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1974-04-26 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十六日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 松本 十郎君    理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君    理事 山本 幸雄君 理事 阿部 助哉君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    奥田 敬和君       金子 一平君    鴨田 宗一君       三枝 三郎君    坊  秀男君       村岡 兼造君    山下 元利君       山中 吾郎君    小林 政子君       広沢 直樹君    内海  清君       竹本 孫一君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         大蔵政務次官  柳田桃太郎君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主税局長 高木 文雄君  委員外出席者         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     杉山 和男君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   米原  昶君     荒木  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号)      ————◇—————
  2. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 これより会議を開きます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題といたします。  両案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。伊藤宗一郎君。
  3. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 きょうからいよいよ電源開発促進の二法案につきまして大蔵委員会審議が始まるわけでございますけれども、まず私は、この法案提出をされた背景といいますか、そういうようなことにつきまして当局の答弁をお願い申し上げたいと思います。  多少繰り返しになりますけれども、昨年秋の石油危機を契機といたしまして、従来の輸入石油エネルギー供給の大宗をゆだねてきた路線というものが大きくゆさぶられることになったことは、各委員御高承のとおりでございます。その後、政府外交努力中東戦争休戦というような国際情勢変化などによりまして、石油の量的な確保につきましてはまあまあめどはついたわけでございますけれども原油価格の大幅な上昇ということのために、国内の物価体系へのはね返りはもちろん、さらに今後は国際収支の悪化というような問題も出てくるわけでございまして、まことにわれわれとしては憂慮すべき事態に立ち至っているものと思うわけでございます。  さらに、このエネルギー供給の重要な、わが国においてはほとんど最重要な一環をなしております電力につきましても、最近の電源立地難のため、このままではこれはいずれ、正確にお答えをいただきたいと思いますけれども、三、四年で供給予備率マイナスになる、したがって家庭の停電などということも予想されるというのですけれども、この供給予備率のことも、この際、資源エネルギー庁からでも、大体どの時点に供給予備率マイナスになるのか、そういう点を明らかにしていただきたいと思いますけれども、そういうことで、たいへんなエネルギー問題の危機が到来をしようとしております。そこで、原子力発電推進というものが、いまやわれわれの緊急の課題となっているものと私は信じております。  そういうことで、先般原子力委員に任命をされました稲葉秀三委員が、原子力発電見直しということで新しい提言を、原子力委員会といいますか、科学技術庁の中でやっているように聞き、その中間報告をわれわれは受けたことがございますけれども原子力委員会としてこの稲葉私案をまとめて、原子力発電の新しい改定案をまとめるということを聞いておりますが、その検討の方向なり、また改定案を取りまとめる時期などについてどの程度固まっておるか、これは科学技術庁のほうからお答えいただきたいと思います。  一点は、まず資源エネルギー庁のほうから、電力供給予備率マイナスに転ずる時期の正確な御報告、第二点は、原子力委員会でいま稲葉私案をもとにまとめております原子力発電見直しの時期、あるいはその改定案の取りまとめの時期などもお願いをしたいと思います。
  4. 井上力

    井上説明員 ただいまお尋ねの今後の電力需給バランス見通しの問題でございますが、ただいま先生指摘の、今回の石油危機によりまして電力需要もかなりダウンをしておるわけでございますけれども、新しい見通しによりましても、さらにかなりの電力需要の増加が見込まれております。石油危機に際しまして、新たに見直しをいたしました低い電力需要の伸びの想定に基づきましても、現在までに着工いたしております発電所によります電力供給だけでは、昭和五十二年度におきましては供給予備率が〇・七%、それから昭和五十三年度におきましてはマイナス二・八%というふうに予測されております。また、地域によりましては、昭和五十一年度におきましてほとんど予備力がなくなるとというような状況でございます。
  5. 生田豊朗

    生田政府委員 先先御指摘稲葉私案でございますけれども、先般森山原子力委員長からの御要請がございまして、稲葉先生私案という形で第一次案をおつくりになったわけでございます。これは先生承知の点でございますけれども原子力委員会といたしましては、昭和四十七年に原子力開発利用長期計画というのをつくっておりまして、それが現在までの開発目標に使われていたわけでございますが、最近の経済情勢変化によりましてその見直しの必要が出てまいったわけでございますが、総合的かつ最終的な見直しを行ないますためには、経済審議会長期経済計画見直しでございますとか、あるいは総合エネルギー調査会エネルギー長期需給見通しでございますとか、その辺が固まりまして、それらとの関連において決定されなければならないわけでございますので、とりあえず私案という形でおつくりをいただいたわけでございます。  それで、この私案につきましては、先生承知のように、三つケースが考えられておりまして、現状のまま推移したらどうなるか、それから非常に楽観的に考えたらどうなるか、それからその中間的な段階といたしまして、相当努力を積み重ねればどの程度までいくかという三つケースが考えられているわけでございますので、これをさらに詰める必要があるのは御指摘のとおりでございます。  それで、現在この第一次私案に続きます第二次私案を一応五月一ぱくらいのめどでつくるということで、稲葉先生中心にしまして作業を開始している段階でございます。それで、この第二次私案作成段階あるいは過程におきましては、通産省総合エネルギー調査会原子力部会がございまして、その原子力部会にも稲葉先生委員として参加しておられますので、その原子力部会での目標設定作業とにらみ合わせまして、それとの関連で第二次私案をつくってまいるということになります。一応五月末を目標にしておりますので、六月早々にはまた御報告申し上げることができるというように考えております。
  6. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 この法案提案理由につきましては、先般大臣から拝承いたしましたけれども、実務を担当しておる主計局なり主税局のほうで、もしこの際、この法案提出考え方など明らかにしたほうがいいということであるならば、どちらからでもひとつこの法案提出考え方についてお答えをいただきたいと思います。
  7. 高木文雄

    高木(文)政府委員 電源開発緊急性がますます増しております反面におきまして、周辺地域の整備問題と関連して、新しい原子力、火力、水力の設置がなかなかむずかしいという情勢が深まってまいりましたところから、通産省なり科学技術庁なりから、かねがね何らかの対策を講ずるべきではないかという御提案があったわけでございまして、前国会以来、周辺地域の整備に関する法律について国会でも御審議を願っておるところでございますが、その審議あるいは論議の過程を通じましても、何らかの意味において周辺地域対策をより強化する必要があるという認識がありましたところへ、先般来の石油問題ということになってまいりましたところから、さらにこれを強化する趣旨で、ここにお示しいたしましたような形で、一種の目的税的な新税を創設し、それを新たに設けますところの特別会計に受け入れまして、その特別会計で、周辺地域対策資金的措置を進めていこうという趣旨でございます。  大筋は大臣が申し上げましたことに尽きておると思いますので、特にいまそれ以上補足して申し上げることはないかと思います。
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 いまもお答えがありましたように、電力供給予備率マイナスになる時期などの見通しからも、原子力発電を早急に推進していかなければならぬということは、大多数の国民からも理解を得ているわけでございまして、特に昨年の暮れに総理府が行なった世論調査によりましても、原子力利用については多少の反対はあっても行なうべきだということに対しての答えが、全くそう思う、ある程度そう思うというようなパーセンテージをまとめますと、約五〇%の方がそういう意見を持っておるということが明らかになっております。  そういうように国民の大多数の方々の御了承を得ているわけでございますけれども、ただ原子力発電所のいろいろのトラブルなどが新聞で、私から言わせていただきますと、多少大げさに報道されておる傾向があり、私たち自身もそうでございますけれども原子力というものについての正確な知識を持たない国民の一部には、原子力はまだまだ危険ではないかというような、ばく然としたイメージがあることも実際でございます。  そこで、そういうようなことでは、今後原子力発電推進する場合に非常なネックになるわけでございますから、原子力発電必要性、さらにその安全性について、国民各界各層に正確な認識を持ってもらうように、官民あげて努力をしていかなければならないと思いますが、この原子力発電安全性なり必要性についての、特に安全性についての政府説明が、歯切れがあまりよくありません。またしろうとわかりのしにくい面もあったので、今後そういう方面についての広報活動を思い切ってやっていかなければならないと思います。  また、この原子力発電の実際の事業者、主として九電力でございますけれども、こういう事業者広報についても、その努力がきわめて不十分でもあり、その姿勢が受け身でもあり消極的でもございますので、効果をあげていないように思います。今後、原子力発電推進必要性、さらにその安全性について全力をあげて広報活動をやるべきだと思いますけれども、こういうことについての科学技術庁なり資源エネルギー庁考え方をひとつ聞きたいと思います。
  9. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生指摘の点は非常に重要な点でございまして、従来この原子力発電あるいは原子力利用全般につきましての安全性につきまして、PRと申しますか、国民全般にその安全性の御認識を深めていただくような努力がかなり不足していたということはそのとおりでございまして、たいへん遺憾なことだと考えております。ただ、先ほどの御質問にもございましたように、最近のエネルギー問題を考えますと、原子力利用、特に原子力発電推進が非常に重要なことでございますので、私どもといたしましても、特に安全性につきましてのPRに重点を入れてまいりたいというふうに考えております。  それで、ただいま御指摘のありました、従来歯切れが悪かったという点でございますが、これもまさにおっしゃるとおりでございまして、私どもも深く反省しております。特に最近は、森山長官から非常に強い御指示もございますし、あるいは田中総理森山長官国会での御答弁をお聞きいただきましても、非常にはっきり安全であると断定するというようになっておりますので、その線に沿いまして、私どもも極力努力してまいりたいというように考えております。  従来はとかく学問的な研究と政策的な判断とが混同されるきらいがございまして、学問的な研究であるいは絶対ということはいえないということが、常識的あるいは政策的な判断の上でもはっきり断定できないというような、その辺の混同があったように考えられますので、今後は、その学問研究と政策的な判断あるいは常識的な判断、その辺のけじめをつけてまいりたいというように考えております。  それで、PRについての具体的な方法でございますけれども、四十九年度の予算におきまして原子力関係PR予算もかなり増額されたことでもございますので、いろいろな方法を使いましてそのPRにつとめてまいりたいと思っております。方法といたしましては、全国的なテレビ、新聞、ラジオ、そういうマスコミの機関を使いました方法、それから各立地のサイトに参りまして講演会あるいは討論会あるいは相談会といったようなものをやってまいりまして、その他組み合わせまして総合的に進めてまいりたい、かように考えております。
  10. 井上力

    井上説明員 ただいま科学技術庁のほうから原子力発電所広報対策について御説明がありましたわけでございますが、われわれのほうといたしましても、全く同感でございまして、先生指摘のように、従来、原子力発電所広報、特に安全性広報につきましては不十分であったというように反省をしている次第でございます。  当然のことながら、PRの前提といたしましては、安全性確保及び環境保全に万全の対策を期するということがまず第一でございますが、さらに、地元住民はもとより、広く国民一般理解を深めるということが必要であるということは、しみじみ感じている次第でございます。このため、われわれのほうといたしましても、地方公共団体あるいは科学技術庁等と連絡をとりまして、講演会とかあるいは講習会映画会等を通じまして、原子力発電所安全性環境保全等について積極的に広報活動を行なっておりまして、今後とも継続的に正しい知識の普及をはかっていくというふうに考えております。  さらに、御指摘電気事業者においてもまだ非常に受け身であり、かつ消極的であって不十分ではないか、こういうことでございますが、この点につきましても、われわれのほうといたしましては電力会社を強力に指導いたしまして、地域住民との接触をさらに深めるように、あるいはPR館設置とか、講演会講習会開催等を通じまして、原子力発電所安全性等PRを十二分に行なうようにさせていきたい。  さらに、電力会社一社ベースのみならず全社を糾合いたしまして、全国ベースで強力な安全を中心といたしました広報活動を行なうというようなことを電気事業者のほうでも進めておりまして、われわれのほうでも、こういった線に沿いまして、さらに強力な指導を行なっていきたい、かように考えております。
  11. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 その原子力発電安全性ということでございますけれども原子力発電安全性ということについて、一体、科学技術庁なり通産省資源エネルギー庁はどういう確とした考え方を持っているのか、この際しっかりと明らかにしていただきたいと思います。これが一番のポイントでございます。  また第二点は、一部の学者なり論者には、原子力発電はまだ安全性が十分でないから、それが固まるまで開発を差し控えていくべきだという意見もございますけれども、そういう議論に対してどうこたえ、どう対処していくのか、このことについても第二点として明らかにしていただきたいと思います。  また、その安全性をさらに高めていくための研究をどういうスピードで推進していくのか、この三点について、この際明らかにしていただきたいと思います。
  12. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力安全性につきましての見解と申しますか考え方でございますが、原子力委員会といたしましての公式な見解といたしましては、従来とも原子炉安全審査を行ないまして、その設置許可につきましての答申総理大臣に行ないます際の報告書あるいは答申内容におきまして、安全性につきまして十分説明してあるわけでございますが、何と申しましても非常に専門的な分野でございますので、一般国民の方にはどうもおわかりにくいという点があったことは反省しておる次第でございまして、近々原子力委員会といたしまして、一般の方にもわかりやすいような内容で、原子力発電安全性につきましての公式かつ一般的な見解を明らかにいたしたいと考えておりまして、ただいま準備を進めている段階でございます。  若干その安全性につきまして御説明させていただきますと、この原子力発電と申しますかあるいは原子力発電所につきましては、ほかの一般装置工業と違いまして、非常に技術的に安全性が十分確保されている仕組みになっておりまして、ただいまも申し上げましたように、原子炉設置許可の申請がございますと、まず安全審査をいたしまして、あらゆる条件を考えました上で安全であるということを専門的に確認いたしました上で、さらにその他の条件もあわせ検討いたしまして、設置許可をするということになっております。  それから、特にこの原子力発電所安全性の問題につきましては、発電所から外に出ます放射能の問題が問題になるかと思いますので、この放射能につきましては、原子炉等規制法におきまして基準を定めまして、排出口、これは煙突とかあるいは排水口でございますが、そこで放射能の量を厳重に規制するという二段がまえによりまして安全確保を十分にはかっているわけでございますが、さらにその発電所外側放射能につきましても、いわゆる環境放射能と言っておりますが、モニタリングと申しましてその環境放射能を常時測定するような設備を設けまして、そこで環境放射能の測定を行なうということで、他の一般の産業あるいは他の一般設備に比べまして、非常に念を入れた安全対策を施しているわけでございます。  そういうわけでございまして、原子力発電所安全性につきましては、私ども十分に安全であるという確信を持っているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、その学問的な問題と常識的な問題とがとかく混同されるという点がございますので、特にその点にも留意いたしまして、今後PRを進めてまいりたいというように考えております。
  13. 井上力

    井上説明員 原子力発電開発歴史と申しますものは、安全性確保のための歴史でございまして、第二次大戦が終わりましたあと原子力発電技術開発というものは、もっぱらどうやって安全を確保するかということに集中されておったといっても過言ではないと考えております。その結果、過去におきまして世界的には相当数原子力発電所運転しておりますが、いずれも安全性上公衆に対し問題を起こしたことはないという実績を持っておりまして、われわれとしては、技術的にはすでに確立された技術であると考えております。  ただ、具体的に原子力発電所設置する際には、国としては安全性確保のための審査、監督を十分しなくてはいかぬ、こういうことでございまして、ただいま科学技術庁のほうから御説明がありましたように、原子力委員会原子炉安全専門審査会におきまして、広く安全性に関する徹底的な審査が行なわれておるわけでございますが、われわれのほうといたしましても、さらにこまかい設計についてのチェック、あるいは全建設期間を通じまして工事工程ごとに厳重な検査をする。さらに、運転開始後におきましては、定期的に定期検査を行なっておるということで、安全性確保にさらに万全を期していきたいと考えております。
  14. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 原子力発電推進していくために、いまもお話しのとおり歴史もあり、その間いろいろのこともありましたけれども、最近、原子力発電所燃料棒が曲がっておったという問題について、参議院でも取り上げられました。また、発電所定期検査で、たまたま二時間ぐらい発電所管理区域で働いておった下請会社従業員放射線皮膚炎を起こしたということで、最近民事訴訟を起こしたとも聞いておりますけれども、この二つのことについて関係官庁ではどういう措置を講じておりますか。
  15. 井上力

    井上説明員 お尋ね燃料棒の曲がりの問題につきましてお答え申し上げます。  昭和四十八年の九月からことしの二月にかけまして、関西電力美浜発電所第二号機の定期検査が行なわれたわけでございますが、この間におきまして、燃料集合体の一部に燃料棒の曲がりが発見されたわけでございます。燃料棒の曲がりの問題は、現象といたしましてはきわめて徐々に起こりまして、しかも局部的に起こるという問題でございます。いろいろ解析の結果、これによりまして直ちに炉心全体の溶融等の大きな事故につながるという性格のものではないということでございまして、アメリカにおきましても、同じような曲がった燃料棒原子炉に装荷したまま運転を継続しておるという例も聞いております。  しかしながら、原子力発電所安全性確保重要性にかんがみまして、この美浜二号機におきましては曲がりを生じました燃料棒を全部取りかえまして、また新しい燃料につきましては、曲がりがほとんど発生しないような構造に改めまして、さらに万全を期するため、そのあと監視を強める。放射能がちょっとでも漏れたら直ちに発見できるという監視装置を装置いたしまして、安全な運転を行なうように措置した次第でございます。
  16. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生から御指摘いただきました敦賀の発電所におきます被爆事故でございますが、昭和四十六年の五月に、大阪の岩佐さんという方が日本原子力発電の敦賀発電所に、下請会社従業員としまして一日そこで作業されたわけでございますが、その結果、放射線皮膚炎を起こされたという大阪大学の診断を受けたということで問題が始まったわけでございます。これにつきましては、すでに国会でも数回御質疑があったわけでございますので、その経過等につきましては御承知と思いますので、詳しくは御説明申し上げませんが、科学技術庁といたしましても詳細に調査いたしました結果、作業いたしました場所原子炉の中ではございませんで、原子炉外側でございます。原子炉はいわゆる格納容器と申しておりますコンクリートの入れものの中に入っておりますが、原子炉格納容器との間の場所でございます。いわゆる汚染区域でない場所でございます。  それから、作業いたしましたその作業の種類につきましても、パイプの穴あけの作業をしたわけでございますが、特にそこに大きな放射線があったということは考えられない。考えられないだけではございませんで、調査の結果におきましても、なかったということが確認されております。記録によりますと、そのときその方が浴びました放射線の量は一ミリレムということになっております。  一ミリレムというのはおわかりにくいかと存じますが、自然には自然放射能というのがございまして、空気の中の宇宙線でございますとかあるいは土とか岩とか、それから水、すべての中に太古の昔から自然放射能というものがあるわけでございまして、人類の文明とは関係なしに自然放射能人類は浴びているわけでございますが、それが平均いたしまして大体百ミリレムございます。しかも、その自然放射能と申しますものは地域的な差がございまして、日本におきましては、大体東のほうが低く、西のほうが高いということでございまして、たとえば東京と大阪、神戸とを比べますと、大阪、神戸のほうが数十ミリレム高いわけでございます。したがいまして、かりに東京から大阪、神戸に引っ越しをいたしますと、その住む場所が変わっただけで数十ミリレムの被曝量がふえるということでございますし、たとえばほかに医療用の被曝というものがございますが、毎年レントゲン検査を受けます場合、これは胸のレントゲンあるいは胃のレントゲンということで、いわゆる健康診断を受けますと、年間一レム、つまり千ミリレムぐらいの放射能を浴びることも間々あるわけでございます。  そういうことでございまして、一ミリレムという数字は非常に小さいわけでございます。つまり自然放射能の百分の一、それから医療用の放射能の数百分の一に相当するということでございまして、普通放射線の皮膚炎を起こします場合に、その被曝いたします放射線の量は四百レムあるいはそれ以上ということになっておりますので、四百レムと申しますと四十万ミリレムでございますので、数十万倍の被曝量がございませんと、普通皮膚炎は起こさないというのが医学上の常識だそうでございます。  そういうことでございまして、私ども作業場におきます放射線の被曝によるものではないと確信しておりますが、これだけ大きな問題になりましたことでもございますので、政府といたしましても、この問題をさらに徹底的に調査するという体制でございまして、先般調査委員会を設けまして、医学の専門家、それから原子炉の専門家、放射線の専門家、この医学の専門家も皮膚科の専門家、放射線医学の専門家、そういう専門の学者にお願いいたしまして、その実態の調査を続けるということにしております。  それから訴訟でございますが、これは岩佐さん御本人が日本原子力発電株式会社を相手にいたしまして、約四千万円の損害賠償の訴訟を起こしております。これは日本原子力発電株式会社といたしましても、敦賀発電所におきます作業の結果起きたものでは絶対ないという確信を持っておりますので、もちろんこの訴訟を受けて立ちまして、法廷において黒白が明らかにされることを望んでおりますので、私どもも、法廷におきましてもこの結果が明らかにされまして、国民の皆さまの疑惑を解くことができるように期待している次第でございます。
  17. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 話は先に入りますけれども、外務省が派遣された資源エネルギー問題調査団、向坂正男先生が団長で行かれて、帰国報告新聞に出ておりましたけれども、産油国がことしの秋にはまた原油を再値上げするというような報告が出ておったのを新聞で見ましたけれども、このことについて政府は、資源エネルギー庁でしょうか、この向坂団長の帰国報告を正式に受けたのでしょうか。また受けておるとすれば、こういう産油国の再値上げの問題をどう受け取っておるかお聞きしたい。
  18. 井上力

    井上説明員 私どももまだ正式に報告を受けておりません。
  19. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 いずれ報告があろうと思いますけれども、そういうことで、ことしの秋にはまた再値上げというようなことが具体的に起こるようでございます。また、先ほどの供給予備率マイナスになる時期は意外に早いということ等々、原子力発電を早急に推進しなければならない事態にわが国は追い込まれているものと思います。ただ、これは原子力発電は認可になってから稼働するまでどんなに早く見積もっても五年間はかかるということですから、一日もゆるがせにすることはできないわけです。今回のこの二法案国会で成立を見るならば原子力発電は大幅に推進をするものと期待し、またその方向になることを望んでおりますけれども、いまのこの原子力発電立地難はいろいろ原因があると思いますが、この法案はそういうことを一つ一つ克服していく一つの柱になるわけですけれども、そのほかでこれらの難点はどういうことがあるのか、またそういう立地難をどうやって克服していくのか、これは通産省でも科学技術庁でもよろしいですが、お答えいただきたいと思います。
  20. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力発電所立地問題につきましては、先生承知のように、いろいろ問題が発生しているわけでございますが、いろいろの要素がからみ合いまして、その立地上の問題あるいは紛争が起こっておりますので、これこれの要素によって問題がすべて起きてくる、あるいはこれだけで全部解決できるというように一がいに申し上げることはかなりむずかしいと思います。地域によってもかなり差があるわけでございます。  ただ、概括的に申し上げまして、一つの問題は、先ほど来御質問いただいております安全性につきまして、まだ国民全般、さらには地元の住民の方に必ずしも十分な御理解をいただいていないという点があろうかと思います。この点は先ほど来申し上げましたように、今後とも十分努力してまいりたいというように考えております。  それからもう一つは、この原子力発電所と申しますものは典型的な装置産業の一つでございますので、たとえば雇用吸収力でございますとか、あるいは関連いたします事業が地元に発展するとか、そういう形での開発利益の地元への還元と申しますか、そういう経済的なメリットがほかの産業に比べまして必ずしも大きくないという点が、やはり地元の御協力をいただきます上におきまして、あまり魅力がないという難点であろうかと思います。したがいまして、今般御審議いただいておりますこの法案が成立いたしまして、この交付金が地元に支出されるということになってまいりますと、これは非常に大きなメリットでございまして、その経済的な面におきます地元の不満は相当程度これによって解消されるというように考えておりますので、非常に大きな効果があるというように考えております。  したがいまして、今回の法案が成立いたしました暁におきましては、先ほど来申し上げております安全性につきましての政府といたしましての努力を重ねるということと両々相まちまして、原子力発電所立地難の問題は、大幅に改善されるというように考えております。
  21. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 そういうことで大いに進めてもらいたいと思いますけれども、それと関連して大事なことは、再処理の問題、また放射性物質の廃棄物の処分問題等、まだまだ早急に解決を急がなければならない問題がたくさん残っていると思います。こういうことについて、政府はどういう取り組み方をしておるのか。またその場合、この特別会計から、いまお話しのような各種の安全対策についても財政措置を講ずることができるようにしたほうがいいのだと思いますけれども、そのことについての大蔵省なり各省の見解をお聞きしたいと思います。
  22. 生田豊朗

    生田政府委員 まず再処理でございますけれども、使用済み核燃料の再処理は、原子力発電所にとりましてぜひとも必要なことでございます。なるべく国内でやったほうがよろしいということでございまして、現在動燃事業団が茨城県の東海村に再処理工場を建設中でございまして、本年中に試運転、それから明年中には本格運転に入れるものと期待しております。  ただ、それだけでは不十分でございますので、いわゆる第二再処理工場の建設ということを計画する必要がございます。これは昭和四十七年につくられました原子力委員会の長期計画におきまして、第二再処理工場は民間がつくるという方針を一応きめておりますので、ただいま電力業界が中心になりまして、この第二再処理工場の建設の準備を進めているわけでございます。  それで、動燃事業団がいま建設しておりますいわば第二再処理工場でございますが、それとただいま計画中の第二再処理工場ができます間、多少のギャップが出ることがあろうかと考えておりますが、それにつきましては、海外の再処理工場に委託するということで十分やっていけるというように考えております。  海外の再処理の能力につきましては、先般原子力産業会議調査団が参りまして、欧米各国の再処理工場の状況、今後の増設計画等を詳細に調査してまいったわけでございますが、十分余裕能力があるということでございますので、そのつなぎの部分は海外への依存で十分やっていけるというように考えておりますので、今後とも再処理につきましては問題ないというように考えております。  それから、放射性廃棄物の処理、処分でございますが、現在は発電所の構内に保存するという形で安全に十分注意をいたしましてやっているわけでございますが、今後発電所の数もふえることでもございますし、その処理、処分につきましてさらに検討を進め、しかるべき施設をつくる必要もあろうということでございまして、四十九年度予算調査費もついておりますので、今後それを具体化する方向で検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  23. 辻敬一

    ○辻政府委員 原子力発電に関します安全対策につきましては、先ほどから御指摘いただいておりますように、きわめて重要な問題でございますので、私どもといたしましても従来から努力してまいったところでございます。四十九年度予算におきましてもいろいろな施策を講じておりますが、特に原子力発電所の安全研究につきましては、四十八年度予算が約五十一億円でございますけれども、これを百億円以上にふやしておりまして、倍額程度に増額をいたしているわけでございます。その中で先ほど御指摘の放射性廃棄物の処理、処分に関する研究費も織り込んでいるわけでございます。  また、本特別会計におきましても、原子力発電安全対策等交付金といたしまして八億八千五百万円を計上いたしているわけでございます。これによりまして環境放射線の監視施設の整備でございますとか、あるいは温排水の影響調査でございますとか、あるいはまた広報活動でございますとか、そういうことを進めてまいるつもりでございます。  いずれにいたしましても、この問題の重要性にかんがみまして、一般会計、特別会計を通じまして、安全対策の充実についてさらに努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  24. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 電調審決定の開発目標とそれの実施された面での表はわれわれいただいておりますけれども、この三、四年の開発目標がありながらそれが実施できなかったパーセンテージを、ひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  25. 井上力

    井上説明員 お尋ね目標に対する達成率の点でございますが、昭和四十六年度は、目標が千九百六十六万キロございましたものに対しまして達成率が八七%でございます。昭和四十七年度は、目標千百九十三万キロに対しまして達成率は三二%でございます。昨年、昭和四十八年度は、目標千六百十万キロに対しまして実績は七百十二万キロでございまして、四四%にすぎない、こういうことでございます。
  26. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 その中で、原子力発電所のことだけを取り上げて、ひとつ数字で示してください。
  27. 井上力

    井上説明員 原子力発電所につきましては、昭和四十六年度は実績五百二十三万キロ、昭和四十七年度は三百九十万キロ、昭和四十八年度はございません。
  28. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 いま各電力会社で計画しておったり、また申請しておる状況なども、この際数字で示してください。
  29. 井上力

    井上説明員 申請中は一基だけでございます。
  30. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 もう終わりますけれども、そういうことで、いままでの状況ではたいへんなおくれ方でございまして、この法案の成立によって大いに伸びることを期待しておりますが、そういうことについての感触、あるいはまた、この法案に対する地元あるいは市町村見当での促進の陳情なども関係各省庁では受けていると思いますけれども、そういう状況について、この際ひとつ御報告いただきたいと思います。
  31. 生田豊朗

    生田政府委員 現在の状況につきましては、先ほど通産省から御説明したとおりでございますが、ただいま申請中、審査中のものは一基と申し上げましたのは、四十七年度に申請があったのが一基でございまして、四十八年度は一基も申請がないという状況でございます。現在建設中のものが完成いたしますと、大体千六百万キロワット程度の原子力発電所昭和五十二年ごろまでにできるわけでございますが、先ほど先生から御指摘のございました稲葉私案、第一次私案におきまして、一番現実性が高いと稲葉先生がその中で言っておられますケース皿におきましても、昭和五十五年度には二千八百万キロワットの原子力発電所が必要だという御指摘でございます。したがいまして、早急に、その二千八百万キロワットと現在建設中あるいは稼働中の千六百万キロワットとの差、つまり千二百万キロワット程度の着工を急がなければ、一番初めに先生の御指摘もございました停電の問題が現実に発生してくるということであろうかと思いますので、私ども非常にあせっているわけでございますが、先ほども指摘がございましたようなことで、その立地問題を中心にしまして電力会社の計画がなかなかはかどらない、したがいまして、申請も出てこないということでございます。  ただ、今般の御審議いただいておりますこの法案が公にされましてから、原子力発電所に予定されておりますサイトの付近の住民の方と申しますか、その代表としまして市町村長あるいは市町村会議員の方、かなり大ぜいの方とお会いいたしましたけれども、非常に大きな期待を持っておられます。これが実現されますと、先ほども申し上げましたように、その地元の考え方がかなり大きく変わる、非常に積極的になってくるというように思われますので、ただいま申し上げましたような今後大幅な着工が必要だという必要性相当大きく充足されてくる、かように考えております。
  32. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 以上で終わります。
  33. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 村岡兼造君。
  34. 村岡兼造

    ○村岡委員 電源開発促進税法案電源開発促進対策特別会計法案について質問いたします。ただいま先輩の伊藤議員が質問されましたので、重複を避けながら質問をいたしたいと思います。  この法案は、発電用施設周辺地域整備法案関連して出てきたわけでございますが、このような目的税がほかにあるのか、また目的税は財政の硬直化を招くので創設は好ましくないと思うけれども、また従来の政府の主張に反しているのではないか、この点をお伺いしたいと思います。
  35. 高木文雄

    高木(文)政府委員 村岡委員指摘のように、目的税という制度は特定の歳出目的について財源を確保するというメリットはございますけれども、いわばひもつきになるということでございますので、税としてやや硬直化するという難点があるわけでございます。国の歳出は、本来、もろもろの財政需要を全般的なまた統一的な見地から見まして優先度を判断して、適正効率的に資源配分をするということが望ましいわけでございます。その趣旨からいたしますと、目的税のように、そもそもその税収について自動的に特定の歳出だけに振り向けるということになりますものは、財政全体の総合性という点からいいまして必ずしも望ましくないということが、一般論としてはいえるわけでございます。したがいまして、従来から財政当局の立場といたしましては、目的税を創設してはどうかという御提案があります機会に、いずれかといいますと、慎重な態度で臨んでおるわけでございます。  しかしながら、従来も必ずしも全く目的税という制度がないわけではないのでございまして、例といたしましては、航空機燃料税あるいは原重油関税というような制度がございます。それからよく一般に引き合いに出されますのは、揮発油税、あるいは石油ガス税、それからそれに関連いたします地方道路税でございますが、この揮発油税につきましては目的税の代表のようにいわれておりますが、沿革的に税自体としてはこれは普通税でございます。ただ、いまから二十年近く前に道路整備緊急措置法の第三条の規定によりまして、道路整備計画を実施している期間中だけは、揮発油税は収入の全額、石油ガス税は収入の二分の一に相当する金額を国が支弁する道路整備費の財源に充てなければならないということが規定されておりまして、臨時的に目的税的性格を持っておるものでございます。現在の時点では目的税として機能しておるという法律的な組み立てになっております。  そこで、この最も典型的な例としていわれております揮発油税について考えてみますと、いろいろその創設の当時から論議はあったわけでございますが、今日までの道路整備の進捗状況などを見ましても、道路財源を燃料税という形を通じまして、道路を利用される自動車の使用者に求めるという税のあり方は非常にわかりやすい、受益者負担的な感じからいいまして理解しやすい。理解しやすいということは、ある意味からいうと、比較的に負担感が少なくて済むというようなメリットがあるわけでございまして、十数年にわたります経験からいいまして、私どもも、目的税は目的税としてのまた、先ほど申しました難点と反対にメリットがあるということを感じておるのでございます。  そこで、今回御提案申し上げております電源開発促進税というものはいかなる性格のものか、いかなる目的のものかということをいろいろ検討いたしましたが、これはかなり明確に使用目的とそれから負担との関係が密接につながっておるものでございますので、冒頭に申し上げました一般論からだけで、目的税をつくることはあまり好ましくないという立場に立たなくてもよろしいのではないか。税負担と受益が、ある意味から申しますと、ガソリン税の場合よりもさらにもっと明確になっているではないかという見地から、この際、目的税として構成してはどうかということで御提案申し上げている次第でございます。
  36. 村岡兼造

    ○村岡委員 国民生活の向上に不可欠である電力の安定供給というような措置でこの税ができたと思いますが、これに一般財源を用いたらよいのではないか、目的税を創設した根拠というのは何であるか。  また、電気税収入というのがありますが、この一部を国で吸い上げたり、電源開発地域の整備費に充当することとしてはどうか、この二点をお伺いいたしたいと思います。
  37. 高木文雄

    高木(文)政府委員 先ほど伊藤委員お尋ねに対しまして担当の各省からお答え申し上げましたように、電源開発地域の住民の福祉を考慮しながら電源立地を進めていかなければ、何ともこれ以上新しい電源開発地点を見出すことがむずかしいという現状にございます。そこで、そのために、特別会計を通じまして周辺地域に所要の資金を供給をするということのために特別会計をつくるわけでございますが、さて、特別会計の財源を一般財源に求めてはどうかというのは、私どももそういう考えを持たないわけではなかったわけでございます。一つの案としては考えられるということであったわけでございます。  しかしながら、よく考えてみますと、発電所設置されます地域の方々からいたしますと、先ほども関係各省から御説明申しましたとおり、せっかく発電所を置きましても、周辺地域にはあまりこれといったメリットもない。たとえば、発電所ができましても、その地元においていろいろの新しい雇用が起こるというようなこともそれほど大きくない。そして非常に安全なものであるということでございますけれども、温水の処理の問題とかいろいろ若干のデメリットも全くないわけではないということから、所在地域及び周辺地域においては、その地域の福祉の向上ということを強く求める要請が出てまいりますことは、事の自然であろうかと思うのでございます。そう考えますと、そのためにお金が必要であるということであるならば、その必要なお金というものは、ある意味から申しますと、まさに発電のためのコストの一部と考えるべきものではないか。発電のためのコストの一部であるというふうに考えるならば、一般財源をもって周辺対策を行なうというよりは、むしろその負担を発電事業者に求めることによって、その経費とコストの結びつきを明確にするほうがよりよろしいのではないかというふうに、だんだん私ども考えるようになってまいったわけでございます。  今度の税は、一般電気事業者を納税者といたしまして、一般電気事業者に負担を求めるわけでございますが、その負担は結果といたしましては、やはり何らかの形を通じまして電気料金の一部を構成することになるわけでございます。したがって、ある意味では、第一次的には電力会社と申しますか、電力供給者に負担を求めることになりますが、結果的には、やはり何らかの形を通じて電力利用者、受益者に負担を求めるという結果になるという形になっております。このことは、周辺地域の整備ということが発電所設置のために必須のことであるならば、むしろ発電所の建設費自体と全く同様に一種のコストと考えるべきものでございましょうから、そのような関係をむしろ明確にしたほうがよろしいという判断に立つわけでございまして、その意味で、御指摘のように、一般財源として考えるのではなくて、あらためて目的税を創設するということに踏み切ったわけでございます。  それから第二に、現在、電気の受益者と申しますか電気の利用者は、何らかの形で電気ガス税を——今度は改正になりまして電気税ということになりましたが、地方税としての電気税を納めておられるわけでございますが、その納められた電気税の一部を地方税から国税として吸い上げて充当してはどうかというただいまの御指摘でございますが、もし電気税のままの形で受益者から納税をしていただいて、特別徴収義務者である電気事業者がその一部を国に納めるという形をとる場合を考えてみますと、これはいままでにない形式のものになります。そういう複雑な仕組みをとりませんでも、結局、今回の税のような形をとりまして、料金の一部を構成する形式を通じて、結果的には消費者に負担を求めるという形をとりましても、経済的には同じ意味を持つことになると思います。経済的には同じ意味を持つことになりますが、今回のものは、電気税のように市町村の一般財源ではないわけでございまして、先ほどから申しておりますような、電源開発をいたしますための必須のコストにつながるものであるというふうに考えますならば、御指摘のような案も考えられますけれども、それよりもこのような形のほうがよろしいのではないかというふうに考えたわけでございます。  なお、現在、電気税は、一部の産業用電気については非課税になっておりますけれども、先ほど来申しましたような意味で、コストとしての性格が強いという点を考えますならば、非課税というようなものがいろいろあるということは必ずしも好ましくないというふうに考えられるわけでありまして、従来から電気税の非課税対象となっておりますところの電気をたくさん使います産業にも負担をしていただくということが、より望ましいのじゃないかというふうに考えましたことも、電気税の振りかえ形式あるいは一部吸い上げ形式ということをとりませんで、新しく税を設けることにしたという一つの大きな理由でございます。
  38. 村岡兼造

    ○村岡委員 この法案が成立しますと、地元のメリットがないというのが大幅に改善されるということになるわけですが、現在、電力会社から電力料金の値上げが申請されておりますけれども、その審査の状況はどうか。  また、この電源開発促進税は、今回の電力料金の改定にはどのように処理されているのか。この点と、もう一つ、この電源開発促進税は、転嫁されて、結局は消費者の負担になると考えられるわけであります。それが物価や家計に及ぼす影響はどうか。この点をお伺いいたしたい。
  39. 杉山和男

    ○杉山説明員 電力会社の料金申請でございますが、四月の三日に東京電力と中部電力、それから六日に北陸電力と四国電力、そのほかの五電力が八日ということで、四月上旬に全社九電力が値上げの申請を出してまいったわけでございます。その新しい申請によります値上げ幅は、電灯が総平均で三三・八六%、それから電力が八〇・五二%、合わせますと、総体として六二・八九%ということになるわけでございます。その値上がりの理由は、大体四分の三程度が原油、重油の値上がりということが原因になっておるわけでございます。  どういうような審査をしておるかと申しますと、ただいまは、その各社から提出されました申請書の内容の聴取というのを続行しておるわけでございます。それと同時に、一方では、固定資産、修繕費といったものにつきまして特別監査チームを編成いたしまして、現場でなければ知悉できないというものにつきましては、特別監査を実行いたしておるところでございます。それからさらに、来月の七日と八日でございますが、電気事業法に基づきます公聴会を各地で実施いたしたい。大体通産局の所在地でございますが、広く各層の意見をお伺いするということになっておるわけでございます。それで、それ以後、特別監査の実施結果、あるいは公聴会でいただきました各種の御意見というのを十分参考にいたしまして、審査を進めたいというふうな段取りになっておるわけでございます。  一方におきまして、各社の値上げの要望というのが非常に強いわけでございますが、他方、物価抑制という非常に大きな政策課題もございますので、私どもといたしましては、厳正かつ慎重に審査を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、第二の御質問でございますが、各社それぞれ電源税をことしの総括原価の中に、公租公課の中に繰り入れて申請しております。これに対しましては、ややまちまちな面がございますので、私どもは査定にあたりまして統一方針をとりまして、必要な経費ということで盛り込んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。もちろん、法案をただいま御審議願っておるわけでございますが、先ほど来お話のございましたような電源開発必要性から申しまして、私どもといたしましては、ぜひとも御審議の上、成立をさしていただくことを希望いたしまして、必要経費として見てまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 高木文雄

    高木(文)政府委員 今度の電気税を電力料金に織り込みました場合にどういう影響があるかということでございますが、これは料金全体がひどく動くわけでございますので、この部分だけを抽出して物価にどういう影響があるかということを申し上げるのは、非常に説明困難でございます。ただ、問題の大きさと申しますか、どんな影響度のものかという感じを申し上げるために、一つの数字を申し上げてみたいと思います。  現在、各家庭が使っておられます電灯の電力量は、平均的な家庭の場合には、月当たり百四十キロワットアワーでございますが、百四十キロワットアワーで大体幾らぐらいになるか。これは地域によって電力料金が違いますから、多少差はございますが、大体キロワットアワー当たり十二円前後でございます。そういたしますと、一般家庭の、平均家庭の電力料金負担は、現在月に千六百八十円ぐらいになるわけでございます。これに対しまして今回の電源開発促進税、キロワットアワー当たり八銭五厘ということで計算をいたしますと、百四十キロワットアワーで十一円九十銭ということになります。税でございますから、また物価の問題でございますから、小さいからいいじゃないかというわけではございませんが、料金全体が千六百八十円に対して、十二円でございます。現在の電気税が六%でございますので、千六百八十円の六%でございますと、地方税でございます電気税のほうは百円八十銭になります。この月当たり千六百八十円、十二円、百円というような数字を見ていただきますと、各御家庭に及ぼします影響というものは、どういう形でこれが電力料金に織り込まれることになりましても、さほど大きなものではないということはいえると思われます。  なお、お尋ねは物価への影響ということでございますが、電力料金が上がりますれば、もろもろの物価に影響することは間違いないわけでございますけれども、これはまだ電力料金全体がどういうふうにきめられるかは明確でございませんし、しかも、電力料金の値上げの大きな理由は原油の値上がりに伴うものであるというただいまの通産省の御説明でもおわかりいただけるかと思います。また、原油の値上がり額の絶対額と今回の電源開発促進税の絶対額を比較していただきますならば、この税が直接物価に大きく影響するということにはならないということで、御理解いただけるかと思います。
  41. 村岡兼造

    ○村岡委員 この法案は、国民経済の発展と国民生活の向上ということで法律をつくろう、これは地域のあれとかなんとかで認めるにいたしましても、この説明の中に、毎年電力需要というものは一〇%程度以上伸びがある。四十年からの販売電力量を見ましても、四十七年度で約倍になっておる。また、四十八年から五十二年までを見ましても、毎年一〇%平均伸びておる。同時にまた、従来は産業用が非常に多かったのですが、今後は民生用がどんどん伸びてきて、それが著しい。一方また、火力の場合、原油を使わなければいけないというような資源の節約という面も出てきたわけでございますが、立地難ということは別にいたしまして、国民生活の向上、経済の発展、いわば普通の一般の民家と申しますかから、どんどんどんどん電力を使う要求が出ておる。しかし、これに対してどこまでも電力をふやしていくのか。いま四十九年、もう数年すると、また現在の倍ぐらい電力というものはやらなければいけない。この点に関する考え方はどうか。  もう一点、またそれをどんどん伸ばしていってこれでよいのかどうか。ある程度そういうものは抑制する考え方はないのかどうか。各国に比べまして、日本の一般家庭の電気というものは相当使われている。今後も冷暖房、そういうようなものに使われていく。いわば電源開発促進税を設けて、水力にしろ火力にしろ地熱にしろ原子力にしろどんどんやっていくわけでございますけれども、要求があれば今後電力というものはどこまでも伸ばしていくのか。この点の考え方はどうであるのか、ひとつお伺いをいたします。
  42. 杉山和男

    ○杉山説明員 御指摘のどこまで一体電力供給していくのかという点でございますが、従来、電気事業法におきましては、電力業界というものは供給義務があるというふうな考え方がございまして、需要に合わせまして供給を果たさなければならないというふうに考えてきたわけでございます。しかし、現段階におきましては、御承知のように、昨年の石油危機というものに直面いたしまして、さしあたり油がないということで電力の使用制限というものを法律でやらざるを得なかったわけでございまして、ただいまもそれを続行しているわけでございます。  今後、一体、従来のように需要の伸びに応じまして供給責任ということですべての電力をまかない得るかどうかという点につきましては、実はその考え方をどうしたらいいのかという点につきまして、ただいま電気事業審議会に需給部会というものを設けまして、そこで検討を重ねているわけでございます。一方におきまして、できるだけ供給責任を果たすという問題と、それから産業構造、国民生活の面におきましても、結局輸入依存度の高い原料に現在はたよっておる現状でございますので、一方におきましてエネルギーをできるだけ大事に使うという方向を日本のあり方としては求めざるを得ないのではないかということで、その具体的方法についていろいろ御議論をしていただいておるところでございます。
  43. 村岡兼造

    ○村岡委員 いまの説明ではちょっとわかりにくいわけですが、供給の義務があるということなんですが、いま現在のものは足りないにしても、ほんとうに電力というものは需要が毎年増しておる。これに対して、いま現在の時点としてはこういうものは必要だけれども、それが五年も十年もたってしまったらまた倍になる、こういう問題を考えて、いま御説明がありましたけれども、しっかりしたどこか審議会でございますか、資源エネルギー庁でございますかでこういうものをやらないと、一方では、もう東京でもどこでも、電気はどんどんよこせ、電源開発のほうは知らぬ、そして地元のほうはメリットがない——いまのこの電源開発の促進税によって、地元のほうは今度はいいんでしょうが、使うほうは文句だけ言っておる。こういう問題に対して、いままであまり、ただ事業法だか何だかに盛られている供給しなければならぬということだけをたてにとってそれだけで押しているということは、どうもおかしいのじゃないか。非常に資源のむだ使いと申しますか、そして一方では、何でもかんでも高くなった、こういうようなことを言っておる。これについて、いまエネルギー庁の計画課長さんは答弁できないにいたしましても、こういう問題点をやっていかないと、せっかくこういう——私はこの法律はたいへん地元に対していいと思いますが、またこれを機会にそういう問題を検討していかないと、たいへんなことになるのじゃないか、こう思っております。  以上の点を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  44. 柳田桃太郎

    ○柳田政府委員 エネルギー並びにわが国の産業、経済全般に関係する大きな問題でございますので、政府考え方見通しを申し上げまして御答弁といたしたいと思います。  やはり今後の日本の経済を進めていきます場合に、日本の経済の成長度がどうあるべきか、それに対してはエネルギーの供給源はどうあるべきか、これに対して物価はどうあり、あるいは賃金はどうあるべきかという一つのガイドラインを設けて、やはり大きく経済を見通して、国民にも御協力をしていただくところは協力していただく。政府供給義務のあるものは供給義務を果たしていくというようにしなければならないということを痛感いたしておりまして、そういうような調査なりあるいは計画なりを進めていくときが来ておるということを政府も痛感をいたしております。それぞれの調査機関、審議機関にも諮問をしたり、また政府におきましてもそういうような作業をそれぞれ進めておりますので、いま御質問のあったような趣旨に向かって、今後進められると思います。
  45. 村岡兼造

    ○村岡委員 終わります。      ————◇—————
  46. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  金融に関する件、すなわち、最近の金融情勢について参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 安倍晋太郎

    ○安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会