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1973-12-10 第72回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十日(月曜日)    午後一時十八分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 塩川正十郎君    理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       小泉純一郎君    小川 平二君       小林 正巳君    小山 省二君       塩崎  潤君    島村 一郎君       田中 榮一君    田中  覚君       高鳥  修君    中村 弘海君       八田 貞義君    宮崎 茂一君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       佐野  進君    竹村 幸雄君       渡辺 三郎君    米原  昶君       近江巳記夫君    松尾 信人君       玉置 一徳君    宮田 早苗君  出席政府委員         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君  委員外出席者         参  考  人         (日本LPガス         連合会会長) 内田 太郎君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     笠原 大二君         参  考  人         (日本LPガス         協会会長)   深尾 憲治君         参  考  人         (全国石油商業         組合連合会会         長)      松村信治郎君         参  考  人         (石油連盟会         長)      密田 博孝君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 十二月十日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     小泉純一郎君   粕谷  茂君     田中  覚君   木部 佳昭君     小林 正巳君   橋口  隆君     宮崎 茂一君   松永  光君     中村 弘海君   保岡 興治君     高鳥  修君   山崎 始男君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   高鳥  修君     保岡 興治君   中村 弘海君     松永  光君   藤田 高敏君     山崎 始男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油需給適正化法案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油需給適正化法案を議題といたします。  本日は、参考人として日本LPガス連合会会長内田太郎君、全国農業協同組合連合会常務理事笠原大二君、日本LPガス協会会長深尾憲治君、全国石油商業組合連合会会長松村信治郎君、石油連盟会長密田博孝君、以上五名の方に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本日は、本法案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  まず、内田参考人お願いいたします。
  3. 内田太郎

    内田参考人 日本LPガス連合会会長内田でございます。  販売業界代表として、こういう席で、ひとつ業界販売経路等をお話しさせていただきますことを光栄といたします。ありがとうございます。  私どもLPガス業界は、約二十年にいたしまして全国山村僻地まで一千八百万世帯需要家を持っております。ガス関係におきましては、歴史は百年でございますが、約一千万世帯でございます。なぜLPガスが今日一千八百万世帯になんなんとしたかということは、LPガスの引き込み、いわゆる設置につきまして非常に低廉でありかつ簡便だ、しかも価格におきましても非常に低廉の時代を経てまいりましたので、どちらの土地に行きましてもLPガスが便利なガスという名称で愛されてきたわけでございます。  その間、いろいろな取引適正化、保安の確保メーター法制化等々の法律案は提出されておりますけれども、わが業界はきびしさは増しましても、国の温情ある処置はまだ一回もございません。たまたま近促法の指定業種にはなりましたけれども金融措置等におきましては、そう簡単には中小企業金融公庫も貸していただけません。また、借りられるような人は担保力がありますので、中小企業金融公庫を使わずとも十二分に取引銀行の恩典に浴しているわけでございます。  そういう零細企業をかかえており、販売業者は四万七千業者でございます。そのうちの九〇%がいわゆる零細企業でございまして、兼業者でございます。いわゆるプロパンもやっておる、米もやっている、酒、みそ、しょうゆもやっている、セメントもやっている、こういう方々のいわゆる兼業者が九〇%あるわけでございます。その中で今日、営々辛苦、約一千八百万世帯にこれを普及さしたということは、私どもは、一に企業努力、われわれの業界人努力と自負している次第でございます。  また本日、この石油需給適正化法案審議されます際に、私どもが一番心配しておりますことは第十一条でございます。法案にちょっと入らせていただきますけれども、もしこの十一条が、総理大臣の権限が、これでおさまらない場合、非常に困難な場合には、これ以上割り当てまたは配給制度になるということは、ことばを返せば、企業整備につながると私どもは思っております。その場合に、その四万七千業者の中の約九〇%はおそらく転廃業、またはいろいろ税制面の融資、金融面の特典、そういうものを受けなければ、こういう制度では全部共倒れの現状が来る、こういうぐあいに私どもは心配しておるわけでございます。一日も早く総理大臣の告示の消滅が期せられますことは望みますけれども、きょうの新聞、テレビをにぎわしましたOAPECの五%の削減追加等を見ました場合に、政府におかれましては——われわれ四万七千業者が、一千八百万の世帯に、一々、こういう実情ですから、LPガスをひとつ丁寧に節約して使ってくださいと言いましても、なかなかお客さまは納得しかねるわけでございます。過去の販売業績を見ますと、ストーブを買ってください、湯わかしを買ってください、ガスはどんどんお使いください、これが便利でかつ低廉であったからこそ、一千八百万世帯に伸びた原因でございますのに、突如アラブの中東の政策から今日こういう大転換をしますのには、いわゆる実情変化という原則がございますので、何とぞこれを全国民に、いわゆるエネルギー関係につきまして、LPはこういう事情である、しからば皆さま方ぜひ細く長くこのとうといエネルギーを使わざるを得ないということを国が初めて明らかにしていただきますと、われわれが販売前線におきましてお客さまを説得する一つことばになるわけでございます。  そういう御配慮をしていただきませんと、ただ政府はこういう考えであるだけでは、私どもはとうてい一千八百万世帯に届くまでに一カ月なり一カ月半かかります。その間にどんどん原油削減LPG輸入削減等々が重なりますと、まず一—三月あたりには、必ずお台所の煮たきまでガス不足するという現状は火を見るより明らかだ、こう思考するわけでございます。一千八百万、三人家族としまして五千四百万人の世帯、全人口の二分の一が使っているという、そういうエネルギーの根源を深くお考えくださいまして、ぜひとも政府みずからこの困難にぶつかるわれわれの、いわゆる国難と私は申しておりますが、国難に対処する姿勢をお示しくだされば、われわれも政府に協力し、めしたきのガスだけは絶対切らさないという信念で、メーカー元売りサイドと連日連夜、そういう量的な問題、今後の削減等につきまして御指示等を受けておりますので、何とぞこの法案の一日も早い成立を望みますと同時に、いま言った十一条の「割当て又は配給等」によります、そういう企業整備につながるような重要法案でございますので、最後の腹はそこにあるのであるならば、当然転廃業資金税制面金融面優遇措置等も御配慮くださいませんと、おそらく道義的な面からいきましても、今日営々二十年間都市ガスの量よりも七割も八割も多い量をわずか二十年間でここまで進出してきましたLPガス販売業者の苦労も努力も、一夜にして水泡に帰すわけでございますので、その点、何とぞこの商工委員会におかれまして、諸先生方に強く訴えたい次第でございます。  しかも、今後の見通し等につきましては、われわれにはわかりません。政府みずからひとつメーカー等におきまして御審議の上、ほんとうにきびしさを身にしみてわれわれ販売業界にお示しくださり、消費者皆さま方にお示しくださらんことを切望してやみません。  どうもありがとうございました。
  4. 濱野清吾

  5. 笠原大二

    笠原参考人 全農連常務理事笠原でございます。  農業部門を代表いたしまして、本法案審議にあたりまして御意見を申し述べたいと存ずる次第でございます。  需給適正化法審議をいたします基本的な前提といたしましては、農林部門といたしましては、まずもって何よりも国民生活の基本でございます食糧増産確保を使命といたしておりますわが部門につきまして、十分な配慮お願いをいたしたいということが一つと、同時に、農業生産につきましては、多数零細な生産者がその構成基盤となっている点も十分考慮をいたしまして、法案審議成立にお進めいただきたいと考えるものでございます。  農林業関係石油需要は大体一千万キロございまして、二億キロの全体消費に比しますと約五%ということに相なろうかと存じますが、うち農業用石油は約五百四十万キロでございまして、二・七%でございます。これに農村工業用なり食料品等関連企業需要を約六百万キロ見ますと、約五%強に相なるわけでございますけれども、このパーセントがすなわち全体の中での重要点に相なるということにつきましては、特に御銘記をいただきたいということを前提としまして申し上げる次第でございます。  十一月十六日の閣議決定によります緊急石油対策要綱、その他現在法律案内容審議されております内容につきまして触れてみますと、法律第十条なりの供給あっせん段階におきましては、公共用なり鉄道医療等と並びまして、農林漁業用に対します配慮が明記されておるわけでございまして、この点につきましては、われわれ妥当と存ずる次第でございますが、たとえば第六条、第七条等の使用制限等につきましては、これはもちろん使用節約は国家的な命題でございますので、われわれとしましては、それに対しまして十全の努力をいたすわけでございますけれども、その目標なりを一率削減いたしますと、農林用につきましての特殊な事情並びに時期的な需給波等いろいろ事情があるわけでございますので、この点を十分配慮願いたいと要望いたす次第でございます。  しかし、最近の石油情勢の緊迫いたします事情を考えますれば、本法案制定につきましては賛成をいたす次第でございます。したがいまして、事態が進みまして割り当て、配給等実施の場合には、特にその運用につきまして、農業用のただいま申し上げました事情を十分勘案いたしまして、その運用に適正を期するように望みたいと要望をいたす次第でございます。  そこで、農業部門におきます二、三の事情を申し述べまして、御審議参考に供したいと存ずる次第でございますが、農業用石油必要性と実態につきましては、すでにいろいろ新聞紙上等にも出ておりますので御存じと存じますが、最近の農業は、昔と違いまして農業機械化が非常に進んでおるわけでございまして、四十八年度の下期につきましても、二百二十六万キロの石油がどうしても必要であるという状況でございます。劣悪な最近の農村労働事情を克服いたしまして、現在、食糧増産にわれわれといたしましては挺身をいたしておるわけでございます。現在、わが国におきます食糧自給率は、総合自給率におきまして七〇%を割り、カロリーベースでは五〇%を割るという状況であるわけでございまして、食糧問題が今日の石油のような状況にもし立ち至りましたならば非常に大きな問題になるということは、私が多言を要することはないと存ずる次第でございます。  また第二に、最近の国民生活多様化に即応いたしまして、御存じと存じますが、施設園芸等が非常に最近は発展をいたしてございます。現在、施設園芸の面積は二万町歩をこえまして、この冬季から春季にかけて早期にわれわれ都市供給されます野菜生産額の五〇%がこの施設ハウスで現在生産をされておるわけでございます。これが下期約百七万キロの灯軽油を必要といたしておるわけでございますが、これが現在非常に削減をされておるわけでございまして、国が進めております構造改善事業等で新たにできました施設団地等は、現在油がゼロでございます。したがいまして、われわれといたしましては、現在、低温育成指導なり昼間の節減等で対応はいたしておるわけでございますが、農業生産者は新規の生産をどうするのかという照会がひんぴんとございます。現在は、やむを得ませんので、現在育成中のものは別といたしまして、新たに育苗いたしたものは、もう場合によったら廃棄をせよ、その結果がおそらく大都市野菜等に対しまして非常に大きな影響が近く出てまいるのではないかと懸念いたす次第でございます。  農業施設なり農産物乾燥施設等につきましても、現在、非常に困難に逢着しておる状況でございます。  次に、農業用への優先供給なり適期供給必要性につきまして申し述べたいと存じますが、適期供給の問題につきましては、何と申しましても、自然を相手にいたします農業生産でございまして、年間需要の波が三回ございます。この四—五月の春耕期に大体四〇%以上の農業用の油を使い、十月に秋季収穫用としまして三〇%弱、その他が冬季ハウス等でございますが、現在は、その冬季ハウス等が非常に問題が出てまいっておるわけでございます。これにつきましては、われわれ農業団体といたしましては、すでに非常に苦い経験をことしの春経ております。ことしの春、春耕ができないということで、非常な騒ぎになったわけでございますが、その理由は、すでにこの春からかなり油の需給がタイトになりましたのに春闘が重なりまして、都市ないしは沿岸付近には油はあるけれども、地方には油がなくて田植え春耕もできない。われわれといたしましては、関係方面へいろいろ陳情をいたしまして、田植えができないから何とかこれに対する対策をということで、ことしの春やったわけでございますが、そのときには、時差田植えでいいのではないか、時差出勤も都会でやっておるのだから時差田植えでもいいのではないかという話もございました。しかし、農業事情御存じの方は、一体田植えが時差的にできるものかどうか、そういう点につきまして十分御留意をいただきたいわけでございます。  これらの農業用のものにつきましては、われわれとしましては、本年の苦い経験を経まして、この新しい法制に乗りましたならば、われわれはこれに対しまして優先確保をぜひお願いをいたしたい。現在、正月用の年末蔬菜の東京への生産出荷ミカン生産団地出荷モチ米出荷等、非常に混乱をいたしております。そのような実情を十分御認識をちょうだいをいたしたいと存ずる次第でございます。  なお、このような農業生産のみでなく、これに関連いたしましての問題がございます。農業生産につきましては、付随いたしましての食品加工業なり農村工業、特に主食、生鮮食料品原料等につきましては、一日として放置ができないわけでございます。これらの問題に対しましての輸送関係林業用等につきましては木材緊急輸送等の問題も当然ございますので、これらの問題につきましての考慮をやはり法案運営の中に入れていただきたい。  また一方、御存じと存じますが、最近は農業生産資材が大きく暴騰をいたしております。ナフサ原料不足によります肥料ビニール等不足はもちろんでございまして、肥料は、下期だけで三百余億の農家負担が増加をいたすことはすでに明らかになっておりますと同時に、海外から原料を持ってまいっております肥料約三百万トン、それから飼料一千万トン余、これらの問題につきましては、木材等も含めまして、現在、外航船用重油の問題につきましては非常な難関に逢着いたしておるという状況でございます。  いずれにいたしましても、食糧増産のために、また弱い部門でございます農業生産なり複雑な農産物流通部門におきまする事情というものを十分配慮願いまして、そうしてこの法律の適用、運用につきましても十分検討の上での実施を要望いたしまして、賛成をいたす次第でございます。  以上でございます。
  6. 濱野清吾

  7. 深尾憲治

    深尾参考人 日本LPガス協会会長をやっております深尾でございます。  ただいまお手元に「LPガスの話」というパンフレットを皆さまにお渡しいたしました。これはLPガスが、先ほど日本LPガス連合会の副会長内田さんが御説明になりましたように、現在、日本国民生活、特に家庭厨房用を主といたしまして、非常に便利なエネルギーとして御愛用をいただいているわけでございますが、これはおこがましい発言かもしれませんが、私ども供給に非常に努力をした、また、販売業界国民生活の向上のために努力を願って、日本全国津々浦々で、コック一つひねれば煮たきができるというりっぱなこのエネルギーを普及していただいたということでございますが、あまりに現在まで都合よくまいりましたために、日本国のあらゆるお方々が、LPGというものは一体どうなっているのか、LPGの物性はどういうものかということについて、ほとんど知識がおありになりません。そこで、私はあえて商工委員会の御列席の皆さま方、御先生にひとつ御研究をお願いしたいと思いまして、持ってまいったわけでございます。  前提はこれだけにいたしまして、日本LPガス協会といたしましては、一日も早く石油需給適正化法案が、諸先生方の御努力によりまして日の目を見るということを希望いたします。これが第一の点でございます。  それから、後ほど多少ふえんして御説明申し上げますが、第四条に「通商産業大臣は、」「石油供給目標を定め、これを告示しなければならない。」となっております。LPガスは、現在のところ、需給バランスがくずれてまいりました。と申しますことは、供給力がはなはだ制約されてまいりました。ところが、エネルギー全般に言えることでございますが、特にかくも全国にわたりまして、あらゆる家庭と申し上げても過言ではございませんが、六割以上の御家庭LPガスをお使いになっているということと、それから、ちょっとこの「LPガスの話」の一一ページをお開きいただきたいと思います。  この右上のかどに、LPガスがどういうふうに使われているか一目りょう然におわかり願えると思います。家庭業務用といたしましては約四八%でございます。都市ガス原料用といたしまして約四・八%でございます。これを足してみますと、現在私ども日本経済のために供給いたしております総数量は、年間ベースで一千万トンでございますが、そのうちの約半分というものは、家庭業務用並びに都市ガスの分に使われておるわけでございます。さらに、最近やかましくなりましたタクシー用というものを加えますと、ごらんのとおり左横にございますが、約一七・六%というものがタクシー用燃料として使われております。  こういうふうになっておりますことからいいますと、私ども業界人としては、最近の世界情勢変化、特に十月六日に突如として起こりました中東の戦争によりまして、原油輸入が非常に不足してきたという現象をまともに受けまして、供給力が非常に削減されてきております。そこで、私どもといたしましては、何としてもこの法案ができてまいりませんと、供給をどうしていくか、消費をどういうふうにお願いするかということが非常に困難になりますので、この法律をつくっていただきたいということでございます。  それから、第二番目の問題でございますが、消費をどういうふうにしていくかということは、政府LPガス供給目標というものを早くつくっていただいて、一体幾ら供給能力があるんだということに立ってこそ、どの部門においてどのくらい消費節約をしていただかなきゃならぬかということにつながるかと思います。ところが、供給目標というものは、将来にわたっての予測が入っております。したがいまして、実際にこの供給の任に当たっておりますのは私どもでございますので、私どもLPガス供給の衝に当たっております者たち意見を十分におくみ取りいただきまして、できるだけ早期LPガス供給目標をこの新事態に対応してつくっていただきたい。予測の問題でございますので、非常に楽観的な予測と非常に悲観的な予測が出てくるわけでございますが、先ほどちょっと触れましたように、このエネルギーというものがある日突然になくなってしまうということになりますとたいへんなことになります。したがいまして、やや固目にこの供給目標をつくっていただくということが今度の法律実施する上でのかなめではないか、そういうふうに愚考いたしております。  それからもう一つは、こういうふうに供給目標ができてまいりますと、いろいろな消費段階がございます。法律によりますと、一般消費者中小企業農林漁業者鉄道事業通信事業医療事業その他の公益性の強い事業というふうにございますが、私どもとしては、なかなか判断がしにくうございます。特に、もう一ぺん表を見ていただきますと、工業用というものに使われておるものが、これは去年の段階でございますが、全供給量のうち一七・四%に達しております。これを一体どういうふうに持っていくかということにつきまして、どうもこの法律段階ではまだ明確になっておりません。私どもとしては、どこに足りないLPガスを優先的に、どういうパーセンテージで配給しなければならないかということの基準をお示し願わなければならないのじゃないか、そういうふうに考えております。  以上、簡単でございますが、概括的なお話を申し上げまして、諸先生方質問がございましたら、後ほど御質問に答えさせていただきたいと存じます。たいへん失礼いたしました。
  8. 濱野清吾

  9. 松村信治郎

    松村参考人 御紹介を受けました松村であります。  私、全国石油商業組合連合会会長をしております。  われわれの石油販売業界業態と申しますと、組合員三万二千人、アウトサイダとして農協、生協、商社、いわゆる無じるしというのが約三千、企業数で約三万五千ございます。ガソリンスタンド中心にしておりまして、ガソリンスタンドの数は全部で四万五千あります。主として自動車の燃料中心にし、なお灯油あるいは業務用A重油というものを扱っているのが主たる業態であります。  社会的な役割りといたしましては、われわれは地域住民方々と一緒に暮らしておるわけですから、石油に関する地域住民一般消費者方々、不特定小口多数であります。また、農林水産漁業及び一般工業一般産業の面、あるいは法案にも出ております公益事業、そういうところの地域の不特定小口多数に安定供給をしておるという機能を持ってこの人数で果たしておるわけでございます。  もう一つ、ここは商工委員会でありますが、ガソリンスタンドを通ずる油にはガソリンと軽油がございます。これには御存じのとおり、石油間接消費税が四十七年にして二つで約一兆円ございます。率としましたらおそらく最高の一つと思われる一兆円の税をこのガソリンスタンドで取っております。ここを経由しないと自動車燃料にならない。こういう税の保全の問題をやっておりまして、石油の一般供給、安定供給をつとめておるのが業態でございます。  今度、この中東戦争の緊迫した情勢の中で、石油需給適正化法案審議されておるわけですが、私たちの業界といたしましても、一日も早くこういう基本的な法律をつくっていただきたいと念願しております。  しかし、この法文の中で、われわれに特に関係あると思われますのは、第十条に「通商産業大臣は、一般消費者中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業通信事業医療事業その他の公益性の強い事業及び活動」、これを「「一般消費者等」という。」というふうになっておりますが、これはわれわれの業界供給しておる全部でございます。これにあっせんするという意味は、片や流通秩序が整備されておるけれども、ただ、それからはずれた応急の問題について、こういう業界について特にあっせんをするというように実はしていただきたいと念願しております。と申しますのは、本来この法律は、乏しきをひとしく分ける、適正に分けるという緊急の法律でございますし、そのときにわれわれ業界が対象としております全業界をこれで見ますと、何かあっせん業務を団体でしなければならないとなると、いまの業界から見ると、片や非常に流通秩序が混乱しておりますから流通秩序の整備を指導していただく、かたがたそこであっせんを取り上げるという体制にお願いいたしたいと思います。  流通秩序の整備のほうを取り上げていただきませんと、次に二項で「関係行政機関の長は、一般消費者等に対する石油の円滑な供給確保するため必要があると認めるときは、通商産業大臣に対し、前項の規定により必要な指導を行うよう要請することができる。」、この必要な指導をされたはね返りはすべてわれわれの業界にはね返ってくるのではないか。これ当然われわれの義務としてやりますが、しかし、やるためには、流通秩序の整備のほうを一ぺん、かたがた取り上げていただいて、それを背景にしてあっせん業務をやりたいというように考えております。  少し余談になりますが、この法案では、マクロの世界では需給バランスをとり、供給目標が出てくるのでありますが、私たちの業界はそれが地域に入ってきて、地域の不特定小口の安定供給ということになるわけで、この間に、企業の選択販売といいますか、流通秩序の混乱、なお選択販売という、非常に複雑な段階がございまして、地域についての安定供給に非常に不備が出てまいります。  現に、先般来の、先生方をわずらわしました灯油問題についてもしかりだと思いますので、流通秩序の整備の問題を取り上げていただくようにお願いいたしまして、御説明にかえさせていただきます。
  10. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、石油連盟会密田参考人お願いいたします。
  11. 密田博孝

    密田参考人 私は石油連盟会長の密田でございます。  石油連盟は、石油類の輸入、精製、元売りを行なう三十一社によって組織されております。連盟以外にも若干の精製、輸入会社があり、また小売り業者は別に、ただいま松村さんがお話しになりました団体を組織しておりますし、LPGについても別の団体がございます。  今日各地で発生しています石油製品の需給上のトラブルにつきましては、何ぶん急激な変化によるものであると申しながら、たいへん遺憾でありまして、恐縮いたしております。一つ一つ調べますれば、販売者側としての言い分もございますし、また、いま申しましたとおり、石油連盟会員の事業分野から見まして、コントロールの及ばない分野で起こっているトラブルもございましょうが、ともあれ社会のすみずみにまで使用されております石油製品の需給に混乱が生じていることにつきましては、量の大小にかかわりませず、一日も早く調整いたしまして、需給バランスをとらなくちゃならぬ、こう考えております。この苦しい需給調整の中でも公平を欠くことのないよう、消費者の御理解を得ながら、新しい情勢の対応策を考えていきたい、このように考えております。  昭和四十六年の初めから原油の公示価格と産油国収入の大幅引き上げが行なわれまして、その後相次ぐ原油価格の高騰、たいへんな大幅な高騰に悩み続けてまいりましたが、数量の安定確保ということにつきましては、業界としてあらゆる努力を傾注いたしまして、この十月までは輸入、精製、販売ともに全く順調に進んでまいりましたことは御承知のとおりでございます。十月十六日の OPECによる原油価格の大幅な、しかも一方的な引き上げ、これに引き続きまして、十月十八日のOAPEC十カ国による生産制限、さらに次々とカット率の引き上げや輸入制限等が行なわれたことによりまして、世界の石油情勢は文字どおり混迷におちいっております。それがわずか半月か一カ月の間に生じた大変化でありましただけに、その混乱も残念ながら非常に広範囲にわたっていることは御承知のとおりでございます。特にわが国の場合は、石油エネルギーの依存度は七五%でございます。自給率はほとんどゼロという特異なエネルギー消費形態でありますために、その混乱は他の国よりも一段と大きいのでございます。このような深刻な認識に立ちまして、石油を預かる業界としましては、今後あらゆる努力を傾注いたしたい考えでおります。  次に、ただいま申し上げましたような情勢下におきまして、法律が施行される場合に、その運用上、御当局において考慮されたい事項を若干申し上げたいと思いますが、できるだけ早期成立、その円滑な運用を期待いたすわけであります。  第一番目には、本法の目的は、このように窮迫しました石油不足下において需要供給を調整しようというものでありますから、まず供給事情十分検討された上で需要の抑制措置を進めていただきたい。いやしくも需要供給が追いつきませずに不均衡が生じた場合は、各所に社会的な不安が生ずることになります。特に従来と違いまして、供給量と販売量に十分な余裕がない場合になりますと、地域的に不均衡が大きくあらわれることが予想されますので、この間の事情配慮されまして、供給者側の事情意見を十分に勘案された上で法律運用されるようにお願いしたいと思うわけでございます。  第二に、石油というものの特性といたしまして、原油から生産される製品間におのずと均衡があります。そのためにある特定の製品、たとえば灯油を増産いたしますと他の製品、たとえばA重油、これは減産につながることになります。ある製品の確保は他の製品の供給削減を来たすということになりますので、法律に基づく御指導、御指示に際しましては、常に総合的な判断の上に立って処理されることを希望いたします。そうでないと連鎖反応的に混乱が生ずるおそれがあると思います。  いまさら申し上げるまでもございませんけれども、わが国は石油のほとんど全量を輸入に依存しておりまして、石油は典型的な国際商品でございます。本法の運用に際しましては、常にこの点に留意していただきまして、制約された世界の石油事情下にあっても、最大限にわが国に石油輸入されるように努力が払われるような法律運営が必要であると考えます。いやしくも輸入意欲、供給意欲が阻害されることがないような慎重な配慮が必要かと考えるわけでございます。  今日のように、石油需給についてその長期的な見通しが立てにくい状況下におきましては、計画自体あるいはいろいろな施策自体が機動的、弾力的に行なわれるような十分なくふうと配慮が必要であろうかと考えるわけでございます。同時に、各種の制約の中にありましても、常に経済性が尊重されなければならないことは申し上げるまでもないことと存じます。  繰り返して申し上げることになりますが、この法律の施行に際しましては、抵抗の強い需要を規制することはきわめて困難なことでありますが、需要供給の限界、販売の限界を越えるということになりますと、混乱をより大きくすることになりますので、当局におかれましては、常時供給事情を正確に把握されて、その任に当たる輸入生産販売業界の実際的な意見を十分に取り入てれいただきまして、消費の規制と需給の調整にそごのないように措置されることを希望いたすわけでございます。それと同時に、業界におきましても判断することが困難な公共性の強い需要の優先順位判定などにつきましては、政府みずから責任のある御指導をお願いいたしたいと考える次第でございます。  われわれ石油業界は、政府のこのような適切な指導のもとで、民間のバイタリティーだとか機動性を十分発揮いたしまして、当局に十分な協力を申し上げます。この難関を突破する覚悟でございます。本法律案早期成立を重ねてお願いいたします。どうか先生方も十分御理解いただきまして御審議いただきますようにお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 濱野清吾

    濱野委員長 これより参考人に対する質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願います。中村重光君。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 まず内田参考人に申し上げたいわけです。  それぞれ各参考人から貴重な御意見を伺ったわけですが、十一条の「割当て又は配給等」について、いわゆる企業整備という形に発展していくのではないかという御意見であったわけです。もちろん私ども参考人の皆さん方の御意見を聴取いたしまして、その後に政府に対する質疑を展開をしてまいります。しかし私どもは、企業整備ということがあってはならないと考えております。その点に対しましては御意見のとおりに対処してまいりたいということを申し上げておきたいと思います。  さらに、時間の関係がございますので各参考人から御意見をお伺いすることができないわけでございますが、石油連盟の密田参考人と、それから内田参考人笠原参考人にまずお尋ねをいたします。  この法律案は恒久立法になっている。これは時限立法にすることが適当ではないかとも考えているわけでありますが、その点に対する御意見を伺いたい。  それから政府の責任がこの法律案の中では明確でない、ということよりも、政府の責任に対する規定が実はないということであります。今日の異常事態であるからということを政府は弁解するかもしれません。しかし、少なくとも今日の状態におとしいれたという責任は政府にあるということを私どもは指摘をいたします。ならば、この備蓄の問題に対しましても、あるいは生産輸入等の問題に対しましても、政府はこうするのだというみずからの責任というものをこの法律案の中に明らかにすることが適当ではないか、その点に対する御意見はいかがであろうか。  なお、価格に対しましては、生活安定法に譲られているわけでありますが、この石油に関する限りは、価格に対する規定を盛り込む必要があるのかないのか、以上の三点に対しましてそれぞれ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 内田太郎

    内田参考人 ただいまの中村先生の御質問にお答えしたいのでございますが、いま全国で、先ほども申し上げましたとおり、一千八百万世帯で平均月の使用量が十七キロでございます。十七キロ各家庭で使われております。これに対しまして、私どもがこの法案を見ました場合に、いわゆる公共性、一般家庭用というものが優先だということは、おっしゃるとおりでございます。私どもは病院、小中学校の給食、一般家庭の厨房等々におきましては全く削減の余地のないようなことを望むのでございますが、先ほど来いろいろ石油連盟の会長からもお話がありましたとおり、需要供給を上回っているんだ、それを制限せざるを得ないこの国情に対しましては、われわれみずから、販売業者もこの国難に当たらなければいかぬ、そういう観点から、消費節約運動を一千八百万世帯に徹底しなければいかぬと、私どもは十一月十六日の閣議決定の文書を見ましたときに、はっきりと心を打たれたわけでございます。再三私どもは、こういう事態になるから、ぜひとも政府みずから節約運動、節減の実態を国民の前に明らかにしていただきたい、われわれ販売業界が、零細企業が寄ってたかってこれを申し上げましても、いわゆる消費者というものは、おれは金を払っているんだ、しかもおまえたちからストーブも買ったじゃないか、湯わかし器も取りつけさせただろう、こういうような論を展開されますと、やはりこの実情変化という原則にのっとりまして、こういう事情であるからこれこれだ、私は、過去の一億総ざんげだとか一億総決起だとかいうことばは大きらいでございますが、やはり全国民がこの認識の上に立って、そうして国ともどもこの需給のバランスの来るまで困苦欠乏に耐えなければいかぬという信念でやっておりますので、政府におかれましても、この法案運用いかんによりましては物情騒然たる社会にならざるを得ない、言うならば、五千万人も使っているLPガスのコックを締めてしまったらどうやってめしをたくんだ、どうやってみそ汁をつくるんだという現実にならざるを得ない。言うならば、いまの建物の構造……
  16. 中村重光

    中村(重)委員 時間に制限がありますので、簡潔に願います。
  17. 内田太郎

    内田参考人 とてもいまさらプロパンガスから練炭には戻りません。家の構造が全部サッシ、アパート、マンション等々になっておりますので、非常に換気等につきましてもほかの燃料にはかえがたいことでございますので、ぜひともこの法案を御審議の中に、そういう優先順位、病院、それから小中学校の給食、一般家庭、それからあと公共施設、こういうような順序において恩情ある御配慮をいただければ、私どもは、国の施策に対しましては反対するところではございません。  それから、いま中村先生から価格の問題についてはとおっしゃられましたけれども、やはりいままでFOB、船積みでもって二十五ドルのものが七十ドル近い契約をされておるわけでございますので、こういう値上がりと、それから第一次元売りに対する、いわゆるローリーをもってタンクに入れて五十キロ、二十キロに詰めかえする、この費用等々が明確にならなければ、小売り業界だけにおまえたちは幾らで売れということの算術はできません。やはり私は上から下にきめていただく、しかもそれもいま申し上げましたとおり、灯油みたいに三百八十円店頭渡しとはいきません。これは当然業務主任者並びに販売代理者、国家試験を受けた者がトラックに乗せて各家庭の台所まで届けて、しかも気密検査をします。ガス漏れがあるかどうか漏洩検査をしまして、そういうことでやっておりますので、ぜひともわれわれ販売業界実情等を諸先生方にひとつ御認識願って、ひとつそういう方法をやらしていただきたい、こう希望するわけでございます。
  18. 濱野清吾

    濱野委員長 参考人お願いいたしますけれども参考人のお答えは、時間の関係がありますので、質疑者の要点をつかんで冗長にわたらないようにお願いいたします。
  19. 笠原大二

    笠原参考人 御質問の第一点につきましては、先ほど参考人のほうからありました。  第二点につきまして、価格の問題でございますけれども、価格は農業用につきましては当然低位安定をわれわれとしましては希望をいたすわけでございますが、この法案では、われわれ説明を聞きますところによりましては、量的な需給の規制であって、価格の問題は物統令で処理をするというようにお聞きいたしておりますので、先生質問の趣旨の低位安定のことにつきましては、どのような法案にわたりますかは、われわれその辺のことについては十分わかりませんけれども、価格の点につきましても十分御配慮をいただきたい。  それから国の責任の問題につきましては、当然でございますので、いろいろごくふうをひとつお願いを申し上げたいと考えるわけでございます。
  20. 密田博孝

    密田参考人 意見を申し上げます。  このようなエネルギー需給問題は、これはしばしば起こってはたいへんでございます。できるだけこういうものは未然に防がなくちゃならぬわけでございますから、そういう意味合いから申しますと、将来の見通しが立ちます限り——これはなかなかむずかしいことでございます。むずかしいことでございますが、今回のように石油が武器に使われる、こういったようなことになりますと、これは国際情勢いかんによってはまたこういうことが起こる可能性がないでもない、そういう心配がないでもない、こういうふうに考えますので、恒久立法にされましたそういう趣旨は、その辺をお考えであるのでありますれば、あるいは時限立法でないほうがいいかもしれない、これは私いまここで考えておった意見でございます。  それから政府の責任の明確化というのは、法律上どういうかっこうで、これは立法技術上いろいろございましょうから、私はどうもよくわかりませんが、先ほど申しましたように、重大な基礎的なエネルギーであればあるほど、やはり一つ政府のガイドラインと申しますか、そういう一つの将来のエネルギー政策と申しますか、そういう考え方が明確であるほうが好ましい。これはわれわれもうすでに行政指導でそういった一つの優先順位と申しますか、ガイドラインというか、それをできるだけひとつ明確にしていただきたい、こういうふうなことを申し上げております。  それから価格の問題につきましては、これは基本的にはやはり適正な自由価格、そのほうが好ましいと思っておりますが、しかしこういう混乱をおさめるためには、場合によりましては基準的な標準的な価格が必要かと思います。しかしその際は、石油だけのそういう価格をつくることは非常にむずかしい。やはり生活関連必需物資あるいはその他の価格、鉱工業生産価格、そういうものにも関連いたしましょうから、したがって、この法案の中に石油製品の価格だけを規定する、こういうことは私は妥当でないような気がいたします。  以上でございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 密田参考人に重ねてお尋ねをしたいのですが、原油輸入の将来展望、私も先般産油国数カ国を回ったわけですが、御承知のとおりに産油国は石油以外に主たる産業というものがない。もちろん今回の石油戦争といったものは、中東和平の問題から出てきたものであるということは十分わかるわけであります。かといって、産油国もまた石油を掘り尽くしたあとどうなるのか、経済建設をどうやっていくのかということについての苦悩というものもあるのではないかというように考えられるわけであります。それらの点から考えてみまして、中東和平ができたならば石油輸入はもとに戻るということが見通されるのかどうかという点であります。それらの点に対するお考え方はいかがでしょうか。
  22. 密田博孝

    密田参考人 先ほど申しましたように、十月の十八日からOAPEC諸国の生産制限が始まったわけでございますが、しかしこの時点で初めてそういう問題が起きたのではございません。もうすでにかなり前からベネズエラは生産調整をやっておりますし、リビアしかり、クウェートにもそういう議論がございます。いま先生のおっしゃった油資源、それと産油国諸国との将来計画、そういうものの関連がありますから、そういう考え方があったのだろうと思います。これまで価格が暴騰いたしますと、石油収入と生産量の相関関係は、私は当然将来問題として出てくるような気がいたします。したがいまして、そういうことをあわせ考えますと、中東和平がかりに実現いたしましても、なかなか今年の九月以前の実績あるいはそれ以上の増産をとる国がはたしてどのくらいあるか。いままではサウジアラビアなりあるいはイランは、かなり工業化計画あるいはそれぞれかなり多くの人口を持っておりますので、石油収入をやはり財源の大部分、重点的に考えておりましたが、そういった国々も、必ずしもいまのような考えの影響外にあるというふうには考えられません。いろいろ考え合わせますと、どうも従来のようにかなり大量の石油を今後もまた何%かの自然増を見込んで輸入することはかなり困難なことではないか、そういうふうに考えます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 そうした問題についてなお尋ねをしたいことがあるわけですが、時間の制約がありますので、他の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  松村参考人にお尋ねいたしますが、御承知のとおり、灯油に対して通産省が店頭渡し三百八十円、必ずこれを実施させるということを言っているわけです。この三百八十円を通産省が決定、発表したことでずいぶん混乱が起こったようであります。私どもが知ります限り、三百八十円というのではなくて四百円あるいは四百五十円、配達経費を含めますと六百円といったようなものもある。三百八十円というのがほんとうに実施されるのかどうか、その点に対する見通しの問題、また現在どのように実施されているのかという点であります。できないことを、あなたのほうでは通産省からそういう要請がありますから、そういうことを強く求められたから話し合いだけつけたいという程度のものなのかどうかという点であります。  それから通産省は、民生用に対してはカットしないという方針を明らかにいたしているわけであります。これまた私どもが知る限りにおきましては、民生用がカットされている。福祉施設、たとえば精薄児童の問題とか重症身体障害児の施設であるとか、そうしたところにすらカットされる。精薄児等は四日に一回しかふろに入れないという状態にある。それから離島は自家発電がなされているわけでありますが、この自家発電によりますと、夜六時以降はもう停電されているというようなことであります。民生用をカットしないという方針であるのに、どうしてこのように弱い、しかも社会福祉の関係についてカットされているのか。そのことを十分御調査になっていらっしゃると思いますので、その間の事情をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  24. 松村信治郎

    松村参考人 あとのほうの御質問にお答えいたしたいと思います。  民生用はカットしないにもかかわらず福祉施設とか離島に油が不足しているではないかということでございますが、われわれの業界は、先ほど申しましたように流通秩序が何段階もございまして、その間に仕入れ価格がだんだんと重なりまして、三百八十円で押えられた場合に、業者の選択販売と申しますか、金払いがいいとか、あるいは上得意先であるとかという傾向があることは認めます。われわれのことばでは選択販売であります。そうしますと、遠方のところであるとか、あるいはいささか公共に反する節も出てまいるという遺憾な点は認めますが、極力いまその是正に努力しております。これは確かでございます。  それから店頭三百八十円も、元売りの仕切り価格、通産省が指導いたします凍結価格一万二千八百円、約一万三千円でありますが、これは全国平均価格でありまして、いわゆるゾーンプライスというものがあって、東北のほうへ行けば高くなるとか、関西では安いとかいう地域の格差が一番最初にございます。それから灯油の場合に、二者、三者、四者、これを全国二千数百万世帯あるわけですが、その世帯供給するためには薪炭屋さんの手をかりないと——われわれの業界は約四万五千ぐらいあります。しかし、十万の薪炭屋さんの力をおかりしないと供給するということが不可能なんであります。いまその三百八十円、配達賃を別にいたしまして、薪炭屋さんの業界にも協力していただくように呼びかけてやっておるわけであります。各御家庭供給するためには、われわれの業界だけでは約三〇%で、あとの七〇%は米・薪炭屋さんの手をかりて供給しておるわけです。米・薪炭屋さんになりますと、四者、五者の流通段階があります。そうしますと、仕入れている価格がすでに一万七千円、一万八千円という段階が現実にはございます。  私先日、秋田にも岩手にも行きまして調べてまいりましたが、この仕入れ価格の段階を地ならしするのを急遽いまやっております。これは元売りのほうにも御協力を得て、その仕入れ価格が一万五千円で押えられるか、一万六千円までで押えられるか、そういうことをいま作業しております。しかし、当分の間といいますから、通産省御指導の三月までは、われわれの業界といたしましては店頭三百八十円で鋭意努力いたします。やれるつもりで私はおります。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な事実をたくさん私ども調査をいたしておりますが、時間の関係から省略をいたします。  ただ、この際申し上げておきたいことは、民生用にはカットしない、それに対してあなた方の業界の姿勢というものが私はたいへん問題だと思うのです。たとえば大型造船所で船の建造をやる。これの試運転をする。そこで一日船が出航するのがおくれますと、八百万も九百万も滞船料の支払いをしなければならないといったようなことから、市内の石油販売店に対して、その責任者が頭を下げて、何とか自分のほうへ回してくれと言うので、民生用からカットして大企業のほうに回している。そのために、政府の方針は、民生用はカットしない方針であるけれども業界のほうでその政府の方針に沿っておやりにならないために、結局犠牲は弱いものが受ける。こういう事実があるということを、あなたも全国会長であられるわけでありますから、ひとつ十分頭に置いて今後の指導に当ってもらいたい。どのようにりっぱな法律をつくりましても、この法律運用するという面についての業界の協力がなければうまくいかないというように私は考えるわけであります。  特にカットの問題についてなお私が理解できないのはLPガスの問題であります。  内田参考人深尾参考人にお答えをいただきたいわけでありますが、個人タクシーの問題については、最近毎日、新聞をにぎわしておりますから、その内容について申し上げる必要はありません。このLPガスは、輸入が減ってない。ところが国内の生産が減っている。これとても下期一六%の原油削減であるわけでありますから、どうしてその半分あるいはそれ以上というようにカットされているのか。個人タクシーに対しまして、従来一日四十リットルぐらい販売しておった。ところが、いまは二日間に三十五リットルの販売しかやってない。そして朝の四時から八時まで並ぶ、行列買いをするという状態でしょう。価格にいたしましても四十五円と、十六円上がっている。価格も実はそんなに上がっているとは思わない。しかし、現実に小売りの販売の面に参りますと、そのように値上がりをしている。量の面において、価格の問題について何とも私は解せないのであります。今回、通産省とお話しになりまして、百五トン緊急出荷をするようになりましたが、一台三十リットル、これでは焼け石に水です。通産省は、これは一回限りである、これによって年末の足の問題も解決をした、現在の石油不足、行列買いというのは鎮静化するであろうというように、新聞報道によりますとそのことが伝えられているわけであります。通産省もそのように考えているようでありますが、事実そういうことになるのかどうか。私が指摘をいたしましたようなことをどうお考えになっているのかという点であります。  時間の関係がありますから、なお申し上げておきますが、きょう十一時五十分ごろ私のほうに長崎から電話が実はありました。あるタクシー会社からです。いままで、これはもう名前も申し上げてよろしいと思いますが、岩谷産業から買っておった。ところが、十月に、ある小売りの販売業者がタンクローリーが故障した。そのためにもらえなくなった。ところが、十月の実績がないからということで、もらえない。四十三台ある車にもう一滴ももらえないのだ、こういうわけであります。どうしてそういうことになるのか。十月の実績という形だと、十月に買っていないのだからもう売れないと言う。そうすると、個人タクシーが数カ月間病気で休んでおったならば実績は全くないのであります。それは売ってもらえないのであります。このような不合理なことがどうして起こるのかという点であります。お答えによってまたお尋ねをいたしますが、まず以上申し上げましたような点についてそれぞれひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 深尾憲治

    深尾参考人 いま中村委員からの御質問の第一の点でございますが、輸入は順調に来ているじゃないか、原油の関係だけ削減されているのに、なぜ五〇%の削減の分も出てくるのかという御質問だと了解しておりますが、LPガスはどういうふうな供給源かと申しますと、輸入分が去年では、製品輸入が五〇%をこえております。それで国産分と申しておりますが、本来は国産ではございませんが、石油精製工場から出てまいるものが五〇%弱でございます。  そこで、実はLPガス輸入分は順調と申しましても、私どもが希望いたしておるほど入っておりません。言いかえますれば、需要が伸びておりますだけ順調には入っておらないということが一つでございます。この原因は、ことしの春以来アメリカのナチュラルガス不足事情もございますし、ヨーロッパ地区でもガス不足ということが起きまして、従来日本努力いたしまして、ほとんど世界マーケットのLPガスの輸出能力は日本が独占しておりましたが、これが独占でなくなったということで、私どもいかに努力いたしましても当初希望いたしているほど輸入ができないという点が一つでございます。これはこの春以来できた現象でございます。そこへこの十月十六日以降の原油削減ということで、この量が減ってまいったということがLPガス供給力を非常に弱めたことでございます。特にLPガスは、冬場、やはりエネルギーでございますので気温が下がってまいりますと需要がふえてまいります。この段階におきまして、輸入は何とか原油みたいな大きなカットなしに私ども努力して輸入しておりますが、原油のカットによりまして、原油から出てまいりますLPガスの数量が非常に削減されてきた。これは需要期に向かって削減されてきたということで、非常な供給のアンバランスということが起きたことにつながるわけでございます。こういうことでございますので御理解をいただきたいと思います。  なお、石油業界と同じようにLPガスの流通段階もかなり複雑でございますし、伸びております。したがって、全部の部門ではなはだしいカットが出ているわけでございませんので、一部では先ほど中村先生の御説明のございましたようにアクシデントのようなかっこうで出ておりましょうけれども、原則的にはたいへんな五〇%カットとかなんとかいうことは出ておらない、そういうふうに考えております。  なお、個人タクシーの問題につきましては実はいろいろな複雑な問題がございます。複雑な問題があると申しましても、ああいうふうな事態は回避しなければならぬというふうにLPガス業界は考えまして、そして工業用の分をカットするとかいうようなことも考え、また先行き多少とも温存しておかなければならない分も込めましてこの事態を収拾するために多少の品物を出したわけでございますが、これで大体事態はおさまっていくのではないか、そういうふうに考えております。  以上、御説明を終わらせていただきます。
  27. 内田太郎

    内田参考人 お答えいたします。  これはいまも深尾会長の申し上げましたとおり、プロパンガス業界、いわゆるLPG業界も非常に経路が複雑でございまして、いま深尾さんは日本LPガス協会会長でございます。いわゆる生産輸入各社の五十数社の会長でございます。その下にいわゆる全国元売協議会というものがございまして、今度われわれの段階全国四万七千の業者をかかえている一都四十五府県の連合会でございます。この中にまたスタンドだけ別にスタンド協会というものがございまして、そのスタンド協会と日本LPガス協会とのお話し合いで、いわゆる緊急対策として百五トン出た、こういう御説明を土曜日に伺ったわけでございまして、私どもLPガス協会の中にスタンド協会というものが別にございますので、私はそういう点におきましてはあまり知識がございませんので、御了承願いたいと思います。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんからこれで終わりますが、中曽根通産大臣は五百二十万トンの供給を一割カットして四百六十万トン供給している、品薄宣伝でもって一犬ほえて万犬ほえるというようなことを予算委員会で言っているわけです。しかし、いま深尾参考人は全般的な問題ではない、こうおっしゃったのです。それから卸売り業者が「ニュース特集」で話をしておるのを聞いたのですが、発注したが半分の供給削減だ、タンクはからで休業している。それは休業している姿まで私はテレビで見たわけなんです。ということから、これはどこか隠されているのかどうか、ともかくおかしいです。国民が納得しない。家庭用にしても、タクシーの場合にしても、これは同じであります。ですからあなた方のほうでは、全般的にはそんな不足はないのだというようなことではなくて、現実にそういうことが起こってきているとということに目を向けて、そしてやはり対処をしてもらわなければいけないことだ。価格の問題にいたしましても、十キロボンベ千円であったのが千五百円、五割も上がっているということ、しかも供給はうまくいっていないというような状態であるということに十分留意をしてもらいたい。  それから個人タクシーなんかでも納得できないというのは、四大会社の車は満タンにして走っているという事実であります。このような不合理な不自然なことがあってはならない。日本交通であるとか国際であるとかあるいは大和であるとか帝都、こういうものはタンクローリーも持っておるでしょう。あるいはスタンドも持っておるでしょう。しかしながら、そういうものであったにしても、この合理的な供給というものがなされるならば、そのような不自然なことが起こってはならないということであります。通産次官が石油業界というのは諸悪の根源であるということを指摘をいたしましたが、いろいろなことを私どもが聞く限りでは、やはり問題を感じます。だから私どもも、この法律案審議を夜でもやりまして、できるだけ早くこれを成立させたい、そしてほんとうに私どもとしての責任も果たしてまいりたい、こう思うわけでありますが、先ほども申し上げましたように、業界方々がほんとうにみずからの責任というものを痛感されてこれに対処していただくということでなければ法の運営というものもうまくいかないであろう。  それから、通産省に対して言いたいことはたくさんあります。また、皆さん方の気持ちも代弁して申し上げ得る考え方もあるわけであります。ですから、それはまた明日からの審議の中で、私どもはその責任を果たしてまいりたいと思います。強く業界の皆さん方の協力、また自覚を促しまして、私の質問を終わります。
  29. 濱野清吾

    濱野委員長 板川正吾君。
  30. 板川正吾

    ○板川委員 参考人に伺います。  貴重な御意見を伺いましたが、法案に対する意見としては、どなたも、いろいろ条件はありましても賛成のようであります。この法案が実は成立をいたしましても、いま中村委員からも強調されましたが、国民なり、業界の協力がなければ、この法案は目的を果たさないし、この法案の趣旨を生かすことができないわけであります。そこで私は、この際、業界方々の心がまえというものを中心に伺っておきたいと思うのであります。  この際、石油危機を好機といたしまして、業界の利益をはかる、おのれの利益をはかる、こういうことがあってはならないと私は考えるのであります。特に私は、石油については精製、輸入、販売、こういう点の圧倒的な支配力を持っております石油連盟の代表に伺いたいと思うのであります。  石油国民エネルギーの中で七割を占めて、国民生活、産業に重大な影響を持っておりますことは先ほどのお話のとおりでありますが、まず石連は、企業の社会的責任というのをどういうふうにお考えでありましょうか、これをひとつ伺いたいのであります。かつて大手商社が国民の大きな批判を受けまして、そして従来の行動を反省いたしまして、行動基準というのをつくっております。それを見ますと、第一章にこう書いてあるわけです。「経営の理念と姿勢」「企業の繁栄は社会の健全な進歩発展なくしてはあり得ない。この認識に立って総合商社は社会の要請に効率的に対処するため、総合的かつ多角的な機能をもって福祉社会と社会的調和に貢献する。総合商社は常にその果たすべき社会的な役割と責任を自覚し、節度ある経営態度をもち、自らの体質を時代に応じ、時には率先して改革する。総合商社は、その機能発揮に際して、内外ともに自然や社会・経済環境そして既存の秩序との調和に留意する。」 この行動基準の第一章にそう書いてありまして、これは大手商社が、国民の社会的な批判を受けた結果、この行動基準でみずからを律しよう、財界もこういう趣旨は賛成のようでありますが、こうした企業の責任、これは経済的責任ばかりじゃありません。社会に対する責任というのをどういうふうにお考えでありましょうかということですが、これは返事は簡単でけっこうでありますからお聞きいたしたいのであります。
  31. 密田博孝

    密田参考人 第一は、やはりいかにしてエネルギー、特に石油の安定供給を果たすか、これはもう私が代表してお答えするだけではなくて、全社がそういう考えでおると思います。それにつきましては、そういう意味の社会的責任はかなりいままで果たしてきたのではないか。いままでいろいろ、このように業界全体、基本的な問題は起こりませんでしたけれども、そのときどきにいろいろな問題が起きております。たとえて一、二申し上げますと、一九六七年の六日戦争のとき、このときも石油がとまるのではないかと、非常に短期間に終わりましたが、その間に業界はたいへんな負担と努力をいたしました。そういう意味で、安定供給はかなり努力をいたしておりますし、それからもう一つは、そのほかに環境問題、公害対策、いろいろやりたい。つまり、社会的責任の中に入る問題がございます。しかし、これはまだ十分とは言えません。と申しますのは、やはり他の一般製造工業に比べまして非常に石油産業の体質が劣っておるから、考えておりましても果たしてない部分はございます。これは率直に申し上げますが、いずれにいたしましても、第一の考えは安定供給でございます。
  32. 板川正吾

    ○板川委員 安定供給によって社会的な責任を果たそう、それは経済的な責任でもあろうかと思います。私はまだほかに、石油の実質的な精製、配給を支配しておる業界としては反省が必要かなとと思いますが、時間の関係がありますからそのあとを続けますが、通産省が十一月十五日に下期の石油削減予想として、通期で一六%減と見込むというポイントを置きまして、石油、電力の削減、それから一部の備蓄に対する食い込み、こういう供給計画を発表いたしました。そのときに石油連盟は二四%だということを盛んに強調いたしております。当時の新聞では、二四%だ、通産省の一六%は甘い、こういわれておるのであります。当時、混乱の最中でありますから、私は的確な予想というのができがたい情勢はわかります。しかし、そのような場合に、政府のほうとすれば、なるべく混乱を起こさないために、不確定な要素はやや希望的観測を入れて数字をそろえた場合もあります。ところが業界では、それはもう甘い、二四%だ、こういわれておるのでありますが、最近の通産省と業界のすり合わせによりますと、それが一九%、こういうことに両者の意見が一致したと新聞に報道されております。  そこで伺いますが、一六%か二四%かというときに、なるべく大きく言ったほうが業界として利益に合いますか、合いませんか。その点の考え方を伺っておきたいのです。数字を大きくしたほうが業界の利益に通ずるのじゃないでしょうか。この点どうお考えでしょうか。
  33. 密田博孝

    密田参考人 いまの数字を大きくしたという意味は、削減率を小さくしたという御趣旨でございますか。
  34. 板川正吾

    ○板川委員 削減率を大きくした場合です。
  35. 密田博孝

    密田参考人 削減率を大きくしたほうが業界の利益に通ずる……(板川委員「そう考えませんかというのです」と呼ぶ)その当時は、そういう考えは持っておりませんでした。御趣旨は、供給を少なくしたほうが価格が上がるであろう、こういう御趣旨であるかと思いますが、その当時はそういう考えは毛頭ございませんでした。なぜそれだけの開きが出てきたか。これは先ほど先生がおっしゃいましたように、できるだけ通産省のほうはソフトランディングで入ろう、あまり混乱を大きくしたくない、こういうことから、やはり、これは何もそれだけの考えではなくていろいろなデータに基づいて一六%をお出しになったのだと思いますが、業界のほうといたしましては、もうそのときに、やはり入着ベースを基礎にしなくてはいかぬのではないか、すでに輸送の混乱も起こりましたし、あるいは実際問題としまして、配船通告をしてそれを供給会社が承諾して、それで積み地に行きまして積み荷ができなかった、こういう例もございます。あるいはデッドスペースで帰る船もございます。したがいまして、現実に積み荷をいたしまして、それが日本へいつ、幾ら着くか、こういうものをよりどころにすべきだ、こういう考えでございました。(板川委員「なるべく簡単にしてください」と呼ぶ)その違いがそこに出てきましたので、先生のさっきのお考えに基づく削減率を大きくしたという事実はございません。
  36. 板川正吾

    ○板川委員 私は、石油精製業界が元売りを通じて、すでに六月、七月ごろから、それぞれ各地で石油製品の値上げの指導をしてきたことを、これは公取の調査等を通じても承知いたしております。ですから私は、元売りを支配している精製業界では、なるべく削減率が高いほうが値上げをしやすい情勢をつくる、こういうふうに考えて、通産省の一六%というのじゃまだまだ社会に反響が起こらない、もっと大きいぞ、こういう空気を醸成しながら背後において出荷削減をしながら値上げの情勢をかもしておったのじゃないだろうかと思います。そういう点で一六%は不満であって、二四%ということを盛んに強調して値上げをしようという下準備ではないだろうかと思います。  最近、九月三十日の備蓄の数量は五十九日、原油二十八日、製品三十一日という報告をされておるのでありますが、十一月三十日に調べた備蓄の数量というのはどういうふうになっておりますか。九月三十日とどういうふうに違いますか。時間がないから私のほうで申し上げますと、こういうふうに新聞報道等がありますね。備蓄やや増であるというようなことが報道されております。石油供給石油連盟の会長の発言といって載っておりますからそうだと思うのでありますが、十月から十一月にかけて備蓄はややふえたということは、輸入よりも出荷のほうがやや少なかったということになるんじゃないだろうかと思います。輸入よりも出荷が少ない。この出荷のいわば制限といいますか、これは一体どこがやられたのでしょう。石連だけでやられたのでしょうか。それとも通産省の指導のもとにやられたのでしょうか。どうもこの十一月の石連の出荷状況というのは、なるべく数量を押えて値上がりを待って、そして値上げの風潮をつくりながら企業の利益をはかっていこうというところにポイントがあったんじゃないかと思いますが、こういう点に対して、石油連盟はどういう考えを持たれておるのでしょう。石連はいわば諸悪の根源だといわれておりますし、アメリカなどでも石油業界に対する国民の批判が強まっておりますが、こういう点に対してどうお考えでありますか。
  37. 密田博孝

    密田参考人 お答えいたします。  この需給問題あるいは備蓄の量につきましては、これは連盟だけできめておるわけではございません。細部にわたりまして毎月の生産供給、これはエネルギー庁の担当部課と詳細な詰め合わせをやってきめていっております。  それで、いまの御質問にちょっと数字をあげて簡単にお答えいたしますが、原油につきましては、九月末で三十日分を持っておりました。十一月末、つまり十二月初めの原油は二千百九十八万五千キロでございます。これはちょうど二十八日分に相当いたしております。したがって、十月初めから十一月、二カ月間で二日分減っております。それからこの十二月末現在の予想原油でありますが、これは生産をやりましたあとの原油数量でございますが、二千百九万一千キロ、これは二十七日分でございます。したがいまして、ここで十二月で約百万くらい原油を食いつぶすことになります。総体的に見ますと、九月末の三十日から十二月末では二十七日分になります。二、三日しか食いつぶさないわけでありますから、したがってまずまず横ばいに近い、こういうふうにお考えになってけっこうでございます。  それから製品は九月末で二十六日でございました。二十八日という数字もございました。これが十二月初めには二十一日分、つまり十月、十一月で五日食いつぶしておるわけでございます。そこへもっていって十二月の生産供給計画を実行いたしますと、十二月末には一六・四日分になります。この間に、十二月の間に十日分くらいここで食いつぶすことになります。供給計画は十二月は少し過大であると思います。この製品のミニマムのランニングストックはわれわれは十八日ぐらいと考えておりますが、そういたしますと、ぎりぎり十五日くらいまではいけるかもしれない。十八日と考えますと、もう十二月末ではミニマム在庫を若干食い入っていることになります。あるいは十五日といたしましても、これもぎりぎりでございます。一月の原油輸入予想も大体二千万キロぐらい、こう考えておりますが、それが途中で事故が起こりましたり、あるいは昨日報道されましたように五%の生産削減率を上のせする、こういったようなことになりますと、現実には十二月の原油には、入ってくるものには影響いたしませんが、二月、三月に断層ができます。どうもわれわれはできるだけ安定供給というたてまえから何とかして三月までもたせたい、なだらかなかっこうでもたせたい、こういうふうに考えておりましたものが、そういうタイムリミットがだんだんせり上がってくる、何か非常に不安定な要素がここへ出てくるような気がいたします。十二月にそれだけ製品在庫を食いつぶしましたのも、何とかひとつ行政指導でいま実行しております一〇%カット、九〇%供給、これに合わせたいという努力をここでした結果でございます。  以上、お答えいたします。
  38. 板川正吾

    ○板川委員 詳しい数字は資料の上でまた検討いたしますが、いまのお話では、原油の分は比較的食い込みがない。製品のほうが食い込んでおる。原油は入ったけれども精製しなければ製品のほうが食い込むということになるわけでありまして、この点は、私はあとで数字を出してもらって検討いたしたいと思います。  先ほど密田石連会長から、原油の値上がりについて説明がありました。御承知のように、七一年の二月四日、テヘラン協定の前には、実勢価格がアラビアン・ライトで一ドル三十セントですね。それが七三年六月十一日の新ジュネーブ協定のときに二ドル三十セントになった。そして七三年十月十五日、この間一方的な料金改定方式を宣言される前には二ドル八十セント、そして今度十月十六日からの一方的な通告による値上げが三ドル六十五セント。そうしますと、この約二年間に一ドル三十セントの実勢価格が三ドル六十五セントになった。原油価格が二ドル三十五セント値上がりをしたわけであります。そこで、比率からすれば一ドル三十セントに対して二ドル三十五セントですからたいへんな値上がりの比率になるわけでありますが、この原油値上がりの代金を各製品一リットル当たりに分けた場合には、製品一リットル当たりどのくらい値上がりをするのでしょうか。これは答えは簡単なんですが、お伺いをいたしたい。
  39. 密田博孝

    密田参考人 いまアラビアン・ライトについてお話がございましたが、業界平均のFOBで申し上げますと、七一年の十一月には、業界総平均でございますが、大体一ドル四十ぐらいであったかと思います。それが十月の中東戦争が始まる前は、大体二ドル八十ぐらい、ちょうど二年間に倍ぐらいの値上がりになっておりました。それが現在は、総平均が大体四ドル二、三十でございましょうか。そういたしますと、この十月の戦争が始まってから五割方、二ドル八十が四ドル二、三十でございますから五割方上がっております。これを六七年の、先ほど総平均が一ドル四十ぐらいと申し上げましたが、それと比較いたしますと、ちょうど三倍ぐらいになっておるわけでございます。これがいまの業界の総平均でございますが、製品価格にこれがどういうふうにはね返るかということは、われわれといたしましてはFOBだけでこれを考えるわけにまいりませんので、直接原油費の上がった部分が、そのときの製品価格の値上がりがその他の要素で非常に多く上がっておる場合と、それから上がり幅が少ない場合とで割合が違ってまいりますので、そのお答えはちょっと単純にできないと思います。特に最近は、為替の変動が非常に激しくて円安がどんどん続いておりました。これは為替利益が出るときにはむしろ非常にプラス要素になりますけれども、円安が極端に、十円も十五円も下がってまいりますと、たいへんに大きなパーセンテージになりますので、何かひとつまた標準的な基準をつくりまして御報告申し上げたいと思います。
  40. 板川正吾

    ○板川委員 実は同じ質問エネルギー庁長官に質問したらわけのわからない答弁をしておりましたが、私の言うのは一つの仮定に立っております。一ドル三十セントが三ドル六十五セントになった場合に、原油価格が二ドル三十五セント上がるじゃないか。その場合に各製品に同じ比率で値上がりをしたとすれば一リットル当たり幾らになりますか。私の計算によれば、一ドルが約二百七十円として四円なんですね。そしてそれは船積み、船の価格等も若干上がっております。あるいは満ぱいで帰れないということもあるでしょう。ありますけれども、最近の石油各製品の値上がりは、船の値上がりを含めたっておそらく五円以内でしょう。ということになりますと、これはこの石油危機を契機に、多年ねらっておった石油の値上がりをはかっておるんじゃないでしょうか。これがいわば石油関係業界が値上がりをはかっておる、こういうことになるんじゃないかと思います。四円何がし上がればこの原油価格あるいは船積み、船の運賃等を含めたとしてもこれは五円以内でありましょう。そういう値上がりを、ついこの間までガソリンは五十円であったものが、いま八十円から九十円、こういうように大幅な値上げをしておる。これは私は石油関係業界の大きな反省を促さなくてはいけない問題だろうと思います。特に石油業界は、最近の業績、たとえば九月期の決算等を見ましても、新聞に出ておることですからおわかりと思いますが、九月期は前年同期に比較いたしまして、経営利益は日本石油、三菱石油が二倍強、丸善石油、昭和石油は三倍強の利益をあげておる。原油価格の上昇というマイナスは、販売数量の増加と、製品値上げ、それから為替差益の発生によって十分吸収した、こういわれております。九月期の決算では、いわば石油業界は非常にいい実績をあげておる。中には、某社の  ごときは四割の配当を続けておる会社もあります。こういうように経営内容が比較的いい状態の中で、今度の石油危機を迎えたわけでありますが、どうも石油危機を迎えて、原油の値上がりを過大に報道し、二倍だ、三倍だということを報道しながら、石油の販売価格の値上がりをはかっておったんじゃないかという感じがいたします。ですから、このどさくさにまぎれて、火事場どろぼうのように石油危機を好機として自己の利益をはかるべきではない、それは経営者の社会的責任を放棄することになるんじゃないか、こういうことを私は申し上げたいのであります。  そこで、石油商業組合連合会がこういう自己批判をしているのを実はこれまた伺いました。これは「全国ガソリンスタンドや灯油販売業者など約四万五千店で組織している全国石油商業組合連合会は、機関紙「ぜんせき」の最近号に「いまこそ供給責任を」と題する論説をかかげ、石油危機に便乗した一部の悪どい商法に厳しく警告するとともに、強く自粛を呼びかけた。」そしてこういうことをいっておるのです。「「だれもが石油不足を理由に、自己の都合のよい方向に進もうとしている」と指摘。「このような時だからこそ、石油販売業者は危機の実態を冷静に受けとめ、国民の間に石油パニックが広がるのを防がなければならない」としている。その理由として「消費者大衆に直接接しているのは、政府でも元売りでもなく、われわれ石油販売業者である」ことをあげ、「もし大衆の間に石油パニックが起これば、石油デモ隊が給油所に押し寄せ、地下タンクなどから勝手に持っていくようなことが絶対ないとはいえない」といい切り、危機便乗型の商法は「われわれ自身の手できびしく糾弾する必要がある」」という自己批判をいたしておるのであります。  この石油商業組合連合会が各地で石油の値上げを指導しておる。これまた新聞に出ておりますように、宮城県石油商業連合会、これはすでに公取から値上げカルテルについて勧告を出されておる。こういうことになっておりますが、石油商については私はとかく申し上げません。とにかくこの反省の趣旨を業界末端に徹底させて、そうしてこの石油危機による経済の混乱をお互いに力を合わせて防止していかなくちゃならぬ義務がある、こう思います。ということで、石商についての質問は時間が来ましたから以上で終わりますが、ひとつ今度は石連にもう一ぺん伺いたいのであります。これは参考人皆さんにも伺っておきたいと思いますが、答弁は石連でけっこうです。  この統制のあり方について、実は率直な意見を伺いたいと思うのです。物が不足をする。不足をすれば物価が上がることは御承知のとおりでありますが、今度の場合のような石油の突然の削減という事態になって、統制のあり方が論議されております。統制のあり方については、私どもが考えるのに、価格のメカニズムを通じて統制しよう、これはアメリカがとっておりますね。これは値段はある程度しようがない、物が不足したんだからしようがないという意味で、価格メカニズムを通じて統制しよう。それから第二は、日本では、業界の統制価格、これは特に鉄鋼業の稲山さんなどが盛んに主張しております業界がいわば縦のカルテルを持って統制価格をしていこう、これなら物価は上がらないで、ある程度押えられると言っておるわけでありますが、業界の統制価格カルテル、こういう方式が第二として考えられます。第三としては、国、官僚による統制という方法があると思います。国、官僚の統制というのは、間々業界と癒着する可能性があるわけでありまして、そこで民主的な官僚統制という考え方があるわけであります。これは私のかってな分類でありますが、こういう中で、このように物資が不足した場合にどういう統制方式がいいと思われますか。この点について石連のお考え方を承りたい。
  41. 密田博孝

    密田参考人 結論的に申し上げますと、やはりいまのわれわれの自由取引を基本といたします経済社会では、やはり民主的に適正な値段をきめた価格、いわば安定カルテルと申しますか、そういう方法でいくのが一番混乱が少ないような気がいたします。その価格が妥当であるかどうかということにつきましては、これはもう皆さん方の御意見を聞くとか、あるいはそういう価格で取引した結果、石油業界全部を含めまして不当に利益を得ているか得ていないか、これは結果の御批判を待つよりしようがないと思います。私は、いまのところ、価格あるいは統制につきましてはそういう考えを持っております。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 他の参考人にもいろいろ御意見もあろうと思いますが、時間が若干過ぎましたので、私の質問を以上で終わります。ありがとうございました。
  43. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤清二君。
  44. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お許しを得まして参考人に御質問申し上げたいと存じます。  貴重な御意見を承りまして、ほんとうにありがとうございました。しかし、石油のパニック前夜です。まだまだすっきりいたしません。参考人のお方、一度よく新聞記者席を見ていただけませんか。ちょっとあっちを見てくださらぬか、すみませんけれども。商工委員を私は二十何年やっておりますが、こんなにたくさん勢ぞろいなさってカメラを当ててみえるというのは初めてです。ということは、報道関係も、このことについてたいへんな協力を願っているということなんです。かく申し上げる私はどうしたか。おかげで秘書を一人、きょうから余分に雇いました。なぜ雇わなければならないか。陳情団がわんさと来るのです。女房、子供、もちろん現役の秘書は言うまでもございませんが、動員をかけても、なお足りない。したがって、私はきょうから秘書を一人余分に雇いました。国家からはもらいませんから自費でございます。これもやはり年の瀬を迎えて、家庭の主婦が困っている。その日暮らしの個人タクシーが困っている。せめてこの人たちのひび、あかぎれをとってあげたり、涙をぬぐうてあげたいための私の実際の行動です。陳情を受けるだけではありません。わが党は、すでに各県にわたって調査をいたしました。たくさんの材料をいただきました。そのうちの一、二をお尋ねいたします。   〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕  第一に、石油業法には、石油関係のことで法律に定められたことに違反した場合には、罰則があるはずになっております。おそろいの中で、石油業法が三十七年に発効以来罰則を受けられた方がどこかにありましたら承りたい。
  45. 田中六助

    田中(六)委員長代理 どなたですか。
  46. 加藤清二

    加藤(清二)委員 どなたでもいい。全員に、あるとかないとかを聞きたい。
  47. 密田博孝

    密田参考人 いままでそういう事実は、少なくとも精製、元売りにはございません。
  48. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ほかのお方も、もう返事がないところはないと受け取ってよろしいですね。それじゃ違反がなかったかあったかという問題になります。私どもの調査によると、遺憾ながら違反がたくさんある。もっとも、つい先日の石油販売店の許可の件について司直が手を入れているという事実はあるようです。そこで、こういうことがあったらどうなさいますか、承りたい。  私どもの党へ訴えがあるのですね。個人タクシーさんは、キャッシュ・オン・デリバリーでなくて、切符を早くから買っておるのです。金を出して油をもらえる券が一冊の束になっている。それを向こう半年分この個人タクシーさんは買っている。ところが、今日になったらそれが通用しなくなったというのです。どうしてか。それに上のせを最初五円、次が七円、次がまた今度五円上がるか上がらないか、こういうことなんです。したがって、それを上のせしてくれなければ通用しない、こう言う。この人は非常にまじめな人ですから、現金を前払いで払うだけでなくて、量もきちっと一日に三十リットルずつプロパンを入れていた。ところが、とたんに半分に削られてしまった。先ほども質問がありました。さっきはあれは東京の例です。私は郷里の例を申し上げておる。もうこのことは、ずっと名古屋から大阪から関西、九州にまで全国一円に響いている例です。半分に減らされた。じゃ、ガソリンがあるからというのでガソリンに切りかえようと思っても、切りかえることができない。自動車の販売店に行ってそれじゃ買いかえようかといって、それでも切りかえるのにはどうしても三カ月かかる。年の瀬を迎えて一体どうしたらいいでしょうか、こういう質問です。皆さんなら何とお答えになります。  ところで、全部がそうならまだしんぼうができる、こう言うのです。大口のところは一日じゅう走っておる、こう言うのです。私らは半日しか走れません。個人タクシーは六時間走ったらもううちへは帰れぬようになる、こう言う。大口のところは一日じゅう走っておる。それはどういうことかと言ったら、大口のタクシーや大口のトラック屋さんは、その会社の系列にプロパンの販売店を持っている。そのプロパンの販売店を持っている会社のトラックやタクシーは一日じゅう動いておる。ところが、前金で金を払っていた個人タクシーさんは、量は半分、値は去年のいまごろの二倍、一年間にちょうど一〇〇%上がったわけなんです。承りたい。原価がそんなに上がったですか。お答えできる人は答えていただきたい。そんなに上がったですか。時間がないですから、一括してやりますから。  ところで、個人タクシーにも個人差があるというのですね。どういう個人差だ。そで下を使えばよけいもらえる、こう言うのです。しかし、それを全部やりかけたらかなわぬというのです。そで下の累積になっていくから。だから、われわれはそで下はしんぼうしております、こう言うのです。しんぼうしておれば、そで下を送らずに——きょうの昼にテレビがもう漫才でこれをやっておるのです。うそじゃないから見てごらんなさい。十四日、義士討ち入りの前夜ですからね。あれは吉良上野介にそで下を出すか出さぬかから始まったのですからね。それをやった。同じことが今日行なわれておる。そで下を使わなければ半減だ、こう言うのです。徳川時代とどこに変わりがあります。これを否定できる人があったら、どなたか否定してください。私が証拠を出します。その店を出します。
  49. 深尾憲治

    深尾参考人 いまのお話、実は先ほど内田会長が御説明したように、まだほかに社団法人全国LPガススタンド協会というものがございますので、末端の仕事はそちらでコントロールされておりますが、メーカーとして一応御返事を申し上げたいと思います。
  50. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私の質問は、そういう事実があるかないかということを聞いておる。そんな演説を聞こうとしておるんじゃありません。
  51. 深尾憲治

    深尾参考人 演説をいたしませんが、個人タクシーの方で一部非常に入手困難になった方があったということは事実であります。そこで、私どもとしては緊急の対策を講じまして、そういうことのないように処置をいたしました。
  52. 加藤清二

    加藤(清二)委員 否定なさるなら、そういうことはうそだと言ってください。そうすると、私は証拠を出しますから。なぜかというと、実は私どもは、私ども自体がバッジを取って調査に行きました。立ち入り検査をしてはあまりにもなんですから、買いました。わざと買ってみた。そうしたらどういうことがわかったか。ここの委員会で、すでに十月の二十三日に私は中曽根君に質問している。そこで彼は、こうすると言った。それを十日の余、二週間たってから調査を始めた。全然聞いちゃおりません、三百八十円も聞いちゃおりません、そんなことどこからも聞いてはおりません、こういうお話でありました。  そこでお尋ねする。皆さんの業界で、通産省あるいは通産局から値段を指示されたことを受け取りなさったか、受けておられないか。もし受けておられたら、それをどのように末端小売り店あるいは組合員に周知徹底方をなさったか。
  53. 深尾憲治

    深尾参考人 LPガス自体のことだけを申し上げますと、価格についての指示は、目下のところ受けておりません。  末端については、流通段階の問題でございますので、メーカーといたしましては、再販価格については現在までのところ指示いたしておりません。
  54. 加藤清二

    加藤(清二)委員 おそらく、そのとおりでしょう。私が調査した段階においても、政府はこの席で指示すると言った。ところが、それから行って調べてみると、受けておりません、こう言う。ほかに異論がある人があったら、どうぞ。
  55. 松村信治郎

    松村参考人 三百八十円というのは灯油のことだと思いますので、私、回答いたします。  十一月の二十八日に通産省から通達が参りました。指示価格が参りました。私たち、理事長会、全国の事務局も全員集めて、またわれわれには機関紙というのがございますから、先ほど機関紙の自己批判を例にとられましたが、そういう機関紙もございますので、三百八十円というのを少なくとも石油販売業者には徹底しております。これを実施するわけです。
  56. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはいつおやりになりましたか。
  57. 松村信治郎

    松村参考人 十一月の二十八日に通産省の通達を得まして、それから翌日ですか、事務局専任者会議を開きまして、それからわれわれの機関紙にそれを載せまして、店頭裸三百八十円というのを全国に指示しております。
  58. 加藤清二

    加藤(清二)委員 明らかに石油業法違反であると同時に、いま申し上げました案件は民法、商法違反の疑いがあると思います。もう一つ、独禁法違反の疑いがあるからお尋ねします。  今度はもう一度プロパンに返ります。そのプロパンの値上げが、去年二十円、ことし四十円、いま四十円から四十五円、人によっては、十キロまでは四十円だけれども、それから上へ上のせするたびに幾何級数的に値が上がってくる。こういうことは個人の店、ある特定の店だけかと思ったら、共通に行なわれていると言う。なぜそうなったかと言うたら、集まって相談したんだ、こう言う。それでこの際一挙に十円値上げをやろうと言ったら、それはちと世間の目がきつ過ぎるから五円にしておきましょうということになった、こう言う。日本石油は個別原価を設定するところの理論のないことは知っております。しかし、そういう物の値のきめ方でよろしいでございましょうか。そういう物の値のきめ方を、どこで、法第何条によってやられるのか、どこの許可を得てやられるのか、根拠があったら承りたい。しかし、もし根拠がない、そういうことはうそだ、おまえはうそ言うなとおっしゃるならば、やむを得ません。銘柄をあげる以外に手はない。ただ、私は検察庁ではありませんから、さようなことをしようとは思っておりません。ただ、頂門の一針としてえりを正す材料にしていただければそれでけっこうだと思っております。答弁がありましたらどうぞ。  すでに十月二十三日、本委員会で、公取に向かって、こういう例がある、こういう例がある、だから調査をしなさいと言うたら、六都道府県下にわたって公取の手入れが行なわれました。そのデータ、結果は私の手元に来ております。わが党へ来ております。それをいまここで持ち出そうとは思いません。法律審議のときにいたします。ただ、皆さんは現実にその仕事に携わっていらっしゃる専門家の皆さんでいらっしゃるから、皆さんの傘下にそういう黒いうわさとか、あとで法律違反に問われるようなことがあってはいけないので、それで申し上げておる。認識していらっしゃるかいらっしゃらないか、この点だけでいいです。どなたでもいい。これはプロパンもあれば灯油もあれば、まあガソリンに少ないだけだ。だからどなたでも答えてください。だれと指名しない。
  59. 田中六助

    田中(六)委員長代理 加藤清二君に申し上げますが、だれに質問するかということを言ってくださると非常に審議がうまくいくと思います。
  60. 加藤清二

    加藤(清二)委員 はい。それじゃ全員に。
  61. 田中六助

    田中(六)委員長代理 全員に、これまたたいへんだな。
  62. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いや、石連は抜いてけっこうです。小売り関係ですから、農協もいいです。販売の全員に。
  63. 松村信治郎

    松村参考人 灯油に関する三百八十円の指示価格、これは公取と通産省とで了承がされておるということで、ああいうことになったと思います。それからたぶんガソリンであろうと思いますが、公取違反が六都道府県にあったということでございますが、これは現実に価格協定の疑いがあったことは、私は否定は——疑いは価格協定をしたかどうかはこれからの問題ですが、疑いがあったということは否定できないと思います。業界は、やはりこれを自粛しないといけないという姿勢を打ち出しております。  ただ、ここでお願いしたいのは、石油というのはこういう時代になりまして非常に価格が動いておりますから、価格の話がひんぱんに出てくるということの実情は御認識賜わりたいと思います。
  64. 加藤清二

    加藤(清二)委員 今度は主として密田さんに御質問します。  原油輸入数量、価格、それから見通しです。結論的に私が承りたいことは、国民が一番聞きたいと思っていることです。今日の状態がいつまで続くだろうかということです。それから五%上のせ、九月基準二五%削減、次に五%上のせがどこまで続くだろうか。それがだんだんいって、さきにことしの九月以前に戻る見込みはあるだろうかないだろうか。いま内地であれこれ問題が起きております。パニック前夜です。なぜそういうことが起きたかといえば、数量が減らされ、輸入コストが上がったについての理論的な経過プラス便乗、これがそういう結果を来たしておると思うのです。そこで、政府に対して、この見通しについて資料提出を要求しておりますが、出ません。二カ月たってもいまだに出ません。私はだから個々の会社にお願いをしました。それから幸いクウェートにもイラン、イラクにも友人がおりますので、そこへ尋ねて——もちろんあちらの方です。日本人ではありません。それで資料を整えて社会党なりの資料をつくっております。  石油連盟に対して承りたいことは、もう一度申し上げますが、今日の状態がはたしていつまで続くだろうか、あるいは五%上のせがどこまで続くだろうか。次に、だんだん状況がよくなったとして、九月以前に戻ることが可能であろうかどうか。これによって国土総合開発、新全総に及ぼす影響が非常に大きいからです。
  65. 密田博孝

    密田参考人 いまの状態がいつまで続くか、これはわれわれとしても見当はつきません。全く業界のやる限度を越している、そういうふうに情勢を判断せざるを得ないと思うわけであります。  それから五%上乗せは今後続くであろうかどうかということでありますが、これは十二月は幸いにして取りやめになりました。一月はそれをやるぞ、こういうことを言っております。したがいまして、それはやるのかやらないのかということは、現状においてはやるというふうに考えておかなくてはいかぬと思います。  それから中東和平が実現した暁には、九月の実績に戻るかどうか。アラブは、友好国に対しては一月—九月の平均実績か九月の実績の多いほうを保証いたしております。したがいまして、和平が解決すればその線に戻る可能性はあると思います。しかし、それより増量するかどうか、これはそのときにならなくてはわからないと考えております。  以上でございます。
  66. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうなりますと、先般、石連の代表並びに政府の代表と研究会、ヒヤリングをやりましたおりに、政府は一六%削減業界はそれはのめない、二四%削減をしなければランニングストック四十日を一カ月あるいは二カ月で割るおそれが出てくる、こういうことでございましたけれども、それもあくまで想定数字と受取ってよろしいですね。  次にお尋ねしたいことは、時間が参ったようでございまするから、あと一問だけで終わりたいと思いますが、コストの問題です。テヘラン協定、ジュネーブ協定、アラムコ協定、いろいろ協定が行なわれ、つい最近では新ジュネーブ協定等々が行なわれ、最後に十月十六日に公示価格一バーレルについて五ドル十一セント、実勢価格は三ドル六十五セント、こうなっておりますが、公示価格よりも実勢価格のほうが安いということは、これはOPECないしはOAPECの言い分が世界的にはまだ通らないということと見ていいと思いますが、はたして一体日本はこの先輸入される場合に実勢価格としてどのような値になるであろうか、これも想定でけっこうであります。  次に、イギリスの場合は削減はされておりませんけれども消費規制を一〇%いたしました。それは九月期の実績だったからでございます。冬場はたくさん要るからといって一〇%の削減をした。日本は、OPECが削減する分のみならず、メジャーがアメリカやオランダに削減した分をおっかぶせてまいりますね。時間がないからここははしょります。ほんとうはここをやりたかったのですけれども、おっかぶせてまいります。それを何%ぐらいと見たらば妥当であるか。  次に、きのうの新聞に、石連のほうは、製品の優先順位、配分順位をきめるためにすでに作業に着手したと出ております。しかし、先ほどのあなたのお話ですと、それはぜひ政府のほうでつくってくれ、こういう話なのです。政府がつくった場合には必ず手探りになります。皆さんよりも情報網が少ないのです。それは頭が悪いからじゃない。それだけのの組織と機関がないからなのです。員数が非常に少ない。ですから、ひとつ優先順位なり配分序列なりはぜひあなたのほうでも試算していただかなければなりませんし、それから、それについては経過措置、移行措置を御勘案の上、ぜひ除外例も考えなければならぬではないか。われもわれもということに除外例がなれば、これまた混乱を来たしまするが、すでに物統令第八条に除外例の先例はございます。したがって、われわれ野党も、やがて四党提案にかかわるところの原案をつくる用意がございます。四党とよく相談の上つくる用意がございますが、業界のほうとしてはそれの用意があるかないか、それについての御意見はどうか、これでおしまいです。
  67. 密田博孝

    密田参考人 先ほどのOAPECが出しております新価格体系につきましては、まだメジャーと、それでよろしいという合意のところまで行っておりません。したがいまして、これはどういうふうに変わりますか、いまのところ、まだ見当がつきませんが、しかしながらOAPEC自体もそういう実勢価格が妥当である——イラニアン・ライトについて言いますれば三ドル六十五でありますが、しかしそういうことを言いながら、一方では直接販売原油は非常に高値で売っております。それで、きょうイランでその公開入札がありますが、一般的にはバーレル十ドル以上でなければ落札できない、こういうふうにいわれておりますから、したがって、これをどういうふうに価格を統一いたしますか見当がつきません。見当がつきませんけれども、今後も原油価格は上がる趨勢にあることだけは否定できないだろうと思います。  それから二番目のお尋ねは、メジャーの件でございましたか。
  68. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうです。アメリカの削減分をおっかぶせるじゃないか……。
  69. 密田博孝

    密田参考人 各メジャーから各精製会社に対していろいろな削減通告が来ております。多いのは三五%、二〇数%。しかしながら、それも若干その後修正もございますから、この際はやはりメジャーの削減率は平均して下限二〇%というふうに考えなくちゃいかぬだろうと思います。たとえばCFP、フランス石油なんて大体五〇%ぐらいしか入っておりません。総平均しますと、やはり二〇%というふうに考えるべきだろうと思います。(加藤(清二)委員「アローアンス二〇%……」と呼ぶ)いや、下限二〇%です。しかし、それはどういうふうにして、たとえばイランだとかインドネシアの減産してない国は、サプライしているメジャーもなぜそういうことをやっているかということは、これはわれわれに察知できません。どうもフランス石油削減率が多いのは、やはり自国優先という考え方が入っておるのではないか、こういうふうに理解いたしております。  それからもう一つは、優先順位でありますけれども、われわれが政府にそういうガイドラインを示してくれ、こう申しておりますのは、国民経済的にどういうふうな用途を優先させるか、こういう意味であります。したがいまして、たとえばこういう問題が起きております。鉄鋼なんか、われわれの立場からしますと優良取引先であります。また、基幹産業でありますから優先して供給すべきだという考えでありますけれども、しかし現実の問題としますと、鉄鉱石なり輸出製品なりを運ぶ船が動かない。そのために製鉄会社の操業にたいへんな支障が起きております。そうだとしますと、他のものに優先して船用のボンド重油を供給せなくちゃならぬ、こういうことも考えざるを得ないわけであります。そういう判断は、国民経済的にエネルギーをどう使ったら一番いいかということ、これは政府にきめていただかなくてはわれわれだけではきめられないわけでございます。そういう意味のガイドラインあるいは優先順位をきめていただきますれば、それに従ってわれわれの立場での業種別なり会社別の供給数量というものをつくる考えております。それで、本日の石油連盟の理事会で対策本部というものをつくりまして、それを窓口にいたしまして政府と合同委員会を至急つくっていただいて、それでいまのような方針をこれから漸次具体化していきたい、こう考えでおります。  以上でございます。
  70. 田中六助

    田中(六)委員長代理 神崎敏雄君。
  71. 神崎敏雄

    ○神崎委員 時間が非常に制約されておりますので、個条的に言いますからひとつメモをとって個条的に落とさないでお答えを願いたい。  まず石連の密田さんに伺います。  第一、現在各社別の原油の備蓄量はどうなっておるのか、各社別についてお答えを願いたい。  第二は、製品別の備蓄量はどうなっておるか。  第三は、業種別の供給配分のあり方について、政府業界の発表の食い違いについて、その実情に基づいた答弁をお願いいたしたい。  第四は、価格の決定については、元値から消費者に至るまでの価格を明確にしていただきたい。  第五は、この法案の作成過程において、業界政府から意見を聞かれたかどうか。その段階業界が開かれておれば、どのような意見をお出しになったか。それに関連をして、今後この法案法律となりましたとき、この運用について業界はどういう協力措置をとられようとしておるか、これが五番目です。  六番目は、先般、連盟はやみ協定の疑いで公取の立ち入り検査を受けられました。不当な供給削減やカルテル的な行為をおやりになったのかどうか、このことについての事実関係等を認められるのかどうか。  以上、まず六点についてお伺いをいたします。
  72. 密田博孝

    密田参考人 各社別の原油、製品の備蓄量、これはいま手元に資料を持っておりませんのでお答えいたしかねます。  それから、三番目の御質問の趣旨がよくわからなかったのですが、恐縮ですが、もう一度繰り返し願いたいと思います。
  73. 神崎敏雄

    ○神崎委員 三番目は業種別供給配分のあり方についてですね。政府業界の発表が食い違っている場合が多い。その食い違いについての点を明らかにしてほしい、そういうことです。
  74. 密田博孝

    密田参考人 業種別の数量配分と申しますと、どういう意味でございましょうか。
  75. 神崎敏雄

    ○神崎委員 供給配分のことです。
  76. 密田博孝

    密田参考人 業種別の供給配分について、連盟と政府との数字が食い違っておる、そういう数字の突き合わせはまだやったことがないわけであります。業種別と申しますと、たとえば鉄鋼、セメント、電力、そういう意味の業種別の配分ですね。
  77. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうです。
  78. 密田博孝

    密田参考人 これはもう御承知のようなことで、いままでは各社と各需要家との自由取引で数量がその月々きまってまいっておりますから、そういう業種に対してこれだけ配分せなくちゃならぬという政府の指示はございません。  それから、四番目の価格形成、社から末端までの形成内容という御質問だったと思いますが、これはもう各社がいろいろ原油価格でありますとか、あるいはフレートでありますとか、その他の固定費、それぞれ全部違っております。したがいまして、各社の採算ベースで、これは系列販売店あるいは系列、またいろいろ適正利益その他を上のせして末端価格をきめておりますから、これも全部それぞれまちまちでございます。  それから、法案作成の過程において政府からいろいろ意見聴取をされたか、こういうことにつきましては、いままでいろいろ聞かれております。それで、そのときに業界から申しましたことは、私が冒頭に法案について述べましたように、十分供給者の意見を取り入れて法案内容をつくっていただきたい、つまりもっと具体的に申し上げますと、供給者が合意いたしません供給販売計画をつくりました場合には、そこでたいへんに需給の混乱が起きますから、そういうことを避けるように、こういう趣旨で基本的にはそれを申し上げました。あるいはまた生産計画、そういうものをつくらせるときに、たとえば罰則その他がございますと、どうしても内輪の生産計画、責任のとれる生産計画、そういうものが主になるので、それではやはり供給不足、こういう心配が起こるから、できるだけそういうことのないようにという意見政府に強く申し上げました。  それから六番目の公取疑惑の事実があるかないか、こういうお尋ねでございますが、これはそういう事実はいまのところない、こういうふうに考えております。
  79. 神崎敏雄

    ○神崎委員 二番目の製品別の備蓄量はお答えにならなかったのですが、それもわからないのですか。  それから、先ほど言った、この法案がいわゆる法律になったとき、この運用について業界はどのような協力をされるのか、この点が抜けていますね。   〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 密田博孝

    密田参考人 それはできるだけその法案の趣旨に基づいて全面的に協力いたしたい、こう考えております。
  81. 神崎敏雄

    ○神崎委員 製品別備蓄量はわからぬのですか。
  82. 密田博孝

    密田参考人 はい、いま手元に資料がございませんのでお答えできないわけでございます。
  83. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま言われた一と二は資料がないからいま言えないというなら必ず資料を出していただけますか。お答えください。
  84. 密田博孝

    密田参考人 これは、ここで私一存で承知いたしましたというわけにはまいりませんので、各社にひとつその旨通達いたしまして、企業秘密上支障のないものは出していただけるだろう、こう考えます。
  85. 神崎敏雄

    ○神崎委員 われわれはしばしば言いますが、この企業秘密の問題ですね、きょうはそれについては質問しようとは思ってなかったのですが、某社へ行ったときは、私の社の備蓄量については申し上げます、こういう約束をした。ところが時間がたつと、これが政府の介入、直接圧力といいますか、そういうことでごかんべん願いたいという形でおわびの電話をいただいた。この企業秘密というのは企業の秘密なのか、政府の秘密なのかということを——口を開けば企業秘密と言われますが、この企業秘密のあり方はどういう形で根拠を持って言われるのですか。この際ひとつ聞いておきたいと思うのです。
  86. 密田博孝

    密田参考人 それぞれ企業の経営方針なり、あるいはいろいろ関連会社との連係その他もございまして、一律には企業秘密はこうであるということは私は言えないと思いますが、いずれにしましても、現在は非常に環境が違っております。まとめたものは、これは連盟でございますからありますし、それから、先ほどお答えしましたように、在庫の推移その他もわかっておりますが、各社といたしましては、やはりそれ相応の経営上の方針もございますので、それをやはりいまのような企業秘密、こういうふうに理解している、こう思います。
  87. 神崎敏雄

    ○神崎委員 たとえば五百八十万キロリットルの備蓄がある。これは新聞でも、あるいはテレビ等でも報道されているんですね。そうしたら、たとえば精油業者は十三社ある。そうすると、その五百八十万キロリットルの備蓄は何社に何ぼある、何社に何ぼあるということをトータルして五百八十万というものが出ているわけですね。その総合計というものは天下に公開されておって、個々の持っている量というものを企業秘密なんと言って隠したって、これはナンセンスですね。トータルは発表されているのに、なぜ企業別のその数量が常に秘密にされるのかというところに、これは国民としては納得できないですね。だから、各社に当たって、そうして出すというお話ですので、時間の関係もあってこれにはあまり深入りはしませんが、あなたは石油連盟の会長さんですから、しかもこういう場所でお答えをされたのですから、この法案を私たちが審議する——もう二、三日先だと思いますが、それまでにはどうしても国民サイドに立った法律を私たちはつくりたい、そういう意味からも備蓄というものについては非常に重要な位置づけをせなければならない。また輸入量についてもしかりですね。したがって、そういう時間というものが非常に切迫しておりますが、それまでにひとつ出していただけるか、お約束願いたいと思う。
  88. 密田博孝

    密田参考人 先ほど申し上げましたとおり、これは私の権限で出せと言うわけにいかない問題でございますので、先生から強い御要望があったということを伝えまして、できるだけその趣旨に沿うように努力いたしたいと考えます。
  89. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それは努力していただいて、出していただけるというように理解をして次に移ります。よろしゅうございますね。  次は松村さんに伺いますが、十二月の現在、大阪の寝屋川の町で——これは町で起こったのはたくさんありますので一例にしますが、保育所などで灯油がないので各家庭から少しずつ持ち寄って、そうして保育所でいわゆる暖房を確保している、こういう実態なんです。  そこで、通産省が言っている、先ほども聞いておられましたけれども、私は、これについてほんとうに国民を安心させたいために重ねて伺いますが、十八リットル三百八十円で実際に消費者に販売できますか、また、現在消費者は三百八十円で入手しておる、こういうように確言できますかということをひとつここではっきりとお答えしていただきたいと思うのです。
  90. 松村信治郎

    松村参考人 あとのほうの十八リットル三百八十円で石油販売業者が販売できるかということでありますが、この条件は店頭裸ということでありまして、石油販売業者に限っては私はできると思って指導しておりますし、大体了承を得ているつもりです。大阪の場合は特に徹底しておるはずです。私は大阪でございますから。ただ灯油というのは、先ほど申し上げましたように、約十万の薪炭、米屋業者さんの協力を得ないと御家庭には渡らない。この薪炭屋さん、米屋さんの仕入れ価格を地ならししていかないと、いなかのほうに行きますとむずかしいことがあるかもしれないという心配をしております。これは鋭意いま進めております。比較的油屋さんの場合は、特に大阪の場合は徹底しているはずと私は信じております。  それから、前の大阪寝屋川保育所の話は私もさっそくやりますが、往々にして従来油がどこでも買えたということから、買っておられたところもあったのだと思います。たまたまそのお店が何か供給しなくなった、どこかよそに新規の需要者があったというケースになりますと、多少トラブルがあると思いますが、さっそく帰りましたらこれは先生に御返事させていただきます。こういうことは非常に真剣にマークしてつとめておるつもりでおります。
  91. 神崎敏雄

    ○神崎委員 松村さん、大阪だとおっしゃっておるのですが、私も大阪なんですね。いなかのほうであったらというのですが、私は大阪のまあまん中ですか、あまりいなかでないほうにいるのですね。私の体験ですが、いまから一週間ぐらい前に私は家へ帰りました。そうしたら家族が灯油を買っている。何ぼで買ったと聞いた、中身五百円でかん代が二百円で七百円だ、そしてかんは持ってきたら二百円返してやる、しかし、中身は五百円だ、前の持っていたかんは、それはもう古いので引き取るわけにいかないから、こういうことなんですね。その人は、こういう場所ですから名前ははばかりますから言いませんが、私がこういう立場ということは十分御存じで——私の家の御近所ですからね、そういうものを売っているところは。遠いところまで行って買いませんから。その人がこれしか売りません、こうなっているのです、こういうふうに言っているのに、テレビを見ておると、中曽根大臣は三百八十円だ、もしこれに違反するならすぐ言うてこい、こういうふうになっていますが、これは消費者も、ほんとうの末端の小売り業者も、非常に苦しめている、実情に合っていない。ただ三百八十円、三百八十円と言っておりますが、現実とは全然違うことなんです。そのことで、まあこの組織の責任である会長さんがほんとうに末端のことを御存じないなと——まあ私はあなたが大阪だとおっしゃったからこの話を出したのですが、私はほかのところだったらわかりませんが、これが起こっているのですね。  こういうようなことを早く、一律にあなたの言う中身三百八十円で家庭に届くように責任ある処置を、政府なら行政措置と言いますが、あなたの組織ではどういう措置と表現するのか知りませんが、すぐただいまから灯油を全国一律中身を三百八十円にするという約束をこの場でしていただけますかどうか。明快な約束をしていただきたいと思う。
  92. 松村信治郎

    松村参考人 いま大阪の五百円でお買いになっている業者は、やはり油屋さんでございますか。
  93. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうです。
  94. 松村信治郎

    松村参考人 私、石油販売業者の場合は指導する義務もございますし、自信があると思っております。ただ米屋さん、薪炭業者さんの手もかりないといけない。ここの仕切りからここが非常にまちまちであるという実情も御賢察願いたいと思います。
  95. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、油屋さんはすぐやられるということですね。即日やられるということですね。  そうしたら松村さんにもう一問伺いますが、灯油の中身は十八リットル四百八十円の価格試算のしかたを、十月初めごろ各スタンド、あなたの組合員ですね、この各スタンドにおろしたと聞きますが、このことは事実かどうか。もし事実と言うならば、何を基準に四百八十円の価格試算のしかたを各スタンドに十月初めにおろされたのか、これを明らかにしていただきたい。
  96. 松村信治郎

    松村参考人 毎年商工会議所で、どう言いますか、企業診断を受けまして、一つのモデルケース、この前の場合は通期二百五十キロの規模の小売り店の調査をいたしました。そのときのこの四百八十円には、たしか配達賃が入っていたのかと思いますが……
  97. 神崎敏雄

    ○神崎委員 十月初めにおろされたかどうかを聞いている。
  98. 松村信治郎

    松村参考人 そういうことで、毎年経営の原価計算の試算を指導しております。大阪商工会議所なり東京商工会議所の手をかりまして、そういうことの経営試算だと思います。
  99. 神崎敏雄

    ○神崎委員 基準を言うてください。その四百八十円の基準。
  100. 松村信治郎

    松村参考人 ちょっと私、いま記憶がございませんので……
  101. 神崎敏雄

    ○神崎委員 わからない。
  102. 松村信治郎

    松村参考人 はい。
  103. 神崎敏雄

    ○神崎委員 基準はわからないが十月初めごろに各スタンドの人たちとそういう話をしたということは認められた。こういうことはいわゆる独禁法、これにかかわる重大な問題であるということを申し添えておきます。しかも、その基準も明確にお答えができない。にもかかわらず、販売価格だけはわかっている。そうしてそれを組織の力で御相談されるということは、これは許されないことだと私は思います。  そこで最終的に、密田さんと松村さんのお二人に伺いますが、現在われわれがこれから審議をして決定をしなければならない、またしようと思っております石油規制法、これが実施された暁には、現在のこの現状がどのように一般消費者国民には好転するのか。この点についてどのように好転するとあなた方は予想されるか。また、この点をひとつきびしくきめてもらったら好転するとか、この点がある限りはまさにざる法、骨抜きでうまくいかないとか、こういうふうなことについての所感をお二人からお伺いをして、終わりたいと思います。
  104. 松村信治郎

    松村参考人 私の業界といたしましては、この法律の十条にあっせん業務をするようなことが書いてあります。このあっせん業務の背景になります流通秩序の整備の指導ということをこの表につけて、これから漏れてくるものを、先ほどの保育所の問題とか、あっせんするという形で、あっせんそのもので、一般消費者中小企業、農林漁業、ほとんど全事業になるわけですが、あっせん業務となると、非常に業界が混乱するのではないか。と申しますのは、現状の、先ほどからいろいろな御忠告、御苦言をいただいておりますが、何ぶん石油販売業者だけで三万五千、これが非常に自由な、わがままな商売を従来続けてきた。それが一挙にこういう事態になった。それを秩序化することに非常に苦労しておるわけであります。この法律ができ上がるときには、流通秩序の整備方をお願いいたしたいと思います。
  105. 密田博孝

    密田参考人 もうすでに二回申し上げましたように、この法律運用が、供給需要がバランスするようなかっこうで今後施行されますれば、そのときは必ずしも量的には十分ではございませんが、不足すれば不足するなりに、公平にかつ有効に、エネルギーの使用がいまよりは数段合理的にできるのではないか、そういう意味で、私は国民経済にたいへんプラスになるように考えます。運用を十分ここで御審議願いまして、いま言いましたように、供給需要にバランスするようにひとつお取り計らい願いたい、こう考えます。
  106. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほどの答えの中で、これは後ほどわが党の米原議員から質問されるので、私は触れることを差し控えていたのですが、元売りから小売りに至るまでの値段がそれぞれまちまちでわからない、いやしくも組織の責任者である方がそういうことをおっしゃられると、国民は戸惑うのです。  ここにLPガスの流通について一つの例が出ておりますが、中東などから輸入する、これは一キロ八円です。それが元売りメーカーに行ったら十円五十銭、これは四十九社のメーカー。それから特約店、充てん所、これは二千八百軒ありますが、これが三十円。小売りが四万五千軒あるが、ここへ行ったときは六十五円。千六百七十万世帯消費者へ行くときは、これが百五十円。何と八円のものがわれわれの家族の手に入るときは百五十円になる。これがLPガス流通の機構と価格なんです。したがって、こういうふうな形で、LPガスの場合は、われわれはこうしてわかるのですね。ところが、事石油になると、企業の秘密、何だかの秘密、メーカーは実に奇々怪々な秘密組織であるといわざるを得ない。これでは節約をして始末をしなさいとかいっても、これは国民は納得しない。しかも在庫は史上最高である。灯油の場合史上最高の在庫量。これは昨日の新聞ですが、これについてはきっちりその中身まで明記しているのですね。あなたのほうでは機密だとかなんとかおっしゃるが、先ほど私が言いました、五百八十万と巷間いわれているが、この記事によりますと「十月末現在で五百九十万キロリットルと史上最高の在庫量を記録した。」「昨年、一昨年秋の在庫量よりかなり上回っている。」灯油に関する限り、現在の末端の品不足は、先行きを見越したいわゆる流通の乱れだ。しかも「在庫量の内訳は、製油所在庫が約三百十万キロ、販売部門在庫が約二百五十万キロ、末端流通部門の在庫が約三十万キロ。」「灯油の需要は、一般家庭など民生用が七割、産業用が三割という比率」になっている。「出発点の十月の在庫量がこれだけあれば、たとえ今後の生産量が計画より平均二〇%程度削減されたとしても、全体の数字でみるかぎり昨年なみの量は十十分確保できる見通し」である。私が、在庫量で政府業界についていつも数字が違うがどうだと言ったら、いままでそういったことは発表したことはないという話ですが、発表しなかったらこの記事はうそになるわけですが、これほど、内訳まで天下に公表されているのに、業界サイドはそういう形でおやりになるから、非常に横暴な、大口メーカーが、いわゆる売り惜しみ、買いだめ、そうして国民を苦しめておる元凶であるということをきびしく私は警告と宣言をして、終わります。
  107. 濱野清吾

  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 笠原さんが時間の関係でとおっしゃっておりますので先にお聞きしたいと思っておりますが、農林省が今年度の農業観測を発表したわけですが、これによりますと、農産物生産者価格が一五%前後の高騰となるという見通しを書いておるわけです。いままたこういう石油危機が出てきておるわけですが、あなたとして、特にこの農産物の価格の問題につきましてどういう見通しを立てておられますか。
  109. 笠原大二

    笠原参考人 農産物価格の問題につきましては、いま御指摘のとおり過去の統計が一五%アップということで、総農産物の価格アップはそのくらいの数字になるとなっておると思いますが、問題は、石油に始まります全体の諸資材のアップがここのところ、最終試算をすることがまだでき上がらないくらい高くなっておるわけでございまして、御承知のとおり、えさ関係につきましては、もう御存じと思いますが、全体総額で七、八百億の畜産農家の負担になっております。それから肥料も現在試算中でございまして、下期の農家の価格負担が三百億をこすのではないか。それらを考え合わせますと、農家のコストと申しますか、農業コストの引き上げというものは非常に大きくなりまするので、生鮮食料品を除きまして、主食、畜産関係につきましても、従来の農産物価格が一五%アップというものは、それ以上かなり大幅に上げなければ農家経営が成り立たないという試算がおそらく将来出るのではないかといって、非常にわれわれとしては憂慮をしておるわけでございまして、いま、どのくらいに上がるであろうかということにつきましては、まだ最終仕上げになっておりませんので、この席で責任を持ちましての御回答はできませんけれども、いま申し上げましたような事情を考え合わせましても、かなり大幅なアップで、当然来年の米価の問題等につきましては、それらの問題につきまして一体われわれとしてどう対処するかという問題は大きな問題になっております。  そういう実情を組み入れていただきますと同時に、先ほど陳述いたしましたように、農業につきましての全体の需要のパーセンテージは二・七と低いわけでございますけれども、これが及ぼします農業生産に対します影響も非常に大きい。特に生鮮食料品等につきましては、御承知のとおり、工業生産の場合には、一割の原料アップが何割の製品コストの引き上げに影響するかということの試算が一応できるわけでございますけれども、たとえば生鮮食料品のような場合には、一割ないし二割のそのような主要な専用資材の減少が幾何級数的と申しますか、五割増し、二倍というように非常に影響いたしますので、それらの施策を総合いたしまして、今後農畜産物の価格体系のあり方をわれわれといたしましてどのようなところに求めていくかということに対策を集中してまいりたいというふうに考えております。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 特にこうした食糧の問題でありますので、これも非常に影響が大きいと思います。そういう点で、いま具体的なそこまでの試算ということができておられないようでありますけれども、われわれとしても、法案の問題につきましても、特に農業の問題等につきましては、重点的にこれはエネルギー危機等をもたらさないように配慮していこう、こういうふうに思っておりますけれども、皆さん方におかれましても、特にこうした食糧関係の問題でありますので、十分ひとつ努力していただきたいと思うのです。  それから、石油連盟の密田さんにお伺いいたしますが、石油削減の影響につきまして、これは他の委員からも質問が出ておりましたけれども、非常に数字の点におきまして差があり過ぎるわけです。通産省は一六%、連盟では二四%ですか、あまりにもこれは数字が大き過ぎるわけです。これはどちらが認識を誤っておったわけですか。認識といいますか、把握ですね。これについてお伺いしたいと思うのです。
  111. 密田博孝

    密田参考人 一六%、二三%の差は、これは十月末の調査の段階でございます。それで、十一月のたしか二十五日だったと思いますが、その再度の調整をやりました。現在のところは連盟の不足率は一九・八%、二〇%弱であります。それから通産の現在の予想は一八・八でございます。一九%弱であります。それで現在の差は一%に縮まってまいりましたので、大体現時点では見方がほぼ同じところへ来ている、こういうふうに考えていただいてけっこうだと思います。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 この前に山下通産次官が発言をしたわけでありますが、非常に石油連盟に対して強い調子の発言をしておられるわけです。通産省の指導では、産業界に急激なショックを与えてはいけないということで、大体一〇%程度の削減ということを指示したと思うんですが、しかしわれわれの耳に入ってくる実情は、ひどいところは四〇%からカットをされておる、こういうことなんですね。こういう点におきまして、どうして通産省のそういう指導というものを業界として守れないのか、その間の事情をひとつお伺いしたいと思うわけです。まあ今回の法案でも、そういう供給という問題は非常に大きな問題として出てくるわけでありますけれども、少なくともそういう法案ができても、業界のそういう協力というものが非常に大切な問題になってくる。ところが、そういうことが徹底されないということになってきますと、法案ができてもうまくいかないということになってくるわけです。その間の事情についてお伺いしたいと思うわけです。
  113. 密田博孝

    密田参考人 繰り返しになりますが、十一月二十日から始まりました一〇%の節約、これはまあ強力な行政指導で特定十一業種について、電力、石油が始まったわけでありますが、その時点では、先ほどお答えいたしましたように、かなり原油不足が両者で懸隔がございました。したがいまして、石油業界としては、そういう需要に耐えられるかどうかということをたいへん心配しましたので、多少通産省と意見の食い違いがございました。現在では、それはほとんどなくなっております。  ところが、末端に参りますと、三割、四割のカットを受けた、こういう問題が起きましたが、それがどういうことでそういうことが起きるのか、こういったような原因の探求をいま通産と業界と両方で始めております。だんだん一、二わかったこともございますけれども、一体三割、四割の不足というのは何を基準にしてそういう不足が生じるのか。たとえば昨年同期同月、昨年の十二月の消費実績についてそういう不足が起きるのか、あるいは単に需要家消費見込み、消費希望量、それからそういう不足が起きるのか、どうもその辺を整理しませんと、なかなか実態がわからないと思います。  一つの例を申し上げますと、たとえば十二月の電力消費希望量、これは五百五十万キロも出ております。ところが、昨年の十二月の消費実績は三百八十万キロであります。こういう事態になりながら、差があまり大き過ぎる。たとえばいまたいへんな渇水であります。それで火力を余分にたかなくちゃならぬ。そういう問題もございましょうけれども、少し数字が大き過ぎる。それでこの電力の消費一〇%、これは私も電事連でいろいろ聞いてみますが、なかなか実効があがっていない。消費抑制が消費抑制になっていない。あるいはまた需要家の中には、こういう時期にかかわらず新しい仕事を始めたい、もう工場はできておるのに燃料がないというだけで動かない。あるいは増産計画まではないかもしれませんけれども、新規需要というものが起きておる場合もございます。あるいは、輸入がとまったために、それを国内製品で補給しなくちゃならぬ、こういう問題もございましょう。これらはやはり一応の新規需要でございます。だから、そういうものを基準にして三割、四割という不足が起きるということでは、とうてい供給は追いつかないわけでございます。また、流通経路の問題もございます。たとえば商社から購入しておったのだけれども、その玉がこのごろ商社にはございません。したがって、それを石油系列販売店に求めてくる、こういうこともございましょう。なかなか原因は多種多様でございますから、その辺を、いま一体不足はどういうことかという実態について調査中でございます。その辺の食い違いは当然ございます。そういうことが原因でたいへん混乱が起きておると考えております。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 法案が通過をいたしまして、修正も当然入ることと思いますけれども、いま申し上げたように、やはりそういう業界の協力体制ということが非常に大事な問題になってくる。ですから、今回のこういう事情から早くそういう実態をつかんでいただいて、その体制をつくっていただく必要がある。特に申し上げておきたいと思うのです。  それから、本法におきまして生産計画等を届け出るということになるわけでありますが、これが施行された場合、非常に今後の事情というものが流動化しておるし、不安定な状態にある。そういう中で確度の高い計画をつくっていかなければならぬわけでありますが、つくったとたんにまた変更ということであれば、これはどうしようもないと思うのです。大体どのくらいの期間の精度の高い計画をお出しになる自信がおありですか、いろいろな事情を勘案して。何カ月くらいのきちっとしたものができるとか、その辺の見通しについてはどうでしょう。
  115. 密田博孝

    密田参考人 政府から法案の説明を受けましたときに、その辺がいまたいへんに問題になったわけであります。それで、何度も申し上げましたように、たとえば、一月のほんとうに確実な原油の入着ベースで計算するためには、これはどうしても前月の、たとえば一月のものなら十二月の二十五、六日にならないと、われわれ責任を持って供給しますという量がはっきりしないわけであります。ですから、そうなりますと、その段階生産計画、供給計画、出荷計画、そういうものをつくりましても、もう翌月には間に合いません。それからまた、需要者の消費者側にしましても、これはおそらくいままでは四半期別とか半期別とか、少なくとも三、四カ月ないし六カ月前にその期の生産計画というものをつくっておられたわけであります。だから、なかなかどうも今度の法案の運営というのはその辺がむずかしい一つの問題点でございます。だから、いま御質問のように、間違いない、精度の高いものをつくれ、こういうふうなことを何かやるとしますと、どうしたって一カ月以上、二カ月ぐらいの余裕がないと、そういうものは出てこないと思います。少なくともやはり一カ月以前ぐらいに——そういたしますと、十二月では精度の高いものは二月の供給計画しかやれないということで、いまのように、今月に来月の供給計画をつくろうということになりますと、やはりそこに若干の調整とかあるいは変更とか、そういうものを加えざるを得ないのではないか、いまそういう予想を持っておるわけでございます。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは非常に大事な問題でありますし、こういう計画がやはりきちっとしていかないことには、これはもう各事業所におきましても全くめどが立たない。大混乱が起きるわけです。そういう点、さらにこれはひとつ政府と連盟におきましてその計画の立て方につきまして煮詰めをやっていただかないと、法律ができてもこれは大混乱のもとになってくる。その点を非常に私は心配をしております。そういう点で特に努力をしていただきたいと思うのです。  それから次は、商業組合連合会松村さんにお伺いいたしますが、先ほども出ておりましたが、灯油の価格の問題でございますが、五百円をこえておるところがやはり全国方々で出てきておるわけです。全石商連の最近の機関紙におきましても、こういう事態について、異常な事態であると非常に自己批判されておりますね。この通産省が指導しておる価格三百八十円、これはほんとうに徹底して守らしていくということを確約できますか、これはどうなんですか。
  117. 松村信治郎

    松村参考人 先ほど神崎さんから御指摘がありました四百八十円、あれは配達賃が入った去年の試算でございました。  それから、いま御質問の三百八十円で指導できるか。石油業者の場合は店頭裸三百八十円でやれるように私は指導しております。何ぶん御理解願いたいのは、われわれの業界だかでも三万三千人おりますし、また灯油を扱う業者は非常に他の業界にもあります。そういうことでたいへんむずかしいとは思っておりますが、油業者に向かってはできるといういまの体制でおります。機関紙もありますし、全国から人も集めてそれをいま作業しておるところであります。これはさっそく作業を始めたわけです。  ただ、御理解願いたいのは、繰り返しますが、御家庭に届けるには、他の業界、十万とか十二、三万というわけですが、東京の例をあげますと、東京の薪炭売り屋さんの御協力を得るのはなかなかむずかしいというところがあるわけであります。われわれの業界とすればやっております。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 われわれの業界ということを非常に強調なさるわけでございますが、買う立場からすれば、これは同じ灯油なんですよ。ですから、薪炭商等のいろいろ組合もあろうかと思いますが、それはひとつあなたのほうで総括的な責任を持っていただいて、それはよく連携をとって通産省のそういう指導を守らせていく。やはり責任の一元化ということを自覚してもらわないと、これは違いますからということであれば、ひいてはあなた方自身の信用問題にもなってくるわけです。社会的な責任問題にもなってくるわけです。そういう点におきまして、責任という問題につきましてどういうようにお考えになっているか、もう一度ひとつお伺いしたいと思うのです。
  119. 松村信治郎

    松村参考人 米、薪炭業者に協調をしていただくように、もちろんよく集会を持ちまして、われわれの業界からお願いしております。  それから責任につきましては、何ぶん、先ほども申し上げましたように、自由企業といいますか、商売は自由だというところで数万の人間が商売しておった。いま時節が変わった。それで業界の姿勢をうたい、自己反省——とっぴもない業者がおりますとその自己反省を問い、あるいは業界の姿勢を正せということで、いま運動しておるわけであります。それが現状でございます。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども出たわけですけれども、こういう販売業者のやみ協定という問題がありまして、公取が踏み込んだ、調査をやっておるということでありますけれども、やはりこれは何もないところに公取が調査に入るわけがないのですね。ですから、やはり供給責任という問題につきましては真剣に考えていただかなければならない問題であると私は思うのです。ですから、お互いに協議をしておる、連絡をとり合っておるということであっても、現状はいまだにそういうような価格が出ておるわけです。ですからいままでのような、そういう連絡協調体制だけであっては徹底できないということです。今回こういう法案が出るわけですから、いろいろとそういう徹底ということはなおさら大事になってくるわけです。いまのような段階でもそういう行き渡らないというようなことにおきまして非常に不安を持っておるわけですよ。不信を持っておるわけですよ。ですから、今後どのように改善なさっていきますか。
  121. 松村信治郎

    松村参考人 今度の法案ができますときに、私たちのお願いは、やはり流通秩序の整備を先生に考えていただきたいということであります。と申しますのは、大きな需給計画というのは、不足する資材でありながら、消費節約もし、その中から乏しきを分かつという計画になっておるわけですけれども、これが地域の末端にまいりますためには非常に複雑な流通経路を通っておる、これが従来のままである、ここに御留意を賜わりたいということを今度の法案お願いしております。この流通秩序が整備されるかたわら、そこから漏れたいろいろな緊急の、この法案の十条にございますあっせん等ということをやっていきたい、そういうたてまえで考えております。油につきましては、何ぶん非常に複雑な流通経路があるわけですが、こういう時節に合った流通秩序の整備に御留意を賜わりたいと思っております。こういうのとかね合いでないと、ただわれわれが口先で言うだけでは意味がございませんし、やはり段取りをしていく必要がございます。よろしくお願いします。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 この流通の整備につきまして、政府が絶対的に責任をもって進めていく。そういうことは、業界としても、ほとんどの業界を見ましたときに、やはり自主的に整備についても努力しておるわけですよ。そういう点において、ただこういう事態になったが、まだ政府のそういう指示待ちである、整備待ちであるというようなことだけでは、これはもうほんとうにいまの緊急事態において間に合わぬわけです。ですから、業界自体も真剣な取り組みがなかったならいかぬと思うのです。今後前向きにこれをどう整備していけばいいか、あるいはどういう指導を徹底していけばいいか、そういうことについて、やはり、そこには血の出るような努力がなかったらいかぬと思うのです。その辺については決意をお持ちですか。
  123. 松村信治郎

    松村参考人 決意は持っております。たいへんむずかしい段階に来ておるわけですから。  ただこの法案で、需給計画があった、あるいは価格まできめられる。ところが、これは物を流すルートがあるわけですね。これについては、この法案は何も触れていないわけです。そうすると、何ぶん自由主義の業者でありますから、私には売りたくないけれどもこちらには売りたいという人もおりますし、あるいは自分の御都合主義だけで供給しようとする、いろいろな選択販売が行なわれているのがむずかしい現象になっております。
  124. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点はわれわれも強く政府に、何らかの対策をとらせるように、また委員会におきましても話していきたいと思っておりますが、いずれにしても、業界自体も努力をしてもらわなければならぬ。私たちは政府にもその態度を迫っていきますけれども、がんばっていただきたいと思うわけです。  それから、LPガス協会の深尾さんにお伺いしたいと思いますが、供給の点で、卸の小売り店に対する供給量カットが大問題になっておるわけですが、供給量カットの実情についてお伺いしたいと思うのです。
  125. 深尾憲治

    深尾参考人 LPガスは、現在のところ長期的に見ますと、ということは、あまり長期ではございませんが、来年の三月までを推定いたしますとかなり足りないということを業界として特にメーカーサイドで考えております。私どもとしては、この大事は燃料を十二月に使い切ってしまうということになりますと、国民生活に与える影響は非常に甚大だと確信しております。したがいまして、十二月の段階においてすでにある程度消費の節約をお願いしていかなければならないということから、私ども何も売り惜しみをしておるわけじゃなくて、長い目で細く長く供給しなければならないという立場から、特約店さんに対する供給数量は、特約店さんが希望する数量ほど流しておりません。これが実情でございます。
  126. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままで使っておりました量のどのくらいのカットをなさっておるわけですか。
  127. 深尾憲治

    深尾参考人 これは非常にむずかしい問題でございますが、私、協会の会長としていろいろみずからペンをとりまして計算いたしましたところでは、去年の下期の数量の確保はできないのじゃないかというふうに考えております。
  128. 近江巳記夫

    ○近江委員 供給不足、そういう問題と同時に価格のべらぼうな上昇が問題になっておるわけです。いずれにしましても、これは消費者がしわ寄せを受けることになるわけでありますが、この価格の問題は、とにかくいままで八百円、九百円くらいであったのが、ひどいところは千八百円なんて千円の値上がりをしておるわけですね。それは輸入原価にしたって上がっておることはわかりますけれども、あまりにも上昇がひど過ぎるわけですよ。ですから、この価格の点におきまして会長としてはどのように思われるわけですか。どのように消費者に説明なさるわけですか。
  129. 深尾憲治

    深尾参考人 こういうふうに、先ほど申しましたようにLPガスが非常に不足してまいりました。したがいまして、末端の業者というものは四万数千軒といわれておりまして、その業者の中にあるいは不必要に高い価格で売っておるというものがあるかと思いますが、私は、現在のところ、政府ともいろいろとお話し合いをしながら、また、ここにおられます副会長の属しておられます日本LPガス連合会方々ともお話し申し上げながら、できるだけ便乗値上げを排除する方法を検討いたしております。近い将来においてそういう不心得な価格が絶滅できるというふうな確信をもってこれから努力していきたいと思っております。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 内田さんにお伺いしたいと思うのですが、これは私は同じ質問なんですけれども、こういうことで、いまやもうあなた方のほうから何回も説明がありましたように、これはなくてはならない、都市ガスより以上のシェアを持っておられるし、煮たきの問題ですから切り離すことはできない。ところが、供給不足を理由にこういうべらぼうな値上げをしておる。いま不心得者ということをおっしゃったわけでありますけれども、これはほんとうに放置することはできないわけですよ。この点について内田さんは具体的にそれをどう指導されていきますか。
  131. 内田太郎

    内田参考人 お答えいたします。  いま先生からおっしゃられましたとおり非常に暴騰しておるじゃないか。これは事実四万七千業者のうちの何%かはあると思います。ただし、これは零細な販売業者の心情といたしましては、平家の水鳥の音に驚いたというような実感を私は持っておるわけでございます。メーカー元売りサイドから相当なカットが来て相当な値上げだ、こういうことを零細企業が受けとめましたときに、自分の販売ケースを考えた場合にはこれはたいへんであるというような実感は、そろばん上、持たなければならぬ。しかも、いま先生から御指摘がございましたけれども、いままでの格差は大体八百円から千二百円くらいございます。これは御存じのとおり北海道、それから長崎県の島、それから北陸、山陰の雪国、こういうところに冬場運びます運賃というものの膨大なものになっておるわけでございますから、これを一本の価格に凍結するとか標準価格をきめるということは、ますます業界が混乱する原因だと思っております。しかも、いま言ったとおり、平家の水鳥に驚いたという心情はくみますけれども、われわれ全国の四万七千業者の指導部といたしましては、そういう不心得のないように、いまメーカー、元売りからのサイドによる価格によって原価計算をしてみようということで作業を進めております。  しかも、御存じのとおり、零細企業といいましても大体九割ぐらいが兼業者でございます。ですから、そういう方は、ある程度米もやっておりますし、それから酒、みそ、しょうゆもやっておりますので、プロパンはいわゆる台所に直結するから、米の販売量が減っちゃいかぬ、酒の売り上げが減っちゃいかぬ。ですから、そういう片手間でプロパンを許可をとってやっていた方ほど安いわけでございます。しかも、あと残ります一割は専業でございますので、自分の企業の防衛、社会的責任等を勘案いたしますと、そういう兼業者みたいな価格では売っておりません。そこにいま言った、大体平均千円ぐらいが通念としてはございますけれども、格差は四百円ぐらいでございます。この格差を、今後いまの原価高によりましてある程度詰めながら適正価格、いわゆる取引適正化、保安の確保、この保安ということは先ほど申しましたとおり、私どもは灯油と違いまして店頭裸渡しというわけにはいかないわけでございます。先生方御存じのとおり、すべてこれは台所に持っていきますまでの危険な運送をしょいながら、しかも一々一本一本つけまして、これは全部漏洩検査をいたしまして、しかも一年間にはここまでの調査、二年間にはこれまでの調査、これは初めから法律にきめられてございます。しかも、ことしの二月一日からメーター法制化を伴っております。こういう点等を考えますと、当然企業の格差は生じるけれども、私は適正利潤というものは必ずあってしかるべきじゃないか、こういう考えで四万七千業者に、精神面、経営面、いろいろな点で、しかも道義的な解釈をしながらいま指導しておりますので、遠からず、先ほど深尾会長の言ったようなばか高いものは鎮圧するという考えで指導しております。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 商売なさっておられて、そういう適正利潤であるとか、それは当然のことですし、よくわかります。また今日、人件費も上がっておりますし、配達あるいはそういう保安上の問題であるとか、少なくとも私たちも法案審議やってきまして、実情の何分の一かは知っておるわけです。よくわかるわけですが、しかしこういう異常な値上がりというものは、常識の範囲を越えているわけです。私は、常識の範囲を越えているめちゃくちゃなそういう行き方に対して、言っておるわけです。何も適正利潤まで押えろとか、決してそんなことは言っていないわけですね。ですからその辺につきましては、ひとつ内田さんと深尾さん、最高責任者であるわけですから、よく検討していただいて、一日も早く、そういう異常な値上がりをさせないように、これはひとつ社会的な責任、そういう立場においてその鎮静化につとめてもらいたいと思うのです。これは特に要望しておきたいと思います。  それから、今後この法律ができていくことによっていろいろ計画も立とうかと思うのですが、何といいましても、一般家庭用であるとか、あるいはタクシーの問題ですね、これはほんとうに今日公共の輸送機関となっておるわけでありますし、こういうところが大幅にカットということになってきますと社会的に大混乱が起こってくるわけです。こういう点で、優先供給ということにつきましては十分に考えていただかなければならぬ問題であるかと思うのです。その点は、今後、政府からも何らかのアドバイス等も出てこようかと思いますが、業界としては、その辺についてはどのようにお考えですか。
  133. 内田太郎

    内田参考人 お答えいたします。  先ほど冒頭にも陳述申し上げましたとおり、公共的な施設すなわち病院、それから小中学校、一般家庭、林業、農業、こういうものはやはり私は優先に、もし同じカットをされるならば一番パーセンテージの低いカットでやらなければ、いわゆる台所に直結していますガスのコックを締めるというわけにはいきません。煮たきだけは、少なくとも確保しなければいかぬ。ただし、毎日おふろに入っていた、ストーブも二台も使っていた、こういう方々には三日に一回のおふろにしていただき、ストーブも一台消していただく。こういうことは、やはり政府が率先して、こういう非常事態石油事情等を詳しく国民に説明していただかないと、われわれが一千七百万世帯の一軒一軒にこれを言っていきましても、お客さまはぴんとこないわけでございます。ついこの間までは、もう九月ごろから冬のストーブを売り始め、湯わかしを取りつけた、二カ月たったらこんなのはどういうわけだ。これは世界情勢、いわゆる石油情勢変化でございますから、実情変化の原則にのっとりまして、やむを得ないとは承知しておりますけれども、そこらはやはり悲しいかな経済企業の集まりでございますので、率先先生方にそういうことをやっていただくということによりまして、ある程度いわゆる一般の厨房用確保ができるんじゃなかろうか。私どもは乏しきを憂えておりませんで、ひとしからざるを憂えるわけでございますから、その辺の御配慮を十二分にひとつお願いしたい。こう思うわけでございます。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから、あと一問だけにしたいと思いますが、この間タクシーの燃料危機を解消するために百五トンの緊急出荷が行なわれたわけですが、その配分が協会の要するに幹部の店ばかりである、こういう実情というものは、非常にわれわれとしては、もう少しこれは何とかならないものだろうかという感じがするわけですね。今後これは業界のそういう整備なり指導の徹底なり、非常に緊密にやってもらわなければならぬわけです。こういうことがありますと、これじゃほんとうにまかしてよいのか、極端にいえばそういう気持ちにもなるわけです。今後そういう点におきまして、業界の体制なりその他もろもろの問題があろうかと思いますが、やはりこの整備をやっていかなければならぬと思うんです。何といいましても幹部の皆さんの自覚、そういう問題が一番大事だと思うんです。こういうことを通じまして、今後の整備また体制のあり方について、ひとつ御意見をお伺いしたいと思うんです。
  135. 深尾憲治

    深尾参考人 私どもLPガス業界といたしまして、タクシーに問題が起きましたことはたいへん遺憾に思っております。しかしながら私どもとしては、この足りないさなかにおいて十二分の努力はいたしております。なぜ足りなくなったのか、なぜああいう現象が起きましたのか、私ども業界としては十二分の努力をしておりますが、この原因がどこにあったのか、十分ひとつお取り調べをいただきたいと思います。  ただ、LPガス業界あるいは石油ガス業界が、単に非常に不足な状態において諸悪の根源といわれるようなことで見られることは、非常に遺憾でございます。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから終わります。
  137. 濱野清吾

    濱野委員長 宮田早苗君。
  138. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は、LPガス内田連合会会長深尾協会会長にお聞きをいたします。  まず都市ガスとの関係についてお伺いするわけですが、LPガスは、御説明によりますと千八百万世帯、これに対して都市ガスはどれだけの世帯があるかということです。そしてちょいちょい耳にしておりますのは、都市ガスLPガスとの関係でいろいろ問題点があるようでございます。これをひとつ御指摘を願いたいということであります。
  139. 内田太郎

    内田参考人 私は、そういう問題の……
  140. 濱野清吾

    濱野委員長 内田さん、演説じゃなく要点を言ってくださいよ。大演説はもういいですから、いまの要点をお願いします。
  141. 内田太郎

    内田参考人 いまのお答えをいたしますと、都市ガスは大体百年の歴史を持ちまして、一千万戸世帯でございます。LPガスは二十年の歴史の中で、一千七百万から八百万世帯でございます。ということは、アパートの一部屋も一戸という計算になりますと、やはり一千八百万世帯ということになります。ですから、私どもが二十年間に営々と努力してきたということは、やはり都市ガス供給区域の内外を問わず、非常に簡便に、しかも申し込めば翌日配管をしてもらって、すぐ引っ越しもできる、こういう利便がありますので、消費者にも非常に御愛用願って今日の隆昌を来たしたと思っております。しかし、巷間、いま都市ガスとの問題がございますけれども、これなども、やはり都市ガス供給区域内で、プロパンは危険であるとか、そういうような逆の宣伝をされまして、町会とか町ぐるみプロパンはあぶない、都市ガスに切りかえようじゃないかという、そういう議論も中にはあるのでございます。しかし、私申し上げたいことは、危険はどちらも同じでございます。要は、われわれのPRが保安ということに対して十二分に行き届いてなかった。今日の事故例を見ますと、消費者の事故が九八%でございます。業者のミスというのは二%しかございません。そういう点を考えました場合に、私どもは初めから、もう十年前から、これはアメリカと同じに、国民教育の中に、小中学校程度の中に、プロパンガスは空気より重いのだ、漏れた場合にはこうなるというようなことについて、ぜひとも文部省を動かして、いわゆる青少年のうちからこういうものの知識を与えておかなければいかぬ。その娘さんがとついで、プロパンガス供給区域に家を持たれても、必ずその知識がよみがえってくる。お休みになる前にバルブを締めてください、おかあさん締めましたか、こういうことが私は無事故につながる、こういう考えでやっております。  そういう点で、私どもは、やはり都市ガスとの摩擦点はございますけれども、これはお互いにでき得ないところを補っているわけでございますから、共存共栄の実をあげながら、しかも都市ガスが大資本をもって零細なLPガス業界を圧迫しないようにということで、いま通産のほうに調停機関を設けろということを再三お願いしております。いわゆるガス課、精製流通課、保安課、この三つが実際に一つの調停をするようになりますれば、いまみたいな摩擦も非常に少なくなる、こう思っております。
  142. 宮田早苗

    ○宮田委員 私が問題点ということをお聞きいたしましたのは、プロパンガス削減ということになりますと、都市ガスがプロパンガスの範疇に入る。いまでも説明を聞いておりますと、倒産のうき目を見ることになりはしないかという、こういう憂慮された発言もあったわけでありますが、こういう事情だけに、やはり都市ガスという一つの別な面がそれに攻勢をかけるといいますか、進出をいたしますと、プロパンガスの範囲が侵食される、それによって倒産というのがさらにふえる、こういう傾向というものが各地域に出ておるのじゃないかというふうに思っておりまして、それをちょっとお聞きしたということです。
  143. 内田太郎

    内田参考人 お答えいたします。  やはりそういう事実はございます。やはり都市ガスが伸びるということは、プロパンガス供給が減るということでございますから、当然そういう形をとらざるを得ないということでございますが、やはりわれわれの過去二十年間営々としたそういう業績、国民必須の燃料にまで持ってきたこの努力はぜひとも買っていただいて、そしてなるべくわれわれ零細企業に圧迫のないようにぜひお願いしたいということで、いわゆる通産省の中の三課の中にそういう調停というようなものを設けていただいて、話し合いによってやっていきたい。これは原則としまして消費者選択でございますから、どちらがいいとか悪いとかではございませんで、やはり選択権は消費者にございます。しかし、われわれもお互いに補ってやってきたわけでございますから、そういう点を無視されないように望むわけでございます。
  144. 宮田早苗

    ○宮田委員 家庭業務用のことについてもうちょっとお聞きしたいわけですけれども、一地域を配管によって配給される部門と、それからボンベが配達をされて供給される部門、こういうようなのがあるのじゃないかと思いますが、その割合はどうなっておりますか。
  145. 内田太郎

    内田参考人 お答えいたします。  七十戸以上千戸までを簡易ガスということが公益事業の中に今度設けられております。六十九戸以下はいわゆるボンベ売りです。もちろん簡易ガスもボンベで収納庫から、いわゆるベーパーライザー等を使ってマンションその他に供給しておりますけれども、六十九戸以下でもやはりマンションもあればアパートもあるわけでございます。これはもう事業法で、簡易ガスは七十戸以上千戸まで、千戸以上は都市ガス、こういうぐあいに分野が分かれておりますので、簡易ガスにつきましては、深尾会長のほうからお話があると思いますけれども、六十九戸以下がわれわれの分野でございます。そういうことをひとつ御承知おき願いたいと思います。
  146. 宮田早苗

    ○宮田委員 それじゃ深尾さんにお聞きいたしますが、いまの説明を聞きました。そこで、ボンベを配達する商店といいますか、これは、兼業というのが非常に多いんじゃないかと思います。そういたしますと、一地域をパイプで配給しておる面と、それからボンベで配給する面についての格差というものですね、値段の問題についても、こういう状態になりますと、商店によりますと相当違った値段が今日つけられておるように聞いておるわけです。さらに、品物を各戸に配給するということになりますと、その商店に非常に割り当てが少ないということになりますと、自然その家庭に少なく配給するという、こういう格差というのは出ておるんじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  147. 深尾憲治

    深尾参考人 私のほうは、メーカーサイドでございますので、はっきりお答えできませんが、先ほど内田会長の申されました七十戸以上の集団供給、パイプで供給する場合は、これはガス法が改正されまして、簡易ガス事業ということではっきり公益事業になっております。したがいまして、供給義務というものをはっきり課せられております。また、価格につきましても、一々通産局を通じまして公益事業局の御承認を得た価格でございます。一方、一本ずつ売っております分につきまして、並びに六十九戸までの配管をいたしました分については、これは公益事業じゃなくて自由業として供給いたしております。しかし、各販売業者とも、LPガス供給ということが非常に重要な問題である、家庭厨房用として欠くべからざるものであるということは、みんな認識しております。したがいまして、みなくふうしていままでつないでおるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、LPガス供給力が、このアクシデントによりまして、だれの責任ということでなくて、たいへん恐縮でございますが、削減いたされました。したがいまして、多少ともお使い量を減らしてもらわなければ何ともならないじゃないかということを考えておる次第でございますが、その面で、やはり公益事業のらち内に入ります簡易ガス事業につきましても、ある程度同じような消費の節約ということを一般庶民の方にお願いせざるを得ないのじゃないか、そういう感じは持っております。
  148. 宮田早苗

    ○宮田委員 特に要望しておきますが、こういう情勢になりますと、えてして、同じ消費者でありながら、その価格が違うということにもなりかねないわけでございますので、そういう面は、業界といたしましては十分に連携をとられて、そのことが出ないように、また配給そのものも——というのは、消費者というものは、強調なさいましたように、生活に欠くことのできない非常に重要な問題でございますだけに、これだけは十分に御注意をしていただきたいということを要望しておきます。  次に自動車、特に一七・六%というふうにいわれておりますが、ほとんどこれはタクシーの九〇%分じゃないかと思っておりますが、いろいろ情勢を見たり、また判断をいたしますと、地域によって供給に対しますところの格差というのが非常に出てきておるのじゃないか。さらに価格だけでなしに量そのものについても大きな格差が出てきておるのじゃないか。いまも問題になっておりましたように三十リットルですか、ところがいなかに行きますとそうでもないところもあるわけでありますが、さらに極端にいきますと走行距離だけしか配給しないというものもあるわけでございますが、この原因は何が一番大きいというふうにお考えになっておりますか、ちょっとお聞きします。
  149. 深尾憲治

    深尾参考人 タクシーのLPガスが十分に回らないと申しますことの一番大きな原因は、LPガス不足しておるということでございます。  それから、いままで自由業でございます。そこで非常にいままでぐあいの悪かったところには、品物がなくなりますとそれだけ圧力がそっちにかかるという自然現象、経済現象が出ております。しかしながら、こういうことを続けていっては非常にまずいものですから、政府のほうとも、資源エネルギー庁の長官以下の方とお打ち合わせいたしまして、こういう現象を早期に排除するということでこの前もやっておりますし、これからも続けてまいりますが、私どもとしては、非常な責任を感じながら、品不足の中で何とかしてこれを切り抜けていきたいと思っております。
  150. 宮田早苗

    ○宮田委員 密田連盟会長がおいでになりませんので、松村連合会会長にお聞きいたします。  密田連盟会長のお話を承りますと、特に印象に残ったわけですけれども、コントロールの及ばない分野があるというふうに言われたわけでございますが、これは松村連合会会長連合会の立場でその及ばない分野とはどういうところかということをお聞かせ願いたい。今日のこの現実からいたしますと、そういうものがないというふうに私は思いません。大かたあるだろうというふうに思っておりましたところでございますので、その点ひとつ御指摘を願いたいと思います。
  151. 松村信治郎

    松村参考人 石油連盟ではなしに、私たち石油販売業者の立場で申し上げますと、組合員三万二千については何がしかコントロールがききます。というのは一種の精神的なことまでコントロールがききます。それで灯油問題については、まっ先に業界の姿勢ということで、政府からきめられた三百八十円を普及するようにつとめて、またこれは可能であると思います。ところが私たちのサイドからいいますと、農協、生協、商社あるいは全然どこにも属さずに無じるしでやる業者、いまの現象を見ますと無じるしというのはかえって高くなっていると思います。というのは仕入先がないということです。農協についても、たとえば先日問題になりました北海道の旭川の農協で玉の問題で、あるいは今年四月、国鉄ストのときに山形で少しトラブルがございました。これは仕入れ先がわれわれのわかるルートではないところから仕入れている。そういう意味でコントロールがきかない。われわれ業界の現在の情勢を見て、いささかなりとも指導する場合に、これについては非常にむずかしいところがございます。しかし、やっておりますが、むずかしいところがあるということを御賢察願いたいと思います。  それから、先ほど深尾会長も申されましたが、何ぶんプロパンも、われわれも流通業者が何万人もあるために、ここで業者としての選択販売、自由企業であったわけですから、金払いの悪いところには納めなくて、金払いのいいところに行くとか、あるいは何段階段階を経ると、やはりだんだん仕入れ価格が高くなっておるということが、現在われわれの非常に苦労しておるところでございます。
  152. 宮田早苗

    ○宮田委員 時間の関係がございますので、総括したものでお三人一人ずつ所見をお聞きしたいということなのです。と申しますのは、御説明をお聞きしておりますと、どなたもこの法律早期成立ということをおっしゃっておりました。特に問題は、この運営に期待をするということでございますけれども、はたしていま出されておりますこの法案成立した場合、運営だけの面で今日の変則的な、また非常に異常ともいえますこの情勢が立ち直るものかどうかということについて、お一人ずつそれぞれの立場でお考えがあろうかと思いますけれども、時間の関係で端的に一人ずつお答えを願いたいと思います。  これで終わります。
  153. 内田太郎

    内田参考人 私は、ないよりいいという原則でございます。このまま野放しにしておきますと、暴走に暴走を重ねる憂いもございます。  それから先ほど来、いろいろのいわゆる供給の面において、やはり金離れがいいとか、そういうところによけい流れて、いわゆる金離れの悪いところには量が少なくなる、そういうことをされたのでは販売業者も困りますし、そのうしろにつながっている消費者が非常に迷惑になるわけでございますから、むしろ私は、ある程度のこういう法案を通して秩序ある流通機構を確立したほうがいいという考えでございます。
  154. 深尾憲治

    深尾参考人 私、冒頭にも申し上げましたように、いずれにしろLPガスに関する限り、供給力が非常に少なくなりました。この中で自由企業ではやってまいれません。法的な根拠がございませんと、消費者に対して消費の節約を強力に推し進めることができないということから申しまして、この法案ができますれば、秩序立った消費節減ということができることを期待いたしまして、賛成するものでございます。
  155. 松村信治郎

    松村参考人 私、お願いいたしたいのは、第十条にわれわれの団体に課せられるあっせん業務のことが書いてございます。しかし、このあっせん業務をする前提といたしまして、先ほどから申し上げました流通秩序の整備、そして公正にものが流れるような姿をつくっていただいて、そこから臨時にあらわれてくる問題については、時期的にずれたり、あるいは手続的に不備であったものを急遽あっせんするという姿にしていただきたいと思っております。
  156. 宮田早苗

    ○宮田委員 ありがとうございました。
  157. 濱野清吾

    濱野委員長 米原昶君。
  158. 米原昶

    ○米原委員 私は、最初の予定ではだいぶ広範な問題を聞こうと思っておりましたが、もう時間もありませんし、石油連盟の密田さんももういらっしゃらないので、私、LPガスの問題だけについて質問したいと思うのです。  一つは、いまのお話を聞いていますと、LPガスのほうは若干下半期では供給が足りなくなるということですね。これは最初から言っておられます。これは二、三日前の新聞ですが、一部には——これが正しいかどうか私も判断できないのですが、それで聞きたいのです。LPガスは品不足じゃない、あるということが強調されておるわけですね。たとえばLPガス用のタンカーは現在十九隻あって、フル操業をやっている。ことしやったタンカーは、ブリヂストンの四万トン級とエッソの五万五千トン級の二隻で、日本石油瓦斯、昭和石油瓦斯などのどれも輸入量が変わってないし、削減も受けてない。LPガスの下期の供給見通しは、国内生産量が二百三十三万トン、輸入が二百五十六万トン、合計四百八十九万トンで、ほぼ昨年並みであって、十一月末の在庫量は七十四万トンもある。中曽根通産大臣もLPガスに関する限り不足はないと言っている、こういう記事が、たとえば一部の新聞に出ているのです。そうすると、いまおっしゃったのでは足りない、これは違うのだということになりますか。このあたり、その足りないというのが一体どのくらい足りない予定なのか、もうちょっと説明を受けたいのです。
  159. 深尾憲治

    深尾参考人 その新聞記事はどういう根拠からお出しになったものか、私は全然了解に苦しみます。  LPガスは、先ほど申しましたが、繰り返して申し上げます。皆さま方に御納得をいただかないとぐあいが悪いと思いますので、多少時間をいただいてよろしゅうございますか。あまり長くはいたしません。
  160. 濱野清吾

    濱野委員長 簡単にどうぞ。
  161. 深尾憲治

    深尾参考人 できるだけ簡単に御説明しますが、LPガスは、供給力のうち五二%程度が輸入品でございます。それからその残り四七、八%というものは、国内の石油精製工場から出てくるものと石油化学工場から出てくるものとございます。それでいままでバランスをとっておりましたが、国内の需要がふえておりますので、輸入量がどんどんふえてまいります。そういたしませんと、石油原油の処理量と申しますか、石油一般の需要量の増加率よりもLPガス需要量の増加率のほうが高うございます。ということは、輸入でカバーしなければならないということでございます。そこで、ことしの春から私ども輸入量をふやさなければならないということでいろいろ努力いたしましたが、重ねて申し上げますが、世界的にいままで日本が独占しておりました製品としてのLPガスが取り合いっこになりました。したがって、ピークシェービングとして下期にスポットで輸入しようという数字が、去年に比べましてはなはだしく減少いたしました。これが一つの悩みでございます。それに加えまして原油の処理ベースが減ってまいりますと、四七%ぐらいに当たる分が原油の処理ベースダウン以上に生産量が減る可能性が出てまいりました。したがいまして、現在のところは、いろいろ数字上のことを申し上げてもなかなかおわかりにくいと思いますが、このままでまいりますと、この十二月から三月まで、去年の数量はとうてい供給するだけの財源がないということを心配しております。
  162. 米原昶

    ○米原委員 次に、価格の問題ですが、先ほども委員から質問の中にありましたけれどもLPガスの、たとえばクウェートで買う原価と、それが実際に日本消費者が買うときには相当の値段になっているわけで、これは当然そういう過程をたどるわけですが、大体どういうところで上がっていくのか、現地の価格がどのくらいで上がっていくのか、その価格のでき上がる仕組みですね。大体どういう費用がかかっていくのかということですね。たとえば現地では一キロリットルが八円だ。ところが元売りのところにくると、それが一キロ当たり十円五十銭になっているという数字も出ていますが、それがまた特約店におりるときには、たとえばそれが三十円になっている。小売りへ行くときはそれが六十五円、消費者にはそれが百五十円というようないままでの一応の数字が出ていますが、これがそのときどきでなぜこういうふうに変わっていくかの大体の価格構成ですね。どういう費用をここには入れてこういうふうになるのだという価格構成の大体の仕組みを簡単に教えていただきたい。
  163. 深尾憲治

    深尾参考人 なかなか御説明が困難でございますので、実は資料を差し上げまして御検討願ったと思ったわけでございますが、FOBが上がりますと——これは、私どもが購入するのは冷凍された形のLPガスでございます。これを私どもLPガス専用の冷凍船をイランならイラン、クウェートならクウェート、ラスタヌラならラスタヌラに持ってまいりまして、それで積んでまいります。その運賃はマクロで申しましてトン当たり三千円から四千円ぐらいだと思います。実は私のほうも就航する予定になっております当社でございますが、来年の四月に入港いたします船は実は五千円以上でございます。最近運賃が非常に上がっておりまして、このふらつきはございます。そういうふうなことで、CIFでございますからフラクチュエートしたフレートを入れた価格、それにインシュアランス、保険料、それがCIF、それに対しまして現在のところ関税がトン当たり八百八十円かかっております。  なお、LPガスは、先ほど申しましたように冷凍した品物でございます。したがいまして、いまのところは、これは非常に膨大な経費がかかります。これは揮発油のタンクや重油のタンクや原油のタンクとまるで異なっております二重殻になっておりまして、中に断熱材の入りました非常にコストのかかるりっぱなタンクを設備いたしまして、おまけに四万トンから五万トンを積んでくる。これはグロストンネージでいいますと、普通の原油船で申しますと七万トンから八万トンは積んでくる船を着ける桟橋を持ちまして、そして費用のかかるタンクに詰めます。一応入れます。そしてそれを今度は熱を交換いたしまして高圧の状態に戻しまして、それで液体にしてタンクローリーにして持っていく場合もございますし、それからさらに神戸に入りましたものを名古屋のほうに持っていくという場合には、これは高圧沿岸タンカー、これもLPガス専用でございます。そういうものに積みまして持ってまいります。そういうのが配給経路でございます。  それからその次の段階は、消費者の皆さま方が使いますときには、御承知のボンベに詰めてお届けしなきゃなりません。このボンベ詰めの作業がございます。このボンベ詰めの作業をする者を法的に申しますと特定製造事業者と申しておりますが、俗なことばで充てん業者でございます。  こういうふうな高圧化のLPガスを、これは液体でございますが、タンクローリーで受け取りまして十トン、二十トンのタンクに一応貯蔵いたします。そういたしまして今度は、高圧でございますので、特別な設備のございます充てん機というものを使いまして十キロボンベから二十キロボンベ、五十キロボンベあるいは五百キロボンベに詰めて、これを販売店に渡すわけでございます。販売店は、このボンベに詰まりましたLPガスをトラックに載せまして、各戸の家庭に持ってまいりましてこれを取りつけます。取りつけます場合に、これはただお届けするわけにはまいりません。ちゃんとパイプにつなぎまして漏洩のないように一々石けん水で漏洩があるかないか調べまして、そしてまたお客さまの中には、元せんからさらにまたその先のガスこんろまでゴムのパイプがございますが、このゴムのパイプも、漏れるようなことはないか、古くなっているかどうかということも調べながら安全に使っていただくようにやっておるのが現状でございます。たいへん話が長うございますが、こういうのがLPガスでございます。したがいまして、流通段階は灯油のようなものでございませんで、灯油でございますと、奥さまが適当にお買いになってストーブには自分でお詰めになります。しかし、これは危険物であるということで、先ほど内田会長の言われましたように、国家試験を通りました資格を持っておる者がお届けして、危険のないように処置しておるものでございますので、先ほど米原先生がおっしゃいましたように、私どものFOBは今回二・八倍ぐらい上がりそうだというふうに考えておりますが、それが、価格的にいいますとそれほど大きくじゃないじゃないかというのが末端にまいりますとかなり高くならざるを得なくなっているということでございます。実はその各段階がどうなっているかという御説明は、きょうはおそくなりますから申し上げませんが、御質問ございましたら、私知っている範囲でお答え申し上げたいと思います。
  164. 米原昶

    ○米原委員 いまの点は、今後の価格のときに非常に重要になり、参考になるわけですから、ひとつその過程を資料として委員会に提出……
  165. 深尾憲治

    深尾参考人 その中にございます。
  166. 米原昶

    ○米原委員 ありますか、LPガスの……  それではもう一つ聞きたいのですが、LPガス、現地では、たとえばクウェートでは原価が上がっていない、一月一日から上げるということになっているそうですが、それが実際にはもう十二月の段階日本のほうは上がりましたね。この点について私も若干のところに聞きに行ったのですが、たとえばイランのほうが非常に値上げになったというようなことを聞きましたが、正確には大体どういう経路でなぜ十二月から上がったか。現地では一月一日から上げるといっているが、なぜ十二月から上がったかということと、それから現地が一月一日から上がるということになるとさらにまた日本のほうも上がることになるか、この点について聞きたいのです。
  167. 深尾憲治

    深尾参考人 LPガス各社のいわゆるメーカーとか、これはことばをかえますと、精製玉を売っていらっしゃる方並びに製品を輸入されている方いろいろございますので、マクロの価格がどうなるかということは、いかな会長でも個々の会社さんのふところはわかりません。しかし、私が聞いておるところによりますと、イランのほうはガバメントテークが云々とかいうようなことであったというふうに聞いております。それからガルフさんは一月から何がしかをお上げになる、それも大幅だということは聞いております。それからまた何々会社さんはというふうにいろいろ聞いております。しかし、大体私がマクロで業界LPガス人としてはだに感じておりますことは、まあ各社によっていろいろ違うかもしれないけれども、十二月では、もう一つ大きな問題は、先ほど密田会長の言われましたように、原油が上がっております。御承知のとおり四七%見当は原油からのものでございます。この分が上がって私どもに仕切り価格を上げるという話がございます。この分が一つあること、それから一月から上げるということが大体きまっているといたしましても、その間に先ほどのイランのような例もございますし、また、現在船を持っていって供給を受けますときに、従来は三カ月前にちゃんとこの船はこういうふうに行くぞ、そうしたら積んでくれるなということで確約できまして船を出帆させました。ところが、現在のところは、船が着きます三十日前になりましても、ほんとうに積めるかどうかわからないぞ、まあ来てみてくれというようなことになっております。したがいまして、デマレージも相当かかっております。そういうようなことで、私としては十二月から全部とは申しませんが、一部上げてまいりませんとメーカーサイドとしては負担能力がない、そういうふうに考えて差しつかえないんじゃないかと考えております。
  168. 米原昶

    ○米原委員 それにしましても、実際に消費者のほうから見て合点がいかないのは、たとえば埼玉県の富士見市の人が私たちのところに言ってきているんですが、たとえば十一月の段階で十キロリットル千六百円だったのが十二月に二千九百円になったということできているんですが、上げ方がばかに一気に上がっているわけですね。このあたりが了解できないんですよ。そう言ってきているんですが、こういうことはどういうわけでしょうか。
  169. 深尾憲治

    深尾参考人 お答えします。  私の常識をもってすれば、これは何かのお間違いだと思います。十月の段階におきましてLPガスが十キロで千六百円なんということは絶対にあり得ないと思います。(「九百円」と呼ぶ者あり)そうでございます。
  170. 米原昶

    ○米原委員 十一月ですよ。
  171. 深尾憲治

    深尾参考人 十一月の段階でもあり得ません。——ちょっと申しますが、おそらくそれは二十キロボンベの価格が千六百円だったということだと私は思います。九百円でございます。  お断わりしますが、これは二十キロボンベで幾らと言ってみたり、十キロボンベで幾らと言ってみたり、それからただいまのところは、先ほど内田さんの御説明にありましたように、メーター法制化ということでメーターで売っております。そうすると、また一立米当たり幾らという価格になっております。それで、おそらく皆さま方にはこの価格がどうなっているかということは的確に御把握はできないと私は思っております。非常にむずかしゅうございます。
  172. 米原昶

    ○米原委員 もう一つお聞きしておきたいのは、小売り業者の方から聞いたんですが、これは東京都下で、三多摩のほうで起こったことです。特約店が小売り業者を十二月初めの段階で集めて、そうして相当の値上げをやれということを言ってきたようですが、こういうようなことは方針としてやられているわけですか、そういうふうになっているわけですか。
  173. 深尾憲治

    深尾参考人 これは自由商売でございますので、各社さんがどういうふうになさったのかは存じませんが、いずれにしろ十二月から価格が一部、これは場合によったら大幅でございますが、上がらざるを得ないということで、販売店を集めまして、値段が上がるぞということをこれは自由商売のたてまえで相談した。これをのみ込んで商売を販売業者としてしてくれということは、おそらくどこの特約店でもやったものだと思います。しかし、その値上がり幅の把握がいろいろな段階で異なっていたということは、自由商売のたてまえからいってあったかと思います。しかし、現在のところとしては、あまり乱脈であってはやはり困る。特にLPガスの絶対数量がなくなってきた、これで需要家方々家庭方々に御不便かける、それで便乗だなんと言われることをやられたんでは困るということで、販売業者方々にも連絡をとりまして、少なくも便乗ということで国民全般から指弾を受けないような体制を目下着々とやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  174. 米原昶

    ○米原委員 きょうの質問はこれで終わります。私はあといろいろ問題はありますが、あとで法案審議のために参考のために聞いたわけです。  最後にお聞きしたいのはやはりこういう点なんです。今度の法案がいよいよ実施されるとなって一体どれだけの効果があがるんだろうか。国民が求めているのは、とにかく一方は価格の安定と、それから供給が保障されるという点ですね。一体この法案が通った場合にそういう状態に簡単になるかどうか。端的に言ったらそのことなんです。非常な期待を持っているだけに、これが効果をあげなかった場合の結果というものは、たいへんな混乱が起こるのじゃないかと思うわけです。そういう点でこの法案で一体十分なのかどうか、いろいろ問題があると思いますが、この点については、ひとつプロパンガス関係だけでなくて石油商業組合の方からも話していただきたいと思います。
  175. 深尾憲治

    深尾参考人 先ほどから繰り返して御説明しておりますが、プロパンの供給力は、残念ながら去年の下期の分に満たないようなていたらくになりました。したがいまして、この法案ができたからといってすべてが円満にいくということは、私は全然考えておりません。しかし、この法案を基礎にいたしまして、あらゆるLPガス消費者の方々が適切な消費節約をやっていただけるという基礎ができればはなはだけっこうであろうと思います。  これをもう少し申しますと、家庭方々も、先ほど内田会長が申しましたように、自分の使いたいだけ使うということになりますと何ともなりません。タクシー業界の方もオートガス用のブタンを自分のほしいだけ使うということになりますと何ともなりません。したがいまして、この法案を基礎にいたしましてできるだけ早くLPガス供給目標というものをお立ていただいて、これに基づいて適切なる合理的な各需要部門に対する供給量というものをきめていっていただければ、その線に従って私どもとしては供給の万全を期したいという気持ちでおります。したがいまして、これをやるためには、いままでくどくど申しましたが、いずれにしろ法的根拠がなければ私どもは動けません。自由商売のものがかってに消費者に対して、あなたのところは今月幾らしか出せないということは申せません。したがいまして、この根拠がこの法によりましてできることを、それもできるだけ早くできることを期待いたしております。  場合によりましたらこの法律ができる前に、現在のLPガス供給力はややマクロ的にわかっております。したがいまして、できるだけ早く削減について具体的にもっときびしくやっていただかないと、ある日突然なくなってしまった、何にもならない、もうめしたきもできないということにならないように、いまから諸先生方がいろいろ御検討いただくことを私は切に希望いたします。
  176. 松村信治郎

    松村参考人 石油供給不安は全く予測がつきません。そういう意味でぜひこの法律をおつくり願いたい。ただ、われわれ販売業界といたしましては、かねてたびたび申しておりますように流通秩序の問題、これはマクロの需給バランスだけをとってあとはしかるべくということになりますと、そのしわ寄せはいろいろなところにあらわれまして、われわれ販売業界のほうが社会の指弾を浴びるということになります。流通秩序の整備をしながら第十条のあっせん業務をやらせていただきたいということをお願いしておきます。
  177. 濱野清吾

    濱野委員長 佐野進君。
  178. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、先ほど来いろいろな意見を聞いていたのですが、石油連盟の方がいなくなったのはたいへん残念ですが、主として供給を受ける立場に立っておられる皆さん方がこの法案について賛成だ、早く通してくれ、たいへんいい、こういうような言い方をされておることに対して非常に危険な思いがしてしかたがないのです。特にいまだいぶ長い演説をされておられたLPガス協会の会長深尾さんに私は御質問申し上げたいのですが、あなたは先ほど来ほんとに大演説、参考人としては必要以上にお話をしておられたわけですけれども、これは私たちの、質問をしようとする人たちの意見、意思と若干違っているんじゃないかという気がするのですよ。と申し上げますことは、あなたが言われておることは——この法案について、われわれは、どうしたら、皆さん方がどうお考えになって、皆さん方の立場としてどういうことがいいのかということを私たち率直にお聞きしたいわけなんです。したがって、この法案をあなた方の立場に立ってより補強しなければならぬ面がきっとあるだろうとわれわれは思っているわけです。したがって、その補強しなければならぬ面を参考に私たちは聞きたいと思って御質問を申し上げておるわけです。ところが、あなたのお話は、まるっきりもうこの法案が万能であるがごときことを言われておるわけです。  たとえば、一つ申し上げますならば、この法律案が通ります。通った場合、結果的にこれと価格安定法とが二者一括した形の中で出されておるわけです。業界の中にいろいろな不満なりいろいろな希望なりが出てくるわけです。そうした場合、あなたがここにおいて参考人として述べられたことが一つの条件になるわけですね。一つ参考になって、あなたのプロパン業界はこうであったじゃないか、こうなっていくわけです。私たちはそれをおそれるわけです。  私たちは、この法案には基本的に反対の立場をとっております。反対ということは、需給の関係をよりよくするためにこの法案では不備だということの意味を含めて反対という立場を基本的にとっておるわけです。修正ですね。したがって、そういうような意味から申し上げますると、いままでの答弁については私どもの立場からするとたいへん聞きづらい面がたくさんあったわけでございますが、あなたを冒頭にして御三者の方々に、この法案そのものに、いまお話しのように内容とも含めて賛成だという御見解であるのかどうか、これから質問する必要がありますので、当面原則的な御意見を伺っておきたいと思います。
  179. 深尾憲治

    深尾参考人 私、法律の専門家でございませんので的確にお答えできませんし、それから私がこの法案をいただきましたのも土曜日でございますので、十分に審査してございません。  しかしながら、私が考えておりますことは、いずれにしろ、こういう形式の法律がないと、私どもとしてはやれないということでございますので、ぜひともお願いいたしたい。その間の法律上の条文のいろいろな問題は、これは先生方が御審議いただくことでございますので何とも申しませんが、余分でございますから一つだけ申し上げます。  先ほど私が三つのことを申し上げましたが、一体どこに、どの部門に、一般消費者、それから中小企業、農林関係、それから医療関係、交通関係そのものに対してどういうふうになさるか、どこに重点を置いてどうやるかということは、ぜひともこの法案でできるようにはお願いいたしたい、そういう希望をあえて申し上げます。たいへん御無礼いたしました。
  180. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、この法案全文をずっと読みますると、あなた方がいま感じておられる緊急事態である、この緊急事態の中で需給の調整をするんだ、その需給の調整をする中で、消費者なり業者なり全体の人たちがよくなろうということについての希望を込めておるということはよくわかるのです。希望を込めておるんだけれども、われわれが専門的な立場に立ちますと、たいへん危険性をはらむ幾つかの問題点があるわけです。特にこれは完全なる統制ですね。価格安定法と二つ合わせますと、これは需給に対する統制であり、価格に対する統制であり、したがって、あなた方はこの法律によって、言うなれば身動きのできない状況に追い込まれる可能性があるわけです。特に政、省令に基づいて決定される事項がたくさんあるわけなんです。政、省令とは何か。これは委託された通産大臣によって任命された役人が政、省令をつくり、運用をするわけですね。したがって、そういう場合において、あなた方はたいへん窮地におちいる、こういう可能性があるので、おとといもらったということでございますから、おそらくその意味もよく御理解にならない面もたくさんあると思いますので、これからまだ審議の日数がございますから、御意見等がございましたならば、よく御研究になって、私どものほうへもひとつ参考のために、きょうはまだおわかりにならない点も多々あると思いますので、そういう面においてはどんどん御意見を出していただきたい、こういうことをこの機会に要望ということになりますか、申し上げておきたいと思います。  ただ、私たちが誤解してしまうことは、あなた方が、もう賛成だ、通してくれというような形になりますと、私どもとしては非常に心配する面がたくさんございますので、その点を特に申し上げたわけです。  そこで、いまの問題でいまの深尾さんでけっこうですが一点だけ御質問しておきたいのですが、これは一種の石油管理法ですね。プロパンをはじめ石油関連の管理法と言ってもいいのです。石炭管理法とかいろいろな管理法が考えられては消えていますけれども、いまもなかなかそれはできないでしょう。これもそういう形をとっていません。しかし現実には、仕入れから供給から生産の経過から消費の経過に至るまで、価格を含めて一切のものがこれと価格安定法の中に含まれている。あなた方は、そういうような管理法的な形のものになることがいまの事態の中でやむを得ないのかどうか。たいへん専門的でむずかしいので、一言でけっこうですからひとつお答え願いたい。
  181. 深尾憲治

    深尾参考人 ただいまの日本経済では、あまり好ましいこととは思いません。しかし、これだけ不足になりますと、ある程度の管理的な面は業界として受けないと何とも処置できないんじゃないか、そういうふうに考えております。
  182. 佐野進

    ○佐野(進)委員 石油のことはあとでちょっと申し上げますが、主としてプロパンのほうで質問を続けていきます。  そうすると、あなたは元売りの立場に立って、供給の最小限度、いわゆる消費ですね、現在の消費がこのまま横ばいしていくと考えた場合、最低限度の供給量はどの程度でいいとお考えになりますか。  現状を続けていくと仮定した場合、いわゆる安定した供給が九月か十月まで行なわれましたね、その当時の時点を予想した場合、たとえば来年の半年でもいいですから、何万キロリットルあったらよろしいとお考えになりますか。
  183. 深尾憲治

    深尾参考人 何万キロリットルと言われますとちょっと戸惑いますが、上期の需給トレンドは、大体去年に比べまして二〇%増加しております。これに対しまして、この下期は、私ども鋭意努力いたしましても去年の数量まで供給能力をふやせる自信がございません。したがって、これを組み合わせますと、二〇%以上の削減というものを全般的に供給目標の中に織り込まざるを得ないんじゃないか、そういうふうに感じております。これは下期通期でございます。
  184. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういたしますと、これからいわゆる供給を行なっていくわけですけれども、二〇%減を織り込んでいくと、こういたしました場合、この需給安定法ができます、そうしてこれが発動いたします、そういたしますと、必然的に皆さま方業界の、いわゆる小売り店なりその他の方向に分かれていく、そういう方向が確定していくわけですね。  そうした場合、いま行なわれて一番大きな問題になっているのは、価格が上がるということで小売り商の方々中心にして消費者が困っている。供給削減したということで、プロパンを利用して走らせている個人タクシーをはじめタクシー業界方々が困っている。この方々に、いわゆる九月なり十月——これは爆発的に伸びていませんからね、この方々に安定供給を行なうについてはどの程度の供給量が必要でございますか。  この安定した、いわゆる個人タクシーとか一般家庭生活を行なう方々に対して、いままで行なってきた、削減する以前の状況において供給をする場合、どのくらいの容量が必要でございますか。
  185. 深尾憲治

    深尾参考人 ちょっと的確に私がとらえ切れましたかどうか保証いたしませんが、先ほど申しましたように五、六十万トンのものは足りないんじゃないかというふうに考えております。
  186. 佐野進

    ○佐野(進)委員 したがって、その五、六十万トンの足りない分というのは、一般家庭と個人タクシーその他のタクシー業界のほうに対して五、六十万トン不足している、こういうぐあいに理解してよろしいのですか。
  187. 深尾憲治

    深尾参考人 先ほど御説明いたしましたが、一一ページの上にございますように、家庭業務用が多うございます。それからタクシー用も比較的多うございます。そのほかに工業用もございますし、化学原料用もございますし、都市ガス用もございます。したがいまして、これを私どもの自由企業の立場で、これは何%削減するんだというようなことはできないと思っております。
  188. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私のお聞きしておることは——最初ちょっと強いことを言ったから、あなたは緊張されているようだけれども、あまり緊張されずにフランクに聞いてくださいね。私の言うのは、あなた方があまり賛成したなんて言っちゃうとあとで困るだろうから、調子よくやってくれという意味で一番先に言ったんですからね。いま言っていることは、決してあなた方をどうだこうだと言っているのじゃないですよ。要すれば、どうやって供給量確保し、個人タクシーなり一般家庭なりあるいは石油業界方々から、言うならば、一般消費者のほうにどれだけのしわ寄せがいかないで済むかということを、私はあなた方から聞きながら法案審議参考にしたいと思って聞いているんですからね。  そこで、いまあれしておる問題については、いわゆるいま一番問題になっているのは、個人タクシーをはじめとするプロパンを利用しておるタクシー業界ですね。この方々の必要量を確保するために百五トン放出しましたね、放出したというか集めて出しましたね。そのことをことしじゅうに出しますということにして、一応問題は解決をしたわけです。私の申し上げたいことは、どの程度のものを個人タクシーなら個人タクシーのほうへ供給を続けるならば、来年の二月なり三月なりの間、一般的な交通のああいうふうな問題が起きないで済むかという必要量を——時間がないからあまり端的な質問ばかりしましたからおわかりにならぬと思うのですが、そういう意味において御質問を申し上げたわけです。  それから内田さんのほうには、先ほど申し上げているとおり、一般家庭供給するのに、あなた方だけではなくていろいろな方々もある、しかし、いまは法律ができたことによって、あなた方がその中心になっているわけですね。したがって、その中心になって供給をしておられるあなた方が一般家庭供給する場合、どれだけの必要量を確保したらいいか。いまもう優先的にある程度行なわれているから、これは価格の問題にあとで関連いたしますけれども、現実にはそれほど必要ないと思いますが、希望としてどの程度のものをお考えになっておられるか。  それから元売りのほうは、深尾さんのほうは、この百五トン以外に個人タクシーその他の業界の必要に応じ、いわゆる大衆交通機関優先ですね、そういう面について通産当局の指導があるならば、あるいは指導がなくても業界としてもさらにこれらの問題については積極的に取り組んでいくお考えがあるのか。いわゆる法律がなくても百五トンというのをやったわけですね。ですから、法律がなくてもできたことはさらに法律ができればそれにこしたことはないというお考えでしょうが、今後ともそういうことについてはやっていくお考えがあるのかどうか、この点をひとつお聞きしてみたいと思います。
  189. 深尾憲治

    深尾参考人 私が考えておりますのは、先ほど申しましたように、大体これから二割ぐらい足りないと思います。しかし、それは一体どこの部分で足りないか、タクシー業界さんにも二割以上の消費節約を御依頼しなければならないと思っております。したがいまして、私のほうとしては、そういうことを政府で、家庭用はどうするんだ、タクシー用はどうするんだ、ガス用はどうするんだと一々きめていただきませんと、自由商売でございますからできませんということを申し上げているわけでございます。
  190. 内田太郎

    内田参考人 佐野先生LPガスはもう一番詳しい先生だとわれわれ業界は思っておりますが、私はこの法案の中で第一に十一条が非常に気になっておるわけでございます。「割当て又は配給」こういうことはやはり企業の整備につながっているのじゃないか。最悪の事態は、総理大臣の権限でできるわけですから、そういうことになった場合に、先ほど来言っていますように、四万七千の業者の中の九〇%が零細企業である、これに対する転廃業の資金とか、税制上の優遇とか、金融面の措置が、政省令の中に温情ある措置が含まれるのかどうか。そういう点はひとつ諸先生方に十分ひとつ御審議を願って、この零細企業いわゆる中小企業を優遇するという、本文にもありますとおりの御配慮お願いしたい、こう思っております。
  191. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私もLPガスについては、前回二法案を二回にわたって何年にもわたって研究いたしましたから、自分で言うのもおかしいが、よく知っている一人だと思っております。したがって、先ほど来質問申し上げておるわけです。だから、私はそういう立場からこの法案を見ると、あなた方があまりここでいいんだぞと言っちゃうとあとで困る、末端業者へいった場合にいろいろな問題が出てくる。元売りの場合はそう問題はございませんがね。  そこで、もう一つ深尾さんにお聞きいたしますが、たとえば政府の行政指導があれば、これはやったわけですから、百五トンの放出に協力したわけですから、今後も政府と十分協力しながら、そういう事態については万全の措置を講じていく、こういうぐあいに理解してよろしいわけですね。
  192. 深尾憲治

    深尾参考人 お話のとおりでございます。
  193. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、石油商業組合連合会会長さんに御質問いたしたいと思うのですが、私どもはいまの事態を冷静に分析いたしますと、一般消費者、いわゆるマイカー族に対する規制というものは、いま行なわれていないわけです。しかし、これは世界各国の動きその他を見ますると、必然的にここにしわ寄せが来るであろうということを想定しないで法律審議はできないと思うのです。いわゆる先ほど来言われている石油連盟その他の方々の御説明の中においても。といたしますと、全国ガソリンスタンドが多数存在する、その元締めであるあなたが、この法律のよって来たる影響がどの程度出てくるかということを予測していないということはあり得ないと思うのです。私どもは、この法律が施行された場合、いわゆる不急なる消費者に対する規制、これは当然優先的に考えられる。そして、公共性、大衆性のある輸送機関——バス、タクシー、こういう方面に相当多くの量をやはり向けていく、こういうことが当然のこととして考えられていくと思うのであります。  そういう場合において、あなたがこの法律賛成でございます、ただ、十条の問題について若干御意見がございます、そう言われたとしておりますると、これは、あとでまたとんでもない問題が起きるのではないか、こういう気がいたしますので、端的でけっこうでございますが、そのほかの点について御要望があったらお聞かせ願いたいし、その大衆輸送機関に対して、いわゆるマイカー族の消費規制というような事態が出た場合、あなた方としてはどう対処されるか。これはガソリンスタンド経営者にとっては一大痛撃を与えることになるのではないか、こう考えますので、この際お聞きしておきたいと思います。
  194. 松村信治郎

    松村参考人 この法律につきましては、いまの時局という問題が、非常に私たちには強うございます。それから及ぼす影響、いま御指摘くださいましたことにつきましては、先ほど内田さんもおっしゃいましたように、われわれ業界零細企業でございますから、またいろんなわれわれ自身の努力政府の施策を要望したいと思っておりますが、現在の程度では、われわれの業界の場合は営業時間も長うございますし、労働時間も長く、むしろいまの休日、いまの労働時間、営業時間というのは、業界の体質を改善することにおいては、かえって禍をもって福となすという現在の状態、しかし、消費者の方にはいささか不便をかけていくと思います。  将来につきましては、またわれわれの業界として考えることが多々出てくると思います。
  195. 佐野進

    ○佐野(進)委員 松村さん、先ほど来、価格の面等々における問題点もたくさんございましたが、この需給適正化法案ができる際におけるところの考え方として、十分またわれわれに御意見をお聞かせ願いたいと思います。  そこで、私は、またこれはプロパンに返るわけですが、値段の問題、価格の問題——時間がもうなくなりましたから端的に申し上げる以外にないと思うのですが、これは内田さんに関係するのか、あるいは深尾さんに関係するのかわかりませんが、いわゆる生活安定法案が出る前に値上げをするということで、きょうから四四%の値上げが行なわれる、こういうようなことがいわれ、これが通産省の指導でそういうことになった、こういうぐあいに報ぜられておるのですが、そのことが事実かどうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  196. 深尾憲治

    深尾参考人 通産省の指導によって私どもは値上げは現在のところいたしておりません。企業ベースでもって値上げをしなければならぬと考えて各社は値上げをいたしました。
  197. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういたしますと、各社の値上げは当初予定していた分よりも縮小して、その縮小した値段を今日まで延期していたということは、全く通産省の指導とか介入とかというのはないというぐあいに理解してよろしいですか。
  198. 深尾憲治

    深尾参考人 いま先生のおっしゃいました価格については、私は全然関知いたしておりません。これはどこから出た価格だか存じませんが、私どもとしては、私どもなりの価格というものを特約店に対して通知して値上げをいたしております。
  199. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういたしますと、今後プロパンガスの値上げについては、この法律ができるまでの間は、あなた方が判断した形の中において、通産省の行政的な指導ないし介入というようなことについては一切かかわりなく、それらの問題については今後も対処していく、こういうように理解してよろしいのですか。
  200. 深尾憲治

    深尾参考人 そういうふうに理解と言われますとちょっと困りますが、やはり政府の行政面において、末端価格があまり上がるということは、下げるような措置はメーカーとしても社会的責任を感じてやってくれというような御指導に対しましては、私どもは自由企業ではございますが、十分配慮いたしましてやりたいと思っております。
  201. 佐野進

    ○佐野(進)委員 もう一言、それでは時間がございませんのでこれで終わりますが、いまの問題につきましてもなかなかこの席ではお話ができないという、そういう面もございます。私は価格の問題、さらにはまた制度の問題等々、いまあなた方の業界の置かれている立場はきわめて重大な段階に立たされていると思うのです。私たちは、いまこうやってあなた方に御質問していても、決してあなた方をいじめようとか、あなた方のことをどうしようとかということではなくて、業界の代表者として、この危機を乗り切る上に、消費者の利益を守りながら、政府の政策にも協力しながらやっていくにはどういう方法をとったらいいのかということを私どもはあなた方の口を通して聞きたいということで御質問申し上げておるわけです。  そこで、お願いしたいことは、私どもは、この法律案内容についてまだまだいろいろな面において改めなければならぬ点がたくさんあると思うのです。したがって、そういう面については今後も御意見をお寄せくださることを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  202. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次回は、明十一日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時七分散会