運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-03-11 第72回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十一日(月曜日)    午後五時八分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       越智 通雄君    木部 佳昭君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    田中 榮一君       松永  光君    保岡 興治君       岡田 哲児君    加藤 清政君       佐野  進君    渡辺 三郎君       野間 友一君    米原  昶君       松尾 信人君    宮田 早苗君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君  委員外出席者         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 遠藤  茂君         農林省農蚕園芸         局農産課長   工藤 健一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     玉置 一徳君 同月九日  辞任         補欠選任   田中 榮一君     野田 卯一君 同日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     田中 榮一君 同月十一日  辞任         補欠選任   野間 友一君     不破 哲三君   玉置 一徳君     稲富 稜人君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     野間 友一君   稲富 稜人君     玉置 一徳君     ————————————— 三月八日  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案峯山昭範君外一名  提出、参法第一号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件(東邦亜鉛株式  会社対州鉱業所に関する問題)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、特に東邦亜鉛株式会社対州鉱業所に関する問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 関係各省見解をただしますが、対馬東邦亜鉛カドミウム汚染問題は、御承知のとおりに企業側隠蔽工作をやったという事実が明らかになってまいりました。これに対して関係各省はその責任をどのように感じておられるのか、まず伺いたいと思います。
  4. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  東邦亜鉛対州鉱山におきまして、過去の公害に関する事実を隠し、あるいは事実を故意にゆがめるような操作が行なわれましたことがほぼ明らかになってまいったわけでございます。これはきわめて悪質な行為であり、言語道断というべきであると考えております。  通産省といたしましては、直ちに福岡鉱山監督局から鉱務監督官現地に派遣し、県当局と協力して関係者からの事情聴取を行ないますとともに、会社責任者を招致いたしまして事実の究明を急ぎ、かつ指示したところでございます。この結果、かなり事実が明らかになってまいっております。  それで、今後の当省の本件に対します基本的な姿勢でございますが、次のような姿勢で対処いたしてまいりたいと考えております。  まず第一番に、実態を徹底的に究明いたしまして、関係諸法令に照らして法律違反の事実があれば厳正に処置をしてまいりたいというふうに考えております。  第二番目に、今回のような不祥事が会社の体質に基因していることも考えられますので、同社の他の事業所につきまして点検を直ちに行なわしておりますが、強力にこういった検査を実施いたしまして所要の適切な処置をとってまいりたい。  第三番目に、こういった事態を私どものほうの監督体制上、未然に防止するということが痛感されますので、監督体制の改善、強化をはかりたい。  四番目に、こういった問題の一般的な背景といたしまして、長年にわたります金属鉱山の蓄積汚染問題が存在しておりまして、こういった問題につきましても基本的に解決するための対策関係省庁と協力して総合的に推進していきたいと考えております。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 隠蔽工作はいつからいつまで続けられたんですか。
  6. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  こういった作為が行なわれました当時の責任者でございます元対州鉱業所長神出氏の供述、これは、八日に記者会見をしておりますが、その際に供述がございます。さらに昨日曜日、私どものほうの監督官病院に参りまして、医者の承諾を得まして可能な限り実情聴取をいたしております。さらに監督局が現在までにいろいろ調べておりまして、そういった報告も得ております。  こういった点を総合いたしますと、まだ調査中でございますので、最終的な調査結果にはならないわけでございますけれども、大体明らかになっております点は、水割りと申しますか、注水と申しますか、とりました検体に対してきれいな水を注入するという操作は、神出所長は四十三、四年ないし四十五年の初めぐらいまでやりました、こういうふうな陳述をいたしております。それに対しまして対州鉱業所監督官が聴取いたしましたところでは、四十六年初めの検査までいたしました、こういうふうに言っております。  なお、四十六年六月から、福岡鉱山監督局といたしましては、検査に参りますのに官用車をもって福岡からフェリーに車を乗せまして、向こうに着きまして車で鉱業所に参り、車で鉱業所の中で水をとる、こういう作業をやっております。とった水は車のトランクの中に入れるというような形をとっておりますので、注水という作為は四十六年六月の検査以降は現地の当事者もやっておりませんというふうに言っております。  なお、上流汚染されたものを散布して自然汚染状況作為するということにつきましては、神出氏はやってないと言っておりますし、それからいままでの現場での事情聴取では判明いたしておりません。  それから川の川ざらいと申しますか、そういう行動につきまして、神出氏はやったと言っております。  そのほか、現地でとりました事情聴取では、新しい砂を川にまいたというふうな事実もあがっております。  なお、まだ事情聴取をやってない参考人の当時の事情を知った人あるいは関与したと思われる人の事情聴取が終わっておりませんので、現在現地で引き続き実施中でございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 神出福吉氏は上流に対して汚染された土砂を散布したことはない、こう言っているといういまのあなたの答弁ですね。通産省神出所長を呼んで事情聴取をやっていないのでしょう。そうすると、神出所長上流に対して汚染された土砂を散布したとは言っていないということは、何を根拠にそういう答弁が出るのですか。
  8. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  昨日、私どものほうの監督官神出所長が入院しております瀬田の日産玉川病院に参りまして事情聴取をいたしております。そのときの陳述では、上流に対して汚染物質を散布したというふうなことはなかった、こういうことでございます。ただ、それが事実かどうかにつきましては、目下なお現地監督官が残っておりまして、調査を続行しております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 告発した幹部職員告発内容によると、上流に対して汚染された土砂を散布したということを言っている。その事実関係についてはまたあとで続いてお尋ねをしていくことにいたします。  問題は、四十三年の環境調査の結果、鉱業活動が行なわれていない上流地点で、坑口近くの下流よりもカドミウム汚染量が約一〇%高いというこの事実に対して、通産省も、それから当時は厚生省がやったわけでありますが、関係各省はこれに対して疑問を感じなかったのでしょうか。
  10. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、四十三年の八月二十八日、厚生省それから県の系列で行なわれます環境調査と同時に、別途鉱山監督局現地に参りまして調査を並行して行なっております。その同じ場所、第一ダムオーバーフローの上流側と第一ダムの水がオーバーフローいたします西側、下流側でございますが、同じところで同じときに水をとっておりまして、その分析値を見ますと、私どものほうがただいま中村先生指摘のように高く出ております。それで、この点につきましては、私どものほうの数値が高いということで、この分析結果が出ました十月の下旬にわかったわけでございますが、これでは高いということで、十一月の初めにまた監督局調査に参っております。その結果の分析値指導基準に合格しておるということで、私どものほうといたしましてはそのままになっております。四十三年の八月に行なわれました厚生省、県の系列調査の結果が東京で分析されまして報告になりましたのが四十四年の三月でございます。その三月に発表されました数値と比べてみますと、大体同じような数値になっております。したがいまして、私どものほうはそのままにしたわけでございます。ただいま御指摘上流関係環境調査でございますので、私ども鉱山保安法に基づく検査としてはやっておりません。
  11. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御質問にございますのは、厚生省がその当時採水検査をした結果と通産省が出した数字と非常に違うので疑いを抱かなかったかという御質問でございますが、私は、当時この調査をいたしておりました厚生省公害課長をいたしておりまして、この調査報告書は四十四年の三月二十日に出ております。四十四年三月二十日に出ておりまして、それを取りまとめをいたしますときに、いろいろの専門家先生の中で、どうして上のほうが高いのかという議論がございました。ございましたが、鉱山においてはかようなこともあり得ることだということで、先生方の合意のもとに四十四年三月二十日の報告書が出されたということでございます。なお、本成績につきましては、通産省にすべて私ども成績書をお渡しいたしております。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 このことは参議院の公害特でも問題になったんですね。いろんな先生の意見を聞いてみたんだけれども、そういうことはあり得ると言ったそんなあいまいなことであってはいけないんじゃありませんか。だれが考えてみても、鉱山活動関係のない上流地点より、坑口より下流地点汚染濃度が高いというのは常識でしょう。私がいまから申し上げるようなことはあなたのお答えにはなかったんだけれども重金属濃度が高い地質であるということを当時答弁もしているわけですね。そうなってくると、上流地域だけが地質的に重金属濃度が高いという地質であるのかどうか。距離的にはたいして変わらないです。そんなに地質が変わるものか。そういう答弁をしたこと、そういったような考え方でこと足れりというような当時の厚生省、いまこれは環境庁の所管になるわけだけれども、そこらが理解できないんだけれども、いまもそのとおり思っているんですか。どうですか。
  13. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のような御批判は私は当然あり得ることかと思います。当時の状態といたしまして、カドミウムについての知見がまだ非常に乏しいときでございましたが、そのときの専門委員会先生方は、非常に専門の方々ばかりで、非常にきびしい立場の方もおいでになった議論の結果としておまとめを願って私どもがいただいたということで、私どもはその見解に従ったわけでございます。そのときに通産省データを同時に私どもが入手いたしておりまして、同時に見て、同じ水をとって違ったということがその時点でわかっておりましたならば、そのような疑義が非常に大きくなったかと思いますが、私ども通産省のほうにはデータをお渡しいたしましたが、通産省からは、当時はかられたデータは一切われわれのほうには供与されておりませんので、それらの判断ができませんでした。御批判に対しては、私どもは申しわけないと思っております。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 それは通産省データもおかしいのだよ。変わらなかったというのだね。下が濃くて上が薄いということが私は当然だと思うのですよ。少なくとも専門家調査なんだから、そのぐらいのことがわからないはずはなかったと思う。いまはどう思っていらっしゃるか。
  15. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 現在通産省データを拝見いたしますと、これはサンプルをかえられてこのようなことになったのだというぐあいに思っております。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 サンプルをかえられてこういち結果になったということはお認めになった。そうすると、隠蔽工作によってそのデータ基礎資料として厚生省が四十四年に発表したカドミウム汚染に関する見解対策、これは対馬に関する限りは科学的根拠を失うということになりますね。
  17. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 これは調査が全部完了いたしまして、どれだけのものにごまかしがあったかという事実が判明しなければわからないというように考えておりますが、発生源のものだけについてかえられたという場合には、ほかのものについてはその当時の調査は有効ではあろうかと思いますが、基本的な信頼がゆらぐということで、いかにすべきかということにつきましては、大臣が公害特別委員会あとで検討して善処をするということでございましたので、その方針に従っていたしたいと思います。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 おかしいのだよ、あなたの答弁は。上流地点というものが汚染濃度が高くて下流が低かった。これは隠蔽工作によってそうい、狂ったデータが出たのだということを認めながら、当時のデータ基礎にして、そこで厚生省カドミウム汚染に関する見解対策を出して、これによって諸対策は講ぜられてきているわけだ。それを科学的根拠というものを失うことにならない、それは理解できないですよ。でっち上げを認めて、上が濃度が濃くて下が薄かった、低かったということは、これは確かに申し上げたとおり隠蔽工作だということを認めたのでしょう。認めたならば、当然前の調査というものは科学的根拠を失うじゃありませんか。どうですか。その点。
  19. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま御指摘のあった、すりかえられたサンプルについては科学的な根拠を失うということにつきましては、私どもそう思っております。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 そうなってくると、当然対馬の対州鉱山調査というものはやり直さなければならない、こういうことになると私は思う。この点に対して、通産省をはじめ環境庁見解はどうですか。
  21. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  四十三年の八月の検体につきましての作為は事実でございます。それで、いつまでやったかということをいま的解に判断ができませんが、四十六年の六月の検査以降は官用車をもって行なっております。先ほど御説明申し上げましたようなことで、とってきた水はうしろトランクに入れて、自動的にロックになるような形になっております。それで、いままでの行ないました関係者からの事情聴取では、車のかぎまであけてやった覚えはないとはっきり言っておりますが、しかし、これも事実をまだその他の関係者に当たってみませんとはっきり断定できません。したがいまして、その調査は引き続きやることといたしております。別途、車で参りましたとき以降につきましても行なわれておる可能性がございますので、この新聞が出ました直後に福岡のほうから参って現在現地に行っておりますが、この三名の検査官がこういうことのないような注意をもって水をとっております。これを直ちに分析いたします。さらに対州鉱山全体につきまして一斉点検を目下準備いたしておりまして、早急に検査にかかりたい、そういった措置によりまして、現在実態としての対州鉱山の排水がどういう状況にあるかを正確につかんで、その結果に従いましてしかるべき処置をしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 森整治

    ○森(整)政府委員 ただいま橋本審議官から御説明ございましたように、分析値そのものデータに誤りがあったということは確かに事実でございます。その結果、これに関する報告書は、厚生省の当時の環境衛生局取りまとめをしておりますが、健康の問題にからめましては、安全を見込みまして、これらの地域を要観察地域として今後対策を進めていくということで、これに基づきまして指定を行なっております。そこで、健康調査を現在に至るまで引き続き行なっております。そういうことが一つであります。  それから、この調査報告に基づく対策といたしまして、いまの保健対策のほか、発生源対策でございますとか、その他の水質なり環境につきましての調査を行なうようにという結論が出ております。これにつきましては、その後、経済企画庁で水質環境調査を行なっております。  それから、土壌につきましては農林省土壌調査を行なっております。農作物の調査も行なっております。その後それらに引き続きまして、環境庁ができましてから、その地域排出基準がきめられまして、排出基準は約十分の一程度に非常にきびしいものに県が上のせをしてきめております。それに基づいて監視を続けてきております。  土壌につきましては、細密調査を数年ずっと継続して別に行なっております。それに基づきまして対策地域が確定され、対策がただいまきめられまして買い上げが実施される、こういう経過でございます。  そこで、私申し上げたいのは、いまのこの報告書に基づきまして、その後のいろいろなとられました措置についてこれをミスリードする要素があったかどうかということをただいま県と協議しながら詰めている最中でございまして、そういうようなことも全部見ました上で必要があれば調査も実施したい、こういう考えでおるわけでございます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 あなた方は隠蔽工作を認めた、これは本人が白状したんだから。そこで、下流には汚染されていない土砂を散布した、上流には汚染された土砂を散布した、そういった、水だけではなくて、いろいろな試料をとって検査をして、そこでデータが出ているわけです。それに基づいて、いまあなたがいろいろお答えになったような健康調査の問題は若干の影響があるかもしれぬけれども、まあそれはまずおくといたしまして、たとえば汚染の農地にすると、一号田とか二号田とかいうことがきめられているわけです。そうなってくると、根本的に狂ってくることになる。したがって、当然隠蔽された以前の状態に戻してしまわなくてはいけない。そしてあらためて調査をするということにならなければ、正しいデータは出てこないと私は思う。したがって、いままでのやつはいままでのやつにして、その状態をもとに戻さないでおいて調査のみを続けていくということになってきましても、私は正しいデータは出てこないと思うのですよ。当然状態を戻してしまって、そしてあらためてデータをとる、そういう基礎資料によって厚生省環境庁あるいは通産省もそれぞれの対策を立てていく、そういうことにならなければいけないのじゃありませんか。したがって、これから先やりますからということだけでは、問題の解決、いわゆる正しい調査結果というものは生まれてこないと思う。その点いかがですか。
  24. 森整治

    ○森(整)政府委員 私のお答えにちょっと不備な点があったかもしれませんが、私ども絶対に再び調査をしないとか、そういうことは申しておるわけでございません。いま行なわれております対策なり行政の措置につきまして、この報告書が何らかの影響を及ぼしているということが判明いたしますれば直ちに再調査を行なうということは、われわれも否定しているわけではございません。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 それがおかしいのだよ。やり直してみなければ影響されているかされていないかわからないではありませんか。隠蔽された状態をそのままにしておいて、そこで影響があったかなかったか、そういうことでは、私は問題にならないと思いますよ。隠蔽された状態によって調査もして、そして四十四年の厚生省対策というものが打ち出されてきた。それから、あとで触れますけれども青峰調査団調査にいたしましても、四十三年の厚生省調査データを取り入れているのだから、それによって諸対策が現に行なわれているのだから、その影響があったということがわかればやり直します、それはもう答弁にならない。問題にならない。だから、やりかえてしまう、あらためてデータをつくる、こういうことにならなければ正しい対策というのは生まれてこないのじゃありませんか。
  26. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘ございましたように、それから私先ほど御答弁申し上げましたように、現在対策が進められておる、たとえば土壌の改良の問題、そういう問題は三〇%は企業が負担するという奥に、自然汚染といいますか、あるいは旧来採掘されておった地域から出ておる影響というものも入っておると思うのでございます。その前提になりましたのが審議会であり、その審議会前提になりましたのが青峰報告書であるというふうに私ども承知いたしておるわけでございますしたがいまして、青峰報告書をミスリードする報告書であったかどうかということは、その報告書作成者あるいは県の態度、考え方というものも精査した上で、私どもその問題につきましては再検討をすることについてはやぶさかではございません。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 おととい現地に行った長崎県環境保全局長も、青峰調査団報告の中には、四十三年の厚生省調査に基づいてそこで見解対策というものが出されたのだ、そのデータ青峰調査団調査の中に取り入れておりますということを証言しているのだ。それならば厚生省の四十三年の調査、四十四年の発表、それは隠蔽されたその状態の中で調査をしてデータが出されて見解発表になったのだから、青峰調査団調査報告もそのデータを取り入れているのだから、それによって、いまあなたが触れたように、企業側の三〇%というものが決定されたわけだから、狂ってしまうわけだ。だからやり直さなければ、これは正しいデータは生まれないし、またそれから引き出される正しい解決はあり得ない、こう私は思いますが、関連質問関係もありますので、あとでまたその点はもっと——あなた方よりも私のほうが現状についてはあるいは詳しいかもしれぬ。だから私からあとで申し上げます。  そこで、隠蔽工作というのは当時の神出所長だけの独断でなされたと見ていますか、本社の指示によってなされたと見ていますか。
  28. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  ただいままでの調査では神出氏が独断でやったということでございます。なお、現在の対州鉱業所におります当時そういう作業に従事した者の説明では、神出所長及び直接の上司である当時の久松保安規格室長と一緒にやったこともあります、こういうふうな言い方をしております。  なお、いままでのところでこの三人以外に当時のこの事情を知っておる者の名前があがってまいっておりますので、引き続き調査を進めておる段階でございます。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 神出がどう言っておるかということもあなたのほうでは参考にされる必要はもちろんある。しかし、通産省が考えてみて、あるいは環境庁が考えてみて、あのような大がかりな隠蔽工作というものを一所長の権限でできるかできぬかということぐらいは、これはあなたのほうは重大な問題として判断をしてみなければならぬ、また追及もしていかなければならない。神出がこう言っているからこうだ、そんな不見識なことでは話にならないのです。同時に、東邦亜鉛というのは、群馬県の安中製錬所でもカドミウム汚染という重大な問題を引き起こしてきている。したがって、会社責任というものは——私は本社の指示によってなされたと見ているし、私だけではなくて、現地の大かたの人たちがそう見ているわけなんだ。だけれども、かりに百歩譲って神出独断でやったといたしましても、本社の責任は免れない。したがって、その責任は徹底的に追及されなければならぬ、そう思いますが、その点はいかがです。
  30. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  基本的な私ども姿勢につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、当面の行為者につきまして実態究明をいたしますと同時に、第二点として、こういったことが安中問題と引き続いて発生いたしました会社に対して厳正な態度で臨むという点は申し上げたとおりでございまして、したがいまして、ただいま中村先生から御指摘の点につきましては、私ども同様な姿勢調査を進めていく所存でございます。当然その中で、ただいま御指摘会社責任問題も含まれるわけでございます。ただ、調査を進めてまいります段階で、私ども鉱山保安法に基づきます検査は排出口の検査でございます。ただいままでに明らかになっております点は、利水地点におきます取水の取りかえ、水増しが中心であるようなかっこうになっております。こうなりますと、鉱山保安法の適用という点になりますと、ややそこにズレが出てまいりますので、会社責任はもちろんでございますが、その前提として隠蔽工作の全貌あるいはその態様を具体的に究明することが先決でございまして、それに基づきまして関係諸法規に照らして厳正な処置をすることとあわせまして、会社の社会的あるいは道義的責任というふうな形で当然処置してまいりたいというふうに考えております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 この質問で米原委員質問を間にはさみまして、私は続けてあとで保留をして質問しますが、警察庁保安部長見解を伺いますが、私はこの事件は鉱山保安法違反であるというように見ている。同時に、この検体を数度にわたって薄めたというこの事実は神出も認めている。それから本社の宮崎重役もこの事実は認めておる。それから部下職員に命じて鉱泥の洗い直し作業を夜陰に乗じて実施したという事実も神出は認めているわけです。宮崎重役もこの事実は認めている。それからこの点はあとで触れますが、通産省の職員が汚職事件をやっておるという事実、これは時間の関係がありますので、あとで触れなければなりませんが、当然こらの一連の事件というものは、警察庁は徹底的に捜査を開始してその責任を追及していかなければならないというように思いますが、御見解はいかがですか。
  32. 綾田文義

    ○綾田政府委員 先生のおっしゃるように、公害隠蔽工作というのはきわめて悪質な行為であると私は思います。現在、警察といたしましては、長崎県警が中心となりまして、福岡鉱山保安監督局あるいは長崎県などの関係機関と密接な連絡をとりながらその実態の究明につとめております。現在行政機関が調査をしておりますので、その結果を待って警察独自の立場でこの実態の究明につとめまして、法令の違反の疑いがあるときには厳正に捜査をいたす考えであります。  法令違反につきましては、ただいま先生もおっしゃいましたけれども、現在のところでは、まだ即断することはもちろんむずかしいわけでありますけれども、一応現在いわれておる事実をもとにするならば、刑法の信用毀損業務妨害罪あるいは鉱山保安法の立ち入り検査の妨害などというふうな違反に当たるのではないかというふうに一応考えられます。
  33. 濱野清吾

    濱野委員長 米原興君。
  34. 米原昶

    ○米原委員 中村委員の了解を得まして、ここで質問させていただきます。  中村委員がいま申しましたことは私も全く同感なんです。これは一所長がやったというよりも会社がやったに違いないということがむしろ常識だと思うのです。事実一部の新聞も報道しておりますが、この事件について実情調査のために長崎県と福岡鉱山監督局調査団が町に入った。このときに町民の中からそういう声があがっております。こう言っているのです。「国や県、町は新聞で暴露されたから大騒ぎしているが、いまはじめて知ったというのはウソだ」「県、町はカドミウム汚染田の作付けをことしから全面禁止するよう指導しているが、百姓が米を作らずに生活はどうなるのだ」こういう直接的な、おそらく農民のもっともな考え方もあるのでしょうが、そこからいままで何も知らなかったというのはうそだといって、この調査団が入ったときの集会で、県や監督局の側に対していままで泣き寝入りをしてきた被害農民たちが、初めて思いの限りをぶちまけたということが記事に出ております。「ブルドーザーによる川ざらいについては四十三年六月の定例議会で町議が追及しているが、それでも県は知らなかったというのか」こういうことも言っております。当時すでに町会議員がこの川ざらいのことは知っていて、町議会ですら問題になっているのです。「第一ダムの横で飼ってあったコイが目はつぶれる、ヒレはなくなる、からだが曲がるなど日もあけられないような惨状を呈し鉱山はすぐにそれらを捨てていた。それでもカドミウム害がないといえるか。このことは通産局側も知っていたはずだ」「県の試験田に企業が夜中に石灰などをまいて中和しているといううわさもあった。試験用のPPMもあやしいものだ」、調査団が行かれたときに町民の中からこういう声があがったという記事が出ているのです。  こういう点を考えますと、いままでの調査そのものも企業に対する態度というものが非常に甘いんじゃないか。こういう公害調査というのは、企業のほうからすれば、何とかそれは隠したいというのがある意味じゃ経営者の本音かもしれない。だからいろいろな隠す工作をやるのは当然予測しなくちゃならない。だから調べる側からいうと、前もって調査する日付を知らせるだけで何かやるのです。これは私自身何回も経験しております。衆議院議員として調査に行く。議員が行く場合は通産省から連絡してもらわぬと見せてくれませんから、それで行きますと、それこそ二週間前から川ざらいをやったなんという事件に私は幾つもぶつかっております。川ざらいを二週間前からやったというのは足尾の銅山ですが、足尾の銅山の汚水の中から砒素が流れて、これが桐生市の水道に入っていって、砒素が基準を上回っているという問題でたいへんな騒ぎになっておる。その基準を上回っておる水道を厚生省が指導してごまかしている。この問題を私は公害委員会で追及したことがあります。その結果、私は足尾まで行ったのですよ。そうしたら、行くと知らしたら、二週間前から川ざらいをやって、石の位置まで方向を変えてやったというような経験がありますが、そのときはもう結果はわかっているあとですから、特別新しい検査に私は行ったのじゃないのです。それでもそういうことをやるんですからね。通産省環境庁調査すると前もって知らせると、こういうことが起こるのがむしろ当然じゃないか、非常に甘いんじゃないかという感じがするのです。  この点について、今後こういう調査をやるときにはいままでのようなやり方を改めるべきじゃないか。今度の物価の高騰に際しての物資の隠匿、この調査も、前もって倉庫を調査に行くと知らせるもんだから、もう二、三日前から全部倉庫の荷物を動かしてしまったなんという話を一ぱい知っていますよ。必ずそれをやられるのですよ。その点でいままでの調査のやり方というのは重大な反省をすべきときだと思うのです。この点についてまずどう考えられるか、聞きたい。
  35. 森下元晴

    ○森下政府委員 調査につきましては、迅速に、厳正にやらなくてはならないわけでございますけれども、今回の事件についていま調査中でございまして、最終結論を出す段階には早いようでございますけれども、いろいろ過去の経過、経緯から判断して、いわゆる人為公害であるということの隠蔽等の工作が行なわれたというようなかなり明確な資料も出たり、また一部社長ほかの言明の中でうかがい知れるようでもございます。そういうことで、通産省といたしましては、調査におきましても、また今後の処置におきましても、迅速に勇断をもってきめていきたい、このように思っておるわけでございます。
  36. 米原昶

    ○米原委員 公害を隠蔽するという点では、東邦亜鉛という会社は前から組織的にやっているんですよ。安中の場合は激しいなにになって裁判にもなっておりますからね。そういう関係で、いろいろな事情はわかっておりますが、たとえば四十四年の十二月に現場に調査に行くという知らせが通産省から出された。このときは結局調査しなかったのです。調査しなかったんですが、ただ一応調査するという予定になった。それだけでたいへんな騒ぎが起こって、現場の川ざらいやいろいろなことをやった。同じことをやっているのです。しかも、それは当時の毎日グラフにちゃんと出ております。ここにそのときのことが出ております。私自身がとった写真もここにあります。通産省がやってくる前に川ざらいをやったり、いろいろなことをやったんです。私、全部写真をとって、ここに裏に説明を書いてありますから、これは見ていただけばわかるのです。このときだって——このときはあと調査をやっていませんから、いま問題になったような結果になったわけじゃありませんが、しかしこういうことをやっているんです。そうして現場の住民というのはちゃんとそのことを知っているんです。ですから対州鉱業所の事件がああやって新聞に出ると、安中でもたいへんな騒ぎになって、そしていま言いました四十四年十二月にいろいろな騒ぎを起こした、このときの模様をやはり報道されておりますが、「通産省は同年十二月二十三日に現地調査をおこなったが、その十日前には検査点は会社側に通告されていた。前夜、その地点に行ってみると会社は、従業員を使って工場廃液で汚染された柳瀬川の底石を竹ぼうきで洗ったり、生コンクリートを流しこんだりしていた」こういっております。農民があとで当時の所長の小西さんという方を追及したところが——現在の東邦亜鉛の社長です。当時の安中の所長ですが、そのときにはこう言っているんですね。「日本人の常識としてお客を迎えるときに、周辺をきれいにしておくものだ」と平然と答えた、こういうことがいま問題になって、これも新聞に出ております。それからこういう話も出ております。「四十四−四十五年ごろ県が水を採取し県衛生研究所で検査するさい、県は会社に命じて水を採取させもってこさせ、それを検査していた」自分でその目的のところの水をとるんでなくて、会社に命じて持ってこさせるわけですね。これはよごれていないところを持ってくるにきまっていますよ。こういう調査のしかたがたいへん甘いのです。こういうことが方々で実際行なわれているので、今度全く突然に会社の元幹部から暴露されるという形で劇的な事件になってきたわけですけれども、実際はこれはかなり方々に行なわれているのじゃないか、こう思うわけです。ですから、今後答申のやり方、もう一切こういうことを事前に通告したりしないで、問題のあるようなところは少なくとも抜き打ちでやるべきだと思う。それでなかったら、これは必ず隠蔽されます。また、それでなかったら効果はあがらない。そういう腹があるかどうか、これをひとつ聞きたい。
  37. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  検査のやり方につきまして、どこまで厳正かということでございますが、鉱山保安法に基づきます事業所検査は、日時は通知いたしておりません。  それで、先ほど先生が御指摘になりました四十四年十二月十三日の件でございますが、御案内のように行政不服審査要求がございました。これに関連して調査をするということで、日時を通知したわけでございますが、場所の指定はいたしておりません。  それから、検査する地点でございますが、これも一切会社側には通知いたしておりません。ただし、鉱山保安法に基づきます検査規則によりまして、排水口の水をとるということになっておりますので、こういう形の排水処理は自動的にきまってくるわけでございます。  それから、取水のしかたでございますが、これは検査官が直接水をとっております。先ほど御説明ございましたような事業者側に依頼して水をとるということは一切いたしておりません。問題は、とりました水の保管、あるいはその輸送という点でございまして、この点につきましては、検査におきまして幾つかの遺憾な点がございました。対州の場合は、四十六年に車が入りますまでは、事業所に預ける、あるいはその一部を輸送を依頼するというふうな事実がございますので、この辺は深く反省しておるわけでございますが、ただいまそういうことはございません。ただし、車を持っていない監督署がございますので、そういったところにつきましては、検査官が自分で水を背負って帰るというふうな措置も講じております。ただし、取水いたします量がどうしても三リットル入りのポリ容器がやはり少なくて十個、多いときには三十個ということになりますので、そういった面で、多いときには車をチャーターするというようなこともやっておりますけれども、一部輸送を依頼するというようなケースがなお残っておったようでございますが、今後とった水の保管あるいは監督署までの輸送につきましても、一切私どものほう、監督署側で処置をするべく、すでに各全監督署に通達済みでございます。
  38. 米原昶

    ○米原委員 この東邦亜鉛についてもう一点聞いておきたいことがあるのです。  これはすでに通産省に対して要請書が出ておると思うのですが、東邦亜鉛株式会社は、昨年の十二月に長崎県対馬の対州鉱山を閉山した。今度別会社を設立してこれに鉱業権を譲渡して、つまりそうなると、安中製錬所をこの鉱山の付属製錬所から分離する、こういう計画を進めているということです。この計画は、東邦亜鉛が現在通産省に申請中の安中製錬所の違法増設工場の再認可問題や同製錬所の公害発生について鉱山保安法の適用からはずそう、こういう疑いを持たれるわけでございます。もっともこの点からいいますと、はたしてこんなことをやって鉱山保安法の適用から除外されるとは私は思わない。前に例の黒部市の三日市製錬所の問題が起こったときに、あそこは鉱山の付属の製錬所でないために別の会社から石を買うわけですね。そのために鉱山保安法があの工場に適用されていなかった。これは不備だというので私当時問題にしまして、現在ではあの製錬所は鉱山保安法の適用になっているわけです。鉱山付属でなくても当然これは鉱山保安法の適用を受けるべきところだと思うので、そういう手続をとったからといって私は鉱山保安法の適用から除外されるとは思いません。しかし、こういうやり方をしているところはどうもそういう意図でやっているのではないか、私は、今度の事件が起こった経過からしましてもこういうことは認めるべきではない、こういうふうに考えるわけですが、この点について聞きたいと思います。
  39. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  昨年の九月に対州鉱業所は生産を休止いたしまして、十二月二十日に休山いたしております。なお、鉱業権は東邦亜鉛株式会社にいま残ったままになっております。したがいまして、法律の関係でいきますと、ただいま東邦亜鉛傘下の安中製錬所等は対州鉱山の付属製錬所という形になっておりますが、実体がなくなってまいりますと、あと法的な手続が、鉱業権を東邦亜鉛が放棄いたしますと自動的に、現在の法体系からいたしますと、鉱山保安法の監督下から一般工場並みの監督法規に変わるわけでございまして、そうなりますと、各県が水、大気等々について所要の法規に照らして監督するという形に自動的に変わるわけでございます。問題は、鉱業権を放棄するかどうかというのは、法律のたてまえは会社の自由意思になっております。ただし、ただいま米原先生が御指摘のような、こういう重大な問題を起こしたわけでございます。当然製錬所所在の自治体といたしましては、そういう企業の傘下の工場を自分のほうで監督下に入れるということにつきましては相当抵抗があろうかと考えられます。したがいまして、私どもといたしましては、ただいまの事件が徹底的に究明され、あと措置が十分講ぜられるまで、この移管問題につきましては見送ってしかるべきではなかろうかと考えております。会社側にそういう行政指導をいたしたいというふうに考えております。  ただ、立法のたてまえが、形式的に申し上げますと、実体がなくなっておりますので、会社がそういう鉱業権放棄の手続をとりますと、自動的に変わるという事情にあるわけでございますが、私ども姿勢はただいま申し上げたようなとおりでございます。
  40. 米原昶

    ○米原委員 そうだとすると非常に重要です。ですからいま申し上げましたけれども、当面とにかく鉱山保安法の適用から除外になるような、こういう鉱業権の譲渡、こういうやり方をやらしてはならぬ、こういうふうに思うわけですが、同時に三日市製錬所の例ですね。あれはたしか政令で指定したと思うのですが、そういう場合でも一定の公害を実際に引き起こしているような、こういうところは実際上はやはり鉱山保安法をその公害に関する部分だけは適用すべきだ、こういうふうに思うわけです。どちらになっても鉱山保安法の実質上の適用は行なうべきだ。同時に、さしあたっては、いまも言われたように、こういう事態を起こしている中で、いまのような別会社をつくる、こういうものを認めるべきでない、こう思うわけですが、この点はどうですか。
  41. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  さしあたりましての措置といたしましては、子会社東邦亜鉛が対州鉱業所の持っております鉱業権を譲渡させることを認めないという姿勢で行政指導してまいりたいと思っております。会社側も、連日幹部を呼んで事情聴取を行なっておりますが、ただいまの鉱業権譲渡につきましては私どもの指導に従うという旨説明をいたしております。基本的に、鉱山保安法監督体制と、それから一般公害法規に基づく監督体制はそれぞれ国の公害行政の中で行なわれておりますので、法規上の差はほとんどないわけでございます。問題は、御案内のように、鉱山監督署というのは非常な歴史を持っておりますし、監督官は豊かな経験を持っております。したがいまして、扱いなれておるというメリットがあろうかと思います。自治体側にはそれだけの体制が現実問題として整っておりません。したがいまして、移管問題が起きました当初に県から要請がございまして、県に移管された後においても鉱山監督局の指導をぜひ受けたいということでございます。私どものほうといたしましては、国、県一体でございますので、県の要請があれば喜んで監督についてのいろんなお手伝いはするという旨を県にも連絡済みでございます。
  42. 米原昶

    ○米原委員 では、私はまた別な機会に具体的に質問いたします。
  43. 濱野清吾

  44. 中村重光

    中村(重)委員 森下政務次官、どうですか。あなたの感触としては、この隠蔽工作というものは神出所長独断でやったというように考えますか、あるいは本社の指示において行なわれたというようにお感じになりますか。
  45. 森下元晴

    ○森下政府委員 神出所長独断でやったかどうか、これから調査で判明すると思いますけれども、特にこの背後関係を、先生から御質問ございましたように、また米原委員からも御質問ございましたように、安中の問題と関連した場合、そこに何か関連性のあるような感じもしないこともない。そういう観点から、ただ一神出所長だけの独断でやったことでないという観点から迅速に厳正に調査をしていきたいと思っております。ああいういわゆる製錬所でない、鉱山の採掘業だけでございます。歴史的に見ましてもかなり昔から鉱山があったような事情でございますし、そこから下流土壌上流に持っていった、何か仕組まれたような感じも私はしないことはないと思います。そういうことで非常に悪質な、非常識というよりも言語道断というような感じさえも実はいたします。そういうことで、従来の公害問題以上に厳正に迅速に調査をして、法制局とかまた法務省の刑事局等ともいろいろよく相談しながら早急に処置するような方向に行きたい。それと同時に、直接人為的な公害が判明できるような工場公害と違いまして、ああいうようないわゆる天然的な公害ともまぎらわしいような現地の情勢等を見まして、今後そういう問題も含めてこの問題を一つの例として通産省としても究明していきたい、実はこういうような観点からこの問題を深く調査、究明していきたい、そういうかたい決意を持っております。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 林立地公害局長は、この調査員が会社の寮に泊まったり——主としてあなたのほうなんだな。寮に泊まったり食事等のもてなしを受けたという事実を認めますか。
  47. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  本件を契機といたしましていま御指摘の宿泊あるいは食事の点でございますが、鉱山監督局に、局長に直接指示をいたしまして調べております。別途会社側の供述の中にも、会社のクラブに泊まったというふうな事実が出ております。(「はっきり言えよ、泊まったのかどうか」と呼ぶ者あり)四十六年、車が監督署に入ります以前、会社のクラブに泊まった事実はございます。鉱山は御案内のように厳原町の中心から十五キロメートル離れておりまして、周辺に民家の宿泊設備がございませんし、バスの便も悪いため、当時としましては対価を払ってやむなく山元にあります会社の施設を出泊所として利用したわけでございます。四十六年以降はただいま申し上げたとおりでございます。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 バスの便利が悪いか、距離がどのくらいあるかということは私が一番よく知っているわけだ。問題は、福岡鉱山保安監督局、この監督局の職員は、現地に行くときには鉱山側に連絡をとって、昼の食事の準備をしてくれ、そういうことまで要求をしているということです。それから寮に泊まり、酒食の供応を受け、また、内部告発で明らかなように、そういうことばかり繰り返しておったものだから、付近の住民の目がうるさくなったというので、今度は厳原のほうに泊まるようになった。ところが、その際に例の検体を持っていっているから、会社の幹部が外へ案内をして、おそらく私はこれは料理屋——どこの料理屋ということまでまだ調べてないのだけれども、外へ引っぱり出していろいろ供応する、そのすきを見て検体を薄める、そういうやり方をやっている。これは一昨日現地へ行った福岡鉱山保安監督局の立花義郎管理官、この管理官が、食事のもてなしを受けました、会社の寮にも泊まりました、行くときには昼食の準備をしてくださいと頼みましたということを認めているわけだ。私がこの事実を調べているのに、いまから調べましてなんて、そんなでたらめというのか不見識というのか、そういうことだから、先ほどのような弁解ばかりやるから部下が汚職をあえてやる、そういうことになるのですよ。森下政務次官、これは私が推量で言っておるのではなくて、現地で住民から追及されて、一昨日管理官はこの事実を認めている。明らかにこれは汚職事件なんだ。これに対してどのような態度で臨みますか。
  49. 森下元晴

    ○森下政府委員 先生の御調査、正確だろうと思いますけれども、なお通産省として調査をいたしまして、そういう事実がございましたら厳重に処分をいたします。
  50. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 補足して御説明申し上げますが、車で参ります以前のことにつきまして、監督局のほうで局長が、じきじき全監督官について、それまでに参りました検査の場合の宿泊あるいは食事あるいは検体の保管、輸送ということについて調べております。まだその資料が私の手元にございませんが、役所としては調べておりますので、いずれ御報告できると思っております。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますから多く申し上げないけれども、さっそくあなたのほうでは、あの新聞の、いわゆる内部告発にあるようなことであったのかなかったのか、それを問い合わせて、質問に対して答えるというぐらいの慎重さと積極性がなければいかぬ、そう思うのです。これは、申し上げたのは事実なんです、現地の人は、管理官が自白をいたしました、こう言っています。過去においてはということばを使っています。過去においては寮に泊まったこともありました、昼食の準備を頼んだこともありました、食事のもてなしも受けました、こういうことを言っている。それから検体も預けましたということを言っているのですよ。そういう態度が、今回のようなこういう隠蔽工作をあえてやるということになる。長崎県の保安室長が事前に行って、そしてどこどこを調査をいたしましょうといったようなことをきめて、そこで隠蔽工作というものが行なわれるということになった。これは長崎県がやったことでございますから、おそらくあなたのほうの出先との連絡があったものだというように私は思いますけれども、そのことは長崎県のやったことでありますから、追及はいたしません。その個所をきめたという問題は追及いたしません。  次にお尋ねをいたしますが、昨年十月、この閉山後の公害防止作業の監督を福岡鉱山保安監督局がやっているはずでございますが、どういう方法でやっているのでございますか。
  52. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  坑廃水につきましては、すべて大奈坑に集めまして、沈でん池に導水し、中和処理をずっと行なっておったわけですが、閉山後の対策につきましては、現有施設を利用し、十分排水処理を行なわせるべく工事を命じております。また堆積場につきましては、閉山後問題が生じないように覆土、植生、排水施設の補強等の工事の実施を命じております。  これらの閉山後の公害防除工事につきましては、すでに企業側から具体的な計画が提出されておりまして、現在その審査を行なっているところでございますが、今回の問題に関連いたしまして、対州鉱山の総点検、一斉点検をやることにしておりますので、この際その結果を利用して、もう一度閉山後の公害防除工事につきまして再検討いたしまして、的確な施行あるいは方法を命じることにいたしております。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 鉱山側は三木元助という幹部職員責任者として、三十人から五十人ぐらいで公害防止作業をやっている。監督局は常駐しているのですか。どの程度現地に行っていますか。
  54. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  監督官は常駐いたしておりません。検査の回数は、そのときによりますが、大体年に二回ないし四回ぐらいでございます。それから人員は二名がたてまえになっております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 普通の保安監督の場合は、いまあなたがおっしゃるように年に四回とかということであっていいんだろうと思うのです。しかし、昨年十月に閉山を鉱山はやって、現に三十人、五十人程度いて公害防止の作業をやっているんだよ。道路のかさ上げであるとか、あるいは堤防、ダムがこわれないようにするとか、あるいはあっちこっちを詰めたり、いろいろなことをやっているんだから、年に四回行っておりますなんということは、ピントが合わないじゃないか、私の質問に対しては。いつまでもやるわけじゃないんだから、早くその作業を終わりたい、こういうことになるわけだから、それならばそれに対応する監督体制でなければいけないはずなんだ。私の質問をあなたは十分理解をして答弁したんじゃないんでしょう。
  56. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私は、先生の意味を十分理解しないでお答え申し上げましたが、会社側から閉山後の公害防除計画が提出されることになっております。その提出されましたものを基本にいたしまして、それを現地につきまして点検、検証することになっております。したがいまして、これからの問題でございますので、的確を期するために必要かつ十分な人員をもってこの点検に当たらせたいと考えております。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 昨年十月に閉山をして、もうすでにいま三月でしょう。早く終わらせたいということで会社がやっているのでしょう。いま計画を出させてこれからこういたしますなんて、何というピントのはずれた答弁をあなたはするのです。知らないからそういう答弁をしているのだ。もら少し正確な報告を受けるようにしなさいよ。実際はほとんど行かないんだ、あなたのほうは。こういう短時日の間に公害防除作業というものをやるんだから、それに対応するような体制をあなたのほうもおやりにならなければいけない。答弁を求めませんが、ともかくいまのような態度だから間違いばかり起こす。さっそく監督局に指示をして、もっと行く頻度を高めていく、そういうことにして、公害あとで起こらないようにしなければいけないということを強く要求しておきます。  それから青峰調査団は、どこの責任で、いつごろから、どういう調査をやったのか、これはどこでもいいですから答えてください。
  58. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました青峰調査団は、純粋に県の立場でおやりになりましたもので、国は一切関与いたしておりません。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 青峰調査団調査をする際もこういう隠蔽工作が行なわれたと思っておりますか。通産省、あなたのほうでもいい。
  60. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 私のほうではまだ調べておりませんが、会社の体質、事業所の体質からいたしますと、十分疑念がわくところかと考えております。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 青峰調査団の編成は、報告すら受けてないのですか。
  62. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  調査団の編成は、青峰九州大学農学部教授を団長としまして、それに班員が七名でございます、協力機関として、九州農政局、福岡鉱山保安監督局等幾つかの機関がございます。  なお、報告は四十八年の三月にまとめられたものが当方に届いております。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど森水質保全局長答弁の中にも出てきたわけなんだけれども青峰調査団調査結果が現地に対してどのような影響をもらしているというように解釈をいたしておりますか。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕
  64. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 この報告書に基づきまして、土壌汚染防止法には基づきませんが、県がこの農用地の買い上げという方向で現在進めておりますが、それの場合の事業者の負担割合というものに影響しているというふうに思っております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 私が先ほど指摘をしましたように、青峰調査団調査報告には、四十三年厚生省が実施をしたその調査の結果による基礎資料というか、データが取り入れられておるという事実をお認めになりますね。
  66. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 青峰調査団の中の一部に四十三年の厚生省データが引かれてある個所があるということは、いま拝見してみるとございます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 そうなってくると、そこに問題が出てくる。青峰調査団調査報告は、農地等はカドミウム汚染はあるが、千三百年前からの採掘された山であり、企業だけの責任ではない、したがって、公害補償の費用を全部企業に負担させることは無理であるという調査報告をしている。これをもとにして県が五五%、町が一五%、企業が三〇%という負担比率が決定をしたということです。先ほども私は触れましたが、でっち上げられたそれをもとにして調査がなされて、そしてデータはそれが基礎資料となっている。それを一部利用した青峰調査団調査結果によってこういう負担割合がきまったんだから、すなわち青峰調査団調査現地にこういう影響を与えているんだから、これは当然白紙に戻して、基本的にはPPPの原則に基づいて企業責任を追及していかなければならないと私は思うのでありますが、その点いかがでございますか。これは通産省からお答えをいただきます。
  68. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 青峰報告会社のこういった隠蔽、作為影響しておるとすれば、当然検討されるべきだと思いますし、新しい費用分担につきましてはPPPの原則及び原因事業者の負担に関します諸法規に照らして、厳正公正に企業が負担すべきだと考えております。
  69. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま御質問のございましたこの事業につきましては、公害防止事業費事業者負担法の対象事業ではございませんので、国の直接関与するところではございませんが、公害防止事業費事業者負担法と似通った問題を県独自でおやりになった問題だというぐあいに考えております。そういうことで、費用負担としましては、原因となった程度に応じて費用負担をするという原則であるというぐあいに考えております。そういう点におきまして四十三年の厚生省調査が一部に使われておりますが、そのほかの資料も非常にたくさん使われておりますので、どの程度その問題がかんでおるかということの問題とあわせて、補正すべきものは補正をするということが当然かというぐあいに考えます。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 そうするとあなたのほうは、通産省の林立地公害局長答弁を否定することになりますかね、よく聞き取れなかった点もあるのだけれども、その点はいかがですか。あなたのほうは肯定できないということになるのか。
  71. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 一部私が十分聞いてなかったところがあるかもしれませんが、汚染者負担の原則によってやるということは当然のものでございます。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 要するに隠蔽工作というものによって影響されて、そしてそれぞれの調査報告——これはもう数回、厚生省の委託によって日本公衆衛生協会で調査をやりましたね。それからこの前回の青峰調査団調査という形に実はなってきている。そういうことで、申し上げたようなそうした負担割合というものがなされてきている。しかし、それはもう洗い直さなければならない。先ほど私のところで局長も、これは徹底的にやりますと言って帰られたのですが、おやりになるということは間違いないのです。やらなければならぬということはあなたのほうも考えているわけだ。それに基づいて当然会社が、PPPの原則に基づいてやる。ということになってくると、これはいま負担しているところの県の五五%、あるいは町の一五%という問題は当然変わってこなければならない。そういうことで私は見解をただしたわけでありますから、質問に対して正確に答えていただかなければならないということを申し上げておきます。あとで答えていただきます。  それから、これは農林省だと思うのですが、汚染農地三十町歩の買い上げや土地改良工事は順調に進んでいるのかどうか。これは環境庁になりますか。
  73. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 土壌汚染防止法に基づきまして地域指定をいたしました面積は約三十二・一一ヘクタールでございますが、そのうち現在まで買い上げのほうはあまり十分進んでおらない。私どもの聞いております範囲では八・二九ヘクタールというふうに聞いております。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 なぜに進まないのですか。
  75. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 これの原因はいろいろございますが、一つには汚染が非常にひどい。下層土まで非常に汚染されているために技術的に非常にむずかしいという話と、それから客土、土地の土の入れかえをいたしますが、その客土の土が非常に足りないというようなこと、それから転作をいたします場合に適当な作物がないというようなこと、それから永久補償、まあ県のほうの提案は十年間の補償でございますが、農民の側としてはやはり永久補償をしてくれというようなことで、土地を失うことについての農民の何といいますか、いやだという気持ちが非常に強くてなかなか買い上げ工作が進まないというふうに理解をしております。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 いまの買い上げは一号田中心に五町歩から最近若干追加をして七町歩ぐらいの買い上げがなされている。ところが、農林省が指導したと伝えられているのですが、土地改良については金がかかり過ぎる、二億から三億ぐらいかかる、三十町歩で三億あるいはもっとかかるのではないかといわれておるのでありますが、金がかかり過ぎる、金がかかるほどに投資効果がない、そういうことで土地改良ではなくて買い上げに方針を変更したといわれているのですが、これは事実か事実でないのか。農林省はそういう指導をやったことがあるのか。
  77. 工藤健一

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃられますように、種々の調査から土壌汚染がかなり深層に及んでいる。こういうことでございまして、私のほうとしましても農業試験場等の専門家にいろいろ調査をしてもらったわけであります。その結果、一応おっしゃられますような三・二ヘクタールの特別地域、いわゆる一号田につきましては転作を中心にやったらどうだということで、先ほど環境庁からお話がありましたように、離島でございますので転作も非常にむずかしい点はありますが、それは根本的な外科手術をするまでは転作でいく、こういう形で指導を進めたわけでございます。そういう形でいきまして四十七年の十月に県は地元に対しまして三つの案を提示した。これは御存知と思いますが、念のために申し上げますと、特別地区を中心にしました水田の土地改良事業、これが第一案。それから第二案は、対策地域全域を米づくりをやめるということを条件にしまして十年間補償金を払う。第三案は、対策地域全部の水田を買収をする。こういう三つの案を示して地元の意向を求めたと聞いております。私のほうとしましては、これは土壌汚染防止法に基づく事業というふうに考えておりましたので、若干客土の量が島では足りない、こういうことがありましたけれども、何らかの対策はできないかということで、県のほうに再度農業の内部で検討してほしいということを申し上げたわけであります。その間に四十八年の二月になりまして、県からの情報によりますと、長崎県の環境保全局長現地へ参りまして、関係農家八十人の出席のもとに買収案という形を提示したということで、賛成の意向が強かった、こういうような形の報告を受けております。われわれのほうとしましては、現地に転作等のための現地試験圃も設けておりますし、こう言っては何ですが、買収がうまくいかない場合の対策は常にとれるようにいたしておるような状況でございます。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうはその対策は十分やっておりますなんということを答弁するのだけれども、不十分だからうまくいかないわけなんだ。投資効果がない、そういうことで買収をするということになった。ところが、反当平均九十万では話にならないといったようなこと等も、話が進まない、事が進捗しない一つの理由なんだ。そこで今度は県は花木を植えるようにしてくれ、そういう転作の説得をいま現にやっている。ところが、花木を植えることになってくると三年間ぐらい金にならない。それでは生活ができないから生活補償をしてくれ、これに対しては県も応じない、町も応じない。先ほどの五五%、一五%、三〇%ということによってやっているものだから、町の意見も聞かなければならないのですけれども、町も応じない。それに対して農民は、九十万円という土地の単価の中には土地単価プラス二倍の見舞い金が入っているのだから、したがって花木に転作をする場合は当然見舞い金という形で生活補償をすることはあたりまえではないか、土地を買うときには単価プラス見舞い金を認めておきながら、転作をするときには見舞い金を認めないなんてそんなばかげた話があるかというのが農民のいまの主張なのですよ。私もそれは道理だと思う。買い上げ土地に対して見舞い金を認めるのだったら、転作に対しても見舞い金という名前でもよろしいし、三年間金にならないのだから生活補償をしてやるということは当然でなければならぬ。そういうことをやってない。にもかかわらずあなたは、買い上げについても転作についても十分な措置を講じております。そういったような答弁をされるわけだ。だから少なくとも、いまあなたがここで答弁をされたように、万全の措置を講ずる、十分な対策を講ずる、そして円満に問題を解決するということにしてもらわなければならないということなのですけれども、それよりも根本的に変わってきましたことは、でっち上げなのだから振り出しに戻らなければいけないのだから、PPPの原則に基づいて企業責任を追及していかなければならないのだから、ならば、それに基づいてこうした問題の解決もはかっていかなければならないと私は考えます。時間の関係もありますから私はまとめて申し上げましたが、私の主張を否定をされるのか肯定をされるのか、これは通産省からも、それから環境庁農林省もそれぞれお答えをいただきます。
  79. 森下元晴

    ○森下政府委員 青峰教授の報告は過去のデータに基づいて決定したものでございまして、PPPの原則から申し上げても、これは根本的に洗い直さなければいけない、このように思っております。
  80. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 まず原因企業に対して徹底的にきびしく当たるということは当然のことであるというぐあいに考えております。  費用負担につきましては、PPPの原則ということで当然やるべきであるというぐあいに考えております。  事業そのものは県の事業でございますので、環境庁といたしましては指導に当たりたいという考えでございます。
  81. 工藤健一

    ○工藤説明員 お答え申し上げます。  農林省といたしましては、先生おっしゃられますように、ヒノキの苗とかアオシソとか、さまざまの転作物の指導をいたすということで、現在お話しのように買収単価が十アール九十五万九千円のうち地価相当分が四十四万五千円、残が見舞い金、こういう形になっているようでございます。それにつきましても転作の奨励措置もございますし、その辺との関連も含めまして、私は持ち帰りまして上司とよく相談いたしたいと思っている次第でございます。
  82. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 松尾信人君。
  83. 松尾信人

    ○松尾委員 ただいままでの予算委員会におきまして、企業のいろいろな悪徳ぶり、そういうものが明白になってきたわけであります。そして企業の社会的責任というものがきびしく追及されてきたわけであります。そのやさきに今回の東邦亜鉛対州鉱業所調査資料擬装工作というようなものが出てきた。こういうことはまことに国民にとって、われわれは何を信頼していったらいいのかという基本が全く失われていく。これを私は非常に憂えます。そしてこのような擬装工作というものが易々としてなされてきたというその背景は、やはり先ほど追及がありましたとおりに、調査に行った人々とこの企業との癒着というものが厳然とあるということですね。そういうものがやはりいろいろな擬装工作というものを容易にさせておる。この点につきまして、局長もあまり実態は御承知でないようでありますけれども、すでに長崎県議会におきまして公明党の議員がこれを事実に基づいて追及しております。いろいろの接待供応、そのような事実をあげましてやっておるわけでありますが、このようなことが全部この擬装工作の土台になっておる。これを大いに反省しなければいかぬ。  まず最初に一言そこを言っておきますけれども、どのようにそういうことを反省していくか、この点をひとつはっきり答えてください。
  84. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  監督官は厳正に検査を実行する義務を負っております。したがいまして、そのためにこそ鉱山保安法等諸法規によりまして検査の権限、あるいは立ち入り権限等々が与えられているわけでございます。  ただ、四十六年の六月に車が入りますまでの間は、ただいま申し上げましたようなことで、とりましたサンプルの保管、あるいは輸送につきまして、企業側注水というような擬装工作を与える機会をつくったことは、監督官として、あるいは監督官を監督しております本省の私どもとしてたいへん遺憾なことだと考えております。  ただ、四十六年の六月以降は車によりまして現場まで行くことができるようになりましたし、それから取水にあたりましても、取水いたしましたつどそのサンプルトランクの中に入れてロックするという方法をとっております。ただいままでにいろいろ調べました関係者からの供述によりましても、四十六年二月までのようでございます。四十六年六月以降の検査につきましては、そういう方法で行なわれております。  しかし、なお検査の一そうの厳正を期するためには、検査官がもっと一そうすきのないような十全の体制をとって検査に当たるということが必要かと思っております。  さらに服務につきましても、先ほど来御指摘がございましたような点を深く反省いたしますと同時に、この際あらためてそういったことにつきまして厳正に保持するよう本省といたしましても監督してまいりたいと考えております。
  85. 松尾信人

    ○松尾委員 当然のことですね。そこに乗じられるすきがあるということですね。  それで、このような問題はほんとうに今後絶対に起こしてはなりません。これはくどくなりますので、これ以上事実をあげて追及することはやめましょう。  それから一つ聞いておきたいと思いまするのは、この対州鉱山における水質の測定値の問題でありますが、これは水をとったのが四十三年八月二十八日、そしてカドミ、鉛、亜鉛というものを分析値で出したわけでありますけれども、第一ダムの上流側、上のほう、東のほうですね、これが福岡鉱山保安監督局からちゃんと同時にサンプルをとりまして、それの分析値、それから同じく同時サンプルでありまして、日本公衆衛生協会、これは厚生省の担当であった分を委託してやらせた分でありますが、この分析値が、同じダムの同時サンプルをしながら非常に違う。  カドミについては、第一ダムの東上流側でありますが、これは福岡鉱山保安監督局分析値が〇・〇三三、日本公衆衛生協会の分析値が〇・〇 ○四、このように一けた少なく日本公衆衛生協会の分が報告されておる。鉛についても同じです。〇・〇四三が〇・〇〇九。亜鉛につきましても一・五四というのが〇・二二とこのように違っている。そして第一ダムの、これは下流側、西のほうでありますが、カドミが〇・〇七〇、片や〇・〇〇五、このようにけたが違う。鉛が〇・〇二一、〇・〇一六、これも違っていますね。亜鉛におきましては二・三〇、日本公衆衛生協会の分が〇・二八。  このようにこの資料の中でも明確でありますけれども、これはどういうことか。そして厚生省と協議して原因の究明を行なうと書いてありますけれども、結果はどうでした。なぜ違ったのかということと、その結果というものです。
  86. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 御説明申し上げます。  ただいま松尾先生の御指摘の第一ダムのオーバーフロー東側、それから同じく西側の二つの数値でございますが、私どものほうは、日本公衆衛生協会が環境調査に行かれる際に、同時に私どもの監督署も参っております。同じ個所で同じサンプルをとっております。私どものほうは、これを九州の工業試験所に送りまして分析をしたわけでございます。この調査が八月の終わりでございまして、その結果が出ましたのが十月の中旬あるいは下旬かと思います。そのころ出てまいりました。  そういたしますと、〇・〇三三あるいは〇・〇七〇ということでございますから、当時のカドミの指導基準は〇・〇一でございますからこれに適合しない。オーバーしております。したがいまして、十一月の早々にもう一ぺん調査に参っております。その分析値が〇・〇〇二という形になっております。したがいまして、指導基準に適合したということで私どものほうはこのままにしておりました。たまたま、明けまして四十四年の三月に、この日本公衆衛生協会でおやりになりました分析、これは東京でおやりになったようでありますが、その結果が報告されました。そういたしますと、ただいま御指摘のように〇・〇〇四あるいは西側では〇・〇〇五ということで、ほぼ近い、似たようなオーダーの数字でございますので、これでまずいいものだということで放置したわけでございます。ただし、その三月に、やや先行いたしまして、また水の調査を十日から十八日までやっておりまして、その結果が〇・〇〇三という形で出ておりまして、いずれも指導基準に適合するという判断をいたしたわけでございます。いまから反省してみますと、この水に作為があったのではなかろうかという反省をしておるわけでございます。
  87. 松尾信人

    ○松尾委員 その後の分とかなんとかごっちゃにならないで、四十三年八月二十八日に同時にサンプルを取っている。そして片や福岡鉱山保安監督局分析値の結果、また日本公衆衛生協会の分析、このように結果が非常に違うということは同じサンプルを取っておいて、検査する場所が違ったかもしれないけれども、それぞれこれは評価できる一つの機関にまかせて分析値を出しておりながら、このように違うということ自体、大きくけたが違っていること自体をぼくは聞いておるわけでありまして、環境基準がどうだとかなんとかいうものはその次の次の問題ですね。まずそのようにデータが出た、二つ突き合わしてみるとうんと違っている、それはどういうわけかなということだけでいいのです。両方が同じものを取っておいて、そして検査の場所が違ったかもしれないけれども、なぜこのように違うのか、こういうことです。
  88. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  私どものほうは、指導基準と比べまして高い不合格の数値が出ましたので、これはあやしいということで、すぐ次の調査をやっております。その結果低い数値が出ておりますので、先ほど申しましたようなことでございます。それで、本事件が起こりましてからクロスチェックをやりました結果、いま松尾先生指摘のような数値の対照になったわけでございます。  この数字の相違でございますけれども、私どもにおります専門家の意見では、注水によるものなのか、あるいは一本に注水して一本に注水しなかったのか、あるいは注水の量が検体によって違ったのか、あるいはサンプルの中に微量なカドミがございますと、PPMオーダーでございますから、かなりオーダーの違う数値が出る場合もございます。特に四十三年ころは、分析の機器あるいは分析操作等におきまして、現在の熟練あるいは原子吸光光度法というようなものと比べますとかなり精度が落ちるということも一般に専門家の中でいわれておりますが、たぶんそういうことの相違によるのではなかろうかという判断をいたしております。
  89. 松尾信人

    ○松尾委員 いずれにしましても、非常に大きな相違があった場合には、さっそくその問題を取り上げて、たびたび検査して、速急に短期間のうちにお答えを両方から出し合うというふうにされていかなくちゃできない、こう思うのです。このところだけで聞いておるわけにまいりませんから次に参りますけれども、非常に私はそういう点に疑問を持つものであります。  それからこの偽装工作の問題につきましては、元幹部の告発と元社員の証言がありますね。それからまた、元の鉱業所長がこの偽装工作の事実をほぼ全面的に認めておるということはもう間違いがない。としますと、厚生省が四十四年に発表したカドミ汚染に関する見解対策というものが科学的な根拠を失うわけですね。ですから、やはりこの点は明確にいたされませんと、通産省並びに環境庁において前提が全部違っているんだということを明確にしないと、今後の対策がはっきり進んでいかないと私は思うのです。これは両方言ってもしようがありませんから、ひとつ政務次官からはっきりお答え願いたい。
  90. 森下元晴

    ○森下政府委員 今回のこの事件につきましては、先生指摘のように、偽装工作が行なわれた、また隠蔽工作が行なわれた、その目的が企業責任をいかに少なくするか——先ほど質問ごさいましたけれども、青峰報告で一応三〇%の企業責任といっておりましたのが根底からくつがえされるような事態になるというようにわれわれも想像しております。  そこで、いま先生質問ございましたように、この厚生省の四十四年の発表につきましても、この対州鉱業所の問題については、私どもは、この資料等を十分検討し、また内容的によく調査しないと、はたしていままでの資料が正確であったかどうかということもありますので、それも含めまして洗い直し、調査をしなければいけない、こういう観点に立ってこの問題を進めていきたい、こういうような姿勢でおります。
  91. 松尾信人

    ○松尾委員 何としてもやはりこの四十四年の厚生省のそのような発表はもう科学的根拠がないんだというこの点をまずきちっとお認めになること、そこから新しいものが出ていくわけですね。これは環境庁長官も、このような追及に対しまして、早急にこの実態を究明するよう指示すると言っているわけですね。そういうわけでありまして、通産省としてもあらためて実態調査をやらなきゃできません。福岡のほうから行ったとありますけれども、そうじゃなくて、やはり環境庁なり通産省なり、またどの省庁が合同して行くのか、そういう基本的な政府の再調査調査団といいますか、そういうものについてはどのように考えていらっしゃるわけですか。
  92. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 本日午後関係省庁の担当課長ベースの打ち合わせをやっておりまして、まず第一に情報交換をやりまして、それからその情報に基づいて、それぞれのその情報を使って行なっております行政目的、行政措置にどの程度の影響があるかということをお互いに分析して、また連絡会をやるということでございます。  それで、先ほど来いろいろ討議なされておりますようなことで、根底が環境調査そのものに作為があったということが明らかでございますので、それに基づいてなされました報告あるいは行政措置そのものは、これは三木長官がすでにいろいろな委員会等々で発言しておられますとおりでございますので、関係省庁で連絡をとって、共同して新しい措置に対応すべきだと考えております。
  93. 松尾信人

    ○松尾委員 そうすると、新しい観点からきちっと再調査をする。こういうことであります。そうしますと、いろいろ調査団というものが山の実態をよく把握してまいりませんといけないと思うのですね。その点につきまして、私は、こういう点はおわかりになっているのかなと疑問に思っている点がありますので、聞いてまいります。  たとえば、この億富ダムの問題でありますけれども、ここには約百二十万トンの重金属を含んだかすが捨てられておる。いままでですよ。こういう問題ですね。いいですか、局長、聞いておってください。そして昨年十月の閉山でありますから、ここがやがて——これは約一万坪のダムでありますけれども、ダムに三十センチ程度の覆土がなされ、その上に芝生が植えられる。そういうことで、この百二十万トンの重金属を含んだかすというものがある。それを一体どうするつもりかということが一つ。そうしてそこには五十三の坑口があります。この五十三の坑口にふたをするというようなことでありますけれども、そういうことで、そこに百二十万トン捨てられておるかすというものは、永久に樫根地区等のカドミ汚染、その他の汚染の元凶になっていくおそれがある。こういう点が一点であります。  第二点は、この佐須川の上流に、昭和二十六年に開坑された日見坑というのがあります。この坑内水が月間約十七万トン出る。すべてそれは無処理で流しておったのでありますけれども、三十四年の六月に沈でん池がつくられた。しかし容量は小さかった。それで翌年さらに一つ沈でん池をまたつくったわけでありますけれども所長の命令で夜間に坑内水がそのままどんどん放流された。そしてこのような坑口から佐須川に放流された量というものは合計四千四百万トンの水量である。この中に含まれる純粋のカドミウム、メタル量が二千八百六十キログラムになる、このように指摘されております。そういうことも一つ腹におさめていかないと、いいかげんな調査になってしまうのじゃなかろうか、これを私は心配するわけであります。その二つですね。もう時間がありませんので、どんどん言いますよ。  それからこの隠蔽工作は、先ほどから指摘されたとおりでありますので、もうここで繰り返して申しませんけれども、結局そのような隠蔽工作の結果、厚生省委託による日本公衆衛生協会カドミウム研究班の報告書ができておりますけれども、その報告書によりますると、「川水の重金属濃度がとくに高い地点はいずれも現在の鉱業活動関係のない上流の地点であることが特徴であった。」この辺、隠蔽工作にだまされて報告が出ておるわけです。上流がひどかったというのです。そしてそれは「この流域が地質的に重金属濃度が高いことやかなり古い時代から採掘が行なわれていたことなども考える必要があろう。」といって、会社責任がうんと薄められておる。水を薄めたように会社責任も薄まっているわけですね。こういうことをやはり十分認識してまいりませんといけないわけです。会社責任転嫁というものが、こういう報告書の中で明確になっているわけです。これは非常に悪質な問題だと思うのであります。  それから水の薄め方は、二分の一から三分の一に薄めておりますね。これはもうくどくなるから申しません。結局対州鉱業所というものは、公害問題がやかましくなる前には、坑内排水を無制限にやっておった。たれ流し、そしてやかましくなったあとは、形式的に公害の防止施設をつくって世間を欺いておった。夜は堂々と放水する。役所が来る前に、この採水予定地を浄化したり、その上、鉱山影響の及ばないところにまで汚泥をまき散らして汚染地域をごまかす、このようなことでずっと来ておるわけでありますが、そのような、私がいま指摘したような点を御承知かどうか。二点言うたでしょう。第一点、第二点、そういう点についてどのような指示を調査団になされるつもりか。これをはっきり答えてください。
  94. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  第一点の鉱津、それから坑口の処理の問題でございますが、坑口の密閉につきましては、東邦亜鉛が使いました坑口と、それからここは約千三百年前からずっと銀等が出ておるところでございまして、いわゆる古代坑口が多数ある地域でございます。東邦亜鉛が使いました坑口につきまして、坑口は五十三ございましたが、本三月末までに密閉予定になっております。それから古い坑口につきましても、本年末までに密閉予定ということになっております。  それから億富ダムの鉱津の点でございますが、御指摘のような事情監督局で承知いたしておりますので、先ほど申し上げましたように、公害防除工事の点検指示にあたりまして、万全の措置を講ずるように施設の補強、植生、覆土といった点について万全を期したいと考えております。  それから第二点の佐須川流域の問題でございますが、先生から二つ御指摘がございました。  一つは、夜間坑内水を放流したということでございます。この点につきましては、近く一斉点検を実施する予定にいたしておりますので、その際、関係者あるいは一般住民の方々からぜひ実情を聞いて真実を確かめたいと考えております。  それからもう一つの沈でん池の容量の問題でございますが、この問題につきましては、閉山後におきます公害防除工事を適確にやらせるというための、今度の点検の際にその重要な対象にしてまいりたいというふうに考えております。
  95. 松尾信人

    ○松尾委員 いま千三百年の銀山の歴史あり、こう言いますけれども、これも会社が、自分の鉱業所が出している公害というものをぼかす、そして責任というものを歴史に帰属させるというような、そういう観点からのものか非常に——論文は、そのような観点でつくられておる。会社自体の論文、重金属汚染は、千三百年の銀山の歴史と全島を走る鉱脈の影響ありとする論文ですよ。これは全部自分の公害というものを希釈する論文、責任転嫁の例なんです。ですから、ほんとうにいままで会社というものがどのような鉱津を出しておったのか、それが幾らなんだ、そしてどのように坑口の排水というものが川に流れておったのか、何年間にわたってどのくらいの水量になったかというようなことを前提にきちっとやらないと、やはりこれは千三百年云々の論文にたぶらかされては相ならぬと思うのであります。そして結局その間、鉱毒というものがじりじりその周辺の農耕地をおかし続けてきた。厚生省の基準の三倍になったじゃありませんか。毎年調査すればするたびにこの汚染田というのはふえております。全社の言うように私らに責任はないんだ、千三百年だというものではなくて、春になると地元にがっぽり汚染田はふえていくのです。こういう点はほんとうに腹におさめていかれませんと、私は、新たな調査もりっぱな結果を伴わないのじゃないか、このように思うわけでありますけれども、いかがですか。
  96. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 ただいま先生が御指摘になられましたとおりでございます。私ども公害を隠蔽する企業をかばう気持ちは毛頭ございません。むしろ国民のために、そういった隠蔽、擬装というものを徹底的に究明して、法規に照らして厳正な処置をするのが私どもの基本的な姿勢でございます。そういう精神で現地監督官も督励してまいりたいというふうに考えております。
  97. 松尾信人

    ○松尾委員 もう一つ、会社の体質の問題につきまして申し上げておきます。これは現地厳原町の公明党の町会議員の考えであります。それの意見です。これは元所長独断でやらせたというが、三年にわたって延べ十四回もこの採取水の水増しをしておる。これは一人の不正でない。全会社的な、会社をあげての体質の問題である。それをたった一人に責任を押しつけたとしか思えない。そして地元民の会社存続の要望が強かったというなら、昨年の暮れに一方的に閉山に持ち込んだのはなぜかという大きな疑問がありまして、これは地域の人々みなそのように思っております。ですから、やはりこの会社の体質の問題でありますから、調査団には徹底的な再調査というものをやってくれ、このような要望でありますけれども、このような現地、また町会議員の意見というものをどのように反映させていこうと思っていますか。
  98. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のような重大な作為は、神出所長が言いますような単に本人一存でなされたと簡単にのみ得る性質のものではないわけでございます。安中問題等々と一体として考えますときに、東邦亜鉛という会社の体質に非常な疑問を私どもも持っております。したがいまして、現地調査を基本にいたしまして、なお関係者がかなりあがってきておりますので、その関係者につきましても調査を進めますと同時に、体質の抜本的な解明につきましても、引き続き厳正な検討を加えてまいりたいというふうに考えております。  なお、閉山の問題でございますが、地元振興のためにこの探鉱を続けるというふうな面がございますが、探鉱を続けること自身は私どももけっこうだと考えておりますけれども、あくまでこういった種類の公害は一切出さないという前提で探鉱を進めるべきだと考えておりますし、現地の監督署の検査も監督も、そういう精神でやるべく督励いたしてまいりたいと考えております。
  99. 松尾信人

    ○松尾委員 でありますから、その点はがっちりやってもらわなければなりません。  それから、今回の調査環境調査もあらためてやるわけでありましょう。また、この健康診断をやらなくてはいけないでありましょう。また、汚染農地のほうも調査をされるでありましょうけれども、いかがですか。いま私が申し上げました三点。
  100. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生から御指摘のございました環境調査につきましても、大臣の指示がございますので、現在の調査の結果に基づいて対処するという考えでございます。また、健康調査につきましては、四十四年以降ずっと毎年継続いたしておりますのでやはり慎重にそれに対して対処して、継続していく所存でございます。
  101. 松尾信人

    ○松尾委員 農林省、もういませんか。
  102. 遠藤茂

    ○遠藤説明員 土壌汚染の最近におきます農地につきましても、ただいま審議官から申し上げましたように、環境調査と同じように対処してまいりたいというふうに考えております。
  103. 松尾信人

    ○松尾委員 結局いま汚染田、これは合計で三十二・一一ヘクタール、そのうち一号田が三・九八ヘクタール、二号田が二十八・一三ヘクタール、このようになっております。そして買い上げようということで話が進んでおりまして、この総額が三十二・一一ヘクタールで三億八百万円、反当たりの単価が九十五万九千円ですね。その内訳は、土地の評価が四十四万五千円、見舞い金が五十一万四千円、このようになっております。そうしてこの三億八百万円の負担の区分でありますけれども企業がわずか三〇%、残り七〇%は県と町が負担しようという話でありまして、これはもう町としては力がありません。いままでごまかされた試料、隠蔽工作によって会社側の責任というのは水増しされて薄まってきている、そういうものをすべて前提にしまして——これは政務次官、よく聞いておいてくださいよ。そういうことによりまして、こういう負担割合まできまってくるのですよ。先ほどいろいろ企業負担の原則というものが出ましたね。そういう問題も薄められて、そして会社側がわずかに三〇%、こうなっていっております。現実にこれは三億八百万円の金が要るわけでしょう。元凶の企業は三〇%ですよ。そして県と町が残りを分けて負担するという、こういう問題は真剣にお考えになりませんとこれは納得できない。いまきまりはそのようなきまりです。それを基本的に見直して、そして企業責任というものを明確にしていって、県と町の負担というものを変えてまいりませんと納得できないですね。いかがですか。
  104. 森下元晴

    ○森下政府委員 この問題は、いわゆる水で薄めたり、また水増しをしたり、土砂下流から上流に移動して汚染度を薄めることによって責任を薄めようというような意図のもとになされたかなり深い疑いがございまして、私どもも全力をあげて早急にこの結論を出したいと思っております。  それで、この青峰報告等でも、そういうような誤った結果に基づいて企業側は三〇%というような負担率をきめてございますけれども、やはりこれはきょうの各委員の方々の御発言、また先生の御質問の内容でも特に強調されまして、われわれもこの事態をよく注視して、会社企業責任を免れることのないように十分究明していきたいということで根本的に洗い直す必要がある、このような態度で、また方針で進めていきたいと思っております。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 松尾信人

    ○松尾委員 以上で私の質問を終わります。
  106. 濱野清吾

    濱野委員長 宮田早苗君。
  107. 宮田早苗

    ○宮田委員 最初にお断わりしておきますが、何しろ今度のこの問題が公害の隠蔽という非常にはっきりした問題だけに、これから申し上げますことはほとんど前者の質問に尽きるわけでございまして、多分に私も同じような質問をするわけでございますので、お答えはごく簡単でけっこうでございますから、再確認の意味も含まれておりますから、その点、御了解を先に得ておきたいと思います。  今度の公害隠蔽工作の最大の責任企業にあることは申すまでもありませんが、行政の基本にかかわる調査そのものに関与いたしました国、地方自治体の責任もきわめて大きいと思います。公害の心配が非常に大きい休廃止鉱山監督体制の強化ということをこれを機会に強く望むわけでございますし、その面についてのお考えがございましたらまずお聞きいたしますし、同時に、東邦亜鉛のとった措置を国は鉱山保安法との関連からどう処罰をなさるか。厳重に対処するということでございましたが、具体的に保安法との関係で、ここまでまいりますと大体はっきりするのじゃないかと思いますので、その処罰の考え方をおっしゃっていただきたい。
  108. 森下元晴

    ○森下政府委員 調査の基本姿勢、また調査結果等につきまして、国の調査、特に通産省鉱山監督局の行なった調査についてもいろいろ疑点もございますし、われわれ反省すべき点がたくさんございます。こういう点は十分反省しながら、また内害によりましてはよく事実を究明して、罰する点は罰しなければいけない。先ほど中村先生からも、具体的にその氏名をあげられまして、自白のような発言もあったというようなこともございまして、それも早急に究明して、もし真相がそのとおりでございました場合には厳重な処置をとらなければいけないと思っております。  それからPPPの原則でございまして、すベての原因が企業に基因するのでございましたら企業に一〇〇%損害賠償の責任がある、これはもっともでございますけれども、これも早急に調査をいたしまして、たとえ青峰報告が——三〇%という数字を出しておりますけれども、これを根本的に洗い直さなければいけない。  それから、やはり隠蔽工作また擬装工作というものは、内容的に非常に悪質であって、非常識というよりも、むしろ言語道断的なというべき内容を持っておるような感じも私はいたします。そういうことで、真相を究明して、こういう点も内閣の法制局とか、また法務省の刑事局等ともよく相談して告発に踏み切ることも考えております。  以上のような方法で、通産省としては指導したり、またときには告発等のこともやる場合もございますことを申し上げたいと思います。
  109. 宮田早苗

    ○宮田委員 対州鉱業所での水質調査は、四十三年の夏から福岡鉱山保安監督局でも実施をしておるわけでありますが、当時から今日までの検査体制、これはどういうふうになっておりますか、お聞きいたします。
  110. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  年二回ないし四回、場合によりまして回数が変わっておりますけれども監督官が一方的に現地におもむいて、それでみずから水をとるわけでございます。ただ、とった水の保管、輸送につきまして手抜かりがございました。ただし、これは四十六年六月以降は、車を持つようになりましたので、その車で参りまして、車のトランクの中に納めて自動的にロックされるという形をとっております。  以上のようなことで検査の万全を期してまいったわけでございますが、こういった事件が起こりましたので、根本的な検討をいたすべく、目下、例のレポートによります事実の有無をやっておりますが、別途、早急に相当な人員をもって構成いたします調査団をつくりまして全鉱業所点検を実施いたします。なお、関係各省庁との協力によります調査にも、私ども監督署を通じて参加させる考え方をとっております。
  111. 宮田早苗

    ○宮田委員 やはり日本公衆衛生協会同様の、今回行なわれました隠蔽工作というのが監督局調査にもなされたというふうに思いますが、この点、どうですか。
  112. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  ただいままでの事情聴取によりますと、かなりそういうことがなされております。ただ、陳述の内容によりますと、環境水を中心に作為したというふうな言い方をしております。私ども鉱山監督局調査は排出水の検査でございまして、そういうことの相違はあろうかと思いますが、基本的に鉱業所姿勢がそういうことでございますので、当然私どものほうの採取についてもなされたものという前提調査をいたして、おりますし、一部その事実は供述であがってきております。
  113. 宮田早苗

    ○宮田委員 福岡鉱山保安監督局では、さっき申し上げましたように、四十六年夏から、局専用の調査のための車を調達しておるということでございますが、この時点で東邦亜鉛隠蔽工作というものが察知をされておったのじゃないかというふうに思いますが、その点どうですか。
  114. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  九州の福岡監督局長にその点もただしておりまして、監督局長が職員にその辺の状況を調べておりますが、そういう事実はないというふうに聞いております。
  115. 宮田早苗

    ○宮田委員 対州鉱山以外の廃鉱では、検体の採取法はどうなっておりますか。まだ企業側に依存しているケースがあるのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  116. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 監督局の行ないます検査の際の採取は、監督官みずからやっております。この点は厳正に実施をいたしておりまして、いやしくも企業側に採取を依頼するというふうなことは一切やっておりません。
  117. 宮田早苗

    ○宮田委員 ところで、対州鉱山水質調査が最初に行なわれました四十三年八月のデータで、福岡鉱山保安監督局と日本公衆衛生協会との間に数字の大幅な食い違いがある。これはさっき指摘をされたとおりでございまして、この点はもう答弁をなさいましたが、もう一ぺん確認の意味で申し上げますのは、このことによって作為的であるという断定をしてよろしいかどうか、この点をお聞きいたします。
  118. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  この数値だけで作為的と判断するのは非常にむずかしいかと考えております。と申しますのは、当時の分析の機器あるいは測定操作等がいまほど十全でございませんので、俗にいわれます測定誤差等々の要因もあろうかと思います。とりました水自身のサンプルに微量のカドミが入りますと、数値としてのオーダーの違うような結果が出ることは当然でございます。したがいまして、私どものほうはその数値指導基準と比べまして非常に高いということで、すぐ追っかけて別途検査を実施した次第でございます。
  119. 宮田早苗

    ○宮田委員 あまりにも差が大き過ぎる。たとえばカドミウムそのものをとりましても、片一方は〇・〇三三PPM、片一方は〇・〇〇四、これは八倍くらい違うわけでございますが、このことを考えた場合には、逆にいいますと、隠蔽をしそこなったからこういうふうになったんじゃないかというふうにも受け取れるわけでございますので、その点から作為的であったというふうにはっきりしてけっこうじゃないかというふうに私は思うわけですが、その点もう一ぺん伺います。
  120. 林信太郎

    ○林(信)政府委員 お答え申し上げます。  この注水作業をやりました作業員から現地で事業聴取いたしておりますが、双方に対して注水したというふうに言っておりますので、そういうことと、ただいま私が申し上げました測定機器あるいは測定方法等によります誤差等の点から総合いたしまして、これだけで片一方に注水して片一方にはしなかったという判断はむずかしいかと考えております。
  121. 宮田早苗

    ○宮田委員 今回表面化しました東邦亜鉛公害隠蔽工作とは直接関係はございませんが、カドミウム汚染されました農地の買い上げに関しまして環境庁のほうにお尋ねしますが、対馬では農地の汚染がひどく、しかも客土などによる復旧が困難という答弁がございまして、県独自で買い上げる方式をとっておるわけですが、買い上げの場合の東邦亜鉛の負担割合、これはさっき答弁がございましたように三〇%ということですね。そうしますと、今回のこの問題が多分に隠蔽工作ということになりますと、この負担割合をさらに上げるということになろうと思います。そうしないと、県、町の財政的なものからなかなか農民の方々が思っておられるような方向に向かわないわけでありますが、この点について三〇%の負担をさらに上げるという考え方はあるということでございますか。
  122. 森下元晴

    ○森下政府委員 先ほども申し上げましたように、三〇%の企業者負担は、過去のデータに基づくパーセントでございまして、この調査自身が非常に疑わしい、洗い直さなければならないという前提に立つ以上は、三〇%という企業者の負担は改定されなくてはいけない、こういうことでございます。  それで長崎県におきましても、汚染土壌対策にあらためて措置を検討し直すということになりますと、企業者負担の割合もおのずから変わるということを申しておるようでございます。  それと、いま申し上げましたように、通産省としても十分この関係各省庁と連絡をとりながら原因企業が公正に負担するように指導していくということでございます。
  123. 宮田早苗

    ○宮田委員 この対馬での農地買い上げは特異なケースと思います。といいますのは、今度企業隠蔽工作というのがまことにはっきりしたわけでございますから、地元の人は三〇%の企業負担では全くでたらめだという気持ちが非常に強いということです。したがいまして、早く負担を上げて、残りを県費、町費などでひとつは考えてほしいという気持ちが強いというふうに思います。このまま時期をおくらせますと、さらにそれが強くなってくるのじゃないか。できるだけ早くこの問題を解決して、その負担をさせ、農地の買い上げということを実施すべきだというふうに最後に要望いたしまして、質問を終わります。
  124. 森下元晴

    ○森下政府委員 御意見のとおり、早急にこれを調査解決して、この負担割合をきめるように各省庁とも連絡をしてやっていきたいと思っております。
  125. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、明十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十七分散会