○広沢
委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております
電源開発促進税法案及び
電源開発促進対策特別会計法案の両案に対し、
反対の
意見を表明するものであります。
政府は昭和四十九年度の予算編成にあたり、電源立地を促進するための施策をにわかに変更し、新税を財源とする交付金構想を打ち出し、そのため、この二つの法律案を新たに提出するとともに、継続審査中の発電用施設周辺
地域整備法案を修正いたしましたが、いかに
石油危機に直面したとはいえ、今回の
政策変更はあまりにも拙速にすぎ、かえって
電源開発促進に対する
政府の無策を露呈するとともに、はたしてこのような場当たり的な対策で、立地難を解消することができるのかどうか、幾多の疑問を投げかけているのであります。
そこで、
反対する第一の理由は、新税創設と特別会計新設に対する
政府の
姿勢が、安易にすぎているということであります。
およそ新税を創設するに際しては、税体系のあり方、
政策効果等各般にわたる慎重な検討を加える必要があることは言うまでもありません。まして、目的税の導入にあたっては、税制調査会の答申にもいわれているように、目的税収入の使途が特定される公共サービスの受益と目的税の負担との間にできる限り適確な対応
関係があるかどうか確認されなければならないのであって、一般に、財政の硬直性を招く傾向にあることからも、十分な配慮が必要であるのであります。にもかかわらず、
政府は、国税において実質的に初めての目的税たる
電源開発促進税創設について、税制調査会にはかることもなく法案提出に踏み切っているのでありまして、私
どもの全く
理解に苦しむところであります。
中曽根
通産大臣は、電気税の廃止問題について、電気はもはや空気と同じで、
国民生活に不可欠なものなので、それに課税するのはおかしいと述べたと伝えられておりますが、この
考え方からしても、一般
消費者にも一〇〇%転嫁される
電源開発促進税は、福祉時代に逆行する税制であると断ぜざるを得ません。もし、かりに、
電源開発促進のための財源を確保する必要があるとするならば、それは一般家庭用の電灯
料金よりも低廉な
電力供給によって高利益と急成長を遂げてきた大
企業と、それに安易に応じてきた
電力会社にこそ求めるべきであります。
また、特別会計の設置は、財政の基本原則である総予算主義の例外をなすものであり、しかも、現在その数は四十一の多きにのぼっているのでありまして、その新設は、現在の特別会計の存置の
必要性を随時見直しながら、慎重に対処すべきものであります。
政府は、この二法案をすみやかに撤回し、税制調査会、財政制度審議会にあらためて諮問をし、その検討を経てから出直すよう強く要求する次第であります。
第二は、
政府による責任ある
電力需給の見通しと、それに対する長期的な総合エネルギー
政策を持たぬまま、性急に
電源開発の促進対策を推し進めようとしている点であります。
第四次
中東戦争勃発に伴うOAPECの原油生産の削減方針は、世界各国に大きな衝撃をもたらしましたが、国内に
石油資源をほとんど持たないわが国の受けた打撃は、とりわけ深刻なものがあったのであります。申し上げるまでもなく、日本経済のこれまでの高度成長は、安い
石油の供給によってささえられてきたといっても過言ではありません。しかしながら、その条件は急速に
変化しているのでありまして、省エネルギー化による
産業構造のあり方とともに、高
価格下の総合エネルギー
政策を早急に確立する必要に迫られているのであります。
適確な
電力需給の見通しと、
電源開発の目標も、その中でこそ求められるものであります。それなくして、適切な
電源開発のための促進対策はとり得ないのであって、今回の施策は、どのように
説明されても、その場しのぎの措置にすぎぬのではないかと感ぜざるを得ません。
政府は早急に総合エネルギー
政策を確立し、その上で
国民各層の
理解を得られる説得力のある対策を打ち出すべきであります。そのことのほうが、結果的には
電源開発を円滑に進めるゆえんであると考える次第であります。
第三は、環境保全と原子力発電の安全性の確保が、
電源開発促進のための必須条件であるということであります。
参考人の
意見の中にも、安全性確保の問題等と地元における経済的メリットとの問題を並列的に考えることは適当でない旨の
意見がありましたが、まさにそのとおりでありまして、いかに周辺
地域の整備をはかったところで、安全性の問題等が解決しない限り、発電所の設置がスムーズに地元に受け入れられるとはとうてい考えられないのであります。
温排水基準がいまだ設定されていないという事実や、原子力発電の安全性について
資料公開が十分になされていないという
状況では、
政府がいかに口先だけで不安はないと
説明されても、地元
住民を
納得させることはできないのであります。大気汚染、温排水等を中心とする環境保全と
原子力発電所の安全性の確保について、実効ある対策を着実に実施することを先行させなければ、今回の施策の効果もあがらず、結局は、立地について無理押しをせざるを得ない結果になるのであろうということを、強く
指摘するものであります。
政府は、地元が
反対をする真の原因がどこにあるのか、いま一度静かに考え直すべきであります。
最後に、今回の電気
料金の引き上げにあたって、高福祉・省資源をキャッチフレーズとしておりますが、はたして実態はどうか、はなはだ疑問であるということであります。
家庭用電灯
料金のナショナルミニマムについて、
公聴会等で一般
消費者が主張している百五十キロワット時まで
料金据え置きという要求が、わずか
申請の百キロワット時から百二十キロワット時に引き上げられたにすぎず、また、二八・五九%の大幅
値上げは、物価高に苦しむ
国民の生活苦に追い打ちをかけるもので、他の
公共料金の
値上げや、その他便乗
値上げを誘うおそれを考えるとき、そよ影響ははかり知れないものがあります。さらに、今回の
値上げをきっかけに、一年ごとに電気
料金が
値上げされかねない
料金フロート制へ移行したものであるともいわれております。しかも、この大幅
値上げを原価や経理の
内容も
国民に公開もせずに
認可したことは、
国民を無視するとともに、高物価時代を新しい経済秩序として容認しようとする
政府の
姿勢のあらわれであると断ぜざるを得ません。
このようなことでは、
電力政策について
国民のコンセンサスを求めることは困難であり、ひいては、電源立地難の解決もなお道遠しの感を免れないのであります。
政府の猛省を促してやみません。
以上、両案に対する
反対の理由の一端を申し述べまして、討論といたします。(拍手)