○高橋(俊)
政府委員 私は先日、
新聞記者との定例
会議が月に一回ございますので、そのときにしゃべりましたのは、西独の例を主として述べたわけでございます。独占
禁止法研究会の中で、まだ完全に
意見の一致を見ていないということは言ってあるわけです。いま御質問の点はたいへん突き
詰めた話でございますので、実はその点まで申し上げる
段階にはありませんが、しいて私
どもの個人的な見解みたいなものを申し上げれば、西独のこの間行ないました市場支配的地位の乱用行為、これを
禁止するという規定があるだけなんですね。ただ、何が市場支配的地位であるかということは実は何もなかった。それが昨年
法律の中へ定義をうたわれた。そうしたらさっそくことしになってそれを活用した。ところが、
禁止するというだけであって、その中には引き下げ命令もないわけです。だから、非常にその辺は大まかにカルテル庁に判断をゆだねておるわけでございます。
私
どもはそういうことでいいのかどうか、
法律の
段階になったときに、当然いろいろ条文などについて配慮しなければならぬのですが、概して申しますと、私
どもの
考え方は、一般的な場合で、常にとは私申しませんが、カルテルは一種の独占
価格であります。つまり、カルテルという行為によって
価格カルテルを結成しましたときにつくられた
価格は独占
企業がかってに自分できめた
価格と似たようなものでございますね。市場全体をほとんど支配してしまうわけでございますから。そうすると、そういうことは個別に自由な市場で形成される
価格に比べれば、おそらくたいていの場合に推定として不当な利潤が加わっている。つまり、強い体制をとるわけですから、それはもう推定として一部不当な利潤を含んでいる。それから今日のような
価格の狂乱といわれるように、三〇%も四〇%も一ぺんに
値上げしたような状態はもう気違いじみている話でありますが、普通の場合ですと、一〇とかあるいは一五%とかという
程度でも十分それはカルテル
価格になるわけです。ですから原則論として、私ははっきり申しますと、もとへ戻れ、つまり協定前の
価格に戻すのが本則だという
考え方でございます。
しかしながら、今日のように異常な場合に、本来原料として全体の
価格計算の中に占める割合が非常に大きいものが
かなり大幅に上がった場合に、それを全然無視してもとに戻すということははなはだ現実に沿わない。それは非現実的である。しからばどういう
価格が、適正とは申しませんが、引き下げの場合の基準となるべき
価格というのが、早くいえば、主要原材料についてやむを得ない部分については、もとの競争のあった、カルテル前の
価格よりも上がるのは
認める、それは
認めるが、たとえば
人件費が上がったとか何か、そのほかの理由を
考える、そして実際は利潤が増大するようなしかけになっている、こういうものは一切排除したい——排除したいといいますか、そういうものは見ない
価格に落とすのがいいのである。というのは、引き下げ命令を
考えていることの理由の半分は
経済的制裁でございます。
経済的制裁という
意味も入っているわけでございまして、その制裁が、たとえば課徴金というふうなかっこうで
政府が取ってしまうのではなくて、それは過去の分についてはいいのですが、将来の分について数カ月間
値上げの効果を減ずるということは、需要者のためにもそのほうがいいのじゃないかという
考えでございますから、まあ、一口に言うと
かなり辛目に
価格をきめて、それを業者に一定の期間守らせる。これを統制
経済だという人もいますけれ
ども、私
どもはそうではない一そういうことを
長期間やろうという
考えではございません。いまの
価格について申しますと、私
どもの頭にあるものは、いまのような、抽象的でございますけれ
ども、ちょっと渋い
価格を
考えているということでございます。