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1973-12-15 第72回国会 衆議院 商工委員会物価問題等に関する特別委員会地方行政委員会外務委員会大蔵委員会社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会科学技術振興対策特別委員会石炭対策特別委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十五日(土曜日)     午前十時五分開議  出席委員   商工委員会    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       越智 伊平君    越智 通雄君       小林 正巳君    島村 一郎君       田中 榮一君    田中  覚君       八田 貞義君    保岡 興治君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       佐野  進君    山崎 始男君       渡辺 三郎君    木下 元二君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君   物価問題等に関する特別委員会    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 倉成  正君 理事 橋口  隆君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       上田 茂行君    羽生田 進君       粟山 ひで君    山崎  拓君       山本 幸雄君    金子 みつ君       中村  茂君    山中 吾郎君       増本 一彦君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  地方行政委員会    理事 中村 弘海君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 林  百郎君       武藤 嘉文君    保岡 興治君       井岡 大治君    長谷川正三君       三谷 秀治君    小濱 新次君  外務委員会    委員長 木村 俊夫君    理事 福永 一臣君 理事 水野  清君    理事 堂森 芳夫君       小林 正巳君    坂本三十次君       谷垣 專一君    石野 久男君       土井たか子君    柴田 睦夫君  大蔵委員会    理事 森  美秀君 理事 山本 幸雄君    理事 阿部 助哉君 理事 山田 耻目君    理事 荒木  宏君       塩谷 一夫君    広瀬 秀吉君       松浦 利尚君    村山 喜一君       山中 吾郎君    増本 一彦君       竹本 孫一君    玉置 一徳君  社会労働委員会    理事 葉梨 信行君    川俣健二郎君       稲村 利幸君    粕谷  茂君       瓦   力君    木部 佳昭君       田川 誠一君    田中  覚君       戸井田三郎君    中村 拓道君       羽生田 進君    粟山 ひで君       金子 みつ君    島本 虎三君       田邊  誠君    山本 政弘君       和田 耕作君  農林水産委員会    委員長 仮谷 忠男君    理事 坂村 吉正君 理事 美濃 政市君       上田 茂行君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    庄司 幸助君       稲富 稜人君  運輸委員会    委員長 三池  信君    理事 佐藤 孝行君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君       阿部 喜元君    井原 岸高君      小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君       細田 吉藏君    宮崎 茂一君       山村新治郎君    神門至馬夫君       坂本 恭一君    石田幸四郎君       松本 忠助君    河村  勝君  建設委員会    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君       田村 良平君    野中 英二君       三原 朝雄君    村田敬次郎君       清水 徳松君    中村  茂君       渡辺 惣蔵君  科学技術振興対策特別委員会    委員長 安井 吉典君    理事 田川 誠一君 理事 石野 久男君       稲村 利幸君    粟山 ひで君       堂森 芳夫君    近江巳記夫君  石炭対策特別委員会    委員長 田代 文久君    理事 田中 六助君 理事 多賀谷真稔君    理事 渡辺 惣蔵君       倉成  正君    戸井田三郎君       三原 朝雄君    岡田 春夫君       上坂  昇君    中村 重光君       松尾 信人君    稲富 稜人君  公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 角屋堅次郎君    理事 坂本三十次君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君       田中  覚君    戸井田三郎君       八田 貞義君    渡辺 栄一君       木下 元二君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 徳永 正利君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         科学技術庁原子         力局長     田宮 茂文君         外務省中近東ア         フリカ局長   田中 秀穂君         外務省経済局長 宮崎 弘道君         外務省経済協力         局長      御巫 清尚君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省関税局長 大蔵 公雄君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         大蔵省国際金融         局長      松川 道哉君         国税庁次長   吉田冨士雄君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         文部省管理局長 安嶋  彌君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         農林省農蚕園芸         局長      岡安  誠君        農林省畜産局長 太河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁石炭部長   佐伯 博蔵君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         労働政務次官  菅波  茂君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油需給適正化法案内閣提出第四号)  国民生活安定緊急措置法案内閣提出第三号)      ————◇—————   〔濱野商工委員長委員長席に着く〕
  2. 濱野清吾

  3. 濱野清吾

    濱野委員長 提案理由の説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、御質疑される各委員に申し上げます。質疑は、申し合わせの時間内で御協力をお願いいたします。  なお、政府当局におきましては、その答弁をきわめて要領よく、簡潔にお願いいたしたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず、政府は、今回のOAPEC諸国からの石油輸出制限に関して、過去の政策についてどういう反省をしておるか、これをまず外務大臣通産大臣からお聞かせ願いたい。
  5. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国は、商業的手段によりまして、必要とする資源を必要とする時期に、必要とする分量を確保できるという確信に立ちまして経済の運営をやってまいったわけでございますけれども、資源というものは必ずしもそういう手段によって安定的に確保されるものでないということを今回の問題を通じてしみじみ感得することができたわけでございます。したがいまして、資源安定確保につきましては、内政外交を通じまして、従来われわれが考えなかった新たなくふうをめぐらしていかなければならないのではないかと感じておる次第でございます。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本外国資源に依存して宝として国の産業を育成してきたという国であるにかかわらず、その資源に対する配慮というものが一方に偏して、多面的なバランスのとれた産業構造を育成するという点において今回非常な反省をした次第であります。  それから、さらに産業自体の内容におきましても、資源多消費型ということの欠陥が非常に出てまいりまして、いわゆる知識集約型の産業構造に大至急転換する必要があるように思いました。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 日本の財界は、日本はむしろ資源がなかったから経済が伸びた、なまじっか質の悪い資源があったら、こう経済は伸びなかったであろう、こういうことをしばしば広言をしました。また、実際にもそのとおり行なってきた。資源がなかったから海岸線製鉄所ができた。もし原料炭鉄鉱石があったら、アメリカイギリスドイツのように内陸製鉄所を設けておったであろう。だから、資源がなかったことが今日製鉄業が伸びた原因である。資源というのは、十分な良質な資源ならともかくとして、なまじっかな資源はないほうがいい、こういう態度できたわけです。これは私は、いままでの経済がずうっときたし、またごく最近までそのことは公言をされておったと思うわけです。これに対して通産大臣は真の反省があるかどうか、あるいは外務大臣は、新たなる内外の政策転換と言われたが、経済外交についてどういう転換考えられておるか伺いたい。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまおっしゃいました考え方というものは、当時としてはやむを得ない考えでもあり、かつ今日においても全部否定すべきものではないと私は思うのであります。なるほどドイツのように、ザール・ルール、ああいうところの内陸型の国が生産コストの面において非常に不利な点がある、あるいはイギリスの場合におきましてもそういう要素が必ずしもないとはいえない。日本の場合は、一九六〇年代に大量の、しかもわりあいに安い燃料が世界各地に出てまいりまして、それをうまく活用しよう、そういうことで大型のタンカーをつくり、臨海工業施設をつくり、そしてコンビナートをつくって安い鉄をつくり、それで船をつくり、自動車をつくり、テレビをつくって外国に輸出した。そういう点で、外国に対する競争力においては抜群であった。そういう点は確かにあって、それが日本経済を成長させた一つの大きな誘因であったことは否定できないと思うのです。しかし、そういう一方に偏した考え方というものが今日欠陥を露呈して、一面においては公害問題となり、一面においてはアラブの石油削減によって世界で一番打撃を受ける国の構造になっておった。そういう点においてはわれわれも今日反省しなければならぬと思いますけれども、その考え自体を全面的に否定するということは、日本立地政策としてどうかと思う点もあるのであります。今日大事なことは、その欠陥を是正して、バランスのとれた産業構造等に逐次転移していくことではないかと思うのであります。
  9. 大平正芳

    大平国務大臣 いま通産大臣が仰せられましたように、国内経済産業構造というものを、重化学工業を軸といたしましたヘビーな構造から、漸次脱資源型のものに構造改革をやってまいるという内政が基本にならなければならぬと思います。  同時に、外政の面におきましては、ただいままでのように外貨さえあれば資源は得られるという安易な想定ではなくて、資源保有国側資源ナショナリズムの高まりということに対しましても十分な理解を持ちつつ、その国々の御計画のラインに沿いまして、わが国がその達成をお手伝いするという立場での開発輸入ということをあわせて、いままでも多少やってまいりましたけれども、一そうこれに努力してまいることが必要だと思います。  しかしながら、通産大臣も言われましたように、日本といたしましては、世界経済がより自由な形で拡大していくという基盤の上で初めて生存が可能であるわけでございまするので、世界経済の秩序がより自由な姿において安定していくような経済外交を精力的に一面進めてまいる姿勢は、今後ともくずしてはならないことではないかと考えております。
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 通産大臣は、現在においてはやむを得ない、いな正しい面もある、こうおっしゃいましたが、私は、立地政策として製鉄所海岸線に設けられるのは当然だと思います。そのことを言っているわけじゃない。しかし、資源がなかったほうがいいんだというものの考え方が間違っておったのではないか、こういう指摘をしておったわけです。  そこで、現在起こっております中東石油削減の問題も、単に値上げだけの問題ではない。あの国は、クウェートにしてもサウジアラビアにしても、大臣行かれて御存じのように砂漠です。掘っても掘っても水は出ない、石油しか出ない。でありますから、野菜だって空輸しなければならぬ。水は蒸留水を使わなければならぬ。そうして石油資源がなくなれば国の存立すらあぶないような状態になる。でありますから、当然彼らが望んでおるのは、第一には、計画的な継続的な生産をしてもらいたい、これが彼らの要望であります。ところが、いままでメジャーがやっておる状態乱掘乱掘です。アメリカ国内でありますと、石油自噴をする、自噴をしなくなるとポンプで吸い上げる、それもうまくいかなくなると、水攻法といって水を入れて油をとっておる。ですから、アメリカ自体は八〇%ぐらいの回収率を示しておる。ところが、サハラ砂漠のごときは一八%といわれておる。きわめて安いコストのところだけ掘るわけです。ですから、いま現実アラビア政府メジャーとの間に紛争が起きておる。中東が大体三〇%から六〇%ぐらいの回収率です。でありますから、残されたものは高いコスト石油砂漠である。こういういままでの姿勢に対して一つ問題がある。それから第二は、たびたび言われておりますように、いわば石油以外の産業というのを導入したいという問題、あるいは第三は、やはり参加をするという問題だと思います。  そして、いままで安く掘った石油がどこに来ておるか。これは率直にいいますと、大部分日本とECなんです。ですから、そのことをよく考えておかなければならない。単に値上げだけの問題じゃなくて、向こうは資源を永続的に掘ってもらいたい、計画的に生産をしてもらいたい、これに対して安い乱掘をやってきた、これがやはり基本的な問題である、こういうように考えなければならない。  でありますから、こういうメジャーに対すると同様に、現実日本が投資をしたアラビア石油についても、OPECではやはりメジャーと同じように見ておる、同一視しておるわけです。アラビア石油がいままで自主開発として——アラビア石油はいわば純国産エネルギーとして考えておったけれども、今度の事態を見ると同じように制限を受けておる、これはどこに原因があるのか。これはやはり国の外交姿勢に問題があったというように思う。  そこで、今後の問題として、一体中東にどういうように外交政策を展開しようとしておるのか、あるいは経済外交をどういろように展開しようとしておるのか、これをお聞かせ願いたい。
  11. 大平正芳

    大平国務大臣 多賀谷さん御存じのように、わが国は、信条、体制のかきねを越えまして、広く全世界国々友好親善関係を維持してまいらなければならぬ国でございます。全世界からの信頼と祝福を受けなければやっていけない国でございます。したがいまして、中近東諸国も例外でないわけでございまして、中近東諸国は二十二国あるわけでございますが、そのうち小さい国でいままで実館を置く必要が特に認められなかった七カ国を除きまして、十五カ国には在外公館を置きまして、鋭意外交を展開してまいりましたわけでございますが、しかし、日本外交が、ともすれば東北アジアあるいは東南アジア等と比べまして、中近東方面に手薄であったという御批判は私は甘んじて受けなければならぬと考えておるわけでございます。したがいまして、外交は長きにわたって信頼をつなぎとめなければならぬわけでございますので、油の問題があったからといって、この際、急に手のひらを返したように厚化粧して出るというようなことは決してりっぱな姿でないと思いますが、極力じみちな外交を、政治の面でも経済の面でも文化の面でも進めてまいりまして、彼我の信頼関係を強化してまいる、深めてまいるように極力つとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 インドネシアだって決して石油輸出削減を受けるような事態が起こらないという保証はない。現実インドネシアマリク外相は、記者会見において、何を輸出しようともその国の権利だというような考え方では困るのだ、一方の国がもうければ損をする国もあるのだ、こういうことを言っておるし、そのインドネシア国営石油会社でも、幹部は、とにかく日本合成ゴムを八十万トンも外国へ輸出しておる、アメリカでは自分の国内で使う二十万トンしか生産してない、日本インドネシア石油を買っていって、今度は合成ゴムにしてインドネシアに輸出して天然ゴムを圧迫しておる、こう言っておるのですよ。こういうことは、私は非常に注意をしなければならない問題じゃないかと思う。石油天然ゴムで立っておる国に、今度はその石油を持っていって合成ゴムを輸出して天然ゴムを圧迫するというような経済外交のあり方というのは、やはり政府考えてやらなければならない問題ではないか、私はこういうように思うのですが、これについてどう考えておられるか。  もう一つ周恩来は、一九六三年から六四年にアフリカを訪問したときに、例の対外技術援助の八原則というのを発表しました。これは時間がありませんから、大臣御承知ですから私は申し上げません。一体対外援助政策に対するわが国の基本的な原則は何ですか。タイでも韓国でも、みんな学生が対日不信を持って騒動が起きておる。ですから、あなたは新たなる外交転換だと言われるならば、一体いま持っておる田中内閣経済援助原則を示してもらいたい、この二点。
  13. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御指摘インドネシアにいたしましてもイランにいたしましても、わが国の期待にこたえてこの石油危機にかかわらず石油の供給を続けていただいておることに対して、いたく感謝いたしておるわけでございます。それで私は、一面こういう状況が続きまして日本生産力が低下いたしまして、その結果輸出力も低下して、あるいはイランあるいはインドネシア等に対する輸出力が減退するというようなことで、そういう国々経済建設に支障を来たすようなことがありはしないかと心配いたしておることが一つの問題でございます。  それからもう一つの問題は、いまあなたが御指摘になりました合成ゴムのような問題でございますが、この問題につきましては、累次にわたりましてASEAN諸国わが国と相談いたしまして、問題は了解に達しておるわけでございます。先般マリク外相ASEANの代表として御来日されまして、私との間に話し合いがついておるわけでございます。すなわち、わが国といたしまして、天然ゴムの市場を奪ったりするようなことをしてはならないことは当然でございます。御案内のように、天然ゴム生産は年々伸びておりますし、その価格も改善されておるわけでございまして、いま特に天然ゴムについて問題はないと私は思うのでございます。しかし、仰せのように今後の経済の推移におきまして、日本合成ゴム天然ゴムを圧迫するようなことがあってはならないわけでございまして、そのアシュアランスは、あなたがおっしゃるとおり政府が心得ていかなければならない課題だと考えております。日本合成ゴムにおきましても、すでに国内の需要が旺盛でございますし、いま天然ゴムを圧迫するほどの力は私はすでにないと考えておりますけれども、将来の問題といたしましては、御指摘のとおり十分戒めてかからなければならぬ問題でありまして、この問題につきましてはASEAN諸国日本との間には完全に了解がついておるわけでございまして、一つのフォーラムを設けまして、常に問題を吟味しながら対応策を怠らないようにいたしたいと考えております。  それから第二の、経済援助政策の基本は何かということでございます。わが国資源のない国でございますにかかわらず、安い資源を安定した価格で供給を受けて、先ほど冒頭にあなたが御指摘になりましたように非常な経済の成長を遂げ、繁栄を誇ることになったととは、資源保有国側から見ると何か釈然としないものがあることは十分われわれも戒めておかなければならぬと思うのでございまして、まず第一に、日本は謙虚でなければならぬということが第一でございます。そうしてまた、われわれがかち得ている経済の力、繁栄というものは、資源保有国をはじめ多くの国々の善意と協力のたまものであるということでございますから、この果実はそれらの人々との間で分かち合うだけの寛容さを持たなければならぬと思うのであります。したがってこれは、貿易の先行投資であるとかいう趣旨のものとしてではなくて、受益国側の自主的な御計画による国づくりに日本が虚心に協力をする、そういう姿勢でいかなければならぬと思うのでございます。  第三に、その場合の条件でございまするが、これはすでにUNCTADでも決議がございまするし、また、先進国グループであるOECDにおきましてもそういう条件の吟味は絶えず加えられておるわけでございまして、私どもは、そういう国際的なものさしから申しまして、日本はできるだけその国際的なクライテリアよりきびしくなるようなことのないように心がけてまいらなければならぬと考えております。  それに関連いたしまして、そうする以上やはり政府ベースの援助を多くするということでなければならぬわけでございます。民間ベースの援助というのはどうしても条件が重くなるわけでございますので、予算編成面におきましてもその点に特に留意いたしていかなければなりませんし、相手国の立場を考えますと、できるだけアンタイイングなものにしてまいるように現に努力いたしておるわけでございますが、そういう方向に努力を積み重ねてまいって、受益国側の信頼と期待にこたえなければならぬと考えております。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 きわめて思想的なかつ具体性のないお話である。しかし、時間がありませんからあまり追及しませんけれども、たとえば周恩来首相が八原則と言った。きわめて簡明ですね。それで実によくわかる。きわめて具体的ですよ。なぜ日本はこういうものを出し得ないのか。たとえば、これはとても日本では無理でしょうけれども、被援助国に派遣した専門家は、その国の専門家と同等な物質的待遇を受ける、特殊な要求や待遇を受けることは許されぬ。薬にしたくても、とてもこういうことは現実日本では行なわれてない。ですから、私はもう少し原則をはっきりして、そうして条件というものをはっきり示して行なうべきではないか。そうして、その国の自力更生になっていないでしょう、日本経済援助は。私はホテルとかレジャーの話はしませんよ。たとえば自動車工場でもそうでしょう。アセンブル工場を持っていってやるけれども、部品は全部日本から送るわけですからね。日本が工場を建ててくれたところは、みんな貿易収支が赤字なんですよ、品物は日本から送るわけですから。アセンブル工場だけを向こうに建てるのですから。しかも、日本が東南アジアにやった援助というのはみんな消費財でしょう。そういうところにやはり基本的な問題がある。ですから、反感を買っておるわけですよ。ですから、その国が経済の発展のできるようなことを行なうべきである。あるいはまた、現実の援助というのは少なくともその政権の維持に努力をする、支援するような援助であるという点は、皆さんが言われておりますからこれ以上言いません。  そこでちょうど大蔵大臣見えましたが、残念ながらこれに田中総理大臣、三木副総理が見えるとちょうどいいわけです。というのは、歴代の通産大臣がざっとおそろいであるわけですけれども、大蔵大臣福田さんは通産大臣ではなかったけれども、あなたは金のほうでおやりになりましたからやっぱり同罪であります。そこで、私は石炭委員会からいわば連合審査に出席をさしてもらっておりますから、石炭について話をしてみたいと思います。  一体通産大臣政府が買い上げた炭鉱はどのぐらいありますか。それから政府が買い上げた炭鉱が当時出炭をしておった出炭規模のトン数、これはどのぐらいありますか。
  15. 山形栄治

    ○山形政府委員 お答え申し上げます。  昭和三十年以来石炭鉱業合理化事業団によりまして買収方式、いわゆる閉山交付金方式によりまして整理いたしました炭鉱数は八百八十七、その生産規模は約六千二百万トンでございます。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は日本の炭鉱は二百二億トン埋蔵量があると昭和三十一年に発表した。そうして、いまお話のあった六千二百万トン買いつぶした炭鉱の、政府が、すなわち合理化事業団が確認をしてそのトン数を買い上げた埋蔵量が六十二億トンある。それは間違いないですか。
  17. 山形栄治

    ○山形政府委員 そのとおりでございます。
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから、日本の石炭資源が少ないといっても、政府自身が計算をして金を払った埋蔵量が六十二億トンあるのですよ。買いつぶしのために確実にこれは石炭があるといって、その石炭一トンについて幾らといって金を払ったこの埋蔵量が六十二億トンある。ですから、つぶした炭鉱からいうとみな平均して百年分持っておった。もちろんそれだけ掘れるわけはない。掘れるわけはないけれども、少なくとも政府が買い上げの対象にした埋蔵量が六十二億トンある。こういうことなんです。ですから、私はまさに資源がないほうがいいのだということが典型的にあらわれていると思う。いま日本の石炭は出炭が二千万トンでしょう。ですから、実に六十二億トンのもう死んでしまった炭鉱というのは永遠に復活しないのですよ。久しぶりに炭労大会が新聞に載ったりテレビに映りました。ああ珍しいことだと私は思ったのです。炭鉱は事故が起こるときしか写真には載らないわけですよ。そういたしますと、よく多賀谷君増産できないかとこう言う。しかし、これは水が入って水没している炭鉱ですよ。これはあぶなくて、とても掘れなんて言えませんよ。いつ水没事故が起こるかわからぬ。炭鉱の坑内が満水して満タンになっておるわけです。ですから、そういうところをいいかげんに掘っていくと出水事故が起こる。ですから、全部とは言いませんけれども、少なくとも六十二億トンの埋蔵量というものは永遠にほとんどが死んでおる、こう残念ながら言わざるを得ない。これは一体だれの責任であるかですね。ひとつ通産大臣からお答え願いたい。
  19. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは、一面において世界的なエネルギー事情の変化がありまして、コストの面から見て安い大量の石油中東その他に現出した、そういうところから経済効率を考え産業構造が変化してきた、そういうふうに考えるわけであります。しかし、別の面から長期的に見ますと、資源の活用という面において、それは今日の反省におきましては必ずしも十全ではなかったのではないかとも考えられます。
  20. 多賀谷真稔

    ○多賀委員 世界的なエネルギー革命の傾向だとおっしゃいますけれども、イギリスにおいてもまだ一億二千万トン以上掘っていますよ。ドイツにおいても一億トン以上掘っています。日本よりも質度の悪いフランスだって現在三千万トン掘っているのです。この資源のない日本がなぜこんなに炭鉱をつぶしたのか。これは単なる世界的傾向ではないんですよ。そういうことに便乗をした日本政府及び財界がつぶしてしまったのです。現実イギリスでは、今日、電力用炭に七千二百万トン使っていますよ。西ドイツだって三千三百万トンぐらい使っているのです。日本一体幾ら使っているのですか、通産大臣
  21. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 約八百万トン弱だと記憶しております。
  22. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私が非常に残念に思いましたのは、第五次石炭政策を審議をする際に、需要側、すなわち鉄鋼、ガス、電力に、一体需要想定は幾らであるかと出したところが、驚くなかれ、九電力で二百二十万トンしか出さなかった。昭和五十年には二百二十万トンですと出してきた。それ以外に要りませんと、こう言う。これを出されますと、やはり日本の炭鉱の業者も、石炭をやろうという人はいませんよ。それはたった二百二十万トンしか電力に使わない。電力以外に使えというのは、若干の暖房炭それから原料炭。一般炭においては、この煙の出る石炭を使えというほうが今日無理でしょう。しかし電気ならできる。その電気がたった二百二十万トンしか九電力で需要想定をしてこなかったのです。そうして日本の石炭全体が一千五百五十一万トンですね。一体こういう姿勢で、日本のエネルギー資源を守るとか唯一のエネルギーだとか言われても、それは掘る気がしないのはあたりまえでしょう。どうですか。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第五次答申におきましては、二千万トンを下らざるという答申が出ておりまして、政府としても、その線は堅持すべくいままで政策を進めてきたところでございます。今度の石油危機の状況にかんがみまして、この二千万トンを下らざるというところをどの程度さらにかさ上げしていくか、いま検討さしております。しかし、ともかく二千万トンを下らざるという線はそのときから明示されておりまして、われわれはこれを至上命令として実行しているつもりであります。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 二千万トンといいますが、いま日本のこのエネルギー騒ぎが起こっているときに、たった二千万トン堅持するというので済みますか、通産大臣。いまの一般炭は電力に使うのが一番いいのですよ。ところが、なぜ使えなかったか。それは公害問題もありますよ。ですから、私は東京のまん中で、あるいは関西やあるいは京葉で発電所に石炭を使えとは言ってないのです。しかし、北海道や九州、少なくともそのところは石炭を使うべきじゃないですか。
  25. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十二月七日に石炭鉱業審議会の中間答申が出まして、そして今度の石油危機の情勢にかんがみて、国内資源である石炭を活用すべきであるという答申が出ました。それで、いま申し上げましたように、二千万トンを下らざるというのがいままでの線でありましたが、それよりもっと積極的に、その上さらにどの程度かさ上げするかということを策定中なので、大体審議会の大かたの意向は、二百万トンないし二百五十万トン程度は確保するということが意見のようであります。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 先般関西電力が値上げをしました。これは昭和二十九年から初めてだというのです。四国電力も値上げをしました。ところが、この関西電力が昭和二十九年、重油の値段、石炭の値段を料金の中に算定したのは、重油が一トン当たり八千八百三十五円、それから石炭が四千六百五十円です。そこで、石炭界は、何とかして重油の八千八百円に合わそうとして千二百円引きをしたのです。ところが、四十七年までに残念ながら石炭はまだ値段がもとに復していないのです。その間に油はどうしたかといいますと、八千八百三十五円の関西電力は、昭和三十六年には六千六百円の油を使っている。三十七年には六千百八十一円、さらに四十年には五千九百円、四十一年には五千八百九円、さらに四十二年とまだ下がっているのですよ。ものすごい益金が出ておるわけです。消費者には還元しなかったわけですよ。電力料金を下げなかったわけですから。石炭についても、四千二百九十円あるいは昭和三十八年には三千九百九十円、料金の算定の中に入っておったけれども、さらに石炭をぐっと下げた。油は八千八百円を、実際入っていくのが五千九百円で入れておる。こういう時代を経てきておるわけです。ですから、この際に何とか手の打ちようがあったのではないか。だから私が言うのは、油は油、石炭は石炭だと幾ら言ってもこれは解決できない。安い油が入ってくるときには少しぐらい高い石炭を使っても、少なくとも料金の算定の基礎になっている程度の石炭を使っても困らないでしょう。それが総合エネルギー政策ですよ。それをなぜやらなかったのかですね。泣かすだけ泣かしたということですよ。これについてどう考えられるか。
  27. 山形栄治

    ○山形政府委員 関電と四国電力は、約二十年間価格が据え置かれておったわけでございますが、その間、諸物価の高騰もございましたし、人件費のアップもございまして、二十年の間いろいろなコストアップ要因を合理化で吸収してまいったわけでございます。価格構成の中における燃料の問題は、御指摘の点があるわけでございますけれども、全体の原価構成の点から見まして、先般、最近の事情も織り込んで価格の改定に踏み切ったわけでございます。今後とも公益事業の本旨に即しまして合理化をさせ、その間におきまして、電力の石炭の引き取り価格につきましては、より一そう石炭産業の維持のためにこれを行使するつもりでございます。先般も本年度の引き取り価格につきまして改定をさせまして、トン二千五百円上げさしたわけでございます。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その問題は、いま北海道電力が買っている石炭は四千九百カロリーで、二千九百六円です。石炭が二千円台なんですよ。これで買っておるわけです。ですから、北海道が一般炭を出しても採算が合わない。そうしてカロリー当たりで見ると、五十九円三十銭ですね。ところが、重油は八十六円九十銭、こうなっておる。ですから、これはやはり政策なんですよ。九州だって同じです。ところが、残念ながら北海道と九州の電力料金を見ると、九州が一番高いです。今度の関西電力の、あるいは四国電力の値上げを除きますと、前の時点でいいますと北海道がその次です。北海道と九州の電力料金が一番高い。それはコストがかかる、送電費がかかる、だから北電は上げられない、こう言う。しかし、日本全体から見るとエネルギーが足らない。そうすると、その石炭をわざわざ東京まで運んできたのでは非常にコストがかかる。これは一体どうするつもりですか。これは政策をやれば簡単に解決できるでしょう。しかし、いまのような九電力そのままの会計にして、そうして一番コストの高い九州、北海道に、石炭を上げて使え使えといっても、これは無理でしょう。しかし、国全体としてはエネルギーが足らない。これは一体どういうように通産大臣は解決するつもりですか。
  29. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 わりあいに手っとり早い方法は、産炭地である北海道あるいは九州に石炭の需要を起こす、たとえば、石炭専焼火力を思い切って大規模に推進をしていく、こういうことが需要も起こし、合理的な方法ではないかと思います。
  30. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは、石炭専焼火力をつくっても、買うほうは北海道電力と九州電力が買うわけでしょう。いまの炭価では石炭を掘れない、こう炭鉱はいっているでしょう。ですから、これはやはり全体的に何か料金のプール的なものを考えて、そうして保険料的なものを日本経済としては考えるべきですよ。大体、借金をして家を建てて、火災保険に入ってなくて、火事が起こってびっくりして騒いでおるというのがいまの日本経済で、保険料を支払わないで、そうして火災になったからといって困った困ったといっておるのですよ。ですから、いまや石炭なんていうのはもう保険料と考えなければ、私はいまから大陸だなの話をいたしますが、やはり国内及び国周辺の大陸だなというのは保険料のように考えなければ現実に解決できないと私は思うのですよ。そういう考え方でなければならぬ。これを重油と競争させたら無理です。また、現在のような九電力の状態にして、それを料金も全部別々にして行なうということも無理です。ですから、石炭を使った電力料金については何らかの形で重油とプールをするという、こういう政策をとらない以上はこの問題は解決しない、こういうように思いますが、どうですか。
  31. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それも検討に値する一案であると思っております。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これはよっぽど政治力を発揮しておやりにならないと、かつて、産炭地で発電して関西に送るという、これは技術重役は全部賛成したのですよ。しかし、社長会は全部反対した。これは将来の統合につながる、こう言う。ですから、検討をするならば勇気を持って——これはかつて火力と水力の調整金というのがありました。私はやはり重油と石炭、あるいは国内から出る天然ガスあるいは石油、あるいは将来の大陸だなにおける国産の石油資源、こういうものはプール的にものを考えておかなければ、大陸だなも、私はいまのような私企業の姿でやらしておったらやがて放棄をしてしまう、こういうよろに考えざるを得ない。これは通産大臣よろしいですか。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 すでに原油関税というやり方によって年間約一千億円ぐらいの金が石炭の安定補給金その他に動いて、油と石炭の調整はその線でもある程度すでに行なわれておるところであります。そういうような、思想的には多賀谷委員がおっしゃるような思想の根はすでにあるわけです。そういう面から見ますと、石炭の発展あるいはさらに大陸だなの開発というような面においても、そういう発想はまさに検討に値する、そういうふうに考えております。
  34. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、電力会社における油と石炭、あるいはその油の中においても将来における大陸だな等に出る石油、これはまあ石油の質にもよりますけれども、そういうものは当然各社プール的に扱わないと、料金差が出てとてもやっていけない、こういうことになると思うのです。第一、いまの炭鉱の労働者の賃金を見てごらんなさい。これで掘れというほうが無理です。いま掘らしたら災害が起こるのです。人は少ない、賃金は十月で八万四千円ぐらいです。ボーナスも、この十二月のボーナスが十九万円ですよ。炭鉱夫に十九万円のボーナスで掘れというほうが無理でしょう。だからやはり相当な労働条件の整備と、それから制度的に合うようにしてやらないとできない。言うならば、炭鉱をやったものがもう炭鉱はいやだ、こう言う。とても私企業ではやれませんよといろのがみんなの意見ですよ。だから現実に炭鉱会社はどうしたですか。三井鉱山をはじめ、三菱鉱業も、みんな炭鉱会社を別会社にしたでしょう。三井鉱山株式会社には炭鉱会社はないのですよ。三菱セメント株式会社には炭鉱はないのですよ。太平洋興発にもないのです。しかし、その系列下には炭鉱を持っているわけです。本社は販売だけしておるのです。いつ倒れても本体にきずがつかないような、逃げ腰の政策をしているのですよ。これで一体日本のエネルギー政策ができますか。どうですか、田中総理大臣の対抗馬福田さん、さっきからずっとお聞きになっていますが、あなたは大蔵大臣として金を出すほうですから、一体そういうことで日本の炭鉱の維持ができると思われますか。もう経営者は全部投げたのです、率直に言うと。われわれが西ドイツに行ったときに、西ドイツはルール石炭株式会社というのを一社にする、こう言ったけれども、結局ドイツはやったけれども、日本はやらなくて、そして日本の場合は石炭がとめどもなくつぶれていった。これをどういうようにお考えですか。
  35. 福田赳夫

    福田国務大臣 こういう事態になりますと、石炭問題も新たなる目で見直す必要があるのじゃないかと思うのです。つまり、いままでは石炭では採算に合わない、それから公害等の問題がある、こういうので減炭政策がとられた。ところが、その石炭にかわる代替資源である石油が非常な高値になってきた、こういう問題もあります。また、その供給が少なくなってきた、こういろ問題もありますので、とにかく廃鉱してその状態からまた新しい出直しをするということはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし私は、そういう変わった情勢下において、この石炭問題は考え直してみたらどうか、こういうふうに思うのです。まあ、しかし時間もかかりましょう。しかし、多少時間がかかっても、見直しという努力はぜひしてみるべき問題ではあるまいか、こういうふうに考えます。
  36. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は時間がございませんから、法案について一点だけ聞きたいと思います。  石油需給適正化法案の十一条、率直に言いますとこの十一条が法案の主体でありませんか、通産大臣、どうですか。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十一条は、そこにも書いてありますとおり、必要やむを得ざる、さらに切迫した事態が出た場合の措置として、割り当てやかなり強制力を持ったことが規定されておるのでありまして、それ以前の条文が第一段階、この段階であらゆる措置をやってみる、しかしそれでもできないというものがあった場合にそちらへ移行するというので、十一条のほうへ移行するのはなるたけ避けることがいいと私は思っております。
  38. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 しかし、現実にはもう十一条を発動する時期がきているのでしょう。いまあなたのほうで行政指導でおやりになっている話は、ほとんど十一条をもってしなければできないようなことでしょう。もう十一条のところへきているのでしょう。その十一条を政令でやるとは一体何ですか。この十一条が条文の大部分でなければならぬですよ。いやしくも禁止をするような事項まで政令でやるのですか。当然もうすでに十一条を発動する時期がきていると私は思う。現実に来年の一月から石油と電力の制限はどのぐらいやるのですか。そして十一条の問題について、この二点をお答え願いたい。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまのまま石油状態が悪くなっていけば、つまり五%カットが毎月行なわれるような情勢でいけば、われわれが最初に考えたよりも事態は深刻になりつつありまして、下期において期待した数量一六%減が二〇%減ぐらいになると見込まれます。そういうふうになりますと、電力においてもまあ荒見当で二〇%ぐらい節減せざるを得ないではないか。石油においてもその程度のものが考えられやしないか、そういうように目算をしております。その場合に十一条を発動するかどうかということは、その対象の態様に応じて変化してくるのでありまして、切符制をやるとか、あるいは割り当てや配給制度をやらざるを得ぬという緊急事態が出てくれば、これはやらざるを得ぬかもしれません。しかし、そういう緊急性がない場合にはできるだけ回避したい、そういう考え方でおるのであります。
  40. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 しかし現実事態というのは、この十条だって優先順位ではありませんしね。あなたがいろいろ委員会等で答弁をされておるものを聞きますと、あるいは医療には、あるいは公共事業には、こういういろいろなおっしゃっておる部門別、分野別の石油の供給確保ということについては、もう十一条は発動せざるを得ない状態にきているのでしょう。私は、この法案を審議した時期と現時点というのはだいぶん違うのじゃないか、かように思うのですが、どうですか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その法案の十条までは、融通の指導であるとかあるいはあっぜんであるとか、そういうようなことで、どちらかというと行政的行為を中心にして行なう、そのほうが私は望ましいと思っておるわけです。ですから、これはもう一つの法案のほろの価格問題ともからみますけれども、できるだけ業者の協力を得て、そうして国民の監視の中に、行政措置であまりがたびしゃしないような情勢でものごとを解決していく、そういう考えで全力を出してやってみるのがまず第一であります。そういうようなことでいまのところはやれるだろうと思っておりますけれども、しかしいろいろな需給関係その他で見て、どうしても緊急的に、もうそれではいかぬ、必要最小限これだけはしなくちゃいかぬという事態がもし出てくれば、これは十一条に移行せざるを得ません。しかしその前に、いまのような行政指導その他のやり方でやる余地がかなりあると思っております。
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、経済力の弱いものがしわ寄せを受ける状態になることを非常に危惧するわけです。早くやらなければ、少なくとも石油というものは、ここ一年ぐらい非常な重大な事態ということは御認識でしょう。ですから私は、石油に関してはもう発動する時期が現実にきているのだと思うんですよ。それを国会では、そういう事態がくればと、こういうような答弁をされて、国会が済むとぱあっと発動をするという、こういろいわば官僚的なやり方というのは、ぼくは間違っていると思う。やはり今日の緊急事態であるならば、十一条を主にこれを発動をするということを前提に審議をしたほうがいい。もう事前の処置というのは、今日の事態ではほとんど間にあわなくなっているんですよ、十一条前の処置は。そして現実に行政指導でおやりになっていることは、もう十一条に入り込んでいる。そうでしょう。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十一条を発動する前に、十一条でやらなければできないようなことでも、行政指導でやれるだけやる、そういうので、十一条前の十条までの条文があるので、現在、いろいろあっちに融通するとかこっちに増強するとか、そういうような手当てはこの法律以前のさらに行政指導でもやっているわけです。この法律ができて政府にそういう権限が与えられれば、政府の立場はかなり強くなりますから、業界を指導するにもびりっと有効に動くだろうと思うのです。われわれはまずそれを期待しておるわけであります。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、事態の認識が通産大臣は甘いと思うのです。もし通産大臣の答弁が、ほんとうにそういう認識をされておるならば甘い。そういう状態ではないでしょう、石油に関していえば。ですから私は、もう十一条発動の時期がきておる。それならば、十一条を中心として法案をさらに整備をすべきである。単なる政令に全部白紙委任状、権限を譲るような法案というのは、むしろ国会軽視だ。だからその点を何かごまかされておるという点について非常に残念に思います。  これだけ申し上げまして質問を終わります。(拍手)
  45. 濱野清吾

  46. 石野久男

    石野委員 私は、いま審議に入っております二法案について、特にただいま多賀谷委員からも質問がありました石油の事情は、まさに法案の第十一条の適用ということを前提にしなければならないような事情にもう入っているというふうに考えております。そういうたてまえから法案の審議をするということになれば、法案の提出ももう一度やり直しせにゃならぬじゃないかというような観点で質問をいたしますが、最初に、きょうの新聞によりますと、企画庁長官大蔵大臣通産大臣それから官房長官は、石油の来年度の見通しについて、大体本年度の輸入の量を横ばいの状態で維持できるというような観点に立っているというふうに報じられておりますが、それについて特に問題になっておりますアラブ石油等についての見通し、どういう観点からこういう横ばいの見通しを立てておるのかということをひとつお聞きしたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 横ばいではございませんで、減るという想定のもとに立っております。ことしは当初は三億一千万キロリットルぐらい入るという予定で進んできたのですが、今度の中近東の紛争が起こりましてから逐次それが減るという方向に向きまして、それでいまの情勢では二億七千三百万キロリットルぐらいが年間として確保されるであろう、あるいはそれをもう少し割るかもしれぬが大体その辺であろうというのが現在の見通しです。来年度は三大臣でいろいろ検討もいたしまして、通産省の基礎資料等も勉強いたしまして、大体二億六千五百万キロリットルから二億七千万キロリットルぐらいの間ではないか、そういう想定でものを考えております。
  48. 石野久男

    石野委員 そのような想定によると、来年度の経済成長率というものはどのように考えられますか。
  49. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は正直に申しまして、昭和四十八年、本年度のこの間改定をいたしました実績見通しより高くなるはずはないし、もちろんそれよりも実質的には下になるだろう、改定見通しというのは、これはもう御承知のとおり、当初は実質で一〇・七%ぐらいの成長を見ておりましたが、それを私が就任直後、六・四%という実質成長に改定をいたしたわけであります。しかし、それよりも少なく見積もることが現実的であろうということで、けさの新聞などにもぼちぼちあらわれておりますように、実質的には二・五内外と見ております。しかし、これはお尋ねがないからここで私が解説はいたしませんが、ことしの実績見通しの六・四が、数字の示すように二・五と減ってしまうのだということではなしに、経済成長、GNPというものは必ずしも物の生産ばかりを表現するものではなしに、人間のサービス等の量をも表現をいたしておることはもちろんでございますので、六・四が二・五に縮まりましても、その物資の供給の内容なりサービスの供給の内容というものを、国民生活に最も必要で、そうして国民生活が安心して運営できる方面に集中していくことによって、国民に大きな打撃を与えないで済ませるようにやるべきだ、こういうことをあわせて私は、これはお尋ねにございませんでしたが、申し上げるものでございます。
  50. 石野久男

    石野委員 私は、きょうの質問の内容が特に石油に関係しますから、成長率の問題についてはあれこれなにしませんが、来年度のそういうような見通しに基づいてエネルギーの観点からこれを見ますると、特に電力、ガスに対しての石油の問題はきわめて重要であると思います。そういう観点から、電力、ガスに対する石油の状況というものについて政府はどのような見通しを持っておられるか。これは通産大臣にひとつお聞きしたいと思います。
  51. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電力につきましては、いまの情勢で見ますと、実は十一月の二十日から、大企業につきまして、三千キロ以上使っておる約二千七百社に対して一〇%カットの協力を求め、今度は資本金一億円以上、従業員三百人以上の中堅企業約八千社に対して石油一〇%自粛、節減を求めてきたわけです。それでわりあいに電力のほうは、この十一月の下旬の数字を見ますと、一八%ぐらいそのときの情勢では協力してくれておりますが、石油のほうは著しく悪い。そういう情勢から見て、また下期における石油の輸入量全般も想定してみますと、やはりお正月以降は、電力について電気事業法を発動して節減をお願いしなきゃならぬ、そういう事態に至るものと今日想定しております。  それから石油につきましても、いまの削減が続いてまいります場合には、あまりにも節減運動というものは効果がございません。そういう意味行で、この法案が成立いたしましたら、いろんな行政指導による条項を発動いたしまして、できるだけ節減を有効ならしむる措置を講じなければならぬ、そう思いまして、まあ二〇%ぐらい節減せざるを得ないんではないか、そう踏んでおります。
  52. 石野久男

    石野委員 その場合に、日本の必要とする総エネルギーの中で特に電力が受け持つべき問題は、石油というのはほとんど電力で、約七五%を火力の場合は占めておるわけですから、そういうようなものの確保というのは、成長率等との見合いでは石油で大体まかないきれるという考え方に立っておるのか、それともエネルギーの不足分をどういう形で完全に補完していくというふうな観点に立っているのか、こういう点についてひとつ通産大臣の所見を聞きたい。
  53. 山形栄治

    ○山形政府委員 電力の重要性は当然でございます。しかし、いまお話しのとおり、火力の比率が非常に高いものでございますので、当面は石油のカットに応じまして電力もカットせざるを得ないと考えております。  ただし、水力が発電量の大体二割ぐらいございますが、これにつきましては包蔵水力は非常にあるわけでございますので、現在鋭意検討しておりますけれども、火力発電所とのコスト、いわゆる設備をつくりますときのコストでございますが、それが若干火力よりも高くてもこれを続行したらどうかということで、現在寄り寄り、三百五十万キロワットぐらいはすぐにでも手をつけようという案を検討中でございます。  しかし、当面何はともあれ急場といたしましては、石油カットに応じまして電力のカットもやらざるを得ないということで、できる限り一般家庭電灯等に影響のないようなかっこうで、バランスよく、産業間でどういうカットができるか、いま検討の最中でございます。
  54. 石野久男

    石野委員 水力に力点を指向するということはわかりますが、予算委員会の席上でしばしば総理もあるいは科学技術庁長官も通産大臣も、この次は、電力の補給は原子力だということを盛んに宣伝をしておるわけですが、原子力についてはどういうような見方をしておりますか。これは科学技術庁長官からひとつ……。
  55. 森山欽司

    ○森山国務大臣 これは石野先生御案内のとおり、原子力委員会の長期計画、昭和五十五年三千二百万キロワット、昭和六十年六千万キロワットの発電と、もうすでに長期計画ができておるのが現状でございます。もっとも実際にはいま動いておりますのは五基、百八十万キロワット、しかし本年度じゅうに二基できますから七基で三百万キロワットちょっとというようなことに相なろうかと思っております。  いずれにいたしましても、すでに原子力委員会におきましては、そういう長期計画を持っており、また国といたしましてもそういうことを考えて電力政策を立てておる、そういうように了解いたしております。
  56. 石野久男

    石野委員 これは通産大臣あるいは企画庁長官にお聞きしたいのですが、電力が非常に足りなくなってくる、石油がない、水力には力を入れてもすぐなかなかおいそれと出てくるものじゃないということもわかっておる。しかし、原子力の問題に力を入れていけば、ここ数年ないし十年ぐらいの間にはうんと出てくるんだから、何でもかんでも原子力だというようなそういう話が各地で出ている。  私は一昨日、有澤原子力産業会議の会長の就任式の席に招かれていきました。そこで、有澤さんはもとよりですが、井上五郎原子力委員長代理が今度は原子力だ、何でもかんでも原子力をやらなければいかぬのだとたいへんな意気込みでしたが、この原子力に対するものの考え方というのは、やはり私たちとの間にたいへん違いがあります。しかし、原子力問題についての政府の、総理あるいは通産大臣、企画庁長官の答弁から見ると、あすにでもそれは原子力でまかなえるように聞き取れるんだが、実質的にこれが補完できるという年次をどういうふうに見ておられますか、通産大臣、ひとつ。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 原子力発電は安全であり、巷間いわれているような不安なものではございません。世界じゅうで原子力発電が相当稼働していますが、爆発事故とかあるいは放射能による被害とか、そういう不安の事件が起きたという例を私あまり知りません。多少、日本の場合でも、炉から出てくる問題といろよりも、その排水の取り扱いが怠慢であったとか、バルブを締め忘れたとか、そういう程度のものほございますけれども、炉物理あるいは炉の実験等からきた結果というものは正確に守られておって、原子力発電が危険であるという考えは間違いであると私は思っております。石野さんも私も一緒に原子力をやってきた関係ですから、そういう点は石野さんも御理解いただいているんではないかと私は思います。  それで、原子力に対する期待というものは、政府は非常に持っておりまして、この際、思い切って原子力を強化すべきであるという点においては政府は一致しております。それで、六十年に六千万キロワットという目標を立てておりますが、その際のエネルギーにおける原子力の占める割合は二五%ぐらいであります。そのときに原子力以外、油関係からくるものが約五十何%ぐらいです。そういうような考えから見ても、原子力発電を推進することは国益にも沿いますし、資源の多様化という面からも沿って、私は非常なホープであると考えておるわけであります。
  58. 石野久男

    石野委員 原子力が安全だということについての考え方には非常に異議がある。それどころか、現状はそうでありません。むしろ、たとえば関西電力美浜の一号炉などというのは、設計能力三十四万キロワットの発電炉でありますけれども、現実には二十万キロワットしか出ていない。これはもう中曽根さんよく知っているはずであります。御承知のように、いわゆる熱交換器におけるところの細管が、八千八百五十二本の細管のうちいま二千九本が全部故障のためにめくら閉じの工事が行なわれて、そこはほとんど熱交換の作用をしていないわけですよ。こういう事情のもとで、この次の定期検査に入れば、おそらくこの残った六千本の中からまた同じような事故が出てくるはずだ。この種の事故はもう数多く出ておるわけですよ。私は、三千二百万キロワットの発電予想をしております昭和五十五年度、この計画はおそらく完遂はできないだろうと思うのです。これは森山長官にひとつお聞きしますが、三千二百万キロワット、昭和五十五年にほんとうにできますか。現状ではできませんよ、これは。
  59. 森山欽司

    ○森山国務大臣 石野先生御案内のとおり、現在までの原子力発電の進行状態は、先ほど申し上げましたように、現に動いている五基、それに今年度じゅうに完成する二基、それに十五基につきましてはすでに建設について許可を得て仕事が始まっておるといろ段階、いろいろ問題はございますが、しかし、これが完成するのに五年ぐらいかかりますから、昭和五十二年、三年ごろにいま予想されますのは千六百万キロワット、およそ半分でございます。そうして現在審査中のものは一基でございますし、ことしは一カ所も原子力発電の申請がございませんから、このままでまいりますと、五十五年に予定の三千二百万キロワット、政府の予定といたしましては、総発電設備容量の一八%ぐらいを原子力発電にたよろうといういまの予定は、このままではなかなか容易じゃない。あと二年ぐらいの間に残りの千六百万キロワットをひとつ手配することができれば五十五年度にまいるわけでございますが、現状ではいままでのやり方でいってはなかなかむずかしいのではないかと思っております。
  60. 石野久男

    石野委員 原子力の設備がいま中曽根さんが言われたように、昭和六十年度二兆三千六百万キロワットのうちの六千万キロワット、約二五%を原子力で補給をするという点は、もうすでにくずれておるんです。そこへ今度は火力のほうにおける石油問題が非常に困難になってまいりますると、六十年代に二兆三千六百万キロワットという発電計画というのは非常に無理だ、こういうふうに私は思います。そういう点では、エネルギー計画の長期計画を一定のやはり現状に即応するような形での見直しをしなくちゃならない段階にきておる、こういうふろに私は思いますが、これは企画庁長官、いかがでございましょうか。
  61. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは石野さん御承知のとおり、経済企画庁におきましては経済社会基本計画というものを今年の初めにつくりました。しかし正直に申しまして、そのころの事態は、今日のような流体エネルギーにこうした事情が生ずるようなことは必ずしも想定をいたしておりませんでしたので、一般的にエネルギー多使用産業とか、資源多使用産業というものを省エネルギー、省資源産業に切りかえた経済構造をつくるべきだというととろまではこの基本計画の中でうたっておるわけでありますけれども、火力発電を原子力発電に置きかえるべきであるというような具体的な計画まで取り入れておりません。しかし、これは当然のことでありますと同時に、その計画におきましても、新しいエネルギー源といたしまして、水素エネルギーの問題とかあるいは原子力のような核分裂エネルギーばかりでなしに、核融合エネルギーというようなもののアプローチにつきましても、この際極力取り入れるべきであるという考え方は持っておる次第でございます。  原子力エネルギーの安全性等とも関連をいたしまして、いま両大臣からお答えのありましたことにつきましては、経済企画庁におきましても、経済社会基本計画のフォローアップの作業中におきまして十分私は考えてまいりたいと思います。
  62. 石野久男

    石野委員 十分に考えていきたいということは、既定の方針どおりにいくということなのか、それから現状に見合って見直すということなのか、どっちなんですか。
  63. 内田常雄

    ○内田国務大臣 既定の方針を頭に置きながら現状に即して見直すべきだと考えます。
  64. 石野久男

    石野委員 既定の方針を基底にしながら現状に見合ってということはわかったようで、事実上は、もう現状は既定の方針ではいけなくなっているということは明確なんだから、既定の方針を一応見直さなければいけないわけでしょう。従うではなくて、見直すということが非常に大事なんです。そういうふうにとっていいんでしょうか。
  65. 内田常雄

    ○内田国務大臣 たとえば温排水の問題でありますとか、あるいは放射性廃棄物の処理の問題でありますとか、あるいは放射性の影響とかいう技術的に解決できる問題を解決するということでありまして、原子力そのものについては危険性が当然に付随するのであるから、いまの何千万キロワットの計画そのものを後退させるということに私は必ずしもつながらないと思います。
  66. 石野久男

    石野委員 長官はいま後退させることにはつながらないと言うけれども、森山長官は、五十五年の段階で三千二百万キロワットは現状では非常に困難だ、こう言っているのですよ。事実上そうなんですよ。そういう点から言えば、それはもう見直さなければしようがないんじゃないですか。
  67. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは科学技術庁長官からお答えいただいたほうがいいわけでありますが、私が援用をいたしました経済社会基本計画におきましては、五十五年、六十年というようなその時点を対象としたエネルギーの数量的、計量的な基準は実は示しておりませんことは、先ほども申したとおりであります。ものの考え方といたしまして、石油を火力源とする火力発電だけでいくべきではないんだということを企画庁としては取り上げておる。具体的な措置につきましては、科学技術庁長官を中心として処理をいたしてまいりたいと思います。
  68. 石野久男

    石野委員 問題は、考え方はそうであっても、現実にはもう手足が動かないような実情になってきているわけですし、それから原子力の発電炉の問題については、事故が続発しておって、現実にはもう予定どおりの線は歩まないで、汽車はとまってしまっているわけですよ。だから、そういう状態のもとで、五十五年には三千二百万キロワットだ、いや、六十年には六千万キロワットだと言ってみても、これは始まらないのですね。だから、これは現状に見合って手直ししなければいけない。私はこういうことを言っているんだから、簡単でいいから、そこのところだけはっきりしてください。
  69. 森山欽司

    ○森山国務大臣 石野先生御案内のとおりの事情ではございます。しかし、予定の五十五年三千二百万キロワットを達成するためには、あと二年間ぐらいの間に事が急速に進めば、またこれは別でございます。これも先生の御案内のとおりでございます。  問題は、なぜ原子力発電が進まないかというと、一つは、安全性の問題でいろいろ問題があるわけで、地元の御理解等を得るための努力等が、必ずしもいままで十分でございませんでした。でございますから、かねてより石野先生おっしゃっておられるような安全問題に、たとえば安全審査の要員を量質ともに充実するとか、それも急速にやる。あるいはまた、安全研究の足らざる面については、これまた、こういう財政難のおりではあるけれども、相当予算的にも配慮して、そのほうにも力こぶを入れる。あるいはどうも電気は、発電所を設けたのはいいが、地元にはちっともいいとこないわというようなことでもいかぬわけでございますから、やはり地元にもそれなりに利益が還元するような方法というものを具体的に考えていかなければいけない。そんなことを先生方とよく御相談をいたしまして進めてまいりますれば、必ずしも昭和五十五年三千二百万キロワットは夢ではない、昭和六十年六千万キロワットも、これまた夢ではないと私は思っております。  ただ、いままでのようなことでやっておってはという意味で先ほど申し上げたわけでございますから、どうかひとつこれらの問題につきまして、先生の格別の御教示と御協力をお願いいたします。
  70. 石野久男

    石野委員 長官からそういう御依頼を受けるということは非常に光栄ですけれども、実際には原子力というのは、地域住民が理解をしてくれるというその前提が非常に重要なので、やはり安全性の問題について国民のコンセンサスが得られなければ進まないということは、長官よくおわかりのとおりです。ところが、原子力というものは、率直に申しまして、いまの段階には非常に問題があると思うのです。非常に予測しがたい要因が原子炉の中にあります。取り返しのつかないような大事故につながるような可能性が炉の構造なり機能の中にあって、したがってまた、原子力の発電所の大型化というものは、いまの段階では非常に危険性が多い。中曽根さんがかねてから言われるように、実をいうと私たちは、原子力について、もしそれが安全性を可能にするということであるならば大賛成なんです。しかし、そこには問題が多い。原子力発電所は、長年月にわたって安全のための基礎研究を積み重ねて、そして長期のデータをとって、改造を加えながら小刻みに進めていかなければならない性格のものだと私たちは思っておるのです。そればかりではない。低レベル、高レベル、中レベル、こうした大量の各種の放射能廃棄物を最終的に完全に処理するということがなければいけないと思います。ところが、現在それはまだできていないのです。政府はこのようなことについて検討中であるけれども、現在まだそれが確立していないことは、もうあなた方がよくわかっているはずなんですよ。国民にとって貴重なのは、こういう炉をつくることあるいは発電をやることによって、かけがえのない海がよごれてしまって、われわれのたん白源の三分の一を占めている海産物がそれによごされるようなことがあってもいけないし、あるいは非常に稠密化しているところの国土で、常に放射能を生み出すといわれる軽水炉の炉をつくるということについても、私たちは真剣に安全性確立のために考えなければならぬものだと思います。これはPCBや水銀の比ではないということをやはり真剣に考えなければいけないので、だから私は、この安全性の問題について、森山長官がいま言われたように、真剣に国が努力することが大事だろうと思うのです。原子力発電については、何よりも安全性の基礎的な研究を前提として計画をしなければいけない。そういう意味で、一つには現在持っておる長期計画の線をもう一ぺん見直しすること、それからもう一つには、安全性研究のために国がもっと力を入れることが大切だ、こう思います。企画庁がいま来年度予算として出しておる安全性に関する研究はごく微々たるものだと思います。私はそういうようなことではいけないのだと思うのですね。そういう点について、安全性研究の問題と長期計画に対する見直しの問題について、森山長官からもう一ぺんひとつ所見を聞かしてもらいたい。
  71. 森山欽司

    ○森山国務大臣 安全性の問題、中身はいろいろございます。安全審査の問題、安全研究の問題、あるいは先生がおっしゃられる廃棄物の処理の問題、いろいろあるわけでございますし、また地元に利益を還元するような方法もいろいろございます。これらの問題につきましては、非常に財政難のおりからでもございますけれども、私どもは具体的に追加要求をして、先生の御要望におこたえいたしたいというふうにいま考えております。  実はこの問題、参議院の予算委員会でも問題になりました。そして、きょうはお見えになりませんが、田中総理が安全性の問題については政府の責任において事に当たるということを明言をしておられますから、先生の憂慮されている、御心配になっている面については、今回は相当の成果をあげられるものだと私は期待をいたしておる次第でございます。  ただここで、ちょっと一言、まけいなことかもしれませんが、原子力発電があぶないということについて、これはどの程度をもってあぶないと言うのかが問題でございますけれども、先ほど中曽根通産大臣が言われましたように、やはり軍事研究の初期においてはいろいろ問題があったようでございますが、平和研究に入りましてから、わが国においても、世界的にも、原子力発電は原則的には安全だ。けれども、わが国のような特殊事情、広島とか長崎とかそういう経験もございますので、原子力については、必要以上に、これに特に力こぶを入れてやらなければならないという意味で、私どもは同感をいたしている次第でございます。
  72. 石野久男

    石野委員 原子力が安全だということについては、安全性の確立をした上であれば、安全なんですよ。まだ安全性の問題については問題がある。特に、あなた方がそういうことを強調するなら、この一、二年の間にどんなに事故が起きているかということを一つ二つだけ話してみましょうか。  まず、関西電力の美浜一号炉の問題では、いま言ったように、八千八百五十二本のうち二千九本の事故があって、めくらせん等の工事をやった。そのために、三十万キロワットが二十万——おそらくこれは十五、六万キロワットぐらいしかいま出ていないのではないかと私は思っていますが、そういう事故があったし、関西電力の美浜二号炉は、一次冷却水のポンプの電気回路の故障で、送電中止をしているような事故が前にあった。あるいはまた、原子力発電の敦賀炉の場合は、これはAECからのGE社の沸騰水型の出力制限令、これに準じて出力低下を現在行なっているでしょう。  また、島根の炉は、炉心制御棒三七%、三十六本がミス製品であることを発見して、そして大騒ぎをしたんですよね。  それから、東京電力では本年の六月に、放射能の廃液の屋外流出の事故があって、大騒ぎをしている。  あるいはまた、東京電力の第二号炉は、制御棒の百三十七本のうち三十二本のミス製品が発見されて、問題が起きている。その他いろいろありますよ。そういうような問題を具体的になくしてからであれば安全だと言えるけれども、それがないんだから、いまは安全性の研究に努力すべきです。  ところが、科学技術庁の四十九年度の予算要求の線を見ますと、その中で原子力開発利用推進としてこの前要求したのが、債務負担行為のものを含めて約八百十三億ぐらいのものなんですよ。その中で安全性の研究のためにどれだけのものを使っているかというと、ここで出ているのは、反応炉事故実験装置と、それから冷却材喪失事故の研究のために使っている金が、二十一億六千百万円ですよ。それで、それは比率として見ますと、〇・〇二四八%なんですよ。そういうものなんですよ。微々たるものですよ。原子力の開発利用という側面は、予算のうちの九九・何%も盛っているけれども、安全性のための研究費なんというようなのは、〇・〇二四八%しかないんですよ。こういうことでは、とても安全性に対する研究なんかできっこないし、地域住民がそれによって安全性に対する信頼感を持つことはできないと思うのです。これはやはり予算措置の上できわめて重要でございまするから、科学技術庁としては、これをうんとふやすべきだ、また大蔵大臣もそれに対してこたえるべきだ、こういうふうに思っておりますが、特に科学技術庁長官は、来年度予算でどういうような措置をされるか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  73. 森山欽司

    ○森山国務大臣 石野先生からたいへん強い御激励を受けて、まことに感激にたえないところでございます。  先ほどいろいろおあげになった事故につきましては、私どもは、これはもうそういう故障はないほうがいいのでございますけれども、やはり機械でございますから、全くないというわけにはいきません。しかし、原子力の設備は、そのまわりに、かりに新幹線の何分の一、何百分の一の故障が起きましても、公衆に大きな影響を与えるといけませんから、何重にも防御装置をいたしまして、いまお話がありましたような事故につきましても、幸いにして公衆には放射能の災害は与えないというところでとどまっておるわけでございます。しかし、それでいいかといえば、そういうことがないようにこれから努力しなければいけませんから、大いに努力をいたします。  その意味で、先ほど申し上げましたように、最終的にどういう数字になるかはこれからの問題でございまするけれども、安全審査の要員は非常勤の方が多かったわけでございますから、これを常勤の人を入れるとか、数をふやすとかいうことを考えております。私どもわりあい自由な立場で放言すれば、百人ぐらいふやしたいななんて言うのでございますが、最終的に予算という形で爼上にのぼりますれば、一朝一夕にそう簡単にその数字ができるかどうかわかりませんが、私どもはその努力をいたしたい。  また、安全研究にしましても、あなたは五十億少ないとおっしゃるが、ことしは五十億、去年は二十五億だったのです。倍になったのです。それをまたうんとふやそうというわけでございますから、一生懸命にやっているというところだけはお認め願って、ひとつ今後ともよろしく御指導をお願いいたしたいというふうに思っております。  そのほかいろいろたくさんありますが、先生の持ち時間がなくならないように、これで……。
  74. 濱野清吾

    濱野委員長 予算はどうしたか。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 石野さんが原子力発電の成り行きが心配だ、こういうお話ですが、私も心配しております。これはもう金の問題よりはむしろ立地の問題、これが見通しを妨げている、こういうふうに思うのです。なぜ立地問題がむずかしいことになっているかというと、私は二つあると思う。一つは安全性の問題、一つは受け入れ体制の問題、この二つの面だと思います。  それで安全性につきましては、通産大臣から心配ありませんというふうに申し上げておるわけで、私もそうは思いますけれども、幾らそう申しましても、これだけは万一のことを許さぬ、こういうことでありますので、これはもう国民からほんとうに真から安全について御信頼願う体制は確立しなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。いま森山大臣から、ことしは五十一億円予算をそのために使っておるという話です。それは昨年の倍に相当するわけであります。安全性ということは非常に大事な問題でありますので、四十九年度につきましてもそういう頭で、森山大臣とよく話し合ってみたい、こういうふうに考えます。
  76. 石野久男

    石野委員 原子力は、とにかく安全性の確立がない限り、安易に石油にかわるべきものだなんということは、ゆめ言うべきことではないと思う。そんなことをやったら、かえって逆に地域におけるところの住民は激怒しまして、ますますその実行ができなくなるだろうと思うのです。こういう意味で、やはり原子力炉については、安全性確立ということに積極的に取り組んだ上でひとつ発言していただきたい。  私は、やはり日本の現在の実情からいいますと、安全性や公害排除が科学的に、また安易に確立し得ると見られる火力発電あるいは水力に依存することが賢明だと思います。そのためには、やはり企業の側で利潤の減少を惜しみさえしなければ、石炭は十分使えるのですね。あるいは石油も重油もうんと使えるのですよ。だから、重油の場合であれば脱硫装置、あるいは石炭の場合であればばい煙の集じん装置、こういうようなものに力を入れるような形でやらなければいけない、こう思います。やはり当面は何といっても火力が重点になると思いまするから、火力が重点になるとすれば、それをおこしている約七割五分が石油だということになりますと、石油の確保ということがやはり非常に大事だと思うのですよ。これでなければ日本のエネルギーを確実にすることはできない。  そこで、石油の問題について、きょうあたりの新聞によりますと、三木特使がいよいよカイロに入られるようでございますが、私は、石油外交という問題について外務大臣にお聞きしたいのですが、アラブの石油というものを今後日本が確実に安定的に入れようとすれば、この外交問題は非常に重要だと思います。十一月二十二日に中東問題について、政府は官房長官の談話を発表しました。これは私どもとしては、内容のいかんにかかわらず、そういう方向をきめたことは非常にいいと思います。  そこで私は、この中東問題に対する政府の見解についてお聞きしたいのですが、政府の出しておりまする方針はいろいろありますが、特にその中で一番中東問題を解決するために重要だと思うこと、アラブ外交について重要だと思うことでパレスチナ問題があります。パレスチナ問題についてどういうような考え方でおられるか、ちょっと外務大臣から聞いてみたい。
  77. 大平正芳

    大平国務大臣 パレスチナ人の自決権は尊重されなければならないということが、今度の和平にあたりまして守らるべき原則であると考えております。それがいかように実現されてまいるかということでございますが、まさにそのことは、十人目から予定されておりまする和平会談におきまして、当事者の間において討議され、解決されるべき問題であると心得ております。
  78. 石野久男

    石野委員 政府が十一月二十二日に官房長官談話を発表された。その中で、いま大臣からありました、パレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認され、尊重されなければならないということについて、この意味するものはどういうことなのですか。それを具体的にちょっと構想を聞かしていただきたい。
  79. 大平正芳

    大平国務大臣 第一に御理解いただきたいのは、その政府の談話は、全体として、パッケージとしてお読みいただきたいということでございます。  すなわち、第一におきまして、イスラエル軍は一九六七年の戦争によって生じた全占領地から撤退されなければならぬということがうたわれてあるわけでございます。そういうことが行なわれて、撤退後どういう事態がそこに現出されなければならないかということについては具体的に触れていないわけでございまして、そこにはその地域における各国々の独立と主権が尊重されなければならない、あるいはパレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が尊重されねばならぬという原則をうたったことでございます。それはいま私が申し上げましたように、和平会談で当事者がテーブルにつきまして、それをどのように解いてまいるかということがこれから行なわれるわけでございますが、それが行なわれるにあたりまして、そういう原則によって行なわれなければならないというのが日本政府の見解であると御承知願いたいと思います。
  80. 石野久男

    石野委員 それでは、大臣の見解では、パレスチナの独立問題について政府は積極的に協力するというふうに私は理解いたします。ところが、そのパレスチナ人に対するわが国の従来の態度というのは、非常に非友好的であったと私は思うのです。このパレスチナの独立問題なりあるいはこれの主権を尊重する、パレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利を尊重するということについて欠けているものがある。だから、日常の友好運動の中でそれを確立するということのための努力が、ただことばの上だけでなくてやられなくちゃいけないんじゃないだろうか。そういう友好運動をするということの意味で、本年の四月に、パレスチナ人でちょうどいまPLOの機関紙の編集長をしておりますアヌアル・アブデル・ラーマンという人が日本におりました。この人は約一年半ほどおったのですが、この人を追放しておりますね。こういうような事実があります。こういうような方がもし日本に再入国というようなことがあった場合には、政府はこれを友好的に認めるかどうか。こういうような問題をひとつ聞きたい。それが一つ。  それからまた、このPLOの機関紙の十一月二十四日号によりますと、日本に対しては決していいというふうには理解していないのです。日本アメリカに追従して、アジアにおけるところのシオニストだとまで言っているのですね。それから中東戦争に対しては、ナパーム弾をイスラエルに供給してイスラエルを助けておるとか、あるいはまた一九五八年にはイスラエル大使館に武官を受け入れるようなことをしておるなどということが書いてあります。私はこの事実はわかりませんけれども、もし日本がイスラエルに対してナパーム弾などというようなものを供給しているというような事実があるとするならば、幾ら十一月二十二日の政府声明などというものがあっても、これは意味をなさないと思うのですよ。だから、そういうようなことがあるかどうかの事実がわかっているのかどうか。もしいまわかっていないのならそれは調査すべきであると思いますが、そういう点についての所見もひとつ聞かしてもらいたい。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 パレスチナ人に対しまして日本は冷淡でないかという御指摘でございますが、そうではございません。一九七一年以来国連におきましては再三パレスチナ自決権の尊重決議が行なわれておるわけでございます。日本は終始賛成の投票をいたしております。念のために申し上げますが、アメリカは反対、スペイン、ギリシアは賛成、その他西欧諸国は棄権をいたしております。  それから、パレスチナ難民に対する救済決議でございますが、これも終始わがほうは賛成いたしておりまするし、わが国といたしましては、遠隔の地でございまするけれども、相当の財政的寄与を間断なく続けてきておりますことは、石野さん御承知のとおりでございます  それから、いま特定の人の再入国問題という御指摘がございましたが、その案件につきましては、私、事実をよく承知いたしておりませんので、承りまして検討させていただきます。  それから、イスラエルに対する弾薬を日本は輸出をしたじゃないか、そういうことをある方面で指摘しておるじゃないかという御指摘でございますが、そういうことはございませんで、そういういわれなきルーマーにつきましては、どうぞあなたのお立場からもお打ち消しを願いたいと思います。
  82. 石野久男

    石野委員 最後の質問をいたします。  これは文部大臣にひとつお尋ねしておきたいのですが、パレスチナの青年諸君、これはアラブの全体を含めてそうですが、特にパレスチナ人の中で若い諸君が、日本に技術習得とか、あるいは学習のための留学というようなことでたいへん強い希望がある。そういう場合に、これらの青年諸君を快く受け入れてやるというような体制づくりを文部当局などは特にすべきだ、こういうふうに考えますが、そういう点について今後の御所見をひとつ承っておきたい。
  83. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 発展途上国への協力一つの方法として、人材を育成するということで協力をすることは、たいへん有意義なことだと考えております。アラブ諸国からも国費留学生を受け入れているわけでございますけれども、御指摘の問題につきましては、外務省、文部省が協議してきめることになっているわけでございますけれども、十分配慮してまいりたいと思います。
  84. 石野久男

    石野委員 これで終わります。
  85. 濱野清吾

    濱野委員長 庄司幸助君。
  86. 庄司幸助

    ○庄司委員 この石油需給適正化法案あるいは生活安定法案については、あとから伺いますが、その前に、この法律ができる以前に緊急な状態が農林漁業の中で生まれているわけです。この緊急な状態について、農林大臣がどういう御認識をなすっているのか、これを伺いたいのでありますが、われわれが北海道から九州まで調査した事例を若干申し上げて、ひとつ御認識を深めていただきたいと思うわけです。  たとえば、農業関係で見ますと、ことしは例年にない非常にきびしい冬を迎えている。そういう中でハウスをやっている農家が、重油が足りない、あるいは灯油が足りないということで塗炭の苦しみをしているわけです。たとえば、これは宮城県の逢隈農協といろ事例でありますが、これは農林省の指導で第二次構造改善をやって大型ハウスをつくった、約二億円かけています。トマト、キュウリの生産予定をしているわけですが、石油が実績配分のために、ことしの三月から始めたもので実績がない。そのために油が入る見通しが全然ないのですね。借金をかかえて困り切っている、こういう事態もあります。それから千葉県の一宮あるいは白子あるいは千葉市、こういうところではメロンをつくったり、あるいはトマト、キュウリ、こういうもののハウスを大規模にやつているわけですが、これも油がなくて、農協の職員がもうほとんど徹夜のようにして油の確保に走り回っている、こういう事態があるわけです。農協のA重油の在庫を見ますと、大体一つの農協で二キロリットル。一晩に大体ドラムかんで二本、三本たくということになると、これをとめちゃったらもう苗を殺さなくちゃならない、こういう深刻な事態にあるわけです。農協職員はもうほとんど夜も寝ないで油さがしに歩いている。しかも、油の値段がどんどん上がって、一時期四千円ぐらいだったやつが、もういまでは五千円、六千円でないと手に入らない、こういうかっこうなんです。  それから、宮城県の吉田農協という事例ですが、苗は植えたものの、いつ加温をやりたらいいか。油がない。加温を中断すれば、これは苗を殺しちゃう。これでもって多額の借金をかかえてやっているわけです。しかも、こういう定植をおくらすと出荷の時期が延びて、今度は価格に影響する、こういう心配もしているわけです。  それから一方、漁業の問題ですが、松島湾、ここはノリ業者が非常に多いところですね。あるいは七ケ浜、こういうところではほとんど油がなくて、一万円にノリ二十じょうつけてやっと一かん買ってきた、こういう事例まで出ているわけです。  それから有明海ですが、これは一万二千戸ぐらい大体ノリ業者がおりますが、ここでももう五千円、六千円の油をさがして歩いている。  それから沿岸漁業の面で申し上げますと、こういう事例もあったのです。青森県の小泊という港がありますが、ここはイカが、いわゆる三百トン型の漁船で産卵場を荒らされて、なかなかイカの回遊がなかった。最近日本海に、目の前に大量のイカが回遊してきた。ところが油がなくて船が出せない、みすみす逃がさざるを得ない。それから北海道の岩内あるいは江差、こういうところのタラ漁のトロール船が出せない、こういう事態もあります。  それから遠洋のマグロ、カツオについては、すでにお聞き及びでしょうが、もうほとんど見通しが立たなくて、大体百五十から二百隻ぐらいハワイ沖あるいはケープタウンのあたりで船がとまっている。それで日鰹連ではしかたがなくて船をチャーターしてそこへ油を届けよう、こういう深刻な事態にあるわけです。そうしますと、日本国民のたん白資源の五二%を漁業が受け持っている、こういわれておりますから、この日本人のたん白資源がまさに危機に直面している、こういう事態になるのではないかと思うのです。  それからもう一つ、市民にとってたいへん心配の種は、こういう状態ではお正月用の魚がものすごい値段になるのではないか、こういう魚価の問題もあるわけです。  こういう緊急な事態に対して、これまでとってこられた政府の施策というのは、まさにくつの上から足をかくようなもどかしさを感ずるような状況にあると思うのです。今度農林省は、少しは本気になったとみえまして、緊急対策要綱なんか出されたようです。そして十七日から何かあっせん所を全国各県につくる、これは通産のエネルギー庁あるいは中小企業庁がおやりになるそうですが、一体これでいま農民や漁民がほんとうに血眼になって夜も寝ないで油を求めてさがし回っているという事態が解決できるとお考えなのかどうか、これをひとつ農林大臣通産大臣からお答え願いたいと思います。
  87. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 国民の食糧でございますので、農産物並びに魚介類等につきましては一日もゆるがせにするわけにいきませんので、この油の問題が出てまいりましてから、緊密に通産省とも連携をいたしまして、いまお話の中にありましたようなあっせん所、これは通産では地方の通産局に全部置かれるわけであります。それとちょうど同じ場所にあります地方農政局、ここにも同じような対策本部を設けまして、いますでに緊密にやっておるわけであります。  ただいまいろいろな点を御指摘になりました。そういうことで、なるほど油が不足するということで、たいへんどなたもその確保に一生懸命におなりになることは当然なことでありますが、そこで、必要量についてどういうふうにしたらいいかということで、町村長と地元で十分な連絡をとつて、そういうところから、つまり苦情の訴え等、いまのようなお話についてどんどん報告をしていただいて、わがほうではそれに対処する、こういうことをやっているわけであります。  お話の中にございましたハウス園芸、これはもちろん電力それから油を直接に使うところもありますし、私どもとしては、時節柄それを合理的になるべく節約してうまくやっていただきたい。たとえば一日のうちでも、朝のうちはちょっと上げて、昼は落とし、夜も大体少し下げていくといったような、そういうことをしていただくだけでもかなりパーセンテージが違うようでありますので、そういうようなことにも力を入れてもらうように、ことにハウス園芸は最近だんだんその占めるシェアがふえてまいりまして、最近は園芸生産物の中でハウス園芸の占める割合がたいへん伸びてきました。したがって、時期でもありますし、そういうことについて当局と通産省と万全のことをやろうということで、先般も通産大臣からお話がございましたけれども、両省で詳細な打ち合わせをいたしまして、それに基づいてわがほうで入り用な石油を確保する、こういうことでございます。  それから漁業関係でございますが、これに要する油量もすでによく計算されておりますが、ことに遠洋へ出ておるもの、これに海上補給するというようなことも、それぞれの関係業界と話をして、それぞれの対策をやっておりますが、お話にございましたように、マグロ関係では、前々から自分でタンカーを持っておりまして、そして至るところで海上補給をいたしておりますが、そういうようなものの所要量というものは、一年でおよそきまっておるわけでありますから、その量の確保について、ただいま関係省庁と打ち合わして、万遺漏なきを期するように、事務的な打ち合わせをいたしておる次第であります。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま農林大臣がお答えしましたように、通産当局と農林当局と事務的にも緊密な連絡を中央並びに地方においてもやらせまして、遺憾な事態が起きないように手配しておるところでございます。
  89. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま両大臣から御答弁いただきましたが、たいへん抽象的な御答弁で、地方の実態の御認識があまり深くないようですね。私、さっき簡単に申し上げましたが、たとえばノリの場合はもう腐らしておるんですよ。腐らしておるのに対して油がなくて乾燥できない。それから小泊の例で言ったように、イカの大群を目の前にしてとれない。あるいは八戸のように、遠洋に出ようとして家族の盛大な見送りを受けて、もう船が出た。そうしたら翌日電報が入って、油が確保できないから引き返せ、こういうことで帰ってきておる、こういう実態があるんです。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)事実調べてきたんですから。これは八戸の白洋丸という漁船です。  それからハウスの問題にしても、苗を殺さなくちゃならない、こういう深刻な事態に入っている。これに対して、いろいろの法律が通らないとだめだとか、そういうことばかり言っていたのでは生きた行政じゃないと思うんですね。ですから、緊急対策がどうしても必要だ。そこで、通産と農林もいろいろ協議して、この十二月十二日付の「石油製品あっせん相談所の設置について」という要領、これを発表なすったようです。ところが、これを見ますと、これもやはり当面の対策にならないということです。私が聞いているのはいまの問題なんです。きょうの問題、あしたの問題、それからこの十二月中の問題なんですよ。  このあっせん相談所の要領を見ますと、問題点が八つほどあると私は思うのです。これが全部石油商業協同組合内につくられる。あっせん協議会をつくるのだが、これも全部業者だけですね。消費者の代表なんか一つも入っていない。漁連、漁協あるいは中小企業、病院、こういうものは入っておりません。それから、これには地方公共団体の一メンバーも入っておりません。それから、やはり審査の基準が問題なんです。削減を受けた、供給停止を受けた証明書をつけろとか、こういうことがある。それから数量の問題では、A重油や灯油や軽油、こういうものは一カ月一戸当たり二キロリットルです。C重油だけは十キロです。それから受付の期間ですね、これがあっせん所の都合によって、毎月初めあっせん所が定めた一定期間内にやらせる。これはおそらく発動するのは来月からでしょう。一月から、これじゃ今月間に合わないのです。それから価格の問題については、業者と申請人とで協議して決定する。ところが、強いのは業者ですから、やはり業者まかせになる可能性があるわけです。これはもっと改善してやってもらう必要があるのですが、当面この十二月、これについてどうなさるのか、少し具体的に御答弁願いたいと思うのです。これは農林大臣——通産大臣に関係があるとすれば、通産からもひとつお願いします。
  90. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほど申し上げました私どものやり方は、たとえばノリの乾燥用、これは一年に十万キロリットルぐらいの油を要するといわれているわけでありますが、そのようにして私どものほうでは、ハウスにどのくらい、漁業用にどのくらい、その漁業用の中でもカツオ、マグロにはどのくらい、その他のトロールにはどのくらいというふうにずっと数字はあるわけでありますが、たとえばノリのお話にいたしましても、ことしはたいへん増産される見込みでございます。したがって、大事な時期でありますので、石油の供給業者と、それからノリの生産業者とが協議会を開きまして、各地の状況、要望を——いまあっせん所というものは地方通産局単位にできましたけれども、それと同じような仕組みが地方農政局にできておりますので、そういうところとはもちろん生産者団体はいつでも連絡があるわけでありますので、そういうことに対して状況をつぶさに報告してください。それに対応するように即座に手を打ちますよと、こういうことをいま指導いたしておるわけであります。その他のことにつきましても状況を知らせていただいて、それにできるだけの措置を講じていくように現在地方に指令をいたしております。地方の農政局といたしましてはたいへん大わらわで今度のこの油の問題について対処いたしておるわけでありまして、御指摘を待つまでもなく、ハウス園芸にしてもそうでありますし、それから現にそういう園芸関係だけではなくて、たとえば必要なる米の運搬等についても、時節柄でありますので、私どもとしてはそういうことについて万全の対策を講ずるように、役所の人々も非常にお気の毒なほど時間をかけて一生懸命でやっている次第であります。
  91. 庄司幸助

    ○庄司委員 その点でもう少し具体的に伺いたいのですが、農政局に窓口をつくられる、これはけっこうです。ハウスの場合は、ほんとうに一晩とめれば枯れちゃう、こういう危険性があるのです。そういう緊急なものに、あの輸血のための血液銀行みたいに緊急に手配するような、これは全部小口ですから、そういう体制をつくられる、あるいは農林省が通産とよく協議なすった上で、やはり農林省のワクを一つ持っていて、それを農政局ごとに緊急なところにはすぐ送ってやる、こういう体制はとれませんか。
  92. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほどのお答えにも申し上げましたように、現実に大体ハウスをやっているところは全国そう全部じゃありませんので、そういう地域は町村役場と十分に連絡がつくところでありますから、同時にまた農協も、この人々の組合もあるわけでありますので、先ほど申しましたように、苦情を訴えていただきたい、それから計画を知らしていただきたい、それは町村が中に入ってやってください、それからそのそれぞれの業界の団体、たとえばハウス園芸をやっていらっしゃる組合がありますから、そういう方々もひとつ町村単位で状況を知らせてください、それにできるだけ対応するようにいたします、こういう指導をしているわけであります。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 実はその点で需要量調査、これは農林省でおやりになっているようですが、この締め切りは十二月二十日までですね。だいぶ前からやっていて十二月二十日締め切り、これでは、二十日に大体需要量をつかんでやったところで、もういまから一週間ぐらい空白が出る。だから私が言っているのは、もっと緊急な問題として、市町村長、これは確かにいろいろ奔走するでしょう。しかし、油を持っておりません。だから、その点で油を確保して、市町村長に苦情が行ったらすぐ出してやる、こういう措置をとっていただきたいのですが、その辺どうですか。
  94. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そういうふうに親切にいたすように指導いたしたいと思いますし、大体いま私どものところに各地方から報告のきておりますものによりますと、最初にあなたがおっしゃいましたように、みんなが心配はしていらっしゃいますけれども、やはり非常に積極的に働かれて、大体いままでの油につきましてはくめんをされておられる方が多いようであります。しかし、これはこれからの供給できる量によってはたいへん違ってまいりますので、その前にいま調査をして、そしてその調査に基づいて万遺憾なきを期するようにできるだけのことをやらせるために、いま地方の農政局のあっせん所等で非常な苦労をさせておる、こういうことでございます。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、地方の農政局へ行けば油をもらえるのですね。
  96. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 新聞にもありましたように、あっせん所というのは通産局単位で通産ではおつくりいただいたようでありますし、通産大臣から私に特に、やはり国民食糧にとって重要なものを預かっておられる農林省はちょうど同じようなところに農政局を持っておられるのだから、同じような仕組みでひとつ緊密な連携をとって、国民に心配をさせないようにいたしましょうというお話で、ありがたいことでありますので、同じように私どもはその計画をいたしておる、こういう次第でございます。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間がないのであれですが、これはひとつ通産大臣にも伺っておきますが、どうも農林大臣の答弁では、今月中、あっせん所が開設するまでの間の油がどうも心もとない。その点、ひとつ通産も考えていただいて、農政の窓口あるいは通産局、こういうところに申し入れたら、ノリの乾燥用あるいはハウス用あるいは漁船用、こういうものの緊急手配をしてもらう、この手続をひとつとってもらいたいのですが、その点はどうですか。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やります。あっせん所は十七日から開きます。いま開設の準備をしておるわけであります。いま農林大臣申されましたように、通産当局と緊密に連絡いたしまして、特にあっせん所は府県ごとにできるわけでありますから、管下の各府県における農業の需給状況を的確に把握しておいて、どこが足りなくなったらどれを出す、そういう手配をせよと指示してあります。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、先ほど若干の例をあげましたが、これはもう非常に困っているところです。そのほかにもあるのです。大分とか、時間の関係で例をあげませんが、それは大至急調査なすって、そういうところへはひとつ緊急の手配をやっていただきたい。これはいいですか。
  100. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そのようにいたしたいと思っておりますし、それから申し忘れましたけれども、あっせん所は県単位につくらせております。それから油につきましては、御承知のように農業団体であります全農と全石連とが石油の話をいたしておりますので、ハウス園芸等については、そういう関係で十分に実情を把握してやってまいるつもりであります。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、法案のほうへ入りたいのですが、いままで質問、答弁をやったわけですが、この二つの法案で私、感ずるのは、政府の責務として、一般家庭であるとか、あるいは病院であるとか学校であるとか、農林漁業とか中小企業とか、あるいは公共交通機関であるとか、そういうものは政府の責任で油を確保いたします、そして在庫の調査もして情報も提供いたしますと、こういう条文ですね。やはり政府の責任として明確にしないと、国民は納得しないと思うのですよ。そういうお考えをひとつしていただきたいと思うのですが、通産大臣、どうですかその点。
  102. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この法案が通りましたら、行政指導を行なうについても非常に力をいただくわけでございますから、そういう力をバックにいたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 問題は、こういうものを具体的に、農林漁業であるとか中小企業とか、病院とか学校とか、法律の中に明示して、これは政府の責任で確保するという点を明確にしていただきたいというのが私の趣旨なんです。政令にまかせてもらって、あとはおれたちにまかせろというのでなくて、法律に明示してもらいたい。そういう修正に応ずるつもりがあるかどうか、これを伺っておきます。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第十条に「あっせん」というところがありまして、その中に、中小企業、農漁業、鉄道、逓信、そのほか公益事業あるいは活動、そういうふうに書いてありまして、例示としてそういうものの中に入っておるわけであります。
  105. 庄司幸助

    ○庄司委員 私は、政府の責任という一項目を設けろということを言っているわけですが、これは時間がありませんからこれでやめます。  それからもう一つお伺いしたいのは、削減率の問題ですね。これは農協、漁協あるいは農民、漁民ずっと調べました。調べてみたら、閣議決定では、一〇%条項からはずす、こう明確になっておるのですね。それからその後、次官会議の決定でも、明確に一〇%条項からはずす、今度のあっせん所の中にも、農林漁業を一〇%からはずす、こう書いてあるにもかかわらず、現状は、業者対農協あるいは業者対漁民、こういうかっこうで見ますと、平均で三〇%カットされている。多いところは五〇%削られておる。これは至るところで出ているわけです。その点で農協でも漁協でも言っていることは、大企業のほうは一〇%条項を適用されて一〇%の削減を受けている、しかしあの連中は、大体たっぷり油をもらっている、大洋漁業、日魯漁業は今度のあれでびくともしていない、こう言っています。ところが、一〇%条項からはずされているこういう農民、漁民が三〇%、四〇%、五〇%、こういう削減が現実に行なわれている。その点で大企業本位をやめてくれということを農民、漁民がだいぶ言っているのです。農協の幹部でさえこれは言っておるのです。その辺、通産大臣、いわゆる大企業の削減率と比べて、こういう末端の農民、漁民がこういう削減を受けている問題ですね、これを是正なさるお考えがあるのかどうか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大企業を優遇しているわけじゃありません。やはり大企業は政府の指示に基づいてカットもするし、節減もしてもらっておるわけであります。それで、中小企業あるいは農漁業については優先するという政府の方針をきめておるわけであります。多少、地方によって混乱があるかもしれませんが、そういうものはできるだけ早く片づけて、ひとしく皆さんが安心して農業ができるような体制を農林省と緊密に連絡して実行してまいります。
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは地方によって混乱があるんじゃなくて、全国的にそういう混乱があるのです。ですからその点で、あなた方は一〇%条項からはずすと言っておるのですから、これは明確にはずして、必要なだけ農民、漁民に届けていただく措置をとっていただきたい。これは言いっぱなしですが、要望しておきます。  それから、その次に伺いたいのは、こういう事例があるのです。宮城県の七ケ浜漁協というのがあります。これは松島湾沿岸でノリが相当とれるところです。この七ケ浜の要害というところに昭和石油石油基地をつくらしてくれと町に申請を出しておるのです。ところが、これが町議会の公害対策審議会によって反対されて、否決されたんです。そうしたら、昭和石油が今度の油不足につけ込んで、町会議員、漁協の幹部を東京の本社に十二月二日に呼びつけた。そうやって、油でだいぶお困りのようですから、重油を差し上げましょう、だからぜひあの基地の建設に反対なすっている方は反対を取りやめていただきたい、こういうことを呼びつけてやっているのですよ。漁協の幹部、これは町会議員をやっている方もあるのです。中には、油ほしさに、それじゃ私は賛成に回りますと言った方もあるやに聞きます。しかし、断固として、そういう針のついたえさはのめない、三百本や四百本の油でこの大切な海をよごされてはかなわないということで反対している組合長もいるのです。  それから、秋田の男鹿半島の船川でも、日鉱が、やはり同じようなあそこの基地の増設を、やはり油不足につけ込んで、油でつろうとしておる。漁民の反対は相当あるのです。油をやるから反対しないでくれという。  それから、これは差しさわりがありますので名前は出しませんが、海に面した大石油基地をかかえたある県です。ここで、県と石油基地のメーカーとの間で折衝が行なわれたやに聞いております。油を出せ、公害だけ出して油を出さぬとはけしからぬ。そうしたら、メーカーのほうで、どうやら増設を認めてくれといわんばかりにして、油はひとつ差し上げましょうというやりとりがあったやに聞いているのです。  そうするとこれは、油は上げますから公害を流さしてくれ、増設さしてくれという論理になるわけです。  それともう一つ、油はあるところにはあるのだという問題ですね。だから、メーカーのえてかってで油が流されている。私はメーカーが油を現地にやるのを反対とは言いませんよ。しかし、そういう条件つきでメーカーがかってに油を左右する、これでは政府の規制も何もあったものじゃないのです。ですから、その点で私どもは、今度の法律の中で、大企業、メーカーの在庫、それから系列の元売りの在庫、これを政府が立ち入り調査をして発表する、あるいは国会の権限で立ち入り調査して発表する、これを提起しているわけです。その辺、通産大臣、こういうことをやっている石油メーカーは断固として規制する必要があるのじゃないかと私は思うのです。それから在庫の問題ですね。公表させる必要があると思うのですが、その点どうですか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 油の不足にまぎれ込んでそういう強者の立場が利用されるというようなことは、フェアではありません。そういうことがないようにわれわれも指導いたしたいと思います。  それから、在庫調査は、この法律が通れば、われわれが権限をもってできるはずになっております。一日も早くこの法律を成立さして、的確に在庫量を調査し、国民の期待に沿うような公正な石油行政をやれるようにお願いいたしたいと思います。
  109. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後に二、三伺いますが、補償の問題です。農林大臣、遠洋をやっている漁船に油を届けなくちゃならないという事態が起こっているのです。しかも、これは防衛庁長官にも聞いてもらいたいのですが、ハワイ沖で操業している漁船がアメリカから油をもらえない。しかもアメリカ側は日本で相当な油を使っている。それから、これは防衛庁長官ですが、あの松島の漁民ですね、松島の航空自衛隊の飛行機が頭の上をどんどん飛んでいるのです。ノリ漁民が、ああ、あの飛行機一機で五千リッターから六千リッターの油を使っているんじゃないか、おれたちには油ない、あんな演習やめたらどうだ、こう言っているのです。その点で私は、中途はんぱになりましたが、農林大臣に対しては、そういう遠洋に油を届けるといった場合、やはりチャーター料であるとかあるいは若干の補償をやる必要があるんじゃないか。それからハウスでもし油がなくて被害を受けた場合、これに対する損害補償ですね、これをやってあげる。ノリ漁民に対してもやはり同じような措置をとる。  それからもう一つは、農協、漁協、これは備蓄の装置をつくらなくちゃならない。いまのタンクでは小さいという問題もあるのです。これは全国の農協の組合長からも要請が参っておりますが、この備蓄に必要な資金、これをやはり農林省で手当てする、こういうことが必要じゃないかと思うのですよ。その点ひとつ農林大臣から、それから先ほどの自衛隊機の演習の問題については防衛庁長官から、ひとつお答え願いたいと思います。
  110. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農協、漁協がそれぞれ正当なお仕事をおやりになるのには、それぞれの法に基づいて補助を差し上げることができるようになっておることは御承知のとおりであります。  油の問題につきましては、やはりできるだけ早く——これを浮かしておくわけにいきませんので、油を補給してあげて帰れるようにするということで、いまそのほうに全力をあげているわけであります。
  111. 山中貞則

    山中国務大臣 ハワイの問題は……(庄司委員「ハワイの問題はいい」と呼ぶ)じゃそれはやめますが、なるほど漁民の方は、自分たちが操業している上をジェット機が飛ぶ、その燃料を自分たちに回してくれれば自分の船は動けるのだというそういう考え方は、私は否定できないと思うのです。しかし、これはあなた方の党と私たち自民党、いわゆる私たちの立場の政府とは見解を異にいたしますが、われわれは国家の行動としての自衛行為としての一定範囲の油というものは必要であるし、使用せざるを得ませんし、これを、たとえば何カ月か休んでそして突如それに対応しろといっても、防衛力というものは瞬時の中断も許されないということがありますから、私どもは、いわゆる国民に、あるいは官庁自体が節約をするその姿勢を自衛隊自体というものが、これは防衛庁全体を含めて自分たちでもってそれに対してどこまで節約し、協力し、そしてその余力というものが、国民全体のすべての供給の面に私たちが貢献できるかという問題に対して取り組むことが必要であると考えます。したがって、それに対してはみずからどのように節約するかについて具体的な検討も指示もいたしておりますし、さしあたり十二月は一〇%に当たる六千キロリッターを節約するという方針で、それぞれの部隊の演習を含めて削減することにいたしております。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 最後にハワイの問題です。  これは外務大臣、ハワイ沖で油が給油できない。非常に高い油をその他の地で求める。一説によると、キロリッター六万五千円だ。ところが日本に駐留しているアメリカの軍隊は日本の油を使っている。これは前々から論争のあったところですが、これはやはりアメリカ軍の油はとめるべきだ、こう思うのですよ。その辺、外務大臣どうですか。
  113. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国は、諸外国とおつき合いを通じまして、航空機でございますとか、商船でございますとか、あるいは漁船であるとか、いろんな形におきましてわが国からも供給し、わが国もまた諸外国で供給を受けておるという、いわば相互依存の間柄にあるわけでございます。したがって、わが国としても、諸外国に対しましてそれ相当の供給を覚悟せなければなりませんが、同時に、外国におきましても、わが国のそれらの油の需要に対しましては供給に応じていただかなければならぬという立場に立っておるわけでございまして、そういう体制をつくるべく、いま各省と御相談を申し上げておるわけでございます。  ただ、石油危機が起きてまいりましてから、とっさの場合、各地におきましていま御指摘のように、寄港地におきまして油の供給を受けられないという事態が間々出てまいっておりまして、これはケース・バイ・ケース、現地官憲におきまして先方とかけ合いをいたしまして、供給を受けるように努力をたいしておるところでございます。  それから在日米軍の油でございますが、これはたびたび国会におきましても御答弁申し上げているとおりでございます。すなわち、わが国におきまして石油緊急対策がとられまする段階におきまして、米軍に対しましてわがほうにおきまして問題を提起いたしましたところ、アメリカ軍におきましても、自発的に節減措置を講じておる旨の通知がございました。しかしながら、石油危機はますます深刻でございます。これに対しまして先方の理解を求めてまいりましたが、先方も、私どもの立場に対して全幅の理解を持っておりまして、ただいま日米間におきましてこういう問題は協議いたしておりまして、私は所期の目的は達成し得るものと考えております。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  115. 濱野清吾

    濱野委員長 一時三十分から連合審査会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後一時三十五分開議   〔平林物価問題等に関する特別委員長委員長席に着く〕
  116. 平林剛

    ○平林委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑を続行します。松本忠助君。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国民生活安定緊急措置法案石油需給適正化法案につきまして、運輸関係を中心といたしまして質問をいたしたいと思います。非常に短い時間でございますし、その間にいろいろと質問もございますので、簡潔な答弁をお願いいたしたいと思うわけでございます。  法案の内容につきましては、条文等もそれぞれの各委員会におきまして熱心な討議が行なわれておりますので、私は、最も具体的な問題について質問をいたしたいと思うわけでございます。  御承知のように、今回の石油危機は日増しに深刻の度を深めておるわけでございますが、これが国民にたいへんな不安を与えておるわけでございます。こうした情勢の中で、先般十二月十日に、個人タクシーの新規開業を受けた者が、燃料確保ができないというところから、前途を悲観して自殺をしたという暗い事件さえ引き起こしておるわけでございまして、こうしたことは、政府の無策、失政を如実に示すものであると私は思うものでございまして、このなくなられた方に対しましても深甚な弔意を表するものでございます。  今回の一連のいわゆる燃料不足、LPGの不足の問題について見ましたときに、一般家庭のLPG優先確保というのは当然のことでございますが、次には、個人タクシーをはじめといたしまして、立場の弱い業種についてその生活を守ることは当然と思うわけでございます。それに対しまして何らいままで策がとられておらなかった。しかし、幸いにいたしまして、昨日の夕刊によりますと、この問題につきましてもまず一つの目安ができたということを伺ったわけでございます。  つきましては、第一問でございますが、石油需給適正化法案の第六条によりますと、石油の使用の制限が規定されております。タクシーの場合に例をとりましても、当該数量をどの線に引くかが問題だと思うわけでございます。生活を圧迫することのないように対処すべきだと思いますが、この基本的な方針を伺いたい、これが第一でございます。  第二点は、LPガスの問題につきまして、ここ一、二週間、運輸省も通産省も非常に熱心に、そしてまた業界もこれに参画をして討議が続けられまして、先ほど申し上げましたような昨日の夕刊の発表になったわけでございます。  しかしながら、ここで私非常に遺憾に思いますのは、この石油需給適正化法案の審議中に、第十一条にあるこうした統制経済時代の切符配給制度と同じような制度を採用せざるを得なかった。きわめて遺憾に思います。第十条の線がいわゆる第一段階で、第十一条は第二段階だと称していたわけでありますが、いきなりこの第十一条に入りまして、実質的に第二段階に突入してしまった、こういう点を遺憾に思うわけでございます。東京を例にとりますと、法人が二、個人が一という割合で、法人は一日当たり五十リットル、個人については二十五リットルというようでございますが、この基準の算出は何を根拠にしたか、これが第二点でございます。  それから第三点といたしましては、実施をしてみた上で、配分の比を訂正する必要があるかないか、この点疑問を持つものでございます。また、いけなければ当然のこと、訂正しなければならぬと思うわけでございますけれども、この点についてどのようにお考えであるか、これが第三点。  次の問題は、LPGの配分につきまして、運輸、通産、いわゆる役所側と、それから業界側の希望によってこれが行なわれたわけと思いますけれども、問題は、公平な配分ということが一番重要な問題であろうと思います。そこで、末端におきましては、この配分をいたしましたときにおいて、いろいろ摩擦、混乱もあるのではないかと思われます。そのためと思いますが、苦情処理につきまして苦情処理委員会というのをつくるというお話のようでございますが、その構成、処理のしかた、あるいはその委員会は各地方自治体ごとにいつごろまでに発足させるのか、これが四点目です。  それから最後が、まずい点があったときに改めるということは当然のことだと私思うわけでございますけれども、よりよい方向があるならば、当然そちらのよりよい方向を採用する用意もあってしかるべきだと思いますが、これらの点についてお答えを願いたいと思うわけでございます。
  118. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 重要な事態に直面した配分をどういうふうな緊急度において、あるいはまた、どういうふうな配分を基本的に考えるかということでございますが、当然、これは私ども公共輸送機関を預かる者といたしましては、すべての問題——配分により重要なこの燃料確保をしなければならぬと思っております。  なお、運輸部門の内容の問題でございますけれども、いま先生、主として自動車部門についてのお話でございますが、自動車部門といたしましては、公共の足に欠かすことのできないバスの問題もございます。それから自動車の問題等につきましては、ハイヤー、タクシー、ハイタク、特に弱い部門の、いまお説にございましたような個人タクシーの問題については、十分御意見を聞いて配慮してまいりたいと思っております。それからなお燃料の節減等につきましても、いろいろ観光用とか、そういうようなバス等は御遠慮願うような、自粛をお願いするような方向で指導をいたしておる次第でございます。  それからLPガスの配分の問題でございますが、これは新聞にも発表しておりましたけれども、この根拠は、やはり実績に置いて、業界の皆さん方ともよく相談をした上で、御納得の上でやって進めたわけでございます。したがいまして、すぐいきなり配給の下地をつくった、こういう印象があるいはあるかもわかりませんけれども、決して私どもが、運輸省が強制的とか、あるいはそういうものに踏み切ったわけではございませんから御了承いただきたいと思います。  それから、この計画がうまくいかない場合には、当然その配分計画においてよりよい方法があるならば訂正するのかというお話でございますが、これはお説のとおりでございます。よりよい方法があれば、十分そのお説を聞いて行政指導をやってまいった段階でございますから、十分拝聴いたしましてやりたいと思っております。  なお、苦情処理の問題は、業者の方々も参加していただきまして、間違いのないような、また苦情のためにトラブルが起こらないような方向でやりたいということでつくったわけでございます。  なお、詳細につきましては、政府委員から御答弁をさせていただきます。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 苦情処理委員会は、いつごろまでに発足させる予定ですか。簡単にひとつ。
  120. 中村大造

    中村(大)政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、具体的な配分は来週早々にも発足させたい、こういうふうに思っておりますので、そのときには、各都道府県ごとにクレーム委員会というものを設置させたい、構成は、陸運局、通産局、それから自動車側それから石油販売側、両方から出ていただきまして、そういう構成で設置したいというふうに思っております。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ただいま大臣の答弁に、実績を基礎にしたという話でございますが、四十七年当時の実績のない者、この四十七年当時の実績のない者に対しては、単に実績がないという理由のもとに配分を拓否するというようなことはないと思うわけでございますけれども、たとえば十一月の末に免許になった者、こういう者に対しましては一体どうなのか。一日当たり二十五リットルというふうな制限を受けて、開業がほんとうにできるのならまだいいわけでありますけれども、現実にそれが、いままでの例によりますと、どうもあやふやでございます。この点を確認をいたしておきたいわけでございます。
  122. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、最近許可いたします者についても、他の方々の実績を背景にいたしまして、間違いのないように手当てをいたしておる次第でございます。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 実はこういう問題が一つありますので、これはひとつ聞いておいてもらいたいわけでありますが、この十二月の九日ごろからLPガスのスタンド、これはそういう実例でございますから名前も申し上げますけれども、足立区の堀之内の一の十四の十七というところに杉並産業株式会社というのがあります。そこでは張り紙をしまして、そしてこういうことをいっています。前段のほうは省きますけれども、一として、登録車両のみ充てんを行ないます。登録の選定は当社の基準で行なう。第二番目に、登録の預かり金三万円、ただし預金として利息はつけません。三番目に、預かり金の納入期限は十二月十五日限りです。この期限を過ぎたときには権利を失います。四番目が、充てん量の一日一車当たり三十リットル以内。五番目に登録車には登録票を発行します。それでいろいろと登録のやり方等が書いてあるわけです。こういったことが堂々と店頭に十二月九日ごろから張り出された。そのために、個人タクシーの業界で非常な混乱を起こしたことは事実です。このほかに、実は口頭で、全然実績のない者でも五万円持ってくれば配給をいたしますよということを言っているわけです。  こういう非常にあくどい、弱い立場の者の足元を見透かしたような問題が出ているわけでございまして、これも十七日以降、実際に配分が決定されますれば、こういう問題は起きないわけだと思いますけれども、今後このようなことが起きると困りますので、私、特にこの事実を指摘して、御注意を申し上げておきたいわけでございます。  そこで、次に通産大臣に伺いたいわけでございますけれども、石油需給適正化法案の九条二項、ここにございます条項でございます。「通商産業大臣は、国民の生命、身体若しくは財産の保護又は公共の利益の確保のために不可欠な事業又は活動に対する石油の供給に著しい支障を生じている場合において、その事業又は活動に対する石油の供給を確保するため特に必要があると認めるときは、」云々、こうあります。これによりますと、私、解釈でございますが、地方公共団体もしくはその委任を受けた者が行なっているところのごみの清掃、運搬等の仕事です。これは国民の保健衛生を確保する点から見ても、この条文の国民の生命、身体の保護、こういうものに当たるし、かつ「公共の利益の確保のために不可欠な事業又は活動」、こういうふうに私は認識しますが、大臣の見解を伺いたいわけです。これが一点。  それから、清掃屎尿車の燃料につきましてお伺いするわけでございます。これは私は当然この面を大臣が認めていただけるものと思いまして、次に質問を進めるわけでございますが、現在東京都内には、私の調査によりますと、二十二社で約五百台LPのガスを使用しているものがございます。この三十七万八千九百リットルからのものを使っているわけですが、こういったごみの運搬車に対して、ほんとうに確保できるのかどうか。私は一〇〇%確保すべきではないか、こう思っておるわけでございますが、この点についてのお考えを聞かせていただきたいわけです。
  124. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 清掃、屎尿処理あるいは火葬二月七日の価格を比べてみますと、五千三百円値上がりをしておるわけでございます。こういう状態は、この大型タイヤに限ったことでなく、スノータイヤにおいてもこの状態は同じようなものが見られるわけです。そこで、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律施行令の物資の指定のワクをこれらのタイヤ類にも及ぼし、ワクを広げて第五条の立ち入り検査をする考えがあるかないか。これを通産大臣に伺っておきたい。
  125. 内田常雄

    ○内田国務大臣 法律の仕組みとしては私のほうの所管と考えますので、一応お答えを申し上げます。  タイヤ類は、いままでの生活関連物資買占め防止法では生活必需品、生活関連物資とは考えられませんが、今度、国民生活安定緊急措置法案の中で買占め防止法を改正いたしまして、国民経済に関連の深い基礎物資というものを追加することにして御審議をお願いいたしておりますので、その場合には、私は松本さんの御提案なされた物資も、そのものをいまずばりと指定するとは申し上げにくいが、指定し得る範疇に入るものとして考えてまいりたいと思います。
  126. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは企画庁長官、ぜひひとつ実態を掌握してもらいたいと思うのです。  それからまた通産大臣も、生産はおれのほうだ、しかしその取り締まりについては経企庁長官だというようなことでなくて、生産の面を考えるならば、それがどのように流れていっているかというようなことについても関心があって当然じゃないかと思うわけです。  それで、このタイヤ類についても、いまお話しのようにワクを広げて対象として考えてみたい、こういうお話でございますので、ぜひそうしてもらわないと、非常にいま困っている状態であります。特に大型のタイヤにおいてはこの傾向が強い、こういう点から私はひとつ提案を申し上げておくわけでございます。これらの資料は全く最近の資料をもとにしてのお話でございますので、ぜひともこの点について十分の考えと行動を示してもらいたいと思うわけでございます。  それから次の問題でございますが、海運関係についてお伺いしますが、外航船の問題でございます。  特にタンカーの燃料確保につきまして、また、さらにはコンテナ船のニューヨーク航路、こういったものは、従来外国の港、港でその補給を受けていたものが、最近はできなくなった。困難になっております。特にトランパーにおきましてはその傾向が顕著のようでございます。この問題に対しまして、どのように運輸大臣としてお考えになっているか。外航船の燃料の配分の問題等につきましても、日本石油連盟と日本船主協会の間で十二月の配船分については一応の話し合いができたようでございますけれども、これが各社別の割り当てという段階になりますと、いままでの取引関係が非常に複雑であっただけに、はたしてスムーズにいくかどうか、非常に疑問に思っております。  運輸省や通産省としまして、これらの点についてタッチする考えがあるのか、あるいはまた、これらの二つの業界に自主的にやらせようとしているのか、どちらであるか、その辺のところについて伺っておきたいわけでございます。
  127. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いまお説のように、外航船に使っておる大体の油は二千六百万キロリットルでございます。そのうちの千三百万キロリットル、これは、お説のように外国で補給をいままでしておったのでございます。なおまた、外国船が日本で補給しておりましたのが、大体七百三十万キロリットルと推定をいたしております。  この問題につきましては、いま御指摘がございましたように、船主協会と石油連盟の間におきまして、十二月分の運航につきましてはまあまあという程度の話し合いによって運航されているわけでございますが、今後の問題につきましては、いま両者間のとにかく自主的な話し合いを進めていただきまして、いま直ちに私どもでこの間に介入するということではなくて、行政指導においてできる限りの確保をする。それと同時に、外国船の補給につきましても、国内においてこれが確保されますように、私どものほうからも要請しておる次第でございます。
  128. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 内航船の問題について伺っておきますが、沖繩の諸島に対するところの物質の輸送でございます。  これは、御承知のように、沖繩航路運賃同盟というのがございまして、そこに九社加盟しておりまして、昨年度の実績を見ましても、往航が千七百三十九航路、二百三十三万一千トンに及ぶところの物資が輸送されております。こういった問題でございますが、この航路のいわゆる燃料が確保されませんと、沖繩の人たちの食糧も確保できませんし、人道問題になる、こういうことでございますし、加えて、また物価が一そう値上がりをする、こういうことになるわけでございます。したがいまして、この点についてどのように考えられ、そしてまた、経企庁長官としてもどう対処されるか、伺っておきたいわけでございます。内航海運の業界が、十二月については三〇%ないし四〇%の供給削減を受けている中で、この沖繩の油というものについては、やはり百万の人たちの生活に重大な影響を及ぼしますだけに、どうしても絶対的に確保し、完全な輸送が行なわれなければならないと私は思うわけでございます。この点について答弁を願いたい。
  129. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海運局長でございます。  先生御指摘の沖繩同盟の運航状況並びに燃料油の確保の状況につきましては、私のほうで昨日幹事会社である近海郵船に確かめましたところ、現在のところ燃料油の不足はしていない、したがって、計画どおりの輸送力は確保されているという状況でございます。御指摘のとおり、大事な航路でございますので、特に私ども関心を払って、今後燃料油の足りないことのないように十分気をつけていきたいと思います。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後でございますが、経企庁長官と運輸大臣に伺いたいわけでございます。  第一点は、六大都市のタクシーの運賃でございます。昨年の二月に現行運賃に値上げしたわけでございまして、その際、運輸省としましては、経企庁の国民生活局長に対し、四十七年一月二十五日付で、今後おおむね三年間はタクシー運賃の改定は行なわないように業者を指導する、こういう約束をしております。これをほごにして、何かこう、最近あらゆるところから運賃値上げの申請が出ておりますし、また、自主運賃とか申しまして、非常に乱暴な話も出ているわけでございます。その業界の方々の御苦労もわかるわけでございますし、燃料の確保の点に骨を折っているところもわかります。しかしながら、いま御答弁がありましたように、これらの業界に対しましてもまずまずの燃料確保ができるということになりますと、この運賃値上げという問題に対しても、さらにさらに慎重な考慮がなされなければならないと思うわけでございます。  したがいまして、この点に対して運輸大臣はどのようにお考えになられるか、それから経企庁長官はどうお考えになっておるか、この点をひとつ伺いまして、質問を終わるわけでございます。
  131. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 自主運賃の問題がことあげされたことは事実でございますが、これは十二月分のLPガスの確保によって旗をおろしていただきました。  なお、今後の運賃改定の問題につきましては、いろいろな情勢もあろうと思いますけれども、十分慎重に検討してまいりたいと思います。
  132. 内田常雄

    ○内田国務大臣 公共料金は物価の重要な要素にもなっておりますので、私どものほうでも、運輸大臣のただいまの御答弁と同じように、これは慎重に対処をすべきものと考えております。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸大臣、昨年の私申し上げました一月二十五日付で経企庁の国民生活局長に運輸省の自動車局から出しましたこのことは、全くほごになってしまうわけです。公共料金を軒並みに政府の指導で上げていくというようなことが二月七日の価格を比べてみますと、五千三百円値上がりをしておるわけでございます。こういう状態は、この大型タイヤに限ったことでなく、スノータイヤにおいてもこの状態は同じようなものが見られるわけです。そこで、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律施行令の物資の指定のワクをこれらのタイヤ類にも及ぼし、ワクを広げて第五条の立ち入り検査をする考えがあるかないか。これを通産大臣に伺っておきたい。
  134. 内田常雄

    ○内田国務大臣 法律の仕組みとしては私のほうの所管と考えますので、一応お答えを申し上げます。  タイヤ類は、いままでの生活関連物資買占め防止法では生活必需品、生活関連物資とは考えられませんが、今度、国民生活安定緊急措置法案の中で買占め防止法を改正いたしまして、国民経済に関連の深い基礎物資というものを追加することにして御審議をお願いいたしておりますので、その場合には、私は松本さんの御提案なされた物資も、そのものをいまずばりと指定するとは申し上げにくいが、指定し得る範疇に入るものとして考えてまいりたいと思います。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは企画庁長官、ぜひひとつ実態を掌握してもらいたいと思うのです。  それからまた通産大臣も、生産はおれのほうだ、しかしその取り締まりについては経企庁長官だというようなことでなくて、生産の面を考えるならば、それがどのように流れていっているかというようなことについても関心があって当然じゃないかと思うわけです。  それで、このタイヤ類についても、いまお話しのようにワクを広げて対象として考えてみたい、こういうお話でございますので、ぜひそうしてもらわないと、非常にいま困っている状態であります。特に大型のタイヤにおいてはこの傾向が強い、こういう点から私はひとつ提案を申し上げておくわけでございます。これらの資料は全く最近の資料をもとにしてのお話でございますので、ぜひともこの点について十分の考えと行動を示してもらいたいと思うわけでございます。  それから次の問題でございますが、海運関係についてお伺いしますが、外航船の問題でございます。  特にタンカーの燃料確保につきまして、また、さらにはコンテナ船のニューヨーク航路、こういったものは、従来外国の港、港でその補給を受けていたものが、最近はできなくなった。困難になっております。特にトランパーにおきましてはその傾向が顕著のようでございます。この問題に対しまして、どのように運輸大臣としてお考えになっているか。外航船の燃料の配分の問題等につきましても、日本石油連盟と日本船主協会の間で十二月の配船分については一応の話し合いができたようでございますけれども、これが各社別の割り当てという段階になりますと、いままでの取引関係が非常に複雑であっただけに、はたしてスムーズにいくかどうか、非常に疑問に思っております。  運輸省や通産省としまして、これらの点についてタッチする考えがあるのか、あるいはまた、これらの二つの業界に自主的にやらせようとしているのか、どちらであるか、その辺のところについて伺っておきたいわけでございます。
  136. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いまお説のように、外航船に使っておる大体の油は二千六百万キロリットルでございます。そのうちの千三百万キロリットル、これは、お説のように外国で補給をいままでしておったのでございます。なおまた、外国船が日本で補給しておりましたのが、大体七百三十万キロリットルと推定をいたしております。  この問題につきましては、いま御指摘がございましたように、船主協会と石油連盟の間におきまして、十二月分の運航につきましてはまあまあという程度の話し合いによって運航されているわけでございますが、今後の問題につきましては、いま両者間のとにかく自主的な話し合いを進めていただきまして、いま直ちに私どもでこの間に介入するということではなくて、行政指導においてできる限りの確保をする。それと同時に、外国船の補給につきましても、国内においてこれが確保されますように、私どものほうからも要請しておる次第でございます。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 内航船の問題について伺っておきますが、沖繩の諸島に対するところの物質の輸送でございます。  これは、御承知のように、沖繩航路運賃同盟というのがございまして、そこに九社加盟しておりまして、昨年度の実績を見ましても、往航が千七百三十九航路、二百三十三万一千トンに及ぶところの物資が輸送されております。こういった問題でございますが、この航路のいわゆる燃料が確保されませんと、沖繩の人たちの食糧も確保できませんし、人道問題になる、こういうことでございますし、加えて、また物価が一そう値上がりをする、こういうことになるわけでございます。したがいまして、この点についてどのように考えられ、そしてまた、経企庁長官としてもどう対処されるか、伺っておきたいわけでございます。内航海運の業界が、十二月については三〇%ないし四〇%の供給削減を受けている中で、この沖繩の油というものについては、やはり百万の人たちの生活に重大な影響を及ぼしますだけに、どうしても絶対的に確保し、完全な輸送が行なわれなければならないと私は思うわけでございます。この点について答弁を願いたい。
  138. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 海運局長でございます。  先生御指摘の沖繩同盟の運航状況並びに燃料油の確保の状況につきましては、私のほうで昨日幹事会社である近海郵船に確かめましたところ、現在のところ燃料油の不足はしていない、したがって、計画どおりの輸送力は確保されているという状況でございます。御指摘のとおり、大事な航路でございますので、特に私ども関心を払って、今後燃料油の足りないことのないように十分気をつけていきたいと思います。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後でございますが、経企庁長官と運輸大臣に伺いたいわけでございます。  第一点は、六大都市のタクシーの運賃でございます。昨年の二月に現行運賃に値上げしたわけでございまして、その際、運輸省としましては、経企庁の国民生活局長に対し、四十七年一月二十五日付で、今後おおむね三年間はタクシー運賃の改定は行なわないように業者を指導する、こういう約束をしております。これをほごにして、何かこう、最近あらゆるところから運賃値上げの申請が出ておりますし、また、自主運賃とか申しまして、非常に乱暴な話も出ているわけでございます。その業界の方々の御苦労もわかるわけでございますし、燃料の確保の点に骨を折っているところもわかります。しかしながら、いま御答弁がありましたように、これらの業界に対しましてもまずまずの燃料確保ができるということになりますと、この運賃値上げという問題に対しても、さらにさらに慎重な考慮がなされなければならないと思うわけでございます。  したがいまして、この点に対して運輸大臣はどのようにお考えになられるか、それから経企庁長官はどうお考えになっておるか、この点をひとつ伺いまして、質問を終わるわけでございます。
  140. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 自主運賃の問題がことあげされたことは事実でございますが、これは十二月分のLPガスの確保によって旗をおろしていただきました。  なお、今後の運賃改定の問題につきましては、いろいろな情勢もあろうと思いますけれども、十分慎重に検討してまいりたいと思います。
  141. 内田常雄

    ○内田国務大臣 公共料金は物価の重要な要素にもなっておりますので、私どものほうでも、運輸大臣のただいまの御答弁と同じように、これは慎重に対処をすべきものと考えております。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸大臣、昨年の私申し上げました一月二十五日付で経企庁の国民生活局長に運輸省の自動車局から出しましたこのことは、全くほごになってしまうわけです。公共料金を軒並みに政府の指導で上げていくというようなことがあってはならぬと私は思います。  そういう点からいって、ぜひこの問題については、もう少し、向こう三年間は上げない、こういうふうに言っておるわけでございますので、この点について、やはり国民生活を守る上から、物価抑制の見地からもこれは思いとどまってもらいたい、こう思います。その点、確言をひとついただきたいと思います。
  143. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 公共料金を上げないという基本的な態度は、政府全体として、基本的にはそういうことでございます。いろいろな事情もございましょうが、とにかく、私どもといたしましては、この問題は、六大都市からも出ておりますし、その他のところからも出ておりますし、あるいは暫定運賃という形でも申請も出ておりますけれども、十分慎重に処理してまいりたいと思います。
  144. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 暫定運賃でも、上げることは上げるのですから、この点は十分配慮しなければいかぬと思います。とにかく暫定運賃というような名前をつけるにしても、上げようというような考えを持っておるとしたらば、私は重大な問題じゃないかと思います。それだけはつけ加えておきます。
  145. 平林剛

    ○平林委員長 玉置一徳君。
  146. 玉置一徳

    玉置委員 私は、石油二法案につきまして、経済企画庁長官、外務大臣並びに労働大臣質疑を試みたいと思います。  そこで、まず、現下の石油の供給の不足からまいります基礎物資並びに生活関連物資、こういう問題につきまして、一番大事なことは、法的な根拠を政府に持たすと同時に、需給のバランスをとることによりまして価格の安定をどうはかるか、これにつきましては、国民の皆さんの御協力を得なければでき得ないことでありますので、政府としても真実を広く国民に明らかにしますことによりまして、その協力を仰ぐという態度に出なければならない、こう思うのです。  そこで、まず経企庁長官にお伺いしたいのですが、電力の需給を、現在大口需要に対して一〇%のカットを要請しておりますのを、いよいよ一月一日から、電力需給の調整規則に基づきまして、法的にも二〇%のカットを要求せざるを得ないんじゃないだろうかという事態にきておりますし、政府当局もそういう腹を固めておることも、きのうの答弁によりまして出てきたわけでありますが、しからば、電力の供給の二〇%カットによりまして、基礎物資である鉄鋼、セメント等々、あるいは民需物資であります紙パルプその他の生活関連物資にどのような影響を与えるか、推定をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  147. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お答えをいたします。  電力削減の生産に及ぼす影響でございますが、先般一割削減の行政指導を行ないます際に、主要業種について調査をいたしました限りでは、大体電力の削減は、ほぼその物資の生産の削減に見合うような感じではないかと思っております。ただ、現実の結果としましては、かなりの合理化努力が行なわれまして、それよりは低い影響ということになってあらわれてくるのではないかと思います。  今後の問題でございますが、一月以降の削減率につきましては、石油の需給事情ともからみ合わせまして、いま最後の調整をいたしております。かりに二〇%ということになった場合、一月につきましては、申し上げるまでもなく正月休みの問題がございますので、この期間をどのように算定をすべきか、また、各企業におけるその後の合理化努力いかんというようなことを考えながら、いま物資別に影響調査を進めておる段階でございます。
  148. 玉置一徳

    玉置委員 私は、この段階になれば、政府はほんとうのことを国民に明らかにすることによって、その協力を仰ぐという態勢にならなければならないんじゃないだろうか、きょうまではショックをなるべく避けるためにこういう方針でこられたことも了といたしますけれども、その場にならなければわからないというようなことばかりではいかないじゃないだろうかという感じがいたします。  きょう国対で春日委員長が申しておいでになりましたが、友人がアメリカから羽田に着きまして、東京まで都心に至るのにどうして自動車を拾おうかと思って心配して帰ってきたけれども、タクシーがいやといろほどありましたから安心をしたというようなことで、かえって意外に感じておいでになるというようなことを聞きましても、ほんとうのことをあらかじめ——やがて一月一日にやらざるを得ないようなことは、この十二月の半ばも過ぎておる今日、法案の審議の大体しまいごろまできつつあるときですから、率直に大胆に公表することのほうがかえっていいんじゃないだろうか。こんなはずじゃなかったというような形になったんではかえっていかぬ、こう思いますので御質問をしておるわけですが、われわれ新聞その他雑誌等々を通じて見ますのに、電力の一割カットのときは大体一割ぐらいの減産でとどまるけれども、二割カットになったときには大体三割ほど減産するということを承っております。  そこで、経済企画庁長官にお伺いしたいのは、この法律によりましていろんなことの手配はできるようにはなっておりますけれども、しょせん、価格を下げようと思えば需給のバランスをとる、したがって、大口需要だと思われるうちの不急不要、もしくは相当な緊急度を持っておるものでも、政府みずからがなし得るようなものは、思い切って削減をすることによって需給のバランスをとらなければ、いかに法律ができましても、価格の上昇というものは避け得られない、これが自由経済の仕組みだと思うのです。こういう意味では、ただいま申しました鉄鋼、セメント、紙パルプその他の基礎物資並びに生活関連物資は必ず値上がりを示すものと思います。そういうような意味では、具体的な方法でもって需給のバランスをとるように、つまり総需要の抑制を国みずからがやっていくという姿勢に立つように、この予算の編成を目前に控えました今日、どのような態度を経済企画庁としてはお持ちになっておるかということをお伺いしたいと思います。
  149. 内田常雄

    ○内田国務大臣 玉置さんの御提言と同じ思いを私はいたしておるわけでございますが、需給のバランスをとるということは、すなわち需要の側を調整する、これは現実的には需要を引き締めていく、総需要の抑制ということになります。  これは昨年来政府が、たとえば国の予算の八%の繰り延べでありますとか、あるいはまた、公共事業の上期契約べースの繰り下げでありますとか、そういうことをやっておりますことは御承知のとおりでありますが、明年度の予算の編成にあたりましては、思い切ってひとつ国が率先してやはり財政規模を縮小する、そうして同じような態度を地方公共団体の財政にも求めるということが私は第一であろうと思いまして、政府全体といたしましても、明年度予算の編成につきましてはそういう基礎で予算編成方針をまとめつつございます。  さらにまた、民間の設備投資などにつきましても同じでございまして、エネルギーあるいは重要資材がそれによって不足するわけでございますので、民間設備投資におきましても、この際、直接生産に関係のないような設備投資についてはしばらくたな上げにする、こういう指示もことしの途中からやってはおりますが、さらに明年度にわたってこれを強化しますことももちろんでございます。また、その趣旨がいま御審議をいただいております国民生活安定緊急措置法の中にも書いてございますことも御承知のとおりでございます。  また、何と申しましても、国民総需要の中で民間の直接投資の割合というものは五二%ぐらいになりまして、金額におきましても五十九兆ぐらいになっておりますので、このほうも、国がすべての責任を転嫁する、消費者に転嫁するといろ意味では全くございませんけれども、やはり総需要引き締めの一環としては、金融の引き締めというようなことも、これまでやってはおりますけれども、今後もさらに続けてまいりますとか、あるいはまた、消費者金融のようなものにつきましても、一部については手をつけておりますけれども、これらの信用販売に対する金融の調整というようなものもさらに強めてまいるべきであると私は考えます。  また、不急不要の大規模な建物などにつきましても同じでございまして、これの需要調整につきましても、この法律の中に設備投資とともにうたってありますことも御承知のとおりでございます。  しかし、そういう全体的な需要調整だけでは私はいまの事態は乗り切れないと考えますので、今回提案をいたしております国民生活安定緊急措置法は、一口に申しますと、個別的な物資の対策というものがおもなねらいになっておりまして、一つずつの物資につきまして、それが国民生活上あるいは国民経済上重要なものにつきましては、標準価格とか特定標準価格とかいうものをつくりまして、そうして先急ぎの価格の引き上げとか、あるいは先急ぎの買いあさりとかいうものがないようなこともしたいと同時に、万一、物の供給のほうが足りない場合には、それはまだわが国も百億ドル以上の外貨を持っておることでございますから、輸入の繰り上げ指示もいたしますし、また、特別にエネルギー等も供給してその生産増加の指示もいたす、出荷の指示もいたす、また、地域的にアンバランスがありますときには、法律に書いてございますように、甲の地域から物資が不足する乙の地域に輸送をさせるというような、そういう供給面の増加調整策もこの段階においては考えることが必要である、こういうふうな立場に立ちまして、玉置さんの御心配になるような点を何とかして克服していきたいという熱意を持つ次第でございます。
  150. 玉置一徳

    玉置委員 私は若干不満を申し上げますと、公共事業の抑制についてはこうこういうことをする——よく大臣が新聞記者会見等々では各省ごとにいろいろなことをお話をなすっておいでになりまして、それはそれでけっこうなんですが、商工委員会その他各種の委員会でこういう緊急立法を、しかも、この法律は大きな包括委任を政府に渡すわけでありますが、その細部について質問をしますと、なるべくショックを与えないでおこうという意味か、あるいは、いよいよ目前に迫ったために、言うたら問題が起こってはためにならぬというえ考えか、全くいろいろなものを具体的に言わないようになっちまっておる。非常に不満であります。そういう態度が官僚独走におちいるのじゃないかという心配をするのではないか。間違ったら間違ったで皆で訂正すればいいわけでありますから、そういう気持ちで今後とも最後までこの両法案の審議に当たっていただきたい、私はこう思うのです。  そこで問題は、金融の引き締めその他の方法と、それから民間の協力という方法と、法律の問題と、三つの方法でやらなければならないと思いますので、まず政府みずからがやれることを徹底的にやることによって、民間の協力を仰ぐということになってくると思うのです。そうして、需給を個人家庭の消費に御迷惑をかけないようにみんなで努力するという方式しか方法がないと思うのですが、こういう場合に、電力の不足、物資の不足によりまして、どうしても中小企業その他に非常な圧迫がくるし、倒産のやむを得ざるもの、休業のやむを得ざるものも出てくると思うのですが、これは通産省のほうで別個に手当てをしてもらう方法を講じていただかなければならないわけでありますが、きょうは通産省のほうへ質問する日じゃございませんので、労働大臣にお伺いしたいのです。  こうして休業のやむなきに至るもの、あるいは相当日数の労働日を縮減せざるを得ないところ、あるいは解雇等の望ましくない現象が起こったりする可能性を蔵しておるわけでありまして、ましていわんや、残業等のきびしい規制が事実上行なわれると思いますので、実質所得を少なくするということもおおいがたい事実だと想定されます。  これにつきまして、どのようなお考えを持ち、どのように対処されようとしておるか、この際お伺いをしたいと思うのです。
  151. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 お答えいたします。  まさに、石油危機からくるそういう予想されそうなことに対しては、私たちの立場としますと、万全の対策を立てたいと思って、各役所全部を通じて話として出てくるものがどういうふうに具体的にあらわれているか、情報を収集しているところであります。まあ、いますぐ直ちにたいしたことはないのではないか。御承知のとおり、いま求人が二・三倍ぐらいある。非常に需給が逼迫しておりますから、それはなかろうと思いますものの、不安はございます。  そこでこれは、玉置議員御承知のとおり、昭和三十六年あるいは四十六年の不況のときに、すでに労働省としてはいろいろ対策を練りました。ドル・ショックのときも練って、いろいろの手当てをして、多少の効果を得たことは御承知のとおり、しかも、労働集約型のような繊維の問題の場合には、これはたいへん役に立ったというごほうびもありましたので、そうした手当てをしながら、一方、ここ数日前に発表になりました失業保険制度の改正案が雇用制度改正案として、マスコミあるいは各階層から非常に期待されております。  こういうものなどを早く適用しまして、一つの案でございますが、高年齢者の場合には、五十五歳以上の高齢者は三百日給付するとか、ある場合には、六十歳以上の高齢者については労使の保険料を免除するとか、さらにまた、高齢者を雇用する事業主に対しては交付金を支給するとか、さらにはまた、低額所得者に配慮した上のほうに薄く下のほうに厚くするような給付、こういうことなどを考えながら、いまその法案を審議会にかけて練ろうとしているところでございまして、ほんとうにこうしたときには、みんなでこの大事な危機を突破してやらなければならぬということで懸命にやっておりますので、途中でいろいろな御注意がありました場合には、率直に私たちにお聞かせいただきたい、こう思っております。
  152. 玉置一徳

    玉置委員 外務大臣にお伺いいたします。  アラブ外交についてでありますが、先般二階堂官房長官の談話がございましたとおりでございますが、そこで日本は、自分の利益でせっぱ詰まってきたらどっち向くかわからぬという不信もまた外国にあるように言われたり、あるいはまた、OAPECだけじゃなくて、メジャーのほうのきげんをそこねることによってという懸念をされる方もあるわけであります。  私はこう思うのです。イスラエルも本日までは非常に友好国であったわけでありますが、そういう懸念なしに、今回の中東戦争によって今度の問題が提起されたわけでありますが、戦略に使われたということは事実でございましょうけれども、世界じゅう平均して、現在の石油の採掘可能量は、寿命は二十年間だ、こういうように学説は大体一定しております。そうすれば、向こうの国の立場に立てば、二十年間すればもとのもくあみのアラビア砂漠になるのだ、人間が豊富な生活をし得ないようなまたもとのもくあみの砂漠になるのだ。そうすれば、二十年のものを四十年につなぎとめ、四十年のやつは八十年にその寿命を延ばすことによって、その間に工業立国なりあるいは農業立国なり、砂漠じゃなしに、普通の人間が普通程度の生活を享受し得るような社会をつくりたいと思うのは、向こうの立場になれば私はもっともなことだと思うのです。  この間クウェートの国会議員諸君がおいでになりまして、商工委員会の私たちがこれのおつき合いをしたわけでありますが、同じようなことを異口同音におっしゃっております。これが中東戦争前のOPECのいろいろな態度だったと思います。こういう意味で、ちょうどそれが中東戦争を奇貨としてこういうことに踏み切ったのだ。この油の強さを今度まざまざと自覚をしたあの諸君たちは、この戦争が済みましても、一ぺんにもとへ戻すどころか、毎年毎年増加していく世界の需要に対して喜んでそいつを出していくということは、まず想像し得ないと思います。  こういう意味で、われわれは、アラビアの諸国がそうやって願望しておるところへ、二十年なり四十年の間に工業立国として、石油がなくなってもやっていけるような国になりたい、ましていわんや、二十年を四十年にも延ばすことによって、その原油のほとんど半分以上の、あるいは全部でもいいのですが、何とかして製品まで持っていって、それを世界に供給したいという彼らの願いを満たす気持ちでこれからやっていかなければ、それは石油がほしいから、もうせっぱ詰まったからとか、イスラエルや何やらに申しわけがなかなかむずかしいということは要らないと思うのです。これが東南アジアの諸国の後進国に、あるいは南北問題というものは、一貫してこういう考え方でやっていくならば、どこにも顧慮する必要はないんじゃないか。アメリカにもイスラエルにも話は堂々と筋は通ぜ得るんじゃないだろうか、こういうように私は思うんですが、外務大臣どのようにお考えになりますか。
  153. 大平正芳

    大平国務大臣 アラブ、中近東政策石油問題とは一応別な問題でございまして、中近東紛争が過去四回にわたって戦われて、いまなお収拾を見ていない。したがって、これは中東地域ばかりでなく、世界の不幸でございますので、これ自体の解決を、平和的なしかも永続をする解決をはからなければならない、公正な解決をはからなければならないということで、そのために一九六七年の戦争のあと、国連は二四二号の決議をいたしたわけでございます。そして、この二四二号は、ほとんど満場一致できまった決議でございまするが、この解釈をめぐりまして、いろいろの物議があったわけでございます。今回政府が声明いたしましたものは、この二四二号の解釈をより明確にいたしたということでございまして、中東紛争解決に対する日本政府の態度を鮮明にいたしたものでございまして、石油問題とは一応関係がないことと御承知をいただきたいと思います。  それから第二に、石油問題でございますが、これは玉置さんがいみじくも御指摘のとおり、アラブ紛争が起こる前からありました問題でございまするし、現にある問題でございまするし、そしてあなたが御指摘のとおり、私は、アラブ、中東紛争解決のあとまでも残る問題である、長期的な問題であると考えております。しかも、通貨の危機が問われましてから、有限の資源を掘り出して、しかも不安定な価値を持った通貨にかえるということに対して、彼らが生産ないし増産に対してインセンティブをだんだん失っていくということは一応理解できまするし、また、あなたが御指摘のように、みずからの国を、有限な資源を使い果たしたあとどうなるんだという憂慮をもって、将来の国づくりのためにはこれをいかように利用してまいるかということを産油国自体としてお考えになることも、これまた当然の道行きであろうと思うのでございます。したがいまして、それらの国々が将来の国づくりのために、みずからの産業の育成という問題に、われわれがどのように御協力を申し上げるかという問題が当然あるわけでございまして、この場合、われわれはその協力を押し売りしてはならないわけでございまして、あくまでも先方の意思を尊重し、それに対して御協力を申し上げる態度でなければならぬと思うのであります。  各国におかれましても、わが国の進んだ技術を求められておるわけでございまするので、また、そういうプロジェクトも御相談をいただいておるわけでございまするので、日本といたしましてもできる限りの御協力を申し上げて、そういう国々がそれぞれの国づくりをやってまいる上におきまして、日本が御協力申し上げることができるという立場を貫くべきではないかという点につきましては、私は全くあなたと同感でございます。
  154. 玉置一徳

    玉置委員 タイ国その他東南アジアの諸国に対しましても同じでありますが、きょうまで労賃が安い、免税品の問題、関税等々の関係で、多国籍企業のような形で低開発国のほうへ進出する企業が多うございますが、そこで安い品物をつくることによって、アメリカ等々へ輸出をするという形だけでは、やはりぶったくりのような姿勢になりまして、いずれも、いつかは反感を買う形になっておるのが今日までの姿であります。したがって、これから海外に進出する産業のあり方としては、どこまでもその国の民度を一緒に高めていくんだ、それに協力をするんだという気持ちがなければ問題は解決し得ないと思うのです。こういう意味におきましてやるならば、イスラエルに御迷惑をかけるわけでもなし、アメリカと敵対するわけでもございませんので、思い切って砂漠の諸君の将来の夢見ておる国づくりに協力するということは、私は当然じゃないだろうか、こういう感じがいたします。  きょうのテレビを見ておりますと、十二時にNHKの放送がございましたときに、くしくもEECの外相会議だったと思いますが、ともかく幹部会議でアラブ諸国に経済協力と技術協力を積極的に展開するという申し合わせをされたことの報道がございました。こういう意味で、日本もまたそういう姿勢を貫くならば、政府もあるいは民間の大型の使節団等々も出ることによりまして、大げさにすることがいいか悪いかは別にいたしまして、積極的なそういったプロジェクトの形成をする協力の体制を進めていくことが望ましいと思いますが、大臣の御所見はどうでございますか。
  155. 大平正芳

    大平国務大臣 今日までも、いま仰せの技術協力でございますが、中近東諸国に対しまして通計千五百六十名の研修生を受け入れてまいりました。それから三百七十名の専門家を派遣してまいりました。また、数々の使節団を派遣してまいりましたことは御案内のとおりでございます。しかし、この数は東北アジア東南アジア等に比べまして決して多いとはいえないわけでございまして、なお一そう努力しなければなりませんが、言語の障害あるいは社会慣習の隔絶等がございまして、なかなか思うにまかせませんけれども、これからさらに一そう努力を重ねなければならない課題であると考えております。  それから調査団、使節団の派遣でございますが、すでに民間におきましても本年すでに二つのミッションが予定されておるわけでございまして、民間の方々が現地に行かれてつぶさに現地の事情を調査していただき、事情に通じていただくことはたいへんけっこうなことだと私は考えております。  しかしながら、注意すべきことは、多くのミッションが参りまして数々のプロジェクトについて御相談にあずかるわけでございますが、日本の場合、自由経済の体制をとっておりますので、われわれはそのことをとめるわけにはまいりませんけれども、現実にプロジェクトを取り上げる場合に、日本の体制では結局基金とか輸銀とか政府資金に最終的には依存せざるを得ない仕組みになっております。民間にそんなに資金の蓄積があるわけじゃございませんのでしたがって、最終的には政府の許可を条件として自分たちは云々という相談になるわけでございます。したがって、たいへん回りくどいことになりまして、受けるほうでは日本のミッションが来てこれこれ検討してくれたが、一向音さたがない、フォローアップが十分でないといろ不満が非常にあるわけでございます。そこで、私どもその点を、日本は善意でやっておるのだけれども、しかし、一向その音さたがないというようなことでは、国際信用をそこなう危険がありますので、今度三木特使が行かれるにあたりまして、いままでのそういう問題、民間レベルのものも政府レベルのものもみんな一ぺん洗い直しまして、それで、政府として真剣に取り上げてしかるべきものというようなものを選別いたしまして、先方から御相談がございましたならば、どのように対応したらいいかというような点をあらかじめ御相談の上、おいでいただいたわけでございまして、今後官民ともその点の意思の疎通を十分はかりまして、いささかも国際信用をそこねることのないようにやってまいらなければならぬと私も考えております。
  156. 玉置一徳

    玉置委員 これはもう向こうを向いていかなければならぬということになると、日本の財界はまたがっての台湾、中国の問題のように、一挙に行き過ぎるきらいもあるでしょうから、そこらの調整はお話しのとおりむずかしいと思いますが、どちらにいたしましても、いままでタイ国、インドネシア等々に比べますと日本との接触はある意味ではこちらも非常に力が足らなかったということは事実だと思いますので、ぜいぜいこの際力を入れていただくようにお願い申し上げたいと思うのです。  次に、きょうの新聞にも明らかなように、リビアの原油の引き取りであります。メジャーとリビアとは国有化の問題で争いがあるところでございますので、この点、引き取りにつきまして、先方の政府日本に原油を引き渡してもよろしいぞと、こういうことについて、これはお行きになりました菅野さんからのあれでございますが、国際入札を十九日に——もうすぐでございますが、そのときに適切な価格で落札をするようなことがあれば、国としても応援をしていいんじゃないだろうかというのが通産大臣のあれとして載っております。外務大臣としてはどのようにお考えになっておるか、この際、お伺いしたいと思います。
  157. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御指摘の問題につきましては、仰せのように、通産省のほうから御相談を受けております。リビア原油につきましては係争問題のある油とそうでないものとあるようでございまするし、その他検討すべきものもございますので、いませっかく検討さしていただいておりまするが、事は急ぎますので、なるべく早く結論を見出したいと考えております。
  158. 玉置一徳

    玉置委員 踏み切る方向で御検討なすっておいでなのか、なかなか問題がむずかしくてほんとうに慎重にお考えになっているのか、どちらですか。
  159. 大平正芳

    大平国務大臣 通産省と協議いたしまして、できるだけ早く結論を出したいと考えております。
  160. 玉置一徳

    玉置委員 私、この程度でとめまして、残りました時間を私のほうの議員の時間のほうに加算をお願いいたします。
  161. 平林剛

    ○平林委員長 井上泉君。
  162. 井上泉

    井上(泉)委員 政治家というものは国民の声をよく聞く耳を持たなくてはならないと思います。そして、よく国民の生活を見なくてはならないと思います。そういう意味で、連日、国会の内輪におきまして、田中総理はずいぶん国民の痛い声を聞かされたので耳が悪くなったのではないか、こういうことがちまたでうわさをされておるわけであります。大臣各位は連日たいへん御苦労なことだと思いますけれども、国民の苦しみから見ればこれは比較にならない苦しみだと思いますので、ごしんぼう願いたいと思います。  そこで、国民生活の関連物資ということでありますが、国民生活というものは、関連物資ならば主体がなければならない。その主体というのは衣、食、住、この三つの要素が国民生活の柱でなくてはならない。この衣、食、住を全うするためにいろいろなことが行なわれて、初めて関連物資ということが位置づけられるわけでありますが、その肝心な柱の、たとえば衣にしても食にしても住にしても、これはもうたいへんなことだと思います。  そういうことで、まず生活の面で経済企画庁長官にお尋ねしたいと思いますが、ことしの暮らしに関する十大ニュースのトップは何であったか、ひとつここで説明していただきたい。
  163. 内田常雄

    ○内田国務大臣 それは私は読んでおりませんが、トップは物価の値上がり、それによる生活の圧迫ということでなければならない、そのはずだと思います。
  164. 井上泉

    井上(泉)委員 まさに常識そのもので、これはあなたの経済企画庁の外郭団体の調査でありまするから、あなたも、読んではいないけれども、やはり実感として物価が高いということがもうお気持ちの中にあったから、そういう正確な答弁ができたと思います。正確な答弁ができたわけでありますが、その苦しみに対して、さきにあなたは、みな上がっておるからわが国民もしんぼうしてもらわなければいかぬ、こういうお話をされたのでありまするが、今日でもその心境には変わりないですか。
  165. 内田常雄

    ○内田国務大臣 そのとおりのことを申しておるわけではなしに、私が常に感じておりますことは、物価を安定させたい、できれば引き下げてもらいたいということを消費者の側から望まれるばかりでなしに、生産者があっての消費者でございましょうから、その生産者なり販売者のほうも、消費者と同じ立場において、物価を引き上げないように、そういう共同した努力をぜひしてほしいということを常に考えておるわけでございます。
  166. 井上泉

    井上(泉)委員 そのお考えの上に立って、今日の異常なというべきこの物価値上がりの状態に対して、具体的な政策というか対策というものは、この法律ができ上がるまではもう何にもないというわけですか。
  167. 内田常雄

    ○内田国務大臣 先ほども申し上げましたが、物価というものは需給できまる。これはデマンドプルというようなことばがございますように、総需要が多ければそれだけ値段を引き上げますし、またコストプッシュということばもありますように、コストが高くなればそれだけやはり物価も押し上げるわけであります。したがって私は、これは需要の面と供給の面と両方から対策を講じなければならないと思いますが、需要については申すまでもなく総需要の抑制、これは同じことを何べんも繰り返すことはいたしませんけれども、国の財政、公共団体の財政をはじめといたしまして、また企業の設備投資需要でありますとか、消費者一般の購買力による需要による物価の引き上げというようなことに対して、財政金融政策、それも国が率先しての財政金融政策をやることが、一般的にはまず必要だ。来年の予算編成においてもしかりであるが、しかし今日の事態は、それだけの一般的な総需要抑制対策だけでは、物価対策上十分な対策とはいえない。どうしても個別的な対策をやる必要がある。個別的に標準価格をつくってまいるのみならず、地域的な物資の偏在がございます場合には、余裕のあるところからないほうに回してまいるとか、あるいはまた海外からの緊急輸入、また国内での緊急出荷、緊急生産、そういうことをやりますために、この法律をお願いしてあるというわけでございます。
  168. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば具体的なことといたしましては、もう近く市販の牛乳が値上げをされるということになっておる。政府は公共料金を凍結すると言っておる。その公共料金を凍結するといっても、もう大体物は上げてしまって、まあ郵便料金の値上げのことが出ておるわけでありますけれども、そうするならば、その政策の上に立って行なうとするならば、この三月三十一日か二十九日かに値上げをされる国鉄運賃も、三月末日ではなしにもっと先までこれを凍結するお考えはないのか。そうしてまた、市販の牛乳が値上がりがうわさされておるわけですが、この牛乳の値上がりをストップさせるところの考え方はないのか、この点を承ります。
  169. 内田常雄

    ○内田国務大臣 牛乳につきましては、幸い農林大臣がお見えでございますが、牛乳の需給対策については特別の指導政策を農林省が持っておられまずので、まず農林大臣からお答えをいただくようにしてもらいますが、いまの国鉄料金につきましては、申すまでもなくあれだけの国会論争をいたしました上、法律としてきめられてございますし、これも当面こうした事情のもとで直ちに実施することなく、三月三十一日までは国鉄料金の引き上げはいたさない、こういうことにきまっておると聞いておる次第でございます。しかし、その他の公共料金につきましては、いつも繰り返して申し述べておりますように、これはもう抑制的な立場から慎重に処理しておるということをあらためて申し述べさせていただきます。
  170. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃ公共料金の凍結というのは何をさしておきめになったのですか。公共料金の凍結ということは、閣議で田中総理が発言をして……。
  171. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ただいまの段階では、総理大臣をも含めまして公共料金の凍結ということは閣議できめておりません。私がいま申しましたように、抑制的な立場をもって慎重に処理するという段階にございます。
  172. 井上泉

    井上(泉)委員 私が誤りでありました。田中総理が参議院の予算委員会で凍結をするということを言われたのでありまするから、あなたも田中内閣の閣僚の一人であるし、やはり総理大臣の発言をまともに受け取らぬと、総理大臣が言ったことを私は知らぬといった態度では、これは閣僚としてせっかく御信任をいただいておるのに、その御信任にそむくと私は思うわけであります。だから物価の元締めである経済企画庁長官としては、たとえば庶民生活にまさに第二の食管にも組み入れよと言われておるような牛乳の値段が上がるということは、毎朝サラリーマンが通勤の途上で牛乳を一ぱいぐっと飲む。それがいままで四十円が五十円になる、あるいは五十円が六十円になる。こういうふうなたまらない気持ちというものをあなたははだで感じることがないから平然としておられるのではないか、こういうふうに思うわけです。やはり物価の元締めであるあなたが、そういうことは農林大臣だから、あなたは物価の元締めであるから、あなたのほうで、これは農林大臣、十円も値上げするということはいかぬぞよ、八円も値上げすることはいかぬぞよ、こういうふうにせよと、こういう話をするのは、私はあなたとしての国民に対する責任だと思う。  それで公共料金凍結にいたしましても、何を凍結しようとされておるのか、このことを私はお聞きをしたいわけでありますけれども、そのことがわかっていなければわかっていないでけっこうであります。
  173. 内田常雄

    ○内田国務大臣 よくわかっておるわけでございます。新聞は、先般の総理大臣の参議院の予算委員会における公共料金についての発言を、新聞によっては凍結という文字を使ったところがあったかどうか、私は見ていないのですが、総理大臣その人の発言は、これは三月でも半年でもできる限り公共料金の引き上げを延ばすようなくふうをしていきたい、こういう発言をされておるわけでございます。これはまあ私の考え方と同じでございまして、私は、まことに総理大臣はいいことを言ってくれておると実は思うわけでございます。  その他の物資につきましては、私は決して雲の上の人ではございませんで、こう物価が上がることについては、一億の国民を政治の対象とする場合に、非常な事態であるということをもう日に日に身に感じながら、できるだけの処置をいたさんということでこの法律案も提案をいたしておる次第でございますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
  174. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたにだけ言っておると時間がたちますので、あなたに対しましては、その他の大臣の発言の内容によってまた質問をいたしたいと思います。  そこで農林大臣にお伺いいたしますが、先般農林委員会で、ことしの審議の過程で、櫻内前農林大臣が、食糧の安定確保こそ何よりもの安全保障だ、こういうことを言われたのですが、あなたは、その櫻内前農林大臣のそういう精神といいますか、けなげなそのお気持ちに対して同感であるのかどうか、まず承りたいと思います。
  175. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 全く同感であります。
  176. 井上泉

    井上(泉)委員 まことに私も心強く思うわけであります。これは、日本海を荒らす韓国の船をけ散らすためにはめかけのような憲法ではいかぬ、こういうふうな勇ましい発言をなされたことを記憶をする私といたしましては、そういうふうな軍備よりも食糧の確保が何よりも安全だ、こういうことを荘重な口調で申し上げられたことに対しまして非常な重みを感ずるわけであります。  そこであなたにお尋ねをするわけでありますが、何よりも国民の食糧、つまりいろいろここでは石油需給適正化法案にいたしましても、この法案にいたしましても、すべて国民生活に関連をする重要なものとしてのこれは物に対する規制、いろいろな対策でありますが、やはり私が前段申し上げた食の問題で、食がいま直接この食糧の自給率、あるいは間接的なものを含めると、一体日本の食糧自給は幾らになっておるのか、そう農林大臣は自覚をしておるのか、そのことを承りたいと思います。
  177. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 しばしば農林省でも発表いたしておりますように、昨年も長期見通しを発表いたしました中で、五十七年までには平均七七ないし七八%ぐらいな自給度を維持するようにすべての政策を進めてまいりたい、こういうことでありまして、そういう方向に向かって進めてまいるつもりであります。
  178. 井上泉

    井上(泉)委員 その自給率を高めるために農林省が政策をとってこられておることが四十八年度も実って——四十八年度の統計が出ていませんけれども、けさの新聞によりましても自給率は低下の一途をたどっておる、こういう農林省の発表の記事をごらんになったと思うわけですが、このことをいま内田経済企画庁長官は、物価のバランスをとるために物資の需要のバランスをとることが物価安定へつながる、こういうところから総需要抑制というようなことを言いましたが、農林漁業に総需要抑制という理屈が当てはまるか当てはまらぬか、農林大臣の見解を承りたいと思います。
  179. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもの農業につきましては、先ほど来お話のございますように、国民生活に欠くべからざる食糧生産でありますので、これはどこまでも計画に基づいて自給度を維持することに最善の努力をしなければならない、こういうことでありまして、ただ、農業を営む者も営まざる者も、やはり今日のような物価の高騰に際しましては、できるだけのむだを省いて、そしてむだな需要を節約することによって物価の安定をはかるといろことについては、これは一般論としては国民みんなが大事な考え方ではないか、こう思っております。
  180. 井上泉

    井上(泉)委員 それではいまの自給率を高めるためにいろいろな政策をとらねばならないわけですが、そのいろいろな政策をとるためには、いままでのような農林漁業政策ではだめである。やはり農林漁業政策というものの転換を行なわねばならぬ。つまり自給率を高めるためには転換を行なわねばならない。そうすると、農林漁業に対する俗にいう総需要抑制ということばは、農林漁業振興の面からとらえるとこれは当たらないと思うわけですが、これについての農林大臣の見解を承りたいと思います。
  181. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お説を十分理解しておるかどうかわかりませんけれども、私どもといたしましては、国民の大事な食糧を確保していくということ、これは全部が全部一〇〇%は困難、どこの国でもそうでありますが、そういう自給度をできるだけ維持していくということのために行なうたとえば圃場整備であるとか構造改善事業、そういうようなもの、これはもちろん国民の納税による税金を使うわけでありますから、きわめて合理的にやらなければいけませんが、そういうものを行なうにあらざれば生産を維持してまいることはできないのでありますから、私は総需要抑制という中に、やはりそういう必要欠くべからざる大事な施策というものは当然行なわれるべきものでなければならない、こう思っております。
  182. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで通産大臣にお伺いいたしますが、石油製品の用途別需要で、これは四十六年の統計で、農林水産の関係では、船舶を含めまして五・二%、そういう中で、これを規制の対象に、やはりこの秋のものと同じように、農林水産業に対しての石油の規制をすべきとお考えになっておるのか。あるいは農林水産業は、そういう規制をすべきでない、国民の安全保障に関する食糧の確保に関するものであるから、これはわずか五・二%であるから、こういうものの削減はなすべきでないとお考えになっておられるのかどうか、通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  183. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは石油需給適正化法第十条にも、中小企業と並んで農林漁業というのが載せてありまして、優先配慮すべきものであると思います。
  184. 井上泉

    井上(泉)委員 通産大臣もなかなかいいことを言っておるわけで、石油がなかったら自衛隊もだめだ、石油確保は自衛隊よりも大切だ、安全保障を幾ら言うても石油を確保しないような安全保障はだめだ、これがなかったら、原油がひどく不足すれば国内でも奪い合いが起こり内乱状態になりかねない、軍備で国を守るどころの騒ぎでない、こういうことをある会でごあいさつをなさっておるということを聞いたわけでありますが、そのお気持ちの上に立って、国民の衣食住を確保するために、これに関連をする産業に対する原油を確保するために、この精神でやられておる、こう理解しておってよろしいでしょうか。
  185. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その精神でやっていると御理解願いたいと思います。
  186. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことになりますと、勢い油の問題も、国民生活に不可欠なものについての油は不自由でない、そう心配することはない、具体的に申し上げますならば、この石油の法案にも書いてあるから、農林水産業に対しては心配はない、こう理解しておってよろしいわけですね。
  187. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ぜいたくや浪費はごかんべん願いたいけれども、必要最小限のものはわれわれのほうで一生懸命配当いたすようにいたします。
  188. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは農林大臣にお尋ねしますが、いま農林水産業のそれぞれの関係の団体は、油の問題で非常に不安な毎日を送っておる。そしてハウス園芸農家にいたしましても、もうハウスの中で、ハウスと一緒にハウスを見守っておらなければいかぬような、そういうせつない気持ちで作業をしておるわけですが、もうここらあたりで、日本の農林水産漁業に従事している人たちには、国民の大切な食糧をやっておるから決して心配はかけません、通産大臣もこう言っておりますと、こういうことで安心をさすような農林省としての見解を表明してやったらどうですか。
  189. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 石油の問題は、国際的な問題でございます。同時に、わが国にとっても非常に重大な問題でありますので、政府はそれぞれ最善の努力を尽くして、ただいま通産大臣からのお答えもありましたように、農漁業についての油については優先的に確保することに努力をしていくんだ、こういうお話であります。私どもといたしましては、もうすでにこういう問題がぼつぼつ必要であるという問題になってくるであろうということを想定いたしまして、農林省では、全国の農政局をはじめ、あらゆる機関にそれぞれ手続をしまして、そうして農業関係でお使いになる油、漁業関係でお使いになる油、これはもう毎年およそ率がきまっておるわけでありますから、そういうことについて万遺憾なきを期するために、どのような措置を講ずべきであるかということについて、各省庁とも連絡をとりながら、できるだけの手当てをいたしております。  しかも、今回通産省は、その石油に対するあっせん所を地方にも設けられた。私どもといたしましては、午前中も申し上げたのでありますが、地方農政局及びあっせん所、それにふさわしいちょうど同じ機構を地方に設けまして、そして地方の農業者と市町村団体、そういう人たちとも緊密な連絡をとりまして、それぞれたとえばハウス園芸その他のものについて、どういうふうにいまなっておるかという情報をとり、そしてお困りであるのはこういうふうにすぐに訴えてもらいたいといったような、わりあいにきめのこまかい措置をいま団体とも提携をしてやっておる最中であります。
  190. 井上泉

    井上(泉)委員 しかし現実には、いま農林物産の、いわゆる農産物の輸送とか、魚、野菜、くだものの輸送というものが、油の問題で非常に値上がりになってきておるし、そして生産者にとりましても不安な毎日であるということは、これはお認めになっておられると思います。だから、そういう不安を解消するために、こういう法律を出されてやっておられると思うわけですけれども、現在の状態の中においても、これは毎日の新聞に、産地では、北海道ではジャガイモが腐って困っておる、送れない、あるいは四国方面からキャベツが送れない、あるいはピーマンが送れない、こういう状態というものが出ておるわけで、農業というものはその土地でできるだけで役立つわけではなしに、いわゆる生産者がつくったものが消費者の手元まで届いてはじめて国民の食生活の安定というものがあり得るわけです。そういう点で、生産地から消費地までの運送についての油というもの、こういうものが一貫して確保されなくてはならないと思うわけですが、けさの新聞によりますと、農林省の政務次官と通産省の政務次官の間でいろいろ約束ごと、覚書を交換したとかいうことになっておりますけれども、しかしそれとても年内のこと——年内といいましても、もうあと半月足らずしかないわけですが、その間でもこんなにどんどん物は上がっておるわけです。そこのところ、幸いにして日本の農業の中には、農協という大団体が存在をしておるのであるが、この大団体の農協を主軸としたところのいわゆる農産物の輸送が手ぎわよくできるような措置がこの法律ができるのを待たずして、私は打ち立てられなければならぬと思うわけですが、それについての農林省の処置を承りたいと思います。
  191. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまも御報告申し上げましたように、年末年始にかけて食糧はかなり移動するわけでありますが、例年の例を調べておりますので、そういうことに対処をしますために北海道から九州に至るまでの間、それから途中で、たとえば大阪まで九州から持ってくるのにどこで中継をしておるか、その中継所でどれだけのガソリンが必要であるかというふうな計算がすべて出ておりますので、そういうものをきわめて詳細なデータをつくりまして、それに要する計画を農林省としては十分いたしております。したがって、おとといかその前の日か、政務次官会議で政務次官が発表をいたしておりますが、あそこには、ルートもいろいろお話でありましたが、品物別にも発表をいたしておりまして、ああいうようなものについての確保は御心配をかけないようにいたしてあります。
  192. 井上泉

    井上(泉)委員 油でいえば、これは産業用の命のかてであるわけですけれども、そのエネルギーの消費状況とかいうようなものについては、これは午前中にもずいぶん論議をされたことでありますが、通産大臣は何を一番この際消費の節約を求めるのか。これは抽象的にあらゆる面についてむだを省く、こういうことは優等生の答案であって、これは現実性がないと思うわけですが、何に重点を置くのか。私はたとえば国民生活に直接関係ない、そういう方面における油の消費、電力の消費、電力と油とは、これはもう一体の関係にあると今日では言ってもよろしいわけですから、たとえばルームクーラーとか、あるいはカラーテレビだとか、こういうふうなものについての生産制限、そして自動車生産制限、たとえば自動車がタイヤがない、スペアタイヤもつけずに販売をするとかいうようなことが新聞報道をされておりますが、交通安全の面から考えても、全くメーカーが売りさえすればよいというやり方、こういうことについて、通産省は何に重点を置いてやるのか。この際、国民生活に一番関係の深いものには優先的にやる。タクシー業者が騒ぐと、LPガスを全国に緊急手配ができるほどあるんじゃないですか。そういうことから考えても、やはり何を押えるのかという重点目標というものを打ち出さねばならないと思うわけですが、その点についての大臣の構想を承っておきたいと思います。
  193. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり節約や節減、第一にあげられるのはレジャーとかあるいはレジャーをやるためのマイカーとか、そういうようなどっちかといえば生活に緊切な面でないものだろうと思うのです。ただし、健全なスポーツとかそういうようなものについては、われわれのほうも考えるところは考えなければいかぬと思うのです。たとえばバスを利用するとかそういうような場合は。しかし、マイカーでゴルフに行くとか、あるいは温泉に行って遊ぶとか、そういうことはまっ先に切らるべきことではないか、そういうように思います。
  194. 井上泉

    井上(泉)委員 それは考え方としては私はそのとおりだと思います。ところが、実際通産省が打ち出しておる構想としては、それと逆な方向、たとえばきょうの新聞に載っておるわけですけれども、揮発油つまりガソリンについては、これは幾ら値が上がってもほうっておく。つまり、高いものを買う者は、これはもう高いものを買ってそして走る者には走ってもらう。そうすると、たとえばゴルフへ行くお金持ちの方は、これはもう油が一キロリットルが百円しようが百五十円しようがどんどん入れるわけですけれども、今度サラリーマンが月曜から土曜日まで営々として働いて、それで日曜の日には家族ぐるみでおんぼろ車でも乗っていこうか、そういう場合においても、同じようにガソリン代が高い二百円、三百円だ。そういうふうなものは全部締め出す、こういうことであるならば、これはまた内田経済企画庁長官でないけれども、みんな上がるからしんぼうする、みんながないからしんぼうするという理屈も当てはまるかもしれませんけれども、きょうのような揮発油、ガソリンの単価はどれくらい上がろうが、それはもうおまかせだ、こういうふうな姿勢というものは、私は全く弱い者いじめで、これは承知できないことだと思うのですが、これはどうですか。
  195. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その新聞の記事は、通産省は何ら責任ありません。野方図にガソリンが上がるのをほっておくというようなことは通産省は考えておりません。しかし、やはり生活に緊切な家庭の燃料代とか、そういうようなものをできるだけ安くしておくという方針のもとに、どちらかといえばレジャー、それに使われる量が多いというようなものは多少値が高くてもいいのではないか。業務用と遊び用、そういうものは差があって出てきてもやむを得ないのじゃないかという私は気がしておるのです。だから、そういうものを規制というと強いことばになりますけれども、制御するには、一面においては、価格の作用を考えるという点も妥当性があるし、一面においては、別のレギュレーションもあわせて行なう、そういう両面で行なうという形が考えられるのではないか、そういうように思います。たとえばマイカーの規制とかそういうようなやり方も考えられます。
  196. 井上泉

    井上(泉)委員 新聞の記事については通産省としては責任がないということは、そういう見解ではないということになろうと思うわけですけれども、実際そういう新聞も、どの新聞もこれはもうこのことは書いてありますので、まさか新聞社もこんな通産省の見解でないものを——これは山下通産事務次官が最近の記者会見で「百三十円ぐらいではそれほど消費は減らないが、二、三百円ともなれば急激に購買意欲はなくなるであろう。」こういうことを言っておるのですから、これはあなたの毎日接触しておる次官が言っておるのですから、そうすると、二、三百円のガソリンを入れて走れる者は、これはガソリンの消費規制ということにはなるけれども、ほんのごく一部の人、つまり、ゴルフに行ける人だけになるわけですから、こんなばかな価格の取り扱い方はしてはならないと思うわけです。それで、こういうことはしない、こう明言ができるのかどうか、さらにお答えを願いたいと思います。
  197. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ものには限度というものがありまして、やはり極端なことはやらぬほうがいいと思うのです。ですから、社会的、常識的にこういう線はこういう程度がいい、また、こういうことはこういう方法とこういう方法を合わせ持ってやったほうがいい、そういうように社会の人たちがまあまあと考えるような線をやっていこう、そう思います。しかし、やはりともかく物は一〇〇%あったのが八〇%ぐらいしかなくなるわけですから、これを公平に行き渡るようにして、最低のものだけはどうしても維持してあげなければならぬということになると、何らかによってがまんしてもらうか制限するかしなければできないわけであって、そういう部面を物理的にやるか、あるいは価格の面でやるか、あるいは法的規制で別の面でやるか、そういういろいろな組み合わせが考えられると思うのです。そうしてできるだけ穏当に、そうして良識的に行なわれるような組み合わせも考えていきたいと思います。
  198. 井上泉

    井上(泉)委員 お答えとしては、そういうお答えになろうと思うわけですけれども、実際的に行なわれる面において、弱い者いじめになるということは、これはもう今日までのあらゆる事件がこれを証明をしておるわけですから、これはやはり弱い者いじめにならぬように、そういう施策というものは弱い者を保護する、こういうことがこの二つの法律の趣旨でなければならないと私は思います。そういう趣旨のもとから考える場合に、初めに話が返るわけでありますけれども、やはり国民生活に不可欠な物を生産をする、物を運ぶ、そういうものに対しての燃料関係については私は節減すべきでなしに、そうして当面国民生活にそれほど深刻な影響を与えるものでない、しんぼうすればしんぼうできるもの、そういうものに対する規制というもの、これはやはり合理的に打ち出さねばならないと思うわけですが、初め経済企画庁長官に牛乳の値上がりについてこれをどうするのか、こう言って私が質問をしても、そのことについては、この値上がりがどうも今日の状態ではおもしろくないから、これを何とか押えるようにしようというようなお気持ちはさらさらないわけですが、そこで農林大臣は、そういうふうな生産農家が飼料の値上がりその他によってこれだけ逼迫をした生産費の中で、やっとある程度の値上げをかち得た。そうしたら、それに何倍かするところの価格というものが消費者へ渡るときには値上がりが加えられる、こういうような状態について矛盾を感じないのか、これを何とか合理化せねばならない、こういうお考えにならないのかどうか。それで当面、牛乳の値上げというものを押えるような、そういう態度を私は打ち出すべきではないかと思うのですが、農林大臣の見解を承りたいと思います。
  199. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 乳価につきましては、御存じのように、前は年に一ぺん値上げが行なわれただけでありますが、ことしは先般値上げが行なわれ、また、ただいまお話しのように、いまその問題が出ておったわけでありますが、御存じのように、乳牛を飼っていらっしゃる方々も、えさが第一御存じのようにたいへん高くなりまして、麦が三倍以上も値段の高いやつを外国から輸入をしなければならないようにもなりましたし、労働賃金も高くなりました。したがって、原価が高くなってまいりましたので、牛を飼っていらっしゃる方々からメーカーに要望されまして、初め十九円五十銭値上げをしてもらたい、こういうことでありましたが、その熱心な交渉の結果、十一月中旬に至りまして生産者乳価キロ当たり十五円の値上げということで話がついたわけであります。それで、このことは十二月六日から実施いたすことになっておるわけであります。それからまた、メーカーのほうは、御存じのように牛を飼っていらっしゃる方々はたくさんありますけれども、そういう乳牛の生産者は御自分がすべて販売できるようなものを持っていらっしゃるわけでありませんので、要所要所に集荷をいたしまして、そうして市乳として売り出すメーカーがあるのは当然のことだろうと思うのであります。そこで、メーカーのほうでも同じようにやはり労働賃金、諸物価が上がってまいりましたということで、二百cc当たり四十円という、これを四十円に上げないで何とかならないかということで、関係者もみないろいろやって心配しておったようでありますが、そういう四十円という意向を伝えておるようであります。農林省といたしましては、この値上げを回避するということはとうてい不可能な状況にあると判断をしておりますが、値上げの時期、値上げ幅等については慎重にやってもらいたい、こういうことを申しまして、そういう考え方でいま指導をいたしておる、こういう段階でございます。
  200. 井上泉

    井上(泉)委員 牛乳というものは、これはやはり米に次ぐ国民の主要食料になっておるわけですが、この牛乳、いわゆる乳製品の位置づけというものを私はやはり国のほうでいま考え直さなくてはならない時期ではないかと思います。そういう点で、酪農というものに対する姿勢と申しますか、酪農というものの、国民の食生活の確保という面における点から、これについて農林省が姿勢転換しなければならぬのじゃないか、これは国民のために転換をしなければならぬと私は思うのです。つまり、これは第二の食管、いわゆる食管の中の、米に組み入れるべき性格のものに近いじゃないか、こういうように思うわけですが、それについての農林大臣の見解を承りたいと思います。
  201. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 国民の健康を増強してまいるためにも、牛乳はたいへんいいものであることは申すまでもございませんが、これは御存じのように、わが国の乳価というのは、非常に小規模な経営でもありますし、大きな国から見ますとその生産原価では問題にならない、高くついておるわけであります。したがって、国民生活にとって大事なものではありますけれども、市乳はもちろんのこと、これはまあ自由な扱いでありますが、そのほかに乳製品等もかなりいま国民の間に消化されておりますが、これも外国から入ってきたのをそのままに放置しておくとすればおそらく日本の品物はコストにおいて太刀打ちができないでありましょうから、これは御承知のように畜産振興事業団が買い入れて、そしてある程度の操作をして、そこであげた利益は酪農の奨励等にも使っておることは御存じのとおりであります。できるだけ私どもは、こういろ酪農製品等についても自給度を維持するために、来年度予算においてもやはりえさ対策等について皆さんの御協力を得て、できるだけ飼料の国内生産が行なわれますように努力をしてまいる、こういうつもりでおります。
  202. 井上泉

    井上(泉)委員 食糧の自給体制の確立は安保体制よりも何よりも大切だ、石油も、安保よりも石油の確保こそ、自衛隊よりもまだ大切だ、こういう両相の御見解が実際的に政治の面で生かされるように要望して、私は質問を終わります。
  203. 平林剛

    ○平林委員長 川俣健二郎君。
  204. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私は、政府の答弁を伺っていますと、石油危機、絶対量が足りないことははっきりしておるわけですから、これはあえて経済企画庁長官にちょっと伺っておきたいと思うのです。  絶対量が足りないことははっきりしておるわけですが、問題は、先ほども弱い部面をどうするか、どうしても確保しなければならない面をどうするか、節約を大幅にやっていい面に対して政府はどうするか、その辺が国民が聞きたいところであるし、期待しておると思うのです。したがって、私は非常に時間がありませんので、担当委員会でこの問題は何回も煮詰めておるわけですが、いわゆる老人ホーム、児童施設等のいわゆる社会施設、それからもう一つは病院、診療所の医療施設、それからもう一つは浴場、火葬場まで含む環境衛生施設、この三つの施設に対して石油がどうなるであろうかということで、かなり地方自治体を含めて混乱しておるわけでございます。したがって、経済企画庁に伺いたいのは、こういった面に対しては一応従来どおりの量も価格も確保していくという強い行政指導が底意にあるのかどうかということと、あるいはそういった面もある程度の節減にやはり国民一同、全部協力してほしいという考え方なのか、その辺をまず一点、伺いたいと思います。
  205. 内田常雄

    ○内田国務大臣 石油に関しましては、今回石油需給適正化法が通産大臣御所管として提案をされておりますので、あるいは私からお答えすべきことではないかもしれませんが、しかし、石油を含みまして一般の物資につきまして、私どもは、需要先というものを、たとえば幾つかの範疇に分けて考えるような気持ちを持ちまして、このグループについては、これは物資の供給を極力制約すべきものではない、また次の第二グループについては、これはエネルギーをはじめその他の物資が供給が不足になります場合には、それは一般的な供給の割り当てというものはできるだけ受けていただかなければならない部門というようなもの、さらにまた——これはまあ大ざっぱな言い方でございますけれども、第三部門としては一般の部門よりもはるかに節減をして、なしで済ませていただかなければならないような部門も想定をいたしまして、たとえば設備投資にいたしましてもそういったグループに分けて、これこれの企業はこれこれの割合の設備投資はもう削減を甘受してもらうというようなたてまえをとるような形で、経済企画庁においても各省と相談しながら作業をいたしておるわけであります。油についても九条、十条というものがありますこと、先ほど来通産大臣が御説明のとおりでございますから、絶対必要なものについては、それは供給のあっせんばかりでなしに、通産大臣命令をもって確保するというようなこともやっていただくべきであると企画庁としては考えて、そして協力をしていただきたいと思っております。
  206. 川俣健二郎

    ○川俣委員 どうも的確な答弁にはならないようですけれども、厚生省にちょっと伺いたいのですが、大臣は中医協でどうしてもだめだというわけですから、どなたか局長でもけっこうですが、厚生省から各都道府県知事あてに十一月十九日付でこういう文書を出しておる。「将来にわたりその適正な必要量の供給確保が確認されているので、管下、各社会福祉施設にこのことについて周知徹底に努め、今回の事態をめぐる不安の払拭を図られたい。」いわゆる安心ぜい、こう出しておる。これを家庭局長、社会局長その他関係局長から都道府県知事に出しておる。これは間違いないですね。
  207. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 お答えいたします。  社会局長等からそういった通牒を出しておることを存じております。
  208. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ところが、各自治体はごたぶんに漏れず、こういう安心しろという一片の手紙では安心できないでいるわけだ。これは一々例をあげるひまがないのですが、一つの例を申し上げます。  ある県の老人ホームで月に八百リットルを使っておったのが、いきなり十二月一日から二百リットル減の六百リットルになった、こういう事例です。それは県内一の設備を誇る養護施設である。したがって、老朽化した無数の老人ホームその他の施設は、もうこれは想像以上だろう、こういう文章に結ばれておる。ところが、これを聞いて、ある石油業界が、よし、それなら二千八百リットルをただでその施設に提供しよう、こういうことが出てきた。したがって、これはどうも量も含めて価格その他がどうなっているのだろうかということで、その県では、安心ぜいどころか、不安がっておる。こういうものに対して、政府はどなたか答弁していただけませんか。どうです。  それからもう一つ、ついでで、時間がありませんから通産大臣に伺いますけれども、通産大臣に、そういうわけですから厚生省のほうから資源エネルギー庁を通じて、こういうような施設は一切量を減らさないでほしい、こういう文書が出されておる。それに対してどういう結果だったかというと、通産省は、そういう施設には量を確保するから安心しろ、こういう返事があった、これを確認していいかどうかです。
  209. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのような社会関係の施設については、心配をかけないように措置するように指示してあり、また厚生省とも連絡をとっておるはずであります。
  210. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは、この問題は個々別々に、いまの大臣の答弁を前提に行政指導方をこれから個別にお願いしますが、その際にどうしても問題は、量にからんで価格の問題になります。  そこで大蔵省に伺いたいと思いますが、特別な価格是正財政措置を考えられるかどうか。特に児童施設は前回も一切なかっただけに、いま国会外であのとおりの陳情デモがかなりたいへんなものなんです。それに対して財政措置、特にこの問題を大蔵省のほうからお願いします。
  211. 中川一郎

    ○中川政府委員 社会福祉施設につきましての燃料費については、政府が助成をいたしております。  そこで、大切な養護老人ホームでございますけれども、年度当初において一一・八%の単価是正をいたしております。さらにそれで不足でございますので、昨日成立を見ました補正予算において五%の是正をいたしておりますので、何とか価格問題は切り抜けられるのではないかと見ております。  なお、生活保護世帯の燃料費につきましても、年度当初一四%改定をいたし、さらに今回五彩上のせいたしておりますので、処置できるのではないかと存じます。  また、病院につきましては、これは診療収入でまかなうことがたてまえになっております。ただ、僻地の診療と公的医療施設に対しては、人件費の助成をすることになっておりますが、経費について助成する、燃料費について助成をするという道もございませんし、そのほうについては、そのようなことができないたてまえになっておりますことを御了承いただきたいと存じます。  ただ、児童福祉施設については若干問題があるようでございますので、今後十分検討して、前向きに処置をしていきたいと目下検討中でございます。
  212. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がないですから、二つ目の、今度は押えるほうの代表を申し上げますと、まず厚生省に伺いますが、風俗営業等取締法の第四条の四に「浴場業」云々と書いてある。「個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」等云々と書いてある。これは代表的なものは何をさしておるか。
  213. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 風俗営業等取締法は、これは警察庁の所管でございますが、私の知っている範囲でお答え申し上げますと、この風俗営業等取締法第四条の四の一号は、これは代表的なものといたしましてはトルコぶろかと存じます。
  214. 川俣健二郎

    ○川俣委員 あなたは警察庁と言うのだけれども、許認可は厚生省だろう。どうなの、警察庁か、認可はどっちなの。
  215. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 これは二つの許可になっておるわけでございまして、浴場としての許可は厚生省のほうで行なっております。風俗営業等取締法の関係といたしましては、警察庁のほうの許可となっております。
  216. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは、時間がないですから、十一月十六日に閣議決定された対策要綱に基づいておたくが流した十一月十九日のこれに、バー、キャバレー、ボーリング場等が入っておる。なぜこのトルコを入れなかったかということを聞きたいのです。
  217. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま御指摘の通牒をちょっと記憶ございませんので……。
  218. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その通達は「十一月十九日事務次官等会議申合せ」、これが都道府県知事に流されておる。そこで、それは落ちておるけれども、当然トルコなどは入るべきだと思っておるのかどうか。
  219. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま石油の確保等につきまして、通産省のほうといろいろ連絡をとっておりますが、トルコぶろの使用いたします石油につきましては計算をいたしておりません。
  220. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ、トルコの軒数は何軒あるんだい。
  221. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 四十七年末の施設数でございますが、トルコぶろが一千七十二施設になっております。
  222. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それの石油使用量。
  223. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 石油使用量等、われわれのほうではつかんでおりませんで、一般公衆浴場のほうにつきましていろいろ調査を行なって、その石油の確保につとめているところでございます。
  224. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私の聞きたいのは、抑制するほうと確保するほうと二つに分けるべきだという考え方から質問に入っているわけだよ。これは抑制するほうの代表的なものだろう。その使用量をつかんでいないというのは、これはどういうわけだろう。
  225. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 今回のいろんな措置につきましては、確保するほうに全精力を注ぎました関係上、一般浴場のほうを調査いたしたわけでございます。
  226. 川俣健二郎

    ○川俣委員 だから一番先に経済企画庁に伺ったのは、絶対量はもう減ることははっきりしているのだから、どうしても確保しなければならない面と抑制すべきだという面と両方出さなきゃだめじゃないかと私は思ったら、企画庁長官はそのとおりだとおっしゃるでしょう。いまのあれはどうなるんです。  それから、この機会に申し上げておきますけれども、時間がありませんから、ほかの皆さん方に迷惑をかけますからあれですが、トルコぶろのあれは、許認可はちゃんと判こを押して認可しておる。ところが何軒あるものかな、いまあなたが言った軒数は、これは違うのですよ。警察庁の軒数と違うのだよ。時間があればもっと言いたいのだけれどもね。  それから、あそこの重油は使いほうだい、水もお湯もしかりでしょう。こういった面に対して監督官庁の権限が全然ない、そういうことなんです。こういう問題に、石油の問題から波及していくんじゃないかしら、どうでしょう。企画庁、どうです。
  227. 内田常雄

    ○内田国務大臣 でございますから、私が一般の考え方としてここだけは確保すべき範疇と、それから一般の、量が減る分だけはがまんしてもらう範疇と、最後の部分はそれはもう思い切って減るけれどもやむを得ない、こういう範疇をつくって、それにその業種分類をやるようなことで各省と協力してやっている。それがいまのトルコぶろにつきまして、いやモーテルにつきまして、何軒か、何千キロかは私はつまびらかにいたしませんけれども、まあそういうところはひとつこの際思い切ってがまんをしてもらうか、減らしていただくほかはないと私は考えております。  しかしてそのことは、今度の石油需給適正化法の中におきましても、通産大臣がやろうと思えば配給割り当て制等をつくることができることになっておりますので、経済企画庁の長官よりも通産大臣のほうが少しえらいかもしれませんが、しかし職権上は私のほうは指図する権利があるかもしれませんから、私は、その石油業法の条項によりまして、そういうところは配給割り当て等の際はその第三分類に入れてもらうようにお願いをするつもりでおります。
  228. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がありませんからあれだが、対策を考える、考えるといったってもとの数字をつかんでいないということと、そういう団体を全然掌握してないということ。クリーニングとかあるいは理髪、パーマ等は組合を通じて官庁にあるわけなんだ。ところでこういった面は全然野放しだということなんだ。そういうのが石油の使用量が非常に多い。そういったものを全然つかんでないで、押えるほうは極力そういう対策を考えるという考え方は、これはまことにずさんだと思いますね。そういう考え方で法案を出してよこしたってこれはだめだと思う。どうですか、これは。質問を終わりますけれども、通産大臣どうです。
  229. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この法律が通りましたら、的確にその数を確認いたしまして、所要の措置を講じたいと思います。
  230. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。
  231. 平林剛

    ○平林委員長 三谷秀治君。
  232. 三谷秀治

    ○三谷委員 建設資材の暴騰によりまして、地方自治体の緊急を要する事業の入札が不調になっております。この実情をたくさん描写するわけにはいきませんが、大阪市で言いますと、ことし建てる予定の市営住宅が四千七百戸あったんですが、本年度中に建つ見通しは二十七戸しかない。これは一つの実例なんです。これにつきましては、建設資材の暴騰と、それから建設資材の品不足が原因になっておる。  そこで、建設資材の需給見通しについてまずお尋ねをしたい。
  233. 橋本利一

    ○橋本政府委員 私からはセメントについての需給見通しをお答え申し上げたいと思います。  セメントにつきましては、ことしの春の不足問題以降生産がかなり順調に伸びまして、この四—十月で四千六百万トン、これに対しまして出荷は四千四百八十四万トン、在庫は約三百二十万トンということでございまして、十月末時点におきましては、昨年の同期に比べまして三六%程度在庫がふえておる、やや小康を保っておったわけでございますが、十一月に入りまして石油問題の影響あるいは需要の伸び等からいたしまして、統計がまだ確報が入っておりませんが、在庫は六、七十万トン減少しておるのではなかろうか、かように考えております。十二月につきましても、重油との関連から数十万トンから百万トン前後減るのではなかろうか、かように考えておりまして、需給が次第に逼迫してくるというふうに考えております。
  234. 三谷秀治

    ○三谷委員 価格の変動はどうです。
  235. 橋本利一

    ○橋本政府委員 これに伴いまして、価格のほうも上昇傾向を見せております。セメントにつきましては、地域性あるいは取引条件等によっていろいろと異なっておるわけでございますが、代表的なものといたしまして袋ものの小口につきましては、昨今では一袋五百五十円から六百円ぐらいになっているんじゃなかろうか。それからバラものでございますが、七千円前後から昨今では八千二、三百円程度に上昇しておるのではなかろうかと考えております。
  236. 三谷秀治

    ○三谷委員 おっしゃるとおりたいへんな暴騰をしております。そこで、このセメントの価格の暴騰に伴って生コン価格が大きく上がってきました。生コンは、十月の段階で平均六千五百円程度でありましたが、十二月に入りまして二五%、関西では三〇%になっております。こういう一斉の値上げをきめてきました。そしてこれに反対する建設業界に出荷停止という強硬手段をとってきた。ですから、価格は既契約分で八千百円といっている、それから新規契約分で一万三百円を要求している。六日以後におきましては納入中止という処置をとってきた。これは事業組合がとってきた。この全国生コン事業者団体連合会の行為というものは独禁法に違反しないのかどうか、これをお尋ねしたい。
  237. 橋本利一

    ○橋本政府委員 生コンにつきまして、御指摘のような価格上昇を来たし、一方におきまして建設業界との関係におきましていろいろ問題を起こしておったということは非常に申しわけなく思っております。その出荷停止問題云々につきましては、私たちといたしましては、公正取引委員会の調査にまちたいと思います。お求めがあれば資料等によって全面的に協力してまいりたいと考えておりますが、われわれとしては実態を十分に判断しかねる段階にございます。
  238. 三谷秀治

    ○三谷委員 公取委の方いらっしゃいますか。
  239. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  生コンの価格協定あるいは出荷停止については、いままで地方におきましてはこれは事件としてやった事例がございます。しかし、まだ全国についてはその事実をつかまえておりません。
  240. 三谷秀治

    ○三谷委員 事実をつかまえていないというのじゃ困るじゃないですか。調査をしていないわけですか。調査をする必要がないわけですか。
  241. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 まだ違反であるかどうかの手がかりをつかんでいないということでございまして、もし違反の疑いがあればこれは調査をいたします。
  242. 三谷秀治

    ○三谷委員 一定価格で一斉値上げをやっておる、出荷停止を共同でやっておる。共同行為をとっているわけです。これが疑いが持たれないという根拠はどこにあるのですか。
  243. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 もしそれが事実であればこれは疑いがございます。さっそく調査をいたしたいというふうに思います。
  244. 三谷秀治

    ○三谷委員 指摘されてから調査じゃおそいじゃないですか。この事態についてはすでに新聞等においても報道がなされております。こういう事実が存在したということは私どもの調査でも明らかなんです。それをいまごろになって指摘されてから調査をしますというのでは、あなた方の職務怠慢といわざるを得ぬ。そういう態度で特価の問題あるいは独占の問題、この任務が果たせますか。
  245. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 これはさっそく調査をいたします。審査部におきましても、最近事件が非常に多うございまして、次から次に違反事件の調査に追われておりますので手が足らなかったという面はございますが、さっそく調査をいたしたいというふうに思います。
  246. 三谷秀治

    ○三谷委員 ところが建設省は、十二月の六日にこの値上げを認める通達を出しておる、いわゆるインフレ条項の適用でありますが、このようにしましてやみカルテルと疑われる行為について建設省が公認をする処置をとったのはどういう根拠によるものか。
  247. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 最近の建設資材の値上がりの状況によりまして、各発注者におきまして、特に地方公共団体におきまして非常に不調が多くなっております。そのためにほんとうに必要な事業についても実施ができないような状況になっている次第でございます。御承知のように、こういう工事請負契約におきましては、工事請負契約書の中で、当初に契約しましたその請負代金を物価に著しい変動を生じて請負代金が著しく不適当となったという場合におきましては、発注者と請負者が協議いたしまして請負代金額を変更するものとするという規定があるわけでございます。これを発注者と請負者の間でいろいろきめるべきものでございますけれども、あまりまちまちでは困るという要望が非常に強うございまして、私どもといたしましてその協議の基準というものを考えまして指導をいたしたのが、十二月六日の通達でございます。そういうことによりまして適正な契約を確保しようということでございます。
  248. 三谷秀治

    ○三谷委員 事業の必要性というものと、それからいまの共同行為を認めるという問題、これは別個に考えていかぬとだめじゃないですか。必要があれば、法令違反の処置でも認めていくんだ、そういうどろなわ式の態度で消費者に対する責任が果たせますか。
  249. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この資材値上がりのために不調が続いたり、また工事が進められないということになりますと、せっかくの公費を使いましてのいろいろな工事、これが完成しないわけですから困るわけでございます。したがいまして、そういう場合におきましてその契約書に基づきまして発注者と請負者が協議するという内容でございまして、その資材の価格、実際にその実勢価格で購入しなければ買えないわけでございますから、買えないと工事も進められないという状態でございますので、両者で協議してそういう代金額を変更するという措置について、私ども、発注者の要望によりまして基準をきめた次第でございまして、そういうことと私ども別個にやはり考えるべきだと考えておる次第でございます。
  250. 三谷秀治

    ○三谷委員 各省庁の、必要があれば、法で禁止されました共同行為も認めてもかまわない、そういう見解なんですか。
  251. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 そういうことでその価格をきめるにあたって不正行為があったかどうかということは関係なしに、実際の実勢価格で買わなければ買えないわけでございます。それは現在統制価格か何かございまして、その統制価格をやみで買ったということと違うわけでございますので、現在の流通市場におきまして購入しますその際の代金額というもので契約を変更するということにいたした次第でございまして、その価格が不正かどうかということと関係なしに私どもそういう措置は必要だろう。しかも、それはいわゆる契約書に基づいて発動されたものでございます。
  252. 三谷秀治

    ○三谷委員 つまり、あなたがおっしゃっているのは、公取委と通産省が結んだ覚書、それから公取委と経企庁が結んだ覚書、それに類するものを建設省がやったのだというだけのことなんだ、こういう御趣旨ですか。
  253. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先生の御質問の御趣旨がちょっとよくわかりませんが、私どもは、先ほど申し上げましたように、工事請負契約書の内容に基づきまして、それにはこういう物価に著しく変動を来たした場合におきましては両者協議して請負代金額を変更することができるという規定がございますから、それに基づいて発注者と請負者が変更をする。それは両者の問題でございますけれども、さっき申し上げたように、全国的な何か統一的な基準はないだろうかという要望、求めに応じまして私どもが基準をつくりまして、指導いたした次第でございます。
  254. 三谷秀治

    ○三谷委員 その基準というのが生コン業者団体の要求している価格であり、そうしてそれが出荷停止という処置を通じて実現をはかろうとしてきたというところに問題があると言っているのです。そのことを抜きにして、単に額面上の問題を言っているわけじゃない。その価格を訂正しますのに業者団体がどういう処置をとってきたのか、それに対して建設省がどういう判断をしたのかということ、この点をお尋ねしているんです。
  255. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 私どもといたしましては、建設資材の価格が著しく高騰することはまことに残念に思っておる次第でございます。しかしながら、実際問題といたしまして、価格が上昇をいたしますと資材が購入できない、したがって、せっかく契約いたしたものもできない、これからの国民生活上必要ないろいろな施設の整備もできないということになりますので、そこは、設計を発注して、そのときの設計単価というものと著しく変更した流通価格でございますならば、その価格でしか買えないわけでございますから、いまの生コンの問題で、先生のいろいろな先ほどからの御指摘の問題、これは私どもも通産省にあっぜんを依頼いたしまして、何とかこの話がまとまるようにいろいろ協議をいたした次第でございます。しかしながら、その結果一つの実勢価格というものがきまりますならば、それでしか買えないということになりますと、私どもはその価格で契約を変更しなければならないじゃないかというふろに考えてこういう措置をとった次第でございます。
  256. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、業者が協定をして一定の価格をきめて、それでなければ買えないという事態になってくれば、これを認めるということですか。そうしますと、この独占禁止法との関係はどうなっていくわけですか。
  257. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 独占禁止法違反かどうかという問題は、先ほどの公取委のほうの調査によりましてその処置はとられるものと思います。私どもとしましては、さっき申し上げたような実際に購入できる単価でなければ購入ができないものでございます。住宅も建たないわけでございますので、先ほどから何度も申し上げているとおり、その価格で契約変更できる基準をきめた次第でございます。したがって、独占禁止法の関係は公取委のほうでいろいろ調査を願い、その御処置がとられるものと思います。
  258. 三谷秀治

    ○三谷委員 独占禁止法の運用は公取委の関係に間違いがない。そこで、公取委のほうに聞きますが、いま建設省があんなふうに言っている。それでなければ買えないと言っている。つまり、業者が協定をして、一定の価格をきめてしまったんだ、そして出荷の停止をやってきている、だからやむを得ずこれを認めざるを得ない、こう言っている。こういう事態というものが、価格の形成に関する共同行為にならないのかどうか、お尋ねしたい。
  259. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 私どもは、価格につきましては、業者間の話し合いがあれば共同行為になるおそれがあるというふうに考えております。
  260. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの建設省の説明を聞きまして、業者間の話し合いがあったかなかったか、その点につきましては一定の蓋然性が出てきている。これをお聞きになって、どのように判断されていますか。
  261. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 そのとおりであるとすれば、これはカルテルの疑いがあるというふうに考えます。
  262. 三谷秀治

    ○三谷委員 先ほどセメントの需給状況をお尋ねしましたが、三百八十万トンですか、在庫している、こういうお話でありました。つまり、物はあるということがいつでも言われている。物がありますのに物が出てこない。大阪でも建設業者がセメントがなくて建設にかかれない、そういう事態が随所に出てきている。そうしますと、メーカーの出荷やあるいは生産が正常であるとしますと、物は一体どこにあるのかという問題、当然この問題が出てくるわけでございます。そうしますと、買い占め売り惜しみの状況がそこで明らかになってくる。買占め売惜しみ防止法を発動する条件が備わってきておるわけなんです。これに対して価格調査官を活用しました調査権の発動がされておりませんのはなぜかということをお尋ねしたいと思います。
  263. 橋本利一

    ○橋本政府委員 セメントにつきましては、生活必需品であるかどうかという判断の問題がございまして、現在投機防止法の指定対象になっておりません。ただ、行政指導等によりまして極力さようなことのないように努力いたしたいと思います。
  264. 三谷秀治

    ○三谷委員 建設資材というものはおしなべて生活必需品ではない、こういう御判断ですか。
  265. 橋本利一

    ○橋本政府委員 必ずしも総括的にさように考えておるわけじゃございません。ケース・バイ・ケースによって、その品物によって判断すべきかと思いますが、ただセメントにつきましては、どちらかといえば、基礎資材的な性格のほうが強いというふうに解釈いたしております。
  266. 三谷秀治

    ○三谷委員 セメントというものが建設資材であることは間違いありませんが、しかしこれの需給の逼迫といいますか、市場における払底というものが、地方自治体の住民の生活環境に大きな影響を与えてきておる。ですから、これは食ったり飲んだりするものではありませんし、身につけるものではありませんけれども、これは生活環境におきましては重要な構成要素を占めていると思う。こういうものを指定商品にしなくてもいいということでしょうか。
  267. 橋本利一

    ○橋本政府委員 指定の問題につきましてはしばらくおくといたしまして、先生御指摘のような問題がございますので、実は私どものほうといたしましては、需給の逼迫状況を見まして、この十二月の十日から小口需要者に対するあっせん所を拡充強化して再開いたしております。この数字は、十二月分といたしまして、とりあえず二百五十万袋を供給し得るように準備いたしております。この数字は、この春のあっせん所を開設いたしました際の二カ月分の実績が四万五千袋でございますので、大体五十数倍にのぼる量、とりあえずこれをまず小口需要者向けに確保いたしたい。それから学校だとか病院だとかあるいは託児所、こういった必要不可欠のものにつきましては、不足する中においても優先的に供給を確保してまいりたい。また事実、そのように処置いたしております。
  268. 三谷秀治

    ○三谷委員 あっせん所というものがどの程度の実効があるものか私どもわかりませんけれども、しかし、セメントの実態や実情やいまの建築関係の状態を見ますと、これは当然指定物品に入れる一べきだ、そして流通状況につきましても調査をすべきだというふうに考えますけれども、そういう必要はありませんか。
  269. 橋本利一

    ○橋本政府委員 前向きに検討してまいりたいと思います。
  270. 三谷秀治

    ○三谷委員 うしろ向きの検討なんというものはありゃせぬでしょうから、いわゆる答弁用語を使って適当なことを言わずに、実際にこれはやってもらいたいと思う。これはたいへんな問題になってきた。いまの地方自治体の一番大きな悩みはセメント、生コンの問題です。これがこれほど深刻になっておりますのに、あなた方のほうではこれから少し前向きで検討しよう、こういう態度です。いつでも一節おくれておる。こういう態度では、ほんとうに物価問題の解決をお考えになっているとは考えられない、そういうことを痛感せざるを得ないわけです。  それから、公取委にお尋ねしたいと思いますけれども、本年になりましてからも公取委の破棄勧告ですね、これが十八余り出ておるように私は記憶しております。ところが、これは破棄勧告をしましても、上がりました物価は下がらない。ですから、これは協定の破棄を命じましても、実効がないわけなんですよ。調査、勧告、公表しましても、違反行為で暴利をむさぼっております企業は、たいした痛痒を感じない。ですから、繰り返してやみカルを反復する、こういう事態になってきておる。  そこで、先般の物特の委員会でありましたか、公取の委員長が、独禁法七条の必要な措置の命令の中には、価格の引き下げ命令は含まれない、これは通説だと言ったのだ。それから、独禁法九十六条の規定も、行政事件について個人を告発することは、慎重でなければならないと言ったのだ。  そこで、通説とはどういう意味なのか。それから、国民の生活破壊につながります重要な行為を法に基づいて告発しますときに、慎重でなければならない。この意味はどういうことなのか、真意をお尋ねしたいと思う。
  271. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 確かに、この前の物特で委員長はそう言われたと思います。  通説と申しますのは、その違反行為を排除するために、必要な措置の中に価格の引き下げ命令まで含めるのは、現行法の解釈としては無理ではなかろうかというのが大体の学者の意見、こういう意味でございます。  それから、告発の点でいま両罰規定がございまして、会社のほかに会社の責任者、これを罰する、会社だけを罰することはできないというふうになっておりますが、その責任者は、たとえば社長が責任者であるのか、あるいは取締役あるいは下の部長、課長、どこが責任者かというのは、これは一応証拠ではっきりさせる必要があると思いますが、下のほうの、たとえば担当の部長が責任者であるという場合には、これは刑事被告人ということになりまして、その本人にとっては酷な場合も出てくるので、やはり会社と同時に、その個人に責任を負わせるという以上は、これは刑事罰を科するわけでございますから、その点において慎重にしなければいけないというふうに委員長が言われた。委員長の言われた趣旨は、そうじゃないかと私は思います。
  272. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこに公取の政治姿勢が非常に明確に浮き上がってきている。この通説と称するのは、価格の引き下げ命令というものは、一種の統制であって、自由競争を前提にした独禁法の精神に反するといういわゆる脇村意見ですね。これをあげていらっしゃると思う。しかし、これに反する定説も、法律学者や法曹界には広くあるということ、これは御承知だと思う。これについてはどういう御所見でしょうか。
  273. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 確かに、まあ両説ございまして、いま先生おっしゃったように、引き下げ命令可能であるというふうな意見の学者もございます。ただ、これは公正取引委員会としては一体どっちかということは、やはりいままでは解釈を多数の説に従って、通説に従ってまいったわけでございますが、しかし、これは今後独禁法の運用上、運用を強化しなければならないという時点におきましては、やはり価格の引き下げ命令ということまで考えるべきじゃないか。現行法で無理というのであれば、これは改正まで考えるべきではないかということで、独占禁止法研究会というのでただいま検討している段階でございます。
  274. 三谷秀治

    ○三谷委員 その独禁懇の会長というのが、この通説の主張者じゃないのですか。この価格の引き下げ命令というのは、価格を幾らにしろということを命ずるわけじゃない。ですから、不当な協定がなければこうだという状態に原状回復するのだ。ですから協定の影響を排除して、自由競争の状態に戻すという命令なんだ。だからこれは自由経済に反するものじゃない、協定を廃棄することは、協定による効果を無効にすることなんですよ。そのことを言っているわけだ。ですから、自由競争を前提にしました独禁法に反するものではないというのが、学者の多数の意見としていま強まってきている。しかも、この通説が二つあるとすると、一つの通説というのは、やみカルを擁護する通説なんだ。一つのほうは、公正な取引を厳格に保証する通説なんだ。この二つの通説に対して、公取委が本来の使命と今日の深刻な物価情勢の中におきまして、いずれの通説をとるかということは、これは公取委の姿勢をはっきりとためす問題になってきている。そのときにおきまして、これは引き下げ命令は出すべきではないという通説をとるという公取委員長というのは、本来の役割りを忘れてしまっている。これは現行法によりましても引き下げ命令はできる。何ぼにしろと言わなければいいわけだ。そういう研究をなさって、これを実現する意思がおありかどうか、お尋ねしたい。
  275. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 これは、私どもの委員会できめるべきことでございますので、私が意思があるとかいうことは軽々には申せませんけれども、慎重に検討いたしまして御期待に沿いたい、そういうようにいたしたいというふうに思います。
  276. 三谷秀治

    ○三谷委員 期待に沿うようにするということでありますから、御期待申し上げておきます。  それから、こういう政府や公取委の姿勢の必然的な結果としまして、生活安定法にいう「標準価格」というものは一体どういうものか。標準的なコスト、標準的な利潤を加えて算定するといいますけれども、そのコストや利潤は何を尺度にしてやっていくのか、これをお尋ねしたい。
  277. 小島英敏

    ○小島政府委員 標準価格は、第一段階のいわゆる指導的な価格でございまして、マル公のような強制力を伴うものでございませんので、業界に対して行政庁が持っております行政指導上のいろいろな、何と申しますか、資料の収集というようなことができるわけでございますから、そういう観点から、法律の上では確かにその生産費等、初めの段階ではとるようになっておりませんけれども、これは行政指導上任意的な提出を求めることは十分できるわけでございますから、そういうものを中心にして、標準的な生産費とか標準的な利潤とか販売費用、それから需給そのものについての需給動向、さらに国民生活や国民経済上の影響等をいろいろ勘案いたしまして、総合判断して定めるということになっているわけでございます。
  278. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの説明では私にはわけがわからぬ。具体的な尺度は何かということなんです。結局は業界全体が妥協し得る価格、事実上の業者の合意価格ですね、これにならざるを得ない。説明や法文を読んでおりますと、そういうことになってくる。要するに、高値安定を目ざすことにならざるを得ない。  もう一つ、お尋ねしますけれども、プロパンの価格の値上げというものが今度認められました。これも業者協定を基礎にしまして、四四%の値上げをおやりになったそうです。これも共同行為の公認になっておるのではないか。これに対しての公取の見解をお尋ねしたい。
  279. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 例の日経の記事でございますか、四四%値上げ、あれは事実無根である。これは通産大臣もそう言っておられます。ただし、われわれはそういう協定行為があれば、これは違反としてびしびしやるということでございます。あれは事実無根であるということでございます。
  280. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、値上げは認めていないということなんですね。
  281. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 協定による値上げは認めない——認めないと申しますか、違反である、違反の疑いがあるということでございます。
  282. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは当然のことなんです。  そこで、これは通産大臣のほうでは認める意思はないし、今後も認めないということなんですか。
  283. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 灯油、プロパンガスの指導的値段をきめたのは、これは政府の行政権による介入でありまして、業者間協定ではありません。したがって、カルテルでもないし、また独占禁止法にかかる行為ではありません。
  284. 三谷秀治

    ○三谷委員 プロパンの問題につきましていま時間の関係で議論をしませんが、この生活安定法の構想が生まれましてから、プロパンのみに限らず、いわゆるかけ込み値上げというのが随所で起きてきております。激増しております。この一カ月余りの間に二〇%から六〇%ぐらいの値上げが行なわれた商品というものがかなりな額になっておる。この実態につきましては把握されておりますかどうか。
  285. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 いわゆるかけ込み値上げにつきましては、十一月中旬ごろからこれは非常にふえておりまして、私のところにもかなりの量の申告が参っております。まずできるものからということで塩化ビニールとかあるいはポリプロピレン、それから石油連盟等については立ち入り検査をすでに実施をいたしております。
  286. 三谷秀治

    ○三谷委員 実施されておりましても、引き下げ命令を出すという態度を明確にしない限り意味がない。それからこの値上げされました価格が標準価格を構成する基礎になりはしないかということです。引き下げをしない限り、協定を発見して勧告をしましても価格は残ってくるわけです。要するに高値追認を目ざします業者の対応策というものがいま非常に激しくなってきておる。これに対する対策はありますのかどうか。
  287. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは私からお答え申し上げておいたほうがよいと思います。  いまお尋ねのような先取り価格といいますか、便乗かけ込み値上げのようなものは、かりにございましても、この法律が施行されるとき、標準価格をつくります場合には、私はすべて洗い直す、こういう方針をもって臨みます。その際には、公取が幾多の資料を持っておりますので、公取の指図を受けるつもりはございませんけれども、公取の資料なども十分活用いたしまして洗い直しの合理的な価格をつくる。このことは価格を形成される業者の方々にもここであなたの問答をよく聞いておいてもらいたい、いまごろかけ込み値上げをしてもこの法律が施行されたときにはむだであるということを聞いておいていただいて、さような行為がないように、私はそれを希望するものでございます。
  288. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、標準価格ですか、あるいは特定標準価格ですか、これを決定しますときには、いま便乗値上げなどが行なわれておるけれども、これは全然問題外にして価格の引き下げなどを行なうこともあり得る、政府がそれをやるんだという御意見なんですか。
  289. 内田常雄

    ○内田国務大臣 もっと正確に申しますと、便乗値上げによる価格というものは、私どもが考えておる標準価格ではない、かってな価格である場合も多うございますから、標準価格としては私どもが創設的につくってまいるつもりでおります。そのことを業界でもよく心得ておけ、こういうことを実は私は、きょうあすじゅうにも、より明らかにする方法をとりたいと考えております。
  290. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはどうぞ業界に十分にPRをしてください。  時間が来ましたから私はこれで終わりますが、私ども四党の共同修正案をすでに提示しております。これをよく研究をいただきまして、私どもが短い時間で断続的に指摘しました問題などもそこに依拠しておるわけでありますから、十分な御検討をいただくことを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
  291. 平林剛

    ○平林委員長 阿部助哉君。
  292. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、民主主義を守る政治家の一人として、本法案にたいへん重大な不安を持たざるを得ないのであります。  本法案は、石油危機に便乗して経済政策の基本であります物資に関する全権を田中内閣の手に掌握しようとするものであります。本法案は、きわめて場当たり的に突如として提案され、当面国民が望んでいる物価凍結に無力であるばかりでなく、やみがやみを呼び、大企業と官僚による統制の支配が強まるだけでなく、歴史的に見れば政治体制にまで影響する問題であります。本法案の形式はかつての国家総動員法と同じでありまして、かつてここで齋藤隆夫氏は、勅令への委任、議会無視に激しく反対をいたしました。鳩山一郎氏は、戦後、国家総動員法がはたせるかな政党政治の崩壊につながったと反省をしておるのであります。この法案審議に必要な政令、省令はいまもって全くわれわれに示されておらず、国民はただ安定という法律の名前だけが与えられて、議会は白紙委任が強要されているのであります。  私の質問に対して、政府は、物価騰貴については、いま取りつけ騒ぎにまで発展しておる国民の不安にこたえるとともに、民主主義をどうするかがかかっていることに思いをいたされまして、具体的かつ明確にお答えを願いたいのであります。  さて、昭和四十六年ニクソン・ショック以来、経団連不況という、いわゆるつくられた不況が巻き起こりました。これは今日の政府の危機宣伝と全く同じであります。通産省は、十二業種の不況カルテルを認め、生産制限による価格引き上げを認めました。そこでカルテル業種はたいへんなもうけをして、今日のインフレの原因をつくったのであります。その代表的な例が鉄鋼、なかんずく新日鉄であります。すなわち、昭和四十八年九月期半年間の経常利益が七百八十億円、実に一日四億三千万円の利益をあげておるのであります。昨年同期の七倍であります。  そこでお伺いしたいのでありますが、日銀は四十七年の五月からはすでに景気ははっきりと回復に転じた、こう発表したにかかわらず、政府はこの不況カルテルを十二月まで継続をいたしました。それによって四十八年三月期の生産は前の期に比べてたった二二%の増加にかかわらず、利益のほうはといえば四・九倍の利益をあげておるのであります。通産省は、なぜこの不況カルテルの存続、価格の引き上げを認めたのか、まず、私はこの法案に入る前に、その点から通産大臣にお伺いをしたいと思うのであります。
  293. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 当時は各業種別に経営の実態も調べておりまして、操業の度合いあるいは生産物の価格の状況あるいは需給の関係等を見まして、カルテルを継続するのもやむを得ない、そういう情勢が四十七年度上半期から中期にかけてあったのであります。それは物資によってみんな情勢が違いますけれども、概していえばそういう状況であったのであります。したがって、カルテルはそのまま認められておったのであります。
  294. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はいまの御答弁には納得できないのであります。もう日銀がはっきりと、五月から景気はよくなった、はっきりと転じた、こう言っているときに、なおかつ十二月までこの不況カルテルを認めた。不況カルテルというのは、独占禁止法の中に例外中の例外として認められておるのでありまして、その時点でこれは当然やめるべきものであったと私は考えるのであります。  この法案は、価格及び生産カルテルの形成を前提といたしまして、カルテルを中核として運用するものであります。カルテルは独占資本の利潤確保の城であり、要塞であります。同時に、それこそ物価上昇の最大の要因であります。これはまさに物価値上げの主犯であります。この法案の作成にあたって、実質的にはカルテルであるものを政府がカルテルでないと言えばカルテルでなくなるような、ちょうど馬をシカと言わせるようなたぐいの覚書を取りかわしておられるのでありますが、この覚書というものは、私は、政府がはっきりと物価対策を放棄して、大企業の利潤確保のほうに軍配を上げてしまった、こう判断せぜるを得ないのであります。この十二月六日の覚書は撤回すべきものだと思うのですが、公取の方いかがですか。  大体、大企業同士が徒党を組んで一方的に価格を引き上げる、消費者の権利と生活を脅かす、そこでおよそ民主主義といわれる国々においては、最低の防衛手段としてこの独占禁止法を制定しておるのであります。それはもう御承知のとおりであります。それを政府は、今日のように、この覚書のように、カルテルでないと皆さんが言えばカルテルでなくなるようなことは、これは法律を無視するものであり、議会を無視するものだ、こう私は思うのでありまして、この覚書は撤回すべ費だと思うが、どうですか。
  295. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 今回、石油緊急二法案が制定されました場合のその実施に関しまして、確かに公取と通産それから経企庁と覚書を取りかわしたわけであります。これは石油危機による国民生活への影響等を最小限にとどめるためには、これらの法案に基づく政府の施策に対して業界の協力を求めるということも必要でございます。それから、その場合に業界が主務大臣の具体的な指示、監督に基づきまして行なう協力措置は独禁法に抵触するものではない、民間の適法な協力の限界を示すという意味で、その旨を覚書で確認したわけでございます。しかし、この覚書はカルテルを認めるというような趣旨のものでは全くございません。  なお、両法案が制定されましても、これによって独禁法の運用に影響することは何ないというふうに考えておりますし、独占禁止法はこれまでどおり厳正に運用してまいるつもりでございます。
  296. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はあなたの答弁には納得できないのであります。標準価格等、法律に基づいて主務大臣がきめるもの、そうすると、政府が指導してきめた価格というものはいかなるものでもカルテルではない、こうおっしゃるのですか。
  297. 吉田太郎一

    吉田(文)政府委員 政府みずかが——資料等は業界か個々的に出させてきめる、あるいは業界の意見を参考にするということはございましょうけれども、業界にまず価格を出さして、ある程度の話し合いをさせて価格の原案みたいなものを出さして、それをきめる。それをそのままのむというようなことは好ましいことではございませんし、やはり標準価格というのは政府の責任で、これはある程度の資料の提出は求める必要はございましょうけれども、政府の責任できめる。政府みずかがきめるということであれば、これはカルテルではないというふうに思います。
  298. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題はあとでまたもう少しお伺いしますが、通産大臣、新日鉄の稲山会長は、またもメーカー間の横のカルテル形成だけではなしに、指定問屋制という縦のカルテルまで主張しておれる。これは新聞で拝見したのでありますが、こういう意見に対して通産大臣はどういうような態度で臨まれるのか、御所見を承りたいのです。
  299. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 稲山さんがそういう主張を持っておることは私も聞いておりますが、その稲山さんの主張と今回の法案とは何関係がありません。今回の法案による指示行為というものは、政府が行政権を持って介入をして業者に協力を求むるという行為でありまして、私的独占というような業者間の協定や談合によって価格の維持あるいは高騰をはかろうとするものではないかであります。稲山さんの考え方は、私が聞いた範囲では、鉄綱のような基幹産業物資が暴騰したり暴落するということは好ましくない、長期安定のために鉄鋼のような価格はある程度業者間の協定、すなわちカルテルというものを認めてもって、そして官の監督のもとに長期的な安定を維持する方法を考えたどうであろうか、その方法として一番大事なのは、流通の体系における中間経費が非常に高過ぎる、鉄鋼その他でも四万五千円ぐらいで出たものが末端へいくと七万円ぐらいになっておる、そういうような流通過程を調整するためにカルテルによって適正利潤を確保しなが、その中間に思惑が起こないように暴騰、暴落を防ごう、そういう趣旨のものであると私は聞いております。言わんとするところはよくわかりますけれども、それがいわゆる業者間協定として価格を上昇させ、一般大衆や消費者に迷惑をかける危険性が必ずしもないとは言えません。したがって、そういうことについてはきわめて慎重でありたいと思います。
  300. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私に言わせれば、鉄鋼はあの不況カルテル以来たいへんな利益をあげておる。先ほど申し上げたように、一年前の何倍という利益をあげ、この前の決算を見れば一日、実に四億三千万円、日曜祭日にかかわず一日、四億三千万円というべらぼうな利益をあげておるときに、また来年の四月か一〇%の値上げをするようなことが新聞に出ておるのでありますけれども、今日、国民の常識かするなば、むしろこの鉄鋼は引き下げを政府は勧告すべきだと思うのですが、値上げを認めるおつもりなんですか。
  301. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 値上げの話は聞いておりません。鉄鋼のような基幹産業に関する価格はよほど安定させるためにわれわれ努力しなければならぬと思いますし、値上げというものをわれわれが認めることについてはきわめて慎重でなければならぬと思います。
  302. 阿部助哉

    阿部(助)委員 昨日、関税局からの石油の輸入実績の資料をいただいたのでありますけれども、これでは四十八年、ことしの一月か十一月までの輸入量は、昨年一月か十二月までのまる一年間輸入した量よりも四千万キロリットル多いんですね。そうして二億六千四百万キロリットルも輸入しておるのであります。将来のこの輸入量のことについては別といたしまして、今日ただいま現在、灯油の大幅な値上げという事態、これはもう三月ごろか起きておる問題でありますけれども、この物価高、これをすべて皆さんがこの石油問題に帰着させようというようにわれわれは感ずるのでありますけれども、現実はこの十一カ月の間で昨年の十二カ月よりもよけい石油が輸入されておる。こういう中で物価が上がっておるのでありまして、まさに第四次中東戦争の前か売り惜しみが起こっておったということになるわけであります。現在、この物価高を政府はオイルインフレと申しますか、石油問題にみんな問題を押しつけておるのだけれども、私はどうもその辺が合点がいかぬのであります。  そこで、特にお伺いしたいけれども、これだけ輸入がふえておったにかかわず、末端価格で灯油やガソリンが異常な値上がりをしておる。この原因はわれわれにはわかない、国民にはわかない。いま寒さにふるえておる国民にわかるように、ひとつ通産大臣かお答えを願いたいのであります。
  303. 山形栄治

    ○山形政府委員 お答え申し上げます。  まず、量のことでございますが、御存じのとおりOAPECの数量のカットが通告になりましたのが十月の十七日でございます。それまでは順調に油は入っておりまして、この油の入着を前提にして鉱工業生産等も非常なる勢いで上昇しておったわけでございます。むしろブーム的な様相す呈しておりまして、九月ごろの見通しにおきましても、年度当初の鉱工業生産の見通しが約一〇%ぐらいだったのが一五%ぐらいになる、こういうようなことであったわけでございます。問題は、これからの入着が急激に減るという点があるわけでございます。これは数量の点でございます。  価格の点で申し上げますと、六月ごろか原油価格は相当の値上がりは示しておりますが、現時点までの値上げ幅というのは、原油価格で大体七七%の値上がりに相なっております。
  304. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私がお伺いしておるのにはちっとも答えていないわけですね。この石油は、あなたたちもこれを認めざるを得ないでしょう。十一月でも昨年の十一月よりもよけい入っておるのです。だか、これか将来のものは別にいたしましても、三月ごろか灯油はすでに値上がりを続けてきておる、こういう問題をどういうふうに理解したいいのか、私はこう聞いておるのです。
  305. 山形栄治

    ○山形政府委員 原油価格につきましては、六月ぐらいか徐々に上がり始めまして、現在までに、いま申し上げましたように七七%上がっておるわけでございますが、こういう動きを前提に、各製品価格が上昇傾向にあったわけでございます。そこにもつてきまして、十月の十七日か数量のカットが行なわれるということで、先行きの不安感等々を通じまして、非常に価格の上昇が出ておるわけでございます。現時点で、六月といまとを比較いたしますと、ガソリンで四四%ぐらい、ナフサその他、相当の値上がりを示しておるわけでございますが、これはいま申し上げましたように、原油価格の上昇を製品価格にはね返しておるものでございまして、その中におきましても、灯油は先般元売り価格の凍結を行なっておる状態でございます。
  306. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも私の質問に答えれていないのですが、それなら、先行きはとにかくとして、こうやって灯油すなかなか手に入ない、タクシーはガスが手に入ないというようなことは、日本へ来ている輸入量が減ってきた将来は別といたしまして、今日事態が起きておるということはどういうことなんです。売り惜しみですか、どうなんです。
  307. 山形栄治

    ○山形政府委員 私の表現が非常にまずいわけでございますが、現在までの油の入着は、先ほども申し上げましたように、こういうことが起こるということを前提にしておりませんでしたので、生産活動が非常に活発に、簡単に言えばそれを相当程度使っていままで推移してきたわけでございます。そこへもってきて、突如として数量のカットが行なわれたというのが現状でございまして、全体的に今後の予定しておりました生産は相当ダウンせざるを得ないという現状でございます。その中におきまして灯油、LPG等、民生に非常に直結いたしますものにつきましては、関係各省とも相談をいたしまして、主として数量でございますが、それぞれさしあたり十二月分の数量を確保いたすような手当てをいたしております。  なお、灯油につきましては、特別の取り扱いで精製各社を督励いたしまして、ほかの油種よりも在庫日数、在庫数量を約二倍持つようなかっこうにいたしまして、少なくとも三月までのこの寒い冬場は数量的に確保できるように、末端までこれが円滑に届くように、いま全石商連等との関連もつけながら対策を講じておるわけでございます。
  308. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも私の質問に答えてないようでありますが、とにかく最近の風潮は、石油問題を契機にして、何かみんながたいへんだ、たいへんだという形でやっておるけれども、いままで何も石油はたいへんではなかったのです。これからどうなるかはわからぬけれども、今日までそうではなかった。しかも一般の農業用あるいは国民の家庭生活の燃料というようなものは輸入量のわずかに二〇%にすぎない。それにもかかわらず、そっちのほうだけがまず締められていくというところに、私は、皆さんが何としてもこの大企業のわがまま、売り惜しみというものを見のがしておるとしか思えないのであります。  それでお伺いしますけれども、いまこの国民生活安定緊急措置法、あたかもこれが通りさえすれば物価安定のきめ手になるような宣伝が行なわれておりますけれども、私はかつての統制経済、総動員法、そういろ体験の中からも、いままで述べてきたように、政府は必ずこれで大企業には手厚い保護を行なう、国民のためにはいままでやるべきこともやらない。実際、洗剤の問題、私時間があればお伺いしますけれども、洗剤の問題にしてもあるいはトイレットペーパーの問題にしても、生産もしておる、在庫もある。ただ、それをメーカーと問屋との仕組みの中で、ない、ないという宣伝の中で国民大衆をこの買い出しにおあって、そうして今度は値上げした段階で、ひどい品物は、洗剤は一日に四回も値上げをして正札をつけかえるような形の中で、そうして国民に不安を与えてこの買い占めに走らせる、こういうような問題。私は具体的に聞きたいけれども、時間がないから飛ばしておるわけです。そういうところに政府は何も手を打たない。  きょうの新聞で、この十一月の輸入量が大きく報道されておりますけれども——朝日新聞に出ています。私は非常に意地悪くこれを勘ぐるならば、私にこの資料をとられたために、委員会でやられるのがいやさのために、おそらく大蔵省はきのうのうちに発表したんだろう、私はこう思うのでありますが、それならば、毎月毎月昨年の同月よりもよけい輸入しておることをなぜ発表しなかったんです。そうしておけば、国民のほうも安心をして買い占めだなどということに走らなかっただろうと思うのです。それにかかわらず、この資料をとられるや、あわてふためいて大蔵省は発表するなどということは、私はまさに行政のサボタージュだと思う。こういうサボタージュをやっておるような政府に、しかも大企業にはあのように、鉄鋼カルテルのように不況カルテルをつくって、たいへん保護政策をとっておる。もしこの法案が成立し、いままでのような政治が、行政が行なわれたならば、私は、中小企業は倒産に、国民は物価高に、そうして大企業だけが安定した利潤を確保してぬくぬくと太っていくことだけは間違いないと思うのであります。そういう点で、まず私は、標準価格の決定あるいは特定標準価格の決定、これは限界企業できめるのか、中位できめるのか、あるいは上位企業の生産費できめるのか、いずれであるか、これを企画庁長官にお伺いしたいと思います。
  309. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ただいま阿部さんがお述べになったような大企業の共同行為による価格の先取り的値上げを前提とした標準価格をきめてまいるというようなことは、私はもうぜひしたくないという気持ちでここに立っておりますことだけは、阿部さんにもひとつそのことは頭に置いていただきたいと思います。  次に、標準価格のきめ方でございますが、これは、この法律というものが、阿部さんが最初に述べました、いきなり経済統制に入ることが必ずしも適当でないという私どもの考え方から、その統制経済ではないことを前提とする標準価格、しかしやや進みますと、課徴金等を徴収することになる特定標準価格、その他また物資を個別的に輸入を指示したり、出荷を指示したり、増産を指示したり、足りないところへ物のあるところから持ってくる輸送を指示したり、そういうこともとりまして、そして万策尽きたような場合あるいは別個の大混乱でも起こりましたような場合には、物統令をも援用いたしまして統制価格をつくる、これに反した者は十年以内、五百万円以下の罰金を取るというようなことにもなりますが、初めからその官僚的な統制経済をとるんだということを阿部さんが御心配になっておりましたが、それはいま私が申し述べたように御理解いただきたいと思います。  最後に、標準価格につきましては、繰り返しますけれども、この標準価格をこの法律が通って決定をします際には、その合理的な洗い直しをしますが、しかし、物はいろんな品種がございます。たとえばトイレットペーパーを例にとりましても、二百品種ぐらいありますので、そのどれをとるかということを——全部に標準価格をつけるわけにはまいらない。しかしそのうちの標準的なもの、また生産費などを計算をいたします場合にも限界生産費をとって、そして合理化された大企業がぬくぬくともうかるようなことも、もちろんいたしません。それは標準価格でございますから、標準的な生産費をいろいろの資料に基づいてつくりまして、それを指導的な価格にしていくということから踏み出す、こういうつもりでおるわけれございます。
  310. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はもっと簡単に具体的にお伺いしたいのですが、この三条の三項、第八条の三項にいう標準価格あるいは特定標準価格、これのきめ方はどういうふうにきめるんです。私は具体的にそういう——ある例を出してくだすってもいいです。あるいは鉄鋼ならどういう原価計算をしてきめるのか。石油では灯油なら灯油。皆さんいま灯油を三百八十円ですか、きめておるならば、三百八十円の中にどういう労働賃金があり、利潤があり、償却費があるという形を具体的に出してもらいたい。  長官、この法律は、私は繰り返し繰り返し申し上げますけれども、全く二条から二十七条まで全部といっていいほど、実体は政令あるいは省令、大臣の裁量にまかされておるのであります。これは実体のない法律でありまして、皆さんの主観でこれがきめられるだけに、国民の生活にたいへん重大な問題——これをわれわれ国会の審議から奪い取ろうとするものでありますから、この重大な問題は、具体的な省令、政令というものをここに提示をして、そしてこの審議をした上で本来通すべきものであります。実体のない——実体は全部あと回しにして、そうして白紙委任状をよこせなんということになれば、議会制民主主義などというものは、これは全く形骸化してしまうことだけは間違いがないところであります。私はその点でこの法律にたいへんな不安を感じ、憤りを感ずるわけであります。そのかなめでありますところの標準価格のきめ方一つ皆さんは議会に示されない。そんなことでわれわれがこの法案を審議するわけにいかぬじゃないですか。長官、それを具対的に出してください。
  311. 内田常雄

    ○内田国務大臣 まず第一に、この法律はほとんどの重要事項を政令に委任されていると言われますが、これは決しておことばを返すわけではございませんけれども、私も自分で政令事項を分析をいたしてみましたが、三つございます。  その一つは、たとえば物資の指定とかあるいは輸入をすべき者の指定とか、そういうようなものを各省がそれぞればらばらに自分の主管物資であるからといって自分でかってにきめることがないように、それは経済企画庁が音頭とりで閣議ベースといいますか、政令できめるというそういうことの範疇が一つございます。これは私はそのほうがいいと思います。(阿部(助)委員「そんなことは聞いてない。具体的なものを出してください」と呼ぶ)具体的って、そうでしょう。それじゃ何をきめるかというと、通産省や厚生省がかってにきめたんじゃ、自分のいいようにきめるかもしれませんから、どういうものをとるかということを私どもが中心となってきめるというその物資の指定が一つ。  その次は、いつも通常の法律にございますように手続規定でございます。阿部さんが心配するような中身の実体について一番大切なものが二十五条にございます。それは配給統制などをする場合のやり方について政令できめてあるという点は阿部さんが御指摘になられるとおりでございますが、これも阿部さんがこの法律を御検討くださってよく御承知のとおり、私どもは配給統制というものを初めからいきなりやるつもりはございませんので、幾多の段階を経た後に、やる必要があればやるという慎重さをもって、いきなりこれをいかにもすぐに配給統制をやるような形できめてない。しかも、その配給統制をかりにやらなければならないような事態が起こりましても、物資の種類によりまして、需給、物の流れ、配給機構等がそれぞれ違いますから、これは一がいにはきめ得ないという意味で二十五条を政令できめてあるということでございまして、他の法令に比して、総動員法のように政令ですべて政府が権限を握って、それで国会無視でかってなことをしようという考え方は毛頭ございませんことをぜひひとつ御理解をいただきたい。  その次に、標準価格のきめ方でございますが、たびたび申しておりますように、標準価格というものはいわばソフトのものでございまして、統制価格ではありませんために、幾つかの物を指定物資といたしましても、その中から標準品目というものをきめまして、その標準品目につきまして標準的な生産費とかあるいは販売経費とかあるいは標準的な利潤というものを加えたものを、これもただ算術的の計算でなしに、そのときの物の需給の状況とかあるいは国民生活の面からの要素をも加えましてきめていく、こういうことでございまして、とどのつまりは、これも繰り返しますけれども、企業がカルテルなどによってつくった先取りの引き上げ価格、便乗価格というものをそのまま認めるつもりはないことをあらためて申し上げておきます。
  312. 阿部助哉

    阿部(助)委員 長官は標準的な云々と、こうおっしゃるけれども、一体それで課徴金を取れるのですか。特定標準価格となれば課徴金まで取るのですよ。それにはきちんとした計算がなければ、それは取れないじゃないですか。そして、統制というものは一波は万波を呼び、統制は統制を呼ぶことは今日の事態になれば間違いない。全部産業に関連しておる。総動員法の場合も、この法律はシナ事変には適用しませんというはっきりした国会答弁をしておったにかかわらず、すぐにこれを適用しておるのですよ。私が先ほどなぜ冒頭に鉄鋼のカルテルの問題を持ち出したか。通産大臣にお伺いしたのは、政府が国民の期待にこたえるように、不況だったからカルテルをやったのならば、景気がよくなったらそれをはずす。その原則があり、国民の信頼を受けておるならば、まだ情状酌量するところがあるわけであります。しかし、いま鉄鋼があのカルテルのおかげでたいへんな利益をあげた。そうしていまこのような形のインフレの時代を招来した、むしろ元凶と言ってもいい。そういうときに皆さんは、私にまかしてください、標準的にきめますなんと言う。だれが一体標準的と判断をするのか。その判断は、国会がするならばまだ国民は納得するのであります。いまの政府にその主観的な判断をまかせたら、議会はもぬけのからになるということを私は心配をしているから、それをやるならば具体的に計算方法を示しなさい、こう言っておる、原価計算の場合、これは経営の専門的な学者が言うように、原価計算は学者によって幾通りにもなる、千種類にもなる、こういわれておるのだ。一体どの原価計算が正しいのかなんというものはわからない。特に化学産業は、いまパイプからパイプにつながっておる産業で、一体原価計算ができるとあなた思っているのですか。できるはずがない。政府にできるはずがない。できるはずがないとすれば、大企業のあてがいぶちの資料に皆さんはめくら判を押す以外に手がなくなるというのは当然なことなんです。そういう中で、標準価格、特定標準価格の決定がどのようにしてなされるかをもっとここに詳しく材料を出して審議をしなければ、これはたいへんなことになる。もう少し言わしてもらうならば、特定標準価格を決定する場合、材料費もあるだろう、特別償却もあるだろう、利潤もあるだろう、当然労働賃金があるだろう。そうすればその労働賃金は、皆さんの特定標準価格の中では政府決定の労働賃金ということにならざるを得ないのです。まさにこれは、皆さんが所得政策と言おうと言うまいと、所得政策以外の何ものでもない。それを心配するからこそ、具体的に計算の方法を出してごらんなさい、こう私は要求しておるわけです。
  313. 内田常雄

    ○内田国務大臣 せっかく御審議をいただいておるわけでございますから阿部さんにおことばを返すことはいたしません。しかし、私は阿部さんと同じような情熱と正義心を持ってこの法律の運営に当たってまいりたいと思いますし、また、直ちにいまおっしゃったような総動員法なりあるいは物統令というものを発動させるたてまえにこの法律がなっていないことも御理解をいただきたいし、また、標準価格の問題につきましても、いまこれをほったらかしておいて標準価格さえもつくらない、もしありとするならば皆さんが心配をされるカルテル的行為がある、それを公取だけにまかしておくということで済ませる事態でないものでございますから、ここで標準価格のつくり方などにつきましてはいろいろ反論はいたしません。あなたのおっしゃるとおり原価計算をやろうと思えば、私も少しはそのほうの勉強をいたしたものでありますが、三十も四十も原価計算方式というのがございますので、それはとうていとれません。中曽根さんがおつくりになったような三百八十円の灯油の指導価格とか、あるいは千三百円のプロパンガスの価格というものも、これは法律施行前でありますけれども、ある意味の指導価格で、それで落ちつかせる価格の意味はそれなりにあると思いますが、この法律が施行されましたならば、阿部さんのおっしゃったような点も重々私は留意をいたしまして、心に銘じて、そして正しい法律の運営をさしていただくことをお答えとして申し上げます。
  314. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私もあなたにことばを返すようでたいへん恐縮なんですけれども、私はあなたの誠意を認めるといたしましても、あなたの誠意だけでは国民の不安を解消するわけにはいかぬのです。田中総理だって物価安定を言ってまいりました。佐藤総理も国会の本会議の施政演説のたびごとに、物価安定は当面する政治の最大の課題だとおっしゃってまいりました。しかし、事態はこのように、まさにインフレの段階に突入しておるじゃないですか。私はあなたの誠意を疑っておるのじゃない。あなたが幾ら誠意をもってやろうとしても、皆さんの主観でこれがきめられるところに問題があるということなんです。だから、この法律は、この委任立法というものは、法の形態からするならば、私は勅令委任したところの総動員法と全く軌を一にしておると思う。そういう点で、私はこの具体的な政令の内容あるいは省令の内容を要求したところが、皆さんこんなものをくれた。これは項目だけであります。こんなものは私もちゃんとつくってある。第何条は政令でございます、第何条は省令でございますなんというのは、私は法文を全部調べてつくってあるわけであります。こんなものでこの重大な経済の運営のほとんど全権を政府にまかしてくれというには、あまりにも政府はわがまま過ぎる、準備不足過ぎる。  それならば聞きますけれども、一体この法律が通ったら、どの品目をまず適用しようとするのですか。
  315. 内田常雄

    ○内田国務大臣 第二条にございますように、生活関連物資と国民経済に重要な関連性のある物資の中から選びますが、具体的にどれを選ぶかということを私が心組みで申しますと、今日の物価には卸売り物価と消費者物価とございますが、消費者物価のほうはおよそ四、五百の、国民の家計支出の中からお金が出される対象となる品目が載せられております。食料品から始まりまして、住宅関連のものとかあるいは雑費とかいろいろございますが、その中からどれを選ばなければならないかということ、また国民経済に重要な関連物資につきましては、昨日も日本銀行から発表されましたあの卸売り物価を構成するようなものの中から、価格の値上がりが著しくて、こういうものについてはきめていかなければならないというものを選択してまいるつもりでございまして、ここでどれとどれということは申し上げませんけれども、そのような考え方で準備をさしたいと思っております。
  316. 阿部助哉

    阿部(助)委員 たいへん私にはわからない。おそらく国民が聞いてもおわかりにならぬだろうと思うのであります。しかし、その政令、省令がなければこの法律は一歩も前進しないでしょう。どうです。
  317. 内田常雄

    ○内田国務大臣 先ほども申しましたように、物品の指定を各省かってにまかしてない、それはやはり私どもが入りまして、そうして政令で物資を指定する、こういうことでございますから、その物資の指定を政令でしない限り標準価格もつくれない、こういうことはおっしゃるとおりでありますが、法律が施行され次第、私どもはでき得る限りすみやかに体制を整えて物資の指定、標準価格の決定をいたしてまいりたいと考えております。
  318. 阿部助哉

    阿部(助)委員 物資の指定がなければ標準価格の品物がないのだから、標準価格をきめようがないのはあたりまえですよ。しかし、標準価格の算定の方式であるとか政令ぐらいは出してなければ、この法律は実体が何もないでしょう。ただ、まかせてくれ、まかせてくれと言うだけの話でしょう。それではあなた、議会はこれは全く白紙委任をするということなんです。それでなくても議会は形骸化しつつあるといわれておる。その議会をさらに形骸化するならば、議会制民主主義などというものはもうふっ飛んでしまうのですよ。一番冒頭に言ったように、鳩山一郎さんは、あの総動員法を全部勅令に委任した、それが政党政治をついに崩壊せしめたと言って反省をしておられるのですよ。私は、いまほんとうに与野党の議員すべてが議会制民主主義を守るために、もう一ぺんこの認識を新たにして、この法案を検討すべきときだと思う。それすら出さずに、白紙委任状をちょうだいと言うだけでは問題にならないじゃないですか。この法案の審議はできないじゃないですか。  委員長、私は、この法案はどうしても政令、省令を出していただいて審議を進めるべきものだ、こう思うのでありますが、委員長から御処置、また政府に勧告を願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  319. 平林剛

    ○平林委員長 内田長官、政令はいつできるか、また指定品目を指定した場合に標準価格の検討については十分できているかどうか、そういうことについてひとつはっきりしたお答えをお願いします。
  320. 内田常雄

    ○内田国務大臣 政令は、一ぺんに出すべきものでないものがたくさんございます。たとえば、その二条の物資の指定からして、ここで全部をこれとこれとこれとこれといって指定すべきものではなしに、必要に応じてその政令を出す、こういうたてまえから出発をいたしておりまするし、また、先ほども申し述べましたように、切符制といいますか、配給割り当て制というようなものを直ちにここで出発させるというたてまえにもなっておりませんので、そういう政令は、ここで直ちに準備すべきものでないものもございます。それはそのようにぜひ御理解をいただきたいと思います。
  321. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はいまの御答弁、納得できません。たとえば、西ドイツではエネルギー保全法というものを出しました。まさに日本のこの石油の問題に関する法律のようなものだと思います。しかし、この法律は緊急事態だということで、まず第一に時限立法であります。第二番目には、品目を非常に具体的に法律の中へうたってあるのであります。当然のことであります。議会制を尊重しようとするならば、そのことは当然のことであります。それも出さずに白紙委任をくれなどということは、議会無視もはなはだしいといわざるを得ないのであります。私はこんなもの、審議するわけにいかぬと思うのであります。出せるものだけでもまず出しなさい。
  322. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は御審議をお願いしておるわけでありまして、さいぜんからことばを尽くして阿部さんの御理解を得ているわけであります。これ以上やりますと議論になってしまいまして、そして私が主務大臣としてこれ以上申し上げることはできませんので、それは決して隠しておるわけでも、曲がったことを言っておりますつもりでもございませんので、阿部さんにぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  323. 阿部助哉

    阿部(助)委員 審議をお願いしておると、こうおっしゃって頭を下げられてみても、私も頭を下げるのにはやぶさかじゃありません。私の祖先も、代官所の石畳に頭から血が出るほどこすりつけてきたけれども、一つも農業問題は解決しなかったのだ。頭を下げて済むならば、私も何ぼでも頭を下げます。  問題は、国民のために、議会制民主主義を守るために、いまいかにすべきかということをもっと真剣に政府が取り組んでいただきたいということなんです。私は、決してあんたをいじめようと思ってない。個人内田さんを憎いと思っていないのであります。問題は、議会制民主主義をいかに守るか、そのためには、この形骸的な、からだけの、白紙委任をくれというこの条文だけでは中身の審査には入れないということを私は申し上げておるのであります。何べんでも私は申し上げます。
  324. 平林剛

    ○平林委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  325. 平林剛

    ○平林委員長 速記をつけて。
  326. 内田常雄

    ○内田国務大臣 いま与党の倉成理事からもお話がございましたが、まず標準価格のきめ方でございますが、これは第三条に書いてありますこと、これはもう御承知のとおりでございまして、これは政令に委任しているものではございません。標準価格は、指定物資を指定します、たとえばトイレットペーパーならトイレットペーパーというものを指定しますと、その中から標準品目というものを選びまして、二百の銘柄のある中から、それは五つ選ぶか十選ぶか、標準品目を選びまして、その標準品目となりましたものについての標準的な生産費、あるいはまたそれが輸入物資でありますならば、いろいろのルートから輸入がございましょうけれども、標準的な輸入価格等に、それに標準的な利潤を加えた額、それに取引の態様や地域的事情や、また当該指定物資の需給の見通し、さらに国民生活、国民経済に及ぼす影響を総合勘案してつくる、こういうたてまえでございまして、きわめて厳密な原価計算をもって物統令における刑罰の対象になるような価格という意味ではない、そういうことで、政令に委任しないでこの三条というものをあらわしておる、こういうことでございます。  八条は、これは課徴金の対象になる標準価格でございまして、御承知のように特定標準価格といいまして、いままでの一般的な標準価格よりもさらに品目をしぼります。標準品目というものでなしに、いろいろな生産費等の計算しやすいように、ある特定の品目を中心的に、品目の選び方から厳重にいたしまして、それに対しまして生産費とかあるいは販売利潤とかあるいは適正利潤とかいうようなものを加えて、さらにそれを物資の需給その他の関係をも調整を考慮しながらきめていく、こういう仕組みで、これも政令には譲っていないわけでございます。
  327. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなた、これで違反した場合は課徴金を取るのですよ。私は非常にこの問題も片手落ちだと思うのですよ。大企業のほうはといえば、これは名前を公表するというのが精一ぱいだ。しかし、末端のほうの違反した場合には三百万円以下の罰金であるとか課徴金、あるいは五年以下の懲役であるとか、皆さんのやることは上のほうにはたいへん甘いけれども、下のほうを取り締まるのはたいへんきびしいのですよ。いまあなたが言った、それくらい処罰を設けておるこの規定に——一体計算をどうするのです。利潤であるとか何であるとかと言うけれども、あなた、労働賃金を言ってないけれども、そういうものをどう見るのかというものを、計算方法を出さなければ私は安心ができないということなんです。それぐらいのものはもう大臣勉強してかかってくれなければ困るじゃないですか。
  328. 内田常雄

    ○内田国務大臣 利潤のお話もございましたし、また、先ほど所得政策についてのお話がございましたが、この標準価格、特定標準価格をきめる際の生産費の中に織り込む利潤というものは特定をいたしておりません。これは通常行なわれている賃金所得でございまして、したがって、この規定は、阿部さんがおっしゃるように、所得政策を前提として賃金規制までもするたてまえではございません。  また、十年以下の懲役、三百万円以下の罰金というのは、これは事が物統令のほうに移るような事態が生じました際に物統令そのものの仕組みで統制額をきめるわけでございまして、いまお話し合いをいたしております三条とかあるいは八条とかいう標準価格そのものが物統令における統制価格になって、そして懲役とかあるいは罰金の対象になる価格ではございません。
  329. 平林剛

    ○平林委員長 大臣、質問者の趣旨に的確に答えてもらいたい。それはこの法律が成立をすれば直ちに発動させる、こうおっしゃっておるわけです。その場合に、物資の指定も、しなければならぬものはする、こうなっておりますが、そのときの標準価格はきめなければならない。きめるのだけれども、その標準価格をきめる基準や何かがはっきりしているか、できているかできていないか、できていなければすぐ発動できないじゃないかというようなことも含まれているわけですから。  この件は後ほど各党理事で御相談をして的確な回答ができるようにいたしますから、他の質問をひとつ時間の範囲内で続けてください。
  330. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたは労働賃金まで制約するものではない、所得政策にはいかない趣旨だ、こうおっしゃるけれども、違反すれば処罰するような値段をきめる場合に、労働賃金の問題、利潤の問題、償却の問題、原材料の値段、これをそろばんをおかないで価格決定ができるはずがないじゃないですか。こんなものは幼稚園でもわかることじゃないですか。そうすれば当然賃金もまた皆さんが指定したワクにはまらざるを得ない。これは皆さんが所得政策でないと言おうとどうしようと、私は所得政策といわざるを得ない、こう言っているのであります。私はこのようなたいへんな、国会の権限を行政府が取り上げる、めくら判を押してくれ、こういうような法案は、この形態は、まさに国家総動員法の勅令委任と同じだと思うのであります。むしろ総動員法は、その第五十条で審議会を設けた。そして勅令案の段階で、この審議会にかけることにした。そしてこの審議会は当時の貴族院、衆議院の議員の過半数をもって構成をするというところまで、これはいっておるわけであります。今度のこれは、白紙委任はください、あとは何もない。チェックするものは何もないじゃないですか。こんなものを許したならば、私はまさにこれは議会制の崩壊だと思うのであります。  当時、齋藤隆夫さんが、おそらくこの本会場か本会議場でこうおっしゃっておるのであります。「国民ノ生存権二重大ナル関係ガアレバアル程、国民ノ代表タル議会ノ協賛ヲ要スルノデアル。」あるいはまたその次には、「審議会二掛ケルコトが出来ルナラバ、ナゼニ議会二掛ケルコトが出来ナイカ、ナゼニ枢密院二諮ルコトが出来ナイノデアルカ、審議会二掛ケルコトハ出来ルガ、憲法上ノ機関タル議会二諮ルコトハ出来ナイ」、これはどういうことだ、こう言っておるのであります。そしてその危惧されたとおり、日本のあの統制経済はまさに国民を塗炭の苦しみにおちいらせた。  いま皆さんが主観的には急場の間に何とかしよう、こうおっしゃるだろうけれども、この五年後、六年後、歴史の流れの中で皆さんはこれは重大な責任を負わざるを得ないと思うし、同時にまた、この審議に参加した野党のわれわれもまた重大な責任を負わざるを得ないということを私は痛切に感ずるのであります。統制は一つ行なえば、次から次へと一波は万波を呼んで統制が広がることだけは間違いのない事実であります。  私は時間が来たからやめますけれども、本来このあれはもっともっと皆さんの材料を提供し、そして国会において十分なる審議を尽くすことがたてまえであって、お願いしておるから何とか早く通してくださいなんということはもってのほかだ、こう私はくぎを打って、私の時間が来たようでありますから残念ながら質問を終わります。
  331. 平林剛

    ○平林委員長 井上普方君。
  332. 井上普方

    井上(普)委員 ただいま阿部委員から標準価格についてお伺いいたしましたので、私はその次の問題といたしまして第三十四条の「五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、」という項につきましてお伺いいたしたいのであります。  すなわち、この三十四条は「第二十五条第一項の規定に基づく政令には、その政令若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反した者を五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、」というまことにきびしい規定が設けられておるのであります。しかし、その二十五条を見てみますと、この二十五条ではすべて政令にまかしておるのであります。したがって、国民の基本的人権をも縛るがごときこの法律が、政令によって行なわれるということはゆゆしき大事であると思わざるを得ないのであります。ここは法制上におきましても私は大きな問題があろうと思う。百歩譲ってこの法律を通すにいたしましても、この政令案を出されなければこの審議をすることができないと思うのであります。できておりますか、どうでございますか。
  333. 内田常雄

    ○内田国務大臣 この二十五条は、この表題にもございますように割り当て、配給等についての規定でございまして、私どもは一挙にここまで進んでいくということを実はいまの段階では想定をいたしておらないわけでございます。いまの段階では、いろいろ物価問題がやかましゅうございますし、カルテル価格等の問題も論ぜられておりますから、そろいうものにかかわりなく標準価格をつくっていく、そして御安心をいただきたいということから出発していきまして、物資の輸入とか輸送とか出荷の指示等いろいろやりまして、いよいよとならない段階でございますから、そこまでは直ちに政令をつくらないほうがよろしいというような考えもございまして、ただいま政令案の用意はございません。
  334. 井上普方

    井上(普)委員 しかららばこの二十五条をひとつ削ってしまったらどうなんです。政令までも用意してない、しかも、配給とか、あるいはまた割り当てということもいままだ考えていない段階で、このような罰則だけつくることはいかがなものでございましょうか。あなたは、割り当ても配給もいまの段階では考えてない、しかもその割り当てをするために政令をつくるんだと言うが、その政令の用意までもしていない。ところが、その架空の政令に違反した場合には「五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、」となっておるのであります。でありますから、この法律は法理論上から申しても私はおかしいと思う。
  335. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは石油二法といわれておる法律の一つでございまして、すでに御承知のよに、石油需給適正化法案の第十一条におきましても、割り当て、配給というような全く同じような状況がございまして、これもその中身を政令に譲ってあるわけでございまして、石油の政令が先行をする場合のほうがあるいは想定されるかもしれませんけれども、この石油の政令等との関連においてきめてまいりたいと思っております。
  336. 井上普方

    井上(普)委員 スタイルだけで国民の基本的人権が押えれたんじゃたまったものじゃありません。法文のスタイルで、しかも法文というよりは他の法律の関係上やるんだというような、まことにあいまいなものでやれたんじゃ、国民の基本的人権をも侵す問題なのであります。五年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金ですよ。それを国民生活安定緊急措置法案の中では、割り当ても考えてない、あるいはまた配給も考えてない、したがって、二十五条の政令、これもまた全然考えていない。ところが、こういろ政令も考えてないんだが、その政令に違反した場合にはこれこれの罰則をするんだ。まさにこれは、先ほど阿部委員が申しましたように、白紙で全部委任してくれというのと同じじゃございませんか。法理論体系か言いましても、これはおかしいんじゃございませんか。これでありますならば、またまた統制経済の、あの戦時中の暗い思い出に私はつながると思う。これじゃ、ともかく全部政府に白紙委任をしろ、そしてその政令は政府でかってにつくれるんだという考え方じゃないですか。しかも罰金もしくは五年以下の懲役というのがかかっておるのです。法体系かもおかしいじゃないですか。これはまさに総動員法と変わぬ事柄じゃございませんか。石油法に書いてあるかこっちのほうもやるんだなんといって、こんなつまらぬ理由でこういう刑罰が法文化されるということはわれわれは了解できません。法制局長官おれますか。どう考えれますか。——来てない。  それでは、このような政令にすべてまかしておって、その政令案も出てこずに、片方、懲役もしくは罰金刑といきびしい規定を設けることは、これは議会の権威においても許すべき事柄ではないと私は思います。そして法体系かいたしましてもおかしいと思う。このような政令案が出されないと審議に応ずるわけにはまいないと思うのでございます。委員長におかれましてはひとつ適当な御処置をお願いしたいと思います。
  337. 平林剛

    ○平林委員長 内田長官、答弁ありますか。
  338. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これはあくまでも石油の適正化法案の十一条と並べて考えなければならない問題であると私は思うので、こっちがよければこっちが悪いということじゃ決してございません、そういうことで、法律の体系としては両方同じ体系をとっておりますが、この安定化法におきましては、先ほども申しましたように、これは直ちに発動するというものではないことと、また将来発動する場合がございましても、ものの種類によりまして流れの態様等が違いますか、あかじめ想定した政令というものもたいへんつくりにくいものであることも告白をいたしておきます。
  339. 井上普方

    井上(普)委員 これは私はどうもおかしいと思う。したがって、この二十五条もしくは三十四条は、その必要なときにお出しになってしかるべきであろうと思う。どうでございます。必要な時期が来たときに初めてこれを国会にお出しになってわれわれに審議さしたらどうでございますか。いま全然架空のものでありますならば考える必要は全然なし。いかがでございます。私は石油との法律のスタイルでやれたんじゃたまったものじゃない。
  340. 小島英敏

    ○小島政府委員 現段階におきましては、先ほど大臣も申されましたように、どの品目についてこいうことをやるということは全然予定がないわけでございますけれども、最近の石油の状況等を考えますと、やはり私どもといたしましては、最悪の事態に備えてこういう授権をお願いいたしたいという趣旨で提案いたしたわけでございます。
  341. 井上普方

    井上(普)委員 これじゃ白紙委任状じゃございませんか、政府に対して。しかも罰金と懲役刑だけをきめておる法律じゃございませんか、これは。こんな法律を審議するわけにはまいないと思います。この点につきまして、委員長におきましては適当な御処置をお願いしたいと思うのであります。  続きまして、この法律が施行されましたならば、戦時中の警察あるいは戦後の警察のごとき暗い思い出をまたまた再現するのではなかろうかとい心配を私は持っておった一人であります。この法律が成立した場合の警察のあり方というものについての基本的態度についてお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  342. 綾田文義

    ○綾田政府委員 警察といたしましては、この二法案が成立いたしました場合には、各主務行政官庁によりまして、それぞれの段階に応じまして迅速的確に必要な行政措置が講ぜれまして、そして国民生活が安定するということを強く期待しておるわけでございます。しかしなが、事態の進展いかんによりましては、法案に付されております罰則の適用とい問題が起ころうかと思いますけれども、警察といたしましては、そういう場合にも、先般の食管法で大手会社を検挙したように、重大なあるいは悪質な違反を重点に取り締まりの対象といたしまして、一般的に申し上げまして、末端の消費者の日常生活に関するようなものにつきましては、取り締まりの対象にするということは現在のところ考えておりません。
  343. 井上普方

    井上(普)委員 しかしなが、罰則がこれほどきびしく、経済事犯といたしましては非常にきびしい罰則なんであります。したがって、私の暗い過去において持つような、弱いものいじめをすることがないように私どもは強く警察に要求いたしておきたいと存ずる次第であります。特に、このようなきびしい罰則が、しかも政令によってすべてきめれていく、まことに私は嘆かわしい次第であると思うのであります。これは議会制民主主義の根底にもかかわる問題であろうと思うのであります。警察におきましては、ともかく弱い者いじめをするようなことのないように特に御注意願いたいと存ずるのであります。  国民生活安定緊急措置法案につきまして、私はお伺いいたしたいのであります。  第二十二条によりまして、政令で六カ月以内の期間を定めて設備投資の抑制を行なうことができるということになっておりますが、設備投資の抑制が必要と認めれるときは、この二十二条ではいかなる場合を想定しておるのでございますか。これが第一点であります。  第二点といたしまして、物価が高騰しまたは高騰するおそれがある場合は直ちに抑制措置を講ずることになるのか、あるいは一定の要件に達したときのみ措置されるのか、お伺いいたしたいのであります。この点、まずお伺いいたしたいと思います。
  344. 青木慎三

    ○青木政府委員 第二十二条の設備投資等に対する指示でございますが、「物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合」におきまして、その場合に、「国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営を確保するため設備投資に関する需要の抑制を図る必要があると認めれるとき」でございまして、したがいまして、設備投資の需要が非常に強くて、これが総需要を大きくして物価を刺激するといような場合に、この総需要を押えるためにやる条文でございます。  それか二十三条はそれの建築物でございまして、二十四条が設備、こうい使い分けをしておるわけでございます。二十三条のほうは、この設備投資のち建築につきまして、一定規模以上のものの建築をしようとする場合に、その計画を出させまして、それが必要であると認めるときは、二項によりまして、「工事計画の全部若しくは一部の実施の延期又は当該建築物の規模の縮小を指示する」ということでございます。
  345. 井上普方

    井上(普)委員 いま建築規制の問題につきましてもお話しになりましたので、その問題についてお伺いいたしたいと存じます。  実はこの建築規制につきましては、物価対策閣僚協議会で八月三十一日に「建築投資の抑制措置について」という決定をやっております。そしてまた九月七日には閣議でもって「建築投資の抑制措置について」という決定がなされておるのであります。そこでお伺いいたしたいのでありますが、この閣議決定の「建築投資の抑制措置について」、これはいろいろと第八項までつくっておりますが、現状におきましてはこれによっていかほど抑制措置がとられておるのか、あるいはまた届け出のあった現状についてお伺いいたしたいと思います。
  346. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 お答えいたします。  いまお話のありました建築抑制措置につきましては、九月七日の閣議決定に従って現在行政措置として実施いたしておるものでありまして、その概要を申し上げますと、学校、住宅、病院または社会福祉施設以外の建築物で延べ面積五千平方米以上のものについて、関係各省で構成いたしております建築投資調整協議会というものが現在ありますが、その協議会において、緊急性のないと認められた建築物の建築主に対しまして、工事施行の延期または規模の縮小を実は勧告いたしておることは、御承知のとおりでございます。この行政指導により、九月から今日まで四百六十九件の報告を受けております。そして二百九十二件の審査を行ないまして、このうち百五十六件に対して勧告をいたしております。そして現在まで七十六件の協力を受けております。ただいまのは各省全部のことでございますが、建設省所管の分では、九十一件の報告のうち八十八件を実は審査をいたしたわけでございまして、七十五件に対し勧告を行ないまして、現在まで二十九件の協力を得ておるわけであります。また、いろいろ検討をしておりまして、逐次また報告が入ってくるものと期待をいたしておるわけでございます。  以上のような情勢でございます。
  347. 井上普方

    井上(普)委員 私は、現在政府がとっておる行政措置に対しまして、はなはだ不満なのであります。不満といいますよりは、四百六十九件のうちで七十六件しか実際の効果があらわれていない、このような実情であります。そしてそのうちで、大きな床面積を持った件につきましては、たとえばデパートであるとか、こういうものについては野放しになっておる。御存じのとおりであります。これらも、いままでの行政措置と同じような措置で、すなわち二十二条、二十三条をやられるとするならば効果はあがらないと思われるのでありますが、いかがでございますか。
  348. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ただいま井上委員の仰せのとおりでございまして、私どもといたしましても、できる限り今日まで行政措置として強力に指導をいたしてきておるわけでございますが、なかなかこれが徹底をしないという面があるわけでございまして、ここにただいまの二十二条、二十三条の提案された理由があるわけでございまして、その辺の事情は井上委員よく御理解いただけるものと考えるわけでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  349. 井上普方

    井上(普)委員 では、二十三条一項に書いてあります政令はお出しになれるでしょう。お出し願いたいと思うのです。
  350. 青木慎三

    ○青木政府委員 二十三条一項の政令につきましても、現在検討中でございまして、成案を得ておりませんわけでございます。
  351. 井上普方

    井上(普)委員 それじゃ、ただいま建設大臣が御答弁になった反省が全然行なわれておらないじゃございませんか。こういうような二十三条第一項の政令というものは、直ちにできるはずなんです。そうでしょう。いままでもやってきた。そして九月から三カ月の間やってきて、その抜け道という毛のもあなた方にはよくわかっておるはずだ。でありますならば、このような法律を準備する以上、政令にゆだねる以上は、当然に政令というものの案は出されなければならない、つくられていなければならないと思うのであります。それすら用意されていないというのは、はなはだもって政府の怠慢といわざるを得ないと思うのでありますが、大臣の御心境を伺いたい。
  352. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 お答えいたします。  当然政令案をお出ししなければならないところでございますか、私も着任早々て、また政令案が完備をいたしておりませんために、お出しすることができない情勢でございますので、できるだけすみやかに政令案の検討をいたしたい、こう考えるわけでございます。
  353. 井上普方

    井上(普)委員 当然こんなのはすぐにでも出せるような問題なんです。その政令すらも出されていない。これはまさに白紙委任状をくれということにほかならないと思うのであります。たとえて言いますならば、石油危機になって非常にガソリンスタンドの建設なんかも少なくなっただろうということを予想しておったのであります。通産大臣、聞いておきなさい、あなたに質問するのだから。これだけ石油事情が悪くなるというのだから、当然ガソリンスタンドの建設も少なくなるだろうということを予想しておった。ところが調べてみますと、四十八年度で開設許可したのが千五百もあるのですな。そして去年、おととしから残っておるもののずれ込みを含めますと、ずれ込み部分が千八百九十八あるので、三千三百九十五カ所も四十八年度にはガソリンスタンドがつくられようとしておる。これはどうなっておるのですか。
  354. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 景気のかげんその他で自動車生産及び販売数量がことしの上半期以来非常にふえまして、したがってガソリンの消費量も非常に多くなったわけです。そういうわけで、ガソリンスタンドを設置する一応の行政的基準をつくっておりますけれども、その行政的基準に合致して出願してくるものが非常にことしは多かったわけです。それと昨年以来のずれ込み等を合わせまして、いまのような数字になったわけでありますけれども、石油危機というものは十月ないし十一月以来あらわれてきたものでありますから、いままだ工事にかからないとか、許可はしたけれども押えられるものは将来押えていこう、そういう考えであります。
  355. 井上普方

    井上(普)委員 押えられるものは押えるといいましても、私いま通産省で聞きますと、現在三千三百九十五のうちで完了したものは千百ですね。それからいま工事中と称してかけ込みでやろう、しておるのが千カ所ある。未着工のものが千三百ある。しかし大臣考えてごらんなさいよ。三千三百もガソリンスタンドをことし中にとにかくつくろうとする動きがあるのですよ。これらに対しては、行政措置として当然この設備投資に関する二十三条の第一項の「建築物」の中に入るのですか、入らぬのですか。内田大臣どうです。この中へ入るのですか。
  356. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ちょっといま聞いておりませんでしたので申しわけありませんが……。
  357. 井上普方

    井上(普)委員 いま物特の理事から承りますというと、二十三条の一項の政令というものは、きのう物価対策委員会において説明があったというじゃないですか。いまこの連合審査会でなぜ出せないのです。きのう出したのでしょう。出したのじゃないですか。それが出せないというのは、建設大臣はそういうことを御存じないのですか。一体これはどうなんです。
  358. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は先ほどお答えいたしたわけでありますが、現在行政的にやっておりますが、将来政令にしなければいかぬという一つの基準でございますが、それは学校、住宅、病院または社会福祉施設以外の建築物で延べ面積五千平方メートル以上のものについて、各官庁で構成いたしております建築投資調整協議会にかけまして、緊急性がないと認められた建築物の建築主に対して工事施工の延期または規模の縮小等を勧告いたしておるわけでございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  359. 井上普方

    井上(普)委員 先ほどの御答弁と違うのでありますが、しかし、それでありましたならば九月七日の閣議決定と同じじゃないですか。何ら新しいものは出てきてないじゃないですか。麗々しくこの法律で、二十三条の第一項で書く必要はないじゃないですか。行政措置としてできるのでしょう。事実、効果はあがってないけれども、現在やっておる。
  360. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その点、先ほど申し上げましたとおり、四百六十九件のうち現在までに行政措置で協力を受けておるのが御承知のように七十六件ということで、私どもとしてはまことに歯がゆい感じを持っておるわけでございまして、こういう点、法律の事項としておきめいただければということで提案をいたしておるわけでございますので、その辺のところよく御理解いただきたいと思うわけであります。
  361. 井上普方

    井上(普)委員 行政措置でできぬから法律でひとつやるのだと言うが、二十三条の罰則はどうなっているんですか。
  362. 青木慎三

    ○青木政府委員 二十三条の罰則は、届け出を出さなかった場合には罰則がありますが、この指示に従わなかった場合には、第三項にございますように、「前項の規定による指示を受けた者が、正当な理由なく、その指示に従わなかったときは、その旨を公表することができる。」ということでございます。
  363. 井上普方

    井上(普)委員 「公表することができる。」これはまあ昔のさむらいでございましたならば、恥であった、人に恥かかせたということで切腹したようでございますけれども、近ごろは価値観の変動によりまして、どうもそういうことが考えられない。こんなことでできるとお考えになっているんですか。
  364. 青木慎三

    ○青木政府委員 直接の罰則はございませんが、ここで公表するということのほかに、行政措置といたしましては、こういう指示をいたしましたことを金融機関に通知いたしまして、実質上金融機関のほうからの融資を制限するということが一点。それから、場合によりましては事前認可等の方法も使えるということでございまして、あとは行政措置で実効を確保していこうということでございます。
  365. 井上普方

    井上(普)委員 人が知らぬと思ってそんな答弁なさりなさんな。この閣議決定にも、あるいは閣僚協議会決定にも、すべて金融措置に対しましては、「大蔵省は金融機関に対し、建設省は建設業者に対し、それぞれ所要の行政指導を行なうものとする。」ということが書いてあるんですよ。あなたのおっしゃるようなことは、政令でそれはやるつもりなんですか。何でやるんです。行政措置でしょうか。これはいまのと同じじゃないですか。いまそういうような行政措置では効果があがっていないと建設大臣は言われた。大臣、どうです。いまの答弁のようなことで効果があがると思いますか。
  366. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 この立法の精神によりまして、私は、行政措置でやりました以上に効果が期待できるものと、こう考えておる次第でございます。
  367. 井上普方

    井上(普)委員 その根拠は。
  368. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御承知のとおり、こういうきびしい情勢になってまいってきておりましても、いろいろと勧告なり要請なり、業界にいたしましても、なかなかそれがすなおに聞き入れてもらえないという情勢が現実にあるわけでございます。そういう場合にはやはり一つの公権力をかりて、一言で申せば、そういうきびしい情勢を逆にあれしてみずからの利得をはかろうという者に対しては、やはりきびしい態度で臨むべきであるというような立場で提案をいたしておることを御理解いただきたいと思うわけであります。
  369. 井上普方

    井上(普)委員 はなはだ不満足であります。このようなことで時間とってはかないませんので、続いて伺いますが、抑制対象建築物の工事計画は政令で定める基準によって抑制されるかいなかがきめられるようになっております。ですが、一体この政令の基準はどういうようにしてつくられるのですか。先ほどおっしゃったとおりですか。あれより一歩も出ないものですか。
  370. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 先ほど申し上げたような線で政令をつくり上げていきたいと考えておるわけでございます。
  371. 井上普方

    井上(普)委員 まことにどうもばく然としたお話でございまして、福祉関係あるいは学校、公共建物以外についての何か考え方があるように伺いましたけれども、そのほかの延べ面積が五千平米以上のものについて報告させるというようなことでございまして、建築投資の閣議決定もしくは閣僚協議会の決定と何ら一歩も出ていないのであります。法律ができたからといって、これはできるものではない。昔から法は三章あれば足りるというようなことをいわれております。法律をつくるのが能じゃないのです。要は行政官庁の姿勢の問題なんです。その姿勢が十分に行なわれてないからして行政措置もできないのであります。現に通産大臣の御所管であり、あるいは建築基準法の対象であるガソリンスタンドが、三千三百もともかくことしはつくられようとしておる。ガソリンが少なくなっておるときに三千三百、また未着工分が千三百もある。これらに対して大臣、どういう処置を講ずるのですか。このほど、いま一たんは許可したけれども、承るところによると、市議会が全員で反対決議をしておる、あるいは住民が二千名以上も反対署名をして届け出があるというようなガソリンスタンドも見受けられるのであります。ところが、それらにつきましても許可をする、工事を進捗させようとしている。しかも、その業者というものは大手メーカーの子飼いのメーカーであります。石油危機に際しまして、石油業者が一体ほんとうにこの危機というものを感じておるのであろうかどうか、私どもは疑問に思わざるを得ない。これを契機にしてひとつ値上げをやって大もうけをしてやろうというような意図があるのではなかろうかと思われるのであります。  通産大臣にお伺いをいたします。ことしに千五百カ所も建築許可をしておるようでありますが、このうちで大手の系列下にあるガソリンスタンドはいかほどあるのでございますか。おわかりにならなければあとでけっこうでございます。
  372. 山形栄治

    ○山形政府委員 ガソリンスタンドにつきましては、本年千五百のワクをきめたわけでございますが、これはまだこういうOAPECのカット等が起こる前であったわけでございます。先ほど大臣から御答弁ありましたように、これは許可でございませんで、一応ワク組みを全体でつくるわけでございます。建設確認申請ということがあるわけでございますが、それは自今全部ストップすることになっております。  なお、いまの御質問の大手の系列かどうかということでございますが、ガソリンスタンドにつきましては、一応生産段階との直結をするのが当然でございまして、元売り十三社のそれぞれにつきまして一応ワクを組むのが従来からの慣例でございます。
  373. 井上普方

    井上(普)委員 それでは、今日以後ガソリンスタンドの建築確認ということは行なわれない、こう考えてよろしゅうございますか。
  374. 山形栄治

    ○山形政府委員 若干不正確でございましたが、今週末をもってその確認をやめるということでございます。これは周知徹底の都合がございますので、そういうことになっております。
  375. 井上普方

    井上(普)委員 しからばそれを厳重に守っていただきたい。特にガソリンスタンドというのは、先ほどおっしゃられましたけれども、どうも大手の系列下に入ってしまっておる。たとえば丸善、たとえば共同、ここらが一〇〇%出資した会社がガソリンスタンドを経営しておる。しかもそれが非常に数多くなってきておる。この事態を見ましても、一体石油会社が現在のこの石油危機をどう考えておるんだろうか。これを一つの契機にして値上げをもくろみ、もうけをたくらんでおるのではなかろうかという気がしてならないのであります。この点ひとつ十分な御留意を願いたいと存じます。ただいまの長官の御発言につきまして、私どもはこれからも守られることを強く要求いたしますと同時に、私どももそれを見守ってまいりたいと思うのであります。  さらに、この一年間の建築資材の値上がりというものはものすごいものがございます。特にこの八、九月以降ひどいものがあるのでございますが、政府におきましても、安定法にいっておるうちで建築資材を標準価格をつくる場合の範疇の中に入れておるのでございますか。どうでございますか。
  376. 内田常雄

    ○内田国務大臣 生活関連物資と国民経済に重要な基礎的な資材、こういうことになりますので、それぞれの品物によりまして両方の区分に入るものも多かろうと思います。たとえば二次製品と申しますか三次製品と申しますか、くぎとか丸棒というものは生活関連資材として指定するか、あるいは国民経済の基礎物資として指定するか、いずれかの範疇で指定するものが多く出てこようと思います。
  377. 井上普方

    井上(普)委員 そこで建設大臣にお伺いいたしたいと思うのです。といいますのは、先ほど公共事業につきまして、あなたのほうはスライド制を契約条項の中でやりなさいということを言われておりますね。そこで特に私はこの際に建設大臣にお伺いいたしたいのですが、その標準価格の決定がいかに必要だとしても、先ほどから言うように、標準価格を一体どういうように定めていくかというのは大きい問題であり、当然国会において審議さるべきであると思いますけれども、この政令が出されていない。はなはだ遺憾に存ずるのであります。しかしながら、建築資材においても、この七条にきめております特定標準価格及び割り当ての必要が生ずるとすれば、それはどういうような時期でどういうような内容になったときに考えられるか。当然これは建設大臣経済企画庁とがお考えになることだろうと思いますが、どういうようなことになった場合に考えられますか。
  378. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御承知のように、今年二回ほど建設省において単価是正を行なったわけでございます。さらに物価上昇の様相がストップしないというような情勢になりまして放置できないというときには、これはどうしても御審議いただいておる法律の発動ということに相なるわけでありますが、そういう際におきましては標準価格をきめていかなければならぬわけでありますが、これはやはり関係各省と緊密なる連絡をとった上で標準価格をどういうふうにきめていくかということを決定していかなければならぬのではないかというふうに考えておるわけであります。
  379. 井上普方

    井上(普)委員 たとえば、十二月の六日、ですから大臣も就任されていましたな。そのときに「建設資材価格の高騰に伴う工事請負契約書第二十条第六項等の適用について」という文書を建設省は出されておる。それによりますと、資材が大体二〇%以上になった場合にはスライドをひとつやりなさいということになっておるようであります。その前の九月では、鉄鋼についてのみの通達も建設省は出されておるようであります。二〇%をめどとして考えていいですか。どうですか。
  380. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いまの御質問の十二月六日の分につきましては、その資材のシェアが五%以上、それから価格の上昇率が二〇%以上というものについていまのスライド条項を適用するという基準をつくりまして指導いたした次第でございます。
  381. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 二〇%以上の上昇のあった場合には考慮をするということで先般の通達を出したわけでございます。
  382. 井上普方

    井上(普)委員 私がお伺いしておるのは、この安定法の二つの条項を適用しますかということです。どうなんです。
  383. 小島英敏

    ○小島政府委員 安定法の第二条に標準価格の決定に関する要件が書いてございますが、これは二つの要件がございまして、一般的に、「物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合」という、いわば外堀的な条件がございます。これは私ども、たとえばCPIが何%というほどはっきりした基準はいまのところきめかねておりますけれども、少なくも現在のように、卸売り物価もCPIも前年同期に比べて二けたになるというふうな事態は、一般要件を満たすものというふうに考えております。そういう一般的な要件の中で、ある物資、これは「国民生活との関連性が高い物資又は国民経済上重要な物資」でございますが、その「価格が著しく上昇し又は上昇するおそれがあるとき」というのは、十数%ぐらいそのものの価格が一年前に比べて上がっていれば、これは当然この標準価格を定めるべき物資として指定しなければいけないのではないかというふうに思います。
  384. 井上普方

    井上(普)委員 まことに不満足でありますが、ある程度の数字が出てきました。物価が著しく上昇というのは大体十数%の場合ということを言われたわけであります。そうするならば、この鉄鋼、木材、セメント、骨材、コンクリート、こういうようなものは当然考えられるべき性質のものですね。これはどうですか。
  385. 小島英敏

    ○小島政府委員 一応標準としては入っておると思いますけれども、それからもう一つ申し上げたいことは、一年前に比べて非常に高い水準になりましても、それがたとえば半年ぐらい前に相当急騰して高水準になって、最近の動きとしては比較的安定しているという場合は、これはやはり別途考えなければいけないものでないかと思います。  それからもう一つは、そういうふうに、一年前に比べても高いし最近としてもやはり高騰しているというようなものは、まっ先に考えなければいかぬと思いますけれども、先ほど来御議論が出ておりますように、標準価格のきめ方というものがなかなかむずかしい問題がございまして、灯油も一つの例なんですけれども、たとえば生産のやり方とかあるいは流通過程というものが、非常に安いコストのものもあり非常に高いコストのものもあるというふうに、コストの分布状況のばらつきがひどい場合には技術的に非常にむずかしい問題がございます。そういう点もございますので、総合勘案して定めたいということでございます。
  386. 井上普方

    井上(普)委員 それでは、鉄鋼のうちの小形丸鋼はどうなりますか、十九ミリ丸鋼の場合。すなわち昭和四十七年中には二万九千円から三万四、五千円までで推移しております。それから四十八年の一月からは、これは不況カルテルと称してうまいことをやったやつですが、四万三千円ぐらいでずっと来、六月、七月は四万七千円あるいは五万一千円ぐらいであった。ところが、十一月になりますと七万六千円になっておる。どうです、当然入るべき性質のものでしょう。とするならば、これの標準価格の決定のしかたというものは、この十九ミリの小形丸鋼を一つ例にしてあなた方のはじき出し方をひとつ説明していただきたい。
  387. 小島英敏

    ○小島政府委員 私どもは、実は個々の物資につきまして、たとえば丸棒の場合どうするというところは、やはり通産省に原案をつくってもらいまして、企画庁が協議を受けることになっております。
  388. 井上普方

    井上(普)委員 通産省どうです。原案をつくるお気持ちはございませんか、これだけ上がっているのだから。いままでの基準からいきますと、ただいま局長から言われた基準では十分入る。
  389. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体われわれいままで、灯油にしてもプロパンにしても、指導価格をつくってまいりました。それで、指導価格というものはソフトなもので、標準価格というのもそれに近いような性格を持っておるのだろうと私は思います。それで、なぜそういう考え方を持ったかといいますと、やはり統制経済を非常にきらって、そしてマル公とか経済警察とか、そういうことはぜひやりたくない。そうなると、何が機能して価格維持ができるかということになると、やはり市場機能とかあるいは価格のメカニズムというものを活用せざるを得ない。そういう市場機能とか価格のメカニズムというものもある程度考えながら、しかも価格を安定し凍結する効果を生むにはどうしたらいいか。それにはある意味においては、いまやっている凍結については業界の協力をもって、そして自律的にそれに違反するようなものについては供給をストップする、そういう制裁を加えながら実はいま協力してもらっておるわけです。ですからこれは民主的調整といわれるので、いままでの公定価格、物統令というような系統とは非常に変わったやり方で、そのこと自体が私は、われわれ自由主義を信奉する者にとっては価値ある挑戦であるだろうと思っておるわけです。  そういうような価格をきめるときには、ではどうしてきめたかといいますと、灯油にしても、あるいはプロパンガスにしても、趨勢を見ておりまして、これから石油が削減される、そういう場合に上げられていく危険性がある、そのやさきに鼻っ柱を折るような意味で、実は精緻な原価計算をやってやっておる余裕もないし、それには時間がかかり過ぎる、そういうような場合に、大体十月なら十月の価格を基準にして、上がる前の価格を基準にして、そしてその後どういう変化がつけ加えられたか、それから将来の見通しはどういうふうになるであろうか、この価格を何カ月ぐらい維持するためには、その間にどういう変動が起こり得るであろうか、またこの価格をこういう程度でやるというためにはどういう国民経済に対する影響が出るであろうか、そういう要素を全部考えまして、そして人間の頭で有機的な判断をやって断を下してこれでいく、そういう形できめたのが正直言って今度の凍結の実態で、小刀で細工して精緻にやるというよりも、なたでぶった切って、ともかくこの大勢を食い止める、そういうような思想に基づいてやっておるのです。私は標準価格というものは基本的には大体そういうものだろうと思うのです。  ただ一番大事なことは、もとになる、上がる前のときの値段をどういうふうに判定するかということが非常に大事になります。その上がる前の標準、スタンダードになるような価格の中には、生産原価というものはやっぱり考えられなければならぬ。それにはいろんな生産要素、ファクターがありますね。そのコストももちろん考えなければならぬ。われわれのほうの場合には、原油の公示価格というものがあります。原油の公示価格から着荷が幾らぐらいになるだろうか。それで、精製、それから元売り、卸売り、販売という流通過程、そういうものを大体考えてみて、そしてこの程度ということを押えてやったのが率直な内容の御説明であります。おそらく標準価格というのもそういう発想方法を基本にしてやるのではないかと私は思います。
  390. 井上普方

    井上(普)委員 中曽根大臣、価値ある挑戦なんというような、まことに華麗なるおことばを使われる。華麗なるおことばを使われるけれども、いまの標準価格、あなた方がつくった標準価格というものは守られておりますか。プロパンにいたしましてもしかり、あるいはまたトイレットペーパーにおいてもしかりです。華麗なることばによって現在の物価高は鎮静できませんよ。いま、ソフトなやり方でひとつ標準価格というものをやりたい、こうおっしゃる。それには、価格をつくるには市場機能あるいは流通のメカニズムなんということばをおっしゃられますけれども、事実、あなた方が直接携わっておられる小型丸鋼にいたしましても、九月からこのように上がっておる。セメントにしてもそうです。上がっておるのです。ために一般住宅をつくろうとする庶民大衆は困っておる。あるいはセメントにいたしましても、いま買い占めあるいは買いだめが行なわれてなかなか手に入りにくい、丸棒も手に入りにくい、こういう事態になっておるのです。セメント一袋がいま市場では八百五十円しておるのですよ。このような事態になっておる。いままでのような華麗なことばではこの物価の問題は解決できないのです。私は時間がございませんので、これらの問題につきまして、また後刻、機会を得まして質問したいと思いますが、ともかくもう少し真剣にお取り組みになり、そして小さいものが損をするようなことのないように、正直な者こそ生活に困らないような対策をひとつ早急に立てられるように私は望む次第であります。  最後に申し上げますが、先ほど来申し上げましたが、この二法についての政令案が私どもに提示されないことは、法理論から言いましても、法体系から言いましてもはなはだ不都合なことであり、このようなことではわれわれも審議に応じかねるということを付言いたしまして、質問を終わ
  391. 平林剛

    ○平林委員長 石田幸四郎君。   〔平林委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  392. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 今日の石油不足によります経済危機、当面これを解決するためには、何といっても適正な石油の需給関係を確立しなければならないと思うのでございますが、その意味におきまして、私は航空行政のことについてお伺いをいたしたいと思います。  まず運輸大臣にお伺いいたしますが、大臣御存じのとおり、航空機燃料というのは、いわゆる原油の処理量からいきまして、相当大きなウエートを占めているわけでございます。すなわち、ジェット燃料として販売もしくは輸出をされた量といいますのは、四十七年度の数字でございますけれども三百六十四万キロリットル。この原油の処理量を見ますと、一・六%という大きなウエートを占めているわけでございますので、これの節約いかんによりましては、非常に需給関係がまた他のところで緩和されるというような、そういう状況になってくると思うのでございます。そういった意味におきまして、各航空会社に対してどのような石油節約措置を要請をしていらっしゃるのか。またこれによってどの程度のそういった節約の結果が出ているのか。そこら辺の問題からまずお伺いをしたいと思います。
  393. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、航空燃料はたいへんこの部門において大きな消費をやっておるわけでございます。したがいまして、当面の危機に対しまして、まず、観光とか、あるいはレジャーとか、そういうものについてはもう極力これを回避してもらう、あるいは観光旅行等に対するチャーター機の仕立て等については話し合ってこれをやめてもらうとか、あるいは今後の引き受け方についてはこれを中止してもらう、そういうような指導もやっております。また、その他外国の航空機をも含めまして、そういう面におけるむだを省くように極力話を進めて行政指導をやっておるところでございますが、先生御承知のように、国内におきましても、いまいわゆる観光以外のお客さんで、もう一月前から座席が埋まるというような状況もございます。また、国際的なお客さんとしましてもたいへんな足を持っておるわけでございます。いまやこれは公共機関的な様相が出てきているわけでございます。したがいまして、この燃料確保についても、ただいまのところ、いま直ちに問題はないと思いますけれども、しかし燃料の問題については、いまにこの問題が起きることはもう必至でございますから、そういう面からも十分行政指導を行なっておる次第でございます。
  394. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣のお話でございますけれども、いわゆる観光方面を極力抑制するようにというようなお答えをいただいたわけでございますけれども、しかし、このエネルギー危機につきましては、日本よりもアメリカのほうがはるかにゆるやかでございます。日本の場合は実に九九%のエネルギーを外国に依存をしているわけでございますから、当然きびしいこういった抑制措置が講じられなければならないと思うのでございます。まあアメリカにおきましては、いわゆるエネルギー危機によりまして、産業界のレイオフが盛んに行なわれておる。特にこの航空機関係におきましては、ユナイテッド・エアラインにおいては、来年一月からパイロット三百人を含む千人、あるいはまたアメリカン・エアラインにおいてはパイロット二百十四人のレイオフを決定している。そういうようなことは軒並み対策として行なわれておるわけでございます。  そういうような観点から見ますれば、当然この航空業界に対しましても、単に観光旅行を取りやめてもらいたいというような、そういうような精神的な行政ではなくして、やはり全体の石油バランス考える意味におきましても、現在のジェット燃料一〇%を節約できても、実に全体の千分の一を節約するということになるわけでございますので、もっときびしいそういうような行政措置が必要なのではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、大臣御存じのとおり、たとえば日航の場合におきまして外国から給油制限を受けておる。ロンドンにおいて、ローマにおいて、アテネにおいて、あるいはカイロ、カラチ、ホノルル、サンフランシスコあるいはマニラ、そういったところにおきまして、軒並み二〇%−三〇%カットを受けているわけでございましょう。そういう状況を見ますれば、では一体日本のそういう航空業界に対して、あるいは外国の来日をした航空機に対してどういうような処置をしていらっしゃるのか、明快な御答弁をお願いしたいと思います。
  395. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ただいまのところ行政指導範囲を出ておりませんが、いま航空会社に対しましても十分私ども、先生のおっしゃるような意思が反映するような話し合いを——話し合いと申しますか、注意を与えておる次第でございます。
  396. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 運輸省から各航空会社に対して、使用節減についての要請書が出ておるわけでございますが、これによりますれば、当分の間、毎月の運航実績及び燃料類の使用実績を翌月十日までに当局あてに報告すること、こういうようなことがいわれておるわけでございますけれども、これは今月の十日という意味ですか、それとも一月からという意味でございますか。
  397. 寺井久美

    ○寺井政府委員 今月の十日現在ということでございます。
  398. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 今月からということでございますので、この使用実績というものは、そうしますとすでに報告は来ておりますか。来ておりますれば、いま直ちにここで、時間もありませんから、その実績を発表していただくというよりは、後ほど資料でいただきたいと思いますが、来ているか来ていないか、それだけの問題をまずお答えいただきたいと思います。
  399. 寺井久美

    ○寺井政府委員 ただいま現在、まだ完全に集まっておりません。
  400. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 運輸大臣、そういうような状況で、どうも運輸省のそういった航空業界に対する行政が手ぬるいのではないか。これだけのピンチを迎えておる日本経済でございますので、早急に適正な需給関係を確立しなければならぬわけでございますから、もう少し厳重な姿勢で臨んでいただきたいと思うわけです。  それから、通産大臣にお伺いいたしますけれども、先ほど申しましたように、ジェット燃料だけでも一〇%節約すれば、数字の上からいきまして実に全原油量の〇・一%節約できるというようなことになるわけでございます。通産大臣といたしましては、こういう航空業界に対して、石油の供給量についてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  401. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大衆交通手段、運輸関係というものは、われわれが優先配当すべき分野と心得ておりますが、それもレジャーとか観光用のものを意味するものではございません。したがいまして、航空機のように大量に油を消費する分野においては、できるだけそういうレジャーとか観光とかいうものは削減していただいて、必要不可欠のものに限定していただきたい、そういうように思います。外国ではかなり思い切ったカットをやっておるようでありますが、日本も負けないようにお願いいたしたいと思っております。
  402. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その問題はそのくらいにいたしまして、ついででございますが、運輸大臣にお伺いいたしたいのです。  いま各航空業界から運賃の改定が申請をされております。前期の売り上げ実績、収入実績を見ますと、非常に増大をいたしておるわけでございます。全日空の場合は、前年同期より見ますれば百六十七億増加しております。日航も前年同期から見ますれば五十七億、約五十八億近くの伸びを示しておりまして、こういうような物価高の中におきまして、しかも先年度もすでに値上げを実施されたばかりでございましょう。そういうようなことを勘案して考えてみますれば、これは私鉄運賃の値上げを押えたいというような経企庁長官の談話も発表されております。そういうさなかにおきまして、これらの料金というものは当然凍結されてしかるべきではないか、こういうふうに私は思うのでございますけれども、これに対する御意見を承りたいと思います。
  403. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いま定期航空三社からと南西航空会社からとの運賃の値上げの申請が出ております。これはいままで多少歴史があるようでございまして、特に航空機燃料税の増徴というようなところに原因があるようでございます。また、南西航空につきましては、これは沖繩の復帰に伴いまして、四十八年から新しい税金が賦課されるようになったというような理由もあるようでございます。しかし、いまその申請に対しまして、妥当性があるのかどうかということを、いろいろな資料をもって検討しておりますが、近く運輸審議会にはかりまして、先生お説のようなことをも考え、さらに閣僚協議会等にはかって決定を見たいと思っております。
  404. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 経企庁長官がお見えにならぬようですから、小島局長に伺いますが、この航空運賃値上げについて、経企庁としてはどういうようなお考えに立っておりますか。
  405. 小島英敏

    ○小島政府委員 まだ運輸省のほうから合い議が来ておりませんので、その段階で慎重に検討いたしたいと思っております。
  406. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 型どおりのお話でございまして、はなはだ不満でございます。しかし、やはり経企庁としての、こういうものに対する基本的な考え方というのがあるはずでございましょう。運輸省から申請がなければ考えないというようなことでは、この緊急状態に対処することはできないのじゃないですか。まあ御答弁がないようでございますので、この問題はまた次の機会に譲りたいと思います。  そこで、通産大臣に次の問題でお伺いをするわけでございますが、きょうの新聞によりますれば、電気事業連合会の調査によりまして、火力発電所で使っている燃料のうち、硫黄分の少ないナフサと原油の不足が目立ってきた、こういうような問題が起こっております。そこで、この発電所の低公害燃料の使用問題というのは、環境規制かあるいは資源の節減かという二者択一を迫られているような大きな問題に今後発展しそうなわけでございます。  同連合会がまとめた十二月の燃料確保状況によると、重油を含めた火力発電燃料全体の不足見込みは二・七彩だけれども、その中でナフサが三三%、それから低硫黄原油は一七%と不足が非常に高まっている、こういうふうに発表いたしております。そして石油業界のほうは、原油を精製すればガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油等が生産されるけれども、原油を燃やしてしまえば製品ができなくなる。それからナフサは合成樹脂あるいは合成繊維、合成ゴムなどの原料。これらをなまだきをすればこういうものがつくれない、いわゆる石油のむだ使いではないか、こういうようなことをいうております。  その反面、電力業界におきましては、さしあたっては何とか備蓄をもって当たるけれども、環境規制を守るためにはどうしても低硫黄化ナフサを十分に供給しなければならぬ。それでなければ原油をたかざるを得ないというような態度を示しておるわけでございますけれども、電力業界も石油業界も、これは通産省の管轄下にあるわけでございますが、通産省の行政いかんによりましては、また非常に大きな話題を生んでいくのじゃないか。特に公害の規制という立場から考えてみますと、これは通産省の行政いかんによっては非常に大きな問題を新たに発生せざるを得ない、こういうふうに私たちは見ておるわけでございますけれども、これについてどういうようなお考えをお持ちでございますか。
  407. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公害に関する規制は、法律できめられたものは守っていくつもりでおります。苦しい状況ではありましょうけれども、日本の稠密度というものは、アメリカと違いまして格段の稠密度があるわけでございますから、法律できめた基準は守っていくようにしていきたいと思います。
  408. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうしますと、原油のなまだき、四十五年におきましては七百二十四万キロリットル、四十六年度から一千百万キロリットルというふうにだんだんと急速な伸びを示しているわけでございますけれども、この原油のなまだきについては今後鎮静をするものである、下降線をたどるものであるというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  409. 山形栄治

    ○山形政府委員 お答え申し上げます。  原油は、結局環境問題との関係で、低サルファということでたいておるわけでございます。われわれは、先生の御指摘のとおり、原油は精製して製品にすることが非常に合理的であるわけでございますけれども、現在の電力業界の排煙脱硫の問題が進んでおりません。これは技術問題もございますし、立地問題もございます。したがいまして、これを来年度以降大幅に促進をすることを前提に、それとの関連で原油のなまだきというものは漸減することを期待しておるわけでございます。
  410. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは次の問題に移りまして、農林大臣にお伺いをいたします。  先ほど来農林漁業に対する燃料の確保ということが非常に話題になっておるわけでございます。先ほどのいろいろな質疑を聞いておりますと、十七日に県でこの燃料のあっせん所を石商関係につくる、こういうようなお話が通産省から示されたわけでございますけれども、私はそれだけでは非常に満足できません。と申しますのは、漁業関係は、御存じのとおり、ほとんどこれは零細企業という状況でございます。したがって、そういったこまかいところまで油が回っていくのだろうか。漁業者なんかは実に九五%くらいが零細企業じゃないかといわれておるわけでございます。したがって、あっせん所がありましても、いままで購入をしておったそういうようなところに適確に回ってこなければ、業者としては生産ができないわけでございます。この法案が通れば配給制というようなことになるのかもしれませんけれども、まあ昨今の状況を見ておりますれば、実にこの二、三日と言っても過言でないくらい逼迫した情勢にあるわけでございますので、こういったことを早急に手当てをするのにはどういうことを具体的にお考えになっていらっしゃるのか。たとえば、いままで漁協関係におきましても、必要量の約四〇%程度はそういうところを通して購入をしておられるようであります。そういうような関係を含めて、その具体的な今後の流通の問題をどういうふうに農林省として確保なさるように通産省と御相談をしていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  411. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御心配いただいておりますように、やはり農林漁業というのは非常にこまかくて間口の広いものでございまして、いまは漁業のお話をいただいたわけでありますが、私ども先ほどたてまえを申し上げましたように、農林及び漁業を含めて所要量というものはもうすでにいままでの実績から明らかになっておりますし、現況も十分当省においては把握しております。そこで、それに基づいて通産当局と十分な御連絡をすることにして、いまやっておるわけでありますが、しかも、先ほどもお答えいたしましたように、各県にあっせん所を置く、それから農政局にその対策の本部を置くというふうなことで、いま全国にそういう手配をいたしてやっておるわけであります。   〔松浦(利)委員長代理退席、平林委員長着席〕 そこで、市町村長ももちろんこれに参画をしていただいて、そしてその苦情処理、つまり苦情といいますか、こういうことで要望があるというふうなことを申し入れていただきましたものに対しては、早急に手の打てるような方法を講じておるわけであります。そういうこまかいことまで、通産、運輸両省と十分接触いたしておるわけであります。
  412. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、本日連合審査が行なわれておるわけでございますけれども、その最中におきましても、私は名古屋出身なんでございますけれども、市場関係の方からいろいろな要望がどんどん来ております。とにかくもう野菜が入ってこない、野菜を集める集荷業者がトラックの手配ができない、何とかしなければならぬ、へたをすればパニックの状況になるのじゃないかというようなことが、きびしい口調で要請が出てきておるわけでございますけれども、実際に特に東京、大阪、東京近郊の横浜も入りましょうけれども、そういう大きな都会におきましては、この生鮮食料が入ってこないということになりますと、生活の一番基本であるだけに、毎日欠かすことができない物資であるだけに、ほんとうにパニックの状況が起こりかねない、こういう昨今の状況ではないかと思うのでございますけれども、この問題も、いま申し上げましたように、各県にあっせん所をつくればそれで問題解決というわけにはまいらぬわけでございます。そういうような、いわゆる生鮮食料品確保のための運送するトラックに、まあこれも考えてみますれば、どちらかといえば小企業の方が多いわけでございますので、たとえばいままでの実績を示せば、それをあっせん所へ持っていけば、その分の何割減かはあるかもしれないけれども、必ずこのぐらいの量は確保できるのだということに一体なっておるのかどうか。これは当面の問題でございますので、ぜひひとつお答えをいただきたいのでございます。
  413. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 暮れに迫りまして、生活必需物資の輸送は確かにお説のような面があると思います。私どもといたしましては、緊急輸送の計画も一応立って、通産、農林両省にもいろいろ御相談をしておるところでございますが、ただいま先生が御指摘になりましたような問題等につきましては、ただいまのところ、この業者間と申しますか、現場の石油連盟の出先との間の話を私どもバックいたしまして、中央におきましては石油連盟に対し、また通産省を通じまして御協力をいただいている次第でございまして、緊急輸送の面になりますと、これはもう私どものトラック千三百台は確保できるようにいま手配をしております。しておりますが、何ぶんにも、農林省からどういう物資をどこにいつというような計画がまずほしいわけでございます。また、通産省に対しましては、それに対するいわゆる油の確保、油を確保しましても、スタンドで二十四時間勤務をやっていただきませんと、夜間の給油とか、そういうものができないわけでございまして、日曜、土曜はもちろんのこと、そういうようなこともお願いして進めてまいるつもりでおりますが、ただいまの現状は先ほどお話し申し上げましたようなことで、いま要請を続けつつこの手配をしておるということでございます。
  414. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、こういうような大都会におきます生鮮食料品がどこかで欠落をしてしまう、それから緊急手配をするといっても、これはそういった国民感情として不安心理というものは定着をしてしまいます。したがって、ある程度の供給量がどうしても確保されなければならないという問題の一つに、私は生鮮食料品の確保があるだろうと思うのです。そのための運搬ということになりますれば、これは非常に大事な問題でございます。まあ県にあっせん所が十七日から開設ということでございますけれども、やはりそういうような社会不安が起こるかもしれないという状況を考えてみたときに、生鮮食料品を運ぶものについては優先的に扱えというような、そういうような行政指導ぐらいは明確に出さなければ、ほんとうに混乱が起こるのじゃないかと私は思うのです。そういうようなお考えはございませんか。
  415. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう考えに立っていま諸般の手配を進めております。特に野菜、魚——魚のようなものは一定の期間に運ばないと腐ってしまうし、鮮度が落ちるものでもあります。そういう点もよく注意いたしまして、農林省とも緊密な連絡をして油の配当には遺憾なきを期するようにやっておるところであります。
  416. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 恐縮でございますけれども、その検討は、いろいろ検討事項はあろうかと思いますが、しかし年末を控えまして特にこの一日、二日を争うという問題でございますので、一体そういったあっせん所開設にあたっての指示という本のはいつごろ行なわれるのか、明確にするわけにはいかぬでしょうか。
  417. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その指示はもうすでにしてありまして、通産局長を主にする地方の対策本部が通産省ではできておるわけです。そして、それが中心になって運輸省あるいは農林省と連携をとって、先ほど倉石大臣からお話がありましたように機宜の措置をとり得るように指示してあります。あっせん所は月曜日から開かれることになっております。
  418. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 おことばを返して恐縮でございますけれども、そういたしますと、十七日開設後、まあ当日とは言いませんけれども、直ちにそういったものが各地方におきましては話し合いができて、大体適正量が確保できる、こういう状況になっておると理解してよろしいでしょうか。
  419. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けっこうであります。
  420. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは次の問題に移りたいと思います。  通産大臣にお伺いをいたしますが、今日の経済危機の最大の原因は、石油の需給関係の確立がなかなかめどがつかないところにあるわけでございますけれども、すでに石油問題から発展をいたしまして、資源全体の見直しをしなければならぬということはもう既定の事実でございます。そういった意味におきまして、たとえば資源の浪費節約を来年度においては明確な御指示をしなければならぬのじゃないか、こういうようなことを考えるわけでございます。  そういった意味におきまして、一つの例をあげてみますと、カラーテレビ、ある会社の十九型カラーテレビは、四十年度から四十七年度に至るまでに四十六回のモデルチェンジが行なわれておるわけでございます。そのうち消費者に実質的な効用のあるものは四十四年に行なわれました全自動化とトタンジスタ化だけであった、こういうようなことがいわれておるわけでございます。こういうようなモデルチェンジが他にもひんばんに行なわれているわけでございますね。小型自動車のモデルチェンジの回数というものを調べてみましても、三十九年度から四十八年度に至るまで実に二十九件。顕著な例をあげますと、四十七年度の六回、四十八年度に六回、こういうふうになっておるわけでございます。  さらに、データを申し上げますと、こういった自動車について六年以上使用している車の状況を調べてみると、イギリスにおきましては五六%ぐらいが六年以上使用しておるわけであります。アメリカですらも三八・六%いわゆる三分の一以上のものがかなり長期にわたって使用されております。日本においてはわずかに一二・一%でございますから、いかにこういった鉄資源を浪費しているかということが明確にわかると思うのでございます。また、モデルチェンジ一回をやるのには約四億円の費用がかかるといわれておりますから、費用の面から考えてみても非常に膨大な費用がかかっている、むだづかいが行なわれているというふうに見ざるを得ないと思うのでございます。  そういった意味におきまして、資源の浪費節減対策というものを明年度明確に打ち出される考えはないかどうか。極端に言えば、モデルチェンジを、一案でございますけれども三年に一度ぐらいにしてしまえというぐらいの思い切った対策がなければ、資源を確保することは非常にむずかしい。さらにまた、御存じのとおり使い捨て商品が多いわけでございます。富士山の登山をしてみればということで新聞等によく書かれておりますけれども、アルミかんに入りましたジュースがある。そのかんはそのまま捨てられっぱなし、あるいは東京都におきますごみの焼却のうち約四〇%は新聞紙であるというようなこともいわれておるわけでございます。そういった意味におきまして、こういう資源を高度に活用を考えていかなければならない時代に入っているわけでございますので、石油問題とあわせて来年度そういうような方向にいかなければならないのじゃないか。品種別の資源回収等というような問題も当然これは生産者に義務づけるというような措置を講じていかなければならないと思いますけれども、どういうようなお考えを持っていらっしゃるか、できるだけ具体的にお示しをいただきたいと思います。
  421. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石田さんのお考えには全く同感でございます。それで、いま御指摘になりました家電やあるいは自動車のモデルチェンジ等があまりにも激しい、目に余るものがありますから、十月ごろでありましたか、業界に対して、モデルチェンジを抑制するように、モデルチェンジをやる場合は、公害防除のためとか、あるいは新しい発明が行なわれた、そういう場合に限ってモデルチェンジというものは考えるべきで、流行をそそるようなモデルチェンジはやめるように、そういうことを業界に対して指示いたしまして協力を求めて、業界も協力するということになっております。  それで、一番大事なことは、これだけの資源を使っている国でございますから、それを回収する必要がある、これはお説のとおりです。新聞紙等にいたしましても、故紙回収ということが進みますと、トイレットペーパーなんかほとんど故紙でできておるわけであります。でありますから、トイレットペーパーの値段も安くなりますし、需給に不便を感ずるようなこともなくなる。日本はわりあいに故紙の回収は比率はいい国になっております。なっておりますけれども、まだまだ十分ではございません。そこで来年度通産省の政策といたしまして、故紙回収のセンター等をつくって、各都道府県に対しても積極的に故紙回収を行なう。やはり紙を持ってきてくださいといってためておく場所が必要らしいのですね。そういうような場所をつくったり、あるいは回収のための自動車の手配——われわれの中で考えておるのは清掃車のうしろに一台何かくっつけてきたらどうだとか、いろいろそういう案も考えておるようでありますが、具体的に故紙の回収等をはじめとして資源の回収を積極的にやっていくつもりでございます。
  422. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題につきましては、大臣といたしましては、いわゆる行政指導の範囲内でやり得るというふうにお考えになっているか、あるいは恒久的なそういう資源節約というような立場からのお考えがあって法的な規制をしなければならない、あるいは省資源技術の開発等もございますので、そういう問題も含めて法的措置によらなければならないのではないかとお考えになっているのか、ここら辺の問題はいかがでございましょうか。
  423. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまのところ立法する考えはございませんけれども、しかしそういう資源の回収があまり思わしくいかないという場合には、将来は立法措置も考慮しなければならぬことがあるかもしれないと思います。
  424. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間もありませんので次の問題に移りたいと思います。  まず自治大臣と経企庁長官にお伺いをいたします。  今日の物価高に対処するためにいま石油二法案が審議をされておるわけでございますけれども、いわゆる投機防止法、これはもうすでに施行されておりますけれども、埼玉県は、今月の五日経企庁長官あてに法改正の要請をしている。その内容は、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の一部を改正して、同法の第三条の調査権、第四条の勧告及び公表権及び第五条の立ち入り調査権、これらの権限を地方公共団体に委任をしてもらいたい、こういう要請がたしか来ているはずでございます。との地方行政の、今後の物価高に対処するためには最低このぐらいはどうしても必要である、そういう要請であろうと思います。また、先般生活安定法の審議のときに、東京都の副知事が参考人としてお見えになりまして、やはり同趣旨の御要望をしておられるわけでございますけれども、まず一つは、この投機防止法に対しての県知事の要請についてどうお考えであるか。それから、いわゆる生活安定方にあるところの、政令で権限を委譲することになっておりますけれども、その具体的な内容はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、これをお伺いいたします。
  425. 内田常雄

    ○内田国務大臣 お尋ねの売惜しみ緊急措置法のほうの権限と、それから国民生活安定緊急措置法における権限と、実はお尋ねのとおり二つございます。でございますが、従来は、売惜しみ緊急措置法のほうは中央官庁の公務員しか権限がございませんでしたが、今度それを改正いたしますので、その改正後の買占め防止法の権限は極力地方公共団体に委譲いたしますとともに、国民生活安定緊急措置法の権限も、同趣旨によりまして、できる限り消費者に密着する地方公共団体に委任することが私は現状に即すると考えまして、その方向で処理をいたしたいと思います。  ただ、課徴金の徴収でありますとか、法令上、会計法のたてまえ上、どうしても委任ができないものは別でございますが、そうでないものはいま申し上げたとおりでございます。
  426. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 埼玉県はかなり具体的におっしゃっておるわけでございまして、それではお答えにならないわけでございます。これは時間がありませんからほかの委員会でまた詰めるといたしまして、自治大臣は、まず投機防止法に対する三条の調査権第四条の勧告及び公表権及び第五条の立ち入り調査権、この権限を地方は与えてもらいたい、こういうふうに言っておるわけでございますけれども、具体的なそういう提起に対して、大臣は、これは妥当であるとお考えになるか、あるいはちょっと行き過ぎで、もう少し狭めなければならぬというふうにお考えになっていらっしゃるのか、具体的にお伺いをいたします。
  427. 町村金五

    ○町村国務大臣 二法案のうちで、ただいま御指摘になりましたような権限を地方公共団体に委任をすることについてのお尋ねでございましたが、こういった仕事は従来地方公共団体はあまりいたしておりません。したがって、必ずしもなじまないのでございますけれども、この法律が出まして、これらの実効を期するということになりますれば、現状におきましては、やはり地方公共団体にこの権限を委任するという以外に道がないのではないか、かように考えまして、地方公共団体に受け入れさせるように今後措置をしてまいりたい、かように考えております。
  428. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はそういう概念規定を伺っておるのではないのでありまして、たとえば立ち入り調査権、第四条の勧告及び公表権等について権限を与えてもらいたいと地方は言っておるわけですから、それに対する具体的なお答えをいただきたい、こう要求を申し上げておるわけです。  もう一点追加で申し上げますけれども、小売り段階を調査する段階においては、地方においても十分できるでしょうけれども、やはり原因究明をしていきますと、県を乗り越えて調査をしなければならないような状況が起こってくるわけです。たとえば今度のトイレットペーパーなんかの問題は、そういうような静岡県におきますいわゆる生産会社が集中しているというような問題もございまして、県を越えてそういうような調査権を、ぜひとも地方に委任してもらいたいというようなことを副知事もおっしゃっておりました。そういう具体的な問題のお答えをいただきたいと私はお願いをしておるわけでございます。
  429. 小島英敏

    ○小島政府委員 県内の調査権、立ち入り検査権等は都道府県知事に御委任をお願いしたいということで考えておりますが、県をまたがるものにつきましては、やはり物資所管官庁の地方支分部局ということになるのではないかと思います。  それから、今度改正になりました場合に売り渡し命令ということになりますが、この辺になりますと、やはり都道府県の間にアンバランスがあっても困りますので、ある程度本省に留保することになるのではないかというふうに思っております。
  430. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あと一、二分時間がありますからお伺いいたしますが、この安定法のほうをよくながめてみますと、いわゆる元売り業者、小売り業者、こういうものに指定物資をして標準価格をきめていくわけでしょう。一体両方に立ち入り調査権等の権限が地方自治体も与えられるのですか。元売り業界のほうに対しても立ち入り調査権は与えられますか。
  431. 小島英敏

    ○小島政府委員 同様に、県内のものにつきましては、なるべくそういうふうに処置いたしたいと思っております。
  432. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、法案の問題につきましては、また物価の委員会で十分各大臣においでいただいて詰めることといたしますが、いずれにしても、先ほど来いろいろ審議されておりますように、この法案については政令にゆだねることが非常に多い。しかも、その内容が非常に不鮮明である。しかし、こうやって一つ一つ詰めていけば、多少なりとも見解が出てくるわけでございますから、もう少し具体的なそういう政令の内容等もお示しを願って、全体の審議に協力するように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  433. 平林剛

    ○平林委員長 山本弥之助君。
  434. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、地方公共団体の立場に立ちまして、両法案につきまして御質問いたしたいと思います。  まず第一点といたしまして、通産大臣にお尋ねいたしますが、今日地方公共団体は、地域住民の生活の安定のために、ことに生活関連施設の充実だとか、あるいは社会福祉の充実につきまして努力をいたしてまいっておるわけであります。したがいまして、現在の石油の危機的状態におきまして、整備いたしましたところの上下水道、病院あるいは公営交通バス、さらには消防、救急車の運行、こういった地域住民に密接に関連のある施設の石油の確保につきましては、地域住民のためにきわめて重要な状況にあろうかと思うのでありますが、これらの石油の確保につきましては、相当急迫した状態になりましても、通産省といたしましては万全の体制をとっていただけるものと信ずるのでございますが、この点につきましてお伺いしたいと思います。  ことに最近は、広域的に施設が拡大をいたしておりまして、それぞれの市町村だけの事業ということではなくて、相当広域にわたっておりますので、たとえばごみの焼却にいたしましても、あるいは終末処理場の建設にいたしましても、関係町村がそれぞれこれらの施設を広域的に利用するという体制になりつつあるわけでありまして、一度これらの施設が支障を来たすということによりまして、施設の活用あるいはせっかく慫慂してつくりました広域団地の燃料確保の問題、暖房の確保の問題というようなことが、地方公共団体の施設推進と逆行するような結果になると思います。おそらく万全の体制を期していただけるものと存じておりますけれども、今後の石油の輸入の見通しと関連いたしまして、はたして万全の体制をしていただけるのか、あるいは地方公共団体は、これらの当然なすべき生活環境整備の施設を今後とも強力に推進することに支障を来たさないかどうか、このことにつきましてまずお伺いいたしたいと思います。
  435. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまお示しになりました各項目は、清掃とか尿屎処理とか、あるいは火葬場等も含めまして、優先確保をやるように指示してありますし、われわれも責任をもってやりたいと思います。
  436. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この問題は、ただいま大臣の御答弁によりまして、それを信頼いたしまして終わりたいと思います。また、他の方からも十分それぞれ具体的な問題につきましての質問があり、また今後もあろうかと思いますので、この問題はこれで打ち切りたいと思います。  次に、この二つの法案に関連いたしまして、それぞれの条文におきまして、たとえば石油需給適正化法案につきましては第十六条、国民生活安定緊急措置法案につきましては第三十条におきまして、先ほど石田委員からも御質問がちょっとあったかと思いますが、地方公共団体に権限を委任するということになっております。すでにこの法案は非常に政府としても急がれておるわけでありますが、この権限を地方公共団体にどういうふうに委任されるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  437. 山形栄治

    ○山形政府委員 石油需給法のほうの関係について申し上げますと、これはまだ成案を得ておりませんけれども、石油の法律は二段階に分かれておりまして、一段階のほうは行政指導でございます。行政指導的なものを法文化しておるわけでございますが、全体のねらいが産業面の、どちらかといいますと大きなところをねらってやっていくような形になっておりますので、これは大体中央官庁でフォローできるのではないかとわれわれは考えております。万が一、十一条の個別の強い規制に入るような場合には、割り当てとか配給とか、そういうことが当然考えられるわけでございますが、この辺の段階に入りますと非常に事務が多くなりまして、かつチェックする可能性も非常に多くなりますので、地方公共団体に一部を委任する必要が出てこようかと思います。  しかし、この委任をする場合におきましても、その運用につきまして恣意に流れ、かってに行なわれるようなことはいけませんと思いますので、その場合にはルールをはっきりさせまして委任する必要があろうかと考えておるわけであります。
  438. 小島英敏

    ○小島政府委員 生活安定法案のほうの委任に関する政令につきましては現在各省庁で詰めておりまして、もうちょっと時間がかかるのでございますけれども、現在考えられております方向を申し上げますと、都道府県内のものにつきましてでございますが、一つはやはり標準価格順守のための指示、公表、それから特定標準価格が設定された場合におきます課徴金の納付命令及び徴収、それから三番目に一般的な報告徴収、立ち入り検査、それから四番目が物資の割り当て、配給、これは二十五条の最後の場合でございますけれども、それから五番目に、先ほどお話が出ました買占め等防止法におきます売り渡しの指示あるいは立ち入り検査、それから一番最初の段階といたしましての一般的な調査権、これらのものについて都道府県知事に委任いたしたいと考えているわけでございます。
  439. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいまの御答弁によりますと、石油需給適正化法案につきましては、ただいまのところ、地方公共団体の長に委任する問題は当面発生しないというふうに了解できると思うのでありますが、国民生活安定緊急措置法案におきましては、五条、六条あるいは課徴金の徴収、立ち入り検査というような問題につきまして地方公共団体の長に委任するというふうなお考えのようでありますが、そうでございますか。
  440. 小島英敏

    ○小島政府委員 さようでございます。
  441. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この地方公共団体の委任につきまして、自治大臣といいますか、自治省におきましては十分了承しておられるわけでございましょうか。地方公共団体は、国との事務の配分につきましては、あるいは共同で責任を持つ事務につきましては、その配分を明確にし、また責任の所在を明らかにして適正な財源の配分ということは多年要望しておるところでございます。いままで地方公共団体は、いろいろな意味におきまして、国の安易な委任によりまして、事務の処理をしてまいっておるわけであります。そのことは直ちにその地域の必要に応じた行政事務にこたえ得ないという現状に当面しておるのが現状でございます。  皆さま方御承知のとおり、土地の問題にいたしましても、総理大臣姿勢いかんによりましては、各地域が将来の公共用施設あるいは都市計画の遂行上必要な施設が大商社、大不動産業者によって買いあさられ、これの防戦に追われておるというような実態が出てまいり、またこういった物価高騰によりまして地域住民の生活を脅かすような事態になりますと、それらの問題はすべて市町村当局あるいは県当局ということにしわ寄せになるわけであります。この点につきまして私は十分主務官庁との間に打ち合わせをいたしまして、権限委任を受けるなら権限委任を受ける、無理な要求に対しては、この程度が地域の住民の意思に沿ったやり方であるということをはっきりさせて権限委任を受けるべきである。先ほどちょっと経企庁のほうからの御答弁でございましたが、放恣に流れて事務の運行に支障を来たしてはいかないので、厳重なルールをきめていきたいというような御答弁がありました。私もこれらの問題が全国画一に行なわれることが妥当であるというふうには考えておりますが、いまの御答弁を聞いておりますと、地方を信用しない、地方の実態を十分把握しない中央官庁が、地方の実情に沿うた行政を十分理解していないというふうにも受け取れるような答弁であろうかと思います。この点は、自治大臣から地方公共団体の長に権限を委任するという場合、地方公共団体の立場に立っての話し合いを、法施行以前に十分尽くしておかなければなるまいと思うのであります。御意見いかがでございましょうか。
  442. 町村金五

    ○町村国務大臣 今度の二法案に関しまする権限を地方公共団体に委任をするという問題につきましては、ただいま山本議員も御指摘になりましたが、今日までこういった事務をやっていなかったわけでございます。これを新たに付加をするということなんでございますから、そういった点については、やはり地方団体としてできないことまでお引き受けするわけにはいかないという基本的な考えに私どもは立っておりまするし、また現状におきまして、地方公共団体に委任をする以外に道がないという、今日の行政機関と申しましょうか、そういったものの情勢から考えまして、私どもは最小限度のものはお引き受けをしなければなるまい。しかし、その場合におきましても、地方の負担になるというようなことは一切ないように、経費その他の点につきましてはことごとく国のほうで負担をしていただくという点については、いま関係省と十分話し合いをいたしておるところでございます。
  443. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま自治大臣から御答弁ありましたように、地方公共団体といたしましては、物価の抑制問題、あるいは生活必需物資の適正配給という問題につきましては、国の委任いかんにかかわらず傍観のできない立場にあろうかと思うのであります。したがいまして、問題が発生いたしますと、常にこの問題にいかに対処するかということに苦慮しておりますことは、過去の幾多の例が示しておるところであります。したがいまして私どもは、かりに委任がなくても、県知事にいたしましても、市町村長にいたしましても、その地域の消費者あるいは販売業者、その他学識経験者等を入れて、常にその行政区画内の国民生活の安定をはかるための協議を持ち、あるいは相談をしながら、物価の抑制に全力を尽くすという体制をとらなければいかぬと思うのであります。したがいまして、権限委任の有無にかかわらず、相当な目に見えない経費あるいは時間というものを投ぜざるを得ないと私は思うのであります。このことを十分主務官庁は御了解願いまして、地方公共団体がこれらの問題にいかに現地に即して対処することに苦慮しておるかということの実態を関係官庁によく理解を願いたいと私は思うのであります。  なお、その経費の問題につきましては、ただいま自治大臣からも的確にお話がございましたので、重ねて質問をする必要はないかと思うのでありますが、地方財政法十三条におきましても、新しい事務に伴う財源措置につきましては、国が当然責任を負うということになっておるわけであります。したがって、人件費その他の雑費につきましても、権限委任すると同時に財源付与をしなければならぬ、私はかように考えております。ことに本年度から来年度にかけまして地方財政はきわめてきびしい情勢に当面するのではないかと考えておりますが、そうなればなおさらのことであります。  従来の例からいいましても、人件費の国、地方との負担の区分、あるいは社会福祉施設その他生活保護費、失対事業といったような人件費を伴う問題についての国、地方との負担区分におきましても、常に地方が超過負担をいたしております。きょうの委員会におきましても、私は自治大臣に超過負担の完全解消ということを要請申し上げたのでありますが、今回の問題につきましても、目に見えない地方の行政事務の経費、あるいは権限委任に伴う超過負担の解消ということにつきまして十分配慮していかなければ、地方行政は地域住民の要請にこたえ得ないという結果になると思うのであります。このことにつきまして、通産大臣あるいは経済企画庁長官、さらには大蔵関係ではどう考えておるかということを明確にお聞かせ願いたいと思います。
  444. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私どもは、この法律案立案の過程におきまして、もろもろの権限を地方公共団体の長に委任するという姿を取り入れます過程におきましては、自治大臣とも相談をいたしてまいりましたが、実は自治大臣が特に閣議において発言を求められまして、そうなる以上はいま仰せられましたようなことについて十分配慮あってしかるべきだという御発言をされまして、一同了承をした、こういう経緯もございますので、私どもも、これを地方公共団体にお願いする以上は、自治大臣ともよく打ち合わせまして、その辺、でき得る限りの配慮をいたしてまいる所存でございます。
  445. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ちょっと具体的になりますが、こり法案も審議を尽くせば実施をするという前提に立ちますれば、この実施にあたりまして、本年度あるいは明年度予算等におきまして、国家公務員はどのくらいの人員を確保されるのか、あるいは権限委任に関連いたしまして、地方の各府県に対しましてどのくらいの人員を必要とし、それに伴う雑費も含めて予算を要求する措置がとられておるのかどうか。予定人員等をすでにもう予想を立てておられると思うのでありますが、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  446. 小島英敏

    ○小島政府委員 なかなか私どもの悩みとするところは、今度の法律は、最後の最悪の事態にはわりあいと配給というようなことも、あるいは物統令発動というようなことも用意はしておるわけでございますけれども、なるべくそこまでいかない段階で食いとめねばならないというふうに考えております。したがいまして、行政態様というものが、永続的に最後の場合までいった場合を考えて、これに一〇〇%対応できるような態様を考えますと、やはりこれは非常に大規模な増員も必要になりますし、しかも今度の場合は、戦争中あるいは戦後の場合と違いまして、ここしばらくの非常に苦しい事態を乗り切ってある程度の低成長に定着し得れば、また経済の運行は総需要調整を中心としてそう破綻なくやっていける事態になると思いますから、その意味では、行政態様の問題というのが非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、現段階といたしましては、最小限やはり国としても、年度内はどうも増員の問題というのがとても不可能でございますけれども、来年度に関しましては各省庁とも、大蔵省にいま案を固めて要求する段階でございますので、まだ数字については固まっておりませんが、必要最小限度の増員を要求するということに考えておりますし、地方団体につきましても、これも数字が、私どもの考え方と自治省の考え方といろいろございまして、いまの段階で固まっておりません。しかし、これは至急に固めまして、増員の要求をお願いするということで考えておるわけでございます。
  447. 山本弥之助

    山本(弥)委員 先ほど、権限委任いたします場合にほとんど地方公共団体に委任するような御答弁がありました。これは条文にもございますように、当然地方の出先機関と地方公共団体とに配分されるものと考えるのでありますが、その辺の関係もいろいろ事務的に進めておられるのでございましょうか。
  448. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほど申しましたように、県内にとどまる問題は都道府県知事にお願いし、二つ以上の県にまたがるような場合は物資所管省庁の地方支分部局ということでございますので、増員等の関係におきましては、先ほどの中央官庁と申しますか、その中で地方支分部局までを考えておりまして、都道府県のほうは別に考えているわけでございます。
  449. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、県内にとどまる問題は都道府県、二県以上にまたがる問題は国の出先機関、支分部局というふうに了承していいですか。そうなりますと、地方公共団体の長に委任するのは原則ということになりますね。
  450. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほど申しましたように、全国的なバランス考えるようなものもございますから、全部というわけにまいらぬかと思いますけれども、原則としてはそういうことに相なるかと思います。
  451. 山本弥之助

    山本(弥)委員 主管官庁からの御答弁はいただいたわけでありますが、財源措置の問題につきまして大蔵省の御答弁をいただいておりませんが……。
  452. 中川一郎

    ○中川政府委員 この法律の権限を地方に委譲するわけですから、当然国がその経費を持たなければならないということは原則でございます。ただ、その権限をどの程度、どのようなものについて委譲するのかという問題をいま検討中であります。その検討をまった段階で、特に地方に対しましては国が持つということが原則であります。しかし、この問題は地方住民の直接の問題でもありますから、地方と一体となって十分話し合いをして、この法律の目的が達成されるということを主眼に置いて措置を講じてまいりたい、このように思っております。
  453. 山本弥之助

    山本(弥)委員 重ねて政務次官に御答弁を願いたいと思いますが、私は、こういう重要な法案が準備をされた場合に、直ちに実施するということを前提に置かなければならぬと思うのであります。実施した場合に当面どのくらいの経費が臨時に必要になり、それにどう対処するかということは、あらかじめ検討を加えておくべきである。  なお、その人員の問題につきましては、私ども、どうも釈然としないわけであります。従来、大蔵省との関係におきましては、私どもは常に予算の査定等を通じまして超過負担に悩まされておるわけでありまして、これらの問題は、当然地方公共団体としては、そういう事態が生活必需品について次から次に発生すれば傍観できない問題でありまして、当面、地方自治体のそれぞれのあり方によりましてこれに対処するといろ体制をとるわけであります。何らかのかっこうで対処すれば当然経費が要るのですが、それらは算定のできない経費が多いのでありまして、当然、あらかじめ予定し得る経費につきましては——従来の例からいいましても、大蔵省は、地方公共団体にまかしておけばいい、まずくいったら地方公共団体の責任だというふうに、責任は転嫁する、財政負担は地方にまかせるということでは、こういった重要な国の事務は、国の政策の誤りを地方自治体に転嫁するものだといわなければならぬと私は思うのでありまして、十分財源配分につきましては責任を負うということをはっきり言明願いたいと思うのであります。
  454. 中川一郎

    ○中川政府委員 国としては責任を持ちます。持ちますが、まだ役所からも、経済企画庁からもあるいは通産省、農林省、そして自治省から出ておりませんので、出た段階で検討したい、こういうことでございまして、まだ要求がありませんので、要求があった段階で措置をしたい。ただ、非常にむずかしいのは、こういった法律の発動はなるべくしないほうがよろしい、大蔵省としては財政需要の抑制をはかって、こういう事態の起きないように最善を尽くしてやっていくという方針であって、どの程度起きるかということを推測しろといってもなかなかむずかしい問題でありますので、この点については慎重にひとつ検討さしていただきたいと存じます。
  455. 山本弥之助

    山本(弥)委員 もうこれ以上追及はいたしませんが、こういった重要な問題に国をあげて、総理をはじめ真剣に取っ組む、重点事項だと言っているのに、どうも準備が不足のような感じがしますね。この点は、関係各省で緊密な連絡のもとに法案の議決を急ぐことは急いでおるが、法案が通ったあとの体制というものは全く対処できないような実態にあることを、私ども非常に遺憾に存じます。この点は十分各官庁で留意を願いたいと思います。  関連質問がありますので私は終わらせていただきますが、最後に一つ、重要な問題といたしまして、生活安定法案の中の十条の課徴金の徴収の問題であります。課徴金の性格といいますか、まず課徴金という制度は現行制度にございますかどうですか、大臣からお聞きしたいと思います。
  456. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは、もう山本さんよく御承知のとおり、刑罰ではございませんので、行政上の行政罰といっていいかどうか、行政措置としてやるわけでございますので、これは自治大臣からお答えいただいたほうがいいかもしれませんが、交通反則金などが似たようなものでございましょうか、とにかく刑罰ではない、こういうふうに御承知ください。
  457. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大臣、これは現行制度にありますか。例はあるのですか。
  458. 小島英敏

    ○小島政府委員 現行制度にはございません。
  459. 山本弥之助

    山本(弥)委員 課徴金の性格につきましては、私ども、課徴金を取ることに反対をしていないものですから、これ以上つつ込みませんが、ただ、この課徴金の徴収につきまして、当然性格が明瞭にならなければぐあいが悪いのです。さっきから、全国共通にというお話がございますが、この徴収につきましては、全国共通にということになりますと、私は、それだけの組織を全国に局、署と持っております大蔵省の税務署が担当するのが最も妥当であると考えておりますが、主務官庁及び大蔵省、いかがお考えになっておりますか。
  460. 内田常雄

    ○内田国務大臣 税務署には、御承知のとおり十数兆の国税を徴収する特別の立場がございまして、課徴金のごときものは、なるべくそういうものは徴収することなきことを私どもは期待をするものでございまして、税務署がこれに正面からタッチする仕組みがいいか悪いかということにつきましては、かなりの論議がございましたが、とどのつまりは、私どもは消極に取り扱うことにいたしております。ただし、税務署が税務調査の過程におきまして、特定標準価格を超過する価格でものを販売した、そういう超過利益のようなものを発見しましたときには、関係官庁のほうに通知をするし、また関係の機関も、そういう課徴金を取るような事態が生じておりますときには、これは法人あるいは個人の所得税法上当然の益金である、しかし課徴金は経費とは見ない、こういうようなたてまえもございますので、徴税官庁のほうにも通報する、相互通報ということでこの法律の運用はいたしてまいるのが一番よろしかろう、こういう判断に立っております。
  461. 中川一郎

    ○中川政府委員 内田企画庁長官がお答えしたとおりでございますが、大蔵省側から言いますと、やはり徴税ということが大事な仕事でございまして、これを兼務で課徴金までお預かりするということについてはあまりにも大きな仕事でございますので、これは主務官庁において責任をもって、この法の実施をき然としてやっていくほうがよろしい。ただし、大蔵省、国税庁といえどもこれを傍観しているわけではありませんで、いま言いました相互通知の補完的措置を講じまして、一体となって、そういった悪い者がいなくなるように万全をとって協力をいたしたいというふうに思っております。課徴金を取られるような人は悪い者だと思っております。
  462. 山本弥之助

    山本(弥)委員 内田大臣、それでは企画庁、直接お取りになりますか。どこでお取りになりますか。
  463. 内田常雄

    ○内田国務大臣 この法律をお調べいただけばわかりますように、内閣総理大臣とか経済企画庁長官ということばはございませんで、主務大臣ということになっておるわけであります。主務大臣はその権限を所管の公務員はもちろんのこと、地方支分部局長にも委任をいたしますし、また、先ほどから御議論になっておりますように、地方公共団体の長にもこの課徴金の徴収事務を委任をいたす考えでおります、ただし、これも御承知のように会計法上の規定がございまして、都道府県知事には課徴金の徴収、すなわち国庫金でございますから、国庫金の歳入徴収官たる地位を与えることができますけれども、市町村の長にはこれは委任をいたさない、こういうたてまえでございます。経済企画庁長官は、その各機関における課徴金の徴収の運営が最も有効適切にいくように、調整の仕事に当たってまいるつもりでございます。
  464. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税務署は国税を徴収するので不適当だという御答弁でありますが、地方公共団体といえども、地方税を徴収するので不適当だ、地方公共団体には委託をしない、あるいはその機関にも委託をしない、こう了承してよろしゅうございますか。
  465. 内田常雄

    ○内田国務大臣 地方公共団体の長に課徴金の仕事を委任をいたします場合に、それがはたして地方の現行制度上の税務事務所を活用をされるか、あるいは商工部等の関係の職員をしてこの仕事に当たらせるか、そこのところは私は県の御判断によると思いますが、国におきましても、税務署ももちろん国の機関でありますが、税務署のような、そういう税金を徴収することを固有の仕事とする国の機関が当たるよりも、国の各種の機関、地方支分部局の中にはいろいろ機関もございますので、税務署のような課税を担当する国の機関でないものとの仕事の調整を考えるのと同じことが県でも考えられるのではないかと、私は実は想定をいたしております。
  466. 山本弥之助

    山本(弥)委員 課徴金は使用料、手数料でもないということなんですね。場合によれば行政罰に近い性格を持っていやしないか。公権に基づきまして、あることをしないようにこの課徴金によって強制するということだと思うのでありますが、これはきわめて地方公共団体も不適当である、国が委任するならば国の系統で徴収すべきだ、税務署はよく調査をなすって適正な課税をしておられるので、税務署が適当だと思うのであります。自治大臣は、この点で御同意をなさいますか、どうですか。
  467. 町村金五

    ○町村国務大臣 実はこの問題につきましては、関係省の間でいろいろ協議をいたしたところでございます。おっしゃいますように、本来こういう仕事は公正に行なわれなければならぬというような角度から考えてみましても、むしろ国の出先機関が賦課徴収されることが一番適当ではないかというふうに私ども考えたのでございますけれども、一面、そういうものは国の機関としては税務署以外にはない、こう申し上げてよろしいのでございます。そこで、税務署がお引き受けをするか、あるいは地方公共団体がお引き受けをするか、そのいずれかの道をとる以外に実際問題としては道がないわけでございます。そこで、目下政府部内においていろいろ協議をいたしておりまするが、今日の段階では、地方に関しまする限りにおいては、どうも府県がお引き受けするのが諸般の情勢からやむを得ないことではないかというように、最近私どもも考えておるような次第でございます。
  468. 山本弥之助

    山本(弥)委員 まだきまっていないようでございますので、この点は、私は主務大臣並びに自治大臣に、地方公共団体の事業推進にあやまちのないように、今後実施の段階までに十分検討を願うことを強く要請をいたしまして、質問を終わらしていただきます。
  469. 平林剛

    ○平林委員長 長谷川正三君。
  470. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私は、山本委員の質問に関連いたしまして、地方行政の重要な部分を占めています教育行政の現在当面しておる緊急諸問題につきまして、ただいま審議中の石油需給適正化法案並びに国民生活安定緊急措置法案にどのような配慮がなされているかということをただしたいと思います。  その前に、国民生活安定緊急措置法案につきましては、先ほど来多くの方々から、その重要な中身をなす部分がほとんど政令にまかされている点はまことに重大であるという御指摘がありました。私も全く同感でありますが、これは後に理事会で適切な処理をされるということに一応なったようでありますから、この点についてはあえて触れません。その中身の若干の部分をやっぱり明らかにする一助にもなろうかと思いまして、以下御質問を申し上げたいと思います。  石油需給適正化法案では、今日の「石油の大幅な供給不足が生ずる場合において、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を図るため、石油の適正な供給を確保し、及び石油の使用を節減するための措置を講ずることにより、石油の需給を適正化する」ということが目的とされております。また、国民生活安定緊急措置法案におきましても、今日の物価高騰の事態の中で国民生活の安定、国民経済の円滑な運営を確保するということが目的とされております。このような法案が提案されなければならないという国民生活の逼迫した事態の中で、特に教育はきわめて危機的な、極端なことばをもっていたしますならば、崩壊寸前に瀕しているとも申せるような事態が起こっておると思うのであります。戦後六・三制が施行されました当時、新制中学校を建てることができないでついに自殺をされた自治体の首長が、私の記憶でも四人ほどあります。今日の事態は再びあのような事態を招くおそれが十分あるほど窮迫してきておるということを申し上げざるを得ないのであります。  時間がありませんので、たくさんの面がございますけれども、その中から特に義務教育の小中学校の新増築が非常な困難に当面しておる問題、これは地価の高騰の問題から資材の高騰さらには不足、こうしたことで、非常な行き詰まりをいま来たしております。また、学校で学ぶ子供たちにとりまして教科書をはじめ学用品としての各種用紙の払底が、非常に心配されてきております。その値上がりも、まことに憂うべき状態に向かっております。さらに、せっかく定着してまいりました学校給食につきましても、これまた材料の高騰あるいは不足、あるいは燃料、輸送、こういった問題のあらゆる部面に困難が生じてきておるのであります。さらに、いま極寒に向かい——ここ数年、暖冬異変などということがいわれておりましたが、ことしは特に寒くなりそうであります。この寒さに向かいまして学校の暖房の問題、また積雪地、寒冷地等における除雪ができるかどうかという問題、あるいは先ほど申し上げました学校給食における調理あるいは輸送に関する燃料の問題、こういったことが、いま緊急の課題の中のほんの三つ、四つでありますけれども、考えられます。  これらにつきまして、関係大臣に、どう対処されるつもりか、本法案の運用の中でどうこれが生かされるのか、そういう点についてひとつ御質問を申し上げたいと思います。  時間がありませんので、いま四つのことを並べて申し上げてしまいましたから、個々の問題について詳しくお聞きできませんので、まず所管の文部大臣から、これらの全般的状況と、これにどう対処し、そして本法案がどういう役割りを果たすのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  471. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 資材の問題につきましても、学校につきましては優先的な取り扱いをするということで運んでいただいておりまして、公共事業の繰り延べの場合にも、学校の新増築につきましてはこれを適用しないという方針をとっていただきました。  同時にまた、資材の問題につきましても、鋼材、塩化ビニール電線などが七月から九月にかけ、ましてたいへん不足した事態もございましたけれども、主務官庁のほうにおきまして、学校につきましては特別な配慮をしていただきました。また最近、生コンの問題もございましたが、こういう問題につきましては業者間で話し合いもついたようでございます。  同時に、単価の問題につきましても、昨年度の予算に対しまして、今度の補正予算では三五・五彩の引き上げ措置をとっていただいたわけでございます。  そういうことは一例でございますけれども、学校関係につきましては、政府としましても特別な配慮を加えてきておるということについては御理解をいただけるのじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。  同時に、地方公共団体におきましても、学校のことにつきましては特別な努力をしていただいております関係から、建築の契約がたいへん困難な事態にあるわけでございますけれども、学校につきましては九月末で六四・六%、十月末におきましては八二%となっておりまして、大体平年度並みの契約の進捗状況になっておるわけでございます。  なお、学校給食のこともお取り上げになりましたが、小麦粉につきましては値段の引き上げが行なわれたわけでございますけれども、学校給食用の小麦粉につきましては来年の三月まで価格を据え置くという措置をとっていただきました。同時に、油の問題につきましても、学校給食用の油とか、あるいは学校の病院の油とかという問題につきましては優先的な確保をはかっていただきたい、かように考えておるわけでございます。  また、教科書の用紙の問題につきましても、通産省のほうで製紙会社と話をしていただきまして、この分については優先的に確保するという約束をしていただいておるわけでございます。  全体につきましてそういうような考え方のもとにおいて努力をさしていただきたい、かように思っております。
  472. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま文部大臣がお答え申し上げましたとおり、学校の増築あるいは新設、これらにつきましては、われわれは優先的に資材あるいは燃料の配給等について処置いたします。  それから、学校で使う紙、教育道具等につきましても、通産省におきましては特に関心を持ちまして、学業に使う紙類が不足したりしないように、これはいまもお話しのように、紙関係の業界にも特別に指示いたしまして確保するようにいたしております。
  473. 町村金五

    ○町村国務大臣 公立文教施設の整備につきましては、特に自治省といたしましても深く配慮いたしたところでございます。ただいま文部大臣からお話しいただきましたように、全国的に見まして大体例年どおりの進歩状況になっておるというふうに承知をいたしておるのでございます。ただ、最近特に諸物価の値上がりが目立っておる。したがいまして、明年におきましては相当の措置をいたさなければなるまい、かように考えておりまするので、文部省その他と十分御協議を申し上げまして、明年における公立文教施設の建設等につきましては、ひとつ十分の配慮を地方財政の面でいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  474. 中川一郎

    ○中川政府委員 ただいま担当大臣であります文部大臣から答弁がありましたように、学校施設については、御要望どおり、異例の二回の単価補正をいたしまして処置をいたしました。  また、学校給食につきましても、小麦粉の据え置きという異例の措置も講じまして、大体財政的には御要望にこたえたのではないかと思っております。  また、来年につきましても超過負担にならないように十分配慮して、教育問題だけは特に配慮してまいりたい、このように考えております。
  475. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 各大臣、政務次官からの御答弁によりますと、教育に関しましては、万全とまではいかないにしても、きわめて積極的な処置をして不安のないようにするという意味の御答弁でございます。福田大蔵大臣大臣に御就任になって、テレビのインタビューでたしか開口一番、御自分の地元の義務教育の学校がもう建たなくなっておるようだ、こういうことをおっしゃっておったのを伺いまして、新大蔵大臣は十分教育の危機を身をもって把握をされておるな。——しかし、それが施策の上に生きなければ、これは何にもなりません。いまのそれぞれの御答弁を伺いますと、私が申し上げたことはたいへん誇張した言い方を申したようなふうになりますけれども、せっかくそういう方向で御努力なさろうとしておることは認めます。しかし、事態は、しかく甘くそのとおりなっていると考えると間違いである、非常な困難がいま地方自治体に出ておる、こういうことを重ねて強く申し上げなければならないと思います。文部大臣は、九月、十月の段階ですかの調査で、例年に比べてそう遜色ない進捗をしておる、学校の建築の契約等も進んでおるようなお話でございましたけれども、しかし、実際東京都下のほんの二、三の自治体に私が当たってみましても、事態はなかなか深刻であります。  ちょっと一例を申し上げますと、たとえば日野市というのがございます。日野市では、四十八年度建設予定の小学校用地、これは予算が議会を通るまでにもずいぶんな議論があったようでありますが、このほどようやくそれが通ったという段階で、いよいよ土地を入手する段階ではまだまだ話がつきかねて非常な困難をしておる。そのために四月開校予定のその学校が、隣接の民有地をとりあえず借りて、そうしてそこにプレハブを建てて、ともかくそういう子供を押し込んで、かっこうだけは学校が発足したというかっこうで進む以外にない。まあ順調にいって九月ころには本校舎の開校ができればよいがなあというところでありますけれども、それすら非常にまだ不安定だというのが現状であります。この間の子供、特に父母の不安というものはまことに大きいものがありまして、この予算が先般議会を通過するときでも、その傍聴席はもう埋め尽くされておる、こういう状態であります。予算が通ったからすぐ実現するということではなくて、これから敷地の問題——敷地はまあめどがついておるようでありますけれども、この資材、特に生コンとか鋼材の入手難というのは依然として深刻なようでありまして、いま皆さんがお話しのほど事態が楽観的でないということを強く申し上げざるを得ません。  また府中市というところ、ここは比較的校舎増築がよくいっておりますけれども、国分寺市におきましては新築一校、増築二校、体育館二校がことしの予定でありましたけれども、このうち増築一校と体育館一校はとうとう値段の点で業者との折り合いがつかず、いまだに入札ができず、本年度の建設は見送らざるを得ない。そうすると、いままである学校の校庭をすっかりつぶして、そこにプレハブを建てて一時子供を収容する、こういうふうにしか事態の乗り切り策はない、こういう状態が出ておるのであります。  これはほんの一、二でありますけれども、特に大都市周辺の人口急増の地区では、こういう状況がむしろ一般的状態として広がっている、私はこういうふうに考えますので、さらに十分正確な把握をされて、万全の対処をされるように強く要望いたします。関係各大臣協力で、この問題がともかく曲がりなりにも解決するようにしていただきたい。  それから学校給食の問題についても、小麦粉は三月まで据え置き、こういったようなことの措置はとられたようでありますが、現実に個々の学校へ参って調べてみますと、やはり事態はなかなか深刻であります。府中市におきましては、この十一月、給食の諸費用の高騰のために約二二%の値上げをいたしました。また給食用の重油についても、一月までは確保できているけれども、それから以降はいまのところ全くやみである、こういうことが報告されておるのであります。また、日野市におきましては九月に値上げをしたばかりでありますけれども、この物価の高騰の中でカロリーがどんどん落ちていく、そして年度内はともかく、来年四月以降は全くお先まっ暗だというのが学校給食の現状であります。  暖房にいたしましても、これは都市ガス等を使っているところは非常にいいのでありますけれども、たとえば日野市について見ますと、暖房用の重油が値上がりで非常に苦労をいたしております。  また、用紙の問題についても、業者の理解によって確保していると申されましたけれども、実際に使っておる日野市の例を一つだけ申し上げますと、トイレットペーパーが約三倍の値上がり、ざら紙が三倍、画用紙その他は五倍からはなはだしいものは十倍の値上がりになっておる。一応各市町村が学用品としての用紙等については年度内を一括買っておりますので、三月まではほぼめどがついておりますが、それも途中で契約を変更して、さらに値上げをしてやらなければ品物が入らない、こういう状態が出ておるのであります。  したがいまして、もう一ぺん総括的に申しますと、いま関係各大臣、政務次官からの言明は、そのようにぜひ実現に努力していただかなければなりませんけれども、現実にはいま報告申し上げたような状態であることを銘記されまして万全を期していただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  476. 平林剛

    ○平林委員長 明十六日午前十時から連合審査会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後八時六分散会