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1974-03-27 第72回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十七日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員   委員長 濱野 清吾君    理事稻村左四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       小川 平二君    越智 伊平君       越智 通雄君    木部 佳昭君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       田中 榮一君    丹羽喬四郎君       橋口  隆君    八田 貞義君       前田治一郎君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       上坂  昇君    佐野  進君       渡辺 三郎君    米原  昶君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁次長 小山  実君  委員外出席者         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       豊島  格君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     丹羽喬四郎君   保岡 興治君     前田治一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)  通商産業基本施策に関する件  資源エネルギーに関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件及び資源エネルギーに関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣に、昨日、電力料金値上げの問題に関係をいたしまして質問をしたわけです。その前に、参議院商工委員会で、同じく電気料金の問題について質問がなされて、それに対して答弁をしておられるわけであります。参議院では、電力料金値上げの問題に対しましては、質問者社名をあげて値上げの問題について質問をしたようでございます。それに対しまして通産大臣は、電気事業法に基づいて会社経理内容を調べた結果を明らかにされて、さらに順序会社別に、経営が苦しい東京電力、続いて中部、中国、関西、九州、四国、こういう順序になるということを明らかにされて、それからは記者推測記事になるわけでありますが、値上げを認める場合はそうした順序によって優先的に考えることを示唆したということになっているわけです。  私は、昨日の当委員会における質問で、大臣徳島における記者会見に際してお述べになりましたことを取り上げて、緊急度の高いものということでございますから、その緊急度という内容はどういうものかということをお尋ねいたしました。それによって緊急度というものはこういうものだということを大臣は明らかにされましたが、電力会社各社値上げ申請のかまえをしている。したがって、申請があった場合、緊急度の高いものは受理せられるのであろうが、すべての会社申請をしてくるということになってくるとその申請を受理されるのかということをお尋ねをいたしました。それに対しまして大臣は、政府考え方だけではなくて自民党までを含めて、そういう緊急度の高いものであったにしても申請そのものをしてくることを自重を促して、申請をさせるということまでも押えていきたいという態度を明らかにここにされたのであります。参議院における午前中の答弁によりますと、大臣は、具体的に会社社名まであげて、そういう順序によって値上げを認めてやらなければならないのではないかということを示唆し、当委員会においては申請そのものをすることを自重を促していくのだというような答弁ということになってまいりますと、大臣参議院における午前中の答弁と当委員会における答弁とには完全な食い違いとは申しませんけれども考え方が若干違っておるように私は思うのであります。当商工委員会は、御承知のとおりあなたが主務大臣としている。どの委員会におきましても区別をつけるべきではないでしょうが、商工委員会においてはあなたの真意というものがはっきり述べられるであろう、私どももそのような感触を持ってあなたの答弁を実は聞くのであります。したがいまして、電力料金値上げに対してはどのような態度をもってあなたはお臨みになるのか、この点をあらためて明確にしていただきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨日の答弁におきまして明確と懇切丁寧さが欠けておりまして、たいへん失礼をいたしました。参議院におきまして商工委員会が午前中にございました。それから衆議院ではまた商工委員会がございましたが、私の答弁基本的には同じことを申し上げておりました。と申しますことは、電力問題は非常に重要な国民経済全般の問題であるから、内閣及び党が正式に取り組んですべてを見つめながらやるべき問題であって、まだ取り組む段階ではない、そういうことをまず基本的に申し上げて、現段階は、石油値上げをやったのでその反応をよく見きわめて、どういう均衡、水準国民経済がいま落ちつきつつあるかということを見きわめておる段階であって、その後、党並びに内閣において本格的に取り組む、そういう段取りであります、そういうことを申し上げたわけであります。  ただ、参議院商工委員会におきまして、ある議員から執拗に私の徳島談話について質問がございました。そして緊急度というけれども、具体的にどういう順序だというような緊急度に関する質問がございました。そこで、自分がいろいろな条件前提にいたしまして、目の子算用で、大体会社からの報告やその他を試算して通産省が一応の目の子算用として試算した点は、これこれの会社は大体緊急度が強いと思われます、そういう答弁をいたしました。これは非常に強い御要望がありまして、答えざるを得ぬと思いましてお答えを申し上げたのでございます。  当商工委員会は、第一院衆議院商工委員会でございまして、まず第一に商工政策基本内容政府としては開陳すべき場所であると心得ております。  きのうは、実は衆参両院商工委員会やそれから予算委員会参議院にありましたり、それから本会議がありましたりして非常に疲労しておりました。そういうこともありまして、答弁に懇切を欠きました点は以後あらためたいと思います。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 そうしますと、昨日私の質問お答えになりましたように、緊急度の高いものであったにいたしましても、それが高いのかどうかという点については、電気事業法に基づいて通産省経理内容をお調べになって十分おわかりになっていらっしゃるわけでございましょうから、その点から緊急度が高いというようなことを判断しておられる電力会社にいたしましても、申請そのもの自重させるという昨日の当委員会答弁大臣考え方であるということに理解してよろしゅうございますか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのとおりでございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 了解いたします。  次に、けさの理事会において議論になりましたのは、大臣質問者によって態度が違う。ある質問者に対してはきわめて挑戦的な態度をもって答弁されるということが問題になったのであります。大臣は十分その点を反省する点もあろうかと思うのでありますが、反省する点は十分反省されて、そして質問者によって異なった態度をお示しにならないように十分ひとつ自重していただきたいということを申し上げておきます。      ————◇—————
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。佐野進君。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 ここのところ、私しばらく質問を続けているのですが、通産大臣にはなかなか出席質問の時間とのタイミングが合わないで、幾つか聞きたい点がたまっておったわけでございます。しかし、きょうもあなたの時間が一時間ということでございますから、本来の法案の審議に支障を来たすような質問もどうかと思いますので、いずれまたそれらの問題につきましてはあらためて時間をとって質問をしてみたいと思います。したがって、きょうは石油開発公団法の問題を中心にいたしまして、それの前提になる諸条件等について質問をしてみたいと思います。  すでに昨日本会議において趣旨説明に対する質問が行なわれ、大臣から見解が明らかにされておるわけでございまするが、私は冒頭この法律改正について、今日の石油事情のもとに、昨年石油需給適正化法案を審議した経過等を踏まえながら、その進展した事態に即応する最も重要な法案として今度の国会に提出されたこの石油開発公団法の一部を改正する法律案につきましてはきわめて不十分である、いわゆるかっこうだけつけたような形の法律改正案であるという印象を強く受けるわけでありまするけれども、この点について大臣基本的な見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今度の公団法改正が必ずしも十分とは思わないという点においては同感でございます。私も、今後の日本石油行政を見ますと、石油開発公団というものの使命はかなり重要でありまして、できるだけ充実した仕事をやらせるようにいたしたいと思っておりました。  社会党の皆さんが御主張になっておりまする買油石油を買うというようなこと、あるいは利権の獲得というようなことも私はやったほうがいいと思っております。しかし、この点については、大蔵省その他において、もう少し様子を見よう、そういうことで、われわれの非力のために改正案として盛れなかったのが実相でありまして、これははなはだ遺憾に思っておるところであります。
  11. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、具体的な質問に入る前に、まず総括的な意味で、私はこの法律案の精神について質問してみたいと思うのであります。  大臣は不十分であるということをお認めになったわけでありますけれども、特に私の感じますことは、この法律改正する要点として、いわゆる業務追加資金貸し付け、さらにまた大蔵省との協議、この三つに限られておるわけであります。したがって、大蔵省との協議ということが、実際上の問題としていま大臣の言われたことに帰着するであろうと思うのでありますが、これは政府内部事情としてそういうような形になったということは理解できるわけであります。しかし、業務追加融資の問題、特に業務追加の問題につきましては、「等」という単なる字句上の問題の中で、外国政府機関等に対して融資の道を開く、こういうような形の中における改正、こういう形になっておるわけでございますけれども、このような表現だけで、いわゆる外国政府機関に対して資金貸し付けるというような形の中だけでこれらの問題の処理、解決が今日の緊急事態の中ではかり得ると判断されたこと自体、非常に認識が甘いのではないか、いま少しく積極的な意味において業務追加を行なうならば、われわれが主張しておったという表現だけでなく、具体的な他の対策政府当局としても当然幾つかの点で取り上げてしかるべきではなかったか、このように考えるわけでありますけれども、この点についての見解をいま一度お伺いしておきたいと思うのであります。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 業務追加という意味は、石油を買うとか、あるいは利権を設定するというところを含まれているだろうと私想像いたします。その点につきましては、先ほど言明いたしたとおりでございます。私はできるだけそういうような考え方が実現するように、今後も努力していきたいと思っております。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、二つ目資金貸し付けの問題につきましては、これは総括でありますからあとで具体的に質問いたしますが、いわゆる「本邦周辺の海域における石油等探鉱に必要な資金供給するための出資及び資金の貸付け」、いわゆる大陸だな、さらにはまた日本近海におけるところの問題ということになるわけであります。これはその意味において理解ができるのでありますが、次の「オイルサンド及びオイルシェール探鉱に必要な資金供給する」、こういう見解が新たに示されているわけであります。これは主として外国であります。わが国内ではなく、しかも先進諸国あるいは共産といいますか社会主義国、こういうような国々でありまして、非常に困難な内部的な情勢を持っている。たとえばオイルシェールにつきましては、結果的にはアメリカ国内におけるところを対象にした問題である。国際的な問題としても、先進国としてのアメリカ国内に対して探鉱に必要な資金供給する、こういうようなことはきわめて不合理な印象を受けるわけでありますが、あえてこれをつけ加えたこと、同時にまた、本来の意味からいうならば、オイルサンドは大体カナダでありますから、この点については理解されるのでありまするけれどもオイルシェールという問題につきましては、若干つけ加えたという印象しかわれわれとしては得られないのでありますが、あえてこの二つを並列にしたその意味について、この際、原則的にお聞かせ願いたいと思うのであります。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 オイルシェールオイルサンドは、オーストラリアにもかなりあると思います。それからベネズエラではかなりの量があるようであります。それからアメリカカナダ、そういうように、かなりいろいろな国にわたってありますし、あるいは今後、発展途上国においていろいろ探査が進むにつれて、かなり多く出る可能性もなきにしもあらずであると思っております。そういう意味において、単にアメリカだけを念頭に置くことなく、ベネズエラとかオーストラリアというような国々対象に含ませて、日本が積極的にいろいろ仕事ができるようにしたいと思っているわけであります。
  15. 佐野進

    佐野(進)委員 三つ目の問題につきましては、大蔵省との協議ということでありまして、私どもは、積極的に運営する場合におきまして、この点が新しい法律改正一つの重要な要素になっているということについて、少しく不満を持つわけであります。それは、石油を確保する、こういうような意味において財政当局との協議法律事項として定めなければならない、こういう点は、通産当局として非常に積極的に取り組む姿勢上、大いに疑問を感ずるわけであります。したがって、この点についての見解をお伺いするとともに、この三点を総括いたしまして、私は今次石油供給事情のもとにおける政府のこの開発公団法改正に対する取り組む姿勢がきわめて不十分である、こういう認識を持っているということを強調いたしまして、大臣見解をお伺いし、さらに質問を続けてみたいと思います。
  16. 山形栄治

    山形政府委員 大蔵省との協議の問題でございますけれども公団は四十二年に一〇〇%の出資でできました機構でございます。これにつきましては、目的達成業務につきまして、従来から大蔵省協議するということになっておりまして、これは財政資金を膨大に使用いたしますので、そういう意味での財政当局との調整をはかるという意味でございまして、大蔵省当局も、石油開発必要性につきましては非常に強く認識しておるものでございまして、必ずしもチェックするということではなく、財政資金の運用上の公正を期するという趣旨から出たものでございますので、御了承願います。
  17. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、どうですか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 長官と同じ考え方であります。
  19. 佐野進

    佐野(進)委員 また別の考え方であろうとは思いませんが、しかし、いずれにせよ、法文上、特にこの開発公団法改正を行なうに際してこのような条項を載せなければならなかったという意味において、非常に消極的と判断せざるを得ない。いま少しく積極的な意味で取り組んでもらいたかったという希望で質問をしております。  そこで私は、この公団法改正しなければならなくなった諸条件について幾つ質問をしてみたいと思うのであります。  すでに昨日の本会議答弁あるいは新聞紙上等において大臣見解がたびたび表明されておりますので、できるだけ簡略に質問をしてみたいと思うのでありますが、最近の石油事情、さらにそれらのもとにおいて、今年度のいわゆる四十九年三月までの石油供給目標がどの程度達成されたのか。さらに新年度においては、前年度比、いわゆる四十九年度以降の現在の状況における見通しにおいてどの程度目標が定められておるのか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  20. 山形栄治

    山形政府委員 四十八年度供給目標でございますが、これは年度当初にきめるわけでございますけれども、四十八年度の上期が生産活動が非常に強かったものでございますので、九月ごろにこれを内部的に見直しまして、その結果、四十八年度改定計画といいますのは三億五百万キロリットルの数量ということに相なったわけでございます。これが現在、三月がまだ確定いたしておりませんが、見通しといたしましては、二億八千九百万キロリットルの入着といいますか、それが想定されておりまして、三億五百万に対しまして五・三%の減でございます。  それから四十九年度につきましては、先般の経済見通しにおきまして、原油輸入量を二億七千万キロリットルと想定いたしております。これは、若干補足いたしますと、経済活動も総需要抑制等の観点でスローダウンするということが一つございます。それから、現在進んでおります産業及び国民生活における節約効果も持続されるであろうというのが第二点でございます。それからもう一つは、石油でないエネルギー源、たとえばLNGがブルネイから四十九年度は非常に入る予定になっておりますし、石炭の増産が、ささやかでございますが百万トン以上期待される。それから原子力発電所が四十九年には五基運開になるというような、石油以外のエネルギー増加要素もございますので、二億七千万プラスそういう節約及び代替エネルギー増加というようなことで、二億八千万ちょっとこえたぐらいの水準経済活動が維持できるのではないか、こう考えておるわけでございます。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 そういたしますと、昨日の答弁でもありましたけれども、この二億八千万キロリットルの確保量に対して、現在の備蓄量をどの程度増加させる考えであるのか。並びに四十九年度末の備蓄量はどの程度数量を予定して、この二億八千万キロリットルの中において経済活動を行なわんとするのか。この点についての見解をお示し願いたいと思います。
  22. 山形栄治

    山形政府委員 備蓄量につきましては、御存じのとおり、四十七年から三カ年計画で六十日の備蓄を持つということで進んできたわけでございます。これは達成率が非常によくて着々と実行されてきたわけでございまして、昨年の十月末には、五十九・七日分ということでございますので、ほぼ六十日をすでに達成いたしたわけでございますが、御存じのとおり、OAPEC供給カット等もございましてこれが逐次減少いたしておりまして、いまのわれわれのほうの想定では、三月末で四十八日分ぐらいになるんではないかと思うわけでございます。これで新年度に入るということに相なるわけでございますが、今後の原油入手状況につきましては、現時点でOAPEC増産の踏み切りがまだなされておりませんし、アメリカに対する禁輸は解除されましたけれども、これからの世界全体の供給需要との関係がまだ非常に流動的でございますので、来年度末の備蓄をどのくらいにどうするかということはまだ考えておりません。ただ、基本的には、世界的に総体として数量がショートしておる状況でございますので、できる限り日本に必要な油を入手いたしまして、その油でまかなっていくという姿勢でいかざるを得ないんではないか。考え方としましては、当然備蓄をこれからどんどんふやしていくべきだというお考えもあろうかと思いますけれども、この辺は現実にはなかなかむずかしいと私は考えておるわけでございます。
  23. 佐野進

    佐野(進)委員 それで大臣にお伺いいたしますが、いま私が質問したような状況で、二億八千万キロリットル程度原油を確保して、備蓄現状程度状況の中で経済運営を行なっていこう、こういうようなお話があったわけでございます。また大臣は、二、三日前の新聞で、日本経済の危機は脱した、したがってこれからは、安定した状況の中で経済運営をはかっていくように努力する、こういう発言をなされておるわけであります。  そこで、いま日本政府がとりつつある重要な政策の柱といたしまして、総需要抑制政策というのがあるわけであります。これがいわゆる油の問題を契機にして強く打ち出され、そのもとに経済界に対していろいろな制約が加えられていることが現状であります。特にその状況の中においては、油の輸入量削減率を相当高く見て、その形の中で一定の総需要抑制し、経済活動にブレーキをかけてきた、こういうことになっているわけでございますけれども、この今日の状況下、さらにこれからの見通し、この両面から見た場合、総需要抑制策一定政策的効果が出たというぐあいに判断になっておられるのかどうか。さらに、もしそのような状況判断があったとするならば、この総需要抑制策経済政策上どの時点まで続けるべきだと判断しておられるのか、この点についての見解を聞いておきたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 総需要抑制策効果が非常に顕著に出てきつつあると思います。たとえば土地の問題にいたしましても、大阪やそのほかにおきまして、住宅公団土地を売りたいというのがかなり出てきておるようであります。住宅公団自体もある程度資金量を規制されておるので十分買えない情勢ではありましょうが、そういうふうに公団土地を売りたいというのが出てきたということは、資金の相当な手詰まりが出てきておるということで、それは土地の値段の抑制ないしは下落を促進しておるものであります。場所によっては地価が下がってきているというところもあるようであります。こういう面から総需要抑制策効果は目に見えて出てきておると思いますし、また物価全般を見ましても、三月の初旬、中旬におきまして物価を上げてきている力というものは、ほとんど外国的要因が多い。九七%ぐらい外国的要因であるというように記憶しておりますが、これらはいずれも総需要抑制の結果、内需に対する抑制がきいてきて、それで物価が押えられてきておるのじゃないか、こう思います。したがいまして、物価に取り組んでいるという情勢から見ますと、総需要抑制はかなり有効にきいてきつつあり、さらにこれは四月、五月、六月にわたってもきいてくるのではないかと思います。かえって中小企業等に対する抑制が過ぎて倒産やそのほかの経済的な現象が出てくることをわれわれは警戒しなければならぬという要素もございます。しかし、一般的に見て、やはり総需要抑制策は四十九年度を通じてとられていくべきでありまして、日本経済が過去において過熱したのを鎮静化させ、体温をある程度平熱に戻していくというためには、刺激的でない経済政策をとることが必要である。そういう意味において、総需要抑制策は当分とっていく必要があるであろうというように思います。もちろんケース・バイ・ケースによって緊急臨時対策をとらなければならぬということは、中小企業その他について申し述べたとおりであります。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 そういたしますと、総需要抑制策を当分取り続ける、そのことによって起きるべき条件については適宜適切に解決をしていくということでございますが、この総需要抑制の最大のねらいがいわゆる公共投資等を含む景気過熱をセーブするということでございますが、石油量が一定に確保せられ、電力に対する供給量もその当初削減を予定された事態に対して非常に緩和された事態をいま迎えつつあるわけであります。いわゆる三億五百万キロリットルの予定に対して二億八千九百万キロリットルが入ってきたということの意味は、当初予想からするならば、相当程度のいわゆる備蓄を食いつぶしてきたという現状からするならば、ほとんど前年対比というか当初見通しというか、そういうものに対する削減率はゼロにひとしいといってもいいような情勢の中において、いまなお石油並びに電力の使用節減率をこのまま続けていく、このことの持つ意味国民生活の上にどのような影響を与えるか。たとえば国会の中におきましてもエレベーターを一基節約している。あるいはその他いろいろな形があるわけでございますが、この節減するということの持つ意味が、供給量が確保されたという形の中において節減を続けつつあるということに若干無理があるのではないか、適当な時期において、これらの面について解除すべきときにきているのではないか、それでなければうそを言ったことになるのじゃないか、こういうような認識印象があるわけでございますけれども大臣は、この石油、電力の使用量節減を緩和するという方向の中でお考えを進めておられるようにも聞いておるわけでございますが、ある一面においては緩和しないとも言っておられるのですが、この際はっきりこの点についての見解をお示し願いたいと思うのです。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目下のところ緩和する考えはございません。供給量というものは節減を前提にした量と見合って供給がなされている。それで四月の計画は約五十万トンそこそこの積み増しが行なわれることを期待しておりますが、これは急激に減少しました備蓄量を回復していく、そういう意味も持っておるのでありまして、いまのような節減というものを変えるという考えはございません。
  27. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、そのような考え方の中で今後の石油政策をとられていくわけでありますが、この際その一つの大きな要点として、石油節減もこのまま続けていくんだ、さらに入荷といいますか輸入量計画からそう下回らないで済んだ、こういう形の中において問題になってまいりますのは、結局原料の値上がりに対応しての石油製品価格の上昇、この面を国民経済の上に悪い影響を与えないでどのように吸収していくか、こういう形になってくるわけでございます。  いわゆる石油製品価格の引き上げを決定されておるわけでございますが、この引き上げが多分にいろいろな政策的な意味におけるところの内容を持っているために、いろいろな面で不均衡が発生しているわけでございますけれども、この政策を今後もお続けになっていくのみ。価格引き上げを行なったその品目については、いつまでこれを持続されていくお考えであるのか。そしてこのような価格を決定した要因がどのような形の中で発生してきたのか。その発生したことをとらえながらどのようにしていくのか。こういうことに若干の矛盾点があります。それは後ほど質問いたしますが、その矛盾点をただす意味において、その要因についてこの際お尋ねをしておきたいと思うわけであります。
  28. 山形栄治

    山形政府委員 今般OAPECからの非常に大きな値上げの通告に即応いたしまして石油価格を上げたわけでございますけれども、一番大事なことは、この石油価格の大幅値上げに即応いたしまして、これが諸物価といいますか、数多くの品物に波及するということをいかにとめるかということであったわけでございまして、通産省といたしましては、主要基礎資材五十三品目、それから生活関連百数十品目につきまして、当面これを凍結といいますか、一応とめまして、どうしても上げなければいかぬというものについては事前届け出制を採用する。また百貨店協会、スーパーマーケット協会等を通じましてこれを強力に推し進めるということにいたしたわけでございます。  今般の石油価格だけに即して申し上げますと、これは原油代を強く切り込んだわけではございませんで、原油の値上がりは諸外国でもみんな当然に認めておるわけでございますので、それは認めることにいたしたわけでございますが、石油企業の中におきます諸経費の水ぶくれ部分は全部吐き出させ、かつ査定の過程におきましても、正常時点の昨年の上期のベースを前提にいたしまして、要するに十二月のベースを前提にしないで上期にさかのぼって、いわゆる四千七百円程度の吐き出し分もさせまして、正常ベースでこれを査定いたしたわけでございます。したがいまして、八千九百四十六円といいますのは、原油代といたしましては一万二、三千円を中に含んでおる数字でございますが、十二月の吐き出し分が四千数百円ございますので八千九百四十六円に相なったわけでございます。  なお、そういう元売りの価格の引き上げに即応して、末端価格におきましては、特に民生及び農林漁業に関係いたしますガソリン、軽油、A重油につきましては、流通段階の経費もカットをいたしまして相当低くこれを末端で押え込んで指導価格にいたしたわけでございまして、いささかもこれが下ざさえになるようなことではいけませんものですから、しばらく需給の動きを見つつ、必要がございますればこれを標準価格に直すというかまえでいま臨んでおるわけでございます。
  29. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、その末端価格におけるところの問題については後ほど質問してみたいと思うのでありますが、大臣の時間もあともう少しになってまいりましたので、主として大臣関係する質問をしてみたいと思います。  いま長官からお話がございましたように、この価格決定については前年四月からの分を一部吐き出させるという形の中でそのような措置をとったと御説明があったわけでありますが、吐き出させるという形の中において精製元売り会社にとった措置が、結果的に小売り価格段階において流通経費部門にまではなはだしい圧迫を加えてきているという現状が出つつあるわけでありますけれども、全国の石油精製元売り会社に対して、いまの時点においてどの程度その吐き出させ方が効果をあらわしているというように判断されているのか。本年度末、三月末においてその効果の終着点と見られるのか、あるいは新年度四月一日以降いつごろの時点まで、この価格構成によって得た利益を吐き出させる効果を求める時期としてお考えになっておるのか。この点について御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点はきのうも中村委員に御説明申し上げましたように、十一月、十二月ごろの六百五億円の先取り値上げによる利得、それから四十八年度上期におけるキロリットル五百円のうち二百五十円を吐き出させる。その分は全部吐き出させたわけであります。さらに新しい原油価格のもとの新価格におきましても、利益率というものをキロリットル二百五十円と算定して、過去六期における三百四十七円という利益率よりもだいぶ引き下げて石油の経営を行なわせることにした。そういうことで歴然と出てきておると思います。その結果は、われわれのほうが試算をいたしまして三月末決算における各社の収益、欠損関係を見てみますと、いろいろな前提条件はございますが、大体千三百億円程度の赤字になってきておる。こういう結果から見てもそういうことが言えると思います。この赤字というものの中には、もちろん六百五億円の便乗値上げといわれるものは吐き出して、その上の赤字である、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  31. 佐野進

    佐野(進)委員 したがって、この政策というか、この価格をいまの状況の中においていつまでお続けになることが必要だとお考えになっておるかということをお伺いしたいと思うのです。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは当分持続的に持っていくことが賢明ではないかという基本的方針を持っております。ただ、為替相場の変動とか、あるいは原油に対する追徴金が今後どういうふうに出てくるか、そういうまだ不安定な要素もございます。それも一つの可変変数としてわれわれは考慮しておかなければならぬと思いますが、基本的な態度としては、できるだけこれで持続していきたい、そういう考えを持っていきたいと思います。
  33. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、このような価格構成の中で、すでに将来の値上がり分を想定した場合、いまの価格でもってしては購入価格、いわゆる原油として購入をした価格以下で販売している品物もあるわけです。これも昨日、質問があったようでありますけれども、灯油のごときに至りましては、すでに原油価格をはるかに下回っている。このようなことは民生確保上必要であることは私どもも認めているわけでございますけれども、この政策がこの次の状況、いわゆる需要期に入ったときも、それを持続的にそのまま認めていくとすれば、政策上これに対する対策を立てなければならぬ。たとえば補助金であるとかあるいは特別の対策とか、こういうものを立てざるを得ないと思うのでありますが、そういうような意味において、元売り仕切り価格の九月以降においての凍結も何らかの政策的な意味も含めて持続していくとお考えになっておるのかどうか。  さらにまた、これに関連いたしましてLPGの輸入価格が相当程度値上げされるという通報が入っている。このことは、過日の新聞紙上においても発表されておるわけでございますが、この千三百円がいわゆる高値安定という形の中で一定効果を示した。たとえば九百円程度で売っていたものも千三百円になったことによって全国的に千三百円になった、このようなことも報ぜられておるわけでございますけれども、このLPGの値上げ分についても、そのような材料値上げについても、そのような政策をとり続けていかれるのか、これは来たるべき冬季におけるところの需要家の大きな関心の的でありますので、この点について見解をこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、基本的に現在の石油価格を維持していきたい、そう考えておりますが、御指摘のように石油の値段がキロリットル一万九千円ぐらいに上がったのに、LPGにおいては約一万二千九百円というような元売り仕切り価格を押えてやっておる。——これは灯油でございましたか。ともかくそういうわけで、かなり石油の値段よりも安い値段で固定させて民生安定のためにやっておるということは事実でございます。しかし将来、需要期はわれわれはこれでがんばってやってもらうつもりでおりますが、将来の問題につきましては、石油の変動状況も勘案し、われわれとしてはできるだけ石油の内部の得率及び内部調整、油種別の調整ということを期待してやらざるを得ぬだろう。LPG、灯油について補助金的なものを出すということはあまり適当ではないというふうに私らは考えます。なぜならば、それは長続きしないからであります。そういう意味において、将来については油種の内部における価格のウエートにおいて調整がとられるという可能性はその場になれば出てくるだろうと思いますが、それは現在そういうことをやるということではございません。
  35. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣がいなくなってからその質問はしたいと思うのですが、結果的に原油価格よりも仕切り価格のほうが高くなっている。いわんや小売りマージン等を加えるならば完全に赤字になって販売をしている、こういう状況に灯油はあるわけです。さらに、LPGもそういう形になってくるであろう。これはあとで長官に聞きたいと思うのでありまするけれども、そういうような状況下において政策的な意味で灯油価格を据え置いておるわけでありまするから、政策的な意味において据え置かれるものであるならば、民生安定という形の中においてこの据え置きが持続されると判断をしても差しつかえないのではないか。あるいは判断されないとするならば、今日の状況の中で据え置いたという意味が非常におかしなものになってくる、こう考えるわけでありますが、この点は、いまの大臣答弁では不十分でありますので、大臣答弁長官答弁をあわせてこの際お聞かせを願いたいと思います。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民経済の均衡水準が順次移動していくだろうと思います。そういう意味におきまして、その均衡水準を見合いつつ、極力昨年以来とりましたLPGや灯油の政策の精神を受け継いで、現実的処理をできるだけやっていきたい、そういう考えに立っております。
  37. 山形栄治

    山形政府委員 大臣と全く同意見でございますが、灯油に即して申し上げますと、ちょっと前までの数日は非常にあたたかくて、あたたかい地域では灯油をあまり使わないということだったのですが、きょうは雪も降っておるというようなことで、まだいわゆる需要期が全国的に過ぎ去っておりませんので、いまこれを何らかのかっこうで見直すということは、政策の継続性からいいましても民生の点からいいましても非常な混乱を発生すると思われますので、少なくとも需要期は据え置きをいたしまして、そのかわり元売り仕切りも低いところで押えて、ほかの油種へこれを割り掛けして元売り全体のバランスをとっているわけでございまして、需要期が過ぎ去ったところで、新しい観点で、いまの大臣のお話しのとおり、そういう考え方でこれはもう一回見直す必要があろうかと私は考えております。
  38. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣の退席の時間が来ましたので、最後に大臣に御質問してみたいと思うのです。  あと、長官には引き続き質問いたしますが、公団法の問題につきましては、先ほど冒頭で質問を申し上げたわけでありまするが、実は私、きのう電力料金の問題で一時間にわたって公益事業部長あるいは通産政務次官と話し合いをいたしたわけであります。結果的に、これも重大な政策問題であります。さっき中村委員からも質問がございましたが、われわれの意図するところは、通産大臣権限であるこの認可事項に対して、通産大臣が民生安定と国民の福祉——いわゆる原価主義という形でなくて、国民の福祉ということを前提にしてこの問題に積極的に取り組んでもらいたいという点について強く指摘をいたしたわけでありますが、問題は時期にかかってくると思うのであります。したがって、この問題について総理大臣参議院選挙対策を念頭に置きつつ時期を決定するというように発言されておるやに仄聞をいたしておるわけでありますけれども通産大臣としては、これらの問題についていわゆる民生安定を重点にするというお考えであるのかどうか。さらにまた、時期については、きのうの質問等に対する新聞記事発表がございまするが、これらにつきましては、事態の推移を見ながら、いついかなる状況の中で判断されるのか、いわゆる申請が出た時点の中において判断されるのか、あるいはまた申請は当分そのまま握りつぶす形の中において判断をしようとする考えであるのか、この点についてお伺いをいたしまして、大臣に対する質問は終わりたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれは自由経済を行なわんとしておるものでありますから、経済の合理性というものを否定し去ることは長続きのする経済になりませんし、経済にゆるみが出てまいります。また一面、われわれは政党であり、政治家でありますから、民生安定、国民福祉というものも大いに強調して取り上げなければならないところであります。この二つの点をどういうふうに調和させるかというところに政治的決断がかかっております。この政治的決断というものは、一通産省仕事を越える大きな仕事でありまして、これは内閣及び党の首脳部とも協議して、自民党としての態度をきめて取り組むべきものであって、まだその段階ではない。いつであるかと言われますとちょっと答弁に困りますが、参議院選を意識してどうこうということは避けたほうがいい、やはりいま言った民生の安定、福祉の優先ということと経済的合理性というものを考えて、われわれは適時と思う点に判断を下すべきである、そう思います。
  40. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、長官中小企業庁の次長が来ているようでありますので、質問を続けていきたいと思います。  まず、公団法のこまかな内容に入る前に、先ほど来質問申し上げた点を中心にして、一つの具体的な事例の中で二人の方に質問をしてみたいと思います。  先ほど申し上げましたとおり、いわゆる灯油の仕切り価格あるいは精製元売り会社状況考え合わせまして、今日、石油製品価格の上昇が各方面に与えている影響は非常に大きなものがあるわけであります。特にこの問題が発生し、進展している形の中において、中小企業経営者に与えている影響はきわめて大きいわけであります。  そこで、私は一つの具体的な例を取り上げながら質問をしてみたいと思うのでありますが、今日、いわゆる価格決定に際して行なった措置として、ガソリンスタンド等に対するところの価格が決定いたしたわけでありますが、この価格が結果的にどのような形の中において四月一日からいわゆる税金込みで百円という価格になったのかということについて、原則的に御答弁をひとつお願いしたいと思うのであります。
  41. 山形栄治

    山形政府委員 ガソリンにつきましては民生と非常に関係があるわけでございますが、一方、いわゆる石油危機以来、一部のガソリンスタンドで非常にマージンを高くしておるという声もあったことは事実でございます。われわれといたしましては、ガソリンと軽油とA重油につきましては流通マージンを少しでもこの際引き下げまして、実質的なる小売り価格の引き下げをはかるべきであるということを基本的な考え方として進んだわけでございます。  具体的に申し上げますと、四十八年の三月の段階で流通マージン、これは卸と小売りと両方含んでおりますが、リットル当たりで十五円七十五銭というのが平均で出ておるわけでございます。これが四十八年の十二月段階におきましては二十九円六十銭というように非常に高騰いたしたわけでございます。これの中にはいろいろな要素が入っていると思いますが、正常なるコストアップ部分も当然入っていると思うわけでございます。今回、基本的に元売り仕切りで上がりました油の値段をそのまま小売りに乗せる、小売りの経費の増は認めないというのが一つの原則であったわけでございますが、そういうかっこうでやりますと、これが百二円十銭に相なるわけでございます。こまかく言いますと、十二月の段階のレギュラーの販売価格が八十五円だったわけでございますが、これに対して、今回の元売りのアップが十七円十銭であったわけでございますので、合計いたしますと百二円十銭に相なったわけでございますが、これを、流通マージンを七円九十銭この際勉強していただくことにいたしまして、でき上がりで九十四円二十銭にいたしたわけでございます。この辺につきましては、われわれといたしましても卸、ガソリンスタンド等にいろいろと要請をいたしまして、ようやくそういう流通マージンのカットができたということでございますが、先生御存じのとおり、ガソリンスタンドでも非常にいいところと非常に悪いところとございまして、一部のガソリンスタンドは、確かに今回の措置で相当つらい立場になっている部分があるのではないかと私は考えますが、その辺につきましてはこれからいろいろと中小企業庁とも相談いたしまして、具体的な措置として金融措置その他も考えていきたいと思っておるわけでございます。
  42. 佐野進

    佐野(進)委員 いま長官のお話で、私も具体的な資料を一ぱい持っておるわけですから質問したいと思っておったわけでございますが、長官も理解されておるようでありますので、この点についての質問はそれほどいたさないことにいたします。  いずれにせよ、いまのお話のように、ガソリンスタンド経営の中におきましても、この前も質問申し上げましたが、大手直結の企業は比較的恵まれておりますけれども、小規模零細企業はこの状況の中においてきわめて苦しい段階に追い込まれ、いまや系列化して大手に直結するかあるいは廃業するか、みずから存立することは条件的に非常に不可能な状態になりつつあることは、いまの長官答弁でも明らかになっておるわけであります。  そこで、中小企業庁の次長に御質問申し上げますが、あなたのほうでも今日の石油問題の持つ意味は非常に重要であるということは認識されておると思うのでありますけれども認識されている状況の中において対策を立てられておるにしてはきわめて不十分であると考える部面がたくさんあるわけであります。  一つ申し上げてみますと、いま申し上げましたような経営状況の中で、さらに元売り会社は増担保の要求をしてきているわけであります。ところが、担保をぎりぎり出していながら、さらに担保を出せということになりますと、結果的にこれに対して何らかの措置をしなければならないという形の中で非常に苦しめられているわけであります。  さらにまた、その二番目の問題としては、元売り会社が代金支払いに対して具体的にサイトを短縮してきている。したがって、今日の状況下においてこのサイト短縮は、零細規模経営者に対してはきわめて大きな影響を与えておるわけであります。一つ申し上げますならば、シェルの関係におきましては、北海道では六十日であったのが二月分では四十五日、三月分では三十日というように短縮をされてきております。大協におきましても六十日が四十五日、丸善におきましては六十日がこれまた四十五日、このようにそれぞれの関係元売り会社が小売り業者に対してサイトの短縮を行なってきている。こういう形の中において非常に苦しい条件下に置かれてきつつあるわけであります。  さらに問題は、諸物価の高騰等に加えまして販売経費の増大が経営を圧迫していることが非常に多いわけであります。しかも、今日の政治情勢の中において小売り業者に対しても協力を求める、こういう形が一般的な形になっておるわけでございますが、これらについてどのように対処せられているのであるか、いまのエネルギー庁長官答弁に関連して中小企業庁としての御見解を承りたいと思うのであります。
  43. 小山実

    小山(実)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました問題は石油の流通段階の問題でございます。一般的に今回の石油製品の値上がりに伴います中小企業への影響というものは非常に大きゅうございまして、それに関連いたしまして主要物資の価格の事前届け出制とか、あるいは生活関連物資の百貨店、スーパーへの値上げ抑制要請とか、いろいろいたしました際にも、中小企業庁といたしましては、その結果、中小企業に不当なしわが寄らないようにということで、特に百貨店、スーパーに対する要請におきましても、中小企業等の関連業者に不当なしわ寄せをしないで自己の利潤、もうけ、まあマージンの範囲内で極力吸収するように、こういうことをうたったわけでございます。  なお、一般的に中小企業に対します原材料、石油等の値上がり、あるいは手形サイトの短縮による増加運転資金の手当ての問題につきましては、御存じのように、中小企業三機関等に対しまして重点的に配慮をするようにということで、先般、年度追加ということで五百億の貸し出し規模を増加いたしました。それにつきましても業種別にきめこまかくそういう業種に重点的に配慮をしてまいっておるわけでございます。  ガソリンスタンドの問題につきましては、まだ具体的にそこまで手を打っておりませんけれども、御指摘のように、増し担保の問題とか、あるいは仕入れの条件の短縮といいますか、そういうようなことで、非常にガソリンスタンドの経営についていろいろ影響が出てくるというようなことになってくる場合には、また資源エネルギー庁とも十分協議いたしまして、中小企業のガソリンスタンドが十分成り立っていくようにできるだけ努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  44. 佐野進

    佐野(進)委員 この点については、両庁とも積極的にひとつ取り組んでいただきたいと要望しておきます。  最後になりますので、法案内容についてエネルギー庁長官に御質問をしてみたいと思います。  すでに先ほど来質問を続ける中で本法案内容等につきましては具体的に質問をしている面もあるわけでありますけれども、私ども法案は今次情勢の中で改正するについてはきわめて不十分だと考えるわけでありますけれども、しかしまた、その持つ意味が非常に重要な要素を持っておるということも評価しておるわけであります。しかし、今日のような国際的な情勢の中で、この法律改正によって示されるような第十九条関係外国政府機関に対する融資等々、そういうような問題の処理によって国際石油情勢の変化のもとで自主開発が行なわれる。私どもはたいへんむずかしい問題が一ぱい出てきているのではないか、実際上法律改正してもそのことはたいへんむずかしいのではないかと考えるわけでございますが、この法案を起案した時点よりもなお今日複雑になりつつある現況の中において、この法案の持つ成果を十分期待することができるのかどうか、私どもはたいへん疑問を持っておるのでありますが、この点ひとつ長官見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  45. 山形栄治

    山形政府委員 ただいまの先生の御指摘のとおりでございます。産油国の動き、それにからむメジャーの動き、それを受けての各国、先進消費国の動きが非常に流動的でございます。一番端的なものとしては、フランス、イギリス等は二国間取引でサウジアラビアないしはイランから非常に大量の油を長期に引き取るというような動きもすでに出ておるわけでございます。それからもう一つの大きな動きは、われわれいま中近東に非常に目が向いておりますけれども、これからの石油系の資源の入手の問題につきましては、地域的にも東南アジア、シベリア、中国、それから豪州等が考えられるわけですけれども、別途先ほどお話が出ましたオイルシェールオイルサンドの開発の問題も出ておりまして、非常に多面的な多様化した日本の引き取り体制をとらなければいかぬと思うことは御同感でございます。確かに情勢が相当動いているわけでございます。ただし、いま一番大事だと思いますのは、産油国のパーティシペーション及びナショナリズムの勃興に伴ういわゆるナショナルリザーブという、自分の鉱区を自分のものにいたしまして、これをメジャーでなくてほかの国に開発及び探鉱開発をしてもらって、できましたら自国で製油所までつくってこれを輸出したいという動きが非常に出ているわけでございます。これがこれからの一つの大きな柱だと思うわけでございますが、従来公団では探鉱部門しか融資対象にできなかったわけでございます。この辺、まずこの一番大事なさしあたりの大きなところを突破口をつくりませんと、これは何としても事態に即応できないというのが今回の法律改正の主眼点でございます。今後いろんなことがあると思いまして、たとえば二国間の大きな取引に応じて、むしろこれは高い油になる可能性がありますが、これを引き取るときに政府または公団が直接引き取ったらどうか、またはこれは公団が直接備蓄したらどうかというような動きもきっと考えられるわけでございますが、この辺につきましては、引き取りといいましても、これは最終的には日本の精製がこれを精製しませんと意味がないわけでございます。引き取るときの値段の設定のしかた、それから引き取り体制、だれが引き取るのか、どうやってそれを国内の販売に乗せるのかというようなことになりますと、現在の公団の性格、民間企業の活動のあり方、この辺に全部関係する問題でございますので、現在総合エネルギー調査会で、そういう官民を含めたこれからのそういうかっこうについても六月ごろをめどに実は意見を出してもらうテーマにいたしておりまして、その辺、先生がそれをおっしゃっているのかどうか知りませんが、先ほど大臣も、完全なものでないと言いましたのはそういうことだと思いますが、私もそれは認めざるを得ないと思いますけれども、その辺は非常に民間活動とのからみが出ておるのと、それから公団がやること自体がはたして合理的に一番いいかっこうで国民のためになるのかどうかということも十分検討しなければいかぬと思いますので、これは今後の検討に待ちたい、こう考えておるわけでございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)委員 時間がきたようでありますから、最後の質問をいたしたいと思います。まだ幾つかの点について具体的にお尋ねをしたい点があるわけでございますが、省略いたしたいと思います。  ただ一つこの点だけはこの機会にお聞かせしていただきたいと思うのでありますが、世界各国のこの種、いわゆる石油確保に関する努力、その努力を一定の機構として存置しておるわけでございますけれども、その中で日本のこの開発公団の持つ決定的なマイナス要因、いま長官も御答弁がありましたけれども、マイナス要因として考えられることは、開発企業と精製企業とが全く分離している、開発は開発だけである、その開発したものを企業として別の精製企業にそれを送る、その開発企業に対して融資をする、こういうような形の中において一貫性を欠いている。他国の企業実態を見るならば、そのようなことについては一貫性を持っているというのが大部分でありますが、これが歴史的な経過の中で今日そういうような形になっているということは、先ほど来の質疑あるいは経過を見たとき考えられるわけでありまするけれども、この点については何らかの措置をとらなければならないのではないか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、この点の見解をひとつお示し願いたいと思うのであります。  さらにまた、先ほどお話がございましたように公団が産油国の国営石油会社融資する、それでプロジェクトで開発する、そして生産が行なわれる。そうすると、そこでできた油が一体どういう形の中でわが国へ結びつけられてくるのか。販売はともかく、生産と精製が一貫しているならば、その形の中に問題は解明されるわけでありますけれども、そういう形がない状況の中において法律改正して、産油国国営石油会社に対しても融資することができるという、そのできた形の中においてできた油がその先どうなるのかということについては、たいへん問題点があろうと思うのであります。  さらに、今回の改正は相当大幅な予算を組んでおるわけでありますけれども、八百億といわれておるこの予算措置自体がどの方面に向けられているのか。いままでと同じように四十二社と称する開発会社に対してこれが向けられるのか、あるいはたとえばさっき言った産油国の石油開発会社等に対して直接的にこの金が向けられるのかどうかということは相当大きな疑問点があるわけであります。  そのほかいろいろございますが、一応以上の点を質問申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 山形栄治

    山形政府委員 この開発と精製が日本で分離しておるという御指摘でございます。これは私も非常に残念なことでございまして、これは通産省だけの問題でなく、年来何とかして、いわゆる和製メジャーというようなファンクションを日本につくり上げようということで進んできたわけでございます。一番取っかかりは、いわゆる民族系を全体として育成する、その次の段階は、その中で共石グループというのを何とかしてもり立てよう、それからその次は、公団というものをつくって、それを中核に開発部門を育てる、おそらくその次に考えられたのが、そういう過程の結果として育ち上がってきた開発部門といわゆる精製部門を何らかのかっこうで有機的な形にするというのがコールであったのだと思うのでございますけれども、現時点で非常に世界情勢も動いてきたわけでございます。しかし、御指摘のとおり、日本に何らかのかっこうでこの開発と精製が一貫した形がないということは、これはわれわれ全体にとっても非常に不幸なことであろうかと思います。これは最大の問題だと私思うわけでございます。これにつきましても、先ほど言いました、いま総合エネ調で検討を進めておるわけでございまして、その辺の結果も見ながら、この辺につきましては、強力に全体のコンセンサスを得ながら具体的に現実的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、この産油国の国営会社公団融資しましたときの油の問題でございますけれども、これは今回の法律でも、わが国の民間企業が公団融資の結果、相当量の石油の取得または取得できる可能性のある鉱区でなければ公団融資してはいけないのだということで、非常にある意味で厳格に歯どめも加えておるわけでございます。したがって、公団融資いたしますときには、実際問題としてはそれをだれが引き取るかということも、ある程度実は話を進めながら進めるということに相なろうかと思います。  それで、公団探鉱開発について融資をする、そこから出てくる油につきましてはどこが引き取るかわかりませんが、民間の精製が値ぎめをいたしましてこれを引き取る、こういう二本立てでいくことに相なろうかと思います。この値段の問題はなかなかむずかしい問題でございますので、いわゆる役人的な公団というのがすぐそのままやるということは、私は今後もなかなかむずかしいのじゃないかという感じがいたしております。  それから三番目の予算措置でございますが、八百億に即して申し上げますと、これは四十八年度は三百七十七億であったわけでございますが、四十九年度は大幅に八百億にふえたわけでございます。特に融資条件も、大蔵当局との折衝で、大蔵当局も非常にあれしてくださいまして、現在六・五%のものを最低四・七五という非常な低利のものまでこれを弾力的に運用できるという道が開かれたわけでございますが、その八百億の中に、われわれがいま当面考えておりますのは、その産油国国営石油会社への探鉱開発融資といたしましてペルー、それからイラン、それからイラク、この三つがさしあたりいま現実的な問題で出ておりまして、その三つの合計が約百億円でございます。これは今後もっとふえるのではないかと思いますが、それから大陸だなの探鉱関係の投融資、これは秋田沖、新潟沖、常磐沖、それから沖繩海域、北海道の沖、いま大体五つぐらいがわりあいに進んでおりますが、この関係で五十六億円ぐらいをいま予算の積算としては想定をいたしております。
  48. 佐野進

    佐野(進)委員 以上で終わります。
  49. 濱野清吾

    濱野委員長 渡辺三郎君。
  50. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いま佐野委員からも御質問がありましたが、今回の石油開発公団法の一部改正は、現行の第一条の目的、それから第十九条の業務範囲の拡大、さらに三十五条の大蔵大臣との協議、このように条文の改正としてはきわめて限られた内容になっておると思います。  しかし、問題は、昨年以来のわが国の経済、それから国民生活の根本をゆるがした石油問題に対する政府の根本的な対策姿勢、あるいはあり方を明らかにする重要な回答が今度の法改正の中に示されなければならない、このように認識をするわけであります。そういう意味で、きわめて慎重に、かつあらゆる角度から十分に検討されなければならないと思いますけれども、ただ、この改正によりましても、基本的に公団の性格あるいは機能は変わらない、このように私は認識するわけであります。しかし、そのことはさておきまして、きょうは改正点に焦点を合わせながら、一応全般的な問題をこれから御質問を申し上げたいと思います。  最初に、少し具体的にお聞きしたいわけですが、いままでの答弁の中でもありましたけれども日本石油開発会社は、一体正確にはどれほどの数があって、そしてまた、そのうち実際に有効な開発実績をあげて活動しているのは何社あるのか、この点を最初に具体的にお聞きしたいと思うのです。
  51. 山形栄治

    山形政府委員 先生御存じのとおり、日本の開発体制というのは非常に出おくれたものでございますので、いわゆるワンプロジェクト・ワンカンパニーというかっこうで、現在四十数社が散在いたしております。それからそれ以外に、これではとてもだめだということで、ADMAの案件が起こりましたころから、いわゆる統括会社という大体商社ないしは金融機関が中核になりまして、資本力をむしろ充実するという目的で統括会社というのが現在七つできておるわけでございます。その四十数社のうち、これが実際に動いておりますのは、成功いたしましたのは六社でございます。ただ、この中にはアラビア石油が入っておりますので、これは相当昔にやったものでございますが、アラビア石油を含めまして六社、具体的に申し上げますとアラビア石油、ジャパンローサルファオイル株式会社、インドネシア石油資源開発株式会社、アブダビ石油株式会社、ジャパン石油開発株式会社、シーアイエネルギー開発株式会社、この六社が、大体小規模でございますが開発に成功いたしておるわけでございます。
  52. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そうしますと、いまお答えになりました統括会社、これはあとで長官があげられた六社についてはいわゆるたくさんある開発会社の中で実際に機能しておるといいますか、生産をあげておる、こういうふうに理解していいと思うのですが、その前にお答えになりました統括会社、この統括会社の機能あるいは開発会社との関係、こういった実態についてもう少し詳しく御説明いただきたいと思う。
  53. 豊島格

    ○豊島説明員 先ほど長官が申しました統括会社は大体七社あるわけですが、その統括会社の機能は、各プロジェクトごとにやっておりますプロジェクトカンパニーに対しまして、出資ないし融資をいたします資金供給源としての役割り、あるいは技術者の供給としての役割り等、そういうプロジェクト会社をおそまきながらまとめていく役割りを果たしている、こういうふうに言えるのではないかと思います。いわゆるADMAその他の大プロジェクトにつきましては、これらの統括会社がグループの金を集めまして、そういうプロジェクト会社に投入しているというのが実態でございます。  なお、統括会社の規模につきましては、いろいろと差がございますが、一番小さいものが大体資本金としては三十億くらい、多いのは百十億くらい、このようになっております。
  54. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これも答弁の中にありましたから、ちょっとお聞きしたいのですが、アラビア石油の生産量、これは去年の特に秋から暮れにかけて、さらにことしに入って石油問題の中で若干計画よりも削減される、こういうふうな状況になったと思いますけれども、四十七年度でけっこうでございますが、一体どのくらいの生産量をあげておって、そしてそのうちわが国に対してどれだけ輸入をされておるか、これをちょっとお聞きします。
  55. 山形栄治

    山形政府委員 四十七年度で申し上げますと千八百九十五万九千キロリットルでございます。これが先生のいまの御指摘のとおり、OAPECの動きからやはり生産制限をかぶりまして四十八年度はこれより相当下がると思います。四十七年度で申し上げますと、このうち日本に持ち帰られましたのが約千二百万キロリットルでございます。
  56. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そうしますと、最初お聞きしました四十二社ですか、一応名目的であれ探鉱開発会社になっておるわけでありますけれども、そのほとんどはまだ十分な成果をあげていないと思いますが、この全体の量の中でいま言われましたアラビア石油の占める割合は一体どのくらいになっておりますか。
  57. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる先ほど言いました六社的なところの全部が四十七年度で二千九十六万五千でございます。したがいまして、アラビア石油が九割以上ということに相なるわけでございます。
  58. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 そうしますと、これからたとえば周辺の大陸だなの開発とか、いろいろの問題がありましょうけれども現状では、数の上では開発会社がたくさんあるけれども、実際はほとんど探鉱にも必ずしも成功しておらないし、またそれが採取の段階にはまだまだいっていない、数の上ではたくさんあるけれども、実際にものになっておるのはアラビア石油くらいのものだ、極言すればそういうふうになると思うのです。そういったような状態の中で今後わが国独自の探鉱というものも進めていかなければならない、こういうふうになると思うのですが、そういったような認識の上に立っていろいろお聞きをしていきたいと思うわけです。  今回の法改正の中で、先ほどもちょっとありましたが、いわゆるオイルサンドオイルシェール、この問題が出ました。この石油系の未利用資源の開発をはかる、こういうふうになっておるわけですけれども、このオイルサンドなり、オイルシェールなりの開発の理由というものは、少なくともわれわれ公式に聞かされておる範囲内では、これは石油をはるかにしのぐ非常にたくさんの埋蔵量があるのだというふうなことと、それからいままでは原油の価格が比較的安かったというふうなことから、新たにオイルサンドなり、オイルシェールなりを開発するというかっこうになると採算の点で合わない、それが今度の原油の高騰によって十分に経済性が現実のものとなってきた、このような説明を聞いておるわけです。はたしてそういうふうに簡単に理解していいのかどうか、私は若干疑問があるわけです。したがいまして、オイルサンドなり、オイルシェールに対する開発の政府基本的な政策あるいはこの開発についてどういうふうな緻密な把握をなさっておるのか、こういう点について、時間がありませんからあまり専門的には詳しい説明はいただけないかと思いますけれども基本的な考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  59. 山形栄治

    山形政府委員 簡単に申し上げますと、オイルサンドの推定可採埋蔵量は三千五百億バーレル、これは油換算そのままでいたしますと約六百億キロリットルということになります。これはカナダだけでございます。カナダだけでそれだけあるといわれております。  それから米国のオイルシェールでございますが、これが千九百億バーレル、これもごく簡単に申し上げますと、三百億キロリットルくらいに相なるわけでございます。  御存じのとおり、いまの石油の埋蔵量というのは世界全体で九百億キロリットルでございますので、このカナダオイルサンドとそれからアメリカオイルシェールを足しますと、ちょうどいま全世界の油の埋蔵量に匹敵するわけでございます。かつ、このオイルシェール及びオイルサンドのいわゆるコストというのは、いまオイルサンドにつきましてはカナダでやっておりますが、バーレル大体四、五ドルといわれておりますので、現時点におきましては油よりずっと安くなってきておるわけでございます。ただ、これは技術的になかなかむずかしい点がありまして、油ほど簡単に掘り出せないという点がございますけれども、いま小規模でやっておりますものは四、五ドルということで、今後このオイルサンドオイルシェール石油系資源としての本命になる可能性があるんじゃないかと思うわけであります。  なお、これについては、そういうただ理屈でわれわれ思いついたのではございませんで、カナダ政府からも、前から日力合弁という申し入れが実は来ておりますし、現実に日本の企業が数社、いまカナダのアルバータ州で行なっております鉱山にファームインをする交渉も実は続けておるようなことでございます。わりあいに現実性のある話であるし、この際、日本として、中近東に全部油を依存するというのは何としても脱却すべきであるという基本的な考え方からしましても、早目にこういうところと先進国間の国際協調、資源の分散化、こういうことで、これは非常にいい方向ではないかと私は考えております。
  60. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 このオイルサンドオイルシェールにつきましては、いまカナダからも日本に対していわゆる国際提携、こういうふうな形での照会が来ておるというふうなお話がありましたが、日本政府あるいは公団として、このオイルサンドなりオイルシェールなりに対するコストの問題を含めて、あるいは環境の問題もきわめて重要だと思うのです。そういうふうな点で、今後大規模な開発をする場合に、はたして今日四ドルあるいは四・五ドルといわれておるこのコストで十分に開発が可能なのかどうか、そういうふうな点を含めまして、あるいは先ほど長官自身が言われました、すでにカナダから日本に対してもある程度の照会がある、こういう点などを含めまして、もう少し詳しく私はこの問題についてお聞きしたいわけなんです。ただ、時間の関係がありますから、いまここでは遠い先の問題としてではなくて、政府自身がこの問題について積極的にアプローチをする体制が具体的にどのようにつくられておるのか、その点だけをまずお聞きしたいと思います。
  61. 山形栄治

    山形政府委員 一つ非常に重要な点は、これはただ金だけを出して、カナダ政府またはカナダ企業に日本が参加するということではいわゆる自主性がございませんので、われわれとしましては、今回予算措置としまして、公団に交付金一億二千万円を出しまして、このオイルサンドオイルシェールの開発技術、特に水攻法等も含めました技術開発の研究を委託するものとしまして一億二千万円を計上いたしておるのが一つあるわけでございます。  それから、これは公団みずからがやる、やはり融資対象でございますので、いま先生のお話しのとおり、これは非常に膨大な資金も必要とするし、ある程度リスキーなものでもございますが、日本の企業主体がよくカナダの国、アメリカの企業等と話をつけまして、具体的にこれが育つところをもって、法律がもし通りますれば、公団がこれに積極的に融資していく、こういう姿勢で臨みたいと思っておるわけでございます。
  62. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 われわれは、通産省から直接提供された資料ではなくて、たとえば業界であるとか、あるいはその道の専門誌であるとか、そういうところから、このオイルサンドなりオイルシェールのいろいろな資料を見せてもらったり検討しているのです。いまおっしゃるように、技術的にはたいへんむずかしい問題で、私ども、もちろんこれについては門外漢でありますけれども、ただ、こういう重要な今後のわが国のエネルギー資源として対象化される可能性が十分にある、こういうものに対して、政府は積極的にどういう対策を進めていくのか。いま、資金の面も若干おっしゃいましたけれども、そういうふうな全般の問題について政府の対応のしかた、これをいますぐにというわけには参りませんでしょうけれども、なるべく短時間にまとめていただいて、ひとつぜひとも私どもに資料として提出をいただきたい。この点は、委員長にもお願いを申し上げたいと思うわけであります。
  63. 山形栄治

    山形政府委員 資料にまとめまして提出いたします。
  64. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それでは次に、わが国の領海と、それから周辺大陸だなにおける探鉱公団の投融資対象にする、こういうふうになるわけでありますけれども、この問題に関連して一、二、簡単に御質問したいと思います。  もうすでに四十六年度から、この目的達成業務対象としてこの投融資は行なわれているのではないか、こういうふうに思うわけです。それをあらためて今回は明文化したわけだと思いますけれども、その間、四十七年に石油公団法の一部改正が行なわれております。でありますから、この前の一部改正のすでに前年度から、これはもう目的達成の業務の中に入っていると思うのでありますけれども、なぜ条文上いまあらためてこういうことを明らかにしたのか。これは先ほど長官答弁の中で、若干内容としてつけ加わった業務がある、こういうふうな意味でお聞きしておったのでありますけれども、その間の事情を少し説明していただきたいと思います。
  65. 山形栄治

    山形政府委員 御指摘のとおり、大陸だなの開発につきまして、ほかに有効な手段がありませんでしたので、四十六年度から目的達成業務ということで細々とこれを行なったわけでございます。いま御指摘の四十七年度改正のときには、大陸だなの開発の緊要性というものの認識がまだ今日ほどでございませんでしたので、これは一応法改正の中に入れなかったわけでございますが、その後大陸だな問題が非常に大きな問題になりましたのと、一つは、その大きい問題は国際海洋法会議、これはまだ結論が出ておりませんけれども、大体において領海の概念が従来の三海里から十二海里に広がるというのがほぼ世界全体の妥結の方向だということに相なったわけでございます。  御存じのとおり、公団というのは、国内融資対象にしませんで、海外活動を主にして融資対象としておりましたところへ領海が非常に広がってくる可能性がある。いま、いろいろな学者の推計によりますと、十二海里になりますと日本の領海だけで、私ちょっと数字は不確かでございますが、十二億キロリットル相当分ぐらいの非常に有望な地層があるともいわれておるわけでございます。こういうことでございますので、この際、今回は大陸だなだけでございませんで、領海ということも合わせて一本として、日本の近海で最も安定した石油類の安定供給のもとをつくるということを今回の法律改正の非常に大きな主眼にいたしたわけでございます。そういう経緯でありましたことを御報告申し上げます。
  66. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 今回あらためてこれを問題にしたという趣旨はわかりましたが、これに関連をしまして、今後あるいはきわめて重要になるかもしれない問題について、これは長官並びに政務次官もお見えになっておりますから、次官からもお聞きをしたいわけです。  日本と韓国との間の両国に隣接する大陸だなの南部の共同開発に対する協定が一月三十日にソウルで行なわれました。もちろんこれはまだ批准になっておらないわけでありますけれども、しかしこの問題は、今後石油あるいは天然ガス等の開発を日本がこういう石油危機の中で進めたいという場合には、非常に重要な問題となってくると思うのです。御承知のように、これに対して、一月三十日ソウルで協定されますと同時に、二月四日には中国政府の外交部が正式な声明を出して、これに対しての若干の異議を唱えておるわけであります。この内容についてはいま主要な課題でありませんから、詳しく内容には触れませんけれども、そういう問題がある。したがって、こういう国際間の問題にならない範囲内の日本の領海なりあるいは大陸だなの開発の問題については、私ども今後の探鉱開発として非常に重要な意義を見出すわけでありますけれども、こういう問題がかかわってくる、これが今後さらにもっと別な地域においても出るかもしれない、こういうことも考えますので、これについて今度の法改正にからんでどのような検討をなされたか、あるいはまたどのような考え方を持っておられるか、この点はひとつ明確にお聞かせをいただきたいと思います。
  67. 山形栄治

    山形政府委員 一月三十日に一応日韓大陸だな共同開発協定が調印されておりますけれども、現在まだ国会にはもちろん提出されておらないわけでございます。これにつきましては、いま先生の御指摘のとおり、中国から抗議がなされておることも確かでございます。しかし、われわれとしましては、現在日韓大陸だな共同開発で考えております地域といいますのは、中国の領土から十二海里以上離れている地点でございまして、これは国際協定がまだ全部でき上がっておらないいろいろな複雑な要素がございますが、一応その十二海里以上離れている点で境界をきめて、日韓両国でこれを区域を設定したということでございますので、ぜひこの辺は中国の御理解を得られたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、日韓の大陸だな共同開発につきましては、今回の法律改正とは直接関係ございませんで、これはもともとが日本の領海外でございますので、現行法におきましても、一応対象としようと思えばできる地域でございますので、今回の改正とは法文上関係ないわけでございます。
  68. 森下元晴

    ○森下政府委員 考え方としては、いまエネルギー庁長官お答え申し上げたとおりでございます。ただ、外務省がすでに中国のほうに協議をしておる。内容はさだかにわかりませんけれども、やはり資源問題と同じように、領海、領域の問題は国際的な問題でもございますし、これは慎重にやらなくてはいけない。ただ、日本と韓国だけが協定をして批准をすればすべて済むという問題でないように私は思っております。そういうことで北朝鮮のほうからも何か抗議が来ておるようでございますし、よく慎重にこの問題と政治的に対処しなければいけない。ただ、通産省だけのサイドではなしに、やはり外務省、内閣すべてが領土問題の一環として、まあ大陸だながどの程度、この領域、領海また領土というものに関係するかというようなこともよく考えながらこの資源対策を検討しなければいけない、非常に微妙な、複雑な、しかも大切な問題である、こういうことで対処していきたいと思います。
  69. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いまの問題は、政務次官の考え方基本的に私もこの段階で了解をいたします。ただ、いまも言外におっしゃられますように、資源開発をあせるあまり別な問題でまた国際的な紛争の種になる、こういうふうなことは厳に避けなければならないわけでありまして、アラブのあの十月の問題というのが、そのことをわが国にも非常に大きな教訓として与えていると思いますので、その点はひとつ十分に、いま次官おっしゃるように、慎重にお考えをいただきたい、こういうふうに思います。この点はこれで終わりにします。  次に、これもさきの御質問の中で若干解明され、あるいはお答えをいただいたわけでありますけれども備蓄の問題についてやはり御質問を申し上げたいと思うのです。  先ほどいろいろな答弁がありましたけれども、現在の備蓄量については、先ほども質問がありましてお答えは一応あったわけでありますけれども、正確に、原油であるいはまた製品で何日分確保しておられるか、最も近い数字を、近いというのは最近の数字をひとつお答えいただきたいと思います。
  70. 山形栄治

    山形政府委員 三月末で、原油で二十三・三日分、製品、半製品で二十四・八日分、これは一部推定も入っておりますが、合計四十八・一日分という予定でございます。
  71. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 四十九年度に六十日分達成をする、こういう考え方がいままで繰り返し固められてきたと思いますけれども、この基本的な考え方に現在の情勢の中で変わりはありませんか。
  72. 山形栄治

    山形政府委員 備蓄につきましては、先生御存じのとおり、諸外国は、これは国防の問題も非常にあると思うのですけれども、大体西欧で九十日、多い国では百二十日というようなことになっておるわけでございます。日本は、四十七年度以降これを三カ年計画で六十日にしようということで進んでまいりまして、すでに、非常に幸運なことには四十八年の十月でほぼ六十日に早目に達成できたわけでございますけれども、その後の動きは御存じのとおりで、だんだんと備蓄が減って四十八日分になっております。  四十九年度どうするのかということでございますが、これは先ほどもお話ししましたように、一つ考え方としては、当然少なくとも六十日、できますれば九十日ぐらい持たなければ、あの大混乱というのは、また来ましたときに大問題になるということにつきまして、私全く同感といいますか、そういう考え方を持っておるのでございますけれども、さしあたりのところ、いまの石油事情というのが非常に流動的でございまして、特に一番のポイトンは世界全体の供給の六割を占めている中近東がいまだに増産に踏み切っておりません。対米禁油を緩和しただけで、昨年の九月水準に戻ったというだけでございますので、この辺の油の全体の量がどういうふうになるのかというのが一つであります。  それからもう一つは、今後備蓄を相当高い油でも強行するという場合に、それの資金をだれが負担するのか。もちろん国全体で負担するのか、企業ベースを加味するのか、その辺の問題がこれから非常に大きな問題だと思うわけでございます。大きな方向としては、少なくとも六十日というのは堅持しておるわけでございますけれども、いまその辺も含めまして、総合エネルギー調査会の中に小委員会というのをつくりまして、その備蓄の今後のあり方ということを検討していただいておりまして、六月中ぐらいには結論が出ると思います。その辺の御意見も参照して考えてまいりたいと思うわけでございます。
  73. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 産油国における生産の削減、この事情から非常に目標が立てにくいということは私も十分に理解できます。ただ現在、いま示されましたように、原油、製品、半製品含めて四十八日、これを最低六十日にしていくあるいは七十日にしていく、こういうふうになりますと、これに対する、産油国における削減の問題のみならず、わが国の国内におけるタンク能力あるいは土地の問題それからいま長官も言われました原油備蓄代の問題、こういう資金的な面が、相当の裏づけ、手だてがないとなかなかむずかしいのじゃないか、私はこういうふうに思うわけです。  それで、そういう点については、完全に六十日分については達成される、十分である、たとえば、先ほど言われましたように、去年の十月段階でもうすでにそれに近いものになっておったのだからあらためてそういう手だては必要ない、問題は産油国の生産削減さえなければそれで十分なんだというふうに認識なさっておるんでしょうか。その点どうでしょう。
  74. 山形栄治

    山形政府委員 いま先生のおっしゃいますように、タンク能力でございますと現在たしか、これはちょっと数字が手元にございませんが、相当の量がございまして、現に昨年十月末で約六十日分の備蓄ができたわけでございますので、現時点で六十日に見合うタンクの必要はないと思うわけでございますが、これは御存じのとおり各精製が自分の責任で政府の援助も得ながら備蓄したわけでございます。これからの備蓄資金的にどうカバーするかというのが一つの問題でございます。  それからもう一つは、長期的な問題でございますけれども、もしこれを今後たとえば九十日にするというようなことになりましたときには、私は国内の立地問題が当然出ると思うわけでございまして、その意味から中間地の備蓄能力、日本ではないほかの地域で中間的に備蓄をするという発想等も今後はまじめに考えざるを得ないのじゃないか。ただその場合に、置きました土地が非常に政治的に不安定なところでございますと、そのままそれが没収されるという可能性もございますので、そういうことも含めた中間地備蓄構想というのも将来、長期的には考えざるを得ないと思うわけでございます。
  75. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それではちょっと念を押しますけれども、もし四十九年度に最低六十日分の備蓄を産油国の生産削減の問題が解消されれば必ずやる、その場合にはいろんな形の資金が必要だと思いますけれども、それはもう十分に政府としては対応策ができておる、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  76. 山形栄治

    山形政府委員 四十九年度で六十日分にするということは、現実なかなかむずかしい問題だと思うわけでございます。かりにこれが六十日になるということでございますと、約十五日分ぐらいが積み増しされるわけでございます。この十五日分ぐらいの積み増しのいわゆる運転資金等を含めますと、これは大まかな数字でございますが三千二百億円ぐらいが必要になるという、これは原油代が上がってからの計算でございますけれども、そういう計算ができるわけでございます。この辺につきましては、当然のことながら現在政府としましては三つの方法で備蓄増強の施策をやっておりまして、タンク建設資金日本開銀からの融資、それから備蓄原油購入資金、運転資金でございますが、これに対する公団からの貸し付けといいますか、利子補給的なことでございます。それから三番目は備蓄タンクの五年間の五割増しの特別償却。この三つで従来備蓄政策を進めてきたわけでございますが、私、四十九年度末で六十日にできるということは、先ほど言いましたように非常にむずかしいと思いますが、当然それは方向としては正しい方向でございますので、そういう方向への一そうの努力をいたしたい。その場合の資金等につきましてもできる限りのことを国全体としてもやるべきではないか、こう思っておるわけでございます。
  77. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 私もそうだと思うのです。これはかりに十五日という計算で長官言われましたけれども、確かにもう三千億を上回るほどの資金が新たに必要になると思うのです。ですから、産油国の生産削減が理由でこの昭和四十九年度中に六十日分の備蓄がなかなかむずかしい、こういう事情は当初言いましたようにわかります。わかりますけれども、その要素を除いて、もしその問題が解決されたとするならば、それならば今度は六十日なり七十日なりの備蓄というものを日本のわれわれの努力でやらなくちゃいかぬ。その場合に、裏づけになる資金ができなかったためにこの備蓄は五十日で終わりでございます、五十五日で終わりでございますということでは問題にならぬと思うのです。したがってその辺は、これはもう当然十分に計算に入れながら体制をつくるべきだ、こういうふうに私は申し上げたいわけであります。  それからいまの問題にからんで原油の中継基地の問題が出されました。ここでひとつ具体的にお聞きをしたいわけですが、これは世界的な一つの規模にまでなっていると思いますけれども、あるいはなる予定になっていると思いますけれども、日石の鹿児島の喜入基地、これの備蓄施設はどのぐらいの備蓄能力を持っておるのですか。現在段階でどのぐらいか、あるいは日石自体がいま建設を進めようとしておるその計画が終わればどのくらいになるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  78. 山形栄治

    山形政府委員 ちょっと喜入の現有の能力については数字を持っておりませんけれども、最終の計画は六百万キロリットルだそうでございます。
  79. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それから国内にそういう基地がなかなか建設しにくい。これはいろいろな理由があると思います。それで、海外にいわば中継基地というふうなものを真剣に考えなくちゃいかぬといういまのお話がありましたが、これについてはいま資源エネルギー庁として可能性のある地区、あるいはすでに具体的な計画なり見通しなり持っておる地区、これはどこどこになるでしょうか。
  80. 山形栄治

    山形政府委員 具体的に申し上げますと、いわゆるインドネシアのロンボク島というのがございまして、これは海峡が非常に幅が広くて五十万トンタンカー等も通れる。マラッカ海峡がいま非常にあぶなくなってきておりまして、ふくそうのせいもございまして五十万トンの船は非常にむずかしいということで、将来このロンボク島の海峡が一つの大きな候補地ということになっております。それからそこからちょっと西のほうに行きましたところのやはり島のところの海峡でございますが、スマンカ海峡というのがございまして、その辺がやはり三十万トンぐらいが通れるということでございます。  いずれにしましても、これはまだ構想の段階であるのと、もう一つは、日本だけでつくるということはとても無理でございます。当然インドネシア政府との関係、それからメジャーとの関係も出たほうがいいんじゃないかという感じもいたしております。また、一番大事なことは、中近東の産油国との関係、できましたらこの辺を全部集合いたしました大きな国際プロジェクトにこれを仕上げるというのが一番いい方向だと思うわけでございますが、いずれにしても現在まだ構想の段階でございまして、今後そういう方向で調査を進めるという段階でございます。
  81. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 これは新聞記事でありますけれども、いま言われたインドネシアのロンボク島、それからもう一つは韓国南部の沿岸、巨済島付近に世界最大級規模の中継基地を置きたい、こういうふうなことから、アジア石油とそれから韓国の韓国火薬、この間で相当詰めた計画をすでに進めておる、こういうふうな記事があるわけであります。この問題については、今後当然海外中継基地というものが問題になるだろうという考え方に立って、私は十二月に長官に対してこの問題を質問をしたことがあります。しかし、当時、長官答弁としては、この計画に限らず海外中継基地というものは今後十分に考慮の対象になるのではないかというきわめて抽象的な答弁でありました。私はもう少し詰めてこの問題を聞きたいと思っておったのですが、当時は時間がありませんでしたからこれで打ち切りました。新聞にはすでに相当具体的にこの計画が書かれておるわけでありますけれども、これは資源エネルギー庁としては御存じないのですか。
  82. 山形栄治

    山形政府委員 この問題は私は聞いております。聞いておりますが、その後の動きというのは実はフォローいたしておりません。私の聞いた範囲で申し上げますと、韓国の非常に港湾状況のいい、しかもヒンターランドとの関係のいいところに韓国の国内需要も含めて、国内需要用の備蓄も含めまして中継の備蓄基地をつくりたい、これは何も一つ会社の問題でなく、日本全体として、あらゆる日本関係者にオープンに門戸を開きまして、国全体の方向でこれを進めていただきたい、そうしてくださってけっこうだ、こういう話を聞いておるわけでございます。ただ、一つの問題でございますのは、当面のところ、どこの油を備蓄するのか、どこの油というと少し限定し過ぎますが、備蓄基地というのはおのずから原油の入手とのつながりがついておらないと、からっぽのタンクを置いても意味ないわけでございます。その辺が実はまだ詰まっておらないやに私はその当時聞いたわけでございまして、その後韓国側とどういう具体的な折衝が行なわれているか、それから原油の入手見通しがどうであるのか、その辺につきまして調査をいたしたいと思っておるわけでございます。
  83. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 時間がありませんから、これはいずれもう少し時間をとってお聞きする機会があろうかと思いますけれども、記事によれば、先ほど申し上げましたように、アジア石油と韓国火薬によって、韓国南部沿岸巨済島付近に貯蔵能力一千万トンの超大型石油中継基地を日本と韓国五〇対五〇の対等合弁で建設することに合意した、そしてこのほど韓国政府に認可申請をした、これは去年の段階です。こういうふうになっておるわけです。そして三年間の工期で五十一年末までに完成させようというのですから、きわめて具体的な計画がもうすでに決定をされた、日本側もエネルギー庁の了解をほぼ取りつけている模様である、これは新聞記事でありますから、ここでこの記事をどうこう言うものではありませんけれども、こういうふうに書いてあるわけであります。これは相当量の備蓄になるわけです。わが国の備蓄全体の相当量を占める。新聞記事によれば半月分というふうに書いてありますが、これは完全に満ぱいに備蓄された場合のことを言っておるのかもしれませんけれども、こういうふうな大型の中継基地がすでに両方の会社によって合意が取りつけられて、すでに韓国政府に対しては認可の申請まで出しておるというふうなことであれば、今日のわが国の備蓄問題がいろいろな観点でその不十分さがあり、かつ議論されておるこの段階においては、こういう問題について、まだ長官が十分に詰めた内容を知らないというふうなことは、どうも私は理解できないわけであります。もしそういうふうな事実が進んでおるとするならば、これはやはり明確にして、そして海外中継基地のあり方というものを国会にも示さなければいかぬし、せっかくわれわれ論議をしておるわけでありますから、政府側の明確な態度というものを明らかにしてもらいたい、こういうふうに思うわけです。先ほどの答弁からもし進まないとするならば、これは速急にこの内容を調べていただいて、そしてわれわれの前に示していただきたい。あるいはまたもっと詳しい内容を実は知っておるのだということであるならば、いまここで明らかにしてもらったほうが一番いいと思います。
  84. 山形栄治

    山形政府委員 実は昨年私のところに報告に参りまして、韓国と折衝を進めたいが、考え方としていかがであるかということであったわけです。私は記憶が薄れておりましたけれども、いま先生のお話の一千万キロリットルというのは記憶によみがえってまいりまして、非常に大きな備蓄基地であるなということを当時も話した記憶がございます。ただ、その場合にアジア石油というのは御存じのとおりそう大きな会社でございませんで、またアジア石油側といたしましても、先ほど言いましたように、これを自分の独占といいますか、自分が備蓄施設を独占し営業するというか、そういうことはしない。これはみんなにオープンにするということでございまして、何はともあれ韓国に行ってくるけれども、今後国内の各精製会社との関係、それから原油の入手関係、この辺は今後詰めなければいかぬということは、会社側自身もそう言っておったわけでございます。私それからあと実は報告を受けておりませんので、それからあとのことにつきましては、先ほど言いましたように、もう一回事情を聴取いたしたいと思っております。
  85. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 時間がありませんから、最後に一つだけ御質問を申し上げまして終わりたいと思いますが、いまの問題は重要な問題でありますから、ぜひひとつ十分に御調査を願って、私どもにもその内容は明らかにしていただきたい、このことを要望申し上げておきたいと思います。  いままで全体的にずっと御質問申し上げてまいったわけでありますけれども、冒頭申し上げましたように、この法律の一部改正によりましても、公団それ自体基本的な性格や機能が基本的に変わるというふうなことはないと思うわけですね。私どもは実はきのうの岡田委員の代表質問の中でも党の立場を明らかにしたわけでありますが、もっと国があるいは公団が積極的な機能を持って、そうして石油問題に対するわが国の政策というものをもっともっと積極的に推し進めていく、こういう態度はやはりこの段階で必要なのではないか、こういう考え方を実は持っておるわけであります。そういう点からいうと、冒頭の大臣答弁にもありましたが、まだまだ不十分なものがあるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。たとえば直接利権の取得、探鉱開発の実施あるいはまた海外石油資源探鉱開発資金の投融資の一元的な実施といいますか、そういうふうな公団が本来持ってもいいのではないかというふうに考えられるようなものが、今回の法改正においても満たされておらないわけでございまして、この点については、今後さらにいろいろな角度から、この法案審議の過程で、不十分さについてはわれわれも御意見を申し上げ、また政府側の見解も引き出したい、こういうふうに思うわけです。  最後でありますが、今後の石油問題について、日本の立場、たとえばメジャーとの関係あるいは OPECとの関係、これは一体どういうふうにしようとするのか、どういう位置づけなのか、この点が基本的な問題であって、まだもやもやした点があるように私は思うわけです。たとえばDD原油といいますけれども、今後、長い目で見た場合には、いまの産油国の動向から見ると、直接取引をやって原油で持ってくるというふうなことは非常に範囲が狭められてしまって、いわゆる製品として取引せざるを得なくなるのではないか。これは少し長い将来の見方でありますけれども、こういう点も考えなければなりませんし、あれこれ考えてみた場合に、まだまだ今回の公団法の一部改正では不十分過ぎるという印象は免れないわけであります。  そういう点についてひとつ見解を最後にお聞きしたいわけでありますけれども、特に通産省なり公団なりは、すでに去年の段階でこの公団法の機能強化の問題について一定考え方のまとめを行なったようでありますが、必ずしも大蔵省がこれに同意をしない、通産と大蔵の間でその点について若干の意見の食い違いがある、それがそのまま今回の公団法の一部改正にあらわれてきていると私ども認識をするわけであります。時間がありますればそれをこまかく言ってもいいのですが、そういうふうな認識を持っておりますが、ひとつ長官、そして最後に、まとめの意味で政務次官のほうから考え方をお聞かせいただいて、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  86. 山形栄治

    山形政府委員 今回の公団法改正が若干不十分な点があるということは、大臣答弁いたしたとおりでございます。ただ、先生のお話しの、基本的に、根本的にこれが変わっていないというお話でございますが、これはわれわれなりには基本的な点で一歩前進をしたというふうに理解をいたしておるわけでございます。従来、公団というのは探鉱部門だけしか対象にできなかった。ところが、探鉱というのはすぐ引き続いて開発に入るわけでございます。産油国の動きを見ていますと、探鉱と開発が同時にパッケージで話に入る。極端にいうと、いまお話しのとおり、精製施設の点まで含めたパッケージで話が始まるということで、従来、公団は、自分は探鉱だけだ、開発はほかでまた別にやるのだということで、非常にぎくしゃくしまして折衝がうまくいかなかった点があったわけでございますが、今回、相手国の国策会社ないしは相手国政府との関係においては探鉱と開発と精製所の建設もその直結しているものを含めて、それで投融資対象にできた、これは公団の性格として非常に画期的な一つの前進であると私は考えるわけでございます。  ただ、この広がりが、いま先生のお話のとおりもっと広くDDの引き取りからいろいろなことをもっと広げるべきじゃないかというお話は同感でございますが、これはさっきも答弁いたしましたように、引き取り問題等になりますと、油の値段のきめ方、その引き取り体制ということで、民間との関係が出てまいるわけでございます。かつ、公団で一括で全部を一元的にやるというのがはたして経済的に合理性があるのかどうかという点も大いに現実論として詰めなければいかぬ問題がありますので、いま総合エネルギー調査会のほうでその辺を全部詰めておる段階でございますが、今後、公団が、何はともあれ日本の開発の中核体であるということは変わりございませんし、それから世の中の動きにつれまして開発と精製の一体化ということも、これはもう先ほども言いましたように日本の大きな方向でございますので、その辺の方向を踏まえながら今後その方向で進みたいと考えておるわけでございます。
  87. 森下元晴

    ○森下政府委員 今回のオイルショックによりまして、私どもはいろいろ教訓を得たわけでございます。その中で、石油の資源につきましては有限の資源であって、世界じゅうが無限の需要を求めておるということと、石油資源というものが特定の地域に偏在をしておるということから、国際分業という中で、そういう協調の中でやはり競争の原理が働いており、結果的には、この法案の骨子でございますように、自主開発の方向にいかなければいけない、このように実は思っております。この法案は、一部改正という内容を見ましても、いま申し上げましたような大きな問題を解決するにはもの足りないような内容、これは先生御指摘のとおりなんですが、実はこういうような事態に至りまして、この法案内容というものは非常に重大な意味を持っておる、そういうように実は私は感じております。  自主開発という中身が、三つの、開発公団業務で産油国国営石油会社が云々というようなことからオイルサンドの開発、また領海と大陸だなの開発、こういうふうに分かれておりますけれども、いろいろ備蓄の問題、それから世界競争の中でいかに協調していくかというような問題も含めて、石油に対する新しい認識のもとで石油行政また燃料行政を進めなくてはいけない、そういうように実は私は思っております。  なお、備蓄等にいたしましても、たとえば沖繩の金武湾にいたしましても、当初は一千万キロリットルの了解を大体得ておったようにも思いますけれども、だんだん地域住民の方々の反対もございまして、五百なり三百になっておる。日本各地でも、このCTSとか製油工場に対する立地というものがなかなか簡単にできない。必然的に中継石油基地等を求めなくてはいけないし、これはまた国際的な問題でも非常に難点もあるということも含めて、いわゆる精製過程におきましても、また貯蔵の過程においてもいろいろな難題がこれから生じまして、この法案を中心にしてそういう面も解決をしなければいけないと思っております。  なお、いろいろいま先生の御質問の中におきまして私の感じたことでございますけれども、この貯蔵量の五十日とか六十日、いわゆる原油の貯蔵も大事でございますけれども、やはりこの精製能力があれば、私はいわゆる基礎石油資材の形において貯蔵と申しますか、在庫することも一つの方法ではないかと思っております。原油という形で貯蔵いたしますと、やはりいろいろ公害の問題また地域住民とのトラブルが起こりますし、それを公害のないような製品にして、ある期間基礎物資としての貯蔵ということも可能なように実は思うのです。そういうことも含めまして、やはり従来の考え方から脱却した新しい産地の開発方法、また途中の基地の問題、共同貯油基地の問題、そういう問題も含めてこの法案の精神というものは非常に深みがあるし、また前向きでなくてはいけない、こういうような非常な覚悟でこの法案を通していただくことによって、運用なりまたその精神を生かしていきたい、このように思っております。
  88. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時三十分から委員会を開会することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後二時三十四分開議
  89. 田中六助

    田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米原昶君。
  90. 米原昶

    ○米原委員 昭和四十二年の総合エネルギー調査会の答申では、昭和六十年には自主開発原油の比率を三〇%に高めるということがいわれておりましたが、現在のところは一三%程度にしかなっていない。しかも、この答申で予定していた以上に石油需要がふえたという実情を考えてみますと、この当初の目標からすると、自主開発の進度というものはたいへんおくれた状態にある、こういうふうに思いますが、なぜおくれているか、この原因はどこにあると思われるか、まず聞きたいと思います。
  91. 山形栄治

    山形政府委員 御指摘のとおり、四十二年の総合エネルギー調査会答申で、自主開発原油が三〇%という目標が定められたわけでございますけれども、その後、いま先生のお話しのとおり、一二%ぐらいに上がったときもございますが、現時点ではむしろ下がっていまして、八ないし九%ぐらいでございます。この下がりましたことを先に申し上げますと、やはりOAPECの生産制限等も当然ここに関係いたしたわけでございます。  これがどうして遅々として進まなかったかということでございますが、これは午前中の質疑にも関係ございますが、わが国の開発体制というのが、やはり何といっても資金面及び技術面で非常におくれておったということ、それから、産油国の政府のパーティシペーションその他を中心にします一つの動きが非常に強まりまして、なかなか入りにくくなったということ、そういうような面が主たる原因だと思います。  いずれにしましても、わが国の開発体制というのが非常におくれておりまして、これからこれをいかに強化していくか、それがいま提案の公団法趣旨でもございます。  ちなみに、公団法では、今度、産油国の政府または政府会社とのつながりを探鉱、開発、精製という流れで全部一括投融資対象にしようということにいたしておりますが、それもそういう方面への前進ということで御理解願いたいと思うわけでございます。
  92. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるような点、確かにあるでしょうし、私、石油鉱業連盟の意見文書を見ましたが、そこでもいろいろな点を指摘しております。しかし、さらにわが国のエネルギー供給構造そのものが石油エネルギーに著しく片寄った構造になってきたということも、とうていできないような目標を立てていた点も反省しなくちゃならぬじゃないか、こういうことを考えるわけです。  いまの総合エネルギー調査会の答申を見ても、そのときの予定では、これはすでに過去になりましたが、昭和四十五年が一億七千二百万キロリットルで石油の構成比が六七%、それから昭和五十年が二億六千二百キロリットルで石油が全体の七三%、昭和六十年が四億七千六百万キロリットルで全体の七五%というような予測が立てられておったようです。さらに、田中総理の日本列島改造論では、それがさらに昭和六十年に七億五千万キロリットルとなっておるので、その点から見ると、昭和六十年に三〇%に自主開発の原油を確保することはとうてい不可能な話で、列島改造論の計算でいくと、その三〇%というと、二億二千五百万キロリットルを自主開発しなくちゃならぬというような目標になるわけで、これはすでに現在の総需要量にも匹敵するような数字なんですね。このような石油に著しく片寄った計画そのものに、そもそも根本的な無理があったんじゃないか。この点はどうでしょうか。
  93. 山形栄治

    山形政府委員 御説のとおりだと思います。現在の一次エネルギー供給構造は、日本が諸外国に比べまして著しく石油依存でございます。自主開発を進めるということは当然でございますが、別途石油以外のエネルギー源にこれを多極化するということは当然のことだと思うわけでございます。LNGにしろ、国内石炭にしろ、水力の開発にしろ、当然のことだと思いますが、ひいてはサンシャイン計画のような新しい代替エネルギーの開発も進めるべきだということでございまして、一応、非常におくればせでございますけれども、四十九年度から通産省もサンシャイン計画を発足させたわけでございます。しかし、何といいましても、当面のところは石油エネルギーの大宗であることはこれまた間違いないことでございますので、できる限り供給源を多極化すると同時に、その中で日本の自主的な引き取る力というものを持ちませんと日本国民は非常に問題だと考えるわけでございまして、今後その方向で努力いたしたいと思います。
  94. 米原昶

    ○米原委員 もちろん私も当面のところ石油が非常に重要であるということはわかります。その立場から質問したいのですが、石油開発公団が設立された経緯あるいは目的においても、法律の中にはっきり「石油等の安定的かつ低廉な供給の確保」とありまして、これを目標にしてきたわけであります。しかし実際には、量的にもまた価格の面でもほとんど有効な役割りを果たしてないと言ってもいいのじゃないかと思うのです。そればかりか、膨大な国家資金が投入をされながら、次々と鉱区の放棄がされておりますが、これはどこに問題があるのか、どう考えておられるのか、聞きたいと思います。
  95. 山形栄治

    山形政府委員 現在、日本石油開発をやっておりますプロジェクト的なワンプロジェクト・ワンカンパニーというものが四十幾つございますが、これは先ほどもお話ししましたように、そのうち六つがいまもうすでに生産に着手できております。御存じのとおり、石油の開発というのはなかなかむずかしい問題でありますのと、もう一つはメジャー系が簡単にいいますといいところを長い時間かかって入手いたしておりまして、日本とかドイツとかイタリアというのはおくればせにその中に自分の地位を占めようとしておるわけでございまして、なかなかいい鉱区にありつけないという状況でございます。しかし、それだからといって努力をしないわけにいかないわけでございまして、現在四十幾つ会社のうち六つでございますが、なおこれに引き続きましてあと五つぐらいが本年度以降に成功といいますか、生産のめどがつきそうな段階にもなってきておるわけでございます。これらの開発事業につきましては、全部公団がそれに関係いたしておりまして、公団探鉱融資一つのきっかけになりまして、それでこれらの事業が促進されておるのが現状でございます。
  96. 米原昶

    ○米原委員 石油鉱業連盟の石油開発体制の整備についてという意見文書の中にも、いまおっしゃった鉱区が、いままですでにメジャーに押えられてメジャーが放棄した地区であったり、あるいは産油国の残された地区である場合が多いというようなことも指摘されておりますし、日本が開発に踏み出したという時点にもうすでにそうなっていたということはわかっていたわけでありますから、その点はどうこう言ってもしかたがないと思う。それでどうするかという問題ですから、そういう不利な条件の中でやるわけですが、いまおっしゃった開発会社現状がほとんどワンプロジェクト・ワンカンパニーの状態になっている。この点は非常に問題じゃないかと思うのです。そのために、利権の取得等にあってもとかく恣意的になりやすい面がある。つまり、石油開発がいわば投機的に行なわれる状況があるわけであります。このような投機的な石油開発会社の体質に大きな問題があるのじゃないか、こう考えますが、この点はどうでしょうか。
  97. 山形栄治

    山形政府委員 いま先生のお話しのとおり、やはりおくればせに出ました関係上、しかも資金力等の点である程度企業間の協力をしながら進まなければいかぬということで、ワンプロジェクト・ワンカンパニーということでいままで進んできたわけでございますが、これではいかぬということで、統括会社といいまして、資金力のパイプを太くする統括会社的なものがいま七つまたできております。しかしいずれにしましても、これら限られたる日本の技術陣を非常に分散し、かつ資金力におきましても集中的なる効果が達成しにくいことも確かでございます。特に一番問題でございますのは、これから少し大きな開発事業に取り組むとなりますと、現在日本でいわゆるこういう方面の技術陣が六百五十名ぐらいしかおりませんので、これがいま非常に分散して使われておる。少なくともこれをもう少し効率的に使っていかないと、これからの体制には即応できないのじゃないかという感じがいたすわけでございます。いまそれぞれの企業は、これは一応独立の企業でございますけれども、そういう大きな方向に即しまして、これを統合というと言い過ぎなんでございますけれども、何かもう少し協力して進んでいけるような形、またワンプロジェクト・ワンカンパニーでございますので、その事業が終わりますとその会社はほとんとうは用がなくなるわけでございますけれども、そういう点でも、会社の継続性ということも含めて、もうちょっとみんなで協力し合えるような、しかも技術陣を融通し合えるような、こういうような仕組みに持っていくべきじゃないかと思います。その場合に、公団のファンクションというものがやはりそれを誘導し、中核的な機能を営む機構であろうと私は考えるわけでございまして、現在この辺のあり方につきまして、民間企業活動のあり方、それから公団のファンクション、位置づけ等につきまして総合エネルギー調査会で寄り寄り検討いたしておる段階でございますが、方向といたしましては、これらの機能、技術陣をもっと集約的に、効率的に使う方向で何か新しい仕組みを考えるというのがこれからの課題であろうと考えるわけでございます。
  98. 米原昶

    ○米原委員 いまおっしゃった技術者の絶対量が不足しているということも石油鉱業連盟の意見文書の中に出ておりますが、帝国石油石油資源開発それからアラビア石油、この三社が技術者のほとんど全部を占めていて、他の会社はこの三社から技術者を借りてこなければできないのだ、こういう状態になっておるので、おっしゃるようなやり方がどうしても必要だということを強調したいと思うのです。  石油開発公団で発行しているこの「石油の開発」という雑誌の一九七一年六月号を見ますと、石油探鉱事業がギャンブルでなくビジネスであるためには、一人の探鉱者が数多くのプロジェクトを手がけなければならないというのが常識である、こういうことまで強調して、ワンプロジェクト・ワンカンパニーの場合に投機的にならざるを得ないということを指摘しておりますが、いま答弁のとおりだと思うのです。そういう点で、答弁でおっしゃった方向にひとつ強力に指導していただきたいと思うのです。  そこで、もう一つその問題に関連して聞きたいのですが、現在までの石油開発会社の体質について、石油開発会社の資本構成を見ると、大体平均して、石油開発公団が資本構成の中の約二五%、電力、ガス、鉄鋼、造船、機械、精製会社等が約二五%、それから銀行、商社、証券会社で約二〇%となっておるということも指摘されております。きわめて限られた業種になっているわけです。つまりその特徴は、石油大量消費産業のひもつき開発的な性格がきわめて強いということであります。また一方で、これらの民間企業はリスク分散のために数多くのプロジェクトに出資しております。この点でも恣意的開発、投機的開発の性格を物語っておると思うのですが、この点はどう考えられますか。
  99. 山形栄治

    山形政府委員 いまお話しのとおり、資本構成で見ますと、電力、ガス、鉄鋼等、エネルギー多消費の産業が協力いたしておりますことは確かでございます。しかし反面、石油をうんと使うところが一種の受益者負担的な考えも入れまして協力するというのも一つの行き方であろうかと思っておるわけでございますが、これはひもつきということではございませんで、公団政府関係の機関でございまして、公団が開発計画の妥当性、それからそれを引き取ります体制ができましたときのあり方等も全部よくチェックいたしまして、それで公団が妥当なものに出資ないしは融資をするというかっこうになっております。これは、先ほど私がちょっと言いましたことに誤解が生ずると非常にまずいのでございますが、公団のところに持ち込まれておる話というのは非常に多くあるわけでございます。現在まで公団は、このうちの約七割は何らかのかっこうでチェックして、これに投融資を行なっておりません。これは国の資金の運用でございますので、そういう意味で厳選をいたしまして公団がこれに関係するという形をとっておるわけでございまして、ひもつきとかいうようなことはないと思います。  それから投機的であるかどうかという問題につきましては、実は公団には四十六名の日本で最高級の技術陣が集まっておりまして、これが先ほど来出ましたアラビア石油、帝石、SKに比較してまた優位な点でございまして、公団の技術陣というのは非常に優秀でございます。これがチェックをいたすことでプロジェクトの有効性ということも相当程度把握いたしておりますので、公団がからむ案件につきましては、いわゆる投機的とか、ひもつきとかという要素は私ないんじゃないかと思います。ただ、公団がからまないで独自で石油開発会社がやったプロジェクトの中には、若干先生御指摘のような、投機的ということばが妥当かどうか知りませんけれども、あまり精査しないで走り出したという案件があるんじゃないか、こう思いますけれども、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  100. 米原昶

    ○米原委員 私がひもつきと言った意味については、さらにあとでもうちょっと詳しく言いますけれども、開発公団仕事は、いわば国家的なプロジェクトとして石油の開発に取り組むということが中心ですから、そのことからそれるような方向にいく構成になっているんじゃないかということを正してもらいたいのです。  そこで、もっと具体的な問題で聞きますが、現在公団の行なっておる融資はいわゆる成功払い融資ということになっているのですが、現在まで、鉱区を放棄したことによって、いわば焦げつき融資になったものとか失敗した投資はどのくらいの額になっておりますか。
  101. 豊島格

    ○豊島説明員 お答え申し上げます。  公団は大部分が出資でございまして、すでに終結したものとして幾つかの案件がございますが、正確な数字は手元にございませんが、探鉱終結または終結を考慮中のものという案件に投融資したものは大体百七十億ぐらいあるのじゃないかと思います。ただ、まだその鉱区の期限が切れておらないとか、あるいはさらに共同事業者を見つけるとか、そういう立場にあるのもございまして、これが全然むだになっているということではないと思います。  それから、一言つけ加えさせていただきますと、探鉱事業というものはあくまでもリスクを前提とするものでございまして、掘ってみなければわからないということで、この探鉱自身がむだであったということでは決してないと思います。
  102. 米原昶

    ○米原委員 私がちょっと調べたところでは、石油開発公団の投融資プロジェクトのうち、プロジェクトを放棄したものとして、たとえば北スマトラ沖のプロジェクト、インドネシア石油資源開発、これが九十四億二千万、スエズ湾のプロジェクト、エジプト石油開発、これが十億五千万、コロンビア沖、ホンジュラス沖のプロジェクト、コロンビア石油、これが七億八千六百万、マダガスカル北部陸上のマダガスカル石油、これが三億、大体こんなふうに聞いておりますが、こんなところですか。さらにいまおっしゃった、五十億ぐらいそれよりも放棄した例があるでしょうか。
  103. 豊島格

    ○豊島説明員 鉱区を放棄したおもなところはそういうところでございますが、現在、たとえば中近東の一部で鉱区を放棄しようかと思っておるところもございます。ただし、これは相手国との関係もございまして、最後まで慎重に取り扱わなくちゃいけないということで、名前を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、大体そういうところでございます。  ただ、先生の御質問には、それではお答えが不十分かと思いますが、北スマトラの鉱区は確かに放棄いたしましたけれども、同じインドネシア石油資源開発株式会社は、南カリマンタン、南ボルネオでアタカ原油その他を当てておりまして、あの同一会社でやっておりますので、そちらのほうの回収ということで、私ども判断では、北スマトラに投下したものは十分回収できる、こういうふうに判断いたしております。
  104. 米原昶

    ○米原委員 石油開発公団の設立の理由として、リスクを伴う探鉱資金について民間企業のみでまかなうことは困難であるということで、官民一体となって、いわば国家的なプロジェクトとして石油の開発に取り組むということでありました。そのために石油開発公団は、国家資金を使い、利率、返済期間等についてもたいへん優遇してきたわけです。この方向は今後もさらに強化されようとしておるところであります。ところが現実はどうなっているかというと、いまのような事態のところも出ているわけです。しかも、私が聞きたいのは、いま私があげました鉱区を放棄した四つのプロジェクトの場合を見ますと、公団出資比率がきわめて高いということです。インドネシア資源開発の場合は五〇%、エジプト石油開発の場合は四〇%、コロンビア石油の場合は四六・六%、マダガスカル石油開発の場合は四六・二%となっております。つまり何か公団出資比率が高いところはかえって逆に開発への取り組みの安易さというものがあったんじゃないか、歴然としておるように思うのです。国家的なプロジェクトといいながら、結局は石油開発資本の投機的な開発の手助けとなっておるのが実情じゃないか。このような例は明らかに国家資金の浪費につながるものではないのか。そういう点に問題があるのじゃないか。現在の石油開発公団の投融資態度にも問題があるのじゃないか。この点について答弁を願いたいと思う。
  105. 豊島格

    ○豊島説明員 石油開発公団が設立された当初からこの開発プロジェクト、特に探鉱資金につきましては原則として民間が五割、公団が五割ということでヒフティ・ヒフティ原則、それから特に重要なものにつきまして、規模が大きいその他のものについてはもう少し高いのもございますが、原則は五割、五割でございまして、先ほど御指摘になりました鉱区放棄のプロジェクトについてもその原則によっておるわけでございます。  なお、先ほど先生御指摘の全体の資本金の中で必ずしも公団が五割に達してないじゃないか、こういう点もございまして、むしろ低く出ておる数字を御指摘になりましたが、いわゆる統括会社というグループ系の会社は、これは全部民間資本でできております。ただし、一部例外がございますが、大体できておりまして、これが具体的プロジェクトをやるにあたりまして公団から五割出し、それからその統括会社から五割出して、それでもって具体的プロジェクトをこなしておる、こういう実態でございます。したがって、実際問題としてほとんどのプロジェクトは五割、五割で行なわれているということでございますので、特にこれらの会社が投融資比率が非常に高かったということではないと思います。  それからもう一つ御指摘のございました安易な経営が行なわれているのじゃないか、こういう点でございますが、これにつきましては、石油公団は投資者の一半の責任を負っておるわけでございますので、そのプロジェクトについても単なる金融機関的な判断ではなく、技術面でも相当その持てる力を使いまして十分審査をしておるわけでございまして、公団に持ち込まれたものの中にも公団として取り上げなかったというものも相当多いことは先ほど長官が申し上げたとおりでございます。
  106. 米原昶

    ○米原委員 それほど優遇しておるわけですから、これが国家資金の浪費につながらないようにやはり厳重に審査していくという態度をとってもらいたいわけです。  次に、私はこのような問題が起こってくる原因として石油開発公団の機構そのものにも問題があるんじゃないか、こう思うのです。たとえば石油開発公団の顧問というのが出ておりますが、これを見ますと、新日鉄会長で鉄鋼連盟会長の稲山さん、経団連会長の植村さん、経済同友会代表幹事の木川田さん、アラビア石油会長の小林さんとか、そういう財界の大立て者がずらっとそろっております。このような体制で、はたして石油開発公団の民主的な管理や運営が望めるかどうかと疑問に思うのであります。まさに大企業の高度成長をささえるための民間主導型の石油開発にならざるを得ないのじゃないか。石油の安定的、低兼な供給という法律の目的が国民生活に対してのものであることは明らかであります。こういう中で、このような人たちを顧問という名目で置くことは国民の疑惑を招くだけだ。直ちにこの顧問制度はやめるべきじゃないか。この点について答えていただきたい。
  107. 山形栄治

    山形政府委員 公団の諮問機関といたしまして顧問を置いております。これは四十三年の三月にいわゆる業務運営の観点の顧問と、それからもう一つ四十三年四月に技術関係の顧問と、二つのグループで顧問を結成いたしております。いま先生の御指摘のものは、業務運営及び民間との意思疎通、調整をはかるというような観点で置かれました顧問でございまして、いまお話しのとおり植村、稲山、木川田、小林の諸氏が現在顧問に相なっております。これは年一回開くたてまえになっておりまして、公団の運営についてこれらの方々の意見を徴するということでございます。これの一つの大きなねらいは、公団はあくまで民間活動を側面から投融資でインカレッジするとか、まあ補完するというのが公団の使命でございます。実際に探鉱開発をやりまして油をあれするのは、民間企業のいい意味でのバイタリティに応じなければいかぬわけでございまして、むしろこれらの方々の力もかりまして、先ほど来出ておりました民間の開発会社、統括会社等の設立、運営の御意見も聞いておるのが現状でございます。ある意味で申し上げますと、先ほど来出ておりました開発会社が四十三もあるということは非常におかしな、むだな働きであると同時に、ある一面におきましては日本の民間企業というものが非常にバイタリティに富んでおるということの証左でもあろうかと思います。  なお、統括会社をつくりますに際しまして、これは資金面の太いパイプをつくるということでございましたが、この辺に関しましては、公団と統括会社との調整もはかるという意味で、これら顧問の御意見等も聞いておるのが現状でございまして、これらの諸氏が公団の具体的なる案件の個々につきましてくちばしをいれるというようなことは全然いたしておりません。今後もそういう方向での運営はいたすつもりございませんので、御了承願いたいと思います。
  108. 米原昶

    ○米原委員 非常に重要な点なのです。これは公団法に出ているのですよ。公団法の第十四条に役員の兼職禁止という規定がわざわざ設けてある。「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」公団法の十四条にちゃんと書いてあります。この役員の兼職を禁止しているという規定からしても、顧問といえども利害関係の深い人物を置くことは法的に根拠がないのではないか。少なくとも顧問という形にしろ第十四条の精神に反するのじゃないか。石油開発公団の公的な性格からしても、これは非常に重要な問題だと私は思うのです。このような顧問制度はどうしても納得することができない。直ちに廃止することを要求したいのであります。
  109. 山形栄治

    山形政府委員 公団法の十四条の規定は、公団の役職員がほかの会社と兼務してはいかぬということを法律上きめたものでございます。これは公団の性格からいいまして、中立的に公正に業務を行なうという観点でございますので当然だと思うわけでございますが、顧問は法律上の問題でございませんで、むしろ公団の内部規定で、四十三年の三月に内部の規定を設けまして、公団がより一そう民間活動と調整がはかれるように、そのパイプをつくったほうが妥当であるということと、それから非常に多方面の技術問題が公団の中には多いものでございますので、技術関係の顧問を置くべきだ、この二つの観点から、業務の適正化に資するために公団に内部規定で顧問を置くということにいたしたわけでございます。  ちなみに、この顧問は現在無報酬でございまして、こういう業務運営及び技術的な面のアドバイスを無報酬で公団に行なってくださっているわけでございまして、私たちのほうといたしましては、公団の行動の公正さを失うものでなく、むしろ公団業務の適正化といいますか、より一そう効率的に行なうための内部仕組みだと私は考えておるわけでございます。
  110. 米原昶

    ○米原委員 答弁ではどうも納得がいかないのです。公団法十四条の規定はそういうことじゃないと理解するわけです。私は、この問題はあとでまた大臣の出られた機会まで留保しておきましょう。そして大臣にはっきりこの点を確めてみたいと思います。こういうことにしまして、私の質問を終わります。
  111. 田中六助

    田中(六)委員長代理 加藤清政君。
  112. 加藤清政

    加藤(清政)委員 私は石油開発公団法の一部を改正する法律案について若干御質問したいと思います。雪も降っておりますし、時間的な制約もありますので、なるべく答弁もよく要点をつかんでひとつ簡単にお願いしたいと思います。  昨年秋以来、私どもの生活の根底をゆるがしておりましたいわゆる石油危機につきましては、すでに各位から取り上げられましたし、私もさきに意見を申し上げましたので、重複すると思いますが、その石油危機もようやく一段落を見ることになりました現在、これを振り返ってみますると、確かに世界的な問題の一環ではありました反面、政府見通しの甘さや政策の不適切さが危機をますます深刻化した、そういう面を見のがすことができないと思います。たとえばさきにわが国のアラブ産油国による友好国扱いをきめるきっかけとなりました新中東政策の決定が難航をきわめたように、外交政策の運用がきわめて拙劣であったということ、加えて石油に過度に依存をした産業構造に対する反省がおくれたため、石油危機の影響が経済全体を混乱におとしいれたということ等、政策の誤りは枚挙にいとまがないと思いますが、これまでの石油の自主開発努力の不足もむろんその一例であると思います。石油開発に関連する問題につきましては、これから順次申し上げたいと思いますが、まずそれに先立ちまして、政府基本姿勢でございますあり方をひとつお伺いしたいと思います。  まず、今回の石油危機を教訓として、政府はこれまでの石油政策をいかに反省し、今後どのような展開をはかっていこうとするのか、ひとつ明快にお答え願いたいと思います。
  113. 山形栄治

    山形政府委員 いま先生お話しのとおり、外交政策、過度な石油依存等反省すべき点もあろうかと思うわけでありますが、今後の石油政策というのは、何はともあれ原油の確保をいかに安定的に行なうかというのが一番大事なことだと思うわけであります。従来のメジャーからの供給ルートは非常に太いルートでございますのでこれを尊重し、是正しながら進めなければいかぬと思うわけでございますが、反面、産油国との関係、特にそれとの直接取引をいかに有効に行なうかということ、また指導していくかということも重要な問題であろうかと思います。  もう一つは、国内備蓄政策というのをどういうふうに安定供給という観点から行なうかということが大きな柱だと思うわけでございまして、これら全体を含めて結局安定的な供給と安定的な流通の確保ということが、これからの石油についての基本的な政策の方向だと思います。もちろん価格政策はその一環として重要なるファクターを占めると思うわけでございます。
  114. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ただいま山形長官からの決意のほどをお聞きしましたが、ひとつしっかり実行に移していただくようお願いしたいと思います。  次に、今後の石油政策基本となります国際石油情勢見通しについて一、二お尋ねしたいと思います。  まず、今回の石油危機を通じてはっきりしましたことは、世界の石油をめぐる力関係が明らかに変化したということであります。過去において産油国からの超過利潤をほしいままにしたいわゆるメジャー等の国際石油資本は、これらの国の民族主義のうねりの高まりの前に力を失い、国有化のあらしにほんろうされていると申しても過言ではないと思うわけであります。したがって、この点について御質問したいのは、国際情勢が激変し、産油国がメジャーにかわって支配権を持つに至った今日、政府としては、この事態をどのように認識し、どのように対処していかれるか、その点をお伺いしたい。
  115. 山形栄治

    山形政府委員 これまで産油国は、いまお話しのとおり、メジャーの支配下で操業、開発をやってきたわけでございますけれども、ここへきて産油国の発言権が非常に強くなってきております。具体的にはパーティシペーションの拡大、極端にいうと全面国有化ということも行なわれておる段階でございます。この方向は一つの歴史の流れでございまして、この方向に今後ますます大きく進むと私は考えておるわけでございます。したがいまして、わが国はこれらの動きによく即応して、産油国とわが国との関係をいいかっこうにいたすことが必要だと思うわけであります。しかし反面、日本が中東の産油国とだけ非常に強くあれするということはまた問題だと思います。その意味で、日本のこれからの行き方は、メジャーとの間も尊重しつつ、産油国との関係をより密接に行ない、かつ中近東以外の国の油及び油以外の多面的なエネルギー源というものに供給源を多極化するということが、これらの政策基本的な方向であろうと私は考えるわけでございます。
  116. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ただいまのお答えからしますと、今後の石油確保の方策としては、産油国との直接取引によって石油を確保する方法が山形長官のただいまの御答弁の中にも明らかでありますが、今後ますます重要になってくるように思われます。また他方、産油国政府によるいわゆる事業参加によって石油開発企業の石油の取り分が減少していくことを考えますと、それに関連して、今後の国際石油情勢の中で石油の自主開発はわが国の石油確保のため依然重要な意味を持つのか、政府考えを伺いたいと思います。たとえばアラビア石油に対して、近くサウジアラビア政府とクウェート政府が五〇%以上の事業参加の申し入れをする可能性があるやに聞いておりますが、その場合には、生産原油の五〇%以上がそれらの政府に引き取られるということになり、アラビア石油はいわゆるバイバック、買い戻しをせざるを得ないということになると思うのですが、そういう点を含めてひとつ御答弁願いたいと思います。
  117. 山形栄治

    山形政府委員 先生の御指摘のとおり、産油国におけるパーティシペーションが進むことによって、わが国の自主開発の引き取り量が相対的に減少する、または若干の制約が生ずるということは確かでございます。今般の中東紛争におきましても、アラ石は同じような意味で減産を受けまして、日本への引き取りが減ったわけでございます。しかしながら、何といいましても日本が自主開発しましたものは日本が優先的にこれを引き取るという権利がありますことも確かでございますので、この権利は非常に大事なものだと私は思うわけでございます。アラ石に、いま先生がお話しのとおり、サウジアラビア及びクウェートの両国のパーティシペーションがふえるという可能性は大いに考えられるわけでございまして、その場合にはパーティシペーションがふえるに従いましてバイバック原油の比率がふえることも確かでございます。しかし、それはあくまでアラ石が何らかのかっこうで優先的に日本供給できる量、それはやはり確保できているわけでございますので、相当の制約が今後考えられますけれども、やはり自主開発原油というのはそれなりに非常に有効なる効果を持っておるものである、今後も進めるべきである、こう私は考えておるわけでございます。
  118. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ところで、石油の自主開発については、昭和四十二年の総合エネルギー調査会の答申により提示されておりますが、いわゆる三〇%目標というものがあるわけであります。そこで政府は、昭和六十年度までに自主開発原油を総所要量の三〇%まで引き上げるという目標を今後とも維持するつもりなのか、またこれを達成できるのか、しなければならないのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  119. 山形栄治

    山形政府委員 四十二年の総合エネルギー調査会の答申の六十年度自主開発三割原則といいますのは非常に雄大な一つ目標であったわけでございます。その後の推移を見ますと、なかなかこれの実現が遅々として進んでおらないわけでございますが、むしろ今回の中東紛争を契機により一そうこういう形のものを国家的な目標として掲げるべきであると考えておるわけでございます。その現実性につきましては相当の努力をいたさぬと無理だと思いますが、目標としては正しい目標ではないかと思うわけでございます。  ここで一つ問題でございますのは、当時四十二年ごろは、自主開発原油といいましても、大体日本がアラビア石油と同じようなかっこうで自主開発ができるとわれわれ思っておったわけでございますが、その後の情勢の変化、いま先生のお話がありましたように各国のパーティシペーションの進行等で、これからいろいろな形の姿が必要になるのじゃないか。たとえば経済協力と見返りで油を入れる、二国間取引で大きな長期契約を結ぶ、または融資買油といいまして金を渡して油を引き取るというようないろいろなやり方もあわせて自主開発原油の中に含めるべきだと考えるわけでございまして、多面的な形をいろいろと考えてくふうをこらして、しかも中近東だけでなく、ほかの地域にもこれを及ぼしながら、自主開発の三割目標というものにやはり進むべきであると私は考えております。
  120. 加藤清政

    加藤(清政)委員 それでは石油開発をめぐるより具体的な問題に移っていきたいと思いますが、まずわが国の石油開発の主体となっております企業の体制についてお伺いしたいと思います。  石油開発はリスクが高く、また資金力、技術力を要しますが、現在のワンプロジェクト・ワンカンパニー方式では開発が進まないと思うわけであります。関連した企業の集約化、統合化をはかり、効率的な企業の体制にすべきと思いますが、その点どうか、お伺いしたいと思います。
  121. 山形栄治

    山形政府委員 これは先生の御意見に全く同感でございます。現在の開発の体制というのは資金力、技術力で非常に劣っておるわけでございまして、今後これらの機能をいかに集中的に活用するか、そういう方向で相当これは抜本的に考えるべき時期に来たのではないか、そういうことを含めまして、いま総合エネルギー調査会で検討もいたしておりますけれども、先生のおっしゃるとおりの方向で当然考慮を払う現段階であろうと考えます。
  122. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ところで、このような開発企業のあり方の問題は石油開発公団の役割りの問題とも密接な関連があるわけでありますが、たとえば西欧諸国の例から見ますると、日本の場合には、きのうも本会議で岡田同僚議員から質問があったわけでありますけれども石油開発公団をたとえば石油公団に改組して、投融資だけでなく利権取得もし、さらに探鉱開発もするというような、みずからそういうことをするとともに、輸入、備蓄、精製、販売をもする一貫したものにすべきではないかというそういう点であります。  それからもう一つは、四十九年度末の六十日分備蓄量は約五千万キロリットルと見られますが、たとえば四十六年末の四十五日分からわずか十五日分増強するのに必要な資金は約三千億円から四千億円かかると見られます。したがって、五千万キロリットルの備蓄に必要なタンクの能力は一億キロリットルに達しますが、十五日分ふやすためには新たに三千万キロリットルのタンクの能力と一千万平方メートルの用地を必要とし、これに要する必要な建設費とか土地代が約三千億円、さらに原油備蓄代が八百五十億円かかるといわれております。備蓄施設を建設する土地の手当てが、大きな公害問題やいろいろ住民の理解と納得を必要とするということで反対が多いわけでありますが、こうした資金及び立地面からの深刻な問題を解決して産業と民生向上をばいわゆるバランスをとりながら確保するための政府の強力な役割りはきわめて大きいわけでありますが、備蓄量を九十日分と西欧並みの水準に引き上げることは、従来の民間主導型からさらに一歩を進めて、直接政府が乗り出して新たな公団を設置して公団が一元的な機能を持ってわが国の石油開発に強力な推進をはかるほうがよいと考えられるわけであります。そこで政府みずから備蓄業務を行なうというアイデアが出されているわけでありますけれども、これに対してあわせてどう考えておられるか、この点ひとつ政務次官からお答え願いたいと思う。
  123. 森下元晴

    ○森下政府委員 非常に重要な問題でございます。石油開発公団は、設立以来民間企業に対する探鉱融資、債務保証等の業務を行なってまいってきたわけでございます。ここで公団がその機能を拡充して探鉱から精製、販売まで一貫して行なう。非常に合理的で、考え方によれば、また現在のエネルギー清勢、特に資源情勢考えました場合には、われわれとしてもそういう方向にいくことの意義というものも実は考えます。しかし、そのことによって私企業との関係、いままでの流通、また精製問題とのかなりの混乱も起こるわけでございまして、早急にここで大転換をすることはどうかと思われます。この点、石油政策全般にわたる重要な問題でございますので、総合エネルギー調査会等においてもいろいろ石油政策の見直しをしておりまして、その一環にもこの問題が論ぜられておるようにも実は聞いております。非常に前向きの御意見として——資源というものは有限であるのに、無限の需要が非常に世界各国から求められておる。やはり一つの秩序がなければ資源政策はできないと思うのです。そういう意味で、大いに私どもも前向きで検討もしていきたい、そのように思っております。
  124. 加藤清政

    加藤(清政)委員 政務次官から前向きにこの問題を検討するという強い発言があったわけでありまして、私もひとつ一そう御努力をお願いしたいと思います。  次に、最近特に注目を集めております大陸だなの開発について御質問したいと思いますが、わが国周辺の大陸だなは、伝え聞くところによりますと、石油や天然ガスの有望な地域であるということでありますし、また、東シナ海の大陸だなについても、エカフェがすでに調査を実施してペルシャ湾並みの油田が発見される可能性があると発表されております。  そこで、まずお尋ねしたいのは、わが国周辺の海域に埋蔵されている石油はどのくらいあると推定されるのか、また、その探鉱開発はどの程度進んでおられるか、その点お伺いしたいと思います。
  125. 山形栄治

    山形政府委員 わが国の周辺大陸だなの石油埋蔵量でございますけれども、現在二件試掘が成功いたしておりまして、これは新潟県の阿賀沖と福島県の常磐沖でございます。この段階で確たる数字はなかなかつかみにくいのでございますが、堆積盆地といいますか、石油類の埋蔵が推定されます盆地をどう推定するかということで、著名な地質学者の推定の方式がございます。その方式で私のほうでいろいろやってみますと、日本の周辺大陸だなで十二億トン程度が埋蔵されているというふうに類推されておるわけでございます。  政府といたしましては、実はこの周辺大陸だなというのは一番安定供給源であるわけで、日本の近くでございますので、四十五年度から物理探鉱を実施いたしておりまして、また、民間企業におきましても精査を実施いたしておるわけでございますが、現在まで秋田、新潟、常磐、山陰の対馬の各海域で二十九の試掘を実施しておる段階でございます。今後、これをより一そう精査の段階に入るような方向でいま考えておるところでございます。
  126. 加藤清政

    加藤(清政)委員 私は、このように有望だといわれております大陸だなの石油開発を強力に推し進めて、わが国の石油の安定供給の一助にすべきだと思いますが、山形長官からもいまそのような御答弁がありました。現に石油の大消費国であるイギリスやフランス等は北海という自国の大陸だなの開発を進めているわけであります。  そこでお伺いいたしますが、わが国の大陸だなの開発を進める上でまず地質状況の把握が必要と思うわけでありますが、政府は、わが国大陸だなの地質状況調査し、その概要を把握しているのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  127. 山形栄治

    山形政府委員 政府といたしましては、昭和四十五年度から四十九年度までの第四次国内石油天然ガス資源開発五カ年計画に基づきまして、大陸だなの基礎調査を進めてきたわけでございます。四十八年度までに、水深二百メートルまでの大陸だなにつきましてはほぼ調査を完了いたしましたが、その結果によりますと、いま申し上げましたようにわりあいに有望でございまして、わが国周辺の大陸だなには堆積盆地というのがなかなか発達しておりまして、陸地の約三倍の面積を持っておるということが推定されております。また、背斜構造といいまして、石油がたまるところでございますが、これも思いのほか多いということが判明いたしておるわけでございます。これらの堆積盆地におきましては、第三紀層、また白亜紀層が厚く発達しておりますので、非常に有望であろうと思うわけでございます。水の深さが二百メートルより深い大陸だな及び大陸斜面につきましては、この四次の五カ年計画を昭和五十一年度まで延長いたしまして、引き続いて国の基礎調査を進める方針でございます。
  128. 加藤清政

    加藤(清政)委員 政府が大陸だな開発を推進するといっても、大陸だな石油開発は高度な技術、豊富な経験、ばく大な資金等を要する事業でありますが、そこでお尋ねしたいのは、技術面、資金面の問題について、企業が大陸だなの石油開発に取り組んでいけるように政府としても十分配慮する必要があると思いますが、政府はこの点をいかに認識し、どのように対処していかれるか、その点、お伺いしたいと思います。
  129. 山形栄治

    山形政府委員 これは先生の御指摘のとおりでございまして、ばく大な資金と高度の技術力を要するものでございます。このため、国みずからはいま申し上げましたような基礎的な物理探鉱を行なうことによりまして、企業が安心して企業化ができる素地をつくっておるわけでございますが、企業側に対しましては、石油開発公団から投融資を行ないまして、その探鉱活動を促進いたしております。また、開発段階に入りました暁におきましては、日本開発銀行から特に特ワクの融資を現在でも行なっているところでございます。  さらに、石油開発公団の中に技術センターというのをもうすでに設けておりますが、ここで大陸だなの技術の開発と同時に、技術者の養成も民間企業の方々を集めまして行なっておるわけでございますが、いずれにしましても、大陸だな問題というのはうまくやれば非常に大きな効果が出るものでございますので、従来にも増してその強化につきまして、資金面におきましても技術面におきましても、国としても臨んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  130. 加藤清政

    加藤(清政)委員 大陸だな開発の問題と関連してお伺いしたいのは、日韓大陸だなの問題であります。  日韓大陸だな共同開発は最近いろいろと注目を集めておりますけれども、現在どのようになっておるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。  さらに、時間がありませんので引き続いてお伺いしたいのは、石油開発公団法改正点の一つは、本邦周辺の大陸だなにおける探鉱に対する投融資公団の本来の業務とするということでありますけれども本邦周辺の海域を公団探鉱融資対象とするのは、いわゆる日韓大陸だな共同開発区域を対象とすることをねらったのではないかというようなこともうかがわれるわけでありますけれども、この二点についてひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  131. 森下元晴

    ○森下政府委員 日韓大陸だな共同開発協定はことし一月三十日に調印されまして、現在国会に提出すべく準備を進めているところでございます。  この協定につきましては、日本と大韓民国との二国間だけで大陸だなの境界を定めるのは問題があるといたしまして、中国また北朝鮮から抗議がなされております。政府としては、本来日本と大韓民国との二国だけで境界をきめると考えられる区域を対象に限定しておりますけれども、十分中国の理解が得られることを期待しております。非常に資源も大事でございますけれども、やはり国際間の紛争ということを避けた上での開発でなければなりません。  後段の問題につきましては長官より答えさせます。
  132. 山形栄治

    山形政府委員 いま考えられております日韓の大陸だなの共同開発の区域でございますが、これは大ざっぱに言いますと領海外の問題でございまして、現在でも、目的達成業務で現行法でもできるところでございます。したがいまして、今度の法律改正がなければできないという領域でございませんので、いま先生の御指摘のとおり、この法律を直す一つの目的が日韓大陸だなにあったというようなことは全然ございませんので、御理解願いたいと思います。
  133. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ところで、精製産業の立地問題についてお伺いしたいと思うのですが、今回の改正法案によりますると、産油国国営石油会社に対する精製設備をも対象とする融資石油開発公団業務に取り入れられることになっております。この点に関連してお尋ねしたいのは、将来の石油政策上の重要問題の一つ考えられます精製産業の立地の問題であります。  最近国内では公害問題、立地問題の観点から石油精製工場の新増設がきわめて困難になっております反面、多くの産油国が自国内での製油所の建設に非常に熱意を示しておると聞いております。それに関連してお尋ねしたいのは、日本石油政策は、これまで消費地精製の考え方に立って進められてきたわけでありますが、今後の政策上、産油国での精製立地をどのように位置づけていくつもりか、その点お尋ねしたいと思います。
  134. 山形栄治

    山形政府委員 御指摘のとおり、従来の日本石油政策は完全な消費地精製主義であったわけでございます。これはやはり国内に製品をつくる場所がございますと、需要との関係が非常に機動的に動きやすいということ、それから原油でタンカーで持ってきますほうが製品でタンカーで持ってきますよりも非常にフレートが安く、コストが安く上がるという点があるわけでございます。  それから先ほど出ておりましたように、備蓄能力という点で考えますと、国内で精製流通をちゃんとやっておりますと、おのずからそれに備蓄能力が備わっておるという有利な点があるわけでございまして、やはり世界じゅう大体基本的には消費地精製主義できておるわけでございますが、これからの産油国の動きというものは、ただ油を掘って売るだけではございませんで、自分の国でこれを製品にして輸出したいという願望も非常に強いと思いますので、この消費地精製主義というのは一部訂正をせざるを得ない、そういうかっこうで、むしろ産油国とわれわれとの関係を密接にするほうがいろんな意味で非常にいいんじゃないか。これは油の点だけでなく全体を通じていいんじゃないかと思いますので、この辺は今後修正をしたいと考えております。ただ、具体的な産油国の計画がどのように進むのか、日本に製品を引き取る引き取り方をどうするかという現実の問題もございますので、その辺もあわせて検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  135. 加藤清政

    加藤(清政)委員 この問題に関連したもう一つ質問は、石油精製産業が公害型産業であるということから生ずる問題であります。  さきに申しましたとおり、確かに産油国は現在自国内の精製工場の建設を熱望しておりますが、しかしこれらの国に将来製油所が林立して環境汚染が生ずるといたしました場合には、産油国の国民が、結局はこのような形での工業化に反発するということになるわけでありまして、それを推進した日本などの先進国が恨みを買うと申しますか、この点がたいへん懸念されるわけであります。そこで、産油国における製油所の建設を助成することは公害産業の輸出につながるのではなかろうかという懸念があるわけでありますが、これに対しましてのお考えをお伺いしたいと思います。
  136. 森下元晴

    ○森下政府委員 御発言のとおりでございます。いまのところ、産油国に石油精製工場を建設する計画は、イランに五十万バーレル、イラクに二十万バーレル、これは日産でございます。その他の国につきましても話し合いが進められておりまして、これが操業される場合には、いま御発言がございましたような公害産業の輸出につながるという心配がございます。そういうことがないように、当該立地国の環境法規に順法して操業を行なうようにきびしく企業指導を行ないたい、こういうかたい決意でやっております。
  137. 加藤清政

    加藤(清政)委員 公害産業の輸出につながるのではなかろうかという森下政務次官からのお話がありまして、そういう点もあわせて今後慎重に検討していくというお話でありましたので、その点はひとつ今後の大きな問題として御考慮願いたいと思います。  次に、石油価格問題、備蓄問題、開発技術問題でありますが、石油の問題に関連してぜひここでお尋ねしたい問題の一つ石油製品の価格であります。この問題につきましてはいままでさんざん論議も尽くされたわけでありますが、一点お伺いしたいのは、石油製品の価格に関しましては、公正取引委員会筋から法的根拠のない行政指導は独禁法上問題があるし、標準価格に移行すべきだとの意向が出されておりますけれども、このような意見にかんがみまして今後の行政指導にいかなる態度で臨むか、その点をお伺いしたいと思います。
  138. 山形栄治

    山形政府委員 物価抑制というのがいま最大の問題でございます。先般石油価格の改定を指導したわけでございますが、何ぶんにもいま原油価格は先生御承知のとおり非常に流動的でございまして、上がるという見方もあれば若干下がるという見方もあるわけでございます。また為替レートの問題も相当変動いたしておるわけでございます。しかも、何よりもまずこれだけの大幅な石油価格の値上がりは、これが末端及び中間でどういう需給の形になるのか、まだかいもくつかめない状態でもございますので、当面行政指導価格でいくということにきめたわけでございますが、この場合におきましても、通産省といたしましてはあくまで個別企業にこれを指導するたてまえでございまして、これが契機になりまして横で業者間の価格操作が共同して行なわれるということでございますれば、これは完全な独禁法違反でございます。その場合には、われわれは公取と協力いたしましてこれを摘発するのにやぶさかでないわけでございます。あくまでこれは企業が個別に行動すべき問題であろうと思うわけでございます。  なお、石油関係に即して申し上げますれば、ガソリン、軽油、A重油等につきましては、事態の推移を見つつ適切な時期にこれを指導価格にすることの用意がわれわれとしてはあるわけでございます。需給の動きを見て、下ざさえ等のおそれがない場合にはこれを標準価格に移行させるようにつとめるという方向で考えておるわけでございます。
  139. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、石油備蓄の問題でありますが、石油備蓄必要性につきましては、これはもう昭和四十六年の国会で決議もされております。四十九年度には六十日の備蓄を達成することを目標に努力が傾けられているところでありますが、なお聞くところによりますれば、EC諸国では平均八十日から九十日の備蓄があると聞いております。そこでお尋ねいたしますが、備蓄の六十日目標はいつごろ達成されると見通しておられるのか。なお本年度はどうなるのか。また備蓄増強のため政府としてはいかなる施策を講じておられるのか。その点お伺いしたいと思います。
  140. 山形栄治

    山形政府委員 六十日目標といいますのは四十九年度末、したがって来年の三月末で達成するということで、四十七年度から始まったわけでございますけれども、昨年の十月末にすでにほぼこの目的が達成できたわけでございます。しかるに、不幸なことにあの中東の問題が起こりまして、その後漸減をいたしまして、この三月末ではおそらく四十八日分にこれが相なると思うわけでございます。四十九年度にもう一回六十日が復元できるかという問題につきましては、率直なところ、私はむずかしいのではないかという感じがいたしております。世界全体のいまの原油供給の動向から見まして、日本だけが十五日分の積み増しを一年で行なうということは、個人的な意見も含めまして、私は無理ではないかと思いますが、長期的な方向といたしましては、できる限り早くこの六十日、またはよくいわれます九十日というような水準までこれを引き上げるのは国民的な課題であろうかと考えておるわけでございます。  現在行なっております備蓄増強のための施策といたしましては、備蓄タンク建設資金に対します日本開発銀行からの融資、二番目に備蓄原油購入資金石油開発公団からの貸し付け、それから備蓄タンクの設備に関します五年間の五割増し特別償却、この設備資金と運転資金と税制の三本の政策備蓄の増強を従来ははかってきたわけでございますので、今後はこの施策につきましてもより一そうの充実強化をやってまいりたいと思うわけでございます。
  141. 加藤清政

    加藤(清政)委員 そこで一言、石油開発の技術開発についてお尋ねしたいのですが、石油開発の技術者につきましては、帝石だとかあるいは石油資源開発株式会社だとか、一部の会社に偏在していると聞いております。そこで石油開発技術者の養成機関を早急に整備すべきではなかろうかと思うわけでありますが、その点どのようなお考えであるか、お尋ねしたいと思います。
  142. 山形栄治

    山形政府委員 現在日本石油技術者、これは専門学校、大学卒の人間を全部あれしますと民間で五百五十七名、石油開発公団で四十二名、その他合計で六百十八名と非常に少ないわけでございます。  御指摘のとおり、これからの問題は探鉱開発技術者の確保の問題、拡充の問題でございますので、さきに四十七年七月に石油開発公団の付属機関といたしまして石油開発技術センターを設置いたしまして、ここで技術者の養成につとめておるわけでございます。これにつきましては、石炭及び石油対策特別会計から交付金を交付してその機構の拡充をはかっておるわけでございます。今後ともいま申し上げました技術センターを中心にこの拡充強化をはかるべきだと思います。ちなみに、この技術センターは四十九年度事業費として六億三千五百万を予算上はいま予定いたしておるわけでございます。
  143. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、総合エネルギー政策のあり方についてお尋ねしたいと思います。  石油の安定供給確保をはかることはもちろんでありますけれども、これと同時に、水力だとか石炭だとかあるいは原子力等を含めた総合エネルギー政策を確立すべきであると考えますが、まず政府の進めている総合エネルギー政策についてお伺いいたします。今後いかなるエネルギー供給構造が望ましいと考えられるか、具体的に長期展望に立った方針を明らかにされたいと思います。
  144. 山形栄治

    山形政府委員 まず石油に非常に片寄り過ぎました日本エネルギー供給構造をいかに石油依存から脱却するか、といいますと大き過ぎますけれども、どういう方向に持っていくかというのが基調だと思うわけでございます。このためには、国内資源の有効利用というのが一つの方向だと思いますが、これがいま御指摘の石炭及び水力発電の増強また再評価ということだと思うわけでございます。  それから海外の資源をいかに自主的に日本で開発できるかということでございまして、これの問題は先般来出ております海外の石油の開発と、それからわが国周辺大陸だなの開発ということであろうかと思うわけでございます。それから別途、地熱発電の増強というのが一つの問題でございます。また、石炭火力発電というものをもう少しふやして、これは国内炭を圧迫しない範囲内においてむしろ輸入炭をふやしてでも石油から石炭への転換というものをはかるべきではないかと考えておるわけでございます。  なお、もっと長期的にいいますと、核融合、それから太陽エネルギー、合成天然ガス、水素エネルギー等の非常に無公害の新エネルギーの開発というのが大きなナショナルプロジェクトであるべきだということでございまして、この辺につきましては四十九年度から予算化を前提にいたしておりまして、二〇〇〇年までに一兆円予算でこれを推進するというのが現在のサンシャイン計画でございます。いずれにしましても、これらは非常に重大な問題でございますので、総合エネルギー調査会で、各エネルギー供給の位置づけとその確保の見通し及びそれのための所要施策のあり方につきまして現在御審議を願っておる段階でございます。
  145. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま山形長官から地熱発電だとかあるいは石炭火力発電、いわゆる輸入炭の転用だとかあるいは無公害の発電の推進だとか、二〇〇〇年を目途にサンシャイン計画を立ててというお話がありましたが、産油国が非常に力を得て、石油の価格もだんだんそれにつれて上がってくるということを考え合わせますと、それを抑制するためには、何といっても石油資源だけに依存するのではなくして、それにかわるものをやはりみずから考えていくという姿勢に立たなければならないと思うわけでありまして、ひとつサンシャイン計画、いま申されましたことも強力に推し進めていただきたいということを要望したいと思います。  また、電力についていいますれば、公害が発生する火力発電所に大きな比重をかけるよりも、むしろ水力だとか原子力発電の比重を大きくすべきであると考えられるわけであります。  そこでお伺いいたしますが、電源立地について政府は特別会計を設けて促進しようとしておりますが、まず住民の賛同を得る必要がありますが、特に原子力発電所の建設につきましては安全性についてたいへん危惧され、それに対して相当な配慮をしなければなりませんが、この点について政府はどのように対処していかれるか、その点お伺いしたいと思います。
  146. 森下元晴

    ○森下政府委員 石油エネルギーにかわる将来の美しいエネルギーとして、水力の見直しとか、また安全度の高い原子力の開発、そういうものがございますけれども、やはりこの原子力発電にいたしましても、地元住民に対する環境の問題、それから安全の問題、こういう問題を持っておりますし、それ以上に地元の経済の発展並びに地元住民の福祉の向上、こういうようないろいろな条件が満たされなければなかなか立地が不可能である、そういうことで、今後の原子力による電源立地につきましては賛同を得て立地ができるようにやっていきたい。  それから、いま申し上げましたように、安全性の確保がきわめて大事であって、そのためには具体的には原子力発電所の設置にあたっては原子炉等規制法、それから電気事業法に基づいて厳正な審査とか検査を行なっております。なお、その際には、わが国の最高権威を集めた原子炉安全専門審査会等において厳重な審査も経てきておるわけでございます。原子力発電所の開発にあたっては、今後とも安全審査体制の充実強化をはかるとともに、原子力施設の安全研究、これの推進、そして安全の確保に万全を期していきたい。  いろいろ問題はあろうかと思いますけれども石油は、昨年のローマ会議等では、いまのままでは三十年しかもたない、したがって、アラブ等はこの少ない資源を値上げによって量を減らして長もちさせようというような意図もございますし、短期、中期、長期の三つに分けまして、将来の日本エネルギーの、しかも美しい安全性の高いエネルギーの確保のためにあらゆる努力をしていきたい、その一つが原子力の平和利用である、このように承知しております。
  147. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間が参りましたので、これをもって終わりたいと思います。
  148. 田中六助

    田中(六)委員長代理 次回は、明後二十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会