったこともあるわけでございますが、一つ考え方としては、企業が費用を持ちまして、負担いたしまして、第三者にこれの調査を委託するといったような、そういう責任の持てるあるいは信用のある、技術的にも高度な調査機関というものがあった場合には、そういう第三者調査ということも一つ考えられるわけでございます。  それで、いま先生お話しになったこれらの地域に、たとえば奄美なら奄美といったような一つ地域に、一企業が、単独企業が進出するわけでございますけれども、こういったところで調査を企業が行なう、あるいは地元の県が行なうといったような場合に、通産省がこれまで事前調査で行なってまいりました一つの技術あるいはシステムといったようなものを提供すると申しますか、つまり協力するということについては、これは十分考えられるところでございまして、また地元の県のほうの御意思等も伺いまして検討したい、そういうふうに考えております。
  57. 保岡興治

    保岡委員 その点について環境庁にも簡単にお答えをいただきたいと思います。
  58. 山村勝美

    ○山村説明員 ただいま通産省のほうから申されたように、原則的なたてまえとして、企業が、立地することによって環境の水質なり生態にどういう影響があるかということを調査をいたしまして、県、国がこれをチェックしていくというたてまえになっておるわけでございまして、その過程において、国がすでに持っておる情報あるいは県が持っておる知識といったものを提供しながら指導をしていくということに相なっておるわけでございまして、たてまえとしてはそのとおりでございまして、本件につきましても、なお十分時間的な余裕がございますので、先ほど自治省のほうからも御指摘がありましたように、自然を生かした開発でありますとか、自然環境の調和のとれた開発という観点から十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  59. 保岡興治

    保岡委員 おそらく環境庁としても、大規模プロジェクトのような場合にはアセスメント、事前調査もあり得るけれども、個々の企業についてはその企業調査を先行させるのが原則であるというお答えだろうと思うのでありますけれども、先ほどお話ししましたように、やはりこの地域は特に自然が美しいというわけでありますし、順次行なわれるにしても、行く行く五十万バーレルを予定している以上、これは現在では東洋一の規模であるというふうに聞いておりますが、そういう大きな計画であれば、その原則を、大規模プロジェクトに準じて、もし地元にその必要性があって、しかも県が相談をして、県が事前にそういった海流調査だとかあるいは気象条件の調査あるいは生態学的な基礎調査というものをやる必要性を認めて相談があった場合については、環境庁でも、先ほど通産省がお答えのように、積極的に公害防止の立場からこれを御検討いただけるか、そこを伺いたいと思います。
  60. 山村勝美

    ○山村説明員 過去におけるいろいろなアセスメントの経緯からしましても、まだまだアセスメント指導については知識は十分ではございませんけれども、できるだけその情報を流しながら県も指導しやすい形で従来進めておりますので、今後ともそういうふうにやっていきたいし、本件についてもそういうふうに指導をしていきたいと思っております。
  61. 保岡興治

    保岡委員 もしそういう事前基礎調査をやるとすれば、大体どれぐらいの期間をやれば一応の答えが出るのか、その辺の目安について、私たちしろうとですのでよくわからないのですが、簡単に環境庁のほうにお答えいただければと思います。
  62. 山村勝美

    ○山村説明員 その規模あるいはその環境の複雑さ等によりましょうけれども、大体一年間を通して見た水質とかいろいろな事情でいきますと、最少一年いろいろな基礎調査、特殊の事情があれば二年、三年というようなのが実態じゃないかと考えております。
  63. 保岡興治

    保岡委員 そうすると、ほぼ完全な基礎調査をしようと思えば、その具体的な点にまで立ち入ってやるとすれば三年は必要だというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  64. 山村勝美

    ○山村説明員 まあ、問題にもよりますので、本件についてどういう問題があるか十分承知いたしませんが、大体そういう感じでいいんじゃないかと思っております。
  65. 保岡興治

    保岡委員 こういう重要な問題でありますから、賛成のほうの切実な問題もあるし、反対する人たちの心配というものも当然のことだろうと思うわけであります。そういうことで、そういう基礎調査にすらそれくらいの時間がかかるとすれば、その間、当事者、地元も十分検討して、この問題について考えていく期間があるように思われますので、やはり県や国としても、単に企業にまかして、その実績の上で、既成事実の上で計画がどんどん実行されることがないように、地元考える期間と、国の積極的なそういった第三者としての判断を求められている地元気持ちというものを十分くんで対処していただきたいと思います。  ほかに、スラッジの対策その他事故の防止等についても伺いたいのでありますが、時間がございませんのでまたあとに譲りたいと思います。  時間も残り少なくなりましたので、あと関係については簡単に伺っていきたいと思うわけでありますが、特に農業について伺っておきたいと思います。  亜熱帯性の特性を生かして、わせものその他の農作物とサトウキビの複合という形で、複合農業を可能にするのが奄美大島の今後の農業について非常に大事なことだろうと思います。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕 そういった複合農業を可能にする意味からも、やはりサトウキビの省力化ということが差し迫った一番重要な課題だろうと思います。そこでいろいろ伺いたいのでありますが、その点に限ってちょっと御質問をしてみたいと思います。  まず、基盤整備の土地改良、こういった予算についてはことしも従来に比較して相当伸ばしていただきました。さらにこの意欲を継続して政府においても努力をいただきたいわけでありますが、刈り取り機、脱葉機、積み込み機による自動化といった、非常に労働のかかる、それゆえに複合農業を非常に阻害しておる、収穫の一貫した機械化というものが非常に大事だろうと思います。しかしながら、従来奄美大島のサトウキビというのは、特殊な地域の特定の作物であるために、お米とかその他の作物のように機械が採算ベースに乗って開発ができないということから、なかなか良質の機械が開発できなかったという点があるのです。そこで地元としても、価格政策だけにたよらないで、どうしてもやっていく以上はこの機械化が必要だということで、集団で、たとえば一島に一カ所、あるいは各町村に一カ所、団体を公社みたいなのをつくって、そこで機械を集中管理することによって、能率のよい機械の運用あるいは機械の開発に対するくふう、研究等についてやっていただければ、非常に従来焦点の合わなかったこの種の施策にピントが合ってくるのではないだろうかというふうに考えるのでありますが、その点について伺いたいと思います。
  66. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答えいたします。  御指摘のございましたように、サトウキビの生産対策といたしましては、サトウキビの労働時間がきわめて大きい、特にその中でも、御指摘のございましたように収穫作業の占める労働が非常に大きいのが現状でございますので、この収穫作業を機械化していくということが、当面のサトウキビの生産対策として緊要なものと考えております。それで四十九年度予算におきましても、従来個々に入れておりました収穫機械を機械化一貫作業体系の確立によって、その地域地域に与えられております農業の実態も多少の差異もございますので、   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 その地域の実態に即しました集団的な作業グループを育成していく、こういったような対策といたしまして、生産改善推進事業を四十九年度予算に計上さしていただいております。  それからまた、従来収穫作業が、サトウキビを刈りまして、それから脱葉をするといった作業、それからこれを結束する、それから搬出するといった一連の作業があるわけでございまするが、この刈り取り作業と脱葉作業というものは、特に脱葉作業が農家の手間がかかります。しかも、それぞれ機械化いたしましてもなかなか刈り取りと脱葉とのスピードが合わないといったような点もございますので、これも地元からの強い要望でございますが、脱葉作業をひとつ集中的に実施するといったような実験事業奄美地域でもってやっていただくということも、四十九年度予算に計上させていただいておる次第でございます。  それとともに、こういった方々の機械化の研修事業等も予算計上いたしまして、御指摘のございましたような機械化の推進に役立つような体制をつくってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  67. 保岡興治

    保岡委員 いまお話しの四十九年度予算の集中脱葉実験事業、これが一つ成功しましたら、これを足場にして、先ほど私がお願いした公社的な機械の一貫作業の集中管理というものをぜひごく近いうち実現をお願いをしたいと思います。  それからもう一点、畜産物あるいは野菜その他の栽培にしても、非常に隔絶外海離島であるということで市場と遠いというハンディから、できるだけ共同集荷、共同輸送ということで大量に輸送する必要があるわけなんです。そのために流通施設というか、保冷施設あるいは冷蔵庫等の建設というものが非常に大事なんですが、その点についての大規模な計画が従来行なわれていない。これをぜひ今後充実することが畜産あるいはその他の農作物の振興の大きな柱になるのでないかと思いますが、その点について、まとめてでけっこうでございますが、お一人お答えをいただきたいと思います。
  68. 倉地貞三

    ○倉地説明員 お答えいたします。  野菜につきましては、生産出荷対策といたしまして現在まで実施してきたものの中には、自治省において実施しております奄美群島振興事業によりまして、集出荷場、それからビニールハウスの設置事務等がございます。また、農林省が実施しております特産野菜生産団地育成対策事業によりまして、集出荷場というようなことで島内の集出荷の態勢を整備するという事業実施してきておりますが、奄美群島から本土への野菜輸送につきましては、これは鹿児島県におきまして四十九年度事業で、輸送手段、荷役施設等の合理化のための調査を行なうことになっておりますので、この調査の結果を得まして、私のほうでその後の事業につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  69. 保岡興治

    保岡委員 畜産のほうはいかがでございましょうか。
  70. 白根亨

    ○白根説明員 畜産関係でございます。  実は率直に申しまして、現在奄美の肉牛がおもに内地のほうに送り出されておる例で、先生の御質問もおもにその関係に集中するのではなかろうかと思うわけでございます。率直に申しまして実は苦慮いたしておる点でございます。この点は何とか合理化を進めていかなければならない。しかしながら、現在のところ各島で見ました場合に、一日の出荷頭数が、たとえて申しますと大きいので七頭程度というような状況にある。このようなものをどのようにして効率的にしていくかというような点、おのずから現状では残念ながら限界のある点を否定できないわけでございます。私どもといたしましては、この点はそのような面の合理化も逐次はかると同時に、基本的にはやはり生産の規模を大きくしていかなければならないのではなかろうかというふうな考え方を持っております。  特に肉用牛につきましては、この島々が気象的に非常に温暖であるというようなこと、あるいは牛肉需要そのものの将来の展望というのはかなり堅調なものが期待されるというような現状にあるわけでございまして、そういう立地条件、あるいは先ほどお話の出ておりましたサトウキビとの結びつきの問題、たとえば梢頭部、茎葉等の活用というような問題で、農家経済にぴったり合った肉牛飼養に持っていく方法、それから現在のところ、一戸当たりでございますが、三頭弱というような小さな規模という、そういう状態にあるものを規模をふやしていくというような、数多くの問題があるわけでございますが、もとに戻りまして、自然的な条件に恵まれておる、こういう点は大いに今後活用いたしまして、特に肉用牛の産地形成を目ざしていくということがことのほか重要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そのような点につきまして、県庁、鹿児島県のほうもいろいろと御検討いただいておるようでございます。私ども十分そこいらとの詰めぐあい、お話も承りながら、タイムリーな行政運用ができますように今後一そうつとめていきたい。かたがた、御質問のございました流通関係もそれらと並行して、その改善をはかっていくというような考え方で臨みたい、こういう考え方でおるわけであります。
  71. 保岡興治

    保岡委員 いろいろ困難な点が多いことはよく承知しておりますが、ひとつよろしくお願いいたします。  それから最後に、漁業について伺いたいと思いますが、従来、奄美大島亜熱帯の海洋に囲まれておりまして、水産業が盛んなのではないかというふうな印象を持っておられる方が多いのでありますが、まあ非常に小さい、幅一メートル、縦三メートルから四メートルぐらいのくり舟で部落の何人かが操業するという、非常に自給的な漁業ということで、いわゆる産業といえない程度の非常に小さい規模のものが多いわけであります。そういったことから、鹿児島本土、全国に比べまして収穫量というものが圧倒的に少ないという点があるわけでありますが、今後この水産資源を生かして、規模の大きいしっかりしたものにしてやっていけば、奄美大島の所得構造に相当貢献するのではないかと思われるわけであります。そのためにも漁業構造改善事業というものが大きな役割りを果たすと思うのですが、その点について施策を伺っておきたいと思います。
  72. 渡辺武

    渡辺説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、奄美群島におきます漁業は、カツオだとか、瀬につきます各種の魚をつります一本づり漁業が主体でございまして、四千トン程度の水揚げを毎年やっておるようでございます。それに若干の養殖経営等があるようでございますが、全体といたしまして、四十六年度で生産額は約十一億円というような程度と聞いております。  従来、同群島における水産の振興につきましては、奄美群島振興事業の一環として、昭和三十九年以降、漁港だとか各種の共同利用施設の設置について国庫助成をしてまいりたわけでございますけれども、四十九年度からも、漁港、それから海岸保全事業等について、従来に引き続いて奄美群島振興開発計画の一環として国庫助成を続けることにしておりますほか、共同利用施設の設置とか漁場の改良とか申します沿岸漁業の構造改善事業につきましては、全国計画的に地域指定をやっております関係上、奄美群島はまだ現実のところ指定になっておりません。しかし五十年もしくは五十一年には、これは県とも御相談が必要でございますけれども、その両年度のいずれかの年度には指定が可能かと思いますので、その指定を早急にやりました後、冷蔵庫だとか荷さばき所だとかいうような、各種の共同利用施設の設置につきまして本格的な助成を行なってまいりたいと考えておる次第でございます。
  73. 保岡興治

    保岡委員 五十年か五十一年ということでございますけれども、できるだけ早くお願いをしたいと思います。  それともう一つ、こまかい問題でありますが、漁船貸与の事業というものがあるそうでありますが、この点について地元では非常に期待が大きいようなんであります。その制度がどのように今後奄美に適用になっていくか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  74. 芝田照夫

    ○芝田説明員 お答え申し上げます。  現在水産庁のほうで行なっております漁船貸与事業といいますのは、四十八年度から五カ年間実験事業として行なうものでございまして、一県当たり年間一億五千万円の経費で、県漁連が事業主体になりまして沿岸漁船を建造して沿岸漁業者にリースしようという制度でございます。この実験事業が終了いたしました段階においてその実験事業の成果を見て、今後いかにこのリース制度を水産業に導入したらいいかというのはその時点で考えてまいりたいと思っております。
  75. 保岡興治

    保岡委員 実験段階であるということで、その期間も五年ということでありますからたいへん長いわけでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、おくれているだけに施策は急がれているわけなので、鋭意奄美にも、この実験の段階でもけっこうですが、できるだけ早い機会にお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、これだけたいへん可能性のある漁場でありますけれども、具体的にどういう魚がどの程度とれる可能性があるかという漁業調査というものがほとんどなされておらない。資料がないわけなんです。そこで県でもおやりになる意向があるらしいのですけれども、何しろ南西諸島という非常に広い地域にわたる調査であるだけに、県だけでもなかなかむずかしいものがあるわけです。そこで、この振興開発計画一つの目玉にする意味でも、そういった漁場調査を徹底的にやっていただくために国に助力をお願いする方法はないだろうかという地元の強い希望があるのですが、この点についていかがでございましょうか。
  76. 榎本慎太郎

    ○榎本説明員 先生御指摘のとおり、まことに当然なことだと思います。しかし国といたしましては、いわゆる沿岸漁場から遠洋漁場までの広範囲な海域、こういうところの漁場開発調査につきましては従来国としての調査研究ということで、広域に分布する重要水産資源の変動等、こういう基礎的なものについて重点的にやっておるわけでございます。したがいまして、地域開発的な調査研究、こういう課題のようなものにつきましては都道府県において実施していただいておる、こういうことで、その技術的並びに財政的な援助をしてやってきたわけでございます。したがって、この方向というものは今後においても変わらないと考えておるわけでございますけれども、御指摘のようなそういう強い要望ということであれば、地元、県、こういうところとよく相談して善処すべく今後考えたいと思います。
  77. 保岡興治

    保岡委員 時間もまいりましたのでこれで終わりますけれども、まだまだ聞き足りない点がたくさんありますので、また予算委員会の分科会等において質問をさせていただければと思います。  それにしても、各省に今度新しく事業を移して、御専門の方々に施策検討いただくわけでありますけれども、やはり実際に行かれてみた方が、奄美大島というところはこんなに大きいところであっただろうかとびっくりしておられる方が非常に多いのです。そして、あるいは専門的な観点からお気づきの点を指摘されておられるようであります。そういったことから、論より証拠、実際に奄美大島を見ていただいて、あの美しい自然環境の中の奄美をいかに今後国民経済や地元発展ということに関連させてやっていくか、非常におくれているだけにやりがいもあるわけでございますので、ぜひお力添えをいただきたい、そのように思います。今後ともよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  78. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会