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1974-05-17 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 村山 達雄君    理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君    理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    金子 一平君       栗原 祐幸君    小泉純一郎君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       萩原 幸雄君    村岡 兼造君       毛利 松平君    山下 元利君       佐藤 観樹君    高沢 寅男君       塚田 庄平君    武藤 山治君       村山 喜一君    小林 政子君       広沢 直樹君    竹本 孫一君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         大蔵政務次官  柳田桃太郎君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     小野 雅文君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 五月十六日  発電所所在市町村に対する税制上の優遇措置に  関する陳情書  (第五六三号)  零細預貯金減価対策に関する陳情書外二件  (第五六  四号)  農業後継者に対する相続税特別措置に関する  陳情書(第五六  五号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号)      ――――◇―――――
  2. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。塚田庄平君。
  3. 塚田庄平

    塚田委員 実はおととい阿部議員から質問があったのですが、もう一ぺん確認をしたいのですが、目的税とはどういう税金かということ、目的税の定義になりますか、これをひとつ重ねてはっきり言明していただきたい。
  4. 高木文雄

    高木(文)政府委員 目的税というのをどう概念するかということについては、学問的と申しますか、そういう意味では私どももあまり十分適当なお答えができませんけれども、税のうちで、その使途税法上明らかに定めておるというものを通常目的税と呼ぶというふうに考えております。その使途を徴収の段階で初めから明らかにしているものであるというふうに考えております。  ただ、その場合に、その使途というのは、たとえばガソリン税の場合について、現行では道路整備に充てるというふうに非常に明確になっておりますけれども、単に譲与税的なものとして地方財源に充当するのだということだけを明確にして、そして地方財源に充てるのだけれども国税として徴収するという形式をとっているものもあるわけでございまして、その結びつけをどの程度目的を明定したものに限って目的税というべきかということについては、必ずしも明確なる概念整理ができていないということではないかというふうに思っております。
  5. 塚田庄平

    塚田委員 おとといの答弁の中で、国税目的税と考えられるものは地方道路税、特別とん税、こうお答えになりましたが、その点は間違いないですか。
  6. 高木文雄

    高木(文)政府委員 まず、非常に厳密な意味での目的税というのは、地方道路税と特別とん税であるというふうに思います。その厳密な意味というのは、現在で申しますと、揮発油税なり石油ガス税、これはLPGでございますが、なりについても道路整備に充てるということがきまっておりますけれども、これは臨時的な措置としてそうなっているのでございまして、道路整備なり何なりが終わりましたならば、この揮発油税という制度石油ガス税という制度は当然にやめることになっているかというと、そうではなくて、ことに揮発油税については、揮発油から揮発油税負担を特に求めるという制度は、もともと前からあったわけでございます。それを一時的に現在は全部道路整備に充てますということを臨時的にきめているという意味において目的税となっておりますけれども揮発油税そのもの。が本来的に目的税であるということではないという点で、厳密な意味での目的税からははずれるのではないかというふうに御説明をしたわけでございます。
  7. 塚田庄平

    塚田委員 高木さんはたいへん勉強家といいますか学者なんで、私どももなかなか敬服しているのですけれども、御承知のとおり、地方道路税というのはそもそもガソリン税から始まった長い歴史があると思うのですよ。ガソリン税から地方道路税をピックアップしてこれに目的税的な性格を与えたということ、その過程は税調で長い間の議論の末に、たしか昭和三十年ですか、そういう形に変わってきて、その当時、税調でも目的税あるいは受益者負担ということについて激しい議論というか、相当分厚な意見書も出ておる、こういうことは高木さん御承知でしょうか。その点ひとつお伺いしたい。
  8. 高木文雄

    高木(文)政府委員 かなり以前のことでございますので、私は詳しくは存じませんが、また申しわけございませんが、当時のその部分答申を最近読み直しておりませんけれども、とにかくいろいろな議論がその当時繰り広げられて、税調で慎重に審議されたということは承知いたしております。
  9. 塚田庄平

    塚田委員 詳しく御存じないという話ですが、これは実は昭和三十六年の十二月に「税制調査会答申及びその審議内容経過説明」というのが出ています。これはもうそう遠い昔じゃないですから、十年くらいですから、その中の「制度沿革」の中で、揮発油税について昭和三十年から、揮発油税の中から地方道路税だけをピックアップして目的税的な使用のしかたをするということについての理由を長々と述べておるわけですよ。これはどうでしょうか、十分認識されておられるでしょうか。具体的に言うと、これは長い答申ですが、その答申の「揮発油税及び地方道路税」というところの第二の中に、制度沿革として述べられております。
  10. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ちょっと不勉強で申しわけございません。その部分は率直に申し上げて、前にちょっと見ましたけれども、最近特に読んでおりませんので……。
  11. 塚田庄平

    塚田委員 その点はあとでひとつ議論の中で展開したいと思います。  それでは、特別とん税ができた。いま、これを目的税と規定されましたね。その目的税は局長の説明では、税のうちでその使途税法上明らかに定めておるもの、こういま答弁されましたね。とん税はどうでしょうか、その使途を明らかにしておりますか。
  12. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これは第一条に「特別とん譲与税は、特別とん税法の規定による特別とん税の収入額に相当する額とし、同法第二条の開港に係る港湾施設が設置されている市町村自治大臣指定するものに対して譲与するものとする。」という形で、特別とん譲与税法の第一条で、港湾施設が設置されている市町村指定するものに譲与するということで、市町村譲与するために特別とん税というものの制度がつくられておるということを、譲与税法のほうで明定するという形になっておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  13. 塚田庄平

    塚田委員 それは使途を明示したのじゃないでしょう。交付する市町村というのは、そういう港湾施設を持っておる市町村に対して交付するということであって、何に使えということをそれはうたっているのじゃないでしょう。
  14. 高木文雄

    高木(文)政府委員 そこは譲与税という形をとっておるわけでございますので、逆に第五条のほうにいって、「国は、特別とん譲与税譲与に当つては、その使途について条件をつけ、又は制限してはならない。」ということで、その種の市町村に対する財源付与のための税であるという性格になっておるわけでございまして、そのどこまでを使途というか、つまり市町村でどういうふうに使いなさいということまで明定してないではないかとおっしゃいますけれども、そこは実は、私ども考え方と若干地方自治考え方との関連に触れてくるわけでございますけれども地方団体における使途を厳密に縛るという形をとることについては、地方自治のたてまえとの関連がございまして、港湾施設が設置されている市町村だけに交付されるということがございますから、言外に当然、その市町村は直接にではないけれども港湾関係維持管理等の経費に主として充てるという気持ちはあると思います、が、法律形式としては、おっしゃるように、厳密な意味での目的指定がないという形式がとられております。
  15. 塚田庄平

    塚田委員 あなたはいま、厳密な意味における目的税地方道路税と特別とん税だ、こう言ったでしょう。いまの答弁では、厳密な意味における目的税ではない。あなたは特別とん税というのはどういう仕組み地方財源に入っていくか御存じですか。これは第五条できめておるように、何も使途を限定するわけでもなく、むしろその使途は限定してはならない。つまり、一般財源として地方財政収入に充てられるのですよ。これは厳密な意味における目的税ですか。
  16. 高木文雄

    高木(文)政府委員 厳密な意味とか厳密でないとかいうことの表現が不十分であったかもしれませんが、私が最初に申しましたのは、地方道路税と特別とん税は厳密な意味においても目的税といえましょう。ガソリン税一般には目的税目的税といわれておりますけれども、これは厳密な意味での目的税とは言い切れないのではないか。その理由は、もともと目的をきめてガソリン税があるわけでなくて、もともとガソリン税という制度があって、臨時的にいま目的をしぼっているのだから、厳密な意味では目的税ではないという意味で申し上げたわけでございます。  それで、いまの御指摘の特別とん税は使途が明定されていないではないかという点でございますが、それは文言の上においては、おっしゃるとおり、この金を当該市町村が何に使えというようなことは書いてございません。むしろ逆に、使途について条件をつけてはいけない、こういっているものですから、そういう意味ではまた、私が当初申しましたのと若干違うようでありますけれども、たとえば第二条をごらんになりますと、第二条では配分基準をきめてあるわけでございます。配分基準をきめるのにつきまして、もっぱら港湾施設とかなんとかということを一つ基準にいたしまして、それで市町村別の案分とかなんとかいうことをきめてあるわけでございます。これらを通じてみますならば、当然港湾維持管理ということと関連をして特別とん税というものがあり、特別とん譲与税というものがあるというふうに理解をしていいのではないかと思います。
  17. 塚田庄平

    塚田委員 それは高木さんらしくない答弁だと思うのです。配分基準がきめてあるから使途が明瞭だ。極端にいえば、地方交付税だって配分基準をちゃんときめているのですよ。そんな論法でいけば、どれもこれもみな目的税になるでしょう。特別とん税は、これは学者に対してこういうことを言うのはたいへん申しわけないのですが、これは普通税と考えるのが当然だ。一般的に港湾施設整備に使われるから目的税という概念でとらえられておるけれども、厳密にはこれは普通税だ、一般税だ、これが学説であり、もしうそであれば、大蔵省の役人の書いた本を読んでもいいですよ。特別とん税は決して目的税ではない。普通のとおり一般財源として地方に入って使うのが、たまたま——たまたまというかそういうことで使われておるので、その使途を制限しておるのじゃないですよ、規制しておるのじゃない。これは目的税じゃないと思うのです。
  18. 高木文雄

    高木(文)政府委員 それは私はもっぱら法律形式のほうから申したわけでございまして、法律形式から申しますと、地方道路税と特別とん税については、とにかく国税でございますけれども法律——その法律というのは特別とん譲与税法で定めるところによって、地方公共団体財源譲与するため、外国貿易船が入港してくる場合に特別とん税を課する。「譲与するため、」こうありますから、そのことで国税のほうの特別とん税として見る限りは、一応目的形式的に法律上定められておるというところから、法形式的に申しますと目的税といえるのではないかと思います。  それが今度は、経済的に見ました場合にどういうふうに考えるべきかというふうなことになりますと、むしろ先ほど例に引きましたガソリン税のほうが現在目的が明確になっておりますから、ある意味から申しますと、特別とん税よりもガソリン税のほうが目的税的性格を、経済的に見ると強く持っているということはいえると思います。
  19. 塚田庄平

    塚田委員 経済的なことはとにかくとして、これはいろいろな見解が出てくるでしょう。だけれども、特別とん税については、譲与税法で国はその使途について定めたり制限してはならないと、明確にうたってあるでしょう。あなたはさっき答弁の中で、目的税とはその使途税法上明らかに定めておるものと答弁されたでしょう、これが厳密な意味における目的税だと。ところが、とん税では法律でその使途について条件をつけたり制限をしてはならない、こうなっているのですから、税法目的税ではない、こういうの、がすなおな解釈じゃないですか。
  20. 高木文雄

    高木(文)政府委員 御指摘のように、譲与税法の五条にはそう書いてあるわけでございます。したがって、特別とん税と特別とん譲与税法とを読み合わせますと、逆に目的をしぼっていないという形式になっておるわけでございますので、その点について私ももうしばらくよく勉強して、あらためてお答えをいたしたいと思います。
  21. 塚田庄平

    塚田委員 高木さんのそういう答弁は、特別とん税というのは、はたして目的税といえるかどうかということについての疑義を本人自体持っている。  それからもう一つ地方道路税、あなたいま揮発油税のほうがむしろ目的税的なものに経済的に見れば近い、こう言いましたね。私も道路税というのは目的税ではないとは言わない。だけれども、これは長い沿革があって、目的税として当初から設定されたものじゃなくて、道路整備という特殊な条件の中で、とにかくそれに重点的に充てよう、こういう経済的な要請の中でできたのであって、いまとなってはこれも道路に使っていますから、そういう答弁もできますけれども、長い沿革を見ると、のっけから目的税として設置されたものではなくて、地方道路税だけをガソリン税からピックアップして、とにかく長い後代の人まで道路を使わなければならぬのですから、そういう性格上、目的税的な性格を付与した、こう考えるのがたてまえだと思いますけれども、どうでしょうか。税調はそういっているのですよ。
  22. 高木文雄

    高木(文)政府委員 法形式的には揮発油税のほうは目的税ではない。それから地方道路税のほうは、第一条に初めから「都道府県及び道路法第七条第三項に規定する指定市に対し、道路に関する費用に充てる財源譲与するため、揮発油には、この法律により、地方道路税を課する。」と規定してございますから、先ほど来申しておりますように、法律形式的に見ますと、同じガソリンにかけられる税でございますけれども地方道路税のほうは目的税として構成されておりますし、揮発油税のほうはその限りにおいては目的税的に構成されていないという、いわば形式論で申し上げているわけでございます。
  23. 塚田庄平

    塚田委員 私は、いまかかっている法案から離れてこれをくどくどと言っているのは、端的にいって、ほんとうに目的税として設置される、国税ですよ、国税の中でつくられた税は、この促進税をもって嚆矢とする。つまり、いろんな変遷を経て経済的にそういうふうに使っているもの、あるいは特別とん税のごとく、これは私は目的税ではないと思うのです。だから、いままでは純粋な意味における目的税はなかった。今度の促進税をもって、まず日本の税制の中で目的税というものがはっきりここに一つ出てきた、こう私は解釈するのですけれども、どうでしょうか。
  24. 高木文雄

    高木(文)政府委員 従来ありました地方道路税とかあるいは特別とん税とかいうものと比べまして、今回の新しい税の組み立てが、形式的にもまた経済的に見ましても、目的税的性格が非常に明確であるという点は御指摘のとおりだと思います。
  25. 塚田庄平

    塚田委員 目的税というものは国税の中で今回初めて——これもあとでいろいろ質問しますけれども、ここに至った法案変遷などというものは、まさにこの目的税設置の苦悩といいますか、それを物語っていると思うのですけれども、なぜ一体今日まで国税について、目的税設置乙いうことについて消極的というか、税調あたりも乗り気でなかったか、どう思いますか。
  26. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これはいい悪いは別にいたしまして、長年の伝統を通じまして、私ども財政当局考え方の中に、歳出につきましても歳入につきましても、総体として歳入歳入一括一体、歳出歳出一括一体ということのほうが財政運営弾力性からいって望ましいという考え方を持っておったわけでございます。したがって、歳出のほうにつきましては、基本的には特別会計をつくるということにつきましては必ずしもそう積極的でございませんし、それから税のほうの立場も、目的税のようなものをつくることについては、本来的には、一般論として申します限りは、積極的でないという態度をとり続けてきたわけでございます。  しかし、戦後、特別会計にしましても、それから揮発油税の例にいたしましても、漸次そういうものがわずかながら出てきておりますのは、一種の受益者負担でものごとを処理していこうということがありまして、受益者負担原則を何らかの形で明定するには特別会計をつくったほうが便利であるとか、あるいは特別に目的税的なものにしたほうが便利であるとか、そういう議論関係者には理解しやすいからということで、しばしば主張されてきておるわけでございます。  その意味におきまして、今日でも私どもは、やはり歳出につきましても、歳入につきましても、本来の原則としては一括経理ということで、いわゆるひもつきというのはぐあいが悪いということを基本原則としては考えておるという点は、今日も変わりません。ただ非常に特別に、明快にその結びつきがはっきりしておるという場合については、そういう制度をつくりますことについて相当個別に十分審査の上であれば、あえてそういうことをしてもよろしいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  27. 塚田庄平

    塚田委員 いまの高木さんの答弁はこれからの審議にたいへん重要だと思うのですけれども、そうすると、目的税というのはそもそも受益者負担考え方とこれは切っても切り離せない、こう考えていいですね。
  28. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これは税の仕組みの問題といたしましては、納税者の利害に全然関係ないところに使いなさいということで目的税にするということも、あり得ることではあると思います。しかし、現実にその目的税として構成いたします場合には、納税者とそれからその使途というものとの間において何らかの関係があり、したがって、現実問題として受益者負担的性格の強い税の場合に限って納得を得られるのでありまして、法律だから何でもできるということでは——関係のないところに使うのだ、それを目的税の構成をとるということは、現実問題としてなかなかそういう税というものは納得が得られないという意味で、成り立たぬのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  29. 塚田庄平

    塚田委員 私はいまの高木さんの答弁の中に、目的税というものを設置してはならないという一つ理由も含まれておると思うのです。目的税というのは、それはつくってはならないと限定していないのですけれども、とにかく好ましくない。特に国税の場合は、目的税という性格のものは、これは前近代的といいますか、ある学者のことばでいうと、文明の国ではもうこういう方式はとらないのだ。では地方税ではなぜとっているかといいますと、地方税ではその弊害が比較的少ない、比較的ですよ。そういうことで地方税では幾つかの目的税を許しております。だけれども国税において目的税をつくるということは、これは本来好ましくないし、やってはならないし、近代国家暦はもうこういう形態はとってはならないし、いまいった予算の統一性といいますか、一つ目的税のあるところには必ず剰余があるし、他の目的税のあるところには必ず不足がある。こういう税の体系というのはとるべきではないというのが従来とも税調考え方であり、しかし、確かに税調受益者負担という問題と目的税という問題とを非常に重く見ながら議論を重ねてきている経緯がある。それは御存じでしょう。たとえば一番近いのでは昭和四十六年の八月、これは「長期税制あり方についての答申」ですね、ここでもやはり同じように、これは好ましいやり方ではない、こう限定をいたしております。その前、昭和三十九年十二月の税制調査会の「今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な租税制度あり方」、この中では目的税というものを項目を起こして議論をしております。こういう審議内容経過説明の中でも、目的税については制限的な考え方を持っております。こういう何回にもわたる税調答申あるいは意見があるにもかかわらず、しかも特別とん税などはいま追及してみれば、きのうの答弁とはまるっきりうらはらの答弁をしておるでしょう。なぜ一体こういった重要な問題を——しかもきのうの次官の答弁は、一般財源でまかなう、そういう金がないから、時間がないからで押し通してきたでしょう。一体、そんなばかな行政なり、そんなばかな税制というものが簡単に仕組まれていいものかどうか。答弁してください。
  30. 高木文雄

    高木(文)政府委員 今回のこの税の性格でございますけれども、もともと電気を起こしますために原子力なり火力なり水力の施設をつくろうといたしましても、地域住民に何らのメリットがない。特に雇用機会もないし、安全性についてのいろいろな論議もございますし、また原子力で申しますと、温水処理といったような複雑な問題があるというようなことから、なかなか地域住民協力が得られないということがあるわけでございまして、そういう協力が得られないというのは、ある意味ではまた当然な面があるわけでございます。それをこのような時期に打開する方法としてどうしたらいいかと申しますと、それは地域住民についても納得していただけるように、いろいろな対策を講ずるということでなければならない。  さて、その費用はどうやって出すかということになりますと、一つ方法は、当然のことながら、電力会社建設コストの一部としてそれを支出してはどうか。何も税というような仕組みをとらなくてもいいではないかという考え方もあり得るわけでございます。しかしながら、たくさんあります電力会社がどのような基準で、どのような程度周辺対策をとるべきかということについては、私企業である電力会社としては非常にきめかねるというところから、今度の電源開発促進税法ということにおいて、一つ基準をつくろうということになったわけでございます。そうなりますと、そのための費用を、全国的に発電量に応じて負担電力会社に求めるという税の形式は、これは……
  31. 塚田庄平

    塚田委員 答弁の途中ですけれども、質問していることと別なことを答えているのですよ。私はなぜこういう重要なものを税調にかけなかったかということを結論的に言っているのですよ。それを長々と——時間がないのですから、なぜ税調にかけなかったかということを端的に言ってください。
  32. 高木文雄

    高木(文)政府委員 税調にかけなかったというのは、それは石油危機というような緊急事態が起こりまして、このエネルギー対策を至急にきめる必要があるということになったわけでございますが、政府部内でそういう合意ができたわけでございますけれども、その時点は大体十二月二十日ごろでございます。したがってそれを税制調査会にかけるということになりますと、審議期間その他の関係からいって、非常に慎重審議を前提としている税制調査会としては、いままでの運営と非常に違った形になりますので、あえて政府の責任において提出するということで、諮問をいたさないということにしたわけでございます。
  33. 塚田庄平

    塚田委員 もし慎重審議というならば、まず慎重審議したらいいじゃないですか。目的税については、数次にわたってこれだけの分厚な税調意見があるのですよ。しかも、先ほどの答弁の中で、本格的な目的税といいますか、本来的な目的税はこれをもって嚆矢とする、初めてでしょう。時間がかかっても、大蔵省としては、特に主税局としては、税調意見を聞かなければならぬ、こうなるのが当然でしょう。しかも、継続審議の長いああいうものから、突然政策的に必要だからといって、それがぐんぐん先行していくということになれば一体どうなるのですか。
  34. 高木文雄

    高木(文)政府委員 もしかりに税制調査会にこれを諮問いたしまして、十分御議論をいただいてその答申をいただいた上で処理をするということでございましたならば、その場合には、現実問題としては、予算に関係する問題でもございますところから、四十九年度の問題としては、おそらくやることができないということになっただろうかと推定をいたすわけでございます。  一方において、石油問題との関連上、またエネルギー対策を早く進めたいということがございますから、それではまた目的を達しないことになるというところにジレンマがあるわけでございまして、その点を御了解いただきたいと思うわけでございます。
  35. 塚田庄平

    塚田委員 そのジレンマはおかしいと思うのですよ。すでに母法のほうは、昨年七十一国会からずっと継続して、三月十二日に修正の国会承認まで求めて一つ法律が出ているのでしょ、もしほんとうに改めなければならぬのだったら、この税法税調にかけて、その上で継続審議されていた法律を下げるか、可決されていたらこれを廃案にして新しく税法を出す、こういう順序を踏まなければならぬのですよ。そうでしょう。電源開発を促進するための一つ法律というのは、もうすでにかかっていたのですよ、ついこの三月十二日まで。あれではだめなんだというのであれば、十二月の段階でもいいですから税調を開いて、実は目的税にしたい、こうだということでかけて、もし可決されていたならばそれを廃案にしてなくして、新しく法案を出す、当局としてはこういう体制をとるべきじゃないですか。
  36. 高木文雄

    高木(文)政府委員 母法のほうの取り扱いの問題は、私どものほうでお答えいたすべき筋のものでございませんけれども、昨年母法について国会に御審議を求めておりました段階では、特別会計をつくるとか、あるいは新しく目的税を設けるとか、そういうことの新しい仕組み歳入歳出面についてつくるほどの規模のものでは考えられていなかったのであろうかと思います。  それで、十一月から十二月の段階になりまして、原子力、火力の発電を進める緊急性、が高まってきたということから、関係各省から私どもに御要請があったわけでございます。しかし、その御要請の時期と結論を出します時期との間にあまりにも時間がなさ過ぎるということでございますから、御指摘のように、そういう手続を踏んでいくべきだという考え方もありましょうけれども、そうなれば四十九年度には全く間に合わないということになりますので、それもいかがかということから異例の措置をとったということでございますので、それはあくまで異例であるということで御理解いただきたいと思います。
  37. 塚田庄平

    塚田委員 ぼくはそれは理解できない。税率をちょっと変えるとか関税の品目をふやすとかで急がなければならぬ、こういうのであれば、私どもは了解する場合もあるでしょう。だけれども、かつてない新税ですね。しかも目的税という非常に問題の多い、税調の中でもいろいろ述べられておる意見を見ますと、目的税をつくるときにはこれこれのことを気をつけて、こういうふうにしなければならぬぞ、しかし、それは決して好ましいものじゃないということを繰り返し繰り返し述べておるのです。一体、税調は何のためにあるのですか。各省の要求があったというが、各省というのは何ですか。
  38. 高木文雄

    高木(文)政府委員 問題は、確かに税調の手続を踏まないということは私どもとしては非常につらいところでございますけれども、さればといって、エネルギーの問題を放置してよろしいかという、選択の判断の問題であろうと思います。
  39. 塚田庄平

    塚田委員 エネルギーの問題を放置するのがつらいから、税調を飛び越えて無視してやった。だけれども高木さん、旧法とあえて言いますが、法律、があったでしょう。同じ目的で、文面もほとんど同じ、重要部分はがらっと変わっていますけれども、経営者に負担させる、国も持ちます、地方自治体も若干持ちなさい、そういう法律があったでしょう。これはエネルギー問題を解決するための、おそらく当時としては最高の法律として出され、しかも継続審議されてきているんでしょう。何もいまここで税調を踏み越えてやらなければならぬという——何もないんだったら、あるいはあなたの意見も傾聴に値するでしょう。だけれども、そういう事態を踏んまえての法律審議が進んでおる。それをこれに切りかえるというのであれば、税調にはかって、前の法律はだめで、こういう法律のほうがいいんだ、これにするということを、税調意見をなおさら聞かなければならぬでしょう。電力についての対策は全然ないわけじゃないですよ。母法があるでしょう。しかも三月十二日にこれは修正承認された。これは電力事情を解決するために電力会社に持たせる、こういう法律ですよ。これを税金に切りかえるんだったら、当然税調に聞かなければならぬですよ。そういう答弁では私は承知できない。
  40. 高木文雄

    高木(文)政府委員 一昨日から繰り返し申し上げておりますように、阿部先生からも御指摘がございましたが、三月十二日まで時間的余裕があったではないかとおっしゃいますけれども、現実問題として、これは特別会計財源でございますから、特別会計をつくるかつくらないかという意思決定の前に、その議論をしなければならぬわけでございます。そういう余裕はなくて、ほとんど十二月一ぱいまでにきめなければならぬということしかなかったわけでございますので、それでは十日ないし二週間の時間しかないということでございましたから、現実的に諮問をして御審議を願うというだけの時間がなかったわけでございます。それならば手続をとることにして、そのかわり四十九年度はこれを見送るかということになってしまうわけでございますから、そこはあとはどちらを選ぶかということになるという以外に、お答えのしようがないということでございます。
  41. 塚田庄平

    塚田委員 どちらを選ぶかというのは、二つの法律を並列させてどちらを選ぶかじゃなくて、私に言わせれば、この二つの法律というのは、税の立場からいえば、片方は端的にいうと税金に関係ないですよ。特別会計もつくるわけじゃないし、促進税をつくるわけでもないのですよ、七十一国会から継続審議されているのは。今度修正されてきているのは、これはがらっと変わって、促進税というものを創設し、特別会計をつくって地方団体に交付するという、全く違った観点からの法律を出したわけですよ。だからこれは当然——しかも目的税というのは、いま言ったとおり、何べんも何べんも税調議論され、そしてむしろチェックされながら来ておる。それをあなたは踏み越えて、無視して、時間がないでは、税調の存在というのは全然ない。
  42. 高木文雄

    高木(文)政府委員 私がその辺の事情を御説明しようと思いましたら、発言を封ぜられましたので申し上げませんでしたけれども、今回の措置受益者負担的性格が非常に密着しているものでございますから、そういう意味におきましては、この答申のどこの面を見ていただきましても、従来の税制調査会目的税についての御議論からいいまして、決して目的税の中で都合の悪いものであるというほうの部類ではなくて、目的税一般的にはあまりどんどんつくってはいけないかもしれないけれども、まあもしどうしてもやむを得ないならば、こういう場合に限ってはつくられてもいいだろうという、そっちのほうの部類に属するものであるというふうに私ども理解をしておるわけでございます。
  43. 塚田庄平

    塚田委員 そういう議論税調議論を重ねてあなたに答申する、そういう手順がほんとうなんでしょう。もっと端的にいうと、こういうこともいえると思うのですよ。  前の旧法、これはずっと継続審議になりました。形式的には三月の十二日、国会が修正を承認するというところまで継続審議されておるわけですよ。それでは、これは仮定ですけれども、この法律を出した、しかしその法律を出した時点においてはまだ旧法は継続審議されておる。現にこれは予算として当初出したんですから、十二月に閣議決定して国会に出したんですから、その間に旧法が突然可決されたらどうなりますか。三月十二日に国会で修正承認される前に、突然可決されたらどうなりますか。仮定じゃないのです。これは本質的な問題なんです。
  44. 高木文雄

    高木(文)政府委員 これは、促進法自体のほうの問題でございますならば、どうも私からお答えするわけにはまいらないわけでございます。旧法がもし通ったらどうしたかということは、これは主管省である通産省の問題として御理解をいただきたいと思います。
  45. 塚田庄平

    塚田委員 そうじゃないのだよ。通ったら——これは別の法律というか、修正したものが出ているのだから、しかも目的税で、税法特別会計と、こういう新しい法律が追って出ているんですから、そうでしょう、あの予算を組んだときには、この法律は用意されているんですから、可決されたらこれはだめです。次の瞬間、その法律は廃案にして、今度はもう一度これを新しく審議してくれということになるんでしょう、この法律を。前のはだめだから、今度はこれでいくんだということなんでしょう。
  46. 小野雅文

    ○小野説明員 私どもといたしましては、まだ前の法律が継続審議ということできまっておりませんでしたので、一応内閣提出でございましたので、修正という方法をとっていただくのが一番いいんではないかというふうに考えまして、内閣修正の手続をとらしていただいたわけでございます。
  47. 塚田庄平

    塚田委員 これは継続審議になっていることは知っているでしょう。
  48. 小野雅文

    ○小野説明員 はい。
  49. 塚田庄平

    塚田委員 そこで、形式的には三月十二日の国会承認、つまり修正承認までは、商工委員会に付託されて審議しておるのでしょう。議決されていたらどうするのか、そういうことなんですよ。半面、この法律が並行して出ているのですよ。その時間的なずれをどうするのか。(阿部(助)委員「課長というのは説明要員か、答弁要員か」と呼ぶ)
  50. 小野雅文

    ○小野説明員 答弁要員です。  いまの御質問でございますが、商工委員会のほうで継続審議になっておりましたけれども、修正前の法律につきましては趣旨説明をさせていただいただけでございまして、一度も審議が行なわれませんでしたので、私どもとしては、これが可決されますまでにはかなり時間もかかるということで、修正をお出しすれば間に合うだろうというふうに考えたわけでございます。
  51. 塚田庄平

    塚田委員 そんなばかなことがあるか。君は答弁要員だから、一日も早く可決されたくて出している、不幸にして継続審議になった、いつ可決されるかわからない、いや早く可決してほしい、これがほんとうでしょう。どうなんです。政府は先の先まで見通して、いや、そのうちに修正しましょうなんて、そんなばかな、国会を無視した話がありますか。(発言する者あり)
  52. 小野雅文

    ○小野説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、私どもとしては法律をお出ししている以上、なるべく早くそれを審議、可決していただきたいと思うわけでございます。ただ、本地帯整備法につきまして、もしそういうことで早い機会に、私どもが修正をお出しする前に可決された、成立したといった場合には、今度は改正法といったものの提出を求めるような手続をとることになったろうと思います。
  53. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 関連して。いま塚田委員とのお話を聞いていますと、やじのほうはエネルギー問題だからということばが出ているのですけれども、これは私はたいへんな問題だと思うのですよ。これは高木主税局長の御答弁の中にも言われているように、非常に重要な問題です。エネルギー問題という、経済の根幹をゆるがす、しかも長期的にずっとこれから考えていかなければならない問題、しかも石油がなくなる、あるいは石炭もいずれなくなる、こうなっていくときに、皆さん方は原子力発電を考える、これが今度の法案ですね。そういう中で、きわめて長期的問題なのにかかわらず、いま通産省から答弁があったように、前に出したのがどうなるかわからぬうちにまた修正が出てくる。こんなことでいいのですか。  なぜここで税調税調ということを言うかというならば、税調というのは政府の中の審議機関でありますから、これは原則的には政府の手続の問題でしょう。しかし、いままで税を新しくつくる場合には、ほとんど全部税調を通ってきたわけです。この現実を無視するわけにはいかないわけですね。ですから、重大な問題であればあるだけ十分時間をかけて、税調という審議会もあるのですから、その審議会を通して結論を政府の案として国会に出してくるの、が当然だと思うのです。それを、母法のほうもどうもあいまいで、可決されないことを前提にして、何か時間を待っていたような感もする。あるいは大蔵省のほうも、この長期的な非常に重要な問題にもかかわらず、時間がなかったからといって、いままでの手続を無視して出されている。エネルギー問題というのは、そんな簡単なものであっていいのだろうか。主税局長も言っていたように、これは非常に重要な問題なんですよ。  私たちも、エネルギー問題というのを当然無視しておるわけではない。ただ、今後の発電というものはどうあるべきか、これは論争はあるにしても、非常に重要な問題です。重要な問題であるがゆえに、さらに慎重な手続をしなければいかぬじゃないか。その辺の根本的なところが少しずれているのじゃないか。背景には、田中首相の思いつきで皆さんが影響をこうむっておる。私は、皆さん方に対しては被害者であるような感もしないわけではありませんけれども、しかし、政府の官僚として、そう簡単にものは解決できないのじゃないか。つまり、問題は長期的な問題で、重要な問題であればあるほど税調を通すなり、あるいはいま塚田委員指摘もあるような、商工委員会にかかっている母法についても、もう一度大蔵省と十分検討してやるべきだったのじゃないか、これは私はかなり根本的な問題だと思うのですね。このことについてどう思うか。  もう一つは、主税局長は、いま税調で問題になっている目的税について、今度の目的税はいいほうの目的税だと言われておるけれども、それでは少なくとも税調でそういった話をなさったことがあるのか。私は主税局長の税に対するきわめて広範な知識に対しては敬意を表するわけでありますけれども、しかし、税調という審議会がある以上は、これはやはり今度の目的税というものがほんとうに税調の言うようないい目的税に属するものなのかどうか、これはやはり聞いてみなければ、機関を無視をすることになるし、また判断はきわめて独善的なものだと思うのですね。この二点についてお伺いをしたい。
  54. 高木文雄

    高木(文)政府委員 エネルギー問題が非常に重要な問題であるということが緊急に起こってまいりまして、予算編成のまつ最中でありますにかかわりませず、たとえば副総理が外国へ交渉におでかけになるというような時期でございました。したがいまして、重要であるということと同時に緊急であるという事態であったわけでございますので、当時の十二月の下旬前後の状態というものは、今日から見ますならば、あるいは非常にあわてておりましたということになるかもしれませんけれども、緊急にいろいろなことをやらなければならぬということで、追い込まれておった時期でございます。  一方、政府の税制調査会からは所得税の減税とか法人税の増税とかその他につきまして、四十九年度全体の財政の骨格に関連いたしますところの答申はもうすでに出ておる、こういう状況でございましたから、したがって、その間において、わずか十日なり一週間なりの間に諮問をいたして御答申を求めるということは、これはまたある意味からいきますと、税調にとりましては、審議の慎重と独自性という見地からいろいろ御異論があるところでございますので、それを出さなかったということでございます。
  55. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 もう一つ、後半の答弁
  56. 高木文雄

    高木(文)政府委員 税調にはこの問題については全然お尋ねをいたしておりませんから、本件につきまして、税調からいいとか悪いとかという御判定を受けるということはありません。ただ、私自身の解釈といたしまして、従来の税調目的税に対する考え方というものと、先ほど来御指摘がありました過去におきます御答申考え方というものとを照らし合わせまして、今度の案が、目的税の中で悪いほうのグループのものだということはいえないのではないかと思いますけれども、それは正式に税調意見ということではございません。これは私の考え方でございます。
  57. 塚田庄平

    塚田委員 いま高木局長の答弁の中で、いい目的税、悪い目的税目的税にそういうのがあるのですね、あなたは、いいほうだ、こう言うのですから。ところが、税調では、いまのこの目的税を創設するための意見ではなく、昭和三十九年に、日本における目的税として考えられるものは道路整備、これが唯一とは言っていないが、道路整備については必要やむを得ざるものと認める。  具体的に読むと、そういう前提のもとに「目的税の創設拡充は、財政の硬直性を招くほか負担の適正な配分という見地から問題があるので、好ましくない」。わが国における道路整備事業の緊急性をうたって、これは受益者との負担関係が不明確ではあるけれども道路財源として充てるのが当然だ、こういう意味のことをうたっているのですよ。いい目的税、悪い目的税といいますけれども、とにかくこれはいいのだというような、そういう観念では税調はとらえていない。また一般の学説も、国税についての目的税なんというのは、これはもう避ける、帝王時代の産物だ、こういっているのですよ。
  58. 高木文雄

    高木(文)政府委員 三十九年十二月の税調答申目的税の点について触れておるわけでございますけれども、「目的税導入の当否」というところで、「目的税収入の使途が特定される公共サービスの受益と目的税負担との間にできる限り適確な対応関係が確認されるものでなければならない。このような観点に立てば、受益者負担としての目的税は、その負担目的税の使用によって供給される公共サービスの価格として経済的に合理性のあるものでなければならない。」ということになっているわけでございまして、このときの検討の趣旨からいえば、今回のは趣旨に沿うものというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。
  59. 塚田庄平

    塚田委員 あなたは都合のいいところだけ読んで、その次の第三、目的税という答申部分を読んでない。それは、読む読まないはいいです。だけれども高木さん、そこでぼくは確認するけれども、いまのそのいっておる答申の精神というのはあなたは正しいと認めますか、これに従うべきだ、こういう考えですね。目的税をつくる場合にはこうだ、つまり適確な対応関係受益者負担としての目的税、この二つの点をあなたはきっちり認めるのかどうか。これがこれからの審議にたいへん重要ですから。
  60. 高木文雄

    高木(文)政府委員 まさに、この税制調査会答申で述べられております、また塚田先生がいま御指摘になりました二点が、目的税としていいか悪いかという当否の問題の検討の際に、最も重要なものであるというふうに考えます。
  61. 塚田庄平

    塚田委員 税調を飛び越えてやったということ、しかも、そういう重要な税制をそういうかっこうでやったということについては、私どもは承服できない。そこで理事会にはかって、できればこの法律が可決される前に何らかの形で税調意見を聞く、こういう機会を審議の過程の中でぜひ早く持ってもらいたいと思うのです。
  62. 安倍晋太郎

    安倍委員長 いま塚田君の御提案ですけれども、参考人を呼びまして意見を聴取する機会も理事会で相談をいたしておりますし、先ほどからの塚田君の発言につきましては、一昨日の阿部委員の御発言と、私いま聞いておりますとほとんど趣旨は同じでありまして、結局税調にはからなくてけしからぬ、こういうお話でございます。それに対して政府のほうの答弁があったわけでございますが、これにつきましては、法律としては完全に手続を踏んでこの国会にかかっておるわけでありますので、この税調問題は税調問題として、参考人の意見を聞く、こういうことにはしたいと思いますが、質疑のほうはひとつ続けていただきたいと思います。
  63. 塚田庄平

    塚田委員 いまの問題、参考人との関連ですけれども、まあ参考人はそれぞれ各党の要請等もあって、学識経験者等の申請があるだろうと思うが、私の希望は、理事会にはかって税調意見を、現実にもし時間がないというなれば、税調の責任者、まあ東畑さんなら東畑さんの意見を、参考人の意見のワク外でこの委員会が聞くという手続をぜひひとつ理事会にはかってきめていただきたい。そうでなければ、これはもう一歩も——われわれは税調意見が全然これについて耳に入らないということであれば、これからの税制審議という問題に大きく響いてまいりますから、どうですか。
  64. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これは理事会では相談をいたしますけれども、参考人を呼んで意見を聞くということでありますし、その人選については委員長に一任をされておりますので、何らかの形で塚田さんの御趣旨に沿えるように努力はしてみたいとは思いますけれども、しかし、税調問題については、税調を通さなかったから国会に出すのはけしからぬということでもないようでございますので……(塚田委員「けしからぬですよ」と呼ぶ)いや、それは政府としては遺憾の意を表明しているわけでありますから、法律提案の上の完全な手続上のそご、があったわけではないと私は思うわけです。だから、委員会における審議は進めていただかなきゃならぬ、こういうふうに思っておるのです。
  65. 塚田庄平

    塚田委員 委員会審議は進めますよ。進めるからそういう手続をとりなさい、こう言っているのです。  では、進めます。  さっきから、緊急事態だ、十二月に電力事情が非常に逼迫した、石油危機、そういうあおりの中で、もうとにかくなりふりかまわず所定の一般的な手続を超越して出したんだ、こういう話ですが、いま佐藤議員からいろいろお話がありましたとおり、この税はとにかく水力、火力、原子力——まず原子力から論ずれば、相当長期の、十年、二十年、三十年、五十年、こういう先まで見通すというか、しかも、もちろん情勢によって、税そのものは、この法律そのものは変わっていくかもしれないけれども、そういう見通しの中でまずやられなければならなかったということが一つ。  それから、私は、水力はこれはあとでつけ足したものだと思うのですよ、端的にいわしてもらえば。最初は母法は火力と原子力、これに限っていたわけですよ。だけれども、これではあまり極端じゃないか、おつき合いに水力も、水力発電というのがあるんだから入れておこうということで水力が出てきたんじゃないか。だから、問題はやはり原子力と火力。そこで、原子力はそういう長期の見通し。  さて、火力はどうかという問題なんですけれども、通産省、火力の石油のこの四月から六月まで、あるいはもっと長期でもいいですが、まあ石油の価格をどんどん向こうの言い値どおり上げて、そして石油を買い込む、こういう事態は別にして、一体石油需給というものは、四月、先月ですね、五月以降でもいいですよ、いまの価格の中でどんどん石油は入ってくる、火力は増設する、そして間に合うと、少なくともその期間においてこういうような見通しが立てられるものかどうか、ちょっと言ってください。
  66. 小野雅文

    ○小野説明員 いま先生のおっしゃいました四月から六月ぐらいの間の石油の需給状況というのは、好転の方向には向かっております。ただ、電源開発の問題になりますと、もう少し長期の石油の需給等を見てきめなければならないと思いますが、そういった長期に石油が潤沢に入るかどうかという問題については、現在総合エネルギー調査会で検討しているところでございます。
  67. 塚田庄平

    塚田委員 私はその見通しの資料を出してもらいたいと思うのです。私どもの調べた範囲では、大体四月−六月、この期間をとってみれば、価格を据え置くといいますか、そのままの状態で考えれば、原油の輸入はむしろ前年よりも一〇%近くあるいはそれ以上減少する、通産省はこういう判断を持っているのですけれども、いま言った答弁の具体的な資料をずらっと文書で並べてください。
  68. 小野雅文

    ○小野説明員 ちょっと私、ただいま手元に石油関係の資料を持ってまいりませんでしたので、後ほど資料を提出したいと思います。
  69. 塚田庄平

    塚田委員 そこで、通産省に聞くのですけれども、今度の場合、これが可決されれば、おそらく当面、原子力を除いてほとんど火力周辺地域に大きな金が落ちていくと思います。そこで、一体電力の需要というもの、これはおそらくおとといも阿部さんから話があっただろうと思いますが、これからの経済成長とのからみにおいてどう考えておるのか。  端的にいうと、たとえば中国電力、これはもうすでに石油会社のほうから三〇%の削減申し入れをされている、これは知っているだろうと思うのです。これは中国電力だけじゃなくて、おそらくこれからそういう事態が全国的に出てくるということになると思うのですよ。そういう中でなぜ一体急いで一さっき非常に緊迫していると言われましたが、もうちょっと長い目で見れば、電力なりあるいは石油なりの事情というものをもっと長い目で考えながら発電対策というものを考えなければならぬという結論になるはずなんですよ。その点一体どう考えるか。
  70. 井上力

    ○井上説明員 先生御指摘のように、電力の需給につきましては、国民生活のあり方あるいは産業活動のあり方というようなものを十分検討いたしまして、それと同時に見通される、かように考えられる次第でございます。  現時点におきましてわが国の電力需要を見てみますと、国民生活の向上あるいは経済の発展に伴いまして、今後ともかなり伸びていく。従来毎年の伸び、が一二、三%程度できているわけでありますが、石油ショックによりまして、昭和四十九年度は約五%程度になろうか、非常に落ちるのではないかというふうに考えられております。その先につきましては、従来の実績から見ますと、かなり低く見通されますけれども、やはり八ないし九%程度の伸びでいくのではないか、かように考えられる次第でございます。  もう一つ、電力の場合の特殊性でございますが、電力のエネルギーの量的な問題のほかに、設備として要求されますのは、いろいろな需要家が同時に電気を使います際に、ピークが出てまいります。現時点におきましては、夏におきまして冷房需要が非常に大きいという特殊な事情がございまして、八月にピークが出るわけでございますが、四十七年度には約六千百万キロというピークでございましたものが、昭和五十三年度には約一・八倍程度、一億一千二百万キロ程度にはなるのではないかというふうに想定されております。  それで、一方、供給力のほうについて見ますと、電気事業者が計画しております電源立地については、先ほど来お話が出ておりますように、大幅な遅延を来たしておりまして、現在、電源開発調整審議会で決定を見ております電源によりまして将来の供給力を想定いたしますと、供給予備率は、五十二年度には〇・七%に低下する、五十三年度にはマイナス二・八%程度になるのではないかということが懸念されております。ちなみに、電力の供給を安定的に行なう場合には、適正予備率としては八ないし一〇%程度が適正であろうというふうにいわれております。
  71. 塚田庄平

    塚田委員 そこで、いまの答弁の中で、昭和四十九年はがたっと落ちて、私どもの得た資料では一〇五・一%、つまり五・一%、そのあとはまた回復して八%ないし九%と、こういう話がありましたね。七%という資料もあるわけです。つまり、GNPの大体一・一倍というのが常識的に考えられておる線ですね。それと日本の経済のこれからの見通し、これはいろいろな機関においてそれぞれの数値を出しております。そういう中で、大体七%というような線等も出ておるわけですよ。  だから、この七、八、九、こう簡単にいいますけれども、電気需要からいいますと、七であるのか、八であるのか、九であるのかということは、これは非常に重要な要素だと思うので、いまの幅のあるあれじゃなくて、やはりこの際、通産省としてはこの計画でいくんだという一つの線がなければ、たとえば大蔵省だって財源がどのくらいになるものか、一体、これからどう立てて、どこへどう配賦するのかというような実際上の作業はできないと思うのですね。その点できますか。
  72. 小野雅文

    ○小野説明員 先生おっしゃいましたように、電気の需要をどう見るか、あるいはそれに合わせて電源開発をどういうふうに進めていったらいいかということを、政府として一本にきめるということは非常に大切なことだと思います。ただ、これは先生もいまおっしゃいましたように、経済見通しというものが、いま七%から八%、九%というふうないろいろな見方もあるということで、それをどういうふうにきめるか、あるいはそれに合わせた場合に、電気の需要がどうなるか、それに合わせた場合に、電源開発をどうしていったらいいかというふうなことをいま検討中でございます。  これは正式には、経済企画庁のほうに電源開発調整審議会というのがございまして、そこで電源開発基本計画というのをつくることになっております。今年度の電源開発基本計画というものは、おそらく六月の末ぐらいにはできると思いますが、現在そのようなことについて検討中ということでございます。
  73. 塚田庄平

    塚田委員 高木さん、次官も聞いてください。石油はだんだん高くなる。つまり、高価格時代というのを迎えるわけですよ。そういう中で、石油需要あるいは電力需要、特に火力、石油を原料とする電気、こういったものの需給見通しというのは早急に立てないとおそい。もうイタリアあたりでは、すでに数年前から今日あるを期しての想定、がなされておるわけです。私はほんとうをいえば、そういう需給想定というものをはっきりきめて、そしていまの発電計画というものについても見直しをやって、その上でそれじゃその範囲で促進するにはどうするか、こういう政策の順序を踏むのがたてまえであって、ただあのときにぼっと燃えたからさあ急げ、これをつくれということをやるべきじゃなかったんじゃないか、私はこう思うのですよ。これはひとつ通産省と高木さんのほうと両方で答えてください。
  74. 高木文雄

    高木(文)政府委員 非常に長い目で見た場合に、エネルギーの計画が明快に立てられなければならないことは御指摘のとおりでございます。その問題があるのでございますが、同時に、従来からありました計画によりまして、いろいろ原子力なり火力なりの発電施設を増強していこうということが進められてまいったわけでございますが、それがいままでのやり方では、どうしても地方におきますところの利害というものと、それから電力立地というものの調整がつかないわけでございまして、従来の計画さえ全く進んでいないという状態になりました。  そこで、本来的にそこに何らかの処置を要する事態は生まれておったわけでございますが、そのことの解決の緊要性というものが、石油危機ということとの関連で一そう高まったということから、緊急に処理をしなければならぬというふうに認識したわけでございまして、おっしゃるように、本来ならばそういう手順を踏んでいくべきだという考え方もあろうかと思いますけれども、同時にまた現在、前から計画しておりましたものすらなお現在では進捗をしないという状況に対する対処ということも必要であろうということで、非常に急いで緊急にやったというわけでございます。
  75. 森下元晴

    ○森下政府委員 電力が将来にわたりましてその需要度がふえるということは、これは当然のことでございます。ただその段階におきまして、ときには足踏みしたり、またときには非常な需要があるということが考えられますけれども、やはり全般的には伸び続けなくてはいけない。日本の経済成長率に関連して伸びることは当然でございます。  実はこの前の法案につきましては、石油事情がかくまで逼迫する、またかくまで高騰すると考えておらない時期に提出したわけでございますし、またその継続された法案の修正を三月四日になって提出したということが先生から御指摘を受けまして、その点のことにつきましては、われわれも早く出すべきだったということを考えておりますけれども、異常事態、緊急事態の中で、趣旨は変更されておりませんけれども、やはり財源について電源税に求めなければいけない。そういうこともございましたし、またその間に各省との調整にも時間を要したというようなことで、提出がおくれたことは事実でございます。そういう過程でお願いしておるわけでございますけれども、とにかく見通しは正確な見通しを立てなければいけない、もちろんでございます。これは経済企画庁のほうともよく相談したり、また電調審のいろいろそういう結果を尊重してきめなければいけない。いろんな角度からこれを慎重かつ緊急に提出して、国民需要の電力というものを確保しなければいけない。  ただ、昨年と本年においてもう一つ変わった点は、いわゆる石油が非常に高騰した。いわゆる外国の資源にたより過ぎることの不安もございまして、それで多少電力の見直し、また石炭の見直し、同じ石油でございましても、やはり公害対策の問題もございまして、できるだけ重油よりもむしろ天然ガス、いわゆる火力の強い、公害の少ない、そういう資源にかえていかなければいけない、いろいろそういうような事情がございましたし、また新しい発想のもとに同じ電力のエネルギー源でも考え方を変えていかなくてはいけない、そういうことで新しい法案を提出して御審議願っておるわけでございます。いろいろ手落ちのあったことはわれわれも率直に認めたいと思いますけれども、ともかく現在置かれております電力事情等を考えました場合に、立地いたしましても三年、五年かかる長期の建設でもございまして、早急にこの法案を通していただくように御協力願いたいと思います。
  76. 塚田庄平

    塚田委員 高木さん、まあ高木さんばかりにあれして申しわけないのですけれども、いまの答弁の中で、とにかく現在の立地予定、あるいは端的にいうと、電調審を通ったものでさえなかなか着工というところまではいかない——そういうことばは使いませんでしたが、おそらくそういう意味だろうと思うのです。  そこで私は、今度はこれは通産のほうに聞きたいのですけれども、このように特に原子力あるいは火力について計画が進まぬという基本的な原因あるいは主たる原因は一体どこにあると思うか。計画が進まぬ、立地問題について計画も立てられないという主たる原因はどこにあるか、その点ひとつ見解を承りたい。
  77. 森下元晴

    ○森下政府委員 三つに分かれると思います。  一つは、環境保全の見地から考えて、地域の住民の方は環境破壊についての危惧を非常に抱いておる。もう一つの問題は、安全の問題でございます。これは特に原子力の場合には、まだ安全に対する住民の不安感が非常に根強いことが、この根本的な解決ができないいわゆる阻害の要因になっておる。もう一つの要因は、地元の振興に対して寄与しない。いわゆる装置型の産業でございますので、あまり恩恵を受けないということに対しますいわゆる不満感でございます。もう一つは、そういう犠牲の上に立ってつくられた電力というものが、産業用とかまた都市のために多く使われて益することがないというような感情的な問題も含まれておると思います。  そういう三つの観点から、これを早急に解決することによって、現地の方々、地域の方々の御協力は得られる。今回の法案につきましても、この三つの問題を解決するようないろいろな方策がとられております。
  78. 塚田庄平

    塚田委員 今回の法律でこの三つの問題が全部解決するような方式がとられておるということになれば、これまた目的税とは何かという問題にさかのぼって議論しなければなりませんから、それはまずあとにおきましょう。  いま原因を全部並べましたが、私が主たる原因は何かと特に言ったのは、七二年の電力白書というのに——残念ながら、七三年は町へ買いにいってもなかなか手に入らぬわけです、よく売れる本らしいのでね。大体同じだと思うのですけれども、この電力白書の中で、その原因の主たるものを四つに分けておりますね。  その一つは、硫黄酸化物あるいは窒素酸化物による大気汚染、これが大きな公害を発生、こういうことなんです。第二に、火力、原発による温排水による海洋汚染、つまり漁業破壊です。これが未解決のまま残されておる、その危険性ですね。第三は、これは次官の言われた原発の場合の安全性、その未解決。第四は、自然破壊です。これは火力、原発立地予定地の自然の破壊、場合によっては自然公園や国定公園の破壊等、つまり国民の共有財産につめをかける、こういうのが主たる原因です。  確かにその次の、ことばでいえば従たる原因といいますか、それにはメリット論があると思うのです。装置産業でさっぱり労働力を吸収してくれない、現地には固定資産税くらいしか落ちない、こういうようなこともあるわけです。  しかし、これは母法のほうになりますけれども、ほんとうにこういったものを促進するためには、まず主たる原因の解決に全力をあげる。目的税を創設して、たとえばことしは百一億、年間三百億、これからどんどん電力、が伸びたとしてもせいぜい五百億、これですべて主たるものも従たるものもというような、まあすべてじゃないだろうと思いますが、こういうあれじゃなくて、まず第一に、こういう税法を設ける前に、私はこの主たる問題を解決するのが当然だ、そうしなければだめだと思うのですが、どうでしょうか。
  79. 井上力

    ○井上説明員 先生御指摘のように、公害、つまり大気汚染問題あるいは温排水問題、原子力発電所の安全の問題、自然環境破壊問題の解決ということは、一義的に非常に重要な問題でございまして、私どものほうといたしましては、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法等による諸種の基準に従い、電気事業法の中に諸種のこういった規制の条文がございまして、これに従って、公害問題あるいは安全問題の規制を行なっているわけでございますが、こういった規制の体制を強化する、規制のやり方をさらに整備することによりまして、従来とも安全の確保あるいは環境の保全に力を尽くしてきているところでございますけれども、さらに今後とも体制の整備あるいは規制の強化をはかって、御指摘のような問題の解決に努力したい、かように考えておる次第でございます。
  80. 塚田庄平

    塚田委員 その点はこれから議論を始めることにして、まず資料要求をしたいと思うのです。  今度の法律ぐらいむずかしいことばを使っておる法律はないんですよ。周辺市町村のまた周辺市町村、それから発電用施設関連施設関連施設、もうこれは日本語というものの一番悪いあれを満度に利用した法律だと思うのですよ。それは別にして、そういう面で非常に目的が明らかになってこない。  そこで、まず母法のほうですが、これまた政令にゆだねるというか、政令で定められているのがたくさん出ています。これも非常に多いほうじゃないかと思うのですがね。第二条の「政令で定める者が設置する」その政令、それから「政令で定める規模」の政令、それから第二条の一番最後の政令。これはまあおとといの阿部さんの質問の中でほぼ資料が出てきました。それから第四条の「水道その他政令で定める公共施設」の政令、それから第七条の「予算の範囲内において、政令で定める」その政令。どういう政令が準備されておるかというのは、例の旧法がありますから、こういった政令は一切準備済みだと思うのですよ、基本的には。それから「政令への委任」、「必要な事項は、政令で定める。」その政令は定まっておるかどうか。  かくのごとく政令がたくさんあるので、私はこの場合は旧法がずっと進んできたので全部準備されておる、こう思うので、これをひとつ委員長、文書で資料を提出してもらいたいと思います。
  81. 安倍晋太郎

    安倍委員長 できるだけ提出できるものは提出させるようにしましょう。
  82. 塚田庄平

    塚田委員 では、その文書が提出されるまで私は質問を保留したいと思います。
  83. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの政令でございますが、実は大体考え方は詰まっておりますが、まだ文章化されておりません。したがって、本席で考え方について御答弁したいと思いますけれども……。
  84. 塚田庄平

    塚田委員 要綱というかっこうで出ないですか。
  85. 小野雅文

    ○小野説明員 非常に簡単なかっこうでよろしゅうございますか。
  86. 塚田庄平

    塚田委員 通常の要綱形式でいいですから。
  87. 安倍晋太郎

    安倍委員長 武藤山治君。
  88. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 まず最初に、通産省にちょっとお尋ねいたしますが、電力料金、電灯料はいつごろ値上げを承認するのですか。
  89. 小野雅文

    ○小野説明員 ただいま事務ベースで数字をかなり詰めておりまして、作業はかなり進んでおります。ただ、今後企画庁をはじめほかの省庁等と調整をはからなければなりませんので、いまのところ、まだ時期については確定いたしておりません。
  90. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大体今月中になりますか、来月へ入りますか。
  91. 小野雅文

    ○小野説明員 認可の時期でございますが、いま申し上げたようなことでございまして、ほかの省庁のほうからどういうような意見が出てくるかはっきりいたしませんので、今月中か来月に入るか、いまのところ確答できないような状況でございます。
  92. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 特に、東京電力の場合の電灯料金に三段階制をつけて、百キロワットアワー以下は引き上げ率を低くする、これは社会福祉型電気料金だというようなことを盛んに宣伝しておりますが、通産省としての行政指導はやはり百キロワットアワーラインで押えようというのか、百五十までこれを引き上げさせようとするのか、その辺の通産省内部の議論はどうなっているのですか。
  93. 井上力

    ○井上説明員 御指摘の点につきましては、今月の七日、八日に全国各地で公聴会も開催したわけでございますが、東京電力以下九社すべて電気事業審議会の料金制度部会の答申に従いまして、先生御指摘のような三段階に分けまして、百キロワット以下は一番安い料金、こういうことにしているわけでございますけれども、先ほど申し上げました公聴会におきましても、この百キロワットアワーをもう少し引き上げるべきじゃないかという意見が非常に多うございましたので、そういう点を参考にしながら、目下事務的に検討いたしておる段階でございます。
  94. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、百キロよりは高いランクになる、百五十キロぐらいは期待をしていても間違いないところにいきそうかどうか。
  95. 井上力

    ○井上説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、公聴会の意見等におきましては非常にそういう意見が多いわけでございますが、まだ結論は出しておりませんので、いまここではっきりした御答弁を申し上げられないというのが現状でございます。
  96. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 もしかりに百キロという電力会社側の希望の数値でいうならば、どの程度の家庭構成が百キロなのか、そしてその該当が、需要全戸数の何%くらいが百キロ以下なのか。
  97. 井上力

    ○井上説明員 数字をいま持ち合わせておりませんので、ちょっと数字について明確にお答えできませんが、百キロワットアワーというものの算出根拠は、現在におきます家庭用の電気用品のうち普及率が八〇%以上のものの稼働状況を想定いたしまして月間の使用量を算定いたしておるわけでございますが、そういったことでいきますと約百キロワットアワーになる、こういうことで百キロワットアワーの線を出しております。月間使用量百キロワットアワー以下の家庭のパーセンテージは、先ほど申し上げましたように、ちょっと数字をいま持っておりませんが、地域によって違いますけれども、大体三割ないし四割程度ではなかったかというふうに記憶しております。
  98. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは希望でありますが、百キロというとおそらく独身の家庭か、夫婦共かせぎで昼間はテレビも見ないし、全然電気関係のスイッチは入っていない、そういう家庭程度ではなかろうか。したがって、どうしてもこれは百七、八十キロに引き上げてやらぬことには、福祉料金とという名を使うことはおかしいのではないか、そういうまやかしはやめてほしい。したがって、少なくとも福祉料金だというならば、家庭用の半分くらいが該当する、そういうことならばなるほどそれは福祉型料金体系だということもいえるかもしれぬけれども、独身者か共かせぎの家庭でなければ該当しないというようなキロ数では、看板に偽りありと国民は思いますから、この辺は通産省の指導行政は、きちっとした福祉料金体系だと何人も認めるなと思うところにひとつ線を引き上げるべきであると、強く希望を申し上げておきます。あなたはきょうは数字を持っていないというから、その問題の議論はやめたいと思います。  それから第二番目には、現在、電源開発をやろうとしているがなかなか立地難で反対が強くて進まない、こういうものは全国に幾つ、どういうところにありますか。もしわからなければ、時間の都合でこちらから資料をちょっと確認をいたしますが、資源エネルギー庁公益事業部資料に基づくと五カ所ですね、新宮津、尾鷲三田、渥美三号、金沢一号、女川。この五カ所以外はないのですか。
  99. 井上力

    ○井上説明員 ただいま先生御指摘の五カ地点は、電源開発調整審議会におきまして決定を見ました地点でございますが、電源開発調整審議会におきまして決定を見た地点であるにもかかわらず現在まで着工に至っていない地点でございまして、御指摘の五カ地点、合計三百五十万キロワットがございます。
  100. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これ以外にも着工しようとしてもできないという個所はあるのですか、ないのですか。
  101. 井上力

    ○井上説明員 これ以外にも電力会社が計画している地点はいろいろあるわけでございますが、その中におきましてもなかなか着工がむずかしい地点は多々ございます。
  102. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この五カ所は、当初計画でいくならば、もうとうに完成して送電できる状態にあるべきだったのですか。
  103. 井上力

    ○井上説明員 この五カ地点のうち、当初計画でまいりますと、渥美三号、女川一号以外はすでに運転に入っていることが予定されておった地点でございます。
  104. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、これらの五カ所の発電所が着工できない、すでに三カ所はもう完成していていいはずなのにこれも実行できない、その最大のネックは何ですか。
  105. 井上力

    ○井上説明員 先ほど申し上げましたように、この五カ地点以外にもまだまだ着工を計画している地点はたくさんあるわけでございましてそれぞれ地元といろいろ折衝申し上げているという段階のものも非常に多いわけでございます。  御指摘の着工できない要因でございますが、やはり何といいましても、電源立地難の第一の要因は、発電所建設に伴います環境保全の問題、あるいは原子力の安全の問題に対します地元住民の不安感が根強いことであるというふうに考えられます。  さらに、第二の要因といたしましては、発電所が典型的な装置産業でございまして、ほかの産業と比べて雇用機会の増加等による地元の振興に対するメリットが非常に少ない、また、発電されました電気の大部分は地元には落ちませんで、遠隔の大都市等で消費されるということに対する地元の不満感といったものが大きな原因であるというふうに考えられます。
  106. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、今回の施設周辺地域整備法案に盛られている精神が実行されれば、このうちどれとどれとどれが着工可能になるという推定ですか。不安感は除去できるのですか。
  107. 井上力

    ○井上説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、電源立地難の解決のためには、環境保全あるいは安全の問題に関しましてさらにそれぞれの法律に基づきます規制を強化し、地元住民の不安感を払拭するという努力を別途やる必要があるわけでございまして、御提案申し上げております電源関係三法によります地元に対するいろいろなメリットの付与ということと相まちまして、電源の開発は大いに促進されるものというふうに期待しております。具体的にどの地点がどういうふうに進展するかということにつきましては、現段階では的確な予測は困難でございます。
  108. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私は、この整備法案をつくって、税金で幾らか交付金をくれたからといって解決できる問題ではないという前提に立っているのです。あなたのほうは、それによって何らかの効果があらわれて電源開発のあれがかなり進むだろう、従来と違った形に進むだろう。それは市町村長は、幾らかお金をもらえるから、道路整備できる、あるいは公共施設がつくれる、いいという考え方を持つかもしらぬが、住民はなかなかこれではだめだな。これと同時に、もう一つ何か足りない、やらなきゃならぬ問題がある。それを同時にやっていかぬことには、不安感は解消しない。さっきも塚田委員が申し上げましたように、やはり公害に対する、あるいは放射能汚染に対する、あるいは海洋で魚がとれなくなる不安、いろいろなそういう公害関係の問題に非常に敏感になってきている。そういうところの問題のほうが大きいと思うのですね、メリットの問題よりも。   〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕  だから、これは法案を提案するならば、同時に並行してそういう公害関係を完全に防止するという基本的な姿勢、同時にお金のほうで、キビだんごもやるぞ、あめだまもあげますよ、この両方相またなければ効果はないと思うのですよ。通産省は、これは効果が相当あると本気でそう思っているのですか。
  109. 井上力

    ○井上説明員 先生御指摘の点はごもっともでございまして、私どもといたしましても、地元に対するメリットの付与のみで電源開発が促進されるというふうには考えておらないわけでございます。ただいま御指摘の、安全の確保あるいは環境の保全につきまして従前以上に規制を強化する、それによりまして安全を確保するということで、住民の不安感を払拭するということがまず第一でございますが、この安全の確保あるいは環境の保全というような点につきましては、既存の原子炉等規制法あるいは電気事業法その他公害関係諸法によりまして十分に対処できる。われわれもそれらの諸法に従いまして、従前以上の取り締まりの強化、規制の強化、安全の確保、環境の保全ということをはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 原子力発電所から生まれる放射能の汚染については、公害対策基本法第八条で除かれておるのですね。したがって、原子力発電による公害というものは、火力発電とか水力発電の場合の公害とはやはり別個にきちっと定めなければいけないと私は思うのですよ。基本法で分けてあるという精神をくみ取るなら、今度の法律の中でも、原子力発電だけは法律体系を別にすべきだ。それで公害の心配というものを完全に除去するという姿勢、これを明らかにしなければならぬ。公害対策基本法第八条でそうきめているのでありますから、やはり発電関係あり方についても、原子力発電だけは別にきちっともっときつい規制の法律というものをつくるべきではなかろうか、私はそういう感じがするのであります。  この公害対策基本法第八条では、放射性物質による大気の汚染等の防止は別だ、この法律ではきめない、こうなっているのだな。国民がいま信頼しているのは、どっちかというと、この公害対策基本法のほうにたいへん期待を寄せているわけであります。でありますから、私は、発電所の周辺整備法においても、原子力発電だけは別扱いにするのだ、こういう発想でなければいけないような気がするのですよ。その辺の関連は通産省はどう検討しているのですか。
  111. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいまの先生の御質問、私からお答えをさしていただきます。  公害対策基本法におきまして放射能関係が除かれておりますことは先生御指摘のとおりでございますが、これは原子力基本法という別の基本法がございまして、原子力関係につきましては、原子力の利用から発生いたします放射能につきましても、原子力基本法でカバーしていくということの関連で除かれたものと理解しております。  それで、ただいまの御指摘の点でございますけれども原子力の平和利用に伴います放射能の処理につきましては、一般の公害対策以上にもうすでに厳重な規制を行なっているわけでございまして、これは原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法等の法律によりまして、一般の公害以上の厳重な規制をすでに行なっておりますので、現在でも十分放射能に対する国民の安全は確保されているというふうに考えております。
  112. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 現在でもほかの法律でいろいろ規制があることは私も承知しております。ただ、私がいま言いたいのは、水力発電、火力発電、原子力発電を一本の法律で並列的にこの周辺整備法で取り扱うという発想に問題があるのだ。やはり原子力発電だけは公害基本法も分けていると同様に、別立てで考えるべきではなかろうか。それだけ危険度が高い。そういう意味で、一本の法律の中に三つを全部含めているというところに私の不満があるのです。すぐ変えろと言ったって、新たに変えられるものじゃありませんけれども、ただ、そういう発想のしかたに考慮しなければならぬ問題点があるのじゃないだろうか。そんなことは心配ない、別な法律でこうあるのだから、火力、水力、原子力が一本の整備法の中でばんと含まれていても何ら妥当性を欠いておらぬ、そう言い切れるのか。その辺どうも原子力というものは特別に取り扱うべきだという感じなんですけれども、どうでしょう。
  113. 生田豊朗

    ○生田政府委員 原子力固有の特殊な分野につきましては、先ほども説明申し上げましたように、たとえば原子炉等規制法という別個の法律でもって規制しておる場合がございます。火力発電、水力発電につきましては電気事業法によって規制されているわけでございますし、原子力発電につきましても電気事業法の適用を受けますほかに、新たに原子炉等規制法の規制を受けるという二重の規制になっておりますのは、やはり原子力発電の特殊性によるものでございます。  ただ、ただいま御審議いただいておりますこの法案でございますが、これは原子力の固有の分野と申しますよりは、原子力発電という、発電という点につきましては、そのエネルギーのもとが原子力でございましても、火力でございましても、水力でございましても、発電に関しては同じでございますので、その共通の発電というところに共通性を見出しましてこの法案がつくられている、かように理解しております。
  114. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、やはりわれわれしろうとには、原子力発電所から生まれてくるもろもろの環境汚染、公害あるいは海水汚染、こういうような問題は全くわからぬわけですね。把握できないわけですね。われわれはいま学者の書物をいろいろ読むと、心配ないという立論で書いておる学者と、いやたいへん将来に禍根を残し、かたわの子供が生まれたり、白血病になったり、ガンの発生率が多くなったり、特に再処理工場から生まれるそういう心配というものは非常に大きい、それをたいへん心配しておる学者もある。四月三十日号の「エコノミスト」を見ても、対談をやっておりますが、その衝に当たる原子力委員会学者と大学で教えておる学者の見解では、害の測定、安全性についてまさに見解が分かれている。でありますから、原子力発電所というものは全く特別にいろいろな配慮がなされるのだということをわかりやすくいうためにも、法体系を別にし、そしてその地域の地方自治体に対する交付金も、原子力発電の場合には火力よりもはるかにメリットを与える、そういうような配慮というものもやはり必要ではないか、こう私は考えるのですが、しかし、これはあなたの見解とは平行線になりますからやめます。  次に、原子力発電所をこれからどのくらいつくろうというのか、五年間ぐらいの原子力発電所設置の計画を具体的にちょっと御提示願いたいと思います。
  115. 井上力

    ○井上説明員 現在、原子力発電所の稼働中のものは約二百二十八万キロあるわけでございますが、このほかに工事中のものが千三百数十万キロございまして、合わせて千六百数十万キロになるわけでございます。そのあとの計画につきましては、現在のところあります計画は、昭和六十年度六千万キロを目標に開発を進める、こういうことになっているわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げました既設のものあるいは工事中のものを除きましては、新たな着工は現在のところといいますか、昨年度におきましては一基もなかった、かような状況でございまして、当面五カ年間ぐらいにどの程度完成できるかということにつきましては、まだはっきりした数字はございませんが、予定されているものといたしましては、約五百万キロワット程度ぐらいが予定されておる次第でございます。
  116. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 昭和六十年度の数字が六千万キロですか、ことしは四十九年で、十一年間で原子力発電六千万キロワット、これはいまの規模でいくと何カ所ぐらいつくらなければならぬことになりますか。
  117. 井上力

    ○井上説明員 今後つくられますものが約百万キロ程度の規模でございますので、基数といたしましては大体六十基程度になりますが、地点数といたしますと、数基が一地点に置かれることになりますので、その数分の一ということになります。
  118. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大体一基百万キロワット程度、こうあなたはいまおっしゃったけれども、その百万キロワット程度というのは、原子力委員会なり通産省なりが標準をきめるわけですか。たとえば百二十万キロ、百三十万キロ、百万キロと、それぞれの電力会社によっていろいろ違うものがつくられる、自由経済で、電力会社は株式会社でありますから、それぞれの都合によって一基百万キロなり、いろいろなバラエティーに富んでおるのをつくってもかまわぬという方針でいくのか。通産省なり原子力委員会なりがきちっと標準をきめて、日本じゅうにできる原子力発電所というものはもう百万キロというものを標準にして、全部統一してこれでいくのだ、それならば安全性の研究も排水の研究もすべて同じもので徹底してやれるのだ、そのことによって安全度はより高くなるのだ、コストも非常にその点によって安くなるのだ、そういうような標準化というものを本気で指導するのかどうか、その辺はどういう見解になりますか。
  119. 井上力

    ○井上説明員 御指摘の点はごもっともな御指摘でございまして、われわれといたしましても、そういう方向で今後業界を指導してまいりたいというふうに考えております。
  120. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 アメリカは大体百二十万キロワットなら百二十万キロワットということを政府で、原子力委員会で指導して、同じものをだあっとつくらせようという方針をきめたようですね。  日本の場合は、いままでのを見ると、いろいろばらばらですね。四十五万キロ二台、五十万キロ二台、七十万キロ一台、三十七・五、五十二・四というように、こういうばらばらなものをつくるより、非常に危険度の高いものであるのだから、研究する上でも、安全性の追求をする上でも、やはり原子力委員会なり政府の方針できちっと一定のものの標準をきめてやらせる、こういうことはぜひ必要ではないか。いまからでもおそくはない、着工していないこういうのがあるのだから。こういうものもやはり現状を十分ひとつ行政サイドで調査して、できるだけ住民の安心できる、なるほどこういうスタイルで、こういう方針で原子力委員会も通産省もやっているのだなという、その姿勢がやはり国民から受け入れられるかどうかの基準になると私は思うのですよ。だから、そういう意味で、今後そういう標準化の問題についても十分検討してほしい。
  121. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいまの先生の御指摘の点につきましては、原子力委員会におきましても検討中でございまして、なるべく早い時期にその標準化を実現したいと考えております。アメリカにおきましても、まだ標準化に踏み切ったわけではございませんで、標準化をするという方向でございますが、特にその安全審査をなるべく内容は充実し、かつ日数は短くというようなことをいたしますと、標準化という問題がどうしても出てまいりますので、その方向でただいま検討中でございます。
  122. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから、六十基つくる、かりに百万キロにして六十基。そうすると、かりに一カ所で三基三百万キロワットつくったとしても、二十カ所つくらなければならない。一カ所最高のものは何基くらいできますか。百万キロの炉が五つできるのか三つできるのか。日本のいまのこの狭い国土で、人口密度の高いところで、一カ所に集中してつくろうという最高の計画というのは何基くらいになるのですか。
  123. 生田豊朗

    ○生田政府委員 これはサイトによりましてもいろいろ違うわけでございますけれども、具体的な計画としてありますところを御説明申し上げますと、一番多いのが新潟の柏崎でございますが、これが約八基一つのサイトの中に置く、これが現在では一番大きい計画でございます。それに次ぎますのが福島県の太平洋沿岸のいわゆる浜通りという地区でございますが、ここは二つ発電所がございまして、東京電力の福島第一発電所は六基ただいま建設中でございます。その南のところに第二発電所がございまして、先般その一号機の原子炉につきまして設置の許可をしたわけでございますが、これは今後四基設置の予定でございますので、第一、第二と全部合わせますと、そこだけで十基になってまいります。   〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕 その北のほうに東北電力の浪江、小高というサイトがございますが、そこが大体二基予定しておりますので、非常に距離の長いところではございますけれども、福島県の東部の太平洋沿岸の海岸線には、計画が全部完成いたしますと十二基、原子炉と申しますか原子力発電施設が並ぶということでございます。
  124. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、いまのあなたがあげた三カ所で大体六千万キロワットの約半分近く、二千五百万キロワットくらいできるわけですな。いまの柏崎が八基で八百万キロですか、それからいまの福島が建設中が六基と予定が六基、そうすると、計画をしている六千万キロのうちの二千万キロ以上はもうこの三カ所で大体できるんですな。あとはどことどことどこを想定しているのですか。
  125. 生田豊朗

    ○生田政府委員 柏崎は、ただいま先生がおっしゃいましたように百十万キロワット八基の予定でございますので、八百八十万キロワットくらいになる予定でございます。ただ、福島につきましては第一発電所の一号機が五十万キロワット弱の小さいものでございまして、だんだん大きくしてまいりまして、第二発電所の一号機が百十万キロワットでございます。東北電力の浪江、小高も八十万キロワット程度のものでございますので、全部百万キロワットという計算になりますと先生御指摘のとおりになりますが、実際はそれよりも小さくなりますので、柏崎と福島の三カ地点を合計いたしますと、千四、五百万キロワットくらいであろうかと思います。
  126. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、まだまだ足りぬが、いま予定しているこれ以外の場所、大体どの方面のどんなところに何カ所くらいいま電力会社は目をつけているのですか。
  127. 生田豊朗

    ○生田政府委員 現在のところ、原子力発電所といたしまして計画がはっきりしておりますのは、先生御指摘の集中地帯といたしましては、福井県の若狭湾の沿岸がございます。この若狭湾の沿岸は建設が進んでおりまして、もうほとんど完成に近づいている地域でございますが、ここで大体六百万キロワットくらいございます。  あと大規模な集中地区として将来考えられておりますのは、たとえば青森県の下北地区に東京電力と東北電力の両者でかなり大きな計画がございますが、これは具体的に何万キロワットであるということはまだきまっておりません。あとは各地点ばらばらでございまして、二基あるいは三基程度のサイトが全国各地にいろいろとございます。
  128. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、原子力発電が六十年に六千万キロワットに到達するという計画は、火力発電のほうは逓減をしていくのですか。大体横ばいでずっといくという計画なんですか。
  129. 井上力

    ○井上説明員 六十年に近づきますと、これは需要の見通しいかんによるわけでございますが、火力発電所が新しくつくられるものは非常に少なくなると思います。
  130. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、「エコノミスト」に出ておる「発電設備増強の試算(除自家用)」という数字でいくと、第三のケースの場合、原子力が六千万キロワット、火力発電が九千四百万キロワット、水力が四千九百万キロワット、こういう想定のもとに発表されています。だから、かなりのウエートを火力発電が持つということになりますね。火力発電の場合は、この段階になれば完全に脱硫装置というもの、が完備して、科学の力で征服をして、硫黄分は一切排出されないと見ていいのですか。
  131. 井上力

    ○井上説明員 現在の技術の状況から想定いたしますと、脱硫あるいは脱硝両方につきまして、昭和六十年にはほぼ完ぺきな体制がとれておるというふうになっているだろうと想定しております。
  132. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いま科学技術庁や通産省の研究段階で、火力発電から出てくる硫黄分というものは、何年を目標に皆無に近い状態に持っていこうというのですか。いまは六十年というかなり長い話だけれども、最短距離は、いつごろになるとどのくらいのパーセントに落ちるのですか。  私がなぜそんなことを質問しているかというと、去年の夏でしたかね、光化学スモッグが発生したということで東京電力川崎も発電ストップをさせられましたね。これは地方住民の健康管理のためにやむを得ない当然の措置でありますが、そうなると、せっかくある設備すら回転をしないという事態が生まれてまいるわけであります。そういうようなことでありますから、どっちが先かということはなかなかむずかしいけれども、やはり脱硫装置をぴちっとつくることが現下の急務ではなかろうか、そういう感じが私はしてならぬのでありまして、その点何年後にはPPM計算は全くゼロになる、そういう研究の状況はどんなぐあいに進捗しておるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  133. 井上力

    ○井上説明員 火力発電用燃料の硫黄分あるいは窒素分の減少の問題でございますが、現在のところ、硫黄分の減少につきましては、燃料そのものの手当てにおきまして硫黄分の少ない燃料を手当てする。油におきましてもそうでございますし、それからLNGの手当てをどんどんふやしていく、これも計画以上に進んでおります。  さらに排煙脱硫と申しまして、煙から硫黄分を取ってしまうという装置があるわけでございますが、これが現在十基、約百二十万キロワット相当程度でございますけれども昭和五十三年度末におきましては約千三百万キロワット相当程度まで建設を拡充してまいりたい。これは全体の火力の中の一五%に排煙脱硫装置がつくという計画になっております。  これらの脱硫に対します対策のほかに、脱硝につきましては、これは窒素分の除去でございますけれども、脱硝の計画につきましては、現在におきましては適確な脱硝技術というものがまだございませんので、脱硝技術そのものは開発中でございますが、ボイラーの改造、たとえば二段燃焼とかあるいは排ガスを再循環させるというようなボイラーの改造をやりまして、燃焼方法の改善により窒素分を減らすというような改造計画が着々と進んでおります。これらをあわせまして、なるべく早い機会に、先生おっしゃいますような技術上、硫黄分、窒素分がゼロだというようなことに持っていきたいというふうに考えておりますし、そういう方向で努力しているわけでございますが、それが何年ごろということは、ちょっと脱硝技術の進展等不確定な面もございますので、的確には予測しがたいというふうに考えられます。いずれにいたしましても、昭和五十年代のなるべく早い時期に、硫黄分、窒素分ゼロの状態を実現さしたいということで努力しておる次第でございます。
  134. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの科学の時代でありますから、やろうと思えば、私はかなりのことは人間の能力で可能な時代が来たと思うのですね。でありますから、国が惜しまずにそういう問題については徹底的に資金をつぎ込む、こういう姿勢が、これは辻主計局次長のほうでありますが、大蔵省としてもできる限りそういう研究開発に力を入れる、そういう予算は予算化してやる、そういう姿勢が望ましいと思うのであります。  次に、日本では原子力発電所の立地指針はどういうものを策定しているのか、この指針についてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  135. 生田豊朗

    ○生田政府委員 昭和三十九年に原子力委員会の決定によりまして立地審査指針というものをきめております。ここに持ち合わしておりますが、どういたしましょうか。読んだほうがよろしゅうございますか。
  136. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 全部読むのはたいへんでしょうから、たとえば項目だけちょっとあげてみてください。——では、私のほうから質問しましょう。個々の問題だから。  たとえば、緊急炉心冷却装置ですか、ECCSの基準、そういうようなものはアメリカと日本と比較した場合、日本のほうがまだ基準が低く定められているような論文などを読んだのでありますが、アメリカと比較して日本のそういう基準はどのように違っておりますか。
  137. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ECCSにつきましてアメリカと日本を比較いたしますと、大体同じであろうかと思います。先生御指摘のECCSの問題点につきましては、アメリカですでに論争があったわけでございますが、その論争が反映いたしまして、日本でも若干の論争がございます。  つまり、現在のECCS、緊急炉心冷却装置が十分に働かないのではないかということがいわれておりまして、これはアメリカのアイダホというところで小規模な実験が行なわれましたときに、その実験の結果が出まして、それをもちまして十分にECCS装置が働かないのではないかという論争がございましたけれども、これについては、その後、実験の目的自身が多少違ったものでございますので、十分働くという解釈を私どもはしておりますし、さらに、わが国の安全審査におきましてはその実験の結果も若干取り入れまして、ちょっと詳しくなりまして恐縮でございますが、ECCSが働きますのは、原子炉の中の冷却水のパイプが瞬間的に切れてしまった、ギロチン破断といっておりますが、それで冷却装置が働かなくなった場合に水をかけてそれを冷やす、ECCSのはこういう装置でございますが、そういう状態を想定しまして、特にその実験の結果といたしまして、冷却水のパイプが切れました一番最初の時期に中の気圧の関係によりましてECCSの装置がよく働かないのではないかという問題でございますが、その点も考慮に入れまして、最初の時期におきましてECCSが働かないという前提で、それでも安全であるということを確認いたしまして審査をして許可をしておりますので、その点、アメリカの小規模な実験との関係では問題ないと考えております。
  138. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、アメリカなどは原子力発電所あるいは原子炉から人口密集地域との距離はかなりあるように感じました。私も戦後二回アメリカに行ってみたのでありますが、ああいう広大な国土では、そういう安全性というものも非常に有利な地の利がある。日本の場合は、人口密集地からどのくらいの距離までを一応立地条件として認めておるのですか。
  139. 生田豊朗

    ○生田政府委員 アメリカとの比較でございますけれども、アメリカにおきましても、日本よりは非常に広い国土の国ではございますけれども、日本と似通った、あるいは日本を上回ります人口密度を持った発電所もございます。  たとえば東京電力の福島発電所、先ほど申し上げたのでございますけれども、それの人口分布でございますが、原子炉が置かれておりますところから半径八キロ以内のところの人口が四万人、それから三十二キロメートル以内の地域の人口が十三万人でございます。アメリカにエンリコ・フェルミの二号という原子力発電所がございますが、これは半径八キロ以内のところの人口が三万人、それから三十二キロメートル以内の人口が七十四万人ということで、日本よりもはるかに多うございます。同様な例はほかにもございます。もちろんいろいろ発電所の地点によりまして差はございますけれども、アメリカのほうが絶対的に人口希薄な地点に置かれておる、日本のほうが絶対に人口過密なところに置かれているということはございません。
  140. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの傾向は、ヨーロッパにおいても、西ドイツやフランスなどの原子力発電所においても、いまの数字を当てはめて大体間違いない、こう見ていいですか。ヨーロッパはどうですか。
  141. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま手元に西独のビブリスという発電所がございますが、この場合は、先ほど申し上げました日本とアメリカの二つの発電所よりも、はるかに人口が多うございます。半径八キロメートル以内の人口が十三万人、三十二キロメートル以内の人口が百五十万人ということで、非常に多くなっておりますので、どちらかと申しますと、アメリカよりもヨーロッパのほうが比較的立地周辺の人口の密度は高いというように考えてよろしかろうと思います。
  142. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大体一時間の時間になりましたのではしょりますが、廃棄物の処理問題、それから再処理工場の問題、これは、原子力発電所を政府はだんだん全国につくろうというのでしょうが、再処理工場というのは個々ばらばらに各電力会社負担をさしてつくらしてやるのか、原子力委員会が一本で、再処理工場は国が管理をしてきちっとやるのか。その廃棄物の処理と再処理工場については、どういう方針で国は指導しようとしておるのですか。
  143. 生田豊朗

    ○生田政府委員 まず廃棄物の処理と処分でございますが、原子力発電所から出てまいります廃棄物につきまして、現在は各発電所の構内に、ドラムカンに入れまして建屋の中に入れまして貯蔵しているわけでございますが、今後原子力発電所の数も、それから出てまいります廃棄物の量もふえてまいることでもございますし、最終的な処理と処分の技術的な方法を確立いたしますと同時に、その処理と処分をいたします施設を建設すべきではないかということで、本年度の予算でもそれに関します調査費をいただいておりますので、早急に調査をいたしまして、その処理、処分のためのしかるべき機関の設立なり、あるいは施設の建造なりを進めてまいりたいと思いまして、ただいま検討を進めている段階でございます。  再処理につきましては、個々の電力会社あるいは個々の発電所がそれぞれ再処理施設を持つということではございませんで、これは世界じゅうどこの国でも同じでございますが、再処理工場という比較的大きな規模のものがございまして、そこに各電力会社から持ち込みまして、使用済み燃料の再処理をするということになっております。  現在の段階では、わが国の原子力発電所から出てまいります使用済み燃料は、海外の再処理工場に送りまして、委託しまして再処理をしておる段階でございますが、国内にわが国の再処理施設を持つべきであるという考え方でございまして、動燃事業団が現在茨城県の東海村に再処理工場の建設を進めておりまして、本年中に試運転、明年から本格運転に入る予定でございます。ただそれだけでは能力的に不足でございますので、それに続きますいわゆる第二再処理工場というものをなるべく早い機会に建設いたしたいということでございまして、これは民間が主体で建設するという方向で、ただいま通産省あるいは電気業界と御相談いたしまして、その方向を検討している段階でございます。
  144. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その廃棄物の処理の問題、それから再処理工場の問題、かえって発電所の原子炉から出る放射能よりも、こういう廃棄物の処理や再処理をめぐっての放射能の放出のほうがはるかに大きい、こういうことを学者は書いているのでありますが、もしそういうことが事実だとするならば、この問題について私は、会社経営にまかしていたらやはり安全というものは確保されないのではなかろうか、採算ベースばかり考えて。この問題については、どうしても国が積極的に全責任を持って安全性を確保する見地からやるべきではないだろうか。西ドイツなどは、全部国の責任においてやっているようですね。  だから、日本も、その辺はいまのうちにきちっとしておかぬと、昭和六十年になって原子力発電だけで六千万キロも発電をするようになって、その時点でどろなわ式に大騒ぎをするのではたいへんでありますから、やはり原子力の取り扱いについては、本来ならもう原子力発電所は全部国がやるべきだというのが私の持論なんであります。私はこういうものを、幾ら公共性の事業といえども、利益追求の形で株式会社にまかせる、そういう考え方はやめて、原子力発電は一切国営でやる、そして、安全性の保障の問題も全部国が責任を持つ、こういう体制に切りかえるのが、現代の世界の潮流にも合うのではないだろうか。また、日本のように人口密度の高いこういうところでは、一たびそういう事故があったときには取り返しのつかない大問題に発展をする。そういうものを一株式会社にやらせておくということはいかがなものであるか、この辺で私は発想の転換をするべきではないか、国営にすべきだ、そういう議論なんでありますが、それらについてのあなたの見解を、またあなたの所属しておる組織の検討としての状況はどうであるか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  145. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、私どもといたしましては、原子力発電所あるいは再処理施設、廃棄物の処理施設というようなものをすべて国営でやるべきだという考え方はとっておりません。むしろ民営で行ないまして、そのかわり法的な規制を厳重にやって規制をするという考え方でございます。  ただ、現在の動燃事業団の再処理工場が特殊法人の手によって建設され、今後も運営されるわけでございますが、これはいわゆるパイロットプラントと申しますような開発段階のものでございますので動燃事業団がしたわけでございますが、その他のものにつきましては民間ベースでやりまして、政府が法律によりまして厳重に監督するということがよろしいのではないかと考えております。
  146. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あなたは大臣でないのだから、経済体制まで転換をしろと言われても、次長の答えられる範囲でないことは百も承知であります。しかし、ヨーロッパの情勢などを役人の立場から十分検討するならば、やはり日本の原子力安全性というものを確保する上から、もはや体制そのものを原子力の場合は変えなければ、国民の安心感、信頼は得られない。不安感というのは一そう拡大されるばかりである。でありますから、発電所も容易に用地の取得はできない、反対勢力はかなり拡大をされていく。そういう全体のものを見渡したときに、日本の原子力あり方、取り扱い方というものをこの辺で再検討しないと、六十年度に六千万キロを何とか発電したいといっても机上のプランに終わるであろう、こう私は思うのであります。  そういう点で、せっかくもっと全体の日本民族的な立場から、日本の国民の健康、そういうものを本気で、生物学的な、人体学的な立場からも、原子力委員会はそのあるべき姿を、利益の追求である資本主義の株式会社制度というものの限界というものを、この辺で十分検討し直さなければいけない、そういう職種が原子力関係ではなかろうかと思うのであります。  あなたにそれ以上のことを答えよと言っても無理な話でありますからやめますが、いずれにしても、われわれが原子力発電にたいへんな危惧を持ち、不安を持って、野党が多くの部分で反対運動をしているのは、安全性というものに対してなるほどと国民に納得せしめ得る材料を、原子力委員会も科学技術庁も与えていない。もうちょっと公開の場で徹底的に賛成、反対の学者同士の全国民にわかるような討論というものを、ひんぱんにテレビを通じてでも徹底的にやるべきではないか。そういうものが開かれない限り、閉ざされた門はなかなかあかない、こういう感じがしてなりません。  せっかくそういう努力をしなければ、先へ先へ進んで、ろうそくでまさか勉強しろというようなことは暴論でありますから、需要があり供給が足りなくなるということについては、私たちもその事実は認めます。認めるけれども、さりとて二十年後、三十年後の子孫が一つ目の子だの、鼻のない子だのというものが出たのでは、これまた人類史上たいへんに大きな問題になるのでありますから、われわれしろうとにはわからない、目に見えない、つかむことのできない公害の問題でありますから、それは専門家の原子力委員会や科学技術庁が十分再検討して、国民に安心をしてもらえるようにしなければならぬ、強く要望いたしておきます。  最後に、間もなく大蔵次官になるであろう高木さんにちょっと注文をつけたいのでありますが、先ほど佐藤君からも指摘がありましたように、税制調査会に全然はからずに、拙速をとうとんで、いい目的税だからやったのだ。これは慎重な高木さんとしては、少々手抜かりではなかろうかと私は感ずるのであります。どうしても踏むべき手続——やはり民主義の政治というのは、高木さん、結論がいい悪いよりも、その過程における手続が尊重されるのが民主政治のよさなんであります。でありますから、やはり慣行としてやってきた手続というものは踏むべきではないか。  したがって、私は、この委員会は名安倍委員長のもとで一応この法案は凍結しておいて、参議院議員選挙後臨時国会が開かれるのですから、ひとつそれまでの間に税調意見を一応聞いて、手続はきちっとやってきた、そして商工のほうも法案審議を慎重審議やった、しかる後に大蔵委員会としてはこの目的税を採決したというのが慎重な高木さんのとるべき態度であるし、名委員長といわれる安倍さんのとるべき態度ではなかろうか、私はこんな感じがしてならぬのであります。十月実施でありますから、そうあわてていますぐやらなきゃならぬという緊迫した災害の問題とは違うのでありますから、ひとつその辺をぜひ御考慮いただきたいということを申し上げ、委員長には忠告をも含めて取り扱いを慎重にせられたしということを進言して、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 安倍晋太郎

    安倍委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案について、来たる二十二日午前十時、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 安倍晋太郎

    安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ————◇—————    午後三時五十七分開議
  149. 安倍晋太郎

    安倍委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。増本一彦君。
  150. 増本一彦

    ○増本委員 今回の発電用施設周辺地域整備法、この法案関連して開発促進税とそのための特別会計の二法が当委員会にかかっているわけですけれども、この発電用施設周辺地域の整備財源を電源開発促進税という特別の税に求めた理由は一体どこにあるのか、まずその点をはっきりさせてください。
  151. 高木文雄

    高木(文)政府委員 発電所等の周辺地域におきますいろいろな公共施設等の計画的な整備を促進いたしまして、それによって何らかの意味におきます地域住民の福祉の向上をはかるということを通じて、発電所の設置の円滑化に資したいというのが発電用施設周辺地域整備法のほうの趣旨でございます。  そこで、この財源をどうやって調達するか、一般財源によるかあるいは特別な税を設けますかということを政府部内においていろいろ研究をいたしたわけでございますが、ある意味で申しますと、これは結局、電源開発のための一種のいわばコストであるということがいえるわけでございまして、何らかの形で受益者に負担をしていただくということが、より望ましいのではないかというふうに考えたわけでございます。何ゆえ電源開発施設周辺地域についてだけ特にそのような整備をはかるのかという問題が片方にございますこととも関連をいたしまして、むしろ直に電源開発のためのコストとして結びつけて考えていくというほうが、納税者の方々にわかりやすいのではないかというふうに考えるわけでございます。電力会社に電気の販売量に応じて負担を求める方式というのが今回の促進税の方式でございますが、こういう形をとりますれば、先般の御質問でもお答え申し上げましたように、結局、電力料金価格を通じて最終的には電力消費者の方に負担をしていただくことになるわけでございますが、この使用目的が電源開発周辺地域の整備ということでございまするならば、これはやはり、その発電によって受益をする電力利用者に負担をしていただくということのほうがより明快であろうというふうに考えたわけでございます。  それで、金額といたしますれば、初年度百億、平年度三百億ということでございますから、必ずしも一般財源ではどうにも持ち切れないというようなオーダーのものではございませんけれども、ちょうどこれは、目的税形式はとりませんでしたけれども、昨年の国会においてお願いをいたしまして航空機燃料税という制度を設けました、そうして空港周辺地域の整備にそれを充てる、しかし航空機燃料を通じてやはり航空機の利用者に負担をしていただくということにいたしたのと、やや趣を同じゅうするものであるわけでございます。
  152. 増本一彦

    ○増本委員 いまのお話ですと、特別の税、促進税という税にした理由というのは、いろいろお話しになりましたけれども受益者負担ということが明確になるというそのことだけに尽きるのですか。財源の点は、初年度百億、平年度でも三百億で、これはたいしたことないですね。そうすると、この程度の金額ならば、当初の周辺整備のような形でもお金は出せるはずですね。それが特別の税収をもって充てるとした理由はどこにあるのかということになると、いまいろいろお話しになったことを捨象すれば、結局、利用者に負担してもらうということがはっきりするのが一番いい、このことだけに尽きると思うのですが、そのことだけでよいのですか。
  153. 高木文雄

    高木(文)政府委員 主として私が御説明いたしましたとおりでございまして、かつ、ただいま御質問がありましたとおりでございます。  ただ、もう一つつけ加えさしていただきますならば、いろいろな地域のための助成策ということはあるわけでございますけれども、この電源開発周辺地域に対する助成というものを、なぜ他のものに特に優先して促進しなければならないかといいますと、それはまさにエネルギー対策の見地から出ておるわけでございますけれども、そのような交付金が特に所在もしくは周辺市町村にだけ他のものに優先して交付されるということの意味、そしてその程度というようなことを考えますと、それはむしろ一種の発電のためのコストというふうに概念をして結びつけたほうが、支出としても理解がしやすいし、またその財源調達方式としても理解がしやすいというふうに考えておるわけでございます。
  154. 増本一彦

    ○増本委員 電力需要の伸びのこれからの予測は、民生用が一〇%ぐらいで産業用がそれよりも低い伸び率で進んでいくだろう。それで、それぞれに振り分けられる量的な面で見ると、民生用は量的に直すとどのぐらい伸びて、産業用はどのぐらいの発電量の伸びを予測されているのか、その点ひとつはっきりさしていただきたい。
  155. 小野雅文

    ○小野説明員 電力の需要予測につきましては、現在ありますのは日本電力調査委員会というところで作成しました需要があるわけでございますが、それによりますと、四十九年度、本年度につきましては、電灯需要が大体八・八%ぐらい伸びるのではないか。それに対して電力、これは中小企業向けの小さいものを含めての電力では四・一%、それから産業用の大口の電力だけですと二・〇%ぐらいの伸びではないか。これは四十九年度でございます。  それから、さらにもっと長期の問題でございますが、昭和五十三年ぐらいまでの予測でいきますと、電灯の需要が九・二%程度、それから電力が合計で八・五%程度、電力のうちでも大口産業用の電力については七・八%程度伸びるのではないかというふうに予測されております。
  156. 増本一彦

    ○増本委員 これは発電量であらわすとどのぐらいになるのですか。
  157. 小野雅文

    ○小野説明員 いまのは伸び率だけでございましたが、これを量で御説明いたしますと、四十九年につきましては、電灯需要が全部で七千九百万キロワットアワーでございます。それから電力の合計でございますが、これは二億七千五百万キロワットアワーでございます。それから、そのうちの大口電力分だけ、大口産業用の電力分でございますが、これは一億七千四百万キロワットアワーでございます。  それから五十三年でございますが、五十三年の電灯需要は一億一千万キロワットアワーでございます。それから電力の合計でございますが、これは三億九千六百万キロワットアワーでございます。それからその電力のうちの大口電力分だけでございますが、これは二億四千六百万キロワットアワーでございます。
  158. 増本一彦

    ○増本委員 電力の需要の伸びを見ましても、いま伺ったとおり、パーセントで言われると電灯需要の伸びが高いようであるけれども、その電力需要量で見ると、依然として、これはもう当然のことながら産業用の電力、中でも大口電力は非常に大きなシェアを占めているわけですね。だから、いま皆さん方がおっしゃっている電力需要に応じて供給を安定的に確保していくためにどうしても周辺整備が必要だという場合には、この産業用の電力、中でも大口の電力の需要に応じた供給を確保していくということは無視できないわけですね。であるならば、単に平均的に周辺整備財源として、すべてに一律に特別の税を課して、それで利用者負担を明確にするとか、あるいはこれこそ発電のコストだということで転嫁してくるというのは、これは実態から見たら実はたいへんおかしいことではないかというように思うのですよ。その電源開発の推進力になっているのは、やはりこういう大口需要家を中心にした産業用の電力、そしてまた、電力会社の大きな要請もある。だから、一般国民大衆にもこういう税で費用の転嫁をするのではなくて、これこそ、もしそういう必要があるのであれば、まさに電力会社や大口需要家に対する特別の負担というものをまず考えていいのではないか。  実際に電力の料金を見ましても、電灯料金と大口の電力料金との間には、いまでもたいへんな差がある。これは一キロワットで考えても、ほぼ三円五十銭の大口電力に対して電灯料金は十二円、そこにはいろいろなコストがかかるからだというような問題があるかもしれない。しかし、負担のできるところから正しい負担、それに相応する負担を求めるということも、実はこういう財政的な負担の実質的な公平をはかるという上から、ほんとうは大事な問題じゃないかというように思うわけです。ですから、特別の税にした理由は、単純にこの利用者負担で平均化すればいいのだということにはならないし、ましてや発電のコストにあたるのだということだけで一般国民大衆へのこういう転嫁を考えるということは、私は実質的な公平の原則から見てきわめて遺憾なやり方であるというように思います。これはむしろ修正し、訂正すべきであるというように考えますが、いかがですか。
  159. 高木文雄

    高木(文)政府委員 この電力開発促進税というものを考えますときに、納税義務者をだれにすべきか、課税標準をどのように定めるべきかということをいろいろ検討いたしたわけでございますが、御承知のように、今回の案では、納税義務者は電気事業者である、そして課税標準は電気量、ボリュームであるということにいたしましたのは、ただいま御指摘の点を頭に置いたものでございます。   〔委員長退席、村山(達)委員長代理着席〕  たとえば、現在の地方税の電気税におきましては、電気料金というものが課税標準になっておりますし、そして電気事業者は特別徴収義務者になっておりまして、納税者は消費者というかっこうになっておるわけでございますが、今回の場合には納税義務者は電気事業者でございますから、千キロワットについて八十五円を納めていただくのは電気事業者でございまして、これをどういうぐあいに料金に織り込んで、そして消費者に負担を求めるかというのは、料金のきめ方と関連してまいるわけでございますが、少なくとも電気料金、電気の値段にスライドするというやり方をするよりは、電力量にスライドするやり方にいたしましたほうが一般消費者に対する負担が相対的に少なくなりまして、そうして産業用等、電気を比較的低廉な価格でいま供給を受けておるほうには、相対的に電気税の場合よりは重くなる可能性を十分持っておるものでございます。  具体的にそれをどう配分いたしますかという問題は、これはコストでございますから、そのコストをどう割り振るかということでございますから、電気料金の決定の問題として、いわば転嫁のやり方がきまってくるわけでございますので、そこは通産省のほうでおきめいただくわけでございまして、私どものほうできめるわけではないわけでございますが、まあ増本委員のお尋ねの点に完全にお答えすることにはなりませんけれども、現行の電気税との比較において議論する限りにおきましては、いま御指摘のような点も、多分に今回の組み立てのほうが御趣旨に近いものになるというふうに考えております。
  160. 増本一彦

    ○増本委員 この電力量千キロワット八十五円、これを原価に割り振っていけば、今度の値上げの申請を見ましても、結局、電灯料金にも同じ割合で割り振られてくるし、大口の需要の場合にも同じように割り振られてくるという点では、局長が言うように、その使用量に応じて負担が多くなるといっても、結局負担率そのものからいけば、中身は変わらないわけですね。だって、一キロワット八銭五厘の割合で、百キロワット消費した者にも、それから一万キロワット消費した者にも同じように割り振られてくれば、税負担率はちっとも変わらないのじゃないですか。
  161. 高木文雄

    高木(文)政府委員 現在の電灯料金は平均的には十二円弱、各電力会社、したがって地域によりて多少違いますが、十二円弱になっておるわけでございまして、十二円弱に対して八銭五厘、こういう関係でございますが、産業用電力は五円とか六円とかいうぐあいで電灯よりは安いわけでございますから、その場合でも八銭五厘ということになりますと、値段との関係からいえば、負担率は家庭のほうが少なくて済むという関係になる。もし平等に転嫁が行なわれましても、電灯のほうがその料金の中に占める促進税部分の割合というものは、率的には少なくなるということはいえるのじゃないかと思います。
  162. 増本一彦

    ○増本委員 それは分母になっている基本の電力料金あるいは電灯料金の一キロワットアワーのそれぞれの単価ここに不平等があるけれども、しかし税負担そのもので見ると、同じ八銭五厘がやはりかかってきているわけでしょう。電力量を分母にして考えれば同じですよ。そのことを言っておるのですよ。だから、趣旨に一歩近いとおっしゃるけれども、ほんとうに電源開発の必要性が産業用電力、産業用エネルギーの確保ということに向けられているのであれば、やはり負担のできる者により多くの負担をさせるというたてまえを最初から貫いていくということが必要ではないかというように思うわけです。  ところで、次に移りますが、周辺整備法を七十一国会に出されたときには、第六条の二項、三項で、いわば電力会社費用負担をさせることができたわけですね。これを取り除いてしまいました理由は、一体何なんでしょうか。
  163. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの御質問にお答えいたします前に、先ほど私、電力の需要の数字を申し上げて、内数のほうを申し上げたわけでございますが、単位を百万キロワットアワーの単位と十億キロワットアワーの単位と間違えましたので、先ほどお答えしました数字にゼロを三つ足していただきたいと思います。おわび申し上げます。  それから、ただいまの御質問でございますが、修正前の法律におきましては、電力会社費用負担する、その際に通産大臣が費用の調整をすることができるといったような規定があったわけでございますが、それが取り除かれまして、今回は一般的に電力会社協力するといったような規定に変わっているわけでございます。これにつきましては、電力会社費用負担をいたしましても、それはコストにはね返ってくる。それから、今回の電源開発促進税というものも、電気事業者が納税義務者である。したがって、コスト的には電気事業者のコストの中にはね返ってくるということで同じような財源だといったようなことになりましたので、費用負担の規定は削除したわけでございます。ただし、電力会社としましても、費用負担いたしませんが、それ以外の面では全面に地元に対して協力すべきことは当然だろうというふうに考えております。
  164. 増本一彦

    ○増本委員 そこが問題だと思うのですね。この第二項で、電力会社に対する費用負担をさせることができるということになっていたのが、これがなくなっちゃえば、この周辺整備に関する限り、電力会社はもう一文も払わなくてもいいということになるでしょう。旧条文でいけば、国も補助金などを出し、そして必要な場合には電力会社にも費用負担をさせて、そしてやっていくということであったわけでしょう。  それが、一般会計から出る予定にしていた国の負担とか補助というものが、促進税という特別会計に回って、ここからお金が出る。そして、促進税になったからというので、今度は電力会社費用負担という面が、これは地方自治体でもあるいは地域の住民でも、もし持ってくるんだったら電力会社も住民福祉のために金を出せとか施設をつくれとか費用負担をしろとか、こういうようないままでいろいろ要求があり、折衝もされてきたのが、もう出さなくても全部合法化されてしまうということになるでしょう。しかも、この促進税というのは、納税義務者は電力会社だということになっているけれども、これは全部原価計算の際にコストで割り振りできるわけですね。納税義務者だというけれども、いわばトンネルですよ、消費者から取って国に納めるだけの話ですから。だから、これはもう文字どおり電力会社本位の、利益を守ってやるため以外の何ものでもないというように思います。あなたのそういう説明では私は納得できないのですが、政務次官、どうなんですか。
  165. 森下元晴

    ○森下政府委員 先生の言う御趣旨もわかりますけれども、黒字のある場合は損金で見られますから、やはりその点ではすべてがトンネルにならない、こういうように思っております。  なお、この負担金を電源税という目的税に変えたのは、時代の要請に応じてやはり負担金という性格よりも受益負担という目的税に切りかえたほうが、やはり義務づけという非常に力強い財源確保という点でその方向に変えたわけでございまして、それでひとつ御了解願いたいと思います。
  166. 増本一彦

    ○増本委員 政務次官、この電力会社あるいは電気を販売する会社は、納税義務者にはなっているのですね。しかし、それはもう需要家のほうに転嫁して、今度の申請書を見たって総括原価の中に促進税というのは入っているわけですね。これがきまれば、原価計算の中に組み入れて全部需要家に負担させていくことになるでしょう。  だから、納税義務者だというように強くしたから、費用負担ができるというよりも、電力会社負担の面でも義務の面でも強くなるんだということにはならないんじゃないですか。むしろこれがなくなったために、もう全部そういうのは特別会計からお金をもらうことであって、国にまかせちゃって、電力会社はこの周辺整備については全然財政的にも責任を持たないということになるんじゃないですか。だから、電力会社本位のやり方であって、しかも、そこへ発電所をつくりたいということで電力会社がいろいろ持ってきて、その問題がみんな電力会社にかわって国が肩がわりする、結局、国民が肩がわりするということ以外の何ものでもないということになるんじゃないですか。
  167. 森下元晴

    ○森下政府委員 電源立地をする場合に、従来の電力会社のする補償は別にこの中から払われるわけではございません。電力会社独自にやはり補償の義務はあると思います。ただ、そのけじめと申しますか、範囲をいかにするかということの問題は残るだろうと思いますけれども電力会社がやることなしに、すべてこの目的税でやるということはないと思います。
  168. 増本一彦

    ○増本委員 ないと思うとか、あると思うとかいうのではなくて、法律的にはそういう費用負担をさせることができなくなったわけでしょう。政務次官は補償の問題をおっしゃられたけれども、補償というのは、これは電源開発で発電所をつくるそのものに必要な費用負担ですよ。土地を買収したり、あるいは公害が起きるとかいうことでそれの補償とか、移転補償とか、いろいろあるわけでしょう。これは発電所の立地にストレートの、プロパーの問題ですね。  ところが、この周辺整備というのは、プロパーの問題じゃないでしょう。それについても、本来ならば、電力会社はそこの地域に迷惑をかけるのだから、一定の費用負担をするのは当然だ。やはりそこから収益も受けるのだし、今度の電力料金、前からもそうですけれども、電力料金の算定の場合にも適正報酬の原則というのがあって、ちゃんと適正な報酬を見込んでいるわけで、それはどこから生まれるかといったら、将来の問題でいえば、今度できるその発電所も稼働すれば利益をあげるという意味では、やはり周辺の問題についても、その電力会社の営業活動に直接関係があるわけですよ。だから、費用負担ということが地方自治体や住民の間でも問題になっているのに、それはもう全部国民が肩がわりし特別会計から出されて、電力会社は一切おかまいなしという、こういうやり方に変えてしまったことは、これは改善じゃなくて改悪ですよ。私はそう思うのですが、もう一度御答弁ください。
  169. 森下元晴

    ○森下政府委員 今回目的税を設けて、これを周辺地域のいわゆる福祉、それから安全の確保、環境の保全、そういう電源立地を阻害する要因を排除するために使うということと同時に、この立地するところの犠牲において、産業にいたしましても、また他の地域の消費者においてもそれだけの利益を受けるということでありますから、従来のただその地域だけの補償という問題じゃなしに、その電源立地の地域の犠牲の上に立って非常に需給関係の逼迫しておる電気を求めるという趣旨に立った場合には、電力会社負担ということではなしに、やはり税金という形において、あまねく各電力会社の電気を使用するものをひとつ洗い直すようなかっこうで受け入れて、それをあらためて交付するというようなことに、私は税金として徴収する意味があると思います。その他に、従来電力会社がケース・バイ・ケースでやっておりました補償的な道路とかダムサイトの補償の問題、その他の問題は、この問題とは私は別個に考えるべきであると思っております。
  170. 高木文雄

    高木(文)政府委員 私のほうがお答え申し上げるのはちょっと所管外になるのでございますが、この税をつくりましたときの気持ちとの関連がございますので、ちょっと申し上げておきたいと思います。  前の法律の場合と今度の法律の場合は、周辺整備法の組み立てが全く変わっておりまして、今回の周辺整備法は、いわば国の責任において周辺整備を行なうという形に切りかわったわけでございます。国の責任において周辺整備を行ない、しかも、それは電源立地の各地域を通じてある共通の尺度で同じ程度の交付金を交付して、そして助成をしていこうという考え方でございます。各個別電力会社の個別の事情に応じて、そしてある電力会社はよけい出しましょうとか、ある電力会社はあまり出しませんというような形でなしに、所在地及び周辺地域の整備には、この法律によって定められた基準に従って一律に出すことにいたしましょう。その出します整備程度も、実はこれは政令等にゆだねられている部面が非常に多いものでございますから、直ちには御理解いただきにくいと思ますけれども内容は金額の面におきましても、ずっとボリュームが変わってきておるわけでございます。  そこで、国がそれを行なうについて、それを一般財源でやるか、あるいは冒頭に申し上げましたような意味で、電力消費者に最終的には負担をしていただくという趣旨から目的税で調達したらいいのかというのが、今度は私どものプロパーのフィールドの問題でございますが、私ども理解をいたします、これを目的税といたしましょうということで踏み切りました前提としての考え方は、この周辺整備法のものの考え方を、その整備を国が責任をもって一定の基準で全部いたしますというふうに切りかえたわけでございますので、六条の二項があるなしの問題は、これは私担当ではございませんから正確にお答えいたしかねますが、前の法律あと法律の基本的な違いは、都道府県が計画を立てて、それを国が援助してやっていくという形でありましたものが、計画はやはり都道府県が、立てますけれども、金の面におきましては国の責任において処理をしていくというふうに変わったということを申し上げておきたいと思います。それがまた目的税にした理由でもあるということで御理解いただきたいと思います。
  171. 増本一彦

    ○増本委員 局長おっしゃいますけれども、第五条の「事業の実施」というところで、周辺整備事業を実施するものは、これは前といまでも同じじゃないですか。同じように「国、地方公共団体その他の者が行なう」ということで、お金がいわばひものついたものであるか、あるいは今度補助金とか国が負担するお金が特別会計という特別のさいふから出るものであるかという違いだけしかないんじゃないですか。
  172. 小野雅文

    ○小野説明員 事業の実施主体は、修正前とあととで変わっておりません。それから、整備計画に基づいてやるという点も変わっておりません。ただし、前の場合には一応電力会社協力ということでございましたので、金額等については、当初予定しておりましたのは、はるかに少ない金額を頭においておりましたし、それからその程度の金が出るかどうかも、言うなればさだかでなかったわけでございますが、今回はそれを国の特別会計から一定の基準で出すというようなことで、金額的にもふえましたし、それから出し方が、確実にその分だけは出るということで、整備計画をつくる際に、非常に確実に整備計画をつくることができるようになったという点で、大幅に改善になるというふうに考えております。
  173. 増本一彦

    ○増本委員 ですから、国が全面的に責任をもって肩がわり——局長は肩がわりということばを使わなかったけれども、責任をもってやるようになったというのは、特別会計というさいふ、そこに入れるお金が促進税という税金になったというだけで、中身というか、たてまえそのものは変わっていないわけですよ。ですから、第六条で、一項は旧条文と全く同じ文言ですよ。問題は、旧条文には特に二項という一項を置いたところに具体的な意味があったわけですよ。電力会社にも、国の金のほかに費用負担をさせることができるのだということになっていたのに、今度それがなくなった。いま課長さんのお話だと、特別会計になり、促進税財源になっているから前よりも交付するお金が多くもなるし、それだけに整備計画もきちんとできるようになるということは、ただお金の面できつくなった電力会社が、結局、費用負担しなくて済むようになった分が税収で取れるという意味だけで、電力会社が本来費用負担をしなければならない分を、促進税という形で国民に肩がわりさせた内容以外の何ものでもないじゃないか、こういうことになると思うのですがね。
  174. 小野雅文

    ○小野説明員 たとえば地方公共団体が体育館等をつくる際に、電力会社がその費用負担するというような事例はこれまでもあったわけでございますが、これはあくまでも寄付といったような形のものだったわけでございます。それに対しまして、今回考えておりますような大々的な意味での地帯整備を行ないます際には、単に寄付にたよるということよりも、むしろこれを国の事業というふうな観点でとらえまして、こういった公共整備といったものは国の費用負担するのが本筋ではないかという考え方も、今回の改正の中に入っておるわけでございます。
  175. 増本一彦

    ○増本委員 電力会社費用負担をする法律上の義務が全くなくなったのだ、この点はそういうように理解していいんでしょうか。政務次官どうですか。
  176. 森下元晴

    ○森下政府委員 この法律の趣旨にそういう内容的な費用負担はないと思いますけれども、いわゆる電力会社がそれぞれ立地をしておりまして、その土地土地で補償的な費用負担は過去においてもありましたし、将来においてもそれはあることだと思います。
  177. 増本一彦

    ○増本委員 補償的な費用負担という話じゃないんですよ。だからなお問題があるというように思うのですよ。こんなにも電力会社を過保護にしなければならないのですか。  いままで住民運動や自治体が電力会社を相手にして、いろいろ改良や改善の要求を出して交渉してきた。これから電源立地を数多くしなければならない、そういう政府の方針もあるわけですから、これからも各地で起こるわけでしょう。それが、これからはみんな特別会計でまかなわれ、電力会社は知らぬ顔で済むのだということに結局なるわけですね。だから、その一つをとっても、実は関連する地方自治体に大きなメリットを与えるものではないというように思います。ここは政府がそういう方針だというのであれば、少なくとも電力会社費用負担をさせるような形のものは、政府としてもその趣旨からいけば残すのが本来当然なんじゃないかというように思うわけです。時間がかかりますので、次に移ります。  そこで、特別会計というさいふから出す交付金ですが、旧条文では別表で大まかなその負担割合などが明らかでありました。しかし、今度はそれが全部「政令で定めるところにより、」ということになって、その中身が明らかでありません。この七条の政令できめることは、どういうことをきめようとしているのか、具体的に明らかにしてほしいと思います。
  178. 森下元晴

    ○森下政府委員 法案自体審議中の段階でございますので、現在のところ政令の要綱を確定しておりませんけれども、おおむね次のような内容を政令に規定することを予定しております。  その一つは、交付金対象事業が、国の直轄事業及び国の負担、または補助事業以外の単独事業に限定されていること。その次は、交付金額は次のとおりとすること。その一つは、施設所在市町村にかかるものについては、当該施設の出力に当該施設の種類ごとに主務大臣が定める出力当たりの単価を乗じて得られる金額、これを交付する。その次は、施設所在市町村の隣接市町村にかかるものについては、当該施設にかかる、先ほど述べました上記の所在市町村にかかる交付金の範囲内で、主務大臣が定める額を交付する。もう一つは、交付期間は発電用施設の着工年度から完成年度までの各年度とすること。ただし、当該施設の種類ごとに主務大臣が定める期間を限度とする。その次は、交付先は次のとおりとする。そのイが、所在市町村にかかる交付金については、当該市町村に交付する。その口が、隣接市町村にかかる交付金については、これら市町村が属する都道府県に交付する。  以上のような内容でございまして、まだ確定はしておりませんけれども、おおむねそのような方向で考えております。
  179. 増本一彦

    ○増本委員 いまお聞きした限りでも、いろいろこまかくお尋ねしたい点がありますけれども、それはもう要綱になっているのでしょうか。なっていたらぜひ資料としていただきたいのですが、いかがでしょう。
  180. 小野雅文

    ○小野説明員 まだ要綱というほどりっぱなものではないのですが、メモ程度ということでよろしければ、後ほど資料としてお出しいたします。
  181. 増本一彦

    ○増本委員 ぜひそうしてください。  都道府県が整備計画をつくります。その整備計画の財源としては、国から交付されるこのお金でずばりできる、そういう内容の金額が地方自治体には交付されるということになるのですか。計画を立てますね、お金が要る、そのお金は全部交付金として出しますよ、縮めて簡単に言うとこういうことになるのですか、そうじゃないのですか。
  182. 小野雅文

    ○小野説明員 整備計画そのものは、都道府県知事が作成することになっておりますが、それを国が承認することになっております。  それから、都道府県知事のほうで非常に大きな計画でもつくれるかということになりますと、交付金の金額そのものが算定要領等で一応基準がきめられることになりますので、その範囲内の交付金しか出ない、こういうことでございます。
  183. 増本一彦

    ○増本委員 ここに整備事業の具体的な例として、都市公園とか道路とか港湾とかいうのがあがっていますね。港をつくりたい、それにはかりに百億円かかる。それが一つの町に全部かかってくる。そうすると、その百億円のお金はずばり出るのですか。
  184. 小野雅文

    ○小野説明員 先ほど申しましたように、交付金の算定方法といいますのは、発電所の規模ですとか発電所の原子力、火力、水力といったような種類に応じて算定されるようなかっこうになろうかと思いますので、その範囲内であれば、たとえば交付金の金額が十億円なら十億円といたしますと、その範囲内であるならば十億円の港湾をつくってもけっこうでございますし、あるいは二十億の港湾をつくる、そのうちの半分の十億円を交付金でまかなうということでもよろしいわけでございます。
  185. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、発電所の規模、それに必要な範囲の港湾はこのぐらいだ、こういう基準があるわけですか。その基準に見合うだけの金は出すと、こういうことになるわけですか。   〔村山(達)委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 小野雅文

    ○小野説明員 港の規模が先にきまるのではありませんで、一応交付金の額のほうが先にきまります。それで、その交付金を一応頭に置いた上で、都道府県知事のほうはその地域に必要な形での港湾をつくる、こういうことになるわけでございます。
  187. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、第四条の整備計画ですが、これの第三項で、整備計画がいろいろ善いてあって、その整備計画の内容関連の事業の概要と経費の概算について定めるとなっていますね。この経費の概算に見合うだけの全額が出されて初めて計画が実行できるはずでしょう。交付金の金額が先にきまって、それに見合う計画をつくらせるということだったら、何も都道府県が自主的に整備計画を立てて、それをあとから国が認可するというのではなくて、それはさかさまですね、あなたの言うことは。そういうやり方をやるのですか。整備計画を都県府県の知事が最終的につくるわけでしょう。その中でこれこれの事業をやるという整備事業がきまり、それの経費もきまってきますね。これでつくりたい、オーケーということで、それにかかるお金はこれだから、これは交付金として出しますよと、こういう仕組みなんでしょう。交付金の金額が先にきまって、それに見合う計画が立てられるということになるのですか。どっちなんです。さっきのあなたの答弁あとのほうだった。
  188. 小野雅文

    ○小野説明員 一応交付金はワクのような形で、大体、設備の能力等に応じましてきまるわけでございます。そのワクの範囲内で、たとえば道路に幾ら、あるいは港湾に幾ら、公民館に幾らといったような形で都道府県知事が計画をつくる、こういうことになるわけでございます。
  189. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、整備計画の問題ですが、発電所が来る。周辺の整備を住民の要求もいろいろあり、しなくちゃならぬ。ところが、その交付金の金額に応じたものしかできない。その交付金の額というのは、それじゃどこがきめるのですか。
  190. 小野雅文

    ○小野説明員 一応交付金の直接的な額というよりも、むしろ交付金のアッパーリミットというふうに御理解願ったらいいと思いますが、それは一応算定要領といったようなもので、私どものほうできめるようなかっこうになろうかと思います。  それから、あとこの法律の第九条でございますが、第九条に「国の財政上及び金融上の援助」というのがございまして、その地帯で行ないます公共事業といいますのは、交付金によって整備を行なってもよろしいですし、それから国の一般会計からこの第九条で補助金をもらって整備を行なうという方法もあるわけでございます。
  191. 増本一彦

    ○増本委員 足りないところは借金しろ、こういうことになるのですね。発電所が来るでしょう。だから、それに基づいて、あなた方のいろいろな説明では、住民の福祉の向上をはかるためにも市町村意見を聞いて県知事が自主的によりよい環境整備もしよう、周辺整備もしようということで整備計画を自主的な判断できめて、そしてそれにふさわしいだけのお金は国がめんどうを見ましょう、提案理由説明から受けるわれわれの理解は、そういう理解であったわけです。  ところが、いまのあなた方の答弁でいくと、いよいよ本質がはっきりしてきて、実は先に交付金のほうがきまって、その金額に見合うような計画しか都道府県も地方自治体も考えられない、こういう関係になるわけですね。国が責任を持つというけれども、結局、都道府県や、それぞれ各関連自治体の自主性というものは全く考えられない、そういうことにも私はなると思いますが、そういうように理解しておいていいわけですね。
  192. 小野雅文

    ○小野説明員 小さな発電所をつくりまして、その周辺にあまり膨大な公共投資が行なわれるというようなことになりますと、非常に少ない電源確保のために膨大な予算が支出される、こういうふうな結果になるわけでございますので、その辺のバランスをとるために、一応アッパーリミットがきめられているというわけでございます。
  193. 増本一彦

    ○増本委員 それでは、この問題の具体的な中身がどうも私にはまだはっきりしないのです。地方自治体の利益になるように地方自治体の自主的な周辺整備や開発に、国が財政的に援助するというよりも責任を持つといいながら、結局、交付金の額の範囲内でしかつくれないような仕組みにどうもやはりなっていかざるを得ないというように思います。  この点は、アッパーリミットというように理解しろといいますから、幾らの金額の交付金を出すというような基準はどうやってきめるのか。それから、それとの関係で、関連自治体との関係はどういうようにして詰め、具体的に折衝することになるのか。その中で地方自治体の意見や考え、あるいは計画というものは、自主的にきめるといいながら、その自主性はどこで担保されるのか、こういう問題は政府ではっきりさせてください。  事業部長がお見えになりましたので、時間が限られていらっしゃるようなんで、電気料金の問題に移りたいと思うのです。  私が電源開発の費用負担をいままでお尋ねしたように、国民に転嫁していくだけでなくて、今回の電気料金の値上げ、これによって一そう国民に負担をかけていくことになる。今回の九電力の料金値上げの理由は、申請書を見ますと、原油価格の高騰だ、こういっていますね。この原油価格問題は、いわば政府の新価格体系の土台にもなっているものです。そこで、燃料費が上がったんだ、だから値上げはやむを得ぬ、こういうようにいうならば、まず燃料費の上昇の実態を私は国民の前に明らかにすべきだというように思うのです。しかも、それは電力に換算すれば九電力の各社別にどういう実態になっているのかということをはっきりさせなければならぬというように思うのです。そういう用意があるかどうか、まず、これは政務次官に伺いましょう。
  194. 森下元晴

    ○森下政府委員 電力料金改定、すなわち値上がりの要素の中では燃料費の値上がり、このウエートがほとんどでございます。  ただいま申請中のアップ率につきましては六二・八九%、そのうちで産業用のほうは八〇・五二、それから家庭用が三三・八六、それが申請しておる平均の数値でございますけれども、そのうちでほとんどがいわゆる油の値上がりによる電気料金の改定の要求である。その内容につきましては、いわゆる原価計算、いわゆるコスト的には油がどのくらいの部分を占めておるか、またどれくらいの価格になっておるか、もちろんこれは出ております。その詳細につきましては係から説明させますけれども、やはり油の値上がりというものは、先生御指摘のように、今回の電力料金値上がりの主たる要因でございます。
  195. 岸田文武

    ○岸田政府委員 昭和四十七年度及び四十八年度上期の油の購入実績につきましては、すでに公表されております。下期の油の購入単価は、実は各社ごとに仮仕切りをいたしまして期末に決算をするという形になっておりますので、なかなか確定ができませんでしたが、ごく最近に数字がまとまりましたので、これは発表できると思います。
  196. 増本一彦

    ○増本委員 そこで、私たちもいろいろと各社の燃料費の上昇について調査をしてみた。そうすると、やはり相当な水増しがあるといわざるを得ないと思うのですね。それは政府のほうでも査定をずっと続けておられたんで、この燃料費の水増しの実態は把握されていると思うのですが、この内容をやはり明らかにすべきだというように思うのですよ。この点をいまの段階で各社別に明確にしてほしいと思いますが、いかがですか。
  197. 岸田文武

    ○岸田政府委員 各社の織り込んでいます油の単価でございますが、一般的に申し上げますと、原油につきましてはミナス油と中近東油に分かれまして、それぞれ四月一日現在の定められた価格、これをベースにして算入をいたしておるようでございます。他方、重油につきましては、三月中旬にきまりました指導価格をベースに算入いたしております。なお、四月一日にミナスの原油が価格改定になりました。この分を若干織り込んでおるという事情でございます。私どもはそれらの内容についてそれぞれチェックをいたしております。
  198. 増本一彦

    ○増本委員 皆さんがいま把握されておる実態を、各社別に当委員会に出していただけませんか。いかがですか。
  199. 岸田文武

    ○岸田政府委員 申請の内容につきましては、すでに公示をされておりますので、それをごらんいただきたいと思います。  査定の内容は目下査定中でございますので、それが終了するまではお許しをいただきたいと思います。
  200. 増本一彦

    ○増本委員 では、査定後、皆さんのほうの査定額とそれから電力会社の主張している上昇額、この実態を各社別に、また油種別に、平均価格でいいから明らかにできますか。
  201. 岸田文武

    ○岸田政府委員 査定が終わりまして、もし認可が行なわれましたとすれば、私どもの査定の内容は明らかにできると思います。
  202. 増本一彦

    ○増本委員 政府の認可の是非がいま問題になっているわけですね。認可後でなくて、ひとつ認可前に関係委員会、特に当委員会にもその資料を出していただきたいと思うのですが、政務次官いかがですか。
  203. 森下元晴

    ○森下政府委員 各電力会社からの油の価格、使用量等は出されておりますし、また、特に最近は重油から、ナフサのなまだきとかまた天然ガス、いわゆる公害の少ない燃料に移行しておりまして、その各社によりましていろいろな配分関係も違うように思います。そういうものを詳細に検討して、各電力会社について電気料金をきめるわけでございますし、やはり電力料金を決定するまでは、詳細なその内容を公表することについてはごかんべん願いたいと思います。
  204. 増本一彦

    ○増本委員 それは私は納得できないですね。いま国民はみんな、政府がどういう認可をするかというここに関心があるわけです。この電力料金が引き金になって、新たな物価の値上がりがさらに行なわれるかもしれないという危機感を持っている。だから、国会としても、政府の許認可事項ではあるけれども、その内容について是非を判断するというのは当然のことだと思うのです。これは十分に検討して、資料を提出していただきたい。そのことをひとつ要求したいと思います。委員長にもしかるべく善処していただきたい。  ところで、各社とも燃料の買い付けにあたって、原油価格の為替レートを一ドル三百円にしている。いまの為替相場を見ますと、一ドル二百七十五円、八十円、九十円、こういう台ですね。この状態が急激に変動するという予見は、いまのところないですね。当然これは実態の為替レートに合わせて、少なくとも一ドル二百七十五円から二百九十円の間できっちりすべきだと思うのですが、その点は通産省はどういうふうにお考えですか。
  205. 岸田文武

    ○岸田政府委員 各社の申請の内容を点検いたしましたところ、為替レートについては一応三百円を算定根拠にしておるようでございます。私ども査定の側からいたしますと、原価計算期間における平均的な為替レートはどう想定すべきかというたいへんむずかしい課題を迎えるわけでございますが、御承知のとおり、為替レートは二百六十円見当から一時三百円見当まで上がり、また最近は二百八十円前後で推移しておる。かなり変動いたしております。また、将来の予想につきましても、強含み、弱含み各様の意見が私どもの耳に入っているところでございます。ただ現実論といたしましては、なるべく現在の姿に即したような為替レート、これを基本にした査定をしたら一番適当なのではないか、こういう感じを持っておるところでございます。
  206. 増本一彦

    ○増本委員 これは通産政務次官にお伺いするのですが、いまの電力料金の値上げをはじめ諸物価の値上がりが、石油価格の値上がりというものを既定の事実として、しかもこれを不動の前提にしている。しかし、そこに私は問題があると思うのであります。つまり、政府はやるべきこと、またはできることを完全にしたのかという問題があります。そういうことを放置しておいて新たな価格体系に移ろうとするというところに、私は一番大きな問題があるというふうに思います。  何よりも一番大きな問題は、メジャーのもうけを規制するということがどうしても必要だと思いますね。御承知のように、従来は一バーレル当たりメジャーは大体五十セントの取り分だといわれていたのが、いまはもう四ドルだと言っていますね。八倍にも上がっている。このメジャーは特に八〇%ぐらいのシェアを持っているわけだから、これに対しては政府が積極的に規制をしたり強い態度で臨んでいくということをしないと、この石油価格はもうメジャーに握られて、その言いなりになっているという実態がいつまでも解消しない。この点をまずやるのかどうか。  それからもう一つは、こうやって石油の値段が上がった上がったといいながら、これは主税局長も大いに関係があるのですけれども、本年度の税制改正で石油関連諸税を一挙に引き上げました。こういうことをやめるだけで石油の値段を下げるということができるのは、もう理屈の上で明らかだと思うのですね。こういう手だてをとるかどうかというところに、実はいま政府の態度について国民が注目をしているのだというように思うのです。この点についてはどうなのですか。
  207. 森下元晴

    ○森下政府委員 御指摘のように、メジャーと民族資本系でかなり力の相違がございます。やはりメジャーにはメジャーの長い歴史がございますし、また、民族系も全力をあげておりますけれども、まだまだメジャーの扱いに追いつかない。ただ国際的に見ました場合には、そのメジャー対民族資本の割合は、通産省も過去努力いたしまして、この民族系のウエートがよその国に比べましてかなり高くなっております。しかし、これで満足しているわけでございませんし、なお、この原油を入れる形態を見ましても、民族系はいわゆるDD原油、直接取引によって入れておる例が非常に多いのです。残念ながら、この直接取引のほうが案外原油の単価が高い。それとまた、スポット買い等で——メジャーはメジャーでマージンは高いわけでございますけれども、いまのところは残念ながら直接取引とかスポット買いのほうがかえって割り高になっておるような面もございまして、今後はやはり直接取引、またその自主開発、そういう方向でこのメジャーに負けないように民族資本系を助成して、安い原油が入るように努力をしなければいけない。  こういう情勢で、やはり原油の価格は国際価格で自主的にきめるわけにもいかないし、またこの需給関係でも実は悩みが非常に多いわけでございます。何と申しましても九九・七%を外国に依存しております石油でございますので、今後の問題といたしましては、先生御指摘のように、民族系をうんと強くして安い原油が安定的に入るように、それと同時に、私はやはり原油にも限度があると思います。やはりその代替として国産エネルギー、いわゆる水力の見直しとか、また石炭の見直し、それから地熱発電、それから効率の高い、これは安全ということを考えなければいけませんけれども原子力発電、そういう方向に切りかえるべきである。原油というものをいわゆる電力のエネルギー源として使うことよりも、むしろ化学原料とかその他に使うほうが効率が高い、こういうような考え方でやっておりますけれども、しかし、いまの情勢ではまだまだ原油の依存部分が非常に強いということで、御説のように、いわゆるメジャーを押えて民族系を助成してまいる、そういう方向でまいります。
  208. 増本一彦

    ○増本委員 いまメジャーと日本の石油会社との販売契約を見ましても、メジャーのさし値で価格がきまっていくという例がある。こういう契約の内容が非常に多いといわれておるわけですね。そういう実態は、通産省が一番よく御存じだと思うのですよ。だから、いま、五十セントだったのが四ドルというように八倍のもうけまで取るようになった。この時点で、強腰にメジャーのもうけを削って価格を下げるという、政府が責任を持った交渉や強い態度をとるかどうか、ここにかかっていると思うのですよ。そういう手だてをおやりになるのかどうか。何か迂遠な、民族系をこれから強めて競争力をつけてやっていくというようなことで、今日この時期の物価問題というのは解決できないのじゃないですか。いま申し上げたような手だてをとる気があるのかないのか、ここのところをはっきりさしてください。
  209. 森下元晴

    ○森下政府委員 ございます。実は、現在の世界の石油情勢は、昨年暮れから世界的なパニック状況になりまして、その後各国とも石油節減という方向に行っておることが現在幸いいたしまして、日本に入る原油は多少ともふえておりますし、その備蓄も思いのほかできつつある。いわゆる強い立場に前に比べましてはあるわけでございまして、こういう時期にやはりメジャーに対する強気の態度、そうして取引の内容を国益に沿うように努力すべきであるし、われわれも努力したい。  ただ、問題は、国が直接購入しておらない、やはり石油会社がやっておる関係で、直接介入はできませんけれども、そういうような指導のもとに、やはり安い原油、また従来のメジャー主導型の体制を改めるように努力すべく指導をしたい、そういう所存であります。
  210. 増本一彦

    ○増本委員 決意はわかりましたけれども、そのために具体的な手だてはどういうようにおとりになるのですか。いま何かお考えになっておるところがあるのですか。
  211. 森下元晴

    ○森下政府委員 これは私ごとで恐縮なんですが、前の月の二十九日から四日間、大臣の御命令でアブダビという国に参りました。いわゆる天然ガスで、ここでは日本の一年間の需要の一千万トンに比べて三百年ぐらいの天然ガスがあるであろう、詳細はわかりませんけれども、そういうことで天然ガスを将来特殊なタンカーをつくって持ってくる。日本は非常に天然ガスの開発はすぐれておりますから、ナフサのなまだきとか重油を使うよりは、天然ガスのほうが効率は高いし、公害も非常に少ないというようなことで、この方向に自主的な開発をやっていく。  また、海外の輸出保険等の制度も幸い国会を通りましたように、海外のいわゆる自主開発の方向がかなり強く政府でも進められておりますので、こういう点でやはりメジャーに対する一つの牽制と申しますか、自分の力で公害の少ない天然ガスを持ってくるんだということで、かなり牽制になると思います。そういう努力はいたしておりますし、将来にわたって、政府がバックをいたしまして、強い態度で、いわゆるメジャーに負けないような力を持つように努力をしていくし、またしていきたいと思っております。
  212. 増本一彦

    ○増本委員 では、公益事業部長さんが参議院へいらっしゃるというので、わが党の河田議員の質問ですからおくれていくのもなんですから、ちょっと私はここで事業部長さんの所見を伺いたいのは、いま査定をなすっていらっしゃるでしょう。先ほど燃料油費の水増しがだいぶあるんじゃないかというお話をしました。いまは、先ほどお話があったように、重油の点は仮払い価格で元売り会社とやっている。そういう点を考えますと、どうもいろいろ私が調査をしたところですと、たとえば東京電力の場合は、昨年の十二月のS分〇・三%の重油の仮払い価格が一万五千三百円、元売り会社は一万六千四百円を要求している。まず元売り会社のこの要求ですね、これを圧縮さしていくというような指導というのはするのかどうか。  それからもう一つは、三月十六日の重油の決定価格は六五%アップだ。これで考えて計算をすれば、少なくとも私はこの燃料費の点で考えると、この〇・三%のS分の重油で見れば、一キロリットルあたり二万三千百三十三円から二万六千四百円の間ぐらいできちんと東京電力のS分〇・三%の重油の価格は押えて、そしてこの水増し分をきちんと吐き出させることができるというように考えるのですが、皆さん方の査定の態度とそれから基準、そういうものがはっきりしているんだったら明らかにしていただきたい。この二点を伺っておきます。
  213. 岸田文武

    ○岸田政府委員 重油につきましては、すでに指導価格が設定をされております。基本的なルールとしては、S分一・六%の油を基準にして指導価格を設定し、あとはS分の格差に応じてその開きを認めるということが基本的な考え方でございます。私どもも、査定にあたりましては、この指導価格の考え方というのをベースにして処理をいたしたいと思います。
  214. 増本一彦

    ○増本委員 それは、具体的に金額はここで出ますか。
  215. 岸田文武

    ○岸田政府委員 査定価格という形ではお答えができません。いま申し上げましたように、政府の指導価格のルールというものを尊重して処理するという形になるわけでございます。
  216. 増本一彦

    ○増本委員 その指導価格のものさしですけれども、これはS分〇・三%の場合には幾らぐらいの指導価格になるのですか。
  217. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私詳細な数字を知りませんけれども、たしか指導価格を決定いたしますときの一般的な議論といたしまして、十二月当時は、S分格差が〇・一につき四百円で、その後改定になりまして、六百六十円程度一般的なルールであったと思います。私どもは、さらにそれに加えて取引の実態を加味した査定をして、一そう厳重な査定をするという方針をとっているわけでございます。
  218. 増本一彦

    ○増本委員 なまだき用の原油の場合、これは基準としてはミナスを一番よく使っていますから、ミナス原油は査定のものさしとしてはどういうように政府は考えるのですか。
  219. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これも若干査定内容にわたりますが、一般的なルールとしては、すでにミナスの油につきましては、三月まで十ドル八十でございましたのが九十セント上がりまして、十一ドル七十というFOBバーレル当たりの価格が設定をされております。これがベースになると思います。
  220. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、四十八年の四月から四十九年の四月までに三・一倍上がっておる。このFOBが三・一倍上がっていたら、国内価格もそれに比例して三・一倍かけたところが一つ基準になって価格の決定がなされる、こういうように伺ってよろしいのですか、いまの説明の趣旨は。
  221. 岸田文武

    ○岸田政府委員 正確に申しますと、FOB価格に対しまして、フレートその他の諸掛かりが加わりまして国内価格を形成するわけでございます。したがいまして、比率としてはいまの御指摘の比率とは違ってまいります。
  222. 増本一彦

    ○増本委員 政務次官、私のほうでこういうようにして政府からもいろいろ聞き、燃料費がどういう実態になっているかということをいろいろ調べてみたんですよ。そうしますと、たとえば東京電力の場合、S分〇・三%の重油を全部の発電所で使っていると考えましても、重油の購入額というのは、四十九年度の使用見込みで見ましても、一千四百九億円から一千六百八億円で済むんですね。なまだき用の原油、これはミナスをとりましても、四十八年の四月のFOB価格が三・七ドルだ、それが、いま岸田部長も言ったように、四十九年の四月では十一ドル七〇セントになっている。その間三・一倍上がっているということを勘定に入れて、東電の場合で見ると、四十八年三月の原油の単価が七千三百九十円ですから、一応同じ倍率をかけると、一キロリットル当たり二万二千九百九円、そうしますと、ミナスを全部使ったとしても千八百三十七億円で済むはずなんです。  ナフサについても、ブルネイ産を使ったとして、この一年間二倍になっているということで考えてトン当たり一万七千五百九十四円、ですから五百四十四億円、LNGも四百三十五億円というように見てみますと、東京電力で九百七十億円から一千百八十八億円の燃料費の水増しがあるというように見ざるを得ない。関西電力で四百九十二億円から七百三十三億円、北海道電力で百三十二億円、東北電力で百二十六億円から百三十七億円、中部電力で四百四十八億円から六百五十九億円、北陸電力で四十五億円から七十七億円、中国電力で百四十四億円から二百三十五億円、四国電力で二百二十一億円から二百四十八億円、九州電力で百六十一億から百九十二億円、九電力合計しますと二千六百三十三億円から三千四百八十二億円、電力会社のことも考えてゆるい計算で、かなりきつくしぼっても相当な水増しがあるというように私たちは見ざるを得なかったわけです。ですから、水増し率を見てみますと、東京電力が二二%、関西電力で二〇・四%、ほかも推して知るべしですね。  こういうことが実はやられていて、その計算の根拠というものがしかく国民の前に明確にされていない。政府も査定中だということで明らかになさらない。ますます国民には大きな疑惑を呼ぶはずであります。ですから、私たちがいろいろ計算をしてもこういうひどい申請が出ているという事態を見れば、単に事務的に、各省間の意見の調整がまだできていないから査定が若干延びるだろうというようなお話ではなくて、この際、もう一度そういう点まで含めて見直す、だから申請は撤回させて、もう一度厳密に計算させて出し直させるというような強い行政指導まで必要ではないかというように私は考えるのです。それがいま国民も要求している点ではないでしょうか。そういう点も含めて、ひとつ政務次官、あなたのお考えを伺いたい。
  223. 森下元晴

    ○森下政府委員 ただいまの御指摘で、二二%、また二〇%という水増しがある、そういう点を通産省としては十分見抜いておるかどうか、また、そのためにも慎重に電力料金はきめていただきたいというような御意見でございます。もっとも、通産省としても値上がりの大部分は原油の値上がりであるということは承知しておりますし、その点は十分チェックはできておるはずでございます。まあ最後は、経済企画庁とかその他の関係官庁ともよく相談して、また審議会にもかけて電気料金は決定されるわけでございます。先生のただいまのデータ等もわれわれも大いに重要視いたしまして、最終電力料金の決定のためには、決定してからいろいろ文句が出ないように十分配慮もしていきたい。  ただ、ここでかなりの日数を先に延ばすというわけにはまいらないと思います。その点、そういうことでこの場でいま通産省の持っておるデータを詳細発表することはごかんべん願いたいわけでございますけれども、よく先生の御趣旨を体しまして、料金等であとあと文句がつけられないように十分配慮をしたい。特に油の問題は、額もわかっておりますし、特に電力会社の場合は、公共料金という形で、従来からも強くできる立場にもございましたし、その点、万遺憾なきを期してやっていきたい、このような所存でございます。
  224. 増本一彦

    ○増本委員 これは私の個人的な計算かもしれない。しかし、その私が計算してもこれだけの水増しが指摘できるという事態であれば、単に慎重にやるということだけで済む問題ではないというように私は思うのです。だから、国民のわからないところでいろいろ査定が行なわれ、そしていまのお話でも、あまり長くは延ばせないということで認可を急いでおられる。国民のほうは、そういう電気料金のきめ方ではなくて、もっと全体の中身が明らかになり、そうして、政府がほんとうに厳密に査定をしているのかどうかも明らかになるような料金の決定をしてくれ、こういうことになっているわけでしょう。だったら、いまこの時点で、もう一度そういういいかげんな申請は出し直させるというような手だてを政府はむしろとるべきだと思うのですよ。そのことについてどうなのかということを私は伺ったので、慎重にやるということはこれはもう当然なことで、その慎重の具体的な内容が行動としてどうあらわれるか、このところをはっきりさしてください。
  225. 森下元晴

    ○森下政府委員 通産省といたしましても、あらゆるデータを取り寄せまして、慎重に、綿密にチェックをしております。ただ、その内容すべてをここで資料として提出できないということは残念でございますけれども、先生御指摘内容、または、先ほど御指摘のございましたようないわゆる為替レートの三百円が現在は二百八十円かになっておる、そういう問題も含めて十二分に検討して決定をしたい。
  226. 増本一彦

    ○増本委員 私はたいへん遺憾だと思います。  それで、あともう一つ内部留保の問題もありますし、それからもう一つは、減価償却の適正化の問題もあると思うのですね。この減価償却の適正化は利益の費用化を圧縮していくという会計原則の厳格化として重要であるだけでなくて、いまの電力料金値上げ、この時点では国民への負担の転嫁を押えていくという上から非常に重要な問題だ。  そこで、私もいろいろ検討してみたのです。東京電力の例をとってみますと、定率法を定額法に変えるだけで約三五%の水増し分をなくすことができると思うのですね。これで見てみますと、昭和四十七年の上期をとっても百九十一億円、年間で三百八十二億円の費用化を防ぐことができるはずです。各九電力会社について同じようにやはり厳密に、いままで定率法をとってごっそりもうかっているときに費用化してやってきた、利益を隠してきた。これをいま、今度のこの決算で定額法に単に変えるというだけにとどまらず、その辺の減価償却の内容についても今後一貫してやはりそういう面の費用化を防いでいくという態度をとるべきだと思うわけです。そういうきつい指導をひとつすべきだというように思いますが、その点はどうか。  それからもう一つは、償却期間ですね。いま火力の発電装置は十五年、これを二十五年に十年間延ばすだけで約四割やはり圧縮できるはずですね。ですから、東京電力の場合には二百七十三億円ぐらいがまた浮いてくる。そういうことも厳密に計算すれば、国民への、特に民生用の電灯や農事用あるいは中小企業の小口電力の料金は、引き上げではなくてそれを据え置くということも、具体的な財源も含めてきちんと手だてをとることができるというようになると思うのですが、そういうような方向についてはお考えなのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  227. 森下元晴

    ○森下政府委員 減価償却の方法によってかなり料金の算定に影響があるというお説でございます。現在いわゆる定額法で算定をしておるようであります。定率、定額によってかなり償却金額は違いますけれども、その点現在は定額法によって算定をしておる。それと内部保留の問題がどのように電気料金に影響するか、各電力会社いろいろな内容によりましては多少その内部保留とかまた含み資産の多い少ない、これもかなりあると私は思うのです。そういう問題もよく含めて電気料金が高過ぎないように、特に福祉型、福祉対策ということを前面に打ち出しておりますいわゆるナショナルミニマム、そういう問題にも電気料金の決定にあたって十分配慮していきたい。  それから、なお、農林用とかいろいろ福祉関係、こういう問題の電灯料金等は、過去におきましてはいろいろ政策的に農林用なんかの場合には配慮があったようでございます。そういう点はまた私は別途政策的にきめる必要があるんじゃないだろうか、このように思っております。貨物料金なんかでも、そういうような内容によって特別料金とかいろいろなことをやっておる例がございます。電気料金にそれを採用せしめるかどうかということについては、今後の問題として政策的に考えるべきであるし、またそれぞれ所管の考え方もございまして、よく将来の問題として検討をしていきたい、以上でございます。
  228. 増本一彦

    ○増本委員 いま東京電力は、申請書を見ますと、従量電灯が現行から七百二十億の増収を料金改定によって見込んでおるわけですね。それから農事用の電力が八億の増収、それから小口の中小企業の電力で九百十一億増収を見込んでおる。これを全部合わせますと千六百三十九億円なんです。先ほどの水増しがあると言った九百七十億円から一千百八十八億円、これに先ほどの減価償却と償却期間による圧縮や適正化をはかっていけば六百五十五億円くらい浮くわけですから、こういう従量電灯や農事用電力や小口電力については料金を据え置いても、財源は十分あるということになりますね。  それから、関西電力でも従量電灯は今度の料金改定で五百四億円増収見込み、それから農事用で一億、中小企業の小口電力で四百八十億、合わせて九百八十五億です。ですから、料金の水増しに、やはり同じように減価償却などをきちんとするだけで必要な財源はまかなうことができるから、料金の据え置きができるという計算が成り立つわけですね。  問題はそういう姿勢で見るかどうか、これが実はほんとうは福祉型の料金なのかどうかということのきめ手なんだというように思うわけです。そういうことまで含めて御検討をされているのかどうか、あるいは検討されるのか、その心意気のほどをひとつ伺いたいと思うのです。
  229. 森下元晴

    ○森下政府委員 そういう問題も全部含めまして検討をして、適正な電気料金の決定をいたします。
  230. 増本一彦

    ○増本委員 そういう考えでいきますと、民生用の電灯、電力料金について、今度逓増料金制度を導入しているわけですね。これは中間答申が出たからということもあるいは影響があるのかもしれないけれども、もう一つは資源節約という要請、いろいろ考えているのだと思うのですが、しかし、ほんとうは相手を間違えているのもはなはだしいと思うのですね。資源節約をほんとうに強調するんだったら、大口電力にこそ逓増料金をやるべきですよ。そうして民生用のこういう電力や電灯料金の逓増制はやめるべきだ、この点はどうなんですか。先ほどの御答弁からいけば、十分考えてしかるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  231. 森下元晴

    ○森下政府委員 もちろん民生用の電灯また電力料金はできるだけ圧縮すべきである、値上げすべきでないと思いますけれども、やはり全般的なコスト上昇によって、特に異常なコスト上昇、こういうことは過去においてもなかった、また将来においてはそういうことはないと私は思いますけれども、ほんとうにパニック状況のような原油の高騰、これももちろん世界的な問題でございまして、こういうコストアップによる電灯料金の値上げということで、やはり上げることについての問題については、われわれといたしましても、これの申請を認めないというわけにはいきませんけれども、ただ、いかにしてこの配分を福祉型の配分にするか。まあ従来からすれば、消費をむしろ奨励しておった関係で、使えば使うほど安くなる、これも一つの考えでございましたけれども、やはり石油資源というものは将来にわたって節約すべきであるということから、あまり使わないようにしてもらいたい、節約してくださいという趣旨が逓増制になっておるわけなんです。だから、民生用といえども私は、ぜいたく的に使われる方面にはやはり逓増制によって節約をしてもらう、いわゆる使用抑止のために逓増制にすべきである。ただ問題は、どこに線を引くかという問題が意見の分かれるところでございますけれども、この点は十分配慮してやっていきたい。  それと、電力料金、大口、特に産業用を逓増制にして、よけい使うところにぶっかけるべきじゃないかという御意見もございますけれども、これとても、やはり産業といえども生活必需物資とかいろいろな製品をつくっております。もちろん国民生活に必要な基礎資材とか生活用物資もつくっておる会社もございまして、やはりあまりコストを上げることは、また別の形において国民生活にもはね返ってくる。だから、一がいに大口需要がけしからぬ、また大口需要によけいかけるべきであるということも私は言えないと思います。  ただ問題は、ほんとうに理想とすべきは、やはり電気の、原動力のエネルギーが過去におきますように安く、しかも無限に入るような体制で、できるだけ産業の発展のために惜しみなく使っていく、こういう形が好ましいと思いますけれども、残念ながら、現在の世界のエネルギー資源というものはそういうことが許されないという中での今回の電力また電灯料金の決定でございます。といって、これを一年ごとに変えることももちろんできませんし、かなりの長期にわたって据え置かなくてはいけないということから、いろいろ勘案して、ただいま現在だけのすべてのデータからも考えられない。といって、もう数十年にわたって電気料金を据え置くためのデータというものを求めるわけにもいかない。実は非常に苦慮はしております。  そういうことで、第一に考えなければいけないのは、国民大衆に今回の電気料金値上げによって迷惑をかけないという福祉型の精神というものは貫いていきたい、こういうことで現在作業を進めております。御趣旨に沿うように全力をあげたい、こういうことを申し上げまして御了解を得たいと思います。
  232. 増本一彦

    ○増本委員 御趣旨って、私の趣旨を言うと、いま言ったような話になるのですが、それをやる以外にないと思うのですよ。  そこで、いまの政務次官のお話でいきますと、私もせんだって次官に、一万人の署名を持って陳情をしましたね。きょうも一万五千の署名を持って大阪からわざわざ陳情に見えて、傍聴もしている。こういう一般国民消費者、こういう人たちはほんとうにそれで納得できるのかということですね。逓増制はおやめにならない、大企業に応分な負担をさせるという点もちゅうちょをされる。それでどうして私の言ったような趣旨を体して全力を尽くしたいという結論になるのか、私自身はたいへん疑問であります。  もう一つお伺いしますが、いま電気には電気税がかかっているわけですね。私は電気税をこそこれは撤廃し、大口電力に対するいまの特別措置は廃止をすべきだ、そして地方財政の代替の財源は別途ちゃんと求めるべきであるし、それに必要な財源というものは十分確保できるというように思うんですね。この点は、自治省お見えになっていましたね、自治省と、それからいまこの時点で電力に直接関係をお持ちですから、ひとつ通産省のほうの御意見も伺いたいと思うのです。
  233. 山下稔

    山下政府委員 電気税は電気の消費と消費する人の所得との間に相関関係がございますので、その相関関係に着目をいたしまして、消費段階で担税力を見出して課税するという性格の税でございまして、一面、地方財政の観点から見ましても、普遍的、安定的な税源でございまして、市町村の非常に重要な税源になっております。したがいまして、これを廃止いたしますことは、地方財政の現況から困難であろうと考えております。ただ、電気税が一般家庭用の零細負担者にも課税されるというような点はできるだけ是正すべきであろうと考えますので、免税点の制度を活用いたしまして、零細負担の排除につとめたいというふうに考えております。  また、産業用電力の問題でございますが、産業用電気に対して非課税措置をいま講じておりますのは、原料課税になりますために価格に転嫁するというような点を考慮して非課税にいたしているわけでございますが、経済情勢の変化や社会情勢の変化もございますことでございますので、私どもといたしましては、この産業用電力の非課税制度というものは極力整理していくべきものだと考えておりまして、そのように努力してまいりましたが、今後もさらにそういう方向で努力をいたしたいというふうに考えております。
  234. 増本一彦

    ○増本委員 前半の御意見は、きょう午前中の商工委員会で通産大臣自身が、来年度は撤廃のために努力すると言って答弁しているのですよ、電気税については。そういう方向で皆さんのほうで検討できないものですかね、次官どうですか。
  235. 森下元晴

    ○森下政府委員 通産省の側から見ればそういうことになりますけれども、やはり地方財政のことを考えました場合に、ここで私は大きな声で撤廃をすべきであるということの発言はちょっとちゅうちょするわけでございまして、その点ひとつ御了承を願いたいと思います。(増本委員「努力するかどうかですよ、あなたの政治姿勢を聞きましょう」と呼ぶ)  もちろん税率はだんだん下がっております。それから免税点も毎年ずっと上がっておりまして、一挙に取りはずすことができるかどうか、私の考え方としては撤廃の方向に努力をいたします。
  236. 増本一彦

    ○増本委員 そこで、こういうようにいま国民の重大な関心が電気料金に向けられているわけですけれども、そういう中でエネルギーの確保のために発電所の建設の増加を進めていかなくちゃならない、あるいはそのために周辺の整備もしなくちゃならないということで、今度の促進税を中心にした法案が当委員会にかかっているわけですが、この本体になる周辺整備法自身が、いまの若干の質疑の中でも非常に不明確な点が私はあると思いますし、電力会社にその費用負担を結局免除させて、改悪にひとしいようなことも平気でやって、そして税金で国民に全部負担を転嫁していくというようなやり方になっている、ここのところはたいへん私は重大な問題だというように思うのです。この点は政府に再考を求めたいと思いますし、しかも、先ほど明らかにしてほしいとして指摘した整備計画に関連するいろいろな問題の積み残しがあります。その点は通産省から資料をもらい、そしていろいろまた説明も聞いた上で、あらためて質疑をさせていただきたいと思います。  きょうは、この程度で終わります。
  237. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次回は、来たる二十一日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十一分散会