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1974-05-17 第72回国会 衆議院 商工委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    越智 通雄君       粕谷  茂君    片岡 清一君       木部 佳昭君    小山 省二君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       島村 一郎君    田中 榮一君       田中  覚君    楢橋  進君       丹羽喬四郎君    橋口  隆君       八田 貞義君    前田治一郎君       松永  光君    宮崎 茂一君       岡田 哲児君    加藤 清二君       上坂  昇君    佐野  進君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁次長 小山  実君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     楢橋  進君   浦野 幸男君     宮崎 茂一君   小山 省二君     片岡 清一君   島村 一郎君     田中  覚君   加藤 清政君     岩垂寿喜男君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     小山 省二君   田中  覚君     島村 一郎君   楢橋  進君     稲村 利幸君   宮崎 茂一君     浦野 幸男君   岩垂寿喜男君     加藤 清政君     ――――――――――――― 五月十六日  長井市の特別豪雪地帯指定に関する陳情書  (第五七三号)  九州電力株式会社電力料金値上げ反対に関す  る陳情書(第五七  四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣にお尋ねをしますが、この電気料金値上げは、通産大臣は五月の中旬から下旬にかけて認可をする方針であるということを明らかにされたこともあるわけですが、また新聞の報道によりますと来月だというようにも伝えられている等々で明らかではないわけですが、もう経済企画庁に持ち込んでおるというようなことも間違いないようでありますから、大体何日ごろ認可をしようという御方針なのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま関係各省といろいろ審議を進めておりますが、現在の段階におきましては、二十一日の企画庁の物価政策に関する協議会懇談会があったあと、物価関係閣僚協を開きまして、二十一日に決定したいと思っております。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 値上げ幅ですが、申請の一〇%カットということが常識みたいにいわれていたわけですが、通産省としては五五%から五六%平均値上げ幅考えている。ところが、けさの新聞の報ずるところによりますと、平均五六・七%前後に九電力値上げは首相が了承をしたというように報じているわけですが、どの程度値上げ幅になるんでしょうか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 申請平均して六二・八九%になりますが、査定をいま一生懸命やっておりまして、査定段階におきましては、春闘ベースアップかなり大幅に上がったとか、そのほかの諸般事情もあり、また一面においては円レートのかげんで削減する要素もあり、いろいろいま加除削減をやっておりまして、最後の詰めをやっておる段階でございまして、いま幾らになるというところまでここで御報告申し上げる段階まで熟しておりません。関係各省、特に経済企画庁との間におきまして最終的な詰めをやっているという段階でございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 それから、これは大臣考え方として明らかにされたところだったのですが、値上げは一斉に値上げをするということにしなければなるまいが、その実施時期をずらしていきたいというような意向を明らかにされたわけですね。その御方針はいまも変わっていないのか、その点を一応伺っておきましょう。     〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 実施時期につきましては、当委員会におきまして緊要度に応じて時期的に差を設けたい、そういう構想も申し上げましたが、いろいろ査定をいたしました結果、かなりの赤字が各社に出てきているということが判明いたしましたので、これは同時実施ということにいたしたいと思っております。ただその場合には、値上げ率というものについてはかなりの格差を設けてありまして、その会社の経理の実態に応じて適切な原価計算等に基づく処置をしていくつもりでおります。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 以上、私が質問し、答弁したことに対しましては、同僚板川委員から資料をもって時間をかけて質疑をする、こういうことになっておりますので、そのおつもりでひとつお答えをいただきたい。  それから、値上げ認めるということになってまいりますと、また石油値上げがあったらば再値上げになるということであってはならない、こう思うわけでありますが、今回の認可長期安定料金ということになるのかどうか、その点いかがでしょう。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これからの変動要因といたしましては、燃料代に変化がありやいなや、特に石油及び石炭の代金、そういう問題、それから来年における春闘ベースアップ状況はどういうふうになるか、それからことしの下半期等における物価の形勢がどういうふうになるかというような点がやはり変動要因であると思います。もう一つは、為替関係がございます。それらの変動要因が大きく変わらないという場合には、現在、これから決定されるであろうとする価格で、できるだけ長い期間にわたってそれを維持していきたい、そういう考え方に立脚しております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 一昨日でしたか、先ほど大臣お答えになりましたように物価政策会議が開かれた。その際に、加藤電気事業連合会会長をはじめといたしまして、関係会社社長クラスが数人出席をされたようです。その際に、石油の再値上げがあったとしても料金の再値上げ申請することはないとはっきり言い切っているわけですね。そのことは、石油だけではなくて為替変動の問題はすでに織り込み済みでの答弁であったのだろうと思うのでありますけれども、いまの大臣お答えですと、できるだけ長期安定料金ということでいきたいというような結論的な答弁でありましたけれども、前提に石油値上げの問題とか為替変動の問題とかというのをおあげになったわけですが、業者ですら物価会議できっぱりそのことを言明をしているわけですから、やはり今回値上げをある程度認めるといたしましても、それは長期安定料金であるというようなことで、そう簡単に三年や五年では——電気の場合、十年以内に値上げということは、今回の関電と四国を除いてはかってなかったわけですから、むしろ中国でしたか、値下げをしたという経緯すらあるわけですから、十年以内にはもう値上げさせないのだというような長期安定料金でなければいけないのだと思いますが、その点いかがですか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特に著しい変動要因が起こらない限り、新しくきまるであろう価格で、できるだけ長期にわたって抑制していく考えでおります。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 それからナショナルミニマム範囲をどの程度考えになっていらっしゃいますか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この委員会で私の個人的な考えを申し述べましたが、大体その線に沿いまして百二十キロワットアワーをいわゆるナショナルミニマムとして採用をする考えております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 そうしますと、その範囲料金値上げをしないで据え置くというようなふうには理解できないのでしょうか、いかがですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 旧価格で据え置くということはむずかしいと思いますが、上げる率をできるだけ抑制する、そういう考えに立脚したいと思います。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 当初申請があった当時すら、その範囲についての値上げ率ということも通産省考え方として明らかになっていたぐらいですから、いま据え置きができないとしても、できるだけ低く押えたいというお考え方を明らかにされたわけですから、どの程度で押えていこうということでしょうか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点もいま作業中でございまして、いまのような基本的な考え方において、ほかの省の閣僚とも大体意見が一致しましたものですかち、それに基づいてどういう配分を行なうか、目下作業中でございますので、ちょっとまだ申し上げる段階に至っておりません。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 それから原子力発電耐用年数が十五年から二十年、それに対していままでの実績を見てみると、大体二年間でもって四〇%程度減価償却が行なわれている。そういう実績で進んでまいりますと、五年間でもって一〇〇%の減価償却が終わってしまう。残り十年ないし十五年は全くただになるというようなことになっていく。そのような、大臣もお認めになったような過剰な減価償却というようなものが電気料金値上げ幅をさらに大きくしていくという形になっていくわけですが、大臣もお認めになったところでございますから、査定段階でこの点は是正をされるのかどうか、あるいはその他、同僚委員からもいろいろ問題点として指摘をしてきた点もあったわけですが、水増しを全然認めないのだ、それからそのような不当な経費というようなものの計上を認めないんだというような考え方が貫かれなければならないと思うのでありますが、具体的にあげてまいりましたこの減価償却等に対する考え方等をこの際明らかにしておいてほしいと思います。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点につきましてはわれわれも検討してみました。これは原子力発電に限らず、新しい発明あるいは近代化等の工事を行ない、機械を採用したという場合には特別償却制度法律で設けまして、それによって奨励策も講じておるわけでございます。原子力発電もそういう意味において、法律によりまして特別償却認められる項目に入っておりまして、日本における省資源、省エネルギー、特に石油資源からの脱却という意味から原子力発電を推進する奨励策がいままでとられてきたと思うのであります。そういう要請は今日においてもさらに熾烈になってきていると思います。石油危機の現状を見ますと、そういうことがいわれると思います。ですから、それを全然没却するということはまだ適当ではないと思いますが、法律範囲内におきましてしかるべく措置するように事務当局には命じておきました。詳細は事務当局からお答え申し上げます。
  21. 岸田文武

    岸田政府委員 原子力発電施設償却状況について私ども調べましたところ、大臣から御報告いたしましたように、特別償却及び定率による償却実施した結果がお示しのような数字になった、こういう事情のようでございます。  ただ、私ども査定にあたりましては、別個の見地から定額法をもって算定をするというやり方で処理をしていきたい。この点は御趣旨に沿った措置ではないかと思っております。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 私も、いまお答えになりましたような減価償却制度があることは、これは法律事項でもございましたし、審議をいたしておりますから承知はいたしておるわけですが、しかし原子力発電の場合は、それを越した過剰な減価償却であるということだけは間違いない。ですから査定にあたってはきびしく、不当な減価償却をやって、そうしてこれを建設資金に充てるというようなことは許されてはならない、こう私は思いますから、その点は十分留意をしてほしいと思います。  それから、料金値上げ認可するという形になっていくわけでございますが、大臣が先ほど来お答えになりましたような為替変動であるとか、いろいろな要件というものがまた出てくるということになってくる。物価会議関係社長連中が参りまして、そこではっきりできるだけ今後値上げをしないように長期に安定させるという方向でいきたいということを言明をしているわけですから、それに対しましては当然企業合理化努力というものがなされなければならないというように私は考えるわけですが、通産省としては、企業に対する合理化努力を具体的にどのように進めさせようとお考えになっておりますか。ということは、労働者に対しての合理化ということになってまいりますと、労働者に対するところの低賃金であるとか、あるいは過剰労働であるとか、労働者にのみ合理化のしわ寄せをしていこうという考え方は、私は適当ではないと思う。いわゆる管理費というものがあまりにも過大に使われているのではないか。それから重役陣なんかにいたしましても、電力会社であるとか、あるいは製鉄関係ほど重役陣がずらっと常勤非常勤——非常勤はこれはたいして、ほとんど常勤であると思うのでありますけれども、そういうような人たちがどうしてこんなに必要であろうかということを感じさせられるぐらいに管理者が多いわけですが、その他いろいろな不必要な、政治献金もその中に加わってまいりましょう。とにかくむだな経費不当、過当な経費というものが使われておるということが言えようと思うのでありますけれども、今後は、通産省姿勢としてまず基本的な考え方大臣からお答えいただきましょうし、具体的な、この合理化努力はこうさせるという点については公益事業部長からお答えをいただいてけっこうでありますから、考え方をお示しいただきたいと思います。
  23. 岸田文武

    岸田政府委員 電気事業は、公共事業としての使命を達成するために従来からも合理化については特に努力を払ってきた次第でございます。従業員一人当たりの販売電力量を見ましても、また送電ロス率熱効率その他の計数を比較いたしましても、まず日本電気事業は世界で一流の水準ではないか、こう思っておるところでございます。今後ともその努力を一そう続けるように私ども指導してまいりたいと思っております。その際、人件費あるいは管理費等見方について御意見がございましたが、私どもは必要な人件費は見る、しかし少しでもむだな人間がないように、その辺については十分目を光らせていきたい、こう思っておりますし、管理部門につきましては、今回の査定におきましても特に意を用いて査定を行なった次第でございます。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 どうですか、大臣。基本的な点については。地域独占企業姿勢の問題でもあるわけです。
  25. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公益事業でございますから、しかも政府認可するという料金体系でございますから、われわれとしては諸般の分野にわたりましてきびしく査定を行ないまして、国民皆さま方の負担をできるだけ下げるように今回もいろいろ目配りをさせ、また将来におきましてもそういう態度実施してまいりたいと思います。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 それから一昨日の物価安定会議意見書として、基幹設備などに対する低利な財政投融資を拡充するなど、国の助成措置を強めることを求めているわけですね。この長期安定料金とするために政府としてはどのような施策を今後進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、その点はいかがでしょう。
  27. 岸田文武

    岸田政府委員 今後いろいろ経済情勢が変化してまいりまして、かりに外からの要因でいろいろコストアップ要因が出てまいりましても、それを吸収する合理化努力というものがこれにまさるということであれば長期安定が可能になるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような料金改定問題が出てきたのを機会にさらに一そうの合理化面での指導を強めてま  いりたいと思っております。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 それから、電力料金値上げというのが他の物資あるいはサービス便乗値上げという誘因になることは避けられないと思うのですが、そういうことになってまいりますと、これはたいへんなことになると私は考える。ですから、そうした他の物資であるとか、あるいはサービス料金にはね返らせないために、具体的に今後どのように措置しようとお考えになっていらっしゃいますか。
  29. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点はわれわれも一番腐心しておる点でございまして、先般の石油値上げに際しては諸般物資目張りを行ないまして物価の騰貴を防いだわけでございます。今回もその目張りをそのまま継続しておりまして、電気料金が不当にはね返らないようにいろいろ努力をしてまいるつもりでございます。また、かりにいろいろな情勢で将来値上げがやむを得ないというようなものが起こった場合においても、それは正当な料金反映でなければならない、それ以上の便乗は許さない、そういうような考えに立って審査をしなければならぬと思っております。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 その正当な値上げでなければならない——石油製品値上げが行なわれた、また追っかけて電力料金が上がった、この際上げなければというような、その必要もないのに上げるということが不当な便乗値上げという形になってまいりましょうが、いま大臣お答えになった正当な値上げ、これがたいへんむずかしいところであろうと思うのですが、それじゃその正当であるかどうかということは、これはそのときになってから何か取り組んでいくというような形になってまいりましても、これは場当たりであってどうにもならない。だから行政指導価格なんというようなものが高位安定というような批判が起こるような結果になったということも場当たり主義の結果であるということは、これは指摘できると私は思う。いままでの実績の反省の上から、いま大臣お答えになった正当な値上げ以外は認められないのだというその正当性を明らかにするための努力ということを今後どのように進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、その点はいかがでしょう。
  31. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電気料金がかりに将来上がった場合に、それ等の理由に基づいて値上げ申請がそれらの特定物資に来た場合には、われわれはその原価を厳密に検査をしてみまして、電気料金というものはどういうふうに扱われているか、またそれによって便乗的な要素は含まれていないか、そういう点を厳密に査定して審査しなければならない、そういうように思っております。特に電力代を一番食うアルミであるとかあるいは鉄であるとか、そういうようなものにつきましてはよほどそういう点を精査してみる必要がある、そう思っております。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、大臣先ほどお答えになりました鉄の問題との関連が出てくるわけですが、基礎物資価格凍結をやっておられるわけですね。これは石油値上げ行政指導という形でおやりになったわけです。ところが、今度電力料金が上がってくるということになってまいりますと、もうがまんができないというような動き等が出てくるのではないかということが心配されるわけですが、この基礎物資価格凍結は今後とも解除することなく進めていこうとするお考え方なのかどうか、その点いかがでしょう。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 諸般物資についてわれわれはいままでどおりできるだけ抑制する、目張りを簡単にはずさない、そういうことを堅持していく考え方に立っております。しかし、鉄鋼のような場合については、鉄鉱石原料代、それから粘結炭そのほか石炭値上げあるいはフレートの値上げというようなものがすでに先行しておって、そういう面から非常にきついという悲鳴をわれわれは聞いておりますけれども、しかし鉄の場合は国民生活全般かなり大きな影響を与えるものでありますから、これはできるだけ自重願っていままで努力してきたところでございます。今後の問題につきましてもできるだけそういう態度を堅持してまいりたいと思いますが、具体的なケースにつきましてはもう少し内容等を精査してみて、今度の電力の問題の決定の結果がどういう影響を及ぼすかという点も、もう一回あらためて検査し直してみて考えてみたいと思っております。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 それでは検討してみて、その考え方がまとまるまでは基礎物資価格凍結の解除はやらないというように理解をしてよろしゅうございますね。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 かりに電力が上がったといたしましても、それらの反映がどういうふうに行なわれるかということを精査しない限りは、われわれは簡単にそう認めるものではございません。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 それから物価安定会議の中でも指摘されているところですが、私どもつとに口がすっぱくなるぐらいに言ってきたわけですが、電気ガス税の撤廃、これは当然やらなければならない。地方自治体に対する影響というものは他の方法をもってこれをカバーしていくというようなことでなければならないと思いますが、この点は直接的には大臣の所管ではございませんけれども、たいへん大きな政治問題でもあるわけでありますから、大臣の見解はどうであろうか。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は全く同感でございまして、われわれの努力の不足を申しわけなく思っておる次第でございます。来年度の予算の編成等にあたりましても、これを撤廃する方向で全力を尽くしてみたいと思います。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 四月下旬の原油輸入価格は十一ドル台に乗るのではないかと伝えられているわけでございますが、見通しはいかがでしょう。
  39. 山形栄治

    山形政府委員 三月の通関統計、これは全油種平均でございますが、ちょっと手元に資料を持っておりませんが、たしか十一ドル三十ぐらいであったと思うわけでございます。  今後の価格の推移につきましては、非常に流動的な要因が多いわけでございまして、一部にはバイバック価格が下がって、その結果によって原油価格も下がる傾向にあるのではないかという見方と、それからもう一つは、一部の産油国におきましてむしろ上げるという動きも現実にあるわけでございまして、両方の要素がからみ合っているわけでございますが、現時点におきまして四月の通関がまだ明確でございませんので、四月がどのぐらいであるか推定はむずかしいわけでございます。おそらく先生のいまお話しのとおり十一ドルはこえるんではないかと私は考えております。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 いまのお答えですと、十一ドルはこえるのではないか、どこまで上がるかわからない、下がるというような見通しもある、こういうことですが、十一ドル台になったならば定着をするという、そういう見通しは立ちませんか。     〔稻村(佐)委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 山形栄治

    山形政府委員 いまお答え申し上げましたように、十一ドルで今後もこれが非常に長期にわたって定着するということは私は断言できないのではないかと思います。むしろ一部には、これは下がる傾向があり得るんではないかとすら言われておるわけでございますので、その辺は最近の期近の動き及びもうちょっと中期の動き、特にOAPEC、OPECの六月中旬に行なわれます種々の会合がございますが、その辺の動きもあわせて当面注視をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 あなたまかせということであってはならない。メジャーとの関係というものがあるわけですから、政府としては十ドル原油というくらいで定着をさせるんだというかまえでメジャーに対応していくというようなことでなければならない。これは自分の資源を持っていないんだから、向こうさんまかせだからやむを得ないというような手放しのことであってはどうにもならぬことだと私は思います。  そこでLPGの輸入価格ですが、これまた新聞の報道によりますと五五%アップで合意をしたと報ぜられているのですが、これは事実ですか。
  43. 山形栄治

    山形政府委員 LPGは、先生御存じのとおり、全需要量の半分が輸入ものでございます。これはまことに不幸なことに輸入先が中近東地域のものが大部分でございます。これにつきましては、やはり製品でございますので、上昇アップ率は原油価格上昇分よりは高いかっこうで、従来からも先行して通告がなされておるわけでございます。現時点におきましては、中近東のLPGを大体メジャーが取り扱っておりますけれども、各社から現在平均で大体トン七十ドルぐらいのものが百十ドル、高いものは百二十ドルというかっこうでの通告が来ておりますことは事実でございます。ただし、われわれといたしましては、この輸入先に対しまして、これをそのまますんなりとのむのではなく、ネゴシエーションをやって少しでも価格のアップ率を下げるべきであるということを現在指導中でございます。現時点におきまして、日本のLPGの輸入業者が完全に契約を取りかわしたという情報は入っておりません。一方、中近東諸国及びメジャーの傾向が非常に強い動きでこちらに迫っておることも事実でございますが、現時点におきましては確定ということに相なっておりません。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、凍結されておるこのLPガスの元売り価格を解除するということはありませんね。
  45. 山形栄治

    山形政府委員 三月のたしか十六日でございましたか、新しい価格体系が発足したわけでございますが、その場合の決定事項の内容におきまして、今後原油価格、製品価格及び為替のレート、ここに著しい変更があったときにはこれを見直すという考え方が設定されておるわけでございます。したがいまして、LPGの輸入価格につきまして著しい変更が確定し、これをどうしても実施せざるを得ないという場合におきましては、その観点からの配慮というものは私はあり得るのではないかと思いますが、いま申し上げましたように、現時点におきましてはまだその価格が決定しておりませんので、いま直ちにいわゆる十キログラム千三百円という標準価格を改定するという考えはございません。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 七十ドルから百十ドルの値上げに合意をしたということが伝えられているということは私は申し上げた。情報はあるんだけれども、確定をしたというようには聞いていない。そうすると、この七十ドルから百十ドルに五五%程度値上げをしたというようなことが事実だとするならば、先ほどお答えになりましたような点等からして、この凍結されたLPガスの元売り価格を上げざるを得ないという結果になるという見通しでございますか。
  47. 山形栄治

    山形政府委員 現在価格がどのくらいにアップするか、その辺はいま非常に引き下げの努力をしておる段階でございますので、その成果も見ながら考えたいと思いますが、まあLPGというのは、先生御存じのとおり非常に多数の国民関係するものでございます。できる限りこれを低位に押えるというのが政策の基調であろうかと思うわけで  ございます。輸入価格のアップと業界の合理化努力、流通段階における節約努力、この辺の要素を加味いたしまして輸入価格の確定が現実化したときに慎重に考えてまいりたいと思うわけでございます。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのとおりでなければならないと思うのでございます。ただし書きがついておったからといって安易に凍結を解除するということであってはならないということを私は申し上げておきたいと思います。同時に、若干引き上げをするといたしましても、そのことが末端価格の十キロ千三百円に影響されてはならないと思いますが、その点はいかがでございましょう。
  49. 山形栄治

    山形政府委員 御説のことは非常によくわかるわけでございまして、LPの輸入価格、元売りの出し値、卸の出し値、それから小売りと、こうなるわけでございまして、その辺の流通段階のいわゆるマージンといいますか、その辺の適正なあり方も含めまして検討してまいりたいと思います。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 もう少し歯切れのいいお答えを実はしていただきたいのです。ということは長官、LPGは昨年十月に三十円上げたのですね。それから十二月でもって七十円上げたのですよ。一月でもって八十円上げて、百八十円の元売り価格値上げにすぎない。にもかかわらず小売り価格というのは、あるところによっては七百円も上がり、あるところによっては三百円程度もの値上げをするといったように、元売り価格の引き上げよりも末端価格の引き上げがずっと幅が大きいわけですね。前の価格が、何といいますか小売り業者のマージンというようなものが適当であったかどうかという是非についての議論はあろうと私は思いますけれども便乗値上げが行なわれたということだけは、先取り値上げというのか便乗値上げというのか、それが行なわれたことだけは間違いない。しかも指摘をいたしましたように、元売り価格の引き上げ幅よりもずっと末端価格の引き上げ幅が大きかったということも事実であるということであります。したがって、若干元売り価格が今度上がるといたしましても、それを自動的に末端価格の引き上げということにつないではならないと私は思います。その点は明確にしておいていただきたいと思う。
  51. 山形栄治

    山形政府委員 これは今後の問題でございますが、基本的な考え方といたしまして、いま先生のお話のとおり、いわゆる輸入価格が上がった分をそのまま小売り価格にストレートに反映するということでなく、やはり流通段階合理化要素を加味いたしまして検討をいたしたい、そういう方向で検討いたしたいと思うわけでございます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 それから山下通産事務次官がこの灯油の値上げについて示唆しているようですが、この点はいかがですか。
  53. 山形栄治

    山形政府委員 灯油につきましては、これは先ほども申し上げました三月十八日か十六日かちょっと忘れまして恐縮でございますが、新価格体系移行の際に、今需要期に限り現在の三百八十円の標準価格を堅持するということが明確になされておるわけでございます。灯油というのは、先刻御存じのとおり、春先に需要が落ちまして秋口から非常に急激に需要がふえるわけでございますが、六月、七月ぐらいからいわゆる積み増しを行ないまして、各地の貯油場にこれを貯蔵しまして、それで円滑なる需要期の需要に対しまして対応するというのが一つの大きなねらいでございます。  ちなみに、昨年のいまごろはちょうど二百万キロリットルぐらいの備蓄であったものを九月末までにたしか五百五十万キロリットルまで積み上げまして、そこで行政指導価格を設定した経緯があるわけでございますが、ことしの需要期に対しましても一番大事なことは、適正なる価格を設定して在庫の積み増しを全国的に行なうというのが私は最大の問題だと思います。価格間、油種間の価格のアンバランスの前提がございますと、どうしても大幅な在庫の積み増しというのは非常にむずかしい問題でございます。山下次官がどういうことをおっしゃったか、私つまびらかにいたしませんが、現在通産省内部におきまして本年度の灯油についてどういう態度で臨むのか。これはしかし国民の最も関心の深い油種でございますので、国民生活の確保という観点と、それから数量的に備蓄を積み増ししていささかも供給不安が起こらないようにするという目的と、その辺の両方の要点を加味いたしました場合に、いつどういうことをどの程度に行なうのがいいのか、これは省内でいま日夜検討しておる段階でございまして、まだ通産省としましてはその辺の決定を見ていないのが実情でございます。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 トイレットペーパーは品物がだぶついて標準価格を割って売られているということから、将来ともに品薄になることはあり得ないというので今度標準価格をはずすという方針を決定されたようですが、プロパンの場合と灯油の場合は事情が違うのですね。いまのお答え、あるいは山下次官の考え方というものが報ぜられているところでは、若干上げなければならぬような形に追い込まれるのではないかな、そういう考え方もあるのではないかなという印象をいま受けたわけです。同時に標準価格をはずすといったようなこと等もいろいろ伝えられているわけですが、トイレットペーパーの場合とは事情が違うわけですが、この灯油並びにLPGについて標準価格をはずすのかはずさないのか、その点についてはいかがでございましょうか。
  55. 山形栄治

    山形政府委員 LPGにつきましては、先ほど答弁いたしましたように、まだいわゆる輸入の価格が確定いたしておりませんので、その辺の実態を踏まえながら今後検討することに相なろうかと思うわけでございますが、灯油につきましては、いまお話しいたしましたように、すでに現在の家庭用の灯油の元売り価格が一万二千八百九十八円ということで凍結されておるわけでございます。一方、原油がすでに二万円という段階に入っておりまして、著しい逆ざやに相なっておるわけでございます。かつ、この元売りの一万二千八百九十八円に見合います工業用灯油というのがたしか二万七千五百円に相なっておりまして、家庭用灯油との間においては二倍以上の格差が出ておるわけでございます。また、灯油よりは若干性能の落ちます軽油及びA重油が二万五千五百円ぐらいに相なっておりまして、家庭用灯油というのはそれのまた半分ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、こういう価格のアンバランスがある限りにおきまして、備蓄をふやすということは非常にむずかしい問題だと思うわけでございまして、私の個人的な見解も含めまして、いま灯油につきましては現在の需要期の経過とともに一回標準価格をはずしまして、新しい家庭用灯油の体系というものを先ほど申し上げましたような国民生活の保持と備蓄の増強と供給の確保という三つの観点を加味して新しい形でつくりあげるというのが大事なことだと思うわけでございまして、そういう意味におきましては、現在の標準価格体系というのは、灯油につきましては改定するのが妥当であろうかと思います。ただ改定をいつ、どういうかっこうでどのぐらいやるかということにつきましては、いま省内で検討いたしておりますが、現時点においては成案を得ておるわけではございません。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、標準価格をはずすということになってまいりますと、また行政指導価格という形でやるということになるわけですか。その点、いかがですか。
  57. 山形栄治

    山形政府委員 この辺につきましてはちょっとことばが足りなかったわけでございますが、これを新しい標準価格という形でやるのか、いわゆる暫定的指導価格ということでやるのか、それともいわゆる指導価格ということでやるのか、その辺の形につきましてもいま決定をいたしておりません。これはこういう最も流動的な段階のときに、この秋口からの灯油というものが全国、これは全部で千七百万世帯に関係する問題でございますので、価格問題も非常に大事でございますけれども、これの円滑なる供給がどうやってはかられるか、そのための価格体系がどういうことであるかということにかかわる問題でございますので、その辺の形につきましてどういうのが一番いいのか、その辺も含めていま検討いたしておるわけでございます。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 山下次官が家庭用灯油の元売り価格引き上げの方向、標準価格もはずす、こう言明したのかどうか、ともかく新聞に報ぜられていることだけはあなたもお読みになったんでしょうが、これは事実であります。根拠のないような報道はないであろうというように私は思うのです。結論は出ていないとおっしゃったのだが、そういう方向で省内において議論されていることも間違いないのではないかというように思いますが、この問題は非常に重要な問題ですから、長官よりも大臣から伺いましょう。どういう方向でやるべきだというようにお考えでしょうか。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま一番頭の痛い問題をおつきになりまして、私も四苦八苦しておるのが実情でございます。しかし、私の考えでは、やはり秋になって不足が起きないように量は十分確保しておく、そういうことがまず第一である、それから価格はできるだけ抑制する、この二つの原則をできるだけ同時に達成する、そういう方向でこの問題を処理しなければならぬ、そう思っております。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 いまのお答えは当然なことでございますが、若干頭の痛い問題だから抽象的にお答えになったんでしょうが、標準価格をはずすのか、はずさないのか。また長官からも、暫定的な行政指導価格でいかざるを得ないのではないかといったようなお答えもあったわけですが、好ましい方向としてはどうあるべきだとお考えになっていらっしゃいましょうか。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 灯油やプロパンの量及び値段の問題は、国民生活にびんびん響いてくる非常に重要な問題でございまして、いわば消費者米価と同じぐらい重要な問題であると私は心得ております。しかし、食管会計のような国の会計で操作できる問題ではないのでありまして、民間会社にやらせている問題でありますから、そういう経理上の問題も考えざるを得ない。そこに非常に苦しい問題があるわけでございます。しかし、何といっても大事なことは量を確保することである。秋になって灯油不足が起きたり、また心理的パニックが起こるようなことは絶対回避しなければならぬ。それは通産省が責任を持つ必要がある、そういうわけでありますから、まず量を確保する、それから値段をできるだけ抑制する、そういう原則を達成するにはどういうやり方がいいか、標準価格行政指導、そういう問題も含めまして最善の方策をとれるように、いま省内において知恵を集めて相談しているという状況で、もう少し御猶予をお願いいたしたいと思います。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 少なくとも次官がこの標準価格をはずすということを意向として漏らしたということだけは間違いないんであろう、こう思うわけですよ。そうすると、ちょうど前のように、一応行政指導価格をきめて標準価格にしたところが、この標準価格ということになってくると計算根拠というものは非常にむずかしくなるから、とりあえずまた暫定的な行政指導価格というようなパターンでいかざるを得ないのではないかという考え方も、大臣あるのではございませんか。ざっくばらんにお話しになったらいかがでございますか。
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 次官は、現在の石油価格体系の中における矛盾、問題点を明らかにしたのだと思います。そういう実態であるということを国民の皆さまにお知らせすることは必要であると思っております。そこで、これをどういう形でやるかということになりますと、現在の石油価格体系は当分堅持する考え方でおります。その堅持する価格体系の中で灯油というものをどういうふうに位置づけるかという問題点であると考えます。私は、灯油のようなものはできるだけ標準価格という考え方でいくことが望ましいと思っております。行政指導価格という考え方も暫定的には認められますけれども、やはり安定性を持たせるためには標準価格という考え方が適切である、そう考えておりまして、もし行なう場合には標準価格という考え方で私はいきたいと思っております。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 そうあるべきだと思います。私は、少なくとも公正取引委員会とのそういう方向の合意というものが、今後の行政指導価格はあくまで暫定的である、標準価格でいくべきであるということで一応の休戦というのか合意に達しているのではないかと思います。     〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕 また、標準価格をおきめになる場合に、単に行政指導価格でやってそれを引き直してくるというような安易なことであってはならない、少なくとも法に示しておるようなきびしい査定の上に立った価格決定がなさるべきであるということを私は申し上げておきたいと思います。  大臣も御記憶のとおり、私も指摘をしたことがございますが、ともかく石油二法を早く成立をさせてくれ、これなくしては価格の安定はあり得ないのだ、また需要供給を円滑に進めていくこともできないのだというような強い要請によって、私どもは日曜祭日、昼夜を問わずやったという経過も実はあるわけでありますから、その点は十分尊重していく、そして権威あるものにしていくという方向で対処していただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  時間の関係もございますので、あと一、二問で終わりますが、中小企業の環境というものが非常に深刻になってまいりました。倒産も一千件に達するというようなことになってきたわけですが、この中小企業に対する救済融資というのはどの程度に、そしていつごろおきめになろうとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  65. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中小企業につきましては、最近は繊維、自動車関係、それから建設関係に非常に大きな圧力がきております。特に繊維については憂慮しております。  そこで、年度末には五百五億円の特別の増ワクをお願いいたしましたが、第一・四半期におきましては五千五百億円のワクを設定し、さらに第二・四半期からの繰り上げをいま努力しておりますが、千五百億から二千億の間ぐらいの金額を繰り上げてさらに増ワクをする、そういう努力をしております。  そのほかに繊維等につきまして、いわゆる中堅企業といわれるものについては銀行融資を個別的に、ケース・バイ・ケースに応じて融資してもらえるように銀行局とも話をし、銀行にもそういう趣旨の指導を行なっておるところでございます。なお、そのほか一般の銀行、都市銀行等については約三千二百億円ばかりの金を中小企業に向けて融資してくれるように、これもケース・バイ・ケースで大蔵省を通じましてその話は成立しておるわけでございます。  以上のような諸措置を現在実施しておるのが現状でございます。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 大臣も御承知になっていらっしゃると思いますが、地方銀行であるとかあるいは相互銀行、信用金庫は、預金の伸び悩みということで日銀の貸し出しワクも消化できないという状態であるようであります。したがいまして、よほど強い決意と指導性をもって対処していくのでなければ、ただ大蔵省を通じて民間の中小企業関係の金融機関に要請をするということだけでは、この金融の問題は解決をしないというように私は思います。同時に、いま計画の五千五百億に対してプラス二千三百億を通産省、中小企業庁は決定をして、そして大蔵省と折衝しているが、大蔵省が難色を示している。したがって、まだ決定に至っていないということが報ぜられているわけでございますが、そういう深刻な事態にあるわけでありますから、政府関係金融機関に対するプラス二千三百億はぜひ確保する、そして一日も早くこれを決定するという方向でなければならないと思います。この際、いま一度通産大臣の今後の見通しと決意についてお聞かせをいただきたいと思います。
  67. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 二千三百億円で交渉してきたのでございますが、今日の時点においては千六百億円まではたどりついたわけです。さらにそれを二千億円のそばまで持っていきたいと思って努力さしておりますが、大蔵省はこの点なかなか頑強でございまして、ほぼ戦闘終了に近いという状態で、しかしまだしっかりやれと言って努力さしているというのが現状です。ただし、この実態の情勢によってはさらに事態に即して特別の措置考えよう、そういうことで事態の推移を見守りながら、あらためてその場合には相談を持ちかけて、先方も協力してくれる、そういう話にしてあります。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになりましたような、ひとつ積極的な意欲的なことで対処していただきたいということを要請いたしておきます。  これで終わります。
  69. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)委員長代理 板川正吾君。
  70. 板川正吾

    板川委員 電気料金値上げ問題だけにしぼって質問いたしたいと思います。  初めに申し上げておきたいのですが、私どもの主張は、物価暴騰の責任は政府にある、政府は、当面政府がコントロールできる公共料金値上げを抑制して狂乱物価を安定させよ、したがって、われわれは公共料金値上げには反対である、こういう立場をとるものであることを冒頭に申し上げておきます。  しかし一面、われわれは公共料金を改定しようとする場合には企業経理を公開をして国民の納得を得べし、こう主張しておりますので、本日は、電力会社が提出をしました今回の料金値上げ資料を分析をして、問題点を指摘しつつ、政府の見解を伺うことにいたしたいと思います。  その前にまず、これは事務当局でもけっこうでありますが、各地で行なわれました公聴会における賛成意見は問題ありませんが、反対意見の代表的なものはどういう点であったか、この点を答弁願いたい。
  71. 岸田文武

    岸田政府委員 反対意見のおもなものを御披露申し上げますと、電力料金値上げすることによって関連物資物価引き上げを招くのではないか、そういった意味から反対であるという意見であるとか、また今回の申請の内容にはいろいろな点でもっときびしい査定を行ない得る余地があるのではないか、電力会社自身の一そうの努力を望む、こういった点がおもな意見であったかと思っております。
  72. 板川正吾

    板川委員 この公聴会の意見というものを通産大臣は尊重される方針でありますか。どこでもそうでありますが、公聴会が形式的に流れて、実質的に国民の声を吸い上げないという不満があるわけであります。公聴会に出された、いまは二点でありますが、そのほかずいぶんあると思います。取りまとめて大臣にはたぶん報告になっていると思うのですが、この公聴会の意見というのを尊重する意思があるのかどうか、伺っておきます。
  73. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん尊重しなければならぬと思います。いろいろ公聴会で御発言なすった内容を分析点検いたしまして、そういうような考え方一つの重要な参考資料としつつ査定をする、そういう考えに立って査定をさせておるところでございます。端的に申せば、できるだけ上昇を抑制せよ、それからナショナルミニマムを上げよ、長期安定させよ等々の御議論が有力であったと思いまして、そういう点については十分考えを払って実行していきたいと思っております。
  74. 板川正吾

    板川委員 電力会社法律的に地域独占というのが許されておる。さらに、企業には法律をもって適正利潤というのが保証されております。それだけに私は企業の社会的責任といいますか、企業の倫理性というのはみずからきびしく律せられなければならないと思います。この地域独占が許される、適正利潤も法律でこれを認める、こういう立場だけに、この料金値上げの場合には、政府国民の立場、特に公聴会に反対をされた人々の立場というものを尊重して厳密な審査を行なって結論を出すべきだ、こう思うのです。ところが当初、四月四日ですか、この値上げの書類が出されたならば、すでに五月の下旬にはこれを決定していく、まだ審査を開始しないうちに、また国民意見を聞かないうちに結論をもう予定しているというのは、私は通産省態度としてまことにけげんな態度であったと思うのです。     〔稻村(佐)委員長代理退席、委員長着席〕  先ほどもちょっと触れられたようでありますが、きょうの新聞、ニュース等によりますと、平均六三%の値上げ申請に対して五七%程度、総理も了承をされた、こういうようなニュースがございますが、これは決定されておるのですか。
  75. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目下関係各省において最後の詰めをやっておるという段階でございます。
  76. 板川正吾

    板川委員 経企庁に伺いますが、この電気料金値上げが行なわれた場合に、国民生活やわが国の経済にいかなる影響があるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  77. 有松晃

    ○有松政府委員 お答え申し上げます。  消費者物価並びに卸売り物価への直接の影響についてお答え申し上げますが、電力料金がかりに申請どおり引き上げられたとした場合に、消費者物価に対しておおむね〇・六%程度、卸売り物価に対して一%程度影響が出るというふうに考えております。
  78. 板川正吾

    板川委員 数字の上ではあるいはそういうことになり得るかもしれません。消費者物価に対して一・八%という説もございます。数字の上ではそうなるかもしれませんが、心理的な波及効果、こういう点をどういうふうに見ておられますか。
  79. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 御指摘のとおり、心理的波及効果については、特に公共料金の引き上げということでございまして、相当懸念されるものがあるかと思いますが、先ほど通産大臣から御答弁ございましたが、いやしくもそれに籍口した便乗値上げのないような十分な対策をわれわれとしてはとってまいりたいと考えておるところでございます。
  80. 板川正吾

    板川委員 それはいずれ実態が明らかになると思いますから先へ行きますが、今度の料金体系について、通産省は福祉型の料金体系、省エネルギー型の体系、二つの特徴を持った料金体系だとたいへん自慢をされておるわけでありますが、一体福祉型の料金体系というのはどういうところにその理由がありますか、説明してもらいたいと思います。どこが福祉型の料金体系であるか、この点を伺います。
  81. 岸田文武

    岸田政府委員 今回の電気料金制度の改正におきまして、福祉型といわれる点は、いわゆる三段階料金制を採用いたしまして、ナショナルミニマムについて平均コストよりも安い料金を設定するという道を開いた点に特徴を見出すことができるかと思います。
  82. 板川正吾

    板川委員 大臣、ちょっとお伺いしますが、私の資料の一九ページを見てもらえば出ておりますが、各国の電気料金のいわゆる灯力比較、電灯料と電力料との比較というのをここに書いてありますが、日本は工業用、産業用に対して家庭用が二・三倍になっておる。諸外国は大体一・五、六倍だということであり、イギリスのごときはほとんど変わらないで一・一倍ということになっております。ほとんど産業用と家庭用という電気料金の差がない。日本が一番高い。この高かったものを今度も値上げの率は三六%ですか、値上げ率は多少低いかもしれませんが、しかし若干詰めたといっても、これは過去の諸外国の例にそろった程度であって、これをもって福祉型料金体系なんといって自慢する性質のものじゃないと私は思いますね。いままでがあまりにも高過ぎたのですよ。産業用に対して家庭用電力を二・三倍も取っておって、それが一・七倍近くに是正されたからといって、それで福祉型料金体系などというのは、羊頭を掲げて狗肉を売る、あるいは公正取引委員会じゃないけれども誇大宣伝の中に入るのじゃないかと私は思うのですが、これでどうして福祉型料金体系といえるでしょうか。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のように、いままでは家庭用が割り高でありましたのを今回は国会の皆さんの御議論や世論等にかんがみまして改善をしよう、それで料金審議会等にもいろいろ検討を願って、それを採用もいたしまして、ようやく西洋のビリっこに追いついたということだろうと思います。しかし、これで満足しないで、そういうような心がけをもって今後も努力してまいりたい、そう思っておるわけでございます。
  84. 板川正吾

    板川委員 ほんとうに国民に宣伝したように福祉型の料金体系をとるんだ、こういうのであれば、普通のサラリーマン家族がつつましい生活をしておる電灯の使用料、この程度値上げをしなくても、それでようやく諸外国並みになるのじゃないでしょうか。家庭用料金値上げをすべきじゃないと思いますね。  それと、私ども考え方が一七ページにありますが、身体障害者を持つ家庭、老人家庭、母子家庭、生活保護家庭、こういうものに対しては普通の料金のたとえば半額にする、このくらいのことがあるならまあ福祉型体系に一歩進んだといえると思うのですよ。諸外国と比較をしてあまりにも高かったものをちょっと直した程度で福祉型料金体系だなんていっては、これはほんとうに誇大宣伝に当たると思います。これは新聞にあったし、あるいは大臣のところへも手紙が行ったかもしれませんが、こういうことがいわれておりますね。「拝啓、田中総理大臣閣下殿 電気代が値上げされると、電気マッサージ器や足温器など治療方法をすべて電気に頼っている私ども脳卒中後遺症患者は負担が重くなり、満足な闘病生活ができなくなります。なにとぞ行政の力で割引になるようにしてください」ということで、脳卒中後遺症に悩む全国の人々が総理大臣やあるいは全閣僚に直訴状を出したということが報道されております。私は、こういう人たちの願いを入れて、ただいまも言いましたように、少なくとも身体障害者、老人家庭、母子家庭、生活保護家庭の料金は、ほんとは一般は上げないでおいて、しかしこれは半分ぐらいに割引しても、その金額というのは微々たるものだと思います。これを半額にした場合に年間どのくらいの割引額になると思いますか。推定していただけませんか。
  85. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお示しの恵まれない人々、おそらくその範囲はずいぶんとり方によって差がございましょうと思いますので、ちょっとこの席でどの程度ということは、ちょっと金額で申し上げることができかねる状況でございます。
  86. 板川正吾

    板川委員 私は、おそらく数十億円、まあ百億円ぐらいではないかと腹づもりしておるのでありますが、とにかくそういうものに対して半額にするぐらいな新しい料金体系をつくって初めて私は福祉型といえると思います。  それから今回御承知のように地方税法が改正になって、電気料金の免税点が千円から千二百円まで引き上げられた。しかし、この免税点がその程度の引き上げでは、結局税金が従価税になっておりますから、今度の料金値上げになりますとこの税金が従来より多く課税される。だから、この値上げの率はやや低いけれども税金の額は非常に多くなる。通産省の試算でも六百七十八億だとかいう数字があるんじゃないですか。だから、この税金がどんどん高くなって、その税金は一般家庭の人たちが払うことになります。料金が値上がりするために地方税である電気消費税が大幅に上がるということになる。これは福祉型料金体系と逆行するんじゃないですか。この電気税の七百億円ばかりの取り増しになる点はどういうふうに考えておられるのですか。
  87. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点は、自治省や大蔵省とも相談をいたしまして、結局増税分になるわけでございますから、増税にならぬように、ある程度の調整をしなければならぬ、そういうことで、いまいろいろ審議を進めておるところでございます。
  88. 板川正吾

    板川委員 調整するのはいつからおやりになるのですか。電力料金値上げと一緒ですか。その点を伺っておきます。
  89. 岸田文武

    岸田政府委員 ただいま大蔵省及び自治省には今回の電気料金値上げ申請の内容を報告するとともに、いろいろの試算も提出をいたしております。ただ、私どもまだ最終的に査定の数字が固まっておりませんので、その数字が固まり次第、先方は作業に入るという状況にあるように聞いております。
  90. 板川正吾

    板川委員 これは地方税法の改正になりますね。地方税法は、この国会で、すでに従来免税点が千円であったものを千二百円と二百円引き上げる。ですから、今国会では、いわば一事不再理の原則であるいは出せないんじゃないかなと思うのですが、そうしますと、これは次の国会ということになりますか。
  91. 岸田文武

    岸田政府委員 この問題は、産業政策局のほうで調整をはかっていただいておりますが、聞きますところによりますと、いまのような問題、今国会でやるのか、あるいは次の国会でやるのか、こういったことも含めて検討は行なわれておるようでございます。
  92. 板川正吾

    板川委員 そうすると、その税制改革、免税点の引き上げというものはいまははっきりしていない、こういうことになりますね。そうしますと、結局、これに対して七百億ほど従来より増税になる。通産省でも自治省でもそういう計算をはじいている。だから、福祉型料金体系などといいながら、結局これはそういう税金等も考慮するととてもそんな福祉型だなんていうわけにはいきかねる。  そこで私は、大臣にぜひこれは要望いたしたいのでありますが、この手紙じゃございませんが、身体障害者とか、ほんとうに、それをどこで線を引くかは別としまして、国鉄の割引料金があるように、この大幅な料金値上げを機会に、身体障害者などの人に対する料金割引制度、これをどうしても検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  93. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 社会党の御主張もよく理解でき、合理的であると思うのでございますが、その方法についてわれわれはやはり弱者救済という別の面からこれは手当てをしていただいたら適当ではないか、そういうように思います。
  94. 板川正吾

    板川委員 別の面というとどういうことをお考えなんですか。
  95. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省系統の業務ということから厚生省系統の業務、そういうことで、そちらの面からいろいろな対策を講じていただく、そういうほうが適当ではないかという気がするわけでございます。
  96. 板川正吾

    板川委員 結局、通産省では考慮に入らない、これは一般社会福祉政策のほうでやるべきだ、こう言う。国鉄でも身体障害者に対して割引しているじゃないですか。だから、これは中曽根通産大臣の勇断として、こういう福祉型料金体系をとるとたいへんりっぱなことをおっしゃっておるのですから、わずか百億円かそこそこじゃないかなと私は思いますが、何兆円という値上げの中でわずかなそういう政策、これはあたたかみがあっていいんじゃないかなと思うのですね。これはひとつぜひ重ねて検討を要望いたします。  それからもう一つ、省エネルギー、省資源料金体系、こういわれておりますが、省エネルギー料金体系に変わったという点についての説明を願いたい。どうしてそれが省エネルギーという形になるのか、説明していただきたい。
  97. 岸田文武

    岸田政府委員 これは産業用の分野と家庭用の分野と二つの面にあらわれておるかと思います。産業用の分野につきましては、特に大口電力等を中心といたしまして今後設備を増強し電力の使用量がふえるというときには、今後は一般的に発電コストが増加してまいりますので、こういった増加した発電コストを頭に置いた、より割り高な料金を適用するという道が新たに開かれることになろうかと思っております。また家庭用の場合にも、三段階料金制度を設けました趣旨は、少しでも電気の使い方を合理化し、節約をすることによって電気の料金が少なくて済むという配慮が行ない得るのではないかと思います。
  98. 板川正吾

    板川委員 その精神は今度の料金値上げの中に当然通産省が中間報告に求めたものを指導要領にいたしておりますから、そういうことは組み込まれておるということで省エネルギー料金体系、こうおっしゃっておると思います。  この産業料金を割り高にし、あるいは逓増料金制度というものを採用したから、したがって、エネルギーの消費がそういう面で価格メカニズムを通じて抑制され得る、こういうところに期待しておると思います。しかし、この電力会社が出しました電力消費の伸びというものを見てみますと、実際ちっとも伸びがとまってないじゃないですか。これは大臣、この資料の一二ページに二つの比較があります。それは昨年の四月に通産省が推定した電力消費の伸び、これは電力開発との関連もありますが、伸びが下の欄にあります。これは石油ショックという事態を迎えない前の予想であります。しかし、今回料金改定に出されました需要の伸びというのをどう想定しておるかというと、その差はほとんど違いありません。四十九年は、まあ今回の状況ですから、昨年の想定では一〇・五%、ことしはこれが五・一%になっております。これは料金値上げあるいは石油ショックの後遺症、こういうものがありますから伸び率はとまっておりますが、しかし五十年は、去年の推定が一〇・三%、この値上げ資料によると一〇%、五十一年は、去年の推定が九%、値上げ資料によると九・二%、そして五十二年は、昨年の推定が八・八%、値上げ資料によると一〇%、こういうふうに省エネルギー型料金体系というものをとって価格を引き上げたから価格メカニズムを通じておのずから調整される、省エネルギー型になる、こういう説明でありますが、この電力会社値上げ資料によると全然省エネルギー的な料金体系はとられていない。そういう見通しをとっていない。これはどういうふうにお考えですか。
  99. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは毎年、今後の長期的な電力需要の見通しを策定し、見直しをするという作業を行なっております。今年の見通し作業におきまして今後の電力需要をいかに見るべきかということは、特に昨年秋以来の石油問題を契機としていろいろ真剣な議論が取りかわされました。やはり長期的には電力需要の伸びは、従来想定していた数値よりも減っていくであろうということを基調といたしまして、各種の資料を検討しながらお示しの数字をまとめたわけでございます。これは五十二年なり五十三年なり、少し長い目で見て望ましい経済成長率あるいは鉱工業生産指数あるいは国民消費水準、こういったものを頭に置きながら、これを年次別にどういうふうにはめていくかということを検討して出てきた数字でございまして、特に四十九年の場合には、従来想定しました数値をかなり落ち込んで、現実の姿に適合するような数値になっておるわけでございます。しかし、その反動といたしまして、自後やはりある程度の伸びは全体の姿を維持するために必要であろうということによりまして、五十年以降、四十九年よりは上がっておるということでございます。  なお、全体的な電力需要の伸びにつきまして九電力とその他の電力とを分けてみますと、九電力の場合には五十年以降逐次需要が低下するという積算内容になっております。その他電力につきましては、現在着工中であって五十年及び五十二年に運転開始になるかなり大きな施設がございますので、それらが合成されてお手元にございますような数字になった、こういう経緯でございます。
  100. 板川正吾

    板川委員 いずれにしても、この省エネルギー型料金体系というものは、たいへん打ち出しはりっぱでありますが、しかし実態は省エネルギー的な需要見通しを立てていない。要するに、通産省が省エネルギー型料金体系をとり、電力の需要を価格メカニズムを通じて抑制していこう、こういうことであるならば、もっとこの需要の伸びというのを小さくそろえるべきじゃないか、そういう指導をすべきじゃないのか。この高い需要の伸びを前提に置くということは、それによって資本費なり償却費なりが過大に見積もられていく、こういう前提があるからであります。だから、どんどん従来どおりとにかく伸ばしていくんだ、石油ショックも何もかも越えて、公害問題も飛び越えて、とにかく従来どおり伸びをふやしていく、そのためには資本費なり償却費なりというのが過大に見積もられる、こういういわば値上げ資料の内容になるわけであります。  それで経企庁に伺いますが、経済成長の見通しというのを今後、特に来年度五十年から五十三年、この程度までどういうふうに見ておられるんですか。ことしはどのくらいか、それから今後五年間どのくらいか、その見通しをちょっと説明していただきたい。
  101. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生御承知でもございましょうが、私どもは目下、経済社会基本計画のいわゆるフォローアップ、こういうものの作業中でございます。したがいまして、ただいまお尋ねの点につきましては、いま直ちにこの場で何%程度、こういう的確なお答えを申し上げかねるわけでございますが、少なくとも従来予想されたよりは低い成長率であろうということは想定いたしているわけでございます。
  102. 板川正吾

    板川委員 この一二ページの左の上段に私どもは昭和四十六年、四十七年の電力消費量の伸び率と経済成長の関係というのを想定をしてみました。これは本来ならば産業連関表を使って試算しなくてはならないわけでありますが、産業連関表は昭和四十五年しかできてないということですから、便法として四十六年、四十七年の電力消費量の伸びと成長率との関係を当てはめてみまして、電力業界が出している申請書の伸び率を基礎にして経済成長率というのをはかってみますと、上にある「経済成長率(A)」というのは、ここにありますように五十年が一〇・四%、五十一年九・六%、五十二年一〇・四%、五十三年九・八%、これは経済社会基本計画よりも高い経済成長率になる。ですから、省エネルギー政策をとると言いながら、実はそういう面がこの新料金体系の中には見られない。政府のうたい文句であった省エネルギー体系というのは実際はとられてないで、従来のように経済成長至上主義というレールの上を走っていこう、こういう内容を持っておるのであります。これをこのまま査定もされないでこういう考え方の上に立って結論を出すというなら、何のために審査するか全くわからぬと私は思いますが、この点はどうお考えですか。
  103. 岸田文武

    岸田政府委員 電力需要想定の前提になった鉱工業生産指数は、今回の想定におきましては四十七年から五十三年まで年平均七・五%を前提といたしております。ちなみに、昨年二月閣議決定になりました経済社会基本計画におきましてはこれが一〇%でございまして、当時よりかなり低目の水準を前提にしておるわけでございます。さらに業種別に見てみますと、たとえば鉄鋼などでは、昭和四十一年から四十七年までの過去の実績で見ますと、電力の需要は年平均一四・六%の伸びでございました。これに対して、将来の見通しとして昨年用意いたしました計画では、この一四・六%が七・九%に落ちるという前提になっておりました。ところが、今回の検討におきましてはそれがさらに下がりまして、六・五%という年需要の伸びを前提にしておるわけでございまして、決して過大な想定ということはないと考えております。
  104. 板川正吾

    板川委員 これは一つの計算のとり方ですから、過大じゃないという言い方もないとしないと言いましょう。しかし、ここに私が示したように、最近の経済成長と電力の消費の伸び、こういう相関関係で検討してみると、とにかく経済成長が一〇%をこえるものをとっておる。いまは七%、七・九%ぐらい、二%ぐらい下がるという。それならば、逆にこの電力消費の伸び率というのが過大である。なぜ過大にするかということになると、これは私はあとで触れたいと思っておったのですが、事業報酬制度、これと関連してくるのです。  この事業報酬制度というものは、この一番うしろのページに参考に出してありますが、従来一般の会社の経理と違って電力会社には事業報酬制度というものがあり、これは電気事業固定資産、建設中の資産、核燃料、繰り延べ資産、運転資本、こういうものに対して八%の利益を見てある。八%事業報酬として見る、こういう制度になる。もちろんこの中から配当金や何か支払うことになりますが、ともかく事業報酬制度というものと関連をして設備を増大をし、建設費をふやし、核燃料その他運転資金等がこの事業資産が拡大すると事業報酬のワクも広がっていく。だから、どうしても電力会社としては、電力の伸びというものを大きく見積もらなければならない、こういう制度になっておるわけです。ですから、過大に見積もっておることがそういう事業報酬制とも関連をしておる、こういうところに問題点があるだろう、私はこう思います。この点はどうお考えですか。
  105. 岸田文武

    岸田政府委員 事業報酬制は各種の公共料金におきましてかなり広く採用されておる制度でございますし、電気事業の例をとってみますと、各国でも一般的に採用いたしております。これは料金を算定いたしますときに、個々の要素を積み上げるのではなくて、一定の算式による金額をあらかじめ予定をしまして、その使い方については経営者が大いに努力をする、こういう道を残す独特の制度ではないかと思っております。  具体的には営業用の資産については八%、建設中の資産に対して四%、その他各種の計算方式を積み上げまして事業報酬が積算をされるわけでございます。これらの資産を建設いたしますには、やはり増資をするとか、あるいは借入金によるとかということが必要でございまして、それぞれコストがかかってまいります。特に最近のように借入金利が一般的に非常に高い水準になっておるということからいたしまして、事業報酬制では非常に苦しいという声が私どもの耳にも入っておるところでございます。  いまお話にございました中に、あるいは私の誤解かもしれませんけれども、無理に設備投資を増強させる、こういった役割りをしているのではないかといった感じのお話でございますが、私どもはいまの電源の状況からいたしまして、これだけ努力をいたしましても今後の電気需給というものについていろいろ心配をしておる今日の実情からしますと、いま仰せられるような懸念はあまりかいのではないかという感じがいたします。
  106. 板川正吾

    板川委員 事業報酬の予算というのですか、計上された資料を見ますと、五千三百三十億、九電力で事業報酬を計上いたしております。この事業報酬制度がいいか悪いか、これは一つの特徴もありますから、私はこれが悪いという結論を出しているわけじゃございません。これがいいか悪いかはまた将来検討する事項としましても、この事業報酬率の八%を一%ぐらい下げて、この際電力各社も物価高騰のおりであるし、この際これを引き下げて料金単価を考える、こういうお考え通産省にはございませんか。
  107. 岸田文武

    岸田政府委員 八%の標準報酬率は、従来の算定基準を作成いたします際にかなり議論を詰めてまとめられた数字であると聞いております。八%の算式による報酬によってかりにコストに余裕ができたというときには、それを社内留保に充て、安い資金を確保することによって総合的な資金コストを下げていく、これによって安い電気の供給ができる、こういった効果を期待をするわけでございます。また逆に越えたというようなときには、他の要素を極力合理化することによって何とかしのいでいく、こういった一つの目安として八%が出てまいったわけでございます。  いまお話の中に八%を下げる考えはないかということでございますが、これを下げますと、結果としては長期的な資金コストを引き上げるという作用がございまして、この短期的な問題と長期的な問題をどう考えたらいいのかということがポイントになろうかと思います。  私ども今回もいろいろ議論をいたしましたが、やはりいまの段階では八%が適当であろう、こう考えております。特に最近資金コストが非常に増大をしておるというようなことも私どもの頭の中にあったわけでございます。
  108. 板川正吾

    板川委員 いろいろ過去の実績を検討して八%というのが望ましい、こういうお考えはわからぬでもない。しかし、とにかくいま物価狂乱の時代で消費者物価は二五%も上がり、あるいは卸売り物価は三〇数%も上がる、こういうようなときに、公共料金であるだけに、あるいは適正な利潤が法律として保証されているだけに、私は、この際、電力会社にも泣いてもらって一%ぐらいに削減して査定する必要があるじゃないか、こういういわば国民の側に立った要望というのをひとつ念頭に置いて査定をしてもらいたいと思います。  それとこの減配という問題従来一割配当が普通されておりました。しかし、この三月期においては東電が六%に下げられた、その他が八%に二%引き下げられております。三月期は、この料金値上げ前だということで、あるいはそういう措置をとったと思いますが、電力企業のような場合に適正な配当というのは、一体どうして一〇%が適正配当とお考えなんでしょうか。これを八%にこの際お考えを直す気持ちはありませんか。適正配当を八%、こういうふうに考える気持ちはございませんか。この点を伺います。
  109. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、料金算定におきましては積み上げ方式によっておりませんので、私どもから配当率を幾らにするというようなことをとやかく申す立場にはないわけでございますが、ただ、配当水準といいますのは電気事業にとってはかなり本質的に大きな要素でございます。これはいまさら申し上げるまでもなく、今後、電源開発工事を中心として積極的な設備投資が当然必要になってまいりますが、この資金を調達するためには、現実の姿としてその過半数を社債にたよっておる。その社債は資本金とリンクをして一定の限度がきめられておる。こういう関係にございまして、したがいまして、今後の設備増強のために増資ということが電力会社にとってはどうしても必要でございます。     〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕  その増資の際に、やはり一般の会社の水準にほぼひとしい、こういった配当水準を維持しておきませんと、増資が円滑を欠くということが懸念されるわけでございます。電力会社の場合には、十数年間一割配当をコンスタントに維持してまいりまして、株主の人たちも、いわばこのコンスタントの配当率というものを前提に置いて従来増資に応じてきた、こういう背景があろうかと考えておりますので、これをにわかに下げてよいかどうか、これはいろいろの問題があろうかと思います。
  110. 板川正吾

    板川委員 この配当は企業の自由だ、こうおっしゃるのですが、電気事業法で能率的経営のもとにおける適正な利潤を原価として認める、こういう原則に立っておるわけでしょう。ですから、これは当然適正な利潤というのを従来一割程度の配当というように、これは法律できめているわけじゃないのですから、その程度の配当を適正と読んで原価の中に計上しておったと思うのですよ。だから、それを二分程度引き下げる。この際がまんしてもらう。現に、すでに三月期で八%になったところが大半ですから、そのまま料金の中には八%程度を見込む。それは合理化をやって利潤がふえたから一〇%戻すということは、そのことを妨げているわけじゃない。法律で八%にしろといっているわけじゃないが、しかしこの値上げ料金算定の場合には、八%を適正利潤の基準に考えたらいかがなものか。当然これはそういうふうに二分減配をされるということになれば、事業報酬のほうで〇・四%の影響を受けるわけです。ですから、そうならば、八%から〇一四%引けるわけですね。そのほかを合わせて七%程度にできるだろうという根拠もそういうところに私ども持っておるわけでありまして、まあ今回の料金算定にあたっては、こうした事業報酬あるいは減配、こういうものの関連性を考えて厳密な査定を行なってもらいたい、こう思うのであります。  次に、私の資料の二六ページを見ていただきたいのですが、電力料金の燃料別コスト、これは平均になりましょうが、燃料別コストというものを発表してくれませんか。水力が現在幾ら、石炭と混焼の場合の火力が幾ら、原子力が幾ら、こういう燃料別コストを御発表願いたい。
  111. 岸田文武

    岸田政府委員 火力の場合でございますと大体六円ないし七円見当、それから水力につきましては、過去に建設されたものが大体二、三円見当、新規のものでございますと六円から九円見当でございます。原子力が大体四円見当、こう考えてよろしいかと思います。
  112. 板川正吾

    板川委員 水力が、この規模と年次によって多少違うが二円から三円、これは現在の平均ではなくて二円から三円でつくられたということですね。それで火力が、石炭混焼もあるでしょうが六、七円ですか、原子力が四円。もし石炭だけでやったとすればどのくらいのコストになりますか。   〔稻村(佐)委員長代理退席、左藤委員長代理着   席〕
  113. 岸田文武

    岸田政府委員 新規の石炭専焼火力発電所でございますと五円からそれを多少上回るという見当じゃないかと思います。
  114. 板川正吾

    板川委員 わが国には水力の未開発のいわゆる包蔵水力ですね、水力として開発可能なものがまだ二千五百万キロワット分もある。これからいいますと、石炭は火力よりも現在安い。こういうものはあまり政府は一生懸命につくらない。原子力がこの中で一番安いというので一生懸命つくろうというのでありましょうが、そこで私はこの原子力発電のコスト、これをひとつ説明してもらいたいと思うのです。資料によると四円十四銭という資料が出ておりますが、一体この四円何がしの原子力発電コストというのは、規模はどのくらい、建設費がどのくらい、固定費がどのくらい、燃料費、濃縮ウランの価格、稼働率、再処理コスト、こういったものをどのように計算された結果四円十四銭という数字が出るのでしょうか、これを御説明願いたい。
  115. 岸田文武

    岸田政府委員 いま手元に資料の持ち合わせがございませんので、別途資料として提出することをお許しいただきたいと存じます。
  116. 板川正吾

    板川委員 それでは、ひとつこれはそちらにあることですし、たいして時間のかかるものじゃないと思いますから、きょうじゅうに私の手元に届くように、いま言った規模、建設費、固定費、燃料費、濃縮ウランの価格、稼働率、再処理のコスト、こういったものをどう計算して四円十四銭となるかという資料をぜひ出していただきたい、こう思います。  それで、資料の初めのほうを見ていただきたいのですが、二ページを開いていただきたい。私が整理しました資料の上段のほうを見ますと、灯力の比率、電灯と電力の比率が、今度の申請を全部そろえて、こうながめてみますと、東北電力と北陸電力が非常に差がある。これは簡単に言うならば電灯料金が割高である、こういうふうになるわけであります。東北が一・八二、北陸が一・八四、こういうふうに平均一・六六ぐらいだと思いますが、これに対して非常に高いのはどういう理由でありましょうか。
  117. 岸田文武

    岸田政府委員 今回灯力の比率がかなり実質的に改善を見たその背景としましては、今回の値上げ申請のおもな理由が燃料費を中心とする発電コストの上昇ということが要因になっている、これが背景にあろうかと思います。発電コストでございますと、電灯にも電力にも、金額に多少の差はございますが、同じ程度の金額に割り掛けられてくる。そういたしますと、従来高かった電灯については伸び率としては低くなる、従来安かった電力については伸び率としては非常に高くなる、こういう関係にあろうかと思います。いま御指摘の中で、東北なり北陸なり、これらの地域がかなり水力に依存する度合いが高いということからいたしまして、発電コストの上昇のパターンがほかの会社と違ってきておる、これがおもな原因ではないかと思います。したがいまして、申請された仕上がりの単価をごらんいただきますと、逆にこれらの両社は一般の水準よりも低くなっておる、こういう関係で御理解をいただければと思います。
  118. 板川正吾

    板川委員 だから低くなっているということは、産業用料金が安くて、家庭用電灯料が高い、だから灯力比率というのが格差が大きい、こういう理屈になるわけです。  これともう一つこの資料からながめて感じられることは、地域の格差というのが拡大しているという実態であります。この値上げ前の関係を見ますと、最高、平均料金ですが、九州電力が七円九十銭である、北陸電力が五円七十一銭で、その差は二円十九銭、約二円二十銭でありますが、今度値上げ資料によりますと、それが九州電力が十二円十一銭、北陸電力が、一番安いのが九円四十二銭、いわば安い発電コストくらいの二円七十銭も差がついているわけであります。いわばこの地域格差というものは将来も拡大する傾向にあると私は思います。将来も拡大する傾向にありますが、一体こういう地域格差をどういうふうに査定の基準としてお考えになっておられるか。
  119. 岸田文武

    岸田政府委員 ただいま各社ごとに査定をいたしておりますので、お示しの点は、査定が終わりましたところで、私どもももう一度横並べに見てみたいと思っております。ただ、地域格差の生ずるおもな要因は、各社の発電形態が従来いろいろ変わっておったという点がおもな要因であろうかと思います。今後の情勢に応じまして各社それぞれくふうをこらして新しい発電形態へ転換をしていくということによりまして将来広がっていくであろうか、あるいは縮小するであろうか、これはいまのところではなかなか予断しにくいのではないかという感じがいたします。
  120. 板川正吾

    板川委員 私は将来さらに広がる可能性があると思いますが、これは私の推算なんです。しかし、現実にこの値上げ資料によりますと、最高と最低で二円七十銭の地域差がつく、こういう実態を一体料金査定の場合にどういうふうにお考えなのか、こう伺っているわけであります。と申しますのは、結局九電力というものに分割されている以上は、これはやむを得ないことになる。こういう地域格差というものを調整しよう、こういうことであれば、どうしてもこれは九電力の現状というものに何らかの手入れをしなければ不可能だろう、だから将来さらに拡大していきますと、日本経済の面にとっても電力料金のこれほどの格差というものは問題がありますから、したがって、それを調整するためには九電力電力業界の再編成ということがあり得るのではないだろうか、再編成というものに触れないで、この地域格差というのを訂正する、つぼめるわけにはいかない、こういう感じがいたしますが、通産大臣、この点どうお考えでしょう。
  121. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地域格差があることは、やはり九電力というおのおのの企業形態によることも多いと思います。しかし一面においては、これによって企業努力のメリットを見させるという面もございますし、おのおのの地域社会の特殊性を尊重する、産業立地におけるそういう問題もあると思います。しかし、われわれのほうでは九電力を統合して一元化するという考えはいまのところございません。不都合の点は何かの是正措置、調整措置を講じて行なうという考えに傾いております。
  122. 板川正吾

    板川委員 これは何らかの調整措置考えると通産大臣も言っておられるのだから、再編成問題というものに触れずにどういうような調整が今度の料金査定にあたって考えられますか。
  123. 岸田文武

    岸田政府委員 各社ごとにそれぞれの事情を持っておるわけでございますが、私どもは、それぞれの事情を頭に置きながら、各社ごとの最高の経営能率を期待して査定を進めてまいりたいと思っております。  ただ、九社ごとに格差ができるという問題について何らかのくふうということであれば、たとえばナショナルミニマムについて少しでも各社間のアンバランスを少なくするくふうはないかというふうな点もいまいろいろ検討しておるところでございます。また、九電力の間でお互いに競争しながら協調するということを促進する手段としまして、広域運営等につきまして今後ともさらに一そうの強化をはかってまいりたいと思っております。
  124. 左藤恵

    左藤委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 濱野清吾

    濱野委員長 速記を始めて。  午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十三分休憩      ————◇—————     午後三時五十七分開議
  126. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。板川正吾君。
  127. 板川正吾

    板川委員 引き続いて質問いたしたいと思いますが、この電気料金の中で、家庭用料金には税金をかける、産業用の大半は免税である。この実績調査してみますと、電力消費税のうちで八〇%は家庭用負担である。そうして産業用で非課税になっておるものが三三%もある。つまりこういうことです。全体の税金の八〇%は家庭電灯料から取っておる、そうしてその他からはわずか二〇%である。産業用の非課税された金額が年間五百三十億円もあります。これは私の資料の二八ページに書いてありますが、非課税になっておる品目の中には、特に鉄鋼、石油化学、アルミ、いわゆる電力多消費型の産業を免税で優遇しておるのですね。一番電力を使う型を優遇しておるということは、今度の料金体系であるエネルギー節約型に変えていくということからいうと、私は、この税制というのはたいへん矛盾しておる、こう思いますが、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  128. 岸田文武

    岸田政府委員 電気ガス税一つの消費税でございまして、本来の性格からいたしますと、中間原材料に賦課するのは適当であろうかどうであろうか、こういったことに私ども疑問を持ちまして、従来からやはりこういったものについては全廃すべきではないかという主張を自治省といたしておったわけでございます。私どもとして、事業用の免税につきましてさらに中ではいろいろ検討もいたしますが、基本的にはやはり従来の方針を堅持をしていくのが妥当ではないか、こう思っておるところでございます。
  129. 板川正吾

    板川委員 どういうことなんですか。電力消費税というものはやめるべきであるけれども、結局従来どおりかけておくのが妥当だというのは論旨が矛盾しておるのじゃないですか。とにかく今度の電気料金体系というのは福祉型であり、エネルギー節約型に料金体系を変えていくという中に、そういう傾向を含むと政府が言っておるのに、電力多消費型の鉄鋼やアルミや石油化学には免税をして、家庭用の消費には税金をかけている。しかも、従来は家庭用電力の千円までは免税点であった、今度は、六月一日から千二百円に引き上げる、こう言っておる。しかし、千二百円に引き上げても、これは電気料金が値上がりしないというたてまえの中で、そして従来の消費が伸びていく分で料金の額を押えようということで、六%課税すると金額がふえるから、したがって免税点を引き上げて金額に大差のないようにしようという調整であったわけです。しかし、これは今度大幅に電気料金が値上がりするということになれば、これはいままでより非常な増税になるのです。さっきちょっと触れましたように、七百円ほど増税になるんですね。これは福祉型といいながら、特に身体障害者や、あるいは生活保護者や、そういう人たちの中から、値上がりした、従価税ですから、この中から税金を取っていくというのは私は矛盾しておると思うんですね。部長は、どういうのですか。やめたほうがいいと思うけれども、従来どおり置いておくことがいいんだというのは話がおかしいので、その点をどう考えておるのですか。
  130. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おそらく部長の言わんとしたことは、いままでの電気税とかそういうようなものは消費税の一種であって、消費の末端において課税をする、原材料のような途中においてやることは税の理論的な全般の体系から見て適当でない、そういう考え方を御説明申し上げたのだろうと思います。しかし、先生がおっしゃるように、多消費型のものについて、多消費ならざる方向に誘導するということは通産の大政策ではないかと言われれば、まさにそのとおりであります。しかし、その場合はやはり別の面から、産業政策としての面から税理論として新しい体系を付加してくることが適当ではないか。今度の電気料金の改定によって家庭の電灯と電力の差が非常に縮まりまして、これだけでもアルミとかそういうものに対する物価影響というものはかなり出てくると思います。その衝撃があまり大きいということは、物価政策の面から、先生のおっしゃることはそのとおり、大綱としては正しいと思いますが、当面の現在の問題の処理からして物価政策の面から考慮せざるを得ない、そういう過渡的な問題もあるだろうと思います。そういうような観点から、先生がおっしゃるような弱者、特に電灯や電力を使っておる特別の弱者というようなものについて考慮せよとおっしゃることは、私はまことにごもっともな御発言であると思うのであります。その点につきましては、これは単に通産省だけの問題としてでなくして、税やあるいは社会保障やそのほか政府全体としての受けとめ方におきまして、われわれの立場もまた含めてひとつ研究してみたいと思います。
  131. 板川正吾

    板川委員 これはさっきの問題にちょっと戻って申し上げたいのでありますが、私がさっき身体障害者の割り引き問題で、いまその計算をしてみたのです。そうしますと、寝たきり老人の家庭が全国で約三十五万、一人暮らしの老人が一万、身体障害者成人が五十五万、身体障害者児童が十九万、生活保護世帯が七十万、合計しますと百八十万でありますが、この中ではお互いにダブっておるものもあると思いまして、このダブっておるものを二割として家庭を計算しますと、大体百五十万世帯ぐらいだろう。これが一カ月百キロワットアワー使用したといたしまして計算をいたしますと、年間二百八億円になります。この人たちに対して二分の一、半分に割り引きをしましても百四億ということになる。大体百億円ぐらいだろうと私も感じたのですが、一応計算をしてみますと、そういった数字が出るわけです。私は、電気料金の算定の基準が総括原価方式ということは、一応前提として容認していくといたします。総括原価をくずしてこの電力会社の利益の中から支払えという意味のことを言っているわけじゃない。こういう人たちに対して、少なくとも五割ぐらいの割り引きをして、その負担は年間百億円何がしではないか。せっかく福祉型料金体系をつくるというなら、この点の考慮を、大臣、払えないはずはないじゃないか。また、いまちょっと触れましたように、こういう人たちが結局金額は上がることによって、従来よりもよけいに税金を取られるわけです。この税金は国の面でできるわけですから、こういう弱者といいますか、不幸な人々に対して消費税を取ることは、私は妥当じゃないと思う。だから消費税もやめる。そしてさらに料金を割り引きしていく。それは決して総括原価をくずすものではない、こういう考え方で私は御検討願いたい、こう思うのですが、大臣、いかがですか。
  132. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま申し上げましたように、これは政府全体としての受けとめ方におきましてよく検討してみます。
  133. 板川正吾

    板川委員 検討していただくことにいたしまして、この電気料金査定の際にぜひその約束を守ってほしいものだと私は思います。  それでは、時間の関係がありますから、もう前々から私の資料を差し上げてありますが、この二ページを見ていただきたいのです。二ページの下のほうの統計を見てもらいたいのですが、今回、九社の値上げ資料をいわゆる構成比別に指数を出してみたのです。総括原価の構成比というのをとってみました。ところがこれを見ますと、東京電力の構成比というのが全国平均とほぼ同じです。たとえば人件費は一一・一%、燃料費が四二・八%、これは東京電力ですが、修繕費が六・四%、資本費が二一・二%、公租公課が四・九%、購入電力料が一〇%、その他の費用が六・一%、こういうふうになっておる。これを電力九社の平均を見てみますと、人件費一一・一に対して一二・七、それから燃料費が四二・八に対して四二、修繕費六・四に対して七・五、資本費二一・二に対して二〇・九、公租公課四・九に対して五・一、購入電力料一〇に対して一〇・五、その他の費用が六・一に対して四・九、全国の九社の平均と東京電力の構成比がほとんど一致している。これは私は、カルテルじゃないけれども、何かこの辺に作為的な指数があるような感じがするのでありますが、この点どういうふうに事務当局考えておりますか。
  134. 岸田文武

    岸田政府委員 各社において構成比が違っておりますのは、主として電源構成の相違、また過密地域と過疎地域におきます送電、変電の構成の違い、これらが基本的な相違点の原因ではないかと思っております。各社ごとにそれぞれの原価を私どもも見ておりますので、特にこの間においていま御指摘のような事実があるとは考えられません。
  135. 板川正吾

    板川委員 あまりにも共通しているので、実は何か作為的な数字をころがした感じがないでもないという勘ぐりをしてみたわけですが、北海道電力の燃料費というのが九社平均で四二に対して半分以下の二〇・一%なんですね。ですから他の電力会社、とにかく平均よりも半分以下の比率しか持っていない。じゃ北海道電力の総体の金額が燃料費が安いために安いのかというと、トータルにおいて大差がない。これは一体どういうことなのかと思うのですね。燃料費がほかの八社よりも半分以下の比率しか持っていない。しかるにトータルの改正料金というのはほとんど違わない。見てみると、人件費と修繕費と購入電力料というのが高い、こういう形になっておる。これはコストの中で一番のシェアを占める燃料費がこんなに安い比率を示しているのに結果的にそう違わないというのは一体どういうことなんでしょうか、この点を説明してもらいたい。
  136. 岸田文武

    岸田政府委員 北海道電力の場合には、電源構成を見ますと、水力の比率がかなり高く、また石炭火力の比率が非常に高いという点で特色を持っております。油火力はわりあい最近に導入され、全体の供給の中で占める比率もたしか二五%程度であったかと思いますが、そういった電源構成の違いによりまして燃料費の構成比が非常に低く出てきたわけでございます。それに、対しまして北海道は非常に地域が広うございまして、一つの需要家に到達するために必要とされる電線の長さ、こういった数字を比較いたしますと、他の八社とは飛び離れて一件当たり長くかかっておるわけでございます。先ほど申しましたように、燃料費の比率が相対的に低いために結果としてほかの費目が構成費として上がってきておる、こういう事情がこの数字から見受けられるわけでございます。ただ、この燃料費の中で、先ほど申しましたように、石炭かなり大きな比率を占めておるわけでございますが、その石炭価格が最近引き上げが行なわれまして、この北海道におきましても燃料費の増高というのがかなり大きな問題になっておるようでございます。
  137. 板川正吾

    板川委員 北海道は地域が広くて人口希薄ですから、そういう意味で多少よけいかかるのはわかりますけれども、しかしそれは一たん設備をすれば、毎日場所を変えてその設備をしているわけじゃないんで、道路から相当奥のほうへ引くといっても、一回引けば永久的にそれで済むわけですね。燃料というのは毎年毎年大きい金額をなしているわけですから、燃料費がこれほど安かったら私は全体の料金がいまちょっと安くていいのかと思ったらそうじゃないんで、どうもふしぎに感じますが、この点は指摘しておきますから御検討願いたいと思います。  それから燃料費では四国電力と関西電力が非常に高い、この総括原価の中の半分を占めておりますが、この高いのはどういう理由でありますか。
  138. 岸田文武

    岸田政府委員 お示しの数字は、各社の申請のベースとなった総括原価でございまして、私どもその内容をいま精査をいたしておるところでございますが、これは各社の電源構成の相違というものを数字で示した、こういったことではないかと思います。
  139. 板川正吾

    板川委員 まあそれは数字で示しているからこう出てくるのだけれども、どういう理由かなと、実はこの申請されてもう一カ月以上たっているんだから、九つの会社申請書の内容ぐらいは検討してあるはずじゃないか、だから異常に高いと思われるのはどういう原因だろうか、こういう質問をしているわけです。  それからもう一つ、関西電力はまだ電源開発促進税がきまってないのに、法律では十月から取るとなっているのに、上期に三十億円ほど計上したのはどういうわけか。これは法律ですら下期から取るといっているのに、この値上げ資料の中に、まだ法律でもきまらない、取るときまっても下期から取るということになっておるのに、上期になぜ三十億円ほど電源税、われわれはこれはだめだと言っている法律ですけれども、すでに計上されている。しかし、法律が出ていることですから、他の会社、八社は全部下期には計上しておる。しかし関西電力だけ上期にも、法律もそこから取るといってないのに、計算しているのはどういうわけなんですか。それだけコストを高く見せようというわけなんですか、それともそういう指導をしたのかどうか、あるいは何でもいいから高目に出しておけば損はないのだ、こういうことなのかどうか、この辺の考え方についてはどう考えるか。
  140. 岸田文武

    岸田政府委員 電源開発促進税の織り込み方が各社によって相違があることは御指摘のとおりでございまして、関西電力の場合には十二カ月分を計上しております。この理由につきまして関西電力にただしましたところ、料金は一度改定されました後一年たったらまた改定をするというものではなくて、いわば今後いつまで続くかわからない一つ制度である、したがって、平年度化した場合の料金水準はいかにあるべきかということを考えて、そういった考え方のもとに一年分を計上したのだということを申しております。ただ、私ども原価計算期間というものをものさしにして査定をするわけでございますから、こういった考え方は必ずしも妥当しないという感じがいたします。
  141. 板川正吾

    板川委員 これは法律さえ下期からといっているのに、幾ら数字をそろえるといったって、法律も取るといってない上期を計算に入れるというのはどういう魂胆かな。ともかくふやしておけば損はないんだというのじゃ、これは出し方としてはまことに不謹慎な、当初言いましたように、独占的な地位を社会から与えられて、そして適正な利潤を保証されておるという企業のモラルとしてどうも好ましくない、こう思います。もちろんこれは査定段階じゃそういうことは整理されると思いますが、どうも出し方にけしからぬ点があるのじゃないかと思います。  それから各社から出されておる燃料費でありますが、この燃料費の計算を見ますと原油価格を一ドル三百円と見ている。これははなはだ過大な見込みじゃないでしょうか。そうしますと、この点膨大な、いわばその辺で大きく見積もっておるという感じがいたしますが、この点どう考えられますか。
  142. 岸田文武

    岸田政府委員 申請の内容を見ましたところ、御指摘のように輸入する油に適用される為替レートとしては三百円を採用しておるようでございます。ただ、私ども査定の側に立ちますと、今後一年間に平均的な為替相場はどう見込んだらいいかというたいへんむずかしい課題にぶつかるわけでございます。従来の動きを見ましても、二百六十五円から三百円に上がり、またその後下がってまいりまして、最近では二百八十円前後に推移しております。将来の動きにつきましてもいろいろの意見が私どもに入ってきております。私どもは、これらの過去の事実及び将来の見通しにつきまして十分慎重な意見を交換した上で最後の査定方針をきめる、こういう処理方針をとったわけでございます。
  143. 板川正吾

    板川委員 この電力料金原価計算というのは、御承知のように原価計算要領があって、厳密に一つのワクがはめられているわけですね。だから、この為替レートなども将来高くなるか安くなるか、これはわからぬですよ。だけれども、その場合には現時点のレートをもって計算をするというのがたてまえじゃないでしょうか。これは先へ行って高くなるかもしれませんし、円高になるかもしれませんし、円安になるかもしれません。現在二百八十円前後でしょう。それを三百円に過大に見積もる。この点で今度の電気料金値上げの中で燃料費が、これは私の推算でありますが、一兆六千七百億円、その五・五%約一千億近くが過大に見積もられている、こういう計算になると思いますが、それをどう考えますか。
  144. 岸田文武

    岸田政府委員 率直に申しますと、私ども為替レートにつきましては現実にすでに起こっておる事実というものを踏まえた査定レートを採用するということにいたしたいと思っておりまして、大体二百八十円見当というのはこれに当たるのではないか、こう考えております。
  145. 板川正吾

    板川委員 どういうことですか。ちょっと話がよくわからないのですが、どういう査定をするのですか。二百八十円で査定をしようとするのですか、三百円を見ようというのですか。それはどうなんですか。将来上がるか下がるかわからないのですから、その原価計算をする場合には、当面の二百八十円なら二百八十円で計算すべきじゃないのではありませんか。
  146. 山形栄治

    山形政府委員 為替レートの問題につきましては、いま部長から話がありましたように、最近非常に変動いたしておるわけでございますが、今後も、先生のお話しのとおり、円安の可能性もあれば円高の可能性もあるわけでございます。申請は三百円で出ておるわけでございますが、これは三百円で認めるということは絶対おかしいと私は思います。大体査定時の現実の姿を前提にこれは当然に考えるべきが筋であろう、こう考えるわけでございます。
  147. 板川正吾

    板川委員 私の計算がこの中で出ておりますから参考にしてもらいたいのですが、少なくとも六%近く過大に燃料費を見積もっておる感じがいたします。  それから一挙に平均六割三分も値上げをするというような、いわば電力料金値上げとしては戦後画期的な値上げになる。これは産業界にも一般国民生活にも重大な打撃を与えると思います。こういうようなときには、電力会社もできるだけやはり自粛をされたもので料金というものが査定されなければおかしい、こう思います。  電力各社の内部留保の状況を見てみますと、四十八年上期末と四十八年下期とを比較いたしますと、一応関西電力、中国電力等の有税退職金積立分ですか、こういったものが全体としては取りくずしをされておって、その取りくずしされたものが約五百五十億ほどあります。この点では、確かに燃料費の高騰等によって内部留保を取りくずしたということはわかります。内部留保というのは、こういう会社経営が危機におちいったときに取りくずしをすべき、いわゆる予備金的な性格を持つわけでありますから、この四十八年下期の内部留保を見てみますと、退職給与引当金が五百億ほどまだあります。これはいわゆる普通の退職金準備金を言っているんじゃないのです。これは法定退職準備金じゃなくて、いわゆる有税退職準備金だろう。法律できめられた以外に税金を納めて積み立てたものが五百億円——この資料はそちらにないかもしれません。あとで私のこれ、ちょっと二 ○ページの資料が違っておるのでつけ加えましたから。それを見ますと五百億円、それから渇水準備金が四十七億円、原子力発電工事償却準備引当金が五十億円、利益準備金が八百億円、まだ一千四百億円ほどあるわけであります。こういう内部留保の取りくずしについて、料金査定の際にどういうふうなお考えを持たれておるか、査定する場合の心がまえとしてこれをどうされるか、この点を説明願いたい。
  148. 岸田文武

    岸田政府委員 四十八年度下期の状況についてはすでに御承知のとおりでございますが、四十九年度上期の決算を予想いたしてみますと、料金の改定申請自体が、四月一日に始まる一年間の予想される原価をベースにして算定をしておりますので、すでに四月も過ぎ五月も半ばになっている、この間の経理の悪化というものは、たとえ料金が改定されてもカバーはできないという性格になろうかと思います。したがいまして、各社の持っております吐き出し可能な内部留保、これは四十九年度上期においてはさらに一そう減少するということが予想されるわけでございます。私どもは、それらの事情をいろいろ推測をしながら査定の中に頭に頭いておるところでございます。
  149. 板川正吾

    板川委員 内部留保は、こういういわば危機のときに取りくずしをし、そして一般国民生活なり経済影響を与えるのを最小限に食いとめて、そしてある時期を待つ、こういうことにならなければいけないと思うわけでありますが、料金の算定にあたってはこの点を十分念頭に置いて査定していただきたい、こう思います。  それから、きのうも議論があったそうでありますが、固定費の分配という——御承知のように電気料金というものは総括原価方式をとる、個別原価方式をそのもとでとる、こういうことで、個別原価方式をとる場合に、固定費の配分というのが実は非常に重要な問題になるわけであります。われわれは、この固定費の配分という従来のやり方がどうも問題があり、大口電力なり産業用に分配する場合にはなるべく少なく、そして家庭用になるべく多く固定費を分配するという感じがする。したがって、この固定費の分配の原則といいますか、その分配の基準になる公式というのをどういうふうに持っておられるのか、どうもこの点が私どもふに落ちないものですから、「原価計算の方法」の中で「電灯用、電力用など需要種別に原価を算定し、各需要種別原価と各需要種別料金収入とが等しくなるように料金を決めるという原価主義」個別原価主義をとっているわけですから、この料金を算定する上についての個別原価主義をとる固定費の配分のしかた、考え方、基準、こういうものを説明してもらいたいと思います。
  150. 岸田文武

    岸田政府委員 固定費は、その大部が設備に関する費用でございます。電力会社が設備に関する費用を支出いたしますのは、いわばユーザーのところでいろいろの設備があるということに従って、そのユーザーの需要設備に対応するための発電、変電、送電等の設備費が必要になってまいるわけでございます。したがいまして、基本としては需要側のキロワットと申しますか、電力に応じて配分をするということが一つ考えとして出てまいります。ただ、それでは設備の大きさだけで、やはりその運転時間等もあわせて加味をしたらいいのではないか、こういった考え方に基づきまして、従来はキロワット二、それからキロワットアワー一、こういった構成比率でもって案分をしてまいったわけでございます。ただ、先回の料金制度の改正におきまして、これについてさらにくふうの余地はないか、改善の余地はないかということにつき各種の議論が行なわれまして、今回の改正によりまして、発電部門につきましてはさらに新しい要素として、ピーク時における負担割合、各需要家がどういうふうに分担をしているか、尖頭責任法というものを新たに導入をしまして、したがいまして、最近の姿としましては、発電部門につきましてはキロワット二、キロワットアワー一、ピーク責任一、こういう割合で配分をいたしております。
  151. 板川正吾

    板川委員 私ども考え方、批判というのは二一ページから二三ページにあるのですが、この固定費の分配方法についてはあとでひとつ資料として、こういう基準でこういうふうに分配をする、発電、送電、変電部門、配分係数はこうである、こういうような資料をひとつ提出して説明をいただきたいと思います。  時間が来たので残念ながら質疑は終わりたいと思いますが、先ほども私言いましたように、今回の料金体系というのが福祉型料金体系というなら、その名にふさわしいようにひとつ福祉型料金体系をとるべきである。若干いままで取り過ぎておったのを少し修正したから福祉型だなんていったって、それは通用するものじゃない。それからエネルギー節約型の料金体系といいながら、実はこの九電力では決して節約型の見通しをとっていない、従来と同じように高度成長、多消費型を考慮しておる、こういうことで、料金体系へのうたう方向電力会社が出された内容とでは実は逆な方向にあるわけであります。こういう点は私ども一つのごまかしとして指摘しておきたいと思います。  それから、先ほどちょっと言い残したのでありますが、今度各社が配当を八%にして二%削減したわけです。東京電力は六%に下げて四%削ったことになりますが、事業報酬という基準を八%にしておきますと、結局それは内部留保というのがふえるばかりということになるわけであります。この事業報酬八%というのも検討すべきではないだろうか、あるいはこの際、社内留保の取りくずし、あるいは配当の縮減、こういうものも含めてひとつ厳重な査定をしていくべきである、このように要望いたしまして、まだありますが、一応私の質問を終わります。
  152. 濱野清吾

    濱野委員長 野間友一君。
  153. 野間友一

    ○野間委員 同じく電気料金の問題について質問するわけですが、私たち共産党は、商工委員会、それから物価問題特別委員会、それから大蔵委員会、各委員会におきまして、料金体系の問題やあるいは関連会社の問題、それから燃料費の水増し、内部留保の問題、特約料金と、さまざまな角度かち、今度の九電力値上げ申請は全く理由がない、根拠がない、こういうことを立証してきたわけでありますけれども、私はきょうは、各電力会社値上げの最も大きな理由としてあげております燃料費、石油についてこれから質問を続けたいと思うのです。  その前に、公益事業部長が何かほかの委員会があるそうですから一点だけお尋ねしておきます。  先日の物特委員会の中で私が特約料金の問題について質問をいたしました。つまり、家庭用とそれから大口電力、四十七年度のこの比較をしてみますと、九電力の電灯合計が十一円七十六銭、これが大口一般が四円三十八銭。ところが特約が何と三円四十銭、しかも、この特約料金が大口の約四〇%を占めておる、こういう事実を指摘してまいりました。しかも、個別企業によりましては、発電コストすら割ってこれを供給しておる。これは適正原価あるいは適正利潤、この原則に照らし合わせてももとるという点についての追及をいたしました。そこで、個別的に昭和電工の川崎工場の例をあげまして、ここでは一キロワットアワー当たり二円三銭、全く想像もつかないような安い費用で電力を供給しておる、こういうことを指摘いたしました。その際に、公益事業部長は、二円三銭、この事実がはたしてほんとうなのかどうか、これを確認する、こういう返事をいただいたわけでありますけれども、端的に、私が指摘をした二円三銭、これがはたしてほんとうであったかどうか、これだけ最初に簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  154. 岸田文武

    岸田政府委員 個別の需要家との間の特約料金を発表いたしますことは、一般的には慎みたいと思いますが、先回、お尋ねのございました昭和電工につきまして二円三銭というのは、その分に関して事実でございます。
  155. 野間友一

    ○野間委員 いま二円三銭が事実であるという答弁がございました。  そもそも電力料金電力というのは周知のとおり、私たちの暮らしに欠くことができない。高いから電気を買えない、懐中電気で暮らす、こういうことは不可能であります。しかも、いま国民が最も大きな関心を持っておるのはこの電力料金値上げであります。今度の料金制度の改正の解説によりましても、大口と、それから家庭用、この差が依然として残っておる。しかも私はその中で、いま申し上げたように、この特約料金制度によって、さらに大口電力の中でも特定の企業に対して、いろいろ理由はありましょう、理由はいろいろお聞きしておりますが、この大口の電気料金の約二二・四%でしたか、さらに料金を下げて、そしてこれに奉仕しておるということは、何としても、国民感情からしてこれを是認するわけにはいかない、こういうふうに思うわけです。そのことを指摘して質問を続けたいと思います。  石油会社の三月期の決算が発表されております。これらの詳しい分析、問題等については、後ほどまた質問をいたしますとして、あれほど鳴りもの入りで石油元売り会社が膨大な赤字をかかえる、こういうことを政府も言われたし、また各企業の代表者も集中審議等を通じて言ってまいりました。ところが、今度のこの三月期の決算を見ますと、経常欠損はわずか三社だけ、こういう結果であります。しかも、この中で特に目につくのは、いわゆるメジャー系統、これらが総じて黒字を出しておる、民族系の元売り会社が赤字を出しておる、こういうことがこの決算の中で明らかになっております。  そこで、このような日本原油輸入の約八割を占めるといわれるメジャー、これらがみずからの系列会社、それから民族系の会社原油を売り渡すわけでありますが、この購入する原油価格ですね、これらに不平等、差別があるということが今日の民族系とメジャー系のこの決算にあらわれておる、これは明らかであります。  そこでお聞きしますのは、現在メジャー系と民族系それぞれの元売り会社が購入する原油の購入価格、これらが一体どうなっておるかということ、それからいわゆるオイルショックの以前においてはどうであったかということについて、まずお答えをいただきます。
  156. 山形栄治

    山形政府委員 オイルショックの前の数字から申し上げますと、昨年の九月、これはイラニアンヘビーの例で申し上げますと、CIFで、いわゆる民族系と称せられますものの全体の合計がバーレル当たり通関で二ドル九十九、そういうわけでございます。これに対応いたしますいわゆる外資系といわれますものが三ドルであったわけで、ほとんど同じであったわけでございます。  それから、昨年の十二月でございます。これはCIFでございますが、やはり同じように、民族系が四ドル三十八、それから外資系が四ドル三十二でございまして、むしろこの段階で外資系のほうが、ほんの数ポイントでございますけれども下がっておるわけでございます。ただ、これは若干暫定推定が入っておりますが、そういうことでございます。  それから三月の段階で申し上げますと、これは非常に複雑でございまして、例の追徴金というのがございまして、追徴金の通告が現在まだ確定いたしておらないような段階でございますので、一応追徴金分を除いたことでまず申し上げますと、いわゆる民族系といいますのが十ドル九十五、これに対応いたします外資系というのが九ドル九十でございます。ただこれは、いまちょっと申し上げましたように、その追徴金の追徴のしかたが確かに外資系と民族系とでは違っておりまして、この辺の差異が民族系と外資系の実際の購入価格の差に出てくるというのが最近の実態でございます。
  157. 野間友一

    ○野間委員 いまの答弁でも明らかでありますが、オイルショックの以前においてはほとんど差はなかった。ところが現在では、いまの答弁にもありましたけれども、一バーレル当たり約一ドルの民族系とメジャー系、これの差が出ておる。私は大体それは相当じゃないかと思うんです。ある新聞によりましても、これは三月期の輸入原価の積み出し価格平均ですが、興亜石油、これがカルテックスから入れる価格が一バーレル当たり五ドル七十二セント、出光が六ドル七十五セントで輸入しておる。この差は一ドル三セント、こういうことになっておりますけれども、ほぼいまの長官の答弁に符合しておる、こういうことだろうと思うのです。  このようにして、いまでは、私は決してこのメジャーと民族系の元売り会社についてのいろいろな問題の全部について触れようとは思いませんが、歴然とこの三月期の決算にもあらわれております。これだけの黒字と赤字、この決算の状況、それからいまの購入価格の差、こういうものを考えた場合に、これについては強力な施策をとる必要がある、こういうように思うのです。しかもメジャーの場合、これはよくいわれておりますように、ショックの前には、一バーレル当たり売るマージンが大体四十セントとか五十セントとかいわれておりました。これが現在では四ドルになっておる、こういうふうにもいわれております。これはいろいろものの本によって違いますけれども、四ドルから五ドルあたり利益を上げておるというふうにいわれておる本もあるわけです。それはそれとしても、私はやはりメジャーに働きかけて、いまのメジャーはさておきましても、せめてメジャー系と民族系、これらが購入する原油価格、これらに不平等、差別のないような形でこれを購入さすべきである、こういうふうに私は思うわけですが、この点についてどのようにお考えになっておるのか、まず通産大臣の御所見をお伺いします。
  158. 山形栄治

    山形政府委員 メジャーが自分の系列の会社に売る値段と、その他第三者といっておりますが、第三者に売る値段とが同一であるべきだ、これはわれわれ日本国民といたしましてそこで差をつけられ、それがひいては外資系と民族系の格差の拡大につながることは望ましいことでないということにつきましては、私もそのとおりだと思うわけでございます。メジャーといいますのは、御存じのとおり世界全体を相手にしておるわけでございます。かつての動きにおきましては、逆にいわゆる自分の直結の会社に売る値段よりも安く日本の民族系に油を流した実績もあるわけでございます。これは世界企業一つ方向としてそういうことをやったこともあるわけでございます。現在メジャーの言い分は、自分たちの直結した会社とは別に、第三者会社に売るときには少なくとも日本だけを差別しないで、世界全体を統一的に取り扱っておるんだ、したがって、そこの点で需給から見た公平感を保持しているので、その点はわかっていただきたい、こういうことをわれわれのほうに言ってきておるわけでございます。先般も私有力なるメジャーの社長にも会いまして、ちょうどいま先生のおっしゃったような形でのいわゆる差別待遇の撤廃につきまして強く要請をいたしたわけでございます。今後ともメジャーの行動というのはこれからの世界経済、世界の国民生活全体に関係することでもございますし、先般のワシントン会議におきましてもメジャーのビヘービアというものを各国で検討する小委員会が設置された経緯もございますし、今後全体の動きとしてのメジャーの公正なる行動というものにつきましてわれわれも一そうの努力をいたしたいと思います。  なお蛇足でございますが、先ほどちょっと出ましたかつて五、六十セントのメジャーの利潤がいま四ドルといわれておる。これはOAPECの会合でOAPEC側から出ました情報でございますが、われわれのほうで検討いたしましたところ、これは確かにちょっと間違いでございまして、メジャーの原油価格の利潤でなく、いわゆる採掘から開発、販売、アップストリームからダウンストリーム全部を込みにした価格体系のところでの問題を問題にしておるようなこともございまして、若干原油段階としては不公正、ちょっと間違いがあるんじゃないかと思いますので、念のため申し添えておきます。
  159. 野間友一

    ○野間委員 いずれにしてもメジャーが世界をまたにかけて、そしてオイルショックの中であばれ回っておるという事実については、これは間違いないことであります。  蛇足ですが、物特委員会の中でも、メジャーをひとつ喚問して追及しようじゃないかということを理事会でもいろいろ協議したことがあるのです。その中で自民党の理事の中でも、それはやはりそうだ、メジャーに振り回されておる、これは情けない、こういう強い声もあったのです。ただ、時期的にもう少し様子を見ようということで、そのままペンディングになっておるのですけれども ほんとうに私たち日本人がいろいろな面でメジャーに振り回されておるという事実を私たちすべての国民が歯がゆい思いをしながらいま注目をしておるわけであります。  そこで、次にお聞きしますのは、メジャーに対する対策をどうするかということだと思うのです。これは四月二日の参議院の予算委員会で石連の密田会長がこんなことを言っております。「なかなか企業だけの努力でそれを抑制するというのは、私は、これは限度でございまして、やはりそこに国の政治力と申しますか、国と国との間の交渉あるいは政府産油国との間の」云々とありますが、政治的な解決が必要だ、こういうことを言うわけですね。公取の告発を待つまでもなく、私たちは石連もメジャーも同じ穴のムジナであるというふうに思うわけですが、密田会長のこの指摘は、やはり一つ見方であると私は思うのですね。つまり企業が力の強弱を背景にして、そしてメジャーの言うがままに振り回されておる、これについてなかなか強いことは言えない、これは事実だと思うのです。その際にやはり政治的な解決が必要だ、こういう企業側からの意見、希望、こういうものもある意味においては私はもっともなことだと思うのです。こういう点において長官がどこかメジャーの会長に会ったとか、いま話がありましたけれども通産省は、これまでこのようなメジャーに対する対策をどのようにとってきたのか、少し話をしていただきたいと思います。
  160. 山形栄治

    山形政府委員 メジャーといいますのは、これは非常に強大な力を持っておりまして、わが国におきましても、かつてはほとんどその大部分の輸入及び販売をメジャーが持っておったことは御存じのことだと思います。いまから十年以上になると思いますが、これではもうとてもメジャーに振り回されるばかりであるということで、一番大きな政策の方向といたしましては、日本における外資系と民族系の精製面及び販売面のバランスを回復しようということで、その最終目標を五〇、五〇というところに持っていくという前提で、この十年以来通産省といわず政府全体で進めてまいったわけでございます。たまたまその比率としましてはもう数年前に一応実現をいたしたわけでございますけれども、何ぶんにもメジャーがいろいろと資本力及び開発力ではすぐれておるわけでございます。したがいまして、そういう五〇、五〇の実現のあとにおきましても、メジャーが原油供給という観点から価格を人為的につり上げるということはいまに始まったことでなく、前からもあったことでございますので、たしか昭和四十五、六年だと思いますが、いわゆるひもつき原油のウエートを低めるよう指導いたすことにいたしまして、メジャー依存というものを政策的に低下させようということの政策はずっと続けておるわけでございます。  それからもう一つの大きな政策の柱は、何ぶんにも日本原油取得面で力がない点が一つの大きな問題でございますので、日本の自主開発原油の比率の増大ということも年来進めておったわけでございまして、非常に不十分でございますけれども石油公団の創設等もその政策の一環であるわけでございます。メジャーは悪い点もありますけれども、しかし、何ぶんにも大きな力を持っていますと同時に、先ほどもちょっと言いましたように、世界全体に油を売る点におきます平等性、無差別性という点では、そういう姿勢をとっておることも確かでございまして、先般の石油危機のときにおきましても、日本だけをやり玉にあげてカットをするというような行動に出なかったことは確かでございます。そういう点におきましての日本の安定供給の確保の点からメジャーとのつながりを密接につけるという点の必要性は今後も重要だと思うわけでございますが、われわれの大きな方向といたしましては、自主開発原油の獲得の機会の増大、それから産油国と直接取引をもっと太いパイプでふやしていく、メジャー経由でない油を取得するような形を増大さしていく、そういうことによってメジャーへの対抗力を強めるべきであろう、こう考えるわけでございます。  その他にもいろいろとあるわけでございますが、備蓄の問題等も含めまして現在総合エネルギー調査会で部会を幾つかに分けまして検討いたしておりまして、近く成案もそこから出てくると思いますので、その辺を参考にしながら今後の日本の安定的な石油供給のあり方についてわれわれも検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  161. 野間友一

    ○野間委員 確かにいまメジャーのほうがDDオイルよりもコストが安いというようなこととか、いろいろ理由はあると思うのです。ただ、いま申し上げたように、このショックを利用していま盛んに日本に対して攻撃をかけている。その一つのあらわれが民族系とメジャー系列の価格の差別であるとか、これを利用して日本国内の市場の支配をさらに強化するというようなこと、それからまたいまメジャーによってはさらに再値上げの通告も幾つか出ておる、これも事実なんです。ですから、メジャーに対してどのような態度をとるか。きびしい態度をとるかとらないか。これは私は必要だと思うのです。その点について三月十一日の衆議院の予算委員会で、わが党の全子議員の質問に対して、中曽根通産大臣は次のように答えております。「国益を著しく害しているというおそれがあるような場合には、われわれとしても警告を発するなり、あるいは行政指導をするということも考えていい」こういうふうに大臣は言っておられます。この石油危機の中でほんとうに振り回された。私たち国民の生活が著しく圧迫され、あげくの果てには自殺された方すら出しておる。経済もこんな状態におとしいれられた。この狂乱物価一つの原因が石油のショックにあることは明らかであります。そしてまたいまの電力料金値上げ、これらの最も大きな原因がこの石油価格値上げである。しかも、この中東戦争を契機とするオイルショックの中で、先ほど申し上げたようにメジャーがいろいろと操作をやっている。こういうことから考えまして、メジャーに対してほんとうにき然とした態度をとるかとらないかということは、いま申し上げたとおりだと思うのです。  そこで通産大臣にお聞きするわけですけれども、いま申し上げたように、予算委員会の中でいまのような答弁をなすっている。いまメジャーに対してどのような手だてをとるか。いままた再度値上げの通告もなされておる。あとでまた触れますけれども、西ドイツではカルテル庁あたりがいろいろといま手を打っている。こういうのを踏まえた上で通産大臣としてはどのようにお考えになるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 メジャーの態度が著しく国益を損ずるときは警告を発するなり行政指導でしかるべき措置をやるという考えは変わっておりません。メジャーのこの石油狂乱の時代におけるビヘービアについては次第次第に明るみに出てきておりますけれども、必ずしも世界から歓迎されるような行動でなかったということが漸次露呈してきておるようであります。日本の場合にそれがどういう程度関係したか、これはまだ明らかでございませんけれども、実態を見きわめまして、それによってわれわれとしては必要な態度に出たいと思います。いままで聞いた範囲では、石油の供給についてはかなり努力をしてくれたようですけれども、値段その他については若干問題もあったのではないかというような危惧があります。通報については実態はよくわかりません。OAPECが二五%の削減をきめた、そういうことからメジャーのほうもかなりショックを受けてそういうような通知をわれわれのほうへしてきたのかもしれません。この辺はまだ実態はよくわかりませんが、いずれにせよ、国益を踏まえて私たちは日本の国家の利益を守るために適正な措置をとるつもりでおります。
  163. 野間友一

    ○野間委員 少し具体的な問題に触れていきたいと思いますが、いわゆるカルテックスのグループあるいはスタンダードのグループ、こういうグループがありますが、現在どのように販売シェアが変化しておるかということを少し数字の上で調べてみました。そうしますと、特徴的にはオイルショックを契機にしてメジャー系列のグループの国内の石油製品の販売シェア、これがかなり伸びておるというのが特徴だと思うのです。若干数字をあげますと、四十七年十二月と四十八年十二月との比較をいたしましたが、カルテックス・グループの中で日本石油が二八・六%から一七・八%に伸ばしておる。それからエクソン系列グループ、エッソ、モービル、これらが、たとえばエッソの場合には四・五から五・二、モービルが五・九から六・三。このようなアメリカ系のメジャーのシェアは同じ時期をとってみますと二七%から二九・三%、つまり二・三%シェアを伸ばしておる、こういうことが数字の上で出ております。これは共同石油の共石時報の七四年四月号ですが、ここで大体伸ばした二・三%がどの程度の割合になるのかということを調べてみますと、たとえばキグナス石油、これは元売り十三社の一つですが、このシェアが一・二%なんです。それから九州石油が一・七%。これは販売量のシェアです。この石油元売り会社の二つを合わせただけでいいますとまだ足りませんけれども、こういう大きなシェアをわずか一年の間に伸ばしておる、こういうことがいえようかと思うのです。つまり先ほどから申し上げておるように、みずからの系列会社には安く、そして民族系、独立系——第三者といわれましたけれども、そこには高くということでメジャー系の石油市場を伸ばしている。これがオイルショックを契機にした一年間のシェアの伸び二・三%というような結果になってあらわれておる、こういうふうに数字の上で出てきておると思うのです。  そこでまず私は、こういうような特徴からしても、このまま放置しておきますと民族系とメジャー系の差がますます開いてくる、これは明らかだと思うのです、特にこの三月期の決算を踏まえて次期の決算期の予想がいろいろ取りざたされておりますけれども、この中でも明らかにこの差がはるかに開いていくということもいわれております。そういう意味におきまして、いま大臣は国益を守るためにということを言われましたけれども、私はこの際やはり思い切ってメジャーに対して勇断をふるうべきじゃないか、こういうふうに思うのです。  それで、日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約というのがあります。この十八条によりますと次のように規定しております。「両締約国は、競争を制限し、市場への参加を制限し、又は独占的支配を助長する事業上の慣行で商業を行う一若しくは二以上の公私の企業又はそれらの企業の間における結合、協定その他の取極により行われるものが、それぞれの領域の間における通商に有害な影響を与えることがあることについて、一致した意見を有する。従って、各締約国は他方の締約国の要請があるときは、それらのいかなる事業上の慣行に関しても協議し、及びその有害な影響を除去するため適当と認め措置を執ることに同意する。」、こういう条項がこの航海条約の中の十八条に規定されております。したがって、この際、予算委員会の中で通産大臣が言われたその趣旨を考えた場合に、やはりこの十八条を使いましてひとつ協議をし、しかるべき措置をとる、私はこういうふうにするべきじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もう少し実態をよく的確に把握いたしまして、善処いたしたいと思います。
  165. 野間友一

    ○野間委員 やはりこれはタイムラグが出るとだめだと思うのですよ。私はいま一番必要な時期だと思うのです。この三月期の決算で現に出ているわけですから。  それでは次に、具体的にもう少し問題を進めていきたいと思うのですが、西ドイツの問題です。これは公取にお聞きするわけですが、過般の新聞報道等によりますと、このテキサコとかあるいはBP、これらに対して値下げの仮処分命令を出したとかいうような記事も出ております。値下げ勧告ですね。新聞記事では、はたしてメジャーに対して直接メジャーあて名で出したものか、あるいはメジャーの系列の西ドイツの子会社に対して命令を出したものかどうか、これは新聞紙上では両方あるように思うのですけれども、この実態をどのように把握しておるのか、これをまずお答え願いたいと思います。
  166. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 私どももこれはまだ新聞でしか存じておりません。いま至急関係資料を取り寄せている段階でございますが、聞いているところによりますと、それはメジャーの子会社に対してそういう価格の引き下げ命令を出したということでございます。
  167. 野間友一

    ○野間委員 それは新聞では二通りの報道がされておりますが、実態を早急に調べて、そして当委員会に即刻報告をしていただきたい。これはまたあとで答弁を求めたいと思います。  ここで私が考えるのは、いずれにしても、西ドイツではこのようなきびしい措置をとることによって、そして値下げ命令という強硬な措置をとっておる。単に西ドイツだけではなしに、これもある新聞の報道ですが、アメリカの独禁政策、これは連邦取引委員会ですね、これも昨年の夏に八大石油会社相手に審判を始めた事件として報道されておりますが、この容疑の内容、これも私が先ほどから指摘しておりますように、「独立系の精製業者に原油の供給を制限して非競争的な市場にしているほか、独立系の販売会社にはガソリンなどを回さず、価格競争を回避している。また、目標を調整しあって、八社間の相互依存性を高めてきた。」いろいろ書かれております。つまりこういうことによって競争を制限して、そして独占的な利益をむさぼる、こういうことについて連邦取引委員会では企業分割が必要だというような判断まで出しておる、こういう記事もあるのですね。つまり先ほどから申し上げておるように、メジャーがメジャー系とそれから民族系、これらにそれぞれ差を設けて、そしていま国内においてこのようにわずか一年間に二・三%のシェアを広げておる。これがオイルショックの前とあととを比べますとこういう結果になってあらわれていると同時に、この差がますます開いておる。そしてさらにメジャーの取り分自体もほしいままにマージンをふところに入れて、そして日本の国内のこういう国民の暮らし、あるいは経済を破壊しておる、こういう事実は事実なんですね。しかも、これらについて先ほど大臣にもお聞きしたのですけれども、この通商航海条約十八条に基づいて適切な協議をすることができるし、また措置をとることができる、こういう法律があるにもかかわらず、まだいまの段階通産大臣はとろうとなさらない。私は非常に遺憾だと思うのです。せめて公取だけでもコウノトリにならないようにこの際き然とした態度をとるべきだ、こう思うのです。  そこでお聞きしたいのは、このような一方は国籍は日本にない外国企業です。しかし、外国企業がほしいままに自分の独占的なこういう地位を利用して、そして国内の市場を操作し、これを支配強化する。価格操作あるいは荷操作、これらについて、一体日本のいまの独禁政策としてこれらを規制する手だてがあるのかないのか、公取としてどのように考えておるのか、ひとつお答え願います。
  168. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 いろいろ問題がございます・が、先ほど先生おっしゃいましたいわゆる差別価格の問題、メジャーが民族系とメジャー系に対して価格の差別をしているという事実については、まだ十分よく調査しておりませんが、そういう場合にいわゆる独禁法でいう差別対価になるかどうかという問題が一つございます。ただしこの場合は、正当な理由があれば差別対価にならないということでございます。  ただ、かりにそれが差別対価になるという場合でも、いまおっしゃいましたように、メジャーというのは大体外国にある外国の企業でございます。それに対して独禁法を適用できるかどうか、独禁法の域外適用の問題がございます。これは日本にたとえば支店とか出張所等があればそれはそれでつかまえることができるわけでございますけれども、そういうものがない場合に、外国にある外国の企業に対して独禁法の適用ができるかどうかという問題が当然出てまいりますので、その点につきましては、現在慎重に検討しているところでございます。ただ、ただいまの独禁法ではいささか困難ではなかろうかというふうに考えますか、しかし問題がメジャーについてはいろいろございますので、ただいま慎重に検討しているという段階でございます。
  169. 野間友一

    ○野間委員 慎重に検討されるのはけっこうだと思いますが、やはり事の重大性、重要性をもっと私は深刻に認識していただきたいと思うのです。こういう実態を踏まえて考えた場合に、せめて調査に着手する、これは別に強制捜査とか、強制的にそういう措置をする前に、これだけ深刻な事態がある、しかもるる申し上げたようなこういう事実があるわけですから、当然この実態がはたしてどうであるかどうか。先ほどの答弁を聞いておりますと、何か法律の解釈を聞いておるような感じがするのですけれども、そういう抽象的な一般的なことでなくて、いま具体的なこういう実態を踏まえた上でどうするか。いまのお話によりますと、外国企業に対してかりにこれが独禁法にひっかかるような事例であっても、いまの独禁法の中ではこれらについての手だてがむずかしいという、こういうお説のようです。これは法の適用範囲の問題というふうにお聞きしましたけれども、この点については学説が両説ありまして、いまでは通説はないというように私は理解しておるのです。この点ひとつお伺いをしたい。通説はないと思うのです。両説がありましてね。だから私はもっと公取は強気を出して、この際これは積極的に規制するという方向で現行法規の中でも考えるべきである、こういうように思いますけれども、この点についてまずお答え願います。
  170. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かに域外適用の問題についてはむずかしい問題がございます。まだはっきりした公取としての見解を出しているわけではございませんが、実態については、これは調査をいたします。問題があるかないか、ありとすればどういう措置をとれるかということについては調査をいたします。
  171. 野間友一

    ○野間委員 それから関連してですが、いま時間の関係で多くは触れられませんけれども、これは当然積極的に規制するという方向でひとつ検討すると同時に、これを明確な形でいま独禁研が——きょうも委員長は出ておるようですが、この中で議題となって、このような国内企業とのカルテルとか不公正な取引制限、こういうものの規制についても独禁研のこの議題となっておるのかどうか。これを前向きにこういうものを規制するという方向で手だてがいまなされておるのかどうか、この点についても、この際ひとつお聞きしておきたいと思います。
  172. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 独禁研でただいま問題にしております主要な問題としては、価格の引き下げ命令あるいは企業の分割が可能かどうか、それから株式所有の問題等でございますが、いま先生おっしゃいました点は、直接には問題になっておりません。しかし、それは独禁法を改正すべきかどうかという点について関連した問題として検討を加えるべき問題ではないかと思いますけれども、現在のところ、それは議題とはなっておりません。
  173. 野間友一

    ○野間委員 いま加えるべきではないかと思う、こういうことですが、これがなければしほうだいですよ、正直言って。やりっぱなしです。何の手だてもなければ、政府通産省がやらなければこれは公取にお願いする以外しようがないと思うのです。政府だってやろうと思えば、この条約に基づいてできるのです。しかし、やる姿勢がない。これは公取、ひとつぜひしっかりして、この際、この独禁研の中で、これを規制するようなそういう手だてを明らかにやるべきであるし、いまやるべきであるというお話がありましたので、これを強く要求したいと思うのです。  次に、メジャーとそれから国内の元売り会社あるいは販売会社等との契約関係について少しお伺いしたいと思うのです。  昭和二十四年三月二十五日に日本石油とカルテックス・ジャパンとの間で締結された委託販売契約書、これはいろんな資料にありますが、これは公取の認可を当然受けるべきであったし、受けておると思いますので御存じだと思いますけれども、これはいかがですか。
  174. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 これは公取に届けば来ております。
  175. 野間友一

    ○野間委員 ちょっといま私失礼しましたけれども、いまのは国内企業ですから、これは来ておりますね。これには委託販売契約になっていますね。そしてここにもありますけれども、日石の受託販売はカルテックスのさし値によること、さし値によって委託販売する、こういうような契約になっているようですね。これはあとで改正せられたと思いますけれども、こういう内容になっておりましたね。
  176. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 ちょっといま御質問を聞き漏らしましたのですが……。
  177. 野間友一

    ○野間委員 契約内容は、カルテックスのさし値によって日石が販売する、こういうふうになっていましたね。
  178. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  現在の契約は委託ではございませんで売り切りの契約になっております。国際契約としては、カルテックスと日本石油精製との間の国際契約ということになっておりますし、国内契約としては、日本石油精製とカルテックス・オイル・ジャパンとの契約、それからカルテックス・オイル・ジャパンと日本石油との契約、こういうふうな形になっております。
  179. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ時間の関係で、昭和二十四年当時のカルテックス・オイル・ジャパンと日石との委託販売契約についてお伺いしたいのですが、これは少し先に進みます。  昭和三十三年から、これは確かに委託販売契約から一般の売買契約になっておるというふうに私は理解しておるわけですが、ここでお伺いしたいのは、この売買契約の契約内容なんですが、このカルテックス・オイル・ジャパンと日石との売買契約を見てみますと、カルテックス・オイル・ジャパンが日本石油精製及び興亜石油から買い入れた製品の全量を当社、つまり日本石油に販売する、当社はこれを国内市場で販売することを約する、こういうような契約内容になっておると思うのですが、つまりこのグループの契約関係は、まずCPCから日石、興石が買い受ける、それからこれをさらにカルテックス・ジャパンに売り渡す、それからこのカルテックス・ジャパンがさらに日石に売り渡す、こういうようにCPCから日石まで、こういう流通の経路をたどっておるわけですね。そこで、私がいま指摘したのは、カルテックス・ジャパンと日本石油の契約関係は、日石、興石からカルテックス・ジャパンが買い入れたものは全部日石がさらにこれを買い受ける、こういう契約内容になっておりますね。この事実はどうですか。
  180. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 そのとおりでございますが、契約としましては、日石の場合を例にとりますと、日本石油精製はその全量をカルテックス・オイル・ジャパンに売る、カルテックス・オイル・ジャパンはその全量を日本石油に売る、こういう契約でございます。
  181. 野間友一

    ○野間委員 いずれにしてもそのとおりで、契約関係は複数になっておるのです。ただ、この経路を見ますと、CPCから日石、興石にいって、ここで精製する。これは日本石油精製に入りますが、それからカルテックス・ジャパンにいきまして、日石にいく、こういうことで全量販売になっております。こういう契約関係を私はふしぎに思うのですよ。つまり製品をすべてカルテックス・ジャパンに——失礼しました。その前に一つお聞きしますけれども、このCPCと日本石油精製あるいは興亜石油との原油の売買契約ですね、この契約内容に、国内の日本石油精製あるいは興亜石油、これらが精製したものは全量カルテックス・ジャパンに売らなければならない。いわゆる再販売先の指定、これが契約内容にあると私は理解しておりますけれども、その点はいかがですか。
  182. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 それはございません、ただいまの契約には。
  183. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、国際契約については、全量カルテックス・ジャパンに売らなければならないという条項はない、こういうお答えですね。ただ、国内企業との複数の契約関係の中にはそういうものがあるのだ、こういうことですね。  そこで、お聞きするわけですが、ここに「興亜石油四十年史」という資料があるのです。これによりますと、サプライ・アンド・ディストリビューション委員会、こういうものがいわゆるカルテックス・グループにある、こういう指摘があるのですが、このことは公取として御存じかどうか。
  184. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 それは存じておりません。
  185. 野間友一

    ○野間委員 これは「興亜石油四十年史」という社史ですが、この中にちゃんと書いてあるのです。これが私は問題だと思うのです。先ほどまくらとしてお聞きしたのは、この問題についてぜひ私は調査する必要があるからお聞きしておるわけですが、カルテックス・グループ、これはわが国ではカルテックス・ジャパン、日本石油日本石油精製、興亜石油日本石油基地、それから東京タンカー、こういうことですね。CPCを頂点にして、この国内のグループが一つにグルーピングしまして、そうしてこれがあるわけですが、そこで問題になるのは、このS&D委員会、サプライ・アンド・ディストリビューション委員会、つまり供給と分配、これらの委員会なんです。ですから、メジャーを入れた国内のこのグループがこのような供給と分配、これらを定める委員会をつくっておる。しかも一体この委員会がどういう仕事をしておるのかということが「興亜石油四十年史」に書いてあるのです。こういうことが書いてあります。「当社」というのは興亜石油ですが、「当社で生産される石油製品は全生産量の大半を占める主製品としての燃料油と、LPG、石油コークス及び硫黄などの副製品に大別される。主製品販売については、」——つまり燃料油ですね、「昭和二十六年、当社とカルテックス・オイル(日本)との間に締結された販売協定に基づき、原則としてすべてカルテックスに売上げ、最終的には日本石油の販売網を通じて市販される形態をとっている。この形態はカルテックス・グループの国内販売体制における特徴ともいうべきものて、」——次ですが、「その長期販売計画策定の根幹となるものにS&D委員会がある。同委員会が決定したグループの販売計画は、それぞれ各社の設備増強計画にもつながり、また長期の生産計画樹立に際しての指針ともなるものである。次いで、長期需給計画に即応して、当社と日本石油精製の精製能力」——「当社」というのは興亜石油ですね。それから「季節変動要因やその採算性等に立脚した短期生産計画が決定され、グループの販売活動が展開されることとなる。」こういうことです。つまりCPCを含めたこのカルテックスグループ、幾つかいま個別企業の名前をあげましたけれども、これらのグループが生産から販売から、そのコストに至るまでこのS&D委員会によってきめられておる、こういうことを堂々と興亜石油は書いておるのです。これは私は明確に独禁法に違反する委員会であると思うわけですが、この事実について公取はどういうように考えられるか、まず所見から聞かしていただきたいと思います。
  186. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 私もこれはいまお伺いしたわけでございまして、ここで直ちに独禁法に違反するかどうかということは申し上げかねますけれども、確かに問題はあるのじゃないかというふうに思います。
  187. 野間友一

    ○野間委員 つまり、ここまでくると結論が明らかだと思うのですけれども、要するに先ほどから申し上げているように、とりわけオイルショックを契機にして、そしてメジャー、特にアメリカ系のメジャーが日本の国内市場を独占し、支配する、  このためにメジャーも含めたこういうグループが、しかもこの中核としていま申し上げたS&D委員会、サプライ・アンド・ディストリビューションですよ、しかもこの具体的な内容は、いまお読みした中に書いてありました。つまり長期の販売計画、短期の販売計画、その中に生産からコストから精製能力からすべて——精製能力といいますと、これは数量に関係しますね。こういうものすべてがこのS&D委員会によってきめられている。そういたしますと、いまのシェアの伸び、この数字が示しておりますように、そのメジャーは日本国内の系列のものですね、各企業グループ、これを通じまして、そしてこのようないろんな意味での競争制限、不公正取引、こういうものを通じて国内の市場の支配を強化していく、こういうことが現にやられておるのです。これは実際、私あとでまた資料の写しを差し上げますけれども、この実態、これを調査されるかどうかですね。先ほどこれは疑いがあるというふうにおっしゃいましたけれども、その点について明確な答弁を求めておきます。
  188. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 調査はいたします。
  189. 野間友一

    ○野間委員 独禁法の上では単に形式的な契約内容を審査される、その中で幾つかチェックをされております。四十八年度で四百九十何件ですか、審査してチェックされた、こういうことも私は知っております。ところが問題は、単に契約書の形式的な字づら、これだけではなるほど独禁法に違反するような条項がないとしても、実態はこんなものなんです。ですからここにメスを入れなければ、私は、ほんとうにこのような国際的な規模を持ったカルテル、これを規制することはできないと思うのです。これは単にこのカルテックスグループだけではないのです。これは幾つか、これも調べてみましたけれども、たとえばSVOC、スタンダード・バキューム・オイル、それからエッソスタンダード、それからモービル、これと東亜燃料、それからシェルと昭和石油、これらも同じようなグルーピングをして、その中にこういうものがあるというふうに私は聞いておるわけですね。ですから、このようなグルーピングの中でのこういう委員会の役割りは、単に国内のそういう独禁法違反のこういういろいろな行為を行なうということだけではなしに、これはメジャーがかんだ上で、むしろメジャーが自分の独占的な地位、こういうものを利用した上でこういうふうに強力にいま進められつつある、私はこれが実態だと思うのです。ですから、いまいろいろな現行法規の中では、直接そのメジャーに対して、名あて人をメジャーにして、具体的に独禁法違反の事実があっても、西独のような引き下げ命令がむずかしい、こういう話が先ほどありました。これは前向きに、そういう学説もあるわけですから、私は、現行法規の中でもやっていただきたいということは当然でありますけれども、しかし少なくともこのようなメジャーと結びついた国内におけるグループの中のこういう委員会の役割りというもの、これに対してやはりメスを入れて、そうしてこの実態をやはり国民の皆さんの前に明らかにする、こういうことがどうしてもやはり必要だと思うのです。形式的な契約書の字づらだけを——これは確かに構成人員の問題もございますけれども、一たん指摘した以上、これらについてやはりしかるべく早急に調査していただきたい、このことを強く私は要求しておきたいと思います。  そこで最後に——通産大臣、お聞きになっておりましたか。いかがですか。  公取が調査されますけれども、メジャーを含めた国内のこういうメジャー系列のグループの中での生産からあるいは販売数量から価格から、こういうものをきめていくような委員会を中核として国内市場を支配しておる、こういう実態を踏まえた上で、通産省はどういうふうにお考えになるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  190. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 メジャーの問題というものは、われわれはもう少し実態を明らかにする必要があると思っております。西独においてどういう機構で的確にどういうことを把握したか、公取でも調べているようでございますけれども、わが国といたしましても、この石油の輸入の価格や量や機構、そういう実態についてもっと的確に明らかにする必要もあると思います。これらにつきましては公取当局とも相談をいたしまして、いろいろ対策も考えてみたいと思います。
  191. 野間友一

    ○野間委員 十分お聞きになっていないようですので、長官、答えてください。
  192. 山形栄治

    山形政府委員 ただいま大臣のお話にもありましたように、メジャーの役割りというのは、これは非常に大きなものでございまして、しかし反面、これが大きいことでありますので、より一そうそれが公正に活動、行動していただくことも非常に大きなわれわれの関心でございます。  それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、やはりわれわれは年来、外資系と民族系、これの勢力のバランスというのを保持するのがわれわれの大政策でございまして、これは四十七年に五〇、五〇の比率は達成したわけでございますが、これからの動き等で、あくまでこういう対抗力の保持というものはわれわれははかるべきであろうと思います。  それからもう一つの点といたしまして、やはりメジャーが強いのは、何といっても原油の開発面、輸入面、この辺の圧倒的な力があるわけでございますので、今後の石油政策の一つの大きな方向といたしましては、よく世間で和製メジャーということばを使っておりますが、日本におきましても、開発能力も含めた、いわゆる開発から精製、販売までを一貫した大きな力を日本の国内につくり上げるような方向で政策を持っていき、国民の全体の大きな利益の確保をはかるべきだと私は考えておるわけでございます。
  193. 野間友一

    ○野間委員 私はあまり抽象的な講釈を聞くために長官にお尋ねしたわけじゃなくて、いまいろいろお聞きいただいたと思いますが、こういう中でメジャーも含めたこういう国際カルテル、それとS&D委員会、こういうものが中心になって、特にカルテックス・グループの中では生産計画から販売の量から、あるいは価格までやっておる、こういう実態を踏まえた上で考えた場合には、やはり何といってもメジャー、これに対してメスを入れなければ日本経済、いまの混乱したこういう状態をほんとうに断ち切ることはできないと私は思うのです。  話は最後に電力料金との関係に戻るわけですけれども、結局中東戦争を契機にしてメジャーがかって気ままなことをやりまして、日本の国内市場を荒らし、また国内の経済をこのような混乱におとしいれ、また国民の暮らしを破壊している。ところが、こういう中でいま申し上げたような燃料油の価格の上昇を理由にした電気代の値上げ申請されておる。このように川上からずっとしわが寄ってきたからこれはやむを得ないといえばそれまでだと思うのです。それでは私は根本的な解決にはならぬと思うのです。ほんとうに根本は、原因がどこにあるのかということになりますと、これは川下にしわ寄せするのじゃなくて川上にあがってほんとうの根源であるメジャーの横暴、これにメスを入れる、これに対して何のメスも入れずに、そして結局国民の皆さんに電気代を値上げすることによってだいぶしわ寄せする、こういうことは私は許されないと思うのです。ですから、この点について、最後に私は、メジャーを含めたメジャー系列のこのエネルギー、国内の石油元売り会社、これらをいま指摘したこういう事実を踏まえた上でぜひこれをきびしく検討して、またある条約とか、あるいは法律を駆使して、そうしてしかるべく適切な措置をとるべきである、こういうように思いますので、この点、公取の局長通産大臣から最後に御答弁を聞いて私の質問を終わります。
  194. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 先ほど先生お述べになりましたような差別対価の問題、あるいはメジャーの優越した地位の問題等いろいろ問題はあるかと思いますので、メジャーとその系列企業関係、それからメジャーがどういう政策を日本に対してとっているのか、あるいは国際カルテルに対する問題等あわせて十分に検討いたしたい。調査すべき点は調査をいたします。
  195. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 メジャーの問題は、御指摘のように世界的な関心の問題であり、例の石油消費国会議におきましても、メジャーの実態を明らかにしてその機能の適正を期するということにもなっておるわけです。われわれはそういうような意味のことを国際会議で主張するように外務省にも出発前によく頼んだ経緯もございます。そういう点からいたしましても、やはりメジャーの実態を明らかにして、そして適正な機能を働かせるように私たちとしても監視していかなければならぬと思います。そのためにも、いま長官が申し上げましたように、国内の政策においてこれに競争する力を培養していくという必要もありますし、また輸入の実態を明らかにするとともに、適正な価格及び数量における輸入が行なわれるように、われわれとしても事態を改善していく必要もあるやに考えられます。そういう点については積極的に努力してまいりたいと思います。
  196. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  197. 濱野清吾

  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 電力値上げの問題でありますが、通産省平均五六・七%前後に値上げ幅を固めたということが報道されておるわけであります。それで私思うのですが、この前の四国電力あるいは関西電力のときも、審査するにあたりまして三カ月はかかっているわけですね。本委員会におきましても、いわゆる審査をするにあたっては慎重審議をしなければいかぬというようなことで、これだけの期間がかかっているわけです。ところが、今回この値上げにつきましては、申請がたしかこの四月四日から始まったと思うのですが、十日ぐらいまでの間に九社が全部値上げ申請をした。わずか一カ月ちょっとで、これだけの、しかも九電力の経理に徹底的なメスを入れるというようなあらゆる慎重審議が実際行なわれたのかどうか。こういう姿はあまりにも国民生活を無視した、全く業界べったりの通産省姿勢ではないかと私は思うのです。まずこの姿勢について大臣の率直な御見解をひとつ承りたいと思います。
  199. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点につきましては、昼夜兼行で電算機等も駆使いたしまして、ほとんど連休も返上してやったわけでございます。正確を期するために厳正にやらせました。
  200. 近江巳記夫

    ○近江委員 事務当局としてきょうはエネルギー庁長官もお見えになっておられるわけですが、大臣がおっしゃったようにそれだけの慎重審議をやったのですか、どうですか。
  201. 山形栄治

    山形政府委員 いま大臣のお話にもありましたように、連休は全部当然につぶしました。土、日ももちろん全部出勤というかっこうで慎重に審査をいたしたわけでございます。法律上の規定に基づきます公聴会につきましても七日、八日と相当大ぜいの陳述人からの陳述も受けましたし、名古屋におきましては特にもう一日これを延ばしまして、参考人のかっこうでこれをまた聴取いたしたようなかっこうでございます。現時点におきまして公聴会の意見、それから公聴会という法律上の問題ではございませんが、各方面からの意見も十分に聴取いたしておるつもりでございます。現在慎重に審査中でございますが、慎重の上にも慎重を期しまして審査をいたしたいと思うわけでございます。
  202. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは私も官房長官のほうにもこういう大幅な値上げ申請認めるべきではないという申し入れにも行ってきたわけです。そのときに、通産省はわずか六%ぐらいしかカットをしていない、こういう大幅な値上げをさせていいのかということを申しましたら、そんなことは聞いていない、大体物価閣僚会議にも何にもまだ上がっていない、そういう手続の点におきまして非常に独断的過ぎるというような印象の、そういう発言があったわけです。これは全く手順等におきましても、これは物価安定政策会議のそういうような意見も聞かなければならぬわけですし、閣僚会議意見も聞かなければいかぬわけですし、そういう点、これはいかにも通産省が先走りをして引き上げよう、こういう態度は私は非常によくないと思うのです。こういう点はどういう考えに立ってこういう発表といいますか、そういう態度をおとりになっておるわけですか。
  203. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 申請の前後から各省とはよく連絡いたしまして、特に経済企画庁、大蔵省等とはすべて打ち合わせをして、その打ち合わせに基づいていろいろな諸般の手続を進めてまいったのであります。また、二十一日に決定しようということも官房長官にちゃんと連絡をして、その段取りも頼んでやってきておるのでありまして、通産省だけで独走しておるということはないと思います。
  204. 近江巳記夫

    ○近江委員 この物価安定会議から意見書が提出されまして、これには七項目の重点的に配慮すべき点がうたわれておるわけです。こういう点もこれは十分にほんとうに検討されているわけですか。出されてからまだほんとに日にちもたっていないわけですよ。どれだけこの七項目の提言に対して、通産省としては取り入れるために努力されておるのですか。その辺についてお聞きしたいと思います。
  205. 山形栄治

    山形政府委員 物価安定政策会議特別部会が十五日に開かれまして、いまお話がございましたが、七項目の条件を付して最小限度の改定はやむを得ないという御意見を取りまとめたわけでございます。  七項目といいますのは、慎重な厳正な査定を行なうことというのが一点でございまして、二番目は、一般家計への影響の緩和、特にナショナルミニマム範囲の引き上げについて極力努力するというのが二点目でございます。三番目は、電気事業の公益性に照らしまして、今後とも企業努力をするよう監督をしろ、かつ料金のなるたけ長期安定化をはかるべきであるということでございます。四番目は、電気ガス税の撤廃をはかり、かつ今回の増収分の減税を行なうべきであるということでございます。五番目は財政投融資の問題、六番目は今後の保安対策等についての努力の問題でございます。七番目はサービス便乗値上げが行なわれないように指導しろということでございますが、われわれといたしましては、この御意見につきまして、当然のことながら十分尊重いたすわけでございまして、特に、極力値上げ幅を抑制するということと、ナショナルミニマムにつきまして、これは中間答申では百キロワットアワーということに相なっておりますが、この辺を福祉増進の観点から慎重に配慮いたしたいと思っております。  また、電気税の増額分についての減税につきましては、いま関係省庁と打ち合わせ中でございますが、基本的には、これは当然にこれを減免すべきであるという考え方を持っておるわけでございます。なお、特に電気事業者は、国といたしましても基幹産業でありますとともに、各地方の代表的な企業でございますので、その保安対策の充実、経営の合理化等につきましては、今後とも一そうこの十五日の御意見にも従いまして努力を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  206. 近江巳記夫

    ○近江委員 この値上げ幅につきましても、でき得る限り圧縮するということをいま長官がおっしゃっておられるわけでありますが、圧縮はわずか六%ですね。これではとてもこの提言を受け入れた姿ということはいえないと思うのです。そこでこの圧縮幅につきまして、さらに強くお考えになっておられるかどうか、大臣にお伺いしたいと思うのです。  それから、ナショナルミニマムの問題につきましても、私たちは全国平均で百四十からきておるわけですから、百五十でもこれは少ない。大都市圏におきましては大体二百キロワット近くきておるわけですから、百二十くらいの——百キロから百二十に伸ばされたその努力はわかるわけです。しかし、さらにそれを大幅に引き上げるという点、まずこの二点につきまして、大臣からお伺いしたいと思います。
  207. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 極力圧縮するように努力をいたしております。  ただ今回は、石油価格の異常な暴騰によりまして、御存じのように三月決算においてはほとんど各社が減配、東電のようなものは六分というような思い切った減配措置になり、重役賞与はもちろん辞退する、そういうような未曾有の経理上の困難な事態に遭遇してきておるのでありますから、そういう意味においていままでの査定と若干状況が異なっておりまして、こういうクリチカルな時代の査定はまた査定として適正に行なう必要があると考えております。
  208. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、一応通産省の原案と思うわけですが、平均五六・七%と六%の圧縮なんですね。そうすると、これ以上はもう圧縮できない。また、ナショナルミニマムも百二十まで持み上げたわけですが、これ以上持ち上げることはできない、こうおっしゃるわけですか。
  209. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ナショナルミニマムといわれる部分につきましては、百二十キロワットにいたしたいと私は考えております。  圧縮の問題についてはいま最後の詰めをやっておる状態でございまして、いま数字を申し上げることはむずかしい事態にございます。
  210. 近江巳記夫

    ○近江委員 この二十一日に閣議決定、そして六月の一日か二日ですか、十日の告示を置いて。こういうスケジュールについてはどうなんですか。もっと先に延ばすという意思はないのですか。
  211. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう方向実施したいと考えております。
  212. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま長官は、電気税等については、撤廃まではおっしゃっておりませんが、引き下げるということをおっしゃっておられるわけですが、この点については大臣は、撤廃ないしは大幅引き下げということにつきましてどういうお考えをお持ちですか。
  213. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 撤廃を目標にして全力を尽くしていきたいと思います。
  214. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この前の委員会でも私、申し上げたわけですが、いわゆる社会福祉施設とか学校とか、こういうところについては特別の配慮をする必要がある、十分それは考えるということをおっしゃっておられるわけですが、これについてはどういうふうにお考えですか。
  215. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点につきましては、板川委員からもいまいろいろ御質問がありまして、弱者救済、特に電気を使って医療をやっておるという寝たきり老人その他の方々につきましては特に考えろという強い御指摘がございましたが、政府全体の仕事としてこれは受けとめて検討してみたいと思います。
  216. 近江巳記夫

    ○近江委員 電気税の引き下げあるいは撤廃ということになりますと、地方自治体に与える影響もあるわけですし、これは交付税等で政府は責任をもって補完をしていただきたい。これは強く要望しておきます。  そして、いま大臣おっしゃったこのスケジュールの点からいきますと、非常に大詰め段階に来ておるわけです。そうしますと、いままでの政府のそういう動きを見ておりますと、大体通産省が出したのを閣僚会議は了承するような、そういう線が強かったわけです。私は、この物価閣僚会議というのは、どれだけ強く国民サイドに立って動くかどうか、決断されるかどうか、これは非常に不信感を持っておるわけです。そういう点におきまして、このままの形でそういう認可ということになってきますと、これがまた引き金になりまして、物価狂乱のさなかにおきまして、さらに大狂乱を引き起こすということになるのではないかと思うのです。こうなった場合、大臣として責任をどうおとりになりますか。これはひとつ大臣と経企庁にお伺いしたいと思います。
  217. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 物価の狂乱事態を起こさないように最善を尽くして努力をしているつもりでございます。幸か不幸か、総需要の抑制が非常にさいてきておりまして、物を需要するという力が落ちてきております。ですから、電力が多少上がっても、それがストレートに強くこの間の狂乱物価みたいに移行するということはないと思います。
  218. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生先ほどお触れになりました物価安定政策会議特別部会におきましても、他の物資サービス便乗値上げが行なわれないよう強力に指導することという御注文もございますが、私どももこの意を体しまして、全力をあげてそのようなことのないように取り組んでまいりたいと思います。
  219. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に抽象論の御答弁だと思うのですね。総需要抑制であるとか、それは具体論でいままで展開されておられるわけですが、やはり電力値上げということが直接の引き金になって関連製品等へも波及してくる。そうしますと、いま極力努力しますとおっしゃるなら、じゃその努力するのは具体的にどうなさるのかという問題があるわけです。ここまでのスケジュールを考えておられるわけですから、当然具体的なそういう対策ということはお考えになっておられるはずなんです。その点ひとつ通産大臣、そして経企庁次官にお伺いしたいと思います。どういうように具体的にお考えになっているのでしょうか。
  220. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ある程度電力の引き上げが行なわれますれば物価影響が絶無ということはできないと思います。何らかの影響は必ず出てこざるを得ません。特に電力多消費のアルミやそのほかについては出てまいりますが、これはできるだけ企業合理化その他によって吸収して局部的な現象にとどめておいて、それが物価全般にインパクトを与えることをできるだけ減殺させる、そういう形で新しい価格形成への過程を進んでいきたいと考えております。
  221. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生御案内のように、石油価格改定に伴いまして私どもは幾つかの対策をとっております。たとえば目張り対策であるとか。したがいまして、ただいま通産大臣からもお話がございましたように、何がしかの影響は懸念されるわけでございますので、そういった目張り対策、あるいは物価動向の監視、こういった点で遺憾なきを期してまいりたいと思います。
  222. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう何らかの目張り対策ということをおっしゃったわけですが、その目張り対策とは何ですか。
  223. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 目張り対策と申しましたのは、いままでもやってきたものを私実はさして申し上げているつもりでございます。
  224. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから私たちが考えておるそれと、政府がお考えになっておられる目張り対策はやはり食い違いもあろうかと思うのです。政府としてお考えになってこられた目張り対策は何ですかということをお聞きしておるのですよ。局長でもいいですよ。参事官でもけっこうです。
  225. 有松晃

    ○有松政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたのは、さきに石油製品価格の引き上げに際しまして、重要物資についての価格凍結と事前了承制、それからその他の物資について価格の動向について行政指導で監視をするということをやっております。これは石油に限らず電力の問題につきましても、便乗値上げということが起こらないようにということに対する対策としては十分効果を発揮し得るものであるかと思いますので、こういった対策、特に電力影響の大きいと思われるような物資についての監視をこれらの対策に基づきまして十分に行ないたいということでございます。
  226. 近江巳記夫

    ○近江委員 経企庁がお考えになっておられるそういう凍結をして事前届け出制にする。しかし、そういう目張りがすでに大きく破れようとしておるのですよ。これは御承知のはずですよ。そんなものは決して目張りにはなっていないわけでしょう。しかも今日のこれだけの相次ぐ公共料金の引き上げですよ。きょうも発表されました東邦瓦斯なんて三大ガスの一つですが、四〇・三%ですよ。二十八日実施。しかも持ち回り閣議で決定しているんです。これだけの国民生活に重大な影響のあることを持ち回り閣議でサインして二十八日から実施する。なぜ国民大衆を無視したこういうやり方をやるのですか。しかもさらに東京瓦斯などはこの間引き上げて、また今度申請を出そう、こうしておるのです。東京瓦斯におきましては六〇%以上になる大幅なガス料金の改定を考え、準備中である。まだ申請はしておらないようでありますけれども、六月の五日ごろ出したいということは報道でも伝えられておるわけですね。六月の五日といえば国会が終わった直後ですよ。国会で追及をされるのをおそれて、ちょうど休会中に入ったときに申請を出そう、こういう動きを放置さしておいていいんですか。こういう態度は許せませんよ。こういう態度につきましてはどのようにお考えですか。両省からひとつお伺いしたいと思います。
  227. 山形栄治

    山形政府委員 東京瓦斯が六月五日に申請をするということは、これは新聞等に出ておったかもしれませんけれども、そういうことはございません。われわれといたしまして六月五日に申請を受理するというようなことは全然考えておらないわけでございまして、これは四囲の状況をよく見まして慎重に対処すべき問題であろうと考えておるわけでございます。
  228. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま通産当局のほうからお話し申し上げたと同じ考えでございます。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 しかし、現実にそういう動きがもうすでにあるわけですよ。そうすると、申請が出されても受理しないんですね。それじゃ確認しますが、お答えいただきたいと思います。
  230. 山形栄治

    山形政府委員 現在会社側から正式にはわれわれのほうに何にも言ってきておりません。会社側からの申し出がどういうことであるのか、ガス事業、特に東京瓦斯においてどういうコストアップ要因があるのか、その辺は全然私どもは聞いておりませんので、ここで何月何日どうのこうのということは私申し上げにくいんでございますが、先ほども申し上げましたように、これは慎重に対処いたしたいと考えるわけでございます。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは大臣お戻りになりましたから……。私先ほど申し上げましたのは、東邦瓦斯が四〇・三%値上がりになった。しかもこれだけの大幅な値上がりですよ。三大ガスの一つでしょう。それを持ち回り閣議で二十八日からときめている。こういうこれだけの重大な影響のあるものを、それは閣僚の皆さまお忙しいのはわかりますけれども、そんな拙速主義のやり方をやって国民を全く——これだけ公共料金の高騰で、引き上げ攻勢で苦しんでいるわけですよ。そういう形で安易に値上げをした。ですから、これが引き金になってまた東京瓦斯、この間も値上げしてまた申請を出そう、しかも国会の終わる予定の六月の五日ごろ出そう、そういう動きがあるわけです。大阪瓦斯だって同じことを考えているに違いないですよ。そこで、山形長官はいま慎重にということをおっしゃったわけですが、伝えられるところではそういうようにいわれているんです。もしも六月五日ごろに出してきた場合は、大臣はそれはお受け取りになるわけですか。どういう態度で臨まれるのですか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  232. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 東邦瓦斯の問題はかなり長期間にわたって査定をし、また企画庁等とも話し合いをずっとやらしておりまして、関係各省で完全に一致した線ができまして、そういう意味でもはや時期が来ておるからそういう措置をとったわけでございます。  東京瓦斯が申請するかどうか、まだ私よく聞いておりませんが、いずれにせよ、公共料金の問題は、電力の大幅な値上げがあるわけでございますから、先ほども御質問のように、これが引き金になってほかの便乗値上げの誘発を起こさないようにわれわれは厳格にやっていかなければならぬと思っています。ガスの料金についても同様であると考えております。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから竹内政務次官は、いわゆる目張りということで、五十三品目ですか、品物を凍結してあるとおっしゃった。ところが、これはもう続々と破れてこようとしておるわけでしょう。たとえば食用油は四〇%、砂糖は一〇%ぐらいの値上げ申請をしたい、業界はみな言っているんですよ。そういうぼろぼろに破れていく目張りの状態をこのままに放置していいんですか。  それで、こういう生活関連基礎物資値上げ事前届け出制を緩和しようという動き政府にある。これだけ物価狂乱で苦しんでおる国民生活をこのままでそういう緩和をしていけば一体どうなるかということです。これまでどういう品目がそういう意思を示しておるのですか。それに対してどういう措置をおとりになったのですか。また、そういう緩和を実際にやろうとしておられるなら、どういう品目についてお考えになっておられるのですか。率直な御見解を両省からひとつお伺いしたいと思います。
  234. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目張りをゆるめるといっても、これは値上げ認めるというわけではなくて、値下げの下ざさえになっていてはいかぬ、そういう意味もあって、たとえばトイレットペーパーのようなものはもう雨季が来ると滞貨は多いし、品物は下落していくし、品質が悪くなるわけです。そういうようないろいろな情勢から見て、これが値下げの下ざさえになっていてはいかぬ、そういう感覚もありまして、そっちのほうが適切な措置であると思っておるわけであります。ほかのものにいたしましても、総需要の抑制によって、特に建設資材は暴落して、建設関係の需要が起きない限り上がるということはいまのところ考えられないというようなものについては、もうはずしてもいいのではないか。それも数を限って、少数の数だけはやっていったらどうか。われわれは統制経済をやる意思はないのでありますから、そういう不要なものという分野に入ってきたらできるだけはずして経済の正常な機能に復元さしていく。局部的にせよ、そういう機能を少しずつ復元さしていくということをやることが正しい。そういうものをはずす時期を失しますと、ややもすれば官庁というものは民間に介入したがるものでありまして、はずすということは非常にむずかしいことであります。入れ込むということはやさしいことですけれども、権限を手放すということは非常にむずかしいことであります。しかし、自由経済を守っていくためにあえてそういう措置をとるというのがわれわれの考え方でありますから、局部的にそういうことをやっていきたいと思っておるわけであります。
  235. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 ただいま通産大臣からお答えがありましたとおりで、私どもとしても需給上に問題があるものの目張りについて解除を考えているわけではございません。需給上問題ないと考えられるもの、あるいは場合によってはかえって値下がりをそれによってささえているという傾向のあるものについては解除を考えてもいいのじゃないか、このような立場でございます。
  236. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、大臣、政務次官、たとえば食用油の四〇%、砂糖の一〇%等の値上げ動きがもうすでに現実に出てきておるわけです。これは五十三品目の凍結品目の中に入っておるわけです。そうすると、これは絶対に凍結をゆるめないということは確約できますね。
  237. 有松晃

    ○有松政府委員 砂糖と食用油の問題につきましては、実は農林省において、もし業界から値上げ申請が出てきました場合には審査がなされるわけでございますが、私どもの聞いておりますところでは、もしかりにそういう申請が出ました場合には、その内容について厳密に審査をして、その値上げの可否あるいは幅等について指導をする、かように聞いております。
  238. 近江巳記夫

    ○近江委員 慎重にやるのはあたりまえのことですよ。いま大臣そして政務次官は、値下げの傾向のものははずす、だけれども、値上がりの傾向のあるものについては凍結を解除しないという原則をおっしゃっているわけですよ。その腹をはっきりと固めないと、そんな抽象論議ではだめですよ。これは納得できません。もう一度お答えください。
  239. 有松晃

    ○有松政府委員 ただいま申し上げました品目はいわゆる事前了承の品目でございまして、原則としては価格凍結をすべきであるということでございますが、その凍結後においてコスト面等で真にやむを得ない事情が生じてきた場合に絶対に値上げ認めないということではなくて、その値上げ理由を役所で十分にチェックをするというのが趣旨でございますので、そういった点について、内容について十分な審査を加えて不当な値上げにならないようなチェックをしたいということでございます。
  240. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう点はほんとうに国民生活を守るという立場で、目張りということを盛んに政務次官もおっしゃっているわけですから、その目張りを簡単にぼろぼろにさすような行為はやめていただきたいと思うのです。これを特に強く再度申し上げておきます。  それから、こういうトイレットペーパーとか、ちり紙は確かに下がる傾向にあるわけです。そうであるなら、なぜ標準価格の引き下げをしなかったかという問題なんです。これをはずす前になぜ引き下げをしなかったのですか。これについてひとつお聞きしたいと思います。
  241. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは下落の傾向にある、そういう情勢でありますので、むしろ標準価格を下げるというよりも撤廃してしまったほうが、自由経済の機能によって下がるところはもっと下がる。下ざさえという状態のときにはこれ以上上がらないという情勢でございますから、思い切って放してしまったほうが下落の率が多くなるだろう、そうとも考えられております。
  242. 近江巳記夫

    ○近江委員 この標準価格を撤廃した場合、まあ大臣はさらに下がるだろうとおっしゃっているわけですが、そういう価格の高騰であるとか品不足というおそれは絶対ありませんか。それについてはどのようにお考えですか。
  243. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 トイレットペーパーについてはないと思います。
  244. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣がいまないとおっしゃったわけですが、じゃ事務当局としては、たとえばそういう業界の姿勢あるいは生産体制等につきましてどういう指導監督をなさっていかれるのですか。時間がありませんから簡潔にうまく答えてください。
  245. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 トイレットペーパーとちり紙につきまして需給が非常に緩和いたしまして、最近の在庫は七千トン、一年ないし一年半ほど前の在庫ベースまで戻っております。ちり紙につきましても同様でございまして、かつてないまでの在庫をかかえておるという状況でございます。  それから価格状況につきましても、四十六都道府県のうちすでに三十数府県について標準価格を下回る段階まで来ておる、こういう状況でございますので、私たちといたしましてはこの段階で標準価格をはずしてもだいじょうぶであるという自信はございますが、御指摘のように今後ともさらに需給動向、あるいは特に主原料である古紙価格の動向、こういったものを十分注視しながら、値上がりもしくは供給不足を来たさないように十全の注意を払ってまいりたいと考えております。
  246. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから石油需給の問題であります。通産省は最近に至りまして石油の需給関係が好転してきたということで消費規制の緩和等について検討されておられるようでありますが、まずそういう真意についてお伺いしたいと思うのです。
  247. 山形栄治

    山形政府委員 石油の入着はわれわれが想定しておりましたよりも好調でございまして、四、五、六とわりに好調に推移することが予想されておるわけでございます。しかしながら、国際的な情勢というのはまだ非常に流動的な要素も残っております。またOAPEC、OPECの六月における諸会合の動きも見なければなりませんので、現在その辺の動きも注視しつつ検討を続けておるという段階でございます。
  248. 近江巳記夫

    ○近江委員 法律に基づく強制的な消費規制というものは、通産省当局におきましてもいろいろな論議があるように私は聞くわけでありますが、長続きという点からいきますと若干問題があるように思うのです。そうしますと、別途実効性があり、かつ国民の支持を得られるような方策をとるべきじゃないかと思うのですが、こういう問題についてはどういうようにお考えでございますか。
  249. 山形栄治

    山形政府委員 これは原則的な考え方でございますが、やはり法律に基づく規制、その違反者に対する罰則の適用ということは、これはあくまで段階的な形で行なうべき性質のものだと私は考えておるわけでございます。需給が基本的に緩和されるような暁におきましては、もう少し自由な形でこれが運営されるほうが望ましいのではないか、こう考えるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、もう少し事態を見守る必要もあろうかということでございます。
  250. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう原油価格の高騰は、わが国経済ばかりではなく世界の石油消費国、発展途上国への経済に重大な影響を与えておるわけです。こういう中でメジャーの各社というものは古くからの権益の上に立ちまして、いわゆるばく大な利益をあげておるということは明らかであります。これは米国でも非常に問題になっておるわけであります。大半は極東で利益をあげておる。そこで、メジャーの価格体系を明らかにする、場合によっては値下げを強硬に求める、こういうメジャーに対する政府姿勢というものは非常になまぬるいと思うのです。メジャーに対してはどういうお考えを持っておられるか、ひとつ中曽根大臣にお伺いしたいと思います。
  251. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油値上げの問題については列国以上にきびしい態度をわれわれはとったと思っております。ほかの国々が一月十日から二月二十日ぐらいまでの間にほとんどが九千円から一万円ぐらい上げておるのに対して、われわれのほうは三月十八日まで引っぱって、しかも八千九百四十六円という低い値段できめた。これはメジャーズからも一番ぶうぶういわれておるところですけれども、この事実自体が非常にきびしい厳格な態度をとっておる、そういう表現であると思います。ただ、メジャーの行動については、世界的な規模で運営しておるものですから、われわれとしても実態把握のできないところがあります。そういうところについては、国益を踏まえてできるだけメジャーがかってな行動をしないように、合理的なリーズナブルな、ちゃんと理由のつく行動をとってもらうように、われわれは今後ともメジャーと接触し、かつ指導していきたいと思っております。
  252. 近江巳記夫

    ○近江委員 山下通産次官はこの十三日の記者会見におきまして、家庭用灯油の価格問題等に言及されておられるわけでありますが、LPGももちろん入るのじゃないかと思いますが、いわゆる値上げを示唆する発言を行なっておられるわけですが、その真意についてお伺いしたいと思うのです。
  253. 山形栄治

    山形政府委員 家庭用灯油につきましては、標準価格がいま設定されておるわけでございますが、三月十六日の石油価格体系をつくりますときの閣議了解におきまして、今次の需要期が終了するまでこれは継続する、この需要期が過ぎ去りましたらこれは改定するという一つ考え方が閣議了解されておるわけでございます。すでに灯油の需要期も過ぎ去りまして、問題なのはこの秋から冬にかけまして必要なる灯油の数量が全国的に確保され、秋冬の需要に適切に混乱なくこれが対応できることが大事なことでございます。そのためには、すでに積み増しの時期に入っておりますこの時点におきまして、合理的な価格水準を灯油につきましてもつくる必要があることは、私は絶対必要であると思っておるわけでございます。しかしながら、灯油というのは国民生活に非常に重要な問題がございますので、現在、省内におきましてこのあり方、その時期、幅等につきまして検討を進めておる段階でございまして、現時点では成案を得ておりませんが、考え方といたしましては、一番大事なことは適正なる価格にすることによって六月以降大幅な積み増しをやりまして今年の需要期に対応し混乱を防止するというのが灯油政策の根本だと考えておるわけでございます。
  254. 近江巳記夫

    ○近江委員 この合理的な設定あるいは適正なる価格というのは大体どの程度の上げ幅をお考えになっておられるのですか。
  255. 山形栄治

    山形政府委員 現在まだ成案を得ておりませんが、一つのバランス論で申し上げますと、工業用灯油の元売り仕切り価格は現在二万七千五百円でございます。これに対応する家庭用灯油の元売り仕切り価格は一万二千八百九十八円と二分の一以下でございます。それから灯油と非常に似通った成分、性質を持っております軽油及びA重油は、現在元売り仕切り価格がたしか二万五千三百円であるわけでございまして、これと比較いたしましても現在の家庭用灯油の元売り仕切り価格は半分以下でございます。この辺が一つのこれから考えますときの油種間のバランスの問題でございまして、この辺につきましては、あまりにこれを低く押えますと実際の流通段階で非常なる混乱及び必要なる供給量の入手が阻害されるという問題があるわけでございます。しかし、一方、家庭用灯油というのは、何といいましても先ほど言いましたように国民生活上の重要なものでございますので、なるたけ低位に押えるべきであると私は考えておるわけでありまして、この二つの要素をどう調和させるかということで現在省内で検討を進めておるわけでございまして、現時点で幾らということはまだ決定いたしておらないわけでございます。
  256. 近江巳記夫

    ○近江委員 工業用なり軽油なり重油なりの元売り価格をいまおっしゃったわけでありますし、そういうことになってきますと、大体長官が頭の中でお考えになっている線というものはあると思うのですよ、両方の要素を合わせましてですね。それは大体どのくらいですか。
  257. 山形栄治

    山形政府委員 油種間のバランスの問題でいま数字を申し上げたわけでございますが、後半でもう一つ申し上げましたのは、特に家庭用灯油というものの生活上の重要性、価格の低位安定ということでございますので、その辺の要素も加味して考えたいということでございまして、先ほど申し上げました数字、軽油、A重油、工業用灯油とのバランスだけで考えるわけではございません。この辺につきましては二つの目的の調整というのが非常にむずかしい問題でございますが、いま二つの観点からこれを詰めておる段階でございます。
  258. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましても、長官のお考えとしてはかなり大幅な引き上げをお考えになっておるように私は思うわけです。これが引き上げられた場合、三月十八日から実施されております石油の新価格体系にこれは重大な影響を及ぼすと私は考えるわけです。この石油価格体系は各油種のそういう得率などと相互に関連しておりますので、一油種のみの単純な手直しでは済まない問題があると思うのです。そうしますと、全体的な問題ということになってきますと、やはり必然的に全価格体系に波及して石油製品価格の再値上げ問題に発展するのじゃないかということを心配しておるのですが、この点は絶対心配ありませんか。
  259. 山形栄治

    山形政府委員 灯油につきましては、この秋からの必要量の確保という観点で何らかの適正な価格の改定が必要であろうと私は思うわけでございますが、しかしながら、この灯油につきましてはいま不需要期でございまして、実際の実需というのはほとんどないわけでございます。問題なのは、いまタンクに各元売り及び販売が積んでおるわけでございますが、それが積みやすいようにするということでございまして、不需要期でございます灯油が若干訂正されたからといいまして、基本的にわれわれが三月に設定いたしました石油の新価格体系の基本というものをくずすというものだとは私は考えておりませんで、これはあくまで堅持してまいるという考え方でございます。
  260. 近江巳記夫

    ○近江委員 他の石油製品等にも影響を及ぼさないということは明言されたわけであります。そこで、私は人間は非常にあっさりしておるのですが、もう一ぺんしつこくお聞きしたいと思います。少なくとも五百円以上には上げませんか、どうなんですか。
  261. 山形栄治

    山形政府委員 現在灯油の末端価格は三百八十円でございます。この辺は私もちょっとくどいようで恐縮でございますが、現在元売りの値段も含めまして省内で検討を進めておる段階でございまして、これが幾らになるか、幾ら幾らであるかということは、若干いま申し上げにくい、申し上げられない状態でございますので、ごかんべんをお願いいたしたいと思います。
  262. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうするとLPGについてはどのようにお考えですか。
  263. 山形栄治

    山形政府委員 LPGにつきましては、御高承のとおり、これはLPGの全体の所要量の半分、むしろ半分以上が輸入ものでございます。この輸入がまた不幸なことに全部中近東——全部とは言いませんけれども、ほとんどが中近東地域からの製品輸入でございまして、これは原油の値上がりの分よりももっと高い値上がりの通告がいま来ておるわけでございますが、現時点におきましてはこの通告がまだセットいたしておりません。われわれといたしましては、このLPGの重要性にかんがみまして、いま値下げ交渉を折衝さしておるわけでございますが、いま来ておりますのは、トン当たり七十ドルの現時点の輸入価格に対しまして大体百十ないし百二十ドルという非常に大幅な通告が、予告といいますか、来ておりますが、これはいま引き下げにつきまして努力を要請いたしておるわけでございますので、その辺のでき上がりを見て考えざるを得ないと思いますが、LPGにつきましては、いまそういう段階でございまして、直ちに標準価格をどうするというようなことを考えておるわけではございません。
  264. 近江巳記夫

    ○近江委員 このLPGは、これはほんとうに都市ガスと電気と並びましてもう全家庭に普及しておる。これは四季を通じて家庭の燃料として重大な影響があるわけです。そこで、これはもうほんとうに大切な品目でありますし、この辺でLPGの引き上げ問題につきまして国民に安心を与えるような大臣の発言をひとついただきたいと思うわけです。
  265. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 LPGは、御指摘のとおり国民生活に最も密着した燃料でございますので、これが生活に対する影響考えまして、これが取り扱いについてはきわめて慎重に措置していきたいと思います。
  266. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは時間の関係で、まだ聞きたいという点もだいぶ飛ばしたわけですが、まあ一つだけお聞きしておきたいと思います。  いわゆる五十数品目の事前了承を得るというこういう中にありまして、鉄なんかは引き上げということをやいやい言っておるわけですね。この鉄等についてはどのようにお考えか。いま実際にそういう動き通産省としては当然つかんでおられると思うのですよ。ですから、そういうつかんでおられる品目は何であるか、またそれに対しては、通産省はどういう見解をお持ちになっておられるか、これをひとつお聞きしたいと思います。鉄だけでなくしていろいろおっしゃってください。
  267. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 物価抑制を堅持していくということがわれわれの方針でございますから、一般的にそういう方針を持続堅持して勇往邁進していく考え方でおります。  鉄につきましては、鉄鉱石価格やあるいはフレートの最近の高騰あるいは粘結炭や一般炭の石炭値上げというようなものがかなり響いてきておることも知っておりますし、また電力代が将来上がるようなことになりますと、これもかなり響くということもよくわかっております。鉄のほうの経理は非常にきびしい経理の状態になっていると私は思います。かろうじて輸出価格でもっているというのが現状だろうと思います。思いますけれども、鉄の場合は国民生活万般に及ぼす影響が非常に強うございます。卸売り物価に対する影響もほかのものと比べものにならないくらい大きな要素がございますから、これが扱いについては慎重にやっていきたいと考えております。  それから目張りを解除するという物資につきましても、これは解除して安全であるという確信を持ったものにのみ限って制限列挙的にやっていきたいと思いまして、一般論としてこれを解除するというようなことはまだ考えておりません。
  268. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間も来ておりますので終わりたいと思いますが、いずれにしても、ことしの春闘等でかなりの賃金の上昇はあったわけですが、政府はやっと鎮静化したなんて言っていますが、これは各都道府県の、特に東京都等のデータを見ましても、全然何も鎮静化してないわけです。ですから、これはすぐに吸収されてしまう。こういうことで、国民生活がいま非常に苦しい状態に追い込まれておりますし、いわゆる価格体系といいますか、物価対策といいますか、これに対する確たる、やはり政府関係各省ほんとうに一致したそういう線で当たらないと、なしくずしに穴があいてくると私は思うのです。この点、私非常に心配しております。皆さんもそれはいろいろと心配されておると思うわけですけれども、この辺の根本的なそういう価格体系、物価対策という点につきまして、大臣と政務次官の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  269. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、価格抑制を堅持して、いやしくもいままでのような狂乱物価便乗値上げを誘発することがないように、厳然たる態度で臨んでまいりたいと思います。
  270. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 お答え申し上げます。  今後も総需要抑制策を基本として経済運営に当たることには変わりはないと思いますが、なお私ども企画庁におきましては、いわゆるポスト春闘経済運営について目下検討を進めておる段階でございまして、適宜な機会に先生方にもお示しできるのではないか、このように思っております。
  271. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  272. 濱野清吾

    濱野委員長 玉置一徳君。
  273. 玉置一徳

    ○玉置委員 時間がございませんが、この際、価格抑制のための行政指導というもののあり方と新しい価格体系につきまして若干質問をしておきたいと思うのです。  石油危機以来狂乱物価の抑制のために石油二法案を緊急に作成されたわけでありますが、そこでそれとは別に、政府当局、ことに通産当局は石油の上がります問題から派生しまして各種の物資へ波及をしていくことを食いとめるために、行政指導というやり方で、多くの値上がりの予想されるような品目を指定して、これが価格抑制のために、価格を上げるときにはそれだけの理由を言うてこいという、いわば許可制のような形をとってきたわけであります。これについて、一体法的根拠はどこにあるのか、価格のあれを役所が法律の根拠に基づかないで抑制をするというところに無理があるのじゃないだろうかというような議論もたくさんありました。われわれ国会におきましても、ある意味では国会軽視だと思われる節もないでもなかったけれども、ものが緊急の場合でありますし、しかも好ましい方向に行きつつありますし、あの手しかないのではないだろうかというような意味でお互いに好意的にこれを関心を持ちながらも見ておったというのが偽らざる本音じゃないだろうか、こう思います。そこで、今般これを徐々に需給の心配のないものからはずしていこうじゃないかというような意向をわれわれ新聞紙上で拝見をするのでありますが、その点を考える前に、行政指導という価格の抑制策は合法的なのかどうか。それから今後ともこのやり方が望ましいとお思いになっているかどうか、それをずっとやろうとお思いになっているかどうか、まずこれから入っていきたいと思うのです。
  274. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国の機能には、行政権、立法権、司法権という機能がございまして、行政権というものは、三権の中でも私は決して軽視すべき国の機能ではないと思っております。やはり行政官庁というものがあるにはそれ相当の仕事をするためにあるのでありまして、それがいわゆる行政といわれるものであり、それが国民生活を安定させ、価格を抑制し、福祉を増進し、治安を守り、教育を進め、防衛を全うする、そういうような仕事を現実問題の処理としてやっておるわけであります。その中で、それらはいずれも法律に基づいて行なうことを要するということでありまして、法律の問題になりますと、これはおのおの個別立法できめられておるのもありますし、あるいは設置法できめられておるものもありますし、いろいろ実態はございますが、いずれも法律に基づいて行なうべきものと思っております。そういう範囲内において行なう場合にはあくまで合法的であり、しかも、公共目的のために行政官庁が主導して行なった行政指導というようなものは、私はこれが罪になるようなものではない、民間がこれに従った場合にそれが罰せられるべきものではない、それは国が公益のためにやった仕事である、そういうふうに私は考えまして、独占禁止法のそれは対象外の仕事である、私益のために意思を連携して会社その他が連合してやる行為とは違う、そういうふうに私は考えております。
  275. 玉置一徳

    ○玉置委員 私は、好意的のほうの立場をとって言うておりますので、ひとつ間違わないように御答弁いただきたいのですが、あなたのおっしゃっているのだったら、国は国民の福祉、安寧、平和、その他生活の向上の合目的の行為ならばすべて合法的だというような形に聞こえるのです。もちろん設置法でござい、何でございというお話になりましたが、あれは緊急の場合の包括的な委任事項でもなければいかないのじゃないだろうか、私は、すなおに考えればそこにいくのじゃないかと思うのです。法律に基づきまして、緊急の場合に行政官庁がそういう緊急の措置をとることができるというような包括的な委任を法律の上で出してないと、あっちの設置法をめくり、こっちの何やをめくって、どっかが合うとるであろう、われわれは国民のためにやっておるんだという思想だけではこれはまいらぬような感じがするのですが、いかがでありますか。
  276. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 でありますから法律の根拠を必要とする。その法律は個別的な法規であったりあるいは設置法であったり、そういうようなさまざまな態様はあろうと思いますけれども法律の根拠を持って行なう必要があるということは御指摘のとおりであります。
  277. 玉置一徳

    ○玉置委員 しからば局長に一人ずつお伺いしますが、皆さんがやったあれはどういう法律の根拠に基づいて、どういう意味で第何条に基づいてやったのかといま一々聞くと、これはまた帰ってからでないとということになると思いますので控えますが、やはりどこまでも、私は善意の行政行為はすべてやっぱり法律の根拠に基づいたほうか一その法律の根拠は、ある場合には非常に包括的な行政官庁への委任を求める法律でもいいんじゃないだろうか。せっかく石油二法をこしらえたのでありますし、あれはやってみたけれども、標準価格等々の設定というものは緊急の場合にはかえって合わないというような問題も間々あったんじゃないだろうか。したがって、あれはそっちにしておいて、あの法律をうしろだてにしてものをやるんだという姿勢では、私は、国民の目には権力を背景にしたような感じを持たすんじゃないだろうかというようなことを危惧しますがゆえに、要すれば石油二法、あれは初めから拙速主義でやろうじゃないか、でないとこれは間に合わぬからと、こういうことでありまして、したがってやりながら、見直し条項までつけて、あれは一年と書いておりますが、一年以内でありますので、これから論議を進めますけれども、将来のためにあの問題を早く見直しをしておいたほうがいいという点があれば、ことに私は前から指摘をしておりますように、標準価格の設定というものは、かえって原価主義に立たなければいかぬような問題もございまして実際に間に合わない。物がどんどん上がる。上がりそうな関連物資そういうものだけはすみやかに指定をしておいて、そして指定をしたものは届け出をしなければいかぬ、あるいは値上げするときには許可を得なければいかぬ、その間に標準価格を設定するんだというようなやり方も一つのやり方じゃないだろうかということを前の予算の総括で質疑にかこつけて御意見を申し上げておったのもそういう意味であります。こういうことには全然法改正というようなことをお考えになっておらないかどうか、この際聞いておきたいと思います。
  278. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油二法は、法の厳正さとそれから行政の機動性、弾力性とうまくコンバインした、なかなかいい法律ではないか。統制経済というものをきらうというのは、これは各党一般の空気でもあります。特にマル公というような思想をきらっておる、そういうようなコンセンサスの一上に、この法の厳正とそれから行政の機動力というものをコンバインした、法律としてはなかなかうまくできている法律であると私は思いまして、この運用をうまく行なう必要がある。石油二法のような法律ができている場合には、私は、できるだけ行政指導からこの二法の正規の標準価格に移行するということは適切である、それが議院内閣的である、そういうように思います。そういうふうな安定性が回復されることがきわめて望ましいと思いますが、そういう安定性が回復されない間は行政指導もやむを得ない、そういうふうに考えておるわけです。目下のところ、石油二法をどう改正するかということは考えておりません。
  279. 玉置一徳

    ○玉置委員 私は、中曽根通産大臣は将来日本を背負って立つべき人だと、こういうふうに信ずるがゆえにそれだけのことを質問しておるのでありまして、普通の片々たる通産大臣だったらこういうことは私は質問せないのです。これはひとつゆっくりお考えいただいて、時間がありませんので次に移りたいと思います。  そこで、巷間新聞に載っておりますのを拝見いたしますと、需給の関係で心配のないようなものは、標準価格並びにあの指定品目から徐々にはずしていくというように載っておりますが、それははたしてほんとうでありますか。また、どういう基準ではずしていこうとお思いになりますか。
  280. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ほんとうであります。たとえばトイレットペーパーのようなものは、各都道府県の現勢を見ますと、標準価格を割っているものがかなりあります。それから蓄積量にいたしましても、一年あるいは一年半以前の相当量の蓄積がございまして、この雨季を控えて、雨季を経過しますとカビがはえたりして質が落ちたりするという情勢もございます。そういう情勢から、もう標準価格をはずすときに来ていると私ら思いまして、そういう手続を進めたいと思います。  そのほか、たとえば建築資材等のごときは、建築需要が起こらない限りかなり暴落してきているものもあります。そういうものをほっておくと、ややもすると心理的に下ざざえになるという情勢もございます。繊維品にもそういうものがございます。そういう意味において目張りも、需要供給の上から見て価格上昇の危険がないと確信されるもの、将来においてもそういう状況が継続されるもの、それから将来電力料金等を上げた場合にも、その影響が少なくて価格上昇の口実にならないという、そういうようなものについて制限列挙的にはずしていきたい、そう考えております。
  281. 玉置一徳

    ○玉置委員 その場合は、いまのお話のように、需給関係のまずこれでだいじょうぶだと思われるものから先にされますか、どうですか。
  282. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのとおりであります。
  283. 玉置一徳

    ○玉置委員 私はそこで一つ心配するのは、需給関係もさることながら、非常に大きな寡占体制にあり得るようなものは、需給関係とはまた別に、よほど需給関係がゆるみますとまた別ですが、そうでないと、その業界自体が寡占体制にあるような場合には、いまの思惑どおりいかない場合もあり得るんじゃないだろうか。たとえば石油関連とかあるいは紙でもなかなか寡占体制の業界になっております。こういうような場合に公取委員長は、それが競争原理に基づくような形で作用できるような条件というものは、あるいは逆に、需給関係がある程度ゆるんできても、その業界自体が著しく寡占体制にあるような場合には、競争原理がうまくいくかどうかということに御自信がありますかどうか、お伺いしたいのです。
  284. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 具体的にではなく一般論として申しますれば、いわゆる相当な寡占体制に入っている場合には下ざさえをする、これはもう意識的にはっきりとしたカルテルという行為をとらなくても、お互いに何となく生産量を制限するとかいうことによってささえるということはあり得ます。しかし、いま指定されておる品目、私は行政指導による指定というものには多分に懐疑感を持っておるのでございますが、その中には確かに、むしろ指導価格というものが下ざさえをしておるんじゃないかというものもあるわけでございますから、この品目についていえば、むしろはずしたほうがいいんじゃないかと思われるものがかなり含まれているんじゃないか。寡占のものについては、実際上下がらないでいる。需給が変わってきてでも値段のほうは価格競争はやらないという点がございます。
  285. 玉置一徳

    ○玉置委員 通産大臣、私も、ものによっては、おっしゃるように需給関係のまず心配のないようなものからはずしていっていただくことは好ましいと思うのですが、ただ、それが非常な寡占体制になっておる、石油の輸入は決してまだ豊富で困るわけではございません。しかも、メーカーもしくは元売り業者が相当な主導権を持っております。そういうようなところでは、たとえば灯油は今度ははずんだ——家庭の需要期じゃなくなってきたわけでありますので、おはずしになる品目に新聞に載っておったように思うのですが、いかがでございますか。
  286. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは山下事務次官が灯油に関する問題点を述べたのでありまして、上げるということは言ってはおりません。灯油については事実問題があるのでありまして、山形長官からここで申し上げましたように、工業用の灯油は約倍の値段で、二万七千五百円程度です。しかし、家庭用の灯油は一万二千八百九十八円でありましたか、約二分の一であります。しかも灯油というものは、御存じのように六月から蓄積していきまして、秋の需要期までに去年のように五百万キロリットル程度ためれば心配がない。しかし、いまのような状態で原油輸入価格よりも灯油の値段が低い。こういう情勢でわざわざ金利を払ってまでも業者がせっせとためるか、こういう時点に実は遭遇しておるわけです。それで灯油を十八リットル三百八十円ときめましたのは、今シーズンという条件をつけてやったわけです。そういうような条件が切れてきておる現段階においてこれをどうするかということを考えると、やはり秋に向かって量を確保しておくということが一番大事ではないか。それと同時に、価格をできるだけ抑制する、そういう考えに立ってこの政策をどうするかということをいま研究さしておるところであります。
  287. 玉置一徳

    ○玉置委員 エネルギー庁長官にお伺いしたいのですが、この工業用と、いまお話の民生用のやつでございますが、あるスタンドに対しまして、大きな石油会社の代表取締役の名前で「先日御連絡申上げました家庭用暖房の民生灯油ですが、メーカーより五月分の割当て数量が来ましたので、昨年実積に基き配分させて戴きました。この数量に付きましては、メーカーと種々交渉致しましたが、中々強硬で決着の所左記の通りとなりました。」ということで「五月分民生灯油割当て数量」と書きまして、五月分の灯油の民生用——いままできましたと同じ量の七〇%を工業用、民生用を三〇%、値段は御案内のとおりの値段であります。したがって、三十円五十銭と十四円、こうなっておりますが、こういう形でこられますと、これは念のため申しますと、「尚この民生灯油に付きましては、通産省の方でこの連休明けにも撤廃云々と云う事を申しておりますので、そうなれば自動的に無くなりますので民生、工業云々もその時迄の事です。」こういうようなことで、これは全部高いほうに上げてしまうという意味だと思います。それで、現在値段が片一方上がらぬものですから、同じ量を渡しておいて、七割は工業用ですぞ、こう申し出を向こうからしてきたわけですね。こういうような形でいきますと、このままやれば、この秋はその高いほうの工業用を無理やり押えつけるかどうか、そんなことしか方法がなくなるのですが、そこに私が若干心配しておったのは、需給関係がどうであろうとも、そういう寡占体制にあるものにはそういう力が働きやせぬだろうかということを心配しておったのですが、この意味のことは一体どういうことでしょう。また、いま申しましたような心配がこれには起こり得るかどうか。
  288. 山形栄治

    山形政府委員 灯油の、特に家庭用灯油をめぐります末端でのトラブルが起こっておりますことはわれわれは存じ上げております。すでにそれぞれの県庁からも一部そういう連絡もきておるわけでございます。これの原因は、先ほど来申し上げましたように、家庭用灯油の需要期が過ぎ去っておりまして、また反面、春季の農業用の灯油需要が逆にふえておるわけでございます。しかしながら、現段階では、先ほど来申し上げましたように、家庭用灯油というものを非常に低く押え込んでおるわけでございまして、こういう関係から、たとえば農業用であるべきものを家庭用という名で売ってくれという動きも一部にはあるわけでござ  います。また、販売側も悪い動きをしておりまして、いずれこれは何らか訂正されるかもしれぬから、工業用で売ろうというような動きもあるわけでございます。私といたしましては、早くこういう混乱が起こらないように、かつ、家庭用灯油の数量と価格というものをきちっとするのが政策の本筋ではないかと思いましていま検討を進めておるわけでございますが、現時点におきまして、いま先生の御質問のようなことを起こしますのはいかぬことでございまして、現時点は、あくまで家庭用は三百八十円で、しかも元売りは販売業者と十分協議してその物を流すようにというわれわれの指導方針があるわけでございますので、現段階におきましては、いまお申し越しのような話がございましたら、これは私のほうも至急調査をいたしまして是正をはかりたい、こう考えるわけでございます。
  289. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで時間がございませんので、お忙しいのにおいでいただきました公取委員長に一、二お伺いしておきたいのです。  先般、新聞に出ました問題の値下げ命令権ですが、やみ行為のカルテルを摘発することは非常にむずかしい、物的証拠を握ることが非常に困難である。その上で御努力をいただいておるわけでありますが、そこで、そのやみカルテルが発見された場合にも値下げの指示権、命令権がないものですから、いままでそれはそれなりに放置されておる。法の覊絆意識が非常に少ないということもそこから出てくるのじゃないだろうかというようなことで、値下げ命令権という形をお考えなさっておいでになりますが、値下げ命令権でいう不当価格のあり方、これは建設委員会でやりました国土利用計画法におきましても、地価とは何ぞ、地価というものはだれもつかめぬほどむずかしい問題で、政令にこれはゆだねたわけでありますが、不当価格のつかみ方というものは、一体どうお考えになっていますか。
  290. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は先日、新聞記者との定例会議が月に一回ございますので、そのときにしゃべりましたのは、西独の例を主として述べたわけでございます。独占禁止法研究会の中で、まだ完全に意見の一致を見ていないということは言ってあるわけです。いま御質問の点はたいへん突き詰めた話でございますので、実はその点まで申し上げる段階にはありませんが、しいて私どもの個人的な見解みたいなものを申し上げれば、西独のこの間行ないました市場支配的地位の乱用行為、これを禁止するという規定があるだけなんですね。ただ、何が市場支配的地位であるかということは実は何もなかった。それが昨年法律の中へ定義をうたわれた。そうしたらさっそくことしになってそれを活用した。ところが、禁止するというだけであって、その中には引き下げ命令もないわけです。だから、非常にその辺は大まかにカルテル庁に判断をゆだねておるわけでございます。  私どもはそういうことでいいのかどうか、法律段階になったときに、当然いろいろ条文などについて配慮しなければならぬのですが、概して申しますと、私ども考え方は、一般的な場合で、常にとは私申しませんが、カルテルは一種の独占価格であります。つまり、カルテルという行為によって価格カルテルを結成しましたときにつくられた価格は独占企業がかってに自分できめた価格と似たようなものでございますね。市場全体をほとんど支配してしまうわけでございますから。そうすると、そういうことは個別に自由な市場で形成される価格に比べれば、おそらくたいていの場合に推定として不当な利潤が加わっている。つまり、強い体制をとるわけですから、それはもう推定として一部不当な利潤を含んでいる。それから今日のような価格の狂乱といわれるように、三〇%も四〇%も一ぺんに値上げしたような状態はもう気違いじみている話でありますが、普通の場合ですと、一〇とかあるいは一五%とかという程度でも十分それはカルテル価格になるわけです。ですから原則論として、私ははっきり申しますと、もとへ戻れ、つまり協定前の価格に戻すのが本則だという考え方でございます。  しかしながら、今日のように異常な場合に、本来原料として全体の価格計算の中に占める割合が非常に大きいものがかなり大幅に上がった場合に、それを全然無視してもとに戻すということははなはだ現実に沿わない。それは非現実的である。しからばどういう価格が、適正とは申しませんが、引き下げの場合の基準となるべき価格というのが、早くいえば、主要原材料についてやむを得ない部分については、もとの競争のあった、カルテル前の価格よりも上がるのは認める、それは認めるが、たとえば人件費が上がったとか何か、そのほかの理由を考える、そして実際は利潤が増大するようなしかけになっている、こういうものは一切排除したい——排除したいといいますか、そういうものは見ない価格に落とすのがいいのである。というのは、引き下げ命令を考えていることの理由の半分は経済的制裁でございます。経済的制裁という意味も入っているわけでございまして、その制裁が、たとえば課徴金というふうなかっこうで政府が取ってしまうのではなくて、それは過去の分についてはいいのですが、将来の分について数カ月間値上げの効果を減ずるということは、需要者のためにもそのほうがいいのじゃないかという考えでございますから、まあ、一口に言うとかなり辛目に価格をきめて、それを業者に一定の期間守らせる。これを統制経済だという人もいますけれども、私どもはそうではない一そういうことを長期間やろうという考えではございません。いまの価格について申しますと、私どもの頭にあるものは、いまのような、抽象的でございますけれども、ちょっと渋い価格考えているということでございます。
  291. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで通産大臣、もう一度お伺いしたいのですが、値上げを押えておる指定品目を需給の様子によっては、様態によっては徐々にはずしていきたい、しかしながら、電力、ガス、あるいは秋口になれば公共料金というものが値上げをされます。あるいはまた春闘の賃上げが相当コストに返ってくるだろう。こういうのを見込みまして、秋の新価格体系と通常称されるものは、どのような仕組みでどのようになるとお思いになりますか。その間に立ちまして、いま押えておるいろいろなものを全部はずしたらこれはかなりの問題が起こるのじゃないだろうかという心配もあるわけですが、その間に処してどのように対処しようとお思いになっているか、お伺いしたいと思うのです。
  292. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 経済の基礎条件でありまする石油価格が約倍に昨年の年末に比べて上がったわけでございますから、日本価格体系が新しい均衡水準に移らざるを得ないのは、これはもう必然であると思います。外国がもうすでにそういう方向に移っておりまして、日本の輸出が最近伸びているのは、そういう事情にもよると思っております。そういう面から、国際的ダンピングの非難を受けないということもわれわれとしては考えて  おかなければならぬので、無理な抑圧というやり方を徐々にほぐしていって、自然の機能を営める  ような段階、正常化の過程に段階的に移行していく。そうなると必然的に新しい均衡水準が出てくると思います。その場合に、価格の暴騰を防ぐためにやはり総需要の抑制というワクだけはがっちりやっておいて、需要面から価格が上がってくるということをまず防いでおくということ、それから個々の物資に対する解除というようなものにつきましては、できるだけ自分の体内で吸収できるように、まあ肋膜の水が、からだがじょうぶになればからだの中で吸収されるように、そういう形でできるだけ吸収できるような形でいってもらう、しかし、やむを得ずはみ出てくるものは時間をかけて、そしてできるだけこれを拡散させる、そういう形で一カ所に隆起させないようにしていくということが価格政策上非常に大事だろうと思います。しかし、ある段階にきたらやはりこれはやらざるを得ぬのでありまして、あまり行政的な圧力を加え過ぎておきますと、結局品物がなくなったり、あるいは犯罪人がふえたり、しかもそれが政治の責任から発生するというような現象も出てまいります。完全な社会主義経済あるいは統制経済をやろうという場合にはそれなりのかまえができておるからいいと思うのですけれども日本のような場合に、そういうかまえができていなくて、局部的にそういうことをやると非常に大きなゆがみが経済にも人心の上にも出てまいります。そういう面から見て、われわれは自由経済の理想を持っておるほうでございますから、それに近い方向に体力の許す限り徐々にほぐしていく、そういう形をとっていくべきである。いまおあげになりました米とかあるいは私鉄とか、そのほかの重要項目については、その時期を慎重に選ぶ、そして段階的にやっていく、大きなしこりのようなショックを国民経済に与えないようにやっていく、しかし、いずれにせよ、新しい均衡水準にはバランスのとれた方向で移行せざるを得ない、そういう考えに立ってやっていきたいと思っております。
  293. 玉置一徳

    ○玉置委員 徐々にそういう対応ができるようなものからはずしていく、しかしながら総需要抑制だけは当分の間堅持しなければならない、こういうことになるわけですが、そうすると、そこで総需要抑制がずっとしみ込みますから、繊維産業をはじめとし、中小企業の、ことに金融面で逼迫するものが業態ごとに違った要素で出てくると思いますけれども、相当出てくるのじゃないだろうか、それはそれなりの手当てをしながら歩かなければならない、こういうことなんですが、先般来問題になっておりました繊維産業の大蔵省との折衝はほぼお済みになって、中小企業全般に六月までどのくらいの金融措置をされ、そのうち繊維産業にはどのくらいの金融措置をされるようになったか。この間、一週間以内にできます、こういうお話でしたが、もうだいぶ時間もたちましたから、ほぼわかると思いますので御答弁をいただきたいと思います。
  294. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体中小企業の面では、繊維とかあるいは建設とかあるいは家電の一部とかあるいは自動車産業、こういうところに非常に大きく響いてきております。したがいまして、これは局部的に手当てをしていかなければならないが、しかし原則的に金利を下げるとかあるいは需要喚起に入るとか、そういうことをやる段階ではない、そう思います。金融手当てにつきましては、大体きょう夕方、大蔵省内部の考え大臣と相談してきめるということでありまして、まあ五千五百億円はきまりました。そのうち約千五百億円を繊維に回す。さらに追加して二千三百億円を要求しておるのでありますが、大蔵省は非常に渋くて、私はきょう大蔵大臣にも会いまして頼んでおきましたが、結果はきょう夕方、銀行局長と大蔵大臣が会って回答するということで、追加の分はまだ未定でございますが、できるだけその線に近く努力していきたいと思っております。
  295. 玉置一徳

    ○玉置委員 おそくなりまして、時間をオーバーしまして申しわけありません。  質疑を終わります。      ————◇—————
  296. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  第七十一回国会内閣提出、発電用施設周辺地域整備法案の審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  297. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる二十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十五分散会