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1974-02-27 第72回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十七日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       越智 伊平君    木部 佳昭君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       橋口  隆君    八田 貞義君       松永  光君    保岡 興治君       岡田 哲児君    加藤 清政君       上坂  昇君    山崎 始男君       渡辺 三郎君    野間 友一君       米原  昶君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局経済部長 熊田淳一郎君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君         中小企業庁指導         部長      栗林 隆一君  委員外出席者         議     員 田中 六助君         大蔵省主計局主         計官      禿河 徹映君         大蔵省銀行局特         別金融課長   山田 幹人君         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 北村 和男君         中小企業庁長官         官房調査課長  井上  正君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     近江巳記夫君     ————————————— 二月二十六日  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)(予) 同日  中小企業経営安定に関する請願瀬野栄次郎  君紹介)(第二四三二号)  簡易ガス事業者に対するLPG卸売供給価格の  安定等に関する請願外二件(石母田達紹介)  (第二四三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  伝統的工芸品産業振興に関する法律案左藤  恵君外八名提出、第七十一回国会衆法第六五  号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六二号)  特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第三二号)  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  第七十一回国会左藤恵君外八名提出の自由民主党、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党の共同提案にかかる伝統的工芸品産業振興に関する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。田中六助君。
  4. 田中六助

    田中(六)議員 伝統的工芸品産業振興に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国においては、古来、数多くの伝統的工芸品産業が存在し、民衆の生活の中ではぐくまれ、受け継がれてまいりました。しかし、近年、社会経済情勢変化により、これらの伝統的工芸品産業は、幾多の困難に直面し、後継者確保難原材料入手難、さらには伝統的な技術または技法の消滅のおそれ等、その存立の基盤を喪失しかねない実情となっております。伝統的工芸品産業は、関係者の努力、伝統的工芸品に対する情熱があってこそ、初めて維持発展し得るものであり、一たび崩壊した場合、その再興はきわめて困難なものと申さなくてはなりません。  伝統的工芸品は、国民消費生活を多様化し、豊かさと潤いを与えるものであり、最近は、国民各層伝統的工芸品のよさがあらためて見直され、伝統的工芸品産業に対する関心が急速に高まっているのでありまして、その維持発展をはかることは、きわめて重要な政策課題となっているのであります。  従来、伝統的工芸品産業に対しては、ごく一部、文化財保護施策対象となるものを除き、一般的な中小企業施策対象にはなっているものの、伝統的工芸品産業実情に即した特別の施策は皆無にひとしい状態で推移してまいりましたが、この際、伝統的工芸品に対する国民関心の高まりを踏まえ、かつ、伝統的工芸品産業の特質と実情にかんがみ、その振興をはかるため、本案提案した次第であります。  次に、本案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、通商産業大臣は、伝統的工芸品産業審議会意見を聞いて、主として日常生活用に供され、その製造過程主要部分が手工業的であり、伝統的技術または技法により、伝統的に使用されてきた原材料を主として用い、一定の地域において少なくない数の者によって製造される工芸品伝統的工芸品として指定するものとすることであります。  第二に、伝統的工芸品製造事業者構成員とする事業協同組合等は、伝統的工芸品産業に関する振興計画を作成し、これを都道府県知事または指定都市の長を経由して通商産業大臣提出し、その振興計画が適当である旨の認定を受けることができることであります。  第三に、伝統的工芸品産業に関する振興計画には、従事者後継者確保技術または技法の継承、原材料確保需要の開拓、作業環境改善等伝統的工芸品産業振興をはかるため必要な事項について定めるものとすることであります。  第四に、国及び地方公共団体は、認定を受けた振興計画に基づく事業実施する事業協同組合等に対し、その事業実施するのに必要な経費の一部を補助することができるほか、必要な資金確保またはその融通のあっせんにつとめ、税制上必要な措置を講ずるものとすることであります。  その他、伝統的工芸品として指定されている旨の表示、伝統的工芸品産業審議会設置伝統的工芸品産業振興協会設立等について定め、この法律昭和四十九年四月一日から施行することとしております。  以上が本案提案理由及びその要旨であります。  よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び内閣提出特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を順次議題とし、それぞれ政府より提案理由説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  中小企業信用補完制度は、創設以来一貫して発展を遂げ、現在二兆八千億円を上回る保険規模に達し、中小企業者に対する事業資金融通を円滑にする上で大きな役割りを果たしているところであります。  しかしながら、最近における中小企業を取り巻く内外環境は、急速に変化し、かつ、きびしさを増しつつあり、それに伴い信用補完制度においても中小企業者の現実の資金需要に十分対応できない面が出てまいっております。  本法律案は、このような観点から中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。  第一は、保険限度額の引き上げであります。  最近の中小企業者資金需要大口化傾向に対応して、中小企業者一人当たりの保険限度額普通保険について現行の三千五百万円(組合の場合は七千万円)から五千万円(組合の場合は一億円)に、無担保保険について三百万円から五百万円に、さらに特別小口保険につきましても、小規模企業層資金確保円滑化をはかるため、現行の百万円から百五十万円に引き上げることとしています。第二は、現行法倒産関連中小企業者の範囲を拡大することであります。  すなわち、現行倒産関連中小企業者に関する特例は、主として親事業者倒産または操業短縮といったような場合に、その取引の相手方である中小企業者を救済する趣旨のもとに規定されているものであります。  今般の改正は、以上のような取引先事情とは別に、原材料等供給減少とか、製品需要減少とかいった原因により、その業種に属する中小企業者相当部分経営が不安定になっていると認められる場合にも、業種を指定して、倒産関連特例対象としようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  繊維工業につきましては、これまで特定繊維工業構造改善臨時措置法に基づきまして、紡績業及び織布業につきましては昭和四十二年度から、メリヤス製造業及び染色整理業につきましては昭和四十四年度から、設備近代化過剰設備処理生産または経営規模適正化等目的とする構造改善事業実施してまいりました。  この間これらの業種における構造改善は、設備近代化過剰設備処理等の面においてはかなりの成果をあげてまいりましたが、繊維工業全体を見ますと、なお、企業数の過多及び企業規模の過小の事態が依然として解消していないこと、また、紡績から縫製等最終製品製造加工に至るまでの製造加工工程が長く、かつ、それらの各工程が別々の業種によってになわれているため、消費者情報が各製造加工工程商品生産に十分反映されず、消費者のニーズに即応した商品供給するための体制が整備されていないという構造上の問題点を内包しております。  加えて、最近のわが国繊維工業をめぐる内外環境は、まことにきびしいものがあります。すなわち、国際的には、東南アジア諸国を中心とする発展途上国繊維工業の急速な成長により、わが国繊維工業国際競争力は急速に低下しております。また、国内におきましては、労働力需給の逼迫による労働力不足、賃金の急上昇等によるコストの上昇等の諸問題に直面しているとともに、繊維製品に対する需要動向変化に対する迅速な対応を求められております。  繊維工業のかかる事態に対処して、繊維工業について、その内包している構造上の問題点を早急に解消するとともに、合理的な国際分業を推進し得る十分な競争力を持った発展性のある産業として育成することは国民経済的な要請であると考えますが、そのためには、従来のような紡績、織布等業種別構造改善を推進するのみでは必ずしも十分とは申せません。したがいまして、’政府といたしましては、昨年十一月の繊維工業審議会及び産業構造審議会の答申の趣旨を尊重して、昭和四十九年度から昭和五十三年度までの間、従来の同業種間の連携に加え、紡績、織布、染色整理縫製等の異業種に属する企業間の有機的連携による新商品または新技術開発促進等内容とする新しい構造改善事業を推進することとし、これにより、付加価値の高い商品生産を増大し、織維工業の知識集約化をはかることといたしました。  この新しい構造改善対策は、昭和四十九年度から昭和五十三年度までの間行なうこととしておりますが、その実施に必要な制度を整備するため、このたび、この法律案提案いたした次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、法律対象とする業種を従来の特定紡績業、特定織布業メリヤス製造業特定染色業の四業種から繊維工業全体に拡大することであります。なおこれに伴い、法律の題名を繊維工業構造改善臨時措置法に改めることとしております。  第二は通商産業大臣が、繊維工業構造改善をはかるための繊維事業者に対する基本指針を定めるとともに、従来の特定繊維工業構造改善に関する規定を改め、繊維工業に属する事業を行なう者が、紡績、織布、染色整理縫製等の各業種のうち他の業種に属する事業を行なう者と連携して、または二以上の業種に属する事業を行なう組合が単独で、新商品または新技術開発設備近代化生産または経営規模または、方式の適正化等構造改善に関する事業を行なおうとするときは、構造改善事業計算を作成し、通商産業大臣の承認を受けることができるものとしたことであります。  第三は、構造改善事業の推進に必要な助成措置を設けたことであります。つまり、構造改善事業計画に従って構造改善事業を行なう者に対しては金融税制上の助成措置を講ずるほか、通商産業大臣繊維事業者等に対し必要に応じ指導及び助言を行なうこととしております。また、これらの施策を講ずるにあたっては、小規模繊維事業者に対して特別の配慮をすることとしております。  第四は、経済的事情変化により事業活動に支障を生じている繊維事業者から事業の転換の申し出があったときは、通商産業大臣が必要な指導及び援助を行なうこととしたことであります。  第五は、繊維工業構造改善事業協会業務について、新しい構造改善事業対象業種繊維工業の全業種に拡大されたことに伴い、債務の保証の対象繊維工業に属する事業にかかる構造改善事業に拡大するとともに、繊維事業者に対する技術指導に関する業務及び繊維製品に関する情報の収集、処理、提供の業務を追加し、設備処理に関する業務を削ることであります。  第六は、新しい構造改善対策実施期間にあわせて、法律廃止期限昭和五十四年六月三十日までに五年間延長することであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で各案についての提案理由説明は終わりました。  各案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  8. 濱野清吾

    濱野委員長 通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件及び私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  9. 板川正吾

    板川委員 大臣公取委員長に伺いたいと思います。  特に、公取委員長は時間がないようですから、簡単に問題点だけ申し上げて御意見を伺いたいと思います。  きのう予算委員会で、石油連盟の会長が、昭和四十六年の価格カルテル破棄勧告、これは公取委員会勧告について拒否して、審決でいま争っておるわけですが、その問題に触れられて、これは通産省指導によってこの価格決定が行なわれたんだ、だからわれわれは違法と思わない、こういう議論が昨日展開をされた。たまたまこの委員会でも中村委員質問を通じて、私は関連大臣と議論したわけですが、大臣設置法によって価格指導する権限がある、こういうことを昨日言われました。一体通商産業省設置法のどこに行政指導価格が決定できるという根拠があるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通商産業省設置法四条第二十六号「所掌事務に係る物資に関する価格等統制を行うこと。」それから第三条第二号「鉱産物及び工業品生産流通及び消費増進改善及び調整並びに検査」の規定、こういうような条文がそれに関係する条文としてありますが、第三条第二号の「鉱産物及び工業品生産流通及び消費増進改善及び調整並びに検査」の規定、この規定行政指導根拠であると思います。行政指導と申しますのは、要するに通産省産業行政をやるにつきまして、公共福祉観点に立って個別業者指導するということであります。これが私的独占の場合と違いますのは、私的独占の場合は大体横断的に連携して共同謀議を行なう、通産省の場合は公権力を背景にして公共福祉ということが目的で私益を追及するものではない、それから横断的に連携させるというものではない、縦断的に個別企業に対して指導することである、そういう関係においてやみカルテルというようなものとは関係ないものであると考えます。
  11. 板川正吾

    板川委員 個別的に、縦断的に通産省個々業者指導する権限がある、これは私も否定いたしません。しかし、通産省の任務と権限というのはあくまでも法律に基づかなくてはならないわけですが、たとえば設置法の第三条では「通商産業省は、左に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」これはまあ当然であります。いまの第三条の二号に「工業品生産流通及び消費の」 「調整」ということがありますが、これは大臣価格までこれで調整可能だという論理は成り立たないと私は思いますよ。これは生産の点、生産といっても生産数量そのものというよりも、たとえば設備投資を通じて調整するとかいう権限ならこれで読めると思います。かつて鉄鋼自主操短といいますか、勧告操短というものがあった。しかし、これはそこまで読むのは独禁法上まずいということで、いわばそういう取り扱いをしないで、法律に基づいた不況カルテルというものが鉄鋼で結ばれたのは御承知のとおりであります。したがって、これで価格までやれるということは、これはあとでもしあれならば法制局を通じて議論してもいいのでありますが、私は読めないと思います。  それからいま第四条の二十六号では「所掌事務に係る物資に関する価格等統制を行うこと。」という項目がございます。しかしこれは、通産省がどういう場合でもこの価格等統制ができるということではございません。これは第四条趣旨を読めばわかりますが、設置法四条で、通産省権限としてはこういう一項の規定があるわけです。通産省は「この法律規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律に従ってなされなければならない。」こういう四条規定法律がある場合に、二十六号の価格統制ができる、こういうことになるわけであります。石油需給適正化法によって価格統制することはできる。だからこの二十六号だけ引っぱり出して価格統制ができるというふうに、法律に基づかなくても一般的権限としてできるというのは、私は拡大解釈も過ぎる、こう思うのです。縦断的に指導することはもうこれは当然の権限で、私はそれを否定いたしません。しかし、あとで言われました第三条の二号、第四条の二十六号、こういうものから価格決定まで通産省がやり得るというのは問題だと私は思うのです。  そこで公正取引委員長に伺いますが、昨日も御承知のように予算委員会で問題になりましたが、これは当時の通産大臣田中現総理を呼び出してまた質問しようということになっておるわけであります。行政指導公取の権能、これは過去に当委員会特別決議をいたしておりますから当然でありますが、もう一ぺん通産省設置法四条の二十六号で、通産省価格統制ができるというふうにお考えでしょうか。独禁政策上この点をどう思いますか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 最初にお尋ねになった問題点ですが、でありますから、三条二号ということを指摘して、これが行政指導根拠でありますと申し上げたわけであります。つまり「調整」と書いてあるわけであります。そこで、通産省としては、行政権を受けて公共福祉を守っていく責任があるわけでございますけれども、価格の問題につきましても、これは正常に経済が動いているときと、国民経済が非常に乱調子になって、国民生活危殆に瀕するというようなときとは条件が違うと思うのです。そういうように客観条件経済条件に応じて行政が出没できる限界というものは、情勢によって妥当性が秤量されるのではないかと私は思うのです。国民経済国民生活危殆に瀕するというような場合には、行政公共福祉のために乗り出してくる分野は広くなって当然よろしいと思うのです。昨年のような場合におきましては、灯油値段あるいはLPG値段というようなものをこれ以上上げないようにということを個別的に指導し、それに対して企業自由意思で服従していく、そういうことは指導として起こり得ることであって、強制することはできません。企業がそれに従わなかった場合には、通産省としては法的効果を直接持つわけにはまいりません。しかし、公共福祉全般確保するためにこれ以上上げないようにということを指導して、個個の企業はそれに従うということは、やはり行政権の発動として許される行為ではないか。それは独禁法によって占領されていない空白の部面ではないか、私はそういうように思います。
  13. 板川正吾

    板川委員 私は行政権を否定して言っているわけじゃないのです。しかし、行政行為もあくまでも法的な根拠に基づいて行なわれなくてはいけないというのが第四条規定だと思うのです。昨年のように石油の危機が突発的に起こった。これに対応する法律がない。したがって、その場合にある種の、特に国民生活に重要な関係がある灯油の問題とか、そういった問題について通産大臣行政的に指導される。おそらくこれまでは、公取としても、これは独禁法上けしからぬということまでいわないのじゃないだろうかと思うのです。しかし、今後通産省がきめられる石油価格、これを行政指導でおやりになる、こういう意味のことをきのう言われておるわけであります。原油の値段が九ドルになりますと、従来の石油価格では石油関係企業が成り立っていかないということはわかります。ですから、いずれ通産省石油価格の改定について一つの考え方を持つだろうということもわかる。きのうの質問通産大臣は、それを行政指導で行なうんだ、こういうことを言われた。他に法律がなければ別でありますが、現在は石油需給適正化法あるいは国民生活安定緊急措置法によって、標準価格を設けることができるということになっておる。だから、その法律を用いておやりになったほうがいいじゃないかというのですよ。去年のように法律がないときには、灯油の問題で通産大臣勧告をしても、これまで公取がどうこういうはずはないと私は思うのです。しかし、いまは法律があるのです。そのためにつくったのです。だから、その法律に基づいた標準価格というもので石油価格体系というものをつくっていかないと、将来またそれに基づいて各社が申し合わせをして、通産省の言うとおりに指導を受けてやりましょう、こういうことになった場合に、公正取引委員会としては、これは独禁法上問題ありということで、独禁法にひっかかる可能性があるわけです。公取委員長がしばしば標準価格制度をもっと活用すべきだ、こういうことを言っておることも、私は独禁法がいわばそういう行政権によってしんしゃくをされることが困るという気持ちで言われておるんじゃないかと思うのです。だから、通産大臣がきのう明らかにしたようなやり方、しかも経理内容、値上げの理由は公開しないでいくんだ、通産省指導するんだ、相手は行政指導個々に従うんだ——個々に従うと言いながらも、おそらく各業者通産省指導をみんなで守っていこう、こういうことになれば、これまたいわば違法なカルテルにつながるわけであります。ですから、四十六年の田中通産大臣がやったと同じような二の舞いを踏まないように、生活安定法の標準価格制度を用いてやることのほうが妥当じゃないか、こう考えるのですが、大臣はどう思いますか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 標準価格を用いるということも一つの考え方でありますが、たとえば石油の場合を見ますと、一月一日から原油の値段は上げられておる。しかし、これは最終的にきまった値段ではなくして、仮払いの値段にまだなっておる。したがって、OAPECあるいはメジャーからまたいつ変動を通知されるかわからないというような情勢でもあります。そういうような非常に流動的、変動的要素の多いというところにおいて、国民生活安定のために公共福祉目的に沿って価格を上昇せしめず、国民を守ろう、そういう場合に、行政措置として、個々企業者に対して説得して、これ以上上げないようにという、ガイドラインというべきものを設けるというようなことは、行政上やむを得ないことであり、かつ必要なことであって、これが標準価格というような固定した形になりますと、仮払いの、メジャーからきめられている値段との関係において、将来非常にぎくしゃくしたものが出てまいります。標準価格という概念は、その類型の品物の中の標準的なものに関して、ある安定的な、固定的な値段をきめる、そういうような思想でできておるものでございます。そういう面から見ても、いまのような過渡期においてそれが適当であるかどうかという、行政上の裁量の関係もあると思うのであります。  それから、標準価格としてきめるという場合には、どうしても流動性に乏しくなります。それで、石油のような場合には、各業者業者によってみんな仕入れ価格が違っておりますし、それから各業者によって得率が違う。いままでのお得意さんとの関係その他におきましてみんな特色を持っておるわけであります。石油業者によっては能力も違うし原価も違うわけでございますが、そういう場合に、前半をまず大体このラインというような形で行政指導でラインをきめて、そしてそのぎくしゃくがある段階を経て直った場合に、それを標準価格へ移行させる、そういう前提措置としての行政措置も私は認められるのではないかと思います。
  15. 板川正吾

    板川委員 いずれにしましても、この石油業者の経理の内容を公開もしない、通産省だけ腹におさめておく、そして通産省個々に幾らにする、ガソリンは幾ら、何は幾ら、そういったって、おそらく全国統一的な仕切り値段になるだろう。業者はそれをお互いに守っていこうという形になるわけでありまして、その通産省業者だけの閉鎖された中で価格が決定されるというのは好ましいことではないと思うのです。だから、もし通産省権限でおやりになろうというならば、電気事業やガス事業のように、ある種の、経理は公開をして、一般の国民が納得するような実態にならなければ、ただ赤字が何千億あるからだとか、向こうのかってなそろばんだけで、通産省と業界だけでこの価格をきめていくという方式は、やはり私は問題があるだろう、こう思います。  公取委員長、この点は意見があれば言っていただいてけっこうです。
  16. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は、いまの価格のきめ方について意見をあまりとやかく申し上げたくはないのですけれども、ただ、独禁法とのかかわりが現実に生じてきておるものですから、それでどうしても言わざるを得ない。  これは、昨年覚書でたいへん問題にされましたが、あの覚書の中に、通産省との間で、価格の点については通産大臣の指示する価格というのが確かに入っております。これは、縦の関係でそれを守らせるようにするんだ、末端価格であって、それを縦の関係で、たとえば末端価格を守らないものについては出荷停止などの措置をとっても、不公正な取引方法としない、こういうふうな考えだだったわけです。そのことは前にずいぶん申し上げてあります。あの文言が、経済企画庁との間の覚書の段階では違っておりまして、標準価格法律の定めるというふうに、法律に基づいて定めろ価格ですね、それを守らせるための協力措置だ、こうなっておりますから、その理由はおのずから明らかでありまして、初めの段階で、通産省との間で取り結んだ段階においては、まだその標準価格というものは間に合わない。いずれにしても、どうもこれは間に合わない。しかし、灯油についてだけは、迅速に、直ちに行政指導価格——あれはきめておったと思うのですが、それは私のほうで、緊急やむを得ざる事態であるから、これはいいでしょう。しかし、その場合においても、現に価格をきめたほうの、生活安定法の主体であった経済企画庁との間では、そういう大臣の指示する価格というのは入ってないのです。これは経済企画庁がその点は十分了解してくれたわけです。法律に基づかない価格を守らせるというのは、これは独禁法に触れるおそれがあるから、私のほうで独禁法違反とみなさないというふうなことは申し上げられないと言ったら、それはけっこうです、よくわかりましたということで削っちゃった。これは一つのサンプルとして申し上げたのです、身近い問題ですから。  もう一つ、非常に大事なことだから、話を裏返して申しますと、行政官庁の指導があれば、かりに個々だとおっしゃっても、業界ぐるみの場合になることが多いわけですね。現に石油の場合がそうなんで、いま審判にかかっているのは、これは意見を言ってはなりませんが、事実公開でやっておるわけですから、その場合の相手側の——相手側といいますか、被審人の言いわけは、通産省指導があったから、われわれは独禁法違反ではないのだ、こう言っていますが、もしも行政官庁の——行政官庁はみんな指導権を持っておるわけです。行政指導を行なうということがなければ、行政官庁は成り立たないわけですから、それはそういう文言が抽象的に入っておる、調整というような言葉もあるでしょう。しかし、これは数量であれ、あるいは何であれ、法律に基づかずしてそういう介入をすれば、直ちに適用除外になるのだったら、これはもう皆さん御承知のとおり、なぜ法律の中に独禁法適用除外であるという明文が必要かということです。現に適用除外になっているものは、すべてその法律に、これこれに基づくこの行為は、独禁法適用除外であるということが条文に示されております。それが必要であるということは、逆にいえばにそういうものがないものは適用除外にはなり得ないということでござうますから、いかなる理由にせよ、価格について行政指導があれば適用除外になるというのは、緊急事態であっても、これは認められない。緊急事態であるかないかということは、一つの情状の問題にはなるでしょうけれども、私どもの法解釈からいえば、どうしたってそういうことを認めたらもう要らないのですね、独禁法は。全部はずされます。骨抜きもいいところでございまして、全部、私どもがやみカルテルといっても、これはいや何々省の行政指導だ、こうなりますから、その点から考えても、これは明白なことではないかと私は思うのでございます。いろいろな事情があるのはわかります。しかし、もともと価格そのものにつきましても、もし画一的な価格を値上げの際に認めるとなれば、これは標準価格を使えばいいと私は思います。なぜ行政指導で——それから、私が至らないゆえに、申し上げたいのは、原価の公表ということですね。原価が非常にばらつきがあるわけでして、原価の公表ということを非常に追い詰めますとやりようがないからということになっちゃいますので、昔の公定価格というのはいい悪いか別にしまして、原価の公表はいたしておりません。バルクラインでいっておりますから、原価は非常にばらつきがある。何百という業者がある場合などは、どれをとっていいかわからないし、平均もとれません。そういうことからして、原価を一々公表しておったら、この業務たるや、またそれに対応するあれがたいへんな事務でございまして、むしろ弁解する仕事のほうが中心になっちゃう。そういうことから、実際には標準価格はつくりたくないということになりますので、その辺のところについては、ある程度の理由は、説明は必要でしょう。しかし、非常にきびしい態度で追及すると、標準価格というのは実際上動かなくなるのじゃないか、これは私の感じを申し上げておるのでございますが、御意見は違うかもしれませんけれども、御容赦願います。
  17. 板川正吾

    板川委員 原価の公表については、私も、ある種のと言うて、厳密なものを出せとまで、実は言っていないのです。やっぱり国民なりが納得できるような根拠というのを示してもらいたい。そうでないと、通産省行政権をたてに、個々業者に個別にやるのだという理屈で、国民にはわからない内容のものをきめられては困る。たとえば、きのうも言いましたけれども、十ドル原油が入ったとしても、一〇七%だという通産省のいわばガイドライン的なものがあるのに、九ドルという現状で——現在バーレル当たり九ドルの価格ですが、これを伝えられるところによると六五%値上げしようとすると二・四倍、一四〇になるのですね。だから、そういうような内容のものを通産省行政指導だといって、国民にわからないような形で値段をきめられることは困る。こういうことを前もって私強調しているわけであります。原価の問題については、そういう趣旨で、私も、ある種のという説明をつけておったわけであります。  時間がございませんから通産大臣に一言申し上げますが、ひとつこういうことも念頭に置いて通産大臣、四十六年田中現総理の二の舞いを踏まないような指導方針をとってもらいたい、こう思います。  それからもう一つ聞きたいのですが、ことしの石油の輸入数量は二億七千万キロリットル、九ドルにして外貨が百五十億ドル、こういう計算をされております。しかし、最近の状況からいって、数量も二億七千万キロということで、いわば予定どおりの線をいっておるのかどうか、あるいは外貨の支払いあるいは国際収支の関係から、百五十億ドルという金額は達成が可能であるかどうか、国際収支の面から、その点についての御意見がああったら承りたい。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四十九年度はかなりきびしい総需要カットをやっておるものですから、石油供給のほうも、総需要カットに見合って、考えている以上に需要が減るという可能性があると思います。現に一部ダブついてきているところがかなり顕著に出てきております。そういう面から四十九年度における石油の需給というものは、二億七千万トンという目標をつくっておりますが、まずこの程度でいいであろう、そういうように思います。これに要する外貨につきましては、その程度の外貨を獲得し、支払う輸出力は日本経済にはあるだろう、そう思います。
  19. 板川正吾

    板川委員 時間が十一時十七分まででありましたから、以上をもって私の質問を終わります。
  20. 濱野清吾

    濱野委員長 中村重光君。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、いま板川委員から指摘されたように、昨日の私の質問にも出た問題ですが、指導価格といったようなことですね。これを通産省設置法の三条二号、四条の二十六号でできるのだという解釈ですが、私もこれは無理だと思っております。やはり国民生活安定緊急措置法あるいは石油需給適正化法をつくったということは、いま大臣がお答えになりましたような、三条二号とか、あるいは四条二十六号といったようなことでやることができない、法律をつくって初めてそれができるのだというような解釈をすべきだというように私は思います。まあこの点はもう少し掘り下げて、時間をとって検討いたしたいと思いますから、そのことについてあらためてお答えは要りませんが、通産省行政指導というものも、価格の面において特に私は危険を感じるのです。プロパンの行政指導価格の問題でも、私と政府委員との質疑応答を大臣もお聞きになっておりましてお感じになったのじゃないか。こんな不見識な、あいまいなことではいけないのではないか。やはり消費者の人たち——国会でも論議されましたように、高価格が決定されるという形になる、私は弊害をかもし出すという感じがしてなりません。  それともう一つ警戒しなければならないことは、そうした指導価格行政指導といったことが、通産省と業界との癒着というものが非常に強められてくる、そのことも私はたいへん問題であろうというように思います。昨日の予算委員会でも、密田石油連会長が参考人として出てこられて、四十六年に公正取引委員会から破棄勧告を受けて、これに対して異議の申し立てをして、いま審判中のこの価格カルテルの問題に対しましても、通産省指導でやったのだということを答弁いたしております。私がちょうど予算委員会に入ったときにその問題が出たのであります。これはきわめて重大な問題だというふうに感じとって、それを聞いておったのですが、そういう事実があるのかどうか。その点に対しては、ひとつ通産大臣から明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず四十六年のケースについて、事態を担当から御説明を申し上げます。
  23. 山形栄治

    ○山形政府委員 四十六年の動きを御紹介申し上げますと、四十六年の三月十四日に、石連本部及び元売り各社の本社へ立ち入り調査が行なわれまして、同年七月の六日に公取から破棄の勧告があったわけでございます。石連及び元売り各社といたしましては、七月の二十日にこの勧告を拒否いたしまして、七月の二十八日から審判の開始が決定されたわけでございます。九月九日から審判が始まっておりまして、これはまだ結論が出ておらないわけでございます。  こういう動きがございました背景といたしましては、四十五年の十一月にOAPECが第一回の値上げを行ないまして、これに基づいてメジャーが四十六年二月十六日ごろからいわゆる値上げの通告を行なったというのは事実でございます。これにどう対応するかということで、業界側が営業委員会で協議いたしましてそこでカルテル行為があったというのが、いわゆる破棄勧告内容でございます。  ちなみにガソリンにつきましては三月一日、その他の油種につきましては四月一日から値上げを行なうということのカルテルをしたというのがこの内容でございます。通産省としましては、こういう価格カルテルにつきまして、われわれが行政指導をしたということは全然ございません。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 公正取引委員長にお尋ねをいたしますが、かりに行政指導が行なわれておったとしましても、カルテルに関する限り独禁法に基づいて厳正にこれを行なっていくということが公取委員会の態度であると思うのです。いま審判中の事件でありますけれども、公正取引委員会としては、通産省行政指導が行なわれたというような内容として理解しておられるのか、そうではないということであるのか、その点を差しつかえなければひとつお答えいただきたいと思います。
  25. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いま現に審判がまだ終結に至っていないわけです。ですから事件でございますので、私あまり申し述べられないのですが、ただし、石油業界のほうからの申し立ては、これはそのほうの申し立てだけを申しますれば、公開しておるわけですから、かまわないわけですが、それは指導があったのだ、カルテルについて指導があったからその指導に従ったまでだからカルテルとはならないのだ、こういう言い分でございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 この問題は、いま公取委員長お答えのとおり、審判中の事件であるわけでありますし、かつまた予算委員会で、あらためて総理大臣あるいは通産大臣の出席を求めて審議が行なわれるであろうというように思いますから、この程度にとどめておきたいと思います。  次に、倒産対策についてお尋ねをいたしますが、金融引き締め、また石油ショクということをもろに受けているのは中小企業者であると思う。中小企業倒産が激増の一途をたどっておるように思いますが、現状はどうなのか、これに対する対策はどのように立てておられるのか、私どもも伺っておりますけれども、委員会におきまして、現状前進した点もあろうと思いますから、ひとつお答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
  27. 外山弘

    ○外山政府委員 倒産の状況でございますが、昨年の状態を見ますと、下期以降漸次ふえてまいりまして、十二月の倒産件数は、御承知のように九百件をこすということで、千件に近づく気配を示しております。本年の一月におきましては、十二月に比べますと若干件数は減っております。しかし、一月としては近来になく高い件数で推移しておるわけでございまして、たしか八百二十一件だったかと思います。今後の動向が非常に心配になるわけでございますが、私どもも、中小企業の物不足の問題、あるいは原材料価格の高騰の問題、あるいは現在続いております金融引き締めの問題、そういった点がどういう業種にどのように響いてくるかということについて慎重に見守っておるところでございますが、今回の状況の把握につきましては、年末来、各方面にわたって調べてはおるものの、物不足の問題が若干緩和の気配を示したのが最近の状況でございまして、その面からくる一つの危機感が若干後退したという感じはいたします。しかし、業種によりましては、やはり製品の上での転嫁ができないというふうなことから、原材料の高価格の問題に非常に悩んでおる業種も出てまいりましたし、あるいは石油、電力の供給制限をずばり受ける業種も部分的には出ております。そうして金融引き締めとの関係から見まして、私どもとしましては、一般的に金融緩和をするようなわけにはまいらないと思いますが、やはりそうしたひずみの起こっている業種、跛行的ではございますけれども、業種別に問題のあるものにつきましては、できるだけの配慮を具体的にしていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございまして、三月あるいは四月以降を含めまして慎重に見守って適時適切な対策をとりたい、こう考えておる次第でございます。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 対策について、もう少し具体的にお答えをいただけませんか。
  29. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほどのような認識でございますので、対策として最も効果があるのは金融措置だろうと思っております。もう一つは、一般的な税の措置もございますけれども、今回は金融措置がまず大事であるというふうな認識でおります。金融措置と申しますと、やはり政府系三機関に対する融資ワクの増加ということが、最近の政府系金融機関への金融申し込みというふうな状況から見ましても、あるいは業種別問題点から見ましても非常に大事である、さらには、それの裏づけとなります、政府系三機関ではございませんが、一般的な金融の調達を円滑にする意味での信用保険の措置、これも大切なことだと思っております。そういった点を今後の状態に備えまして、適時適切に打たなければならない。  もう一つは、現に具体的な措置として考えているわけでございますが、やはり債務償還の猶予問題ということもあり得ると思います。これはやはり三機関に対して適切な指導を今後していく、こういった三本立ての考え方を今後の事態に備えてとるのが妥当ではないか、こう考えている次第でございます。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 長官がお答えになったように、増加の一途をたどっておる、非常に憂慮すべき状態である、それに対する対策は何かと私が尋ねたのだから、金融が必要である、税制がそうだ、信用補完制度というものを強化していかなければならぬ、そういった抽象的な答弁で済ますような事態ではないのじゃありませんか。金融が大事ならば、政府関係金融機関に対して、どういう措置をしたのか、民間金融機関に対してはどのような措置を要請をし、その要請にこたえてどういう措置を具体的に講じているのか、信用補完制度の問題についても、ドル・ショクのときと同じような措置を講ずるのかどうか、もう少し具体的な対策をお持ちではないのですか。そういったような抽象的なことで事態が済まされるような安易な状態ではないと私は理解をしているわけですが、そういう認識を、私だけではなくてあなたのほうもお持ちだろうと思うのですが、それなら、そのように具体策は何かとお尋ねしたのだから、具体策についてお答えをいただきたいと思います。
  31. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほど申し上げましたような線で、一つは、金融につきましては、現在大蔵省当局と具体的な相談を進めております。来週中には何とかしたいと私どもは考えておるわけでございますが、業種の実態を見まして、具体的な金額を御相談いたしまして、そうして政府系機関へのお願いをするというふうなことをいま考えておるところでございまして、まだ数字の上でも、あるいは措置の上でも具体的に明らかにするというところに至っていないというのが現状でございます。  それから、信用補完制度につきましても、今後の事態に備えまして、信用保険法の改正をすでにお願いしておるわけでございますが、できるだけこれが時期に間に合うように、私どもとしても実施の取り運びに進みたいと考えておる次第でございますが、保険限度のワクの引き上げは基本的に大事でございます。もう一つ、やはり業種、業態によりましては、倒産関連保険と同じような措置、つまりドル・ショクのときには、あれは全部の別ワクということで大きく打ち出しましたけれども、今回は、やはりそういう実情に遭遇する業種があると思います。それに対しては、それに対応する保険上の措置が必要であるということで現在国会に法案の提出をお願いしたわけでございます。  それから、債務償還の猶予の問題は、これは今後の問題といたしまして、政府系三機関とも十分御相談をしながら進めてまいりたい。具体的にどういう業種にどのくらいということはまだきまっておりません。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 民間金融機関に対しては、どの程度の融資要請をしておられるのか、それに対してどのような反応を民間金融機関は示しているのかという点が一点であります。  もう一つは、選別融資を金融引き締めの点からやっておるために、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、この政府三機関に対して申し込みが殺到しておるのです。私がいまから一カ月前に調査をいたしました際も、国民金融公庫で金額において二百十数%、二倍強なんですよ。件数も二倍に近いのです。そういう深刻な状態なんだから、それに対して大蔵省にはどの程度追加財投しなければならないということで折衡しているのですか、その二点についてお答えください。
  33. 外山弘

    ○外山政府委員 民間の金融機関に対する要請につきましては、すでに昨年の年末金融のときに、いつもの例にならって要請をいたしましたけれども、これはいつもよりも多目には要求いたしましたが、いつもやっておる程度のことでございます。ことしに入りましてからの金融機関への一般的な要請という点につきましては、先般大蔵当局のお話によりますと、市中銀行あるいは地方銀行が約三千億の金を用意して、そうして実際に問題になったときにはそれに対応したいというふうな話を私ども聞いております。しかし、その具体的な進め方については、まだお話を聞いておりませんが、これも、銀行側も、いざというときに備えて、何らかの対応策を考えようというところへいっておるようでございます。この辺につきましては、今後の状態に備えまして大蔵当局とも十分相談してまいりたい。具体的にどこどこの銀行にどれだけというふうな要請をいたしておるわけではございません。  それから第二番目の問題でございますが、政府系三機関への融資申し込みはかなりふえております。御指摘のように、一月初めごろは、例年に比べまして二〇%ないし三〇%増、その程度でございましたが、最近になりますと、国民金融公庫につきましては、御指摘のとおり、いつもに倍するような申し込みでございまして、処理の日数もしたがって倍かかるというふうな話を聞いておるところでございます。この辺を踏まえまして、先ほど申し上げました大蔵省との御相談をいま進めておるところでございます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 大蔵省からは禿河主計官と山田特金課長がお見えですが、いまの私の質問に対して、担当の面からお答えしにくい点もあるであろうと思うのですけれども、大蔵省としては、この倒産対策として、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  35. 山田幹人

    ○山田説明員 ただいま中小企業庁長官のほうから御答弁がありましたとおりでございまして、私どもも、政府系三機関に対する融資の申し込みが、昨年あたりと比べまして非常にふえているという事実は承知しておりまして、中小企業庁からお話を伺うとともに、三機関からもいろいろヒヤリングをやっておりまして、事態を慎重に見きわめつつある段階でございます。先ほどの御答弁のように、中小企業庁側からは何らかの対策を打ち出したいというお話は承っております。今後ともよく相談いたしまして、現在の事態を見守りながら機を失することなく弾力的な措置を必要があれば打ち出していくという考え方で現在のところおります。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 どうも取り組みが安易に過ぎるという感じがしてなりません。民間金融機関に対する要請をしていらっしゃる、新聞報道で私どもは知るわけですけれども、新聞報道でもお読みになっておわかりでございましょうが、民間金融機関としては、石油に直接関係のある業種、こうした企業に対してのみ、その融資を特別にやるのだ、事態は、私が申し上げたように、石油に直接関係のある業種というようなことではなくて、中小企業ということになってまいりますと、その波及する面が非常に広くなる、かつまた非常に深刻になるといったような点からいたしまして、民間金融機関に対しましても、もっと広範囲にわたって特別の措置を講ずるように協力をしていただかなければならないというように思います。手形サイトなんかにいたしましても、支払い手形が九十日、六十日といったようなことでありましたのが、いま三十日程度になっているということです。それから現金を強く求められている。受け取り手形は、逆にこれまた一カ月程度に縮められておるということです。支払いの面で、受け取りの面で中小企業というものはいためつけられておるということが実態であるわけです。  石油関係業者のやり方を調べてみますと、石油値段が非常に上がってきた、あるいは取引の面で非常にきびしくなったから、この石油危機ということをことさら強調して、そうして受け取り手形というものを一カ月に縮めている、資金石油業界にはどんどん還流している、これは中小企業だけではなくて、大企業に対しても同じであります。なかんずく中小企業においては、そうした大企業石油に影響する面からのしわ寄せというものをもろにかぶっておるという点を十分ひとつ配慮していただかなければならないと思います。  私は、その政府関係金融機関に直接行って調査を私なりにいたしました。ですから、先ほどのような申し込み件数において、あるいは金額が非常に大きくなっております。申し込み件数よりも金額のほうの倍率が非常に高いということです。まず、そういった点を十分配慮していただきたいということを要請をいたしておきたいと思います。  通産大臣に考え方をお聞かせいただきたいのですが、どうも四十九年度の予算を見てみますとビジョンがないと思うのですね。予算の伸びというものも非常に低いのです。ましてや中身には非常にビジョンがない。知識集約型というようなことを盛んにいっているわけですけれども、これは題目は非常にけっこうですし、また、そういう方向でなければならないが、内容的には具体的なものを見出すことができない。ですから、中小企業の基本というものをどこに置くのかということです。  時間の関係もありますから続いてお尋ねをするわけですが、質か規模かということですね。どちらかといいますと、いままで規模の追求というものがあったわけです。集約化の方向をたどってきた。その集約化の方向は成功したとお考えになっていらっしゃるのかどうか。私は集約化の方向というものは必ずしも成功したとは考えていない。今後、質に重点を置くのか、規模に重点を置くのか。  それから中小企業というのは、地域企業あるいは地場企業、都市型企業、地域間企業、大企業関連企業、知識集約産業といったように幾つも区別される。一つのものとしてこれをとらえることは問題がある。だから、これらに対してどのような行政を進めていこうとしておられるのか。基本的な点は通産大臣から、具体的な点は長官からでけっこうでございますから、お答えをいただきたい。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で申せば質への重視だと思います。中小企業予算は、政府関係全般が一九%ぐらいの伸びに対して、ことしは一千億をこえまして二一%増、それから三機関の融資はたしか二七%増ということで、かなり力を入れたつもりでございますし、また、中小企業庁の改革をやりまして、いわゆる零細企業に対する指導部を設けて、これに対する定員増も要求し、また経営改善普及員、指導員も千人ふやす、そういうことで末端、末端へと、それからそれの質的改善へと、そういう方向にかなり強く押し出して踏み出そうとしているわけでございますが、具体的には長官からお答え申し上げます。
  38. 外山弘

    ○外山政府委員 中小企業対策費の量的なふえ方という点は、それなりの努力が毎年払われてまいりましたけれども、ことしは四十九年度向けには全体の環境から見ますとかなりきびしいにもかかわらず、それなりの努力が量的にも払われたと思います。しかし、内容的に見ますと、やはり小規模企業対策、小規模企業指導費というふうなところに重点を置いて、内容面ではそっちのほうに重点を置いた量的拡大が行なわれたというふうに私は考えたいと思いますし、今後もやはり内容の充実をはかりながら量の拡大にも努力をしてまいらなければいけない。しかし、その重点はやはり小規模企業対策の中の内容の充実が量の拡大につながっていくというふうな感じで、私は今後も考えるべきではないだろうかと思います。  それから第二点といたしまして、御指摘のように確かに地域によってさまざまでございますし、業種によってさまざまでございます。一口に中小企業と申しましても、問題の所在も解決の方法も、いろいろ多種多様に分かれると思います。その多種多様な面をとらえて、したがって政策も多種多様と申しますか、それなりの問題点を適切につかんだ対策がいろいろ必要になる。これは金融上の配慮にいたしましても、毎年いろいろ新しい制度融資を考えておりますが、ことしもそういった面での前進をしているつもりでございますし、それから内容的に見ましても、額は少のうございますけれども、いろいろな業種、業態に即した対策をできるだけ今後も考えていかなければならない、こう考えている次第でございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 予算の総額が二〇%以下に押えられておる。中小企業は、それに比較をいたしますとお答えになりましたような伸びを示している。しかし通産大臣中小企業四百万事業所、それ以上ですね、これに対してあまりにも中小企業の予算というのが従来少なかったのじゃないでしょうか。あるいは融資の問題でもそうなんです。ことしの四百万をこえるところの中小企業に対しましての財投が一兆円をこしておる。ようやく一兆円台に乗ったのです。貸し付け規模はもちろん二兆円程度にはなっているのですね。ところが、公正取引委員会が指摘をいたしましたように、総合商社は融資の点について、これはもちろん民間金融機関あるいは政府関係金融機関も含めてではありましょうが、三井物産だけで一兆一千億なんですね。総合商社、六大商社でもって融資ワクというものは四兆七千億です。実に大企業に対して、自己資金というようなものは低くて他人資本に依存させておる。それが中小企業を圧迫しておる。このことを考えてみると、私は中小企業というものに対してもっと政府関係金融機関は補助的というような面から一歩前進をしていかなければならないと考えているわけです。  大臣強調されましたが、総予算に占める比率は四十八年が〇・五六%です。四十九年はわずかに〇・〇三%伸びて〇・五九%です。あまりにも貧弱ではありませんか。財投にいたしましても、四十八年は一四・八%でしたが、四十九年は若干伸びまして一五・四%です。この総予算の中に占める比率、あるいは財投全体の中に占める比率ということをお考えになるならば、大臣、あまり声を大きくされないのではないでしょうか。  私は通産大臣に期待をしたいことは、中小企業者のあなたに対するところの期待もたいへん大きいわけです。先般の電線の危機の際に、電気工事業者があの日比谷公会堂に集まりまして、あなたを神さまのように迎えた。もうあなたの言われること一語一語、ほんとうに心から感激したような気持ちだ。もう批判というようなことではないのですね。もう何とかしてもらいたい、あなたにすがる以外にはないという心情であろうと私は思う。ならば、中小企業に対しまして、昨年よりこれだけ伸びたというだけではなくて、総予算に占めるところの比率は幾らなのか、幾らでなければならないのか、金融の問題に対しましても、財投に対して中小企業の定義を改正いたしまして、中小企業の範囲は拡大をしておる、これに対してどのような措置をしなければならないのかという、そういう根本にのっとって対策を講じていかれるのでなければ、昨年からこれだけ伸びましたという答えだけでは、私どもも納得できませんが、中小企業の期待にもこたえ得ないということになっていくのではないでしょうか。そういう点を十分ひとつ反省もし、その責任を痛感して対策を講じていただきたいということを強く要請をいたしておきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいことは、小企業経営改善資金の問題であります。この予算、この事業規模というものは昨年三百億であったのが、まあこれは大幅に伸ばしましたと大臣お答えになってもよろしいぐらいに伸びました。中小企業庁の概算要求よりも大蔵省がつけました予算は上回っているわけです。私はその上回ったことは適当であると考えているわけですが、この小企業経営改善資金に対しまして、大蔵省は概算を上回ってつけられた——つけなければならないとお考えになった点はどういう点にあるのか、これは禿河さんからお答えになるのでございましょうが、まず大蔵省から伺いまして、続いてお尋ねをしてまいりたいと思います。
  40. 禿河徹映

    禿河説明員 お答えいたします。  小規模経営改善資金につきましては、確かに先生御指摘のとおり、通産省からの御要求は一千億の融資規模ということでございましたが、その後いろいろ八月末の要求後の状況を見てみますと、中小企業対策、特に小規模企業経営改善資金に対する要望が非常に強いというふうな事情が明らかになってまいりましたものですから、それを上回ります千二百億の規模ということを私ども最終的に通産省と相談いたしまして、政府、案として決定いたしたわけでございます。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 長官、あなたも小企業経営改善資金というものが小規模企業者の大きな期待の中にあることは御承知になっていらっしゃると思う。四十八年度の予算に対してわずかに三百億であったということに対する失望というものを感じられる。今度あなたの要求以上に予算がついたということについては満足をしていらっしゃるのであろうというように思う。その必要性というものは非常に重要であると私は考えますが、それほど重要であるのにかかわらず、四十八年の第四・四半期に対してこれを使うことを押えられたのはどういうわけなのかという点です。「小企業経営改善資金融資制度昭和四十八年度第四・四半期の推薦について」ということで、「上記の件については、貴構成団体が下記により推薦を行うよう指導方お願いします。」「一、各商工会議所、商工会の第四・四半期の推薦は昭和四十八年度推薦枠の四割とするが当分の間、その三分の二を限度として推薦すること、なお三分の一については追って指示するまで留保すること。」まあ第二もありますけれども、これは中小企業庁長官外山弘、全国商工会連合会会長福岡日出麿あてにあなたがお出しになっている通牒であります。これは非常に困ったのです。国民金融公庫も非常に困った。いまこれは解決したのかもしれません。しかし、非常におくれているのです。国民金融公庫は計画をまず立てなければならないのです。その計画は十日か二十日前ではだめなんです。少なくとも数カ月前に計画を立てわければならない。この通牒が出たためにどうすることもできなくなったわけであります。推薦をしなければならない商工会に至っては、これは当然なことであるわけです。貸さなければならない時期にこれを解除いたしましても、そのときは間に合わないのです。わずか三百億の金が使えないという結果になるではありませんか。なぜにこういう通牒をお出しになったのかか。いまはどういう措置をおとりになっていらっしゃるのか。
  42. 外山弘

    ○外山政府委員 四十八年度の三百億の小企業経営改善資金資金ワクの原資が実は問題でございまして、これがもっと早く発足しておりましたならば、その回収のぐあい等も見まして、初めから問題はなかったのかもしれませんが、十月の初めからスタートしたばかりに、資金上の手当てについてのめどが十分につくまで、先ほどのような通達を十二月中に出したかと思います。しかし、これは何とかして避けなければいけないということで、その後資金上のめどを大蔵省ともつけまして、一月に直ちに解除をいたしまして、そして三月までに満額推薦できますように配慮したつもりでございます。しかし、一時とはいえ、そういう事態を招いたことは、これだけ要望のある資金でございますだけにたいへん残念でございますが、しかし、一月に入ってすぐにそれを解除いたしまして、現在順調に進んでおるというふうに聞いております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 私は、あなたのほうに数回申し入れをいたしました。早く解除をしなければだめなんだ。それでいまあなたがお答えになりました、これが発足がおくれた、そのために貸し付けをしても、これが返ってくるというのがおくれたた。これは小規模企業者の責任ではありませんよ。しかし、そのしわ寄せを受けるのは中小企業者ではありませんか。この要求を受けて融資をしなければならない国民金融公庫ではありませんか。こういう通牒をお出しになる前に、なぜに大蔵省と折衝なさらなかったか。そのための対策を講じられる必要があったではありませんか。話をしたのかもしれませんけれどもね。しかし、現実にはこの通牒が出て大混乱が起こったことは間違いないのだから、順調にいっておりますというようなことではありません。非常に混乱が起こったということは、これは事実でありますから、その混乱というものはやはりずっと波及していくわけなんです。  次に、お尋ねをいたしますが、この小企業経営改善資金の運用は、現場においてはどういう扱い、措置を講じられておるというように理解をしていらっしゃいますか。たいへん抽象的なお尋ねですから、もう少し具体的に申し上げてお答えをいただきますが、これは商工会議所または商工会の経営指導員の指導を受けなければならない。そしていま読み上げました文書によっても明らかなように、商工会議所会頭または商工会会長がこれを推薦することになっておる。これの運用はうまくいっているのかどうか、問題はないのか、その点についてお答えをいただきたい。
  44. 外山弘

    ○外山政府委員 スタートしたばかりではございますが、今後運用の問題点がどこにあるかという点については、私どもも注意して見守っていかなければいけないと思っておりますが、目下のところでは、特に運用上問題があるというふうには聞いておりません。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 それではやはり小企業経営改善資金、わずか一件当たり二百万円、今度は金額がふえることになるわけですが、これは償還期限二年、これを三年にするということですが、条件がついている。その条件も明らかにしていただきましょうし、二年か三年で問題がない、円滑にいっているというようなことなのか、あるいは小企業経営改善資金という名にふさわしいように、すべての小規模企業者にこの融資が行なわれる一もちろん金額に対するワクがあるわけでありますから、すべてという意味は、私は全体ということで申し上げているのではありませんが、受ける権利はすべての小規模企業者にあるわけでありますから、その権利を持っている人たちが申し込みをすれば、その申し込みについてなめらかに融資をする道だけは開かれておるというようにお考えになっていらっしゃるのかどうか、それらの点について何も問題がないのでしょうか。
  46. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一に、四十八年度から発足いたしましたが、四十九年度におきましては、いま御指摘のように条件改善をやる予定をしております。つまり貸し付け限度につきましても、百万円を二百万円まで設備資金は可能にする。貸し出し期間の延長もいたしまして、二年を三年にする。ただし、これは百万円をこえる設備資金について三年を適用する、こういうことで若干の条件改善を取り運ぶ予定でございます。  ところで、いま御指摘のように、この小企業経営改善資金制度自身が、いままでなかっただけに、たいへん小企業の方々に喜ばれて、そうして順調なスタートをしておるというふうに私は考えますが、何と申しましても、まだ金額は少のうございます。、四十九年度が千二百億ということで実質二倍の増加になりますけれども、これが全部行き渡りましても、まだ小企業者にどの程度のカバレージになるかというふうな問題もございます。できるだけ多くの人にひとしくこの金が行き渡るように、そうして現在やっておりました小企業経営改善制度、そういったものがこれによって充実されるように、私としてはこの実施について注意深く見守っていきたいわけでございます。そうしてこれがある程度行き渡ったところで、さらにどういう問題があるか、どういうふうに改善しなければいかぬかということも含めて検討していかなければいけない。現在は、できるだけ多くの方にこれが行き渡るようにしていきたい、こういうふうに考えるわけでございまして、長らくやってまいりました小企業経営改善制度といったものが、これによって充実していく、そうしてその対象ができるだけ広がっていくということ、これを私どもとしてはまず考えていきたい。それで、内容改善につきましても、かたわら考えていかなければいけませんが、さらに現在の事態をもうちょっとよく見守って、そうして問題点をつかんでいきたい、こう考える次第でございます。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 大体運転資金は五十万、設備資金が百万、環衛業者設備資金だけでありますから、百万、これを二年で返せということは、どだい無理なんですよ。ましてや小規模企業でしょう。使用人は二人以上であってはだめなんです。二人以内です。売り上げが少ないのです。こういう業者に二年間で金を返せというと、百万の場合に、月に幾らになるというように計算していらっしゃいますか。二百万になると、無条件に三年になったのか、特に必要がある場合というような条件がついていないのかどうか、この点は厚生省からも、そのとおりに理解をしていらっしゃるのかどうか、お答えをまずいただきたいと思うのです。
  48. 外山弘

    ○外山政府委員 百万円をこえまする設備資金の貸し付けをした場合は、全部三年でございます。
  49. 北村和男

    ○北村説明員 お話しのように、環境衛生営業につきましては、非常に零細な企業が多うございますので、現在、大蔵省ともいろいろお話をしておりますが、できるだけその条件等につきましては、中小企業者に有利なように、いまお願い申し上げておるところでございます。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 百万円をこえる場合にこれを三年にするのだとおっしゃいましたが、それではいまの平均融資額は幾らになっておりますか。
  51. 外山弘

    ○外山政府委員 十月からスタートしました現在までの実績では、平均五十三万円と聞いております。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 この融資の対象業者というものは、その名前のように小規模企業、零細業者なんです。この零細業者の感情は、額よりも期限を延ばしてもらいたいということです。百万円以上でなければ三年にしないのだというのは無理なんです。実情を無視しておるのです。これはそういう条件を取り払うべきです。まず四十九年度は三年にする、百万円以上という条件をつけない、これをぜひやってもらいたい。これは大蔵省からもお答えをいただきます。  もう一つ、通産大臣はここで御退席をしていただきたいと思うのですが、この点だけはひとつ聞いていただきたいと思うのです。  商工会とか商工会議所が推薦をする経営指導員が指導しなければならない、こういうことになっておる。アウトサイダーはその指導を受けることができないのですよ。経営指導員が、商工会あるいは商工会議所が、いつからいつまで指導をいたしますということをその会員に通知をするのです。会員になっていないところのアウトサイダーというものは、その通知を知ることができない。したがって、融資の機会を与えられないのです。これは憲法上たいへん問題になる。加入脱退の自由というものがこの金融の面から拘束することにつながっていく、これは問題である。できるだけ広くということをおっしゃいましたが、限定された広さにこれはなるわけです。長官、そういうことを御調査にならないで、順調にいっておりますす、そういう答弁ではだめなんです。実態を御承知になっていらっしゃらない。私は、商工会議所が健全な運営をすることを期待はいたします。期待はいたしますが、やはりアウトサイダーというものを軽視してはならない。この人たちにも、法のもとに平等な扱いがなされなければならないというように思います。どういう方法でこれを改善しようとお考えになっていらっしゃるのか。  それから大臣からお答えをいただきたいことは、平均の融資額も、いまお答えがありましたように五十万円程度です。あまり期間が短いものですから、多くの業種が、もうこれの融資を受けないんですよ。すし屋さんもその例です。その他ありますが、私調査をいたしておりますから、どういう業種が断わっておるということを申し上げてもよろしいのですが、これは、全国的には若干の違いもありましょうから、断定的なことを申し上げることを避けたいために、業種を多く申し上げませんが、いずれにいたしましても、それは二年間でやるところに問題があるわけです。条件をつけるところにも問題がありますから、これは当然改めなければならないと考えます。そのアウトサイダーの問題、商工会あるいは商工会議所の経営指導員が指導しなければならないのかどうか、なぜにその指導が必要なのか、これはあくまで続けていこうとお考えになっていらっしゃるのか、それらの点を含めてひとつ通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
  53. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 できるだけ広げることが望ましいと思いますが、現在の資金量並びに経営指導の有効性ということを考えてみまして、経営指導改善事業の一環として、その資金的裏づけという意味でこの仕事が始められておるわけでございます。ですから経営指導員の指導、それに応じて資金的にこういうふうに裏づけてやる、そういう精神でこれがスタートしておりますから、当分の間これでやってみて、その成果等も見まして、改善を要する場合には改善していきたいと思っております。  それから期間及び資金量の問題でございますが、平均して五十三万円ぐらいだということを前から聞いておりました。私は、拒否して応募しないという人が、どういう理由で応募しないか、まだ的確な調査を承っておらないのでございますけれども、そういう実態をさらによく調査いたしまして、改善を要することがあれば検討してみたいと思います。
  54. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一の条件の問題でございます。私どもも条件改善にできるだけの努力をしようということで、たとえば据え置き期間を設けるとか、期間を延ばすとか、先ほど申しましたように、条件がない状態、こういった点についても、いろいろ検討いたしました。しかし、結論といたしましては、だんだんに条件改善に今後とも努力するにいたしましても、当面は、先ほど申し上げましたようなことで四十九年度はやりたいということでございます。したがいまして、条件がつきますけれども、今後、条件改善にはできるだけの努力を払ってまいりたい、こう考える次第でございます。  第二のアウトサイダーの問題でございますが、これは商工会、商工会議所ともに法的な地域団体として、そうして根拠法を持った団体でございますが、小企業経営改善指導というものは、別に会員でなければならないということにはなっておりません。現実に小企業経営改善資金の融資を受けた方々は、会員以外の方々が、ことに十大商工会議所では圧倒的に多い状況にございます。つまり商工会議所のメンバーと、この小企業経営改善資金需要者との食い違いは、十大商工会議所にはかなりあるようでございますが、何らそういった意味での差別はしていないつもりでございます。もちろん小企業経営改善指導ということ自体が、会員にだけしかわかっていないということはよくないことでございますので、先ほど申しましたような性格の経営改善指導でございますから、できるだけPRをするようにということで、すでにいろいろなそういった意味での周知徹底、こういった指導員がこういう指導をやっているのだということの周知徹底は、各地ではかられているというふうに私は聞いている次第でございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 なぜにこの小企業経営改善資金だけがそんなにむずかしい条件をつけなければならないのですか。この指導講習に対してどれほどのメリットがあるのですか。講習を受けさせなければ貸してはならないというような根拠はどこにあるのですか。どういう中身の講習を受けておると思いますか。端的に言いますが、これは民商対策でしょう。それ以外にこれは考えようがありません。なぜにこの融資に限ってそういう講習会を開かなければならないのかということ、その講習会でどれほどのメリットがあるということを具体的に把握をしていらっしゃるのかという点が第二点であります。  それから、これは商工会議所の会員であり、商工会の会員でなければならないというものではないということは私はわかっています、そのくらいのことは。そういう形式的な答弁を求めているのではないのです。それは商工会議所は都市でございます。市でございますから、会員とか会員でないとかいう区別はあまりはっきりしないかもしれません。しかし、商工会は町村なんです。周知徹底をするといいましてもなかなか周知徹底ができるものではありません。会員の集まりの際、講習会を開きますから——これは継続して三週間の講習を受けなければならないのですからね。しかし、あなたのほうで、そういうことではないというなら、その講習はどの程度ということになっているのですか。私は私なりに調査をして意見も申し上げ、質問もしているわけでありますから、違っておるとするならば、なぜにそういうばらばらになるようなことをおやりになるのかということを申し上げなければならないのです。それらの点について、長官からと大蔵省からとお答えをいただきます。
  56. 外山弘

    ○外山政府委員 もちろん経営改善指導ということは、相手の小企業者にとって一律の問題ではなくて、かなり指導改善の余地の乏しいものから、非常にその余地の大きいものまでいろいろあると思います。しかし、何と申しましても小企業者にとってよき相談相手になるような、そういった経営改善指導、これをやはり生かしていくことが小企業対策として一番基本的に大事であるというふうな認識に立ちまして、それに資金を結びつけるということを考えているわけでございます。これがあわせて小企業者にとってのメリットにもなると思いますし、この制度の有効な活用をするゆえんにもなるというふうに私どもは考えているわけでございます。  先ほどもう一つ御指摘の三週間の講習という点は、私どもから見ますとむしろ経営改善指導経営改善指導員が個別に小企業者に対して行なうものと了解しているわけでございまして、講習というふうなかっこうで集団的に指導するというふうなケースは、むしろ私どもの脳裏にはないわけでございます。そういうふうな運用がかりに行なわれているとしますれば、その事情についてよくまたつまびらかにしてみたいと思います。もちろん経営指導員自身がいろいろな講習を受けて、みずからの実力をたくわえるということ自体は、非常に大切なことだと思います。しかし、この資金推薦にあたって講習会自身を義務づけるというふうなことは、私どもとしては考えていないわけでございます。よく実情を調べたいとは思います。
  57. 禿河徹映

    禿河説明員 経営改善資金の融資の実施の細目につきましては、ちょっと私ども存じませんけれども、基本的な考え方といたしましては、ただいま中小企業庁長官が御答弁なさいましたのと私ども同じ考え方でございます。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 長官、これはあとで見てもらったらいいのですが、「小企業経営改善資金制度のお知らせ」「くわしいことは商工会へご相談ください」これに、「商工業者が、商工会の経営指導員に継続して指導をうけている人。」これは私は三週間の指導を受けているという事実を知っているのです。「継続して指導をうけている人。」「商工会地区で一年以上、営業をつづけている人」「諸税金を完納している人。」むずかしい条件がついているじゃありませんか。ですから、一人一人あなたがお答えになりましたように指導をしたのでは、これはもう商工会のその他の仕事というものが経営指導員はできないのですよ。ですから、いつからこの金を借りるための経営指導を始めます、そういうことを、手紙とかあるいはいろいろな方法がありますが、それで知らせるわけです。それは会員にしか知らせる方法がないのですよ。アウトサイダーに対しては知らせるような措置が考えられていないのです。だから、アウトサイダーはこれを借りることができないのです。また、いなかなんかでは、商工会に入っておりませんと何か肩身の狭い思いもありまして、そしてその指導員のところに行ってその金を借りることだけの講習を受けるというようなことはなかなかできにくいのです、いなかの人たちは。これはあなたがお答えになりましたような形式論で問題が解決するものではありません。もっと実態をしっかり押えて対策を講じなければなりません。もう一つは、何と言われようとも、この資金に限ってそういうむずかしい条件をつけたり、指導しなければならないという理由は私はないと思う。また、してみたところで何のメリットというものもないであろう。また、それを指導するところの経営指導員がどれほどの能力というものがあるのでございましょうか。だから、特にこの融資に対して指導をしなければならないという根拠は何なのかということをもっとはっきり、明確に、納得いくようにお答えをいただかなければなりません。単にこの金を貸すために歯どめとしてこういうことをおやりになるということでは納得できません。
  59. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一の、会員以外に知らせる方法がないというふうに御指摘でございますが、これは私の承知している限りでは、別に会員だけに通知するのではなくて、いろいろな方法でPRをしているというふうに聞いております。しかしなお、いなかの地区においてそういう不十分な点があるかもしれません。その点につきましては、なおよくそういう点の遺憾のないような指導をしていかなければいけないと思います。  それからアウトサイダーについての問題は、私は先ほど都市の面について申しました。確かにいなかに行きますと、かえってむしろアウトサイダーがどの程度救われているかという問題が別にあるのかもしれません。この点はもう少し事情を調べた上でいろいろな対策を考えなければいけない。商工会の会員でなければ経営改善指導をやらないということにはなってないはずでございますが、現実にいなかのほうではそういったことがあるいは非常に顕著に出てくるケースが個別にはあるのかもしれない、こんな感じもいたしますが、これはなお調べてみますし、たてまえとしてアウトサイダーを断わるというふうなことはないわけでございます。  それから第三に、小企業経営改善制度というものになぜ乗っけるのかということでございます。私どもから見ますと、やはり中小企業対策はいろいろな対策が必要でございますけれども、この小企業、特に現在製造業で五人以下、商業で二人以下というふうな、そういった小企業者の方々に対する政策上の配慮という点になりますと、もう単に金融機関をつくったからそこで処理できるというふうなことではなくて、やはり積極的な指導ということが前提にないと有効な行き方ができないのではないか、それを反映して小規模企業指導ということがすでに商工会法、商工会議所法ができたときから行なわれているわけでございます。そういった指導を充実させることが小企業対策としてまず基本的に大事である、そういう行政方針にのっとって現在のような小企業経営改善資金の運用をしているわけでございます。もちろんもう少し上のところになりますと、国民金融公庫の門をたたいて積極的に金融の道をつけている小規模企業者もたくさんあると思います。しかし、今回の実績を見てみますと、やはり国民金融公庫の窓口にすら行かなかったような人たちが非常に多いというふうに聞いております。そういった意味におきましても、現在の経営改善指導をベースにした運用がともかくも現在としては最も適切な方針ではないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 経営指導員の果たす役割りも私は大きいと思うし、非常に熱心にやっておられるということも評価はいたしたいと思うのです。そういう面から、経営指導員に対して小規模企業というものはどうなのか、いろいろな面から経営指導員も指導するということになってまいりますと、みずからも私は研さんを積んでいくであろうというように思います。ですから、そのことを否定するものではないのです。また、経営指導員のたいへんな努力というものも、先ほど申し上げましたように私は高く評価はいたしているわけです。そういう中から優秀な経営指導員が生まれていくであろうというようなこともそれなりに評価をしてまいりたいと思う。ですけれども、この金を貸すために継続して指導を受けなければならないというむずかしい条件はつけるべきではない。包括的な立場から小規模企業というものはどうあらねばならないか、そういう指導をするということは私は肯定をするわけですが、条件とすべきではない、この点ははっきりしてもらいたいと私は思うのです。  それと私はアウトサイダーはどうなのかと申し上げましたが、弱い中小企業者が一人一人ばらばらであってはどうにもなりませんから、できるだけ中小企業者というものは団結をしていく必要がある。そういう面で、アウトサイダーが一人もなくて商工会に結集されることは希望したいと思うのですが、何か条件をもって強制的にこれに加入をするような形はとるべきではない、また、そういうような手段は講ずべきではないというように考えます。今後の指導方針についてもう一度お答えをいただきたいことと、先ほど申し上げましたように、百万円以上はこれを一年間延ばすんだ、百万円以下は従来のとおりだ、これでは納得できません。この点だけは改めてもらいたい。それを大蔵省からと長官からひとつお答えをいただきます。
  61. 外山弘

    ○外山政府委員 小企業者のすべてが商工会あるいは商工会議所のメンバーとして、その企業経営改善、発達に資するというふうなこと自身はたいへんけっこうなことだと思いますが、御指摘のとおり、何らかの条件でそれを誘引するということも、これもまた同時によくないことだと思います。そういった意味での加入をすすめるというふうなことは、私どもとしては特にこの制度に期待をしているわけでも何でもございません。その点は誤解がないようにしなければいけないと思います。しかし、この経営改善指導員の設置とこれに対する政策上の期待というのは、やはり小企業対策の基本でございます。これは予算上の措置も講じ、組織上の措置も講じて長年やってまいりました制度でございます。この制度をやはり基本にして小企業経営改善、発達を考えていきたい。これが当面の私どもの基本的な考え方でございます。  それから百万円以下の条件については、従来どおりというのはおかしいという御指摘でございますが、先ほど申しましたように、条件改善につきましてはいろいろ努力をいたしましたけれども、四十九年度の先ほど申しましたような条件改善にとどめまして、なお、今後の状況に応じて条件改善には引き続き努力してまいりたいと思いますが、四十九年度は、先ほど申しましたようなことでスタートをしたい、こう考えている次第でございます。
  62. 禿河徹映

    禿河説明員 小企業経営改善資金条件につきましては、先生いろいろ御指摘ございまして、私ども今後とも研究は重ねてまいりたいと思いますが、ただいま長官からお答えいたしましたとおり、四十八年度あるいは四十九年度は、現在考えております条件で進んでまいりたいと思っております。  実はなお私どもその返済の条件等につきましては、昨年も御指摘ございましたけれども、先ほどの答弁でも明らかなとおり、大体百万円の場合、一応五十三万が平均でございます。これが二百万に上がりましても、おそらく平均が百万ちょっとということになろうかと思います。これを二年ないし三年で返済をする。そういたしますと、大体月々四、五万というのが普通であろうかと思いまして、事業をやっておられる方々にとりまして月々四、五方の負担が特に過大なものとは実は現在考えておりませんが、先ほど長官が答弁されましたとおり、なお今後改善すべき点がありますならば、回収の実態あるいは融資の実情等を見まして、今後の問題といたしまして検討いたしたい、かように考えます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 長官、あなたはなぜに四十九年度からこれでいくのだということで盛んに粘るのですか。大蔵省の禿河さんがいまのようなお答えになることはわかるような気もするのです。これは大蔵省はどうしても押えていこうとしますからある程度わかるような気もするのですが、あなたはそういう態度じゃだめだ。百万円はいま禿河さんがお答えになったように、毎月五、六万払わなければならないのですよ。たいへんなんですよ、小規模企業、零細企業が月に五万円、六万円という金を払っていくということは。だからして、これはせっかくの、こういう措置としてはいいことなんだ、無担保無保証だから、いいことなんだけれども、これに飛びつくことができないのは毎月の負担が大きいからです。断わってくる業種があるのですよ。どうにもならないのですと言って。わずかな金ですからね、理容とか美容とか、そういったところが非常にこれは利用することになるのです。私は、おそらく北村さんは、百万円以上から三年ということは困りますというお答えをされるのじゃないかというように思うのだけれども、これは百万円以上が三年じゃだめです。もうそれだけは取っ払わなければならぬ。長官のように、北村環境衛生課長も強調されるのか、率直にひとつお答えをいただきたいと思う。いかがでしょう。
  64. 北村和男

    ○北村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、環境衛生業につきましてはそういう事情があるわけでございますが、何ぶんこれは関係省、財政当局との御相談で一致した線で進まなければならない点につきましては、私どもも了解いたしておりますので、中でいろいろとお打ち合わせ、折衝を続けてまいっておるところでございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 公式な場所だから型にはまった答弁をなさるのだけれども、直接話をするときには、どうにも困るのですということを禿河さんは率直に言うのです。長官もそうです。北村さんもそうなんですよ。私が直接話すときには、そういう条件がつくことは困るとおっしゃるのです。これは委員会だから心にもない答弁をするのです。だめなんですよ、それでは。百万円以上は三年だ、それ以下は従来のとおりだというのではだめなんです。せっかく金を貸すなら、無担保無保証、喜んで借させる、喜ばしてやる、そしてほんとうに零細な業者を守ってやる、そういう考え方の上にお立ちになることがほんとうじゃありますまいか。禿河さん、ひとつ改めなければならぬ。もう一度お答え願います。
  66. 禿河徹映

    禿河説明員 確かに先生御指摘のとおり、この資金を借りた方はできるだけ返済期間が長い、あるいは整理期間が長いということが好ましいとお思いになることは、これは無理からぬところだと私どもも考えております。しかし、なお反面におきまして、借りた方はその返済をできるだけ早くといいますとちょっと語弊がございますけれども、その資金を返していただいて、さらにまた他の方にも貸す、そういうことで、私ども金額につきましても四十九年度に千二百億ということを考えておりますが、それは当然前に借りた方の回収部分も含まれたものでございますので、そういうことで、できるだけ多くの方にも借りていただくというふうな点も考えてまいりたい、そういうところから出たものでございます。やはり限られた財政資金をどのように一番有効に活用するかという点からも考えなくてはなりませんので、ひとつ四十九年度は、先ほど中小企業庁長官のお答えいたしましたとおり、これで参りまして、将来その運営の実態等を見まして、改善をはかるべきところがございますならば、十分相談をしてまいりたい、かように考えております。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 時間が参りましたから、きょうはもうしかたがありませんが、私はいまの答弁ではおりないです。二百万円に金額をふやしたことは、これはそれだけ対象業者がふえてくることにつながってまいります。零細業者というものにむしろ資金が回っていかなくなるおそれがあります。この趣旨というものが実際は殺されてくるきらいがあります。ですから、金額をふやしたということは強調する価値が私は非常に弱いと思う。むしろ条件を取っ払う、百万円以下も三年にする、ここにこそ力点を置かなければなりますまい。そして金額をふやすということがその次に来なければならないというように私は思うのです。ですから、四十九年度はこれで行きますというのではなくて、もう一度ひとつ関係各省話し合って、そして実際の実態ももっとつかむ、窓口のほうの意見も十分聞く、そういうことでひとつやってもらいたい、もう一度検討する考え方がないかどうか。その検討の上に立って確信を持っておやりになるということならわかるけれども、予算編成の過程で折衝して、これできまったのだからこれで行かざるを得ないのだということは、私はどうしても納得できないのです。禿河さん、もう一度ひとつお答えいただきたい。
  68. 禿河徹映

    禿河説明員 おことばを返すようで恐縮でございますが、そういう方針で行こうということは関係各省とも一応合意を見たものでございますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 私はやはりこれではおりないのです。  それから平準化資金、これは簡単ですが、あなたのほうはこれをどうして拒否されたのでしょうか。ほんとうに困るのです。この平準化資金の問題は。資金的に強い県、いわゆる富裕県と弱小県、このアンバランスというものが非常に強く出つつある。まして高度化資金から特別高度化資金、高度化資金は二三%都道府県は負担する、特別高度化資金は五〇%ですよ。国と都道府県がフィフティー・フィフティーでいかなければならない。地方自治体はそれだけ負担が重くなるのです。だから、せめてこの平準化資金ということにおいて調整をしようということで予算要求がなされたのに、概算要求がなされたのに、大蔵省はこれを拒否された。なぜにこれを拒否したのでしょうか。
  70. 禿河徹映

    禿河説明員 中小企業振興事業団のほうから県に対しますいわゆる平準化融資、この要求がございましたのは先生御指摘のとおりでございますが、これも先生御承知のとおり、高度化資金は国と県との負担割合がきまってございます。確かにある県におきまして高度化事業を大幅に推進しようといたしますと、国ももちろんでございますが、県の負担が大幅にふえる。そこを何とか平準化する方法はないか、こういう考え方で出た点は十分私ども実は理解できるところではございます。しかし、私ども内部でもいろいろ検討いたしたのでございますが、やはりそういう高度化資金の県の負担というものは、第一義的には県の財政全体の中で措置をしていただくことが必要ではないか。もしその県の中でその辺の調達が困難というふうなことになりました場合には、交付税あるいは地方債、こういう制度がございます。それに乗っていただくというのが、やはり財政全体を考えます場合に筋ではなかろうか。地方財政対策の一環といたしましてそういう問題を解決願う、これがやはり必要なのではなかろうか、かように実は考えたわけでございます。  かりにこういう制度で平準化融資というものをやってまいりますと、国と県との負担割合がきまっておりますほかの制度にも波及する面もございますし、それから、もしかりにこの制度を発足させるといたしましても、どうしてもその平準化融資というものは、地方債とのバランスもとらなくちゃならない。そういたしますと、その意味もあまり大きいものではないのではないか、こういうふうなことで、私どもいろいろ検討の結果、何とか現在ございます地方債等の制度の中でこの問題を解決していただけないかというふうに考えたような次第でございます。  なお、その点につきましては、通産省のほうで自治省とも十分御相談願って、明るい見通しがある、かように聞いております。そういうことでございますのでぜひ御了承願いたいと思います。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、禿河主計官、先ほどの小企業経営改善資金ですが、四十九年度はもう各省話し合ってやったのだからこれでいく以外にないと言われたが、次年度からは、いわゆる五十年度からは実態を十分調査をして、その実情に即するようにやりたいというお気持ちが含まれているのかどうか、これを一つお答えいただきたいことと、外山長官には、この小企業経営改善資金については、実態をほんとうに調査をして、大蔵省に十分理解をさせるように努力をされる必要があるということを、これは北村課長にもあわせてですが、申し上げておきます。  それからいまの平準化資金の起債、縁故債だから、縁故債は利率が非常に高い。平準化資金であれば四・一%であった。しかし四・一%では私は縁故債はないと思う。これでは負担がたいへんなんだから、ますます都道府県の間に格差がつく。だからこの縁故債をできるだけ利率が安くなれるように何か配慮をしておられるのかどうか、その点についてはひとつあなたからお答えをいただきたい。
  72. 禿河徹映

    禿河説明員 小企業経営改善資金条件の問題につきましては、現段階におきまして、私まだ先生に、五十年度以降は改善をするとか申し上げる立場にはございませんので、たいへん恐縮でございますが、先ほど通産大臣中小企業庁長官も、改善をすべきことがあるならば前向きで取り組む、こういうお話がございましたので、それを十分受けまして検討さしていただきたいと思っております。
  73. 外山弘

    ○外山政府委員 何と申しましても、小企業経営改善資金千二百億の実行をするわけでございますし、非常に基本的に大事な制度でございます。この実態はこれからも十分調査いたしまして、そして少しでもこれが生きた方向に行けるように努力をしてまいりたいと思います。  それから平準化資金につきましては、確かに私どもは四分一厘という要求をいたしました。それと比較をいたしますと、地方債の問題につきましては御指摘のような問題点がございます。ただ、これにつきましては中小企業の高度化の推進という面と、もう一つは地方自治体に対する財政援助という面と両面ございます。その後者の面から見ますと、やはり四分一厘という金利自身にも問題があるのかもしれません。しかしいずれにしましても、地方債でやるという制度で発足する以上は、またこの金利の引き下げにつきましては、御指摘のように今後も機会を見て努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 時間が若干超過いたしまして恐縮でございました。中小企業の問題については一部質問に入っただけでございます。保留をいたしまして、これで終わります。
  75. 田中六助

    田中(六)委員 長代理午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後三時三十七分開議
  76. 田中六助

    田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  77. 野間友一

    ○野間委員 昨年の秋から暮れにかけまして、とりわけ石油危機を契機とする物不足あるいは物価の急騰、このような大企業あるいは大商社の人為的な策動によりまして、国民がたいへん被害を受けたわけであります。とりわけきょう私がここで質問申し上げるのは、物不足あるいは原料高、こういう中で受けた中小企業の皆さんの苦しみ、被害、これらに対する政府施策、こういうものを中心にお尋ねしていきたいと思います。  最初にお伺いしますのは、いま申し上げたような石油危機あるいは物不足、こういう中で中小、とりわけ零細企業者がどんなに苦しめられたか、これらについて具体的な調査をされておるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  78. 外山弘

    ○外山政府委員 膨大な中小企業のすべてにわたって通し的な調査というわけにはまいりませんが、時期に応じまして、各業種ごとの聞き込み調査あるいは通産局を通じての大観的なとらえ方、そういったものを通じまして、状況の把握につとめているところでございます。
  79. 野間友一

    ○野間委員 いま通産局の聞き込み調査その他の話がありましたけれども、私がここでお聞きしたいのは、とりわけ零細企業、これらについての具体的な調査を、特に時期的に、いま申し上げたように、昨年の秋から暮れにかけてどのような調査をされたか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  80. 外山弘

    ○外山政府委員 特に零細企業だけを対象にした調査はいたしておりません。
  81. 野間友一

    ○野間委員 特に零細企業だけを対象にした調査はしていないということは、では具体的にどのような調査をされたのかお答え願いたいと思うのです。
  82. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほど申しましたように、通産省の各物資別所管原局を通じての聞き込み、あるいは業種別の業界団体を通じての聞き込み、あるいは通産局を通じての聞き込み調査、そういったところでございますが、なお、いま御指摘の零細企業の全部にまたがるとは思いませんが、物資物資不足状態の大体のとらえ方については、国民金融公庫の窓口を通じて承知している事情はございます。
  83. 野間友一

    ○野間委員 私がなぜこのように冒頭からお聞きするかといいますと、これは通産大臣も、あるいは通産省のいろいろな方針を続けましても、とりわけ零細企業には力を入れていく、こういうことが述べられておりますので、特にこのような小規模零細企業というものに対する手当てをするためには、その前提としてどのような実態に置かれていたのか、これらをつぶさに調査する必要がある、こういうことから私はお聞きしておるわけです。先ほどのお答えでは、具体的な調査は、とりわけこのような零細企業にしぼった形での調査はなされていないというように私はお聞きしたわけですけれども、私は、それではいかに所信表明あるいはその他の方針の中で、こまかな施策あるいはこまかな方針を立てているというように言われても実際にはやられていない、こう言って差しつかえないと思うのです。  そこで質問を続けるわけですけれども、倒産企業調査です。倒産について一体どのような調査をやっておられるのか。これは通常の調査と、それからいま申し上げた秋から暮れにかけてのこの石油危機、物不足の中での具体的な調査、これらについてお答え願いたいと思います。
  84. 外山弘

    ○外山政府委員 私どもが行なっておりまする倒産に関する調査は二種類あるかと思います。一つは倒産事情追跡調査でございまして、中小企業倒産につきまして、倒産の原因あるいは倒産後の状況等構造的な問題を明らかにするために各通産局を通じて四半期ごとに行なっている調査でございます。  それからもう一つは小口倒産調査でございまして、御承知のように、負債金額一千万円以上のものは東京商工興信所等の別の機関が調べておりますが、この以下の小口倒産状況を明らかにするため、東京、大阪、広島と三地域に限られてはおりますが、東京商工興信所を通じまして毎月行なっている調査でございます。  倒産事情の追跡調査につきましては昭和四十年度から、それから小口倒産調査につきましては四十四年度から予算措置が講ぜられておりまして、現在その二種類の調査をやっているところでございます。
  85. 野間友一

    ○野間委員 この追跡調査ですね、これは確かにやっておられるのがこの月刊中小企業の中に出ております。しかしながら、たとえばこの一月号によりますと、一月号に出ておる調査結果については、昨年の七月から九月、この四半期ですね、この中で九月期までのものしか出ていない。小規模企業については四半期ごとにしか景況調査がなされていない、これは私は大きな問題だと思うのです。  先ほど負担金額は一千万円以上、これらについては東京商工興信所等がやっておる、こういうお話でありましたけれども、これは民間の機関がやっておるわけですね。しかも負債額が一千万円以上、これらを参考にされているだけで、こういう形での中小企業庁としての独自の調査はなされていない。しかも、小口については東京、広島あるいは大阪、こういう話がありましたけれども、この三地域に限っての一千万円以下の小口の倒産調査、これは中小企業庁が独自に調査をされておるのかどうか。そうじゃないんじゃありませんか。
  86. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほども申しましたように、東京商工興信所に委託をして調査をしてもらっております。
  87. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと結局中小企業庁独自の調査は、先ほどあなたが答弁されたように、四半期ごとの景況とか、あるいは国民金融公庫ですか、ああいう政府金融機関の窓口を通じて聞くとかいうことはあっても、零細企業者の具体的な調査そのものは中小企業庁独自にはなされていない、こういうことになるわけですね。  そこで私がお聞きしたいのは、先ほど東京商工興信所のお話がございましたけれども、これは中小企業庁が委託をしてやられておるのか、あるいは独自にやったものを中小企業庁が参考にするのか、その点お聞かせ願いたいと思うのです。
  88. 外山弘

    ○外山政府委員 これは当方からの委託を行なっているものでございます。
  89. 野間友一

    ○野間委員 それでは委託の内容についてお聞きしたいと思うのです。たとえば負債金額一千万円以上、これについては私も資料を持っております。ここにあるのは十二月と一月とですけれども、同じ委託をされておる商工興信所独自にやる調査は、こういう特報という形でさっとすぐ来るわけですね。ところが、負債金額一千万円以下についてはどのように、たとえば何月分をいつまでに報告せいというような契約の内容になっておるのか、そのことをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  90. 井上正

    ○井上説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の調査につきましては、東京商工興信所と委託契約をかわしているわけでございますけれでも、契約書の中には、いま先生が御指摘になった点までは規定してございません。ただ、実態がどうなっているかということを申し上げますと、現在、調査結果が出ますのが大体二カ月おくれておるわけでございます。ですから、たとえば十二月の倒産につきましては、まあ現在のところでございますと、大体三月初めごろに結果が出てくるということでございます。
  91. 野間友一

    ○野間委員 さあどうですか、長官。ほんとに一番被害を受けるのは小規模企業なんですよ。ところが中小企業独自にこれは調査しないで興信所に委託しておる。しかも、この委託の結果が、昨年の十二月の分が三月にならなければ出てこない。これは一体どういうことですか。きめのこまかい施策をするために、しかも一千万円以上については民間の興信所が調査をしてすぐ出す。翌日に出しておりますね。ところが、小規模については三月にならなければ結果がわからない。これは一体どういうことですか。それこそ小規模零細企業、これらを軽視しているということ以外の何ものでもないじゃありませんか。なぜこんなにおくれるわけですか。
  92. 外山弘

    ○外山政府委員 私どもも少しでも早く結果が知りたいわけでございますが、何と申しましても負債金額一千万円未満のものの調査となりますと非常に時間もかかるし、内容の分析もむずかしいようでございます。銀行の取引停止処分を受けた社を起点といたしまして、その内容を具体的にフォローしながら、しかも実際に倒産となったかどうかということになりますと、少し時間がたってみませんとわからないというふうなこともございまして、どうしても結果の把握がおくれがちでございます。  御指摘のように、普通のときならよろしゅうございますが、やはり調査の結果が早く知りたいというふうな時期であれば、こういったテンポでは確かに問題があるかもしれません。これらをやはり改善していかなければいけないと思いますが、当面こういったことを、この制度自身をいじるといいましてもなかなかむずかしい点が多々ございます。  そこで、先ほど申しましたように、できるだけ業種別とか地域別に実態を聞き込みながら、あるいは金融機関の窓口を通じて不十分ながらつかむということでいっているわけでございます。なお、こういった小口倒産調査技術的なむずかしさはよくわかりますが、改善すべき点はできるだけ改善してまいりたい、こう考える次第でございます。
  93. 野間友一

    ○野間委員 ですから、私が申し上げたように、一つは中小企業庁が独自にやらなければならない本来の仕事ですが、これをやっていないということ、それからその速度について言いますと、民間の場合には一千万円以上についてはすぐ出すわけですね。ところが、零細企業の場合には、実際には三カ月おくれになる。おそらく十二月の結果が出るのは三月のいつになるかわからないというふうに私は聞いているわけです。中小企業庁で資料ももらいましたけれども、つい最近もらった資料の中でも、これは十一月までのものしか出ていない。しかも、これは正式な文書ではなくて一部抜き書きでもらったわけですね。これは正式にまだ調査の結果が発表されていないわけです。ですから、独自の調査をしていないということと、それから民間に委託する場合でも、これは一千万円以上の企業倒産調査と同じように、やはり即時に調査をし、その結果を分析し発表する、こういうたてまえをとらなければきめのこまかい零細企業に対する施策はできない、これは私から言うまでもないと思うのです。経営が困難になって倒れる、倒れたあとで、倒れた原因をそれから考えていく、こういうことは死んだ子の年を数えるのにひとしいのです。問題は未然にこのような経営困難あるいは倒産をいかにして防止していくか、とりわけ昨年のあのようなひどい中小零細企業に対する打撃、この中では特にそれがきびしく要求されると思うのです。長官、いかがですか、私のこの意見は誤っておりますか。当然やらなければならぬと思うのです。  特にいま申し上げたように、四十九年度の中小企業施策の重点、この中でも、小規模企業対策については中小企業施策の中でも特にきめこまかく行き届いた施策が必要である、こう言っておられる。また、先ほども引用しましたけれども、通産大臣の所信表明の中でも、「中小企業の大多数を占める小規模企業施策については、さらに格段の強化をはかる必要があり、」ということで、これら企業に対する対策を重視するということを言っておられるわけです。ところが実際には、これらの対策を立てるための前提である調査すらが非常に不十分である。十一月分がやっといまごろになって興信所から資料が上がってくる。こういうことでは手おくれなんです。これについて具体的にどのような改善、改良を考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  94. 外山弘

    ○外山政府委員 理想を申しますれば、いろいろもっとやらなければならないことがたくさんあるかと思いますが、何と申しましても、一つには、小口倒産の実態というのは、先ほど申しましたように、その把握に非常に時間がかかります。実際の倒産であるかないかを見きわめるのにすら普通のケースよりは時間がかかるというようなこともございますし、また、件数が非常に膨大になって、東京商工興信所ですら全地域にやるとなったらたいへんなことになるのではないだろうか。こう思います。  一方、政府独自がそれでは倒産調査をやるべきではないか、民間に委託するのはおかしいのではないかという御指摘でございますが、これも確かに政府みずからがやるべき事項だと思います。しかし、これをいま正確にやるとなりますと、商工興信所ですら、現在全国に二千有余の人を配しながら適時適切に事態を把握し、その実情調査してそれを集計するというふうなことをやっているわけでございまして、費用の面でも、人員の面でも、機構の面でも、たいへん膨大なものがなければ、なかなか現在のものに及ぶようなものすらむずかしいというふうな実情にございます。したがいまして、私どもとしましては、現在のところは、やはり既存の民間専門調査機関を活用していきたい、そして倒産状況の把握につとめてまいることが効率的、効果的であるというふうに考えているわけであります。
  95. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、いままでどうりのことでいいということですか。あるいは私が指摘したのが正しいとすれば、どういうふうにしてこれを改善していくかということについて明確な答弁がないと思うのです。
  96. 外山弘

    ○外山政府委員 政府みずからが民間の調査機関にかわってやるべきであるという点については、いまのところ、そこまでやるよりも、効率的な面から考えると既存の機関を利用したいということでございます。ただ、私どものやっております小口倒産の問題につきましても、あるいは追跡調査の問題につきましても、改善すべき点はできるだけ改善して少しでもおくれを取り戻すようなこと、あるいはその傾向を全体に反映させるような勉強、そういった点に今後もつとめてまいりたい、こう考える次第でございます。
  97. 野間友一

    ○野間委員 私は、いろいろ中小企業庁に聞きますと、たしか委託料は、四十七年度が四百二十万円、四十八年度が四百四十万円、四十九年度はまだ契約をしていない、しかしほぼ四十八年度に見合うものではないか、こういうふうに聞いておるわけです。私は、いまのこの金額の多寡については触れません。しかしながら、たとえば商工会議所あるいは商工会の経営指導員というものをまたことしもふやされました。六千何名ですか、こういうものをやはり使っていくということ、あるいは通産局、出先を使うということ、それから民間の機関に委託するということ、こういうことで、あれこれできるだけの姿勢で力を出していく、こういうことでなければ、今日までのような状態を続けておれば、いま言いましたように、三カ月もおくれた結果しかつかむことができない。三月になって十二月の実態を調べても、今後の問題については一定の有効性はあると思うのですが、しかしながら、先ほどから申し上げておるように、倒産する前にこれを未然に防ぐ、あるいは被害をできるだけとめていくという観点からすれば、一千万以上の倒産についてこういう調査が民間によってやられておる。これからしても、一千万円以下は確かに規模が小さいわけで、いろいろ手数がかかると思うのですが、しかしやろうと思えばできるのです。  私は、実はこれはいま名前はあげませんけれども、興信所に聞いてみました。これは東京興信所じゃありません。ここで聞きますと、大口倒産とほぼ同じころ、つまり翌月の中ごろまでには結果は出せるはずだ、私たちならこれをやります、こういうことを言っておるのです。私はその興信所から頼まれたわけじゃありません。しかし、ほんとうにこんなに小規模の場合にはおくれるのかどうか、こういうことで調べてみたのです。ところが、できるというのです。ですから、私は、その中小企業庁の姿勢が、このような今日までのいろいろな結果になってあらわれておると思うのです。くどいようですけれども、こまかい施策をこれからやっていく、重点に置いておられる、その中で少なくともやはりこのくらいのことは、もっと強く、もっと本腰を入れてやるべきではなかろうかと思うのです。そうでなかったら十全の施策はとれるはずはありません。こういうことについて、通産大臣、あなたの御所見をお伺いしたいと思うのです。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方通産局は常に動態把握をやっております。いまも通産局長会議をやっておりまして、私はけさ早くから、国会が始まる前に通産局長一人一人から報告を聞いておりますけれども、また、ときたま大阪や名古屋へ行ったときに通産局長に会いますから、景気はどうだ、倒産はどうだ、物資の状況はどうだ、あっせん所の状況はどうだ、そういうことを常に聞きます。通産局長が常時これをとらえて、自分の部下に現場に行って見てこいとか、自分がまたいろいろなところへ出向いて聞いて、皮膚感触をもって彼らは動態を把握しようと思って懸命に努力しておるところであります。  それから、役所が直接調べるがいいか、あるいは民間に委託するがいいか、これはまた功罪おのおのあると思います。役所が行った場合には隠すという要素もありますし、民間が行った場合には気やすくわりあいに何でもしゃべるという要素もありますし、また逆の面もあるでしょう。そういう意味において、これは役所はときどきサンプリング調査をするとか、民間の調査は民間の調査で、もっと早く報告が出せるものは出させるとか、そういうような改善をする必要はあると思っております。
  99. 野間友一

    ○野間委員 それでは、その点、とにかくできるだけ改善をしていただく。こういうお答えがあった。  そこで、次に質問を続けていきたいと思うのです。そこでお聞きするわけですけれども、興信所の調べによると、昨年の十一月からの倒産件数は一体どういうようになっておるか。その中でインフレあるいは物不足、これらの倒産はどの程度の割合あるいは特徴があるのか、お答え願いたいと思うのです。
  100. 外山弘

    ○外山政府委員 最近の倒産の動向を見ますと、昨年の八月ごろから増勢が高まっておるわけでございまして、四十八年の年間の倒産件数は八千二百二件ということで、前年比一四・九%増ということで十二月が終わりました。四十九年に入ってからも、一月の倒産件数は八百二十一件で、これは十二月の件数に比べますと若干落ちておりますが、前年同月に比べますと八二・九%増ということで、一月としては最高の水準が続いているわけでございます。  こうした最近の倒産の要因を見ますと、やはり金融引き締めのもとで、原材料の不足とか、原材料価格の上昇といったようなことによる採算割れ等を直接の契機とするものが次第にふえてくる傾向が見られます。全倒産件数に占めまする物不足、金融引き締めを直接の契機とする倒産件数の割合を調べてみますと、昨年の上期が八%ぐらい、ところが下期に一八・二%ぐらいにふえている。今年の一月にその統計を当てはめてみますと、三割がこうしたケースになるのではないだろうか、こういうふうな判断をしているところでございます。
  101. 野間友一

    ○野間委員 いまのは一千万円以上の負債金額の倒産の件数並びに特徴だと思うのです。小口倒産についてはいかがですか。いただいた資料の中で、これは東京二十三区、大阪、広島、これに限られて、その中で、数も書いてありますけれども、たとえば東京二十三区、これは十一月では四百十件、大阪五十四件、それから広島四十一件、こういう数字が出ておりますけれども、この中で、インフレあるいは物不足、これらに基因する倒産件数はどういう割合になっておるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。十二月はいかがか、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。
  102. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほども結果がおそいというふうな御指摘を受けたわけでございますが、小口倒産につきましては十一月までの数字が出ているわけでございまして、これだけで見ますと、四十八年の後半やや増加の傾向程度でございまして、先ほど私が一千万円以上について申し上げましたような傾向はまだ出ていないわけでございます。  それからもう一つ、いま御指摘のような分類によりますその十一月までの数字の割合、これは実はまだやっておりませんので、いろいろな従来の項目による整理だけでございますので、ただいまのような問題意識に応じた十一月までの整理を早急にやりたいと思います。
  103. 野間友一

    ○野間委員 そうでしょう。ですから、十一月までの分についての表、これは正式の発表のものじゃないのですけれども、これには件数はあるんですね。ところが、これの分析がないわけです。もう一千万円以上のものについては興信所がちゃんと出しておる。にもかかわらず、小口についてはこの分析すらなされていない。特にその大口の中でも、いまあなたが答弁されたけれども、こういう原因による倒産が非常にふえておる。私は小口の場合にはなおさらだと思うのです。これは大企業からずっとこう系列化というか、下にいくほどこれらのしわ寄せを受ける度合いが大きいということは当然の事実だと思うのです。しかしながら、こういうことにおいてすらまだ十一月の実態すら分析がなされていない。ここに私はやはり大きな問題があると思うのです。いま通産大臣がこれを早めるように努力する、こう言われたけれども、少なくとも一千万円以上のこれらと同じ速度でこれらの調査の結果がわかるような、こういう手だてをとらなければ、私は実際の施策が後手後手に回ると思うのです。  先ほどあげましたけれども、一流の大きなある興信所によりましても、これは翌月の中ごろにはできるというのです。ですから、そのあたりさらに、委託先あるいはその他実態をもっと調べて、そうしてほんとうに早くできるものであるかどうか。私の言っておるのはうそかどうか。ほんとうであれば、その一千万円以上と同じように、少なくともそれらの時期と同じころに調査の結果がわかる、こういう体制をぜひとっていただきたい、こう思いますけれども、いかがですか。
  104. 外山弘

    ○外山政府委員 小口倒産の結果の分析につきましても、いま御指摘のようなことを頭に入れまして、できるだけ改善してまいりたい、こう考えます。
  105. 野間友一

    ○野間委員 それからもう一つの問題は、委託されておる興信所の調査の範囲が、東京、大阪、広島、この三つに限られておるわけですね。そこで、問題になるのは小規模企業、この中には地場産業が非常に多いのです。たとえば神戸のケミカルシューズであるとか、あるいは和歌山でいいますと皮革、奈良も同じですね。その他プラスチックとか、いろいろその土地土地の小規模零細企業の特徴、これがあるわけです。しかも、これらがもろに直接大きな被害を受けるわけですから、これらに対する対策も同時に考えなければならぬと思うのです。三つの地域を見て全体を推しはかることはとうていできるものではない。この点についても、私は小規模企業に対する調査そのものに欠陥がある、こう申し上げたい。これらについて改善する意思があるのかないのか、あるとすればどのようにされるのか、あわせてお答え願いたいと思うのです。
  106. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように中小企業の分布は非常に広範でございます。特に地場産業といった性格を持ったものが多数ございます。ただ、この小口倒産というかっこうの制度を始めましたのも実は四十年代の初めだったかと思いますが、何とかこういったことで小口倒産の実態を地域的に少しでも調べようということで始めたわけでございまして、予算の許す限りその地域を次第に広げてまいったわけでございまして、つい二年ほど前に広島まで広げて、三地域にして実施しているのが現状でございます。今後必要に応じ、また、予算の許す限り地域の拡大をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  107. 野間友一

    ○野間委員 私がくどいほどなぜこういうことを申し上げるかといいますと、倒産したくてもできない業者がおるのですね。これは御存じだと思うのです。御主人と奥さん、家族でやっておられる個人企業ですね。手形の発行もしない、手形取引もしない、こういうところでは好不況の波をもろにかぶりまして、結局無権利な労働者となって店を閉めて外へ働きに行く。これは倒産の実態調査にも載らないものなんです。下にいくほど悲惨なんです。ある零細企業者に聞きますと、倒産できる企業、これはまだ私はうらやましい、こう言うのです。店を閉めて首をつるかあるいは働きに行く、あるいは三度の食事を二度に詰める、そしてかろうじて店の経営維持する、これは統計的には倒産には出ないわけです。したがって、これらのすべてについて、私は、一日も早く、少なくともいま申し上げたように、小規模調査ができる、倒産ですね、これについて特に私はそういう観点から申し上げておるわけです。その点重々お含みいただきたいと思います。  そこで、東京都の経済局が去年の十一月の二十六日から三十日まで石油供給削減の都内中小企業に対する影響調査をやっております。その結果では、石油の一次製品については約半数、二次製品については約八割、この企業原材料入手難を訴えております。中小企業庁のいろいろな報告を見ますと、原材料入手難というものはありません。原材料高という項目はあっても、入手難というものはありません。これは私は認識を誤っておると思うのです。金を出しても買えない。いまのことを私は言っておるのではない。昨年末までのことを、とりわけ私は強調して言っておるのですね。原料高だけではなしに、原料が入手できない。これがいま申し上げたように一次で半数、二次製品で八割、東京都で調査の結果明らかになっております。それから価格についても、一次製品について原材料の急騰、これが五割上がっておる。二次製品については七割五分上がっておる。こういう結果が東京都の経済局の調査で発表されております。私はもらってまいりました。しかも、十二月に、いま問題になっております便乗値上げ、これがさらにこれに拍車をかけておる。これは東京都の十一月の調査ですから、さらにこれよりも一そう深刻になっておるということが明らかだと思うのです。このようにして、単に石油製品だけではなしに紙、セメント、あるいは建築資材、これらの品不足、高騰、これらがほんとうに深刻な状態に中小企業者をおとしいれて自殺者まで出しておる。これらに対してとりわけここでお聞きしたいのは、いわゆる原材料確保の点について中小企業庁はどのような手だてをしてこられたのか、ひとつ答弁を願いたいと思います。
  108. 外山弘

    ○外山政府委員 昨年の秋からいろいろな原材料につきましてそういう中小企業入手難を訴えるというふうな事情が発生してまいりました。特に石油問題が起こりましてから一そうその度合いを深めたようでございます。そこで、私どもといたしましては、物資を所管する原局の方々に中小企業向けのあっせん所をつくっていただく、そしてこれは物の入手をはかることがまず大事であるということで、物資の所管原局にそのお願いをしたわけでございます。たしか九つの物資につきまして、中小企業向けの配慮を願ったあっせん所がそれぞれの地域にできまして、そしてそれなりの効果を発揮した、こういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 野間友一

    ○野間委員 すべての物資について私はここでお尋ねをする時間がありませんので、紙についてひとつお尋ねしたいと思うのです。あっせん相談所を設けられた、これは私も承知をしております。そこでお聞きしたいのは、これはいただいた資料では一月二十三日現在になっております。これは紙パルプ連合会のものをたしかいただいたわけですけれども、申し込んだ件数、申し込み数量、それから処理あっせん数量、こういうのがあります。これによりますと、一月二十三日現在で充足率が四三・七%、つまり要求の半数以下になっているわけですね。実は私も和歌山で申請された方から苦情を受けたわけです。申し込んでもナシのつぶてである。私は紙業課長にもだいぶお願いして、やっと二カ月以上おくれて出していただきました。しかし、これについても数量は統計とほぼ同じなんです。どこへ行っても物はない、町の印刷屋さん、紙の小売り屋さん、いま申し上げたように倒産件数にかからないような零細企業の皆さんがほんとうに困られた。いまあっせん所の話がありましたけれども、これは十分機能を果たしていない。紙について言っただけでも、これは全体の平均なんですが、充足率が四三%、これが実態でございます。  セメントについても同じことが言えます。東京都内で十二カ所の指定店を設けましてあっせんをやられました。これにも制限があります。一回に一袋四十キログラムを詰め十袋以下、どういう制限でやられました。そのころ私たちは、建築業者の皆さんから、行っても物がない、十袋もらっても、これは東京都内十二カ所しかありませんから、仕事を休んでとにかくそこまで足を運ばなければならない、車を持っていかなければならぬ、しかもやっと行って家を一軒建てるのに必要な量しかない、こういう苦情をずいぶん受けたのです。これについても私は十分ではなかったと思うのです。  こういう点から考えまして、特に私は紙について、これは紙業課長もよく知っておりますけれども、あっせんの形と申しますか、あっせんそのものが手続的にも非常に複雑な制度になっておりまして、通常の取引先の紙の問屋に行く、そこになければ上に上がる、そこになければさらに上に上がる、そしてそこになければ協力会社、紙のメーカー、ここへ行って、そこからまたおろしてくる、つまりあっせん所は設けたけれども、特別のワクをつくってなかったわけですね。ですから、私もいろいろ頼まれて大阪の通産局へかけ合いました。いや、これはもうちゃんと割り当てが行っているはずだ、こう言うわけです。ところが、紙の問屋に行きますと、これだけやれという指示は受けたけれども、紙を回してくれないというのです。これは一体どういうことですか。単にあっせん所を設けて指示はするけれども、肝心の紙が回らなければ、これはから手形なんです。こういうことで何度も何度も足を運び、また紙業課長にもお願いして、やっとこさっとこ何とか申し込みの半数が手に入ったわけであります。しかし、二カ月以上おくれておりました。これが実態なんです。紙のワクを設けなかった。こういうところに中小企業、零細企業に対する政府の姿勢が私は出ておると思う。欠陥があったと思われないのか。これで十分だと思われるのか。これは私は、いろいろ言いわけがあると思うのです。電力や石油の削減で思うように紙が回らないというようなことも私は返ってくると思うのです。しかし、根本的にはそういう姿勢が欠けておった、私はこう言っても過言でないと思うのです。これでよかったのか、あるいは悪かったのか、これ以上できなかったとおっしゃるのかどうか。これは今後の問題がありますから、ひとつ明確に局長からでもお答え願いたいと思うのです。
  110. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 初めにあっせん所の実績につきまして、先生のお手元に先日届けてございますのより新しい数字が出ておりますので、(野間委員「いや、それは知っております」と呼ぶ)よろしゅうございますか。——ただいまたとえば手続がめんどうである、あるいはワクが十分でないというような御指摘の点があったわけでございますが、われわれといたしましても、昨年の九月一日にあっせん所を開設して以来の経験に徴しまして、この二月五日からその運用を改善いたすことにいたしました。と申しますのは、いままでは関係団体を経由して受け付けまして、その上で申し込み者あるいは申し込み数量等について審査をいたしまして、その上であっせんの労をとっておったわけでございます。そういったところから手続あるいは所要時間等いろいろ問題がございまして、さらに昨今の情勢からいたしまして、量的なああっせんのほかに価格についてもいろいろと苦情を耳にいたしておりますので、そういった観点に立ちまして、以下簡単に申し上げたいと思いますが、二月五日から運用を改善いたしております。  一つは、まず協力メーカーから別ワクで出荷させることにいたしております。一カ月分といたしまして千九百六十トン、かれこれ二千トンの量を確保してございます。それから申し込みにあたりましては、原則として無審査で、ただし実需量をはかってあっせんする。その際、一件当たり大体三十連程度考えております。千六百五十キログラムになりますから、いままでの申し込みの平均千四百キロを上回っておりますので、量的にも確保は大体できるかと思います。それから価格につきましていま申し上げましたように、メーカー出荷価格に対しまして適正な流通マージンを加え、種類によって違いますが、市中価格より一ないし二、三割程度安くあっせんできるようにいたしておるわけでございます。
  111. 野間友一

    ○野間委員 私がお聞きしたのは、欠陥があったのじゃないかということを言ったわけです。いまそれに対する直接の答えはなかった。しかし、二月から変えたということは、いままで欠陥があったということを認めたと思うのです。  そこで、時間がありませんから質問を続けます、が、このような原材料入手難と並行して金融の引き締めが非常に深刻に中小企業、零細企業に影響したことは御存じのとおりなんです。しかも元請、メーカーあたりから非常に激しい締めつけがなされております。銀行は金を貸してくれない。メーカーからいろいろ過酷な条件が加えられてくる。東京都の信用金庫協会の調査があります。これによりますと、こういう指摘がしてある。出版、印刷、電気機器などの中小企業は親企業からの支払い条件の悪化がある一方、原材料確保のためキャッシュの比率上昇と手形サイトの短縮が要求されておる。受け取りと支払いの両面からかなり苦しい条件のもとでの経営を余儀なくされている企業が多い。たとえば印刷業の中小企業の支払い手形は、紙の小売りに際していいますと、従来サイト百二十日で推移してきましたが、十一月には九十日、一月は六十日、さらに三月には四十五日、こういうように短縮を迫られておる、こういっておられます。こういう傾向にあるということは否定することはできないと思うのですけれども、これは中小企業庁、どなたでもけっこうですが御返事を願いたいと思います。
  112. 外山弘

    ○外山政府委員 ただいま御指摘のような傾向が次第にその度を増しつつあるというふうに私どもも見ております。
  113. 野間友一

    ○野間委員 そこで国民金融公庫の関係について若干お聞きしたいと思うのです。  これは大蔵省になるのか中小企業庁になるのか、適当な方がお答え願いたいと思うのですけれども、中小企業者からの貸し出し申し込み額に対して貸し出しワクは十分に持っておるのかどうか。これはあれこれ聞いてみますと、いまのところあるという答えが返ってくるのです。第四・四半期、一月から三月までの貸し出しのワクは千八百十億というように聞いております。そこでお聞きしたいのは、ワクそのものは十分持っておるというふうに聞いておるわけですが、第四・四半期千八百十億の中で一月末ではどれだけ消化したのか、一度お聞かせ願いたいと思うのです。
  114. 山田幹人

    ○山田説明員 御指摘のように一−三月につきましては千八百十億ございまして、三機関合計でまいりますと三千七百数十億ということで、昨年同期に比べまして四十数%アップのワクが用意してございます。一月末までに国民公庫の場合幾ら使ったか、ただいま手元に数字がございませんけれども、相当申し込み期待額がふえているということは承知しております。実態につきましては午前中申し上げましたように、ヒヤリング等を行ないまして実情把握につとめておるところでございまして、今後必要な対策を講じてまいる考えでございます。
  115. 野間友一

    ○野間委員 私が聞いたら、国金について言いますと、ワクは十分あるのだということを聞いておったのです。ところが、いまあなたの答えにもあったけれども、それじゃ一月に一体幾ら消化したのか、これについてはまだ調査していない。調べてもいないものがワクは十分ある、こういう答えが返ってくるはずがない。調べもしないでこういうことを言うことは慎んでいただきたいと思うのです。これはいま政府関係機関は中小零細企業に対してはワクが底をついております。これは追加する必要があると私は思うのです。そういうふうに判断をされておるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  116. 外山弘

    ○外山政府委員 国民金融公庫に限って申しましても、いつもに比べましてすでに一月の初めから二〇%ないし三〇%申し込みがふえております。最近の事情を聞きますと、その申し込みをしてからこれを処理する期間が、いつもに比べて倍増しているというふうに聞いております。と申しますのは、これからのことを考えますと、現在申し込みしているものを処理するだけでもう一ぱいでございまして、これ以上資金のワクを追加いたしませんと、国民金融公庫に新たなる需要がございましても、これを処理しきれない事情にあるのではないか、こう考えるわけでございまして、私どもといたしましては、国民金融公庫の融資事情につきまして特段の配慮をこれからしなければならぬのではないか、急速にこのことの結論を出さなければいけないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  117. 野間友一

    ○野間委員 それはいまの時点で具体的にどのくらいワクを追加されるのか、ひとつ具体的にお答えを願いたいと思うのです。
  118. 外山弘

    ○外山政府委員 目下大蔵省とそれを具体的に詰めているところでございます。
  119. 野間友一

    ○野間委員 おそいのですよ。だから私は後手後手だと言うのですよ。いま首を振っているけれども、そうでしょう。零細企業倒産調査すら十二月のものがまだまだ出ていない、こういうようなのが、いまのあなた方のとっている態度なんです。十一月、十二月、このときに零細企業者が出した手形、これは三月、四月に危機を迎えるのです。もう二月もおしまいです。いまにしてこれに対する手当てをしなければどうしようもないと思うのです。  私はある大田区の冷暖房の工事会社でいろいろ聞いてみました。二月八日に国金の大森支店に百八十万円の借り入れを申し込みました。これは運転資金——手形の決済とか外注先への支払いに早期に必要だから申し込みをいたしました。ところが、いまに至るも審査決定通知すら受けていないのです。さらに大森支店で聞きました。決定通知を受けてからでも一カ月から一月半しないと金を受け取ることができない、こういう現状なんです。三月、四月の中小企業の危機、これを迎えるにあたって、二月八日に申し込んだものがいまだ決定通知すら受けない、これが実情です。  大森支店に聞いてみました。こういうことを言っております。貸し出しワクを食いつぶしているので、いまのところまだこれらを履行できていない、こう言うのです。そこで、具体的に数字を伺ってみました。そうしますと、一月は十二億九千七百万円。これは大森支店です。対前年同月比で二四〇%、申し込み件数にいたしますと四百八十八件、前年同月比で一七〇%、二月二十五日の時点ではもうすでに五百十二件、一七二%、金額にいたしますと十三億百万円、一九七%、もうワクを食いつぶしておるというのです。百八十万円の金を借りるのに、いまだに決定も出ないというのが現実なんです。  先ほど長官は、ワクを早期に考えると言いました。大蔵省と検討しておると言いました。しかし、まだ具体的にこれはきまらない。これは一体どういうことですか。後手後手じゃありませんか。いつごろきめますか。答弁を願います。
  120. 外山弘

    ○外山政府委員 今週中には話をまとめたいと思っております。
  121. 野間友一

    ○野間委員 私は予算委員会でも問題にしたのですけれども、大企業、大商社がべらぼうに金を借りておる。そしてこれらが中小企業を系列支配するために株式の保有あるいは貸し付け金と、金縛りにしている。こういうものに、同じ政府の金融機関である輸出入銀行その他からはどんどん金が出ていく。ところがわずか百八十万円の金がこういう手だてをしても、実際いまのあれから言いますと間に合うかどうかわからない。  そこで、具体的にお聞きしたい。国金の大森支店、これについて実態を調査して早急に対処するかどうか、お答えを願いたいと思います。
  122. 山田幹人

    ○山田説明員 大森支店のお話がございましたけれども、私どもとしては、国民公庫全体としてすでにワクを食いつぶしているというところまでは行っていないように思っております。実情調査いたしますが、まずやるべきことは、国民公庫各支店間におけるワクの融通ということが第一でございますし、また、資金需要の申し込みがございました場合に、早いお方から次々にという形式的な処理をするだけでは、今日のような状態におきましてはあまり適当でないわけでございまして、ほんとうの資金需要の緊要性と申しますか、そういった点を踏まえて弾力的に対処するように常日ごろ言っておるところでございますが、なお実情調査いたしましてよく指導いたします。全体としてのワクの問題につきましては、ただいま長官がお話しになりましたとおりでございます。
  123. 野間友一

    ○野間委員 それじゃもう時間が来ましたので、最後のお尋ねをするわけですけれども、三月、四月、これが非常にきびしい。これは政府もひとしく認めておられる点であります。     〔田中(六)委員長代理退席、稻村(左)委員長代理着席〕  おそらく通産大臣もそのようにお考えになっておると思うのです。  そこで、この緊急事態に対して特に緊急融資、これらを含むこまかい施策が必要である。そこでネオンサインの業者等についてこれは緊急融資、これらをやっておられます。ところが問題は、ネオンサインの業者だけではないと思うのです。石油関係その他の物不足に基因する小規模零細企業、これらについては三月、四月が最も深刻な時期を迎える。このようなネオンサインの業者に対する緊急融資の施策、こういうようなものを他の業種にも私はする必要があると思うのですけれども、こういう緊急融資を含めて、いまのところ、三月、四月の時点においてどのような小規模企業の救済をされるのか、具体的に通産大臣と事務当局からひとつ御答弁を願いたいと思うのです。
  124. 外山弘

    ○外山政府委員 全体としまして中小企業金融の逼迫事情が今後加わっていくと思います。ただ、確かに業種的には跛行性がございまして、ただいまのネオンサインのような業種はいち早くそういった問題が来たのだと思います。私どもとしましては、やはり業種ごとの実情というものは今後も注意深く見守っていきたい、そして同様の事情にあるものには同様の手当てをするようにしたいし、また、そういうことを背景とした全体的な中小企業金融に対する配慮を適時適切にやってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中小企業、特に零細企業に対する倒産対策、予防対策等については、従来もいろいろ注意深く見守って対策も講じてきたところでありますが、最近の事態にかんがみまして、融資そのほか諸般の点について万全の対策を講じたいと思っております。特に石油についてストレートな直撃を受けたネオン業者あるいは広告塔業者等については諸般の対策を講じましたが、それに準ずるものにつきましても、われわれとしては同じように手当てをしていきたいと思っております。
  126. 野間友一

    ○野間委員 それでは時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、その点早急に強く要望しておきたいと思います。  終わります。
  127. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 松尾信人君。
  128. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣も時間があまりないということでありますので、要点をつかんで私も質問いたしてまいりますので、大臣もそのつもりでお答え願いたいと思います。  この企画庁の月例経済報告を見たのでありますけれども、どうも国際収支というものが非常に悪い、こういうことであります。四十八年中の貿易収支では三十七億四千万ドルの黒字であります。しかし、前年に比べてこれは半減いたしております。貿易外収支では赤字が三十四億七千万ドル。     〔稻村(左)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  長期資本収支も九十七億二千万ドルと赤字の急増。結局総合収支で百億七千万ドルと過去最高の赤字を示したわけであります。  四十九年中ではどうか、こういうことでありますけれども、これはまた政府の見通しによりますと、貿易収支については三十四億ドルが黒だ。経常収支で四億五千万ドルの赤、結局基礎収支で四十八億五千万ドルの赤、このような収支の四十九年度の見通しになっておるわけであります。  そこで、こういうことを前提といたしましてお尋ねしていくわけでありますけれども、やはり何といっても大きく金が要るというのは油にしぼられてまいります。四十八年の輸入数量が、これは速報値でありますけれども、二億八千九百六十一万六千キロリッター、前年比二六・二%の増、金額で五十九億九千八百万ドル、これが前年比一五二・七%の増、これをその点からはじきますと、キロリッター二十ドル七十セント、これはバーレルにいたしまして三ドル三十セント、このようになります。かりに四十九年度の原油の輸入数量というものを四十八年度と同じく押えまするとバーレル十ドル、このようにいたしますと、百八十億ドルというばく大なる外貨を必要とするわけであります。大臣のお答えは、今年の輸入見込みは二億七千万キロリットルだということでありますけれども、どうも最近のいろいろの入荷状況その他から見ますとこれはふえてくるのじゃなかろうか、このように思うのでありますけれども、大臣の簡単な、簡単といいますけれども、確信のある簡単なお答えを聞きたいと思います。
  129. 内田常雄

    ○内田国務大臣 松尾さんの御想定のとおり、四十九年度の原油輸入のための外貨払いは、四十八年度に比べますと相当ふえることは当然でございます。私どものほうも、そういう観点から、おおむね四十九年度は原油の外貨払いを百五十億程度ぐらいには輸入の中で見込んでおるわけでございます。原油の価格は、FOBでアラビアン・ライトで八ドル何十セントということで一月一日からきまっておりますけれども、しかしそれはFOBの価格でございます上に、いろいろな種類の油もございますから、やはりそれは九ドル程度ぐらいに見込んでおいてしかるべきではないか、かようにも考えまして、百五十億ドルと見込んでございます。  しかし私は、いま松尾さんのおことばにもございましたが、腹の中では、石油価格というものはこれから先も上がる一方だと必ずしも思っておらない点もなきにしもあらず、これは表現がむずかしゅうございますが、そういうようなことで見てございますので、大体輸入が、ほかのものを入れまして四百三十七億ドル、しかしまた、石油製品ばかりでなしに一般の輸出単価も上がりますので、輸入のほうだけふえて輸出のほうは増加がないというふうに見る必要は全くございませんので、輸出のほうもことしに比べますと二三%ぐらいの増加で四百七十一億ドルぐらいと見ますると、貿易収支はやはり三十億ドルか、それ以上の黒字になる。問題はむしろ、長期資本収支がいままではあまりに野放しでございましたので、これも松尾さんの御承知のとおり、筋のある外貨の受け入ればする、また筋の通らない外貨の持ち出しは押えぎみでいくというようなことをやりまして、四十九年度におきましては長期資本収支の赤字をかなり引き締めることができると思います。これは四十八年度でございますが、現在におきましてもそのような状況がすでにあらわれておるわけでございまして、とどのつまりは、全体を締めてみますると、それは基礎収支の赤字というものは五十億ドルを少し欠くぐらいのところで四十九年度の幕が引ける、こういうふうに見ておる次第でございます。
  130. 松尾信人

    ○松尾委員 通産大臣、いま企画庁長官がお答えになったのは、二億七千万キロリットルで約百五十億ドルですか、そういうところで押えていけるんだというようなお答えでありますけれども、大臣いかがですか、この油の四十九年度の輸入について、いま長官がおっしゃったようなところでおさまるか。最近のいろいろの動きからながめますると、これは大幅にまた伸びていくんじゃないかな、四十八年度の数量をこすのじゃないかなということで、私は危惧の念があるわけです。
  131. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四十九年度は総需要カットがかなりきびしく出てまいります。現在こういうふうに油が消費されておるのは十二月の安い価格で使われているからこれだけ使われておるのであって、これが将来高い値段にはね上がれば、油の消費自体も価格の面からかなり制約が出てくるであろう。一割、二割節減しても膨大な数字にのぼるわけでありますから、したがって総需要カットと国際的な石油値段という両方面から見て、私は大体いまの見当におさまるのではないかと思います。
  132. 松尾信人

    ○松尾委員 いまの大臣のお答えでありますけれども、いま石油、電力の消費の規制が総需要の抑制型という現在のやり方を急に変えることはできないでありましょうけれども、やはり何といっても省エネルギーという観点からひとつ考えを変えていく、また、現在いろいろ生産されておりますけれども、その中で国民生活にむしろ悪影響を与えているようなものが相当あるのですから、総需要の抑制はわかりますけれども、今度はそのように一律にいかないで、中小企業等の配慮はあるにいたしましても、やはりこれを四十八年の二億七千万キロリッター、百五十億ドルというのを一つの前提としまして、もう一つ発想を変えて、そして省エネルギーというような見地から考えていく、また特に国民生活に悪影響を与えておるようなものを思い切ってカットしていくというような考え方はいかがですか。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油の規制は、私は当分続けていく必要があると思っております。これはある程度常態化した場合でも、規制というものは、国民経済全般を見まして節約ムードを尊重するということも大事ですし、省資源、省エネルギーという産業構造政策へ進めるためにも大事ですし、大体月平均二千四、五百万キロリッターというラインがまず大体妥当ではないか、そういう気がいたしまして、これを二千八百万とか二千九百万とか、そういう大きな数字に移行することが適当とは私は思っておりません。
  134. 松尾信人

    ○松尾委員 そういう観点からやはり一律に総需要カット、その中でいろいろな配慮をしていくというようなこともいまなされておりますけれども、先般この委員会に参考人としてお呼びしましたいろいろの方々の意見その他で、このような面を思い切って政府がカットしていくならばいいんじゃないかというような点がたくさんあります。もうこれは一つ一つを詰めていきたいのでありますけれども、大臣の時間がありませんので、こちらからざっと申し上げます。  まず、輸送の面におきましては、長距離輸送にトラックを使っておりますけれども、そのかわり鉄道を使ったらどうか。一トン一キロ運ぶのに必要なエネルギーは、自動車は鉄道の六倍要るわけであります。中長距離の輸送では、鉄道は日本が一八%しか運んでいない。外国は、大体欧州でありますけれども、四〇%くらい運んでおる。これは鉄道の赤字も減るわけであります。  それから、マイカーの利用規制。これは現在二千五百万台といわれておりますが、毎年生産高がふえております。自動車の保有を公共優先にしていく。そうしてモデルチェンジで買いかえが非常に激しくあります。平均して日本は三年、欧米諸国は六年も同じ自動車を使っておるというような点がありますが、それでうんと変わってまいります。  次が石油化学工業でありますけれども、これは詳しいことはもう内容を申し上げません。ただ、石油と電力の消費が相当ここに行なわれておる。おまけにそこから生産されるものには国民生活の破壊につながっているものがあるということで、その代表的なものが合成洗剤である。これは石油から合成する際に大気汚染を起こす。塩素を使うから水銀汚染が起こる。また家庭で使用の洗剤が流出して、やがて回り回って飲料水に入り込んでくる。これは危険である。まず魚が大量に死んでいく赤潮の原因でもある。米国は次々とこの洗剤の使用、製造を禁止しております。粉石けんにかえろというわけでありますけれども、こういう考え方はいかがですか。これは大きい問題であります。今度は消費規制で合成洗剤のほうはゆるめたわけですよ。そういう行き方であります。そういうことがやはり総需要抑制の中から国民生活に必要なものはゆるくしてあげましょうという大臣の配慮でありますけれども、基本的にいけばそういうところに問題があるというわけです。  それから使い捨てのプラスチック容器の問題でありますが、これはやはり何といってもガラスびんにかえていく。これは一回限りのものであります。ガラスびんというものは二十回、三十回使える、こういう問題であります。そしてプラスチックの包装材の乱用でいろいろな問題を起こしているのでありますが、これは汚染源であります。過剰包装の規制をきびしくする。これはもう大臣もおっしゃいました。これは結局家庭用ごみの中に占めるプラスチックの量が一〇%にも達しておる。これは西欧諸国はわずか二%、イギリスは一%にすぎないわけであります。こういういろいろのむだなものをつくっておるし、それがいろいろの害を及ぼしている。そういうところを思い切って切っていきなさい。石油化学工業で要るものは確かにあります。そういうものはやはり規制をしないで、いまのような規制のやり方でやって、こういう逆に悪い影響のものを思い切って切っていく、こういうことをお考えなさったらどうか。  また、かん一これはアルミかんでありますけれども、使い捨ての問題があります。これはかん公害を起こしております。  以上あわてて申し上げたわけでありますけれども、これを具体的に通産省として関係省庁と話し合いもするし、所管のものについては大臣のお考えでぴしっとやっていかれる、そうして一つの省エネルギーの方向へ、またその中から公害が出ておるものを防いでいこうというようなお考えがあるかどうか。これは早く具体的に着手してもらいたい、私はこう思って聞いておるわけであります。
  135. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまお話をいただきましたのは例示であると思いますが、長距離輸送、マイカー、合成洗剤、プラスチック包装、そのほかの点については御趣旨には全く同感でありますから、私も役所の仕事として検討してみることにいたします。
  136. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣が時間ですから、あと一言。これで終わりにします。  省エネルギーのもう一つの面でありますけれども、これは太陽熱でお湯を供給するとか暖房するという問題であります。いろいろいまこの機器が売られております。また、最近は非常にいいものが開発されたということでありますけれども、これは私も家庭で使いまして、非常にガスの消費節約になります。大臣もこれは使っておるとかいうようなお話でありますけれども、その効果、これは冬でも晴天のときは、これからとったお湯は非常にあたたかい。それで、現在でも相当普及しておりますが、ガスの非常に消費抑制になっております。これをもう一つ取り上げて、そうしていいものを開発して、単なる個人住宅じゃなくて、相当のアパートその他にもこれが利用できる段階になりますると、これは何年もかかるような無公害エネルギーでなくて、速急にできると思うのですけれども、一百これに対する大臣の考えを聞いておきたい。それで終わりたい、このように思っております。
  137. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまお示しの点も私が前に申し上げたところであり、かつ太陽熱の利用は私のうちでも実験しておりまして全く同感でございます。そういう意味で、日本全国の各家庭で分散して行なえばばく大なエネルギーの節約になりますから、工業技術院にも私は特に指令をいたしまして、できるだけ早期に長持ちがして安くて軽いいいものをつくりなさい、そういって指示しておるところであります。
  138. 松尾信人

    ○松尾委員 それでは以上で両大臣けっこうであります。  次は、中小企業関係であります。いろいろ中小企業関係質疑がかわされておりますけれども、倒産の問題でありますが、非常に多いということであります。これは昨年十二月の倒産件数もある部分で発表されております。内容はもう申しません。四十八年の一年間でも八千二百二件、これは一昨年の七千百三十九件と比べましても一千六十三件という増加であります。この中小企業を守る、そうして倒産を防ぐということは、従業員数が三千万人もおり、扶養家族を入れると相当の人が中小企業生活しておるということですね。あなたのほうでも力を入れておるわけでありますけれども、まだしっかりひとつやってもらわなくちゃいけません。いまの倒産というものは、やはり何といっても総需要の抑制というような関係からいろいろ中小企業が必要とする原材料が手に入らない、こういう一語に尽きると思います。これはある協会の調べでありますけれども、中小企業界の四十九年度の景況の見通し、これにつきまして、まず最初に、金融引き締め、総需要抑制が実施されておる中で、資材不足が中小企業に暗影を投ずることは明らかである、問題は原材料不足、原材料価格の高騰であると指摘しております。金融面では、この原材料の仕入れ資金の増加をはかる以外にない、売り掛け金というものは回収が遅延になっておりましてつなぎ資金というものは何としても必要であるということ、このように指摘するわけであります。そうして、この資材不足に対してましては、中小企業としてはみずから対策がない。共同講入等という話でありますけれども、なかなかそういう面も中小企業自体で早急に行なうだけの体制がありません。そういうことでありまするので、たびたび私が当委員会で申し上げておるとおりに、やはり中小企業の必要とする原材料中小企業庁が取り上げる、あらゆる組合、協会というものとタイアップしまして、問題点を取り上げて、そして資材の原局のほうとつないでいくというような、一つのびしっとした体制というものをおつくりなさいまして問題をまず掌握する、そうして適切な手がすぐ打てるというような方向にまいりませんと、石油危機に対する中小企業庁の根本的な施策というものがどうも後手後手になってしまうということに終わるのだという心配があるわけです。非常にめんどうな問題でありますけれども、やはり覚悟をそこまできめて、そしてこれにがっちり取り組んでいく、そして必要なものを供給していく、中小企業倒産は今後絶対許さない、そして必要な資金というものは、もうわかっておりますから、そこから出していく、こういう点では大蔵省に文句を言わせない、このような体制が必要だと思うのですけれども、いかがですか。
  139. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のとおりだと思います。原材料の不足問題につきましては、やはり原材料自身が円滑に中小企業者にも入手されるようにいろいろな手を講ずることがまず先でございますし、同時に中小企業者サイドでも、それに対する入手の円滑になるような組織化等も必要なことだと思います。私どもとしましては、すでにいろいろな物資につきましてそういう配慮を要請してまいり、また、小口需要に対するそれなりの入手の円滑化も行なわれてきたのではないかと考えるわけでございまして、今後もそういった問題については対処してまいりたい。  もう一つ、それに伴う金融上の問題がございます。この点につきましても、そういった事態に備えた金融要請の増加という点がことしは特別にいつもよりもあるわけでございます。それに対しましても適切な対処をしてまいりたい。政府系三機関の金融を通じて、私どもとしては適切な措置をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  140. 松尾信人

    ○松尾委員 少しはっきりしなかったのでありますけれども、この緊急融資が三千億円なされるとか、こういうものをあらゆる中小企業の資材不足のものに対して準備するというような体制がなくちゃいかぬと思うのですね。準備するなら、困ってからというのでありますけれども、困ることはもうわかっておるわけでありますから、まず取り上げる、大きな窓口をつくる、そうして中小企業庁が、何としても中小企業を守る立場からその原材料については原局にきちっと話をつけて、安心した中小企業庁、そこに行けばもう話がつくのだというような根元をつくっておいて、それを各通産局のほうで分けておいて都道府県に及ぼす、それを吸収しては流し、吸収しては流すというような一つのシステムをつくりませんと、この問題は姿を変え形を変えて、この一年間次々の形で出てくるんじゃないか。この石油ショックの中小企業庁としての対策はそこに尽きる。思い切って資材のあっせんをしていく。このような決心がなくちゃいけない。それについてもう一回はっきりお答え願いたい。
  141. 外山弘

    ○外山政府委員 いままでも物資ごとに努力をしてまいりましたし、それなりのまた問題点もあると存じます。いま御指摘のことをよく肝に銘じまして、今後とも原材料のあっせんということについては、不備を補いながら完ぺきなやり方を物ごとに考えて、そして実行に移すように努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  142. 松尾信人

    ○松尾委員 総合的にそれをよく把握していけるような体制をおつくりなさるように、ひとつこれは心からすすめておきます。  それから最後でありますけれども、官公需の問題です。これは非常に各面で困っておると思うのでありますけれども、その一つの例は東京印刷団体協議会であります。加盟が十何社でありますけれども、この官公需の年契約は四月から三月まで一年分される。その一年間に、昨年の四月に契約したものが、このような物価高でもうどうしようもない、官公需の契約価格よりも原料費がすでに高くなっておる、こういう実態であります。でありますから、価格上昇に伴う契約価格のスライド制を導入してほしい、このような意見であります。これが第一点であります。なかなか問題はあると思いますけれども、まず、中小企業の零細な人々の立場から、これをどうしていこうかという、中小企業庁の取り上げ方という姿勢になるわけでありますが、考え方はいかがでありますか。
  143. 外山弘

    ○外山政府委員 最近のような値段の変動ということになりますと、受注産業は共通に悩むわけでございまして、御指摘のように印刷は特にそうだと思います。また、中小零細な印刷業者はその問題の苦しみが特に大きいと思います。  私どもは中小企業向けに官公需の確保をはかろうという仕事をしておるわけでございますが、その観点から見ましても、そういった問題点がやはり具体的な需要に応じて解決されるように、そのためにはやはり何と申しましても契約単価の改定というふうなことが必要ではないだろうかということで、官公需の担当の部局に対しましてそういった意味の打ち合わせをし、また要請も従来からしているところでございます。
  144. 松尾信人

    ○松尾委員 要請をしておるのならば、それが効果をあげるように変えなくては、要するにこういうものははずれていくわけでありますね。現実に損をするということでありますから、損害賠償はだれがするかといえば、中小企業ががんばって彼らを救っていく、倒産を減らす、その前線に立って相手の官公庁とまず火ぶたを切る、このようなかっこうでなくてはいけないのですよ。それで、そのようにやるとおっしゃるかどうかでありますが、いかがですか、念を押しておきます。
  145. 外山弘

    ○外山政府委員 すでに官公需の関係会議で二度にわたりその辺の要請をしております。その後の実情等もにらみ合わせまして、御指摘のような点についても十分進めてまいりたいと思います。
  146. 松尾信人

    ○松尾委員 これはしっかり進めていかなくては相なりません。  それから代金の支払いが、その原材料をこちらが買う、府県商に金を払う、こういう関係で、従来は支払い日が百二十日から百五十日の余裕がありました。ところが、それが九十日になった。最近、これが六十日という、非常に短期に締め上げられております。ですから、昨年十一月、十二月ごろに九十日の手形を払ったやつがやがて二、三月に払わなくてはいけない、また、最近振り出したやつが六十日、このようになりますと、この支払いが二、三月にダブるわけですね。こういうことで、実態としていろいろの面で困っておる。ですから、これは官公需と関係ありませんけれども、そのもとの商売人から買った代金の決済でありますけれども、そういう関係がある。こういうことをよく頭に入れておかれまして、そうしてこれはどうともできないというならば、このつなぎ資金と申しますか、年度末の資金と申しますか、これをやはり用意していきませんと、思わないところがらまた倒産が出てくる。これは一千万円何とかという計算のできない部門の倒産が続々出る、こういうことにつながっているわけでありますから、そういうこともひとつお考えになって、こういうものの資金の手当て、年度末の資金の手当てということをどのようにお考えになっているか。
  147. 外山弘

    ○外山政府委員 金融引き締めの影響がその前からございました原材料需要の問題等に加わって非常に問題を逐次明確にしているようでございます。  いま御指摘の手形支払いサイトの問題がいろいろな変更を生じまして一時期に集中するというふうなことも当然予想されるところでございまして、私どもその辺も含めまして業種ごとの実情というものをよく踏まえまして、そしてそれらの資金手当てが円滑にいけるように、いま何とか政府系三機関の資金手当てのワクがふえるような努力を大蔵省との間でしているところでございまして、いまのような事情は十分その際頭に入れておきたいと考える次第でございます。
  148. 松尾信人

    ○松尾委員 終わります。
  149. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会