○武藤(山)委員 あなたは大臣でないのだから、経済体制まで転換をしろと言われても、次長の答えられる範囲でないことは百も
承知であります。しかし、ヨーロッパの情勢などを役人の立場から十分検討するならば、やはり日本の
原子力の
安全性というものを確保する上から、もはや体制そのものを
原子力の場合は変えなければ、国民の安心感、信頼は得られない。不安感というのは一そう拡大されるばかりである。でありますから、発電所も容易に用地の取得はできない、反対勢力はかなり拡大をされていく。そういう全体のものを見渡したときに、日本の
原子力の
あり方、取り扱い方というものをこの辺で再検討しないと、六十年度に六千万キロを何とか発電したいといっても机上のプランに終わるであろう、こう私は思うのであります。
そういう点で、せっかくもっと全体の日本民族的な立場から、日本の国民の健康、そういうものを本気で、生物学的な、人体学的な立場からも、
原子力委員会はそのあるべき姿を、利益の追求である資本主義の株式会社
制度というものの限界というものを、この辺で十分検討し直さなければいけない、そういう職種が
原子力関係ではなかろうかと思うのであります。
あなたにそれ以上のことを答えよと言っても無理な話でありますからやめますが、いずれにしても、われわれが
原子力発電にたいへんな危惧を持ち、不安を持って、野党が多くの
部分で反対運動をしているのは、
安全性というものに対してなるほどと国民に
納得せしめ得る材料を、
原子力委員会も科学技術庁も与えていない。もうちょっと公開の場で徹底的に賛成、反対の
学者同士の全国民にわかるような討論というものを、ひんぱんにテレビを通じてでも徹底的にやるべきではないか。そういうものが開かれない限り、閉ざされた門はなかなかあかない、こういう感じがしてなりません。
せっかくそういう努力をしなければ、先へ先へ進んで、ろうそくでまさか
勉強しろというようなことは暴論でありますから、需要があり供給が足りなくなるということについては、私たちもその事実は認めます。認めるけれ
ども、さりとて二十年後、三十年後の子孫が
一つ目の子だの、鼻のない子だのというものが出たのでは、これまた人類史上たいへんに大きな問題になるのでありますから、われわれしろうとにはわからない、目に見えない、つかむことのできない公害の問題でありますから、それは専門家の
原子力委員会や科学技術庁が十分再検討して、国民に安心をしてもらえるようにしなければならぬ、強く要望いたしておきます。
最後に、間もなく大蔵次官になるであろう
高木さんにちょっと注文をつけたいのでありますが、先ほど佐藤君からも
指摘がありましたように、
税制調査会に全然はからずに、拙速をとうとんで、いい
目的税だからやったのだ。これは慎重な
高木さんとしては、少々手抜かりではなかろうかと私は感ずるのであります。どうしても踏むべき手続
——やはり民主義の政治というのは、
高木さん、結論がいい悪いよりも、その過程における手続が尊重されるのが民主政治のよさなんであります。でありますから、やはり慣行としてやってきた手続というものは踏むべきではないか。
したがって、私は、この
委員会は名
安倍委員長のもとで一応この
法案は凍結しておいて、参議院議員選挙後臨時国会が開かれるのですから、ひとつそれまでの間に
税調の
意見を一応聞いて、手続はきちっとやってきた、そして商工のほうも
法案の
審議を慎重
審議やった、しかる後に大蔵
委員会としてはこの
目的税を採決したというのが慎重な
高木さんのとるべき態度であるし、名
委員長といわれる安倍さんのとるべき態度ではなかろうか、私はこんな感じがしてならぬのであります。十月実施でありますから、そうあわてていますぐやらなきゃならぬという緊迫した災害の問題とは違うのでありますから、ひとつその辺をぜひ御考慮いただきたいということを申し上げ、
委員長には忠告をも含めて取り扱いを慎重にせられたしということを進言して、私の質問を終わりたいと思います。