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1974-05-24 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十四日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 松本 十郎君    理事 村山 達雄君 理事 山本 幸雄君    理事 阿部 助哉君 理事 山田 耻目君    理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    宇野 宗佑君       奥田 敬和君    片岡 清一君       金子 一平君    鴨田 宗一君       栗原 祐幸君    小泉純一郎君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       地崎宇三郎君    野田  毅君       萩原 幸雄君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       山下 元利君    岡田 春夫君       佐藤 観樹君    高沢 寅男君       広瀬 秀吉君    武藤 山治君       村山 喜一君    荒木  宏君       山原健二郎君    広沢 直樹君       松尾 信人君    内海  清君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房長 中橋敬次郎君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         気象庁長官   毛利圭太郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   大西 正男君     地崎宇三郎君   奥田 敬和君     片岡 清一君   村山 喜一君     山崎 始男君   山中 吾郎君     岡田 春夫君   小林 政子君     山原健二郎君   正木 良明君     松尾 信人君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     奥田 敬和君   地崎宇三郎君     大西 正男君   岡田 春夫君     山中 吾郎君   山崎 始男君     村山 喜一君   山原健二郎君     小林 政子君   松尾 信人君     正木 良明君     ————————————— 五月二十三日  東京都板橋税務署の移転に伴う跡地払下げに関  する請願中島武敏紹介)(第七〇二五号)  中小業者に対する税制改正等に関する請願(三  谷秀治紹介)(第七〇二六号)  同(岡田哲児紹介)(第七一四一号)  共済組合制度の改善に関する請願柴田睦夫君  紹介)(第七〇二七号)  入場税撤廃に関する請願瀬野栄次郎紹介)  (第七〇五五号)  大企業本位の財政・金融政策反対等に関する請  願(紺野与次郎紹介)(第七一四〇号)  零細預貯金減価対策に関する請願山下元利  君紹介)(第七一六一号)  給与所得者に対する減税措置等に関する請願(  不破哲三紹介)(第七二九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号)      ————◇—————
  2. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。山原健二郎君。
  3. 山原健二郎

    山原委員 きょうは、四国電力関係の問題についてお尋ねをしたいと思っております。  最初に、通産省のほうへ伺いたいのですが、四国電力の今回の値上げ申請に対する認可ですが、御承知のように、昨年の九月に値上げをいたしておるわけです。引き続いて今回の値上げということになっておりますが、この認可経過と、そして大体これを合わせてパーセントとしてどれだけの値上げになるか、その点を伺っておきます。
  4. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘のございましたように、四国電力につきましては、昨年九月料金改定を実施しております。その際、なるべん長期に安定させるということを会社努力したい、こう申しておりました。ところが、その後石油事情が急変をいたしまして、昨年秋以降、原油価格が当初予想しなかったほどのスピードで上昇したわけでございます。このことの結果といたしまして、四国電力経営が急激に悪化をいたしまして、今後の電力安定供給という点についても、幾多の不安を生ずるという事態になったわけでございます。したがいまして、いろいろのコスト上昇要因を踏まえまして、今後の安定供給をはかるために、先般あらためてまた料金改定の申し出があったわけでございます。  四国電力は、火力比率が非常に高うございます。しかしながら、四国電力におきましても、今後とも最大限企業努力を払うということを織り込みまして、厳格な査定を行ないました。その結果としまして、御承知のとおり、電灯電力平均で四五・三%の値上げ認可をされた、こういう経緯になっておるわけでございます。
  5. 山原健二郎

    山原委員 四国電力経営悪化の現状をちょっと説明してもらいたいのです。四国電力が他の九電力と比較しまして経営悪化したというのは、どういうところからきているのですか。
  6. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年の料金改定認可の際に織り込みました油の価格は、たとえばミナスの油をとってみますと、四十九年度で四ドル十六、五十年で四ドル六十四、五十一年で同じく四ドル六十四というような価格を前提とした料金を織り込んだわけでございます。ところが、御承知のとおり、最近はミナス原油バーレル当たり十一ドル七十という水準になっております。したがいまして、まず燃料事情の急激な変化ということが一番大きな要因としてあげることができるかと思っております。  なお、今後の経営悪化に及ぼす要因としましては、人件費高騰あるいは資本費高騰、これら各般の面も四国電力の場合見受けられるわけでございます。  いま申し上げましたような事情を背景にいたしまして四国電力経理内容を見てみますと、内部留保につきましても本年三月期で相当程度のものを吐き出して、いわば取りくずし可能な内部留保はほとんどなくなったという状況でございます。また、さらにそれを受けまして、配当率についても従来の一〇%を八%に低下させた、こういう状況になっておるわけでございます。
  7. 山原健二郎

    山原委員 四国電力の昨年の九月の値上げ幅が一七・七%、今回はいま言いましたように四五・三%ですね。これは単純計算はできないと思いますけれども、平均しまして、値上げ率はどれだけになりますか。
  8. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年の値上げ率と今回の値上げ率を単純に合計いたしますと、六三・〇五%でございます。これは今回の東京電力値上げ率とほぼ近い数字である、こう考えております。
  9. 山原健二郎

    山原委員 東京電力四国電力と比較しまして、火力発電はどちらが多いのですか。
  10. 岸田文武

    岸田政府委員 各会社火力に依存する比率を見てみますと、大体八〇%以上と見られるのが東京電力、中部電力及び四国電力でございます。
  11. 山原健二郎

    山原委員 昨年の九月と今回の認めた値上げ率、六三・〇五%ですか、それは非常に高いわけですね。これは九州電力が四八%あるいは関西電力が四六%。関西電力の場合も、昨年秋上げましたね。昨年の秋、関西電力値上げ率はどれくらいですか。
  12. 岸田文武

    岸田政府委員 たしか二二、三%であったと記憶しております。
  13. 山原健二郎

    山原委員 昨年の秋値上げをしますときに、四国電力四国住民に公然と約束しているのですね。三年間は上げません、こういうことを言っているのです。だから、あのときにもずいぶん意見が出まして、そして各県の県議会におきましても、県知事をはじめとして値上げは困るという要請がなされたわけですね。ところが、それに対しては、三年間は値上げをしません、こういうことを言っているわけですね。今度上がったのを見ますと、四国電力はまさに九電力の中でも、トップではありませんけれども、トップクラスの値上げになっているわけですね。単純計算でいってもそうなんですから。そういう状態が出ているわけです。だから、たとえば高知県議会並びに高知県知事は、配当はなくてもいいからこの値上げ県民生活にとって非常に重要な影響を与えるのでやめてもらいたい、こういう要請がなされているのですが、そういう企業住民に対する態度というものは一体どうなのか。これはどなたにお聞きしたらいいかわかりませんが、大蔵大臣に伺いたいのです。  もう一回申し上げますけれども、昨年の九月に上げるときに大問題になって、そしてそれを上げてしまったわけですね。そして三年間上げない、少なくとも四国住民はそれを信じておったわけですよ。ところが、また上げる。何カ月もたたないうちに上げるというような状態が起こるわけですね。しかもそれを認可する。こうなってまいりますと、企業の責任とかあるいは企業の持つ道義とかいうものは一体どうなのだろうか、この点について大蔵大臣の御意見を伺いたいのです。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 私はそういういきさつがあったかどうかはよく存じませんが、かりにあったといたしました場合におきまして、今回の事態をどういうふうに考えるか。これはとにかく戦前戦後を通じて、経済の大動脈ともいうべきエネルギー源輸入価格が四倍にはね上がる、これはもう全く何人も予想せざるような事態がわれわれの目の前に現実に起こってきた。それに対処するという問題でありまするから、私はいろいろ過去にいきさつがあったにいたしましても御理解を願える問題ではあるまいか、さように考えますが、いかがなものでしょうか。
  15. 山原健二郎

    山原委員 確かに燃料値上がりということが今回の九月の段階では、十月に中東戦争が起こるわけですから、それは予測し得なかったという面もあると思うのですね。けれども、あのときに相当な問題が起こって、私も通産大臣に対してたしか質問したのですが、あのときの公聴会だってずいぶん問題がありました。そういう中で各県においていろいろな論議がなされて、最後には値上げをした経過、だから、四国電力の社長は公然と三カ年は上げません、こう言っているわけですね。しかし、それはできない場合もあると思うのですよ、三年間上げないと約束をしても、情勢が変わればあると思います。けれども、その際には、少なくとも企業倫理とか道義とかいうものもあるわけですから、その際には、前にはこう言ったけれども実情はこうだ、実際は困っているんだというような説明とか、そういう各県に対する手当てとかいうものがあるのが私は当然の商道倫理だと思いますよ。  それを今度の場合も、全くそんなことは忘れて、もう完全に数カ月前のことは忘れて、ほおかぶりをして、いきなり他の電力企業申請を出せばまた追っかけて出していく、そして鼻づらをそろえるというこのやり方、私はこれに対しては官庁としては指導すべき何かがあると思うのですよ。私は、この点では何か抜けておると思うのですよ。私はその点をまず申し上げたいんです。そんなことでかってに、上がったから上げるんだというようなことでは、これはほんとう住民はそれに振り回される結果になるわけでしょう。  だから、そういう点は、企業倫理としてどういう手を打つべきかということくらいわきまえない企業なんというものは、私は商道からしてもはずれておると思うのですよ。そのことを言っているわけですが、その点について、私は、今後のこともありますから、その辺しっかりと、大蔵省にしても通産省にしても、ほんとう姿勢を正さすというくらいのことはまずやるべきじゃないかと思っておるのです。出てきたから認可をするということでなくて、そういう何百万の住民に対する偽りになってくるわけですから、その辺の手当ては当然行なわれるべきじゃないかと思いますが、どうですか。企業というものはかって気ままに、そんなことを住民に約束しても燃料が上がったから上げてもいいのだ、こういう論法で出てくるのが常道でしょうか。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 企業によりましては、地域企業また住民との間にいろんないきさつがありましょうから、いきさつに応じて礼儀正しい節度のある態度をとるべきである、こういうふうに思うのです。政府といたしましても、今回の事態につきましては国民に御納得願う努力をしなければならぬ。また、現に通産省では、その後のいきさつについてはいろんな方法で解明をしておりますし、官房長官も談話を特に発表いたしまして、国民の御理解を求めるという努力をしております。  企業のほうでも、さようないきさつがあるなら、いきさつはこうだったが、こういう事態になったのでひとつ御理解願いたいという努力をすべきだ、かように考えます。通産省のほうもそのようにひとつ指導してもらいたい、かように考えます。
  17. 山原健二郎

    山原委員 通産省のほうも、いま話したようなことでございますが、おそらく直接の指導なり助言もされると思うのですね。そういう点について、いま大蔵大臣がおっしゃいましたが、やはり今後の問題として姿勢を正していただきたい。いかがでしょうか。
  18. 森下元晴

    森下政府委員 電気事業地域独占でございます。また、いわゆる公益性の非常に強い企業でございまして、当然県民または国民納得のいく料金、またその改定でなくてはいけない。四国電力につきましては、昨年値上げをいたしたときに、先生指摘のように、三年間値上げはしないというようなことを私も実は新聞等で見まして、これは当然だと思いました。しかし、結果的に考えてみました場合に、油がこういう異常事態高騰するということはだれも予期しない時期でございまして、人によりましては、四国電力とか関西電力は少し早まったのではないだろうか、そういう声も実は聞いたような時点もございます。しかしながら、情勢は急激に石油の削減また石油高騰という形になってきたわけでございまして、結果的には上げざるを得なかった。  特に、四国の場合には、両方合わせた場合に東京電力とほぼ同じくらいの高い値上げ率になった。その原因は、部長がお答えしましたように、火力のウエートが非常に強い、こういうことで数字的には御説明できるわけでございますけれども、他の電力会社と違いまして二回にわたってやったということについては、やはり四国電力としては四国県民方々理解を求めるとか釈明をする、そういう手段、方法は当然より入念にやるべきであった、私自身も四国人間としてこういう考え方は持っております。  なお、通産省としては、やはり全般にわたっても、申請後急に異常なスピードで承認をしたようないきさつもございまして、少し後手でございますけれども国民各位に、なぜ電力料金を上げたんだというPR、また了解していただくためのいろいろな資料等を出すことは今後とも続けていかなければいけない。総理も、これは新聞ででございますけれども、そういう発言をなさったことも聞いておりまして、やはり公益企業、また地域独占であるという姿を考えました場合には、ただ電力会社は株式会社である、利益追求だということではいけない。やはり公益性というものを前面に押し出して、県民国民納得のいく政策を通じて、電力の確保、また民生の安定にも協力しなければいけない。通産省もそういう強い姿勢でこれからも指導していきたいし、また、過去におきますいろいろな不手ぎわ等につきましては、われわれも認めておる点もございまして、特に四国の場合には二度にわたって上げた、他の地域に比べてのそういう不満があることはわれわれも承知しております。今後ともそういう点は指導していきたいと思っております。
  19. 山原健二郎

    山原委員 私も全くしろうとでわかりませんし、この委員会におきましてこの問題がいままでどういう討議がなされたかという経過も知らない。たいへん失礼な話で、飛び込んできたようなかっこうになっていますが、少なくとも関西電力四国電力については多少手控えてよかったのではないか。申請にしましても、時期をずらすとか——いずれは上げなければならない時期は来ると思うのですよ。それは企業努力も必要だと思いますね。四国電力のごときは三十億をこすビルも建てておりますね。そういうことから考えましても、四国住民から見たならば、ビルは大きいのを建てておる、一方では原子力発電所を伊方につくっておるというようなことで、それほどお困りになっていないのじゃないかというような気持ちもあるわけですね。  そうすると、九月に上げたばっかりでございますから、今度申請する場合には少しは遠慮をして次の機会申請をするとか、まあ普通の人間であればそうしますわね。そういう普通の人間らしい気持ちがはたして電力企業というものにあるのかという疑問を持つわけです。他の企業はこの前は値上げしておりませから今度申請をしますね。油の値上がりによって申請します。その際に一緒にくっついて値上げをするというのは、これはそういう仕組みになっておるのかどうか私はわかりませんが、そういう仕組みでしょうか。かりにそういう仕組みであったとしても、その辺の手控えとか住民感情に何か訴えるものがここでなぜ出てこないのかという点、申請認可関係がよくわかりませんけれども、それはどうなっているのでしょうか。なぜこの際、四電と関電がやらなければならなかったのか、どう考えてもわからないのですね。
  20. 森下元晴

    森下政府委員 一斉に値上げを認めるか、また間を置いてやるかは、いろいろ論議があったことでございます。先生指摘のような議論も、もちろんございました。一斉にやるために、その理論づけということは必要でございますし、また納得するだけの資料ももちろん必要であることは事実でございます。だから、今回の一斉値上げについて、四国、関西については昨年上げたということの国民的な、また県民的な感情もよく勘案して一斉値上げに踏み切った、こういう事情でございまして、具体的な内容につきましては、公益部長が来ておりますので、部長から説明をさせます。
  21. 岸田文武

    岸田政府委員 一年以内に二度の値上げ申請を行なうということは、私どもの経験といたしましてもまことに異例のことでございます。特に、昨年認可いたします際に、今後三年間の原価を想定いたしまして、その間の必要な経費を一応織り込んで料金が決定された。確かにその後事態が急激に変化をしたことは事実でございますけれども、そうは申しましても、さらに値上げをするということにつきましては、私どもとしても非常に心苦しい感じを持っておるところでございます。私としても、御意見のとおり、今回の値上げについては、四国電力はやはりその必要性について管下の消費者方々理解を求めるよう最大限努力をする、それと同時に、一たん今回決定されました料金が少しでも長くもつように、これまた精一ぱい努力を払う、これらはいわば当然のことではないか、こう感じておるところでございます。  ただ、私どももこの間の事情十分頭の中に入れております。最終の査定された値上げ率につきましても、全国の九電力の中で、石炭の比率の高い北海道を除きましては最低の値上げ率になっておる、この間の事情も御理解をいただきたいと思います。
  22. 山原健二郎

    山原委員 私は四国電力を例にあげまして、企業姿勢についていま申し上げているわけですけれども四国電力は、電力消費者に供給しておるという考え方だけでものごとを考えたらいけないと私は思うのです。四国電力が今日まで発展をしてきた過程には、四国住民の相当な犠牲があるわけですよ。私は、吉野川にできておる御承知早明浦ダムダムサイトの町の出身なんです。あのダムができることによりまして、最初どういう宣伝がなされたかというと、このダムができたならばこの地方が、嶺北地方と呼んでおりますけれども、非常に発展する、こういうことだったのですね。しかも観光地にはなるし、そういう産業が来れば固定資産税は入るというようなことで、最初は何かバラ色のような幻想がまき散らされたわけですね。  ところが、ダム工事に入りまして、いまダムがほぼ完成した今日どうなっておるかというと、そこにあります大川村のごときは、人口はもう千何百名にまで減ってしまってどうにもならないという状態。しかも相当ずさんな工事をやっておりますから、至るところに亀裂が生じて、住民が安心して安住できないというような状態も出ておる。これは単に早明浦ダムだけではなくして、あの吉野川というたいへん清例な川が、御承知のように、徳島県へ行けば大歩危、小歩危という景勝地もあるわけですけれども、そこなんかももう水が濁ってしまうとかというようなさまざまな問題が起こっておるわけですね。この四国住民が直接受けた被害というものは非常に大きいわけです。そういう住民犠牲の上にダムがつくられ、そこで強力な電力がつくられていく。  だから、四国電力は、電力をつくって消費者に売りて、そして消費者に恩恵を与えてきたなどという考え方でものごとを考えるのは全く誤りです。数多くの犠牲がこの中にあるということを考えましたときに、今度の値上げなんかについては、当然、各県の議会に相談をするとかその意見を聞くとか、御意見には反対だけれども、今日の燃料値上げのためにどうにもならないんです、だからこうするんです、許してくださいと言うのが、企業態度だと私は思うのですよ。  これは何べん繰り返してもあれですけれども、私は事情を申し上げまして、そういう企業姿勢に対して、通産省なら通産省がやはりき然たる姿勢を持つことをここで強調したいのです。その点おわかりでしょうか。
  23. 森下元晴

    森下政府委員 私も四国の住人でございまして、四国内における電源開発状況、それから四国電力の過去の経理内容、また態度等については、詳しくはございませんけれども、かなりは聞いたり知ったりしております。そういうことで、これは先生指摘のとおりだと私は思うのです。だから、今回の一年に二回の値上げということについて、他の電力会社と違った意味で、四国電力は管内の住民方々理解を求める、またおそきに失しても、あとからでもその了解を求める、そういう機会はつくるべきである、私はこのように思っております。
  24. 山原健二郎

    山原委員 ぜひそれはやっていただきたいと思うのです。私はそういう四国電力の動きというものをこれから注意しておりたいと思っておりますから、その点お願いします。  それから次に、五月八日に公聴会が開かれておりますが、この公聴会、前の公聴会につきましては、賛成派の多数派工作が行なわれたという形跡があったわけです。そのことは国会でも私、指摘をしたわけでありますけれども、今度の場合はどうですか。この公聴会功罪といいますか、それは通産省はどういうふうに把握をされておりますか。
  25. 森下元晴

    森下政府委員 公聴会のいい悪い、功罪、これはいろいろ議論はございます。公共料金をきめる場合に、お米の値段のように米審できめる場合、また国鉄運賃をきめる場合には国会の御審議を経なければいけない。同じような公共料金の電気料金をきめる場合に、公聴会でほとんど勝負がきまってしまうような、そういうスタイルがいいかどうかですね、これはかなり検討の余地は私はあると思います。同じ会社にいたしましても、その内容がかなり違うし、需要者も違う。東京電力四国電力の場合、同じ機会公聴会の場しか求めないということにもかなり不満があるようでございます。しかも、構成の内容が百人で、大体五十人、五十人の反対者、賛成者に来ていただいて、そしていろいろ意見を出す、これを参考にしてきめていく、こういうシステムは、やはり通産省としても政府としても、将来考えるべき問題だと思います。  特に将来は、電力事情については公共性がいままで以上に強くなると私は思うのです。今回この周辺整備の法案も商工委員会、また当委員会でもその税源をお願いするための審議を願っておるわけでございます。そういう意味で、新しい事態に対処してきめる基礎的な民意をいかに反映するかという方法につきましては、私は今後これはかなり考えなければいけない、こういうふうに思っております。
  26. 山原健二郎

    山原委員 この公聴会について、公述人の意見を幾つか聞いたわけですけれども、非常にむなしさを感じているわけですね。百人、賛成反対五十人五十人と同じ数をそろえてそれぞれ公述をするわけですけれども、それはいわば言いっぱなしなんですね。言いっぱなし、聞きっぱなしということで、それが一体それから先どうなるのか。たとえば賛成の意見というのはかなり形成化された意見が出ているわけで、大体住民の中に値上げ賛成なんというのはとても考えられませんけれども、とにかくおるとして、五十人出てきてやっているわけですが、反対の立場の場合は、これは少なくとも企業の出した申請に対する反対ですから、この意見というものはかなり綿密に聞く必要もあると思うのですよ。そうしてその中で出てきたところの反対の理由に対しては、ただ聞きっぱなしではなくして、何かそれに対して回答を与えていく。当然これには回答を与えるべきだというものについては回答を与えるとか、あるいは通産省なら通産省としての見解を出すとかいう作業が介在をして、そして申請に対する認可、あるいは認可しないという、そういう結論が出るというのが公聴会を真に公聴会たらしめる一つの方策だと思います。  それを、形式的にやればとにかく終わりだ、それでもう値上げはしてもいい、申請認可してもけっこうだ、こういう一つの形式の踏み場だけになっておるということでは、今後これは非常に形骸化されたものになってしまうわけですね。ほんとう公聴会というものをやるならば、公聴会を意義あらしめるいろいろな手当てがなされるということが大事じゃないか。だから、いま言いましたように、たとえば通産省がこの質問に対しては四国電力はどう答えるかということをやって、それが存在をして最後の結論が出るということぐらいの手続を踏むのが、住民に対する誠実な態度ではないかと思います。この点、公聴会のあり方について、いろいろな改善方法があると思います。改善をしていくという姿勢を私はぜひ示していただきたいと思いますが、これについての御回答をいただきたいのです。
  27. 岸田文武

    岸田政府委員 公聴会の制度は、電気料金改定にあたりまして、広く一般の意見を聞くということのために設けられた制度でございます。今回の改正にあたりましても、五月七日、八日の両日、一部の電力会社につきましてはさらに九日、この期間におきまして関係者から賛成、反対の幅広い意見をちょっだいいたしました。私も議長をつとめまして非常に参考になる意見を聞くことができたと思っておるところでございます。  公聴会の際におきまして非常に多くの方から出された意見は、今回新しい料金制度として打ち出されましたナショナルミニマムの制度、これを百キロワットアワーで第一段を適用しているのは狭きに失する、もう少し広げるべきだという意見、これは賛成、反対の方を問わず出ておりました。これらについては、御承知のとおり、料金改定に際して織り込みました。また深夜電力がいままで安かったのに、今度は非常に高くなり過ぎたという点の御意見も、暫定的な料金を適用するという措置を今回取り入れたわけでございます。さらにまた、電気ガス税の引き下げを望む声も非常に多うございまして、これらも私ども十分頭に入れて措置をしてまいるというところでございます。その他弱い人に対する影響を緩和してほしい、これらについても、今回の供給規程改定に際しまして、そのような措置を取り入れておるわけでございます。  いま幾つかの例を申し上げましたが、私としては、公聴会においていろいろ出されました意見をなるべく尊重するという姿勢で今回臨んだ次第でございます。お話しのように、公聴会のあり方についてはさらにさらにいろいろ私どももくふう、改善をする点があると思います。引き続き検討をいたしたいと思います。
  28. 森下元晴

    森下政府委員 いま部長から説明したとおりでございますけれども、将来の問題として、先生の御意見をよく尊重して前向きで検討すべきである。将来の公共料金のあり方、特に油とか電力の問題は、いままでと比べて非常に公共性が強いという方向に行っておりますし、またそのために法案を審議していただいておるわけでございますので、公聴会のあり方自身も、やはりそれに合うように改善していくべきである、そういう私見を交えての御答弁をしたいと思います。
  29. 山原健二郎

    山原委員 わかりました。  四国電力の今日の一キロワット当たりの原価ですが、昨年の九月までと九月以降と、大体どの程度に把握をされておりますか。
  30. 岸田文武

    岸田政府委員 電灯、電力を合計いたしました平均単価といたしましては、どの程度上がったかを示す指標としては、たまたま四国電力の場合には、そのつど料金改定が行なわれておりますので、先ほどお示ししました値上げ率、これは大体実質的な総括原価の上昇率と考えてよろしいかと思っております。
  31. 山原健二郎

    山原委員 大体どれぐらいかわかりませんか。
  32. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年秋の時点において、これ以前と比べて一七%程度、それ以降の各般のコスト上昇要因を織り込みますと、四十九年度においては四五%程度、こういったことが大勢としていえると思います。
  33. 山原健二郎

    山原委員 パーセントで出されておるわけですが、四国電力の場合、電灯と電力比率は大体二・八ぐらいですね。大体そんなところでしょうか。
  34. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお示しの比率は、電灯と電力のキロワットアワーの比率でございますか。
  35. 山原健二郎

    山原委員 四国電力が供給しておる電力の使用比率ですね。
  36. 岸田文武

    岸田政府委員 いま手元に正確な数字を持ち合わせておりませんが、電灯と電力比率は、大体八割ぐらいが電力ということではないかと想像いたします。
  37. 山原健二郎

    山原委員 電力と電灯の現在のキロワットアワーですか、それの料金はわかりませんか。
  38. 岸田文武

    岸田政府委員 四国電力の場合でございますと、電灯の平均単価が十五円九十二銭、それから電力の平均単価が九円九十四銭、それを合計いたしまして、平均として十一円十六銭でございます。
  39. 山原健二郎

    山原委員 それは今度認可した結果出てくるものですか。いままでのものですか。
  40. 岸田文武

    岸田政府委員 今回改正された料金でございます。
  41. 山原健二郎

    山原委員 四国電力管内におきまして、電力の三七%を消費しておりますのが特約の十七社といわれております。この十七社の名前を教えてください。
  42. 岸田文武

    岸田政府委員 申し上げます。  東亜合成徳島工場、南海化学土佐工場、大阪曹達松山工場、東亜合成坂出工場、日本電工徳島工場、東洋電化、神戸製鋼高知工場、東京製鉄高知工場、土佐電気製鋼、宇治電気化学、三菱化成、住友鉱山佐々連工場、大王製紙川之江工場、東洋テックス高松工場、丸善石油松山工場、日本セメント土佐工場、大阪セメント高知工場、以上でございます。
  43. 山原健二郎

    山原委員 そのそれぞれの企業についての売電料金、それを教えてください。
  44. 岸田文武

    岸田政府委員 個々の企業の売電料金はいわば仕入れ原料の価格でございますので、その個々の内容を申し上げることは御遠慮さしていただきたいと思います。この点につきましては商工委員会でも御質問がございましたが、そのように計らっていただきました。
  45. 山原健二郎

    山原委員 三七%を消費する圧倒的な消費量、しかもそれは十七の会社、その売電料というものが言えないと言うのですか。それはどうしてですか。
  46. 岸田文武

    岸田政府委員 特約料金の平均単価については、私どもすでに公表いたしております。
  47. 山原健二郎

    山原委員 平均単価は何ぼですか。
  48. 岸田文武

    岸田政府委員 昭和四十七年度におきまして、大口電力特約、四国の場合の平均単価は三円二十七銭でございます。
  49. 山原健二郎

    山原委員 三円二十七銭。いま電灯料十五円幾らですね。ずいぶん違うのですね。この中で一番消費量の多い企業はどれですか。
  50. 岸田文武

    岸田政府委員 正確な数字は手元に持ち合わせませんが、おそらくアルミの三菱化成ではないかと想像されます。
  51. 山原健二郎

    山原委員 三菱化成が一番多いことは、これはアルミからいいましても——四国電力の坂出の番の州にできておる火力発電所のそばに三菱化成があるわけですね。三菱化成に対する売電料金はどれくらいですか。
  52. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申し上げましたような事情で、特定の会社に対する特約料金を申し上げることは御遠慮させていただきたいと思います。
  53. 山原健二郎

    山原委員 これ以上聞いても言わないと思いますけれども、ここがわからないのですよ。だからどうにもならない。だれにわかっておるのですか。皆さん知っておるのでしょうね。それを言えない。四国電力の中ではだれが知っておるのですか。私は企業に行って聞きたいと思うのですよ。重役ですか、取締役ですか、監査役ですか。みな知っておるわけですか。どうでしょう。どの程度までみな知っておるのでしょう、この特約料金、特に三菱化成等について。
  54. 岸田文武

    岸田政府委員 特約はそれぞれの会社が需要家と契約という形で結びますので、当然四国電力承知しておると思います。  ここで、特約制度について少し補足説明しておきたいと思います。  たとえば、高圧電力あるいは超高圧電力、これらの需要家の中で、私どもは種別として特約需要家と一般需要家という二つのグループに分けております。その中で特約需要家と申しますのは、電力のコストはその使い方によって非常に違ってくる。具体的に申しますと、夏のピーク時には、いままでであれば水力の安い発電だけで十分であったところを、油をたかなければならない。それがさらに進んでまいりますと、ガスタービン等の非常に高い電気を使い、あるいは揚水発電を活用するということで、ピーク時における料金が非常に高い。これをうまくならすことによってコストを安くする道が開かれる。こういうピークの調整の可能な費用負担につきまして特約制度が開かれておるわけでございます。そのコストはいわば高圧電力あるいは特別高圧電力の中の配分の問題である、こう御理解をいただきたいと思います。
  55. 山原健二郎

    山原委員 高知県は四国電力の大株主です。これは四国電力の第二位。日本生命が一位で、第二位が高知県ですね。県民の税金によってこの四国電力の株を取得いたしております。しかも大株主です。したがって、現在監査役を四国電力に派遣しておるのですが、その監査役も当然知っておると思います。それが言えないということは、四国電力企業側の秘密なんですか。
  56. 岸田文武

    岸田政府委員 四国電力の秘密と申しますよりは、需要家相互間で公表を望まないという性格のものかと思います。
  57. 山原健二郎

    山原委員 平均三円二十七銭というのは原価を割っていますね。おそらく今度の認可によって原価は六円程度になるのではないかと私は思いますが、その計算だけはしっかりしてくださいよ、私はきのう言ってありますからね。四国電力の原価は幾らですか。
  58. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申し上げました数字は、お断わりいたしましたように四十七年度の特約平均単価でございます。その後、四十八年に改正をされ、また四十九年度の改正も行なわれました。特に、このたび四国電力全体につきまして料金改定が行なわれましたのを機会に、もう一度特約料金自体の洗い直しが必要になってきております。おそらくその際の事情に応じた改正が行なわれるだろうと思います。  私どもは、特約料金を決定をいたしますときに、いわば大口電力の電圧種別にそのコストを償うような料金を設定するという考え方でございまして、原価を割るというような算定はいたしません。
  59. 山原健二郎

    山原委員 だけれども、大口の特約、それが原価を割ることは絶対ありませんか。原価を割ることは絶対ない、そういうことはさせない、たとえ特約であろうとも企業同士の約束であろうとも、原価は割らせない、そういう確信がありますか。
  60. 岸田文武

    岸田政府委員 そのとおりでございます。私ども作業といたしましては、大口電力の平均単価というものをコストを償うように設定し、その中で特約需要家についてさらにコストを分析して、それに見合うような料金を設定する、こういう作業をいたします。
  61. 山原健二郎

    山原委員 いままでもそういう方針ですか。これはわれわれも調査をしますけれども、単価を割って赤字を出す、しかもそれが大口大量の消費量を持っておる、それを赤字まで出してやっている。帳面づらを合わせて赤字にはならないようなかっこうをするかもしれない、これはわからぬわけですから。けれども、そんなことを今度の値上げによって一般の需要家、家庭に対してしりぬぐいをさすという思想があったら、これはたいへんなことです。それは絶対ないと言えますか。
  62. 岸田文武

    岸田政府委員 一般に申しまして、大口需要家の料金も電圧別に定められております。大体六万ボルトぐらいの料金が設定されているのが普通でございますが、特約需要家の場合には、十万、二十万ボルトの需要家ということでございまして、当然送電ロスも少なくて済む。こういったコストの面を研究いたしますと同時に、先ほど触れましたように、時間帯別に操業方法を改めるとか、あるいは夏と冬とのピークを調整するとか、こういったことによってコストが安くなる、これを織り込みながら料金を設定する考え方でございまして、コストは償うという考え方でやっております。
  63. 山原健二郎

    山原委員 これはまさに奇々怪々な状態ですね。三七%も占めておる十七の会社、これが四国電力の使用の圧倒的多数を占めているわけですね。その中でもおそらく三菱化成、非常に契約は安くなっておると思いますが、それがわからない。三七%を占めておる部分が住民にとって不明である、もやもやしている、そんな状態で電気料金値上げ認可するなんてとんでもない話だ。それを明らかにするのが私は政府の仕事だと思うのですよ。いつまでもそんなことをもやもやにしていくものですから、どうにも話をしてもそこへ行っては逃げてしまう、こういうことになるわけですね。これでは住民は絶対納得しません。  これからもなお追及いたしますが、時間がだいぶ過ぎたようでありますので私の質問を終わりますが、最後に大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、いま言いましたような状態、そういう不明な部分が相当パーセントを占めておるという状態ですね。住民だけは料金がぱっと上げられてくる、それで皆さんが納得できるかというこのことです。大企業は隠す、住民は被害を受ける、こういう電気料金値上げ申請認可ということについては、私は改めていくべきだと思っておりますが、大臣の御見解を最後に伺いまして、私の質問を終わります。
  64. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は詳しいことを承知いたしておりませんので、的確なお答えをすることはできませんが、とにかく電気料金にいろいろ差等があるということにつきましては、何がゆえに差等がついておるのだということについて、これは需要者全体にわかるように説明をしておく必要があろう、かように考えます。
  65. 山原健二郎

    山原委員 ありがとうございました。
  66. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 松尾信人君。
  67. 松尾信人

    松尾委員 政務次官並びに大臣に質疑をいたすわけであります。この電源開発の基本問題、これに取り組む政府の基本姿勢、この点に関することであります。  もう大臣も政務次官も十分おわかりのとおりに、なぜ現在電源立地のおくれがあるか、電源開発がなかなかできないかという問題であります。これはもう私のほうから申し上げますけれども、環境保全の問題、安全の問題、これが大きな理由でございまして、そこに納得できがたいものがいままである。そういうことをどうしてくれるのだということから、この電源開発が非常におくれておる。ですから、その点を踏まえて、基本的に政府というものはどのようにやっていったらいいか、ここに取り組んでいくのが電源開発の基本的な政府姿勢であろう、私はこのように思うものであります。でありますから、これは相なるべくは大臣からお答え願いたいのであります。そのような電源開発が行き悩んでおるそこにある基本的な問題、それは私いま二点だけ申し上げましたが、はたしてその点の認識を大臣はどのようにお考えであるかということを、まず最初に承っておきたいと思うのです。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 電源開発にもいろいろあるわけでありますが、特に原子力発電、これについて申し上げますと、これは非常に必要になってきておる、強力に推進しなければならぬ。ところが、なかなか遅々としてそれが進まない。その理由は何かというと、二つあると思うのです。  一つは、安全性についての理解の問題、もう一つは立地的な角度の問題、つまり、公害だとかその他の社会環境でありますとか、そういうことにつきまして地域住民が歓迎するような環境というものについての配慮がいままで十分でなかった、この二点じゃないか、そういうふうに思います。
  69. 松尾信人

    松尾委員 全く同じ見解になるわけであります。であるならば、今回のこの促進税、これは部分的な促進には相なりましょうけれども、いま大臣のお答えになりましたそのような安全性の問題、環境保全の問題、これは単なる地域住民の問題でなくて日本全国民の問題であり、解決をなされなくてはなりません。そういう点からいって、今回の促進税でほんとう国民は心からの理解納得ができるかどうか。それは地域の公共団体等はいろいろ財源難でございますから、このように促進税を交付金としてあげますということで、ある程度喜ぶでありましょうけれども、この国民的な課題であるいま大臣のお答えになりましたその二点、これはどのようにしてやっていくべきであろうか、こういうことであります。  私の考えを先に申しましょう。それを批判してもらってけっこうでありますけれども、このようにやはり電源の問題は大事であります。そしていろいろ問題を解決しながらこの開発をしていかなければ相なりません。これは当然でありますが、であるならば、現在の課題そのものを解決する方向で推進されていくのが政府の基本的な施策ではなかろうか。電源開発基本法、そういう問題を取り上げまして、そして国民的な課題というものを解決しながら、他方、地域住民に対するいろいろいままでちょっとなおざりにされておりました問題もあわせて解決する。促進税法というものは、基本法の中の一つの部分にすぎない、全体的な問題の解決に相ならぬのじゃないか、こういう認識でありますが、大臣の高邁なる御所見を聞きたい。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 電源開発を妨げている要因は、ただいま特に原子力発電につきまして申し上げたのですが、二つである。その二つに対して適確な対策をとらなければ、電源開発は、特に原子力発電につきましては、これを促進し得ない、こういうふうに思います。  そこで、第一の安全性の問題につきましては、これは科学技術庁がその重大な職責としていま鋭意努力をいたしておる、そういうことでありまして、他の一面であるところの地域社会に対する環境整備の問題、これは今回の電源関係三立法、これがそれにおこたえをしようという意図でできたものであります。  私は、今回の三立法が成立すれば、これは地域社会に対するかなり大きな改善ということになり、これをもととして立地問題という角度の隘路というものはおおかた解決し得るのではないか、こういうふうに考えております。  いま、基本法をつくって、そしてそれから始めよというのですが、もう基本法をまつまでもないのです。すでに電源開発促進法という法律がある。それを今回整備しよう、こういうわけであります。そんな基本法だなんだといっておるいとまもないくらい緊要な問題になってきているのであります。基本法的構想につきましてはいろいろ御議論もありましょう。ありましょうが、さしあたってとにかくこの電源開発促進法を整備して、そして地域社会の発電所を迎える環境整備、これの万全をはかりたい、かように考えておるわけであります。
  71. 松尾信人

    松尾委員 安全性の問題、基本法的な考え、これは原子力の安全審査会もありまするし、主管担当もありますし、科学技術の特別委員会もある。そういうものがありながら現在なおこの安全性の問題は国民理解を得ておりません。また、私が原子力発電における事故、最近二年間くらいの事故をお出しなさい、事故の原因をそれに合わせて述べなさいと言いましても、いまだその私の要求しておる資料は出ませんというぐらいに、やはり事故がたくさんありまするし、その事故のいろいろの個々の原因究明というものが非常にむずかしい。また、突発的な予測せざる事故というものが次々と出ておるわけであります。  でありますから、国民総意の納得ということをやはり前提とするならば、いまばらばらであるそういうものに関して、この安全性についてはこのようにきちっとやる、環境の保全の問題公害の問題はこのようにやる、そして取り残された地域方々に対してはこのようにやるというような、全面的なそういうものがやはりないと、いま大臣もおっしゃいましたが、この法案が応急的なものである、待っておられぬ、それはもう当然であります。待ってもおられません。でありますけれども、そのようなびほう的な策だけに追われておるのは、いかにも高邁なる意見を常に述べられる大蔵大臣としては、私は少し通産省考え方に乗って早く促進していこうという考え方にあまり片寄り過ぎておられたような気がするのですよ。ひとつ大きな政治力、こういうものが要る課題でありますから、やがて審議会のほうから中間答申も出てまいります。そういうものをかみ合わせて、通産大臣は、そういうものをひとつ基本的に研究してそして国民の総意の納得できるような方向で考えていきたいというようなことも言っておりますが、ひとつ大蔵大臣におかれましても、このような税法も考えておるわけでありますから、そこに大きな政府の助成措置が要ります。  もう一回、基本的な問題について、やはり電源開発が重要でありますから、その点について応急的な問題だけでなく、基本的な問題をどうしていくかという取り組み方をお示し願いたい、こう思います。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 電源開発必要性につきまして広く国民理解を得るということは、もう電源開発を進める上においてどうしても必要なことだろうと思うのです。そういう上において基本法をつくるということが意義があるということであれば、これは検討してみる価値のある問題である、こういうふうに考えます。ですから、なお政府がそういうものは全然相手にしませんというような態度でなくて、これは、電源開発いまや非常に緊要なものである、そういう緊要な政治課題とこの基本法との関係、位置づけというものがどういうふうになるかということをよく考えながら検討すべき問題である。  しかし、それにいたしましても、とにかく基本法ですから、これはなかなか時間もかかります。したがって、さしあたって電力三法、これのほうはひとつ早急に御促進をお願いしたいということを申しているわけであります。
  73. 松尾信人

    松尾委員 では、ひとつ時間をかけて納得のできる方法を、そしてこれだったらいいなというように一番困っておる問題を——これは電源の周辺の人たちだけではありません、日本国民全体の問題であり、それは政府が基本的に解決すべき大課題であります。これはよろしく検討するように進めてもらいたい。  それから、今回の促進税でありますけれども、結局、これは消費者電力料金にはね返ってくるわけであります。今回また電力料金が大幅に上がりました。電灯料金も上がりまして、家庭におきましてはこのような物価高騰のおりからまた電力料金も大幅に上がった。いま国民のほうはよくわかっておりませんが、この促進税というものがまたまた家庭にはね返ってくるというような問題は、電力消費者からやはりそういうものを取っておいて周辺地域の人にあげます、こういうふうになるわけでありますから、そこはやはり国民的にいっても料金も上がったし、また負担的にいえば地域のためにわれわれも負担させられておる。お金の計算をすればこのくらいでございますと答えが出ると思います。それも聞きたいと思うのでありますけれども、心情的にはまたかというような、これはもう否定することができない現実の問題である、こう思います。これが三年、五年の時限立法でありませんので、何年間お続けになるのかわかりませんが、その間やはり物価の問題でありまするので、消費者運動というものによってどんどんわかってくる。そうすると、今度大蔵省に対しまして、あなたがそういう税金を取るから困っているのだ、基本的な公害問題だとか安全性の問題をほっぽらかしておいて地域のことだけやっておるではないか、このような責めを今度は大蔵大臣が受けるわけです、これはたまったものじゃない、こう思うのであります。緊急、応急的な措置としてお考えということでありますので、あえて私は否定はしませんけれども、これはいい税金じゃないのだ。せめて政府の一般予算から、かりに本年度百一億、平年度三百三億というこういうものを——今度電力料金もうんと上がりましたし、またまた促進税というものが三百三億かかるわけでありますから、大蔵大臣とされましては何かお考えになっていくべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  74. 福田赳夫

    福田国務大臣 電力料金の問題、今度改定になったわけですが、いま御指摘の今度の電源開発促進税と家庭との関係はどうなるか、こういうことでございます。私はこれは直接関係があるというふうには理解いたしておりません。問題はその電力料金がどういうふうにきまるかということによって家庭との関係が出てくる、こういうふうに思うわけであります。しかし、御承知のように、今度の電力料金改定におきましても家庭への負担を総合的に低くなるように配慮しておる。こういうような事情がありますので、この税と家庭との間に、直接、税がこれだけふえたからこれだけ家庭の負担がふえましたというような関係にはなっておらない、要するに料金のきめ方が問題である、こういうふうに思うのです。  それから、一般財源から支弁するようにしたらどうだという御意見に対しましては、それはやはり予算を編成する過程においては一度考えてみたのです。それで、一時は財源も用意をしてみたんです。御意見のとおりのような考えをしてみたのですが、何せ電力の需給の今後を考えてみますると、なかなか安心できないものがある。そこへもってきて、これからは石油問題というものが非常に窮屈な状態になる。そこで、どうしても原子力発電というものにウエートをかけなければならない。そしてそういう考え方のもとに、とにかく電力の需給についてはいささかも不安のない体制を確立する、これが焦眉の問題である、そういう考え方から、かつてガソリン税を特定財源として道路整備を進めた、そういうような考え方にならいまして、これは会計原則、財政論理からいうと一大例外になるわけではございまするけれども、新たに電源開発税を創設してそれを目的財源とする。そしてこれを特別会計をもって経理するということにいたしまして、電源開発を妨げておる二つの要因の中の一つであるところの立地的諸問題を解決しよう、こういう結論に達したわけです。非常に異例なことでありますが、電力問題というものはその異例な措置をとるだけの緊切なる課題となっておる、そういう認識に立つものでございます。
  75. 松尾信人

    松尾委員 発電所の周辺地域の整備の問題ももちろんでありますが、過疎過密、こういった地域の整備、地域住民の福祉というような問題は、基本的に政府のなすべきことでありましょう。これは憲法の二十五条にもそのような規定があります。当然政府がやるべきことである。それがおくれておる。それはやはり大蔵大臣が金を出すのをしぶるからである。各省から要求があってあれもこれもというわけにはいかぬというようなことで、さいふのひもの締め方によっておる。やはりそういうことにはかねがねもう少し力を入れて、発電所の周辺やそういう地域を整備していくのは基本的に政府の責任じゃないかと思うのです。その中から電源だ電源だというので、電源の周辺地域だけを取り上げて目的税でやる。これはやはりそういう地域を整備する政府の本来の責務もあるわけでありまして、おまけに今度は電源開発の促進をするという大きな要請というものがある。それを推進する、促進するというので目的税だけでそれをやるということは、私は納得はできがたい。いまあなたは、これはだいじょうぶだ、国民あげて賛成だ、こうはおっしゃらぬと私は思うのです。もともと本来政府がなすべき施策なんだ、その中でとりわけ急いで整備しなければいけないのだ。ですから、政府も応分の負担をしながら本来の責務を果たし、そしてやむを得ないからこのくらいは目的税としてがまん願いたい、こういう姿勢が要るんじゃないですか。
  76. 福田赳夫

    福田国務大臣 地域社会を全国的に整備しなければならぬ、これはそのとおりでございます。そういう角度から地域社会の整備につきましては過密過疎の問題、また環境整備の問題、いろいろな角度からこれを進めてきておるわけであります。私は戦後三十年間、地域社会は非常に整備されてきたと思うのです。もちろんこれはいろいろ問題をはらんでおりまするけれども、それはそれなりに進められてきたし、またこれからも進めていかなければならぬ問題だと思いまするけれども、さて、その一般的な地域社会の整備の趨勢の中で発電所周辺地域、この問題はこれは特殊性があると思うのです。つまり、発電所を整備ができなければ、電力の需給問題は非常に重大問題化する。これは日本の国の経済の根幹をゆすぶるようなことにまで発展しかねない、そういうことになりますれば、国民生活にも重大な影響がある。こういうことで、当面の需給状態を考えると、発電所の整備ということをほうっておくわけにいかぬ。そこで、これは特殊中の特殊な財政方式でありまするけれども、特別財源を設定し、特別会計を設置する、こういう方式をとったわけであります。電源開発がいかに重要であるか、また緊切な問題になってきておるかということの御認識をいただきますれば、政府のとったこの今回の措置につきましても御理解が賜われるのではないか、そういうふうに考えます。
  77. 松尾信人

    松尾委員 時間がなくなりましたので、もうあまりくどくは申しませんけれども、いまのお答えは非常に消極的であると私は感じます。やはり基本的な問題は、まず政府が取り組むということが一つ。それから、国民納得を得るような方法を講じて、もう少し深く検討してなさるべきであるということが二点ですね。そういう二点におきまして、現在電源開発が行き悩んでおる問題も、この促進税では部分的な促進になるだけであって、基本的な問題の解決ではないから、真の意味における促進にはならぬじゃないかという大きな疑問があるわけですね。そういう問題をやはり真剣に、まっこうから取り組んでいかれまして、これは大いに研究する問題である、こうおっしゃっております。それから、そういう電源の周辺地域の整備の問題は、これはやはり国家的な、本来の行政の問題であります。それに、目的税で消費者からだけ取っておいてそれを充当する、これではやはり私は、国民納得は全面的に得られない。やはりお考えになるべきであろう。  それで、きょう私は資料だけを要求いたしますけれども、確かに電力料金と税とは別問題であります。であるならば、この電力会社が払っておる租税、それがどのように電力料金に入っておるか、今回の促進税というものが電力料金の中にどのように入るか、この二点を委員長に私は要望いたしまして、資料を出してもらう。ほんとうは、ここでやりたかったのでありますけれども、時間が参りましたので、私はこれをあえて問題として追及いたしません。しかし、租税というものが必ず電力料金の中に入っておるわけでありますから、今回の促進税というものはまるまる入るわけでありますから、そういう意味におきましても、やはり将来の方向としては促進税というものを早く時限立法に改めて、そうして基本的には原子力等の問題もありましょう、安全性をしっかり開発しながら、納得のいく国家の施策としての、予算的な問題等も含めた御検討を私は強く要望しておきます。  ここで一言大臣のお答えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 御要請資料につきましては、委員長より要求がありますれば御提出いたします。
  79. 松尾信人

    松尾委員 資料だけですか。考え方、基本的な問題を一言……。
  80. 福田赳夫

    福田国務大臣 松尾さんの御意見は、電源問題の重要性を御認識してくださいまして、そして、これに対処するためには基本法的な総合的な考え方をひとつこの際打ち立てて、その上に諸施策を進むべし、こういうお話でございますが、お考えの御趣旨は、私は十分理解できます。電源開発というものが必要なるゆえんということを国民理解していただくという上におきまして、そういう考え方が有効であるということでありますれば、大いに考うべき問題じゃないか、そういうふうに思います。  しかし、とにかくそういうむずかしい問題に取り組んでおるといういとまが、いまないのでございます。そこで、発電三法、これはぜひ至急お願いしたいというので、三法の改正案並びに新立法の御審議をお願いしておる、こういうことでございますが、とにかく非常に重大な問題に取り組もうとしておるという点にひとつ御理解賜わりまして、御賛同あらんことを心からお願い申し上げます。
  81. 松尾信人

    松尾委員 終わります。
  82. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 内海清君。   〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
  83. 内海清

    ○内海(清)委員 今回のこれは、通産にかけられております発電用施設周辺地域整備法、これを受けて大蔵に二法が提案されたわけであります。そこで、やはり通産にかかっておるものがこれは母法的なものでございます。これにつきましても若干お伺いして、はっきりいたしたいと思うのであります。  まずお伺いしておきたいと思いますことは、わが国の経済が安定成長に向きましても、今後エネルギーの需要がだんだんとふえてくるということは当然だと思うのであります。ことに、国民生活が豊かになってまいりますと、エネルギー、ことに電気でありますが、これがますます必要になってくる。ところが、御承知のように、昨年の石油ショック以来いろいろな問題が出てまいりました。ことにまた、電力料金値上げされるというふうなことがありますし、このエネルギー問題を中心にして、今後は、いわゆる省エネルギーあるいは省資源の方向に進んでいかなければならぬと思うのであります。そういうことも勘案し、同時に、いま総需要の抑制ということから、産業も、これは不況とまではいかぬかもしれませんが、非常に停滞しておる状況でありますので、現時点におきましては、このエネルギーの需給問題もいろいろな方面から考えられると思う。しかしながら、今後を考えますと、どうしてもこれは需要がふえてくることは明らかなことであります。そこで、発電施設の立地というものがいま問題になって、なかなかうまくいかないということが、今回のこの法案の出された一つの大きな意義だと思うのであります。  そこで、まずお伺いしたいと思いますことは、いま立地問題が非常に困難であるという基本的な問題、どういうことが基本的な問題として立地問題が非常に困難であるか、これをひとつ通産当局にお伺いしたい。
  84. 森下元晴

    森下政府委員 立地を阻害する要因の第一は、環境保全の問題、いわゆる環境を破壊するかもわからないという心配に対する反対もございます。それから、安全に対する心配、特に原子力発電につきましては、安全に対する心配が非常に強うございます。それと、やはり地域といたしましては、そういう犠牲を受けながら、立地するに対して報われるところが非常に少ない、やはりエネルギーは国民生活に非常に重要な影響を及ぼしておりますし、また産業等の原動力でございます。そのわりには、立地地点の受ける恩恵は非常に少ない。そういうような不満感が立地の促進を非常に阻害しておる。大体この三つの考え方が、今回の立法の趣旨でございます。
  85. 内海清

    ○内海(清)委員 これはわれわれもそういうふうに見ておりますが、ことに、わが国は島国でございまして、いま資源の問題も、海外で開発して日本に資源を求めるというふうな方向も考えられておるようであります。この発電の場合は、海外立地ということが、島国であるために非常に困難である、このことも一つ考えなければならぬ。そうすると、この狭い日本でもって今後の需要を満たしていくということなんであります。もちろん、非常な困難な問題、政府がいろいろ行政指導をやってこられましたろうけれども、これは会社自身としても考えなければならぬ問題がずいぶんあるわけでございます。それがいままでどれだけ考えられてきたかということ、これもひとつ十分検討する要がある。だから、ことに政府としては、これらの問題の中で、いまの地元に対するメリットが少ない、これを補うために今回の措置が緊要なということに相なっておるんだと思うのであります。  もちろん、公害の問題、安全の問題、政府が強力な指導をしていかなければ民間だけではできないと思いますが、しかし、これは民間企業会社自身が十分に進めていかなければならぬ問題である、私は基本的にはそう思うのであります。それに対して、いままでこの公害、まあ安全の問題は主として科学技術庁でありますが、この公害、安全の問題等につきまして、これは通産省も科学技術庁もおいでのようでありますが、いままでどういうふうな基本的な考えでもって指導してこられたか、それをひとつお伺いしておきます。
  86. 岸田文武

    岸田政府委員 まず公害の問題についてお答えをさせていただきます。  最近、公害でやはり大きな問題になっておりますものは、硫黄酸化物の問題でございます。この面では、電力会社のたきます油というものが従来から非常に大きな地位を占めておりました。したがって、この面における公害防止対策ということは、電気事業がこれから健全な発達を遂げるために、基本的な課題になっておるわけでございます。対応策といたしまして考えられますことは、まず第一に、いかにして硫黄分の少ない油を確保するかということでございます。最近、公害防止協定等によりまして、非常に低い環境容量、環境基準が定められております。これに適合するためにミナスの油を中心とします低硫黄重油の確保、これについては最大限努力を払っております。おそらく今年度に使用する燃料におきます平均の硫黄分は、〇・五%前後になっておるのではないかと思います。さらにまた、こういった燃料の確保と並びまして、排煙脱硫装置の整備ということも、電力会社それぞれの計画をもちまして整備を進めておるところでございます。  他方、最近問題になっておりますのは窒素酸化物の問題あるいは温排水の問題でございます。これらのうち窒素酸化物につきましては、各社とも燃焼方法の改善等によって対応策を講じております。温排水の問題につきましても、排水口の設計の問題等によりまして、これを少しでも影響を少なくするような努力を続けてきておるところでございます。  これらの努力と並びまして、将来のこういった面での技術開発が大きな課題でございまして、これは政府も各種の助成策を講じておりますが、企業自体も、いま申し上げました諸般の公害をいかに少なくするかということについて、共同して研究を進めておるという現状でございます。  原子力の安全問題については、科学技術庁からお答えがあろうかと思います。
  87. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 原子力発電所の安全問題につきましては、先生指摘のとおり、まず第一に、この施設をつくるメーカー、それからそれを設置いたします電気事業者、この両者が安全の確保に最大限努力を払うべきである、これは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、原子力発電所につきましては、在来技術とやや違いまして、そこに内在する危険の可能性というのが高いということがございますために、政府といたしましては、このメーカーあるいは電気事業者がそれだけ努力した、その上にさらに加えまして、この施設の設置をいたしますときに法律に基づきまして安全審査ということをいたしまして、いかなる事態が起こっても安全であるということを確認しない限りこの設置を許可しない、こういう制度になっておるわけでございます。  そこで、安全と申しますのは、一口で申しますと、周辺公衆に被害を及ぼさないということが安全の基本的な考え方でございます。したがいまして、いろいろ機械の故障、誤操作その他がございましても、終局的に周辺公衆には安全である、被害を及ぼさない、それを確認いたしまして初めて設置が許可され、さらにその当初計画どおりに施設ができておるかどうかの検査、あるいは設計を十分審査し検査を十分いたしまして、さらに実際に運転に入りましてからも、常時この安全性の確認を行なっております。たとえば、放射性の物質が原子力発電所からどの程度出ておるか、それが周辺の公衆にいささかも被害を与えないという程度に低くなっておるかどうか、そういうところまで確認をして実験が行なわれておるわけでございます。  なお、原子力発電所固有の問題ではございませんが、たとえば温排水というような問題で環境への影響があるということも事実でございますので、この点につきましては特に通産省が御主管でございますので、通産省の御検討の結果を待ちまして、科学技術庁と申しますか、原子力委員会の安全審査の場におきましても、安全審査の結果とこの通産省の環境問題の御審査の結果とあわせまして、総合的に判断をいたしまして安全を確認いたしておる次第でございます。
  88. 内海清

    ○内海(清)委員 いま両省から御説明がございましたが、基本的な指導はそういうことだ。しかし、安全の問題につきましても、たとえば重油を入れるときに硫黄分のできるだけ少ないものを入れるようなことも必要であります。それから企業等におきましても、そういういろいろ公害を出さないような研究をすることも当然であります。しかし、そういうふうな問題につきまして、政府としてここまでくるまでに指導が足らなかったのではないか、したがって、この段階に来てこういうふうな法案を出さなければ、すべての産業国民生活の基本である電源が確保できない、こういうことに追い込まれたと思うのであります。こういう問題につきましては、ただこういうふうな金でもって地元を納得させようというふうないき方でなしに、もっと基本的な考え方か確立しておらなければ私はいかぬのだと思うのであります。これは一朝にしてこういう事態になったわけではございません。今日までの長い間の政府の行政指導なり企業のあり方というものが今日の状態を招いた、こういうことだと私は思うのであります。  まあ原子力の安全の問題につきましては、私は科学技術特別委員会のほうにもおるものでございますから、いろいろいままで議論もしてきておりますが、いずれあと時間があればまたお伺いしたいとも思いますけれども、いろいろ指導して周辺にいささかの不安も与えないということであっても、これを地元民が納得しなければ、いかに今回のような処置をとりましても、終局的には解決しない、根本的には解決しないということだと思うのであります。なるほど、今回のこの整備法につきまして、いろいろそういう立地の地元の自治体のほうからは何とか通してくれということのようでございますが、そこの理事者としてはこれは当然だと思うのでありますが、これではたして基本的な解決ができるかどうか。この問題は私はなお残るだろうと思うのであります。そういうことにつきまして通産省はどう考えるか。
  89. 岸田文武

    岸田政府委員 公害問題にいかに対処するかということは、電力会社にとっては、これから迎えます一番大きな課題であろうと思います。先ほども申し上げましたように、各種の公害防止対策を積極的に進めておりまして、各種の投資の中で公害防止投資の占める比率は、電力会社の場合、すでに三割程度に達しておるところでございます。ただ、御指摘のように、設備ができたからそれでいいというものではなくて、現に住民方々は、発電所ができて公害が発生しはしないかといろいろの御懸念を持っておられると思います。これらにつきまして、自分自分の努力の結果を住民方々理解していただく努力、これまた非常に大きな重要な課題であろうと思っております。電力会社に対しましては、このような面につきまして今後とも十分努力するように指導してまいりたいと思います。
  90. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は、いまここで議論してもなかなか解決のつく問題じゃございません。しかし、そういう今日までの過程における基本的な施策に一つの欠陥があったということは、私は十分指摘し得ると思うのであります。  そこで、少し電気の問題についてお尋ねしてみたいと思うのであります。電気の供給力に対しまする問題で非常に大事な点は、いわゆる予備率の問題だと思うのであります。御承知のように、昨年の四十八年の夏ですか、いわゆる電力危機が叫ばれた。このときは確かに予備率は三・七くらいに下がったわけであります。普通安全といわれておるのが八ないし一〇%ということであります。ところが、何とか切り抜けた。しかし、ことしの夏は、さっきもちょっと申しましたけれども、いろいろな問題から政府も節約ということを奨励しておられますし、節約ムードも国民の間にある程度生まれてきた。同時に、電力料金値上げということ、これはこの促進税も含めまして。こういう問題がございますから、これに対する国民の経済的な考え方もまた出てくるだろう。それから産業の面からいって、いま不況とまでは言い得ないかもしれぬが、ある程度の不況が生まれてきているというふうなことであります。したがって、需要がいままでのように年々一〇%以上というふうなことにはならぬのじゃなかろうかというふうに思いますし、同時に、去年からことしまでの一年間におきまして、稼働いたしました施設があるだろう。そういうものを考えますと、まあこの夏は何とかいくのじゃなかろうかと思いますが、見通しはいかがでございますか。
  91. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年の夏は実は数十年ぶりの渇水でございました。加えまして、夏の暑さが予想より非常に早く来、それがたまたま発電所の補修時期にぶつかりまして、非常な電力の危機を迎えたわけでございます。   〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕 予備力三・六というお話がございましたが、二、三の社におきましては予備力ゼロでございまして、全国各地から電気を集めてようやく供給を維持したという実情にあったわけでございます。  ただ、ことしにつきましては、お話にもございましたように、若干の設備の増強が行なわれております。他面で、昨年暮れ以来の電気の使用制限に関する各種の措置の結果としまして、それぞれのユーザーで何とか電気を合理化しようという動きが、私ども数字を見ておりましても感ぜられるところでございます。したがいまして、ことしの夏に関しましては、一応数字の上では去年より悪くなることはないと感じておるところでございます。ただ、御承知のとおり、光化学スモッグができますと、場合によっては二〇%程度の出力抑制を要請されることがございまして、こういったときにいかにうまく電気の需給を合わせていくかというような点につきまして、いまから研究を開始しておるところでございます。将来の問題につきましてはなおいろいろ問題がございますが、当面四十八年、四十九年の状況については、以上申し上げたところでございます。
  92. 内海清

    ○内海(清)委員 本年は私どもの考えましたことと大体一致しているようでありますが、たちまちの問題はないと思います。しかし、将来を長期的に考えますと、非常に問題が多いだろうと私は思う。  そこで、お尋ねしたいと思いますのは、通産省においても、あるいは電力業界におきましても、いろいろ将来に対する試算があるだろうと思う。そのときの行き当たりばったりじゃないはずであります。それから日本の今後の産業の伸び、安定成長にいたしましても、あるいは省エネルギーの方向に行きましても、これらを勘案しての試算がなければならぬと思うのであります。電源開発の調整審議会というものがございます。ここで決定済みの答申、これは順次稼働していかなければならぬわけであります。そこで、そういうものを勘案された結果、ひとつ予備率の見通しについて、夏が一番需要が多いのでありますから八月を聞けばいいと思うのでありますが、五十年から五十三年程度までの予備率がわかればお示しいただきたい。
  93. 岸田文武

    岸田政府委員 今後の電力需給の長期的な見通しにつきましては、いまお話にもございましたように、電源開発調整審議会において毎年決定されます基本計画が一つのよりどころになろうかと思います。四十九年度の基本計画は、目下事務当局においてその内容を固めておる最中でございまして、おそらく六月には決定を見るかと思っておるところでございます。ただ、私どもはその前に事務的ないろいろ試算をしておりますので、それに即しまして御報告を申し上げたいと思います。  今後考えております需要をどういうふうにまかなっていくかということについて想定された供給力増強計画がもし順調に行きますれば、それは確かに御指摘のように、予備力は八%を確保することができるわけでございますが、現実の問題として、ここ数年、御承知のように、せっかく基本計画をつくりましてもその達成率が非常に低い。四十六年で八七%、四十七年で三十数%、四十八年度で四〇%をやっとこえたという程度でございます。そこで、かりに従来電源開発調整審議会で可決された供給力のみでこれから推移したらどうなるかという試算をいたしてみますと、四十九年度の予備力が八・四、五十年度が八・七、それから下がりまして五十一年で五・〇、五十二年で〇・七、五十三年度でマイナス二・八、こういった数字を一つの試算として持っておるところでございます。
  94. 内海清

    ○内海(清)委員 予備率がそういうことになりますと、これはたいへんなことだと思います。日本の産業なり国民生活の伸びは見込めないという状況に相なろうかと思うのです。だから、これに対して、おそらくそれを打開しなければならぬということで今回の法案なども出たと思うのです。  ところが、先ほど私が申しましたように、これのみでは解決しないと私は思う。結局、国民のこれに対する理解というものが生まれてこなければ、どうにもならぬと思うのです。まして五十三年の予備率がマイナス二・八というふうな問題、これは非常な問題である。だから、先ほど申しましたように、こういう状態になってくることは、今日までの長年の政府の行政指導の弱さといいますか、よろしきを得なかったということと、企業のこれに対する配慮が足らなかったということ、これは私は大いに責められなきやならぬ問題だと思う。今後のこの立地問題を考えてみましても、なかなか容易でございません。  これは時間がないから私から申し上げますと、いままで発電の用地で最も適したところといわれたのは、臨海でもって大容量の発電所が建設できる土地ということ、それから、大きい消費地からなるべく離れていないで近いところがいいということ、これは発電コストの関係が出てきますから当然でありましょう。さらには、発電に要しまする原材料などが容易に搬入できるような土地、大体この三つぐらいが最適とされているところだと私は思います。ところが、これがだんだんむずかしくなってきておるということは御承知のとおり。  私は、最近、一つのあれとしてだんだんと、発電所を立地することがいいか悪いかというよりも、もう少し進んだ考え方が生まれてきたと思うのであります。これは最近だったと思いますが、大阪府が関電の多奈川第二発電所について認可したという問題があります。そこで、いままではこれは建設することが是か非かということで多く判断された。私はこれは一歩進んでおると思いますけれども、大気汚染の問題がありますのでそういうことになったと思うが、その是か非かという二者択一から一歩出て、そして総量規制でもってこれを認めようというふうな方向に行ったことは、これは私は注目すべきだと思うのであります。  しかしながら、そういう総量規制というふうな問題から、二百四十万キロワットが、これを半分にせざるを得ない、こういう事態になっておるのであります。これが半分になれば、またどこかにやらなければならぬという問題がありますけれども、私はその点は今日、一般の見方が一歩前進したというふうな気がいたすのであります。そういういわゆる総量規制なら、要るだけのものはつくれぬけれども、ある程度のものはつくってよろしい、こういう方向について通産省はどう考えておられるか。今後そういうふうな方向でやはり指導していくのか、それとも、もう最適立地ということは捨てて、そうして遠隔の地、いわば僻地的なところでも、少々コストが上がってもこれはやむを得ぬ、そういうほうへどんどん持っていこうというふうな指導のしかたをされるのか、これらについてひとつお考えを聞かしていただきたいと思う。
  95. 岸田文武

    岸田政府委員 発電所の建設は、いわばこれからその場所におきまして、市町村なりあるいは住民方々との長いおつき合いの始まりだという受けとめ方をいたしておりまして、その意味におきまして、公害を出さないということは、やはり発電所建設の基本的な前提になるべきである、こう考えております。  大阪府の例をお引きになりましたが、私どもとしても、各都道府県でそれぞれ地元の立場を考えて用意をされました公害に関する各種の規制は十分尊重しながら進めてまいる必要がある、こう感じております。その際、遠隔地であるのかあるいは近隣の地であるのか、これらにつきましては、いわば立地条件選定の場合にいろいろ考えなければならない要素を含んでおると思います。御指摘のように、消費地に近いところに建設をいたしますと、送電ロス等の面で有利な面がございます。しかし逆に、地価の面あるいは現実の広がりの確保という面での難点がございます。  したがいまして、私どもは、地元とのお話し合いを続けながら、できるだけ十分な電源用地を確保し、そこの実情に応じた公害防止対策をそれぞれくふうをしていくという考え方をとっていきたいと思っております。過密地帯でありましても、たとえば、最近はLNG発電等によりまして、硫黄酸化物をほとんど伴わないような発電所の建設計画が各地でいろいろくふうをされております。こういったくふうを積み重ねていくことによって、円満な発電所の建設を進めるということにいたしたい、こう考えておるところでございます。
  96. 内海清

    ○内海(清)委員 まあこれからについてはいろいろ考えておられるようだけれども、いままでの施策が不足しておった、この点はひとつ十分肝に銘じて、今後早急に対処していただかぬとこの問題は解決しない。  同時に、重ねて申し上げますけれども、今回のこういう施設のみで立地問題が解決すると思ったら、私は大きな間違いであると思います。この点に関しては、まあたびたび申し上げるようでありますけれども、同時に、これは政府の施策のみならず、企業自体がもっと考えていかなければならぬ。どうもいままでの企業自体のあり方というものは、これはことばが悪いですが、いわゆる官僚的なにおいがあったと思う。言うことを聞かなければ、金を持っていけば解決をするというふうな考え方がある、ここに大きな間違いが生まれてきたと思うのであります。  でありますから、地元からいえば、発電所をつくれば、たとえば火力発電所であるならば、大気は汚染される、地元からの雇用はない、地元に対するメリットがない、その発電された電気というものは大体ほかの地域へ送られてしまう、これではなかなか納得しないこと当然である。だから、地元に対してはどうしてもこの公害、安全の問題、これを十分理解させなければならぬのであります。私から申しますと、むしろ基本的には、今回の措置よりもそのほうが先行すべきである、私はそう思うのであります。企業としてはどうしても過去のそういうイメージを一てきして、住民に、ほんとうにこの土地に発電所をつくってよかった、最も文化的な福祉社会に生活できるというふうな気持ちにさすこと、これがきわめて大事だと思うのであります。したがって、企業としてもこの辺ではっきりとその意識の転換をして、それを実現に移してもらわなければならぬだろうと私は思いますので、この点をひとつ強く要望しておきたいと思うのであります。  それから、科学技術庁の長官が来られましたので、私は平素委員会でいろいろ議論しておりますから、きょうは時間の関係もありますし、きわめて簡単にお尋ねしたいと思います。  さっきちょっとお尋ねしたのですが、電源施設の問題、ことに原子力の問題の安全ということにつきましては、今日までも科学技術庁を中心にしていろいろ研究もされてき、行政指導もされてきた。しかし、私がしばしば申しておりますように、これが国民理解されない。ことに立地問題では、地元の住民ほんとうに安全であるということが理解されなければならぬ。いかに政府が安全だ安全だと言い、あるいは安全審査会を通過したんだから心配ないといっても、それのみではいかぬのであります。なぜ安全か、これにはもちろん平素におけるバックグラウンドの問題もございましょうし、あるいはその地域におけるモニタリングの問題もございましょう。これは詳しくは申しませんけれども、あらゆる問題があるわけであります。そういうふうなものを会社にも十分指導し、政府国民の合意を得るようにこれをしていくということであります。ところが、言われるけれども、具体的にはなかなかこれが進展していないということであります。  私はさっきも申しましたが、今回の措置だけで立地問題が解決すると思ったら大きな間違いである。基本はやはり公害、安全の問題が国民の同意を得たときに初めてこれは解決するんだと言ったのであります。したがって、今後の安全の問題に対する国民に与える理解——私は安全問題においてわが国が世界の各国に比べてそれほどおくれておるとは考えていないのであります。ところが、わが国は、御承知のような唯一の被爆経験国であるという一つのアレルギーの問題もあるわけであります。そういう問題から考えて、わが国では特別なこれに対する措置が必要だと思うのであります。時間がございませんから、そういうことを総括的に、今後の安全を理解さす上についても、ひとつ長官の考え方をお伺いをしたい。
  97. 森山欽司

    ○森山国務大臣 内海委員指摘のごとく、この電源開発のための特別立法、あるいは特別会計法の設置、あるいは周辺地区の整備法、世にいわゆる電源三法の中で、実質上はその半ば以上が原子力と相なるわけでございますが、これは内海委員の仰せのとおり、地元に対して開発利益を還元するということでございまして、これだけでもって当面緊急性を持つ原子力発電の立て直しということに十分でないことは、申すまでもございません。何と申しましても、大前提といたしまして、安全性の確保ということについて心配のない体制ができておらなければならないし、また、そのことを国民に対して理解をしてもらわなければならない。まさに私はそのとおりであろうというふうに思うわけでございます。  ただここで、一般に世の中でまだまだわかっていただけない一つのことは、同じ発電でございましても、火力発電は、これはそもそもの初めでおわかりのとおり、とにかく電気を起こせばいいというので、石炭なり油を燃やす。油の場合はその中に硫黄分がございますから、亜硫酸ガスを出す。世にいわゆる公害が出てまいるわけでございまして、さてその公害をどうするかということで、脱硫問題が起きてくる。油から硫黄を抜く、あるいは煙から硫黄を抜く排煙脱硫というような問題になってまいりまして、公害あと処理の発電方式でございますが、原子力発電というのは、そういう意味におきましては、放射能といういわば一種の公害の先取りの科学であり、技術であり、産業である。たいへん大きな差があるわけでございます。  申すまでもないことで、先生には毎々申し上げておることでございますけれども、機械でございますから故障もあり、人間でございますからミス操作もございますが、そういうものを考えて、二重、三重に防護措置を施し、そういう事態が起きましても、かわりの機械が動くとか、あるいはまた機械がとまるとか、そういう装置になっております。よく新聞には、機械がとまるからあぶないということがございますが、機械がとまるから実は安全なんであります。それからまた、一年十二カ月のうち二カ月半、これは他の火力発電の場合も同様のようでございますが、国の監督した定期検査によりまして、燃料棒の鼻曲がりとか、あるいは蒸気発生器のこまかい管に穴があいたというようなことが発見できる。もちろんこれに対して措置をとらなければいかぬわけでございますが、そういうことがわかってくるのも、定期検査というシステムがあるからだ。だから、そういうことがわかるのは、その意味においては安全の証拠であると思うのでございまして、そういう意味で、原子力発電というのは、火力発電とは性格的に趣を異にするわけでありますが、在来の技術方式という頭で見るものですから、何か危険性があるように思う。  今日、そういうことでございますから、周辺に対するところの放射能はおよそ五ミリレムということでありまして、自然放射能が百ミリレムです。おそらくこの議事堂などは、花こう岩を使っていますから、この間科学技術特別委員会で参考人から話がありましたように、この中は百五十ミリレムぐらいあるかもしれません。ところが発電所周辺は五ミリレムぐらいでございますから、一〇%ぐらいは自然放射能は上下がございますから、その自然放射能のワク内に入っておるわけでございますし、許容五百ミリレムのそれ以下ということでありまして、その意味で、本質的には心配はない、こう私は思っておるわけでございますが、しかし、念には念を入れて、日進月歩でありますから、この安全性の確保には努力をする。そのために、安全審査機能の充実とか、安全研究の推進とか、あるいは廃棄物の再処理の問題とか、あるいは廃棄物の処置の問題等について、率直に言うと、いままでまだ十分でない面が、そういう意味においては、原子炉以外の面でございますから、そういう点に特に留意をいたしまして施策を講ずるとともに、これらの問題に政府が責任をもって当たるという姿勢を明らかにする必要があろうと思います。  いままでのように、地元の人たちから見ておりますと、何か電気会社がだいじょうぶだ、だいじょうぶだなどと言っても、それでだいじょうぶだと言っているわけにまいりませんから、やはり政府が責任をもってこれに当たり、また、心配ないのだということを明らかにすることが第一だろうと思います。政府がふらふら腰でおりますれば国民は信頼することができないわけでございますから、そういう姿勢を確立いたしますとともに、従来特に科学技術庁ではそういうほうの宣伝がまことにへたくそでございまして、こういう点についての施策が十分ではございませんでした。四十九年度から、いままでのそういう至らざる面について、特に安全性に関する正確な知識の普及とか、あるいはまたこれについて世の中の方々にわかっていただくために万全の措置をとってこれから進んでまいりまして、せっかく御審議願っている法律の趣旨がほんとうに生きるような体制を確立してまいりたいという所存でございます。どうか御理解をお願いいたします。
  98. 内海清

    ○内海(清)委員 私どもは、いま長官のお話しのようなことは、科学技術の委員会で長年政府当局から聞き飽いてきたところであります。ところが、それがさっぱり実現しない。国民はいつまでたっても原子力の安全について納得しないという状態があるわけであります。   〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕 もちろん、四十九年度は安全に対する予算もふえましたし、それに対する機構あるいは人員の問題も十分考えておられると思うのでありますけれども、これが何と申しましても先決であります。今度、地元に対して交付金が交付されて、いろいろな公共事業が進んでいくでございましょう。しかし、住民が十分理解してこの施設の建設に協力できる体制が生まれなければ、いつまでも問題は絶えぬと私は思うのであります。その点については私はもう平素いろいろ議論しておりますから、こまかい数字をあげてやりませんけれども、この際、早急にそれが実現するように、そうして地元民の理解を得られるように働きかけていただきたい。理解を得られるように啓蒙、宣伝をやってもらいたいというふうに考えるのであります。大臣に対してはまたあとでほかの党の方から御質問がございましょう。私はそれだけを、平素安全の問題について唱えておられますことを、ほんとうに実現していただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  それから、時間がありませんから、簡単ではございますけれども、いま大蔵大臣は部屋を出られましたが、ちょっと御質問したいと思います。  御承知のように、今度は目的税です。これはいままで議論をされてまいったところです。先般参考人からも、税調のほうでも手続的にたいへん遺憾であるという発言もあったわけであります。こういう目的税をつくることが財政を硬直さすということはいろいろ議論されてきたことでありますから、いまさら多くを申し上げません。これは一つの受益者負担の原則に立っておるとも思いますが、今日の状況から考えて、この問題は、低所得者に対しては電気料金と一緒に取られるわけでありますから、不利な点が生まれてくるであろうと思います。それだけそれぞれ負担がふえるわけであります。これに対して、地方税でありまする電気ガス税では、今度一%程度税率を下げて少しでも緩和をはかろうという措置がとられるようでありますが、これは低所得者に対しては不利にならぬのかどうか。わずかだと言われるかもしれません。金額的にはあるいはわずかかもしれない。しかし、その考え方は、今日の政治の姿勢からいって問題になるべきだろうと思う。これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  99. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 一般的に申しまして、目的税は財政の弾力性を失うという意味において望ましくないというふうに考えております。ただ、いかなる場合においてもそれが適当でないかと申しますと、必ずしもそうはいえないわけでございまして、目的税を負担される納税者と受益者との間に密接なつながりがあるという場合には、特別の目的税をもって、厚い施策をもって早いスピードで進めていくということは、それなりの意味があるというふうに理解をいたしておるところでございます。従来税制調査会からの意見もそういう方向で動いているわけでございますので、今回のこの税は目的税としてはまずまずふさわしいものと申しますか、一般的には目的税は好ましいものではございませんが、このような場合には許されてしかるべきものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  次に、この税は、電力会社から徴収をいたしますが、当然電力会社のコストになります関係上、電力会社が販売いたします電気のコストになっていくわけでございまして、よってもって電気料金に影響があるわけでございます。電気料金ということになりますと、ある意味で広く消費者に結果的には負担が及んでいくわけでございます。ただ、その及び方につきましては、先ほど大蔵大臣もお答え申し上げましたように、料金の立て方との関連において及んでいくわけでございまして、この税の相当額だけが直にそのまま電灯料金もしくは電力料金としてはね返っていくという形にはならないわけでございますので、何がしかの意味において電力料金を押し上げるということで働くことは御指摘のとおりでございますが、それが低所得者に影響が及ばないように、また可能な限り小さくなりますようにいたしますのは電気料金のきめ方にあるわけでございまして、今回の電気料金の決定にあたりましても、ナショナルミニマムとして少ない量の電気消費世帯についての料金改定率を低く押えておるということを通じまして、低所得層への影響をできる限り押えるという形をとっておるわけでございます。
  100. 内海清

    ○内海(清)委員 一般的な話としてはそうですね。ことに料金体系も変わってきた。確かに一般大衆の料金はある程度考えられた。しかし、これは一般的な問題であって、今回の国会でもいろいろ問題になった、いわゆる弱い人に対する配慮は特にはないということですね。
  101. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 税といたしましては、電力会社の販売電気量に応じて課税をいたしますから、そこまでの段階では特別に弱い方々に対する配慮というものは考えておらないわけでございまして、今度そのコストをどういうふうに料金に織り込むかという段階で、電気料金の問題として考えられているというふうに理解をいたしております。
  102. 内海清

    ○内海(清)委員 その点が私は、こういう税という形になりましたのでたいへん遺憾であります。  いま一つ、目的税というものは、地方税にはかなりあるでしょうが、国税ではきわめて少ないのであります。たとえば、飛行場の周辺の問題、いわゆる騒音公害、飛行場を設けるために周辺で騒音問題が起きる、これは一般会計でまかなっておりますね。私はこれと同じ性質のものだと思うのです。飛行場を置くために、それに関連したこの問題は一般会計である、電源施設の立地の問題については目的税だ、こういう点、首尾一貫しないと私は思うのでありますが、その点いかがですか。
  103. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 つい先年新たに税として設けていただきました航空機燃料税という制度がございます。航空機燃料税は、法律の上におきましては目的税という形をとっておりません。しかし、航空機燃料税見合い額は、空港整備特別会計法の附則の規定によりまして空港整備特別会計に繰り入れるという形になっておるわけでございます。したがいまして、航空機燃料税は厳密な意味で法律的には目的税にはなっておりませんが、結果といたしまして、経済的には目的税的に使用されておるわけでございます。ただ、空港整備特会の場合には、この税だけで全体がまかなわれておるわけではないわけでございまして、一応形式的にはこの税は一般会計の歳入となり、したがって一般財源扱いになりまして、それが一緒になって特別会計の財源になるという形になっております。  空港の周辺整備の場合と電源立地周辺の場合と何ゆえに扱いが異なっておるかということでございますけれども、その点につきましては、税金の大きさの問題、それから歳出の大きさの問題とからんでそういうことになっておるわけでございまして、先ほども大臣への他の委員からのお尋ねもございましたけれども、ただいま御審議いただいております開発促進税の場合には、現段階ではまずまずこの税の程度で全体の交付金が処理できるであろうという前提でありますために、この税だけで処理をしておるということでございます。しかし、同時にまた、電源開発地域はいろいろなお電源とは別の意味で開発を要するという地域でもございますから、その点はやはり従来の公共事業等一般会計で処理されるという形になっておりまして、実質的には私は両者にそれほどの差はないのではないかというふうに考えております。
  104. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろお話しでございますけれども、その点はわれわれが十分納得し得ないところであります。同時に、一たんつくりますとなかなか廃止ができないという問題がある。同時に、今後、電源施設の立地という問題は私は非常に問題があると思うのであります。たとえば、四十七年度は稼動設備が約四千六百万キロワットであるのに対して、五十五年になれば一億七百万キロワット要る、あるいは六十年になれば一億五千七百万キロワット要るという非常な伸びが予想される。それまでに十分伸びていけばある程度の均衡がとれる、いまの立地の状況ではなかなか伸びない、しかし投資はやはりしていかなければならぬ、はたしてこういうもので十分まかない得るかどうかということも考えるわけであります。だから、できることならば、さっき大臣も一応は一般財源で考えたということでありますけれども、その点はわれわれとしては、やはりこういう問題は一般財源で考えられるべきではなかったかということを思うわけであります。その点の御説明を聞いて終わります。
  105. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回、電源開発促進税を創設をいたしまして電源開発促進対策を推進する、かような考え方に立っておるわけでございますが、ただいま御審議をいただいております特別会計は、その経理を明確にするために一般会計と区分して設置をいたすわけでございます。したがいまして、そういう特別会計のたえまえなり性格から申しまして、財源はやはり目的税でございます電源開発促進税でまかなうべきものである、したがいまして、一般会計の繰り入れば考えていないわけでございまして、一般財源を充てることは適当でないのではないか、かように考えております。  また、現時点におきまして今後の電力需要の見込みなり電源開発のテンポなりを想定して試算いたしてみますと、現在予定されております電源開発促進対策の実施に必要な財源は、この電源開発促進税でまかなえるというふうに見込まれますので、実質的に見ましても一般会計の財源に依存する必要はないのではないか、かように考えておるところでございます。
  106. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろそこらは見方の違うところでありましょう。  これで終わりますが、いま申しましたような今後の電気需要を考えますと、私はたいへんな問題であると思っております。したがって、通産省なり科学技術庁なりその基本的な問題の解決のために格段の御努力をいただかなければならぬと思います。それを強く要望しまして、終わります。
  107. 松本十郎

    ○松本(十)委員長代理 広沢直樹君。
  108. 広沢直樹

    ○広沢委員 電源開発三法の審議も相当進んでまいっておりますが、特にきょうは森山長官に御出席をいただきましたので、これに関連した問題について若干お伺いしておきたいと思います。  まず最初に、今度の目的が電源開発促進ということでありますけれども、その方向というものは、これからは石油エネルギーにかわって、まあ全面的にかわるわけじゃありませんけれども、原子力エネルギーということが一つ脚光を浴びてくる。森山長官の指示によるということになっておりますが、原子力委員会で私案が出されておりますけれども、それも二十五年、三十年先まではもう原子力は最優先に開発を進めるのだ、こういうふうな意気込みのもとに私案が出されておりますね。そういう関係で、科学技術庁にしましても、あるいは原子力委員会にいたしましても、その使命というものは非常に重いものであろう、こう思います。したがって、これからの原子力エネルギー開発の方向についての長官としての所信を、まず簡単にお伺いしておきたいと思います。
  109. 森山欽司

    ○森山国務大臣 御案内のとおり、昨年の中東紛争以降、安い油がふんだんに入るという事態がすっかり変わりまして、それで、今世紀末まで二十五年間、四半世紀くらいの長期をとってみますと、国によっていろんなやり方があると思います。   〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕 石炭や石油やあるいは天然ガス等の資源に恵まれた国と、石炭や石油や資源に恵まれない国とでは、それぞれ行き方は違うわけでございまして、その一例といたしまして、アメリカなんかの場合は、石炭はふんだんにございまして、三十年から五十年といわれる時代に、三百年分くらいといわれる。露天掘りでどんどん掘るわけでありますし、それから油は一九六〇年代まで外国から輸入しないで、全部自分のところでまかなっておる。七〇年代に入って輸入に逆転したわけであります。天然ガスがふんだんにあることは御案内のとおりでございます。  そういう国でございますから、今年初めのワシントンエネルギー会議に際しましても、ただあの会議を開くだけではなくて、自分の国では今後五年間に百億ドルの金を投じて燃料の自給をはかるという、プロジェクトインデペンデンスという計画を発表いたしております。しかし、そういうアメリカでさえもなおかつ原子力に重きを置きまして、百億ドルの国家支出のうち実に四十億ドルは原子力発電に向けておりますし、十億ドル近くの金が核融合のほうに向けられておる。百億ドルのうち実に四割ないし五割近いものが原子力のほうに向けられておる。あれだけの資源を持っている国でもそういう状態であります。  しかるに、わが国の場合は、石炭は残念ながらそれだけございませんし、油ももう微々たるものでございますし、天然ガスに至ってもそう大きな期待を持てないということで、今世紀中どうするかということは大きな問題でございます。しかし、足らないながら石炭はわずかでもありますし、これから海外の石炭のガス化、液化ということを考えていくこともありましょうし、その他太陽熱とか地熱とか、ありとあらゆる意味のエネルギーの多角的利用を考えましても、なおかつ今世紀末まで約二十五年間、やはり原子力が本命であるということだけは、まず大方の同意を得ておると私は思っておる次第でございます。  したがいまして、こういう時期になります前、昭和四十七年に、原子力委員会では長期計画を立てまして、昭和五十五年に三千二百万キロワット、昭和六十年に六千万キロワットという計画を立てまして、それぞれ総発電量の五十五年は一八%、六十年は二四、五%、約四分の一ですね、そういう計画を立てておったわけでございますが、今回こういう事態に相なりましたので、これは再検討しなければならぬわけでございますが、私ども国としてやるということになりますと、経済社会基本計画自身の再検討から始めていかなければなりませんし、現に通産省のほうでは、エネルギー調査会でこの問題について検討を開始いたしておるわけでございますが、私は、昨年の十一月着任早々、こういう時世の変化に際会して、このままほっておくわけにまいりませんので、稲葉秀三氏にお願いをいたしまして、実は原子力委員もやっておられるものですから、当面の時期、腰だめ的にどういう体制をもって臨むべきかということで、すでに御承知かと思いますが、第一次稲葉私案というものを発表いただいて、科学技術庁並びに原子力委員会としては、その再検討の上に当面腰だめ的に対処をいたしておるわけでございます。  この内容について、一々こまかいことは省略させていただきますが、昭和五十五年三千二百万キロワットというのはなかなかむずかしいのでございまして、二千八百万キロワット前後ということに相なりましょう。しかし、昭和六十年度になれば六千万キロワットという線ができないことはないということで、これらの点につきましては、稲葉先生御自身も、また私ども科学技術庁も、目下再検討中でございますし、通産省におきましても、エネルギー調査会において暫定的な中間報告のようなものを目下準備中でございます。これらの意見は、検討しておる方々がほぼ同じでございますから、大体において同じような結論が出てまいると思いますが、現段階においては、私はこれ以上申し上げることはできません。しかし、ただやみくもに羅針盤もなくて大きな海を船で走らせるのではなくて、やはり時世が変わったなりのことを考えながら、いま私どもは計画を立てておりまして、おおむね先ほど申し上げましたような見方のもとにおいて、エネルギーの多角的利用を考えながらもその本命は原子力であるという考え方のもとに、現在万全の努力をしておる次第でございます。
  110. 広沢直樹

    ○広沢委員 原子力の開発を進めるようになって満二十周年ですか、相当いままでの開発研究から実用化へと、こういうような段階を迎えているようであります。しかしながら、最近起こっております問題は、そういうような時代の要請がそこまで来ているにかかわらず、現実には十二分に住民あるいは国民理解というものが得られない問題がそこにあるわけですね。  先日もここに参考人が御出席なさって、反対と賛成のいろいろな意見を述べられました。その一番の問題点は、やはり原子力に対する安全性の問題あるいは環境の問題こういった問題がまだまだ十分に研究、解明されていないということに対する不安が非常に述べられておったわけです。それで、反対を述べられている方の中にも、原子力発電あるいはそういったものの開発に根本的に反対しているのじゃない、何でも反対じゃないのだ、ですから、そういった問題が解明されれば、それについてはやぶさかでないということを、私が参考人に、まあお互いに争点はあるけれども、やはり進めていかなければならない問題は進めていかなければならないし、どの点が問題なのだということをお伺いしたときに、言っておりました。  その問題についてはあとから若干お伺いしようと思うのですが、長官、いまの計画でございますけれども、確かにいま御説明がありましたように、まず目途は昭和六十年度を目標にして六千万キロワット、そして電力需給の関係におきましては、いままで約三%くらいのウエートを占めておった原子力を四分の一の二五%にしたい、これがいまの計画であり、情勢が変わってきて稲葉私案が出されたときも、やはり同じく六十年度の目標は、大体目安をそこに置いておるようであります。ところが、最近の新聞によりますと、通産省におきましては、原子力発電の開発規模というものを一応それを上回る七千万キロワット、こういうことが新聞に発表されておりますし、その方針を固めたというふうに通産省では——これは新聞資料でございますから具体的内容はわかりませんが、そういうふうになっておるわけでございまして、まあどちらにしても、六十年度の目標を一応、先ほど長官おっしゃいましたように、やみくもに、計画なしに、なかなかむずかしい問題だけれども図案をかかないで進めるというわけにはいかぬから、六十年には六千万キロワットというふうにおっしゃっておられますけれども、やはりいまこういうような意見も出てきているわけでございますね。ですからやはり、これから時代の脚光を浴びて進めていくということになれば、一応石油にかわる代替エネルギーとして原子力にウエートを置こうということであれば、やはりそれだけのビジョンというものをはっきり描かれた上で、それに対してのネックというものをどう解決していくかを今後は進めていくことによって初めてこれは一歩前進していくのではなかろうか、こう思うわけでありますが、いまも述べられた計画と、通産省がその方針で今後検討されるようでございますが、その点との関係はどういうふうになっておりますか、一ぺんお聞かせいただきたいと思います。通産省でも、大臣でもけっこうでございます。
  111. 岸田文武

    岸田政府委員 通産省では、目下昭和六十年を目標として各種のエネルギーの供給及び需要はどう変わっていくであろうか、またどういう方策が必要であるかということを、総合エネルギー調査会の場におきまして検討をいたしております。御指摘の原子力の部門につきましては、これからの原子力の立地可能性であるとか、技術開発の見通しであるとか、さらにまたコストの見通し、これらの問題について各種のデータを積み上げながら、今後の構想を目下作業中でございます。  御指摘のように、七千万キロワットというような数字が新聞に出ておりましたが、私どもはまだそういった答えを出す段階ではございません。いろいろの資料の突き合わせ、それを中心として討議を重ねておるというのがただいまの段階でございます。
  112. 広沢直樹

    ○広沢委員 森山長官、そういうわけでございまして、いつごろになれば大体具体的なそういう目安というものを前提にして進めることになるのか。いまは通産省のお話も検討中である、こういうことでございますし、森山長官も六十年を一応——稲葉私案は私案ですが、これは特別委員会に御報告なさっていらっしゃいますから、中間発表ということでございましょう。それを一応は現在では目安にしておる、こういうことになるのでありましょう。ですから、いま長官は原子力にウエートを置いていくということを最初におっしゃいましたから、具体的にはどういう時点でこの計画が大体確定されるのか、その点の見通しをお聞かせいただきたい。
  113. 森山欽司

    ○森山国務大臣 科学技術庁におきましては、稲葉私案という形で当面の見通しを立てておるわけでございますが、これは第一次と書いておりまして、必要があれば第二次という形をとり、あるいは稲葉私案というより原子力委員会意見という形に、近い将来持っていきたい、こう思っております。  一方、通産省のほうはエネルギー調査会で、これは最終的な結論が出るのは年度末になるのではないかと思いますが、中間報告をやはり六、七月ごろにお考えのようでございまして、実は稲葉先生もこの通産省のエネルギー調査会の重要なメンバーとして入っておりますし、そのほかの方々も、いろいろ御相談している向きにつきまして、そういうメンバーがかなり重複しておりますから、このエネルギー調査会の中間報告とそれから当面の原子力委員会意見というものは、数字的には七月前後の段階においてほぼ一致した一つの中間的なめどがつくというふうに考えておる次第でございます。
  114. 広沢直樹

    ○広沢委員 次にお伺いしておきたいことは、その計画を進めるにあたって、私は二つの大きなネックがあるのではないかと思うのです。その一つがいわゆる資源問題です。これは長官御出席の前に当局に私伺っておりますけれども、ただ、先ほどもお話がありましたように、これから二十五年、三十年いわゆる原子力の開発というものを最重点にするという政府の方針でおありになるならば、いわゆるその資源の供給というものは心配ないのかということが一つ出てくることは当然であります。石炭から石油へと、そして石油がいまこういうふうになってまいりますと、これは御承知のように、わが国は原子力のウランにしてもあるいは石油にしてもほとんど一〇〇%海外依存でありますから、したがって、そういう長期にわたってまいりますと、どうしてもその関係はだいじょうぶなのかという心配が一つあります。と申しますのは、まあいろいろな文献を見ておりますと、自由世界のウランの確認埋蔵量は九十万トン、そして年間生産量は二万トン、こういわれておるわけですが、わが国のウエートの置き方であれば、いまの計画どおりいきましても、五十五年の段階で必要なウランは、わが国では年間六千ないし七千トンと見られている、こういうふうにあります。そういうことになりますと、一つは、やはりわれわれは輸入にたよっているということですから、石油の二の舞いになりゃしないか。いまは確かに石油が上がって、ウランのほうが安い、こういうことになりますけれども、だんだんにその状況が変わってきて、ある文献によれば、おそらくは一九八〇年にはいまの買い手市場が売り手市場になるだろうという予測さえ立てられている。ですから、そうなりますと、二十五年、三十年最重点にやって——開発、研究はけっこうですよ。ですけれども、実際にそれが確保できるかどうかということが一つ心配ですが、その点長官どうお考えでしょうか。
  115. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ウラン資源の見通しの問題でございますが、昭和六十年六千万キロワットの分までの、ただいまお話しの十万トン程度のものはすでに手配済みであるわけでございます。また、これに対するウラン濃縮につきましても、すでに手は打ってあるわけでございます。それから先が一つの問題であろうという点は、ある意味で御指摘の問題点であるとは考えておりますが、すでに私どもとしては、それから先、昭和六十年以降の分について、いまアフリカとか豪州とかその他の各地に手を伸ばして、これが入手方についていろいろ手を打っておる次第でございます。  そういうことによって一つは資源問題に対処いたしますとともに、他方、原子力発電の方式を従来の軽水炉から重水炉に切りかえる、すなわち新型転換炉とか高速増殖炉とかというふうに切りかえまして、ウラン鉱の効率的利用をはかるという方向に持っていかなければならぬと思っておりまして、現に動燃事業団におきまして新型転換炉、高速増殖炉がそれぞれもうかなりの技術的な成果をあげておることは御案内のとおりでございます。そして、今世紀の終わりから来世紀の初めにかけまして、今年度ぐらいから本格的にスタートをいたしましてすでにやっておることではございますが、核融合の動力炉の実現方を私どもは期待をいたしまして、わが国のエネルギーの遠い将来、四半世紀以上先、来世紀にかけての見通しとして対処いたしておる次第でございます。
  116. 広沢直樹

    ○広沢委員 その次にお伺いしておきたいことは、もう一つの大きなネックになっておりますいわゆる安全性の問題であります。これはもう再三議論が出ておりますけれども、私はこの安全性の問題を論ずるにあたっては、まず現時点では四つの観点からものを考えるべきではないかと思うのです。  その一つは、潜在的な危険性というものがある、それに対してどう対処していくか。それからもう  一点は、発電所の操業に伴う放射線の影響、温排水問題、こういった問題をどう解決していくか、これはいわゆる環境問題であります。それから核燃料の再処理、廃棄物の処理はどうするのか。そうして安全をチェックしていく開発も進めておりますでしょうけれども、原子力委員会の安全審査の方向というのは具体的にどういう面を重点にチェックされているか、大体こういった問題じゃないかと私は思うのですね。  そこで、まず第一点は、潜在的な危険性というものについて、いままでは、いままでの研究結果の上から、いわゆる工学的な安全だとか放射線に対する安全だとかいうことをいろいろ理論的には述べられてきておるわけですね。ですから、潜在的な危険性というものに対する認識というものがあいまいであれば、もう科学技術だけにたよって安全なんだと政府がいうから安全だというふうになかなか受け取れない問題が一つあるわけですね。その点についてどうお考えになっているのでしょうか。
  117. 森山欽司

    ○森山国務大臣 先ほども内海先生に申し上げたことでございますが、どうも原子力発電というものの科学技術産業の他との大きな相違というものについての御認識が、まだ十分じゃないと私は一般に思います。というのは、同じ発電でも火力発電というのがございます。火力発電は、先生御案内のとおり、昔は石炭でございましたが、いまは油を燃やしまして、それで電気を起こすわけでございますが、油の中には多かれ少なかれ硫黄分がございまして、その硫黄分が油を燃やせば表に出てまいります。昔は硫黄分のことなんか気にしないで、電力さえ起きればいいということでありましたが、それが亜硫酸ガスその他の大気汚染の問題になって出てまいりましたし、公害問題としてやかましくなってきた。そこで、それに対して油のうちから硫黄分を抜くとか、あるいは硫黄分の少ない油を使うとか、あるいは燃やした油の中から排煙脱硫というので抜くというようなことになっておるわけですね。公害というものに対してあと処理の形の科学であり、技術であり、産業であるわけであります。  ところが、原子力発電というものは逆でございまして、とにかく放射能というものに対する、いわば一種の公害に対して、それを先取りしておるというところが大きな問題であるわけでございます。これは科学技術発展の段階からいたしまして、産業革命、それから技術革新、テクノロジーアセスメントという最も新しい技術的な手法というものが取り入れられたただ一つの科学技術産業でございますから、もうこういうふうに、公害先取りなんというのは、科学技術、産業という面につきましては、ほかには類例がないわけでございます。ですから、御案内のとおり、放射線の問題につきましては、エックス線というものが原子力の開発以前からございまして、そうしてそのエックス線につきましては、ICRPと申しまして、国際放射線防護委員会という国際的なりっぱな機関ができて、かなりわかっておりました。そういうわかっておった知識をもとにいたしまして、軍事利用から発達いたしました原子力を平和利用に切りかえ、そうしてそれが実用段階に入って二十年足らずでございますが、その間に、そういう放射能についてはもう心配がないような、放射能問題といういわば一種の公害の先取りの一つの技術というものがすでにでき上がっておるわけでございまして、もう先生も御案内だと思いますが、法律上放射能につきましては五百ミリレムといわれるものを——自然放射能は百ミリレム、ここは花こう岩で囲まれておりますから百五十ミリレムぐらいであります。ところが、原子力発電所の周辺は現在もう五ミリレムでありますから、これは問題にならないのですね。そこまで放射能については心配のない体制をつくっておるわけでございます。  それから、いろいろ問題があるといわれる、後ほどお話しがある再処理工場にいたしましても、三十二ミリレムぐらいでございます。せいぜいあって五十ミリレム、低ければ低いに越したことはございませんが、自然放射能の半分以下、法律で規制している限度の、多いほうでも十分の一以下という、そこまでいっておりますから、まず本来から申しますれば、もう心配がないのでございます。心配ないのでございますが、放射能は、御案内のとおりわが国は広島とか長崎とか、そういう痛切な経験を持って、国民は今日なお記憶しておりますし、いろいろな角度からこういう問題をお取り上げになる方々がございまして、そういう問題とこの原子炉の問題とが混同されているところに私は大きな問題があるのではないかと思います。私は原子力発電につきましては、今日、軽水炉の発電のことを申しますれば、社会通念的には安全であるというふうに考えておるわけでございます。  ほかにいろいろなことがおありでございましょうから、それについて逐次お答えいたしたいと思います。
  118. 広沢直樹

    ○広沢委員 長官出席の約束の時間が参っているようでございますので、私は連続していろいろな問題を一緒に聞きますから、ひとつ整理してお答えください。  いまのいわゆる人体に対する放射能の影響の問題、確かに長官おっしゃるように、いまの国際放射線防護委員会の基準をもとにして、わが国は法律上ではそこまでを基準にしておるわけです。しかも、現実はその百分の一の体制にあるから安全である、それはそれで理論的にはわかります。そしてまた、現実にそういうものを周辺の人が浴びているわけじゃありませんから、被害がどう出てきたという実態がありませんから、おわかりにならないかもしれません。しかし、すでにアメリカあたりでも、防護委員会で一応上限としてきめた〇・五レム、それの百分の一に法律の規制をしてしまおうというぐらいきびしい基準を持っているわけですね。いわゆる上限は防護委員会がきめましたけれども、あとは各国に一応基準はまかされておりますから、原子力に対するわが国民の考えている潜在的な危険の不安、そういうことから考えてみますと、わが国は当然これは世界の中でも一番きびしい基準において厳密にやっていくという姿勢がまず必要ではないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  119. 森山欽司

    ○森山国務大臣 法律で規制されている線量は、わが国におきましては、原子炉等規制法及びこの関係法令によってきまっておるわけでございますが、それは〇・五レム、すなわち五百ミリレムということでございまして、国際放射線防護委員会の線と同じでございます。アメリカもまた法的には同じでございます。ただ目安といたしまして、もう心配のないところまでいま行っておるということなんであります。実際問題として五ミリレムということは自然放射能が百ミリレムで、その百ミリレムの一〇%内外上がったり下がったりいたしますから、五ミリレムというのは実際は、現実問題として放射能が出ないにひとしい。それほど安全なところまで原子炉は行っておるわけです。  それから、再処理工場につきましては、そこまでは参りませんけれども、これも三十ミリレムでございますから、これまた、そこまでは参りませんけれども、まず全く心配はない、そういうふうにひとつお考えを願いたいと思っておる次第でございます。この点、アメリカも同じですから、日本がルーズなことをやって、アメリカがそんなやかましいことをやっているわけではございません。
  120. 広沢直樹

    ○広沢委員 その問題については、ICRPは一応上限を示したのであって、そこまではだいじょうぶだという考え方ではなくて、できるだけそれを下げるという考え方のもとにおいてきめてあると私は思います。ですから、先ほど申し上げたように、アメリカということを例にとるだけではなくて、わが国はいま、現実の科学技術の発展、進歩でそこまで下げているのであれば、法律の基準ももっときびしいという体制にまで持っていく姿勢が必要じゃないか。ここまで国際放射線防護委員会できめているんだから、その辺まではいいんじゃないか、だけれども、それより下げる努力はしているというのではなくて、法律の規制でもそこまできびしく考えていくべきじゃないか、それが一点。  それから、再処理の問題もお伺いしようと思ったんですが、これもいろいろ意見が出てきておりますので、一応省きます。  それから、温排水の問題にしましても、福井県の水産試験場がその結果を出しておりまして、やはり影響があるという前提のもとにいっておりますが、その問題についても、また時点を変えていつかお伺いしたいと思います。  最後にお伺いしておきたいのは、先ほど申し上げましたように、原子力が開発期から実用期へ移行されてきている、入ってきている、こういう段階で、あなたが委員長をされている原子力委員会のウエートは非常に重くなってきている。そこで、その性格でございますけれども、いままでは開発ということに非常にウエートを置いてきた。ところが、現在、そのことをどんどん進めるにあたって一番のネックになってきたものは、安全と環境の問題である、公害の問題である。こういうことになったわけでありますけれども、原子力委員会は、もちろん開発もお進めでありましょうけれども、開発を進めていく上にあたっても、安全の問題というものをよりウエートを持って今後は考えていってもらわなければならない、こう思うわけでありますけれども、その点をどういうふうに考えていらっしゃるのか。あるいはまた、原子力委員会は、もう中立的な立場で見ていこうとしているのか、性格ですね。これが第一点、ひとつお答えいただきたい。  それから、昨年からアメリカやドイツにならって公聴会ということもやっておるようでありますけれども、環境の問題にせよ安全の問題にせよ、一見、双方矛盾して対立しているようでありますけれども、決して私はそうではないと思います。したがって、それを公平に聞き、あるいは適確に判断し、あるいは問題の所在と影響の範囲を確かめて、より適正な立地、そして安全な設計、こういうことを進めていくために、民主的なプロセスで公聴会というものを考えていかなければならない、これが私は公聴会をつくっていく使命だと思う。したがって、地域住民意見を十二分に生かしたものでなければ、公聴会の意味というものはなくなってくる。これから安全のPRということも、どんどんおやりになるでしょう。しかしながら、やはりそこに、住民国民とそれをどんどん進めていこうとする側との意見を交換する場としての公聴会が、より民主的な運営、そしてより意見を吸収していくというところにウエートを置かなければ、何の意味もない。そうしていかなければ、ほんとうにその問題というものは解決していかないんじゃないか、こういうように考えておりますが、その原子力委員会の今後の性格の問題と、公聴会の運営のあり方という問題をお答えいただいて、私は時間が参っておりますので、終わりにしたいと思います。
  121. 森山欽司

    ○森山国務大臣 非常にたくさんのことに触れられましたが、私のほうも時間がなくて、十分な回答ができなくて残念でございます。  一番最後にお話がありました原子力委員会の問題でございますが、確かに二十年近く前にできて、できた当時と今日では時世が変わっております。特に原子炉が実用段階に入って、これだけ原子力発電が大きく取り上げられる事態でございますから、特に安全審査等の面について充実を要することはもちろんでございまして、その意味において、従来の体制をより拡充強化していくように、今後万全の努力を尽くしたいというふうに考えております。  それから公聴会の問題でございますが、これは法律に格別なかったのでございますが、昨年の福島の原子力発電所の問題で、現地で公聴会国会の御要望等もあってやったわけでございます。ところが、残念なことに、これを強く主張されましたある政党の関係方々はこの公聴会をボイコットし、ある政党の関係方々はとにかくそれに対してやたらに反対をしてというようなことでございまして、いま広沢委員おっしゃるとおり、せっかく地元のなまの声を聞きたいということでやった公聴会が、十分な成果をあげ得なかった恨みがあるということは事実でございまして、私は、何とかそういう意味で現地のなまの声を聞くように今後とも努力はいたしたいと思いますけれども、やり方については、この際本格的に、やるかやらないかを含めて、これは考え直していかなければならないんじゃないか、こういうふうにいまのところ考えております。しかし、一回だけのことでそういう結論を出すのは早うございますから、なおひとつ各方面の意向を聞きまして、この問題に対処してまいりたい、そういうことでございます。
  122. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 岡田春夫君。
  123. 岡田春夫

    岡田(春)委員 福田大蔵大臣にはなかなかお会いする機会がありませんので、私のほうが大蔵委員会に出てまいりまして、飛び入りでございますが、若干質問をさせていただきたいと思います。  周辺整備法の審議の最中でございますから、勢い公害問題が非常に大きな問題になってまいります。したがいまして、私の質問の中心点は、かねてから問題になっておりますし、また私が予算委員会の一般質問で大臣にお伺いをいたしました苫小牧東部開発の問題であります。これは御存じのとおりでございますが、苫小牧東部開発については公害問題が非常に大きな問題になっておりまして、そういう点からいって、一月に港湾審議会で答申をされたわけでございます。答申をされました以降におきましても、地元の住民といたしましては、公害問題に非常に大きな懸念と関心を持っているわけであります。そういう点から、私の質問は限られた時間でございますけれども、若干質問をいたしてまいりたいと考えております。  そこで、話を進める前提といたしまして、前の経過から入ってまいります。  二月の二十三日に衆議院の予算委員会で私の質問に対しまして、運輸省の竹内港湾局長は、ここに見えておりますけれども、一月に決定をされました港湾審の苫小牧の開発計画、港湾計画、これは五十三年度までの計画であって、したがって五十四年度以降は全く白紙である、こういう答弁をしておられますが、これは間違いございませんか。
  124. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 五十四年以降の港湾計画については白紙でございます。
  125. 岡田春夫

    岡田(春)委員 実は苫小牧東部開発の計画につきましては、当初六十年代を目標といたしました開発計画がありました。しかし、これは主として環境庁のほうの大気汚染その他の環境保全上の問題で、これを五十三年の計画につくり直す。これは主として地元の港湾管理者並びに苫小牧市の市長でございますが、これが五十三年を目標として計画をつくり直したわけであります。したがいまして、六十年代の計画と五十三年を目標とした計画とは、数字の上で相当いろいろ違ってくるわけであります。  そこで、北海道開発庁の総務監理官、出て見えておりますが、まず第一にお伺いをいたしたいのは、昭和六十年代計画と五十三年計画との対比において、工業生産額、それから取り扱い貨物量、入港の船舶隻数、あるいはそれに基づいて、これは港湾審できめたあれでございますが、それに必要な総事業費、用地の造成計画、こういう点を数字の上で対比をして御答弁をいただきたいと思います。
  126. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 お答えいたします。  工業生産額でございますが、これは昭和六十年代計画、いわゆるマスタープランにおける計画によりますと、三兆三千億でございます。それに対しまして、五十三年度までの分につきましては、四千三百億でございます。  取り扱い貨物量でございますが、これは年間、昭和六十年代一億五千七百十三万トン、それに対しまして昭和五十三年までの分は二千八百十万トンでございます。それから、入港船舶隻数でございますが、これは年間、昭和六十年代におきましては三万五千五百九十隻、それに対しまして昭和五十三年計画は四千八百五十隻でございます。  なお、港湾計画事業費でございますが、これは公共事業系統と民間の造成系統を含めまして、全体で申しますと、昭和六十年代の場合は、これは四十七年価格でございますが、約二千二百億でございます。それに対しまして、昭和五十三年計画に対します、先般港湾審議会で審議をいただきました数字は、すべてあわせましての港湾事業費は千五百六億でございます。  なお、用地造成費の御指摘もございましたが、昭和六十年代のマスタープランは約一万一千ヘクタールに対しまして、五十三年計画は約七千九百ヘクタールでございます。  以上でございます。
  127. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いまの答弁について一点だけ伺っておきますが、事業費、昭和六十年代が二千二百億というお話ですが、この数字は何らかお勘違いがございませんか。その当時は、約千八百億という数字が出されておりますが……。
  128. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、鉄鋼分を入れた数字でございまして、昭和四十八年六月の段階で、御案内のように、鉄鋼を留保したときの港湾計画がございました。それによりますと、港湾事業費は、全体で申しますと約千八百億になっております。これは鉄鋼分を保留した場合の数字でございます。
  129. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはあなた、違っていますわ。あなたが予算委員会で答弁したのは、約千六百億と言っているのです。それで、鉄鋼を含めた場合には、その当時の——私も北海道ですから知っているのだが、現在のような高物価時代とは違って、価格の問題は別といたしまして、約千八百億が鉄鋼を含めた六十年代の計画であったはずだ。二千二百億というのは、これは民間投資を含めて二千二百億なんであって、民間投資を除いて千八百億のはずです。
  130. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 先般予算委員会で私が答弁いたしました千六百億は、四十八年六月の港湾審議会にかけるべく準備した計画案に基づきます、いわゆる鉄鋼を含めましたところの全体の……(岡田(春)委員「鉄鋼を含めてないでしょう」と呼ぶ)含めた場合の公共事業費ベースと勘違いをいたしまして千六百億とお答えしたのでございますが、鉄鋼を留保した場合の六月段階の数字で申しますと、公共事業費ベースで千二百億、それから民間の造成系統は五百五十六億、あわせまして千七百七十億という数字になっております。
  131. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなことを言ったらだめですよ。藤仲さん来ているでしょう。藤仲さんが去年の六月に、鉄鋼を除いた場合の金額は何ぼですかと聞いたら、千五百億と言っていますよ。そして、それをもとにしてあなたに私は聞いたら、千六百億だと答えたんじゃないですか。それは鉄鋼を除いてだと言ったのじゃないですか。しかも、二千二百億という数字はどこから出てきたのですか。私、そんな数字いままで聞いたことがない。その当時、一時新聞には、約二千億以内といっていたけれども、二千二百億なんという数字は聞いたことありませんよ。その当時、あとで出てきたのは千八百億ですよ。  二千二百億円ということをことさら言っているのは、これは福田大蔵大臣、先に申し上げておきますが、過大投資の問題を私が質問するということを言っていますから、初めの額をできるだけよけいにしておかないと、過大投資でないというような印象を与えるために、わざわざ計算の数をふやしているのですよ。そういう意味で言っているのですよ。千八百億という数字は間違いないのです。ここにいろいろ資料がありますから、あとで見せてもいいですよ。これがはっきりしないとほんとうに質問に入れませんよ。それなら、二千二百億ならどういう根拠であるか具体的な資料をお出しになりますか。
  132. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 四十七年十二月段階で、港湾審議会にかけるべく私ども内部で準備した計画でございますが、資料がございますから後ほどお届けいたしたいと存じます。
  133. 岡田春夫

    岡田(春)委員 というのは、いつの資料ですか。ちょっと先のほう聞こえなかったのです。
  134. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 四十七年十二月でございます。
  135. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃその資料をお出しください。  それから藤仲さんおられますが、千五百億くらいということを公害局で言っている。その数字とも変えて、二月二十三日は千六百億だと言っている。そのときそのときで開発庁は実は数字が、答弁が違うのです。私、これは開発庁語録をつくろうかと思っているのです。そのときそのときで違うという一つの例として、今後ひまになったらひとつつくって公開しようと思っていますがね。そのときそのときで実は数字が違う。二千二百億という数字がおありならば、あとでぜひお出しをいただきたいと思います。この点ばかりやっておりますと時間がありませんので、また続いてあとのときに時間があれば質問をいたしてまいります。  これは港湾局長に伺っておきたいのですが、一月の港湾審でおおむね適当と承認された計画、これを見ますと、東防波堤は全長四千三百五十メートル、中防波堤は四千六百五十メートル、それによって囲まれる待船泊地面積二百九十ヘクタール、これはたいへん前例のない巨大な港湾計画です。しかし、この計画は六十年代計画の、先ほど発表された数字のころから考えますと、確かにこれは大体それくらいの港湾の規模になるだろうと私は思う。しかし、五十三年計画になりますと、先ほど大臣もお聞きになりましたように、工業出荷額では五十三年計画はわずか一三%、それから取り扱い貨物量は一七・九%、それから入港船舶隻数はわずか一三%、これほど小さな計画に変わったわけですね。それなのにこういう計画が出ているということになると、どうもこれは六十年計画の規模を基礎にしているのじゃないか。五十三年規模だったら、これは別にいうと過大投資になるのじゃないか、こういう感じが私はいたすわけでございますが、むしろこれは技術的な問題でございますので、港湾局長に伺ってまいりたいと思います。
  136. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先般港湾審議会に運輸大臣が諮問いたしました港湾計画でございますが、取り扱い貨物量等は先ほど来からのお話しのとおりでございます。入港する船の大きさは、一応昭和五十三年の時点におきまして二十万トンの船を入れるということを想定して計画を立てているものでございます。先ほど先生がおっしゃいましたような、この港湾の規模が適正であるかどうかということにつきましては、慎重に審議しなくてはいけないというので、港湾審議会の結論が出されたわけでございますが、港湾審議会ではおおむね妥当であるといわれたわけでございます。  しかし、この港湾審議会の答申の中には、留意事項といたしまして、東防波堤先端部、中防波堤並びに東航路及び中央航路の計画については、大型船舶の入港及び船舶の停泊の安全を確保するため所要の投資が相当の額となることにかんがみ、企業立地と入港船舶の動向と港湾の早期利用を考慮して、再検討の上実施しなさいということを条件としていわれているわけでございます。したがいまして、その昭和五十三年の段階と申しましょうか、企業の立地する段階におきまして、はたしてそれだけの企業ほんとうに立地するかどうか、あるいはその企業ほんとうに二十万トンの船をどのように使うかという点も十分考えながら、その段階において経済的な面からもいろいろ防波堤や航路について再検討しながらやっていく、こういうことになっている次第でございます。
  137. 岡田春夫

    岡田(春)委員 港湾審のそういう答申と、港湾局から地元に対しての勧告、それは私も知っております。しかし、その場合の内容は、東防波堤の先端部並びに中防波堤ですか、そこら辺を一部いじりなさいというだけであって、規模それ自体を変えなさいとはいっていないのですよ。規模はたいへん壮大な計画なんですが、その壮大な計画はそのままでいく、こういうことなんですね。
  138. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 二十万トンの船を入れるための規模となりますと、やはり船舶の関係者、船員さんあるいは船長、その他港湾関係者等からの、いろいろの皆さま方の御審議によりまして、やはりあのぐらいの規模というのは今後は必要であるという御意見が非常に多うございます。しかしながら、実際の段階といたしまして、経済的な問題であるとか企業の立地等を考えますと、その過程において十分慎重に考えてほしい、再検討してほしい、こういう趣旨でございますので、あの規模がやや小さくなるということも、一つの目標の段階の五十三年までの段階ではあり得るわけでございます。
  139. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほどから二十万トン二十万トンとおっしゃいますけれども、二十万トンが一ぺんに百隻も入ってくるわけじゃないのだろうと思う。二十万トンの船は、いまどこの港にだって入っているわけです。どこの港という言い方はあれだけれども、ちょっとした港には大体入っている、おそらくこれはタンカーだろうと思うのですが。それなのに、あれだけの規模をつくらなければならないということになると、いままでの港も全部直さなければならないということになるのですか。二十万トンということを盛んにおっしゃるが、そのことだけではあまり根拠にならないと私は思うのです。
  140. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 二十万トンの船がどこにでも入れるというわけではございませんで、やはり二十万トンと申しますと非常に大きな船でございまして、一般には東京湾であるとか大阪湾であるとかあるいは鹿児島湾であるとか、そのように自然の地形の非常に条件の整っているところには比較的簡単に入れたわけでございまして、その自然の条件の整っていない外海に面するところに新たに港をつくるということになりますと、たとえば鹿島港におきましてそのようなスタイルができておりますけれども、そのほかにはあまり見受けないわけでございます。  そこで、今後の港湾のつくり方といたしまして、より安全により効率的なことを考えますと、やはりあれぐらいの規模は必要であるという考え方が相当多かったわけでございます。
  141. 岡田春夫

    岡田(春)委員 多かったわけなんですが、これは過大であるという意見もあったわけなんで、そういう点は、私ここに港湾審の会議録を持っていますが、これは過大であるという意見もあったことは事実であります。  そこら辺は水かけ論になる危険性がありますので、もっと話を進めてまいりますが、そうすると、ここにあります一月の港湾審できめられた図面ですね、平面図の中には西水路は消されておりますが、この西水路が消されているということは、五十三年までにはこれは考えないということですね。そうすると、五十四年以降においては西水路というものは考えるという意味なんですか、この点はどうなんです。
  142. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 その点は、先ほども申し上げましたように、現段階においては白紙で考えていこう、将来たとえば地元の賛意、あるいは企業の立地の問題、あるいは環境の問題等十分考えまして、その時点において考えていこうではないかという次第でございます。
  143. 岡田春夫

    岡田(春)委員 西水路を消されたというのは、これはもうお互いに知っていてあれするのですけれども、鉄鋼立地が留保になったために、その西水路のすぐ近くの地帯に鉄鋼の産業を誘致するというのが取りやめになった、そのことが理由で西水路をつくらないことになった、こういうことだと思いますが、それは間違いございませんか。
  144. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 鉄鋼云々の問題もあると思いますが、一応五十三年に想定いたしました石油精製三十万バーレル、エチレン四十万トン、そのほか自動車十八万台、あるいは電力三十五万キロワットという想定は、苫小牧市がみずからつくりました想定でございまして、苫小牧市のこの想定に基づきまして環境問題をアセスメントいたしますと、その線で大体だいじょうぶじゃなかろうかということできめたのがこの計画の前提でございます。その以降におきますところの立地問題につきましては、現段階では全く考えていないわけでございますので、要するに、この計画をつくった段階におきましては鉄鋼等は全く考えていないということでございます。
  145. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の聞いているのはこういう意味なんですよ。初めから苫小牧市でも西水路をつけたかったのです。ところが、環境問題で環境庁のほうから、これは去年の六月十一日のはずだが、環境アセスメントをやると、石油精製と鉄鋼と両方やるということは困るということになって、鉄鋼を留保したわけでしょう。そういうことになってくると、あそこに立地するという計画は立たないわけですね。したがって、西水路をつくるという必要も当面はなくなった。したがって、鉄鋼留保と西水路は裏表の関係といったらいいか、そういう関係だと思いますが、どうですかと聞いているのです。
  146. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 この段階におきましては、とにかく鉄鋼は考えておりませんし、その以前におきまして、鉄鋼を考えた段階におきまして確かに計画があったようでございます。しかしながら、この港湾審議会の段階におきましては鉄鋼は全く考えておりませんので、当然水路もないものだと思います。
  147. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ちょっと歯切れが悪い。あなたらしくない。あなたらしくないのは、鉄鋼をやめたから西水路をやめざるを得ない、つくる必要はないということですよ。  これは大臣に伺っておきたいのだけれども、鉄鋼も建てなくなったのに使わない水路をつくる必要はないのだから、だからこれは鉄鋼をやめたから西水路をやめたのですよ。そうでしょう。
  148. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 側面から考えればそのとおりだと思います。ただ、鉄鋼を考えなかったから水路ができなかったわけでございます。
  149. 岡田春夫

    岡田(春)委員 鉄鋼を考えなかったから水路もできなかった。だから不可分の関連、裏表なんです。  そこで、環境庁に伺っておきたいのですが、いまもだいぶ話が出ましたように、六月十一日に環境庁のほうから鉄鋼留保の問題が出て、これは五省庁会議でそういう点が確認された。続いて十一省庁会議で苫小牧東部開発における環境保全の問題という三項目を出して、これも港湾審で決定する前に、十一省庁としては確認事項ですね。それほど環境庁としては、環境保全については十分努力をしなければならないという考え方努力をされてまいりました。そういう努力については私は敬意を表するのだが、そこで、そういうことで一月の港湾審で、そういう基準に基づいて苫小牧の東部開発の承認がされたわけです。ところが、あなたが御存じのように、その後においてあなたのほうで調べられており、あるいは道庁、市役所でやっておるところの環境のアセスメントあるいは環境保全上の措置、これについてはいろいろな点でぼろが出てきているというか、欠陥が非常に多い状態になっていることは御存じのとおりですね。この点はここにも出席をいたしております島本委員が再三質問をいたしておりまして、たとえば一番問題の勇払のデータが隠されておったという事実もある。それからこの間は、十七日ですが、黒い雨の事件といいまして、これは現苫の王子製紙のところの付近にコールタール状のまっ黒な雨が降った。こういう事件が起こって、これも島本委員が取り上げております。(「歌にもならぬ」と呼ぶ者あり)ほんとうに歌にもならないような状態なんですが、またそれだけではない。二十一日には同じく公害特で土井たか子さんが、幾つかのデータの上で隠しがあった、データの欠陥があったということを指摘されている。この点については、三木環境庁長官もこの事実を認めている。となってまいりますと、たいへん疑問になってまいりますのは、港湾審できめられたときの環境基準はおおむね適当である、こういっておりました環境基準のこれについて、いろいろな欠陥がここで暴露されてきているわけですが、どうも私はこれを見ておりますと、この苫東の環境保全の問題については、ここで再検討せざるを得ない状態になってきているのではないか。少なくともいままできめられました環境基準に欠けている問題が起こったので、そういう点では再検討をせざるを得ないのではないか。また、先ほど申し上げた三項目について、これと抵触する問題が出てきているのではないかと私は思うのですが、その点はどうですか。
  150. 春日斉

    ○春日政府委員 苫小牧地区の大気汚染の問題でございますが、苫小牧地区の四十八年度におきます大気汚染状況につきましては、北海道が実施いたしました硫黄酸化物の測定結果について見ますと、六測定局中五測定局については一時間値、一日平均値とも一〇〇%満足いたしております。沼の端測定局については一時間値の適合率九九・九%、一日平均値の適合率は九九・四%となっておりまして、四十七年度に比べますと四十八年度は改善をしておるわけでございます。  なお、苫小牧市が実施しております勇払測定局の問題を先ほどお取り上げになりましたので、一応その点を申し上げておきますと、北海道の実施したアセスメントの中に、確かに勇払測定局のデータが欠落しておった。これは重大なる隠しである。したがって、環境アセスメント……(岡田(春)委員「何か時間を急いでおるから簡単にやってください、大体私知っているのだから」と呼ぶ)それについて申し上げますと、私どもは必ずしもそうは考えていませんので、北海道は道自身の測定局による結果についてアセスメントの資料として提出したものであって、苫小牧市の実施した測定結果については、道の内部判断資料として配慮したといっているわけでございます。もちろん先生の御指摘のように、勇払は現苫並びに東苫の接点に当たるわけでございますから、開発の振興とともに今後最も両地区からの影響を受けやすいと考えられますので、市の実施した測定資料が存在した以上、当然参考としてでも報告に添付し、将来の汚染予測にも資すべきものであったとは考えるわけでございます。しかしながら、それをもちまして根本的な欠陥とは私ども考えておりません。  なお、矢代測定局についても同様な問題がございまして、現在のところ四十八年度の三月までのデータを見てみますと、勇払測定局の結果は一時間値の適合率は一〇〇%、一日平均値の適合率も一〇〇%となっておるわけでございます。
  151. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間をたいへん自民党が急いでいますから、答弁を長くやると私は終わるわけにいきませんから、それはひとつあれしてください。  しかし、いまの答弁を伺っておりますと、私が先ほど取り上げた島本委員の勇払の問題、それから黒い雨の事件、それから土井たか子さんの問題、これはあったのは事実でしょう、そのことを聞いているんですよ。それは事実なんでしょう。
  152. 春日斉

    ○春日政府委員 黒い雨の事件につきましては事実でございまして、それについて何も否定をいたすわけではございません。また勇払それから矢代の測定局の問題も、事実関係についてはおっしゃるとおりでございます。
  153. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それほど環境保全の問題で数字にごまかしなり、少なくとも正確さがないということはいえるのですよ。  そこで伺いますが、それでは気象観測の問題について、気象庁の方見えていると思うのだが、気象観測は昭和四十三年から苫小牧市でやっております。四十四年からは、実はこれは港湾審のほうに苫小牧市長が報告をいたしておりますが、この大気並びに海洋の観測は全部日本気象協会に委託をしてやらせていると言われていますが、これはいかがでございますか。
  154. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 お答え申し上げます。  道の委託によりまして気象協会が気象の状況を観測しておりますが、四十二年は気象協会は道の委託によりまして上層気象観測を行ないました。四十三年は道から産業公害防止協会のほうに委託がございまして、気象協会ではございません。四十八年には道から、気象観測及び拡散実験に関しまして気象協会に委託がございました。
  155. 岡田春夫

    岡田(春)委員 実は港湾審議会の一月十二日の計画部会における議事録、これの一二ページによりますと、四十四年からの気象観測については全部気象協会に頼んでおりますと苫小牧の市長ははっきり言っている。  そこで、私の伺いたいのは、気象協会に委託をいたしましたこの数字を、例の問題になりました分析化研に全部委嘱をして解析をしているはずだ。だから、あれほど分析化研で——この間富山県のカドミウムの問題でも、あなたも御存じのように、初めはこれはカドミウムは該当すると言っておったのを、分析化研では富山県にあらためて問い合わせて、該当しないようにつくり直しましょうと言ってつくり直した。こういう事実もあるぐらいな状態で、分析化研で分析をしたこの気象観測のデータは全く信用できない。さっき言ったようなデータにおいていろいろな欠落があるだけではなくて、問題の分析化研にこれを頼んで分析をしたなんというようなこんな環境調査は、全然信用ができません。こういう分析化研に頼んだのかどうなのか、頼んでいるとするならそれはどうなっているのだ。こういう点について気象庁のほうに気象協会から委嘱をしているのかどうなっているのかをひとつ伺っておきたいと思います。
  156. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 申し上げます。  四十八年拡散実験をいたしますときに曲、六弗化硫黄の分析は分析化研に委託しております。ただし、そのデータにつきましては、協会の技術者がちゃんとチェックをしておりまして、正しいと判断しております。
  157. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それは四十八年の分はそうかもしれません。しかし、先ほど申し上げたように、苫小牧市長の言っているのは、これをもう一度正確に読んでおきましょう、大切ですから。「気象観測については気象協会に委託をして、四十四年から周辺の町などを含め、二十地点において調査を実施し、その結果に基づいて流線解析をするなど専門的なバックデータをもとに、四十六年から現在の工業地区と東部地区を合わせた大気の総合汚染濃度、環境容量などについて、コンピュータを使うなど、近代的な手法による調査検討を続けてきたものでありまして、」云々、こうなっている。  環境庁、どうですか。分析化研に四十八年のは委託したことを認めました。それ以外も分析化研にほとんど委託をしている。この分析化研のデータでは私は信用できない。こういう点については、あなたのほうでお調べになったことがあるのかどうか、こういう事実を御存じなのかどうか、環境庁のほうへひとつこの点を伺いたいと思います。
  158. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 分析化研の問題でございますが、私ども実は大気でなしに水の関係を中心としまして、相当先般の水銀問題以来のいろいろな環境調査の分析を委託したのがございまして、この点立ち入り調査をいたしまして、検討委員会でいろいろ検討いたしてもらいました結果、若干の転記ミス等がございましたが、現在の段階では特に公害の関連は問題ない、こういうことになっております。ただ、分析化研自身の能力を越えて受託したのかどうかというような問題とか、あるいはとりあえず水銀をやりましたのでカドミその他はどうだ、こういった問題がさらに残っておりますので、現在その調査をしている。ただいま御指摘になりました気象協会の分につきましては、私どものほうではございませんので、直接のチェックはいたしておりません。
  159. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、環境庁というのは、環境問題に問題があっても自分のほうに関係がないからやらない、こういうことですか。そうしたら、自分のほうで環境のほうはオーケーであったら、ほかのほうでオーケーでなくても、環境庁はオーケーを出すのですか。そういう役所なんですね。それでは、そういう役所であるというように私は理解をいたします。  大体環境庁は、こういう分析化研に委嘱をしているという事実があれば、あなたは調査されますか、どうですか。するか、しないか、いましておりますというような抽象的な話だけれども、もう一度ここで徹底的に再調査をやるのかどうか、はっきり答弁なさい。
  160. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私どもいまの気象協会からの分は知りませんで……(岡田(春)委員「ほかのも全部やりなさい」と呼ぶ)関連がありまして、分析化研委託で問題があるということであれば、当然私どもやる、こういうたてまえでございます。
  161. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あればじゃなくて、調査なさいよ。調査するのでしょう。どういう関係はどうだ、どの関係はどうだ、全部調査なさいよ。やりますか、どうですか。
  162. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 それはやっていきたいと思います。
  163. 岡田春夫

    岡田(春)委員 やりますね。どうも役所というのは歯切れが悪い。やりますと言えばいいのを、やっていきたいと思いますなんて。いかぬですよそういうことじゃ。  それでは、鉄鋼留保の問題に時間がありませんから進んでまいりますが、鉄鋼留保については、この前、私は二月二十三日の予算委員会で三木長官に聞いた。将来鉄鋼立地はきわめて困難である、こういうことを昨年の六月に三木環境庁長官が答弁をしている。将来立地は困難であるということは間違いないかと言って、私が二月二十三日に再度質問をした。そうしたら三木長官の答弁、「いまも考え方は変わりません。」とはっきり言った。鉄鋼立地についてはきわめて困難である、こういう将来は困難であるということは、その将来とはどういうことですか。五十三年まではだめだということで鉄鋼立地は排除したわけですね。そうすると、この将来というのは、五十四年以降も困難である、こういうように理解してもよろしいのですか。五十四年以降において鉄鋼立地はほとんど無理である、こういうように理解したいと思いますが、いかがですか。
  164. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 五十三年までは鉄鋼は入れないということははっきりしているわけでございますから、ただいまのことは五十四年以後のことだと思います。当然五十四年以後のことだと思います。
  165. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ五十四年以降においても鉄鋼立地はできない、ほとんどきわめて困難である、こういうように理解してもよろしいですね。確認しておきましょう、これは重要な点ですから。
  166. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 現在の諸条件ではきわめて困難である、こういうぐあいに私ども考えております。
  167. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、鉄鋼立地が五十四年以降において困難ならば、当然、西水路もこれはつくる必要がない、こういうことになりますね、港湾局長
  168. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 五十四年といいますか、それまでの段階におきまして鉄鋼はかりにできなくても、ほかの工場が来ることの可能性もあると思います。問題は、その間の環境問題とかあるいは地域のコンセンサスの問題でございまして、その時点におきまして新しい事態が発生した場合には、その西水路を考えることもあり得ると思います。ただ、鉄鋼の場合には、たしか大型船を入れるわけでございますが、大型船でない水路のこともあり得ると思いますし、現在はとにかく白紙でございますので、その段階において考えていく、その段階において新しい事態に対応したような計画を考えていくべきであるというふうに私どもは考えております。
  169. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃあなた、西水路をつくるという伏線ですな。白紙ではないんですね。白紙ではなくて、西水路は鉄鋼が——もう一度言いましょうね。鉄鋼を留保したから西水路はやめたとあなたは答弁したんです。今度は、鉄鋼は将来見込みがないということになった。そうしたら、西水路だめなんでしょう。特に西水路をつくるということは、大型の船が入るから西水路が必要なんです。小さな工場をつくるのなら、西水路なんか必要ないんですよ。そうでしょう。西水路というのは、これは白紙ならば、もう将来考えてないわけでしょう。
  170. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 私の言う白紙というのは、現在の段階において白紙である。その時点におきまして新しい事態が、環境あるいは全体の条件を満足するような段階がありましたならば、それに対応する計画というものは新たにプラスされるであろう。その場合に、西水路そのものではないかもわかりません。全く新たな段階における新しい発想法というものがそこに出てくる可能性はある、こういう考え方でございます。
  171. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、西水路というのを前提にしているんじゃないんですか。違いますか。
  172. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 全く前提にしておりません。
  173. 岡田春夫

    岡田(春)委員 前提にしておらないのなら、この図面をいま配付いたしますが、これはおかしいのじゃありませんか。最終的に一番最後の地図をごらんください。一番最後の地図に——これは皆さんにも理解していただきたいのだが、最初の計画は(1)の一番上です。これは東水路、中央水路、西水路とあって、それから東航路、中央航路とこうあって、いいですか、西水路を考えないということは、一番うしろの三枚目だ。そして、いま全く白紙ならば、どういうわけであなたは東水路、中央水路という、中央という名前を使ったのですか。西水路じゃないのですか、これは。東水路、中央水路、西水路があるから中央水路だし、東航路、中央航路、西航路があるから中央航路なんでしょう。あなた、西を考えていないのなら、なぜ中央というのですか。西と言いなさいよ、これは西と。これは考えているという証拠じぁありませんか。これははっきりしている。大臣、これでおわかりになるでしょう。違うんですか。
  174. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生にそうおっしゃられますと、なるほどという面もあるわけでございますが、これはおそらく先ほどから御議論がございました四十八年の前半におきまして、たしか鉄鋼を想定していたようなときに、東水路、中央水路、西水路という計画がございまして、そのなごりといいますか、そのような形でここに港湾管理者といたしましては名前をつけていただけのことであると思います。この西水路をつくるからこういうふうになったわけではございません。そこら辺の点につきましては、よく地元の港湾管理者等の意見も聞かなくちゃいけないと思いますが、運輸省といたしましては、地元の港湾管理者の名前をそのまま受け取っているわけでございます。
  175. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間がないからあれですが、あなた、なごりではないんですよ。これははっきり書いてありますよ。四十八年六月の資料の中に、留保、西水路の問題のあるときにこういうようにいっていますよ。一六二ページ「中央港口は将来点線計画に西水路を計画した場合において利用し得るように配置した」と書いてありますよ、あなた。それから一六四ページにも、「西水路も利用できるように中央航路を計画した」と書いてありますよ。西水路はあるのですよ。西水路を考えているんですよ。ちゃんと本に書いてあるんだもの、なごりじゃないんですよ、これは。あなた、なごりだとおっしゃるのなら、いま直ちに西水路と直しなさいよ。これまで直されますか。ここははっきりしているじゃないか。開発庁どうですか。開発庁がこれをつくったのでしょう。これは開発庁の計画。港湾局長に言うよりも、これは開発庁の責任だ。開発庁答えなさいよ。
  176. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 いろいろまぎらわしいものを五十三年までの港湾計画ということで港湾管理者は策定をしたのでございますけれども、中身におきまして表現上六十年代に受け取られるような、誤解を招くような表現がございまして、そういった点を港湾管理者にも指摘をいたしまして、再提出を願って港湾審議会で御決定を見たわけでございますが、いま港湾局長が申しましたように、そういうような当時のいきさつと申しますか、その過程からこういった中央水路という表現になっておるのでございまして、決して西水路をあくまでも予定しておって中央水路という名前を、特に私どもそういう意味で受け取っているわけではございません。
  177. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは納得いたしません。時間がないからあれだが、ここに書いてあるのだからしようがないでしょう、あなた。計画のために配置したと書いているじゃないか。あなた、何ぼ答弁したってだめですよ。だめですよ。そんな答弁では納得いたしません。  続いて私やりますが、これは一月港湾審の決定の計画、あなたも持ってきていると思うが、九二ページを見てごらんなさい。五十三年というのは、いま四十九年ですから四年ですね。四年後に人口がどうなるかということを書いてある。いいですか。「工業基地の開発に伴っておおむね三十万人の人口増が見込まれている」と書いてある。現在苫小牧の人口は十二万です。四年後の五十三年には、人口が三十万ふえて四十二万になる計画ですか。こういう計画をおつくりになっているのですか。これは六十年計画でしょう。六十年計画に三十万増になっているのですよ。これは五十三年計画ではないですよ。この点をごらんになっても、これは六十年計画の焼き直しである。まさに内容は六十年計画だ。  それ以外に、いいですか、八九ページをあけてごらんなさい。陸上貨物輸送量は二千万トンと推定されている。これも六十年計画に同じように数字が出ていますよ。  第三点、資金計画、九八ページ、この中で臨港道路は四十万平方メートルになっている。ところが、これは五十三年計画だ。ところが、五十三年計画では四十万平方メートルが、六十年計画では、それを開いてごらんなさい、二十万平方メートルになっている。これは一体どういう数字なんですか。私は、これは港湾局よりも開発庁の立案した人に聞きたいのだ。これは一体どういう数字をおつくりになっておるのか。数字の上では、全くでたらめきわまりないと思う。  しかも——時間がありませんから私はもう一点だけで終わりますが、大臣、聞いておいていただきたいんだ。数字の上では五十三年計画といいながら、六十年計画をそのまま全部使っている。そして、表面ではパーセンテージを少なくしておいて——最後にこれは配付しますが、そういう形でやっている。過大投資の尤たる事実なんです。  まず第一、数字の上での点、そうしてもう一点は、最後に福田大臣に聞いて私は終わりにしますが、開発庁、さっきの数字は一体どうなんですか。苫小牧は、今後四年間に現在の人口十二万が四十二万になるのですか。そんな計画があるのですか。そんな計画があるのなら、ぜひ聞かしてください。
  178. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 地元の苫小牧市におきましては、昨年の十一月でございましたか、約一万ヘクタールの工業用地をつくって開発を進めていこうということになっておりまして、ただ五十三年までの第一段階の工業立地といたしましては、いま四千三百億の出荷額に見合う港湾計画をつくっておるわけでございます。(岡田(春)委員「そんなことを聞いていない、時間がなくなるよ、人口の話を聞いているんだ」と呼ぶ)  人口は、やはりこれは六十年マスタープランにおいて私ども三十万ということを考えたわけでございます。
  179. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これで終わります。  いまはっきり答弁したように、五十三年じゃない、六十年のプランばかりなんですよ。  そこで最後に、大臣、このグラフを見てください。いま開発庁で答弁したとおり、工業生産額、貨物取り扱い量、入港船舶隻数、それから総事業費、下のグラフをごらんになってください。この霜降が六十年計画です。霜降りを全部一〇〇%にして、五十三年はどうなっているか。工業出荷額はわずか一八%です。小さな格子じまになっておりますね。それから取り扱い貨物量、六十年に比べて一七・九%です。それから入港船舶隻数、一三・六%です。私が調べた限り、いままで新聞その他で報道されたのでは、総事業費は、初めの六十年計画は千七百七十四億なんです。これをさっきは二千二百億とかなんとか言っていますけれども、たとえば、二千二百億にした場合はあとでもう一度言うとして、千七百億にした場合でも、五十三年計画は千五百億です。グラフでごらんください。ここで八四%予算は使うことになっている。たとえば二千二百億といたしましても、千五百億なら約七五%ですよ。これはまさに過大投資といわざるを得ないじゃありませんか。  しかも大臣、本四架橋の問題も、このところ、最近やるということはもう少し延ばさなければならないといっている。総需要抑制政策で、高速道路の問題もしかりです。それなのに、これだけはこのままの形で認めるというわけには私はまいらないのであります。やはりここで——新年度予算においては、この間、二月二十三日の私の質問に福田大蔵大臣は、十分精査をいたしましてやりますというお話でございましたが、こういうグラフをごらんになっても、いかに過大投資であるかということは一目りょう然、明らかだと思います。しかも、さっきから申し上げているように、五十四年以降において鉄鋼の立地も不可能である。不可能であるのに、このような過大な計画をつくっていくことになりますと、これはまさに、総需要抑制政策をやるときに過大投資の一つの標本になってくると思う。これは観光みやげの箱みたいなものだと私は思うのですわ。中身がないのに箱だけりっぱにするという底上げ作戦ですよ。こういうことは、大蔵大臣として徹底的に、十分に監視をいただいて、来年度予算以降においてはひとつこのような過大投資をお認めにならないように、大臣に特に要求したいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  180. 福田赳夫

    福田国務大臣 苫小牧東港につきまして、具体的なことを私、こまかくは存じませんが、いずれにしても、世界情勢は非常に変わってきておるわけです。その中でのわが国の今後の経済社会の展望、これも非常に大きな影響を受けるわけであります。そういう中で、まあ在来のいろんな長期計画があります。それからいろんな大型のプロジェクトの計画があります。そういうものは、変わった日本経済の将来の展望、その上に立って見直しを行なう、こういうことになると思います。苫小牧の問題もその例外ではあり得ない、そういうことで……
  181. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、これは見直しになっていくわけですか。
  182. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういうことになります。将来、長期計画またあるいは大型プロジェクトのあるべき姿といたしましては、在来の計画なり在来のプロジェクトを再検討する、こういうことでございます。
  183. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 荒木君。
  184. 荒木宏

    ○荒木委員 この法案は電源開発を促進するということで提出をされております。私は大臣にまずお尋ねしたいのですが、従来電源開発がなかなか進まないいろんな理由をあげておられますけれども、しかし、これは公害の問題がやはり非常に重要な障害問題として住民の間に反対運動がある。いろいろ地元メリットがないとか、提案理由の中では説明を伺いましたけれども、この問題が、電源開発が従来予定どおり進まなかったということの何よりも大きな原因ではないか、こういうふうに思いますが、ひとつお考えを伺いたいと思います。
  185. 福田赳夫

    福田国務大臣 電源開発がなかなか遅々として進まない、これは二つ理由があると思うのです。一つは基本的な安全性の問題、もう一つは立地問題、その立地問題の中に、いま御指摘の公害問題、こういうものも重要なる要素として含まれておる。これはもう、もちろんそう考えております。
  186. 荒木宏

    ○荒木委員 そこで通産省に伺いますが、当該の電力企業は一体どう見ておるか、ここに、昭和四十五年十二月に、関西電力の企画部総合計画課から出した文書があります、電源開発についての見通し。この中で、幾つかの開発予定地点を取り上げてなぜ進まないかということを指摘しておりますが、たとえばここで指摘されておる広島県の竹原、あるいは兵庫県の佐津、さらに赤穂、和歌山県の御坊、こういったところについては、なぜ進まないかという点についてどのように指摘しておるか、これをひとつ伺いたいと思います。
  187. 岸田文武

    岸田政府委員 いま引用なさいました資料、先ほどお話がございましたので、さっそく入手をいたしまして、いま御指摘の点に該当するかと思われるところを見てみますと、佐津、赤穂、御坊、高砂、これらの点につきまして、それぞれ地元との折衝に時間を要し、なかなか着手に至らないという事情が書いてあるようでございます。
  188. 荒木宏

    ○荒木委員 地元との折衝に時間を要する、その折衝に要する問題点は何か。たとえば竹原の指摘があります。ここでは重油専焼ということでは地元了解がむずかしい、こういうふうに書いてあります。あるいは赤穂のところでは、公害関係の調査、こういうふうな指摘があります。ですから、いずれも地元の了解という点は、環境の問題というところが従来の経過としては非常に大きな問題としてウエートを占めていた。この問題についていろいろ折衝があって、たとえば公害防止協定のような形で話が進んだところでは、それなりに地元了解が前進しておる。関西電力と大阪府の多奈川第二発電所の公害防止協定の事案は、御承知のとおりだと思うのであります。  ですから、従来の経過としては、電源開発を進めるためには、環境問題、公害問題に努力をして、そして住民納得するような措置をとるということが電源開発を進める道である、反対がどんどんと大きくなるというのは、環境問題、公害問題が了解が得られない、ごく全体として見て、大まかに見て、こういう経過ではなかったか、こう思いますが、いかがですか。
  189. 岸田文武

    岸田政府委員 これから電気事業が円滑に発展をいたしますためには、何よりも地元との協調ということが大事でございます。地元の方々の話を伺ってみますと、やはり御指摘のように、一つには公害問題に対する懸念、これについて十分なる説明が得られるかどうかという点が問題でございます。他方、私どもの耳に入ってまいりますのは、発電所ができてもなかなかメリットがない、これについて何かの知恵はないかという声も同様に入ってきておるというところでございます。  公害防止の点につきましては、単に使用する油の中の硫黄分を下げるとか、あるいは排煙脱硫装置をつけるとか、こういった技術的な問題だけではなく、やはり公害防止の効果について地元の納得のいくような説明をするということが大事かと思っております。
  190. 荒木宏

    ○荒木委員 一つ具体的な例を伺いますけれども関西電力が京都府で新宮津発電所を建設するということで、電調審のほうの手続がありました。これは一度期限が延長されて本年の夏が最終ですけれども、これが進まないのは一体どういうわけか、通産省のほうではどう見ていますか。
  191. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御指摘の新宮津の発電所は、すでに電調審を通ったわけでございますが、その後京都府のほうにおきまして、なお検討を要するということで今日に至っておるわけでございます。
  192. 荒木宏

    ○荒木委員 そうしますと、大臣に伺いますけれども、従来の経過を見ると、環境問題、公害問題ということが大きな問題で、これが解決しないとなかなか進まない。一方、そこのところの話ができれば、それなりに多奈川の例のように一面話の進んでおる面もある。新宮津のように、それができなければなかなか話が進まない。地元で話ができずに反対をしておる場合に、交付税は交付をされますか。
  193. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御審議を願っております法案によりますと、発電所の建設が確実であることということが条件になっております。私どもは、やはりその趣旨からいたしまして、着工から交付をするということがたてまえであろうかと思っております。
  194. 荒木宏

    ○荒木委員 そうすると、大臣、どうでしょうか。公害の問題が解決しない、環境問題が解決しないということで反対をしておる、そこは金をやらぬ、こうなんですよ。そして話が進んだところは、公害、環境問題が解決を見る方向で前進をして話が進む。この場合に交付税を渡すというこの税制、新税の役割りですね。反対しておるところは渡さぬというのでしょう。それは公害問題が解決しなければ電源開発は進みませんわな。そうすると、一体、そういう場合にどういう役割りを果たすというふうにお考えでしょうか。
  195. 福田赳夫

    福田国務大臣 この税は目的税なんです。目的は電源開発を促進する、こういうことでございますが、いままで電源開発が進まなかったその理由の大きな二つの一つ、それは地域社会においてその施設を歓迎しない、こういうわけだったのです。その隘路を打開するために、地元が気持ちよくこれを迎え入れるという諸条件を整えたい、こういうことなんです。公害問題もその一つになる、これは当然でございます。
  196. 荒木宏

    ○荒木委員 そうすると、この交付税でもって公害の被害を少なくするような施設をつくるわけですか。これはどうも入っていないように伺いましたが……。
  197. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお話の中で、公害問題につきましては、むしろその着工を決定する以前において十分な対策が講ぜられているかどうか、それらの内容を吟味した上で着工に至る、こういう考え方であろうかと思います。  いまのお話の中で、公害防止施設自体を交付金で処理するかどうかということでございますが、むしろ公害防止投資自体は電力会社自身が責任を持って処置すべきもの、こう考えております。
  198. 荒木宏

    ○荒木委員 だから、つまるところは、電力企業が本来やるべき防止設備を十分やらないで、したがって、環境破壊、公害のおそれがある、反対だ、こういう事例があるわけですね。それがまた電力企業自体の調査の中でも出ている。そのときに、保育所を建てる、公園をつくる、こういうふうな交付税が促進の役を果たすかどうか。環境破壊、健康破壊になるからというて反対をしておる。そこで、さあ金を渡しますぞというのは一体どういう意味を持つか、これをひとつ私は大臣にお伺いをしたいわけであります。  そこで、電力企業電源開発のために一体どういう態度をとっておったか。これはその前提として通産省に伺いますが、先ほどの関西電力の文書の中の五一ページで交渉態度をどういうやり方をとっていたか、これは通産省いかがですか。
  199. 岸田文武

    岸田政府委員 この資料によりますと、幾つかの地点につきまして、それぞれの交渉をしておる経緯が書いてございます。補償の問題がどうであろうか、公害の問題がどうであろうか、これらの取り扱いをめぐっての経過が、この中に記載されてあると思います。
  200. 荒木宏

    ○荒木委員 だから、その中身はどうかというのです。どんなやり方をしていたか。皆さんはこれを見て、電力企業電源開発の進め方の手練手管、手口はどうか、これを聞いておるのです。
  201. 岸田文武

    岸田政府委員 おそらく先生指摘になっておられる点は、この中で「秘密裡に交渉を進めている」というような表現であろうかと思います。発電所の建設にあたりまして、地元との交渉のやり方は、私どもはやはりオープンにするのが当然であろうか、こう考えております。
  202. 荒木宏

    ○荒木委員 皆さんはオープンとおっしゃるが、現実に電力企業が進めておるやり方は、この地域賛成派がどこだ、ここにこう書いてあります。反対派はどこだ、音頭とりはどれだ、そしてその反対派を切りくずしていくにはどういうやり方をしたのか。オープンでなければいけないといま岸田部長が言いました。それを秘密裏に交渉して、なるべく反対派の勢力をあの手この手でだんだんと押えつけていく。これは企業自体がちゃんとそういっているんです。大臣、そういう中で、さあお金を渡しますよ、公害の問題は電力企業の問題だからこれは別だ。電力企業自体が賛成派反対派を分けて切りくずしをして、秘密裏に交渉を進めようとしておる電源開発に、政府が新税を設けて、そして交付金を渡す。どういう作用を及ぼすというふうにお考えでしょうか。
  203. 福田赳夫

    福田国務大臣 地域社会がその発電所が設置されたがゆえにたいへん改善された、発電所が来てよかったな、こういう印象をお持ちになるような、そういうことを実現しよう、こういうことなんです。喜んで迎える体制をつくり上げたい、こういうことでございます。
  204. 荒木宏

    ○荒木委員 端的な事例をもう一つあげましょう。先ほどの多奈川第二火力発電所の場合、大阪府が出しております文書によりますと、地元住民は環境破壊ということで反対だ。これは環境保全という要望を十分くんでもらわなければいかぬということを、大阪府は公式文書で発表しておるわけです。一方、賛成派といわれる人たちもおります。環境破壊だから反対だというてがんばっておる人たちと、誘致をしようというふうにしておる人たちがおって、いろいろと運動を進めている。企業はそれを、反対派切りくずしのために秘密裏に交渉を進めるということをいっているわけです。さあ金を出しますよ、喜んでもらいますよ。これはどっちに有利に作用しますか、結果として。大臣が責任を持って新税をとられて金を地元へ渡すというときに、生命を守れというておる反対派にプラスになるか、それともとにかく電源を持ってこいといっておる賛成派に有利になるか、これはどうお考えになりますか。
  205. 福田赳夫

    福田国務大臣 反対派の主張する反対理由というものの解消ということにも役立つ。それから、賛成しておる人についてはそういう問題が起こりませんけれども、われわれの主張しておるとおり発電所が誘致されてたいへんよかったな、こういって安心できる、こういう効果もある。
  206. 荒木宏

    ○荒木委員 いま大臣は反対派の反対の解消に役立つとおっしゃいました。これは一体どういう意味でしょうか。反対派は、生命、健康を守れというて反対しておるのです。さっきの通産省の話では、この交付金は公害防止には直接関係ない、こうはっきりおっしゃった。そして、この出す金が反対派の解消に役立つということになりますと、結局のところは、生命、健康という問題とは別の、金で切りくずしていくということに即なるのではないでしょうか。これは大臣のお考えを伺いたい。
  207. 福田赳夫

    福田国務大臣 公害問題は、これは企業が受け持つ部分が多いと思いますが、公害周辺の問題につきまして、自治体が受け持たなければならぬ問題もあると思うのです。たとえば温水をどうするかというような問題につきましても、一部は自治体がそれに対する対策を考えるというような問題も起こってくると思う。ですから一がいに、金を出しました、それで反対派の主張というものを全部抹殺するということにはならぬ。私は、反対派の主張されているところの問題も、企業努力あるいは自治団体の努力——それには自治団体のほうは金が要ります、その金はできます、そういうようなことで解消していくということに相なる、かように考えます。
  208. 荒木宏

    ○荒木委員 大臣は企業努力とおっしゃいますけれども、はたして電力企業はそんなに努力をしておるでしょうか。  私はその前提として通産省に伺いますが、設備投資の中に占める公害防止投資の割合、昭和四十八年度で、これは実績見込みになるかもしれませんが、火力、水力、原子力、電力企業の全建設費の中でこれは何%になりますか。
  209. 岸田文武

    岸田政府委員 公害問題に直接関係ございますのは火力発電所でございます。火力発電所の建設に関する設備投資の中で、たしか三〇%余りが公害防止関連投資として計上されております。
  210. 荒木宏

    ○荒木委員 原子力、水力、火力と合わせて建設費総額は何ぼになりますか。
  211. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社合計で約一兆七千億の投資が行なわれております。
  212. 荒木宏

    ○荒木委員 そのうちの公害の投資額は幾らになりますか。
  213. 岸田文武

    岸田政府委員 繰り返し申し上げますように、原子力に関する投資には、それぞれ建設問題を含めまして建設投資の中に安全問題等のいろいろの費用が含まれております。したがって、公害問題ということでございますれば、火力発電所の投資に関する比率をとるのがやはり妥当ではないか。そういう観点からいたしますと、先ほど申し上げましたような約三〇%余りという数字が出てまいるわけでございます。
  214. 荒木宏

    ○荒木委員 私の伺ったことに答えていただいてその上で論評はよろしいが、あなたは聞いたことに答えもせずに、一方的に火力火力だけだと言う。そういうことでは十分な公害防止対策すらとれぬじゃないでしょうか。  一兆七千億、そのうちで、皆さん方からいただいた資料によれば、七百八十三億というのが四十八年の実績です。四%ほどでしょう。原子力の問題、水力の問題については、公害防止は問題にならぬですか。御案内のように、今度の法案では水力ということもわざわざ入れられたという修正の経過がある。  全産業平均は、パーセントはどのくらいですか。
  215. 岸田文武

    岸田政府委員 正確な数字の記憶はございませんが、各種産業の平均で六、七%ではないかと思います。
  216. 荒木宏

    ○荒木委員 とんでもないことですよ。皆さんのほうから伺った数字で一六%ですよ。通産省のほうから聞いたところでは一六%。ところが、あなた、電力企業では四十八年度の全建設費の中に占める公害防止投資の比率というのは、わずか四%です。電力企業のやっておる努力というものはこういうものなんです。そして、この法案によりますと、そこへひとつ十分期待をして、反対派がやっておるところへ直接公害防止には使われない交付金をどっと出そう、反対派を納得させる効果があると大臣はおっしゃるわけですが、私はこれは十分考えていただかなければならぬと思う。  一体、電力企業が行政指導その他についてどう見ているか。公害防止その他についてどう考えているか。この点については、通産省に伺いますが、先ほどの資料の五四ページでは、電源開発、大容量スペアの建設について、通産省がどういう方針を出しているか、電力会社はどういっていますか。
  217. 岸田文武

    岸田政府委員 ここの資料によりますと、各社合同してそのような大容量スペアの施設を持つ場合に、相当大胆な考え方でやらないとなかなか解決できないということが書いてあります。
  218. 荒木宏

    ○荒木委員 それで、必要な場合にはどうしろといっていますか。
  219. 岸田文武

    岸田政府委員 再びこの表現をかりますと、「必要なら料金値上げもやったらよいと思う。」という表現がございます。実はこの問題につきましては、先回物価対策特別委員会でそのような問題があるということを伺いました。またきょうも資料を拝見したわけでございますが、私、率直に感想を申し上げさしていただくならば、昭和四十五年当時は、各電力会社とも値上げ問題が問題になるような時期ではございませんでした。したがって、これはもう当人がおりませんので確かめようがございませんが、こういった電源開発、発電所の建設というのは相当思い切ってやれという趣旨で発言をされた、こういうふうに理解できるのであります。
  220. 荒木宏

    ○荒木委員 大臣にお尋ねいたします。もう時間が参りましたので簡潔に伺いますが、電力企業通産省の公益事業局が会談をして相談した。その中で、これから電源開発は大容量スペアでいかなければならぬと通産省は言った。それを進めていくために、もし必要なら料金値上げもやりなさいと通産省が言いましたと関西電力は言っておるのですよ。  つまり、その当時の関電のそろばんは、営業報告書によりますと、内部留保はたっぷり積み増しした、引き当て金、準備金は言うことないほど用意しました、その上でまだ八十億円も利益をあげることができましたというのが、四十三年、四十四年、三期、四期連続続いた経営成績でありました。その時期に住民に対しては、賛成派反対派とより分けて、そうして切りくずし工作をやって、秘密裏に交渉を進めていた。電源を開発していくために通産省に相談に行ったところが、通産省はもっともっとやりなさい、必要なら料金値上げもやりなさい、こう言ったという。電力企業がこういう考え方でおって、しかも、先ほど言ったような程度の公害防止設備しかしていない。こういうときに、この新税が一体どういう役割りを果たすでしょうか。  私は、いまの電源開発の一番の問題は、公害問題、環境問題、立地問題、まさにいま住民が命と暮らしを守るために抵抗しておるその願いを正面から解決していくことが、電源開発を進める道ではないか。多奈川第二の問題が端的な例であります。それが解決できなければ、いつまでたっても事が進まない。新宮津の例が端的な例であります。そして大臣みずから認められたように、この金というものは側面から切りくずしに使われる。結局、環境を守ると言っておる住民の願いにこたえ得ないで、別の形で反対派を賛成に回らせるということになる、この通産省政府態度電力企業態度は。この新税については、私どもは根本的に反対であるということを申し上げて、大臣の御所見をひとつ伺って、質問を終わりたいと思います。
  221. 福田赳夫

    福田国務大臣 いろいろのお話でございますが、冒頭に申し上げましたとおり、この三法は電源開発を阻害しておる二つの要因、その一つであるところの立地問題、これを円滑に解決をいたしたい、こういう考え方です。その中にはもちろん公害の問題等もあります。とにかく住民が喜んでこの施設の設置を迎え入れるという条件を整えたい、こういうことでありまして、反対派の切りくずしをするというような、そういう意図を持っておるものではない。  いまわが国において電力問題がいかに重要であるかということは、これは国民みんなが承知しておると思うのです。それを急がなければならぬ。そのための隘路を解決しなければならぬ。政府も非常にあせっておる。そのあせりというか、まあ非常な熱意といいますか、そういうものを端的に国政の上にあらわす、これが今立法のねらいとするところでございます。
  222. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  223. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
  224. 三枝三郎

    ○三枝委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております電源開発促進関係の二法案について、賛成の意向を表明するものであります。  わが国の電力事情が、需要供給の両面にわたる要因によって、今日、ますます逼迫の度合いを深めていることは、あらためて多くの説明を要しません。  もちろん、このような状況に対処するためには、需要面においても、今後、エネルギー多消費型の産業構造の再検討など、省エネルギー化の政策を鋭意促進しなければならない点が多々あるのでありますが、経済社会活動の進展のみならず、特に、家庭、学校、病院、鉄道等の民生用需要の年々の拡大に伴って、今後、電力の需要は、引き続き着実に増大することが予想されるのでありまして、それを充足できる供給の安定的確保は、福祉社会を目ざすわが国として、現下の国家的急務であります。  すでに、法案審議の過程でも熱心な論議のありましたとおり、このような国家的要請にかかわらず、電源の立地が難航し、発電所の設置に大幅なおくれを来たしている第一の理由が、発電施設、なかんずく原子力発電施設をめぐる環境問題や安全問題にあることは申すまでもありません。したがって、これら原子力を中心とする各種発電施設の設置を促進するためには、原子炉の安全性の確保はもちろん、環境保全の諸対策について万全の措置を講じ、一般国民、特に地元住民の不安感を払拭し、その理解と協力を得るよう特段の努力を払うべきであり、いささかも怠るところがあってはならないのであります。  しかしながら、これとともに、発電所と地域社会の協調をはかり、発電所の設置が地域社会の発展に寄与する方策についても、積極的に取り組むことが、これまた問題打開の重要な側面であります。現に、電源立地関係地方公共団体から、発電所立地による地元への利益還元を要望する声や、道路、港湾等の基盤整備に対する要求が増大してきていることも事実であります。  電源開発促進税法案並びに電源開発促進対策特別会計法案の両案は、このような背景のもとに、発電所等の周辺地域住民の福祉の向上をはかること等を通じて、発電所の立地対策を積極的に実施するために提案されたものでありまして、まことに時宜を得た措置というべきであります。  特に、昨年秋の中東石油の供給削減問題に端を発し、エネルギーの長期的な需給不安等の諸問題が表面化している現在、新しいエネルギー源としての原子力をはじめとする電源開発は、かつてないほどの重要性と緊急性を帯びてきているのであります。  このように、重要かつ緊急な政策を実施するにあたって、目的税により特定した財源を確保することは、税制上それなりの議論はあるとしましても、ガソリン税の例を引くまでもなく、許されるべき一つの措置であろうと思うのであります。  また、目的税を財源として行なう電源開発促進対策の収入支出の関係を明確に経理するためには、特別会計を設置して、区分経理を行なうことが必要であり、これまた、適切妥当な措置であると考えるのであります。  以上、両案に対する賛成の理由を簡単に申し述べて、私の討論を終わります。(拍手)
  225. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 山田耻目君。
  226. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 ただいま議題となっております電源開発両法案に関しまして、日本社会党を代表いたしまして、反対態度を明らかにいたします。  この法律は、しばしば議論してまいりましたように、法文上目的税としての形は整えておりますけれども、どこから見ても目的税としての内容は備えておりません。結果として全く大衆課税になっていくものでありますし、あるいは電力会社に膨大なメリットを与えていく法案にしかすぎないのであります。私たちは、こうした電源開発にからんでいく一連の問題につきましては、国の一般政策として取り上げて措置すべきものであるときびしく指摘をいたしてきたところでございます。特に石油危機に片足をかけまして、緊急性があるという立場を表面に出して、民主的に措置しなければならない新税の創設にあたって、税調にもはからず、政府が独断で推し進めてきたということは、税の体系を根本から破壊する暴挙といわなければなりません。  二つ目には、この問題の基礎をなしておるものはエネルギー政策であります。このエネルギーの全体政策としてとられるべきであるにかかわらず、一体、責任体制はどうなっているのでしょうか。政府の責任もきわめて不明確でございます。昭和二十六年、九電力に分割をされまして、株式会社電力事業者が主体となっておるのが実情であります。料金の形もばらばらでありますし、格差も生まれてきております。したがって、政府は、エネルギー政策の管理の体制なり供給体制という面から見て、早急に責任体制、供給体制を明確にする必要があるわけでございます。この際、特殊法人をつくりまして、管理、供給の責任体制を明確にしていくことがきわめて重要であったはずでございます。しかし、こうした事項には、この法律は何ら触れようともいたしておりません。政府に対してきびしい反省を指摘し続けてきたのも、そうしたゆえんに基づくものであります。  次に、原子力発電の環境整備なり安全性についても、きびしく指摘いたしてまいりました。確たる保障がないままこの法案を押しつけてこられておるのでありますが、特に、廃棄物の処理や再生処理工場の見通しについては、全くめどもついていないのが現状であります。国民の不安をぬぐい去ることはできません。  私は、方法は異なっておりますけれども、二十九年前、原子放射能を直接浴びた被爆者です。老化現象がきびしく私のからだを苦しめておりますけれども、この国民の不安というものを除去していくためには、どうしても確立した、確定的な安全性を国民に示さなければなりません。その安全性を示すことが、国民のコンセンサスを得ることです。こうした状態がなされないままこのような法律の提出をしたことは、私は許せません。すみやかにこの法律の提出を取りやめて、撤回されることを強く要請いたしまして、日本社会党を代表しての反対討論を終わります。(拍手)
  227. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 増本一彦君。
  228. 増本一彦

    ○増本委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、電源開発促進税法案及び同特別会計法案に反対の討論をいたします。  反対の第一の理由は、電源開発促進税が目的税でありながら、その目的が明確でなく、また、国民が首肯できる何らの妥当性もない点であります。  今日、電源開発政府の計画どおりに進まない理由は、政府電力会社の公害対策と安全対策の不備であり、しかも、電力需給の見通しが、依然として大企業中心の高度経済成長政策を土台にしていることに対する、国民の強力な批判の世論があるからであります。  この国民の根本的な批判に、まじめに、真正面からこたえようとせず、特別税を財源とする周辺整備で糊塗しようとすることは、とうてい首肯できぬことであります。  本法案に反対の第二の理由は、電源開発地域の周辺整備を、特別の租税によって行なうことの不当な点であります。  電源開発促進税は、電力会社が納税義務者になっていますが、この税は、総括原価の一要素となって電気料金に組み込まれ、国民に負担させることになるものであります。そして、電力会社は、この周辺整備にすら何らの費用の負担もしないことは、電源開発地域周辺整備法案の六条二項、三項が今国会中に削除されたことを見ても明らかであります。  公害を放置し、安全性についての疑惑を生み出している当の電力会社が、周辺整備に要する費用について一切の負担もしないことは、この二つの法案が、電力会社に肩がわりして国民に負担と犠牲を押しつける以外の何ものでもないといわなくてはなりません。  本法案に反対する第三の理由は、このような周辺整備という施策では、今後の電源開発を真に国民の立場に立って進めるものにはならない点であります。  まず、いままでのようなやり方では、地元にメリットがないという政府の言い分についてであります。このような意見が発電所所在地から出てくる最大の原因は、政府の公害と過密過疎を生み出した高度成長政策と、大企業中心の経済政策にあります。いま国民が望んでいることは、太平洋岸を中心に巨大な工業地帯をつくり、過疎地を中心にして、公害と環境破壊をもたらす発電所をつくるような産業政策ではありません。  まず政府がしなくてはならないのは、工業、農業をはじめ、全国につり合いのとれた経済の発展をはかるため、地方自治体と地域住民の下からの計画をつくることを優先させることであり、しかも、特に発電所などの公害企業の進出にあたっては、完全な地元住民の合意と理解こそ、何ものにもかえがたい前提であることを明確にすることであります。  ところが、本法案は、若干の交付金で住民理解と合意をかえって踏みにじるものであることは、ただいまの、反対派の解消に役立つという大蔵大臣の答弁によっても明らかであります。  わが党は、今日のエネルギー危機の克服は、電力などおもなエネルギー産業を国有化して、総合エネルギー公社に編成し、その民主的な管理をしなくてはならないと考えるものであります。また、原子力発電については、原子力基本法に定める自主、民主、公開の原則に従って、ウラン供給契約や、原子炉、再処理施設を含むすべての施設の資料の公開をし、安全性を科学的に点検すべきであると考えます。この前提条件が満たされない限り、国民の不安と批判は、全く解決の糸口すら見出すことはできないでありましょう。  以上の諸点を指摘して、反対の討論といたします。(拍手)
  229. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 広沢直樹君。
  230. 広沢直樹

    ○広沢委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案に対し、反対意見を表明するものであります。  政府は昭和四十九年度の予算編成にあたり、電源立地を促進するための施策をにわかに変更し、新税を財源とする交付金構想を打ち出し、そのため、この二つの法律案を新たに提出するとともに、継続審査中の発電用施設周辺地域整備法案を修正いたしましたが、いかに石油危機に直面したとはいえ、今回の政策変更はあまりにも拙速にすぎ、かえって電源開発促進に対する政府の無策を露呈するとともに、はたしてこのような場当たり的な対策で、立地難を解消することができるのかどうか、幾多の疑問を投げかけているのであります。  そこで、反対する第一の理由は、新税創設と特別会計新設に対する政府姿勢が、安易にすぎているということであります。  およそ新税を創設するに際しては、税体系のあり方、政策効果等各般にわたる慎重な検討を加える必要があることは言うまでもありません。まして、目的税の導入にあたっては、税制調査会の答申にもいわれているように、目的税収入の使途が特定される公共サービスの受益と目的税の負担との間にできる限り適確な対応関係があるかどうか確認されなければならないのであって、一般に、財政の硬直性を招く傾向にあることからも、十分な配慮が必要であるのであります。にもかかわらず、政府は、国税において実質的に初めての目的税たる電源開発促進税創設について、税制調査会にはかることもなく法案提出に踏み切っているのでありまして、私どもの全く理解に苦しむところであります。  中曽根通産大臣は、電気税の廃止問題について、電気はもはや空気と同じで、国民生活に不可欠なものなので、それに課税するのはおかしいと述べたと伝えられておりますが、この考え方からしても、一般消費者にも一〇〇%転嫁される電源開発促進税は、福祉時代に逆行する税制であると断ぜざるを得ません。もし、かりに、電源開発促進のための財源を確保する必要があるとするならば、それは一般家庭用の電灯料金よりも低廉な電力供給によって高利益と急成長を遂げてきた大企業と、それに安易に応じてきた電力会社にこそ求めるべきであります。  また、特別会計の設置は、財政の基本原則である総予算主義の例外をなすものであり、しかも、現在その数は四十一の多きにのぼっているのでありまして、その新設は、現在の特別会計の存置の必要性を随時見直しながら、慎重に対処すべきものであります。  政府は、この二法案をすみやかに撤回し、税制調査会、財政制度審議会にあらためて諮問をし、その検討を経てから出直すよう強く要求する次第であります。  第二は、政府による責任ある電力需給の見通しと、それに対する長期的な総合エネルギー政策を持たぬまま、性急に電源開発の促進対策を推し進めようとしている点であります。  第四次中東戦争勃発に伴うOAPECの原油生産の削減方針は、世界各国に大きな衝撃をもたらしましたが、国内に石油資源をほとんど持たないわが国の受けた打撃は、とりわけ深刻なものがあったのであります。申し上げるまでもなく、日本経済のこれまでの高度成長は、安い石油の供給によってささえられてきたといっても過言ではありません。しかしながら、その条件は急速に変化しているのでありまして、省エネルギー化による産業構造のあり方とともに、高価格下の総合エネルギー政策を早急に確立する必要に迫られているのであります。  適確な電力需給の見通しと、電源開発の目標も、その中でこそ求められるものであります。それなくして、適切な電源開発のための促進対策はとり得ないのであって、今回の施策は、どのように説明されても、その場しのぎの措置にすぎぬのではないかと感ぜざるを得ません。政府は早急に総合エネルギー政策を確立し、その上で国民各層の理解を得られる説得力のある対策を打ち出すべきであります。そのことのほうが、結果的には電源開発を円滑に進めるゆえんであると考える次第であります。  第三は、環境保全と原子力発電の安全性の確保が、電源開発促進のための必須条件であるということであります。  参考人の意見の中にも、安全性確保の問題等と地元における経済的メリットとの問題を並列的に考えることは適当でない旨の意見がありましたが、まさにそのとおりでありまして、いかに周辺地域の整備をはかったところで、安全性の問題等が解決しない限り、発電所の設置がスムーズに地元に受け入れられるとはとうてい考えられないのであります。  温排水基準がいまだ設定されていないという事実や、原子力発電の安全性について資料公開が十分になされていないという状況では、政府がいかに口先だけで不安はないと説明されても、地元住民納得させることはできないのであります。大気汚染、温排水等を中心とする環境保全と原子力発電所の安全性の確保について、実効ある対策を着実に実施することを先行させなければ、今回の施策の効果もあがらず、結局は、立地について無理押しをせざるを得ない結果になるのであろうということを、強く指摘するものであります。  政府は、地元が反対をする真の原因がどこにあるのか、いま一度静かに考え直すべきであります。  最後に、今回の電気料金の引き上げにあたって、高福祉・省資源をキャッチフレーズとしておりますが、はたして実態はどうか、はなはだ疑問であるということであります。  家庭用電灯料金のナショナルミニマムについて、公聴会等で一般消費者が主張している百五十キロワット時まで料金据え置きという要求が、わずか申請の百キロワット時から百二十キロワット時に引き上げられたにすぎず、また、二八・五九%の大幅値上げは、物価高に苦しむ国民の生活苦に追い打ちをかけるもので、他の公共料金値上げや、その他便乗値上げを誘うおそれを考えるとき、そよ影響ははかり知れないものがあります。さらに、今回の値上げをきっかけに、一年ごとに電気料金値上げされかねない料金フロート制へ移行したものであるともいわれております。しかも、この大幅値上げを原価や経理の内容国民に公開もせずに認可したことは、国民を無視するとともに、高物価時代を新しい経済秩序として容認しようとする政府姿勢のあらわれであると断ぜざるを得ません。  このようなことでは、電力政策について国民のコンセンサスを求めることは困難であり、ひいては、電源立地難の解決もなお道遠しの感を免れないのであります。政府の猛省を促してやみません。  以上、両案に対する反対の理由の一端を申し述べまして、討論といたします。(拍手)
  231. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 竹本孫一君。
  232. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は民社党を代表いたしまして、以下三点申し述べて、反対の討論にいたしたいと思います。  第一点は、目的税あるいは特別会計を設けるについて、少し安易過ぎはしないかという点であります。われわれ民社党は、周辺整備に関しましては、その基本的な考えには賛成をするものであります。しかしながら、その特別税、あるいは特別会計を安易に設けるということでなくて、これは一般会計の中から大きな財政的な背景の中で、これにより積極的に取り組むべきであると思いますし、そうした意味において、現在十ある目的税をさらにふやそう、四十一ある特別会計をさらにふやそうといったような安易の考え方反対であります。  第二点として、指摘したいことは、総合的な資源エネルギー対策がこの際必要であるという点でありまして、これについて十分な政府のお考えが伺えなかったことは非常に残念でありますが、私は、総合的な資源エネルギー対策については、三点を考えるべきではないかと思います。  その第一は、大蔵大臣もいわれている安定成長の問題であります。高度成長に行き詰まって安定成長に切りかえようということでございますけれども、一方では金融財政の面からそれについて斧鉞をふるわなければならぬと思いますが、同時に、その資源的基礎について、総合的な検討をいまやらなければならぬと思います。一バーレル十ドル、さらには十一ドルに近い値段になったようでございますけれども、一体、油の確保というのは三億キロリットルでとどまることができるのか、あるいは田中さんの考えたような七億五千万キロリットルを必要とするような経済体制に持っていくのか。私は、石油危機を契機として、日本のいわゆる高度成長経済の転換をはかる大きな問題が提出されておると思います。そういう意味で、一体、世界のきびしい資源エネルギー状況の中で、日本の資源エネルギーはどこまで必要とし、どこまでを確保することが物理的に政治的に経済的に可能であり、妥当であるかということについて、この際、総合的な政策を考えなければならぬではないかという点が一つ。  次には、わが国のエネルギーの需給の問題につきまして、先ほども指摘がありましたけれども、すべてが個別企業の分裂状態の中で、利潤制約の中で考えられておりますけれども、こういうことで、本格的な資源エネルギー対策が確立できるものかどうかという点が第二の問題であります。  資源エネルギーに関する第三の問題は、言うまでもなく安全性の問題であります。わが国においては少し神経過敏になり過ぎる点があるかとも思いますけれども、しかしながら、安全性の問題については、どこまで神経過敏であってもよろしいと思います。  現在世界で、原子力発電だけについて見ましても、運転中の原子力発電を持っておる国が十八あります。それを含めて、いま建造中あるいは計画中の国が二十ありますから、三十八の国が原子力開発に取り組んでおるわけであります。したがいまして、原子力の安全性については世界各国それぞれのくふうをしておることと思いますので、この際、政府は、安全性の確保については、純粋に科学的な立場で大いに追及されるのもけっこう、同時に、世界各国が安全性確保並びに庶民の安全感の確保のためにどういう努力をしておるかということについても、総合的な検討を進めていただきたい。これは要望になりますけれども、そう思うのであります。  第三に指摘したい点は、この法案をめぐっての政府の政治姿勢の問題であります。  その一つは、税調にはかるべき問題であるにもかかわらず、新税の創設、特に目的税の問題はそれが財政を硬直化させるとか、近代的な税制のあり方にむしろ逆行するものであるとか、いろいろの立場からきびしい論議が行なわれておるわけでございまして、当然に税調にはかるべきでありますが、今回はそのことがなかったということは、機関軽視であります。  もう一つは、この法案の審議の過程で問題になりましたように、われわれの法案がまだきまらないときに、電気料金が経済関係閣僚会議できまったという問題であります。政府はあとで統一見解を示されまして、この税が通らない場合にはその分だけ差し引くからと、こういうことの答弁をされたのでありますけれども、それは算数的計算においては差し引けばもちろんそれでよろしいわけでございますけれども、われわれが問題にしたのは、民主的な手続が大事である、機関を軽視してはならない、国会を軽視してはならない、そういう意味でその点を問題にしたのでありまして、単なる算数の問題ではなかったということを、ひとつ銘記していただきたい。  私どもは、そういう意味で、国会の審議を無視し、軽視し、侮辱するというようなあり方は許せなかったのであります。民主主義はどこまでも機関尊重、手続が大事でありますので、政府の政治姿勢は、今後ともこの点は厳に戒めてもらいたい。  以上、申し上げまして、反対の討論を終わります。(拍手)
  233. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより順次採決に入ります。  まず、電源開発促進税法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  234. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  235. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  237. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十四分散会