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1973-12-15 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十三日(木曜日)委員長の指 名で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  地方税に関する小委員       亀山 孝一君    小山 省二君       島田 安夫君    中村 弘海君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       山本弥之助君    林  百郎君       小川新一郎君  地方税に関する小委員長    小山 省二君  消防に関する小委員       木村武千代君    住  栄作君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 利生君    渡辺 紘三君       井岡 大治君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    多田 光雄君       小濱 新次君  消防に関する小委員長     中山 利生君  地方公営企業等に関する小委員会       愛野興一郎君    片岡 清一君       中村 弘海君    永山 忠則君       前田治一郎君    村田敬次郎君       佐藤 敬治君    山田 芳治君       山本弥之助君    三谷 秀治君       小川新一郎地方公営企業等に関する小委員長 中村 弘海君     ————————————— 昭和四十八年十二月十五日(土曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 林  百郎君       亀山 孝一君    島田 安夫君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       小川 省吾君    山田 芳治君       三谷 秀治君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部施設調査官  藤井 謙二君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         通商産業省産業         政策局商政課長 青木 利雄君         通商産業省基礎         産業局鉄鋼業務         課長      神谷 和男君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      奥田 義一君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      赤羽 信久君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      木原 滋之君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       平林  勉君         建設省住宅局建         築指導課長   佐藤  温君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     長谷川正三君 同日  辞任         補欠選任   長谷川正三君     小川 省吾君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する  法律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
  3. 山田芳治

    山田(芳)委員 今回の地方交付税特例に関する法律案について、まず、今回の交付税が、増加分が一兆三千二百五十億の三二%にのぼる四千二百四十億、これは交付税の率からいっても四%というような非常に多額であります。しかるに現実には、当初借り入れを取りやめて九百五十億、四十六、四十七両年度借り入れ金を繰り上げ償還をするのが千四十六億ということになって、千九百九十六億を資金運用部償還をするということになっているわけであります。私たちとしてはこの内容にはもちろん反対でありますが、それに先立ちまして、昭和四十七年度の決算、その中で国税三税が増額によるところの四十九年度への繰り越し分は幾らあるか、ひとつ財政局長さん、まずお答えをいただきたいと思います。
  4. 松浦功

    松浦政府委員 四十七年度におきます国税三税の予算に対する増収額五千二百二十五億円であります。したがって、これの三二%が清算分になります。千六百七十二億とお考えをいただきたいと思います。
  5. 山田芳治

    山田(芳)委員 昭和四十七年で国税三税の増額があって、その三二%、いま言われた千六百七十二億が昭和四十九年に自動的に繰り越される、こういうことになるわけですね。ですから、来年の税の増収は、これから作業をされるんだろうと思いますが、当初大蔵省計画では、約四兆円というものが増加をするというようなことでありますが、これは相当大幅に修正されるというふうに思いますけれども、四十九年にはいま言った千六百七十二億もあることであるし、また相当大幅の交付税伸びというものが考えられるにかかわらず、今回二千億に近い交付税償還するという点について、われわれとしては非常に納得ができないということでありますけれども償還をされる理由というものをひとつ御説明をいただきたいというふうに思います。
  6. 町村金五

    町村国務大臣 お答えをいたします。  地方交付税残余を、今度交付税特別会計借り入れ金減額等に充てましたことは、明年度以降の償還予定額を軽減することができるということに相なりますので、それによって今後の地方財源の安定的な確保をすることができるというふうに考えたからでございます。なお同時に、本年度地方税におきましても相当程度増収が見込まれる、そういったこともありましたのでこういった措置をするということにいたしたようなわけであります。
  7. 山田芳治

    山田(芳)委員 私の申し上げたいのは、来年度に千六百七十二億という相当大幅の繰り越しが四十七年からあるわけであります。ところが四十八年において——四十六年、四十七年の借り入れ金を四十九年、五十年あるいは五十一年にかけて、千百五十億、二百六十億、三百二十億という、それぞれの償還額計画的にきまっているわけであります。ですから、たとえば昭和四十九年をとっても、千百五十億というものは、いま言った繰り越し金でも十分まかない得るというだけの償還額でありますから、何もここで繰り上げ償還をしないでもいいではないか。  地方団体としては、現在非常に財政的な危機におちいっているというふうに私ども考えておるわけであります。具体的な例を少し申し上げたいと思うのでありますが、まず今回、確かに公立文教施設並びに社会福祉施設保育所あるいは公営住宅施設等を、単価改正をされたわけでありますけれども、それの実態がきわめて現実からほど遠いのであります。具体的にひとつ例を申し上げますと、小学校の場合、これはB地域でありますが、B地域で鉄筋で、今回一平米五万二千三百円ということに改定を文部省はされているわけでありますけれども、これか現実入札価格——ここに私は六大指定都市が行なったところの調査を十一月分で持ってまいっておりますけれども、それによりますと、すでに十一月の段階においても六万一千二百円であるという数字が出ております。これが十一月の段階でありますから、十二月は石油関係でもっと上がっております。ですから、現実にここにも新聞に出ております。滋賀県の建設業協会に至っては、請負価格が安いから、もう公共事業地方公共団体からの受注は全部辞退をしますという新聞でありますけれども、そういうことがすべてお断わりでございます。なぜこうなっているかというと、資材を持っておれば、それを使って一定の利益をあげることよりも、インフレによるところの資材高騰によって、手持ちをしておりさえすればそれ以上にもうかる、仕事をしないほうがよろしい、こういう気持ちになっておりますから、結局単価も安いという点もあって、泣き泣きそんなものを受注することならいっそやめてしまおうというのが現在の状態だというふうに思うのが第一点ですね。  それから次に私学についても、御承知のように非常に財政的に苦労をいたしております。来年あたりでは、私学などとても経営ができないんじゃないか、特に私学高等学校は、交付税によって配分をされた財源をもって補助金を出しているわけでありますけれども、そういう点についても、たとえば人材確保法案等もいずれ成立することになった場合に、やはり私学の職員の給与も上がっていくわけであります。そういう点についても、今回の交付税の中にそういったものも含めて計算をしてやるべきものではないであろうか。  あるいはまた、昭和四十七年度において事業費補正を取りやめられました。そして歳入補てん債というものを約二千六百億発行したわけであります。あるいはまた、昭和四十七年度において道路、河川、海岸等投資的経費単位費用を据え置いているんですね。だからそういうものを、まあ四十八年は一挙に二年分を上げた。確かに四十八年度は上げたわけでありますから、それなりにつじつまが合っているかもしれませんが、四十七年度は据え置いた。そして歳入補てん債に切りかえたのであります。昭和四十七年度事業費補正、それも歳入補てん債に切りかえた。それからいま言った単位費用も上げなかった、こういうことでありますから、当然そういったものを補てんする立場からいっても、私はこれは四十九年度以降においても問題にするべきものだと思いますけれども、そういったものもこの際補てんをすべきだ。  そういうことであるなら、私はいま三つの点をあげたわけでありますけれども、とうてい千九百億もの交付税を繰り上げ償還をするというような立場に立つべきでないというふうに私は思うのでありますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  8. 町村金五

    町村国務大臣 本年に入りましてからたいへんに物価が著しく高騰をする、ことに石油抑制を受けるようになりましてからさらに物価の値上がりがきわめて顕著になってまいっておる。したがいまして、地方団体におきまして当初計画をいたしておりました事業を遂行してまいります上において、ただいま御指摘のございましたような請負単価というようなものが著しく高騰して、なかなか落札が思うようにいかないというような事情が確かに出てきておるように私ども考えるのでございます。しかし、先ほどもお答えを申し上げましたように、一面、今日地方団体におきましては地方税増収というようなものも、当初考えたよりはかなり多額にのぼっておるというような事情等もあるように私聞いておるのでありまして、そういった点をかたがた考えてまいりますれば、何とかそういった困難な問題も相当程度解決を見つつあるのではないかというように承知をいたしておるわけでございます。  なおまた、私学助成の問題につきましても、いわゆる人材確保法案というものが今後確定を見るということに相なりますれば、私どももやはりそれと平仄を合わせて、私学におきましても同様の措置が講ぜられなければならない。今日までこれに対しては相当助成をいたしておるわけでございますけれども、これを今後こういった事情も検討をいたさなければならぬのであります。しかし、今日まで私学助成につきましては年度途中で増額をするということが行なわれておりません。困難な状態でございますので、これは明年度予算におきましては増額等をひとつ十分検討いたしてまいりたい、かように考えております。  残余のことは財政局長から……。
  9. 松浦功

    松浦政府委員 ただいまの、三千五百億の歳入補てん債の御指摘だろうと思いますけれども、これにつきましてはそれぞれ経緯がございます。単位費用あとで引き上げて将来の償還額に困難がないようにという措置も講じております。当時の自然増収で当然カバーできたと思われる面もございますし、あるいは税の問題については完全に交付税において清算をするようにいたしておる部分もございます。そういう意味で、この点については財政措置が済んだものと考えております。将来についての問題としては、これは取り扱わないという考え方でございます。
  10. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまの財政局長さんの意見には若干賛同できない点があります。というのは、事業費補正というのは、やはり全般的な問題ではなくて、事業の行なわれたところの問題とのかね合いがありますから、税の増収とそれとが符合するというようには必ずしもならない。たとえば貧弱な過疎等市町村等においては、むしろ事業費補正がウェートが高くなってくるけれども、税の伸びがあるという形になり、あるいは一定経費を上げたからといって、直ちにそれがイコールで補てんされるというような計算には相ならないはずであります。この点については委員会を離れて、また個別的に私は自治省に行っていろいろと申し上げますから、この点は保留いたしておきますけれども事業費補正それ自身がいいかどうかという問題になれば、私たち事業費補正がいいとは思いません。できるだけなくしていくべきだと思いますけれども、一度導入をして、そして一定考え方でやった以上は、漸減をするならまだしも、一挙に、こういう歳入が非常に少なくなったという理由起債に振りかえてそれを元利償還を求める。いままではそれを交付税の中で措置をしておったものを起債に振りかえるだけの措置では私は納得できない。その部分についての元利償還をやはり一定の年月まで続けて、そのあと漸減をしていくということであれば納得はできるけれども、そういう措置をとらない点については、私は理論的におかしいと思いますので、この点はいずれまた議論をさしていただこうと思います。  次に、今回の交付税については、特交部分が、九百億の土地基金部分を差し引いた六%としているわけであります。過年度において土地基金都道府県分あるいは市町村分を積んでおったときには、その総額の中で六%の特交をとっておったのに、今回だけ九百億の土地基金を差し引いたものの六%であるという点が論理的に合わないのではないか。どうしてこういう措置をされたのか。もちろん、特交が額が多いことがよいか悪いか、それはその年度財政的実態によって変わると思いますけれども、少なくとも法律上六%というものをきめている以上、九百億を含めたものの六%であるべきが至当であると思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  11. 松浦功

    松浦政府委員 全くお説のとおりでございまして、土地開発基金積立金分九百億の九十四分の六というものは、制度的に考えた場合は交付税としてとるべきだと思います。その点については私どもは異論を差しはさむものではございません。ただ、ことしの実態考えますと、昨年に比べましても非常に災害の発生も少ないというようなことで、交付税を配る上について比較的、特別需要が少ないという判断に立っております。したがって本年度だけの特例として九百億円の分に見合う特交をとらなかったということでございます。したがって、今後の問題としては当然制度的に六%をとっていくというたてまえは堅持してまいりたいと思います。
  12. 山田芳治

    山田(芳)委員 そこが納得できないのであって、実はこれだけ物価高——きのうも経済企画庁でやられたように、消費者物価でも前年度に比べて一五%も二〇%も上がっている。紙やその他になれば倍も上がっているというような実態の中で、たとえば生活保護あるいはボーダーライン層に対して国のやっている生活保護費だとかあるいはいろいろの対策がきわめて不十分であるので、地方団体がある意味においては国の施策の不十分な点をカバーしながら、そういった人たちに幾らかの手当でも支給してやるというような上のせでもしなかったら、いまの民心というものは安定をしていかないわけであります。へたをすれば暴動が起こるんじゃないかとすらうわさがされるような世相になっている中で、地方公共団体ほんとう生活に困っている人たちのために手当てをしているから、国が理屈の上でものを通すだけで済んでいくというようなかっこうになっているけれども政治というものはもっとあたたかい立場に立って行なわれるべきだ。そのためには、地方団体はいろんな人の要求を踏んまえて、そういう民生安定のために相当の金を出している、そういうふうに考えるなら、確かに数字上出てこないような要素はあるかもしれないけれども、こういうものをやはり特交の中で調整分として配分をしていくというあたたかい政治を、ひとつ政治家としての町村自治大臣の配慮をわれわれは期待をしたい。わずか九百億の六%というのは知れていますけれども、そういう目に見えない、計算のできない金を、地方団体ほんとう生活に困っている人、ボーダーライン層の人のために支出している例というのは非常に多いのです。それがあるから、国が、いやこれは何%だというきわめて冷たい計算財政の中でも、住民地方団体という一つのクッションを置いて、いろいろの政治行政が行なわれている中でまあまあとにかくというかっこうになっているんじゃないかと思うのです。そういう点、ことしは税収が多うございます、あるいは交付税相当ふえたんですからというような理屈だけでなしに、もっとあたたかい気持ちで、交付税をせめてこういうときにこそ地方団体に少しでも余分に出してやるというのがいいんじゃないかと思うのですが、所見をお承りをしたいと思います。
  13. 松浦功

    松浦政府委員 山田委員よく御承知のように、交付税というのは個々団体をながめてやるあれではございません。あくまで標準的な団体をつかまえてやっておるものでございますので、やはりいまおっしゃられたような、地方公共団体独自でいろいろと住民要求をこまごま片づけていくというのは、そのための需要に見切れないものは、都道府県分でございましたら八〇%、市町村分は七五%というかっこう税収入の一部を留保してあるわけでございます。そういった中で、非常に苦しいとは思いますけれども、いろいろとお知恵を働かしていただくというたてまえになっておるわけでございます。そういう意味で、ただいまおっしゃられましたような形で特別交付税を配るということは、私どもとしてはちょっとがえんじかねる問題がございます。
  14. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は特別交付税議論をしたいと思いませんけれども、確かに特別交付税の中にもルール分もございます。しかし調整分というのがあるはずです。個々団体財政実態を見て、ある程度の措置をしてやるという機能、作用というものも必要なんじゃないか。たとえば財政再建団体などについて、確かに財政を悪くしたのは当該地方団体の責任だという意見もあるかもしれない。しかし、やはり財政再建をやろうというところには一定財源というものを付与してやろうという気持ちを従来自治省はとっておられるわけですから、個々団体の実情を見ながら特交を分けていくというところにやはり特交機能の、単に計算なりルールだけによらないところの措置がある、私はそう思っておるのですが、そこらあたりはどうですか。
  15. 松浦功

    松浦政府委員 まさにその点、お説のとおりで、一つ基準というものがあってそういう形で出すならよろしゅうございますが、たとえば何か特別の施策があって、これは必ずしも、住民は希望しておるかもしらぬけれども、国全体としてそういう経費の支出というものが全面的に行なわれていない、そういう場合に、ある団体がそういう金を支出したからある団体だけに特別交付税がいくということになりますと、そういう施策を結果的には強要するような形になる。そういうこともありますので、これはやはりある程度客観的にながめて、いたし方がない、これは財政需要として当然のものとして認めなければならないという性格のものにこれまでも限定をしてきておることは、先生よく御承知のとおりだろうと思います。そういう意味で、特殊な施策というものについての特別需要という見方は、私どもとしてはとりたくないと申し上げておるわけでございます。
  16. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、今回の交付税の中に給与改定分八百九十億という計算が行なわれるわけでありますけれども、これは交付団体、不交付団体合わせて財源所要額が二千三百七十億で、法人税関係の増がありましたので再算定を行なって千四百九十億を引くということになっているわけでありますが、ところが節約分というものを八%かましているわけであります。私のお伺いをしたいのは、昨年も五%でしたか、節約分というものがある。国が節約をするというのは既定予算の中で節約をする形になるわけでありますけれども交付税というものは、本来地方団体一般財源であるということが交付税法上当然のことなんであります。したがって、財政計画で八%頭から二百五十億をはねて八百九十億とするということが、はたして一体法律的にいかなる条項に基づいて行なわれるのか。私どもとしては、地方団体が国の線に従って八%の節約をするということは、いろいろの個々団体事情に応じて、節約できるところはすべきだし、できないところはすべきでない。しかるに、財政計画上二百五十億というものを、八%節約をするという形の中で財源措置をしている。一方、地方財政計画というのは年度途中で、こうやって四千億もの大きな金、あるいは法人税が千数百億も出るというけれども地方財政計画それ自身改定されないわけですね。年度当初に出しっぱなしで、あとどんな大きな改正があっても地方財政計画は変わらない。しかし、国の予算節約なり何なりすれば、三角を立てて、それの総計のある部分給与改定に充てるというやり方をやるわけであります。そうすると、地方の八%一律の削減というものの法的な意味、あるいは地方財政計画との関係 あるいはそれを交付税から引くということが、いまの交付税法上一体どうあるのかという点にについて、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  17. 松浦功

    松浦政府委員 八%、二百五十億の節約は、定められました地方財政計画の中にさらに二百五十億の節約が立てられたものという観念でやっております。ただ、御承知のように、地方財政計画は、翌年度の収支の見通しと申しますか、翌年度地方財政収入見込みについて作成するものでございまして、これまでも具体的におもてに出した形で財政計画の変更ということは行なっておらないわけでございます。その意味では何か非常にわかりにくい関係になるかと思いますけれども地方財政計画は陰で修正されておるというふうな観念に基づいてやっておる、こういうふうに御理解いただくのが一番わかりやすいんではなかろうか、こう思っております。
  18. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、陰で規模の是正を行なっている、こう理解するわけですか。——そうすると、交付税全体はいま言いましたように法律の定めるところによって国税三税の三二%であって、そして地方交付税法上は基準財政需要額というものを積算をして、積み上げ方式をとって、そして基準財政収入額との差額を地方交付をするというのが交付税の趣旨だろうと思うのです。そこに節約分というものを地方財政計画上導入をしておるということと、交付税の中で具体的に二百五十億を引いて財源措置をするということは、地方交付税法上の規定なり何なりを見て、われわれとしては、そういうような規定がないにもかかわらず財源措置を、基準財政需要額が出ておるにもかかわらず差っ引いているということは、地方交付税法に反しているのではないかというふうに理解されるのですが、その点はいかがでしょうか。
  19. 松浦功

    松浦政府委員 いま申し上げましたように、財政計画をおもてに修正はしておりませんけれども、二百五十億の節減を立てるという、陰で考え方をとりました。これと給与財源との相殺をするという形で単位費用を組んでおるわけでございまして、別に私どもとしては法律に違反しておるとは思いませんし、これまでもずっと続けてまいった措置でございます。
  20. 山田芳治

    山田(芳)委員 そこがちょっと理解ができないので、基準財政需要額を積算をしてきて、そして基準財政収入額の差し引きが出てきたらそれをひとつ交付してやるべきであるのであって、それを二百五十億引いて、そして千九百九十六億の繰り上げ償還をするということは私どもとして納得できない。必要があるなら地方団体にそういう点をおまかせになるべきものではないだろうかと思うのですが、再度ひとつ……。
  21. 松浦功

    松浦政府委員 この点につきましては、ちょっと説明が不十分であったかもしれませんが、山田委員のおっしゃられる意味がわかったような気がいたしますが、必要な給与費というものは単位費用で上げる、そして別の部分で二百五十億の物件費等の節約単位費用で下げればいいわけでございます。それを一本でぴしゃっとやったというふうに御理解をいただくと、おわかりいただけると思います。
  22. 山田芳治

    山田(芳)委員 だからこそ、地方財政計画改定もお出しにならないのはおかしいのではないか。年度中途といえども、これだけの多額の修正がある場合には、年度当初に出しっぱなしの財政計画を一度もう一ぺん洗い直して、これだけの大きな補正予算の際にはお出しをいただくということが必要なのではないかということをお伺いしているのですが、この点いかがでしょうか。
  23. 松浦功

    松浦政府委員 この点につきましては、単位費用の積算等の過程を通じてよく地方団体に趣旨を徹底してまいりたいと思います。また、これまでも徹底してまいった方法でございますので、いままでのやり方を改めるということについては、現在の段階考えておりません。
  24. 山田芳治

    山田(芳)委員 その点は私どもとしては納得をできませんので、今後もこの点についてはなお時間をいただいて追及をしたいと思いますけれども、本日はパンクチュアルにやれというあれもございますので、次に移ります。  今度は、経済企画庁、通産省並びに大蔵省の主計官の方においでいただいておるわけですが、先ほどの交付税並びに超過負担の問題に関連をいたしまして、現在、石油需給適正化法案並びに国民生活安定緊急措置法案が審議をされているわけであります。本日は連合審査が行なわれ、この地方行政委員会もその一委員会に加わっているわけでありますけれども、われわれ地方行政の独自の立場からひとつ御質問を申し上げたいわけであります。  この石油需給適正化法案の中に、主務大臣の行なうところの事務を地方公共団体に委任をしていく、委託事務を行なわせるという規定があるわけでございます。それぞれ石油需給適正化法案並びに国民生活安定緊急措置法案の中で、地方自治団体におまかせをされるという具体的内容について、まず石油の側から、あるいは次に国民生活安定緊急措置法の側から、ひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  25. 平林勉

    ○平林説明員 御説明申し上げます。  本法に規定いたします通産大臣等の権限につきまして、どの程度地方公共団体に権限を委任いたしますかにつきましては、委任を行ないましても本法の斉合的、統一的な運用が担保できるかどうかということを十分検討いたしました上で具体的に決定してまいりたいと考えております。ただ、考え方の大筋といたしましては、まず本法の第一段階の規制は、比較的大規模で、かつ全国的に数も少ない石油精製業者あるいは石油販売業者あるいは大規模な石油需要者等を対象といたしておりますので、規制の内容といたしましても全国的、統一的な運用を行なうことが特に必要と考えられます。したがいまして、地方公共団体に権限を委任されるような事態は比較的少ないと考えております。ただ、具体的にという話でございますので一つ具体的な例を申し上げますと、ガソリンスタンドに対する指示、指示違反をした場合に公表をするという規定がございます。この規定につきましては、これは国と地方と両方が行なうことが適当と考えられますので、この点につきまして具体的にどのような権限を地方公共団体に委任いたしますか、目下検討中でございます。それから、本法の第二段階の規制でございますが、特に第十一条の規定に基づきまして割り当て制を実施するような事態が起こりました場合には、その仕組みとかあるいは事務量等も勘案いたしまして、必要に応じ地方公共団体に権限を委任することがあると考えております。このような場合、権限委任が行なわれる場合には、委任された事務が円滑に行なわれますように、予算、人員等についても十分配慮してまいりたいと考えております。
  26. 有松晃

    ○有松政府委員 経済企画庁お答えいたします。  国民生活安定緊急措置法案におきましても主務大臣の事務として規定されておるものが種々ございますけれども、その中で、国全体の見地から行なうことが適当だと認められる事務につきましては当然主務大臣みずから行なうわけでありますが、地域的な見地から地方公共団体の長が行なうのにふさわしい事務につきましては、地方公共団体の長に委任するということになろうかと思われます。ただ、具体的な委任の内容につきましては目下検討中でございますが、まあ、委任の対象となり得るのではなかろうかということで検討しております事務といたしましては、この法案に基づきます標準価格の設定された場合におきますところの標準価格を小売り店等に掲示をさせるわけでございますが、掲示についての指示並びに違反をした場合の公表、それからさらに標準価格の価格自体を守るための指示、公表、それからさらに特定標準価格という規定がございますが、これは課徴金を徴収するための規定でございます。この特定標準価格が設定された場合に、課徴金の納付命令並びに徴収、さらにこれらに関連いたします報告の徴収、立ち入り検査等々につきまして現在検討中の段階でございます。
  27. 山田芳治

    山田(芳)委員 検討中というようなことでは非常に困るのでございまして、いま話がありました国民生活安定法案の五条二項、三項あるいは第六条、あるいは小売り商等の違反に対する問題等を政令で定めていくわけでありますが、そういう小売りのところを回って一々チェックをしていくというには相当の人数が要るだろうと思います。ですから、この事務をやっていくためには一体何人くらいの人員が必要である、したがってどれだけの経費がはっきりしているかということを早急に詰めていただかないと、地方団体としてはいままでやってきたことのない事務を急遽やるというわけでありますから、これはたいへんなことなんです。ですから、ほんとうにこの法案が成立をして生きてくるためには、いま言った小売り段階における問題が一番大事なんで、卸売り物価がどうあろうとこうあろうと、庶民には直接、考え方というか、感覚としては触れるのが少ないのであって、いわゆる小売りの段階でわれわれ庶民というものはどうなるかということを非常に心配をしている。それは地方団体の仕事だというのでありますから、これこそまさに適正な運営がなされなければならない。しかるに、それに要する経費、人員等はこれからでございますということでは、地方行政委員会といいますか、地方団体を守る立場に立ってこの法案について検討している立場の者としてははなはだ納得ができかねるというふうに思うのですが、それではいつごろそういう検討が終わってわれわれにお示しをいただける段階がくるのか、また、この法律案はいつごろ発動をされるのか、それとの関連もあるし、またあらかじめ、法律を発動していくためには調査、準備というものが相当時間要るのでありますが、それは一体いつからどうおやりになるかだけでもひとつ聞かしていただきたい。
  28. 有松晃

    ○有松政府委員 ただいま法律の施行等につきましても検討しておる段階でございますが、最初の段階といたしましては、一番ゆるい規制でございます標準価格を設定をするということになります。実はこの操準価格をどのような品目について設定するかということになりますと、これはその当該物資の所管の官庁が中心になる問題でございますが、いま関係省庁の間で鋭意作業を急いでおる段階でございます。  なお、この法律の施行は、当然、法律が成立いたしました後、できる限り早急に実施に移れるようにということで、ただいま準備をいたしておるわけでございます。  なお、この法律施行に伴いまして、特に地方公共団体の長に権限を委任いたします際の必要な経費あるいは人員、これらにつきましても標準価格の品目数等の作業とあわせて検討しておるわけでございますが、これらにつきまして、やはり地方公共団体の実情も十分考慮いたしまして措置ができるように検討しておる次第でございます。
  29. 山田芳治

    山田(芳)委員 どうもはなはだ不十分で納得ができません。従来、委託事業地方にまかす場合に、たとえば外国人登録法によるところの外国人登録、旅券法に基づくところの海外旅券の発給、あるいはまた統計法によるところの統計の調査等の委託事務を見ますと、たとえば共済組合の地方団体の負担金を全然見ていない。また、二十何年ももうすでにそういう事務が委託されているのですから、やめていく職員もおる、それの退職金は一文も計算をされていない。委託をする以上お願いをするわけでありますから、そういう点も十分財源措置をすべきであるということを自治省の御当局にお伺いすると、まことに各省はけしからぬのじゃ、こういうお話を伺っております。まことにけしからぬというのはそれこそわれわれが言うべきことだと思うのですが、名本主計官、ひとつそういう点は十分配慮していっていただけるかどうか、この点、お答えをいただきたい。
  30. 名本公洲

    ○名本説明員 委託費の点につきましては、先生おっしゃいますとおり、実費をちゃんと地方公共団体に弁償するというたてまえにもちろんなっておるわけでございます。この点、実際の委託費の金額の積算につきましては、積算の基礎、いろいろな点を考慮いたしましてやっております。物件費、人件費、そういうもの、いろいろございますけれども現実に実際に要しました費用が弁済されますように、積算上措置されなければならないというふうにわれわれとしても考えておりまして、各予算係が各省と十分協議をいたしましてやってきておるわけでございますが、四十九年度以降におきましても同じような考え方でその点は措置してまいりたい、かように考えております。
  31. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、私の質問の内容は十分考え自治省とも交渉されるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  32. 名本公洲

    ○名本説明員 実際要しました費用につきまして弁償できますように、自治省当局と協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  33. 山田芳治

    山田(芳)委員 よくわからないのですが、自治省当局もひとつその点を十分考慮してもらわぬと、地方団体が何百人かの人を雇っておるけれども、その退職金も共済組合の当該団体の負担金も全然委託費の中に入っていない積算を示されておるのが現状で、これこそまさに超過負担で、これは一度総理大臣以下大蔵大臣にも本会議において質問をさしていただくべく私はいま申し出をしておりますから、その席でこれは総理以下にお伺いしますけれども、主計官も具体的に作業をされる方なんですから、こういう要求が非常に強くあるということを十分理解の上自治省と折衝していただくようにという注文をつけて、いずれ本会議で質問をさせてもらいますからこの程度にします。  次に、基地周辺の問題について質問をいたします。  基地周辺のいわゆる民生安定事業という名のもとにおいて、現実には財源の繰り延べを行なう。九月段階においては四%、八%の繰り延べをそれぞれ項目ごとに行なったわけであります。さらに十一月二十日には、次官通牒に基づいた財政局長通達、繰り延べの通達を出しておるわけであります。ところが基地周辺事業というものの内容を見てみますと、たとえば民生安定事業といいながら、内容的にいうと八%繰り延べになるべきところの事業であるような、いわゆる集会所であるとか、勤労青少年センターであるとか、そういうようなものが四%の繰り延べになっておるし、またその通達が出されたときに手をつけていないようなものについては繰り延べをしなさいということが局長通達になっているにもかかわらず、それからはずされておるというようなことは、総需要抑制ということをきわめて強く主張している政府の態度として、単に民生安定事業という名前さえついておれば、その内容がどうあろうとすべてそれははずしていくのだという考え方については納得できないのでありますが、この点について防衛施設庁のお答えを願いたいと思います。
  34. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 先生おっしゃいましたとおり、防衛施設庁といたしましては四十八年度の施設対策の費用、これは項、施設運営等関連諸費と申しますけれども、七項目ございまして、それの約三百九十三億のうち繰り延べ十九億というのをいたしました。これによって繰り延べが終わったわけでございまして、残りましたものを四十八年度に執行するということになるわけでございます。そしてその施行の段階におきまして、全国各基地にありますいろいろな問題を勘案いたしまして、いわゆる防衛施設周辺の整備等に関する法律に照らしまして、周辺の方々にいろいろな障害を与えておりますので、これに対する防止あるいは軽減ということに重点を置いて事案を採択したわけでございます。民生安定の中にはどういうものがあるかというお申し出でございますけれども、従前出ました閣議決定の線によりまして、いわゆる生活環境の施設という項目によりましてこれを実施したわけでございまして、北富士問題等についてもこれに基づいて実施しているわけでございます。
  35. 山田芳治

    山田(芳)委員 どうもよくわからないのですが、自治省にひとつお伺いをいたしたいと思うのです。  去る十一月二十日に先ほど言った財政局長通達を出されて、それと同時に、地方課長が都道府県の関係課長等にあてた事務連絡文書によると、「報告を必要としない事業」というのがあるわけですね。報告を必要としない事業というのは繰り延べをしない事業という意味ですか、お伺いします。
  36. 松浦功

    松浦政府委員 自治省として繰り延べを要請しない部分を掲げておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  37. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、繰り延べをしなくてもよい事業と理解するわけですね。繰り延べの対象にならない事業は、「報告を必要としない事業」として列記してある事業だけというふうに理解してよろしいわけですか。
  38. 松浦功

    松浦政府委員 そういうように御理解いただいてけっこうだと思います。
  39. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうしますと、財政局長さん、私がいまあげたコミュニティーセンター、体育館あるいは勤労青少年センター、これが基地周辺事業でなければ何%の繰り延べになっておりますか。
  40. 松浦功

    松浦政府委員 原則として八%の、補助がつくものについては繰り延べという扱いに国のほうではなっておるかと存じます。私のほうでは、補助金といいましても補助率等できまっているようなものは少ないので、まあ単独事業的な考え方でやっておりますけれども、これについては、未着工、未契約のものについてはひとつ今年度は見送ってほしい、こういう趣旨でございます。
  41. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうしますと、単独事業であれば繰り延べ八%、また契約をしてなければ繰り延べしなさい、しかし補助金がついていれば四%になったり、繰り延べをしなくてもよろしいのですか。
  42. 松浦功

    松浦政府委員 この点は非常にこまかに考えないといけないと思うのでございますけれども、大まかに考えますと、国庫補助金がきちんとした形でついている、そういうものについては、国が繰り延べをした以外のものについては当然行なうという態度をとるのが自治省としてはあるべき態度かと思います。しかし、単独事業については、これはしるしがついておらないものでございますから、性質別に分けて、比較的直接住民生活に影響を及ぼす度合いが少ないと思われるもので総需要抑制に協力をいたしたい、こういう態度で考えたわけでございます。
  43. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、補助金がついておれば、たとえ通達の出されたときに契約をされていなくともそれは着工してよろしいというふうに自治省としては理解する、こういうことですか。
  44. 松浦功

    松浦政府委員 補助金にいろいろございますので、その辺で誤解をしていただいては困るのでございますが、たとえば四分の三の補助とか二分の一の補助とかいうことがはっきり制度上きまっておって、それで国の予算ももらえるという見通しだった。ところが諸般の事情で着工がおくれて、十一月二十日にはまだ契約が終わってないというものについては、私どもとしてはこれを抑制をして見送ってほしいという趣旨の中では考えておりません。
  45. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、それは着工してもよろしいということですね。——そうすると、単独事業であるのと、補助金のついているものとの、内容的には同様であっても、差を設けているということですね。
  46. 松浦功

    松浦政府委員 御承知のように、国が補助金を出しますのは、やはり国の政策上必要だという観点からでないとなかなか補助金大蔵省おつけにならないはずでございます。したがって、事業の内容が全く似通ったようなものであっても、補助金のついているものとついてないものとはおのずから違うという形で振り分けていきませんと、指導、運営はなかなかできない、私どもはそのように考えます。
  47. 山田芳治

    山田(芳)委員 ちょっとそれでは自治省としておかしいと思うのです。自治省起債を単独事業で認めるのも、適債事業として、これは財源措置ではあるといわれるけれども、やはり適債事業ということを大蔵省と連絡しながらおやりになっておられる。そうすれば、自治省も政府である限りにおいて、自治省がそれを認めていくならばこれは政府が認めたもので、単に補助金が出してあるから自動的にある程度自治省が他省に追随をするというのは、自治省の自主性に欠けてくるところがあるので、むしろ自治省が、その補助金の内容等を含めて、起債をつけるかどうかというのを自主的に判断をしていただきたいと私は思うわけですが、その点はどうですか。
  48. 松浦功

    松浦政府委員 基本的には私はお説に反論はいたしません。ただ具体的に処理をしていく場合に、同じ事業であっても、国庫補助がついておるものと国庫補助がついていないものとは当然違う、それは私はそのように考えざるを得ないと思います。
  49. 山田芳治

    山田(芳)委員 それはちょっと……。もう少し自治省も他省を少しチェックするぐらいの心意気でやって、内容的に調査をし審査をした上で地方債をどうするかを考えていただくということで、私たちはもっと自治省に力を持ってほしい。自治省人たちはきわめて優秀な公務員ばかりなんですから、他省と議論して負けるはずもないのだから、しっかりやっていただきたいと思っておるものとしてははなはだ期待はずれの答弁ですが、大臣、どうでございます、この財政局長とのやりとりを伺っておって。
  50. 町村金五

    町村国務大臣 いま御質疑を伺っておったのでありますが、ただいま御指摘にありましたような、たとえば基地周辺の対策事業について特に御指摘があったのでございますけれども、御承知のように、いわば同じようなものでございましても、いまの基地対策事業というのは申し上げるまでもなく周辺地域の住民生活に著しい障害がある、こういうふうに考えておりますので、これはやはりこの際工事繰り延べをすることは適当でない、こういう私は判断に立ったもの、かように考えておりますので、そこでただいま、同じような事柄でございましても、そういった点について多少の違いが出てくるということも私はやむを得ないのではないかと思うのでありまして、このために自治省の自主性がたいへんそこなわれておるというふうには私は考えておりません。
  51. 山田芳治

    山田(芳)委員 私が大臣に伺ったのは、基地周辺の事業の問題ではなしに、自治省のものの考え方が、ほかの省で補助金をつけるならば自動的に起債をつけていくというものの考え方に立つのでなくて、自治大臣として、補助金がついておろうとおるまいと、それは補助金部分の問題であって、その裏の起債というものについては自治省独自に判断をしてやるべきではないか、それが自治省の自主性なり権限を高め、われわれ地方行政委員会に所属する議員はひとしく、自治大臣のそういった権限を高めていくということについて望んでいるのだということについて、新しく大臣になられた町村大臣の御意見を伺っているわけです。
  52. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま山田議員の御指摘になりましたこと、原則としてはごもっともだと私も思います。その点は、自治省自治省としての自主的判断によって対処してまいるということは当然だと私は考えております。
  53. 山田芳治

    山田(芳)委員 それならば私は、また戻るけれども、いま大臣もお触れになりましたけれども補助金がついている単独事業と同じような事業であれば、これは繰り延べにされるというのが自治省としての私は合理的な判断に適合したことではないかというふうに思うのですが、最後にもう一点だけ伺っておきます。
  54. 松浦功

    松浦政府委員 先ほども申し上げましたように、いま抽象的にお答え申し上げました大臣の御答弁、これは先ほども私はお答え申し上げたとおりで、決して山田委員の基本的な考え方に反発をするという気持ちはないわけでございます。そのとおりだと思います。ただ具体的な問題として、国庫補助というものがはっきり国の予算として成立をして執行していく段階を踏まえて、特に今回の場合はある程度総需要を抑制する効果を出そうという場合に区別をさせていただいた、こう申し上げておるので、基本的な考え方は先生のおっしゃる意向を十分体して今後とも十分に努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
  55. 山田芳治

    山田(芳)委員 それじゃもう時間も迫っておりますが、最後に資料の要求をいたしておきたいというふうに思いますので、ひとつ資料をお出しをいただきたいと思うのです。これは防衛施設庁の方にお願いをしたいのですが、基地対策事業のうち十一月二十日現在未契約の事業のおもなものは一体どういうものか、基地別、事業別にひとつあげていただきたい。それから、なぜ繰り延べの対象にならなかったか、その理由を具体的にあげていただきたい。それから北富士演習場関係の対策事業のうち、十一月二十日現在未契約の事業について、その資料をお出しをいただきたい。その内容は、総事業費と国庫補助の内議、それから起債の申請額等について事業主体別、事業名別をひとつお出しをいただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
  56. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 村田敬次郎君。
  57. 村田敬次郎

    ○村田委員 私は、昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案の審議に関連をいたしまして、現在四十九年度予算編成というものが国においても地方団体においても差し迫った最大の緊急課題となっておるわけでありますが、現在の経済情勢、それからまた社会情勢に対応いたしまして、現在の地方財政というものが非常に大きな過渡期にきておるという前提に立って、第一に現在の経済社会情勢と地方財政との関連、第二に四十九年度地方予算の編成に関連をして予算編成方針を国が示す必要があるのではないかということ、第三点は地方財政計画の規模、第四点は地方交付税率、第五点は経済社会基本計画地方財政との関連、第六点は公共事業の執行に関する、特に本四架橋を例といたしまして公共事業執行についての自治大臣の御方針、以上六点について順次御質問をしてまいりたいと存じます。  昨日の夕刊、また本日の朝刊の報ずるところによりますれば、現在の経済社会情勢の見通しというのは非常に危機的な様相になっておるということがいわれております。まず第一に、昨日、福田大蔵大臣、それから中曽根通産大臣、内田経済企画庁長官、二階堂官房長官が院内で会合をいたしまして、来年度の政府の経済見通しについて協議をした結果、実質経済成長率を二・五%前後と見込むことで意見が一致したということでございます。また来年度の経済動向のかぎを握る石油の輸入量については、今年度をわずかながら下回る二億六千ないし七千万キロリットルと見ることにしたということをいっておるわけでありますが、実質二・五%の経済成長率というのは昭和二十九年度の二・三%に次ぐ二十年ぶりに低いものであります。そして、政府がきびしい見方をするのは、石油危機によってわが国の経済全体が足を引っぱられることが避けられないためであるという説明が掲げられております。  それからまた本日の朝刊の報ずるところによれば、日本銀行が十四日発表した十一月の卸売り物価指数でありますが、これは四十五年度を一〇〇といたしまして一二五・六であり、十月に比べ実に三・二%の暴騰となる。これは昭和二十六年四月の前月比四・六%高に次ぐ戦後の最高記録であります。また前年同月に比べた上昇率も二二・三%となり、十月の二〇・三%上昇の数字をさらに上回ったと報告をされております。そしてこの物価騰勢は来年の一月から三月にかけても抑制は困難であり、したがってこれは生活破壊的水準に迫っておる。生活破壊的とはいえぬまでも、生活混乱的水準に至ったということが報じられておるのであります。しかも、主要国の物価指数というのを見てみますると、欧米の諸国、日本、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、この六カ国をとってみますると、日本の卸売り物価指数が最高であります。そしてそれに次いでイタリア、米国、フランスというような順序になるわけでありますけれども、昨年までは世界のいわゆる自由主義諸国の中で比較的物価の値上がり率が少なかったといわれておった日本が、この一年間で非常に生活危機的な様相にまで至っておるという状況でございます。  その中で来年度の国庫予算の編成でありますけれども、この際ひとつ非常の覚悟をもって内閣はこれに対応をしなければならない。したがって一般会計の予算規模は、公共事業伸びを、十二日の新聞では昨年度に比べて一〇%の伸びと報じておったのでありますが、さらにその後報じられるところによれば、公共事業伸びを〇%、ゼロにしなければならないのではないか。したがって一般会計の予算規模は、当初見積もられておりました二三%というようなことではなく、新蔵相の手元で十七兆四千億円、この台をめぐる一つの攻防であろう。さらに二一%あるいは二〇%まですることが必要ではないか。そうしなければいまの国民生活は守れないのではないかという非常な危機的な様子が伝えられております。  私どももこの際、来年度の国庫財政地方財政を通じて、いま非常に迫っておるいわゆるインフレ退治というものをまずまっ先にやっていかなければ、日本列島改造の理想も非常にこれはほど遠いものになってしまいますし、この際非常の覚悟をもって対処しなければならないと思っております。したがいまして、自由民主党においては去る十一月二十四日、「物価抑制と国民生活安定緊急対策要綱」というものを決定をいたしました。これは時間がありませんので関係部分だけを申し上げますが、その要綱の中で、四十八年度予算公共事業について、現在着工、未着工のものを含めて大型プロジェクト、新幹線、高速自動車道、本四架橋等、あるいは官庁営繕等は極力繰り延べ、その他の財政支出、財政投融資も大幅に節約するという方針を打ち出し、さらに四十九年度予算編成にあたっては、予算規模、財政投融資規模を極力抑制し、公債依存度を引き下げる。特に公共事業その他建設的事業についてはその伸びを押えるとともに、その裏づけとなる物資、動力を勘案して決定をする。ただし、物価の影響を最も受けやすい老人、身障者、母子家庭、生活困窮者、恩給・年金生活者等に対する社会保障については格段の配慮を払う。さらに地方財政についても、いま述べました公共事業の執行、それから四十九年度予算の抑制の事項につき同一歩調を要請するということをきめておるのであります。  したがいまして、この際、町村自治大臣におかれては、四十九年度予算編成というものを現在地方団体においても急遽いたしております時期におきまして、現在の社会経済情勢に対応して地方財政のあり方というものをいかように考えておられるか、まずその総論からお伺いをいたしたいと存じます。
  58. 町村金五

    町村国務大臣 今日の物価高騰によりまして国民生活が非常に重大な局面に際会をいたしておりますことは、ただいま村田委員指摘のとおりに私どもも判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、今日政府のなすべき最大の課題は、この物価高騰をいかにしてすみやかに収束せしめることができるかということであることは申し上げるまでもございません。したがって政府といたしましては、まだ明年度予算編成方針の大綱を決定する段階には至っておりませんけれども、しかし村田委員の御指摘になりましたような方針で明年度の国の予算を編成するということになることは万間違いあるまい、かように私ども考えておる次第でございます。したがって、その中におきまして公共事業をほとんど前年に比べて増加をさせないということは、非常に関係者にとりましては重大な問題ではございますけれども、しかしインフレ抑制のためにはそういった困難を克服して進めていかなければならないということは、私どもも同様に深く考えておるところでございます。  昭和四十九年度地方財政の運営にあたりましても、同様のことを私ども考えなければならないと存じておるのであります。したがって、あるいは不要——不要とは申しません、また不急とも申しませんけれども、特に緊急やむを得ないもの以外の公共事業のごときものはこれを繰り延べてまいる。また経費の支出等につきましても十分重点的にこれを行なってまいるという方針を貫いてまいらなければ、とうてい今日のこのインフレを抑制してまいるということは不可能であろうという考えに立って、この方針をぜひ貫いてまいりたいと考えておる次第でございます。
  59. 村田敬次郎

    ○村田委員 従来、地方公共団体における予算の編成につきましては、自治省関係各省の意向等も取りまとめて、そして地方公共団体に伝達しておるわけでございますが、従来の例をもっていたしますと、予算の組み方について自治省財政局の内簡を一月末ごろに出し、そして国の予算が編成をされましてから、その予算についての通達を含めた知事会議あるいは府県の総務部長会議等を開催をしておるわけであります。しかし、従来のそういった例によって今後の四十九年度予算編成ということを貫くことは、いま町村大臣の言明されたような新しい経済社会情勢に対応するためには非常に不十分であると私は思います。そういった意味で、ぜひ現在の段階で、都道府県ないし市町村が来年度の経済社会情勢について非常に模索をいたしておる、あるいは地方税の見通し等について非常に模索をしておる、こういった段階において、国が現在予算編成について持っております異常な決意——これは私は二十二日ごろには大蔵大臣の第一次の内示が行なわれるであろうという予測を聞いておるわけでありますが、これに対応して、都道府県、市町村予算編成についても、でき得れば町村大臣が知事会議、あるいは特別に知事を招集をして、来年度の編成方針についての緊縮財政というものをしっかりと打ち出していかなければならない。これは予算編成の終わってしまう二月、三月の段階では間に合わないというふうに私どもは理解をいたしております。したがって、今後の予算編成方針について、いま町村大臣の言明されたようなことを具体的な項目について、地方税の見通しはどうか、あるいは一般財源についての見通しはどうか、また国の財源の見通しはどうか、そういったものとの関連において地方財政に対する明確な方針を打ち出し、四十九年度予算編成方針について具体的に全国の知事あるいは市町村長に十二月のうちに連絡をしていただきたいと思っておりますが、これについての大臣の御意向はいかがですか。
  60. 町村金五

    町村国務大臣 従来、地方団体予算編成に関しましては、ただいま御指摘になりましたような、春になりましてから大体の考え方を指示するという態度をとっておったことは御指摘のとおりでございます。しかし、来年度予算編成につきましては、事情も私は非常に違っておるように考えます。そこで、国の予算編成方針が確定をいたしましたならば、あまりこまかいことまで従来のように指示をいたすということはできないと考えますけれども、国の予算編成方針がきまった段階におきましておおよその考え方地方に示すということをいたしたい、かように私は考えております。
  61. 村田敬次郎

    ○村田委員 その具体的に示される時期はいつごろと考えておられますか。
  62. 町村金五

    町村国務大臣 年内に国の予算編成方針がきまりました後にそのことを明らかにしたい、こう考えております。
  63. 村田敬次郎

    ○村田委員 年内にそのことを行なっていただけるというふうに了解してよろしゅうございますか。
  64. 町村金五

    町村国務大臣 年内もしくは来年早々というふうにひとつ御承知おき願います。
  65. 村田敬次郎

    ○村田委員 昭和四十九年度地方財政見通しについてさらに松浦財政局長から具体的に承りたいと思っておりますが、地方財政計画は御案内のように、作成をされるのは春であります。したがって春まで待たなければ具体的な詳しいことはわからないというのが自治省立場であろうと思いますし、私自身財政局におりましたので、その辺の事務的な流れはよく承知をしておるわけでありますが、ことしの予算編成というのは、最初に申し上げましたように異常な事態を迎えておる。したがって、具体的なこまかい計算はできなくても、来年度予算編成についての大まかなワクだけは考えていかなければならない。それについて、松浦財政局長は全国の都道府県、市町村財政を指導される立場から、個々財源の見通しその他についてできるだけ、現在わかっておる範囲内で、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  66. 松浦功

    松浦政府委員 村田委員承知のように、この問題は、国の予算がどうきまるかということによって非常に大きく地方財政計画自身が変動をいたすものでございます。したがって正確なことをこの段階で申し上げることはできないかと思います。私が個人的にいろいろの情報を集めて持っておりまする範囲で、ごくラフな考え方を申し上げてみたいと思います。これは相当食い違いが出てくることがあり得ると思いますので、その点は御了承いただきたいと思います。  先ほど村田委員が御指摘になられたように、国の規模が十七兆四千億を境の攻防だという御指摘がございました。昨年までは地方財政計画の規模のほうが数千億国庫財政の規模を上回っておったわけであります。本年度の国の予算の規模増加要因の中に、国鉄、食管あるいは年金、そういった地方財政関係のないものがどの程度見込まれるかということによって非常に大きく変動いたしてまいります。特にこういう要素がございますので、大体国の規模を中心に上下したところあたり地方財政の規模もなるのではなかろうか、こういう見通しでおります。
  67. 村田敬次郎

    ○村田委員 地方財政計画の規模につきましては、いま松浦財政局長が述べられたように、四十七年度が十一兆四千七百五億円、当初予算であります。それから四十八年度が十四兆二千八百四十億円、その伸び率は二四・六%でございます。それから地方財政計画における地方団体の歳出総額、いわゆる地方財政規模の総体は、四十七年度が十一兆七千四百九十八億円、そして四十八年度が十四兆五千五百十億円で、伸び率二三・八%であります。したがって、これは国の予算に比べて伸び率はやや下回っているわけでありますが、松浦局長が御指摘になったように、大体国の予算よりも若干上回る、二、三千億上回るというのが最近における地方財政計画の規模である。これは歴史的に見てみますと実はだいぶ経緯があるのでございますが、明治、大正、昭和のずっと初期を通じまして、国の歳出総額に比べて地方の歳出規模は小さかったわけであります。それが昭和二十八年度を境として、地方歳出の規模が一・〇一九という、初めて地方公共団体財政規模が国の財政規模を上回る指数を示しました。それ以後、年によって若干の増減はございますけれども、漸増をして、地方公共団体におけるいわゆる地方財政計画の規模というものが国の財政規模よりも大きくなっていった。それだけ都道府県、市町村という地方公共団体住民に密着する行政というものが重んじられておる証拠であると思うのでございますが、そういった意味で、来年度予算規模というのは、大体国がたとえば十七兆四千億円以内でとどめるならば、地方財政計画の規模も大体そのレベルの前後であろうというふうに自治省財政当局は考えておられる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。町村大臣いかがですか。
  68. 町村金五

    町村国務大臣 大体けっこうでございます。
  69. 村田敬次郎

    ○村田委員 その場合に、私は地方公共団体の歳出、歳入をしさいに調べてみたわけでありますが、最近は地方公共団体でいわゆる創意くふうをもっていろいろな新しい事業をやっていきたいということで、投資的経費というものが非常に増加をしておる傾向であります。たとえば昭和四十七年度財政計画においては、地方投資的経費の全歳出に占める比率は三九・二%であったわけでありますが、昭和四十八年度においてはこれが増加をいたしまして四一%になっておる。したがって、地方公共団体の自主性がそれだけ非常に増してきたのだというふうに考えればたいへん喜ぶべきことだと思います。また地方財政も、こうした危機的な経済社会情勢にならない昨年までは非常に順調な推移を最近はたどってきたと私どもは思っておるわけでありますが、最初大臣がお述べになったような公共事業の投資抑制方針というものをしっかりと貫かれるならば、昭和四十九年度においては少なくともこの投資的経費の比率は四十八年より下回らざるを得ないであろうし、またそれはほんとうに国民生活の安全、そしてまた今後の発展というものを確保するためにやむを得ない措置であろうと思っておりますが、この投資的経費についての考え方はいかがですか。
  70. 町村金五

    町村国務大臣 国の予算において総需要抑制という基本方針を打ち立ててまいります以上、地方団体におきましても、今日の経済情勢から考えまして地方単独事業につきましても抑制をしてまいるということは当然だ、私はかように考えておるわけでございまして、御指摘のようなぐあいに地方単独事業が最近種々の財政需要によって非常に伸びてきておるという情勢でございますので、この際これに対して方向転換を多少させるということはかなり困難があろうかと思いますけれども、この点は地方公共団体にぜひ御協力を願うという方針を貫いてまいりたいと考えております。
  71. 村田敬次郎

    ○村田委員 ぜひ来年度については非常の覚悟をもって臨んでいただくという意味で、そういった方針で臨んでいただきたいと思います。  それから、今度は地方交付税率の問題について御質問いたしたい。  御案内のように、地方交付税率につきましては、地方交付税法の六条におきまして、所得税、法人税、酒税の百分の三十二を繰り入れるということになっております。そしてこの地方交付税は、いわゆる都道府県、市町村一般財源考えられますから、したがってこの地方交付税を少しでもふやしてもらいたい、地方交付税率を少しでも引き上げてもらいたいというのが、自治省あるいは地方団体をあげての希望であります。しかし本年度の場合、こうした、国が非常に異常な決意をもって臨まなければならないという事態においては、地方交付税率の引き上げの問題は非常に微妙な問題を持っておると思います。したがって、現在の地方公共団体一般財源のあり方から見て、今回は地方交付税率を、こういった時代であってもやはり引き上げるべきであると考えておられるのか、あるいは本年度については、十分国庫財政等を勘案して、場合によれば地方交付税を引き上げるのを見送るのもやむを得ないと考えておられるのか、このことについて大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  72. 町村金五

    町村国務大臣 いま申し上げましたように、地方財政も現状におきましてはわりあいに地方税増収がなお期待をされるというような状況ではあるまいか、私はこう判断をいたしておるわけでございます。したがって、今後総需要の抑制の方針を地方団体にも協力を願うということに相なってまいりまする場合には、今日の段階では必ずしも交付税率の引き上げをしていただかなくても、ことに、公共事業の抑制は行ないましても、申し上げるまでもなく国民生活に密着いたしておりまする社会福祉施設なりあるいは教育関係等の施設というようなものは、その中にあって私はできるだけこれを実行していかなければならぬ、かように考えておるわけでございますが、そういったことをあれこれ勘案をいたしましても、私は現状の交付税率をもちまして地方財政の運営はほぼ支障なく行なわれるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  73. 村田敬次郎

    ○村田委員 大蔵省においてもこの地方交付税率の引き上げの問題は、何と申しますか、非常に気を使っておりまして、大蔵大臣のほうからも自治大臣のほうに、おそらく本年度については交付税率の引き上げを見送ってほしいという申し入れがあるであろうと思われます。私も実は、地方財政を守るという立場からいえば地方交付税率の引き上げは非常に望ましいことでございますけれども、国が非常な緊急予算を組むといった事態に対応すれば、いま自治大臣がおっしゃられましたように、四十九年度地方交付税率の引き上げを見送るのがやはり妥当な方針であろうと考えるわけであります。  その際に、地方財政の全体の状況から申しまして、いま大臣もお触れになりましたけれども、国民生活安定に関する問題について、公共事業をたとえ繰り延べても、ぜひやっていかなければならない経費というものがあるわけであります。たとえば先ほど指摘いたしました、物価の影響を最も受けやすい老人、身障者、母子家庭、生活困窮者、恩給・年金生活者等に対する社会保障あるいは全国の公立病院の赤字の問題の解消であるとか、こういった問題は、やはりいかに緊急事態が起こりましても守っていかなければならない重要な問題であります。こういった問題について、地方財政の四十九年度の見通しの中でしっかり見ていくのだという決意をこの際お聞かせいただきたいと思います。
  74. 町村金五

    町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたが、いま村田委員指摘のようなことは、当然私ども予算編成方針等において貫いていくようにいたしたいと考えております。
  75. 村田敬次郎

    ○村田委員 次に、経済社会基本計画地方財政計画との関連について御質問申し上げます。  経済社会基本計画はことしの二月十三日に閣議決定を見まして、そしてこの路線に沿って経済社会の発展をやっていかなければならないという考え方が確認をされておるわけでありますが、私の持っております計画書の一〇二ページに「地方財政の拡充」という項がございます。この地方財政の拡充の項の中では、「今後生活関連社会資本の整備と社会保障の充実等の福祉政策の推進にあたって地方公共団体のはたす役割がいっそう高まること、および新たな国土利用の構想に即した地域環境の整備を進めるための財政需要の増大が見込まれるので、前述のような行政の効率化を進めるとともに、地方財源確保のため、次のような方向で適切な措置を講ずる。」となっておりまして、地方税についてのいろいろな新しい財源考え方地方交付税についての安定的な確保、それから補助事業についての地方の自主性確保といった問題と並んで、地方債の問題があげてあります。この地方債の問題につきましては、「地方債については、その積極的活用をはかることとし、このための地方債許可基準の弾力化を進めるとともに、資金の確保をはかる。」となっておるわけであります。これは、この閣議決定が行なわれたのはわずか十カ月前でありますけれども、この十カ月の間に私どもの想像もできない経済社会の変化というものがあらわれたわけであります。したがって、経済社会基本計画につきましては、この際全面的に見直さなければならないのではないかということを私ども考えておるわけでありますが、きょうは経済企画庁から下河辺総合開発局長が見えております。下河辺さんはこうした計画の常に推進役に当たっておられる方でありますから、地方財政との関連において、今後の経済社会基本計画というものをどういうふうに考えるべきであるかということについて御意見を承りたいと思います。
  76. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いまいただきました御質問でありますが、経済社会基本計画の担当は実は私どもの局でありませんので、責任ある答弁というわけにはまいらないかもしれませんが、率直に私の感じておるところを若干御説明させていただきます。  この経済社会基本計画は、御承知のように昭和五十二年を目標とする中期と申しますか、五カ年計画であります。私どもは一応この計画の方針に沿ってということでありますけれども、現在、現実との間ではいろいろな問題があることは御指摘のとおりでございますから、その問題についてこの計画をフォローするという作業を始めておりまして、特に、その中でたくさんの課題がありますが、一つとしては、やはり公共財のサービスをどのようなシステムで今後新しい事態に対応してやったらよろしいかということについて、基本的な勉強をするということを一つはしております。しかし現在、御指摘いただきましたように、この計画を直ちに見直すかどうかということになりますと、実は本年の下期あるいは来年度について、あるいは石油事情等についてもう少し事情が明らかになるのを待ち、方針を固めた上で、この計画についての問題を整理すべきではないかということで、直ちにこの計画改定するあるいは見直すということは現在しておらないというのが実情でございます。
  77. 村田敬次郎

    ○村田委員 実は新国土総合開発法が現在建設委員会で審議中であります。この新国総法については非常にいろいろな経緯があるわけでありますけれども、その報告の中で、経済企画庁では、あるいは長官を通じあるいは下河辺局長から、新全国総合開発計画の見直しということをひとつやっていかなければならないであろうということから、総点検を実施をしておられる。すでに巨大都市問題あるいは土地問題等についての中間報告というのを私どもはいただいておるわけでありますが、これは非常に内容についてはよくできております。よくできておりますが、新全総の書きかえという意味で新々全総というものをこれから想定をする場合に、先ほど申し上げました経済社会基本計画なり、あるいは、これは田中首相の個人的な意見ということでありますが、日本列島改造論なり、また新国総法の考え方なり、そういったものの中で、いわゆる安定成長でなくて、高度成長の路線に通ずるものがあるのではないかといったような考え方がいろいろいわれております。したがって、こういった新全総を総点検をし、新全総を見直していく場合に、地方団体立場もいろいろ考えた上で安定成長路線に切りかえていかなければならない部面がたくさんあるのではないかと思います。これは、このあとで本州四国の連絡橋についてその一例として質問する予定でありますが、そうした新々全総の作成の場合に、現在の経済社会情勢というものを十分勘案をしてやっていかなければならないと思いますが、下河辺さん、いかがです。
  78. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 国土総合開発法に基づきます全国総合開発計画につきましては、昭和四十四年に新全国総合開発計画という俗称でございますけれども計画を閣議決定しておりますが、この計画については、いま御指摘いただいておりますように、現在見直しと申しますか、総点検作業をしておりまして、大都市の集中の傾向は計画策定当時よりもより激しいものがございますし、過密過疎の問題もございますし、公害問題あるいは自然というものがどうも失われていくという問題が深刻でございますから、この時点で再び計画を見直しをしてみたいということで作業を始めて、一部についてはすでに公表いたしまして御批判をいただいている最中でございまして、継続して総点検作業を進めたいと思います。その総点検作業の成果を通じて実は新しい計画をつくりたいということを予定しておりまして、一、二年の作業期間を必要とするかと思います。これは政府で原案をつくりますが、かなり各界の方々あるいは地方公共団体等について御意見を承りながら策定をしたいと考えておるわけでございます。その計画の際に、実は今日の石油その他から起こりました国際的な情勢なり、あるいは国内の質的な経済成長に対する変化というものを、やはり十分織り込んだものでなければならないのじゃないかということで勉強中でございますので、また御指導いただきたいと思います。
  79. 村田敬次郎

    ○村田委員 いまの下河辺さんの発言は、新しい経済社会情勢というものを十分踏まえて、そして新々全総の中に反映をしていきたい、こういう御答弁と理解してよろしゅうございますね。  それでは大臣に再び伺いますが、先ほど申しました経済社会基本計画の中で、地方債について「その積極的活用をはかる」云々ということばがあるわけでありますが、これは四十九年度財政措置その他に関する限りにおいては、この字句自体に非常に不穏当なニュアンスがあると思いますが、いかがでございますか。
  80. 松浦功

    松浦政府委員 弾力的、積極的な運用をはかるということについては、先般の十一月の二十日の事業抑制方針、これをごらんいただければわかりますように、基本的に考え直す必要がある。本来の地方債の持つ効力と申しますか、そういった面に着目をして、本来の地方債の運用に立ち戻るという必要が非常に強く出てくるのではないかというふうに考えております。
  81. 村田敬次郎

    ○村田委員 大臣にお伺いいたします。  先ほど来、公共事業の施行について、これを相当抑制しなければならないという御意見があったわけであります。したがって、今後の公共事業の施行についてそれを考えていくならば、いままでの高度成長路線といわれるようなものがかりに地方公共団体の行財政措置の上にあるとすれば、これはひとつこの際見直していかなければならないのではないかというように思うわけでございますが、これについての自治大臣の御所見はいかがです。
  82. 町村金五

    町村国務大臣 今日までわが国の経済政策というものは、日本の経済を極力発展をさせなければならぬという基本的な方針に従って財政政策等も組まれてきたということは言うまでもございません。しかし、今日こういった急変した経済社会情勢の中にありましては、そういったやり方は少なくとも当面これを繰り延べるというやり方を取り上げなければならぬということは申し上げるまでもございませんので、明年の国の予算編成方針もそういったことを貫かれるということに相なることは申し上げるまでもございません。地方財政についても大体それとはずを合わせたような方策、方針をとってまいるということに相なると存じます。
  83. 村田敬次郎

    ○村田委員 公共事業の施行に関連をして、先ほどの自民党の文書の中にもあったわけでありますが、一例として本四架橋の問題にこの際触れてみたいと思います。  本四架橋につきましては、御案内のように神戸−鳴門ルート、児島−坂出ルート、尾道−今治ルート、この三本が着工予定をされておったわけでありますが、こうした経済の情勢にかんがみてこの起工式を延期するということが田中総理から発表されたわけであります。この本四架橋については、実は、先ほど指摘をいたしました新全国総合開発計画の中にも、これは昭和四十四年に決定をされたものでありますが、はっきりとうたってあります。したがって、これは新全国総合開発計画の中のいわばメーンエベントと申しますか、非常に大切なプログラム、プロジェクトであるということになっておる。  この本四架橋についての地方出資金、あるいは地方公共団体関係をいたします地方調達縁故債というものを見てみますと、いわゆる三ルートの中で関係地方団体、兵庫県、神戸市、大阪府、大阪市、徳島県、高知県、岡山県、香川県、広島県、愛媛県等の負担をしなければならない地方出資金の総体は、実に五百五十三億円にのぼっております。それからまた、地方でその調達を引き受けてもらうべき地方調達縁故債は二千九百五十三億円にのぼっているわけであります。もちろん昭和四十九年度においてはその一部が出てくるわけでありますけれども、こうした本四架橋についての地方出資というものは、こういう経済社会情勢からいえば非常に地方公共団体の台所を圧迫することになりはしないか、私どもはそれを非常に心配をするわけでございますが、この地方出資金あるいは縁故債等による地域への影響について、自治大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  84. 町村金五

    町村国務大臣 総需要抑制の方針によりまして本四架橋建設が繰り延べられるということになりますれば、いま御指摘になりましたような、来年度における地方公共団体の出資金というものも当然減少することになるわけでございます。
  85. 村田敬次郎

    ○村田委員 新全国総合開発計画の中におきましては「中四国地方開発の基本構想」として本四架橋が述べられており、そしていままでは国民的プロジェクトとして期待をされておったわけでございますけれども、こうした情勢になって三本の同時着工ということが延期になったのは、いわば私は良識的措置であると思います。そして、新全国総合開発計画を書きかえて新々全総になる時期において、この中四国地方開発基本構想の中で本四架橋の三本とあるのを、たとえば一本にしぼるとかあるいは二本にするとか、そういったような考え方をお持ちであるかどうか、下河辺さんに承りたい。
  86. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 本州四国連絡橋につきましては昭和三十年以来の問題でありまして、たくさんの専門家、学者の方々の調査、研究を積み上げて、三本の橋がそれぞれの特色として必要であるということが報告書として出されておりまして、その報告書に基づいて、新全国総合開発計画で三本の橋が必要であるということをいっているわけでございますが、この三本の橋が、実は効用の上でといいますか、供用開始されて平年度化といいますか、平準年度化するのが、新全総の計画のときでさえも昭和六十年をこえて六十五年当時であるということでございまして、昭和六十五年当時の交通体系その他については私どももう一度勉強し直そうとばしておりますが、現在の段階で、昭和六十五年時点で要らないということにはどうもならないのではないかと考えております。しかし、経済情勢から見て、この一、二年を争ってつくらなければいけないかどうかということになりますと、これは慎重な結論を要するのではないかということを考えております。
  87. 村田敬次郎

    ○村田委員 したがって、これは下河辺さんのお立場から、三本を二本にするとか一本にするとかこの場で言えないのは当然だと思います。それは私もよくわかっておりますが、ただ、新々全総を立てる際に、こういった経済社会情勢を十分勘案の上で、もし変更すべきものがあれば変更したいというふうに考えていいですか。
  88. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 実は本四の架橋につきましては、瀬戸内海問題というものが新全総の総点検としては相当大きな問題だというふうに見ておりまして、現在のままですと、瀬戸内海におきます船舶の航行の安全性の問題であるとか、あるいは汚濁の問題とも関連いたしますので、一本がいいか三本がいいかというその前提として、やはり基本的な検討が必要なのではないかと考えておりますので、私どもとしては現在、三本が一本しか要らないというような結論はなかなか出にくいものと考えております。
  89. 村田敬次郎

    ○村田委員 今後、ぜひこの問題は、経済企画庁の優秀なスタッフを十分に動員をしていただいて検討をしていただきたいと思います。  私は、こうした事態になってまいりまして、広域市町村圏構想であるとか地域開発問題であるとか、いままで都道府県、市町村が手がけてきた、また自治省が手がけてきたいろいろな目玉商品、いろいろな政策について、新しい年度においては考え直さなければならない点も多々あるのではないかと思います。林行政局長が見えておりますから、そうした全国的な総合開発について、さしあたり四十九年度地方公共団体をいかに指導していくおつもりであるか、ひとつ所見を承っておきたいと思います。
  90. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この問題は、現在事態がたいへん流動的でございますので、いまここでこういう方向ということを明示するのは非常にむずかしい問題だと存じます。いずれにせよ、石油あるいは物価、このむずかしい危機を乗り切るについて、国としての一つの政策、それにまた地方公共団体も協力していただかなければならない問題でございますけれども、それらと地方の地域住民生活の向上あるいは環境の整備ということを考えまして、事態に応じたフレキシブルな動きで指導してまいるという考え方で現在おるほかないのではないかと考えております。
  91. 村田敬次郎

    ○村田委員 自治省は、いわば住民生活に直結をし、そして住民生活を守る最も大きな目的を持った役所であります。そして町村大臣は、言うなれば地方団体の全体、三千数百の地方団体の輿望をになって、いまの時代における地方行政のエースとして登場されたものだと私は理解をしております。ぜひひとつ、きょうお述べになったような新しい年度の指導方針なり、そしてまた今後の行財政の指導について、非常の決意をもって臨んでいただきたいと、心から期待をいたしております。  この際、同僚議員の保岡興治君に関連質問をお許しいただきたいと存じます。
  92. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 保岡興治君。
  93. 保岡興治

    保岡委員 関連するといっても、ちょっと関連性が薄いかもしれませんけれども、この際質問をさせていただきたいと思います。  さきに私は予算委員会の分科会におきまして、三月八日に自治大臣に御質問を申し上げたわけでありますけれども、奄美大島の復興、振興事業というものは二十カ年間自治省が担当してやってきたわけでありますが、それがことし一ぱいで切れるわけであります。そこで、昭和四十九年度以降さらにどういうふうにしてこの地域の振興、復興、開発をはかっていくかという点について自治大臣に御質問したわけであります。その際大臣から、昭和四十九年度以降の奄美振興については、新たな構想のもとに長期的な計画を樹立し、さらに同群島の振興開発事業を継続すべきである、これは沖繩の振興開発との関連においても、また新全国総合開発計画においても当然である、こういうお答えをいただきまして、郡民一同たいへん喜んでおったわけでありますが、その後自治省におかれましてこの特別措置についてどういう決意で臨んでおられるか、まず大臣に伺いたいと思うわけであります。
  94. 町村金五

    町村国務大臣 奄美群島の振興開発ということは、自治省としてもこのことを強力に推進しなければならぬ、かように考えておりますことは、さきに前大臣お答えを申し上げたことと何ら私といたしても変わるところはございません。このため、自治省におきましても、現在の奄美群島振興特別措置法がちょうど、いよいよ時期が本年度一ぱいということに相なっておりますので、これをこの際改正いたしまして、特別措置の継続なり、さらに内容の充実強化をはかりたい、かように考えて検討をいたしておるところでございます。
  95. 保岡興治

    保岡委員 たいへん心強く思います。  そこで、その特別措置計画の年限でございますけれども、離島振興法が、昨年ですが一昨年ですか、十カ年延長されまして、さらに昨年沖繩について十カ年間の復興開発計画というものが樹立されているわけであります。そういった意味で、離島と沖繩の間に存在する奄美大島の特別措置についても十カ年の計画としてやっていただきたい、こういうことが郡民の強い要望であるわけでありますが、その点について林行政局長に、どういうふうに作業を進めておられるか、お話をお伺いしたいと思います。
  96. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 自治省といたしましては、離島の問題その他との均衡を考え、かつ沖繩に非常に密接な関係があるという現在の奄美の状況を考えまして、十カ年でやりたいという考え方関係各省と話を進めております。しかし、政府部内にはまだいろいろ議論がございますので、これから精力的に詰めて、なるべく私たち考えているように進めていただくよう努力を続けてまいりたいと思います。
  97. 保岡興治

    保岡委員 なお、従来、奄美大島の振興計画というものは五年間で、事業を全部あらかじめきめて、それに予算措置をするというふうにやってまいりました。そのために、国の急激な経済成長あるいは財政能力の膨張というものに追いつけないで、その伸び率が非常に悪くなってきておったわけであります。その点については、前の質問でも林局長のほうから、その事実は一応認めるというお話があったわけでございますが、そういった意味で、今度の特別措置はやはり自治省が一括して計上はするけれども、各省が予算組みもし、予算も実施する、いわゆるもち屋方式で、専門家の知識を生かして奄美の今後の問題は対処していくという方式も十分検討してみたいというお答えであったように記憶しているわけでありますが、その点についてどのように進めておられるか、林行政局長に伺いたいと思います。
  98. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 ただいま先生の申されましたような方向でやろうということで、いま関係省と話を詰めております。関係各省の協力意図も十分熱心さがあるわけでございますので、この予算のいろいろ詰めに従って政府としての結論を出すことになると思いますが、御指摘のような方向で努力をするつもりで現在やっております。
  99. 保岡興治

    保岡委員 それに、従来奄美の振興事業は補助率が離島振興法対象地域よりか高くされて、保護を受けてきたわけでありますが、なお沖繩が復帰になりまして非常に高い補助率で事業が行なわれておる。この沖繩と比べても、あるいは本土の町村と比べてみましても、奄美の町村というのは財政力がこれに比べて非常にすぐれているという点は全くない。むしろ非常に弱いという点が指摘されておるわけであります。そういった点、今後の特別措置に補助率というものがたいへん重要だと思うのですが、そういう点について自治省がどういうふうに作業を進めておられるか、お話を伺いたいと思います。
  100. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほどの振興方式とあわせて、この補助率の問題についても各省に協力を要請し、各省もたいへん熱心に進めてきていただいております。ただ、沖繩が返ってきたばかりなのに対しまして、奄美はすでに二十年やってきたという経緯、それから他の離島との均衡とかいう問題がございまして、すべて沖繩並みとか、あるいはすべて従来の補助率を維持するという点にはなおむずかしい問題が残っておるようでございますが、引き続いて努力をいたしまして、できるだけ奄美のそういった財政力の問題その他の事情に合うような形で結論を得たい。これもまた精力的に折衝を続ける所存でございます。
  101. 保岡興治

    保岡委員 特に町村事業については補助率を高くするように努力を願いたいわけでありますし、また沖繩よりもおくれている点、あるいは財政力の弱い点もないわけではないと思いますので、本来なら沖繩並みにしてもらいたいというのが郡民の率直な希望でございます。したがって、そういう背景があることを御理解の上、今後いまおっしゃったような線をさらに強めてお力添えをちょうだいしたいと思います。  なお、予算の内容についてでありますけれども、従来、先ほど申し上げたように五年セットで事業を組み、予算を組んできたために、国の財政力の伸張に応じ切れなかったという点があるわけでありますが、離島振興法対象地域の一人当たりの公共投資額と奄美のそれとを比べてみましたときに、昭和四十年で逆転をいたしまして、むしろ現在では、離島のほうが一人当たりの公共投資額が四万七百円、奄美大島のほうは二万四千五百円、全国平均が二万四千八百円ということで、全国平均にも劣る。離島振興法対象地域に比べて非常に格差が出ておる。そこで去年の奄美の振興事業も、そういった従来の弊害を解消しようということで自治省のほうで改定を行なって、予算額も三三%伸ばしていただいたわけでありますけれども、離島のほうも同じように三三%伸びておる。結局、べースが低いという点からいえば、去年の予算でむしろ格差が大きくなっておるというような結果も出てきているわけであります。したがって、そういう点にかんがみて、来年度予算というものは相当予算額も伸ばして要求がされてしかるべきだというふうに考えておるわけでありますが、その点についてどういうふうに自治省が作業を進めておられるか、伺いたいと思います。
  102. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 従来、国の経済の成長力が非常にあった段階におきまして、先生御指摘のようにある程度、五年まとめて計画を立てたということが、結果においては不利になったというか、あるいはそうでなければどうなったかわかりませんけれども、そういう面があったことは否定できないと思います。ただ、現在のこういう状態におきまして、この成長力が今後伸びるかどうかということについては、いまたいへんむずかしい影がさしてきているということが一つ。それから一人当たりの比較の数字、その数字にはもちろん間違いございませんけれども、その地理的位置とか面積とかその他いろいろな関係がございますし、それから事業の執行能力というようなことも考えますれば、必ずしもその数字だけで奄美が非常に不利に扱われたということにはならないのではないかということを心配をしておるわけでございます。けれども、いずれにせよ新しい出発をするにおきましては、従来考えられるそういう不利な点をできるだけ少なくし、できるだけ奄美の振興が早くできるようにという配慮は払いつつやりたいと思っております。現在予算要求をしております額は、今回その方式を変えましたということもありまして、七十億をこえる相当な額になっておりますけれども、ただ今日の社会情勢、ことに公共事業については来年こういう情勢において伸び率が全体的に非常に少なくなってくる、こういう影響も奄美に関しては全く受けないというわけにはまいらないかもしれない、その点のむずかしさもございますので、それらも含めて今後さらに努力を続けていきたい、そういう考え方でおります。
  103. 保岡興治

    保岡委員 従来、自治省の努力が足りなかったということはないと思うのでありますけれども、五年セットで予算を組んだために結果的にそういう事実が出てきておるわけでありますから、その点を踏まえて来年度予算要求には鋭意当たっていただきたいと思うわけであります。  それから、奄美群島の復興、振興は、信用基金制度というものを設けまして、奄美大島の零細な脆弱な企業に対して、制度資金が導入できない、あるいは一般の信用制度の条件にかなわないということで、これがたいへん力になって、群島経済の自立的発展のために大いに役に立ってきたわけでありますが、なおそのような状況が現在でも厳存しておるということで、信用基金制度はぜひ存続させ、内容を強化充実してほしいということを従来から検討をお願いしてきておるわけであります。この点についてどのように扱っておられるか、お話を伺いたいと思います。
  104. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この基金の従来奄美に果たしてきた成果といいますか、また今後こういう機能が必要だということは、何よりも地元の方が一番それを痛切に感じとられておられ、そしてそういう御要望も重ねて承っております。私のほうといたしましては、このものを改める機会に、さらにこれを発展拡張するようにということで関係省と折衝しておりますけれども、この機関はまた、非常に政府機関としては異例に小さい地域においての規模その他の問題もございまして、これを改組するとかいうような議論がなかったわけではございません。最終的にはこの予算の結論で結論をつけると思いますが、現在、従来の機能その他を継続し、さらに進めていくという方向で話を進めており、そういう方向の見通しもやや立ちかけているということが現在の状況でございます。
  105. 保岡興治

    保岡委員 大体、私が三月八日に御質問を申し上げて、そのときに検討いただくとお約束した点について、自治省が一生懸命努力をしてくださっていることがわかりまして、たいへんうれしく思っております。しかしながら、やはり先ほど申し上げたような事情で、奄美大島の現在の平均所得は国民平均の四九・六%という非常に低い所得です。しかもいまだに、一万人ぐらい存在する島に、はしけで、船で乗り降りをしなければならないというような状態がまだ、復帰して二十年たっても続いておる。あるいは隔絶外海離島ということで、他の離島振興法対象地域にないハンディキャップを持っておって、運賃が非常にかかるというようなことで、物価指数も東京を一〇〇とした場合一〇三である、実質所得はさらに苦しい立場に追い込まれておるというような点などありまして、非常に群島民の経済、生活状態というものはいまだに低いというのが実情であります。そういうことで、昨今石油の危機など、あるいは総需要抑制というようなことで、公共事業を非常に押えなければいけないということがみんなの現在の合意点ではあるわけであります。しかし、総論賛成、各論反対、こういうことがよくいわれるわけでありますけれども、こういうおくれた地域は、このような物価高あるいは異常な経済状態の中では、体質が弱いためにむしろ非常に強い影響を受けて、格差はこういう事態に広がるということがいえるのじゃないかと思うのです。そういった意味で、この場合は決して各論反対という意味じゃなくて、ぜひ公共事業にしてもいろんな予算措置にしても、いま自治省が概算要求で出しておられる御努力が必ず実るように万全の努力をお願いしたいと思うわけであります。大体七十八億概算要求してありますけれども、地下鉄一キロをつくるのにいま百億くらいかかるわけであります。あれだけの十六万人近くいる群島のすべての事業を七十八億、これは概算要求でありますから、財政当局の査定の結果ではどうなるかまだ予断を許さないわけでありますけれども、大きなプロジェクトについてはいろいろなそういった事情を勘案して削ることはやむを得ないとしても、奄美大島のこういったわずかな予算についてはぜひ確保していただきたいと、心からお願いを申し上げる次第でございます。  そこで大臣に最後に、もし特別立法というものがいろいろな社会情勢の変化のためにむずかしいというような事態に立ち至った場合には、大臣折衝をしてでも、とにかくこの郡民の要望を実現していただけるか、その決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  106. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま予算編成の仕組みがむしろまずくて、そのために奄美開発の予算が最近に至って他に比べて非常に伸び悩んでおるということはまことに遺憾千万なことであります。この点の仕組みをひとつぜひ改めるということは、すでに事務当局も懸命にやっておることと思いますが、この点はさらにひとつ努力をいたしてまいりたいと考えます。  なおまた特別立法のことにつきましては、私も全力をあげてまいりたい、こう存じております。
  107. 保岡興治

    保岡委員 質問を終わります。
  108. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 折小野良一君。
  109. 折小野良一

    ○折小野委員 簡単に二、三の御質問を申し上げます。  最近の異常な物価高に伴いまして、公共事業の執行が非常にむずかしい段階に参っております。そういう情勢を反映いたしまして、政府の補正予算におきましても一部の公共事業につきまして単価改定、したがってまた予算の追加、こういうことが行なわれました。それと同時に、交付税におきましても、この特別例に関する法律案によりまして、単価改定に伴いまして二百三十二億円という経費が一応予定をされておるわけでございます。しかし、御存じのとおりに、今回の単価改定によりましても、実勢単価と比較いたしますと非常に大きな差が出てまいります。実質的に、ことしの場合にこのような措置をとっていただいたにかかわらず、地方団体の超過負担というものは非常に大きなものになるということでございますが、このような措置をとっていただいたそれぞれの事業の本年度の超過負担、これをどのように解消しようというふうに自治省のほうではお考えになっておられますか、お伺いします。
  110. 松浦功

    松浦政府委員 国の予算単価改定をされましたことに伴いました部分、それからそれにあわせまして地方公共団体が行なっております単独事業単価改定、これはただいま御指摘いただきましたように二百三十二億交付税として配分をする、こういうことにいたしました。ただ、現在定められております国の単価と現在の実情がどう違うかということにつきましては、私どもも必ずしも明確にいたしておりません。したがって今後よく関係各省と折衝をし、なるべく早い機会に調査を行ないました上で、実態に合わせるべくさらに努力を重ねてまいりたいという決意でおります。
  111. 折小野良一

    ○折小野委員 いまの御答弁によりますと、二百三十二億というのは、今回政府のほうで単価改定措置をしたそれ以外のものも含んでおる、こういうふうに理解していいのですか。それにしてはきわめて金額が少ないというふうに考えるのですが。
  112. 松浦功

    松浦政府委員 ただいま御説明申し上げましたのは、国の、たとえば文教施設、そういったものを、単価改定の裏負担分を交付税に見込むという措置のほかに、国庫補助がついておらないものについても同種のものについては、それまでの単価に見込むという形をとりませんと事業ができなくなります。そういう意味で、二百三十二億の中に地方の単独事業分についても単価是正の金額を入れた、こういうことでございます。
  113. 折小野良一

    ○折小野委員 国が単価改定をいたしました学校とか保育所とか住宅とかそれから生活保護とか——なるほど生活保護は裏負担を見ていただければこれは超過負担は出てこないわけであります。しかしその他の事業につきましては、現在の実行の段階におきまして、国の新しく作定された基準単価以上に実際の単価は上がっているわけです。ですから、結局そういう措置をされたものの、これまた当然超過負担というのが、仕事をやっていけば出てきます。しかも単価改定をされましたのは一部でしょう。単価改定をされない分もあるわけです。それの超過負担はもちろん出てきます。それから地方の単独事業の超過負担も当然出てくる。その全体に対して二百三十二億というものを予定をされたわけですか、どうなんです。
  114. 松浦功

    松浦政府委員 国の補助単価の是正されましたものに伴います裏負担分と、それからその種の種類に見合うものについて単独事業単価改定をあわせてやっておる、それが二百三十二億でございます。
  115. 折小野良一

    ○折小野委員 といいますことは、端的にいっていわゆる超過負担に対しては別に措置はされていないということなんですね。事実上、超過負担が本年度の場合に非常に大きなものになろうということがもうすでに予想されております。それが幾らの金額になるかというのは三月を経過してまいりませんとわかりませんわけですが、この本年度の異常な物価騰貴その他によります超過負担はどういうふうにして解消しようと考えておられますか。できるだけ具体的にお願いをいたしたいと思います。
  116. 松浦功

    松浦政府委員 先生御指摘のように、本年度どの程度の超過負担が出るかは、私どもにも現在の段階では全くわからないわけでございます。あるであろうということは予想いたしております。しかも、御承知のように、超過負担について交付税措置をするということは、これは私どもとしては全く考えてないわけでございまして、もしそういうことをいたしますれば、ちっとも各省が補助単価を上げない、こういう形勢をつくってまいりまして、いつでも交付税にしりを持ち込まれるということになります。そういう意味ではそういう方向はとりたくない。これは各省とよく連絡をとりながら、実勢に合う単価に将来に向かって改めていく。ことしどれだけ生ずるかがわからないという実態でございますので、その点については明確なお答えはできかねるのでございますけれども、先ほど大臣からお答えも申し上げましたように、地方公共団体における税の自然増収相当ございますし、それからまた地方債の認可にあたりましての単価等についても現在検討をいたしております。そういったものをあわせて、何とか地方公共団体は本年度全体を通じてやりくりをしていけるのではなかろうか、こういう見方でおるわけでございます。
  117. 折小野良一

    ○折小野委員 この問題は、各地方団体におきましては非常に重要な、そしてまた非常に困る問題だと考えております。先ほど来超過負担の問題がいろいろと出てまいっておりますが、四十七年度までのものは一応の対策を講じてきておいでになるというふうに考えておりますが、特に本年度出てまいりますであろうこの超過負担は、出るであろうというだけでなしに、それはきわめて膨大なものになるんじゃなかろうかということを私どもは憂慮するわけです。もちろんそれはこの交付税で見るべきものでなしに、本来の政府の予算でまず考えていただかなければなりません。しかし、そういうような現在の情勢の中におきましては、結局地方財政というものを大きく圧迫をしてくるわけでございます。なるほど地方税収入もふえるであろうということはいわれておりますが、これはいつまでもふえ続けるというわけではございません。やはり財政の秩序を正す、そういうような立場からいきましても、また地方の行財政を通じて国民の福祉を高めていくという立場からいきましても、この面については自治省として根本的な対策を講じていただく必要があるんじゃないか、私どもはそのように考えておるわけでございまして、こういう点について基本的にどういうふうにお考えになっておりますか、大臣の御意向をお伺いいたしたいと思います。
  118. 町村金五

    町村国務大臣 本年は年度当初からかなり物価が上がるという情勢でございましたが、特に石油危機になりましてからその度合いが一そう激しくなってまいったわけです。したがって、地方におきまして諸般の施設を進めておる地方公共団体においては、なかなか契約が思うように進まないというような実情のあることも、私ども承知をある程度いたしておるわけでございます。したがって、この時期に及びまして、あるいは折小野委員指摘になりますようなぐあいにたいへん難渋をしておられて、所定の仕事が進まないというようなところも私は多少出ておるのかと考えますが、自治省考え方といたしましては、当面何とか、先ほども申し上げましたような地方税等のことでことしのところはひとつ切り抜けていただいて、そして明年度予算におきましては各省庁においても十分その点をひとつ念頭に置いていただく、交付税等におきましてもその点は十分ひとつ今後配慮してまいるということにいたしたいのでございますが、いずれにいたしましても、ちょうど物価等の状況があまりにいま流動をいたしておるというような状態でございますので、この段階において、いまこういうふうになるんだということをはっきりと申し上げかねるような次第でございます。いずれにいたしましても、地方団体が異常な超過負担に悩むということは、何としてもできるだけ解消しなければならぬということで、自治省としてはひとつ特にこのことには力を注いでまいるようにいたしたいと存じておる次第でございます。
  119. 折小野良一

    ○折小野委員 これも超過負担に関係をいたしますが、最近のニュースで、いろいろな福祉施設、そういうようなところの運営が非常に困っておる、困ってきた、こういうことがいろいろいわれております。物価高騰というのはとかく弱いところにしわ寄せがまいります。その一つのあらわれなんですが、こういうような問題につきましては後刻いろいろ調査をして、超過負担をどうするとか財源をどうするとか、そういっても間に合わないわけなんでして、いま直ちに措置をしなければなりません。したがって、地方団体におきましては、そういう緊急な事態に対していろいろな措置をするところもございますし、あるいはそういう弱い人たち、特に収容されておる人たち生活費を何とか削ってしんぼうしてもらう、こういうようなところも出てまいっております。それからまた、今日の物価高その他に対しまして、自治体自身が何とか防衛策を講じていかなければ、地域住民生活に非常に大きな支障を来たす、こういうところから、たとえば生鮮食料品を産地直結というような形でとってくるとか、あるいはまた物価やあるいは物資の問題について地方団体が取り組むような組織をつくっていくとか、中にはそういう対策を講ずるための条例をつくるとか、こういうような動きが最近いろいろと出てまいっておるわけでございます。こういうような点につきましては、地方団体の本来の義務的な仕事、必ずしもそうであるとはいえないかと思いますが、背に腹はかえられない、あるいは地域住民のためを思えばこの際何とかしなければならない、こういうことだと思いますが、こういうような地方団体の動きに対しまして自治省はどういうふうにお考えになっておるのか、あるいはまたこういうような動きを自治省としてはどうしなければならないとお考えになっておるのか、御見解を承りたいと思います。
  120. 松浦功

    松浦政府委員 社会福祉施設等の運営費の問題を例にまずおとりいただいたわけでございますが、これにつきましては今回の国の補正予算で五%の是正をいたしております。したがってその裏負担分は当然今回の交付税の中に算入をしておる、こういうことでございます。さらにそれをこえてということになりますと、一つの制度の中での問題でございますので、国のほうの措置に対応した措置しか自治省としてはとりにくいという面があることを御了承いただきたいと思います。それ以上の問題については、やはり先ほども申し上げました地方公共団体の税の自然増、あるいは行政運営の効率化等によって生ずるものによってまかなうという態度をおとりいただきたいというふうに自治省としては念願をいたしております。  さらに物価対策の問題につきましては、これは各地方公共団体でいろいろ非常に苦心されておることと思います。本年度どうこうというわけにもまいりませんので、ひとつ地方公共団体で独自におやりいただきたいと思っておりますが、こういう情勢を踏まえて、明年度交付税等の決定にあたりましては単位費用を割り増しする、要するにたくさんつぎ込んでいく、そういうような形をとって、これらの行政が円滑に行なわれるようにわれわれとしては配慮してまいりたい、こう考えております。
  121. 折小野良一

    ○折小野委員 行政局長、いかがお考えですか。
  122. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 失礼いたしました。私に対する御質問の要点をちょっと聞き漏らしましたので……。
  123. 折小野良一

    ○折小野委員 最近、物価の値上がりとか物不足とか、こういう面に対応いたしまして、地方団体がみずから地域住民を守るという対策で、たとえば物価対策とかあるいは野菜を産地直結で入れるとか、あるいはいろいろな対策本部をつくったりあるいはそういう面の条例をつくったり、こういうような動きが最近地方団体の中で出てきているわけです。これはもう今日の事態を国にまかしておったんではしようがないから、われわれ自身でもということで出てきておる動きだと思うのですが、これは本来の安定した状態における自治団体の仕事というものではない。悪くいえば逸脱しておるということになるかもしれません。しかし現在の事態においては、地方団体としてはやむを得ずそういうようなことをやってきておる、またやらざるを得ない、こういう事態になってきておる。そういうような動きに対して、自治省の指導的な立場においてどういうふうにお考えになり、どういう対応を示そうとされておるかということです。
  124. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 たいへん申しわけございませんでした。  これは、地方団体のそういう動きに対して一がいに批判することは非常にむずかしいと思います。現実の起こっている状況と、それから地方公共団体のとったいろいろな施策、その施策の中身によって、それは当然地方自治の知恵であり、無理もないといいますか、むしろ住民のためにはそういったほうが是であるというケースも決して少なくないと思いますが、あるいは逆に、それが国全体としての経済政策その他に対して逆行し、それに妨げが起こるという状況があるという場合もあるかと思いますので、まさに個々のケースとして判断していかなければいけない問題だと思います。ただ、地方団体としては常にやはりそういう知恵を働かすというか、住民要求を直接身近に感じ、くみとり、いろいろなことを考える、これが本来の地方団体のあるべき姿だと思いますので、それに対する善悪、可否の判断というのは、できるだけその地方団体立場に立って考えてやる必要があるであろうし、場合によっては、国がメンツその他にこだわらずに、地方団体のそういった施策を進め、援助してやるという配慮が必要な場合もあると思います。ですから、先生おっしゃっておりますのがどういう事例をおさしになっておるかいますぐはわかりませんけれども、その事例事例によってまさに価値判断が違うことであるのではないかと存じます。
  125. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、そういう地方団体のいろいろな行動というのが行き過ぎであるとかなんとかいうことではなしに、そういう行動に追い込んでおるということはやはり政府の施策がまずいのだ、物価対策にしろあるいは土地対策にしろ。そういうことからそういうようなことが出ておりますので、やはり地方団体の動きというものを自治省は十分把握をしていただいて、そうして自治省機能といたしましてそういうような問題について十分政府部内の連絡調整をやっていただく、そういうことが大切なことじゃないかというふうに考えるわけなんです。たとえば先ほどトイレットペーパーの話が出ました。建設省が下水道を進めておる、しかもそれは当然水洗便所にすること、水洗便所一〇〇%というのが最高の目標であるというのは、これは当然でございます。といたしますと、トイレットペーパーがなくなるということは水洗便所がどうなるかという問題に結局つながってくるわけです。トイレットペーパーの需給がうまくいきませんと、せっかく政府が進め、そして自治体がそのために努力しておるその行政というものを非常に大きく阻害をする。またそれが現実にそういうことをやったって困るじゃないかというような形になってまいります。ですから、やはりそういう実態を見ますと、トイレットペーパーの確保というようなものはただ単に通産省がそれをやればいいんだということだけでなしに、そういう仕事をやっておる自治体の立場に立つ自治省、あるいはその事業を進めておる建設省、そういうようなところの十分な連絡調整がなければいけないのじゃないかと考えます。  それからまた、最近の石油不足でごみ焼却のための重油が足らないといって騒いでおります。これも市町村のきわめて重要な仕事、そしてまたごみ焼却を徹底的にやっていくというのは厚生行政という面からいきましても非常に大切なことです。ところが石油のことは通産省がやっておるということで全然連絡がない。したがって末端の地方団体はごみを焼却するための重油に非常に困っておるという事態になってきておるわけであります。それからまた火葬場、これだって重油が要るわけです。人がなくなった、何とかしなければならない、重油が足りない、火葬ができない、こういうようないろいろな問題が出てまいっておるわけなんでして、そういうような問題を調整をしていただく、特に今日のような時勢であるだけにそういうことが非常に大切なことである。しかしそういう面につきましてもすべて円滑にいくというわけにまいりませんので、地方団体自体が何らかの措置をしなければならない、こういう面もやむを得ないことだと思います。  それならばそれのように、もうひとつ何らかの対策が必要になってくるのじゃなかろうか。先ほどの御質問で特交の話が出ました。ワクが小さい。そういうような今日の事態に対応して地方公共団体が適時適切な動きができるような、有事即応の対策がとれるような、そういう資金のワクを臨時的に設定をしておく、こういうことも一つの対策じゃなかろうかと思います。あるいはこの際交付税の税率を引き上げて、その分をとにかくこういう事態に対する対策費というようなことで設定をする、こういうようなことも現在の情勢において必要なことじゃなかろうか、こういうような点もいろいろと考えられるわけでございます。そういうような点は、具体的には適時適切に、そしてケース・バイ・ケースでということであろうと思うのでございますが、そういうことにいたしましても、それができる体制、それに応じられる体制、そういう基本的な体制につきましてはやはり自治省の指導行政としてあっていいのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。大臣、それから行政局長の御意見をお伺いいたします。
  126. 町村金五

    町村国務大臣 今日の非常に異常な情勢に対処いたしまして、各自治体において、地域住民生活防衛というふうなもののために、いわばやむにやまれず必要なことを適時にやっていただいておるということは、私どもとしても民生安定の上からたいへんありがたいことだ、かように存じておるところでございます。ところで、このために必要とする予算をなかなか持たないというところに地方団体の悩みがおありになるということは私もよくわかるわけでございます。そこで、現在の交付税等の仕組みといったようなものは私はあまりよくのみ込んでおりませんので、こういったことについて私が確たることを申し上げることはきょうは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、今後交付税の上におきまして、自治省としては物価対策等について相当の配慮をするということは、私は今日の段階としては当然ではないかというように考えておるところでございます。  なおまた、今日、清掃事業であるとかあるいはまた火葬場等に必要といたします重油にさえことを欠いておるようなことが起こり得ておるのではないかということになりますれば、これはまことに重大な問題でございまして、実はこの点は先般、自治省といたしましてはまず、大体そういったものに必要とする総量が一体どれくらいになるかということを必ずしも把握いたしてはおりませんけれども、少なくとも方針としては、こういったものはいかなる事情があろうとも通産省において必要量は当然確保してもらわなければならないということを強く申し入れをいたしておりまして、この点は通産省としても必ず確保するという約束はいただいておるわけでございます。  いずれにいたしましても、いま自治体の責任者としては当面するそういったいろいろの問題たいへん苦労を重ねていただいておるのではないかと私どもも深くお察しをいたしておるところでございまして、今後そういった市町村長の御苦労に何とかおこたえをするように自治省としては極力つとめてまいらなければならぬ、かように存じておるところでございます。
  127. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先生のおっしゃいますこと、まことに同感でございまして、おっしゃるような機能自治省は果たしてまいりたい、そういうつもりで仕事に励んでいるつもりでございます。ただ、すべてのことについて自治省が全部お世話するということには、やはり人数、予算あるいは技術という面で限界がございますし、政府各省もそれぞれ専門の分野を持っておりますので、自治省としては自治体側の立場に立って自治体の要望を取り次ぐ、あっせんする、そういうようなかっこうで、政府全体の歩調をその自治体の需要に合わせてやるような、その仲立ちをするというような形で、政府各省一丸となってそういう要望を果たすようにという、そういう機能を果たしてまいる、これがわれわれのやる限界ではないかと存じております。直接石油、紙というようなものまで私たちのほうでやるわけにもまいりません。そういう需要というものを取り次ぐ、そして政府の体制を整えるということで今後つとめてまいりたい、こう存じております。
  128. 折小野良一

    ○折小野委員 そこで、これは一つの私の提案でございますが、昔、備荒貯蓄という考え方がございました。ふだん一定の資金をたくわえておいて、そして非常の場合に役立てる、こういう考え方を今日のこの情勢の中でとっていいんじゃないか、とる必要があるんじゃないかというふうに考えますが、ひとつ交付税の税率を引き上げまして、その引き上げた部分を現在のこのような非常の事態に対応して民生安定のために適時支出する、そういう調整的な資金のワクにする、こういうような制度を臨時的につくる、こういうことはいかがでございますか。先ほど大臣は、交付税の税率を引き上げることにつきましては消極的な意見をおっしゃいました。全体的な情勢を考えてそういうことも考えられるでございましょう。しかし、ことし地方団体の会合で政府の閣僚が、来年度交付税の税率は必ず上げます、こういうことはもう言明をされておることなんです。現在の事態にあわせまして検討しなければならない問題かと思いますが、それをそういうような運用にしていく、こういうことで税率を引き上げ、新たな制度を設ける、こういう点はいかがお考えになりますか、大臣ひとつ……。
  129. 町村金五

    町村国務大臣 交付税率を引き上げまして、これをいわゆる備荒貯蓄的なものに積み立てておいて、必要なときにこれを支出したらという御提案でございます。確かに有力な傾聴すべき御意見だ、こう思いますけれども、いまここですぐ私からどうするということをお答え申し上げるだけの用意もございません。よく承っておきたいと思います。
  130. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、今日のような情勢でございますので、今後の予算編成その他を含めまして、ひとつ地方団体立場考えた努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  131. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、午後一時四十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  132. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。林百郎君。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 町村さんに国務大臣としてお聞きしたいのですけれども地方財政はもちろん国政にも、当年度財政方針が物価等にどのような影響を及ぼすかということは、当該内閣の重大な責任問題だと思うのです。実は、昭和四十八年度、本年度予算が組まれました直後の四月十二日に、公共投資関係事業年度内の施行期を調整するというようなことがもう閣議決定されておる。これに基づいて五月八日に、公共事業等の施行見込みを、上半期契約は五九・六%、一般事業五四・五%、災害復旧、生活環境、積雪寒冷地関係等緊急度の高い事業七四・九%とすることが閣議了承されたというようなことがいわれているわけですが、これは一体どういうことなのでしょうか。もう四月十二日に閣議で、当該年度の公共投資関係事業年度内施行時期の調整をしなければならないような予算を組むということですね。あなたも最近大臣になったばかりで、これはあなたの大臣になる前のことなんですけれども、どうもわれわれ考えてよくわからないのですが、どうお考えになりますか。あらかじめインフレーションを予定し、国内景気を刺激するということを予定された予算を、もう田中内閣は四十八年度に組んだんだ。われわれのいうインフレーション——そういうように思わざるを得ないのですが、どうお考えになりますか。そのことでいまいろいろ問題が起きてきているわけです。
  134. 町村金五

    町村国務大臣 当時のことを私いま申し上げても、私の個人的な考えを申し上げるにすぎないわけでありますが、御承知のように予算はすでに昨年の暮れにできたわけでございます。したがって、当時はまだいまのような予算を組むということについて、それほど将来について懸念をしていなかったのじゃないか。しかし、年が明けるに従いまして、諸般の情勢というものがかなり物価高騰の傾向、放置できないような状態にだんだんなってくるということを感ぜられたので、おそらく新予算ができ上がると同時にそういう措置を講ずるようになった、こう私は判断をいたしておるわけでございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 いずれにしましても、予算の執行は四月から始まるのに、その四月から始まる予算について、もう四月十二日に当該年度の公共投資事業の施行の調整をしなければならないような予算を組まれたということは、これは重要な政治責任だと思うわけですが、さらに八月三十一日の物価対策閣僚協議会の決定を見ますと、買占め売惜しみに対する緊急措置法、略称ですけれども、これの中に灯油を追加指定する。ところが、御承知のとおり中東の戦争が始まったのは十月なんですね。いま物価が上がるのは石油の需給関係だというようなことを政府はもっぱら言っておるわけなんですけれども、しかし、中東戦争が始まる前にもう灯油を売惜しみ買占めの緊急措置法の中に入れなければならないということは、日本の経済全体が、大きな企業が買い占め、売り惜しみをする、そのことがもう国民生活に重大な影響を及ぼすんだということが慢性的に行なわれているということを物語っているのじゃないでしょうか。これはどうも町村自治大臣に聞いても……。石油のことなんですけれども、通産省ではどうお考えになっておるのですか。何で八月三十一日の物価関係の閣僚会議で灯油をこの緊急措置法の中に入れるような事情が発生したのでしょう。通産省の方、どなたか見えてませんか。
  136. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 通産省は大ぜい来ることになっておるのだが、平林計画課長、木原窯業建材課長、青木商政課長、神谷鉄鋼業務課長、奥田非鉄金属課長、赤羽化学製品課長……。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、経企庁からだれか来ていますか。経企庁でわかりますか。
  138. 有松晃

    ○有松政府委員 実は八月三十一日の段階では、買占め売惜しみ防止法の対象としては、必要に応じて所要の物資を追加するということになっておりまして、その後灯油が政令改正で指定されるということになったわけでございます。そのときはもうすでにかなり逼迫という情勢が見えておりましたので、それで指定をするということになったというふうに理解しております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、だからね、八月三十一日の物価対策閣僚協議会の決定で灯油を買占め売惜しみに関する緊急措置法律の対象品目の中に入れたということは、これはもう中東の戦争に関係なく灯油が買い占め、売り惜しみの対象になっていたと、そういう事情がもう八月三十一日ごろにあったわけなのですか。中東戦争というのは言うまでもなく十月に起きたわけなんですからね。どういう情勢があったのですか。
  140. 有松晃

    ○有松政府委員 当時の状況でございますが、九月にかけて特に北海道旭川等の地区で灯油が足りなくなるおそれがあるのではないかというふうな声が起こりまして、それに伴いまして、買い占め、売り惜しみがまだ起こっておったわけではございませんけれども、起こるおそれが生じてくるのではないかということで指定をしたというふうに理解しております。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 八月三十一日といったらまだ夏ですね。夏の盛りに、北海道で灯油が不足する危険があるからといって、閣僚会議の決定で買占め売惜しみ防止法の中にそれを入れるというのはどういう事情なのですか。何でそんな事情が出てくるのですか。要するに、冬を見越してうんと灯油の値を上げてもうけようとするから、どうもことしの冬は石油関係の企業が売り惜しみをするという情勢がわかったからですか、夏の間に。
  142. 有松晃

    ○有松政府委員 先ほど申しましたように、まだ買い占め、売り惜しみという事実が発生しておったわけではございませんけれども、特に北海道の一部地区におきましては、その地区の気象条件等の関係から、例年九月ごろになりますとすでに仕入れが始まるということで、そういった消費者の仕入れを始める時期にあたってこれに不安なからしめるようにということで、あらかじめ指定をしたということでございます。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 わからないことではありませんが、そうするとあれですか、必要が起きる、必要の起きる見通しのところには売り惜しみ、買い占めの危険が予想されるということなんですね。要するに、買い占め、売り惜しみというものは、国民の需要が、その月になるとあるいはそういう時限になると増大しそうだということになると、起きる可能性がある、あるいは起きる心配がある、そういう体質を日本の経済は持っているということなんですか。そうでなければ、北海道が冬になれば寒くなるのはあたりまえなんで、寒くなれば灯油が出なくなるだろうと思って八月三十一日に入れたということは、日本の経済の体質自体が、国民の必要のころには企業は買い占め、売り惜しみをする、だから念のために入れておくと、こういうことになるわけですね。そう解釈していいでしょう。
  144. 有松晃

    ○有松政府委員 当時の灯油の需要そのものにつきましての詳しい事情は、実は通産省のほうでなければわかりませんけれども、私どもが聞いておりました限りでは、例年に比べまして、特に北海道地区で一部で値上がりのおそれがある。例年に比べて特に値上がりのおそれがあるということで、それに備えてやったわけでございまして、毎年必ずそうなるということではございません。特にことしはそういうおそれがあるという事情が予見されましたので、指定をしたわけでございます。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、通産省の油の関係が見えていないそうですからやむを得ません。  それでは町村大臣にお尋ねいたしますが、来年の経済見通しですね、これは一体どういう見通しをお持ちになっているのですか。あなたのおっしゃるように、もう予算というものは大体前年度の年末ごろには組まれる、実行は四月だけれども、ということになると、もうことしは予算を組まなければなりませんね。そうしますと、来年の経済の見通し、それに伴う地方財政についてはどういう方針で臨まれるお考えなんですか。
  146. 町村金五

    町村国務大臣 どうも経済のことはたいへんしろうとでございまして、なかなか私から来年の日本経済の見通しを申し上げるというだけの勇気も用意もないわけでございます。ただ、昨今の日本の経済情勢というものから、当面明年のことを私どもはしろうとなりに判断をいたしてみますると、実はなかなか容易でない状況ではあるまいか。現に一番問題になっておりまする石油の問題がはたして明年どういうようなぐあいになってまいるのか、もう少し供給が緩和されるような状態になるのか、それともこの供給がさらにきびしくなるかというようなことによりましても、明年の日本経済の展開というものは私は非常に大きく変わってまいるのではないか、さように判断をいたすわけでございます。  その上、物価高騰ということはいろいろな原因があるわけでございましょう。が、いずれにいたしましても、こういうものも私は一挙に鎮静をするというようなわけにはなかなかいきかねるのじゃないか。努力をいたしましても、やはり相当な月日が必要なんではないであろうか。そう判断をいたしてまいりますと、明年の地方財政につきましても、諸物価相当に上がるであろう、そういう前提のもとに明年の地方財政を展望するということになりますと、実は明年の地方財政というものはかなり苦しいと申しましょうか、なかなか財政計画等も立てにくいような状態のように、私は私なりに一応感じておるのでございます。さらに国といたしましては近く明年度予算編成大綱というものをきめるでございましょう。それに私どもは照応いたしました財政計画を立ててまいるということにいたさなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 田中総理は所信表明にあたって総需要の抑制というようなことばをお使いになっておるし、節約は美徳であるという価値観を定着するというようなことばも使っておられるわけなんですが、もちろんわれわれも、地方自治体の公共事業の中で、列島改造というような、大企業の合理化のためあるいは大企業の景気刺激のための大きなプロジェクトへ国が投資をする、それに関連して地方自治体が振り回される、そういう地方自治体の事業に対しては、これを一時見合わせることについては何ら異存がないわけですけれども、しかし先ほどの午前中の質問にもありましたように、地方自治体の公共事業といいますか、社会資本の投資といいますか、そういうものは地域住民の日常生活と切り離すことのできない側面を持っているわけなんですね。ですから、総需要の抑制というようなことでそういう部門にまで抑制がくるということになりますと、これは地方自治体が地域住民に果たさなければならない責任が果たせないことになるわけです。こういう観点から、来年度地方自治体の公共事業の施行については自治大臣はどういうようにお考えになっているか。  それから、通産省の方々が見えているそうですが、通産省の、建材、鉄鋼、非鉄金属、化学、これの大体来年度の見通し、簡単でいいですから述べてください。自治大臣の答弁あとでいいです。
  148. 町村金五

    町村国務大臣 明年の予算編成方針は明らかにはされておりませんけれども、今日まで国会等における大蔵大臣等の答弁等を通じてすでに大体明らかになっておりまするように、やはり明年は総需要抑制ということをかなり強力に貫いて、物価高騰を抑制することにまず最重点を置いてやろうということは御承知のとおりでございます。そこで、地方といたしましても、やはりそれと歩調を合わせまして、公共事業につきましてはこれを原則的に相当程度スローダウンさせるというやり方をとるべきだと私は考えておるのでございますが、いま林委員が御指摘になりましたように、地方自治体の行なっておりまする事業の中には、当面地方住民生活に直結をしてきわめて重要な欠くことのできないような事業等も相当あることは御指摘のとおりでございます。私どもは、そういったものはできるだけこれを実行に移せるような予算措置を行なうべきだ、こう考えておるわけでございます。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 では通産省、せっかくお見えになっているなら、全体の見通しでもけっこうです。
  150. 木原滋之

    ○木原説明員 セメントの生産でございますが、来年の生産というのは、油の見通しが非常に不確定でございまして予測は非常にむずかしいのでございますが、現段階での油の入手状況等から考えますと、生産が四十九年度は四十七年ベースぐらいのところになろうかと思います。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 生産が四十七年度ベースにダウンする、こういうようになるだろうという見通しなんですね。
  152. 木原滋之

    ○木原説明員 はい。これは非常に不確定な——油の予想は不確定でございますけれども
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 それはセメントですね。そのほかの建材関係はどうでしょう。
  154. 神谷和男

    ○神谷説明員 主として小棒の需要が建設資材として大きくなってまいりますが、大体月間百万トンというベースで最近きております。十二月の生産はまださだかでございませんが、電力、油の一〇%カットでほぼその率に準じ、あるいはややそれを上回るダウン率だろうと思います。そういたしますと九十万トン前後というのが十二月のべースでございますが、これはことしの八月の夏期減産のレベル、大体あのころのレベルに戻るだろうと思います。ただ、来年に入りまして一−三月の見通し並びに四月以降の見通しは、全く油並びに電力のカット率にすべて依存いたしております。したがいまして、これが通年で何割カットになるか、あるいは年度の一部分で何割のカットになるか、それによって大幅に動くことになろうか、このように考えております。もし油あるいは電力の制限がなければ、鋼材全般、粗鋼ベースで申しまして、ことし一億二千二百万トンが来年大体一億二千八百万トン前後に推移するだろうという前提を立てております。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 これは自治省財政局でつかんでいるのでしょうか、セメントの総生産量の何%を地方公共事業で消費するのか、あるいは日本の鉄鋼の総生産量のどのくらいが地方公共団体公共事業の部門へ回っているのか、こういう指数はつかんでませんか。もしつかんでないならば、私は資料として知りたいのです。生産全体がダウンするからといって、地方公共事業の必要な部門にしわ寄せされていくということになると、これは大きな問題になります。しかし、パーセントがどの程度になりますか、そんなに大きなパーセントでないならば、地方自治体の地域住民のための必要な公共事業は優先的にそういう資材確保するような措置を国に要求しなければならないと思うのですが、そういうのはわかりませんか。
  156. 松浦功

    松浦政府委員 一般の公共事業部分については、それぞれ公共事業費をお持ちになっておられるところにお尋ねをすればあるいはわかるかと思います。単独事業については、これは全然見当のつけようがございません。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 交付税法改正については私のほうの三谷議員が基本的な質問をしますので、私はいま言ったような経済の現状と見通しのもとで、この十一月二十日に出された自治省地方公共団体事業執行の繰り延べの通達、この問題を中、心にして若干質問をしてみたいというように思うわけです。  この十一月二十日の通達が出る前に、九月七日に自治省財政局長から「財政の執行の繰延べ、建築投資の抑制等について」という通達が出ておるわけですが、こういうような一連の通達、ことに九月七日といえば先ほど言ったようにまだ中東戦争も起きてないころなんですけれども、このころにこういう通達を自治省財政局長名義で出さざるを得なかった事情、それから十一月二十日に通達を局長名義で出すに至った事情——あなたもなったばかりで、前の局長のやったことですけれども、その辺のところを説明願いたいと思います。
  158. 松浦功

    松浦政府委員 御承知のように、九月七日の通達は、政府が閣議できめました方向を受けまして出したものでございます。閣議でどういうお話があったかは私どもにはわかりませんが、おそらく経済の過熱ということを頭に置かれて、事業の執行を繰り延べるという方針でおきめになられたと思います。それを受けましてそれをきめる段階において、国だけではなくて、地方公共団体においても事業の執行繰り延べということについて応分の協力をしなければならないという立場で相談をいたしました。国が七千億、そこで地方のほうは三千四百億という数字が出ておりますが、そういった事業の繰り延べについて私のほうから示達をいたしたということでございます。そういう状況のもとにおきまして、さらにだんだんと経済の状況の変転が激しくなってくる。しかも地方公共団体におきましては、林先生御承知のようにやはり非常に住民からいろいろの御要望がございます。そういった御要望を実現すべく、たとえば自然増収が非常にあるからというような気持ちもあったかと思いますが、非常に事業の執行が進む、計画がいろいろ進んでいくという形が見られて、このまま放置いたしますると、需要抑制をお願いをした効果がどうも確保できるという見通しが非常に暗くなってきた、こういうことから、趣旨は同じでございますが、今度は自治省独自で、前の通達の趣旨を実現する一つの手段といたしまして、十一月二十日までに契約をしていないようなもので、あまり急がないでいいようなもの、逆にいえば、住民に直ちに大きな影響が及ぶとは考えられないもので未契約のものについては事業の執行を延ばしてほしい、そういうものについては、了解なくして執行してもあと起債は認めないという裏打ちをつけた形で、地方団体に協力をお願いするという手段に出たわけでございます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この九月七日、十一月二十日の、これは起債についての通達ですが、これによって地方公共団体事業を、事業量としてどのくらい、金額にしてどのくらい、補助事業でどのくらい、単独事業でどのくらいを押えるつもりなんですか。八%、四%というあれも出ておりますけれども、そう見ておけばいいんでしょうか。どうなんですか、どのくらいのところを考えておりますか。
  160. 松浦功

    松浦政府委員 御承知のように、公共事業につきましてはそれぞれ担当各省のほうで八%、四%というものを押えておりますので、これは当然、押えられた事業量だけ、全国で見れば地方公共団体公共事業量の執行が減るわけでございますから、これはよろしゅうございます。単独事業につきましては、起債財源に、当てにして行なおうというものも非常にございます。そこで、先ほど申し上げました種類のようなものについては、ひとつ未着工のものは繰り延べてほしい、こういう通達を出したわけでございます。御承知のように、どれだけ未契約のものがあるかということについては、現在地方公共団体から資料をちょうだいして集計中でございます。当時、私どもとしては、あくまで九月の七日に出しました通達に基づく三千四百億という数字、これは公共事業の裏負担も入っております、それらのものを差し引きしましたものを頭の中に置いてはおりまするけれども現実にどれだけ未契約のものがあるか、まだ集計は済んでおりません。しばらく時間をおかしをいただきたいと思います。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、起債の千百五億円というのは、この繰り延べ事業の三千四百億円分の起債分、裏負担分の起債、こう見ていいんでしょうか。要するに繰り延べる事業についての起債分、こう見ていいんでしょうか。
  162. 松浦功

    松浦政府委員 地方計画としての関連という問題を度外視していただきますれば、三千四百億は何とか事業を繰り延べてほしいというものに見合う起債と直ちにいえるかどうかわかりませんが、そういう見方でおおむねいいんじゃないかと思います。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、千百五億の起債という、この千百五億という数字はどこから出たんでしょう、どういう根拠から。  ついでにお聞きしますが、三千四百億という事業繰り延べのこの数字の根拠もどこから出たんでしょう。
  164. 石原信雄

    ○石原説明員 八月三十一日の閣議決定に基づきます各公共事業あるいは単独事業についての繰り延べの方針、すなわち、一般的には八%を繰り延べる、それから生活環境施設及び寒冷地域の施設については四%の繰り延べを行なう、それから災害復旧費並びに小中学校の新増設については繰り延べ対象からはずす、この一般的な方針に基づきまして、地方計画に計上されております一般会計債、準公営企業債、公営企業債、それぞれについてこの繰り延べ率を適用をいたしまして、全体として千百五億円の繰り延べ予定額を算出したわけでございます。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 三千四百億のほうは……。
  166. 石原信雄

    ○石原説明員 三千四百億円は、先ほど局長からも答弁いたしましたように、国の公共事業の繰り延べ方針に従いまして、それぞれの公共事業の裏負担と、それから地方の単独事業について同様の方針で、これは単独事業だけとりますと約千五百億円でございますが、それと、公営企業についても同様の考え方で積み上げたものでございます。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、国の補助事業のほうは、国のほうが八%、四%ですから、それはまあそれに準じてわかるとして、単独事業のほうはどういう比率になるのですか。何%になるでしょう、単独事業は。
  168. 石原信雄

    ○石原説明員 単独事業は、地方財政計画上、総体としましては二兆三千億円ほど予定をしておりますが、その事業の項目ごとに、公共事業、補助事業と同じ考え方で、同種のものについては同種の繰り延べ率を適用するということで整理をいたしまして、正確に申しますと、単独事業については千三百五十八億円を繰り延べるという計算をいたしております。それからなおそのほか、公営企業、準公営企業あるいは地方道路公社等も含めて、同じような考え方で整理をいたしております。ですから、金額で申しますと、普通会計に属する単独事業が千五百二十八億でありますが、そのもとになります単独事業全体の額が約二兆一千二百二十三億ですから、繰り延べ率としますと七%程度になります。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、大体八%、四%の歯どめで、繰り延べについてはその程度というように聞いておいていいと思いますので、そういう前提でこれから質問を続けていきます。  そこで、ところがこの十一月二十日の通達を見ますと、これが末端・地方自治体へいきますと非常な混乱を起こしているわけなんですね。これは何というか、繰り延べる事業とそうでないものと、あんまりはっきり規定をしてしまうと弾力性を欠くからこういうことがあるのかもしれませんが、たとえば一般単独事業については「さしあたり工事を繰り延べても直接の影響が少ない」というような、「さしあたり」とか「直接の影響が少ない」とかいうようなことばが使ってあるとか、あるいは病院事業などを見ますと、「住民生活に影響を与えると認められるもの以外のもの」というような、何か非常に定義がはっきりしないものがあるものですから、一体うちのこの事業起債がつくのかつかないのか、あるいは補助金はもうついているんだけれども、一体起債はつくのかつかないのかというように非常に混乱を来たしているわけなんですね。不安にかられているわけです。そこをどうしてももう少しはっきりさせなければならない。聞くところによれば、自治省ではいまそういう事業計画を全部集めている、そしてそれを整理してまた地方自治体へ返すというようなことも聞いておるのですが、そういう作業はしておるのでしょうか。そして自治省から各自治体へのその返しはいつごろ確答がいくようになっているのでしょうか。
  170. 松浦功

    松浦政府委員 先ほども御質問がございましたように、調査票を配りまして、それに御回答をいただきたいということを地方課長を通じてお願いをしております。その調査票の中で、一般単独事業であってもこれこれのような事業調査票に記入しないでよろしいということを、さっきの御質問にもありましたが、書いてございます。そういうたぐいのものは一応繰り延べからは除きたいということで、細部については地方課長を通じて各市町村長に、どのような形のものが繰り延べ対象になる可能性があるかということについては私どもとしては御理解をいただいているかと思います。  なお、病院事業の問題について、非常にあいまいな表現だというお話でございましたが、まあ病院事業の中でも、たとえば病院の門やさくを直す事業とか、あるいは駐事場を整備する事業とか、そういったたぐいのものがございますので、そういうものをじょうずに表現すると、裏から書いた形でああいうふうな表現になってしまったというふうに御理解をいただければけっこうだと思います。現在、各県から調査票がぼちぼち上がってきております。これを集計いたしまして、その上で地方公共団体にもう少し具体的にはっきりした形で、これはだめだ、これはいいという形の指導は、いずれ御質問に対してお答えをしなければならないと考えております。これは時期のお約束はできませんが、なるべく早い機会にやりたい、こう思っております。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 いずれしなければならないといっても、もう十二月ですから、今年度というのはあと一、二、三しかないのですが、一体その年度内にこの仕事はやっていいのか悪いのかというのは、至急やらなければ地方自治体はどうしていいかわからないわけでしょう。たとえば九月七日の財政局長通達、これはあなたが就任される前のことなんですけれども、これを見ますと、地方債については「総額一千百五億円の許可予定額の決定を年度末まで留保する」、年度末まで留保するということはどういうことなんですか。留保しておいて、あとまた情勢によってはこれが縮まるのですかふくらむのですか、どういう意味なんですか、これは。
  172. 松浦功

    松浦政府委員 留保するというのは、そこまで地方債の許可は押えておくぞ、年度末には認めるかもしらぬが、そのあとの問題は、起債の許可をもらって事業繰り越して新年度にやっていただくという形になるか、あるいは時間的に間に合えば年度末に発注するか、その辺のところは情勢を見て判断するという含みを持った表現であると考えております。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 私が聞いてもよくわからないのですがね。じゃ具体的な例で聞きましょう。まず病院やその他の事例で十一月二十日の通達に関連してお聞きしますが、長野県の飯田市に市立病院があるわけですが、ここでお医者さんの宿泊所を建築したい。これはああいう地方の都市ですから、お医者さんを確保するためには宿泊所がなければ、住まいもないのにお医者さんが来るということはないわけですね。この医者の宿泊所の改築というようなものはこの繰り延べ対象外に入るのですか入らないのですか。この起債を申請したときどうなるのでしょう。
  174. 松浦功

    松浦政府委員 直接の病陳あるいは機械器具ということではございませんので、一応われわれの考えとしては、延ばしていただけるなら延ばしていただきたいという気持ちを持っておりますけれども、それについてはほんとう個々団体の御事情がおありだと思います。宿舎なら何でもいいのだという形で東京から出てくるものも認めるのか、あるいは飯田のほうは認めるけれども東京は認めないのか、これはそれぞれやはり個々団体の問題があろうかと思いますので、個々団体ごとに特殊な事情がおありになれば、その事項が了解できればお認めする。一件詮議という形でこの問題は処理をいたしたいと考えております。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 地方自治体がそんなぜいたくに、要りもしない医者の宿泊所を建てるなどということはないですよ。やはり地方自治体がそういう計画を当年度立てるということは、医師の確保のためには、どうしても宿舎をつくってやらなければ医者が定着しない。それは東京あたりならどうか知りませんけれども地方へ行けばそうなんですよ。それが一体この通達の中の「整備をしなければ住民生活に影響を与えると認められるもの」の中へ入るのか入らないのか。非常に困っているわけなんですよ。あなたは、いまは目下調査中でそのうちに御回答を出しますなんて言ったって、もうそのうちに三月過ぎちゃうわけなんですからね。少なくともこういう病院関係の医者の宿泊所というようなものについては、これが景気の刺激になるとか、あるいはこれまでも国民総需要の抑制の対象にするとかいうのは、これは私は行き過ぎだと思うのですよ。地方自治体の本来の事業で、そんな、それのために景気が刺激されるとか、そのために国民総需要の抑制がきかないとかということはないですよ。地方自治体でもしそういう分野があるとすれば、国が高速自動車道路をつくるとかあるいは新幹線をつくるとか、あるいは列島改造で大開発をするとかそれに関連した事業をやる、そういう部門については地方自治体の景気刺激という部門が出てくるかもしれませんが、医者の宿泊所を建てるとか図書館を建てるとかあるいは保健所を建てるとか、そういうのはこれはやむを得ずやることなんですよ。そういうのをあなたは個々に調べるというのですけれども、そういう点は常識をもってひとつあなたが判断するようにしていただきたいと思うのですね。  もう一つ、これは先ほども同僚議員もお聞きになったのですが、補助金がついている例があるのですね。これは岡谷市というところの例ですが、県ですけれども、もう保健所が古くなって、そして公害が非常に発生するものですから、それを労政事務所と一緒にして新しく建て直して、新しい機械も据えて、近代的な、公害に備える保健所に建て直さなければならないということで、厚生省ではもう補助金がついているわけなんですね。補助金がついているのに自治省のほうで起債をちょっと待てといっている。厚生省へ私は念のために電話をかけて聞いてみたんです。いやこれは補助金はついておりますし、事は厚生事業であって公害防止の事業でありますから、これは自治省がそれを裏負担の起債を認めないなどと言うはずはありません、こう言っておるのですけれども、こういう例はどうなんでしょうか。もう補助がついている。そして県議会でも県の事業として行なうことの予算の議決もされている。ただ自治省起債のほうをちょっと待ってといってチェックしている。そのことのために建たない。地域住民は、一体われわれの公害をどうしてくれるのだ、ということになっている。それまでが十一月二十日のこの通達で拘束されるということになりますと、地方自治体はそれこそ地域住民の福祉のための事業ができないことになってしまうわけですよ。だから、末端では非常な大きな影響があるということをこの通達についてもよくお考えくださって、それで心をいたしていただかないと困ると思うのですが、どうなんでしょう、いまの実例は。
  176. 松浦功

    松浦政府委員 さっきの宿舎の問題をちょっとお答えしておかないと、誤解をいただいたままでは困るのですが、私は、これが医療施設のために必要なものであるならば起債を認めるべきだとお答え申したつもりなんです。というのは、お医者さんの宿舎であるならば何でもいいということになれば、東京も大阪も認めなければならなくなる。そういうところは要らないじゃないか。(林(百)委員「申請してきてないでしょう、そんなところから」と呼ぶ)いや、あり得るかもしれませんので申し上げておるわけです。ですから、それができないために医者が来ないというようなことになるような事情があるところについて、これの起債を認めないというのは私は間違いだと思います。それは先生のおっしゃる方向で処置をいたしたい。  それから保健所の問題については、補助金もついておるということであり、なおかつ保健所自体については特別のその抑制するほうのワクに私ども考えておりませんので、当然起債は認めるということでございます、一般方針としては。ただ、長野県が具体的にどうかという問題になりますと、これはほかの起債とのワクの関係がいろいろございますから、これは別にまたお考えいただかないといけないと思います。補助のついた保健所、節約になっておらない、そういうものについては裏負担は認めるという原則はくずさないでまいりたいと思います。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 誤解のないように、私は一例を長野県に引いただけで、私はここであなたに長野県の特別な要請をするつもりは決してございません。そんな意図で質問しているわけじゃありませんで、その点を御了解願いたいと思いますが、国の補助金がついているもの、これは原則として起債は認めるのですか。補助金はついていても、十一月二十日のこの基準によって起債を認めないという事例も起きてくるのですか。
  178. 松浦功

    松浦政府委員 いわゆる公共事業については、起債というのは単独事業のような形では認めておりません。したがって、特殊な問題については、たとえば保健所のように、いままでも一件ごとに単価をきめて補助金の裏負担を見ているようなものについては別でございますけれども、たとえば、補助金がついた道路でも起債は認めない、そういう方向はございますので、補助金についてはあまり起債の問題は、特例的なもの以外は私どもとしては論議をしておらないところでございます。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 何か私の質問を誤解しているのですがね。地方自治体が一部負担して、一部国が負担するという、そういう事業が幾らでもあるでしょう。国のほうの負担はつくことにきまっているわけなんですよ。もう一つ地方自治体の負担分があるけれども、その一部を起債でまかなわなければ——ことに今日みたいに国の予算だって当初の見込みよりずっと違ってきているのですから、地方自治体だってそういうことがあるわけですね。だから、この分は当初予算よりオーバーしているので、地方自治体の負担分は起債を認めてもらいたい、こういう要請が考えられるでしょう。そういう場合はどうするかというのですよ。もう国の負担分についてはちゃんと負担分を国がつけることがきまっている。地方自治体のほうも四月の予算ではそれに見合うような予算を組んでおいたけれども、こういう状態で、当初予算よりオーバーしたものは起債として認めてもらわなければこの事業はできない。せっかく国の補助もつけてくれたけれども、できないという場合があるでしょう。国だって当初、四月十二日にもう本年度予算について事業を繰り延べしなければいけないなんということをいっているくらいなんですから、地方自治体では当初の事業に対する予算額よりはオーバーすることが考えられるわけですよ。そのオーバーする分を起債でまかないたいという場合、起債はどうなるのですか、十一月二十日の通達によると。
  180. 松浦功

    松浦政府委員 起債につきましては許可方針に一つルールがございますので、たとえば保健所の建物でございましたならば、大体平米幾らという起債詮議方針の単価がきまっておりまして、それに規定の坪数をかけたものを限度としてお配りするということになります。申請をすればどれだけでも地方債をお認めするという形にはなっておりません。私どもとしては実態になるべく合わせるように努力をいたしたいと思って、現在も起債の詮議方針の単価改定について大蔵省と折衝中でございますけれども、その点は、裏ならば何でも見てやるのだというつもりの起債の認可方針というのは、従来もとっておらないことをひとつ御承知おきをいただきたいと思います。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 それは補助がついていて、そうして地方自治体はその事業をどうしてもやらなければならない、ところが自治省がそういうことを言って起債がつかないということになると、結局それは超過負担という形になりますか。当初の予算以上のものを地方自治体がしょい込んでその事業をやらなければならないという問題が起きてくると思うのですよ。それは起債のワクについては法定できまっているので、やむを得ないといえばそればやむを得ないことになるでしょうが、地方自治体はそれだけ負担が増加するということになるわけですね。  そこで自治大臣にお聞きしますが、この本年度繰り延べた事業、これは本年度基準財政需要額で自治体の負担分はきまっている、国の補助が出るのは国の補助単価できまっている、それで四十九年度に繰り延べというのですか、四十九年度へ入るのですか。それとも繰り延べた事業あるいは裏負担の起債が認められない事業は、来年度はもうできないということになるのでしょうか。繰り延べというのはどういう意味なんでしょう。
  182. 松浦功

    松浦政府委員 公共事業については、それぞれ必要な部分については国が明許繰り越しという制度をおとりになると思いますから、繰り越しという形がはっきりした形で出てくることになろうかと思います。地方の単独事業につきましては、これはちょっとそういう形をほとんどやっておらないのではないかと思いますが、一度本年度は不執行にして来年度に計上する、こういうことになろうかと思います。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、明許で繰り延べられた事業については、基準財政需要額とそれから国の補助単価というものは、それは四十九年度の新しい基準に基づいてつけられるのですか。それとも、四十八年度事業が繰り延べられているわけですからね、だからそれはどういう計数で四十九年度事業をやるようになるのですか。
  184. 松浦功

    松浦政府委員 理論的には当然ことしの、四十八年の単価で、そうして四十八年度地方財政の中から一般財源をつけて繰り越す、こういうことになろうかと思います。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、先ほど自治大臣も言ったように、来年は物価の騰貴が鎮静する見通しはない、来年もおそらくこのままでいけば物価が上がっていくだろうという情勢の中で、四十八年度事業がそのままの財政需要額で、そのままの国の補助単価で四十九年へ繰り込んでいけば、来年度物価が騰貴した負担分は自治体がしょい込むということになるわけですか。これは大臣お答えください、大事なことですから。
  186. 町村金五

    町村国務大臣 ことし契約抑制に協力して事業を繰り延べていくというようなものがあるいは相当に出るのかもしれない、こう考えるのでありますが、私の気持ちとしては、明年の予算がどういうことに大体なるかわかりませんが、国の総需要抑制の政策が相当に効果を発揮するということになりますれば、本年よりはあるいは事業の執行は比較的容易になるということも考えられないわけではございません。したがって、私は、特に本年契約抑制に協力をして繰り延べてくれました事業については、むしろ明年度は優先的に地方債の配分をしていくという方針をとっていくべきではないか、こう考えております。
  187. 松浦功

    松浦政府委員 ひとつ補足を申し上げておきますが、まさに林委員のおっしゃられるように、そこに物価が上がっていけば差が出てくるわけでございます。その点については私どもとしても非常に不合理だと思いますので、大蔵省に対して、繰り越しをした部分についての補助単価、この部分についてはできるだけ新年度、要するに新しい年度の補助単価をとるようにしてほしいということを現在お願いをし、折衝いたしております。したがって、もし大蔵省のほうでその方向をおとりいただければ、裏負担については当然額が上がってくるわけでございますから、それについては、どういう形をとるかいまからお約束はできませんけれども、何らかの形で財源措置をして、地方団体物価騰貴による差損と申しますか、そういう形が起きないようにできるのではなかろうか。鋭意努力をしてみたいと思います。
  188. 林百郎

    ○林(百)委員 この通達をお持ちでしょうか。この通達が、私のもらっておるのはちょっと字が足りないじゃないかという意見もあるので……。別紙というのがありますね、財政局長。別紙の三ですね。「電気事業、上下水道事業、地下鉄事業、ガス事業及び市場事業」それから「管理庁舎、営業所等の建設で緊急」とありますね。これは違っておるのでしょうね。
  189. 松浦功

    松浦政府委員 違ってはおらないのでございますが、非常に印刷のしかたがまずいのです。これは私が注意を現実にしたのでございますが、「電気事業、上下水道事業、地下鉄事業、ガス事業及び市場事業」これが見出しでございます。これらの事業の中で、これらの事業のための管理庁舎や営業所の建設、こういうものは総需要抑制のためなら少し繰り延べていただけませんか、こういう趣旨でございます。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 それは印刷がまずいのじゃなくて、日本人ならこれはあなた、みんな並列的に考えますよ。電気事業、上下水道事業、地下鉄事業、ガス事業、市場事業、管理庁舎、営業所の建設ということに読みますからね。これは訂正するなら至急やはり訂正して——訂正というか、あなたがここで答弁なすったような意味を至急下へおろさないと、これは自治体は混乱しますよ。  それで念のためにお聞きしておきますが、そうすると、埼玉県の草加市へ地行の委員の皆さんが調査に行ったのですが、公共下水道の枝線の工事だとか、それから精薄児施設あけぼの学園の新築工事というのがありまして、これはいまの条項には直接関係はしておりませんけれども、こういうようなのはやはり繰り延べの対象外として、一応考慮する範疇に入ると考えていいのでしょうか。公共下水道の枝線の工事、精薄児施設あけぼの学園新築工事とあるのですが……。
  191. 松浦功

    松浦政府委員 そのとおりでけっこうでございます。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 では時間が参りましたので、これで私の質問は終わらしていただきます。
  193. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 佐藤敬治君。
  194. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 先般の前国会が終わったあとで、地方行政の皆さんが沖繩、奄美群島等の視察をなさいました。わが党におきましても、山口鶴男議員と吉田法晴議員が参加いたしまして、沖繩の状況をいろいろ視察してまいりました。その際に現地からいろいろ要望がありましたのですが、そういう問題について御質問を申し上げたいと存じます。  まず第一に、昭和四十七年から臨時沖繩特別交付金という制度ができまして、四十七年が八〇、四十八年が六〇、四十九年が四〇%、五十年が二〇%と、それぞれの割合でこの臨時特別交付金を支給することになっております。それで四十八年度交付税を見ますと、この算定の基礎はもう御承知のように、沖繩県に必要な一般財源の総額を五百十億円と一応見まして、それに四十八年度以降は国税三税の対前年度増加率、これをかけたものに、いま言ったように八、六、四、二という各割合をかけて算定しておるわけです。これを見ますと、四十八年度において国税三税の対前年度増加率というのが一二六・八となっております。五百十億にこの割合をかけますと、金額にいたしまして六百四十六億六千八百万、こういう金額になります。ところが、実際に四十八年度に沖繩に交付されている臨時特別交付金の総額は五百六十七億五千二百五十万三千円ですか、こうなんです。その差額が約七十九億と、かなり大きな差額にのぼっているのです。  したがって、御承知のように交付金は国から交付税の中に入れて、その交付税の中から各県に支給される、こういう仕組みになっておりますが、実際に五百十億円というものを沖繩に必要な金額であると見ているならば、少なくとも沖繩に実際に支給されている交付税につきましても、これとほとんど同じものがいかなければいけないのではないか。それが約七十九億と、かなり大きな金額の差がここにあるということは、特に沖繩が復帰したてだ、こういうことから見て、むしろ逆にめんどうを見てやらなければいけないという時期にちょっとおかしいのではないかと思いますけれども、その点をちょっとお伺いしたい。
  195. 松浦功

    松浦政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、これまで普通交付税として沖繩に配りました金額は五百六十八億でございます。今回御提案申し上げております特例法の成立に伴いまして、沖繩に三十億強のものが配れると思っておりますし、また、まだ特別交付税も配っておらないわけであります。これらを含めまして、ただいま御指摘をいただきました程度まで財政措置ができるものと期待をいたしております。
  196. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これからの措置でこれらの問題を解決する、そういうことでございまして、まあ、けっこうだと思います。  ただ、この問題につきましては、沖繩では復帰後のいろいろな問題あるいは基地問題あるいはいまやっております海洋博の問題、こういうふうに、ほかではない非常に特殊な問題をたくさんかかえております。したがいまして、特交等においても格段の御配慮をひとつしていただかないと、なかなか本土並みになれないで沖繩の方々に迷惑をかける、こういうようなことになりかねないので、その点をひとつ十分御配慮をお願いいたしたいと存じます。特にいまやっている海洋博があまりまだ進んでおりませんけれども、これからどんどん進んでいきますと、一番心配なのは弱小町村ですね。小さい市町村が非常に大きな財政需要負担が出てくる、こういうふうに思いますので、この市町村財政需要についても、負担力に見合うように格段の御配慮をひとつお願いいたしたい、こう思います。  それから、今度の視察におきましていろいろな問題が出されましたが、特に大きな問題となって皆さんの手元にも行っておりまして、前から非常に要望されておりました問題が今回も強く要望されておりますので、その点について御質問を申し上げたいと存じます。  問題になっておりますのは、沖繩県の旧町村職員恩給組合の一時金と年金の問題です。これは大臣は御承知のように、復帰したのと、それから本土の法律が制定された、こういうことに時間的な非常に大きなズレがあって、沖繩のほうが非常に大きな不利益をこうむっている、こういうことでございます。年金の問題につきましてもあるいはまた一時金の問題につきましても、特に一時金なんかはもうほとんど、もらっても何にもならないというようなはした金にしかなっておりません。こういうものはやはり現在の物価にスライドしてやらなければ、やったという名称だけで何の価値もない一時金になってしまいます。あるいはまたこの年金の問題につきましても、この時間的なズレというものを、復帰の日までではなくて、それ以前にそういう状態にあった人も救済する方法をやっていきませんと、これは復帰してもまことにぬか喜びにすぎない。がっかりさせ、また実際問題として生活にも困るような人々が出てきておる、こう思います。  あるいはまた、もう一つ問題でありますのは、議員の年金の問題も非常に大きな問題として取り上げられております。これは、復帰したところの昭和四十七年の七月一日と、日本で制定をしております三十七年の十二月一日、この間に約十年の差がありまして、この間やめた人、こういう人はほとんどもらえない、あるいはまた通算もできておらない。こういうことでは、せっかくまた本土に復帰しても本土並みにはなっていない、こういうような問題が非常に強く要望されております。  この問題については前から自治省の中でも非常に問題になっておりまして、事務的にはなかなか困難である、こういう問題も出ております。しかし、なぜこういう状態が出てきたかといいますと、ああいう異常な状態から本土に復帰する、この問題の際に、やはり大きな変革でありますので、手落ちがあったりあるいは取りこぼしがあったり、いろいろそういう問題で、全部、いま話しましたような一時金や年金あるいは議員の年金、こういうような問題としてこの人々の不利になっておるわけでございます。しかも、その人たちが置かれた状態というものは、決してみずから好んでそういう状態になったのではございません。戦争という非常に大きな災厄にあいまして、もう自分の意思ではなくて強制的にこういう状態に追い込まれております。旧県の状態から占領時代、あるいは占領時代でも琉球政府の時代、そしてまた本土に復帰する、二転、三転して非常に大きな変化を受けて、その変化にさいなまれてきた。そしてようやく本土に返った結果が、やはり行政的にはできない、事務的にはできない、あれだのこれだのといって、本土並みでない、虐待されたような状態。これでは、ああいう沖繩の災厄にあった人々を本土に引き取るものとして、まことにあたたかみの欠けた状態だ、私はこういうふうに考えまして、沖繩のこういう人々が心からこういう陳情をするというのはもっともなことだと思います。  いま申し上げましたように、事務的にはいろいろな問題があると思います。しかし、沖繩が本土に復帰するということ、そのことは事務的な問題ではなくて非常に大きな政治的な問題であります。したがって、その復帰に伴って起きたところのいろいろな問題は、単に事務的にできるの、できないのという問題ではなくて、もっと高度な立場から政治的にこれが解決されなければいけない、こういうふうに考えております。今回の沖繩の視察におきまして、地元の人たちが非常に強くこういう要望を出しておりますので、どうかひとつ大臣におかれましては、事務的な問題ではなくて政治的な問題としてこれをめんどうを見てやるように、御配慮をお願いいたしたいと思います。これにつきましてはこまかい答弁は要りません。大臣が最も得意とするところの、これを解決してやるというかたい決意をひとつ表明していただきたいと思います。
  197. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま御指摘のございましたいろいろの問題が、まだ未解決で残っておるということも承ったわけでございますが、これらの問題につきましては、なかなか困難な問題もあるようではございますけれども、できるだけ努力してみたい、かように存じております。
  198. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう一つ問題がありますけれども、沖繩を開発するために開発庁というのがございます。これが主体になっていろいろなことをやっているようでございますけれども、実際問題として沖繩は県であります。県を指導するのは自治省なんです。ところが実際問題として、開発庁などがありますので、見ておると、どうも開発庁に遠慮して、自治省というものはあまり力を発揮してないのじゃないか、こういう印象を非常に強く受けて帰ってきたようです。沖繩はあくまでも県でありますし、開発庁がいずれなくなれば自治省が全責任を負ってやらなければいけない地方自治体でありますので、開発庁などに遠慮しないでひとつ大いに指導、助言、こういうものを強力にやっていただきたい。このこともあわせてお願いいたして、大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  199. 町村金五

    町村国務大臣 沖繩開発庁は、復帰に際会いたしまして種々の対策を講じなければならない、一般の本土とは違った意味における特別対策をやらなければならないということが、沖繩開発庁というものを設置するに至った理由であることは申し上げるまでもございません。したがって、自治省といたしましては、いわば開発庁と協力をして、沖繩の開発、発展に努力をするという立場でございます。私どもは、自治省が特に遠慮をいたしておるとは思いませんけれども、協力して相ともに沖繩の今後の復興、振興につとめるという基本的な態度で臨んでまいりたいと存じます。
  200. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま非常に力強い発言をいただきまして、どうかひとつ沖繩のために大いにがんばっていただきたいと思います。  今度は別の問題ですが、この間のこの地方行政委員会におきまして、例の熊本の大洋デパートの火災の問題が取り上げられました。それで二、三お伺いしたいのですけれども、私はあの委員会を見ておりまして、何とも言えない非常に奇妙な感じを受けましたので、きょうあえて続けて質問する気になったわけであります。  この間の大洋デパートの火災に関係しまして、東京都内の各デパート、ああいうところが実際に火災対策ができているか、こういうので調査いたしましたね。その中で欠陥のある店舗が五店だか六店だかある、こういうことが報告されております。それはどこですか。
  201. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 大洋デパートの火災後に、さしあたり十大都市につきまして大きいデパートの防火設備等につきましての調査をしたわけでありますが、そのデパートのうちで現行の消防法の規定に違背をしておるもの、これが五店ございます。これは東京都内に一店、北九州市において四店、計五店でございます。
  202. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それの名前は公表できませんか。
  203. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 これはもうすでに新聞等におきまして発表したところでございますが、東京におきましては上野松坂屋、それから北九州市につきましては、名前をいま正確に覚えておりませんが、井筒屋とそれから……ともかく四店ございます。あとでまた……。
  204. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 はい、わかりました。  これに対しての措置としてどういう対策が講しられておりますか。もうすでにその対策を終わっておりますか。
  205. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 これらの店舗は現在工事中でございます。そのデパートの全部の階がすべて違法状態ではなくて、大体一部について違法状態がございました。これらのものが現在工事中でございまして、早いものは年明けの一月工事完成、おそいもので大体来年の三月工事完成、こういう予定でございます。
  206. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、早いもので一月、おそいもので二、三月くらいまでは危険な状態にあるわけですね。
  207. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 まだ防火設備が不十分な階がございますので、その部分は非常に危険だということでございます。そういうことで、現在、この工事完了までは、そのそれぞれの百貨店において防火体制を十分強化して、十分注意をしろということを申しつけておるわけでございます。
  208. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは具体的な問題として聞くわけですが、防火体制を強化するというと、どういうふうにしておりますか。
  209. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在この店舗におきましては、スプリンクラー設備が一部の階において未設置でございます。したがいまして、現在っけられております消火せん等の活用というものを十分考えられるように、店内の自衛消防組織というものを十分訓練し、そしてまた常時火災の予防としての見回りその他についての注意をする、並びにまた売り場について、火災発生時の際に避難路が十分確保されるように売り場の整理を十分するように、こういうような、スプリンクラーの設置ができておらないそのかわりの体制というものを十分とらしていくようにしたいというふうに考えております。
  210. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 きょうは土曜日です。あしたは日曜日なんですが、ちょうど十二月の師走で、ボーナスをたくさんもらって、おそらくいまあたりはもうどこのデパートも押し合いへし合いで買い歩いていると思います。一体松坂屋にいまごろどのぐらい人が入っておりますか。
  211. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 私ども十分その調査をいたしておりませんけれども、おそらく土曜、日曜という時期になりますと、一定の時間におきましては、大体まず万を数える人間が入っているだろうというふうに考えております。
  212. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 万というのは一万から十万まで、何十万もあるのですが、これは非常に大切だと思いますよ。大体土、日のピーク時にどのぐらい人があそこに入っているかということがわからなければ、対策が講じられないでしょう。大体わからないはずはないと思いますがね。
  213. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 おそらく地元の消防機関におきましてはその数は把握していると思いますけれども、私ども、いま特定のデパートについてどれだけの人数が入るかということになりますと、ちょっと手元に資料もございませんし、いま調べておりませんので、また必要があれば調査をいたしまして御報告したいと思います。
  214. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これはやはり調査しておく必要があると思います。どのぐらいの面積にどのぐらいの人間が入っているかわからないで体制を築くことはできないと思うのです。万といいましたから、まずかりに五万としましょうか。多いですか。五万じゃだめですか。三万ぐらいですかね。常時じゃなくて、あるピークのときにどのぐらい入っているかということです。——けっこうですよ。それじゃ、うんと大まけにまけまして二万人としましょう。いいですか。そうすると、この二万人入っている状態でもし大洋デパートのような火災が起きたらどのぐらいの死傷者が出ますか。
  215. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在松坂屋におきましてスプリンクラー設備がありませんのは、旧館の地階と一階の部分でございます。したがいまして、それ以外の階において火災が発生いたします場合には、おそらく初期消火はまず可能であろうというふうに考えております。それから最近の東京消防庁におけるいろんな指示あるいは予防査察等の励行によりまして、そしてまた大洋デパートの火災の教訓から見まして、特に最近のデパートの店内はよほど整理もされ、そしてまた自衛消防組織も大体できている状況にございますので、これが大洋デパートと同じような条件の火災になるというふうには考えられないわけでございます。ただ、そのうち何割がどういう被害をこうむるかという点は、これは一がいに想定するということは困難だろうと思います。
  216. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そのスプリンクラーですが、私一昨日聞いておってちょっと疑問に思いましたけれども、あのスプリンクラーの実験をときどきやっていますか、でなければ、穴が詰まっているかもしれないし、あるいはごみが詰まっていて出ないかもしれない。定期的にスプリンクラーの放射をやっているのですか。
  217. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在のスプリンクラー設備には点検設備がついてございます。したがいまして、消防機関が予防査察いたします場合には、その点検装置によって点検をしているということでございます。
  218. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、実際に水を出さなくてもわかるということですね。
  219. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 さようでございます。
  220. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ほんとうはそれは疑問なんですよ。やってみなければ、いいと思っても出ない場合があると思いますよ。そこで私はこういうふうに思うのです。ただ電気をこうやっても、実際にぱっと電気がついたからだいじょうぶだ、こうは私は言えないと思う。ときどき実際に水を出してみなければわからぬと思うんですよ。消防自動車が、火事だといって、エンジンが動かないときがしょっちゅうあるのです。毎日エンジンをかけてみているんですがね。水でなければ煙を出してみるとか、何か方法をして、始終あれこれの点検をしてないと、今度のように、つけたけれども、そうして消防がそれを査察はしておるけれども、実際にやったら水が出ない、こういう結果になってくるのです。この点はよく気をつけて、これからもっと考えてみなければいけないんじゃないかと思いますよ。  いま、二万人入って、どのくらいの死傷者が出るかわからないと言いましたが、一昨日どなたでしたか質問をして、ある学者の説によると四割から六割くらいは死傷者になる、こういうふうな学者の結論もあります。したがって、いま消防庁長官が言ったように、非常にいい状態だから何も出ないというようなことを考えて行動すべきじゃない。むしろ最悪の事態に備えて行動すべきじゃないか、こういうふうに考えます。大洋デパートの場合には千人の入店者から百人の死者が出た。一割ぐらいですね。それから約百何十人の負傷者が出た、こういうことなんですけれども、大洋デパートの状態はたまたま何だかで非常に入店者が少なかった、だから百人でとまった、こうもいわれております。したがって、いま長官が言われましたように、松坂屋の状態は非常にいいからだいじょうぶだという状態ではなくて、いま暮れでほんとうにもう最高の入店者がいる時期です。こういう時期にもし火が出たならば、これでだいじょうぶだという状態では絶対にないと思うんですよ。まず私は一割や二割では及ばないと思いますけれども、二万人のうち、かりにまずまけまして一割死者が出たとしたならば二千人ですよ。二千人死ぬのですよ。いまベトナムの戦争やアラブの戦争、一ぺんの戦闘で二千人死んだという戦闘はほとんどない。これだけの多くの人が東京の一角で死ぬかもしれないというような状態のときに、それではなぜあの松坂屋を営業停止しないのです。松坂屋がもうけるかどうかの状態ではなくて、二千人死ぬか生きるかの問題なんですよ。
  221. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在松坂屋が違法状態にあります部分は、先ほど申しましたように、地下一階と地上一階部分の一部がスプリンクラー設備が未−設置という状態でございます。その他の消防施設につきましては、消防法に定められております設備がついておるわけでございますので、スプリンクラー設備が一部の階において未設置の状態で直ちにこれを営業停止にするかどうか、こういう点になりますと非常に問題だろうというふうに考えております。この点は、東京消防庁が現地について判断をして、この店舗について営業を停止させる状態にはないというふうに判断をしておるわけでございます。
  222. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あそこの大洋デパートが火事になりました。それで一昨日、責任がどこにあるかと言ってずっとどなたかが聞いておりましたが、私も一ぺん聞きたいと思いますが、この百貨店を許可するのは通産省ですね。通産省の方おりますか。——こういうような状態でどういうふうに責任を感じられますか。そしていま言ったように、欠陥があるところには、これに対して営業取り消しとか停止するというようなことはできませんか。
  223. 青木利雄

    ○青木説明員 百貨店法の趣旨は、大型の小光り業と中小小売り業の調整ということでございまして、法律の目的は、中小商業者の事業機会の確保のために百貨店の営業活動を許可制によって制限することができる、こういう形になっております。私どもとしては、百貨店法の法律に基づく行政といたしましてはそこが限度であると考えておりますが、百貨店に対します一般的監督権というものは通産省として責任を持っておりますので、先般の熊本の大洋デパートの火災の当日、通産大臣から百貨店及び大手スーパーに対して、防災に気をつけるようにという趣旨で直ちに勧告を出しておりますほか、百貨店協会及びチェーンストア協会に防災委員会をつくらせて、消防庁及び建設省の係官の方においでを願って、防災のための、何といいますか、百貨店なりスーパーなり自身でも現在以上に体制を強化するように、こういう指導をしている次第でございます。
  224. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私の聞いておるのはそういうことじゃないのですよ。大洋デパートがああいうふうに火事になりましたね。それに対して責任はどうだかということを聞いているのです。一昨日も答弁していましたよ。もう一ぺんひとつ答弁してください。
  225. 青木利雄

    ○青木説明員 通産省といたしましては、百貨店というものに対して一般的な監督権は持っております。それから、ただいまも申し上げましたように、中小小売り商と大型小売り業との調整という意味での百貨店法というものを施行する責任はもちろん持っております。ただ、それを越えた防災問題に関しましては、私ども一般的監督権という範囲内で、消防庁の行なわれます指導に協力する、こういう形かと考えております。
  226. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 建設省の方においでいただいておりますか。——ちょっと聞きたいのですが、おたくのほうは防火問題であるとか災害問題であるとか、そういうのを全部勘案してああいう建物を許可しているわけですね、建築基準法やいろんなものに基づいて。そうすると、ああいう災害が起こった場合に、あるいは起ころうとするような場合に、そういう立場からああいうものを、たとえばチェックするということはできませんか。最終的には営業をストップさせるとか、何かそういうようなあれはできませんか。
  227. 佐藤温

    佐藤説明員 建築基準法では、建物そのものの状況を維持保全するように義務づけられておりますので、使用状況につきましては特別の規定はございません。
  228. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう一ぺん消防庁長官にお聞きしますが、こういうような勧告をして聞かないときは、消防庁の長官のほうはどうなります。これをやめろということはできますか、営業停止しろということは。
  229. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在の消防は、御承知のとおり自治体消防がたてまえになっております。したがいまして、防火設備等につきましてその措置が行なわれておらないという場合は、それぞれの関係町村消防長、または消防署長がそういう設備をするようにという措置命令、またはそうした措置命令に対しても聞かれないという場合におきましては、その建物等の使用の停止という処分まで、地元の消防長が行なうような権限は与えられております。
  230. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは自治体消防というので、県にも何も権限がないんですね。いまここに大洋デパートの問題に関して熊本県から、「消防組織法における知事の指導力の強化について」という要望書が出ているのですが、知事は何も権限がないから権限を与えてください、こういう形で出ている。これは非常に皮肉な見方をして裏から見ると、知事は何も責任がありませんよという意思表示なんですよ。  そうすると、最後にあの火事に対して責任を負うのは市長が負わなければいかぬのですね。市長は消防の責任者です。私もあのシャッポをかぶったことがあるのですが、責任者なんですよ。消防長は直接の責任者ですが、実際の責任者は市町村長なんです。ところが一昨日の状態を見てみますと、市町村長が責任を負えるような状態にあるかというと、ないのです。消防庁のほうは、消防機具はこれくらい必要で、人員はこれくらい必要ですよといっても、実際に交付税ではそれを半分しかつけていないんですよ。こんなもので市町村に自治体消防だから責任を負えといったって、責任を負えないですよ。負えるはずはないですよ。市町村の手に余ってしまう。はしご車で人を助けなければならぬといっても、はしご車も何もなければ人を助けられない。はしご車をくれといったって国が金をつけてくれない。これじゃ責任の負いようがないのですよ。  こうしてずっと見てきますと、あれだけの大災害がありながら、消防庁も、建設省も、通産省も、県も自治体も、どこも責任を負うところはないのです。しかもその無責任な状態において人が百人死んでいるんですよ。百人けがしているんですよ。だれが責任を負うかというと、だれも責任を負わない。熊本の大洋デパートが補償だとかいろいろ責任を負うでしょう。しかしそれは大洋デパートが金を払えばいいというものじゃないのです。あの建物は、厳然としてどこかが、だれかが許可しているのでしょう。消防庁は消防関係で、建設省は建物の関係で、それから通産省は百貨店を営業してもよろしいという許可をしているのです。それで厳としてやっているものだから、住民はこれならだいじょうぶだと安心してあそこに行っているのです。ところがそれによって死んでしまった。だれも責任を負わない。こんなばかな話はありますか。これは個人の住宅で火事を出したのとは違うんですよ。  こうして見れば、だれも責任を負わないけれども、明らかにだれかが責任をもって許可している。そして安心して市民が買いものに行った。そして死んだ。だれも責任を負わない。こんなばかな状態は私はないと思うんですよ。少なくともああいうふうに大洋デパートで百人も人が死んだら、だれかが腹を切るぐらいのしっかりした責任の所在を明らかにしておかないから、千日ビルであれほどの大きな災害を持ちながらいつまでたっても何の教訓も生かされていない。たったいまあって、またすぐないとは限らない。その証拠に、この間熊本の大洋デパートであったら、すぐ館山で火事があったでしょう。たったいま松坂屋で火事がないとは限らないのです。だれも責任を負わないから、この教訓がいつまでたっても生かされていかない。そして次から次へと人が死ぬ。千日ビルのあれがあってから、ソウルでホテルの火事が二つもあったでしょう。国内でもあった。いろいろなところでビル火災が最近たくさんあるのです。一つもそれが生かされていない。そしてただ、火事があったあと、ああ、こういう状態も悪かった、こういう状態も悪かったと反省ばかりしているけれども、反省が何も教訓になっていっていないのですよ。この根本的な原因は、無責任な状態にあるからだ。だれも責任を負わない。少なくとも、あの火事があったら、消防庁の長官であるとかあるいは許可した通産省の中曽根さんであるとか、腹を切ってやめればいいのですよ。そうすればみんなびっくりしてちゃんとやりますよ。何の責任もだれも負おうとしない。通産省に聞けば、消防庁と建設省にまかしております。建設省に聞けば、建物は私の係であとは知りません。消防庁に聞けば、これは勧告しても強制権がありません。強制権のある自治省に聞けば、小さくて、とても松坂屋とけんかできませんよ、大企業とは、なかなか弱くて。特に、こういう東京都なんかならまだいいのですが、小さい町に行くと、大きな企業と市長とけんかすれば、その次は市長に落選するからけんかできないのです。全く無責任な状態に放置されて、次から次と人が死んでいく。こういう状態を何とかここで解決しなければいけないと思います。これは事務からじゃなくて、大臣からひとつしっかりした所信を表明していただきたい。
  231. 町村金五

    町村国務大臣 近年たびたび大きな火災が起きて、そのときはみな非常にこの問題について真剣に努力をし合うのでございますけれども、結果的に見ますると、その教訓がほとんど生かされていない。ただいま御指摘のようなことがしばしば繰り返されている。まことに残念千万なことだと思います。  私も、就任いたしまして、この大洋デパートの火災があったのはほんの二、三日後であったわけでございます。私、消防のことはたいへんしろうとでございますけれども、いま佐藤議員からもだんだん御指摘がございましたが、いまの建築基準法ではどうもデパートのような、いわゆる不特定多数の人が常時出入りをし、しかも危険な燃えぐさが充満をしておって、しかも一たん火事が出れば、部屋に仕切りがないのですからしてたちまちに煙が回ってしまうという、あの構造の中で人命を守っていくということは困難で、私はあれは非常に危険な建物だというふうに考えます。そこで、私はいまの建築基準法を十分つまびらかに承知はいたしておりませんけれども、どうもデパートであるとか地下街といったようなものは、特別の建築基準法上の新しい考えを強く導入する必要があるんじゃないか。この間も大洋デパートの建物のことで聞いてみますると、あの中で四階か五階は一人も人が死んでいない。これはなぜできたかというと、何か隣の建物に行く避難路みたいなものがあったので、そこであそこにおられた人はほとんど死なない。ところがほかの階にいた者はみな、階段が煙突になってしまって、そこで煙に巻かれて死んでしまっておる。ですから、やはり煙から人命を遮断して守るというやり方が、現在の基準法上ほとんど考えられていない。いかに消防が手を尽くしましても、一たん火事が出ましたならば煙を防ぐということはほとんど不可能ではないか。ですからして、安全に、各階ごとに一種の、外気にすぐ触れて煙に巻かれないような構造というものが可能なのではないであろうか、こう考えるのでありまして、先般もあの大洋火災のあと建設大臣ともお話をいたし、建設大臣としては、そういった意味でひとつ十分建築基準法の改正考えたいということで、目下識者の方々にお集まりをいただいて真剣な検討が行なわれておるというふうになっておりまするので、私は近くその結論が出ると思うのです。  結論が出ました場合に、ほんとうに実効のあがるような建築基準法上の改革をしてまいりますのには、相当な実は思い切った改築をやってもらわなければならない。これには相当ばく大な資金が要るだろうと私は思います。既存の建物を直させる。いままで、御承知のように既存の建物につきましては、新しい基準を定め、あるいは消防法上のいろいろなものをきめましても、古い建物に対してはこれを遡及させないというようなこともあったようでございますが、今度は私は、安全なそういう建築基準ができましたならば、せひこれを遡及させるようにするということをやりたいものだ、こう念願をいたしておるのでございます。  いずれにいたしましても、デパートの火事につきましては、まず建築基準の上において安全な建築構造にさせるということが第一である。第二には、消防上もっともっとやらなければならないことが相当あるだろうと私は思います。こういう点もひとつぜひ考慮をいたしたいと思います。  なお、消防機関についての責任がどこにもないじゃないかというお説でございます。確かにそういう一面が現行法上はあるようでございますが、いずれにいたしましても、各市におきます消防機関がはなはだ不十分であるということもこれは事実でございましょう。かりに大きなデパートで、先ほど私が申し上げましたように外部のほうに、中の煙に巻かれないようなところに出たとしても、それを今度は救うのに、やはりはしご車というものが相当なければ救うわけにもいかないということにもなるわけでございまして、今後消防機関の設備の充実等につきましては、交付税法上もひとつ十分配慮するようにいたしてまいりたいと思います。
  232. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま大臣から非常に強い御決意がありまして、全くそのとおりだと思います。不特定な多数の人間があんな高いところにあんなにたくさん集まる、これは普通の建築基準法ではやっぱりだめだと思います。建物そのものをそれに合ったような防災的な建物にすべきではないか。われわれは、たとえば一階で火事になる、そうするとガラス窓を打ち破ってすぐ道路に逃げますよ。たとえばそういうものを二階にも三階にも、どんどん積み重ねていく。ちょうど充電の塔みたいにまわりに全部回廊をつける、そうすればぐるぐる回って風上のほうへみんな逃げていける、その間にはしご車が来て助ける。デパートのまわりに全部回廊をつける。そのために光り場が多少狭くなってもいたしかたがない、こういうふうな徹底した防災の措置を構じなければ、幾ら消防車を多くし、化学車を多くし、はしご車を多くしても、とても安心して買いものに行っていられる状態では私はないと思います。そういう点は英断をもってひとつ自治大臣のほうから強く要望していただきたい。  それから、最近の火災の特徴というものは、昔みたいに——私のところは三回も大火を起こして町の中がみんな焼けてしまったのですが、ああいうふうに面積の広い火災というものはなくなりました。ところがそれと反対に、いまみたいに狭いところで何百人という人間が蒸し焼きになる、ああいう状態が非常に多くなってきているので、設備に関しましてもそれに合致したような方向に重点的に充実していかなければいけないんじゃないか。単に消防設備を強化するというだけではなくて、地域的にあるいは内容的に、最近の状態に合致したような設備を重点的に強化すべきだ、こういうふうに考えます。いま大臣の決意を聞きまして非常に力強く思いました。ぜひひとつその線でうんと御努力をお願いいたしたいと思います。  時間が過ぎましたそうで、もう一つありますが後日に譲りまして、これで終わります。どうもありがとうございました。
  233. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 山本弥之助君。
  234. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の交付税特例に関する法律案におきまして、また土地開発基金が配分の対象になっておるわけであります。私は、府県におきましても市町村におきましても、今日の公共事業を進めてまいります上に土地開発基金的な財源が必要であるということは十分認めております。今回の配分は、確認をいたしたいと思いますが、府県におきましては人口百七十万を基準にいたしまして五億、それから市町村におきましては人口十万を基準にいたしまして一億ということで、全市町村配分するということになっておると思いますが、そのとおりでございましょうか。
  235. 松浦功

    松浦政府委員 さようでございます。
  236. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この制度は、四十四年度に初めて参入されたわけでありますが、当時、今回の配分のように府県、全市町村にわたって配分することではなかったわけであります。いわば特定財源のための配分であるということで、私ども地方交付税の性格に反するのではないかという意味の反対の意見を申し上げたわけであります。しかも、その土地開発基金がその事業の必要性で参入されるということよりも、何か、これ以上交付税地方公共団体配分されることは地方に余分の財源を与えるのではないかという意味でこういう項目が出てきたというふうな印象をむしろ私は受けるわけであります。土地開発基金が、かりに一歩を譲りまして、多少地方交付税の性格に反しましても、府県、市町村の当面しておる重要な施設の経費に充てるための財源であるということでやるといたしまするならば、継続的に目標を立てて、これだけの必要な基金に達するまではこういう配分をするんだということであればいいのであります。多少足らなくなりますとこれは消えます。余分になりまして、ちょっとこれはやり過ぎだというようなときになりますとこれが頭を出してくる。今回の配分におきましていろいろ不合理な点は山田委員から指摘をしたわけでありますが、何か、今回余分に配分することが差しつかえがあるというような意味合いでこれが出たような印象を私は非常に深く受けるわけであります。  当時も確認をとっておりますが、そういう特定の目的のために充当することを願ってはおるけれども交付税の本質である一般財源の付与であることには間違いない、別の意味に使われてもこの点は差しつかえないんだ、こういうふうに説明されたこともあったと思うのであります。本来なれば、私は交付税法を当然こまかく改正いたしまして配分する必要があると思うのです。四十四年のときのような考え方によりまして、府県、市町村に普遍的に今回は土地開発基金の名目で財源付与をするんだということになると、非常に意義があると私は思うのです。いわば、過去の特別会計が借り入れましたのを、五十一年でしたか、五十一年まで繰り上げ償還をするということよりも、九百五十億を一般財源付与という意味配分する。土地開発基金の項目をかりて配分するということになると、これは普遍的に、いま困っております地方公共団体財源を付与するという意味におきまして、非常に意義があるというふうに私は考えるのでありますが、今回もそういうふうに一般財源の付与として九百五十億を府県、全市町村配分したというふうに了解していいかどうか。  また、将来にわたって土地開発基金が交付税の対象として必要であるとするならば、今後、来年度以降においてもこの項目を存置して、これはちょっと別格みたいに附則か何かになっていたんじゃなかったかと思うのでありますが、継続的にこれを積み立てていかれる、こういう配分をされるのかどうか、そのことを、二点をお聞きいたします。
  237. 松浦功

    松浦政府委員 先生御承知のように、交付税というものは使途を特定しておるわけではございませんで、理論的には、土地開発基金積み立てという名前をかりて財源を付与したというふうにお考えいただくこともできるかと思いますけれども、現在の時勢で公用地の確保ということが非常に重要な一つの要素になっておりますので、私どもといたしましてはまさに名の示すごとく、土地開発基金にお積み立てをいただいて、そうして少しでも有効に公用地の取得のためにお使いいただきたいという希望は持っておるというふうに御理解いただきたいと思います。  それからもう一点の問題でございますが、この点につきましては、今回の交付税でもさようでございますけれども交付税というのは、一つの抽象的な標準団体というものを頭にえがいて、それに対してそれぞれの計数的な作業をいたしました上で、普遍的に全地方公共団体財源の調整をするためにやっておるものでございます。したがって、そういった普遍的にやらなければならない措置をとることがまずどうしても先でございますので、その意味では、何か余ったときにというような御発言がございましたけれども、そういう感触に受け取られるような形になることは、今後も避けられないかと思います。ただわれわれとしては、できることでございますればいま少しく土地開発基金の積み立てをやっていきたいという気持ちを持っておることだけ申し上げて、お許しをいただきたいと思います。
  238. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、土地開発基金の必要性を認めて、来年度以降におきましてもこの項目を存置して配分するということでございますか。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  239. 松浦功

    松浦政府委員 ただいま申し上げましたように、全体の地方税収入あるいは交付税の見通し、そういったものを立てました上で、当然交付税制度の中で措置をしなければならないものを措置して、なお余裕があるという事態になりますれば私ども考えたいと思っておりまするが、土地開発基金の項目を、全然配る財源なしに残すということもいかがかと思います。明年度のことは、これから国の予算編成がきまりました暁において、十分関係方面と折衝したいと思います。
  240. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この問題で議論をいたしましても時間がたつばかりでありますが、おそらく、今回の四千二百億以上という一般会計の伸びに伴いまして、交付税は当然出てくるわけですね。大蔵省と共管でございますので、大蔵省との配分の折衝において、過去もどうも、そういった必要性に基づいての配分でなくて、この余った金を使わさないように積み立てておくための配分というふうな、論議の中からそういう印象を私は受けているわけです。今回の折衝の過程におきましても、そういう印象をさらに思い出したわけであります。  その意味におきまして、私は交付税配分についての真に適正な、地方公共団体に対して交付税配分するという見地から、いわば政策的な、あるいは場合によっては補助金、負担金と同じような政策に堕することのないように、交付税本来の姿に制度的に検討願いたいということを、いままでも要請してまいり、また委員会の附帯決議等もそういうものを出しておるわけであります。その点は大蔵省との折衝の過程におきましても、自治省は確信をもって、いまの地方自治団体財政的に苦しい情勢、決して余裕の財源はないのだということの確信のもとに立って、私は折衝願いたいということを強く要請を申し上げておきまして、こういった、ある意味においては、余ればこの項目を生かしていく、足らなくなれば削っていくというような、必要性があるのかないのかわからぬようなやり方は適当ではないのではないか。この基金そのものの地方公共団体にとっての必要性は、私は十分了承しております。かつては、こういうやり方すら自治省は否定したことがありました。しかし、時代の推移に伴いまして、私は必ずこういうことが必要だというふうに考えておる。誠意そのものは私は十分認識をいたしております。しかし、交付税配分のあり方につきましては、十分それらのことを考えて、確信をもって処理されるということを強く要請いたしておきます。  先ほど村田委員からすでにもうお話が出たと思うのでありますが、本年度は国の方針が、物価対策、あるいは福祉施設の充実、さらには国際収支の均衡というような三つの柱で予算が編成され、過去におけると同じように、地方公共団体は国の方針と同一歩調で予算編成の指示を受け、それぞれの公共団体予算措置をしたわけであります。その結果は、四十七年が非常に苦しい予算状態であったこともあったでしょうが、非常な大型予算を組んだということがいえると思うのです。しかし、ほんとうの国の方針がはっきりしていないために、物価対策も、田中総理は外因が大きな理由だと言っておりますが、外因よりも、すでに内因はもう予算編成当時に存在しておったということがいえるわけでありますし、変動相場制移行についての対策の誤り、福祉優先予算といいながら福祉も十分ではないという中途半端な、トリレンマが全く解決しないままにきたわけでありまして、そのことが事業の繰り延べ、地方の単独事業まで繰り延べる、こういうような事態に当面しているわけですね。いわば、地方公共団体が、自治体とはいいながら国の方針のもとに振り回されて、あわてふためいているといったような印象を私は受けるのであります。今後の地方自治の確立のためには、戦前戦後にわたりまして知事の経験をお持ちになり、私どもも長い間尊敬申し上げております町村大臣も実現いたしましたので、地方自治の確立という見地から、常に国と同一歩調ということばかりに専念する自治省であってはならない、地方自治の確立のために、地域住民のための自治体の前進ということで町村大臣に私は非常に期待を申し上げ、またそれこそ決断をもって進んでいただきたいということをお願いしたいのであります。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、見通しにつきましては、来年度の見通しが、石油の危機的情勢等にも関連いたしまして、やっと国の予算を編成する前提としての経済見通しがきまったということであります。大体十七兆四、五千億というような予算編成になるだろうと新聞は報道されておりますが、先ほど村田委員の質問に財政局長から御答弁があったわけであります。地方財政計画といいますか、地方公共団体のいわば全体の予算規模といいますか、それも十七兆四、五千億でございますか、そういうことになるだろうというふうな御答弁があったと思います。十七兆四、五千億となりますと、本年度当初の財政計画に比べますと約二〇%の増でありまして、その中でやろうと思えばやれないことはないと私は思うのであります。国の自然増収は三兆円をこえると思いますが、大体一八%の二兆五千億は自然増、こういわれております。地方公共団体におきましても自然増は相当の分野を占めると思うのであります。しかし、ほんとう生活関連施設の充実、さらには福祉施設の拡充といったような、地方公共団体本来の使命の予算編成ということについて国が十分配慮をすることによって、私は予算伸びが前年度より伸びなくとも目的に到達できるのではないかというふうに考えるわけであります。これは自治大臣をはじめといたしまして、各局長の今後の大蔵省その他各省との間の折衝といいますか、それによるのでありまして、その際は、地方自治体の本来のあり方というものに同一歩調で国の予算が組まれるということを私どもは希望したいのであります。  このことにつきまして町村自治大臣から、大蔵省との折衝において、地方財政の確立といいますか、来年度予算を契機といたしまして、どう地方行政のあり方を進めていくのかということにつきまして、先ほどの答弁によりまして大体所信の一端はお漏らし願ったわけでありますが、重ねてその点につきましての御所信といいますか、お聞かせ願いたいと思います。
  241. 町村金五

    町村国務大臣 自治省が存在をいたしておるということは、地方自治の確立に向かって、種々の障害を克服しながらそれぞれの自治体が発展をしていくように、できるだけの協力を申し上げるというところに自治省の存在理由があるということは申し上げるまでもございません。  そこで、本年の予算編成等に関連をいたしまして、ややともすれば万事国の方針に追随するのみであって、一向に自治省としての独自性と申しましょうか、自主性をそこに発揮しておるというようなことをなかなか受け取ることができないという御指摘も伺ったのでありますが、この点はすでに申し上げておりまするように、現在は、国も地方もともに、まず第一にやらなければならないことはいわゆる高物価を克服するということにあるのであろうと思います。したがって、かりに国のそういった方針が、私ども自治省に対して、地方団体に対して要求がなくとも、われわれは、やはり地方団体としては、そういう方向に向かって今後の地方財政の運営に当たってまいるということは当然であろう、こう考えておるのでございまして、したがって、形の上ではいかにも国のいわゆる総需要抑制の方針にただ追随をしておるというふうにお受け取りになるかもしれませんけれども、私ども今日地方団体立場考えましても、さらにもし現在の高物価の情勢がより悪化してまいるということになってしまいますれば、日本経済そのものが破局的な状態になってしまうわけでございますので、それは断じて避けていかなければならない至上命令でさえある、こう私ども考える次第でございまして、当面予算編成等に際しましては、こういった基本方針はどうしても貫いていかなければならないのではないかと考える次第でございます。  ただ、いま御指摘がございましたように、そうは申しましても、ただいたずらに私どもは追随をしてまいればよろしいというふうに考えておるわけではございません。基本的には、総需要抑制という趣旨には私どもも同調をいたしてまいらなければならぬと考えてはおりますけれども、その間にありまして、地方住民生活の安定のためにはどうしても自治体としてやらなければならないことが非常にたくさんあるわけでございますから、そういうようなものの予算確保といったようなことが、大きな総需要抑制の波に巻かれてしまって、そういう大事なことまで埋没をしてしまうというようなことは断じて避けるというような考え方で今後まず予算編成には取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  242. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自治大臣から今後の地方自治体のあり方についての所信を伺いまして、意を強ういたしております。  お話しのとおり、福祉施設を充実いたしましても、物価が上昇してまいります限りにおきましては福祉の効果が減殺されるわけでありまして、今回の国の方針は、いわゆる物価の抑制と福祉の推進ということにわき目も振らず邁進できる体制、そのことが地方自治体の予算の面におきましてもあるいはあり方の面におきましても、非常に地域住民のための自治体の推進になるというふうに考えておりますので、物価の抑制のための総需要の抑制ということあるいは公共事業の抑制ということに国が努力するということに対しては私どもは賛成でございます。また、地方公共団体もそういう意味の国との協力ということが必要でありますことは、私も十分認めておるわけでありまして、福祉施設が効果を減殺しないように、物価の抑制につきまして力を入れると同時に、しかも物価の抑制は大きくは民間の設備投資あるいは国の財政支出のあり方、さらには国民の消費というものとの関連で、そのいずれをも国民の支持を受けながら実現をしていかなければならぬということであろうかと思いますが、国民の協力を求めながら国民の消費節約の協力を求めるということになりますと、それなりに生活環境の整備、福祉施設の充実、消費を十分でき得ない階層に対する施設の充実ということは、これはどうしても私はやらなければならぬことであろうかと思います。そのために、地方財政が圧縮せられましても、何らかの他のほうの圧力によりまして、そういう福祉施設のやらなければならない施設をも総需要抑制ということで後退しないように、この点を私は強く要望してまいりたいと思います。  そこで、時間の関係もございますので、財政局長に大まかにお聞きいたしますが、かりに十七兆五、六千億という財政計画の骨組みということを一応想定いたしまして、それで、ただいま申し上げましたような、支出面におきましては相当人件費の増をはじめといたしまして、また新しい消費行政需要も出てくるのではないかと思われますが、大体十七兆五、六千億円の中にそういった地方自治体、地域住民の期待しておられる予算が組めるのか。あるいは財源確保が、財源は自主財源地方税あり、また地方交付税あり、国の補助金、負担金、さらには足らざるところは起債ということになるわけでありますが、その見通しは、大体このぐらいでいきそうだというふうなお見通しが立っておられるなら、その内容を簡単にお聞かせ願います。
  243. 松浦功

    松浦政府委員 先ほども村田委員の御質問にお答えしたわけでございますが、村田委員は、十七兆四千億程度が境で国の予算がきまるだろう、こういう御発言でございます。それを私は受けまして、おそらく地方財政規模というものはそれの前後になるだろうということを申し上げたので、現在の段階は、計数的には私ども全く雲をつかむようなところでございます。しかし、ただ一般論として申し上げますと、国のほうが非常に義務的な増高経費が多いということでございますが、その中には国鉄、食管、年金、こういった地方団体財政には全く関係のない部分相当入っております。これらが相当国の財政の圧迫要因になっておるようでございますので、ことしに関する限り、国が相当需要抑制ということを基調に置いた圧縮予算を組む限りにおいては、地方公共団体予算をその基調を前提にして組みましても、財源的には何とか見通しを立てていけるのではなかろうか、こういう見通しを持っております。
  244. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その十七兆五、六千億の中で、はたして地方自治体が希望するような生活関連施設あるいは福祉施設の充実ということが曲がりなりに期せられるのかどうかというようなことは、もう少し私ども検討しなければなりませんし、自治省でも御検討願う問題であろうと思うのですが、それにいたしましてもやはり問題は財源確保ですね。  そこで財源確保の問題は、これまた多年要望しておりますが、いかにも自主財源が少ないということ、それから負担金、補助金につきましては、超過負担が多年の問題でありながら、自治省も努力しながらもまだ完全に解決をしていないということだろうと思うのであります。また地方税の問題は、国と地方との財源配分——これは御承知のとおり、国民から取ります税収は国の比率が非常に高い。極端にいえば国が七 地方か三というような配分でありますけれども、その配分をどうするかという問題は多年の懸案であるし、もう一つは、減税するにしましても増税するにいたしましても、ここ二、三年の間非常に所得の配分が不公平になっておりますね。それを税で再配分しなければならぬという問題も出てきておるわけであります。株の投機で何十兆円もうけたとか、土地の売買で何十兆円もうけたとか、あるいは土地成金ができたとかということであり、一方は物価の上昇で生活が圧迫される、ベースアップがあっても十分生活にゆとりができないという非常な不公平が出ておりますね。そのこと二つの問題を私は解決つけなければならぬと思うのであります。  その意味におきまして、絶好の機会だと思うのでありますが、税務局長おいでになっていると思うのでありますが、よくその点はおわかりになっておると思いますが、地方税の来年度のあり方ですね。これは大宗は住民であり固定資産税であり、あるいは事業税その他、これまた問題になっております道路財源配分は、市町村配分から見ますと六か七かというような非常に少ない配分です。しかも、これから道路の整備にいたしましても、先ほどの総需要を抑制するということからいきまして、生活関連道路の整備ということが、これは第七次道路整備計画にはその辺の配慮は相当なされておりますが、財源の見通しは全然ついていないという中で道路目的税をどうするかということは、地方公共団体、特に市町村が重要な段階にあると思うのであります。それらにつきまして、地方税の四十九年度のあり方につきまして、概括的でけっこうでございますので、お聞かせ願いたいと思います。
  245. 首藤堯

    ○首藤政府委員 明年度地方税のあり方についての御質問でございますが、ただいま先生御指摘のとおりの基本的な状況であると私ども観念をいたしております。  一つには、何と申しましても地方財源の大宗をなすものでございますが、地方財政の現況にかんがみて、できるだけその財源としての地位を向上させていきたい、充実をしていきたい、こういう念に燃えております。  それからなおかつ一方では、地方住民の祖税負担、こういった問題もございますので、祖税の負担の適正化をはかるという意味で、たとえば住民税等についての軽減も考えてみたい、こう考えておるような次第でございます。  それから道路関係財源でございますが、これも全く御指摘のとおり、現在の道路の状況は、府県道、特に市町村道、こういった身の回り道路の整備が非常に重要でございまして、またこのことが第七次道路整備計画の基幹にもなっておるわけでございます。このことに伴いましての道路目的税源の増強の問題は、四十八年度は七次計画に伴った措置がまだされておりません。四十九年度以降の問題になろうかと思いますが、この点につきましても、地方道路目的税源、特に市町村における道路目的税源、こういうことの増強につとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
  246. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それで具体的にお聞きしたいんでありますが、大蔵省のほうで最近二兆円減税——明年度は一兆四、五千億の減税にとどまるということでありますが、その中で所得税は、四人家族で百五十万円まで課税最低限を引き上げるというような方針を決定したと新聞に報道されておりますが、住民税はそれに関連して引き下げないわけにいかないと私は思うのであります。どの程度をお考えになっておるかということが第一点でございます。  それから、多少それに見合う意味で、あるいは先進諸国の法人課税より実効税率が低いということでこれを上げるということは、税調等におきましても検討しておるということでありますが、これも私は、法人課税が地方公共団体に薄い、ことに市町村に薄いということからいいますと、地方配分をふやしてもらわなければならぬ、こう思うのであります。伝えるところによりますと、実効税率が約五〇となりますか、四九・四ぐらいになって、所得税を四〇まで引き上げる、残りが地方だというような見当のようでございます。しかも府県と市町村とまた変わってくるわけですね。私は市町村の場合は一五ぐらいまで上げたらどうかというような主張を多年しておるわけです。その辺の折衝といいますか、どういうふうになっておるのか。しかもその配分が、国と府県と市町村というのはどういう配分にまで御努力を願うということで努力しておられるのかということにつきましてお伺いをいたします。  それともう一つ、固定資産税は、昨年、四十七年度の宅地課税が非常に負担が過重になってまいりますので、いままでも軽減措置をとってまいりましたけれども、地価の上昇に伴いまして大きな問題になりましたし、私は四十八年度は四十七年度の課税に据え置けということで、今度の改定期、評価がえのときまでに案を固めるべきだということを主張いたしたわけであります。最近自民党さんのほうの圧力も相当強いと見えまして、先のほうに延ばした小規模住宅川地の固定資産税については、これを減税するような案を自治省では検討を加えておられるようでありますが、その点をお聞かせ願います。
  247. 首藤堯

    ○首藤政府委員 住民関係それから法人課税関係、固定資産税関係につきましての御質問でございますが、明年度の税制改正につきましては、ただいま税制調査会の審議が最終段階と申しますか、それに近いところまでまいってはおりますが、まだ結論が出ておりませんものですから、決定をいたした段階——まあ何一つ決定したという段階ではございませんけれども、ただいま御質問がございましたような趣旨の事柄はただいまの一番大きな問題点でございまして、議論に相なっております。  住民税の課税最低限は、先ほども申し上げましたように、租税負担の状況等勘案をして、課税最低限を引き上げて減税を行なうという方向は、まさしくそのような方向に進むものであろうと考えておりますが、所得税の減税の状況ないしは全体に伴います地方財政の状況等を勘案いたしまして、適正な課税最低限というものを決定すべく、目下鋭意作業中ないし税制調査会の審議をわずらわしておる次第でございます。  それから法人課税の問題でございますが、これも、そもそも法人課税の帰属が、国、地方考えました場合に、国に大きく片寄り、しかも市町村にウエートが非常に少ないというのは御指摘のとおりでございまして、市町村財源、特に都市財源の充実という面から法人課税の帰属をなるたけ市町村に大きくしよう、こういう考え方は私ども考え方としてそのとおり持っております。その線に沿いましていま税制調査会に審議をいただいておるところでございます。まあ、方向といたしましては市町村にそのウエートを指向する、こういうことに相なろうと思いますし、それからまた実質的な今度の法人課税の増強分も、たとえば交付税等も含めて考えてみました場合に、国よりは地方団体のほうが取り分が若干多くなるだろう、こう期待をいたしておりますし、またそのように努力をしておる最中でございます。  それから固定資産税の問題でございますが、特にただいま御指摘の点は、評価がえに伴います土地の課税のうち特に住宅用地、しかも小規模の住宅用地、これにつきましてその問題が非常にございますので、小規模住宅用地についてはできるだけの軽減をはかってまいりたい、こういう線でいま検討を続けておる次第でございます。
  248. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 法人課税は、市町村は六、七%を一〇%くらいに高めるような御努力は願えますでしょうか。
  249. 首藤堯

    ○首藤政府委員 法人税割りの増強ということについて、できる限りの努力を尽くしてまいりたいと思います。
  250. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いまのところ税調で問題になっている内容は、比率からいきますとどのくらいまでいきますか。
  251. 首藤堯

    ○首藤政府委員 市町村民税の法人税割りの関係でございますが、ただいま議論をされております状況では、一二%台くらいのところが検討されておるところでございます。
  252. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと配分からいきますと、市町村は百分率でいくと一〇%までいきませんね。九・一%を一二・幾らにするというわけでしょう。一二・二かな。——何%くらいになりますか。一二・一ですか。
  253. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまちょっと資料を持ってまいっておりませんが、先ほども申し上げましたように、できる限り市町村にウエートを指向する、こういう考え方で、明年の見積もり等も兼ねていまやっておるところでございます。
  254. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 期待をしております。あまり押されたままのような上昇では意味をなさぬし、なかなかあと改定はめんどうですぞ。これがずっと続くものと見なければならぬと私は思う。したがって、さらにその実効税率を引き上げるということもまたむずかしい問題になりはしないか。先進国に近づいてまいっておりますので、この際に配分を是正しておかなければならぬと私は思いますので、努力を願いたいと思います。  なお、多年問題になっておりまして、いろいろな意味で私は重要だと思っておりましたし、地方制度調査会におきましても何回も答申をしております大都市財源としての事務所・事業所税ですね。これが各省から同じようなものが出て一各省のほうのその税源の新設は国税という考え方に立っていると思うのでありますが、これが大蔵省のちょうどいい口実になって、各省の調整とかいうようなことで影をひそめるような情勢になっていると思うのであります。これは、田中総理の列島改造論の中で、大都市の人口を減らして、地方に人口を分散していく、そのために国総法はどうしても必要だと言っておられますが、この事務所・事業所税の新設くらいができなければ、新国総法ができたからすべての問題が解決つくというようなことでは、私は具体性もなければ意味もないと思うのです。大臣、この多年要望しておりました、自治省としても懸案であります事務所・事業所税の新設法人課税の市町村配分を高めるということにつきまして全力を尽くしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  255. 町村金五

    町村国務大臣 まだ私、税のことの勉強がたいへん不十分でございまして、自信をもってお答えを申し上げることができないのでございますが、いままで事務当局から聞いたところによりますと、なかなか事務所・事業所税の創設には難点があって、いま難渋をしておるところだというふうに聞いておるのでございます。  法人税地方配分につきましては、これはある程度前進できるもの、市町村に対しましてはある程度増額が可能だというふうに報告では聞いておりまするが、今後、ただいまの御意見等も十分体しまして努力をいたしてまいりたい、こう存じております。
  256. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 東京都を含めずに、自治大臣が知事をしておられた北海道の札幌市等も含めまして九大都市があるわけであります。その九大都市の公園とか下水道、ごみ処理施設、それから地下鉄というような、いま住民の必要な事業だけ拾いましても、四十九年から四年間で六兆一千七百億からの金が要る。それに対して財源不足は一兆五千億だということで悲鳴をあげているわけですね。そういった事態を踏まえまして、しかもそういう地域にある事務所、事業所というものは収益の利益をフルに活用しているわけでありまして、NHKのあと地を国民があ然とするような高値で買い取れるということなんですね。そういうのに対して、担税力は十分あるわけでありますので、課税をすることによりまして、そういったごみの処理——ごみ戦争だとかいうようなことを言わぬでごみの処理、あるいは今後のガソリン不足に対して、電力は食うでしょうけれども地下鉄の整備といったことは、大都市の財源がなくてもやらなければならぬ事業ですね。そういったことを、各省がばらばらにこういう新税の案を出すことによって税が地方税として実現をしないということは、これは田中内閣のかなえの軽重を問われるのじゃないか。大臣は、この点を強く自信をもって押していただいていいのじゃないか。そのことをまた、革新、保守を問わず自治体の長は期待を申し上げているのじゃないかと思いますので、ひとつ強く要請を願いたいと存じております。  それから、今回交付税補てんをしていただきました超過負担の問題も、四十七年の調査に基づいて、六施設について四十八、四十九年で超過負担を解消する、その解消のしかたについて、地方公共団体、府県も市町村も満足をしていないのですね。そのほかにも超過負担があるのですね。そういたしますと、来年は財政の非常に圧縮をされる中で、これはどうしても各省と折衝をせられまして、この超過負担の完全解消——これは四十八年の実績は出てまいっておりませんけれども物価の上昇、来年におきましては消費者物価は一〇%以下に押えるといっているが、卸売り物価は一〇%をこえるということを認めざるを得ないという事態にありますので、おそらく消費者物価も一〇%をこえるのではないか。そういうときに、ことしみたいなやり方ではなしに、各省に十分超過負担の完全解消につきまして御努力を願わぬことには、いままでのテンポと違うわけだと思うのです。自治省大蔵省関係省が集まって、地方公共団体の超過負担はある程度まで完全解消ですよということを本会議で答弁いたしましても、こういった惨たんたる状態になっておるわけですね。私は、地方公共団体が重点予算を編成するということからいえば、これは各省に強く要請をせられて、完全解消に全力を尽くしていただきたいと存じております。  なお、当初の超過負担解消と、その後二回にわたりまして是正したわかりやすい一覧表を資料として作成して提出を願いたいと思うのです。  どうでございますか、来年は、先ほどからもこの問題は出ておりましたが、いままでと違ったような超過負担解消の予算編成が、地方公共団体予算をつくります前、あるいはつくりましてからも早急に、国の予算配分までにはそれができますように御努力願いたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  257. 町村金五

    町村国務大臣 自治省としては今日までも、いわゆる超過負担の解消ということにはたいへん力を注いできたと私は承知をいたしておりますが、いま山本委員も御指摘になりましたように、最近における異常な物価の上昇というものは、今後一そう超過負担を過重ならしめる危険のあることは申し上げるまでもございませんので、特に来年の予算編成等に際しましては、関係省と十分協議をいたしまして、そういった解消に極力努力をいたしてまいりたいと考えております。
  258. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それから、先ほど地方交付税につきまして、税率の変更はお考えになっていないような御答弁がありましたが、これは予算折衝の最後の詰めにおきましていろいろ問題が出ると思います。私ども交付税の税率は高めるべきだと思う。いまの地方公共団体が、過去におけるようなある程度まで差はあるにいたしましても、財源が偏重しておるということが今日ほど顕著な時代はないのです。そういたしますと、自主財源は大都市その他、過疎地帯は交付税というような、依存の傾向が同じ公共団体でも、府県、市町村ともに違うのですね。その意味におきまして、税収とにらみ合わせなければならぬと思いますので、最後の詰めまで大臣にがんばっていただきたいということを要望申し上げておきます。  それから最後に、財政とは関係ございませんが、大臣も十分御経験の国費支弁職員の問題であります。これは終戦以来暫定的にこの制度が出ておりまして、おそらく各県の知事さんはこの問題につきまして混迷をしておられると思うのでございます。そこで何としてもこれを解決しなければならぬということで、予算委員会におきましてもその他当委員会におきましても、衆参を通じまして討議をいたしまして、ことに福田さんが行政管理庁長官になられて、熱心にこの問題に取っ組むという姿勢を示していただいたわけであります。そこで江崎前自治大臣、福田管理庁長官が協力してこの問題は解決つける、おそらく四十九年度中には解決つけるということをはっきり言明しておられるわけであります。福田大蔵大臣になられる前に、十月九日だったと思いますが、閣議の終了後関係大臣と話し合いまして、十月末日までにこの問題を解決つけたいということで話し合いが進められましたが、まだその話し合いが進んでいないということを聞いておるわけであります。自治大臣がかわり、行政管理庁長官もかわりまして、また労働大臣もかわり、運輸大臣もかわりということで、関係大臣がだいぶかわりまして、振り出しにまた戻ったような感があるわけであります。この問題は、前管理庁長官あるいは自治大臣からお話をお聞きになったと思いますが、ぜひ言明どおり、いままでいろいろな弊害の出ておりました地方事務官の地方公務員への移管の問題に解決をつけていただきたいと存じておりますが、いかがでございましょう。
  259. 町村金五

    町村国務大臣 実は、私まだ関係大臣とこの問題について話し合いはいたしておりませんけれども自治省当局といたしましては、さきの関係大臣との話し合いによりまして、目下関係省庁との間で、国に残す事務と地方に委譲する事務とを区分するということをまず定めて、その上で地方事務官制度の廃止のための措置を講ずるという、すでに前内閣の時代の関係大臣の御相談をいま事務的に詰めておる段階だ、かように私はいま聞いておりまするので、そのことをひとつできるだけ促進をさせるようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
  260. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 行政局長、事務的にはどの程度話し合いが進んでおりましょうか。
  261. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 前内閣の時代の大臣のお話し合いに基づきまして、精力的にいま事務的な話を進めております。ただ、正直申しまして、必ずしもまだ解決の見通しをわれわれ得るに至っておらぬ。二十何年、長い問題でございまして、たびたび地方制度調査会でも御指摘いただき、本気に解決にかかろうとした内閣もこれは初めてではない、何回かあったが、結局解決しなかったというその事務的なむずかしい問題というのが相変わらず残っておりまして、現在まだちょっと解決の見通し、私自身得ておらない。はかばかしくないお答えでございますけれども、正直に申し上げてそういう状態であることを御報告いたします。
  262. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 新しい大臣も熱意をもって解決をつけるということでございますので、どうかこれは促進を願いたいと存じております。  最後に自治大臣、たまたま国家公安委員長を兼務しておられますので、いずれ国政調査の場で御質問するのが妥当かと思いますが、国家公安委員長としての腹がまえだけをお聞きいたしまして私の質問を終わらしていただきたいと思います。  それは金大中事件でございます。これは発生いたしました際に、江崎前国家公安委員長からも、問題が人権の問題にも関係いたしますし、場合によっては、渉外関係が発展いたしますと主権の問題にも関係いたす問題であります、したがって警察といたしましては、厳正中立にこの問題を精力的に捜査を進めていくという言明をいただいたのであります。初期捜査におきまして、必ずしも万全だったとはいえないのでありまして、多くの手落ちがあったような印象を私は受けております。しかし、その後の捜査におきましては警視庁もいわば非常な熱意を持ち、非常な苦労をしてこの捜査に当たっております御労苦に対しまして、私は敬意を表し、またいわば足で捜査を進めておる多くの警察官に対しては、ほんとうに御苦労だと思っておるわけであります。しかも、この問題が明らかに主権の侵害に結びつくかもわからぬというような微妙な問題を含んでおります際にも、警察が厳正にこの捜査を進めていくんだということを言明されたわけであります。しかし、事柄が外国に関連する問題でありますので、あるところまで証拠をつかみながら、それから前進することができない。しかも韓国大使館の関係書記官は相次いで帰国して、一人も残っていない。しかも韓国の政情も騒然としておりまして、情報部長は職を辞職される、内閣は更迭するというような事態になっておりますが、肝心の金大中氏本人の聞き取り書きも正確なものは送ってこない、その後の捜査状況も送ってきていないというふうに聞いておるわけであります。そのうち政治的折衝が先行いたしまして、金鍾泌総理が来日されまして総理に陳謝し、また今後こういう事件については絶対に発生しないように努力をしたい、それは政府の関与しないところであるが、韓国人であることは間違いないというような意味の発言をされたように聞いております。  しかし私は、警察としては厳正中立にこの捜査をある程度まで進めるべきである。政治的に解決ついたということで捜査がうやむやになり、人権が侵されたまま時のたつにつれて忘れ去られるというふうなことがあってはならないというふうに思うのであります。外交問題その他につきましてはそれぞれの担当委員会で追及いたしておりますので、私は、国家公安委員長といたしまして、日本の警察が、事人権問題に関する以上は、あくまで金大中氏の参考人としての来日、その他の方々の来日、あるいはこちらから行ってさらに捜査をする、約束どおりのいろいろな調書の送付も要求する、さらに根強くその問題を続けていくべきである、政治的解決でなおざりにしてはならない、こういうふうに考えるものでございますが、これはいずれ何らかの機会があろうかと思います。本日は、国家公安委員長の決意をお聞かせ願えれば、それで質問を終わりたいと思っております。
  263. 町村金五

    町村国務大臣 金大中事件につきましては、現在までの捜査によりまして、金東雲一等書記官の容疑の事実は明らかになったのでございますけれども、共犯者あるいは強制連行のルート、アジト、使用船舶等につきましては、現状ではいまだ断定するに足る証拠をつかむに至っていないのでございます。したがって、今後とも従来どおりの捜査方針並びに捜査体制をもちまして、事案の真相究明のために鋭意捜査を続けてまいるという所存でございます。
  264. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、来たる十七日月曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十七分散会