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1974-04-02 第72回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    小川 平二君       木部 佳昭君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    島村 一郎君       田中 榮一君    丹羽喬四郎君       橋口  隆君    八田 貞義君       前田治一郎君    松永  光君       保岡 興治君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       川俣健二郎君    上坂  昇君       渡辺 三郎君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         厚生省年金局長 横田 陽吉君         食糧庁次長   森  重弘君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  委員外出席者         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 遠藤  茂君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         大蔵省銀行局特         別金融課長   山田 幹人君         食糧庁業務部長 志村 光雄君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      斎藤  顕君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       豊島  格君         参  考  人         (金属鉱業事業         団理事長)   平塚 保明君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     保岡 興治君   竹村 幸雄君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     島村 一郎君   川俣健二郎君     竹村 幸雄君     ————————————— 三月三十日  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三三号)  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)(参議院送付)  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 濱野清吾

  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  金属鉱業事業団は、金属鉱産物貿易自由化わが国鉱業に及ぼす影響に対処して、その国際競争力の強化に資するため優良資源確保をはかることを目的として、昭和三十八年に設立されて以来四次にわたって改組拡充され、現在では、国の内外における金属鉱物探鉱を促進するための業務と、金属鉱業等による鉱害を防止するための業務を行なっております。  一方、わが国金属鉱産物供給現状を見ますと、逐年増大する需要に対して、国内の資源的制約により海外からの供給に依存する度合いが急速に上昇している状況にあります。しかも海外からの供給のうち、安定的な供給が期待できるわが国企業みずからが探鉱開発を行なった鉱山からの輸入はきわめてわずかであり、かかる現状を放置しますれば、国民生活に必須の基礎資材である金属鉱産物の将来にわたる安定的な供給確保が次第に困難となることは容易に予想されるところであります。したがいまして、わが国非鉄企業の体質の脆弱さをカバーしつつ、特に海外における金属鉱物探鉱を促進し、優良な資源発見確保に一段と力を入れることは、現在の喫緊の要務であると申さざるを得ません。  このことは、また資源開発をてことして経済社会発展をはかろうとしている資源を保有する発展途上諸国に対する経済協力の推進の観点からもきわめて意義あるものと存じております。  以上のような理由に基づき、政府といたしましては、昨年来このために必要な予算上、立法上の検討を鋭意進めてきたところでありますが、このたび金属鉱業事業団を活用して、海外における金属鉱物探鉱を促進するための業務追加して行なわせることとする成案を得るに至りましたので、ここに金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました。  以下同改正法案内容要旨を御説明申し上げます。  改正の要点は、業務追加でございます。  業務追加の第一は、海外における金属鉱物探鉱に必要な資金を供給するための出資でございます。  これは、出資により探鉱に伴う民間企業リスク負担を軽減し、民間企業共同の大規模プロジェクトによる探鉱を抜本的に促進する趣旨でございます。  業務追加の第二は、海外において外国法人と共同して金属鉱物探鉱に必要な地質構造調査を行なう金属鉱業を営む者に対する助成金の交付でございます。  これは、基礎的調査段階についても日本企業調査への参加を促進し、将来における資源安定供給に資する趣旨でございます。  これらの業務追加に伴い事業団法目的を一部改正いたしますとともに、その他所要規定整備等を行なうこととしております。  以上、この法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、おはかりいたします。  本案審査中、必要に応じ、随時、金属鉱業事業団理事長または理事出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選及び出頭日時等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、参議院から送付されました内閣提出計量法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  9. 濱野清吾

  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 計量法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  計量法は、計量基礎を定め、適正な計量実施確保し、もって経済発展及び文化の向上に寄与することを目的として制定されたものでありますが、同法につきましては、最近における社会情勢の変化に対応して、消費者利益保護計量証明事業における適正な計量実施確保計量管理の一そうの適正化等観点から、諸制度あり方に幾つかの改正を加えるべき事情が生じております。これにかんがみ、政府といたしましては、昭和四十八年四月から計量行政審議会計量法における諸制度あり方について審議をお願いし、同年十二月、中間答申を得て以来、その旨に沿って同法の改正を慎重に検討してまいりました結果、ここに成案を得て提案することとした次第でございます。  次に本法案要旨について御説明申し上げます。  第一は、消費者保護に関する規定整備、充実であります。一般消費者に合理的な商品選択情報を提供し、消費者利益保護をはかる観点から、一般的に長さ、質量または体積をはかって販売するのに適する商品を販売する者に対して、計量販売に努めなければならないとする規定を設けるとともに、特に政令で定める商品を容器、包装に密封して販売する者に対しては、その商品正味量の表記を義務づけることとしております。  第二は、計量証明事業について登録制を拡充することであります。近年環境問題に対する社会的関心の高まり及び環境保全対策の進展に伴い濃度等計量証明事業者が急速に増加傾向にありますので、計量証明事業者登録の範囲に新たに濃度騒音レベルその他の物象の状態の量で政令で定めるものの計量証明事業追加することとしたほか、計量証明事業者事業規程の届け出を義務づけるとともに登録基準規定等について所要改正を行なうこととしております。  第三は、計量士登録区分を設けることでああります。計量技術高度化計量管理多様化に即応して計量管理の一そうの適正化をはかるため、計量士区分を設け、区分ごと登録を行なうこととしております。   このほか、罰則等について所要改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  11. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。松尾信人君。
  13. 松尾信人

    松尾委員 石油開発公団法の一部を改正する法律案について若干質問をいたしてまいります。  これは大臣に最初に聞くわけでありますけれども、たびたび私はこの委員会大臣に向かって発言いたしておりまするのは、できるだけ石油並びに電力の消費というものを少なくしていこうじゃないか、そういう点でお答えはいただいておるわけでありますけれども、今回またさらにこの石油開発公団法の一部改正ということは、やはり海外石油開発輸入ということを大きく推進していこう、こういう前提でありまするので、これは念のためのようでありますけれども、石油輸入量、特に四十九年度のこの輸入見込み、そういうものについて、基本的な考え方、やがて石油審議会から答申も出るでありましょうが、そういう計画というものは四十八年度の輸入実績等に比べてどのようになっておるのだろうか、また、基本的にはどのような考えを持っていらっしゃるのだろうかこういう点について伺います。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四十八年度は大体二億八千八百万キロリットル前後になると思います。四十九年度は、予算上は二億七千万キロリットルということを一応基準にしておりますが、相当な総需要カットを財政並びに経済的に行ないますので、需要量もこれに見合うだろうし、それから石油の値段がかなり高くなっておりますから、これを消費するほうも節約、節減という方向に向かうであろうと思いますので、一応その程度でいけるのではないか。多少上回るかもしれませんが、これらは景気の動向にも支配される、このように考えております。
  15. 松尾信人

    松尾委員 では、その点はそのことで了解いたしておきますが、審議会答申日本経済成長というものを土台にして、前年度の何%増しだというようなかっこうで進む方向は、いまお答えのとおりにきちっと見ていただきたい。安易に日本石油輸入量というものをふやしていくんだ、それによって経済発展というものをどんどんはかっていくんだという考え方はもう現在ないとは思いますけれども、何かそういう根底にまだすぱっとしたものがないような感じがいたしますので、これは念のため申し上げておく次第であります。  次に、一部改正にも関連いたすわけでありますが、海外における石油開発計画現在探鉱中のものの概略を長官から聞きたい。時間がありませんので、探鉱中のものでいいですから、要領よく答えてください。
  16. 山形栄治

    山形政府委員 探鉱中のものについて申し上げますと、合同石油開発ザイール石油株式会社日本イラク石油開発が近く開発に着手するわけでありますが、その他インドネシア石油資源開発、それからナイジェリア石油株式会社開発準備段階にございます。その他数プロジェクトが現在試掘に成功している段階でございまして、今後これが開発に入ると思います。なお、非常に大きな開発をすでにやっておりますものは、御存じのとおりアラビア石油インドネシア石油、それからアブダビ石油等があるわけでございます。
  17. 松尾信人

    松尾委員 その中でマダガスカル石油開発、これは四十八年の八月に資本金七億二千万円で設立されておるものでありますが、これに対して石油開発公団出資しておるのかどうかというのが一点と、これが仕事を始めてあまり長くたたないうちに鉱区を放棄しておりますね。でありますから出資にあたって石油開発公団はいかなる調査をしたか、鉱区の放棄というものがどういう理由でそのようになっていったのかということでありますけれども、これは公団出資しておりますか。しておれば、ただいま私が質問しておるようなことをお答え願いたい。
  18. 山形栄治

    山形政府委員 マダガスカル石油に対しましては、四十七年八月から探鉱に入ったわけでございますが、公団は三億五千万円の出資ということでこれを行なったわけでございます。しかし、これをやりました結果は、探鉱段階失敗になりまして、これはいろいろな鉱床上の問題、岩石の鉱床問題等から失敗に終わりまして、現在これを中止といいますか、やめておるわけでございます。
  19. 松尾信人

    松尾委員 事業着手をしてから失敗した、そして鉱区を放棄したということがいかにも短期間の中にやられておることは、慎重といいますか、その見通しというか、そういうものが少し粗雑じゃなかったかというような気がしてしようがないわけでありますが、会社の設立後の運営実態、そういうものを開発公団としてはどのように見ていっておるのか。これは前車戒めでありますから、この一部改正というものが今後そのような海外国有会社への出資ということをねらっておるわけでありますから、これはひとつよく前車戒めとして反省すべきことがあったら反省しながらきちっと見ていかなければ相ならぬ。どのように運営状況等を実地に指導監督しておったかという点でありますが、いかがでありますか。
  20. 山形栄治

    山形政府委員 先生御承知のとおり日本開発探鉱段階にいわゆる後出国でありまして、その情報入手等もなかなか不十分な点があるわけでございますが、本件はアメリカのコノコ及びフランス系石油がすでに事業を開始するという形になっておりまして、公団といたしましては、これを精密に情報を入れまして、一応そういう国際的な技術水準から見てもだいじょうぶだということでファームインをいたしたわけでございます。  しかし、試掘に入りましてから、岩床の関係でとうとう石油が見つからないでこれがだめになったわけでございます。何ぶんにも、非常に失敗になりましたことは反省をしなければいかぬわけでございますが、われわれといたしましては、世界一流会社がすでに着手しようとしているところだったものでございますので、これにファームインしたわけでございますが、今後そういうことも含めまして反省を進めていきたいと思うわけでございます。
  21. 松尾信人

    松尾委員 当然ですね。  次に、これは大臣に伺うわけでありますけれども、産油国がだんだん国有化傾向が非常に強くなってまいっております。基本的には全面国有化、現実的には五十何%、六十何%というようなシェアの拡大ですね。でありますから、心配になりますのは、海外石油開発公団出資等を通じて出ていく、それがやがてそのような国有化傾向というものとぶつかっていかなければならないわけですが、そういう面に対する大臣の基本的な考え方、そして相手国国有化に対してどのような日本側の態度で今後対処していくかという点について大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国有化なりあるいはパーティシペーションの増加というものが世界的傾向であり、かつそれは資源国ナショナリズムの面から見てある程度肯定される要素があると思います。ただ問題は、そういうものをやるやり方がリーズナブルな、合理的なものを持っているかどうかというやり方自体についていろいろ問題点があるとは思いますけれども、世界の潮流としてはわれわれもこれを認めざるを得ない傾向であるだろうと思います。そういう大勢をよく認知して、それに順応するように、そして両方が共存共栄できる、長続きのする協力関係を設定するという考えに立って、順応した形で日本の国益を守っていくという形が適当ではないかと思います。
  23. 松尾信人

    松尾委員 基本的にはそのように思うのでありますけれども、やはりいま大臣がおっしゃいましたとおりに、相手国資源に対する主権考え方、これは賛成である。ですから、国有化の問題が出てくる。資源主権考え方には同調せざるを得ない。しかし、そこに国有化というものが起こるけれども、相互に受益というものをお互いがそこに見出し、一致点を見出して協調的にやっていこうというお答えでありますが、そういうときに、どのような形に運営されていくものであろうか。主権向こうにある。資源というものを向こう主権的に押えていく。そこに相互利益お互いに見出して、一致点を見出してやっていこうとするわけでありますが、そういうときに、どのような形で今後石油開発公団等事業参加というものがなされていくのであろうかということを思うわけでありますが、これは長官でもいいですが、長官いかがですか。
  24. 山形栄治

    山形政府委員 従来、自主開発といいますのは基本的な形は鉱区取得しまして、そこで日本に油を持ってくるというのが基本的なパターンであったわけでございますが、いま先生のお話しのとおり、世の中がだんだん変わってまいりまして、ナショナリズムの台頭、その他非常に流動的な情勢がございます。したがいまして、今後は産油国と、消費国である日本とが共存共栄であるような形というのが基本的な姿であろうかと考えるわけでございます。  その具体的なあり方といたしましては、やはり日本から経済協力を行なって、それとバランスをとりながら油を入手するとか、それから現地のいろいろな事業に対して融資をして、融資買油といいますか、そういうかっこうで油を入手するとか、または現地産油国原油で出さないで、製油所をつくりまして製品でもってこれを輸出したいという願望が非常に強くなっておりますので、そういう製油所建設に協力することによって製品でもって日本に入れるとか、いろいろな形がこれから考えられると私は思うわけでございます。したがいまして、従来のような単純な鉱区取得という形を捨てまして、多様化した、しかも産油国共存共栄ができるような姿で日本の必要な油の入手をはかるというのがこれからの方向ではないかと考えるわけでございます。
  25. 松尾信人

    松尾委員 そうしますと、今回のこの石油開発公団法の一部改正内容で、いま長官がおっしゃったような方向が円満にいけると思っていますか。本法の改正がそのようなところまでいけるかどうか。もしも不十分な点があればさらに検討しなければいけないと思うのでありますが、いかがですか。
  26. 山形栄治

    山形政府委員 今回の改正の一番のポイントは産油国政府開係機関等の行ないます探鉱開発及び精製所建設、この一連のものに対しまして、開発についての融資までできるということになった点が一つの大きな変更点でございます。従来は公団は、御存じのとおり探鉱段階しか融資対象にできなかったわけでございますが、これからは、この改正が通りますと、開発段階、ひいては製油所建設まで含めて投融資対象にできるという点でございます。  先生御存じのとおり、先ほども言いましたように、産油国動きというのが非常にそういう探鉱開発精製という姿になっておりますのがいまの特徴でございますので、今回のこの法律改正で、もしこれが認め得られることになりますと、いま一番産油国で望んでおるその姿に対して公団が一元的に参加できるという道が開けるわけでございまして、その意味におきましては、私は非常に画期的な改正になろうかと思います。もちろん、それ以外のことがいろいろとあるかと思いますが、一番重要な点に着目した改正点であろうかと考えるわけでございます。
  27. 松尾信人

    松尾委員 この自主開発原油の点でありますけれども、これが四十七年度に九%弱、四十八年度一二%といっていますけれども、これはアラビア石油関係で減っておりますね。三〇%の目標を六十年度に、こういうことでありますけれども、これは大臣も本会議で、自主開発原油だけで三〇%目標を六十年度に達成するということだけでなくて、この公団法改正もありますし、この融資買油と申しますか、そのような方向も加わってまいりますし、DD原油またはGGの原油等関係もありますので、そのようなかっこうで、日本の自主的に獲得する原油を三〇%を目標にしたいというようなお答えではなかったかと思うのでありますが、その点はどうであるか。まず三〇%という目標をどのようにして今後達成していこうとされるのか、念のために聞いておきます。
  28. 山形栄治

    山形政府委員 昭和四十二年に三〇%の自主開発目標というのが設定されたわけでございます。その後の推移を見ますと、いま御指摘のとおり、四十年で一二・九%の比率最高でございまして四十七年におきましては八・五%ぐらいに下がっております。これはアラビア石油動き一つのいまの御指摘のとおりのことでございますが、ただ、自主開発原油輸入総数量につきましては、逐年これは増加いたしておりまして、四十年の比率では、最高でありましたときはわずか一千百万キロリットルであったわけでございますが、現時点では二千四百万キロリットルというふうに非常にふえておるわけでございます。そういう意味では非常なる成功をしておるわけでございますけれども、日本需要量全体が異常に伸びてまいりました関係上、自主開発比率は足踏みをしておるというのが現状でございます。  三〇%目標というのは国民的な一つ目標でございまして、これを放棄するのは私はおかしいと思うわけでございます。できる限り、三割というのは何らかのかっこう日本が自主的に入手できるというのが、やはりこれからの国民全体にとっても大事なことじゃないか。ただ、これは非常にむずかしい問題でございまして、先ほども申し上げましたように、私は大きく言って二つあるのじゃないかと思うのですが、単純なる鉱区取得というような方法でなく、非常に多様化した開発あり方考えるべきであるということが一つと、それからもう一つは、とかく中近東に集中しておりました日本開発体制、これを広く世界全体に広げまして、中近東以外の国及び中近東以外の油以外の資源、そういうものまでこれを広げて、それで自主的に三割近い自主開発原油確保ということをはかるべきではないかと思うわけでございます。この辺は非常にむずかしい問題でございまして、その中間でより適切な目標検討ということも必要だと思うわけでございますけれども、基本的な考えといたしまして、三割の目標というものはやはり堅持して総力をあげてこの実現をはかるというのが基本的な考え方であろうかと考えるわけでございます。
  29. 松尾信人

    松尾委員 今度、産油国国有会社との連携、それに対する出資、こういう観点が非常に強調されておるわけでありますが、この産油国オイルダラーをずいぶん持っておる、こういう観点と、今回の法改正で、この産油国に対して、その国有会社に対して出資していくのだということでありますけれども、これは相手の国によって歓迎される場合もあれば拒否される場合もあるのではないか。もううちはそういうものは要りません、ほしいのは技術だ、そういうプラント類はほしいけれども、この開発ということの資金は十分ありますというようなかっこうも相当出てくるのではないかと思うのでありますが、この法改正の主力点でありますそのような産油国国有会社に対する出資だというような観点だけでいいのかどうか。それを歓迎している国と、かりに歓迎しない国に対してはどのような方策をもって進出していったほうがいいか、大臣、いかがでしょうか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはやはり相手国の希望に沿って話を進める以外にないので、希望が千差万別であれば、それに対応するやり方も千差万別である、そうならざるを得ません。しかし、産油国はいろいろなプロジェクトあるいはインフラストラクチュアの開発等もやっておりまして、必ずしも金が十分であるという国ばかりではございません。イランのような国でもなかなか経済運営はうまくて、自分の金はあるいはヨーロッパあたりへ投資して、そして先進国から安い金利の金を入れようという国もございます。また、ある国においては、その融資までする、あるいは出資までするということを熱意のあらわれと見て、ほんとうにこれはやる気だなという、そういう面を見るという向きもございます。しかしまた、ナショナリズムの強い国においては、そんなものは要らぬ、たとえば中国なんかが典型的なそういう例でございます。そういうように国によっていろいろ対応が違いますから、われわれも相手国の希望に応じてやっていきたいと考えております。
  31. 松尾信人

    松尾委員 当然千差万別の対策が立てられていくわけでありましょう。でありますから、そういう点をひとつ——その中でイランの問題を大臣はおっしゃいましたが、非常に大きな、精製までで十億ドルの構想がある、そうして日本原油を加工するというようなことでありますが、われわれにもその構想の一端はお示し願いたい、こう思いますが、いかがですか。
  32. 豊島格

    ○豊島説明員 お答えいたします。  イランにつきましては、従来コンソーシアム、メジャーを通じて原油供給がなされておったわけですが、イランとしてはこれをできるだけ製品として出したいということで、現在五十万バーレルの製油所三基を建設する計画を立てております。この一つにつきまして日本の企業が参加するということで、昨年来交渉を続けておりまして、これに対して政府としてもできるだけの支援をしたいということで、先般大臣がイランを訪問いたしました際に十億ドルの借款を条件として出したわけでございます。  ただ、本件につきましては、その後、石油化学との抱き合わせといいますか、その製油所でできるナフサを使いまして石油化学をつくるというような問題がございまして、現在まだ結論を得てないというのが現状でございます。
  33. 松尾信人

    松尾委員 次は、民族系石油会社の諸問題でありますけれども、わが国の民族系石油会社十三社くらいありますが、先般の石油危機の際にどのような役割りを果たしたか、どのように貢献したかという点でありますが、この点を少し明確にしておきたいと思いますので、伺っておきます。
  34. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる民族系企業といいますのは元売りで四社、精製まで入れましていま御指摘の十二、三社でございます。これは通産省としまして、もう十数年来民族系の育成というものをはかってまいりまして、現時点におきまして精製段階で大体五割のシェア、販売段階におきまして四六%くらいのシェアということでございます。ちなみに欧米諸国におきましてはほとんどメジャーが、販売段階で八五%、その他一〇〇%近いものを占めておるような状態でございますが、今回の石油危機に際しましても民族系というのはやはりDDの引き取り、若干高値でございましたけれども、メジャーはDDを引き取りませんので、民族系がDDを引き取ったわけでございます。それから今回、一連の政府の緊急対策に対しましてもやはり民族系は五割のシェアを前提にいたしまして、非常に政策に一応協力してくれたということに相なっておりまして、私の私見でございますが、国内に民族系というものが相当程度存在するということがこれからの原油入手及びそれの精製、販売、それから今後考えられます製品輸入の場合のファンクション等を考えますと、やはり非常に重要な一つの存在であろうか、またそういう形での指導も今後いたしてまいりたいと思うわけでございます。
  35. 松尾信人

    松尾委員 民族系の会社の育成、こういう方向は外資系企業の寡占化に歯どめをかける。ですから、石油業法による精製設備の許可制、できるだけ民族系で精製をやらせよう、シェアも五〇%を占めておるというお話であります。また、石油開発公団自主開発の育成、民族系石油資本に対する育成、これはいままでの実績を見ると、自主開発の点は非常に伸びていない、いかにも弱体ですね。むしろ簡単にいえば精製一本になっているというような結果でありますが、そのようなことでいいのかどうか。そして私はなぜこんなことを聞くかといえば、どうも石油精製ということだけにいま大きく力を持っておることは、輸入というものに対するバーゲニングパワーというものがやはりそこにはない、非常に限界が限られておる、何とかしてこれを一本にまとめるとか、きちっとした体制的なものを整えて、がっちりとして日本石油輸入する、また買うということに大きく力を注いでいかなくてはいけないのではないか、そのようなことは先般の石油危機の再にも示唆をされておったわけでありますが、この点についてどのように今後対処していこうとされるか、これは大臣にも念のために私は聞いておきたい。長官お答えになって、大臣の決意を聞いておきたいと思います。
  36. 山形栄治

    山形政府委員 日本石油産業の弱点といいますのはやはり開発精製、これの分離ということでございます。御存じのとおり、メジャーというのは開発精製と販売、この機能を全部一括持っておりまして、かつこれを世界的に一番有利なかっこうで駆使しておる企業形態をとっておるのがメジャーでございます。日本ではこの辺が欠けておりますことは御指摘のとおりでございまして、年来、何とかしてこの辺の統合的な機能の強化というのをはかるようにしてまいりましたのが政策の基調でございます。今後非常に世界石油事情というのが変転きわまりないわけでございますので、公団の機能及び民族系の精製、販売、この辺の機能をいかに有機的につなげるか、そして日本におけるそういう一貫したバーゲニングパワーを日本の中に育てるというのがこれからの方向だと思いまして、現在総合エネルギー調査会で検討いたしておりますが、その検討の場合の最大の問題がこの点でございます。これは時間もかかるし、なかなかむずかしい問題でございますが、方向といたしましてはそういう方向でこれから検討を進めたいと思うわけでございます。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま長官が申し上げましたように、やはりバーゲニングパワー、それから産業的セキュリティーという面から日本の自発的な自主力というものを経済的にも持っておく必要を非常に痛感しておる次第でございまして、おそらく松尾先生もそういう御趣旨であると思いますが、その御趣旨に沿って実行していきたいと思います。
  38. 松尾信人

    松尾委員 次は備蓄の問題でございます。現在の備蓄の制度については反省すべき点があるのかどうか、私は大いに反省すべきである、このように思うわけであります。ですから、どのように現在はやっておるのか、その備蓄というものに対して石油会社がどういう責任があるのか、政府はどのような助成をしておるのか、こういう点が不十分であるからこのように反省しておる、将来はこのような方向日本石油の備蓄というものを確立したい、このような点についてお答え願いたいと思います。
  39. 山形栄治

    山形政府委員 現在の備蓄につきましては、四十七年度に原油製品合わせましてほぼ五十日であったものを四十九年度末までに六十日に持っていこうということで、政策的な配慮が行なわれたわけでございます。政策的な配慮といたしましては、まずタンクの建設につきまして開銀からタンク建設資金の特別融資を行なうことが一つと、それから税制上、原油備蓄タンクの割り増し償却を行なうということが二番目でございます。三番目は備蓄原油の購入代金につきまして石油開発公団から長期低利の融資を行なうということで、着々と備蓄政策が進んでまいりまして、実は昨年の十月水準ですでに六十日を達成いたしたわけでございます。そこで例の中東石油紛争が起こりまして、逐次備蓄が食いつぶされておりまして、三月末では四十八日くらいしかないことになったわけでございます。  これからの方向といたしまして、いま申し上げました政策の基調、これをますます強化することによって日本の備蓄の増強をはかるべきであるわけでございますが、いずれにしましても、立地問題、公害問題等にも関係するわけでございます。諸外国は九十日ないしは百日くらい持っておるといわれておるわけでございますが、今後日本も六十日以上の備蓄を確保するという必要があろうかと思います。これも先ほど申し上げました総合エネルギー調査会で小委員会というのをつくりまして検討いたしておりますが、この場合に問題でございますのは、この備蓄の負担をだれが行なうのか、それから備蓄主体を民間にまかしていいのか、国がある程度かぶるのか、それから民間に備蓄を強制するといっても、それはどうやって強制できるのか、ひいては日本で備蓄をしないで海外備蓄といいますか、海外備蓄立地を促進するのかどうか、この辺は金額も非常に大きな問題になりますし、その調査会でいま検討いたしておりますが、方向といたしましては、今後でき得る限り西欧並みの備蓄水準に日本の中で育て上げたい、そうしないと安心できないという感じでございます。ただ、いま申し上げましたように非常に問題が多いものでございますので、現在検討中でございます。
  40. 松尾信人

    松尾委員 現在のわが国の備蓄制度については非常に問題が多い。それで検討をしておる。その検討すべき点も非常に内外にわたってたくさんあるわけでありますね。ですから、これはひとつりっぱな方向へまとめていかなくては相ならぬと思うのであります。業界にまかしておる。そうすると、業界も各社の資金繰りとかいろいろな状態によりまして、政府の思った方向に進むものと全然そのような方向に進まないものとある、そういうことでありまして、結局備蓄というものが各社によってばらばらである。思ったとおりの方向に行かない。やっと六十日確保したけれども、石油危機でとたんにどんどん使っていかなければいけない。業界からいえば余分の金利負担等が重なってまいりまするし、一生懸命になって備蓄をふやした点にについてもあまりメリットがないというようなことまで、彼らは堂々と言っておりました。そういう点で備蓄は備蓄でメリットのあるように、それからこれは一つの国策でありますから、政府が全責任を持つのだということにまいりませんと、業界にしりを押しつけたり政府がかぶるというような考え方では、私は備蓄は今後ともにはっきりしたものができぬだろうと思うのです。ですから、はっきりした態度をとるということを私は強く要望するわけでありますけれども、政府の今後の考え方の基本をはっきりさせてもらいたい。  またあわせて、こういうことというのは民間の会社でできるはずがありません。政府が全責任を持って日本石油の備蓄というものは考える。先般のあの手痛い事態に遭遇した反省、これはやはり備蓄というものが六十日あったからそれでもどうなりこうなりよかったのだ、これが九十日あったらなおよかったというようなことも明らかでありまするし、これは国策として早くそういう結論を出していくべきであろう、このように思いますが、いかがでしょうか。大臣にひとつすぱっとお答え願いたい。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全く同感に思います。われわれはこれからまた九十日に向かって備蓄政策をスタートしていかなければならぬと思います。ただ、現在石油二法を実行しておる最中でございましてこういうときにどういうふうにこの問題を扱っていくかということは微妙な点もありますが、政策としてはもうしうかりしたものを用意しておかなければなりませんので、大いに勉強してまいるつもりであります。
  42. 松尾信人

    松尾委員 そこに幸い国策的な石油開発公団もあるわけでありますから、からみ合いの問題もありましょう。そういう方向がどうか私は申しませんけれども、適正なる機関というものを設けて、がっちりとした備蓄の制度を確立していただきたい、このように思うわけであります。  それから石油海外備蓄の問題等がいま長官からお話がありましたが、なお、この備蓄というものが非常に地域的に制約を受けております。どこでも歓迎というわけではありません。六十日から九十日ということになりますると膨大な施設も要します。そこに地域の問題も起こってまいります。ですから、通産省のほうでは海上備蓄をやったらどうかというような検討もされておると聞いております。技術が進めば、陸上におけるタンクの建設だとか、そういう施設をつくっていくということよりも、むしろ条件のいい海上というものを選定しまして最高のいまの科学技術の粋を集めての海上備蓄という問題も当然検討対象であろうと思うのでありますけれども、この備蓄の基地の問題についてどのような考えがあるのか、念のために聞いておきたいと思うのです。
  43. 山形栄治

    山形政府委員 備蓄は非常に大きな土地を必要といたしますので、かつ公害問題等も配慮しなければいけませんので、海中備蓄といいますか海上備蓄といいますか、海を活用するということが従来から考えられておるわけでございます。現在海洋備蓄につきましては、タンクを海底にくっつけるいわゆる着底方式というのと、それから海上にこれを浮かしてフローティングさせるフローティング方式と二つに大別されておるわけでございますが、すでに四十六年度から通産省ではこのケーススタディに入っておりまして、四十八年度ではその調査、分析を相当行なっております。これに対して研究委託費を逐年出しておりまして、四十六年度が百五十万円、四十七年度が二百四十五万円、四十八年度は相当大きくしまして六千七百万円、四十九年度の予定といたしましては七千九百万円ということでございまして、この辺の研究の成果を見まして、何らかのかっこう日本の近海の海中にこの備蓄システムを設置する方向で進めたいと考えておるわけでございます。
  44. 松尾信人

    松尾委員 最後にお伺いするのは、大陸だなの問題であります。これはいまいろいろ大陸だな及びその周辺の開発を真剣に考えておられるわけでありまして、この大陸だなの石油、天然ガス、こういう資源基礎調査というものをやっておられるわけでありますが、その結果の概要はどうか、これは結論だけでけっこうであります。  それから、大陸だなの開発にあたりましては何といっても領海の問題が大きく取り上げられております。現在十二海里説というような日本の主張、そういうものがこの大陸だなの開発等からどのようにいろいろ論議になっておって、どのような腹案があるのか、この点をあわせて聞いておきたいと思います。
  45. 山形栄治

    山形政府委員 現在日本の周辺大陸だなにつきまして非常に脚光を浴びておるわけでございます。これは日本の近海でございますので、ここにもし石油が出ますれば、これは一番いい安定供給源でありますが、ある学者の推算によりますと、日本の周辺大陸だなには十二億トンの石油及び天然ガスが存在するともいわれておるわけでございます。それで国といたしましては四十五年度から、水の深さ二百メートルより浅い部分につきまして継続的にその調査を行なってまいっておるわけでございますが、思いのほか有望な地点が日本の近海にあるということが判明いたしております。また、民間企業の行なう探鉱に対しまして公団が高率の投融資を行なっておりますが、現在までに四社にこの投融資が行なわれておるわけでございます。それからまた、民間が純粋にいろいろと試掘をいたしておりますが、現在までに二十九の試掘坑が行なわれまして、そのうち二つが一応成功いたしておるのが現状でございます。これは新潟県の阿賀沖と、それから福島県の常磐沖でございます。今後は二百メートルということにこだわりなく、むしろ二千メートルぐらいに範囲を広げまして、現在の第五次の計画を期間延長いたしまして、四十九年度から五十一年にわたってこれを行ないたいと思うわけでございます。  なお、大陸だなの石油開発するにあたりまして、現在の鉱業法は若干不備な点がございますので、大陸だな石油開発法案というようなものにつきましても、これは非常にむずかしい権利の設定でございますけれども、現在法制的に検討を進めております。こういういろいろな施策及び法制上の整備を含めまして、日本の近海で有望油田の発見というものをわれわれはぜひはかりたい、こう考えておるわけでございます。  領海につきましては、これは国際海洋法会議の結論がまだ出ておりませんが、大多数の国が十二海里説をとっておるわけでございます。こういう意味におきましても、現在、日本は三海里の主張であったわけでございますが、十二海里になるということは日本にとりましても非常に有利であるわけでございます。ただ、十二海里になることによって東シナ海等領海上の接点の問題がいろいろと今後出ると思いますが、この辺は関係諸国とよく折衝を続けながら、むしろ共同でその辺は開発を進めるというのが方向であろうかと考えるわけでございます。
  46. 松尾信人

    松尾委員 質問を終わります。
  47. 濱野清吾

    濱野委員長 宮田早苗君。
  48. 宮田早苗

    ○宮田委員 それではまず大蔵省に関係をいたします問題から質問をします。政府は、反社会的行為を行なった企業に対する政府関係金融機関からの融資の停止措置を検討中だということですが、適用の基準や時期など基本的姿勢をまずお示しいただきます。
  49. 山田幹人

    ○山田説明員 いわゆる反社会的行為を行なった企業に対して政府関係金融機関からの融資をどうするかという点につきましては、大臣のほうからしばしばお答えしておりますけれども、現在関係各省間において鋭意協議中でございまして、現在の時点で具体的にお答えすることはまだできない状況でございます。できるだけ早急に詰めたいと努力中でございます。
  50. 宮田早苗

    ○宮田委員 衆参両院の予算委員会等での質疑で、反社会的行為の定義と申しますか、現時点で適用すべき業種、企業が問題にされましたが、やみカルテルを結んだとして公取に告発されております石油精製十二社、まだ結論というところも出てないということですが、当然対象業種になると思いますが、その点はどうでございますか。
  51. 山田幹人

    ○山田説明員 その辺を十分念頭に置きまして現在協議しておりまして、協議がととのいまして御報告できる時点になれば、内になるのか外になるのか明快なお答えができると思いますが、現時点でのお答えは御遠慮させていただきたい、ごかんべん願いたいと思います。
  52. 宮田早苗

    ○宮田委員 結論の出た時点で、対象業種になった場合に融資の停止をいたします金融機関は、どことどこになるか、ひとつ答弁願いたいと思います。
  53. 山田幹人

    ○山田説明員 事の起こりが大企業についての反社会性云々ということでございますので、私どもとしては輸開銀を中心に現在検討しておりますが、そのほかの金融機関についてどうするかを含めまして協議中ということで御了承いただきたいと思います。
  54. 宮田早苗

    ○宮田委員 開発銀行が石油業の設備資金として融資しております実績があると思いますが、この点と、そうしてここ数年間の実績と融資残高、これはどうなっておりますか、お聞きします。
  55. 山田幹人

    ○山田説明員 石油関係企業に対します開発銀行の融資実績は、政策項目としてはいろいろございますが、とりあえず手元の数字で申し上げますと、合計のところで四十五年度にフローの貸し付けが百六十二億、四十六年度に二百三十四億、四十七年度に三百四十一億、四十八年度上期で百四十三億と相なっております。  なお、残高といたしましては、四十八年三月末で千百九十五億円、四十八年九月末現在で千三百四億円ということに相なっております。
  56. 宮田早苗

    ○宮田委員 やみカルテルを結んだ石油業界の行為は反社会的でございますので、開発銀行の融資をストップあるいは引き揚げるという場合、どのような設備資金を対象になされるか、お問いします。
  57. 山田幹人

    ○山田説明員 石油関係の企業に対しまする融資として開発銀行が取り上げておりますのは、民族系企業の育成のための諸設備、それから石油備蓄関係の設備、それから広く一般企業を含めました公害防止関連の設備投資及びその他というぐあいの政策項目を取り上げているわけでございますが、現在私どもが検討しておりますさしあたりの問題点は、検討対象に取り上げる範囲をどうするかという点が中心でございまして、かりにそこで取り上げられた問題企業と申しますか、そういったものの融資につきまして具体的にこれをどうするかということにつきましては、問題企業の行為あるいはこれを停止などした場合の影響、そういったもの、あるいは本来の政策目的の重要性、緊要性そういったものを総合勘案の上で決定することにいたしたいということでございまして、石油関係につきましてどうするのかということにつきましては、先の問題として答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  58. 宮田早苗

    ○宮田委員 いままでの答弁を聞いておりますと最終的にまとまってないようでございます。  そこで、通産省にお伺いをいたしますが、融資の停止と通産行政、当然そのことを考えておかなければならぬと思いますが、そうなった場合のこの調整をどうお考えか。特に大臣お見えでございますので、基本的な点をお答え願いたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省は、いままで自主開発ということや、石油政策の国益あるいは自主性というものを考えて、備蓄及び石油開発、流通等につきましても民族系を育成してきたところであり、今回の石油危機を見ましても、やはり民族系が相当な力を出して外資系に対して影響力を持っておったということも言えるわけであります。そういう面から、石油企業の中にいろいろ誤解を受けるような行為をやった、あるいは疑いを持たれたというものがあることは遺憾なことではございますけれども、そういう国策的重要性というものと、個々の石油会社がやったそういう不始末いうものとをどういうふうにして区別すべきか。私らはやっぱり国全体の利益を考えてみると、そういう場合には、その会社の責任者、そういう行為をやった者がやはり糾弾され、責任をしかるべくおのおのの責任に応じてとるのがいいのではないか。それで、石油会社自体が持っておる一つ経済的機能あるいは社会的な機能というものはあまりそこなわれないようにすることが国として大事ではないかという気がするわけであります。  それで、備蓄の政策にいたしましても、そのほかにいたしましても、非常に政策金融で石油会社等についていままでやってきたところが多いのであって、そういう国策的見地というものをやはり考えざるを得ないのではないか。それに代替すべきものがいま目前にあれば別でありますけれども目前にないという現状から見れば、そういう会社、法人の果たしている国民経済的機能というものをやはり重視すべきではないか、そういう気持ちがしておりまして、これをしゃくし定木に金融をはねのけるということが長い目で見て国益に合致するかどうかは私は疑問であると思うのです。そういう点は、よく大蔵当局等とも話し合ってみる必要があると思います。
  60. 宮田早苗

    ○宮田委員 それでは次に、石油開発公団法改正に関しまして二、三質問をいたします。銀行局のほう、たいへん御苦労でした。  公団の機能充実の一つに、わが国の領海と周辺大陸だなにおける探鉱石油開発公団の投融資対象とするとあります。政府は、一月末に東シナ海の大陸だなで石油、天然ガスを開発するため、日韓大陸だな開発協定に調印をしていますが、この協定と、先ほど申しました公団の機能充実とは関連をしていると私は思いますが、その点についてお答え願いたいと思います。
  61. 山形栄治

    山形政府委員 今回の公団法改正は、わが国の領海及び周辺大陸だなの探鉱公団の投融資対象としようとするものでございます。この改正がもし成立しますと、公団わが国の陸上の地域を除いたすべての区域に探鉱融資ができるということになるわけでございます。しかしながら、現在協定が調印されました日韓大陸だな共同開発区域は領海外でございまして、公団海外の投融資はできるということになっておりまして、現行法でもこれはできるわけでございます。したがいまして、今回の改正とこの日韓大陸だな共同開発区域とは関係ございませんで、その意味では、法改正と直結いたしておらないと御理解を願いたいと思うのです。
  62. 宮田早苗

    ○宮田委員 また、韓国との協定に関しましては中国側から強硬な抗議がありましたように、これを推進いたしますには多くの問題点があるようでありますが、政府といたしましては、今後どう取り組む方針でございますか 、お聞きします。
  63. 山形栄治

    山形政府委員 中国側から抗議といいますか、一つの申し入れがありましたことは事実でございます。われわれのほうの理解といたしましては、現在考えられております日韓の区域は中国の領海とは関係ないのじゃないかという考え方を持っておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、海中、海面で行ないますときに、近隣諸国との友好関係というのは、これは非常に重要な問題でございますので、今後これは外務省を通じてだと思いますが、本件の推進に関しまして中国側にも十分な御理解をいただくような方向で、本件が近隣諸国全体を通じまして円満に解決して、これが遂行できるように進むべきだと考えるわけでございます。
  64. 宮田早苗

    ○宮田委員 オイルサンドとオイルシェールの探鉱に必要な資金供給公団の機能に加えることについてでございますが、石油系の未利用資源としての有望性をまず御説明をしていただきたい。それと各国での開発あるいは研究の現状、さらには採算性などあわせて説明をしていただきます。
  65. 山形栄治

    山形政府委員 オイルサンド、オイルシェール、この双方非常に開発に膨大な資金を要すること及びその開発技術がまだ十分に進んでおらないという段階でございます。埋蔵量につきましては、これは方々の国にもあるわけでございますが、特にオイルサンドにつきましては、カナダが非常に多量の埋蔵量を持っておりまして、特にカナダのアルバータ州というのがいま脚光を浴びておるわけでございますが、このアルバータ一州で三千五百億バーレルということでございますから、ほぼ六百億キロリットルの石油に該当するわけでございます。それからオイルシェールにつきましては、米国埋蔵量が非常に多いわけでございまして、これは学者の推算によりますと千九百億バーレル。したがって、石油換算で大まかに言いますと三百億キロリットルぐらいで、この二つの地域を足しましただけで九百億キロリットルということになるわけでございます。これは現在の世界じゅうの石油の埋蔵量にほぼ匹敵する埋蔵量でございます。そういう意味におきまして、この二つの資源というのは非常に今後重要な資源だと思いますが、現在これを開発いたしておりますのは、オイルサンドにつきましてはカナダのアルバータ州の一社がこれを開発いたしておりまして、現時点の開発はまだ小規模でございます。日産五万ないし六万バーレルの生産を現在は行なっておるわけでございますが、これを急速に拡大いたしたいという希望を持っておるやに聞いております。  現時点におきますこの小規模な、非常に有利な地点でやっておるせいもございますが、バーレル当たり五ドルぐらいのコストでいわゆる石油類が出てきておるわけでございまして、これがもし大規模にこの程度のコストで行なわれるということになりますと、現在の油というものが大体十ドルでございますので、非常に有利な問題になると考えるわけでございます。  ただ、これにつきましては、技術開発がまだ進んでおらない点もございまして、今後の問題も残っておるかと思いますが、日本側の民間側におきましてもこういう事業参加したいという希望を持っておるところもございまして、今回、法律改正になりますれば、公団がこの探査、開発につきまして中核的な存在としてこれを推進するという体制ができるわけでございます。
  66. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの説明を聞いておりますと石油をしのぐ埋蔵量があるということでございます。アメリカでのいろいろな対処の方法も御説明願いましたが、わが国としては、いまも参加したいということでございましたが、参加をして、開発に取り組む具体的なお考えがありましたらお知らせ願いたいということと、公団の機能として入れるからには、現実に企業化しているところだとか、計画段階のところにわが国参加するというような具体策、いまおっしゃいましたようなところに参加するというような具体策、こういうものをお持ちでございましたらお示しを願いたい。これを最後の質問にいたします。
  67. 山形栄治

    山形政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、オイルサンドにつきまして日本の数社がいま参加をいろいろと希望いたしております。これは、私まだ詳しく聞いておりませんが、おそらく既存の、もう非常に開発段階に入ったようなところへの参加ではないかと思うわけでございますが今後、重要でございますのは、これはカナダ、米国に限らずベネズエラとかそういう地域にも相当賦存いたしておりますので、新しい地域に探鉱段階から入るというのが、非常にこれから行なわれるケースであろうかと思うわけでございます。石油開発公団といたしましては、このオイルシェール、オイルサンドは技術的に非常にむずかしいものでございますので、過去二年間にわたりまして一億二千万円の技術開発の資金を投入いたしまして、現在、これは結局熱水を注入する方法とかいろいろな方法が技術的にございますので、その辺で最も有利な技術開発の方式を日本独自としてもいま公団が研究いたしております。この辺の研究成果も踏まえまして、できましたら探鉱段階から今後開発参加するように推進してまいりたいと考えるわけでございます。
  68. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  69. 濱野清吾

    濱野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  70. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
  71. 川俣健二郎

    ○川俣委員 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案審議にきょうから入るわけですが、内容審議に入る前に、提案者の大臣に伺いたいと思います。  というのは、この有限性の資源石油で大騒ぎをしたわけですが、今度はメタルに来るぞということを私らも数年前から訴えて鉱業政策の確立をお願いしておりましたし、労使あげて国の手だてを期待しておったわけでございます。  そこで、それじゃ一体、非鉄金属産業に及ぼす影響と申しますか、世界的に見て需給の見通しはどうなるのだろうか。大臣は、特にアラブの石油をはじめとして、チュメニばかりじゃなく、海外を大きく雄飛されて見てこられて、これから大臣のこういった有限性の資源というものに対する手だてをわれわれも非常に関心を持って見ているわけですが、一つ非鉄金属というプロパーだけ取り上げると、今後どのような影響を及ぼすだろうか、そして日本の立場はどのように置かれるであろうかといった面を少しお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  72. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 非鉄金属に対する世界需要はかなり旺盛でございましたが、石油危機のために各国において需要カットその他が行なわれてきて、日本をはじめ先進工業各国においては需給タイトはやや緩和されてだぶついてきている気配が今日は出てきていると思います。しかし、これは一時的現象であって、また経済が正常化されていくに従い、やはり世界的な経済成長力というものを見ますと、非鉄金属に対する需要はまたきつくなってくるであろうと予想しております。特に非鉄金属資源の保有国のナショナリズムといいますか、そういうような傾向は当然想像されてまいりますから、そういう面の先見性もとらえまして、ある程度需給関係というものがタイト化していくという傾向は否定できないだろう、そういうことを頭に置きながらわれわれは諸般の対策を講じていかなければならぬと思います。
  73. 川俣健二郎

    ○川俣委員 比較的ということばではあるが、需給関係が少し緩和の見通しもこれあり、こうおっしゃいます。  そこでもう一つ、事務局でもけっこうですから伺いますが、それじゃカッパーにしろ鉛にしろ亜鉛にしろ、こういったものの需給関係、特に海外依存度というのはもう四十八年度ぐらいのそろばんははじかれておると思うのですが、その辺の数字は一体どうなっていますか。
  74. 山形栄治

    山形政府委員 最近の非鉄の需給について申しあげますと、四十八年度の内需は銅で百十六万二千トン、これは対前年一九%のアップでございます。鉛が二十五万トン、亜鉛で七十六万三千トンと見込まれておるわけでございますが、御存じのとおり、四十八年は、上期は非常に景気も急上昇を遂げまして需要が旺盛であったわけでございますが、いま大臣のお話にもちょっと出ましたように下期に石油のショック、これに引き続きます石油、電力の消費規制等が始まりましたし、また、金融引き締めも堅持されてきておりますので需要が減退いたしております。供給面は、こういう事情から特に電力規制がある程度影響いたしまして減産ぎみになっております。この両方の情勢が複雑にからみ合っておるわけでございますが、特に需要の落ち込みが大きかったために在庫が非常に急増いたしておりまして、銅地金で申し上げますと、年度当初一万三千トン程度であったものがこの三月末の予想では七、八万トン、これは適正在庫を相当大幅に上回るような状況に相なっております。ただ鉛、亜鉛につきましては需要の減少が銅ほど大きくなかったわけで、銅よりは在庫水準等も低いわけでございます。  来年度の需給につきましては現在検討中でございますけれども、銅につきましては、本年度よりかなりなお減少が見込まれるんではないか、鉛、亜鉛につきましては横ばい傾向ではないか、こう思います。  海外依存度でございますが、銅につきましては八八%ぐらい海外に依存いたしておりますし、鉛、亜鉛につきましてはほぼ六五%ぐらいの海外依存度に相なっておるわけでございます。
  75. 川俣健二郎

    ○川俣委員 銅の場合は八八%の海外依存度である。ところが需要が減退しておるということをたまたま言われますが、それじゃもう一つ大まかなお答えをしてもらいたいのは、政治をとっているのはおたくのほうですから、政府は、日本経済政策からメタルの需要量というものは一体どのくらいを見込めるということをいまの段階ではじけるのかといった面を少しお聞かせください。
  76. 山形栄治

    山形政府委員 これは先ほども言いましたように、四十九年度につきましてはこれから検討いたすわけでございますが、非鉄金属類の需要部門といいますと、銅で申し上げますと先生御存じのとおり電線伸銅が最大でございますが、この電線伸銅につきましては電力需要、それから建設部門が非常に大きなウエートを占めておりまして、あと通信、電線電纜、それから伸銅品につきましては機械類でございますが、特に電気製品でございます。それから鋼鋳物の関係では産業機械が相当のウエートを占めております。  大体におきまして非鉄金属というのは非常に広範な需要部門を持っておりますが、鉛における蓄電池及び自動車部門の需要等、みんな経済の成長と相当大きなかかわりを持っておるわけでございます。今後の経済動向がどういうふうになるのか、その間における総需要抑制がどの部門でどういうふうに影響するのかということにこれはかかわるわけでございますが、私見も含めて申し上げますと、やはり建設部門、機械部門のある一部、それから自動車産業のこれからの行き方等が非鉄需要を見込みますときの一つの大きなポイントでなかろうか、こう考えるわけでございまして、先ほど関係については本年度より少し水準が落ちるかもしれぬと申し上げましたのはそういうことを意味するわけでございます。まだ未定の要素が多いわけでございますが、需要面は若干渋目に推移するのではないかと考えるわけでございます。
  77. 川俣健二郎

    ○川俣委員 だからどうしても大臣に聞いておきたいのは、やはり事務当局だって、経済動向というか、総需要抑制策をこれからどのように推進していくのかということに需要量はかなり影響するわけでしょうから、その経済動向の見通しがつかなければ、したがって需要対策というものも見通しがつかない、こういうことになるから、一体担当大臣としてこれからの産業というものを、抑制策ということばだけなのか、ぐっと押えるのか、それとも横ばいなのか、いままでの需要量が大体横ばい的に必要なんだという旗じるしでやるのか。その辺なんですよ、聞かしてもらいたいのは。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは私個人の見解というよりも、やはり内閣なり自民党というものが長期経済政策をどう見るかというポイントで経済社会発展計画というものと一番関連があることであると思います。当面その経済社会発展計画にたよってお答えするのが大体いま政府並びに行政的に敷かれている軌道であると思います。それについてはまたあらためて正確にお答え申し上げるときもあろうと思いますが、私の政治家としての一般的な観測等を申し上げますと、石油については非常に偏食をして過度に依存し過ぎた、そういう反省がありますけれども、非鉄金属についてはそういうような非難はむしろなくて、開発やその他の努力が足りないという批判のほうが強いのではないか、そういう気がいたします。ただ問題は、日本の国内におけるそれらの鉱山の助成と申しますか、発展といいますか、そういう点とのアンバランスということが取り上げられておると思います。日本海外的に発展するためには、やはり国内的根拠地が必要なのであって、技術者の養成にしても、あるいは製錬事業にしても、やはり国内的基礎がなくして外国に発展することはなかなかむずかしい。そういう国内的な足固めの問題とのバランスという問題が問題としては提起されますけれども、やはり非鉄金属に関する限りは、これは非常に広範囲にわたる用途という面を見ますと、需要に対する力というものはそう落ちるものではない、またそれが輸出力に転嫁していく可能性もかなりある、私はそういうように感じております。
  79. 川俣健二郎

    ○川俣委員 どうもそれをさらに論争を深める時間を私は持っていないんだけれども、その石油の場合はかなり依存しているが、こっちのほうはそれほどじゃないし、力がある、開発するあれがあるというんだが、そうじゃないと思う。銅の場合は八八%依存しておっていつ、どうなるかわからぬと思いますよ。特に資源ナショナリズムで外交の武器にする世の中になったわけですからね。  それでは、この法案の提案の趣旨というのは、国内資源にはある程度見切りというか、こういう国土の狭い日本であるだけに、海外にいま少し、巣に単純買鉱、融資買鉱にとどまらず、みずからの手で探鉱なり開発に手を出していこう、こういうような考え方ですか、どうですか。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私がいま申し上げたのをちょっと誤解しておとりになっているようですが、石油についてはあまり依存し過ぎた、しかし非鉄金属については石油に比べて足りない、むしろもっと積極的に海外探鉱やら開発やら、あるいは入手について努力していくべき余地がある、そういうことを申し上げたのです。石油についてはあまり暖衣飽食といいますか、そのために国民経済自体がいびつになってきた、そういう要素がありますが、非鉄についてはそういう非難はない、そういうことを言っておるわけであります。  そこで、やはりもっと積極的に広範囲に補給源をつくっていく必要もあるという意味から、今回は大体石油公団と同じようなパターンを考えまして、単に融資のみならず、さらに積極的な権限を公団に与えて前進しようというのが今回の改正案の趣旨でございます。
  81. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうなんだよ。  それで事務局に伺いますけれども、それじゃ長官、これはいまの海外における探鉱の政策でどうしても不足だということなんだろうと思うよ。今回の改正というのはもぎ取る現象面じゃなくて、これは追加だろうと思うのです。政策の追加だから、それじゃいままでのようなやり方じゃ、こういう面で海外に行ってみると難点があったということで提案すると思うんだが、それじゃきわめて簡単にこれとこれだけはどうしても必要なんだという趣旨を話してみてください。
  82. 山形栄治

    山形政府委員 先生のいま御指摘のとおり、従来事業団は海外の事情の調査、有望地域に対する地質構造調査、それから民間の探鉱に対します融資及び開発資金に対します債務保証を行なってまいったわけでございます。ところが最近、各国のナショナリズムの高揚等も一つの原因でございますけれども、だんだんと大規模な探鉱事業につきまして日本側からの出資を求めてくる声が非常に大きくなってきておるわけでございます。かつ資源保有国におきましては、日本側の姿勢をはっきりさせる意味におきまして出資行為というものが一つの見当といいますか、確認のめどになるような動きもございますので、この際そういう信頼を得ることも含めまして、新しい事態に応じて事業団が融資だけでなくて出資を行ない得るという道を開こうとしておるわけでございます。  それから、海外向こう側の法人が探鉱活動をしておりますときに、日本企業の技術力その他も含めた参加を非常に要望してきておるのがあるわけでございます。従来、鉱区取得しておりますれば当然できるわけでございますが、鉱区取得していないような場合におきましても、参加要請というのが非常に出てきておりますので、こういう新しい事態に応じて、そういう日本から参加する企業に対する助成金を交付するということのこの二つを今回の改正のポイントにいたしております。これはすべて新しい事態に応じました海外探鉱開発の促進のための現時点における最も有力な方法に即応した改正ということでございます。
  83. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、それじゃこれは事業団がやってきただろうけれども、これは事業団のほうでも長官のほうでもどちらでもいいのですが、いままで二本立ての方法でやってきたんだが、もう二本追加しなければならないということに遭遇したんだろうが、その国は例示できますか。どういう国にいったらたとえばこういうことだったということを例示できますか。
  84. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  従来、金属鉱業事業団はみずから海外で仕事をすることができることになっております。それの予算的な裏づけは二つございまして、一つ海外協力探鉱事業と、一つ地質構造調査事業でございます。これらはおのおの約五年前から予算的措置が講ぜられてまいりまして、非常に多くの国々で成果をあげております。最近になりまして、特にこれらの数年にわたる探鉱事業が実を結んでまいりまして、新たな大きな鉱床が数カ所事業団のみずからの探鉱によって発見されるというふうな事態が起こっております。本来、探鉱は時間と金のかかることでございまして、きょうのあした成果があがるということは非常にむずかしいわけでございますが、ここ数年来の努力がやっと実ってきたというのが近ごろの現象であろうかというふうに判断しております。
  85. 川俣健二郎

    ○川俣委員 あとでその成果を少し実際当っている事業団のほうから聞かしてもらうのですが、それじゃこういうことなんですか。予算の一覧表を見ると、これから四つの方法があるわけだ。国の金を出す方法として四つがあるわけだ。  一つは、一〇〇%、国が、いわゆる事業団にやらせるんでしょう。OTCAを通して一〇〇%、全然邦内の企業にからませないで、探鉱費を提供するなり一緒に探鉱してあげる、これが一つ。これが約九億三千九百万ですか、十億。  それから二つ目は、いままでやってきたことですが、日本の企業が探鉱権を持っておった場合にその探鉱負担金の二分の一は企業に出させて、そして事業団がそれをやる、これが二つ目。  それから三つ目の新しい問題点は、日本の企業が共同で、これは租鉱権か共同探鉱権かはっきりしないんだが、共同で海外探鉱する場合に、日本の持ち分の二分の一だけ出資してやろう、これが三つ目なんだ。それから四つ目の場合は、これは非常に大事だと思うんだが、これからかなり探鉱権を、共同探鉱なり租鉱権でも放したがらないと思う、海外は。権利というのは放したがらない。半分でも放したがらない。しかし、金はほしい、探鉱の手助けはほしい、こういう国がこれから後進国に出てくる。その場合に、四番目として三千万円を提案した、こういうように解してよろしいですか。その場合に、一つ聞いておきたいのは、探鉱権の問題だが、共同探鉱権なのか、租鉱権なのか、あるいはもし当たった場合、出資した会社から、それは当たったということで、どういう形でそれを回収するのか、それとも、やりっぱなしなのか、その辺も含めてこの四つのケースをもう少し説明してもらわないと、この一覧表だと金がいろいろと分けられておるんだが、これは全部事業団は通る、これをひとつ聞かしてもらえませんか。
  86. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 予算的措置とその分類につきましては、先生ただいま御指摘いただいたとおりでございます。探鉱権の問題でございますがこれはいわゆる国内における鉱業法にいいますところの鉱業権であるとか、あるいは租鉱権であるとかというものとは全く違ったカテゴリーに属するものであろうかと思います。海外において探鉱する場合は、初期の段階におきましてはむしろ経済協力的な色彩を帯びる場合が多いわけでございますが、特に金属鉱業事業団の場合は、そういう形で行なわれる場合が多いわけでございます。その場合には、今後、優良鉱床が発見された後においていかなる開発形態をとるかということとは別個に、ひとまずある地域において日本の企業が鉱物をさがすという権利を持つか、あるいは確実に持つ見通しがあるということを私どもは探鉱権と呼んでおるわけでございます。  次に、将来、探鉱の結果、一つの優良鉱床が発見されて、それが開発に移行するというふうな場合に、今回の法律によりまして事業団の出資いたしました五〇%以下の出資金がどういうふうに運用されるかということでございますが、いわゆる探鉱が成功した場合、事業団の保有いたします株式を適正価格で民間に売却する、したがいまして、その代金を次の探鉱段階に充当するというふうな方法で、できる限り資金の回転をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございまして、これから詳しいことは事業団法に基づきまして業務方法書で定めることになっております。
  87. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まあそういうことであれば、まずその探鉱権をめぐる諸問題が起きないと思うんだが、それじゃもう一つ、意地悪い質問だけれども、これは国がみずから手だてをするのと、企業に援助してやるのと二本立てがごっちゃになっているんだけれども、同じ窓口の事業団がやるんだからこういうことになるんだと思うのですが、そこで質問は、それじゃ日本の企業の負担分の二分の一を見てやろうという場合に、たとえばカナダと日本のある企業が探鉱しようという場合に、はたしてどのくらいの金額か、総額をはっきり確認できるものなのかどうか。たとえばカナダが一億、日本の企業が一億、二億で探鉱しましょうというときには、事業団は五千万円出す、そういうことでしょう。そういうことですね。ところが、二億の探鉱費なのか、一億八千万の探鉱費なのか、一億なのか把握できるかという問題と、事業団にそのような能力、機構があるのだろうか、職員がほとんどふえないのではないか、こういうようなことを考えますと——こういう質問はなぜやるかというと、いままでの日本やり方のように、一獲千金の夢を見て海外に行った、そうして、ああ当たらなかったからやめた、食い散らかして全部引き揚げてきた、これだから評判が悪かったわけだ。今度は、何年も何年もかかって本腰でやらなければ資源というのは日本に持ってこれないという世の中になっただけにこの政策は必要だと思う。必要だと思うのだが、しかし事業団にそのような機能が発揮できるように手だてができるのかどうかという点を確認しておきたい。
  88. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 海外におきまして事業団の出資いたしますところの共同探鉱会社、これが他のパートナーと組んで仕事をするということはあり得ることでございますが、その場合に、いわゆる日本側の負担する費用を十分に確実に把握することができるかという問題でございますが、これはいかなる場合にも、その企業はパートナーと詳細にわたって探鉱計画及び費用の負担の契約をするはずでございます。したがいまして、その契約を事業団として確実に正しいものであるとか、あるいは遂行し得るものであるかということを見抜く力があるかどうかということになるかと思いますが、それは事業団はすでに国内におきましても十年同じような業務をしております。また、人員があるかというふうな御質問でございますが、これは経理的にも技術的にも、あるいは資質的と申しますか、あらゆる階層の人間を十分にかかえております。したがいまして、そのスタッフとしての能力があるかということに対しましては、十分に能力があるという返事を自信をもってお答えさしていただけると思います。  次に、そういうふうな契約は、まず企業が自由に取りきめるのみならず、そういうふうな契約を国が承認するという手段を経まして事業団が出資するということになると思いますので、このことによりましてもダブルチェックということになりまして、その辺の運用の正確さを期したいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それは、私はこの法案に賛意を表するだけにその点非常に案じております。国内の場合は、いってみたって北海道から沖繩までですから、国会の追及ということもその視野でわかるわけだ。海外の場合は、事業団に隠し立てして、ある企業が向こうの企業とぐるになって、三億かかるところを五億かかるとかいったってなかなかわかりにくくなるから、その面は、あまり国会のほうにももんちゃくを起こさないように、私はその点を案じてあえてそういう質問をしてみたのです。だけれども、深める時間がありません。  ちょっと観点が違いますが、委員会調査室からこういう問題点指摘されておりますから、参考までに、御一同御存じだとは思うのですが、昭和四十七年度の消費量と輸入量から海外依存度は八六・七%、約八七%に達しておる。ところが、「わが国は、これらの輸入、特に鉱石輸入について長期契約を締結し、安定供給を図っているが、国内的な景気動向に伴う一時的な需要の減退等により、」ここが大事だと思うのですよ。大臣は聞いておられるかどうか知りませんが、「国内的な景気変動に伴う一時的な需要の減退等により、多量の過剰在庫をかかえ輸入量を削減する措置を講じようとしたため、」もう余っているから要らないという。「資源産出国から非難を受ける事態が生じた」これだと思うのですよ。そこで「発展途上国の多い資源産出国の立場からすれば、一国の産業経済に不測の混乱を惹起する問題であり、軽視し得ないことは当然である。」こういうことを考えますと、一つの政策として、やはり量なり価格安定のための備蓄対策を考えるべきだということを長年私らは言ってきた。やはりこれは指摘しておる。こういう面に対してどうですか長官、備蓄対策を大臣に進言しておりますか。
  90. 山形栄治

    山形政府委員 万一の事態に対応しますいわゆる備蓄でございますが、これは事非鉄金属に限らず、国民生活にとりましての重要物資につきましては今後日本全体として考えなければいかぬ問題であろうかと思います。特に非鉄金属の備蓄につきましては、いま先生の御指摘のとおり、国際価格が非常に乱高下する物資でございます。それからトン当たりの単価が非常に高いために所要資金がうんと要るということで、従来から日本におきまして非鉄の備蓄機構というものについては、種々論議が行なわれておるわけでございます。国際場裏におきましても、国際的な立場で、これは銅でございませんが、すずとかアンチモニー等につきまして、何か価格安定及び備蓄政策を考えなければいかぬじゃないかという国際機構もあるわけでございます。この辺につきまして、いま御指摘のとおり、ちょっと景気変動があれば輸入をストップする。長期間にわたる低開発国といいますか、資源産出国との関係を悪くするというようなことは非常に大問題でございます。それで、現在海外の過剰鉱石につきまして特例ユーザンス制度を実は採用いたしておるわけでございます。こういう制度につきましてもその再延長は当然考えるべきであり、かつ一番最初に申し上げましたように、もっと強いストックパイル政策というものをこの際考えなければいかぬと思うわけでございますが、何ぶんにもこれは過去にもいろいろと構想があり、つぶれ、また構想ができてくるというような問題もございまして、今後その実施あり方につきましては検討を進めていきたい、鉱業審議会等にもこれをはかりたい、こう考えておるわけでございます。
  91. 川俣健二郎

    ○川俣委員 トン当たりの単価が高いのと、長官が言うように、建て値というのは非常に動きやすいですよ。貿易自由化以後のたとえばカッパー一つ取り上げてもいいのですが、この十年間に最低の健て値がどのくらいで、最高がどのくらいであったか、いまどのくらいのところであるか、それから備蓄の問題を含めてちょっと話をしてもらって、そのあとに大臣から会社利得税との関係をちょっと聞いてみたいと思います。
  92. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 御指摘のとおり銅の価格はたいへん乱高下いたします。ただいま八十七万円という建て値が立っております。これは最高でございます。過去の最低の値段、ちょっと戦後の最低というのは私ここに資料を持っておりませんが、おそらく二十数万円だと思います。  なお備蓄のことでございますが、これは過去に、先ほど長官が御答弁申し上げましたとおり、ストックにつきましては何回か議論いたしました。実現はしておりませんけれども議論はされております。なおバッファーストックにつきましては、すずと同じようにこれは国際的な場におきまして議論されなくてはならないというふうな機運が非常に強くなってまいりました。現在IWCC、国際ロート・カッパー・カウンシルというのがありますが、ここで各国が盛んに議論しておるところでございます。また、ストックパイル、いわゆる緊急備蓄でございますが、これは先ほど長官が申し述べましたとおり、今後たいへん大事な問題といたしまして、審議会等で議論を重ねていきたいと思っておるわけでございます。
  93. 川俣健二郎

    ○川俣委員 もういまは八十七万、ここ十年の間でも最低が三十万。三十万と八十七万円の値段でロンドン相場で動かされるという産業が日本にあるわけだ。だから、備蓄体制なんというのは当然やるべきだよ、価格安定を含めて。これはなかなか論議ばかりしてまとまらないというのは、私はどうも通産省が弱腰だからだと思う。もう少し強い指導でやるべきじゃないですか。これはどうですか。それだったら大臣、ちょっと参考までに聞かしてもらいたいのですが、いまのいわゆる不当利得、国民から吸い上げてつくられたか、でっち上げられたか、値段と同じ不当利得税をとるわけですが、この金属鉱山、LMEの相場の建て値に左右される会社の利益も、この不当利得の範疇に入るように政府のほうでは考えておるのでしょうかどうか聞かしてもらいたいのです。これは大臣の一個人でいいです。それからあとで大蔵省のほうから、制度として入りますかどうか、伺いたい。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 備蓄はやはり非常に必要だろうと思います。備蓄というものは安全保障の面から見て、いざというときに役立つもので、ふだんは役立たぬように見えるけれども、今回の石油危機等を見てやはり大事であったと感ずるものが備蓄政策であって、そういう意味で、われわれは備蓄問題についてはもっと積極的に取り組んでいかなければならぬと思います。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕  それから、不当利得税とおっしゃいましたが、あれは会社臨時特別税とかいうような名前で、不当利得という名前は消えたようですね。これはこういうインフレ的な時代に、一般の国民も非常に苦労しておるのだから、会社も少し苦労してくれ、そういう意味で、社会党案を中心にして自民党も同調してできた案であると私は新聞で観測しております。ともかくみんなが苦労しよう、法人も苦労してくれ、しかし一般の中小企業まで及ぼさぬ、そういう精神でできた税法でございますから、金属鉱業であろうとなかろうと、石油であろうとなかろうと、該当するものはそれが一律的に適用されていく、そういう法律であって、現状から見たらやむを得ない妥当な線であると考えております。
  95. 川俣健二郎

    ○川俣委員 社会党案が中心でないからだめだったのだ、だれもが見ているように。一緒にやろうと言ったが、いやだと言って最後に逃げたじゃないですか。  じゃ事務当局から伺いますけれども、そのような考え方で一律に会社特別税の考え方をこれに当てはめようとしておるのですな。確認をしたいのですが、大蔵省どうですか。
  96. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  会社臨時特別税につきましては、議員提案により制定されたものでございますのであまり立ち入った議論は差し控えさせていただきたいと考えております。聞いておりますところでは、ただいま通産大臣から御答弁がありましたような経緯と聞いております。
  97. 川俣健二郎

    ○川俣委員 あと五分だというメモが回ってきましたので、項目だけ急いで質問します。  海外開発にあたって非常に大事なことは公害問題だと思うのですね。国内じゃ、同じ日本の国内だからあれだけれども、海外の場合に、いままでのような企業の態度じゃすぐさまシャットアウトを食うのだと思います。そこで、参考までに聞きますと、海外でも鉱山というのは唐突と噴火してきたのじゃなくて、かつては個人で、あるいは日本的に言うと山師の形で露頭からさがしていってだんだん潜頭鉱床になっていったというのが古今東西を問わず言い得るのですが、その場合に非常に大事なことは公害におけるPPPの問題ですが、ひとつ参考までに、海外に対する態度もさることながら、ちょっとこれを聞いておきたいのは、PPPというのは、もちろん原因者が負担せいというのはこれは、だれだってあたりまえのわけなんだ。ところが問題は、蓄積鉱害というのは、この場で過去何回も論議されているように、鉱山の場合は紆余曲折してきた日本経済体制、かつては統制経済、軍部の独裁、鉱山増産法等々の変遷を経てきた日本の国において、無資力の場合あるいは義務者が不存在の場合には、一国の責任で積極的にやるという姿勢があるのか。いまの段階で義務者はだれであるかということをさがし求めておるのか。その義務者が見つかったから資力があるだろうかどうだろうか、検討している段階なのか。それとも積極的にそういうような場合は国の責任でやろうという姿勢でいるのか。ちょっと姿勢を一点だけ話してもらえば、時間がないのでこの問題はやめます。
  98. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、鉱山活動は数十年、数百年あるいは千年をこえる以前から行なわれております。その間、藩あるいは幕府あるいは明治政府等が鉱業権者になったこともあるわけでございます。そういったものが現在休廃止鉱山という形で約五千私どものほうで確認をいたしております。これがいろいろな形で大きな問題を出しておることは御案内のとおりでございます。したがいまして、通産省といたしましては、積極的に国の責任として、こういう義務者がないとか、無資力というふうな場組の鉱害問題の防除に積極的に取っ組むという姿勢に立っております。そういう姿勢で財政当局等々とも交渉して、来年度の予算等におきましてもいろいろな形で画期的な前進を見ておる状況でございます。
  99. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この問題は公害委員会で具体的に地域と山を名ざしでやらせてもらいます。  そこでもう一点だけ公害にからんで申し上げますが、いま緊急の問題なのであえて質問したいのは、一PPM以上の汚染米がかなり出てきたわけです。極端に言うと、東京の倉庫に入ったものを調べてみたらかなりの高いものが入っておったので、ずっと追跡調査したらたんぼの場所がわかって、その上には旧鉱山があったということが出ておって大騒ぎをしておる地域があるわけです。そこで長年というか、一昨年来この汚染米を一体だれが責任をもって買い取るだろうか。ある県では三千俵、一万円にして三千万円、立てかえ払いの形で払っておる。ある県では、どうも出すと一億くらいになるからとてもできない、何とかしてくれということで、いま盛んにわんさわんさやっておる。近く政府がこれに対する結論を出そうと言って正月を迎えて、今日になっておる。一体これはどうなるのか。環境庁も農林省の担当も見えているから、どちらでもけっこうですから、ひとつお答え願いたいと思います。汚染米に対する政府の態度ですね。
  100. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 ただいまの御質問に対しましては、御承知のように食品衛生法では一PPM以上の米は買えないということになっております。したがって、一PPM以上の場合は原則的には原因者が買うというたてまえで指導いたしておるわけでございます。  ただ、御指摘のような休廃止鉱山の場合は原因者がありませんので、この場合は現在都道府県なり市町村で処理をしている、またそういうふうにお願いをしたいということでやっております。  ただこの問題は、御指摘のように金額が非常にかさむというようなこともありますので、国においても早急に検討いたしたいということで、関係各省が二月の中旬に集まって御相談をして、この取り扱いについての結果をなるべく早く出したいということで検討中でございます。
  101. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この問題も公害委員会でさらに煮詰めますけれども、もう一つだけ。建て値八十七万、仕上がり原価まで聞きたいところだけれども時間がないので、収支の合うところはどのくらいの建て値のときが合うだろうか、八十七万といったら、これはどうやって隠しだてと言っちゃ悪いが、春闘のベースアップの先端をいくびっくりするような企業が出てくると思うのだが、一方、退職金一つ取り上げても、税金のかかるほどの退職金を出してない。免税点をぐっと上げたものだから、くやしかったら税金がかかるくらい退職金を出せばいいのだけれども、出さない。あるいは時間短縮の問題、週休二日制の問題、労働災害の問題、これはメジロ押しに社労委員会法案があるようですから、その場で通産省にもつき合ってもらって審議したいのですが、一つだけここで、あまりにも長年懸案であった、いまやりますいまやりますと言ってさっぱり成果の出ない問題で、年金の問題があります。  御存じのように、石炭の場合はとうに確立しておるわけですが、この鉱業者年金、かつての労働大臣ははっきり——名ざしはしませんが、確認を持っておりますから、鉱業者年金の確立をいち早くやるということを約束しておるのですが、一体この鉱業者年金というものを年金局はやる気があるのかどうか、ぜひひとつここで、御一同の前で、やらないならやらないでも、われわれ考え方がありますから、お答え願いたいと思います。
  102. 横田陽吉

    ○横田政府委員 鉱業者年金の問題につきましては、かねがね附帯決議等もございまして、私どもも気持ちの上では鉱山労働者の労働条件の改善のために年金制度をどのように対応させるかという点についてできるだけ前向きで検討いたしたいと思っておりますし、またいたしておるわけでございます。ただ、現実に制度を仕組みます際に、どのような形でそういった制度を仕組むかといいますと、非常にむずかしい問題がございますので、いままでのところ、その結論は得ておらないということでございます。ただ、お気持ちは私も全く同感でございますので、できるだけどのような対応策をとるかという点について引き続いて検討をさせていただきたいと思います。
  103. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ方向だけ確認しておきますよ。いままでは、それは労働問題だから労働省の問題だ、いや年金だから厚生省の問題だと玉ころがしをやっておった。今度は厚生省の年金局でやるんだということで検討するんだということで、今後の附帯決議その他のこともあるので、ここで確認してみたいのだが……。
  104. 横田陽吉

    ○横田政府委員 検討をいたします際に、どこがその責任者であるかという点につきましては、年金の問題でございますので、私どもできるだけ私どもの責任で処理いたしたいと思います。  ただ問題は、鉱山労働者の実態の問題、その他の産業政策の問題等との関連もございますので、通産省あるいは労働省とも十分連携をとりながら検討いたします。
  105. 川俣健二郎

    ○川俣委員 最後に、事業団がお見えになっておるようですから、この法案が成立すると、結局事業団にお願いするわけですけれども、一体成果というんですか、国内ではかなり御案内のように成果が出ているように見えますが、一体海外は、さっき確認した四つのうちの二つでもう数年やってきたわけだと思うのですけれども、これという成果、あるいはもう少しだということなのか、そういった面について最後にお聞かせ願って、私の質問を終わります。
  106. 平塚保明

    ○平塚参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のございましたように、海外におきましても、実は国内と同じように、ある程度の成果をあげております。先ほど鉱業課長からお話があったかと存じますが、GGベースによりまする経済協力基礎調査、地域開発地質構造調査、この二つにおきましては、いずれもかなりの資源確保を得ておりまして、前者におきましては全然新しい地域で二カ国で大きな資源の端緒をつかんでおりまして、具体的に申し上げますと、その一つは、先生御存じと存じまするが、ペルーの南部で、これは三年間にわたって日本政府の金で探鉱を続けておりまして、たいへんおもしろいところを見つけております。これにつきましては、ペルー政府からぜひ継続して日本にやってほしいと向こう大臣からこちらに正式の書面が参りまして、これについては、先刻調査団を派遣して、これのフォローする検討をやっております。また地質構造調査におきましては、約八カ所ほどで非常におもしろいものを見つけております。これも引き続き、これは企業におきましてフォローすることに相なっております。  さような点で、先ほど指摘ございました新しい二つの問題、一つ事業団が出資をするとか、それをフォローいたしますのに、やはり何と申しましても、先ほど先生からもお話ございましたように、非常に僻地でもありますし、特に最近ナショナリズム関係からなかなかむずかしくなっておりまして、日本側が誠意をもって探鉱開発をやっていくということの誠意をあらわす意味におきましても、日本政府がこれに直接的に出資をして責任をもっていくという体制をあらわすのが相手国に対して信用をかちうる道であるということでございます。  また、先方との共同探鉱におきましては、これの探鉱費の半分を補助金の形で出していただく。今年度は金額も少のうございまするが、将来日本が、過去においていわゆる自主開発というのが一時ずいぶん取り上げられましたが、自主開発というのは、とかく日本がかってに探鉱するというふうな誤解を生ずるということもございましたが、最近のようにナショナリズムがますます強くなってまいりましたおりから、相手国あるいは第三国と共同して探鉱するということが今後ますます多くなろうと存じますので、かような場合に、ただいまお願い申し上げておる共同の探鉱に補助金の形で出していただくことが非常に効果をあげるものと私どもは期待いたしておる次第でございますす。
  107. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。
  108. 田中六助

    田中(六)委員長代理 渡辺三郎君。
  109. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 まず、本法案審議の前提となる問題としてお伺いしたいわけですが、わが国の国内金属鉱山の探鉱及び製練に対する政府の基本的な政策、これを最初にお伺いをしたいと思います。  それから、時間の関係もありますから、引き続いてわが国の必要とする鉱物資源における国内の鉱業、鉱山の位置づけをどのように考えておられるか、最初にお伺いをしたいと思います。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 わが国の国内鉱山は最も安定度の高い供給源であり、また海外資源開発推進の母体ともなっており、かつ地域社会の維持にも大きな役割りを果たしておりますので、その一定量は積極的に活動をはかっていく必要があると考えております。政府としては、現在国内探鉱長期計画に基づき計画的、組織的な探鉱を促進し、高品位鉱山へのリプレースを促進することによって、国内鉱山の積極的活用をはかっておるところであります。製錬所についても、鉱産物の安定かつ低廉的な供給という目的を達成するため、国内立地のメリットを生かしつつ臨海大型製錬所を中心として発展さしてきたところでありますが、すでに現地製錬等について積極的に検討する時期に来ていると思います。  以上の基本的施策に基づきまして、前向きの施策を講じてまいる所存であります。
  111. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 資源エネルギー庁の鉱業課で出されております四十九年度の鉱業開係の予算、それから財投の要求事項の一覧表をいただいておるわけですが、この中で財投関係でありますけれども、国内探鉱融資は四十八年度の場合には二十五億円、それから今年度は二十億円というふうな形になっておるわけです。それから海外探鉱融資については四十八年度は五億円、それから四十九年度は八億円、このようになっておるわけですが、この国内探鉱に対する政府の政策といいますか、そういうふうなものはだんだんとだめになってきたのだ、いろいろな制約があってどうにもならない。したがって、今後はどうしても海外に依存をしなければならない。したがって、政府予算にしてもあるいは財投にしても、そういう形で切りかえていかなければならないんだというふうなことを考えておられるのかどうか、これは長官でもけっこうですし、あるいは課長でもけっこうですから、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  112. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  国内鉱山の位置づけ及び今後の海外開発の必要性につきましては、昨ほど来大臣及び長官お答え申し上げたとおりでございますが、具体的な問題につきまして私からお話しさせていただきますと、まず御指摘の国内探鉱融資の財投部分が昨年よりも減っておるではないかということでございますが、実はこれは作業規模は全く一緒でございまして、昨年来、本年度の金額の面の減少は必ずしも全体的な作業規模の減少を意味するものではないわけでございます。  なお、そういうふうな探鉱によって国内で成果をあげておるのかということでございますが、これは私どもは現在の国内の生産は最小限維持していきたいということを基本的な政策としておりまして、そのために大きな役割りを演じておる予算でございますが、事実過去数年の間にこれら——同じく予算表に書いてあると思いますが、事業団の実施しておりますところの広域調査あるいは精密調査というふうなことを通じまして新しい大鉱床が発見された例もございまして、これらが開発されることによりまして、別子であるとか足尾であるとか、古い大鉱山が閉山しておる今日でもなお同じレベルの生産を維持することができておるわけでございます。  この予算書に書いてございますが、このほかにも金属公団は中小企業に対する探鉱助成金をしておりますが、これらの助成によりまして最近新たに非常に有望な鉱床が発見されておる例も具体的にあるわけでございます。
  113. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これは、この法案を提案するにあたって政府自身が述べておりますように、必要とする鉱物資源海外依存度がだんだん高まっているというふうなことについては、経済成長に即して需要がそれだけ大きくなっておる、こういうふうな理由は反面考えられますけれども、いまの御説明によりますと、たとえば閉山した、廃止した、そういうふうな鉱山があっても、国内においても新鉱床の発見その他によっていままでの水準は十分に維持できる、こういうふうに受け取れるわけであります。  そうしますと、今後の見通しの問題といたしまして、全体的に必要とするいわゆる需要が急速に毎年毎年伸びておるので海外への依存度というものがますます高まっていくんだ、大ざっぱに言ってこのようなつかみ方で、そういう理解のしかたでよろしいのかどうか、これは重ねてもう一回御答弁いただきたいと思います。
  114. 山形栄治

    山形政府委員 国内資源開発というのが一番大事なことだと思うわけでございます。数年前に秋田の黒鉱の発見、これはいまお話が出ましたように、新しい探鉱技術で非常に大規模な鉱床が発見されたわけでございまして、今後ともこういう方向は強力に進めなければいかぬことは当然でございますが、何ぶんにも日本地質構造から見まして、非鉄金属資源のは、そういうすごく大きく急速に短時間に望めるということはできないわけでございます。いま一番大事なことは、日本でささやかではございますけれども、やはりベースものとして国内の資源は絶対これを減らさない、比率といいますか、数量は減らさない、できたらこれをふやすというのが政策の基調だと思うわけでございまして、今後国内探鉱、探査につきまして、より一そうこれを予算的な裏づけをしまして進めたいと考えておるわけでございます。
  115. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これは相当時間がかかればあとで別に資料としていただきますからけっこうでございますが、海外探鉱開発事業対象としております鋼、それから鉛、亜鉛、マンガン、ニッケル、ボーキサイト、クロム、こういうものの一番新しいわが国の年間の需要量、あるいはどうしても最低限これだけは必要だとする計画的な需要見込み、消費見込み、これをいま言った鉱種別に御説明いただければ、それをきちんと聞いた上でさらに御質問をしたいと思いますので、お答えをいただきます。
  116. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 四十八年はまだ集計中でございますので、四十七年について数字を御説明申し上げますが、まず銅につきましては需要量の合計が内需にいたしまして九十九万二千トンでございます。鉛につきましては、内需の合計が二十三万九千八百トン、亜鉛につきましては内需の合計が七十四万八千三百トンでございます。
  117. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 四十八年度あるいはもちろん四十九年度、ことしの見通しの問題については、まだ必ずしも固まった数字がないということでしょうけれども、これはいま四十七年度の実績のお話がございましたが、これに対するいわゆる国内の産出あるいは海外自主開発の問題やそれから外国からの輸入、こういうものを含めて、この充足率は大体どのくらいになっておりますか。
  118. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 銅に対しましては、国内の寄与率、国内鉱の生産が約一〇%でございます。それから鉛、亜鉛につきましては三〇ないし三五%となっております。
  119. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それからもう一つお聞きしたいわけですが、これは先ほど大臣ちょっと触れられましたけれども、今後わが国が必要とするいわゆる非鉄金属関係の必要量は経済社会基本計画に基づいて計画を立てられなければならない。したがって、それに見合った形で国内の産出のもの、あるいは海外からの輸入自主開発のもの、これを組み合わせて充足をしていかなければならない、こういうお説だと思うのでありますけれども、去年計画をされました経済社会基本計画は、いろんな石油事情その他の問題もあって見直されなければならないと思うわけです。あるいはその作業が現に進行し、一部については、そのような形ですでに現実の経済政策としてあらわれていると思うのであります。この点について、たとえば銅にしても鉛、亜鉛にいたしましても、そういうようなわが国が現実に消費をしておる量が、国際的な全体の問題でありますけれども埋蔵されておる、あるいは産出されておる鉱物資源との見合いで、はたしてどういうふうなあり方がいいのか、こういうふうな検討を基本的にエネルギー庁あたりで加えておられるのかどうか、こういう作業が新しい観点の上に立ってきちんと進められているのかどうか、この点については長官でもよろしいのですが、お答えをいただきたいと思うのです。
  120. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 今後日本需要世界の全金属生産の中においていかなる地位を占めていくかということにつきましては、先ほど大臣の御答弁の中にも一部お触れになったと思いますが、現在日本が、たとえば銅について世界の総需要の中のどの程度のポジションを占めておるかということについて数字で御説明申し上げますと、四十七年度の実績で世界を一〇〇%といたしますと、銅は一一・五%でございます。なお、鉛につきましては、日本は五・四%で第四位。ちなみに、銅は世界の第二位でございます。亜鉛につきましては、日本世界の第二位でございまして、一二・一%の需要を占めております。
  121. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それは四十七年度に実際問題としてこれだけのパーセンテージを占めておるというのはわかりますが、私のお聞きしているのは、日本の産業構造の問題とかかわると思いますけれども、こういう比率をもって今後も進めていっていいのかどうか、あるいは進めなければならないというふうな考え方でこの経済の運営というものをやっていくのかどうか、その点をお聞きしたいわけなんです。
  122. 山形栄治

    山形政府委員 日本の産業構造は、石油の場合には非常に石油消費、エネルギー多消費でございますが、非鉄金属につきましても、いまお話がございましたように、相当のウエートを占めておるわけでございます。これはやはり日本の成長といいますか、工業が異常にふえて成長しておることに関係があると思うわけでございます。特に自動車部門、建設部門、家庭電機を中心にします電機部門、この辺が非常に大きな非鉄金属需要になっておるわけでございます。特に自動車が非常に大きいと思いますのは、銅、鉛、それからダイカスト製品としての亜鉛等は、みんな自動車でございまして、それから別途アルミが非常にこれを使っておるわけでございます。それから特殊鋼の需要が、いわゆるクローム、タングステン、モリブデンに関係するわけでございまして、これまた非常に日本の機械産業、またクランクシャフト等の自動車部品等に使われておるわけでございます。今後の産業構造につきましては、こういう資源消費の構造をなるたけ改めまして、もっと付加価値の高い産業構造に日本はしませんと、公害面から見ましても大問題だと思いますので、現在通産省全省あげまして検討いたしておるわけでございますが、こういう観点からしましても、今後の産業構造を考えるにあたりまして、エネルギーだけでなく、こういう非鉄の世界需要に見合った日本需要あり方、そういうことも当然前提にして構造問題を考える必要があろうかと考えるわけでございます。
  123. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いま長官が言われた点は、私は今後非常に大きな問題になってくるのではないかと思うわけです。私ども商工委員会にありまして、昨年来いろいろな問題について大臣に質問をしたりお答えを願ったり、あるいは事務当局にもいろいろとお答えをいただいた中で、要するに資源消費といいますか、そういうふうな産業構造を転換していかなければならないということは政府側も非常に強調しておられる、そういうふうな観点に立って今回のこの問題を見てみますと、やはりまさしく本質的にそれにかかわる問題がこの中に占められているというふうに考えるわけでありますから、そういう点については、この法案はしばらく審議が続くと思いますし、さらに時間をとる中で詰めていきたいと思います。  そこで、大きな問題として、いま海外に依存をしております鉱物資源供給が、たとえば今度の法案改正によって政府が期待するように、わが国の法人の手になる探鉱開発、こういうものが輸入にたよれない場合には、日本の産業経済発展あり方とかかわってどのような手を打っていこうとしておられるのか、その点もこの際ついでに基本的な考え方として明らかにしていただきたいと思います。
  124. 山形栄治

    山形政府委員 日本の非鉄の輸入依存度が非常に高いことは、先般来出ておるわけでございますが、今後、いまお話が出ましたように、産業構造の改変も含めまして、正常に適正な量が入るようにすることが基本だと思うわけでございます。今回法律改正をいたそうと思っておりますのも、最近の資源保有国の現実の動きに即しまして、ただ単に融資をするというだけではなくて、探鉱部門に相手国政府ないし政府機関と一緒になりまして行動し、これに出資をすることによって日本の決意を示しまして、安定供給をはかろうというのが一つの大きなねらいでございます。また、もっと進みまして、従来日本人はとかく鉱業権が取得できませんと探鉱しない、非常に潔癖なところもあったわけでございますが、最近の事態は、鉱業権は外国法人が持っていながら、日本の技術力等を非常に評価いたしまして、日本にぜひ参加してもらいたい、そのかわりといってはあれでございますが、その見返りとしてひとつ日本にも安定供給をはかろうという動きも出てきております。一言もって言いますと、非常にいろいろな姿の、多様化した開発探鉱の姿が世界じゅうにいま出てきておるわけでございまして、今回の改正案というのはそういうことに即応しているつもりでございます。そういう道を通じまして安定供給確保につとめたい。しかし、それだけでは足りませんので、なるたけ非鉄をじょうずに、少ないものを有効に使うという方法も当然国内で検討すべきだと考えるわけでございます。
  125. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 今度の法改正によってさらに一段と情勢に即して強く開発が推し進められる、こういうふうなお気持ちだと思いますけれども、しかし、全体の中で占める海外自主開発比率というものは、見通しの中でも述べておられますとおり、そうたいしたウエートにはならないと思うのです。しかも、これは専門家のほうで私どもよりもよく内容を知っておられるとおり、一朝一夕にして簡単に開発までいけるものではない、相当の長い年月を要する、こういうふうな実情にあることは言うまでもありません。先ほど事業団のほうからも非常に有力なペルーの状況が御説明がありましたけれども、しかし全体の中で占めるウエートというものはそう大きな数字にはならないのではないか、こういうふうなことが事実心配されるわけであります。ですから、そういった実情の中でこれだけにたよるというふうなことは、やはり非常に大きな問題があるのではないか、こういうふうに私は思います。とりわけ、あとで申し上げますけれども、先ほどから何回か言われておりますように、この資源ナショナリズムの台頭、これにかかわってやはりわれわれが今日の時点で考えるような甘いものではなくなってくるというふううなことも当然考慮されておらなければならないわけでありますし、そういう点についてもひとつ二重にも三重にも手を回したしっかりした対策というものがどうしても心要ではないか、こういうふうに思いますので、この点に対しては繰り返し御質問を申し上げておるわけであります。ひとつそれについて御答弁をいただきたいと思います。
  126. 山形栄治

    山形政府委員 いま申し上げましたように、非常に多様化した動きに相なっておるわけでございます。また先生の御指摘のとおり、探鉱活動及び開発まで含めますと、なかなかこれは年月のかかる、大体十年近くかかるのが通例ということでございますし、また探鉱活動そのものも全部やれば全部当たるというものでございませんで、非常にリスキーな事業でございます。しかし、われわれの基本的な考え方は、これから日本のように当面資源を外国から輸入せざるを得ない国にとりましては、資源保有国の考え方、また動き、それと密接不可分な関係になることが日本のためだけでなく、その資源開発国、資源産出国の経済発展、民生安定にも非常に寄与するべきものである、こう考えておるわけでございます。日本のような、外国から資源をうんと入れざるを得ない国は、やはり相当の責務があるはずである。したがいまして、日本自主開発だけでなく諸外国、その資源保有国に対しましてそこにむしろ製錬を興し、製錬所の設置を促進し、その地域の社会を育て、それでその製品輸入するというような弾力的な姿勢も私は当然必要だと思うわけでございます。いずれにしましても、非常に多様化した形がこれから考えられますので、あらゆる手段を使いましてナショナリズムというものを毛ぎらいするのではなくて、むしろそういうナショナリズムが起こってきている歴史的な必然の上に乗りまして、手を携えて共同して進むというような基本的な姿勢でまいるべきかと考えるわけでございます。
  127. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そこで若干具体的な内容になりますけれども、お伺いをしたいと思うのです。  開発途上国とそれからわが国のいわゆる現地法人といいますか、この協力体制の問題にかかわりまして、今後この法案改正によって事業団を通して出資をしていく、あるいはまたその資源保有国が行なう探鉱開発、これに対して積極的な投資をしていくといいますか、助成をしていく、こういうふうな立場になる場合を想定をして、少し具体的にお聞きをしたいわけです。  この場合の、たとえば資源保有国の法人との出資の割合、こういうふうなものについてはどのように考えておられるか、この出資そのものをどのように運営されようとしておるのか、この点は具体的な問題でありますが、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
  128. 山形栄治

    山形政府委員 出資比率につきましては、いまから十年ぐらい前のものにつきましては日本出資比率が相当高かったわけでございますけれども、最近はいわゆるナショナリズムということで、  これは開発途上国だけでございませんで、オーストリア、カナダ等の先進国におきましても、いわゆる合弁事業につきましての自国の出資比率を非常に高めようという動きが出ておるわけでございます。したがいまして、当然これは五〇以上というのは私は現実的にも無理だと思うわけでございますが、要はそれぞれの国、それぞれの企業、相手方の企業とその辺はよく話し合いまして、それぞれの国に一番適した形でこれを運用するのが一番いいんじゃないか、こう考えるわけでございます。
  129. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 この出資をし運営をしていくに  ついての一つ基準といいますか、こういう点はきちんときめておるのですか。たとえばいま長官おっしゃるように、その国の実情に応じて五〇以上は今後の情勢としてはあまり考えられないというふうなそういう実情に沿って考えるというふうなことなのですか。それともきちんとした考え方を何か取りまとめておられるのかどうか、この点はどうなんでしょうか。
  130. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 事業団の出資いたします五〇%までという原則は、日本の共同探鉱企業体に対する出資比率意味するものでございまして、それが相手国に投資または融資というふうな形で使用される場合は、相手国との比率が今度はそのケースにおいて何対何になるかということはケース・バイ・ケースでございまして、先ほど長官の申しましたように、相手国の立場を十分に尊重した比率がその場合に必要であることは申すまでもございませんが、少なくとも五〇%までという考えは、そういう場合における日本の投資法人の必要とする経費の五〇%までを出資いたしましょう、こういう趣旨でございます。
  131. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 わかりました。  探鉱、非鉄金属関係に限らず、発展途上国に対して日本では非常にたくさんの企業が進出をしておるわけでありますけれども、この発展途上国の多くは合弁企業というものをやはり強く要請をしておる。そしてまたそうした場合に段階的に次第に移譲する。いわゆる比率をその国が次第に高めていって、初めは五〇%であったとしても、さらに日本が四〇になり三〇になり二〇になる、こういうふうな傾向は非常に強い要請として発展途上国は持っておると思うのですね。それに沿ったような形での投資方針というものをわれわれの側でも持っておらないとたいへんなことになるのではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、去年の六月の一日に経団連、日本商工会議所、経済同友会、日経連、日本貿易会、この経済五団体が発展途上に対する投資行動の指針というものを発表しております。これはもちろん御存じだと思いますけれども、これには受け入れ国産業との協調の問題や、あるいは受け入れ国社会との協調融和、こういう問題が羅列されておりますけれども、こういう経済団体でありますから、必要とする肝心な合弁企業のあり方の問題については欠落しておるわけです。非常に問題をまだ残しておると思うのです。これはああいう石油危機が去年の秋以降起きる前の段階でありますから、そういう点についての認識というものがあるいは若干薄い、このような時期かとも考えられますけれども、しかし、いまからまだ十カ月あるいは九カ月そこそこ前の基本方針であります。こういう点を考えてみますと、急速に高まりつつある資源ナショナリズム、そういうものに対する認識は、やはりこの際非常に厳格に考えておらないと見通しを大きく誤るのではないか、こういうふうに思うのです。それで、経済五団体が出された投資行動の指針というものについては一体どのようにお考えになっておるのか、これはひとつぜひ大臣から一言基本的な考え方を述べていただきたいと思います。
  132. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その投資行動の指針が出るにつきましては、私は正月にタイへ参りましてその実情を見てこれはいかぬと思って、経済団体にもそういうことを慫慂して、そして経済団体も自主的にいろいろ検討して、その結果出てきたものがその投資行動の指針でもございます。中身についてはおおむね妥当であると思いますが、いまおっしゃった合弁企業云々という点は、あるいはさらにもう少し考える余地があるのかもしれません。ともかく利潤の処理あるいは現地の技術者や職員の栄進の問題、あるいはそのほかにつきましても、要するに再輸出に向かうとか、あるいは現地社会の発展のために寄与するとか、そういうような趣旨も盛り込まれておりまして、おおむね妥当であると思います。  ただ、資源ナショナリズムというものの観点から考えるという点は、つくられた時期が時期でありますから、それほど強く出ていないと思います。そういう点については、実行上においてわれわれ大いにその点を強調して、また自粛なりあるいは体制強化を求めていきたいと思います。
  133. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 日本の、これは七二年度末までの海外投資許可累計額のうち、特に資源開発の投資は三五%を占めている、こういうふうにいわれておるようであります。この比率は非常に高いと思うのですね。日本資源を持たない国でありますから、それだけに海外に有力な資源をたよらざるを得ない。こういうことをこのことは明らかにしていると思いますけれども、しかし同時にまた、日本だけではなくして、いわゆる先進的な工業国といわれております各国においても、幾つかの国を除いてはやはり自国に資源を持っておらない。こういう状況にあろうかと思うのです。日本はいま三五%というふうになっておるというふうに申し上げたわけですが、その他のヨーロッパの諸国などにおいても、海外資源を求めるための資源確保競争というものは非常に高まってくるのではないか。相当激しくなってくるのではないか。具体的に言えば、国がそれに対してどれだけの資金的なめんどうを見るかというふうなものにもかかわってくると思いますけれども、こういうお互いの先進国の投資競争あるいは資源確保競争、こうした中でわれわれが過去において経験をした幾つかの苦いやり方というものはどうしてもやはり避けていかなければならないのは当然でありますし、そのことをいま例をあげてどうこう申し上げようとは思いませんけれども、この先進国間の競争の問題、それから先ほど来言われております発展途上国における資源保有国の産業経済あるいは民生向上、こういうものに寄与するわれわれの姿勢、このことが非常に大切ないわゆるポイントだと思うわけです。今回積極的にいままでのやり方を一歩進めるという、この事業団活動の中でも中心的にはこの問題が一番大切ではないか、こういうふうに考えておるわけでありますから、先ほど大臣も言われましたけれども、まあ通産省としてもさらに経済諸団体に対しても強力な誤りのない方向での指導というものを一そう強めていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、今回の法律改正に伴って、いわゆるわが国が共同出資をするような場合に、それを受け入れる現地側の法人ないしは国、こういうものについては、先ほど事業団のほうからも若干一部例示して説明はありましたけれども、全体的にどういう趨勢にあるのか、あるいは内容をもう少し全体的なものとしてきちんと把握しておられるならば、その点を明らかにしてほしいと思います。
  134. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 資源開発につきましては、相手国の立場等もございまして、この段階で、この制度による運用を確実に現在の時点で申し上げるわけにいかない。相手国の立場もあろうかと思いますので、具体性にはやや欠けますけれども、先ほど事業団の理事長のお話の中にもパナマとペルーという国が——そのほかに私ども現在事業団を通じ、あるいは業界を通じて、探鉱につきましてのアプローチといいますか、そういったもののございます国といたしましては、中南米のコロンビア、パナマ、あるいは南米のチリ、中近東のイラン、あるいはアフリカのモロッコ等々の諸国がございます。  なお、これらの国々がこの制度につきましても理解をし、あるいはたいへんな興味を持ちまして、早急な具体的な話し合いに入りたいというふうな意向を持っておるわけでございます。
  135. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 事情はいろいろあると思うのですが、どうもまだいまの答弁では、一般的な傾向としてわれわれの側でいま進めようとしている、たとえばこの事業団活動の一歩前進した積極的な姿勢、そしてその中から生まれてくる制度、政策、こういうものに興味を示しておるというふうな程度にとれるわけですね。たとえば具体的にそれらの資源保有国が日本にどうしてほしい、どういうふうなやり方をとってほしいということを具体的な要求あるいは要請として出してきておられないのか。これはやはり全部というわけにはいかぬでしょうけれども、もう少し具体的に幾つかの例示をしながら答えていただきたいと思うのですよ。
  136. 山形栄治

    山形政府委員 いま課長のほうから話しましたように、ペルー、メキシコ、コロンビア、ニューギニア等いろいろとあるわけでございますが、一つ非常に大きな、先ほど理事長からもお話がございましたペルーにつきまして申し上げますと、四十六年から四十八年まで基礎的な地質調査事業団が行なってきたわけでございまして、四十八年十二月にペルーの鉱山大臣から日本通商産業大臣あてに、同地区の探鉱につきまして日本の企業体とペルー鉱山公社が共同して実施すべきであるという申し入れがあったわけでございます。これは日本側探鉱活動を非常に評価したペルー側の意向表明であったわけでございます。この動きを受けまして鉱業界の代表が今後のスキームの作成につきまして、この二月にペルーにおもむきまして、基本的な契約を締結いたしたわけでございます。  この契約の概要は、ペルー政府がヤウリという地区に特別鉱区を設定いたしまして、これをペルー鉱山公社に譲渡する、今後の探鉱計画、経費等を検討するため、日本側とペルーの公社による合同委員会を設置しまして、探鉱費用の日本側の負担、それから開発計画書の作成等を内容とする契約を結んだわけでございまして、この契約の締結によりまして、この探鉱が非常に今後促進される基本条件が充足されたわけでございます。なお、ちなみに、このヤウリというペルーの鉱山は銅でございますが、期待鉱量が大体四億ないし五億トンという相当大きな鉱区でございます。
  137. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いまの御説明の中で、基本契約にある日本側の財政の負担といいますか、それはどのくらいになるのですか。
  138. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 ただいま長官の申しましたのは、今後の探鉱計画あり方というものについて基本的な考え方の合意を見たということでございまして、今後具体的にどの程度の金額を探鉱費に投入していくかということは、この法案を御審議いただきました後に、現実にこの法案に基づく投資が可能になりました段階であらためて相手国と詳細なる実施計画を進めるわけでございます。
  139. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 このペルーのほかに、まあこの程度まで進んでいるかどうかは別といたしまして、現地側の強い要請に基づいて探鉱も相当成功をして、そうして契約が進められそうだというふな国ないしはそういう地域はございますか。
  140. 山形栄治

    山形政府委員 それ以外のを申し上げますと、パプア島のフリエダ鉱山というのが、これも埋蔵鉱量が四億ないし五億トンの大きなものでございますが、これにつきましては、オーストラリアのマウント・アイザ一社という会社から共同探鉱への要請がなされまして、その後、事態の進展に伴いまして、基本契約をいま締結する寸前でございます。  この場合を具体的に申し上げますと、相手国が六割、日本企業が四割の合弁会社を設立しまして、その探鉱の結果に基づきまして、開発に移行しました暁におきましては、日本側出資比率のちょうど四〇%の鉱石の引き取り権を持つことに相なるということでございます。  その他、それほどまだ進んでおりませんで、現在専門家間で調査を進めており、計画を作成、契約の前段階になっておりますものが、サンイシドロ鉱山、メキシコのノルチクライラ鉱山とかいうものがあるわけでございます。
  141. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 大体時間が来たようでありますからこれで質問を終わりますが、きょうのところはきわめて概活的な質問でございまして、さらにこの出資あり方等の問題をめぐって相当こまかく詰めなければならぬと思いますけれども、またいずれ機会があると思いますので、本日は以上をもって質問を終わります。
  142. 田中六助

    田中(六)委員長代理 板川正吾君。
  143. 板川正吾

    ○板川委員 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案が提案されましたが、本日提案でございますから、私は若干前回の金属鉱業事業団法改正以来のことについて質問をいたしたい、こう思うわけであります。  これは大臣か、エネルギー庁長官でいいのでありますが、この金属鉱業事業団法目的の項目の中に、こういう字句がまだ残っておるわけであります。     〔田中(六)委員長代理退席、稻村(佐)委員長     代理着席〕 「金属鉱業事業団は、金属鉱物探鉱に必要な資金の貸付け」まあ今度「供給」というふうになりましたが、「及び地質構造調査その他金属鉱物資源開発を促進するために必要な業務を行なうことにより、優良な金属鉱物資源確保を図り、もって金属鉱業国際競争力の強化と金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給に資すること」という意味のことが目的の項目の中にあるわけであります。  実は、これも私、聞いた話でありますが、ある業界の方が海外交渉に行った際に、この法律目的を聞かれた。その場合に、いまなお国際競争力の強化ということが法律の大きな柱になっておる、日本はいまなお国際競争力の強化を目標にまっしぐらに経済アニマルと非難されながらも走っているのか、こう言われて、実はそれに応答することばに窮した、こういう話を聞いたわけであります。  今回、この改正案の中に目的改正があります。私は、金属鉱業国際競争力を強化するということは、経済アニマルと非難される今日においては、こういうものは削除して、金属鉱物の安定的確保というような意味に書きかえたほうがよかったんじゃないだろうか、こう思うわけでありますが、この点、いまなおこういう字句を残すことについては大臣、どういうふうにお考えでございましょうか。
  144. 山形栄治

    山形政府委員 御指摘のとおり、これはほぼ十年前、日本輸入の自由化問題が非常にあれしましたときのその辺のなごりが残っておるわけでございます。先生の御指摘も非常にもっともだと思う点があるわけでございますが、しかし反面、やはり日本の国内鉱山、国内製錬業は非常に弱体でございまして、たとえば有名なるケネコット、アナコンダ、アマックスというような世界的な企業から比べますと、その内部留保額なんかはおそらく約百分の一に近いようなことになっておるわけでございます。しかし反面、先ほど来出ておりましたように、相当企業の体力がつきませんと、これから諸外国での共同開発なり資本参加なりは現実問題としてできません。やはり力をつけるという必要は今後ますます強まるんじゃないかと思いまして、そういう体質の強化というようなことも含めまして、「国際競争力の強化」ということばがそのまま残っておると理解するわけでございます。若干表現にそぐわない点があろうかと思いますが、企業の体質の強化とあわせて海外にも堂々と進出できるような活動できるような力というふうに御理解を願いたいと存じます。
  145. 板川正吾

    ○板川委員 日本の鉱業の企業体が非常に弱い、外国の百分の一にもならないところもあるから、それを外国並みに企業自体を何十倍も大きくしようという意味じゃないでしょう。この国際競争力ということはそうじゃないでしょう。だからいま、たとえば金属鉱業の主要品目である銅なんかの国際価格は、二、三日前にも建て値がトン八十七万円。しかし日本の自山鉱石では、若干上がったかもしれませんが大体三十八万円程度で生産できるといわれておる。その生産された品物の国際競争力、この国際競争力というのは価格の問題だろうと思うのですよ。だから私もあえてこんなことにしこだわりたくはないのですが、適切な字句ではない。特に外国と対外交渉が多くなる今日において、この主要な法律目的の中に実情に即さない字句があるなら今回もかえておるのですから、こういう機会にこういう文章もしかるべく整理されたらいいんじゃないかと思いますが、この問題は別にこだわる必要はありませんので、念頭に置いて今後の処置をしていただきたいと思います。  前国会で金属鉱物探鉱促進事業団法の一部が改正されまして、事業団は鉱害防止に必要な資金の貸し付け業務も行なうことになりました。また同時にその際に金属鉱業等鉱害対策特別措置法という法律ができまして、鉱害対策に対する特別措置法が成立を見たわけであります。その際に、当委員会のこういう附帯決議があります。「蓄積鉱害源を早急かつ確実に処理するため、休廃止鉱山の鉱害調査を一層促進するとともに、鉱害防止に関する指導監督を強化すること。」これが金属鉱業等鉱害対策特別措置法案に対する附帯決議の第一の項目であります。  それで、この金属鉱業事業団金属鉱業等鉱害対策特別措置法との関係でありますが、これは事業団が鉱害対策事業に対する融資をやることになりましたが、ここに取り上げられている鉱害対策というのは鉱害の発生源の対策でありまして、長年にわたって汚染された蓄積鉱害に対する対策としてではない。したがって、こうした蓄積鉱害の排除もしていかなくちゃならないからこの実態調査をしてほしい、これが附帯決議の第一の要求であったのでありますが、政府は、蓄積鉱害源に対する調査をその後どうされておるのか、伺っておきたいと思います。
  146. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 御質問になりました、主として鉱山等が原因となっております重金属関係調査の問題でございますが、全国の土壌の汚染の実態については必ずしも明らかではございません。ただ、既往の調査の結果によれば、重金属によって汚染されていると思われる面積はおおむね三万七千ヘクタールというふうに推定をされております。  なお、土壌汚染防止法ができまして、これに基づいて昭和四十六年度からカドミウムにかかる細密調査をやっています。これによりますと、カドミウム一PPM以上の玄米が検出された地域は四十六年度は二十八地域、四十七年度は十八地域、実数にいたしまして三十七地域でございます。また銅によって汚染されているというところは、この細密調査結果によりますと、基準をこえる一二五PPM以上のところが七地域でございます。これらの地域につきましては、土壌汚染防止法その他に基づいて対策地域として指定するなど、現在所要の措置をはかっておる状況でございます。なお、四十八年度は現在取りまとめ中でございますので、これはまとまり次第公表いたすということにいたしております。
  147. 板川正吾

    ○板川委員 環境庁に伺いますが、土壌汚染防止法による対策地域の指定及びその計画策定地域、こういう調査ができておると思うのでありますが、これは主としてどういう流域地域でありますか。
  148. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 土壌汚染防止法に基づく対策地域指定のための調査は、ただいま申し上げました四十六年度から始めました。細密調査でございます。これは主として鉱山の下流地域であるとか工場周辺地域をおもに調査をいたしております。それが先ほど申し上げましたように、カドミウムでは一PPM以上のところが三十七地域、銅は七地域発見をされておるということでございます。
  149. 板川正吾

    ○板川委員 質問のしかたが悪かったかな。じゃ具体的に伺いますが、群馬県渡良瀬川の流域、まあ桐生市、太田市周辺でありますが、この足尾鉱山の流域における蓄積土壌汚染、こういう実態についてはどういう計画ができておりますか。
  150. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 いま御質問のありました渡良瀬川流域地域につきましては、すでに調査を終わりまして、四十七年に対策地域としての指定をいたし、またさらに四十八年に追加をいたすということでございます。
  151. 板川正吾

    ○板川委員 これの対策計画はどういうふうになっておりますか。この指定されたというのはわれわれもわかっておるのですが、どういう対策を、どの地域に、どういう予算規模で講じられておりますか。
  152. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 対策計画の樹立は都道府県知事が行ないますが、現在これは県において対策計画樹立中でございまして、私どものほうへまだ公式的に相談がございませんので詳細は存じませんが、対策地域全般につきまして、主として、客土等を主体とした土地改良計画というふうに伺っております。  なお、先ほど追加指定で四十八年と申し上げましたが、四十九年の誤りでございます。訂正をさせていただきたいと思います。
  153. 板川正吾

    ○板川委員 これは通産省も聞いてもらいたいのです。環境庁ももちろんですが、この蓄積汚染、何百年かあるいは何十年か、とにかく非常な歴史を持った鉱山があった流域で河川による蓄積汚染というのがございます。この渡良瀬川もそうでありますが、この蓄積汚染について汚染を除去する作業、工事というのは膨大な費用がかかると思います。渡良瀬川流域については四十七年にすでに地域指定がされた。しかし、実際まだ計画は立たない。これはおそらく膨大な資金を要するので計画が立てにくい、こういうことだろうと思います。広大な地域の土地をどこへ持っていくのか、その土地を持っていったところでも、公害の土地をやたらに捨てられては困るわけであります。それをまた、他から客土して公害をなくすためには膨大な土地が必要だ、どろが必要だ、こういうことになってなかなか対策が立たないと思います。  こういうように長年にわたって蓄積された公害というものをPPPの原則、公害発生者負担の原則、こういうものでやりますと、これは原則でありますが、何百年あるいは百何十年続いたこの鉱山の流域などというときになりますと、こういう原則だけではなかなか思ったように公害防除の作業が立案をされないし、進まない。PPPの原則をとっておる限り百年河清も待つというような事態になっておるのじゃないだろうか、こう思うわけでありますが、こういう場合にPPPの原則もさることながら、この金属鉱業事業団が発生源に対しては融資をしております。この前の国会できめましたように、鉱山があった地域、その地域で過去において積んでおった鉱滓が流れ出さないようにとか鉱害防止のための工事をするについては国が三分の二、補助をし、県が主体になって鉱害防止の仕事をやるわけですけれども、蓄積鉱害に対しては実は対策が十分じゃない。ここでこの金属鉱業事業団が鉱害防止の融資を行なうことになっておりますが、ここからこういう鉱害防除の事業に対するPPPの原則を研究しながらも、融資という制度、流域の蓄積鉱山に対する融資というのも必要じゃないだろうか。拡大する必要があるのじゃないだろうか。発生源の対策は昨年できております。流域の蓄積鉱害に対する対策はまだできてない。だから調査をしろと言っているわけです。まあ調査も十分じゃありませんが、これは将来事業団から融資対象にするような方策というものを考えられないかどうか、これの御意見を承りたいと思います。
  154. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  長年にわたります御指摘のような環境に対します汚染、これはPPPの原則から見ましても、当該鉱業権者が原因行為者でない場合もあるわけでございます。ただ、その辺の識別が非常にむずかしいという問題もございまして、御案内のように、鉱業法の規定によりますと無過失賠償責任の規定がございまして、物的あるいは人的な損害に対して鉱業権者あるいは発生者が明らかな場合には、発生行為者が責任を負う、こういう形になっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、御指摘のような広範な農用地汚染等々の問題は放置するわけにまいりません。したがいまして、可能な限り早急にこれを解決する必要があろうかと考えております。したがいまして、昨年度事業所内におきます鉱害防除を促進するということで法改正をしていただきましたが、あの際、事務方がいろいろ原案を作成いたします段階で、私どもは、すでにただいま先生が御指摘のような農用地汚染の分についても同様な扱いをすべきだというふうな議論もあったわけでございます。ただし、一挙にそこまでなかなかまいらないという判断のもとに、とりあえず事業所内の蓄積鉱害排除についての措置だけを私ども政府原案としてお願いをして成立を見たような経緯になっております。したがいまして、私どもは早急にただいま御指摘のような農用地等環境汚染の問題につきましても、PPPの原則に立脚しながらも、現実にそれが早く解決されるような方向に進めるべく事業団の機能を今後検討いたしまして、いまのような機能を持ち得るように改めてまいるべくいま内部で検討しておるさなかでございます。
  155. 板川正吾

    ○板川委員 これは農林省に伺いますが、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律ですが、この場合には地域を指定して計画を立てさせて、県が主体となって鉱害防除の事業をするわけでありますが、事業者が幸いに存在している場合には事業者の負担が二分の一から四分の三ということになっておりますね。そして国と県は、事業者が二分の一持った場合には、残りの二分の一、事業者が四分の三負担した場合には、国はその残りの四分の一の二分の一ないし三分の二、県は三分の一ないし二分の一、事業者が四分の三を負担する、その残りを県が三分の一から二分の一、国が二分の一から三分の二というように、国や県のこの補助率というのは非常に低いということになっております。そうしますと、この農用地に蓄積された土壌汚染対策という膨大な工事をやる場合に、どうしても企業側の負担が多過ぎて、なかなか対策が進まない、こういうことにもなる。ですから私は、国がこの際、もっと負担を増して、そして使いものにならない広大な土地を早く有効に使えるように、生産できるようにしたほうが国の経済の面から見ても有効ではないだろうか。こう思うのでありますが、この点に対してのお考えを承りたいと思います。
  156. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 土地改良事業等における費用負担の問題でございますが、現行の費用負担法によりまして、第四条では汚染者によらないもの、いわゆる自然汚染分といったものを除くことになる。また第二項で、蓄積期間等を考慮するということで、その原因者の原因の程度に応じて支払えということが定められております。費用負担計画を策定する場合は、知事が必要な解析調査をやりまして、汚染者のそれぞれの分を調べるわけでございますが、実態として休廃止鉱山がかなりあって、汚染者の分が非常に算定がむずかしいというような場合には、原則的にはやはり国なり県なりで持つのが原則的なものであろうと思います。  ただ、実態として、いろいろのたくさんの休廃止鉱山等と、それから現行稼働中のものとが入りまじっているような場合が種々ございますので、それらは実態に即した形で国なり県の費用分担の割合をきめていくということになると思います。
  157. 板川正吾

    ○板川委員 全国における鉱山数は約七千百ある。現在稼働しているのが二千百、休廃止しているのが五千、こういう大体の概算でありますが、休廃止鉱山五千の中で、資料によって無害だと思われるのは千四百ほどであります。あとの三千五、六百というのは、実態調査によって有害だとされ、あるいは資料によって有害だとされておるわけであります。  いずれにいたしましても、この休廃止鉱山の鉱害発生源に対する対策というのは、昨年法律ができて動いておるわけです。十分じゃないけれども動いておる。五年間でこれを解除していこうという計画になっておるわけでありますが、蓄積鉱害に対しては、どうしてもまだ十分な対策がないわけであります。私は、この蓄積鉱害については、一通産省あるいは環境庁あるいは農林省、建設省、こういうそれぞれの関係機関が、もう一ぺん正確な実態調査をして、そして、これに対する鉱害排除対策というものをつくるべきではないだろうか。そうでないと、いたずらに膨大な土地が有効な生産ができないでいる、こういうことになり、農民なりの不安というのも大きいと思うのでありまして、この際、関係各省が力を合わせて、この蓄積鉱害に対する排除措置というものを立てるべきではないだろうか、こう思いますが、大臣どう考えますか。
  158. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、休廃止鉱山が五千をこえております。これらのうち三千五百余の鉱山が実査あるいは資料によりまして有害の可能性があるということになっておりますので、こういった実態をより的確に調査いたしますと同時に、極力早くこういった不安を排除することが緊急の課題でございます。したがいまして、昨年度予算の交渉の段階で、国会等からの要請もございまして、八月末の予算要求に出してないにもかかわりませず、私どものほうから財政当局交渉といたしまして、幾つかの点において、こういった問題を取り上げるべく一応の土俵程度のものができております。現在、四十九年度の予算案の中に金属鉱業蓄積鉱害対策費という名目で、こういった、ただいま御指摘調査あるいは計画なり対策を各省庁が寄りまして審議する費用等一千万及び蓄積鉱害の中で特に問題になります抗廃水の処理を技術的に抜本的な解決策を講じなければ年々膨大な石炭石の投入を必要とするというような問題もございまして、こういう技術的な検討も含めまして約二千五百万でございますが、内定をして、そういった予算措置を前提にしてただいま各省の折衝しておる段階でございます。  いずれにいたしましても、こういう土俵で的確な調査及び外部の学識経験者の参加も得まして、的確な金属鉱業蓄積鉱害対策を立案し、一日も早く蓄積鉱害の排除に努力を傾注してまいりたいというふうに考えております。
  159. 板川正吾

    ○板川委員 一千万の調査費がついたそうでありますから、ぜひ有効に使って、一日も早く正確なデータをつくり上げて次の対策の準備をしてもらいたい、こう思います。  ちょっと時間があるようですから農林省に伺いますが、食品衛生法によって、お米の規格、安全規格といいますか、玄米中にカドミウム含有量一PPM以下でなければならぬ、こういうふうになっておるのでありますが、このカドミウムに汚染されたお米に対して、どういう取り扱いをいたしておられますか。例の安中周辺の米とかあるいは各地における、明らかにカドミウムに汚染されておるという地域から生産されているお米についてて、どういう取り扱いをしておりますか。
  160. 志村光雄

    ○志村説明員 お答えをいたします。  カドミウム汚染米の政府買い入れでございますが、買い入れの取り扱いといたしましては、農家保有玄米がカドミウム濃度が一PPM以上と認定された地域からの産米につきましては、そのカドミウム濃度が一PPM未満であることが明らかにされない限り政府買い入れをいたさないことにいたしております。それと、自主流通米というのが御案内のようにありますが、これについても同じように一PPM以下でなければ出荷をしてはならないというふうに行政指導をいたしております。あわせて配給の取り扱いもおのずから一PPM以上のものについては政府配給をいたさないということにいたしております。
  161. 板川正吾

    ○板川委員 食品衛生法に基準があるから一PPM以上では売ってはならぬ、政府も買わぬということになっておりますが、買わないということになると、農家はでき上がったお米をどういうふうに処分しておるのですか。それはカドミウムが幾ら入っているかというのは実際取り入れてつくってみなければわからないわけでしょう。だからその場合に、もしそういうのをつくってみた結果、検査してみたらば一PPMをこえておったという場合に、どういう取り扱いをしているのですか。政府が買わないというと農民はどういうことになるのですか。
  162. 志村光雄

    ○志村説明員 御質問の農家の保有米で一PPM以上のものが出たということになりますと、一PPM以上の汚染米につきましては染色のり、あるいは接着剤等への原料として食糧庁が食管法に基づきます売却先を限定して食糧等への横流れの防止措置を講じて売却をさせるようにいたしております。現在までほとんど政府の持っております一PPM以上のものは売却がありませんけれども、生産者の持っておるものにつきましては、いま申し上げましたような接着剤なり染色のりへの売却がなされております。
  163. 板川正吾

    ○板川委員 接着剤やのりに使う場合には値段はどういう程度になっておりますか。ほぼ普通のお米と変わらないのですか。
  164. 志村光雄

    ○志村説明員 工業用原料でございますし、現在大体二万円から三万円程度の価格ではないかと思います。現在政府が買います一俵一万三百円の米でトン当たり十七万でございますから、それと比較していただけばわかります。
  165. 板川正吾

    ○板川委員 ちょっと待ってください。政府が買い込むのが一俵一万二千円ですか。
  166. 志村光雄

    ○志村説明員 ちょっと数字を正確に申し上げられませんけれども、一俵が一万三百円ぐらいだと思っております。それをトン当たりに直しますと十七万円程度になります。ですから、いま申し上げましたのり、あるいは染色のりにはトン当たり二万円から三万円ということでございます。
  167. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、カドミウム汚染によって農家はそれを食用でなくて工業用に売った場合に八分の一から九分の一くらい安く売らざるを得なくなる、こういうことになるわけであります。それも原因者がはっきりしていればその損害を原因者のところにもっていって賠償要求できます。それはわかります。ところが原因者が不明で、あるいは原因者が不特定多数で、どこからその汚染の原因があったかわからないようなところで最近非常に汚染米の補償の問題について紛争があちこちあると聞いていますが、そういう問題はどことどこでどういう程度に起こっておりますか、わかりませんか。
  168. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 ただいま御指摘のございました紛争が起こっているという話でございますが、私どもはまだどこでどういうことが起こっているということは聞いておりません。
  169. 板川正吾

    ○板川委員 原因者が不明で、しかもカドミウムの汚染が一PPMをこえておる、どういう場合には、たとえば十七万で売れるお米が二万円にしか売れないということになる。原因者があった場合にはそこへ損害賠償を要求できるので、これは払うでしょうが、原因者がない場合には、なかなかそれを持っていきようがない。そういうような米については、私は最近紛争が非常にあると聞いておるのでありますが、原因者がわかりませんから、この場合には、政府として汚染米の買い上げ等、原因者がわからない場合には何らかの措置を講ずる必要があるのじゃないだろうかと私は思いますが、これはどうお考えですか。
  170. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 御指摘のように、原因者がおりません場合の米の買い上げ問題というものは、現在都道府県または市町村がそれぞれ政府買い入れの価格に準じた形で買い入れておる例が大半だと思います。ただ、地方行政の上からいきまして、負担が非常にかかるということから、何らかの形で国でもめんどうを見ていただきたいという御要請はあるわけでございます。国としましても、関係各省がこの問題につきまして検討を行なうべく去る二月に一度集まりまして、いろいろ御相談申し上げておりますが、今後もこの問題について解決がはかられますように、早急に問題の詰めを行なって何らかの解決策を出したいというふうに考えております。
  171. 板川正吾

    ○板川委員 予定の時間になりましたから、金属鉱業事業団法の問題についてはいずれまた機会をあらためて質問いたしたいと思いますが、本日はこれをもって終わります。
  172. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 野間友一君。
  173. 野間友一

    ○野間委員 日本の産業構造を見てみますと、特に非鉄金属についていいますと、世界の主要資源の一〇%から二〇%を消費する。これはエネルギー庁の資料にもあるわけですけれども、いわゆる資源消費型であります。この非鉄金属などの資源の不足問題、これも言ってみれば、重化学工業偏重の産業構造というところにやはり問題があるのではないかというふうに私は思うわけです。つまり今日までの高度成長政策の結果、まるで日本世界の工場になっているともいわれるわけですけれども、いわゆる資源の浪費を必要とする経済体質をやはりどうしても変えなければならない。農業とかあるいは漁業、これらとつり合いのとれた経済発展、ここにやはり転換をしなければならないのではないかというふうに私は考えるわけです。そういう現状の中で、いまの発展途上国への資源依存が非常に過大になっておるわけです。同時に大企業の資源への需要をそのまま肯定するというような資源海外開発にやはり問題がある。もっといま申し上げた産業構造の転換を根本的にはかるべきである、こういうふうに私は思うわけです。資源問題でも幾つか大きな壁にぶつかっているというふうに思うわけでありますけれども、こういう現状を一体どのように御認識されておるのか、最初に通産大臣から御答弁をお願いいたします。
  174. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一九七〇年代の日本の産業構造というビジョンにおきまして省資源、省エネルギー、そして知識集約型へ移行ということが目標とされており、通産省もその方向に鋭意努力してきておるところでございます。そういう面から見ますと、省エネルギーという点は今度の石油危機でわりあい認識されましたが、省資源という点についてはまだ必ずしも十分でないように思います。いずれ産油国と同様に、資源保有国のナショナリズムはさらに隆起してくる可能性も十分ございますし、また日本の公害問題その他も考えてみて、できるだけ省資源型の産業体系に転換しながら、資源エネルギーをセーブしつつやはり高度の産業体系に移行していく、そういう努力を積極的に進めていかなければならぬと思います。
  175. 野間友一

    ○野間委員 現状では石油をはじめ、あらゆる資源海外依存が非常に高い。こういう現状の中ではどうしても発展途上国との経済協力の正しいあり方というものが問題になると思うのです。そのためには、やらずぶったくりと申しますか、こういう取りっぱなしの態度は改めなければならないこれは当然のことだと思います。それについては天然資源主権の問題をやはり私たち大きく取り上げて考える、そういう時期が来ておる、そのように思うわけです。特に今回の改正によりまして、政府融資から出資によりまして、発展途上国への資源開発協力がさらに一歩進むわけでありますけれども、こういう点を考えて、特にこの天然資源の恒久主権の原則というものは当然に尊重されるべきである、このように考えるわけであります。この点についてどのようにいま政府が判断されておるか、あるいは認識されておるか、御答弁をお願いします。
  176. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 発展途上国等を中心にする資源の民族主義的な処理という点についてはわれわれも十分理解し、同情もしていかなければならぬと思っております。ただ、発展途上国におきましてもやはり独力では開発はできないので、先進国に協力を求めてくる場合が多々ありますが、そういう場合におきましても共存共栄の精神のもとに互恵平等ということで、お互いが有無相通ずるという経済方式をとっていく必要があります。略奪産業型のやり方、略奪投資型のやり方というものはこれからは厳に戒めなければならぬと思います。
  177. 野間友一

    ○野間委員 そこで、そういう御趣旨は私は了解するわけですけれども、天然資源の恒久主権について、これは国連で何回か決議が出されたわけでありますけれども、いままで政府はこれに賛成していないというのが現状であります。この九日、日本でいいますと十日ですけれども、国連の資源特別総会が開かれるわけでありますけれども、その際におきましても、アルジェリアなど発展途上国がこの恒久主権の原則についての基本方針を固めまして、これが提起されるということが予定されるおるようでありますが、これについて政府はどのような基本的な方針で臨まれるのか、態度をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  178. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さきにアラブが提起しました石油問題に関する資源の恒久主権という思想には、われわれは賛成票をこの間投じたわけでございます。今回のアルジェリア提起の問題につきまして、われわれも水田代表を送るわけでございますけれども、十分それらの発展途上国、資源保有国の立場に理解を持った態度を示したわが国の態度を表明することは必要であると思います。ただ、出てくる決議の内容によりまして、ケース・バイ・ケースで検討しなければなりませんし、過渡的にあるいは暫定的にわれわれとしての条件もまた主張しなければならぬこともあると思いますが、一般論としましては、十分理解ある態度で臨むことが必要である、そういうふうに思います。
  179. 野間友一

    ○野間委員 話を進めますけれども、海外での鉱山の探鉱あるいは開発にあたりまして、発展途上国の地域社会との調和、鉱山地域の経済開発について、通産省エネルギー庁の資料の中で、「鉱山地域の経済開発を促進させることを念頭におくことが必要です。」云々ということで、一七ぺ−ジのところに「電力・水道・通信・道路・港湾などの整備を図っていかなければなりません。」こういうふうに書かれておるわけでありますけれども、いままでの海外のこういう開発等を考えてみますと、必ずしもこれが住民の利益になっていない。極端に言いますと、これらの手だては、日本海外開発企業のいわゆる産業基盤に力点が置かれて開発が進められておるということで、よく発展途上国からの批判とか非難を浴びておるところでありますけれども、このことは国内におきましても、たとえば臨海工業地帯、至るところで開発が、公害等々の環境破壊とか農村、漁村に対する破壊を伴っておる。こういう現状から考えて、またいま大臣のほうから話がありましたけれども、ナショナリズムの台頭という点から、よほど慎重にこれらの問題に対処していかなければ、これはやはり反発を買うのは明らかだと私は思うのです。これについて、いま申し上げたように、ほんとうに住民の利益になるためにどのような方向で対処されようとしておるのか、いままでの反省の上に立って、具体的、抜本的なそういう対処のしかたを考えておられるのかどうか、これは長官でもひとつお答え願いたいと思うのです。
  180. 山形栄治

    山形政府委員 非鉄金属の開発につきましては非常に長い歴史を持っておりまして、日本鉱業等、先駆者的に海外資源開発に携わっておったわけでございます。私の知っている限りにおきましては、非鉄関係につきましては現地においてトラブルが起こっているようなことは皆無だと聞いておるわけでございます。しかし、これは昔からのことでございますけれども、最近、いま御指摘のとおりの各国の動きもございますし、一番大事なことは、金を出して資源日本に持ってくるという短絡思想というのが一番いかぬことであろうと思うわけでございます。今回法改正もいたしますが、海外における非鉄山の開発につきましては、経済協力基金の御協力も得まして、現地における学校施設、保健施設、その他インフラストラクチュア等につきましても、当然その一環として、できる限りの、特に低開発国におきましてはできる限りの現地の民生及び経済の成長とあわせて鉱山の開発を行なうという姿勢で臨んでおるわけでございます。
  181. 野間友一

    ○野間委員 公害防止の点についてお聞きします。  国内での鉱山開発では防止についての義務づけがなされておるわけですが、この金属鉱業事業団も、そのために防止事業に必要な資金の貸し付けとか、あるいは積立金の管理を行なっておるわけでありますが、海外での鉱山事業における鉱害防止事業については、法的なこれの義務づけがない。これについていま具体的に事業団として鉱害防止の手だてがどのようになされておるのか、ひとつ海外に限って答弁をお願いしたいと思います。
  182. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  海外で鉱山活動をやります場合に、ただいま御指摘のように、地元社会との協調融和、さらにその事業活動が真に現地開発あるいは発展に寄与するということが当然のことでございます。その際、公害問題あるいはそれよりも先に安全問題が、人の命の尊重あるいは環境保全という見地からきわめて重要な課題であることは、国内におけると同様でございます。  そこで、現実にこういう方向でどういう形で海外鉱山開発をやる際にこれを実行に移していくかということでございますが、一般的には、御案内のように、昨年六月経団連等五団体が自主的に発展途上国に対する投資行動の指針を発表しておりまして、その中で受け入れ国の環境保全に十分つとめるという方針を明示いたしておりますし、私どもといたしましても当然のこととして評価しております。  同時に、こういった民間の動きをさらに加速化し、かつ具体化するために、私どものほうも情報の収集あるいは現地調査の徹底というふうなことを進めておりますが、特にいま内部で検討しておりますごく基本的な考え方を申し上げますと、先進国の場合には大体公害法規が完備しておりますので、それに従えばいいわけでございますが、一般に発展途上国の場合には、公害法規が不備あるいは皆無という状況でございます。こういった場合に、放置しておきますとあるいは問題になるような事態になるおそれもございますので、私どもは、日本あるいはその他の先進工業国で持っておりますような安全基準、公害基準というようなものを基礎にいたしまして、一つの指導基準をつくってまいりたい。それで、日本の鉱山企業が海外に出ます際、いろいろな形で役所がチェックすることになっております。その際に、あわせましてこの基準に適合しているかどうかを検討する。それで、現実にそういう形で出ました鉱山企業活動につきまして大使館の資源アタッシュあるいは金属鉱業事業団海外駐在員等が随時これをチェックしあるいは指導する、その結果われわれのほうに意見が寄せられればそれを本社を通じて姿勢を直していくというふうな方法が一番適切ではなかろうか。御案内のとおり、わが国の法規は直接海外の諸国に適用できませんので、結局ただいま申し上げましたようなことが一番現実的な進め方ではなかろうか。  なお、現地におりまして現地企業をチェックするということが必ずしも適切でないという面もございますので、必要に応じまして、日本からの専門家から構成されました現地公害調査団というふうなものも一つの案ではなかろうかということで検討しております。
  183. 野間友一

    ○野間委員 国内のいろいろな手だてと同じように、たとえば企業に対して、一定の資産の積み立てを海外開発の場合にも義務づけるとか、あるいは事業団が資金の確保、必要な資金の貸し付とかあるいは債務の保証、こういうことをして、やはり海外における、特に発展途上国になりますけれども、ここに対してはやはり公害を未然に防止するということについて万全の対策をとるべきじゃないか。いまいろいろお話がありましたけれども、せんじ詰めて言いますと、企業のモラルというところに落ちつくのではないだろうか。あるいは行政指導というところに落ちつかざるを得ないと思うのですけれども、こういう意味において、海外の場合、国内と同じようにこのような積み立ての義務づけとか貸し付け保証、こういう手だてを講ずる必要があると思うのですがね。これについてひとつ見解を聞かせていただきたいと思うのです。
  184. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま野間先生から御指摘、御提案のございました積立金を義務づける、あるいは資金の貸し付けを考えてはどうか、あるいは債務保証措置を講じてはどうかというような点、いずれも公害の予防に万全を期するという見地からきわめて有用な措置かと思われますので、私ども公害防止について国内措置と含めまして抜本的な検討をただいまやることにいたしておりますので、その際、十分参考にさせていただきたいというふうに考えております。
  185. 野間友一

    ○野間委員 今度の法改正でこれが入っていないのは何か特別の理由があったわけですね。いいとすればぜひ入れるべきじゃないかと思いますけれども、どうなんですか。
  186. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 現実にこういった問題をやろうとしますとやはり事務的に相当な検討が必要でございまして、国内につきましても、先ほどの質疑の中で申し上げましたように、十分現行改正法案の中には織り込まれておりませんので、双方含めまして次回の国会に間に合うべく早急に検討してまいりたいというふうに考えております。
  187. 野間友一

    ○野間委員 やはり先ほどから言っておりますように、公害の被害が何千年とか何百年、何十年とかいうふうに言われますけれども、特にこの鉱山の鉱害は長期にわたってずっとあとで出てくる、これを私たちは重視した場合に、単に企業のモラルあるいは行政指導でこういうものについての対策を立てるということはもちろんとしても、やはり外国へ行ってずっと資源を掘ってくる、こういう企業の姿勢を法的にこのような手だてをすることによって義務づけなければ、悔いを千載に残す、こういう結果になると思うのです。これは改正そのものが朝令暮改というような位置づけでなくて、実はこれは昨年も改正し、またことしも改正ということになりますから、これはもちろんいい方向改正するなら当然のことなんで、これは早急にその点やはり法的に義務づけるということで、発展途上国に対して万全の措置をとる、こういう保障をぜひするべきではないか。ですから私は、やはりこの法案の中に当然これを盛り込むべきだ、このように考えるわけですけれども、いまの答弁によりますと、その趣旨を前向きにと申しますか、積極的に考えるというような趣旨の答弁ですけれども、これはぜひ入れるべきであるということを私は強く要求をしておきます。  それから次に、民間企業の共同プロジェクト、これは海外発展途上国の公社などと探鉱事業をするわけですが、この場合に、発展途上国の公社などのほかに、たとえばいわゆる非鉄金属のメジャーですね、ケネコット等々あるわけでありますが、他の外国の大企業、こういうところがこれに参加をするということもあり得るのかどうかということと、それからもう一つは、業務追加の第二に地質構造、この調査の際に共同する外国法人に対する補助というのはありますけれども、この外国企業の中には、やはりいま申し上げたケネコット等々の既存の大手の国際資本も入るかどうか、これについて答弁を求めます。
  188. 山形栄治

    山形政府委員 これからわれわれが考えておりますのは資源保有、主として発展途上国におきます調査探鉱でございます。これらの国は最近非常にナショナリズムが起こっておりますので、これらの国と相当共同的に行なう形態でなければ実施できないと思いますが、いま先生の御質問の欧米の非鉄メジャーといいますか、それとの関係でございますが、これは探鉱能力等も資本力も非常に強いわけでございまして、もし発展途上国側のほうでどうしてもそれら非常に優秀なる技術を持っておる非鉄メジャーと日本と一緒に組んでくれとか、そこに日本の資金を出してくれ、その機構に出してくれ、こういうことが発展途上国政府のむしろすすめといいますか、了解のもとで行なわれるという場合も考えられると思うのでございまして、その場合には、日本における非鉄の安定供給という観点からわれわれは対象にせざるを得ないと考えております。しかしながら、そういう場合は、これからわりあいに少ないのではないかと考えておるわけでございます。
  189. 野間友一

    ○野間委員 結局、このような国際的な資本と共同でやるということになりますと、ちょうど石油で爆発したように、やはりメジャー依存が日本のエネルギー政策そのものを狂わす、こういう結果になるおそれがあるのと同時に、やはり私は国が補助金とかあるいは出資をして、そしてこのような共同開発を進めていくというたてまえからした場合には、あくまで自主開発の尊重ということで、このような国際的な大資本とは一緒にやらない、あくまで発展途上国と日本が一緒になってやっていく、そして互恵平等の立場で開発をやっていくというのをやはり原則にするべきであって、これはいろいろ長官いま言われましたけれども、やはり大きな力を持つ強者がその力を利用してこういうところにかんでくるのに、やはり国が補助金や出資をするということは基本的に私は間違いである、こう思うわけです。  それで、通産省からもらった資料の中に、たとえば参考資料、金属鉱業事業団業務拡充の必要性、この資料の中に自主開発と書いたところを全部墨で消してあるのですけれども、これは何か特別に意味があるのかないのかという点です。
  190. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 資料を整備する途中で語意を統一するために一部消し、一部消し損じたものがございますが、先生にお届けした分には消したのが届いたと思いますが、自主開発ということばで表現しておるわけでございます。
  191. 野間友一

    ○野間委員 自主開発と確かに書いてあるのです。それをわざわざ消すということがいまのケネコットとか外国のメジャー、これに従属して進めるというようなのがあるのじゃないか、こういうように私判断したわけです。特に先ほどから出ておりますナショナリズム、これだけではないと思いますけれども、やはり発展途上国の主権の尊重とか、あるいは総理が東南アジアを回られて、そうしていろいろな国で抗議にあわれた。これは慎重な上にも慎重、万全の上にも万全を期さなければ、私は石油と同じように、またいろいろな意味で大きな被害を受けるということは当然だと思うのですね。特に、たとえば日本とエチオピアの合弁企業で、アスマラの近くで鉱山開発をエチオ日本鉱業会社ですか、進めておりますが、三月二十三日の夜にエリトリアの解放戦線の手でこの施設が破壊された、こういうふうに私は聞いておるのです。これ一つとりましても、やはり海外での鉱山開発現地の住民の反発を買っておるということをあらわしておると思うのです。これは一例ですけれども、こういう意味から考えても、やっぱりとれるだけの手だてをとる。これはやはり途上国に対する礼儀でもあり、あるいはいま申し上げたようないろいろな諸般の情勢から考えて欠くべからざることである、こういうように考えるわけですね。  そこでお聞きするのは、いま申し上げたエリトリアの解放戦線の手で破壊された施設、これらの状況についていまわかっておる範囲でひとつ答弁願いたいと思うのです。
  192. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 ただいまわれわれのもとに入手しておりますエリトリア地区の一部グループによる日本鉱業の探鉱地域に対する襲撃事件というものが起こったわけでございますが、現在わかっております範囲内では、日本人に対しましては応答はあったけれども、それに対して危害を加えるということはなかった。そして設備に対して一部破壊して、そして現地の、これは無関係な小学校の先生と聞いておりますが、二人の人を狙撃したということが入っております。これらがどういう理由でそういうことになりましたのか、ただいま外務省を通じてその辺の判断をゆだねておるわけでございます。私どもは、これは会社の企業としての判断を聞いただけでございますけれども、いずれ外務省の判断を聞かなくてはならないわけでございますが、日本人に対して直接危害を加えるという雰囲気は全くなかったというふうに伝えております。
  193. 野間友一

    ○野間委員 アスマラというところは、エチオピアで最もひどい飢餓に襲われておるエリトリア州の州都ですね。いま国際問題となっておりますところのアフリカの飢饉についても、日本はニジェールのウラン探鉱をはじめとして資源さがしには非常にやっきになってやっておるわけですけれども、アフリカ人の飢餓に対してはほとんど積極的な手が打たれていない。こういう点で、特に資源の略奪には一生懸命しゃにむにやるけれども、こういう民族の飢餓、飢えに対して何ら積極的な手が打たれていないという点から反日感情が燃え上がっておるということも私聞くわけですけれども、これらの点について、いま外務省に照会して問い合わせ中だということですけれども、こういうようなことも結びついておるのじゃないか、こういうように思うのですけれども、この点はどうなんですか。
  194. 山形栄治

    山形政府委員 これは非鉄のこの問題だけに限らない問題だと思いますが、いずれにいたしましても、こういう事件が起こりまして、現在、いま課長のほうから御説明ございましたように、外務省が詳細に調査をいたしております。われわれあまり早計にこれを判断するのも非常に危険だと思いますが、要は世界全体の、特に資源にからんだ問題は、先ほども言いましたように、金を出して資源を買うという時代は過ぎ去ったと私は考えるわけでございまして、幅広い、文化も含めましたそれぞれの国の互恵平等といいますか、相互に繁栄するという姿勢でこれから対処する必要があろうかと考えるわけでございます。
  195. 野間友一

    ○野間委員 これは外務省の関係だと思いますけれども、南アフリカ共和国ですね、ここではアジアあるいはアフリカ諸国の経済断交に逆行して日本の場合は、貿易上のいいお得意になっておる。しかも車両など、これは事実上の武器になっておるわけでありますけれども、こういうものを送り込んで、準白人待遇を受けている。このことがアフリカ諸国の非難を毎年浴びておるというのがいまの状況だと思うのです。ここでやはりアフリカに対する資源の依存も非常に強いわが国として、とりわけこの資源開発発展途上国の協力を求めるなら、このような立場、態度を早急に改める必要があるというふうに私は考えるわけでありますが、この点、通産大臣からひとつお答え願いたいと思います。
  196. 山形栄治

    山形政府委員 アフリカという地域が資源面で、これからの日本だけでなく、世界的な観点で非常に大きな地域になるということは私も同感でございます。これらの国との友好、これは経済だけでなく、広い意味での相互理解というものが最も必要であろうかと思います。石油に即していいましても、アフリカの、特に北アフリカ及びナイジェリア等に非常に石油資源も多く埋蔵されておりまして、最近これらの国との交流も、向こう大臣がこちらに参りましたり、非常に交流も活発になってきておりますが、これからますます理解を相互に深めることがまず何よりも先決であろうかと考えるわけでございます。
  197. 野間友一

    ○野間委員 一応、私はきょうの質問をこれで終わります。
  198. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 松尾信人君。
  199. 松尾信人

    松尾委員 きょうは、終日大臣も当委員会出席されまして、いろいろの質疑に答えられまして、もう私が最後であります。  それで、二、三、もう重複した質問をできるだけ避けながら、大臣並びに長官考え方を聞いていきたいと思うのでありますが、この石油危機によりまして、日本政府もわれわれもいろいろ反省したわけでありますけれども、何としてもわが国資源が乏しい国である。非鉄金属にしましても海外への依存度が非常に高いわけであります。銅が約八〇%、鉛が五五%、亜鉛が六〇%、こういうことをしみじみと反省するわけでありまするが、他方、この資源国では資源ナショナリズムというものが高まっておりますから、すべての資源というものをひっくるめまして、この資源外交というものがいかに大事であるか、これは大臣も心の中から感じておられると思うのでありますが、特にこの通産関係というものは、この資源という問題と切り離すことのできない非常に深い関係でありまするので、まずそういう意味におきまして、今後、この資源外交というものを通産大臣としてどのように展開していこうとなさるのか。特にまた、その中でもきょう問題になっておりますこの事業団法の一部改正、そういう面におきまして、金属鉱物に対する資源の外交というものを大臣としてどのように取り扱っていこうとされるのか、基本的な問題として承っておきたいと思います。
  200. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本資源がなく、しかも加工貿易によって生きていくという宿命を持った国でありますから、資源問題を離れて日本の工業立国というものはないものであり、それだけ資源問題は重要な民族のバイタルな問題につながると思います。  しかしながら、最近の世界情勢を見ますというと、資源ナショナリズムの高揚の世界的潮流というものは歴然たるものであり、かつそれには首肯すべき内容もかなりあるわけであります。われわれはそういう点について十分理解を持ち、十分な対策を準備してこの問題に対処していかなければならぬと思います。  それには、やはりそれらの資源を所有している国の立場を考えてみて、その立場と協調しながら共存共栄の道を発見していくということが正しいと思うので、単に金で買いまくるとか、あるいは力で押しまくるというやり方が長続きするものであるとも考えませんし、正義に合ったものであるとも考えません。先ほどの御質問の中で野間議員が積立金のことに言及されましたけれども、あれも一つの着眼であると私は拝聴しておったわけであります。まあみんな主権国家ですから、おのおのの公害の基準を持ってやっているので、それ以上のことをわれわれが相手方とやるということはおせっかいなことのように外国からは感ずると思いますが、われわれ先進国の立場というものを考えてみて、長い目で、人間的な人類愛というものを感じてみますと、非常に長期的なはからいを持った政策を用意していくということがやはり必要であると私は感じておるわけであります。そういう意味で、さっきの野間議員の御発言というものは、これは検討に値すると思って拝聴しておったところであります。そういうような考えに立って、周到な配慮で資源外交というものをやっていきたい、そう考えます。
  201. 松尾信人

    松尾委員 そういう中で、石油問題については非常に御熱心であるが、この金属鉱業関係については、ウエートの問題からそうなったのかわかりませんけれども、どうも通産省の態度は消極的ではなかったか。今回のこの一部改正の問題にいたしましても、石油とこの金属鉱業というものを比較してみますると、何段階も金属鉱山の関係はおくれておる。海外開発の問題でもそうでありますが、それは大臣の頭にも、まあ軽視するということはないと思いますけれども、やはりウエートが違っておった。また、先般は石油危機でありますのでわざわざ現地に行かれたということはありますけれども、今後はやはり日本の乏しい資源の中からの問題でありますから、石油の問題も今後とも非常にいろいろ問題がありますけれども、金属鉱業の問題も力を抜いてはいけない。私は寡聞にして大臣がそのようなところでいろいろ海外を視察したとか回ったということを聞かないのでありますけれども、そういうことはどういうふうに−差別はないと思いますけれども、やはり今後は力を入れていかなくちゃいけませんが、そういう問題についてはいかがですか。
  202. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は御指摘のとおりであると思っています。私もたとえばブラジルであるとかペルーであるとか、そういうような資源日本が多分にお世話になっておる国々に通産大臣として行かなければならぬ、石油と同じように力を入れた資源外交を展開しなければならぬ、そういうように実は前から考えておるところで、できるだけ機会を見て行きたいと思っております。
  203. 松尾信人

    松尾委員 以上が私の質問の前提になるわけでありますけれども、これは事業団の過去の実績でありますが、この事業団ができましていろいろ融資等をやってきていらっしゃいますけれども、どれだけ金属の日本への安定供給海外に限るわけでありますけれども、このような安定供給に役立ってきたか、その実績ははたしていかん、こういうことでありますが、これは長官、いかがですか。
  204. 山形栄治

    山形政府委員 事業団が従来行なってきました事業、これは海外地質構造調査それから資源開発の協力の基礎調査、これは発展途上国の協力要請のものでございます。それから民間企業が行ないます資源に対する融資、こう三つあるわけでございますが、簡単に申し上げますと、この海外地質構造調査につきましては、四十八年度までに十六地域で総額二十六億円ぐらいの調査実施しまして、この結果ザイールそれからインドネシア、ブラジル、ペルー南部等全部で七地域で相当大きな鉱床の賦存の確認をはかったわけでございます。これは現在日本企業開発を準備中でございますが、これは非常に大きな成果をあげたのではないかと私は考えておるわけでございます。  それから、発展途上国の要請にこたえまして行ないました資源開発の協力基礎調査でございますが、これは四十五年から実施しまして四十八年までに全部で九つのプロジェクトについて実施しまして、この結果がまた、先ほど理事長からも出ましたように、ペルーの南部、それからフィリピンにおきまして非常に有望な鉱区を発見いたしております。ともにこれは銅が主たるものでございます。  それから融資実績につきましては、現在まで、四十三年から四十八年度までに四十八のプロジェクトに対しまして十四億円の融資を行なったわけでございますが、これは残念ながら、現在までのところ開発まで立ち至りましたのはオーストラリアの一鉱山のみでございます。
  205. 松尾信人

    松尾委員 非常に私は弱いというような感じを強く持つものでありますが、これは一応聞くわけでありますけれども、四十七年度の輸入自主開発鉱、融資買鉱、単純買鉱、粗銅、地金、このようになっておるわけでありますけれども、自主開発の分が鉱石が非常に少ない。それから融資買鉱のものが二十三万三千三百トン、この実態ですね、どのようにして融資買鉱につながって入ってきているのか、簡単にお答え願いたい。  それから単純買鉱が三十万二千九百トンで一番多いわけでありますけれども、これはどのような買い付けをしておるのか。すべてこれは民間企業の自主的な活動分野にまかせきりになっておるのかどうかということと、今後の見通しであります。四十九年以降の見通しですね、この三者の輸入比率というものは今後どういうふうに変わっていくのかという点について、要領よくお答え願いたい。
  206. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 自主開発鉱山からの銅鉱石に関する実績は五%を少し下るという程度にしかすぎません。これはザイール国のムソシ鉱山からの輸入銅鉱石でございますが、これはただいま五万トンを少し切っておりますけれども、近い将来十万トンベースになる予定でございます。計画どおりに工事は進んでおります。また、近くマレー国のマムート鉱山も来年の春から鉱石が入港する予定でございます。これは約三万トンの銅鉱石を持ってくる予定でございます。  融資買鉱につきましては、これは開発資金を融資いたしまして、その見返りに長期的に鉱石を買い取る、それによって返済がなされていくという制度でございますが、これに対しましては輸出入銀行から融資実施しております。  それから単純買鉱とございますが、これらはほとんどが長期契約のものでございまして、詳細はキャッチしておりませんけれども、企業ベースでの相当の額の融資がなされておる場合もあるわけでございます。いわゆる単純買鉱、スポット買いというものは非常にわずかでございまして、鉱業というものは安定的に鉱石が供給されませんと非常に不安な状態になりますので、できる限り長期安定というふうなことから単純買鉱をできるだけ避けるというふうな施策をとっておるわけでございます。
  207. 松尾信人

    松尾委員 経済協力の一環としての事業団の活動、これは四十九年度では八地域、九億八百万というような予算がこの海外技術協力事業団、これは金属鉱業事業団の使える金でありますか。総額が九億八百万とかと、私よくわからぬので聞いておるわけでありますけれども、そういう基金の中からこの金属鉱業事業団というものが技術協力で使っていく年額というものは大体どのくらいになっているかということを聞いておきたいと思うのです。  それからもう一点は、関連いたしまして、そのような経済協力で大いに技術協力をやっている、もう数年前からそういう実態調査をやっている、それが具体的に成功例につながったのは、開発までつながったのは——先ほどお答えのありましたそういうふうにつながっておると思うのでありますけれども、その点はそうであるとおっしゃれば、それでけっこうです。
  208. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 すでに先生御案内のとおりと思いますが、海外につきまして大きく分けまして事業団は三つの業務実施しております。一つは、資源開発協力基礎調査でございます。これは全額国が持ちまして、いわゆるGGベースで行なう調査でございますが、これは本年度予算で九億三千九百万円でございます。次が、これは日本の企業が一部分担いたしまして事業団が直接海外において行なうやはり探鉱事業でございますが、海外鉱物資源基礎調査というものがございます。本年度予算が九億一千万円でございます。次に、第三の事業団の行なっております海外探鉱奨励は融資でございますが、これは本年度から出資という機能を有するように変わるわけでございます。
  209. 松尾信人

    松尾委員 わが国における金属鉱山の現状でありますけれども、どうもこれは日本の石炭鉱業のあとを、そのような方向をある程度たどっておるのじゃないか、私はこのような感じが非常に強くするわけであります。そして結局は、いままで海外開発、それに関連した輸入というものが少ないために、どうも日本金属鉱業自体の体質というものが弱まっているのじゃないか。ですから第二会社をつくって分離していく。その分離された第二会社もだんだん掘り尽くしていく、経済的なベースに乗らなくなるというと閉山につながっていくわけでありまして、ある程度だんだん調査、研究もやって進んでおりますけれども、ある程度以上は国内における供給というものも頭打ちになっている。横ばいですよね。そういう点からいいまして、金属鉱山というものをもう一回基本的に見直しをして、そして海外においても開発ができるような体制にする。いま銅のほうで申しますれば、ほとんど製錬会社というものに成り下がってしまっているというようなかっこうでありまして海外開発をしっかりやって、力をそこにつけさせて、そして持ってきたものを製錬して、一貫してやるというような、何か非常に力のあるという体質が残念ながら現在の金属鉱山には少ないのじゃないか、このように感ずるわけでありますけれども、実情は長官いかがですか。
  210. 山形栄治

    山形政府委員 わが国の非鉄金属工業、特に産銅鉱業は技術的に非常に高い水準を持っておるものでございます。しかし、資金量とか、そういう点になりますと体質が脆弱でありますことは御指摘のとおりであります。なお今後、最近のプロジェクトがだんだんと大型化し、また奥地のほうに入るようなリスクの多いものになってきておるわけでございますが、一方、最近の探鉱技術というのは非常に目ざましい発展を遂げておりまして、特に物理探査、それからボーリング技術等で非常に発達をいたしております。したがいまして、従来露頭の発見で大体鉱山が開発されるわけでございますが、潜頭有望鉱床も非常に続々と発見されておるわけでございます。日本でも秋田の黒鉱というのが最近の非常に大きな発見物語りに相なっておるわけでございまして、今後われわれといたしましては、こういう新しい技術の開発をどうやって伸ばしていくか、狭い日本国内でございますけれども、日本国内の鉱山の発展が最も重要な政策の基調であろうかと思っているわけでございます。四十九年度におきましても国内探鉱の長期計画というのがございまして、広域的に調査し、それから精密に調査し、それから企業段階探鉱するといういわゆる二段階方式のそれぞれの段階の拡充強化を四十九年度予算でもはかっておるわけでございまして、補助率の引き上げ、それから補助単価の引き上げ等がいま予算に計上されておるわけでございます。こういう措置を通じまして国内鉱山の維持強化をはかってまいりたいと考えております。
  211. 松尾信人

    松尾委員 大臣は所用のために退席の予定だそうでありますので、いらっしゃる間に、まとめて大臣に質問しておきたいと思います。  一つは備蓄の問題でございます。現在、日本金属鉱業のほうは長期契約の分を輸入いたしまして、いま在庫三カ月分、普通ランニングストックというのは一カ月といわれるわけでありますけれども、非常に長期に在庫しておる。これは、油とは異なった理由によって在庫がふえております。この過剰在庫、これはやはり政府としても何か考えていきませんと、民間の弱体な企業ではこういう問題に耐えかねていく。ですから、ほしいが買わぬとかなんとかいろいろな問題を起こすわけであります。そういう点について、どのようにしていったらいいのかということと、それから石油の場合には、このような在庫の積み増しという分、備蓄の積み増しにつきましては石油開発公団から低利の融資等があるわけでありますが、そういう点についての配慮をどうするのか。  それからもう一つは、四十九年度の事業団のいろいろの予算をながめてみますと、少ない。特に海外関係で申し上げますれば、海外探鉱出資八億、債務保証が一億ぐらいでありまして、前年度が六億というように規模が非常に小さい。こういうもので、いろいろな開発が進んでいこうとする中から、このような面ではたして対処できるのかどうかという心配があるわけです。でありますからその点と、また石油、石炭とは性格と規模を異にいたしますけれども、片方には目的関税が取られまして、そして石炭、石油の特別会計というものがある。そうすると、金属鉱業関係につきましては、そのような面の政府の大きな助成の措置がない。あわせまして資源というものを一括考えました場合には、石油であろうと石炭であろうと金属鉱業であろうと一緒でありますので、これはひとつ資源特別会計というようなものを設置しまして、そして今後資源のない日本というものが基本的にそういう面で取り組んでいく。いま石油、石炭だけにある程度そのような政策がとられておりますけれども、金属鉱業も含めたそのような資  源特別会計というものをどのように大臣はお考えになっておるのか、積極的にやろうとおっしゃるか、そういうことを聞いておきたいと思います。
  212. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず備蓄と在庫の問題でありますが、この点はわれわれも積極的に努力していかなければならぬと思います。これは石油でいい経験をしたわけでございます。その上に、発展途  上国との長期契約でやっている場合に、日本側が不景気になりまして相当な貯鉱が現場にたまったりして現地政府からも苦情がきたり、収入が減退して、先般不景気のときにそういう問題を国際的にも起こしかねなかったことがございました。そういう意味において、やはり共存共栄ということでやるためには常に両方が持ち合うように流通関係をうまく整えておかぬといかぬと思います。それにはやはり日本である程度の備蓄、ストックを持っておるということが一番適切であると思います。この前のときには幸いにドルが非常にありましたものですから、ドルを貸してそれによって在庫積み増しということをやりました。ドルがない場合にどうするか。いつもドルがあるとは限りません。そういう意味においてこの問題はまさに  われわれとして検討しなければならぬ問題であり、われわれも積極的に検討を加えていきたいと思います。  それから第二に、特別会計の問題はこれとうらはらをなしておる問題でございまして、いまのような思想でわれわれが前進をしようとすれば、当然こういうような特別会計の構想も必要になるであろうと思います。この点についても検討してまいりたいと思います。  それから、予算が僅少であるという点はまさに御指摘のとおりでございまして、ことしは発足の年でございましたから、財政当局と話をしてこの程度でがまんいたしましたが、正式に発足いたしましたら、大いに努力していくつもりでございます。
  213. 松尾信人

    松尾委員 金属鉱業に対して差別待遇みたいなものがないように大臣ひとつしっかり頼みます。  もう時間もないようでありますから、大臣退席してけっこうでございます。  ずいぶん飛ばし飛ばしやりましたので残りはもう二問ぐらいに集約されたわけでありますけれども、この資源の再生利用という問題であります。金属鉱業におきましては、銅の国内製錬のときに、排煙脱硫によりましてすっかり公害もなくしておる、それから硫酸の回収にもつとめておる、こういうことを聞いておるわけでありますけれども、実情はいかがですか。簡単に答えてください。
  214. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  金属鉱山は鉱物が硫黄との化合物という形で出る場合が多いわけでございます。したがいまして、製錬の過程で多量のSo2ガスが発生いたしまして、戦前からも御案内のようにいろいろな形で公害問題を起こしてまいっております。戦後いち早くこの高濃度のSo2を硫酸の形に変えるという方法が非常な努力によりまして企業、製錬所一般に普及いたしております。その結果、銅、鉛、亜鉛の三十の製錬所全部におきまして副生硫酸の設備が整っております。さらにその結果、So2出発生量の九八%は回収するというふうな成績にまで至っておりますし、この技術が世界的にきわめてすぐれたものという評価を受けますと同時に、現実にわが国の総硫酸生産量のうちの半分はこういった排ガスからの硫酸供給という形にまで進歩しておる状況でございます。
  215. 松尾信人

    松尾委員 ほとんどが銅の国内製錬等におきましては排煙脱硫が行なわれておる、そして資源の再生利用をはかっているというお答えであります。私がいつもここで申しておりまするのは電力会社の排煙脱硫の問題でありますが、これは長官、あなたはもう少しやかましく言って、電力会社にもきちっと排煙脱硫の施設をやらせなくてはだめですよ。いまはわずかなものであります。でも今後の計画を聞けば膨大な計画があるわけですよ。それは業界がいままでは熱心でなかった、積極的でなかった、そうとられても間違いないのでありますからね。そしてひとつ電力会社の排煙脱硫をきちっとやらしていく。そこからいろいろの副産物が出るわけであります。そういう施設をしませんと、あけっぱなしではすべてのものが出ていきまして公害もやがて積み増しされていくわけでありますから、電力会社の排煙脱硫というものをきちっとやらせる。そこから出る副産物というものは、これを資源の再生利用で完全利用していく、そういう体制を整備しなくちゃいけない、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
  216. 山形栄治

    山形政府委員 電力会社の排煙脱硫が進んでおらないことはそのとおりでございます。ただし、電力会社も非常に現在意欲的になっておりまして、五十二年までに一千万キロワット相当排煙脱硫しようということに相なっております。なお、御存じのとおり非常に原油価格が上がってまいりまして、公害対策との関係でどうしても安い油であっても使えるようにするということは電力会社にとりましても大事なことでございますので、先生の御指摘のとおり、今後より一そう電力会社の排煙脱硫を急速に進めるように指導してまいりたいと考えるわけでございます。
  217. 松尾信人

    松尾委員 そしてその排煙脱硫によりまして資源の再生利用をはかるというところまできちっと指導しませんと、中途はんぱな処理をされますとまだ公害がそういう面では残るということがありますから、これは大いに力を入れていただきたい。  それから同じく銅なんかでは、廃品回収と申しますか、回収によって五〇%ぐらいのそういう供給力をつけるとかいっておりますけれども、銅、鉛、亜鉛というものに対する廃品の回収、そういうシステムというものは考えておるかどうか。資源のむだづかいということがないように再生利用ということはそういう資源の回収をはからなくちゃいかぬわけでありますけれども、この点については現状はどうか、今後はどうしていくか、この点をお答え願いたい。
  218. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 銅、鉛、亜鉛につきまして現在の回収率を申し上げたいと思います。これは四十六年の実績までしかつかんでおりませんが、比率は大体似たようなものであろうかと思います。銅につきましては、新しい地金すなわち製錬所から生産されるものに対しまして約六〇%は回収された品物がございます。同じく鉛につきましては五七・六%、亜鉛につきましては、亜鉛は亜鉛鉄板等が主要な用途になっておりまして回収率が非常にむずかしいということになっておりまして、二・九%とわずかでございます。しかしながら、最近は亜鉛鉄板から亜鉛を回収するというふうな技術も開発されてまいりまして、それらの工場が建設される予定でございます。このように、銅、鉛のような非常に回収しやすいもののほかに、亜鉛であるとか、あるいはほかの重要金属も回収技術がたいへん研究されておる。しかも徐々にこれらの金属が高価になってまいりまして、回収費というものも十分吸収し得るようなマーケットの状況が生じてくるわけでございまして、今後量の面からとコストの面からと回収技術及び再生技術というものの検討を大いに進めて実施していかなくちゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  219. 松尾信人

    松尾委員 終わります。
  220. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 次回は、明三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会