運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-16 第72回国会 衆議院 商工委員会流通問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十九年二月八日(金曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月十五日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       稲村 利幸君    浦野 幸男君       越智 伊平君    粕谷  茂君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       田中 榮一君    松永  光君       武藤 嘉文君    加藤 清政君       佐野  進君    中村 重光君       神崎 敏雄君    松尾 信人君       宮田 早苗君 二月十五日  武藤嘉文君が委員長指名で、小委員長選任  された。     ――――――――――――― 昭和四十九年五月十六日(木曜日)    午後一時十二分開議  出席小委員    小委員長 武藤 嘉文君       稲村 利幸君    浦野 幸男君       佐野  進君    中村 重光君       神崎 敏雄君    近江巳記夫君       松尾 信人君    宮田 早苗君  出席政府委員         通商産業審議官 森口 八郎君  小委員外出席者         農林省食品流通         局商業課長   岩野 陽一君         通商産業省産業         政策局商務課長 荒尾 保一君         参  考  人         (産業構造審議         会流通部会定期         市場問題小委員         会小委員長)  近藤 止文君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 五月十六日  小委員越智伊平君及び近藤鉄雄君二月二十日委  員辞任につき、その補欠として前田治一郎君及  び近藤鉄雄君が委員長指名で小委員選任さ  れた。 同日  小委員田中榮一君三月九日委員辞任につき、そ  の補欠として田中榮一君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員宮田早苗君三月二十二日委員辞任につき、  その補欠として宮田早苗君が委員長指名で小  委員選任された。 同日  小委員松永光君四月十日委員辞任につき、その  補欠として松永光君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員稲村利幸君及び粕谷茂君四月二十三日委  員辞任につき、その補欠として稲村利幸君及び  粕谷茂君が委員長指名で小委員選任された。 同日  小委員佐野進君五月十日委員辞任につき、その  補欠として佐野進君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員塩崎潤君五月十五日委員辞任につき、そ  の補欠として塩崎潤君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員松尾信人君同日小委員辞任につき、その  補欠として近江巳記夫君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員近江巳記夫君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として松尾信人君が委員長指名小委  員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  流通問題に関する件(商品取引問題)      ――――◇―――――
  2. 武藤嘉文

    武藤委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。  流通問題に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として産業構造審議会流通部会定期市場問題小委員会委員長近藤止文君に御出席を願っております。  この際、近藤参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  近藤参考人には、お忙しいところ本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本小委員会におきましては、流通問題に関する件の調査を行なっておりますが、本日は、特に商品取引問題について、参考人のお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の進め方でございますが、初めに参考人の御意見十分程度に取りまとめていただきまして、そのあと小委員の皆さんからの質疑をお願い申し上げたいと思います。  それではまず近藤参考人にお願いいたします。
  3. 近藤止文

    近藤参考人 ただいま御指名をいただきました産業構造審議会流通部会定期市場問題小委員会小委員長近藤止文でございます。  商品取引所制度の問題につきましては、商品取引所法という法律がございまして、その中に商品取引所審議会というのが実はございますが、この審議会が必ずしも商品取引全般事項について調査審議をし、政府に進言をするというような権限的な規定が欠けておりまして、商品取引所法施行に関する問題だけに審議する事項が限定されております。したがいまして、商品取引全般の問題についていろいろ審議をするためには、商品取引所法に基づく商品取引所審議会では不十分であるということを昭和四十六年十一月二十五日に商品取引所審議会のほうから通産大臣農林大臣意見書として出されておるのでございまして、これに基づきまして通産省農林省におかれましては、産業構造審議会流通部会というものがございますので、その中に定期市場問題、つまり先物取引定期取引の問題についていろいろ審議をするための小委員会をつくるということに一昨年決定いたしまして、委員総数十二名で一昨年の夏に発足をいたしました。自来十数回、約二十回ほど調査審議をいたしました上で、お手元にもお配りしてあると存じますが、商品取引所の問題につきまして答申をまとめまして、通産大臣及び農林大臣に提出した次第でございます。  それで、その答申の趣旨につきまして私から概要を申し上げまして、私の意見と申しますよりは、小委員長立場でございますので、その概要について御理解をいただきたい、かように存ずるわけでございます。  まず第一に、商品取引所、つまり具体的に申しますと、公の場におきまして商品につきましての定期取引先物取引、いわゆる差金決済によりまして、株式と違いまして、現物の売買取引でない取引をいたしますことがどういう意味があるかということでございまして、これがかなり論議を呼んだのでございますが、これは答申の別紙の初めの「現行制度意義と評価」というところで「定期市場意義及び機能」ということがございまして、やはり定期取引先物取引というものは、商品市場につきましては公正なる価格の決定あるいは  ヘッジングの可能性、それからそれに伴いましての流通円滑化というように正常に商品取引所機能いたします限りにおきましては、現在におきましては必要欠くべからざる制度であるということに委員各位意見が一致いたしまして、これに基づきまして、そういった大前提のもとに、実は具体的にしからば現在どういうような改善問題があるかということでその概要を取りまとめましたのが一番最初の総論の部の小委員会答申というものの二ページ目にございますが、一つは、現在の上場商品というものが現在の経済情勢から見まして必ずしも適正でない、しかも、これが法定主義というようなことになっておりまして弾力性がございませんので、経済変動に即応いたしまして適時適切に上場商品を取捨選択できるようなことにすべきであるというのが第一の問題点でございます。  それから、しからばこういった定期市場を円滑に運営するためにどうすればよろしいか、その場合、現在ございます商品取引所というものがはたして適当な位置づけをされておるかどうかということが問題でございまして、これはいろいろ世間でも問題が起こっておりますように、まだまだ商品取引所というものにつきましては、その基盤を確立し、運営を公正にしなければならないということになると考えられるのでございまして、したがって、現在の会員範囲をできるだけ広げまして、信用のある、しかも資力信用があり、世間信頼を得るような会員をよけいにふやすべきであるということと同時に、商品取引所商品別にあまりにこまかく散在いたしておりますので、これを地域的に整理統合いたしまして、一つ取引所で数種類の商品も扱えるということにしたほうがよろしいのではないか、同時に、そういったことに伴いまして、取引所理事者にも中立的な第三者的な理事者を加えまして、特に理事長あるいは監事というものにつきましては、主務大臣承認制にすべきである、こういう意見でございます。  その次に、しからば一番問題になりますのは商品取引員の問題でございますが、この商品取引員につきましては、御承知のように、現在ではまだ一人も実は上場会社の社長がなっておるというふうなものはございません。実際の会員には大手商社その他入っておりますが、取引員はまだきわめて小さい業者が多数ございまして、それがいろいろ紛議を起こしているもとでございます。したがって、商品取引員というものにつきましては、その財務内容を強化すると同時に、営業姿勢を向上させなければならぬ。その具体的な方法といたしまして、これは前回法律改正の際に、商品取引員につきましては許可制をしいたのでございますが、その許可制について、今度は新たに期限を設けまして、つまり許可についてのレビューをする、こういうことが絶対に必要であるということでございますし、また同時に、現在三百名近くの取引員がおりますが、資力信用、その他微弱なものもございますので、これを合併統合いたしまして一定のレベルに引き上げるということが絶対に必要ではないか。  それから同時に、この取引員外務員を使いまして勧誘行為をしておりますが、現在は、外務員はその取引員代理権は持っておりませんで、ただ勧誘するということだけでございまして、取引そのもの取引員顧客の間で結ばれるということになっておりますが、これはむしろ外務員の資質を向上いたしまして、そうしてその外務員に、取引員にかわる代理権を与えるという方向でこれを措置すべきであろう、こういうふうに考えたわけでございます。  それから第四番目といたしまして、過当投機が常に問題になるのでございますが、これは取引所管理運営の問題でございまして、やはりこれは取引所自体十分権威を持つと同時に、具体的に過当投機の起こりそうなおそれのある場合には、事前にこれを防ぎ得る措置をとるべきであるというように考えられるのでございまして、市場価格変動によって市場対策が流動的、自動的に行なわれる、あるいは一定の数量以上をいきなり取引するというような過当投機のおそれのあるような場合にはこれをチェックする、あるいは一定枚数以上の売買取引につきましては、あらかじめ事前にその制限をしておいて、一定枚数以上の取引ができないというようなことも商品によってはやっておくべきであろうというように考えられたわけでございます。  その次に、これも一番大きな問題でございますが、これは前回法律改正におきましても非常に強調されたわけでございますが、委託者債権保全につきまして万全の措置を講ずべきである。そのために、現在いろいろな措置が、前回法律改正にも伴いまして行なわれておるのでございますが、それではまだ十分でない。その十分でないというのは、この許可制施行後におきまして倒産をいたしました取引員がございましたが、その場合に、やはり委託者が相当の損失をこうむっておるような現実もございますので、委託者債権については完全に分離保管する制度を確立しなければならない。これはいろいろむずかしい点がございますから急速にはいかないかと思いますが、完全分離保管制度はぜひとも実施しなければならない、こういうように考えられるのでございましてまた同時に、商品取引員がこのお客さんに対して売り向かう、ダミーを使ったりその他の関係で、自己玉をできるだけこれは押えまして、そしてお客さんと取引員との間に、取引員お客を、いわゆる客殺し、こういっておりますが、そういうことの行なわれないように、自己玉というものもできるだけ厳格に規制する必要があるということでございますし、また取引員顧客の間におきまして紛議が生じました場合の調停機関につきましては、やはり第三者の委員をできるだけふやしまして、公正にこれを決定するということにすべきであるということでございました。  そのほかに、先ほど申し上げましたように、商品取引所審議会の現在の法律規定はきわめてちんばでございまして、おかしな形になっておりますので、これを適正な審議会規定に直すということ、それから商品取引所の、実は全商連というのが現在ございますが、これは法的に何にも根拠がございません。これに法的な根拠を与えまして、そこで仲裁その他の仕事をやらせるということをやらなければならぬ。  最後に一番大事な問題は、商品取引と申しましても、これは実は定期取引先物取引、いわゆる差金決済によって実物売買ではないのが原則でございますが、そういうものにつきまして、一般の方々が十分に理解されていないという場合が多いのでございまして、どちらかと申しますと、外務員にだまされて実は損をしたというようなケースが多いのでございますが、これはやはり官民こぞって、商品取引というものはこういうものであるということの周知徹底、PRを十分にやらなければならないということで答申は結論を結んでおるのでございます。  実はこの答申の中には、理論的にこうあるべしという問題と、現状について、これはこうしたらどうかという過渡的な措置問題等が一緒に入っておるわけでございますが、少なくとも現状よりはもう一歩進めて、商品取引のいわゆる先物取引というものの経済的な機能を有効的に発揮できるようなふうにしなければならないというふうな基本的な考え方でございます。  私から答申を骨子といたしまして、ごく簡単でございますが、小委員会としての意見を申し上げた次第でございます。
  4. 武藤嘉文

    武藤委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わります。     ―――――――――――――
  5. 武藤嘉文

    武藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  6. 中村重光

    中村(重)小委員 近藤参考人にお尋ねしますが、その答申の「第一に、固定化している現在の上場商品に関し、経済実態に即応させるため、上場商品法定主義を改める等上場及び廃止手続を簡素化すること。」というのがあるのですが、書いていることはわかるのですけれども、こうした答申をされるにあたっては、諸外国の例等を十分御検討されて、こういうものはやはり上場さすべきじゃないか、これは有名無実になっているのだからむしろこれを廃止すべきではないかという具体的な検討をおやりになったのだろうと思うのであります。その点についてひとつ伺ってみたいと思います。
  7. 近藤止文

    近藤参考人 ただいまの御質問のとおりに、具体的に品目ごと検討をいたしました。それで、現在上場されておりますものでも、もう経済的に考えて、やめたほうがいいのじゃないかというものもございました。それから、新たにこういうものは上場したほうがいいのじゃないかというものもございました。それで一つの例――これはあまり具体的に申し上げますと影響があるかと思いますけれども、たとえば人絹糸のようなものについてはもう商品取引所上場する価値がない。というのは、生産者が三社、特に大手は二社でございまして、非常な寡占状態でございまして、しかも特殊なものがつくられている、供給量も少ない、こういうことからむしろこれはやめたほうがいいのじゃないかという意見委員の中で圧倒的でございました。また、上場したらどうかといわれますものにはいろいろございました。たとえば合板でございますとか、あるいは非鉄金属の原料でございます。ただし、そういったようなもの、それから羊毛に関しましてはトップ上場したらどうか、これは国際商品としては毛糸よりはトップのほうが共通性があるというふうな意見もございました。ただその場合に、はたしていまの商品取引所で、では上場することに賛成するかどうかということからいきますと、まだ遺憾ながら現在の商品取引所信用、まあ取引員信用がむしろ具体的になるかと思いますが、十分でない、だからやはりこれを強化して国際的な見地から商品上場され、しかもそれが十分に信頼を受けるという形に持っていかなければいかぬ、こういうふうな意見があったわけでございます。
  8. 中村重光

    中村(重)小委員 「第二に、定期市場運営にあたる商品取引所基盤の確立及び運営公正化を図るため、」には「商品取引所地域ごとに統合し、各取引所複数商品市場とすること。」というのがある。私は、この問題について委員会で取り上げたことがあるわけです。情報化社会なんで、取引所はこの際少し整理統合して内容を強化していくことが必要ではないかということを指摘をしてまいったわけです。私の指摘をいたしましたような方向にあるわけですが、問題点としては、どのようなことが論議になっているか。整理統合することはけっこうなんだけれども、こういう問題があるじゃないかということですね。今後運用面で生かしていかなければならない点等もあるんじゃなかろうかと思うのですが、それらの点についてお伺いしたい。
  9. 近藤止文

    近藤参考人 ただいまの中村委員のおっしゃるとおりの方向でございますが、整理統合いたします場合の問題点は、既存の小さな取引所、たとえば一品目だけをやっておるような、しかも当然整理されなければならぬというような取引所職員の問題と、それからそこに専属しておる取引員の問題、これらをどうするかという問題がございましたが、これらにつきましては、職員についてはやはりできるだけその転職をあっせんしなければならぬし、また取引員については、統合される取引所取引員としてそちらに入ってもらうというようなことで、この際、ある程度のそういった、場合によるとそういう方々にとっては荒療治になるかもしれませんが、それをやらなければならぬのじゃないか、こういう意見がございました。
  10. 中村重光

    中村(重)小委員 「関連業界等会員たらんとする者で一定資格を有する者にも会員資格を認める等会員資格範囲を拡大すること。」ということなんですが、どのようなものが具体的に考えられますか。
  11. 近藤止文

    近藤参考人 一つ倉庫業者あるいは輸送関係を扱っているようなもの、それから場合によりましては、実はこれはまだ行政権として通産大臣なり農林大臣がおきめになることだと思いますが、金融機関等まで含めたらどうかという御意見と、そこまではいかないほうがいい、せいぜい倉庫業者なり流通関係に携わっている輸送業者、その辺ぐらいまでのところにしたらどうかという意見と両方ございました。ただし、広げていくという方向はいずれも意見が一致しておりましたので、そういったことでここは表現してございます。
  12. 中村重光

    中村(重)小委員 「商品取引員財務内容を強化し、また、その営業姿勢を向上させる」ということは、これはそのとおりでなければいけないと思うのです。そこで「商品取引員許可一定期限を付すること。」というのがあるのですが、これは制限を付することという意味なのか。「期限を付する」ということになってくると、 どういうことを意味するのか、この点いかがです。
  13. 近藤止文

    近藤参考人 これは三年なら三年という期限を切りまして、そこであらためてまた許可をし直す、こういう意味でございます。
  14. 中村重光

    中村(重)小委員 それから「第四に、過当投機等による価格の異常な変動を防止し、市場管理対策を機動的に行い得るようにする」ということで①、②、③とあげておられるわけです。ストップ安ストップ高ということでこの市場というものが投機的に利用される、これはたいへんな弊害だというように考えられるわけです。公正な価格というものを示す機関ではないんではないか。むしろこれは弊害があるのではないか。資本主義社会においてそれが必要であるという考え方の上に立っているのでしょうが、これが公正に行なわれるならば理解もできますけれども、まあ石油危機の前後のあの状態等々考えてみますと、これはむしろ弊害のほうが大きいと思います。どうしたらばこの弊害を除去することができるのか。①、②、③とこうありますけれども、抽象的で理解ができないわけですが、詳しくとは申しませんけれども大体論議された点についてお聞かせいただきたいと思います。
  15. 近藤止文

    近藤参考人 ただいま御指摘の点は明らかにおっしゃるとおりなんでございまして、見方によりましては、商品取引所というものでもし意図的に過当投機をやろうとするようなものがたくさん出てまいるような場合におきましては、なかなか公正な価格形成ということがむずかしい。しかし、制度全般から申しますと、現在の経済実態から申しますと、商品取引所というものはやはり正常に機能する限りにおいてはあったほうがよろしい。しかし、その正常に機能するかどうかということについてやはり取引所市場管理ということが問題になるのでございまして、従来はともいたしますと市場管理を事後的に行なうような、つまり価格が暴騰しちゃってあわてて丸代金をとるとかいうような実態が多かったのでございますが、それを事前に防止できるようなあらゆる措置を講じて正常な価格形成に持っていくように努力すべきである、こういうことでございまして、御指摘のように答申は抽象的でございますが、これにつきまして、やはり通産省ないしは農林省におきまして、具体的に、じゃ、どうすれば一番有効的な公正価格形成ができるか。御指摘ストップ安のような問題、ストップ高のような問題については、明らかにここにちょっと問題があるのじゃないかという意見は出たのでございますが、これらにつきましては、現実行政をつかさどっておる通産大臣農林大臣のほうで最も賢明な方法を十分考えてもらいたい、こういう実は意見になっているわけでございます。
  16. 中村重光

    中村(重)小委員 この「一定枚数以上の売買取引又はその委託について予め制限する」とあるんですが、実際問題としてこれができますか。
  17. 近藤止文

    近藤参考人 これはできますかとおっしゃられましても、ちょっとできるとも申せますし、また、できませんとも実は申し上げられるわけでございまして、たいへん悪知恵がたけたようなのがおりますと、これはできないということにもなりますし、この辺、監督官庁として適正な行政運用をしていただくよりしようがないというふうに小委員会としては考えたわけでございます。
  18. 中村重光

    中村(重)小委員 小委員会論議をして答申をするということになってまいりますと、こうあるべきだという理想を追求するということになりましょうが、これはこの程度答申が出てくることはもう当然であろうというように理解します。要は、政府でこれが実行し得るかどうかということにかかっているのだろう、こう思います。  そこで森口審議官にお尋ねをいたしますが、商品取引所現行制度の中で委託者預託財産保全の面で十分ではないという声があるわけですが、この現行業務保証金、預かり保証金六〇%とある、これは何を基準にしているのか。
  19. 森口八郎

    森口政府委員 前月末の残高であります。
  20. 中村重光

    中村(重)小委員 前月末の残高というのはいわゆる建玉数であろう、こう思うわけです。してみると、現在やっているそれの預託財産保全ということに全く役立たないとは申しませんけれども、十分に保証が、財産保管ということがなし得るのかどうかという点は、私は問題があるような感じがいたしますね。おそらく前月末の建玉によってやるということになりますと、当月の現に売買しているときの状況とはだいぶ違っているのではないか。これは財産保管ということでは不十分であるという感じがいたしますが、その点いかがですか。
  21. 森口八郎

    森口政府委員 現在の保全制度で十分かということにつきましては、私どもは必ずしも十分ではないというように考えております。まず六〇%という率そのものが一体妥当なのだろうかどうだろうかという議論が当然あるところでございますし、それからいま御指摘になりました前月末の残高基準にしてやるという方法が妥当であるのかどうか、いずれも問題があろうかというように思っております。六〇%にきめましたのにはやはりいろいろそれ相当の理由、たとえば預かり証拠金のうち一〇%は売買証拠金であり、三〇%程度は値洗い資金に要るとかいうような点で一応六〇%というふうにきまっておりますし、それから前月末を基準にしております点につきましては、御指摘のような点はあるわけでございますけれども、技術的にはやはり一応前月末を基準にせざるを得ないというような事情があるわけでございますが、冒頭申し上げましたとおり、私どもは必ずしも十分な保全措置であるというようには思っておりません。今度の審議会答申におきましても、やはり委託者債権保全するために自己の資産と完全に区分経理されるべきものであるというような点、あるいはクリアリングハウス制度検討しろというような点も指摘されておりますので、さらに委託者債権保全につきましては、法律をつくっていきます過程ないしはその前にもでき得る限りの改善をはかっていきたいというように考えております。
  22. 中村重光

    中村(重)小委員 具体的に尋ねますけれども、前月末の建玉基準にして六〇%というのを預託をしているわけですね。当月と比較をしてみてどの程度の差がありますか。
  23. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 私ども統計的に前月末と当月との建玉、あるいは預かり証拠金の額を算出したデータはございませんが、これはそのときの情勢によるわけでございまして、売買が非常にふえつつあるという状況の場合におきましては、当然のことでございますが、前月末を基準にいたしますと業務保証金として預託されている金額が少なくなるということになりますし、それから価格が低下傾向で手じまいの傾向にあるという場合におきましては、前月末の残高が当月に比べまして多いということになるわけでございます。
  24. 中村重光

    中村(重)小委員 私が調べてみたのですが、前月末を基準として業務保証金を六〇%、当月で調べてみると、いまお答えのとおりこれは一律にはいかないと思うのですよ。約三三%ですね、半分程度だ、そこらあたりだ、こう思うのですね。そのように考えてみると、必ずしも前月末の業務保証金という制度は完全だということにはならない。したがって、この答申の中にもこれについて触れておられるように思うのですが、そのことについてはあとでお尋ねをするといたしまして、値洗い制度というのがあるわけですね。値洗い制度ということになってくると、実際の建玉と時価で計算をする、したがって、何というのですか建玉が割り込みをいたしますね、相場が下がった、欠損をする、その場合に今度は五〇%というのがあるわけですね、五〇%を割り込むとこれは五〇%、あるいは六〇%落ち込むと六〇%まで埋めていかなければならないという制度がありますね、その計算方法、それが値洗い制度だというふうに思うのですけれども、これは毎日やっているわけでしょう。してみると、この前月末の六〇%という業務保証金というような制度はここらで再検討していく必要があるのではないか、またしなければならないのであろう、そうむずかしいことではないのではないかと思いますが、この点はどうしようとお考えになっていらっしゃるのか。
  25. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 ただいま先生御指摘のとおり、受託業務保証金のほかに値洗い制度が実施されておるわけでございます。これはいま先生から御質問の中で触れられましたとおりでございまして、建玉につきまして毎日毎日最終節の最後の値段によって損益を計算をしていく。そして赤が出ておる取引員からは、取引所にその赤に相当する額を納めるし、それから益が出ておる商品取引員に対しましては、取引所から取引員に対しまして益金相当額を交付するという形で、値洗いは毎日進行しておるわけでございます。したがいまして、その損益の状況は、取引員取引所との関係におきましては全額毎日決済は終了をしておる、こういう形をとっております。そういう損益が出てまいりましたときに、先生がお触れになりました五〇%という問題は追証との関連かと思いますが、その損金の額が預かり証拠金の五〇%をこえるという状態になりますと、その段階で今度は商品取引員から委託者に対しまして損金額を埋めるようにということを通知をして委託者から損金に相当する額を取引員が受け取る、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、損金の額が五〇%に達しない段階におきましては、値洗い資金を商品取引員が立てかえて取引所に支払っておる、こういうことになろうかと思います。  そこで、そういうふうに毎日値洗いが行なわれておるわけでございますが、そのほかに受託業務保証金は預かり証拠金額の六〇%に相当する額を取引所に預託をいたしておるわけでございますが、これがなぜ六〇%で、しかも前月末を基準にするかという点でございますけれども、この受託業務保証金につきましては、優先的に委託者がその受託業務保証金の中から債権を弁済してもらえるいわば優先弁済権が付与されておるわけでございます。この優先弁済権を付与するにつきましては、その額が毎日浮動するということでは非常に困る。つまり委託者債権を担保するという面から見ると、その額はある程度固定的に、これだけの分は常に優先弁済権が付されたものとして預託されておるという状態が確保されなければならないという点から、前月末を基準にするというやり方を現在とっておるわけでございまして、極端な一例を申し上げますと、たとえば非常に経営状態が悪くなって倒産に瀕するというふうなことが予想されるような段階になりますと、一挙にたとえば倒産日の前日とか前々日とかに建玉を全部仕切ってしまいまして、受託業務保証金を全部取り戻してしまう、しかるのちに倒産という事態になりますと、優先弁済権のついたそういう担保が非常に減ってしまうという弊害が予想されますので、前月末という時点でこれを切っておるというやり方をしおるわけでございます。
  26. 中村重光

    中村(重)小委員 だから前月末だと計算でいったら六〇%になるのだけれども、当月でいったらその半分程度にしかならないということになってくると、やはりそこに差がついてくるわけだから、必ずしもその委託者保証というようなことにならない。いわゆる委託者の保護というような点については問題点があるということになる。ところが、あまりそれをきびしくすると、今度は取引員、いわゆる業者、この業者の経営の問題がそこへ飛び出してくるということになってくるのですね。そこで、いまあなたがお答えになりましたようないろいろな積立金というのか預託金というものを積んであるのだろうと私は思うのですが、その業者取引所に預託する金額の種類とお客さんの預託したお金のパーセンテージというものは大体どうなっているのですか。
  27. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 先ほどから御説明申し上げておりますとおり、お客さまから取引員が預かりました証拠金のうち六〇%が受託業務保証金として取引所に預託されるわけでございます。そのほかに現在では一〇%が売買証拠金ということで取引所にやはり預託されます。ただし、これにつきましては優先弁済権はつかないわけでございます。残り三〇%あるわけでございますが、この三〇%が大体におきまして値洗い等のために、先ほど申しました追証との関係から取引の立てかえというふうな形で取引所に持っていっておるというのが多い実情でございますが、この値洗い資金につきましては、先ほども申し上げましたように、非常に損を出しておる商品取引員の場合にはこれが立てかえ資金に回りますし、益を出している場合におきましては立てかえという関係があまり生じませんので、一律に何%が取引所に行っているということはいえないわけでございます。各取引員建玉の状況によるということでございます。
  28. 中村重光

    中村(重)小委員 お客は益を出した場合は直ちに清算を求めるという傾向にあるのですよ。私が調べた限りではそうなっておる。損をした場合は損を取り戻そうというようなことでいつまでも続けいく。もうけたときには早くそれを清算して取ってしまえということになってくる。そこらで先ほど申し上げました業務保証金の問題をどうするかということになってくるのではないかというように私は考えるわけですね。それをかりに一〇〇%にする、それは確かにお客立場からいったらいいわけなんですね。いいわけなんだけれども、あなたが先ほど私の質問によってお答えになりましたように、落ち込んだ場合、いわゆる売買玉と時価相場との間に差があるわけでしょう。差があるわけだから、五〇%落ち込んだら五〇%まで今度は追証でもって埋めていかなければならない。六五%落ち込んだら、今度はこの六五%を追証で埋めていかなければならない。埋めていく場合にその取引業者お客に請求することができるけれども、取引所とは毎日値洗いで計算するわけだから、その間時間的ズレがあるわけでしょう。その場合は取引員が埋めていかなければならない。いわゆる立てかえなければならぬ。あなたもそのとおりお答えになった。立てかえるということになってくると、これはもう絶対待ったなしなんだから、相当無理をしなければならないということだってあるだろう、立てかえの金額が大きくなったら。  私がいま調べてみると、出資金、加入金、会員信認金というのがお客から預かった金の一・六%になる。売買証拠金がお客から預かった金の三五%、受託業務保証金が六〇%です。これは先ほどからお答えになっております前月末の建玉平均を基準としているわけですよ。それから商品取引責任準備金というのもある。これが七%。これとはまた別に一昨年からか発足いたしました共同補償準備金というのがあるわけです。このようにありますが、別に委託者の未収金があるわけでしょう。業者委託者から未収金というのが絶えずあるわけだから、その未収金がどのくらいあるのだろうと調べてみたところが三八%くらい。これは店によって違うし、業者によって違うから一律ではない。しかし私が五、六店調べてみたのでは大体三五から四〇くらいになっているようです。別に値洗い差金の立てかえというのもあるわけでしょうから、そういったようなことで相当なお金を取引所に対して業者は積み立てをしなければならない。こうして集まったお金が八十三億か九十億くらい取引所にはあるのでしょう。これは金利も何も払ってないですね。取引所はもうもうけものという形で運営をしているんじゃありませんか。それはいいです。金利を払っているんだったら払っているで。四、五年前もだいぶこの問題については議論をしたわけだ。これはもっと運用をうまくやらなければ取引所だけがふくれ上がっていくじゃないかというようなことで議論をしたこともありますが、これは改善されておればそれでよろしい、こう思うのです。  これらの点等を考えてみると、従来のような行き方というものは改善をしていくのでなければならないような感じが私はいたします。それは全部取りくずしてしまったならば、倒産した場合は委託者の利益をそこなう、これは最大の紛議だという形になってくるわけですから、そういったようなことを改善して委託者預託財産を保護していくためにはどうしたらよろしいのかということを根本的に再検討を加えなければならない時期に来ているのではないかという感じがいたします。これが根本なんです。根本だからといって、役所が業務保証金が六〇%であるのをかりに七〇%にすればよろしい、八〇%にすればよろしいということでこれを引き上げていく。ところが、先ほど私が数字をあげて申しましたような内容を改善しなければ、業者のほうにたいへんな負担がかかってくる。業者がつぶれる。業者がつぶれるということは今度は委託者の利益がそこなわれる。そういう悪循環になってまいりますから、役所というのは無責任に事なかれ主義の形で問題と取り組んではならないということなんです。ですから、この点は根本的に洗わなければならない問題であろう今回の答申はこの点について、ただ何か完全に預託財産が保護されるようにというようなことで抽象的に触れておられるにすぎないのであります。一〇〇%の分離保管というようなことがいわれているようでございますけれども、その場合、いままでのこの制度、私が読み上げましたような制度をどうするのか。これをこのままで一〇〇%分離保管という形になっていくのか、しようとお考えになっておるのかどうか。ここらあたりはいかがなんです。
  29. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 委託債権の完全分離保管の問題につきましては、先生がいま御指摘のような非常にむずかしい問題点が含まれておる、私どももそのように考えるわけでございます。現在の制度をそのままにして受託業務保証金を六〇%からだんだん七〇、八〇、一〇〇というふうに持っていくことは、私どもも不可能であろうというふうに考えております。それは売買証拠金とか値洗い資金その他の負担があるからでございます。その点につきましては、私のほうから申し上げるのもちょっとどうかと思われますが、この産構審の中間答申におきましても、商品取引員のファイナンスの問題とか値洗い資金の問題等があるので、その辺も考慮しながらさらに国際的な商品取引所形成のためにどうあるべきかということも含めて、こういう清算担保機構のあり方を検討すべきであるというのが答申本文のほうに書かれておるわけでございます。こういう答申が出ておりますのも、その辺を考えなければならぬという点でございます。したがいまして、完全に委託者から拠出されました証拠金を一〇〇%特別の機関で分離保管するということを実現いたしますためには、一方でファイナンスの問題が出てくる。そのファイナンスの問題が解決しないと、なかなかそこまでは、一挙には理想に近づけない面があろうと思います。  いずれにしましても、委託者から預かりました資金を取引員が自分の業務のために利用して両者の経理をごっちゃにするということがあってはいけない。委託者から預かった分は、その委託の趣旨に従って利用されなければならないということを特に強くこの答申では強調されておるのではないかと私ども思われます。したがって、それに対応する分離保管のあり方、これはアメリカ等ではクリアリングハウス制度もあるわけでございますし、そういうものも参考にしながら、かつ取引所における売買のしかたの相違というものも考えて、日本の取引所の実情に即した最もいい方法というのはどうあるべきかということをさらに技術的に私どもも検討しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  30. 中村重光

    中村(重)小委員 これほど商品取引というような問題が大きくクローズアップされてマスコミからも徹底的に追及されている際に、いまのような答弁で、いまごろアメリカなんかもこういうことをやっているんだから何か考えなければならぬというようなことは、私は政府は何をしているかと申し上げざるを得ないですね。いまあなたは、お客のお金が取引員、いわゆる業者に利用されてはならないとおっしゃった。ところが、私が申し上げたように、受託業務保証金というのが六〇%、それ以外に何だかんだという形で積み立てをされていく。おそらくいまのままであるならばお客から預かった金の一二〇あるいは十三〇%程度になるのじゃないかと思うのです。これがやはり問題なんだな。いまあなたは、お客の金が利用されないようにしなきゃならぬとおっしゃるんだけれども、いまの業務保証金というのは建玉なんですよ。建玉の六〇%でしょう。そうすると、立てかえ金がふえてくると、お客さんから預かったけれども預かった金を全部玉に建てないですよ。そのうちの三割ぐらいは自分の金庫の中に置いておいて、利用して、七〇ぐらいしか玉を建てない、こういう結果が生まれてきますよ。そうすると三〇%というのは不正ですよ。倒産したら、その金はどこにも積み立てをしてないんだから、これは取れっこはないのですよ。そういう例があるでしょう、いままでの倒産の中に。明らかなんです、こういう問題は。だから根本的にこういう問題はもっと早く洗い直して改善をするということにしなくちゃいけない。森口さんは、いまは担当の審議官で、通産省では最高責任者になっていらっしゃるんだけれども、だいぶ前からこれは問題があるんだから、もう何年も前に、この大改革ということについて考えなくちゃならないわけなんだ。そうなってくると、補償会社のお金を一切業者に預けないで、何か専門の会社をここへつくって、そこへ持っていって、そしてそこから証明を出してもらって、業者のところにはこの証明書を提示してそしてその会社に預けたという預かり証というものを業者に渡す、そして玉を建ててもらうということも一つ考えられると思いますね。そういうやり方をすると、やはりこれは根本的にやり変えてしまわなきゃならぬ。大改革ということになってくるわけですね。ところが、まだまだそこまでやろうなんというようなことの準備もないようなんだ。そうすると、共同補償準備金というのは二、三年前から発足をしてやっているんだが、これとの関連が一つ出てくると私は思うんだけれども、業者相互間でお互いに債務補償をするという債務補償制度というものをこの際もっと額を大きく上げて、これを考えてみたらいかがなんですか。債務補償制度、これは保険と同じなんだ。お客さんは全く損しない。全体の業者の人たちが補償する。そのためには資金が要りますよ。その資金というのは、取引所に積み立てている八十三億か百億かある金というものをある程度これに引き当てることだってできるだろう。あるいは業者は少なくともこれは小委員会指摘の中にもありますように、経理能力というものを高めていかなきゃならないんだから、人さまの金を預かっているんだから、それだけの能力を持たせなければ、これはたいへんなことになるのですね。したがって、業者にも出資をさせる。つぶれたって――これは全部つぶれてしまえば別ですよ、全部つぶれるなんというようなことは絶対ないんだから、一社か三社かはつぶれる、そういうのは共同補償制度ということによって、委託者のいわゆる預託財産を補償することができるんだから、この際、そういうことをひとつ考えていくということはいかがなものであろうか。その点いかがです。方法は、先ほどあげた二つあるのです。
  31. 森口八郎

    森口政府委員 この定期市場問題小委員会答申におきましては、クリアリングハウス制度というものの検討を進めるべきであるというように答申をされておるわけであります。ただ、委託者債権保全あるいは取引のファイナンス等の改善というためには、理論的にはクリアリングハウス制度がいいという雰囲気は委員会でも強かったわけでありますが、はたして日本でこれが現実に妥当するものなりやということに関しましては、御指摘のように、もう少し慎重に考えてみなければいけない問題があろうかというように考えるわけでございます。  御指摘がございました、現在業界がやっております商品取引受託債務補償組合というものにつきましては、商品取引員が経営破綻をしたときに委託者がこうむる損害の補償制度で、すでに発足をいたしておるわけでございます。ただ現在のところ、まだ積み立てました額も小さく、それからこの程度の補償額で十分であろうかどうかというような問題点もまだ残しております。御指摘のように、委託者債権保全のためには、答申書に盛られた方向によるか、あるいは現在業界がやっております共同補償制度ということを拡充強化するかどちらかの方法であろうかと存ずるわけでございますが、現在のところまだどちらの方法委託者債権保全をやるべきであるかということについては、私どもとしては最終的結論を出しておりませんが、非常に重大な問題でございますから、答申書の趣旨もよく吟味しました上で至急結論を出して、法改正までにはどちらの方向でやるかという結論を出して法改正に臨みたいというように考えております。
  32. 中村重光

    中村(重)小委員 そうしてください。そうしなければ、お客さんから預かった金を玉を建てませんからね。これはたいへんな問題なんですよ。こういうことを放置しておったんではね。だから、あなた方はもう形式主義に流れちゃいかぬということです。六〇を八〇にしよう、幾らにしようなんで、そんなことをすればするほど、今度お客さんから預かった金を半分しか玉を建てぬようになってしまうんだから。銭がないものだからついそういうことになるんですよ。よくないことなんだけれども。だから、ほんとうにメスを入れる場合、もう根本的に問題の解決になるようなメスを入れていかなければ、これじゃ話にならぬということを申し上げておきます。  それから、最近における商品取引員の状況はどういうことですか。
  33. 森口八郎

    森口政府委員 最近の商品取引所取引員の経営状況は、結論的に申し上げますと、著しく改善をしておるというのが私どもの結論であります。具体的に申しますと、直近の決算によりますと、委託手数料収入の合計が六百三十四億に達しております。また受託業務の収支率平均は一二八%ということで、結局二八%分が余剰を生じておるということでございますし、利益金を計上しております取引員が五十五社、損失を計上しておる取引員が三社ということでございますので、特に昭和四十五年と比較いたしますと、四十五年は、四十三社のうち損失を計上したものが十三社ということでございますので、それだけ経営の安定化が進んでおるというように考えております。なお、申し上げましたものは、通産省農林省、両方の共管会社五十八社について調べた数字でございます。
  34. 中村重光

    中村(重)小委員 そうすると取引員の実数とシェアの実情はどういうことですか。二百三十社ぐらいあるんでしょう。二百三十社の中で、一位から百位までで九四%程度ですね。百三十社で六%でしょう、わずかに。変則でしょう、こういうことは。これはそのまま放置されているわけですね。だから数字をお答えいただいてからその問題点指摘しようと思ったんだけれども、もう時間の関係もありますから私から触れた。これはどうしようと考えますか。このままでいいとお考えになっていらっしゃるか、これはよくないと、そうお考えになるならば、これからどうしていこうとされるか。
  35. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 取引員の実数それからシェアにつきましては、ただいま先生から御指摘のとおりでございます。したがって、問題点としましては、上位の取引員と下位の取引員との間の格差が非常に大きい、特に下位の取引員になりますと経営的にもなかなか苦しい状況にあるということがいえるかと思います。これはいろいろな事情があろうかと思いますけれども、しかし基本としましては取り扱う商品なりあるいは営業所の数なり、そういうところからの後発性あるいは非常に零細性というものが原因をしておるというふうに考えられますので、そうした特に零細な後発的な企業につきまして新規の許可の問題あるいは営業所の問題、看板の問題等の改善をはかっていくということを考えなければならないというふうに考えておるわけでございます。  また、先ほど小委員長からお触れになりましたが、非常に零細な取引員につきまして、方向としましては、やはり統合を進めていく、そして規模を集約化していくということが必要であるということをこの答申書でも触れられておりまして、私どももそういう方向でこれから考えなければならないと思っておるわけでございます。
  36. 中村重光

    中村(重)小委員 おっしゃるとおりだと思うんですよ。答申指摘も、整理統合、経理能力を高めていくというような方向のようでございますね。そうなってくるとシートの問題が出てくる。これは許可であるからシートの売買ということはいろいろ問題が一面あると思う。ところが整理統合をするということ、いわゆるあくまで委託者の保護のためにこれをどうするかという問題がある。シート売買をする、これが投機の対象になってはだめなんです。そういうことは絶対に許されないしかし、委託者のほうのためには整理統合もしていかなければならない、これは絶対的な問題点であろうというふうに思うわけです。その過程においてシートの売買ということではなくて、いわゆる公認の人の推薦というのか何というのか、何か知らぬけれども、委託者保護ということを根本に置いた問題の解決ということには勇敢に取り組んでいかなければならないであろうというように思います。また、答申もその点についてお考えになっていらっしゃるのではないかと思うのですが、そこらあたりはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  37. 近藤止文

    近藤参考人 取引員の整理統合の問題につきましては、答申では抽象的に、整理統合してそのレベルを上げるということをいっておるだけでございますが、内容的には、いま御指摘のようなことを委員各位等議論をした上でこういった抽象的な表現になっておりますが、表現をしておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  38. 中村重光

    中村(重)小委員 それからこれも答申の中にはいまちょっと見落としたわけですが、意見としてずいぶん出たように伝えられているのです。支店、営業所、それから看板の点について、これは整理統合、経理能力を強めるというような点等々から検討しているように伝えられているのですが、これは今後どのように進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか。
  39. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 御質問、何点か含まれております  まず新規の許可の問題でございますが、これはすでに先生からもかつて御指摘をいただいた問題でございますけれども、現在、各取引所におきまして商品取引員の定員数が定められております。ところが、昭和四十三年に法律改正が行なわれて昭和四十六年に許可制がスタートしたわけでございますが、それ以後、ずっと不拡大主義をとりまして、実際の定員数とそれから定員数との間に相当なあきが出ております。そのあきを埋めないままに現在まで過当投機防止というようなことも考えまして不拡大を続けてまいっておりますが、先ほどから御指摘のような問題点もございますし、やはりこの商品取引員につきましても健全な経営を進めていく意味からいいますと、複数の商品を扱えるというような形に持っていく必要性もございますので、この点につきましては定員数の範囲の中でこれを埋めていくという方向で新規許可を考えたいというように考えております。その新規許可を行ないます場合に、どのような基準に基づいてこれを許可していくかという点につき、関係取引所において取引員意見も参考にしながらその基準を定めてもらいたい、その原案をつくってもらいたいということを現在指示済みでございまして、その意見が出てまいりました段階におきまして私どもも早急に結論を出してまいりたいと思います。  それから次に、営業所の問題でございますが、営業所の問題は、これもやはり先ほど御指摘ございましたように、後発的な、特に零細な営業所を持たない、あるいは持っておっても一カ所とか二カ所しか持たないような非常に零細な取引員があるわけでございますけれども、こういうものにつきましてもある程度営業基盤を確保するためには営業所の新増設というものも認めていく方向で考えるべきではないかということで、これも先ほどと同じように、これについての基準を現在関係業界において協議をしてもらっておるという段階でございます。  それから看板の問題でございますが、看板につきましては、特に片看板の問題が委託者保護との関係において問題になろうかと思います。四十七年の九月にこの片看板調整を目的にいたしまして看板調整の要領というものを定めまして、それに基づいて現在まで実施をいたしております。現在までのところ、この制度を利用いたしました数は大体六十社になっておりまして、営業所を全然持たない取引員を別にいたしまして、営業所を持っておる取引員の中の大体四五%の企業の方がこれを利用された。看板の新規の設置につきましても三百をこえるという状況になりまして、大体看板の一割くらいが移動いたしまして、これによって片看板の是正がかなり進みつつあるわけでございます。なお、この方向を一そう営業所の合理化なり集約化とあわせ考えながら進めていきますとともに、特に非常に規模の小さい取引員につきまして、片看板是正をさらに進めていく上においてどのような要望があるかという点につきましても、先ほどと同じように業界の要望は聴取をしているという段階でございまして、その方向に進めていきたいと考えております。
  40. 中村重光

    中村(重)小委員 支店とか営業所、これは同じなんだけれども、看板の問題にしても、あまりじゃんじゃんじゃんじゃんこれを許可するということになってくると、過当競争ということになって共倒れということになる面が一面ある。もう一面は、あまりにも窮屈にし過ぎているために投機の対象になるということですが、問題は、これをどう扱っていくかということですよ。いま言われるように、小さい、看板が一つか二つしかない店だってあるんでしょう。砂糖なら砂糖だけやっているけれども、砂糖が取引停止になってしまったら開店休業でしょう。外務員は入れた、その他の従業員も置いている。これはどうすることもできないわけでしょう。委託者との関係はまだ残っている。債権債務の関係がまだ残っている。つぶれてしまったら、委託者に対する損害を与えていくという問題がある。だから、ともかく過当競争というような形になることは避けなければならないけれども、あまり窮屈にして投機の対象にするということは避けるということでやはり問題の解決をはかっていかなければならない。片看板の問題にいたしましても、両角さんが企業局長のとき、片看板の問題が一番紛議の対象になっているんだという。外務員でもそうでしょう。本社の外務員が営業所のほうに行くときには、もう登録をあげてしまわなければいかぬでしょう。もう取り消しでしょう。そうして営業所に行ったとき、また登録を受けなければならぬでしょう。そうしてその外務員がまた本店に戻ってきたときには、あらためてまた申請をしなければならないでしょう。そのために一カ月以上期間がかかるでしょう。私は、実に知恵のないやり方をするものだなあと思う。もう少し合理的にやれぬのかなあという感じがしてならないですね。片看板の問題が解決をしたら、それはいける。しかし片看板の問題も、オールそれを認めていくということが過当競争につながらぬのかどうかという点も――これはあなた方専門家だから、能力のある審議官、それからベテランの荒尾両課長がやっているんだから、ここらあたりはもう少しよく研究してみませんか。そうして弊害をかもし出さぬようにしていく必要がある。外務員の問題も、これは証券の外務員と違うですね。考えてもごらんなさい。いまは、お客さんが店頭に来た場合、あるいは電話をかけてきた場合研修生はかってに受託できるんでしょう。登録を受けておらない。登録なんて要らない。人数の制限もないですよ。電話で受ける場合、お客さんが店頭に来た場合は、さあもうどんどんだれでもできるでしょう。しかしながら、外で受託業務はできないでしょう。だからこれは数の制限というものもある。しかし、これは証券会社は認められている。ここいらにもいろいろ問題がある。それから今度は外務員の数を、あなた方のほうでは百なら百というものをおきめになっていらっしゃいますね。欠員が出る。欠員が出たならば、いまはその出たときの数字の三五%でふやしていこうとしてやっていらっしゃるのでしょう。それがはたして合理的であろうか。定員をおきめになったらば定員のところまでは認めてやるということにしたらばどういう弊害があるのであろうか。そうなさらぬから悪質な外務員だってやめさせるわけにいかないでしょう。無理して置いておかなければ、その実績によって次に三五%と、こうなるわけだから。だから百人なら百人という数字は、一種の基準にすぎないという形になっているのですね。そういう複雑なことをやらなければいけないのだろうか。そこらあたりも、もう少し合理的にやってよさそうなものではないだろうか。定員をきめたら、あなたのほうは百まではよろしいですよ。そしてふやす場合はケース・バイ・ケースで、経理能力もない質の悪い業者に対しては外務員をふやすのを押えていく。ほんとうに経理能力もあるし、またりっぱに委託者の保護もして紛議を起こさないようないい業務成績をあげるものに対しては、その点についてはケース・バイ・ケースでふやす率についてもまた考えていくというようなことをおやりにならないものだから、いつまでたっても業者の姿勢が改まらない。だいぶ紛議が少なくなったから改まっているんだろうと思うんですけれども、外務員なんかの姿勢も幾らかよくなったんでしょうけれども、問題はそこらあたりにある。  もう一つ外務員の待遇の問題をお考えにならなければいけません。いまのように歩合制でばかりやっておったんじゃ話にならぬじゃありませんか。だから、どうしてもお客さんを無理してとらなければならない。だから不当勧誘というようなことをやらざるを得ぬ。働く人たちの身分を少し考えてやる。これを固定給中心に変えさせる。業者はきらいでしょうけれども、お客さんが一番大事なんだから、委託者の保護というものをしていかなければならないんだから、そこに基準を置いてそういう制度もやる。だから業者は、ともかく正すところはどこまでも正す。しかし、あまりにも過重な負担の要求をしたり、無理じいをするということになってくると、それは勢い委託者のほうに影響が出てきて、委託者の利益をそこなうという結果になってくる。そこいらを十分勘案して外務員制度のあり方というようなこともこの際考えていく必要があるのじゃないかというように思います。いろいろ申し上げましたが、ひとつお答えをいただければと思います。
  41. 森口八郎

    森口政府委員 いろいろ伺いましたが、全くおっしゃるとおりでございます。私どももやはり過当競争の防止という点に非常に力を置いておりまして、そのために、いろいろ制度が硬直化して運用が弾力的でなかったという点は、実情を調べて、これを実情に合うように変えていかなければいけないというように思います。  ただ、やはり先生もおっしゃいますように、委託者保護ということは非常に大きな問題でございますから、当然これを害しない範囲内において考えていきたいというように考えております。  御指摘外務員の数の問題でございますが、これは実は外務員基準数を割っておる場合は、一人減れば当然一人ふやすことができるわけであります。先生が御指摘になりました退職者が二人おらぬと一人しかふやすことができないという場合は、基準数が一〇〇%と基準数の一一〇%以下の場合、基準数以上になっておるけれども、現在の定員が一一〇から七五の間までという場合でございます。  それからもう一つ外務員の基本的な数の規制の問題といたしましては、全体的にリーズナブルな範囲内でふやすということで、基準数の三五%までは、十五人のいずれか多い数の範囲内、または基準数の二十五または十人のいずれか多い数の範囲内ということで、基本的には数の増加をそれによって防いでいるということでございます。したがいまして、問題は、基準数の七五%とそれから一一〇%の間にある場合、ないしはもっと厳格に申しますと、基準数の七五%以上一〇〇%未満の場合に、先生のおっしゃいましたような問題点が生ずるかと思いますので、この点についてはさらに実情を調べて実情に合うように考え直してみたいと思います。
  42. 中村重光

    中村(重)小委員 もう時間がありませんからやめますけれども、若干いまの答弁は違っておる点があるような感じがいたしますが、それはまあ蒸し返しで、あまり複雑過ぎるということです。そう複雑になさらぬで、もっと簡潔にわかるように政治でも行政でもわかる、これは通産省が直接おやりになるんじゃないんで、全商運かどこかでルールをおつくりになってそこでやっているんですからといえばそれまでの話なんだけれども、しかし全商連だってあなたのほうの意向を伺わずしてやるはずはないわけなんだから、ともかく全商連がやるんだとおっしゃるならば、もっと指導性を発揮してわかりやすくひとつやってもらいたいあまりむずかしくすると、そこからああしよう、こうしようと悪知恵が働いて、ろくなことはせぬ。だから、そういう悪知恵を働かさなくったっていいようにやってもらいたいということですね。そうしないと、何回も口すっぱく申し上げましたように、委託者の利益をそこなう結果になる。ひいてはこれが商品取引所の――私どもが政権をとったら、いまのような取引所のあり方ならば必要ないだろうと実は思っておりますが、自民党政権の中でも、いまのようなやり方だったら足を引っぱられますよ。ですから、もっと公正な価格形成というものがなされる、そしてやはり取引所は必要であるということを何人も認める体制、そういうことでなければだめだということを私は申し上げておきたいと思います。  向かい玉の問題やらいろいろお尋ねしたいことがありますけれども、またいずれ適当な機会に、ちょいちょい小委員会を開けばこれはできるわけですから、同僚委員もいることでありますから、きょうはこの程度で、また次の機会にお尋ねしたいと思います。
  43. 武藤嘉文

  44. 神崎敏雄

    神崎委員 近藤さんには御苦労さまでございます。  私は三点についてお伺いをいたしますが、各質問項目については、ときによっては参考人の方、あるいは政府と関連のあるものは両方からお答え願ったらけっこうだと思います。  まず第一は、上場商品法定主義を改めて上場廃止、これの手続の簡素化、これについて、第二点は、取引所のあり方に関して、第三点は総体的な問題について、このように三つの柱にいたしまして、まず第一の上場商品法定主義を改めて、上場廃止手続の簡素化についてお伺いします。  まず第一点は、当初上場商品を法定化した趣旨はどういうものであったのか。  第二点は、国際商品上場とは具体的にどういうものを考えておられるのか。  第三点は、上場商品を廃止する際、どういう影響が考えられるのか、その際、どんな配慮をすべきだと考えておられるのか。  この三点についてまず御両所からお伺いしたいと思います。
  45. 近藤止文

    近藤参考人 私から答申の趣旨に沿いまして、ただいまの御質問についてお答え申し上げまして、なお足りないところは役所のほうから補足していただくようにしたいと思います。  第一点の、一番最初に法定主義をとりましたいきさつにつきましては、実は昭和二十五年にこの法律ができたのでございますが、当時私はたまま通産省に奉職いたしておりました。繊維局のほうをやっておりましたのでございますが、やはり当時考えられました商品取引所と申しますのは、どちらかと申しますと戦前の形に戻るのだというような考え方がございまして、したがって、まず三品、つまり綿花、綿糸、綿布、それに人絹糸のようなものもついて回っておりますけれども、主として三品。それから農林関係では、いずれは米穀のようなものが考えられないか、そういうことで考えていきました場合には、その当時の情勢では非常に日本の経済、産業に重大な影響がございましたのと、それからやはり当時はできるだけ法律によってすべて規制していくというふうな趣旨がございましたので、大体法定主義ということで列挙されたようなことがあったと思うのでございますが、これはただ私が小委員長として申し上げるのではなしに、たまたまその当時おりましたときの、立法当時の印象を申し上げたわけでございますから、これはなお役所のほうから補足して説明していただいたらどうかと思います。  それから、第二番目の国際的な商品という問題について考えられましたのは、実は現在上場されております商品は、どっちかと申しますと非常に中途半ぱなものが多いわけでございます。特に三品のようなものは最初から考えましたのとたいへん違いまして、現にもう綿花は上場されておりません。綿布もされておりませんし、それから綿糸につきましても非常にわずかなものになっている。四〇だけがわずかに取引がある。しかし、たまたま適当投機の対象になったりいたしますけれどもそういうような情勢の変化があるわけでございます。むしろ国際商品といたしましては、いわゆる鉱物資源、銅地金のようなもの、あるいは今度は食糧関係にいたしましても、大きく日本が外国に相当輸出もいたしておりますが、穀物類についても、何と申しますか、主食に近くなるようなものでございますね、そういうふうなもの、それ以外に具体的に言うならば、羊毛の場合には、先ほど申しましたように、毛糸でなしに羊毛トップというイギリスにおいても上場されておりますし、オーストラリアとも連携できるというようなものについて考えていったらどうかというふうな議論が出まして、いままでのような上場商品だけではいけない、やはり国際的な関係から見た主要商品価格の安定ということを考えるべきだ、こういう趣旨でございました。  それから、第三番目の、こういったことで取引所の整理統合をいたしますような場合には、そこに従業員の問題、それから商品取引所自体の廃止によりまして生ずる理事者その他の影響、産地における問題等ございますので、これらの問題は非常にむずかしい問題でございますために、実は従来整理統合が非常におくれておった、進まないということじゃないかと思うのでございます。したがって、そういった従業員の転職の問題あるいは当業者、いわゆる当該取引員の他の取引所への吸収の問題、こういったことを十分考慮した上で役所のほうとしてはやってほしい、こういう意見が多かったわけでございます。  以上、三点お答え申し上げました。
  46. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 私どもとしましても、ただいま近藤委員長からお答えがありましたとおりでございますが、なお若干補足させていただきますと、上場商品廃止の際の影響でございますが、現在、取引所制度が果たす機能といたしまして、先ほどからお話ございましたように、価格決定とそれからヘッジの問題があるわけでございます。この価格決定の仕組みは一体どういうことになるだろうか、従来商品取引所におきまして生産者あるいは流通業者あるいは需要者、そういう人たち、いわゆる当業者と、それから一般の大衆と申しますか、部外からの非常に多数の売りと買いがそこに集まることによって価格が決定されておったわけでございます。そういう仕組みがなくなっていくと一体どういう形で価格決定が今後行なわれていくかその影響というものをやはり考えなければいけないだろうと思います。たとえば供給側が非常に力が大きくて、需要側が零細なものがたくさんあるというふうな場合に、いまの取引所の仕組みがなくなるということになりますと、建値制が非常に強くなるということも考えられます。そういう影響が考えられるわけであります。それから価格変動が非常にあります物資につきましては、やはりヘッジが行なわれるわけでございますけれども、そのヘッジの仕組みがなくなってしまうわけです。そういたしますと、それにかわる危険負担をどのように分散し、保険つなぎをしていくかという問題をやはり考えなければいかぬだろう、そういう点が考えられるわけでございます。  以上補足いたします。
  47. 武藤嘉文

    武藤委員長 森口審議官、何か補足ありませんか。
  48. 森口八郎

    森口政府委員 特にございませんが、取引所は確かに価格変動が異常であるということでいろいろいわれておりますが、さてこれがなくなりますと、いま言ったように、一体ヘッジの問題をどうするか、価格指標の問題をどうするか、特に人絹糸などになりますとヘッジの問題は系列化されておりますので、この辺の問題は比較的少ないのではないかというように思いますが、建値制度生産者も少数のせいもあって、一般的でございますので、そうすると建値制度をチェックする機関がなくなるというような点についていかが考えるかというような点は非常に大きな問題であろうかというように思いますが、やはり取引所は、その現地の人が需要しますから存立するということでございますので、現地側の需要を第一にして取引所をどういうふうに持っていくかということを考えた上で処置をしなければいけないというように基本的には考えております。
  49. 神崎敏雄

    神崎委員 きょうは承って、いろいろこちらのほうで検討させていただいて、そしてまた次の機会の小委員会等でこちらの意見も出して、よりよきものにしていきたい、かような立場でお伺いを続けていきます。  そこで第二の柱である取引所のあり方に関してでありますが、これは四点でありますので、どうぞお控えを願いたいと思います。  まず第一は、会員資格の拡大とは具体的にはどういうケースを想定しておられるのか。  第二は、取引所員の許可期限つきにすることではたして実効があるのか、これは疑問であると思いますが、どうか。  第三は、零細業者の統合をどういうふうに促進しようとしておるのか、これに業者意見を十分に聞くのか。いま地域の問題が入りましたが、業者意見を十分に聞くのか。  四番目は、外務員の権限、いわゆる権能拡大がはたして委託者の保護に役立つのか、その根拠はどこに依拠しておるのか。  こういう四点について、またいまのようにお答え願ったらけっこうでございます。
  50. 近藤止文

    近藤参考人 実はただいま御指摘になりました事項は、答申に書いてございます事項そのままでございまして、これを具体的に実行していくということ、あるいはこの答申についての監督官庁側の批判ないしは意見、またそれを受けての実行問題、これは役所のほうから答えていただくことにしたいと思います。  第一の問題でございます会員資格を拡大すると申しますのは、小委員会といたしましては、むしろ有力な会員をできるだけふやさなければいかぬのじゃないか、それによって取引所基盤を強化する、ここがねらいでございます。先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、たとえば流通関係業者であるとか、倉庫関係業者であるとか、そういうものも一つの例としてあげておるのでございますが、これをどこまで広げて基盤強化にするかという具体的問題は役所のほうで御検討いただこう、こういう考えでございます。  それから第二番目の取引員許可の問題でございます。これを期限つきで許可をするという問題につきましては、実はこの前の四十二年の法律改正におきまして許可制にいたしました。四十六年でようやくいろいろな資料を完了して許可制がしかれたわけでございますが、許可をされました後におきましての取引のあり方から見ますと、やはり許可されたという権利の上に眠っておるというか、あぐらをかいておるという弊害がだいぶあるようで、これについてはある時点を切ってレビューすべきであるという意見が全会一致でございましたので、こういった答申になっておるわけでございます。ただ、これについての影響その他どう考えるかという具体的な行政官庁の意見というのはこの席で別に役所のほうからお答えをいただきたい、かように思います。  それから三番目の零細業者の整理統合の問題について業者意見を聞く、こういう問題でございますが、これはもう当然そういった方々意見を聞いた上で一つ経済レベルに達するような整理統合をすべきだという圧倒的な実は意見でございましたので、零細業者について整理統合するという答申の表現にいたしたわけでございます。  それから最後に外務員の権限の問題でございますが、これは無権限の者が勧誘に行って、団地あたりの主婦が権限があるものだと思って約束をしたら実はなかったというふうなことで、紛議のもとになることが非常に多いようでございます。先ほど中村委員から御指摘がありましたように、外務員が電話で本社へかければ資格のない者といえどもどんどんできてしまう。そうかといって、ほんとうに外務員として登録された者がよそへ行ってやった場合には契約が結べないんだ、ただ予約的なことをやってくるだけだというのでは非常に制度的に矛盾しているのではないか、外務員制度を置くか置かぬかという問題があったわけでございます。しかし、やはり外務員制度というものをはっきりさせて、場合によっては社長も外務員資格を持ったらいいというふうな意見まで出まして、そのかわり外務員には裁判上の問題を除きましては契約の権限を持たせるということにしたほうが委託者の保護のためにもなるのじゃないか、こういうことで外務員の権限の問題を答申に出したわけでございます。残りは役所のほうからひとつ答えてもらいたいと思います。
  51. 森口八郎

    森口政府委員 答申書におきましても、過当投機の防止の問題で取引所について事前的な投機防止策をとるように要望しておられるところであります。やはりいろいろ取引所制度をやっておりますと、取引所自体が公正かつ強力でなければ過当投機を防止できないというような基本的問題に突き当たるわけでございます。  現在の商品取引所法によりますと、その二十三条で、「会員たる資格」といたしましては「当該取引所上場商品の売買、売買の媒介、取次ぎ若しくは代理、生産又は加工を業として営んでいる者に限る。」というように規定されております。商品取引所の性格から見まして、こういうように会員資格を限定しておるということは一理あるわけでございますが、他面から見ますと、取引所をできるだけ公正にして強力な取引所にいたしますためには、できるだけ会員資格を理由のつきます限り広めて、それによってりっぱな会員を加入せしめて、先ほど申し上げた目的を達せしめるということは、私どもも必要ではないかというように考えております。一般の金融業者まで会員資格に入れられるかどうかという点は若干私どももためらいを感ずるわけでございますが、倉庫業者あるいは輸送業者等は、会員資格の中に入れるということは考えられるのではないかというように考えております。  それから第二に、取引員資格を時限的にするという問題でございます。取引員立場の問題に関しましてはいろいろ議論のあるところでございます。やはり許可制にしてそのままにしておきますと、よほど悪い事情がない限りなかなか許可が取り消されない。そうすると、その取引員たる資格が固定化したものになる、あるいは極端な場合には売買の対象になるというような非難が往々聞かれるわけでございます。したがいまして、もう少し資格を流動的にするために時限制にすべきである、時限制にすることによって、そのときどきに見直して取引員の資質の向上をはかるべきであるという審議会答申は、まことにごもっともであるというように思うわけでございますが、ただ、時限的にいたしますと、もしかりに更新されない場合、一体その取引員にいろいろ関係しております委託者の保護というような面をどうするのかという点は、法制化いたします場合にさらにもう少し具体的に詰めてみなければいけない問題ではないかというように思っております。  それから零細業者の統合の問題でございますが、この答申を一貫して流れておりますものは、やはり取引所もできるだけ大きく強くなければいけない、できるだけ統合して大きくなって公正にふるまえるようにしなければいけないと同時に、委託者保護のために、やはり取引員もできるだけ資産を持ったりっぱなものを選ぶというのが基本姿勢であろうかと思うわけでございます。そういう意味で、零細業者は統合してできるだけ委託者保護に万全を期するというのはごもっともな答申であるわけでございますが、当然のことでございますけれども、統合にあたっては、あるいは戦争中のように強制的に統合させるということではなしに、あくまでも利害関係人あるいは全体の意見をよく聞いて矛盾のない無理のないような統合に徐々に持っていくべきであるというのが基本姿勢であります。  それから、外務員の権限拡大が委託者保護に役立つかという点でございますが、先ほど近藤委員長が述べられました点と私どもは全く同意見でありまして、審議会答申の趣旨に沿って私どもも法制化にあたって努力をしてみたいというように考えております。
  52. 神崎敏雄

    神崎委員 最後に、総体的な問題について伺いますが、これも四点にまとめておりますので、ひとつ御筆記願って具体的にお答えを願いたい。  まず第一に、取引所の改善のために税制上の助成措置、それから役員の大臣任命、これなどは政府の介入と権限を強化しているが、これは十分な監督の体制が保証されるのか。  第二に、現行取引所法の百二十条を運用した実績は今日まであったのかどうか。  第三は、すでにいま経済実態と乖離している。経済社会の中に占める位置も低い。ほんとうにどうしても必要なものなのかどうか。  第四番は、結局国家財政も投入して国の介入を強化して、大商社、大企業のこの分野への進出で立て直しをはかる、こういう背景とねらいがあるのではないか。  この四点について、いまのようにお答え願いたいと思います。
  53. 近藤止文

    近藤参考人 私のほうからお答えを申し上げる点は実はあまりたくさんございません。答申をこしらえたほうでございまして、むしろ役所のほうからお答えを願いたいと思っておるのでございます。  一番最初の税制の問題なり、役員の、と言っても理事長あたりの任命の承認の問題でございますが、取引所というものは、どうしても取引員の私物化される可能性が多いわけでございます。これをできるだけ公正な運営に持っていきたいという趣旨で、いまの役員の承認制の問題、あるいはもう一つ委託者を保護するというたてまえからの税制優遇の問題、こういうものが取り上げられておるわけでございます。これが十分いけるかどうかということでございますが、これは役所のほうからお答え願いたいと思います。  なお第二番目の問題は、私ども事情を詳しく存じませんから、役所側から答えていただきたいと思います。  それから三番目に、商品取引所というものが一体どうしても必要かどうかという根本問題だと思うのでございますが、実はこれは小委員会でも非常にいろいろな意見が出ました。ただ、この点は率直に申し上げまして、この本文にもいろいろうたっておりますように、先物市場定期市場差金決済による先物取引というものが公正な価格形成なりヘッジングということに役立つ、またそれだけの条件を備え得る商品があるならば、これが正常に機能する限りにおいてはあってよろしいのだ、また現在の経済社会においてはあってしかるべきだ、こういうことでございまして、いろいろな条件がついた上でさきの答申ができておるということを御了承願いたいと思うのでございます。  それから第四番目のお話でございますが、答申といたしましては、四番目にお話ございましたような意図的な問題は一つもございません。むしろ健全な取引所であり、取引員であるということを実現いたしませんと、いまの正常な価格形成、ヘッジングということにも影響がございますし、最も大事な委託者を保護するというたてまえからいってやはり現状はきわめて不満足であるということから出た意見書でございます。その点を御了知願いたいと思います。
  54. 森口八郎

    森口政府委員 この答申の中に税制上の助成措置云々というように一、二カ所あるわけでございますが、いずれも先ほど申し上げました取引員の合併問題、それから証券のほうでもいろいろ講じられておりますような税制措置を同時に同じ立場にあります商品取引所にも適用すべきであるという趣旨で書かれておりますので、特に御指摘のように、国がそういうために商品取引の中に介入しようという意図を持ったものではないというように私のほうは考えております。  それから、役員の任命措置でございますが、私としましては、はたして役員を任命するという措置をとったほうがいいのかどうかということについては、おっしゃいましたような問題点もございますので、実は若干まだ決断をいたしかねておる状況でございます。ただ、取引所会員資格の問題あるいは取引所の体制の問題にからみまして、取引所の役員等につきましてなあなあで選ばれておるではないか、公的な資格を持つ取引所の役員がそういうような形で選ばれるということには問題があるではないかというような批判が一部にございます。そういうような批判を受けまして、まあ商品取引所自体は委託者保護のためにいろいろ規制をいたしておるわけでございますけれども、取引自体は、取引所を中心にしていろいろ市場管理を行なうというたてまえになっておるわけでございますので、従来は自由にこの役員を選ばせるという体系の中に、そうではなしに、一応取引所で選ばせるのだけれども、これを主務大臣がスクリーンしたらどうだというような意味で役員の任命というようなお話が出てきたのであろうかというように思うわけでございます。その限りにおきまして、答申のおっしゃいます趣旨もわからないではないわけでございますが、神崎委員指摘のような考え方もございますので、本件についてはさらに私どもは慎重に考えてみたいというように思っております。  それから商品取引所法百二十条を動かした実績があるのかどうかということでございますが、百二十条を用いました実績といたしましては、四十七年度八十六件、四十八年度七十九件ございます。ただ、百二十条は一項の場合と二項の場合と両方ございます。私どもがいま申し上げました検査実績は大部分二項にかかわるものでございまして、一項にかかわるものは特殊な場合にやった実績がございますけれども、件数としては非常に少のうございます。ただ、やったのかやらないのかという御質問に対しましては、一項も動かして、会員のほうに立ち入り検査をした実績はあるわけでございます。  それから第三項の、取引所は必要かという件に関しましては、産構審の答申のほうにるる「現行制度意義と評価」ということで述べておられますが、私どもは全く同じ見解でございまして、こういうような意味合い上取引所は必要であろうというように考えております。すなわち公正な価格の決定、価格の平準化作用、あるいはヘッジ作用というような機能取引所は持っておりますのでそういう機能は、現在の社会においては有用性を失っておらないというように私のほうは考えております。  それから第四点に、国の介入を強化して大商社へのてこ入れ等をしようとするのではないかというような御質問がございましたけれども、そういうような趣旨はこの答申書の中にも全然入っておらないというように私ども考えておりますし、私どもも、この答申書を受けて立法化いたしますときに、そういうような趣旨は毛頭入れないつもりであります。ただ、委託者保護のために必要最小限度の介入の強化ということは、これはやむを得ないかというように考えておりますので、その程度現行法以上の国の介入の強化ということは十分あり得るかというように考えております。
  55. 神崎敏雄

    神崎委員 途中に申しましたように、いろいろお答え、御説明聞いている中で、私どもが考えておりますことともまた対置するような見解もございますが、先ほど申しましたように、これらは後日あらためていろいろ意見を申し上げ、よりよきものにして、まあ基本的には利用者保護あるいは一般的にも納得、了解のできるような改善の方向へ持っていくということについて、われわれも積極的な意見をその際申し上げたいということをつけ加えて、今日のお尋ねはこれで終わります。
  56. 武藤嘉文

  57. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この商品取引の問題は、国会でも非常に大きな論議を呼びまして、今回の答申案につきましては非常に注目をされておったわけであります。この中身をずっと見ますと、非常に全般的に的確にとらえておられるように私は思うわけであります。しかし、非常に抽象的であるということ、それから非常に表現も簡潔過ぎるというきらいもあるんじゃないか、もう少し具体的な指摘が必要ではなかったかな、このように思うわけですが、これについて近藤さんはどのようにお考えになりますか。
  58. 近藤止文

    近藤参考人 ただいまの御指摘でございますがやはり小委員会立場から申しますと、御指摘のように、具体的な問題をずばりと答申の中に出しますと、実は農林大臣なり通産大臣行政権の問題、それからあくまでも小委員会答申というのは役所の諮問に対しまして答えておることではございますけれども、やはり商品取引所行政というものは、先ほどからもお話がございましたように、非常に具体的な問題の運用につきましていろいろな問題が多いというふうに思われるわけでございまして、したがって、相当数の委員が集まりましてこしらえます答申というものは、私どももいささか抽象的なものに流れておるというふうには考えておるのでございますが、そうかと申しまして、やはり一人反対の意見のあるような場合にそれを押してやるというわけにまいりませんし、この程度答申になったということでございます。なお、これを受けて役所側でただいま御指摘のような具体的な行政措置をやっていただくということを期待して、この程度答申だというふうに御理解いただきたいと思います。
  59. 近江巳記夫

    ○近江小委員 いろいろ事情があったと思うのですが、この答申におきましては、商品取引所そのものにつきまして「正常に機能する限りにおいては、自由主義経済に必要欠くべからざるものとして、その存在意義を有する」というように評価されておられるわけです。  そこで、この現状は正常に機能しておるとお考えになっていらっしゃるかどうか、それが一つと、かりにこの答申指摘されておられる問題点が改善されないならば、どういうように対処すべきであるとお考えになっておられるか、こういう問題が審議の過程で、そこまでの論議があったかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  60. 近藤止文

    近藤参考人 これは答申に盛ってございますように、現状は正常には機能されておらない、したがって次のような事項についての改革をすべきである、こういうような答申になっておるわけでございます。相当くだくだと答申の中には出ておりますが、これらのものをぜひ実施しないと、正常な機能の発揮がむずかしいんじゃないか、こういうことでございまして、しからば正常に機能しない場合に、商品取引所というものをどう考えるんだという御質問でございますが、これは実は正常に機能する限り必要なんだ、正常に機能するようにするためにはこういうことを改善せよ、こういっておりますので、その裏のほうにつきましては、実は触れておらないわけでございます。
  61. 近江巳記夫

    ○近江小委員 近藤さんからは正常に機能してないというお話があったわけです。そして、こういう点を改善しなさいという答申なんです。それで政府のほうではその点はどのように考えておられるか、またこれは改善できない場合はどうするかということを両省からひとつお伺いしたいと思います。
  62. 森口八郎

    森口政府委員 現行取引所のあり方あるいは作用等についていろいろ問題点があることは小委員長が言われましたとおりであります。私どももやはり御答申を受けまして、指摘された問題点につきまして法律改正を要すべき点はできるだけ早い機会に法律改正をいたします。法律改正を要せずして実施に移せますものにつきましては、これは関係者の間の意見もよく聞きまして、できるだけ詰め、できるだけ取引所が正常に機能するように努力をしてみたいというように考えております。  正常に機能しない場合はどうするかという御質問でございますが、行政立場としては、正常に機能するように全力を傾けますという御答弁をいたすのが筋かと存じます。
  63. 岩野陽一

    ○岩野説明員 農林省といたしましても、先ほど森口審議官がおっしゃったとおり、正常に機能を果たすべく最善の努力をいたしたいということでございます。  昨年以来市場管理の問題として物価高騰というふうな中に取引所の問題というのがいろいろありまして、その過程におきましても、取引所としては、先ほど近藤委員長から御指摘になりました多少後手後手に回るというきらいはございましたが、やはり全力を傾けて市場管理に万全を期するというような努力を傾注いたしてきました。また先ほど来御議論がございました委託者との問題につきましても、そういう点についていろいろ努力をやってまいっております。ただ、そういう努力をやってきておるのでございますが、委託者とのトラブルというものが皆無になるというようにはまだまだいかない状態でございます。今後ともそういう努力は傾けてまいらなければならないと思います。  なお、制度的に問題がある点につきましては、これは改正をするということであります。運営の面で解決できる問題については、通産当局と十分連絡をとりながら措置をしてまいりたいと思います。
  64. 近江巳記夫

    ○近江小委員 答申は、現在の制度及び運用の問題点としまして、上場する意義が低下した商品上場されておること、定期市場に対する不信感があって、新規上場商品を欠いておるということを指摘されておられるわけでございますが、この意義の低下した上場商品というのは具体的に何をおっしゃっておるかということと、市場に対する不信感の寄って来たる理由、その実情を具体的にどういうように把握しておられるかということにつきまして近藤さんにお伺いしたいと思います。
  65. 近藤止文

    近藤参考人 実は上場品目意義を失っておるものという中で、いろいろ見解がまだはっきりいたしておらないものがございます。はっきりしておりますのは人絹糸、これは意義がないじゃないか、これだけは意見が全部合っておるわけでございます。それ以外のものにつきましては、最終的には行政官庁で判断をしてもらうという考え方でおるわけでございます。  それからなお、いまの信頼感の問題等でございますが、これらはやはり現実に先ほどから話が出ておりますように、取引所というもののいわゆる信用基盤の確立、取引員信用の向上、この二つができない限りにおいては商品取引所というものがやはりどこまでも紛議の巣であるという意味の不信感がなかなかぬぐい去れない、こういうふうに考えられまして、答申案としていろいろな案を示唆したわけでございます。
  66. 近江巳記夫

    ○近江小委員 審議会では一致したということをおっしゃっておるわけですが、当然そこには働く人がいるわけですね。これはその本人また家族にとって非常に重大な問題であります。そういう救済等の問題も考えなければならぬ非常に重大な問題であります。そういうことについては、政府としては、これがもしも実施に移される場合はどういうように配慮しておりますか。
  67. 森口八郎

    森口政府委員 具体的に申し上げて、若干差しさわりがあるわけでございますが、やはり小委員長の御指摘のように人絹の取引所が問題になるわけでございます。そうすると、やはり問題になりますのは福井の人絹の取引所であります。現在、福井の人絹取引所は、一応の場はとられておりますけれども、取引枚数はほとんどないというのが現状でございます。こういうような状況が数カ月続いてまいりまして、現在では、雇ってきた従業員は一応全員退職金を支給した上、退職いたしまして、現在の場立ちに必要な最低限の人員を残すのみというような状況になっております。したがいまして、福井の取引所をかりに閉鎖いたしましても従業員の問題はほとんどないのではないかというように私のほうは考えております。ただ、先ほど来話が出ておりますように、福井の人絹取引所にはそこの専属取引員がおるわけでございまして、人絹取引所が閉鎖になりました場合に、専属取引員を一体どういうふうに扱うかというような問題は非常に大きな問題でありまして、やはり取引員の身が立つような方法を私どもとしては考えておるわけでございまして、そういうようなめどが立ち、かつ地元のほうで取引所を閉鎖してもよろしいというような合意ができますれば、そういうことを前提にいたしまして福井の人絹取引所は廃止するというような運びになろうかというように思っております。いま申しましたように、取引員等の扱いにつきましては、私どもも十分配慮をした上、処理をいたす所存であります。
  68. 近江巳記夫

    ○近江小委員 そういう影響というものは非常に大きいわけでありますから、やはり社会的な影響ということがあるわけでありますので、政府におかれましては十分措置をする必要があると思います。  それから商品取引員営業姿勢財務内容の改善の問題等も非常に重大な問題であると思うわけですが、そういう意味で、許可基準の引き上げ、あるいは許可期限を付して見直しを行なうということも先ほどおっしゃったわけでありますが、そのうち法定純資産額の引き上げ、取引員の形態別の資産要件の格差、零細業者の統合等については具体的にどういうようにお考えになっておられるか。それからなおダミー、向かい玉の実態はどうなっておられるか、そういう問題に対する規制の内容等についてはどういうようにお考えであるか。これはひとつ近藤さん、そして両省からお伺いしたいと思います。
  69. 近藤止文

    近藤参考人 これは役所側のほうから主としてお答えをいただくほうがよろしいかと存ずるのでございますが、私のほうは、答申に書いてございますとおりに、やはり取引員というものの資質を向上し、その財務内容をよくする。具体的にそれをどの程度にするかということについては役所のほうが長年経験をしておりますので、その方面で合理的な基準を出してもらいたい、かように存じておるわけでございます。  許可期限問題等につきましても、これから役所側で十分検討されて具体案をつくっていただきたい、かように存じております。  それから第二番目の問題につきましては、むしろ役所側のほうからお答えをいただいたほうがよろしいかと思います。
  70. 荒尾保一

    ○荒尾説明員 第一番目の現在の法定純資産額の問題でございますが、これは各商品によって相当相違がございまして、最低のもので七百万円、それから高いものになりますと二千万円というような金額が法定純資産額の最低限度として定まっておるわけでございますが、現在の取引の状況はかなり売買高等もふえておりますし、そういう状況から見まして、委託者から受託を受けるにふさわしい純資産内容として、いま申しましたよう金額が過少であるという点については、この答申指摘をされておられますとおり、私どもも考えておるわけでございます。ただ、これをどの金額まで引き上げるかという点につきましては、先生の御質問の中でお触れになりましたように、取引員の形態に応じて純資産額についてもある程度格差を設けていくべきである。これは大衆委託者から主として委託を受けるような取引員の場合、あるいは当業者から委託を受けるような場合とかで格差を考えてはどうかという御趣旨でございますがこの問題とも関連をいたしますので、この次の法律改正と関連をいたしまして、具体的な金額を算定をしようという段階でございまして、私どもとしては、まだ現在の段階で幾らに引き上げるというところまで案を固めていないという状況でございます。  それから第二点の自己玉の規制の現況でございますが、現在におきましては、自己玉はその取引員が受託をしております総建玉の一〇%、または各限月につき百枚のいずれかを上限といたしまして、それ以上に自己玉を建ててはいけないということにいたしております。この趣旨は、大衆委託者に対して向かい玉を打つことになるということを防ごうということと、それからやはり自己玉ということになりますと、手張りでございますのでそのリスクが非常に大きくて、それによって取引員の資産内容を悪くし、委託者財産につきまして危惧を持たせてはいけないということからこのような規制を続けておるわけでございます。答申におきましても、この制限を継続すべきである、厳格に制限すべきであるということが触れられておりますので、私どもとしましても、こうした規制を今後とも行なう必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  71. 岩野陽一

    ○岩野説明員 財務基準でございますが、現在、生糸、アズキ等につきましては最高の二千万円、こういうことに純資産はなっております。この最高の二千万円をもってしましても、お客さまから委託を受けるという取引員としてはやはり低過ぎるのではないか、こういうような御意見が産構審の中でも出ていたわけでございます。取引員はいろいろな形態がございまして、非常に大ぜいの大衆の方から受託を受ける、こういうようなタイプのもの、あるいは当業者的な方からも玉を受けるというようなこと、あまり積極的によそから、一般大衆から受けないというようないろいろなタイプがございます。そういうタイプによっても非常に違います。店の形態としても外務員といいますか、職員を非常に多くかかえておる店と、非常に小ぢんまりして、ほんのわずかな外務員で店を維持していっている、こういうようなタイプの店もございます。一がいにどれぐらいが最適であるかこういう点についてはなかなかきめにくい問題もございまして、私どもはやはりそういう当業者的な、比較的、外務員をあまりかかえていない取引員でももう少し上げるべきではないかというふうに考えております。また、具体的にどれぐらいというような点につきましては、まだ検討をいたしている段階でございます。  それから向かい玉につきましては、先ほど荒尾課長から御答弁がありましたとおり、やはり自己玉でございますが、自己玉の効用と申しますか、そういう面がやはりあるわけでございますが、これが悪用されますと、お客さん、委託者にやはり向かっていくというような形がどうしても見られがちだというような点がございますし、また自己玉による思惑違いで店の財務を悪くしているというケースもかなりあるわけでございます。やはりこれらは今後ともある程度の限度を持った秩序の中でやっていかなければならぬのではないかというふうに考えております。そういう自己玉を規制しますと、そういうものをもぐるというふうな形で、いわゆるダミーといいますか、関連企業が会社の自己玉の肩がわりをする、こういうような点がわれわれの立ち入り検査等でも見られがちであります。これがほんとうの取引員たる会社と、そのダミー会社と目されるものとの関連についてはなかなか把握しにくい面があるわけでございますが、立ち入り検査等でわかる範囲内におきましてはそういう点についてもチェックをいたしておるわけでございます。
  72. 近江巳記夫

    ○近江小委員 商品知識に乏しい大衆参加ということがしばしばいろいろな問題を起こしておるということがいわれておるわけであります。そういう点からいきまして、こういう外務員制度のかわりに商品取引所の正式の社員に行なわせるということが必要じゃないか、こういう議論があるようなことも聞いておるわけでありますが、審議の過程でこういう論議はなかったのかどうか、近藤さんにお伺いしたいと思います。
  73. 近藤止文

    近藤参考人 この意見はございまして、いわゆる取引員がたばこ屋主義でいったらどうか、つまり買いに来る方に売る、外務員という制度をやめたらどうかという意見もございましたが、それはむしろ現実に即さない、やはり外務員としてはっきりした知識、経験、資格を持った者を充てて、そしてそれが取引を、お客さんを勧誘する、こういうことにしなければならぬ、こういうことに意見がはっきりいたしましたものですから、こういう答申になりましたわけであります。
  74. 近江巳記夫

    ○近江小委員 そうであれば、答申にも出ておりますけれども、やはりそういう外務員に対する指導というものはよほどきちっとやっていかないと事故はふえる一方だと思うのです。その点、両省はいろいろと指導はされておると思いますが、やはり現場という点からいきますとまだまだゆるい点もあろうかと思います。ですから、やはりこういう点はもっときちっとした指導が徹底するようにやっていくべきであろうと思うのです。これについて、時間がありませんから簡単に両省からお答え願います。
  75. 森口八郎

    森口政府委員 現在全商連が中心になりまして外務員の研修等を行なっておりますが、御指摘の点はまことに同感でございまして、さらにこの研修制度を強化して外務員の資質を向上させる必要があろうかというふうに考えておりますので、そういう方向で今後はやっていきたいというふうに考えております。
  76. 岩野陽一

    ○岩野説明員 外務員の資質の向上につきましては、全商連あるいは取引所を通じまして研修等でその資質の向上をはかっておるわけであります。それと同時に、やはり検査等を通じまして取引員の特に外務活動によるトラブルというようなものについてはやはり厳重に処分をしていく、それと同時に、やはり外務員活動を通じてのトラブルについては、外務員のワクの制限とか、あるいはそういうような規制措置等を業界自体でも考えておりますので、そういうこともあわせて資質の向上に役立たせていきたいというふうに考えております。
  77. 近江巳記夫

    ○近江小委員 先ほどの外務員の問題ですが、これはやめるべきであるという私の意見ではないわけですよ。こういう話も出ておるということですので、そういうことで、そういう行き過ぎ等の問題については十分ひとつ指導していただきたいということをつけ加えておきます。  それから委託者債権保全につきまして、答申案は受託業務保証金制度委託者債権の区分経理では十分ではなく、完全分離保管のための具体的方策について早急に検討、実施すべきであるということをおっしゃっておられるわけですが、この審議の過程で論議された内容というものはどういうものでありますか。
  78. 近藤止文

    近藤参考人 現在の制度が先ほどおっしゃったような受託業務保証金その他でございますが、具体的に倒産等が起こりました場合に十分にこれが保護できなかった例があるわけでございます。したがいまして、やはり委託者を保護するためには、完全に委託者債権を分離保管して、しかもそれは前月末云々というようなことではなしに、毎日具体的に委託者債権というものははっきりさせて、それを分離して保管するという制度を早急に実行しなければいかぬ。しかしこの実施には相当いろいろむずかしい問題もございます。これは早急に監督官庁のほうでこれをやるんだという方向のもとに早急な検討を進めてもらいたいということでみな意見が一致いたしました。
  79. 近江巳記夫

    ○近江小委員 もう時間がありませんからこれで終わりたいと思いますが、商品取引所行政の一元化につきましては将来の問題として指摘されておられるわけでありますが、具体的にどういう形を予想されておられるか、両省はどのように考えるか、それをお聞きしたいと思います。
  80. 近藤止文

    近藤参考人 どこの役所で一本化すべきかということまで実は立ち入った議論はいたしませんでした。ただ、一本化すべきである、しかし、実際問題として農林、通産両省がそれぞれ物資を所管しておりますので、現状行政機構というものをそう簡単に一本化することはなかなかむずかしかろう、しかしなるべく早く一本化してほしい、こういうことでございまして、こういう問題を投げかけて、行政官庁のほうで善処してほしい、こういうことでございます。
  81. 森口八郎

    森口政府委員 おっしゃるように、同じような商品取引所をやっておるわけでございますから、やはり一元化をしたほうが論理的にはいいという点があるということはごもっともな意見かと私どもも思うわけでございます。ただ、他面から考えますと、商品取引所商品先物取引を行なっておる場でございますが、個々の具体的商品はやはり生産から流通、消費に至りますまでおのおの通産省農林省が所管をしておるわけでございまして、そういう面からいいますと、にわかに生産行政流通行政というものと切り離しがたいというような理由もまた行政上あるわけでございます。したがいまして、基本的に望ましいという立場は十分理解できるわけでございますけれども、やはり流通、生産おのおのと関連するわけでございますから、おのおのがやはり連絡を緊密にしてお互いに取引所行政にそごがないように十分配慮をしながら現状のままいくというのが当分の間実際にかなった措置ではなかろうかというように私どもは考えております。
  82. 岩野陽一

    ○岩野説明員 この点に関しましては、通産省考え方と全く同様でございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江小委員 同様でありますと言っても、答申案はそういうことをいっているわけですから、そういう現状だけで肯定するとやはりまずいと思うのですね。これはひとつあなた方だけでは解決できない問題でありますので、さらによく両省煮詰めて、将来の問題としてお考えいただきたい。  最後に一点は、この法改正はいつ国会へお出しになる予定ですか、それをお聞きして終わります。
  84. 森口八郎

    森口政府委員 商品取引所法は全文百六十数条に及びます大法律であります。今回答申をいただきました部分は、ほとんど全条文にまたがるようなことになろうかというように思うわけでございます。また実際的にも答申の中でさらに行政当局で具体的に検討しようというようにゆだねられておる部面もございますので、私どもといたしましては、次期通常国会に本法案の改正を提案するというような運びで、それまでに法案の条文、さらにその前提となります個々の細目の具体化をはかってまいりたいというように考えております。
  85. 近江巳記夫

    ○近江小委員 終わります。
  86. 武藤嘉文

    武藤委員長 参考人には率直な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会をいたします。     午後三時三十一分散会