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1974-03-28 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 松本 十郎君    理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君    理事 山本 幸雄君 理事 阿部 助哉君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    宇野 宗佑君       大石 千八君    奥田 敬和君       金子 一平君    鴨田 宗一君       栗原 祐幸君   小宮山重四郎君       三枝 三郎君    塩崎  潤君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       楢橋  進君    野田  毅君       萩原 幸雄君    毛利 松平君       山下 元利君    佐藤 観樹君       塚田 庄平君    松浦 利尚君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    荒木  宏君       小林 政子君    田中 昭二君       広沢 直樹君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君  委員外出席者         議     員 堀  昌雄君         議     員 村山 達雄君         議     員 増本 一彦君         議     員 広沢 直樹君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   大西 正男君     地崎宇三郎君   小泉純一郎君     楢橋  進君   坊  秀男君     大石 千八君   村岡 兼造君     塩崎  潤君   正木 良明君     田中 昭二君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     坊  秀男君   塩崎  潤君     村岡 兼造君   地崎宇三郎君     大西 正男君   楢橋  進君     小泉純一郎君   田中 昭二君     正木 良明君     ————————————— 三月二十二日  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第二六号) 同月二十七日  会社臨時特別税法案堀昌雄君外二十二名提  出、衆法第九号)  会社臨時特別税法案村山達雄君外一名提出、  衆法第一〇号)  臨時超過利得税法案村上弘君外三名提出、衆  法第一一号)  臨時超過利得税法案伏木和雄君外二名提出、  衆法第一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  会社臨時特別税法案堀昌雄君外二十二名提  出、衆法第九号)  会社臨時特別税法案村山達雄君外一名提出、  衆法第一〇号)  臨時超過利得税法案村上弘君外三名提出、衆  法第一一号)  臨時超過利得税法案伏木和雄君外二名提出、  衆法第一二号)      ————◇—————
  2. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより会議を開きます。  堀昌雄君外二十二名提出会社臨時特別税法案村山達雄君外一名提出会社臨時特別税法案村上弘君外三名提出臨時超過利得税法案及び伏木和雄君外二名提出臨時超過利得税法案の各案を一括して議題といたします。
  3. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより各案について提出者より提案理由説明を求めます。堀昌雄君。
  4. 堀昌雄

    堀議員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま提案されております会社臨時特別税法案について、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  異常な物価高騰のもとで、いわゆる石油ショック物不足に便乗して巨額利益をあげた企業に対し、そのインフレ利得を吸収し、国民福祉に還元するとともに、総需要抑制の効果をも果たさせるべきであるという要求は、強い国民世論であり、社会的公正と不平等是正観点からもその実効ある対処が緊急に求められているところであります。  しかし、これまで論議を呼んでいた、いわゆる超過利得税あるいは臨時利得税構想は、多くの基本的な難点があり、その実施が困難であるばかりか、かえって税の公正な負担を阻害する危険があることから、社会党は、緊急かつ確実に、公平な負担を求められる課税方法として、法人臨時付加税案を提示し、それ以外に緊急対策として合理的なやり方は考えられないことを指摘してきたのであります。  これに対し、自民党は、財界や産業界要求におもねり、当初の超過利得税構想から次々と後退し、ついには、三月決算からの臨時利得課税はおろか、法制定すら危ぶまれるようになり、かえって、その責任野党に転嫁しようと画策するにさえ至ったのであります。  以上のような状況を背景として、野党四党は、三月十九日、四党政審会長政策委員長会談を開き、一、国民の強い要望にこたえて、自由民主党は、今三月期決算に間に合うよう、すみやかに当該法案国会提出することを求める、二、各党は、大蔵委員会における審議の過程を通じて意見を述べ、実効のあがるよう修正を求める努力を払うこととし、この際、すみやかな成立を期するものであるという対処策を決定し、自由民主党にすみやかな法案提出要求したのであります。  しかしながら、年度末を旬日に控え、なお自由民主党は言を左右にして法制定への熱意を示さず、法案提出すら見送りの姿勢に終始したのであります。  このようにして、いたずらに時間を空費し、逡巡を重ねるならば、ついには時間切れとなり、今三月期決算適用できる法成立は不可能になるという状況となり、事態は切迫してきたのであります。  そこで社会党は、国民の強い要求にこたえるため、社会党付加税法案方向に沿って、事態を早急に解決させるよう自由民主党及び野党各党にも働きかけたのであります。その結果、自由民主党より社会党案の線に沿って会社臨時特別税による年度内成立への方向での対処案が回答されてきたのであります。この案は、累進税率構造でなく、均一税率であることなど、なお不十分な点も多いのでありますが、大筋において社会党提案に大きく歩み寄よったものであり、この際、これが実現しなければ巨額企業利得が吸収できなくなることを考慮し、同案の早期実現を期することによって、国民要求にこたえるため、あえて共同提案に踏み切り、その実現を確保することを決意したのであります。  しかるに、その後、自社両党共同提案の手続がとられようとているやさき、急遽、自由民主党から、公党間の約束に反し、すでに合意に達していた同法案を大きく骨抜きにする一方的な修正の申し入れが行なわれるに至ったことは、きわめて遺憾であります。このような自由民主党行為は、今日までの経緯に対する重大な背信行為であり、公党あり方としてきびしく批判されなければならないと存ずるものであります。  このような事態を前にして、社会党は、自由民主党提出の同名の法案は、すでに合意に達していた案に比べて、大企業に対する課税を完全に骨抜きにするものであり、重大な改悪をあえてしていることを重視し、ここにすでに合意を見ていた会社臨時特別税法案を、単独で提案するに至ったものであります。  以下、会社臨時特別税法案概要について御説明申し上げます。  第一に、納税義務者は、この特別税創設趣旨から、これを株式会社その他の会社及び相互会社に限ることとし、臨時措置として会社利益の一部について課税することにしております。  第二に、課税標準は、法人の各事業年度所得に対する算出法人税額のうち、所得年五億円をこえる部分に対応する金額によることとし、これに一〇%の税率を乗じて税額を算出することといたしております。  なお、法人税基本税率引き上げが、本年五月一日以降に終了する事業年度から適用になることを勘案し、本年四月三十日以前に終了する事業年度につきましては、その税率について所要調整を行なうこととしております。  第三に、この特別税は、通常法人税と同様に事業年度終了後二カ月以内に申告し、納付することといたしておりますが、その性格上、法人税と異なり、この特別税については延納を認めないこととしております。  第四に、この法律昭和四十九年三月末に施行されることを予定しつつ、施行日以後二年以内に終了する各事業年度について、限時的にこの特別税適用することといたしております。なお、経済の異常な事態が解消したときは、一年以内に終了する各事業年度に限り適用することとし、その際は別途所要措置を講じてこの法律を廃止することといたしております。  以上、会社臨時特別税法案提案理由及びその概要につきまして御説明いたしました。  なお、本法案施行に伴って、ほぼ二千億円の税収が見込まれております。この予定される税収を、インフレ弱者救済社会保障関係費の増大などの方向で、勤労国民に還元することなどを今後さらに積極的に推進していく必要があると考えております。  何とぞ、御審議の土、御賛成賜わりますようお願いを申し上げます。(拍手
  5. 安倍晋太郎

  6. 村山達雄

    村山(達)議員 会社臨時特別税法案につきまして、提案者を代表して、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  わが国経済は、一昨年秋以降における国際的要因等に基づく根強い物価上昇基調に加え、昨年十一月に表面化いたしました国際石油問題の影響も受けて、石油製品をはじめ原材料から最終消費財に至るまで数多くの物資が異常な値上がりを示しました。この中には、原材料等供給不足や先行きの値上がりを見越した、いわゆる先取り値上げ便乗値上げともいうべき事態も見受けられたのであります。このような情勢のもとにおきまして、企業便乗値上げを行なっても決して得をすることがないように、かりに異常な利益をあげたとしてもこれを税金の形で吸収するため、税制上何らかの措置を講ずべきではないかという世論が盛り上がってまいったのであります。また、このような税制上の措置によって便乗値上げ等をあらかじめ抑制するよう警告する必要も唱えられてまいりました。  このような考え方のもとに、与野党ともそれぞれの立場から構想をまとめ、これを試案として提示されました。各党構想のうちには、異常な利得を吸収するために、何らかの方式によっていわば正常と認められる基準所得を算定し、この基準所得を上回る超過利得に対して新税を課税すべきであるという考え方があり、熱心な検討が加えられました。  しかし、企業利益のうちどの部分がいわば正常利益であり、どの部分超過利得であるかを正確に算定することはきわめて困難であり、しいてそのような基準を設ければ、それは恣意的なものとなって、かえって新しい社会的不公平を招くおそれさえもあることが憂えられたのであります。  一方、正常利益超過利得との区別をやめて、広く企業利益全体に対して超過累進税率により課税し、巨額利得に対してはもうけを少なくすることとしてはどうか、こういう考え方も見られたのであります。  このように、各党考え方にはかなり基本的な相違がありました。しかし、本件が現在のようにいわば経済非常事態対処して、臨時緊急措置を早急に講ずるというきわめて重要かつ異例の問題であることから、その基本線についての各党間の協議が不可欠であるとの判断に立って、積極的な意見調整が進められてきたことは御承知のとおりでありますが、時間的制約もあって、残念ながら各党共同提案についての成案を得るには至らなかったのであります。  しかしながら、この種の特別税を是非とも本三月期から適用すべしとする社会一般の要請にこたえるためには、どうしても、各党考え方に共通する部分を探りながら早期法案提出し、その成立を期さなければなりません。そのような見地から、あえてここに会社臨時特別税法案を緊急に提出することといたした次第であります。  この会社臨時特別税は、以上申し述べたとおり、各党構想に盛られた基本的な考え方を参照しつつ、いわばその共通する部分を集約して制度化することにつとめた結果のものであります。つまり、この特別税は、企業正常利益超過利得との区別という議論をこの際避けて、最近における異常な経済状態によりもたらされた企業利得の一部を吸収すると同時に、現に行なわれております総需要抑制政策を補完するという観点から、大企業利得の一部に対して特別の追加負担臨時に求める形のものとしているのであります。  以下、会社臨時特別税概要について御説明申し上げます。  第一に、納税義務者は、この特別税創設趣旨から、これを株式会社その他の会社及び相互会社に限ることとし、臨時措置として会社利益の一部について課税することとしております。  第二に、課税標準は、法人の各事業年度所得に対する算出法人税額のうち、所得年五億円または払い込み資本金の年二〇%に相当する金額のいずれか高い金額を超える部分に対応する金額によることとし、これに一〇%の税率を乗じて税額を算出することといたしております。  なお、法人税基本税率引き上げが、本年五月一日以降に終了する事業年度から適用になることを勘案し、本年四月三十日以前に終了する事業年度につきましては、その税率について所要調整を行なうこととしております。  第三に、この特別税は、通常法人税と同様に事業年度終了後二カ月以内に申告し、納付することといたしておりますが、その性格上、法人税と異なり、との特別税については延納を認めないこととしております。  第四に、この法律昭和四十九年三月末日に施行されることを予定しつつ、施行日以後二年以内に終了する各事業年度について、限時的にこの特別税適用することとしております。なお、経済の異常な事態が解消したときは、一年以内に終了する各事業年度に限り適用することとし、その際は別途所要措置を講じてこの法律を廃止することといたしております。  以上、会社臨時特別税法案提案理由及びその概要について御説明いたしました。  この特別税は、その提案趣旨からいたしまして、本年三月末に終了する事業年度から適用が開始されることがぜひとも必要であると考えられます。何とぞ、すみやかに御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手
  7. 安倍晋太郎

  8. 増本一彦

    増本議員 私は、日本共産党革新共同を代表いたしまして、臨時超過利得税法案提案理由説明いたします。  本法律案は、最近における未曽有物価高騰、その他わが国経済の異常な事態対処し、臨時措置として大企業超過利得に対し臨時超過利得税課税することにより、インフレ抑制物価安定に資し、あわせて国民生活の安定と社会的公正をはかるべきであるという強い国民要求実現する目的をもって提案したものであります。  本案のほか当委員会に、自民党案社会党案公明党案が同時に付託されておりますが、自民党案社会党案日本共産党革新共同提案本案とは、法案性格においても、その内容においても、根本的に異なるものであります。  すなわち、それら二案は、大企業石油危機に便乗して、価格つり上げ悪徳商法で大もうけした超過利得の吸収を目的とするものではなく、法人に対して一律に若干の税率を付加しようとするものであります。これでは、前期比所得が減少した会社にも、また増加した会社に対しても、無差別に課税されるのであります。これに対し本案は、合理的な一定基準を超過した所得にだけ累進税率課税しようとするものであります。すなわち、前に申し述べた国民要求実現する唯一のものであり、自民党案社会党案とは本質的に異なるものであります。  以下、本案特徴について順次説明いたします。  第一は、この税の課税対象を大企業超過利得としていることであります。いま国民がこぞって要求しているのは、大企業石油危機に便乗して価格をつり上げ、悪徳商法または物資買い占め売り惜しみなどによって大もうけした超過利得に対して、課税を強化して、不当利得をはき出させることであり、それが全く正しい要求であることは、本院における予算委員会等審議で明らかにされているのであります。  第二は、超過所得に対する課税累進税率によって行なおうとしていることであります。超過利得税課税することによって、インフレ抑制物価安定に役立たせるためには、過剰資金を完全に吸収することが必要であります。また、このような荒かせぎによる所得には担税力が十分にあるのであり、累進税率での課税がきわめて適切な方法であるからであります。  第三は、租税回避行為を禁止する措置をとっていることであります。大企業が膨大な利益を隠す手段として諸引き当て金や諸準備金を恣意的に運用していることは、すでに多くの国民、識者からも指摘されているところであります。政府みずからも、超過利得税のような課税をすると必ず租税回避行為が行なわれるということを認めておるところであり、本法律を真に実効あるものとするためには、この規定がなければならないのであります。  次に、本法案概要について説明いたします。  第一に、納税義務者資本金十億円以上であるもの、または本法施行後に終了する事業年度年所得が五億円以上の法人としております。  第二に、課税標準昭和四十六年、四十七年の平均年所得基準とし、本法施行後に到来する事業年度所得基準所得を三割以上上回るその超過分であります。  第三に、税率は一〇%から三〇%までの超過累進税率とし、各事業年度超過所得につき二億五千万円以下の金額百分の十、二億五千万円をこえ五億円以下の金額百分の十五、五億円をこえ十五億円以下の金額百分の二十、十五億円をこえ五十億円以下の金額百分の二十五、五十億円をこえる金額百分の三十の税率適用することとしております。  第四に、租税回避行為の防止として、本法課税対象及び課税所得の確定にあたっては、新たな特別償却損金算入の中止及び引き当て金準備金過大計上抑制並びに減価償却方法等の規制を行なうこととしております。  第五に、本税は通常法人税と同様に事業年度終了後二カ月以内に申告し納付することとしておりますが、その性格法人税と異なり延納を認めず、なお、本法施行適用期間経過した後にあらためてその延長について検討することとしております。  以上、簡単に臨時超過利得税内容についてその特徴概要を申し上げて、提案理由説明を終わります。  御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手
  9. 安倍晋太郎

  10. 広沢直樹

    広沢議員 臨時超過利得税法案につきまして、提案者を代表して、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  わが国経済は、政府自民党の長期にわたる高度経済成長の中で、インフレが高進し、さらに田中内閣の総需要拡大政策と金融・為替政策の失敗によって、インフレは一そう加速するに至ったのであります。その中でだぶついた手元資金を持つ大企業投機活動をほしいままにし、あるいは物価値上げをはかり、利得拡大化に奔走してきたのであります。  そのため、所得格差はますます拡大し、社会的、経済的に弱い立場にある中小企業の経営や、一般国民生活はますます苦しくなってきたのであります。したがって、わが党は他の野党各党とともに、所得再配分をはかり社会的不公正を是正するため、インフレ物価高騰に伴う大企業過大利益に対する臨時利得税創設政府要求してきたのであります。  そのような状態の中で石油危機に直面し、消費者心理を巧みにあやつった企業は、生産調整流通操作便乗値上げ等を行ない、物価を狂騰させて正当な利益の上に過大な利得を上のせしたのであります。この間の反社会的な企業活動の実態は、衆参両院予算委員会等で明らかにされてきたところであります。  いかに自由経済とはいえ、反社会的な利得行為によって得た過大利益に対しては、社会的公正を確保し社会とともにあるべき企業倫理要求する立場からも、その過大な利益社会に還元する方途を求め、これを法制化することはきわめて至当な要求であります。  かくして、石油危機物価狂乱国民生活深刻化という経過の中でおさめた過大利得に特別の税を課す、いわゆる超過利得税創設は、国民的合意となって、一日も早い成立要求されているのであります。これに対し、与野党それぞれの法案要綱国民の前に明らかにしてきました。  わが党といたしましては、この際、いわゆる企業規模による優位性の中で収得した過大利益課税対象とすることが、さきに述べましたインフレの波に乗った利益に対する臨時利得税創設の発想からも共通する部分があると考え、一方、法人税における応能負担の原理を導入する累進課税方式という抜本的な法人税制の改正は、別途に考慮することとしたのであります。したがって、臨時超過利得に対して課税する臨時超過利得税創設を提唱してきたわけであります。  しかしながら、超過利得を設定することについては、自由経済の中における企業あり方から、何を超過利得とするかは、議論の分かれるところであり、一方、付加税とする場合には、石油危機及びインフレに乗じた反社会的な企業活動による過大な利益追求抑制することができず、異常な経済状態の中で国民生活の安定をはかることは困難となるのであります。  したがって、わが党としては、可及的に超過利得を峻別し、合理的に公平を期する努力を尽くし、国民世論にこたえて超過利得税方式をとることにいたしたわけであります。  本日、臨時超過利得税法案提案するに至った経過につきましては、各党の提示した法案要綱の段階でおのおの異なった内容を持つことから、わが党としては、この種法案特殊性にかんがみ、与野党合意により、合理的に超過利得を峻別するための方途を見出し、かつ、国民的合意により適切にこたえ得る成案を得ることが、国会として、国民に対する責任であるとの見地から、ひたすら努力をいたしたものであります。  しかるに、与野党協議により提出される予定であった自民党社会党共同提案が、提案寸前において、自民党の一方的な意思において不可能になり、この種法案特殊性にかんがみ、与野党が尽くした努力が崩壊したことは、まことに遺憾であります。  以上、臨時超過利得税法案提出理由を申し上げ、以下、臨時超過利得税概要について御説明申し上げます。  第一に、納税義務者は、資本金一億円以上の大法人または年所得が五億円以上の大規模法人所得に限定いたしております。  第二に、課税標準は、各事業年度臨時超過利得金額とし、この金額は、六カ月決算所得金額等が、基準所得金額をこえる場合のその超過額といたしております。この場合の所得金額については、租税特別措置法特例等は認めないという所要調整を加えることとし、また基準所得は、昭和四十六年度及び四十七年度に終了する事業年度の六カ月分の平均所得に一二〇%を乗じた金額としております。  第三に、税率は、六カ月決算等臨時超過利得が二十五億円以下である部分については二〇%、それをこえる部分については二五%の超過累進税率といたしております。  第四に、この利得税は、各事業年度終了後二カ月以内に申告し納付することとし、一年決算法人についても六カ月分を区切って申告納税することといたしております。しかしながら、納付については、この税の性格延納を認めないこととしております。  第五に、この法律案は、本年三月末決算から利得税課税することを目途に、その施行日を三月末に予定し、施行日以後二年以内に終了する各事業年度について、適用することといたしております。  以上、臨時超過利得税法案提案理由及びその概要につきまして御説明いたしました。  なお、本法案施行に伴う税収については、最近の物価高騰の影響を最も強く受ける生活保護者、老人、身障者等の生活安定対策費に充てるものとし、そのための基金を設けることを別途検討していく考えであります。  何とぞ、御審議の上、御賛成賜わりますようお願い申し上げます。(拍手
  11. 安倍晋太郎

    安倍委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  12. 安倍晋太郎

    安倍委員長 それでは速記を始めて。  これにて各案の提案理由説明は終わりました。     —————————————
  13. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより質疑に入るのでありますが、各案につきましては質疑を省略して、直ちに討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。森美秀君。
  14. 森美秀

    ○森(美)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたわが党提案会社臨時特別税法案に賛成、日本社会党提案会社臨時特別税法案並びに日本共産党革新共同及び公明党提案の各臨時超過利得税法案にいずれも反対の意向を表明するものであります。  最近の国際的なインフレ傾向や石油事情等により、わが国物価は異常な高騰を示しておりますが、その要因の中には、企業先取り値上げ便乗値上げもあることは事実であります。  わが自由民主党は、このような経済情勢にいち早く対処し、物価鎮静のために総需要抑制政策の推進につとめてまいりましたが、今回提案特別税法案は、それを補完し、大企業利得の一部を吸収することによって間接的に便乗値上げ等抑制の効果をはかろうとするものであって、まさに国民一般世論に沿うものであるといえるのであります。  すなわち、わが党が企業の正常な利益と異常な超過利得との選別の困難性に着目して、当初考えました超過利得税方式をやめ、年所得五億円超の大会社について一律に特別税課税することとしておりますことは、公平性あるいは簡明な税制という見地からまことに適切な措置というべきであります。  また、資本金の二〇%超という基準をつくっておりますことは、企業規模の格差と収益力に配意したものであり、大規模であっても資本収益率が低く、配当もできないような企業課税すると、かえって不公平を招き、企業の収益課税のたてまえから妥当ではないと判断したためであります。  さらに、この特別税を本年三月期決算から課税することとし、適用期間を二年、場合によっては一年に限定していることは、この税の即効性をねらったものであり、また、さきの簡明な税制という点と相まって、税務行政に対する配慮は十分に尽くされていると見られるのであります。  これに対して、社会党特別税法案は、年所得五億円超の大会社という基準だけをとっておりますが、これは企業収益力を無視したものであり、きめこまかく公平性を追求するという点に欠けるところがあると考えられます。  また、共産党及び公明党の超過利得税法案は、いずれも過去の一定期間の所得基準とし、それをある程度上回る部分超過利得としておりますが、この方式によりますと、その期間にたまたま経済情勢により低所得であった企業や最近収益力のついてきた企業に過大な課税をすることとなり、必ずしも便乗値上げによる異常利益の吸収にはならないのであります。また、課税標準の計算がかなりやっかいであり、その上、超過累進税率により一そう複雑になっておりますので、税務の執行上で難点が認められます。  以上申し述べました理由により、私達わが党提案特別税法案に賛成し、野党三党の各法律案に反対いたしまして、討論を終わります。(拍手
  15. 安倍晋太郎

    安倍委員長 山田耻目君。
  16. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 ただいま議題となってまいっております自民党提出会社臨時特別税法案及び日本共産党革新共同提出臨時超過利得税法案並びに公明党提出臨時超過利得税法案に反対をいたし、社会党提案会社臨時特別税法案に賛成をいたします立場から、次の諸点について討論を行ないたいと思います。  第一は、自由民主党提出会社臨時特別税法案提出に至るまでの経緯について、そして同法案の持っておる本質につきまして、究明をいたしてまいりたいと存じます。  本年当初より急速に激化したインフレ傾向は、法人企業がみずからの利益を異常に増大させるために、意図的、計画的に仕組んできたものであることは、その本質的な意図をも含めて、国民大衆はよくその実体を知り尽くしているのであります。そしてそれは、国民大衆の激しい怒りに満ちた世論を構成し、その解決策を強く政府に求めていたのであります。  一月二十三日、本院本会議におきまして、わが日本社会党は、こうした国民の期待に沿うべく、その善処方を求めて、激しく政府を追及したのであります。それを受けての田中総理の発言は、当然のこととして、インフレ利得は吸収し、国民に還元をする考え方を明らかにいたしたのであります。そして二月一日、自民党案の大綱が示されたのでありますけれども、それらは実行のための具体策に全く欠け、大企業におもねて法制定をさぼり、国民に向けては、単なるゼスチュアにとどまり、自由民主党の意思のアリバイを残す形式的なものにすぎなかったのであります。  われわれは、このような状況の中で今日まで、しばしば、国民の期待にこたえて実行性のある具体的な法案提出政府にも求めてまいりましたが、これまた言行一致せず、漫然日を過ごし、今日に立ち至ったのであります。政府及び与党であり、責任政党としての自由民主党の無責任さには、心の底からあきれ返るばかりでございます。私は、その無責任さを強く指摘をいたし、その責任を追及いたしたいと思います。  二点目は、三月二十二日、三日の両日、自由民主党は、政務調査会、税制調査会の意向として、わが党提案付加税方式に急遽賛成転換を行ない、共同提案を行なうよう求めてまいりました。わが党は、その内容において不十分さは認めるけれども、大筋としてわが党提案に歩み寄ったものとして、この際、これが実現による国民的メリットをも考えまして、早期実現を期して了解を与えたのであります。  そして、共同歩調を求めて各野党間の調整も順調に進んでおりましたやさき、突然、三月二十六日正午、自由民主党は青天のへきれきと言おうか、厚顔無恥と言おうか、すでにまとまっていた共同提案を破棄し、わが党案の内容を土台として、その上に、大企業優遇の特別配慮を加味した本委員会提出自民党案をでっち上げてしまったのであります。このやり方は許せません。政党間にある信義を全くじゅうりんした許しがたい暴挙といわざるを得ません。税制議員提出は一党だけでやるべきではないと主張し続けてきた自民党が、このような背信行為をすること自体に、責任政党としての資格がないということを強く指摘いたしたいのであります。  三点目は、上積みされたその内容についてであります。  資本金二〇%か五億円かの高いほうを控除するという自民党案は、五十億、百億、五百億、千億と、大資本、大企業になるほど大幅な税軽減を受け、きわめて有利という手直しでございます。この大企業癒着の実態は、資本金五億円以上二十五億円以下の企業には両びんたを与えております。二十五億円以上五十億円までは片びんた、百億円以上一千億円は頭をなでて抱きつくという、たいへんな癒着、全く大資本とのなれ合いの産物以外には何もないという実態でございます。  二つ目は、徴税の原理は応能の原則を貫くことでございます。この応能の原則を破壊してまでのこの癒着ぶりは、日本の政治史にぬぐい去ることのできない一大汚点を残すことになったのであります。政府もこの実態をきびしく指摘され、再提出を求められるのが至当でございます。また、提出者自民党は、すみやかに本法案の撤回を決意され、わが党案に立ち返られることを強く勧告いたすものであります。  第四点目は、他党提出法案に見られる超過利得不当利得課税する方法についてであります。この方法はきわめて重大な問題を含んでおるので、その点を明らかにして、反省を求めたいと思います。  もし不当利得超過利得ということをきめる際には、正当といえる標準を設定しなければなりません。正当な標準とは一体何なのか。自由主義経済のもとでその標準を定めるということは、製品コストについてその標準が定められなければ、正確な不当超過額の数字ははじき出されないのであります。それをやると、やがて必ずたどりつくのは、賃金、賞与にまで標準をつくらねばならなくなってくるのであります。このやり方は、法による統制という結果を引き出し、賃金生活者にとって今日忌みきらわれている所得政策にはまり込んでいくことは間違いないのでございます。この道を歩むことは許されません。強く反省を求めてやまないのでございます。  私は、以上申し述べました数点の反対理由から、日本社会党案に賛成し、この法案成立に皆さんたちの御協力を心からお願い申し上げまして、討論を終わります。(拍手
  17. 安倍晋太郎

    安倍委員長 荒木宏君。
  18. 荒木宏

    ○荒木委員 私は、日本共産党革新共同を代表いたしまして、ただいま議題となりましたわが党案をはじめ、自由民主党案、日本社会党案公明党案につき、まず自由民主党提出会社臨時特別税法案に反対の態度を表明し、あわせて日本共産党革新共同提出臨時超過利得税法案との対比においてその理由を申し述べます。  異常なインフレ物価高騰国民生活にかつてない不安と脅威を与えてきました。物価暴騰をもたらした最大の原因が石油危機に便乗した大企業の買い占め、売り惜しみ、出荷操作などによる価格のつり上げにあることは、本院予算委員会審議でも明らかにされたところであります。メジャーの在日子会社を含むアメリカと日本の大企業は、国民のこの上ない苦難をよそに、この不当な価格つり上げによってばく大な超過利得を手を入れており、社会的公正は著しくそこなわれております。この大企業超過利得への課税を強化し、不当な便乗値上げを押えるとともに、社会的公正の確保をはかることは国民の強い要望であります。  しかるに、自民党案は、第一に、この超過利得をとらえず、従前に比し法人利得がふえても減っても一律に一定の限度で若干の課税を行なおうとするものであります。これは、先ほど申し述べましたような石油危機の時期に大企業先取り値上げ便乗値上げなど、さまざまな方法で多額の超過利得をあげた事実に目をおおい、国民の要望にそむくものといわなくてはなりません。  その理由として、超過利得の識別が困難であるとか、線引きがむずかしいなど、立法技術上の問題が指摘されております。しかし、日本銀行の主要企業経営分析によりますと、昭和四十六年度から同四十七年度までの経常利益の伸び率は平均七・五%であるのに比し、昭和四十八年度は和光証券調査によれば、東証一、二部上場企業のそれは三一%というように大きく伸びております。このことから、今日、大企業超過利得の存在は明らかであります。そして、昭和四十八年度経済成長率は二一・九%でありますから、昭和四十六年、四十七年の、平均的経常利益に比しその一三〇%を上回る部分超過利得をとらえることは、きわめて適切な措置であります。このように、大企業超過利得を把握することはすでに前例もあり、しかも、この大企業超過利得こそが物価高騰インフレの原因であり、それを助長していること、また昭和四十八年の労働者の実質賃金が前年に比し四%減少していることをあわせ考えると、社会的不公正を是正するためにも、いま大企業超過利得を吸収することが急務であります。  第二に、自民党案によりますと、巨大企業や荒かせぎ大企業に対して課税する金額は、きわめて少額になります。たとえば新日本製鉄は資本金二千三百億円でありますが、自民党案によれば、昭和四十八年度下期の決算見込みを新聞報道のごとく約四百五十億円として、税額はわずかに七億四千八百万円、また三井油化は資本金百五億円で、これまた決算見込みを七十億円といたしますと、自民党案によれば税額はわずかに二億二千三百万円、また洗剤の買い占め、売り惜しみによって取りざたをされました花王石鹸は資本金二十七億円でありますが、この決算見込みを二十二億円といたしまして、税額はわずかに六千五百四十五万円であります。これでは、とうてい石油危機に便乗した荒かせぎ、また巨大企業に対して超過利得課税によって吸収、捕捉することはできないのであります。  さらに、自民党案資本金の二割を控除することとしておりますが、資本金額の大きい巨大企業ほど控除額が大きく有利となり、それは逆累進的な性格を持っております。現に、先ほどあげました各企業について見ますと、新日鉄の税負担率は前期所得見込みといたしまして一・六%であります。また、三井油化は二・八%、花王石鹸は二・九%と、資本金が低くなるにつれて税負担率は高くなっておるのであります。法人資本金別税負担率については、すでに東京都の調査で資本金一千万円以上が四五・六九%、百億円以上は大きく下がって三二・二四%というように、逆累進になっていることが明らかにされておりますが、自由民主党案はこの不公正をさらに拡大するものとして、とうてい支持するわけにはまいりません。  わが党案によりますと、たとえば前記各企業につき、新日本製鉄は超過利得税九十一億円、三井油化は十二億円、花王石鹸は五億円というように、決算見込みに対して税収見積もりは総計約三千四百億円であります。自由民主党はその半額にすぎないばかりか、しかも、最も重要な租税回避行為の禁止規定を欠いており、さらにその税収見積もりが減額するおそれが強いのであります。  第四に、自由民主党提出経過に触れて、さらに反対の理由を申し添えます。  すでに述べましたように、大企業超過利得吸収は国民的要望であり、わが党はこれにこたえまして本年二月十二日、法案要綱を正式に発表いたしました。そうしてその検討と早期成立を訴えたのであります。しかるに、自由民主党案は、世上さまざま取りざたされましたけれども、ついに三月中旬に至るまで発表されず、ようやく同月下旬に至りまして担当者から法案骨子の説明を受けたのでありますが、すでにその目的から見て、審議日程は切迫しており、十分なる審議の機会を得られない結果になったことはまことに遺憾であります。  さらに、直前になりまして、突如として従前の案と全く異なる要綱案の説明があり、さらに今回提出されました案を見ますと、それがまたまた変更されており、しかも、変更のつど大企業に有利に後退を重ね続けてきたのであります。このような提出の遷延、内容の転変、課税内容の後退という経過に照らしても、反対を表明せざるを得ないのであります。  次に、日本社会党案について申し述べます。  すでに自民党案について述べましたように、社会党案超過利得を対象とするものではなく、また累進課税もとらず、租税回避行為の禁止規定もなく、賛成するわけにはまいりません。しかし、自民党案と異なり、資本金の二割相当額の足切り条項がなく、また五億円以下の所得も控除することとして中小企業に対する配慮があり、あえて反対するものではないことをここに表明いたします。  また、公明党提出の案につきましては、納税義務者資本金一億円以上となっていること、課税所得の倍率が百分の百二十であること、税率が二段階となっていることなどの諸点を除いては、わが党案と大宗において似通っているのであります。しかし、資本金一億円以上の企業課税する点は、今日では巨大企業に比し中小企業に対する課税強化となるおそれも強く、直ちにその意味から賛成するわけにはまいりません。  以上のとおり、私は自由民主党案に反対、日本社会党案公明党案には棄権、わが党の提出いたしました案が今日の情勢に最も適切であることを最後に申し添えまして、討論といたします。(拍手
  19. 安倍晋太郎

  20. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました公明党提出臨時超過利得税法案に賛成し、自民党提出会社臨時特別税法案社会党提出会社臨時特別税法案並びに共産党提案による臨時超過利得税法案について反対の討論を行なうものであります。  異常な諸物価の高騰によって、国民生活は破綻の危機に瀕しているといっても過言ではありません。  この物価高騰が、基本的には、政府自民党のこれまでとってきた高度成長、大企業優先の経済政策の誤りによるものであることは言うまでもありませんが、特に、昨今の狂乱状態ともいわれる物価高騰は、さきの当院予算委員会等で明らかにされたように、石油危機インフレに便乗した悪徳企業によるカルテル、買い占め、売り惜しみ、出荷操作などの不当行為によって一そう拍車がかけられたものであり、この意図的につくられた便乗、先取り等の物価値上げによる超過利得を吸収し、社会還元するため、税制面から課税強化をはかろうとすることは、社会正義、経済的公正を貫くためにも、当面の緊急課題であるといわなければなりません。  そこで、わが党は、こうした経済混乱に乗じて、過大な超過利得を収得した法人、大企業に対して重課の措置を講じ、所得の適正な再配分に資することを目的として、資本金一億円以上の大企業を対象とし、四十六、四十七年度の二年間の所得平均基準所得として、その一二〇%をこえる部分超過利得とみなし、特別税率を課し、さらに業種間の好不況の調整を考慮して、平均基準所得に二〇%以内の加減を認めるなどの内容を骨子とした大法人超過利得に対して重課税措置を定める臨時特例法案要綱を発表し、その実現努力してきたのであります。  しかし、各党、各層、その趣旨は是としながらも、種々意見を異にし、具体的な方策について一致した意見を見るに至らなかったことは、まことに遺憾といわなければなりません。  こうした経済の異常事態対処する緊急立法は、その背景から見て、時期を失せず、早急に成立をはかることが立法の趣旨に沿うものであり、加えて、与野党合意を見て提案すべきであるとの自民党の強い主張と、各党各様の議論を重ねていたのでは昭和四十八年度内成立が不可能になり、その結果、企業インフレ利得を放任することになるおそれがあるとの判断から、不十分ながら合意を得るべく、与野党で景気調整税的な課税方式を最終検討していましたが、自民党は、みずから示した法人所得五億円以上の企業に対し年五億円をこえる所得につき法人税率一〇%の付加税を課することを骨子とする同案からさらに大きく後退し、資本金の二〇%以上のどちらか高いほうを課税所得基準とするなど、課税対象所得基準を資本の大きい企業ほど有利となる事項を加え、今回の会社臨時特別税法案提出したものであり、以上の経緯と骨抜き内容から見て、これでは大企業インフレ利得社会に還元しようとする立法の趣旨に相反するものであり、さらに基本的には、わが党の超過利得に対し課税するという考え方から見ても異なっており、同法案に反対せざるを得ないのであります。  次に、社会党提出会社臨時特別税法案につきましては、同法案が景気調整的機能を重視し、大企業からインフレ利益を吸収しようとする考えについては一応理解できるものの、今日の異常な事態を踏まえて、法人所得が著しく増加した企業を対象に、その増加所得超過利得として課税しようとするわが党の基本的な考えと異なっており、さらに、同案においては、法人所得五億円以上の金額課税対象とし、また税率法人税率の一〇%となっておりますが、課税対象範囲、税率ともにさらに検討すべき余地があり、遺憾ながら賛同しがたいところであります。  最後に、共産党提出臨時超過利得税については、その立法の趣旨は、わが党の主張する超過利得税方式と同じくするところでありますが、わが党が資本金一億円以上の大法人を対象としているのに対し、資本金十億円以上の大企業に限定されており、対象法人も少なく、さらに課税標準税額等その内容においても意見を異にし、合意を得るに至らず、賛同しがたいところであります。  以上で反対討論を終わります。(拍手
  21. 安倍晋太郎

    安倍委員長 竹本孫一君。
  22. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました会社臨時特別税法関係四案に反対の討論を行ないます。  第一に、税法の限界について申し上げたいと思います。今日、百三十万の会社が利潤を求めて自由に行動しておる。これに対して政治や行政が介入しないことがむしろ資本主義の原則であります。そこには人々の創意くふうを生かすというメリットもありますが、同時に、悪徳業者の横行、生産の無政府状態といったようなデメリットもあり、民社党が常々混合経済を主張しているゆえんもまたここにあります。  最近における一連の悪徳業法、荒かせぎ等は国民の憤激を買うものでありまして、それは主として経済倫理の退廃、政府経済政策の誤り、あるいはその取り組みのだらしなさによるものでありまして、政治の責任はまことに重大であります。これを税法によってすべて解決しようということは、それ自身が無理であります。  第二に、何が不当利得であるか、何が超過利得であるか、何が異常利得であるかということは、にわかに定めがたいと思います。さらに、根本的には、利潤追求を使命とする資本主義において、許される利潤の追求と許されない利潤の追求とを区別することもたいへん困難な問題であります。最後に、基準所得を上回るものを超過利得とするにしましても、その基準年次にたまたま不況であるとか、あるいは輸出が抑圧されておったとか、あるいはたまたまその年次に企業創設されたといったような場合には、何をもってアブノーマルな所得とするかということもたいへん決定が困難な問題であります。  したがいまして、関係法案とましては、この点でそれぞれ各党のお示しになりました案にも矛盾があって、にわかに賛成し得ないものであります。  ただ、その中で、公明党、共産党両党のお出しになりました案は、課税技術上の困難性の問題においてその考え方を私どもと異にいたしますけれども、超過利得に対する発想の基本についてはおおむね同一であり、これを評価するものであります。自民党社会党両案につきましては、われわれと発想の基本を異にいたしておりますので、遺憾ながら反対であります。  そうした事情を総合勘案いたしまして、民社党はこれらの税の限界と超過利得課税の矛盾ということにかんがみまして、早くより売り上げ高利益率を課税基準とすべきことを主張したわけであります。すなわち、各企業別に昭和四十五年、六年、七年の三年間の売り上げ高利益率、正確にいえば営業利益率の平均を出して、たとえば紡績業においては大体これは五%であり、製造業については大体八・三%でありますが、これを今後対象となる事業年度の売り上げ高に乗じ、これを上回る当該事業年度利益の差額を超過利得とするものであります。  およそ売り上げ高というものは、不当な値上げその他のやり方がなければ、一度に急に大きく伸びるものではありません。また原価や営業費等の費用も、売り上げ高に対して一定のバランスを持つべきものであります。われわれは、アブノーマルな超過利得は、この売り上げ高利益率を基準とするときに最も正確にとらえることができると信じます。  そうした意味において、民社党は、資本金一億円以上の企業のすべてを対象として、その売り上げ高利益率を基準とした課税をしたい。税率はおおむね三〇%、ただし超過利得が五十億円以上百億円未満の場合には三五%、百億円をこえる場合には四〇%ときびしくしておるわけであります。これによって得た税収は、物価安定基金特別会計を創設して、公共料金の値上がり抑制、生鮮食料品の価格の安定に使おうとしたものであります。  第二に、本問題に取り組む政府の基本的な姿勢についても、われわれはすこぶる遺憾に存じておることを申し上げたいと思います。  悪徳商法企業のもうけ過ぎは、経済のモラルに関する重大な問題でありまして、政府は当然みずからの責任において必要な法案提案して、社会正義を貫くべきであったと思います。しかるに、いつの間にか議員立法という形になって、自民党がこれをお引き受けになる。そのまた自民党は、三月期決算に間に合わすためにはあと一週間という時点に至っても、なおかつ法案提出を見るに至らなかったのであります。そして去る二十二日に至って突然、本件は与野党一致の合意を見て提案すべきことをわれわれに申し入れて見えたのでありますが、この最後の段階で示されました、いわゆる村山私案ということでございますけれども、これは従来の自民党の主張を百八十度転換して、社会党案に近づいたものでありまして、いささかわれわれは自民党の真意を疑ったのであります。しかしながら、問題の重要性と緊急性にかんがみまして、各党の協力一致が必要であるとの大乗的見地に立って、われわれはこれに一応賛同することに決定したわけであります。  しかるに、自民党はぎりぎりのどたんばにおいてさらに三転、四転して、企業のもうけ過ぎをねらいとした超過利得税企業のための配当保障を行なうという、超過所得を攻めるのではなくて、一割の配当を保障するという驚くべき大修正を行なってきたのであります。  これは二十五億円以上の約四百の大企業にはなはだ有利な修正であり、会社によっては十億円、二十億円の税負担の不当な軽減であり、制裁を抜きにして配当を保障する案であります。特に、悪徳業者に対してわずかに法人税額の一〇%の税をかけるのみであって、はなはだ不徹底であるのみならず、善意の企業に対しても巻き添えの結果、関係のない税金の負担をしいるというものでありまして、われわれの断じて許し得ないところであります。  およそ税に必要なものは公平の原則であり、政治の基本は国民の信頼感であります。われわれは転機に立つ日本の政治の再建のために、かかる矛盾の多い特別税に反対し、かっこの特別税をつくる過程において示されました政府自民党の態度にはなはだ遺憾の意を表明し、さらにまた、願わくはこの企業経営の社会化を徹底して、再びこうした悪徳企業の出現することのないように、この際、社会経済の制度改革を急ぐべきことを要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  23. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、村山達雄君外一名提出会社臨時特別税法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 安倍晋太郎

    安倍委員長 起立多数、よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、おはかりいたします。  ただいま村山達雄君外一名提出にかかる会社臨時特別税法案を可決いたしました結果、堀昌雄君外二十二名提出にかかる会社臨時特別税法案村上弘君外三名提出にかかる臨時超過利得税法案及び伏木和雄君外二名提出にかかる臨時超過利得税法案については、いずれも議決を要しないものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 安倍晋太郎

    安倍委員長 起立多数。よって、各案はいずれも議決を要しないものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 安倍晋太郎

    安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  27. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次回は、来たる四月二日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十四分散会