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1974-05-15 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十五日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 松本 十郎君    理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君    理事 山本 幸雄君 理事 阿部 助哉君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    大石 千八君       金子 一平君    鴨田 宗一君       瓦   力君    小泉純一郎君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       野田  毅君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       佐藤 観樹君    塚田 庄平君       広瀬 秀吉君    村山 喜一君       山中 吾郎君    小林 政子君       広沢 直樹君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  柳田桃太郎君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     木下 元二君 同日  辞任         補欠選任   木下 元二君     荒木  宏君 同月十五日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     瓦   力君   萩原 幸雄君     大石 千八君   松浦 利尚君     米田 東吾君   荒木  宏君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     奥田 敬和君   大石 千八君     萩原 幸雄君   米田 東吾君     松浦 利尚君   米原  昶君     荒木  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号)      ————◇—————
  2. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは新税の創設であります。それにもかかわらず、この出席状態でやるなんというのは、大蔵委員会の権威に関する問題だ。私は与党だけとは言わぬけれども与野党ともども、特に与党方々はもう少し熱意を持ってくれなければ審議をするということにならぬのじゃないか。まず、私は不満の意を表明しておきたいと思います。  この委員会に付託されました電源開発促進税法案電源開発促進対策特別会計法案というのは、商工委員会に付託されておる発電用施設周辺地域整備法案財源支出の方法を定めるものでありまして、本来ならば、発電用施設法案審議され、もう少し内容が詰められてから、それのための手段であります金の問題特別会計の問題が当委員会審議されるべきだ、こう思ったのであります。  と申しますのは、この地域整備法案内容を見てまいりますと、何が一体目的なのか、あまりにも広範でさっぱりわからない。目的が明確でないというあたりで、私は、この通産の法案がもう少し審議され、究明されて、その中でわれわれの委員会のほうでも審議をされるのが順序だろう、こう思っておったわけでありますが、与党方々審議をたいへんお急ぎのようでありますが、大臣、こんなことで十分な審議を尽くせる、こうお考えになりますか。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題は、御指摘のように、三法一体という関係にあると私は思うのです。もちろんこれは三者が並行して審議される、こういうことになるべきものであるというふうに思っておるわけですが、幸いにして商工委員会のほうでも審議が始まろうとしているので、ぜひ本委員会におきましても御審議を進められたい、かように考えます。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はまず、民主的な財政においては特別会計目的税原則として排除すべきなんだ、こう思っておるわけであります。さきの本会議において福田大蔵大臣は、両法案趣旨説明に対する質疑に際して、これは特例中の特例、こう述べられた。私はこの理由に立ってこれは述べられたんだと理解しておるのであります。これは特例中の特例だ、特別会計目的税は好ましくないということだと思うが、なぜそれは好ましくないのか、これは原則的なことなので、まず大臣の御意見を確認しておきたいと思うのであります。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 国の財政一般会計において総合的に表示する、これが基本である、かように考えておるわけであります。ただ、一般会計で収入、支出を行なう、こういう方式をとる場合におきまして、施策緩急ということを考える。特に優先度を置きまして、これはやらなければならぬというものにつきましては、あらかじめ特定財源を留保し、また特別経理方式を整えまして、これを一般施策に優先して行なう、こういうような仕組みもときには必要になってくるという事態があるわけであります。ガソリン税財源といたしましてあのおくれた道路整備を行なうということは、そういう考え方に基づくのでございますが、今日になってみますと、わが国が当面しておる最大の問題は、エネルギーをいかにして整備していくか、そういう問題となってきておるのであります。  長期の展望からしますと、石油資源がだんだんと枯渇してくる。代替エネルギー開発しなければならぬということになってくる。そういう問題がいまや国の施策の最重点の問題になってきておる。そういうことを考えますときに、新エネルギー開発並びにこれに関連する経費を一般財源の割り当ての中において処理するということは、必ずしも妥当ではない。緊急に整備すべきエネルギー問題、これには特段のくふうをなさなければならぬという考え方のもとに、会計上におきましても特例を設ける、そしてこれは急速に電源エネルギー開発を行なう、こういう考え方をとったわけであります。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣緩急であるとか、いろいろおっしゃるけれども重量税の場合も、特別会計をつくらなかったですね。私は、民主的な財政原則として、統一的会計原則があると思うのです。この原則国民経済負担のすべてを予算に掲げ、これを総支出に対照させる、そして財政の全貌を国民に明白に示す。そこで乱費あるいは税のいいかげんな増徴、負担の不公平を防止する、こういう民主的な原則があるんだろう、こう質問しておるのであります。緩急に応じてどうのこうのとおっしゃるけれども、やはりこの原則をまず確認した上で——いろいろなことがあろうけれども、この原則の確認を大臣は本来腹の中でしておられると思う。それだからこそ本会議説明で、特例中の特例だと大臣はおっしゃっておるんだ、私はこう理解しておるわけであります。  この法案審議にあたって、これは特例中の特例なんだから、そして統一的会計原則をくずすものなんだから、目的税だというその目的商工委員会にかかっておる法案が、はたしてそれにふさわしいものであるのかどうかというものの究明をある程度してから当委員会を始めるべきだ、こう私は冒頭申し上げたのであります。しかし、残念ながらそういうことにはなりませんので、整備法案等内容もからめながら、これから質問をしてまいりたいと思うのであります。  電力が足らない、やれ何が足らないということで目的税がつくられ、特別会計ができるとしたら、幾らでも目的税特別会計というものが乱造されることになる。政府はこれにどこへどういう歯どめをされようとしておるのか。緊急だとか特例だ、こういえばそのつど目的税だ、特別会計、こういうものをおつくりになる、これじゃ困るのでありまして、その歯どめというのは一体どういうふうにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 一般財源で国の仕事として恒久的にやっていかなければならぬというようなものは、これはどうしても総合的に整備しなければならぬ、そういうことでございますが、とにかく短期、まあ突貫工事というか、そういうような形でこれは急いでしなければならぬというものについて特別の財源整備し、特別の使途にこれを使うというものにつきましては、これは特例中の特例として考えてしかるべきではあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。  その限界はどうだというと、これはなかなかむずかしい問題でありまするが、総合的に観察いたしまして、これはどうしても特別に経理し、したがって特別の財源特定使途にこれを使うのだ、そして所期の突貫工事をやってしまうんだ、こういうような考え方をとることは、これは特例中の特例として容認せらるべきことではあるまいか。しかし、あくまでも私は財政統一原則、これにつきましては引き続いて堅持してまいりたい、こういう考えであります。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何かさっぱりわからないのですね。統一会計原則を守るんだ、だけれども、何か必要かあればつくるみたいな——これは何かここに歯どめみたいなものを考える必要があろうと思うのです。いまの大臣の御答弁だと、まあ聞いておる方々はおわかりなのか知らぬけれども、私には歯どめらしいものは一つも感じられないんでして、私は、そういうことではないんじゃないか、目的税特別会計をつくる最低の条件というものがあろうと思うのです。  それは、私は、第一に使途が明確で限定をされておる、これが第一だと思うのです。第二には負担受益者に限られる、これが私は少なくとも第二の条件である、こう考えるのですが、いかがですか。
  10. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一の点は、私はそのとおりだと思います。しかし、そのための財源受益者に限定する、こういう考え方は、必ずしもこれは普遍的な歯どめという条件にはなしがたいんじゃないか、そういうふうに思います。財源はしかしながら特別の財源でなければならぬ、これはもう当然そうだと思います。それが受益者とつながりを持った特定財源でなければならぬというふうには考えません。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 電源開発税特別会計は、私はまず使途が明確でないのじゃないかという感じがしてならぬのであります。発電用地域整備法の第一条に、公共施設整備地域住民福祉向上、こういっておるのですが、これはどのように関係するのか。
  12. 岸田文武

    岸田政府委員 いまさら申し上げるまでもなく、これからの経済社会の発展のために、電気供給というものは不可欠でございます。経済が成長し、国民生活向上にほぼ比例をいたしまして、電力供給の増大をはかってまいらなければなりません。しかしながら、現実供給体制の動きを見てみますと、ここ数年、私どもの立てました電源開発計画、これの達成率が次第に低下をしております。ちなみに、昭和四十六年度でございますと八七%、四十七年度でございますと三二%、四十八年度が四〇%を若干こしたといった姿になっておるわけでございます。  これらの発電所建設がなかなか困難におちいっておる原因、いろいろございます。一方には公害問題あるいは安全問題に対する住民懸念の問題、これについて私どももいろいろ苦慮し、対策を拡充しておるという状況でございまして、それと並びまして、地元の方の意見を伺っておりますと、せっかく電気をつくっても、できた電気都会地へ行ってしまう。ほかの工場であれば、地元で下請の工場ができるとか、あるいは住民の雇用の機会が与えられるとかといったメリットがあるのに対して、電気の場合にはそういったメリットが一切ない、いわば他人のために電気をつくってやるというような関係になる、こういった点が指摘をされておったわけでございます。  私どもは、このあと懸念に対応するためにどういう方策をとるかということを、あれこれ研究いたしました。やはりこれは電源地帯整備ということを、この際思い切って進めるということが必要であろうと考えたわけでございます。いまお話の中にございましたように、公共施設あるいはこれに関連をする各種施設、さらにまた地元福祉に貢献をする施設、これらの整備を促進することによって、やはり発電所ができてよかった、こういったことを住民の方に感じていただく機会を得たいということが、この法案の私どもの気持ちでございます。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、どういうふうに関係するのですか。
  14. 岸田文武

    岸田政府委員 たいへん恐縮でございますが、関係とおっしゃいました意味をもう一度御説明いただけませんでしょうか。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これをうたっておるわけでしょう、この条文に、目的のところに。だから、それはどういうふうに関係するのかというのです。
  16. 岸田文武

    岸田政府委員 発電所周辺地域における公共用施設整備、これは具体的には道路建設であるとかあるいは各種福祉施設建設といったことがこの内容になってまいるわけでございます。それらが実施されることは、結果として地元方々の利便を向上しあるいは福祉向上につながってくる、こういう関係になるわけでございます。こういったことによりまして、発電所ができることは、結果として地域を利用していくという関係になりますれば、それはひいて発電所建設についてやはり住民理解を得る上で大きな役割りをするのではないか、こう理解をしておるわけでございます。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それはあとでなおお伺いしますけれども、この条文自体がめちゃくちゃにできておるのですよね。道路をつくった、だから福祉につながる、そういう面もあるでしょう。風が吹けばおけ屋がもうかる式に言えば、いろいろ理屈をつければつくんです。しかし、電源開発をするための荷揚げの港湾をつくってみたり、建設用道路をつくってみたりすることは、これはこんな法案をつくらなくたって、電源開発をしようとするものは当然それをやらにゃいかぬのですよ。山奥へ水力発電をつくろうとすれば、そこへ行く機材を運ぶ道路というのは、これは相当に大きな道路をつくらなければならぬのであって、あたりまえなんですよ。それをいかにも住民福祉であるような形で言っておる。目的はこれだけですか。
  18. 岸田文武

    岸田政府委員 私どものねらいを一言にして要約すれば、そういうことになると思います。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まず、目的はこれに限定されると言っていいですか。
  20. 岸田文武

    岸田政府委員 そのとおりでございます。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この「発電所施設周辺地域整備法案について」という通商産業省資源エネルギー庁で出したこれは、皆さん承知ですね。これを見ますと、一番最後に「なお、五十年度以降においては、原子力発電安全確保に関する研究事業にも、電源開発促進対策特別会計資金を充てる。  ことを予定しています。」こういっているのですね。これは目的の中に入っていないじゃないですか。  この法案目的税だ。だから私は、大臣に最初に確認したのだ。目的は明確にせにゃいかぬのだ、目的税なんというものはこれは特例中の特例なんだ、こう大臣もおっしゃっておるが、私もそうだと思う。ところが、初めから、法案を出す前から、皆さん目的を逸脱したようなものをつくっておるというのはどういうことなんですか。
  22. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは、御指摘のございました原子力の安全問題というのは、住民福祉に深いかかわり合いがあるという考えをしております。住民方々原子力発電所建設についていろいろ心配をしておられる、こういった心配を取り除いて安心をしていただくという意味合いで、私ども理解できるのではないかと思っておりますが、これは将来の課題ということでこの資料の中に取り入れられたので、直接的にはいま関係ございませんで、なお今後の研究課題だというふうに考えます。(阿部(助)委員「あなた、声が小さくて聞こえないのだけれども、もう一ぺん言ってください」と呼ぶ)  繰り返し申し上げます。  原子力の安全問題というのは、私ども住民福祉に深いかかわり合いがあるというふうに理解いたしております。発電所建設に対しまして、住民方々が安全問題について、いろいろ不安があるのではないかという懸念を持っておられます。これらについて、私どもとして十分の研究を行ない、安心をして発電所建設を見守っていただくようにする、いわば安心をしていただくということは意味の多いことである、こう理解をしております。  なお、先ほど申し上げましたのは、この資料に入っておりますことは、将来の検討課題ということで内容に取り入れておりますので、これの取り扱いについてはなお研究をいたします。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまの答弁じゃ、目的税という税体系をくずすような重大なことを、そんなあいまいなこじつけで、いろいろな研究をするのはみんな住民福祉社会福祉国民福祉につながるんだと言えば、これは万般のことは全部つながっちまう。目的税というのは、そういうふうにいろいろ関連づけたり拡大解釈してはならぬというのが税のたてまえなんですよ。通産省は、一体、税法というものを何と心得ておるのです。お伺いします。
  24. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま御指摘をいただいております電源開発促進対策特別会計法経理をいたします対象の中に、ただいま御指摘原子力発電につきましての安全対策等交付金を織り込んでおるわけでございます。  その理由は、ただいま通産省のほうから御説明を申し上げましたように、原子力発電につきましては、何ぶんにも原子力を利用するという特殊性があるわけでございますし、わが国におきます実用化の歴史も浅いわけでございます。そこで、私どもいろいろ努力をしているわけでございますが、なお安全性についての国民の認識が十分には確立していないという点があるわけでございます。いわば不安感が存在するという特殊な事情がございます。  したがって、そういう点を勘案いたしまして、原子力安全対策に万全を期して周辺住民の方の不安感を解消する。そういうために、この特別会計経理対象といたしまして原子力発電安全対策等交付金交付を予定いたしているわけでございます。その内容は、環境放射線監視施設費用でございますとか、あるいは温排水の影響の調査でございますとか、あるいは住民に対します普及啓発事業、そういうものを予定しているわけでございます。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 辻さん、そう言うけれども、そういう問題まで広げれば、学問というものは、いろいろな技術というものは、みんな関連があるわけでしょう。どこまで一体広げるんです。大蔵省立場としてもこんなあいまいな目的税というものは初めてでしょう。それは私は、辻さんの答弁としては、その場ごまかしという立場ではわからぬではない。しかし、税のたてまえ、税というのはそういうものじゃないのですよ。それは私が言うまでもない、皆さん承知のとおり。フランス革命だのイギリスのいろいろな問題が起きたのは、みんなこれは税金の問題からなんです。だから、税というものはこの原則を守って国会できめにゃいかぬというほど厳重なやり方を、どこの国でもとっておるわけですよ。それをそうあいまいに、これが住民福祉でございますというなら、あらゆる学問研究、全部これは住民福祉につながる。それをこういう目的を逸脱したところへ使う、これは私は間違いだと思うのです。  通産省立場をもう一ぺん御答弁願いたい。
  26. 岸田文武

    岸田政府委員 私は、税金の理論、詳しくは承知いたしませんが、ただ私どもが、安全問題というものがいかに重要な課題であるかということについて真剣に努力もし研究もしておるということを、御理解をいただきたいと思います。  現実に各地の原子力発電所建設を推進してまいる上において、やはり地元住民方々原子力安全性について十分のまだ理解がないままに、いろいろの不安の念を抱いておられる。これらについて正しい知識を提供し、さらに安全の問題についてはより安全にということで努力をする、研究もする、こういったことは私どもにとっても非常に大きな課題でございます。この支出についてはなお研究をいたしますが、しかし、趣旨においては、私ども発電所建設推進のために地元理解を得る上で非常に大きな課題である、こう思っております。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 安全問題はあとでゆっくりと科学技術庁長官にお伺いするつもりであります。皆さん、安全でないのは国民がばかだから、国民理解が少し足らないから、こういう立場でものを言っておるようでありますが、その安全問題をきわめてやる、また、それを研究するということに私はやぶさかではないのです。  問題は、ここまで目的税目的を広げるのは一体どういうことなんだ。しかも、法律ではこれは除いてあるんだ。だから私は、国民福祉開発とはどういう関連があるか、こうお伺いしておるのでして、これを目的の中へ入れるならば、あらゆる研究はみなここへ入ってしまいますよ。そうすれば、税法立場からいって、目的税というこの税の立場からいって、これは逸脱しておるのだ。初めからうそをついてかかっておる。なぜこれを第一条に入れていないのです。なぜこれを、では第一条に入れなかったのです。
  28. 高木文雄

    高木(文)政府委員 目的税のことに関連いたしますので、私からお答えをいたします。  事のよしあしは御批判を十分仰がなければいけないわけでございますが、現在の仕組みは、電源開発促進税法の一条では、「原子力発電施設云々の「財政上の措置に要する費用に充てるため、」「この法律により、電源開発促進税を課する。」とありまして、これは電源開発促進対策特別会計法の一条二項に特別会計のやる仕事が明定してあるわけでございます。  このきめ方といたしましては、ここにありますように、発電用施設周辺地域整備法七条の規定に基づく交付金というのを一つのグループと考えております。それから「及び」とありまして、それ以下に安全のことが触れてございますが、御指摘のように、安全の問題というのは非常に範囲が広いわけでございますけれども、一条二項の「及び」以下のところでは、「同法第二条に規定する発電用施設周辺地域における安全対策」ということで一応限定しておる。安全対策のすべてを含むわけではなくて、「周辺地域における安全対策のための」云々ということでしぼられておるわけでございますので、私ども理解では、いわゆることばの上で安全対策といわれるもの全部が全部この会計において処理されるのではなくて、発電用施設周辺地域における安全対策ということに限定されておりまするがゆえに、そしてその特別会計財源でございますがゆえに、一応電源開発促進税というものは目的はしぼられておる、限界が引かれるものであるというふうに理解をしておるわけでございます。そこで、周辺地域整備法の七条とそれからその周辺地域安全対策、こういうふうに私ども税立場からは理解をいたしております。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 高木さん、ところがこれはそうなっていないのですよ。原子力発電安全確保に対する研究事業にも資金を充てることができるのですよ。あなたのおっしゃることとこれは違うでしょう。
  30. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま一般会計負担となっておりますそういう基礎的な研究開発費につきましては、特別会計経理対象にするつもりはないわけでございますけれども発電用施設の設置の円滑化に直接結びつくと思われるような研究開発にかかわる費用があれば、将来の課題として本会計経理することは考えてもいいのではなかろうか、さように思っております。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何かだまされて、ごまかされているような気がしてしようがないですな。通産省のこのパンフにはちゃんと予定しておるのですよ。皆さんだんだんぼかしてくるけれども、私が初めから言っているように、まだほかにもありますからこれからお伺いしますけれども、この目的が明確でない、この整備法は。地域開発との問題もこれからお伺いしますけれども、明確でないですよ。この文書を読んでごらんなさい。これは引っ込めて、もう一ぺん出し直したらどうです、通産省。こんなものをわれわれの委員会はごまかして通すわけにはまいらないのですよ。
  32. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは電源周辺地域整備につきまして一つの計画を立て、その計画のもとに実施をはかる、その実施の財源として特別会計の金を充てるということでございますが、そういったしかけのいわば基本的な目的として、先ほどお示しの条文が用意をされておると理解いたしております。ただ、特別会計支出の項目としましては、単に公共事業を直接的に整備をする、あるいは施設建設をはかるということのほかに、たとえば、環境放射能の監視施設の設置であるとか、あるいはその地域についての温排水の調査であるとか、こういったことがあわせて実施できるようになっておるということで、いわば整備法と特会法との両者の内容を勘案しながら御理解をいただきたいと思います。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 こんなところで突っかかっておると、二日も三日もかかってしまうんですがね。御理解してくれなんと言ったって、できないでしょう。税というものは、そうあいまいな形で行なうべきものじゃない。皆さんのこのパンフのこれを見れば、あらゆる研究がみな関連があるじゃないですか。こんなものまで関連させれば、どこまでも広がっていきますよ。だから、第一条の目的とこれとどう関係があるか、もう一ぺん言ってください。納得できない。
  34. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 速記を始めて。
  36. 辻敬一

    辻政府委員 特別会計法の第一条第二項の問題でございますが、そこで電源開発促進対策の定義をいたしておるわけでございます。その内容につきましては先ほど主税局長も触れましたところでございますが、第一が「発電用施設周辺地域整備法」、いわゆる実体法の「第七条の規定に基づく交付金交付」というのが一つございます。それから第二のグループといたしまして、「同法第二条に規定する発電用施設周辺地域における安全対策のための財政上の措置その他の発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置で政令で定めるもの」ということになっておるわけでございます。  ただいまのところ政令で指定を予定いたしておりますのは、四十九年度の本特別会計の歳出予算に計上いたしております原子力発電安全対策等交付金にかかわる措置を予定しておるわけでございます。その内容につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、環境放射線監視施設の設置運営、温排水の影響調査の事業、それから地元住民への普及啓発事業等を考えておるわけでございます。  そこで、先ほどご指摘のございました調査研究の経費でございますが、発電施設等の立地の円滑化に直接結びつくような調査研究事業がございますれば、この特別会計経理対象として政令で指定することは可能であると考えております。しかし、それは個々具体的な調査研究目的なり内容なりに照らして判断すべき問題でございますので、今後におきます発電用施設の設置の状況でございますとか、あるいはまた電源開発促進税の収入の状況、そういうものを勘案いたしまして、その時点におきまして電源開発促進対策としてふさわしいものがあれば、それは取り上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたところでございますが、基礎的な研究開発費をこの会計経理対象とすることは考えていないわけでございます。あくまでも発電用施設の設置の円滑化に直接結びつくと認められるような研究開発があれば、それは将来はこの特別会計経理できるという考え方でございます。
  37. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まず辻さんの答弁の中で、政令でこれをきめる。政令できめるというなら、目的税、私はこれは厳格に規定すべきものだと思うので、政令を出してください。目的がぼけてしょうがないです。
  38. 辻敬一

    辻政府委員 政令でどういうことを指定するか、考えておるかということにつきましては、ただいま申し上げたとおりでございますが、必要でございますれば、政令案の要綱のようなものを御提出申し上げます。
  39. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから私は、先ほどから大臣に冒頭お伺いしたように、目的はきちんとせねばいかぬ。それを皆さんの政令でかってに広げられるのでは、ここで審議をすることはナンセンスになってしまう。そんなことは許されないですよ。これは税の基本ですよ。これは政令をちゃんと出してから審議します。
  40. 辻敬一

    辻政府委員 繰り返して恐縮でございますが、ただいま政令で指定を予定いたしておりますのは、四十九年度の本特別会計の歳出予算の原子力発電安全対策等交付金に計上しております内容を予定しておるわけでございます。その中身につきましては、先ほど申し上げた事業でございます。しかし、必要でございますれば、政令案の要綱を御提出申し上げます。
  41. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 内容は言っているとおりだよ。
  42. 阿部助哉

    阿部(助)委員 委員長は親心でいろいろおっしゃるようだけれども、そうはいかぬのだ。これは法律だから、きちんとしてもらわぬと、あとでいろいろ変えられても困りますのでね。しかもこれは、通産省、ここに書いてあるのは、はっきりと勇み足でしょう。これは足が出過ぎたんでしょう。違うのですか。
  43. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもはこの表現の中で、特定地域における安全の研究を充実するという意味で申し上げたので、先ほどの法律趣旨を逸脱するというところは、決して考えていなかったわけでございます。  なお、その問題については、私ども研究課題といった意味でその中へ取り入れたということであります。
  44. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、そんな答弁をしておる限りは、政令をきちんとつくって一緒に出してください。こんなあいまいなことで——大体、特別措置の通産省から出てくる問題いろいろわれわれは不満がある。こうやってとにかく出させるのでは、安全確保に関する研究事業ということになれば、どこまでもこれは広がるのですよ。辻さんのお話とはこの文章は違うのですよ。はっきり食い違っておるのですよ。地域のあれに限定するみたいなことを幾らおっしゃってみたって、この文章はそう読めない。私もあまり日本語じょうずじゃないのだけれども、どう考えてみたって、私たちはこれはそう読めないですよ。それとも、これを読めと皆さんおっしゃるのですか。そんなあいまいな答弁で、私はこの審議を進めるわけにいかぬと思うのですよ。もう一ぺん、この政令をきちんと出して、出直してもらいたい。
  45. 辻敬一

    辻政府委員 政令で定めるものの要件につきましては、先ほどの第一条第二項に明定をしてあるわけでございまして、安全対策のための財政上の措置というのを例示として掲げました上で、発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置について政令で限定をすることになっておるわけでございまして、その内容につきましては再三御説明申し上げたところでございますが、要綱の形で御提出を申し上げます。
  46. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほどの御指摘の点でございますが、私どもも、この表現、舌足らずだと思います。特定地域の安全研究というふうに当然限定をすべきものだと理解いたします。(「きちんと要綱が出てから審議だ」と呼び、その他発言する者あり)
  47. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 それでは、速記を始めて。
  49. 阿部助哉

    阿部(助)委員 なぜそういうものをわれわれに目隠ししておいて審議しようというのです。あるなら出しなさい。そんなふざけた態度でこの重要法案審議しろ、こうおっしゃるのですか。
  50. 辻敬一

    辻政府委員 政令でございますから、まだ正式な要綱、政令案は作成いたしておりませんけれども内容につきましては、先ほど来再三御説明申し上げておりますように、確定いたしておりますので、要綱を提出せよということでございましたならば、さっそく用意いたしまして、提出をいたします。
  51. 阿部助哉

    阿部(助)委員 要求いたしましたら——あなたたち、そういう態度ですか。それならそれで私のほうもやり方を考えます。
  52. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 速記を始めて。  午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議
  54. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部哉君
  55. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大蔵の政務次官にお伺いしますが、中川政務次官はどうしたのですか、いつもの顔ぶれの。新税の創設だから衆議院の大蔵政務次官が出ておいでになるのが普通なんですけれども、何か病気ですか。
  56. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 中川政務次官は早急に出るように手配をしておりますから、もうちょっとお待ちいただきたい。
  57. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この目的税は税調におはかりになりましたか。
  58. 高木文雄

    高木(文)政府委員 いわゆる政府の税制調査会にははかっておりません。
  59. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この委員会でいろいろ問題になってむずかしい段階に入ると、税調にはかってからと皆さんはいつでも答弁をされるが、では、これは逃げ口上なんですか。新税の創設に対して税調にもはからないなんということは、一体どういうことなんですか。税調というのはもともと皆さん都合のいいときだけ利用するけれども、いざというときになれば、あんなものはイチジクの葉っぱだというふうに皆さんは初めから税調を考えておるのじゃないですか。これは局長ではなしに、政府から御答弁願います。
  60. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 税調を軽視するということは絶対ないわけでありますが、税調へは基本問題に触れる場合は必ずはかるような制度になっておりまして、本件のようなほかに法律ができて目的税ができる場合には、必ずしも税調にはからないでもやれるという見解のもとに、この法案を提出いたしております。
  61. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そんな理屈はないですよ。どこからそんな理屈を持ってきたのです。税調というのは何と心得ておるのです。これは新税ですよ。いままでいろいろ、とにかく何か問題があり、むずかしい段階にくれば、税調におはかりしてと逃げ口上をやっておる。新税の創設に対して税調にもはからないなどというわがままなことは、おかしいんじゃないですか。では税調をなくしたらいい。それだから税調の会長の東畑さんは、新聞によれば、大蔵省に遺憾の意を表明した。  そうすると、皆さんのほうは、いま局長が入れ知恵したように、基本問題は云々などという話をしているけれども、では基本問題はどこが基本問題なのか、どこがどうだということを全部聞きただしてからやらないと、税調のためにも、税調の存在自体、これはそれこそ税調の基本問題でありますからお伺いしますが、どこが基本問題なんですか。
  62. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 本件につきましては、従来の目的税を設置するという、目的税のいわゆる一般原則的なものから見まして電源の供給力をふやすためには適当であろう、いわゆる目的税一般原則に合う税と考えまして、これは特に税調にはからずに提出をいたしております。
  63. 阿部助哉

    阿部(助)委員 目的税一般原則とはどんなことなんですか。大体、目的税というのは、午前中に福田大蔵大臣も、これは例外中の例外なんだと言われておる。大体、目的税というのは税体系の上からは好ましくないというのが通り相場になっているのだ。それをあえてやる。しかも、そのあえてやるときに、税調にそういう重大問題をはからないとすれば、税調自体はナンセンスじゃないですか。大体、税調というのは皆さんの逃げ口上をやる場合の隠れみのだ、こう私はいままでも指摘してきたんだ。これがほんとうなんじゃないか。その本質が、ほんとうの姿が、いまたまたまあらわれただけじゃないのか、こう私は思うのですよ。  目的税一般原則とは何ですか。目的税というのは例外なんです。これの一般原則とは何ですか。
  64. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 いわゆる一般財源から一般歳出をまかなっていくというのが歳入歳出の一般原則でございますけれども、税をもって歳出をまかなうという場合には、おのずから国全体の予算の優先順位というものがございまして、必ずしも十分なる財源をある費目に重点的に、集中的にもっていくということが困難な場合が出てくるのでございます。特に、今回の電力供給不足を何とか増強するためには、重点的に電源開発立地を進めていかなければならないのでございますが、これを一般会計の税収の中から支弁するということは、いまの財政の状況に照らしまして困難な情勢がございますので、特に目的税を設けて電源の開発促進並びに安全対策に重点的にその費用を充てようということになったのでございまして、いわばこれは歳入歳出の一般原則の中の例外ではございますけれども、いままで目的税を設けてまいりましたその一般原則というものに照らしますならば、いままでの目的税を設けた方針と一致するものでございますので、あえて税調にはからなかったのでございます。
  65. 阿部助哉

    阿部(助)委員 国税で目的税というのはどんなものがあるのですか。
  66. 高木文雄

    高木(文)政府委員 厳密な意味での目的税は、地方道路税とそれから特別とん税の二つが非常に厳密な意味での目的税だということがいえると思います。しばしば揮発油税は目的税であるといわれておりますけれども、これは本来は普通税としてできておりまして、ただ道路整備緊急措置法の三条によりまして、現段階におきましては臨時的に目的税として扱われておるというかっこうでございます。
  67. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、目的税というのは、財政上の立場からいっても、特に特別会計をつくるというような立場からいっても、また税の体系から見ても、好ましいことではないのです。好ましくないが、しかし皆さんはやりたい。だから税調にはかるひまもなかったということなんだろうけれども、そういうように安直に、そのときそのときの行きがかりで目的税をつくられたのでは、税の体系が乱れてしまう。それは政務次官は百も承知だと思う。私は、税調にはからなかったという理由をもう一ぺん聞きたい。私は納得ができないのです。だから税調の会長は抗議を申し込んでおるわけでしょう。そうでしょう。なぜ税調にはからなかったのか。それとも税調は、あんなものは隠れみのなんだ、イチジクの葉っぱにすぎないのだと皆さんがおっしゃるなら、それはそれなりに理解できるのです。
  68. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 御説はまことにごもっともでありまして、目的税というのは一般原則から見まして異例のことでございますので、特に新税として創設する場合には、税調にはかることが私は筋だと思います。ただ、今回の場合は、いわゆる電源開発整備法のほうがにわかに提出されるような段取りになりまして、これに対する目的税大蔵省としては設置しようということになりまして、税の創設をきわめて急ぐ結果になりまして、この緊急事態、やむを得ず税制調査会にははかる機会がなくて、ここに国会におはかりをいたしておるのでありまして、従来から見ましても異例であることは御指摘のとおりであります。
  69. 阿部助哉

    阿部(助)委員 急ぐから税調にはからなかったと、こう言うのですね。それで異例だ。そんなことで済まされるのですか。なぜそんなに急がなければいかぬのですか。  私あと通産省にお伺いしますけれども電気が不足だ不足だといっておる。石油のときも、輸入がその前の年よりもよけいに順調にちゃんと入っておるにもかかわらず、石油不足という形でああいう異常な事態を来たした。そして大企業は大もうけをした。何が異常事態なんです。皆さんのあれでいけば、五十三年に需給が逆転すると、こう言っておる。五十三年じゃないですか。そりゃあ電源開発はその前から着工しておらなければ一ぺんにできるわけはないことは、それは百も承知です。だけれども、この法律自体が本日ただいまから発足する法律じゃないでしょう。何が急ぐのです。急ぐときにはいつでも税調は飛ばして皆さんはやるということをこれで開くつもりなんですか。それなら税調なんてあんなもの、つぶしたらどうです。そんな薄弱な理由で税調にかけないでここへ出したというならば、私は大蔵省は、今後この委員会でいろいろな問題が出たときに税調におはかりしてなんていうことば、これからは一切言ってもらっては困る。それを承知しますか。
  70. 高木文雄

    高木(文)政府委員 電源開発促進税は、本来、当然ただいまおしかりを受けますように、税制調査会において審議をお願いすべき性質のものであるというふうに考えておるわけでございます。ただ、現実問題といたしまして、昨年の十二月の段階でいわゆる石油騒動というものが急に起こってまいりました。それに関連をいたしまして、新たな電源開発促進ということが、緊急課題としてあがってまいったわけでございます。政府部内においてそういう議論が起こり、私どものほうに特別会計なり目的税を設置してでもそういうことを緊急にやるべきではないかという議論が出ましたのが、大体十二月二十日前後のことでございました。すでに大体の予算の歳入歳出の骨格もきまっておるというような段階であったわけでございます。よく御存じのように、税制調査会へは基本問題をお願いをいたしますが、その際にはやはり相当時間をかけていろいろと御議論をいただくわけでございまして、おはかりをしてなおかつ十分な審議が願えないということであっても、これまた税制調査会に対して礼を失すると申しますか、という問題もございますので、この際は政府の責任において、税制調査会におはかりすることなしにということでこういう措置をとったわけでございまして、先ほど政務次官からお答え申しましたように、こういう事態の変化の緊急性ということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。したがいまして、今後におきましても、基本問題は十分検討を重ねていただくために、税制調査会にお願いをするということは続けてまいりたいと思っております。
  71. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この整備法の修正はいつ出しましたか。
  72. 岸田文武

    岸田政府委員 二月八日に閣議決定をし、引き続き国会に提出をいたしました。
  73. 阿部助哉

    阿部(助)委員 高木さんは十二月の二十日ごろにこの話が出た、こう言うのですが、いま何月ですね。この国会でそんなに急いでやるというなら、急いでやればいいじゃないですか。だからといって、税調にかけないという理屈にはならないでしょう。それは政府のわがままというものでしょう。そうじゃないですか。
  74. 高木文雄

    高木(文)政府委員 具体的に通産省なり科学技術庁なりから御提案が出てまいりましたのが、非常に予算編成の差し迫った十二月の二十日前後でございました。そして、その予算が政府部内できまりましたのが十二月の二十八、九日、暮れの押し迫った時点でございましたから、もしその間において税制調査会の御審議を求めますといたしますと一週間しかないという状態でございますので、そういう期間を限って審議を求めるということの可否というようなことも、別の意味からあるといえばございますものですから、いろいろ苦慮いたしましたが、結局、税制調査会にはこの際は御審議を求めないということにしたのは、そういう非常に短い間に結論を出さねばならぬ、法律はいま御指摘のように、他の法律と同様に二月なり三月なりの段階になって国会に御提出申し上げますけれども政府部内における大体の方針は、予算に関連いたしますものは予算概算閣議までにきめるわけでございますので、その意味審議の時間がないという状態にあったわけでございます。
  75. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま五月ですよ。審議の時間がなかったのですか、いままで。しかも、皆さん専門でおわかりのとおり、まず税法、四月一日発足の期限切れのものをこの委員会が先にやるぐらいのことは、しろうとでもわかるのだ。この法案が四月以降に審議に入るぐらいのことは、皆さんのほうは子供じゃあるまいし、そんなものはわからないはずはないでしょう。なぜ四月までの間に税調にはかるという順序を踏まなかったのです。  これは、税調というのは初めからイチジクの葉っぱなんだ、皆さんがそうおっしゃるなら、私はこの質問はこれで終わりにしますけれども、税調の会長が抗議を申し込んでおるようないまの段階でしょう。皆さんは結局それを押しつぶすでしょうけれども、まあ私に言わせれば、ことばは悪いけれども、税調会長ですら抗議を申し込むのですよ。そういうことをわがままに、緊急だ何だというけれども、何が緊急なんです。この四カ月間税調にはかるひまがなかったのですか。そんなことはないでしょう。政府の態度、どうなんです。私は納得できない。もう一ぺん政府の態度を政務次官からお伺いしたい。
  76. 高木文雄

    高木(文)政府委員 政務次官からお答えいただく前にちょっと事実関係を申し上げておきますが、一つは、けさか何かの新聞で、税調会長から政府にあてて抗議が出されておるということが報道されておるようでございますが、少なくとも私自身はそのような抗議を政府に向けてなされたということは承っていないのでございまして、一つ事実関係として申し上げておきます。  それから第二点は、私は十二月までに税制調査会に新税の創設のことについて御審議を求めるということについて時間がなかったということを申し上げたわけですが、いま阿部委員からは、その後今日までの間に相当の時間があったからその間に審議を求めてはどうか、なぜそれをしないかという御指摘だと思いますが、その点につきましては、これも事のよしあしは問題がございますが、税制調査会は政府の諮問機関ではございますが、原則としてはあくまで政府の方針をきめます前に御審議を願うということでございませんと、政府としてはぜひこういう税制をつくります、しかも特別会計もすでに国会へ御提出いたしましたという段階で審議を求めますということは、いわば非常に審議を拘束するようなことになりますので、政府が方針をきめましたあとで税調に何かあらためて審議を求めるということは、いままではいたしていないのでございます。その点は、いままでもそういう慣例のようなことになっております。
  77. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 本件につきましては阿部委員の御質問のとおり、前もってこの電源立法ができるとともに税調にかける、かけて審議を経て出すべかりしものでありましたけれども、実はもう少し早くこれが国会に提案できる予定になっておりまして、結果的には今日に至りましたけれども、そういう機会を失して今日に至っておりますが、これはまことに異例なことであり、これは政務次官としても遺憾の意を表しておきますが、さようなわけで、今日に至って振り返ってみますならば、かけるひまがあったじゃないかと言われることは、ごもっともでございます。
  78. 阿部助哉

    阿部(助)委員 急ぐから順序を飛ばしてもいいということにはならぬのです。民主主義というものは結論だけがいいのじゃないのです。そのプロセス自体をもっと大事にしていかないと、民主主義というのは成り立たぬのです。結論だけだったら、独裁だって結論が出るかもわからぬ。そういう危険なことがないように、民主主義というのはプロセス自体が大切なんですよ。そんなことはもう政治のイロハのイでしょう。なぜ一体かけないのか。もう一ぺん税調へかけて出直してくるべきだと思うが、どうです。
  79. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 もう一度かけ直して再提出するというような意図はございませんので、どうぞ慎重御審議を願いたいと思います。
  80. 阿部助哉

    阿部(助)委員 一つ一つことばじりをとらえるわけじゃないのですが、高木さんは、あのような石油騒動が起きた、そういうことで電源開発の必要が起きたみたいなことをおっしゃるけれども、石油騒動は一体だれが起こしたのです。
  81. 高木文雄

    高木(文)政府委員 だれが起こしたということでなく、事実問題として輸入価格が上がってまいりました。それによって、なかなかまた、輸入数量の制限も受けるようになってまいりました。その後それに対応いたしまして、どのようにしてエネルギー対策を講ずるかということを、いささかどろなわのようなことではございますけれども、とにかく何とかしなければならない。それを四十九年度から何とかしなければならない。一方、予算は四十八年の十二月の末に大体の輪郭をきめなければならないということで、そこに追い込まれてまいったわけでございます。騒動ということばは適当でございませんので、石油危機と思いますが、そういう緊急事態という意味で申し上げたわけでございます。
  82. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あのときのことを思い出せば、私にはふしぎでならぬのですよ。あれだけ石油がない、灯油がないといって騒いでおる。そして私は、通産省資料を求めても、通産省ではさっぱりわかるような資料を出してこない。そこで私は、関税局で輸入量を調べたところが、その前の年よりもどの月も全部輸入は増加しておるじゃないですか。そうして順調に入っておるということになると、あの騒ぎはおさまってくる。通産省自体が石油連盟とぐるになってあの騒動を起こしたとしか私には理解できない。  今度はまたこういう形で、皆さん何か騒ぎが起きたというようなことで、民主主義のプロセスまで変えるなんということは許されないことなんです。私は、政府はもう少し反省してもらわなければ困ると思うのです。しかも新税ですよ。新しい税金を創設するのに、そんなに安直に、この順序を踏み違えてまでここに提案するようなことをやったら、これから困るのはむしろ大蔵省じゃないだろうかという感じがするわけです。皆さん税金という問題を一体どう考えておるのか。私は、最近は主税局の態度にも理解ができない。新税をそういう形で、皆さんかってに緊急だと考えている。一体、緊急だという事態は、だれが緊急だと考えているのですか。それは政府のほうが緊急だと考えれば、それで緊急事態なんですか。そんなことで新税を、順序も経ない、プロセスも尊重しない、そうして、こうやって出す。出したら多数で押し切るという態度で政府はこの提案をしておるわけですか。
  83. 高木文雄

    高木(文)政府委員 まことに御叱正のとおりでございまして、新税の創設については、よほど慎重でなければならないというのが私ども考え方でございます。  しかし、昨年の十一月以来この一月までにかけましての石油問題を中心とするいわばエネルギー危機というものと、それからそれに関連いたします価格の異常な状態というのは、まさにめったに起こらないような大きな事件であったというふうに——今日やや落ちついておりますから、その当時を振り返ってみますと、私どももいまから考えますと、あるいはもっと落ちついておるべきであったというおしかりを受けるかもしれませんけれども、その時点においては、日本経済全体としてこれはたいへんな問題である、何とか石油問題としても解決しなければならないし、石油がだめならば他のエネルギー資源への転換ということを考えなければならないということで、十一月、十二月の国会の御論議も、税には関係なく、資源問題としていろいろ御論議がございました。私どもも若干そういう雰囲気に巻き込まれたかもしれません。そういう意味においては御指摘のとおりでありまして、税についてもう少し慎重であるべしということにつきましては、むしろ御激励、御叱正として承っておきたいと思いますが、今回の場合には、かなり異常な状態であったということもまた、おくみ取りいただきたいと思うわけでござ  います。
  84. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、皆さんがあわてふためいて異常だと主観的に考えたときには、税調を通さなくてもこれからおやりになるのですか。また、われわれが、これは緊急だからということで追及したときには、これは税調を通さないで処理されますか。
  85. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先ほど来申しておりますように、本来これは税調におはかりいたすべきものであるというふうに、いまでも考えております。ただし、実際問題として、緊急に課題が起こってまいりましたところから、通常の状態とは違うということで御審議を税調に求めることをしなかったということでございまして、これを先例としてはならないというふうに考えるわけでございます。
  86. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、その緊急というのが、皆さんが緊急だと思ったらそういうことをやるのかと聞いているのです。一体、緊急だとかなんだとかいうのは、だれが判断するのです。だから、これからも税調なんというものは要らないんだというのなら、私はわかると言うのですよ。  それと、局長は、新聞では見たけれども、税調会長が申し入れをしたというのはまだ聞いていない、こう言うのですけれども、聞こうと聞くまいと、税調が不満を持つくらいのことは当然だと私は思うのです。かりに税調が抗議を申し込まないとしても、これは遺憾なことでしょう。どうなんです。
  87. 高木文雄

    高木(文)政府委員 おっしゃるとおり、別に具体的に抗議をされなくても、税調としては、これを政府審議を求めることなく一方的にきめたということについて、いろいろ各委員の間で御不満があることはよく承知しておりますし、そういう御意見をお持ちになるのは当然であると思います。  しかしながら、あのときの事態の問題といたしまして、政府の部内で閣議にまで持っていって予算をきめます間の段階におきまして、十日の間におきまして審議を求めることは、実際上不可能なような状態でございました。また、そのあとにおきまして税調に審議を求めることになりますと、今度は、きまったことをわれわれに意見を求めるのかということで、これまた税調としては非常に好まないわけでございます。税調は税調で自主的にきめるという形になっておりまして、一応きめられました政府の方針について諮問を受けてやるという形にはなっていないわけでございます。  従来から、政府の方針が一切きまらない先にまず御相談申し上げる、諮問をする、こういう形になっておりますから、何らかの意味におきまして、政府の方針が閣議決定というような形においてでもきまりましたあとで税調におはかりをするということは、かえって税調の審議を拘束するといいますか、われわれとしては、そういう事態になりますとどうしても御承認願うようにお願いしなければならぬことになりますので、そのことはまた、税制調査会のほうには審議の進め方について、審議の自主性ということについて、いろいろ御異論があるわけでございまして、まことに異例でございますが、そういう事情から審議を求めないという形をむしろ選んだということでございます。
  88. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、どう聞いてもそれは納得ができないのですよ。それだと、政府がさっさときめてしまったことが間違いのもとなんですね。政府が間違いであるわけですね。そういうことなんでしょう。
  89. 高木文雄

    高木(文)政府委員 通常の状態からいえば好ましくない、異例の措置であるからやむを得ないという感じでございます。何しろ、これが一般財源ということになりますとまた事情もいろいろ違ってまいりますが、特定財源であり、特別会計をつくっていこうかということで方針がきまりました関係で、そうなりますと、予算提出ということとの関連政府の原案作成のしかたの技術との関連から申しますと、やはり十二月の末までにきめてしまわないとうまくまいりませんものですから、求めましてもあまりにも審議の日数が少ないということで、政府自体の責任において処理をするという形をとったわけでございます。
  90. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、だから私の言っておるのは、政府が手順を踏むことができないように急にきめたからかけなかった、こういうことなんでしょう。そうすると、政府は税調の存在を無視してさっさときめてしまった、こういうことなんですね。これは役人さんよりは政府の問題だと思うのですが、どうなんですか。  局長は、政府がさっさときめてしまった、方針を出してしまった。出してしまったものを税調におはかりするのは押しつけがましくなるからはからなかった、こう言うのですよ。そうすると、政府が税調を無視してさっさときめてしまったというところに間違いのもとがある、こういうことになるわけですね。
  91. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 いままでの普通の手続から見ますと、今回の場合は異例であるということは申し上げておりますし、そのことは好ましいことではない、きわめておもしろくない行き方であったであろう、税調のほうもそういうぐあいにお考えになっておると思いますし、政府が単独で諮問せずにきめたということは、これは目的税として適当であると政府が一方的に考えてきめたことでありますから、税調にはからなかったことも、結果的にはきわめて遺憾であると思っております。しかし、正しくないからという意味ではございませんで、手続を踏まなかったということは遺憾であるということを、繰り返し申し上げておるわけであります。  したがいまして、国会におきまして慎重御審議を賜わりまして、その上で御決定を願いたいと考えておるわけであります。
  92. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、私はどうも理解できないのは、これだけの日数があるのですよ。この国会は十二月一日から始まって今日までやってきておるのですよ。税調にはかるなんということでも、皆さん方針も何も全然持たないで、税調が独自でおやりになっておるようなことをいま局長おっしゃるけれども重量税の問題にしたって、実際は田中構想をどうするかということで、ある程度の方針を持って税調に臨んでおるくらいのことは、皆さん幾らうそをついてみたって、その事実を否定するわけにはいかぬと思うのですよ。いまたまたま、税調に押しつけがましくやることはどうかと思うみたいな、尊重しておるようなことをおっしゃるけれども、それはうそですよ。大体大蔵省のデータで、大蔵省のほうで指導しながら税調が論議されておるくらいのことば、皆さんだれでも承知の上じゃないですか。それを今度は、押しつけがましくなる、だから失礼だなんて、それよりもはからなかったことのほうがよっぽど失礼なんです。その辺、主客転倒してもらっちゃ困るのですよ。ぼくらめくらだと思って、そういうむちゃくちゃな答弁をされておるとしか私には考えられない。大蔵省はそういう態度で臨むのですか。それならそれで、われわれのほうも考え直さなければならぬのですよ。  私は間違いは間違いだということではっきりすべきだと思うのです。それを、いいかげんな、急いできめてしまった、押しつけがましくなると、税調を尊重する意味で言っておるようなことをおっしゃるけれども、それほどいままで尊重しておるのですか。尊重するならば、なぜはからなかったのか。かけないのか。反対ですよ。そういうごまかしの、その場のがれの答弁をされるのでは、私はこの審議に応じられないと思う。人間だから間違いはあると思う。あり得る。しかし、間違えたらなぜ間違えたと言わない。それを一々言いのがれだけでいくならば、私は一言一言とにかくそれを追及していきますよ。もっとはっきりと、間違いなら間違いだと言わなければ、またこれで突破口を開いて、皆さんの主観で緊急だと思ったからこれをやってしまったということじゃ、許されないと私は思う。新税の創設ですよ。税の問題を主税局がそう軽く考えてもらっちゃ困ると思うんだ。その辺、腹を据えた答弁をしていただきたい。あんまりごまかしの答弁をしてもらいたくないのです。
  93. 高木文雄

    高木(文)政府委員 従来からの慣例と申しますか、また、税制調査会の各委員の御主張からいいますと、審議を求める以上は自分たちはフリーハンドで審議ができるようにしてもらわなければ困るということであり、また同時に、いろいろ材料をそろえまして、各委員が御自身で広く御研究になる時間をおいて、そこで委員さん方が御意見をお寄せになって、だんだん皆さん意見が収劔していくという形で税制調査会の意見というものがまとまっていくわけでございます。  その意味におきまして、今回のように非常に緊急の間に政府の方針をきめましたような場合に、そのきめましたものについて御意見を求めるというのは、やはり従来の税制調査会の運営からまいりますと、適当でないという議論が出ることは必至でございますので、そこで、これはそういうふうに緊急にきめることが異例なことなのでございますから、それを異例のこととして、その前提のもとに、政府の責任のもとにおいてと申しますか、諮問を経ずにと申しますか、そういう形式をとったわけでございます。
  94. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、あなたの話からいけば、政府の責任でやるというようなら何でもやれるのですか。
  95. 高木文雄

    高木(文)政府委員 それは諮問機関でございまして、たとえば、すべての税について税制調査会の議を経て行なうのだという形になっておりません。何でもやれるかと言われますとお答えに非常に困るわけでございますが、これは諮問機関でございますから、どういう場合にもすべての場合について議を経なければならないという機関ではないということでございます。
  96. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それは諮問機関であって、かけなければならぬという法律はないのですよ。だけれども皆さんは、私が八年間ここで論議をするたびに、逃げ口上のときには税調にはかりましてと、こう逃げるでしょう。今後一切そういうことは言いませんね。
  97. 高木文雄

    高木(文)政府委員 いや、むしろ今回はからなかったことが異例なわけでございますから、今後どういう場合にでもやはりおはかりしなければならないということでございます。今回の措置のほうを異例の措置としてお考えおきいただきたいと思います。
  98. 阿部助哉

    阿部(助)委員 なぜ緊急だとか異例なことをそうやってやらなければいかぬのです。もう異例なことだったら、間違えたら——整備法だって、一ぺん出したけれども政府はまずいと思ったから修正をして、出直しをして出しておるわけでしょう。政府考えたからといって、すべてが正しいということでもなし、間違いもある。皆さんがいま異例だから税調のあり方を無視してもしゃにむに押しつけるというなら、それでわかる。それでなければ、これは撤回してもう一ぺん順序を通ってくるということをやるべきだと、私はこう言っておる。それとも、もう一つ政府自体が間違えましたと言うなら、それはまた話はわかる。あいまいな態度で押しくくろうということは、ここでは許さないということなんです。どうなんです。
  99. 高木文雄

    高木(文)政府委員 何度も同じお答えをいたしますが、現実問題としておはかりするのに適当な時間的な余裕がなかったわけでございますので、その点そういう特殊な事情にありましたこと、特にこれが普通の税と違いまして、特別会計財源になる税である関係上、そして特別会計というものは従来からの慣例で、一般会計予算と同様に、十二月末に一括してきめますということの関係上、初めから日限がきまっておったわけでございますので、その意味審議を求めるに足るだけの十分な時間を持ち合わせていなかったわけでございます。  これを別の形で、何かその部分だけを切り離してあとで、たとえば一月になってからでもゆっくり審議をしていただくというようなことが実際問題としてできる事情でありますればともかくといたしまして、従来から特別会計の新設につきましても、一般会計の予算が締まりました際に一緒にきめるという慣例でやっておりますこととの関連上、新税というのは重大でございますけれども、そうかといってこの問題をあとからきめるというわけにもまいらぬということから、そういう判断をいたしたわけでございます。
  100. 阿部助哉

    阿部(助)委員 なぜまいらないのです。これをやらないと日本がひっくり返っちまうのですか。なぜこれはまいらないのです。あなたは時間がないという一点ばりだ。あとのものはつけ足しでしょう。そんなの理由にならないですよ。私は時間がないというだけだと思う。では時間がほんとうにないのかといえば、今日まであったじゃないですか、これの施行は十月まであるのですよね。時間がないということも理由にはならない。また、あとつけ足して一般会計云々ということも、これは全然理由にならないですよ。そんな理由でこの委員会を通そうというのですか。皆さんそれで押しくくろうというのですか。与党が多数だから押しくくろうということですか。そういう態度でここに出したのですか。
  101. 高木文雄

    高木(文)政府委員 時間があるなしの問題は二つに分かれるわけでございまして、政府が案をきめます前に御審議を求めるのに十分な時間がないということが一つと、それからあとの問題、十二月二十八、九日から以降の問題につきましては、今度は時間があるなしの問題ではなくて、一度政府として方針をきめました、閣議決定までいたしましたものにつきまして税制調査会におはかりするのは、時間がないというのではなくて、今度は諮問のしかたとして適当でないということで諮問していないということでございますので、そういう意味では、やはり時間がないと申しますのは十二月末までのことでございますし、そのあとの問題は、時間があるなしの問題ではないのでございます。
  102. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうしようもないね、これは。  だから、そうすると、私がさっきから言っておるように、政府が時間がないようにさっさときめてしまったのが間違いだ、こういうことなのかというのです。
  103. 高木文雄

    高木(文)政府委員 そこはやはり、重要な問題については、税制調査会にも御審議を求めるのは当然のことでございますけれども、あくまでそこは諮問機関でございまして、税制調査会を経なければ何もできないという形ではないわけでございますから、そういう態度で政府が臨みまして、御意見を求めずにきめましたということの適否は問題でございましょうけれども、それはそれなりに一つのやり方であるというふうに考えております。
  104. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは主税局長の問題ではなしに、政府の問題なんです。十月まで余裕はあるんです。まあ皆さんの希望どおり発足するとしても十月まであるんです。おそらくはその前には、参議院選が終われば特別国会も開かれるだろうし……。  だから、いま局長が言うように、税調というのは諮問機関であって、まあイチジクの葉っぱみたいなものだから、あんなものはかけてもかけなくてもいいんだ、こういうのならば、そう言いなさいと言うんだ。それなら話はわかると言うんですよ。しかし、いままでのこの委員会における皆さん答弁は、常に、税調におはかりしてと、こういうふうに逃げ口上を打ってきた。私はそれに対して常に不満の意を述べてきた。  私は大体、審議会とか委員会とかいうああいういろいろなものは気に食わない。国会の責任において、政府の責任においてやるべきだというのが私の原則なんです。私は大体、ああいうものはきらいなんです。だから、私は常にこういう不満を持ってきたんです、税調にはかってという答弁に対しては。だけれども皆さんはそれ一点張りで逃げてきた。それを今度は、諮問機関だからいいんです、こういう答弁をするならば、私は、今後一切この委員会で、税調におはかりいたしますみたいな話はしてくれちゃ困る、こういうことなんです。はっきりしておるんだ。  そうでなければ、政府が諮問をする余裕もなしにきめたところに問題がある、政府が間違いましたというならば、それで私はそれなりに理解せざるを得ない。間違いというのはあり得る。これは一体どっちなんです。あなたみたいに言いわけばかりのらくら言ってみたって、私は先へ進めないですよ。これは政府、どうなんです。
  105. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 本件につきましては、事実問題については主税局長がいま御説明を申し上げておるとおりでございます。しかしながら、そのことは、諮問機関として税調というものを置いておきながら、新税を設置するときにこれにはからずに、日にちがいないとか緊急であるとかいうことで出すということは、いままでの手続から見てこれはまことに遺憾である、異例であるということでございます。  しかしながら、いま申し上げましたとおりに、法ができ上がりまして閣議決定になり、特別会計が設けられるということと税を設けるということが、十二月の末になりまして非常に切迫してまいりまして、大蔵省としては、税調にはからずに本件を国会に提出することになったことは事実でございます。この点については、もう事実を率直に認めまして、今後かようなことの起こらないように十分慎重を期していきたい。したがいまして、本件については、事実は事実としてお認めをいただきまして、慎重御審議を賜わりたいと思います。
  106. 阿部助哉

    阿部(助)委員 前半は話はわかるんですね。遺憾であります、異例であります、こう政務次官おっしゃっておられる。それならば、やはり民主主義というものは間違いもあるしいろいろあるんだから、これは出直すのが民主主義の原則からいって一番正しい。   〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕 それで、実際の施行は十月一日から始まることだから、この法案を一ぺん撤回して、もう一ぺん順序を立ててお出しになるほうが、私は普通のあり方だと思うのだ。あなたが遺憾である、異例であるとおっしゃるならば、異例をあまり続けると、これはなれっこになるんで、もう一ぺん出し直したらいかがですか、そうすべきだ、こう言うのですが、どうです。
  107. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 税調は重要な機関ではございますが、審議機関ではなくて、これは諮問機関でございます。すでに大蔵省がそういうように決定をいたしまして、この審議機関である国会に提出をいたしておるものでございますから、それを撤回して諮問機関にかけ直して再び出し直すということは、これまた非常な異例なことでございまして、これはやはりもう国会にかけた以上、慎重御審議を賜わりまして、この是非をおきめ願うということが筋ではないかと大蔵省としては考えております。  前段については、もう私も認めたとおり、まことに遺憾でございます。
  108. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあこんなことであまり時間をとりたくないのですけれども、それなら、皆さん一ぺん出したら金科玉条でもう絶対変えないということなんですか。政府が一ぺん国会に提出したものはもう変えるわけにいかない、こうおっしゃるのですか。そんなことはないでしょう。
  109. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 政府が提出をしたものでございまして、税法案として出ておりますので、国会の場におきまして御審議を賜わりまして、もちろん修正になれば修正になり、否決になれば否決になるのでございまして、提案者である政府として、いまこれを訂正する意思はございません。
  110. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それだけれども整備法案はあれだけ変えてきたでしょう、では、あれはどういうことなんですか。
  111. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年電源地帯整備法案を用意いたしまして、いま御指摘のとおり、国会におきましては継続審議になったわけでございます。私ども、その後、石油危機が起こりまして、十一月以降電力の制限を迎えたわけでございます。このような急激な客観情勢の変化に応じまして、電気の不足ということのもたらす影響というものについて十分体験もし、また期間を置きまして、従来の法律よりもさらに一歩進めた整備対策を講ずることがこの際緊急に必要であるということから、前回の提出しました法案政府修正をお願いしたわけでございます。特に、前回提出いたしまして国会に付議をされましたが、審議が一回も行なわれないままに継続審議になったというような経緯も、その背景にあるわけでございます。
  112. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたは、私と政務次官との話のやりとりを全然聞いていないですね。そんなことをやったら時間をとって、これは一週間もかかりますよ。もっとちゃんと聞いておって答弁してくれませんか。  いま政務次官のおっしゃるのは、もう国会に提出したんだから変更することはできない、こうおっしゃっておる。ところが、整備法案のほうは、国会に提出していながら政府は変えておるじゃないですか。変えることもある、また間違いを直すこともある、それはあり得る。政務次官は、一ぺん出したんだからもう何とか審議してやってくれい、政府は引っ込めるわけにいかないんだと言われた。しかし、これはまあ何なら、この国会を流してもう一ぺん出直すということもあり得るのですから、もう審議をこの辺でやめて、それで法案は流して、次の国会には順序を立てて出してきたところで審議をするというのが一つあるわけです。だけれども、出したものは直せないんだ、こう言う。それなら、整備法案は出したものを直さなかったのかと、こう聞いておるのであって、状況やいろいろなことを聞いておるのじゃないのですよ、通産省。その辺取り違えてくだくだピントのはずれた答弁をしていると、何時間もかかってしまう。  私は五分で終わるつもりでかかったところが、もう一時間もかかっている。皆さんがはっきりしてくれれば、これは五分で終わってしまう。私は本論に入ろうと思ったんだけれども、これでは入れない。通産省、もう一ぺん答弁をしてください。
  113. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年十一月、十二月電力危機を迎えまして、制限せざるを得なかった。これはいわば突発的に緊急に起こった事態でございまして、いわばその経験を踏まえて新しい修正をしたということでございます。
  114. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、政府は国会に提出したものは絶対に変えないのかどうか、こういうことなんですよ。
  115. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 一般論としては、政府はもちろん提出したものでも内容を修正して出すこともあり得るのでありますが、本件につきましては、諮問をしなかったけれども、いま政府としては修正する意思はございませんので、本案のまま御審議を賜わりたい、こう申し上げておるのでございます。
  116. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、その点はわかるのです。だけれども、あなたは、政府が出したんだから変えないんだ、こうおっしゃるから、それならばこれと関連のある商工委員会にかかっておる法案は変えてきたじゃないか、これは政府間で矛盾しておるじゃないかということなんで、変えることはあり得るけれども審議してくれと言うならわかるんですよ。だけれども、あなたはさっき、もう金科玉条のようなことをおっしゃったから、それならばこれと関連のある商工のほうにかかっているものは変えておるじゃないか、それじゃ矛盾するじゃないか、こういうことを私は言っておるのです。  私はこんなことにあまり時間をとりたくないのですけれども、こういう形での新税である。それを政府がかってにきめたから、もう税調にはからない、国会はごり押しをするということでは、私は民主主義の原則から考えておかしいと思う。  くどいようだけれども、私はもう一ぺん言っておくが、税調というのは隠れみのみたいなものだから、大蔵省はこれから、税調におはかりしてということばだけはここで禁句にしていただきたい。今度それを言うと私は開き直るということだけを確認して、前へ進みたいと思います。  この整備法案を見ますと、第四条一項、二項による整備地域は、たとえば私の新潟県の場合をとると、全県ほとんどが指定地域になるかもわからないんですね。これはほとんどなるかもわからない。関連地域、またそのふちまで入れますと、なってしまう。また、太平洋や日本海の沿岸地域のほとんどが整備地域の範囲というようになり得る。こんなに広範な地域整備地域にした理由はどういうことなのか。目的が非常にあいまいになってくるので一番冒頭に、目的を明確にしろ、こう言ったこととこれは違うわけですね。
  117. 岸田文武

    岸田政府委員 本法案では、周辺地域の範囲を、原子力発電施設、火力発電施設については当該市町村とそれに隣接する市町村まで、さらに、水力発電施設につきましては当該市町村のみということを行政区画によりとらえまして対象としておるわけでございます。ただ、現実の市町村の区域は広いものあり狭いものあり、さまざまでございますので、いま申し上げました地域のみでありますと、発電施設または発電用施設と密接な関係にある市町村をすべて包含するとは言えません。地域として狭きに失する場合も間々出てまいるわけでございます。そのために、周辺地域のほかに、特に必要のある場合には、発電施設の設置と特に密接に関連をする周辺地域のさらに隣接市町村、もっと砕いて申しますと、隣接の隣接まで整備計画を作成することを、道としては一応開いておるという形になっておるわけでございます。
  118. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、道を開いておるなんというけれども、片っ方では目的税は限定しなければいかぬという問題がある。皆さんかってにそういう形で広げたのでは、国会はもう白紙委任を皆さんに、通産省に、主務大臣に、全部差し上げてしまうことになってしまう。皆さんは最近は何でも白紙委任を取ることを望んでおるようだけれども、国会を軽視する、国会はうるさいから、なるたけ国会にかけたくないという気持でこうワクを広げておるのですか。
  119. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、発電所ができますと、立地する市町村とそれに隣接する市町村は、いわば発電所建設によって経済的な影響を受ける意味においては一体の範囲になろうかと考えております。ただ、その一体の範囲というものを現実に当てはめてみますと、冒頭に申し上げましたような基本的ルールでは、必ずしも実情に沿わない場合がある。これは各市町村の形なり広さなりということによって違う場合があるわけでございます。現実の事実にいろいろ当てはめて考えてみまして、また地元からのいろいろな要望を耳にいたしまして、これらについてはやはりある程度の弾力的な条項を置いたほうが、現実としては、先ほど申しました経済的、社会的な一定の影響範囲というものをとらえることに結果としてなるのではないか、こう考えたわけでございます。
  120. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、皆さんがそう考えてみたところで、私が言うように、当該市町村、その周辺の市町村、それに隣接する市町村、こうなると、私はよそのところをあまり知らないけれども、私の新潟県等を見ると、たとえば柏崎にかりに原発ができるとすると、その周辺、その隣接、そのまた周辺というと、大半が入ってしまう。そんな広範なものを、道を開くと言うけれども皆さんかってにやる権限を白紙委任しろ、こういうことなんですか、こう聞いておるのだ。
  121. 岸田文武

    岸田政府委員 たてまえとしましては、立地市町村及び隣接市町村がたてまえでございます。いわばそれに対する特殊の例外として隣接の隣接まで含めるということは、それなりの特殊な事情がある場合に限られることは当然でございまして、これは現実の市町村の地形なりあるいは状況なりというものに照らしまして判断をされるべきものである、こう考えております。
  122. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、そういうことになりますと、私が冒頭福田大臣にお伺いし、御答弁をいただいたように、目的税という目的を限定するということから見ると、はなはだしく逸脱してしまう。経済的に関連あるのは、新潟県と東京だって関連があるのですよ。影響あるのですよ。日本とアメリカだって何がしかの影響があるのですよ。地球全体があるかもしれない。そこまでいったら、目的税というのは一体何が目的なんだ。そこまで皆さんかってに何でもやれる権限をよこせ、こういうことなんですか。
  123. 岸田文武

    岸田政府委員 立地市町村と隣接市町村、この範囲は普通の場合でございまして、やはり発電所建設というものを契機とした地帯整備については、いわば一体的に考え、統一的な施設整備をはかるということのほうが、ふさわしい区域として常識的にとらえることができるかと思います。隣接の隣接の場合は、そういった地域までも加えたほうが、いわば実質的に均衡がとれるという場合の補助的な措置ということでございまして、場合が限られることは当然であろうと考えております。
  124. 阿部助哉

    阿部(助)委員 法文のどこにそれが常識だと書いてあるのですか。
  125. 岸田文武

    岸田政府委員 施設周辺地域整備法第四条でございます。これは、原則論は、「地点が属する市町村の区域及びこれに隣接する市町村の区域」ということをたてまえとして出しながら、後段に「この場合において、」という表現がございます。これを読んでみますと、「この場合において、その地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため特に必要があると認められるときは、当該周辺地域に隣接する市町村の区域に係る整備計画を含めて一の整備計画を作成することができる。」ということでございまして、こういった周辺地域をさらに広げるのは、特に必要があるという場合に限られるかと考えております。
  126. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、こんなことをやってあったら、皆さん、みんな関連を広げてしまって、目的税という目的があいまいになるとは思わないですか。私は午前中の委員会指摘したが、皆さん研究事業にも出すことができると、こう言っておる。みんな同じ。皆さんのほうは何ぼでも広げ、特別会計は通産大臣の自由になるポケットマネーをいただくように考えておるのじゃないですか。国民の血税をそんなに簡単に皆さん考えであるとすれば、これはたいへんなことなんですよ。何でも主務大臣の判断でできるようにしたのではたいへんなんだ。  これは午前中の問題、ちょっと私、先を急いだものだから、審議を促進しようと思って、あまり急いで先へ行ったものだから置いておきましたけれども、この政令の要綱を見ても、皆さんのこの研究事業というのには、安全圏確保に関する研究事業というのは入っていないようですが、どうなんですか。
  127. 辻敬一

    辻政府委員 午前中も御説明申し上げましたように、さしあたり制定を予定いたしております政令の内容といたしましては、そういうものを含めておりません。先ほど御提出申し上げました政令案の要綱のとおりでございまして、環境放射線監視施設関係、温排水の影響調査関係、それからいわゆるPR経費の関係、それから事務費の関係、それだけを定める予定でございます。ただ、午前中申し上げましたように、将来の問題といたしましては、発電所施設の設置の円滑化に直接結びつくような研究開発があれば、政令指定をすることは可能であるということでございます。
  128. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、辻さん、この法律さえ通ってしまえばこっちのものだ、あと政令で目的はいかにでも拡張する、こういうお考えですか。
  129. 辻敬一

    辻政府委員 特別会計経理対象の範囲につきましては、御提案申し上げております特別会計法の第一条第二項に規定があるわけでございまして、先ほども説明申し上げたわけでございますが、政令を委任さしていただいておりますが、「安全対策のための財政上の措置」というのが例示になっております。そうして「発電用施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置」ということで限定的な規定を置いているわけでございますから、これが限定なしに広がるという性質のものではないと思います。
  130. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だからそうすれば、私は通産省のこのパンフにあるような問題はやはりここには入っていないと思うのです。これは法律じゃないから、通産省のパンフレットですからそう追及はしませんけれども、しかし通産省は、これははっきりと、行き過ぎだということだけはちゃんと認めないことには私は異議があるわけですが、通産省、もう一ぺんこれを明確にしてください。
  131. 森下元晴

    ○森下政府委員 御指摘のように、この点については若干舌足らずの点があることは認めます。この点、今後十分注意をいたしたいと思います。
  132. 阿部助哉

    阿部(助)委員 舌足らずというのは、ほんとうのことを言っておるのだが少し説明が足らない、こういうことなんでしょう、日本語でもう少し解釈しますとね。うそではないのだけれども、間違いではないのだけれども、もう少し説明をしないと相手にわかりにくい、誤解を生むおそれがある、こういうことなんでしょう。ところが、これは目的から明らかに逸脱しておると私は指摘しておるのですが、そこをもう少しはっきりしてくれませんか。
  133. 森下元晴

    ○森下政府委員 原子力発電安全確保に関する研究事業につきましては、基礎的な研究開発費特別会計の歳出とすることは考えておりません。ただ、発電用施設の設置の円滑化に直接的に結びつくと認められる研究開発にかかる費用特別会計経理できるものと考えております。したがって、限定された範囲の研究開発のみが特別会計対象になるわけでございます。今後具体的にどのように研究開発対象にするかについては、慎重に検討いたしたい。  舌足らずという意味は、別に間違っておるとか間違っていないというのじゃなしに、十分御理解がいただけない説明であるということでございます。
  134. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういうことになると、またぶり返して私はやらなければいかぬのです。というのは、森下さん、午前中私は一番最初に、大体、目的税とかこういうものは税体系の上からは好ましくない。それで福田大臣も、例外中の例外なんだ、こう答弁しているし、私も、目的税というようなものはいかぬのだというたてまえなんです。これはおそらく大蔵委員の方どなたもが異存のないところだと思うのですよ。そうすると、目的税というものは、目的をもっと厳格に指定して初めてやむなく認めるものなんです。それにこういうあいまいなものを入れて、舌足らずですということでは困るのであって、研究開発研究開発でやるべきなんです。やはり第一条に規定しておるように、その目的に限定すべきだ。  それで、いま辻さんは、当面こういうものは入れてないのだ、こうおっしゃる。だから、入れてないものを皆さんがこういうパンフで書くことは誤解を招くのだから、これは取り消しますという答弁があってしかるべきなんだ。舌足らずくらいでごまかそうとすれば、私はまたこれで、皆さんとしばらくやりとりしなければいかぬということなんです。だからそこを、行き過ぎだというならば、これは取り消せばいいのであって、そういうあいまいもことした御答弁では納得ができない、こういうことなんです。もう一ペんお答え願います。
  135. 森下元晴

    ○森下政府委員 目的税の性格からいたしまして、先生御指摘のことについてもよく理解できます。そういうことで、このパンフレットの内容につきましては行き過ぎである、取り消すかどうかの問題については、これは一たん発行されましたし、慎重に検討して、御趣旨に沿うように努力したいと思っております。
  136. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先ほど広い範囲の問題についてはいろいろとお話がありましたけれども、第四条の六項では、地域開発計画と整備計画との一体化をうたっておるわけですね。また、本法案趣旨説明では、地域住民福祉向上と雇用機会の増加をあげておる。公共施設について道路、港湾を代表例として示しておる。これは偶然の例示ではないと思うのです。産業基盤の造成と発電所を中心とするコンビナートの造成、すなわち国土開発、新全総を補完するものとして整備計画があるのではないか、こう思うのでありますが、それはいかがですか。
  137. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお示しの条文にもございますように、私どもはこの整備計画を立てることによってその地域の振興がはかられるということを考えまして、その内容については、各地域ごとにいろいろの夢もあろう、構想もあろう、それらの構想を都道府県知事において十分練っていただいて、その整備計画をわれわれは助成するという考え方でございます。特にその中で特定の産業を育成しようというような選別的な意図を持っておるものではございません。
  138. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもあなたの答弁はじょうずなのか、私の質問を聞いていないのか、焦点が合わな過ぎますね。私がお伺いしておるのは、国土開発、新全総を補完するような整備計画があるのではないか、こう聞いておるのですよ。というのは、この条文の中でそういうあれが出てきておるわけですよ。調和を保つとかいろいろな点が出ておるので、これは新全総を補完するものとして整備計画をつくるのではないか、こう聞いておるのでして、そこに焦点を合わせてひとつ御答弁願いたいのです。
  139. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律条文自体は、いまお示しのありましたようなものと直接の関係はございませんが、現実整備計画をつくりますときには、都道府県においては従来できております各種の計画なり構想なりというものを頭に置き、それらを実現することの一環として考えるというようなことは十分あり得ることであろうと思います。
  140. 阿部助哉

    阿部(助)委員 第四条の六項に「整備計画は、他の法律の規定による地域の振興又は整備に関する計画との調和及び地域の環境の保全について適切な配慮が払われたものでなければならない。」こう出ておるので、そこで私は聞いておるのだけれども、当然ほかの地域計画と関連するわけでしょう。
  141. 岸田文武

    岸田政府委員 同一地域整備をどうするかということでございますので、結果としては関連が出てまいることは十分考えられるわけでございます。
  142. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、これはいまの経済発展の中期計画、長期計画と当然関連せざるを得ない、そういうことになりますね。
  143. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお示しの点は、都道府県知事が整備計画を作成するときにいろいろ頭の中に置いておく要素の一つ理解をいたしております。
  144. 阿部助哉

    阿部(助)委員 都道府県知事が整備計画をつくる。しかし、それは主務大臣が承認をするわけでしょう。そうすれば、いままでの例として、たとえば新産都市の問題にしても、都道府県知事がつくるというけれども、やはり国との十分な関連皆さんの御指導を受けてやる。また国の金がそこへからまってくるとすれば、当然それは皆さんと打ち合わせの中でやらざるを得ないわけです。そうすると、都道府県知事がかってにやるんだからおれは知らないんだというものではないでしょう。だから、あまりそういう責任のがれのことを答弁してくれては困るのです。そこをもう少し内容のある答弁をしてくれなければ困るのです。全然関係がないというならないでわかる。あるとすればどうか、私はこういうことなんです。私は当然あると思うのですが、どうなんですか。
  145. 岸田文武

    岸田政府委員 お示しのように、整備計画は都道府県知事が作成をいたしました後、私どもが認可をするわけであります。内容の審査等にあたって、国土の全体的な利用の一環という要素は私どもとしても頭に置く必要があると思います。
  146. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは当初は八十八億程度ですか、だけれども、来年は三百億という。その三百億というのは、この地域全体の開発資金としては、私は大きいとは思わない。だけれども、これにいろいろなものがつくでしょう。金融がつく、地方債がつく。そして国有財産の払い下げまでつけておる。膨大な計画になるわけです。  そういう膨大な計画が、この出る地域においても、先ほど私が言ったように、周辺地域だけでもたいへんな広範なのに、そのまたまわりの町村までひっくるめることができる。地域も広範だ、金もたいへんかかる。そしてこれがいまの開発計画と調和を保って関連をつけられる、こういうことになるとすれば、今日まずその土台であるところの日本の中期計画、長期計画というものが、当然それに先行されておらなければならぬと思うのです。その計画はどうなんです。あるのですか。いま見直し中じゃないですか。
  147. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもとしましては、この整備計画の基本は、発電所周辺地域の市町村がかねがねああいうこともしたい、こういうこともしたいといういろいろ夢を持っておるのをいかにして実現するか、こういうことが整備計画の根幹ではないかという感じがいたしております。ただ、それらの整備を進めるにあたって、国が進めております公共事業と他の事業と矛盾をしたりあるいは重複したりということで、資金の効率が下がるようなことは避けなければなりませんので、それらの整合についてはやはり配慮をしておく必要があるという理解が適当なのではないかと思います。
  148. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもあなたの答弁には私は納得がいかないし、わからないんだな。  それならばお伺いしますが、地域住民と一番密接なのは市町村長でしょう。どうなんです。
  149. 岸田文武

    岸田政府委員 市町村長はもとより地域住民と非常に密接な関係があると思います。
  150. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その市町村長はこの計画立案にどういう権限を持っているのですか。
  151. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、この整備計画は発電所所在市町村及び周辺市町村、この範囲が標準的な範囲でございますけれども、これらを通じての一体的な計画でございますので、その立案の当事者として都道府県知事を中心にやろうという構想を持ったわけでございますが、御指摘のように、それぞれの市町村にとりましては、その整備計画につきましていろいろの希望なり構想なりを持っておることは事実でございまして、それらを十分くみ取るという趣旨から、周辺地域整備法の第四条四項に「都道府県知事は、整備計画を作成しようとするときは、第一項に規定する市町村の長、」云々「の意見をきかなければならない。」という条文がございます。
  152. 阿部助哉

    阿部(助)委員 「意見をきかなければならない。」というのは、意見を聞いて、その意見を取り入れなければならないということと違うのです。聞きさえすればいいんだな。そうでしょう。それは違うのですか。意見を聞きさえすればいいのだ。何もその意見を取り入れなくたっていいのですよ。  皆さんは先ほど来の説明で、地域住民の希望云々ということを盛んにおっしゃるけれども、実際私はこれを見て、建設用道路だとか、荷揚げの港湾だとかというところに大きな金がぶち込まれるにきまっているのだ。皆さんのこれに書いてある。そのとおりだと思う。金額にしても、絶対にそのほうが大きくなりますよ。地域住民と一番密接な市町村長は意見を述べるだけなんだな。なぜこれにもつと大きな権限を与えないのですか。福祉が重点だというならば、やはり福祉を担当する市町村長の意見を一番尊重しなければいかぬと思うのです。そこは皆さん説明とこの条文とは反対じゃないですか。
  153. 岸田文武

    岸田政府委員 この整備計画は、発電所周辺地域住民方々がほんとうに喜んでもらえるような計画であってほしいと思っておるところでございます。ただ、それが幾つかの市町村にまたがるということから、それの取りまとめ、調整役として都道府県知事に計画づくりをお願いするという構想でございまして、基本的な考え方として、それぞれの市町村がかねがね持っておりました計画というものを十分組み入れ、それらの人々の将来の構想というものが生かせるような形にすべきことは当然でございます。「意見をきかなければならない。」ということの意味は、私どもとしては、十分意見を聞くという趣旨理解をいたしております。
  154. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんはここでは十分にと言うけれども住民住民の代表の声を組み入れるというならば、それはもう少し明確な規定をしないと、たとえば電源開発の公聴会を開くといっても、開きさえすればいいのでしょう、皆さんは。しかも、皆さんが一方的な運営のしかたで開きさえすればいい。これが今日の実態じゃないですか。「意見をきかなければならない。」なんという程度のものでは、意見は聞いたけれども言うことを聞かない、言わせるだけ言わしたという程度にしかこれは解釈されないですよ、また、実際問題として、国と市町村長、県と市町村長の間には、その程度の大きな権限の差がある。力の差がある。あなたが、ほんとうに住民のためにやるのだ、こう言うならば、住民の代表である市町村長、また住民の権限というものをもう少し明確にすべきだと思うのですが、それはどうでしょうか。
  155. 岸田文武

    岸田政府委員 市町村の考えておりますいろいろの構想を極力くみ上げていきたいということは、私自身としては、今後とも大きな課題として実現をはかりたいと思っております。ただ、それぞれの市町村には自分の市町村なりの構想がありましても、地域全体として見ますと、それが一体的に遂行できるかどうかというような問題が個々のケースでは出てまいるわけでございまして、それらの調整をはかるということの必要性という点については、御理解をいただけるのではないかと思います。  私どももこういった新しい提案をし、整備計画をつくって地元整備を推進していこうということにつきましては、地元の人に、結果として喜んでもらえるということが一番大事であるということは十分考えておるつもりでございます。
  156. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何としてもこの整備法というのは範囲が広いのですね。高木さん、どうなんです。これだけ範囲を広げると、一体どこに焦点があるかわからない。いま通産省の部長が福祉に重点を置く、こうおっしゃる、私の気持ちとしてはと、こうおっしゃっておるのであって、法律では明確じゃない。私は、そう長いこと、これから十年も部長をやっておるわけじゃないと思う。私の気持ちとしてはという程度では困るので、もう少し法文で明確にしてもらわなければいかぬ。  もう一つ、これだけ広範なことになる、しかも、先ほど申し上げたように、それに関連するいろいろな政府資金、金融、国有地の払い下げ、こういうものまでついてくると、この百億とか三百億とかいうものは単なる呼び水にすぎないのじゃないか。そうして膨大な資金が使われていく可能性があるわけでしょう。そうすると、この目的税というのは、一体目的はどこなんだ。私、繰り返し繰り返し言うのは、税法目的税というものが——税というものは、これはたいへん重大な問題だから私は指摘をするわけですけれども目的税という範囲からはなはだしく逸脱するのじゃないだろうか、これは主税局としてはどうなんですか。
  157. 高木文雄

    高木(文)政府委員 ある発電所ができます場合に、今回の周辺地域に対する交付金をどの地域まで交付対象とするか、またどういう事業を行なうためのものについて交付金支出するかということについては、ただいま御質疑がございました整備計画等によって、内容がきまっていくわけでございますけれども、御指摘のように、それが際限なく広がるということでありましたり、地域ごとに交付金支出される程度が違ったりするということになりますと、私どものほうと申しますか、目的税立場からいいますと、はなはだ困るわけでございまして、そういう意味では阿部委員の御指摘のとおりでございます。  ただ、私からお答えをするのは適当でないと思いますけれども、現在の私ども承知しております仕組みでは、結局、一応そこに設置されます発電所の出力等を基準にいたして、総体として出力当たり幾らというようなことで、一定の基準のもとに交付がなされる仕組みになっているのでございまして、そういう意味におきまして、その計画の中身がどの範囲のものになるかとか、計画の地域対象がどんなふうになるかということについては、個別個別のケースに応じて最も適当な形がとられるでありましょうけれども、その交付対象となる額の算定につきましては、出力と対応して一定の算定基準で算出されるものと思っておりますから、そのために、この整備計画、したがって特別会計の歳出が際限なく広がっていく、そして目的税が足りなくなって、また増税をしなければならぬということになるという心配は現在のところではないというふうに考えております。そこで、一応目的税として、金額的に確定をいたしておるというところで、歳入と歳出との結びつけをしておるわけでございます。
  158. 阿部助哉

    阿部(助)委員 目的税ということで発足しておるけれども、日本列島大半を包含するような広範な地域にいろいろな計画を持ち込む。百億や三百億で一体何ができるのです。地域福祉だとかいろいろなことをおっしゃるけれども、平年度で三百億の金で一体何ができるのです。そうではない、それは呼び水なんじゃないか。それにいろいろな国の資金が入っていく、地方債がからまってくる、開発資金が融資をされる、国有地の払い下げまでやろうという膨大な計画ですよ。これは田中総理の好きな列島改造の一つなんです。それに目的税としてこれっぽちの金をつけるということは、列島改造の呼び水だ、こう見ていいのですか。目的税の範囲、それは呼び水にすぎないのじゃないですか。だからこれは、目的税というものとはなはだしく逸脱した内容だ、こう私はいわざるを得ないのでありますが、その点はどうなんですか。   〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律の適用範囲があるいは非常に全国津々浦々になるのではないかというお尋ねでございますが、私ども今後の電源開発計画では、大体年千二百万キロワットから千六百万キロワット程度の開発を頭の中に描いておるわけでございまして、そういたしますと、小水力を除きますと、一年に二十カ所とか三十カ所とか、その程度の範囲でございます。継続中のものを合わせましても、それの二倍、三倍程度の範囲ではないかと思います。  実は私どもとしては、頭に置いておりますこれらの計画がいかに円滑に進んでいくかということが、これからの公益事業を円満に発展させ、供給責任を全うするための基本的な前提ないし課題である、こう考えておるわけでございまして、私ども立場からすれば、何とか各種の応援手段を活用して、地元整備が進行し、それが今後さらに続く発電所建設にも好影響を及ぼすということになることを期待いたしておるわけでございますが、さりとて、当然全体的な、国家的な資金のワクがあることは十分承知をいたしておるわけでございます。
  160. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもあなたはまわりの話をするけれども、私の質問に焦点を合わしていただけないわけですが、先ほど言ったように、地域はといえば日本列島の海岸線はほとんど全部入ってくるだろう、それだけ皆さんはこの範囲を広げておる。いかようにもできるようになっておる。それだけ大きな範囲を考え、そして港湾から道路から、住民の希望する幼稚園から保育所からと、こういうことになっている。これがこれっぽちの金でできるはずがない。  それだからこそ、いま申し上げたように、金融面でもおそらく開銀の金もあるいは地方債の金もぶち込んでいく。そうすると、地域の自治体の財政もこれによってたいへんな拘束を受けてくるわけです。そうすると、これは単なる呼び水ではないか、こう聞いておるのです。この金で皆さん考えておる目的が達成されるというわけじゃない。これは目的税から逸脱しておるのじゃないか、こういうことなんです。呼び水なら呼び水と言えばいいのです。
  161. 岸田文武

    岸田政府委員 一般公共事業はそれぞれの目的に従って計画的に進行するわけでございますが、ここで整備計画の実現のために交付金を別途用意いたしますのは、発電地帯の整備という特殊のねらいを中心にしまして、しかし量的には一定のルールに従った限度を設け、また内容的にも整備計画の範囲内で、その分だけ助成の上のせが行なわれるという形になるわけでございます。
  162. 阿部助哉

    阿部(助)委員 違うじゃないですか。あなたのほうの整備計画を見れば、さっきから申し上げているように、当該市町村、隣接の市町村、またその隣接の市町村まで入れられるのですよ。それで代表例であげたのかどうか知らぬけれども道路から港湾、社会福祉関係、これまでを想定しておるわけですよ。そうしてその金はといえば、この整備計画をつくれば地方自治体の金もそれに当然動員される。——部長、聞いておらぬと、ピントのはずれたことばかり答弁されて困るのですね。よく聞いてやってください。相談するなら私はしばらく待っていますよ。いいですか。まだ私は発言中なんです。あなたはあまりよそ見をしておるから、聞いておるのかと思って。  そういう形で動員されるとすれば、いま百億だとか平年度三百億というのは、そのうちのほんの一部分の金にすぎないのじゃないか。そうすると、たいへん大きな目的の中の一部分なんです。そういうことになりゃせぬのか、こう聞いておるので、それはどうなんです。
  163. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども整備計画は、発電所が新たに建設されるということに着眼をし、またそれを一つの契機といたしまして、その発電所建設される周辺地域について一つの新しい構想の実現をはかろうということでございます。その実現の手段としては、従来から継続をしておりました公共事業がその内容に含まれることもございますが、しかし、従来の公共事業ではカバーし得なかった、それぞれの市町村の考えておりますアイデアというものを実現するための手段として、今度新しく交付金制度が設けられるということになりますと、そういった新しい知恵も含めたような構想が可能になるのではないか、こう考えておるわけでございます。
  164. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういう大きな構想を持っておるわけでしょう。だから、この税金は計画の経費の中のほんのごく一部だ、こういうことになるのじゃないですか。
  165. 岸田文武

    岸田政府委員 いま一部とおっしゃいました意味、おそらくは市町村によっていろいろ事情が違ってくると思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、国としていろいろな計画を立て、地方公共団体を助成しているその計画と、別途この法律によって用意された交付金とがうまく組み合わせられることによって整備計画が実現する、その交付金の部分が一体どの程度であるかということは、そこに立地する発電所の規模なり内容なりということによって違ってくるわけでございます。一定のルールに従って算出された交付金の金額をいかにうまく計画の中に取り入れていくかということば、いわば都道府県知事のくふうにかかってくるわけでございます。
  166. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういうことじゃないのです。皆さんのこの条文から見ると、地域はたいへん広範だ。したがって、また、いろいろな皆さんの構想しておることを考えれば、経費はたいへんよけいかかる。しかし、目的税は平年度大体三百億を予定しておる。その三百億は皆さん考える構想の中では一部分の金にすぎないのではないか、こう聞いておるのでして、一部分でないのです、これでみなやるんですというわけにいかぬでしょう。
  167. 岸田文武

    岸田政府委員 いまのようなお話でございましたら、一部分であるということはいえるわけでございますが、その一部分がどの程度の部分であるかということは、ケース・バイ・ケースで違ってくるであろうということを申し上げたわけでございます。
  168. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかし、皆さんのこの構想は、たいへん地域住民が飛びつきそうな構想を出しておられる。そこで、地域も広げ、そしておやりになる仕事もいろいろと、道路、港湾から、皆さんの話によれば、保育所の建設から幼稚園の建設から、地域住民が喜びそうなものはメニュー方式とかいうて一ぱい広げておる。しかし、それをやるには、広範な地域であり、仕事も多岐にわたるとすれば、百億や三百億ではどうにもならない。それだからこそ皆さんは、国の財政上の援助も、地方自治体の負担における地方債も、あるいはまた国の金融も、国有地の払い下げもする、こういう広範なものを予定してあるんですねと言っている。これはみなちゃんと出ておるのだから否定できない。  そうすれば、この百億や三百億は地域開発の呼び水にすぎないんではないか。呼び水だとすれば、それを皆さん目的税目的なんだとおっしゃるならば、何をか言わんやであります。それでは目的税という限定されたものはどこへ散らばってしまうかわからない。目的税の本質を逸脱するのではないか、こう私は質問しておるのです。どうなんです。
  169. 岸田文武

    岸田政府委員 いわば通常の公共事業の整備等の財政的援助では実現しにくいいろいろの施設整備につきまして、電源開発特殊性、電源周辺地域整備を行なうことが特に重要であるという観点から、これに対する一種の上のせとしてこの交付金が活用されるということでございまして、その支出は都道府県知事がたとえば計画に従いまして市町村がかねてあたためておりましたいろいろの構想というものを実現する道具であると理解をしておるわけでございます。
  170. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、地域の知事の計画に何ぼか上のせするまあ呼び水だ、私はこう言っているんだけれども皆さん答弁はさっぱりわからない。だから、これは本来目的税としては不適格なんですよ。それすら目的税というなら、目的税は幾らでも乱造できる。そんなことをやったら、これは幾らでも目的税というものは乱造できるのですよ。風が吹けばおけ屋がもうかる式に関連をつければ、みんなこれは関連があるのでして、目的税はそれではいかぬから、目的を限定するというのが私の意見であり、福田大蔵大臣の午前中の答弁なんです。そうすると、そこからこれは逸脱しておりますねと、こう言うのです。政務次官、どうです。
  171. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 発電所の設置されるところが、新産都市あるいは新全総その他のわが国開発計画の中で開発地点として選ばれて一般会計からの財源が流れていくという地帯とは必ずしも一致していないことは、御承知のとおりであります。そういうような辺陳の地が選ばれて、原子力発電、水力、火力等の発電所になった場合に、一般会計からそこに開発資金を流すということの優先順位が、いままでは非常にあとになっておるわけであります。  そこで、目的税を設置して、発電によって社会に貢献をする、そういう発電地帯に対する返礼の意味をもって、その発電という非常に大きな貢献度に対して目的税を設けて、その後進地帯であろうところのものを開発していくのでありまして、少なくとも今後新しく選ばれるでありましょう開発地点、一般会計から流れないところの電源立地を特別によくしていくための目的税でありますから、中にはいままでの新全総であるとかあるいはいろいろな開発計画と一致する点もありましょうけれども、ほとんどが新しいものが選ばれると私は考えておりますから、やはり目的税としては適当なものであろう、適当な対象である、こう考えております。
  172. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  173. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 速記を始めて。  阿部君。
  174. 阿部助哉

    阿部(助)委員 議事を進行して、先に移りましょう。  電源開発促進税の最終の負担者はだれかということについてお尋ねしたいわけであります。  この法案では、電力量、キロワットアワーに課税をする。これを課税標準としておる。電力会社を納税義務者としておりますけれども、この税金電力会社の利益の中から支払われるのか。または、原価に組み入れられ、価格に含められ、結局は消費者に転嫁されるかどうかという点をお伺いします。
  175. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、阿部委員の御指摘のように、法律上の納税義務者は一般的事業者でございますが、この新税の性格上、他の事業税や固定資産税と同様に、当該電力事業者の事業上のコストと考えられることになると思います。したがいまして、その意味では発電のためのコストとして、料金の計算上算入される。したがって、実質的には何らかの形で消費者のほうに負担が回る。その意味での最終的な実質負担者はやはり電力の消費者、つまり産業、一般家庭を通じまして電力を使っておる人たちということになると私ども考えております。
  176. 阿部助哉

    阿部(助)委員 電力料金の決定は、会社の利潤をちゃんと見て政府がきめる、こうはっきりうたっておる。それからいけば、結局、最終消費者にこれは転嫁をされる、まあ間接税だ、こういうことだろうと私も思った。そうすると、転嫁する場合に受益者である企業が負担せずということにしておると、どうもこの税法、私は理解ができなくなるわけです。それで建設道路あるいは荷揚げの港湾をつくる。これはこんな特別税をつくらなくたって電気会社は電源開発をしようとすれば、当然自分の負担建設道路をつくる、荷揚げの港をつくる、あたりまえのことなんだ。いまやっておる。  そうすると、税金は大衆からいただきます、そうして電気会社の使わなければならない経費は、これは税金でめんどう見てあげます。こういうことになるわけですか。
  177. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社が発電所建設に際しまして専用の道路をつくり、また専用の荷揚げ施設を用意するというのは、電力会社の負担であることは当然でございます。  この交付金によって実現をいたしますのは、いわばその地域全般のために貢献をするような各種施設でございまして、それらの施設整備することによって、その地域全体の福祉向上に寄与するということをねらいといたしております。それがひいて電源開発促進に貢献するということを私どもは期待しておるわけでございます。消費者あるいはユーザーの立場からいたしますと、やはりこれからの生活水準の向上あるいは産業活動の活発化に伴って当然電気が必要になってくる。その電気供給する発電所が円滑に建設されるということは、将来のことを考えてみますと非常に大きな課題でございまして、それを支援するという意味で使われることになるわけでございます。
  178. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さん聞いておるとおり、こんな答弁ばかりされておるから私は時間がかかるのであって、私の質問には一つも答えていない答弁ばかりするから時間がかかるのです。皆さんが時間時間と言うなら、向こうのほうに向かって時間時間と言ってくれないかな。この答弁では、私が時間のかかるのはあたりまえなんです。私の質問に何も答えていない。もう一ぺん言ってください。私の質問にもう一ぺん答えてください。こんな答弁ばかりしていれば時間のかかるのはあたりまえだ。
  179. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社が電気事業に直接必要な施設整備することは、当然電気事業者の負担でございます。一般公共事業の整備につきましては、国が従来処理しておりましたルールに従います。今回の交付金は、それらの施設以外の新しい構想を支援するという意味で、グループが三つに分かれるかと思うわけでございます。
  180. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ところが四条の三項か、ここを見ると、発電用施設関連施設、それと十分関連さして整備するのでしょう。それはたとえば奥只見へ発電所をつくった。そうすると、つくるためには当然道路が必要だ。いまそれは観光用の道路として住民は恩恵を受けておるかもわからない。つくるのはあたりまえのことなんです。つくらなければ発電所はできないのですよ。それまで皆さん税金を活用するのですか。これを利用するのでしょう。
  181. 岸田文武

    岸田政府委員 第四条の三項でございまして、ごらんいただきますとおり、「発電用施設又は工事用道路、荷揚げ用岸壁その他の発電用施設関連施設と併せて整備することが必要と認められるもの」ということでございまして、前段は電気事業者自体がそれぞれの目的のために使用するわけでございますが、それらとあわせて整備をするという後段の部分は、この法律によって整備計画の内容になっているということでございます。
  182. 阿部助哉

    阿部(助)委員 整備計画の何ですって。整備計画の内容になっておるのか、おらないのか。
  183. 岸田文武

    岸田政府委員 前段の電気事業者の固有の施設については、整備計画の内容になりません。
  184. 阿部助哉

    阿部(助)委員 本法案電力需要の逼迫を理由にして提案をされておる。また、私のところへ説明しにおいでになった方々も、どの方々電力は足らないのだ、こうおっしゃっておるわけです。そこで、通産省はさきに業界のつくった数字を用いて石油危機、ああいう事態を引き起こした張本人、まあことばは悪いけれども張本人だ、私はこう思う。物価狂乱を招いた張本人なんです。  今度は電力が逼迫をしておる、こう言うけれども、この内容について十分に納得のできる説明がない。一体どこまで逼迫しておるのか、どうなんだ、こういうことなんで、まずお伺いしますけれども電力エネルギー問題の中心であります。経済政策の根幹を形成するものでありますから、今後の電力需給の前提として、少なくとも五十三年までの中期経済政策があるはずであります。皆さんは大体ここで逆転する、こう言ったんだから、この経済政策の内容経済見通しはどのようなものか、お伺いしたい。
  185. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは毎年一回電力需要の将来の見通しを立てるわけでございます。いま持っております新しい想定によりますと、昭和四十七年から五十三年の間の電力需要の平均の伸び率を八・九%と想定いたしております。これは四十一年から四十七年の間における実績の増加率一一・二%に比べますと、下回っておるところでございます。
  186. 阿部助哉

    阿部(助)委員 八・九%上がる。そうすると、これは経済見通しをもって積み上げて計算したわけでしょう。
  187. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども電力需要の想定は、日本電力調査委員会におきましていわば世界共通のルールに従い定期的な調査を行ない、その結果を参考にするという方式をとっておるところでございます。その算定方式についてはいろいろこまかい要領も持っておりますが、必要があれば御説明をさせていただきます。
  188. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまもお話しの電力調査委員会資料皆さんはおやりになっておるのですか。
  189. 岸田文武

    岸田政府委員 電力調査委員会資料を参考にしてやっております。
  190. 阿部助哉

    阿部(助)委員 電力が不足しておる。そうして八・九%の伸び率。これもたいへん高い伸び率です。いま経済の安定成長が云々されておるときに皆さんは——高度成長の四十七年の伸びが七・四%ですよね。そして皆さんの四十六年から五十二年までの平均が九・六%、こういう数字を出しておるのですね。皆さんはいままで以上の高度成長をやるという経済計画をどこへお持ちになっているんですか。
  191. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年までの想定は、従来の傾向線を頭に置きましてかなり高い成長を予定をいたしておりましたが、今回、本年実施しました需要想定におきましては、その後の事情を加味いたしまして、電力の需要の伸びは従来に比して低いものに想定をいたしておるわけでございます。なお、前提となります鉱工業生産の見通しにつきましても、七・五%という数値を採用いたしております。
  192. 阿部助哉

    阿部(助)委員 通産省というところは、たしかこの前予算委員会で、石油連盟と一緒になって石油の問題を論議しておるみたいなことを言って、たいへんおしかりを受けた。ところが、私が電力需給の見通し、これの資料をくれと言えば、日本電力調査委員会資料を持ってきておる。そしてこの内容はといえば、算定方式についてはわかりますけれども、その中身がさっぱりわからない。  たとえば一番の大口電力、その中でも大きなのは鉄鋼生産であります。これが大体大口の二六%ぐらいを占めておるはずであります。ところが、そういうものの伸び率、経済の成長、そういうものを積み上げて皆さんは見通しを立てるわけでしょう。その見通しは全然ないじゃないですか。私がどれだけ要求しても、委員会に必要だといって要求しても、皆さん持ってきたのは、日本電力調査委員会資料なんです。一体この調査委員会というのは通産省の役所なんですか。皆さんは業者の言いなりになって想定をしておるのですか。業者の言いなりなんですか。資料をとるのはわかる。しかし、それは通産省独自で算定をするのだと思ったところが、通産省独自の算定はない。そしていいかげんだ。これは数字もいいかげんなんです。  私、検討してみた。一カ月もかかって私はこれを検討しておるのだから。そういういいかげんなものしかわれわれに資料を出さないで、需給見通しはあぶない、電力は足らない足らないという宣伝をすれば、電気がなくちゃたいへんだという、ちょうど石油のときと同じじゃないですか。なぜあるものならばそのデータを出してこない。それとも皆さんは、そういう積み上げもやらない、何もやらない。ただ、電力がない、電源開発をやりたいということで電力危機を扇動するだけなんですか、どうなんです。
  193. 岸田文武

    岸田政府委員 日本電力調査委員会の算定方式といいますのは、先ほども少し触れましたように、いわば世界共通の方式として多くの国で採用されておるところでございます。その運営方式につきましても、大体各国ほぼ同様でございます。主体的には委員会形式による民間形態をとりながら、わが国の場合におきましては、関係業界の代表のほか、企画庁及び通産省の職員が参与として参画をし、討議に参加しておる、こういう形をとっておるところでございます。  この調査の結果につきましては毎年報告をしておりますので、数値等は御承知のところでございますが、私どもが今後電力心配である、供給不足が懸念されると申しますのは、これらの数字によって示された需要動向に対しましてあまりにも電源開発の進捗状況がおくれておるということが基本的な問題でございまして、先ほど予備力が次第に低下するという点についても御言及になりましたが、私どもとして電力事業を円滑に運営するために必要と考えております八%ないし一〇%の予備力というものが、一体いつまで確保できるだろうかということについては、まさに懸念を持っておるという感じでございます。
  194. 阿部助哉

    阿部(助)委員 日本電力調査委員会というのは公的な機関ですか。
  195. 岸田文武

    岸田政府委員 公的な機関ではございません。
  196. 阿部助哉

    阿部(助)委員 公的な機関のものでないこの資料が、通産省の政策の基本になるのですか。
  197. 岸田文武

    岸田政府委員 形式はともかくとして、実質的な検討スタッフの内容なり、あるいは検討の内容のレベルなりについては、かなり充実しておると私どもは評価いたしておるところでございます。  加えまして、先ほど申しましたように、私どももその一員として討議に参加しておるということからいたしまして、これを前提として尊重するということ自体は、適当なのではないかと思っております。
  198. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それならば、その定款、役員、それへの出資者、これをひとつ出してください。
  199. 岸田文武

    岸田政府委員 資料として提出させていただききます。
  200. 阿部助哉

    阿部(助)委員 なるべく早く出してください。資料は出してもらうけれども、いまあなた方の頭の中にある、出資者はどういう人たちで、役員はどういう人か、おも立ったのをあげてみてください。
  201. 岸田文武

    岸田政府委員 いま手元に調査委員会の協定書を持っておりますので、これは提出することができると思います。また、調査委員会委員の名簿も手元に持っておりますが、出資者の資料はいま手元にございませんので、これは別途提出させていただきたいと思います。
  202. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大体見当がつくのは九電力、それから鉄鋼であるとか電力をよけい消費する業者団体、そういうのが中心になって委員会を構成しておるのです。それは内容がどうであるかは別にして、皆さんは業者と一緒になって、あの石油連盟のときと同じように、通産省も入っておるから正しいのだとか、どうだこうだ。通産省が業者と一緒になってこうやっておるのは、まさに業界と役所がぐるになっておるという証明をしておるようなものではないのですか。  いろんな資料をとって、皆さんが判断をして判定されるのならわかるけれども、大半はこれを消費する大口の鉄鋼業者であるとか、大機械メーカーであるとか、そういう業者、それと電力会社、こういう人たちがぐるになっている。そこへとにかく皆さんが出ていって、この資料がこうでございますなんというのは、私は大蔵委員会でそんな資料をいただいたためしがない。そういう業者と癒着しておるというのが通産省の普通の姿なんですか。独自で皆さんの判断する資料整備されないのですか。皆さんは業者と一体なんですね。業者の言うことが即通産省の政策であり、意見だ、こういうことになるわけですか。私は大蔵委員を何年かやっておるけれども大蔵省からそういう資料をいただいたためしがないのですが、ふしぎでならない。これはどうなんです。皆さんふしぎじゃないですか。
  203. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほども説明いたしましたように、算定のルール自体は国際的にほぼ認められたものでございまして、そのルールにいかなる数値を当てはめるかということになりますと、その辺の実情は電力会社がたくさんの資料を持っておることは認めなければならぬと思います。電気の場合には、数字をごまかすと申しましても、メーターに出てまいるわけでございますから、客観的事実はわりあいに裏づけることが可能であると思います。さらに、私どもといたしましては、将来の算定の予想のいろいろな幅の中で何をとるべきかというような際には、通産省としての意見を客観的に取りまとめまして、この調査委員会に対して提案をし、検討を促すという手続を経ております。決して、先生のおっしゃいましたような適当な数字を相談してくるというような実態ではございません。
  204. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それだから私は資料を要求しておるわけです。鉄鋼とかそういう場合の想定の算式は、生産量かける原単位ということで算定する。その算式のしかたはわかります。だけれども、一体鉄がこれから幾ら伸びるのか、アルミが一体これからどう伸びるのかという日本の経済見通しなしに、電力が足るとか足らないとかいうことは不可能でしょう。その積算をしていく大口関係の業種別の数字を見せなさい。  今日、日本のいままでの経済成長率が云々されておる。高度成長政策から安定成長へと、いま変わろうとしておる。それとの比較対照をしなければ、電力が足るか足らぬか、国会で審議するわけにいかぬじゃないですか。何かける何という方式が国際的に通用するんだ、そんなことは百も承知です。承知しておるからこそ、その算出をするための特に大口の伸び率を出してくれ、こう言っておるけれども皆さんは出してこない。大体皆さんの出してきたこんなもので、電力の不足あるいは電力料金の算定を皆さんはするのですか。これを見てごらんなさい。そういう私の要求にかかわらず、出てきたものはこんなものなんです。こんなもので、一体電力のこれからの需給見通しあるいは電力料金の算定がやれるのですか。それとも国会を無視して、国会議員をめくらにして、めくら判を押せということなんですか。どっちなんです。
  205. 岸田文武

    岸田政府委員 従来は、検討の結果を整理いたしまして公表の形をとっておったわけでございますが、その最終的な取りまとめの段階では、御指摘のような作業を私ども重ねた上での結論でございます。従来の例では個々の業種についての数値を公表したことはございませんでしたので、先ほどのような経過があったかもしれませんが、ある程度代表的な業種について資料をまとめてみたいと思います。まとまりましたら、御報告をさせていただきます。
  206. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それはまとまっていないのですか。まとまっていないで、五十三年になると電力が足らなくなりますよなんというおどかしをかけるのは、一体どういうことなんですか。
  207. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもが適当にやっているというふうにおしかりを受けますといかがかと思いますので、手元に幾つかの業種の数字も実は持ってはおるわけでございます。たとえば鉄鋼でございますと、従来の実績の年増加率、これは電力量の伸びでございます。四十一年から四十七年までの年平均で大体一四・六%でございましたが、四十七年から五十三年の想定は、年増加率六・五%を見込んでおるわけでございます。
  208. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういう資料は出すわけにはいかぬのですか。これは積算の基礎なんです。料金算定の場合にも、また日本の経済成長を見る上にも、実際に電力がどういうぐあいに——皆さん不足だ不足だと言っておどかすけれども、一体不足なのかどうか。私は経済成長率自体も問題があると思うのです。皆さんからいただいたこの資料、この日本電力調査委員会というこれを見ましても、皆さんはGNPの伸びは四十七年から五十三年まで七・六%と見込んでおるでしょう。一体この成長率がいいのかどうか、またこうなるのかどうか。いま経済成長の計画を練り直しておるときでしょう。皆さん、それがあるならなぜそういう計画を出さないのですか。私はそれを出せ、こう言っておるのですよ。
  209. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、客観的にたより得る他のデータがあれば、これを十分参考にしたいと思っておるわけでございますが、実は今回の需要想定のおもな特色は、昨年の石油危機以降の新しい情勢をどう織り込むかという課題でございまして、これらについてはまだよるべき資料がないというのが実情でございます。そうは申しましても、やはり電力電力なりに今後の需要想定を立てていかなければならないということから、関係者が各種の討議を重ね、公益事業の立場から見て需要を想定するという作業が、今回の作業になったわけでございます。御指摘のように、成長率はとりあえず七・六%というものを採用いたしておりますが、いま申し上げましたような経緯でできたものでございます。
  210. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、皆さんは、一番基礎になる資料はできていないのですね。できていないで、電力が足らなくなる足らなくなるとおどかしをかけるのはどういうことなんです。
  211. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申しましたように、今回の需要想定は、従来の需要想定から比べますと、低目に押えた需要想定になっております。将来の見通しを低い水準に置いておるわけでございます。その需要想定に対応する供給計画を見まして、なおかつ将来が懸念をされるということを申し上げておるわけでございます。
  212. 阿部助哉

    阿部(助)委員 世の中、普通でいえば、過剰生産になれば、品物が余れば、市場の機能が機能しておれば、値段は下がってくるのですよ。ところが、電力は、うんと余るほどやっておれば、電気のコストは高くなるのですよ。これは地域独占でもあるし、それが料金算定に織り込まれてくるのだから、それで電気会社の利潤も見込んで電気料金をきめると電気事業法にはなっておるんだ。そうすると、ほかの品物は余ればだんだん下ってくるかもわからぬけれども電気というのはそうはいかない。反対なんですね。うんと余るほどつくっておれば、それは電気コストに高くはね返ってくる。  そうすると、電力が足らない足らないと皆さんはおっしゃるけれども、実際足らないのかどうなのか、それすら皆さんもわからない。それはこれから将来のことだから何がしの誤差が出る、何が出るということを私は言っておるわけじゃない。それはあり得ます。しかし全然基礎資料も持たず、またわれわれにそれを提示もしないで、この審議をしろ、これはちょっと無理ですよ。ほんとうに足らないのかどうなのか。日本の経済成長率は大体どの程度になっていくのか、どの程度が正しいのかというものとにらみ合わせて、初めて電源開発をどう促進すべきかどうかというものは出てくる。そのデータが出るまで、私、この質問はちょっと先へ進みかねる。データをすぐ出してください。しかも、これはたびたび催促をしておるのだ。  きのうも皆さんのほうへ、どういう質問をするかというから、そのデータを出してくれなければ私は質問が進まないということを言っておる。私は、少なくともけさには私の手元に届くだろう、こう思っておった。ところが、それも届けない。さっき言ったように、部長、これをごらんなさい。こんなものでわれわれに、電力が不足だ、足る足らないという問題を論議せいと言ったって無理ですよ。それとも皆さんは、先ほどから言うように、まあ国会なんというのはたいしてわからないのだからめくら判を押せ、こういうことなんですか。私はこの資料をもってもう一ぺんこの質問をしたいと思いますが、それともいますぐ出してくれますか。
  213. 森下元晴

    ○森下政府委員 資料はないわけではございません。やはりこういう大事な計画でございますから、確実な資料の上に立って計画をしておるわけでございますけれども、早急に先生にお出しできるいわゆる提出資料としてまだまとまっておらないと思うわけでございます。  なお、御指摘のように、石油なんかと違いまして、電力の場合にはストックができない。だから、余るほどつくれば結局コストが上がる、御説のとおりでございまして、この点他の資源、特にエネルギー資源と違った性格を電力は持っておるということで、このデータ等におきましても非常に慎重にもしなければいけないし、特に最近の油の非常な値上がり、いわゆるコスト高、それと需要の動向が非常に変動が多いわけでございます。いわゆるピーク時をいかに押えるか。一年じゅうでも八月が非常にピークが高い。そういうことで、蓄積ができない、ストックができないというところに、見通しにかなりむずかしい点もございます。この点、先生の御質問の内容もわれわれよくわかったわけでございますので、先生の御質問の内容にこたえるような資料を、委員長の許可を得まして早急に出したいと思います。
  214. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いつごろ出してくれるのですか。
  215. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほどお話がございました大口需要についていかなる増加率を想定しているかという点につきましての資料は、明日提出さしていただきます。
  216. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はその資料をもってもう一ぺん質問をいたしたいと思いますが、あらかじめ御了承願いたいと思うのであります。  電源開発促進法の第三条によりますと、電源開発は、内閣総理大臣が立案をし、電源開発調整審議会の議を経て決定する電源開発基本計画に基づいて実施するのが原則である、こういう規定になっておりますが、そのとおりですね。
  217. 岸田文武

    岸田政府委員 そのとおりでございます。
  218. 阿部助哉

    阿部(助)委員 電力需要が昭和五十三年には供給を上回る、こういう重大な結論、それに基づいて国費を用いて電源開発を実施しようとするのであるから、当然いまの電源開発基本計画があり、電力需給をはじめ必要な諸事項が示されておる、こう思っておった。ところが、いま言ったように、出さない。電源開発基本計画というのをなぜわれわれに出さぬのですか。
  219. 岸田文武

    岸田政府委員 電源開発の長期計画は、毎年作成をいたします。昨年の長期計画に基づいて実施をした結果、これはもうすでに先生御承知ではないかと思いますが、四十九年度の長期計画は、目下経済企画庁を中心に検討を進めておるというところでございます。  長期計画と申しますのは、今後数年間の見通しを毎年毎年新しく更新するというような形で編成をしておるわけでございます。
  220. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その長期計画はあるのですね。なぜ出さぬのです。
  221. 岸田文武

    岸田政府委員 四十八年の計画は当然ございますし、いつでも提出できると思います。
  222. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも先ほどの問題をぶり返すようでありますけれども、その電力調査委員会というのは、どうもわからぬのですがね。一体こういう業者の集まりの出したものが即通産省の基本の計画、施策のもとになる。それは、調査する場合、新日鉄はどれだけの生産計画だ、鋼管はどうだ、あるいはアルミなら日本軽金属はどうだという資料をおとりになるというのならわかりますよ。そうでなくてはできないだろう。だけれども、その計画を全部皆さんの計画にする場合に、こういう財界、九電力というものの集まりが即通産省資料としてわれわれのところに回されるというのは、まさに政府、業者の癒着なんというものじゃない、これは一体だということなんですね。政務次官、どういうことなんです。むしろ皆さんは業者の代弁者にすぎないのですか。
  223. 森下元晴

    ○森下政府委員 この調査委員会は、純民間の委員会でもないと私は思います。中立的な機関でございまして、もちろん、九電力会社の社長等も入っておりますけれども、たとえば東京都の知事さん、神奈川県の知事さん、三重県の知事さんとかそういう方も入っておりますし、それから電力調査委員会の参与として、エネルギー庁はもちろんでございますが、経済企画庁、それから日本電機工業会の専務さん、そういったかなり網羅した会でございまして、癒着というようなことはございません。やはり電力関係につきましては、石油よりもむしろ公共料金等でやられておりますから、ガラス張りの部門が非常に広いわけでございまして、この点、先生おっしゃるように、癒着して振り回されておるということはないと思います。かなり見識のあるデータだと思っておりますけれども、なお御指摘のように、通産省としてはやはり独自に正確なデータを出すべきである、そういう考え方も持っております。
  224. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは重大な発言だと思うのですよ。皆さんが主観的に、これは中立の機関であるとか、中立的であると思うなんということで済まされる問題じゃないんじゃないですか。いま役所、特に通産省は業者と癒着し過ぎるというようなことに一般が疑惑を持っているのです。それをあなたが公式の席上で、これは中立の機関だなんて言うなら、一体何が片寄っている機関なんです。電力の問題で、電力会社、そしてそれを使う大手、電力料金にしたって、大口は安い。それは安いのには変電所をよけい通らないという問題もあります。   〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕 そういう問題もあるけれども国民の電灯料金は高い、しかし、大口はめちゃくちゃに安い。ぼくも電気会社で少し飯を食ったことがあるので、その辺のあれは多少は知っておりますけれども、そういうことに対する国民の不満がある。  そういうときに、電力会社と製鉄会社等の大口消費者が集まってやって、大衆の負担によって生産コストを下げて利益を上げておるなんということからいくなら、そういう人たちが中立的な立場になるなんということ自体、私はうなずける話じゃないと思う。そういうものをこの正式なところのデータにしていく。われわれに参考資料を出せと言えばそんなのを出してくるということが、一体、常識的に考えられるのですか。それならば、これはこういう機関の出したものでございます、そしてこういうふうにわれわれは使っておるのですという説明があるならまだ別だ。まさに通産省と財界との癒着だと言って間違いがないと私は思う。そこへまた、のこのこと通産省の役人が出ていって会議に参加する。石油危機における石油連盟と通産省の癒着と何にも変わりがないじゃないですか。そういうことを平気で反省なしにやっておられるところに、私はこのデータを信用するわけにいかない。原単位かける何とかというこの算式はわかるのですよ。それはわかるから、それによる各資料、大口の業種別の数値を出してくれ、こう要求しておったわけです。  私は皆さんが幾らそう言おうと、この電力調査委員会なんというものを公的機関と認めるわけにいかぬ。おそらく委員皆さん全部がそうだろうと思うのです。これを公的機関だなんというふうに認める人は一人もいないと思う。皆さんも公的機関とは言っていないけれども資料は公的機関と同じように扱っておるのですね。そのこと自体たいへん重大な問題だと思うのですが、どうです。
  225. 岸田文武

    岸田政府委員 電力の需要想定は、いわばこれからの見通しについていかに公平で客観的なデータを集めるかということにかかっておるように思うわけでございます。先ほどのお話の中で、算定基準の内容も引用されたわけでございますが、需要数・原単位法、いわば算式自体は統一的なルールとしましても、そこに数字を当てはめる実績の数値は電力会社から提供を受けることはやむを得ないのではないかと思います。しかし、これを将来に引き延ばすときの見方、考え方という点につきましては、やはり役所は役所なりに別途の立場から検討をし、それを作業の過程に反映させるようにいたす努力はしておるところでございます。特に物資別の問題につきましては、生産量の見通し等につきまして原局の意見などを十分徴して、これに反映させておるところでございます。決してこの作業自体がいいかげんなものであるというふうに御理解をいただかないように、お願いをいたしたいと思います。
  226. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうしてそんなことを言うのですか。  何か政務次官手をあげておられたから……。
  227. 森下元晴

    ○森下政府委員 日本電力調査委員会資料は、これを最終的な判断の材料にはいたしませんし、やはり最後は通産省独自のそういういろいろな資料を参考にいたしまして決定をいたす、こういうことでございまして、これがすべてでないということを申し上げたいと思います。
  228. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これまた重大なんです。これが最終的な通産省の政策立案の基礎ではないんだと。そうすると、われわれに出したこれは、いいかげんなものを出したということなんですか。
  229. 森下元晴

    ○森下政府委員 私の発言で少し不十分だった点がございますので、釈明したいと思います。  先生にお出しした資料は、もちろん通産省からお出し申し上げた資料でございまして、電力調査委員会にはいろいろ業界の代表もおられるわけでございます。最後には通産省意見その他中間的な考え方の、いわゆる消費者の意見等も含めまして、最終的な結論というものは権威あるものとして資料として提出しておる、こういうことを申し上げたいと思いまして、少し私の考え方、またことばで言い足りなかった点をつけ加えたいと思います。
  230. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ですから、私の言いたいのは、通産省と業界とがあまりにも癒着し過ぎておるんじゃないか。だから、業界の出した数字で電力が足らないなんて言ってみたって、業界は自分の利益をたてまえにしてものを言うんですよ。それで皆さんは、この委員会にはいろんな人が入っておるとおっしゃるけれども、それは名簿を出していただきますからはっきりしますけれども、私は大体見当はついているのです。九電力や十五の大口消費者、こういう人たちが大体中心なんですよ。そうすれば、その人たちに都合のいいような形で問題が論議されることはあたりまえのことなんです。  そこで、政府はそういうことも勘案するでしょうけれども通産省独自の資料を出すくらいのことは、私は当然過ぎるほど当然だと思う。それをぬけぬけと、国会に通産省資料として持ってくる、名前も入れたものを持ってくるなんというのは、私はちょっと解せないんだ。これではいかに通産省と財界がべったりひっついて国民を搾取しておるかということが、ありありと見え過ぎるじゃないですか。やるにしても、その辺もう少しじょうずにやったらどうなんですか。あまりにぬけぬけと、国会をばかにした資料の出し方だと私は思う。私、そういう点で、資料を出してもらってからこの問題をもう少し詰めてみたいと思うのであります。  次へ進めば、今後の経済成長は安定成長に切りかえようということが、幾たびか今国会で答弁されておりますね。ところが、この伸び率を見ますと非常に高い。これは一体どういうことなんです。成長率をうんと高く見れば、電力はすぐに不足になっちゃうのです。成長率がこれから安定成長にゆっくり進むとすれば、電力の需給見通しはずっと先にいってから不足になってくるのです。成長率を高く見積もれば、すぐ来年でも電力不足になってくる、こういうことになるわけです。この成長率は、皆さん政府の方針を踏まえて想定したのですか。
  231. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは、別途用意されております算定方式に従って各需要部門ごとの需要想定をし、それを積み上げて電力需要を計算するわけでございます。前提となります国民総生産なりあるいは鉱工業生産につきましては、先ほど鉱工業生産七・五%ということを前提としている旨報告いたしましたが、ちなみに昨年二月決定の経済社会基本計画では、ほぼ同じ期間につきまして一〇%の鉱工業生産を見込んでおりまして、一〇%と七・五%ということで、従来の鉱工業生産の伸びは今後鈍化するであろうという前提に立っておるわけでございます。   〔森(美)委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕
  232. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ところが、皆さん電力供給能力と需要とが逆転するというのであれば、需要の予測は経済政策に基づいて厳密に計算される、それはいまおっしゃったですね。そのデータはいただきますけれども電力の見通しを通産省に求めても、電力の半分を消費する大口は、化学工場が大体一二・七%ぐらい、鉄鋼が二七・七、それと電気機械製造の大手のところで一三・七%、こういう形で、この大口の三つぐらいで大体五〇%、半分ぐらい消費する。その電力消費計算は全く白紙なのか。あるいは三十年代、四十年代前半の高度成長を基準にした傾向値でこれは試算をしておるでしょう、そうでしょう。
  233. 岸田文武

    岸田政府委員 従来の傾向値を修正しておるところでございます。
  234. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それがわからないんだな。電力を大口に消費する鉄鋼、石油化学等の生産計画と電力消費見通し、これはぜひとも出していただきます。ほんとうはこれを示さないのは、さきにあげた経済成長の見通しから考えて、省資源型産業への移行とか安定成長とかいっているが、電力事情を過大に操作して、高度成長の再現をはかろう、そのために既成事実を先行さしておるのではないのか、私はこういう疑問を持たざるを得ないのです。それはどうなんです。
  235. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど来の御説明の中に引用しました幾つかの数字、たとえば、従来の鉱工業生産指数の動きと私どもが今回採用しました動きと比べますと、今回の見通しのほうが下がっておるという例、あるいは鉄鋼の電力需要の伸びについて引用いたしました例、これらを見ましても、私どもは決して将来の需要を過大に見込むというような考え方でないことは、御理解いただけると思います。具体的な数字等について、別途資料を提出さしていただきます。  ただ、私ども申し上げたいのは、発電所建設は火力発電所でございますと三年、原子力発電所でございますとやはり五年ぐらいかかります。したがいまして、三年後の需給の状況というのは、いまからでもある程度推定がつくわけでございます。すでに今後三年たった後の電力需給は、建設中の発電所が順調に建設されたとしても、予備力がぎりぎりになってしまう。それ以降の事態は非常に心配だということは、先ほどの需要想定がある程度振幅を持ったといたしましても、おそらくは避けがたい状況でございまして、この際、電源地帯整備等を中心とする発電所建設、確保ということが大きな課題になってきたという経緯でございます。
  236. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はあなたがおっしゃるその需給関係をまだ信用するわけにいかぬのでありますけれども、この電力の需給見通し、これは基本的な経済政策を確立して、それに基づいて生産計画、こういう需要見通しを立てる、積み上げ方式をするのは当然だと思うのであります。そして、もし電力供給がタイトになったとしても、経済政策の上からあまり過熱になったらいかぬ、高度成長をやったらいかぬというときには、これはそれなりに産業政策を押える。この前、石油危機などを皆さんがおっしゃったときにも、この電力の消費規制をやっておるでしょう。ただ伸びたからといって、それに合わせなければいかぬということは何もない。その計画は大臣がこれをやる権限を持っておるでしょう。通産大臣がその権限を持っておる。そうすれば、まずこれからの長期経済政策というものが立てられない先にこんな法案を出してくるということ自体が、私は納得がいかないのです。その計画をまず私は出してもらいたい。それは皆さんのところで出るわけはない。政府が出さなければいかぬ。それは政府はどうなんです。
  237. 岸田文武

    岸田政府委員 政府として電源の長期見通しのよりどころといたしておりますのは、電源開発の長期計画であろうかと思います。これは先ほど申しましたように、毎年取りまとめを行ない発表しておるところでございまして、従来の発表されました計画については、資料としてお届けをいたします。
  238. 阿部助哉

    阿部(助)委員 なぜそういうのを、いまごろになってお届けしますなんと言うんです。こういう法案審議してもらおうとすれば、むしろ国会で民主的に国民のために——私、何もあなたをいじめようと思って質問しておるのじゃないのです。国民のためになれかしと思って質問しておる。皆さんも、これは国民の将来のためだと思ってやっておるに違いない。そういう立場に立つならば、資料を一々要求されなくとも、自分たちが算定した方式、その資料ぐらいまず委員に配って、そうして民主的によりよい方向を見つけ出そうということで国会論議をするのがたてまえなんでしょう。そのたてまえをなぜあなたたちはサボっておるのです。怠慢じゃないですか。それとも故意に、これは出したくないということでやっておるのですか、どっちなんです。
  239. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも今後の需要想定について参考となる資料がございましたら、極力整理をいたしまして、御参考に供したいと考えております。
  240. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういう資料がないと、いま電力料金を値上げしようとしておる、そういう料金値上げの問題の論議ができないのですよ。一ぺんその資料をもらってからやりたいのですが、いかがですか。
  241. 松本十郎

    ○松本(十)委員長代理 阿部君に申し上げますが、それはそれとして、まだたくさんあるようですから、ほかのことを続行してください。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  242. 松本十郎

    ○松本(十)委員長代理 速記を起こして。  次回は、来たる十七日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十分散会