○高橋(俊)
政府委員 私は、いまの
価格のきめ方について
意見をあまりとやかく申し上げたくはないのですけれども、ただ、
独禁法とのかかわりが現実に生じてきておるものですから、それでどうしても言わざるを得ない。
これは、昨年覚書でたいへん問題にされましたが、あの覚書の中に、
通産省との間で、
価格の点については
通産大臣の指示する
価格というのが確かに入っております。これは、縦の
関係でそれを守らせるようにするんだ、末端
価格であって、それを縦の
関係で、たとえば末端
価格を守らないものについては出荷停止などの
措置をとっても、不公正な
取引方法としない、こういうふうな考えだだったわけです。そのことは前にずいぶん申し上げてあります。あの文言が、
経済企画庁との間の覚書の段階では違っておりまして、
標準価格等
法律の定めるというふうに、
法律に基づいて定めろ
価格ですね、それを守らせるための協力
措置だ、こうなっておりますから、その
理由はおのずから明らかでありまして、初めの段階で、
通産省との間で取り結んだ段階においては、まだその
標準価格というものは間に合わない。いずれにしても、どうもこれは間に合わない。しかし、
灯油についてだけは、迅速に、直ちに
行政指導価格——あれはきめておったと思うのですが、それは私のほうで、緊急やむを得ざる
事態であるから、これはいいでしょう。しかし、その場合においても、現に
価格をきめたほうの、
生活安定法の主体であった
経済企画庁との間では、そういう
大臣の指示する
価格というのは入ってないのです。これは
経済企画庁がその点は十分了解してくれたわけです。
法律に基づかない
価格を守らせるというのは、これは
独禁法に触れるおそれがあるから、私のほうで
独禁法違反とみなさないというふうなことは申し上げられないと言ったら、それはけっこうです、よくわかりましたということで削っちゃった。これは一つのサンプルとして申し上げたのです、身近い問題ですから。
もう一つ、非常に大事なことだから、話を裏返して申しますと、
行政官庁の
指導があれば、かりに
個々だとおっしゃっても、業界ぐるみの場合になることが多いわけですね。現に
石油の場合がそうなんで、いま審判にかかっているのは、これは
意見を言ってはなりませんが、事実公開でやっておるわけですから、その場合の相手側の——相手側といいますか、被審人の言いわけは、
通産省の
指導があったから、われわれは
独禁法違反ではないのだ、こう言っていますが、もしも
行政官庁の——
行政官庁はみんな
指導権を持っておるわけです。
行政指導を行なうということがなければ、
行政官庁は成り立たないわけですから、それはそういう文言が抽象的に入っておる、
調整というような言葉もあるでしょう。しかし、これは数量であれ、あるいは何であれ、
法律に基づかずしてそういう介入をすれば、直ちに適用除外になるのだったら、これはもう皆さん御
承知のとおり、なぜ
法律の中に
独禁法適用除外であるという明文が必要かということです。現に適用除外になっているものは、すべてその
法律に、これこれに基づくこの
行為は、
独禁法適用除外であるということが
条文に示されております。それが必要であるということは、逆にいえばにそういうものがないものは適用除外にはなり得ないということでござうますから、いかなる
理由にせよ、
価格について
行政指導があれば適用除外になるというのは、緊急
事態であっても、これは認められない。緊急
事態であるかないかということは、一つの情状の問題にはなるでしょうけれども、私どもの法解釈からいえば、どうしたってそういうことを認めたらもう要らないのですね、
独禁法は。全部はずされます。骨抜きもいいところでございまして、全部、私どもが
やみカルテルといっても、これはいや何々省の
行政指導だ、こうなりますから、その点から考えても、これは明白なことではないかと私は思うのでございます。いろいろな
事情があるのはわかります。しかし、もともと
価格そのものにつきましても、もし画一的な
価格を値上げの際に認めるとなれば、これは
標準価格を使えばいいと私は思います。なぜ
行政指導で——それから、私が至らないゆえに、申し上げたいのは、原価の公表ということですね。原価が非常にばらつきがあるわけでして、原価の公表ということを非常に追い詰めますとやりようがないからということになっちゃいますので、昔の公定
価格というのはいい悪いか別にしまして、原価の公表はいたしておりません。バルクラインでいっておりますから、原価は非常にばらつきがある。何百という
業者がある場合などは、どれをとっていいかわからないし、平均もとれません。そういうことからして、原価を一々公表しておったら、この
業務たるや、またそれに対応するあれがたいへんな事務でございまして、むしろ弁解する仕事のほうが中心になっちゃう。そういうことから、実際には
標準価格はつくりたくないということになりますので、その辺のところについては、ある程度の
理由は、
説明は必要でしょう。しかし、非常にきびしい態度で追及すると、
標準価格というのは実際上動かなくなるのじゃないか、これは私の感じを申し上げておるのでございますが、御
意見は違うかもしれませんけれども、御容赦願います。