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近藤参考人 ただいま御
指名をいただきました
産業構造審議会流通部会定期市場問題小
委員会小委員長の
近藤止文でございます。
商品取引所の
制度の問題につきましては、
商品取引所法という
法律がございまして、その中に
商品取引所審議会というのが実はございますが、この
審議会が必ずしも
商品取引全般の
事項について
調査、
審議をし、
政府に進言をするというような権限的な
規定が欠けておりまして、
商品取引所法の
施行に関する問題だけに
審議する
事項が限定されております。したがいまして、
商品取引全般の問題についていろいろ
審議をするためには、
商品取引所法に基づく
商品取引所審議会では不十分であるということを
昭和四十六年十一月二十五日に
商品取引所審議会のほうから
通産大臣、
農林大臣に
意見書として出されておるのでございまして、これに基づきまして
通産省、
農林省におかれましては、
産業構造審議会の
流通部会というものがございますので、その中に
定期市場問題、つまり
先物取引、
定期取引の問題についていろいろ
審議をするための小
委員会をつくるということに一昨年決定いたしまして、
委員総数十二名で一昨年の夏に発足をいたしました。自来十数回、約二十回ほど
調査、
審議をいたしました上で、お手元にもお配りしてあると存じますが、
商品取引所の問題につきまして
答申をまとめまして、
通産大臣及び
農林大臣に提出した次第でございます。
それで、その
答申の趣旨につきまして私から
概要を申し上げまして、私の
意見と申しますよりは、小
委員長の
立場でございますので、その
概要について御
理解をいただきたい、かように存ずるわけでございます。
まず第一に、
商品取引所、つまり具体的に申しますと、公の場におきまして
商品につきましての
定期取引、
先物取引、いわゆる
差金決済によりまして、株式と違いまして、現物の
売買取引でない
取引をいたしますことがどういう
意味があるかということでございまして、これがかなり
論議を呼んだのでございますが、これは
答申の別紙の初めの「
現行制度の
意義と評価」というところで「
定期市場の
意義及び
機能」ということがございまして、やはり
定期取引、
先物取引というものは、
商品市場につきましては公正なる
価格の決定あるいは
ヘッジングの
可能性、それからそれに伴いましての
流通の
円滑化というように正常に
商品取引所が
機能いたします限りにおきましては、現在におきましては必要欠くべからざる
制度であるということに
委員各位の
意見が一致いたしまして、これに基づきまして、そういった大前提のもとに、実は具体的にしからば現在どういうような改善問題があるかということでその
概要を取りまとめましたのが一番最初の総論の部の小
委員会答申というものの二ページ目にございますが、
一つは、現在の
上場商品というものが現在の
経済情勢から見まして必ずしも適正でない、しかも、これが
法定主義というようなことになっておりまして
弾力性がございませんので、
経済の
変動に即応いたしまして適時適切に
上場商品を取捨選択できるようなことにすべきであるというのが第一の
問題点でございます。
それから、しからばこういった
定期市場を円滑に
運営するためにどうすればよろしいか、その場合、現在ございます
商品取引所というものがはたして適当な位置づけをされておるかどうかということが問題でございまして、これはいろいろ
世間でも問題が起こっておりますように、まだまだ
商品取引所というものにつきましては、その
基盤を確立し、
運営を公正にしなければならないということになると考えられるのでございまして、したがって、現在の
会員の
範囲をできるだけ広げまして、
信用のある、しかも
資力、
信用があり、
世間の
信頼を得るような
会員をよけいにふやすべきであるということと同時に、
商品取引所が
商品別にあまりにこまかく散在いたしておりますので、これを地域的に整理統合いたしまして、
一つの
取引所で数種類の
商品も扱えるということにしたほうがよろしいのではないか、同時に、そういったことに伴いまして、
取引所の
理事者にも中立的な第三者的な
理事者を加えまして、特に
理事長あるいは監事というものにつきましては、
主務大臣の
承認制にすべきである、こういう
意見でございます。
その次に、しからば一番問題になりますのは
商品取引員の問題でございますが、この
商品取引員につきましては、御承知のように、現在ではまだ一人も実は
上場会社の社長がなっておるというふうなものはございません。実際の
会員には
大手商社その他入っておりますが、
取引員はまだきわめて小さい
業者が多数ございまして、それがいろいろ
紛議を起こしているもとでございます。したがって、
商品取引員というものにつきましては、その
財務内容を強化すると同時に、
営業姿勢を向上させなければならぬ。その具体的な
方法といたしまして、これは
前回の
法律改正の際に、
商品取引員につきましては
許可制をしいたのでございますが、その
許可制について、今度は新たに
期限を設けまして、つまり
許可についてのレビューをする、こういうことが絶対に必要であるということでございますし、また同時に、現在三百名近くの
取引員がおりますが、
資力、
信用、その他微弱なものもございますので、これを合併統合いたしまして
一定のレベルに引き上げるということが絶対に必要ではないか。
それから同時に、この
取引員は
外務員を使いまして
勧誘行為をしておりますが、現在は、
外務員はその
取引員の
代理権は持っておりませんで、ただ勧誘するということだけでございまして、
取引そのものは
取引員と
顧客の間で結ばれるということになっておりますが、これはむしろ
外務員の資質を向上いたしまして、そうしてその
外務員に、
取引員にかわる
代理権を与えるという
方向でこれを
措置すべきであろう、こういうふうに考えたわけでございます。
それから第四番目といたしまして、
過当投機が常に問題になるのでございますが、これは
取引所の
管理運営の問題でございまして、やはりこれは
取引所自体が
十分権威を持つと同時に、具体的に
過当投機の起こりそうなおそれのある場合には、
事前にこれを防ぎ得る
措置をとるべきであるというように考えられるのでございまして、
市場の
価格の
変動によって
市場対策が流動的、自動的に行なわれる、あるいは
一定の数量以上をいきなり
取引するというような
過当投機のおそれのあるような場合にはこれをチェックする、あるいは
一定枚数以上の
売買取引につきましては、あらかじめ
事前にその
制限をしておいて、
一定の
枚数以上の
取引ができないというようなことも
商品によってはやっておくべきであろうというように考えられたわけでございます。
その次に、これも一番大きな問題でございますが、これは
前回の
法律改正におきましても非常に強調されたわけでございますが、
委託者の
債権の
保全につきまして万全の
措置を講ずべきである。そのために、現在いろいろな
措置が、
前回の
法律改正にも伴いまして行なわれておるのでございますが、それではまだ十分でない。その十分でないというのは、この
許可制施行後におきまして倒産をいたしました
取引員がございましたが、その場合に、やはり
委託者が相当の損失をこうむっておるような
現実もございますので、
委託者の
債権については完全に分離
保管する
制度を確立しなければならない。これはいろいろむずかしい点がございますから急速にはいかないかと思いますが、
完全分離保管制度はぜひとも実施しなければならない、こういうように考えられるのでございましてまた同時に、
商品取引員がこの
お客さんに対して売り向かう、ダミーを使ったりその他の
関係で、
自己玉をできるだけこれは押えまして、そして
お客さんと
取引員との間に、
取引員が
お客を、いわゆる客殺し、こういっておりますが、そういうことの行なわれないように、
自己玉というものもできるだけ厳格に規制する必要があるということでございますし、また
取引員と
顧客の間におきまして
紛議が生じました場合の
調停機関につきましては、やはり第三者の
委員をできるだけふやしまして、公正にこれを決定するということにすべきであるということでございました。
そのほかに、先ほど申し上げましたように、
商品取引所審議会の現在の
法律の
規定はきわめてちんばでございまして、おかしな形になっておりますので、これを適正な
審議会の
規定に直すということ、それから
商品取引所の、実は全
商連というのが現在ございますが、これは法的に何にも
根拠がございません。これに法的な
根拠を与えまして、そこで仲裁その他の仕事をやらせるということをやらなければならぬ。
最後に一番大事な問題は、
商品取引と申しましても、これは実は
定期取引、
先物取引、いわゆる
差金決済によって
実物売買ではないのが原則でございますが、そういうものにつきまして、一般の
方々が十分に
理解されていないという場合が多いのでございまして、どちらかと申しますと、
外務員にだまされて実は損をしたというようなケースが多いのでございますが、これはやはり官民こぞって、
商品取引というものはこういうものであるということの
周知徹底、PRを十分にやらなければならないということで
答申は結論を結んでおるのでございます。
実はこの
答申の中には、理論的にこうあるべしという問題と、
現状について、これはこうしたらどうかという過渡的な
措置の
問題等が一緒に入っておるわけでございますが、少なくとも
現状よりはもう一歩進めて、
商品取引のいわゆる
先物取引というものの
経済的な
機能を有効的に発揮できるようなふうにしなければならないというふうな基本的な
考え方でございます。
私から
答申を骨子といたしまして、ごく簡単でございますが、小
委員会としての
意見を申し上げた次第でございます。