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1974-05-22 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十二日(水曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 村山 達雄君    理事 山本 幸雄君 理事 阿部 助哉君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    大西 正男君       奥田 敬和君    金子 一平君       鴨田 宗一君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       野田  毅君    萩原 幸雄君       坊  秀男君    村岡 兼造君       毛利 松平君    山下 元利君       佐藤 観樹君    高沢 寅男君       塚田 庄平君    細谷 治嘉君       松浦 利尚君    村山 喜一君       荒木  宏君    瀬崎 博義君       広沢 直樹君    内海  清君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         参  考  人         (税制調査会会         長代理)    友末 洋治君         参  考  人         (評 論 家) 稲葉 秀三君         参  考  人         (柏崎原発反対         地区を守る会連         合代表)    芳川 廣一君         参  考  人         (早稲田大学法         学部教授)   牛山  積君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     山崎 始男君   松浦 利尚君     久保  等君   武藤 山治君     細谷 治嘉君   小林 政子君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   久保  等君     松浦 利尚君   細谷 治嘉君     武藤 山治君   山崎 始男君     広瀬 秀吉君   瀬崎 博義君     小林 政子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号)      ————◇—————
  2. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題といたします。  本日御出席いただきました参考人は、税制調査会会長代理友末洋治君、評論家稲葉秀三君、柏崎原発反対地区を守る会連合代表芳川廣一君、早稲田大学法学部教授牛山積君の各位であります。  参考人各位には、御多用のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、両案につきまして、それぞれの立場から忌揮のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  なお、御意見十分程度にお取りまとめいただき、そのあと委員からの質疑にお答え願うことといたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず最初に、友末参考人よりお願い申し上げます。
  3. 友末洋治

    友末参考人 税制調査会会長代理をいたしておりまする友末でございます。  昭和四十九年度の税制改正につきましては、所得税の画期的な減税をはじめ法人税率引き上げ印紙税自動車関係諸税引き上げなど、相当広範囲にわたり、かつ基本的な改正でございましたので、われわれ税制調査会におきましては、昨年は、特に年度早々から本格的な審議を開始し、相当突っ込んだ議論を行ないました末に、ようやく昨年十二月二十一日に昭和四十九年度税制改正に関する答申をまとめて、ほっと一息いたしていたのでありまするが、その後、政府のほうで予算編成作業と並行して行なわれました具体的な税制改正要綱作成作業の段階で、種々の議論が行なわれました模様でございまして、本年一月十一日、最終的に税制改正要綱が閣議決定されました。これは昨年十二月二十九日に閣議に提出いたされました税制改正大綱追加修正が行なわれたもののようでございます。  その直後におきまして、事務当局から、電源開発促進税を新たに追加し、その創設に踏み切ることにした旨、文書をもって各委員が連絡を受けた次第でございます。したがいまして、税制調査会といたしましては、この電源開発関係問題について、事前に諮問を受け、これを審議するというような機会は全くなかったのでございます。一月十一日付、税調幹事主税局長さんから送付をいただきました文書は、この六ページにわたる簡単なものでございまするが、本文の末尾には特に「今後ともよろしくお願い致します。」と、意味深長とも思われますような文句がつけられておるのでございます。  御承知のように、税制調査会におきましては、どちらかと申し上げますると、税体系の問題とか税負担あり方の問題など基本的な問題に重点を置いて審議をいたしており、個々の政策的な措置のこまかい内容にまで立ち至って検討を行なうことはあまりないのでございまするが、しかし、今回のように目的税として新しい税を創設するという重要な問題を、政府決定を下される前に税制調査会諮問をいただけなかったということは、はなはだ遺憾なことでございまして、異常な経済情勢に緊急対処すべき事態発生のため、時間的な余裕がなかったという事情にあったことは理解できないことではないと思いまするが、それはあくまでも異例のことであり、少なくとも今後このようなことは決して前例にしていただきたくない、安易に政府が独走してもらっては困る、特に新税の創設につきましては、従来どおり慎重の上にも慎重を期してやるべきであると考えておる次第でございます。  次に、税制調査会では、かつて昭和三十年代の後半に道路整備財源との関係で、目的税について突っ込んだ議論をいたしたことがございます。その際の議論の結果は、昭和三十九年十二月の長期答申にまとめられておりまするが、答申では「一般的に言えば、目的税創設拡充は、財政の硬直性を招くほか負担の適正な配分という見地から問題があるので、好ましくないと考えられるが、」といっておりまして、一般論といたしましては、確かに目的税に対してはきわめて消極的な意見が大勢を占めていたことがうかがわれるのでございます。しかし、答申ではすぐ続けて、「わが国における道路整備事業緊要性や、道路整備による受益と負担関連を考えると、道路財源相当程度まで目的税によつてまかなうことは適当であると考えられる。」といっておりまして、いわば個々の問題としてはケース・バイ・ケースでこれを認めるという態度を示しておるのでございます。  今回の電源開発促進税法案等内容につきましては、いまだ十分承知しておりませんが、提案理由を拝見いたしますと、本件は、国民生活の向上と国民経済の発展に伴って増加していく電力需要に見合う供給を促進し、あわせて電源構成適正化をはかっていくという時代の要請にこたえ、発電所立地対策を推進するための費用に充てるという目的と、電力を使用することの便益に着目して課税するという負担との関連から見て目的税として創設するもののようでありますので、この限りにおきましては、一応相当理由のある措置であると思っておる次第でございます。  なお、申し上げるまでもなく十分御承知のところでございまするが、本法案等につきましては、実施上の問題として交付金だけで片づく問題ではございません。公害防除安全性確保等の問題や周辺地域の適正な決定電気事業者地元町村町づくりへの協力問題等総合的に検討して、効果的に運営さるべきことが特に肝要であると考えるものでございます。  以上、簡単でございまするが、一応意見を申し上げる次第であります。
  4. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次に、稲葉参考人にお願いいたします。
  5. 稲葉秀三

    稲葉参考人 参考人稲葉でございます。  私、この二つの御審議を賜わりまする法案を拝見いたしまして、問題が二つあるような感じがいたしました。  一つは、このような特別法案をやっていかねばならないほど、日本電源開発緊急性があるのかどうかという問題が一点でございます。  第二点といたしましては、すでに友末さんがお触れになったと思いますけれども、目的税としてこういったようなことをし、あるいは特別会計創設する、こういうことのいかんということだと思います。  それにつきましては、いろいろ見方考え方が分かれるだろうと思うのでございますが、私が第一に指摘をしたい点は、初めの点についていえば、遺憾ながら、日本のこれから必要な最低限電気を充足していく、また電源開発を進めていくというためには、当面のところ、やはりこういったような特別支援体制をとっていかなければ、将来において非常にそれ以上のマイナス要因経済撹乱とか国民生活撹乱というものが起こってくる可能性が強いということでございます。  御存じかもしれませんが、私は終戦後いろいろな面におきまして、エネルギー問題とかエネルギー政策関係をしてまいりました。そして、すでに皆さん方御存じのように、昭和四十年と四十七年をとりますれば、電気事業者供給する電力量は千五百億キロワットアワーから三千三百億キロワットアワー増大をしておる。また、それをまかなうに足る電源設備というものについていえば、三千六百五十万キロワットから七千四百六十万キロワットに、倍以上増大をしております。そうして、私が最低限予測するところによれば、従来のような伸びの形においてこれから日本電気を調達していくというのはむずかしい。しかし、やはり電気というものは何らかの形において日本の中でこれを供給をしていかねばならないということになりますと、最低限それに対してどのような措置をとっていくのかということは、政府としてまた国民のための最低限あり方でなければならない、私もこのように感じるわけであります。  ところが、今回の石油危機、それに先立ちまするところの、私はエネルギー危機と呼んでおりますが、その二つのことをかね合わせて将来を予測いたしますると、いままでのような形におきまするエネルギーの充足というものは、私は八〇%方むずかしかろうといわざるを得ないのでございます。  すでに、日本エネルギー昭和四十七年度におきまして、七五%、八〇%石油に依存をしておる。また、日本電力は昔は水力、それを補完するものとしての石炭の発電でございましたが、現在は三分の二の電力というものが石油によって供給されております。そしてその石油を入手をしていくということが以前ほど簡単ではなくなった。さらにまた、価格が四年前に比べまして四倍あるいは五倍というものにはね上がってきている。そういたしますると、何らかの形におきまして、石油にかわるエネルギーというものを最低限つくっていくという必要に日本は直面をしておると私は思います。そしてさらに、日本だけではなくて、世界の多くの国々が、そういうことに対してどのような転換をしていくのか、どう進めていくのかということを私たちと同様、私たちよりももっと真剣にこれを検討している次第でございます。  ところが、すでに皆さま方御存じのように、ここ両三年、将来に対処をするための電源開発というものが非常なおくれを起こしているわけでございます。これは一つは環境問題というものと、もう一つ安全性に対する地域住民危惧、こういうことによるのではなかろうかと思います。そしてそのようなことで今後推移をいたしますると、おそらく昭和五十二、三年ごろから、電力の需給というものは非常に不安定な状態に落ち込んでくるということは必至でございます。  私が稲葉私案というものを最近まとめまして、そして衆議院の科学技術特別委員会に御報告申し上げましたのは、決して従来の延長ではなくて、せめて国民経済というものを六%見当はこれからも十年ばかりは維持していく。その最低限エネルギーと、またそれに必要な電力を調達をするためにも、どのような見方考え方をしていかねばならぬか、こういったような問題提起一つの解決の方向というものを示唆させていただいたわけでございます。安全性とか環境問題に対するいろいろな危惧があるということは、私も認めます。しかし、せめて従来の五〇ないし六〇%のエネルギーというものを確保しながらこういう問題をいかに進めていくのかということが、私は民主主義社会におきまする政治の役割りでなければならないと思っております。もとより、これに対しましていろいろな反対見方が生じるということは配慮をいたします。  そのような観点から申しますと、電源開発につきましては、その一つといたしまして、いままで自分たち水力発電所とか火力発電所とか原子力発電所についてお手伝いをしてきた、ところが、その電気というものはどうも大都会のほうへ吸い上げられてしまって、自分たちはあまりそれに関して報われるところがない、こういったような御主張が一つの点としていわれてきております。  第二は、石油発電所はもとより、原子力発電所につきましては公害とか安全性の問題がどうも心配だ、このようなこともいわれてきております。安全性につきまして、私はいま皆さま方に御指摘申し上げる時間的な余裕はございません。また、私自身はそれに対する専門家ではございませんけれども、そういったような諸般の事情を考えますと、私は、この二法を何とかここでひとつ決定をして実行していただきたいということをお願い申し上げたい次第でございます。  もう一つ友末先生のおっしゃった税法上の問題でございます。私はいま税制調査会委員ではございませんが、過去におきまして十数年間、日本税制につきましてはいろいろお手伝い、御協力申し上げた人間でございます。そしてそのような感覚から申しますと、目的税をどんどん大きくしていくということにつきましては、どうも原則的にはあまり好ましいものではない、このように申し上げねばなりません。できればひとつ一般税制に直していただいて、しかも、友末さんがおっしゃったが、これから日本は非常に変転きわまりない情勢に際会をいたします。そして税制上、これからの歳出増加をまかなっていくためにどのような配慮をしていかねばならぬかという基本的な問題があり、しかもインフレにどのように対処をしていくのかということがございまするので、私は、せめて来年からは従来のようなあり方ではなくて、もっと日本の将来を見た税のあり方、場合によっては税の増収をはかっていくにはどうしていくのか、そしてそこから起こってくるインフレをどういうふうに排除するのかということをおやり願いますと同時に、好ましいことではございませんけれども、当面の措置といたしましては、この財源によりまして地域の振興に役に立つ、それからモニターとか災害防除とかそういうことに対しまして役に立つということであれば、ひとつこれをお認め願いたい。そしてさらに抜本的にどのようなことをしていくのかということを、政府税制調査会で今度はしっかりお考え願いたいということを申し上げまして、その限度におきましてこの法案に対しまして賛成をいたします。
  6. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次に、芳川参考人にお願いいたします。
  7. 芳川廣一

    芳川参考人 御紹介いただきました柏崎原発反対地区を守る会連合芳川でございます。  私たち地域は、東北電力の管内であります。私の地域、新潟県柏崎荒浜及び刈羽刈羽村にまたがる縦三千六百メートル、横千二百メートル、約四百万平方メートルの敷地に、東京電力一基百万キロワット級の原子力発電所を六基ないし八基、合計八百万キロワットから一千万キロワット、東電に言わせますと、世界最大原子力発電所を設置しようとやっきになっております。  原発敷地南側には、わずか四百メートルのところに四百五十世帯荒浜地区、北側には大湊、宮川椎谷地区が、五十メートル、千メートル、二千メートル、それぞれ二十三世帯、二百二十世帯、百三十世帯というふうに、市街地と何ら変わりなく密集して存在しております。南側約千メートルからは人口九千の刈羽村があり、敷地から南側四キロには六万人に近い人たちが住んでいる柏崎市街地がございます。  百万キロワット級の原子力発電所が一年間稼働いたしますというと、その原発原子炉の中には、長崎原子爆弾がまき散らしました死の灰の約一千発分がたまります。柏崎原発が八百万キロワット、一千万キロワットといたしまして、これが一年間稼働し続けますならば、柏崎原発原子炉の中には、長崎原爆がまき散らした死の灰の約八千発分から一万発分がたまるということになります。これは平常運転の限り、ほとんど漏れません。ほとんど漏れませんけれども、全然漏れないかというと、確実に毎日毎日漏れ続けるのであります。   〔委員長退席浜田委員長代理着席〕 それがたとえ微量であっても、私たちはそれを浴び続けなければなりませんし、そのような低レベルの放射能を子々孫々まで浴び続けたときに一体どうなっていくかということは、学問的には何ら解明されていないものと私たちは存じております。  原発は人類が開発いたしましたいかなる機械よりも実に過酷な条件で稼働し続けるわけでありますから、長崎原爆の一万発分の死の灰がちょっとだけでも漏れ過ぎたとしたらそれはもはやたいへんなことであって、これはただ単に柏崎地区住民だけの問題ではありません。全県的な問題であり、全国的な問題といわなければなりません。いわんや柏崎のように巨大集中化した原発全国各地にできるといたしますならば、これはまことにたいへんなことだといわなければなりません。  また、原発は、海水による二次冷却水を百万キロワットで一秒間に、まあ電力会社に言わせますと四十トンとかいいますが、一般的には六十トンとか七十トンとかいわれております。柏崎原発八百万キロワット、一千万キロワットの原発が必要といたしますところの海水、二次冷却水は、一秒間に実に五百トンから六百トンに達します。これは信濃川の水量よりも多い阿賀野川の水量にも匹敵するといわれております。この温度上昇した温排水が環境に及ぼす影響は、はかり知れないものがあると私たちは考えております。  このとき私たちが、目先の利得にとらわれず、妻あり子供あり、子々孫々にわたってここに住んでいかなければならない者として、真剣になってこの問題を考えましたときに、このことを不安に思ったり、反対に立ち上がったりすることは、これはまことに正常な精神の持ち主といわなければなりません。  いまから五年前、四十四年の三月、柏崎市議会は、このたいへんな事業を、設置される炉型も、一基当たりの規模も、それがどのように集中し——しかもあとになってわかったことですけれども、世界でも今後とも例がなかろうと思われるような巨大集中化した原発設置計画、そこらの知識も何らない中で誘致決定いたしました。刈羽村議会のごときは、柏崎市議会誘致決議をしたことだしという理由で、一ぺんの審議もなしに誘致決議をいたしました。この誘致決議をもって、地元住民が了解したなどといって強行されようとしております。もはや私たち自身が立ち上がらなければならぬと考えまして、寝食を忘れて、圧迫をはねのけて、苦しい反対運動を五年間続けてまいりました。  今日、原発敷地を取り巻く荒浜宮川椎谷刈羽は、当初は何か世界一のものができるから今度はおれたちの世の中になるぞというような風潮もないではなかったのでありますけれども、いまはその原発を取り巻く地区はもちろん、市街地に及ぶ十地区におきまして、原発反対地区守る会ができております。荒浜地区全国初の一世帯一票による住民投票をいたしまして、あらゆる妨害をはねのけまして原発反対二百五十一、賛成はわずかに三十九であります。また、私ども宮川地区では、部落臨時総会を開きまして、二百二十世帯中百九十余世帯満場一致原発反対決議昭和四十七年にいたしました。また、刈羽村におきましては、有権者の過半数に及ぶ人たち反対署名を獲得いたしました。  私たちが真剣になって学習し、一そうの不安を感じ、疑問を指摘してきたことが、そのあとからあとから次々と、たとえばゴフマン、タンプリン警告やあるいはスタングラスの警告、あるいは緊急冷却装置のテストが作動しなかったというような問題、最近の原発のたび重なる事故など、事実となってあらわれてまいりました。科学技術庁電力会社は、二重、三重の安全装置でだいじょうぶだとか、わざわざ考えられない事故まで想定して対策をとっているとか、関東大震災の三倍の地震にも耐え得る設計だからなどと、もっともらしく言っています。しかし、われわれはそのようなことばで言うのではなくて、それを事実をもって証明してもらわなければなりません。  それには私は、原子力基本法にある世界に誇るべき自主民主公開の三原則をはっきりと踏まえ、特にすべてのデータと原子炉安全審査公開を求めます。そして地域住民はもちろんのこと、すべての国民全国の学者の批判に十分たえ得るような審査結果を打ち出すことのできる審査体制を確立しなければなりません。そうでなければ、われわれは信用することはできません。これがまた全く私は道理だと思います。原子力を推進することと安全審査をすることは二律背反的なことでありますが、これを同じ原子力委員会でやるというようなことはやめてもらわなければなりません。田島委員辞任いたしますと、あとは官僚と財界の出身者で大部分を占められるというような原子力委員会体制は、即座に改めてもらわなければならないと思います。このような非民主的なあり方は、即座に改めてもらわなければなりません。  地震国日本、狭くて人間がひしめいている日本世界にもまれな国であります。この日本条件を十分に踏まえまして、国民の生命、健康に責任を持ち、自主的研究開発を一体してきたでしょうか。そんなことはちっともしていないじゃありませんか。技術機械も他国の借りもので、これでは必ず大事故を起こします。原発が生み出す膨大な放射性廃棄物を処理することさえまだ解決していないではありませんか。このような状態の中では、私たち原発設置を絶対に許すわけにはいきません。このような地域住民の正当な要求にこたえることなく、住民の目を原発危険性から札びらのほうに向けさせて、札びらでほおをたたくようなやり方、これではいまより一そう住民の不安を買うでありましょう。このようなことは地域にますます混乱を生じさせ、一たん誤れば道義の退廃であります。全く目に余るものがあると思います。  私は、このような素地を十分に含んだところの電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案に対しまして、本委員会において絶対これを可決されないように強く訴えるものであります。
  8. 浜田幸一

    浜田委員長代理 次に、牛山参考人にお願いを いたします。
  9. 牛山積

    牛山参考人 牛山でございます。  これまで公害問題についての調査研究を行なってきた経験を踏まえまして、この法案についての基本的な考え方に対する疑問を提示させていただきたいと思います。  きょうここで問題になっております電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の是否を検討する場合には、その基本になっております発電用施設周辺地域整備法案についても、やはり基本的な検討を加えておく必要があると思います。これらの法案が立案される理由につきましては、電源立地の困難が生じているということが出発点でありますが、その電源開発の困難が生じているということについて、政府では二つ理由を考えているようであります。  一つは、先ほどから言われておりますように、公害の問題、それから原子力施設によるところの安全性の問題、あるいはさらに広げますと、熱汚染による漁業被害といった心配が生じているということです。それからもう一つは、発電所の立地が、雇用あるいは下請等の問題を考えたときに、地域社会に与えるところのメリットが少ないという、二つ理由をあげているわけであります。  そして、この三つの法案は、第二にあげました、地元に与えるメリットがないという側面に着眼して、これに対して交付金の支給によって対処しようとする基本的な立場をとっているわけであります。  こういう政府考え方に対しましては、まず第一に問題とすべきことは、政府が考えている二つ理由が、別個に切り離されて処理できるような、並列した形でとらえるべき問題ではないということであります。  第一に、公害あるいは原発の問題に伴って生じてくる安全性等の問題につきましては、まさに生命、健康の侵害の問題でありますから、この防止ということがまず第一の大事なこととして承認されなければならないということであります。したがって、立地難を解消するためにまず第一になされるべきことは、健康あるいは生命に対する侵害を防止するという基本的な施策を講ずることでなければならないわけです。  そのために何が必要かということについては、いま柏崎の方も触れられたことでありますけれども、十分な事前調査をするということと同時に、その調査について十分な点検、検討が地域住民によって行なわれるべきであるということであります。現在、原子炉の設置の問題につきましては、昨年、公聴会の開催の制度が原子力委員会によって決定されましたけれども、この制度自身は、昨年、私自身科学技術特別委員会で発言をいたしましたけれども、きわめて不十分だといわざるを得ないわけでありますし、また、火力発電所の設置の場合につきましても、いま申し上げたような十分な予測調査とその点検が保障されている段階ではないのであります。こういう点について抜本的な姿勢の改革をしないで、第二の問題のみによって対処しようとするのは、基本的な立場において誤っているというふうに考えるわけであります。  次に、第二の問題点として指摘しておきたいことは、安全あるいは公害の問題と地元経済に与えるメリットが少ないという問題を並列してとらえまして、あとの問題についてのみ対処しようとすることは、結論的に申し上げますと、住民運動を切りくずす、そしてそのことによって、最も大切な第一の問題についての解決を遅延させる結果になるというふうに考えているわけであります。  現在の発電所立地手続の中で、県知事の意見、そしてそのもととして、多くの場合、関係市町村議会の全員協議会の手続をとっておりますが、そこでの合意というのが非常に大きな意味を占めていることは御存じのとおりであります。ところで、このいま申し上げたような制度の中で地方自治体の意見がどういう形で形成されてくるかという過程を見ますと、先ほども柏崎の方から御紹介がありましたように、ほとんど審議もしないで誘致決議をするというような実態がかなり多くあらわれるわけでありまして、そういう中で自治体における正しい意思形成を考えるとするならば、調査研究をみずから行なった住民運動というものが非常に大きな役割りを果たしているということを承認せざるを得ないわけです。  公害安全性の疑惑について対処しないで、この第二の地元のメリットということについてのみ着眼しようとすることは、次のような弊害を具体的に生んでくると考えるわけであります。  つまり、一見この二つは対立しない考え方であるようでありますが、従来の公害問題、それから反対運動の経過を見ておりますと、明らかに二つの対立した考え方になっているわけであります。住民安全性を強調することに対しまして、これを封じようとする考え方、主張が、地域社会の繁栄であったわけであります。その幻想がくずれ去ったときに、それを補い、住民運動で要求している正しい解決のしかたを遅延させようというのが、今度の交付金の支給制度であろうというふうに考えております。  第三番目に指摘しておきたいことは、もしそういう形になりますと、ようやく地方自治体におけるところの正しい考え方が形成される端緒ができてきたかに見えるその芽をつむことによって、地方自治体における正しい意思形成、正確な情報に基づいて住民が自分の意思を形成し、それに基づいて自治体の意見決定されるという民主的な世論形成の過程を歪曲することにならざるを得ないだろうと思うわけであります。   〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕  ひとまず基本的な考え方だけをここではお話しさせていただきました。     —————————————
  10. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。塚田庄平君。
  11. 塚田庄平

    ○塚田委員 まず、友末さんにお伺いをいたしたいと思います。  元来、目的税そのものについては、実は数年前からの長期答申の中で触れている部分が非常に多いわけです。おっしゃるとおり、目的税は、一般的な税制論として好ましくない。しかも、三十六年の答申と記憶しておりますが、現在日本で考え得る目的税というのは道路整備に限る、こう断定しておるのですよ。道路整備に限るものと考えると。そういう意味では、今度の目的税、先ほどからいろいろ議論のあったこういう税種目をつくるという場合に、むしろ政府当局から連絡があったときには、それは税調で十分審議の上で結論を出し、その結論を参考にして創設の当否をきめる、これが私はたてまえではないかと思うのです。  そういう意味で、率直にいいますと、友末さんはまあ会長代理なんですけれども、会長は重大な申し入れを大蔵当局にやっておるはずなんです。これはあとで大蔵省にも聞きたいと思いますが、そういう事態で、いまあなたを入れて四人の方の議論を聞きましたが、もろ手をあげて賛成などという人は一人もおらなかったと私は思うのですね。それを、この短期間に強行しようというのが政府の態度なんですけれども、税制調査会の立場としてどう考えるか、率直な意見をひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  12. 友末洋治

    友末参考人 塚田さんから重大な御質問がございました。お話しのとおり、税制調査会といたしましては、目的税につきまして昭和三十九年に相当突っ込んだ検討をいたしました。その結果、目的税は財政の硬直化の関係、さらに負担適正化関係から申しましてあまり好ましくない。税調としては、どちらかと申しますると、消極的な気持ちがかなり強いのでございます。  しかし、個々の政策については、これを全然排撃するという立場はとっておりません。道路整備等につきましては、御承知のように、すでにこれを設定いたしております。それ以外にも目的税として掲げられて答申をいたしておるものも実はあるのでございます。自動車取得税、自動車重量税、あるいはまた、まだ実現には至っておりませんけれども、公害等の防止について目的税として検討すべきであるというその事項は答申に加えております。塚田さんがおっしゃった、目的税道路財源充当のために限るという態度を税調としてはとっておるわけではございません。一般論としては消極的だ。しかし、個々の政策について、受益と負担と結びつくものについては例外的にこれを認めていくという方向をとっておりますることを御承知いただきたい、かように考えます。  なお、東畑会長本日差しつかえがございまして出席できませんことは、まことに遺憾でございます。それで、私も東畑会長の意向を確めたのでございまするが、全く私と同意見でございますると同時に、新聞に事務当局に強硬なる申し入れをしたという記事が載っておりまするが、東畑会長は申し入れをした事実は自分にはないというふうに申されております。なかなか東畑会長は大きな、大人物でございまして、事務当局くらいに申し入れをするというふうな小人物ではないんじゃないかという感じをいたしたのでございまするが、さような事情でございまするので、御了承をいただきたいと存じます。
  13. 塚田庄平

    ○塚田委員 私もこの目的税についてはずいぶん文献を調べまして、特に税調——いま友末さんの言われたほかにもいろいろある。これは地方税では幾つかあります。私もよく知っております。しかし、国税についてつまり財政というものは一体として運営しなければならぬ、一体の原則、あるいはまた財政硬直化の問題等を加味して、国税については好ましくないどころではない、もうこれは例外中の例外というか、しかも、現在とん税とか特別とん税だとかあるいはまた地方道路税というのがありますけれども、厳密な意味における目的税ではない、特に特別とん税についてはほぼこういう見解になっておるわけです。地方道路税法については、これは揮発油税のころからの長い歴史がありまして、そういう歴史の中で移行したという歴史を考えると、本格的な目的税をつくったというのは今度が初めてといっていいわけですよ。  ちなみに、いまお疑いなら、私はそのとおり読んでもいい。これは三十九年十二月の答申なんですけれども、わが国においては受益者負担による目的税として前記の条件を満たすことのできるものは——前記の条件というのは、目的税とは費途が特定されたサービスの受益と目的税負担者との間にまさに的確な対応関係、これがなければならぬ。これに適応するものは道路整備財源としての目的税に限られるものと考える。こううたっておるのですよ。  そこまで思い切った答申を出しておるのに、しかも何らの相談も受けずに出る。かりに緊急性があるとはいいながら、これはちょっと待てということも税調としては言えるはずなんですけれども、どうでしょうか、こういう点は。
  14. 友末洋治

    友末参考人 重ねての御質問でございます。  お説のとおり、電源開発を促進いたしまする財源調達の方法といたしましては、種々考えられると思います。あるいは一般財源をもって補助金のかっこうで交付するという行き方、あるいは現在地方税でございまする電気税、これを一部国のほうで吸い上げて地元に交付する行き方もございましょう。また、ここに今回出ましたところの国策として国税として促進税を創設し、特別会計としてこれを地方に交付するという行き方、いろいろあると思うのでありまするが、種々利害得失を比較検討いたしますると、やはり電源の開発を促進してエネルギー資源を確保する、これはわが国の経済の関係からいって緊急な問題である。これを実施いたすための一つの手段として財源を地方に交付する場合におきましては、やはり既設のものではございませんで新設のものにだけこれを交付するという場合におきましては、地方税よりも国税として、国策としてこれを創設することがより適当ではなかろうか、かように考えるのでございます。  特に、おっしゃったように、かような種類の目的税はございません。さような意味から申し上げましても、税制調査会というものがあるのですから、相当権威のあるものだと私は思っておりますが、これに一度の相談もなく、諮問もしないで、時間がなかったからというので、ほおかぶりをするということは、私はきわめて遺憾しごくである、かようなことは今後絶対に先例とすべきでない。特に新税、特に目的税等の重要な案件でございまするがゆえに、おそらく総会を開きまするというと、これは一問題になるのではなかろうか。主税局長さんもかなり肝っ玉が太い人でありまするが、上がったり下がったりしておるんじゃないか、かように感じておるものでございます。
  15. 塚田庄平

    ○塚田委員 いま、事後の処理になりますけれども、重大な決意をいただいたわけです。局長、そのときでなくて、いまおそらく上がったり下がったりしておると思いますよ、この人は次に何かえらい人になるらしいのですから。たいへんな事態になると思う。そこで、非常に遺憾だ、けしからぬ、これは私はそのとおりだと思うのですけれども、これから以後あってはいけないということです。  それで、先ほどの友末さんの考え方に反論するわけじゃありませんが、国策であり、非常に緊急を要するものだ、こういう発言がありましたね。つまり、国の政治の要請、端的にいうと、税調はその政治の要請の中に押しつぶされたといいますか、政治的な配慮が税調を飛び越えていったわけですよ。税調の存在というのは、そういう政治的な意図なり配慮なりが飛び越えていくことに歯どめをかけるという存在であるはずなんです。かってに政治的な目的で新税を創設したり、税率をきめたり、こういうことをしてはいかぬという、いわば税の公正、負担の公正の番人のはずなんですよ。だから、これから諸問題をいろいろ審議していく場合に、そういう政治的な配慮がある場合には、これはやむを得ないじゃないか、国策じゃないか、こういう考え方が根本にある限り、もう税調というものは存在の意味がないということになってしまうのじゃないか。たいへん参考人に対しては言いづらいことばですけれども、こういう意見を一応言って、あと答弁はいいです。  次に、芳川さんにお尋ねいたしますが、現地ではそういううわさの中で反対運動が非常に盛り上がっておる。残念ながら柏崎市をはじめとして刈羽等で議会が誘致決定をした。聞くところによると、芳川さんも議会に議席を持っておられる方だと聞いておりますので、一体そのときどの程度、一番住民の心配しておる安全性あるいは環境問題について責任者が説明し、あるいは議会が参考人を呼ぶなりして、柏崎市なら柏崎市なりの意見をまとめていったか、一体どんな状態であったかということについて、お知りであれば思い起こしていただきたい。
  16. 芳川廣一

    芳川参考人 お答えいたします。  この種の地域開発という銘を打たれて地域に入ってくる企業に対しては、いつでもどこでも議員発案による誘致決議ということがまず行なわれてくるようであります。これはたいへんなことで、特に原子力発電所のような大がかりな問題につきましては、これは市の当局が、自治体の長が、地域住民に責任を持つという形で、部課長を駆使してあらゆる調査研究をして、万端まかり間違いなしということで責任ある提案をして、それを議会が議決するということが本来のあり方だと私は思うのですけれども、残念ながらわが柏崎市にもそういうことが行なわれました。  たまたま四十二年秋に、日本工業新聞に東電の木川田社長談ということで、新潟県柏崎市は原子力発電所誘致したいといっているから、それなら設置してもいいという談話が出ました。それが議会で問題になり、市長は、全然知りません、私は会ったこともありませんということでありました。しかし、それが安全でありしかも地域開発になるならそれはいいじゃないか、そういう市長の答弁を得て、今度は議員の発案という形で調査研究委員会をつくろう、こういうことがそそくさと行なわれた。これは一地方議会の議員が特別委員会をつくって調査研究するなどといいましても、十分な調査ができるわけはありません。また、真に調査をしようとすれば、それでもできます、それは議会の特別委員会ですから、市の部課長等の協力を得ていろいろなことはできるわけですけれども、そういうことはなるべくさせない、しないという形の中で、研究委員会が行なわれました。  それは何をやるかといえば、一体どういうことを研究していいのかわからぬわけです。一カ月、二カ月と空転いたしまして、それでもどうにか一年間の研究委員会の中で何をやったかというと、当時は、昭和四十三年当時でありますけれども、東海村の原子力発電所、十六万五千キロワットですか、これがただ一基動いていた。あと福島と敦賀の原子力発電所が建設中、美浜が建設中、この動いているただ一基のところを見てくる、あるいは建設中のところを見てくる、こういうことがまず第一。第二といたしましては、反対でだめになったところの事情を聞いてくる、これは旅費をもらって行かれますから、即座にささっと行ってきましたけれども。あと三点として、これは委員会の中で、それでもみんながかなり真剣になって、ない知恵をしぼって考えた。それはどうも反対意見を持っている学者もあられるようだ、もしそれが真実とすれば、たいへんなことになるから、われわれは原発の基本的なことは何にもわからぬのだから、ひとつそういう学者にも来てもらおう、それから安全だと言う学者にも来てもらおう、賛否両論の学者を柏崎の議会が呼んで、議員も勉強をすれば、大方の市民の皆さんからもいろいろ疑義があったら聞いて、そうして住民と議会と一体となっていろいろ学者の意見を聞く、あるいはその他政府意見を聞くとか、いろいろそういうことをきめたわけです。  ところが、第一、第二はそそくさとやりましたけれども、安全性を確かめる上に、原子力発電所に限っては見てきて安全だということがわかったなどと言うことほど非科学的なことはないわけでありますが、そういうことはそそくさとやって、一番肝心な第三の、賛否の先生方に来ていただきまして、住民と議会がともに慎重に研究していくというような態度はとうとうとらない。大体一年ぐらい時期が過ぎたからということで、ある日突然研究委員会が開かれて、安全でありしかも地域開発になるという文案がどなたかによってきれいに刷られて、突然それが配られて、そうして委員会みずからきめたことが行なわれない中で、強硬に研究委員会の結論を出した。研究委員会が結論を出しますと、本会議において、研究委員会がそういう結論を出したのだからこれは誘致しようじゃないかということで、誘致決議を強行する。全く地域住民は知らないときにきめてしまった。  先ほども申し上げましたように、炉型もわからない。当時は賛否いずれの議員も、まあ敦賀、福島が三十数万キロワットだから、柏崎はそれから少し科学が進歩したという話なので、五十万キロワット一基ぐらいだろうというふうにしか考えていなかった。そういういまから考えますと全く不勉強きわまりない、それはまた無理のない話でありましたけれども、そういう状況の中で決議をした。その決議が唯一の地元の了解だなどということで強行されるということは、これは私は非常に困ったことだと思います。
  17. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは芳川君、意見は要らぬですが、先ほどから百万キロワットアワーが何基ということになっていますね。おそらく地元では一基百万ということが常識になっていると思うのですよ。ところが、それさえ通産あるいは科学技術庁のわれわれに出した資料は、まるっきり違うのです。これは百十万ですよ。そうなると、あなたの議会で要求されてきた資料、現地あたりで何と説明しておるか、私もよくわかりませんが、もう基本的なことでさえまるっきりうそを言いながら——百十万が百万ですから少しは低いですわな。こういう二とを吹聴しながらやっておる。このことをひとつ理解してもらいたい。誘致を議決したということでしょう。もう確度の高い地点として設定されておるということなので、これから柏崎については、もっともっと十分に東電当局あるいは政府との折衝を重ねていかなければならない問題も多いと私どもは思います。時間もありませんので、それだけにしたいと思います。  次は、稲葉先生に伺います。私も北海道に長い間おりますが、おそらく稲葉さんは、北海道では石炭の問題とまっ裸になって取り組んだ最高の人だろうと思います。あなたの言うとおりやっていたら、いまごろ原子力とか、油が高くてどうにもならないとか、ここまでは来なくて済んだかもしれない。まあそういうことなんですが、実は稲葉私案というのが公に発表されて、あなたもそれに対してふえんするようなことをあちらこちらの雑誌等に発表もしております。経済性を考えない電力というのはまず実現不可能だということを前提にして出発しておるように、私は私案を読み取りました。  実はきょうの新聞で通産大臣は、料金を上げましたが、それに対する見解として、これからは原子力を主に置くんだ——あなたの計算と同じように大体一キロ四円ぐらいですね。ところが、十ドル石油になると七円、八円になっていく、だからということで、原子力をやるんだ、こういう発言をしております。  しかし、あなたは他の場所で、こういうことを進める上においては、先ほどから議論になっていた安全性あるいは環境の問題をあとにするなどということではだめなんだと言っている。「エコノミスト」の「この人と一時間」ですかで強力な発言をしております。せめて最低限、再処理問題と廃棄物問題とをきちんと政府がきめるのでなければ、原子力委員会なんかないほうがいいんだ。私も原子力委員会はやめます。まあこれはそのときの勢いだろうと思いますけれども、こうおっしゃっている。私はその勢いを貫いてもらいたい。つまり、何ものよりも安全あるいは環境、しかもこれは政府が責任をもってやるという体制でなければだめだと、こう言うのですよ。おっしゃるとおり、日本原子力についての各種の研究機関は、他の国、アメリカ、ドイツ、イギリスその他に比べたら非常に低いし、予算なんか、まるで顕微鏡で見なければ見えないような予算がついておる。特に、現在建設中の軽水炉の予算なんかはことしになって初めてついた、そういう情勢ですよ。  それで、電力をどうするかという御意見はわかりますけれども、その前に、政府が責任をもってやるべきだという、この意見に私は賛成します。にもかかわらず、先ほどからお話のあったとおり、第一にやらなければならぬ問題を全然ネグってといいますか、わずかの予算でしかやらない。しかも、第二の地元懐柔についても特別税を設置する、これは本末転倒もはなはだしいんじゃないかと私は思うのですよ。これは稲葉さん、失礼ですけれども御承知じゃないだろうと思いますが、交付された金で何をつくるかといったら、保育所をつくる、診療所をつくる、公民館をつくる、体育館をつくるのです。これでは住民をばかにするのもはなはだしいじゃないですか。こういうこそくなことをこの目的税でやろうというのですよ。こういうことについて稲葉さんはどう考えられるか、御意見を承りたい。
  18. 稲葉秀三

    稲葉参考人 まず初めの点でございますけれども、私は、やはり今後原子力を推進していくということは必要だと思います。しかし、はっきり申せば、経済性だけで推進をしていくということは、いまの社会では成り立たない。私に言わせますと、経済性に対する評価が昭和二十年代と三十年代と四十年代とは違っているわけです。つまり、昭和四十年代についていえば、日本はもう多元的な社会に入ったんですから、やはりもっと社会が進んでいくためには、いろいろな多元的な配慮をしていかねばなりません。環境の問題とか社会福祉の問題とか、そういうことをしていかねばなりません。しかし、一般見方考え方と私が違うとするならば、経済性を考慮しながらそういう問題をいかに配慮していくかということが大切であって、経済性を無視してそういうことをやりますと、社会というものあるいは経済というものが成り立たなくて、マイナスになっていく。だから、問題は、それらをいかに調整していくかということを技術的その他において検討していくということにあるのではなかろうかと思います。  そのような角度で、はなはだ僣越でございますけれども、私が提示をいたしましたのは、先ほど申したように、現状で進んだ場合はエネルギーはどのくらいになるか、過去の最低限で、予想のようにあるいはそれに近づけるといったようなパターンではどういう形になるか、第三に、それらの点を考慮し、社会や環境の問題を考えながら最低限六%の実質成長くらいを、エネルギーの効率的使用を前提にして昭和六十年までやっていくためにはどのくらいのエネルギーが必要か、そのエネルギーの中身はどういうことになるか、こういうことをこれから御論議を賜わりたい資料として提供さしていただいたわけであります。  私は、そういったような観点に立って政府が、また各国民を代表される政党が、エネルギー政策をどうしていくんだ、こういう総合調整の案をお示しになり、ひとつ国民に責任のある回答をしていただきたいということを申し上げたいのでございますが、先生の御質問に対してまずお答えを申し上げたい点は、安全性ということについては、私は別に日本が国際的に非常に劣った安全性というものをやっているとは思いません。しかし、日本は原爆の一番初めの被害国である。私は原爆と原子力発電というのは根本的に相当違うものだと思いますけれども、ともかくそういうことをもっと技術的その他いろいろな面において国民にも知っていただく。いろいろな面におきますことに対して、いま柏崎反対同盟の代表がおっしゃったようなことにつきましても、可及的に政府や公共団体でやっていくとか、あるいは安全研究を進めるためのこれからのあり方をやっていく。そういうことと並行して、全体のエネルギー、また最小限の電力、そしてその中における原子力の位置づけというもののコンセンサスを得ていただきたいということをお願いすると同時に、実は衆議院の科学技術特別委員会に私が御報告に参りましたときに、次のような御質問が出ました。  ともかく、原子力発電についてはまだ安全性が保障されていない、だから、安全性が保障されれば六千万キロワット、七千万キロワットでもけっこうだけれども、それができるまでの間はストップをするということを言うのが、あなたの立場であるべきじゃなかろうかという御質問が出ました。私は、それが成り立つ条件は、ゼロ成長というものを国民みんなががまんするのだということであれば成り立ちます。しかし、やはり一年一年賃金も上がっていかなければいかぬ、生活水準も上がっていかなければいかぬ、それに対する経済をまかなっていかねばならぬとなりますと、おそらく私はゼロ成長ではなかなかがまんができないと思います。ゼロ成長でなければ、ある程度、ほかの要件もございまするけれども、エネルギーは充実をしていかねばならぬ。電気は充実をしていかねばならぬ。しかも、原子力と並行して石油に対する地域住民のレジスタンスも非常に大きい。先ほど申したように、石油が三分の二の電力をいま供給しているわけです。石油原子力でこれからの電力をやっていこうというのが世界のパターンであり、日本のパターンであったといたしました場合、それならひとつ石油のほうなら認めてあげる、高くなってもそれでいいじゃないか、そういうもっとはっきりした御発言を私は期待をいたしたいと思います。  石油発電はいけません。原子力発電もいけません。しかし、過去において少なくとも一年間、電灯は一三%ずつ消費が伸びております。都市のガスは一三%ずつ伸びております。LPGに至りましては、ひところは三〇%ふえておったのが、ごく最近ではまだそれでも一八、九%ふえておる。それじゃ、そのほうのエネルギーに産業用のエネルギーを回せばいいじゃないかといわれますけれども、回せば今度は経済全体がむずかしい事態になり、インフレとか国際収支不安に直面をしてくる。そのようなことを考えますと、私の感じでは、これは経済の立場からあまりにきつくおっしゃるというふうに思われまするけれども、やはり経済性を配慮しながらほかの要件を入れますと、この程度のことは最小限コンセンサスとして認めていただいて、そして今度はみんなが納得するような形で原子力とか石油発電を最小限進めていく。電気だけは伸ばしておいて、自分の住んでいるところに発電所は建てるなということは、どうしてもこれは将来は成り立ちません。
  19. 塚田庄平

    ○塚田委員 わかりました。  稲葉さん、いまゼロ成長であればかまわぬけれども、がまんできないだろうと言われましたが、国際的な経済理論として、この際ゼロ成長ということをとらなければならないんじゃないかという有力な学者も相当あることは、あなたも御存じだろうと思うのです。だから、ゼロ成長というのはとんでもない架空の議論じゃなくて、いま世界的にこういう情勢になってきて、成長を追っかけるという事態はもうとめようじゃないか。これは長い人類の生存というものをかけていま議論されておるということは、あなたも御存じだろうと思うのですよ。いまそれじゃ日本の経済をここでゼロにせい、私はこうは言いません。  ただ、参考人意見に反論するのはたいへん申しわけないのですけれども、あなたは適当な経済成長、したがって電力が現実に要る、並行しながら研究あるいは安全性、こう言っていますけれども、ほかの問題とこれは違うと思うのです。私は、徹底的に安全性が先行されなければならない種類の開発だ、こう考えるわけですよ。この辺はまあ意見の違いかもしれませんが、しかし、そのためにそんなにいつまでも、どこまでもいったら安全かということになると百年河清を待つじゃないかと、おそらく稲葉さんは反論したいところでしょう。私もそこまでは言いません。ただ、もっともっと、こんな目的税で市町村に金をばらまいて、公民館、幼稚園を建てて、そうして誘致反対運動に水をかけるというんじゃなくて、どうしても必要ならば、政府の予算の中で、政府の施策の中できちんと位置づけるべきだ、安全対策については。これが当然稲葉さんの意見としてあっていいはずだ、こう私は思うのですが、これはまあ反論になりましてたいへん失礼になりますから、これでやめたいと思います。  その次に、牛山さんにお尋ねしたいと思うのですが、まあ私は、おおむね牛山さんの意見賛成なんです。そういう中で、いま牛山さんの御意見の中で、とにかくこの法律は、住民反対を切りくずすということばを端的に使いましたね。そして誘致決議を促進させる、私はこう思うのですけれども、牛山さん、どうでしょうか。こういう法律をつくる。これからおそらく財源も、いま平年度三百三億、その次が三百五十億、その次が四百億、だんだんこれは多くなっていくでしょう。少なくなることは考えられないです。そういう中で、いま安全性の問題を取り上げましたが、とにかく市町村は決議する、住民はある程度雌伏する、もう反対を起こさぬということになると、風吹きゃおけ屋がもうかるの議論になりますけれども、そのこと自体が、日本の安全に対する研究、こういったものを決定的におくらせる、こういう重大な結果もまた一つあるのではないか。  先ほどあなたの指摘した自治体破壊といいますか、いままでおそらく刈羽村なんかは、まあ日本でいえば平和な村の模範であったと思うのです。そういうところに原発を持っていく。それは計画ですから、まあそういうふうに立てたんでしょう。だけれども、こういう金でそれを鎮圧するとかなんとかということになると、その自治体住民の和といいますか、これをがたがたにしてしまう。しかも、それは刈羽だけではなくて、周辺の周辺などという文句も使っておるのですから、日本国じゅうの自治体、国民の融和というか、これも私は大きくいえばがたがたにしてしまうんじゃないか、こう思うのですよ。そういう点について牛山さんはどういうお考えか、あわせてひとつ御意見を賜わりたいと思います。
  20. 牛山積

    牛山参考人 政府の三つの法案に対して、基本的な考え方というのは二つある。一つは、公害あるいは原子炉安全性等が電源立地に混乱を引き起こしているということと、それから地域計画に対するメリットがないという二つの点ですが、そのあとの点をのみ切り離して考えるという立場は、前の問題についての根本的な対策を遅延させるということを先ほど申し上げたわけですが、その中の一つ内容として、やはり研究等の側面におきましても、やはり決定的な立ちおくれを引き起こすであろうということは考えているわけであります。  従来、住民運動が安全性の問題にしろあるいは環境破壊の問題にしろどういう役割りを果たしてきたかといいますと、これは裁判所の理論の発展の上でも、行政の一定限度の前進の上でも、それから立法化の促進の上でも、決定的な大きな役割りを果たしてきたわけでありますから、やはり住民運動を抜きにして公害対策を考えるという考え方は、過去の歴史的な経験に照らして見ると、決定的な誤りであると私は考えております。
  21. 塚田庄平

    ○塚田委員 さらに芳川さんに、先ほど百万キロワットアワーというのはインチキだということを私は言ったのですが、これは百十万というのが正確なんですよ。そういうインチキを、だれがどう調べて言ったのか流布されておる。と同時に、私の聞いたところによりますと、おそらく責任者でしょう、これに伴った再処理工場はつくらないのだということを明言しているように私は聞いておるのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  22. 芳川廣一

    芳川参考人 再処理工場につきましては、私たちはしばらく原子力発電所安全性について市当局並びに県当局と論争を戦わせました、その段階で、私たちは少なくともその論争においても勝ったと思います。  そこで、その時点で一体再処理工場はどうなるのか。これだけ集中化してつくる、これはわが新潟県では柏崎だけではなくて、また三十数キロ離れた巻町に東北電力が、いま四百万キロワットといわれているのですけれども、それはまだまだ大規模になるやもわかりませんが、そういうものをつくろうとしている。そういたしますと、これは輸送の危険とかいろいろのことを考えますと——昨年、たしかアメリカの議会でそういう話があったと思うのですが、どうも日本のほうではアメリカまたはイギリスに再処理を頼む、こういうことを言っておるが、一体事実かという話があったのですね。それで、アメリカではそういう約束は絶対していません、そういうことはしませんということがあって、それを考慮されたのか、ちょっと話はずれますけれども、福島公聴会の結果についての皆さんのまとめられたものには、イギリスで再処理をするようなことがちょっと書いてあります。  そういう再処理ということは、使用済み燃料の輸送にも非常に危険があるわけですから、そうしますと、八百万キロワット、一千万キロワット、それから巻町に四百万キロワット、あるいはまたこれは一千万キロワットになるやもわかりませんが、そのように大量にそこで使用済み燃料が発生すれば、これはおそらくその近くで再処理せざるを得ないだろう。また、柏崎でできた使用済み燃料を他県が引き受けるはずがないわけであります。柏崎市長は、私は絶対再処理工場には反対であります、こういうことでありました。  ところが、最近になってこれが変わってまいりまして、柏崎市に再処理工場をつくるということは反対でありますが、私は自治体の長ですから、それ以上のことは言えません、こういうことでありました。だんだんそういう点がすりかわっていく。これは私は、ここに原子力委員会の方もおいでですが、生田さんもおいでですけれども、この各地でできる使用済み燃料、これは一体どうするのですか。そういうことを何にも解決しないで、そしてこういうことをどんどん押していく。稲葉先生は経済成長ばかり考えていますが、そこに人間の存在というものを全然お考えになっておられないようですけれども、いまこそ私たちはもう少し原点に返って考えてみなければならぬと思うのですよ。  昨年でしたか、私は何度かテレビで聞いたのですが、東大の竹内均教授ですか、この人は何も原子力発電所反対だとかなんとかいうお考えの方ではないのですけれども、世界の単位面積当たりの平均エネルギー消費量を一といたしますと、日本は七十幾つだというのですね。他の先進諸国は二十幾つとかせいぜい三十ぐらい、ものすごくアンバランス、日本がものすごくエネルギーをむだづかいしている。竹内先生の言わんとするのは、そうだと気象に異常を来たしてたいへんなことになる、それを私は警告しているけれども、その警告をみんなが真剣になって聞いてくれないところが問題だという論旨なんですけれども、そのようにエネルギーをむだに使っている。石油がないとかなんとかいいますけれども、ウランだって日本に何にもない。石油の価格だってウランの価格だって、みんな政治価格じゃありませんか。いつ何どきウランのほうが高くなるかもわかりません。ウランが入ってこないかもわかりません。非常に深刻な問題だと私は思う。これは資源が足りない、石油が足りないというが、石油がないだけじゃない。みんないまのように経済成長を進めていきますならば、あらゆる資源が二十年内に枯渇してしまうじゃありませんか。  ですから、私たちは、こういう重大な時期には原点に返って、産業構造をどうするのか、エネルギーをむだづかいしないためにはどうするのかということから、そうして、しかも私たち原子力発電所の開発を絶対反対なんか言っていないですよ。何でもかんでも反対だとは言っていない。地域エゴで言っているのじゃありません。ほんとうに自主的な開発をやっていかなければならない。あらゆるものがそうですけれども、そうでなければとんでもない間違いを起こして、間違いを起こしたときに、石炭がだめだから今度は石油だ、石油は今度は高くなったから原子力だ、そういうことは私は重大な誤りをおかす、こう思う。いまこそ私たちは、真剣になって考えなければいけない。私たち地域エゴで反対しているのじゃないのです。初めはいささか地域エゴの点もあったかわかりませんが、原発反対の戦いは、これは人類を放射能汚染から守る正義の戦いだと思います。
  23. 塚田庄平

    ○塚田委員 いろいろ原子力発電についての御意見を承りましたが、実はこの法律は、原子力だけではなくて、火力についても水力についてもそうですが、もともとこれは火力と原子力、これがねらいなんです。水力あとでぽいとついてきただけで、つけ足しといいますか、さしみのつまなんですね、前の旧法がそうですから。  そこで、牛山さんにお伺いしたいのですが、これは原子力も同じですけれども、いま稲葉先生からもう日本はそんなに諸外国と劣らない基準その他が設定をされておるというお話がありましたが、確かに私も見るところ、基準は設定されてきていると思います。ところが、実際そこまで達するには相当の猶予期間があるとか、それから漁民がいま一番反対していますね、原子力開発に。何かといったら温排水です。なりわいの道が断たれるということなんです。魚がどうなるかということなんですね。温排水についての基準はどうなっておるか、牛山先生御存じでしょうか。
  24. 牛山積

    牛山参考人 基準はいまないのじゃないでしょうか。
  25. 塚田庄平

    ○塚田委員 いま言われたとおり、日本にはないのですよ。先ほど基準は世界で冠たるものだと言いますけれども、いま一番関心が持たれておる温排水、アメリカあたりはわりと内陸発電をやりますから、川についての基準はすぐ出てくるわけです。だが、日本のようなこういう揚げ地あるいは港でやると、当然温排水による魚族とかそういうものの被害を考えなければならない。漁民の生活の問題なんです。どんなにいばったって、その温排水基準がいまだにないのですよ。現在ないのに、なおかつやるというのですから、こんなむちゃな話はないと思う。それをこの税金でごまかしていこう、こう私は考えるのですけれども、最後にひとつ牛山先生の御意見を聞きたいと思います。
  26. 牛山積

    牛山参考人 全くそのとおりの御指摘が正しいだろうと思います。さっき火力についても一言申し上げましたけれども、温排水以外の火力発電所設置に伴う大気汚染の問題についても、やはり現在の対処のしかたはきわめて不十分であると思います。そういうことで、大気汚染の問題につきましても、達成すべき目標の環境基準より以上に、汚染されていない地域が今後汚染されようとしているわけですから、目標を設定して、最初からそれをやはり達成するように施策をやっていくべきだろうと思います。従来、汚染させませんと言いながら、結局は過去の苦い経験をまた繰り返して、あとから改善の施策をしていく、そのためにまた費用もかかってくるわけですから、そういう姿勢が現在も続いている限り、やはりこういった法案考え方に対しては重大な疑問を抱かざるを得ない、それが私の意見です。
  27. 塚田庄平

    ○塚田委員 どうも長い間、失礼なことを申し上げまして恐縮でした。
  28. 安倍晋太郎

    安倍委員長 増本一彦君。
  29. 増本一彦

    ○増本委員 共産党・革新共同の増本でございます。  先に友末参考人にお伺いしたいのですが、先ほどの御意見でも、三十九年の税調の答申の中で目的税の問題については十分検討をなすった、しかも、その目的税については、やはり基本的にはこれは好ましくないものであるけれども、採用にあたってはケース・バイ・ケースというお話もありました。  そこで、税調としてのこういう目的税創設の可否の基準は一体何なのか。特に、目的税については政策目的に見合う財源の問題でありますから、当然政府の政策目的についての判断も含まれなければならないというように思うわけですね。こういう点についてもどうお考えなのか、税調としての目的税についてのものさしをまず明らかにしていただきたいと思うのです。
  30. 友末洋治

    友末参考人 増本さんから、目的税についての可否の基準という御質問でございます。  お説のとおり、三十九年以来、税調におきましては、この目的税の問題について相当突っ込んだ論議をいたしました。その結果、先ほども申し上げましたように、一般論といたしましては好ましくない、負担の問題あるいは財政硬直化をますます促進するという二つの点から、一般論としては好ましくないという基準が出ております。それで判断をいたしております。  ただし、絶対にいけないという程度のものではございません。若干財政硬直化あるいは負担の均衡という問題はあるといたしましても、特定な政策目的、これを緊急に実施する必要があるという特別な政策実行のためには、好ましくないけれども、ケース・バイ・ケースとしてこれを認めていく、すなわち例外的にこれを取り扱っていくという原則が示されております。この線に沿うていままで目的税創設につきましては審議もいたし、答申もいたしてきており、さらに今後、公害防止税等につきましては検討も続けていくというふうな答申に相なっておるわけでございます。  さようなことでございまして、政策目的を全然考えないでこれを創設していくというふうなことではございません。特定な政策目的の検討につきましても十分いたし、その上で財政の硬直化あるいはまた負担の公平の問題、これらも総合的に比較検討いたしまして、特別に例外的にやむを得ないというものを認めていくという方向にあることを御了承いただきたいと思います。
  31. 増本一彦

    ○増本委員 ですから、私が伺っているのは、原則として正しくない、ただし例外がある、その例外に当てはまる場合のものさしが何かという問題で、一つは政策目的の妥当性という問題があると思うのですね。それから先ほど、受益者負担的な性質を帯びるような場合、これは負担の均衡からはみ出る部分があるから、これについては検討の対象になるかのようなお話もあったわけですね。そういうことで考えますと、一般的に正しくないという前提があって、では例外として認めるという場合の、この歯どめになるところが何かということが、もう一つ税調の審議の中で私はまだ明らかになっていないような感じがしておりますので、その点についてはどうお考えなのか、そこだけ簡単にひとつ答えてください。
  32. 友末洋治

    友末参考人 道路財源のように受益とそれから負担、これが結びつくものは最小限度例外的にこれを認めていく。これが結びつかない特定の政策等につきましては、これを排除していくという方向で進んでおることを御了承いただきたいと思います。
  33. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、今回のこの電源開発促進税ですが、これについてはいまお話しになったものさしで見て、これはいかがなんですか。受益と負担との関係といいましても、かなり広範な人たちの受益、しかもその電力によって受ける利益に均等性はないわけですね。家庭用の電灯で利益を受ける場合もあるし、産業用の電力、しかもその中でも大口の場合もあるし、また大口電力の中でもものすごく電力を食う産業がある、そういうところから、この電源開発促進税というのは、いまお話しになったものさしから見てもどうなのかという、この点についての御所見はいかがですか。
  34. 友末洋治

    友末参考人 電源開発促進は、申すまでもなく、一つの国の特定政策といたしまして、緊急に措置しなければならないという事態にあることは御承知のとおりでございますが、次に、受益と負担関係です。受益につきまして広く解釈いたしていきますと、一般消費者まで進んでまいると思うのでございますが、直接的に受益いたしますのは電気事業者でございます。したがいまして、電気事業者が受ける受益に対して特定の負担をかける、この辺で受益と負担関係に線を引かざるを得ないんじゃないか。まだそこまで税調でこの問題を突き進んで論議したわけではございませんが、私個人の気持ちとしてはさように感じておるわけでございます。
  35. 増本一彦

    ○増本委員 先ほど、税調を通さずに新税がこうして出てくるのはきわめて遺憾であるというお話がありました。そして、いろいろ検討もされていないし、目的税というのはごくごくの例外であるというお話もあった。そこで、いま国会で審議中であるけれども、税調独自の立場からすると、政府に対して、それを既成事実として承認するのではなくて、やはり税調に一ぺん戻して審議をした上で十分にやれというような、そこまでの強い態度で臨まれるお考えはないのですか。
  36. 友末洋治

    友末参考人 実は御承知のように、制度上税制調査会諮問機関でございます。したがいまして、これに諮問をかけるかどうかの決定権を有するのは、政府自体でございます。一般的には、年度当初から審議を始めまして全般的な答申が行なわれるのでございますが、一応税調の審議の経過を経て答申したものを土台にいたしまして税制改正が行なわれてまいっておりますのが通例でございます。  しかしながら、全然例外的なものを否定することもどうかと考えるのでございます。すなわち、政治は生きものでございまして、時々刻々動いております。一応答申の後に新たなる変化が出て、これに政府自体として責任をもって対処しなければならないということもまああり得ることじゃないか。税調はこれまで否定するだけの権威を持った諮問機関ではございません。諮問機関といたしましては相当の機関とは思っておりますが、差し戻しまでいたしまして、さらにひとつ御諮問を願いたい——総会を開いてみなければわかりません、そういう意見が出るかもわかりませんが、私個人の意見といたしましては、総会を開けば、事務当局から説明といいますか経過を報告願って、そうしていろいろ意見が出るとは思いますけれども、まずこれを差し戻せというまでの意見はおそらく出ないのじゃなかろうか。しかりおくという意見はかなり強いかと思いますけれども、まず報告という程度でございまして、一応政府で最終的にきめたものを、諮問機関である税調そのものがあれこれどうこうするというところまでの権限は、どうもどこをさがしてみても与えられておりませんようでございます。  したがいまして、いまとなっては、どうもたいへん遺憾なことでございますが、あとの祭りでございますので、まずしかりおく、政府の姿勢あまり好ましくないというふうなことで、税調総会ではおさまりがつくのじゃないかと思いますが、開いてみませんと何ともこれは私個人が申し上げるわけにはまいらない、かように考えておる次第でございます。
  37. 増本一彦

    ○増本委員 時間がありませんので、それについての私の所見は省略いたします。  稲葉参考人にお伺いしたいのですが、参考人が三月にお出しになった私案を私も拝見させていただきました。その中で強調されている点、経済性の点から原子力発電の促進をお考えになっていることは、私、理解できると思うのです。一キロワット時で換算しても、石油が五円五十銭から六円、石炭が四円五十銭から五円五十銭、水力が十円以上、原子力発電が四円強だ。しかし、この原子力のコストの中で、安全性とか環境保全に要するコストの計算が実はなされていないのではないかというように思うのですね。参考人のほかの場所での御発言を見ますと、安全性はもちろん当然のこととして重視するんだという御発言がありますけれども、経済性との調和というところから問題は出発されているように理解できます。  しかし、安全性は、他の委員からも発言がありましたように、人間のいわば生存条件であって、これが前提でなければならない。これを土台にして考えると、決してこの原価計算が単純に四円強というぐあいに、だから低廉であるというところに短絡できないように私は思います。いま現実にこの原子力発電安全性が問題になり、これが立地難の一番大きな問題になり、住民も関心を持ち、そしてきょうもその代表の方がお見えになっている。その点で見ますと、この私案は必ずしも現実の問題に正面からお答えになっているものではないようにも考えられるのですが、この安全性の問題をどのようにお考えになっているのか、それをどのように生かしておやりになろうとしているのか、その点をまずはっきりさせていただきたい。
  38. 稲葉秀三

    稲葉参考人 私の提示いたしました私案に対しましては、各方面からいろいろ問題が出てまいりまして、現在私自身も再検討させていただいております。そしてその中に、安全性の問題も入っているわけでございます。ただ、私は先ほども申し上げましたように、ともかく最近五年間については電灯は一三%、電力は一二%の伸びでいった、今後については、そういう形で電気の充実をしていくということは、世論の関係を考えてむずかしい、したがって長期的にいえば、せめてそれの半分ぐらいのエネルギーを確保するということは、ほかの問題に劣らず重要事項ではないか。こういう非常に素朴な要素を出発点として政策決定一つの参考資料にしていただいた上で、さて、御存じのように広義の安全性、つまりその中には環境、公害問題も入っておりますけれども、特にエネルギーの将来の充実ということに対しましては、それに対処をするあり方というものが、最近の条件のもとにおきましては、地域住民の方々に御理解を得られぬことが起こっているわけであります。  ただ、原子力平和利用ということにつきましては、日本の場合、与党野党を含めまして、その趣旨には御反対ではございません。したがって、問題は、私は安全性をいかに国民に示していくかということが今後の課題だと思います。そして先ほど申し上げましたように、過去におきまして、日本の安全ということが国際基準に対しまして著しくおくれているというふうには考えない。たとえばヨーロッパの各国に対しましても、ソ連に対しましても、おくれているとは思えない。しかし、諸般の事情を考えますと、日本はもっとそういうことについて真剣な態度をとるべきだ。そのようなことから、ひとつ安全研究施設をやっていくとか、あるいは分析の問題についてもっと進めた態度をとっていくとかということをしていかねばならない。  ただ、私の私案は原子力偏重主義だと言われまするけれども、石油危機以後の各国の少なくともエネルギー政策の転換を見ておりますると、どうしてもエネルギーが必要だから、ひとつ今後については、電力原子力重点に移行していこうということを、ほとんどの世界の各国が進めようとしております。フランスもアメリカもスウェーデンも西ドイツも、ソ連も例外ではないわけでございます。しかし私は、まず、すでに国が決定をし、長期計画として提示をしている六千万キロワットというものに対して、効果的な措置をいかにとるべきか、そしてそのほかのエネルギーについてはこれを縮小していく、そして効率的な使用をもっと進めていく、こういう前提でつくったわけでございます。  したがって、私は、ここに政府が、先ほど御質問もございましたけれども、安全性に対して十分な配慮を少なくとも昭和五十年度以降とっていただくということを祈願しております。またそれに対しまして、私は技術者ではございませんけれども、そういうことに対しまするいろいろな見方考え方を、この私案と同じようにいろいろな角度から、こういうやり方があるんじゃないか、ああいうやり方があるんじゃないかということを、専門家にいま御相談をしているところでございます。  ただ、申し上げたいのは、安全性が立証されるまで、では原子力発電をストップするのか、石油発電所もやめてしまうのかということになりますと、ここで空白期間ができまして、非常にむずかしい事態というものが日本に出現をする。それは先ほど、経済一点張りじゃないかと言われましたけれども、せめていままでの半分ぐらいの生活水準、三分の一ぐらいの生活水準を満たしながらバランスをとって経済をやるということは、何も国民生活無視ではございません、安全性無視ではない、私はこのように感じておる次第でございます。
  39. 増本一彦

    ○増本委員 残りの時間がありませんので、あとはまとめてひとつ所見を伺いたいと思うのです。  安全性の問題につきましては、一つ体制的な問題があるというように思うのです。いまのたとえば九電力体制ですね、これではたして炉の安全性の点検というものは実体法的にも可能であるかというと、決してそうでない現実があるわけですね。たとえば、電力会社の買う原子炉というのはアメリカのゼネラル・エレクトリックとかウエスチングハウスというようなところのもので、この契約の中にすでに秘密を守るという条項があって、炉の全体にわたっての安全性の点検というものもできない。また、ウラン供給契約にしても日米間の秘密事項になっていて、その全貌については国会にすら明らかにされないという事態もある。  それでひとつお伺いしたいのですが、この事態をどのようにお考えになるか、そしてまたこの現状を踏まえた上での安全性確保のための手だては一体何なのか、この点に限ってひとつ稲葉参考人、それから牛山参考人芳川参考人から、それぞれ御所見を伺いたいと思います。
  40. 稲葉秀三

    稲葉参考人 簡単にお答え申し上げたいと思います。  おそらく先生の御主張は、現在の九電力体制では安全性が保障されないんじゃないか、こういうことでございますが、私はむしろ安全性の問題は、体制の問題よりも中身をどういうふうにしていくかということのほうがどうも必要ではなかろうかと思います。幾ら形を固定いたしましても、必ずしもそれによって安全性が保障されるかどうかということは、この問題は別だと私は思います。また、若干言い過ぎた発言になりまするけれども、むしろ統制化する、国家化するという形になりますと、よけいにこの問題は国民に知らされないという形になっていくのは、どうも従来的なあり方ではなかろうかと思います。  したがいまして、やはり体制の問題が存在をするということは認めまするけれども、問題はそれに対してどういうふうな態度を政府がとっていくのか、電力会社がとっていくのか、こういうことが安全性決定の第一義でなければならない、このような見方考え方をしているということを申し上げたいと思います。
  41. 牛山積

    牛山参考人 体制的な問題としての安全性の確保ということは、私たち法律学をやっている立場から見ますと、非常に大きな関心事でありますが、原子力の問題については、やはり原子力基本法の三原則の考え方を確立するという方向を確認しておく必要があると思います。  従来の公害問題の経験からいたしまして、十分な点検が住民の立場からできるということが必要になっております。これは幾つかの事例をあげることができるわけですが、結論としてそのことを強調しておきたいと思います。もし点検するということになりますと、当然のことながら点検すべきデータ、資料が公開されなければならないわけですし、それに基づいて検討した成果を十分反映して行政あるいは企業立地を進めていくということになりますと、これはまさに民主の原則だろうと思います。そういうことになってまいりますと、いま増本さんの御質問にもありましたように、まさに公開ができない、したがって、具体的に必要な事実に基づいて意見の形成が阻害されるということになりますと、これはまさに自主の問題とも結びついてくるわけでありまして、そういう三つの原則をやはり姿勢として確立しない限り、今後の原子力行政のあり方についてずっと長く禍根を残すであろうというふうに考えているわけであります。  そのことは、原子力基本法があるから原子力発電所の場合についてだけ強調できるということではありませんで、先ほど申し上げましたように、火力発電所の場合もそうであります。従来、火力発電所の設置を進める側におきましては、これは行政機関も含めまして、安全であるということを強調してまいりましたけれども、ほんとうに安全であるということについての基礎的なデータを示したことはないのであります。私たちが調査に参りまして、そういう基礎的なデータについて見せてほしいということを言いましても、まだ十分目に触れることができない、そういう状況にあるわけであります。
  42. 芳川廣一

    芳川参考人 いま牛山先生が言われたとおりであります。また、質問の要旨に私は全く同感であります。先ほどちょっと体制の問題も私申しましたけれども、私たち原発反対していますのは、原発にメリットがないとか、あるいは安全性が保たれていないとかいうようなことを並列して申し上げているわけではなくて、メリットの問題なんか全然問題にしていないのです。問題は安全性であります。その安全性にとって最も大切なことは、やはり体制の問題だろうと私は思う。  それは、先ほど牛山先生も言われましたように、自主民主公開という三つの原則がきちんとわきまえられていなければならない。そしてあらゆるデータ、あらゆる審査の過程、そういうものが国民の前にちゃんと提示されなければならない。全国の学者の皆さんの批判に十分たえ得るものでなければならない。一たん事故を起こしたらたいへんなことになるわけですから、したがって、原子力基本法ではそういう三つの原則というものが明定されているのです。その原則を少しでも乱したなら、私はたいへんなことになると思う。  特に、地震の多い、人口過密な日本の国において、技術もすべて借りものでやっているなんて——日本は先進国、他のイギリスやヨーロッパ諸国に負けないというふうに稲葉先生は言われましたけれども、そんなことはないですよ。そういう点においては全く負けておるのです。たいへんなことだと思うのです。しかも、稲葉先生は原子力委員であられるのではないですか。先ほどのお話だと、そういうものは政府がやるかのごとく言われておるけれども、直接的な責任は原子力委員会にある。稲葉先生をわざわざ言うわけではありませんが、全般的に原子力委員会の方々が、国民に対する責任の自覚がないということはたいへんなことだと思うのです。そして、そういう人が原子力発電所の建設も推し進める、また安全審査もやる、そんな国はどこにありますか。そんな国はどこにもありません。そんなのはいますぐにでも直せることなんです。そういう正当な要求にこたえることをしないということはたいへんなことなんです。  一昨年、日本学術会議原子力問題特別委員会と原子核特別委員会等三委員会が、これは今後たいへんなことになってきたということでシンポジウムを開いた。われわれ住民にも呼びかけがありまして、若干私はおじゃまをいたしました。その中で原子炉安全審査会の委員長の内田先生に、私、いろいろ御質問申し上げました。まず、先生は学者として出ておられるわけだけれども、自主民主公開というこの三原則はきちんと成り立っていますか、学者の良心に照らしていま学術会議のこの席ではっきり明言してください、そうでなければ私たち安全性について信用できません、そのことの答弁をお願いしますと。それから、田島原子力委員にもそのことをお願いいたしました。私は三度発言権を得て、三度ともそのことを問いただしましたけれども、内田先生も田島先生も、そのことについては答えようとされないわけです。  それから、内田先生に対しましてはいろいろお尋ねをいたしました。放射能が漏れていろいろ被害を起こすというような工学的な問題について、しかも、それらは国で定められた法律上の基準がいろいろあるが、そういう基準に照らし合わせてどうなのかという質問に対して、審査の責任は負うけれども、環境を含めた全体的な安全性に対する責任は持たない、こう言うのです。私は今度は、田島原子力委員にお聞きしました。内田先生はこういうことを言われております、いまの原子炉安全審査委員はそういう総合的判断はできない、原子力委員がやるんだと言うけれども、一体、原子力委員会にそういう事務局体制がありますかと言ったら、ありませんと言う。いま大型の百万キロワット以上の原子力発電所安全審査をするにはまことに至らない体制だ、こう言うのです。では、まず、それをきちっとしてからやってもらえませんかと言ったら、最高の責任者である原子力委員は、それはそうもいかないと言うのです。こういう話なんです。  私たちはやはりそういう体制ということが一番大切なことだと思うのです。これは社会党や共産党が反対しているのではなくて、私たち住民運動に参加しておる人たちは、田中総理とか大野先生とか村山先生に投票してこられた方々が大部分なんです。住民として、自分たちの生命と健康がたいへんなことになる、これは自分たちだけじゃなくて、全国民の問題だとして問題にしておるわけで、そういう体制の問題は一刻も早く解決しなければならぬ問題だと思います。
  43. 増本一彦

    ○増本委員 どうもいろいろありがとうございました。
  44. 安倍晋太郎

    安倍委員長 友末参考人は、所用により、これにて退席いたしますので御了承を願います。  友末参考人には、御多用のところ、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。どうぞお引き取りください。  広沢直樹君。
  45. 広沢直樹

    ○広沢委員 時間が非常に短いものですから、簡単に数点お伺い申し上げてみたいと思います。  最初に稲葉参考人にお伺いしたいと思いますが、われわれは石油危機によってわが国のエネルギー基盤のもろさというものを思い知らされたわけでございます。石油に過大に依存をしてきたという不安、そしてまた代替エネルギー開発促進の必要性、こういうことはいま十分認識されつつあるわけでございます。きのう私は稲葉私案について二、三お伺いしたものですから、それに関連して、きょうは御当人が御出席でありますので、二、三お伺いしてみたいと思います。  まず、こういうような状況の中で代替エネルギーの開発の促進ということが盛んにいわれておるわけですが、原子力委員をされておる稲葉私案によりましても、その方向は、これから二十年ないし三十年は原子力発電、その開発に相当ウエートを置いていかなければならないということから、今回の私案というものが出されておるやに聞いておるわけでございます。ところが、そういう世論の中で、確かに石油危機、それにかわるべきものは原子力である、その研究をどんどん進めなければならない、こういうふうにいわれておるのですけれども、そのわりに世論というものは盛り上がってこないわけです。先ほどからもいろいろお話がございましたが、計画が具体的に出されていくということになりますと、住民反対運動というものは、より激しくなっておるというのが現状であります。  そこで、その計画を立てて、具体的にどう推進していくかという問題でございますけれども、まずその前に、こういうふうになっていく原因というものを明確に考えていかなければ、それを的確に押えて、それの対策というものを立てていかなければ、将来の不安、先ほどの先生のお話ではこのままいくならば撹乱が起きるのではないかというおそれありということばも出てまいったわけでございますけれども、そういうような中で反対運動も盛んに起こって、遅々として計画が進まない。であれば、その計画の必要性を幾らお出しになったとしても、その原因を明確にし、それに対応する対策というものを先に立てていかなければ、推進できないはずであります。  それで、その私案をおつくりになった、この私案は単なる私の案ではございますが、各省庁がそれぞれ力を入れ、そしてまた、科学技術庁長官である森山原子力委員長が指示なさって、それにこたえておつくりになったことであるし、あるいは科学技術特別委員会におきましてもすでに発表なさった案でございますから、いわばそれが具体的に今後の方向を示唆する案であると考えて間違いないと思うわけです。したがって、最初申し上げましたその原因というものがどこにあるのかということをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お示しいただきたいと思います。
  46. 稲葉秀三

    稲葉参考人 私、終戦後に招かれて政府に入りまして、日本の経済研究政策とか第一次、第二次の経済復興計画の取りまとめに当たりました。そのときには日本は、昭和二十二年についていえば、七千八百万人の人間をかかえ、しかも国民一人当たりの暮らしは戦前の半分ぐらい、食糧も十分なかった、そういう日本をどのように最低限民主主義をまかなうに足るあり方として考えるかとなりますと、当時はおそらく各政党も、やはり経済発展に主力を置かねばならぬということにおきまして、ほぼコンセンサスが一致をした時代でございました。しかし、先ほども申し上げましたように、だんだん経済が発展をしてまいりますと、経済が国の姿勢を引きずるという割合は低下をしてこざるを得ないのではないか。ほかの教育の問題だとか、環境の問題だとか、国際関係に対するいろいろなあり方とか、したがって、ほんとうの社会システムというものは、そういったようなことを考慮してやっていかねばならぬということを、私は昭和四十年以来主張してまいりました。  さらに言わしていただきますと、そのころから私は、もっと低い姿勢で経済が伸びていく、きめた計画以上に大きくなっていくというのがいつでもよいとは限らない、むしろ安定成長的な考え方日本を引っぱっていくというのがいいのではなかろうかというふうに個人的には考えておったわけでございますが、皮肉にも昭和四十一年から四十五年、四十六年と非常に経済が発展をいたしまして、むしろ十年、十五年できている問題が、何十%のウエートをもって短い期間に集中してきたというのが、どうも私の認識によればいまの日本の状況ではなかろうか。ただ、そういうことを総合的に考えるということは、私には遺憾ながら力及ばずでございますが、やはり諸般のことを考えて、一体、日本の方向をどうしていくのかということを各人、また特に国会の皆さま方や政党の皆さま方もひとつお考えになって、そこでひとつコンセンサスを得るべく議論をし合っていただかねばならぬ時期が来たのではなかろうかという感じもするわけでございます。  先ほどのどうして稲葉私案をつくったのかということになりますと、この私案は、先ほども申し上げましたように、いままでは異常な形で伸びてきたけれども、それがこれから伸びにくくなるという条件にどうも日本は来ているのではないか。これはエネルギーだけの関係ではございません。ほかの面もあると思います。したがって、エネルギーの問題一つ考えてもむずかしい問題がきているんだ、だから今後の日本の方向を決定するためにも、最小限どういう転換をしなければならぬかということを、ひとつ今度は真剣に考えてください。しかも、問題は去年の暮れから始まった石油危機だけではございません。昭和四十五年にOPEC攻勢というのが展開をされました。そして四十年代に入りますと、環境や公害の問題というものが出てきたのであります。したがって、そういうことも考えながら、最小限、半分か六〇%のスピードでやっていく。  ただ、私の場合は、これから十年間に現在のエネルギーの単位当たりの効率を二〇%上げるということを私の考え方の基本にしています。そのことは、やはりいまのような形で自動車をどんどんつくってかってに走らしていくとか、さらには道路もどんどんつくっていくとか、そういうあり方ではだめだ。また、鉄鋼業もアルミニウムも、エネルギーを使う産業をどんどんしていくということではだめだ、そういったような問題を含めていかに貴重な高くなったエネルギーを節約をしながら、しかし最小限だけは進めていくか。世界の趨勢は大体過去二十年間におきましては五%ずつエネルギー増大をしております。五%ずつエネルギー世界増大をするということは、十五年間にエネルギーの消費量が倍になるということでございます。日本は遺憾ながら六年ぐらいあるいは早いときには五年ぐらいでエネルギーの消費が倍以上になり、しかもそのエネルギーを輸入に依存するという形でやってまいりまして、そこに大きな転回とむずかしい問題がきているということをひとつ知っていただいて、どういうふうに最小限のエネルギーを充足しながら安全や環境の問題に対処していくのか、この問題も当初の五年はどうしていく、次の十年はどうする、二十年先にはどうするかといったようなことまで、みんなが知恵を出し合って考えていくといったような時代に来たのではないかということを考えながら、御要請のままに、はなはだ僣越ではございますけれども、そういうことに対する整理をさせていただいたにすぎません。  そしてその後、政府としても本格的にどうしても対処をしなければならぬということになりまして、一応舞台は法律によってきめられました総合エネルギー調査会でひとつ見通しや政策をやろうということになりまして、私もお手伝いをいたしておりますが、そういうエネルギー調査会の案が近日出てくると思いますので、それと稲葉私案とをお比べくださいまして、いまのことにつきまして、もっと多角形的な御検討をしていただきたいと思います。
  47. 広沢直樹

    ○広沢委員 いろいろ御意見を伺いましたのですが、やはり原因というのは、先ほどからもいろいろ議論になっておりましたいわゆる安全性の問題ということが、一番やはり問題じゃないかと私は思うわけです。きょうは具体的な問題を質問している時間がございませんので、次にお伺いしておきたいことは、きのうもちょっと議論に出たのですけれども、確かにその計画を進めなければならない、そうしなければ、将来混乱が起きてくるおそれがあるんだという一つの危機感の中から、将来あるべきエネルギーの方向としては原子力、それで、その原子力供給はここまででこうあるべきだ。これは単に稲葉参考人だけの問題じゃなくて、これはもうひとしくみなが考えなければならない問題であります。しかしながら、それが進まない原因が的確にならずに、ただ需要だけがどうしてもそうなんだということで、それに見合う体制に持っていかなければならないということで進んでいきますと、旧来のパターンと同じになってしまうわけですね。いままではどちらかというと産業優先、特に産業基盤を拡充して経済の拡大をしなければならぬということで、高度経済成長政策をとってまいりました。その一つの大きな動力になったのが石油ですね。ところが、気がついてみると、確かに経済は成長し、産業も発展したけれども、その石油による公害が出てきたということが、現在の世の中で一番問題になっている。国民としてはそういう安全に対する心配というものがあったために、現在これからやろうとしている開発についても、非常に危険性と疑義を持っているわけです。  ですから、その点が解明されないと、私は何も将来のあるべき姿をはじき出すことに反対しているわけじゃございません、また原子力の平和利用ということ、これは研究はどんどん進めていっていただかなければならない、研究をやめろというわけでもありません。しかし、その問題をいまは実用化しなければならぬのだということを当局も強調されるし、それに基づいて立案されるということになれば、その実用化をはばむものは何であるかという、そこの問題点に触れて、まずそこから解決をしていかなければ、旧来のパターンの産業優先、需要に応じた体制に持っていけばいいという形に流れると、住民無視という形にまたなるんじゃないだろうか。  ですから、そういう点を総合的に含めて、先ほど芳川参考人からもお話がありましたように、まず多消費型のこういう産業構造を直していく。先ほど稲葉参考人からも話がありましたが、日本エネルギーの消費量というものは、諸外国と比べてあまりにも浪費していはしないか。それをお認めになっていらっしゃるわけですから、そこからまず直していかなければならないのじゃないだろうか。その点に触れないで、ただ需要がこれだけ伸びる、この調子でいけば、パーセンテージをはじき出して何%伸びるから、その需要にこれだけ見合わなければいけない、そのためにはどうしても発電所をどんどんつくっていかなければならない。そしてそれが、原発銀座といわれるように、一カ所に集中してそれをやっていかなければならぬということになる。そういうような一つの姿勢というものがやはり今日の住民感情を十分納得せしめ得ない根本原因ではないか、私はこういうふうに思っております。  そういうことで、これからも原子力委員会でこれを推進しなければならぬということであれば、そういう面も加えて考えていただきたい。それに対する御感想があれば、お答えいただきたいと思います。  それから重ねて、時間がありませんので稲葉参考人にお伺いしておきたいことは、さらにその計画をお進めになるとしても、一つ問題になるのは、先ほどもちょっと話がありましたが、ウランの問題です。  いま自由世界で一応確認されている埋蔵量というものは、大体九十万トンでありましょうか。それから生産されるのが約二万トンだといわれておりますが、稲葉私案によりますと、昭和五十五年になりますと、現在の約十倍くらいの原発発電量になるんじゃないかと思うのです。いま二百二十八万キロワットですか、ところが、昭和五十五年ということになりますと三千万キロワットということになりましょうから、その時点に来ますと、必要なウランというものは大体六、七千トンぐらい要るんじゃないか。そうなりますと、いまの計算から考えると、またいまの石油問題と同じようなことが起こりはしないかということが非常に懸念されます。  石油にしてもウランにしても、これはもうほとんど一〇〇%が外国に資源を依存しておるわけです。ですから、この計画といまのそういうようなバランスの関係はどうなるかということ。現在は石油の危機を転換していくためには原子力、新しいものがあるぞ。世界もその趨勢でありますからそういう形が述べられておりますけれども、もう一歩将来を考えたら、石油の二の舞を将来起こすのではないかという心配があるが、その点についてはこの私案ではどういうように考えられてきたのか。そういったことも先ほど言った問題とあわせてお答えいただいて稲葉参考人に対する質問は終わりにして、あとお二方に若干御質問申し上げたいと思います。
  48. 稲葉秀三

    稲葉参考人 簡単にお答え申し上げたいと思います。  まず初めに先生のおっしゃいましたことにつきましては、私はほぼ同感でございます。ただ、稲葉私案をそういうふうなものだというふうに御評価をしていただくのは、私はどうもちょっと私の意図を取り違えられたのではないかと思っております。と申しますのは、これからのエネルギーを過去の延長線でやっていくということには反対です。  それから、さらに申し上げたいことは、産業構造を変えたり何かするということを考えながらやっていかないと日本はだめですぞということも、この私案はいっておるわけです。いままでのパターンは、経済が実質一年間に一〇%伸びていくというためには、一一%エネルギーをたくさん使っておったわけであります。世界の平均は、成長率五%に対してエネルギーの伸び五%ということでございます。それをこの私案では努力をして、弾性値と申しますけれども、それをつまり一・一から〇・九ないし〇・八五までひとつ下げていく。こういうことを並行して、経済や国民生活を実質的に保っていかねばならない、そういうためのやり方をしていかねばならない。そういうことをリコメンドいたしておる次第でございまして、あまりこまかい御説明はできませんけれども、いずれ別のときに御進講申し上げるということにして、御了承いただきたいと思います。  それから、稲葉私案ケースIIIというところでは、私は昭和五十五年度の原子力の目標をいままで三千二百万キロだったのを五百万キロワット下げております。それから六十年度につきましては六千万キロワット。それで、いまの私の率直な感じを申しますと、どうもそこまで持っていくにも相当大きな転換が必要ではなかろうかと思う。そして、それのかぎが、やはり技術の発展とそれから安全性に対してどのようなことを政府電力会社がやっていかれるかどうかということにかかっているのではないかと思います。  ウランにつきましては、石油の二の舞いになるか二の舞いにならないかということは、遺憾ながら現在の時点では予測はできませんけれども、先生の御指摘になるように、いまや世界の資源が、石油はもとよりほかの物も含めまして、非常に価格が高くなりつつある。そういたしますと、国土が小さく、そして資源に恵まれず、加工貿易を主として私たちの経済発展をしてきた日本としては、それに対してどういう対処をしていくのかということを、いまエネルギーだけで申しましたけれども、全体の経済の姿勢として考えていく、こういうこともしていかねばならないと思います。そして、できるならば、一応そういったような形において天然ウランなり濃縮ウランを確保していく、こういう方策もあわせて考えていかねばならない。また、当分日本石油に依存をしていかねばならないといたしますと、ヨーロッパの国々がやっておりますように石油の貯蔵をしていくのか、あるいは石油にかわるものとしてウランも貯蔵をしていくのかということも考えていかねばならぬと思います。ただ、三千二百万キロワット並びに六千万キロワットにつきましては、私はそのほうの専門家ではございませんけれども、科学技術庁電力会社に聞きますと、そこまでのウラン確保というものは道がついているように思います。しかし、これも先生の御指摘のように、これから世界がどうなっていくかわからぬといたしますと、でき得るならば早期に入手をしていく、こういうことも今後のあり方としては十分検討に値するのではないか、こういうふうに思いますので、遺憾ながら私の知識と非常勤委員としての立場から申しますと、そういうことについて責任のあるお答えはできませんけれども、原子力委員長とか委員長代理とかそういう方々とひとつお話し願っていただきたいと思います。
  49. 広沢直樹

    ○広沢委員 所定の時間が過ぎておりますので、一言、牛山参考人芳川参考人にお伺いしたいのですが、お二方に同じ質問を申し上げますので、まとめてお答えいただいてもけっこうでございますし、それぞれ御意見をお聞かせいただいてもけっこうでございます。  というのは、現在問題になっておりますのは、先ほどからも将来の電力の需要の問題でどうするかという一つの問題があります。それと、そんなことよりも現実の安全性やあるいは環境保全の問題をどうするか、こういう問題とのギャップがあるわけでございます。確かに、まず現在までの経済の政策のパターンから考えて、国民無視の姿勢でやってきた、ですから、やはり国民の生命、財産を守るということを施策の第一義に据えなければならない、私はこういう観点に立っております。しかし、先ほども芳川参考人は、原発には基本的に全部何でもかんでも反対じゃないんだ、だから、それについて問題点が解明されればいいのだ、こうおっしゃいました。確かにエネルギーの問題は反対もあり賛成もありましょうけれども、エネルギー問題の基本問題としては、これは皆ひとしく考えなければならない問題であります。  したがって、いまネックになっておる問題、どういった点を解明していけば、いまのそういったいろいろな不安というものがまず解けていくのか。反対とそれからいま推し進めようという両極端がだんだん先鋭化してきておるわけでありますし、また、それに加えて、危機感の上からエネルギー問題というものがおっかぶさってきております。したがって、やはりその点を明確にするということが必要ではないか。ですから、反対の立場に立たれております芳川参考人としましては、あるいは牛山参考人としては、どの点が解明できれば一歩前進できるのか、その点どうお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。
  50. 牛山積

    牛山参考人 従来の四大公害裁判に代表されている裁判の中で、経済性を無視してもやはり人間の生命、健康は守らなければならないという考え方が確立されてきているわけでございますが、その点について侵害がある場合には、その他の経済的な発展云々の問題を考慮すべきではないか、これは基本的な立場だろうと思います。  しかしながら、それではエネルギーの需要はもう考えなくていいかといいますと、決してそういうわけではない点ではほかの方たちも同一だろうと思うのですが、それでは現在の隘路を克服するために一体何をすべきかということですけれども、やはり一番大切なことは、企業の側でも、それから行政の側でも、従来の立地のしかたに対する態度を変えることだと思います。その中で安全か安全でないかを十分検討し尽くした上で、もし安全でないというならば、大規模な発電所をつくるということだけが一つの方策じゃありませんから、それに見合った形での方策を別途考える道が開けてくる。したがって、先ほどからの議論一つの筋として、非常にたいへんな経済混乱が起こるのではないかという御懸念が表明されているわけですけれども、そういうふうに直ちにいってしまうのは短絡的であろう。私はそれほど専門的な知識は持っていません。たぶん従来の経験からして打開策を見出すとすれば先ほどのところにあるべきであって、一がいに経済破綻の問題に結びつけるのは短絡的であろうというふうに考えております。
  51. 安倍晋太郎

    安倍委員長 芳川参考人何かありますか。
  52. 芳川廣一

    芳川参考人 それじゃ簡単に申し上げますが、私は学者でも何でもないので、ただ原発が非常にたいへんな問題だということでやってくる中でいろいろ考えますと、いままでの経済のパターンを考えまして、そしていまの段階をきちっと整理することなく多少の修正といいますか、変革することなく多少の修正をもって将来を展望していくということは非常にたいへんなことではないか、これはたとえば原発の燃料であるウランだけではなくて、あらゆる資源についていま日本の企業が使っている資源というのは、資本主義国における限られた資源の中の相当部分を占めているわけです。そういう問題は、われわれが便利さとかなんとか、いままでの考え方、概念の中で、それは多少がまんしようというようないいかげんな考え方でやっていくにはあまりにもわれわれは限られた資源を消費し過ぎている。そのことを一体他国が許してくれるのかどうかという問題、これはウランだけでなくてすべての資源についていえると思います。  それからまた、そういう便利さとかそういうものをわれわれは多少がまんするというようないいかげんなことで、いままでわれわれは一連のあらゆる公害を経験してきましたが、そういうことを考えますと、経済の発展の多少の修正というような言い方ではなくて、われわれがほんとうに健康で豊かな生活をやっていくにはどうなんだという基本的な立場に立って、やはり心の変革をした中で経済展望をしなければならぬ、経済展望は二の次になっていくのではないかというふうに私は考えます。  原子力発電所の問題につきましては、私は先ほど再三申し上げましたが、いま私たち地域住民とそれから国、いわゆる原子力行政といろいろやり合っている問題は、地域住民は核アレルギーで言っているとか感情で言っているということじゃないのです。それは大きな誤解であります。先ほど申し上げましたように、体制の問題であります。この体制の問題をきちんとしてやっていく中に初めて、科学的な論争というものをやる必要があるとすれば、それができるわけです。いま私たち自分たちの生命と健康を守るという立場で手さぐりに——国のほうはなるべく隠そうとしてやっておる。そういうことでありますから、そういうことではなくて、その体制をきちんとやっていく。そういう中でわれわれが生命と健康を守る立場に立って、科学論争の必要があればやっていく、なければやはり建設をやっていけばいい、私はそういうことではないかというふうに考えます。
  53. 広沢直樹

    ○広沢委員 どうもありがとうございました。
  54. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後二時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前零時四十七分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  55. 安倍晋太郎

    安倍委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。村山喜一君。
  56. 村山喜一

    村山(喜)委員 昨日、電気料金の値上げを物価閣僚会議決定をされたというふうに承っております。大蔵大臣は御出席になったかどうかわかりませんが、申請よりも六%程度圧縮はしているものの、たいへんな値上げであることにおいては間違いがない。昨夜はテレビで、こういう事態に立ち至りましたことについての中曽根通産大臣の演説というか釈明を聞いておりましたが、これから先の日本エネルギー政策というもの、そしてまた、その中における電気の長期的な需給計画並びに電気に対する税体系あり方の問題、そういうものをもう一回根本的に見直しをしなければならない段階に来ているのではないかという気がしてなりませんでした。そういう意味から、今度電源開発税が創設される、こういうことになったわけでございますが、はたしてそれは長期的な展望を踏まえての目的税としてふさわしいものであるかどうかという点について、大臣の御所見をいただきたいのでございます。  そこで、目的というのは、一千キロワットについて八十五円の電源開発税をとるという形で、納税義務者というのは一般電気事業を行なう者、こういうことになっております。しかし、料金決定の総括原価計算の中に諸税は含めて計算をするのだという方式がとられておりますから、その税金を料金の中に含めて電気会社は取るという形になります。したがって、これは明らかな大衆課税であることにおいては変わりはないわけです。  ところが、これは目的税だ。目的税だということになれば、必要な目的を達成するまで税金を取ればよろしいという思想だ。ところが、見てみますと、この法律はいわゆる暫定法ではございませんで、恒久立法になっております。ずっと続けて取っていくのだという税の性格でございます。したがいまして、一つ目的を達成するために目的税として創設をされたものが、税の法律として国会に提案をされたものを見てみると恒久法である、こういうことになっておりますが、この性格は一体どういうものかということを明らかにしていただきたい。  というのは、今度電気料金をきめます場合に、生活保護世帯の七十万世帯並びに施設に収容されている人たち、そういうような福祉関係の料金はしばらくの間据え置きにするということが決定されているように聞きます。なお、地方税であります電気税は、ことしから千二百円に控除額が上がるが、今度の電気料金の値上がりに伴いまして、なお五百億ないし六百億の増収がある。そういうことから、その控除額を千八百円程度に引き上げようではないかという話も、すでに協議が開始されているようでございます。したがって、電気というものについてのいまの税は、国民最低限の生活保障は考えながら課税をやるんだという一つの思想が生まれていると思うのです。  ところが、電源開発税というのは、大臣御承知のとおりに、一戸当たりの価格に引き直しますと、十二円ないし十五円程度におさまるわけですが、しかし、生活保護を受けている者であろうが、あるいは福祉施設に収容されている者であろうが、その電力の使用量に応じて支払いをするという仕組みに相なっておりますから、そういう基礎控除的なものは全然今度の法律の中身にはないわけであります。したがって、そういう何ら収入状態は考えないという思想の中でこれを強制する、こういう思想を持った、発想に立った電源開発税ではないか、ここに一つの性格があるのではないかという見方を私たちはしているのでありますが、そういう性格を持ったもので国民に協力を求めなければならないというその発想のしかたは、どこに求めておいでになるのかを明らかにしていただきたい。
  57. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この税を創設し、しかもこれを目的税とする。こういうことは、いまわが国の政治の中でエネルギーを整備することが最大の課題の一つになっておる、そこから来ておるわけなんです。目的税にしますとかあるいは特別会計を設ける、これは税制からいいましても、財政制度からいいましても、総合課税、総合財政に背反をする例外的なものになるわけです。  例外的なものを設けるゆえんのものは、何か特定な財源があって、そしてそれを使って特定の仕組みで差し迫った問題を解決する、その差し迫った問題というものが非常に緊切な問題であるというところで初めて容認さるべき問題じゃないか、そういうふうに思うわけです。しかも、いま電源開発という問題、特にその中でも原子力発電という問題はさような差し迫った要請があり、この要請に対しましては、一般的総合的ビジョンばかりじゃやっていけない、特別の財源を整備し、特別会計の仕組みを持って急速にこれを進めなければならぬ問題である、そういうところに発想があるわけなんです。その発想に従いましてこれを現実に実施する。  そういう面からいいますと、電気事業者を納税者にする。電気事業者を納税者にいたしますと、電気料金にその負担が転嫁をされてくる。こういうことになりますが、その電気料金体系がどういうふうになっているかというところが、村山さんのいま頭にある問題じゃないか、そういうふうに思いますが、この電気料金におきましては、ただいま村山さんからもお話がありましたように、かなり社会政策的な配慮をいたしまして、ナショナルミニマムというか、そういうような面にも特段の配慮をして配分をきめた、こういうことなんであります。税制であり、またその税制の波及、そういう問題でありますので、この税制面だけで社会政策的目的に全部対処できるかというと、そういうわけにはなかなかいかぬと思うのです。ですから、そういうことで救い切れない面は、生活保護費でありますとかもろもろの社会保障制度がありますから、それは歳出の面においてカバーをする、こういうことに相なろうか、かように考えます。
  58. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは高木主税局長からお伺いをいたしますが、四十九年度は十月一日実施だ、こういうことで百一億の収入を見込んでおります。平年度化した場合には三百三億だ。ところが、これはことしの電気の消費量というものを基礎にして積算がしてあるわけでございますが、今後どれくらい電力が伸びていくかということによりまして、その数字が変わってくるわけです。大体長期的な見通しがどのような角度から立てられているものなのか、その根拠について、数字があれば説明を願っておきたいと思います。
  59. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 現在見込んでおりますのは、四十九年度ベースで平年度計算で大体三百億というふうに見ておるわけでございます。それが今後の電力消費量、供給量の伸びによりましてどの程度ふえるかという点につきましては、その基本となります電力需給の見通しが非常に動いておりますので、明確には申し上げにくいわけでございますが、今後は従来の傾向、いままでほどには供給カーブがふえないだろうということから考えますと、大体六、七%ないし一〇%の範囲内ぐらいの年率の割合でふえていくことになるのではなかろうかというふうに、きわめて大ざっぱでございますが考えております。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 六、七%の割合で毎年ふえていくだろう。そうして、いつまでこういう形で電源開発税はお取りになるのですか。
  61. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 法律の形式といたしましては、限時法のかっこうになっておりません。しかし、今後電源開発をどういうふうに進めていくか、どのようなテンポで進めていくかということについての総合的な対策が、追って出されることになるかと思います。しかし、その場合にも、やはり石油等による火力発電というものにはあまり多くの期待ができないということでありますならば、将来かなり長期にわたって原子力発電を中心とした発電設備の整備が必要になろうかと思いますので、それが一応完了するという時点が見通せるかどうかということでございますけれども、いまのところでは、ちょっといつになったら目的が達せられて、もうそれ以上設備をしなくてもよろしいという状態になるか、それは見通し困難でございますから、実態といたしましても、たとえば五年たてばやめることになりましょうとか、あるいは少なくとも十年くらいすればやめられるようになりましょうということを申し上げられる段階ではないのではないかというふうに考えております。
  62. 村山喜一

    村山(喜)委員 一つ目的を達成するために目的税というものが創設をされる、それが永久的に変わらない恒久法として制定をされようとしている。将来はどういうふうにこれがなっていくんだという展望も持たない形で国民から税金を取る方式が、はたして税の性格からいって正しい取り方であるのかどうか。これはやはり途中で見直しをされる必要があるのではなかろうかと思うのでありますが、どのくらいのところまで長期的な見通しをつけて計画を立てていらっしゃるのですか。とりあえずの問題だけを処理するためにこれをやられたものではないと思うのですが、その点を明らかにしておいていただきたい。
  63. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電気需給の長期的な計画につきましては、政府がオーソライズする形として電源開発調整審議会において作成される長期計画がございます。これは毎年一回作成するものでございまして、目下四十九年度の計画を取りまとめしておる最中でございます。別途、その前提となりますやや中期的な見通しといたしまして、日本電力調査委員会を中心としまして需給想定作業が行なわれております。これも同様毎年一回実施するわけでございまして、先般四十九年度分の取りまとめが行なわれたわけでございます。これは大体昭和五十三年くらいまでの見通しを立てておるわけでございます。その間における産業活動が必要とする電力、あるいは国民生活に必要とされる電力、これらを各需要面について検討し積み上げて、一つ電力需要想定というものを行なっております。  問題は、これに対応する供給力の体制が円滑に確保できるかどうかという点でございます。私どもは一応持っております需要想定を前提にし、望ましい供給力の増強計画というのを別途用意いたしておりますが、現実に政府のつくります電源開発長期計画、ここ数年必ずしも達成率がよくない。こういった状況からいたしますと、この需給がいつになったら安定できるか、これにつきましては今後さらに供給面での努力というものが必要でございます。いつになったらこういった需給が円滑に調整できるようになるかということについては、なかなか見通しが困難でございます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はいまそのことについてお尋ねをしたいと思っておるのですが、だれが供給に対して責任を持っているのか。この点は、電気事業法の十八条から見れば会社ですね。そして供給規程によって、こまかにその内容が規制をされておりますね。政府の責任というものはどこにあるのですか。
  65. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘のように、電気供給義務というのは電気事業者にとってやはり基本的な責任であろうと考えております。ただ、これらの電気事業者が長期的な計画を立て、それらが円滑に実施をされる、あるいはそれらに対する環境整備をする、各般の面においての計画づくりあるいは助成といった面で、やはり国の役割りというものは大きいのではないか、こう考えておるところでございます。
  66. 村山喜一

    村山(喜)委員 その需要想定の問題ですが、先ほど電源開発調整審議会は毎年計画を見直し、これをつくっていくんだということでした。そして日本電力調査委員会でも、年に一回需要の見通しを想定してやっておるんですという説明を聞いたわけです。私もいろいろな資料をあさってみたのですが、公的なものは一体どこにあるのかということがさっぱりわからないわけです。  通産省の総合エネルギー調査会は四十五年七月に見直しをしておるようですが、稲葉原子力委員の本を見てみますと、公的なものとしてはこれが長期的な総合エネルギーの需給のよりどころになっているんだという説明でございます。それから電調審の四十八年十二月に決定したものを見てまいりますと、その中身と、七二年の閣僚協の中で長期エネルギー計画をつくっておって、長計と呼んでおるようですが、これの中における数字とが異なっておりますね。それから日本電力調査委員会の四十九年三月の四十四回需要想定を見ましても、数字が違うわけですね。  だから、政府としてこれだけのエネルギーは確保しなければならない、そのエネルギーを確保するためには、政府としてはこの点については責任を持つが、この点については会社側が責任を持ちなさい、これについては国民に協力をしてもらいたい、こういう分野が明確でないのですね。私はそこに今度の問題が生まれているのじゃないかという気がしてならないのです。供給義務者は電気事業者である、その電気事業者のために、間接的であるけれども税金というものを取って、いわゆる電気供給体制を円滑にしてあげましょう、言うならば、一つの株式会社に対して、税金という強制力を持ったもので補強をしてあげましょう、こういう税体系になっているのではないか。しかも、いずれも計画を見てみると、長期の見通しというものはばらばらである。この点については、通産省の責任者である森下政務次官はどういうふうに現状を認識しておいでになるか、お答え願いたい。
  67. 森下元晴

    ○森下政府委員 電気事業法十八条で、供給責任者は電気事業者である、そのとおりでございます。だから、税体系の中で税金という形で電気事業者にその財源を求めるということの先生の御意見、これにつきましては、現在のエネルギーの逼迫度、また将来の情勢を考えまして、もちろん御趣旨のような方向でいかなければいけないと思いますけれども、現状の置かれておる電気事業法、また早急に出されました現在の電源税の問題、そういうことで先生の御趣旨を体しながら、将来の長期展望、また中期展望の中で、やはり国の責任において需給調整を考えていかなければいけない。そういうワンステップと申しますか、一つの段階的な考え方として今回の電源税はじめ三法が出されたわけでございまして、まだまだ完全でないことはわれわれも認めたいと思いますけれども、非常に要請が急でございましたし、将来そういう方向で考えていかなければいけないということを申し上げまして、十分答弁にならぬと思いますが、お答えにいたしたいと思います。
  68. 村山喜一

    村山(喜)委員 岸田公益事業部長にお尋ねしますが、電調審の発電設備増強の試案は、昭和五十年、総量にいたしまして四千四百九十四億キロワットですね。長計のほうでは、これは幾らになっておりますか。五十五年の電調審のほうの見通しでは六千七百六十四億キロワットというふうに想定をしております。ところが、長計のほうでは七千七百四十二億キロワットというふうに見ておりますね。昭和六十年の段階においては、いろいろな見方がありまして、稲葉さんの私案によると八千八百七十億キロワットというふうに見ているのに、長計のほうでは一兆六百億キロワットだ。こういうようなのを見てまいりますと、いま森下政務次官がおっしゃっていましたが、どれが一体よりどころになっているんだ、どれだけの電源を開発したらいいのか、そのこと自体の基礎的な数字も持たないじゃないか。そうしておいて税金は取ります、それは設備ができるまではいつまでも取り立てていきますというのでは、苛斂誅求の税制だということにならざるを得ない。私はそこに、合理的な、科学的なエネルギー供給体系というものが政府にはない、このことを指摘せざるを得ないわけです。  日本電力調査委員会、これは法律に基づくものではないと思います。それの需給見通しは、昭和五十年には四千二百十二億キロワットでしょう。そうすると、電調審の目標よりも二百億キロワットも少ない。しかも、私は後ほど大蔵大臣にも、日本電力調査委員会の見込んでいる数字そのものもはたして実現ができるだろうかという気がしてならない点がありますのでお尋ねをいたしますけれども、いま申し上げましたように、三つのケースを取り上げて表をつくって対比をしてみると、政府としての見通し、政府としての責任体制というものは全然ないじゃないか。そういうようなのがないのに税金だけは取るという思想では、国民を納得させていく政治というものは生まれない。私はそのことは非常に問題だと思うので、その計画をつくる用意があるのだったら、いつまでにつくるんだ。そして政府としての統一的な見解を示す用意があるのだったら、その点は大臣がお答えできるならば、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  69. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いままで長期計画として電力需要がどうなるか、これはいろいろの数字があると私は思うのです。いろいろの数字がありますのは、これは成長率をどういうふうに見るかによって違ってくる。新全国総合開発計画は、かなり低い成長率を見ておるわけです。また経済社会基本計画、これは一〇%近い高い成長率を見ておる。学者によっては、またいろいろの前提を置いて見られるというので、いろいろの需要数字が出てきておる、こういうふうに思います。  ところが、今日は情勢が非常に変わってまいりまして、そういう長期計画につきましてはこれを全部見直しをしなければならぬ、こういう時期になってきておる。と同時に、石油依存のエネルギー体制、これを代替するエネルギー源にかえていかなければならない、こういう二つの問題が出てきておるわけであります。今日この時点におきまして、将来長きにわたってどのくらいのエネルギー需要が必要になるのか。その中で電力は一体どうなんだということは、これはちょっと政府におきましても、いまはお答えができないのじゃあるまいか。ただ、傾向的な問題といたしまして、あるいは通産省なりあるいは科学技術庁なり、いろいろ試算だとかあるいは個人的見解等ありましょうが、ほんとうの政府の需給見通し、需給計画、そういうものになりますると、全部ここで洗い直しをしなければならぬ、そういう段階でありますので、ちょっとむずかしいのではあるまいか。  しかし、いずれにいたしましても、いまはっきりしておることは、これからもわが国の経済は成長する。それに対応するエネルギーを持たなければならぬということと、それから石油依存は、これは改めなければならぬ。原子力の開発が当面の問題でございますが、その原子力発電への投資はやらなきゃならぬ、これだけははっきりしておりますので、そういうきわめて抽象的ではありまするけれども、基本的な見通しに立ちまして、発電所の整備、特に原子力発電の整備を急がなけれがならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  70. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵大臣の考え方はわかるのですが、私はいままで、これは稲葉さんも指摘をしておいでになるのですが、非常にマクロ的な経済の見通し、あるいはすでにつくられております経済社会基本計画、それをつくって、そのもとでエネルギーはそれに伴って幾ら要るのか、こういうふうに大ワクがきまってから下のほうにおろして、そして長期的な見通しというものの作業があった。ところが、今日の段階では、それが逆に、一体どれだけのエネルギーを生産し、輸入することができるのか。エネルギーの効率化によってどこまで経済を伸ばし、国民生活を向上させることができるのか。だから、どこまで政府国民の協力を求めることによって、そのエネルギー供給をふやすことができるであろうか。この立場から問題の認識を改めていかなければならない、発想の転換をしなければならない時期に来たと思うのです。  そこで、経済社会基本計画が四十八年の二月に決定を見ておりますが、これなどももう一回そういう立場から見直しをしないと、わが国の経済の成長率は昭和四十五年から五十五年までに九%前後だ、そうして五十五年から六十五年の段階では六%ないし七%に保たれる見込みである、こういう計画の中で、いまいろいろなエネルギー政策がつくられ、それに伴って電力供給がどういうふうになるのか、需要がどうなるのかという想定が行なわれてきた。ところが、それはもうこのままではどうにもならない段階に来ておりますので、そこで私は緊急に周辺整備をやって、国内における発電施設を整えなきゃならないということで、この税法が出てきたんだと思うんです。しかし、その基本になるものが国民の合意を得る形の中で確立をされていない。長期的な政府の確立したものがないわけですから、一方、税法だけが、あるいは発電所の周辺整備法だけが先行して、そして全体的な立場からの国民の同意を求める声がおくれている。私はここに問題があるのではないかと思うのです。  そこで、そういうのを裏づけする意味で、ことしの経済見通しの問題から、大臣の所管でございますからお尋ねをいたしますが、FOB価格で一バーレル九ドル程度、そうして二億七千万キロリットルの油が入るであろうという想定をされておりました。四十八年度の通関実績を見ると、二億八千万キロリットルぐらい入っている。そうしてこの通関の実績で計算をしてみると、八十七億ドルぐらいの外貨を払っているようでございます。  では、四十九年度は一体どうなるのだろうか。いまCIF価格で計算をいたしますと、十一ドル七十セントぐらいの価格になっているようでございます。これでざっと計算をしてみると、ことし幾ら油を買うことができるかという問題もありますが、それを買うだけの外貨が目の子算用いたしまして、百億ドル昨年よりもよけいに要るのではないか、もっと要るかもしれない。それだけ買うことがはたしてできるのだろうかという問題にまで思いをいたしながら、このエネルギーの長期計画というものを策定しなきゃならない。だから、最低限これだけのものは必要だというものを政府みずからが国民に示して国民の協力を求めていく。その中において、いままでの税体系の問題についても、あるいはいまの昭和二十六年に九分割をされました電力会社の経営形態の問題も、すべて見直してみるという段階に来ているのではなかろうかと思うのでございますが、それについてはどういうふうにお考えでございますか。
  71. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 非常に大きな立場から言いますと、長期計画を持って、それを年次的にどういうふうに進めていくかというスケジュールがあって御審議をお願いできると、非常にいいと思っておるのです。ただ、先ほども申し上げましたように、いま非常な事態に当面しておる。石油は金があっても買えません。また、買えてもその値段は在来の四倍であります。こういうようなことで、今日は異常の事態でございます。この異常の事態を何とか乗り切って、そうして新しい国の歩み、その方向づけを行なわなければなりませんが、そのときにはおそらく私は、いままで経済政策の基本として採用せられておりました経済社会基本計画、これなどは根本的に改定を要する、こういうふうに考えておるわけです。しかし、理想といたしましては、そういう作業があって、そして電源開発がその上に乗って進められる、こういうことになることが理想的でございます。ところが、その新しい計画を立てるまでにかなりの時間がかかります。  さて、それまで電源開発をやらぬで休んでおってよろしいか、こういうと、現状の発電力をもってすると、ことしの夏ごろはある地区においてはあるいは節電をしなければならぬかとか、そういうような問題にも当面をいたすわけです。それが来年になったら一体どうなるかというと、またこれが激化する、こういうことになる。そこで、どうしても石油で非常に大きな打撃は受けておりますけれども、それにしてもわが国の経済は縮小するんじゃない、多少なりとも前進をする、そういうのですから、それに応ずるエネルギーというのもまた考えなければならぬ。それからさらに、いま御指摘の国際収支、そういうことを考えますと、石油依存のエネルギー体制というものを、当面は原子力依存ということが中心になりますが、代替エネルギーへ転換をしなければならない、こういう要請もある。でありますので、緊急というか、異常な事態に対する緊急の措置として目的税たる電源開発税を設定し、鋭意発電能力の造成につとめていきたい、こういう考えをとったわけでございます。
  72. 村山喜一

    村山(喜)委員 長期的に見ていけば緊急であるかもしれませんが、私は、いまのベースで発電施設の整備が行なわれていった場合には、電力の予備力がどういうふうになっていくかという表をもらったんですが、とりあえず、その予備力が異常に低下をしてマイナスになるという事態は来年生まれるわけじゃございません。それで、その問題の処理は、長期的な展望をいつまでにつくるかという暫定的な措置としておやりになるというのであるならば、この税法だって、それまでの間の暫定法としてお出しになるのが当然ではなかろうか。その予備力が低下して非常に危険な状態になるというのは、いま差し迫っている問題じゃございませんで、そのもらった表からいえば、たしか昭和五十二年ごろからそういう状態になるというふうに思っているのですが、そういうような意味からいえば、緊急な税制として税制調査会意見等も聞かない形で国会にお出しになるほど緊急性のあるものではないじゃないか。もっと合理的な形の中で、もっと論議をする余裕を持った姿の中からお出しになるのがほんとうではなかろうか。これはやはり田中総理のせっかち政治がそういうような形で大蔵省にその税法を出さしたのじゃないか。そんなことを裏づけるような気がしてならないんです。  ですから、それに対する答弁は求めませんが、一体いつまでに国としての長期計画を、エネルギー供給の問題を含めてどうするんだということを、これはやはり通産省の任務だろうと思いますので、森下政務次官、どういうふうにわれわれは受け取っておればよろしいのですか、四十八年の二月に経済社会基本計画をつくりましたときに、エネルギーの料金体系については再検討をするんだ。そして「この際、より基本的な観点から、政府供給ないし関与すべき財・サービスの供給システムと価格のあり方について両三年以内に新しい原則を確立するよう検討することとする。」ということが決定をされておる。とするならば、少なくともこの三年間ぐらいの間にはおやりになるものだろうと思っているのですが、それはあと回しにして、そして税金を取ることは早くやれという思想では非常に困るのです。やはり国民が納得をして、そうだということで協力をする体制をつくることが政治の要諦だと私は思う。  そういうような意味から、いままで非常にばらばらの想定だけをして、そしてさっぱり実行は伴わないものだけをつくって、しかもそれは政府が責任を負わない審議会やいろいろなところの外部の機関がつくり上げたもので、それを比較検討しながら、電力はこういうふうに足らないから税金をかけますよというようなやり方では困るのです。ですから、国としての国民を納得をせしめる、最低これだけは必要なんだということをあなた方が根拠として主張をされるものをいつまでにつくって、国会を通じて国民の前に明らかにしていただく用意があるのか、この点をお伺いしておきます。
  73. 岸田文武

    ○岸田政府委員 経済全体の長期的な見通しとしましては、お話の中にございました昨年二月の経済社会基本計画がございます。昨年策定いたしました電源開発長期計画は、それとほぼバランスをとって決定を見ております。ただ、昨年基本計画が作成されて以降、非常に大きな変化としましては、秋以来の石油危機の問題がございまして、これからのエネルギー供給体制はどうなるか、またエネルギー不足に対応する産業界の体制はどうあるべきか、これらについて新しい問題が出てまいったわけでございます。  私ども電気の立場からしましても、昨年の電気の使用制限というものにつきまして、いろいろの教訓を得たところでございます。これらの教訓を頭に置きまして、電気の立場から、先ほど申しました電力調査委員会において四十九年度の計画を作成いたしますときには、従来よりもエネルギー消費の節約されるという姿を前提とした長期計画を組んだわけでございます。さらに、この電力調査委員会の結果を織り込みながら、政府としての電源開発長期計画を目下作成中であるということは先ほど申し上げたとおりでございます。さらに加えまして、電気以外の石油なり石炭なりその他の分野における各般の問題を総合的に検討をし、今後のあり方を見詰めてみよう、こういった考え方に基づきまして、目下総合エネルギー調査会をわずらわしまして、いま申し上げましたような問題についての検討を重ねておる最中でございます。この作業は、大体六月から七月までにまとめ上げるという段取りで進んでおるところでございます。  いまお話の中に、将来の電力需給はしばらくの間もつのではないかというお尋ねがございました。私ども、先ほど申し上げました需要の数字、これがある程度振幅があるにいたしましても、供給側の体制がいま非常に心配であるということは、たとえば長期計画を作成いたしましても、一昨年で達成率が三〇%台、昨年で四〇%台、こういった数字でございまして、いずれ近い時期には明白に供給不足体制になってしまう、この際、何か積極的な大きな手を打つということが不可欠の前提である、こう感じておるところでございます。お話の中に、供給予備率がゼロに近くなるのは数年後であるというお話がございましたが、現実の発電所の建設は、たとえば火力発電所でございますと三年、原子力発電所でございますと工事建設期間だけで五年かかるわけでございまして、五十二、三年の電源に対応する工事は、まさにいま始めなければならないという状況でございます。この意味におきまして、数字のこまかい詰めの問題よりも、やはり大きな流れとしての供給体制の不安というものに対応すべくこの法律が提出をされた、こう理解をしておるのでございます。
  74. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなたはまたかわり得る立場にある方ですから、やはりこの際、政治的に責任を持つ立場にある大臣なり政務次官のほうから答弁をいただいておかなければそれは納得できません。しかも、その根拠とされているこの発電施設の整備計画が、エネルギー長期計画のどの教字に基づいて打ち出されたものであるのか、それさえもはっきりわからないわけです。七二年の閣僚協議会の長期エネルギー計画によると、昭和六十年には一兆六百億キロワットの発電エネルギー供給するんだ、こうなっている。それに合わせて、その達成率がどうだということや、あるいはGNPの伸びを一〇%程度はあるんだということでつくり上げた今度の日本電力調査委員会の需要想定そのものをもとにしても、きわめて過大な見込み、われわれはそういうような達成はできないであろうと思っているわけですが、それに電力の消費を合わせたような形のものをもって、これから見たらこれだけの施設が足りませんからとおっしゃっても、それは会社、経営者の側からの発想のとらえ方であって、税金を取られる側のほうから考える立場に立てば、一体その根拠はどこにあるのかということを言いたいのです。ですから、きちっとした政府の統一的な計画というものを示してもらって、これによってこういうふうにいたしますというものでなければ納得をさせることはできないと思う。私はそういうふうな意味において、再度、森下政務次官のほうからしっかりした答弁を承っておきたい。
  75. 森下元晴

    ○森下政府委員 お説ごもっともでございます。過去におきます長期計画、中期計画、特に電力の需給等につきましては、そのデータが見通し等の変化によりまして変わったことは事実でございます。特に昨年秋からの石油の削減、また価格の高騰等によって、電力エネルギー源にいたしましても、かなり大きな変更をせざるを得ないような情勢になったことは御承知のとおりでございます。  御指摘のように、やはり国民の前にすべての需給計画を立てて、しかる上にこの電源税をきめていく、これが理想的な考えでございますけれども、やはり過去に立てた資料の中でも、たとえば先ほど部長から説明がございましたように、五十二年、五十三年では翌日がマイナスになるかもわからない緊急な事態も想定されますし、初めに先生のおっしゃいましたように、この電気事業の形態、いわゆる民営でやるのがいいのか、国営でやるのがいいのか、また公団方式でやるのがいいのか、そういうところまで実は考えなければいけないような問題もあると思いますけれども、ともかくいままでよりは国が責任を持って公益事業としての電力事業をやらなければいけない、また介入もしていかなければならない、そういうような情勢になっておることは御指摘のとおりでございます。  そういう段階的な中で、すべてがきまるまでこれを待つという余裕はとうていないということで、一〇〇%すべての計画がきまって国民の合意を得てというそれまではいかぬにしても、できるだけ正しい判断、また正しい見通しに基づいて、正確な資料を提供して納得をいただきながら需要にこたえていく。もちろん価格の問題も大事でございますけれども、やはり一番通産省として考えておりますのは、国民供給面において迷惑をかけないということにも全力をあげなければいけない、そういうことでかなり公共性の強い、政府が今後も強く介入せざるを得ないような情勢になっていくという背景のもとで、今後いわゆる基本的な問題、またいろいろなこれに伴う問題を考えていくべきである、かように思っております。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 先日、電源開発促進税の問題に関しまして、電気料金の値上げ決定を、まだ法案審議が行なわれている最中になすということについては、国会における審議を無視することではないかということから、それに対する政府側の統一見解をこの委員会で求めました。その内容についてはすでに理事会等において明らかにされておりますが、その内容を昨夜の閣僚協議会でも決定をされたようにお伺いをしておりますが、その政府統一見解というものはどういうものをおきめになったのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。  それと同時に、この案文を文章から拝見いたしますと——すでに通産省が決定をしております「供給規程料金算定要領」というものを見てみますと、「料金の決定」という条項の中に次のように書いてあるのです。「決定された料金をもって計算した料金収入額は、総括原価と一致するものでなければならない。」ところが、総括原価の中には、諸税が原価計算の中に入っているわけです。とするならば、決定された料金収入額は、これは総括原価と一致するものでなければならないのに、この政府の答弁のように増税相当分を差し引いて電気料金を徴収するということになると、通産省がきめた「供給規程料金算定要領」というものをみずから否定している結果をあなた方としてはお出しになっているのではないか。これは基本的な、いわゆる国会の審議権の問題に対する答弁は別といたしましても、この規程との関係、この点の解明もあわせて願いたいと思います。
  77. 森下元晴

    ○森下政府委員 昨日、本委員会の広沢、阿部両先生から実は御質問がございまして、その答弁の中で、私のほうから国会軽視という誤解を招く発言をいたしました。これは理事会でも陳謝をいたしましたし、取り消さしていただいたわけでございますけれども、この問題につきましては、まだこの委員会で電源税がきまっておらないのにこれを組み込んだ、しかも料金決定をしてしまうということでございまして、よく大臣にお話しし相談いたしまして、統一見解を発表して御了解を得たわけでございます。その字句の中できのう私が申し上げたのと少し違っておりますので、これをあわせて実は訂正を申し上げたい。  それで、あらためて読み上げさしていただきます。きのうの話ですから、きのうの時点に立ち返って申し上げます。  「先程の電源開発促進税の問題については御意見を尊重し次のように措置致します。  即ち電源開発促進税法公布までの間は電気料金が仮に改訂になっても同税相当分を差引いて電気料金を徴収することと致します。  具体的な方法は事務当局に早急につめさせます。」  きのう、私は「成立」と申し上げましたけれども、国民各層によく周知できるのが公布でございますので、公布ということに改めさせていただく、これはきのうの大臣の発表のときにも申し上げたわけでございまして、実は私、委員会ではまだ訂正いたしておりませんので、この機会を得て釈明も申し上げたいし、訂正を申し上げたいと思います。  それで、第二の問題については、原価に占めるいわゆる八銭五厘、半年分でございましたから一キロワット時当たりにいたしましてその半分の四銭二厘五毛、これを差し引かせていただく。二厘五毛という端数は切り上げて五銭という金額にしてこれを需要家に割り戻す、こういうことになりまして、御了解を得たいと思います。  なお、この点につきましては、部長より補足説明をさせます。
  78. 岸田文武

    ○岸田政府委員 総括原価との関係についてのお尋ねでございました。私どもは、料金の算定に際しまして燃料費、人件費、資本費等々各費目を積み上げますほかに、真実かつ有効な資産に対して八%の報酬率をかけたフェアリターンの思想を取り入れた制度がございます、かりに電源開発促進税の公布、施行がおくれたという場合の措置といたしまして、もしこれによる減収が生じました場合には、このフェアリターンの中からさいていくという考え方でございます。
  79. 村山喜一

    村山(喜)委員 私に割り当てられたきょうの時間はもうなくなってまいりましたので、これで終わりますが、「供給規程料金算定要領」というものを拝見いたしますと、いま説明をされました岸田公益事業部長の話でも、どうも納得はできません。決定された料金をもとにして計算した料金の収入額が総括原価と一致するものでなければならないというのですから、こういうような事態でもしこの法案がそれまでの間に成立していなければ、一致しないことになる。だから、閣僚協議会で決定をされましたこのやり方も、あなた方がきめたこの要領に違反をする取り扱いになる。そういうようなことを考えますと、なお問題が残っております。  そして、料金決定国民は参加できない。国会のほうも、そういうような内容に立ち至っての資料をわれわれが提出を求めても、完全な資料をお出しになっていないわけです。燃料費の問題も、大体五・五%高で見積もっているのではないか。一ドル三百円で為替差益を見込んでいるのではないか。そのようなものがどのように処理をされたのかもわかりません。固定費の配分を変えたら二・五%程度は電灯料金をなお低くすることができるはずである。あるいは総括原価の中から個別原価を算定するときの資料というものを、国会にお出しになった例も私たちは聞いていない。そして事業報酬の八%というものについても、固定資産がふえ、建設が進んでいけば、それだけワクが広がる仕組みになるわけですから、そういうような設備増強の立場から利益を先取りをする算定方式、そういうものについての改正の意図もはっきりしていない。こういうようなことを考えてまいりますと、はたして今度決定されました電気料金が最低必要不可欠な料金であったかどうかということについては、疑問を残したままでございます。それに電気税で料金が上がることによって六百億円も増徴をされる。これは、それを返すような措置を考えるとおっしゃるのですが、それにあわせて今度の電源開発税を取るということ、しかも、生活保護を受けている者からも取り立てるという苛斂誅求の税制を、将来の展望もないままに永久にとり続けようという考え方を示している。  私は、これらについてなお残された幾つかの問題を持っておりますので、委員長に要請を申し上げますが、きょうは科学技術庁長官が後ほど見えるという関係から、私の時間は本日はこれで終わりますが、他日質疑の時間を与えていただけますかどうか、委員長に確認した上で、私の質問をきょうは終わりたいと思いますが、答弁願います。
  80. 安倍晋太郎

    安倍委員長 十分検討いたします。
  81. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  82. 安倍晋太郎

  83. 細谷治嘉

    細谷委員 本論に入る前に、昨日関係閣僚協議会できまりました電気料金の大幅引き上げ、それに伴いまして電気税の減税問題が起こっております。大蔵大臣も参議院の予算委員会なりで、電気料金改定の場合には前向きで検討をいたしたい、こういう御答弁をなさっております。  そこで、まず主管省であります自治省に、今度の電気料金改正に伴って電気税をどうするのか、いつやろうとしておるのか、お尋ねしたいと思います。
  84. 山下稔

    山下政府委員 電気料金の改定に伴いまして電気税が増税になることは事実でございますので、納税者の税負担を軽減するということについては検討しなければならないと思っております。たとえば料金値上げによって従来免税であった者が課税されるというような事態も生ずるわけでございますので、そうした点を配慮して、電気税の軽減ということについては前向きで検討をいたしたいと考えております。時期につきましては、政府案をまとめ次第、できるだけ早い機会に法案を提案申し上げたいと考えております。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 前向きで検討したいということでありますが、検討するという場合には、具体の問題として税率をどうするのか、免税点をどうするのか、こういう問題があります。免税点の引き上げだけで行くのか、税率にも触れるのか、これはいかがですか。
  86. 山下稔

    山下政府委員 免税点につきましては、先ほどお答えいたしましたようなことで、従来の免税世帯が少なくとも課税を受けるようなことにならないようにしなくてはならないと考えております。  税率につきましても、免税点以上の世帯におきましても、負担が重くなるという点についての配慮が必要な場合が考えられますので、税率についてもあわせて検討いたしたいと考えております。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 今度の七十二国会で地方税法改正が行なわれた。六月一日から千円の免税点が千二百円になるわけですね。千二百円になった場合に、自治省の説明でありますと、いわゆる免税世帯というのが二六%から二七%に上がる、こういうことになっております。そうしますと、逆算して六月一日から、二七%の免税世帯に予定されておったものに対しては、税がかからないように免税点を引き上げるということですね。幾らぐらいになりますか。
  88. 山下稔

    山下政府委員 最低の考え方として、いま御指摘のような考え方で免税点の引き上げを考えたいと思います。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 大体において五十数%電気料金は上がったわけでありますから、千二百円の免税点、その半分の六百円加えるとして千八百円。そして、今度の電気料金の体系というのが福祉型へ指向した、こういう料金体系になったのだ、こういうことでありますから、少なくとも千八百円を下らない。新聞等に伝えられております免税点は、二千円という新聞の記事もありますけれども、そういうふうに理解してよろしいのか。あるいは税率については、現在六%、これをいまここで何%にするのかということをお答えできないにしても、これも下げるわけですね。その辺を少し、料金を上げると関係閣僚会議決定しているわけですから、答えてくださいよ。国民も心配しているでしょう。いかがですか。
  90. 山下稔

    山下政府委員 今回の地方税法改正で定めました千二百円の免税点という線は、おおむね月の使用量が百キロまで免税にするという線に当たっております。したがいまして、料金値上げ後も同じく百キロを使う家庭が免税点の適用を受けるということにするためには、千四百円ないし千五百円に上げればよろしいわけでございます。それを最低の線といたしまして、ただ、今回の料金の定め方が新たに福祉料金というような制度も定めるという仕組みも入っておりますので、そうした事情も含めて免税点の引き上げの方向をきめてまいりたい。最低限度は先ほど申し上げたようなことでございますが、新たな事態も含めて免税点の引き上げの額をきめてまいりたいと考えます。  税率につきましては、御指摘のように、現在六%でございますので、それを引き下げることについても検討しなければならないのではないかと考えております。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、いまのお答えで、福祉型ということも含めて免税点の金額を引き上げていく、こういうことに重点を置いて、調整的な意味において税率六%を下げていく、こういう考え方であると受け取ってよろしいか、いかがですか。
  92. 山下稔

    山下政府委員 免税点につきましては、課税をされないという世帯の問題でございますし、税率は課税される負担者の負担をどうするかという問題でございますので、調整的ということばが適切であるかどうかは別といたしまして、両方あわせて検討せざるを得ないのではないかと考えております。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 局長はきょう来ませんし、大臣も来ておりませんから、これ以上詰めるのもどうかと思います。  税の総元締めであります大蔵大臣は、料金が引き上げられた場合には前向きにこれを検討する、そういうふうに国会で答弁なさっております。いま主管省である自治省から、しっぽのほうまではいきませんけれども、牛の頭と胴ぐらいのところまで大体めどが出てきたわけであります。大蔵大臣、どうお考えですか。
  94. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは、免税点を大幅にして免税点一本でいくか、あるいは免税点の引き上げを中幅にいたしまして税率の引き下げも加味していく、こういう二つのやり方があると思うのです。そのどれをどういうふうにいたしますか。これはきょうあたりから自治省を中心にいたしまして関係各省で相談を始めよう、こういうことであります。いずれにいたしましても、細谷さんがおっしゃる趣旨の方向で検討は行なわれるであろう、かように考えております。
  95. 細谷治嘉

    細谷委員 電気税は、後ほどお聞きしたい電源開発促進税と同じように、実態的には消費者負担、大衆負担、こういう性格のものでありますので、私はあらためてこの問題でお聞きしておるわけであります。  そこで、今度の国会は会期が少ないのでありますけれども、減税措置はいつからおやりになるのか。それはいつの国会に対処しようとしているのか。これをひとつお答えいただきたいと思います。
  96. 山下稔

    山下政府委員 非常に重要な判断を要する問題でございますので、私から正確にいつの国会ということを申し上げるわけにはまいりませんが、政府案がまとまり次第、できるだけ早い機会に実現をはかりたいと考えます。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵大臣いかがでしょうか。今度の国会は六月三日までですけれども、会期は余すところわずか。そこで、参議院選挙後の臨時国会ということもいわれているようでありますが、どういうことでしょうか。これはたいへんな税負担になるわけですから、ひとつ大蔵大臣の所信のほどをお伺いしておきたい。
  98. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、この税の主管でございませんので、責任のある答弁はできませんけれども、いま自治省のほうで、これはまとまり次第すみやかに実行したい、こういう趣旨のことを言っておるわけです。私のほうといたしましても、政府案がまとまるということになれば、これをなるべく早く実施することには御協力申し上げたい、かように考えます。
  99. 細谷治嘉

    細谷委員 料金値上げは六月一日からということになっているわけです。そうしますと、参議院選挙後の臨時国会ということになりますと、これは八月になっちゃうですよ。その間にヘビが卵をのんだようにふくれるわけですね。これはさかのぼるつもりでございますか。その辺どうでしょうか。
  100. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは減税ですからさかのぼれ、こういうような説もあろうかと思いますが、さかのぼるということも異例なことで、そうしょっちゅうやっているわけでもないわけです。その辺はなかなか機微の問題であろう、こういうふうに思います。専門家主税局長が専門的に見解を申し上げます。
  101. 山下稔

    山下政府委員 電気税は、御案内のように、電力会社電気料金を徴収するときにあわせて特別徴収義務者として徴収をいたします。毎月毎月の・検針日現在で徴収をいたします関係もございますので、かりに法律がおくれた場合、さかのぼって減税するという方法は技術的に不可能でございます。
  102. 細谷治嘉

    細谷委員 技術的に不可能だ——返せばいいんでしょう、何カ月か。これは不利益の不遡及原則ということはありますけれども、いま大蔵大臣が言いましたように、減税することであって、そして確かに年度の初めの税法審議の際には、こういう大幅なものを予定していなかった、そういう形で税法を出したのでしょう。ですから、特別徴収義務者に迷惑をかけるから取ったものはもう取り得だ、こういうことは許されませんよ。しかも、国会はまだ開いているんですから、これは大蔵大臣の考えのとおり、やっぱり措置するのがあたりまえですよ。あなた、事務官のようなそんな態度じゃ困るのですよ。それでないと、大臣に来てもらわなくてはならない。大蔵大臣は御遠慮なさって御答弁をなさっておりますけれども、何といったって大蔵大臣というのが税の大御所であることは間違いないわけですから、もう一度大蔵大臣の考えのほどを。
  103. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、地方自治を侵してはならないといって常におしかりを受けておるわけでございます。そこで、事地方自治法になりますと、大蔵大臣の発言は非常に慎重になるわけでございます。お答えはただいま自治省のほうから申し上げたとおりでありますが、なお私のほうからも自治省に御趣旨のほどをお伝えいたしまして、よく検討していただきます。
  104. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一つ。消費者から取っているんですから、電力会社が納めているわけじゃないのですから、おくれてもそれは返せばいいんですよ。簡単です、取りに行くときに返せばいいんですから。それはひとつお願いしておきます。  そこで、私は、この問題について税の公平負担の原則という点から、この際、大蔵大臣に承っておきたいと思うのです。新聞等に掲げてありますように、今度の料金は地域格差が拡大した。全国九ブロックに九電力会社があるわけですから、料金の地域格差が拡大をした。このことは裏を返しますと、電気料金の格差が拡大をした、こういうことであります。新聞等で見ますと、今度従量電灯が北海道が一キロワットアワー当たり十四円七十七銭、東京が十五円十四銭、九州が十五円四十七銭、全国平均は十五円十七銭であります。大口のほうは電灯はどうかといいますと、北海道が十五円五十九銭、東京が十七円三十二銭、九州が十七円八十七銭、平均が十七円七銭ということであります。電力にいたしますと、業務用が北海道が十三円三十九銭、東京が十四円四十一銭、九州が十四円八十六銭、平均が十四円三十一銭、こういうことであります。  ですから、電気料金が改定されましたので地域格差は拡大した。したがって、料金に完全にリンクいたしますこの電気税というのが、同じキロワットを同じ条件で使っておっても、北海道と東京と九州では納める税金が違う、こういうことになります。日本国じゅうどこにおっても、同じ条件であれば大体同じ税金を納めるというのが税の公平原則だろうと思うのですよ。こういうふうな拡大傾向になってまいりますと、やはり税の原則から問題があるのではないか。したがって、いわゆるキロワット単位で課税をするとかいたしませんと、電気料金にそのままリンクするという電気税のかけ方には、これはやはり税の原則にもとる点がだんだん顕著にあらわれてくると私は思います。こういう点、大蔵大臣、どうお考えでしょうか、所信のほどを承っておきたい。
  105. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまのお話の中で、多少補足説明をしておきたい点がございます。  全国の料金格差は、従来は北陸が一番安く、それから九州が一番高いという体系でございましたが、今回の値上げにおきましては、北陸が平均を上回る五九%になり、それから九州が平均を下回る四八%の値上げでございまして、全体としての格差は多少是正されたという形になります。
  106. 山下稔

    山下政府委員 電気税の課税標準を、料金ではなくて電気使用量にしてはどうかという御提案でございますが、一つのお考えだとは思いますが、現在の電気税の性格が消費税でございまして、消費に担税力を見出して課税するという基本的な性格を持っております。したがいまして、担税力というものは、やはり各支払います料金に最も端的にあらわれるものではないだろうか。そういたしますと、現在の電気税の性格から申しまして、担税力を一番的確にあらわす料金のほうが課税標準としては適当ではないであろうかというふうに考えます。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 担税力を的確にあらわすというような、そんなばかなことはないよ。  そこで、大蔵大臣、私は諸外国の電気税の状況を調べてみました。スウェーデンは電気料金です。イタリアは使用量です。キロワット時です。スペインも使用量であります。メキシコが電気料金。ギリシアが電気料金。トルコは使用量。この自治省の課長が書いた本には半々ですよ。同じ国内におきまして、これは現在の九電力という電力会社の本質的なあり方全国一社であるべきかどうか、そういう議論はありますけれども、それは抜きにいたしまして、やはり同じ日本に住みながら九州と東京と北海道では同じ電気量を使って料金が違うというのは、税の公平の原則からいって問題があるかと思う。諸外国でも電気料金にリンクするものと電気使用量にリンクするものと二つあるわけですから、この辺御検討を要するのではないかと私は思いますが、大蔵大臣どうですか。
  108. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、電気税が、従量税がいいか従価税がいいか、どっちがいいか、そういう点をあまり考えたこともありませんけれども、まあ従量税でいくべしというのも一つの有力なる御意見かと思います。ただ、先ほども御答弁がありましたように、今回の電力料金の改定によりましてその格差が是正されたという、その傾向のほうが強いんだというようなこめ時点の問題とすると、現実の問題としては、いままでずっとやってきた従価税を従量税にあえて改めるというのもまたいかがであろうか、こういうふうに思いますが、なお、これは自治省にもよく検討していただくことにいたします。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだって、ある近畿の市長さんが国会に参考人として来ました際に、従来電気ガス税といっておったものを今度電気税とガス税に法律上分けた、その魂胆が地方としては心配である、こういうことを述べておりました。なぜ地方が心配するのか。それは、電気税とガス税を切り離すことによって、やがて電源開発促進税に全部移行してしまうんじゃないか、こういうことを地方は非常に心配をしておるということであります。  そこで、私があえて現在の従価税というものを従量税に改めたらどうかと言うことも、あるいは地方の公共団体は心配しているかもしれませんけれども、税の本質にかんがみてあるべき姿を追及いたしますと、日本電力の、いまの九電力の実情からいきますと、税の公平の原則、そういうものをやはり考えておかなければならぬことだと思うのです。そういう点で、これ以上この問題について触れませんけれども、大蔵大臣なりあるいは自治大臣等で十分にひとつ御検討をいただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、私は本論に入るわけですけれども、大蔵大臣、今度の電源開発促進税というのは税制調査会におはかりになったのですか。
  110. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは税制調査会にはかるいとまもなく決定した、こういういきさつになっております。つまり、これは予算編成の過程におきましてそういう議論が出てまいり、とてもあの徹夜騒ぎの予算編成の過程で、税制調査会を招集して諮問をするというような状況ではなかったわけでございます。これは異例といえば異例のことでありますが、税制調査会にはおはかりいたさなかったというのが事実でございます。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 私もあまり税制調査会を信用しているわけじゃありませんけれども、かっこうは税制調査会の議を経て国の税制方針というのはきめるというのが従来のあれでありますから、臨時的に徹夜のどさくさの中でこの税金が出てきたところに問題があると私は思います。けれども、これ以上きょうはこの問題については触れません。  そこで、電源開発促進をいたしたいということでこの税を設ける、一般会計と切り離して特別会計を設ける、そうして周辺整備をする、こういうことになっておるわけでありますけれども、大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、なぜ今日電源開発される立地点でこの電源開発について反対意見が起こっているのでありましょうか。この点についてひとつ大蔵大臣、どうお考えになっているのかお答えいただきたい。
  112. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは二つあると思うのです。地域住民がその安全性について危惧を持っておる、これが一つ。それからもう一つは、そういう施設ができて失うところというか、いろいろ世話しなければならぬ面が出てくるけれども、よってもって受ける利益が少ないのだ、こういう二つの面があると思うのです。  そこで、その安全性の問題は、これはいま御審議いただいておる法案とは別個の問題でありますが、基本的にこの問題と取り組まなければならぬというので、科学技術庁を中心にしまして鋭意努力をいたしております。  それから、その地域住民に対するサービスといいますか、そういう問題につきましては、これはまさにこの法案関係がある、こういう問題でございます。そういう施設が設けられる、これは地域社会にも非常に利益になる点が多い、こういうことです。その地域住民に与える利益を推進する、よって地域社会からその施設のできることが歓迎される、こういうような環境づくりを積極的にやっていこう、こういう趣旨でございます。
  113. 細谷治嘉

    細谷委員 これは通産省からいただいた資料でありますけれども、「近年発電所の立地は、地元住民反対により難航することが多く、電気供給力は、計画を大幅に下回っています。」それの説明で「その理由の第一は、地元住民発電所の立地に伴う環境保全に対し不安感を持っていることです。」大臣がおっしゃいました安全性の問題あるいは公害問題、そういう問題について不安感を持っているということをあげられております。「第二は、発電所が建設されても他の工場の場合と異なり雇用効果等が小さく、必ずしも地元住民の福祉向上に役立たない」こういうことが指摘されております。  そして、その答えとしてこういっております。発電所の立地にあたっては「発電所が建設される地点の周辺地域において道路、港湾、診療所、公民館等の公共用施設を整備し、地元住民の福祉の向上と地元経済の発展を実現していくことが必要と考えられます。発電所の立地が地元住民の生活を豊かにすること」、そのために公共事業をやるのです。それは、今度の周辺整備の法律を出したこれだけで解決するでしょうか。大蔵大臣いかがです。
  114. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま発電所地域社会から受け入れられない、そういう状況はなぜ起こってきたかというと、つまり、原子力発電安全性につきまして地域社会の人が危惧の念を持っておるということが一つと、それから地域社会に与えるフェーバーというか環境整備への貢献というか、そういう二つの点にあるのじゃないか、そういうふうに私は思っているのです。ほかにはいろいろあるかもしれませんけれども、大きな点はその二つである、そういう理解でございます。
  115. 細谷治嘉

    細谷委員 私はこれにあげてあります通産省が指摘している雇用の問題も確かに大きいと思う。しかし、だんだん大型化し生産性が上がっておりまして、私の手元に九州電力の値上げ申請についての資料がございます。それによりますと、四十八年度は従業者は一万五千七百四名である。十年前の三十八年には一万七千七百九名であった。したがって、全体としては一一・三%雇用が減っております。こういうことで、新規の発電所ができましても地元住民の雇用というのが促進されない、こういう点もあることは間違いございませんけれども、同時に、通産省が指摘されておらない税制面、こういう問題について政府の姿勢に過去に問題があった。現に千葉県の知事はどうおっしゃっていますか。千葉県は発電県であります、発電した電力量の半分しか千葉県は使っておりません、発電した電力というものはもっと千葉県にひとつ優先的にやってほしい、こういうことを言われております。これは最近千葉県知事が言っていることであります。北陸等のいわゆる昔の発電県といわれておる富山等へ行きますと、おれのところで水力電気をつくっても東京とか関西のほうに持っていかれるだけだ、そして発電所はできたけれども税金等何らのメリットもない、こういうふうに言っております。税制面においても、メリットがないどころか、たいへんなデメリットがある。公害や雇用あるいは安全性の問題ばかりでなしにデメリットが現にあるのです。やはりそうお思いになりませんか。
  116. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 確かに、そういう大きな施設ができるのですから、これはデメリットというかそういう面があると思うのです。あると思うが、メリットもあるわけなんです。たとえば、いま税のお話がありましたけれども、固定資産税とかこういうメリットもあるわけであります。しかし、それでは足らぬというので、もっとメリットを拡大しよう、そして地域社会がそのメリットに着目いたしまして、そしてこの施設の設置について協力をするという体制をつくり上げよう、こういうのが今回の特別会計なり目的税なり、そういうもののねらいであります。   〔委員長退席浜田委員長代理着席
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 それは発電所ができますから、固定資産税でいうと若干のメリットがありますけれども、そのメリットを押えておったのがいままでの税制体系じゃありませんか。自治省、地方税法の三百五十条の固定資産税の税率というのは、一・四ということになっておるでしょう。制限税率は二・一でしょう。ところが、発電所を持っておる市町村には税金があまりいき過ぎるからというので、二項、三項がつけ加わったじゃないですか。四十三年か四年ですよ。確かに税金はふえるでありましょうけれども、税金がふえたと同時に、財政需要が大きくなっておる。そこへもってきて、その税金が入らないように発電所所在市町村を押えているじゃないですか。  読んでみましょう。三百五十条の第二項、これは四十三年か四年にできておるのですよ。どういうことかというと、「市町村は、百分の一・七をこえる税率で当該年度分の固定資産税を課するときは、あらかじめ、文書で、その旨を自治大臣に届け出なければならない。」本来、税というのは標準税率、制限税率の範囲であれば、地方公共団体が自主的に条例できめていいわけです。この場合に限って、一・七をこえて取る場合は自治大臣に文書で届け出なければならぬ。こういう規定は発電所所在市町村をいじめる以外の何ものでもないじゃないですか。どうですか。
  118. 山下稔

    山下政府委員 御指摘のように、この規定を昭和四十三年の改正で入れましたときの趣旨は、発電所に限りませんで、一つの市町村におきまして一人の納税義務者が持っております固定資産税の課税標準が、市町村全体の固定資産税の課税標準の三分の二をこえるような納税義務者がいるとした場合につきましては、この届け出制度を設けることによりまして、超過課税の慎重を期そうという趣旨で設けられた規定でございます。  すなわち、一人の納税義務者で三分の二以上の固定資産税を負担するというような市町村におきまして超過課税を行ないます場合には、その特殊な納税義務者の負担が著しく増大するというようなことにも結果的にはなりますし、そういう納税義務者にとりましては、税率決定にあたって意見を十分反映する方途も十分とはいえないというような事情もございますので、一般的にそうした状態においては届け出を出していただきまして、自治大臣の判断も言わせていただきまして、超過課税の適正を期そうということで設けた規定でございます。  ただ、御指摘のように、市町村財政の面もありますし、地方自治の尊重ということもございますので、この制度はいわば伝家の宝刀とでも申すべき規定にいたしておきまして、できるだけこの規定の発動がなされないようにいたしたいというふうに考えてきておりましたし、現にこの規定ができました以後、届け出を出していただいたあとで自治大臣が指示をするというような事例もございませんでしたし、私どもといたしましても、市町村の自主性をそこなわないように、運用については十分な配慮を加えていきたいと考えております。
  119. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたは、発電所じゃない、一つの納税義務者がその自治体の課税標準額の三分の二以上を占めない場合はいい、三分の二以上を占める場合には自治大臣に文書で許可を得なければいかぬ。法律できめた税金を納めるのになぜ納め過ぎになるのですか。そんなばかげたことありませんよ。条例できめられた税率で、法律の範囲内において税金を取る。たまたまその人が三分の二以上の課税標準を持っておったということだけであって、余分に納めたことには一つもならぬじゃないですか。余分に納めるなんと思うから間違いだ。  しかも、あなたはそう言うけれども、それでは自治大臣は前項の規定によってどうやるかというと、激甚災害が起こった場合とか財政再建団体が計画の中で一・七以上取りますよというときは届け出ぬでいいですよと政令できめてある。がんじがらめですよ。こういうがんじがらめでありますから、地方団体が何で自治省に持ってきますか。大臣、これを許可いただきたい、一・八にしますから許可いただきたいと持ってきません。現実に私は、この法律ができる前後に超過課税をやっておる市町村の数を調べてみた。この法律を契機にして、一・八以上の徴税をやっているところはどんどん減っていっているんですよ。あなた、とぼけちゃいかぬですよ、自治省ですから。自治大臣には持ってきませんでしたから運用は適正でございましたなんということじゃないですよ。  大蔵大臣、いま私が申し上げたとおりで、こういう固定資産税の税率というのは、四十三年までは一・四でございますよ。その前は一・六であったこともあります。そこへ持ってきて、わざわざ発電所ですよ。発電所に限りませんと言いますけれども、対象になったことは発電所であります。当時私は該当委員会の理事をしておった。そして折衝いたしました。ところが、対象になっているのはほとんど発電所のある所在市町村ですよ。それをねらい撃ちしたのです。こんなことをしておって、大臣、確かに若干の税金はふえたでしょうけれども、発電所所在市町村の自治権の侵害じゃないですか。しかも、三分の二以上の課税標準を持っているからといって、そこの税金を安くしておいて所在市町村を財政的にいじめるのなら、これはもう所在市町村の長や議会が、私のところは発電するだけで一つも役に立っていませんから発電所はやめたと言うのはあたりまえですよ。  大蔵大臣、どう思いますか。こういう発電所促進税まで設けて電源開発を進めようという時期に、こういう二項、三項をそのまま存続させておいてやろうなんというのは本末転倒だと私は思うのです。いかがですか。
  120. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、自治省のやっていることに対しまして是非の意見を言うことについては非常に慎重なんです。これはすぐ細谷さんあたりからおしかりを受けるわけです。中央から地方自治の自主性に対して干渉する、こういうようなことを言われるおそれがあるので非常に慎重に発言をいたしておりますが、ただいま御指摘の問題は、私もよく事情承知しておりませんけれども、いま細谷さんから承ったところを見ると、一つの問題もあるような感じもいたします。したがいまして、これは自治大臣にそれを申し上げるということで御了承を願うことにいたします。
  121. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、大蔵大臣に税財政問題で自治権を侵害しては困りますよと言っていました。私は、自治権を守るという意味において、二項、三項は自治権侵害です。いま税をそういうふうに取っているところはありませんと言っておりますけれども、一・四から二・一まで取れるわけです。かつては一・六から三までやったのです。取れるわけですけれども、取れないようにしておいて、これこそ自治権侵害でありますから、私がいつも大蔵大臣に申し上げるように、そういう自治権侵害ばかりでなく、電源開発をやった市町村は恵まれないのです。これが今日、非常に大きな、千葉県知事のことばになり、北陸市町村のことばになっている。こういうことをひとつ十分に御運解いただいて、あなたは内閣の一大蔵大臣じゃないのですから、日本の財政、金融、税制を動かしているのですから、ひとつ間違ったことは、不合理なことは、直すように積極的に働きかけていただきたい。いかがですか。
  122. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 自治大臣に申し上げまして、自主的によく検討してもらいます。
  123. 細谷治嘉

    細谷委員 これは大臣、そもそも政府から出た案じゃないのですよ。二項、三項は議員立法です。ですから、これはひとつ与党で、ここまでやるのなら直していただきたい。
  124. 浜田幸一

    浜田委員長代理 この際、委員長より申し上げます。  大蔵大臣並びに自治省は、直ちに本問題の処理に全力をあげてくださるようお願い申し上げます。  次の質問に移ります。お願いします。
  125. 細谷治嘉

    細谷委員 次に、大蔵大臣、税法上もう一つあるのですよ。これは三百五十条の前の条項、三百四十九条というのがあります。三百四十九条というのは、税法ができたときにもともとあった条文であります。そのあとで三百四十九条の二、三、四、五とふえていきました。ふえていったのは何かといいますと、そういう発電所ができた、固定資産の税率で押えておる上に、一定限度以上の課税標準額があった場合には、これを県に吸い上げますよと県に吸い上げております。四十九年度はどうかといいますと、大体十八億円ぐらい。吸い上げられた当時はどのくらいかといいますと、ばく大な金額が吸い上げられた。それは発電所ばかりじゃありませんけれども、大きな企業等を持っておる市町村の税源が、おまえのところはよけい来過ぎるという形で県に取り上げられたのです。  四十九年度の今度の税制でその一部が、三百四十九条の三、四、五というものが直りました。直りましたけれども、それは四十九年の一月一日以降できるものから直ったのであって、その前のは変わりません。これじゃ新しいところのものは、電源開発促進税をもらう、前のものは圧倒的に多い電力量国民供給するのですよ、産業に供給するのですよ、そういうところは依然としてデメリットが残っておるのですよ。こういう税法。しかも、地方税法ができた後につけ加えた条項。私はあえて言うならば、あまりにも電力会社、大企業寄りの税制が三百四十九条の二、三、四、五、こういうものに織り込まれております、これもやはり直さなければならぬと思うのです。  時間がありませんから詳しくは申し上げませんけれども、これはたいへんなことである。五千人以下の村、五千人以下の町では、発電所ができてそこに二百億円投資しても、三億円以上の税金は取ってはならぬという状態になっているのですよ。今度は五億円になります。二百億円の発電所ができたって、その税金はたった五億円しか四十九年度以降取れぬ。その前は三億円、その前は一億円しか取れないというのですから、もう発電所をつくるときたらお断わりしますというのはあたりまえでしょう。どうですか。これもひとつ三百五十条の二項、三項と同じように直していただかなければならぬと思いますが、これはまた自治省にあまり言っちゃいかぬ、非常に慎重な御答弁をなさっておりますが、大蔵大臣の考えをお聞かせください。
  126. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいまお話しの条項が新たに加わりましたのは、発電施設のできる当該市町村の財政が改善される、そこでその他の近隣の市町村等とのバランスが著しく失せられるということから始まったというふうに私は理解しております。ところが、この発電所設置の地域選定という問題が非常にむずかしい問題になってきた、それに対して何らかの対策を講じなければならぬ、そういう世情を考えますと、そういうアンバランスがあるというだけのことでそういう財政調整をしてはたしていいものであろうかという意見が、最近起きてきておったわけであります。そういうことから、たしかこの問題は、二、三年間も議論し続けられておった結果是正が加えられた、この問題は解決になったんだというふうに、これは正確ではございませんけれども、私は道筋としてはそういうふうに承知しておるわけなんです。  いま承りますと、まだ残滓が残っておるんだというようなことでございますが、その点、なお自治省に十分検討してもらうように、私からも申し上げます。
  127. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど申し上げましたように、四十九年度で十八億六千九百万円、市町村の分であるものが県に吸い上げられるわけです。私は自治省に申し上げました。従来は七十億とか八十億は吸い上げられておったわけですが、たったこればかりしか残らないのだったらきちんとせぬかと言ったら、自治省いわく、茨城県のある町——あえて名前を申し上げません、茨城県のある町ではそのために十億円ぐらい税収がふえます、これは発電所の所在町ですよ、十八億の十億円はそこにいくから困るというのですよ。だから残しておくんだ、あとは三億とか二億とかあるいは五千万円とか、そんなものですよ。それで幾つの団体があるかというと、三千三百の地方公共団体のうちたった六つしかないのです。ところが、この条項をまだ生かそうとしているのですよ。  こういうことで税の原則を曲げるのならば、大臣のおっしゃったように、やはり地方財政のバランスをくずしてはいかぬ、財政秩序を守らなければいかぬということなら、いまのギャンブルのほうがもっと問題です。ある町は二億五千万円の税収しかないのに、年間ギャンブルで二十五億円一般会計に入ってくるのです。どういうふうにして金を使うかということで心配しております。中国地方の広島県のある町では、数年前でありますけれども、一億円の税収しかないが、ギャンブルで六億円入ってくるというのです。こういう実態でありますから、財政秩序を乱す、不均衡な財政を許せないということであるならば、ギャンブルこそ明確にして、県がプールして関係市町村に相当部分を配ってやる、ここぐらいまでのことをやらなければいかぬのであって、これを問題にするのなら、まずギャンブルから財政秩序を守るために措置していくべきだと私は思います。この点ひとつ大蔵大臣、はっきりとした御答弁をいただきたい。   〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 固定資産税のほうは、ともかく大かた直してなお残滓が残っておる、こういうような状態かと思います。その残滓が残っているについては、自治省でもいろふち考えて、その残滓は残さざるを得ないような結論に到達したのでそうなったのかと思いますけれども、いまとにかくこの発電所の立地条件、そういうことが非常に大事な段階だ、そういう段階に臨んでなおその残滓をどうするんだ、こういう問題もあるいはあるかもしれない、そういう点を申し上げまして、ひとつ検討していただく、こういうふうにいたします。  なお、ギャンブルの話でございますが、理論としてはまことにそのとおりだと思うのです。私どもも実情を見ておりまして、ある町はギャンブル収入がたいへんある。それに対して、他の市町村においてはそれを分けてくれぬか、あるいは競馬を一回こっちのほうでさせてくれぬかとか、いろいろの問題が起こっておるようでございます。そういう点は自治省のほうでどういうふうに考えておりますか。理論としては私は細谷さんのおっしゃるとおりではないか、そんなふうな感じを持ちます。
  129. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろと詳しく具体的に御質問したいのでありますけれども、時間もありませんので、与党の理事からも言われておりますけれども、私は与党の理事の言うことを聞く必要はないので、わが党の理事の命令に従いますけれども、しかし、審議に協力して省略を大きくしまして、最後に一つだけお聞きしたいと思うのです。  昨日、私は商工委員会で周辺整備法の第七条に基づく特別会計から交付される金の使途についてお尋ねしたのであります。大臣も御承知と思うのでありますけれども、昨年出しました周辺整備法のいわゆる旧条文の中には、電源開発促進税という構想はありませんでした。電源開発促進税というのは、時間がありませんからもうお聞きいたしませんけれども、昨日通産省で明らかにしたことを聞きますと、間違いなく今度の許可する電気料金の中に一〇〇%、百一億円織り込まれておるわけです。そういたしますと、国の目的税として取りますけれども、実質的にはキロワットアワー単位で消費者に転嫁されていくわけであります。そして交付金は何かといいますとキロワットでくるわけです。税金はキロワットアワー全国の使用者から取っておいて、そして配るのは限られた幾つかの地点にキロワット単位でやるということでありますから、取る単位と交付する単位が違っておって、そして目的税というのはその住民に直接リターンされるというために設けられるものでありますのに、全国の人にメリットがないのに、所在市町村と周辺だけがメリットを受けるわけです。それもキロワット単位、なぜ一体こういう目的税があるのか。なぜ一体キロワット時で税金を取ってキロワットで配るのか、こういういろいろのむずかしい問題点がありますけれども、それは時間がありませんから省略いたします。  そこで、お聞きいたしますが、整備計画というのができます。旧条文では、その整備計画の中で重要な道路とか港湾とかそういうものについては一般の補助率を越えた特例の補助率を適用しようとしておりましたが、今度はそれがなくなっております。そして整備計画に基づいて交付金がいきますと、その交付金は整備計画に盛られたうちの単独事業だけに使えということがあります。新聞にそういうふうに出ているのです。そういたしますと、国の補助事業の裏負担というのはその交付金ではだめだぞ、こういう制限をつけて、単独事業をもっぱらやりなさい、こういう形で交付金をもらったら、五年間地方団体はたいへんです。しかも、原子力発電がいくようなところは過疎地で財源のないところでありますから、整備計画の中の公共事業と単独事業がどういう割合になるか知りませんけれども、その公共事業のほうに交付金は使ってはいかぬということになると、今日の地方財政にとってはありがた迷惑ということになると私は思うのです。この交付金はひもつきにするつもりですか、あるいは交付金はその整備計画の範囲内において認められた整備計画のためにその市町村が自主的に支出していく、こういうことでいいか、これをひとつ明快にお答えいただきたいと思うのです。
  130. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘がございました電源立地促進対策交付金は、周辺地域整備法の第七条の規定に基づきまして発電所等の設置の円滑化に資するために公共用施設の整備事業について交付されるものでございます。したがいまして、この交付金は地方交付税交付金のような地方公共団体に対する一般財源の付与とは性格が異なるのではないか、かように考えているところでございます。  そこで、その交付対象といたしまして基本的な考え方といたしましては、いわゆる地方の単独事業を考えているところでございます。しかし、具体的にどういう範囲にいたしますか、その実施の細目につきましては、通産省、自治省はもちろんでございますけれども、いろいろな事業を所管しておりますそれぞれの所管省がございますので、そういう各省と今後十分協議をいたしまして決定してまいりたい、かように考えているところでございます。
  131. 細谷治嘉

    細谷委員 誤解のないように、私は地方交付税と同じように、地方公共団体の思うとおりに何にでも使っていい、人件費に回す、何にでも回していい、そんなことを言っているんじゃありませんよ。市町村長の意見を聞いて知事がきめた整備計画、その整備計画に載っておる事業ならば、公共事業の裏負担であろうと単独事業の金であろうと使っていいではないか。それを整備計画に載っているもののうちの単独事業分だけだ、こういうことになりますと、金のないのに補助事業への裏負担はこれはできません。いまどうやっているかというと、発電所を持っているところは、たとえば若狭湾のある町に私は行きました。発電所に行く道路をつくっております。相当の裏負担があります。そのために、私が拝見いたしました四十八年度の予算では二億五千万円、そこの所在の電力会社から寄付を採納して、そしてその裏負担をしているわけですよ。その寄付もなくなるでしょう。交付金でやれということになるのです。ところが、そういう補助のついた道路の裏負担はできませんということになったら地方はたいへんです。ですから、私は何でもいいというということを言っているんじゃないですよ。整備計画に載った事業に対しては、補助事業であろうと単独事業であろうと、その市町村が持つべき金に充当する、これはいいことじゃないか。またそうすべきだ、こう私は思っております。大蔵大臣いかがですか。
  132. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 財源が幾らでもあればそういう立論も成り立つかと思うのです。しかし、財源も限られたものである。単独事業に充当するという辺で手一ぱいであるという見当からおそらくそういうふうな考え方になるのだろうと思いますが、補助事業になりますれば、補助の裏財源はこれは起債がありますとか、いろいろな手当てができるわけでございまするから、それは細谷さんがそう御心配になるような事態ではなかろう、私はそういうふうに思います。むしろ単独事業のほうが市町村とすると問題だ。その単独事業につきましては、これから手広く財源にそう心配なしにできる、こういうのですからたいへんけっこうなことじゃあるまいか、さように考えます。
  133. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣、若干幅のあることで単独事業に限定しないで整備計画の中の補助事業にも充当してもかまわない、こういう意味のことをややかたくなに御答弁いただいたと私は理解しているわけです。少し突き詰めていきますと、今度のこの交付金というのはキロワット当たりの単価でいきますけれども、その単価を二つの方法で頭打ちさしているわけです。頭打ちさしているのは何かといいますと、それぞれの施設の完成時における固定資産税の四分の一。どういうことかといいますと、発電所の完成時における固定資産税の評価額の二五%、これを越しちゃいかぬ、それ以内だということのワクがはまっているのです。  その次に、所在市町村の基準財政需要額かける二・二マイナス基準財政収入額の三分の一、ことばをかえて言いますと、七十五分の二十五ということです。この思想はどこから出ているのですか。交付税計算の中で、市町村の税収というのは七五%を基準税額として見る。残りの二五%が自主財源ですよ。そういう思想から出ているわけですね。したがって、地方交付税そのものではありませんけれども、考え方としては、そういう流れがこの中にずっと入っているわけです。そうして五年後に完成した場合に、一億の金が入ってきた場合には七千五百万円というのが基準財政収入額と見られるんですよ。ですから、交付税がその分だけ減ります。残りの二千五百万だけが市町村の自主財源ですよ。こういう意味でこれを保障しているわけですね。  そういうことからいきますと、これを完全にひもつきにして、補助事業の裏負担には使わせない、単独事業だけ、あと制限することは頭打ち、これはその流れている背景からいって問題がある、こう私は思います。大臣、そういうことでありますし、きのう自治省にお聞きしますと、やはり自治省は整備計画の中でどれにでも充当していいようにしてもらいたい、こういうおことばでありましたから、ぜひひとつそういう形で処理していただきたいと思います。一言お聞きしたいと思います。
  134. 辻敬一

    ○辻政府委員 電源立地促進対策交付金について頭打ちが設けられておりますこと、また頭打ちの基準といたしまして固定資産税の実質収入増相当額をとっておりますこと、それは御指摘のとおりでございます。しかし、これは交付金の金額の限度の、いわば計算の基準を固定資産税の収入に求めたわけでございまして、交付金の性質そのものが変わるわけではないと考えております。  交付金の性質につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおりに思っております。
  135. 細谷治嘉

    細谷委員 そう言うから——私は交付金そのものだと言っていないのですよ。その考えが流れているじゃないか。ですから、整備計画の範囲内でやってください、こう言っているのです。大臣ひとつ、私の言うことを誤解しちゃ困るのです。地方交付税そのままだなんと言っていませんよ。
  136. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたが、これは財源が幾らでもあれば、何も制限をする必要はないのです。しかし、自治団体においては、単独事業につきましては国の協力というものがほとんどない。こういうような事態でありますので、優先的にそっちのほうへ限られた財源を充当しよう。こういうことなんです。しかし、いま細谷さんは、補助事業についてその裏財源にも充当したらどうか、こういうお話なんです。そういう点につきましては、ケース・バイ・ケースの問題といたしまして処理いたしたい、そういう考えでございます。
  137. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、私はいろいろ聞きたいのですが、時間の制限がありましてこれで終わりますけれども、ただ税の性格、あるいはこれを設けたいきさつ、そういう問題にかんがみまして、先にやるものがある。いままでさんざん発電所所在市町村なり立地点を冷遇しておいて、いまもそのままにしておいて、新しい税で、いわゆるあめを与えてぶんなぐる、こういう性格の法律には、どうしても私は賛同できないということを申し上げて、質問を終わります。
  138. 安倍晋太郎

    安倍委員長 塚田庄平君。
  139. 塚田庄平

    ○塚田委員 いま細谷さんから、補助事業の問題について熱っぽい話があったので、これはさめないうちにさらに続けていきたいと思うのです。  いま大臣から最終的にケース・バイ・ケースで考えていきたい、こういう話がありましたね。そこで、整備法に基づく幾つかの政令があるわけです。政令のずいぶん多い法律なんですけれども、その中で交付金の対象事業についても、これは法七条関係として政令で定めることになっております。その中で「交付金対象事業が国の直轄事業又は国の負担若しくは補助事業でないこと。」こういうふうに明確に出ておるわけですよ。いかに大蔵大臣といえども、ケース・バイ・ケースでこれを考えるということになれば、法律も要らなければ、政令も要らないということになるのじゃないですか。どうでしょうか。
  140. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私、まだその政令というのを見ておりませんけれども、政令を正式に出すという際には、私が申し上げたような趣旨は実現できるように……。
  141. 塚田庄平

    ○塚田委員 それは政令、あるいはできていなければ要綱でよろしいということで、いま要綱を読んだわけです。たまたまこれが地方の問題とからんでいま熱っぽい議論がありましたので、とにかく大蔵の考えとしては、要綱として「補助事業でないこと。」ということがきっちりと、もうきわめて明瞭に出ておる。  もう一つは、要綱というか構想でいう補助事業とは何か、国の補助事業というのは一体どういうものなのかということですね。ちょっと説明してください。
  142. 辻敬一

    ○辻政府委員 先般、通産省からお示しいたしました政令案要綱の骨子におきましては、先ほど私から御答弁申し上げました基本的な考え方を明らかにいたしたわけでございます。先ほど来大臣からもお答え申し上げておりますように、実施の細目につきましては、いろいろな事業があることでございますので、通産省、自治省をはじめ、関係省庁と協議をいたしまして、十分調整をいたしまして、具体的な事業の範囲をきめたい、かように思っておるところでございます。  次の補助事業でございますが、国が補助金を支出して行なう事業であるというふうに考えております。
  143. 塚田庄平

    ○塚田委員 それでは、たとえば各地方で行なっておる終末処理、つまり屎尿処理とかあるいはまたごみの焼却炉、あるいは体育館あるいは消防、これは国の補助をもらっていますね。どうですか。
  144. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘になりました事業は、いずれも国の補助事業であると考えます。
  145. 塚田庄平

    ○塚田委員 それでまたこの要綱に戻るのですけれども、これは法第四条関係の要綱になります。「道路、港湾、漁港、都市公園、水道その他政令で定める公共用の施設」、その「政令で定める」というものの中には、いま言った公民館から体育館から診療所から保育所あるいは消防、とにかく一般の地方自治団体が最低限やらなければならないと言ってはなんですが、たいていある、そういう施設をずらっと並べているのです。しかもこれは国の補助でしょう。これが整備計画に入るのでしょう。入ったらこれに見合うものとして交付金が整備計画に基づいて交付され、実施していくのでしょう。そうすると、一体第四条と第七条の関係はどういうことになるのですか。
  146. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どもが公共用施設の範囲として考えておりますことを先般お示しいたしましたわけでございます。これらについて市町村が単独事業でやる場合にこの交付金を使うということを当時念頭に置きまして実施をしたわけでございます。ただ、いま、過般来の御意見によりまして、さらにいろいろ検討を要することだと思います。
  147. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは失礼なことばですけれども、全くその場のがれの答弁じゃないですか。たとえば今度の交付基準は、過疎地帯に対して過密地帯よりも交付の単位は多いわけですね。これはおたくから出ている黄色い本を読めば明らかになっているのですよ。そういう貧乏村が、屎尿処理とかあるいは一般廃棄物処理、公民館、体育館などを単独事業でやるなんて、常識的に考えられますか。東京都のように財源の比較的豊かなところは単独事業でやれますよ。だけれども、原子力ができたり火力ができたりする特に過疎地帯が、消防の果てまで実際問題として単独事業でやるなんて考えられますか。
  148. 岸田文武

    ○岸田政府委員 政令で定める公共用施設の範囲については、目下関係各省で協議中でございます。先ほどお示しいたしましたのは、少なくとも大体この程度の範囲については関係各省の合意を得ておるという意味で、資料としてお出しをしたわけでございます。なお、その範囲については各省で調整を進めたいと思います。先ほど申しましたように、これらの対象となる政令施設につきまして単独でやるときに交付金を交付するということでございまして、公共事業でやる場合はまた別途に考えるということになると思っておったわけでございます。
  149. 塚田庄平

    ○塚田委員 そういう答弁ではこれは審議できないのですよ。一般廃棄物処理施設、あなたの言うとおりですよ、少なくともこういうものが考えられる。公民館、体育館、診療所、保育所、消防施設等、こんなのを一体単独事業でやっている町村が具体的にありますか。しろうとの考えることでしょう。しかも第七条では、国の補助事業については交付しないという。そういう答弁をするなら、これは初めから審議をやり直さなければならない。
  150. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これらの並べました施設につきましては、地元で従来から考えておりますいろいろの構想、計画の形にまとめまして、この際重点的に何をひとつやろうか、その辺の計画の固まりに応じて交付金を活用するという形になるわけでございます。したがって、いわばこれらの施設の選び方の問題がまずあろうかと思います。  他方、一般公共事業でもそれぞれ応援をしている場合があることは御指摘のとおりでございまして、それらにつきまして公共事業による整備の順番が回ってくる、こういったことを待っておる、それよりはやはり単独事業でやろうというときにはこの交付金を活用する道も開いておく、これがやはり意義のあることではないかと思ったわけでございます。
  151. 塚田庄平

    ○塚田委員 いまの答弁でますます私は不愉快なんですよ。本来ならば国の補助事業としてやる。ところが、その補助を待っていたんでは、たとえば順番で、ことしはA村、来年はB村、来年よりもことしやったほうがいいから、せっかくの補助事業という補助の制度がありながらこの財源を使う、そんなばかな目的で配賦するんですか。冷静に考えてみてくださいよ。  それからもう一つ、これは大臣ですけれども、何といっても財源が不足だ、したがって国の補助事業、国の事業もしくは国の負担にかかるもの、これには交付しないんだと言ったけれども、私の聞くところによると、この財源全国の町村に全部ばらまくんじゃないんですよ。三百三億、来年あたりは四百億、あるいは五百億までなったらたいへんなんですけれども、とにかく減るということはない、ふえていくだろうと思う。一町村五億、六億という金は、いまの町村にとってはたいへんな金ですよ。しかも、それがそういう使い道しかできないということになれば、一体この金はどうなるのですか。一年間の予算が十億あるいは十二億なんという町村はざらにあるのです。しかも、交付されるのが五億、六億、七億でしょう。一定の限られた町村にしかいかないのです。あるいはその周辺地域にしかいかないのです。しかも、その周辺地域というのは薄められる。これはそう簡単な金じゃないですよ。どうですか、大臣。
  152. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 最近は単独事業をいたしたいという要請が地域社会で非常に多いのです。むしろ、これはいま総需要抑制政策下なんかにおいては、ちょっと目につくくらい単独事業が多い、そういう状態でございます。でありますので、発電所誘致する、あるいは発電所が設置される、そういうようなことになりますれば、その周辺地域においてかなりまた環境整備のために単独事業をいたしたい、こういう要請があるだろうと思います。それでありますので、財源が多過ぎはしないかというようなお話でございますが、むしろ、多過ぎるというよりは、それでも足らないんだというようなケースのほうがあるいは多いのじゃなかろうか、これは私の想像ですが、こういうふうな感じがいたします。  しかし、補助事業に対しまして一切この交付金は使っては相ならぬ、こういう趣旨にはいたしません。これはケース・バイ・ケース、先ほど申し上げましたように、他の単独事業との財源の振り合い等もありましょう。また補助事業の性質等もありましょう。そういうことを考えながら、ケース・バイ・ケース交付金を充当するということもまた考えなければならぬ、かように考えます。
  153. 塚田庄平

    ○塚田委員 そうなりますと、この法律の実施というのは、大臣、これはたいへんな複雑な構造を持たなければならぬわけですよ。補助事業であるものにもやる。補助率というものがある。一体それに全額使っていいのか、補助率のうちのこれだけはこの金の流用ができる、自主財源に使ってよろしいというのか、その辺さっぱりわからぬでしょう。少なくとも私は、当初の計画はよかったと思うのです。だけれども、やっているうちに第四条の部分と第七条の部分とがすっかり矛盾しちゃって、そしていまのようなこういうことになっていると思うのです。  つまり、この法律は、全体的に申しますと、きちっと整備された、あるいは十分討議された情勢における法律じゃなくて、先ほど細谷君の言った一夜づけの法律だ。これが私は真相だと思うのです。だから、税調との関係もあるから、こういう法律は一たんおいて、十分その点を検討すべきじゃないか。ほんとうにこれは審議にたえないのですよ。どうですか。
  154. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この法律ができ上がりましたいきさつにつきましては、先ほども申し上げましたが、これは予算編成の過程におきましてそういう着想が出され、そして急速にそれを取りまとめた、こういうことになりました関係上、他の税法に比べますると非常に取り急いだということは、これは率直に申し上げることができると思います。御審議を願っておるわけでございますので、御審議の過程において、これはこうしたほうがよかろうなということがありますれば、そういうふうに運用するとかなんとか十分考えていきたい、かように考えます。
  155. 塚田庄平

    ○塚田委員 原子力委員会委員長が来ておりますので、あまりこれに時間をとると——追ってまた時間をいただきまして、この点はあれしたいと思います。  そこで、森山さんに対する質問ですけれども、午前中参考人を呼びまして、今度の法律についての意見を聞きました。四人参りましたけれども、まず一〇〇%賛成などという人はもちろん一人もおりません。五〇%賛成という人も、まず私の聞く範囲ではなかったわけですよ。賛成という人も実は前提があるわけです。その前提は、原子力発電安全性あるいは環境問題、これがきちっと位置づけられなければ心から賛成するわけにはいかない、これが大体大方の意見であったわけなんです。  そこで、日本原子力についての、特に安全についての研究体制というのは——原子力発電はどんどんこれから進めていく、十年たてば六千万キロワットというのですから、たいへんな勢いなんです。あなたは十分だと思うかどうか。決して他国には負けない、そう思われるかどうか、まず第一に、その辺の所信からお伺いしたい。
  156. 森山欽司

    ○森山国務大臣 きょう午前中に参考人をお呼びになったそうでありますが、私はそのお話を伺っておりませんので、それに言及してお答えはできないのでございますが、この顔ぶれを拝見いたしますと必ずしも反対の方々ばかりではないと、私はそういうふうに思います。いまの御質疑の要旨は安全性の問題だと思うのでございますが、これについての私の考え方を申し上げたいと思います。  まず結論的に申し上げますならば、今日わが国の原子力発電の基本になっております軽水炉発電は、社会通念的には心配ないというふうに私は考えておるわけでございます。それはどういう点かということでございますが、御案内のとおり、わが国の原子力発電は平和利用の最も尤なるものでございますが、そもそも原子力は軍事利用から始まったわけでございますし、戦後平和利用に移って、これが実用段階になりましてまだ二十年足らずでございます。歴史が新しいということでございまするけれども、歴史が新しいだけに、科学技術のやり方といたしまして、新しい方式を取り入れております。それは放射能に対するところのテクノロジーアセスメントというものが十分に行なわれておるわけであります。  これは電気を起こすのは、原子力発電というのはまだ新米でございまして、前々からは水力発電とか火力発電がございます。その火力発電の代表的な石油発電の場合には、御案内のとおり、石油を燃やして電気をつくるわけでございますが、石油の中には硫黄分がございますし、昔は電力を起こすために硫黄のことなんか考えもしなかったわけであります。とにかく電気さえできればいいということでやったわけでございますが、そういう硫黄分が亜硫酸ガスその他になって公害問題となりまして、これはほうっておくわけにはいかぬのではないかということで、亜硫酸ガスの規制問題が起きてまいりました。それで、油の段階で硫黄を抜くか、あるいは煙の段階で硫黄を抜くかといういわゆる排煙脱硫の問題等が出てきておるわけでございますが、なおかつ問題がありますことは、先生御案内のとおりでございます。  そういう点になりますと、原子力発電は、御案内のとおり、放射線というものはエックス線以来、だから戦前からずっとあることでございまして、ICRP、国際放射線防護委員会という権威ある機関ができておりまして、そういう長年の研究の結果に基づいて、この放射線の問題につきましてはテクノロジーアセスメントの手法が取り入れられて、いわば公害先取り、普通の石油発電公害あと処理の技術であるといたしますならば、公害先取りの技術の上に立脚をいたしておるわけでございます。したがって、二重、三重にこれに対する対策がとられております。しかも機械でございますから、これは故障がございます。人間のやることでございますから、ミス操作があるわけでございますが、二重、三重にあります、要するに多重的にあります防護措置によりまして、そういう際にはかわりの装置が動くとか、あるいはそれがとまるというようなことになるわけでございます。よく新聞を見ますと、原子炉がとまったから危険だというふうに新聞に出ます。しかし、私どもから見ますれば、とまったから安全なのであります。この辺が、在来技術の科学技術産業と一この新しい放射能に対するところのテクノロジーアセスメントの手法によって公害を先取りしたところの科学技術産業とは全く違う。そういう点が大いなる差であるという点を、ぜひひとつ御理解を願いたいと思っておる次第でございます。  そして今日、放射能につきましては、環境五ミリレムでございまして、自然放射能は百ミリレムでございますよ。一般人が五百ミリレム。ですから、規制をされております限度の五百ミリレムの実に百分の一。自然放射能は、ここは国会議事堂でございまして、そこに花こう岩を使っておりますから、おそらくこの中は百五十ミリレムくらいあるのじゃないかと思います。それに比べますれば実に百五十分の五ですから、二十分の一ないし三十分の一ということであるわけでございます。  それからもう一つは、定期検査というものをやっておりまして、一年十二カ月のうち二カ月半くらい定期検査がございまして、中をあけて検査をいたします。そういたしますと、燃料棒の鼻曲がりなんというものが発見されるわけでございますね。それから蒸気発生器に小さい穴があいた。これ自身は問題でございますから処置を講じなければなりませんけれども、燃料棒に鼻曲がりがあったからあぶないというふうに新聞に出ます。これは私どもから見れば、そういうことがわかったから安全なのでございまして、そういう点についてどうかひとつ、だからあぶないということはないのでございまして、だから安全だというふうにお考え願いたいと思うのです。ただ鼻曲がり、燃料棒の先が曲がりますからそう言うわけでございますが、この問題も昔はアメリカがあれはかえなくていいということであったので、日本ではかえなかったのです。しかしこのごろは、アメリカはかえなくたって、日本はかえなければいかぬじゃないかというふうに変わってまいっておりますし、またいままでは、そういうものはアメリカに持っていかなければ直せなかったわけでございますが、このごろは日本で大型ホットラボをつくって日本でそれをやろうということで、昭和四十九年度からこの予算を組み、建設に着工しようというふうにいたしておる次第であるわけでございまして、軽水炉発電に関する限りは、安全性の問題について基本的には、社会通念的には心配ない。  ただ、それじゃ手放しでだいじょうぶかといえば、問題点がございます。それは二つあると思います。  一つは、テクノロジーアセスメントでございますから、念には念を入れなければいかぬ。科学の発達もどんどんあるわけでございます。日進月歩でございますから、そういう新しい技術をどんどん取り入れていかなければならない、研究の成果を生かしてやっていかなければならぬということが一つでございまするし、もう一つの問題は、たとえば原子炉のほうは心配ないのですけれども、燃料の廃棄物が出ますね。廃棄物の再処理工場とかあるいは廃棄物の処理センターとか、そういう点についてのあれがまだまだ必ずしも十分であるとは思いません。ただ、考え方はきまっておりますから、大筋は心配ございません。  たとえば、ことし動燃事業団の再処理工場ができます。そして実は試運転に今年の終わりから来年にかけて入ります。そして来年後半からいよいよ実用段階に入るわけでございますが、三年ぐらい、八百万キロワット分ぐらいもちます。現在稼働しているのが二百三十万キロワットぐらいでありますので、八百万キロワットぐらいはやれるわけでございますが、これだけでは足りないわけでございます。したがって、第二処理工場をつくっていかなければならぬということになってまいりますと、第二処理工場につきましては方針はいろいろあるわけでございますけれども、まだ現実に着工しておらないというような問題がございます。  だから、その間どうするかというようなことにつきましては、これは英国だとかアメリカだとかというようなことも考えなければなりませんし、あるいは遠く、ウラン燃料等を仕入れておりまするオーストリアとか、場合によっては南アフリカ連邦とか、あるいは近くは、この間日韓科学技術大臣会議等がございまして、私も向こうへ行ってまいりましたが、韓国でも原子力発電を始める、再処理工場を日本でひとつやってくれぬかという話もございました。いや、日本はもう精一ぱいだよ、それじゃ私のところでつくろうかなというような話もございますれば、一緒にやるというような問題もこれから出てまいりましょうというようなことで、そういう方面に手を加えなければならぬことは確かにございますが、社会通念的には全く安全だ、こういうふうに考えて私はこの問題に対処しておるわけでございます。  どうかひとつ十分御理解願いますようにお願いいたします。
  157. 安倍晋太郎

    安倍委員長 質疑者の時間が限られておりますから、答弁は簡潔に願いたいと思います。
  158. 塚田庄平

    ○塚田委員 御理解願いたいと言うのですけれども、ではもうこれは端的に言いますわ。原子力委員の田島英三さんが辞表を出しましたね。あなた委員長でしょう。何でやめられたと思いますか。
  159. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私は田島先生と個人的には気持ちよく仕事をいたしましたし、別にぶつかったことはございませんが、突然辞意の表明がありまして、実は面くらっておるわけでございます。この問題について新聞紙上伝えられるところはございますが、私自身は、御本人によくやっていただきましたので、もう極力慰留したいということで目下努力をいたしておるわけでございますから、このことについてコメントを申し上げるのはその程度にとどめることにお許しを願いたい、そういうように考えております。
  160. 塚田庄平

    ○塚田委員 そこで、私はもちろん本人の気持ちなどはそんたくするあれはありませんが、やめた田島さんが昭和四十七年の三月二日、日本原子力産業会議の第五回大会で次のようなことを言っております。まあそのころからもう彼は、原子力委員会の存在というか運営というか、こういったものに対して少なくとも全幅的な信頼を持っていなかったんじゃないか、こう思うのです。それはとにかくとして、田島さんは「西暦二千年の日本人がうける国民線量の四分の三が全世界で放出されるクリプトン85によることが推計された。」これは森山さんは専門ですからおわかりだろうと思いますが、これは原子力発電あるいは先ほど言った第二次処理工場から出る廃棄物あるいは汚染物、これと密接な関係のあるものですね。そう推計される。しかも「これは半減期が十年と長く、また化学反応しないので処理しにくい。」日本ではその処理についての研究あるいは取り組み体制はきわめて薄い。これは日本原子力産業会議第五回大会です。  長官はいま胸をたたいて絶対安全だと言ったけれども、彼はもうそのころから、日本原子力についての安全体制あるいは研究体制というものは非常に劣っておるし、このままの状態でもし原子力発電等がどんどんできれば、二〇〇〇年代の日本人というのはたいへんだ、こういう警告をしているんですよ。これから以下は私のそんたくですが、おそらく彼はこういう気持ちの中で、原子力委員として重大な責任を果たせないということでやめられたと思うのですけれどもね。思い当たる節ありませんか。そんなに胸をたたいてだいじょうぶですと言える筋合いのものですか。
  161. 森山欽司

    ○森山国務大臣 昭和四十七年と申しますと私がなる二年前でございまして、そのころこういう問題に深く頭を突っ込んでおったわけではございませんから、田島先生がどういうお気持ちでこういう御発言になられたかは私は存じませんが、せっかくのお話でございますから、一回、昭和四十七年の第五回原産会議の議事録を追って読ましていただきまして、先生の御趣旨に沿って拳々服膺して検討させていただきたいと思っております。  ただ、いまお話がありましたクリプトン85の問題につきましては、たとえば現在発足しようとしております東海村の再処理工場のクリプトン85の気体によって影響を受けるものは八千キュリーというふうにいわれておりますが、実はこれは被曝・線量に換算いたしますと三十二ミリレムでございます。三十二ミリレムというのは、先ほど来申し上げましたように、自然放射能が百ミリレムでございますし、この国会議事堂なんかはこういう花こう岩がございますから百五十ミリレム、それに比べればはるかに下でございますし、一般人が被曝限度として法律上原子炉規制法によって規制されている値、これは日本だけがかってにやっているのでございません。ICRPという国際基準によってやっておるものに比べますれば、実にその十分の一以下でございますから、これもいささかも心配ないのでございまして、あぶないあぶないとおっしゃるから、みんながあぶない、あぶないということになるので、特に先生のような有力な方々が、そういう御心配をいただくことは非常にありがたいことではございますが、そしてわれわれはこの間の分析研みたいにときどきぼやぼやしておりますから、したがって、ときどきこういう席で言われることはけっこうなことだと私は思っておりまするけれども、決して心配することじゃないというふうに私は考えます。
  162. 塚田庄平

    ○塚田委員 答弁はひとつぱっぱっと、そうでない、そうであると言ってください。  それで、あなたは先ほどとまるからいいんだと言われたけれども、とまらないまま動いたらたいへんな大事故になるという意味だろうと思うのですよね。つまり、とまるということは安全装置がきくということなんですよ。そこで、あなたは、昭和四十八年末までに、もう五月ですから昭和四十八年度末までだな、日本原子炉施設による事故がどのくらい起きておると思いますか。
  163. 森山欽司

    ○森山国務大臣 それも私、前々から勉強いたしておりまして、私も先生と同じように、これは非常に問題があるのかと思って真剣に取り組みました。ほんとうに問題があるならたいへんだと思って、世界的にも調べてみましたし、わが国の実情も調べてみました。何も見ているわけじゃありませんで、頭へ入っていることを申し上げるのですが、昭和三十七年から昭和四十七年か四十八年までおよそ十一年か十二年間に、原子炉規制法に基づく故障として届け出がありましたのは三十七件であります。したがって、年平均三件か四件の故障があったわけでございます。しかし、その中で人身に放射能を受けたという事故はわずかに三件でございまして、この三件もすべてオペレーターのミスに基づくものであり、しかもそれは全部許容限度以下でございます。でございますから、ある意味において人身事故はなかった、要するに大事故は一ぺんもなかったということでありまして、これはわが国のみならず世界的に全部そういうことであります。少なくとも原子炉が実用段階に入って二十年足らずの間に、人身に障害を与えるような大事故世界で一件も起こっておらないわけでございます。
  164. 塚田庄平

    ○塚田委員 大事故があったらたいへんでしょう。その辺の事故と違うのですよ。だけれども、あなたは人身事故は三件だと言いましたが、これは例の規制法に基づく報告書によりますと、人身事故はそれだけじゃないですよ。八件もありますよ。それから原因不明が多い。ということは、やはり日本の安全についての研究が非常に手薄いということを物語っていると思うのですよ。原因不明が非常に多いのです。どう思いますか。
  165. 森山欽司

    ○森山国務大臣 放射能を浴びるというような事故が三件であって、それも全部ミスによるものである、こういう意味で申し上げたわけでございまして、八件のほかの五人の場合はほとんど問題にならないことであろうというふうに、いま一々資料はございませんが、私は記憶をいたしておるわけでございます。  原因等についてもおおむねわかっておりますが、いまここに原子力局の技術次長が来ておりまして、政治家森山欽司がしゃべると何か我田引水のように思われてはいかがかと思いますので、事務当局をして説明させていただきたいと思いますが、お許し願えましょうか。
  166. 塚田庄平

    ○塚田委員 それはいいですよ。ひとつそれはあとで私に教えてください。  あなたは被曝は少ないと言うけれども、ちらっと見たところでも、昭和四十一年一月二十日被曝者一名、これは東海です。同じく三月一日、これも東海、被曝者一名、最大三十四レム。あるいは昭和四十六年一月から三月まで研究者被曝。昭和四十六年七月十五日作業者三名被曝。これは原子炉等規制法に基づく報告書によるのです。そんなものじゃないのですよ。
  167. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ですから専門家がお答えします。
  168. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま先生御指摘の点につきまして、大臣の御答弁は、原子力発電所の被曝事故という御趣旨であったかと思いますが、先生の御指摘の分は研究施設の分までも含めての御指摘かと思います。  先生御指摘のとおりのそのような事故はございましたが、事故と申しますか被曝がございましたが、それについてどれだけ浴びたかということも先生の御指摘の数字のとおりでございます。また原因についてもそのつど究明をいたしております。  なお、ちょっと補足させていただきますが、先ほどのクリプトン85につきましては、確かに四十七年の段階でそういう論文が出たことは承知いたしておりますが、これは世界的にもその捕捉技術の研究開発を鋭意進めておるところでございます。わが国におきましても昭和四十九年度から三カ計画をもちましてクリプトン85の捕捉技術を鋭意開発中でございまして、五十二年度からはこの施設を各原子力施設、特に再処理施設に取りつけまして捕捉をする、こういうことにいたしておりますので、全然手当てをしなければ先生御指摘のような心配が二〇〇〇年にはございますけれども、そういうことにならないように努力をいたしておるところでございます。
  169. 塚田庄平

    ○塚田委員 そこで、たいへん皮肉な質問になりますけれども、森山さん、胸をたたいておるけれども、いま火力もそうですけれども、原子力については例の原子力そのものあるいは放射線そのもの、それに対する危惧と同時に、温排水による汚染、あるいは魚族の死滅、特にこれは回遊魚、根づけ両方含めまして、そういうものに対する漁民の心配が解消されていない、そういうところの反対が非常に多いことは御存じですね。  そこで、温排水の基準はどうなっておりますか。
  170. 森山欽司

    ○森山国務大臣 温排水について現在環境庁で基準をつくろうとして研究をしておりますが、現在のところは基準はございません。
  171. 塚田庄平

    ○塚田委員 そういう初歩的な基準さえまだできていないじゃないですか、さっき大きく胸をたたきましたけれども。しかもそれは具体的には一番住民の心配している問題でしょう。それでは、こういう基準を守ってこうします、そういう指導はできないでしょう。
  172. 森山欽司

    ○森山国務大臣 温排水の問題は、これは原子力発電に限ったことではございません。火力発電、これは石炭でも石油発電でも温排水は出るわけでございます。今日、大規模な石油発電はもう百万キロワットをこえるようなでかいものがございますから、したがって、これは原子力発電固有のものではない。ただ、しかし、私は温排水が問題点の一つであるということはある程度認めます。  それはなぜかと申しますと、火力発電というのは公害あと処理の作業でございます。石油発電、石炭発電ですね。したがって、そういうものの一環としてこの温排水があったわけでございますが、原子力発電になりましてから発電容量も大きくなりましたことと、片一方は煙でもってある程度熱量が出ますが、原子力は出ませんから、したがって水がよけい要る、大量になってくるという意味で問題点があるわけです。  なぜ問題にならなかったかと申しますと、やはりこれはたいした弊害が出てこなかったのです。二年ぐらい前からこれがようやく問題になってきたわけでございます。しかし、これは私は、いろいろ論議はされておりますけれども、たいした問題にはならないものだというふうに考えております。  その一例として申し上げます。これは現在原子力発電所から出ます温排水でもって、日本原子力発電の東海発電所でありますが、昭和四十七年以来稚ダイ、アワビ、クルマエビの養殖をやっております。中部電力の浜岡原子力発電所昭和四十七年以来アワビ、アユ、マダイをやっております。日本原子力発電の敦賀原子力発電所でハマチとアユの養殖をやっておりまして、いずれも成功をいたしておるわけでございまして、温排水に含まれる放射能はほとんど自然放射能、〇・二%ぐらいでございまして、たいして心配はございません。  あとは温度の問題でございまして、その温度がどのぐらい広がっていくかという問題と、それからどのぐらいまざっていくかという問題につきまして、目下鋭意水産庁等において検討中でございます。その検討いたしました結果に基づいて環境庁のほうで基準をつくろうとしておるわけでございますが、今日、世にいろいろ言われるように、そう心配な現象ではございません。しかし、先生のおっしゃるとおり、できるだけ基準をつくってきちんとやっていったほうがいいと思っておりますが、これは公害あと処理の部分でございますからややおくれておりますが、これは原子力発電に限ったことはございません。
  173. 塚田庄平

    ○塚田委員 あとであろうと先であろうと、原子力はもう進んでいるんですからね。まあ時間もございませんから、その問題はまたあとでいろいろやりたいと思います。  そこで、世界でも決して劣らない体制を整えておるというような答弁がありましたが、一体、原子力安全性についてのわが国の予算は、ことしは幾らですか。
  174. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ことしの予算は、債務負担行為をまぜまして百五十億円でございます。昭和四十九年度でございまして、昭和四十八年度は債務負担行為をまぜて七十億円でございました。したがって、昨年に比べて倍以上ふやしました。したがって、御案内のとおり、一般の公共事業の場合は、四十九年度は四十八年度に対して同額、中身は四十七年度というのに比べますれば、この総需要抑制というむずかしい時期に倍以上の実績を持って、ここにいかに力を入れているか、これから三年間この調子でもってうんと伸ばしていこう、こういう決意でございます。
  175. 塚田庄平

    ○塚田委員 あなたの答弁はおそらく債務負担行為、事業団予算も含めての百億だと思うのですね。ほんとうに研究に使っているのはそのうちの半分だと思うのですよ、五十二億。これは間違いない、予算書を調べたのですから。アメリカの予算は何ぼだと思いますか。西ドイツの予算は何ぼだと思いますか。森山さん、あなたは他国に比べて決して負けないと胸を張っていますけれども、彼らは前々からやっておる。そういう中であっても、なおかつ研究機関に出している予算はどのくらいだと思いますか。
  176. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ただいま約五十億くらいだというお話でございますが、債務負担行為の中には、公団、事業団等につきましても研究費が入っておるわけでございますから、総体としてお考えを願えればと、こういうふうに思っております。  アメリカの数字については、私は現在数字を持ち合わせておりません。しかし、これは国の財政規模等が基本的に違うわけでございますから、わが国といたしましては、昭和四十九年度は四十八年度の倍額を計上し、かつ昭和五十年度以降およそ三カ年計画でこれの拡充を期したいということで、鋭意努力をいたしておるわけでございますので、どうか御了解願いたいと思います。
  177. 塚田庄平

    ○塚田委員 知らないというから私から教えます。一九七〇年の資料しか私の手元にはありませんが、これも例年ふえています、ずっと統計を見ますと。アメリカは四千三百五万ドル。いいですか。西ドイツは七千百十八万マルク、日本に比べたら雲泥の差じゃないですか。特に西ドイツは原子力発電の問題については日本よりは多いですけれども、とんとんの線を行っているのです。しかし、その安全性を研究するために、七千万マルクも出しておる。全力をあげてやっておる。こういう体制なんですよ。私は、日本の行政というのはそういう意味においては非常におくれておると思う。
  178. 森山欽司

    ○森山国務大臣 あまり議論するつもりはございませんが、いまの七千百十八万マルクというのは、日本の金にすれば七十億円くらいという額でございまして、日本の現状が百五十億円でございますから、日本のほうが、年度は違いますが、この数字だけを比べれば多いわけでございますし、それからアメリカが四千三百万ドルでございますから、四千三百万ドルは百二十億円くらいでございますから、これも日本のほうがそれに比べてそんなに見劣りする予算でやっておるわけではございませんじゃないですか。ただ、ドルだマルクだとおっしゃって足りないとおっしゃればそういうふうに聞こえますけれども、日本の金に換算すれば、中身にむしろ問題があると思いますけれども、額自体からいいますれば、それほどの差がないのではないかと私は思っております。論争するつもりはございませんよ。
  179. 塚田庄平

    ○塚田委員 あまり議論したくないのですけれども、あなたのあれはさっき言ったとおり、事業団の金を半分以上含めていま言っているのでしょう。アメリカとか西ドイツの予算は含んでいないでしょう。
  180. 森山欽司

    ○森山国務大臣 事務当局のいうところによれば、同じような基準だそうでございますから、事務当局をして説明いたさせます。
  181. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 補足させていただきますが、この研究費の中身につきまして、たとえば先生御指摘の、動燃事業団で四十八億、その中には先ほど申し上げましたクリプトン除去、この研究も入っております。それから、新しい原子炉安全性の研究が相当部分を占めておりますが、そういう関係は米国の予算におきましても、原子炉の安全防護系とか、工学系実験というふうなことでそれぞれ計上されておりますので、多少程度の差はあるかと思いますが、カバーしておる範囲はおおむね似たようなものではないかと考えております。
  182. 塚田庄平

    ○塚田委員 そういう技術的な問題は、いずれ別の委員会でやってください。  ただ、最後に一つ原子力三原則というのがあるのは御存じですね。つまり、自主民主公開、その特に公開の問題ですけれども、公聴会の制度とからめてこの問題について若干質問をしたいと思います。  この公聴会は、いまのところ対象は原子炉だけであって、おそらく処理工場とか廃棄物の貯蔵施設、そういったものは除外されておると思いますけれども、どうですか。
  183. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 公聴会につきましては、現在は法律に基づく制度ということではなくて、地域の方々の御意見を十分聞いて安全審査に反映させたい、こういうことで、必要に応じて開いております。その基準といたしましては、原子力発電施設につきまして新型の場合、大型の場合、集中化の場合、さらに四番目といたしまして、都道府県知事が特に開催を要請する場合、この四つのケースについて考えております。  先生御指摘の再処理施設あるいは廃棄物処理施設の大型のものにつきまして、将来どうするかということにつきましては、現時点におきまして明確に開く開かないということをきめてはおりませんけれども、その時点におきまして、必要に応じて十分地域住民の御意見をお聞きするということになるかと思います。
  184. 森山欽司

    ○森山国務大臣 いま公聴会のことについてお話をいたしますその前段として、三原則のお話がございました。これは申すまでもなく、原子力の軍事利用を避けるために、自主民主公開の三原則を立てておるのでございまして、平和利用の範囲内におきましてもすでにその解釈が確立しておりまして、すでに本会議とかあるいは委員会等でもそのことがいわれております。成果の公開ということでございまして、私からいまさら繰り返しません。  ただ、今回の公聴会というのは、これは別に公開の原則と格別関係があるわけではございません。地元の意向を聞いたらどうだという御要望の線に沿ってやったわけでございます。ただ問題なのは、開きましたところ、ある党の関係者はボイコットされる、ある党の関係者の方はこれに対して反対される、大混乱が逆に起きたわけでございまして、一体こういうことで公聴会を開く価値があるかどうかということについて、実は考えさせられたわけでございます。ほんとうに反対賛成両方ありましてそれが議論されるなら、それで私はけっこうだと思っておるのですけれども、全然ボイコットされてしまったり、非常にごたごたが起きるということでございますと、法律にきまっていないものをせっかくやったにかかわらず、所期の成果をあげない、この点は問題ではないか、そういうふうに思います。
  185. 塚田庄平

    ○塚田委員 時間もないので言いますけれども、それはこういうことなんですよ。いま言った一番重大な、これから考えると言っておりますけれども、核燃料処理工場あるいは廃棄物、その問題については除外されているということ。いまむしろ原子炉よりも処理工場が一体できるのかできないのか、どうするのかということが住民の一番聞きたいところなんですよ。いいですか、それが対象からはずれているということになれば、まずこれは、何だ、あんなものに行ったって一番聞きたいところは聞けないじゃないかということになるでしょう。まずこれが一つ。  第二は、開催するかどうかという決定権、これは委員会と知事にしかないでしょう。住民の要求やあるいは要請によって開かれるという保障は全然ない。  第三点、意見の開陳ですよ。正確なことばで言うと陳述ですね。それは地元の者だけに限られている。ところが、地元の者というのは、失礼な話ですけれども、科学的な知識もなければ、原子力というものはどういうものかということについての基本的な理解もないわけですよ。だから、当然地元はこれに対して十分な知識を持っている科学者あるいは人権を守る弁護士、こういう人たちを一緒に公聴会に入れるとなりますと、おまえは地元の関係者じゃないからだめだ、こうまず省かれる。一体そういう公聴会はほんとうに実のある公聴会になるかどうかということですよ。ほんとうに公開にするんだったら、むしろそういう知識人を入れて、あとで知識人から住民に十分説明してもらうのだというくらいの気持ちで公聴会を開かなければ、これはボイコットされるのはあたりまえですよ。  第四は、参加者というのは一方的に意見を述べるだけなんですよ。われわれが参考人を呼んで意見のやりとりをするのと違って、ただ意見を述べ・るだけであって、質疑応答その他は一切やらないというのが公聴会の慣例ですよ。そうでしょう。ただ意見を述べるだけであって、あとは質疑もできないし、疑問に思うことを聞くこともできない。そんな公聴会にだれが一体出ますか。ボイコットするのはあたりまえでしょう。  第五に、陳述者ですね。だれが一体意見を述べるかという陳述者。住民がこの人を出したいといっても、一方的に幾人か出してきめるのは委員会でしょう。だから、だれに陳述させるかという事前の選択権は委員会が握っているんですよ。  六番目は、決定公表をしなければならぬ。その決定公表というのは、いいか悪いかの決定だけを公表するのであって、その意見の開陳、あるいは検討内容がどういうふうに取り上げられ、どんな議論がされたかなんというのは全然入らないでしょう。だからボイコットされるんですよ。  第七は、速記録の公開です。たとえば安全専門審査会というのがありますけれども、その検討の経過を知るための速記録の公開というものはなされていないでしょう。こんなことをやっていて、どうして一体原子力三原則が守られていますか。  私はいま幾つかあげました。まだたくさんあります。だけれども、全体的にそういう空気の中で公聴会が開かれているから、反対する者に頭から、あんなところへ行ったって結局一方的にやられるんだ、安全専門審査会の内容も何も公表されない、こう言われるんですよ。そこに田島英三さんの辞職した理由があるんですよ。どうですか、委員長
  186. 森山欽司

    ○森山国務大臣 公聴会が初めて開かれましたのは昨年の秋であったと思います。私が着任いたしましたのはその後でありますから、その当時の情勢は記録の上で私が読むほかございませんが、公聴会の趣旨というものは地元の方々のなまの声を反映させるというところにありまして、先生のおっしゃるように、その点地元の人はあまり御存じないから、地方の学者か何かそういう学識経験者をやってやる必要があるんだというようなお話でございますが、その点はいかがなものでございましょうか。やはりなまの声ということが大事なのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そのほかいろいろたくさんございました。私もこの公聴会の問題は再検討しなければいかぬ、こう思っておりますので、御意見は御意見といたしまして、私もとくと検討さしていただきたいと思っておりますし、十分それは参考にいたしたいと思います。  速記録のお話でございますが、実は速記録をつくっておりませんものですから、表へ出すことはできませんので、どうかひとつその点も御了承願いたい。  いずれにいたしましても、公聴会という制度も法律上ないのに、現地のなまの声を聞くということで、国会の声を取り上げてやったというふうに聞いております。しかるに、現実の運営というものは、いまお話しになりましたような御批判はいろいろございましょうけれども、なまの声を取り上げるという善意の第一回というものは、実際上は必ずしも十分な成果をあげ得なかったという点について、私は反省をいたしておるわけであります。したがって、その反省の結果がどういう措置になるかということで考え直していかなければならないと思いますので、どうかその点を、せっかくやりますならば——賛否両論はもうやむを得ません、これは。しかしながら、もう少し、何といいますか、真面目な、賛成賛成反対反対、素朴なら素朴で、地元のなまの声を聞けるというところによさがあるのではなかろうかと私は思っておるわけでございます。  どうかひとつ、この問題につきまして、いまいろいろ御指摘のありました御意見も私ども真剣に検討さしていただきますし、私も、いままでのようなやり方だったらやる必要があるかどうかはなはだ疑問であるということを率直に申し上げた点もあわせて、ここでもう一回この公聴会問題は再検討さしていただきたい、そのように思います。
  187. 塚田庄平

    ○塚田委員 森山さん、たった一つ、いろいろな問題をこれからやるというのですけれども、安全専門審査会の会議は速記録はとっていないと言いましたね。いまそう答えたでしょう。公聴会じゃないですよ、審査会の……。(森山国務大臣「そうです」と呼ぶ)とっていないですか。私はとっておると思うけれども——ちょっと待ってください、まだ質問は終わらない。とっていないとしたら、これは一体どういう根性なんですか。安全専門審査会の審議の経過というものは、これは国民の安全に関する問題ですよ。繰り返し繰り返しその結論を検討しながら、あるいはその意見を徴しながらものごとを進めなければならぬ大事な問題ですよ。それを速記録もとっていない。私が公表しろと言ったからおそらく速記録をとっていないと逃げたんだろうけれども、もしほんとうにとっていないとしたらたいへんな問題ですよ。
  188. 森山欽司

    ○森山国務大臣 先ほど公聴会ということばを使いましたが、安全専門審査会の審議の経過は速記録にとってありませんから、表に発表する余地はないと申し上げたので、不正確な点を訂正さしていただきます。  それからいま、そんなことでいいのかとおっしゃいますが、審議の経過の要録はつくってあるわけであります。それをやりませんと経過がわかりませんから。  それから、速記でもって一々——国会でも、速記があると、いろいろ込み入った話のときにはちょっと速記をとめてやるみたいな問題がいろいろございますから、それでテレビやラジオが出てきますと発言者もなかなか緊張いたしますし、もう少しフランクに意見を述べるという意味で速記をとっていないものだと私ども思っておりますし、またそれはそれなりのよさがあるというふうに思っております。従来からそういうやり方であり、それで格別弊害もないように思っておるのでありますが、ただいま御指摘の線がありますから、御意見として伺っておきたいと思います。
  189. 塚田庄平

    ○塚田委員 森山さん、そう言うとまた言いたくなるんですよ。たとえば国会あたりで速記をとめてやらなくちゃならぬようないろいろな問題がある、こう言いましたね、だから速記録をとらないんだ。いいですか。安全審査会の審議が速記録をとらない、しかも公開しない、それではほんとうにはたして原子力というのは平和的に利用されるだけの目的でいろいろと議論されておるのかどうかという疑問は、その辺からまた出てくるわけですよ。ほんとうに皆さんが、これはもう平和的に利用し、しかも発電の問題だというのであれば、どこにかまうことなく速記録を出して住民を安心さしたらどうですか。それを隠すところに勘ぐられる面がたくさんあるのですよ。秘密主義……。
  190. 森山欽司

    ○森山国務大臣 どうも秘密主義とおっしゃられるとはなはだ当惑をいたすわけでございますが、私、国会の審議の例などを申し上げたのであるいは誤解を、そういう御解釈をいただいたのかと思いますが、やはりかみしもを脱いでフランクにしゃべるには、速記やテレビなどがないほうが思うことをお互いが言えて隔意のない交換ができるのではないかというふうに思いますので、そういう点につきましては、やはり従来のやり方には従来のやり方なりのよさがあって、秘密主義というようなものではないのじゃないかというふうに私は思います。それより遠慮なくお互いに意見を交換するという意味で速記をやっていなかったのだというふうに善意に私は理解をいたしておるわけでございますので、どうかひとつ——それを秘密主義で何か問題があるのじゃないかというふうにおっしゃられると、私もそんなことでもあるのかなと実は逆に、そういう感じ、そういう見方もあるのかといまさらのように考えられますが、そういう点は全くないというふうに私は考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、審査会の結論というものは文書になりまして、これはもう外部に発表せられ、世の批判の対象となっておるわけでございますから、どうかひとつその点につきましては、そういうやり方もあるが、違う現在のやり方もある。現在のやり方にはいろいろそれなりのよさがある、そういうふうに御理解願って、しかし、しっかりやれよというふうに御激励を願えれば幸いだと思っておる次第でございます。
  191. 塚田庄平

    ○塚田委員 しっかりやって公開しなさい。この程度で森山さんに対する質問は阿部さんに譲っていきたいと思います。  そこで、高木さんのほうに少し。さっき参考人を呼んだときに、実は例の目的税の問題が問題になったわけです。ちょうど高木さんおいでになって聞いておられたろうと思うのです。そのとき六ページにわたる通知書といいますかが大蔵省から来ましたと、こう示したわけですね。六ページと言いましたね。私は、ではその六ページを持ってこいと言って資料を取りました。取ったら、その六ページというのはこれだけなんですよ。これだけ。あとそれじゃ何がついたかというと、ここにある「税制改正の要綱」が実はこれについたわけですよ。  事後ですけれども、あれだけ調査会で議論をされ、そしておそらくこの問題については、旧法があったのですから、相当目的税創設についての議論も大蔵省部内では真剣に戦わされたのではないか。だから、それを創設するためには、調査会にははからぬけれども、少なくともこれこれこれこれの理由によって、原則ではないけれども、前の法律はこういう欠陥等もありこうであるという十分な説明があってしかるべきだと思うのです。これは何ですか。十二月二十九日の閣議において勤労者財産形成・住宅対策電源開発促進法(仮称)、これが大綱に追加されましたから、今後ともよろしくお願いします。これは先ほど、微妙なことばだ、こう言っておりました。こんな不親切な一片の通告で、一体、事がおさまるような問題であったかどうか。私はこういうものでおきめようとするところに税調軽視の考え方があると思うのです。私はよっぽど六ページにわたってじゅんじゅんと、かけなかったけれども、十分理解してもらう内容があると思ったら、これは何ですか。どうですか、高木さん。
  192. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 けさほど友末参考人が説明されまして、ただいま塚田委員から御質問いただいておりますものは、これは毎年税制調査会で御審議いただいたあとで、それが具体的にどういうふうな税制改正になりましたかということを税制調査会委員に御連絡する連絡文書でございます。特になお書きで「なお、同要綱には、昭和四十八年十二月二十九日の閣議において、勤労者財産形成・住宅対策及び電源開発促進税(仮称)に関し、「大綱」の追加修正が行われたもの(別添)も含まれております。」と申しておりますのは、通例の場合には予算の時点におきます閣議におきまして、きまりましたところで最終的に要綱もきまるわけでございますが、四十九年度の場合には特例的に、この二十九日に、きまりました状態と違う状態で要綱がきまりました。これを閣議におかけをしたということでございます。そういうふうに変化がございましたから、そのところはよくごらんおきくださいというような趣旨で、注意書きの意味で、なお書きを書いたわけでございます。それ以上の意味はないわけでございます。  まあ先ほどの参考人の御意見では、非常に含みのある御発言でございましたけれども、本来ならば時間がなくても、たとえば何らかの形式ででも、もう少し自分たちに知らせてもらいたかったという御発言でございました。私もそれを伺いまして、あとからのことでございますが、私どもの考え方がたいへん不十分である、時間がなければないなりにそういう連絡をすべきであったかなという印象を持ちながら承っておったわけでございます。今後、そこらはもう少し考え直さなければいかぬと思います。
  193. 塚田庄平

    ○塚田委員 もう少しじゃなくて、大いにひとつ考え直してもらいたいと思います。  そこで、ちょっと森山さんに戻りますけれども、森山さんのほうになるかあるいは高木さんのほうになるか、これは整備法、この母法のほうですけれども、第二条で、発電用施設とは何かということの定義が実はなされております。その中で原子力、火力、水力、これは並べてありますが、ここでやはり核燃料物質の再処理施設というのが実は載っております。これは現在、再処理施設は東海でやっていますね。将来の問題として、いまのような形、つまりこれは事業団がやっているわけでしょう。あるいはこれは民間でやるものなのか、民間というのは具体的に日本で言うと九電力、沖繩も入りますけれども。あるいは政府がこのまま継続して事業団の形で、まあ政府じゃありませんが、事業団の形でやるのか、あるいはこれからはもう政府でやっていくという方針なのか。この点は原子力委員会等で検討されたかどうか、されたとしたならば、おそらくその三つしかないと思うのですよ、民間、事業団、政府。これはなぜ聞くかというと、これからのこの税の配分問題に関係してくるので、この点ひとつ長官の御意見を承りたい。
  194. 森山欽司

    ○森山国務大臣 核燃料再処理工場でございますが、これは現在動燃事業団の機構の一つとして再処理工場がことしでき上がりますが、試運転をことしから来年の前半にかけてやりまして、いよいよ本格的に実用に入るということでございます。この第二号炉につきましては、前々から議論がございまして、昭和四十五年ごろからでございますか、この問題は民間でひとつやったらどうだというような案が出まして、そうして昭和四十七年の原子力開発利用長期計画、これは例の五十五年三千二百万キロワット、六十年六千万キロワットの際に、民間の企業においてその建設運転を行なうことを期待するということになっておりまして、現在電力会社等でこの問題に真剣に取り組んでおるところでございます。  しかし、もちろん政府と申しましても、政府政府関係機関一本で考えてよろしいと思いますが、そういう場合も、従来のように動燃事業団でやることももちろん可能でございます。両方可能でございます。ただ、法律上はいまは政府な…し政府関係機関がやるようなかっこうになっておりまして、民間でやるためには法律改正が必要なわけでございます。ですから、実際動き出すまでには原子炉規制法の改正が必要であろうか、そういうふうに考えております。
  195. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは高木さんに御質問したいことなんですが、さて八十五円徴収しますね。それで配賦する場合に、火力、水力原子力、こう分けてそれぞれ配分する。その火力の場合であって声、第一種、第二種ということばは適当かどうか、この法律の趣旨に照らして第一種、第二種に分けたその理由を説明してください。
  196. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これらの基準につきましては、なお部内でいろいろ検討を続けておるところでございます。一応の素案といたしましては、火力発電所につきまして二つの種類を用意するということは考えておるところでございます。これは地域によって差を設けたらどうかという考え方でございます。いわば過密地帯に属する分野とそれから過疎地帯、こういうことでございます。それを検討しておるところでございます。それはすでに公共施設の整備の度合いもおのずから差がございますし、また施設の内容等につきましても差が出てくるであろう。これらの点を考慮しつつ、他方で過密地帯の場合は地元で消費する電力の割合がかなり高いというような事情も考えまして、いまのようなことを検討しておるところでございます。
  197. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは高木さんに御質問したいのですが、この税金の目的というのは電源確保と発電所建設促進、しかし、目的そのものに使うのではなくして、そのための手段として当該発電地域住民の福祉を向上する、こういうことで創設されたわけですね。そこで、整備の目的というのは、私はやっぱりその地域における住民の福祉を向上するというのが目的で、その他のものはいろいろ工場もできるでしょう、いろんなあれは、結局は住民の福祉に通ずるものだ、こう思うわけですよ。今度の場合は、目的発電所を建てることであり、その手段として地域住民の福祉を向上する、こういう転倒した目的税になっておる、私はこう思うのです。整備の基本的な理念からいっても、住民の福祉というものが特定企業の、ここでいえばはっきり株式会社ですが、企業の伸展に寄与をさせるために使われる、こういうことは政治理念としてあなたは一体どう考えるか。この際、少し理屈っぽい質問になりますけれども、お答え願いたい。
  198. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 税の立場から申しますと、この目的というのは、要するにエネルギー資源を確保するために発電所の設置を円滑にしていくには何らかの形での対策が必要である、その対策費を調達するためにこういう税を設けたという趣旨でございまして、もちろん現在におきましては、発電所は民営で行なわれておりますから、結果的には電力会社のための事業がスムーズに進むためにそういう税を設けたという結果になるかもしれませんが、本来のねらいとするところは、何度も申し上げておりますように、電源立地がスムーズにいくようにという趣旨でございまして、目的税目的たるゆえんは、その電源立地が円滑にいくようにということだけのために特別税をつくりましたという意味でございます。お尋ねにぴったり合っておるかどうかわかりませんが、私どもはそう理解をいたしております。
  199. 塚田庄平

    ○塚田委員 あまり合わないわけですけれども、森山長官のここにおられる時間が限られておるということなんで、それで委員長、ほんとうにまだ条文には入らない状態なので、一応質問を保留しまして交代したいと思いますので、そのようにお計らい願います。
  200. 安倍晋太郎

    安倍委員長 了承しました。  阿部助哉君。
  201. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 委員長や自民党の理事さんはこの法案を上げるためにたいへん熱心なようでありますけれども、この委員会のていたらくで、一体大蔵委員会は成立をして審議を進めるということになるのですかな。それをひとつ成立さしてから質問したいと思いますが。
  202. 安倍晋太郎

    安倍委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  203. 安倍晋太郎

    安倍委員長 速記を始めて。
  204. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 審議は私は進めますけれども、十分以内に来なければとめますから。  森山長官、せっかくおいでになったのだから、長官に質問しようと思いますけれども、その前に、通産省はどうも私は困ると思うのです。私は、これは委員長から御注意をしていただかないと。というのは、私が資料をいただけば、通産省のものじゃない、民間団体の資料をそのまま持っておいでになる。この前の、もうこれ以上言いたくないけれども、次官の御発言にいたしましても、私は、ただあれがそのときことばを間違えたというよりも、通産省の姿勢自体に問題があるのじゃないか。  だから、私がこの審議の冒頭に目的税というのはどうなんだ、目的がぴしゃりとしておらなければいかぬじゃないかということを確かめておる。そうすれば、当然このくらいの政令というものは、皆さん大体案を用意しておれば、少なくともこれは出すべきじゃないか。与野党それぞれ意見の相違はあるだろうけれども、国民のために質問し、国民のために御答弁をなすっておる。そうだと思うのです。その点は異議がないと思う。そうすれば、それに対して十分な資料やこの討議材料を御提出なさるのが当然のことだし、私はいままでそれを主張し続けてきた。それが民主的な議会のあり方だ。議員には、野党には、何も教えないで、つんぼさじきのようにしておいて、そして法案だけ通せばいいというお考えであるならこれは別です。私はそうではなかろうと思う。そうすれば、この要綱ぐらいは出すべきだ。ところが、一部要求されれば出すが、これはあなただけですよ、ほかには出しませんなんという話を、一体なぜそんなばかなことをおっしゃって資料提出をしないのか。私は、そんな態度でやるならば、もう一ぺん私の初めからの審議をやり直さなければいかぬと思う。もう少し資料を要求してやり直さなければ  いかぬと思う。私は通産省のこの態度には、何としても合点がいかない。私は通産大臣の釈明を求め、私は委員長に善処をお願いしたいと思うのです。
  205. 森下元晴

    ○森下政府委員 国会審議のためには政府としてはでき得る限り御協力を申し上げる、これは当然なことでございまして、審議過程の資料等につきましても積極的に提出していきたい、これは基本的な考え方でございます。ただ、資料提出する場合の方法といたしましては、委員審議中で委員長の了解を得る場合、また理事会にはかって提出する場合、また個別にそのつど提出する場合、またその他で資料要求があった場合には部内で判断いたしまして提出する場合、いろいろ方法があると思います。しかしながら、基本的には審議に御協力申し上げるということには変わりございません。  ただ、この政令案の要綱の骨子につきましては、これは他の資料と違いましてかなり重要な資料でございますし、また審議の過程において当然これは早くから資料として要求があれば提出すべき問題である、こういうふうに私は実は考えております。それが個人的な要求に応じてこれを出した、そして一部の人だけの手にしか入っておらないということでおしかりを受けておるようでございますけれども、この際、いま御指摘いただきましたような通産省の資料請求またその提出の態度、大いに反省すべき点もございます。ここで委員長のお許しも得まして、この資料を全委員の方々に提出することの御許可をあらためて得たいというふうに実は考えます。あやまちを改めるという点と、さらにこのことにつきましては、全員の方にも配付申し上げたいということの委員長の御了解を得たいと思います。
  206. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 大蔵委員会としては、やはりこれは委員長からも注意をして、こういうことのないようにひとつ善処されることを望みます。  私、森山長官にはいろいろとお伺いをしたいことは一ぱいあるのでありますけれども、たいへん何か忙しいようで、私の、特に社会党に与えられた時間はたいへん短い。ただ、私のところはあまり原則として時間制限していないのでありますから、私もできるだけ問題を整理し、お伺いしたい半分を切り捨てまして、要点だけ御質問をいたしたいと思います。  まあ物質を対象とする法律などで、特に核物質、放射性物質については非常に数多くの法律を制定しておられるわけです。これは、一つの物質でこれだけ数多くの法律を制定しておる物質はほかになかろうと思うのです。特段の配慮をしておる。おたくの科学技術庁でも、原子力局なんというのをつくっておられる。これはどういうわけでこれだけ特別な配慮をしておられるのか、まずお伺いしたい。
  207. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ただいまのお話でございますが、この原子力が軍事利用から始まりまして、そして平和利用に移りました。そして実用段階に入ってまだ二十年足らずということは先ほど申し上げたとおりでございますが、きわめて有効なエネルギーを持っておるわけでございますが、御案内のとおり放射能という問題がございますから、これに対しては慎重に対処しなければならない。それから、先ほど申し上げましたように、軍事利用から平和利用へ移ったわけでございますから、軍事利用に再び——わが国の方針として平和利用に徹するという必要もございますから、そこで基本的には民主自主公開の三原則を中心とする原子力基本法を立て、また放射能の問題等につきましては、これは先ほど申し上げましたように、エックス線等は原子力開発の前からわかっておりますから、したがって、国際放射線防護委員会、ICRPという国際的な機関がずっと前からあって、権威ある基準等の勧告もあるわけでございますので、そういうものにのっとりまして原子炉等規制法等の法律の体系があるわけでございまして、先生もお持ちのように、なかなか大部の法体系のもとに法律ができておるわけでございます。
  208. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いまお話しのとおりであります。さらに、その上に放射能は五官で感知するわけにはいかない、管理がきわめてむずかしい、こういうような問題がありまして、法律もできるだけ微に入り細をうがった法律を制定してあると思うのであります。放射性物質の管理は非常にこれは重要であります。科学技術庁の仕事のほとんどは、この管理に関するものではないのかとすら私は感ずるほどであります。  ところが、最近、放射性物質のずさんな管理がたびたび問題になっております。日本分析化研の問題、美浜原発内での従業員の被曝、岡山などではラジオアイソトープを使うそれの管理がずさんである。そして皆さんが査察をすれば、いろいろなところでこれはまことにずさんな管理のしかたをしておる。これ行政管理庁が前に指摘しておるのですね。それにもかかわらず、このありさまであります。そういう点からいって科学技術庁はこれまで実は何をしておったのだろうという、私はたいへん失礼だけれども、疑問を持たざるを得ないのでありますが、これは一体どういうことなんですか。
  209. 森山欽司

    ○森山国務大臣 たいへん重要な問題にお触れになられたと思います。確かに放射能の分析に当たります日本分析化学研究所、これは科学技術庁の組織ではございませんけれども、財団法人、公益法人といたしまして科学技術庁が監督すべき立場にあるところでございますが、これがはなはだ遺憾のある分析をやっておりましたことは御案内のとおりでございまして、その点につきましては、二度とこのような事態が起きないように体制を整備しつつあることは御案内のとおりでございます。  敦賀の発電所の被曝問題は新聞に報ぜられたようでございますが、このほうは新聞に伝えられているところでもいろいろ問題がございまして、たとえば右ひざの放射性皮膚炎だといわれながら、実際放射性の皮膚炎だというならばその直後にその証拠がなければならぬというにかかわらず、その証拠としてあげられている現地の診断は右ひじでございまして右ひじと右ひざは違うのでございますし、いろいろふしぎなことがありますから、私はあれは非常に問題だと思っております。それで、科学技術庁といたしましては、科学技術庁ほか関係官庁の専門家が集まってこれが対策につきまして遺憾なきを期しておりますが、私はあれははなはだおかしな事件だというふうに考えておるわけでございます。  アイソトープの問題につきましては、この管理がはなはだ十分ではなかった面がある。近来いろいろ新聞紙上では報ぜられまするけれども、行政管理庁の勧告によりますと、何らかの意味において法律に違反していたものが実に七八%、これは大きい違反と小さい違反とあるわけでございますけれども、ともかく何らかの意味でそういうようなことが、百五、六十件調べたところそういうパーセンテージが出ております。全部で三千以上の事業所があるわけでございますが、私は、その数字が直ちに右へならえするかどうかは別にいたしましても、抽出検査の結果でありますから、事は重大であるというふうに考えておりまして、これが対策に当たっておる次第でございます。
  210. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 長官、たいへん時間がないので、あなたは雄弁でありますけれども、なるべく短く御答弁を願えればありがたいと思います。  次に、原子力発電所個々の安全問題に入ります前に、私は、安全問題に対する考え方対処のしかた、きょうは大体これにとどめたいと思うのでありますけれども、これについてお伺いしたいのであります。  長官は本会議において、念には念を入れておるから安全なんだ、安全と考えていただきたい、こう胸を張っておられますし、先ほどもいろいろ安全だ、こうおっしゃっておるのですが、これは一〇〇%安全だ、こういうふうに長官はおっしゃるのですか。
  211. 森山欽司

    ○森山国務大臣 できるだけ簡単にお答えいたしたいと思っておりますが、御発言の御趣旨の中でそのまま承服しかねる点はやはり留保し、また多少所見を述べておきませんといかぬと思いまして申し上げておりますので、御了解願います。  安全性の問題は先ほどすでに御説明を申し上げまして、だいぶ長話になったのではしょれというような話がございましたが、先ほどお話しいたしましたように、要するに原子力の平和利用、原子炉というものは、在来の科学技術産業と違いまして、放射能という公害の先取りをしておりますところの科学であり、技術であり、産業であるわけであります。したがって、先ほども申し上げましたように、機械でございますから故障もございますし、人間でございますから誤った操作もあるわけでございますが、そうなりますれば二重、三重、多重防護措置によりましてかわりの装置が動いたりあるいは機械がとまったりする。もし自動車でもって同じような仕組みになっておりますと、どんなに運転のうまい人でも百メートル自動車がとまらないで走ることはむずかしいくらいやかましいあれになっておるわけでございますから、そういう意味でも機構はそうなっておる。それからまた定期検査がありましていろいろ問題が発見をされるわけでございましたが、とまるから安全なのであり、また発見されるから安全なのでありまして、その中身についてどう処置するかということは、これは先ほど申しましたように、機械ですからいろいろ故障もあり、人間がやることですからミス操作がある。それでも心配のないようなつくり方になっておると思うわけでございます。  しかし、科学技術は日進月歩発達しておりますから、放射能に対する安全性を先取りした科学技術産業でありますけれども、念には念を入れてそれをやっていかなければなりませんし、システム全体といたしましては、発電所の表玄関ができましても、やはりそれに対する台所とか手洗いとかいう意味におきまして、やはり核燃料サイクルにおける核燃料の再処理工場だとか、廃棄物の処理問題とか、そういう点につきましては、まだまだやらなければならない問題が残っておるわけでございますから、そういう方面に力こぶを入れてまいるということでございまして、もう安全性の問題はきわめて重要でありますから、念には念を入れまするけれども、しかしながら、それはいま申し上げておるような意味でございまして、だからどうも原子力発電安全性に疑念があるなどというふうに私はいささかも考えておらない、少なくとも社会通念的には考えておりません。
  212. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 あなたの最後のほうだけでいいのでありまして、自動車がぶつかる話までは要らないことでしょう。  私は念には念を入れて、こういうことは一〇〇%安全なのかどうか。九九・九九%程度まで安全だ、こういうふうにおっしゃるのか、それとももう危険は絶対ないのだ、こういうふうにおっしゃるのか、どっちか二者択一を聞いているだけです。
  213. 森山欽司

    ○森山国務大臣 これは非常にむずかしいのでございまして、学者の方がこういう事故は十万年に  一回とか百万年に一回とかおっしゃる。そうすると、それは学問の理屈として十万年に一回、百万年に一回そういう可能性があるというのでありますが、社会通念といたしましては、人類の歴史始まってまだ七、八千年ぐらいですから、十万年に  一回百万年に一回——そのころは人類がおったかどうかわかりませんけれども、そういうものは社会通念上ないと私は言うのであります。したがって、そういう意味における社会通念上は、原子力発電についての安全性は私はいささかも心配しておらない。これは政府の責任をもってこれに対処するつもりでございます。
  214. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どこの学者が百万年だなんという話をされたのか、私はまだ寡聞にして聞いていない。政府の責任とおっしゃるけれども、政府の責任というのはたいへんあぶないことなんです。憲法の前文を長官はお読みになったことがあるのでしょうがね。政府のやり方で戦争が起こらないように、こう書いてあるのですよ。何もかも政府にまかせればいいのだなんというようなことは、憲法は規定していないのですよ。政府の責任でやるからだいじょうぶだなんということで安全性が論じられてはたまらぬのですよ。長官、失礼だけれども、憲法の前文をもう一ぺんお読みになってもらわぬと困る。政府の責任でやるからだいじょうぶだなんということは、安全性の確認にはこれは私はかかわりないのじゃないかと思うのです。
  215. 森山欽司

    ○森山国務大臣 おことばでございますが、電力はこれは民営でございまして、民間の電力会社原子力発電所をつくっておるわけでございます。それで、つくっておりますところの電力会社が、もちろん自分のところでやっておるわけでございますから、安全性については心配ありません、こういうことを言うのでありますが、地域住民からいたしますと、つくっている連中がそう言うのであるから、それはそのまま聞けぬわ、こう言うのでございまして、公正な第三者の立場にある政府が、これはだいじょうぶですよ、まただいじょうぶなような施策を講じますよということを言うのが政府の責任をもってこれに当たるということでございまして、どうしてそれがそういう御発言が出るのか、私は理解をいたしかねますし、私も国会議員をやっておりますから憲法を読んだことがございますけれども、いまの私の答弁の範囲内においてどうかひとつ御理解を願いたい、こういうふうに思っております。格別憲法違反の発言をしたような覚えはないわけであります。どうかひとつその点は、私の言わんと欲するところを御理解願いたいと思います。
  216. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 あなたがそういう意味で政府として真剣に取り組んでおるのだということは、それなりにわかります。だけれども、政府がだいじょうぶだと言うからだいじょうぶだというような簡単なものではないということを私は言っておるわけであります。あなたは私の考えからいけば、民族にとって非常に重要な時期、このときに科学技術庁長官に就任された。いま日本国民はあげて公害問題に苦悩しておるわけであります。光化学スモッグ一つとってみても、複合汚染だとかいろいろなことを言うけれども、さっぱり究明されていない。各地のいろいろな公害問題でほんとうに住民は真剣に悩んでおるわけであります。こういうときに、それにまた新しく放射能が登場してくる。苦悩はさらに深まる。このときに、解決のかぎを握る政治家として最高のポストにあなたはつかれておるわけであります。あなたは非常に光栄であると同時に、また責任の非常に重いお立場にお立ちになっておる、こう私は拝察するわけでありますが、長官いかがです。
  217. 森山欽司

    ○森山国務大臣 阿部先生から身に余る仕事に対する重要性の御教示をいただきまして、まことに恐縮に存じております。私もこの時期に科学技術庁長官に就任いたしましたことは身に余る光栄であり、その責任の重かつ大なることを痛感いたしております。  現在は公害等の問題に特に頭を使わなければならない時代であることも承知しており、また、先生お触れになりませんでしたけれども、十分御存じのとおり、中東紛争以後における石油事情というものはエネルギー問題解決のためにも大きな使命を与えられておるわけでございますし、これらを勘案いたしまして政治の立場から全力投球をいたしたい。微力ではございますが、一生懸命にやるわけでございますから、どうかひとつ格別の御支援をお願いいたします。
  218. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いま世界をあげて公害問題に取り組んでおる。残念なことに、わが国は公害のトップを走っておるといってもいいのではないか。国民大衆は公害問題の体験によって多くの教訓を得ております。重要なたくさんの教訓があるけれども、ここであげたいのは、公害を出すようになってからあわてて対策をやってもだめだ、事業を始める前に公害問題を解決すべきだということであります。  原子力の場合、在来の公害とは質的にこれは異なったむずかしい問題を持っているわけであります。科学技術庁などにおいても特別に局を設け、原子力委員会を設置するなどしておるのはそのためであろう、こう思うのであります。それで、これはやってみてそれからというわけにはいかない問題だ。しかしまた別な意味からいけば、まだこれは幸いにそうよけいやっていないのであります。だから、むしろいま政府が真剣に公害に取り組もうとするならば、まだこれはあまりよけいつくらないうちにやったほうがいい。私は公害対策としては、まだあまりできていないというほうが利点があるのではないか、そういう点で、私は、あなたはこの公害問題もだいじょうぶだ、こうおっしゃるけれども、私はそれに疑問を感ずるのであります。  そこで、もうあなたにあまり答弁してもらうと時間がかかりますので、お伺いしますけれども、原子力開発長期計画による一九九〇年の原発の規模は、これは時間がかかるから私のほうから言いますが、間違ったら御指摘ください、大体一億キロワット、八五年で大体六千万キロワット、こういうことでしょう、違いますか。
  219. 森山欽司

    ○森山国務大臣 いまきまっておりますことは、それはこういう時世でございますから、その後の事情で再検討しなければならぬわけでございますが、四十七年の原子力長期計画によりますれば、昭和五十五年三千二百万キロワット、これは率直にいうと実現ができないと思います。しかし、昭和六十年度六千万キロワット、それから昭和六十五年一億キロワットということであります。  それから、ちょっと先ほど公害のお話が出ましたが、ぜひ御理解をお願いいたしたいことは、先ほども前の委員の方にも私が答弁いたしましたとおり、原子力発電というのは新しい技術段階に入ったものであって、要するに放射能という公害に対してテクノロジーアセスメントを科学技術産業の中に取り入れた唯一のものです。いろいろな科学技術産業がありますが、そのテクノロジーアセスメントの手法を取り上げたものは原子力だけでございまして、いわば放射能という公害を先取りしたものでございまして、ですから、何か公害のころばぬ先のつえだというけれども、ころばぬ先にそういう点を考えろというわけでありますが、当然、これは性格上そういうものを取り上げて公害問題を先取りにしたところの科学技術産業でございますから、ほかのものとは違うのですね。  同じ発電でも、石油発電を見ますと、石油を燃せば硫黄がありますので亜硫酸ガスが表へ出ますから、さてそれをどうするというので、従来の石油発電はいわば公害あと処理の火力発電です。しかし、原子力発電というのは、放射能という公害を先取りしたものでございますから、公害の点からいえば、これはもうたいして先生のおっしゃるような意味においての問題はないものであるというふうに私は考えておるわけでございます。たとえば放射能にいたしましても、いま発電所では周辺の線量はおよそ五ミリレムです。これは環境自然放射能が百ミリレムでありますから、いかに少ないかということがよくおわかり願えると思います。また、後ほど御質疑がございますれば、このことを何回でも繰り返して申し上げます。
  220. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、大臣はやはり当面の問題も考えにゃいかぬ。同時に、民族百年の大計もお考えになっておられると思うのであります。  そこでお伺いしますけれども、先ほど言った八五年には六千万キロワット、九〇年には一億キロワット、これは多少数字が違ったといたしましても、その時点での温排水の総量はどうなるか、そのときの水温はどうなるか、放射能の放出される量は一体どうなるのか、また固体廃棄物の量は一体どれくらいになるのか、その時点における再処理工場の計画は一体どうなるのか、こういうものをどういうふうにお考えになり、研究をしておられるのか、簡単にお伺いしたい。
  221. 森山欽司

    ○森山国務大臣 長期計画で昭和六十五年、西暦一九九〇年で一億キロワットというところまでの一つのめどをつけてやっておるということでございますが、これらの数字は近来もいろいろ問題がございますものですから、私どももこれは再検討しなければいかぬということで、稲葉秀三氏がこの方面の勉強家でございますので、検討して稲葉第一次私案というものをすでに発表しておりますし、それから通産省のエネルギー調査会で現在この問題も検討しておりまして、六月ころには——私どもは稲葉私案でいろいろ腰だめの方向づけはいたしておるわけでございますが、政府といたしましても、とりあえずの見通しをこの六月ごろ出していきたいというようなことでございます。  これによると、一九九〇年ごろには一応そういうことは立ててはおりますが、そのころどういう姿が出てくるかというと、私は今世紀一ぱいはやはりエネルギーの多角的利用という考え方でいかなければならぬと思いますが、本命はやはり原子力だと思うのです。ただし、現在の軽水炉発電でいつまでもやっていくかどうかということになりますと、高速増殖炉、現在動燃事業団でやっておりますほうに切りかえていきますし、来世紀に入りますればやはり核融合というほうに切りかわっていくのであろうと思います。長期をとりますれば、そういうことになりますから、いまのところ六千万キロワットくらいの線のところで計画を考えていったらよかろうというふうに考えておるわけでございます。  それについてのことでございますが、それは再処理工場にいたしましても、温排水の問題にいたしましても、心配ない体制、放射能の問題といたしまして心配のない体制、この再処理工場あるいは廃棄物の処理については体制をつくっていくつもりでございまするし、温排水の問題は、これは私どもの原子力発電だけではございません。火力発電だって前からあるわけでございますから、近年、この二年ほどいろいろ問題になったわけでございますが、大局的には心配しておりません。しかし、検討を進めまして、たとえば公害基本法等に基づきますところの基準の作成等に努力をしてまいりたい、そういう考え方でおるわけでございます。
  222. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いろいろこれからやるということ、こういうことですね。
  223. 森山欽司

    ○森山国務大臣 そうです。
  224. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 その時点において、温排水の影響をどう受けるかというのはまだわからない、結論はこういうことでしょう。
  225. 森山欽司

    ○森山国務大臣 温排水の問題は心配しておらないということであります。それまでにまた心配のないような体制をつくるつもりである、こういうことでございます。
  226. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうもかみ合わないで困りますが、皆さんはそういう形でおっしゃるけれども、その時点における温排水だけでもいまの日本の全河川の流水量を上回るだろう、こういわれておるのです。そうなったとき、一体これが豪雪につながっていくのかどうか、また日本列島の温度がどうなっていくのか、それによって生態系がどう変わっていくのか、そういうような問題が全然研究をされていない。ただ、そういう心配はないだろうというお話のようであります。  それならばもう一つお伺いしますけれども、再処理工場の問題はいま一つ建設する。しかし、皆さんが六千万キロワットの発電所を起こすようになれば、再処理工場というのはあそこだけではどうしようもないのですね。どうしてもこれはつくらなければいかぬことになってくる。しかし、この原子力発電と再処理工場の問題はワンセットの問題じゃないのですか。皆さんの福島第二原子力発電の公聴会のこの書類を見ましても、再処理の問題はこうおっしゃっておるのですね。「原子炉設置の審査に際しては、原子力の開発利用の計画的な遂行に支障を及ぼすこととならないように、使用済燃料の再処理が適切に行なわれることの見通しがある場合に限って許可をすることとしている。」こう述べておりますね。これはそのとおりですね。
  227. 森山欽司

    ○森山国務大臣 先ほど温排水のお話がございましたから、これは実は本会議で先生からお話がございましたことに関連がございまして、「十年後には原発と火力による温排水量は千八百九十億トン、これはわが国の全河川の流水量に匹敵する」こういうことでございましたから、せっかくの先生の御演説でございましたので、私、実は調べましたところ、火力と原子力合わせまして千九百四十三億トンでございまして、その温排水量についてはほぼ同様でございましたが、わが国における全流水量は五千四百七十億トン、これは建設省河川局調べで降雨量から調べたものでございまして、ほぼ同量というのはこれはたいへんな差でございまして、そういうものが出ましても心配ございません。  また、先生の御演説だと、「大量の放射能を含んだ原発からの温排水の量は、火力に比べてもはるかに大量」だと言いますが、この放射能は自然放射能〇・二%くらいでございまして、放射能の心配は全くございません。  それから、そういうもので日本列島が全部魔法びんの中へ、何と言いますか、まわりを全部温水で日本列島が囲まれるような御趣旨のお話でございます。「摂氏七度以上も高い温排水日本列島を取り巻いたとき、海洋生物や気象への影響は想像を絶するものになる」というようなお話がございましたが、そんなこと全くございません。これは太平洋がずっとありますから。川の水と塩水がまざるのには六十倍くらいの相当な倍率が要るわけでございます。川の水の場合は熱いと冷たいの差だけでございますから七倍くらいの水でまざりやすいわけですが、あれだけ無尽蔵にある太平洋岸は、あるいは日本海でも同じでございますが、そういう意味で温度等の差というものはある一定のところまでいくと消えてなくなるわけでございます。それは魔法びんみたいにずっと取り囲んで出しておれば別でございますけれども、そういうことじゃないのでございまして、海水でもってその温度はどんどん薄められて下がってしまうわけでございますから、そういうような御心配はもう全くないのでございまして、実際問題として沿岸で何%になりましょうか、まあ二、三%くらいがそういうものの影響を受けるようになるかどうか、数字は計算はいたしておりませんが、数%以下であるというふうに私どもは考えております。  温排水の問題をいろいろ御心配になり、また学者と称する人の一部にはそれをまことしやかに掲げておるのを見て実は苦々しく思っておるわけでございまして、そんな心配は全くありませんから、どうかひとつ温排水の問題は——しかし、温排水自身につきましては、やはり温度が違うわけでございますから、影響をできるだけ少なくするようにしたらどうだ。そうすると、やっぱりどうしても出口の排出先のところあたりの貝類、海藻類その他に若干の影響があるかもしれませんけれども、魚類全体についてたいして影響がない。だから、二年以上前まではほとんどこういうことを言う人がなかったのでありますが、近来こういうことが大きく取り上げられてきておるわけでございます。しかし、やはりこういう問題は阿部先生御指摘のごとく真剣に取り組んでいかなければなりませんから、私どもはこれについて真剣に取り組むつもりでございます。これは在来技術の火力発電自体も温排水はあったのでございまして、放射能に対する公害先取りのシステムとちょっとシステムが違うものでございますので、私どもといたしましては、できるだけこのほうにつきましても万遺憾なきを期してまいりたいと思います。  いろいろなわ張り問題なんかで申し上げたい点がございますが、責任回避と思われるといけませんからこれ以上申し上げませんが、大体において心配ありませんけれども、しかし、先生の御指摘のように、やはりできたら基準でもつくって漁民の人たちに御迷惑がかからないような、御心配にならなくていいような体制でもひとつできればということで考えておる次第でございます。  第二処理工場の問題につきましては、ことし完成をいたしまして来年から運転に入ります処理工場は原子力発電所にいたしまして大体八百万キロワットぐらいでございますから、現在は二百三十万キロワット動いておるわけでございまして、あと二、三年で満員になるのじゃないかと思うのですね。あとどうするのだという問題が先ほど来議論に出ておりますが、民間でこれをつくる。しかし、その間のあきをどうするかという問題もございますから、これは英国その他の諸外国のほうにお願いする。国際的にはキャパシティーが余っていますから、そういうふうにお願いする。また話もある程度ついておる。しかし、将来つくるべき再処理工場というのはいままでみたいな小さいものじゃだめでありまして、一けた大きいものをつくっていかなければならない。日本が六千万キロワットやるというなら、あと大型のものを二つくらいつくらなければなりませんが、いまの日本でこれで二つくらいできるかどうかということはなかなかたいへんでございますから、ひとつ広く豪州も考え、アフリカ大陸も考え、あるいはアジア地区も考えて、わが国の国土もさることながら、グローバルな関係においてこういうものを処理したいと思いますし、そういう問題について十分めどはついておるわけでございますが、なお、詳細につきましては事務当局より説明いたさせます。
  228. 安倍晋太郎

    安倍委員長 簡単にお願いします。
  229. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 再処理につきましては、第一工場の容量に比べますと第二工場は当然経済ベースでもって相当大きなものになるかと思われます。したがいまして、その観点からいたしますと、非常に多くの再処理工場をつくるということにはたぶんならないであろうと思われます。たとえば、六千万キロワット相当の原子力発電につきましてもたぶん一カ所あればいい、こういうことで、これは海外にいろいろ調査団も派遣いたしまして十分調査いたします。
  230. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 温排水の問題は、私はまだ異論があるのです。それは小さな部分的なプールや何かつくってやったって実験にならぬのです。日本海には黒潮が流れております。これは細いと言われるけれども、秋田沖まで行っておるのです。温度の違う黒潮がずっと秋田沖まで行っておるのです。その温度差が新潟県あたりに豪雪を降らせる一つのもとだ、寒気団がもちろんこれは基本でありましょうけれども一つのもとだ、こういわれておる。温度が違えば水蒸気が上がりやすいわけです。それがこういう大きくなったときに一体どうなるのか。そのときの問題もこれは検討しなければいかぬのですよ。これは、民族の将来、そういうことを考えていけば、あなたがおっしゃるような簡単なものじゃない。  いまの局長か何かの答弁は、六千万キロワットの発電をやるときに、再処理工場はもう一カ所つくれば五年も六年ももつわけですか。もう一カ所でいいのですか。いま一カ所と言いましたね。
  231. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 現在、諸外国で商業ベースで運転中あるいは建設中の再処理工場の規模から考えまして、その程度のものを日本で第二再処理工場として建設するといたしますと、おおむね原子力発電所に相当いたします出力として五千万ないし六千万キロワットというふうに試算されておるわけでございます。
  232. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それではお伺いしますが、たとえばいま計画をされておる福島の原発が全部できた。これが稼動したら、廃棄物は、いろいろの廃棄物がある。いま皆さんドラムかんで詰めておるやつ、これは一年間で一体ドラムかんでどれくらいになるのですか。
  233. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま手元に詳細な数字がございませんが、発電所が稼動いたしますと、それに伴って、先生御指摘の廃棄物と申しますのは低いレベルの固体廃棄物であろうかと存じますが、これにつきましてはドラムかんに詰めまして置いておくということでございますが、ドラムかんの本数にして数千本から一万本程度ではないかと思われます。
  234. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 話は前に戻りますけれども、先ほど長官は、イギリスとか何かヨーロッパで再処理をお願いする、ある程度話が煮詰まっておると言うが、これは外国へ持っていくというめどはついておるのですか。
  235. 森山欽司

    ○森山国務大臣 再処理工場、いま動燃で持っているのは比較的小規模で、原子力発電所でいえば八百万キロワット分くらいでございます。現在は二百三十万キロワット現に稼働中でございまして、現状ではゆうゆうとまかなえるわけでありますが、あと二、三年もいたしますと、これは満員になってしまう。これはきわめてフランクに申し上げますが、私どもは頭が古いものでありますから何ですが、再処理工場がペイするようにやるために、一けた違ってきたのですね。それで、いまの次長のような話が出ておるわけでございますが、そういう話がまとまって実地に移りましてもかなりの時間がかかるわけでございますから、その中間の過渡期としては、英国等の諸外国のほうに処理をお願いする。現に一部、ごく一部でございますが、現在もお願いしておるわけでございます。そういうような点もございますから、そういう点については遺憾なきを期するというふうにひとつ御理解を願いたい。  それから、先ほど温排水の問題で、実は先生に本会議でいろいろ御指摘を受けましたので、私どもも調べたわけでございます。そして柏崎の付近で、百万キロワットで秒六十トンの水を使うわけでありますが、したがって、八基できますれば八百万キロワット、四百八十トン一秒間に使うわけです。信濃川の水量は小千谷付近で一秒間五百三十九トン、これは建設省の調べでございます。それで、この数よりも少ない一秒間四百八十トンでも、拡散範囲は局所的でありまして、その一部に霧が発生することは考えられる。しかし、それが気象に関係する、空気の層に影響するとは常識的に考えられないということでございまして、信濃川は真水でございますから、真水が海水とまざるのは、海水温排水よりもずっとまざりやすいわけでございますから、そういう意味で、現状から見ますれば、ある気象学者の御意見として言われました点について、私どもはそのように心配をいたしておりません。  温排水についていろいろ議論をいたしたいことがございますが、この間の発言もございますから、やはりわれわれは国会に出ました議論というのにはまっ正面から取り組んで、真剣に当たらなければいかぬと思って調べてまいりましたが、先ほど来あまりおまえばかりしゃべるなということでございますから、遠慮させていただきまして、次の質問をお願いいたします。
  236. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 あなたの持っておるこれは、私のところへも言いわけのように持ってきたんですよ。こんなものは何もないですよ。その前に気象庁に聞いたところが、そういう研究は一つもいたしておりませんという。それでも何か資料が、そういうところの影響はないだろうかということで、私はいろいろざっくばらんに話したところが、今度は皆さんにしかられると悪いから何か影響がないみたいな話をしたけれども、こんなものは何もないんです。調べたけれども、これは何もないんです。それを後生大事に、これでだいじょうぶだなんて長官おっしゃっても、こんなものは信用ならぬですよ。  いまのお話でも、これから外国へ持っていって処理したいというような希望意見を述べておるだけなんだ。ところが、前の段では、ワンセットでやらなければならない、見通しがある場合に限って許可すると言っておるんですよね。ところが、実際は、再処理のものを一体どこの国がそう簡単に引き受けますか。これだけ危険な、しかも再処理工場というのは、あなたはいつでも放射能をあまり出さない出さないとおっしゃるけれども、再処理工場の場合はたいへんな放射能を出すんでしょう。それをそう簡単に大量の再処理を引き受けるなんというのは、これは私はめどが立つはずがないと思う。どうなんです。
  237. 森山欽司

    ○森山国務大臣 どうも再処理工場が、何か放射能をよけいに出すというようなお話ですが、これは先ほども申しましたように、原子力発電所周辺の線量が五ミリレムということでありまして、自然放射能が百ミリレムでございまして、その二十分の一、それから法律によって許容されている線量が五百ミリレムでありますから、百分の一です。自然放射能なんかちょっと上がったり下がったり一割ぐらいしますから、事実上原子力発電所周辺は、これは放射能の影響はほとんどゼロにひとしいというのが現状になってくるわけでございます。  ところが、再処理工場につきましては、これはクリプトン85等八千キュリーというような計算で、これを被曝線量に換算いたしますと三十二ミリレムでございまして、これも自然放射能に比べれば百分の三十二ですから、これは三分の一です。  それから水について、いまのは気体でございますが、温排水のやつでやるのは十幾つということになりますから、両方合わせたって——液体と空気と両方で浴びるということは論理上ありませんけれども、両方合わせたって半分程度ではないですか。だから、原子力発電所に比べれば再処理工場は多いわけでございますよ、しかし、自然放射能の半分じゃないか、許容量の十分の一ではないか。しかし、ICRPにもありますように、放射能は低ければ低いほどいいという、すなわちアズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルという考え方がありますから、できるだけ低くやりますよ。低くやりますが、現状だってちっとも心配ありません。しかし、もっと低くドロップをするために、われわれは一生懸命やっていく、こういうことでございますから、決して再処理工場が御心配だなんというのは、全く心配がないのであります。ただ、原子力発電所のようにまでは低くはなっていないというところに問題がありますので、われわれはそういうふうになお努力を続けましょうと言っておるのでございまして、だから、あぶないなんということはこれは全然ございません。  それから、そういう再処理工場でございますから、もう世界的には施設が余っているくらいです。ここに欧米における再処理余力というものは次のとおりだという非常に膨大な量の表があります。そういうもので、日本みたいにあぶないあぶないなんて言っている国はもうございませんで、この間私は英国関係のある重要な方に会いましたところが、英国ではもうあぶないなんて言う人はありませんよ、ただ原子炉をつくるのにえらい時間がかかる、そこが問題だ、こういうふうに言っておりますし、アメリカの場合でも先ほど申し上げたように、現に四十二基、二千五百万キロワット、わが国総発電量の実に三分の一は動いておるのですから、そうして四十二基が動いて五十三基が現に建設中なんですから、もうそんな心配はないんです。ただ、わが国では、そういうあぶないあぶないという声のほうが大きくて、だいじょうぶだということを勇気を持って言う人たちが少なかったところに問題がある。ですから、私はこんなことを言うと、ほんとうはいい男なんですけれども、いい男じゃないみたいに思われちゃかないませんのですが、こういう時期でございますし、大事な役割りを与えられましたから、阿部先生おっしゃるとおり、大事な仕事だと思って一生懸命やっておるわけでございまして、どうかひとつこの問題の真相というものを御理解願いたい。  先生は、そういう意味においても、いろいろな疑問点を御指摘願いまして、まことにありがとうございます。そういう点は非常に重要な問題でありますから、また率直にお答えをいたしましたので、どうか御理解を願います。
  238. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、あなたが一生懸命やっていることを否定はしませんよ。だけれども、どうもこの放射能の問題は、一番最初私が聞いたのは、一〇〇%だいじょうぶということはないんですよ。しかも〇・〇一%でも、もしそれが大事故でも起こせば、それは一〇〇%危険になるんですよ。だから、あぶない、多少の不安があるけれども、いまやらなければいかんのだから——私のところへ説明に来る人が一番最初言うのは、電力が足りなくなるんですと。電力が足りなくなるから多少の危険をおかしてもやるという立場に立つのか。これはお互い立場です。あぶないものは、多少電力を節約をしても、不便を感じてもがまんするということなのか、もうけるためには多少の危険があってもやろうとするのかどうかというのは、これは立場の違いなんです。  いまあなたは、ただ安全だとおっしゃるし、危険だと言うほうが非科学的なんだというような御発言ですけれども、実は皆さんのこれを見ましても、どれもきちんとしたものはないのですよ。放射能の問題にしても、このいまの廃棄物の問題にしても、何かみんなこれから検討するみたいな話で、これは指摘をすれば時間がかかりますから一々読みませんけれども、どれを見ても、これから検討する、これから何とか外国と話をつけるみたいな話で、私は、あなたが何と言おうと、やはり温排水の問題も、これは現実に研究をしてあるならば、どこでどういう研究をして、現在どういう段階だということをお伺いしたい。それはない。廃棄物の問題も、これはまだこれからどうしたいと言う。ほとんどすべてが将来の問題として問題を残しながら、発電所はやらなければいかぬということで、安全だ安全だとおっしゃるけれども、そういうものではないんじゃないか。  私が一番最初に指摘したように、いま放射能物質の民間におけるいろいろな管理規則も守られない、それを指導する行政体制もなっていない、そういうことが現実に行なわれておるじゃないですか。そういう中で皆さんは安全だと言う。  田島委員がおやめになる、辞表を出されるという問題、先ほど問題が出ましたけれども、私はむしろ、この田島さんがやめるというようなことは、この安全性というものを長官は、いまのこの委員会における発言から見ても、もう軽視しておるというよりも、そういうことを言われるのはじゃまなんだという態度が、この田島委員をして辞表を出させたのではないかという感じがするわけです。  ほんとうにきまっておるものが一つもないんです。これを見ても、みんなこれから、これからということになっておる。それで一体これからの民族百年の大計をどう立てるのか、民族の安全というものをどう確保するのかという点で、私は疑問を持たざるを得ないんです。
  239. 森山欽司

    ○森山国務大臣 田島委員の話といままでの議論と結びつけられることは、私はまことに心外でございます。田島委員につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますので、どうか先ほど来の議論田島委員の問題とはひとつ短絡しないで御論議を願いたいと思います。  それから、温排水の問題でございますが、確かに、私はこれで全く心配ないと言っているのではございませんですよ。それは二年ほど前まで、火力発電があって、かなり大型化しましたけれども、大して問題は起きていなかったんだ。しかしこの二年間ぐらいからいろいろ問題があった、そういうことでありますから、政府は何しているんだと言われますれば、環境庁、通産省、科学技術庁等でそれぞれ検討し、また農林省でもやっておるわけでございますが、それについてこの間農林省のほうで報告を聴取いたしましたところ、「これまでの研究では、排水口付近のモ類、貝類が被害を受けるほか、プランクトン、底棲生物、潮間帯生物等に若干の変化が見受けられる。しかし、魚類等の生産にはいまのところ何ら変化は認められない。温排水の影響は海域によって異なり、かつ長期間にわたる観察を必要とする事項も多いので、昭和五十一年度までの五年間で実施することにしている。」ということでございまして、そのほかに環境庁、通産省、科学技術庁一々ございますが、多く申し述べると時間がかかりますから省略します。  ただ一つ、先ほども申し上げましたように、科学技術庁を中心にいたしまして、温水養魚開発という問題で、東海発電所、これは茨城県でございますが、昭和四十八年から稚ダイ、アワビ、クルマエビの養魚をあの温排水でもってやって成功いたしております。一回この魚も食べていただきたいと思いますし、それから静岡県の浜岡の原子力発電所でアワビ、アユ、マダイを養殖いたしております。それから敦賀の原子力発電所でハマチ、アユ等を養殖しておりまして、そういう意味ではそれ自身は全く心配はないのでありますが、ただ、環境の変化ということがどの程度の影響を及ぼすかということを、先ほど来申し上げておるように目下検討中でございますし、環境庁のほうでもこれによって、何か水質基準の中にはいろいろな有害物質のほかに温度というものも含まれておるそうでございまして、何とかしてこれを早く形をつけたいということで努力をしております。そういう意味では、なおやらなければならぬことは残ってございますが、先生がおっしゃるような意味において心配だというふうには私どもは考えておらない、こういうことでございます。  それからもう一つ、学者の方々がいろいろおっしゃいますが、それは学者の方が学問の場でいろいろ心配をおっしゃるのはごもっともでありますが、社会の生活において、社会の通念として、そういう学会の議論をそのまま持ってくることが適当かどうかということは別途の問題でございますし、そしてそういう中には、技術論のような顔をして政治論を言っている一部の学者がございますから、私どもは、学者の意見がだからそれで全部いいなんていうふうにいささかも思っておりません。やはり行政の立場から、政治の立場から、これに対していろいろ議論をする、そういうことをまたこういうところで阿部先生が、いやそうは言うけれどもこうじゃないかといろいろ御論議があるということは、たいへんけっこうなことでございまして、何しろ私どもも分析研といういいかげんな実績があるものでございますから、これは少しぐらいやられてもやむを得ないと思っております。また、これからも眠けざましにときどきやっていただかないと、非常にいい人がそろっているところでございますから、まあそういう意味ではときどき御叱正をいただき、御指導を願いたいというふうに思っておりますが、ただいまお話しのような意味の心配は、さっき申し上げましたような意味でないわけでございますから、どうか先生のように視野の広い方でございますから、ひとつ私どもの考え方を御理解願って、御推進を願いたい。お願いをいたします。
  240. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いや、いまいろいろお伺いをしましたけれども、実際あなたが先ほども言ったように、この放射能の問題は、研究されてというか開発されて、まだ日が非常に浅いわけです。そういう点でいろいろな影響、しかも部分的じゃない、全体の大きくなってきたときの問題等を考えますと、研究しておるものはまだごく一部分じゃないのか。私は、放射能の問題は一部分だと思います。その一部分の研究でだいじょうぶだということは、私はどうもそこが合点がいかぬのです。いままでいろいろなものが十分研究をされてだいじょうぶだと言う。私は、あまり科学のことは詳しくありませんけれども、本で読めば、たとえばアメリカの宇宙船なんか、部分品としてはシックスナインというんですか、九九・九九九九と九が六つ並ぶ、それぐらい安全度を確かめる。だけれども、大きくして飛ばすようになれば、この前のように、場合によっては宇宙飛行士が帰ってこれないかもわからぬというような幾つかの事故を起こすわけです。  それで、この原子力発電等の問題は、放射能の問題を万が一にも起こしてはならない問題なんです。そこで、本来ならば、やはり自分で研究し、それこそ自主民主公開の原則で——自分でやらないで、ただ外国から中途から技術を持ってくれば、これはどうしても隷属せざるを得ないし、事故を起こしやすいわけですよ。そういう点で、あなたは念を入れてと言うけれども、実際まだ研究はごく一部分なんです。私に言わせれば、一%か二%の研究しかできていない。これは歴史が短いんだから、しかたがない。だから、危険もあるんだという前提に立って真剣に取り組まないで、もうだいじょうぶだと言う。研究のほうは一%か二%で、だいじょうぶのほうは九九・何%だというふうな話は、どうもその辺のお考えが少しおかしいのじゃないか。  私はもう時間がないから次に移りますけれども、自主民主公開の三原則、これは平和利用の担保であると同時に、私は安全の担保でもあると思うのです。安全の担保なんです、これは。公害問題はいまや戦争の被害に匹敵する、いや、それ以上だという国民的な認識がだんだん高まっておる。このことは科学技術担当の大臣ならだれよりも詳しいはずだと私は思うのであります。先ほど言った日本の憲法の前文には、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように努力せよ、こう書いてある。そういう点で、この原子力の問題に関して、自主民主公開の三原則というものが少し曲げられておるんじゃないだろうかという感じがする。皆さん方のこの原子力基本法の第二条の三原則、これは原子力の研究開発に従事する者の厳守すべき規定である。それと同時に、これは私たち国民一人一人が原子力の研究開発、またその推移に関心をもって、積極的にこれを監視し、皆さん方考えておられないだろうけれども、万が一にも核武装させたりすることのないように、また人間及び環境に悪影響を及ぼすことのないようにする義務があると思うのです。同時に、この監視の義務は、これはやはり憲法に保障されるように、だれはばかることなくこれを実行する権利がある、私はこう思うのです。その点はいかがですか。
  241. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私は原子力発電安全性を強調いたしました。しかし、それは先ほど来何回も申し上げますとおり、テクノロジーアセスメントをやっておって在来技術と違うのではあるけれども、しかし、念には念を入れてやっていかなければならないことは、繰り返し申し上げておるとおりでございます。特に、日進月歩でございますから、いろいろなことをやる場合に、これは日進月歩というふうにお考え願いたい。いままでのが未熟だからというのではなくて、日進月歩に進んでいくわけです。これは原子力だけではない。すべての問題で世の中が前進するように、原子力の科学技術産業というものも日進月歩で進んでいくわけでございますから、安全性の問題については念には念を入れてさらに前進させていかなければならないということは当然でございます。しかし、だからといって安全性に疑念ありということにはならないのだということを私は強調いたしたのでありますから、どうかひとつ御理解を願いたいと思います。  それから、原子力基本法にいう平和目的、これは申すまでもございませんから、もう一々触れません。しかし、民主自主公開の三原則について、ただいま御疑念を呈されたのはいかがか。その精神に沿っていろいろなことを言われないようにしっかりやれよとおっしらるなら、私はありがたくちょうだいするわけでありますが、現在私どもがやっております仕事は自主民主公開の三原則にはずれるのではないかという御疑念を呈された面は、基本問題でございますから、阿部先生のおことばではありますが、私もそれはそうでございますと言うわけにはいきません。  やはりこの問題については、自主はもちろんたてまえでございますけれども、現在、日本原子炉というのは軽水炉でございまして、アメリカからの技術というものを基本にしてやってきたことはまぎれもない事実でございますが、先ほど申しましたように、運転中が四十二基二千五百万キロワット、五十三基が現在建設中だということで、非常なる経験を積んだ技術の蓄積であり、しかもこれは日本がただまねをするだけではございません。わが国におきましてもそれらの技術を導入して、自家薬籠中のものとしてそしゃくしつつあるわけでありまして、自主ということは外国からの技術の導入を妨げるものでないことは先生御案内のとおりでございますし、公開の原則にいたしましても、成果の公開ということは書いてあるのでございまして、何でもかんでも表に出すということではございません。そしてそのことは、日本国憲法にもございますように、財産権の保障というたてまえから、工業所有権を一々表に何でもかんでも出していいということでもないのでありまして、これらの解釈は不肖森山欽司が科学技術庁長官に就任する前からきまっておりまして、そのきまった路線において私は行動しておりまして、森山欽司が着任いたしましてから、従来の基本的路線と違った行動をやっておるということはいささかもございません。  ここで、一々また自主民主公開の有権的解釈をやると時間がかかりますから、省略をさせていただきますが、私はいろいろな御忠言については謙虚にお伺いをし、御発言につきましては聞き捨てにいたしませんで、一々調べてまいっておるわけです。少し口が悪いものですから、たいへん御迷惑をおかけいたしますが、どうか意のあるところをおくみ取り賜わらんことをお願いいたします。
  242. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 もう時間のようですから、この辺でやめたいと思いますけれども、長官は財産権の問題だけを言いますけれども、憲法の財産権の規定は無条件規定じゃないのですよ。政府が土地収用法なんということでおやりになるということも現実にあるわけです。これは無条件規定じゃない。国民の福祉のために、公共の福祉のために、ある程度制限を受けるのはあたりまえなんです。自由の権利、そういうものはある意味では無条件規定だと思うのです。これと財産権の問題とは違うのです。  時間がないから、その点に私はあまり触れませんけれども、本来アメリカの原子力法は一体どういう形でできてきたのか。私は核戦略の問題が中心だと思うのです。そしてまたアメリカは、ある意味でいえば、核支配という形でいろいろやられてきた。日本の基本法は、少なくともたてまえは平和目的という形でできておる。この二つがドッキングする、結びつくというのは、ほんとうをいえば、たいへんむずかしいことなんです。そこで皆さん方が考えたのは、業者間の民間の約束です。たとえばアメリカのGM、日本の日立なら日立、こういう形で結ぶときの約束があるわけです。ところが、これは質が違う。一方では核戦略を念頭に置き、中核に据えたところのアメリカの原子力法、こっちは平和をたてまえとする原子力基本法、この異質なものを結びつけておるのが民間の取りきめだと私は思うのです。ところが、その民間の取りきめはわれわれには提示をされないわけです。また、いろいろなデータの場合、これも民間には提示をされないわけです。  そうすると、私が先ほど申し上げたように、憲法では国民もやはり努力しなければいかぬのです。平和を維持し、民主主義を守っていくためには、政府にまかせただけではだめなんです。国民の一人一人がそれに努力をする義務がある。権利もあると同時に義務もあるのです。そういう点から考えて、国民が疑惑を持っておるけれども、その疑惑にこたえるのに、政府がだいじょうぶだというからだいじょうぶなんだ、先ほど来だいじょうぶでないというのは頭が狂っておるみたいな長官の御発言だけれども、長官はそれでだいじょうぶだと主観的には確信をお持ちになっておるかもわからない。しかし、客観的にどうなんだろうというためには、この資料の公開というものこそは当然必要な、平和のためのとりでであると同時に、民主的な安全性のとりでだと思う。その問題が一つも提示をされない。カーテンの向こうにあって、とびらの向こうにあって、そしてただだいじょうぶだから安心せよと言うんじゃ、日本軍は勝っておる、勝っておると言ってわれわれが戦争に追いまくられたときと、私は何か同じような感じがしてならないのです。  だから、長官がいろいろなデータを見て、調べて、だから安全だ、こうおっしゃるならば、それを国民にもわれわれにも見せて、これだから安全なんだよ、こう言ってくださるならば国民は納得するでしょう。いまのような形で、やれあれは秘密である、やれこれはこうだとおっしゃるけれども、私は本来、日本政府にはそんな秘密なんてないと思う、民主国家に私はないと思います、日本の平和憲法のもとでは。そういう点で、長官が幾らそれを安全だと言っても、それは長官のひとり言であり、主観であるにすぎないのではないだろうか。もしそれがそうでないとするならば、やはり国民にそれを提示する。国民もまたこれの平和利用、そうして安全性の問題、ともに努力をする権利と義務が私はあると思うのでして、その点で、ECCSの問題やら、あなたはいろいろ技術的な問題もおっしゃったし、私はほんとうはそういう問題もお伺いしたい材料を一ぱい持ってきたのだけれども、いかんせん、自民党の方々の強い要請もありますので、これで終わりますけれども、あなたが安全だという確信がそれだけおありならば、その確信を国民にも出して、そして国民に納得させるべきであって、あなたがただ安全だと言うだけでは、私は国民は納得しないだろうと思う。きょうの参考人のお話の中にもそれが出ておるわけでありまして、納得させようと思ったらぜひその努力を私はしてしかるべきだ、こう注意を喚起して質問を終わります。
  243. 森山欽司

    ○森山国務大臣 民主自主公開の三原則についてお話がございました。しかし、これはよくお考え願いたいのは、日本原子力基本法が平和利用に徹する、軍事利用ということが二度と起きないようにということの大きな歯どめとして、この三原則がクローズアップされておるわけでございます。いま、平和利用の中における安全性の問題についてただいまのような御説がございましたが、それは真に安全性を担保するゆえんであるかどうかについてははなはだ疑念を持っておりますし、それから現在の民主自主公開の三原則につきましては、私が科学技術庁長官就任以前の長い前からもうそういう方針が決定をされておるわけでございますから、私の代になって急に解釈が変わったのじゃないのであって、むしろそういう意味で、御質問があれば遠慮なく答えるという意味ではきわめて公開的になっている、どうかひとつこういうふうにお考えを願いたいと思うわけであります。  それから、アメリカの問題がございましたが、日米原子力協定につきましては、原子力の平和的及び人道的利用の実現を目ざす研究及び開発の遂行のため、相互協力を目的として締結されたものであって、この協定で秘密資料の交換は明示的に排除されておる。わが国はこの協定によって何らそういう意味の軍事利用等に関係のあるような資料は受けておりませんし、特にそのために公開の原則等の問題をこの際取り上げる必要を私は認めないのでございます。その点は先生と意見は違うわけでございますが、こうやって意見を交換してまいりますことが、あすへの前進のためにやはり有益であろうと思いますので、きょうの先生の御意見につきましては、御意見として十分また私自身考えてみるつもりでございます。
  244. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 あなたの時代になってから急旋回したなんて私は言っていないのです。いままでもそうなんです。初めからそういう点で、私は原子力協定と言っておるのではないのですよ。業者間の取りきめ、それが財産権だ、保護しなければいかぬという形で、これを秘密のベールに隠しておるではないか。そしてまたいろいろなデータも、もっとこれから、長官せっかくそれだけ意気込んでおるならば、いろいろな資料は国民の前に提示して、そして自分が安全だと思う道を国民にも共感を求める努力を森山長官の時代に切り開いてもらう、これがほんとうだ、こう思って、私は激励をしながらこの質問をしたわけでありまして、これで質問を終わります。
  245. 安倍晋太郎

  246. 瀬崎博義

    瀬崎委員 森山長官は、科学技術のほうの委員会でも原子力発電所の建設にはきわめて積極的な意思表示をしてこられております。ここに審議されている促進税法案あるいは特別会計法案、さらに商工で審議されている周辺整備法案等で、現在政府の目標から見ればおくれている発電所の立地、とりわけ原子力発電所の建設は、そのおくれが取り戻せると考えていらっしゃいますか。
  247. 森山欽司

    ○森山国務大臣 長期的に見れば、この法律だけによるわけではございません、諸般の施策を講じて現在のおくれというものは取り戻せると確信をいたしております。
  248. 瀬崎博義

    瀬崎委員 諸般の施策を抱き合わせればというお話なんですが、その諸般の施策の中で、最も重要なことは何ですか。
  249. 森山欽司

    ○森山国務大臣 諸般の施策のうち重要なものの一つは地元対策であります。これは原子力発電所だけではありません。火力発電水力発電等をやりますが、発電をいたしましたその開発利益というものは全部町場の工場だとかあるいはその他のところへ行くわけで、住民のところ、開発するその地域自体、原子力発電所あるいはその他の火力発電所のある地帯というものはあまり御利益がない。そこで、開発利益の還元ということは公平の意味からいっても当然であります。それが今度の法律でございますから、そのことも重要な一つで、これは開発利益の還元でございまして、何か原子力発電は心配だから、心配なのを札びらでほっぺたをひっぱたいて黙らせるなんという、そういうけちな法律ではない、そういうふうに私はこの法律の趣旨を理解しているという意味で、私からひとつ申し上げるわけです。  それから、もう一つの問題は、先ほど来何回も言っておって、もう口がすっぱくなりますが、とにかく現在の軽水炉発電は、社会の通念からいえば安全であります。しかしながら、念には念を入れてやっていかなければいけませんし、また反面、安全性について疑念を抱くような方がございますから、そういう点についてわかっていただけるように、その安全性についてさらに念には念を入れますとともに、そういうことをわかっていただく努力をするということがこれから大事であろう。  この二つのことによりましてその成果があげ得ますれば、少なくも昭和六十年六千万キロワットの発電は可能であると確信をいたしております。
  250. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、今日の発電所の立地が困難になってきた原因は、一つは開発利益の還元がなかった。これは現在審議中の法案で補われていくであろう。いま一つは、現在進めている原子力発電所は決して不安はないんだけれども、住民が不安だと言っている。これを解消すればいいんだ、こういうお話なんですね。  私自身は別に、ここで技術系の出身だからといって、技術論争をしようとも思いません。幾ら政府が安全だと言っても、原子力発電所に対して国民が不安を持っていることは事実であるし、またその不安が年々強くなっている傾向にあることも、これは反対運動の激化を見れば明らかなんですね。ですから、事実として存在する国民原子力発電所に対する不安は、一体どういう点にあるのか。また、政府はまじめに、この不安を取り除くために、口先だけではなしに実際の努力をしているのかどうか、そういう原子力行政をやっているのかどうか、こういう点に焦点をあてて質問をしたいので、大臣のほうも政治論と技術論をごっちゃにされないように、ひとつお願いしたいと思うのです。  まず、日本原子力発電所の現状なんですが、これはわかり切ったことではありますが、現在運転中のものは六基で、二百二十八万キロワットで一すね。この六基のうち、今日まで事故を起こしたことのない発電所というのは、残念ながら、つい最近運転状態に入った中電の島根原子力発電所だけなんですね。あとの五基は全部事故を起こしております。この事実は、長官、お認めになりますね。
  251. 森山欽司

    ○森山国務大臣 これまた事故ということばの定義がむずかしいのでありまして、先ほど政治論と技術論をごっちゃにするなという話がありました。私も全く同感でございまして、私は技術論につきましては、きょうは技術の原子力局次長がおりますから、そういう問題については原子力局次長のほうから答弁をいたさせます。  それから、事故ということでございますが、これは何をもって事故とおっしゃるか、先ほど申し上げましたように、原子炉がとまったから、だからあぶないとか、あるいは定期検査でここをあけてみたら、そういう問題がわかった。そしてそれに対する措置をするということが事故だ、こうおっしゃられるとはなはだ困るのでありまして、実質的にはこれは安全のしるしだと言っておるのであります。そして昭和三十七年から四十八年の十一、二年間におきまして、原子炉等規制法に基づいて届け出がありましたものは、先ほど申しましたように、全部で原子炉につきましては三十七件、そのうち人身に関係があるものは三件、放射能をかぶったという意味では。しかし、それも許容量以下で問題にならぬということでございますから、年平均四件ぐらいでございまして、それは事故という名には値しない小さい故障であります。ですから、私は別にそういうのを心配しておりませんが、そういうものは政府としては、どんなことがあったか確実に握っておかなければいかぬことだと思ってはおりますが、原子力発電安全性危惧を生ずるような事件は一件も起きていない。(瀬崎委員「そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ)ただ、みんなそういうことを言うから……。
  252. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは科学技術庁自身が提出している資料です。はっきり「日本原子炉施設における事故」、故障とは書いてないですね。原子炉等規制法に基づいて届け出られる事故を、わざわざ故障と言う長官のことば使い、態度のほうが、科学技術庁の責任者として非常にふさわしくないと思うのですね。だから、私はいまは技術論を言っているのじゃないのです。とにもかくにも、現在科学技術庁が出している事故というのは、これは法律に基づいて届け出られているのであって、法律に基づけば事故ということばを使うのが正しいのじゃないですか。そのことだけについて答えてください。
  253. 森山欽司

    ○森山国務大臣 機械でありますから故障が起きます。人間がやりますから、ミス操作はあります。そういう意味における問題を事故というならば、それは事故でありますが、安全性に対して疑惑を招くような意味におけるところの事故ではない、そういうように申し上げます。
  254. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これもきのう政府当局の答弁もあって確認をされたことでありますけれども、現在運転しているのは、とにもかくにも六基で二百二十八万キロワットなんです。ところが、そのうちの二基は現在すでに定格出力では運転できなくなっております。原電の東海一号炉は定格十六万六千キロワットに対して、現在の運転実績は十四万キロワット、関電の美浜一号炉は定格出力三十四万キロワットに対して、現在の運転実績は二十万キロワット、この事実も大臣は御承知ですね。
  255. 森山欽司

    ○森山国務大臣 承知しております。ただし、これは決して安全性に疑惑を与えるものではございません。ただ、要するに能率の悪い原子炉になっておる、こういうことでございます。
  256. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ能率の悪いものを能率よくするような可能性がこの二つ原子力発電所にあるのかどうかという疑問が起こりますが、大臣のいまのことばからいけば、能率よくできそうに思えるのですが、そうほんとうに思っていらっしゃるのですか。
  257. 森山欽司

    ○森山国務大臣 さように思っております。
  258. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これはきのう商工委員会に出席の伊原次長、きのうははっきりと、今後長期にわたって定格出力に回復することは困難である、こういうふうに答えられましたね、いかがですか。(森山国務大臣「委員長委員長」と呼ぶ)いやいや、きのう商工委員会に出ておられた、私の指名した方が答えてください。委員長お願いします。
  259. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 その御答弁は、資源エネルギー庁の井上審議官がなすったのではないかと思います。
  260. 森山欽司

    ○森山国務大臣 ちょっとそれはことばじりを取り上げての……(瀬崎委員「ことばじりじゃない、事実です」と呼ぶ)あれなんでございまして、いまは非常に非能率なやり方になっておりますから、能率をよくする、切りかえるやり方というものはやり方がありまして、たとえばぐあいが悪いところがあればかえればいいのですから、そういう時期が来ればよくなるのだ、こう言っておるわけでございます。ただ、そういうことについて、いまの私の立場でこれ以上申し上げたくないのでありますが、論理的には可能であり、現実的にもそうなるものだと確信をいたしております。
  261. 瀬崎博義

    瀬崎委員 再度お尋ねします。伊原次長は、自分が答えたのではないとおっしゃいますけれども、聞いてはおられたわけなんです。確かにきのう井上審議官の答弁によれば、これは長期にわたって回復するものではない、こういう答弁でしたね。それだけ確認したいのです。
  262. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 正確に記憶しておりませんが、あるいはそのような答弁があったかとも存じます。
  263. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私の答弁が一番正確でございます。
  264. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは厳密に科学的な問題です。原電の東海炉に至っては、これは私も現地へ行ってこのコールダーホール型の一号炉については、もちろん発電原価から見ても何から見ても、採算に乗るものではない。出力がもとへ戻せるものでもない、はっきりおっしゃっているわけです。  また、関電の美浜については、これは長官も御承知のはずです。蒸気発生管約八千本のうち、二千本は目詰まりして使用しているわけでしょう。これは目詰まりを抜いたら、一次冷却水が二次系に流れてしまってたいへんなことになるのです。能率をよくしようにもできない状態であろうということは、長官自身御存じのはずで、それをあえてこの場で否定しようとする態度、こういうことが国民の疑惑を生むもとではないかと私は思うのですが、いかがです。もっと率直であってほしいのです。
  265. 森山欽司

    ○森山国務大臣 その悪いところを全部かえちゃえばいいじゃないですか。よくなるじゃないですか。だけど、それは現状は能率の悪いものだということであって、将来そういう可能性がないかどうかまであなたがおきめになるお立場にはございません。
  266. 瀬崎博義

    瀬崎委員 原電の東海一号炉については、もはやこれは交換するとすれば、原子力発電所全部を交換しなければならないとおっしゃっているわけなんです。それから関電の美浜一号炉については、熱交換器全体を交換すれば、あるいは長官の言うようになるかもしれないが、そのこと自身は県も要望しているけれども、関西電力自身は拒否しているわけであります。こういう状態で、私が言いたいのは、あなたはどういうことを言われるか知れないけれども、国民の立場から見て、さて安全性に信頼がおけるでしょうか。国民の立場に立って一ぺんものを見てください。
  267. 森山欽司

    ○森山国務大臣 安全性については全く心配ありません。能率が悪いだけであります。しかし、能率をよくするために、悪いところをかえればいいと思っておりますし、私はそういう方向に指導するつもりであります。
  268. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ責任を持って森山長官は関西電力に対して直ちに——この一号炉は間もなく運転を開始しますが、これを中止さして、この熱交換器全体の取りかえを命じますか。
  269. 森山欽司

    ○森山国務大臣 やり方についてはおまかせ願いたいと思います。
  270. 瀬崎博義

    瀬崎委員 やり方のいかんはまかせますけれども、原子力委員長として、直ちにその処置をとりますか。そのことだけを答えてください。
  271. 森山欽司

    ○森山国務大臣 直ちにとるかとらないかもおまかせ願いたい。
  272. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうすると、やらないということですね。
  273. 森山欽司

    ○森山国務大臣 それはやらないということではありません。そういうふうに即断されるのでは、国会の質疑になりません。私が申し上げた範囲内において、ここまではっきり申し上げるということは、確信がなければ申し上げないのですから、これ以上のことはお聞きにならないでください。
  274. 瀬崎博義

    瀬崎委員 聞いて都合が悪いと言われるようなそういう態度で、国民安全性を信頼しろと言うこと自身、私は非常に無理があると思いますね。だから、そういう中で周辺の住民なりあるいはまじめな科学者が心配を持ち、警告をしたといたしましても、これは私はしごく当然なことだと思うのです。最初にお断わりしたでしょう。だから私自身は、国民が不安を持っている原因は一体どこにあるのか、それを真剣に、長官が先頭に立ってただす気持ちがあるのかどうか、これをただしたいと申し上げたのです。少し専門的なことばで言うならば、原子炉の工学的な安全性の問題について、いまのような長官の答弁が広く国民に知れて、国民はさらに不安をつのらせこそすれ安心をするはずはないと私は思います。  なお、あえて申し上げますが、先ほど長官は社会党の方の質問に答えて、諸外国においても人身事故を伴う大事故はなかった、こういうふうにお答えになりましたが、それは確かですか。
  275. 森山欽司

    ○森山国務大臣 許容量以上の放射線の被曝を受けたという事例はございません。実用炉に入ってからですよ。軍事利用の原子炉とかあるいは平和利用の実験炉段階はいざ知らず、実用段階に入ってそういう事件は世界的に一件もございません。
  276. 瀬崎博義

    瀬崎委員 先ほどの答弁の中に、そういうふうな条件がついておりましたか。
  277. 森山欽司

    ○森山国務大臣 そういうつもりで答弁したつもりでございます。
  278. 瀬崎博義

    瀬崎委員 聞けませんね、そういうふうに。
  279. 森山欽司

    ○森山国務大臣 では、あらためてそういうふうに御認識を願います。
  280. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今日、事実といたしまして、蒸気発生管に損傷が起こって出力低下が起こっているのは事実であります。ピンホールとかクラックなどの燃料棒の破壊も事実起こっております。ECCSなどの緊急時の作動の問題もいろいろと議論のあるところであります。圧力バウンダリーを構成する金属材料が、一定の条件でもろさを持つのではないかということ等については、これは科学技術庁ですら認めている事実であります。そのほか、いうなればドレン弁の故障といったごく初歩的な故障で放射能が外部に漏れたこともあります。ですから、それが森山長官の言う安全を害するものに当たっているのかどうかは別問題として、こういう事実を知っている国民は、これはやはり現在の原子炉について不安を持って当然だろうと私は思いますね。  次に、第二の問題は、環境に対する放射能公害の問題です。この「福島第二原子力発電所原子炉設置に係る公聴会陳述意見に対する検討結果説明書」、これは単なる説明書ではなくて、原子力委員会がこの福島第二原発答申を行なったときに同時に公表されております。そういう意味では、その安全審査理由づけのような、根拠のような書類だと私たちはみなききるを得ないと思うのであります。そういう意味では、非常にこの説明書は重要だと思います。  そういう前提のもとに、この中で「放射線と人間との関係」という一項目があります。時間がありませんから一々引用いたしませんが、この内容は、学問的には未知の分野も多いし、また長期の研究が必要だというふうな問題が多々含まれております。しかし、そのことはここで問わないといたしまして、原子力行政として考えなければならないのは、少なくとも原子力発電所周辺における放射能の監視が科学的に厳密に行なわれ、信頼し得るデータが国民に示されているのかどうか、これは大いに問題だと思うのです。また、いろいろ研究を進めるにいたしましても、信頼し得るデータというものが測定されていない限りは不可能だろうと思うのですね。この周辺の放射能監視体制は、これは実際行なわれている体制も、またここで述べられている体制も、大きく分ければ二つになります。  その一つ、陸水とか土壌とかあるいは農産物等のサンプルを採取して、どんな放射性物質がどれぐらいあるか、つまり核種分析を行なう方法がありますね。これについて、この検討結果を説明書ではこういっております。「陸水、土壌、農畜産物、海水、海産物、海底土等の環境試料を定期的に採取し、放射性物質の濃度を調査することとしている。これらの値は公表され、周辺住民原子力発電に対する理解と協力とを得るための一助となっている。」と述べているわけであります。  ところが、このサンプリング調査の核種分析は、これもきのうの答弁ですでに明らかになっておりますが、日本分析化学研究所で行なっていたわけなんですよ。これは科学技術委員会での答弁で、伊原次長御自身が、「分析化研が行なっております」こうした原発周辺の「放射能分析に関しますデータについては、信頼性が失われたというのは事実でございます。」これは原文どおりですが、こう言っておられるわけです。ですから、普通の常識から考えますと、こういうサンプリング調査の結果だけの公表では、住民の理解と協力を得るどころか、逆に疑惑を深めることになるのじゃないか。それをあえて理解と協力が得られるなんというような表現で、事実上の答弁書である説明書に載せているということは、私は非常に無責任じゃないかと思うのです。いかがでしょう。
  281. 森山欽司

    ○森山国務大臣 その膨大な資料を政治家である私が全部一行一句覚えているわけではございませんから、一々について御答弁を申し上げませんが、そういう膨大なる説明資料をつくったゆえんのものは、初めて公聴会制度、これはいろいろ先ほど来のお話で問題がございますけれども、それをやったために、そういうものもつくり、また長期の安全審査を行ない、また原子力委員会におきましても、一週間か二週間でやるものを七十日間かけて最終結論を出した、そういうふうにやったわけでございますから、十分慎重に検討してやった次第でございます。  自余の放射能等の問題につきましては、伊原技術次長からお答えいたさせます。
  282. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 瀬崎先生御指摘の点につきまして、分析化研の分析の分につきまして私が申し上げました趣旨は、原子力潜水艦の関係の分析について信頼性が失われたという趣旨を申し上げたわけでございます。  原子力発電所関係につきましては、十分立ち入り検査をいたしまして、また電気事業者といたしましても総点検をいたしまして、これは通商産業省と私どもと協力して、いろいろその辺も連絡、指導いたしまして点検をいたしたわけでございますが、少なくともその結果といたしまして、原子力潜水艦のようなケースがあったということではございません。しかし、いろいろ福島県に連絡した資料にミスがあったというのも事実でございます。これは安全性をそこなうという性質のものではございませんけれども、しかし、そういう、ミスがあったということは、これははなはだ遺憾な ことでございますので、今後そういうことが絶ないように十分体制を立て直して、住民皆さま方の不安が絶対ないように、そういう新しいやり方に指導いたしたいと思っております。
  283. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま科学技術庁のほうは、電力会社関係の分析化研にかかわるデータの提出をきわめて強硬に拒んでいるわけでありますが、わずかに提出された四枚の波高分析のチャートがありましたね。あれは私どもが承知しております分析化研の測定台帳からいけば、該当する測定番号の試料委託先は東京電力になっておったのです。ところが、科学技術庁を通じて出されました資料は、関西電力で出てきたわけですね。こういう事実もあるわけなんです。あとは出ていないからわからないのであります。  そうなりますと、はたして一体それぞれの示しておりますグラフはどこのをやっているのだろうかという疑問すらいま残ったままになるわけであります。これは普通の常識でそうなると思います。だから、私たちは事実によって判断したいから全面的に資料を出しなさいと言っても、先ほど申し上げましたように、現在まだ資料は出されない。もちろん予算委員会の要求に対しても、自民党の澁谷理事が出さなくてよいというふうにおっしゃっているとかいうふうに聞いているわけです。こういうふうなことが、これまた私は、原子力発電所安全性に対して信頼を増すどころか、不安を増す原因だろうと思うのです。  ちなみに、この「検討結果説明書」の中に電力会社の見解として、「かねてから原子力発電に関する正確な情報を積極的かつ率直に提供することに努めてきた。」こう書いてあるのです。電力会社自身がこう言っているのですから、何も電力会社と分析研の私契約をたてにとって科学技術庁が資料の提出を拒否する必要はないと思うのです。文字どおり「積極的かつ率直に」正確な情報の提供につとめたらよいと思うのです。ですから、あらためて長官自身、この電力会社関係の資料を全面的に出して疑惑に答えられたらどうでしょうか。これがやはり国民の疑惑を解きほぐす道ではないかと思うのですが。
  284. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私も、もうこれは何十回もそういう議論をしておるところでございます。それで、まあ考えたらどうかと私も思ったときもあるのでありますが、分析に関する資料をほとんど全部要求しておられるにはびっくりいたしたわけであります。その分析の結果をまとめて報告しろというならわかるわけでありますが、その分析の結果を全部出せという御要求であるということを発見いたしまして、私ははてなと、ふと小首を傾けたようなわけでございますが、この問題は、予算委員会、科学技術特別委員会理事会等の問題になった事項でございますしいたしますので、私がそれについて首を傾けるということだけでも相済まないのでありまして、かりに今回ああいう分析研の不始末のあとだからということでありましても、一応一件落着のあとでございますので、それぞれの委員会の理事各位がいろいろな御見解をお持ちのようでございますから、まあその見解に従うようにしよう、こういうふうに私は申し上げておるわけでございまして、そのことは瀬崎委員にも先般申し上げたとおりでございます。(瀬崎委員承知したわけじゃないですよ。」と呼ぶ)  御承知にならなくても、私はいまお話ししてきたと同じことを、きょうは大きな声で速記をとってお話ししておりますが、この前は、あなたと二人のところでこういうことになっているのですというお話を私は申し上げたわけでございます。どうかそういうふうに御了察の上、御了承を願いたいと思います。
  285. 瀬崎博義

    瀬崎委員 周辺住民の不安にこたえるべき放射能監視の一つの柱であります核種分析については、そういうことなんですね。分析化研で分析をやっていた、分析化研はああいうでたらめをやっていた、結果について資料は公開しない、こういうことであります。  いま一つの放射能監視の柱は、固定されたモニタリングポストの常時測定及びシンチレーションサーベーメーターによる定期的な移動測定であります。これについて、私どもはわざわざ東京電力の福島原子力発電所にまで行きまして調査をしたわけであります。これについても、政府はこの検討結果の説明書に、国による現地調査等によって放射線測定装置の機能及び測定記録等のチェックは正確にやったと書いてあるのですが、それは実際はやっていなかったということが、この前の委員会で明らかになりました。私どもの指摘から、政府はあらためて調査に出向かれたことは事実であります。  ところが、私が科学技術委員会で指摘したことと、政府側が調査をした結果とは大きく食い違ってきたわけであります。その当時、われわれの指摘は、一地点での測定に要する時間は東京電力の説明によっては十分ないし十五分、これはテープレコーダーの記録があります。東京電力が実際野外で実験をしてくれましたのをはかったところでは、十分でありました。しかも、これを問いただしましたのに答えた伊長次長は、おおむねその測定方法は妥当と答えておられます。この測定時間でいけば、電力会社や県の公式に発表しております報告書の測定記録どおりにいかないのです。時間的には不可能な測定が可能になってるような現象があったわけであります。  そこで、科学技術庁は調査するとおっしゃった。その調査報告書をいただきました。それによりますと、一地点四分ないし五分で測定可能、こうなっているのです。私どもが聞いてまいりました、あるいは私どもが実際はかった時間の半分で測定できる、こうなっているのであります。一地点の正確な測定に必要な時間がこんなに大きく違うはずはないのであります。ほんとうに正しい測定をしようと思った場合には、一体四、五分が正しいのか、十分ないし十五分というのが正しいのか、どっちなんですか。
  286. 森山欽司

    ○森山国務大臣 事務当局に説明いたさせますが、すでにこの問題は科学技術特別委員会で一回か二回論議されている事項でございまして、また重ねてここで貴重なる時間をとられる御意図をそんたくするのに苦しんでおりますが、御質問でございますから、私でも答えられますけれども、私より伊原原子力局次長をして答えさせます。
  287. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先生御指摘の点につきましては、私どもも調査員を派遣いたしまして、ことしの二月二十八日から三月二日まで……(瀬崎委員「一地点の測定時間についての違いはどこから起こるのか、それだけです」と呼ぶ一実際に車を走らせまして測定をいたしました。その結果、先ほど先生の御指摘がございました、私が測定方法はおおむね妥当という、その測定方法そのとおりで実施をいたしましたところが、合計時間が四分ないし四分三十秒で各地点が完了しておるわけでございます。まず車をとめまして測定台におろしまして、サーベーメーターをセットして線量チェックいたしますのが一分ないし一分三十秒でございます。それから地上一メートルの測定が五秒ずつ十二回でございますので、一分でございます。それからサーベーメーターの移動などが約三十秒でございます。それから地上〇・三メートルのところでまたもう一度測定いたします。これが五秒の十二回で一分でございます。さらにサーベーメーターを測定台から車に戻す、これが三十秒、合計いたしまして四分ないし四分三十秒ということでございます。  なお、東京電力にいろいろ聞き合わせましたところが、瀬崎先生その他大ぜい御視察にお見えになったときは、国会の先生でございますことに敬意を表しまして、十分時間をかけていろいろ御説明を申し上げたので、つい時間が長くなったというふうなことを申しておるようでございます。
  288. 瀬崎博義

    瀬崎委員 決して国会の先生に敬意を表して長くなったのではないですよ。これは一昨日ですか、おたくのほうからいただきました報告書、つまりいまおたくが読み上げられました内容です。これで抜けているのがあるのです。私どもが参りましたときの東電の永野勇課長、これが説明に立ちましたが、車にサーベーメーターを積んで目ざす地点に到着する、器具をおろす、しかし車がそばにおったのではそれ自体が測定に影響するので、約十メートル離さなければならない。それから測定器の安定のために一分ないし二分、間を置かなければならない。そのためにわざわざ測定者は十メートルほど歩いていって往復して戻ってきている。つまり、そういう時間も見込んでいるわけですね。いま出されているあなたのところの報告書には、そういうのが全部ないわけです。だから、そういう意味ではまことに非科学的な報告書だと私たちは考えざるを得ない。だから、これはあらためて私は調査する必要がある問題だと思うのです。  ここでちなみにちょっと御紹介しておきますが、通産省の公益事業局が発行しております「原子力発電、その必要性と安全性」というパンフレットの中にはこう書いております。もしお互いの間に何か誤解でも生じるようなことがあったら、これはつまり電力会社住民のことでありましょう、通商産業省や科学技術庁が協力してその誤解を解きほぐすために努力することにしております。明らかにいまそういう誤解が生じております。一地点の同一の測定をするのに、時間が四、五分かかるというのと十分ないし十五分かかるというのとでは、これはたいへんな違いであります。  まず、このパンフレットを発行しておる通産政務次官がおいでなので、こういう事態が生じたら、このパンフレットどおりきちっと調査をやり直してみますか。
  289. 森下元晴

    ○森下政府委員 安全に関することでございますから、慎重な上にも慎重を期したいと思っております。
  290. 瀬崎博義

    瀬崎委員 科学技術庁の調査では、電力会社の当初の説明と違った結果が出てきた。通産省のこのパンフどおり、一ぺん通産省でもこれは指導の立場にありますから具体的にやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  291. 森下元晴

    ○森下政府委員 よく内容を調査しまして、検討すべき内容でございましたら十分検討をさせていただきます。
  292. 瀬崎博義

    瀬崎委員 つまり、原子力発電所の周辺に対する放射能監視の体制、システムというのは、いま申し上げました大きく分けて二つあるのですが、二つともがいずれも疑惑を招くような内容のままになっている、こういうわけであります。  次に三つ目。すでに先ほどずいぶん話もありました温排水の影響の問題であります。この温排水につきまして、「検討結果説明書」ではこういうふうにいっております。「環境庁においては、温排水に対して、排水基準の設定等による何らかの規制措置を可及的速やかに実施すべく、中央公害対策審議会に温排水分科会を設置して、目下検討が進められているところであり、」。きのう「可及的速やかに」とは一体いつをめどにしているんだという質問をいたしましたら、結局この答えが出なかったのであります。  まず、こういう説明書の中にこういうことを書き込まれました科学技術庁のほうにお伺いしたい。長官、少なくとも「可及的速やかに」であります、めどは立っていると思うのです。いつまでにこういう基準をきめられるのですか。
  293. 森山欽司

    ○森山国務大臣 「可及的速やかに」とは形容句でございまして、できるだけ早くという意味であります。しかし、御案内のとおり、新たなる基準の設定でございますし、拡散範囲もきめなければなりませんし、温度差もきめなければなりませんし、場所その他の問題も技術的に非常にむずかしい問題でございます。水質基準の中で水質の中にはほかのものはいろいろな物質等が入っておるわけでございますが、これは温度の問題でございます。したがって、その基準のきめ方というのは従来のやり方と違うわけでございまして、当の責任者はこの問題をどういうやり方をしていいのか非常に真剣に取り組んでいるようでありますが、まだ結論を得ない。そして先ほど来お話がございましたように、できるだけ早くきめたいということで、分科会もつくって一生懸命勉強しておるというところでございますから、そういう姿勢に対して科学技術庁のほうが先ほどのような表現をいたしたことで間違いございませんし、また現に環境庁でそういう問題に熱心に取り組んでおるが、むずかしいのでなかなか結論が出にくいというのであります。  先ほど私は、そのことを阿部委員の御質疑に際しまして、その趣旨についてもお話をいたしたつもりでございますから……(瀬崎委員「可及的速やかに」のめどを聞いているだけなんです、説明は私も聞いていますから」と呼ぶ)一々「可及的速やかに」というものを書いたから、これは一体何だというような……(瀬崎委員「何だとは言ってない、いつがめどだということを言っているんです」と呼ぶ)うやむやにするような意味ではないのでございますから、どうかひとつそういう形容句として御理解願ったらいかがでございましょうか。
  294. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それでは、中央公害対策審議会で検討を進められているというのですから、一体どの程度まで検討が進み、一体いつごろをめどにして基準を出そうとしていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  295. 太田耕二

    ○太田説明員 お答えいたします。  結局、拡散範囲とか、それから水産物、プランクトンに対する影響の度合いがはっきりいたしておりません。したがいまして、そういったものが集まった段階で拡散範囲並びにその温度差、その辺をきめざるを得ないわけでございます。したがいまして、その辺のめどが、残念ながらここではっきり明言できませんので、できるだけ早くというふうにお答えするより現在のところしかたがないわけでございます。
  296. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いま一つ。これはある新聞では、特にエネルギー庁がこの温排水の排水基準を定めるにあたって、電力会社サイドに立って相当高い温度を要求しているために非常に難航しているというふうな記事も出ておりました。そういうことがあるのですか。次官、いかがでしょう。
  297. 岸田文武

    ○岸田政府委員 そのような御指摘のような事実はございません。
  298. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういたしますと、ここに「可及的速やかに」というふうな表現を使ったこと自体が私は多少問題ではないかと思うのですね。めどは立っていない。森山長官、そういうことでしょう。少なくとも日本語でわれわれが解釈できる範囲内の「可及的速やか」だというふうなめどが立っていない。だから、こんな表現を少なくとも責任ある文書に使うこと自身がおかしいではないですか、こう聞いているのです。
  299. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私はいささかもさように思いません。できるだけ早くやりたいという主観的意図があらわれておるのでございまして、科学技術庁もそう思っておりますし、環境庁もそのように思っておる。しかし、なかなか調査が十分行き届いておりませんし、むずかしい問題で初めてやることでございますから苦慮しておる。しかし、できるだけ早くやりたい、可及的すみやかにやりたい。それはいつなんという御返事ができるような段階だったら、いつと書きますよ。書けないから、できるだけ早くやりたい、こう言っているのであって、そういう御質問が出るゆえんが私はわからない。何のために一体そういう御質問をされるのか。そういう日本語の解釈を、いつまでにという返事を、責任大臣の立場からいたしかねるわけであります。
  300. 瀬崎博義

    瀬崎委員 少なくも、できるだけ早くというのと可及的すみやかにというのは、これは読むほうによって印象がうんと違いますよ。  さらに、このことについて一つ申し上げますけれども、では、排水基準が定められました場合、これが安全審査の基準と違っていた場合には、あらためて設計変更を要求されるわけですか。審査をやり直されますか。
  301. 森山欽司

    ○森山国務大臣 その御質問の趣旨はどういう意味ですか。もう一回聞かしていただきたいのです。
  302. 瀬崎博義

    瀬崎委員 現在、安全審査で認められておる排水口における温度基準に対して新しく定められた温度基準がぐっと低くなった場合、その場合にはあらためて温度を下げて排出するような装置をつけさせるように政府審査をやり直しますか、そういうことです。
  303. 森山欽司

    ○森山国務大臣 従来やってきたやり方と、それから今度新しい基準ができるであろう場合に、もし下がります場合の措置につきましては、それはこれからのものはそういう基準にのっとりますし、もしそれに反するものがあれば、それはできるだけ実情に合うように改善する措置をとるようにいたさせることはもちろんであります。  しかし、いままでの問題について全部が全部それができるかどうか、そういう方向で努力をいたさせるということになろうと思います。どういう結論が出るかまだわかりませんから、現在やっているやり方よりもっとゆるいやり方であるのがいいのだという結論が出るかもしれませんし、そうかといって、いままでやっているやり方が成り立たないようなやり方で基準が出るとも考えられませんし、この辺のところは出たところでまたあらためて考える、こういうふうにいたしたらどうかと私は考えます。
  304. 瀬崎博義

    瀬崎委員 温排水の問題は現在漁民の間で非常に大きな問題になりつつありますが、おそらくいまの答弁を漁民が聞いて納得される方向ではなくて、逆にまた私は不安を増す方向になるのではないかと思いますね。  次に、再処理工場の問題です。いろいろともうお話が出ておりましたから重複は避けまして、一応使用済みの燃料を硝酸で溶かしてプルトニウムを取ったりいたしますが、最終的にはずいぶんと強い放射能を持った廃液が残りますね。これは一応地下の特殊なステンレス製のタンクにためるというふうに聞いているわけですが、何年間ぐらいため得るタンクになっているのですか。
  305. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先生の御指摘は、非常に高いレベルの放射性廃棄物と申しますか、廃液の貯蔵の問題だと思いますが、これにつきましては、すでに米国におきまして三十年間の開発経緯がございます。
  306. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いやいや、この東海のは何年分のか。
  307. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 その設計は長期にもつという設計でやっておるわけでございます。したがいまして、長期間そこに貯蔵する、それをさらに固化いたしましてさらに安全なものにする技術というものも現在世界的に開発されておりますし、わが国も鋭意研究をいたしておる次第でございます。
  308. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大体年間どのくらいのオーダーの放射能がそこへたまるのですか。
  309. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま正確な資料は持っておりませんが、年間の処理量が約二百トンとか二百十トンとかいわれておりますから、それで燃えます量、それと減衰、それを勘案いたしまして計算をいたして、十分な余力を持ってその貯蔵施設をつくっておるわけでございます。
  310. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そんなことを聞いているのではなくて、概略のめどとして一年間でどのくらいのオーダーの放射性物質がそこにたまりますか、これを聞いているのです。
  311. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま正確な資料を持っておりませんので、後ほど御報告いたしたいと思います。
  312. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私たちが聞いておりますのでは、年間数億キュリーの放射性物質がたまるであろう、こういわれておるのです。しかも貯蔵できる容量は、日量〇・七トン平均で操業した場合には五年間くらいと聞いているのですが、そうじゃないのですか。
  313. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 最低五年はもつ。五年でだめになるということではございません。米国の例で申しましても三十年近くもっておるわけでございますから。さらに昔に比べて技術も進歩いたしておりますので、相当長期にもつと考えております。
  314. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その貯蔵された放射性物質の放射能の減少は、自然に減るのを待つのですか、さらに何か手を加える手段があるのですか。
  315. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいまのところ自然に減衰するのを待つというのが一般のやり方でございます。なお、これにさらに放射線と申しますか加速粒子を当てましてこれを改変させるという研究も一部わが国で検討しておりますけれども、これはすぐに実用になるというものではないと聞いております。
  316. 瀬崎博義

    瀬崎委員 自然の減衰を待つとすれば、人体に影響がない状態になるまでに何年くらいかかるのですか。
  317. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 これは放射性核種によって違うわけでございます。ストロンチウム、セシウムなどは半減期がかなり長いわけでございますので、そういう意味では半永久的に……。
  318. 瀬崎博義

    瀬崎委員 かなりと言わないで、数字で言ってください。
  319. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ストロンチウムは二十八年、セシウムは三十年程度であると記憶しております。そういう意味では、半永久的な貯蔵になると考えております。
  320. 瀬崎博義

    瀬崎委員 とにかく、半永久的に貯蔵しなければならないほどに強い放射能の物質が、再処理工場で再処理した結果たまるのです。つまり、再処理工場とは使用済みの核燃料を再処理して全く放射能のない物質にするのではなくて、結果的には死の灰のかん詰めをつくるようなものですね。ですから、幾ら大臣が安心だ安心だと言われましても、事実はこういう非常に危険なものを抱えることになるのです。そういう点で、再処理工場はきわめて未解決な問題を含んだままいま試運転されようとしている点で、これまた国民にとっては心配の種である、こういうことにならざるを得ないと思います。  そこで、もう時間の関係もありますから、最後にまとめて、原子力行政全体がほんとうに国民の期待にこたえて民主的に向かっていくのだろうかどうか、経済的なメリットを住民に与えるだけではなしに、真に住民の不安にこたえて原子力発電所安全性が確立されるような方向に行政が進むのかどうかという点について、お尋ねをしておきたいのです。  すでにこの委員会でも触れられたようでありますが、田島委員辞任問題については、森山長官は、一度会った上でコメントしたいということで、コメントを避けておられました。しかし、一般に伝えられるところでは、長官の非民主的な原子力委員会の運営に批判を持っておられた、こう聞いているわけなんです。私は、どうされるかこうされるかをコメントしていただく必要はありませんけれども、少なくともそういう批判があったということが事実として新聞に報道されている今日、長官はそれに率直にこたえて、反省すべき点は反省されることがまず第一ではないかと私は思うのですが、反省の意を表明される意思はありますか。
  321. 森山欽司

    ○森山国務大臣 先ほど廃棄物の問題で何かえらいあぶないようなお話がありましたが、これはそんなことはありませんですよ。長い時間がかかりますからきょうは申し上げませんが、廃棄物処理についてもはっきりしためどを持ってやっておるわけでございますし、そういうことによって安全性に疑念を生ずるような必要は全くないと思っております。  しかし、それはそれとして、いまお話のございました田島委員の問題につきましては、この問題が表面化いたしましてから今日まで、御本人がどういう意図でお考えになっているかわからないからそれについてコメントはしない、きわめて御懇意に願い、別に意見の食い違ったことも私自身はなかったから、有能な方であるからぜひひとつ引き続きやってもらいたいと思って、極力慰留を申し上げたいというふうに考えておりますことは、今日といえども変わりません。一たんお目にかかって隔意なき懇談を遂げたいと思います。しかし、新聞に書いてあることを一々気にしましたら、これはわれわれの原子力の平和利用、原子力発電の立て直しはできないわけでございますから、ときどき新聞等マスコミに散見されるいわれなき誹謗に対しては、私ははなはだ遺憾に存じておるわけでございまして、瀬崎委員は何をさして言われるのか存じませんが、事田島委員の問題に関する限り、一貫してコメントするわけにはまいりません。新聞記事に書いてあると称せられるものの中で、いわれなき批判に対してはいささかも気にしないで所信に邁進するつもりでございます。
  322. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうしますと、結局、原子力委員会の運営にあたって、委員長である長官はいささかも非民主的なところはなかった、こういうふうにおっしゃっているわけなんですか。
  323. 森山欽司

    ○森山国務大臣 まさにそのとおりでございます。私は最も民主的に委員会を運営してまいりましたし、今後といえどもまいるつもりでございます。それをいかにも民主的じゃないような点をあなたから言われることは、国会内で言論の自由ではございましょうけれども、聞いている私はあまりいい気持ちしませんね。
  324. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もうそれだけお聞きすればまことに十分であります。  最後に、原子力委員会設置法の目的にはこう書いてあります。「原子力の研究、開発及び利用に関する行政の民主的な運営を図るため、総理府に原子力委員会を置く。」長官は民主的にやっているのだというお話でありますが、周囲はそう見ていないところに問題があるのであります。だから、その周囲の批判にこたえる気があるかどうかをいまお尋ねしたら、全くなしということであります。  こういうことになってくるのは、私は、長官が委員長を兼務するという法律の仕組みにも問題があろうかと思うのです。ですから、そういう意味では、民主的運営が明記されている以上、それがより徹底するために、長官が委員長を兼務するというやり方をやめて、委員の中から委員長を選ぶ、私はこれを唯一の方法として提案するのではないのですが、そういうことも含めて民主的な選出方法に変えるよう法律の改正等を考えられる意図はあるかないか。これもほんとうに民主的な意図を持っていらっしゃるかどうかの判断の一つとしてお聞きしたいと思うのです。
  325. 森山欽司

    ○森山国務大臣 私の委員会運営が非民主的であるという御判断は、国会は言論の自由の場でございますから、あなたがおっしゃるのは御自由であるが、私も言論の自由を持っておるのでありまして、とんでもないことで、真相が明らかになりますれば、森山科学技術庁長官はいかに民主的な運営をしているかということが明らかになるわけであります。しかし、今日の段階において私はそういうことを一々申し上げないと、先ほど来言っておるのであります。  それから、科学技術庁長官原子力委員長を兼務することについて法改正の意思ありやということでございますが、全くございません。
  326. 瀬崎博義

    瀬崎委員 きわめて限られた時間でございますから、現在広く国民なりあるいは学者なりが疑問を持ち不安を持っている問題全部に触れることはできませんでしたが、しかし、私が、取り上げた幾つかの問題のどれ一つとってみても、率直にまじめに国民の不安にこたえるような原子力行政の姿勢は示されなかった。こうなってまいりますと、結局いま出されておりますこの税法を中心とした三法案は、結局、経済的な利益誘導で原子力発電所の建設を進めようとする考え方のもとに出されている、こういう断定が生まれてくるのではないかと思います。しかも、その税金は、結局最後は国民のほうにそのつけがいくような仕組みと聞いておりますので、まことにもってのほかだと思います。そういう点では、私は所属の委員会は違いますけれども、本委員会に寄せていただいた機会に、はなはだ遺憾であるということを申し上げて、質問を終わります。
  327. 森山欽司

    ○森山国務大臣 どうも平素科学技術特別委員会でいろいろやりとりをしている仲でございますが、きょうのようなお話ははなはだ納得できない。あなたの言うことを聞かぬとみんな非民主的になってしまう。共産党の委員さんの話を聞かないとみんな非民主的であるとするならば、事はきわめて重大であります。これはもう少し弾劾されるような御発言ではなくて、平素懇意に願っておるわけでございますから、もう少し御激励を願いたいと私は思うのであります。それから実情をもう少し承知の上で御発言を願いたいと私は思います。
  328. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次回は、来たる二十四日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後八時二分散会