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1974-02-14 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十四日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長代理 理事 中村 弘海君    理事 高鳥  修君 理事 中山 利生君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    住  栄作君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     町村 金五君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         警察庁長官官房         長       国島 文彦君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房長 山本  悟君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         公正取引委員会         審査部第一審査         長       妹尾  明君         経済企画庁物価         局物価調整課長 赤羽 隆夫君         経済企画庁総合         開発局山村豪雪         地帯振興課長  岩渕 道生君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省社会局生         活課長     田川  明君         厚生省児童家庭         局企画課長   松田  正君         農林省農林経済         局保険業務課長 山村弥五郎君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         林野庁業務部経         理課長     川合 英一君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      木原 滋之君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     河本 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   河本 敏夫君     保岡 興治君     ――――――――――――― 二月十三日  地方財政確立に関する陳情書外二件  (第一〇八号)  地方公共団体超過負担解消に関する陳情書外  十七件(  第一〇九号)  市街化区域における農地の固定資産税等に関す  る陳情書(第一一  〇号)  住宅用地固定資産税等軽減に関する陳情書外  六件(第  一一一号)  自治体病院財政健全化に関する陳情書外二件  (第一一二号)  交通相談士業務資格認定制度制定に関する陳  情書  (第一一三号)  奄美群島経済発展のため大島つむぎの振興に関  する陳情書外二件  (第一一四号)  地方事務官制度の廃止に関する陳情書外一件  (第一一五  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 これより会議を開きます  この際、申し上げます。本日、委員長所用のため出席できませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  この際、委員派遣の件についておはかりいたします。  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、現地に委員派遣いたしたいと存じます。つきましては、衆議院規則第五十五条により、議長に承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の氏名、人数、派遣の日時、派遣地及び承認手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田安夫君。
  6. 島田安夫

    島田(安)委員 自治大臣及び国家公安委員長所信表明を伺ったのでございますが、その中で地方自治基本的な姿勢等お述べになっておるのでございますけれども、私はこうした社会情勢等を受けて、その決意のほどはよく理解できるのでありますけれども、当面する地方財政の実態は必ずしも大臣が要望しておられますような状態ではございませんし、また私は、幾多の疑問と申しますか、そうしたものがあるではないかと考えておりますので、以下そうした問題点指摘しながら、御所見をお伺いしたいと思います。  今日の社会経済情勢の急激な変貌は、戦後一貫して政府並びに国民がやってきました高度経済成長、この路線の転換を余儀なくいたしたわけでございますが、地方行財政もまたその影響を大きく受けまして、国と同一基調による運営を強く大臣としてもお求めになっておるのでありますけれども緊縮財政による物価引き下げ等、当面いわゆる生活安定がまず第一という基本的な施策等につきましてはよく理解できるのです。しかしながら、地方行政は半面、このようなきびしい状況下においてもなお、住民日常生活を通じまして住民福祉向上に、引き続きその計画を実施しなければならないことが山積いたしておると思うわけでございます。ことに、最近の住民意識の高揚は、地方行財政にいろんなものを求めております。社会的な生活基盤拡充強化はむしろ喫緊を要することだとさえ私は思うのでございます。したがって、これらの各種の行財政需要に対処するには従来にもまさる、ある意味においては積極的な行財政の展開が必要だと思うわけでございますが、どうも昭和四十九年度の予算案あるいは地方財政計画等に見られる諸施策で、はたしてこれが可能かどうか。そうした住民の要求に地方団体がこたえられる実情にあるのかどうか。私は所信表明をお伺いしておりまして、大臣地方行財政に求められておる現状の認識がいささか甘いのではないか、このように考えておりますので、まずこうした点に対して大臣の御所見をお伺いしまして、以下問題点指摘しながら御質問いたしたいと思います。
  7. 町村金五

    町村国務大臣 先般、当面する地方行財政に関する私の考えの一端を申し上げたわけでございますが、いまも御指摘がございましたとおり、今日わが国の政治が当面しておる最大の課題は、何と申しましても暴騰を続けておる物価の安定をはかるということが、私ども何ものにも優先する重大な施策としてこれを取り上げていかなければならない。したがって、地方財政も非常に大きな財政需要を持っておるわけでございまするので、国だけがこれをいたしましても、それでは全体としては大きな効果をあげることができない。したがって地方財政も国とはずを合せて、当面するこの物価抑制ということに全力をあげていかなければならないということは、これは基本的には今日の場合どうしても避けることのできないやむを得ざる道であろう、こう私は考えるわけでございます。  ただ、御指摘もございましたように、今日、地方行政というものは住民生活の安定と申しましょうか、住民生活に深い関連のある仕事を多様にかかえておるわけでございまするので、こういった時期になりますれば、やはり比較的恵まれない立場にある方というものはたいへんな苦しい状況に、むしろこの物価高騰の結果そういう立場に置かれるわけでありますが、そういう方々に対して、できるだけこの大きな物価暴騰のあおりによる影響を少なくするということは、やはりこれは地方行政の面においては十分考えていかなければならない一面であるわけでございます。そういったことで、ことしの地方財政計画というようなものは、そういった点にかなりの実は配慮を加えてでき上がっておるように私は考えておりまするので、今後、日本物価というものははたしてどんなような状況にこれからなってまいるか、急速にあるいは鎮静をしてまいるという望ましいことになりますか、それともさらにこの状況がなお当分の間続くというようなことになりますか、その辺は私どもとしてはなるべく急速に鎮静することを強く期待しながら、そのための施策は当面全力を傾けてまいるべきであろう、こう私ども考えておる次第でございます。したがって、そういった点につきまして、あるいは後者のいわゆる民生安定に関する施策等については必ずしも十分でない、あるいはこういう御批判も確かにあるのではないか、こう私承知をいたすのでございますけれども、やはり当面、何と申しましてもいま申し上げた物価高騰を押えるということにまず全力を注ぎ、それに関連していろいろ起きてまいりまする問題については、できるだけ大きな犠牲と申しましょうか、非常に難渋をするような人の起こらないようにつとめてまいるということを基本としてこれからの地方行財政の処理に当たってまいるべきではないか、かように考えておるところでございます。
  8. 島田安夫

    島田(安)委員 おっしゃることはこの間の所信表明にもございますし、よく理解できるのでございますけれども、私が申しますのは、あとでいろいろ地方財政全般についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、総需要抑制して物価を安定させること、これはもちろん現在の経済情勢の中では当然必要なことだと思うのですけれども、しかしながら、当面する地方団体のいろいろな諸施策を遂行して、やり方いかんでは、総需要抑制物価の安定、こうしたものを十分了解しながら、踏まえながらやれることが幾らでもあるんじゃないか。また、御承知のように、経済の面におきましてもいえることですけれども行政の停滞というのは国におきましてもあるいは地方公共団体におきましても絶対許されない。やはり時代の進展とともにある意味の進歩がなければならないと考えておるわけでございますが、そうした意味におきまして、この間の所信表明の中で一点だけ従来と変った意見が述べられているようでございますので、その点について大臣考え方をお聞きしたいと思うわけでございます。  大臣は、経済情勢の急激な変貌は、地方行財政も圏外に置くことはできない、これはよくわかります。いまや地方行政にとっても重大な転換期を迎えたというふうにおっしゃっております。そこで、その転換とはどういう意味なのか。従来、自治省考え方としましては、地方団体景気調整機能を持ち込むことのできる範囲というのはきわめて限られておる、したがって、国の立場から一律支配的にそうした問題は強制すべきでない、このような見解が過去述べられております。いわゆる地域の特性に合わして自主的にそうした問題は取り扱うべきであるといっておられるのですけれども、いわゆる重大な転換というのは、今後、そうした経済情勢等を背景といたしまして、従来の自治省考え方、あるいは今回御就任されました大臣考え方に変化があるのかどうか。また重大な転換、その転換意味するものはどういうことなのか、伺いたいと思います。
  9. 町村金五

    町村国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、御承知のようにいままでは、国の財政もまた地方財政かなり急テンポで予算もふえておりましたし、したがって国も地方もともに、かなりいろいろな仕事が私は急速に進んだように思うわけでございます。現に地方財政は国の財政と総額においてはほぼ同じであるというような状態でございますので、先ほど申し上げましたように、総需要抑制をはかっていくということになりますれば、国だけではどうしても十分な成果をあげることができない。したがって地方財政においてもこれとはずを合わせていかなければならぬということは、先ほども申し上げたところでございます。したがって、私がここで申し上げておりますることも、いままではいわば成長一本やりでまいりましたような国の財政地方財政も、ここでひとつ従来のような高度の成長をやめまして、そして物価抑制という見地からかなり引き締めるということを国も地方もともにやらざるを得ないという状況にあるわけでございます。  そこで、いま島田委員も御指摘になりますように、従来地方行政というものは、たとえば景気問題等について、国の財政ほど果たし得る力といいましょうか、作用する力は国よりは確かに少ないのだという御指摘がございまして、あるいはそういった点を何かこの際大きく転換でもしようというのかという御指摘のように、あるいは私の受け取り方が違っているかもしれませんけれども、そういうふうにも伺ったわけでございます。しかし、私の考えでは、確かに地方財政で扱っておりますところの分野は国の財政とはかなり質的に違う一面がございます。したがって、地方財政の場合におきましてはどうしても地域住民生活密着をしておるような行政が非常に多いわけでございますから、そういったものをただ一律に機械的にこの際縮減をするということがあってよろしいと私ども考えておるわけではございません。総体としてはやはり国とはずを合わせて、私どもはそのとおりにこの際予算縮減をはかるということはやむを得ないわけでございますけれども、元来地方行政が担当いたしておりまする重要な住民生活密着をいたしておりますような問題、たとえて申しますれば、社会福祉の問題でございますとか、あるいはまた義務教育に関係をいたしますような仕事でありますとか、そういったたぐいのものは一日も停滞することが許されないというような状態、しばらく見送っていてよろしいということのできない性格のものが相当にございますから、そういうものは、私は今度のきびしい緊縮地方財政の中にありましても、これは私どもはひとつできるだけ進めていくということを基本的な態度で当然考えておるところでございます。したがって、先ほど、ここに「重要な転換期を迎えた」というふうに申し上げましたのは、私の当時考えるところでは、いままでは、御承知のように地方財政も非常な勢いで実は年々膨張膨張を重ねるというような状態でございましたものを、ここでひとつしばらくの間やや足踏みをするというような状態に、どうしても物価抑制のためにはそういう態度といいましょうか、そういう姿勢をとらざるを得ないということを私はここにうたったようなつもりなのでございます。
  10. 島田安夫

    島田(安)委員 大臣のお考え、理解できないわけでもございませんけれども、かつて北海道の首長をしておられまして、私は鳥取県なんですけれども北海道にいたしましてもあるいは鳥取県にいたしましても、ある意味におきましては今日いろいろ問題になっております過疎あるいは未開発問題等がいろいろ内蔵されていると思うわけです。そうした意味におきましても、いま景気を刺激するから当分、物価が安定するまで、国民生活が安定するまで足踏みもやむを得ないというような御意見でございますが、大臣としての一つの考え方としては理解できますけれども、さいぜんに申しましたように、私はやはり地方行政というのは、いまの住民意識向上等、あるいは地方行政に課せられた果たすべきいろいろな役割り、こうしたものから考えまして、どうも足踏みは許されぬじゃないか。むしろやり方いかんでは、こういう時期こそ積極的にいわゆる国の方針である物価抑制というものにこたえながら、やるべきことがいろいろあるし、また現在の財政事情等から考えますと、やろうと思えば幾らでもできる、このように思うわけでございますが、この問題につきましては理解できないわけでもございませんので、次に進ませていただきますが、地方財政についていささか大臣とあるいは見解を異にしておるんじゃないかというふうな点がございますので、お尋ねをしたいと思います。  いま申しましたように、地方団体の果たすべき社会福祉生活関連社会資本強化はなお一段とやらなければなりませんし、また私は立ちおくれておると思っております。具体的にこういう面で立ちおくれておるということを指摘をしなくても大臣よく御承知のことと思うわけでございますが、私はさいぜんも申しましたように、こういう時期にこそ、うまくやればそうした立ちおくれが解消できるんではないかというふうに思っておりますし、また地方団体としては、課せられた地方行政の中でどうしてもやらなければいけないこと、こういうものもあると思うわけでございます。しかしながら、いろんな要請はあっても、地方行政の面で一番困っておりますのはいわゆる金がない、財政の面においていろんな苦慮をしておるのが実情だと思っております。そこで従来からもいろいろ要請がありますように、地方税等強化して自主財源の確保、あるいは地方交付税率引き上げ等が従来から強く要請されておりますのも、やはり地方団体が果たすべきいろんな施策を遂行するにあたってどうしても財源が意にまかせない、こうしたことからくる強い要請だと思っておるわけでございます。  ところが、まるでこれと逆行するような措置が今回とられております。まあ、特例としてではありますけれども、御承知のように地方交付税の千六百八十億円の減額調整が行なわれておるわけでございますが、この措置は私はきわめて遺憾千方、あまりにも地方財政現実を無視したことではないかというふうに理解しておるわけでございます。これは地方交付税法という制度の本旨にももとるのではないかと思いますし、加えてまた、現行の国と地方団体を通ずる財政の仕組みの基本にも触れるような問題ではないかと思っております。今回、聞くところによりますと、地方団体等相談なく一方的にこういう措置がとられた。これは大臣として、特に地方公共団体行政に経験の豊富なあなたがやられることではないというふうに私は理解するわけでございます。こうしたことをやられますと——国行政地方行政、これは不離一体で、いろんな意味でかみ合っていかなければならないと思うわけでございますが、それをするためにはやはり相互の信頼感というものが必要でございます。ところがこういう措置が一方的にとられたとするならば、私は、地方が国に協力して行政効果効率化あるいは財政の適正な合理的な運営、こうしたものも怪しくなってくると思うわけなんですが、この点について大臣のお考え方をお聞きいたします。
  11. 町村金五

    町村国務大臣 このたびの予算編成の中で、地方交付税をいま御指摘のように千六百八十億円減額したという問題につきましては、私も実はこの問題について大蔵大臣からいろいろ御相談を受けた場合に、いろいろの角度から検討をいたした事柄でございます。そこで結論的にはこの措置に私ども同意をいたしたわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、当面、日本としては、総需要抑制効果をあげるということが何にも優先する重大な問題であるというふうに考えまして、この点は、私どもはその角度からこれに同意をすべきものだというふうに考えたのでございます。  さらにまた、あらためて申し上げますまでもございませんが、昭和四十九年度の地方交付税の現況、情勢を展望いたしてみますると、昨年に比べまして実はかなりの増額が予想をされるという状況でございます。しかも、御承知のように社会福祉の面あるいは生活関連等の面、教育等の面におきまして、地方かなり財政支出がふえることが予見をされますけれども、他面におきましては、先ほど申し上げましたように公共事業等はその伸びがほとんど微増にとどまるというような状況でございまするので、あれこれ考えてみまするときに、地方支出というものは相当伸びはいたしまするものの、昨年ほどの伸びにはならないであろう。一方におきまして、いま申し上げましたように、交付税は国税三税の相当伸びによりまして、明年は、この千六百八十億円の減額調整を行ないましてもなお今年度に比べまして約五千七十億円程度の増加が見込まれる、というようなことをあれこれ勘案をいたしまして、先ほど申し上げましたように、一面におきましては総需要抑制に私ども地方財政としては協力する立場にある、しなければならぬということと同時に、また地方財政の面におきましては、この減額調整を行ないましても地方財政運営に重大な支障を生ずることは万あるまい、こう判断をいたしましたことで、実は大蔵大臣とこの話し合いに私ども同意をいたしたという次第でございます。
  12. 島田安夫

    島田(安)委員 地方財政にさして影響ないだろう、四十九年度の伸びは五千七十億ある、こうおっしゃいますけれども、以下問題を指摘しますが、地方超過負担の問題、あるいは現在、国の行政先取りをして、いろいろなポストにおいて社会福祉あるいは社会資本充実等先取りをやっている市なり府県がございます。たとえば寝たきり老人の問題であるとか、心身障害者に対する年金があまりにも少ない、あるいはこれらを収容する施設給養費は今日なお一日当たり二百円にも足らない、こうしたことでは福祉国家あるいは福祉行政を推進するにあたってどうにもならないというので、地方団体独自な行政施策として、そうした面において手を尽くしておる。いろいろ物価抑制ということは前提として取り入れておりますから、すべての面で影響してくるわけだと思うのですが、どうも大臣地方財政に対する認識は少し現実と離れているのではないかという気がいたします。  またこの際、私平素から疑問に思っていることがございます。それはどういうことかといいますと、よくこの委員会等におきましても附帯意見というものが議決されます。きまったように、大臣は、皆さんの意見はもっともでございます、誠意を尽くして努力しますというふうにおっしゃる。この交付税問題等にいたしましても、現行の三二%を何とか三五%にというような要請、なおこうした附帯意見をつけたこともございます。私考えますのに、附帯意見というのは、本院の議決が行なわれます。したがって、非常に重要な意味を持つものであるというふうに考えるのですけれども予算さえ通れば、あるいは法律案さえ通れば、少々おかしな附帯意見がついてもいいんだ、前向きで検討するということで措置できるのだというような考え方でおられるのではないかという気がしてならないわけなんですが、この交付税率引き上げの問題、少なくとも三五%程度はという地方団体の要望とむしろ逆行するように、三二%の現行制度の中から、国の施策に協力する意味で千六百八十億を減額した。そうしたことが私は今後の地方団体運営等に非常に影響すると思いますので、一言でけっこうですが、そうした附帯意見に対する新しい大臣の抱負といいますか、考え方について伺っておきたいと思います。
  13. 町村金五

    町村国務大臣 交付税法等に関する御審議の末、いつも交付税率引き上げについての附帯意見が出ておるということも私も承知をいたしておるわけでございます。この附帯意見はできるだけ尊重するという立場を私どもはとらなければならぬということは申し上げるまでもございません。ただ、御承知のとおり交付税率引き上げということはきわめて重大な問題でございまするし、しかも本年は、御承知のように、先ほど申し上げたような状況でございますので、交付税率引き上げという問題を本年は取り上げるという状況ではないというふうに判断をいたしたのでございまして、むしろ逆になりますようなことを若干やらざるを得なかったという次第をひとつ御了承をいただきたいのであります。
  14. 島田安夫

    島田(安)委員 私が満足するような答弁ではございませんけれども、時間がありませんので先に進みますが、次に地方債についてお尋ねしたいと思います。  地方債が現行の国庫補助事業等の実態から果たしてきた過去の役割りというものは非常に大きいと思っておりますが、本年、前年度に比べまして八百六十億ばかり、わずかに三・八%の伸びですか、こういうふうに押えられておるわけでございますが、最近の諸物価あるいは特に資材、労賃の高騰等を勘案いたしますと、これは実質的には、三・八%の伸びですから、大幅なダウンだと思います。減額だと思っております。地方公共団体の果たすべきいろいろな施策には、義務教育関係の文教施設の整備であるとかあるいは社会福祉施設生活環境施設住民生活に直結したいろいろなものがあるわけでございますが、そうした事業の推進にあたって地方債というのは非常に重大な関連がある。また一般公共事業債も、これは大幅な減額になっておる。自治省のほうではワク外債は大体認めない。また縁故債等につきましても大臣の許可が要る。こういうことになってきますと、地方団体はどうやって財政運営を行なうのかというようなことが考えられるわけですが、まさにたいへんなことだと思います。将来、こうしたことを前提として、大臣はどのように対処されるおつもりか、考え方があればお伺いしたいと思うわけですが、一例として一つだけ申し上げます。  私の県の某町でございますけれども、中学校が非常に老朽化した。そこで昭和四十七年に改築を計画いたしました。四十七年に半分だけ建った。ところが中学校の改築のために超過負担あるいは自己負担等で自主財源のほとんどを食っちゃった。したがって、昭和四十八年度は工事の中断、半分建ってやめております。四十九年度にはどうしてもこれを建設したいというので、現在いろいろ相談を受けておりますが、非常に財政力の弱い町でございます。四十九年度に残り半分の校舎を改築いたしますと、他の、町がどうしてもやらなければならないような事業が何一つできない。そこで何とかこれを解消するには地方債等による措置しかないと思うのですけれども予算の編成期を前に町当局は非常に困っておる。しかも四十七年に建てた半分の校舎は、場所が古い校舎と違っておりますために、古い校舎を利用して半分建てて放置してある。  これらは、いま申しましたいわゆる地方財政がいかに貧困であるかという一つの例でございますけれども、私は時間がありませんので、一つだけ申し上げましたが、拾い出せば幾らでも実例がございます。こうした実情等を踏まえて、地方債あるいは地方財政の全般について、特にこのような考え方で対処するという新しい抱負でもありましたらお伺いしたいと思います。
  15. 町村金五

    町村国務大臣 起債の問題については、先ほども御指摘がございましたように、これは前年度に比べて総体としてはわずかに三・八%の伸びにとどめたようなわけでございますけれども、しかし内容的には、私どもとしては住民生活に直接影響のございますようなものについてはできるだけ起債の重点的配分ということを考えておるのでございまして、義務教育なりあるいは社会福祉施設等につきましてはかなりの配慮をいたしておるつもりなのでございます。いま島田議員御指摘になりましたような比較的財政力の弱い町村等において、相当ばく大な建築費を要しまする中学校の改築というようなものをお進めになるということになると、いまのような物価高騰の時期でございまするので、予定よりはるかに一般財源をこれに投入しなければならぬというような実情のところが確かにおありになることであろう、私はこう判断をいたしておるのでございます。そこで、超過負担の問題あるいはそういった場合の単価の引き上げというようなことは相当にやってはまいっておりますけれども、なお実情に合わざるところのものが相当にあるのではないかというふうに私どもも判断をいたしておるのでございまして、こういった点は、先ほど来申し上げておりますように、総需要抑制といういわば非常に至上命令ともいうべきものとそういったものとの調和をどういうふうにしてはかってまいるかという具体の問題になりますると、私どもといたしましてもできるだけ実情に即するようなぐあいに、地方債の許可等に際しまして十分ひとつその点は配慮を加えてまいりたい。ことに、いま申し上げましたように公立学校の校舎等の問題につきましては、文部省ともかなり実は積極的な相談もいたしておりますることは御承知のとおりでございますが、いずれにいたしましても、こういった問題で地方の自治体の運営ができなくなるというようなことは万起こらないように、私どももひとつ十分の配慮をいたしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  16. 島田安夫

    島田(安)委員 大臣考え方、いわゆる地方債等の運用にあたっては十分配慮する、こういうことしか、おそらく、私が大臣であっても答弁できがたいと思うのですが、財政局長、どうですか、そうしたいわゆる極端な財政の貧困な地方団体等については、その実情に応じて、いま大臣がおっしゃるように地方債等の適切な運営をやられる用意があるのかどうか。地方財政当事者等に言わせますと、自治省というのは鬼よりこわいといいますか、いわゆる自治省の門を入るときには最敬礼して入るというような傾向にあるほど地方財政の根っこを押えておられるあなたはどうなんですか。
  17. 松浦功

    ○松浦政府委員 個々の実情に応じて、大筋を踏みはずさない範囲で、大臣がお答えになったとおり、実情に合った行政をやっていきたいと思います。
  18. 島田安夫

    島田(安)委員 いろいろお聞きしたいことがありますのでその程度でやめますけれども、しかしながら地方にとりましてはたいへんな問題ですので、物価はどんどん増高する、工事費は三〇%も四〇%も引き上げられる、あらゆる財政面においては物価抑制のため緊縮、これでは地方行政というのは何もできない。大臣のおっしゃるように足踏みをしておれば事足りるかもわかりませんけれども、しかしながら、国はある意味において、いまおっしゃるように、たとえば、しばしば問題になります本州四国を結ぶ橋を三本一ぺんにかける必要がない、これを抑制する、あるいは高速自動車道が二千メートルや三千メートル新設を中止しても、新幹線が千メートル工事を中断しても、そう地域住民に与える影響は、直接生活関連しておらないそうした需要抑制ですから影響はありませんけれども地方行政は、行政をやめれば、足踏みをすればたちどころに地域住民が困る、こうしたことでございますので、そうした点をとくと配慮してほしい。  次に、地方税の問題について若干質問いたしたいと思います。  昭和四十九年度の自然増収額一兆八千二百億というふうに見込まれておりますが、今回の税改正による減税見込み額は千七百三十二億でございます。減税割合は九・五%。私は、所得税が大幅に減税になった、個人の住民税等についても相当な減税を期待いたしておったのですけれども、千七百三十二億ということになりますと割合は九・五%程度でございます。これは昨年と同一のように思うのですが、これについて大臣はどのようにお考えになりますか。
  19. 町村金五

    町村国務大臣 昭和四十九年度の地方税の減税につきましては、確かにいま御指摘のように千七百三十二億円ということでございますけれども、すでに御案内のとおり、明年度は、一方におきまして御承知のように住民税の各種控除引き上げその他の減税措置をいたしておりますが、他面におきまして御承知のように若干の増税も一方においては行なうというようなことに相なりまして、その結果、増減差し引きいたしましてただいま御指摘のような千七百三十二億円、すなわち減税分だけを見ますると三千六百六十三億円の減税を行なうということになっておるのでございまして、この点は昭和四十八年度の減税の約二倍に当たっておるという次第なのでございまして、私どもも減税が必ずしもこれで十分だというふうに思うわけではございませんけれども、しかし、今日の地方財政の現況から考えてみまして、かなりの実は減税も行なわれたのだという点はひとつ御承知を願いたい、かように考える次第でございます。
  20. 島田安夫

    島田(安)委員 まあ理解できないでもございませんけれども財政需要の増高、市町村民税の法人税率の引き上げ等がいまおっしゃるように行なわれているわけでございますが、私はこれに関連いたしまして大臣にちょっとただしておきたいと思うのですけれども、今回東京都において事業税の不均一課税が実施されんとしておるように聞いております。また大阪等におきましても来年度から実施というので現在作業中というふうに聞いておるのですが、特殊法人を対象としたいわゆる課税の不均一、こうしたものははたして現行地方税法の中でやってもいいのかどうか、いささか私は疑問を持っております。というのは、元来課税の本質というのは平等が原則であります。これは私からいろいろ指摘して申し上げるまでもなくよく御案内のとおりでございますが、したがって、今回とられんとしておる措置——資本力の大小が必ずしも私は富の偏在にはなっておらないと思います。また、税負担の適正化という意味から、こうしたものに不均一課税がなされることがいいのかどうか、いささか意見もありますけれども、時間がございませんので、率直な大臣所見を伺いたいと思います。
  21. 町村金五

    町村国務大臣 東京都では、いま御指摘がございましたように法人事業税の税率の引き上げを内容とする条例を提案しようという予定のように私どもも聞き及んでおるわけでございます。いま御指摘もございましたように、税というものは元来平等の原則に立って課税をされなければならないということは、これは税の重要な原則であるということは私どももそのとおりに考えておるのでございまして、いま東京都が考えておりまする不均一課税の問題ということは、その点においてかなりの問題があると私ども承知をいたしておるのでございますが、しかし現行の法人事業税等のたてまえから申しまして、かような条例が制定をせられましても直ちにこれをもって違法であるということは言えないような一面もあるのではないか、私はかように考えておるのでございますが、この点はさらに税務局長からもう少し答弁をさせることにいたします。
  22. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまお話がございました東京都の問題でございますが、法人事業税につきまして標準税率の超過課税を行なって、その場合一定の法人につきまして不均一課税でもって措置をする、このような条例が準備されておるというように承っておるわけでございます。大きく申しまして、このような標準税率超過課税が行なわれます場合に二つ問題があろうかと思っております。  第一点は、標準税率超過税でございますから、これはほんとうに財政上に特別の事情があるのかどうか、それがはたして全住民のコンセンサスを得て超過の課税を行なうというに足るだけの事由があるかどうか、この付近が明確に議論さるべき問題であろうかと思っております。  それから第二点は、不均一課税の問題でございますが、不均一課税のあり方は、ただいま大臣も申されましたように、やはり公益上特別の事由があるということで不均一の課税をする、こういうことに相なろうかと思いますので、そのあり方と申しますか程度と申しますと、ごく特殊のものだけを逆につかまえてそこからだけ徴収をする、こういうようなかっこうになりますと非常に公平の原理に反しようかと思いますが、そういった扱いがどのようなかっこうになりますか、税法の本来の趣旨をはずさないように私どもとしては指導をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  23. 島田安夫

    島田(安)委員 次に、今回提案されております地方自治法の一部改正の問題についてお尋ねしたいのです。  これは前国会において審議されたものでありますが、この内容は、審議未了という現実を踏まえて若干でもお変えになっているのかどうか、前のいわゆる流れました法律案と同じものか、それが一つ。  いま一つ、今回の法の改正は十五次の地方制度調査会の答申に基づいてというようなことのようでございますが、これに関連いたしまして私ちょっと大臣にお伺いしておきたいのですが、地方制度調査会が発足いたしましてからいろいろな内容の答申をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。そこで、私はいつも思うわけでございますけれども、そうした答申の中で都合のいいことだけをつまみ食いをして、答申全体に盛られた趣旨というものが従来全く生かされておらない。第一次の調査会から今日まで、全部は読んでおりませんけれども、おりに触れて拾い読みをしていきますと、確かに国が当然取り上げて対処しなければならないような内容の答申が数多くございます。こうしたものには全然手をつけないで、何か都合のいいときには調査会の答申を受けて、受けたんだからこれをやるんだということでは、どうも調査会本来の制度意味にも反しますし、またそういうことではどうもいかぬじゃないか、こう思いますので、今後調査会の答申等に対して本気でこれを具体化される用意があるのかどうか、簡単でけっこうですから、一言お聞かせいただきたいと思います。
  24. 町村金五

    町村国務大臣 自治省といたしましては、地方制度に関する重要な問題につきましては、特に衆知を集めて構成されております地方制度調査会の御答申をできるだけ尊重するというたてまえで今日まで参ったと私は承知をいたしておりますし、私もまたそういう考えでこの答申には臨んでまいりたい、かように考えておるのでございます。ただ、御承知のように、国会の審議その他の過程におきまして、必ずしも私どもが御提案申し上げたものがそのまま通過できないというような次第等もございまして、何かわれわれが答申をやや軽く見ておるんじゃないかというようにお感じの方もあるいはおありかと思いますけれども基本的には、私どもはできるだけこの御答申は尊重をするというたてまえで今後も進んでまいりたいと存じておるわけであります。
  25. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御質問の前の部分の地方自治法の一部改正でございますが、前国会に提案いたしまして審議未了したものと大綱において変わりがない、ほとんどそのままをまた御提案する予定でございます。ただ、去年から一年時期がずれておりますので、東京都の区長公選に関しての経過措置その他で必要な手直しは若干あるかと考えております。
  26. 島田安夫

    島田(安)委員 ただいまの大臣の答弁ですが、せっかく答申を受けてこれを尊重するけれども、国会その他の状況で必ずしもこれが具体化されておらない、ということでございますけれども、私はそうじゃないと思います。というのは、地方制度調査会の中で一番力を注ぎ意を用いたのは行政事務の再配分、こういうことでございます。ところが、これは何も国会にかかわる問題でなくて、各役所のなわばり争いがこれを阻害しておる、私はこの一点につきると思います。したがって、大臣が本気でやろうとお思いになれば幾らでもできる。国会は良識の府でございます。特に地方行政委員会におきましてはなおさらそうしたことが言えると思うわけでございますが、私は、こうした時代の進展とともに、自治省自体が、あるいは自治大臣自体が、そうしたなわ張り根性を強力な行政力によってやめさせる、そうしてこうしたものが今後どんどん取り上げられていって行政効率化、合理化というものが進展することを大きく期待しておりますので、どうか大臣におきましても今後そうした問題について積極的に取り組んでいただきたい。  次に、公務員行政についてお尋ねしたいと思うわけでございますが、大臣所信表明の中でも、特に公務員秩序の確立と公務の厳正かつ効率的な遂行につとめると述べておられます。もちろん当然でしょう。しかし最近、公務員秩序の確立という面につきましてもいささか問題があると私は思います。  たとえば地方団体等において行なわれるストライキと事後の問題あるいはストライキのよって起こる原因に対する自治省の指導等、これらのものにも欠けておると思いますし、またストライキの処分等につきましても、地方団体等自治省にある意味相談があると思いますけれども、これについても適切な指導をされておらない、こういうふうに思います。  一番当面の問題として心配いたしますのは、御案内の本年の春闘の問題でございます。これは従来と違って、経済情勢を背景として大幅な賃上げ要求がなされており、すでに労働組合の諸君等においてはストライキをするということが決定されておるようでございます。私が申し上げるまでもなく、現行の法律あるいは制度の中では、公務員のストライキにつきましてはきびしくこれを禁じております。将来の問題はさておきまして、現在の法律では禁止されておる。にもかかわらず、これをやっても適切な処分がない、法の適用がない。また、いま申しましたようにそういう大幅な賃上げ、このこと自体——公務員の給与等は地域住民の租税負担において、まあ国、地方公務員を問わず、給与というものは支払われておる、こうした実情等から考えまして、大幅な賃上げ等についてはそれなりに限界もあろうかと思うわけでございますが、今回の予定されておるストライキに対して、大臣のほうで何か事前に具体的な地方公共団体に対する指導等される用意があるのかないのか、不幸にして起きた場合についてはこれにどう対処されるのか、この際お伺いしておきたいと思います。
  27. 町村金五

    町村国務大臣 御指摘のように、公務員は当然争議行為というものは禁止されておることは申し上げるまでもございません。したがって地方公務員が違法な行為、争議に参加をするということ自体が、これはもう禁止をされておることは明らかでございますが、しかし近年こういったことが年々繰り返されるようになったということはまことに遺憾なことでございます。もちろん、今日こういう争議に参加をするというのにはまた、それはそれなりの理由が必ずしもないとは私ども考えませんけれども、しかし、少なくとも地方公務員というものの給与は、御承知のように人事院制度で担保されておるというようなたてまえになっておるわけでございますので、こういったものがあるにかかわらず争議に参加をするということは、法の許さないところであることは申し上げるまでもございません。自治省といたしましては、やはり法秩序を守ってもらうという意味におきまして、地方公共団体に対しましては、できるだけ違法な行為が起こらないように、防止のための措置を講ずるように、私どもも常に指導をいたしておるところでございますし、万一不幸にして違法な行為が発生をした場合には、やはり法の命ずるところに従って公正な措置をとってもらわなければなりませんので、こういった点の指導には今後も十分ひとつ注意をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  28. 島田安夫

    島田(安)委員 時間がありませんのでかけ足で質問いたしますが、これは財政局長、地方公務員の給与と国家公務員の給与の問題ですけれども、最近国家公務員より地方公務員のほうが高い団体がだんだん出てきた。これは職務の類似性等から考えまして大体同一でいいじゃないかというふうに私は理解いたしますけれども、そうした現象にあります。さいぜんも言いましたように、公務員の給与の財源というのは租税負担、住民の租税によってまかなわれておりますことは申し上げるまでもありません。したがって、そうした給与のでこぼこ等について、かりそめにも国家公務員よりうんと高い、こうしたこと等について行政指導なり、あるいは財政的な面から、いま申しましたような地域住民の税の負担において給与財源が充てられるというような点から指導される用意があるのかどうか。また期末手当あるいは勤勉手当等においても、プラスアルファ等で支給されている団体が相当ございます。最近だんだんこれが一つの例になっている。これらにつきましてどのように考えておられるのか、簡単でけっこうです、一言お伺いしたい。
  29. 松浦功

    ○松浦政府委員 給与制度面は行政局長のほうからあとからお答えいたすと思いますが、財政面から考えました場合に、地方財政計画におきます給与費は国家公務員ベース、これで算入をいたしております。したがって、国家公務員ベースを上回った給与を支給をしております団体は、それだけ財政的な圧迫が加わってきて苦しくなるという事態になろうかと思います。そういう意味から、あまり給与の高い団体、国家公務員より非常に差が出ておるような団体については、なるべくこれは自粛をしないと本来の住民のための仕事ができなくなりますよという態度で今後も指導してまいりたいし、これまでも指導してまいったところでございます。  それからプラスアルファの問題につきましては、特別交付税の際に昨年からよけいはっきりさせたわけでございますが、実支給額の九割だけは減額要素として、それだけ財政的に余裕があるものとみなして措置をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。
  30. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 給与に関する指導、行政局のほうでやっておりますが、まさに先生のおっしゃるとおりの趣旨、そのとおりでございます。そこで、国家公務員と比較して非常に高いというようなものに対しては、できるだけそれを国家公務員に近づけるようにという指導は、実は口をすっぱくして毎年毎年やっておるわけでございます。きめ手というものがないので、必ずしもこの指導の効果が十分には発揮しておらぬと思いますが、地方団体財政もやはりことしあたりはたいへん苦しい状態にも向かっておると思います。こういう事態に対して、この指導をさらに強めて、国家公務員の給与ベースに近づけることとさせていただきたいと思います。
  31. 島田安夫

    島田(安)委員 十分指導するということでございますので、この件につきましては終わります。  時間が来てしまいましたが、私は口べたでございますので、まだ質問が半分しかいっておりません。最後のほうでひとつ大臣に適切な答弁等を求めたかったのですけれども、どうも要を得ませんでたいへん失礼したのですが、最後に特に申し上げておきたいと思います。  私は、過密過疎、これは今後の、国の行政地方行政たるを問わず、最大の問題になってくると思います。たとえば、昭和六十年には東京都の水はその需要の半分しかないだろうというようなこともいわれたりしております。また住宅問題等にいたしましても、首都圏における十年後の人口等あるいは生活状況等から推定いたしますと、現在建設省のお考えになっておる四万数千戸建てば、東京都、首都圏の場合ですけれども、どうにか足りるのだというようなことでは追いつかないと思います。私は、そうした過疎過密、この問題については将来とも、地方行政のかなめになります自治省として十分検討されてしかるべきだと考えております。御案内のように人口がどんどん都市に集まる。そこで、過般もいろいろ問題になりました農地の宅地並み課税であるとか、あるいは今回計画されておりますこれに関連したいろいろな法律案等がございます。しかしながら私は、やはり過密を解消する一つの前提として、過疎地域生活環境を整備して、人口が過疎地帯に残るような、さらにいいますと、入ってくるような施策を優先させていきませんことには、あと追い政策のようで、幾ら過密の問題、家がないから何とか建てる、土地がないから、東京都においてはせっかく公営住宅の割り当てをやっておったけれども、一万五千戸も昭和四十七年度においても建てられない、こんなことではどうにもならないわけでございまして、一回時間をかけて過疎過密の問題についてはひとつゆっくり勉強さしていただきたい、このように思っておりますが、特にこうした問題につきましては大臣も経験のあるところでございます。過密の解消は過疎地域の整備が伴ってこなければどうにもならないという点等を配慮していただいて、積極的ににここいらの問題と取り組んでいただきたいことを要望いたしまして私の質問を終わります。たいへん失礼しました。
  32. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 小川省吾君。
  33. 小川省吾

    ○小川(省)委員 理事会で決定をされた時間が午前と午後にわたっておるようでありますが、なるべく本会議前に済ませるというつもりで御質問を申し上げますので御了解をいただきたいと思います。答弁の側もぜひひとつ簡潔な答弁をお願いをいたしておきます。  私どもは、悪性インフレに突入した異常な物価高の中で昭和四十九年度をいま迎えようとしておるわけであります。地方自治体はこのような中で、長い積年にわたるところの超過負担あるいは住民生活関連をする行政需要の拡大の中で、非常に苦しい地方行政運営を行なっていくわけであります。  去る八日に大臣所信表明がございました。各般にわたってその所信が表明されているわけでありますが、その表現を拾ってみると地方自治行政は、「民主主義と地方分権主義を志向する新しい地方自治制度が確立されて以来、やがて三十年を迎えんとする今日、地方自治行政も、次第にその基盤が充実してまいりました。」しかしながら、「異常な物価高騰生活物資需給関係の不均衡が、国民生活に深刻な不安をもたらすに至っているのであります。いまや、わが国では、物価の安定と生活物資の確保をはかることにより、すみやかに国民生活の安定を実現することが内政当面の最大の課題であります。」等々言われておるわけであります。そうして数点にわたって重点施策を申し述べられているわけであります。国民生活の安定、福祉の充実等、毎年言われてきたことであるわけでありますけれども、この異常な事態を迎えようとしている昭和四十九年度でありますし、全国の各地方自治体は、知事としての経験を持たれ、地方自治を担当してきた町村自治大臣に大きな期待を寄せているわけであります。しかも大臣は、その名が示すように自治体の守り手としては打ってつけのにない手であるというふうに思います。あなたは、四十九年の地方行政に臨むところの基本的な、これだけはやっていこうという最重点の方針は何なのか、地方自治体の期待と信頼にこたえるためこれだけは何としてもやります、あるいは守ります、実行しようという目玉は何なのか、ぜひ明らかにこの際していただきたいと思うのであります。
  34. 町村金五

    町村国務大臣 いまのお尋ねの点につきましては、先般の所信表明の中で、大体いまお触れになりましたようなことを私どもも実は特に重点として考えておるわけでございまして、何と申しましても、こういった激しい物価高騰の中におきましては国民生活の安定ということは求めることはできないわけでございますので、やはりそういった角度から、地方行財政におきましても物価の安定をはかり、これによって国民生活の安定を実現するということが、私はやはり地方行政にとりましても最大の課題だ、かように心得ておるわけであります。  ただ、先ほど島田委員にもお答えを申し上げたのでございますけれども、しかしそういう大ワクの中ではございますけれども、何と申しましても地方行政というのは住民生活の安定、福祉に至大の関係のある行政でございますので、そういった大きなワク組みの中にありましてもなお財源の重点的配分といったようなものをはかりまして、こういった点には当面事を欠かないようにしてまいるということに私は全力を注いでまいるべきだ、かように考えておるところであります。
  35. 小川省吾

    ○小川(省)委員 さらに、あなたの所信表明の中で地方財源に触れた項で、「地方財源の確保に配慮を加えつつ、」「経済情勢の推移に応じて地方財政の機動的、弾力的な運用をはかり得るよう措置を講じ、地方財政運営に支障なきを期する所存であります。」と述べておられます。私は、私自身が年来市町村財源充実を叫んでまいったものでございますけれども、いまちまたでは、物価値上げの元凶、根源はいわゆる田中内閣の列島改造論にあるというふうにいわれていますが、地方行政がうまくいかない根源というのは、市町村財源を十分に付与していないところにあるというふうに思っています。そこで、あなたはいま、いろいろ住民生活の安定であるとか福祉だとか言われまして、地方財政運営に支障を来たさない地方財源の充実強化が必要だということを言っておるわけでありますが、あなたの施策の中で、特にこの点に重点を置いていくのだというふうに私は私なりに理解をいたしたわけでありますが、そういう理解でよろしいのかどうか。
  36. 町村金五

    町村国務大臣 申し上げるまでもなく、地方団体におきまする財政需要というものは年とともに増加をいたしておるわけでございます。したがって、地方財源もこれにこたえ得るようなものにしていかなければならぬということは申し上げるまでもございません。そういった角度から、私どもはこのたびの地方財政計画を立てるにあたりましても、先ほど来申し上げておりまするような総需要抑制という、そういうワクの中でありながら、しかしなおかつ地方には緊急の財政需要があるという点から、実は諸般の検討を行ないました結果、あるいは一般財源相当伸びることが考えられるわけでもございますので、私どもはたいへん苦しい中ではございますけれども、本年の地方財政運営にはそれほどの大きな支障が出るというふうには考えていないのでございまして、何とかことしという特別の時期をこの間にひとつ切り抜けることによりまして、明年以降の伸展していく地方行政にこたえ得るような財政状態になるであろう、しなければならぬというように私ども考えておるところでございます。
  37. 小川省吾

    ○小川(省)委員 地方交付税の中で今回千六百八十億を、いわばだましかすめ取られてしまったわけでありますけれども、そのことはまた別途、別の委員が触れることとして、ぜひひとつ市町村に対して十分な財源を与え得るような方向で、自治大臣として対処していっていただきたいということを強く要望をいたしておきます。  次に主として職員問題に関連をして数点にわたってお尋ねをいたしたいと思うのであります。  すべて、法律にしても行政にしてもそうなんでありますが、その基本は私は人だというふうに思っています。職員の信頼をつないで、そしてやっていってこそほんとうに行政が全うされるというふうに思っています。処遇の改善やあるいは士気を充実させることが行政効果をあげる基本であるというふうに理解いたしておるわけでございます。大臣、いかがですか。
  38. 町村金五

    町村国務大臣 申し上げるまでもなく、あらゆるものは人であるということは、まさに小川議員御指摘のとおりに私どもも心得ておるのであります。今後地方行政がその負担しておる大きな役割りを果たしてまいりまする上におきまして、地方自治体にそれぞれすぐれた職員が次第にふえてまいるということは何にも増して重大なことだということは、御指摘のとおり、私も全く同様に考えておる次第であります。
  39. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そこでお尋ねをいたしたいわけでありますが、特に、一般職じゃなく、消防警察職員の処遇の改善の問題についてお伺いをいたしたいと存じます。  労働の質なり密度という点からながめた場合に、一般職にも数等まさるような状態、きびしい労働であるというふうに思っているわけであります。そしてその給与上の処遇というのは、現行の上ではあまりよくない、こういうふうに私は常々感じてきておったところでございます。所信の中に、消防職員について、「これらの施策とあわせて、人づくりの面において、消防職員及び消防団員の資質の向上をはかり、処遇の改善に一そうの努力を傾注してまいる所存」とあります。また警察については、「警察官の資質の向上をはかるため、警察教養を充実、強化するとともに処遇の改善についても格段の努力をしてまいる所存であります。」というふうに述べられているわけであります。この両者の処遇の改善について、「格段の努力」をするとか「一そうの努力」をするというふうに言っておりますけれども、具体的にどのような改善を実施をされようとするのか、してくれるのか、具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。これはできれば、担当の方がおられますでしょうから……。
  40. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 消防職員の処遇の改善につきましては、従来から主として地方交付税措置を通じまして毎年配慮をし、市町村に指導をしてきたわけであります。  昭和四十九年度におきましては、消防職員の処遇改善のための地方交付税措置といたしましては、まず第一に職員の増員の問題でございます。標準団体につきまして、昭和四十八年度、現行消防職員数は七十九名でございますが、これを六名増の八十五名とするというような増員措置を一つとっております。それから二番目が諸手当の増額の問題でございますけれども、これは超過勤務手当あるいは出動手当、出場手当あるいは夜間の特殊業務手当等につきまして、相当額の増額を行なっておるわけでございます。それから三番目は勤務環境の改善のために、勤務環境整備費を相当額増額をいたしました。こうした勤務環境の改善措置を講じておるというのが、現在の交付税措置を通じましての処遇改善策でございます。
  41. 国島文彦

    ○国島政府委員 警察職員の給与でございますが、御承知のように、一般行政職よりは約三号半の格上げの格づけをしてもらっておりますが、その後も人事院等にお願いいたしまして、四十九年度からは初任給の引き上げ、約八千三百円の引き上げをしていただきました。また、いま消防のほうからもお話がありましたように、各種の警察官の特殊勤務手当につきましてもそれぞれ額を引き上げていただきまして、それから特に警察官は夜間の宿直手当の引き上げ等をしていただきまして、そういう総合的に処遇の改善をお願いしている次第でございます。
  42. 小川省吾

    ○小川(省)委員 諸手当の増額とか、いろいろやっておられるようでたいへんけっこうでありますけれども大臣所信表明の中の格段の措置であるとか一そうの改善であるとかというのに値をするかどうか疑わしいようなことでありますので、さらに一そうの努力をしていただくことを強く要望をいたしておきたいと思います。  次に、警察官の教養、わけても青年警察官に対する施策について国島官房長にお伺いをいたしたいのでありますが、現在いずれの社会でも同じように、青年に対する施策が非常にむずかしいというふうにいわれています。ましてや、いわゆる学生と同じような世代の青年警察官でありますから、それだけにいろいろなむずかしい面があろうかと思いますが、さらに責務の重要性というふうな点から考えて、特に青年警察官に対する教養なりあるいは余暇の活用指導なり施設の充実なり、そういう必要が当然要求をされるところであろうと思います。もちろんそれなりの指導や施策措置等をとっておられると思うのでありますが、十分じゃないというふうに思われるわけであります。独身寮の充実であるとか、あるいはコミュニケーションでありますとかレクリエーションの施設等、県内でも一カ所程度はあるようでありますけれども、こういうものを県内に何カ所かつくって、青年警察官がフラストレーションにおちいることのないようにやはり充実をしていくべきであろうというふうに思っています。現状と、特に将来に向けての施策の方針についてお伺いをいたしたいと存じます。
  43. 国島文彦

    ○国島政府委員 青年警察官——一応二十五歳を基準にして青年警察官という考え方でやっておりますが、警察官の約四分の一を占める現状で、警察仕事の柱になってもらっておるわけであります。この教育につきましては、ただいまお話がありましたように、特に警察教養として力を注いでおりまして、まず一年間、警察学校へ入れて、全寮制度で、ここで実務的な、また人間修養、人間修行というような面からも教育を行ない、第一線の警察署に出ましてからも、先輩の優秀な者を指導巡査につけまして、約一年間実務上の指導もし、かついろいろ個人生活、身上相談等もそういう親身の先輩を通じて行なうようにしており、その一年間たった限度でまたさらに二カ月間再教養ということで警察学校で教育して、そして一応一人前の仕事をするようにして現場へ出す、仕事をさせる、こういう状況でございます。  ただ、独身の警察官の特に身上の指導ということにつきましては、いまもお話がありましたように非常にむずかしいものでありまして、警察としては、特に若い者でありますので、体育の奨励、従来は柔道、剣道ばかりでありましたが、その後ラグビー、サッカー、ボート、いろいろその県の実情に応じまして若者にふさわしい体育を奨励し、相当成果をあげております。また各種のグループ活動、レクリエーションのグループ指導、そういう面につきましても、それぞれ指導者と申しますか、レクリーダー等も養成して、その発達というか、レクリエーションの充実という面に心がけておるわけでございます。  ただいまお話がありましたように、青年警察官のセンター的ないこいの場所、あるいはいろいろ趣味の場所をつくるということをやっておる県警もございますけれども、お話しのように全県下にというわけにはいかないような実情であることは間違いございません。将来はそういう面につきましても、それぞれの県の実情、特にやはり、私どもは、青年警察官には健全な、興味の持てるスポーツを、それぞれに適した各種のスポーツを与えていくということが大事だと考えまして、そういう施設、運動的な、レクリエーションのできる施設を見つけ、あるいはそれを確保していく、こういう面について今後大いに努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 小川省吾

    ○小川(省)委員 私どもは、出先の警察の署長等が、あるいはボウリングをやったり、若い警察官と話し合いをしながら非常に気をつかっておられることを承知をしておるわけであります。しかし、そういう中でも、若い青年警察官は、いまの四十五以上ぐらいの警察の幹部がなくならなければ警察はだめなんだ、民主化されないんだというふうなことを言っていることをよく聞くのであります。そういう点で十分に意を用いて、特に青年警察官の教養なり指導なりについては配慮をしてほしいということをぜひお願いをいたしておきたいと思います。  続いて一般職員についてなんでありますが、地方財政計画の職員数は百九十七万九千余人となっております。実情の人員と大きな格差があるのじゃないかというふうに思うわけでありますが、一方では国家公務員に準じて定数、定員合理化ということで削減をしているわけです。現実無視もはなはだしいと思うわけであります。規模是正人員として二万四千人を組んではおりますけれども、実質的に契約上の人員と実際に要るところの人員との差はどのくらいあって、今後どのようにこれを是正していかれようとするのか、お示しをいただきたいのであります。  あわせて、石油二法なりあるいは投機取締法等の関係で、地方にその権限を委任しているわけであります。地方でも物価対策取り締まり本部であるとかあるいは物価監視員であるとか、いろいろやっておるわけでありますが、ついこの間の自治省の発表を見ても、六千何人かがその取り締まりに当たっておるけれども、専従は六百何人しかいない、こういうふうなことがいわれておるわけであります。私は、こういう際にこそ規模是正人員なりあるいは定員合理化の少なくとも半数ぐらいは見込んで、このような状態の中で物価の引き下げあるいは暴利の取り締まり、こういう点に当たるべきではなかったかと考えますけれども、この点について自治省考え方をお伺いをしたいと思います。
  45. 松浦功

    ○松浦政府委員 財政計画に盛り込みまする職員の数につきましては、先生御案内のように、五年ごとに実施をされております給与の実態調査、これは指定統計でございますが、それに基づきまして、その結果が出ましたものを前提にいたしまして、その乖離について必要な部分を規模是正をする、こういう形をとってまいってきております。現在の地方財政計画に計上されておりまする職員数は、四十三年の実態調査によりまして四十五年に是正されたところでございます。四十八年度に実態調査をやっております。この結果がことしの秋に出てまいると思いますので、それに基づいて明年度この乖離については検討いたしまして、是正すべきものは是正するという方針でおります。現在のところではそういう事情でございますので、どの程度乖離しているか、正確な数字を指定統計に基づいて申し上げることは遺憾ながらできないわけでございますが、四十七年度に職員の実態調査を、指定統計ではございませんが、行なっております。それから演繹をいたしまして推計をいたしますと、約十四万八千人程度一般職員で乖離しているのではないかというふうに私どもとしては推計をいたしております。  緊急二法等の職員について、財政計画に見込んで、そういうときこそきちんと入れたらどうだという御質問でございました。御承知のように、二法の実施義務は私どもは国の責任と考えておりますので、全額国に、委託費として職員の給与についても見ていただくつもりでございます。地方財政計画とは切り離して考えていただきたいと存じます。なお本年度におきましては、人件費を含めまして八億程度地方公共団体に二月、三月分として配付されておる、そういうふうに御了承いただきたいと思います。
  46. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ぜひひとつその点は十分な財源付与をして、地方自治体が真剣に取り組んでおられる点についての財源的な裏づけをお願いいたしたいと思います。  それから、十四万八千程度の乖離が、推計だけれどもあるということでありますから、こういう点をぜひひとつ是正するような努力を続けていただきたいと思うのであります。  特に、職員の増減のところで、補助から国庫負担への振りかえとして学校栄養職員四千五百七十七人が載っているわけであります。文部省に来ていただいておりますから、具体的には文部省のほうに伺いたいと思いますが、このことについて自治省は文部省とどのような協議をして、どのようなことで話がまとまったのか、まず自治省にお伺いをいたしたいと思います。
  47. 松浦功

    ○松浦政府委員 この点につきましては、文部省のほうから国の予算との関係で連絡を受けております。最終的には国の措置との関連においてこれを振りかえるということにいたしたわけでございます。
  48. 小川省吾

    ○小川(省)委員 十分な連絡を受けたということですね。  それじゃ文部省のほうに伺うわけでありますが、四十八年十二月の文部省体育局学校給食課の「学校栄養職員配置計画について」というのが出されていますね。戦後、学校給食の果たしてきた役割りについては高く評価をすることにやぶさかではありません。しかしながら教育というのは、しろうとである私が申し上げるまでもなく、学校に関するすべての職員、さらには父母なり社会等のすべての協力によって教育というのは全うされていくものだというふうに思っています。学校には学校栄養士や、給食の面で言うならば給食調理員がおり、さらに学校用務員であるとかいろいろおるわけであります。校長なり教諭なり助教諭だけじゃないわけですね。いま栄養士だけを抜き出して、県費負担職員として国庫負担の対象にしようとするのはどうも当を得ていないというふうに思うわけであります。教諭や助教諭以外の学校職員に対して、さらに新しい差別と分断をつくっていくのではないかということで非常に理解に苦しむところなんでおりますけれども、この目的のところに「義務教育の水準を維持向上するため必要な職員として明確に位置づけること」とあるのですが、実際に給食をつくるのは調理員ですね。何ゆえに栄養士だけが教育水準の維持向上に必要な職員なのか。現在四千五百七十七人という数字があがっていますが、給食実施校の学校に対して学校栄養士がどの程度に配置されているのか、体育局長にお伺いをいたしたいと思うのであります。
  49. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 今回、学校栄養職員に関しまして制度的な改善をはかりたいということでございます。従来、学校給食を実施いたします場合に、できる限り学校栄養職員を置いてもらうといいますか、市町村が置くことを促進する意味で国が補助金を計上してまいりました。そして本年度で八年間補助金を計上いたしまして、最初は三百人でございましたが、ことし約四千人の補助金を計上いたしまして、市町村がそれを促進してまいったわけでございます。この八年間の実績、経験によりますと、学校栄養職員の配置が市町村によりまして非常にまちまちである。それから給与につきましても非常にまちまちでございまして、本来栄養士に適用されるべき給与よりも低く押えられている傾向が強いという実態が出てまいっております。そこで、公立義務教育諸学校の教職員の定数標準値、これを来年度から第四次五カ年計画で改善をすることになりました。この第四次五カ年計画の策定にあたりまして、学校栄養職員をそういう標準定数法に組み入れまして、かつ県費負担、国庫負担の対象とする職員とするという改善措置をはかりたいということでございます。学校栄養職員は学校給食に関します栄養の専門的な事項をつかさどるきわめて専門的な職員でございます。それらの見地から一般の教職員と同じような制度に切りかえていきたい、こういう趣旨でございます。  調理従事員につきましては、学校給食を実施するにつきまして当然必要な職員でございますが、ただ、県費負担にするということは都道府県の教育委員会が任命権を持つということでございまして、都道府県の教育委員会が任命権を持つということは全県的な視野から任命権を行使するということでございますが、調理従事員はそもそもそういうことになじまないと思いますし、給食を実施するからには当然必要な職員といたしましてその配置基準を文部省で示しております。さらに自治省のほうで、配置基準に照らしまして交付税に負担を指定してあるわけでございます。なお、調理従事員の資質の向上等につきましては、昨年度から文部省主催の研修会あるいは日本学校給食会に補助金を出しまして、調理コンクールその他を行ないまして資質の向上等をはかっておる次第でございます。
  50. 小川省吾

    ○小川(省)委員 これはたいへん複雑ないろいろな問題を含んでいるわけですよ。現在やはりやるべきことは、給食実施校のすべてにまず配置をすることが私は先決ではないかというふうに思っています。それから、給与水準の向上をはかると言っていますけれども、現在大体ちょっと大きな市は、府県の給与水準を上回っていることが多いわけですよ。そういうことで、任命権が府県の教育委員会に移るということになって県費負担職員になっても、当然待遇が改善されるというふうには、町村は別として、市等の栄養士については私はそうなるとは思っていないのです。そういうふうな実態がありますし、さらには共済についても、従来学校共済であったものが市町村共済に切りかえたところが多いわけですね。それがさらにはまた学校共済に戻るというふうな複雑な問題もあるわけでありまして、しかも栄養士協議会という一部の代表の、しかもその中の幹部だけの意見を聞いてこのようなものが出てきたというふうに思っていますが、学校給食法の義務法化のほうが私は先決ではないかというふうに思っているのです。これを考えるについて、いわゆるこれを法律案として出していこうというふうに文部省が考えるについて、給食調理員の配置基準の改善、いまなじまぬとかなんとかおっしゃいましたけれども、あるいは学校用務員の職務の明確化というふうな長い懸案があるわけでありますが、なぜそういうものをやった上で考えなかったのか。教育を担当する文部省という役所がこういうふうな差別を新しく取り入れてくることは、教育の世界にいろいろな意味での混乱を起こすだけの何ものでもないというふうに私どもは思っているわけであります。そういう点で、現在いるすべての教職員はこの対象にしようというわけですから……。先ほど給食実施校に対してどの程度のパーセンテージで栄養士がいるのかどうか、お答えがありませんでしたけれども、重ねてお伺いをいたします。
  51. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 今度の標準定数法に組み入れることになっておりますのは、完全給食を実施いたしましております小中学校の児童生徒二千五百人につき一人、それから共同調理場につきましては、従来の補助金は一人でございましたが、今回は五千一人以上につきましては二人、そういう標準を考えておるわけでございます。この種の教職員の定数問題は、御指摘のようにできる限り各学校に置かれることが望ましいわけでございます。いろいろな財政的な見地その他から逐次改善をはかってきたわけでございまして、当初三百人の補助金、来年は国庫負担を約四千六百人ということで、逐次改善をはかってまいりたい、そう考えております。  それから、新しく差別を持ち込むではないかという御指摘でございますが、学校栄養職員は、栄養士法によります栄養士の資格を有し、かつ、学校給食の栄養に関する専門的な事項をつかさどりますきわめて専門的な職員でございます。そういう専門的な職員につきまして教職員と同じような制度に改善をいたしていきたい、こういうことでございまして、用務員の方々、調理従事員の方々も同じく学校に勤務されるわけでございますが、そういう専門的な職員とそれから用務員の方々、調理従事員の方々につきましての法律制度上の扱いというものにつきましては、やはりおのずから差異があるものと考えております。
  52. 小川省吾

    ○小川(省)委員 おのずから差異があるとかなんとかいっても、実際に学校教育は、給食にしてもそういう調理員の努力や、学校用務員というものがあって義務教育が全くされているわけでありますから、そういうような差別をあなたのほうがいろんなことを考えるにあたってつけられることが大体おかしいのですよ。そういう意味では、当然調理員の配置基準であるとか用務員の職務を明確化をするというふうな上でこういうものが出てくるのならある程度話はわかるけれども、こういうことではどうも学校全体についての教育の円滑な運営が実施ができないのではないかというふうに心配をしているからお尋ねをいたしているわけなんで、そういう点で、そういう調理員やあるいはまた用務員等の職務の明確化、配置基準の改善等を行なっていく意思があるのかどうか、あるいはまた、そういう点では十分な現場におけるコンセンサスが得られていない状態でありますから、そういう点も十分に練り合わせて考えていただけるのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  53. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 調理従事員の配置基準につきましては体育局長通達を出しておりまして、現在の調理従事員の方々の配置状況は、全国的平均では文部省の基準にまで大体配置されておるわけであります。ただ、これは一学級の編制が多い時代の配置基準でございましたので、大体現状は配置基準にほとんど配置されるようになってまいりましたが、一学級編制の生徒数が少なくなりましたというようなこともございますので、この配置基準の改善につきましての再検討という課題はございますが、そういうことでございます。
  54. 小川省吾

    ○小川(省)委員 司書については体育局の所管ではありませんね。——それではぜひひとついま私が言ったようなことを、法案として出すまでには十分に検討をしてやっていただくことを強く要請しておきますが、やってくれますか、やってくれませんか、検討しますか、一言だけでけっこうです。
  55. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 御趣旨のようなことは私どももいろいろ考えまして、いろいろ検討いたしておるわけでございます。ただ、差別を持ち込むという点につきましては、私どもはやはりちょっと見解の相違があるものと思っておりますが、御指摘の件につきましては十分に検討させていただきたいと思います。
  56. 小川省吾

    ○小川(省)委員 出すまでには十分検討してください。  次に、忙しい時間をさいて人事院の総裁に来ていただいておりますので、期末手当の支給の特例措置についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  十二月六日、人事院は昭和四十八年度における期末手当の支給の特例措置についての意見書を出されました。十二月十一日の閣議でこれを受けて、昭和四十八年度における期末手当の割合等の特例に関する法律案を決定して国会に提出され、十二月十七日に法律が公布をされたわけですね。私はたまたまそのときに休暇をいただいて外国へ行っておりましたので、詳細な論議がよくわかりません。あるいはまた重複をしているのかもわかりませんけれども、まず人事院にお尋ねをいたします。  意見書には、「人事院は、四十八年度に限り、昭和四十九年三月に支給する期末手当のうち〇・三月分を昭和四十八年十二月に繰り上げて支給することが適当であると認めるので、」という文言を使用しているわけであります。「適当であると認めるので、」という文言を使った論拠がどこにあったのか。当時は年末の段階でありますからいろいろ錯綜をしておったでしょうけれども、現在ではしっかりとした意思が統一をされておりますので、必要と認めるという論拠について明らかに示していただきたいと思うのであります。
  57. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 小川委員御出張中だったというお話でございますけれども、実は地方行政委員会では御説明をする機会がありませんでしたので、ちょうどいい機会をお与えいただいたというつもりで一応御説明をさせていただきたいと思います。  おっしゃるとおりの意見書の提出をいたしました。これは十分に御推測いただけますとおりに、昨年の年末にかけまして、民間等におきましてはいわゆる物価関係、あるいはインフレ手当という名前を掲げておったところもございますが、そういう要望が広く巻き起こってきておった。公務員の側におきましても、そういうような何らかの措置を必要とするという要望がございました。私どもとしては、周辺の物価事情その他も種々勘案しながら注視を続け、検討を続けてまいったわけでございますけれども、結論としては、やはり年末にあたって年越しの足しに何らかの措置をすることが適当であろう。この適当であろうというのは、そういう意味で適当であろうという趣旨に御理解をいただきたいと思います。  それからもう一つ、ちょっと先のほうを申し上げておかないといけませんけれども、適当であろう、ついては、三月の末に支払われるはずの〇・五カ月分というのがございます。そこで、年越しに際して、その三月末の分のうち〇・三月分だけを繰り上げて支給するという措置をとっていただければ当面の御要請には応じ得るということから、繰り上げて支給をするというたてまえをとったわけでございます。  衆議院の内閣委員会等においていろいろ御質疑を承りましたけれども、たいへん先回りしたようなことになるかもしれませんけれども、なぜ実額を、年額の総額をこの際プラスしないのだというような趣旨、あるいはその穴埋めはどうするつもりかというような御指摘もございました。これはわれわれ御質疑のあることは予想しておったところでございますけれども、私ども立場としてはいま申しましたような、あくまでも支給期日の繰り上げ——民間の会社などで一体三月末にそういう特別給を支給しているところはあるかと申しますと、実はほとんどないのでございます。実はこれは私が総裁になってから三月末というのを初めてやったようなことで、責任者ではございますけれども、客観的には、三月末というのはほとんど民間にはないということもあって、これを繰り上げるということが一番賢明な方法であろうということにしたのでございますけれども、その穴埋め等の問題につきましては、これはわれわれとして従来鉄則としております、厳格なる、また精密なる民間調査の結果に基づいて、これは昭和四十九年度の勧告において措置すべき事柄であるという立場は堅持しておりますということを申し上げて通していただいたという、簡単に申し上げますとそういういきさつでございます。
  58. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いろいろおっしゃいましたが、適当と認める中に、周辺の物価状況なりあるいは民間のいわゆる年末における手当、いわゆるインフレ手当とか物価手当とかいわれたような、そういう手当の支給状況等を勘案をして適当であるというふうに、年越しの足しにするのに必要だというふうに認めたんだということで三月の手当を繰り上げたんだということでございますが、人事院が従来やっておる特別手当の比較というのは、年間に支給をすべき特別手当と民間とを比べているわけでありますから、三月度に支給をするところが少ないとか多いとか、こういうことは関係ないので、いわゆる年間における特別給の支給の総額との比較で従来もやられてきたわけであります。特例措置というのは、確かに三月に〇・五カ月支給すべきもののうちの〇・三を繰り上げたという特例もありますけれども、いま言われた必要と認めた論拠の中にありますように、物価も上がっているし、民間でもインフレ手当なり物価手当を出すというふうなことで、繰り上げて支給するのが、特例だということもありますけれども、少なくとも年間四・八カ月、期末手当でいうならば三・六カ月あるうちの、年末に二・三出すところの期末手当を〇・三プラスをして二・六支給をしたということになるわけですから、年間三・六カ月あるうちのたまたま特例としては三月のを繰り上げたというけれども、全体の特別手当のうちに若干加味をする必要があるということをやはり認めたことも一つの特例ではないか。またあるいは、そういう事情で年末において年越しに必要だろうということで加味をしたのは、そのような物価事情等を勘案をして必要と認められたんだというふうに考えますが、その点はいかがですか。
  59. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 たいへん舌足らずで……。先ほどちょっと触れましたのでございますけれども、要するに、昨年末の措置は、年間における支給期日の変更といいますか、いわゆる年間における期日別の配分の変更ということにとどまるわけでございまして、年間における総額をふやすとかどうというような問題とは全然別の問題であるということが前提になっておるわけでございます。したがいまして、当然そのことから穴埋めというふうな問題は起こってこない。年間における支給総額は、現在の制度では年間においては四・八カ月分差し上げるというのが法律にきまっております。これは御承知のとおりに、毎年四月にきわめて精密な民間調査をやりまして、七千ばかりの事業所に個別に当たった上で、昨年の特別給はどのくらいお出しになりましたかということを洗いざらい拾ってきて、その結果と現在の公務員の期末、勤勉の額とを突き合わせて、民間にこれだけおくれておる、したがってこれだけぜひ実額をふやしていただきたいという勧告で、四月にさかのぼって実施のことを勧告申し上げておるというのが従来のたてまえでございまして、やはり私どもは、公務員のためということをしょっちゅう考えてはおりますけれども、民間の納税大衆の税金によってわれわれまかなわれておるという立場から申しますと、やはり納税大衆の御納得を得るようなデータをそろえなければとてもこれはなかなか仕事ができないという、基本が私企業の場合と違うものですから、一年おくれ、一年おくれといういろいろ御批判はいままでございましたけれども、そういう手がたい方法でやるのが一番正しいであろうという趣旨でまいっておりますし、今回もそのつもりでおりますということを衆参両院の内閣委員会では御説明申し上げてきたわけでございます。
  60. 小川省吾

    ○小川(省)委員 少なくともあの当時、あそこの段階で繰り上げ支給が必要だと認めたという段階では、物価なりあるいは生計費なりは、あの当時よりも値上がりをしている状況にあるわけですね。あのときに必要だと認めて繰り上げ支給をしたというのは、民間ではインフレ手当とか年末に対する年越し手当、物価手当的な要素のものは、少なくとも年間に支給をする特別給にプラスをして支給をされるものですよ。だから、少なくとも年間におけるところの特別手当の比較をする公務員の特別手当とするならば、そういう要素が加味をされていないというふうに考えること自体が私はおかしいと思うのです。そういうことを考えるならば、少なくとも現在時点で、いわゆる法定支給の三月十五日ですか、少なくともその前一カ月の現時点において人事院は何らかの意見を、あの当時に意見を出したんだから、意見を申し出るべき時期に来ているんだと思うのだけれども意見を申し出る意思はないのかあるのか、その点についてお伺いをします。
  61. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どものたてまえは、いま申しましたように、やはり従来とっておりました精密なる官民比較のもとにおいて来年度また処すべき事柄である。それによってふやすべきだということがはっきりすれば、これは増額をお願いして、四月にさかのぼって支給していくというたてまえであることは、これは基本的にはそう思っております。しかし現実、いろいろ物価情勢その他動いておりますので、われわれもやはりそれに目をつぶって、無関心でおるわけにはいきませんから、もちろんそれらの諸般の情勢の変動は常に注視を続けておる。それからまた、この種の問題については職員団体の方々からもちらちらと御要望が出ておりますし、これからまたずっとそういう向きとお会いして御意見ども伺ってまいりたいというのが現在の率直な態勢であるわけです。
  62. 小川省吾

    ○小川(省)委員 これは、あの当時繰り上げ支給したという発想の中には、少なくともその意見書を提出をするというところに立ち至った中には、当然インフレ手当あるいは物価手当的な要素があったわけですから、そういう点を十分に勘案をして、あなたが第三者機関という立場にあるならば、何らかの意見の申し出をすべき時期に到達をしていると思うので、ぜひひとつそういう点で配慮をし、考慮をし、考えていっていただきたいと思うのです。  ちょっと時間が忙しいようですから、総理府の答弁だけ聞いて、お立ちになってください。  総理府の皆川局長においでいただいておりますので私は伺いたいのですが、人事院はああいうことですね。ところが、昨年の暮れの総評だかあるいは公務員共闘だかの話し合いの中で、総務長官は、三月の年度末手当にはどうするんだというふうなことの中で、そのときに闘争をやればそのとき考えますよ。闘争をやればと、闘争をすすめるようなことは言わなかったようでありますが、そのときに騒げばその時点で考えますというふうなことを、非公式だろうと思いますが述べられているようでありますが、総理府としては、そのような措置を十二月段階でとって、三月を迎えているいま、その特別給の問題についてどのように考えておるのか、総理府の見解を示していただきたいと思うのであります。
  63. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 公務員の給与につきましては、政府としてはかねてから中立的な第三者機関であります人事院の専門的な調査、研究というものに基づきました判断というものを基礎にして措置をする、こういうたてまえをとっておるわけでございます。で、いまお話のございました年度末手当をどうするかという問題につきましても、一貫してそのような考えをとってきたわけでございます。したがいまして、いまお話がありました、非公式かどうかというようなお話がございましたけれども、そのようなことは私たちもちょっとあり得ないことだろうと思いますし、また私たちが同席をしておりました際には少なくともそういう話は出ておりません。総理府としましては、この問題についてはやはり人事院の意見というものに基づいて措置をしてまいりたいという考えでございます。
  64. 小川省吾

    ○小川(省)委員 このような異常な物価高の中で、これは全国民でありますけれども、あるいは国家公務員の番人として、あるいは公務員全体の第三者機関としての人事院も、去年の特別措置がいわゆる全体の特別給に対する特別措置であるという考え方も、意識の中にはなかったといえばうそになると私は思うのでありますが、そういう点を考えて、ぜひひとつこの際、一カ月ばかりあるわけでありますから、検討をしていただきたいと思います。どうも総裁、御苦労さまでした。  そこで自治省に伺いたいわけでありますが、全国の地方公務員もこの国家公務員の措置にならって、条例で特別措置を設けて年末に〇・三を支給したわけであります。全国の地方公務員の責任をになっている自治省としては、やはり現在までの段階で大臣は閣議の中でそういう点も反映をしていくべきだろう。全国の公務員は、いろいろ特別措置として〇・三を繰り上げたというけれども、あれはやはり物価手当でありインフレ手当であり、三月度では何らかの考え方を示すんだろう、何らかの措置がとられるだろうということを考えていない人は一人もいないわけですよ。これは完全に一致して全地方公務員がいるわけでありますから、そういう意味では、大臣はそういう情勢を察知をするならば、少なくとも閣議の段階にあってもこの問題についての発議をし、意見を申し出なければならない義務と責任があろうかというふうに私は思っているわけであります。当然特別措置というのは、全体に対する、あの事態での異常な物価高に対する特例のいわゆるプラスをした措置であったというふうに考える要素があるわけでありますから、二百万地方公務員の総元締めとしての大臣が、閣議の中でそのような意見なり発議をしてくれるかどうか、その点についてお伺いをいたしておきます。
  65. 町村金五

    町村国務大臣 たてまえ論としては、申し上げるまでもなく、地方公務員の給与は国家公務員の給与に準ずる措置をするというたてまえはくずすわけにはまいらないのでございますが、ただいま小川議員の言われますこと、私もよく理解ができますので、その点は私なりにひとつこの問題に取り組んでまいりたい、かように存じております。
  66. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そういう立場でぜひ閣議の中でも意見を述べていただきたいと思うのです。これが具体的に措置をされなければ、地方公務員の春闘もこれは激しいものになっていくだろうと私は思いますし、そういうことは必ずしも地方行政にとってプラスであるとも思っていませんので、ぜひひとつ大臣が強く意見を述べていっていただきたいと思うわけであります。  最後に、私は非常に古くて新しい問題、政府の意思が統一をされていながら具体的に進展を見ていない、いわゆる国費職員の身分移管の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  この地方事務官の問題は、二十三年の八月自治法の施行時の暫定措置として行なわれて、警察や保健所等については逐次解決をされたにもかかわらず、依然として残っている問題であるわけですね。歴代の総理や行管長官や自治大臣がその考え方を明らかにしてきた問題です。私は、昨年の四月十七日の本会議でこの問題に関連をして田中総理並びに当時の江崎自治大臣にもお尋ねをいたしたわけでありますが、すみやかに積極的に解決をはかっていくという答弁であったわけです。その後の各委員会の、あるいは参議院の質疑を通じても、政府昭和四十九年度中に解決をするという方向であったわけです。しかし大臣の去る八日の所信表明の中では、これについて触れていますが、「長年の懸案となっております地方事務官制度につきましては、現在関係省庁との間で鋭意協議を進めている段階でありますが、この協議が早期にととのうよう努力をしてまいりたいと考えております。」というふうに言われておるわけですね。総理が本会議でこういう答弁をされて、それを受けて閣僚会議がなぜこのようにもたもたをしているのか、私はわからないのです。当然事務ベースでも話し合いをされていると思うけれども、話し合いの状況はどうなっているのか。隘路というか、早期にととのって法案として出てくるまでに間に合いそうもないというふうな話を漏れ聞いているわけでありますが、協議が早期にととのわないところのネックはどこにあるのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
  67. 町村金五

    町村国務大臣 この問題についての私ども自治省考え方というものは、さきに前大臣が小川議員にお答えを申し上げたときと何ら変わっておるわけではございません。この問題がたいへんに長引いておりますゆえんのものは、結局関係省庁の間で、こういった地方事務官の身分移管に伴いまして、国の事務に対して指揮監督が十分にできないおそれがある、こういうことがやはり主たる理由でございまして、最終的な結論をまだ得ることができないという現状にあるわけでございますが、しかし自治省といたしましてはできるだけ関係省と協議を進めまして、早い機会に本制度が廃止できるように努力をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  68. 小川省吾

    ○小川(省)委員 まあそういうことでしょうが、詳細な追及は別に譲るとしましても、いろいろな問題があるわけですよ。国会で、本会議で総理大臣が答弁するということは、私は当然そういう方向に沿って各閣僚が努力をしているというふうに理解するわけです。総理が解決するんだと言うならば、当然そういう方向で努力がされてしかるべきではないかというふうに思うのです。本来、社会保険なり国民年金なり職安なりの職員は地公法に規定をされているから地方公務員ですね。それが附則八条で暫定的に地方事務官という形で官吏になっているわけですね。これを本来の姿に戻すのだということがいわゆる地方事務官の問題ですね。大臣、そうですね。——そこで、実は十二月二十日の日に社会労働委員会で齋藤厚生大臣がわが党の田口一男議員の質問に答弁をされて、次のように答えているんです。「しかし、また一面考えてみますと、厚生年金なり健康保険なりの仕事というものは地方自治になじむかという事務の性質、責任ということからいうと、これは地方自治に、私ははっきり申し上げますが、なじまないものであります。」と言っておるわけであります。現在でも、当然生活保護なり国民健康保険は地方自治体でやっているわけなんですが、さらに、「私も先般お答え申し上げましたように、もうそろそろ、決着をつけなければならぬということで、先般も行管長官あるいは自治大臣、それから私、それから労働大臣相談をしたのでございますが、あちら立てればこちら立たずということで、非常にこれはむずかしい問題でございます。熱意は持っております。何とか決着をつけたい。しかし、その決着をつけるということは地方公務員に落とす、移すということを私は端的に申し上げておるわけではありません。」という答弁をしているわけです。私はこの答弁は非常に重要だと思うのですね。大臣、ちょっと聞いてくださいよ。これは昨年の衆議院の本会議あるいは地方行政委員会予算委員会、あるいはまた参議院の地方行政委員会あるいは本会議で、総理や江崎前自治大臣が答弁をしたことと完全に食い違っているわけです。すなわち、四十九年中に廃止をする——廃止をするというのは地方公務員にすることであり、各省庁問題はあろうが、そういうことで合意を得るように努力をしていきます、努力をしますという答弁をしているわけですよね、大臣。そういうことをずっといままで自治大臣、総理は衆参あるいは各種委員会で算をしてきたけれども——そうですね。ところが先ほど申し上げたような齋藤厚生大臣の答弁なんですよ。田中内閣の関係閣僚が、総理や特に主管である自治大臣がすみやかに解決をすると言っているのに、昨年の暮れあたりに厚生大臣がこんなことを言っているわけですよね。言わせているということはとんでもない話だと思うのです。これは総理の意に沿っていない、まさに閣内の不統一だというように私は思うのです。この答弁は明らかに総理の本会議の答弁に沿っていないというふうに思うのですが、大臣、お認めになりますか。
  69. 町村金五

    町村国務大臣 これは私、厚生大臣の御答弁の席におりませんのでよくわかりませんけれども、確かに厚生大臣はそういう御答弁をなさったのだと思います。
  70. 小川省吾

    ○小川(省)委員 それは明らかに間違いですね。誤りですね。
  71. 町村金五

    町村国務大臣 これは、私どもはいまの厚生大臣のお考えとは、こういった厚生行政に関する問題につきましてもいまの点は所見を異にしておるわけでございます。ただ、何と申しましても、厚生省がそういう態度をいまなお持っておりまするところに、実は最終の結論がなお出るに至っていないという事情であることは、ひとつその点で御承知をいただきたいのであります。
  72. 小川省吾

    ○小川(省)委員 意見を異にすると言うけれども、少なくとも田中総理が総理が答弁をしたことと異  にしているわけですね。そういうことは、私は関係閣僚として許すべからざることだというふうに思っているわけであります。  そこで大臣、何といっても自治法に関しては自治大臣が主管の大臣なんですよね。すみやかに行管や厚生、労働、運輸、関係大臣が、歴史的な経過を経てきたわけですから、そういうものを踏まえて、まず正しく意思統一をすることがいまこそ必要だというふうに私は思うのです。そして自治省がやはり主体的に努力をして法案にまとめ上げて法案を出していく。そうなれば、いろいろなことを言っておってもついてくるわけです。私は、自治省の主体的な努力が少し足りないのではないかというふうに実は思っているわけです。そういう点で自治省は腹をきめていないから、いろいろお伺いをたてて、こんなふうでいかがでございましょうかなんというふうな態度でいるから、やはりのうのうとこんな答弁が出てくるのだというふうに思うのです。これは臨時行政調査会の答申であるとかあるいは地方制度調査会の答申でありますとか、あるいは行政監理委員会の勧告であるとか本会議の答弁であるとか、歴史的な、歴代内閣が一致をして、明確に一致をして言ってきたことに背馳するのもはなはだしいわけであります。それで大臣政府の統一をした見解ではないというふうに、意見を異にするというふうにお認めになっているわけでありますから、主管である自治省が主体的な努力でぜひ法律案としてまとめ上げていっていただきたいというふうに要請をするわけであります。私どもは自治法なんか出さないでもらいたいと思うのですが、自治法改正案を出してくる段階までには、自治省が主体的な努力でまとめ上げていくような腹を持っていただけるかどうか。少なくとも附則八条の廃止については、身分移管の問題については結論を得るように努力をしていっていただける腹をお持ちであるかどうか、最後にお伺いいたしたいと思います。
  73. 町村金五

    町村国務大臣 この問題については、ひとつ早急に結論が得られるように、できるだけの努力はいたしてまいりたいと考えております。
  74. 小川省吾

    ○小川(省)委員 安心をいたしました。ぜひ、自治省が腹をきめなければだめなんです。やはり主体的にすれば、相手はいろいろあってもついてくる、という表現はおかしいけれども、それにやはり従ってくるわけでありますから、何としてもいま大臣の答弁のように、法案として出すときには必ずそういうふうにやっていただくことを強く要請をして、私の質問を終了いたします。
  75. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後一時三十六分開議
  76. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤敬治君。
  77. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大臣所信表明の演説に対する質問の前に、ちょっとこのたびの記録的な雪害のことにつきまして関係の方々に御質問したいと思います。  今度の秋田、青森、新潟、長野、ああいうところを含めました雪害につきましては、もうずいぶんテレビや新聞等でその実情が明らかにされておりますので十分御承知かと思います。しかしあの雪の状態というものは、土地の古老に聞きましてもいまだかつて見たことのないような、しかも、いままでの雪ですと一時的なもので、降って一週間かある程度あれば消えたものですが、今度は連続的に次から次と雪が降っておりまして、おのおのの部落がほとんどその土地に閉じ込められた籠城状態におちいっておりまして、いろいろな問題がこの中で発生をいたしております。この点につきまして二、三御質問して善処方をお願いいたしたいと思います。  まず第一にお願いいたしたいのは、いま全面的な豪雪の地帯で、総理府ですかあるいは経済企画庁ですか、やっております例の豪雪地帯特別地域の指定というのがございます。その指定でありますが、今回こういうような雪が降ってまいりますと、かなりその中に矛盾が感じられる、こう思いますので、この問題について二、三御質問いたします。第一に、あの東北から北海道のほうは豪雪地帯、こういう名称でもって指定しております。その中にさらに特別豪雪地帯、こういうのが指定されております。そこでちょっとお伺いしたいのですけれども、この豪雪地帯というのと特別豪雪地帯というのはもちろん差別があるのでしょうが、特別豪雪地帯のほうにはいろいろな恩恵があるようです。この豪雪地帯というものに指定されますと具体的に何か恩恵があるか、この点をひとつお聞きいたしたいと思います。——来ていませんか。じゃ、あとでいいです。  建設省の人、来ていますか。——建設省のほうにお聞きしたいのですが、今回のあの豪雪の問題でいろいろな改善しなければいけない問題が出てまいりました。一つには、ああいうような豪雪が今回だけではなくて、来年も再来年も続くかもしれない、こういう懸念があります。特に最近の地球上の状態を見ますと、寒冷期に入っているのじゃないか、こういうふうなことが学者の間にいわれて、ほとんど定説みたいになっておりますので、将来の問題として考えるならば、今回だけの問題ではなくて、やはりこれから先ああいう豪雪が来た場合にどうするかということを考えていかなければいけない、こういうふうに思います。  そこで、いままで見たことのないような大雪なんですけれども、現地の状態を見ますと、除雪の機械を総動員してもほとんど何分の一ぐらいしか除雪ができない。たとえば横手市なんかを見ますと、七百台のトラックを総動員してやっております。それでも運び切れない。というのは、もう雪が道路にたくさん詰まっておるので、行きかうのに交換ができないのですね。だから七百台のトラックを出してあの狭い町でがたがたやっていても、一日に一回ぐらいしか雪を捨てにいけない。こういう状態があるので、機械が幾らあってもこれは何とも処理がつかない状態になっております。そこでああいう豪雪地帯に対しては、やはりこれからの都市計画上の問題として考えていかなければいけないのじゃないか、こういう問題が新たに発生してくると思います。ただ機械だけ準備しても雪はのけることができない。それから川なんかに捨てるにしても、川の岸にトラックを持っていってもあぶなくてしようがないという状態もあります。だから、こういう状態について何かしら今回の問題で建設省で考えているところがないか、この点をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  78. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 実は私もついこの間横手を見てまいりまして、びっくりして帰ってまいったわけでございますが、確かにああいう都市で、非常に町並みが狭いところでああいうどか雪を受けますと、まず第一に周辺の民家から屋根の雪おろしをしなければならない。その雪がいきなり狭い路地に重なる。その路地の雪を排除するにはどうも機械が持ち込めないというような状況で、機械を持っていても実際その機械を有効に使えないという状況で、周辺の住家の生活が非常に困るような状態になっているわけですが、ああいう都市で何としても必要なのは、雪を排除してしばらく置いておけるような街路のスペースというのがまず必要だと思います。それから雪を排除する場合に、適当な雪を捨てる場所、これはまあ横手の場合はあの周辺の川に捨てるわけですが、これも山のようになって融雪時の問題がいろいろあるので、これについて十分監視をしながら処理していこうと考えておりますが、そういうことで、都市の構造そのものがああいうどか雪に対して非常に弱いという体質を持っておるわけでございます。これについては、いま申し上げた街路を広げるということと、それから新潟の長岡、小千谷、堀之内あるいは小出といったようなところでやっております例の消雪パイプとか融雪溝とか、そういった施設が非常に有効に働くわけでありますが、これについてはやはり十分な水の量が確保できなければいけないということ、あるいは気温が非常に低いと少しぐらいの水だとすぐ凍ってしまうというような問題もありまして、そういう地形的な条件が非常に問題になるわけでございます。  そういうようなことで対策としては幾つかあるわけですが、そういった都市のいろいろな条件に合わせてそれぞれ計画していかなければならぬということでございまして、実は建設省でも四十五年から六年、七年と三カ年にわたりまして、防雪都市建設計画調査というものをやっております。これで大体一応の計画基準というものは持っておりまして、それのモデルケースとして十日町と米沢に実際のモデルプランをかいてございます。しかし、全体としてはそういう絵がかけるわけですが、現実には個々の市内の路線の改良に合わせて適当に広げたり、融雪溝のできるところはつくったりというような措置をしている状況でございます。
  79. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私、こんな雪が降る外国の例がないかと思って調べてみたのですが、外国の例がないのですね。おそらくあの地域が、人の住んでいるところでは世界で一番雪が多いんじゃないか、こういうような地域なんです。したがってスウェーデンだとかあちこちで機械力を使ったりいろいろ除雪の方法をやっておるようですが、いまお話しのように、都市の形態も違うし、また積雪の量も非常に違うので、ほとんど参考にならないのですね。そこで、いま建設省の方にいろいろお話を伺って、防雪のモデル都市みたいなものをつくる、こういうことも言われておりますけれども、これは何というか、豪雪先進国みたいなので、この豪雪を何とか処理する方法を講じませんと、いまも話しましたように、来年もしこういうことがあればまた同じようなことを繰り返さなければならない、こういうことになりますので、せひひとつ早急にこれに対する対策を講じていただきたい。  市街地において今回特に感じられたのは、いまお話しのように屋根から雪をおろして捨てるところがないから道路にもどんどん出すわけですね。道路が一ぱいになって、道路の中がちょうどみぞみたいになってしまっているのですね。だから、その中をトラックが走る、ほかの車が走る、人も歩く、もうたいへんな混雑でして、あぶなくてしょうがない。だからああいう市街地においては、まず一番先に歩道を確保することが必要じゃないか。みんな歩道を雪の置き場にして使っているわけですが、これをやりますとかなり事故が出てくる危険性があるので、歩道をまず確保することが必要じゃないか。あるいは歩道のあるところだったらば、どこかでやっている流雪溝みたいなものを歩道の下なりどこかにどんどんつくっていって雪をどんどん捨てるような方法をしませんと、これは単に雪が積もってどうにもならないというだけでなく、非常に大きな事故につながってくるのじゃないか、こういうことも考えられます。それからブルドーザーではもうほとんど役に立たない。押しただけではしょうがないので、ロータリーかローダー、ああいうものでもなければほとんど役に立たない、こういう状態も出てきております。この都市の市街区の除雪をどういうふうにするか、これはかなりいろいろ問題が出てきておりますので、ひとつ早急に解決しまして、来年も同じような問題が出てきたら、今度は安心して処理できるように、ひとつ対策を講じていただきたいと思います。  それからもう一つ建設省の方にお伺いしたいのですが、いまたとえば秋田県内を見ますと、二、三日現在で十一路線ぐらいの国県道が不通になってしまっている。これはどうもちょっと対策が立たない。三月の末ごろにならなければ交通できないのじゃないか、こういう状態になっております。これは捨てるところもあちこちにありますので、ぜひひとつ早急に幹線道路の除雪をやって交通ができるように取り計らっていただきたい。いろいろこれから問題を申し上げたいと思いますけれども、いまはとにかく交通できないことには、食糧から農業の問題から、あらゆる問題が何ともならない、こういう状態になっております。これは機械力があれば私はどんどん除雪できると思いますので、ひとつ早急にこれの除雪に対する対策を講じていただきたいと思います。これは非常に緊急を要することだと、こういうふうに感じておりますので、ぜひひとつその問題についてお取り計らいをお願いいたしたい。  それから、国鉄の方、来ておりますか。——ちょっとお伺いしたいのですが、いままで私らの経験で一日や二日汽車がとまったということはありますけれどもこういうふうに長く一週間も二週間も汽車がとまるということは経験したことがないのです。なぜこういうふうになっているのか。聞くところによりますと、三八豪雪といって、昭和三十八年ですか、うんと雪が降ったとき、そのときから比べますと、現在の除雪の機械力なりいろんな能力は数倍上がっている。だけれども、それを通り越してもっとよけいな雪が降ればこういうことになるのでしょうが、これは非常に地元としては困るわけです。たとえば肥料の問題なんかでも、さっき陳情が来て、これをやってくれと言って頼まれて実情を見ましたのですが、現在他県から秋田県に入ってくる肥料も半分くらいしか、四十何%しか入ってないのですね。この問題が解決できませんと、春の作付から全然できなくなってしまう、こういう危険性も非常に出てきて、いま経済連だとか農家で非常に心配しております。それから問題なのはえさの問題なんです。家畜のえさが全然入ってこないのでまいってしまっているのですね。いまさっきの話じゃないけれども、幹線道路が途絶しておりますので、まいってしまって、ときには小家畜なんかを殺してしまう、こういうので大騒ぎをしておるようなんです。   〔中村(弘)委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕 こういうものの輸送の問題をぜひひとつ考えていただきたい。いまは他県から来るのは小型の船で運ぼうじゃないか。これも大きな船で来ますと、今度は港に着いても運ぶ手がない、小さいので小刻みに運ばなければいけないというので非常に苦労しているわけなんです。なぜ一体こういうような大国鉄で、しかも非常に大きな機械力を持ってやっているところがこういう状態になって、一週間も十日以上も列車が停滞しているのか。  それからもう一つお伺いしたいのは、貨物の問題がありますが、たとえば秋田県の総体の貨物が一体どのくらい停滞しているか、それをちょっと教えていただきたいと思うのです。
  80. 篠原良男

    ○篠原説明員 最初の、今回の雪の内容でございますが、私のほうに昭和の元年からずっと雪の統計はとっております。たとえば今回の豪雪を見ますと、横手、秋田で比較してみますと、最大積雪量といいますか、一日に降った最高の量が秋田で四十五センチでございます。横手で一日に一メートル五センチ降っております。これは私のほうの過去の統計から推定いたします三十年に一ぺんの確率をはるかにオーバーしております。三十年に一ぺんくらいは秋田で四十センチくらい降るだろうという統計上の数字は出ております。横手では八十センチぐらい、こうなっています。それをはるかにオーバーした一日の降雪量でございます。  それから積雪量、先生が先ほどおっしゃいましたように、何日も降り続きましたので、非常に側雪が高くなった積雪量ですが、私どもの過去の推計からいたしますと、大体三十年に一回ぐらいは秋田地方では百二十五センチぐらいの積雪があるだろう、それから横手では二百七十センチぐらいの積雪があるかもしらぬということでこれに対応しておったのですが、今回の実績を見ますと、秋田では二メートル五センチになっておりますし、横手では三メートル五十五センチというように、過去の、昭和元年からの四十年の統計からとりました最高値、三十年の確率をはかるかにこした豪雪が今回の豪雪でございます。  御承知のとおり、秋田地方はモータカーラッセルとかモータカーロータリーとか、あるいはデイーゼルのラッセルあるいはロータリーを入れて除雪をしてまいりました。しかし非常に側雪が高くなりまして、捨て場に困っておるというのが実情でございまして、貨車に一回積みまして、川へ持っていって捨てるという雪捨て列車を走らせなければならぬので、どうしても列車を切らざるを得ないというのが実情でございます。昨夜からもまた秋田地方はふぶいておりまして、現在、けさ早朝に横手から及位のほうにラッセル車を通しまして、ゆうべからとまっておりました旅客列車を、現在上り方面を全部吐いておるというのが実情でございます。  先ほど先生おっしゃいました滞貨ですが、飼料、肥料につきましてはおっしゃるとおり四十数%ぐらいの実績でございます。リンゴとか米につきましては鋭意努力をしておりますが、全体につきましては四十数%の輸送量が実績でございますので、残っておる六十数%というのは滞貨になるわけですが、大体去年の実績並みにことし要求があったとしますと、大体現在二十万トンぐらいが滞貨しておる、このように推定されます。ただし駅頭には二、三万トンぐらいしかございません。といいますのは、秋田とか大曲、横手のような大都市は道路が非常に除雪されておりますので駅まで持ってこれますが、それ以外の中間の貨物駅は、駅へ来る道路がトラックがなかなか入れないというので、開通したら駅へ持ってこようというようなのも推計いたしますと二十万トンぐらいあるだろう。現在駅にある滞貨は二、三万トン、このように推計されます。
  81. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 先ほども申し上げましたとおり、これは二十何年間に一ぺん、こういうことであるいはないかもしれません。ことし一年これを何とかして過ごしても、また来年同じようなことをやられると、地元の経済に非常に大きな影響が来ると思うのです。ぜひそれに対する対策を、先ほどと同じように立てていただきたいと思います。  それから農業被害でありますけれども、これも非常に大きな問題になってまいりまして、現在すでにどんどん被害が出ております。一番大きなのは例の果樹の問題であります。今回の被害地青森は御承知のようにリンゴの大産地、長野も大産地、秋田の県北それから県南、こういうところもリンゴ、ブドウの非常に大きな産地です。したがって、今回の雪で果樹のほとんど全滅的な被害が起こるのではないか、こういうふうに考えられております。現在の状態を見ますと、リンゴの木なんかはほとんどすっぽり雪に埋まってしまっているのです。ちょっと暖気がありますと、下ががさがさするものだから、雪の重みでどんどん枝が折れて、根が裂けていく、こういう状態がいま出ております。  そこでこれに対する何か対策がないか。黙ってあのまま雪を降らしておきますと、春になりますと下から解けてくる。そうすると、上に雪が上がっていって、下から解けるものだから、ささえるものがないから、どんどん解けて根がみんな裂けてしまう。ほとんどまず一本残らずやられる危険性があります。そこでこれを何とか助ける方法がないか、こう思うのですが、一番いいのは除雪することです。しかしあの広大な畑に何メートルも積もっている雪を除雪するわけにはいかないと思う。これは出かせぎに行った若い連中を呼び寄せて盛んに除雪はやっておるようですけれども幾らがんばっても一人の人が三本ぐらいしか一日に雪をよけることができない、こういうような状態です。よけたと思うとまた次の日降ってくる、こういう状態で、ほとんど果樹地帯というのは全滅するのではないか。一〇%ぐらい残るかなという非常に悲観的な見方をしております。これに対して何か除雪をするような方法が考えられないか。農林省の方、だれかおられたら、こういうような例に対して何か対策を講じることができるものかどうか、お聞かせを願いたい。
  82. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 いまのお話でございますが、いまちょうど担当者が来ておりませんから、先生のお話をよく伝えまして検討するように言いたいと思います。
  83. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それで、雪をのけて事前に防ぐということはなかなかむずかしいかもしれませんが、どうかひとつ対策を講じていただきたいと思います。問題は春になった時点で、これはおそらく、いま話しましたようにもう全滅の状態になってくるので、これに対する手当てをしなければいけないと思います。これはすでに災害が発生することがはっきりわかっておりますので、できるだけ早くこれに対する調査をして、例の果樹共済なりそういうものの手当てをしていただきたい、こういうふうに考えます。おそくなりますとこれはもうほんとうに困ってしまいますので、ひとつできるだけ早く調査をして、できるだけ早く共済金を支給できますように、この点をお願いしておきたい。それと同時に、果樹に対するいろいろな融資、単なる災害に対する共済ではなくて、自作農創設資金だとかいろいろなあれがありますが、こういうのを大いに駆使いたしまして、できるだけ早く復活していただくようにお願いいたしたい、こう思います。  農林省の方がおられないようですからそれで終わりますけれども、林野庁の人、来ておりますか。これは同じような問題ですが、いまあの雪の状態で交通途絶で、国有林から木材を買ったのに対してこれを動かすことができない、買ったはいいけれども製材にも何にもできない、こういうような状態がありますので、これは災害になるとよくお願いしておるのですけれども、あれの代金の納入期限を、ひとつ地元とよく相談して、適当なときまで延納を許可していただきたい、このお願いであります。この点についてひとつお願いしたいと思います。
  84. 川合英一

    ○川合説明員 お答えいたします。  ただいま国鉄さんあるいは建設省さんのほうからも今回の異常な積雪についての御説明があったところでございますし、それから秋田県及び青森も一部あると思いますけれども、地元の関係者の方々から対策についての強い要望が出ております。そこで私どもといたしましては、国有林材の売り払いにつきましては、現在延納に関する法律に基づきまして、原木代金については原則として四カ月、それから素材については三カ月以内の範囲で延納をやっておるわけでございますが、今回の積雪に伴いましてこの延納期間をさらに延長したらどうかというようなお話だろうと思います。これにつきましては、目下その業界の実情等を早急に調査いたしておりまして、その取りまとめを急ぎまして、関係省庁とも十分連絡して対処いたしたいというふうに考えております。
  85. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは原木だけではなくて、いまのように製品も動かせないでおるわけですね。秋田県で調べたところによりますと、秋田県だけで約七十億ぐらいあるのじゃないか。こういうのが一時期ではなくて、おそらく去年の暮れあたりから、実際に動くのは三月末あたりでなければ動かぬと思うのですよ。そういうような状況なので、ぜひひとつ、いま話しましたようにさらに延長していただけば地元も非常に助かると思います。こういうような豪雪のあれでありますので、何とかその点をひとつ善処していただくようにお願いいたしたいと思います。
  86. 川合英一

    ○川合説明員 先生おっしゃいましたように、原木及び製品を含めた形でものごとを考えてまいりたいというふうに思っております。  それから一言追加させていただきますと、延納の期間を延長するという場合には、これは国の債権の履行期限の延長ということになりますので、技術的には一件一件のような話になりましてなかなかむずかしい話がございますが、過去の前例等もよく調べまして十分対処いたしたいと思っております。
  87. 山村弥五郎

    ○山村説明員 先ほどの御質問の果樹共済の早期支払いのことについてお答え申し上げます。  果樹共済は、昨年四月から本格実施に入りまして、収穫共済と樹体共済の二つの種類があります。雪害等によって果実の収穫が三割以上の減収になった場合には収穫共済で共済金を支払う、また雪害等によって主枝の枝折れがあって、樹体の回復不可能な被害を受け、農家単位で一割以上の損害があったときには樹体共済で共済金を支払うという仕組みになっておるのでございます。  今回の豪雪の被害地域につきましては、現在被害の状況調査している段階でありますが、被害が確定後、すなわち、収穫共済にあっては収穫期、十一月ごろになりましょうか、樹体共済にあっては五月か六月ごろになりましょうか、そのころに所定の手続に従いまして共済金の支払いをすることになるわけでございますが、今回の豪雪にあたっては、被害農家の方々に一日も早く共済金を支払うのが大切なことでございますので、ただいま農林省といたしましては早期に支払うことができるよう、関係の県、農業共済組合連合会、農業共済組合等を指導してまいっておるところでございまして、今後とも指導を続けたいと考えておるのでございます。
  88. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ぜひひとつ善処をお願いいたしたいと思います。  経済企画庁の方、お見えになっていましたな。天災融資法は経済企画庁が窓口になっていますか。——農林省ですか。それでは農林省の方来ていますか。——わかりませんか。わからなければしようがないな。  それから厚生省の方にちょっとお伺いします。さっきからお話しのとおりああいう豪雪でありますので、ほとんど閉じ込められたままなんですね。そこで、母子世帯であるとか心身障害であるとかあるいは寡婦であるとか、ああいう人たちが非常に困っていることは目に見えておるわけです。一つには、ほとんど家の中に閉じ込められて仕事に出かけられない、こういう問題があります。それからもう一つは、家が、雪おろしができない、あの中にいるとつぶれるかもしれないけれども、自分に力がないものだから雪おろしできないのですよ。これに対する処置をしなければ、雪の下敷きになって死んだというような、けがをしたというようなケースが出てこないとは言えないのです。それからもう一つは、これは生活保護世帯なんかのことになるでしょうけれども、住宅がこの雪によって非常にいたむことが考えられます。そこで、こういう世帯に対して、生活保護世帯だけではなくて、こういうようなのに対して、生活保護世帯の住宅の一時扶助制度がありますね、ああいうものをひとつ適用して何とか助かる方法を講ずることができないか、この点についてひとつ御意見をお伺いしたいと思います。
  89. 田川明

    ○田川説明員 お答え申し上げます。  いまお尋ねの、現に生活保護を受けておられる方々、あるいは生活保護を受けておられなくても、母子世帯の方々でございますとか寡婦の方あるいはそのほかの低所得階層の方々、この方々はこういう状況下で特に非常にお困りだろうと存じております。  それで、まず現に生活保護を受けておられる方々につきましてでございますけれども、いま積もっております雪をおろします費用、あるいは、雪が消えましてから、相当重い雪がのっていたために家屋がいたんでしまったというのを復旧する費用、これにつきましては、いま先生おっしゃられました住宅扶助というものがございます。住宅扶助の中の住宅維持費といたしまして支給できる仕組みになっていますし、現に支給いたしてございます。  それから生活保護を受けておられない方々でございますけれども、やはり相当所得の低い方々につきましては、母子世帯の方につきましては母子福祉資金、それから寡婦の方につきましては寡婦更生資金、それから一般的にいわゆる低所得の方あるいは身体障害を持っておられる方、こういう方につきましては世帯更生資金、こういう制度がそれぞれございます。それぞれの制度の中にやはり住宅資金という資金の仕組みがございまして、それの住宅資金で現在の雪おろしの経費あるいは雪が解けてなくなりましてからの家屋の復旧補修の経費、こういうものを貸し付け対象として十分に配慮いたしているところでございます。
  90. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 先ほどの豪雪地帯の特別措置の問題について岩渕さんですか、にお聞きしたいのですが、特別豪雪地帯を指定していろいろな利益があるということはわかるのですけれども、そのさきに豪雪地帯を指定しておりますね。この豪雪地帯というのは指定になると何か利益があるのですか、恩恵があるのですか。
  91. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 お答えいたします。  豪雪地帯につきましては特に特別豪雪地帯のような法律上のことはございませんけれども、雪上車等の配置につきましてはこれは豪雪地帯であることを条件にしておりますし、そういう予算措置上、幾つかのことについてございます。
  92. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それは予算をつけるときに、優先的に豪雪地帯に指定されているとつけるという意味ですか。
  93. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 特に予算の際に優先的につけるというようなことは明文化されたものはございませんけれども、やはりいろいろな事業がございまして、その際に実際上いろいろなことが考慮されているということはあるようであります。
  94. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 よくわかりませんが、そうすると、要するにこれは何もないということですか。
  95. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 雪上車など、申し上げましたようなことがございますが……。
  96. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 よくわからぬのですが、何もないように聞こえるのですが、そうすると私はちょっとふしぎに思ったのですが、なぜ何もないのに指定するのですか。
  97. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 御承知かと思いますが、豪雪地帯対策特別措置法というのがございまして、その中で総理大臣基本計画を定めることになっております。この基本計画では、交通に関する問題、それから農業等産業に関する問題それから教育、保健施設に関する問題、それから国土保全施設の整備に関する事項、その他産業等の基礎条件の改善に関する重要事項で指定されるものということについて基本計画を定めておりまして、これはかなり長いものでございますが、さらに、毎年各省の長は事業計画を立てることに相なっております。それでその際に実際上の予算配分といたしまして、道路などにはこの程度予算配分をしたいというような計画になりまして、そこでできるだけ多くの予算を実際上豪雪地帯につけようというふうに配慮するというようなことがそこで行なわれておりまして、そのところを企画庁長官が調整をするというような経過で予算措置ができるだけ厚くいくようにしておるわけでございます。
  98. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、豪雪地帯で道路とかいろいろな事業計画をして、豪雪地帯の地域にはいろいろなその計画に対する予算を優先的につける、簡単に言うとこういうことですね。
  99. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 できるだけそういうふうなことで配慮するということに相なっておるわけでございます。
  100. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そういう実例がありますか。豪雪地帯だから特別に優先的につけてやったという実例がありますか。
  101. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 たとえば、先ほど申し上げました雪上車の問題などがその例でございます。
  102. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この特別豪雪地帯というものを豪雪地帯の上にまた重ねてさらに指定して、そこには具体的にいろいろな有利な点がありますね。恩恵があります。特別豪雪地帯に指定されるには、どのくらい積雪があって、交通途絶するとか、郵便がいかないとかいうような条件があるようですけれども、今回地元でも非常におかしいなと思っているのは、大体が地元の人たちは雪がよけい降ると豪雪地帯に指定されるものじゃないか、こういうふうに考えています。それでいろいろ勉強してみたところが、交通が途絶しなければだめだ、あるいは郵便が配達できないような状態でなければだめだ、こう言いますけれども、実際問題として考えてみますと、いまのたとえば横手の例をとりますと、これは途絶よりももっと悪い状態なんです。金がどんどんかかっている。途絶なら黙っていればいいのですが、非常に大きな経費のかかる災害状態なんです。私は、そういう山奥だけを指定しなくても、やはりああいう地域全体が指定されてもいいのではないか。特に今回なんか見ますと、特別に横手だとか大曲だとかその隣の町だとか、ああいうところを除外しなくても、特別豪雪地帯として指定してもいいんじゃないか、こういう気がするのですが、できませんか。
  103. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 特別豪雪地帯の指定につきましては三つの条件が必要でございます。まず第一は豪雪地帯であること、それから二番目が積雪の度が特に高い、同時に積雪によって長期間自動車の交通が途絶するなど住民生活に著しい支障がある、こういう三つの条件を同時に満たしている必要がございます。それで、雪が降りましても生活上特に著しい支障がないという場合については、何と申しましても問題は生活の支障ということでございますから、それで特に指定はしておらない、こういう実情でございます。
  104. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 その生活の支障という問題なんですが、さっきも申し上げましたとおり、生活の支障がうんとあるのです。ものすごい生活の支障があるのです。だから、いま話されましたように、私もここに持っていますが、自動車の通行不能なのが三十日以上であるとか、えらい条件がたくさんついておりますけれども、実際にそういうようなところは統計上から見ますと不確定な要素がうんとあると思うのですよ。学校で調べたとか——だれが調べたかわかりませんけれども、しっかりした機関でデータを出してそれによって指定しているのではないのです。だから、あるところでは指定されて、隣の町は指定されないというような状態が出てきているわけですよ。これだって、何ともないときはそれこそ何ともないけれども、こういう問題が出てくると住民はみんな非常に不公平な感じを受けるのですね。それで今回こういうような雪で、こういう雪の降った地域をぜひひとつ特別豪雪地帯に、ことしはどうかわかりませんけれども、指定してもらいたい、こういう声が非常に強いのですが、これに対して一考する余地はございませんか。
  105. 岩渕道生

    ○岩渕説明員 先ほど生活支障の条件につきましては、自動車が三十日以上入らない集落数の割合が一五%以上であることとなっておりますが、これは農林業センサスによりまして各集落の代表者がお答えになったものを基礎にしたものでございます。それから医療確保の困難な場合がその一つの要因になりますが、それは厚生省の無医地区等に関する調査というのがございますが、これを基礎にしております。それから学校の義務教育の問題につきましては、これは文部省で公立学校建物の実態調査というのをやっておりますが、これに基づいております。それから郵便物の集配の問題でございますが、これは冬期郵便物の集配がない地区、あるいは集配度が減るというような地区でございますが、これは郵便規則できまっております。それから財政力が貧困であることということが一つございますが、これは地方交付税法に基づきます財政力指数ということでとっておりますので、決して根拠のないものではないというふうに考えておるわけでございます。  それで、先ほどこの要因につきましては流動的ではないか、そういう御意見でございますが、分校ができましたり、あるいは郵便の配達地区が変わったりということは確かに流動的でございますので、私どもも一そう関係資料の収集、充実を遂げまして、常に規定、基準に合っているかどうかということを今後ともフォローしてまいりたいというふうには考えております。
  106. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは地元で非常に要望が強いのですよ。というのは、同じように雪が降ってなぜ指定されないか、こういう素朴な考え方ですけれども、やはり私どもはそっちのほうが正しいと思うのですね。少しぐらいの雪ならたいしたことはありませんが、少なくとも豪雪と名づいて、何十年に一ぺんという大雪が降ったら、隣の村とほとんど同じ状態なんですよ。それが隣が指定されてこっちが指定されないというのは、やはりそういう不公平な感じを抱くのは無理はないのですよ。これは非常に大きな問題になっているのですね。これは村の政治の争いになっているのですよ。片方では豪雪地帯の指定をとってこないから、あのやろう政治力がないから今度落とすぞ、こういうふうな政治の争いにこれが非常に利用をされておるのですよ。たいした経済的なあれがないとすればどっちでもいいと言われるかもしれませんけれども、やはり周囲が全部豪雪地帯に指定されて、そこだけぽつんと指定されないというのは住民感情としてどうかと思いますので、ぜひひとつこういう点で一考をお願いいたしたい、こう思います。  それから、これは経済企画庁の方にお願いしたいのですが、あとで自治大臣にもお願いしたいと思いますが、今回の雪は何十年来の雪だ、こういうふうにいわれております。おそらくこの雪が三月、四月になって解けてまいりますとたいへんな融雪災害が発生すると思います。これに対する手をいまからひとつ考えて打っておいていただきたい。突然集中豪雨に襲われて大洪水になる、こういうことはよくあります。それは後手に回ってもいたし方ないと思いますけれども、この雪は必ず解けます。解けてくるとこれはもう一ぺんに流れ出てきまして、いままでにないような——いままでも春になりますとたいてい融雪災害が起きておりますけれども、今度の災害の度合いというものは非常に大きいと思われます。したがって、いまから予見できる災害でありますので、十分な手をひとつ打っておいていただきたい、こういうふうに考えますけれども、この点についてひとつ御所見をお伺いいたしたいと思います。自治大臣にひとつこれに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。
  107. 町村金五

    町村国務大臣 ことしの秋田地方の豪雪はまことにまれに見る豪雪のようであります。地域住民が非常に難渋をしておられるということは、ただいまの御質問を通じてもよく理解のできるところでございます。現在の除雪の問題がなかなかうまくいかない。確かに、いままで私の承知するところでは、秋田県はそれほど豪雪は従来はあまりなかったようでありまして、むしろ豪雪といえば大体新潟県が非常な豪雪にしばしば見舞われる。したがって、新潟県などにおきましては、やはり豪雪に対してもまた融雪に対しましても、長い間いろいろの知恵もございますし、また対策等も、私はかなりいろいろな施設の上でも進んでおるような感じがいたすのでございます。たとえば除雪機械などにおきましても、新潟県であるとかあるいは北海道などはかなり除雪機械なども進んでおるようでございますけれども、秋田県は、伺いますとほとんどそういったものが従来あまり置かれていないというようなところに、秋田県がことし非常に難渋される大きな理由があるように考えられるのであります。  そこで当然、融雪が急速に進むということになりますれば、それに伴う災害というものも起こるであろうということは想像にかたくございません。このために相当な経費等も、これを防除するための費用も相当要りまするし、また万一融雪災害等が起こりますれば、当然それに対する災害復旧等の措置も講じなければいけないということは言うまでもございません。自治省といたしましてはそういった場合に対処いたしまして、あるいはそれに必要とする財源措置といったようなものも交付税その他でひとつできるだけのことは配慮いたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  108. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ぜひひとつ御考慮を願いたいと思います。それについていま特交のお話だとか交付税の話がありましたが、この点についてもぜひひとつ早急に御考慮をお願いいたしたいと思います。いま秋田県で、豪雪地帯対策費が現在までの推計で約二十二、三億ぐらいかかるだろう、こういう推計をいたしております。これは除雪費用だけです。だから、その他のあれを見ますとたいへんな金額になると思います。これは天災融資法なんか——さっきおりませんでしたが、天災融資法なんかは、雪の場合は激甚地の指定を受けることはいままでない、こういうような話もしておりますけれども、これはもうほとんど洪水あるいは火災と同じような、ほんとうにいままで見たことのないような大雪害なので、当然特別な御配慮をひとつお願いいたしたい。普通交付税でも、金が要るならばひとつ繰り上げて支給して配分していただくとか、何かひとつ特別の御配慮をお願いいたしたい、こういうふうに考えます。  これで雪のほうは終わりますけれども、実はこんなに長くなるはずではなかったので、少し長くなってしまいましたが、持ち時間があと少ししかありません。いま大臣にお伺いしたいと思いましたけれども、これがずいぶん長くなってしまいましたので、私の残りの質問はこの次に回しまして、これで一応終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  109. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 三谷秀治君。
  110. 三谷秀治

    ○三谷委員 物不足、物価高騰地方自治体の事業に非常に大きな影響を与えておりますが、この実態をどのように認識されておりますか。これに対する対策はどのようなものをお持ちですか。これをまずお尋ねしたいと思います。
  111. 町村金五

    町村国務大臣 最近における物価が異常な高騰を示しており、また一部の物資において非常に不足の状態があらわれておるということは、私ども承知をいたしておるところでございます。このことが地方自治体等におきまして、建設事業その他必要な事業を実施する上において非常な支障を引き起こしておるということも、私ども承知をいたしておるのでございます。  御承知のように、国といたしましても今日まで、昨年昭和四十八年度の予算の実行段階におきまして、建築基準の単価を引き上げますとか、あるいはさらに昨年の補正予算におきましても若干の措置をいたしまして、何とかこの困難を切り抜けることができるようにということで格段の努力をいたしておるということはすでに御承知のところでございます。
  112. 三谷秀治

    ○三谷委員 ごく一般的なことをおっしゃいましたけれども、いまの地方自治体の、物価の問題、物不足の問題から受ける事業執行の停滞というものはたいへんなことになっている。この状態に対して、大臣の所信などの中には何ら明確なものがない。たとえば大阪府下だけで見ましても、一月末で義務教育施設の未契約数が五十四校にのぼっている。入札の不調によりまして年度内施行が困難である。建設単価を引き上げまして、当初予算の一・五倍以上に補正しましても落札をしない。児童生徒の収容についても懸念されております。こういう切迫した事態に対してどのような対策をお持ちなのか、お尋ねをしたわけでございます。
  113. 町村金五

    町村国務大臣 いま特に公立文教施設等において、物不足等あるいは物価高騰のためにたいへん契約がおくれておる、伺うところによりますと大阪府下だけで五十数校まだ契約ができずにおるというふうに伺ったのでございまして、確かに私もそういうところがあるであろうというふうに承知をいたしておりますが、ただ私ども、実は文部省等を通じてのいろいろな調査等によりますると、昨年末の現在におきましては、公立文教施設等については大体九六・五%まですでに契約が進んでおる。これは全国的なことでございます。でございますからして、まあまあ従来の例から対比いたしてみますると、それほど実は非常なひどい未契約の状態がいまなおあらわれておるというふうには実は必ずしも考えませんけれども、しかし、このためにはおそらく市町村長は非常な苦心をしておられる、格別ないろいろな方途を講じておられるのではないかというふうには私はもとより考えておりますけれども、一応そういった点では、無理をしながらでございましょうが、契約は相当に進んでおる状況にあるというふうに私は報告を聞いておるわけでございます。
  114. 三谷秀治

    ○三谷委員 契約が進んでおります問題と、契約に基づいて金を払うという問題ですね、ここのところに大きな問題があるんです。これはしかし、きょうはこの問題はお尋ねしたいとは思いませんが、いまかなり程度で進んでおるとおっしゃいますけれど、進みましたけれどもその単価というものが異常な暴騰を示している。たとえば堺という市が大阪府下にありますが、小中学校四十四校の増改築を計画しました。十八校が入札不調で新学期を迎えようとしておる。各市とも五回、六回と入札をし直しましても不調となっている例が多いわけです。そのつど単価の改定を繰り返しております。この単価の上昇に対する対策はどうなっているのか、これもお尋ねしたいと思っております。
  115. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほど大臣から御説明申し上げましたように、十月時点で一〇%強の義務教育施設の補助単価の是正、これを行なったわけでございます。その後の推移を見ておりますと、ある地域によっては単価差がひどく出ておるという傾向もございますので、関係各省に現在、何とかこの問題について幾らかでも措置がとれないものかどうか折衝をいたしたい、こういうつもりでおります。
  116. 三谷秀治

    ○三谷委員 十二月段階で補正されました補助単価というのは、義務教育施設におきましては平米当たり五万二千三百円だと思うのです。いまの実態はどの程度だと御認識になっておりますか。
  117. 松浦功

    ○松浦政府委員 非常に地域的に、私の聞いておる範囲ではやはり差もあるようでございます。私は、大阪などの単価はだいぶ話に聞いておるよりは高い単価を聞いております。ちょっと五万二千三百円ではなかなか措置がつかないだろうという感じを個人的には持っております。
  118. 三谷秀治

    ○三谷委員 五万二千三百円なんというもので建つ学校はありゃしませんね。  大阪の例を少し申し上げておきますと、豊中という市がありますが、この第三十一小学校というのは、当初平米当たり七万三千二百七十二円の予算単価を組んだわけであります。ところが入札ができません。六回目の入札で平米当たり九万百四十四円になったのです。第三十二小学校というのがありますが、これは当初六万八千九百三十三円の予算単価でした。これが六回目の入札で八万一千二百五十二円にはね上がったんです。こういう例を引きますとたくさんありますよ。岸和田という市がありますけれども、これは十四校の建設計画を持っておりますが、九月の補正で平米当たり八万円で七校が入札しました。十二月の補正で平米当たり十万五千円で四校が落札しました。あと三校はいまだに落札不調になっておる。富田林というところに喜志という小学校がありますが、これは平米当たり八万四千八百一円。枚方市の第十中学校は平米当たり七万二千二百二十二円。堺市では最近、十一月になりますと、若松台小学校が九万一千七百十一円。それから日置荘小学校が一月の契約で十一万五千四百四円、野田小学校というのが一月の契約で十万五千二百六十三円になっている。十月段階で八万から八万五千、十二月、一月段階になりますと十万から十万五千円になっている。  こういう実情に対しましてどういう対策をお持ちでしょうか。この実情に対して、五万二千三百円の補助単価で地方行財政においては何の支障もないものだ、そういうお考えなのでしょうか。
  119. 町村金五

    町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたが、私どもも、昨年末に補正予算できめられました補助単価ではなかなか容易でないというふうに見ておるわけでございます。ことに、いまも財政局長からもお答えを申し上げましたが、かなり地域によりまして差等も確かにあるということも事実のようでございます。しかし、教育施設は何としても、これは入札不調だからといってそのままに放置しておくことのできる筋合いのものじゃございません。したがって何とかしなければならないというふうに実は考えておるのでございまして、実は関係省との間でこういった点については、いま、さらにこれらの問題をひとつ何とか前進した解決のできるようにしなければならぬということで、いろいろ協議をいたしておるという次第でございます。
  120. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま地域差とおっしゃいましたが、五万二千円程度で建っている学校の入札状況があればちょっと知らしてほしい。私のほうも各県調べていますが、たとえば埼玉県にしましても、九月段階で、大宮市ですけれども八万二千八百九十九円、十一月になりますと、これは越谷市でありますが、九万三千四百六十七円。これは各府県あげますと切りがありませんからやめておきますけれども、五万二千三百円というふうなとんでもない補助単価で学校が建つというふうな認識があるとすれば、これはたいへんな錯誤です。根本的にこれは改善しなくちゃいけません。  しかも、大臣お尋ねしますけれども先ほど聞いておりますと、地方交付税の減額にしましても、地方交付税の基準というものがこの国庫補助単価を基準にして計算されておるわけです。国庫補助単価がこのような大きな懸隔が生じてくれば、交付税需要額というものがふえるのは当然の話です。それを頭から削ってしまって、たいした影響はないだろう、こんなことをおっしゃっている。あまりにも実情を御承知がない。そういうことでは地方の自治体というものは全くお手上げになってしまう、破産してしまう、そういう状態になっている。これに対して緊急な処置をどのようにおとりになるか、お尋ねしたいと思います。
  121. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほど大臣から御答弁がございましたように、できるだけ早く関係各省と結論を煮詰めてそれに対する措置をいたしたい、努力をいたしてまいりたいと思います。
  122. 三谷秀治

    ○三谷委員 関係各省とおっしゃいますけれども、本年度の予算を見ますと六万一千七百円で予算を計上しているのでしょう。これが本年度における義務教育施設に対する基準単価になっている。六万一千七百円、それがすでに予算として出てきているわけです。そういうものを出しながら、協議するとか善処するとかおっしゃっている。あまりにも矛盾がはなはだしいじゃないですか。これは根本的に予算を組み直さなければだめですよ。そういう予算を出しながら、協議するとおっしゃっているのはどういうことなんです。そもそも予算が出ました段階におきまして、六万一千七百円なんというもので学校が建つという計算を何を根拠にしてなさっておったのです。
  123. 松浦功

    ○松浦政府委員 六万一千七百円という単価は、これはいろいろの経緯もございましたけれども、学校建設の専門家である文部省のほうでお定めになったのでございまして、自治省が六万一千七百円という単価を定めたわけではございません。ただ、制度といたしまして、御承知のように国の単価を交付税に使っておる、これが直れば交付税需要が不足になるじゃないか、これはもう私どももそのとおりだと思います。したがって、そういう時点が参りますれば、交付税需要がちゃんと満足に配れるように何らかの措置を私どもはとりたい、こういうふうに考えます。
  124. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたの十八番の国庫補助優先論がすぐ出てくるわけだ。交付税を先にやってもかまわぬ。そこで、文部省のほうがそういう価格をきめたとおっしゃいますけれども、それを自治省承認されたのでしょう。協議の段階におきましては自治省もそれを納得されたわけですか。承認されたわけですか。それと、文部省は一体何を根拠にしてそういう実情に合わない単価をきめたわけですか。来ていませんか。そこはどうなんです。文部省はまだ来ていないそうですから来るまで待たしてもらいますけれども、その文部省の案というもの、それを自治省におきましては、地方自治体において現実不可能であるという判断を持ちながらも、これを承認するという態度をおとりになったわけですか。
  125. 松浦功

    ○松浦政府委員 承認と申しますか、文部省が要求されておられる実情に合うような補助単価で要求してほしいということは、毎回私のほうから文部省に申し入れておるところでございます。それで文部省が申し入れられました単価というものはその単価より実は低かったはずでございます。と申しますのは、御承知のように物価状況予算要求の段階ではこんなになるとは思っていなかったからであろうと思います。その後予算の査定の経緯を通じて六万一千七百円ということを大蔵省が御査定になり、文部省が納得をした、こういう形できめられたのではないかと私は推測いたしております。
  126. 三谷秀治

    ○三谷委員 それに対しては自治省としては、地方行財政についての一応の責任を持つ立場において、その文部省がきめました単価、大蔵省と文部省が協議してきめました単価ですが、これについてはどのような態度をおとりになったわけですか。
  127. 松浦功

    ○松浦政府委員 この単価の問題につきましても、千六百八十億の借金の返済という問題ともからみ合いまして、大蔵省のほうへできるだけ上げてほしいということを強く申し入れをして、ある程度どもの要望を入れていただいた数字でございます。したがって、これがきまりましたのは御承知のように十二月の初めの段階でございます。そのときには数字がきまっておりますので、一月にこういう形になるということの予想はわれわれとしてはいたしておりません。したがって、明年度の実行段階において、いま先生のおっしゃるような実態もよく調べながら、実情に合うように各省と折衝していきたいということを申し上げておるわけでございます。
  128. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまその実情に合わぬことが明白な予算というものを審議しろという態度をおとりになっているわけなんです。ですから、いまそういう改定をしなくちゃならない仮定の予算というものを審議の場にのぼせて議論をするという結果になってきている。こういうことでは審議もまともにはできないではないでしょうか。一体どれくらい出せば学校が建つのか、その建つ予算を出してもらってそこで議論をしませんと、あなたのほうもこれじゃ学校建たぬとおっしゃる、市町村も建たぬと言っている、われわれが調べても建ちそうにない、その建ちそうにない予算を出してきてそれを審議しろというふうな、そういう議会に対する態度というものは、私ども審議する立場におきましてはきわめて不見識な態度だ。これは何らかの方法で処置をとってもらわぬと審議の対象になり得ない予算になってきている。この点大臣どうでしょう。
  129. 町村金五

    町村国務大臣 この建築費の問題については、三谷委員からいろいろな実例をもって1指摘をいただいたわけでございまして、私ども先ほどちょっとお答えを申し上げましたように、いままでの入札の結果といいましょうか、落札は相当に進んでおるというような事態から、関係地方団体としては非常に無理をしながら、何とか学校だけはつくらなければならぬということでやっておられるものだ、こう私も承知はいたしております。ただ、先ほどもちょっとお答えを申し上げておきましたが、これはかなり地域の差はあるように思います。やはり大都市あるいはその周辺と一般の農村等ではかなりの違いがあるようでございまして、そういった点を全国的にながめました場合に、いまの、本年四十九年度の学校建築の単価がとうていこれでは処置できないものであるかどうか。これは御承知のように、昨今、物価状況というものは、いまから今後数カ月先を必ずしも予断できる状態じゃございません。あるいは相当に鎮静し、落ちついてくれるということを実は私どもは期待をいたしておるわけでございますので、そういったことで、必ずもっと、はなはだしく上がるんだという前提に立っていま予算の御審議を願っておるわけじゃございませんので、何とかこういうところで落ちつかせなければならぬというような考えのもとにこの予算が編成されておるわけでございますので、その点はひとつ御了承をいただきたい、かように私は存ずるわけでございます。
  130. 三谷秀治

    ○三谷委員 今後さらに建設資材などの暴騰がなくても、いまの状態が横ばいになるとしましても、さっき申し上げました単価では学校は建たない。  文部省がお見えになりましたからお尋ねしますけれども、いま学校の建設単価を見ておりますと、非常な入札不調で、落札不能の学校がたくさんありますけれども、落札したものを見ますと、九月−十月段階では平米当たり八万から八万五千、それから十二月−一月段階になりますと十万から十万五千、これが私どもが調べてきました実情なんです。それに対して文部省の補助単価というのは、本年度におきましては平米当たり五万二千三百円、明年度におきまして六万一千七百円になっておる。そういう単価ではたして学校が建つのかという問題これは財政局長もこれでは建たぬと言っている。建ちもしない単価を何を根拠にしておきめになっておるのか、そのことをお尋ねしている。
  131. 菅野誠

    ○菅野説明員 単価のお尋ねでございますが、御指摘のように、建築資材の上昇が現在は非常に急速に上がりつつありますので、すでに文部省としましても財政当局と相談いたしまして、四十八年度におきましてすでに補助単価を御案内のように二回にわたって改定しておるわけでございますが、なおいまお話がありましたように、四十九年度予算単価においても、比率といたしましては四十八年度当初比率よりも四五・二%増しというような相当思い切った増をお願いしているわけでございますが、なお物価の問題につきましては、御案内のように、現在、私どものほうとしてはともかく早期に落ちついてほしいと思っておるところでございますが、若干いろいろな問題もありまして、不安定な状況にありますことは残念なところでございますが、なお今後の事態を見まして、できるだけの措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  132. 三谷秀治

    ○三谷委員 できるだけの処置とはどういう処置です。たとえば本年度の予算も六万一千七百円という基準単価で計上されておる。現在進行中の四十八年度におきましては、十二月に補正して五万二千三百円、これがいまの実情なんです。予算もすでに出しているわけでしょう。その予算を組み直しをするという意味なんですか。それとも、その他の手段とはどういうことなんです。
  133. 菅野誠

    ○菅野説明員 この物価の問題につきましては、御案内のようにいろいろ財政的な裏づけの問題もありまして、完全にいかないむずかしい点もございますので、自治省、大蔵省のほうともよく相談してかからなければならない問題でございます。単独としてもいろいろ考えもあるわけでございます。すでに四十八年度におきましても、御案内のように、財政当局といろいろ相談をして補正をしているという事情がありますので、この動向を見ながら前向きに検討していきたい、かように考えている次第でございます。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 いろいろおっしゃいますけれども、物理的にいま予算を出しているのです。それを審議しているわけなんです。その予算というものが、義務教育施設における国庫補助単価というものが平米当たり六万一千七百円だ。そういうものをいまお出しになっている。それじゃ足りませんとこう言っている。足りませんのは、いまの現状を見ましても明確な状況になってきているわけです。こういう足りもしない予算を出して審議をしろという態度は一体どういうことなんです。まともに事業が遂行できる予算を出さなければ予算の審議の対象にならぬじゃないですか。それをどうされますかとお尋ねしている。
  135. 菅野誠

    ○菅野説明員 助成課長から事務的なことについて……。
  136. 西崎清久

    ○西崎説明員 私から若干こまかい点を御説明申し上げたいと思います。  まず、先生のおっしゃいます実際の契約単価でございますが、確かに大阪、近畿方面が非常に高くなっておるということは、私ども実情としては承知しております。ただ、これはいろいろ個別ケースがございまして、私ども実情を把握している例から申しましても、たとえば十二月契約分で五万二千円とか四万二千円というケースもあるのでございます。それから一月契約で、これは徳島とか熊本とか、あちらの方角のをちょっと持ってまいったわけでございますが、四万九千円とか五万五千円とかというのもあるわけでございます、いろいろなケースによりまして。全般的に申しましても近畿地方とかそれから東京周辺のほうが非常に高いという実情はよく承知しております。  その点につきまして、昨年の補正予算単価においては五万二千三百円という補助単価にいたしました。これは日銀の卸売り物価指数に基づくものでございます。補助単価の決定は、四十七年度の調査に基づいて超過負担解消ということで走り出しておりますから、日銀の卸売り物価指数に基づく積算でやっておりますけれども、こういう補助単価に対して、さらに最近自治省のほうの御配慮もありまして、地方負担分については起債面についてさらに弾力的な御配慮をいただくというふうなお話し合い、協議もいたしておるわけでございます。したがいまして、四十八年度の現実の執行としましては、契約率は十二月末で九六・五%までいっております。私どもはたいへん心配いたしておったわけでありますが、契約自体としてはそこまでいっておりますので、あとは残工事についての資材の問題とか、いろいろおくれがないようにとかいう面で努力はしたいと思っておりますので、そういう面について、今後の問題として私どもも努力をいたしたいというふうに思っております。  それから、先ほど部長からお答えいたしました点についても、四十八年度の問題として、地方財政だけの措置で御配慮をいただくだけで済むかどうかというふうな点をなお検討いたしたいと思っております。そういう意味で部長から申し上げたわけでございます。六万一千七百円の来年度単価につきましては、これは物価上昇分としてかなりのものを見込んでおりますし、実際の物価の動きというのは、総需要抑制で今後全体の政府政策として押えていくということの方向でございますから、その六万一千七百円自体を現在どうするという気持ちは私どもは持っておりません。現実の執行といたしましては、本年度の半ば以降の問題になりますので、その間における物価の鎮静化ということも期待いたしたい、そんな気持ちでやっておるわけでございます。
  137. 三谷秀治

    ○三谷委員 政府経済見通しとあなた方のこの単価の改定との関係はどうなっていますか。
  138. 西崎清久

    ○西崎説明員 来年度の予算単価の六万一千七百円の物価上昇率の積算は一四%という見込みで考えております。経済企画庁で算定されました昨年十二月の経済見通しの卸売り物価の見通しは一二%であったわけでございます。それが一月の経済見通しで変更がございまして、約一四%になったかと思うわけでございますが、私どもは、予算セットの時期は十二月の時点ではございましたが、公立文教その他諸般の状況考えて、余裕を持った一四%という数字を一応見込んでおったわけでございます。
  139. 三谷秀治

    ○三谷委員 その一四%というのは政府の見通しになっているわけですけれども、銀行筋の見通しや東京都の見通しは全然違っているのですよね。もっと高いものなんですよ。また、その見通しというものが現在において完全に実情に合っているという観点に立って考えた場合におきましては一つの基礎になると思いますが、いまはとにかく足りないわけなんでしょう。  それで、あなたがいまおっしゃいました平米当たりの四万とか五万とかいうものがどの程度あるかわかりませんが、あとで資料として実例を少しいただきたいと思う。  しかし、先ほどから指摘しておりますように、私どもが調べております大阪とか埼玉とか神奈川だとかあるいはいわゆる近畿圏とかいう地域におきましては、平米当たり大体いま十万から十一万しています。来年度の八尾市の学校建設予算の編成を見ますと、平米当たり十九万円で積算をやっておりますね。それが妥当かどうかは別としまして、六万一千七百円なんというものでは、これは少なくとも大都市周辺におきましては全然実情に合いません。この実情に合わないのをどうするかという問題です。あなたはいま九十何%契約が済んだとおっしゃっていますが、契約の済んだところもあります。済んだところはその金をどうして払うのか、これが一番悩みの種になっている。需要抑制の問題です。これはいまはお尋ねしません。あとの別の委員会お尋ねしたいと思っていますが、そういう問題が一つある。それから契約の済んでないものもある。そこで、済んだ分は、いま申しましたようにすでに十万とか十一万の契約をやっている。これに対してはどう処置をされるか。それも五万二千三百円でいいのかどうか。あなた方はそれで済ますおつもりかどうか、お尋ねしたい。
  140. 西崎清久

    ○西崎説明員 現在五万二千三百円という補正予算単価を講じておりますが、この単価はいわゆる石油危機の若干前になるわけでございます、十月の時点でございますから。(三谷委員「十二月でしょう」と呼ぶ)補正予算を組んでいただきましたのは十二月の補正予算の国会でございました。そういう意味で、その後、一月以降の契約というものについては若干高くなっておるという点はございます。そういう意味も込めまして、地方財政措置等においては起債単価において弾力的な扱いをしていただくようにいろいろと御相談をしておるわけでありますが、そういう点が一点あろうかと思います。  補助単価自体の問題といたしましては、これは公立文教施設だけの問題ではなくて、住宅の問題とか社会福祉施設の問題とか、いろいろ共通の問題としてあるわけでありまして、これらの一連のものをどういうふうに扱っていくかという点については、現在私どもも事務的にいろいろと各省の御相談をしておりますし、本日まだ申し上げる段階になっておりませんけれども、種々検討、考慮してまいる方向を思案中という段階でございます。
  141. 三谷秀治

    ○三谷委員 その思案がおそ過ぎますわな。いま値がたいへん上がってきているので、もう八月、九月の段階におきましても五万二千三百円じゃだめなんですよ。これはよく御承知だと思う。ですから改定されましたときもこの価格ではだめなんだ。初めからわかっているんだ。来年度の単価もこれじゃだめだとわかっているわけだ。わかっているのを承知予算編成されている、そこが実に奇妙なところ、つまり、実際の需要を基礎にして算定するのでなしに、何か全体の予算を逆にしてそこから割り出していくのだ、こういうやり方が従来からやられている。そこにやっぱり実情と合わない根本的な原因があると私は思っているのだ。これは変えてもらわぬといかぬ。実需要に対して規定の負担をしていく、こういうたてまえになっているわけだ。そうしますと、実際の精算額というのが一番問題であって、それに最も忠実でなくちゃならぬわけでしょう。そうなってないところに問題があります。この学校建設など、先ほどから、あなたはまだいらっしゃっていませんでしたけれども、大阪の学校の名前をあげまして、実際の価格を申し上げました。基準価格の約倍、この差をどうするかということです。これは解決してもらわぬと困る問題です。またこれは、地財法の二条や十八条はそのことをはっきりうたっているわけだ。これを解決されますかどうか、お尋ねしたい。
  142. 西崎清久

    ○西崎説明員 実際の契約単価につきましては、先生おっしゃいますように非常に高額なものがございます。国が補助単価を積算します場合には、これは再々申し上げておりますように、標準設計に基づく工事による標準単価というふうなことでやっておるわけでございます。そういう点での若干のギャップが出てまいるということが先生御指摘の点での一番大きな問題点かと思うわけでございますが、個々の学校ごとの単価の実績に応じて補助を行なうということは、制度の仕組みとしても若干無理な点がございます。したがいまして、私どもとしては、補助単価を設定する場合に、四十七年度にやりましたように、超過負担調査なら超過負担調査をやりまして、純粋に標準工事費に基づいてやった場合にもやはり補助単価を上回るものがどれぐらいあるかというふうな点をつかんで、補助単価のほうに反映させていくというふうな作業がやはり必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。そういう意味で、私どもとしましても、四十七年度の超過負担調査は四十八年、四十九年で三・四五%ずつ解消する措置をとっておるわけでございますが、さらに、四十八年度は非常に異常な年でございましたので、この間におけるそういうギャップというものがどの程度になるかということは、先ほど申し上げましたように公立文教施設だけの問題でなくて、各種施設の問題としてとらえて、今後の調査、検討の対象にすべきではないかというふうなことを私ども感じておるわけでございます。その上において、そのギャップをどういうふうにしていくかという点で、単価の是正をはかっていくというふうな段取りになろうかと思っております。
  143. 三谷秀治

    ○三谷委員 学校施設の単価差なんというものはそうあるものじゃないですよ。大蔵省の主計官が来ますと、門柱がどうだとかなんとか、そんなことばかり言っているけれども、そんなものは知れているのだ。まあここで数量差とか対象差があるでしょうけれども、その問題と基準単価の問題とは別問題なんで、単価差の問題というのは対象の問題や数量の問題とは別になってくるわけですから、非常に正確に出てくるわけだから、それがこれほど違ってはだめなんですよ。これが、たとえば五万三千円の補助単価が五万五千円の実施額であったという程度のことですと、これはまた考えようもあるでしょうけれども、倍から違ったのじゃ話になりませんよ。倍から違うような豪華なものをつくるような余裕はいまの自治体にはありません。精一ぱいやっていますよ。それでこれだけいっていることなんです。しかも、それを入札しなければ生徒の収容ができない、こういう実情になっているわけです。だから、やむを得ずこういう五回も六回も入札のし直しをして、そして落とすということができてきたわけです。しかし、これは落としましたけれども、金の支払いはこれからの問題なんですよ。手付金を払ったりしておるのもありますけれども、完済しているわけじゃない。その金をつくるのに銀行に行きますと、銀行は金を出さぬ。もちろん銀行の金といいましてもつなぎ融資にすぎませんけれども、いずれにしましても、国のほうで適正な基準に基づく補助単価の追給をしなければ問題は解決しません。これをおやりになるかどうかと私は聞いておるのです。
  144. 西崎清久

    ○西崎説明員 四十七年度の超過負担調査は、公立学校も含めまして、住宅であるとかその他各種施設につきまして関係各省共同で調査をしたわけでございます。そういう意味において、超過負担に関する調査と申しますのは、もちろん学校施設については文部省がイニシアチブをとってやるべきでありますが、関係の問題もいろいろございますので、この際この席で私からはっきりしたことを申し上げるわけにもまいらないわけでございますが、気持ちといたしましては、四十八年度が非常に異常な年であるという点から考えますと、この必要性が十分あるというふうに考えております。今後の問題として私どもも種々相談いたしたいというふうに思っております。
  145. 三谷秀治

    ○三谷委員 四十七年度に大蔵、自治、関係省庁で超過負担の大きな六項目について実態調査を行なった。それに基づきまして四十八年、四十九年度の二年間で超過負担を解消するという計画になっている。この解消する計画というものがはたして実際に進んだのかどうか。四十六年度の実際の調査によりますと、超過負担の六事業部で三百五十七億になっているんだ。特に保育所、小学校建設費が大きい。それを四十八年度におきまして補助単価の改善で百十七億解消する、補助基準の引き上げで百六十六億解消する、合計二百八十三億は解消される、こうなっておる。その補助単価の百十七億の改善というもので解消さるべき超過負担というものが、いま指摘しましたように補助単価が実情に合わぬためにますます膨張してきている。超過負担解消という政府の公約は一体どうなってしまったのです。これをお聞きしているのです。
  146. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十七年度に調査をいたしましたその結論に基づいて措置をいたしておりますのは、物価がそれ以上動いていないということを前提にしての数字だろうと思います。したがって、その後の物価移動の問題については別途考慮しなければならない問題である。したがって、われわれとしては、本年度はちょっと仕事等もございましてなかなかできませんが、明年度に入りますればもう一度全面的な調査をやり直してみないといけない。ただその場合でも、まだ物価ががたがた動いておりますと、やった調査がことしのような形になってしまうおそれがございます。その辺のことを頭に置きながら十分検討しなければならないと思います。
  147. 三谷秀治

    ○三谷委員 わかったようなわからぬような返事ですが、いまのままではだめだということだけは確認をされているようですし、何とかしなくちゃいかぬということも確認をされているようです。  大阪府の市長会がこの間要望書を出しました。これによりますと、四十八年八月末現在の義務教育施設の大阪府下の平均建築価格というものは平米当たり六万一千四百二十七円だという。これは八月段階ですよ。その段階における国庫負担単価は三万八千六百六十七円である。平米当たり二万二千七百六十円の超過負担を生じておる。ですから国庫負担単価というものが実施単価の六二・九%にすぎない。四十七年度の七五・八%に及ばない、下がってきているといっているのです。それから府下各都市の四十八年度の超過負担額は四十七億五千五百万円、大阪市を除いたものですよ。四十七年度の単価差による超過負担額が三十一億三千百万円だ。ですから四十八年度におきまして四十七年度の超過負担をはるかに超過する状態になってきたと述べておる。しかしこれは八月段階の計数でありますから、それ以後建築単価の高騰によりまして、十月には平米当たり八万から八万五千、十一月、十二月には十万から十万五千に達したわけでありますが、これに対して国庫負担の単価というものは十二月でようやく五万二千三百円、これは実勢の五〇%にすぎないわけだ。ですから、超過負担は急速度に増大しつつあります。二カ年計画超過負担を解消するという政府計画というものは、全くこれは画餅に帰してしまっている。  この状態に対して、少なくとも自治大臣所信表明におきまして、この重大課題というものを無視した所信表明なんというものはあってはならぬと思う。これをどうするかという問題です。これは当面の最大の課題だと私ども考えている。それに対しては明確な答えもなければ、今後どうするというはっきりした方針もない。ただ、いまのままじゃ困る、何とかしなくちゃならぬ、こういう答弁に終わっておりますが、これでは少し不勉強に過ぎまっせ。  公営住宅や保育所建設費におきましても同様なんです。公営住宅の本年度改定基準単価は、たとえば一種中耐で見ますと平米当たり五万五千六百円ですね。しかしこれは実勢には遠く及びません。たとえば昨年の八月入札しました大阪の阪南東鳥取団地というのは、これは一種中耐なんですが、同じ基準になるわけですけれども、一戸当たりが三百五万四千円についている。これは四十八平米の少し狭い住宅になっておりますけれども、それでも平米当たりが六万三千六百二十五円についているのです。これは一種高層も同じことです。これはもう羅列するのをやめますけれども、全体がそういう率で格差が出ている。これをどうされますかというのです。  それから保育所もそうですね。また課長さんが来てくれていますけれども、この保育所の建設費も、定額の打ち切りから定員構造別単価にことし改定した。しかしその基準単価は四十八年度、今年度で見ますと平米当たり四万一千七百円ですよ。ところが昨年九月契約しました守口の藤田保育所というのは、九十名収容でありますけれども、平米当たり十万九千四百八円についている。岸和田市の城内保育所というのは十一月の契約で平米当たり十一万一千八十円についている。これに対して四万一千七百円の単価で補助なさるというのです。これで見ますと、超過負担の解消なんていうことを言えたものじゃありません。この公約は一体どのようにされますか。政治的な問題ですからほんとうを言うと総理大臣でないと答えられないかもしれませんけれども、担当されております方々はどのようにお考えなんでしょうか。
  148. 沢田光英

    ○沢田政府委員 いままでの超過負担問題長らく出ておりますが、ただいま文部省からお話がございましたように、一定期間を置いては見直すということでやっております。最近見直しましたのは四十七年でございまして、それによって超過負担がおおむね七%台、こういうことになります。これを二カ年で解消するということで、実は四十八年の予算にこれを計上したわけでございます。これはまだ半分でございますから残っておるわけでございまして、四十九年度にも半分上積みする、かようなことでございます。そういうことで、順調に普通の建築費の値上がりであるとたしますれば、年間六%ぐらいが平均でございますから、それにいまの超過負担を上のせしていけば超過負担は減るし、大体実行できる、こういうふうに思ったわけでございますが、四十八年度に至りまして、いまのお話しのような価格の非常な高騰がございました。この四十八年一月から年内、これの値上がりを私ども積算をいたしますと、積算値では、ものによって違いますが、二〇ないし三〇%、かように十二月までの間では積算がいたされます。その後石油ショックによりましていろいろと物価が非常に上がっています。現在の相場ではおそらく四〇%をこえる値上がりというふうなことで、先生の御指摘のような値段も出てくると思います。しかし、これは積算の単価等の違いというものがございまして、これは業界のいわゆるこれから先、受けましたあとでの値上がり、あるいは半年なら半年間の値上がり、これを過大におそれている傾向が実はございまして、そういうものを先行き見込んで相当大幅にこれは乗っけてございます。そういうことが入札の結果にあらわれて非常な高い単価になっている。私どもはこういうものは鎮静する、させなければいかぬ、こういうふうに思っております。したがいまして、私どもは、文部省のおっしゃっておりましたような四五%程度、こういうものを上のせすることによって、来年度は鎮静する状態においてその実行が可能である、かように考えております。  さらに現在、それでは狂奔しておるこの相場をどうして切り抜けるかということにつきましては、これは年度内におきましてもやはり、来年度予算で四十数%見ておるわけでございますが、それに準ずるような手当てを私どもは各個にしていきたいということで、現在大蔵省と折衝中でございます。
  149. 三谷秀治

    ○三谷委員 いろいろおっしゃいますけれども、実際に工事施行者の段階において出ます超過負担というものは、この二カ年計画をもってしましても解消しない、そういう状況になっておったのです。そこへもってきて物価はどんどん上がってくる。しかも物価上昇に見合う単価の引き上げはたいへん僅少である。ますます地方自治体の負担が増加するという状況にありますことは、これはもう争えない事実なんです。  そこで、超過負担ということをごく簡単に言いますけれども、これは元来いいますと法令に違反するものなんでしょう。たとえば地財法の第十八条でもいっておりますが、「充分な金額を基礎として」算定しなくちゃならぬのだ。それから二条におきましても、地方公共団体に「負担を転嫁」してはならぬのだ、そういうことはきっちりと規定されているわけです。そういう法律上の規定があるのにかかわらず、超過負担というものは何かやむを得ざるものである、一つの必要悪的なものであるというようなごく甘い考え方があなた方の中にあるわけです。だからいつでも、単価の改定をしましてもあと追いあと追い、二年くらいいつでもおくれていくわけだ。そうだから超過負担がいつになっても解決しない、そういう状況かいまの地方自治体の状況なんです。  私はちょっとお尋ねしたいと思うけれども、この地財法にいっております「負担を転嫁」してはいけないということはどういうことなんでしょうか。これは超過負担と違うのですか。  それから地財法の十八条の「充分な金額を基礎として」算定しなければならぬ。この「充分な金額」というのは一体どういうことなんです。不足しない金額という意味じゃないのですか。そういう点から見まして、いまの保育所にしましてもあるいは公営住宅にしましても義務教育施設にしましても、この規定にはたして適合しているのかどうか。適合し得るとお考えになっていますか。
  150. 松浦功

    ○松浦政府委員 負担を転嫁してはならないという意味は、国が本来負担すべきものを地方に負担させないようにという意味だろうと思います。それから十八条のほうの問題は、実行可能な、ということだろうと思います。
  151. 三谷秀治

    ○三谷委員 十八条のほうは「充分な金額を基礎として」算定するということなんですよ、地方公共団体が国の支出金にかかる事業を行なうために「必要で且つ充分な」。ですから、いまおっしゃいました点はつまり超過負担のことをいっているわけでしょう、転嫁してはならぬということは。その転嫁が公然となされているのはどういうわけなんです。法治国ということをよくおっしゃいますけれども、法治国家である限りにおきましては、おれが法律だなんということは許されないわけだ。法に基づいて全部やってもらわないと困るわけだ。法に基づいて負担金も出してもらう、補助金も出してもらう。それができていない、それがあたりまえになってきた、ここにつまり問題があるわけなんですよ。これは自治大臣、ひとつ決意を新たにしてこの問題の解決に当たってもらいたいと思う。
  152. 町村金五

    町村国務大臣 先ほど来だんだんの御質疑がございましたが、先ほども申し上げましたように、確かにこの数カ月来の物価の値上がりというものは非常な激しいもので、これが学校建築等に重大な影響を与えておることは御指摘のとおりでございます。したがって現実には、三谷議員が御指摘になりましたような、昨年の暮れに私どもがたとえば学校建築について大体この程度考えましたものをはるかに上回っておるものがある、私、地域的にはそういうことがあるということも承知をいたしておるわけでございますが、そこで何と申しましても今日の段階では、こういった、三谷さんが言われるように物価が高値で横ばいになってしまうということは私どもの最も期待をしないところでありまして、何とかこれをひとつ下落をさせたいということが私どもの強い念願でもあり、政府もそのことにいま全力を注いでおる段階でございます。したがって、私は明年度の予算については、これはそういった鎮静した場合において一体どの程度になるかということを見きわめる必要があるのではないか。したがって、本年度の、いま契約はできたけれども、実際にはその支払いに非常に難渋を来たすのではないかという意味を含めての御指摘のように私伺ったのでございますが、これにつきましては、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、何らかの措置をひとつ講じようということで目下協議をいたしておる段階だ、かようにひとつ御承知を願いたいのであります。
  153. 三谷秀治

    ○三谷委員 超過負担をなくするために努力するということは皆さんおっしゃっている。そこで厚生省の方にお尋ねします。それからこれは大臣所見お尋ねしたいけれども、児童福祉法の施行令というものを厚生省は改悪しましたですね。この施行令の改悪の一つは、児童福祉施設の設置に要する費用の国庫負担は厚生大臣承認を受けた施設に限る。つまり厚生大臣承認した施設だけを補助の対象にする。二つ目には、その施設の建設費、運営費の国庫負担金の算定は、厚生大臣が定める単価、数量の基準によって行なう。こういうものです。改正前は、すべての児童福祉施設に国庫負担が行なわれる。その負担金の算定は実精算額をたてまえとする、そういうふうになっている。ただ政府が法令に違反してこれを実施していなかっただけだ。ところがこの施行令を改悪しまして、大臣がきめた価格、大臣承認した施設、これだけに補助がなされる。こういう改悪がなされましたが、これは明らかに福祉の充実の理念に反するものだ。超過負担を公認するものだ。この政令というものは地財法にも違反する、児童福祉法にも抵触をする、そういうものだと思いますけれども大臣所見お尋ねしたいと思う。
  154. 松浦功

    ○松浦政府委員 児童福祉法の政令の改正、これにつきましては厚生省からいろいろと御相談がございました。私どもといたしましては、現実の事態が政令に違反しているような形になることは当省としては望みませんので、実行可能な政令に改めるという意味で私どもといたしましては賛成をいたしました。
  155. 三谷秀治

    ○三谷委員 厚生省はどうですか。
  156. 松田正

    ○松田説明員 今回政令を改正いたしました趣旨は、従前実行いたしておりました国庫負担の仕組みを、現在の政令上はなはだ不明確であるということで、国庫負担にかかります経費でありますとかその種目、算定基準を児童福祉法の施行令上根拠を持たせた、こういうことでございまして、従前の国庫負担の仕組みを改悪したりあるいはそのほか改めたという点はないわけでございます。
  157. 三谷秀治

    ○三谷委員 財政局長は実行可能な政令に変えたのだと、こうおっしゃる。いままでの政令は実行不可能なものでしたか。そうじゃないでしょう。実行のできるものでした。福祉優先の立場に立ってその予算を増額すればできるものであった。それをしなかったのでしょう。今日までの保育所に関する法律の体系を見ますと、児童福祉法の二十四条によりまして、市町村長は保育に欠ける児童を保育する義務を負わされておる。そうして三十五条によりまして、都道府県知事の認可を得て児童福祉施設を設置する権利がある。それをしました場合には、五十二条によりまして国はその費用に対し二分の一を負担する義務がある。そうして政令の十五条によりまして、その二分の一というものは実精算額を基準とするのだ、こうなっておる。はっきりしておる。ところがいままでは、こういう法令がありながら、保育所の選別をして、たとえば昨年あたりは、厚生省からもらいました資料によりますと、五百二十数件の申請がありましたのに三百七十数件しか補助対象にしていない。切り捨てをやっておる。そうしてまた二分の一を負担する義務があるにかかわらず二分の一の負担はしない。四分の一か五分の一負担している。ですから政令の十五条にいいます実精算額を基準とするという規定にも反している。いままでずっと法令違反をやってきたわけか。その点、どうです。
  158. 松田正

    ○松田説明員 まず設置の選別の問題でございますが、従来児童福祉施設の設置に対します国庫負担につきましてはそれぞれの地域からの申請、協議を行ないまして、それに基づきまして厚生大臣が適切と認める施設につきまして国庫負担を行なう。それを一応内示というかっこうで、地方との協議をととのえておったわけでございます。したがいまして、今回その部分を厚生大臣承認ということで、実態を変えることなく政令を改正したという点が一つございます。  それからもう一点は、旧政令によります精算額の問題でございますけれども、これにつきましては、従来地方公共団体が支弁をいたしました費用から一定の額を差し引きました額を精算額とする、こう申しておったわけでございます。御承知のように、交付基準によりまして、一定の合理的な基準から算出をいたしました額を単価といたしまして、それによりまして支弁額を算定いたしておったわけでございます。その旨を今回の施行令で明確にしたということでございます。
  159. 三谷秀治

    ○三谷委員 説明がよくわかりませんが、実態を変えずに政令を変えたのだ、こうおっしゃる。つまり実態に沿うように政令を変えたとおっしゃる。いままでの実態というものが政令に沿っていなかったことになる。これはさっき申しましたように、市町村長は保育に欠ける児童を保育する義務があるのでしょう。そういう義務を負わされている。そのために都道府県知事の認可を得て児童福祉施設をつくる、保育所をつくる、こういう権利が与えられている。これをつくりましたときには二分の一を負担すると、五十二条でこうなっているが、その二分の一の基準は実精算額。実精算額というものは、ここに規定がありまして、いろいろありますが、寄付等によります費用を引くとなっている。なっているけれども、実際の施行額と大差のあるものじゃない。大体実施額と見ればよろしい。それがいままでの法律や政令の規定であった。そこで去年、前回の国会でもこの点を追及した。そしたらわけのわからぬことを言っておりましたが、とうとうそこでこのような政令の改正によって、政令上におきましてそういう合理化をはかるという処置をおとりになった。しかしこういう処置というものは、従来の政令から見ますと明らかに福祉行政の後退を意味するものだし、それから地財法の二条や十八条にも抵触するものだ。そういうものを、なぜにわかにこのような処置をおとりになったのか。いま、成長から福祉優先といっている時代なんでしょう。むしろこの政令というものを積極的に改善をするということが必要になってきている。ところがあなた方のほうは、従来しばしば指摘されました違法処置を法令上合理化するための処置をとった。この処置をとったことは超過負担を公認することだ。超過負担をなくしようという政府の公約にも反するじゃないですか。しかも福祉優先の公約にも反するじゃないですか。なぜこういうことが必要になってきたのですか。
  160. 松田正

    ○松田説明員 まず第一点の、施設の設置につきましての承認の問題にかかる問題でございますが、児童福祉法の規定によりますれば、保育所につきましては三十五条の第三項によりまして、市町村が任意に設置ができることになっているわけでございます。五十二条におきましては、政令の定めるところにより、児童福祉施設につきましては二分の一の国庫負担をする、こういうことでございますので、一応、設置をいたしました施設についてすべて国が義務負担をするように解せられるわけでございますけれども、私どもとしましては、第三十五条三項によります任意設置の施設等につきましては、すべてを国が負担する趣旨とは法文上解されないという立場を従来とっておるわけでございます。これが第一点でございます。  それから、旧政令にございました都道府県あるいは市町村が支弁をいたします経費これにつきましても、市町村なりあるいは都道府県が支出をいたしました経費の、実際にかかりましたすべての経費を国庫負担の対象とする趣旨とは解してないわけでございます。その点は先生と若干意見が異なるかと思いますけれども、従来そのようなことで、今回そういったような政令上の根拠を明らかにした、こういうのが今回の改正の趣旨でございます。  それから超過負担の問題につきましては、先ほど来るる先生御指摘のとおりでございますけれども、これは今回の政令とは別に、政令で規定をいたします厚生大臣が定めるそれぞれの単価あるいは算定基準、算定方法、これの改善によって当然超過負担の問題とも関連が出てくるわけでございます。これはまだ厚生大臣がその基準を定めておりませんので、できるだけそういう方向で積極的に検討する考えでございます。
  161. 三谷秀治

    ○三谷委員 お尋ねしたことにお答えいただきたいのですけれども、いまあなたは、三十五条の設置が任意規定になっているから補助も任意規定なんだ、こういうことをおっしゃっておる。設置は確かに任意になっているけれども、設置した場合の補助の規定は、これは選別なしに全体にする、そう解せられぬといまあなたおっしゃったけれども、だれが読んでもそうなっている。したがって、設置の任意性と補助の任意性と混同しちゃだめです。それは別問題である。  そうしてこの実精算額の解釈につきましても、いろいろおっしゃっていますけれども、多少の寄付金その他のものを引きましてもそう差は出てきやしません。それが従来の政令です。ところがこれでおやりになっていなかった。それで厚生省にこの間お尋ねしましたら答弁できなくなってしまった。そこでこのような施行令の改正を今度企図された。つまり、改正されますと明らかに選別ということが法令化され、そうして大臣がきめました単価ですから、超過負担が生じましてもこのこと自体は問題にならない、超過負担を合理化する、そういう内容になっている。そういう法令の改正というものが、いま福祉優先の時代におきまして妥当なものでしょうか、どうでしょうか。私はもちろんいま施行令を審議する立場にあるわけでありませんから、これにつきましては超過負担その他の問題として自治省見解お尋ねしなければならぬ。
  162. 松浦功

    ○松浦政府委員 厚生省の立場でないとなかなか答えにくい問題でございますが、全国的に保育所を補助金を出してどの程度つくっていくかということのからみ合いの問題もあろうかと思います。したがって、私どもとしては先ほど申し上げましたように、こういう政令になりますると問題の処理が一切明白にきちんとなる、そういう意味ではこういう制度を定めることに自治省としては反対する理由はなかろうというつもりで了承をいたしたわけでございます。
  163. 三谷秀治

    ○三谷委員 きちっとなるとおっしゃいますけれども、きちっとなっているのですよ、従来から。きちっとなっているけれども、なっているようにしなかったのだ、厚生省が。この法律はだれが読み直したって非常に明確なことなんです。市町村長が保育に欠ける子供を保育する義務がある。そうして府県知事の認可を受けて保育所をつくる権利がある。それに対しては国が二分の一費用を負担する。そうしてその費用というものは実精算額を基準にするのだ。非常に明確なものだ。それをいままでやっていなかったのだ。いままで、いや協議とかなんとかいっておりますけれども、実は全部切り捨ててしまっている。わずかなものしかやっていない。それで問題になってきた。しかも、わずかしかやっていない上に、実精算額じゃない。とんでもない。最初のうちはあれは打ち切りでやっていたのだ。握り金だ。それが問題になってきたから、今度は構造別基準単価などというものをつくったのです。つくったけれども、これは実勢単価にはるかに及ばない。そこで保育所の超過負担の問題がやかましく言われだした。訴訟も起きてきた。そういう状態になってきたから、こういう施行令の改悪をたくらみ、施行令で超過負担を公然と認めている。施行令で保育所の補助対象を選別することを公然とうたっている。こういうことをやってきたのですよ。これは社労でいずれ論議されるでありましょうけれども、それを自治省が、このほうが問題がはっきりしていいなんということを言うとすれば、あなた方は地方自治行政に対して責任を持つ、そういう資格は全くない。いま保育所問題がどれだけやかましい問題になっているかということは、いまこの物価高の中で子供を預けて働きたいというおかみさんがずいぶんあるわけです。だから保育所へ行くのが非常にふえてきている。その要求に押されて、自治体が財政困難の中で保育所をつくっていっている。それに対しては国が何をおいてもこれを補助していくという姿勢が必要なわけだ。ところがこれは選別する、あるいはあてがいぶちで金を出す。それが問題になってきて、議会でも問題になり、訴訟にもなってきた。そこで政令の改正をやってきたのだ。居直りをしてきているのだ。これは明らかに福祉に対する挑戦だ。それをまた自治省が、このほうがはっきりしていいとは一体どういうことですか。そういうことで皆さん、地方自治体の福祉行政の充実なんということが言えますか。大臣、どうお考えですか。
  164. 町村金五

    町村国務大臣 私はこの問題は比較的最近に伺ったところなので、かなりの経緯がいろいろあるようでございまして、結果として、厚生省はこの場合児童福祉法の施行令の改正を行なうことが適当だというふうに判断をされて、この施行令の改正を行なわれたもの、かように私ども承知をいたしておるわけでございます。いま三谷議員によりますれば、こういうことはむしろ保育所建設の機運と申しましょうか、建設を抑制するというような結果になり、国の福祉行政を進める上において後退になるのじゃないか、こういう御指摘のようでございます。まあ私も、いま三谷議員のお話を伺いますと確かにそういう一面もあるように思うのでございます。ただ御承知のように、保育所というものは、いまの法のたてまえでは確かにそういうふうになっておるようでございますけれども地域できわめて簡単につくられるというようなことも従来はあって、しかもそれは各自治体が軽易におつくりになるというようなことが過去においてあったのではないか。そういうようなことで、これに対する国の補助が始まったというのも、必ずしも初めからでなし、中途から始まり、しかもそれには一定のきまった金額の補助が行なわれるというようなことが過去の経緯にあったのじゃないか。そういうようなところからいろいろの問題が起き、その問題を解決するためにはやはりこういう措置をとらざるを得ないというふうに厚生省が判断をされたというのが、今回の施行令の改正ということになったのではないか。私は私なりに実は自分の判断を申し上げたにすぎませんけれども、そういう事情ではないであろうか。しかしこの問題は今後さらに検討をされてしかるべきものではないか、私は自治省立場ではそういうふうに考えるのであります。
  165. 三谷秀治

    ○三谷委員 こういうことをやらしておきましたのでは、大臣の所信にありますような「住民生活の安定と福祉の充実」というふうな問題、あるいは「豊かな住みよいまちづくり」なんということはできっこないですよ。ですからこれについては自治大臣のほうからも意見を提出していただいて、こういう不当な処置は撤回をするように努力願いたいと思います。いままでの法令であっても、これを守っていけば十分に保育所行政の補助対策というものはできるわけです。それをいま言いましたように、制限をしたり、単価にしましても大臣がきめるというのですから、少なくたって文句のつけようがない。明らかに後退なんです。これはいまの内閣の福祉優先という公約からしましても認め得ることじゃありません。これは自治省からも厚生省のほうにその点について提起していただきたいと思う。
  166. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、これから、厚生大臣承認を受けた施設等についての負担対象あるいは建築費の単価、積算の根拠あるいは建築延べ面積、そういったものが地方の保育所行政に適切にフィットするように厚生省と十分協議をしながら、厚生大臣がお定めになる際に私どもとしても意見を申し述べていきたい。そのことはあらかじめ厚生省とも話し合っているところでございます。
  167. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのお答え、どうも少しピントがはずれておるようですね。つまり、いま問題になっているのは、厚生大臣が補助対象を選別するという問題と、それから単価をかってにきめるという問題これを施行令で変えようとしているわけです。それはだめだと言っておる。そんなことをしておったら、超過負担なんというものが生じても、政令によってかまわぬ、こうなってしまう。そうなってきますと地財法の十八条に明らかに反している。そういう法律に違反する政令なんというものが認められるわけのものでもない。そうしますと、地方財政の観点に立って、そういう地方財政法に違反するような政令は撤回をする、そういう提起をしてほしいということを申し上げているわけです。
  168. 松浦功

    ○松浦政府委員 当省といたしましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、これまでやっておりました保育所の設置に対する助成金が実態に合うように、できるだけ厚生省に申し入れをしていくという態度で接してまいりたい、こう思っております。
  169. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなた方の行政執行の態度というものは、法令に基づいて執行するというのが基本なんでしょう。法令を曲げた実態なんというものに合わすなんということがあっていいことですか。法令を曲げても、それがいままでの慣例だとか慣習だからそれに合わすのだ、そういう処置があっていいものですか。そうじゃないでしょう。法令に基づいて行政は執行していく、そういう立場に立ちますと、このようにして超過負担を認めるような処置、これは明らかに地財法の十八条に反している。それから選別対象、これは児童福祉法に反している。そういう法令に違反する処置に対して訂正の申し入れをしなさいと言っている。
  170. 松浦功

    ○松浦政府委員 政令で定められた内容に従って補助がきちんとなされますれば、対象以外のものは超過負担だとは私ども考えられないわけでございます。この点は残念ながら三谷委員意見が食い違っておるようでございます。私どもといたしましては、現在の内閣のもとで決定されました政令について、同じ内閣の中の厚生大臣にこれを撤回してくれということは、基本的に問題がない限りはあり得ませんし、また、基本的に問題のあるようなものを閣議で御決定をいただくということは、私どもとしてはあり得ないと考えております。
  171. 三谷秀治

    ○三谷委員 閣議決定したものだから、これは財政局長の答弁じゃ無理だ、大臣に答えてもらわぬと困る。  それで、基本的な問題がないとおっしゃいますけれども、これは問題がないですか。問題があるでしょう。つまり、国の補助金などにつきましては、地方自治体に転嫁してはならぬという問題があるわけです。それを厚生大臣がかってに単価をきめるとなれば、それが発生する条件は十分にあるわけだし、いまの実際の状態というものを政令化したというのであれば、いま現に出ている超過負担をそのまま政令において公認する、こういう結果になってしまうじゃないですか。基本的な問題が十分にあるわけです。しかも、これは児童福祉法の五十二条にありますように、すべての施設を対象にして補助するようになっている。それがたてまえだけれども、それをやってないだけのことだ。やってないところを追及されたものだから、やらなくてもいいようにこれを変えようとしているわけです。そこにも基本的な問題があるわけです。これについては法律との観点からしましても検討する余地が十分にある。自治大臣所見お尋ねしたい。
  172. 町村金五

    町村国務大臣 だんだん御質疑を伺っておったわけでありますが、厚生省として、保育所の問題についてはいろいろな観点から今度施行令の改正を行なわれたもの、かように私ども承知をいたしておるわけでございまして、確かに三谷委員の言われますような問題もあるようには私は存じますけれども、すでに、こういう施行令を改正をするということについては、三谷委員の御指摘のいろいろな問題を十分検討された上でこの施行令の改正を今度行なわれたと私は承知をいたしておりますので、今日の段階におきましては、この施行令に従って自治省としてもこれに対処してまいるべきだ。ただ、御指摘がございましたように、私は問題が必ずしもないわけではないというようには感じておりますので、それは今後の問題としてさらにひとつ厚生省において御検討を願うべきもの、かように存じておるわけであります。
  173. 三谷秀治

    ○三谷委員 一片の政令で法律の内容を変えるようなことをしてはならぬですよ。これはわかり切ったことだ。法律の域を越える政令なんていうものはつくってはだめなんだ。ところがこの政令はそういう要素を持っている。これは児童福祉法の五十二条に反する、それから地財法の十八条にも反する、二条にも反する、そういう性質のものだ。それが反しないとおっしゃるのであれば、どの面において反しないのか、説明してほしい。
  174. 松田正

    ○松田説明員 先ほど来申し上げておりますように、私ども考え方といたしましては、保育所の設置につきまして、すべての保育所について五十二条によって国庫負担をすべきものというふうには解されないというふうに考えておるわけでございます。また、道府県あるいは市町村が支弁をいたしました費用というのも、合理的な基準に基づいた費用というふうに考えておりますので、実際に支出をいたしましたあらゆる費用をそのまま国庫負担の対象にするということには、私たちは考えておらないわけでございます。
  175. 三谷秀治

    ○三谷委員 そのように解釈されるところを読んでみなさい。
  176. 松田正

    ○松田説明員 児童福祉法の三十五条の第三項でございますが……
  177. 三谷秀治

    ○三谷委員 三十五条じゃない。それは施設の認可のところだ。補助のところは五十二条だ。
  178. 松田正

    ○松田説明員 第三十五条の第三項で、「児童福祉施設を設置することができる。」こういうふうに規定してございます。  なお、法律の五十二条におきましては、国庫は、この経費につきましては、「政令の定めるところにより、その二分の一を負担する。」こういうことでございまして、今回改正をいたしました政令の中身が、この「政令の定めるところにより、」というところに該当するかと考えております。
  179. 三谷秀治

    ○三谷委員 「政令の定めるところ」というのは政令の第十五条以降のところだ。つまり、この補助をする場合の基準をどこに置くかというのがこの法律の政令の定めになっているのだ。ごまかしを言ってはだめだよ。
  180. 松田正

    ○松田説明員 旧政令の第十五条におきましては、いま御指摘のように、「都道府県又は市町村が支弁した費用」の中から一定の金額を差し引いたもの、一定の金額その他の収入を「控除した精算額に対して、これを行う。」ということでございまして、今回の政令の中身といたしましては、これらの支弁すべき費用のどういうふうな種目について、どういうふうな算定基準で、いかなる算定方法によって計算をすべきであるか、具体的にはその額を厚生大臣が定める、こういう法令上の根拠を持たしたのが今回の改正でございます。
  181. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはよりあいまいになるだけじゃないの。この政令十五条によりまして、実精算額をもって精算をするんだ、補助するんだ、そして補助が二分の一だと決定している。それをいま、今後は厚生大臣がいろいろなもろもろの問題をきめていくのだ、ますますあいまいもごとしたものにしようとしているのじゃないですか。したがって、ここにおきましては、ここで規定しております国が保育所に対して補助をするという五十二条の原則、これは選別によってふいになってしまう。そして大臣がきめます補助額は今後きまっていくわけだが、何ぼになるかわからぬけれども、こういう政令の改正をしたからには、いまのような超過負担を合法化しようとする意図があるに違いがない。そうでなかったらこんなもの変える必要がない。そうすると地財法の十八条にも反してくる。その点は一体どうなっていくんだ。
  182. 松田正

    ○松田説明員 この経費の中身につきましては、従来適正化法に基づきます交付基準で指示をいたしておったところでございます。ただ旧政令の十五条につきましては、この精算額をいかにして算出するかということはきわめて政令上不明瞭でございますので、この点を改正をしたということが一点でございます。  それから選別の点につきましては、先ほども申し上げましたように、三十五条第三項の規定等から考えまして、すべての施設をそのまま国庫負担の対象にするという趣旨とは解されないというのが私ども立場でございます。ただし、それを政令の定めるところより負担をするという中身といたしまして、従来厚生大臣が一定の基準に適合するという施設について国庫負担をいたしておりましたそのままを承認というかっこうで政令に規定したというのが第二点の改正でございます。
  183. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの五十二条というのはそんなふうになってないですよ。これは政令の定めるところによりその二分の一を負担するとなっているわけだ。二分の一を負担すると。選別するとなってない、そんなものは。それをいま政令改正によって選別を入れようとしているわけだ。従来これが選別対象になっていないから、摂津の保育所の訴訟にしても、補助対象になっていない分も超過負担として請求しているわけです、訴訟しているわけです。いまここで五十二条を読む限りにおいては選別なんということは入っちゃいないんだ。それを選別をしようとするので政令の改正をしようとしている。五十二条の規定とは反する、あるいはこれを、これに反することをきめようとしているわけだ。あるいはそれによって五十二条に一定の根拠をつけようとしているといってもいいわけだ。その根拠をつけようとしているつけ方がよくない。選別をやらそうとしている。むしろもっとこれを明確にして、その選別なんというものは入れないというふうなことでも入れるというのだったらこれはまた一そう積極性があるわけだけれども、そうじゃないでしょう。この段階においても選別ということは入っていない。それを選別しようとしているわけだ。そしてもう一つは地財法の十八条との関係はどないなるのですか。これとの関係は、大臣の決定する単価の中ではどないなっていくんだ。
  184. 松田正

    ○松田説明員 厚生大臣が単価を定めます場合には、それぞれ関係省庁とも十分協議をいたしまして、いわば厚生大臣の恣意にわたるというようなことがないように従来ともやっておるわけでございます。今回政令でそういう法的根拠を置いたからといって、直ちにいわば恣意的に厚生大臣がかってにきめるということはあり得ないわけでございまして、それぞれの実情を考慮しながら、関係各省とも御相談の上きめていく、こういうことになろうかと思います。
  185. 三谷秀治

    ○三谷委員 これはいまの実際がそうでないから問題なんだ。いまがそうであれば、その改正についてもそれほど問題視しないかわからぬけれども、いまそうじゃないでしょう。いまとんでもない選別をやっているわけだ。そうしてとんでもない補助単価をきめているわけだ。二分の一負担するようになっている。しかもこれは補助金と違う。負担金だぜ。負担金というのは積み上げ計算をすべきものだ。その負担金でさえも、積み上げ計算も何もせずに、初めのうちは打ち切り支給だ。いまは何か定員別、基準別単価とかなんとか言っているのだけれども、実態を見ると実情に合いはせぬ。負担金というものはそういうものと違うじゃろう。補助金じゃない。当然これは負担をしなくちゃならない義務的な経費だ。負担金というものを、積み上げ計算も何もせずに厚生大臣がかってにきめる、そういう性質のものですかね。
  186. 松田正

    ○松田説明員 先ほど度再三申し上げておりますように、厚生大臣が基準をきめます。これは現在のやり方でございますけれども、その施行令上の根拠を明確にしたというのが今回の改正でございます。したがいまして、従前と同様に、単価あるいは算定基準をきめますきめ方、その中身の問題と、それから政令を改正いたしました趣旨とは格別連関性を私は持っていないと考えておりますけれども、中身の問題といたしましては、先ほど来御指摘のありました超過負担の問題もございましょうし、あるいは極端な場合には責任転嫁という問題もあるいは出てくるかもしれませんけれども、そういったことにつきましては、この政令によりまして厚生大臣が具体的な単価等を定めます場合には関係省庁とも十分相談をしながら、なおかつ地方実情にできるだけ沿うようにこういったことをきめる、こういうことでございます。
  187. 三谷秀治

    ○三谷委員 これに時間をとっておりますと先に進みませんが、そうしますと自治省のほうでは、この施行令の改正によりまして、保育所の補助対象を限定する、そうしてまた単価も厚生大臣がきめるということによりまして、従来の行政水準より低下する心配はないのか、あるいは超過負担が発生する心配はないのか、この点についてはどのようなお考えと対策をお持ちなのか、お尋ねしたい。
  188. 松浦功

    ○松浦政府委員 御質問の趣旨がちょっとはっきりしないところもございますが、おそらく、厚生大臣承認が得られない保育所の建設が行なわれることになるだろう、その部分について自治省はどう措置するつもりかということと、超過負担の問題と、二点と理解をいたしましたので、そのつもりでお答えを申し上げます。  まず第一点の、厚生大臣承認が得られなかったものは補助対象にならぬじゃないか、そうなったら地方財政問題苦しくて、なかなか保育所が建たぬじゃないか、こういう御質問だと思います。本来は、私どもといたしましてはできることでございますれば、予算がたくさんあって、希望するところに全部負担が渡るということが一番望ましいかと思いますが、希望が非常に多くて、国の予算と数が合わない、そのために厚生大臣承認が得られないというものがかりに出てきたといたしました場合には、地方財政としてはなかなかその団体がたいへんだと思います。その点については起債を認めるということについて検討をいたしたい、こう考えております。  第二の問題は、これは先ほども申し上げましたように、政令がきちんとした形で定められました場合に、それの二分の一の負担がきっちりなされるわけでございます。負担の対象とならなかった部分については、これは超過負担という考え方自治省としてはとれないかと存じます。ただ現実にこの部分については、いわゆる地方財政計画の中にはその他の経費とか単独経費とかいうものがございます。それらの中で地方公共団体に消化をしていただくという考え方をとらざるを得ないかと考えております。
  189. 三谷秀治

    ○三谷委員 なおこの問題につきましては、施行令の改正につきましては、これはこのままでは議論が尽くせたとは言えませんから、いずれ社労あたりでさらに問題を明らかにしていきたいと思います。  時間の関係がありますから次に移りますが、このようにしまして、地方自治体というものが請負単価の暴騰によって非常に苦しんで難儀している。この請負単価の暴騰というのは一つは建設資材の暴騰に原因があるわけだ。これが大きな要因になっている。そこで、この建設物資の不足、高値、これに対しては政府はどういう処置をおとりになっているのか、とろうとされているのか、これをお尋ねしたい。
  190. 木原滋之

    ○木原説明員 セメントの関係について申しますと、昨年、四十八年のセメントの生産は十月まで非常に順調に進んでまいって、不足の事態はなかったわけでございますが、十一月の後半から石油削減の影響を受けまして、十二月、一月の中旬というところまで非常に需給の混乱を見たわけでございます。しかしながら中旬以降生産も非常に順調に伸びてまいっておりまして、二月には特に生産増強のために石油、電気等の特配を行なうというふうな措置もとりまして、需給は平穏に現在過ぎております。また、需要のほうにつきましては総需要抑制効果も出てまいっておりまして、今後はますます緩和の方向に向かうものと思っております。  それから価格につきましては、こういう需給の状況を反映いたしまして、十一月に、日銀の卸売り物価指数で申しますと対前月比四・四%、それから十二月には一七・三%の上昇を見たわけでございますが、一月以降はほとんど横ばいに推移しております。今後もそのような需給状況を反映いたしまして、価格の上昇はないものと思います。しかしながら、万一価格が上がるというふうな事態があれば、通産省といたしましては価格の引き上げがないように指導していきたい、こう思っております。
  191. 三谷秀治

    ○三谷委員 ごく平穏だなんということを言っているけれども、今後上がるようであれば指導したいと言うけれども、いま要するに高値安定しているんでしょう。うんと上がっているんですよ。下がっちゃいない。十二月、一月におきましてセメントの相場というものは変動がない状態になっている。いまの十二月の相場というものが非常に高いものであって、そういうものが公共事業の入札などに影響している。これはもっと早く下げる処置をとらなくちゃいかぬ。これから行政指導するのでなしに、いままでにしなくちゃならぬじゃないですか。いま高値で安定した段階におきまして、これから上がれば指導すると、こうおっしゃっている。しかし、いま地方自治体が困っているのは、いままでの値上がりで単価アップになって、そうして入札が不能になるという状態になってきておるわけです。このセメントというものを生活必需品の指定物資にしないというのはなぜでしょう。
  192. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 ただいま通産省のほうからのお答えに補足して答えさせていただきます。  経済企画庁物価局におきましては、まず価格の安定をはかるための前提は需給のバランスを回復することであるという見解を持っております。私どものほうの長官が一月二十一日の経済演説でも述べておりますところでございますけれども、現在の物価情勢というのは、生産力の水準に対して需要や所得がそれを上回ったところにあるという基本的な認識を持っております。したがいまして、去年の四月以降総需要調整政策というのを続けております。特に最近におきましては公共事業の繰り延べ、それから大型の建設工事の着工の抑制、設備投資の抑制その他の政策を続けております。最近発表になりました統計によって見ますと、昨年の十−十二月期につきましては公共事業費の支出は、これは支払いベースでございますけれども、二二%去年の同期に対してふえておりますけれども、ことしの一月になりまして約七%去年の同期よりも減少しているということがございます。したがいまして、需給のバランスとかいう観点から見ますと、今後需給は軟調に推移していくだろう、そういうふうに見ているわけでございます。  それからもう一つ、個別物価対策でございますけれども、従来投機防止法あるいは買占め等規制法というふうに呼んでおりますけれども生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律というもので、丸太、製材、合板等の建設資材を指定いたしまして、買い占め等の不当な行為が起こらないように監視をしてきておるわけでございます。また、セメントをなぜこの買占め法の対象に指定しないのかという点につきましては、通産省からお答えいただければいいと思いますけれども、私どもの理解におきましては、セメントというものはその物理的性格からいきましてあまり長い間保存することができない、そういう意味で買い占めの対象にするにはふさわしくない物資である、そういうふうに聞いております。私ども科学者でございませんので、これにつきましてそうではないだろうといったような判断はあんまりできないわけでございますけれども、そういう理解でございます。
  193. 木原滋之

    ○木原説明員 投機防止法の対象にしないというのは、いま経済企画庁のほうからお話がありましたように、セメントは特に湿気をきらうものでございます。ばらものを貯蔵するためには特別のサイロのワクが必要でございまして、それに入れておかなければ一月と保存がきかないわけでございます。それから袋物にいたしましても、非常に重量物でございますから、倉庫に積み上げるにいたしましても十段以下ぐらいにしか積み上げられないということで、大量にそれを倉庫に保管するということは不可能でございますし、たとえ袋物でありましても二カ月以上の保管というものはむずかしいという、こういう品物でございますので、投機防止法の対象にはならないかと思います。
  194. 三谷秀治

    ○三谷委員 セメントの値上げだけでなしに、セメント不足というものが昨年の十一月、十月段階において市場に見られて、これが地方公共団体の事業の入札に大きな支障になってきたということは各地で出てきておる現象なんです。そういう段階におきましてセメントの生産量というものは減っていないわけです。減っていないけれども、これが市場に出てこない、そういう時期があった。いまでもなおセメントは十分に市場に回っているとはいえない。ついこの間、川崎市におきまして大工さんや左官さん、建設労働組合の連合会がデモをやった。これはくぎ、ベニヤ板、セメント、接着材などが二倍から五倍にも上がった。中には商社やメーカーが売り惜しみをして、やみ値でも手に入らない、こういう事態を解決しろというのでこういう大きな、六千人の人が集まったデモが行なわれた。ついこの間のことだ。そういう状態になってきている。しかもいまだに入札不調という問題が地方において続いているわけです。それは、一番大きな原因になっているのは建設資材の問題そういう状態があるにかかわらず、それが保存の度合いがどうだとか、あるいは景気が鎮静すればこれはおのずから解決するんだとか、そういうことを言っているのではなしに、機を失せずに処置をとるということが一番大事なことなんです。これはこの間の閣議でもそういっているでしょう。十二月二十五日の閣議ですか、機を失することなしにこの処置をとるということをいっている。だから、そのことは非常に大事なことでありますけれども、これが今日まで放置されてしまって、今日まだ入札できませんよ。ですから、その品物の持続的な保存の度合いがどうとかこうとかいうのでなしに、実際の衣食住という生活影響する点から考えて、こういうものは当然指定物資にでもして、そして行政指導をさらに強化するという必要があるのじゃないですか。
  195. 木原滋之

    ○木原説明員 投機防止法の対象にはなかなかなりにくいものだと思いますが、価格の安定は、やはり第一番目に需給の安定によるものである、そのために生産の効率をあげるということで、二月には油、電気の特配をやりまして生産の増強を行ない、需給の安定化をはかっておるわけでございます。価格もそれによりまして漸次鎮静化されてくるものと思います。
  196. 三谷秀治

    ○三谷委員 それではいまセメントがどういう状態になっているのですか。セメントが、あなたのおっしゃるところによりますと需給調整だけで問題解決するとおっしゃっていますけれども、そうでなしに、セメントが全然姿を隠した時期があるでしょう。セメントが出てこないから入札できない。需給関係だけでなしに、セメントというものがメーカーなどによって操作されているという関係があったわけでしょう。いまでもそれは完全に解消したとはいえぬでしょう。それに対して一体どういう処置をおとりになるのか。そしてその処置なしに、需要抑制だけで地方行政やっていけるのですか。
  197. 木原滋之

    ○木原説明員 年末から年始におけての需給アンバランスというものは、私どもの見るところでは、生産が減退したということで、需要に対して供給が追いつかなかったものと思います。十二月の生産は対前年比九五%ということで、非常に落ち込んでおります。一方需要のほうは、年間を通じますと一七%か一八%というふうな高い伸びを示したわけでございまして、そのために十二月は必要需要量をまかなうことができなかったという事情でございます。十月の在庫を十一月、十二月とつぶしてまいりまして、十二月末には二百万トンそこそこの、これはもうぎりぎりの在庫でございまして、在庫と申すよりもいわばデッドストックといってもよろしいかと思います。ほとんど在庫を持たなかったという事情でございます。
  198. 三谷秀治

    ○三谷委員 セメントの在庫というものは、おたくからもらった資料によりましても、十一月、十二月におきましては若干減少している。しかし在庫を持たないという状態じゃない。二百十八万七千トンですか、十二月においても在庫がある。ですから在庫量というのは存在している。だからこれは需給が完全にバランスを失ってしまってどうにもならぬという状態じゃない。  それで、その需給の問題とあわせて価格の問題がありますけれども、価格がどんどん上がってくるのを全然手放しで見ておったわけですか。
  199. 木原滋之

    ○木原説明員 セメントの現行価格は、十月に比べますと二〇%程度上がっておるわけでございますが、これは石油の価格の上昇、それからトラックあるいは船舶等の輸送費運賃の値上がり、あるいは原材料——原材料といいましても副資材等の値上がりというような要因に基づくものでありまして、私どもの現段階での調査では、不当な便乗値上げが行なわれたというふうに結論づけることはできない段階でございます。が、引き続いて監視を行なって、検討を行なってまいりたいと思います。
  200. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは、セメント会社の利益を一体どれぐらいにおたくの調査では見込んでおるか、お尋ねしたい。
  201. 木原滋之

    ○木原説明員 セメント会社の三月期の決算は、九月期よりも利益が上回ることはないものと思います。
  202. 三谷秀治

    ○三谷委員 どれぐらい見込んでおるかと言っている。
  203. 木原滋之

    ○木原説明員 各社まちまちでございますが、一割から一割二分の配当ができる程度のものと思います。
  204. 三谷秀治

    ○三谷委員 セメント会社のもうけは非常に大きなものです。これは大手セメント三社の利益を見ましても、九月の段階で見ますと二〇〇%、三月段階の予定で見ますとさらにこれが大幅にふえるようになっている。それで九月期の利益というものも大きなものですね。たとえば住友セメントなんというものを見ますと、前年同期比四四五%の利益が出ているわけです。こういう利益の中でセメントがどんどん上がってきている。それによりまして地方自治体の住民関連事業が全く停滞してしまっているという中で、この価格に対する指導やあるいは処置というものはどのようにおとりになったのか。  それから、十二月に御承知のようにセメント業界のやみカルテルの問題が表面化した時期がある。これについては公取委が調査すると言っておったんだが、この調査の結果はどうなったのか、これもお尋ねしたい。   〔中山(利)委員長代理退席、中村(弘)委員長代理着席〕
  205. 妹尾明

    ○妹尾説明員 あとに申された点でございますが、セメント業界のやみカルテルの問題でございます。これは私どものほうは、ただ便乗値上げあるいは大幅な値上がりがあったから直ちに独禁法上問題になるというわけにはまいりませんで、何らかの競争を制限する行為といいますか、業界で協定行為をやりまして値上げをする、こういう場合に問題になるわけでございますけれども、現在のところセメントにつきましては調査はいたしておりません。ただ、セメントによってつくります生コンにつきましては、これは昨年十二月十五日の連合審査会におきまして先生御指摘になった点でもございますけれども、生コンの価格を関係の業者が共同して値上げした、こういうふうな疑いがございましたので、これは現在正式に独禁法違反事件として調査に着手しております。すでに実は本日、東京、神奈川、千葉、埼玉、この四県におります生コン関係の団体、事務所、それから主要な業者、合計十四カ所に対しまして立ち入り調査を行ないました。
  206. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはセメントですか。
  207. 妹尾明

    ○妹尾説明員 生コンでございます。
  208. 三谷秀治

    ○三谷委員 生コンというものはセメントと密接な関係があるわけだけれども、そういう独禁法違反で公取委が立ち入り検査をするという状態になっておる。そういう形で価格の上昇がはかられておるのに対して、通産省は何らこれを制御する処置をとっていない。これはどういうわけだ。  それから、十二月の石油二法の連合審査におきまして、橋本生活産業局長ですか、この人は、セメントが生活必需品かどうか判断の問題があるが、どちらかといえば基礎的な資材である。しかし住民生活環境に重大な影響を与えておるから、生活、つまり衣食住だ。これにおいて欠くことのできない物資であって、価格の変動、流通状態から見て指定物資にすべきであると答えている。前向きに検討すると言っている。その後、どういう検討をしたのですか。
  209. 木原滋之

    ○木原説明員 先生の御指摘は、投機防止法の指定の問題かと存じます。投機防止法の指定対象にセメントがなるかどうかということは、先ほども申しましたように、投機の対象にはなりにくい商品の性格があるということでございますので、投機防止法の対象とはわれわれは考えておりません。
  210. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうすると、値段も上げほうだい、野放しにしておくわけか。
  211. 木原滋之

    ○木原説明員 価格につきましては、需給が緩和してまいっておりますので、だんだん安定化の方向に向かうものと思います。いろいろな値上げ要素というものがありますけれども、極力そういう点は企業の努力で吸収するように指導しております。
  212. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは何もしてないことじゃないか、その言っていることは。なるほどこのものが日常生活物資という性質のものじゃないけれども生活というものが衣食住ということを意味するものであれば、これは住の中心になるべき物資なんだ。これを野放しにして、何らこれを指導しない、あるいは法制的な規制をしないというようなことをやっておるものだから、どんどん上がってくるわけだ。そのために、初めに指摘したように、地方自治体においては学校が入札ができないというふうな事態が頻発しておるわけなんだ。そういう状態を見ておって、なおこれが指定物資にできないというその根拠がわからぬわけだ。品物の性格がどうあろうとも、そのものが生活に大きな影響を与えるものであるならば、どんどんこれは指定物資にすればいいわけだ。何ら選択する必要がない。生活影響を与えるものはどんどんやっていけばいい。やっていってデメリットがあるのかね。そういうわけじゃないでしょう。特にセメントの問題は、カルテル問題、やみカルテルがしばしば問題になっておる。しかもセメントは聞かないんだ、これ指摘されても。承認しない。そういう状態が続いてきている。それに対して政府の処置としては全く無策に過ぎるじゃないですか。このほうの問題も何らかの処置をとっていかなければ、地方自治体の問題というのは、いま当面しておる困難というのは解決しません。自治大臣、これについてどうお考えでしょう。
  213. 町村金五

    町村国務大臣 セメントあるいは鉄材といったようなものが、特にこの二、三カ月以来非常に値上がりをしたということが、先ほど来お話がございました地方自治体において学校その他の入札が思うにまかせないという原因をなしておることは、私どももとくと承知をいたしておるわけでございます。  政府といたしましては、先ほども私、関係省の努力に期待をすると申し上げたのでありますが、セメント、鉄材等につきましても、行政指導によって不当な高値はこれをできるだけ値下げをしてもらうという措置を関係省としてはとってもらっておる。セメントについては、先ほどの御答弁ではどうもあんまりそういった点は行なわれていないように聞いたのでございますけれども政府としては、特に必要な生活関連の物資については、不当な値上げというものは何とかして、ひとつ行政指導によって、あるいは法的な御承知のような処置をするか、いずれかによってできるだけ適当なところに価格を引き下げさせるということを懸命にやっておるもの、私はかように承知をいたしておるわけであります。
  214. 三谷秀治

    ○三谷委員 自治大臣は懸命にやっておるとおっしゃるが、通産省の方がおっしゃるのは、何もやっていない、需給の関係を改善して景気の鎮静を待つというふうな意味の答弁になっておる。そこに食い違いがある。ですから、どちらが真実か私はわかりませんけれども、通産省のほうの直接の課長のことだからおそらくそうだろうと思いますけれども、これはもう少し通産省の姿勢を正してもらう必要がありますよ。セメント業者の代表者みたいなことを言っているんだ。そういうことではこの建設資材の問題は解決しません。  時間が来ましたからもう一つだけ聞いて終わりますが、あの石油二法に基づきます業者監視の権限の一部が都道府県に委任されました。投機防止法による権限も委任されましたが、この権限の内容は一体どのようなものか。それから、この権限を行使しますための費用はどうなるのか。これを聞いておきたい。
  215. 町村金五

    町村国務大臣 まず、国民生活安定緊急措置法によりまして御承知のように標準価格をきめる、その標準価格に関しまする権限はこれを地方公共団体に委任をいたしたわけでございます。さらにまた、売惜しみ買占め防止法によりまする権限も、これは地方団体に委任をいたしたわけでございます。したがいまして、これに相当な費用を要するということで、先ごろ約九億円程度予算をそれぞれ各地方団体に配付をいたしたということでございまして、大体これは二月、三月の所要の経費でございます。
  216. 三谷秀治

    ○三谷委員 その投機防止法に基づく権限委任をしましたその内容は何ですか。石油二法というのは、標準価格が小売り店に表示してあるかないか、それを監視するということのようでありますが、この投機防止法による権限はどのような権限なんでしょうか。
  217. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 私どものほうからお答えいたします。  投機防止法に基づきますところの地方団体への権限委任は、これはまず立ち入り検査の権限がございます。それから、立ち入り検査によりまして買い占めの事実が認定された場合に、売り渡しの指示をいたします。指示が守られない場合につきましては、命令をする。命令が守られない場合には、これは三年以下の懲役または百万円以下の罰金ということになりますので、告発をするということになります。その場合に、地方公共団体の長に委任されます取り締まりの対象といいますか、相手方につきましては、小売り業につきましてはすべて、すなわち大丸百貨店であるとか三越であるとか、あるいはダイエースーパーのような全国的なそういう企業を含めまして、小売り店の全部ということです。それから卸売り業者につきましては、当該地方公共団体の中にのみ事業所のあるそういう業者でございます。二つ以上の地方公共団体にまたがります場合には、通産局長に権限の行使が通産大臣から、内部委任でございますけれども、行なわれます。二つ以上の通産局にまたがる場合には通産大臣ということになっております。それからメーカーにつきましても、ただいまの卸売り業者と同じような基準によりましてその取り締まりといいますか、適用の対象が行なわれるということです。それから、これと全く同様な考え方から、国民生活安定法によりますところの標準価格の順守につきましての監視の権限、それからその標準価格を越えておりました場合に、これの引き下げの指示をする場合の監視の権限ということが地方公共団体にまかされておるわけでございます。それで、ただいまの標準価格に関します権限につきましての、監視をするための立ち入り検査の行使は、先ほど申しました投機防止法の場合と同様でございます。立ち入り検査の権限につきましては、地方公共団体がやる場合でも、通産大臣に立ち入り検査の権限だけは留保されております。  以上でございます。
  218. 三谷秀治

    ○三谷委員 立ち入り検査の権限だけは留保されておるわけですか。
  219. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 そうでございます。したがいまして、たとえば大阪なら大阪にございます三越に対する立ち入り検査は、大阪府知事もできますし、また通産局長もできるということでございます。ただし、それによって買い占めの事実が、あるいは売り惜しみの事実が発覚した場合の処分、売り渡しの指示であるとか売り渡しの命令であるということは、そのまま大阪府知事にバトンタッチされるということでございます。
  220. 三谷秀治

    ○三谷委員 この事業を遂行しますための地方自治体の職員は、この立ち入り検査などをします場合には特定の職員を資格者にして、それが権限を行使するということになるわけですか。——そうしますと、その人数は全国でどれくらい見込んでいらっしゃいますか。そして、それは仕事の面におきましては、従来は別個の仕事をやっておったわけですけれども、専任化するわけですか、あるいはそうでないわけですか。それから、これに対する九億円の補助金というのは、主としてこの使途は何に充てるものか、人件費等についてはどうなのか。
  221. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 ただいま集計しておりますところでは、約五千人ということでございます。四十七都道府県プラス政令指定都市、合わせまして約五千人の職員がこの両法の執行のために価格調査員、あるいはそういう名前を用いませんでも、当該職務を執行する職員として任命されているという状況でございます。  予算に関しましては、私、予算のほうのことをやっておりませんので、私どものほうで用意いたしました答弁を読ましていただきますけれども、これは昭和四十八年度、すなわちこの二月、三月にかかる分でございますけれども、経費の予備費使用については、国民生活安定緊急措置法及び買占め等防止法の指定物資を所管する各主務省、農林、通産、厚生がその所管する物資等についてそれぞれ地方公共団体に配賦することとしており、各都道府県及び政令指定都市ごとの配分額については、目下各主務省において鋭意作業中であると聞いております。予備費合計は八億二百万円でございます。——いま申しましたように、私、予算の関係の担当をしておりませんので、たまたま持ち合わせました答弁を読ましていただきました。
  222. 三谷秀治

    ○三谷委員 その予算の使途明細あるいは積算資料ですね、ちょうだいできますか。  それで、これは自治大臣、こういう仕事は重要な仕事でありますけれども、こういう仕事がふえることによりましてまた地方団体財政需要がふえてくるというふうな事態があるとしますと、これはこれなりの処置がまた必要になってくるわけでございますけれども、こういうことについて見通しはどうなんですか。
  223. 松浦功

    ○松浦政府委員 先ほど大臣が九億と申し上げましたのは二法の実施経費で、国も含めておりますので、ただいま経企庁のほうからお話がございました八億二百万円という数字が正しい数字でございます。この金額は人件費その他行動の経費あるいは電話連絡の経費一切を含めて二カ月分というふうにお考えをいただいてけっこうであります。ただ、人件費を職員設置費補助というような形で行ないますと、先生からいつも御指摘をいただくような超過負担の問題、特に地方団体と国家公務員との給与水準の格差問題というような問題がまた出てまいりますので、そういうことでなしに、それだけの金で地方公共団体にこれだけの委任した事務をやってもらうのだというたてまえで、全額国費で委託をしていただくという前提でこの金を予備費から御支出を願ったわけであります。現実問題としては、五千人の職員がおりましても、本来都道府県がやっている消費者行政に携わっている人間がそこへ顔を出してまいるわけでございますから、人件費を二割分見るのがいいのかあるいは五割分見るのがいいのか、仕事のやり方と事件の起き方によって変わってくると思います。それらのことを十分勘案した上での、彼此流用を、わりあい自由に使えるという形にしていただいて、地方公共団体があとで精算をするときに困難にならないようにという配慮をしていただいて積算をしていただいております。したがって、人数が何人、電話が幾ら、こういうような積算にはなっておりません。現実地方団体がこれでうんと足りないということでございますれば、また大蔵省に追加をお願いするということは考えざるを得ないと思います。現在の段階ではどれだけ調査件数が起こるかわからないものでございますから、ある程度の想定を置いてこれだけの経費を交付をする、こういうたてまえにしたというふうに御理解をいただけたらけっこうかと思います。
  224. 三谷秀治

    ○三谷委員 これで終わります。
  225. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 次回は、明十五日金曜日、午前十時から理事会、午前十時十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会