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1974-04-26 第72回国会 衆議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十六日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       浦野 幸男君    小川 平二君       越智 通雄君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    島村 一郎君       田中 榮一君    丹羽喬四郎君       橋口  隆君    前田治一郎君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    佐野  進君       渡辺 三郎君    荒木  宏君       野間 友一君    近江巳記夫君       玉置 一徳君    宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君         建設省住宅局参         事官      山岡 一男君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      齋藤  稔君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   米原  昶君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  発電用施設周辺地域整備法案内閣提出、第七  十一回国会閣法第一一七号)  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  第七十一回国会内閣提出発電用施設周辺地域整備法案を議題といたします。     —————————————
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 本案は、前国会におきまして提案理由説明を聴取し、継続審査となったのでありますが、去る三月四日、内閣から、本案の修正について本院の承諾を得たい旨の申し出があり、三月十二日、本院におきましてこれに承諾を与えました。  この際、本案についてあらためて政府より趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 発電用施設周辺地域整備法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国の電力需要は、国民生活向上国民経済の発展に伴い、今後ともかなりの伸びが予想されています。  他方、ここ数年電力会社発電所立地計画しても、地元の同意が得られないため、国の電源開発計画に組み入れることのできないものが増加しており、また、これに組み入れた後においても地元住民反対にあって建設に着工できない例も多々生ずるに至っております。  このままの状態が続けば、数年後には電力不足がきわめて深刻な問題となることが懸念されるところであります。  このような住民反対の根底には、一つには環境保全の問題及び原子力発電所に関する安全問題があることは御承知のとおりであり、発電所設置にあたり環境保全対策安全対策に今後とも最大限の努力を払うべきことは言うまでもないところでありますが、立地難のもう一つ理由として、発電所等立地による雇用機会増加等による地元の振興に対する寄与が他産業に比べて少ないということが大きな問題としてあげられようと存じます。事実、発電所等立地が予定されている地点地方公共団体は、住民福祉向上に資する各種の公共用施設整備事業の推進を強く要望しております。  本法案は、このような状況を踏まえて、発電所等立地円滑化し、電気安定供給の確保に資するため、発電所等周辺地域において住民福祉向上に必要な公共用施設整備事業を推進するための措置を講じようとするものであります。  次に本法案概要について御説明いたします。  第一に、国は、原子力発電施設火力発電施設水力発電施設等発電用施設設置が確実である地点のうち、その設置円滑化をはかる上で、公共用施設整備することが必要であると認められる地点を指定し、公示するこことしております。  これについては、当該地点工業配置促進法移転促進地域その他工業集積度の高い地域に属するときは指定しないこととしております。  第二に、この指定された地点の属する都道府県の知事は、当該地点が属する市町村区域とこれに隣接する市町村区域において行なおうとする道路、港湾、漁港、水道、都市公園等公共用施設整備計画を作成し、国の承認を求めることにしております。  この計画は、公共用施設整備に関する事業概要経費の概算について定めるもので、他の法律の規定による地域整備等に関する計画との調和及び地域環境保全について適切な配慮が払われるようにしております。  第三に、国は、地方公共団体に対し、整備計画に基づく事業にかかる経費に充てるため、交付金を交付することができることとしております。なお、政府としては、電気事業者納税義務者とする電源開発促進税を創設し、これを財源とする電源開発促進対策特別会計設置して、この会計からこの交付金を支出することとし、このため、関連法案を今国会に提出しております。  このほか、国は地方債の起債について配慮する等、財政上、金融上の援助措置を講ずることといたしております。  以上、発電用施設周辺地域整備法案概要について御説明申し上げた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  目下審査中の特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 濱野清吾

    濱野委員長 通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。中村重光君。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣に伺いますが、新聞報道によりますと、大口三十社のC重油値上げ値上げ幅が非常に不足をしておるという理由によって供給削減をしておるという事実が明らかになったと伝えられているわけですが、それについては事実なのかどうか、また、対策について検討することも伝えられているわけですが、どのような対策をもってこれに対応しようとしておられるのか、伺いたいと思います。
  11. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう現象が部分的に起きております。その状況並びに対策につきましては石油部長から御報告申し上げます。
  12. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  新聞で報じられました状況につきまして、私どもとしても非常に関心を持ちまして実態をいま精査をいたしておるわけでございますが、私どもの四月、五月のC重油の全体の需給につきましては、供給目標が定めました需給計画はほぼ実施が可能であろうというふうに見込んでおるわけでございますが、社によりましては、昨年同期の販売実績等に対しまして四月に入りましての計画が落ち込んでおる、こういう社がございます。概して申し上げますと、やや民族系会社にその落ち込みが多くて外資系会社は落ち込んでいないという傾向がうかがわれます。  理由といたしましては、従来現地の特約店におきまして特約店同士の、いわゆる業者間同士の売買によりまして玉を確保いたしまして販売をしておりました状況が昨年の四月の状況とことしとが違っておりまして、そういう玉が最近は少なくなっておる、こういうことで生産自体はそれほど落ちてはおりませんが、そういった市中での玉の手当てと申しますか、玉買いができないという状況がうかがわれました。その結果、販売実績が昨年に対して減るという社が出ておるわけでございます。関係利用者団体状況につきまして、私ども省内関係の局を通じて調べた結果によりますと、たとえば紙パルプとかそういったところの一部の業種につきましては玉の不足手当てが十分できないという連絡が入っておりますので、これにつきましては早急にただいまもう手当てをいたしておるところでございますが、全体的にこれがどうこうというような状況ではないと私ども考えておるわけでございます。  対策といたしましては、現在、輸入C重油につきまして、運用の問題でございますが、たとえばタリフクォータのワクをもう少し弾力的に考える、あるいは有税でも輸入をするというようなものに対してそれを認めていく、こういう輸入面の緩和、これが一つであろうと思います。それから二つ目には、私どもC重油の原油の手当て状況を各業種別に見ますと、電力業界C重油手当てというものがあるいは一部買い進んでいるところもあるのではないかと見られる節もございますので、そこら辺をいま少しく調べておるわけでございますが、いずれにしましても、関係業界によりまして玉の手当てがまちまちになり、あるところが多くなり、あるところが少ないということのないように、各業種におきます備蓄の状況等もいま調べておるわけでございます。もちろん不足手当てができないという訴えのある業種につきましては直ちに手当てをするということを行なっておるわけでございまして、新聞で伝えられましたような状況が一般化しないように事前に手を打ちたいというのが私ども考え方でございます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 政府は、民族糸会社については若干、先般の石油製品値上げについて無理もあるのではないか、公式の席上ではありませんが、非公式にはそのようなことも伝えられてはいるわけです。これも新聞報道でございますが、山形エネルギー庁長官はメジャーに対して値下げの要求をむしろやっているということが伝えられている。これら等々から勘案をいたしましても石油製品の再値上げなんということは政府は全く考えていない、そのようなことはあり得ないというように確信を持ってよろしいかどうか、その点、大臣からお答えいただきます。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三月十八日から実施しておりまする現行石油製品価格体系は当分これを堅持する考えでおりまして、これを変える考えはいまのところはありません。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 電力料金についてお尋ねをいたしますが、五月末に一括認可方針を固めたと伝えられているわけですが、この点はいかがですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般来、当委員会におきまして五月中旬から下旬にかけて決断しなければならぬと思うと御答弁申し上げておりますが、そういう考えに立っております。その際、決断は同じ時期に全部九電力について行なって、ただ実施の時期あるいは率をケースバイケースによって変化を持たせる、そういう考えに立っております。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、五月末に一括認可をして、その実施時期をずらしていく、いまケースバイケースによってということでございますが、実施時期をずらすというお答えであったわけですが、それは大臣が先般来からお答えになっておりますように、赤字が非常に大きいということが緊急度の中心であろうと思うのですが、そうした緊急度に応じて実施時期そのものをずらす、そういう考え方だ、いまの答弁はそうであったと思いますけれども、もう一度お答えをいただきます。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おっしゃる方向にあります。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 それから、圧縮幅については、申請をやって、一〇%くらいは圧縮をするのだということが当初通産省考え方だと伝えられていたわけです。ところが、いろいろ申請によって審査をしてみると、これが無理ではないか、一〇%の圧縮、そこまでの圧縮はできないのではないかということも伝えられているわけですが、その点はいかがです。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 何%圧縮するという予断は持っておりません。そういう前提を持って審査を行なってもおりません。これはやはり経理の内容等厳正に審査してみまして、その結果に基づいて行なわれる、そういうことであると思います。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 それから家庭用電灯料金については、百キロワットアワーよりももっと引き上げなければならない。百五十キロワットアワーというようなことが必要ではないかと大臣が談話として出されたような記憶もあるわけですが、私どもは、百五十キロないし二百キロワットアワー、この程度値上げをするのではなくてむしろ据え置くべきであるというような考え方の上に立って申し入れをしているわけですが、その点、大臣考え方はいかがです。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 社会党のそういう申し入れば私もよく存じております。しかし、これもいま審査の過程にございまして、私としましては百キロワットアワーというその水準は、はたしてそれでよろしいかどうか検討してしかるべし、そう考えて、私個人といたしましては、もう少し上げるほうがいいのではないか、そういう希望を持っております。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 どうですか、大臣のその希望可能性は。大臣がそれだけの希望があるのだったら、その可能性はあるのだろうと思いますが、それはどうです。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはまだ公聴会を実行しておりませんし、公聴会及び査定の結果等を全部見まして決断いたしたいと思いますが、私はそういう強い希望を持っております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 それから、家庭用は当然のことでありますけれども産業用についても、御承知のとおり、ミカン等は超大豊作といってもよろしいぐらい、四百万トン、そういったようなことで、価格は暴落をするという懸念で摘果等までやらなければならないというような深刻な状態にある。これらのことを考えてみますと、ジュース工場であるとか、あるいは選果場であるとか、そういったところに供給するところの電力料金というのは引き下げというのか、上げ幅を産業用であってもずっと押えなければならぬ。このことは農業だけではなくて、漁業の場合もありましょうし、あるいは零細中小企業の場合等においてもあるだろうと思うのでありますが、それらの点はどのように勘案をして認可をされますか。
  26. 岸田文武

    岸田政府委員 今回の値上げ申請におきまして、産業用に使われます電力値上げ幅一般平均に対して割り高になっております。これは御承知のとおり、今回の値上げ申請のおもなる理由燃料費発電費高騰が重要なファクターになっていることから結果したものでございます。その際、各産業への影響という点につきましても、私ども別途いろいろ調査をいたしておるところでございますが、いずれにせよ値上げ幅が大きいということは産業界に与える影響もそれだけ大きくなるわけでございまして、私ども査定に際しましては、極力厳格な査定をするということによって処理をいたしたいと考えております。その際に、産業部門別に差を設けるかどうかという点につきましては、おそらく各産業立場からいたしますと、少しでも少なければよろしいという立場においてはほぼ共通だろうと思いまして、それについて特にどこを下げるというような措置を講じますれば、その下げた分だけどこかがしょわなければならないというような関係にございますので、いわば悪平等に似ておりますけれども、コストに応じた料金を組むということのほうが結果としておさまりがいいのではないか、こういう感じを持っておるところでございます。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 ガス料金認可申請がどの程度出ているのか、また、地方ガスについてはもうすでに認可をしているところもあるのだろうと思うのでありますが、値上げ申請とそれから値上げ認可した状況並びに値上げ申請理由はどういうようになっているのかという点について伺います。
  28. 岸田文武

    岸田政府委員 ガス事業者はいま全国で二百五十ございますが、この中で四十八年度に改定をしました事業者が二十九でございます。それから四十九年度に入りまして改定実施いたしましたのが十社ございます。なお、現在申請中の事業者数が五十七でございます。これらの改定理由につきましてはそれぞれ若干の相違はございますが、総じて申しますと、やはり使用する燃料高騰ということが一番大きなファクターのようでございます。ガス事業経営の中で燃料費の割合は、昨年の上期ぐらいの実績で二〇%から三〇%に達しております。この燃料費部分が秋以降急激に上昇したということがおもな要因でございまして、そのほかに人件費高騰資本費高騰電力事業の場合とかなり似たような申請理由が掲げられております。それらの改定実施を行なわない場合に、保安上等の面でいろいろ経営の面で支障を生ずるということを理由としてあげております。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 これは大臣からお答えをいただきたいのですが、大手認可申請は、いま東邦瓦斯からなされておるというふうに伺っているわけです。いま公益事業部長お答えによりますと、値上げ申請理由は、おおむね電力の場合と同じだということですが、LNGのほうは石油ほど値上がりをしていないといったような点等からいたしますと、私は若干異なるのではないかというように考えるわけであります。申請があった東邦瓦斯について、どのようにお考えになるのかという点と、それから伝えられるところによりますと、東京瓦斯あるいは大阪瓦斯認可申請動きを示しているということであります。認可申請があったらこれを受理する方針なのかどうか、それらの点について大臣考え方をお聞かせいただきたい。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ガス会社は、特に地方都市ガスにありましては中小企業的な経営でございます。それで、今回の場合はそういうような要素から燃料費並びに人件費、特に春闘等もありまして、そういう面の圧力もあるわけであります。そういうような面から見まして、これはケースバイケースで厳重に審査をして、そして処理しなければならぬと思っております。できるだけ家計に対する影響を及ぼさないように、時期的に地域的にも考慮しつつ処理していくべきものと思います。  東邦瓦斯につきましても、燃料費そのほかの値上げによりまして現行価格体系が維持できないというので申請が出ており、目下いろいろ審査をしておるところでございます。私は経理状況を中間的に聞いておりまして、これはある程度値上げはやむを得ないのではないか、そういう感じを持っております。  そのほかの大手ガス会社についてはそういう動向があるということは新聞等承知しておりますが、私はまだ現実的にそういう申し入れのようなことは接しておりません。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 単なる新聞情報ということではないのではないか。私が情報として聞いておりますのは、五月中に認可申請がなされるのではないかといったようなことすら耳に入っております。東邦瓦斯の場合はすでに申請がなされ、大臣のいまのお答えによりますと、電力の場合に似たような形だという受けとめ方をしているようにうかがえるわけです。いまの答弁から受ける印象はですね。してみると、東京瓦斯大阪瓦斯というのが認可申請がなされるということは避けられないのではないか。その場合に、電力の場合は私の質問に対して大臣認可申請そのものを押えていこうというような一応の意向をお示しになったわけですが、認可申請に対しては、申請そのものを押えていくというような行政指導ということをなさる御意思があるのかどうか。しかしそうではなくて、出てみなければわからないというようなことで申請がなされた時点でこれを受理するか、あるいは押えるか、考える、そういう考え方なのかどうか、もう少し具体的に考え方をお聞かせください。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 東京瓦斯大阪瓦斯の場合は受給人口も非常に多いわけでございます。そういう面もありまして、物価に対する考慮もしなければならぬと思っておりまして、できるだけ抑制するという考えに立って処置していきたいと思っております。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 このLNG値上げ状況はいかがですか。
  34. 岸田文武

    岸田政府委員 ガスで使用しておりますLNGは、一般的には長期契約によって輸入されておるわけでございまして、従来契約したものについては比較的安定的な料金が維持される見通しでございますが、しかしながら、他方LNG需要が逐次増大をいたしております。その新規契約分につきましては、やはり石油価格値上がり影響を受けまして、かなり上昇の傾向にございます。  以上のような状況かと判断をいたしております。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 ともかくガス家庭用が八〇%、家計に及ぼす影響というものは非常に大きいわけですから、慎重に対処されるということを望んでおきたいと思います。  それから橋本局長からお答えをいただきますが、トイレットペーパーですね、この標準価格をはずしてもらいたいという動き業界筋から強くなされているということを伺っているわけですが、これに対しては通産省はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、いかがでしょう。
  36. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 トイレットペーパーにつきましては、この二月の一日から標準価格制度をとっておるわけでございますが、その後非常に需給が緩慢化し、かつ、価格が安定してきておりますので、この際、標準価格撤廃方向で早急に検討いたしたいと考えております。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 標準価格撤廃方向で検討するということですが、値上がりの心配はないでしょうな。前みたいに売り惜しみをやってまた値上げをする、そういったようなことがないように、どのようにこれから先対処していかれますか。
  38. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず出荷状況から申し上げますと、最近は月ベース大体一万五千トン程度、昨年十一−二月ごろが一万九千トンないし一万七千トンといった非常に多くの出荷をいたしておったわけでございますが、昨今ではそれから二、三千トン下回る出荷になっておる。かたがた三月末の在庫は、トイレットペーパーにつきましては六千二百トン、これは大体昨年の上期ベース水準になるかと思います。それからちり紙につきましては六千五百トンになっておりまして、これは過去のちり紙在庫としては最高の在庫になっておるといったようなところから非常に需給緩慢の線が出ております。  それから価格につきましては、経済企画庁で調べました数字によりますと、この四月時点で標準価格で売っておるものが二十府県、それから標準価格を下回って販売いたしておりますものが二十七府県、ちり紙につきましては二十五県が標準価格を下回って販売いたしておる、こういったことで需給価格ともに安定してきておるわけでございますが、ただ一つ問題は、いわゆる原料であるところの古紙の価格、これがやはり昨年来非常に上がっております。昨年じゅうでかれこれ二倍、ことしの一−三月になりましても三割近く上がっておったわけでございます。さようなところから、この四月の一日からくず紙業者あるいはそれを購入するメーカーサイドに対しまして価格引き下げの指導をいたしております。購入価格を安く、売るほうも安くということを指導いたしておりますので、だいぶ古紙価格のほうも安定してまいっておりますので、その面からの上昇要因というものはないんではなかろうか。  それからいま一つ考えておかなくてはいけないのは、例年十月から十二月にかけましていわゆる需要期に入るわけでございます。そのための在庫を備蓄しておく必要がある。先ほど申し上げましたように三月末の在庫がすでに六千五百トン前後になっておるわけでございますが、これから不需要期に入る間におきましていわゆるすきだめをやっておりまして、これを備蓄用として需要期に備えておくといったような形をとることによりまして、需給価格ともにこの際標準価格をはずしましてもまずまず支障を来たさないのではなかろうか、さように考えておりますので、撤廃の方向で検討いたしておる、こういうことでございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 いまの答弁によりますと、必ずしも行政があと追いをしているというように断定というのか指摘をするということにはならないと思うんだけれども、ともすると政府の行政というのはあと追いなんですね。需給が緩慢になったということは値段が高いから実は売れないんですよ。政府は盛んにいま節約を訴えているわけですが、それが奏功したという受けとめ方を政府はするのかもしれませんけれども、値段が高いですね。売れない。したがって緩慢になっている。だからそういう場合その標準価格はもっと下げるように指導するというようなことは積極的に行なってもいいんだろうし、また、標準価格そのものを下げるというようなことだっていままでの間にやってよかったんじゃないか。きょう基礎産業局長はお見えではございませんが、くぎの行政指導価格も高くて、販売する小売り業者がもうかってしようがないとうれしい悲鳴をあげている。だから下回って売っているのだということをいっている。だからこれも何とかすべきじゃないかというようなことを私は指摘をしたわけですけれども、そういうことをおやりになっていらっしゃらないですね。もっと積極的な行政指導をやる。それから指導価格にしても標準価格にしても、絶えず追跡調査をやっていく。行政というものが先行していくというくらいのかまえでひとつやっていただきたいということを要請をいたしておきます。  これと関連をする問題として、この十二月の石油危機という状態の中で、タクシーの料金を上げなければ——これは個人タクシーを中心にして石油供給が全く絶たれてしまったというようなことで自殺騒ぎまで起こるという状態の中でタクシーの暫定料金をおきめになった。これは所管は運輸省でありましょうが、石油から発生をした問題として、これらの点について小松局長は、広い意味においてあなたの責任守備範囲でもあろうというようにも考えられるわけです。これに対してどのようにお考えになっているのか。  運輸省からもお見えでございますが、暫定料金ということになってくると一カ月、長くとも二カ月くらいが暫定料金の常識的な範囲ではないかと思うのだけれども、いつまでたっても暫定料金なんだ。いつまで暫定料金を続けようとお考えになっていらっしゃるのか。それらの点について、それぞれひとつお答えをいただきたい。
  40. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 ただいまのタクシー料金の問題は、確かに石油値上げに伴いまして当時の石油不足及び当時のまた狂乱的な価格ということから生まれた問題でございまして、運輸省のほうで苦労されました結果、ああいう暫定料金ができたというふうに承知いたしております。その後、石油の値段の行政指導による引き上げ限度の抑制ということが行なわれましたけれども、今日では石油価格もかなり安定をいたしておりまして、一ころのような不安はないことも先生御案内のとおりでございます。つきましては、タクシー料金などうするのかということにつきましては、運輸省のほうにおかれましていろいろお考のことと思いますので、そちらのほうにお譲りさしていただきたいと思います。
  41. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  ただいま実施されておりますタクシーの暫定運賃でございますが、御承知のとおりの昨年来の燃料危機という事態に対処いたしまして、緊急、暫定の措置ということで認可をいたしたものでございまして、今後どうするかということにつきましては、LPGの需給状況及び燃料価格の今後の動向というところに、私どもとしてなお若干まだ流動的な面があるように思われます。したがって、そういう状況をさらに見きわめながら、四十八年度の各タクシー事業者実績が出た段階においてこれの検討をいたしたい、このように考えております。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 石油は流動的というんだが、十月からずっと石油が上がってきて、十二月深刻な状態になったという中で暫定料金をおきめになった。しかし、そのときはまだ石油は四ドルないし五ドルだった。いま九ドルないし十ドル原油ということになっているのですね。そういったことからすると、暫定料金というのは相当幅のある値上げをしておったのではないかというように感じられる。  それから、あなたが流動的とおっしゃる意味はどういうことなのか、その当時は四ドルあるいは五ドル重油でもって採算のとれる暫定料金というものをおきめになった。しかし、九ドル、十ドルという原油になってもその暫定料金でいけるというようなことになっていると、私は、きわめてあいまいな、きわめて不見識な認可をやったものだという感じがしてならない。そういうあいまいもことしたような、消費者のことを全く考えないような料金認可のやり方というものは絶対になすべきではないというように考えるわけです。いまあなたが流動的とおっしゃったのはどういうことなのか。先ほど申し上げたように、現在の石油価格の中で経営はどういう状態にあるのか、当時の石油値上げの中できめた暫定料金というものはどのような根拠によってなされたのか、それらの点等について詳しくお答えをいただきましょう。
  43. 真島健

    ○真島説明員 お答えをいたします。  ただいま認可して実施しております暫定運賃の改定の算出根拠という問題かと存じますが、認可をいたしましたころの状況といたしまして、暫定運賃の算出根拠といたしまして私ども考えましたのは、LPGの供給量の削減の状況及び価格のアップの状況ということでございます。この場合に、削減率というものが四十八年度想定需要の一五%ということで考えまして、さらに燃料価格については、当時の実勢価格を基礎として算定をいたしたものでございます。その後、二月、三月、四月という段階でのLPGの量のほうの問題は、確かに相当程度緩和が見られております。ただ、価格の面につきましては、私どもいまだに必ずしも安定的になってはいないのではないかという危惧も持っておりますし、一方、タクシー経営者側の実際の経営状況のほうでございますけれども、一月、二月、三月と見てまいりますと、運賃の改定はいたしましたけれども、その改定幅には増収分が追いつかない。つまり実車率あるいは実働率というものが前年同月に比べますと相当まだ下回っておる。こういうようないろいろな状況勘案いたしまして、四十八年度の実績を見まして全体的に検討し直してみたい、このように考えておる次第でございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 LPGは十月にキロ三二千円上がり、十二月に至って七千五百円上がった、一月に八千円上がるというような値上げ状況になっているわけです。だからして、あなたのほうはこの暫定料金というのをいつまで続けようと考えているのかという点が一点です。暫定料金というものは、これはいつまでも続けられないでありましょうから、その場合には料金を正式に認可するということになっていくのである。いまの答弁でも大体わかりましたけれども、もっとわかりやすくそのままずばりとひとつお答えをいただきます。あまり事なかれ主義でやってはいけないと私は思うのですよ。それは運賃を取る運転手もたいへん迷惑なんだ。私どもも、メーターを見ておってこれに何倍かけられるのかというようなことを考える。実に消費者も迷惑なんです。だからそういう国民に迷惑なものをいつまでも役所が、まあできるだけ無難な道を進もうというような事なかれ主義でやるべきではない。もっと行政というものは国民が納得する形において運営されなければならないということを申し上げるわけなんです。これはひとつお答えをいただいて——また同じような答弁になるのかもしれませんから通産大臣から、国務大臣として——これは石油から端を発してきたことですが、大臣がお考えになっても、暫定料金というのが半年も十カ月も続くなんということはあってはならないのじゃないでしょうか。その点について、大臣のお考え方を閣議の中で大いに強調していただかなければならぬわけですから、大臣からひとつお答えをいただきます。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 暫定という名前がついているように、これは暫定でありますから正常なものに戻るということが本則であると思います。運輸省の所管でございますから、運輸省の皆さま方もその点はいろいろ御苦心をなすっている最中であると私も聞いております。早晩、暫定は正常な料金にかわるものであると私は信じております。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 運輸省どうですか。
  47. 真島健

    ○真島説明員 先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、今回の暫定運賃の見直し、検討ということは、各業者の四十八年度実績が出た段階で検討を始めたい、このように考えております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 それじゃ中小企業庁長官橋本局長からお答えをいただきますが、織布業者が政府関係金融機関から融資を受ける場合に、無籍業者でないという証明が必要かどうか、この点いかがです。
  49. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 証明を必要とするように指導いたしております。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、証明はだれがするのですか。
  51. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 府県単位と申しますか、産地ごとに産地の監視委員会というのを設けておりまして、その委員長が登録されている旨の証明を切ることになっております。ただ、その委員長を当該地区における工業組合の理事長が兼ねておるということでございますが、これは組合員であれ、組合の外、いわゆる員外者であれ、立場としては監視委員長としての立場で証明することになっておるわけでございます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたは、組合員であれ組合員でなくとも証明はなされなければならない、こういうことでございます。中小企業庁長官のほうにも、いろいろとこれらの問題によって影響を受けている者から陳情等がなされているのではないかと思うのですが、現実には橋本局長、あなたの答弁のようには行なわれていない。工業組合員でなければ証明をしない、こういう実態があるわけです。その実態を把握しておられるのかどうか。それから長官のほうにはそういう苦情というのか、是正方の陳情がなされていないかどうか。
  53. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一部の地区におきまして、先生御指摘のように証明がすみやかに行なわれていないという事実を承知いたしております。これは故意にやっておるのか、それとも現在の織布の構造改善事業に基づく資金につきましては、これは組合を通じて一括資金を借り受ける形をとっておりますので、それと混同しているか、いずれかと思いますが、そのいずれにせよ、当該事業者にとっては非常に迷惑なことだと思いますので、早急に正しい証明を発行するように指導いたしたいと考えております。
  54. 外山弘

    ○外山政府委員 私どものほうには特に苦情というようなものは来ていないと承知しております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 大臣橋本局長からそういう事実があることもお認めになった。アウトサイダーといえども借りる権利があるわけですね。にもかかわらず工業組合員でなければ証明をしないということは、これは強制加入ということを強く求めているという形になってくる。これは調査をして至急に是正をさせるようにしてもらいたいということが一点。  それから、その証明する団体は、いま局長からお答えになったようなそういう団体でなければいけないのかどうかということであります。たとえば福井県の場合は福井織物共進会というような団体がある。こういう団体も証明し得る団体にならないのかどうか。それらの点はいかがですか。
  56. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず第一番目の問題につきましては、こちらの指導通達に違反しておることでございますので、これは厳重に警告すると同時に、早急に証明書を発行するようにいたしたいと思います。  それから二番目の共進会等において証明云々の問題でございますが、これは現在登録簿なるものを通産局単位で持っております。かたがた、それの写しと申しますか、リストを当該工業組合で持っておるものですから、そちらのほうのリストとの照合という関係もありまして、工業組合の理事長に兼ねて監視委員長をやらせると同時に証明発行の責任をとらせておる、こういうことでございます。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 近く繊維の不況対策に対するところの融資もされるわけですから、すみやかにそれをおやりになるのでなければまた混乱をするということが起こってまいります。いまの答弁は誠意のある答弁ですから、それがすみやかに調査され実施されることを期待いたしておきたいと思います。  齋藤局長にお尋ねをいたしますが、きわめて素朴な質問なんだけれども、家庭電気製品にいたしましても、これは電気冷蔵庫であるとかテレビ、ラジオであるとか、その種類によって耐用年数も違うのでしょうが、大体この耐用年数というのは何年なのですか。それから自動車の耐用年数というのは大体どの程度になっているのか、まずその点をお答えいただいてから質問いたしましょう。
  58. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 自動車の耐用年数でございますが、税法上の法定耐用年数では、乗用車が六年、トラックが五年ということになっております。家電製品につきましては耐用年数というものは特に定まっておりません。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 局長、私が気になるというか、不可解に考えているのは、新型車が次から次に生産されてくるのですね。それから技術も進歩してきている。当然耐用年数というものも延びてくるということになるべきではないか。道路だって非常によくなっているわけでしょう。この耐用年数が延びないのは、これは自動車の場合にとりましても、家電の場合にとりましても、いわゆる技術は進歩している、品物は非常に高度化しているというようなことからいたしますと、その耐用年数というものは延びてこなければいけないというように考える。にもかかわらず延びてこない。  また保証書というのが出されていますね。家電の場合においてもしかりです。自動車の場合においてもしかり。この保証書の期間も延びない。これらの点について局長は、これは不可解だなとお考えになったようなことはないのかどうか、あったとするならば、それをどのように行政指導をしていらっしゃるのか。いかがですか。
  60. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 ただいま私が申し上げました自動車の耐用年数は税法上の耐用年数でございまして、実際に自動車がどれぐらい使用に耐え得るかというのはまた若干別の面がございます。税法上は企業会計その他いろいろの関係で年々耐用年数が縮まる状況にございますが、実際に使われております耐用年数で見ますと、自動車の場合には、統計的に見ますと、大体乗用車が七年、トラックで六年といった数字が出てまいっております。製造の場合の寿命としましては、エンジンとか重要な保安部品につきましては大体十年以上使用に耐えるように設計はされております。  それから、その実際の使われる期間が長くなりつつあるか、短くなっておるかという点は、これは使用者の好みの問題等もございますので、実際に使える期間と現実に使われております期間はまた若干違いがあろうかと存じます。ただ、私どもの指導方針としては、最近のように特に物不足時代になってまいりますと、なるべく寿命の長くもつような製品をつくるように、堅牢なものをつくるように指導はいたしております。  それから保証期間の御質問でございますけれども、この保証期間と申しますのは、品質管理等の欠陥によります故障は大体初期の不良として使用の初めのごく短期間のうちにあらわれるものでございますので、そういった場合の不良につきまして無償で修理等を行なう、こういう意味で保証期間というものが設けられておりまして、家電製品で見ますと大体一年が通例になっております。ただルームクーラーあるいは冷蔵庫といったようなものの冷凍機の部分につきましては、ルームクーラーの場合には三年、冷蔵庫の場合は五年といったような保証期間を設けております。それから自動車の保証期間でございますが、商慣習としまして乗用車につきましては大体一年または二万キロというのを無償の修理の保証期間といたしております。それからエンジンの内部機構といったような部品につきましては二年または五万キロメートル、こういった保証が行なわれておりますが、これはただいま申しましたように、製造面での品質管理等の欠陥によるものの初期に出てくるであろう欠陥を無償で修理するという意味で設けられておるわけでございまして、これが決して耐用年数をあらわすものではないということは御理解いただけるかと存じます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 私が端的に指摘したいのは、日本の家電メーカーであるとかあるいは自動車メーカーのように、売らんかなというような営業姿勢を持っている業者はいない。この保証期間等が過ぎて直ちにということではありませんけれども、新型車をできるだけ売り込みたいという考え方から部品の準備をしない。中古車を持っているけれども、いざ修理をしようとする場合には部品がなくて修理ができないという実態が非常に多いということです。  御承知のとおりに、ドイツのベンツあるいはワーゲンにいたしましても、これらの車が走っているところ、相当長い歴史を持っているけれども、部品はあるのですよ。しかし、日本の場合はないじゃありませんか。だから新型車を売り込んでいこう、売り込んでいこうとする意欲を持っているということなんです。トヨタの社長が言ったと伝えられているわけですが、私は証人に立ってもよろしい、こう言っている人がいるわけです。三年以上故障のこないような部品はつくるなと言っている、強くトヨタの社長は言明したということが伝えられている。だからして、もうできるだけ家電にしてもあるいは自動車にしても、故障を起こさせる、そして修理をするとか新型車に変えさせようという考え方というものが旺盛にあるということです。こういう営業姿勢は改めさせなければならないというように私は考える。先ほど申し上げたように、技術も非常に進歩してきているし、道路等の環境も非常によくなってきている。したがって、部品等も優秀な部品というようなものが当然生産されなければならないわけでありますから、保証期間も、したがって延びていく、耐用年数も延びていくということでなければならないと私は考える。税法上の耐用年数というような問題は、これは過剰の減価償却といったようなものとの関連で私はこの間電力料金値上げの際も実は申し上げたところでありましたけれども、それらの点が非常に指摘できるわけであります。きょうはその点には触れませんけれども、私がいま申し上げたようなことについてひとつお答えをいただきたいと思う。
  62. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 自動車の寿命でございますけれども、メーカーとしましては重要なエンジンその他の部品につきましては、少なくとも十年以上使用に耐えるという設計で製造をいたしております。それから補修の部品につきましても、現在その自動車の製造を打ち切りましてからも最低十年間は補修部品があるように準備をいたしております。そういうことで、補修部品がないために実際に車が動いているのに非常に困る、こういったことのないように十分注意いたしまして指導いたしておりますが、万一部品が切れました場合には、特に試作工場の万能機械等を使いましてでもその部品を製造いたしまして、現実に動いている車には供給をする、こういったことでユーザーに迷惑をかけないようにメーカーのほうを指導いたしておりますが、原則として十年間は部品を用意する、こういうたてまえで指導いたしておるところであります。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく私は消費者保護という点に徹して、そうしたメーカーや商社の営業姿勢を直させる強力な行政指導をひとつ今後も積極的に進めていただきたいということを強く要請しておきます。  次に、総合商社の営業姿勢について、先ほど小松局長に広い意味の産業政策ということから私はお尋ねをしたのでしたが、今度はもっと狭い意味であなたのほうに関連をすることでありますからお答えをいただきますが、この総合商社、具体的な例としては、日商岩井の問題でトラブルが起こっていることがあるのですが、マンションを手当たり次第につくっていく。日照権の問題が中心になっていくわけですが、いわゆるビル公害というようなこと、いろいろなことで住民に迷惑をかけているわけですが、この総合商社というものは元来、たしか大臣お答えになったことがあると思うのでありますけれども、貿易というものが中心に進められていかなければいけない。総合なんだから何でもよろしいというような考え方を持っているのかもしれませんけれども、少なくとも私は商社のモラルというものがなければいけない、人に迷惑をかけてでももうかりさえすればよろしいというような営業姿勢は改めさせなければならないと思うのでありますけれども、局長はその点はどのようにお考えになり、また指導をしておられますか。
  64. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 先生の御指摘のように、総合商社はもともと貿易から発達したものでございますが、今日では多くの総合商社におきましては、営業、特に販売額などで見まして半ばないしそれ以上が国内取引になっておるという例も多くなってまいりました。それに伴いまして国内におきましてもいろいろな問題が起こっていることも確かでございます。商社が本来の流通機構を活用して国民経済のために果たすことのできる役割りを十分に行なえるようにという意味で、私どもかねてから商社に対して指導をいたしまして、自主的な行動基準を昨年作成させ、それを順守させるための指導を極力やってまいったわけでございますが、なおかついろいろな問題が起こっておることは非常に遺憾に存じております。ただいま御指摘のマンションの建設につきましても、これがもし地方自治体などで条例などによってきめておりますような日照権その他住民環境保全に違反するようなことがございましたならば、これらの条例を順守させるというふうなことは当然でございますが、条例などのない場合におきましても環境との調和に十分配慮することは当然なことでございます。  日商岩井の件につきましても、現に地元住民との間に若干トラブルを起こしておる件があることも承知いたしておりますが、地元住民の意見と十分調和をとった上でなければ、マンションの建設などはしないようにというふうに指導いたしたいというふうに考えております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 建設省にお尋ねをいたしますが、マンション建設の問題等々は、これは全国各地でトラブルが起こっておる。私は具体的なこととしてお尋ねをするのは、長崎市に建設される筑後マンションの建設。これは商業地帯ということにはなっているんですが、それは実際は住宅地帯なんです。写真と、この市議会でこの問題を取り上げていることについて資料も見ていただいていると思うのですが、この事実を御存じになっていらっしゃるのかどうか。この点いかがですか。
  66. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生御指摘の長崎市におきますビルにつきましては、現在まだ建築基準法の手続でございます確認申請を出しておらないようでございます。ただ、先生のお話がございましたので、現地へ問い合わせまして、最近の情勢を若干聞いて知っておるというのが実情でございます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 その確認申請は出していないと言うんだけれども、もうすでに地域は買収してしまっている。間引きするような形で買収してしまった。そうして非常に強引な態度をとっている。買収したその建物はあき家なんだ。買収したからあき家になっているんですよ。あき家から、えてして火災などの発生が起こる。そういうことがあった場合の責任もあげて地域住民が負いなさいと、もうものすごい高姿勢なんですね。写真で見てもおわかりのように、これはもう付近は商業地帯というが、商店というのはほんのわずかしかない。私も現地をよく承知をしているわけです。住宅地帯なんです。それに十階、三十八メートルのマンションを建てようというんでしょう。付近にはほとんど日が当たらなくなっちゃうんです。だからして付近の住近の住民反対をする、市当局に陳情する、市議会に対して請願をするという事態が起こってきている。だからして確認申請を出していないのじゃなくして押えられているということなんです。だから手当たり次第にそういうマンション等の建築をするということを建設省はどのようにお考えになっているのか。日照権の問題、付近の環境ということを守っていくという点から、できるだけそういう地帯は避けるように指導されることが私は適当ではないかと思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  68. 山岡一男

    ○山岡政府委員 最近マンションの建設に伴う日照権に関するトラブルは非常に多うございます。その点を十分勘案いたしまして、建築審議会というのがございますけれども、そこにいろいろと問い合わせをいたしまして、二年間ばかりの研さんを経まして今国会に日陰の規制からします建築物の高さの制限を内容といたします建築基準法の改正案を提案して御審議願っております。  ただ、その場合も、現在先生御指摘のような商業地域につきましては、その対象の地点にいたしておりません。第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域等の住居系の地域において日照を確保するためにはどのような高さに制限をすべきかというのが内容になっております。  それで、先生御指摘の現地のほうは、調べてみますと、都市計画上商業地域、先生おっしゃったとおりでございまして、特に商業地域と申しますような用途地域につきましては、地元の皆さんのほうで建築基準法で定めますいろいろな基準の中から選ばれるということになっております。当該商業地域につきましては建蔽率はもちろん八割でございますが、延べ面積の敷地面積に対します割合は四〇〇%から一〇〇〇%の中で選ぶという中で、五〇〇%というのを選んでおられる地区でございます。しかしながら、先生おっしゃいましたように、回りの状況を見ますと全く住宅地のようでございます。したがいまして、都市計画の決定の経緯等もあるかと思いますけれども、現地の行政庁も十分そういう点の指導をしてまいると申しておりますので、われわれもその方向に従いまして、十分現地と打ち合わせながら、そういうようなものがトラブルのないように建つような方向の指導をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 法的な関係にも関連をするわけですが、確認申請住民との間に話がつかなければ受理しないという市当局の方針がある。それはあなたの手元にある市議会の議長から反対同盟の会長に出された文書ですね。だから確認申請がなされて、建築確認がなされなければもちろん建築の着工はできないというように考えるわけですが、その点いかがです。
  70. 山岡一男

    ○山岡政府委員 建築基準法できめておりますのは、建築物をつくる場合の最低の基準でございます。そういうものに適合しておるかどうかという技術的チェックをするのが建築確認でございます。したがいまして、その現地に建ちますものが容積率が五〇〇%以内で建蔽率が八割以内でということでございますと、商業地域は商業の利便を増進するというところでいろいろな用途をきめておりまして、そういうものを建ててよい地域になっておりますので、建築主事としては確認せざるを得ないというのが法律上のたてまえでございます。しかし、法律上のたてまえはたてまえといたしまして、そういうふうなことにつきまして現地の実情等を見ながらいろいろと行政指導をしていくというのは、やはり特定行政庁等の任務の一つでございますので、十分そういうような指導については今後も前向きにしていただくように指導してまいりたいと考えております。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 私は、この法律のたてまえというようなことは承知しながら、実際上それで法律との関連ということばで実は表現をしたわけですが、しかし、これから先の行政というものは、この住民との融合というものがなされなければやるべきではない。また、地域住民がごね得みたいな形で反対をしておるというならば、これはまた別であります。しかし、あなたがその写真で見られるように、またその資料もここに私持っているわけですけれども、そういうところに三十八メートル、四十メートルの高層の建物を建てるべきではないということです。ですから、住民との話し合いがつかなければ建築確認はすべきではない。また申請はもちろんすべきでないという方向で当該の日商岩井に対して行政指導をするという御意思がありますか。
  72. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、実は現地の実情を電話でちょっと先ほど聞いたというのが実情でございまして、さらに十分確かめた上でそのような指導をしたいと考えております。
  73. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤清二君。
  74. 加藤清二

    加藤(清二)委員 委員長のお許しを得まして、私は昼食後だと思っておりましたところ、大臣の都合これありということで、それじゃ大臣が御列席の間だけ午前中いたしまして、残余の分につきましては、これは昼食後に回したいと存じます。  繊維が非常な不況でございます。したがって、当該委員会の各委員が、与野党を通じて政府に対して、その緊急なカンフル注射的な措置要求していらっしゃいます。私も先回それを要求いたしました。しかし、いまだ具体的な答えがございません。この答えをぜひひとつ、今度の繊維構造改善の法案が本委員会を通過するまでに、ぜひ具体策を実行に移していただきたいと思います。  私は、実は本日、二十六日、これがひとつのめどであると申し上げておきました。なぜかならば、今月の納会が二十七日に行なわれるからでございます。きのうの後場から当月限は落ちでございます。このまま推移いたしますると、どのような事態が発生するか、ちょっと予測のできないほど危険な状態に相なっております。きょう朝日新聞もそのことを書いております。各紙が一斉にここ連日その問題を取り上げております。  そこで、抽象論ではございますが、政府がいま鋭意努力していらっしゃいまする具体策、その内容は次の法案審議のときにいたしまするが、せめて緊急対策を打ち出す時期、これを明示なさらないと、三品市場はじめ、てんやわんやの状況が起きてまいります。倒産は続出いたします。きのうもきょうも陳情団は殺到です。議員は、その陳情団の応接にいとまがないほどでございます。一体これに対してどうなさる御予定でございますか。
  75. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 繊維があらゆる分野におきまして、あるいはあらゆる産地におきまして非常に不況色を強めてきておるということで、先生御承知のとおり、三月末の年度末期につきましては、五百五億のうち百五十億を重点的に繊維産業、特に中小企業対策として配分いたしたわけでございますが、現在、四−六の金融をどのように取り上げるかということで鋭意詰めておるわけでございます。内容といたしましては、やはり減産資金と、それから滞貨融資、この二つになるかと思います。  それから財源といたしましては、いわゆる政府三機関の四−六、一・四半期分といたしまして五千五百億、昨年が四千億でございますからだいぶふえておりまして、五千五百億のワクがございます。  それからいま一つは、民間金融機関におきまして三千二百億の資金を中小企業救済資金として活用するといったような話も出ておりますので、財源としてはこの二つを対象にして考えたい。  融資のつけ方としては、いろいろあるかと思いますが、減産資金につきましては、組合を通じて貸すとか、あるいはものによっては個別の企業に貸すということもあるかと思います。それから凍結資金と申しますか、過剰在庫資金につきましては、これはそれぞれに貸す場合もやはりグループを組んで組合を通じて貸す場合もあるかと思います。その場合に、倉荷証券をとって、それに対して資金を供与するかどうかという問題もあるかと思います。大体の部分につきましては、政府三機関と、ただいま申し上げました民間の中小企業救済資金で対象にし得るかと思っておりますが、いま一等頭を痛めておりますのは、毛糸の相場あるいは毛糸の実勢、それに引かれるところの毛織物の相場といったようなものが非常にコスト割れ——コスト割れ以上に新しい注文がないということで困っておるわけでございます。その場合、やはり現在の毛紡績の現況に対しましてどのように資金手当てをするか。先生御承知のとおり、毛紡績業にはただいま申し上げました政府の三機関の対象にならないようなものもあるわけでございます。そういったものにつきましては市中から融資をする必要があると思いますが、少なくとも私といたしましては、五千トン程度の毛糸を凍結する必要があるのではなかろうか。そのための資金手当てをどうするか。それも中小金融機関ならざる一般の市中金融機関からこれに対して融資を行なう必要があるということで、関係当局ともいろいろ詰めておるわけでございますが、当分の間、金融引き締めを堅持するという方針の中にも、ケースによって手当てをしていこうといったような財務当局と申しますか、関係当局の意見も出ておりますので、そういったところと話を詰めながら、できるだけ早く凍結資金の融通が実現するように今後とも努力していきたいと考えております。
  76. 加藤清二

    加藤(清二)委員 カンフル注射が必要なのです。いつ行なわれるかわからないでは、この不況を打開することはできません。いま、いみじくも生活産業局長が繊維の救済策をおっしゃられましたが、それが大きく新聞に喧伝されると、それだけでもってこの前途に光明を見たような気になりまして、それが一つ希望となり、不況気分を変更する一つの材料になると思います。しかしそれが、だろう、だろうでは前途の光明にならない。いつ何をどうするか、少なくとも休会明け、本法案審議されまするその時点に至りましては、私が要望いたしました凍結資金も一輸入制限の方法も、これはぜひ具体的に出していただきたいと存じます。いわんや各委員の質問に対して、三公庫、三公庫と言っておられまするが、三公庫の対象にならないところがたいへんな不況のゆえに機屋関係までがいかれておるのです。  具体的に一例を申し上げましょう。きのうのウール相場は何ぼになっておりますか。
  77. 森口八郎

    ○森口政府委員 昨日の毛糸相場は、東京市場におきまして千三百円、名古屋市場におきまして千三百十五円、大阪市場におきまして一千三百円ということであったと思います。
  78. 加藤清二

    加藤(清二)委員 当月限は後場は落ちです。前場二節は千三百円以下、千三百円を割っているところもある。九月限でもって最高が千八百円。千八百円は普通何の値段でございますか。
  79. 森口八郎

    ○森口政府委員 毛糸一キログラム当たりの値段であります。
  80. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうでしょう。それは去年のいまごろ伊藤忠、丸紅、江商、岩井をはじめ二社五綿が、商社十社が、外国から輸入したトップの値以下でございましょう。これは原毛の値段なんです。いわんや千三百円なんといっていたら、これでバイカイすればキロ当たりについて千円の欠損なんです。そういうことを一体何カ月続かせるおつもりです。大臣、あなたの部下、森口君やら荒尾君は去年の三月九日市場ストップを命じました。あなたがやられました。これはまことに時宜を得たものなんです。三千円をこえればこれはやむを得ません。三千五、六百円、高値相場を呼んだのですから。したがって、三品に対してストップを命ぜられました。しかも一カ月命ぜられました。また、ことしの正月以降コットンの三品において上限幅を五パーから七パーとされました。大臣は、いままでの委員の質問に対して、自由市場であるからなるべく行政介入はいたしたくないという基本的理念をおっしゃってみえました。それはそれでけっこうです。しかし、高いときだけは介入するけれども、安過ぎて出血して、そのことがやがて機屋へ響き、問屋へ響き、操短だけでは済まずに倒産ということになっている。それに対して緊急措置ができないという手はない。いわんやその原因が商社の買い過ぎであった。買い過ぎが何ぼであるかは、資料を私はたくさん持っておりますが、十大商社のもうけ過ぎであった。なぜそれが行なわれたかといえば、余ったドルを与えて何でもいいから買え、買えという指導をなさった。イの一番にしろうとでも買える繊維に、原料綿から糸からトップ綿から、それでなお性こりもなく生地から第二次布帛製品まで次々とお買いになった。そのゆえに売れ残ってストックして、そこでいま不況が来ている。原因は一にかかって商社の思惑買いとそれに対する政府の指導の問題なんです。当然その結果、弱いところへしわが寄って、機屋以下のところが倒産のうき目にあっている。倒産だけでは足りぬで、首つり自殺が事実いま発生してきておる。そういう時期に至ってなお手が打てぬということでは、ここにある程度金がこれだけありますと言ったって、もはや借りる能力がない。機屋には借りる能力がない。三公庫の金は出血生産を余儀なくしておる紡績には借りる資格がない。そういうものに対して、さあどうぞと言ったって、食べる能力のなくなった場合には、やむを得ぬ、注射を打つよりほかに手はないじゃございませんか。したがって、どうするか、大臣にお尋ねする。
  81. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まさに御指摘の情勢であると思います。千三百円相場というものがどういうふうに関係部面に影響を及ぼすか、おそらく末端におきましてはかなりの重圧が及んでおるのだろうと思います。そこで、いま御指摘のように、この連休明けを目ざしまして関係方面とも協議いたしまして御趣旨に沿うような方向で努力してみたいと思います。
  82. 加藤清二

    加藤(清二)委員 次の法案審議までに具体策が発表できまするよう、そうしてそれがいま塗炭の苦しみをしている業界を救う前途の光明となるように至急原案を作成すると同時に、それが来月七日にここで審議するという理事会の決定でございまするから、その七日には私が失礼でございますが最初に質問させていただきますので、そのときにぜひ発表できるようにしておいていただきたいと存じます。  きのうも福井地区からも、北陸それから奥羽地方の福島、山形からも陳情団がたくさん見えました。生活産業局の課長さんにも会っていただきました。三品市場とは一体何ですかと聞いたら、こう言うんです。一体大臣は三品市場をどう思ってみえますか、まず大臣お答えを聞きます。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 質問してください。
  84. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いや、私の質問じゃなしに、その陳情団が答えた。往復びんたでなお足らぬで、てっぺんもたたくから三びんだと、こう言った。まことに言い得て妙だと思います。しかしこの三品市場の審議会は、大臣、あなたの任命権がありますね。総理大臣がこれを任命し、両議院においてその同意を得た後に指名すると、こういうことになっております。その三品市場の審議会からの答申が出ました。その答申は、いまの繊維のみならず、雑穀に至るまでのあまたの苦情、欠陥、これを指摘して、それを是正するための答申が出ております。私は、この市場のあり方が実は今度の不況の一つの原因になり、国民に不安を与える大きなファクターとなっているということを順次例をあげて指摘していきます。  そこで最初にお尋ねいたします。大臣はこの答申をいつ具体化する御予定でございますか。
  85. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 答申を受けまして、次の通常国会法律を提出するということを目途に鋭意いろいろな検討と法案作成をやってみたいと思います。
  86. 加藤清二

    加藤(清二)委員 今国会ではなくして、次の国会と承ってよろしいですか。答申は緊急事項をも含めておりまするがゆえに、可及的すみやかにこれの実現方を冒頭前文でうたい上げているわけでございます。急がなくてもよろしい靖国神社法は急ぐけれども倒産のうき目にあっている業界を救うためのものは来国会でよろしゅうございますか。
  87. 森口八郎

    ○森口政府委員 商品取引所審議会の答申をいただきましたけれども、取引所法の改正は検討しなければいけない部面が多々あるわけでございまして、やはり若干の時日がかかろうかと思います。ただし、審議会の答申の中には法律の改正を要せずして実行し得る部面もございますので、こういうものにつきましては、至急答申の線に沿って取引所の運営について改善を進めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 加藤清二

    加藤(清二)委員 抜本的な法改正は来国会、しかし法改正を待たずにも緊急措置として行政的にできる案件は、その法改正を待つ前に実行に移していく、こういうお答えでございますか。
  89. 森口八郎

    ○森口政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  90. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうあってしかるべきだと存じます。  そこで申し上げます。私はあくまでこの商品市場に関連する、その影響をもろに受ける当該関係織業者、つまり機屋であるとか、あるいは小さい産元であるとか、あるいはそれに参加している外部資本、と申しましてもその外部資本は一般大衆でございます。大衆資金でございます。その方々を救うというところに視点を合わせまして質問をいたします。  第一番、一体この市場はだれのためにあるのでしょうか。
  91. 森口八郎

    ○森口政府委員 申すまでもなく、商品取引所は商品生産を可能ならしめるための前提の一つとして設置されておるものでございます。したがって、商品を生産し、これを供給する人たちのためにまず設けられておるというように考えていいかと思います。
  92. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いわゆるつなぎの場として、いわゆるヘッジの場として、生産者とこれをバイカイした人の保険の意味を持ち、将来コンスタントに作業が行なえるという理想を持たせて今日の仕事に励ませる、それが目標でございますね。しかし、それだけでは売りと買いが一気に殺到するおそれなきにしもあらず、ゆえに一般外部資本をこれに導入することを許す、こうなっておるわけです。しかし、いまながめてみますと、この市場は遺憾ながらヘッジの場としての機能をだんだん喪失している。一般外部資本をこれに投入し、ちょうちんをつけた方々は、大やけどをして二度とそこへは立ち寄らない、非常に不信感が流れております。審議会のメンバーもそれを指摘しております。しかし、そのことはいまの能力をもってしてはできない。なぜできないか。員数があまりにも少な過ぎて調査審議が十分に行なわれない。形だけのものである。こういう答申でございます。  大臣。したがって、改革をなさるとするならば、この審議会のメンバーをどうするおつもりでございますか。私はこのことについては近藤止文委員長に聞きたかった。しかし、すでにいままで何回も会っております。きょうここへ出てきていただきたいと私は言うた。農林大臣にも出てもらいたいと要望した。ところが出てこられない。しからば代理をどうぞと言った。せめて福田博士でけっこうです、事の次第はあの方が一番よく存じてみえるから……。それもだめだという。失礼ながらあとの人なら来ていただく必要はありません。そういう構成でもって答申が出た。それを国会審議する。だから答申をした人の真意を掘り下げて、ここで承りたい。承って私ども野党も、あるいは法案にあるいは行政的措置にあるいは好会的な対策にということをここで仕分けをして知りたかったんでございまするが、きょうは出てこられない。農林大臣もしかりだ。これでは審議会が任務としておりまするいわゆる調査審議、それすらもできないじゃございませんか。少なくとも審議会は衆参両院の同意を得ているはずです。衆参の議院の同意がなければ成り立っていないはずです。一体これはどういうことになっていますか。  そこで大臣にお尋ねする。審議会のメンバーはこのままでいいのか。答申の要望どおりふやす用意があるのか。これを聞きたい。
  93. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の答申を見ますと、審議会を拡充強化するように、そういうように書いてあります。したがいまして、この意見は採用いたしまして、委員を拡充強化する方向で改組いたしたいと思います。
  94. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大臣の退席の時間になりました。したがって、残余の質問は委員長の指示どおりに従います。
  95. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  96. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清二君。
  97. 加藤清二

    加藤(清二)委員 午前中の中曽根大臣以下、政府委員諸公の御答弁によりまして、この繊維の不況の緊急対策はする、時期は次の法案審議、七日をめどに具体策を発表できるようにする、商品市場の小委員会答申については立法措置をする、しかし、それは来国会である、来国会を待たずに行なえる行政措置は、これは可及的すみやかにする、そのうちの第一が、まず審議会の構成メンバーについて、今日のこの状況下にかんがみ、いまの員数では足りないからこれを強化拡充して、本務である調査審議が十二分に行なえるようにする、かように受け取ってよろしいですね。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのとおりであります。
  99. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは一歩話を進めまして、このいわゆる商品取引所、この機能、この行為、この相場、これが日本の消費生活物資に及ぼす影響の大なることにかんがみまして、私は次のことどもをひとつ逐条にお願いしたいと存じます。お願いというよりは話し合いのお願いをして、具体的にこれを実行に移していただきたいと存じます。商品市場は、自由で公開の原則がございます。原則は、自由の原則と公開の原則でございます。そのことによって生産、加工、流通の円滑化をはかる、これが主でございます。しかし、去年のウールの値上げ、コットンの値上げは、まことに遺憾ながら、これとは相反する主義、主張によって行なわれたことは、これはもう衆目の認むるところでございます。したがって、この商品取引所制度の改善にあたって、まず商品取引所の存在の価値といいましょうか、存在の意義といいましょうか、それを通産省、農林省はどのように認識してみえるか、それを承りたい。簡潔でけっこうでございます。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 商品取引所は価格のヘッジあるいは価格の形成という面について、資本主義社会において重要な役割りを果たしており、これを健全に発展させなければならぬと考えております。
  101. 加藤清二

    加藤(清二)委員 農林省、どうぞ。
  102. 齋藤太一

    齋藤説明員 農林省におきましても同様でございます。  具体的な点につきましては従来いろいろ問題になった点がございますけれども、本来の存在の意義、機能としての評価につきましては通産大臣から仰せられたことと同様に考えております。
  103. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私は、農林大臣ないしは政務次官を要求しておきました。と申し上げまするのは、これから逐条にわたって御質問申し上げまする案件は、政治的答弁を要することが多いからでございます。解説を要求しようとは思っておりません。説明ではなくて、政治的答弁要求したいと思っております。  そこで、審議官齋藤さんは、政治的答弁をしていただけますですね。
  104. 齋藤太一

    齋藤説明員 私には、与えられましたポストに相応する職責なり権限があるわけでございますので、おのずから限界はございますけれども、現在、農林省としましてはっきり申し上げられる点につきましてはお答えをいたすつもりでございます。
  105. 加藤清二

    加藤(清二)委員 答申に基づく制度の改善の方向についてお尋ねいたしますが、まず上場品の銘柄について、今日のままでよろしいでございましょうか。両方から承りたい。
  106. 森口八郎

    ○森口政府委員 現在の上場商品には検討すべきものがあるというように考えております。
  107. 齋藤太一

    齋藤説明員 現時点におきまして明確にこういうものをはずし、こういうものは上場すべきであるという結論を得ておるものはございませんけれども、検討はいたしてまいりたいというふうに考えております。
  108. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いまここで何をやめて何をふやしなさいということは申し上げかねますが、ヘッジの場であるべき商品市場がギャンブルの場と化している。これにはいろいろな理由はありまするけれども、上場されておりまする商品の数量が大いに影響していると思います。すなわち、供用品が多いか少ないかということがギャンブル化するかしないかということにたいへんな影響があるというより正比例していると思います。すなわち繊維で申し上げますると、御案内のとおり四八だけが上場品となっている。これは数量が少ない。したがって、ギャンブル化そうとすれば、ある程度の資金を持てば、これは一括買い占めが可能でございます。そのゆえにこそ、去年もそれが行なわれたわけでございます。しかし、同じ金額をもってしては、これをコットンの四十番手で勝負しようといったってできっこありません。なぜできないかといったら、数量が、供用品が非常に多いからでございます。こういう数量の立場からいきますると、雑穀のほうはともに数量が少ない。だから少数資金をもってギャンブルの場と化し、一括買い占め、売り惜しみ、その結果あげた利益は食い逃げするということが可能でございます。かような状況を放置しておくということは、いかに他の商法をもってしても、これを取り締まることはできないわけでございます。それについて特に承りたいのは、農林省としては過少な供用品、過少な上場品、これは過去においては、戦後という過去においては流動資金が少なかった。したがって、ギャンブル場化することも少なかった。しかし、今日のように流動資金がふえてまいりますると、過少供用品では、今日の多量な流動資金にはとうてい拮抗し得ない。ここに高騰し、ギャンブル化する原因がある。これに対して農林省としては、この対策をどうお考えでございましょうか。
  109. 齋藤太一

    齋藤説明員 上場品目につきましては、時代の推移によりまして、国内生産といたしまして増減をするものもございます。その場合には、ものによりましては外国からの輸入産物を上場するということも可能でございます。また一面、取引所の機能といたしまして適切を欠くという面は、一つは上場数量の問題もございますけれども、一方におきましては、そこに、先ほど御指摘のございました導入される外部資金の量との関係もございます。したがいまして、数量的な面と、それから今回の答申にもございますように、取引所が本来の機能を発揮するように、過度な投機にわたらぬような規制を加えるということと両面を含めまして検討を進めたい、かように思っております。
  110. 加藤清二

    加藤(清二)委員 同じことを通産省……。
  111. 森口八郎

    ○森口政府委員 おっしゃいますとおり、供用品の量が少ないものは買い占めの原因になりますので、一般的には好ましくないというように考えておりますけれども、実際その上場商品をどうするかという問題をきめるにあたりましては、やはりいろいろな生産の事情あるいは需要の事情、その他の事情を見てきめたいというように考えております。
  112. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ここでちょっと御参考に申し上げておきますが、ウールの場合に四八の双、もっと具体的に申し上げますと東洋紡の千五百番、日毛のAG、これが供用品、上場される対象でございます。しかしいま四八よりも、どこの紡績でも——今日ではありませんよ、この不況下ではありませんが、沸騰して値上げするときには、四九のほうをよけいつくって四八を少のうしておる。これは紡績と商社の結託によらなければできぬことであります。上場されるもののほうが少なくて、しからざるもののほうが多い。しかも、それはきわめて似通った品物である。これは一体何を意味するか。これは扱う商社とこれを製造する紡績とが市場操作をして、市場における値段がやがて紡績から商社にわたるときの建て値や市中相場を決定する。それを見込んでバイカイされる商品はわざと意識的に少なくして、そして値上げをしておいて、それに似通った四九、これをあとでぶつけていく。しかも、それが四七でなくて四九であるというところに問題がある。なぜか、それは市場相場よりもなお高値で売れるというところにみそがあるわけです。そういうことを許している。これは審議会の弱体と取引所の力のなさである。こういうことを行政指導せずにそのままにしておくということは問題である。同じことが赤ダイヤや大手亡やあれこれにございます。なぜかならば、アズキはさほどでもございませんけれども、これは内地の生産よりは外地の輸入にたよることが非常に多くなってくるからでございます。輸入商社が輸入契約をしてすでに事が行なわれているにもかかわらず荷が届かぬ、届かぬ、こういうことをふれ回して、そして値上げをしている。それはやがて消費者に対する値上げになり、物価値上げの大きなファクターになっている。こういうことにかんがみて一体両省はどうお考えでございますか。
  113. 森口八郎

    ○森口政府委員 毛糸につきましては現在四八双糸が御指摘のとおり供用品でありまして、そのほかに五二双糸、六〇双糸等にも広げることとなっております。御指摘のような事実はやはりおっしゃるような問題点も含んでおりますが、四八双糸の供用銘柄の拡大というものは取引所がこれを定めるというようなことになっておりますので、取引所を中心にいたしまして関係業界と協議をして、おっしゃるような点がないよう供用銘柄の拡大等について検討を加えていきたいというように考えております。
  114. 齋藤太一

    齋藤説明員 農林省におきましては、先ほど御指摘がございましたように、アズキにつきましては外国産品の供用もできる、あるいは大手亡についてもそういうことになっておりますし、あるいは生糸につきましても先般供用品をふやしたというようなこともございまして、上場の数量をなるべく多くするという方向で今後ともやってまいりたいわけでございます。  なお、輸入品に関する商社の問題につきましては、現在商社のあり方等が物価問題とも関連いたしまして非常に問題になっておるわけでございますが、これは通産省のほうとも御相談をいたしまして、今後ともその姿勢を正していくということにつとめたいと思っております。
  115. 加藤清二

    加藤(清二)委員 メーカー並びに輸入商あるいは商社、これなどが大衆の利益を忘れて自分たちの利益追求にのみ走っている、そういう事実はまだまだあげつきたれば限りがございません。しかし、それでは時間が来ちゃいまするのでそれはその程度にいたしまするが、これよりももっとひどく自己本位で、自分たちの利益だけを考えているのが会員組織でございます。そこで承りたい。一体会員組織ということは会員のための組織ということなのか。会員組織の目的は、それを構成する会員だけの利益をはかればいいのか。それとも、それは最初に掲げた目的のとおり、生産、流通の段階をスムーズにし、大衆の利益をはかることが目的であるのか。今日のあり方からいきますると、会員の利益にのみ片寄っている、こう断じてはばからないほどあまたあまたの資料とデータを私は持っている。それは悲しい現実でございます。これについてどうお考えですか。
  116. 森口八郎

    ○森口政府委員 御指摘のとおり、取引所は会員のための組織であるということではございません。全体の経済形成のための取引所という意味で経済全体のための取引所というように申せるかと思います。ただ、非常に残念ながら、現在の会員組織の取引所について運営上にいろいろ問題があるということは先生御指摘のとおりでございますし、先ほどの産構審の小委員会答申にも、そういうような実態を背景にいたしまして、現在の会員の資格の問題、それから取引所におきます理事の問題についても、もう少し公正に運用されるような改革を行なうべきであるというような提案をいたしておりますので、私どものほうでも、法律改正を行なうにあたりましてはそういうような点も十分考慮いたしまして考えていきたいというように考えております。
  117. 齋藤太一

    齋藤説明員 通産省考え方と同様でございます。
  118. 加藤清二

    加藤(清二)委員 わかりました。  ところで、なぜ大衆の利益、一般経済向上、そのために設けられたところのこの商品市場の会員が、その目的を忘れてしまって、商品をギャンブル化して自分の利益だけをはかるということにおちいっているかという原因を調べてみますると、いろいろな原因がありまするが、一つは会員が固定化されている、しかもこれが世襲的になっている、他の新しい会員を拒んでいる、入会することを許さない、しかも許さないように行政指導が行なわれている、こういうところに問題があると思います。われわれ国会議員も四年の命がありとして許可を受けておりながら、四年の命のあったことがございません。国民の審判を受けるからでございます。しかし、彼らは、あくまで世襲的にものを考えている、既得権であると考えている。はたしてこの会員の組織は今日の状態でいいのか。もう一つは、これは既得権であるのか。しかも、既得権であるとするならば、これは永代権であるのか、そこをはっきりと承りたい。
  119. 森口八郎

    ○森口政府委員 会員の定数は取引所法で定められておりますけれども、当然いろいろな第三者の会員で好ましい者がありますれば、法規の許す限りこれを会員に入れるということは当然でございますし、先生がおっしゃるように、会員たる資格が世襲権ないしは永代権というようなこときものではないというように考えております。
  120. 加藤清二

    加藤(清二)委員 農林省はどうですか。
  121. 齋藤太一

    齋藤説明員 同様でございます。
  122. 加藤清二

    加藤(清二)委員 おっしゃる答弁はそのとおりですが、まことに遺憾なことは、現実がそれとはさかさまになっていることでございます。  もう一つ承る。理事長あるいは監事、これは選出をされて主務大臣認可を受けるということに相なっている。そこで承りたいが、今日の理事長は選挙されたんですか、それとも別な方法で選ばれたんですか。
  123. 森口八郎

    ○森口政府委員 商品取引所法の第五十八条によりまして、役員は会員が選挙するということになっております。
  124. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうです。それはわかっているが、今日はどうなっているかと聞いている。
  125. 森口八郎

    ○森口政府委員 選挙によって定められております。
  126. 加藤清二

    加藤(清二)委員 農林省、どうです。
  127. 齋藤太一

    齋藤説明員 法律にそういう規定がございますので、そういうふうになっておるわけでございます。
  128. 加藤清二

    加藤(清二)委員 法律の条文を聞いておるのではございません。だから最初に申し上げた。説明員ならごめんこうむる。解説員ならごめんこうむるって。具体的事実を聞いている。いまの理事長はどうして選ばれたか。選挙をやったとおっしゃるなら、何票対何票であったか、はっきりお答え願いたい。
  129. 森口八郎

    ○森口政府委員 理事長が選ばれましたときには、当然当方に報告をいたすことと相なっておりますが、先生御質問の、何票対何票で選ばれたというようなことまで報告をいただいておりませんので、残念ながら票数の差は御答弁できません。
  130. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私は、前理事長と今日の理事長の名前はよく知り、本人もよく知っておりますけれども、あえてここで名前を申し上げません。もししかりとするならば、追加御調査願いたい。なぜかならば、これは主務大臣認可権にかかわる問題であるからである。不正入学が許されないと同じなんです。ほんとうはいままではそうなっていないんだ。よくこっちを見ておってもらいたい、私の顔色を。ほんとうはそうなっていないんだ。これは全部前理事長の指名だ。有無を言わさぬ。理事会にかけられてもいない。あえて名前が出てしまってから理事会にかけられておる。これは私権の乱用であり、国法の無視といわざるを得ない。したがって、今日の理事長が選ばれたときにどういう形式で行なわれたかを追加調査して御提出願いたい。あなたたちが、あくまで選挙で互選されたと言うならば。そうではないのだ。それがまた輪番制であるというならまだ納得もできるのだ。そうもなっておらない。  農林省、あなたにお尋ねする。全商連の理事長がどうやって選ばれたか、もう一度お尋ねする。
  131. 齋藤太一

    齋藤説明員 選挙の具体的な実態につきましては、現在了知しておりません。
  132. 加藤清二

    加藤(清二)委員 委員長、よく聞いておってくださいよ。さっきの答えと違ってくるでしょう。こういう答えを了承することはできない。本委員会を軽視するといわざるを得ない。したがって私は委員長要求する。本件は両省が調査の上、あくまで選挙で選任したとおっしるならば、賛成何票で反対何票であったか、あるいは第一候補が何票で第二候補が何票であったか、票数を要求する。私は、遺憾ながらそうなっていないと申し上げておる。私権の乱用が行なわれ、法律の無視がここに行なわれているということを指摘しておく。いまここで私はそれをはっきり出したいのだけれども、ただ、本省のおっしゃることと私の調査したデータとは食い違っておりますから、これの真偽を確かめる資料を後ほど本委員会に提出されんことを委員長にお願いする。
  133. 濱野清吾

    濱野委員長 承知しました。
  134. 加藤清二

    加藤(清二)委員 承知していただきましてありがとうございます。  ただ私は、だれがいいとかかれがいいとか、是非善悪を言うておるのではございません。いま会員のための会員組織になっていて、国民のためのものでない、つまり私有物化されている。それはいけない。それは直さなければならぬ。その一例がこれであるということを申し上げておる。  次に、私は先般の質問において、福井人絹が開店休業である。これは法に基づけば、三カ月理由なくして店を閉じた場合にはかくかくのことをしなければならぬということがちゃんときまっている。それができない。それなれば、今後は、より問題になる点はこれを整理統合する、こういうことが必要だと思いますが、この点はいかがでございますか。整理統合ということは、答申の中にもそれはすべきであるとうたわれているようでございますが、この点について農林省はどうお考えでございますか。
  135. 齋藤太一

    齋藤説明員 地域的な統合の方向につきまして答申が出されておりますので、これは現実問題としましては、いろいろ過去の経緯、伝統等もございますので簡単にはまいらないと思いますけれども方向としてはそういう方向で検討を進めたいというふうに思っております。
  136. 加藤清二

    加藤(清二)委員 次に、もう一つ最も問題になるのは、商品取引所員のあり方でございます。いわゆる仲買人のあり方でございます。商品取引所は、先ほども申し上げましたように三品である。三品とは何かと言ったら、往復びんたの上に頭のてっぺんをなぐられるから、だから三ピンだ、こういう声があるほど不信感が強い。なぜ不信感が強いか、商品取引所にどうしていろいろな問題が起きてくるかといえば、これは商品取引員、いわゆる仲買人の姿勢の問題なんです。あり方の問題なんです。ここにほとんどの、まあ何と申しましょうか、世間からうしろ指をさされるような問題が発生してきておる。なぜそうなるだろうか。これを検討されたことがありますか。あったらその原因を承りたい。時間の関係上、私がというよりわが党が調査したところを申し上げまするならば、それは取引員の許可制によってこれが既得権化され、先ほど私が述べましたように永代権化して、自分の所有権のごとく事が扱われているからにほかならないと私は思う。これについて通産省、農林省、両方の御意見を承りたい。
  137. 森口八郎

    ○森口政府委員 再々引用いたしております産構審の委員会の答申におきましても、取引員の営業姿勢に問題があるというようなことが指摘をされております。特に先生おっしゃいました永代権化しておるというような点については、「許可に期限を付し、一定期間ごとに見直しを行うことにより、営業姿勢及び財務内容の改善を促進すべきである。」というように答申をされておりまして、私どもも全く同じ考え方でありまして、この答申の趣旨に沿って法の改正を行なうよう準備をいたしたいというように考えております。
  138. 加藤清二

    加藤(清二)委員 今度の法改正にあたって、商品取引員のあり方を見直して時代の要望に沿ったように修正する、こうおっしゃるのですか。農林省はいかがでございますか。
  139. 齋藤太一

    齋藤説明員 御指摘のようなところに原因がございまして、従来社会的にもいろいろ批判される面もございまして、最近におきましては行政指導あるいは自粛によりましてかなり是正されてきておりますけれども、まだ問題はあとを断たないということでもございますので、そういう従来の努力に合わせまして、基本的にただいま通産省のほうからお話がございました制度的な改善を含めまして、今後そのあり方を改善してまいるということであります。
  140. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大臣、今度よく聞いてもらいたい。ただいま両審議官からりっぱな御答弁をしていただきました。そうして答申にのっとって法改正には必ずこの点を盛り込むとおっしゃられました。しかし、過去の事実もそのようなことをおっしゃられた。これが認可制から許可制に移るときに厳重な歯どめが行なわれていた。にもかかわらず、その歯どめはいつの間にやら無視されて、まるっきり私有物化されて既得権を、自分の占有権を他人に譲るということが次から次へと行なわれた。そういうことはわが党の調査のあやまちであるのか、それとも両審議官の御答弁のほうが正しいのか、両審議官の御答弁は将来に向かってのことを答えてみえるのか、過去の実績を踏まえての御答弁であるのか、そこらを承りたい。
  141. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は事務当局から精細に聞かないので実態はわかりませんが、おそらく名義を使うとか、事実上はやっているとか、そういうようなのがあるのではないかと思います。
  142. 加藤清二

    加藤(清二)委員 御両所、将来に向かっての話ですか、過去の実績ですか。
  143. 森口八郎

    ○森口政府委員 現在の状況から申し上げますと、取引員の許可ということは、過当競争の防止というところから不拡大主義をとってきたことは事実でございまして、こういうようなために、逆に言うと先生御指摘のような、非常に固定化を招いてきたことは事実でございます。これを固定的に解釈するということでなければいけないということでは全然ございませんので、現在の時点におきましても、法改正を待たずにも、取引員の中に劣悪なものが入り込むとか、あるいは過当競争になるとかいうような点の配慮を十分にいたしまして、許可の緩和をはかるということを考えていきたいというように考えております。ただ、許可をするにあたりまして、現在不拡大主義をとっておりますので、当然新たなる基準ということを考えなければいけませんので、先ほど申し上げた弊害におちいらないような基準をつくりまして、その中で許可の条件の緩和をしていったらいかがかというように考えております。私が先ほどお答えいたしましたことは、もっぱら将来のことについての答弁でございます。
  144. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうでしょう。将来でしょう。解説はけっこうですから、私の質問に答えてください。農林省どうぞ。
  145. 齋藤太一

    齋藤説明員 先ほど森口審議官から回答がありましたとおり、従来は不拡大主義ということで、定数にあきがございましても過当競争を排除するという観点で、従来の取引員が経済状況が悪いとか、あるいは自己の意図によりましてやめるというような場合に、その肩がわりという形で許可をしてまいったという実態でございますが、産構審の答申にもそういう意味での見直しというような点の指摘もございますので、これは通産省のほうとも相談をいたしまして、必ずしも法の改正を待たずに、従来のやり方につきまして改善の方向で検討を早急に進めたいということでございます。
  146. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大臣、よく聞いてください。先ほど御両所がりっぱな御答弁をなさいました。念を押しましたら、それは過去のことではなくて将来に向かってのことだとおっしゃる。また、片や近き将来において改めたいとおっしゃってみえる。もう改めるとおっしゃるならば何をかいわんや、私は、ここから先言う必要はありません。何もものを言う必要はないのです。しかし、なぜこんなことを私が言わねばならぬかというと、これは審議会においても問題になり、これが世の中に害毒を及ぼし、先ほど申し上げましたところの会員の唯我独尊性が発揮されてきたからです。申し上げておく。  大臣にお尋ねする。登録制であったものを許可制にした。この理由はさっき員数の問題であるとおっしゃられた。冗談言っちゃいけませんよ。員数をふやせば困る。少な過ぎても困る。それだけの員数の問題じゃございません。これは本省の監督や指導を強化するために行なわれたものなんです。ということは、政府行政指導なくしては常にヘッジの場がギャンブル化する。保険がばくち場に変わる。そういう過去の実績にかんがみて、当該監督官庁の大臣の介入を容易ならしめるためにやったんです。しかも、これを許可制にするときに、かたいかたい約束が取りかわされておるのです。絶対に権利バイカイはいたしません。権利バイカイは禁止事項になっておるのです。にもかかわりませず、何が行なわれたのか。権利バイカイはないとおっしゃるのですか。また、あるとするならば、何がゆえにそれが行なわれたのですか。いまのように員数の穴埋めですか。冗談言っちゃいけませんよ。そんな答弁で私が黙って引き下がれると思いますか。私は二十年来このことを言うてきておる。機屋を守りたいために、機屋にちょうちんつけて参加しているしろうと衆を救うために、二十年来これを唱えてきたんです。にもかかわらず、それが行なわれていない。残念なことに、担当局長や担当審議官が次から次へとかわるので忘れてしまっている。忘れて別な行為をやっている。大臣、お尋ねする。権利バイカイは禁止事項であった。かたい約束の第一条件であった。それがなかったとおっしゃるのですか。その違反行為はなかったとおっしゃるのですか。
  147. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 商品取引員たる地位は、商品取引所法に基づく主務大臣の許可により与えられたものであり、いわゆるのれん等の無体財産としての価値が生じている場合はあるが、それ自体が売買の対象となるべきものではない、こうした取引員たる地位の売買はもともと委託者保護の観点から、財産状況が悪く、倒産等の事態に瀕した取引員の地位を引き継ぎ、委託者債権の肩がわりを行なう場合にやむを得ず行なわれたものでありますが、上記の性格から見て、これが一般化することは好ましくないと思っております。
  148. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ちっとも私の質問の答弁になっていない。
  149. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ここに言わんとするところは、たまにはあるということです。
  150. 加藤清二

    加藤(清二)委員 農林省いかがですか。権利バイカイはあったかなかったか、それだけでいい。
  151. 齋藤太一

    齋藤説明員 ただいま通産大臣からお話のあったような状況でございまして、それ自体として売買の対象となり得べきものではないわけでございます。
  152. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それがあったかなかったかと聞いておる。
  153. 齋藤太一

    齋藤説明員 従来、先ほど申し上げましたように、過当競争の排除という観点から、一人の、一個の取引員がやめるというような場合に、その肩がわりというかっこうで認めました場合に、従来の取引関係を継承するというようなことで、そこに経済的な、先ほどのれん代というような話があったわけでございますけれども、そういうものがその際に具体化してまいった、そういう事実があるというふうに考えております。
  154. 加藤清二

    加藤(清二)委員 聞いておるとまるっきり私の言っていることが間違ったように聞こえますよ。従来やめる場合に補てんをした、こういう言いようなんです。そういうものですか。それなら承りたい。従来やめる人が補てんされたときになぜ四億とか五億とかいう金を払わなければならぬのですか。これはやがて発展して前理事長の腹切り問題にまで発展しているんですよ。やめる人があるから補てんをするというなら、どうして理事長は腹切らなければならぬのですか。そういうことをおっしゃるなら、私は、こういうことを言いたくないけれども言わざるを得ない。何か私が根拠のないことを言うておるように思われたら片腹痛い。だからあったかなかったかと聞いておる。  読み上げます。登録制が許可制にされたときの一番の理由は、さっき言ったように本省の監督権を拡大し、指導を強化する、そこにあった。ほんとうは、これは民営であるからさような必要はないが、民主化のおそい日本においては、西欧諸国の市場に見るような民主的な行為が行なわれずに特権化されて、ここがギャンブルの場になっていたから、経過措置としてこれがとられた。しかし、その結果は、絶対に権利バイカイは許さないということがかたく約束された。そのことを両審議官は御存じないかもしれぬ。それはやむを得ぬ、そのときに審議官でなかったんだから。私どものようなしろうとでさえも、そのことは活字になって出ておりまするからよく存じておる。にもかかわらずバイカイが行なわれた。  はっきり言う。どこで行なわれたか。四十三年二月、前の登録制から許可制になった。ところが四十六年六月、マルミチが倒産した。それはどこへどう売られたか。これは補てんじゃない、売られたんです。郡是産業、新日本商品、丸松物産、山梨商事、岡地、江口商事、広商事、旭商品、これはほとんどが雑穀である。農林省の管轄下である。それをまさか知らぬとはおっしゃらぬでしょう。これが幾らにバイカイされたんです。そこから先追い打ちをかけることを遠慮します。四十六年十月五日、共栄が倒産、これが林商事に売られました。これも穀物と砂糖です。四十七年一月二十一日、九州岡安が倒れました。同和商品に売られました。七月二十一日、森本璋、これが淀尾繊維に売られました。これは福井です。九月二十九日、山崎商事、これが川村商事に売られました。これは東京穀物、おひざ元なんです。越えて四十八年一月十九日、約一年ちょっと前、日本マタイが倒れました。これが日麻商品に売られました。東京砂糖です。七月五日、日穀商品が倒れて直木三和、神戸穀物が買いました。八月八日、丸紅、これは手を引きました。問題があれこれ出たから、倒れたんではなくて、手を引いた。越後さんの良識によって手を引いた。それを石森織物、東京繊維——九月四日、丸上、これが誠和商品、大阪化繊に売られた。最も期近なのが去年の十一月、和光商事が倒れた。それが第一商品に売られた。この事実は間違いでございますか。間違いであるならば間違いと言うてください。
  155. 齋藤太一

    齋藤説明員 お答えいたします。  全部につきまして確認——ちょっと聞き漏らした点もございますのですが、取引員がそういう形で交代をしたということは事実であるというふうに考えております。
  156. 森口八郎

    ○森口政府委員 石森織物それから丸上につきまして御指摘の日時に交代をいたしておるということは御指摘のとおりであります。
  157. 加藤清二

    加藤(清二)委員 委員長もよく聞いてください。禁止事項であると同時にかたい約束が行なわれた。にもかかわらず、こんなに数多く権利バイカイが行なわれている。一体どうしたことでございましょうか。しかもその場合の金額は上は五億——陰は幾ら動いたか知りません。表で五億、最低三千万。どうしてそんなことが行なわれるでしょう。しかもこの中に、いま答弁なさっている人とは言いませんよ、政府の役人が介在していないとはっきり答弁ができますか。
  158. 森口八郎

    ○森口政府委員 取引所の取引員の許可は、先ほど申し上げましたとおり、数をふやさないということといたしておりますので……(加藤(清二)委員「解説は聞きとうない」と呼ぶ)一社がやめなければだれかを入れるわけにはいかないというわけでございまして、そういうようなことの交代のために権利のバイカイに役人が介入をするというような事実はございません。
  159. 加藤清二

    加藤(清二)委員 これだけの権利移行が行なわれた。先ほどやめていくからとおっしゃったが、やめていくといったのは、私はあえて丸紅だけを指摘しました。伊藤忠もやめようとしております。それはそのはずです。社長までが腹を切るというのですから。そうでしょう。繊維の責任者であった藤田君までやめるというのですから。しかし、みずから手を引くのじゃないのです。なぜ先に読んだほうがやられたかといえば、これは違反行為があったからなんです。違法行為があったからなんです。われわれ議員でも、どれだけ権利があったとしても違法行為があればこれでおしまいですね。同時に解散があればおしまいですね。四年の命があったって二年でおしまいになる。そういう場合に——委員長にお尋ねする。われわれの権利を私がやめるからというてだれかに三億や五億で売ったら、これはどういうことになるのですか。そういうことは可能ですか。やめるのじゃないのですよ。違法行為があったからやめさせられたんですよ。その場合に、それじゃ私の権利をだれかほかに売ることができますか。員数が定数だからとおっしゃる。定数を補充するためだとおっしゃる。国民に選ばれたこの権利であったとしても、やめた場合には定数は欠員のまま残るわけです。欠員になるわけです。委員長、お尋ねする。禁止行為である、しかも好きでやめたのではなくしてやめさせられるような悪い行為があった。その権利を他人に何億という金やら何千万という金で売ってかわる。よろしいですか。あくまで補充だとおっしゃる。そのとおりです。オーナーは同じなのですよ。ダミーが変わっただけでオーナーは同じなのです。それだったら、そういうことが国会で許されたらこれはどういうことになるか、大学でこれが行なわれたらどういうことになるか、身がわり入学が幾らでもできますよ、全部が東大へ入っちゃいますよ、そうでしょう。この間も三十一人の権利放棄があった。それじゃそれを売りましょうかと言うて売ったら、これだけで商売になりますよ。毎年東大の入学試験を受けては、それを三千万、五千万で売っておったらいい商売になるじゃございませんか。委員長の見解を聞きたい。そういうことは国会で許されるか許されないか、大学の入学試験で許されるか許されないか、これだけでけっこうです。
  160. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  161. 濱野清吾

    濱野委員長 速記を始めて。  加藤君。
  162. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大臣、こういう行為が行なわれている。私はこういうふかしぎな行為、この中に政府のお役人が介在したり取引所の役員が介在したり——それでなければこれはできぬ仕事なのです。そういうことが公然と行なわれている。一体どうしたことでございましょうか。これは審議会のメンバーはもう全部知っているのです。おおそれながらという訴えがあるからです。大臣、これについてどうお考えになりますか。
  163. 森口八郎

    ○森口政府委員 取引所の取引員の数を制限しておりますと、やはり反射的にそういうことが起こるということは間々避けがたいところでありますが、決してこれは権利売買の対象にすべき性格のものではありませんし、また私どももそういうものを別にあっせんをした事実はないということを先ほど申し上げておるところであります。したがいまして、やはり法律の改正をして、できれば期限を付するとか、そういうことをしてできるだけ固定化を防ぐというような歯どめをするというようなことが一番必要ではないかというように私ども考えております。
  164. 加藤清二

    加藤(清二)委員 解説は聞きとうないと初めから言うてある。それをやると時間がかかる、次の質問者が待っている。ですから、あるかないか、いいか悪いか、これだけでいいです。  農林省、そういうことがあるかないか。
  165. 齋藤太一

    齋藤説明員 農林省の職員としてそういうバイカイといいますか、あっせんに介在をしたという事実はないというふうに確信をしております。
  166. 加藤清二

    加藤(清二)委員 もう一度速記をとめてください。
  167. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  168. 濱野清吾

    濱野委員長 速記をとってください。  あったらどうするかということについて答弁してください。農林省でも通産省でもよろしい。
  169. 齋藤太一

    齋藤説明員 そういう事実はないというふうに確信をしておりますが、もしかりにありとすれば、それは所定の役人としてのあるべき基準というものがございますから、それによって処分をされるべきものであるというふうに考えます。
  170. 加藤清二

    加藤(清二)委員 取引所の役員の中にそれがあったら、監督官庁としてはどうなさいますか。これを聞きたいがために、私はあえて農林大臣、それにかわる政務次官を要求したわけです。取引所の役員の中にそれがありとするならば、監督官庁としては、その取引所の役員をどうなさいますか。
  171. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤さん、政務次官は、一人は辞表を出しているから出席できない。一人は連合審査会に出ているから出席できない。農林大臣もそのとおり。だから、これは大きな問題ですから、大臣出席を求めないと無理でしょう。だから後ほどゆっくりと、厳粛に質問をお続けになったらどうですか。
  172. 加藤清二

    加藤(清二)委員 委員長の仰せに従います。  私がなぜこれを申し上げなければならぬかというと、次にまた問題があるのです。それはお尋ねをしたい。バイカイをされた、その時に数億、時に数千万円という金はどこへどう消えたのですか。名目上は、それに投資している外部投資家を救うという名目なんです。もしそれが事実でありとするならば、それは共同責任においてそういう機関がすでに内部にちゃんと設けられているのです。その資金が少ないというならば銀行から借りる道行きもあるのです。なぜ次にかわるべき人にそれを要求するのでございましょう。そうしてその金は、ほんとうにちょうちんをつけたり、あるいは外部資本として投入した大衆のその欠損が補われたでしょうか。それならば私は何とも言いません。弁償ならやむを得ぬでしょう。しかし、そうじゃないのです。そこに問題がある。時に数億、時に数千万円、禁止事項があえて政府の役人やあるいは組合の役員の間において談合され、それが実行に移され、新しくこの権利を買った人がそこで生き返ってくる、その人はそれを減価償却しなきゃならない。新しく買った人はまたここでギャンブルをやる。当然です。だから悪循環が絶えないという一つの原因になると同時に、他の参加者は、つまりしろうとは永久に救われない。救うという名目で金は動いたけれども、救われていない。それで私は執拗にお尋ねしなければならぬ。そういうことがないとおっしゃるならば、お尋ねする。九月四日に行なわれた丸上対誠和、そのときに三千万支払われている。それはどこへ支払い、だれがそれをもらったか聞きたい。これはやがて前会長の腹切り問題につながっているからです。一体これはどうなったか。いま委員長は、いみじくも事重大であるから農林大臣を招いて慎重にとおっしゃられました。いっでもいいです。ぜひお願いしたい。さようにお願いしたい。それを承知いただけますか、審議官
  173. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤さんに申し上げます。  次の機会に大臣必ず呼びますから……。およそ審議官ではこれは処理はできますまい。どうぞ続行してください。
  174. 加藤清二

    加藤(清二)委員 わかりました。委員長の仰せに従います。  なぜ外部のしろうと衆がこういうことに巻き込まれるか。その原因の一つに、外務員、外交員の問題がございます。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕 私はこの質問で本日の質問を打ち切り、残余の問題はあとに残します。一体外務員、外交員、この制度のあり方についてどういままで指導をし、どう処置をしてみえたか。許認可権から指導強化の責任を負いながら、この外務員についての指導機関というものがいま設けられているのかいないのか、これをまず承りたい。両方に、あるならある、ないならないでけっこうです。
  175. 森口八郎

    ○森口政府委員 外務員は取引所に登録をすることになっておりまして、取引所のほうで、外務員が勧誘するにあたってはこういうことをしてはいけないというようないろいろな禁止事項を定めて指導をいたしております。もちろんこの指導事項に違反すれば登録取り消しとかあるいは戒告とか、そういう処分をされるというていのものであります。なお、外務員全体の資質に関しましては、全商連のほうで外務員の研修制度を設けて、外務員全体の資質の向上をはかっているというのが現状でございます。
  176. 齋藤太一

    齋藤説明員 取引所のほうの指導事項につきましては共通でございますが、研修につきましても、これは全商連におきましてそういう設備をいたしまして外務員の資質向上につとめております。
  177. 加藤清二

    加藤(清二)委員 答弁を聞いていると、まことにスムーズに、まことにきれいに事が行なわれておるように聞こえる。外務員は資格が要ったはずですね。この人の給与はどうなっておりますか。固定給ですか、歩合制ですか。両方に承りたい。
  178. 森口八郎

    ○森口政府委員 固定給と歩合給を併用いたしておるというように聞いております。
  179. 齋藤太一

    齋藤説明員 固定給部分もございますが、歩合が大部分であるというふうに承知しております。
  180. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうです。そのとおりです。したがってどうなるか。やみタクが横行すると同じ結果になる。暴力運転手が生まれると同じ結果になる。ここで私はあえて申し上げます。私の友人、それは長きにわたって学校でまじめにつとめました。校長を終わりました。退職手当金をいただきました。これを、外務員と称する者が来て、初めは少なかったけれども、もうけが多かったのでだんだんふやしていって、根こそぎ取り上げました。そうして、とどのつまりはゼロになりました、元金の十分の一でかんべんしてもらいたいと言うてこられました。当然苦情処理機関に訴えました。しかし、その苦情処理機関なるものが何で構成されているかといえば、言うなれば、どろぼうを審査するのにどろぼうの組合がつくっておるというようなものだ。加害者側の内輪でできている。したがって、これは弊履のごとく捨て去られました。この校長の卒業生は余生をどうやって送るといいのでございましょうか。     〔田中(六)委員長代理退席、左藤委員長代理   着席〕 一瞬にして四十年のまじめな努力は消え去っていきました。  私は、秘書を命じ、党動員かけて調べました。その人は資格のない人でした。その営業所も許可を得ない営業所でございました。この問題が起きると、その営業所は旗を巻いてどこやらへなくなりました。その外交員は北海道へ行ったとやら、北陸へ逃げたとやらで、かいもく裁判の相手にもなり得ない。おわかりですか、このことが。ほんとうの話を申し上げておるのです。     〔左藤委員長代理退席、田中(六)委員長代理   着席〕 訴えて出るところへ出ましたら、相手がないからやむを得なくまた苦情処理機関なるものに訴えました。しましたら何と言いましたか、十万円でかんべんしてやってちょうだい、こっちのほうも損したんですから、こういう言いようでございました。すなわち、その事件のあったことを苦情処理機関は認識している、認知している証拠でございます。これがいつもいつも国家公務員、地方公務員が定年でやめた四月から五月、ちょうどいまごろ、盛んに行なわれる行為なんだ。だから外務員のあり方については慎重に指導すると同時に、これも厳重に認可制にしていただかなければならぬということを申し上げるわけです。ついては大臣の所見を承りたい。いまの件は穀物関係でございます。しかし、糸へん関係もちょうちんがございます。外部資本がございます。大衆参加があります。したがって、大臣にこれに対する所見と対策を承りたい。     〔田中(六)委員長代理退席、左藤委員長代理   着席〕
  181. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままでもそのような退職公務員あるいは家庭の主婦等が営々としてためたお金を一瞬にして、初めは甘言を弄せられて失ったという例を聞いております。したがいまして、これらの外務員に対する教育訓練を徹底的にするように、そうして責任を持って処理するようにというふうに通産省としては指導してまいりましたが、今回、中間報告がございますので、その中間報告の趣旨にものっとりまして、代理権を認めた外務員にするとか、そのほかの諸般の改革を検討してみたいと思います。
  182. 加藤清二

    加藤(清二)委員 終わりにあたって申し上げます。いみじくも代理権とおっしゃられました。すなわち、外部資金を集めてくる以上は、その金を不正に流用し、のみ行為をしたり、禁止事項までして、あれこれした者については、有限責任でなくて、逃げ隠れができないようにして、それらに責任を背負わせる、こういうことをすべきであると思います。それでなければ、やはり三品市場は往復びんたの上に頭のてっぺんをたたかれる三ピン市場であるといわれなければならぬことになる。この案件は糸へんよりは雑穀のほうにより多い。証券にもなしとしません。  結論ですが、資本主義の本山はどこかといえば、それは金融資本であり、証券市場である。片や商品市場である。その資本主義の本山がかような状況下に置かれているということは、当該関係者もさることながら、これが指導強化の責任ある行政府としても、万遺憾なきを期するために、早急に法改正すると同時に、法改正しなくてもできるカンフル注射は至急に行なっていただきたい。  以上、要望をしまして、質問を終わります。
  183. 左藤恵

    左藤委員長代理 神崎敏雄君。
  184. 神崎敏雄

    ○神崎委員 前回は、九電力会社の一斉料金値上げについて総括的な質問と意見を述べました。きょうは関西電力一社にしぼってお尋ねをいたします。  さて、関西電力発行の「関西電力二十年」を見ますと、実に二十四社にも達する関連会社を持っております。その中には本来の電気事業とは全く関係のないものがあります。その幾つかを私は明らかにいたします。  まず、関西総合電子計算センター、「当社の計算業務を一手に受託する他、関係会社、一般会社、官公庁などの計算業務も受注し、売上高は昭和四十二年度七千百万円が、昭和四十五年度において八億四百万円と発展した。(当社持株比率一〇〇%)」であります。  次に、昭和土地開発、「昭和四十二年十一月当社と住友信託銀行とが、共同出資し土地の造成、住宅の建設、土地住宅の分譲等の不動産事業を行うこととし、」「昭和四十六年三月末迄には、御影アーバンライフほか三カ所に分譲マンションを建設、販売し、現在茨木サニータウンほかの大規模な宅地造成を開発中である。また不動産の仲介、斡旋、鑑定業務も行い、当社業務の代行委託もうけている。売上高は昭和四十三年度三億五千七百万円が昭和四十五年度十六億二千六百万円と発展した。(当社持株比率九〇%)」  続いて関電産業、これは「ビル経営と、当社全区域の電柱広告を扱う広告事業を二つの柱として発足したが、」「経営の多角化を図って、千里山マンション(二棟)の建設、分譲および損害保険代理業務を開始するなど、その経営基盤は拡大し、しかも業績は順調に伸びてきた。なお資本金は昭和三十五年四月末三億円が、昭和四十年十月に五億円に増資され現在に至る。(当社持株比率一〇〇%)」  第四、関電製作所、ここでは「自動車修理部門の拡大を図るため、堺と京都に自動車修理工場を新増設するとともに、当社全域にわたって自動車修理の指定を受けることとなった。さらにリース事業部門の新設、特殊産業車輌の販売およびサービス業務の総代理店等を加え、多方面にわたる業務活動を行なっている。(当社持株比率一〇〇%)」  以上、時間の都合で二十四のうちまず四社だけを取り上げましたが、電子計算センターをやり、七千百万円の売り上げ高から三年間で八億四百万円もの売り上げ高をあげる。あるいはマンション建設、分譲、販売、土地造成、住宅の建設、不動産の仲介などをやり二年間で三億五千七百万円から十六億二千六百万円の売り上げ高をあげ、これを発展させたり、また資本金三億円を五億円に増資して、保険代理業をやったり、自動車修理部門を堺と京都に新増設をして、そうして特殊産業車両の販売、総代理店などをやる。さらにこのほかにも、昭和四十年にはホテルくろよんを創立し、四十六年には黒部峡谷鉄道を設立しておる。ホテルやマンションの経営販売電気事業に必要な関連事業と言えるのかどうか。こういう関係会社事業は年々拡大をしております。  そこで、この「関西電力二十年」の三八七ページにはこのように書いている。「関係会社を総合した売上高は、昭和三十五年度の百三十四億円が昭和四十五年度には九百八十八億田と約七・四倍に増加し、税込利益は昭和三十五年度の八億円が昭和四十五年度には百三十億円と実に十七・一倍」という膨大な利益をあげたと誇らしげにここに掲載をしておりますが、こういう実態はこれでよいのかどうか。ひとつ政府の責任のある答弁を私は初めに求めたいと思うのです。
  185. 岸田文武

    岸田政府委員 関係会社の資料を私いま手元に持っておりませんので、一々のこまかい内容についてのお答えは十分意を尽くしがたいかもしれませんが、私どもざっと見ましたところでも、電力会社がそれぞれかなりの会社に対して投資を行なっておるということは事実でございます。ただし、その中で二〇%以上の比率を占めておりますいわゆる関係会社につきましては、おもな業務の範囲といたしましては、不動産関係であるとか、工事の請負であるとか、あるいは資材の購入であるとか、電気機器の修理等々、電力事業の遂行に直接に寄与する事業あるいは間接に関連のある事業といったものが主体になっておるように判断いたしておるところでございます。  先ほど例示としておあげになりました個々の内容については、私もさらによく調査をいたしてみたいと思いますが、計算センターの仕事は、電力会社自体の各種の計算業務が次第にその比重がふえておるわけでございますが、それを処理するのがおもな目的でございますし、土地の開発は電力会社に必要な土地の取得を行なうということがおもな目的である。また、電気機器の製作、修理に関連する会社の例もおあげになりました。それぞれおもなる目的は、いま申し上げましたように、電力会社事業をそれぞれ遂行するのに必要な仕事が主体でございますが、しかし、それぞれが独立の企業として活動いたしますために付帯的な仕事によって副次的な収入をあげ、全体としての経営の効率の向上をはかるといった意味合いから次第に多角化が行なわれてきたというような実情ではないかと判断をされるわけでございます。  ただし、御指摘ございましたようにやはり電力会社は公益事業でございまして、その本来の使命を絶えず中心の課題として取り組んでいかなければならないことは御指摘のとおりでございまして、なお私ども関係会社の実態等については調査をし、また必要な指導を行なっていきたいというふうに考えます。
  186. 神崎敏雄

    ○神崎委員 常識的な一般論の答弁ではなしに、元来電力事業というものは集中して電力の供給に遺憾なきを期するというところにあるんですが、たとえばマンションやホテルや、そして電力会社に直接影響のあるものじゃない土地の売買やら分譲やらあっせんやら、こういうことまでやって、そうして特に二年間で三億五千七百万円から十六億二千六百万円の売り上げをあげておるとか、保険のいわゆる代理業をやっているとか——それはまあ電子計算センターには若干の関連もあるでしょう。しかしながら、これについても七千百万円が三年間で八億四百万円もの利益をあげる。こういうようなことが元来考えられるのか。  調査して報告をされると言いますが、調査されることはもちろん調査をしていただいて、そして国民の納得するような答えもいただきたい。こういう時期ですから私はあえてこの問題を取り上げているんですが、こういうことは適切で妥当で当然だというように当局は思っておられるのかどうか、これを明らかにしてもらいたい。     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕 一般的な調査ということではなしに、その上での調査か。いまの時期にこういうことをここで明らかにしなきゃならないという社会道徳性といいますか、こういう問題から考えても許されないことだ。もしこのことを国民が知ったら、いま関電が宣伝し、また通産当局にいま上申中の問題とも関連をして納得しないと私は思うのです。
  187. 岸田文武

    岸田政府委員 関連会社の問題は、私どもとしても注意をして見ていく必要があるという感じを抱いております。公益事業として本来の使命を十分達成するという観点から、今後の事業運営については私ども指導も行なってまいりたいと思います。個々の仕事の内容は、おそらくはそれぞれの背景なり動機なりがあってできたことかと思いますが、その動機自体を吟味をしてまいりたいと思います。設立の当初におきましては、電気事業の運営をいわば実質的に補佐するということがおもなる目的であったことは当然であろうかと思うわけでございますが、その後、次第に多角化していった経緯には、余剰の設備をさらに活用したほうが全体としてのコストが下がるというような要因があるかもしれませんし、また付帯的な仕事をやることによって全体的な動きが円滑にいくというような事情もあるかもしれません。他方、いわば成り行きにまかせて新しい分野へ行ったというようなものも中にはあるかもしれません。こういった個々の内容をそれぞれ吟味をしながら今後の指導方針を立てていくというのが適当な方針ではないかと思います。
  188. 神崎敏雄

    ○神崎委員 大臣は四時から閣議が突然あるということで連絡を受けましたので、もう行かれなきゃならぬと思いますので、あとでおられるときに私は総括的に大臣の見解をお聞きしたいと思うのですが、いま御紹介したように持ち株一〇〇%、少ないところでも九〇%、そして関電のいわゆる最高役員が一緒になってやられている。向こうが出した書類に誇らしげにうたっていることもあとで紹介して、その上で大臣の見解を聞きたいと思うのですが、もう出発をされるそうですから今度お帰りになるまでにその質問にちょうど間に合うかどうかわかりませんから、こういうような状態は、いまいろいろお話がありましたが、大臣としてはこういうことは好ましいことか、さいぜんの話じゃないですが、簡潔にそういうことは好ましくないというような姿勢でこの問題を部下に調査させるようにされるかどうか、その見解だけを答えてもらって、閣議に行ってもらってけっこうだと思うのです。
  189. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電力会社は公益事業でございます。政府の監督のもとに公衆のために電力供給の義務を負っておるという特別の会社でありますから、そういう自分の業務に直接関係のないようなことにまで手を出していくというようなことは、私はそれが業務にプラスになるとか、あるいは業務のためにいろいろ貢献する部面があるということがあれば別でございますが、いまお聞きしたような範囲内であるとすれば、必ずしも好ましいものとは考えません。
  190. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では閣議へ行ってください。けっこうです。できるだけ早く帰ってきてください。  ではいまの大臣答弁で、部長、好ましくないと大臣もおっしゃっておるのですから、その姿勢であとの問題も聞いてもらって、この際の問題と——あえてこの際の問題という形で私は触れますが、関連をしてその姿勢でやってもらいたいと思うのです。  続いて、その有価証券報告書によりますと、四十八年九月末現在のこれの残高、これは関係会社の株式保有、長期、短期の貸し付けだけで百二十七億円に達する。関電が役員を派遣し、直接その経営に参画し、指導、育成に力を注いでいる。さらに退職引当金等を今回は除きます。退職引当金を除いた内部留保、これが二百二十七億円、関係会社以外への長期、短期投資が四百十八億円、合計で七百七十二億円、その他先ほど紹介したように、土地などの含み資産の一部を吐き出すことでも相当の額になるはずだと私は思うのですが、こういうことについても、先ほどとの関連からきびしく査定して、この中身を明らかにしてこの国会にひとつ報告をしてもらいたいと私は思うのですが、どうですか。
  191. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社の資産の内容、特に御指摘ございました各種の社内留保の内容、これらの点につきましては、私どももいま実態の調査をいたしておるところでございます。電力料金値上げが社会にもまた国民生活にも大きな影響を及ぼすことにかんがみまして、査定にあたっては極力厳正な態度でいくという方針でございますが、その一環としていま御指摘のような点についても十分留意をしていきたいと思っております。
  192. 神崎敏雄

    ○神崎委員 部長、いま私のあげました合計、いわゆる有価証券報告書による、あげただけの合計七百七十二億円、これは土地の含み資産は別にして、それから退職引当金も別にして、その数字は確認されますね。
  193. 岸田文武

    岸田政府委員 先生のほうで有価証券報告書にお当たりになった上の数字であるとすれば、おそらく正確であろうと存じます。
  194. 神崎敏雄

    ○神崎委員 これだけのものがあるということを部長が確認されました。  そこで第三に入りますが、通産省は四十九年度の重大施策に一ここで委員長、ちょっと森下次官まだですか——先ほどこういう種類の質問について大臣が臨時閣議に行かれるので、森下次官の出席というたら、交換的な約束で閣議へ行ってもらう、そしてその政治的な答弁をいただきたいから次官でもやむを得ないというてお譲りをして行ってもらったんですがね。いま聞きますと、またその次官も辞表を出して、そしていまどこかに行かれてさがしておるんだがわからないということなんですが、こういう電力問題にからんで国民一億が非常に重大なときに、大臣は臨時閣議、そして次官は職場放棄的な形でおられない。しかも、資格は残っておられるのかないのかわからないというような状態で、これでは電力といういまの重大な課題を審議するのにきわめて遺憾なことである。政務次官が出席をする、だから大臣を閣議にやらしてくれというから、私は先ほども言うようにお譲りをして行ってもらった。それでもできるだけ早く帰ってくれという歯どめもしたのです。ところが出ませんが、部長は政治的な責任ある答弁、責任を持って実現をしてもらえる答弁ができますか。
  195. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  196. 濱野清吾

    濱野委員長 速記を始めて。
  197. 神崎敏雄

    ○神崎委員 委員長のお話でも、私は了解をせぬことはございません。しかし、時期がこういう時期であるということは、電力問題という重大課題、そして国会自体の会期がもう終わる、そして一般質問はきょうはずしたらないのです。だから、この際国民の前に明らかにしたいという、まさにいまはやりの千載一遇のいまのチャンスなんです。このときに、こういうことでは非常に遺憾であります。だから、もし答弁ができなかったり困られるようなことがあればそれは後日に残しますが、そうなると来国会になる。そうする間に電力問題は進行する。そういうことになるから、ひとつ責任をもって答弁をして、必ずそのことは委員長の責任において大臣に実現をしていただく、こういう条件で委員長の言うことを聞いて質問を続けます。
  198. 濱野清吾

    濱野委員長 神崎さんのお説はお伝えいたしますが、私は大臣でございませんから、そのほうの責任はとれません。
  199. 神崎敏雄

    ○神崎委員 通ずるようにお願いをいたします。  そこで、通産省は四十九年度の重大施策に高度福祉社会の実現を盛んに言われた。したがって、いまこそ電気料金値上げで最も影響を激しくきびしく受ける低所得者、こういう階層と、生活保護世帯あるいは身体障害者に対して特別の処置を講ずるべきである。東京都の都バスの老人無料などの事例もございます。また昨日は、物価特別委員会で、わが党の小林議員の質問に対して、内田企画庁長官は前向きに検討する旨の答弁をされておる。  そこで、先ほど来明らかにいたしましたような関係会社のいわゆる投融資、そこでの利益の一部分でも吐き出させるか、あるいは内部留保、含み資産をきびしく査定して、その一部分を吐き出させれば、そういういま私があげたことは可能である。  また、これは先般四国において記者会見をやられた山下事務次官が、その中で、含み資産を吐き出さす、これを二十四日の四国の通産局における記者会見で発表をされていますね。それから同時に、政府は、これまでの査定で、一部電力会社の関連事業や土地所有などのいわゆる含み資産が相当額にのぼることが明らかになっていることから、こうした含み資産をある程度吐き出させ、実施時期をおくらせることも検討している、こういう発言をされ、しかもこのことは非常に重要なことですから、一般新聞にもこのように大きくトップで取り上げられている。だから、山下次官もそう言われているし、いま言う、たとえば内部留保あるいは長期、短期、いまあなたも正確でございますとおっしゃっていただいた七百七十二億円の内部留保のうちのわずかに四億円、この四億円だけ吐き出させれば、たとえばどういうことが起こるかといえば、関西電力株式会社の送配電地域におけるすべての定額電灯は現行料金を据え置きにすることができる。せめてこれだけのことぐらいはやったらどうか。身体障害者等、低所得者、生活保護世帯の据え置きはもちろんのこと、四億円だけでこれだけのことができるのですね。こういうことをやれるかどうかということを私は大臣あるいは政務次官に責任ある答弁を、また誠意ある決意をここで聞きたい。だから先ほどああいう前段の発言をしたのです。それは事業部長どうですか。それからまた委員長にお願いします。
  200. 濱野清吾

    濱野委員長 事業部長お答えする前に、神崎さん、あなたほどこまかい具体性はなかったが、中村先生もその線に沿うて大臣に質問したところ、中村先生の御質問に対しましては、そういう考えで研究してみようという答弁でした。ですから、まさか事業部長が変なことは言うまいと思うから、あらかじめ……。
  201. 岸田文武

    岸田政府委員 いまの御質問は、今回の料金改定にあたって値上げをどう見るかということと同時に、料金制度の改定が織り込まれているその内容について改善余地はないかという二つの内容を含んだ御質問ではないかと受け取っておるわけでございます。  料金制度の改正につきましては、現在までの料金制度が昭和三十四年にできまして、その後十五年経過をしたわけでございますが、昭和三十四年、審議会で長い間議論をしました結論といたしまして、やはりコストに極力忠実に料金を反映することが実質的な公平につながるという考え方が背景になって今日に至ったわけでございます。ただし、十五年経過している間に社会情勢、経済情勢が変わってまいりました。特に大きな流れといたしまして福祉の充実の重要性という面と、それから特に昨年秋以降の大きな課題でございます省エネルギーの問題、これらについて現行料金制度のワク内で極力配慮するようにということが今回の料金の新しい特色でございます。  その考え方の中でやはり基本を貫いておりますのは、電力料金は収支を相償うということが基本でございまして、その収支を相償う収入をいかなる形であげていくのが一番妥当であるかということが今日でも基本になるのではないかという感じがいたします。一部の人に特別の安い料金を適用すれば、その部分はだれかがしょわなければならないということになるわけでございまして、先ほどお話しございました生活保護者であるとか低所得者であるとか、あるいはその他各種の需要につきまして、料金を配分いたします際に、これについて特に安くするという点は、確かに福祉の充実という点では意味のあることでございますが、それを受けるために料金制度でやれるということについてはおのずから限界があるのではないかという感じがいたしておるところでございます。これは、いわば広い意味での財政政策なりあるいは租税政策なりを含めた国全体の施策の中でカバーするというのが本筋ではないかという気がいたしております。料金制度ですべてのものをカバーしようということには、やはり料金制度というものが持っております宿命と申しますか性格から申しましておのずから限界があるという点をできれば御理解をいただきたいと思います。
  202. 神崎敏雄

    ○神崎委員 あなた、聞かぬことを長々長々と言う部長やな。そういうことを聞いているのじゃなしに、委員長から途中で注釈が入って、先ほど大臣もそういうことについて答えがあったということだったから、大臣が先ほどそういうことについて同趣旨のことを答えられたら、あんたは大臣の言うとおりにやったらいいのであって、何も料金が体系がどうやとか、そんな体系のことについては、またあらためてゆっくり私は聞きたいと思っておる。きょうはこのことについてやっているのだから、前段にそういう答えがあった、そして私も共産党を代表して質問をしているんだから、だから、その大臣が言われたとおりにやりますと一言言うてくれたらそれでいいので、大臣の言われたとおりにやりますか。
  203. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど中村委員から御質問のあったときの大臣の御答弁は私も聞いておりました。ただ、御質問の要点は、現在百キロワットアワーをもってナショナルミニマムとしておる点についてなお再検討の余地はないかということがお尋ねの主眼でございまして、それに対して大臣が、ざらに検討を加える必要があるのではないかという趣旨答弁をされたことと承知をいたしております。私ども大臣答弁されました考え方に沿いまして、いま内々でいろいろの検討をいたしておるところでございます。
  204. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私はミニマムのことを言うているのじゃない。あなたが言って認めた七百七十二億のこういう内部留保やら、いろいろなホテルやら、いろいろなマンションやら、そういうことを関連会社がやってばく大な利益をあげている、そういう形から見ても、その中でたった四億円だけを吐き出させば、少なくとも全関西の送電地域の定額灯、これが全部据え置きすることができる、あるいは身体障害者の方やら生活保護世帯、低所得者層にはいわゆる据え置きをする、してもそう多額なものではない、こういうことを言っているんです。だから、ミニマム問題についてはまた別の機会に私も尋ねますが、そういうようなことをあなたは約束できなかったら、私がいまそういうことを言ったことを、これはひとつ委員長を通じて、大臣に政治的な配慮をするように言うてくれますか。
  205. 濱野清吾

    濱野委員長 お伝えします。
  206. 神崎敏雄

    ○神崎委員 言うてくれますね。責任持ってくださいよ。
  207. 濱野清吾

    濱野委員長 言うことだけは責任持ちます。
  208. 神崎敏雄

    ○神崎委員 言うことだけは責任持つけれども……
  209. 濱野清吾

    濱野委員長 したがって私は大臣ならばやるかもしれぬけれども……。
  210. 神崎敏雄

    ○神崎委員 だけど同じ自民党の元老だから、あなたは後輩の中曽根さんにこうせいということを言うたらどうですか。
  211. 濱野清吾

    濱野委員長 いや、それは私情であって、役所はなかなかそうはいかない……
  212. 神崎敏雄

    ○神崎委員 だから、大臣か次官がおらなければだめだというのですよ。こういうような場にしておいて、そういうことになったらだめなんですね。
  213. 濱野清吾

    濱野委員長 よく伝えます。
  214. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それ以上言うたってしょうがないな。
  215. 濱野清吾

    濱野委員長 ぼくのほうもしようがないのだよ。
  216. 神崎敏雄

    ○神崎委員 しかし委員長、いま聞いておられて、ぼくのいまあげた四億円あったらそれだけのことができるということについては、あなたもひとつ賛成して、共鳴して同じ行動をとってください。
  217. 濱野清吾

    濱野委員長 わかりました。
  218. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ではあらためて聞きますが、関西電力は昨年値上げ申請して、そうして通産省は数多くの疑惑を解明もせないで、また国民の反対も押し切って認可した。私もこれはここでずいぶん回数を追って究明をいたしましたが、その昨年九月の値上げ以後の関電の諸経費の支出あるいは予算の執行状況については、政府の掌握しておられますか。
  219. 岸田文武

    岸田政府委員 関西電力の昨年の値上げは、たしか九月の末でございました。それ以降の経理状況は、ただいまちょうど三月末決算の取りまとめの時期でございまして、それぞれの詳細な内容についてヒヤリングを行なっておる段階でございます。近くまとめられて報告されるのではないかと思っております。
  220. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ヒヤリングをやっているということは、素材があるからヒヤリングができるのですから、掌握されているということに理解していいのですね。
  221. 岸田文武

    岸田政府委員 大体の概況については、私どもいまお答えできると思いますが、こまかい内容にはちょっと至りにくいかと思います。
  222. 神崎敏雄

    ○神崎委員 基本的には掌握しておるというふうに理解していいですね。どうです。こまかいことはとやかく言いませんよ、十円や百円のことは。基本的には掌握されていますね。
  223. 岸田文武

    岸田政府委員 燃料費人件費資本費等といった大まかな分類についての概数であれば大体の見当はつけられると思います。
  224. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そこで、伺いますが、関西電力の四十八年十二月五日付の社報五百四十号の二六ページには、燃料費高騰などのため、予算の一部削減についてという通達が掲載されております。さらに、ことしに入ってからも「経営危機に際して」という社長通達、これは一月十四日付です。これを出して、そして「収支の悪化打開の緊急対策」として「工事資金、諸経費の大幅削減」という方針を明らかにしております。こうして昨年の十二月、ことしの一月、大々的に節約運動を展開していたのです。  ところが、わが党の調査によりますと、わずか一カ月後の二月の上旬、四十八年度予算の追加割り当てを行ない、しかも年度内に消化を命じているという事実が明らかになりました。配電工事費として、大阪北支店、南支店をはじめ、全社で十七億三千万円という追加割り当てをしております。この点については政府承知しておられますか。
  225. 岸田文武

    岸田政府委員 まだ内容は聞いておりません。
  226. 神崎敏雄

    ○神崎委員 内容は、御存じなかったらこちらからお教えしてもよろしいが、十二月五日付の社報と一月十四日付の社内報はごらんになっておりますね。
  227. 岸田文武

    岸田政府委員 まだ入手いたしておりません。
  228. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そういうようなことで、通産省電力行政の行政指導だとか、いろいろいわゆる主務省としての任務や役割りは十分果たせますか、そういう動向も御存じなくて。去年の十二月のことを半年後の今日まだ見ておりませんというような状態で、それで通産省は主務省としての役割りは十分果たしておると思われますか。責任ある答弁をしてください。
  229. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども電力会社の社内報の配付を受ける立場にはございませんので、その辺の事情は御容赦いただきたいと思います。  ただ、大きな電力会社の流れといいますか、いま当面しております問題及びこれに取り組む方向といった点については、私どもも公益事業をおあずかりする立場として、十分監督もし指導もしていきたいと思っておるところでございます。
  230. 神崎敏雄

    ○神崎委員 社内報については見てないけれども、指導していく、どういうふうに言われたんですね。そうして、いま期末の迫った二月上旬に十七億三千万円というような膨大な額を——年度末いうたら三月二十五日ですね。そして二月上旬にこういうようなものを一挙に追加予算として下へおろすというようなことも正常な状態ですか。
  231. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘がございましたので、いまの内容について至急に調査をいたします。  ただ、私ども、いまの経緯について、いわば推定でございますが、考えられますことは、昨年の十二月以降の油の急騰を受けまして、今年一月から関係各社とも経費圧縮については特段の力を入れるように努力をしたことは事実でございます。ただ、その間にありまして、当初、重油価格が急速に上がるであろうということを前提にして各種の資金計画を組んでおりましたものが、通産省の指導によりまして重油価格がしばらくの間据え置きの状態で維持された。したがって、当初一時非常に懸念をし、私どもも心配しておりましたような資金不足については、その一番最悪の事態よりは若干の緩和を見たということが背景にあろうと思います。それによりまして、当初は切り詰めに切り詰め、最大限の工事の節約を考えておりましたのを一部緩和をして、その中で周囲から特に要請の強い重要な工事について、追加着工があったというような経過ではないか、こう推察をされますが、なおよく実態を調べた上で検討してみたいと思います。
  232. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一般論的な御答弁では非常に不満足です。ここではこういうものまで読み出そうと思っていなかったのですが、一月二十一日発行の、いわゆる芦原会長のあいさつあるいは吉村社長のあいさつ、これが全部載っている中でも、設備投資繰り延べなど、緊急諸方策を強力に推進するのだ、そしてすべて緊縮でやっていくというような形で、社内報でいっているのですね。これが一月二十一日です。そして一カ月しないうちに、二月上旬にここだけで一挙に十七億も出して、三月二十五日まで全部消化せよ——ところで、追加予算ということは例年のようにしてやっているのですが、二月という時期にやられたことは前例がないのです。しかも、その一カ月前には、すでにいま明らかにしたような工事資金の大幅削減だ、こういう社達まで出しているのですね。そして一挙にこのようなものを出して、あとでも紹介しますが、どこに何ぼ出してどこに何ぼ出したということも全部資料で持っています。あなたが御存じないのだ。行政指導する通産省が知らない、そういうことで、そういう状態の中でいろんなことを査定されるのですから、癒着どころか共同体だということをいわれるのですが、また事実そうなのだ。そういうような形で、たった一カ月前にはこういうことをやっておきながらそういうことをやったということは、これは非常に重大な問題だ。たとえば、決定的なことは、二月に入ってから三月二十五日までという、先ほども言いましたが、消化し切れない割り当て額、年間の約半分に相当する額である。そこで、各支店や営業所、これの話によりますと、とてもこれは使い切れない。ある設計士は、二千万円使い切れといわれているが一千万円しか使い切れないといって、いまノイローゼぎみになって訴えているのですよ。できない工事をやったことにして処理をする、こういう形、事実は明白なんです。これは明らかに昨年値上げした関電が、燃料費高騰理由に、他の電力会社と同じ時期に大幅値上げを通そうとする赤字をつくるからくりだ、操作だ、こう理解して差しつかえないと思う。私は工事費だけをあげたのですが、これ以外にもさらに多数の追加予算が出されたと推測します。そういうことはあなたのほうではわかりませんか。工事費もわからぬのだから他のこともわかりませんか。どうですか。
  233. 岸田文武

    岸田政府委員 昨年暮れ以来の燃料費高騰によりまして、電力会社がそれぞれ経営の非常な悪化に遭遇をした。これに対応しまして、私どもとしては、たとえ油が上がっても、電力会社としては、その使命にかんがみまして極力合理化を進めてこれを吸収するようにという指導をいたした次第でございます。その際に、各種の工事につきましても問題がございまして、私どもといたしましては、必要な電源工事だけはやはり計画どおり実施すべきである、しかしながら、配電、送電、変電部門につきましては、繰り延べられるものは繰り延べることによってこれを切り抜けるようにということを基本的な考え方にしておったわけでございます。御指摘の中身は、さらに私ども調査をしなければわかりませんが、結果としまして、この際過大な工事費をつぎ込むというようなことは、普通でございますと、いまの資金繰りからしまして考えられないところでございますし、またもし過大な修繕費、工事費等が下期に計上されましたとすれば、近くまとめられます決算報告を見れば、その実施したかいなかということはたちまち明らかになることでございまして、その数字を見、さらにその内容を明らかにすることによって、いまの御疑念にこたえたいと思います。
  234. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほどからあげましたように、電力を国民一般に遺憾なく送電、配電することを主たる業務とする電力会社が、マンションやら土地を買ったりホテルをつくったり、そういうようなことをやって、そして二年間で三億五千七百万円から十六億二千六百万円ももうけるとか、保険の代理店をやるのに資本金三億円を五億円にふやすとか、あるいは計算センターで七千百万円から三年間で八億四百万円も利益をあげるとか、そして内部留保だけでもあなたが認めたように、退職引当金を除いても七百七十二億円ある、そのうち四億円出しただけでも定額灯は全部据え置けるのだ、そして低所得者やいわゆる生活保護家庭、身障者の方々には据え置くべきだ。もし国民にこういうようなことをやっているということが明らかになったら、現在進行しつつある電力問題は納得できない。しかも、一月まではできるだけ設備は削減する、危機だからといって社報まで出し、社長、会長の談話まで出しておきながら、二月の中旬に突如として一年間の半分の工事費を出して、三月二十五日までに全部消化せい、これは明らかに隠し財源で、昨年上げた関電が一斉に上げてもらうための、何といいますか、商法だとか会計学とか、そういうようなところには、厳密には法律的に逃げ道があるかもわからない。しかし、社会道徳として、一般国民という立場から見て、こういうことで財政が危機だ、経常が危機だというようなことについては納得することができません。したがいまして、私は、いまあなたも調査をすると言われましたが、先ほどからあげた三点について厳格に調査をしてもらって、そしてこの国会に、これを審査する過程で報告をするかどうか、そういうことを約束できるかどうか、これを最後に聞いて、その調査方法についてはわが党の荒木議員が後ほど質問をいたしますから、これを報告するかどうか約束してください。
  235. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお話の中で工事の問題が出ておりましたが、私どもは、もし資金の余裕があれば必要な工事はむしろやったほうがいいと思っております。問題は、御指摘のように、金が余ったから工事をするというような態度はとるべきではない、こういう感じがするわけでございます。いま各般の面についていろいろお尋ねがございました。お尋ねの中にはわりあい容易に調査ができますものと調査に時間のかかりますものとございますが、調査のまとまるものから御報告をさしていただきたいと思います。
  236. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一言反論をせなければならぬような答弁をされたのですが、私は工事をやってはいけないと言うてないのです。というのは、工事をほうっておいてもらっては困るのですよ。感電したりしますからね。工事なんかはやめておきなさいということは言っていない。いまだかつて例のない、一月までは財政が圧迫して危機だ危機だと言ってきて、そしてさいぜんから言うように会長、社長の通達まで社内報で出しておいて、ものの一カ月もせぬ二月の中旬に一挙に使い切れないような金を出して、そして三月二十五日までに消化せい、営業所ではそんなことは消化できないと言うて、一例をあげた。いわゆる設計士はノイローゼぎみにおちいって難儀をしているという実例まで私はあげているのだ。そういうことがいかに帳簿上ごまかしがあってもこれは社会道徳上も感情的にも許されないし、それは主観的にはどのような説明をしようとも、客観的には、現実的には、いわゆる昨年値上げをしたやつをいま同じように危機だというような形にして九電力を一斉に上げるラインに並べるためのしかけであるということを私はここで指摘をしている。それについてあなたは調査すると言うた。それを要らぬことを——工事をやってはいけませんとかいくとかいうことをいま聞いているのじゃないのです。こういうような疑惑的な国民の納得せぬようなことが関西電力ではいま公然と行なわれている。だからすみやかに調査をして国会に報告をしなさいということを言うているんだから、すると言うたら下がりますが、とやかく言ったら何ぼでも聞きますよ。どうです。
  237. 岸田文武

    岸田政府委員 いまの工事費の点については至急に調査をいたします。
  238. 神崎敏雄

    ○神崎委員 報告するかどうか。
  239. 岸田文武

    岸田政府委員 調査の上、御報告をさせていただきます。
  240. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では荒木議員に譲ります。
  241. 濱野清吾

  242. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣がいま閣議に出ておりますので、質問の順序を変えまして、いま神崎委員からも電力問題について質疑があったわけですが、私も引き続いて電力問題についてお伺いしたいと思っております。  今回の値上げというものは六二%強、これはかつてない大幅値上げでありまして、家計あるいは中小企業にたいへんな直撃のいわゆる大幅値上げであります。電力会社石油値上げが原因であるというようなことをいろいろ言っておるわけでありますが、中身を見ておりますと問題点が非常にたくさんあるわけです。一つは、便乗値上げの疑いが非常に私は濃厚だと思うのです。たとえば北海道にしろ九州にしろ石炭が多いのですね。四国なんかは水力が多い。こういうようなばらつきがあるわけですね。それにもかかわらず平均で六二%、これは各会社別の値上げ率をずっと見ましても、九州においては五三・三、四国が五一・二、北海道が四八・四、こういう一つの問題があるわけです。こういう便乗という問題につきましては、部長としてはどういうように考えますか。
  243. 岸田文武

    岸田政府委員 電気料金の今回の値上げ申請は、御指摘のように、従来にない大幅なものでございますし、このような大幅な電力料金改定ということになりますと、社会にもあるいは国民主活にも大きな影響を及ぼすことになるわけでございます。したがいまして、私どもは、今回の申請についてはいま置かれました社会情勢、経済情勢を踏まえまして極力厳格な査定を行ないたいという覚悟でおります。特に御指摘ございました燃料費の増高の問題、これは今回の値上げ改定におきましても一番おもな要因として各社ともあげておるところでございますし、また金額的にもかなりの額にのぼっておるわけでございますので、その燃料費の使い方、その内容等につきまして十分吟味をいたしたいと考えております。水力、火力の構成比、火力の中での石炭、油の構成比、それから油の中での低硫黄化計画、これらの内容についてそれぞれ吟味をした上で答えを出していきたいと思っておるところでございます。
  244. 近江巳記夫

    ○近江委員 四国にしても関電にしても値上げをしまして期間がわずかしかたっていないわけですね。アップ率というのはほとんど肩を並べておる、こういうような問題もあるわけです。それからいまあなたは、各会社ごと一々チェックをするということをおっしゃっているわけでありますが、一つは、重油の値上がりが普通原価費に占めるのが大体二五%くらいであったのが、今回石油が上がった、重油が上がってきた、それが大体構成比が四五、六になるはずですよ。そうすると、アップは二二、三%でしょう。もちろん人件費高騰であるとか、それはいろいろ若干の要素はあるわけですが、それにしても六二・強というのは非常な大幅ですよ。この辺についてはどう考えますか。これは一ぺんに人件費がそれだけ数十%上がるわけですか。
  245. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御指摘の点は、私どもとしても特に入念に審査をしていきたいと思っておるところでございます。ただ、いまお話しの中で、燃料費の構成比の件についてお尋ねがございましたが、四十八年度上期における各社の経費の中に占める燃料費の割合は大体二一%から二三%程度でございまして、これがその後油の高騰によりましてかなりの額に上がっておることは事実でございます。いま燃料種別ごとにいろいろ吟味をいたしておりますが下期、特に十月以降を中心といたしまして上期の水準に比べますと、三倍ないし最近では四倍に近い値上がりになっております。かりに三倍とすれば上期の二二%がさらに外へ四四%はみ出す、四倍とすればこれが六六%はみ出すというような関係になるわけでございます。やはりかなり燃料費高騰というものが大きな要素になっておるであろうということは、いま申し上げたことから御推察をいただけるかと思っておりますが、しかし私どもは、燃料費を一般論として取り上げるのではなくて、やはり個々の使い方あるいは使う内容というものを吟味することが必要であるという感じがいたしておりまして、鋭意勉強をいたしておるところでございます。
  246. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからナショナルミニマムの設定でありますけれども、百キロワットということになっているわけですね。あなた方がとったデータというのは八〇%の寄与率ということになっておるわけですが、これはほかに電気がまであるとかトースターであるとかヘアドライヤーであるとか電気ごたつであるとか、みんなはずしておるわけですね。ところが八〇でカットということであって、普及率はかなりの線まできているわけですよ。こういう点からいきましても、あるいは全国平均で百四十キロワットになっているわけですね。こういう点からいきまして、少なくとも最低百五十キロワットまではミニマムの線に入れるべきである、私はこのように思うのですが、事務局としてはどう考えておりますか。
  247. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもとりあえず月に百キロワットアワー使用するという限度までをナショナルミニマムに設定をいたしました背景には、いまお話しございましたように、標準家庭における家庭電気器具の普及状況、特に八〇%以上の器具の使用量を積み上げまして、これが約百キロワットアワー前後であるということから推察いたしましたことと、他方では、日本全体の家庭の平均使用量は百キロワットアワーというのが大体昭和四十三年当時でございまして、そのころ、いわば最低限度の電化の器具がそろっており、その後次第に豊かになってきたというような従来の実績の積み上げ、いろいろのことを考えながら百キロワットアワーというものをとりあえずの目安にいたしたわけでございます。ただし、この辺につきましては値上げ申請以来各種の意見が私どもの耳にも入ってきております。これらの問題につきましては、今後開かれます公聴会の意見も聞きながら査定を進めて最後の段階でその取り扱い方針をきめていきたい、かように考えております。
  248. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後の段階で査定するというのはそれは当然のことでありますけれども部長として、事務局としては——大臣はこれを引き上げたいという意向なんですよ。これは公に表明されているんです。これは大臣が言っておるのについて事務局は反対するのですか、どうなんですか。
  249. 岸田文武

    岸田政府委員 ナショナルミニマムの設定の水準をいかにするかということは、いわば限られた需要を対象にして特に逓減率を低くするか、あるいはもっとその対象を広げて、そのかわり多少は逓減率が少なくてもやむを得ないと考えるか、いわばこれらの判断の問題でございます。私ども事務当局といたしましては、ある程度査定幅が固まりました段階で、これらのいろいろな組み合わせについて大臣に判断をしていただく資料を整えるということが本来の使命ではないかと心得ておるところでございます
  250. 近江巳記夫

    ○近江委員 ここも大臣が来てくれてないとやはり詰めができぬわけですよ。
  251. 濱野清吾

    濱野委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  252. 濱野清吾

    濱野委員長 速記を始めて。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうことで百五十というのは全国平均が百四十でありますし、これはもう当然の線であるということがいえると思います。ですから、この線に向かってひとつ考えていただきたい、これは強く申し上げます。  それから、いわゆる電灯料金は電灯料金の中でセットするんだ、これはむちゃくちゃな理論ですよ。そうしますと、たとえば百五十にそれを伸ばしたとした場合に、それじゃあと百五十をこえた場合の料金というものはいま考えられている線以上にオーバーしてくる。少なくとも百五十をこえる家庭というのは、これはやはり一般家庭の中でもちょっとオーバするところはそのぐらいオーバーするわけですよ。ですから、電灯料金は電灯料金だけじゃなくして政策料金というものを導入しなければいかぬわけです。ここが一番大事なんです。そうしないと、一般の消費者はこれは百五十をこえるとたいへんな高負担ということになってくるわけです。これでは高福祉型だということはいえないわけです。高福祉型というのはナショナルミニマムの線だけをガードすればいいというんじゃないのです。電灯料金を全部使っておる全消費者を対象としなければいけないのです。ですから、電灯料金の中でそれを操作するということではなくして、政策としてこれは考えていかなければならぬ問題です。この点についてはどう思いますか。
  254. 岸田文武

    岸田政府委員 電灯と電力料金格差の問題は、だいぶ前から議論の的になっておりましたことは私どもも十分承知をいたしております。従来は電灯料金電力料金に対して大体二・一倍余りでございましたが、今回は値上げ申請のおもな理由燃料費を中心とする発電費高騰であるというようなことを反映をいたしまして、この格差は申請どおりとしましてもかなり改善を見ております。申請の数値によりますと、大体一・五七倍というところにきております。諸外国の事例を見ましても、アメリカ、カナダが大体一・五倍、西ドイツで一・七倍という数字でございまして、従来の姿はともかく、今回の姿であれば大体欧米並みの水準に到達をしたということがいえるのではないかと思います。ただ例外としてイギリスがございまして一・一倍でございますが、この場合にはコストを離れた料金が、国営である関係からとられているようでございますが、聞いてみますと、やはりそれなりに逆にいろいろの問題をかかえておるというような事情のようでございます。一般的に申しまして、やはりコスト主義というのが公共料金の体系としては普遍的な方向ではないかと私どもは判断をしておるところでございます。  この電灯、電力の種別をかきねを取り払いますと、いわば電力料金は、各種の産業あるいは各種の生活の基礎になる物資の供給部門を担当する電力になるわけでございまして、これがいたずらに高くなるということになりますと、また物価問題にもはね返ってくるというような関係にもあるわけでございます。いわばその間のバランスというのは今回の申請程度に改善されたことによってある程度のバランスがとれたということがいえるのではないかという感じを持っておるところでございます。
  255. 近江巳記夫

    ○近江委員 しかし、その辺の電灯と電力の問題につきましては、いま申し上げたように、電灯料金の問題につきましてはもっと配慮をすべきだと私は思うのです。一・五七とあなたはおっしゃったけれども、いまの段階でそうですが、間違いありませんか。もう一ぺん念のために確認しますが、そんなに低いですか。
  256. 岸田文武

    岸田政府委員 申請値につきましてチェックいたしましたところ、一・五七倍でございます。
  257. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、確認をしましたからそれは了解いたしますが、いずれにしてもその辺は十分ひとつ配慮してもらいたい、これを申し上げておきます。  それからこの計算の中身を見ますと、いわゆる内部留保の問題、これは神崎委員が先ほども関電の場合で指摘をしておられましたが、各社内部留保というものが非常に多過ぎるわけですね。そういうような問題、それから為替レートの計算にしましても三百円、こういう計算をしておるわけですね。実勢と合わぬわけでしょう。こういうところを訂正するだけでもこれはたいへんな大きな金が出てくるわけですよ。こういうようなところについては、いま通産省は厳密にチェックしていますか。
  258. 岸田文武

    岸田政府委員 御意見の点につきましては、私ども特に念を入れてチェックをいたしておるところでございます。
  259. 近江巳記夫

    ○近江委員 厳密にチェックをしておるといえばそれまでの話ですけれどもね。いま神崎委員もこまかく指摘をしましたけれども、こういう一社ごと徹底したメスを入れないと、そんな安易に業界が言ってきておるそのままをうのみにするとたいへんなことになりますよ。この前も中曽根大臣電力業界は決算で千三百億の赤字だ——この前の石油の便乗値上げのときに業界は三百億だ、通産省がはじいたら六百億だ、われわれがはじけば千百八十億だ、そういういいかげんな、ずさんなことをやっているんです。業界が千三百億といったって千三百億の赤字か何かわからぬわけですね。ですから政府も、どれだけあなた方がきびしくそういう中身までタッチしておるかという問題は、石油の問題から考えましても、いわゆる業界から出されてくる資料なり、そういうことをずっと見ているだけに私は感じるわけですよ。そういうような安易な姿勢のままで今回の値上げを認めるというようなことになってきますと、それはもうたいへんな問題ですよ。その辺きびしくチェックすることについてどういう体制をいまとっていますか。公認会計士はいま何人いるのですか。きめこまかなその辺のあなた方のやっている体制をここで報告してもらいたい。
  260. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは公益事業をおあずかりいたしまして、それに必要な体制は多年しいてまいっておるわけでございます。各社の経理内容につきましてもかなりの程度掌握しておるということが申し上げられるかと思っております。  公認会計士の数についてお尋ねございましたが、いま本省に二人おります。それだけではなくて、多年会社経理について勉強してまいったスタッフがおりますので、それらのスタッフを十分活用して厳正な審査を行ないたいと思っております。     〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕  それから先般大臣から千三百億余りということを御報告いたしましたのは、実は私ども事務当局が事務当局なりに一定の前提を立てて試算をいたしたものでございまして、通常の経理で八百億くらいの収支不足、別途従来どおり一割の配当を続けるとすれば、さらにこれに加えて五百億余りの資金が要るということをあわせて御報告したわけでございますが、いま関係各社の三月決算の状況を聞いておりますが、そうそれと離れていない数字ではないかというふうに察せられます。
  261. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、政府としては各社ごとに値上げを認めざるを得ないという方向に来ておるわけでありますが、少なくとも電気料金というものは安定ということが大事なんでしょう。ところが電力業界は、これを値上げをして、自分たちの値上げが思うほどいかなければまた値上げするというようなこともぶつぶつ言っておるところもあるそうなんですよ。こういうような問題に対してはどう思いますか。
  262. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども電力料金がなるべく安定しておることが好ましいという考え方を当然のことながら持っておるわけでございます。従来、各電力会社がかなりの長きにわたって電力料金の据え置きをしてきたのも、私どもだけではなくて、電力会社としてもその辺は頭に置いておることによるのではないかという感じがいたします。  従来は料金改定に際しまして原価計算期間を三年とっておりましたのを、今回原価計算期間を一年で申請がなされております。これは今日の経済情勢が非常に流動的でございまして、かなり予測しがたい要素がたくさんあるということと、かりに三年に原価計算期間をとりますと、その値上げ率自体もかなり高くなってくるということへの配慮、そんなことがございまして、原価計算期間が一年になっております。ただし、これはあくまでも計算の根拠として今後一年間の収支見積もりを背景にするということだけでございまして、私どもは、設定した料金が少しでも長く維持されるということにつきまして極力指導してまいる考え方でございます。
  263. 近江巳記夫

    ○近江委員 原油の問題は今後むしろ値下がりするような傾向も見られるわけです。もしもこれが下がった場合は電気料金下げますか。これはまあわからぬ話でありまして、仮定の場合ですけれども、どうなんですか。
  264. 岸田文武

    岸田政府委員 ほかの要素を一定といたしまして燃料費が下がったというときには、やはりたてまえからいたしますれば、料金改定をし、引き下げをはかるべきものであるというふうに考えます。
  265. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから先ほども申し上げましたように、家庭用中小企業が非常に打撃を受けるわけでありますが、この電力料におきましても、小口電力については料金をさらにまた引き下げる、中小企業について打撃を与えない、こういう配慮を今後検討いたしますか。
  266. 岸田文武

    岸田政府委員 今回の料金改定におきまして申請された数字を見ますと、電力値上げ率は平均して八〇%でございますが、さらにその中身に入って見ますと、大口の電力につきましては九〇%あるいはそれをこえるような値上がり率であるのに対しまして、小口の場合には六〇%ないし七〇%程度になっておるわけでございます。その意味からしますと、値上げ率の面では小口需要のほうが多少有利になっておるという関係でございます。しかしながら、やはり使う需要家が中小企業がかなり多いというような事情も私ども承知をいたしておりますので、今後査定にあたって十分厳重に審査をいたしたいと思います。
  267. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからまた、この電力値上げになりますと他物価への波及ということが考えられるわけであります。これは政府もいっておりますように、平均ではわずか一・数%の影響率である、だから値上げくらいは認めろ、理解をしろというような、そういう皆さん方の考え方がある。それを逆にいいますと、そうであるなら他物価への波及ということは絶対にとめなければならぬわけです。この問題については、経済企画庁が来ておられるわけですから、どういう形で歯どめをしていくのか、ひとつ代表で答えてもらいたい。アルミとかそういうものは電力のあれは影響してくるわけですが、全体としてはほとんど影響がないということを政府はいっているわけでしょう。ところが業種によっては、電力値上げに伴う値上げだという動きがすでにたくさんあるわけです。それについてどのように押えますか。
  268. 有松晃

    ○有松政府委員 電力料金自体の物価に及ばす影響は、ただいま先生御指摘になりましたように、直接的な効果といたしましては、消費者物価に対して、一つの試算でございますけれども、〇・六六%、それから卸売り物価については、これも直接的な効果でございますが、大体一%くらい、こういうような試算もございます。しかし、まあそのほかに産業用電力等についての間接的な効果もあるいは出てくるかと思いますが、その程度はそう大きなものではないというふうに考えております。ただし、こういった直接なり間接なりの計数的な効果はかりに小さいものであったといたしましても、これに名をかりてと申しますか、いわゆる便乗的な値上げが行なわれるというようなことについては、これは厳重にチェックをしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。幸い先日石油製品価格の引き上げに際しまして、基礎物資あるいは生活関連物資等につきまして、価格の凍結、それからこれを引き上げる際には事前に政府の了承をとらなければならないというふうな指導をいたしておりますので、こういった対策につきましては、これは電力料金の引き上げ後におきましてもこの対策は続けまして、それからまた、いままでの各物資の値上げにつきましては、ある程度先を見越したような先取り的な値上げもかなり広範に行なわれておるというふうに理解もしておりますので、今後電力料金値上げによって一般的に物資の価格の引き上げに影響が起きないように、これは厳重に行政指導等の面でチェックしてまいりたいというふうに考えております。
  269. 近江巳記夫

    ○近江委員 引き続いて経企庁さんにお伺いしますが、軒並みに公共料金の引き上げが予定されておるわけですね。電力であるとか、ガスであるとか、さらに私鉄であるとかバス。これはそれぞれ理由があろうかと思うのですけれども、あまりにも野放しにし過ぎる観がいまあるのです。そうでしょう。少なくとも国民の台所を守っておる経済企画庁としては、こういう安易な引き上げの姿勢でいいんですか。それぞれについてはどう考えていますか、いま申し上げたことについて。
  270. 有松晃

    ○有松政府委員 公共料金の引き上げにつきましては、従来からいわば一般物価に対するいろいろな意味での影響が大きいという意味におきまして、厳重に引き上げを抑制するという方針を貫いてきておりますが、特に最近原油の価格あるいは石油製品価格の引き上げに伴って、やむを得ず引き上げざるを得ないというような意味での要請なり申請がいろいろ出ておるわけでございます。こういった各種の申請、いま先生のおっしゃいました電力のほかに私鉄あるいはガス、こういった案件につきまして、特に私鉄につきましては、これは先年来の懸案でございますが、これは現在運輸省あるいは運輸審議会のほうで審議されておる段階でございます。それからまたガスにつきましては、まだ一部を除きましては申請は出てないわけでございますが、こういった私鉄なりガスにつきましては、やはりその申請が出ておりますものにつきましては申請の内容については厳重に審査をしたい。あるいは今後申請が出されるものにつきましても、その内容については厳重に審査をしたいという立場を貫きまして、やはり極力抑制的に取り扱うという方針で対処してまいりたいというふうに考えております。
  271. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたの答弁であればいままで言っておったことの繰り返しなんですね。きょうは経企庁長官が出ておりませんからやむを得ないと思いますけれども、事務局としても、これはやはり長官も政治家でありますし、どうしても政府全体がいまそういう押えようという機運がないわけです。だからずるずると値上げに走ろうとしておるわけです。ですから、経企庁の事務局としてもこれは全力をあげてきびしくこの点は監督をしてもらいたいと思うのです。よろしいですか。
  272. 有松晃

    ○有松政府委員 懸案の案件につきましては、今後関係各省と協議してまいるわけでございますが、もちろん当然経済企画庁といたしましては国民生活への影響等を十分考えまして、われわれとしては厳密な立場で対処してまいりたいという心がまえでおります。
  273. 近江巳記夫

    ○近江委員 これだけ狂乱物価で国民がみな困っておるわけですよ。こういう中を政府は平気で公共料金認可していこうという動きがある。それについては何とか歯どめをしたいという答弁がいまあったわけですが、これはまだまだ政府の努力が足らぬと私は思うのですね。     〔塩川委員長代理退席、田中(六)委員長代理   着席〕  そこで、いわゆる大手企業や商社のああいうもうければいいのだという悪徳なやり方というものは国会でも大きな論議になって国民の非難を浴びたわけですね。私も国会でこのやみカルテルの横行という問題を取り上げてやったわけですが、そのときに政府は独禁法の改正をすると公正取引委員長もおっしゃって、そうして値下げ命令権も含む大幅改正をする、これはもう国民もそのとおりだということでいま非常に注目して見ているわけです。にもかかわらず、経団連は独禁法改正は時期尚早である、来月じゅうにも見解を出す、政府や公取委に対して対決をしていく、こういう動きがいまあるのですよ。それでなくても証人、参考人のときに、自民党は、われわれ野党が証人を要求しておるのに参考人にしてしまったのでしょう。業界との癒着ということがいわれているわけです。国民協会を通じて昨年だけでも二百億も政治献金を受けている。そういう業界の代表の経団連がいまこういう国民に対して背信的な姿勢になってきているのです。私はもうこういう姿勢に対してはほんとうに許せないと思うのです。きょうは公正取引委員会事務局長も来ておられるわけでありますから私はお聞きしたいと思うのですけれども、少なくとも公正取引委員会は国民が一番信頼しておる役所ですよ。これはもう国民生活をほんとうに守ってくれる役所である、いまや非常に評価が高いし、そういう弱小の機構の中でよくやっていると私も思います。経団連のこういう姿勢に対して私は許せないと思うのですよ。こういう動きに対して公正取引委員会としてはどう思われますか。
  274. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 本日のサンケイ新聞にそういう記事が出ていたのは知っておりますが、記事の内容については真偽のほどは確認しておりません。しかし、現在、公正取引委員会としましては、独占禁止法研究会で独禁法改正問題を検討していただいているところでございまして、これは大体本年の九月あるいは十月ごろまでに独占禁止法研究会から答申をいただきまして公取としての改正要綱を固め、政府部内の意見統一をはかって次期通常国会に提出できるよう努力しているところでございます。したがって、この姿勢には、本日のような記事が出ておりましょうと、全然変わってはおりません。この方針で今後も進むということでございます。
  275. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長は明確に公正取引委員会の姿勢をお述べになったわけでありまして、今後作業が進めば進むほどこういうような動きがいろいろと出てこようかと思いますが、どうかひとつ負けないで、公正取引委員会には一億一千万の国民の味方がおるのだ、ひとつそういう気持ちで勇気を持って正しく前進をしていただきたいと思うのです。決してそういう業界の圧力に屈することなくやってもらいたいと思うのです。きょうは中曽根大臣がおられれば代表でひとつその点も確認したかったのですけれども、まだ来ぬものですから非常に残念ですけれども、また来たらそれを一ぺん聞きます。  それじゃ事務局長さん、けっこうですから……。  それでは、私は中小企業問題に移りたいと思うのですが、その中小企業問題の中で私は一つ沖繩の問題をまず初めにやりたいと思うのです。これはいま非常にたいへんな混乱が起きておる問題を私は一つ提起したいと思うのです。それは、沖繩の沖繩総合事務局長の吉岡邦夫さんが通達を出しておられるわけですね。それはどういうことかというと、沖繩にはいわゆる外国製、特にアメリカ製の電気器具というものが数十万点使われておるわけです。ところが、この五月十五日から型式認可表示のない電気製品の取り扱いはできないということになるわけです。御承知のように、戦後四分の一世紀米軍の占領下にあった沖繩ですよ。ですから、ほとんど本土から品物も入りにくい中でこのアメリカの電気製品は出回っておったわけです。こういうことで米軍の払い下げ等を修理して販売をする、そういう生活をしておる人だけでもやはり何千人といるわけですね。それにもかかわらず、法律ができたからということで、若干の経過措置はあったにしろ、そういう形で今後はもう一切だめである、こういう実情を無視したやり方というものが血の通った政治であるかどうかということを私は聞きたいと思うのです。通産省はこれについてどう思いますか。
  276. 岸田文武

    岸田政府委員 国内法令を沖繩に適用いたします際には、いま御指摘のありました電気用品に関連をいたしますと、製造業者等について三カ月から二年間、あるものは三カ月、あるものは二年間、業態によりまして差を設けましてその適用を猶予する経過措置をとってまいったわけでございます。すでに販売業者を除きましては全面的な適用が実施をされて今日に至っております。御指摘の販売業者につきましては、在庫品の処理期間等も頭に置きまして特に二年の猶予期間を設けたわけでございますが、お話ございましたように、近くこれが満了するという状態になってきております。私どももいま御指摘の問題、約十日ほど前に耳にいたしまして、現地に対していろいろな情報を求めておるところでございます。聞きますところによりますと、多少いろいろの誤解もあったようでございまして、いま使っているものがすぐ使えなくなるのではないかというような懸念もあったようでございます。  正確に申しますと、いま使っております器具それ自体は問題ございませんで、それを修理するときにテー・マークのついた商品を使用するということが実態的な問題点ではないかと思います。ただ沖繩との連絡がまだ十分とれておりませんので、実は心配でございますから、来週私どもから係官を派遣いたしまして、現地において問題点を把握をし、これに対する対応策を打ち立てていきたいと思っておるところでございます。
  277. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで現地の実情を把握されて——少なくとも私が調査した範囲でも、そういうアメリカの製品の修理に携わっておる人だけで二千人おるわけですね。また、そういう家族を含めた数といたしますとたいへんな数ですね。ですから、それは調査の上ということになろうかと思いますけれども調査の上において十分な配慮をされるわけですね。やはり基本的な姿勢、基本的な考え方という点だけは明確にしておきたいと思うのです。
  278. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほどお答えいたしましたように、製造段階ではすでに新しい法律がかなり早くから適用されておりまして、すでにテー・マークのついた修理部品等もかなり大量に出回っているのではないかという感じがいたします一方、販売につきましても二年の猶予期間を設けてあればかなりの部分が消化されているのではないかという感じも私ども机にすわっておりまして感じたわけでございますが、こういったことはやはり感じで判断をしてはいけませんので、現地に行きましてその程度を把握した上で必要な対策を講ずるということにいたしたいと思います。実情を踏まえた解決策を考えていきたいと思います。
  279. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、部長がいま実情を踏まえてその対策をとりたいということをおっしゃっておりますので、私はその点は了としまして、どうかひとつ長い間日本から切り離されておったわけでありますし、でき得る限りのこういうような後遺症というものによって大きな打撃を受けないように、十分な配慮をしてあげるべきだと私は思うのです。ですから、その点は特に重ねましてひとつ要望しておきます。  それから、中小企業全般の問題でございますが、中小企業はいま現在におきましてかつてない危機に直面をしておることは御承知のとおりであります。この三月の倒産件数を見ますと、これまで最高であった昭和四十三年五月の九百八十四件をはるかにしのいでおりまして一千八十一件、負債総額も十二億二千七百万とこれまでの最高水準を示しておるわけであります。こういう点につきまして、重大問題でありますこの中小企業の倒産、それにつながっておりますさらに零細企業、さらに家族、これはもう深刻な社会不安というものがいま全国を渦巻いております。こういう問題について、政府はどういう認識をしておりますか。
  280. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおり、三月には倒産件数が千件を突破いたしました。その大部分が中小企業でございます。それに加えまして、いろいろな経営指標を見ましても、中小企業の資金繰りが非常に悪くなっている。特に四月に入りましてから急速に繊維——建設はもとからでございましたけれども、繊維業あるいは自動車部品、家具等の一部雑貨につきましてもかなりの経営悪化が見られる。その原因として考えられますのは、総需要抑制に基づく消費需要の非常な減退というものが大きな要因となってあらわれてきておるわけでございます。かねてからこういった金融引き締め策の影響が、健全な経営を行なう中小企業者の資金面に重大な支障を生ずることをおそれておりました私どもとしましては、何とかこれを克服してまいりたいと考えておりまして、三月におきましては、御高承のとおり、年度末特別融資といたしまして五百五億円の追加ワクを政府系の中小企業三機関に追加しております。また、民間の金融機関に対しましても、緊急に必要な中小企業向け運転資金の貸し出しにつきまして、より一そうの円滑化をはかるように要請してきておるわけでございます。
  281. 近江巳記夫

    ○近江委員 大蔵大臣が金融引き締め等の総需要抑制対策を打ち出した際、多少のきしみが出てもやむを得ないという発言があったわけですね。中小企業に与える影響、また倒産というような問題等は、当然これは予測されたわけですね。いまお答えになったように、なるほど五百億円を追加されたということであります。それからこの三公庫等も用意はされておられるわけでありますが、私の聞いておる範囲では、四十九年四月−六月の間、三公庫の貸し出しワクが、中小公庫千九百三十四億、国民公庫二千五百八十億、商工中金一千億、計五千五百十四億円を予定されておるということを聞いておるわけですが、しかし繊維の状況を見ましても、繊維だけでも数千億は要るのじゃないかともいわれておるわけです。あるいは建設業等を見ますと、なるほど金はつけておりますけれども、これぐらいのことで救えるかどうかという問題なんですね。  なるほど、いまの情勢として総需要抑制ということについてのそういうことは私たちもわかるのですよ。だけれども、そうなってくればこれはやはり弱者のところに影響が出てくることは当然なんです。総需要抑制で幾ら押え込んでも、大企業はやはり過剰流動性を持っておるわけですね。ですから、ゆうゆうとはいかないにしても十分やっていけるわけです。それを中小零細というものがもろにかぶっているわけです。ですから、総需要抑制ということで何でもかんでも押え込んで、あと手当てを若干しておるといっても、形だけの手当てであってはならぬと思うのです。これだけ少なくともいままでも大企業のそういうクッション材として使われてきた中小零細企業です。それがいままたこういう波に洗われ、家族を含めていま深刻な家庭悲劇、社会問題というものが起きてきているわけですね。ですから、こういうぐらいのことでは救えないということです。でき得る限りの、ありとあらゆる対策をいま打ち出すべきだと私は思うのです。それを救える対策につきまして、ありとあらゆるものを一ぺんここへ出してもらいたいと思うのです。どういうことを考えていますか。血の通う、ほんとうにそういうものをひとつ出してもらいたいと思うのです。
  282. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 御指摘のとおり一応三機関の融資ワクといたしましては第一・四半期五千五百億円、例年に比べてやや多い目に一応きめておりますけれども、先生がお話しになっているような状態であると私どもも強く認識しております。また、先ほど申し上げましたように、四−六月というのが非常な金融引き締めの頂点であるというふうに考えておりますが、その四月からの状況を見ますと、そのテンポが早くなっておるようでございます。そこで建設業とかあるいは繊維業といったような、原材料、資材価格高騰、決済条件の悪化、需要の極端な減退等の影響を強く受けている業種につきましていま実態を見きわめておりますけれども、その実態を見きわめつつ、倒産がこれ以上深まらないように、資金繰りをよくするために、三機関の貸し出しワクのあるいは年間の融資ワクの第一・四半期への繰り上げとか、あるいは追加資金を確保するとか、そういうような方法で増ワクを現在検討しております。それで、なるべく早く結論を出して間に合うように措置したい、こう考えておる次第でございます。
  283. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろ御答弁になっているわけですけれども、やはり実際にそれを実行してもらわなければ困りますよ。全国を対象としておって、形だけのそういうふやし方であれば、そんなものは焼け石に水なんですよ。だからその点についてはほんとうに行き渡るような、そういう体制でひとつやっていただきたいと思うのです。条件にしましても、現行のそれとは変わらぬわけですね。ですから、特別あるいは貸し付け限度ワクの別ワクを設ける、それはいま若干おっしゃったわけですが、そういう利率等についてもやはり特段に考えるべきと違いますか。こういう時点に差しかかっているわけですから。あるいは税制等の問題については、これは大蔵との関係もあるわけですが、さらに考慮をする必要があると思うのですね。その辺の問題についてはどのようにお考えですか。
  284. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 金利の問題につきましては、かねがね引き下げに努力しておりますが、一般の金利が非常に高いわけでございまして、中小三機関の金利としましては、一生懸命やったというような金利に一応なっておるわけでございます。また民間の金融につきましても、これは二月に決定いたしましたネオン業界に対する特別融資、これにつきましては七分という特利を考えて、これはそういう形で実施しております。今後のことにつきましては、御指摘の点を十分考慮いたしまして努力をしてまいりたい、こう思っております。
  285. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に民間金融機関は、中小企業金融に関して実際金を借りにいくようになってきますと、まず担保である、保証人である、しかも現実に歩積み両建てなんかやらしているわけですね。けしからぬわけですよ。こういうような問題については、これは政府系の三金融公庫に行ったってこんな一〇%、御承知のとおりですよ。やはり大勢は、民間金融機関というものは現実の問題は押え込んでいるわけでしょう。それが選別融資をきびしくやって、政府が指導しておることについてひとつも浸透していないわけです。これはけしからぬ話ですよ。こういう問題については、いままでどういうように民間に対して指導通達をやっているのですか、それをひとつきめこまかに一ぺん言ってもらいたいと思う。
  286. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 歩積み両建ての規制につきましては、大蔵省もかねてからかなりきびしく指導いたしてきておりますけれども、最近のように金融引き締めが非常に山場に差しかかってまいりますと、どうしても一歩積み両建ての発生しやすい環境にある。そういう環境が出てくるということはある程度予測できるところでございますので、私どもといたしましては、検査の際における実地の歩積み両建てを中心にした特別の検査とか、あるいは過去の通達におきましてすでに指導いたしております報告書の内容を検討いたしまして、報告の中にかなり実態と違う面があるというような点を指摘いたしまして、きびしく指導いたしておるわけでございます。全体の数字としましては、ある程度どもの指導が行き渡ってきたと思っておりますけれども、最近各委員会で御指摘の先生方の具体的な例につきまして調べてみますと、やはり御指摘のような非常にひどい歩積み両建てのケースが出てきておりますので、ごく最近再び銀行、中小金融機関が大体その傾向が非常に多いのでございますけれども、を中心にいたしましてかなりきびしい態度で大蔵省はこれから臨むことについて連絡をいたしまして、現在指導をいたしている最中でございます。
  287. 近江巳記夫

    ○近江委員 役所の中で一番よくいうことを聞くのが大蔵省から指導したことが一番よく聞くということを耳にしておるわけですね。それにもかかわらずこういう中小企業いじめをやっておるということは、実は納得できぬわけです。ですから、ひとつこの点につきましては、ほんとにこのままほっとけばたいへんな社会不安になりますよ。これは倒産件数一千件こえたといっていますけれども、負債額は一千万円以上ですよ。ほんとはこれに出ておらない、一千万円以下の、何百万円というところが一番たいへんなんです。政府は、ほんとうをいえば、そういう一千万以下のものを全部つかまなければいかぬ。そうでしょう。つかんでいますか、これは。つかんでおれば一ぺん答えてください。何ぼあるんですか。あとでよろしいですけれどもね。現実にそういうように中小企業、零細企業いじめをやっておるわけですね。ほとんど金なんか借れませんよ、いま民間へ行って。そんな現状ですよ。だから、こういう社会の荒波で巻き込まれていっておりますこういう零細企業、中小企業をほんとうに救済をするべきである、このように思います。ですから、いま岩瀬さんもおっしゃったように、さらにひとつこの点は指導を徹底していただいて、ぴしっとそれが結果に出てくるように……。結果がはっきりしなければ、幾ら指導しているとおっしゃっても、われわれは、指導してないじゃないかと、同じことをいわざるを得ぬわけですね。なるほどこの間岩瀬さんがおっしゃったようにだいぶ浸透してきたといえるような形にひとつしていただきたいと思うのです。これは特に要望しておきます。  それで、中小企業庁にもう一度聞きますが、そういうような一千万円以下の倒産については調べていますか、全部は掌握できないにしても。
  288. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 一千万円未満のものにつきましては、全国的な数字は調べておりません。ただ一部、私どもが東京商工興信所に委託をいたしまして、東京の二十三区内と大阪市、広島市、その三地点については調べております。
  289. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあ通産省も地方通産局もあるわけですからね。それはいま非常に仕事量もふえておりますし、忙しいのはわかるわけですが、あれだけのりっぱな地方通産局もあるわけですから、いろいろと各種調査機関等も利用していけば、それはもう大体のことは私はつかめると思うのですね。そうすればさらにきめこまかなそういう計画もできると思うのです。ですから、今後そういう全体の掌握は、それは一〇〇%網羅することはむずかしいと思いますけれども、私は、できる限りの実情把握を今後はするべきだと思うのです。今後そういうように努力していただけますか。
  290. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 従来とも通産局を使いまして聞き込み調査等はやっておりますが、ただいま御指摘の趣旨を十分踏まえまして、さらに努力をしていきたい、こう考えております。
  291. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、最近の手形が非常に長期になってきております。こういう点でこれはまた非常に困った問題なんですね。これは下請問題でありますけれども、これについては通達も出しておられるわけですが、ますます最近はひどくなってきておる。単価を切り下げてくる、手形は長期になってくる、現金払いが少ない、しかも従業員のベースアップもこれだけの狂乱物価の中ですから上げざるを得ない。零細企業、中小企業はもう首つり寸前ですよ。こういう問題についてあまりにも親企業の態度というものはよくないと私は思うのです。こういうときにこそ、親企業も苦しいにしても自分のところがつぶれることはないのですから、当然支払い条件等についてはこれは見てあげなければいけない。ところが、中小企業庁からも通達は出し、いろいろしておるけれども、言うことを全然聞かないのです。これはりっぱな法律に基づいてやっておるわけですね。ところが、なかなかこの法律があっても行政指導というものは聞かない。こういう点についてはどう思いますか。どういう対策をとっていますか。
  292. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 下請対策につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、下請代金支払遅延等防止法と下請振興基準の順守につきまして、昨年の十一月及び本年の二月に親事業者団体に対しまして通牒を出しております。しかし、私どもとしてはそれを出しっぱなしということではございませんで、その後も親企業者等、下請企業等をフォローしております。しかし、二月までのデータにおきましては、一応親企業の系列下に入っているものなどは比較的めんどうを見てもらっていたようでございます。もちろん系列外のものはかなり困っていたものも多いと思いますけれども、しかし、これは最近に至りましてかなり窮迫してきておるようでございます。したがいまして、そういう点につきましては調査を定期的にやっておりまして実情を把握しておりますが、三月以降は、特に先ほど申し上げましたような悪い影響が出てきておりますので、今後ともその実態の把握につとめて、親企業の取り締まりないし下請の指導、そういうふうにつとめてまいりたい、こう考えております。
  293. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで全般的に非常に狂乱物価のさなかでありますので、大幅賃上げが行なわれておるわけであります。ところが、この基盤が非常に弱小過ぎるこういう零細企業なり小企業というものは、非常にその点がきびしい状態になっておるわけですね。これを出さないとどんどんやめていく、こういうことで、労働政策からいきましても、労働力の確保ということが非常に困難な問題も出てきておるわけであります。こういう問題についてはどう思いますか。
  294. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 先生御指摘のとおり春闘の結果、大企業におきましては三〇%くらいの賃上げになっておるわけです。中小企業につきましても、まだ全般的にはっきりした数字はつかんでおりませんが、おそらく大企業同様ないしそれ以上の賃上げになる。そういうものを吸収していくということについても、やはり生産性等に限界がある中小企業、下請でございますので、われわれといたしましては、金融面その池中小企業の体質強化といった在来の施策の強化を通じて今後とも中小企業の保護育成につとめてまいりたい、こう考えております。
  295. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう状況下にあるわけですからね。これはひとつ強力にしていただきたいと思うのです。  それから中小企業庁は、大企業と中小企業との分野調整に最近乗り出したということをちょっと聞いておるわけですが、これはどういうような実態になっておるのですか。
  296. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 分野調整につきましては、御存じのように、団体法に基づきます特殊契約の条項がございますが、これはまだ実際問題として一度も発動されたことはございませんが、これを伝家の宝刀といたしまして従来からいろいろ行政指導をしてまいって効果をあげておるわけでございます。しかし、今後ますますこの問題が重要になってくるということで、今年度中小企業存立分野調査費という予算が六百万円ほどでございますが、とれまして、これによって大企業が進出してきた場合の中小企業への影響調査、あるいは大企業が進出してくる場合はどういった意識で進出してくるかという意識調査、それから従来からありました紛争の具体的事例、これの調査、そういうものを一年かかって調査をいたしまして、今後この問題についての具体的な施策に役立てたい、こう存じております。
  297. 近江巳記夫

    ○近江委員 中小企業問題は非常に多いわけでありますが、ひとつこういう狂乱物価の中で非常に苦しんでおるわけでございますので、これはやはり政府は言うに及ばず、でき得る限りの対策をとる必要があると思うのです。  それからちょっと話は変わりますが、通産省は、いま石油開発公団法の改正が出ておるわけでありますが、石油政策を大幅に転換しようという試案を出しておられるということも聞いておるわけであります。この六月の末ごろ答申案ということも聞いておるわけでありますが、通産省としては、これはどういうことを考えておるのですか。
  298. 岸田文武

    岸田政府委員 きょう連絡の不行き届きで石油部が参っておりませんので、いまお示しの点につきましてさっそく帰りまして連絡いたしまして、必要な報告をさせるようにいたします。
  299. 田中六助

    田中(六)委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  300. 田中六助

    田中(六)委員長代理 速記を始めて。
  301. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、やむを得ませんからきょうはこれでやめます。
  302. 田中六助

    田中(六)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会