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1973-12-20 第72回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月二十日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 大野  明君 理事 斉藤滋与史君    理事 葉梨 信行君 理事 山口 敏夫君    理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君    理事 川俣健二郎君 理事 寺前  巖君       伊東 正義君    大橋 武夫君       加藤 紘一君    粕谷  茂君       瓦   力君    小林 正巳君       住  栄作君    田川 誠一君       田中  覚君    高橋 千寿君       戸井田三郎君    登坂重次郎君       中村 拓道君    羽生田 進君       橋本龍太郎君    粟山 ひで君       大原  亨君    金子 みつ君       島本 虎三君    田口 一男君       田邊  誠君    村山 富市君       森井 忠良君    山本 政弘君       石母田 達君    田中美智子君       坂口  力君    小宮 武喜君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君  出席政府委員         厚生省公衆衛生         局長      加倉井駿一君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         厚生省医務局長 滝沢  正君         厚生省薬務局長 松下 廉蔵君         厚生省社会局長 高木  玄君         厚生省保険局長 北川 力夫君         厚生省年金局長 横田 陽吉君         社会保険庁医療         保険部長    柳瀬 孝吉君         社会保険庁年金         保険部長    出原 孝夫君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  門田 英郎君         農林省農林経済         局農業協同組合         課長      大坪 敏男君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         自治省財政局指         導課長     高田 信也君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 十二月十九日  医療供給体制の整備に関する陳情書  (第一五号)  原爆被爆者援護法早期制定に関する陳情書外  三件(第一  六号)  福祉年金併給制限撤廃に関する陳情書  (第一七  号)  乳児保育所保健婦配置に関する陳情書  (第一八号)  社会福祉予算削減反対に関する陳情書外十四  件  (第一九号)  国立衛生試験所の拡充に関する陳情書  (第二七号)  精神薄弱者施設等徴収金免除に関する陳情書  (第三三号)  大津市の生活保護法による保護基準級地区分  改定に関する陳情書  (第三四号)  診療報酬引上げに関する陳情書  (第七三号)  国民健康保険事業国庫負担増額に関する陳情  書外一件(第  七四号)  失業対策事業就労者賃金等引上げに関する陳情  書(第七五号)  老人福祉対策に関する陳情書  (第七六号)  原爆被爆者援護法制定に関する陳情書外三件  (第七七号)  母子福祉資金貸付制度の改善に関する陳情書  (第七八号)  福祉年金併給制限撤廃に関する陳情書  (第七九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
  3. 田口一男

    田口委員 きょうは時間の関係で三点ほどにしぼって、ひとつ端的なお答えをいただきたいのです。  まず第一は年金制度の問題です。これは、御存じのように前の国会で、年金の時代が到来をしたということからいろいろの論議があった末、まあいうところの五万円年金というものが実現をいたしました。そこで厚生大臣にひとつ決意のほどをお聞きをしたいのですが、せっかくああいった論議の結果、まあ中身はともあれ五万円年金実現をした今日、御存じのような高物価インフレという状態がきたわけです。昔からいわれておりますように、戦争は若者の夢を砕き、インフレ老人の夢を砕く、こういうことわざもありますように、こういう状態が続くならば、いかに年金額増額をいたしましても、年金生活者にとっては安定をした老後の生活が送られない、これはもう言うまでもないと思うのです。そういったことから、四十九年度の予算編成を目の前にして、いかにしてこれを安定をさせるか。年金生活者は言うに及ばぬのですが、特に年金生活者に限定をした場合に、それらの方々の将来について安定をした生活を送らしていくためにも、まあ一厚生大臣、一厚生省ではむずかしいと思うのですが、政府の一閣僚として、今日の異常な物価上昇というものを安定をさせる、しかも、そのことによって年金制度がほんとうに安定をしていく、こういうもののために早急に万般の施策をとってもらいたい。その決意をまずお伺いをして、あと技術的な問題に入っていきたいと思います。
  4. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 最近の異常な物価高が相当長い間続いておりますことは非常に遺憾なことでございまして、私ども政府あげて、この異常高物価をいかに安定せしめるか、非常に苦労をし、努力をいたしておるところでございます。  それはそれといたしまして、最近の異常な物価高に対処をいたしまして、私がお預かりしておりまする社会保障の面で考えまするならば、社会的に弱い、経済的に弱い人々生活を守っていく、これが一番大事なことでございます。その意味において、生活扶助の適用を受けておられる方々あるいは御老人方々身体障害者あるいは子供、こういう方々生活を守るために全力を尽くしていかなければならぬと考えておるわけでございます。  そこで、いまお尋ねの、その面についての年金お尋ねでございますが、私どもはそういうこともあろうかと存じまして、先般御承知の、皆さん方の御協力をいただきまして成立いたしました年金法には、いわゆるスライド制というものを——私は画期的なものであったと思います。皆さん方の御協力によって、物価スライド制というものを導入するということに成功をしたわけでございますので、私どもは今後物価の動向に即応してこのスライド制を活用し、そして年金額引き上げ、こういうことをはかってまいりたいと思います。  それと同時に、そうした本体である拠出制年金でない、無拠出のいわゆる老齢福祉年金あるいは障害年金あるいは母子年金、こういうものにつきましてはこの十月、これも皆さん方の御協力で三千三百円から五千円になり、そして障害福祉年金母子年金もこれに見合って七千五百円とか六千五百円とか、それぞれ上げたわけでございますが、来年度におきましても、総理や私がときどき国会で御答弁をし、お約束を申し上げておりまするとおり、来年度の予算は非常に苦しい、苦しい中でありましても、五千円を七千五百円に老齢福祉年金引き上げ、さらに障害福祉年金はこれに見合って一・五倍とか一・三倍とか、こういうふうに引き上げることによって、こうした人々生活を守っていく、こういうことに全力を尽くしてまいりたいと思う次第でございまして、先ほど申し上げましたように、この異常の物価高の中で苦しんでおられる生活扶助世帯老人、身障、母子、こういう方面の生活を守るために私は真剣に努力をし、来年度の予算におきましてもそのような方向で善処をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 田口一男

    田口委員 じゃ、その決意のほどはひとつ、あと年が明けてからまた具体的にお尋ねをしたいと思います。  そこで二つ、まず、年金の問題でやや実務的な問題にもなるのですが、お尋ねをしたいと思います。  一つは、国民年金委員という、制度ではなくて任意のお世話を願っておる人があるわけですね。これを、聞きますと、全国で二万五千人程度おるそうですが、その委嘱形式は、たとえば三重県の場合には知事委嘱ということで、ざっと五百人、それから市長委嘱であるとか町村長委嘱というふうな形式で、この国民年金委員というものが各町村に置かれておる。ところが、聞いてみますと、このような物価高の中で年金掛け金を取りにいった場合なんかは、まあいやみを言われる。しかも報酬をたくさんもらっておればそういういやみを言われてもかまわないという意味じゃないのですが、はっきり言って、これは無報酬なんですね。年金の印紙の売りさばき手数料の二・五%が国民年金委員報酬といえば報酬らしいものになっているそうでありますけれども、これは五百五十円が九百円に上がったとしても、ちょっとこの年金事業推進していくいわば末端の篤志家に対する処遇としてはあまりにも薄いのではないか。したがって、この国民年金委員処遇という問題につきましては、私もこの委員をやってみえる方に会ってみたのですけれども、一方の意見として、民生委員のような法的根拠のある国民年金委員というものにしてもらってはどうか、こういう意見のある人もございます。さらにまた、まあ扱っておる対象が数が少ないからそうまではいかないにしても、いろいろ苦情をいわれたり、文句をいわれたりするのですから、取り扱い手数料の二・五%というふうなことではなくて、固定した報酬金額というものを出してもらえないだろうか、こういうことがいわれておるわけであります。ですからこの国民年金委員処遇の問題、いま私が例に出しましたように、民生委員のような法的根拠のある年金委員、こういった方向に変えられないかどうか、これをまず一つ伺いをいたします。
  6. 出原孝夫

    出原政府委員 いま御指摘国民年金委員の問題でございますが、現在、私ども国民年金事業推進につきましては、民間人たち協力が非常に大切でございまして、その御協力を得て推進をしておるわけでございます。  御指摘国民年金委員は、全国で申し上げますと、大体二万五千人ぐらいおいでになるわけでございます。そのほかに実は民間の御協力を得る組織といたしましては、納税貯蓄組合でございますとか、あるいは婦人会等婦人団体でございますとか、あるいは自治会のような組織、こういった方々にもいろいろ御協力をお願いしまして、現在御協力願っている民間方々が三十万人ぐらいおいでになるわけでございます。ただ御協力願っております組織の態様が、いま申し上げましたようにいろいろ区々にわたって、既存の組織の上で御協力を願っておりますので、全国的にこれを統一した法制化をするということは、実は現実の問題としてはなかなかむずかしい問題でございます。さしあたり現在のところでは、国民年金委員その他の民間地区組織皆さん方の御協力を得るために、できるだけ積極的な施策を私ども講じていくというようなことで、対策を講じてまいるのが現実的であるというように考えておるわけでございます。
  7. 田口一男

    田口委員 この年金委員の問題を私はなぜ取り上げるかといいますと、これはいまから申し上げることにも一つ関係するのですが、前回の国会年金の問題が中心になりまして、いわゆる谷間の問題を解決する一つとして再開五年年金という制度ができたのですね。これは私どもうかつにそういう法律になったということを閉会後実はその問題点を知ったのですが、これは私がその中身を申し上げる必要はないと思うのですが、焦点を明らかにするために申し上げますと、明治三十九年四月二日から明治四十四年四月一日までの間に生まれた方、本年の年齢でいえば六十二歳から六十七歳、この方を対象にして再開五年年金扱いを始める。これは昭和四十五年六月から四十八年、本年の十月までの保険料について約三年ちょっとあるのですが、この分をまとめて納めるか、分割して納めるかは別として、四十五年六月から本年十月までの分が一つある。それから本年の十一月から五十年の六月まで毎月九百円ずつ保険料を納めていったら、五十年の七月からいまのベースでいきますと八千円の五年年金が支給できる、こういう附則十八条九項の趣旨なのですね。この限りではいいと思うのです。ところが社会保険事務所職員や、それから市町村年金係職員方々のいろいろな意見を聞いてみると、確かに再開五年年金制度というものができて、約百万の漏れておった谷間——谷間という表現をたいへんきらっておるのですが、これらの方々がいわゆる国民年金制度の中で全部包含をされた、これはけっこうだ。ところが四十五年六月から四十八年十月までの間のいわゆるさかのぼっての保険料は、これは法的にいうと保険料とみなさないということになっているのですね。したがって、どういう問題が起こるかといいますと、これは縁起でもない話なんですが、百万人の方が全部五十年七月以降八千円の五年年金がもらえるものとして加入したとします。それで過去三年分をまとめて役場に持っていく。十一月から九百円の国民年金保険料拠出をする。ところが運悪く本年の年末か来年早々にでもなくなった場合、死亡一時金というものはもらえないのですね。これは死亡一時金をもらうために再開五年年金制度をつくったとは私は言いませんけれども、四十五年六月から正規に毎月毎月五百五十円ずつ納めておった隣のおじいさんがなくなった場合——一つの例ですよ。これは一万七千円の死亡一時金がもらえる。ところが、うちのおじいさんが今度国民年金加入をさせてもらったけれども、運悪く死んだら死亡一時金一万七千円はもらえなかった。隣のおじいさんがもらうのになぜうちはもらえぬのかという問題が起こるというわけです。そこで社会保険事務所職員市町村年金係職員の方が、それぞれ今度の法改正によって再開五年年金制度ができたけれども、勧誘をするのにたいへんものが言いにくい。ですからいろいろな変則的な扱いということを、市町村職員の善意によってやっておるということを聞いておるのですけれども、そういう変則的な扱いあまり表に出せないと思うのです。したがって、いろいろと私どもは、この閉会中に市町村のそういう年金係の人や、それから該当するおじいさん連中と話をすると、人間だれしも五十年七月以降生き延びて、八千円の年金をもらいたいという期待を持っておるのですけれども、これは寿命があるのですから、万一途中で死んだ場合、三年以上掛け金をかけておるという結果になるのですから、それは死亡一時金というものはもらえないだろうか、出せないだろうか。そうしないと、こういう制度ができましたよ、だから入りなさい——くどいようですが、途中で死んだ、何でもらえないのか、そういうことが起こることを予想をして、たいへん再開五年年金制度PRはむずかしいと言っておるのです。またこういう仕事国民年金委員の方がやるわけです、補助的に。また憎まれる。こういったことから国民年金委員の問題についてももっとしっかりしたものを考えていただきたいということが一つ。  それから附則十八条の九項の、いま言った再開五年年金のさかのぼっての分を保険料とみなすということにすればこの問題が解決をするわけですから、死亡一時金が目的じゃありませんけれども、そういったことが間々あるということを頭に入れて、そういう扱いができないだろうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  8. 横田陽吉

    横田政府委員 ただいま御指摘の五年年金再開の問題でありますが、御承知のように、国民年金制度が発足いたしました際に、すでに五十歳をこえ五十五歳未満の方につきまして、十年年金という経過年金をつくったわけでございます。これは昭和四十六年からすでに給付が始まっておるわけでございますが、そのときお入りにならなかった方のために経過年金——十年年金経過年金でございますが、さらに特例的な五年年金制度というものを昭和四十五年の六月から実施することにいたしたわけです。  それで、その加入階層につきましては、年齢層は当初つくりました十年年金年齢階層と全く同じだったわけでございます。ただ、しかし、必ずしも十年年金という経過年金をつくり、さらに五年年金という特例的な経過年金をつくりましても、必ずしも加入の状況はよろしくない。しかし、今回拠出制年金を特に重点的に引き上げをするというふうな改正をいたします場合には、やはり年金本来の姿から申しまして、できるだけ拠出制年金に結びつき得るような体系をとることが必要である、このように考えたわけでございます。ところが、五年年金はすでに昭和四十五年から実施いたしておりますので、同じ年齢階層の中について、また特例特例年金制度をつくるとなりますと、結局従来の手法によりますと二年年金しかつくれないわけです。そうなりますと、五年年金のほかにさらに二年年金ということになったんでは、給付水準の問題その他からいっても、かえっていろいろな問題が生ずるであろう。まあ、そう考えまして、したがって、実質的には二年年金みたいなものなんですけれども、過去の分について保険料相当額を納めていただけば、五年年金昭和四十五年にお入りになったと同じような扱いをする。まあ、特例特例としての五年年金につきまして、さらに特例保険料相当額の納付を認めて、五年年金に当初から入られた方と同じような扱いをする、こういうふうなことをいたしたわけでございます。  したがって、まあ制度論はえてして冷たい印象をお与えするわけでございますけれども実質上の二年年金を五年年金と同じようにするための特例特例でございますので、したがって、過去の分をお納めいただいたその保険料相当分というものを死亡一時金につなげるというようなことまでは、なかなか制度設計といたしましてはつくることがむずかしかったわけでございます。  まあ以上のような趣旨でございますので、とにかく実質は二年年金なんですけれども、五年年金と同じような扱いをするという特例特例であるということを御認識いただきまして、御了承いただきたいと存じております。
  9. 田口一男

    田口委員 年金保険ということばがついておるのですから、いま年金局長の言い方は理屈からいえば私もわかるんですよ、保険扱いですからね。しかし、本年の十一月から五十年の六月まで確かに二年、これは毎月、毎月納めている。ですから二年年金という表現が出ると思うのですが、さかのぼって四十五年六月からの分を納めるわけですから、納めなければ五十年の七月に八千円年金がもらえない。じゃ、それなら一理屈をいえば、さかのぼった分なぜ保険料とみなせないのかということですね。ところが、本年六十二歳から六十七歳の再開五年年金制度にひっかかる人にとって言わしめれば、昭和四十五年に経過年金という措置ができたことは知らなんだ。まあ知っておっても知らなんだと言うと思うのですが、おれたちは知らなんだ、そこでこういうことになったんだから、じゃ、まとめて払いましょう、保険期間が三年あるじゃないか。いわゆる被保険者期間が三年ですね。四十五年六月から毎月毎月、当時保険料を納めておって被保険者になった方は、不幸にしてなくなった場合には死亡一時金が出る、なぜうちのおじいさんだけ出ないのかという疑問が起こることはわかるでしょう。ところが今度は、それは出せない。したがって、百万人に相当する、百万人のこういった該当者に対して、それぞれの市町村PRをしようと思っても、こういうことは常識から言いにくいわけですね。もしあなたが死んでも一時金もらえませんよ、五十年七月まで生き延びて、それ以降まだ生きておったら八千円もらえますよ、だから入りなさいなんということは、これはものの言いようはいろいろあると思うのですが、実際出先でやっておる職員の立場からいうと、たいへんやりにくいんじゃないか。  だから、私は一歩下がって言えば、確かに年金保険という技術からいってたいへんな問題があるし、不均衡ということも起こることは承知をいたしておりますけれども、であればあるだけに、まあ一万七千円という金額で言うならば、死亡一時金に準ずるようなものを、そういった措置一つ考えられないか。そうしないと、せっかく前国会でこの問題を提起をして、新しくこういった特例を設けた趣旨というものが生きてこないのじゃないか。そういう意味合いからこの問題を提起をいたしますので、ひとつ十分考えてもらいたいと思います。
  10. 横田陽吉

    横田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この五年年金再開につきましてさかのぼって納めていただくというのは、実質的には二年年金というものを五年年金と同じレベルの給付をいたしますためにとりました便法でございまして、したがって、それはあくまでも五年年金水準と同じ水準老齢年金を支給するための特例としての限界であるというふうに私どもは考えておりますので、仰せのような御議論も確かに一つの御議論だとは思いますけれども制度設計にあたりましては、そこまではなかなか困難であるという事情を御理解いただきたいと思います。
  11. 田口一男

    田口委員 時間の関係でこの問題を深く追及はしませんが、そういった問題があって出先職員並びに国民年金みなたいへん苦慮しておる、こういった事実をひとつ十分踏まえていただいて、あと二年あるのですから、何らかの緩和策といいますか、そういった要望にこたえるような方法を早急に検討をしていただきたい、こういうことを要望をしまして、次に大臣に、前国会の宿題としての地方事務官の問題についてただしたいと思う。  この身分移管の問題に入る前に、これは人員不足の問題なんですが、私はかつての経歴から、前国会が終わってから該当の職場、市町村に入っていろいろと説明をしてまいりました。そうすると、これは他の府県も同様だろうと思うのですが、たいへん社会保険事務所職員苦労をしておる。高額療養費支給制度ができた。これはいいことだ。ところが、この高額療養費支給制度を円滑に動かしていくためには、毎月毎月出てくるレセプトの中から一万点以上のものをより出すわけですね。こういった仕事ができる。さらに、船員法の一部改正によってこの船員保険加入者がまたふえてきた。これは前々からあると思うのですが、児童手当の算定であるとか徴収事務についても、これは社会保険事務所でやっておるそうであります。こういったことで、たいへん忙しいにもかかわらず、人員配置計画というものについてはふえていないと言っても私は言い過ぎじゃないと思うのですよ。たしか昨年百四十六名かなにか増員したそうですが、三重県に例をとるとわずか一名しか配当がない。一体この人員配置計画を、いろいろきびしい制約があるにもかかわらず、新しい制度ができたんですから、この際考える必要があるんじゃないか、これが一つ。  と同時に、こういった事務は一カ月一日から三十日までの間にのべつまくなしにあるということじゃないのですから、ある時期に集中をするということが考えられます。それはアルバイトなんかで補っておるということを聞くのですが、そのアルバイト賃金が四十九年度幾らに庁費を見ておるか知りませんが、千百円から千五百円というアルバイト賃金なんですね、私が調べた限りでは。いまどき千円や千五百円でアルバイト来ませんよね。だからアルバイトでやれといったって来手がない。結局オーバーワークになります。  さらにまた、これはいろいろと十分社会保険庁趣旨が徹底をしていない向きがあるようなんですが、昭和四十一年に事務合理化をはかるという意味電算機を導入いたしました。ですから、社会保険事務所の諸君に言わしむれば、電算機が入ったんだから毎月毎月の異動、新規の発生といったものはどんどんデータを送って、そこで資格が発生し、また裁定なんということになれば、すぐに本庁のほうで仕事が完了するというふうに理解をしておるわけなんです。ところが、データを送っておるのに、社会保険事務所にある台帳も送ってこなければ仕事が完了しないという。何のために電算機を導入したのかという不信があるわけです。こういう問題もからめて、まあ電算機の云々は私は一つの例として言うのですが、やはり問題は人員配置計画、それが困難であればアルバイト賃金というものはもっと現実に見合ったような賃金にすべきである、このことを初めに申し上げたいし、そこで大臣にお伺いしたいのは、もうこれは経過を申し上げる必要はないと思うのですが、たとえば前七十一国会で衆参両院合わせて十人の方がこの地方事務官の問題について発言をし、その結果、四十九年度中に決着をつけるという御答弁をいただいておるわけです。もう四十九年度になる。その決着のつけ方ですね。私は時間の関係で十月末に起こった国一元化の考え方や何かについては申し上げませんけれども、ほんとうにくどいようですが、四十九年度中に決着をつける、このことについての再確認、これをしたいわけであります。
  12. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 最近の社会保険事務所職員には、ほんとうにお気の毒なほどたくさんの新しい仕事をお願いをしておるわけでございます。先般成立いたしました法律によりましても、健保によって高額医療の問題、さらに年金におきましては、   〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 御承知のような谷間にある方々、六十七歳、八歳、九歳、これは全国で百万人、こういう方々が来年の一月から適用になるわけでございますから、社会保険仕事に従事されておられる方々、ほんとうにお気の毒なほどお忙しくさせておるわけでございまして、私はほんとうに心からこうした方々の御労苦に敬意を表しております。  そうした関係上、来年度におきましては、その仕事の量に見合った定員増をはかる、これが実は来年度の厚生省予算の非常に大きな重点に置いている問題でございます。しかし、御承知のような総定員抑制といったふうな国の大きな方針もございますので、なかなか思うとおりの職員を確保するということは私はたいへんなことだと思います。しかし、現在非常に御苦労を願っておる職員の労苦というものを思えば、何としてでもこれは最重点を置いて努力をしていかなければならぬ問題だと考えております。そういう意味において、来年度の予算においては最大の努力をいたしたいと考えておりますし、そしてまた、正式の定員が十分でない場合の賃金などというものにつきましても、いまお述べになりましたように、千円から千五百円、なるほどそれではりっぱな方をかりに臨時の職員として賃金でかかえる、これは私は困難だと思います。最近におきます派出婦の賃金を見ましても、三千円、三千五百円、そういう中で、非常に大事な仕事をお願いしなければならぬ方々賃金職員が千円、千五百円、これではなかなか私、確保することができないと思います。おっしゃるとおりです。でございますから、正式の定員の増加のためには全力を尽くしますと同時に、それがうまくいかないとき、というのはおかしい話ですが、万一の場合に備えて、賃金職員についてもその待過の改善に全力を尽くす決意でございます。  なお、それと関連いたしまして、地方事務官の地方移譲という問題があるわけでございます。私は、るる詳しく申し上げる必要もないと思いますが、御承知のように、労働組合は、同じ県庁の中にあって地方公務員と俸給の差が非常に違うじゃないか、何とか地方公務員並みにしてくれというところから労働組合の要望が強く出てきておるわけでございます。しかし、また一面考えてみますと、厚生年金なり健康保険なりの仕事というものは地方自治になじむかという事務の性質、責任ということからいうと、これは地方自治に、私ははっきり申し上げますが、なじまないものであります。厚生年金等におきましては、長いこと零細な保険料を納めていただいて、これを蓄積して将来の給付に充てなければならぬ、こういう非常に大事な資金を集めるという事務、それから給付を払っていくという事務、これはやっぱり地方自治の事務ではない、特別会計として国が責任を持って行なっていかなければならぬという性質のものでございます。すなわち、従事しておる職員要望する処遇ということと、行なっておる事務というものの性質、これをどう調整するか、これが非常にむずかしい問題でございます。  ですから、私は先般の国会においてもお答え申し上げましたように、国と地方の事務の配分の問題、それから事務の責任の問題、こういうことを考え、さらに職員の待遇という三つの問題を考えて、それを調整しながら、どうすればいいかということを考えていかなければなりません。  そこで、私も実は思い悩んでおるのです。国の仕事と国の責任ということからいえば、はっきりと地方自治から分離して国の機関をつくる、これが一つ方向でございます。一つ方向だと思います。しかし、そうなると、今度は職員のほうでは待遇改善という問題で地方差をどうしてくれるのだ、こういう問題が起こる。非常にむずかしい問題でございます。  私も先般お答え申し上げましたように、もうそろそろ、だいぶ古いことでありますから、この辺で決着をつけなければならぬということで、先般も行管長官あるいは自治大臣、それから私、それから労働もありますから労働大臣、こういうふうなことで相談をしたのでございますが、あちら立てればこちら立たずということで、非常にこれはむずかしい問題でございます。熱意は持っております。何とか決着をつけたい。しかし、その決着をつけるということは地方公務員に落とす、移すということを私は端的に申し上げておるわけではありません。すなわち労働組合の要望、国のその従事しておる仕事の性質、それから国の責任、この三つをどう調整していくか、非常にむずかしい問題で、実はまだ思い悩んでおるところでございます。一方の説を通せば片方が反対する、片方だけ言えば国の責任をどうするのだ、こういう問題が起こるわけでございまして、この点についてはなかなか思い悩んでおりまして、これは今後皆さん方の御意見も十分お聞かせいただきたい、こういうふうに現在思い悩んでおります。しかし、何とかしなければならぬという気持ちは一つも変わりありません。どうか皆さん方にもいいお知恵をおかしいただいて、この問題を円満に解決することができるならば、私はしあわせだ、かように考えておるような次第でございます。
  13. 田口一男

    田口委員 いまの大臣のお答えを聞いておると、今様齋藤重盛というふうな気がするのですけれども、しかし、これはここ二、三年に起こった問題じゃなくて、もう二十七、八年になるのですから、それがようやく前の国会で四十九年度中に、決着の中身は別として、決着をつけるというところまで射程距離に入ったのですから、ここで平重盛のようなことじゃなくて、ひとつ決断をしてもらう。しかも決断の内容は私どもが前々から主張しておるように、これは地方公務員にすべきである、こういう方向で決断をしてもらいたいし、いまのことばじりを拾っていえば切りがないのですが、そうでないと、機関委任事務なんか全部国家公務員になってしまう、こういう論も、乱暴な言い方ですが出ないとも限らぬと思う。そういうことから、この身分移管の問題については四十九年度中にともかく決着をつける、こういうことでいま一段の努力要望いたします。  もう時間がありませんから、きょうは最後に国民健康保険のほうに入ります。  いろいろと前置きを言いたいのですが、時間の制約がありますから……。財政の実態は御存じだろうと思うのですね。きょう自治省のほうも見えておりますから、自治省のほうもこもごもひとつ考え方を示していただきたいのですが、私は全国的なケースは言いません、似たり寄ったりだろうと思いますから私の三重県の例を取り上げますが、市町村保険者が、三重の場合六十九あるのですが、年々の傾向を見ると被保険者の世帯数も被保険者も年々減ってきておる。ということは、それだけ被用者保険のほうに移っておるということになるのですが、そういった中で医療費——いま中医協の問題で、これは私はあえて触れませんが、来年から約二〇%程度の医療費が上がっていく、こういうふうになると、国民健康保険の財政というものはたいへん苦しくなるということは、これはもういまさら言う必要はないと思います。現に三重の例で申し上げますと、四十七年度の決算状況だけをとってみた場合に、六十九保険者のうちで、赤字決算が四市四町村、前年に比べますと一保険者ふえております。ところが一般会計から繰り入れることによって、ともかく赤字決算を防いだという保険者が二十一あるのですね。これは前年に比較をいたしますと十市町村ふえておる。こういった実態からいえば、この公営保険者市町村保険者の四〇%強というものが財政不安定な保険者といってと差しつかえないと思うのです。しかもこの一般会計からの繰り入れがどんどんふえてくる傾向にある。  自治省が調べたある数字によりますと、八百七十三団体が赤字決算をしておるというのですが、これは一般会計の繰り入れば入っていないようであります。ですから繰り入れを含めると、もう全市町村の四割から五割近いものが、いま言った財政不安定の保険者になっている。では財政を安定きせるためにはどうするのか、保険料を、また保険税を引き上げざるを得ないのではないか。ところが最近の減税ブームの中では、なぜ保険税、保険料だけが上がるのかという被保険者の不信が、また不満がつのってくる。私が調べた限りでは、四十七年度中に一一五%も保険料保険税を上げた町があるのですね。一一五%も保険税を上げておる。これ以上上げようったってこれは無理ですね。こういった国民健康保険の財政について一体どうすればいいのか。筋論からいって、保険局長なり、それから自治体をあずかる自治省の立場から、こういう問題はどうすべきか、まずその辺をお伺いしたいと思います。
  14. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいま三重県における国保の実態についてお話がございました。私ども全国的に最近の実情をながめてみますと、四十七年度におきましては赤字の市町村数が二百四十三でございまして、前年が百四十七でございますから九十六の増加となっております。実はその前の年は赤字の市町村数が二百十二ございまして、それがいま申し上げましたように四十六年には百四十七に減っておりまして、やや減少の傾向にあったのでございますけれども、いま申し上げましたことから申しますと、傾向的な面としてはどうも逆調にあると思います。特に四十八年度は、年度当初から全国一斉に老人医療の無料化がスタートをいたしましたし、また今回の法律改正によって、高額療養費制度というものも中に入るわけでございますから、今後そういった問題の、病院による医療費の波及的な増加ということは十分に予測されます。  私どもはこれに対しまして、やはりいまお話のございました保険料あるいは保険税というものが十分に確保されなければならぬと思いますし、この適正な保険料の賦課徴収をはかって、収支の均衡を保つように行政当局としても指導に当たりたいと思っております。またその反面におきましては、御承知のとおり、相当国保には高額の補助金が出ておりますけれども、特にその中には財政調整交付金というものもございまして、こういうものについて関係団体等からも、相当大幅な増額をはかるべきである、こういうような要望も来ておりまして、保険料の十分な確保とそれから財政調整交付金というものをどういうふうに今後増強していくか、両面から今後の状態、今後の状況を見きわめて、国保の財政の健全化をはかるように努力をしてまいりたい、このように考えているような次第でございます。
  15. 高田信也

    ○高田説明員 御指摘のように国保財政が近年悪化の一途をたどっております。市町村財政を所管しております私どもといたしましてもたいへん憂慮しているところでございます。三重県下で約四〇%をこえる市町村が赤字であるという御指摘がございましたが、私どもが集計をいたしました昭和四十七年度の国保会計の決算、全国的な数値によりますと、全体としての実質収支は約二百六十億円の黒字になっておりますが、これは御指摘のように、市町村の一般会計からの繰り入れあるいは都道府県の補助金等によりまして、かろうじて収支のつじつまを合わせておる団体が多いために、こういった繰り入れ金それから補助金等、再差し引きをいたしますと、全国三千二百八十七団体のうちの二六・六%にあたりますところの八百七十三団体が実質上の赤字という結果が出ております。いま北川局長からもお話がございましたように、昭和四十七年度から特に財政事情が悪化をしておりますが、御承知のように、四十七年二月に、社会保険診療報酬が改定されまして、医療費が増加をいたしましたこと、さらにまた、老人医療無料化によりますところの影響が大きいと考えております。本来私どもの考えでは、国民健康保険事業保険税、保険料と国庫負担金とによってまかなわれるのが原則である、こういう考え方に立っております。自治省といたしましては、調整交付金の大幅な引き上げによる国民健康保険の財政基盤の強化、さらにまた、保険税の適正徴収あるいはまた事務合理化等によりますところの経費の節減等を通じまして、国民健康保険財政が少しでも悪化を食いとめていくというふうな方向市町村を指導してまいりたい、こういうふうに関係省庁にもお願いをしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  16. 田口一男

    田口委員 予定の時間が来たから急ぎます。あと二つだけで終わりますが、いま保険局長の話で七十二条の財政調整交付金、いま五%ですね。これは、こまかいことは時間がかかりますから抜きますが、私はいま言った三重県だけの資料しかありませんから、調べてみたのですが、各市町村別に療養諸費それから保険料保険税、さらにこの調整交付金の額、こういった数字を拾い出して、一体、調整交付金というものが保険税や療養諸費にどういう関係があるかということを調べてみたんです。国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令というのがあるのですが、たいへんこまかいことを書いてありますけれども、そういうこまかいことを抜きにして、大ざっぱないま言った療養諸費、保険税、調整交付金の額の割合を見てみますと、傾向として言えることは、一人当たりの保険料保険税が低いか、または一人当たりの療養諸費が高いところには調整交付金が多く行っている。それから、一人当たりの保険税、保険料の高いところには調整交付金が少ない。大体の傾向ですよ、こういうことがわかるわけであります。そういった結果、これは三重県の例だけを言うのですが、ピンからキリ、ピンが一四・二%でキリが〇・一%、調整交付金の割合が。一人当たり二十九円なんというところがある。ところが、しさいに調べてみると、あながち、いま言った保険料が低くしか取れないから財政調整交付金というものが多く行くんだということも——一つ一つ保険者を調べるとちょっとおかしいなというところも出てくるのです。私は時間がありませんから、この辺のところに立ち入っていま議論をしようとは思いませんけれども、結論として言えることは、国全体五%の調整交付金のワクでは、平たいことばで言えば、調整をするのにもしようがないのじゃないかという気がするわけですね。  たとえば、療養諸費が同じで保険料徴収額も同じであるのにもかかわらず、ある保険者はどんともらう、少ない、こういう例もあるわけです。ですから、先般国民健康保険団体連合会の決起大会があったそうですが、そこでも調整交付金の率五%を一〇%に引き上げろという要求が出ているようですが、調整機能をもっと働かすためには、乱暴な言い方になるのですが、一〇%以上に引き上げぬことにはこの調整交付金の機能が働かないんじゃないかという気がいたします。もっと私は数字を申し上げたいのですが、時間がありませんから除きます。  同時に、いま保険局長が問題として言われたように、四十七年一月ですか、老人医療の無料化の実施をした。あれは結局保険の相乗りなんですね。ですから、これも厳密に定義を言えば、保障であるとか福祉であるとかということのあれが問題になると思うのですが、いまちまたで言われておることばをそのまま使えば、老人医療の無料化という問題、これは福祉のサイドで見るべきじゃないか。国民健康保険や健康保険組合の相乗りということはおかしいのじゃないか。ですから、福祉サイドで見ることによってこの療養諸費というものが減ってくるだろうし、そうでなければ、お年寄りが多い過疎地の町村の場合には、療養諸費ばかりでなく、保険税が頭打ちになる、また入ってくる調整交付金が少ない、こういう現象が確実に起こるわけですから、大臣のお考えを示していただきたいのです。この調整交付金の五%というワクを、いま言ったような実態からいっても引き上げる必要があると思いますが、それについてのお考えを示していただきたいと思います。  あと一つだけ言って終わりますが、これと同じような考えで国民健康保険組合、大工さんであるとか——お医者さん、歯医者さん、弁護士さんはちょっと問題は別ですけれども国民健康保険組合の財政についてもどんどんと保険料を高めておる。それで、前国会の社労委で決議をしたように、市町村国保に対する財政措置と同じような考えで、いま二五%プラス四十三億出ておりますが、四十九年度は四十三億というこの金額、定額をふやす方向でいくのか、それとも、いま言った市町村国保のように四〇%プラス五%という考え方で、二五%を四〇%というふうな定率にするのか、この辺の考え方を承りたいと思います。  私の主張を先に言えば、これは四十三億というのを五十億、七十億にするのではなくて、定率にしていくほうがいいのじゃないか、理にかなっているのじゃないかと思うのですが、そのことの考え方をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
  17. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 国民健康保険、地域国保におきましては特に最近、御意見にもありましたように、老人医療無料化、これはやはり相当な重圧を加えておるような感じがいたしております。そういうふうなことから地域国保の財政が非常に苦しい、これはお述べになりましたとおり私も同感でございます。これがためには、やはり国としても従来の五%という財政調整交付金だけで十分かどうか、私ははっきり申し上げますが、十分ではない、やはりもう少し増額する必要がある、かように考えておるわけでございますので、来年は地域国保の財政強化のために、そうした面において五%の金額をふやすような努力をいたしたいと考えております。  さらにまた、国保組合につきましては、先般皆さん方の決議のありましたことは私も十分承知をいたしております。したがって、行政府としては国会の決議の趣旨を尊重してこれに努力いたします、こう申し上げてあるわけでございまして、努力をしなければならないと考え、明年度の予算においても努力いたす考えでございます。しかし、この国保組合にはさまざまあるわけでございますね。例の大工、左官のような方々の組合もあるし、それから従来あった食肉関係の国保組合もある。さらにまた歯医者さんのような組合、田口委員は歯医者さんなんというのはあまりたいした重きを置かぬようですが、実はほんとうを言うと歯科の国保もなかなかたいへんなんです。しかし、さまざま種類はありますが、その財政の苦しい度合いに応じてやはり国は補助を増額する、これは絶対に必要なことだと思います。いま、何%ずつなどということは明確に申し上げることはできませんが、その財政の苦しい度合いに応じ、いま申し上げましたような種類別に応じて、十分国会の決議も尊重しながら、厚生省はよくやったと言われるような予算をつくるべく、いま努力をいたしておるような次第でございまして、もう間もなく決着つきますから、いましばらくお待ちをいただきたいと思う次第でございます。
  18. 田口一男

    田口委員 ただ一つ。国保組合の問題でいろいろと事情があることは知っておる。私はここで考え方を聞きたいのは、四十八年度を例にとれば二五%の四十三億ですね。二五%は文句なし、療養諸費に対して。四十三億というものをさらに上積みするというような方向で各組合の財政困難を緩和するというのか、それとも国保組合の大かたが言っておるような、毎年毎年四十三億を五十億にしたり七十億にしたりというふうなことでなくて、こちらの二五%をふやしたらどうかという意見もあるんですね。これについてどう考えるかということだけ最後に……。
  19. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私はつかみで予算をとるというやり方は絶対したくないと思うのです。一定の基準を設けまして、そして一般国保も地域国保も国保組合も、できるだけ早い機会に同じような率に持っていくような方向で、つかみの金でなくて、やはり先ほど申し上げましたような財政の苦しい状況に応じ、さらには種類別に応じ、一般の地域国保に近づける方向で、つかみ金でなくて、合理的な一定の水準を持ちながら引き上げていく、こういうやり方で努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。おそらく結果がそのうち出ますから、結果を見れば、なるほどよくやった、おれたちの考えとあまり違わなかった、こういうことになるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  20. 田口一男

    田口委員 終わります。
  21. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 大原亨君。
  22. 大原亨

    ○大原委員 簡潔に質問をいたします。  問題は、項目は一つですが、広島、長崎にある原爆傷害調査委員会、ABCC、御承知のように、トルーマン大統領の命令でできたのがあるわけですが、この問題の、調査研究を継続するか、あるいはどのような形でやるか、こういう問題については、いままでかなり長い間、国会でも議論をし、あるいはそれぞれ関係者の間において論議を重ねてきたところですが、その問題について一定の段階にあると思われるので、この問題に対する政府の取りまとめた簡潔な見解を聞きたいと思います。  第一は、五十年規模で原爆被爆の影響調査をやるということなのですが、いままでのABCCのように、加害者あるいは占領者が、その権威において被爆者を調査するという形では、これは継続できない。市民の協力なしには継続は進まぬわけですから、それはできない。しかし、この研究についての評価をどう考えておるかということを含めて、いま再検討をする、日本側の政府の態度もこの際明確にする、こういうことがこれを継続する場合においても、不可欠な条件となっていると思います。  そこで第一の問題は、いままでも科学技術特別委員会その他で議論をしてきたのですが、ABCCの研究調査というものは、さらに引き続いて調査をするに値する調査であるかどうか。つまり、どういう目的でこの調査を継続するのであるか、政府としてのこれに対する簡明な見解をまず第一にお聞きをいたします。
  23. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 お答えいたします。  ABCCの研究の目的は、放射能の人に対する医学的な影響を研究するのが目的でございまして、先ほどお話にもございましたように、大体五十年を一つの終期といたしますと、当時、被爆者の中には、母親の胎内におりました者、あるいは乳児の時期におりました者が、ちょうど二十八歳の年齢に到達いたしております。したがって、放射能の影響というものは一生涯通じまして、人に対する影響が出てくるという想定のもとに、私どもといたしまして、先ほど申し上げました医学的な見地から、今後も引き続き研究を継続する必要があるというふうに考えております。
  24. 大原亨

    ○大原委員 その研究の目的は、後遺症の影響を調査をして被爆対策に役立てる、こういう日本側ははっきりした、主体的な立場に立ってやる、そういう意味において継続すべきである、こういうふうにお考えになっておるわけですね。そうですか。
  25. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 そのとおりでございます。
  26. 大原亨

    ○大原委員 そこで、このABCCの原爆傷害調査委員会をこれから再編成する、いままでのABCCとは何ぞや、アメリカの法人か日本の法人かあるいは個人か、他の個人が集まっておるのか、予研の支所は一体どういう関係でこれに協力しておるのか、全く正体のわからないうやむやな状況であったわけですが、このABCCをこの際いままでの論議に基づいて再編成しよう、やり直していこう、立て直そう、こういうことであると理解をいたしますが、それについての基本的な方針は何であるか、こういう点を明確にお答えいただきたい。
  27. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 いま先生が御指摘になられましたようなことは、地元あるいは原爆被爆者の団体、それから国会におきましても原爆関係の法律の改正のつど、附帯決議として御意見が出されておったところでございます。  私どもといたしましても、いまお話がございましたように、予研が共同研究という体制に立っておりますけれども、従来その出資いたします額がきわめて僅少でございまして、一応対等の立場に立っているということではございますけれども、やはりそういう資金面から若干私どもの日本の主体性が疑われるというような面もございましたので、これを全面的に改正いたすべく、いろいろアメリカ等とも交渉いたしまして、今後近いうちに国内の法律に基づく法人に変革いたしまして、私どもの日本の立場が貫かれるような体制に持っていきたいと思っております。したがって、明年度の予算等につきましても、それが実現できるような措置をとりたい、かように考えております。
  28. 大原亨

    ○大原委員 その基本的な方針の中で、日本には原子力基本法があるわけですね。原子力基本法について、この原爆傷害調査事業活動と、これを受けとめる日本側のその関係における態度はどうか。
  29. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 もちろん、このABCCの研究につきましても、私どもの国内で発動いたしております原子力基本法、この精神に当然のっとって運営されなければならないわけでございまして、その研究の公開あるいはもし今後のABCCの性格等が確定いたしました場合には、民主的な運営がなされ、しかもその内容等につきましても、十分納得のいくような体制に持っていくことが肝要かと存じます。
  30. 大原亨

    ○大原委員 その際、従来から問題となっておりました予防研究所の支所ですが、予防研究所の本部と支所との関係において、日本側がこれに協力する体制では全然ないわけですけれども、その問題は日本の法人をつくる、こういう問題の中においてこの問題の解決をする、こういうふうに理解をしてよろしいかどうか。
  31. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 そのとおりでございまして、私どものその際の理事の選定等につきましては、十分考慮しなければならないと考えております。
  32. 大原亨

    ○大原委員 原子力基本法に従って、日本の国内の法人でABCCの影響調査を継続をしていく、日本側が主体制を持つ、こういう御答弁であります。そこで、これで一応は終わるわけですけれども、これに関連いたしまして、本年の四月から五月にかけまして、アメリカから原爆の資料の返還があったわけであります。これはアメリカは占領軍の命令で、被爆直後広島、長崎で徹底的に調査団を動員し、日本側を動員いたしまして、資料、データーを根こそぎ集めましてアメリカに持って帰ったわけであります。先般返されたのは、アメリカのAFIP米陸軍病理学研究所から返還されたものでありますが、これはかなりの貴重な資料があって、現在これは広島、長崎でそれぞれの機関が整理をし保存をしておるということでありますが、しかし、問題は、いままでも議論したことがあるのですが、これは原子力基本法にもあるわけですけれども、こういうものはすべて公開をする。公開の原則があるわけです。公開、民主、自立そして平和。公開をしてやるべきだ。日本側が主体性を持つという点からも、そういう資料は日本に返還をして、そしてこの事業を進めていくということが私は必要であると思います。したがって、この資料は、あるないの議論はきょうはいたしません。あるということに大体もう確定はいたしておるわけです。一時厚生省は、もうこれが最後ですと言ったことがありますが、これはうそであります。現に私の手元にも日本の「東京空襲を記録する会」が入手いたしました米軍の戦略爆撃調査団報告書の目録がございまして、その中には、未返還原爆資料のリスト等もかなり具体的に取り上げられておるわけでございます。広島市の市民がこの被爆の実態を調査する上において関心を持っておるのは、たとえば広島市、長崎市等で当時使っていた米穀配給台帳をアメリカが持って帰っている。これは原爆の影響を研究するときにですね。その当時米の配給を受けた者はどういう人だということがわかれば、いまこんなに苦労して調査費を使ってやらなくても済むような問題があるわけです。そういう問題等を含めまして、いろいろなスケッチとか手記その他があるわけですが、そういうものはこの際、ABCCを立て直すというこの機会に、私はアメリカから資料の返還を求めるように強く要求をしていくことが、市民や国民の理解と支持を得る一つの大きな問題である、こういうふうに理解をいたします。厚生省はこれからどういうように処置するか。
  33. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもそういうものがございましたら、さっそくしかるべき筋を通しまして返還要求をいたしたいと思っております。
  34. 大原亨

    ○大原委員 これは実態調査の問題に関連をして、五十年調査については、五十年の国勢調査でこの被爆の実態についていままでやらなかった問題を、この際、国が全体としてやるべきである、こういうことについては従来附帯決議等やってきたわけですが、そういう方向で準備をいたしておる、こういうふうに理解をしてよろしいか。
  35. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 五十年度を目途といたしまして、いま御指摘のございました実態調査の計画を一応持っております。したがいまして、四十九年度におきましては、その準備費といたします若干の予算を大蔵省に要求をいたしております。
  36. 大原亨

    ○大原委員 最後に、いまABCCには、広島、長崎には数百人の日本側の従業員、職員がいるわけです。職員は、やはり被爆者と一般の国民あるいはアメリカ側との間に立って、長い間、たとえ貴重なこの研究調査といえども、非常に苦しい立場で今日まで仕事を継続をしてきたわけです。この事業に意義がある、意義を見出すということで、意義ある仕事を継続したいということを考えるのは当然のことである。その従業員の処遇が、アメリカと慣習が違っておるために、たとえばことしの春の賃金引き上げやその他一時金等の処理もできない、こういう状況になおあるわけでありますが、この問題を含めて、私は、日本側は、外務省その他を通じましてアメリカとの間において十分の措置をとってもらいたい、これは要望であります。  最後に厚生大臣、このABCCの問題は一これは占領期間中からの残されたいわゆる租界的な、いうなれば別世界のような問題であったわけですが、しかしながら、これは日本人の国民の感情からいっても、歴史からいいましても、あるいは日米関係のあり方からいいましても、双方の利益からいいましても、私はきわめて質的に重要な問題であると思います。いままで質疑応答をいたしましたが、これからこれらの問題について政府としても、財政上あるいは行政上政府の方針としての措置において遺憾なきを期してもらいたい。いままでの質疑討論を踏まえて大臣の見解をお聞きをいたします。
  37. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 ABCCの問題につきましては、今日までのやり方について根本的な検討を加え、日米共同管理、共同研究、こういうふうなたてまえに立って、しかも日本国内にある機関でございますから、原子力基本法に基づいて運営さるべきものであると考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、必要な調査機間でございますから、今後とも継続する必要がある、こういうふうな考え方に立ちまして、財政的、行政的な措置を講じてまいる考えでございます。
  38. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 川俣健二郎君。
  39. 川俣健二郎

    川俣委員 大臣、私はあえてきょう、いろいろと診療費、報酬問題をめぐってたいへんな時期ですけれども一つだけどうしてもただしておきたいのは、わが党はもちろんですが、過去数年間、公的医療機関ですね、公的医療機関というのは医療法にあるんだが、特に滝沢医務局長の頭の中には、国立病院しか頭にないんではないか。こういうことで一体、医者というのは医療費によってもうかるのかもうからないのか、こういうことですね。ところが、町医者というのは、こう言っちゃ悪いが、軒並みにもうかっておる。これは大体です。全部とは言いません。まず、どこの市町村へ行っても、僻地の寒村の町へ行っても、お医者さんというのは所得番付がまずトップです。ところが、公的医療機関はまず大体調べたところによると、もうほとんど窮屈な収支状況なんです。その中で、大臣も約束しておるんだが、公的医療機関に今度ひとつ思い切った助成策をやる云々のあれが約束されておる。この公的医療機関、自治体病院が片やある。もう一つ公的医療機関で厚生行政にどうしても入れてもらわなければならぬのは、農協の病院です。いわゆる厚生連だ。特に米どころの地域住民は、戦前は組合病院ということでなじんできた。いま、ほとんどこの地域の住民というのは組合病院に依存しておるという医療実態です。  そこで、その前に、全国厚生農業協同組合連合会、いわゆる厚生連、厚生連の病院というものの実態を、一ぺん医務局長にここであらましをまず教えてもらいたいのです。全国にどのくらいの病院があって、それで赤字、黒字別の数がどういう状態になっておって、それで赤字病院の累計がどのくらいになっておるのか、一体これをどう厚生省が手だてをしておるかということをまず聞かせてもらいたいと思います。
  40. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 厚生連の病院の実態ということでございますが、ただいま病院数にいたしましては百十八ございまして、病床の数として三万二千床ございます。職員の数は約一万八千五百人でございます。  それから、赤字、黒字ということでございますが、四十七年度の数字で、百十八のうち黒字が七十五、赤字が四十三という実態でございます。  それから、この厚生連の病院の存在しておる地域の特性でございますが、その点から申しますと、構成比率からいきますと、五万未満の市町村に存在するものが七割ということでございまして、十万以下でほとんど八〇%を占めるという実態でございます。  それから、赤字の累積のことでございますが、われわれの資料に基づきますと、赤字の累積が四十五年度で二十五億、四十六年度で三十五億、四十七年度が三十七億ということでございます。  そのほか、一つの地域的なことを申し上げたわけでございますが、これを全国的な分布から見ますというと、東北から関東にかけて歴史的に見まして農協病院が比較的多くできまして、その傾向はまあ愛知県、三重県あたりまででとまっておりまして、関西、中国、四国、九州の方面になりますというと、むしろ設置の数は少ない。こんなようなのが厚生連の病院の実態でございます。
  41. 川俣健二郎

    川俣委員 そこで、この赤字の問題ですけれども、一体、じゃ、累積赤字が——厚生連全体の赤字病院だけの累積赤字ですね、抽出したんじゃなくて。累積赤字がどのくらいになっておるのだろうか、ちょっとお示し願いたい。
  42. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先ほど申し上げました赤字の数字が、実は赤字病院だけの累積赤字でございまして、四十七年度が三十七億、四十六年が三十五億で、二億の増加でございますが、四十五年から四十六年に移るときに約十億の増になっております。
  43. 川俣健二郎

    川俣委員 そこで、患者数を、もし年間の患者数がわかりましたら……。
  44. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 患者数は、入院患者の延べ数で申しますと年間で九百十二万という数字になりまして、外来患者の延べ数が一千百五十六万で、病床の利用率は七六%で、全国平均が大体八〇でございますので、先ほど申しました地域性からいってやや利用率は落ちておりますけれども、これは実は、老人医療実施後の数字ではございませんので、私は、いまの予測からいきますと、このような地域に存在しておる厚生連の病院は老人医療の無料化等に伴いまして、おそらく利用率の向上は四十八年度は出てまいるというふうに思っております。
  45. 川俣健二郎

    川俣委員 こうやってみますと、一年間の入院患者の延べ数が九百万、外来が千百五十万。こうなりますと、特に地域的に農協の組合病院をたよる医療機関というのはかなりなパーセントを示しておると思うのですね。一体、これに対してどのような助成策をしておるのだろうか。
  46. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生御指摘のように、またお答えしましたように、各地域に農協病院の存在する比重が、県全体の医療機関の比重というものにもちろん差がございまして、先ほどは病院数だけを申しましたけれども、これが各県ごとにどのような比重になっているかというこまかいデータはただいま持ち合わせておりませんが、百十八の病院ということは、国立病院が九十四でございまして、国立療養所を加えて二百四、五十ということで、全体の病院数は八千、わが国の病院数が全体で八千ということでございまして、国立病院、療養所が二百四、五十、国立病院だけでは九十四、こういう中で百十八という数字でございますから、この点は全国的な数字で申しますというと、ほぼ国立病院と同様の比重を持っているといえますけれども、ベッド数、それから、先ほど申しました地域性からいってかなり住民の、しかも、当然のことですが、農村地帯の住民医療を担当しているということはいえると思うのでございます。そういう点からは、厚生連の病院は御指摘のように医療法に定める公的病院として取り扱われておりますので、当然、われわれのただいままでのいろいろの施策に対する御要望があれば補助対象にしてまいっておるわけでございまして、ただいままでのところはいわゆる機能の整備、機関の整備に対する補助というような形をとっておりまして、運営費と申しますか、病院としての収入の基盤はやはり診療報酬にあるわけでございます。   〔大野(明)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 病床の増床あるいはそれぞれの目的ごとに、たとえば救急医療センターになるための予算補助、こういうような部面を通じまして予算補助をいたしておることは、日赤、済生会等と同様でございます。
  47. 川俣健二郎

    川俣委員 その地域性でかなり高い比率を示しておるわけだね、医療機関としては。  そこで、そう古い数字でなくてもいいのだが、四十七年と四十八年の助成額、それから、今度要求しておる助成額、大体の数字を示してもらいたい。
  48. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 二億八千八百万円という本年度の公的病院の特殊診療部門に対する運営費補助というものについて、厚生連の病院につきましては、全体が百十七カ所を予定いたしておりますが、そのうち個所数にしては、病院数にしては四十三でございまして、金額的に見ますと約九千万を予定いたしております
  49. 川俣健二郎

    川俣委員 累積赤字が十一億三千五百万、これに九千万の手だてをするというのだけれども、九千万の内訳はどういうことです。それから、医療法、医療法と言うのだが、建物、設備だけじゃなく、看護婦養成所をこの委員会で約束しておるのです。この辺も少し聞かしてもらいたいのです。
  50. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 厚生連は看護婦養成の補助の対象には従来しておりまして、この点は、養成で今後拡大したいと思うのは、むしろ民間に対する拡大をしたいというふうに考えております。  それから、看護婦の運営費につきましては、逆でございまして、自治体病院が実は入っておらないで、交付税で見ていただいておるというものがございますが、これはできたらこの養成所の運営費についても補助対象にしたいというふうに考えております。  内訳ということでございますが、実は四十八年度の補助の対象にしましたものは、ガンの治療設備を持っておる点、特殊な機能に対して着目したやり方と、それから救急医療ということに着目した補助、それから当然百床以下の小さな病院で、その地区には民間の病院もない、非常に採算をとることは困難であるという地区を不採算地区の病院というふうにいたしまして、これらをそれぞれ合わせまして約九千万でございます。この救急のほうが大部分を占めておりますが、約六千万前後を考えておりますし、ガンでは一千七、八百万程度を予定いたしております。不採算医療では九百六十万、合わせまして約九千万程度でございます。
  51. 川俣健二郎

    川俣委員 総額が九千万なんだから、どのように分析したって、十一億三千五百万の赤字に対して九千万。そこで所管の農林省、局長だか次官だか知りませんが、うしろにすわっておられる人に聞くのですけれども、一体農林省は、この赤字の農協の組合病院というものの位置づけですね。地域医療の、たとえば北海道なんか十六、秋田で十一、新潟で十一、まず米どころの、さっき医務局長が言うように、五万人以下が七割から七割五分これに世話になっている。これに対して、この間どこですか、初めての大争議があったようですが、所管官庁はこの組合病院というのを一体どのように持っていくつもりなのか。それとも病院なんだからひとつ厚生省にやってもらおうかという気持ちでもあるのか。とても掌握できないということなのか。全然放任し三赤字は赤字のままだ、とても農林省には医療関係の能力もないし、医者もいないし……。一体どのように厚生連の病院というものを管理していくつもりなのか、少し高度なところを教えてくれませんか。
  52. 大坪敏男

    ○大坪説明員 厚生連のほうの病院につきましては、申すまでもなく農協の組合員でございます農業者の健康の保持あるいは診療面等をになうという面を持っておるわけでございまして、申すまでもなく、農民のみならず地域住民の健康増進にも役立てる、かように認識しておるわけでございます。したがいまして、厚生連につきまして、その営む病院が健全に運営されるということはぜひとも必要でございまして、農林省といたしましても、助成につきましては、農林漁業金融公庫によります低利資金あるいは農業近代化資金の融資等を講じるわけでございます。しかしながら、厚生連の行ないます医療という点につきましては、やはりこれは厚生省所管であるという点がございますものですから、そこは農協の所管庁でございます私ども農林省と、医療面の所管庁でございます厚生省と連携を保って指導助成をやってまいるということが最も適当かと考えておるわけでございます。
  53. 川俣健二郎

    川俣委員 もう少しゆっくり教えてくれよ。その連携を保つというのだけれども、いまあなたは、厚生省の分野と農林省の分野のことをいかにもはっきりしているようなことを言っているようだけれども、もう少し説明してくれよ。厚生連が赤字になった場合の責任は一体どこにあるのですか。
  54. 大坪敏男

    ○大坪説明員 農協の事業が健全に運営されるということにつきましては、農林省として十分の、行政官庁としても責任を持つと思いますけれども、事医療に関します限りは、医療法等による行政措置はやはり厚生省ということでございますので、そこは相互に連携を保ちながらやってまいるということが適当かと考えるわけでございます。
  55. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 関連した問題でございますので、率直に私の考えを申し上げたいと思いますが、農林省からお答えいたしておりますように、医療機関の運営、特に赤字という観点については、これはいろいろ問題がございますが、診療報酬という問題もやはり基盤にはあるわけでございます。  それから先ほど例に引きましたように、診療報酬というものが全国的に適用される中で、病院の存在する立場上なかなか採算をとることの困難な地域というものがあります。こういうものについて逐次助成策を講じていくという観点から、今度の三団体の問題が出てまいりまして、そうして先ほど私ちょっと念を入れて申し上げる点を忘れまして、九千万と言いっぱなしでございましたが、実はこれは県が措置した場合にそれをまた応援する形でございますので、実際施設に行く金額はこの倍の一億八千万になることを申し上げておきたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、農協の場合は、農林中金等からの融資の幅があるという点は、私は率直にいって、他の医療機関よりもその面の応援体制というものは、かなり安定したものを持っているというふうに思っておりまして、個々の赤字の問題の検討ということになりますと、それぞれの要素が加わるわけでございます。  ただこの際、人件費の占める割合というものは、確かに一つの病院経営の上で重要な要素になりますが、国立の場合は六一%ぐらいを占めるような実態になってきておりますが、農協の場合は四十七年度の実態としては四四%、前年の四一よりは上がっておりますけれども、四四%の人件費比率で病院を運営しているというのは、私は見方はいろいろあろうと思いますけれども、ある観点から見れば、非常な企業努力を農協はしておられるというふうな一面も見れるというふうに思うわけでございます。
  56. 川俣健二郎

    川俣委員 いま非常に大事なことに触れたので言うのだが、これからちょっと厚生大臣伺いたいのは、結局農林省は融資ということでまず大体終始しています。あと厚生省にこれだけのものをお願いするということで終わる。ところがお願いという線の金額じゃない、この金額は。そうしますと、医務関係の所管としては、こう言っては悪いが、提案もされないのにこちらからというわけにいかない。自治体病院はまだ交付税というのは——これにも問題かありますよ。これがいいというわけじゃないのだが、そこで厚生連という病院は、うしろの農林省の方がお答えしておったが農業者あるいは一部の地域住民、こう言うけれども、そうじゃない。いま比率は四分六で、六分のほうが農業に関係のない、間接的な出資もしない人がこの組合病院に世話になっておる。そこで、地域の医療機関の中心になっておるこの公的医療機関、その中の厚生連という病院のかなりの重大な使命があるだけに、厚生連の性格づけを変えていくという態勢がぽつぽつ出てきた。農林省は金を貸すからやれ、それから厚生省は、農林省から頼まれれば九千万、倍加えて一億八千万県から出る、赤字は十一億三千五百万、こういう状態なんです。  そこで、全国で百十八ある厚生連、公的医療機関として地域医療機関の中核になるこの厚生連、これに対して厚生省が積極的に相談に応ずるという機運になっていると思うのですが、どうなんですかな、大臣
  57. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 お述べになりましたように、最近の厚生連の病院は、農協の組合員ばかりではなくて一般地域住民の診療にも当たる。ですから、農村地帯における基幹的な診療機関として十分な活動をしているという認識については、私もそうだと思います。したがって、これは農林省の所管でございますが、病院体系から言えば、やはり厚生省としてもこの問題について慎重な、しかも重大な関心を払っていかなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。  そういうわけで、昨年度からでございますか、この日赤、済生会と同じように公的病院として経常費の補助も出そう、こういうふうにしておるわけでございます。自治体病院のほうは、先般来非常にやかましい問題になって、自治省と厚生省と一緒になって共同研究をして、赤字問題あるいはまた今後の運営等の問題について研究しようじゃないかという機運になってやっておるわけでございます。でございますから、農林省から要請があろうがなかろうが、最近の病院が医療機関の体系の中において非常に大きな比重を占めているわけでございますから、今後は厚生省も農林省も積極的に、一緒になって経営の合理化あるいは円滑な運営ができるように協力していかなければならぬのじゃないか。必要に応じては、双方とも寄り合って研究チームをつくってこうした問題の解決に当たる、こういうふうにする必要があるんじゃないか、私はさように考えております。
  58. 川俣健二郎

    川俣委員 協力していかなければならぬじゃないかという遠慮されたような、これは非常に大事だと思うのです。ある意味においては、こんなのは、マンモス農協があれだけ金を持っているんだから、あれを吐き出させてもう少し組合病院のほうに出せばいいじゃないかという考え方もある。  そこで、三団体の中で厚生連の病院が日赤なんかと違うのは、その地域にこの病院しかないということなんです。厚生連のある地域というのはまずこの病院にたよるしかない。公的医療機関でも日赤というのは、ほかにも病院がある都市にある。ところがこの厚生連の病院は、まず新興市になったところの五万前後のところにずっと軒並みあるわけだ。こういうところから三団体を一様に考えられない、地域医療の中核になるんだと思いますよ。国立療養所もそうですよ。国立療養所も非常に役に立っているわけだから、それと同じように厚生連もそういうようなことですから。  大臣、もう少し聞かしてもらいたいのは、お互いに協力しなければならぬということを少し深入りしてもらって、戦争中からの、かつては農業会、組合病院、そしていまは地域全体の医療機関になったこの公的病院、これに対して国として政府としてもう少し強い姿勢が見られないだろうか、どうでしょうか。片や農協というのはマンモス化してかなりの預貯金額がある。それだったらあれにもっと金を出させてやらせるべきでないか、こういう考え方もあると思うから、せっかく緊縮財政の予算の中で厚生関係予算はかなり削減をしないで出つつある。それは客観的に認められると思いますよ。しかし、まだこういうところの手だてをつけなければならない、メスを入れなければならない部面があるものだから、ひとつ農協病院だけはワクをはずして、公のものにしようという機運が出てきたときだ。どうですか大臣。もう少し聞かしてくれませんか。
  59. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 先ほど私お答え申し上げましたように、農協組合員だけの病院ではない実態でございます。現実問題として診療機関の中における重要な地位を私は占めていると思うのです。初めは農協の組合員ということを対象としておったのでございましょうが、いまはだいぶその比重が変わってきた。というわけでございますから、厚生省としても厚生連は農林省のもので——農林省のものであることは確かですが、赤字になれば農協がめんどうを見るのがあたりまえじゃないかといったふうなものだけでもいかぬものがあるわけですね。ですから、公的病院として私どもも経常費等についてある程度の補助もする、こういうことにしておるわけでございますから、今後はもう少し農林省にも話をいたしまして、もっと積極的に、一般診療機関における重要な位置というものの認識の上に立って、相互に虚心たんかいに話し合って努力をしていくということが必要であろう、こういうふうに考えますから、医務局、さらに農林省相談して、相互に研究会をつくるとかそういうやり方をして進めるようにいたしたいと考えております。
  60. 川俣健二郎

    川俣委員 この問題はほかの省との関係がかなりありますから、これは予算委員会その他でさらに質問させてもらいたいのですが、政治的な問題はこれくらいにして、たとえば実質一七・六%引き上げた場合に、四十七年度の収入から見て、この十一億三千五百万がどうなるか、事務局である程度検討しておりますか。
  61. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生一七・六という数字を示されましたが、医療費を上げる仮定に立った試算はちょっとしておりませんので、一七・六で計算しろということで、四十七年度の農協の実績といいますか、診療収入をやってやれないことはありませんが、いますぐはお答えする資料がございませんけれども、間に合い次第お届けいたします。
  62. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ四十七年度の収入、これはまず医療費、診療費と見ていいと思うのですが、厚生連だけでどのくらいの収入になっていますか。
  63. 大坪敏男

    ○大坪説明員 私、手元に持っております全国厚生連の資料によりますと、事業収益は、二十七連合会やっておるのでございますが、合計といたしましては約六百九十二億という金額になっております。これは四十七年度でございます。
  64. 川俣健二郎

    川俣委員 約七百億、これは診療報酬をこの前上げたあとでしょうが、上げる前の四十六年はわかりますか。
  65. 大坪敏男

    ○大坪説明員 同じく全国厚生連のデータによりますと、約五百億になっております。四十六年度でございます。
  66. 川俣健二郎

    川俣委員 そうしますと、また一七・六%になるようだが、課長、あなた大体計算してないかな、どうですか。新聞を見て計算しましたか。
  67. 大坪敏男

    ○大坪説明員 いまの先生の御指摘は、四十六年度と四十七年度と比較した場合でございましょうか。
  68. 川俣健二郎

    川俣委員 私の質問は、結局そこらの赤字——自分が管理している農協の組合病院が赤字でたいへんで大ストライキをぶたれているときに、やはりいまの中医協の動きというものにあなたもっと関心を示さなければだめだよ。そうでしょう。診療費の報酬がどのくらいになれば、どのくらいの赤字が解消になって——だからその管理する根性が農林省にはないと言うんだよ。そうだろう。管理する能力がないのかどうか知らぬけれども、金だけ貸しておけば厚生連いいんだという考え方なら、それは農林省には厚生連を管理する資格はないんだと思うのですが、どうなんでしょうかね。これはいかがです。
  69. 大坪敏男

    ○大坪説明員 四十七年度の資料によります限り、手元の資料を見ますと、事業収入全体で六百九十二億、それに対しまする事業費用が六百八十九億という金額に相なっておりますので、その差額から見ますると、医療費報酬引き上げがどの程度かわかりませんが、かつ上がりましても、それがそっくりそのまま事業収入になるとは思いませんけれども、かなり貢献し得るというように考えております。
  70. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 私のところの資料の、農協の四十七年度の損益計算書から見ますというと、医業収益が入院、外来を含めまして六百十億でございまして、これに一七・六をかけますが、一月実施といたしまして、一、二、三カ月分で計算しますと、二十七億という数字になります。
  71. 川俣健二郎

    川俣委員 しかし、それはこの物価高ではすぐにまたもとへ戻るのですよね。時間があれだからもう一ぺん医務局長に確認するけれども厚生大臣からああいう発言もあったんだが、あなたら、もう少し国立病院だけがおらの病院だという考え方じゃなくて、どうせ農林省は融資するというしかないんだから。あなたにこれだけのものをお願いしますということすら農林省はやってないんだから。いまの九千万の予算じゃ、そうだろう。公的医療機関は中核であり、特にあなたが言うように、五万人以下の人口のところの地域医療としては七割五分を占めておる病院だ。そこの地域住民は、農民であろうが、労働者であろうが、一般の市民であろうが、組合病院、組合病院ということでいまものすごく繁盛しておる。繁盛しておるんだが、繁盛すればするほど赤字になる。この問題は別だ。制度だけつくっておいて、老人医療の無料化だけつくっておいて手だてしないものだから、その病院のいまの内容は老人ホームと同じ形になっておる。だからやはり厚生省は、さっき大臣も言ったけれども、もう少し医療というものを厚生省が全体的に見て、医療の問題はまかせておけ、こういう考え方に立たなければ、一部を直したって、二で割って押し合って、今晩か二十九日か知らぬけれども診療費をきめてみたところで、根本的な手だてにはならないと思う。したがっていまは九千万らしいんだが、こういう形じゃ全然役に立たぬ。九千万じゃ厚生連に対する厚生省のあれというのは全然ないです。そうでしょう。そういうことを考えますと、厚生連に対してさらにどのようにしていくかということの使命感をひとつ医務局長、もう一度大臣のあれを受けて聞かしてくださいよ。
  72. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生から非常に率直に、医務局長は国立病院局長であるというような趣旨の御意見がございまして、私といたしましても確かにそのような面を受け取られることは十分配慮して、わが国全体の医療行政に努力しなければならぬということは、御指摘を待つまでもなく、私の基本的な姿勢として必要だと思うわけでございますが、医務局の中に指導助成課というものが生まれまして、これに厚生連を含めた公的病院等の助成措置、指導に当たらせておるわけでございまして、相当の数の病院から一定の月々の企業的な会計表は月々とれるようになっておりまして、これを統計表にまとめて見ることができるように努力いたしておるわけでございます。  ただ、先生の御指摘のように、今後ともわが国の医療機関をどのようにして機能を高めていくかということはきわめて重要な問題でございますので、われわれとしては四十八年度の二億八千万という数字は、少し大げさに申すと、わが国の医療制度の中の予算としては、金額は少ないけれども、性格的にはきわめて重要な性格を持ったものだというふうに理解し、今後この問題の運営、単なる診療報酬という問題だけじゃなくて、機能的にはやはり必要な地区の病院というものを必要なだけ育て、あるいは機能を持たせていく、その地域計画は、もちろん地域全体の医療計画というものにつながることでございまして、ただ個々にかってに持ちたいというような努力で競合しているという姿を生むことはよろしくないと思いますから、そういう意味で今後のわが国の医療行政では、地域医療計画があって、その中で公的病院の果たす役割り、その機能、そしてそれに対してどういうふうに公的資金を援助していくかということはきわめて重要な問題だと思うのでございます。  現状のわが国の保険制度では、あくまで医療機関の診療報酬の適正であることが基本ではございますけれども、それぞれの公機能的な面で二億八千万というものが生まれ、今後これをどのように運営していくかということは、農協のみならずきわめて重要な問題だと思っております。特に先ほど御指摘の不採算地区の病院は、日赤、済生会は一、二カ所程度でございますが、厚生連は十カ所近い病院を持っておるということは事実でございますし、大臣の御提案がございましたように、今後農林省等とも研究的な会合を持ちまして、今後のあり方については十分検討してまいりたいと思っております。
  73. 川俣健二郎

    川俣委員 終わります。
  74. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 午後は、一時から再開することとして、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後一時四分開議
  75. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。村山富市君。
  76. 村山富市

    ○村山(富)委員 こまかな問題はまた年を越してじっくりやるとしまして、基本的な問題だけについてこの際お尋ねしておきたいと思います。  その一つは、長い間混乱を続けてまいりました中医協も、ようやく正常化のめどができて再開されております。今回、厚生大臣から中医協に対して諮問も出されたと聞いておりますが、それまでの経緯について若干お尋ねをしたいわけであります。  一つは、特別国会における健康保険改正案についての質疑のときに、たまたま中医協の中で、ある委員の発言をたてにとって経済的な圧迫を与えた。言うならば中医協の中における言論の自由が保障されておらない、こういう問題についてお尋ねしたことがあります。その際に大臣は、いまちょうど中医協は収拾をするための努力をしている最中だから答弁はかんべんしてもらいたい、こういうお話もございました。そこで、一応その問題が解決をして再開される運びになっているわけですから、その間の経緯についてお尋ねしたいわけですが、中医協の会長に対する不信任という扱いは一体どう結末をつけたのかということが一つと、もう一つ、言論の自由が保障されておらないという問題についてはどういう結末がついて、今後中医協における言論の自由が保障されるのかどうか、といったような問題についての大臣の見解をお尋ねしたいわけです。
  77. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 長いこと中断をいたしておりました中医協は、先般医師会会長の名において談話が発表され、一切を水に流すということでございまして、不信任の意思表示は撤回された、かように考えまして、私は直ちに諮問をいたしたわけでございます。なお、その後開かれました中医協の総会においても、医師会側の委員は、撤回されたものと考えております、ということをはっきり明言もしておるわけでございますから、中医協は正常な運営が続けられるものと確信をいたしておる次第でございます。  それから言論の自由の問題でありますが、先般の国会においても私はお答え申し上げました。言論の自由は民主政治の基本であります。したがって、言論の自由は保障されるべきものである、かように私は存じておるわけでございまして、先般の中医協の総会においても、一号側、二号側ともに、言論の自由は保障されるべきものであるということについては完全なる合意を見ておるわけでございますから、過去にいろいろありましたことはこの際もうさらりといたしまして、皆さんがそうおっしゃるんですから、皆さんが言論の自由を保障して審議をやりましょう、こういう段階でございますから、私はこれ以上のことをつけ加える必要はない、かように考えております。
  78. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、それは、抽象的にはそういうことが言えますがね。あの当時起こった問題を振り返ってまいりますと、ある委員がある団体に対してきわめて困るような発言をした。それとたてにとって、その委員に対して経済的な圧迫を加える。その委員は困るので辞表を出した。そういう結末のつけ方がやはり今後も続いていきますと、言うならば横やりが通ったようなかっこうです。そうしますと、これからまたそういうことが起こり得るのではないかという懸念を持つのは当然だと思うのです。そこで、そういう懸念はもう持つ必要はないんだ、心配ないんだということを大臣は確信をもって言えるのかどうか、そのことを重ねてお尋ねいたします。
  79. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 過去の済んだことについての批判はいたしませんが、さようなことはない、かように信じております。
  80. 村山富市

    ○村山(富)委員 続いてお尋ねしますが、新聞なんかの報道するところによりますと、近いうちに大臣は中医協に諮問をする。諮問の内容も大体明らかにされております。そこで、大臣が中医協に対して諮問の具体的な内容を提示する前に、医師会の会長に対して了解を求める、こういう手だてをとったのは一体どういう理由なのか、そのことをお伺いします。
  81. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は非公式にはどなたとでも会談をいたしておりますが、一々非公式の会談を申し述べることはできません。しかし、いまあなたがお述べになりましたような、了解を求めるとか、そういう趣旨は絶対どこの場合でもありません。そういうことはありません。私は、自分の名誉のためにも、相手方の名誉のためにも申し上げておきます。  要するに医師会としては、再診料を五点を五十点、その他いろいろな要望を出しておりますから、その御要望の気持ちはどういう気持ちであるかということは、私は、常にどなたにでも関係者に会えば意見を聞いておるわけでございまして、一々お答えをするわけにはまいりません。
  82. 村山富市

    ○村山(富)委員 医師会から今度診療報酬値上げについて、たとえば再診料を上げてくれとかいろいろ出ておりますね。そこで、そういうことで内々に打診をするということはどなたでもします、こう言うのですか。
  83. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は一々そういう意味の打診はいたしません、率などについて、私の言うのは、医師会がいろいろな要望を出されておりますから、その要望意味合いなどについて非公式に御意見を聞く、これは私はあると思うのです。非公式に会っていろいろ要望趣旨を聞くということは私は当然だと思うのです。それは、看護協会でもいろんな意見を出されます。私は会います。それはどういう意味でお出しになるのですかと気持ちを聞きます。ですから、非公式に会いましたことを一々私はいまここで聞かれましてもお答えするわけにはまいりません。こう申し上げておるわけでございます。
  84. 村山富市

    ○村山(富)委員 新聞の報道だけしか私は知りませんからそれで言うんだけれども、あなたは医師会長に面会を申し入れて、そして医療料金の引き上げ幅を一九%にしたい、こう言って打診しているんです。もしあなたがそういう考えでするんならば、たとえば病院連盟も出しているでしょう、いろいろな団体が出しているでしょう。なぜ平等に扱わないのですか。
  85. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 新聞がどのようにお伝えになるか、私はそれは責任を負いません。たとえばきょうの新聞も一九%とかなんとかいうことが出ておりますが、私は私の口から一言もしゃべっておりません。一言もしゃべっておりません。これは私はこの機会にはっきり申し上げますが、私は二十二日の中医協の総会に諮問をいたしたいと考えておりますが、それはまだ具体的に内容を固めておりません。点数をどうするか、再診料をどの程度にするか、御承知のように、診療報酬というのは非常にこまかい点数の積み重ねにでき上がっておるわけでございまして、私の口から、そういう点数を改定をして、その結果総ワクで何ぼになるというようなことを私は一言もしゃべっておりません。そのことだけははっきり申し上げておきます。
  86. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうすると、この新聞の報道はうそですか。間違いですか。はっきりしなさいよ。
  87. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 うそかまことか私は存じませんが、新聞記者の方々はそれぞれの取材活動をされて推測——私をして言わしむるならば推測的記事である、かように考えております。
  88. 村山富市

    ○村山(富)委員 それではここに書いてある上げ幅を一九%にしたいというのは推測記事ですね。あなたが言ったことではないのですね。
  89. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 推測記事と理解をいたしております。
  90. 村山富市

    ○村山(富)委員 それはまたあとで確かめるとして、それでは続いてお尋ねしますが、今度の中医協のごたごたに関連をして医師会長は、この際中医協を解体したらどうか、こういう意見が出されたことが報道されておりました。それに対してあなたは、中医協を改組する必要がある、改組したい、こういう意見が出されております。その改組したいという意見は、中身は一体どういう考えなのか、どういう意味なのか、お尋ねします。
  91. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 いまさだかにそのことばを覚えてはおりませんが、これは誤解があるといけませんから正確に申しますので……。私が談話を発表いたしましてこう申し述べております。国民保険下における医療の経済的基盤に関する総合的諮問機関の構想について新たに検討する必要があると考えている、と私は申し述べております。  すなわち、現在の中医協は、過去のいろいろな実例を見ましても、御承知のように利害の対立があまりにも深刻であり、さらにそれが感情的な対立をすら生みかねない状況にあるわけでございまして、このような姿で、ほんとうに国民にとって重要な診療報酬の決定の諮問機関として適当であろうか、こういう運営でいいであろうか、これは私はいろいろな問題があるごとに頭を悩まし、考えるということは、私は当然だと思います。いまのままでいい、いまのままでいいんだという方もおるかもしれません。しかし、私はこういう姿を見て、重要な診療報酬をきめる諮問機関としていいんだろうか、どうすればいいんだろうかということを私は毎日のように考えておるわけでございます。したがって、ここにも何かしらいい構想がないだろうか、その構想について新たに検討する必要がある、私はそう思っております。  それじゃどんな構想だ。具体的な構想はいまのところ、はっきり申し上げますが、具体的にはありません。この問題はきわめて重要な問題でございますから、軽々しく決定すべき、構想をまとめるべきものではない。広く各方面の意見を聞いて、もし改組するとしても広く意見を求めて慎重にやるべきものであると私は考えております。しかしながら、何かしらいまのようなことでいいんであろうかと反省をし、何かしら考える必要があるということを申し上げているだけでございまして、具体的構想はいま申し述べるまでに至っておりません。
  92. 村山富市

    ○村山(富)委員 いまのようなことでいいんだろうかという考え方に基づいて、何らかの改組をする必要があるんじゃないか、こういう意見ですね。そうすると、いまのようなことでいいんだろうかといういまのようなことというのは、どういうふうにあなたはとられているわけですか。
  93. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 御承知のように、過去十年の歴史を顧みますと、たびたび正常なる運営ができなかったわけであります。これはもうすでに御承知のとおりであります。しかも、運営を私は現にこの目で見ますというと、利害の対立はあまりにもきびしいんです。しかもそれが感情的なものすら生みかねないものもあるわけであります。それを何とか厚生大臣の諮問機関として正常なる運営をぜひお願いしたい、こう言うて私はお願いしているんです。こういう現実の姿、過去十年の歴史の姿というものを頭に描きながら、厚生大臣としては、この重要な診療報酬の決定ということを、国民的コンセンサスの上でほんとうに決定できるような仕組み、これはどうすればいいんだと考えるのは私はあたりまえだと思うんです。そういう意味において検討する必要があると私は考えております。  ですが、じゃどんな構想だ。それは各方面の広い意見を聞いてきめるべきものであって、一厚生大臣が簡単に、こうします、ああしますなんてなことは、これは許されがたいことである、慎重に考えたい、こういうことでございます。したがって、私の頭には具体的にはありません。あんなことでいいんだろうか、もうこれで頭一ぱいなんです。静かに、平穏にやっていただきたい、これだけが私のいまの偽らざる心境でございます。
  94. 村山富市

    ○村山(富)委員 いまあなたは過去のことを言われましたから、歴史を振り返ってみますと、昭和三十六年に改組されていますね。これは構成を変えたわけですね。言うならば、診療報酬にかかわり合いのある支払い側それから診療側それに公益代表、しかも公益代表は国会の承認を必要とする、こういうところまで相当論議を尽くされて、そして三者構成というものをつくり上げた。これはある意味からしますと、客観的に見ますと、私は最も正しい姿ではないかと思うのです、三者構成というのは。そしてそれらの代表が、もちろん立場が違いますから、利害関係も対立するでしょう。しかしその立場からお互いに意見を出し合いながら、そして何らかのコンセンサスを得て結論を出していく、これは私は当然のあり方じゃないかと思うのです。ただ、うまくいかないというのは、構成が悪いんではなくて、その運営を妨害する者がある、あるいは運営の障害をもたらすというような要因がある。そういうものを取り除いていけば、むしろこれは私は正常化すると思うのです。その混乱をさせる片一方を厚生大臣が私はある意味ではやっているのではないか、こういう気がするわけですよ。と申しますのは、さっきから言っておりますように、たとえば言論を取り上げて経済的な圧迫を加えて辞任に追い込む、こういったことを大臣はそのまま承認をする。あるいはまた諮問をする以前に、これはあなたは推察だというけれども、しかし新聞でこう報道されていますとやはりだれでもそう思います。そういう行為がやはりある。これは明らかに中医協を軽視するのではないかということにも通ずると思うのです。そういう中医協に対する扱い方あるいは働きかけ方、そういうものがむしろ逆に中医協の正常な運営に混乱をもたらしている要因ではないのか、私はそう思うのですが、どうですか。
  95. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 いろいろ私の行動に対して御批判をいただきましたが、私はあくまでも診療報酬の決定に当たっての中医協の権威というものを信じております。権威を尊重しながら、公平な態度で私は臨んでおるつもりでおります。
  96. 村山富市

    ○村山(富)委員 これはそれぞれ意見の、見解の違いですから、私はそういう点を指摘をしておきたいと思います。もちろんその改組の構想が出されれば、その際にはまた十分論議を尽くし合いながらやっていきたいと思いますから、これ以上は申し上げません。  そこで続いてお尋ねしますが、いまある中医協の三者構成をいい、こう是認をします。そうした場合に、診療報酬関係をするいろいろな団体がその中医協に参加をして、それぞれの代表がそれぞれの立場からする意見を開陳をするということは、私は当然だと思うのですね。そういう意味からしますと、診療側の代表に病院の代表が入っていないのは一体どういう意味なのか。  これはたとえば今回の診療報酬引き上げをめぐっても、医師会は医師会としての要求を出しているわけです。公私病院連盟は病院連盟としての要求を出しているのです。要求の内容が違うのです。たとえば、医師会は平均四〇%の引き上げをしてもらいたい、こういっておる。病院連盟は三〇%の引き上げをしてもらいたい、こういっている。具体的に要求の内容が違うわけですから、したがって、その持つ内容が中医協に正しく反映されるというのは当然なんで、私は病院連盟の代表というものをこの中医協の委員に加えるべきではないか、こう思うのですが、その点はどうですか。
  97. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は、行政府の長として法律に従って行動をいたしております。法律には病院の代表を入れろとは書いてないのでございます。「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」と法律に明記されておるわけでございます。
  98. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、いま各委員の任命というのはどういう方法でやっていますか。推薦の方式は。
  99. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 ただいま大臣が申しました同じ法律の条文にございますように、関係団体の推薦によって任命いたしております。
  100. 村山富市

    ○村山(富)委員 関係団体の推薦によって委任をしておるわけですね。委嘱ですか。
  101. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 任命です。
  102. 村山富市

    ○村山(富)委員 任命をしておるわけですね。  そうしますと、言われるように、いまのような状態でいいのだろうかという一つの判断の中には、やはり関係する団体の意見が公平に中医協に反映されていくというのはあたりまえだと思うのです。それを法律で医師、歯科医師、薬剤師、こうなっておるからというだけをたてにとって言うのは、これはおかしいんじゃないか。明らかに要求が同一であれば、こんなことは言いませんよ。しかし今回の診療報酬引き上げをめぐっても、医師会か出しておる要求と公私病院連盟が出しておる要求が違うのですから。したがって、違う要求はやはりそれぞれの立場で中医協で反映されていくというのは当然なんで、病院連盟の代表である医師を出せばいいじゃないですか。これは法律に抵触するのですか。
  103. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 中医協に病院代表を入れるかどうかという問題は、実はこれはもう先生も御承知のとおりずいぶん昔からの問題でございます。三十二年でございましたか、新しい診療報酬点数表ができましたときに、それから診療費体系が議論されました際にも、この問題をめぐって中医協は、たしか足かけ四年か五年にわたってその構成が正常を欠いたことがあると思います。   〔山下(徳)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕 その結果、当時の結論といたしまして、関係団体としては日本医師会一本にしぼるということに当時の結論はなっているわけです。現在の段階では、そういう経緯を踏まえて、日本医師会が関係団体として医師を、あるいは歯科医師会が歯科医師を、日本薬剤師会が薬剤師を推薦をいたしております。しかし、いまおっしゃったような病院と診療所とのいろいろな経営の実態と申しますか、そういうものには確かに差があるわけでありますから、日本医師会側から推薦されました方々の中にも病院関係方々がいらっしゃいますし、そういう意味合いでは、現行の法律の規定に基づいて推薦をされ任命された方々は、診療所のみならず病院の関係の実態も十分に反映をし、意見を述べ得る、そういうような形になっているように私どもは理解をいたします。
  104. 村山富市

    ○村山(富)委員 たとえば法律で書いてあるように、大臣が言われましたように、医師、歯科医師、薬剤師、そういう人をもって任命をする、その手続は各団体の推薦によって任命するということですから、したがって各団体というものは、たとえば歯科医師会とか、あるいは薬剤師会とか、あるいは医師会とか、あるいは公私病院連盟とか、そういう団体も含まれるわけでしょう。そうしますと、明らかに要求の内容も違うし、同時に病院連盟も代表を加えてくれ、こういう切実な要求があるわけでしょう。そういうものを背景にして漸次やはり努力をしていくということが、私は中医協の運営を正常化していく要因になるのであって、それが法律に抵触するわけですか、そういうやり方は。
  105. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 これはいま申し上げたようなことでございまして、過去にもそういう経緯があるわけです。そういういろいろな複雑な経緯があって、現在日本医師会が関係団体として医師に関する限りは一本にしぼられて関係団体になっております。  私は、いまおっしゃったようなことが法律に抵触するというところまで言えないと思います。ただ、いま申し上げたようなことで、いろいろな経過があって、現在そういうかっこうになっているということを申し上げたわけです。また、その中で、現実には出てきている委員方々の中に病院の実態も踏まえた方々がいらっしゃるわけでございますから、現在のこういう形で構成をいたしましても、実態にそぐわないようなことにはならないのではないか、こういうふうに思っていることを申し上げたわけでございます。
  106. 村山富市

    ○村山(富)委員 その実態にそぐわないことにならぬ、こういいますけれども、現実に、さっきから申し上げておりますように、今回の診療報酬引き上げをめぐっても医師会が出しておる要求と病院連盟が出しておる要求は違うでしょう。内容が違うのですよ。それは、医師会は四〇%、それから病院連盟は三〇%、こういっておるわけです。なぜ四〇%の要求なのか。なぜ三〇%の要求なのか。それぞれ根拠があって出していると私は思うのですね。そうしますと要求内容が違うわけですから、したがってその内容はやはり中医協の中で十分それぞれ審議をされる。それならば三〇%要求の根拠は今度は何なのかというようなことについても、その意見を代表されるものがやはり必要なのではないだろうか。現に病院連盟ではそういう意味の要求をしているし、たいへん不満に思っています。それはいまの中医協の審議は病院連盟に対する意見に対してそぐわないからそういう不満が出るのでしょう。  私は、いま直ちにここでどうします、こうしますという返事はもらえないかもしれないけれども、やはりこれからそういうものも含めて、十分中医協の運営が大臣が言われるようにうまくいってくれればいい、こういうことになるためには、やはり公平にそれぞれの立場からする意見が反映されていくということが必要なのであって、そういう意味からするならば、そういう病院連盟等の要求も十分検討し、考慮する必要があるのではないか、こう思うのです。
  107. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 今回の診療報酬の改定につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、厚生省が原案を作成して諮問をするというかっこうになるわけでございます。したがって、現在までの段階では、仰せのとおり日本医師会等の三師会からも要望が参っております。また、その他の団体からも要望のあることは私も承知をいたしております。したがいまして、四〇%、三〇%という議論がございましたけれども、問題はどういうような内容の診療報酬の改定を行なうかということでございますから、そういう中において厚生省みずからが原案を作成するわけでございますから、これはいろいろなことを考えながら作成に当たるわけで、私はおっしゃったような御心配はないのではないか、このように考えておる次第でございます。
  108. 村山富市

    ○村山(富)委員 あまりその問題だけにとれませんけれども、心配があるから言っておるのだ。心配があるから言っておるし、現実にやはりその病院連盟等からは強い要望があるわけですよ。御存じでしょう。たとえば病院の代表を中医協の中に加えてくれ、入れてくれという要求があるでしょう。それは、やはりいままでの経過を振り返ってみて、決して正当に意見が反映されておらないと思うからそういう要望が出るわけですよ。したがって、この問題はもうくどくど申し上げませんが、今後、大臣の言われるように改組されるとするならば、どういう改組をされるか知りませんけれども、しかし、むしろ公平に各団体の意見が反映されていくことがうまくいくことになるのだ。したがって、反映されるのにはどういうふうにしていくかということを検討することも、やはりうまくいってもらいたいという一つの方法ですから、そういう意味で十分ひとつ検討を加えてもらいたいと思うのですね。どうですか。
  109. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 要は、この中医協というものが皆保険下で診療報酬の改定をするという非常に重要な任務を持っておるわけでございますから、先ほどの大臣のお話にもありましたように、どういう形であれ、全体の合意の上に立って診療報酬の適正化をはかっていくということでございます。でございますから、とにかくそういう方向で、御意見の点も私どもは十分に踏まえて、厚生省が諮問をする際にはいろいろなことを考える、こういうふうにしたいと思っております。
  110. 村山富市

    ○村山(富)委員 そこで次にまた問題を移しますが、今回、これは新聞の一九%というのは新聞記者が推測で書いた記事だから、これは一度もそんなことを言ったことはない、こう言われますから、何%の諮問をされるか知りませんけれども、かりに一九%の諮問がされて答申をされた。これは明らかに諮問の中には、診療報酬引き上げについてはできれば十二月の末までに出してもらいたい、それからもう一つ賃金物価に対するスライド制は年度内に答申をいただきたい、こういう二つの諮問をしていますね。そうしますと、かりに一九%診療報酬引き上げられたといたしますと、相当健保財政に圧迫を加えていくのではないか、苦しくなるのではないかということが想定されるわけでございます。その際に、いわゆる弾力条項には全然手を触れずにやっていけるのか、あるいは手を触れるのか。触れるとすれば、新聞には四%くらい、〇・四というようなこともいわれておりますが、どういうことになるのか、その点についてお伺いします。
  111. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 かなり大幅な診療報酬の改定が行なわれるということになりますと、昭和四十九年度には政府管掌健康保険で弾力条項の発動につきまして検討せざるを得なくなると思うわけでございます。ただ、どの程度ということになりますと、引き上げ幅がどのくらいになるかだけじゃなく、来年度の財政収支の見通しをどの程度見込んだらいいかということに左右されるわけでございまして、具体的に言いますと来年度のベースアップがどの程度になるか、あるいは今年度の給付の改善によりまして、高額医療費がどのような動きをするかというようなことを推定をいたしましてやらざるを得ないわけでございます。それがいまそういう作業を詰めておる段階で、いまの段階ではどの程度ということは申せない状況でございます。
  112. 村山富市

    ○村山(富)委員 具体的な内容の諮問はいつされるわけですか。
  113. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 前回までの中医協で各側から多少の意見が出ております。それからまた、先ほどのお話にも関連いたしまして要望書というものも関係団体から出ております。そういうことも十分考えまして、できるだけ早い機会に諮問をしたい、このようなことでいま作業を急いでおる段階でございます。
  114. 村山富市

    ○村山(富)委員 要するに十二月末ぐらいまでには、まあ正月休みがありますから、したがって二十八日ぐらいまでですね、それまでに答申をもらわなければならないわけでしょう。で、いつごろ内容について諮問を出すかというのはまだわからぬわけですか。
  115. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 いま作業中でございますが、もうすでに皆さん御承知のように予算編成の内示が二十二日でございます。二十二日に中医協も開かれます。ということであってみれば、その辺に出さなければ責任を全うするゆえんではない、かように考えております。
  116. 村山富市

    ○村山(富)委員 かりに二十二日に出すとしますと、二十二日に出す諮問の中身についてはまだはっきり固まっていないというわけですね。
  117. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 はい、目下作業中でございます。
  118. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、数字的な問題についてはここでやったってしようがないということになりますから何ですけれども、ただ特別国会において健保財政の審議の際にそれぞれこういう答弁をしているわけです。ちょっと申し上げますと、大臣もこう言っているわけです。「給付の改善や診療報酬の改定、そういう場合に、弾力条項を使っていっても二、三年程度じゃないか、こういうような趣旨の御意見のようでございますが、私は二、三年でそうなるとは思いません。二十年も三十年もこのままでいけるかということになると、なかなか私もそれまで安定的にいけるという考えは持っておりませんが、私はやはり相当長期にわたって安定の状態を続け得るのではないか、こういうふうに考えております。」これはもう局長も同じような答弁をしているわけであります。そうしますと、相当長期というのは何年ぐらいになるか知りませんけれども、おそらく今度相当大幅に診療報酬引き上げがあると思うのですよ、まあ何%か知りませんけれども。少なくとも前年よりは大幅になるでしょう。そうしますと、いま答弁がありましたように、もうことし弾力条項を幾らか取りはずさなければ財政がもたない、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、それはどうですか。
  119. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 弾力条項といわれるものの援用は、実は四十九年度以降でしかできないように法律がなっております。  それから前段のお話の、弾力条項によってどれくらい安定をするかということでございますけれども、前回の法律改正の際にお答え申し上げたことを繰り返して申し上げるわけではございませんけれども、今回の改正によって〇・八の幅があるわけでございます。なお〇・八はどの程度動きましても必ずそれに対して国庫補助が〇・八連動してくる、そういう財政的なかなり充実をした裏打ちがあるわけでございます。  一方におきまして、それじゃ来年の春闘等によってどのようなベースアップになるか、あるいはまた医療費の増高というものがどういうことになってくるのか、政策的な改定あるいは自然増というようなことが現在の段階では十分見きわめかねているわけでございます。しかし、これは先般も申し上げましたけれども、政管健保の一番基本になる収入面での標準報酬というものが今回の改正によって二十万まで上へ上がりましたので、こういうことも加味いたしますと、私どもは、従来の四十一年から前回改正まで十万四千円で頭を打ってきた、こういう状態下における財政の非常な硬直化と違って、かなり財政には弾性値があると思うのです。ただ、いろいろな激しい経済変動というようなことも予測されますので、来年度のことは十分われわれは予想できませんけれども、そういうことをいろいろ考えましても、いま申し上げましたような条件を考えますと、私どもはかなりなと申しますか、いまおっしゃいましたような、前回を上回るのじゃないかといわれているようなそういう診療報酬の改定がございましても、一ぺんにそれで弾力を使い切るなんということは絶対ない、相当程度これは持ちこたえられるようなものではなかろうかというあの当時の私どもの考え方は現在も変わっておりません。
  120. 村山富市

    ○村山(富)委員 それじゃしばらく推移を見ましょうかね。  ただ、もう一点それに関連してお尋ねしますが、この年末に引き上げるというような諮問があると仮定します。そしてこの年度内に賃金物価にスライドする制度がとられると仮定しますね。そうしますと、おそらく春にはまた春闘があって賃金が上がる、あるいは人事院勧告が出されるでしょう。いまのような物価の異常な値上がりからしますと、おそらく来年の上期までは相当物価が上がっていくのではないか、こういうことが想定されます。そうしますと、次の診療報酬の改定というのはどういうことになるわけですか。
  121. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 現下の診療報酬改定と、もう一つ、スライド方式の導入について御諮問申し上げておるわけでございますが、第二番目の点は、どういうスライド方式を採用したがいいかどうかということの方式の問題ですね。それを御諮問申し上げるわけでございます。何を何にスライドさしていくか。何を何にスライドさせるかという方式が出たときに、その方式をいつごろからそれじゃ適用するのかというわけですね。そういうこともあわせて、このスライド方式の導入について御意見を承るわけでございますから、その答申が出ませんと、次の診療報酬の改定がいつになるか私は申し上げることができないと思うのです。たとえばそのスライド制の導入が出たときにどんな方式でやるか、問題は方式なんです。そのときに、公務員給与の勧告があったときを時点とせよとか、あるいは一年一回、十二月にやれと言うてくるか、その辺は審議会の御意見を待ってきめる、こういうことでございますから、いま、いつごろやるということは私のほうは全然考えておりません。そのスライド方式の意見が出た時点において考えたいと考えております。
  122. 村山富市

    ○村山(富)委員 その方式がどういうふうにきまっていくか、それは大臣がいま言われたとおりですね。これから審議するわけですから、答申が出るでしょう。ただ、中医協が混乱におちいるような前段の時期において、診療報酬の改定は、これだけ賃金の異動やら物価の値上がりが激しいのだから、毎年一回やってもいい、やるべきだ、こういう意見がありましたね。そうしますと、大体その意見はもうほとんどの人が了解しておるわけです。今度上げるやつは、言うならば四十八年度分を基礎に上げるわけですね。そうしますと、いま私が申し上げましたような前段の意見を踏まえるとするならば、当然四十九年度中にもまた改定はなされるのじゃないかと思うのですが、それはどうですか。
  123. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 でございますから、四十九年の四月初期になるのか秋になるのか、たとえば人事院勧告が出たときに、その時点をつかまえてスライドさしてやってみたらどうかとか、そのやり方の中に出てくると思うのです。ですから、それを待たないと何とも私返事できませんね。春もう一回やるのか秋やるのか、こう言われましても、返事はできません。審議会の御意見を待ってきめたいと思います。
  124. 村山富市

    ○村山(富)委員 春やるのか秋やるのかというのではなくて、四十九年度内にまた診療報酬引き上げは当然問題になりますね、こう言っておるわけです。
  125. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 たぶんそうなるのではないか、かように考えております。
  126. 村山富市

    ○村山(富)委員 残念ながら時間がありませんので、あと一点だけ、その問題に関連してお伺いいたします。  私は、診療報酬中身はやはりいろいろ問題点がたくさんあると思うのですよ。たとえば技術と物とを区別するいわゆる医薬分業というものは五年ぐらいをめどに何とかしたい、こういう方針も出されております。ちなみに、私がいろいろ調べてみますと、かりに昭和四十年を一〇〇とした場合に、四十七年度の指数を比較しますと、診療報酬は一三八上がっております。消費者物価は一四五、賃金は二四六、総医療費は二六四、これは推定ですけれども、上がることになるわけです。そうしますと、これだけの数値を見ますと、診療報酬引き上げに比較して総医療費がうんと上がっているわけです。これは何をあらわすかというと、やはり私は売薬医療であるということをあらわしていると思うのですね。現に、外国の例を調べてみますと、各国の医療費の比較を見ますと、たとえばアメリカの場合には一般医療費が二七・七%、それから病院医療費が五七・七%、薬剤費が一四・六%です。イギリスのごときは病院医療費が七七・八%に対して薬剤費は一一・七%です。一番多いのはフランスですが、フランスでも一般医療費が一九・六%、病院医療費が五〇・九%、薬剤費は二九・六%。こういう諸外国の例と比較をして、日本の場合には、一般医療費が二六・二一%、病院医療費が三〇・五九%、薬剤費が四三・二一%。いかに日本の医療は、医療費の中で薬剤費の占める比率が高いかというのを私はあらわしていると思うのです。これがやっぱりいまの病院経営なり診療報酬なりあるいは医療体系というものを相当ゆがめておるのではないか。こういうものが、たとえばスモン病とかあるいはサリドマイドとか、そういう医薬品から公害が生まれるといった問題まで起こってくるという一つの要因になるのではないか。もっと薬の管理は厳格にする必要がある。同時に、こういう診療報酬のあり方の中身、体系の中身に、いまの医療のあり方をゆがめていく要因もあるのではないかと思いますから、五年をめどに何とか技術と物とを区別してやっていきたいというのなら、もっとこの際に計画的に段階を踏みながら、五年後にはもっと明瞭な形で正常化されていくという方向に持っていく必要があるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  127. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 診療報酬はあくまでも技術料というものを中心に考えていくべきだと思うのです。その意味において、私も今後とも、日本医師会としても、医療分業は五年後ということを目標にしてやろうではないかという声明まで出しておるわけでございますから、私は、やっぱりもう少し年次別に、薬でもうけるなんというようなことのないように、技術料は高く評価し——技術料は高く評価すべきだと思うのです。この日進月歩の医学技術というものはすばらしいものですよ。それにふさわしい報酬をあげる、こういう方向で、私も五年ぐらいをめどとして、診療報酬体系というものを根本的に見直していく。これは私は非常に大事なことだと考えておりまして、まことに同感でございます。
  128. 村山富市

    ○村山(富)委員 それからもう一つは、最近自由診療の範囲がだんだん拡大されていくのです。これはやっぱり診療報酬のあり方に問題があるから、苦しまぎれにそういうことになるのだと思いますが、ただ、一つだけ申し上げますと、特に歯科医師ですね。歯科医師の場合には、第一患者自体が、これは保険が通用するのですか、しないのですかと、全然わかりませんね。ですから、医者によって保険が通用する場合としない場合がある、こういうことがたくさん起こっているわけですよ。私は少なくとも、どういうところまで保険が通用するのだ、これ以外は保険は通用しませんというようなことを患者自体が知る機会をつくる、知ってもらうということが必要ではないかと思うのです。そういう点をもっと周知徹底させるような考え方はありますか。
  129. 北川力夫

    ○北川(力)政府委員 歯科の問題につきましては、いまお話のございましたように、いろいろちまたに御批判がございます。私どもは従来から、そういった問題もございますので、厚生省と日本歯科医師会とが共同で、こういう問題について、診療を行なう側も、また診療を受けます側も、診療の実際というものを正しく理解してもらうために、事あるごとにPRにつとめておりますが、なおいろいろと不十分な点もございますので、こういう問題につきましては、歯科に関する診療報酬の適正化と同時に、診療担当者側及び受診者側に対しまして、さらに十分な指導と啓蒙を行なってまいりたい、このように考えております。
  130. 村山富市

    ○村山(富)委員 ただ医師に指導するだけでなくて、やっぱり患者を含めた大衆がそのことを知る必要があると思うのですよ。知らぬものですから、保険証を持っていったって、いや、これは保険は通用しませんよと言われれば、ああそうですかといって、保険から除外されるということになるわけです。したがって、やはり患者自身もそういう点に対する理解を深めていく必要があると思いますから、そういう点の周知徹底もやっぱりはかってもらいたいと思うのですね。  最後に、カネミの問題について二点だけお尋ねしますが、これはもう時間もございませんから詳しくは申し上げませんけれども、こういう事例があるわけです。  四十三年にカネミの問題が起こりまして、そうして、これはカネミが原因でこういう症状が起こったのではないかというので、医者にかかったわけです。そうしたら、そのお医者が、当時はまだそれほど研究も進んでおりませんでしたから、これは単なる皮膚病かもしれません、しかしカネミ・オイルが原因かもしれぬ、あなたが使った油を保健所に持っていきなさいというので、その油を保健所に持っていったら、いつの間にかその油はなくなってしまった。そして、現実に認定もされないできて、困っているというような人がたくさんあるのですよ。そういう人が、一斉検診を受ける際にぜひとも受けさしてもらいたい、こういう要望がある。これは御存じでしょう、こういう要望があるのは。そういう者はこの一斉検診の中に入れてやるつもりなのかどうか。
  131. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 油症患者の実態の把握につきましては、現在各都道府県を通じまして鋭意努力を続けておるところでございますが、その一斉検診の対象としてカネミ油と関係のあるような人が漏れるというようなことにつきましては、過去においてそういう事例があったということは聞いておりますけれども、今後、各都道府県に十分そういった点につきましては周知徹底いたしまして、御趣旨のような方向で善処いたしたいと思っております。
  132. 村山富市

    ○村山(富)委員 そういう答弁で片づけられると困りますからもっと申し上げますが、来年の一月ですか、一月の下旬に福岡県でやるわけですね、一斉検診を。その場合に、第一は認定患者、第二は認定患者の家族で認定されていない者、第三は疑症患者というものを対象に通知を出しているわけです。ところがこれに入らない者がある。そして、ぜひ検診をしてもらいたいという者があるわけです。そういう者を含めて検診が受けられるのかどうかということが一つ。  それからもう一つ——なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、当時厚生省が認めておりますように、まだ、突発的に起こった病気でそれほど医学も問題をつかんでおらない。だから、その疫学調査をやるときに設けた基準では適用されない部面があった。そこで、そのときに調査をされて、落ちこぼれている者があるわけです。はねられた者がある。しかし、だんだん研究が進むに従ってもっと範囲が広がっていると思うから、その当時調査で落ちこぼれている者も含めて検診をする意思があるかどうか。
  133. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 昨年十月にこの診断基準等の改定を行なっておりまして、いま先生御指摘のような患者さんにつきましても、この新しい診断基準で診断をするように現在取り計らっておるところでございますが、特に先生御指摘の、家族がすべて認定されていて、その家族の中に一人だけ検診を受けられない、こういう事例等につきましては、これは先般出しました通牒の真意が必ずしも十分各都道府県に伝わっていないわけでございまして、その点につきましては各都道府県に連絡をとりまして、そういう人たちが検診の対象からはずれることのないよう処置いたしたいと思います。
  134. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、家族がされておって、されてない者がある、これはまた当然調べる必要がある。そうではなくて、四十三年当時、あなた方が疫学調査の基準を示しました。しかし、その当時の基準は、言うならばきわめて不備なものですから、したがってその基準によって保健所が調査をした。ところが、そのときに基準に該当しないといってはねられた者があるわけですよ。しかし、そのはねられた者の中には、明らかにこれはカネミが原因であるというような患者もおると思われるわけです。したがって、そういう者も含めて一斉検診をやる意思があるかどうかと聞いておるわけです。
  135. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま先生の御指摘のような患者を含めまして、この追跡調査をやる所存でございます。
  136. 村山富市

    ○村山(富)委員 あとまだ問題がありますが、もう時間がありませんからこれで終わります。
  137. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 金子みつ君。
  138. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は短い時間でございますので問題をしぼりたいと思いますが、きょうは国立病院、国立療養所に限りまして、病院サービスとそれから人員の問題について質問をさせていただきたいと思います。  二、三日前の新聞に、写真入りで国立がんセンターの看護婦さんがすわり込みしていました。あの事情もすでに御承知だと思いますけれども、がんセンターというところは厚生省でも特別、定員をよけいに配分していらっしゃることも知っております。しかしがんセンターというところは、普通の一般の国立病院に比べますと非常に重症者が多い。大体、病院の中の三〇%ないし五〇%が重症者になっていますね。それから死亡数も、一般の病院の二倍、三倍、多いところは五倍多いです。国立東京第一病院が死亡率が高いのですけれども、それでもがんセンターの半分になっていますね。それほど死亡率が多い。それで、たいていそういう患者さんは夜急変で死亡しますが、夜中に二回も三回も死後の処置をしなければならないというような状態に置かれているのがいまの現状のようです。それで若い看護婦さんが一晩に三人も死んだ方の遺体をきれいにするなんというようなことは非常に精神的にも苦痛だろうと思うのですけれども、そういう問題が続いているわけですね。  そこへ持ってきて、いまちょうど時期的に十二月から三月にかけては、病院では非常に看護婦さんがやめる時期になっています、一般的に。ですからそういう一般的な事情もございますけれども、がんセンターでは十二月に六名やめるようになっていますが、退職予定になっているそうですが、これがまるまる欠員になるわけですが、欠員不補充という線が出ていて採用できないということで、非常に問題を起こしております。  それから、いま一つ深刻な問題は療養所でございますけれども、特に私は、一昨日国立武蔵療養所の家族会の方々の訪問を受けました。国立武蔵療養所は、国がティーチングセンターとしてユニークな活動をするというふうに期待をして計画をしていらっしゃる施設だと私は了解いたしております。ところが、この療養所で現在欠員が二十一名おります。そして十二月末に十名やめる予定です。三月末に十四名やめる予定になっております。これがみんな欠員不補充になるわけですね。それで療養所では非常手段ということで、この暮れには三十人を臨時に家庭に帰して、そしてあと五十人の患者さんを病棟配置をやり直して、病棟編成がえをして、八十人対象で病棟閉鎖をしなければならないという段階になってきているわけでございます。そしていまでも看護婦さんの夜勤が大体月平均十二、三回になっておりますのが、こういうことになりますと十六回以上になるというので、所長のお考えでは、とても十六回以上看護婦に夜勤させられないから、この正月休みは所長以下お医者さん全部、婦長さんもみんな出てきて夜勤体制につくのだというような状態になっているわけでございます。こんなのは一つ二つの例でございまして、ほかにも病院も療養所も幾つか例があがっております。こういった欠員でその採用ができなくて、どうしたらいいだろうということを非常に問題にしているわけでございますが、私はいま時間の関係で二つだけしか例をあげておりませんけれども、問題だと思いますことは、看護婦が病院の——看護婦だけじゃありませんけれども、いま看護婦に限って例をあげたわけですけれども、定員よりもオーバーしてかりに採用されているという事実があった場合には、たとえ何人か退職者が出ても、これは定員どまりだから、これ以上入れられないという話は非常にわかりやすいのでありますけれども、いただきました資料で拝見いたしますと、国立の療養所のほうは全国で四百二十五名の欠員が出ております。四百二十五名欠員があるにもかかわりませず、その武蔵なんかもそうですが、看護婦の希望者が出てきているのです。希望者が出てきているのにその希望者を採用させることができない。採用してはいけない。これは、私は看護婦不足問題を解消するために厚生省も本来ずっと苦労していらっしゃることを知っておりますけれども、それとたいへんに矛盾して、どうしても説明がつかないという感じがいたします。そこら辺のいきさつを解明していただきたいと思うわけでございます。なぜ欠員だというのに採用ができないのか、ここら辺の理屈がしろうとにはわからない。どうぞひとつ御説明いただきたいと思います。
  139. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生、具体的な病院をあげての御指摘でございますが、最後のお尋ねの締めくくりとして、現在どこの病院でも国立関係について採用のストップをかけておる、採用しない状態があるということは事実でございます。実は、これにつきましては、国立病院、療養所の職員が国家公務員として総定員法のワクで定員がきめられ、それに伴いまして給与の予算があるわけでございまして、いわゆる定員管理、予算管理という全体の立場をとっております。ところがこの行政職の一部の職員に過員、定員をオーバーした状態がござ、まして、われわれのほうで、国立病院、療養所を管理しておる責任の課のほうでこの将来の予測をしましたところ、これ以上採用すると給与の問題、運営全体の問題に大きな問題が発生するということで、ある時点からは採用をとめているということは先ほど申し上げましたように事実でございます。この点につきましては、確かに先生御指摘のように問題のある点でございまして、年度の途中というのはなかなか採用が困難でございますので、一部その年度当初に新卒の養成所を出た看護婦さんを採用して、若干オーバーで出発する場合がございます。そして途中で看護婦さんがおやめになった場合でも、定員が維持できるようにする考え方というものを施設からの希望によりましてある程度認めてまいったわけでございますが、この点の運営上の問題と、もう一点は、これは、はなはだけっこうなことなんですが、看護婦さん自身が例年は、四十七年の例でございますと、病院、療養所合わせまして約二万二千くらいの定員でございますが、そのうち三千五百人が退職しておられます。そういうふうに事実が例年の事実としてあるものですから、ある程度施設はそのようにオーバーして採用をして調節をするというようなことをしてまいりましたこともあるわけでございますけれども、四十八年度になりまして、若干看護婦さんのおやめになる傾向というものが少なくなりまして、私は、全体の問題の上からはどの程度の影響かという具体的な数字を持って御説明する準備はまだできておりませんけれども、そのことも多少作用しておるということでございますが、一番根本は、やはり総定員法等あり、予算管理、定員管理の立場できめられた範囲内で、一部の職員にオーバーした状態があるために、予算執行上ある程度やむを得ずこのような措置をしておりますが、しかし、人件費には定員的な給与のほかに賃金職員としての給与の取り扱いもございます。これはもちろん十分な賃金の単価を予算上は出すことのできない程度でございまして、必ずしも十分なものではございませんが、一部そのような方で一時お話し合いの結果、賃金職員でお入り願い、この点が解除できるような状態になりましたならばすぐ定員で採用する、こういうような方途もぜひとも実施すべきだというふうに考えまして、各地方医務局には予算の若干の配賦はしてございますが、これは個々の例によるものでございます。総体的には先生御指摘のような事実があり、われわれも運営上たいへん申しわけないとは思っておりますけれども、全体の管理上、やむを得ずただいまそのような措置をいたしておりますが、この点はできるだけ努力をいたしまして、定員の範囲内で、病院運営に一番根幹でございます看護婦の採用ができるように努力いたしたいというふうに考えております。
  140. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いまの御説明を伺っておりましたら、新卒を、やめるであろうということを見越してたくさんとってあったのがそのままやめないで残って、それで過員になって、そして欠員になった人が入れられなくなっているということがあるとおっしゃっていらっしゃいました。それだからしかたがないのだという御説明と、いま一つ、ほかの職種がやはりそういうことになって、全体の定員のワクの中でしているからだというお話ですけれども、そうしますとこういうことになりますね。   〔葉梨委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 定員は一応きめられていますけれども、その定員の裏づけになっている予算が総ワクになっていて、その総ワクを自由に使って、そして採用したところにその予算を流して使っていくというふうな形でやっていらっしゃる、たいへん合理的のように聞こえますけれども、事は病院サービスという問題になりますと、一番重要な存在が看護婦でございますが、その定員はあるけれども、看護婦の定員の裏づけの予算をほかへ使ってしまっている、こういうことで、ことばをかえて申しますと、他の職種が看護婦の予算までも食べている、こういうことに聞こえるのですが、それは事実でございますか。
  141. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先生たいへん率直に申されましたけれども、実態としてはそれを否定するものではございませんで、全く総定員の中で、総予算の中で実行しているのに、一部の職種のオーバーがあることによって給与の全体の運営ができなくなっては困るので、非常にやむを得ない処置として全体の新採用というものを一時見合わせて調節をはかって、調節ができましたら、最も重要である、当然どこでも希望しております看護婦の採用をいたしたい、全く先生のおっしゃるとおりでございます。
  142. 金子みつ

    ○金子(み)委員 できてないわけですよ。四百二十五名マイナスなんですから。できましたらとおっしゃいますけれども、いまの話ですとできるはずがないです。  それで、私は大臣お尋ねしたいのですけれども、この総定員法のワクでということはわかります。それから一人一人の定員の裏に予算がついていることもわかりますけれども、定員をプールして使うということも、確かにそういうやり方も合理的でいいのかもしれませんけれども、私は、いまの時点では看護婦不足という問題は緊急の問題だと思うのです。そうだと、看護婦の定員くらい予算の裏づけをつけたままで確保できないのでしょうか。私はそれはやはり強く確保できるようにしていただきたいと思うのですが、大臣、それはいかがでございましょう。ほかへ使われないように……。
  143. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は金子委員のお話を承ってもっともだと思うのです。よそに過員があるために看護婦さんが採用できない。ほんとうに病院サービスというのは看護婦さんがなくてはできないのですね。その意味においては私まことに同感でございます。しかしこういう問題は、私はそれぞれの病院の院長が、管理者なんですから、やはりその管理者がもう少し病院サービスということを頭に入れた人員配置を考えるということであるべきだと思うのです。片方に過員があるのならその過員を——かりに一般のボイラたきだとしますと、そのボイラたきが一人よけいなら、よそでボイラたきがない病院もあるかもしれませんから、そういうことをやはり医務局が国立病院を管理しているのですから、医務局が彼此融通し合って、そしてちゃんと定員どおりにしてそこで看護婦さんは定員どおり入れる。こういうふうにやはり彼此融通し合いながらやるという努力が私は必要だと思うのです。私金子委員のお話を承ってまことに同感だと思うのです。
  144. 金子みつ

    ○金子(み)委員 大臣、同感だと思ってくださるのはありがたいですけれども、それが一つ実現されないのは一つも同感していらっしゃらない。やはり厚生省は国立病院、療養所の所管の省でございますからね。ですから医務局は二とおりの、裏表の看板持っていらっしゃいますけれども、その表か裏か知りませんが、片一方の看板でいきますと国立病院、療養所の責任者でございますから、国立病院、療養所が正しく、円滑に、しかもサービスよく運営されていくということのために何が大事であるかということをしっかり考えていただかないと、国立病院がやはり代表的な病院にならなければならない。日本では病院群では一番大きいのですし、いろいろな意味において国立病院というのは模範的な立場に立たされている位置づけがあると思いますね。それなのにそこを病院長の裁断だけでまかせるなんというのは、大臣ちょっとどうかと私は思われるのですけれども、病院長だけの責任ではできないのじゃないでしょうか、いまの予算の定員の動かし方、予算の流し方は。病院長だけの責任では私はとてもできないと思います。ですからやはりこれは厚生省がしっかり裏づけになる人件費は押えていただいて、ワクをきめて、ひもつけにして、しっかりとよそへ使われないようにするという方針を、ことしはもう間に合わないかもしれませんが、四十九年度の予算の行使のときには、はっきりとそれを打ち出していただくだけの決意をしていただけないものでしょうか。
  145. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 それは病院の中だけで操作するならば病院長の責任だと私は申し上げているのですが、病院間の彼此融通ということなら医務局長ですから、医務局長は先ほど来の深刻なお話を聞いておりますから、来年はちゃんとそういうことをおやりになると確信をいたします。
  146. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 大臣のおっしゃる趣旨は、この病院の責任管理上、確かにわれわれは職員の採用にしても、ある職種以下は病院でできるような仕組みにしてございます。そういうことでございますが、先ほど来御説明しましたように、たいへん残念ではございますが、ことしは諸般の事情で予算の執行上、ある程度個々の病院の実情を整理する前の段階として全体としての管理上、定員管理、予算管理上ストップをかけざるを得なかった。日常的には大臣のおっしゃるように、病院の管理運営をできるだけ院長の判断でできるように予算執行上は考えております。しかしながら、いま金子先生から御提案といいますか、御要望のございました看護婦だけを国家公務員としての一つ組織である国立病院特別会計、国立療養所特別会計の予算の執行上、別ワクの予算という仕組みを考えることはこれはできないことでございまして、われわれとしては先生の御趣旨を十分踏まえて、いわゆる過員の方々に対しても御協力願い、過員だからといってすぐもうやめてもらうということはわれわれとしてはやらない方針でございますから、したがって、十分それぞれのお立場も考えながらこの問題を処理して、そうして看護婦さんの採用ができるように努力するというのがわれわれの基本の方針でございまして、予算上別ワクにとれという気持ちに近い形でもって、できるだけ看護婦を重点的に充足できる努力予算全体のワク内でいたしたい、こういうことでございます。
  147. 金子みつ

    ○金子(み)委員 御説明わかりましたけれども、それでは世間はやはりどう考えても納得できないですね。ですから、私はいつまでもいつまでも看護婦だけを予算のワク以外にしろと申し上げているのではなくて、看護婦不足という問題が社会問題になっているこの時点において、この何年間かしばらくの間、充足できるまでの間はそれをやってみる決意をお持ちにならないかということを申し上げたんですけれども、こればかりかけていますと時間かかってあれですので、気持がわかりましたから、たいへん残念ですけれども大臣どうかひとつ局長におまかせにならないで、大臣がそれを大蔵省と、きょうは大蔵省お見えになっていらっしゃいません。ですから、大蔵省と厳重に交渉していただきたい。長いことを私は要求しているわけでございませんので、その点をお含みいただきたいと思います。  続けてお尋ねさせていただきます。  社会保障五カ年計画の中の看護婦の関係で、特に国病、国療の性格なんですけれども、時間がたいへん短くなってまいりましたので——どういう御計画があるかということをいただいております。いただいておりますのを拝見いたしましたら、五カ年計画の中でいわゆる二・八体制というのは完成しないですね。この計画でございますと六〇%しか完成しませんね。六〇%しか完成しないのですが、それで国立病院、療養所をお持ちの厚生省のお立場としては、二・八体制を守って進めていっているんだということをおっしゃるおつもりなのでございましょうか。   〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
  148. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 二・八体制というのは、先生御存じのように、勤務の労働条件あるいは病棟の管理条件としての二人夜勤、八日以内ということでございます。この点につきましては、現状は国立病院が病棟単位に四五%が二人夜勤で八日という部分が九日以上になっております。それから、先生の六〇%しか達成できないだろうということは、実は五カ年計画を五十三年までで考えましても、実際に五十二年、五十三年に出てくる看護婦さんの養成計画の増はそれより三年前が中心になるわけでございます。したがいまして、ただいま四十八年に入学した方が実際に活動の場に出るのは五十一年あるいは進学課程によっては五十年ということでございます。そういう意味から私たちは四十九年、五十年の看護婦養成計画というものがきわめて重要な課題になるというふうに思っております。私は、従来、考え方としてはできるだけ早い機会に八〇まで持っていきたいということを先生にもお答えしたことがあると思いますけれども、先生の六〇という御指摘については、私最近いろいろ——常に看護婦というものがそのときにほしいと思っても、三年前にその施設ができていなければそれが出てこないのだという事実とあわせますと、われわれの計画が先生の六〇%という御指摘にむしろ近いものではないかという感触を得ております。したがって、この問題については、われわれとしては、国立病院、療養所の計画としては五年ぐらいで七〇%ぐらいに病院のほうは持っていきたい。療養所のほうは現在三三、重心の病棟を入れますと四五でございますけれども、これを、三三のほうを五〇程度に持っていきたい、こういうような計画でおりますけれども、養成の看護婦の確保の側から見ますと、非常にむずかしい問題があるというふうに考えております。
  149. 金子みつ

    ○金子(み)委員 とにかく五年では仕上がらないということは事実だということはわかりました。私も五年で全部これを仕上げなければならないというふうに考えたらむずかしいということはわかります。ですから、逐年的に伸ばしていっていただくということはわかるわけでございますけれども、五年先また五年かかるのではないだろうかという不安は確かに残るわけですね。というのは、この前に四十五年から三年計画でお立てになりましたのが、結果として計画の半分しか人数は入っていなかったわけですね。これでも、五カ年計画をお立てになっても、三千二百名を書いてありますが、三千二百名の半分しか入らないのではないだろうかという心配があります。ですから五年は十年となり十年は二十年となるといったことで、一体いつになったらば解決するのだろうということが非常に不安ですし、問題になると思いますので申し上げたのでございますが、おわかりになっていらっしゃるようでございますから、この問題はここで終わらせます。どうか御計画どおりに進めていただけますように御尽力願いたいと存じます。  続けて一つお尋ねでございますが、病院サービスというのはいろいろございますかもしれませんが、端的に申しますれば、一人の患者が健康を回復するために何がどれだけ必要かということがきめられて病院経営が行なわれるべきだ、これが基本だと思うわけですね。何がどれだけというのは、人と物と金の問題だと思うのです。それで、この中でも一番大事なのは、私は人だと思うのです。幾ら物があっても、幾ら金があっても、人がいなければサービスになりませんから、人が一番重要だと思いますが、この人のことなんですけれども、資料をいただきましたものの中から見ましたら、国立病院ではベッド一つに対して、国立病院に勤務している全職員、これはパートの人は数えないで専任職員、定員職員ですね、との人たちの比率が一九七三年は〇・六一なんです。そういうふうにいただいてあります。それから医療施設調査の日本の全病院では、非常勤を除きますと〇・五九です。ですから、国立のほうがややよろしい状態にあるということはいえるかと思いますけれども、同じような問題を、同じ国立の病院である文部省所管の大学医学部付属病院で調べてみましたところが、これはベッド当たり〇・九七です。ですから一ですね。それぐらいの人がいるということがわかったわけでございまして、ここに一つ疑問が出たのです。なぜ文部省所管の病院のほうはこれだけ定員があって、厚生省所管の病院のほうは定員が半分ぐらいしかないのかしら、ここら辺の疑問を解いていただきたいと思いますことと、いま一つ参考までに申し上げてみますならば、諸外国の例を引いてみますと、一番多いのがアメリカで、最低で二・一五でございます。多いところは六になります。それからイギリスは一・六〇、それから西ドイツが〇・八〇という数字でございます。こういうようなことから考えてみても、日本の病院サービスというのは非常に貧弱だということがいえると思うのでございます。  最後に残った疑問は、なぜ文部省所管と厚生省所管がこんなに違いがあるのだろうかという疑問ですが、これは厚生省がお答えになる問題でないかもしれませんが、どのように考えていらっしゃるかということを御説明いただけますでしょうか。こういうことじゃなかろうかというようなことがもしありましたらどうぞ。
  150. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 的確なお答えになるかどうかわかりませんが、私が承知いたしております範囲では、まず文部省の病院の大宗をなします看護婦の定員は、教育研究機能ということで、大体一般病院の国立の定員的な考え方より三割ないし四割多くしてあるということを承知いたしております。それから医師の数につきましても、定員的な面と、研究生のような形といろいろございますけれども、もちろんそういう比較になる定員的な範囲でも若干多い。それからレントゲン技師その他についても、やはり文部省の教育機能ということで総括的にいえばお答えになるというふうに思っておりますし、また実態だと思います。
  151. 金子みつ

    ○金子(み)委員 わかりました。  そういたしますと、厚生省のほうでも、たとえば国立東京第一病院であるとかあるいは国立武蔵療養所であるとか、そういったいわゆる一流の第一位に位するようなところは、教育研究機関としてこれから運営していくという方針がおありのように伺っておりますが、そういう施設には、やはり文部省側のほうで扱っておりますように、定員をふやすというような体制をおとりになりませんと、私は運営はむずかしいのではないかと思います。東京第一病院が半分しかベッドを使ってないということになりますと、教育研究施設だということにはならないと思うのですが、そこら辺は今後ぜひがんばっていただかなければならないことだと考えております。  時間がございませんので先を急がせていただきますが、行管の方がいらっしゃっていましたら、行管の方にお尋ねしたいのです。  いまたいへん急いで飛ばし飛ばし話をいたしましたので、十分理解していただけたかどうかわかりませんけれども、看護婦の充足計画が五カ年たった後でも六〇%があぶないぐらいだというような状態ですね。いま局長御説明になりました。それがへたをすると、十年延びるのじゃないかという心配もあるというふうにいま申し上げたわけでございます。そういう状態があるし、それから全職員のよその国との比較におきましても、病院サービスに対する病院職員の定数というものが非常に貧弱だということもわかっていただけたかと思うのでございますが、こういうような状態にいま置かれているというときに、さらにまた定員削減をするなどということが、実際問題として行なわれているということは、実に矛盾もはなはだしいと思いますし、理屈が合わないと思うのでございますけれども、これ以上定員削減がもし行なわれるようなことになりますと、いま第二次削減の途中でございますね。もう一年あります。来年もう一ぺん削減される予定がありますね。この四十八年はしかたがなかったとしても、四十九年度に削減しようと思っていらっしゃる、その削減の問題を病院に関してとめていただけないでしょうか。  というのは、なぜかと申しますと、病院の人も削減されたら、またこれ以上悪い状態になりますね。これ以上悪い状態になったら、だれが一番困るかといえば、患者にしわ寄せがくるのです。だから、患者さんは痛くてもがまんしてもらわなければならないし、トイレしたくてもがまんして待っていなければならない。いま、たくさんの患者さんの声をいただいて持っていますが、時間がございませんので、一つ一つ読み上げられませんけれども、夜中にブザーを鳴らしても返事がない。だれも来てくれない。こういうことが非常に多いわけです。夜中の看護婦さんの数をふやして、もっと安心させてくれ、非常に不安だという声が非常にあるわけです。そんなのを言い出せば、幾つも幾つもここに出てきております。たくさんございますけれども、時間がございませんので申し上げられません。あとでまた読んでいただけばよいと思いますが、そういう状態にあるときに、来年度に定員を削減しようなんということは、ぜひここで思いとどまっていただきたいのですけれども、その辺はいかがでございましょう。来年度四十九年度の病院に関して。
  152. 門田英郎

    ○門田説明員 先生御案内のとおりかと存じますけれども、定員削減、計画削減といいますものは、行政需要の消長というものに対応いたしまして、政府全体といたしましての定員の弾力的な管理をはかるということのために行なっているわけでございます。その削減目標数を定めるにあたりましては、行政運営の合理化という見地からも、定員削減の難易につきまして十分配慮すべきものというふうに心得ております。  このような観点に立ちまして、従来から、定員削減の目標数を定めます際に、先生御指摘のように、医療関係職員特に看護婦につきましては、その職務の特殊性ということがございます。そのあたりに着目いたしまして、格別の配慮を加えてきているところでございます。ではございますが、総定員の縮減をはかりながら、かつ定員配置の合理化推進していかなければならない、こういった定員管理の基本方針から考えますと、看護婦さんはじめ医療関係職員の方のみを定員削減の目標数の算出基礎から除外することはやはりできない、かように考えているわけでございます。  なお、定員削減の各部局別の配分、これは各省庁のほうにおゆだねしているところでございますが、厚生省の場合、厚生省の国立医療機関、病院、療養所の看護婦さんにつきましては、定員削減計画が始まりました昭和四十四年以降昭和四十八年を含めまして五年間、定員削減による減員は全く行なっておりません。一方、政府といたしましても、新規の業務量の増加というものに対応いたしまして、積極的にこれに対処することといたしておりまして、昭和四十四年度以降昭和四十八年度まで、この五年間に全体として四千七十二人という増員を行なってきているところでございます。
  153. 金子みつ

    ○金子(み)委員 よくわかりました。そのことはわかっているのです。ただ、それはきまりだからそうやっていらっしゃるんだということも私わかるのです。ですから、そのきまりを、この際非常時だからしばらくの間できないかと、先ほど厚生省にも私は申し上げたとおりなんです。看護婦については削減していないとおっしゃいました。厚生大臣にもお聞きして、確かにそれはしないとおっしゃっていただいたのですが、いまお聞きのように、看護婦や看護助手の定員の削減をかりにしないとしても、そのほかの職種のために食われてしまっていれば、結論としては同じことなんですよ。  ですから、そういうことがあるのは病院全体の定員を相手にしなければ解決はできないと考えましたから、病院の職員の定員削減をこの際一、二年押えてくれないか、せめて来年度だけでも押えられないかということを申し上げたわけなんです。だから、できないということは初めからお答えになると思いました。そういうことになっているのですから。ですけれども、そのできないいまの規定でございますか方針を政策転換をして、思い切って、この際病院の患者のために考えを飛躍させていただくことができないかということを申し上げたわけでございました。それはどうでしょう。
  154. 門田英郎

    ○門田説明員 先生もそのあたりおわかりかと存じますけれども、第二次削減計画で三年間の計画というものがすでに定まっております。全体として総定員というワクの中で、政府全体としての弾力的な定員管理を行なっていかなければならないということでございますので、やはりそのあたりはかなり困難かというふうに考えております。
  155. 金子みつ

    ○金子(み)委員 きょうは時間がございませんので、この問題はこれくらいにして保留させていただきます。  最後にひとつ厚生大臣に、けさの新聞でございますけれども、看護婦の給与の引き上げに関して人事院総裁から厚生大臣に申し出がございましたですね。厚生省となさいましては、大臣としては、この問題は率先して最優先でやるとおっしゃっていただいておりますので、私たちはそれを御信頼申し上げて、御期待申し上げているわけなんでございますけれども、この人事院の申し出に対して、どの程度に引き上げることを予算の中へお組み込みになる御予定でいらっしゃいますか。何%ぐらいの御予定ですか。
  156. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 昨日、人事院総裁から、看護婦の給与改善につきまして申し入れがございました。非常にごもっともなことでございますので、目下予算の計数を整理しておりまして、大蔵省に概算追加要求をしよう、こういうことにいたしてございます。
  157. 金子みつ

    ○金子(み)委員 どの程度ということは教えていただけませんですか。
  158. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 新聞等に、人事院のほうと厚生省のほうと、両方記者クラブにこのきのうの事実をお伝えしたのでございますが、一部人事院のほうの担当の局長は、幅はある程度、確定しないで幅で何かお答えがあったようでございまして、けさほどの各新聞には、多少の具体的な数字で、幅で出ております。われわれといたしましては、財源の問題もあることでございますから、一応お願いをしても、それが財源的にかなり大蔵省の判断があると思います。そしてその上に一般公務員とのまた補正的な、例年あることでございますから、大蔵省がどう判断されますか、四十九年度の当初予算に盛り込んでおく分と、あるいは補正を考えて盛り込んでおくのか、初めから財源的に許されればある一定の幅でお考えになるのか、この具体的な数字については、われわれが人事院からお聞きしているところでは、年度が明けてから正式に内閣、政府に勧告をしたい、このときに具体的な数字が出されると思います。したがって、予算の編成という時期と正式に勧告される時期とがずれているために、予算措置の財源を先に用意しておいてもらうのが適当であろうという判断で人事院総裁が厚生大臣にお会いになった、こういうふうに理解しておるわけでございまして、このような例は過去にも、教員の超過勤務か何かを手当か何かに切りかえるときにそのような事例があったと聞いておりますが、比較的人事院としては例の少ないことではございますけれども、財源的にやはり特別配慮を必要とするという判断からそのように御要望があったものと理解いたしております。
  159. 金子みつ

    ○金子(み)委員 これで終わりますが、人事院の申し入れは御承知だと思いますけれども、人材確保法案に基づく教員の給与が上げられることが今度きまると思います。それで、私どもは教員の給与の引き上げと看護婦の給与の引き上げとは何の関係もないということで、これはそれに伴っていかなければならないという考え方はいたしておりませんけれども、人事院はどうしてもそれに固執なさるわけです。それで、もしそれに固執なさるのならば、今度あちらは法律で一〇%上がるようになっています。ですから厚生大臣にお願いしておきたいことは、最低一〇%、一〇%よりも下がってはならないということを強硬に申し入れしていただきたい。私どもは希望といたしましては、一五%はなければ話の筋が合わないような給与のいまの体系でございますから、それを要求したいと思いますが、そして年度内、四十九年度の予算は当然ですけれども、四十八年度に第二次勧告はあるということだったのですから、四十八年度のせめて終わりでも一カ月でも補正で入っていかなければ意味がない、約束された意味はないと思って考えておりますので、それを厚生省からも強く要望していただきたいことを厚生大臣にお願いしたいのですけれども、いかがでございましょう。
  160. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 看護婦の給与の改善につきましては最大の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  161. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ありがとうございました。終わります。
  162. 野原正勝

    野原委員長 石母田達君。
  163. 石母田達

    ○石母田委員 私はきょう、いま深刻な状態になっております公衆浴場業の問題について質問したいと思います。  御承知のようにいま石油の問題で、特に公衆浴場業の皆さんが非常に大きな打撃を受けておられるわけであります。そうでなくても最近の公衆浴場は自家ぶろの増大に伴いまして、漸減の状況の中で今回の問題が起きたわけであります。そのために重油がたけなくなる。つまり燃料がなくなるという状況の中で時間を制限する、あるいは昨日も、私の横浜では五軒ほど休業いたしまして、そのためにかなりの方々が大きな不便をなさっているわけであります。特に去る十二月十六日、東京の品川区で、私どもの住んでいる横浜の神奈川区の星野湯という公衆浴場の経営主がビルから飛びおりて自殺をしたことは新聞で御承知のとおりだと思います。この星野湯というのは、私も行ってみましたけれども昭和十二年ごろから三十五年ぐらい続けていた浴場でありまして、かなり古い浴場であったわけです。この星野さんが、警察の調べやあるいは御遺族のお話によりますと、もうふろ屋はだめになったというような問題で、転廃業の問題についていろいろ話し合った最中での自殺ということでございまして、今回のこのような燃料問題も含めてのショックというようなものが関係しているというふうに私は考えるわけであります。このような深刻な事態、特に公衆浴場という国民の健康、保健衛生上きわめて重要な公共的な性格を持つ事業においてこうした深刻な事態が相次いで起きているということについて、まず私は厚生大臣に、どのような責任と見解を持っておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  164. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 今回の石油危機の問題が発生いたしましてから、実は私も厚生省の中で非常に心配しておる問題の一つが公衆浴場の問題でございます。社会福祉施設に対する燃料の確保、そういうものと相並んで、一般の国民が入るところの、利用するところの公衆浴場、それの燃料を確保する。これは何としてでも確保しなければならぬという強い考えを私は持っておるわけでございます。そういうような観点から、通産省に対しても、今日まで公衆浴場が、まあこういう際でございますから、ある程度の燃料を節約する。これはある程度の燃料は節約していただかなければならぬ面もあると思いますが、必要な量だけは絶対に確保するということだけは必要なことなんだということで、通産大臣にもお話し申し上げております。通産大臣も全く同感だ、今度、県のほうにできまする、すでにできておりまするあっせん所においても、公衆浴場の燃料の確保のために努力するように通牒も出してある、こういうことでございます。今後、今回の石油二法の成立を機といたしまして、さらに一そう通産当局とも連絡をとりながら公衆浴場の燃料確保のために全力を尽くしたい、かように考えております。
  165. 石母田達

    ○石母田委員 私が厚生省の方に聞いたときに、厚生省のほうから、そうした観点から通産省のほうに、クリーニングや浴場その他清掃でしたか、そういう問題について重点確保といいますか、優先確保を頼んだところが、残念ながら公衆浴場の問題は、優先順位といいますか、そういうものからはずれてしまったというような意味の御回答がありましたけれども、このことについては、一体どういう内容であるのか。もう少し具体的にお知らせ願いたいと思います。
  166. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 この優先順位から公衆浴場の燃料である重油がはずされた、こういうことは、あるいは事務的段階の折衝の段階におきましてそういうことがあったかとも思いますけれども、最終的には、この公衆浴場とこれはクリーニングも含まっておるわけでございますが、そういった業種に対します重油等石油製品の確保につきましては、了解を得まして、これが優先順位の上のほうとして取り扱われる結果になっております。
  167. 石母田達

    ○石母田委員 そうしますと、全国公衆浴場業の環境衛生同業組合連合会の方々陳情を私ども受けましたけれども、そのおり、十一月五日、エネルギー庁ですか、通産省から石油連盟に対する通達といいますか、そういう文書で中の順位からはずれておったということで、組合の方が緊急に八日の日に対策を持った。こういうお話を聞きましたけれども、いまのお話ですと、それは事務折衝の段階で起きたかもしれぬけれども、最終的にはそういうことなく最優先に確保される、こういうことになったのでしょうか。その点、もう一度確認しておきます。
  168. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 最終的には、ただいま先生おっしゃいましたように、これが最優先で確保できる、そういう結果になったわけでございますが、ただいま先生御指摘の十一月の五日、八日、そういった時点におきまして、厚生省のほうからも通産省と一緒に石油連盟のほうに、公衆浴場等の石油の確保につきましては要望を出したわけでございます。
  169. 石母田達

    ○石母田委員 いまのは、私がちょっと言い違えたかもしれないが、十二月五日じゃないですか。十一月じゃなくて十二月じゃないですか。
  170. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 十二月です。
  171. 石母田達

    ○石母田委員 そうしますと、そういう最優先確保ということで、いよいよ県のあっせん所へ行くわけですな。きのう私、組合や同業者をたずねますと、もう戦場のような騒ぎなんです。ゆうべの五時までに各業者が申請書といいますか、書いて、そしてどのくらい必要か、どのくらいいまもらっているかということで見ますと、私の見た申請書の中では、まだ今月の必要量の半分しかもらう見込みが立っていないものがたくさんあるわけですね、いまのところでは。こういうものが県のあっせん所へ出して、はたして確保されるだろうかどうかという問題について、非常に危惧の念を抱いているわけですけれども、いま言いました最優先確保という問題は、県のあっせん所ではどういうふうに取り扱われるのか。それに対して、通産、来ていますか。——もう一度言いましょうか、来たばかりですからね。繰り返します。  いま、厚生省のほうから公衆浴場の重油といいますか、燃料確保については、事務段階ではいろいろの過程があったけれども、最終的には最優先確保ということになっておるという御答弁があったわけです。それは県のあっせん所において、それが申請されて、その最優先確保ということが実施されるわけですが、昨日参りましたところが、申請の問題で非常に大騒ぎをしておりまして、はたして申請して、そういう最優先確保ができるものであるかどうかということで、多くの業者が心配しておりましたので、県のあっせん所でこの最優先確保というのは、具体的にどうやって実施されるものであるか、お伺いしたいと思います。
  172. 松村克之

    ○松村説明員 通産省のほうで、石油連盟及び全石商と申しますか、全国石油商業組合連合会、そちらのほうに依頼いたしまして、各県ごとにあっせん所を開設するということをきめまして、十七日からあっせん業務を開始したわけでございます。  それで正確な数字はわかりませんけれども、けさまで私が聞いた感じで申し上げますと、受け付けられました数字ははっきりいたしませんが、内容としては、一番多いものはやはり農林業の需要が一番多いようであります。それから公衆浴場関係も申請があるということを聞いております。  それであっせん所と申しますのは、これは本来の趣旨が、できる限り——一般的に言いますればできる限り本来の流通機構によって供給が公平になされる、公平にといいますか、円滑になされるということが理想でございまして、あっせん所というのは、そこで公平でない、あるいは非常に問題があった場合に、これを緊急に手当てする、こういう趣旨でございますが、現在の段階では、公衆浴場等で非常に困難な面が多いという点は、関係省のほうからもお伺いいたしておりますし、また新聞紙上等でも私ども拝見しておるわけでございます。したがいまして、現在の段階では、あっせん所において、そういう公衆浴場関係を最優先ということばかどうか知りませんが、とにかく優先的に取り扱うという趣旨は、私どももそういうふうに指示いたしております。  ただ、今後の問題といたしまして、公衆浴場といったようなものについて、私どもは石油の販売業界に対して、たとえば公衆浴場といったようなところには優先的に配給——配給といいますか、販売をしなさいという指示はいたしておりますけれども、何らか別個な、そういう組織みたいなものが必要なのかどうか。これはまた厚生省ともよくお話を伺って、われわれとしても検討したい、そういうふうに考えております。
  173. 石母田達

    ○石母田委員 厚生大臣に再びお伺いしたいのですが、全力をあげて必要量に対して確保することをやるということでしたけれども、いまの県のあっせん所に対して、いま通産のほうからそういうお答えがありましたけれども、大体そういう程度でいまの必要量について確保ができるということの見通しはどうでしょうか。
  174. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私もこれは非常に心配をしておるわけでございますが、まあ新聞紙上その他によりましては、ある地域におきまして、そういうなかなか確保もできないといったような例も間々新聞で見るわけでございます。そこで、ある程度の節約ということはこれはお互いにしなければならぬ問題でございますが、営業を続けていくための必要な量を確保するため、通産省当局とも十分連絡をとりながらやってまいる所存でございます。
  175. 石母田達

    ○石母田委員 その際東京都の組合では、この間の行政指導もありまして、いま重油バーナーのほうへどんどん切りかえていたわけですから、そういう意味で組合で共同購入をなさっているわけですね。そういう中で、最近二千四百軒のうち八百軒ほどあった共同組合といいますか、安定供給契約というものを結んでおったところがどんどんふえておる。ところが、割り当てが昨年の十月ですか、その実績で来られるので、ふえた分がそれだけしわ寄せになって、全体としては供給減になってしまうという状況について、これは連合審査のときにも通産省言っておりましたけれども、そういういわゆる機械的な実績ではなくて、必要に応じたところについてはどんどんやるという答えでしたけれども、こうした公衆浴場業の問題についても、いまの東京都のような例の場合でも実績にこだわらず、必要に応じてやるということについて、もう一度通産のほうからお答え願いたいと思います。
  176. 松村克之

    ○松村説明員 先生いま御指摘のお話と非常に似たケースといたしまして、たとえば生活協同組合でございますとか、あるいは団地の自治会、そういったケースがあるわけでございます。これはたとえば昨年一つの団地で、その団地の二〇%なら二〇%の人が自治会で購入していた。ところが、いまのような需給関係になりますと、そういう人がやはり自治会のほうに入りたいといって、非常に飛躍的にその数字がふえるというケースが、団地の自治会あるいは生活協同組合といったようなケースで出てくるわけです。その場合に、私どものほうから申しまして非常にむずかしい問題は、団地なら団地、生協なら生協の方が一つの販売店から昨年購入しておるわけでありますが、ことしもまた購入するという場合に、元売りのほうが昨年実績で流すということで、どうしてもそこにトラブルが起こる。トラブルと申しますか、問題が相当数多く出てきているわけですが、それらの場合には、私どものほうにお話が参りました分についてはこれは個々に御相談をいたしまして、そういった自治会あるいは生協の方がおっしゃるすべての量とはまいりませんけれども、大体考えて御満足のいただけるようなところまで元売りのほうとお話をいたしまして、個々に解決をいたしているわけでございます。したがいまして、いま先生のお話のありましたような点につきましては、これは私どものほう、あるいは通産局あるいは今度のあっせん所のほうに——あっせん所といいますのは、これは玉のあっせんだけではございませんで、そういった苦情の処理といったこともやっておるわけでありますので、そちらのほうにお話しいただければ、できるだけの努力はさしていただきたいと思います。
  177. 石母田達

    ○石母田委員 そうしますと、そういう県のあっせん所で浴場に出される油の種類ですけれども、これは御承知のように、A重油とかB重油とかC重油とかございますけれども、それは種類の申請もあるのですか。それとも、何かこういう油というふうにきまっているんでしょうか。
  178. 松村克之

    ○松村説明員 特に油の種類は、これはたとえばLPGでございますとかガソリンといったものは扱いませんけれども、いま先生のおっしゃったような種類のものは扱っているわけでございます。
  179. 石母田達

    ○石母田委員 昨日いろいろ業者の方から聞きますと、最近値段が非常に上がりまして、四十八年の二月にリットル八円のものが、これはですからドラムかん一本千六百円になるわけですけれども、これが九月には九円、ですからドラムかん千八百円ですね。それから十一月には半月ごとに上がりまして、四十八年の十一月の十日で十円、つまりドラムかん二千円になっている。それから十一月十五日に業者のほうから五円上げてくれ、つまり十五円にしてくれということで、三千円ですね。これは業者のほうと話し合って、東京都では十二月一日から実施しているそうですけれども、こうなりますと、べらぼうにどんどん価格が上がっていく。一方、収入のほうは、先ほど冒頭に申しましたように入浴者がだんだん減ってくるという状況にあるわけです。いろいろこまかい計算を私もし、業者の方にもお願いしてありますけれども、この燃料のこうした値上がりですと、とても経営がやっていけない、こういう状況になったわけです。したがいまして、安い燃料を確実に供給するということが非常に大切な問題になっておりますけれども、この燃料の価格ですね、いまの浴場業が使っている油の値段を、種類別にどのような販売価格——重油の種類か、どこを押えているか知りませんけれども、その点をお答え願いたいと思います。
  180. 松村克之

    ○松村説明員 価格につきましては、御承知のようなOPEC諸国の値上げがなされたわけでございますが、新聞紙上等によりましても、また外電等を見ましても、リビアの入札その他が影響しているのかどうか、イランの輸出が影響しているのかどうか存じませんが、とにかく、一月以降またさらに値上がりをするのではないかというような予測もなされているわけであります。したがいまして、それに比例した値上げということは、これはやはりやむを得ないのではないか。ただそれに伴う便乗的な値上げあるいは非常に公平を欠くような値上げというものは、これは行政的に指導してまいりたいというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  181. 石母田達

    ○石母田委員 いまのところは、そういう価格というものは持っていないわけですか、適当な価格とか。いまどんどん上がっているわけですから、どこで押えるか。たとえば灯油でしたら三百八十円とか、とありますね。そういうものはないのですか。
  182. 松村克之

    ○松村説明員 元売りの仕切りの段階におきましてキロリットル当たり大体五千円から六千円程度、各油種について上がっているということでございます。
  183. 石母田達

    ○石母田委員 もう少し具体的に言ってください。それはA重油ですか、B重油ですか。
  184. 松村克之

    ○松村説明員 いま詳しい数字が手元にございませんが、油種によりまして若干の差がございます。たとえばガソリン等は若干違いますけれども、重油関係でございますと、元売り仕切りの段階で大体五千円程度の値上がりでございます。
  185. 石母田達

    ○石母田委員 元売り仕切りで五千円ないし六千円の値上げですね。  では、時間がございませんので、こういうふうになりますと非常に——先ほど厚生大臣がおっしゃった、いわゆるこの浴場業を守って、国民の保健衛生面を何としても確保していきたいということになりますと、燃料の確保と同時に、その経営を圧迫させないということになりますと、やはり安い価格の油が必要なわけですけれども、そういう点でいまの五千円ないし六千円の値上げ、あるいはもっと実際には下のほうでは上がってくるわけなのですけれども、そういう問題についても、厚生省としてしっかりと監視をして、適切な、安い値段の燃料が確保できるように御努力願いたい、こういうふうに思いますけれども厚生大臣の見解を聞きたいと思います。
  186. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 営業継続に必要な油を確保すること、しかもその油は安いようにと、こういうことでございます。気持ちとしては私もそのとおりだと思いますが、よそは上がっているのに公衆浴場だけこっちを安くするというわけにもいきますまい。そうなってくると、やはり浴場経営の近代化なり合理化なりをはかっていくという問題があると思います。ですから、そういう価格とにらみ合わせながら県を指導してまいるようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それから、まあ値段についてもできるだけ私のほうも厳重なる監視をしまして、それはどのくらい上がるのだか私もよくわかりませんが、安い油が確保されるというその点については、私も気持ちの上では同感でございます。しかし、なかなかそうもいかぬ場合もあろうと思いますから、浴場経営の合理化というふうな問題について県当局を十分指導してまいるようにいたしたい、かように考えております。
  187. 石母田達

    ○石母田委員 最後に、自治省の方、来てますか。——浴場の固定資産税の減免の問題なのですけれども、浴場というのは非常に特殊なところでございますので、ああいうふうに固定資産税が非常に大きな割合を占めるわけですけれども、いま経営が非常に困難なところができているという中で、固定資産税の減免を行なっている自治体もあちこちにできているというところでございます。こうした固定資産税の減免について、特に国としても配慮できるようにしていただきたい。こういう点で自治省の見解を聞きたいと思います。
  188. 川俣芳郎

    川俣説明員 固定資産税につきまして、公衆浴場の最近の経営が非常に困難になってきておるというような事情については、私どももよく承知しておるところでございますけれども、公衆浴場に限りまして一律にいまお話しのように減免をするということは、他の業種との均衡もございましていろいろ問題があろうかというふうに考えております。  ただ、申し上げたいと思いますのは、公衆浴場につきましては、その建物の特殊性にかんがみまして、実は一般の建物よりも耐用年数を短縮して評価をいたすということにいたしております。実は四十八年度でもそれを改正いたしまして、建物の評点数によって違いますけれども、四年ないし七年の耐用年数の短縮を実施いたしたところでございます。  さらに土地についてでございますけれども、私ども調査をいたしましたところでは、大部分の公衆浴場の場合が、全部ではございませんけれども、全部または一部、地方税法、固定資産税上住宅用地に該当される。大体において居住部分が建物のうちの四分の一以上ございますものですから、四分の一以上ありますと、その敷地の二分の一が住宅用地になる。住宅部分が半分以上でございますとその土地の全部が住宅用地になる。こういうことに相なっておるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、実は四十八年度の税制改正におきまして、住宅用地については課税標準を価額の二分の一にいたすという措置をとっておるわけでございます。  さらに四十九年度におきましては、現在私ども鋭意検討いたしておりますけれども、小規模住宅用地につきましては、一般の住宅用地に比してさらに軽減をいたすという方向で検討しておるわけでございます。そうなりますと、その土地にかかります固定資産税については、住宅部分についてさらに軽減がなされるということに相なろうかというふうに考えております。  なお、税法上もちろん減免の規定はございまして、浴場経営者の方の個々の担税力を勘案いたしまして、税負担を求めるということが困難であるという場合におきましては、個々に地方団体において減免の措置が講じられておるところでございますし、また私どもとしても、そういう場合には減免が行なわれるよう指導をいたしておるということでございます。
  189. 石母田達

    ○石母田委員 厚生大臣に。いま言ったような答弁でございますので、私ども聞くところによりますと、厚生省のほうでは、特にこの公衆浴場業の固定資産税の問題についてはいろいろ特別に配慮をしてほしいというような要望も、自治省に対しては出ておるという話も聞いておりますが、ぜひこの点についても、先ほどの観点から格段の御努力を願いたいというふうに思います。
  190. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 まあ、こういう状況になりますと、公衆浴場の経営もこれはなかなかたいへんだと思いますから、そういう面を十分頭に描きながら努力をいたしてまいります。
  191. 石母田達

    ○石母田委員 私の質問はこれで終わりますけれども、今度のこういう悲惨な事件を契機にいたしまして、私もいろいろ調べまして、また陳情の方からもいろいろお伺いしまして、この公衆浴場の問題は、国民の保健衛生上の立場からも非常に重大な問題だ。特に、先ほど燃料の問題もありましたけれども、これは大気汚染の公害問題ともからんでくるということで、その点からも非常にいろいろ検討されなければならぬというようなことで、総合的な立場からのこの問題の検討があります。   〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 そういう点で、ぜひとも各関係当局が一致して、力を合わせてこの問題の深刻な状態を一日も早く克服して、かかる事態が再び起きないようにしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  192. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 田中美智子君。
  193. 田中美智子

    田中(美)委員 非常に短く限られた時間ですので、簡潔に聞きますので、そちらもできるだけ簡潔にお答え願いたいと思います。  この年末からお正月、一月、二月にかけての緊急問題についてだけ質問したいと思います。  まず最初に、先ほどから出ておりました国立病院の看護婦さんの不足、この十月から欠員があっても採用しないというふうな状態がいま非常に緊急な状態になっている。これは一つの例ですけれども、国立療養所の武蔵療養所では看護婦さんが欠員が三十人いる、その上にもう年末には六人ぐらいがやめるというような、そして来年になると十四人がやめたいというようなことを言っている。それでいきますと、三病棟ぐらいは閉鎖しなければならないという状態が来ているわけです。これに対して緊急に何か手を打つという計画があるかないか、簡単にお答え願いたいと思います。
  194. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 先ほど来武蔵の例が引かれてございますけれども、一般的に国立病院で、先ほどお答えしましたように定員のオーバーしている分の関係予算管理上、まあ採用を現在ストップいたしておることは事実でございます。その上、十二月あるいは三月の退職予定者がございますと、実際には四月新卒業者を採用する努力をいたしませんと、その間タイミングによっては閉鎖なりあるいは縮小ということがやむを得ないかもしれません。ただ賃金等で具体的に、実際にはただいま来てくださる方が非常に都会などでも地方でも困難な状態でございますが、予算上は多少準備してございますけれども、その具体的な話し合いになりますというと、この問題がなかなか解決に役立つような状態ではないというふうに思っております。
  195. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、結局いまのところは、緊急対策というのは多少の予算を組んでいるということだけなわけですね。
  196. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 緊急対策というのは、できるだけ早く全体の定員のオーバーを、従来の傾向からいきますというと、だんだん時期を見ておやめになっていただく方があって、それに余裕が出てまいりますれば採用ができる可能性は出てまいりますけれども、そうでないと、いまお答えしましたように、看護婦の場合、緊急的には予算賃金しかございませんので、そういうことになろうと思います。
  197. 田中美智子

    田中(美)委員 いま、オーバー、オーバーと言われましたけれども、看護婦の場合にはオーバーしていないと思うんですね。別の面であると思いますけれども、これは現実に別の面では人が足らない。足らないからあるんであって、決してそれが多過ぎているわけではないと思うわけです。いま出ておりますのは、それとは別に、看護婦が足らないから病棟は閉鎖になるということになっているわけですから、それとくっつけてのお答えというのは非常に納得できない。いま多少の賃金予算を組んでいるというふうに言われましたので、いま看護婦さんを賃金職員として雇う場合の一日の単価は幾らになっておりますでしょうか。
  198. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 本年度の予算上は千六百五十円でございますが、できるだけ高くできるように努力いたしまして、実行上は大体二千円少しぐらいでやっておると思います。
  199. 田中美智子

    田中(美)委員 千六百五十円とか千八百五十円とか、これで人が確保できるとお考えでしょうか。
  200. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 賃金の問題は、私もこれでなかなか来ていただくことは無理だと思います。ただ、時間で計算した給与と、それからその方がもしずっとつとめた場合という、その定員職員の働いておる実態とかね合いますというと、先ほど来問題になります看護婦さん自身の本俸、給与を高めることによってやはりそのバランスをとりませんと、賃金だけが高くなるということは非常にむずかしいことでございますので、やはり根っこの看護婦さんの処遇を高め、同時に賃金の向上をはかりたい、こういうふうに考えております。
  201. 田中美智子

    田中(美)委員 根本的な改革というのは、いまの日本の医療が非常に荒廃しておりますから、総合的にしなければならないことですけれども、私がいま聞いておりますのは緊急問題として言っているわけです。人命にかかわることであるということで言っているわけですね。いま年末の大学の女子の学生のアルバイトでも、ホテルなどでは一日三千三百円出しております。デパートでも二千円をこしております。それが専門職である看護婦さんが二千円足らずで可能であるという考え方は非常に甘いというふうに思うわけですね。もともとの看護婦さんの賃金の値段が安いということはわかっておりますけれども、緊急事態としてこの賃金職員を大幅な賃金で採用していく、そしてあとから看護婦さんの本俸を直していくというふうにしなければ、それを直してからこっちを出すんだ、こんなことをしていったらいつまでたったって緊急対策なんというのはできないと思うのですね。そういう意味で、厚生省は、現在この緊急事態を救うために大幅な賃金を出して看護婦さんを至急雇って、この患者さんたちの命を守るということに決断を持っていただきたいというふうに思います。それについて厚生大臣のおことばをいただきたいと思います。
  202. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 千何百円というのは、これは予算単価でございますから、現実に雇うときはその必要な人を雇い得るような賃金を出す、こういうことにしておるわけでございます。今後ともそういう方向努力いたします。
  203. 田中美智子

    田中(美)委員 それでは、それは十分に努力をして、このきめられた金額でなくて大幅にやっていただきたいと思います。  次に、やはり国立病院のことですけれども、暖房の問題でやはり緊急事態が起きております。これは十一月二十二日に厚生省の医務局長の名前で出しておりますけれども、この中には、石油や電力を節約してほしいという、こういう通達が出ているわけです。この中に、国立病院、国立療養所、そういうものにおいては、患者の人命尊重の立場から一律的な節約は困難だから、その趣旨を十分に……というふうに書いてあるわけです。非常にことばとしてはりっぱなわけですけれども、実際にこれがやられているかどうかという点になりますと、実際にはやられていないところがたくさんある。これは、たとえば石川県の医王園という病院ですけれども、ここでは木造の建物であるわけですからよけいに、食堂などは五度という低さです。ここで患者さんたちが御飯を食べる。病室は零度になっている。こういうようなことについてはどのようにお考えでしょうか。簡単にお願いします。
  204. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 具体的な例示と温度までお示しでございますから、このような状態というものは決して好ましいものではない。で、原則としては国立病院、療養所は特会でございまして、予備費その他の予算の流用等を最大限に利用しまして石油の確保につとめたいというふうに思っておりますが、個々のこのような例示につきましては、至急調査いたしまして、その事情等を調べた上対策は講じたい、こういうふうに思います。
  205. 田中美智子

    田中(美)委員 病院にはそういう当事者能力がないわけですね。病院の院長さんに石油をかついでこいと言っても、これは無理なわけですね。ですから、こういう通達を出すときには、おことばはりっぱですけれども、こういうことばを使うからには、それに対して、石油がちゃんと病院に行くように国のほうが手配をしなければ、結局そこの院長の責任のようになっちゃう。そして、厚生省はこう言っているじゃないかということでは——これはただ一つの例を出したわけです。それではさっそく、個々の状態というものがありますので連絡いたしますから、至急にそういうところには、室内が零度になるなんということは絶対に、きょうからでもとめていただきたいと思います。いま例に出しましたのは医王園ですので、さっそくに調査し、ここの病室が零度になるというようなことは改善していただきたい。ここで働く人たちは、厚生省の通達行政ではないかというようなことを言っていますので、そのようにならないような手配をしていただきたいというふうに思います。厚生大臣からも一言。
  206. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 ちょっとその前に。  責任が院長にあり、職務によっては事務長にございます。それだけの国家公務員としての責任を持たしてございますので、当事者能力なしということは、予算その他の範囲はかなり執行できるようにしてございますから、それを先に使ってなお足りない面について、地方医務局があり本省があって、それのお世話をするわけでございますから、先生のお気持ちとその表現されたこととに私——それだけの責任を持たしてあるという立場からは若干、お答えとしては恐縮ですけれども、しっかりやらせておるつもりでございますし、またしっかりやらせたいというふうに考えます。  そういうことで、予算上も、病院の個々の例につきましては具体的にございます。それと石油のあっせん所ができまして、最近国立のみならず、わが国全体の医療機関に、石油の入手が困難な場合については衛生部の主管課がこれをお世話をいたしまして、そうして通産省にできました石油製品のあっせん相談所にお世話を持ち込むという手順を全部お示ししてございます。社会福祉施設は福祉事務所がこれをお世話をするということで、厚生省はこれを受けまして、その末端の具体的なやり方については指示してございます。
  207. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 国立病院その他については、もう十分に確保できるように、まあ、あなた通達行政なんて言いますけれども、ちゃんと通達しているのです。だからちゃんと、その事務長がそうだと言うなら、医務局が所管なんですから、電話一本よこせば、それはちゃんと差し上げるようにいたします。
  208. 田中美智子

    田中(美)委員 じゃ緊急に、これは一日でもかぜを引くということはあるわけですから、至急病室の温度を高めるように、通達行政だけでなくて具体的にやっていただきたいと思います。  次に年金の問題についてお伺いしたいんですけれども、いま非常に物価高、いろいろな面において、いままででも年金受給者が十二月に支給していただきたいということは、しばしば陳情などで私たちも聞いているわけです。これがことしもまたこの十二月にもらえない。特にことしは物価高や何かによって年末にほしい。特に公務員は〇・三というものは年末にちゃんと出ているわけですね。なぜこの年金受給者だけが十二月にもらえないのか、十二月に支給することはなぜ困難なのか、その点御返事いただきたいと思います。
  209. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 これはもう御承知だと思うのですが、恩給も年金も郵便局を通してみんな差し上げるわけなんです。郵便局は、一月は何、二月は何、十二月は何とちゃんときめているのですよ。ですから、おそらく十二月は拠出年金だと思いますね。それで田中委員お尋ねになるのは無拠出のお話だと思いますが、無拠出は一月に差し上げる、こういうわけなんです。そこで、いまにわかに法律を改正してこれをやりなさいといっても、いま郵便局はできませんよ、実際。ちゃんと順序を立てて計画してやっているのですから。それは気持ちはわかりますよ。それは私もそうしたいですよ。けれども、郵便局だってたいへんですよ、いま年末からお正月にかけて。そこへもってきて、あなた、おっしゃってさあいますぐできる、そうなまやさしいものではない。そこは十分あなたもお考えいただきたいと思います。
  210. 田中美智子

    田中(美)委員 そういう言い方をすれば、永遠に改善はないのです。郵政省に聞きましたら、三年前から厚生省に十二月に払うように、そういうふうに改正したらどうかということは郵政省が言っているのです。こちらがやろうとしないから。いまの段階になったらそれは郵便局はたいへんだということで、いますぐやれといわれたって無理だという現象はいまあるでしょう。それは私でもわかります。しかし、もう郵政省は三年前から厚生省がそうすればやるんだと言っているにもかかわらず、いままでやってこなかったということがこうした緊急事態になって、より年金受給者に対して非常にさびしい思いをさせているということが出てきているわけです。だから言っているわけです。そういう逃げ口上をするということはけしからぬと思います。これを改定する意思があるのかないかはっきりお答え願いたいと思います。
  211. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 郵政当局の責任者から要請があれば十二月にやってあげますなんということは聞いたことございません。
  212. 田中美智子

    田中(美)委員 それでは厚生大臣は、郵政省が言ってこなければやる気がないのですか。
  213. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 こういうものは秩序を立ててやるということが大事なことでございまして、それはやはり郵便局だって限られた定員の中でいろいろな仕事をやっているわけですよ。そういうことを頭に描きながら事務的に配分をしておるのです。しかし私は田中委員の気持ち、わかりますよ。それは十二月にもらいたい、気持ちはよくわかるのです。私もそうしてあげたいです、ほんとう言うと。ところが、現状ではなかなかそうは言うてもたいへんだろう、こういうことで、いますぐにわかにこれを改めることは困難であろう、こう私は本会議でも申し上げました。
  214. 田中美智子

    田中(美)委員 郵便局はたいへんだろうといいましても、みんな年末にもらっているのですよ、ボーナスだって何だって。どうして年金人たちだけが——何も金額をふやせと言っているわけじゃないのです。ですから、事務の手続をちゃんと、厚生省がその気になれば十二月に支払う、また四月の入学期に孫にもちゃんと小づかいをやろうというようなときにまたやるというふうにすればいいのに、いつもその時期をはずして一月、五月、九月というふうな支払い方をしている。それはそれほど大きな仕事、大改革をしなくたってできることだと思うのですよ。そんなに大きな問題じゃない。いますぐことしやるということは困難かもしれません。しかし来年改定するということは、これはそれほど事務量が多くなるわけじゃない、日にちがちょっとずれるだけのことです。それぐらいのことはやったっていいことじゃありませんか、福祉元年だなんて大きなこと言っているわけですから。これはぜひ改定していただきたいというふうに思いますが、厚生大臣は改定する意思があるかどうか。
  215. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は気持ちはよくわかりますと、こう申し上げておるのです。気持ちはよくわかります。しかし、いまにわかにそれをやれと言われても、私はやることはできないと思います。
  216. 田中美智子

    田中(美)委員 気持ちはわかるけれども、やる気はないというわけですね。わかりました。そういう厚生大臣ではたいへん年金受給者がお気の毒だというふうに私は思うわけです。  もう一つ年金の問題でお聞きしたいわけですけれども、それは、障害福祉年金が二級の方たちがいただけるようになったわけです。これはたいへんにそうした厚生省の、まあこれは決断というほどではないかもしれませんけれども、こうした改革を非常に喜んでいるわけですね。一体、これは喜ばせるだけであって、いつから支給していただけるのでしょうか。まだそれはきまっていないのですね。
  217. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 喜ばせるだけなんというものではありません。誠意をもってやるつもりでございます。しかし、実際二級の障害年金を支給いたしますためには、個々人についてちゃんと技術的な審査をしなければなりませんわね、そういうこともありまして、これは実は相当な数なんですよ。実際問題として一月にこれを実施することは事務的にできませんね。私の気持ちとしては一月実施できなければ来年度早々四月からでもやりたい、こういうことで明年度の予算の際に決着をつけたい、こういうふうに考えております。
  218. 田中美智子

    田中(美)委員 そうしますと、これはこの間のときに、参議院で二級障害者に対する障害福祉年金の支給については、昭和四十九年一月を目途として実施するようつとめるという附帯事項がついているわけですね。これは無視をするということですか。
  219. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私ども国会の決議を無視しようなどとはさらさら考えておりません。実はこの決議がありましたために——普通でございますと、これは来年の十月なんです。法律が通りましても、普通みな十月ですよ、改正するのは、あなた方知っているでしょう。しかし、それでは国会の決議の趣旨にも沿わぬだろう。そこで、できるだけ早く準備をして四月実施にこぎつけたい。大急ぎでやっているのでございますから、そうやかましく言うだけではないということをお考えいただきたいと思います。
  220. 田中美智子

    田中(美)委員 参議院の附帯決議を、四月だということは、全く無視したことだと思います。少なくとも一月に出す。それができないならば、もうすぐにでも、二月にでも出すというのが誠意あることであると思うのです。それが普通ならば十月だと——これは参議院の時点で一月ということになっているわけですからね。それを普通ならば十月だというふうな逃げ口上というのは、全く国民生活というものに対する、あなたはよくわかっているわかっていると——わかっているなら、そこに改革すべきことが出てくるのだと思うのですね。口で言うのはただですからね。何でもないことに、幾らでもいいことばを使えますけれども、実際にほんとうにわかっているなら、せめて年金の支給の月を変えることくらいは、郵政省だって変えてできるといっているわけですからね。厚生大臣がやる気があればできる。結果的に結局めんどうなことはやりたくないというふうにしか私としては受けとめられないわけですけれども、いまのようなこうした物価高とたいへんな状態の中で、何とかして少しでも国民のためになるように、せっかくきまった年金というものを至急出していただきたいし、障害福祉年金も至急にやっていただきたい。これを希望して私の質問を終わりたいと思います。
  221. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 寺前巖君。
  222. 寺前巖

    ○寺前委員 お疲れですが、国民みんなが疲れていますので、ひとつよろしくお願いします。  私はきょうは生活保護の問題について聞いてみたいと思います。  いま手元に福岡市の千葉金助さんという方からの手紙をいただいておりますので、私はこれを中心にしてきょうは聞いてみたいと思います。  ちょっと読みましょう。  「私は昭和四十一年十一月二十三日に尿管屈折で入院し、じん臓結核でじん臓摘出。それ迄は沖仲仕で働いていましたが、生活保護の御世話にならざるをえなくなりました。その后、今日にいたるまで身体が思うよう動かず再起して労働することもできません。  従って、妻が失対に昭和四十二年より従事しました。当時子供が三人でしたが、生活保護費は低く実に苦しい生活でした。  現在、子供二人は就職し、あと一人中学三年生の子供が残っています。  妻が失対で働き、うけてくる額は三万二千八十円ですが、勤労控除ということで手元に入るのは八千円と少しです。また、夏・冬の一時金もほとんど認定をされます。  最近、妻は「私は何のために働いているのかわからない。せめて夏・冬に子供に洋服でも買ってやりたいが、それもできない。ほんとうに働きたくない」と口ぐせのように云うようになりました。  生活保護費は、妻の収入をひくと家賃と在宅患者加算をいれても二万六千三百円ですから、親子三人が月に三万四千円余でくらしています。子供が中学三年で、来年は高校をと頭をいためていますが、子供自身「私の家は貧乏だから職業補導所を出て左官にでもなりたい」といっています。  子供に対して私はすまない気持ちで一杯です。  最近、福岡市内では、プロパンガスの爆発事故が次々とおこって、近所の人を含めての死亡事故となっています。私のところでは屋内にボンベを置いている為、燃料屋が消防法違反だといってなかなか配達してくれません。  ボンベを外に出すには一万円ほどかかります。その金をひねりだすには一週間からの断食をしなければなりません。なんとかならないでしょうか。  物価が高くなったため、私の近所の保護をうけているお年寄りたちは最近四、五人が共同炊事をしています。  朝七時頃に集ってきてご飯をつくり、一軒の家でテレビをみて、夜八時頃になって自分の家に帰ってねるのです。  燃料代も電気代も食費も安くなるからです。子供たちは石油ストーブが使えないので、一本十二円の“カイロ灰”なら八時間位はもてるので、頭から毛布をかぶって寒さをしのいでいます。  私の家や私の近所のようなところは全国でも数えきれないくらいあると思います。  ぜひ厚生大臣におとりつぎ下さいましてお助け下さいますよう御願い致します。」  こういう手紙です。  この方は身体障害者福祉法の三級のお方のようです。私はこの手紙を読んでみて幾つかの問題を感じたわけです。時間の許す範囲、大臣にお取り次ぎをしてくださいというのですから、ちょっと聞いてみたいと思います。  その一つは、いまも話が出ていたことですが、このごろ火事がまた大きくなってきました。このごろの火事というのは、きのうの朝日新聞の夕刊じゃございませんが、火事があったアパートの横にプロパンのボンベが置いてある写真が写っていました。このベンベが爆発したらどうなるだろうか。おそろしい事態の爆発というのがこのごろ多いと思います。厚生省、考えてみましても、ことしの春の三月には、十三人の人の命を奪ったあの済生会の八幡病院の事故もありました。福祉施設においてそういうことが起こったら私はたいへんだと思います。病人だけじゃなくして、在宅の身障者や貧困者の皆さん方が、こういう生活の中でほんとうにどういうふうにして、この寒空のもと飢えをしのぎながら、火事にならないように、火事になって命を奪われるようなことになったらたいへんだし、近所の人に迷惑をかけたらもう一つたいへんだ、ほんとうに私は心配でならない、この手紙からもその点はうかがうことができると思うのです。  それで、年末にあたって私はそういうことにならないように総合的に点検を、これらの病院とか福祉施設とかあるいは在宅の障害者の状況とかあるいは貧困者の皆さん方のこういうところに万遺漏ないようにひとつ御調査をいただいて、必要な、やらなければならないことは指示なり通達なり出し、そして、ほんとうに解決しなければならないという事態については乗り出して解決するということで御処理をいただかなかったら、私はこの気持ちは伝えたことにならないんじゃないだろうか。まず最初に、その点についてどのように処置をとられているのか、あるいはとろうとしておられるのか、その点について大臣からお話を承りたいと思います。
  223. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 冬になってまいりましたので私も実はそのことを非常に心配しまして、近ごろ非常に火災事故が多いものですし、犠牲者も相当出ておりますので、先般も医務局長、社会局長等に話をしまして、病院、それから老人ホームその他の社会福祉施設、そういうところで火事などは絶対起こさぬように、たしかことしの八幡の病院のあとに、消防署とよく連絡をとって万遺憾なきを期するように通知を出してあるのですが、もう一回やっぱり見直してもらいたい、こういうことで、つい最近でございますが、そういう老人ホームあるいは病院等において火災が起こらないように、消防署とよく連絡をとりながら点検をするようにという通牒を出したところでございます。おっしゃるとおり、この寒空でそういうことになってはたいへんなことだと思って心配をしております。
  224. 寺前巖

    ○寺前委員 医務局長さんおられますね。医務局長さんも、それから社会局長さんも、いま大臣のおっしゃった点を尊重して、このお手紙をくださった人の気持ちも十分にくみ取る、対処する姿勢を実際上お持ちですね。ちょっと持っていますということだけでけっこうです。
  225. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 大臣のお話もございましたように、こういった社会福祉施設なりの防火防災設備の改善、点検、こういった点を怠りなく行ないまして、不幸な事態が起こることが絶対ないようにしたいと考えております。
  226. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 医療機関につきましては、火災が非常に死亡者等を出すケースが出てまいりましたので、この点につきまして、具体的には後ほど先生にも資料をお届けしたいと思いますが、総点検の結果についての把握ができました。ただ、不十分な点は、確かに先般の国会以来、御指摘の古い施設と新設施設との関連というような問題がございますが、この点については設置の義務はないが、設置が望まれるということで指導した病院数の数字も出ております。後ほどお届けいたしましていろいろ御理解いただきたいと思います。
  227. 寺前巖

    ○寺前委員 社会局長さん、この手紙を出された方の気持ちも十分対処できるようになっているでしょうね。
  228. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 このお手紙の内容の問題、プロパンガスのボンベの問題でございますが、これにつきましては、ただいま実情を調査いたしておりまして、調査の結果に基づいて善処いたします。
  229. 寺前巖

    ○寺前委員 その次に、私はこのお手紙から感じたのは、ちょうど子供さんが中学校の三年生だというのですね。私ももと中学校の教師をやっていたから言うわけじゃございませんが、ちょうど大体今週の月曜日ぐらいが二学期の終了になります。二学期の終了になると、子供さんの親と先生は会って、進学するのか就職するのかそのときに最終的な相談をしてやらなければならないことになるのです。親御さんのほうもどたんばまでゆれるわけです。先生のほうもどたんばまで真剣に話し合わなければならぬ。ちょうどいまその時期に来ている。ちょうど手紙の親御さんもそうだと思うのです。そこで私はここで聞きたいのですが、ほんとに生活保護をとっておられるような貧困者の皆さん方が高等学校へ行ける条件下にあるのだろうか。実態はどうなるのだろうか。私はその点で、一般に中学校を卒業した子はどの程度高等学校教育を受けに行っているのか、生活保護者の場合は一体どの程度なのか、ちょっとその数字をお示しいただきたいと思うのです。
  230. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 高校進学率でございますが、四十四年の調査では、一般世帯が七九・四%被保護世帯が三五・五%、四十七年の調査では、一般世帯が八六・九%、被保護世帯が四二%、こういう数字になっております。
  231. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、貧困者層というのは、理由はともあれ、半分ぐらいしか一般の人よりは進学されていない。一般の人は圧倒的にもう高等学校程度の教育は受けに行っている。社会は大体それが水準になっているのだ。そうすると、たまたま子供さんが貧乏人の家に生まれたら、高等学校程度の教育を受ける条件下にないという事態が客観的な事態である。私は、これはちょっと考えてみなければいけないのじゃないかと思う。高等学校に行ける条件をつくってやるためにどうしたらいいんだろうか、いまの制度のもとのままでいいんだろうか。中学生までの義務教育の期間だったら、教育扶助という制度があります。高等学校の段階になると、その制度生活保護の中にないでしょう。とすると、私は十五の春を泣かすなということじゃないけれども、圧倒的な子供と同じように、貧乏人の家に生まれたからといって、高等学校に行けないということにならないように、生活保護のあり方についても改善すべきところに来ていると思うんですが、いかがなものでしょうか。
  232. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 確かに一般世帯に比べますと、高校進学率が低うございますが、私どもとしては、この生活保護法の被保護世帯の子弟で高校へ行きたいという者は、できるだけ高校進学できるようにしたいということで指導しております。そしてむしろ、そういった子弟が高校へ進学することが、その世帯の自立助長に役立つんだという認識のもとにやっておるわけであります。  ただし、御承知のとおり、教育費につきましては、公費で出るのは義務教育まででございますので、高校以上の学校の教育費は保護費では出ません。そこでそういった教育費につきましては、厚生省の世帯更生資金なりあるいは母子福祉資金あるいは日本育英会の奨学資金、こういったものを活用していただいて、希望がある人はできるだけ高校へ進学するようにしたいということで指導しております。もちろん、そういった高校進学者の生活費は生活保護法のほうでめんどうを見る、こういうたてまえになっております。むしろ最近は、高校へ進学希望されること、高校へ進めさせることがその世帯の自立助長に役立つ、こういう認識で指導しているような次第でございます。
  233. 寺前巖

    ○寺前委員 だからそれだけの制度では、結果的には半分ぐらいの条件にしかなっていないということを数字は如実に示したと思うのです。貧乏人の家に生まれたからといって、子供にそのような状態をつくらさないためには、義務教育までの教育扶助についてはめんどうを見るという体制があるけれども、高等学校の分野にまでめんどうを見る体制を考えなければならぬところへ来ているんではないだろうか、私は考え直さなければならぬじゃないか、見直してもらう必要があるんではないかということを指摘しているのです。いかがです。
  234. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 生活保護法が最低生活の保障であります以上、義務教育まではそれはもう必ず見なければなりませんが、それ以上を扶助費で見るということは制度のたてまえ上、現在、まだそこまでは踏み切りがつかないわけでございます。  そこで、先ほど申しましたように、既存のいろいろな奨学資金の制度というものを活用していただく、こういうふうに指導しているような次第でございます。
  235. 寺前巖

    ○寺前委員 奨学資金ということになると、特定の成績とかそういういろいろな条件も伴うんです。たとえば、未解放部落といわれるときの場合はこうだとか、全部それぞれの条件の中に、そういう奨学金というような制度はできています。だけれども、すべての生活保護者がそういう対象になって保障されるかということになると、そうはなっていないので、したがって、一般の子供たちと同じように、高等学校程度は今日の事態なんだから、あり方については十分いろいろな角度で研究してもらったらいいと思いますが、いずれにしたって、いまの事態を改善するために検討してもらう必要があると私は思うのですが、大臣いかがなものでしょう。
  236. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 それはいろいろ、私は考えがあってしかるべきだと思います。しかし、生活扶助ということになりますと、最低生活の保障ということであってみれば、そこにやはり一定の限界はあるでしょうね。それを中学で引くか高等学校で引くかという問題でしょう。そこで中学校というのは義務教育だ、義務教育ですべての国民入らなければならぬ。そこでまあ一応限界として引いておるわけでございます。これはやはりそれなりの筋だと私は思うのです、高校に入るということは完全なる任意ですから。これは私が申し上げるのではなくて、先生御承知のとおり。しかし、さればといって高校に入るにあたっては、できるだけ国の全体の制度においてはめんどうを見ております、こういうことを言うておるわけですね。生活保護としてそこまでやったがいいかどうか、そこは私は疑問があると思うんですよ。全部が入るなら別ですね、全部が入るなら。だがしかし、最近非常に入学率が高くなったから、こう申しましても、入らぬ子供もおるわけだ。入る子供もあり入らぬ子供もある、一般の世帯においても。ですから、高校まで扶助で見るということがいいかどうか、私はそこにひとつ問題があると思います。  しかし今後のいろいろな問題として、私は先ほどのお手紙聞かされまして、ほんとうにそんなに勤労控除を差っ引くのかなあと思って、いまそばにおる社会局長にそんなに引くのかどうか、実際調べてみてごらんなさい、こう実は言うたんですが、ああ引かれたんではやはり高校まで行く意欲は失うんじゃないかな、こういう私感じしたんです。しかし生活扶助制度として高校まで見るんだ、そこまでなかなか踏み切れるかどうか、私はやはり相当問題はあると思います。しかしあなたのおっしゃることも、私はよく理解ができます。
  237. 寺前巖

    ○寺前委員 もう昔は高等学校といえば、まだ半分以下の人の時代でした。しかしそういう社会の状況と、いまのように九割からの人が——東京の場合はもう九九%近くになっているでしょう、九八%ですか、そういう実情下にあったときに、教育の機会均等ということを考えてやったときに、ぼくは最低生活というものの考え方の中にこの問題は含めて検討してみるべき性質のものだと思うので、これはいま大臣もおっしゃったように、もう一度十分に検討してみてください、時代の変化の中において教育の機会均等という立場から。  それで私はいろいろほかに聞きたいこともあるんですが、私はこの中でもう一つ聞いておきたいことがあるんです。それは、一体今日の社会生活の中で何ぼの食費でもって生活をしているんだろうか、こういうことです。幾らの食費でもって生活しているんだろうか、私、福祉事務所に聞いてみたんです。一体生活保護をもらっている人はどのぐらいの食費の生活をやっているんですかと。年齢によって違います、地域によって違います、働きのぐあいによって違いますと、いろいろお話ありました。まあそれは別として、一体幾らぐらいのお金がこの積算の中に入っているんですかということを聞いてみたら、そこで出てきた話が自給認定というんですか、何かそういう計算方式があるようです。その自給認定表というものを計算してみると、一人当たり一日の食事費が、五十歳から六十歳ぐらいの女の人の場合をちょこちょこと計算してもらった。そうすると大体食事費というのは、二百三十円ぐらいから二百五、六十円ぐらいのところの数字が全部出てくるんですね。そうすると一日三食とすると、三で割ると八十五円までということになるんです。一回八十五円ということで、はたしてこれで最低生活としての栄養を保つことができるんだろうかどうか、一体栄養の面ではどうなるんだろうか、私自身がちょっと疑問に思いました。それで厚生省には国立の栄養研究所もあることだから、栄養研究所に電話をかけてみた。一体、人間生活としての私たちの栄養について、最低どれだけはなければならぬかという基準みたいなものがあるのかと言ったら、ありますというんです。栄養審議会から大臣のところに答申をお出ししております。そうか、それはけっこうなこっちゃ。それじゃその表に基づいてどうなるんだろうかと思って、その表を厚生省の栄養課の方にいただきました。そうすると、三十八年度に大臣に出したのとそれから四十五年ですか、目標設定をして出した最低生活の栄養の数値が出ている。よっしゃ、それじゃちょっと聞きたいけれども、その栄養と八十五円との関係はどういうことになるんか、その栄養目標に八十五円でできる献立があるならば教えてほしいということを言ったんですが、関係方面どこもそんな献立ようつくりませんと、こういうお話なんだ。  局長さん、どうですか。八十五円でその栄養目標を達成することのできる献立表というのが出せますか、出せないんですか。どっちでしょう。
  238. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 生活保護法の最低生活費の算定につきましては、かつてはマーケットバスケット方式というものを採用していた時代もございますし、それからエンゲル方式というのを採用しておった時代もございます。そういったときには、最低生活に必要な飲食物費なり被服費といったようなものを積み上げて最低生活費というものを出しておったわけであります。ところが、昭和四十年以来現在では、格差縮小方式という方式で最低生活費の算定を行なっておりまして、これは簡単にいえば、生活保護世帯と一般世帯の消費水準の格差を是正していこうというやり方であります。すなわち、一般世帯の消費支出の伸び以上に生活保護世帯の基準を伸ばしまして、その結果において、一般世帯と被保護世帯との消費水準の格差を縮めていこう、こういうやり方であります。したがって、現在の生活保護基準の中で飲食物費は幾らというようなものはございません。特定してございません。総体として生活していただく、こういうことになるわけでございます。  先生が言われた、飲食物費の認定基準を取り上げられたわけでありますが、確かに現在飲食物費の認定基準といたしましては、一類経費の七五%というもので認定することにしております。その一類経費の七五%を一食に割ると八十五円になるんだろうと思います。しかし、これは生活保護法の運用上、飲食物費を認定しなければならない場合に一応の基準として設けているということであって、それだけのことでございます。つまり、場合によっては、被保護者に支給する保護費の中から飲食物相当額を控除しなければならぬ場合がある。そのときに幾ら引くかというときの基準として、一類経費の七五%というものを認めているのだ、それだけのことでございます。
  239. 寺前巖

    ○寺前委員 局長さん、それでは逆に聞きますけれども、飲食費は何ぼ要ると見ている。総合で見ているんだというなら、総合の中に飲食代がどのくらいある、総合金額がきまっているんだから。ちょっと局長さん、そんなこといいですよ。福祉事務所へ行って聞いてごらんなさい、どうして計算するか。ちゃんと全部計算方式があるのに、日用品はどういうふうになるとか。食費を削ったらそっちがなくなるだけの話ですよ、総合ですからというようなことを言い出したら。やはり自給認定表というのですか、一応これが食費だということで大体考えますのやと福祉事務所の人、みんな言います。それが実態ですよ。そこをあんなようなことをしたらいかぬですよ。総合的やというたって、総額がきまったら、そこの食費の部分をもっと広げたら、ほかのところが縮まるだけの話なんですから。考え方としてでき上がっているんだから。あなたもいま言うように七五%と言うておったけれども。実際の問題として、一日の費用というのは、自給認定表によると二百三十円くらいから二百五、六十円くらいになって、一食八十五円という計算にならざるを得ないんですと、これはみんなそう言いますよ。それはすなおにそういうふうに書いてないからといってあいまいにするということは、私はよくないと思う。そうすると、八十五円でできる献立というのは一体何だろうか、私は頭をひねらざるを得ぬですよ。栄養審議会が出しているあの基準に基づいて、栄養をとらすためには何ぼの金が要りますと計算したことありますか。
  240. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 したことございません。
  241. 寺前巖

    ○寺前委員 これは重大な問題です。最低生活というのは栄養をとらすということでしょう。栄養審議会は日本人としての最低の生活はこれこれ要るということを片っ方で出しているんでしょう。その栄養を満たすための金は一体何ぼ要るかということを生活保護費の計算の中に入れてあたりまえだと私は思う、ほんとのところ。  私は栄養改善普及会というところへ調べに行ってきました。厚生大臣にお渡ししたところのこれによると、一体何ぼの金が要るか。そうすると単純計算でございますがということでいただいた資料、たとえば女性の五十二歳の人だったら、カロリーとかたん白質やら、単純計算で三百三十一円二十銭が要ります。これは質の問題とか、そういうことは全然関係なし、毎日違ったものを食べるという問題と関係なしです。六十二歳の女性の立場で三百十二円八十銭は最低要ります、ちゃんと計算して真剣に考えている人、おるのですよ。そうすると、さきの自給認定表の金額というのは、二百三十円くらいから二百五、六十円くらいでは、低貧困層は最低の栄養目標をとらなくてもいいのかということを私は疑問に思わざるを得ないのです。ですから、私はもうこれ以上深くは言いませんが、ほんとにこういう生活保護費の中に、栄養がとれる食費を十分に計算に入れたやり方を緊急に検討してみるということは、重大な段階に来ているんじゃないだろうか。これだけ物価が上がる中ではよけい大事だと私は思うのです。どうでしょう。
  242. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 いま先生のおっしゃられる考え方は、まさにエンゲル方式のときにそのやり方で最低生活費というものを算定しておったわけです。現在はその方式をやめまして、先ほど申しましたように、生活保護世帯と一般世帯との間に消費水準の格差がございますので、この格差をできるだけ縮める、つまり一般世帯の消費支出の伸び率以上に生活扶助基準を伸ばしていく、こういう算式をとっているわけであります。したがって、いまの保護費の中身について飲食物費は幾ら、被服費は幾らというようなこまかい積算はしておりません。  そこで先生が言われた八十五円の問題でございますが、これは生活保護法の運用上、飲食物費をどういうふうに認定するかという基準の額でございまして、これは具体例を申しますとわかるのでございますが、たとえば生活保護世帯から入院患者が出た、その場合に同じ世帯の者が病院に住み込みで付き添い看護をする、その場合に病院の管理規則等で病院給食を三食受けるということになるわけです。そうすると、その病院給食につきましては、生活保護法の上でその実費を支給することになっておるのです、その病院給食を受けた分について。しかし、その方の居宅の保護費につきましては、その病院の給食を実費で受けている間は家ではめしを食べてないのでありますから、その居宅の保護費から、その病院で給食を受けて実費を支給された期間の分の飲食物費を差し引かなければならぬ。そういった場合にこの基準で使いますということでございまして、そういう意味のものなんです。したがって、これを八十五円じゃ低いから百円にするとなると、その場合、保護費からよけいに差し引いて、被保護者をかえって苦しめるということになるので、したがって、一応の基準として、そういったような場合に保護費から差し引く基準の額として一応の認定基準を設けている。それが計算してみると八十五円になる。それだけのことでございます。
  243. 寺前巖

    ○寺前委員 それだけのことって、あなたたいへんなことなんだよ。一体、生活保護家庭の栄養をとらすためにはどれだけの金額が必要やということが考えの中に入っていないということが重要だというんだよ、生活する上で。栄養をとらしているのか、とらしていないのかということを考えてみなければいかぬというんだよ、ぼくが言うのは。  そうすると、総合的に金を何ぼ出しているといっているけれども、総合的な金の中で、この全体の中でほんとうに栄養をとらすにふさわしい実態になるのかどうか、研究したこともないんでしょう。調査したこともないんでしょう。だから、ぼくは、調査をしてみて、片一方で栄養審議会で勧告が出ているのだから、その勧告にふさわしい生活保護実態に切りかえるように見直しをやってみる必要があるんじゃないでしょうかと、提起をしているのですよ。へ理屈言っているわけじゃない。百円にしてくれのどうのこうの、そんなこと言うているのと違うの。見直してみる必要あるのと違うか、栄養の角度からも責任を持つというやり方にしなければいけないのじゃないか。  大臣、どうです。
  244. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 先ほど申しましたように、昭和四十年までは、先生のいま言われたように、栄養審議会の答申にかかる基準栄養量をまかなうに足る飲食物を理論的に積み上げまして、それでその飲食物費をもとにしてエンゲル係数から逆算して総生活費を出す、こういうやり方で来たわけです。それだけでは生活保護世帯の生活扶助基準の伸び方が不十分である、国民生活の実態にそぐわないということで、もっとこの保護基準を伸ばす必要があるということから、現在の格差縮小方式に切りかえているわけです。格差縮小方式という方式をとりました以上、あくまで問題となるのは、一般生活世帯との消費水準の格差がどう縮まったかという点に重点があるわけです。したがって、当然それによって、もうエンゲル方式を克服して新しい方式でやっているのでございますから、かつて栄養審議会の答申にございましたような栄養基準量、必要な栄養所要量というものは、その最低生活費でまかなっているという前提でやっている方式でございます。そういった意味合いにおきまして、総体としての生活費を上げるということに全力をあげているのでありまして、その中で飲食物費が幾ら、光熱費が幾ら、被服費が幾らというような積み上げ計算をしてない、こういう意味で申し上げているわけであります。  それから、先ほど先生の言われた一類七五%という経費は、たとえば先ほど自給認定基準と言われたように、農家で野菜などを自給している場合のそれをどう評価するかというような場合の認定基準に使う、こういう趣旨の基準でございます。
  245. 寺前巖

    ○寺前委員 私の聞いていることにやっぱり言わないといかぬ。栄養審議会の基準、これはいい悪いは別よ、しかし、最低生活としてこれだけの栄養をとらないといけませんよと目標を設定してやっているわけでしょう。勧告が出ているわけでしょう。それが、低貧困層、生活保護者の中に定着しているのかどうかということも、検討する必要があるのと違うか、調査をしてみる必要があるのじゃないか。私の積算の方法が違いますから関係ありません、これでは私は、政府としてやるやり方としてはおかしいのではないか。栄養審議会のほうで栄養の面から指摘をしているのだから、その面も検討する必要があるのではないか。そういう面を十分考慮するやり方ということになったら、さきのやり方ではまずいのじゃないか、私はそのことを指摘しているのだ。だから、生活保護者の実態がいまのやり方のもとにおいて、これが栄養を保証するやり方にふさわしいやり方かどうか、検討し直す必要がある。だから調査もし検討もする必要があるということを言っている。  第一、たとえばあなたたち公務員の賃金を決定する場合にも、ちゃんとそのことについては国民栄養調査における食品の摂取状況も参考にして、目標をちゃんと十分参考にして決定をする、こういっているのでしょう。だから、低貧困者の生活をめんどう見るという場合にも、その問題はやっぱり一つの課題にしていくということが必要なんではないか。そんなものつくり方が違うから関係ありませんということでは無責任じゃないですか、私はそのことを言っているの。
  246. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 寺前君、もう約束の時間をだいぶ過ぎているから……。
  247. 寺前巖

    ○寺前委員 それだけなんです。それにちっとも答弁しないから。それ以上何にも言うてない、さっきから。
  248. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 約束は守ってもらわなければ……。
  249. 寺前巖

    ○寺前委員 もう大臣でいいや、言っていることがわからぬらしいから。
  250. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 先生の言われるような趣旨で、かつてエンゲル方式というもので最低生活費をはじいておったわけですね。その場合には、栄養審議会の答申にかかる基準所要栄養量、これを確保するに足る飲食物費というものを積み上げて、それをエンゲル係数から逆算して総生活費を出したというやり方、このやり方を四十年に中央社会福祉審議会の答申で現在の方式に切りかえている。したがって、過去においてそういうエンゲル方式を克服して改めてきたのでございますから、当然そういう栄養審議会の答申にかかる基準栄養量は確保できている、こういう前提に立っての基準である、こういうふうに私どもは考えています。
  251. 寺前巖

    ○寺前委員 もう私は腹が立ってくる。できているとかってに言うているだけの話じゃないか。調査したことがないのにわからぬじゃないか。栄養実態はどうなっているか、調査もしてへんと、はっきり言うているじゃないか、ほんとうのところ。栄養審議会が、最低の生活をやるために必要なこれこれが要りますと言うておるわけや。栄養改善普及会、ここでも、そのためには金がこれだけ要ります、だからそのことを含めて、これだけもらっておる人たちの間で、これではたしてやっていけるだろうか、総合的に判断するのだったら総合的に判断してよろしい、否定はしません。だけれども、これが最低生活をやっていけるために見られるか、一度検討してみてあたりまえと違うか、栄養の面からも見てみなさいということを指摘したじゃないか。何で栄養の面からこれを見てみようという気にならないのか。実態に何で目をつぶろうとするのか。だから私、大臣でいいです。解説を聞いているのじゃないのだから。計算の方式を聞いているのじゃないのだよ。ちっとも答弁にならないやないか。むずかしいことを一つも私は言うていない。
  252. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 そう大きな声を出さぬで、私お答えいたします。  要するに、かって私どもほんとに経験しているのですが、マーケットバスケット方式、エンゲル方式と、こうやってだんだんやってきたのですよ。それで、国会でも、メザシの頭をどうのこうのとやられたことがあるのです、ほんとうを言うと。そういうことはおかしいじゃないか、一般水準と近づけるようなやり方をしようや、こういうことで今日来たわけでございます。したがって、栄養の面からいえば心配ない、こういうように私ども思うのです。そう思っているのですよ。そう思っていますが、しかし栄養の面からいまの保護基準の金で十分かどうか、調べてみることは一向差しつかえありません。調べてみます。しかし、そのやり方は私どもはとりたくない。そういうことになると、保護基準はちょっと下がるのですよ、ほんとうを言うと。保護基準は下がるのですよ。けれどもせっかくのお話ですから、研究してみたらどうか、それは研究いたします。
  253. 寺前巖

    ○寺前委員 私はもう時間があれですからやめますけれども、さっきの人の話じゃないけれども制度審でも、インフレのもとにおいては、貧困者層というのはますます貧乏化していっている。貧乏人と金持ちの差がひどくなってきている。だから、この底上げをするということを考えなければいかぬということを言っている。そうしたら特にこの層が、これほどのインフレ下においてだいじょうぶかということを検討してあたりまえだ。そう言われるのだからやりますということでなくして、ほんまにそっちのほうから検討してもらってあたりまえだと私は思う。そうして、先ほどからいろいろ計算方式をとやかく言っておられたけれども、私は現実に、実際に出先の人に聞いたら、食料費はこういう計算方式で大体入っているというふうに見るのが常識です、こういうふうに言っているのだから、その点から考えるならば、ますますもって無責任に思います。ですから改善をしていただくことを要望して発言を終わります。
  254. 大野明

    ○大野(明)委員長代理 坂口力君。
  255. 坂口力

    ○坂口委員 私も、きょうは生活保護の問題を取り上げてやりたいと思っておりましたが、いま食費の問題等につきましては寺前議員から出ましたので、できるだけ重複は避けたいと思いますが、しかしいま議論が出ておりましたとおり、非常にいまの議論は重要な部分だと思いますので、一つだけ私も念を押させていただきたいと思います。  生活保護法の、この法律の最初の目的に「その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」こうなっておりますね。その「最低生活」とは三条に「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」こうなっております。先ほどの議論を踏まえてさらに言わしてもらいますならば、それじゃ最低限度の健康で文化的な生活とは、一体、どういう生活なのか。その点の御見解をまず承りたいと思います。
  256. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 文字どおり、「健康で文化的な生活水準」の維持でございますが、これを具体化しているのが、厚生大臣の定めている生活保護基準でございます。
  257. 坂口力

    ○坂口委員 私が聞きましたのは、先ほどのお話に出ておりました一食八十五円未満のその食費で、健康で文化的な生活水準が維持できるというふうにお考えかどうかを聞いたわけでございます。
  258. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 先ほどの私の答弁が悪かったのかもしれませんが、一食八十五円というのは生活保護の運用上、飲食物費を認定する場合の基準額でございまして、この八十五円で飲食物すべてをまかなう額だという趣旨のものではございません。
  259. 坂口力

    ○坂口委員 しかしながら、全体のワクを割り振って、そして一食当たりにすればそうなるわけです。一日当たりにすれば、二百五十円前後でございますか、それを一カ月にすれば、その額が出るわけでございます。全体のワクがきまっておりますので、その中でそれを三十日を一日に割り、一日を三食に割ると、八十五円という数字が、これは算術的にだれがしたってちゃんと出てくるわけなんです。これで、はたしてそれができ得るかどうか、文化的で最低の生活ができるかどうかということを、私は申し上げているわけです。これは何度か言っておりましても、ここで結論がどうも出ないような雰囲気でございますが、しかし、あえてぼくは厚生大臣に、この法律の趣旨に沿った内容であるというふうにお考えになるかどうか、その点だけ最後に念を押さしていただきたいと思います。
  260. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 生活扶助基準は、一般の世帯員の生活に近づけるような努力をしながら扶助基準をきめる、こういうやり方なんですね。だから、その八十五円というのは、私もよくわかりませんが、よそで食べてきたときに差っ引く金を八十五円にしようというだけなんでありましょう。要するに保護施設に収容しているときの食費の計算じゃないのです、それは。いいですか。たとえば、家族が、おとうさんが病気になって付き添いに行く、付き添いに行けばそちらで食べますね。そうすると、こちらでは食べておりませんから差っ引くわけです。差っ引く金を八十五円としましょうということだけであって、こちらはそれ以上の金で考えているわけです。そういうふうに御理解いただきたいと思うのです。それで食べてくださいという数字じゃございません。よそで食べたときの話でしょう。
  261. 坂口力

    ○坂口委員 そうじゃないですよ。そうじゃないでしょう。
  262. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 これは生活保護の基準の運用上、飲食物費をどう認定するかということ、たとえば、これは具体的には、農家が被保護世帯である場合に、現実に野菜をつくり、その野菜を販売して収入を得ると同時に、それを自分のうちで食料として食べているわけですね。そうすると、その食べている野菜というものをどういうふうに飲食物費として評価するかという問題のときに、一応の認定基準として一類経費の七五%、そういうものが基準になってくる、こういうことでございます。
  263. 坂口力

    ○坂口委員 八十五円がたとえ九十円であったとしても、あるいは七十五円であったとしても、その少々の上下は別にどうこうじゃないのです。ただ健康で文化的な生活水準を維持する額でないということが皆さん方にわかってもらえばいいわけです。厚生大臣にわかってもらえばいいわけです。非常にあたたかい心をお持ちの厚生大臣だという評判の厚生大臣に、それをわかってもらえぬでどないします。
  264. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 八十五円ということを、先ほどからいろいろ出ておりますが、私がいま社会局長の話を聞いてみると、こういうことなんです。それで食べてくださいという基準できめているんじゃないですよ。おとうさんが病人だ。娘が看護に行った。そこでその娘さんはうちでは食べないから、それで引く金を八十五円にいたしましょうと言っているだけで、八十五円で食べてくださいというんじゃないんですよ。それは別なんですよ。だから差っ引く金をむしろ少なくしているのですよ。家庭でもらえる扶助費を多くするために、そういうことをしているんだ、こういうことなんでございましょう。生活扶助においては食費は何ぼ、燃料費は何ぼ、計算したことはございません。ないんです、積算には。保護施設、児童施設に収容している子供や老人についての食費、それから日常雑費、そういうものは計算してあります。収容しておりますから。ところが片方の生活扶助というのは、要するに一般世帯に近づけるように、一般世帯の生活水準が、消費水準が二八%上がったというときには、生活保護世帯は一八%上げましょう。片方は、一般の人たちが二八%生活水準が前年に比べて上がったというときは、扶助基準はそれよりも上回って一八%上げましょうと、こういうやり方でいまやっているのであって、生活に関する扶助基準については、食費は幾ら光熱費は幾ら、これを計算したことはないんです。計算してないんです。しかしそれだけの金で栄養が十分かという、さっきこういうお尋ねがありましたので、それはいわゆるマーケットバスケット方式はすでに卒業したんです。昔はマーケットバスケット方式で栄養何ぼと、こう計算したんですよ。ところがそれではあまりにも低い、それじゃだめだ、一般の人の生活に近づけるようにやろうじゃないか。こっちが二八%きり水準が上がらぬというなら、生活保護は一八%上げる。そういうことによって一般の人の生活に近づけるようにしようじゃないか。すなわち、栄養の問題はすでに卒業しているんです。けれども、せっかくお話でございますから、それだけで食えるかとかなんとかおっしゃるから——それはりっぱに最低の栄養量はちゃんと確保されていると私は思いますよ。すでに卒業したんですよ。けれども、一応調べてみましょう、こう言っているのです。
  265. 坂口力

    ○坂口委員 こういう議論をいたしておりますと、政治は何のためにあるかという、まことに基本的な問題を私は問わなければならなくなってまいります。時間もございませんので、この問題は一応きょうはこの辺で打ち切らしていただきます。またあらためてやらせていただくことにいたします。  次に、最近の物価高やあるいは石油危機、こういう状態の中で、消費者物価というのは日ごとに高騰をしているわけでございます。そうした中で、やっと生活保護者に対しましても、一人当たり最高で二千円、四級地でございますと千四百円でございますか、特別一時金というものが支給をされました。それから生活保護施設の収容者、これは一級地で千円、四級地で七百円、間違いございませんですね。——こういうふうな一時金か支給されたわけでございますが、これは物価上昇と見合ったものなのかどうか、あるいは一時金の額の決定をどういう根拠でなすったのか、どういう試算のもとになすったのか、それをひとつお聞きしたい。
  266. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 本年度の生活保護の基準につきましては、年初、対前年一四%の引き上げを行ないまして、保護基準を定めておるのでございますが、この四月以来の物価の上昇の動向等勘案いたしまして、十月一日に基準をさらに五%引き上げまして、合わせますと対前年一九%引き上げたところでございます。したがいまして、一九%引き上げましたために、この十二月におきましては、生活保護の場合の越冬資金と申しますか、従前から期末一時扶助という制度がございました。これは、新年を控えての年末の生活の需要の増大に対処するための特別の制度でございますが、これも一九%、たとえば東京のような一級地では前年が三千四百二十円でありましたものを四千七十円というふうに、これも前年に比べまして一九%伸ばして支給したところでございます。ところが、この五%の引き上げ、つまり対前年一九%の引き上げは、いわゆる石油ショック以前にきめられた措置でございまして、石油ショック以後のいろいろな事態というものに対処するものではございません。それで、石油ショック以後の年末の生活のきびしさということから、国家公務員については〇・三カ月の繰り上げ支給と、こういうことになったわけでございます。そこで被保護者につきましても同じように、この年末に生活上のいろいろな問題も起きておりますので、特別一時金をこの際思い切って支給しようと、こういうことにいたしたわけでございます。  特別一時金の額はどういうふうにきめたかと申しますが、これは一級地における四千七十円の先ほど申しました期末一時扶助、それの約半額を出す、こういうような結果においてそういう数字になっております。  実は、この十月一日からの五%の生活扶助引き上げに要する経費につきましては、先般の補正予算に計上して御審議いただいたばかりでございます。したがいまして、新たなる財政措置をとることがむずかしい情勢でございますので、既定経費の範囲内でやりくれるだけやりくろうということでやったために、一人一級地で二千円、こういう金額になったわけでございまして、大体のめどと考えられたのは、期末一時扶助の半分程度の額、こういうことでございます。
  267. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、この特別一時金というのは、いわゆる物価手当というふうに考えてよろしゅうございますか。
  268. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 石油危機以後のいろいろな事態に対処いたしまして、被保護者の方々が安心して越年できるよう本年度限りの措置としてやったもの、こういうふうに考えます。
  269. 坂口力

    ○坂口委員 大臣にお伺いしたいわけでございますが、現在のこの物価の高騰というものは、今後も続いていくであろうというふうに政府自身もいってお見えになります。大臣は、この物価高騰が今後どのような推移をたどっていくというふうに厚生大臣としてお考えになっておられますか。それによりまして今後の問題もいろいろまた変わってこようかと思うわけでございます。いわゆる政府の統一見解なるものと、大臣もそのとおりだとおっしゃるんだったらそれでけっこうでございます。
  270. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 最近の異常な物価動向、物価の上昇、これは何としてでも食いとめなければならぬ。政府としては少なくとも来年上半期にこの問題を解決したい、短期に解決したい、こういう決意でおるわけでございます。
  271. 坂口力

    ○坂口委員 特別一時金は、ことばのあやはございますけれども、一応物価手当という形で出されたものというふうに先ほどのことばを理解させていただきました。また大臣も、現在のこの物価高騰というものは何とかして一日も早くおさめなければならない。しかし、まだ来年前半は物価高騰というものは続くおそれもある、こういうふうな御見解のように承るわけでございますが、かりに——かりにといたしましょう。来年の一月、二月、三月、来年前半に物価高騰がどんどん続いたと仮定いたします。仮定にいたしましょう、いま。その場合には、このいわゆる特別一時金に匹敵する物価手当といったものを、そうするとまた出されるわけでございますね。
  272. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 この一時金は歳末における特別一時金なんです。もちろんそれは物価上昇ということもみんな含めてでございましょう。  そこで、御承知のように、生活扶助基準は前年に比べれば一九%アップしているわけですね。物価のほうはどのくらいかというと、消費者物価は一三から一四、それから一般の世帯の消費生活水準というのは前年に比べれば一六%上がっているというわけですから、いまのところ扶助基準をさらに上げるという考えはありません。ありませんが、まだ本年度でも一月、二月、三月と三カ月あるわけです。したがって、私は物価の今後の動向というものは慎重に見守ってまいります。物価生活扶助基準、去年よりは一九%上げましても、物価が今度どのくらい上がっていくか、上がらないように望みますけれども、上がったときはどうするか、それは当然考えなければならぬ問題です。したがって、経済、物価の動向というものについては厳重に監視しながら、その情勢とにらみ合わせながら、こういう最低生活方々生活を守っていく、機動的にこれは適時、的確な措置をとっていかなければならぬ、こう私は思います。しかし、どのくらいになったら何ぼ上げる、こういうことは私は言いません。言いませんけれども、適時、適切なる措置を講じていかなければならぬ、これは厚生大臣としては当然のつとめだと思います。
  273. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございます。しかし、先ほど一九%ということばが何回か出てまいりました。確かに一九%上がりました。それは物価のほうの一三、四%の上昇に比べて高いという御指摘でございますけれども物価のほうが一三%あるいは一四%といいましても、しかしその内容をこまかく見てみますと、いわゆる生活必需品といわれるものは一三%や四%ではないわけです。三、四〇%にもなるのです。だから全体の平均で見ると、一三%あるいは一四%、そういうふうな数字が出るかもしれませんが、しかしそれは平均しての話であって、いわゆる生活保護を受けてお見えになります皆さん方が、常日ごろ買われるような必需品というのは、もっともっと高い数字にあるということを私はひとつ大臣に知っていただきたいと思うのです。単なる平均値で私はものを考えていただきたくないと思うのです。  それからもう一つ、確かに一九%上げてはもらいましたけれども、しかし、もともとの数字が低いわけです。それの一九%、そしてほかのたとえば給与所得者、この場合には一八%なりその前後のアップにはなっておりますが、これはもとの数字が大きいですから、パーセントは同じくらいでもふえる額というのは多うございますね。そうでしょう。しかも、それじゃ生活保護を受けてお見えになる皆さん方と、公務員あたりの人たちと買って食べるものが、いわゆる魚屋さんに行って、あるいは八百屋さんに行って買うものがそんなに違うわけじゃありません。同じような市場から買ってくるわけでございます。  そういうことを考えますと、いかに同じパーセントの、率の上昇であったとしても、これは統計的には同じ一九%という数字が出てまいりますけれども、しかしながらその上がりました額から申しますと、これはたいへんに違うわけでございます。しかも同じようなイモを買い、大根を買わなければならないわけでございます。パーセントは一九%でもそこには非常に困難なものがある。これも大臣、ぼくはよく御理解をいただきたいと思うわけです。その点を御理解いただいて、そして今後の物価の推移に見合って、この生活保護の問題に取り組んでいただくというのならばわかるのですけれども、しかしながらそういうことをみな抜きにしてしまって、そしてただパーセントだけでものを言ってもらいますと、たいへんな間違ったことが起こってまいります。その点を重々ひとつお願いをいたしたいと思います。  それから次に、超過負担で悩む自治体が、物価高がありますためにたいへんなことになっているわけでございますが、期末手当あるいは物価手当を、生活保護世帯に対しまして品物だとか現金で支給いたしております。これに対して国は、二千円以上支給されたらいわゆる収入の認定として、その差額分を生活保護から差し引くということになっております。これは間違いございませんですね。
  274. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 間違いございません。
  275. 坂口力

    ○坂口委員 それをせめて十二月に限ってだけでもどうにかならないものであろうか、確かにこれは次官通達で出ていると思います。これは、それこそ皆さん方の中に何とかしてあげようというお気持ちさえあれば私はできることだと思うのです。市町村は確かに苦しゅうございます。苦しい中でも、何とかしてもう少ししてあげようという市町村もあろうかと思います。しかしながら、この制度がありますために、それがほんとうに何にもならない結果になっているわけです。これに対して何とかこれに改善の手を加えようというお気持ちがないか、お伺いをいたします。
  276. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 確かにこの二千円という金額は、実は昭和四十四年にきめて以来据え置きになっておりますので、この金額を二千円よりかもう少しふやしたらいいじゃないかという議論もございます。私どもも種々検討いたしましたが、この点につきましては、明年以降において考慮したいと考えております。実は本年は十二月も半ばを過ぎておりますので、いまからでは手の打ちようがないので、将来の問題として十二分に検討さしていただきたいと思います。
  277. 坂口力

    ○坂口委員 これは大臣、いまいわゆる事務的な内部の事情でそういうことができにくい。この額を上げなければならぬという趣旨はわかるけれども事務的な手続等でできにくい、こういう話があったわけでございます。これは実際問題としては、少々事務的な手続はおくれて出されても間に合う問題じゃないですか。
  278. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 私は、この金額をふやすのならば、十二月の来る前にはっきりきめなければならぬと思います。つまり、もう各市町村あるいは都道府県が関係団体といろいろな折衝を終えておられますので、いまからこれをふやすということになれば、末端に非常な混乱が起きますので、将来の問題として考えたいと思います。
  279. 坂口力

    ○坂口委員 もしも厚生省のほうでそういうふうな次官通達を出していただくならば、これは市町村が多少混乱しましても、市町村は喜んで受けてくれると思うのです。それは私、考え方が少しかたくなであり過ぎはしないかと思いますね。市町村だってこれがもしもとれたらと思っているところはほんとうにたくさんあるわけです。あたたかい政治を望んでいる市町村がたくさんあるんです。だから、これはいまからでも決しておそくないと私は思うのです。何とか厚生大臣、ひとつ英断をお願いをしたいと思います。
  280. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 この年末にどういう措置をとるかということで、私ども非常にいろいろ苦慮したんでございます。その場合に、この問題もひとつ考えてみました。しかし、とにかく既定経費の中でやりくれるだけやりくって、一人一級地で二千円の年末特別一時金を出せるというめどが立ちましたので、そっちを主力に本年度は対策を講じたわけであります。この二千円以上のものは収入認定するという制度がございますために、すでに地方公共団体では、現物給付でやるということできめておるところもございます。また、これをいま直ちに二千円の額を動かしますと、財政力の弱い市町村では、いまからでは非常に困るという問題もございますし、そういった点から、私どもとしては、本年度の特別対策は、この年末特別一時金ということでやりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  281. 坂口力

    ○坂口委員 その二千円のほうを主にお考えになったということはよくわかりましたし、それはそれなりにまた評価もされると思うわけです。しかしながら、いわゆる二千円を限度とするこの考え方もあわせてとっていただいてしかるべきではないかと私は思います。  と申しますのは、先ほどからも申しておりますように、これだけの激しい物価高でございます。おっしゃるように、市町村だってそれほどの金の余った市町村はないと思います。ほとんどの市町村がほんとうにもう財政的には行き詰まっておるだろうと思うわけです。しかしその中からでもなおかつ、現在たいへん貧しい生活をしておみえになる皆さん方に何とかしたいという気持ちを持っている方があるわけでございます。だから、その人々に対して何とかしてあげたいというところから、その一つの知恵として、実際の物資を買って、そして物資をあげるということをやっているわけです。だからその点は、大臣も何とかならないかとはたで言っておみえになるくらいなんですから、ひとつ局長さんのところで、それじゃ大臣の御意思を受けますとばっと言っていただけばこれで通用する問題じゃないですか。そうでしょう。いまからではおそいと、これは決しておそいことないですよ。まだお正月まで十日以上もあるのですし、もう一度いかがですか。
  282. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 この歳末の対策を実はいろいろ考えたんです。いろいろ考えたのです。そのときに考えましたのは、いろいろな控除をどうするとかいうことよりも一時金を出す、積極的に出す、現金を出すということのほうがすらっとしてわかりいいんですね。わかりいいでしょう。そこで従来の一時金を五%アップして、一九%アップにします、いわゆるモチ代といわれておる一時金も一九%アップにします。去年は三千四百円くらいだったのを四千円にしましょう。それからさらに追加して二千円を出しましょう。すなわち歳末一時金としては一人当たり六千円を出す。そうすると四人世帯で東京なら二万四千円、こういうことにしましょう。そして四人家族ですと、扶助基準でいきますと東京なら大体五万円くらいになりますから、七万四千円くらいになるではないか、そのほうがかえってわかりいいんではないかということでいたしたわけでございますから、その点は、私も坂口委員のおっしゃる気持ち、わかりますよ。いまからでもおそくない。それはわかるんですよ、何でも。先ほど来いろいろ、いまからでもおそくないという質問がだいぶ出ました。いまからでもおそくない、おそくないと言われましたけれども、やはりこれだけ前向きにやったということで御理解をいただきたい、私はそう思います。
  283. 坂口力

    ○坂口委員 わかりやすさからいいますと、二千円を五千円にしてもらうのが一番わかりやすいので、これほどはっきりわかることはないのです。ただこれも、いつまで言っておりましてもなかなか決着のつく問題じゃございませんが、それじゃもう一歩進んで申し上げますと、じゃ来年は必ずこの二千円というワクははずされるんですね。
  284. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 来年度におきましてはこういう問題を改正いたしたいと考えております。
  285. 坂口力

    ○坂口委員 具体的な問題を一つ申し上げたいと思います。  これは一部テレビ等でも放映されましたし、活字にもどこかでなっていたというふうに思いますが、あるところにお年寄りと子供さんのお二人暮らしがあって、福祉事務所でいわゆる生活保護受給申請を出した。その面談では、受給できる条件は十分に整っているということで一応そういう手続がされることになりました。しかしながら、最後にそのお年寄りが十万円の貯金通帳を出されたために、これがありましたために認定からはずされたというケースがございます。このわずかに十万円の預金通帳があったために認定からはずれるという、これも、もしこれが事実とすれば非常に冷たい制度ではないかと思うわけであります。この点につきましてひとつお伺いをいたします。
  286. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 生活保護制度は公的扶助でございますので、保護を受けられる方がその持っておられる資産、収入等をその最低限度の生活の維持のために活用するということが保護をする要件になっております。したがいまして、いまのケースのように、保護を申請された場合に、その保護を申請された世帯の一カ月分以上の生活費をも預金なりキャッシュでお持ちになっているという場合には保護は開始できない、こういうたてまえになっております。それが一カ月の生活費をまかなうに足りないのだという場合には、その差額を支給して保護を始めるわけでございますが、その当該世帯の一カ月以上の生活をまかなうに足る預金なり現金があるときは、やはりそれを使ってから保護を開始する、こういうふうに、これは、資産、収入を最低限度の維持のために活用するということは公的扶助の要件になっておりますので、たてまえとしてそういうことになるわけでございます。
  287. 坂口力

    ○坂口委員 たてまえとしてはよくわかるわけでございますけれども、しかしこの十万円は、聞くところによりますと、もう十何年もかかってほんとうに十円、二十円、こつこつとためにためてためたこの十万円であったと聞いております。この人は、もし自分が死んだときの葬式代にという意味で、ないところから貯金をしてためた十万円であったと聞いております。自分の死んだときの葬儀代、あとに小さな孫しか残らない、その中でためた十万円までも、これがあるがために生活保護の基準からはずすというのは、これはあまりにも血も涙もない制度ではないかと思うわけでございます。これに対してほんとうに改善されるお気持ちがないかどうかということをあわせてお伺いをしたいわけです。生活保護の目的は、先ほども読みましたとおり、自立するための援助であるはずでございます。たった十万円のものでもこれを認めないということになりましたら、それではこの人たちはどうしたら自立できるわけですか。ないところを、ほんとうに八十五円の食事のところでもなおかつそこから十円でも二十円でも貯金をしてためて、万が一のときのために、いざというときのためにためていかれる、それすらも道を閉ざしてしまったら、どうしてこの人たちが自立ができるのですか。自立をさせるための法律であるならば当然それは認めるべきではありませんか。いかがですか。
  288. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 保護を開始するときの手続として、生活保護は、いわゆる公的扶助としてミーンズテスト、つまり資産調査というものを必ず行なうということがたてまえになっておりますので、保護を開始するときには先ほど申しましたようなたてまえでいかざるを得ないと思うのです。これは、公的扶助つまり保護費というのはすべて国民の税金でございますので、そういった点はやはり資産調査というものはやらざるを得ない、かように考えます。
  289. 坂口力

    ○坂口委員 大臣、いろいろ御意見はあろうかと思います。しかし、英国では利子は収入とみなしますけれども、元金はある程度までそのままこれは生活保護のときも認めておりますし、西ドイツにおきましては百万円ぐらいまでは可能であると聞いております。ですから、この十万円ということをきめられたのも、これはきめられてからかなり時間がたっていると思うわけであります。現在から照らし合わせましたら、これぐらいの貯金がもしあったとしても、生活保護を受けられるというふうに認められてしかるべきではないかと思うわけでございます。これに対しましても、大臣の今後に対する——いますぐというわけにはまいらないと思いますが、しかし来年度の予算等の問題もあるわけでございます。それを控えての時期でございますので、これに対する御見解もひとつ聞かせていただきたいと思います。
  290. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私お話を承って、ほんとうに零細な金を集めて十万だ、それは気の毒だ、それは私もわかりますよ。しかし、これはすべて気の毒だ気の毒だといったらなかなかけじめがつかないのですね。そういう意味においてそういうことをやっておるわけでございます。しかしながら、生活扶助水準のきめ方あるいは支給のやり方、そういう問題につきましては、やはり社会情勢の変化それから生活実態の変化、そういうこととあわせまして改善を加えなければならぬ問題はたくさんあると私は思うのです。そういう問題については、一々具体的な問題をとらまえながら、きめのこまかい改善策を今後ともやっていくべきだと私は思います。これで全部すべてにりっぱに行なわれているんだということは私もなかなか言いにくいと思います。そういう意味において、今後ともきめのこまかい改善については努力をいたしてまいりたいと思います。ただ気の毒だからというだけで公的扶助を支給するということになっては、私はたいへんだと思うのです。そこには一定の基準、限界というものを置きながら、その限界すれすれをどうやって運用していくか、そこがやはり問題だと私は思います。
  291. 坂口力

    ○坂口委員 私も決して浪花節を言っているわけではございません。そして、いまの大臣のおことばが全く全部わからないというわけではございません。法律であります限りは、どこかに線を引かなければならないということはわかります。しかし、その線の引き方があまりにも現実離れをしたところに引いてあるということを私は申し上げているわけでございます。だから、現実に合ったようにこれはどうしても改善をしてもらいたいということをお願いを申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。  きょうは今年最後の社労委員会の発言であるというふうに私も思っておりますし、ことしの一番最初に看護婦問題を取り上げまして、それから何回か取り上げてまいりました。きょうはその決着をつけるという意味で、政務次官にもお見えをいただいて、そして話をとことん詰めたいというふうに思っておりましたが、政務次官はお忙しいということでお越しをいただくことができませんでした。そこで、時間もあまりございませんので、簡単にこの問題に触れさせていただきまして、また時をあらためたいというふうに考えております。  先ほど金子議員からの質問にもございまして、いろいろ議論がすでにされました。きょうの新聞を見ますと、人事院総裁から厚生大臣にお申し出があって、いわゆる給与を引き上げることについてのお話し合いがなされたということが出ております。これは先ほども聞かせていただきました。これは先ほど金子議員からのお話にもございましたが、やはり私も、もしも引き上げられるのであるならば、教員と同時期にこれはやられるべきである。少なくとも同じにやられるべきである。それ以前にやっていただいてけっこうでありますが、しかし少なくとも教員と同じにはやっていただく必要があるんじゃないか、こう思います。この点につきまして、確認のような形になりますけれども、ひとつもう一度お願いいたします。
  292. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 われわれも実は先生と同様、人材確保の関係の教員の時期と同じゅうして、夏の勧告文に書いてあった趣旨からいっても、同時にお願いできる期待を持っておったわけでございますが、実は人材確保のほうには、法案の中に一月実施ということが明記してございます強さがございます。こちらのほうにつきましては、お願いと一つの社会的な行政の判断もあろうと思います。非常に中立的な性格の人事院として全体を考えた上、そのような処置をされたということは、希望は先生と私も同様でございます。今回の処置についてはベターであるということで、希望に十分沿ったものではないという感じは、一月から同時に実施という期待に対してはそういうことでございますけれども、この辺のところは、人事院総裁の持ってこられたお考えからいっても、年度内実施ということではないというふうに明確にしておきたいと思います。
  293. 坂口力

    ○坂口委員 この看護婦給与の改善とともに、あわせて今後考えていかなければならないのは、いわゆるよりよい看護を確立するということだろうと思うわけでございます。そのよりよい看護の確立のためには、どうしても基準看護料というものをここではっきりとさせる必要があると思います。この点につきましては、簡単でけっこうでございますが、どういうふうに最近お考えになっているか。これは前にも私は聞かしていただきました。前は、いま検討中である、間もなく結論は出るというふうに言っていただいたと思います。どういう結論が出ておりますか、お聞きをしたいと思います。
  294. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 看護につきましては、保険局のほうの今回の改定の場合に十分御考慮願うことをお願いしてございまして、その点は案が出、決定してみませんとわかりませんけれども、少なくとも人件費がこのくらい上がり、あるいは看護婦の確保という対策の面からいっても、基準看護料については特段の御配慮をいただきたいというふうに私の立場では思っておる次第でございます。
  295. 坂口力

    ○坂口委員 時間がありませんのであまり詳しく聞いていることができないわけでございますけれども大臣、けさからも中医協の問題がかなり出ておりまして、これは看護問題とは少しはずれた形になりますけれども、この医療費改定問題の中で、いわゆる技術料の評価ということが、いままでからもずいぶん叫ばれておりますし、私どもも叫んでおります。原則的には大臣も賛成をなすっているというふうに私、感じておるわけでございますけれども、今回医療費が改善がされる場合に、この技術料というものにつきましてはどういうふうな形になるわけでございますか。
  296. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 診療報酬の内容について、いま私とやかく申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、やはり診療報酬というのは技術料というものを中心に、これは高く評価されるようなやり方でいかなければいかぬと思うのです。世間でよく薬でもうける医者がいるというふうなことをいわれますね。これは私は医者にとって恥だと思うのですよ。これは薬でもうけて潜在収入だなんということをいわれるのは恥だと思うのです。正々堂々高い技術は高く評価される、こういうのでなければならぬと思っております。その意味において、私近く具体的な点数表を諮問の中に参考として出すつもりでおりますが、その中においては新しいそういう方向の医療費改定の方向づけをはっきり出してみたい、こういうふうに私考えておる次第でございます。しかもこれは一年でできないものがあろうと思います。あるいは二年、三年、五年、医師会長なども五年後は医薬分業をやりましょう、そのかわり技術料というものは高く評価してもらわなければ困ります、私そのとおりだと思うのですよ。そういう方向に近づけるような診療報酬改定をやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。新しい診療報酬、技術料を中心とした診療報酬の出発の改定にしたい。これが私の希望でございます。
  297. 坂口力

    ○坂口委員 ついででございますので、もう一問だけ大臣にお聞きをしておきたいと思うわけでございますが、御存じのように、国民総医療費というのは年々上昇を続けているわけでございます。病院に行くというのはだれも好きこのんで病院に行くわけではございませんで、これがこれだけふえてくるのにはそれだけの理由があると思うのです。  その内容をこまかく見てみますと、やはり一日当たりの診療費の急激な上昇というのが一番大きなファクターになっております。この一日当たりの診療費の急激な上昇というのはまたこまかく見れば、これは診療報酬の改定ということもございましょうし、それに加えて、高価で効率的な医療サービス、これの提供ということもあったろうと思います。もう少しこまかく言えば、いわゆる医薬品の使用増と高度化、あるいはまた高価な設備や検査だとか、あるいは理化学療法等の医療サービスの増加、こういったことがあげられるだろうと思うわけでございます。このいわゆる国民総医療費の増加というものをどう認識し、把握するのかということが今後の日本の医療をどうするかということに一番大事なことに私なってくるだろうと思うのです。この増加は必要上やむを得ない。中には薬がたいへん大きな分野を占めているとか、いろいろなむずかしい問題はございます。そういった問題はどうしても今後改善をしていかなければならないとしても、この総ワクが現在ふえてきているのはこれはいたしかたがないのだという認識の上に立てば、今後の医療費改定の問題にはまた違った方向が出てくるだろうと思います。また、この総医療費の増加というものはどれだけ増加しても、これはもういいという考え方には立てぬ、これはある程度で押えなければならぬというような考え方を持てば、いわゆる医療費の問題というのは、これは制度の上からはかなりきびしく押えられてくるというふうに思うわけでございます。  現在の状態を見ておりますと、確かにこの医療の制度からくるひずみはございます。しかしながら、全体にこの国民総医療費というものがどんどんどんどん上がってきているということだけは、これはもうまぎれもない事実でございましょう。これを押えているがゆえに非常に大きな混乱が出てきているのもまた事実だと思うわけでございます。この辺の認識をどうお持ちになっているのかということだけをまず私お聞きしておきたいと思います。深くはもうお聞きいたしません。どういうふうに認識しておみえになるかということだけお聞きをしておきます。
  298. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 福祉社会を築くためには何といっても国民の健康を守る、これが一番の基本だと思います。しかも国民の健康を守るためには医学、薬学の進歩というものは目ざましいものがあります。これは私は無限の未来を持っておるものだと思います。そして健康を守っていくということでございますから、どうしても社会福祉を実現するためには、やはりそれなりに医療費というものは伸びていく、これは私はやむを得ないことであると思います。医療費は伸びていくものだと私は思います。  ただそこで非常にむずかしいのは、保険制度の中にどう伸びていくかということがむずかしい問題で、保険制度というものには限界があります。その限界と医学、薬学という無限に発達していく医療の内容、これをどう調整していくか、これが非常にむずかしい問題であると思いますが、福祉社会の建設のためには国民の健康が何といっても一番大事なんです。そこで、この国民の健康を守るためには、やはり安心して高度の医療を受けられるような仕組みを築く。それがためにはある程度の診療報酬は伸びていく。これは私はやむを得ないことではないかと思います。ただそこに保険制度というものがある、そことの調整をどうはかっていくか、これが一番悩みだと思います。
  299. 坂口力

    ○坂口委員 きょうはこれ以上聞かないことにいたします。またあらためてお聞きをしたいと思います。  最後にもう一度看護婦問題に戻りますけれども、前回お聞きいたしましたときにも、この看護婦を完全にと申しますか、十分に満たすためには一応昭和五十三年を目途にしていくというようなお話がございました。ただし、順調にいってという条件がまたそれにはついておりました。ところが最近非常に看護婦さんが足らないためにいろいろのトラブルが起こっております。これは何度か私も申し上げましたし、もうこれはこんなに申し上げたくないわけでございます。ただし何度か申し上げますのは、現在の医療の中でいろいろな問題がございますけれども、その中で特にこの看護婦問題というのが最重要なものの一つであるからこそ何回か申し上げるわけでございます。確かに医者も足りません。しかし医者がおりましても看護婦がいないために、この大都会のまん中の病院ですらベッドを閉鎖しなければならないということが起こっているわけでございます。私のほうにも国立鈴鹿療養所というのがございますけれども、ここなんかでも百四名の定員のところがわずかに六十名しか満たされておりません。四十四名が欠になっております。そのためにいわゆる重度心身障害者の病棟を閉鎖しなければならないというような事態が起こっているわけです。何としても一日も早くこれを回復しないことにはどうにもならないわけです。  そこで、来年度にはいわゆる看護婦を増加させる対策としてどういうふうなことをお考えになって、また学校をどのようになさろうとしているのか、もう少し具体的なものがありましたらお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  300. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 確かに看護婦の増強対策には基本的には養成所の設置、拡大ということがございますが、先ほども金子委員の御質問に答えましたように、養成の社会的な効果が出てまいるのに、マンパワーの養成というものには非常に時間を要するわけでございます。したがって五十三年という数字については、先ほど金子委員の御質疑の際、十年という長期的な御意見がございましたが、むしろそれに近いものが出てまいることは当然であるわけです。したがって看護婦確保の養成のみならず、現在資格があって社会におられる潜在看護婦の方々、あるいは現在おられる方の離職を防止するという対策が最重要でございます。潜在看護婦の問題につきましては、ナースバンクの設置等によりまして従来の講習会形式にとどめず、実際に情報をお互いに入れ合いまして積極的な再就職の問題を考えたい。これは労働省とも十分協議してやる予定でございますし、予算の面でもぜひとも実現いたしたいと考えております。  それからもう一つ、保育所の設置ということが離職防止の上のきわめて重要な問題でございます。根っこに給与の改善という非常に大きな問題がございますが、これは必ずしも十分なものが期待できるかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、画期的な年度内第二次勧告という取り上げ方をしていただいておることも踏まえまして、われわれとしては多角的な方策を講じていかなければならない。看護婦の確保は当面すぐなるべく早い期間に確保をはかっていき、医療機関にそれを導入していくという努力は養成のみならず、そういうことを踏まえていかなければならぬ、こういうことでかなり総合的な対策として来年度の実現を期しております。
  301. 坂口力

    ○坂口委員 時間が参りましたのでもう一つだけ申し上げておきますが、看護婦さんが職場を離れていかれるというのは、やはりそれはそれなりの理由があってそうなっておるわけなんです。潜在看護婦がたくさんお見えになるというのは、現在の職場に問題があるからそうなっているわけです。その職場の改善をすることなしに、いかに掘り起こそうと思ったって、あるいはナースバンクをつくったところで、これはどうにもならない問題だと思うのです。これは悪循環を繰り返しているわけでございます。だから、そこをどこで断ち切るかということだと思うのです。まあ一つには給与の改善ということもございますでしょう。しかし、それだけではなしにまだまだいろいろな問題があるわけでございます。また、東京都の中におきましてもいろいろの夜間勤務の問題等も起きております。東京都の準公立の病院ですら、一カ月に十四、五回も当直をしなければならないというようなところも出ております。実際にその勤務表を送ってくれた人もおります。こういったことがございますので、何とかしてそれを断ち切る方策を積極的にひとつ進めていただきたいと思うわけです。  そのための一つの提案としまして、すでに結婚をしている看護婦さんのいわゆる宿舎というものを何とかして考えられないであろうか。いままで医者の宿舎というのは各病院ともかなり確保いたしております。しかし、看護婦さんにつきましてはほとんどされていないというのが現状でございます。これは国立病院あたりから何とかしてそういった方法をしていただくことができないであろうか。それによって私はかなり前進するのではないかと思うわけであります。その提案が一つ。  それから、国公立はそれでいいわけでございますが、しかし、民間のいわゆる看護婦さんというのは、いかにこの給与改定が行なわれましても、しかしそれがすぐに反映してこないわけです。ですから、私は何としても民間の看護婦さん、民間の病院につとめておみえになります看護婦さんも十分に働けるような、たとえば、いわゆる看護技術料というものについては、やはりきちっとそれは出すべきだというふうに考えます。  その二点をお願いしますので、簡単にお答えだけをいただいておしまいにしたいと思います。
  302. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 宿舎の問題につきましては、確かに先生の御提案等もありまして、われわれ国立関係でもその希望等を調査して準備を進めたいと思いますが、その趣旨は、もちろん独身者でなく、家庭を持った者が、逆に奥さまのために宿舎をつくって、だんなさんがその病院のそばにいるという御方策の御提案だろうと思うのです。現在の国家公務員の宿舎の規定ではその問題に若干問題点がございます。そういういろいろの点を検討いたしまして、この方向を十分考えたい。国立としても考えたい。  それから民間ではすでに、多少そういう配慮を民間的な病院で、地方などではやっている例はございます。看護婦を確保するための方策として、きわめて多額の資金は要しますけれども、思い切ってそういう方策をやっているところが民間では一部ございます。  それから報酬の問題は、当然私は診療報酬の改定、今後の技術評価ということによって裏づけたいと希望を持ちますが、ほかに、退職共済制度というものが福祉関係職員にはございます。看護の関係職員に、公私を問わず勤務した場合、一つの共済制度をつくれないかということで、来年度はその検討をする、非常に複雑でございまして、なかなか専門家の意見では簡単ではないようでございますが、これを創設したいという方向調査を進めたいと思います。
  303. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。終わります。
  304. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 小宮武喜君。
  305. 小宮武喜

    ○小宮委員 最初に中医協の問題について質問します。   〔山下(徳)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕  御存じのように、五月から七カ月間にわたって紛争が続いておりました中医協が再開されましたけれども、しかし問題は今後に大きな問題が残されておると思います。したがいまして、この中医協の解決にあたって、厚生大臣のひとつ所感をお聞きしたいと思います。
  306. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 数カ月中断いたしておりました中医協が今回正常な運営に戻りましたことは、まことに喜ばしいことであると私は考えておりまして、関係者各位の御努力に深く敬意を表しておる次第でございます。
  307. 小宮武喜

    ○小宮委員 私も、今回の紛争解決にあたって厚生大臣が積極的に努力されたことについては敬意を表したいと思いますが、しかし、この中医協の紛争というのはもう今回に始まったことではなくて、これまでの紛争を振り返ってみますと、三十六年の古井厚生大臣と医師会との対立、同じくこの中医協の改組問題、三十九年の職権告示問題四十六年の保険医の総辞退問題それに今回、いろいろいままで見てまいりますと多発をしておるわけですが、その原因は大体那辺にあると大臣は思われますか。
  308. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 過去十年たびたび紛争をいたしておるわけでございます。私は、その事態においてはそのときどきのそれなりの理由はあったと思いますが、私の口からとやかくの批判はすべきものではないと存じております。ただ厚生大臣の諮問機関がこういうふうに紛糾するわけですから、これひとえに厚生大臣の不徳のいたすところ、かように私は考えております。
  309. 小宮武喜

    ○小宮委員 なるほど、不徳のいたすところというよりは、これはやはり政府の責任だと私は思うのです。たとえば四十六年の保険医総辞退の場合の医師会とそれから政府との約束自体も守られておらないということも、今回の紛争発端の直接の原因だと私は思うのです。そういうような意味では、やはりこの政府の責任というのを今回の紛争にあたっては十分反省してもらわないと、こういったことを今後も繰り返すと迷惑するのは国民だけですから、その点十分ひとつ政府として、特に所管大臣としての厚生大臣は反省をしてもらいたい、こういうふうに考えます。
  310. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 こういう紛争が起こるたびに政府の責任を私は痛感をし、その反省の上に立って、今後正常なる運営が行なわれますことを期待し、また私も真剣に努力をいたす考えでございます。
  311. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は、これまでも厚生大臣が非常に前向きに取り組んでおられるということは高く評価をいたしております。そういうような意味で、何も厚生大臣の責任を追及しようと私は思いませんけれども、今回、厚生大臣がこの中医協の建議方式を諮問方式にかえるということをお約束されておりますが、この諮問方式というのは、それでは諮問案の作成にあたって医師会側との事前の相談をやられるわけですか。
  312. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 御承知のように、今日まで中医協は建議方式ということでやってきたわけでございます。私はそれはそれなりの意味があり、今日の御協力に対しては深く敬意を表しておるものでございますが、最近における経済事情というものの変動がなかなかきびしいわけでございます。そういうふうな激動しておる経済社会の動きに、適時適切なる措置を診療報酬等に関し講ずるためには、これはやはり建議方式を待つまでもなく、政府がこう思ったら、これはどうですか、これはどうですかというふうに適時適切なる措置を講ずるということが必要になってきたわけです。そういう意味において、今回諮問方式に切りかえまして諮問をすることにいたしたわけでございます。  諮問するにあたりましては、私は日本医師会との何のお約束もいたしてございません。したがって、点数をどう直す、そんなことは私は一つも相談をしておりません。あくまでも今日の事態に対処し、物価、人件費の上昇の動向、あるいは社会、経済の変動、さらに将来の医療政策はどうあるべきものか、将来の診療報酬はいかにあるべきものであるか、そういうふうなことを頭に描きながら考えておるわけでございます。そうした考えを点数としてお示しいたし、そうして医療側、支払い側の御意見、公益側の御意見をお聞かせいただきたい、かように考えておるような次第でございまして、裏に何の約束もございません。その点ははっきりさせておきたいと思います。
  313. 小宮武喜

    ○小宮委員 しかし、厚生大臣は、今回の諮問案について、やはり医師会側あるいは福田大蔵大臣といろいろ値上げ幅について相談をされておるようです、新聞報道に見る限りにおいては。大蔵大臣と事前に値上げ幅について相談されることはもう当然と思うのですが、医師会側と諮問案について、これこれはどうだろうかというような相談を、中医協に諮問する前にやられるということになりますと、結局それでは中医協の構成メンバーである公益委員、支払い側委員、こういうような人たちの存在を無視されて、いわゆる国民不在の諮問案になってくる。私は、福田大蔵大臣と値上げ幅についていろいろ話し合いをされるのはけっこうだと思うのです。しかし、そういったこれこれの諮問案でどうだろうかということを医師会に相談をされるということになると、今後そういった諮問案をつくるたびに医師会と相談して諮問案をつくるというようなことになって、今後やはり問題を起こすと思うので、その点について、今回やられておるわけでしょう。だから、その意味で今後も諮問案を一応作成したら、中医協に諮問する前に医師会とか大蔵大臣に相談をするというようなことはやられるつもりですか。
  314. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 実はきのうの朝私は武見さんに非公式に会ったのです。これはきのうの新聞に出てますから私は隠しません。非公式に会ったわけですが、その内容は非公式のことですから一々言うことはできません。けれども、私は彼、日本医師会長の名誉のために、また厚生大臣の名誉のためにはっきり申し上げておきますが、値上げ幅などについて医師会長と相談したことはございません。これははっきり事実だけは申し上げておきたいと思います。ただ日本医師会長に非公式に会ったわけですね。一々その内容を言うということはいいことで一瞬ありませんから申し上げかねますが、日本医師会がいろいろ政府要望を出されているわけです。再診料どうのこうのというその要望について、この趣旨はどういう趣旨でしょうかといったふうなことを聞いておりませんと、私が中医協に臨んだときにこれは話ができません。これはおわかりいただけるでしょう。そういうことだけでございまして、値上げ幅、点数を何ぼにするというようなことを武見さんと相談したことは全然ございません。このことだけはこの機会に私ははっきりさせておきたいと思います。新聞も、会ったというと、いろいろ相談したかのごとく——私は何も新聞に書いたのを批判するわけでも何でもありませんよ。ありませんが、私は日本医師会の名誉のためにも、私の名誉のためにも、いい機会ですからこの機会にはっきり申し上げておきますが、値上げ幅などについてあるいは点数の具体的問題について、武見医師会長と相談したことはございませんし、相談するつもりもございません。
  315. 小宮武喜

    ○小宮委員 非公式で会ったからどんな話をしたかわかりません。しかし、こういった時期が時期だけに、非公式であろうと何であろうと、やはりお会いしたということになれば、諮問案の問題についてはなかろうかというような疑惑を招くことは事実なんです。しかし、それは厚生大臣の言うことを信用しましょう。  そこで、諮問案の考え方というのはどんなものですか。やはりあとの質問にも関連しますけれども、特に値上げ幅をどうするかというような問題についても、これは中医協に正式に諮問しておりませんから、なかなか言いにくい点があろうかと思いますが、しかし、新聞紙上を見ると、一八%とか一九%とか二〇%とか、いろいろ報道されておるわけです。大体の想像はつくわけでありますが、一応ここで説明のできる範囲内で、諮問案の内容というものをひとつ説明していただきたい。
  316. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 正式の諮問は、診療報酬の改定とスライド方式の導入、二つについて御諮問をすでに申し上げておるわけでございます。そこで、今度は診療報酬の具体的な点数の数字を出さなければならぬと思っております。それをいま作業中でございます。あしたの晩までに徹夜してでも事務当局につくるようにという厳命を下しておりますから、わが優秀なる保険局長以下はいま真剣にやっておりますからできると思います。それができませんと間に合いません。そういうことでいま作業しておりますので、一々点数など、私ほんとうに承知しておりません。これは承知しておりましても、専門家でないとわからぬのですよ。これはもう先生も御承知だと思うのです。  そこで、いま作業中でございますから何も言いませんが、基本的に流れる考え方は、高福祉社会における医療というものをいかに評価するか、こういうことが私は基本だと思うのです。高医療というものを国民にあまねく享受せしめるような診療報酬体系でなければならない、私はさように考えておるものでございますが、特に最近における医学、薬学の進歩というものは目ざましいものがあります。日本国民がこの進歩した医学の恩恵を受けられるにはどうしたらいいのだ、それが診療報酬にどう評価されて出てくるか、それがやはり重点でなければならないと思います。したがって、先ほど来お答え申し上げましたように、医師の技術は高く評価されるべきものである、こういう信念に基づいてひとつ点数表をつくっていく、そういう診療報酬改定にしていきたい、そうして今後年次別にある程度の計画を持ちながら、そういう高医療の恩恵を国民が受けられるような医療体系の第一年、出発としたい、これが私の念願でございます。いずれ点数表が諮問になりましたらひとつ御評価いただきたいと思う次第でございます。
  317. 小宮武喜

    ○小宮委員 点数表ができたら御評価願いたいということでございますが、おそらくその点数表が出る時分は国会は休会になって、評価するにもしようがないような事態になるかもしれません。  しかし、それはさておいて、大臣はこの諮問にあたって、この答申が一本化できないこともあり得るというようなニュアンスのことばを使っております。ということになれば、結局答申が一本化できない場合は二本答申、三本答申もあるというような想定をされておるのではないか、こういうふうに考えるのです。したがって、そうした場合に、たとえば最悪の場合は診療側の答申、支払い側の答申、公益側の答申、三本答申ということもあり得るわけです。そうなった場合に大臣はどの答申を尊重するのか。たとえば三本になった場合あるいは二本になった場合、その場合に診療側の答申を尊重するのか、それとも支払い側の答申を尊重するのか、あるいは公益委員側の答申を尊重するのか、その点ひとつ率直に質問したいと思うのです。
  318. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は先般の総会にごあいさつ申し上げました。すなわち、全会一致の御答申をお願い申し上げたい、そしてまた、全会一致の答申が出るようにお骨折りをいただきたい、こういうことを申し上げたのです。しかしながら、いろいろその間において少数の貴重な専門的な意見もございましたら、それも含めて御答申いただきたい、こう申し上げたのです。そのことのために、いま先生は、初めから二本立て、三本立ての答申を期待しているか、こうおっしゃるのですが、それは期待していないのです。すらっと読んでいただければ私の気持ちはわかっていただけると思うのです。すなわち、中医協の言論というものはあくまでもガラス張りで公明正大であってほしいのだ、そしてねらうところは一本答申をお願いしたいのだ、そうしてまた、できるだけお骨折りをいただきたいのだ、しかし、いろいろ意見があるときには含めていただきたい。少数の意見といえども、これは尊重しなければなりません。そこでこの前もごあいさつに申し上げたのですが、私も国会においていろいろな法案を出すときにはほんとうに少数意見を尊重しています。これはおわかりいただけると思うのです。少数意見によって法案の修正はどんどん与野党一致でやっておるじゃございませんか。話がつかぬときには法案でなくても附帯決議に書いてください、いろいろもう一ぱい書いておりますね。これは私が書いておるのじゃなくて、国会委員会において書いておるわけでございます。こういうわけで、お互い言いたいことはさらっと言う、これがやはり民主政治においては一番大事だと思うんですよ。そうしませんと、おれがこういったのに、あいつがおれの意見を押えた、押えた押えられたとなったのでは、かえって公明な審議はできないのではないか、私はこういうつもりでございます、と申し上げました。ですから、小宮委員も初めから勘ぐって、並行答申を前提にしてやったに違いない、これだけはぜひおっしゃらぬようにお願いをしたいのです。さらっと読んでいただいて、民主的な気持ちでやっていきたい、これが私の偽らざる心境でございます。
  319. 小宮武喜

    ○小宮委員 だいぶん大臣も力んで答弁されているようですが、それは一本化答申が望ましいことは当然なんだ。しかし、二本答申、三本答申ということが、今回の紛争の経過から見て、やはり想定されるのではないか。そのことも大臣も腹に置いてああいった諮問だったのではないかということを考えるわけですが、しかし、これは現実に答申がどうなるか、その上で大臣がどの答申を一番尊重するかという結果を見て、この問題については再度また質問を展開します。  それから、大臣はこの紛争収拾に当たって、やはり何か新しい総合的な諮問機関をつくるということも言われておるわけですが、しかし、この新しい諮問機関というのは、いま現在の中医協を解体して、また別個の諮問機関をつくるという意味なのか。この問題については、医師会と自民党の間の公開討論の中でも、新しい諮問機関をつくるということは約束しておられる。していますね。だからそれを受けて厚生大臣は言われたのだろうと思うけれども、いまの中医協の問題と新機関をつくるということは、これはどういうような関係になるのか、いまの中医協を解体して新しいものをつくるのか、その点どうですか。
  320. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は、過去の中医協のいろいろな紛争の姿、いろいろなそういうことを頭に描きながら、しかも利害相対立する方々が深刻な対立を示してきた今日までの姿を見て、はたして国民の命を守るという医療、これにつながる診療報酬の改定をこういうことでいいのだろうか、こういうやり方で決定していいのだろうか、これは私は先生もそう御同感だと思うのです。ほんとうにあれは何とかしなければなるまいと小宮委員も腹の中で考えておられるのだと思うのです。その気持ちを率直に言うただけです。ですから、新しい総合的な機関の検討をする必要があると私は申し上げている。検討する必要がある。これは小宮委員も同感だと思うのです。そこまでは同感だと思うのです。  そこで、しかし、新しい機関をつくるとするならば、——つくる必要を私は痛感している。つくるとすればどうするかということになりますと、これは事態は重要な問題でございますから、広く関係各方面の意見を聞いてきめなければならぬと思うのです。したがって、国会の社労の専門の皆さん方の御意見も十分承り、民間方々の御意見も承って、いまのようなままではいかぬとなればどうすればいいか、そういうことで各方面の意見を広く求めて結論を出すようにしたいと思っております。したがっていまのところ何の具体的構想も持っておりません。先般の自民党の公開討論会においても、これにかわる機関をつくる必要があるかないか、つくるとすればその権限をいかにすべきか、こういう問題については慎重に検討したい、わが党はさように述べているということを承っております。私、政府としてもさような考えでございまして、何ら具体的な構想を持っていないことを明らかにしておきます。
  321. 小宮武喜

    ○小宮委員 私も、中医協がこれまでのように、とにかく紛争してごたごたすることは避けてもらいたい。そこまでは一緒なんです。しかし、大臣がいまのような紛争を避けるためになにか総合的な諮問機関をつくるということになりますと、結局いまの中医協の利害が相対立する三者構成の中ではうまくいかぬので、これを解消するためには、たとえば公益委員だけの構成の、なにかそういうような新規の諮問機関を考えておるのではないかという、私の推測です。しかし、いま何も考えておらぬというからそれを信用しますけれども、しかし、少なくとも何かやはり考え方があると思いますが、それはもう言いません。しかしながらそうなった場合に、やはりほんとうに国民不在の医療行政がやられるようなことでは非常に困りますので、その点は十分ひとつ考えておってもらいたい。  それから今度の中医協は、再開されるにあたって、会長不信任の問題、あるいは東芝製品の不買運動の問題、あるいは保険診療の一部拒否の問題、これはどういうふうになるのですか。
  322. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 医師会側の委員が会長不信任ということを五月でしたか表明されましたが、これは日本医師会としては撤回をする、こういうことでございます。きれいに、なかったものとみなして、持ってきた紙は白紙に戻っておる、こういうことに私は理解をいたしております。したがいまして、中医協の総会はすでに二回開かれましたが、全員出席をいたしまして、正常な姿において真剣な御議論をいただいておる、こういう状況でございますから、その点は率直に御報告申し上げておきます。
  323. 小宮武喜

    ○小宮委員 会長不信任の問題は、これはまあ一応新聞でも明らかに言われておりますから、それなりにけっこうです。また支払い側はそういったことを再開の条件とはしないということになっておりますから。ただその東芝製の不買運動と、それから紛争中に行なった医師会の健保診療の時限拒否の問題、この問題はどうなるのかということを聞いているわけです。
  324. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 言論の自由は民主社会において最も尊重されるべき原則でありますから、言論の自由はお互いに尊重しましょう。こういうことで、先般の総会において支払い側も医療側も確認し合って慎重に審議をしております。  過去のことについての批判は、大臣としてはとやかく申すべきものではない、かように考えております。
  325. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣のことば非常に慎重で、まあまたいたずらに紛争を起こさないようにということで非常に気を使って答弁されておることはよくわかります。  そこで大臣、やはり私たちが一番心配するのは、大臣はまだ諮問案が政府との、大蔵省との煮詰めがなされておらぬので正式に発表もできぬということで、抽象的なことを言われたわけですが、具体的な点数がどうなるかということはやはり諮問しなければいかぬわけです。われわれが心配するのは、やはり前国会の健康保険法の一部改正の法律案の中で審議した際にも明らかになっておりますように、もういまのような、結局おそらくわれわれが考えられるような診療報酬の改定になりますと、また特に政管健保あたりは赤字が出てくる。そうすると弾力条項の発動というものがすぐ出てくるということにつながるわけですが、その点はまず大臣は、いやまだきまっておらぬから具体的に何もありませんというようなことで逃げるかもしれぬが、大臣はきょうあたりは盛んに逃げの一手で、もう少し、この前の健保国会のときはもっと前向きにいろいろ答弁しておられたようですが、きょうあたりはどうもあと味が悪いような感じがしますけれども、どうですか。もう大蔵省との煮詰めをやる以上はある程度の構想は大体できておる。そうするとやはり弾力条項の発動というのは当然出てくると思いますが、弾力条項の発動ということについてはどのように考えておられますか。いままでの、参議院、衆議院の予算委員会でも、弾力条項の発動ということをはっきり言っておられるわけですから、その点いかがですか。
  326. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 今回の診療報酬改定がどの程度の幅になりますか、あしたの晩まで最終的に大蔵省と詰めたいと考えております。そこで今度どの程度上がるか、ちょっとはっきり私の口から申し上げることはできませんが、あしたの晩くらいになると私の腹も固まるわけでございます。  そこでどの程度の幅になるかは別として、健保財政は今回の診療報酬の値上げ幅にはたえ得ないものがあると思いますから、弾力条項の発動は必至であると私は考えております。しかしながら、弾力条項の発動は被保険者方々の負担の増大を意味するものでございますから、国会の御審議でときどき御注意いただきましたように、慎重な上に慎重に進んでまいりたいと思います。  しかしながら、これだけの高度化された医療を受けるということでございますから、よりよき医療を受けるためには、ある程度の負担増はやむを得ない。これだけ私は被保険者方々にごしんぼういただかなければならぬと思いますが、弾力条項の幅をどの程度にするかということは、結局診療報酬の幅がどの程度になり、来年の保険料収入はどの程度になる、わが国の経済の見通しがどうなるか、そういうことがはっきりしませんと、弾力条項の幅はきまらぬわけでございます。しかし、私の大体の考えるところによると、来年度においてある程度の弾力条項の発動は避けがたいことではないか、かように私は考えております。しかし慎重の上にも慎重に、そして弾力条項の幅などは最小限度に押える、そういう気持ちで臨んでまいりたい、かように考えております。
  327. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣、大蔵省と値上げ幅についていろいろ折衝されておるということはわかりますよ。しかしながら、やはり少なくとも国会において、どれくらいの改定を考えておるのかということについて、私はこう考えております、それでいま大蔵省と煮詰めをやっている段階ですというぐらいのことを国会の質問に対してそれを隠して、それであしたぐらい、あさってぐらい、国会の終ったそのあたりでぱっぱっとやるような、食い逃げとまでは言わぬけれども、そういうようなことでなくて……。私は、前回の国会のときの大臣とは変ったような感じがします。  それはそれとして、それではいまの中医協の今後の審議状況等もにらみ合わせることになりますけれども、大体診療報酬改定はいつからになりますか。一月ですか、二月ですか。
  328. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私は何も隠しておるのではないのですよ。きまっていないから申し上げられないのです。ただ、言い得ることは、昨年改定いたしましてから今日まで、公務員給与改定は二度ありました。その事態を踏まえて診療報酬改定はなさるべきものでありましょう。これはおわかりいただけると思うのです。それから、将来のいわゆる高医療の方向というものを目ざした技術料の評価、これがプラスになっていく、こういうふうに私は考えておるわけでございますから、そこは専門である小宮委員適当に御判断をいただいてお願いをしたいと思う次第でございます。  そこで問題は、いつからやるかというお尋ねでございました。私は、中医協に対しましてはできるだけ早く御答申をいただきたい、しかも診療報酬改定は二週間以内、こう申し上げました。二週間と申しましたが、一回目の総会を開くまで一週間たってしまいました。ですから一週間はずれるわけでございますが、年内に答申が出れば、国民全体が困っておることでございますから、何としてでも、事務的な御苦労はたいへんだと思いますが、一月実施にしたいと思います。しかし答申が一月になれば、これはもう一月にはやれません。ですからあとは私の手を離れまして中医協の委員方々の慎重審議を待っている、こういうことでございまして、私のほうの側では何ともこれ、一月になるか二月になるか、そんなことを言うたら、かえって中医協におこられると思いますから、私の口からは何も言えません。しかし十二月に出れば、私は一月実施にやるべきではないかといまのところ考えております。しかし中医協の御審議を拘束するわけにはまいりませんから、その点は御理解を賜わりたいと思います。
  329. 小宮武喜

    ○小宮委員 この中医協問題については、大体大臣の苦衷もわかりますので、これ以上質問はいたしませんけれども、最近病院関係で医薬品の不足が非常に深刻化してまいりまして、治療や投薬に支障を来たすというような状況があちらこちらで発生しておるということを聞いておりますけれども、特に医薬品の中でもガーゼだとか抗生物質だとかブドウ糖、リンゲル、こういったものが不足しておるということを聞いておるわけです。したがいまして、こうした事態が長く続きますと非常にゆゆしき問題にまで発展するというような話を聞いておりますが、厚生省はこのような事態をどのように把握しておられるのか、また把握しておられるとすればどういうような手を打っておられるのか、お聞きしたい。
  330. 松下廉蔵

    ○松下政府委員 ただいま御質問がございましたように、ことしの冬二月ごろから、まずいま御指摘のガーゼの価格の暴騰及び不足という問題がございまして、引き続きこの夏ごろから、いまのブドウ糖、リンゲル等の基礎的な医薬品がやや品薄であるということが伝えられておりまして、たいへん御心配をおかけしております点は、私ども所管といたしまして、まことにたいへんなことでございますので、まずガーゼについては、何回かすでに当委員会でも御説明申し上げましたように、業者に増産を指示いたしますと同時にあっせんの窓口をつくりまして、もし手に入らない場合がありましたならばその窓口を通じて必ず入手できるような措置を講じまして、増産も前年同期よりは二割ぐらいの増産になっておりまして、その後、綿糸価格が鎮静した等の効果もございまして、量も足りておりますし、価格も鎮静の方向に向っております。  それからブドウ糖、リンゲル等の基礎的な医薬品につきましては、やや不足が伝えられました原因としては、一つは薬価基準との関連におきまして、公害対策等でアンプルが急騰した、あるいは労賃が上がったというような関係からコストが高くなりまして、非常に利潤が少なくなってきておるというようなことから、期待されたほどの増産が進まなかった。生産は落ちていないわけでございますが、一方では非常に猛暑が続いたというようなこと等の影響もございまして需要が伸びてきておりまして、そういうことが伝えられたために、若干仮需要等の増高もございまして、在庫が減少したというようなことからそういう形になったものと承知をいたしまして、私どもといたしましてはさっそく、糖液会といっておりますが、ブドウ糖等をつくっております業者の団体あるいはおもなメーカーに呼びかけまして増産を指示いたしまして、その後増産は順調に上がっております。また、これは検定品目でございますので、検定につきましてもできるだけ期間を短縮するよう各都道府県にも指示をいたしまして、またおもなメーカーは直接大臣からも指示をしていただきまして増産を続けておりまして、現段階におきましては量としては不足はないものと考えております。  ただ、基礎的な医薬品でありますために、品薄が伝えられますと、各医療機関において御心配になるために、どうしても多少ストックをしておきたいという御要望もございまして、ときとして荷動きの関係で手に入らないというような場合もあると考えまして、各都道府県に指示いたしまして、各都道府県の薬務担当課において業者と連絡をとりまして、もし個々に手に入らないケースがありましたならば直ちに業者と連絡をしてあっせんする。大体県であっせんし得ない場合には、厚生省に連絡が来れば厚生省でもすぐあっせんするという体制をとりまして、県に指示いたしますと同時に、医師会等にもお願いいたしまして、各府県の医療機関にも周知をしていただいております。なお周知を欠いておるおそれもございますので、さらに重ねてそういった点を周知させたいというふうに考えておる次第でございます。  それから価格の面におきましては、いま先生から御質問がございました中医協において審議されております医療報酬の改定の一環といたしまして、薬価基準の中で適正なる生産を行ない得るような措置を講ずる、そういう施策をとっておる次第でございます。
  331. 小宮武喜

    ○小宮委員 次に物価高騰と社会福祉の問題に対して質問します。  これは先ほどからもいろいろな質問があっておりますけれども、さきに首相の諮問機関である社会保障制度審議会でも当面する社会保障の危機回避のための建議を行なっておりますし、また厚生大臣の諮問機関である国民年金審議会でも、福祉年金と農業者年金の改善に関する意見書を大臣に提出しておりますね。そういうような中で、特に国年審ではこの福祉年金について、これまでの単なる敬老的な額から、生活保障的な色彩が加えられるべきであると指摘しておるわけですが、福祉年金について、現行五千円ですね、来年は七千五百円に上げる考えのようでありますが、この際五千円を二千五百円上げてみても、いまの物価高の中では焼け石に水です。したがいまして、大臣、いまの七千五百円を二倍の一万五千円くらいに、ひとつ英断を持って引き上げるべきじゃないのか、こういうふうに考えるわけです。これは特別給付金にしても同じですが、田中総理もそれは五十年は一万円の公約をしておるわけですが、ひとつ一万五千円に引き上げてもらいたい。しかし、かりにそれが非常に無理としても、少なくとも田中総理が公約された一万円を一年繰り上げて支給するというぐらいの考えでひとつ取り組んでもらいたいということを特に大臣——非常に大臣は前向でこの問題について取り組んでおられますので、期待した答弁を聞きたいと思います。
  332. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 来年度一万五千円、または一万円に引き上げるようにしたらどうかという御意見、まことにその御意見は御意見として承っておきます。けれども、これはもう先生も御承知のように、全額国費なんです。しかも対象者は三百五十万もおるのです。ちょっとそれを計算しただけでも相当な金——金のことは私も財政当局じゃないからあんまり言いたくありませんが、来年五千円を七千五百円ということになれば五〇%ですね。これは理解をしていただかなきゃならない。というわけでございまして、せっかくの御意見でございますが、十分承りますが、一万五千円、一万円というわけにはいかないと私は思います。
  333. 小宮武喜

    ○小宮委員 パーセンテージばかりいろいろ言っておるけれども、とにかく金額を見てください。  時間がだんだん押し詰まってきましたので、先を急ぎますけれども老齢福祉年金ですね。これは十月から改定が五千円にきまっておるわけですが、支払いは大体来年の一月になっていますね。だから、ここでこれくらいは大臣私の提案を聞いてもらわぬと。というのは十、十一、十二、三千三百円と五千円の差額千七百円の三カ月分五千百円を年内に老人のため支給する、これは予算はあるわけですから。ただ、先ほど言われたように、中医協の答申は年内ぎりぎりでも来年間に合せると言いながら、これは間に合わさぬと言わされませんよ。だから、どうですか。もう単刀直入に千七百円の三カ月分を、来年一月と言わぬで、お年寄りのお年玉として五千百円、年内に支給するとお約束しますと言ってください。
  334. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 これも先ほど来たびたび御質問いただいたわけでありまして、支給の事務は御承知のように郵便局がやるわけなんです。これは歳末たいへんですよ。郵便局の職員ほんとうにたいへんなことです。それで、御承知のように、郵便局のこういう年金関係の支払いの事務は、たとえば十二月は拠出制年金の支給月、一月は無拠出、それから恩給はいつ、三月は何、こういうふうにちゃんと手順よくきまっておりまして、そのルールに従って郵便局の職員がお骨折りをいただいておるわけなんです。でございますから、事務的にできないなどということは私も言いたくありませんけれども、実際問題上できないのではないか。勇断をもってと名ざしでおっしゃられましたけれども、これだけはいたしかねるのではないか、こう思います。
  335. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣、そんなことばかり言っておったんじゃ——これは前の質問のように金をよけい出せというわけじゃないんです。当然やる金を少し早めなさいというつつましい私の提案ですよ。それを、いま言う技術的な問題いろいろありますけれども、何か便法でも講じて、正月前にやれば、これはもう厚生大臣はお年寄りから大臣さまさまとあがめられて長生きしますよ。もしそれをやらぬでうらまれて、まあ、あんまり先は言いたくないけれども、人に喜ばれることはとにかく一刻も早くやりなさい。私の言っていることは決して無理じゃないと思っておるけれども、しかし、それでも大臣がそんな答弁であれば、齋藤厚生大臣は、前は非常によかったけれども、今度の国会からだめになったぞと、これはみんなに、老人大会に行ったらまた言わざるを得ぬです。それをいいということですからしようがないですけれども。  それから大臣、この年金受給者の問題にしてもそうですよ。大体物価スライド制の問題が採用されたわけですけれども、実際調整されるのは一年後、来年のことですね。だから、そういうようなことも大体私たちに言われたらもうどうにもならぬということじゃなくて、そのくらい自発的に発想の転換をやってもらわぬと、たとえば物価が一四・五%も一五%も上がったという場合は、とにかく一年後では物価スライド制の意義というものは、齋藤厚生大臣非常にこの点は積極的に努力されておるわけですけれども、それではせっかくの好意が好意にならないわけです。それよりは一四・五%とか上がった場合は、一〇%くらいもう直ちに十二月からでも一月からでも支給する。これは計算簡単でしょう、一〇%ですから。一割ふやせばいいわけだから。十二月とは言わぬけれども、一月くらいから年金受給者に対しても、物価スライド制の問題は、調整期は一年ぐらいおくれるわけだから、その前にでもやれるような便法、特例を考えてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  336. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 実は、そういう問題みんないろいろ考えてきているのです。ところが御承知のように、私言いわけをするわけでも何でもないのですが、御承知のように厚生年金は十一月一日から施行なんですね。ほんとう言うと施行になったばかりなんです。というわけでございますので、やっぱりいまのところいまの法律をいじって改正しようたって、十一月から十二月までの間では二%から三%——そんなに上がっておりませんね。二%でしょうね、十二月まで。というわけでございますから、あの弾力条項をかりに繰り上げてやれとおっしゃっても、発動の余地はない、こういうわけでございます。しかし、長い目で見ますと、この弾力条項は一年間における物価上昇ということを頭に描いての弾力規定です。実は、やっぱりこれは少し考える余地はないかと思っておるのです。一年待たなくても、物価が一〇%上がったそのときに上げる。こういうことはいろいろ考えなければならぬものも実はあるような気がしておるのです。しかし、さればといって、そういう事態を政府が考えているのかなんてことになると、これまたたいへんですね。政府は来年短期で物価を押えたい、こう言っておるわけですから。何か言うことも、発言することも自己矛盾のような気もする。そこで痛しかゆしというところで、いま悩んでおるところでございます。
  337. 小宮武喜

    ○小宮委員 ようやく大臣の本領が出てきたかと思ったら、またあとはしりつぼみになってしまって、期待はずれになったわけですが、少なくともそういうような、物価がこれだけ上がる場合、スライド制の問題も、ただいままでのマンネリズムの考え方は捨てて、その時勢、時勢、時代に即応した対策を立てるというようなことを十分考えていただかぬと、こういうような問題いつも繰り返されてきます。  それから生活保護費の問題についても質問したいのですけれども、先ほどからいろいろ言われております。ただ一級地二千円上げた。これでお年玉だと言うてみたって、二千円のお年玉で喜びやせぬですよ。いまごろは正月に年始にこられた子供のお年玉に千円やるのですよ。だから、いまの政府の考え方は老人福祉年金にしても、もう小づかい銭だ、あめ玉年金だと言われるのはそこにあるわけです。そういうようなことよけい言うと時間ちょっと過ぎますので、もういろいろ申し上げません。またじっくりあとでやりますが、大体時間も来たようですから、まだ質問したいこと一ぱいあるけれども、これくらいでやめます。これで質問終わります。
  338. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 ただ、いま二千円でどうのこうのとおっしゃいましたが、一時金はその根っこに四千円あるのですよ。合計して六千円になるということをおっしゃってください、上がった分だけおっしゃらないで。
  339. 小宮武喜

    ○小宮委員 六千円、大臣、あなた恩着せがましく言っておるけれども、たとえば公務員の今回の年末手当の一時繰り上げでも〇・三カ月分。それが千円か二千円やって前にも四千円やっておるじゃないか、六千円になるじゃないかと言ってみたって、そんなことで、ここでは通用しても、あなた、皆さん方の前へ行ったら通用しませんよ、そんなことは。
  340. 斉藤滋与史

    ○斉藤(滋)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十一分散会