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1973-12-17 第72回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十七日(月曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       小川 平二君    越智 伊平君       越智 通雄君    粕谷  茂君       小泉純一郎君    小林 正巳君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    島村 一郎君       田中 榮一君    田中  覚君       中村 弘海君    八田 貞義君       松永  光君    宮崎 茂一君       村岡 兼造君    保岡 興治君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    佐野  進君       土井たか子君    山崎 始男君       渡辺 三郎君    木下 元二君       米原  昶君    近江巳記夫君       小濱 新次君    松尾 信人君       玉置 一徳君    宮田 早苗君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 徳永 正利君         自 治 大 臣 町村 金五君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         内閣官房長官 大村 襄治君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         行政管理政務次         官       小澤 太郎君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    喜多村治雄君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         科学技術庁原子         力局長     田宮 茂文君         環境政務次官  藤本 孝雄君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   田中 秀穂君         外務省経済局長 宮崎 弘道君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業大臣官         房審議官    矢野俊比古君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁長官 外山  弘君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   水間  明君         防衛庁防衛局運         用課長     伊藤 参午君         防衛庁装備局武         器需品課長   友藤 一隆君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         大蔵省関税局輸         出課長     齋藤 盛之君         労働省職業安定         局審議官    岩崎 隆造君         参  考  人         (石油開発公団         総裁)     島田 喜仁君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 十二月十五日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   竹本 孫一君     玉置 一徳君 同月十七日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     村岡 兼造君   小泉純一郎君     粕谷  茂君   塩崎  潤君     中村 弘海君   竹村 幸雄君     土井たか子君   松尾 信人君     小濱 新次君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     塩崎  潤君   村岡 兼造君     越智 通雄君   土井たか子君     竹村 幸雄君   小濱 新次君     松尾 信人君     ————————————— 十二月十四日  中小企業の経営安定に関する請願青柳盛雄君  紹介)(第一四号)  同(荒木宏紹介)(第一五号)  同(諫山博紹介)(第一六号)  同(石母田達紹介)(第一七号)  同(梅田勝紹介)(第一八号)  同(浦井洋紹介)(第一九号)  同(金子満広紹介)(第二〇号)  同(神崎敏雄紹介)(第二一号)  同(栗田翠紹介)(第二二号)  同(木下元二紹介)(第二三号)  同(小林政子紹介)(第二四号)  同(紺野与次郎紹介)(第二五号)  同(柴田睦夫紹介)(第二六号)  同(庄司幸助紹介)(第二七号)  同(瀬崎博義紹介)(第二八号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二九号)  同(田中美智子紹介)(第三〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第三一号)  同(津金佑近君紹介)(第三二号)  同(津川武一紹介)(第三三号)  同(寺前巖紹介)(第三四号)  同(土橋一吉紹介)(第三五号)  同(中川利三郎紹介)(第三六号)  同(中路雅弘紹介)(第三七号)  同(中島武敏紹介)(第三八号)  同(林百郎君紹介)(第三九号)  同(東中光雄紹介)(第四〇号)  同(正森成二君紹介)(第四一号)  同(増本一彦紹介)(第四二号)  同(三浦久紹介)(第四三号)  同(三谷秀治紹介)(第四四号)  同(村上弘紹介)(第四五号)  同(松本善明紹介)(第四六号)  同(米原昶紹介)(第四七号)  同(野間友一紹介)(第一四一号)  同(平田藤吉紹介)(第一四二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二〇〇号)  灯油値上げ反対等に関する請願多田光雄君紹  介)(第一四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油需給適正化法案内閣提出第四号)  私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法  律の運用の強化に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油需給適正化法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
  3. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 けさの新聞でも出ておりましたが、また個タク運転手が自殺をした。毎日、新聞をそのようなことでにぎわしているのでありますが、最初遠洋漁業関係についてお伺いをしたいと思うわけです。  これは今月六日の船からの連絡ということになっているわけでありますが、この内容を見てみますと、「ケープタウンで十日停止した。七十キロ補給後、モンバサに向けて走っている。モンバサ補給ができるかどうかわからない。」「オーストラリア、百七十キロ補給申請したが、三十キロしかもらえず、なお現地折衝中。」「ハワイと中南米の中間海域操業中、二百五十キロの燃料補給を依頼したるも、タンカーツナからの補給は百キロしかできないことになり、しかもタンカーは十二月七日にバルボアを出航、補給は十二月末になるとのことで、船会社とも検討の結果、十二月末に内地着予定早期切り上げ。漁獲百六十トン。十二月六日ハワイ寄港、食料と水のみ補給する。」「十一月中旬ケープタウン沖操業石油不足との情報のために一カ月操業を繰り上げて帰港。同じような船が他に二隻あり。」「ジャワ沖操業中なるも、インドネシア補給不能のため、補給はるか南フリマントルにて行なうことにきめた。」このように「南アフリカは全部だめ。ダーバンでは強力に頼み込んでも数日かかる。今後の見込みなし。インドネシア全くだめ。オーストラリアはシェルが確保するといっており、従来の日鰹連利用の順位により補給可能。ハワイはだめ。」こういうふうにいろいろあるわけでありますが、ここでこの燃料不足によるトラブルが起こるであろう——いままだ起こっていないようでありますが、起こるだろうという心配であります。  二つ目には、補給不能や休業中のために、また延期等によるために船員の生活上の問題が起こってくると思います。  三つ目には、内地日鰹連系統の油で一キロリットル一万九千円、これは十二月一日現在のようでありますが、パナマのバルボアは比較的安いというふうにいわれておりますが、ここでは一キロリットル二万五千円、これはおそらくすぐ値上がりの見込みだ。ペナンでは三万円、南米のやみ値は五万円から六万円以上というのが通り相場のようでございます。このような額になりますと、当然操業ができなくなってしまうのではないか、こういうことで早急な対策が必要だと思うのであります。  これが六日の入電ですから、もう相当日にちがたっている点から見ますと、ますます困難な事情が起こっていると思うのでありますが、これに対してどのような措置を講じられたか、明らかにしていただきたいと思うわけです。
  4. 山形栄治

    山形政府委員 漁船向けA重油でございますけれども、当初われわれとしては、内地用六百三十万キロリットル、外航用六十万キロリットルを予定して手配を進めておったわけでございますが、いま御指摘のとおり世界的な逼迫で、海外において給油ができない事情が確かに現出しておるわけでございます。これは各国との関係通商航海条約で相互に油を積むということが本旨でございますので、外務当局各国と着々具体的な問題を踏まえまして折衝を続けておるわけでございますが、緊急にどうしても間に合わないというような場合がございますので、そういう場合には、現在農林省と緊急手配用の油、これを極端にいいますと小型の油送船で現地に送るということまで含めまして、その所要の油については責任をもって手配するということをいたしておるわけでございます。外務当局各国政府折衝いたしまして、私の聞いているところでは着々と解決しておると聞いておるわけでございます。
  5. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 とにかく国際的なトラブル発生というような心配もあるわけでありますし、いま言われましたように、早急に万全な措置を講じていただくように強く要請をいたしておきたいと思います。  次に、いまこのような非常に極端な石油欠乏という事態にあるわけでありますが、企業機密の点についてであります。ある程度技術上の機密というものについては一応別といたしまして、価格メカニズム流通メカニズム関係するものについては一切企業機密があってはならないというふうに考えるわけであります。本来保護されるべき企業機密、こういうこともあわせて、この法の裏づけとしての施策を明らかにしておいていただきたいと思います。
  6. 山形栄治

    山形政府委員 本来保護されるべき企業秘密ということでございますが、これは非常にむずかしい問題でございます。非常に抽象論でございますが、大まかに言いますと、企業の存立と活動の遂行上不可欠な事項で、これを公にすることによりまして当該企業活動に重大な不利益をもたらすようなものは一応企業秘密であるという定義が定説に相なっておりますけれども、現在のような緊急事態でございますれば、技術問題はこれは企業秘密と思いますけれども、相当程度企業自由活動に制約を加えるのは当然だと思います。たとえば価格で申し上げますと、われわれといたしましては、一応各社の内容もできる限り正直に出していただきまして、それをもとにして業界の標準的なる価格構成等も知り得ませんと標準価格設定等も行ない得ないわけでございますので、われわれとしましては的確にそれをつかみたい。ただ、企業におきまして、コストアロケーション等がわかりますと、その企業の本質につながる問題もありましょうけれども、その辺はこういう緊急事態に応じまして、われわれといたしましては、できる限りの把握と、その結果に基づきます標準的なものの公表等につきましては努力いたしたいと思うわけでございます。
  7. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 大臣、この点について、私はいま企業技術上の機密は一応別として、流通メカニズムあるいは価格メカニズム上に乗るものについては一切企業機密は認めないという強い態度をこの際出さないと、できるだけというようなことでは不満足だというふうに思うのですが、この点についての大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 世の中の理解と御協力を得るためにも、できるだけ協力することが好ましいと思っております。したがいまして、標準的なものに関しましては公表できるようにしたいと思います。
  9. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 一切認めないということは言明できないのですか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり各企業企業によって経理内容も違いますし、いろいろな会計経理上の困難とか、やりくりもあるだろうと思うのです。そういう面から全部それをさらけ出すというようなことはなかなかできにくいと思うので、標準的なものについてはできる限り出すことが好ましい、われわれそう考えて、そういうふうな努力をしてみたいと思います。
  11. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 これであまり時間を使いたくありませんので、先ほども言いますように、技術上の機密というものについては一応別として、価格関係するものについては、こういう緊急事態ですから、きちっとした態度で臨んでいただきたいことを強く要請しておきます。  次に、ガソリンスタンド関係についてでありますが、連合審査のときに井上委員からの発言で、新規については受けつけないということが言明されたのであります。しかし、現在の状態から見ますと、飯能市あるいは所沢というようなところで、現に現地と非常にトラブルが起こっているということでございまして、こういう時期が時期だけに、方針としてはできるだけこういう事情の中では新設をさせないという方向が打ち出されているのですから、十分な措置をとって、できれば、一度認可したものでありましても紛争中のものについては適切な措置でやめさしていくというような措置を講じていただきたい、私はこういうように思うのですが、いかがですか。
  12. 山形栄治

    山形政府委員 ガソリンスタンドにつきましては、本年千五百カ所のワクを一応設定いたしたわけでございますけれども、こういう石油緊急事態発生等を踏まえまして、先日御答弁申し上げましたように、先週末をもちましてその確認申請を一時凍結いたしたわけでございます。いま御指摘のとおり、それまでに一応認められましたものにつきましては、さかのぼりましてこれを取り消すということは行政行為として非常にトラブルが起こるわけでございますので、われわれといたしましては、至急にわれわれ及び通産局職員等に各地元実態調査をさせまして、その建設につきまして地元と円満に解決がつくように責任を持って対処いたしたいと存ずるわけでございます。
  13. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次に、選択販売ということについてお伺いをするわけでありますが、現在の流通機構の中で現にトラブルが起こっているというのを見ますと、従来からの使用実績によるもの、あるいはプレミアづきで販売をしている、情実によって選別される、あるいは価格によってやられるというようにいろいろあると思うのでありますが、こういう法をつくるにあたって、このような選択販売についてどういう態度を考えられているのか、明確にしていただきたいと思うのです。
  14. 山形栄治

    山形政府委員 現在まで取引の形態というのは非常に自由に行なわれておったわけでございます。したがいまして、いま御指摘のとおり、いわゆる顧客というのができておりまして、かつこれが上得意というような関係のものもあるわけでございます。こういうふうに油が足りなくなりますと、営業方針としてとかく顧客を大事にして新規お客さんを粗末にするという傾向は確かに否定し得ないことでございまして、最近もそういうトラブルが各地で起こっておるわけでございます。われわれとしましては、本旨は、この足りないものをみんなで公平に使うというのがこれからの世の中の本筋でございますので、いま苦情処理等を通じましてそれぞれ新しい販売ルートをつくる努力をいたしておるわけでございます。  今後法律が通りましたら、よりその辺ははっきりさせると同時に、あっせん所機能等もそういう意味で活用してまいりたいと思いますが、本法の最終段階でございます割り当て等にもし突入いたす場合には、これは個々のユーザーに対する必要量と、それがどういう経路で入手できるかというところまで関係をつけまして、必要なものが必ず入手できるようにいたしたいと思っております。  いずれにしましても、いま混乱期でございまして、そういう新規お客さんに対する取り扱いの不備という点は確かに起こっておるわけでございます。石油販売業者小売り業者等を通じまして、これの是正をいまやっておる段階でございます。むしろそういう問題が起こりましたら、個別に苦情処理等を通じまして、われわれのほうにぜひお申し出くださいまして、具体的にそれを解決し、新しい販売ルートをこの際つくり上げていくというかっこうにつきましても、われわれ努力するつもりでございます。
  15. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 灯油の問題についてでございますが、大ワクとして民生用に三分の二、工業用に三分の一、こういうことで五万八千キロリットルを確保したということになっているわけであります。しかし、最近よく承知はされていると思うのでありますが、軽油の削減によりましてディーゼルエンジンを使っている車、こういうものが灯油軽油を混合することによって動かすという形が非常に多く出ているように聞いているわけであります。こういうふうに考えますと、せっかく民生用の五万八千キロリットルを確保したと言ったとしてみても、この民生用灯油スタンドで売られる場合には一々その使用目的を確かめることはできないわけでありますから、どうも民生用灯油を食っていくのではないか。そういたしますと、この確保した油については全然効果があがらない、せっかく確保しながらも守られないという結果が現に出てくるのじゃないか、こういう心配があるのでありますが、この点についてどういう措置でこれを確保するということにするのか、明確にしていただきたいと思うわけです。
  16. 山形栄治

    山形政府委員 私も新聞紙上でそれを見たわけでございます。もしそうでございましたら非常にゆゆしい問題でございます。  灯油につきましては、先生御存じのとおり、最も重要な民生用の油ということで、一番最初に通産省としましても、その確保価格の凍結を行なったわけでございます。十月末におきまして在庫を六十三日分積み増しまして、ほかの油種に比べて非常に大きな在庫灯油につきましては積み増しまして、その量の確保をはかったわけでございます。それがもしトラック用A重油不足に応じて流れておるということでございましたら、これは大問題でございます。灯油関係につきましては業界としましても最優先で取り扱っておりますので、そういうことはないと思いますが、これを機会により一そう至急にその実態を調べまして手配いたしたいと思います。  なお、A重油は、確かに得率上の問題もございまして足りなくなってきております。この辺につきましては、従来から申し上げましたように、いま運輸省で全部の交通体制A重油に即して言いますと、トラック営業用自家用、バスの営業用自家用、その辺の全体の配分のしかたにつきまして検討中でございまして、これは今週早々にも案ができるそうでございます。その辺に即しましてまずA重油確保をはかり、その前提におきまして灯油のほうからの横流し等はまたこれをチェックするというような体制をつくりたいと考えております。
  17. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 チェックするというのですがね、私はこのチェックがむずかしいということをいま言っているのです。当然灯油として売る場合に一々その業者がこれはディーゼルエンジンに使うのですかというようなことを確かめて売るわけではないわけであります。ですから私は、チェックをするというそのチェックのしかたをどういうふうにするのかという点をお伺いしているわけです。しかも、軽油は、御存じのように税金もかかっているのですが、灯油のほうには税金もない、こういうことになるわけですので、その点を含めてそのチェックのしかたをはっきりしてください。
  18. 山形栄治

    山形政府委員 いま先生のおっしゃいますように、ガソリンスタンドで従来からそういうような行為がございました。たとえばガソリンを売りますに際しまして、これをほかのものを不良——自分では不良と言いませんけれども、ほかのものを売るというようなことをいわゆる世間で言います不良ガソリンという問題が前からございまして、われわれとしましては、本年の四月ごろにスタンドサンプル調査を行ないまして、不良ガソリンチェックを行ないまして、それでそれは一応是正されたかっこうになっておりますけれども、今回の問題も同じような問題だと思うわけでございます。何ぶんにも非常に数の多いガソリンスタンドでございますのでたいへんでございますけれども、一応そういう不良軽油といいますか、不良軽油チェックというものをいま準備いたしております。これはサンプリングをしましてガソリンスタンド通産局の人間が立ち会って、全石商連がこの検査を行なうわけでございまして、そういうようなチェック方法を通じまして、いまのような不良なる行為をなくなすようにいま準備中でございます。近く実施の予定でございます。
  19. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私はいまの御答弁によるチェックのしかたではいかぬと思うのです。これはもっと抜本的な手を打たないと、せっかく確保した民生用灯油が欠乏する、こういう不安が消えないわけであります。これはもうほんとうに今後を通じて明らかにしていただきたいと思うのです。  時間がありませんので次に移りますが、この法案提出の理由は、わが国への石油の大幅な供給不足が生ずる事態に対処するため、適正な供給確保するための措置をするためのものだというふうになっているわけであります。しかも、経済閣僚会議でも一六%減ということで一致をしているようでありますが、この大幅な不足を生じた、この不足をこれからの折衝でとってくる、一六%減った、それを外国からとってくるということであるのか、それとも一六%減というものを何としても守っていくといいますか、そういう意味でのものか、この中でいっております「適正な」ということばと「確保」という点について非常に不明確だと思うのでありまして、この「確保」するという点についての定義といいますか、これをきちっとしておいていただきたいと思うわけであります。
  20. 山形栄治

    山形政府委員 この法律の目的第一条の「石油の適正な供給確保し」ということは、その前段に、先生のおっしゃいますように大幅な供給不足が生じておるわけでございますので、この不足の状態において必要なそれぞれの分野にカットはかかりながらもそれぞれの分野が適正に供給がはかられるように、公平にはかられるという概念が一つだと思います。  それからやはり非常に重要な公共部門等につきましては、その確保のしかたについて配慮がなさるべきというようなことを、この「確保」ということばにはそういうことを意味しているのではないかと考えます。
  21. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私の言っているのは、たとえば一六%減ということで一応閣議がその見通しの上で確認されていますね。問題は、一六%足らぬ、この供給確保するためにはこの足らぬという前提でよそから持ってくるのか、あるいは一六%減というものを土台にしてこれだけは絶対に保障するといいますか、維持するんだ、こういうことなのか、どうも「適正な」ということと「確保」するという点が非常に不明確だ、こういうことを言っているのです。
  22. 山形栄治

    山形政府委員 そういうことにつきましてちょっと不明確でございまして恐縮でございました。  たとえば一六%供給がカットされたという場合に、これを外から供給努力をしてふやすのかということでございますが、それはなかなか私無理だと思うわけでございます。それで一つ考えられますのは、供給確保するというために、国内で持っております備蓄をどういうふうに減らしていくか、備蓄の吐き出し、食いつぶしということが一つあろうかと思いますが、そういう備蓄の食いつぶしを行なうことによって、少ない供給量にその備蓄の食いつぶし分を足してそれで需要をまかなう、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  23. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 用語でいきますと、陣地を確保するとかあるいは権利を確保するとかいう意味で使われているわけですが、この確保というのはあくまでも攻めるということよりも守る、そういう意味だというふうに考えますと、一六%減った、これはよその外国に行って足らない分を持ってくるんじゃなしに、この減った分をいかに節約して使っていくか、そういう守りの状態で需給の適正化をするということがこの法の目的だというふうに考えていいのですか。
  24. 山形栄治

    山形政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  25. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そういたしますと、一六%減ったから各分野で一六%節約してください、こういうことだけでは私は非常に能のない話だというふうに思うわけです。しかも現在、非常に量だけが問題にされていると思うのでありますが、最近の価格上昇の点から見まして、これはたいへんな問題だというふうに思うわけであります。一バーレル十七ドル、これは三倍から四倍というような値段もいまうわさをされているわけでありますが、今後とも量の削減とあわせて価格の点が切っても切り離せないものになってくる、こういうふうに思うわけであります。そこで、その考え方をひとつ明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
  26. 山形栄治

    山形政府委員 御存じのとおり、十月の十六日にOAPECが公示価格の七割のアップを通告し、それが新しい石油ラウンドに組み込まれたわけでございます。OAPEC諸国というものは非常に安く原油を出しておったということで、年来非常なる不満があったわけでございますけれども、最近の世界の経済の成長に関係する石油の需要の強さを前提に年来の希望を相当強い形で実現をしたわけでございます。しかしながら、その十月十六日の公示価格の改定で実勢相場が三ドル六十五ということに想定されたわけでございます。これはアラビアン・ライトでございますけれども、その後これが四ドル三十くらいまでじりじりと上がっておりますが、その段階で現在大体横ばいで推移いたしております。  ただ、先生の御指摘のとおり、一部のスポットものに対しまして各国の需要が殺到しているせいか、非常に高値が現出しておりまして、最近ではナイジェリアの十三ドル、ごく最近におきましてはイランのDDオイルで十六、七ドルという高値が出たわけでございますが、これはあくまでスポットのものでございまして、日本に入っておりますほとんど九割何分という非常に大きなものは、依然として平均四ドル三十五ぐらいで現在入っておるわけでございます。今後もメジャーの一つの行き方といたしまして、これをどんどんと大幅に上げるようなことは私はないのじゃないかと思いますが、若干のじり高ということは想定しておかなければいかぬ事例ではないかと考えるわけでございます。
  27. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、当然、この量だけでなしに価格の点があわせて非常に問題になると思うのであります。  ちょっと大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、一九七〇年の秋以降繰り広げられましたOPECとメジャーとの対立、いわゆる石油戦争といわれている問題のときにつくづく感じた問題ですが、特にわが国のように九九・七%も輸入にたよっている、こういう非常に大きなウエートを占める日本がつんぼさじきに置かれたという経験をここで味わったわけであります。このときからいうならば、低廉豊富な時代から、高価、供給不足、不安定な時代に入ったというふうに認識をしなければならなかったのじゃないか。この資源と価格の形式で最近目立つのは、メジャーの支配体制にあること、それにOPECの意思が価格決定に強く作用をしているということであります。そのほかにもいろいろあるのでありましょうが、メジャーやOPECの強い作用でプライスメカニズムは働かない、このような、わが国の意思など反映したくても反映しにくいという現状にあると思うのであります。  こういう現状の中でさらに一つ思いますのは、OPECの強硬な政策とかたい団結、二つには公害防止のために世界的な低硫黄燃料の需給増加、こういうものが価格上昇にはね返る。三つ目には、これからの石油開発への諸条件はさらに一そう悪くなっていくところが多いんじゃないか。また、その利権の取得の問題につきましても、これはたいへんになってくる。そういたしますと、開発コストは当然上昇すると見なければならぬと思うのです。四つ目には、世界全体の工業化がさらに一そう進むでありましょうし、生活水準も急速に上昇していく。それに比例してエネルギーの需要というものが増大する。そうなりますと、勢いこれも価格にはね返るのではないか。さらに、エネルギー全体の中で石油の占めている比重が現在五六・七、一九八〇年度では六六・七ということで、まださらにこれが増加をしていくという傾向にあるんじゃないかと思うのであります。さらに、最近ではアメリカの石油政策というものが輸入重視の方向に転換をしてきている。こういうように考えますと、いま長官が言われたのでありますが、私はそんなことでなしに、ここ当分は不安定であり、低廉というものはそのときどきの一番安いものを買うという状態にしかならぬ、そういうふうにまずわれわれとしては覚悟をしなければならぬじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。  そういうふうに考えますと、安全供給のためにはOPECやメジャーなどに対する対外折衝といいますか、そういうあり方とあわせて折衝が非常に大事な点になってくるんではないか、こう思うのでありますが、このウエートが高くなればなるほど、折衝に当たる政府の関係者、こういう者はやはり強力な対抗力といいますか、そういうものを持ちたいというふうに私は当然考えると思うのであります。そのためには、国内のエネルギー市場を完全に握るかあるいは押えるか、支配ということばが適切かどうかわかりませんが、そういうことのために、いままでの議論の中で石油公団を強化するというのもその一つでありましょうが、そういう強力な対抗力をつけるためにこの法案が必要だ、こういうふうに考えているのではないかと私は思うのであります。そういう裏づけを持ちながら強硬に今後も折衝していくという、そのためにはこれは暫定法でなしに、将来にわたってこれをバックにしていこうというねらいがあるような気がするのでありますが、大臣の見解をただしておきたいと思います。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう意図は、この法案にはございません。この法案緊急事態、特に石油を大幅に削減された場合の国民生活並びに国民経済の円滑な運営のためにつくられておるのでありまして、対外交渉能力のウエポンにしよう、そういう考えは毛頭ございません。  しかし、前段でお示しになりましたOAPEC及びメジャーズとの関係等にかんがみまして、石油政策というものをわれわれが遂行していく上にいままでのような安易な考えではだめだ、やはり日本は日本としての立場を主張し得る何ものかを考えなければいけないということを痛切に感じておるわけです。それが何であるかといえば、一つは、日本は巨大なマーケットである、最大の輸入者であり、最大のマーケットの一つである、そういう意味から、OAPECの諸国は日本に工業建設あるいはインフラストラクチュアに対する建設の協力を非常に要請しておるわけです。その要請にこたえるという点が、日本としては非常に使い得る強い立場ではないかと思うのです。それをいかに有効に使ってOAPEC諸国と協調し、共存共栄していくかということが一つの大きな問題ではないかと思います。  それから、メジャーズに対しては、やはり日本は世界最大のマーケットの一つであることには変わりございません。それで、石油の需給関係は将来いままでよりは窮屈になりそうでありますけれども、しかし、それにしても最大のマーケットを失いたくないという気持ちはメジャーズにあるだろうと思うのです。いままで安い時代はメジャーズが日本に対して乱売戦をやりまして、日本は買い手市場で、すわっていれば安い石油が入るということで、それが日本をこういう経済成長をさせた一つの原因でもございますけれども、情勢は変わりました。変わりましたけれども、やはり最大のマーケットの一つであるという事態は変わらない、そういう立場も考えながら、積極的に石油政策を推進していくための機構、たとえば開発について、石油公団の法律を改正してもっと積極的な活動が行なえるようにするとか、あるいは通産省内部における石油政策推進の機構についていままでやっていることを改善するとか、あるいは業界と通産省とある程度協力しながら、相互補完しつつ石油政策を進めていく方法を新しく構想するとか、そういうような諸点についてわれわれとしては改革すべき点があるように思います。
  29. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 時間が来ましたので、最後の点でお伺いをいたします。  通産省は、この十三日に、明年一月から実施をする第二次石油緊急対策の原案を出されたわけであります。これに関連をしてでありますが、この対策は、この法でいう三条の発動かどうか、これは通常の行政指導なのかどうか。  それから、第二次というふうになっているんだが、第三次、第四次というふうにさらにこの対策が強化をされていくようなものなのか。大きく分けて、行政措置でやれるものと、それから配給段階といいますか第二段階、一段、二段という段階だというふうに受け取るわけでありますが、この十一条に、事態を克服することが著しく困難と認めた場合というのがあるのでありますが、この段階の分かれ目といいますか、これは一体どういう時点で分かれるのか、その分かれ目を明確にしていただきたい。  それから三つ目には、現にLPGなどについては法人、個タク二対一という割り当てを決定して、しかもその運用上、実質的にはこれはもう配給制になっているんじゃないか、こういうふうに思うのであります。これはいわゆる十一条の発動だというふうに思うのでありますが、この辺の点をお伺いしておきたいと思います。
  30. 山形栄治

    山形政府委員 現在われわれが行なっておりますのは、十一月十六日の閣議決定に基づきまして行なっておるわけで、完全な行政指導でございます。  それから本法案の前段階、第一段階といいますのは、これは行政指導でやっておりますものを法律上の根拠をもって、より適正に、的確に行なうという目的でございます。それから、その次に来ますのが、いわゆる先生のおっしゃる十一条のより直接的な割り当て、配給でございます。この区分でございますけれども、法律上の第一段階は、私の私見も入りますけれども、油のカット量でいいますと、大体二割近いところではないかと思いますが、第三段階といいますか、十一条に入りますのは、それがより一そうきびしくなったところではないかと私は思います。ただ、この場合に、油のカットの量だけの問題でございませんで、油種ごとにつきましては非常に逼迫の度が強く、かつユーザーの数も多いというようなことで、カットの量にかかわりなく、相当程度のきめのこまかいことをやりませんといかぬという状態も出ると思うわけでございまして、そういう場合におきましては、そういう油種及びそれの現状につきましてはカットの率と関係なく、十一条的な必要も出てくるのではないかと私は思うわけでございます。  それから、現在運輸省が行なおうとしておりますタクシーの配分でございますが、これはまだ法律も通っておりませんので、行政指導の段階でございますが、一応タクシー業者の法人系及び個人系、それから油の供給業者側、その三者が寄り寄り相談をし、それを運輸当局が御指導いたしまして行なおうとしておるわけでございます。これはあくまで行政指導の段階でございますので、形は、先生のおっしゃいますように、個別の割り当てでございますが、法規に基づく罰則を伴うようなものでないことは確かでございます。これが実施されまして、それでもトラブルが非常に多くてどうしようもないというような場合には、おそらく法律が通りましたら法律に基づくより明確な形での個別の割り当て、配給等が行なわれることに相なるのではないかと考えるわけでございます。
  31. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 もう時間がきましたので、以上で終わります。
  32. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤清二君。
  33. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お許しを得まして、私は、ただいま上程をされております石油需給適正化法案についてお尋ねをしてみたいと存じます。  総理は、予算委員会におきまして、この法律がかりに通る前といえども、便乗値上げはさせない、便乗公害はともにやらせないと明言をしておられます。しかし、その明言を国会でしていらっしゃる最中に、便乗値上げや便乗公害が次々と発生をいたしております。これは一体どうしたことでございましょうか。総理はおりあしく入院中でございますので、それにかわるべきお方にお答え願いたいと存じます。
  34. 濱野清吾

    濱野委員長 中曽根国務大臣、国務大臣として答弁したらいいでしょう。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 便乗値上げあるいは公害の規制等については、政府としても重大な関心を持っておりまして、公害の規制については法律の限度を必ず守るようにやっていきたいと思っております。便乗値上げは許さぬように行政指導しておりますし、また、この二法案が通りましたら、法の背景をもちましてさらに強力に指導してまいりたいと思います。
  36. 加藤清二

    加藤(清二)委員 これは通産大臣に聞いているのじゃございませんですから、総理の代理として答弁のできる人から聞きたいのです。
  37. 濱野清吾

    濱野委員長 いまの答弁は国務大臣としての答弁でありますから、責任のないことではないと思います。総理の代理として……
  38. 加藤清二

    加藤(清二)委員 しからばお尋ねいたします。現在あったらどうされます。
  39. 濱野清吾

    濱野委員長 現在あったらとは、どういう意味ですか。
  40. 加藤清二

    加藤(清二)委員 具体的に出しますよ、便乗値上げと便乗公害。
  41. 濱野清吾

    濱野委員長 それはあなたの自由ですけれども国務大臣として答弁するよりほかないだろう、とっさの場合。そういう意味で……
  42. 加藤清二

    加藤(清二)委員 とっさではありません。私はちゃんと時間に間に合うように要求を出してございます。
  43. 濱野清吾

    濱野委員長 しかし、実際は総理がおいでになればいいんですけれども、御案内のとおりでありますから、国務大臣として答弁していただくということが適法であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  44. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは質問を続けます。  私は公害に関する限り許容基準をゆるめる必要はないと存じます。なぜかならば、削減されるところの石油はローサルではなくて、一番のハイサルでございます。ハイサルが一番削減されるわけなんです。さすればS含有量はマクロの立場からいって少なくなるはずでございます。しかも、それがたかれるのが少なくなれば、大気中のSO2も少なくなるはずでございます。にもかかわりませず、その地方におけるローカルカラーに適応した公害規制の上のせ、横出しをこの際削らなければならないという理由が、私にも国民にも納得できないわけでございます。お答え願いたい。
  45. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっとお待ちください。加藤さん、官房副長官でいいですか。官房副長官がおいでになりましたが……
  46. 加藤清二

    加藤(清二)委員 やむを得ません。
  47. 大村襄治

    ○大村政府委員 ちょっとおくれて来まして、最初の質問を十分聞いておらなかったのでございますが、ただいま官房長官は病院に総理と打ち合わせに行っておりまして、そういうわけで出席いたしかねますので、私がかわって参上いたした次第でございます。そういうわけで、逓信病院にいまお見舞いに行き、また、いろいろ重要問題について打ち合わせ中でございますので、あしからず御了承を賜わりたいと思います。
  48. 加藤清二

    加藤(清二)委員 答弁にならない。
  49. 大村襄治

    ○大村政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、確かに石油の総量が減ってくるわけでございますけれども、そういったことにもかかわらず、やはり公害に対する方針というものは、私どもとしましてはかたく守っていく考えでございます。
  50. 加藤清二

    加藤(清二)委員 環境庁の長官
  51. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 石油危機に関連いたしまして、わが国の経済の各方面に大きなショックが与えられていることは御承知のとおりでございますが、事環境政策に限りましては、人の生命並びに健康を最優先するという基本方針を変える必要は考えておりません。御指摘の点につきましては、石油の消費量が全体として減るわけでございますから、マクロとしては硫黄酸化物の排出が減ってくる。したがって、環境基準並びに排出基準の緩和をする必要はないという加藤先生の御意見に私ども全く同感でございます。
  52. 加藤清二

    加藤(清二)委員 完全に意見が一致しているようでございます。しかるところ、中曽根大臣のいままでの答弁を聞いておりますと、環境基準をある程度ゆるめなければならない事態になるかもしれぬとおっしゃってみたり、あるいは環境基準はゆるめないとおっしゃってみたり、どうもいただけない節がございますが、通産大臣としてはいかがでございますか。
  53. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産大臣といたしましても、一貫して申し上げていることは、法律できめられた環境基準は厳守いたしますと、そういうことを申し上げてまいりました。
  54. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは、各地方自治団体あるいは当該県、市等々が公害企業と協定を結んでおります。それにはある程度の上のせ、横出しがございます。それについても、通産省としては干渉をしない、いままでどおりでよろしい、こう明言できますか。
  55. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法律にきめられた基準は、これを厳守するということをまず基礎にいたしまして、それ以上の上のせの分については、これは石油事情の悪化の情勢等もにらみ合わして、そしてぎりぎりの線になってきた場合に、家庭用のものをふやすためにそちらのほうを少しゆるめるか、あるいは家庭用のものはがまんしてもらって、そちらのものは依然として続けていくか、そういうような判断をすべき場合がもし万一将来きた場合には、そのときの情勢判断によって考えざるを得ない、そういうふうに御答弁申し上げます。
  56. 加藤清二

    加藤(清二)委員 家庭用とおっしゃられますと、まず最初灯油、その両隣にあります軽油それから重油、ところが通産大臣のいままでの御答弁によりますると、灯油は間違いなく確保しているというお話でございます。間違いなく確保しておれば、灯油を余分に精製するがゆえに、A重油の生産を削るとか、あるいはナフサを削るとかいうことはさまで必要がないではないか。もし、必要でありとするならば、どの時期に至るとどの程度削らなければならないかという数字のお示しがない限り、これはいただけないことでございます。はたして、それでは灯油確保されていないから、にわかにA重油その他から削って灯油に精製しなければならぬというような状況になっておるのですか。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 灯油については量的には確保してあります。問題はLPG、プロパンガス等の場合があります。
  58. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お尋ねします。  電力会社がこれを目がけて緩和をしてもらいたい、電気事業連合会からの申請があったか、なかったか。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目下のところございません。
  60. 加藤清二

    加藤(清二)委員 新聞が報じていたことを御存じか、御存じでないか。
  61. 山形栄治

    山形政府委員 新聞紙上では見ましたけれどと、われわれのところに正式に要請といいますか、そういうものはございません。
  62. 加藤清二

    加藤(清二)委員 もし要請があった場合に、どうなさいますか。
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法律に命ぜられた規定を順守していくようにわれわれは指示いたします。
  64. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それを聞いて国民、特に公害被害地区の方々も安心なさるでございましょう。かりにいま通産大臣がおっしゃられましたように、プロパンの需要増、それの生産減あるいは輸入減ということで、それの穴埋めのために石油精製のある程度の品目別の土産数量を変えなければならぬという事態発生するかもしれません。しかし、いま電力会社がプロパンを発電用に使っているということはきわめて少のうございます。もしそれが多いとおっしゃるならば、火力電気のエネルギー総需要量に占めるプロパンの量をお尋ねせんければなりませんが、まあこの際、そういうこまかい詰めをしようとは思っておりません。  もう一度お尋ねいたします。電力関係、電気事業連合会等々から申請かあった場合にも、いまの明言、それから総理大臣代理あるいは環境庁の長官代理と意見を同じうして対処する、こういうことが言えますか。
  65. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法律できめられた基準をあくまで順守するように指示いたします。
  66. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そのことばを聞いて安心でございます。  さはさりながら、とにかく日本の石油が削られているということは事実でございます。きのう、おとといの通産大臣の答弁に、リビア原油の引き取りについて、きわめて前向きのお話がございました。これについて外務大臣は、国民、われわれ聞いている側にとっては、何やらわかったかわからぬような御答弁でございました。  そこでお尋ねいたします。リビア原油の取引について、一体、この危急を救うために、総理大臣としてはどう考えてみえるか。——いなければ代理。総理大臣が出られることになっておったのですからね。(「病気だ」と呼ぶ者あり)それはやむを得ません。
  67. 大平正芳

    ○大平国務大臣 本件につきましては、通産省のほうから御相談がございまして、外務省でいま検討中でありまして、結論を出すにつきましては、総理大臣の御意見を聞いた上でいたしたいと考えておりますが、まだ総理大臣に上げておりません。
  68. 加藤清二

    加藤(清二)委員 すでに通産省からは外務省へ話があった。そこで検討をしている。検討のネックとなるものは何でございますか。
  69. 大平正芳

    ○大平国務大臣 産油国の資源につきましては、産油国が主権を持っているわけでございまして、どのように処理してまいりますか、本来原則として、これは産油国の主権に属することであると思います。将来、この問題はそういうことを軸にして考えられてしかるべきものと思うのでございます。  問題は、今日までのことでございまするが、産油国の資源が外国資本が入りまして開発されておりまして、リビアにつきましては、これについて国有化が敢行されたわけでございまして、国有化を行なうということ自体につきましては、いまやこれをはばむ力は世界にないようでございますが、国有化の条件につきまして問題があったように伺っておるわけでございます。したがって、いま問題になっておる油が、そういう係争にかかるものであるか、そういうものでないか、係争にかかるものであった場合に、それを取り扱うこと、それの輸入を受けることがわが国の石油確保にあたりまして、将来にわたって支障をもたらすことになりはしないかどうかというような点の事実を確かめ、かつこれまでの経緯を確かめてまいりますことが私どもの任務であろうと存じまして、鋭意いま各方面の情報を収集いたしまして、検討を急ぎつつある段階でございます。
  70. 加藤清二

    加藤(清二)委員 リビア石油を通産省側は積極的に引き取りたいという意向です。私ども社会党も引き取ってしかるべきである、こういう趣旨でございます。それで、ネックとなるのが国有化をめぐって係争中の油であるかいなかの問題だとおっしゃられましたが、これは外務省で調べればすぐわかることでございます。よしそれが係争中の問題でありとしても、係争中の油でありとしても、私はあえて引き取ってしかるべきであるという本質的結論を持っております。どうしてそういうことが言えるか。それはメジャーをよく調べなければなりません。問題はメジャーとの関係でございます。  そこで、通産大臣にお尋ねする。日本がOPECから買い入れている油は総輸入量の四〇%程度である。イラン、イラクを入れれば八〇%余になるでしょう。しかし、マクロの立場からいっては、せいぜい四〇%アローアンスがつきますけれども、そこがかりに二割五分上のせして五%、いまの時点では二割五分、それをかりに三割と大きく見積もっても、全体には削られる量は一割二分でございます。にもかかわりませず、通産省は一六%程度の削減を要求し、精製業界は二四、五%の削減を要求した。その結果一九%から二〇%ということにおさまったようでございます。これは国民にとってはいただけないことでございます。しかし、業界が二四%を要求するという意味はわかるのです。なぜかならば、それは削減を日本に通告してきたところの輸入量は大体四〇%であるけれども、全体の量を九〇%以上握っているのはメジャーなんだ。日本は産油国から直接取引をしていない。あるものもあるけれども、それはほんのわずかである。九〇%以上メジャーに握られている。その日本への仕向けの量が減る。ゆえにほんとうは一割二分、一二%程度でいいのに一五%、一六%、結論は二〇%近く削らなければならぬという羽目におちいっている。これはメジャーが、アメリカ、オランダその他全部ストップさせられたところの分を削って全体に押し及ぼしているからである。この点は日本だけではない。イギリスもそうなんです。イギリスは全然削減されていない。にもかかわらず一〇%以上の削減をしなければならぬ。これは九月以前の実績、冬の実績との季節変動もありますけれども、なおそれがあるからである。現に全部ストップさせられたオランダは、じゃあしたから全部ストップしたかというとそうではない。あそこには西欧諸国に向ける大きな大きなタンクがあるからです。それはだれが握っておるかといえばメジャーだ。こういう観点に立った場合に、メジャーは、日本に対しても、産油国が削減しないのに削減してきておる、こういう事実がある。それの対応策としてもこれは買うべきであると私は思う。同時にまた、日本に石油精製会社がたくさんございます。日本石油という日本名前の石油会社がございます。しかし、この精製部門の資本はどこの資本であるか。これを調べてごらんになりますと、日本の銀座や赤坂に中華料理店というものがある。日本の店かと思ったら経営者は別な人であった。働いておる従業員は日本人であったけれども、実質の実権を握っておる人は第三国人であったと同様に、日本の石油精製から化学の経営は、ほとんどこれまた半数以上がメジャーに握られておる。これは御案内のとおり、昭和三十七年石油業法ができたときに、私どもは、そのような状況ではいけないから、国策会社をつくるべきであると言うたにもかかわらず、できたのは共石だけである。共石は諸外国に向かっての鉱区権もなければ試掘権、採掘権もない。いわんやそれを引き取る権利もない。ただ、国内で精製し、国内で配給するということのみに専念してきた。だれの責任であるかをいま問うときではありません。そんなひまがありません。したがって、ネックはメジャーとの関係であるとするならば、メジャーみずからも、日本に油をほしがっておる自分の子や孫がいるということはちゃんとわかっておるのです。しかも、メジャーにとっては世界じゅうで一番いいお得意さんなんです。そんなにメジャーに遠慮しなければならないのか、私は意味がわかりません。国民が納得するように、特に石油精製業の専門家たちが納得するような御答弁をいただきたい。
  71. 大平正芳

    ○大平国務大臣 産油国側の供給制限の分量に応じて最終消費国が公正な配分を受ける状況であればよろしいのでありますけれども、中間に介在いたしまして配分が恣意的に行なわれることによって公正を欠いておるのじゃないか、今日の結果はそれを物語っておるのではないかという御指摘でございます。私は、ある程度加藤さんのおっしゃることは理解できるわけでございますが、しかしそればかりでもないと思うのであります。いまの世界全体の石油経済の流通秩序はたいへん乱れております。また、中東戦争の結果、油送パイプの破壊その他もございまして、供給された分量が最終消費地に着くまでの間の秩序が乱れておる結果、輸入国の輸入油量というものに影響がないとはいえない面も確かにあると思うのでございます。その点は御理解いただきたいと思うのであります。しかし、それにいたしましても、加藤さんがおっしゃるように、メジャーの持つ機能というものと、日本との関係についての御指摘の部分はたいへんよく理解できるわけでございます。だからといって、リビア石油の問題につきまして、それに遠慮して二の足を踏んでおるということではないのでありまして、実態をよく調べまして、非常に大事な、微妙な時期でございますので、一滴もほしいときであるがゆえに、こういう問題についての取り扱い方に誤りがないようにわれわれはしておかなければならぬ。引き取るにいたしましても、引き取ることを断念するにいたしましても、いずれにいたしましても、これは十分の検討を遂げて間違いのない措置を講じておきたいというのがわれわれの希望でございまして、せっかく必要なデータをいま集め中でございまして、政府全体といたしまして早いところ結論を出したいと考えております。
  72. 加藤清二

    加藤(清二)委員 せっかくよく調査して検討したい、こういうことでございますが、それはもう当然のことだと存じます。ぜひ日本の国策から考え、長期展望に立っての施策をしていただきたい。メジャーはこれを武器に使っている。アメリカもこれを国防上の問題として扱っている。すでに、メジャー、メジャーと申しまするけれども、西欧先進諸国では、そのメジャーの友好国でありながら、なおそれに対抗措置として国策会社をそれぞれが持っている。これがないのは日本だけである。  そういう立場からいきまして、過去にいい例がございます。私はここではっきり名前を申し上げます。高碕経企庁長官というりっぱな方がみえます。野党がほめるのですから間違いないでしょう。野党が与党の大臣をほめるのですから。りっぱな方がおられました。そのときの外務大臣は重光葵さんでした。農林大臣は河野一郎さんでした。油がない、ようやくアラビア石油が権利を取った。しかし、これはハイサルである。これの対応策を立てなければならなぬという話が出まして、野党鈴木茂三郎委員長にも話がありました。その命を受けて私は縁の下のかけ橋をいたしました。その結果、オキュパイド・ジャパン時代であったにもかかわらず、ソ連へ行って、ソ連の油六百万トンをスポットではありまするけれども買いましたことは、あなたもお古いですからよく御案内のとおりです。国策に沿うためです。野党は何でも反対だという人がありますが、そうばっかりではありません。国家の危急存亡と長期展望に立った場合には、内部ではどれだけでも争いましょう、しかし事波ぎわから向こうに向かった場合に、私は小異を捨てて大同につき、一致結束してこれに当たるべきである、こういう信念を持っております。それをかつての高碕さんも、農林大臣河野さん、これは漁業交渉とのからみがあったからです。時の重光葵外務大臣も一致結束なさった。鈴木委員長もこれと共同してあの危機を救った。  こういう事実にかんがみて、いまなぜそれができないのでしょうか。私どもも協力しますと言っているのです。そういうことを検討の場合に、外務省の方々にあなたからよく話して、前向きの姿勢、もうオキュパイド・ジャパン時代にもなおこれをやられた先輩のこの業積に負けないような今回の行動をとってもらいたいということを申し上げる。もって、いかがか。
  73. 大平正芳

    ○大平国務大臣 加藤さんの御所見、よく承りまして、御提言拝聴いたしまして、十分私どもも念頭に置いて処理いたしたいと思います。
  74. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは次の問題に移りますが、もう一つ、いま石油が削減される。そこでナフサを主体としてつくっているのが化学の繊維でございます。この繊維の輸出契約を破棄せざるを得ない状況に追い込まれているわけでございます。しかし遺憾なことに、この輸出契約なるものは半年先まで売りつないでいるわけなんです。輸出契約は行なわれてしまっているわけなんです。内地ものも、これまた三品市場で六カ月先までヘッジしちゃっているわけなんです。それを卒然として原料を切られた。いまはまだいいです。手持ち品があります。仕掛け中のものがございます。しかし、来年二月、三月、どうやって切り抜けるのですか。だからこそ、いま三品市場においては振りかえ需要と称して、関係の一番少ない綿糸が四十番手で二十万円を突破するというような状況に追い込まれているでしょう。幸いなるかな、通産省の先見の明よろしくあって、三品市場の取引に対して行政措置をなさったから、これは——荒尾君おりませんか。実にりっぱな子分——子分と言っては失礼ですね。弟子を持って、通産大臣はしあわせです。うまく手を打ったからいいようなものの、あれが沸騰して二十万円をこえたらどういうことになりますか。完全なるパニックです。  さて、それはそれですが、輸出契約を破棄したためにどういう結果が生じてきたか。イランは、そんなばかな話があるか、クレームなんです。国内法でいえば倍額請求が成立するわけなんです。いわく、わが国イランは、日本に向かって石油を削減したのではない、石油削減の理由によってなぜわれわれが契約した化学繊維を購入することができないのか、なぜ削られなければならないのか、業界だけでできぬとするならば、これは一にかかって政府の責任である、国家がさようなことをするからこういうことになったんだ、同業者のあなたたちに責任はない、国家で責任を負うてもらおうじゃないか、こういう話し合いがいま行なわれております。先物契約まで破棄しなければならぬ、これほど逼迫してきている。こういうことをよく踏まえて外務省は油を買うべきやいなや、油を買うシェアを広げるべきやいなやを検討していただきたい。この問題について、総理としてはどういう対策がありますか。これは国家的な問題です。
  75. 大平正芳

    ○大平国務大臣 この石油問題は、関係石油の生産国、消費国ばかりでなく、第三世界にも重要な影響を及ぼす異常な危機であると私は思っております。いま、たまたま加藤さんはナフサを原料とする繊維の輸出契約破棄の問題に及んだわけでございますけれども、それ以外におきましても、わが国の造船は、三年も四年も先物長期契約を持っておりまするし、わが国の肥料は、アジアはじめ各国に対しましてすでに輸出のコミットメントをいたしておるわけでございますし、製品の時期を待っておる輸入国といたしましてはたいへんな問題であろうと思うのでございます。したがいまして、こういった問題につきましてどのように対応してまいりますかということはまことに重要な問題で、まさにあなたが総理大臣を指名されてお尋ねになるに値する課題であると私は思います。  問題は、いま政府は、当面石油供給制限に際会いたしまして、国内対策といたしましてどのようにまず消費の規制をお願いするかという点に焦点をしぼっての施策を急いでおるわけでございますが、あわせていま御提示になりました問題につきましても、一企業、一業界が対処できるような性質のものではないことは私どもよく承知いたしておるわけでございますので、いま御提示にかかりました問題につきましては、国策全体の問題といたしまして、政府全体といたしまして真剣に検討させていただいて、対処に誤りのないように、可能な限りのことをしなければならないといま考えておるところでございまして、検討に時間をかしていただきたいと思います。
  76. 加藤清二

    加藤(清二)委員 おりあしく総理は出席不可能でございましたが、やがて総理になられるであろうと国民がひとしく思っている大平外務大臣、中曽根通産大臣の御両所にお尋ねするのですから、総理大臣になったつもりで御答弁願いたい。御退席の要求がありまするから、それには応じます。それには応じますが、最後に、もう一度申し上げます。  大先輩の高碕さん、河野さん、重光さん、オキュパイド・ジャパンの時代でもなお日本の、あのときは警察配下が敵視していた国とでも取引をしたのです。野党も使い走りを、この私がしたのです。そして何と六百万トンですよ、確保したのです。その先例にかんがみて、大先輩たちのあの業はやがてOPECに、いろいろ好悪取りまぜたが、結論としては、日本人なかなかやるぞ、うっかりできないぞということになり、日本の開銀その他が融資を拒んでいた、そのすき間に彼らが日本の精製工場をつくってしまった、こういう事実があります。つまり敵に回すよりは仲よくしたほうがいい、共同したほうがいいという結論にメジャーもきているわけです。ですから結論、この問題について退席前に、高碕さん以下あの当時苦慮して、あえてその行為をした先輩たち以上の行為ができるかできないか。
  77. 大平正芳

    ○大平国務大臣 たいへん親切で、そして貴重な示唆をいただいたことを感謝いたします。  まことに重大な時期でございまして、私どもも全力をあげて対処してまいるつもりでございますが、加藤さんはじめ在野の皆さまにおかれましても、こういう重大な時期でございますので、既往におきますように今後におきましても全幅の御協力をお願い申し上げます。
  78. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは通産大臣にお尋ねいたします。  私どもは、リビア石油は買うべきである、少々のトラブルが予見されてもあえて今回はそれをなすべきであるという観点に立っております。なぜそうかといえば、これは国際問題に発展するからでございます。さきのイラン——イラン、イラクといえば日本が石油を一番たくさん、しかも削減されずに買っている国でございます。OPEC並びにOAPECの六〇%以上があそこから来ている。その国に対して石油製品を契約上渡すことができなくなった、契約不履行をしなければならない、この状態に対して通産省としてはどう対処なさいますか。
  79. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 イランやインドネシアのように日本に特に好意を持って油を供給してくだすっている国について、そのできた油の製品についてやはり期待されているように、全面的に努力して期待を裏切らないようにやることは、私はいいと思います。そういう方針を私は伝えてあります。そういう方針をできるだけ完遂するように監視して努力してまいりたいと思います。
  80. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それではお尋ねします。  いまのおことばは、私は額面どおり受け取ります。大賛成です。しからば、具体的にどういう措置がなされているのか。たとえば二割削減というても、一括これを全般に二割削減するのか。民生には悪影響を及ぼさない、こういうお話でございまするからそれは除外になるのか。あとの残りは優先順位がつくのか、これは一体スケジュールができておりますか。
  81. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体おおまかな割り当てと申しますか配当の計画は、いままでの実績によって考えられておるわけです。しかし、東南アジアやアフリカ諸国等に対する輸出についてもいままでどおりをできるだけ維持したい、これは日本の国内も非常に困っておりますけれども、日本をたよりにしていままで国家建設をやってきた国々に不測の迷惑をできるだけかけたくない、こういうときこそ日本人が苦労しながらも好意を持って国家建設に協力してくれているんだという誠意を示すときではないかと、私、そう思いまして、できるだけ輸出をカットしないように、そしてぎりぎりどうしてもやむを得ぬという事態が出てきた場合には、やむを得ぬ場合には、日本国民が犠牲を受けている程度のものはやはり犠牲を受けてもらわなければならぬ場合もあり得る。これは数日来、日タイ経済閣僚会議がありまして、タイから通産大臣が見えまして、その問題について二人でいろいろ相談したときにもいまのようなことを私申し上げまして、日本としてはできるだけ——一番心配しているのは肥料です。あるいは鋼材、そういうような問題についてできるだけ従前どおり維持したいと思います、しかしどうしてもやむを得ぬという事態になった場合には、少なくとも国内カットの限度まではそちらでもがまんしてもらわなければならぬかもしれません、しかし努力します、こういうことを申し上げてきたのです。これは東南アジアやあるいはアフリカの諸国についても同じような考えでやっていきたいと思いますが、その中にあってもインドネシアやイランのように油を日本に供給して、そのできた油の製品についてはやはりそういう好意におこたえするような措置を輸出の面でも考えなければいかぬ、そういうことを私、当局に指示しておりまして、具体的な問題どういうトラブルが起こっているか今日私まだ存じませんけれども、もしそういうことが起これば善処していきたいと思います。
  82. 加藤清二

    加藤(清二)委員 通産大臣の総論には賛成です。  それで各論を開いておるのです。石油はカットせずにストレートで日本へ送ってきている、その石油からつくった糸を削られるとは何事であるか、ペナルティーを要求する、当然の仕打ちだと思います。もちろんそれだけではございません。肥料もしかり、建築材もしかりです。しかし、化学繊維だけはストレートに石油製品です。どうしてもそれが聞かれないというならば、倍額請求か、ないしはわが国もOPECにならってあなたの国への石油を削減せざるを得ない、こういうことになる。ですから、契約破棄をするということは、やがて日本にとっては天に向かってつばをはくことになる。  そこでお尋ねしているのです。配給に対して除外例があるのか、あるいは優先順位をつけるのか、この法律が施行されたら直ちに実行に移さなければならない。しかし、受けざらとなる実行計画の細目がありますか。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ具体的にはこまかくできておりません。しかし、私は方針を輸出関係の当局に伝えてありますから、そういう線に沿ってやるように、この法律が通りましていろいろ具体的に進める場合には処理したいと思っております。
  84. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはいつできますか。
  85. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまこの法律を通すことで大わらわでありまして、そういう細目まで私が目を通すひまはございませんから、できるだけ早期にやりたいと思っております。大体国内における優先順位もいまに表にしてつくらしている最中でございまして、それと見合って輸出関係も考慮しなければならぬので、同じように作業しているだろうと私は思います。
  86. 加藤清二

    加藤(清二)委員 通産省の関係の皆さんは、ほんとうに疲労こんぱいしてみえるということを知っております。たいへんな御努力のゆえに疲労こんぱいしてみえる。こういうところへ出てきても、平生のいい知恵が発揮できないほど疲労してみえる。私は毎日、夜、見にいきます。毎日廊下を通って歩きます。夕べも行きました。夕べはばったり会っちゃいました。一生懸命やってみえることはもうよく承知しております。通産省の方々がなまけてみえるなどとはつゆさら考えておりません。私どもの選挙のときと同じだ。一日四時間ぐらいしか寝かしてもらえぬ。それがいつまで続くだろうか。疲労こんぱい、よそからくる電話の応対、クレームの応対、もうそれだけで手一ぱいであるということも見て知っています。  しかし、法律を早く通せ、早く通せ、それできょう一日かせがれちゃって、そうしてなおかつ、そうやって急いだけれども受けざらができていない。これでは、法律は発効したけれども実行には移せられない、こういうことになる。ですから、せめて法律が通る前でも、あなたのところは優先順位がこういうふうです、あなたのところは除外例です、こういうことを指示なされば、こういうようなトラブル、いま申し上げましたような輸出契約破棄、それから市場撹乱、こういうことはこないはずなんです。ですから、せめていつごろできるか、それを言ってみてください。
  87. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私はそういう方針を指示しまして、それがいまどの程度作業が進行しているか、国会のほうに忙殺されておりましてまだ目を通しておりません。おことばでございますから至急調べまして、できるだけ早くそういう優先順位のめどをきめて発表できるようにいたしたいと思います。
  88. 加藤清二

    加藤(清二)委員 この法案が参議院に回ったころにはそれは出ますか。事務局に聞きます。
  89. 山形栄治

    山形政府委員 一口に優先ということばでございますけれども、これは役所の関係で言いますと関係各省が非常に多いわけでございます。それから、たとえば運輸部門におきましても、同じトラックでも営業用自家用、またそれが生鮮食料品用であるかどうかというような各省の中のこまかい作業もまたあるわけでございます。私の率直な意見を申し上げますと、両三日にできるというようなめどはついておりません。ただ、現時点におきまして農林省との関係運輸省との関係等は大ワクが考え方として徐々にでき上がりつつありますので、全関係省庁のものを取り急いで毎日やっておるわけでございますが、参議院にいつ出るか私わかりませんですけれども、この数日間にそれが御提示できるという自信はないわけでございます。  ただ、いま先生のおっしゃいましたような輸出の長期の取り扱い、特に産油国との関係の問題等につきましては非常に特殊な配慮を加える必要があろうかと考えるわけでございまして、その辺をよく御趣旨を体しましてこれからの作業に反映さしてまいりたいと考えておるわけであります。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま長官が申されましたように、いま個別的に進行していまして、運輸省との間、それから農林省との間、厚生省との間、これもけさ、大ワクと数量の大体の見当がつきました。こういうふうにして、大体何省にはどの程度という割り当てと申しますか、配当をきめて、内部のことは各省におまかせしているわけです。これはもう当然のことです。そこで各省と相談をして、そして各省の優先、それからわれわれが見た優先順位の今度は配当の問題、具体的に引き取りの問題がありますから、そういうような問題を考えますと、ここ両三日中にできるという簡単な作業では実はないわけです。各省と全部相談していかなきゃなりません。そこで、その大綱について、でき得べくんば、緊急対策本部で各省大臣が集まったときに、こういう方向でいくという了承を求めて、そしてその大体のランクをきめていきたい。まあ大まかには一般家庭用、それから中小企業、農漁業あるいは逓信、鉄道、運輸機関あるいはそのほか教育とか、いろいろ考えております。おりますけれども、いざ具体的に各論的に示せと言われますと、いまのような手続が要りますから若干時間がかかると思います。しかし、事態はすでに進行しておりまして、事実上はそういうふうな方向でやらしているわけであります。
  91. 加藤清二

    加藤(清二)委員 各省との折衝は行なった、そうして大綱はきまった、しかし細目はここ両三日に提出することは不可能である、こう受け取ってよろしいですか。  それから内容としては、輸出契約、特に産油国との友好関係、産油国から日本への契約は、そのまま九月以前にストレートで来ている国に対する輸出品、しかも石油製品、それは特別に考慮する、こう受け取ってよろしいですか。
  92. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けっこうでございます。
  93. 加藤清二

    加藤(清二)委員 当然そうあってしかるべきだと存じます。言うまでもなく、この石油業法をつくりましたおりにも、特にこの第三条に通産省の石油供給計画なるものが入っておりますが、このときにも論議した問題なんです。同時にまた、戦時統制令はなやかなりしころにできました物統令ですね、あれにも第八条には除外例というのがございます。その除外例の筆頭に、外国との契約をしたものについては、こういう除外例がございます。したがって、物統令はかけていないわけなんですが、もしそれを適用しないにしても、法律をつくる以上は、制限法をつくる以上は、私は、経過措置、移行措置があってしかるべきだと存じます。それでこそ、この法律が動くにあたって、支障なく市場撹乱なく行なえると思います。ですから、ほんとうは私は、本法案の四党共同修正の中にそれを入れたかったのでございまするが、これは時間のかかる問題で、だから一年期限として来年はもう一度見直す、こういうことにしようというので、いま法案について折衝されておりまする最中ですから、私は法案のことについては触れませんが、除外例とか、そこまでできないでも、経過措置として、売っているものだけ、六カ月先まで売っているからそれだけは支障を来たさないということになさらないと、三品市場は沸騰いたします。振りかえ需要で沸騰いたします。そのときには証拠金の臨増し等々ではどうにもならなくなって、結果あそこもモラトリアム、停止のやむなきに至るだろうと思います。そういうパニック前夜でございまするから、重々心得てやっていただきたいと思います。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 よく検討いたしまして、慎重に周到な手配をしてやっていきたいと思います。
  95. 加藤清二

    加藤(清二)委員 この法案が通ったら民生を安定させると総理も答えているのですから、そういう悪影響を及ぼさないように受けざらをつくると明言できますか。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 イランやそのほかの輸出国に対する輸出と、それから商品市場との関係がどういう直接の結びつきがあるか、私は加藤先生のように権威者でありませんから中身のことはよくわかりませんが、ともかく商品市場に対しては商品市場としての規制というものがあると思います。しかし、そういうような結びつきがどういうふうに推移していくものか、よく検討して慎重に対処していきたいと思います。
  97. 加藤清二

    加藤(清二)委員 次に進みます。  わが国のメジャー対策、石油に関するアメリカ対策、これがあったらその基本理念を承りたい。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で申し上げれば、やはり国際協調を旨として、国際秩序を日本が撹乱しないような配慮をしつつ、できるだけ多量の原油を日本に入手する、そういう方針でやってきております。
  99. 加藤清二

    加藤(清二)委員 世界の年間の産出量が約三十億、日本の必要量が三億キロ、貿易で動いているのが約十五億、その貿易で動いている量の九〇%はメジャーが握っている。ほとんどの鉱区権から、輸送することから、流通機構、次には石油精製の面まで握っている。絶対無視できない。先ほど申し上げましたように、日本の石油精製会社もメジャー資本で行なわれているほうが多い。民族資本と称するのは出光をはじめほんの微々たるものである。こういうようになっている場合に、どうして石油対策、メジャー対策が行なわれないでしょうか。一言にして言えば、日本の過去の政策は、核の関係はアメリカの核のかさの下にいた、金はドルのかさの下にいた、油はメジャーのかさの下にいたと言うて過言でない。しかし、そのメジャーはいま何をしているか。アメリカやオランダが削減されたら、その分の穴埋めを取引先全般に及ぼしている。しかるところ、オランダもイギリスも、メジャーに対抗する国策会社を持っている。なぜ日本に国策会社ができないだろうか。基本理念が言えなかったら、具体策で、対抗策というとなんでございましょうが、メジャーの横暴から国内の産業を守るということは、絶対必要不可欠な条件だと思う。これは三十七年石油業法のときに何度も言うたことである。が、今日に至るもその具体策は遅々として進まない。対策があったら承りたい。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今日の時点になりますと、大体キャパシティー、製造能力におきましてはメジャー系と国産系が五〇、五〇ぐらいになりました。しかし、販売におきましては、まだメジャー系が五五%前後、国産系が四五%程度で、販売力が弱い。しかしまた、石油精製の質を見ますと、大体メジャー系は上等な油、いわゆる軽質油系統、白い油と称せられるもののキャパシティーが非常に強い。民族系は重い油、いわゆる黒い油というようなもののキャパシティーが強い。そういう変化があって、質から見るとまだ民族系はどちらかといえば劣弱、資本があまり要らないでやれるという体系できております。だがしかし、今日の時点になりますと、私はメジャーズもあるいは国産ないし民族系というものも一視同仁でやることがいいと思います。日本は何しろ国際協調でものを運営していくということが大事な国であり、ガットにおきましても無差別、自由という原則を振りかざしてやっておる国でありますから、原則論としてはそういう原則論でメジャーもあるいは民族系も一視同仁でやる、そういう方針を私は持っております。しかし、たとえば日本列島近海を見ますと、石油の鉱区権をどういう会社が握っているかということを見ると、帝石とか、そのほか日本の会社も非常に持っておりますけれども、メジャーズとの合作による会社がかなり持っておるわけです。そういうものにつきましては同じように一視同仁に扱うつもりですけれども、最近の石油事情等から見ると、できるだけ早期に探鉱、それから試掘、それから採掘を急がしたらいいと思っているんです。ある外国なんかは二年以内にやらぬと権利を取り消す、そういうような国もあるようですけれども、日本はそうあまり極端なことはやらぬほうがいいと思いますけれども、やはり日本列島周辺における大陸だなの開発ということが非常に重要な脚光を浴びてきておるおりから、民族系あるいはメジャー系あるいはその合作による鉱区権を持っておる会社については、いままで鉱業法でも若干の制約はありますけれども、これを急いで採掘させるという方向に政策をいま再検討しよう、そう思っておるところであります。
  101. 加藤清二

    加藤(清二)委員 質問にお答え願いたい。  与えられた時間がもう迫ってまいりましたので、最後に対アメリカ関係についてお尋ねします。  メジャー関係につきまする基本理念は一緒です。一視同仁とは申しませんが、私ども社会党としましても、メジャーを敵にせいなどとはつゆさら思っておりません。さようなことのできる状態ではありません。ただ、イギリスでもオランダでも、御案内のとおりそれと対抗して、メジャーが横暴をしないような防波提のメジャーを持っているんです。アメリカ五社に対して三社、ちっこいのを入れますと別に五社あるわけなんです。対抗策があるのです。なぜ日本にだけはないのかとお尋ねしている。日本が自給自足をするためのシェア拡大をお話しになりましたが、それはそれでけっこうです。当然そうあってしかるべきです。ところが、日本のエネルギーは輸入石油に七〇%以上をたよっているのです。少々のシェア拡大では追っつきません。  そこでお尋ねします。今回の石油世界プライスの値上げ、量の削減でだれが一番喜ぶでしょう。だれが一番損するでしょう。だれが一番喜んでだれが一番苦しむでしょう。だれとは国のことです。
  102. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはりOAPECの諸国は、戦争の列に加わっている国々で苦しいとは思いますけれども、石油の値が非常に上がっている、それからリザーブができる、それからイスラエルに対する圧力をかけることができる、そういう意味において、ある意味においては一石三鳥の戦略でもある。だからOAPECの国々は、石油を武器として戦って、アラブの大義というものを振りかざしてやっておりますから、そう簡単に引っ込むものではない。財政的にも多少苦しいところが出るでしょうけれども、ある点ぐらいまではこれは値上がりによってカバーできる、そういう面があるだろうと思います。  それからメジャーズたちも値が上がって非常に迷惑を受けておるところでしょうが、またそれから国有化であるとか、パーティシペーションとか、いろいろな複雑な問題が出てきて困っているところでありましょうが、結局消費者が一番負担がかかって犠牲者になる、そういうことが長期的に見て考えられるところではないかと思うのです。  先ほどの先生の御質問の筋にあたりますが、やはり日本も石油政策を推進していく上の一つの軸というものは要ると思います。それで、ERAPとかENIとかいう国策的な会社あるいは公社をフランスやイタリアは持っておりますし、それ以外の国は、ドイツを除いてメジャーズという有力なてこがあるわけであります。日本にはそれがドイツと同じようにありません。これが日本の一番弱い点でもあります。そういう点から、まず第一点は、石油開発公団を改組いたしまして、そうして利権も獲得できる、あるいは品物を買うこともできる、ただし、それで商売しようというんではない、国策的な意味からそういうことをやってそれを業者に引き継ぐとか、そういうような構想に立った石油開発公団の事業の拡充、積極化、そういうことをひとつやってみたいと考えております。  もう一つは、民族系というものについて、ある意味における結束及び石油確保するための日本国民の世論に従って動けるような体系を何とかつくれないものか。これはメジャーズとも協力しながらやっていかざるを得ないが、しかし、そういうことも考慮していい分野ではないかと思っております。
  103. 加藤清二

    加藤(清二)委員 国民が一番損する、特に日本の国民が一番損するという点においては意見が一致します。それを守るために国策会社、その国策会社の第一手段として、石油開発公団を強化拡充し、あそこの事業内容を拡大する、こう解釈してよろしゅうございますか。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けっこうであります。
  105. 加藤清二

    加藤(清二)委員 では、世界プライスはどこまで上がると御想定でございますか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは世界的な緊張がどの程度続くか、それからオイルシェールやタールサンドというような対抗物件がどの程度で引き合うところまで下がってくるかというような相関関係にあると思いますので、いまのところ、ちょっと幾らぐらいということを申し上げることはむずかしいと思います。
  107. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私は言えると思います。時間がありませんから簡潔に申し上げます。  この問題にアメリカが一枚加わっていないなどと考えたら、それは世界情勢を知らざるもはなはだしいといわざるを得ない。リモコンはアメリカがしているではないかと私ども社会党は想定している。なぜか。私は、油が目的ではなかった、二国間の繊維事情が激しかったときに、それを調べるために、デンバーにおり立ってソルトレークシティまで歩きました。飛行機ではありません、実態を調べるために。そのときに、あの地区の某大学教授はこう言った。ここにたくさん油を掘っていますが、これはあなたたちどうするんですか、鉄道も何もないのにどうするんですかと尋ねたら、二つの理由で、ふたをしていくのだ。一つは国防上、一つは環境上の問題だ。いま掘ってもペイしない。だからペイするのは、ここで掘ってペイするのは幾らでございましょうかと言ったら、そのときに、世界プライスが五ドルになればペイする、そのときには掘りだす、こう言っている。  私はウエストポイントにも行きました。これもあそこの軍用の繊維の関係で行った。そのときに、あの学校の教授が大ぜい集まってきてこういうことを言った。たまたま談石油のところへ落ち込んでいった。向こうから誘ったんですね。わが国が中近東から安いからというて油を買うようなことがあればこれは国防上非常な超過負担になる、日本流のことばで言うと。資材や武器は遠くにあればあるほど国防上不利になる。孫子の兵法と同じことを言うているのですね。そこでいま世界プライスが四ドル何がし、スポットもので十七ドル、あれはなぜああなるだろうか。あれは世界プライスを引き上げる一つの引き金になるではないか、牽引車になるではないかと私は見ておる。それをだれがやらしているか。だれがあんな高い値で買っているのか等々を思い合わせますと、五ドル以上になれば、アメリカは完全に国内で自給自足ができる。油のみならず、あなたがこの間おっしゃったタールサンド、それだけでも世界石油埋蔵量の半分以上ある。四百八十億トンもある。いわゆる油母頁岩に至っては、これは兆単位の埋蔵量がある。オール世界石油の埋蔵量の三百倍もある。それが五ドル、六ドルになれば、ペイして余るようになる。したがってカナダからのパイプラインも引けるようになる。環境は通り越えて問題はなくなってくる。一番得するのはアメリカだと思いますが、いかがでございましょう。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先生の御発言は、傾聴したところであります。しかし、いまの情勢を見ますと、先生のおっしゃるようにマルクや円やポンドは落下を続けドルは強くなる。アメリカの輸入超過はぴたっとやまって輸出超過の方向ににわかに転じてきておる。そしてECや日本は経済的に非常に弱まってきておるが、アメリカの経済は大体自給自足ですから経済は強まってきておる。パイプライン法も通過した。そういう点を見るというと、やはりアメリカはそんなに損はないのかなあという気もいたします。しかし、われわれは外で見ているわけですから、内部ではさまざまな因難も起きて、ハイウエーの自動車の制限とか、そのほかも一生懸命やっておられるようですから、われわれにはわからないような困難もあるのではないかと思います。
  109. 加藤清二

    加藤(清二)委員 最後に、与えられた時間があと三分になりましたので二分で終わります。  一番損するのが国民である。その国民の損は、いまもうすでに出てきております。中小企業の倒産が出てまいりました。名古屋の工場、一宮の工場でも、繊維工場は人員カットが始まりました。合繊を主体にしている工場は綿から追われて合繊に行ったのです。そのまた合繊を削減されたらどこへ行ったらいいでしょう。やめるよりほかに手はない。したがって、人員カットが始まってきたんです。人員カットはやがて労働者の首切りになるんですよ。すでにそれが始まっておる。この対策はどうなさるでございましょうか。年の瀬を越すにあたって物価上昇で賃上げ分は全部食われてしまった。それのみか首切り通告なんです。しかもなお、いまはまだ継続中、在庫品、仕掛かり中のものがあってよろしいけれども、二月を越えた段階税金やらあるいは金利支払いやらが重なり重なってきたときに、一体日本の中小企業はどうなるでありましょうか。  油が削られようがどうしようがトカゲ方式で、大企業は必ず自分の母体だけは残します。いますでに倒産、首切りの始まっているのは系列外なんだ。系列外は削る。しかし、自分の系列だけは生かす。公取委員長よく聞いていただきたい。ここに系列化が始まるのです。今回のこの結果は、しわが一番弱いところへ寄って、そのあげくの果てに残るものは系列強化である。系列に入っておればもらえる。それが証拠に見てごらんなさい。個人タクシーは半減されたけれども、大企業タクシーは半減されていないでしょう。満タンで走っている。と同様なことが産業界に次から次へと行なわれている。金融引き締めをしたら系列外が締められると同じなんだ。金融引き締めの場合は、中小企業対策として特別措置が行なわれる。今度の問題で、これができますか、中小企業。それを承って終わりにします。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先生がおっしゃるような危険性は十分あると思います。したがいまして、これは労働省だけでなくて内閣全体で真剣に取っ組んでいかなければならぬ問題であると思いまして、われわれは万全を期する次第であります。
  111. 加藤清二

    加藤(清二)委員 終わります。
  112. 濱野清吾

  113. 土井たか子

    ○土井委員 運輸大臣と環境庁の政務次官の御都合によりまして、先にお二方に関係のある質問をさせていただいて、あと問題のほうに移っていきたいと存じます。  すでにこれは再三再四にわたって問題にされてきたところでありますが、十一月十三日に通産省の石油審議会が、いま石油危機のあらしが吹きまくるさなかに、昭和五十二年度完成予定石油精製設備新増設計画、これはもう一つ完全を期していうと、昭和五十一年度、五十二年度完成予定というふうに申し上げなければいけませんが、御承知のとおり十四社、十六製油所、日産百十三万三千バーレルを許可したわけであります。その中に、見てまいりますと、実は瀬戸内海に関係が直接ある場所が入っているわけであります。具体的に名前をあげますと、たとえば丸善・大分、九石・大分、日石精・下松、出光・兵庫、この四社の計画が入っているわけであります。  ところで、御承知のとおり、前回の特別国会で熱烈な瀬戸内海周辺の地域住民の方々の熱意を生かした議員立法として誕生したのが瀬戸内海環境保全臨時措置法であります。十一月二日から施行されております。まさか通産大臣法律を無視してこういう許可について決定なさるはずはないと私は確信しているわけでありますが、ひとつこの問題につきまして、環境庁としてどういうふうな態度で、どういうお考えでこの問題を受けとめ、取り組む御用意がおありになるか、その辺をまず聞かせていただきたい。
  114. 藤本孝雄

    ○藤本政府委員 去る十一月の石油審議会におきまして、製油所の新増設が認められましたのは、御承知のように、石油の需給の観点から認められたわけでございます。しかしながら、その製油所が建設される場合には地元の了承が行なわれなければなりませんし、また、環境保全という観点から慎重に厳重に規制が行なわれることは申し上げるまでもないところでございます。  いま土井先生指摘の四カ所につきましては、瀬戸内海沿岸に建設されるわけでございますので、その建設にかかる特定施設につきましては瀬戸内海環境保全臨時措置法の趣旨にのっとりまして、そういう開発が行なわれる場合に未然に公害の防止をはかるという意味から、その事業が環境にいかなる影響を与え、またその程度、内容等について事前に科学的な手法をもちまして調査を行なう環境アセスメントを十分に行ないまして、そういう建設問題につきましては慎重に対処してまいりたいと考えております。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 これには環境アセスメント、環境アセスメントとしきりに言われるのだけれども、非常に大切な忘れられて困ることは、この法律の中身に盛られている三年計画で四十七年度のCODの二分の一にしなければならないという至上命題があることであります。これはただごとじゃない、これを実施しようとしたら各府県段階では一体どうやっていったらいいのか、とにかくもう悩みの種はこの辺にあるといわれているぐらいでありまして、これは環境保全という点からすると相当の大英断をもって臨まなければどうにもならないという問題がもうすでにあるわけなんです。そこへ持ってまいりまして、今回の総設備許可の三三%を事実集めているわけであります、瀬戸内海周辺についての許可の中身は。私はこれ自身もまたただごとではないと思う。ただいま需給計画に従ってということを言われましたが、なるほど石油業法に従ってお考えになる予定の計画であろうと思われますが、しかしそれとても、いまの環境をまるで度外視して無視して行なわれる設備は、もはやこれから成り立たないということは常識であります。しかも、特別法優先の原則というものがあるわけでありますから、そういう点から考えて、通産大臣は、石油業法によってやはり許認可権というものを持っていらっしゃる。その辺からして、この問題に対する取り扱い今後いかんということをひとつお伺いします。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の審議会の答申につきましては、各工場とも地元の了承を得ている、そういうことが条件になっておりまして、その市町村あるいは知事さん等の了承したというような添付書類のついてきているのもあるし、あるいは口頭でそういうことを言ってきたのもあります。やはり地元の了解なくしてそういうことをやってはいけない。そういう了承がついているということ、それから今回答申で出てきた分につきましても、これはいますぐ許可するという段階ではなくして、向こうが計画を出してきて、そうして事業に着手するというときに、いろいろ状況を点検して許可する。大体五十一年、五十二年の需給計画全般を見て、この程度のものは必要であろうという判定をもってわれわれはこれを見ておりますけれども、それを実行するという場合には当然地元との話し合いがさらに精密に行なわれ、環境基準については瀬戸内海環境保全法の制約のもとに認められるという工場でなければならぬ。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕 そういう考えに立ってわれわれは対処していきたいと思っております。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 五十一年、五十二年の需給計画に従ってと言われますが、いまそんなものが事実、計画として見通し可能なんですか。大体そういうことを平気の平左で答弁なさることに私はたいへんに不信を感じます。現に一年間先の見通しだってどうもこのところ見通しがつかないといういま現状じゃないでしょうか。しかも、今回のこの十一月十三日の案の中身の試算というものは一体どこに基準を置いてなされたか。これはことしの三月の需給計画というものが基本にあることは言うまでもありません。しかし、需給計画それ自身は、御承知のとおりで、経済成長率であるとか鉱工業生産指数というふうなものから需給バランスを見てつくられるわけでありまして、いま、まさしくその二つともくずれてきているじゃないですか。その二つというのは、一つは経済成長率であり、一つは鉱工業生産指数であります。したがいまして、そういう点からいったって、これは基本的にやはり十一月十三日のこの案に対しては見直しが必要なんです。ましてや、この瀬戸内海についてはさらに特別法があるという事情であります。したがいまして、いまの御答弁じゃどうも私は納得がいかない。その辺ははっきりひとつお願いします。
  118. 山形栄治

    山形政府委員 石油の設備の許可の問題につきましては、石油業法で毎年五カ年間の先を見込んでこれを運営いたしておるわけでございます。われわれは、いま先生の御指摘のとおり、大体成長率はいまの成長率より下げましたかっこうで一応の試算を行なったわけでございます。これからの石油の入手の見通しにつきましては、御指摘のとおり非常にむずかしい状態でございまして、一年先もどうなるかわからないような状態でございますけれども、しかし、一応日本経済の長期の計画的な進展というものはやはり別途考えておかなければいかぬものであろうかと思いまして、そのための土地の入手、環境基準とのすり合わせ等を長期的にあらかじめ調整しておく必要があるという配慮のもとに今回百十三万を認めたわけでございます。しかしながら、これの運営につきましては、いま大臣から御答弁ございましたように、実際の運営の段階におきましてその事情の推移を見つつ、かつ瀬戸内法との調整は当然はかることを前提に運営いたしたいと思っております。  なお、よけいなことかもしれませんが、各地で、イラン等々で現地精製の問題が起こりまして、進んでおります。これの日本に対する輸入の問題もございますが、現在ございます計画の一番早いものが五十三年以降でございますので、五十二年までは適切なる国民経済と国民生活の保持のためには、やはり国内精製の妥当なる数量の設備を考え方としては保持しておく必要があろうということの配慮でこういうことをやったわけでございます。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 よけいな御答弁は以後ひとつ御遠慮願いたいと思います。時間が一時三十分まででありますから、何としてもこれは一問一答形式で、私の質問に対してがっちりかみ合う御答弁を一言いただいたらいいんです。  そこで、環境政務次官お急ぎのようですから、これは追って、あと具体的な中身については、公害対策特別委員会のほうに持っていって私は質問をさらに続行しますから、どうかお立ちくだすってけっこうです。  さて、いまの問題は、基本的な通産行政の姿勢ということもかんでいる問題でありますから、あと少し運輸大臣に対する質問を終えてから、そちらのほうにももう一度質問の矢を持っていきたいと思うのですが、運輸大臣には、これは単刀直入に申します。  昨日、連合審査の席で島本虎三委員がここで質問されました北海道の苫小牧東部大規模開発の問題なんです。あの港湾計画は、現行の港湾法に従って考えますと、四十八条の二項からして、運輸大臣には最終的には決定権がございます。したがいまして、いまこういう事情のもとで五十三年までを一つの目途としながら、しかし行く行くは六十年に向けての大規模開発というふうなものについて洗い直しをして再検討しなければならないというのが、私はいまの国民的常識だと思うのですね。そういう点からしますと、目の前に迫っているのが十九日の審議会ですが、この審議会に対してどういうふうな態度大臣は臨まれるのか、これをひとつはっきり聞かしておいていただきたいんです。
  120. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 昨日、島本先生の御質問にもございまして、いままた、六十年計画を前提にして、第一期としていわゆる五十三年計画を進めておるこの段階でというふうな御質問でございますけれども、六十年計画というのは前にあったようでございます。これは事実あったに違いありません。しかし、それがどうしても六十年計画が成り立たない。これはまあ環境の問題とか、いろんな問題があろうかと思います。成り立たないからその計画を五十三年に改めた。したがいまして、私どもは五十三年の計画だということで受けとめております。五十三年の目標でこの計画を策定したものである。  それから、いまお説のございましたように、港湾法は、まあいろいろ順序はございますけれども、最終的には審議会の答申を受けまして私が可否を決定する、こういうことになっておるのはお説のとおりでございます。いままでこの苫小牧につきましてはいろんな歴史があったようでございます。私も聞いておりますけれども、いろんな曲折があって今日に来ている。そうして、事務的にも順序を踏んで積み上げてまいりまして、また道議会あるいは港湾管理組合の議会の議を経て、そうして計画をここに持ってきておるわけでございますから、これをいまの時点で、私に審議会にかけるのをやめろという、中止したらどうかというような御意見も確かに拝聴しております。しかし、これはもう私といたしましては、各部門に事務的に積み上げたことに問題がなければ、間違いない手続を踏んできておれば、私は、ここでこれをもう一ぺん練り直せという、突っ返すだけのことは実はいま考えておりません。なお、審議会にかけて、それぞれの専門の方々からの十分な御審議をいただきまして、その上で、その審議の過程やあるいは答申の内容等も十分尊重いたしまして最後の結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁からすれば、合法的な手続を踏んでいさえすればこれを拒否するいわれはないという御答弁であります。  ところでお尋ねいたしますが、合法的手続というものに私は二面があると思うのです。形式面と実質面であります。形式的に手続を正当に踏んでいさえすればそれでよいというのは法律万能主義なんです。これは厳に慎しむべき問題だと私は思うのですね。中身に盛られていることが実は肝心かなめの問題でありまして、実質的に一体どちらの立場に立ち、何を目的として、どういうふうにそれが行なわれるかというところが肝心であります。  それからしますと、昨日の島本委員の質問をここであえて繰り返す余裕は私にはありません。時間的余裕もなければ大臣のお時間もあります。したがいまして、それを繰り返し言いませんが、五十三年についてでも、いろいろ実質的な中身からするとどうかと思われる節があるのですよ。しかも、現に石油についての需給の見通しが成り立たない現在の状況でしょう。そのときにどうして審議会で、この港湾計画についてつくることができるかどうかというふうな問題についての賛否を大急ぎでしなければならないか。これは一つはどうも解せないところなんであります。大臣の胸一つですよ。港湾法によれば大臣に決定権があるわけでありますから、ああ運輸大臣はよくぞがんばってもらえた、あれでこそ大臣だといわれる絶好のチャンスはいまなんです。いまのこの世の中で国民は一体どういうふうな状態かというと、秒読みで上がっている物価高の中で政治不信、政府不信、国会不信という状況になりつつあるわけであります。その中で一大臣ぐらいはがんばってもらわないと、私は国民的政治というものはもはや不在といわなければならない。運輸大臣、どうですか。これは大英断をもって臨む大規模計画だと私は思うのですよ。いまだかつてない大規模の計画なんでありますから、したがいまして、これについては、いまこの時点で運輸大臣の決定権こそ私は非常に大事な意味を持っている権限だというふうに思います。したがいまして、もう一度そういうふうな意味においての御答弁をお願いしまして、次に移ります。はっきり御答弁をお願いします。
  122. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 おっしゃることは、一々私にもよくわかります。よくわかりますが、先ほども申し上げましたように、私は法律万能で、法律の手続を踏んだから、すぐ右から左にこうというわけではございません。もろもろのことを考え合わせて、結論は審議会の専門の皆さんの、港湾審議会の先生方の慎重な御審議をわずらわして、いろいろな問題点があろうと思います。そういう問題点を羅列して、また国会でいろいろ御指摘があった点も、こういうところが御指摘があった、こういうものはどう考えるべきかというようなことをもあわせて審議会の皆さん方の御審議をわずらわして、そうしてその結論、その審議の経過というものを十分尊重して、それからが私がいよいよ最後にきめることでございますから、そういうようなつもりで間違いのないように、先生の御趣旨を体して今後もやってまいりたいと思います。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁は先ほどの繰り返しであります。それじゃ観点を変えて、もう一問言いましょう。  これは五十三年までの全体計画に基づく四十九年度の予算措置でありますから、もう目の前の予算編成について運輸大臣態度決定が非常に大きな意味を持つわけであります。大蔵省のほうだって、運輸大臣がどうお考えになるかによって四十九年の予算のつけ方が違うわけですね。そういう点からするとタイムリミットがあるわけですよ、目の前のタイムリミットがある。審議会の答申を待って、審議会のお考え待ちでとおっしゃいますが、それでは一体、いつごろ運輸大臣はその問題についておきめになる予定でありますか。
  124. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 審議会は十九日に開かれる、これにかけざるを得ぬと思っておりますが、その審議会で右から左にすぐオーケーと出てくるものか、あるいは審議会でさらにいろいろ御検討なすって、あるいはそれから先に延びるものか、これは審議会の審議を尊重するよりほかに私のほうからどうこうという指図をする筋合いのものではございませんから、そういうことになろうと思います。  なお明年度の予算につきましては、先ほどいろいろこの国会でも御審議あるいはまた政府も答弁しておりますように、総需要抑制の立場からこれを決定したから、すぐこれが来年から予算がついて事業が動き出すというものではございません。一応決定は決定としまして、事業は別の観点から、まだこの港湾の問題については漁業補償の問題等、いろいろな問題があろうと思います。そういうものをもあわせて慎重な事業の推進になると思いますが、審議会の問題は先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 これはいつまで押しても押し問答みたいなものでありまして、運輸大臣も実はつらい立場にお立ちになっているのであろうと思うのです。それは地元のいろいろな事情であるとか、あるいは全体の視野に立って考えた立場であるとか、あるいは運輸大臣としてやはりこのことに対して責任担当大臣でありますから、どういうふうに港湾計画を独自の立場で考えていくべきかとか、いろいろな苦衷は察するに余りあります。しかし、これはやはり大事な時期であるということをもう十分御認識のはずでありますから、ひとつ悔いのない態度で臨んでいただかなければ困る。  そこで、大蔵省のほうにちょっと聞きたい。これはすでに四十八年度には十九億ついていますね。そして五十三年度までの全体計画ということを認めることによって四十九年度の予算というものが計上されていくと思うのであります。五十三年度までは千五百三十億の総工事費、ところが中身を見ていきますと、取り扱い貨物というのは二千八百十万トン、割り振りをしていきますと、一トン当たり建設費は五千四百四十五万円かかってくるわけであります。前例がないたいへんな投資だということを言わなければならない。ここに誘致される四、五社の設備にこれだけの予算をつぎ込むということはいかがかと思われます。公共投資民間投資についての削減というものが昨今問題になっているやさきでありますから、そういうことからも考えて、四十九年度のこの予算についてこの港湾計画、特に苫小牧東部開発計画についてどういう態度で臨まれるのか、その辺を少し聞かしておいてください。
  126. 藤仲貞一

    藤仲説明員 お答えいたします。  苫小牧東部港区の開発計画につきましては、先日来御議論がございますように、港湾審議会において十九日に御審議を始められる、かようなことを承っておるわけでございます。それで、この全体の計画につきましては、おそらく長期的な観点あるいはその他種々な観点から、港湾審議会におきましても、あるいはまた関係省庁におきましても検討を加えられるものというぐあいに考えておりますが、その結論といたしまして、計画が五十三年度までに幾ら幾らというぐあいにきまってまいりましても、これが直ちに四十九年度における事業実施ということを意味しないと思います。何となれば、そのためには現行の港湾整備五カ年計画の改定ということが必要になるのではないか、かように考えるわけでございます。  さしあたり四十九年度はどうするか、こういう御質問でございますが、御案内のような情勢から、財政当局といたしましては、四十九年度予算における公共事業費につきましては相当程度の圧縮をはかる、かような考えで臨むつもりでございます。その圧縮の規模あるいは内容につきましては現在検討中でございまして、ここで申し上げる段階ではございませんが、その一つの方向といたしましては、大型事業のスローダウン、こういうことを考えておるわけでございます。  このような意味におきましても、四十九年度の予算につきましては、苫小牧東部地区につきましては、事業費におきまして約七十億円の要求があるわけでございますが、関係各省庁とも十分協議いたしまして予算をきめてまいるわけでございますが、私どもといたしましては極力これを圧縮いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 極力とおっしゃる中身をもっともっと詰めていきたいわけでありますが、これはあとにひとつお伺いしたい質問が残っているわけですから、できたらきょうは大臣の御出席を求めてと思っておりましたが、それは一体いつごろにそれでは具体的な中身が決定される段取りでいま作業が進行中かだけを一言お伺いして、先に進みます。
  128. 藤仲貞一

    藤仲説明員 私どもが伺っておりますところでは、大蔵原案は二十二日に閣議に提出する、かように承っておりますので、それまでには大蔵原案としての四十九年度予算額を決定する必要がある、かような状況でございます。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、十九日の審議会の中身いかんということが非常に大きな意味を持ってくることがはっきり浮き彫りにされるわけであります。その問題は非常に大事なので、いまタイムリミットのあることでもありますからさらにお伺いしたいのですが、先ほど申し上げたとおりに、大臣の御出席があった上でというふうに考えておりました。したがいまして、これはまたいずれかの機会に問題にしたいと思います。  さて、今回の石油需給適正化法案の問題に移りたいわけでありますが、これは現行法としてある石油業法との関係でどうなるかということで、時間の関係から一点だけ聞きたいわけであります。  それは石油業法による石油供給計画は単なる年度ごとの需給規定だけでなくて、石油政策の基本的な骨格を現になしているわけなんですね。たとえば、供給計画策定の時点で日本の精製パターン、いわゆる精製得率を決定して、製品輸入ワクを想定して、さらに石油精製設備の必要量をはじき出して、許可額のめどをつけて精製設備許可の布石にしてきたというのがいままでの行き方なんですね。これら一連の作業というのが適正化法の実施と同時にたな上げか一時凍結になるかというふうないろんな世上の問題が出ているわけでありますけれども、かりにいま適正化法が十二月の国会で成立したといたしましょう。おそらくはすぐに告示が出るでありましょう。三月末の石油業法による供給計画というものがどういうことになるかということとのかね合いも出てくるわけでありますが、そこで一つ問題にしたい点が出てくるわけであります。  現行の精製得率ガソリン、ナフサベース二三%前後というパターンをどうするのかという問題であります。実は、今度の適正化法案審議の途上、常にわれわれは民生用優先ということを言ってきました。民生用優先ということになってまいりますと、原油処理量の中で何よりもLPG、灯油軽油ガソリンなどを確保していかなければならないという至上命題が出てくる。一方いま現に石油業法に従って考えられていった石油会社の生産設備というものは、現行の石油供給計画による精製パターンを前提として構成されているわけであります。したがいまして、適正化法によっていきなり灯油軽油、LPGを増産せよといっても即座に対応できるものじゃなかろうというのが当然考えられるところなんです。したがいまして、こういう点からすると、精製得率の問題を一体どう考えるか。これは私は一つのきめ手になるのじゃなかろうかと思います。一つは供給順位の判断、これも非常に大事な問題です。だから、おそらく産業の上で考えられるのは、電力、ガスの公益事業というものを念頭に置いてそれを優先的に考えるということがありましても、それから順を追って優位順位をどういうふうに考えていくか非常にむずかしい問題ではありますけれども、これ自身も一つははっきりしておかないと、いまもう現に実際の商取引石油会社個々の判断によって一〇%から三〇%供給制限というものが行なわれてしまって、十一月二十日の石油、電力一律一〇%削減の行政指導というふうなものが非常な混乱状態を起こしているという現状ですね。ですから、そういう点からも考えまして、一つはこの得率の問題と、もう一つは、いまの優位順位というものをどういうふうに考えるかということと、これはひとつはっきりさせておかなければならない問題だと思うのです。再三再四これに対しては繰り返しての御質問があったように思われますが、ひとつこの問題をはっきりさせておきたいと思って質問しました。
  130. 山形栄治

    山形政府委員 得率の問題でございますが、得率は自由自在になるものではございません。おのずからの限界はあるわけでございますが、私のほうの現在の基本的な考え方は、ガソリンをなるだけ得率を落としまして、そうしますと自動的にナフサの得率が上がりますので、ナフサは産業用にも非常に使われており、原料用にも使われておりますけれども、このナフサを産業用にうんと使うことによりまして、たとえばガスにたいておりますLPGをナフサに転換することによりましてLPGを確保する、そういうような油種間のバランスを得率の変更によりまして行ないたいと思っておるわけでございます。  それから優先順位の問題は、先ほど来いろいろと出ておりますように、いま各省ともこまかい各論の詰めも行なっておりますので、その前提に従って優先順位をできる限り詳細にきめていきまして、それに即応するそれぞれの油種確保を行ないたいと思うわけでございます。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 それは通り一ぺんの、教科書でいうと第一ページに書いてあるような答弁でありまして、もう少し具体的に、たとえば供給計画について、来年三月におそらくは出さなければならない中身に、この得率については民生優先ということを確保した中身にするということの確約ができるかどうかというあたりは、やはり具体的に答えていただかないと答弁にならないと思うのですよ。その辺はいかがです。
  132. 山形栄治

    山形政府委員 石油業法に基づきます計画は五年間想定するわけでございますが、こういう緊急事態でございまして、いま御審議いただいております石油需給適正化法案、これが通りますれば、むしろこの適正化法に基づく供給目標、それに基づきます供給計画、それが先行すべき段階だと思うわけでございます。石油業法のほうの五カ年間をつくるという作業は三月ということが予定されておりますが、これは延ばさざるを得ないと私は考えております。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 それは需給についてのある程度のめどが立ったときということでありましょうが、三月を延ばさざるを得ないといって、一体いつごろというふうにいま考えていらっしゃいますか。
  134. 山形栄治

    山形政府委員 いま申し上げましたように、御審議いただいております需給適正化法案のほうの供給目標、供給計画をつくりまして——この三月につくるということは省令でもってきまっておるわけでございますので、今後の石油事情、長期的な展望のめどがつきますところで来年中に石油業法に基づきます計画をつくるようなことを期待しておるわけでございます。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、手続の上からいえば省令についての改正、さらにはもう一つ言うと、石油業法第三条についての改正ということの必要性もあり得るということになってまいりますね。
  136. 山形栄治

    山形政府委員 省令の改正は私は必要だと思います。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 その問題で民生優先という——さらにこれも得率の問題を詰めていきたいのですが、時間が制約されるというのはもうたいへんに困った問題で、質問についての追い打ちをさらにかけていくとあとの一つ聞きたい問題が消えてしまいますから、これは民生優先という点から、ここに具体的に上がっていることについて一つお伺いしておきたいことがあるのです。  それは、二十日に電源開発調整審議会が行なわれます。略して電調審と申しますが、そこでおそらくは問題になるであろうということが予期されるものに、山形にございます酒田の共同火力の問題がございます。住友軽金属と東北電力による酒田共同火力の問題でございますが、共同出資をいたしまして設備を整備するという問題であります。  これは聞くところによりますと、住軽アルミは五十一年には完成をして操業を開始したいということであるらしいのですが、アルミ年産十八万トン、電力三十五万キロワット二基。ところでこれは一つ民生優先という点から考えて看過できないことがあります。御承知のとおりに、アルミ製錬という問題は電気のかん詰めといわれるぐらいに電気をたくさん食べるのですね。概算地金一トン当たりについて大体二万キロワット必要だといわれておる。しかも、これだけたくさんの電気を食べるわけでありますから、そのためにわざわざ発電所をつくって、しかも低廉な電気料金でまかなうということになっていっているわけです。いまこういう状況のもとで、需給見通しがつくまで審議会というふうなものを開かないのが通常常識じゃないかと私は思うのですが、この問題についてどういうふうに考えていらっしゃるかということを一言尋ねたいのです。
  138. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる電調審といいますのは通産省でございませんで、企画庁の所管でございまして、私のほうから軽々にものを言うべきではございませんですけれども、今後の石油の問題等を考えますと、それにつながる電力、結局エネルギー多消費産業の改善ということが当然産業構造問題の大きな問題でございますので、私の個人的な見解でございますが、そういうものの取り扱いにつきましては慎重に取り扱うのが本筋ではなかろうかと考える次第でございます。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 慎重にという中身をもうちょっと具体的に言ってください。もう慎重に慎重にというのは、どうも政府答弁からするところの一番御都合のよい日本語でありまして、もうちょっと中身についてはっきりしていただかないと、この節、それこそほんとうに慎重な答弁にはなり得ないと思うのであります。どうですか、もうあと一言言ってください。
  140. 山形栄治

    山形政府委員 アルミの問題私実は所管でございませんでよくわかりませんけれども、確かに電力のかん詰めみたいな感じがいたしておりますので、今後日本でアルミの製錬の設備を増設するということについては、まあうしろ向きということばがあるかどうか知りませんけれども、そういう意味で、なるたけつくらないような方向という意味で慎重にそれこそ検討すべきであると思うわけでございます。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 それはアルミ製錬についての新増設というものは認めないのが本旨じゃなかろうかという御趣旨ですね。
  142. 山形栄治

    山形政府委員 エネルギー庁長官といたしましてはそのとおりでございますが、アルミの——これはもうみんな生活に直結している製品につながる問題でございまして、日本のアルミの需給問題それから海外の開発の問題等、これは所管のところで御検討を願うべきだと思います。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 もう時間ですから、最後に一問通産大臣にお聞かせいただきたいことを申し上げて終わりにいたします。  それは、いま石油事情が逼迫しているのは自由主義国共通の問題でありますが、わけてもアメリカやイギリスに比較して日本というのは、これから経済計画なり産業構造なりに対して根本的な手直しを迫られている事情があるということは重々念頭に置いておかなければならない問題だと思います。そういう点から考えまして、先日来国民に対してのけちけち運動、国民に対しての節約運動、これの奨励をしきりになすっているわけでありますが、アメリカやイギリスに比べますとやはりその点についての感覚というのが少しずれておりまして、私は、もっと合理的にといいますか、生活面からすると、もう一つこういうふうに持っていったらそれは国民的合意のもとに節電というふうな方向に持っていけるんじゃなかろうかと思われる問題が一つあるわけです。それはサマータイムですね。夏時間に切りかえるというふうな計画なんでありますが、これ自身については、通産大臣はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるかというのをひとつお聞かせいただきたいのです。
  144. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず第一に節約運動、けちけち運動と言われますが、私はそういう現象的なことよりも、もっと本質的な哲学、生活の知恵を日本はいま再検討すべきであり、転換すべきである。戦後アメリカから入ってきた俗悪な消費的、量的文明というようなものを日本固有の非常に節度のある、質をとうとぶ、そういう文明観をもう一回掘り返して、あのがさがさした大きな紙袋を持って歩くのがいいのか、自分の趣味に合ったふろしきを大事にして何回も使うのがいいのか、そういうような哲学的転換を特に女性の方々におかれまして世の中を指導されるようにお願いいたしたいと思うのであります。  それからサマータイムにつきましては、これは賛否両論ありまして、私は占領中経験いたしました。土井委員も御経験なすったと思いますが、どうもこれは男性を疲れさせますね。それで、朝早く起きてやるのはいいのですけれども、日本の場合は、うちへ帰ってきてからやることがなくて、おそらくテレビばかり見るという形になりはせぬか。早く寝るというのはいいのですけれども、アメリカのような、ああいうふうに全部利便が整っている国で、非常に膨大な国土を持っていて、わりあいに斉一な生活をしている国はいいのですけれども、日本のように南北が非常に長くて、北海道から沖繩まで時間差が、太陽の影響が非常に長い、変化があり過ぎる、こういう国で実際にやってみましたら、私ら三日ぐらいやったらもうがっくりしまして、理想としては非常にいいけれども、実際やってみるとアメリカと事情が違うなというのが当時の実感で、それでやめちゃったわけです。やめるにはやはりやめる理由があったので、私はやはりサマータイムを採用するについてはよほど慎重にしてやらぬと、また三日坊主になりはせぬか、そういうことをおそれております。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 これで質問を終わりますが、これは紙袋よりもふろしきをという、耐久力のある品物を愛用するようにというおすすめであると思いますが、それは使い捨ての文化、消費生活というのはやめなければならない。しかし、それは消費者が好んでそれを求めたわけではないのであって、日本の産業構造、経済政策そのものがそれを巻き起こしてきたんだ、その上に成り立ったんだということをひとつお忘れなきようにお願いしたいわけであります。したがいまして、この問題につきましても、サマータイムというものについて日本の実情に合わない、自然、天然現象の実情に合わない、それだけであるというのなら何をか言わんやでありますが、やはり産業構造の基本的な切りかえ、経済政策についての根本的手直し、それに従って考えていった場合に、こういうふうに持っていくのは可能であるという観点からして、サマータイムに対する検討も可能ではないかと私は思うのです。やってよいことじゃないかと思うのです。したがいまして、これは男性が疲れるということだけ出てくるというふうなこともおっしゃいますが、女性も労働力からいいますと均等に提供しているがゆえに世の中はやはり存在しているわけでありまして、男性のみに対して力点を置いた御発言のように私は受け取れるわけでありますが、ひとつその辺の手直しもお願いして、最後に一言お伺いして終わりにします。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 男女平等に慎重にこれは検討すべき要素があると思います。
  147. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  148. 田中六助

    田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。神崎敏雄君。
  149. 神崎敏雄

    神崎委員 初めに、わが党は、石油問題、これに関連する中東問題その他の基本問題は、本会議あるいはまた予算委員会で質疑を行ないましたので、私は、それ以外の若干の問題についてお尋ねをすることにいたします。  まず、通産大臣伺いますが、今日石油危機が異常な事態だ、パニックだ、こういうふうに非常に騒がれておるのが実情で、この中で、石油需給適正化法案を出されました。ほんとうに石油が非常事態だというほどわが国にはいま不足をしておるのかどうか、これをひとつお答えを願いたいと思います。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ことしの輸入見込みに対しまして逐次削減が加えられつつありまして、下期については、予定数量よりも二〇%以上の削減が見込まれる情勢になりまして、不足している状態であります。
  151. 神崎敏雄

    神崎委員 下期についてはというのは、下期というのはいまも入っておるわけですね。そこで、私の調査では、十二月の十四日、大蔵省の貿易統計速報によりますと、十一月の原油輸入量は二千三百九十八万キロリットル、この量は前年と比べますと五・四%増加している。大蔵省はこの数字を認められますか。
  152. 齋藤盛之

    ○齋藤説明員 貿易統計の数字は、先生のただいまおっしゃったとおりの数量でございます。
  153. 神崎敏雄

    神崎委員 そこで、いまの十一月の原油輸入量は二千三百九十八万キロリットルであるということは大蔵省が認められた。したがって、通産省発表の統計によれば、石油製油所の十一月在庫量は大幅にふえて、灯油は昨年の約四〇%増になっておる。それは、製油所における灯油在庫は昨年十月が二百二十五万三百二十四キロリットル、ことしの十月は三百九万一千九百四十六キロリットル、すなわち去年の十月とことしの十月と対比しますと三七・三%増であります。また、ことしの九月と十月と比較いたしますと、灯油在庫量は製油所で四十六万三千六百八十一キロリットルふえております。九月末在庫は、石油連盟の説明で六十六日分と言っております。  そこで、石油製品の製油所における在庫量は、昨年十月とことしの十月を比較いたしますと、ガソリンでは二五・五%増、ナフサで五九・六%増、軽油で一二・六%増、A重油で八八・八%増、B重油で三〇・六%増、C重油で七・四%増、ただ一つ減っておるのは、液化石油ガス二%だけであります。あとはいま読み上げましたように、全部在庫はふえておる。したがって、石油不足、いわゆる石油騒動は大手石油業者の売り措しみによってつくり出されたものだということがここで明らかになります。石油がわが国にあることがはっきりしたのだから、私はここでほんとうに石油がいまないのかあるのかということを明らかにしなければならない。これが国民に対する今日の最大のわれわれの義務だと思うのであります。一般的によくいわれますが、灯油は五百八十万キロリットルあるとか、あるいは五百九十万キロリットルあるとか、こういうことをよくいいます。     〔田中(六)委員長代理退席、稻村(左)委員長代理着席〕 トータルの数字はよく見ますが、企業別の在庫量をここで公表すべきであると私は思うのです。そうしたら、国民もそれだけあるならという形で安心をすると思います。  そこで大臣伺いますが、この在庫量をいわゆる企業別で発表される用意があるのか、あるいは公表される用意があるのか、ここをお尋ねいたします。
  154. 山形栄治

    山形政府委員 在庫につきましては、九月末で五十九日であったわけでございますが、十一月末で五十七日ということになっております。  ただいま先生のおっしゃいました各油種別の在庫日数もわれわれのほうはつかんでおります。一番在庫日数の多いのが、御指摘灯油でございます。われわれといたしましては、十日おきに各社から報告を受けることになっておりまして、全体としての在庫量及び在庫日数につきましては、これを当然に外に出すつもりでございます。  それから、一番最初に御質問のございました十一月の通関統計でございますが、これは対前年同月比で五・四%の増でございますけれども、当初われわれが想定いたしました必要量約二千八百万キロリットルに対しますと一四・四%の減でございまして、われわれ最初七%くらいだと思っておったわけでございますが、一四・四%の減少ということに相なっておるわけでございます。
  155. 神崎敏雄

    神崎委員 企業別の在庫量を公表されるかされないかということを大臣に伺っておるのです。
  156. 山形栄治

    山形政府委員 各社別の在庫といいますのは、非常に地区別、その他詳細なものでございまして、どういう品物がどのくらい、どこで在庫されているかということは、われわれのほうとしてはなかなかわかりにくい点もございます。一応数量としての報告は受けておりますが、これを集計いたしまして、各油種ごとにいまどういう状態にあるかということについては公表できますけれども、各社別の詳細につきましては、私は無理だと思います。
  157. 神崎敏雄

    神崎委員 トータルはわかっているのだけれども各社別のやつは公表できないというのは、何か根拠があるのですか。
  158. 山形栄治

    山形政府委員 われわれといたしましては、灯油につきましては、先般御存じのとおり十月中旬で六十三日分、いま御説明しましたように、十一月末では六十七日分、要するに各社の備蓄数量をふやすことによりまして、あわせて価格を凍結し、販売ルートを通じて全体にこれが円満に解決する、流通するように手配いたしておるわけでございます。こういう行政目的からいたしまして、全体の備蓄量がつかめれば十分ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  159. 神崎敏雄

    神崎委員 聞いていることに答えてください。公表するのかしないのか、できないのかできるのか、しなければしない、できなければできない、できるならできる、それを答えてもらったらいいです。いつも企業秘密企業秘密ということを聞きますから、それを聞いているのです。
  160. 山形栄治

    山形政府委員 各社別につきましては、私は公表できないと思います。
  161. 神崎敏雄

    神崎委員 それは企業の側の希望ですか、当局側の希望でできないのですか。
  162. 山形栄治

    山形政府委員 行政目的からいいまして、私のほうはいま一生懸命やっておるわけでございますが、各社別を公表いたさなくてもこれは十分できると思います。各社からの要請で私があれしているわけではございませんが、各社の在庫といいますのは、灯油に限らず、あらゆる油種につきまして各社の営業につながることでございますので、俗なことばでいう企業秘密の中に入るのではないかと思います。
  163. 神崎敏雄

    神崎委員 各社の企業秘密に属するものであるから、政府もそうだというふうに理解しておる、そういう立場をとっておる、こういうことだと思うのです。  そこで私は聞きますが、十一月二十九日、日本石油本社を私はたずねました。そこで岡田常務取締役という人に会った。日本石油在庫量を発表するように私は申し入れた。五百八十万とか九十万とか、日によって違いますから、そこでその五百八十万というものが、たとえば日本石油には何ぼあり、どこに何ぼありといって、総合計がそうなれば国民はもうあせらない、だからおたくではどれだけの在庫量をお持ちですかということを伺いに行った。そうすると、岡田常務は、即座に提出いたしますと私に約束したのです。ところが、タンクが全国的に散在しておりますので、それを電話等で問い合わすのには約二時間ぐらいはかかるでしょう。私が岡田常務と別れたのは三時です。必ず五時までに議員会館にお届けをいたしますのでというので私は別れた。そうすると、五時少し前に電話がありまして、実は先ほど約束いたしました在庫量を五時に持っていきますと言いましたけれども、通産省に渡すことをお尋ねしたら、そういうものを発表してもらったら困るときびしく言われた。そこで、どうかひとつその資料を渡すことをかんべんしてくれ、そして点在しているタンクの場所と個数はお知らせいたします、量だけはごかんべん願いたい、こういう電話が、非常に丁重に、電話では失礼ですが、これから伺っておわびをしようと思いますが、お待ちになっていたらいけませんのでというので電話をいただいた。そこで私は、岡田氏に、それは通産省のだれが、どこがそういうものを公表してはいけないと言っておるのかということをただしましたら、総務課でありますという話も聞いた。企業が発表するといっているのに、通産省が発表するなというのは一体どういうことなのか。それ以降私は非常に疑義を持ちながら遺憾に思っている。よくここで中曽根大臣企業秘密でございますということをおっしゃるが、これは企業秘密なのか、通産省の秘密なのか、こう思わざるを得ないのです。一体これについてはどういうような御回答があるか、明確にひとつ答えていただきたい。
  164. 山形栄治

    山形政府委員 通産省のほうで、企業が出すといっているものをとめるという考えは毛頭ございません。むしろ、先ほど申し上げましたように、われわれといたしましては、全体の量をつかむことによりまして目的が達せられるということで行政をいたしておるわけでございますから、もし先生のおっしゃいますようなことがございましたら、総務課でそういうことを言ったということでございますれば、私の監督不行き届きでございます。
  165. 神崎敏雄

    神崎委員 常に私は事実に基づいて発言をするのですが、先般も、川崎市のときにあなたが、もしそのことが事実であればということを言われたのですが、事実だから言っているんだ、もしはよけいなことだ、取り消しなさいと言ったことを覚えていますね。ここに岡田さんの名刺もありますが、ここで架空なことを言っているのじゃない。いますぐだれか通産省の方が岡田常務に電話されて、神崎議員にそういうことを電話したかせぬかということを聞かれたら、すぐわかることです。私は常にそう思うのですが、いかに自民党政府といいますか、あなた方が大企業の擁護をする立場というものを一貫しているかということを追及するのはそうであって、五百八十万キロリットルあるとか、五百九十万キロリットルあるとか、テレビや新聞では盛んに言っておるのに、町へ行くと、油屋さんには灯油がない。そこでまた買い急ぎやらいわゆるパニックが起こっているのでしょう。心配するな、日本石油にはこれだけあり、大協石油にはこれだけあり、丸善石油にはこれだけあるんだ、そういうことを公表したら国民は安心するのでしょう。感覚的にいっても、五百九十万キロリットルといったら一体どれだけの量かわからないですわね。ところが、昨年よりもまだよけいに輸入されているんだ。油はあるのです、五百八十万もあるのです、九十万もあるのです、買い急ぎをしなさんなと、大臣はテレビで盛んにおっしゃるが、行ったらないからこれだけの騒動が起こって、危機とまでいわれているのでしょう。それになぜこの段階になって企業別の在庫を明かすことにためらうのか、しかも企業が言ってもらっちゃ困るといって政府に懇請しているならいざ知らず、日本石油の最高責任者が発表しますと言っているものを通産省が押えるというのは一体どういうことなのか、これはどうですか。
  166. 山形栄治

    山形政府委員 在庫につきましては、各社相当のアンバランスに実は相なっておりまして、ある社は非常に油の入手がいいというようなことから、またその油の性質が軽質性であるというようなこと、いろいろな事情がございまして、各社別にそれぞれ非常に差があるわけでございます。これは従来からもあったわけでございますが、現在でもあるわけでございます。したがいまして、それぞれのユーザーは、従来から、ある会社との取引経路を持っておる例が多いわけでございますが、各社別の在庫をそのまま出しますと、地域別、部分的にも非常に問題が生ずるおそれもあるわけでございますので、われわれといたしましては、特に灯油等につきましては非常に重要なものでございますので、本日から各府県別のあっせん所もつくりまして、結局玉を公平に分けるというのが行政の目的でございます。在庫の少ないところ、それにつながったところにショートが出ましたときでも、融通を通じましてこれを過不足なく公平に、即座に機敏に配給するというねらいがあっせん所のねらいでもございます。各社別の在庫というのは誤解を生ずるおそれもございます。われわれとしては全体をつかみながら、それぞれのあっせん機能、苦情処理を通じまして、公平なる行政をやっていくのがいまの基本的な原則でございます。
  167. 神崎敏雄

    神崎委員 非常に異なことを聞くのですが、各社別に差があったら、あるいは地域別に差があったら困るので、それを公平にやるためにはそれを発表しないほうがいいと思うということと、企業秘密という形で今日までそれを厳守されてきたことは、理解の前提が、あるいはいまの答弁が異質のものである、私はそう思う。  もう一つは、大手十一社とか十三社とかいわれるように、各社が独立したものを持っていますね。そうして、いわゆる地域的に変わったりしますね。それを公平にするというのは、Bの会社が少ないからAの会社からBの会社のほうへ回すとか、あるいはCはAよりもよけい持っておるからそっちへ回すとかというようなことをおやりになるために公表してはいけないというふうにおっしゃるのですか。
  168. 山形栄治

    山形政府委員 先ほど申し上げましたように、あっせん所というのがきょうから始まったわけでございますが、もう一つ並行いたしまして、各社間の油の持っておるものが、いま先生のおっしゃる融通的に、ある社の販売店からある社の販売店に流れる、またはユーザー別に見ますと、いままでたとえばA社にくっついておったものの流れが今後はB社とのつながりをつけるという、取引経路の変更等も必要であるわけでございます。石連の中に、この融通のための委員会をつくりましていまやっておるわけでございますけれども、なかなか過去の商圏というものを失いたくないということにおきまして、まだ成案が最終的には出ておりません。しかし、そういう方向とあっせん所の機能と両方込みにいたしまして今後行なっていくわけでございます。こういうことが推移しております段階でそれぞれの各社から出ますことは、それにつながっております消費者にむしろ非常な混乱を起こすことが考えられますので、これらの成案を得、全体の円滑なる配給を確保するようなことで進んでおるわけでございます。
  169. 神崎敏雄

    神崎委員 大臣、先ほどから私が言っていることで長官が答えておられますが、通産省としてあるいは通産大臣として、常に中曽根さんは企業秘密ということで守っておられて、その立場を貫いてこられたのです。この企業秘密というもののあり方について私がいま質問をしておるのですが、企業秘密を守るというのは企業であって、政治秘密ではないと私は思う。それをそういう形できて、企業責任者が出すと言っているものを通産省がそれにストップをかけた。そういうような形に通産大臣は指導されているのですか。
  170. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省としては、全体を把握するということが大事で、各会社から報告をとって全体をにらんでおるわけであります。その通産省が各社の内容を各社の同意を得ずして明らかにするということは、業務上知り得た秘密に近いことを通産省が公表するというのは適当でない、そう思います。しかし、各社が自分で出していいというものは通産省が別に阻止する必要はない、そう私は思います。通産省が知り得た業務上の秘密、たとえば保有量なんかも私は業務上の秘密に入ると思うのです。と申しますのは、たとえば日石のような会社は喜入の基地がありましてかなり貯油量は豊富であって、デモンストレーションにも使えるわけですね、わが社はこれだけ持っていますからというような。しかし、少ない保有量の会社、たまたま少なかったというときがありますが、そういう会社は、傘下の系列がみんな心配して心理的なショックを受けたり、またいろいろ業界が下部において乱れたりするという危険性がなきにしもあらずです。でありまするから、こういう問題に関する各社の利害はまちまちなところがあるし、その時点によっても違うと思います。でありまするから、通産省が業務上知り得たそういうものは会社別に発表することはよくない。しかし、各社が自分でいいと思ったことをやるということは通産省は阻止する理由はありません。いまそういうことがあったとすれば、こちらの落ち度であると思います。
  171. 神崎敏雄

    神崎委員 大臣がそういうことはできない——私もそういうことはできないと思う。もしもそういうことがあったら通産省の落ち度だということを認められたのだから、私はそれで一応この問題はいいと思います。そのとおりだと思う。これは何も長官、一生懸命に守ったりせぬかて、公然とこう各社のやつが出ておるのだ。それでこういうものを通産省で発表したら、国民は油を買いに走ったり、そういうことをしないのですよ。  たとえば、私は時間の関係で一例だけしか言いませんが、いわゆる原油在庫状況ですが、「出光・日石、四十日分で優位」それからいわゆる共石グループの中でも富士石油はプラス三十三・七日分の油を保有しているのだ。九月末各社のいわゆる原油在庫状況。グループ別に言います。またこれも日石グループの中の一つですが、たとえば日石精製、これは十三・四日分、興亜石油は十五・六日分、昭和四日市は十一・五日分、まあ大体十二日分、十六日分あるいは三十三日、三十四日に近いもので、マイナスのところもあります。しかし、このように大量の油があると公然と出しているのです。いいですか、日経産業新聞の十月二十七日に。だから、山下次官の発言があったりして問題が起こるんですよ。こういうものが公然と通産省発表で出されたら、国民はわざわざしないでいいんでしょう。油はあるんだ。どこにあるんだかが問題だ。あれば出しなさいということなんでしょう。出てきたら国民は安心するんでしょう。あるある言うても現物がないんだよ。だからパニックが起こっているんでしょう。それで、ある先をいま言うたんだ。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕 これはどうです。放出させますか、長官
  172. 山形栄治

    山形政府委員 従来生産動態統計に基づきまして各油種別の月ごとの在庫は発表いたしておりますので、これは全体といたしましては発表いたします。企業別は、先ほど大臣からもお話がございましたように、私のほうで正式に出すことはむしろ現段階では混乱のもとではないかと思っております。
  173. 神崎敏雄

    神崎委員 おかしいことを言うね。油を出したら混乱が起こる——出さぬから混乱が起こっているんですよ。田中総理や中曽根通産大臣は、本会議やその他で、政府は全力をあげて国民経済の混乱を未然に防ぐ、こう言明されておる。石油連盟は、通産当局の指導によって可能な限り生産と備蓄につとめる。そうして昨年に比べて、先ほどもお認めになったように約四〇%増の備蓄量を持っているんだ。ところが石油危機なんです。これはつまり政府の指導の方針あるいは元売り会社の全く不法で不当な売り惜しみが行なわれて、これが国民生活を混乱させている。そうして物がないということがつくり出されている。特に油は。そしてあらゆる物資が不足し、値上げをしているのですね。これに一番いい手は放出することでしょう。過去においても大手石油業者在庫の放出を指導したことがあるのかないのか。いま私が申し上げたこともお聞きしていただいて、出したほうがいいと思われるかどうか、この点をお聞きしたい。経企庁長官来ていますか——いや、それはあとで聞くから、先にその答弁をしてください。
  174. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 放出という意味がよくわかりませんが、当方としては、毎月毎月の需給計画に基づきまして、融通し合いながら各社協力し合ってこの国民の需要に合うように石連その他を中心にしてやらしておるのであります。石連の内部に需給の委員会もありまして、お互いがかばい合いながら需給を合わせるようにしているわけです。LPGにしても灯油にしても同じであります。そういうようなことをやっているわけですから、各社別々に放出するということはできません。全体としての需給計画に合うように業者の内部において相互調整させながら徐々に出していく、そういう形でやらしております。
  175. 神崎敏雄

    神崎委員 放出ということばがわからないとおっしゃるのは、放出ということばは、いわゆる行政指導で、いまみな油がなくて困っているときに、三十日もあるいは二十日近い備蓄を持っている、そういうところは早くルートをおろして、過去の取引関係が非常に長いとか短いとかということで出すことを惜しんだりそういうことをさせないように、いま国民が困っているのだ、電気まで消える、あるいはガスがとまる、大臣は、もうドアのすき間まで目張りをせい、できるだけ晩はテレビを見るな、こういうところまで政府当局は非常に緊迫した状態でおっしゃって、だから国民はその状態をまともに受けて、そういう状態だと思っているのでしょう。ところが一方ではこういうものがある。そうでしょう。そうしたら、そういうことの心配のないようにどんどんと早く、たとえばスタンドへあるいは給油所へ油を出しなさいということを指導するのが行政指導であり、いまの国民の当面の心配を解消する道だと思うのですが、そういうことを私は放出という表現で表現をしているのですね。そういうことは指導しませんか。持っている者は持っておれ、困っておるやつはこのまま困っておってよろしいという態度ですか。
  176. 山形栄治

    山形政府委員 先生御存じのとおり、石油は非常にカットがきびしくなっております。われわれのいま十一月末の在庫は、原油で二十五日、製品で三十一日でございますが、これを最後どこまで食いつぶせるかという問題でございますが、これは合計で三十九日分ということになっております。われわれはこれからの需給を見つつ毎日四日ないし五日分をだんだん食いつぶしながらやっていかざるを得ないと思いますので、少なくとも三月末までにぎりぎりの線まで持っていくような、そのあとはまたどうなるかわかりませんけれども、三月末までで四十日分くらいの在庫を保有するように、むしろこれは段階的、計画的に在庫の放出を行ないながらやっていかざるを得ない、こう思っておりますので、一ぺんにこれを大量に放出しますと経済全体が非常におかしなかっこうになるわけでございます。
  177. 神崎敏雄

    神崎委員 経済がおかしなことになると思うと言うが、もういま経済がおかしくなっているのですよ。それでパニックが起こっているのでしょう。いままでにそういうことを一回もおやりになっていない。あしたからあっせん所をつくるというのですね。こういう問題から起因して、起こらなくてもいいのにこういうことが起こって、すべての物価が上がっていくという傾向があるが、経企庁の次官は来ているのですか。——たとえば、これは通商産業大臣官調査統計部が発表しているのですね。昭和四十八年九月分という、これの昭和四十七年の十月のいわゆる原油輸入だけの合計を見ても二千百三十五万、十月ですよ。——これは九月を対照にしたほうがいいでしょう。九月にしましょう。九月が二千二百四十九万九千八百二十三キロリットル。それでことしの一月を対照したら二千五百六十二万五千六百三十九キロリットル、約三百二十万キロリットルふえておるんですね。だから原油輸入の量はふえている。だから油は、多いところでは三十何日、十何日という在庫がある。ところが、ちまたにはないんだ。油よ、どこへ行った。  長官はぼくが言うと、何かむずかしそうに、いやなこと言いよるなというてよそ見しておるが、まじめに聞きなさいよ。国民はいまほんとにパニックなんでしょう。輸入はふえているんですね、去年の十月とことしの十月とでは。そして在庫の数は、どの会社はどれだけ持っているということも紹介した。ところが、ちまたには油がない。そして電気をとめたり、ガスをとめるところに来て、もうとめたところもある。問題を起こしておる。いいですか、この間言うた川崎市のも問題になった。すぐ手を打ってもらって出た。私は思うのは、トイレットペーパーが大阪にないと言うたら、静岡からずっと来るんでしょう。東京に塩がないと言うたら、どこかから来るんですよ。なかったら回しますなんて自慢そうに言うてるところが私はおかしいと思うのです。なかったら、ほんまにどこにもないんです。大阪にはないが、千葉だったらあるんでしょう。あるいは静岡には。そうすると、そのものはあるということでしょう。なかったら、お金を出そうが、静岡でも、どこでも、ないときはないのです。ところが、言うたら出てくるんだ。出てきたときは、うんと高くなって出てくる。そうすると、物がないから、もう少々高くても、これで物さえあればけっこうだという形で、国民は泣き寝入りをして、ほしいものの三分の一ぐらい手に入って、値段は三倍ほどになって、苦しんでいるんだ。ところが、在庫はたくさんあって、輸入はふえている。これをどういうふうな形で指導するんです。  しかも、大手石油業者は、こういうことをやる中で、非常に大きな在庫をかかえて価格をつり上げる。大手会社の利益は、近来にないほど大幅に伸びている。たとえば大協石油ですね。ここの十一月決算を私は見た。これは石油連盟の会長をしておられるところだ。協力すると政府に言っておられるところですね。この十一月決算は、昨年に比べて七〇%も伸びている。これは十二月十六日発表、「大協石油は十一月期決算を集計中だが、製品値上げによって為替差損十二億円をカバーし、経常利益は前年同期比七〇%増の十三億円を確保した模様である。」天下に公表している。こんなのは国民が見たらどういう感情になるか。  ここで経企庁長官に聞こうと思っていたんだが来ない。こういう形で現状はあるということについて、私は、中曽根大臣が各大臣にその所管所管についての応援を頼んだり、いろいろ言われていることを報道やいろいろな関係で聞き、知っておりますが、こういうことまでも多面的、多角的、有機的にごらんになった上でやられておるのかどうか。あるんだ、あるんだ、心配するな、しかし現在中東からの輸入量は将来はこうなる、だからわれわれは節約しよう、感情的な訴えについては私は異議は申しません。しかし現実問題は、数字は現実的ですから、事実ですから、これが正式の文書でなされている。だから答弁されていることと、やられていることと、当局が発表されているこの数字というものについて、統一性がないんですね。ここでひとつ大臣の、これについての決意を私は聞きたいと思うんです。
  178. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十一月末の通関統計は、お示しのとおり二千三百万トンであったと思いますが、それはわれわれがことし輸入量として期待していた数量二千八百万トンから比べれば一四・四%足りないのであります。昨年よりは、なるほど五・四%くらいふえているかもしれませんが、ことしわれわれが計画した数量から見れば一四・四%足りないわけです。したがいまして、下期に向かって足りないという現実がかなりここで強く出てきたわけであります。七%程度ではないかと思われておったのが、一四・四%計画に対して足りませんから、そろそろこれは石油対策を引き締めていかなければならぬ、そう決心したわけであります。
  179. 神崎敏雄

    神崎委員 それは、大臣がそういうふうに需要のいわゆる増大によるところの先行きを見越した、私は話としては聞いておきます。しかし今日は、これから先の話じゃなしに、こういう法律を急遽出して日曜日も返上してやらなければならぬ、ここまで緊迫化している状態をその時限に立って数字をあげて申し上げている。したがって、今日の物不足と異常な物価の騰貴を押える道は、私は大臣こう思うんです。  まず第一には、大企業のいわゆる生産出荷、これの調整の放置が一つの原因をなしておる。第二は、現在の物不足は人為的な消費の拡大である。結論的には、大企業の暴利の追求を取り締まることである。それは大企業のいわゆる隠し製品をすべて放出させることだ。先ほど、放出については説明いたしましたから、そういう立場の放出。それから原価を国民の前に明らかにする、そうして在庫量を公開さす。この三点をおやりになれば、私は国民は安心をすると思うんですね。  そういうような状態で、この現在の異常状態が正常な状態へ向かって進むと私は思いますが、大臣はそういうことだけではあかぬ、ほかにまだいい手があるというふうに思われるのだったらひとつ示してほしいし、それをやれば好転するだろうと言われるんだったらそう言うてもらってもけっこうですが、これは経企次官、諸物価値上げにも関連がありますので、ひとつ両方から聞かしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  180. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまの三点は御意見として承っておきたいと思います。われわれ現に行政を執行する者として、実行するにむずかしい面もございます。
  181. 神崎敏雄

    神崎委員 事務的な事務官じゃなしに、大臣が出席すると言うておって出ない。そうして次官が来るというので待っておったら、次官はどこやらさがしているがわからぬ。(発言するものあり)次官が時間切れになったと横で言うておるが、こんなことじゃ困るじゃないか。そう事務的なことじゃないから米原議員に譲ります。
  182. 濱野清吾

  183. 米原昶

    ○米原委員 質問に入る前に、一言わが党の立場について明確にしておきたいことがあります。  昨日、中曽根通産大臣は、用紙問題についてのわが党石母田議員に対する答弁の中で、わが党の代表、つまり私のことでありますが、紙不足に際して通産省を訪れられた際に、用紙の配分が片寄っているから、政府が割り当て制をとるように要求したかのように答弁しましたが、それは事実に反しております。政府に用紙の割り当て制を要求した事実は全くありません。このことは、十月二十三日の商工委員会における私の発言を速記録でごらんになれば一目りょう然であります。わが党は、現在の紙不足が言論出版の自由を物質的に圧迫している事情にかんがみ、この自由を保障するために、各種用紙の生産が需要にこたえられるように、石油と電力を製紙業に可能な限り供給すべきであることを、そしてそのことを政府が保障するように強調しているのであります。この点を一言明確に申しておきます。  次に、先日、私の質疑が時間切れのためにできなくなった点について、本日は若干、わずかな時間でありますが、質疑を続けさしていただきます。  まず、在日米軍が、今日石油不足というわが国のきわめて困難な経済情勢のもとで、石油の調達を削減しているかどうかという点であります。この点について外務当局は、米軍は昨年度と比べて本年度は一四%の削減の方針をとっておるし、在日米軍もこの方針に従ってすでに削減を実施している、こう言われるのみで、削減について具体的な事実は何一つあげられませんでした。在日米軍側が外務当局にそのように言っている、こう言うだけでは証拠にならないのであります。だから私は、それと反対の発言を米軍側が述べているじゃないかということで、スターズ・アンド・ストライプスの記事を紹介しただけであります。だが、この際つけ加えておきますが、在日米軍が石油の使用を削減しているかどうか、この事実は何も米軍側に伺いを立てなくてもごと簡単にわかることであります。日本の石油業者から在日米軍がどれだけ石油を調達しているか、これをお調べになればすぐわかる。通産省に調べていただけばすぐわかるはずであります。私も通産省に尋ねて、本年十月までの調達状況はすでに存じております。それを見ましても、昨年と比べて一四%削減しているということは全然ありません。逆に昨年と比べると調達量がふえている、これが事実であります。そしてこのことはまた、すでに衆議院内閣委員会でも、十一月二十一日ですが、防衛庁の方が答弁されて、ことしの一月から八月までに約五十五万キロリットルの石油が日本の石油業者から在日米軍に出されている、こういうことを発言しております。この点を見ますと、昨年は約三十八万キロリットルの石油が出されたというのですから、すでに去年よりももうこの時点で十七万キロリットルもたくさん出されている。そのあとで私が通産省に尋ねて調べたのでも、九月と十月で八万七千キロリットルというものが在日米軍に出されております。ですから、どう考えたって昨年と比べてことしすでに一四%削減されているなどということはないのであります。ところが、この国会になりましてから、何回かの場所で、この問題に対して質問が出るといつでも、米軍は一四%削減する方針だということを聞いておるとか、すでに実施されていると聞いているとか、米軍側に聞いてそうだという、それだけをオウム返しに繰り返すだけのことなんですね。これは日本の政府ですぐわかることだと思うし、通産省は実は御存じだと思うのです。そして米軍に対して、この際、石油の調達を削減してもらいたいという折衝もすでに始まって話し合いをされているということでありますけれども、それならば、実際は削減されてないというこの事実をつかんで折衝されるのが当然であって、全く不可解なんです。ですから、この点については、何ももう外務省に聞く必要はなくなりました。私は、これはこの法案自身はもう間もなくこの委員会でも通過することになるでしょうから、時間はありませんけれども、あとでもいいですから、この問題は今後もあとを引く問題だと思いますから、当然通産省のほうで御存じでありましょうから、在日米軍がどれだけ日本の石油業者から石油を調達しているか、この状態をぜひ資料として提出していただきたいのです。このことを委員長に特にお願いしておきます。  時間がありませんから、もうあとは一瀉千里に進めていきます。  次に、自衛隊への石油の問題であります。これは防衛庁のほうから資料を出していただきました。先日は、大臣のほうは、緊急用備蓄は別としてというようなことを言ったのではない、スクランブルのような領空侵犯に対する緊急発進のようなものは練度を落としてはいけないから、やはりやっておいてもらう必要がある、こういうことを言ったんだという御説明がありました。私も、速記録を読んで、大臣の発言はそのとおりであったということを再確認いたします。  それで、それはそれといたしまして、そうなると、もう一つ具体的なことをお聞きしたいのですが、この防衛庁から出された資料を見ますと、二番目の「緊急用備蓄量」というところに「自衛隊では油の緊急用備蓄は特に保有していない。」こう書いてあるわけなんです。私は、幾らか保有しているのが当然じゃないかと初め思っていたので、どういう意味なんだろうかと思って考えましたが、結局、そうだとすると、防衛庁の方にお伺いしたいのは、中曽根大臣の言われた緊急用発進のために練度を落としてはいけないと言われるそうした訓練用の燃料ですね、これは、この資料の中の一のところに書かれている「通常の油の使用量」の中に含まれているのであって、特に別扱いにして備蓄しているのではない、こういうふうに理解していいでしょうか、この点をひとつ最初に聞きたい。
  184. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の点につきましては、私どもの日常の業務の中で行なっております緊急発進業務、それから平常事態におきましても緊急的に発生する災害派遣といったようなものの燃料は、通常私どものほうが訓練等に使用しております燃料をもってそのつどまかなっておりますので、緊急用備蓄ということでは取り扱っておりません。
  185. 米原昶

    ○米原委員 では、その点はよくわかりました。  そこで、その次の二に「なお、調達リードタイム用ランニングストック」というものが書かれております。これは調達がすぐに間に合わないというようなことがあるので、一定量のものをストックとしてとっておかなくてはならぬ。たとえば年度末に予算がきまって、それから調達するということになって、すぐに入るわけじゃないでしょうから、そういうときにこういうランニングストックが必要だ、こういうような意味だと理解していいのでしょうか。この点、ちょっと一応お願いします。
  186. 友藤一隆

    友藤説明員 お答えいたします。  調達リードタイム用ランニングストックの意味でございますが、自衛隊の主燃料は例年年二回に分けて一括契約をしておるわけでございます。したがいまして、年度当初の調達には、各燃種ごとに納地別にその所要量であるとか、納入時期であるとか、納入方法あるいは荷姿等、当該年度予算をいただきましてからその計画等を勘案いたしまして、契約前にいろいろ検討いたしまして、相当長期間の準備が必要になるわけでございますので、そういった所要量がはっきりいたしましてから初めて各会社と入札等の現実の調達契約に入るということになっております。したがいまして、各部隊等への燃料の納入が開始をされますのは大体八月前後になるというのが通例でございます。この間におきます部隊の活動であるとか、教育訓練であるとか、こういったものの使用に当てますのが調達リードタイム用ランニングストック、かように考えておるわけでございます。
  187. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、私たちが普通常識では、正確なことばかどうか知りませんが、石油の備蓄があるというようなときに使っている備蓄ということばとあまり違わないような感じもするのです。とにかくランニングストックでいいと思いますが、ちょっとここに出ているのを見ますと、たとえばランニングストックが総量約三十五万キロリットル、こういうふうに書いてあります。昨年一年の使用量が六十四万キロリットル。結局このランニングストックというものは、計算してみますと六カ月から七カ月近い量があるということがわかるわけですね。もっともそのあとで四十八年九月末では在庫量は約二十四万キロリットルになっておりますが、これで見ましても大体四カ月か五カ月近い備蓄量がある。この備蓄量と申しますのは常識のことばでですが、そういうものがあるということを感ずるわけなんです。これはかなり多い量じゃないかということをこの表を見たときにすぐ私感じたのです。  私が言うのは、いろいろこの問題について国民の間にも意見があるわけですけれども、とにかく先日この商工委員会石油連盟の会長が来られて、そして日本全体の備蓄量がいまどのぐらいあるかということについて発言されて、原油が十一月末日現在二十八日分だ、製品は二十一日分だ、いま日本全体の備蓄量が五十日以下という状態だとおっしゃるわけですね。その中で自衛隊は四、五カ月あるいは七カ月に近いような——もっともランニングストックでありますから、入ってくるのもまちまちでしょうから、あるときはかなり少なくなるけれども、あるときはかなり多くもなるというようになっていくのでしょうけれども、全体の石油情勢、そして一般の国民に対しても節約が呼びかけられている中で、自衛隊が六、七カ月分にも相当するようなストックを持っているということですね。このことに対しては、非常にこれはおかしいじゃないかということを国民は感ずるだろうと思う。私も感じます。節約されていることはこの資料にも出ておりますが、節約されているとすれば、去年とはさらに違ってこのストックが、いままで、たとえば一カ月で消費したものが十日ぐらいは延ばされるというようになるわけですから、むしろ全体に国民が石油の節約をしなくちゃならぬときに、このストックというのは相当大きな量じゃないか。もちろんこれを回しましたとしましても、国民の側に放出するというようなことをやりましても、全体の量としてはそれほど国民経済に大きく影響をするほどの量ではないことは知っておりますけれども、官庁全体も節約されているでしょうが、おそらく一番こういう燃料を使われるのは防衛庁だろうと思うのです。それだけに一般官庁並みに節減されるということを考えられるならば、私はこの数字を見ると、もっと節約して、そうして結果として国民のほうにもつと石油が回るようにすべきだ、こういうふうに感ずるわけでありますが、どうでしょうか。
  188. 水間明

    ○水間説明員 先生は備蓄とおっしゃいましたけれども、あくまでもランニングストックでございまして、したがいまして季節的に見ますと、先ほど先生御自身もおっしゃっていましたように、トン数が非常に増減いたします。そのほか、自衛隊の行動の実態に基づきまして、たとえば非常に災害派遣が多いような場合には、このランニングストックはどんどん減ってまいります。そういう性質の数字でございます。日本全体の備蓄が何日分というお話がございましたのは非常にマクロ的な数字でございまして、その数字は安定した数字になりますが、自衛隊の場合は、その実態に基づきまして非常に大きな変動を受ける数字でございますので、その点御了承いただきたいと思います。
  189. 米原昶

    ○米原委員 ただ、いままで私がいろいろこういう数字をもらいましたから、この関係の官庁にもいろいろ聞いてみたのです。そうしたら九月末、それが昨年度末と比べると減っていますけれども、自衛隊としてランニングストックとしては三十五万キロリットル、これをこえることもあるし、これより減ることもあるが、大体このぐらいは保有されているのが実情だということも伺いましたので、そうだとすると、もっと節約するのが当然じゃないかということを私は再度強調せざるを得ないのであります。  時間がもう十分ぐらいしかありませんからすぐに次に進みます。あとは非常に簡単ではありますが、アラブ政策の問題について外務省の方に伺います。  この前、参議院の予算委員会でわが党の渡辺議員が質問をした中で、政府が発表した新しいアラブ政策、これをほんとうに実効あるものにしなければならない、口先だけではだめだというような議論が行なわれまして、そしてある場合には、イスラエルに対する今後の措置として、国連憲章四十一条の非軍事的制裁の条項も適用するような決意で一歩一歩進むべきだということを主張しましたが、この点は、いまアラブとイスラエルの和平交渉が始まろうとしているので、この成り行きを見てから考えたいというような政府の答弁がありました。それとは別に、国連でしばしば問題になっていた天然資源の恒久主権についての決議、これはもうアラブ諸国を含めてアジア、アフリカ、ラテンアメリカの発展途上国が一貫して主張してきているところでありますが、これに対して日本の態度は、いつでも反対あるいは棄権の態度をとってきた。これでは発展途上国のほんとうの理解を得られないじゃないかという問題に入りかけましたところが、いやそうじゃない、ということで突然外務省のほうで先日——というのは、私あとで調べてわかったのですが、十二月六日に国連で、アラブのイスラエル軍による占領地域、この占領地域における天然資源の恒久主権についての決議、これが出た際には、アメリカは反対したけれども日本は賛成の立場に立ったという説明がありました。それはそれとして、私は非常にけっこうなことだと思うのです。アメリカが反対する決議に日本がはっきりと賛成したということは、ある意味で画期的なことでありましょうし、そのことは一つの前進だと私は思うのです。ところが、私はそのときにその決議を知らなかったので、あとで外務省に要求して手に入れて見ましたところが、そこでわかったことは、この決議を採択して日本が賛成したときに、その意見表明の中で、この決議には賛成だけれども、いままでとってきた天然資源の恒久主権についての立場は変えるものではないということを言っておられるのです。このことはあとでわかりました。これは全く問題の本質をそらすことにこの問題が利用されているような感じがするのです。アラブの占領地域の決議に賛成するということは、これは占領地域ですからね、その天然資源の主権を認めるということ自体はごく当然なことで、ある意味では当然過ぎるほど当然で、これに棄権したりしたら逆におかしいことだと思うのです。問題は天然資源の恒久主権についての考え方は依然として日本は変わっていないということなんです。これはきょうも先ほど議論になりましたが、最近起こったリビアの石油を買う問題にも決して無関係じゃないと思うのです。つまり、天然資源の恒久主権についての決議に対して、いままで社会主義国とそれから発展途上国の圧倒的多数がいつでも賛成しているのに、日本、アメリカ、イギリスその他二、三の国が反対ないし棄権しているわけですね。私はなぜかということでこれを調べてみると、要するに国有化の問題あるいは大陸だなの問題、この主権の確認というところに逆に日本が異議をつけている。これは私は不可解だと思うのです。先ほども議論がありましたメジャーの石油支配の問題に対して、日本がもっと自主性をもって臨まなくちゃならぬ。今度の石油危機に際してもこれは非常に重要な点だと思うのです。そして、先ほど加藤委員の質問に対する中曽根大臣の答弁の中でも、やはり日本の周辺の大陸だなから石油が出るという問題ですね、これを採掘する場合、まさにこの天然資源の恒久主権について、これに対する日本の主権を確立するということは非常に重要な点だ。ところが、こういう問題について、いつでも日本が棄権したり反対したり、こういう態度では発展途上国の理解を得られないじゃないか。この点こそはっきりさせれば、私は、リビアの石油を買い取る問題についても非常に立場がはっきりしてくるんじゃないか、この点は当然いま踏み切るべきときに来ていると思うのです。この点についての見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  190. 鈴木文彦

    ○鈴木(文)政府委員 いま御質問の中にありましたアラブ諸国の天然資源の恒久主権、それからもう一つは、一般的な天然資源恒久主権の問題について、国連の場において日本がどういう態度をとってきたか、二つの御質問があったかと思いますが、まず前者につきましては、日本がこの十二月六日、国連総会の第二委員会におきましてこの決議案に賛成いたしましたのは、この決議案の趣旨が、イスラエルの占領下にある地域の天然資源がアラブの主権のもとにあることを確認して、かつイスラエルによるこれらの天然資源の開発なり不法な利用を非難するということに主眼がありましたために、日本はこれに賛成いたしたわけであります。  それから他方、天然資源の恒久主権の問題につきまして御質問がございましたが、これはたまたま、いまアラブ諸国の天然資源の恒久主権に賛成したときの投票理由説明という関連でも御質問があったと思いますが、この天然資源の恒久主権ということばが国連総会の場に出てまいりましたのは一九六二年の第十七総会からでございます。ただこの場合に、この名前は出ましたが、この中身が何であるかということは何も議論されておりませんでした。その後、六六年の総会及び七一年、七二年、七三年の四回の総会にこの同じような問題につきましての決議案が出る過程で、後進国がこの恒久主権の中身についての主張をだんだんと固めてまいったわけでございます。これはいま先生指摘のとおり、一つ一番大きな問題は国有化の権利、第二点は隣接水域の相当広い水域における海洋資源に対して沿岸国である開発途上国が独占的な権利を持つものであるというこの二つの点でございます。  日本がなぜこの点について投票理由の説明で日本の立場を明らかにしたかと申しますと、天然資源の恒久主権という中に、国有化という権利がはたして一方的に開発途上国にあるのであろうか、あるいは国有化する場合にその補償を一方的にきめ得るのであろうか、あるいはこれについて紛争があったときにその国の法律だけでこれを解決できるのだろうか、これは国際法上あるいは従来国家間の関係におきましてもいろいろ問題のあった点でございますので、これはこの決議を中心とする国連の動きと離れまして、それ以外の国際会議の場あるいは対外関係の場においてとってまいりました日本の基本的な関係との関連で問題があるということで、この点についての態度を留保といいますか、表明した次第でございます。  ただ、国連の場におきまして日本の態度が常に変わっているではないかという趣旨の御質問があったかと思いますけれども、ただいま申し上げました国有化の問題あるいは海洋資源に対する沿岸国の独占的な権利という問題につきまして、日本の態度は終始一貫して同じ態度をとってまいりました。
  191. 米原昶

    ○米原委員 時間がありませんのでただ一言だけ言っておきます。  この問題は、第二次大戦後いままで長い間大国の植民地であった国々、そういう国が政治的な独立を達成して、同時にそれを自主的なものにするために経済的な独立を達成する、こういうふうに向かって進んでいる過程で起こっている問題であります、簡単に言えば。その場合に、私たちはそういうふうに事態が大きく変わっているということを認識しておかなければ、真の開発途上国の理解は得られないということです。いま起こっているいろいろな問題がその根本的な考えから来ているということなのです。資源の問題についても、やはり石油政策の根本的な転換についても、この点についての認識は、日本が戦後敗戦の結果いろいろな面でアメリカの力が入ってきて経済的にもいろいろ依存するようなものができて、そこで起こっているこの石油のメジャー対日本の会社の問題をいろいろ考えてみましても、この態度を明確にすることは今後非常に大切であって、いままでのような態度は変えていただきたい、このことを申し述べまして、私の質問を終わります。
  192. 濱野清吾

  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の石油危機の問題は国民生活に非常に大きな影響を与えてきておるわけであります。政府といたしましても、石油緊急対策といたしまして、第一次、さらに一月からは第二次を予定されておられるわけでありますが、この第一次のときに、民間に対する節約の要望なり、官庁自身が自粛をしていく問題であるとか、そうしたこまかな指示をされたわけであります。この節約キャンペーンを打ち出しておるわけでありますが、この官庁による自粛という点につきましてお聞きしたいと思うのであります。  この十一月十六日の閣議決定によりまして、その方針に従って今日まで、約一カ月ということになるわけですが、電力なり自動車用のガソリンでどれくらいの節約が行なわれたわけですか。これはエネルギー庁長官にお伺いしたいと思います。
  194. 山形栄治

    山形政府委員 石油緊急対策要綱は十一月の十六日に閣議決定をいたしたわけでございますが、実施は十一月二十日から民間部門、官庁部門を通じましてこれを行なったわけでございます。官庁は率先してこれをやるべきだという考え方で進めておるわけでございますが、まだ日もあまりたっておりませんので集計できておりませんけれども、通産省の実績においてこれを言いますと、十月下旬の実績と十一月下旬の実績で申し上げますと、電力におきましては、十月下旬に対しまして十一月下旬は一八%の節約が達成されております。それから、通産省のガソリン使用実績で申し上げますと、十月下旬の実績に対しまして十一月下旬は一七%の節約を実施いたしておるわけでございます。  全般的に申し上げまして、民間側の節約というのは、もちろんまだ不十分な点があろうかと思いますけれども、これから一そうこれを具体的に呼びかけまして、マイカーの自粛等につきましても今後進めてまいる所存でございます。
  195. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま長官からマイカーの自粛ということがあったわけですが、その効果というものですけれども、それが徹底すれば石油でどのぐらい節約ができるわけですか。
  196. 山形栄治

    山形政府委員 われわれ最初に閣議決定に基づきまして節約キャンペーンを行なったわけでございますが、この場合、これを大まかに言いまして、石油関係ではマイカーの通勤の自粛及びマイカーの中のレジャー用の自粛、この辺がわりあいに大きな比率を占めておりまして、御存じのことと思いますが、全ガソリン需要量のうち——要するに乗用車のうちの半分が自家用車でございますが、そのうちの約二五%ぐらいが、まあレジャーと言うと語弊がございますけれども、レジャーに使われているという想定で、その三分の一ぐらいが自粛によってこれが達成されるというような前提等も置きまして計算いたしましたところ、マイカーレジャーの自粛におきましては全油の、これは下期だけでございますが、一・二%ぐらいの節約効果が出るという、当時は節約効果を試算いたしたわけでございます。  その他大きなものを申し上げますと、ビル、事務所等の暖房の温度を一度下げるというのが非常に大きな効果を持っておりまして、これがそれぞれの達成の率等もございますけれども、一・三%ぐらいの原油の節約に相なるということでございます。  別途、家庭電力関係におきましては、電灯のつけっぱなしとかテレビのつけっぱなし、電気洗たく機の使用の合理化等々をお願いいたしたわけでございますが、この中で一番大きいのはテレビ関係でございまして、テレビのつけっぱなしを自粛していただくことによりまして、〇・〇八の、これは油換算で節約が期待されるということに相なっておるわけでございます。  それからなお、大きいものといたしましては、事務所の窓ぎわの電灯を約三分の一消灯するということで〇・一三というような試算もできておりまして、ほかにもございますが、キャンペーン系統を全部足し算しまして、われわれのほうの期待額は、少ない場合で二・六八、多い場合で四・三ぐらい、全油量に換算いたしまして節約効果を当時は期待したわけでございます。
  197. 近江巳記夫

    ○近江委員 この第二次の対策でいきますと、家庭用の電気まで停電させなければならぬというような御答弁がきのうはあったわけでございます。そこまで深刻化してきておるわけでありますが、そういたしますと、この第一次でこうしたキャンペーンを張られたわけですが、あまり効果があがっておらない。そうなってきますと、第二次におきまして、たとえばマイカー使用の自粛であるとか、高速運転の自粛、旅行の自粛、週休二日制の促進であるとか、室内温度の適正化、ネオンサインの自粛等の問題等におきまして、具体的に規制するなり、その実施を促進しようというようなお考えに立っておられるわけですか。
  198. 山形栄治

    山形政府委員 ネオンサイン及び屋外灯につきましては電気事業法の関係できっちり規制ができますので、これは規制をいたしたいと私は思っております。その場合でも、当然に営業時間中の店名の点示、その店の点示、これは、これを消すということは営業の自由に関係することでございますので、営業外等につきましては、こういうときでございますので御協力を願う、そういう方向で考えたいと思うわけでございます。  それからマイカ−関係につきましては、いわゆる自家用という中にお医者さんもございますし、農家も入っておりまして、営業用にも使い、かつ自家用にも使うということで、完全な自家用というものとそういうものとの区別がなかなかつけにくいわけでございます。したがいまして、この法律が通りましたら、この法規に基づいて公安委員会のほうで、たとえばある曜日をきめまして白ナンバーの通行をとめるというようなことは、当然に考えられることだと思いますが、私の所管でございませんけれども、非常に数多くの人間に関係することでございます。その具体的な規制のやり方等につきましては、国家公安委員会、警察庁においていま検討を進めておるやに私、聞いておるわけでございますが、いずれにしましても、十一月十六日に行ないました節約キャンペーンよりはより一歩進んだ、きめのこまかい節約のやり方を今後進めていくことに相なろうかと存ずる次第でございます。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 国民生活に与える影響というものが非常に大きいわけですね。そういう点で、第一次のときは呼びかけであった。第二次の場合は、こうなってきますと、具体的に規制ということになってくるわけです。そういう点で、非常に与える影響が大きいわけです。こういう石油危機の中で、国民そして産業界、すべてこれは協力をしなければならぬわけでありますが、与える影響というものが大きいわけでありますので、よくそうした点を検討していただいて、慎重にやっていただきたいと思うわけであります。それから、この第二次対策において油なり電力は約二〇%という削減率と聞いておるわけですが、そうなんですか、長官
  200. 山形栄治

    山形政府委員 第二次といいますか、一月をどうするかということでございますけれども、現在、油の入着の最終の詰めに入っておるわけでございます。当然に当初予定しておりましたカット率よりも高くなることは予想されるわけでございます。各産業別に何割カットするか、電気についてどう行なうかということにつきましては、現在、非常にむずかしい問題でございまして検討中でございますが、比率は明確に申し上げにくいわけでございますけれども、少なくとも第一段のときよりは相当高まったかっこうで、しかもきめこまかく行なう必要があろうかと存ずるわけでございます。
  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは言うまでもないわけでありますが、家庭の停電等は非常に大きな影響を及ぼしますし、これはもうできる限り国民に対して節約も呼びかけていただくと同時に、できる限り避けていただきたい。そういうことで、一般家庭用なり農林漁業用、公共施設用等についてはでき得る限りの確保をしていただきたいと思うのです。この点につきましてお聞きしたいと思います。
  202. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる公共用の需要をできる限り確保するのは当然でございます。また、電気の場合におきましても、病院、保育所等々につきましては特別の措置をするのは当然でございます。まだ停電をするというようなことがきまったわけではございませんけれども、もしそういうことになりましたらたいへんでございますが、そういうことに対応する現在の各電力会社の架線の状況、それの点検、それからそれを直すときの手当て、修繕といいますか、線をかけかえる準備等あらゆる準備行為をいまやっておる段階でございまして、公共用の需要、その必要性の確保については、御説のとおり万全を期したいと存ずる次第でございます。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 この石油事情というものは非常にきびしい状態になってきている。そこで、この法案が国会を通過しますと、政府としては直ちにそれを使うということになるわけでありますが、私は、一連のそうしたお話を聞いておりまして、第十一条の割り当て、配給等の形に、これは最終的な段階でありますけれども、そういうような状態になるのが案外に近いんじゃないかというような感じもするのですが、そうなった場合、当然この優先順位なり割り当てという問題になるわけでありますが、最優先すべきもの、優先すべきもの、一般的なもの、非優先的なもの、このように四段階ということを聞いておるわけでありますが、この最優先すべきものというのは、本法の第九条第二項に規定しております医療、消防、警察、通信、緊急災害等、第十条第一項に規定しております一般消費者等、これは一般消費者、中小企業者、農林漁業者、鉄道、通信、医療その他、こういうものは最優先すべきものという中に入るわけですか。
  204. 山形栄治

    山形政府委員 御説のとおり、十条で例示してございます各事業及びその他公益性の強い事業ということで上下水道、定期路線バス等々、清掃事業も当然入ると思いますが、そういう公益性の強い事業活動が優先されるべき業種であろうと考えております。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまのは最優先すべきものですね。優先すべきものというのはたとえばどういうものですか。優先すべきものと最優先すべきものについて伺います。
  206. 山形栄治

    山形政府委員 これは現在まだ詳細に措定されておりませんで、関係各省等も鋭意検討している段階でございまして、最優先といいますか、先ほど申し上げました非常に公共、公益性の強いものはほぼわかるわけでございますけれども、その次に位するといいますか、その辺については内閣全体としてこれをきめるということでございます。現在こまかいその次、またその次という仕分けは申し上げる段階に至っておりませんわけでございます。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 この最優先すべきものというのは公共性の強いもの、そういうようにやはり基準となるべき考えというものがあるわけですね。ですから、優先すべきもの、一般的なもの、非優先的なもの、これはどういうような考え方が基準になるわけですか。
  208. 山形栄治

    山形政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、価値判断の問題でございますので、総意を結集いたしましてその辺の判断をいたさなければいかぬわけでございまして、私の個人的な見解を申し述べることにつきましては、現段階では差し控えさせていただきたいと思います。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官にこれ以上お聞きしてもちょっとむずかしいと思いますので、これはこれで終わりたいと思います。  それから、中曽根大臣にお聞きしますが、きのう連合審査でお聞きしたわけですが、総合エネルギーのバランスの問題でございます。私の持っておりますこのデータは四十六年度のものしかないわけですが、水力が六・七、原子力が〇・六、石炭が一七・五、石油が七三・五、これはもう少しふえておると思います。天然ガスが〇・九、LNGが〇・四、まきが〇・四、こういうぐあいになっておるわけです。こういう総合エネルギーのバランスという点につきまして、大臣は原子力を特に伸ばしていくということを言っておられるわけでございますが、そのほかに、いまこうした項目を私申し上げたわけですが、特に大臣として今後力を入れていこうとなさっておられるのはどの点ですか。
  210. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外国の例を見ますと、石炭、天然ガス等に対する依存がまだかなり強いようであります。日本の場合は原子力に対する期待が非常に大きいし、そのほか石炭、水力発電あるいは地熱発電、こういう部面に依存する部分を多くしていく必要があると思います。
  211. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産省としては将来のエネルギーとしてサンシャイン計画等に相当力を入れておられるようでありますが、これはいつごろまでにどのくらいの投資をして完成しようという御計画でありますか。これは長官でもけっこうです。
  212. 山形栄治

    山形政府委員 サンシャイン計画と申しますのは、太陽エネルギー、地熱、合成天然ガス、それから水素の活用、大きくいいますとこの四つに相なるわけでございます。原子力の関係につきましては、これは科学技術庁等とも相談いたして別途あるわけでございますが、一応この四つを中心にしまして、四十九年度から西暦二〇〇〇年までに相当程度の目標を達成しようということでございますが、一応段階的には、太陽エネルギーにつきましては、まず革新的冷暖房システムを一九八〇年ごろ、小規模の発電を一九八五年ごろに、大規模たとえば二百万キロワットクラスのものにつきましては二〇〇〇年を目途にいたしておるわけでございます。  それから地熱につきましては、いまの日本の地熱発電の規模が非常に小さいわけでございますので、これを五万キロワット級のものを一九八五年、それからより大きな、いま掘っておる深さをもっと深くする、十万キロワット級のものを八五年、やはりそのころに同時に達成したい。最後は、いわゆる火山を利用した地熱発電でございまして、これは規模としては大体三十万キロワットくらいでございますけれども、一九九〇年ごろの達成を目途にいたしております。  それから非常に重要な石炭のガス化、液化の問題でございますが、これは一九八〇年から八五年くらいにかけまして、最終的にはガス化発電を二十万キロワットのクラスで達成したいと思っておるわけでございます。  水素エネルギーにつきましては、トータルシステムを一九八五年から一九九〇年ごろまでに完成いたしたいというのが現段階のサンシャイン計画の内容でございます。
  213. 近江巳記夫

    ○近江委員 全体の投資額というのは大体どのくらいになるのですか。
  214. 山形栄治

    山形政府委員 全体の投資額は八千二百四十七億円、こういうことでございますが、これは現時点の価格でございますので、当然にでき上がりとしては相当大きな金額に相なると思いますが、俗に一兆円といわれておるのもそういう意味だと思います。四十九年度初年度につきましては、それのうちの五十五億円を現在予算要求を行なっておるわけでございます。
  215. 近江巳記夫

    ○近江委員 中曽根大臣も原子力については非常に期待しているというお話があったわけでありますが、御承知のように、安全性の問題あるいは環境汚染の問題等、これは非常に大きな問題になっておるわけであります。いままで政府としてはどうしてもその開発に力を入れていく、原子力委員会自体の体制もむしろそういう姿勢に私は非常に片寄っておったように思うわけです。今後この原子力というものを進めていこうということになってきますと、当然そういう問題が大きな問題になってくるわけでありまして、いままでのようなそういう政府の姿勢であっては、私は地元住民の協力を得ることはむずかしいと思うわけです。そういう点で、いまそうした予算の最終段階にもきておるわけでありますし、いままでのように前年度にスライドして、たとえば二〇%増だからというような考え方の張りつけであっては私はどうしようもないと思うのです。そういう点、飛躍的な安全性、環境汚染の対策問題等に力を入れるべきだと思うのです。きょうは原子力局からも来ておりますので、局長にお伺いしたいと思います。
  216. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 お答えいたします。  お説のように、原子力発電に対します期待は非常に大きいわけでございます。それで従来安全審査の問題、安全研究の問題、それから環境の問題等につきまして、私どもといたしましては十分力を尽くしたつもりでございますけれども、こういう事態に対応いたしまして、この点につきましてさらに一段と力を注ぐ必要があるというふうに考えております。
  217. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はそんな抽象的なことを聞いてはいないのですよ。力を入れていくということは何回も科学技術委員会等でもそういう答弁はあるわけです。ですから予算等の問題におきましても、これだけの具体的な数字をもって大蔵省に要求しておるとか、あるいは安全性の問題、環境汚染対策等についても具体的にこういうことを考えておる、そういう中身を言わなければ、いつもそういう前向きにやりますとか、そんな抽象論であっては私はだめだと思うのです。もっと具体的に言ってください。
  218. 田宮茂文

    ○田宮政府委員 安全審査の専従の人員の増強、それから安全研究の充実ということで要求をしておるわけでございますが、このような事態に際しまして、この点等につきましてさらに一段の強化をお願いする、そのために予算の要求をいたしたいということで現在検討中でございます。
  219. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣にお伺いしたいと思います。  大臣は科学技術庁長官もずっと歴任されておりますし、当然これは通産省と共管の問題にもなっておるわけでありますので、その予算等も大臣としてはどのくらい要求され、また構想はどういうものをお持ちであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  220. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 科学技術庁で森山新長官が非常に張り切っておりまして、人員及び予算等について先般来事務的に出したのをこれは御破算にする必要があるというので、最近党の科学技術特別委員会、商工部会等が一緒になりまして、かなり思い切った予算要求と人員要求が出ております。これは大蔵省がなかなかのまぬと思うようなものでありますが、私ら通産省としても大いにバックアップしてやってあげようと思っております。  中身は、原子力発電の安全性確立のための予算、それから原子力発電所設置の地点に対する諸般の対策の予算、それから廃棄物処理施設に関する諸般の予算、それからPR等に関する諸般の予算等でございまして、内容的にはかなり妥当なものであると思っております。
  221. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう点、特にこれは環境問題、安全性ということは、開発よりもむしろそちらを先行させなければならない重大問題でありますし、大臣はいま画期的な、従来にないぐらいの規模ということをにおわしておられるわけでありますが、これはほんとうに国民の不安もあるわけでありますから、力を入れていただきたいと思うのです。  それから、いま石油が足らないということになっておるわけでありまして、その備蓄の点にまで手が届かないということはわかるわけですが、しかし将来のことを考えますと、やはりいままでの政府の備蓄対策というものは、私は弱かったと思うのです。そういう点、今後の備蓄についての考え方なり、あるいはたとえば石油開発公団等にそういうような調整機能を持たすとか、あるいは備蓄公団というような考え方もあるのじゃないかというような話も聞いたこともあるのですが、備蓄に対する大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  222. 山形栄治

    山形政府委員 石油の備蓄につきましては、四十七年度から計画的にこれを増強するということで、四十九年度末に六十日分を保有するということがきまって、着々進めておったわけでございます。現在、すでに大体六十日が達成できたわけでございますけれども、当然これで十分なわけではございません。  ちなみに、諸外国は大体七十五日ぐらいといわれております。これは統計上は八十六日という数字もございますが、諸外国の統計の取り方は前年度の実績の何日分という統計でございますので、日本のようにこれからの所要量の何日分というのとはギャップがございます。  いずれにしましても、諸外国の備蓄のほうが進んでおることは確かでございますので、いま石油のめどが非常につかない段階でございますが、将来の考え方といたしましては、これを相当程度備蓄をふやして、日本に保有しておく必要があろうかと思うわけでございます。そのためには、これを現在の国家助成、これは運転資金、設備資金等につきまして開銀及び公団の保障が行なわれておるわけでございますが、こういう従来のあり方でなく、もっと備蓄の機構そのもの、それの保有の基地の問題等も含めまして、国家的な事業としてこれに取り組むべきであろうかと思うわけでございます。この辺につきましては総合エネルギー調査石油部会にもいま御審議をお願いしておるわけでございますが、その辺の答申の出方にもかかわりますけれども、前向きに、積極的に進めてまいりたいと存じております。
  223. 近江巳記夫

    ○近江委員 メジャーから入れておる割合というのは非常に多いわけでありますけれども、自主開発の推進につきましては大臣もしばしば表明されておられるところでありますが、いま何か萎縮しておるような、そういう空気に包まれておるように思うわけです。この自主開発につきましては、やはり力を入れていかなければならない。日本の利益だけを考えて、ゴリ押しのそういう行き方はいけません。しかし、自主開発をどんどんやっていく必要があると思いますし、その点、大臣としての構想をお聞かせいただきたいと思うのです。
  224. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油政策の中の一つの重要なポイントは、自主開発の推進でございまして、かつて答申で、原油の三割を目標にせよという答申をいただいて、その線で努力しておりますが、最近の情勢では、それがたしか九%程度でい三〇%にはまだ遠いようであります。しかし今後まず第一に、私らやはり日本列島周辺、大陸だなにおける開発を至急促進してまいりたいと思っております。これには漁業権の問題等が非常にからんできて、かなりの困難もございますが、遠隔の地へ行って掘るよりも、わが国の周辺において、福島県の沖等において一日五千リッターぐらいの大量のガスが出てきておりますから、したがって五千立米ですか、そういう面から見るともっと有望性が出てきておるわけで、まあ日本海岸にはあるといわれておったけれども、太平洋岸にあるということはいままで確証されておらなかったのです。それが出てきたというわけでありますから、これは北海道の南からずっと沖繩の周辺にかけてある可能性があると思いまして、これをまず第一に心がけていくということ、それからいままで努力してきておりまする中近東方面並びにいまペルーでせっかく努力しておりますし、またオイルシェール等については、ベネズエラで最近話も起きております。  そのほかガスにつきましては、オーストラリアとの協力及びインドネシアとの協力及びイランとの協力等もございますし、イラクにおいても、日本との協力に最近非常に顕著な意欲を持ってきております。それからソ連のチュメニ並びにヤクートの石油及びガスの問題、こういうような問題について、日本の技術、日本の資本等を活用して、そして日本が権利として受け取れる油の量をできるだけ多くし、ガスの量も多くしていきたいと思っておるところでございます。
  225. 近江巳記夫

    ○近江委員 エカフェの調査等でも、東シナ海の埋蔵量というのは中東クラス以上だということを——これは掘ってみなければわからぬわけですけれども、そうなってきますと、中国との問題があるわけですが、その点、中国とのそういう折衝ということはなさっておられるわけですか。
  226. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだやっておりません。
  227. 近江巳記夫

    ○近江委員 韓国との間にある鉱区ですね、これはどうですか。
  228. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは話を進めておりまして、大体条約文といいますか協定文が、ほぼできかけてきておるところまで到達いたしました。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、こういうエネルギーの事態が来まして、この機会に産業構造の転換ということを、きのうも時間がなかったものですから、若干お聞きしたわけでありますけれども、この産業構造の転換と同時に、消費構造のそういう改革ということも大事じゃないかと私は思うのです。たとえば大企業の特約店システムによる大量生産の使い捨て消費財の供給であるとか、過剰包装あるいは使い捨てのプラスチック容器であるとか、あるいはアルミかんの問題であるとか、いろんな点があると思うのですけれども、こういう点は浪費、むだをなくすべきであると思うわけです。そういう点におきまして、何か具体的な考え方なり施策を立てておられると思うのですが、お聞きしたいと思います。
  230. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは今度の石油危機が起こる前からそういう考えがあり、政策を進めてきたところでございますが、石油危機によって促進されたと見ていいと思います。先ほども申し上げましたように、ややもすれば、戦後のアメリカの俗悪な量的消費文明を受け入れまして、そういう点が、日本人の元来持っておる節度とか美徳を非常にスポイルしてきている面もあるように思います。先ほども申し上げましたように、そういう意味において、これは哲学の転換と申しますか、生活の価値観というものを基本的に変えていく必要があると私は思うのです。日本人のいままでの美徳というものは、やはり節度とかあるいは質の高さ、心の高尚さというものが大事であったので、量を膨大に持っているとか、使い捨てが盛んに行なわれるとか、景気がいいということが人間の高尚性を意味しているものではなかったはずであります。そういう点について、戦後の文明というものは著しく批判さるべきものがあると私らは思います。そういうものをそそのかしたのが石油であったと言われれば言われないこともないと私らは思います。そういう意味から、たとえばモデルチェンジの問題あるいは上げ底の問題あるいは包装紙の問題そういうような問題が起こっておりますし、また一面においては、いわゆる大型ごみをはじめとするごみの始末という問題が起きているわけであります。ビニール類のごみの始末にもすでに困っておりますし、夢の島の問題、東京都で美濃部さんが一番当惑している問題はごみ戦争でございましょう。これらはみんな使い捨てからきている問題が非常に多いと思うのです。また新聞紙その他にしても、毎日入ってくる広告、ビラを見ますと、目に余るものがある。ダイレクトメールにしても同じであります。そういう意味において、万般にわたってここで点検をし直して、そして質的な充実、そしてより高尚な生活というものを日本人が考えてやり直さなければならぬときである、そう基本的に思います。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでこのエネルギーの第一次、第二次のそうした計画を立て、進めようとなさっているわけですが、それと同じように、そういうただ哲学的な、また考え方だけの吐露ではなくして、やはり何か通産省としてきちっとしたそういうタイプを立て、国民に呼びかけるとか、また産業界に訴えるとか、そういうようなことはお考えですか。
  232. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは、通産省は単に事務的にやるべきことではなくして、またやれないと思います。やはり精神的な運動、国民的な風潮というものを呼び起こさなければなりませんから、内閣全体としての取っ組むべき仕事であるだろうと思いまして、来年度予算が近く編成されますので、その際に、私らは閣僚といたしまして、そういう方向に政治を引っぱっていきたいと思っております。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから公取委員長がお見えになっておりますので、お伺いしたいと思います。  だき合わせ販売ですね。この間トイレットペーパー等で、大阪からああいう問題が起きまして、全国的に、局部的にはパニック状態も起きたわけであります。砂糖であるとか小麦粉であるとか洗剤等が一時的に店頭から姿を消して、そういうパニック状態を起こした。そういう中で、一部の小売り店におきましては、たとえば千円以上購入したお客にだけ洗剤を一箱売るとかあるいはある米屋では、米を買わない人には灯油を売ってくれない、そういうだき合わせ販売が横行しておるわけです。さらに、公取の立ち入り検査で明らかなように、石油業界、塩ビ業界、ポリエチレン業界においては、そういう緊急事態に便乗したやみカルテルというものが横行しておるわけです。こういう点、だき合わせ販売とか、あるいはやみカルテルに対するきびしい取り締まりをしていくべきだと私は思うのです。  今後さらにそういうような物不足あるいは高騰、これを何とかして押えなければならぬわけですが、そういうような状態が起きるというようなことは非常に不幸なことでありますけれども、こういうことを徹底して取り締まらないと、国民生活はほんとうにパニック状態になってしまう、こういう問題につきまして公取委員長の御見解をひとつお伺いしたいと思うのです。
  234. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いまお話しのように、小売りの段階でだき合わせ販売が行なわれているということは事実のようでございます。千円以上購入した者でなければ砂糖を売らない、あるいは二千五百円買ってないとちり紙やトイレットペーパーを売らないとか洗剤を売らない、こういうふうな行為が行なわれておりまして、私のほうにだいぶ苦情が来ております。先月の下旬から、その事件について、行政指導でございますが、呼びまして、絶対に以後こういうことを行なわないように注意をいたしました事件が十五件ございます。これからもそれはますますふえるのじゃないかと思います。私のほうとしては、能力の限界がありますけれども、しかしできるだけの人員を振り向けて、そのような行為が蔓延しないようにするし、もしも行政指導だけで有効でないと思えば、小さな事件であっても私どもはそれはいわゆる事件として取り上げて、つまり排除命令の対象にするという考えであります。  それからなお、やみ再販とか大企業段階でも、いわゆるやみカルテル的行為が非常にふえてきているように思います。私どもは、この前も申しましたが、六十数名しかおらない実人員を百名をこえる人員にまで臨時にほかからみんな振り向けまして、さらにもっと必要とあらば私はもう少しやりたいと思っているくらいでございますが、いまはなるべく早く摘発した事件について答えを出さなければならぬ。月おくれになってしまったのでは効果が乏しいものですから、あまりやたらに戦線を広げることなく、重点的にそれらのものを処理しながら、さらに疑わしいものがあれば厳重にこれを摘発する、そういう体制をとっておりまして、今後ますます独禁法の運用はきびしくならざるを得ないし、私どもは全力をあげてそういう覚悟をもって規制に当たるつもりでございます。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取委員長にもう一問お聞きします。  これも具体例なんですけれども、新宿区の百人町というところでありますが、トラックにドラムかんを積んで灯油を所別訪問で移動販売する者が出ておるのです。こういう事実を知っておるかどうか、こういうやみ業者に対する取り締まり方法をどうするのか。この事例におきましては、適当な容器がなければバケツや洗面器でも売っておるというのですね。これは非常に危険なんです。こういうことはまだ全国的にはないと思うけれども、今後はやはりこういう問題も出てくると思う。こういう点につきましてエネルギー庁長官と公取委員長にお伺いしたいと思います。
  236. 山形栄治

    山形政府委員 灯油の小売りは全国十三万軒あるわけでございますが、しかしいま先生のおっしゃいますように、トラックにドラムかんを載せて売っているというのは、まことに遺憾でございますが私初めて聞いたわけでございます。これは全石商連という団体もございまして、各府県ごとに全部支部が結成されております。今回の灯油価格問題等を通じまして、いまその団体の中におきましても非常に自律的な機運が高まっておるわけでございますので、そういうことのないように、これはどういう経路でどういうふうになっているのか私存じ上げませんけれども、非常にあぶない、消防法上の問題も当然ここにからむわけだと思いますので、至急実態を調べまして、消防庁等との連絡もとりまして、そういう危険なこと、また不正な行ないが行なわれないように取り締まりといいますか、対処をしてまいりたいと思います。
  237. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ただいまのお話はどうも公取の職分ではないように存じますが、通産省のほうで免許のない者がかってに販売することは厳に禁止しているということだと思います。
  238. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間もありませんのであと一問聞きますが、今回の石油危機によりまして、中小企業は物不足あるいはものすごい高騰、こういうことで倒産状況に追い込まれておるところがたくさん出てきております。年末融資として三千四百億財投を出してもらっておるわけでありますが、今後月がかわりますと、年度末三月にかけて私はたいへんな状態が来ようかと思うのです。この前も、中小企業庁長官は、年末融資のほかに、また緊急の対策を年度末にかけて何か考えるということもおっしゃっておられたわけです。そういう点におきまして、状態が非常に悪化し、進行しておるわけでありますから、具体的な対策をお立てになっておると思いますので、お聞きしたいと思います。
  239. 外山弘

    ○外山政府委員 ただいま御指摘のように、先般中小企業の資金難の緩和と、それからもう一つは、今回の石油危機に伴いまする物不足問題こういうことに関連して、私どもとして万全の措置を講じてまいりたいということで、すでに先般実施いたしました年末財投の使用の問題、あるいは従来からやってまいりました物資ごとのあっせん所の問題、こういうことをやってまいりましたが、さらにここで物の適正な配給と申しますか、不当なしわが寄らないように、資源エネルギー庁にもお願いをいたしまして、石油製品のあっせん所をつくっていただいたわけでございます。ただ、こういった物不足の緩和のほかに、やはり何と申しましても減産をしてくるとか、あるいは資材が高くなるために増加運転資金が要るとか、そういうことは今後も起こりがちだろうと思います。私どもはいま冷静に事態の推移を見守っておるところでございます。そして時々刻々状況をつかんで、適時適切な対策をとらなければならない、こういうことで、いろいろ勉強しておるところでございますが、御指摘のように、一月を越してからの状況については、私どももかなり心配をしております。適時適切な対策を誤らないように、今後も勉強してまいりたいと思っております。
  240. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  241. 濱野清吾

    濱野委員長 宮田早苗君。
  242. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は、本法案に関連をしまして、まず通産省に御質問をいたします。  今日のOAPECの石油削減に端を発しましたエネルギー危機を切り抜ける方策として、政府はいろんな対応策を打ち出しておられるわけでありますが、私は、まず民間設備投資の見直しに関連をしてお伺いをいたします。  昨日の連合審査の場で、通産大臣はわが党の河村議員の質問に対しまして、新規着工のすべて繰り延べなどを答弁しておられましたが、一月以降に完工をいたします工場への電力、重油供給にはどういう対処をなさいますか。まずお聞きをいたします。
  243. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お答えをいたします。  新規に完成をしました設備に対する電力量の算定でございますが、これはすでに稼働中の設備につきましても、ある程度の抑制をお願いするということとの均衡から考えまして、通常の節約率以上の節約率をある程度予定をして、それを削減目標として考えていくというような方針をとっていきたいと思っております。
  244. 宮田早苗

    ○宮田委員 私がこの問題をお伺いいたしましたのは、新規工事は抑制をいたしましても、継続中の工場はいずれ完工をするわけでございまして、一月以降稼働する工場のうちで、受電契約を新たに電力会社と結んでいる新設工場は、十月の受電実績というものがないわけでありまして、実績に基づいて現在の電力カットをしているわけでございますが、この新設工場に対する電力供給をどうするかということを聞いておるわけでございますので、その点御答弁をいただきたい。
  245. 岸田文武

    ○岸田政府委員 新設設備につきましては、その設備能力に応じて標準的な電気の使用量というものをあらかじめ算定をし、それに対して先ほど申し上げましたような削減率を適用するという方式が一番妥当なのではないかと考えております。
  246. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう少し端的にお聞きいたしますが、さっき言いました一月から稼働する新増設工場には電力や重油のカット率をいままでございます既設の工場より以上に高くするというようなお考えなんですか、どうですか。
  247. 岸田文武

    ○岸田政府委員 そのように考えております。
  248. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの質問とはうらはらの問題になるわけでございますが、逆に今後完成をいたします発電所に対する重油の供給体制、これはどういうふうになさいますか。
  249. 岸田文武

    ○岸田政府委員 発電所に対する油の供給につきましては、今後の削減目標を大口需要、小口需要あるいは家庭用と積み上げてまいりまして、これによって必要とされる発電量、これを別途水力の見通しいかん、原子力の見通しいかんということで差し引きまして、火力に依存すべき部分というものが算定されるかと思います。この火力として必要な油の所要量、これをいかに各社に分けるかということが問題でございますが、その場合には発電所ごとといったようなことではなくて、電力会社ごとというふうに考えまして、その中で最も能率のいい使い方をするというような考え方をとってまいりたいと思います。したがいまして、そういった考え方に立てば、新規であるから、これは実績がないから割り当てないというような関係ではない処理の方法が可能であると思っております。
  250. 宮田早苗

    ○宮田委員 通産大臣にお聞きをいたしますが、電力料金の問題についてでございます。  OPECの値上げ攻勢あるいはまたOAPECの生産削減によりまして、電力の燃料コストが大幅に上がるのじゃないかという考え、片方、政府の行政指導に基づく供給カットによる需要のダウン、こういうものが電力会社の経理内容を非常に悪化させつつあるのではないか、こういう考えであります。そういうことに対しまして、この夏、御存じのように関西、四国両電力の二社が値上げをしたわけでありまして、その直後からまた他の電力会社も五十年ごろまでの値上げ必至というようなことを言っておったわけでありますが、今日に至りまして、その時期はむしろ早くなるのじゃないかというふうにも考えられるわけであります。  そこで政府は、公共料金の引き上げを極力押えると言明しておられますが、その方針にいささかも変更がないものかどうかということが一つであります。  もう一つは、停電によります電化生活の犠牲を来年からはしいられるということになると思います。そういたしますと、その上電気料金を値上げされたということになりますと、これはたいへんな問題だというふうに思います。極端に言いますと、国民に節電を呼びかけながら、片一方では料金を上げるというようなことにならないように、消費者に対しまする電力料金は絶対に上げないということの約束ができるものかどうか、ここで確答をお願い申し上げたいということです。
  251. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、先般電気事業法における原価主義を再検討するために委員会を発足させると申し上げまして、この委員会で審議中は電気料金の値上げは認めないようにしたい、ただし、燃料費等の暴騰があった場合は別である、そういうことをお答えいたしましたが、いまでもそういう考えております。  それで、いろいろ給電者の側におきましても、受電者の側におきましても、石油の削減という異常事態が出まして、非常にお困りの条件が出つつあると思いますけれども、この際は、物価を抑制するということが至上命令でございますから、物価抑制ということを貫くために、極力いま申し上げたような線を私たちも堅持してまいりたい、そういうように思います。
  252. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの問題について要望しておきますが、大臣おっしゃいましたように、極力値上げしないということでなしに、電力会社そのものは今日の事情からやはりコストの問題等を勘案して上げるという傾向が強くなってまいりますが、その点、通産省あるいは大臣の御指導によってこれを押えていただき、くれぐれも消費者に対する電力料金を上げないようにしていただきたいということを要望としてまず申し上げておきます。  次の質問に移りますが、まず、石油危機が表面化いたしました先月十三日、石油審議会は約百十万バーレルにのぼる能力の石油精製プラントの新造設を認めたわけであります。そのとき、業界からの申請合計は約百八十万バーレルだったと思います。この認可にあたって、各社の原油手当て見通しに問題点はなかったかどうかということであります。  もう一つ続けて申し上げますのは、認可後の原油輸入情勢の大きな変化があったわけでありますが、これにどう対処するのかということと、会社によりましては、設備着工を繰り延べる場合もあると思います。原油手当てだけでなく、将来の省エネルギー産業構想も踏まえて政府が再検討させるようなことは考えられませんかどうか、この点ひとつお伺いをいたします。
  253. 山形栄治

    山形政府委員 申請量は、たしか二百三十万バーレル・パーデーぐらいであったと思うのですけれども、百十三万を認めたわけでございます。この場合、御説のとおり、原油の手当ての問題は大きな問題でございますが、五十一年ないし五十二年の完成という目途で、長期的な観点でこれを認めたわけでございまして、原油の問題はそのときにおいて考えるということでございます。ちなみに、現在これは審議会の御答申をいただいた段階でございますけれども、現実の許可は一件もまだおろしておりません。これは、先ほどほかの質問に対しまして大臣からも御答弁がありましたように、より一そう環境問題、立地問題等を詰めまして、もう少し現実化したところで、その当時の情勢、そのときには当然に原油の一般的な事情も勘案して許可するわけでございますが、現段階におきましては、まだ許可は一件も行なっておらないわけでございます。  それから、最後の御質問の、全体を通じまして、こういう情勢で総需要の抑制、投資の抑制ということも問題になっておりますので、いま直ちにこれを着工するというようなことは当然に私は指導すべきだと思いますが、何ぶんにも五十一、二年の完成でございますので、いま直ちに着工する計画は聞いておりませんですけれども、もしそういう場合がございましたら、当然に私はそれは繰り延べを指導いたしたいと思うわけでございます。
  254. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に労働省にお伺いをいたします。  わが国の産業界は、過去一カ月のエネルギーの供給見通しのむずかしさ、あるいは価格の大幅な上昇というダブルパンチをまともに食っておるわけでありまして、そのために今後の生産見通しすら立てられないというのが実態じゃないかというふうに思っております。そのため、すでに大手の生産ダウンということが現実の問題として起こっておるわけであります。それはともかくとして、それに関係をいたします中小、特に下請企業の受注の減が表面化をしておると思うわけであります。それだけならともかくとして、そこに働いております従業員の関係が非常に問題化されております。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕 すでに新聞あたりで出ておりますように、一時帰休制あるいはまた臨時工の切り捨て、こういう影響が出ておるわけでありますが、この石油危機が就業という構造に与えます影響、これを根本的に検討し直さなければならぬじゃないかと思っておりますが、労働省は、こういう関係について、まずどのようなお考えを持っておられますか、お聞きします。
  255. 岩崎隆造

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありました雇用情勢に及ぼすこの石油危機の影響につきましては、私ども重大な関心をもって見守っているわけでございますが、いままでのところ、労働力の非常な不足状態の中におきまして、現在まで私どもが把握しておりますところでは、労働力の需給逼迫の中にあってここすぐに失業問題というものが非常に大きな形で表面化するというふうには考えておりません。ただ、今後の推移等につきましても十分に検討いたしまして、いま御指摘のあったような失業問題の発生につきましては、十分にこれを防止する措置をとりますとともに、万一離職者が出ました場合には、その再就職ということにつきまして万般の施策を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
  256. 宮田早苗

    ○宮田委員 過去十年間の高度経済成長期には、いまおっしゃいましたように、労働力をいかにたくさん確保するかということが一番重要な問題だったわけであります。ところが今後は失業対策が国の施策の重要なポイントになるのじゃないかというふうに思います。季節工の切り捨て、さらには従業員の解雇などが多発した場合の失業対策をいかに進めるかということが一つと、失業保険制度の抜本的な改正ということを意図しておいでになるやに聞いておるわけでございますが、この失業中の労働者に対する保護と、さらに再就職につなげる対策というものが必要と思うわけでありますが、その面に対してどうお考えか、お聞きいたします。
  257. 岩崎隆造

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、今後離職者が発生します場合の対策につきましては、現在の失業保険制度、それから職業転換給付金制度というのがございますが、これの活用をばかりまして、職業紹介あるいは再就職のための職業訓練ということを十分にいたしまして、万般の施策を講じてまいりたいというふうに考えておりますが、いまお話がございました失業保険制度の改正につきましては、実は今月の十一日に、半年ほど御研究いただきました失業保険制度研究会から御報告をいただきました。その研究会の論議の過程におきましても、最近の石油危機に伴います今後の雇用、失業問題というものに非常な御検討をいただきまして、その面での対策として、第一には失業の予防、それからそこに出てまいります種々の雇用調整、それから就職の確保ということにつきまして次のような施策を講じろというふうに御指摘をいただいております。  第一には、失業の予防という点につきましては、そういった企業が直ちに離職者を出すということでなしに、まず第一に、よくあります操業短縮あるいは一時帰休というようなことをされますが、そういうようなことで、解雇することなく、休業手当を払って労働者に休業していただくという場合につきましては、その要しました、支給しました使用者の負担に対しまして一定の交付金を支給してそれをカバーする、それによって直ちに失業者発生するということの措置企業にとってとられないようにしてまいりたいということが第一点であります。  それから万一失業者が出ました場合におきまして、これは特に全国的な非常な不況のような状態、それから特定の産業について非常に集中的に失業者が出るというような事態が参りましたら、それに一律に失業保険の給付日数を延長するという措置をとるようにすることができるということになっております。  それからもう一つは、特に中高年者等につきましては、失業してしまうと就職困難であるというような個人個人の事情が出てまいります。そういう人につきましても給付日数を延長して、失業中の生活の安定をはかってまいりたいというようなこと、それからまた、その就職の促進につきまして種々の施策を講じ得るような措置をとる、これが一つの雇用対策、雇用調整対策ということで保険制度の中に取り入れられるようにという提案をいただいております。現在それに基づきまして鋭意成案を得ましたら国会に御審議をいただきたいというふうに考えて作業を進めておるところでございます。
  258. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいま失業対策ということでお聞きいたしましたが、いままでの失業対策、特に職安を中心にいたしました対策ということは、失業中に対しまする生活の保障と同時に就職をあっせんするということが中心になって行なわれたものだ、こう解釈しておるわけでありますが、今日の実態、これが一時的なものでないということは十分御存じと思います。これは永久的に考えておかなければならぬ問題が今日到来したものだと判断いたしますと、その失業者に対する職業安定所の機構そのもの、それから性格そのものを考えなければならぬと思いますが、その点についてはどういうお考えを持っておいでになりますか。
  259. 岩崎隆造

    ○岩崎説明員 現在の職業安定所の仕事は先生おっしゃったとおりでございますが、特に失業保険の給付という面に非常に手をとられて、必ずしも職業紹介機能が十分に果たされていないというような御指摘も先ほど申し上げました研究会で御指摘いただいております。そのようなことは、この失業保険制度の改正の中で、ほんとうに職業紹介あるいは再就職のための種々の措置ということの裏づけがございますとともに、失業保険のほうの合理的な改善と相まちまして職業安定所の職業紹介機能というものが充実される。それからまた職業安定序には種種の専門的な就職促進のための職員がおります。これらの機能を十分に発揮いたしましてそのような情勢に対応してまいりたい、このように考えております。
  260. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後に要望をしておきます。  と申しますのは、今日のこの事態から考えますと、産業の構造そのものを根本的に変えなければならない時期に参っております。そこで就職、雇用という対策の問題についてはいままでのような慣習をそのまま踏襲するということでなしに、構造の変化に即した雇用問題あるいはまたそれに対するもろもろの対策、・失業した場合の保障という問題については恒久的に考えていただきたいということを特に強調しまして、御要望にかえて、終わります。
  261. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 中村重光君。
  262. 中村重光

    中村(重)委員 三十八時間三十七分という長い精力的な審議をやってまいりましたが、私が締めくくりの形の質問をやることになるわけであります。  ずいぶん同僚諸君が質疑をいたしましたけれども、私は修正作業と並行いたしておりましたので、同僚諸君の質疑を実は聞いていない点が非常に多いわけであります。したがいまして、重複する点も多々あるであろうと思いますが、短い時間でございますので、簡潔に質問いたしますが、御答弁もひとつ簡潔にお願いいたしたい。  時間の関係もございますから自治大臣にお尋ねをいたしますが、その前に、通産大臣、もうこの石油の問題は十一条の割り当て、配給というような、まあ何と申しましょうか、第二ラウンドの施策を講じなければならないような事態にあるのではないかと思いますが、そこの通産大臣の考え方はいかがでございましょうか。
  263. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目下のところは、まだその事態までいってないと思います。目下のところは、その前段階の行政指導でこれを切り抜けていく、そういう考え方でおります。
  264. 中村重光

    中村(重)委員 目下のところは、そこまでいっていない、行政措置で切り抜けていきたいということでございますが、実は私は油の輸入という点について楽観的な考え方を持っていないわけであります。そういったことから、結局十一条の割り当て、配給という事態になっていくのではないかと思うわけですが、その事態にまでまだ時間があるといたしましても、それに備えた準備というものはなされなければならないと思います。そうなってまいりますと、通産省自体でもそうでありますが、地方自治体に権限を委任するという形に実はなるわけであります。そうなってまいりますと、地方自治体といたしましてもそれだけの準備をしていかなければならないということになってまいりまして、専門官であるとか専門職員であるとか、あるいはその他の事務的な充足というものをやっていかなければならない。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕 また、予算の問題におきましても、地方公共団体の長への権限委任に伴いまして、地方公共団体の負担というものも相当多額の費用を要することになってまいりますが、その点に対する自治大臣のお考えはいかがであろうか、伺ってみたいと思います。
  265. 町村金五

    ○町村国務大臣 もし将来、割り当ての事務というものを地方公共団体がお引き受けをいたさなければならぬということに相なりますれば、私、まだ十分な検討もいたしてはおりませんけれども、これだけの自動車の保有台数がございます以上、実は相当な事務量になるものと、かように考えられるのでございまして、目下私どもといたしましても、通産省とそういった点について、地方自治体にもとより財政的な負担を私どもはさせていくことは許されないという立場で、国のほうで十分そういうことは配慮されるということを希望いたしまして、そういった点につきましては、事務的に通産省とも一応の打ち合わせを進めておるところでございます。
  266. 中村重光

    中村(重)委員 もしそういう事態になったならばということで、通産省と事務的な打ち合わせをやっているということでございます。しかし、行政があと追いをやる、そのためにたいへん混乱が起きている、国民に対して多大な迷惑をかけているというこの現状から考えてみましても、もうそういう事態は避けられないのだという考え方の上に立って、財政措置をどうするのか、要員をどうするのかといった問題を考えていかなければならないのじゃないでしょうか。具体的な作業というものを進めなければならないと思いますが、そうではなくて単に事務的な打ち合わせという、自治省の考え方としてはそれでよろしいということでしょうか。
  267. 町村金五

    ○町村国務大臣 私どもといたしましては、そういった万一の場合を想定いたしまして、通産省とはいま十分打ち合わせをいたしておる段階だ、さようにお答え申し上げたわけでございます。
  268. 中村重光

    中村(重)委員 地方自治体に対して権限が委任をされている行政というのは非常に多いわけですね。ところが一番問題は、人の配置がないということなんです。それを裏づけするところの財政措置が講じられていない、そのために単に形式に終わっているということです。それは公害の問題であるとか、あるいはいろんな面においてたいへんトラブルを起こすとか、あるいは十分な施策が行なわれない、そのことが国民に対してたいへん迷惑をかけるという形になっているわけであります。この石油関係の問題だけではなくて、そうした一般的なことに対しましても大臣は十分御理解になっておられるだろう、こう思いますが、そういった事実から考えましても、どうすべきかということに対しましての考え方があるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  269. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほど御指摘になりましたような事務を地方公共団体に委任をするという場合には、やはり市町村長に委任をするということにせざるを得ないのではないか。とうてい府県段階だけでは処理をすることができない。したがいまして、これを市町村に権限を委任するということになりますれば、市町村の財政力ももちろん不十分でもございますし、さらにはまた、市町村にはこういった仕事のできる人が必ずしもたくさんいるというわけではございません。したがって、お引き受けをするのには非常な困難があるというふうに判断はいたしておるわけでございますけれども、国の全体の立場からどうしてもやらなきゃならぬという場合には、そういった困難を克服しながら、少なくとも私は、いま御指摘になりましたような財政上の負担を課するというようなことは絶対にないような考え方で進めてまいりたい、こう存じておるわけでございます。
  270. 中村重光

    中村(重)委員 次は、行政管理庁長官にお尋ねをしたいのですが、その前に、通産大臣いかがでしょうか。この石油需給適正化法案を実施をする、そして第一、第二、第三段階という形に実はなってまいります。国民生活法案のほうは経済企画庁長官からお答えをいただきますが、こうした業務を執行していくということについてどの程度の要員というのが必要になるんでございましょうか。
  271. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままでの売り惜しみ、買いだめ規制法の場合には価格調査官というのが任命されましたが、これは特定の少数でございました。今度の適正化法案につきましては、これは全省あげてみんなでかからなければできないことであると思っております。したがいまして、もしその必要が出てくるという場合には、これはほかの局の人間も動員して併任でその仕事をやらせるとか、そういう形でこの臨時緊急の場を切り抜けるようにいろいろ内部の人員操作をやって、全員総がかりでやるという精神でやっていきたいと思っております。
  272. 中村重光

    中村(重)委員 配給段階になってまいりますとどうでしょうか。いまのお答えと同じことになるんでしょうか。
  273. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 できるだけ部内において人間をくめんしまして、そういう専任者をふやすとか、あるいは補助者をふやすという形でやっていきたいと思いますが、どうしてもやむを得ないというような事態になりますれば、これは大蔵当局に対して緊急の措置を要請したいと思っております。
  274. 中村重光

    中村(重)委員 経済企画庁長官にお答えをいただきますが、この国民生活安定法案関係で、いま中曽根大臣に私お尋ねをいたしましたと同様な点からお答えをいただきたいと思います。
  275. 内田常雄

    ○内田国務大臣 今日の状況から申しまして、にわかに増員をするということはなかなか困難であると考えます。しかし事の重要性にかんがみまして、私どもは庁内を編成がえをいたしまして、そしてこの国民生活安定緊急措置法の執行に関する仕事に極力差しつかえがないようなことをもって当面応じてまいりますが、しかし明年度におきましては、やはりある程度の新規増員をも実は要求をいたしておるわけでございます。  また、中村さんも御承知のとおり、標準価格などについての監視の仕事など、当然地方公共団体に委任をいたす面があるわけでございますから、地方公共団体の協力体制につきましても、自治大臣と打ち合わせをいたしておるところでございます。
  276. 中村重光

    中村(重)委員 行管庁長官にお尋ねをいたしますが、この両法案が成立をいたしまして実施されるということになってまいりますと、私は膨大な業務が生ずるであろうと思います。その点に対しては、いま両大臣がお答えになりましたような程度を行政管理庁としてもお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。
  277. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 両大臣がお答えいたしましたと同じ考えでございますが、中村先生御存じのとおり、価格調査官は、立ち入り検査の権限と質問の権限を有する官職を法律によってつくったわけでございまして、元来この仕事は、従来指定された物資に対する業務を担当しておりまする職員にこの権限を付与することによりまして十分に能率をあげるというたてまえにいたしております関係もございまして、現在併任の形をとっているわけでございます。今日のこの緊急、急迫な事態に対処いたしまして、併任の形では不十分だという懸念もございます。しからばそれを専任にしてはどうかという御意見はたぶんあるんではないか、こういうことも考えられますけれども、ただいま申しましたような趣旨で併任という制度をとっておるような関係でございまして、これを生かすためには関係省庁が全力をあげて、その価格調査官になっておる者が最優先的にこの問題に取り組んでいく、こういうことで解決し得るんじゃないか。そうしなければならない問題であろう。現在三百六名の者が調査官になっておりますけれども、必要な度合いに応じまして、各省庁でさらにこの併任の者をふやすということは現在でも可能でございますから、そういうふうに全力をあげてやっていただきたい。  それからまた、企画庁長官が答弁されましたように、現在の定数をもって全力をあげてやる、これが私はたてまえだと思います。この緊急な臨時な措置でございますから、関係各省庁が全力をこれに集中する、こういうことでやるべきであって、これを乗り切っていくという覚悟がなければならない。このために定員をふやすとか、あるいは増員をするというようなことはむしろこの際適当でない、このように行管としては考えておる次第でございます。
  278. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣、ほんとうにやる気があるのですか。現在の買い占め、売り惜しみ防止法にしても専門官が足りない、手も足も出ない状態にあるんじゃありませんか。統制当時の経済安定本部の要員は二万人だったといわれる。配給の業務に携わっている人です。いまのように行政事務が膨大になって、今日ですらその要員不足ということで行政が非常に立ちおくれているんでしょう。にもかかわらず、今度この膨大な業務をやっていくのに——それはたてまえとしてはわかりますよ。いま通産大臣がお答えになりましたのも、内田経済企画庁長官がお答えになりましたのも、たてまえとしてはわかるけれども、人間が仕事をするわけですよ。できるはずがありませんよ。本気でおやりになるんだったら、そうした人的な面をどうするのか、予算をどうするのかということをまず先にお考えにならなければいけないわけじゃありませんか。ただかっこうだけつくるというようなことでは、これはかえって国民に対して迷惑をかける、混乱を起こさせるということになっていくと私は思います。通産省と経済企画庁の両大臣公正取引委員長と覚書をおつくりになった。そういったことも、役所は人手不足なんだから業界に一切がっさいやってもらおうといったような考え方等も、あとで私はこの点をお尋ねするのでありますからカルテルの問題は別といたしまして、そうした仕事までやってもらうんだ、業界まかせで、どうぞひとつよろしく頼みますというような考え方でやろうというように思っていらっしゃるのではありませんか。通産大臣、いかがですか。
  279. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうことはございません。これはやはり政府が責任において行政権を発動してやることでございますから、政府の責任においてやることです。通産省としては、来年度は八十人ばかりの増員を要求しているそうであります。それで、やはりこれは単に資源エネルギー庁だけのことではなくして、いろいろな物資の問題が出てくれば、ガラスについては当該原局、セメントについても当該原局、そういうものがすべて総動員されて、一面において普通の行政事務をやると同時に、一面においてはそういう法案にからむ行政指導もやらなければならぬ。むしろおそらく法案にからむ行政指導というものが中心に次第に転移していくんだろうと思います。そういう意味において、全省をあげてこれに取りかかっていく、そういう考え方で進んでいきたいと思います。  それで、いまも申されました割り当て云々という場合にどうしてもやむを得ない、これだけはどうしても必要だというものが将来出てくる場合には、そのときにおいて善処したい。これは大蔵大臣なり行管長官に対して、そのとき要請しなければならぬと思います。
  280. 中村重光

    中村(重)委員 自治大臣と小澤行管政務次官にお答えをいただきますが、いま通産大臣から来年度予算で八十名を要求している——これはもう当然なことでして、八十名だなんというようなことではお話にならない。私が政府から伺ったことではありませんが、いろいろと政府と与党は話を公式、非公式にしていらっしゃるだろうと思う。両法案が成立をしてこれが業務を遂行していくということになってくると一万人ぐらいの人が要るんじゃなかろうかというようなことが実はささやかれているというのか、頭の中にそういったことも考えられている。いま八十名というのでございますが、その八十名の要員が必要であるということについても、どういう部面に必要なのかということについてお答えをいただければなお幸いだと思うのでありますが、地方自治体に対してもやはり権限を委任するということになってまいりますと、それだけの要員が必要である。具体的に自治省としてもお考え方があるんじゃなかろうか。また、自治省に業務がそれだけ委任をされる財政的な裏づけ、それがなければ、地方自治体といたしましてもたいへんなんですからね。いま通産大臣が八十名ということを四十九年度でですが、考えているのだということでございますから、やはり一応自治省といたしましても具体的な考え方、用意というものがあるのではないか。また、この両法案に対しまして行管もこれは合い議をされたでございましょうから、いまの八十名の要員をふやすといったような問題についても、具体的なこととして行管としての考え方もあるのではないかと思いますから、抽象的なことではなくて、具体的なことについてお答えをいただきたいと思います。
  281. 町村金五

    ○町村国務大臣 もし将来末端の消費者に対して石油の割り当て業務を行なうというようなことに相なりますれば、申し上げるまでもなく、こういうことはきわめて公正に行なわなければならない、したがって、確実な確認をいたしまして、たとえば切符なら切符を渡すということをやらなければならない、かように考えます。したがって、そういった点から見まして、今日の自動車の保有台数から考えてみまして相当膨大な仕事になるであろうということは私どもも予測をいたしておるわけでございまして、したがって、全国の市町村にこの仕事を委任するということに相なりますれば、相当の実は人員が要ると思います。また同時に相当な経費が要るということも、これまた当然のことでございます。  この人員が一体どれくらい要るかということについては、まだ私どももそこまでの検討が進んでおりませんので、いま一体どれくらいの人間が、そういった事務を万一担当しなければならない場合に要るのかということについてお答えはいたしかねますけれども、しかし、これも御承知のように、現在少なくとも直ちに人をふやすなんということは事実上不可能でございますので、こういった緊急な業務を市町村が担当しなければならないということになりますれば、市町村に担当できるようなぐあいの行政的な指導をまず私どもはいたしてまいりたい。しかし、先ほども申し上げましたように、これに相当な費用がかかるということは言うまでもございません。この点については、私も、将来そういう場合には大蔵省としては十分そういった費用のことは考えてもらいたいということは大蔵大臣にも話をしており、大蔵大臣もその点は了承をいたされておるところでございます。
  282. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 増員につきましては、先ほど私が申しましたような考え方を持っております。具体的に関係省庁から申し入れがあるかと思いますが、十分に検討はいたします。いたしますけれども、私どもの考え方といたしましては、先ほども申し上げましたように、今回のこの緊急非常の事態を現在の各省庁の全員をあげて、全力をあげてこれを乗り切っていく、その態度で臨んでもらいたい、こういうことが私どもの考えでございます。具体的にはどのようにするかということはこれから検討はいたしたいと思います。
  283. 中村重光

    中村(重)委員 行管が行管の立場からそう言われることは、事務的に聞いていますとわかるような気もいたします。しかし、そういうことでは、政府全体がこの難局にぶつかっていく、国民に迷惑をかけないという姿勢だというふうには受け取られない。依然としてぬるま湯に入ったような考え方から一歩も出てない。やる気なし、こう申し上げなければならないと思います。時間の関係がございますので、自治大臣並びに小澤政務次官は御退席をいただいてけっこうでございます。  通産大臣にお尋ねしますが、時間がございませんから意見は申しませんで端的にお尋ねをしてまいりますが、今後の省資源政策をどう進めておいでになりますか。
  284. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはやはり石油の輸入量というものを適正量にして、経済成長を安定成長の路線にしっかりとセットさせる、そしてその上に立って、電力とか、あるいはそのほか必要なものが適正な活動に自然に調節されていく、また電力、石油等必要とする産業自体の構造、機器というものが自然にそれに適応するように変換されていく、そういうふうにして指導していきたいと思うのです。  やはりいままでは石油が無限大に入るということを前提にしてすべての産業や道具、機器が動いておりましたから、自然にこれを乱用するという形になってきたと思いますが、この石油危機を機に、そういうようなまず歯どめを行なうということをやっていくのが正しいと思っております。
  285. 中村重光

    中村(重)委員 あとで内田長官価格の問題でお尋ねをしたいのですが、まだ通産大臣あるいは公正取引委員会委員長に対してお尋ねをする時間が相当な時間になるのだろう、こう思っております。したがいまして、もし物特の委員会関係その他でお差しつかえでございましたら御退席をいただきまして、あとでまた御連絡を申し上げますので、御出席できればお願いをしたいと思います。  先般、参考人からいろいろ意見を伺ったのですが、この石油資源脱却の産業政策を考えるべきだという非常に参考になる参考人の意見であったわけであります。それでどうなんですか。石油は今後期待をしているように入ってこない。中東平和が訪れてまいりましても、これはアラブ諸国の経済実態から考えまして、値段は上がるけれども、物は思うように入ってこないという事態が起こってくるであろうというように考えます。そうしてまいりますと、産業政策の転換、石油資源からの脱却、そうした産業政策ということは当然強力に推進をしていかなければならないのだというように思いますが、通産大臣の御見解はいかがでしょう。
  286. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはやはり徐々に転換を促進しませんと、いろいろ副作用も起こるわけであります。要は、一つはやはり日本経済というものを適正成長の路線にセットする、そういうことから始まって、それにはやはり石油の輸入量というものが限定される。必然的にいまおっしゃるように値は高くなるし、量もそうふんだんに入るという時代ではなくなると思いますから、そういう制約は受けると思いますけれども、そういう面から始めていくべきであると思います。
  287. 中村重光

    中村(重)委員 好むと好まざるにかかわらず、マイカーの締め出し規制なんということは当然やらなければいけないであろうというように思うのです。それよりも根っこを押えなければならない。自動車産業それ自体というものは私はダウンをさせなければならないと思いますが、通産大臣のお考え方はいかがですか。
  288. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 省資源というような考え方をそのまま貫くとすれば、やはり石油を多量に使う自動車というようなものも、当然検討の対象に入ってくるだろうと思われます。
  289. 中村重光

    中村(重)委員 不要不急のガソリンあるいはLPGその他油の節約ということについて、具体的な構想をお持ちだろうと思うのでありますが、これは山形長官からでけっこうでございますから、お答えをいただきたい。  なお、各産業界に対して、石油をいままで使っておったところの実績、今後の割り当ての作業というものを進めているのかどうか、そこらについてお答えをいただきたいと思う。
  290. 山形栄治

    山形政府委員 不要不急のものは当然抑制すべきだと思うわけでございます。その代表的なものはやはりマイカーの自粛ではないかと思いますが、その他いろいろとあるんじゃないかと思うわけでございますが、マイカーにつきましては、これは公安委員会、警察庁が中心になりまして、現在その規制を検討いたしておるわけでございます。  全般的な産業部門別の需要の把握、それをどう配分するかということにつきましては、それぞれ国民生活、国民経済上の重要性もございますし、関係各省でいま鋭意検討いたしておるわけでございまして、乏しい、少なくなってきた石油を最も公平に、最も効率的に、当然に配分いたさなければいかぬと思うわけでございます。  われわれといたしましては、需要がどういうところにどのぐらい使われておるか、油種別にどうなっておるかということは常時精密に把握いたしておるつもりでございますし、今後もその点はより一そう完備してまいりたいと考えるわけでございます。
  291. 中村重光

    中村(重)委員 精密に検討しているということですから、各産業界における石油の需要の実績はつかんでいるのでしょう。それに対していままで一〇%なら一〇%カットをやってきたのですが、それではおさまらないから、今度は二〇%カットぐらいやろうという考え方があるわけですね。そうすると、一律に各産業界に対してカットするのですか。あるいはそうではなくて、その重点度に応じて差をつけるというような考え方を持っているわけですか。具体的な例を、たとえばこういう産業界に対してはこうしていきたいというような考え方等もあわせてひとつお答えをいただきたいと思う。
  292. 山形栄治

    山形政府委員 たとえば、農林物資または漁業用の物資の生産または輸送に関係いたします油につきましては、先般来農林省、運輸省折衝いたしておりまして、十二月分の所要量についてはこれをきめたわけでございますが、そのときの基本的な考え方は、一般にカットされるよりもこれを優先して、優遇して取り扱うということでございます。先生の御説のとおり全部一律ということでございませんで、関係各省との打ち合わせで、内閣全体といたしましてそれぞれの部門にカットが加わる場合におきましても、おのずから公共部門の優先的確保等につきましては、これからも当然にそれは行なう方針でございます。
  293. 中村重光

    中村(重)委員 もう少し具体的に聞きたかったのですが、まあそれは資料でもって出していただきたいと思う。一〇%から二〇%カットということになってまいりますと、各産業に与える具体的な影響はどういう形が出てくるのですか。
  294. 山形栄治

    山形政府委員 これは各産業によりまして非常に違いがあると思いますが、先般われわれのほうで主要業界につきましてこれをチェックした資料があるわけでございます。たとえば一〇%カットいたしましてやった場合の仮定でございますが、その場合、鉄鋼で六社の高炉メーカーでございますが、粗鋼段階で一一・七%のダウン、それからセメントはほぼ同等の一〇%のダウン、それからエチレンが保安石油関係がございまして一三%くらいのダウン等々の数字がそれぞれ出ておるわけでございます。  しかしながら、これは従来のパターンで生産活動を行なったという場合の想定であったわけでございまして、いま各産業も非常に使用の合理化をして、なるたけ生産効率を落とさないというかっこう努力を非常に進めておるわけでございまして、それぞれの業界によって油及び電力の使い方が違うわけでございますので、一律に申し上げにくいのでございますが、大体一〇%の石油カットに応じましてほほ同等のカットが出るというのは、私は若干そこで使用合理化効果がこれからは出てまいりまして、よくわかりませんけれども、七、八%のものは期待されるのではないかと考えております。
  295. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣、二〇%ダウンをいたしますと経済成長率はどの程度落ちるのでしょう。
  296. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体下期かなり落ちてきまして、年間を通じて約六%程度になるのではないか。大体初め一一%か一二%程度くらいではないかと思われたのが、六%程度に落ちるというGNPの比率になるだろうと思います。
  297. 中村重光

    中村(重)委員 私は、経済界に混乱を起こさせないというためにも、一つの目標をお立てになる必要があるだろうと思う。もうこの段階で、これから先の恒久的な一つのエネルギーの状態ということを考えてみると、石油は二億トンなら二億トンしか入ってこないという形の産業構造を樹立する必要があるのではないか、そのように思いますがいかがでしょう。それに基づいて設備投資なんかも考えていくということになるだろうと思うのですが……。
  298. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう方向に産業政策を変えていくという必要があるように私も思います。
  299. 中村重光

    中村(重)委員 そうした施策というのですか、いまお答えになりましたようなことでまだ作業は進めてないわけですね。これから進めていくということになりますか。
  300. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ進めておりませんけれども、四十九年度予算編成にあたりましては、大体石油の輸入数量の見通しを基礎にして、そして大蔵省は諸般の計数をつくっていった。すなわち来年度は二億六千五百万トンから約二億七千万トンの範囲、その程度というものを基礎数字にしてGNPその他を計算し、各省の仕事の規模等も検討し始めた、そういうことで、来年度予算から初めてそういうことが行なわれるだろうと思います。
  301. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどお答えになりましたように、GNPもわかりますが、産業構造自体を、もう油は二億トンなら二億トン以上入らないんだというような形で産業構造を樹立していくということが私は大切だというように思います。そうしなければ、設備投資抑制のことを政府がどんなに推進しようといたしましても、なかなかそうはいかない。そのことをもっと具体的に私の考え方を申し上げて御意見を伺いたいと思いますけれども、時間の関係がありますから省略させていただきます。  それから、政府は混乱を避けるために一〇%カットをやった。しかし、現実には二〇%から五〇%のカットということになっている。それで大混乱を起こした。ところが政府は、民生用の優先ということをいってきたわけですが、現実には一〇%カットの対象となった産業界、いわゆる大企業、そこらはあまり影響は出ていないのですね。そして政府が優先的にこれを確保しよう、割り当てをしようというような形になりました部面にたいへん影響が起こってきた、混乱をしている、そういう形になっておりますが、その原因はどこにあるのでございましょうか。
  302. 山形栄治

    山形政府委員 十一月十六日の閣議決定は、あくまで行政指導で入ったわけでございまして、こういう事態が急激に参りましたために、御指摘のとおり、非常に混乱が起こったわけでございます。われわれのほうといたしましては、石油連盟及び全石商の側と各業界中小企業も含めましたそれぞれの団体との間にそれぞれ需給協議会をつくりまして、そこで個別に話を進めるように指導してまいっておるわけでございます。  なお、民生用として一番混乱がおこりました灯油とLPG、またLPGをつかっておるタクシーにつきましては、先般それぞれ価格の凍結を行なうと同時に、タクシー用につきましては十二月分の数量を確定し、運輸省においてこれの需要者別の公正なる割り当てを指導して、混乱はほぼおさまったと私は考えておるわけでございますが、何ぶんにも非常に新しいことで、灯油だけとらえましても十三万軒の小売りがあるわけでございますので、混乱が起こりましたことは確かでございますけれども、鋭意この混乱を解除して、民生の安定確保ということにつきましては、やはり基本的な原則は堅持しておるつもりでございます。
  303. 中村重光

    中村(重)委員 それは原因はいろいろありましょう。品薄を見越してメーカーやあるいは元卸というものが品物を押えて出さなかった、あるいはその他の小売り段階なんかも、そういった傾向なきにしもあらず。それだけではないのですね。大企業というものがどんどん買い占めたということですよ。それで、あなた方がたてまえとしておった民生用というものは結局弱いんだから、その弱いところにしわ寄せされた。逆の結果を生んできたということです。  この法案が通らないので、実は法的裏づけがないからうまくいかないんだ、こう言っている。しかしこの法案が通りましても、当分は行政措置というようなことで、第一ラウンドでやっていこうというわけなんだ。第二ラウンドの割り当て、配給というようなことは当面考えていない、要員の手当ても何も考えていない、来年、四十九年度予算で八十人ばかり予算要求をしているということですが、その程度のことでは、単に事務的な処理ができるにすぎないと私は思う。そういうことだと、法案は早く成立をさせてくださいさせてくださいと盛んに言うのだけれども、あなたのほうの準備というものはさっぱりできていない。そういうことでしょう。それでは混乱は一向おさまりませんよ。この法律の制定を期待した国民大衆というものは、さらに政府に対するところの不信感が高まってくる。政府に対してのみ不信感が高まるのならいいけれども、政治不信という形に発展をしてまいりまして、真剣に声をからして政府に対して充実した対策を講ずるように主張している私どもも、同罪という形をもって扱われるということになる。話にならないのですね。  問題は、政府の姿勢が変わるか変わらないかということです。産業中心、大企業寄り、この姿勢を変えてもらわない限り、問題の解決はあり得ない。その姿勢を変える用意ありやいなや、具体的にどう考えているのかという点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  304. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれの考え方は、まず統制経済といわれるようなことをなるだけ避けよう、それで戦時中のようなああいう陰惨な暗い経験を再び重ねたくないという考えでございますから、やはり国民総ぐるみで、官庁も業界も消費者も一体になってこの危機を切り抜けようという考えに立っておりますので、そういう考えに立脚して、この十一条の発動はできるだけ避けたい、その前に行政指導でやるべきものを十分やっていく、そういう考えから、業界も協力してもらうという姿勢でいろいろやってみましたが、当初におきましてはいろいろ混乱が起きて御迷惑をおかけいたしましたが、だんだん官庁側におきましてもあるいは業界側におきましてもなれてまいりまして、事務もスムーズに動き始めるようになりつつあると思うのです、いろいろ経験を重ねまして。そしていままで事前の周到な手配がなかったために、こういう混乱が起きましたけれども、われわれとしては、各省との間にいろいろ手配をし、また通産局を通じましてもいろいろ本部をつくったり、各府県との連携をつくりましたり、そういう形でいま鋭意体系をつくりつつあるわけでありまして、まず当分これで全力を尽くしてやってみたい、そして多少そごがあっても全精力を尽くしてやり抜いてみたい、そういう考え方に立っておるわけであります。
  305. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣の意欲はわかりますよ。わかりますが、あなたの意欲のとおりになかなか動かないのですね。手足がなかなかそう動かない。政府全体もそういう姿勢にならない。また、その用意もしていらっしゃらない。先ほど私が自治大臣からお答えをいただきましても、行政管理政務次官からいただきましてもそうでしょう。あなたのようにこれはもう断固としてやるんだという姿勢すらないじゃありませんか。何の準備もない、心の準備だってないでしょう。それじゃお話にならないですね。しかし、こういったことを責任の追及ということで申し上げているのではありませんが、法律案を私どもが審議をしてまいりましても、疑念は依然として変わらないですね。疑念は疑念として残る。たとえば、あなたはいま統制経済的なものは避けたい、そういうことで十一条の発動ということはできるだけ避けていきたい——しかし、現実問題として十一条の発動というものをやらなければどうにもしようがない、打つ手がない。いま行政措置でおやりになっていることと、実態的に変わらないということです。  それともう一つは、通産大臣、できるだけ民生的にやっていきたい、そういうお考え方であるならば、十一条の場合におきましても、政令事項に一切ゆだねてしまって、そして一切がっさい政府にまかせろ、こっちにやらせろというような態度ではなくて、十一条の発動をやります場合はこうやるんだということを法律案の中にもう少し具体的に明記していくということが必要であったでしょうし、また政令事項にゆだねていくということであるならば、審議会というものを設置をする、そしてできるだけスムーズに国民の声を聞いていく、混乱が起こらないようにやっていく、不平や不安、不満というものが起こらないようにするという考え方が当然あるべきであった。にもかかわらず、審議会の設置ということに対してたいへんこだわって反対をなさったのは、通産大臣、あなたであると伺っている。あなたの答弁態度というものは、ほんとうに真剣だと私は正直に受け取りたいと思っているのです。しかし、こう申し上げるとたいへん語弊があるのでありますけれども、どうもこの答弁台からではなくて与党のほうに向いておっしゃっていることは、なるべく審議会をつくらないようにしろ、つくるにしても事後措置でやるようにしなさい、そういうことでは通産大臣、あなたのお答えになっていることと行動していらっしゃることは違う。それじゃ心もとないですね。この法律案を真剣に私どもは、夜も夜中もない、日曜も祭日もないということでしっかりやってまいりました。精力的にほんとうにやりました。そして、私の質問が終わりますと、最後に一点詰めが残っておりますから、その詰めが終わったら成立させたいし、附帯決議の準備もしておるし、特別決議の準備も実はいたしておる。ほんとうにあなたはそれに対応するというような考え方があるのかどうか、審議会の問題から疑わしさすら私は感じておるのでありますが、今後どう対処しておいでになりますか。
  306. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私も国会議員で、中村さんの同僚の一人でございますから、国会側の御意見というものはよくわかりますし、また心をむなしくして拝聴したいと思っておるところでございます。  修正につきましては、目下各党間におきまして折衝中でございますので、私は党側の御意見に従って動こうと思いますので、この際発言することは差し控えたいと思いますが、しかしいま御指摘になりました審議会というようなお考えもよくわかりますから、適当な審議会であるならば、私もこれに賛成するにやぶさかでございません。
  307. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたが審議会をおつくりになることにずいぶん抵抗しておられるということを伺った、その審議会ができるようになりました。与野党合意をいたしました。ところが、その委員の任命はあなたがなさるわけですね。さて通産大臣、ほんとうに国民の期待にこたえるような、国民各階層から審議委員を選んでくれるだろうか、若干不安なきにしもあらずでございます。附帯決議もつけることにいたしておりますが、一般消費者あるいは学識経験者、そういう面からできるだけ国民各階層の中から審議委員を選んでもらいたいという附帯決議になるであろう、まあこれから決議をしませんとほんとうのものにはならないわけでありますが、そういうことで合意はいたしておるのでございますが、通産大臣のお考え方はいかがでございましょうか。
  308. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国会側でおきめになったことについては誠実にそれを実行いたします。
  309. 中村重光

    中村(重)委員 総理大臣が予算委員会で御答弁になっていらっしゃることで、安くて豊富な石油がどんどん入ってくるという考え方は間違いであった、また民間にまかせたのも間違いであったと総理は見解を述べていらっしゃるわけですが、通産大臣もお聞きになっていらっしゃったと思うのでございますが、民間にまかせたのは間違いであったというお考え方は、通産大臣も同じような見解でございましょうか。具体的にどういったことを考えておられるのでございましょうか。
  310. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 総理大臣がどういう意味でそういうことをおっしゃったか、私よくわかりません。まあ想像すれば、海外の開発、経済協力等について民間がお互いに足を引っぱりあって、そして外国において若干国益を損じたりあるいは醜態を演じているというようなところが見えるものでありますから、そういう点について言及なすったのではないかという気もいたします。
  311. 中村重光

    中村(重)委員 私も実はテレビで聞いておりましてメモしたのですが、いろいろ考えてみたのです。いま通産大臣がお答えになりましたようなことも考えてみたわけですが、もう一つは、御承知のとおり、石油開発公団石油公団に、その業務の内容を含めて改めているわけですね。その石油公団に鉱区の取得から開発から輸入から、それから配給までとは、私はまだそこまでの考え方は持っておりません。その適不適は、そこまで煮詰めて考えていないのですが、ただいま申し上げましたようなことは当然石油公団にもやらすべきだ。私がいつか国民の生活物資の問題をとらえて、公団の問題を本会議で問題提起をいたしました際、通産大臣も傾聴に値する意見だ、さっそく実行に移すようにしたいというようなお話を実は伺ったわけでございましたが、石油の場合、石油公団にそれだけの業務をやらせる必要がある、そう思います。通産大臣、御見解いかがでございましょう。
  312. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私も中村委員のおっしゃった方向については賛成でございまして、それを具体的にどういう改正法律として提出するか、いま検討さしているところでございますが、社会党の皆さま方がおっしゃるようなERAPとかENIというような機構も大いに参考にして、単に民間がやることをうしろから応援しているというだけでなくして、みずからあるいは利権を取り、あるいは採掘し、あるいはこれを購入し、輸入しというような権限までやらせるほうがいいのではないか。ただし、それを公団が自分の事業として長い間やるということは必ずしも適当でないので、国内体制が整備したらそれに渡していく、そういう過渡期のパイオニア的役目を果たさせるというほうがいいのではないかといま考えております。
  313. 中村重光

    中村(重)委員 私は通産大臣のお答えもわからないではないわけですけれども、公団にはそれだけの業務をやらせることが適当だというふうに考えるのですよ。コントロールするという面からでも必要がありましょうし、これから先の石油の輸入の問題と経済協力という問題とは切り離すことができないと思うんですね。ただ掘ってどんどん物を持ってくる、物取りの経済協力というような批判というものが非常にあるわけです。石油開発公団は政府機関でもあるわけでありますから、そこまでやはり石油開発公団というものを活用していく、積極的な業務を推進していくというようなことでなければいけないのではないかというように私は思いますから、ただ何か困ったときの緊急避難的なことで石油公団を考えるというのではなくて、恒久的な対策としてお考えになる必要があるであろう。また、あらためてこのことについては私の意見を述べたいと思います。大臣の見解も伺いたいと思います。
  314. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昔、日本で「鉄は国家なり」ということばがありましたが、いまアラブにおいては「石油は国家なり」、そういう時代に入ってきていると思います。国家が出てきているわけですから、やはり国家が出ていかないというと話にならない。そこへ民間がのこのこ出ていくということは、立ちおくれや混乱が起きるという要素が見えてきていることは御指摘のとおりでございます。そこでERAPとかENIというものが出てきておるのだろうと私は思います。  そういう時代の趨勢を見ますと、やはり国が出ていく、そして国と話し合う、そういう形の時代に入っていきつつある。特に御指摘のような経済協力の問題が随伴してまいっておるものですから、経済協力というのはやはり国家が意思を持って行なうという形が本筋の仕事でございますから、当然そういう結びつきが出てくるような気がいたします。
  315. 中村重光

    中村(重)委員 それから通産大臣は、エネルギー対策として石炭の見直しを強調されたわけですが、見直しということばで通産大臣が何をお考えになっておられるかというようなことはわからないでもないのでありますが、具体的に見直してどうするか。今後の石炭政策をどう進めていくのか。いま五十年二千万トンの第五次答申によってこれからやることになるわけですが、これをどのように改めていこうとするのか。前の五千万トン体制というようなことの実現をぜひしなければならないというような意欲的な考え方の上に立っていらっしゃるのかどうか、具体的にお考え方を聞かしていただきたいと思う。
  316. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第一次には、第五次答申の線を確実に実行していくということ、その基礎の上に立って、最近の情勢変化を踏まえまして、最近中間答申が行なわれましたが、中間答申を誠実に実行していく、そういう意味で、この間エネルギー庁長官が御答弁申し上げましたが、二千二百五十万トン・ラインというものを新たなる目標として考えていくということ、それを行なうためには石炭専焼火力をふやすというようなことや、あるいは特殊の利用を除き閉山をできるだけ阻止していく、そういうような政策につながってくるだろうと思います。
  317. 中村重光

    中村(重)委員 考え方はわかります。わかりますが、石炭専焼火力発電所も北海道に一つ、あるいは九州に一つつくるという考え方だけで、それじゃ具体的に四十九年度からどうするのかということ、あるいは混焼の発電にいたしましても、混焼率をどう高めて、いつからそれを実行するのかということについての考え方を明らかにされないですね。もう十分事務当局とも打ち合わせをしておられて通産大臣の考え方は固まっているのではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
  318. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石炭火力につきましては、北海道、九州にこれを増設したいという気持ちがありますが、何しろサイトの問題がありまして、地元の了承を得るということが非常に大事なことでありますから、その点でいま困難が随伴しているようです。それにはやはり公害問題を解決していく、そういうような排煙脱硫、そのほかの科学的な推進ということが非常に重要であると思います。具体的に中間答申のラインをどういうふうに進めていくかということは目下石炭部においていろいろ検討させておりまして、この間答申をいただいたばかりでございますから、いま具体的にそれを来年度以降どういうふうに実現していくか、研究させておるところであります。
  319. 中村重光

    中村(重)委員 石炭政策を見直すということになってまいりましても、石炭労働者の協力というものがなければどうにもならないということです。炭鉱をつぶす政策というものをいままで強引に進めてきた。そのことが労働条件というものを非常に低下さしてきた。それでも石炭労働者は歯を食いしばってがんばってきた。にもかかわらず、どんどんどんどん山から人が追われてきた。今度の石炭見直し政策にいたしましても、結局緊急避難的な形で、幾らかでもたくさん掘ってくれということで、石炭労働者に負担のみを要求するという形になるのではないか。はたして将来どうなるのであろうかという不安が実はあるわけです。だから、石炭見直しの政策をこれから推進していくということになってまいりますと、石炭の国有化、公有化の問題等も含めて、やはり地下にある日本の石炭資源というものは大切なんだ、経済ベースのみで考えてきたことは間違いであったという反省から出発をして石炭政策を進めていくのでなければ問題の解決にはならない。労働者が安心して働ける職場、そのためには保安体制をまず確保していくこと、労働条件を改めていくこと、そういった一連の石炭政策というものが確保されなければならないと思いますが、通産大臣のお考え方はいかがでしょう。
  320. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石炭労働者の賃金や期末手当がほかに比べて低いということをわれわれもよく知っておりますし、ともかく石炭生産をめぐる環境の整備、経営の充実あるいは販路の問題そういう諸般の問題等につきまして、先ほど申し上げた公害その他も含めて積極的に推進していきたいと思っております。
  321. 中村重光

    中村(重)委員 時間が参りましたから、電力の問題等お尋ねをしたかったわけですが……。  通産大臣、電気事業法の二十七条、これを発動するという考え方、さらにこの対象を拡大するという考え方があるのでしょうか。電気使用制限規則、電気事業法二十七条です。
  322. 山形栄治

    山形政府委員 石油のカットの率が一月以降高まることも考えられます。電気は石油と違いまして、電線を通じまして、これは使用すれば備蓄とかそういうことはできませんで、たれっぱなしの使用になってしまうわけでございます われわれといたしましては、電気事業法二十七条に基づきます産業界を主にした規制というものをやらざるを得ない段階だということで、現在準備を進めております。まだ成案は得ておりませんけれども、現在準備を進めておる段階でございます。
  323. 中村重光

    中村(重)委員 対象拡大については、具体的に考え方をまとめているんでしょう。
  324. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御承知のとおり、十二月の行政指導では、三千キロワット以上の大口需要者を対象として、通産大臣から個別に要請をしたわけでございますが、もし今後石油事情が一そう窮迫するというようなときには、やはり対象拡大をするということを織り込んで考えていかなければならないと思います。その場合の一つの目安として五百キロワット以上というようなことをいま検討いたしておるところでございます。
  325. 中村重光

    中村(重)委員 検討中の改正点をもう少し詳しく話をしてください。
  326. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これはいま具体内容を詰めておるところでございますが、かりにいま五百キロワット以上というようなものを対象とすることに決定いたしました場合には、一定の基準の月の使用量というものを対象といたしまして、それに対して所要の削減率を課するという規制方法になろうかと思っております。
  327. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、公正取引委員会高橋委員長にお尋ねをいたしますが、覚書の問題については、予算委員会におきましても当委員会におきましてもずいぶん問題になったわけです。覚書はカルテル行為ではないということの答弁に終始されたわけです。この覚書の内容を読んでみますと、これに書かれている(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、このこと自体がカルテルを容認することになりませんか。いかがですか。
  328. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私どもの考えとしては、今回のそういう標準価格あるいは需給の調整等に関連いたしまして、政府の考え方、与党の考え方を通じまして官僚統制一本やりで先に始めるということは好ましくない、こういう考えであったわけでございます。といたしますと、そうでなくても、官僚統制といえども民間の協力というものを一切排除したならば、これは迅速にやることができないと私は思います。  先ほど定員等の問題が出ておりましたけれども、資料をとるにしてもこれは取り方がございます。それから価格の問題についても何についても、需給の非常なアンバランスをいかに調整するかということについて、各限られた役人が幾ら徹夜をしても追いつかない面があるわけです。したがいまして、そういう場合に独禁法に触れない範囲で協力し得るというものは何かということを明示する。このことは、私どもとしては逆にいえば、それを越えれば、必要最小限度のレールを越えれば独禁法違反になるし、また、その条件といたしまして主務官庁の厳重な指示、監督、これは具体的なケースについてもそれぞれ介入するという意味でございまして、公権力のちゃんとした介入があり、これは通産省については一部例外的に事前措置がありますけれども法律に基づく権限によってやるわけでございます。すべて法律に基づいて行なわれることでありまして、法律に基づかない単なる行政措置ではないのでありまして、そういうことで、具体的な介入があって、つまり民間主導型ではない、完全に政府主導型できめられる。それは官僚統制とどこが違うかという問題があるかもしれませんが、そういう場合に、私、一々具体的に例を申し上げることはできませんけれども、政府のそういう政策に向かって全く善意ある協力を各業者が行なうこと、業界の場合だってそれはあり得るわけでございますが、それが直ちにカルテル、つまり不当な取引制限、公共の利益に反する、実質的に競争を制限する行為になるというふうには解さない。これは私は、覚書の中に書いても書かなくてもその点は考え方は変わりません。したがいまして、不当な取引制限というふうなカルテル行為を容認するものでは全くないということをはっきりさせておきまして、ただ、どのように各官庁がおやりになるかということは、その官庁のやり方をいま私が申しました業者業界一任というふうな形でやられれば、これは私はきわめて好ましくない行為と思いますが、一つ一つ政府主導型でやっていただく分には、それは善意ある協力と認めなければならぬし、その行政官庁のそういうことを私は十分期待して、公共的な見地からすべてやられる、民間の利益を確保するというふうな点から問題は始まるべきでない、すべてのいろいろなエゴは排していかなければならぬ、そういうことを前提に置いてこの覚書をつくったのでありまして、その精神はそれぞれの官庁におそらく守っていただけるものと私どもは期待しておりますが、万一違いました場合には、私どもは厳重に抗議を申し出るつもりでありますし、問題によりましては法律違反として規制することもあり得ます。
  329. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたの答弁を聞いていると、真剣な気持ちはわかるんですよ。しかし、あなた自身は、この法律に伴って進める事業というものに対して一切独禁法の適用除外にするということに対して抵抗したのでしょう。そうして結局覚書で妥協したんじゃありませんか。あなたはいやでやったんでしょう、この覚書をつくるのは。あなたは結局破れたわけですよ。そして覚書の中に逃げ込んでいったのです。それが真相ですよ。それであなた自身がおかしなことばかりやるのですよ。石油対策本部のメンバーでこの法案を作成をする作業にあなたは参加している。あなたは職権の独立性というものを侵しているじゃありませんか。あなた自身がそういうことをやっちゃだめだ。みずから間違ったことをやっておいて、民間主導型はカルテルなんだけれども政府主導型はよろしいなんという考え方は、あなた自身がカルテルを容認することになる。あなたから言えば、いいカルテルはやるし悪いカルテルはいかないのだ、そういう考え方に区別をしていこうと考えておられる。この覚書を一つ一つあなたが読んでみられても、たとえば「違反者に対する出荷停止等、需給・価格の混乱防止のための制裁措置」なんということを書いている。その他(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、すべて大体同じようなことなんです。結局、業者価格の問題、量の問題一切含めて話し合いをしなさい——こんなことはカルテルじゃありませんか。そして先ほど私が申し上げましたが、この法律案に基づいてこれから先事業をやるという点について、国の予算はできるだけ出さないで業界などを使って、そして業界の要求というようなもの、業界の希望するようなことを業界に目をつぶって容認してやる。あなたも一緒になって覚書という名のもとに、そうした政府主導型であるという形においてカルテルを容認していこうとする考え方、これはまことにけしからぬと私は思う。あなたは独禁法の番人としての役目というものを放棄してしまっている。そういうことでは、あなたは将来に向かって独禁法骨抜きの大犯罪人であるという批判を免れないと思うのですよ。そう思いませんか。
  330. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 対策本部のメンバーになって立法にかかわり合いを持ったことは確かでございます。それはカルテル条項が入っておったということも御承知のとおりでございまして、これは削除してもらっている。そのことと私どもの職権とは、私はかかわりないと思います。したがいまして、今度実施の段階に入りまして私を、やはり公取委員長を本部のメンバーにするというお話がございました。私は、これは絶対困る、実施について困るということでお断わりいたしまして、御了承を得た次第でございます。ですから、以後私は、その対策本部のメンバーにはなりません。実行については、それぞれの所管官庁がおやりになればいいのでありまして、私どもは、そういうものの中に入ってしまうと、とかくいろいろこういうものはどうだ、こういうものはどうだというふうな事前の相談を受けて抜け穴をつくられるおそれがありますので、これは避けております。  なお、カルテル条項を削ったかわりに覚書に逃げたではないかとおっしゃいますが、それぞれいま私こまかくその条項を釈明いたしません。いままで物価委員会におきましても商工委員会におきましても何回となく私は申し上げておりますが、いまおっしゃられました、たとえば(イ)と(ロ)の条項は、実はつくり方が非常にまずかった、これは認めます。(ハ)と(ニ)の条項はつながっておるのでございまして、横のカルテルは絶対認めない。ただ、末端価格——十数万という業者がおる、それに対して政府が全部いまの、たとえばいま凍結されておりますところの灯油価格につきましても守られているいないという議論はありますが、とにかくそういうものに対して応急に何か措置を講ずるためには、必要があれば、元売りがそういうものに対して出荷停止というような制裁を加えることも違法ではない、そういうことを私どもは認めたわけです。これは独禁法上不当な行為とはみなされませんから、政府がきめた末端価格を守らない——守らないということは、この場合、高く売るということです。高く売る業者に対しては出荷停止というふうな制裁手段をとっても、本来ならば、これは不公正な取引で排除の対象になりますが、これはならないのだ、こう読むわけでございまして、いかなる場合においても「協力措置」とあるのは共同行為ではないのです。共同行為を容認してやるということではないのでありまして、私はこの覚書をつくったことでカルテルを容認したという、これはそういう新聞記事はたくさんございました。ございましたが、そういう考えは全くないということをこの国会の場においてもたびたびはっきりさしておる次第でございます。
  331. 中村重光

    中村(重)委員 委員長、協力行為という名の共同行為ですよ。これは明らかにカルテルですよ。あなたが、政府主導型の行為であるならばそれはカルテルではない、こうおっしゃるのだったら、何のために覚書をあなたは締結しなければならなかったのですか。そんなことをしないで、通産省がやっているようなこと、業界と一緒になって何かやっている、これはけしからぬ、独禁法違反であるといって、独自の立場からあなたはびしびしやったらよかったじゃありませんか、わざわざ覚書なんてつくらないで。いいことだと思うので差しつかえないということで覚書を結んだんだ、差しつかえのない行為であるというならば、あなたは覚書をおつくりにならなくたって、黙って独禁法の番人として、公正な競争をやらせるために、共同行為において価格協定をやらせないように、そういうことをあなたはおやりになればよかった。さすがにあなたは、この法案の中に独禁法除外という形をやらせろ、それには抵抗したのはよかったのですよ。結局どうにもこうにもならなくなって、覚書ということであなたはくくられてしまった。そこまで逃げることはできなかったのですよ。あなたは結局その中に逃げ延びた、こういうことになる。いけないことです、それは。だから私どもがきょう特別決議を結びますのは——それぞれ、与党は与党の考え方がございましょう。覚書をなくするという形、そこまでの文章はつくらないつもりでありますけれども、実体はそういう考え方で私どもは独禁法運用に関する特別決議をしたいと考えているわけです。結局独禁法というものは公正に守られていくのでなければ、資本主義経済だって健全な運営はできないのですよ。公正な競争というものは、資本主義経済としても大切なことではありませんか。このような覚書なんという小刀細工をやる。そしてあなた自身が——私はずっと質問していて、あなたの顔も見ています。答弁態度もずっと見ているわけです。注目しているのです。非常にあなたは苦悩の色があるのですよ。やるべきことでないことをおやりになったから。前車の誤った轍を踏んではなりません。  かつて独占禁止法違反の特振法というものを政府は提案をしました。その際、私どもはこれを廃案にいたしました。その当時、当時の事務局長であった竹中さんが、たしか佐橋次官であったと思いますが、覚書を結んだのです。たいへんそれが批判されたのです。独禁法の骨抜きという方向に進んだのです。行政が介入したものはカルテル行為ではないという形の覚書であったわけです。それが非常に経済がずっと動いていく、情勢も変わってきた、そしてまたあなた自身が今度はこういう形で覚書を締結された。まことに遺憾なことであったと思います。  しかし最後に、もう覚書を結んでしまったのですから、撤回されることを要求をしたいと思います。しかし、あなたもすぐ撤回というものはなかなかできないのでしょう。しかし、事実上いまあなたがお答えになりましたように、カルテル行為を絶対にやらせない、ここに書いているような(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、こういうものを拡大解釈をさせることがあってはならない。少なくとも協力措置というような形での共同行為というものはやらせないのだ、峻厳にその点は取り締まりをしていただかなければならない、そのように思いますが、あなたのお考え方をもう一度お聞かせいただきたい。
  332. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃられたそういう考え方をお持ちの方がかなりおられる、そういう事実は私は認めます。したがいまして、私がそういう覚書を結んだ——私どもといいますか、公正取引委員会が覚書を結んだことについて非常に非難の声があることを承知しております。しかしながら真意は、私どもは決して拡大解釈をして共同行為、カルテル行為を認めるという趣旨では全くないということをわざわざ注にもうたっておるわけです。一般民間業界が誤解をして、協力措置ならば相当共同行為でもいいんだな、こういうふうに思われては困る、そこはくぎをさしたものでありますけれども、しかしそれがどうやっても誤解が解けないということでありますと、私たちとしてはたいへん遺憾に存じます。しかし考え方は一向に変わっておりませんから、カルテルなどをこれに便乗して行なうものがあれば容赦なく取り締まります。そういう点については考えは変わりません。
  333. 中村重光

    中村(重)委員 結局、この覚書に基づいて通産省があるいは経済企画庁が介入をして協力措置という形でこれから行政を進めていく、そういう場合、この覚書というものは適当でなかったとあなたが気づかれたならば、いさぎよくこの覚書を撤回する、そういう交渉を進めるという態度をおとりになりますか。
  334. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 おっしゃるとおり覚書の趣旨に反する行為が頻発するようなことでありますれば、この覚書を破棄するような私どもは要請はいたします。ただ、相手のあることですから一方的に破棄というわけにはまいらぬでしょうけれども、しかしながら実情がそうであるということであれば有害であるというふうに存じますので、私どもとしては、そういうことを要請するつもりでおります。
  335. 中村重光

    中村(重)委員 まだ若干話し合いが残されているようでございまして、続いて法案の採決という形に進まないようでありますが、しかし申し合わせの時間がまいっておりますので、あと一問で終わりたいと思います。  本法案の十一条、これは割り当て、配給でございますが、この業務はほとんど政令にゆだねられているわけですが、このような重大なことを、通産大臣、なぜに政令にすべてゆだねることにされたのですか。
  336. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは、その対象が非常に多面にわたりまして、また経済が動いているものですから、千変万化に動く情勢であります。したがいまして、行政官庁がそのときそのときに機宜の処置を取り得るように弾力性を与えていただく必要がある。そういう意味で、政令にゆだねさせていただいたのであります。
  337. 中村重光

    中村(重)委員 なるほど、あなたはそういうことをやりやすいでしょうね。やりやすいでしょうけれども、割り当てとか配給とかいうように、これは国民を大幅に拘束をするというような、国民生活というものに重大な影響を与えるというような問題にまでなるわけですね。こういうものは、できるだけ法律事項にするというようなことが必要ではなかったのか。英国等では、御承知のとおり、割り当てとか配給といったような発動要件といったものに対しましては国会の議決事項になっているということ等から考えますと、あなたのほうがやりやすいからというようなことだけで政令事項にするということは私は適当ではなかった、そのように思いますが、いかがですか。
  338. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり公正に実行しよう、そういう意味において、また、もう一つはタイミングを失しないようにやろう、そういう意味におきましてやはり機動的にやれるという点から政令にお願いしたのであります。
  339. 中村重光

    中村(重)委員 まあ、あなたはそうした考え方で、何ぼお尋ねをしましても終始その線から一歩も出ないだろうと私は思います。しかし、これはまことに適当ではなかった。何らかの形のチェックをしなければならない、立法機関としては私は問題があるというように感じております。それらの点に対しましても、あなたもまた政令をこれからつくっていくわけでありますから、十分国会とも話し合いをするというような民主的な方法、国民が納得するような行政運営をやっていただきたいということを要請いたしておきたいと思います。  それでは、申し合わせの時間でございますから、これで終わります。
  340. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後六時三十九分休憩      ————◇—————     午後十一時二十四分開議
  341. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出石油需給適正化法案を議題といたします。  他に質疑の申し出もありませんので、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  342. 濱野清吾

    濱野委員長 本案に対し、中村重光君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————
  343. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。中村重光君。
  344. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表して、その要旨を御説明申し上げます。  一、政府は、本法の運用にあたり、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者、公益事業、通信、教育、医療、社会福祉事業、言論及び出版に関連する事業その他に対して石油供給を優先確保するよう配慮し、また、石油に関する必要な情報を国民に提供するようつとめなければならないこととする。  二、通商産業大臣は、揮発油の使用の節減のため、自動車に直接給油する石油販売業者に対して必要な指示をする場合に、身体障害者でその生計を維持するため揮発油を確保することが不可欠である者に対し、特別の配慮をしなければならないこととする。  三、通商産業大臣は、石油の売り渡し指示を受けた特定石油販売業者に対し、正当な理由がなくその指示に従わなかったときは、石油を売り渡すべきことを命ずることができることとする。  四、通商産業省に、学識経験者及び一般消費者のうちから通商産業大臣が任命する二十名以内の委員で組織する石油需給調整審議会を設置し、同審議会は関係大臣の諮問に応じ、石油の割り当てまたは配給等その他本法運用上の重要事項を調査審議し、また関係大臣に建議することができることとする。  五、政府ば、おおむね六月に一回、国会に、本法施行の状況を報告するものとする。  六、政府は、この法律の施行後一年以内に、本法の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  345. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  346. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本修正案は、やむを得ざるものとこれを認めます。     —————————————
  347. 濱野清吾

    濱野委員長 これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきまして、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、中村重光君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  348. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  349. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本案は中村重光君外四名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいまの修正議決により、字句の整理を必要とする場合は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  350. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  351. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、本法律案に対し、武藤嘉文君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。武藤嘉文君。
  352. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。  案文は、お手元にお配りしたとおりであります。  本決議の各項目の詳細につきましては、当委員会の審査を通じて十分御理解いただけるものと存じますので、この際、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。     —————————————     石油需給適正化法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、内外石油情勢の急激な変化に対応してエネルギー政策を抜本的に再検討し、省資源型産業構造への転換、産油国等に対する経済協力・技術協力の積極的展開、サンシャイン計画の強力な推進等によるクリーン・エネルギーの開発促進等の施策を講ずるとともに、現下の石油危機において、石油製品等諸物資の著しい需給のひっ迫と価格の急騰により、国民生活が重大な脅威にさらされている実情にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 石油の割当て又は配給等の実施にあたっては、客観的な基準に基づいて公平に行なうよう特に配慮すること。 二 石油の割当て又は配給の措置を実施したときは、その実施の状況についてすみやかに国会に報告すること。 三 石油需給調整審議会の委員の人選にあたっては、一般消費者をはじめ国民各階層の代表を適切に選任するとともに、同審議会の建議は十分これを尊重すること。 四 不急不要の石油需要に対する抑制措置を強化するとともに、石油製品の価格の上昇については、極力これを抑制すること。     —————————————
  353. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  354. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣
  355. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政府といたしましては、本附帯決議の内容を尊重し、これが実行に万遺憾なきを期する次第でございます。     —————————————
  356. 濱野清吾

    濱野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  357. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  358. 濱野清吾

    濱野委員長 板川正吾君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提出にかかる私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の運用の強化に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。板川正吾君。
  359. 板川正吾

    ○板川委員 提案者を代表して、決議案の趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付したとおりでありますので、朗読を省略します。  御承知のとおり、公正取引委員会は、本法及び国民生活安定緊急措置法の実施等に関し、通商産業省及び経済企画庁とそれぞれ覚書を作成して、政府の指示、監督に基づく業者の協力措置は独占禁止法に抵触しないものであることを確認いたしました。  この覚書は、本法の立案過程のある段階において、安定カルテルとして独占禁止法適用除外に関する条項が考えられていたため、これに代替するものと受け取られ、巷間、実質的にカルテルを容認したかのごとき印象を与えておるのであります。  申すまでもなく、公正取引委員会は中立性、独立性を付与されておる機関であり、独占禁止法の適用除外規定を置かない以上、他のいかなる法令のいかなる条項も、独禁法の適用または公正取引委員会の権限の行使を排除することはできないのであります。  現在の石油危機において、諸物資の需給の逼迫と価格の急騰が国民生活に重大な脅威を与え、情勢はさらに深刻化するおそれもある今日、覚書の作成によって独占禁止法の適用が緩和されるような印象を与えることは、まことに遺憾なことといわなければなりません。  この際、われわれは、今日の事態を奇貨として、業者が実施する生産、価格協定等の違法行為に対して、独占禁止法の適用及び公正取引委員会の権限がゆがめられることのないよう明確にすることが必要と考え、本決議案を提出した次第であります。  以上が決議案提出の趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。     —————————————    私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の運用の強化に関する件  現下の石油危機において、石油製品及び生活関連物資等は、著しい需給のひっ迫と価格の急騰を示し、国民生活に重大な脅威を与えている。原油等の輸入状況により、石油製品、電力、ガス、生活関連物資等の供給力が、さらに低下する惧れのある情勢にかんがみ、これを奇貨とする石油及び生活関連物資等の需要、供給業界の生産、販売価格等に関する違法な共同行為は、厳格に取締ることが必要である。  よって政府は、石油需給適正化法等の施行にあたっても、これらの法律の規定は、私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の適用を排除し、又は公正取引委員会の権限を制限するものと解してはならないことを確認し、私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の運用について万全を期すべきである。  右決議する。     —————————————
  360. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  361. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、板川正吾君外四名提出にかかる動議のごとく決しました。  通商産業大臣及び公正取引委員会委員長から発言を求められております。この際、これを許します。中曽根通商産業大臣
  362. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本決議の趣旨を尊重し、これが執行に万遺憾なきを期する次第であります。
  363. 濱野清吾

  364. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ただいまの決議の趣旨を十分体しまして、今後とも私ども公正取引委員会といたしましては、独占禁止法の厳正、公正なる運用について遺憾なきを期したいと考えております。
  365. 濱野清吾

    濱野委員長 おはかりいたします。  本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  366. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます よって、さよう決しました。     —————————————
  367. 濱野清吾

    濱野委員長 この際一言ごあいさつを申し上げます。  本法律案審査にあたりましては、去る八日、提案理由の説明を聴取いたしまして以来、連日連夜にわたり、終始熱心な討議が続けられ、本日円満に終了することができましたことは、ひとえに練達たんのうな理事諸君並びに委員各位の御協力のたまものと衷心から感謝する次第でございます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十一時三十五分散会