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1974-05-23 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十三日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 金丸 徳重君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君    理事 諫山  博君       越智 伊平君    田澤 吉郎君       竹中 修一君    中尾  宏君       旗野 進一君    藤尾 正行君       細田 吉藏君    村岡 兼造君       綿貫 民輔君    渡部 恒三君       渡辺 紘三君    阿部未喜男君       川俣健二郎君    柴田 睦夫君       高橋  繁君    広沢 直樹君       宮田 早苗君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君  出席政府委員         建設政務次官  内海 英男君         建設省河川局長 松村 賢吉君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省河川局治         水課長     栂野 康行君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         国土地理院参事         官       村岡 一男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(地震対策等)      ————◇—————
  2. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田睦夫君。
  3. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 きょうは最近の都市、特に人口急増地帯や、あるいは人口過密都市のその中を走っている小河川はんらんして、水害被害がちょいちょい起こる、こういうことが全国的に起こっているわけですけれども、これは急激な都市の膨張によって都市保水機能が低下して、そうたいした雨でもないけれども、すぐに床上浸水被害を生ずるところがきわめて多いわけです。これは都市化の著しい都府県では、全国的にどこにでも見られる問題となっておりまして、関東では、東京や埼玉、千葉、神奈川、こうしたところでは、自治体が自分の財源をやりくりして、この対策を立てているという現状です。このような都市化の著しい地域の小河川による水害、その水害発生する危険のある区域、この水害危険区域といいますか、このような危険区域がどの程度あるか、どういう状態であるか、そういう点について、河川担当者のほうで調査しておられるかどうか、まずお伺いします。
  4. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたようなこういう地域、最近都市化の進展が非常に著しいところ、これは全国で非常に数あるわけでございます。私どものほうとして、特に危険地域といたしましてこれを取り上げてやっているというようなことは、地域的にきめているというようなことはございません。ただし、最近発展している地域あるいは宅地造成等が非常に進んでいるところ、こういうところには問題があるところはたくさんございます。それで、これは個々の問題といたしまして取り上げて対策考えておりますが、いまここには資料はございませんけれども、こういう地域がどれだけあるかというのを数字的に出せとおっしゃいましたら、至急調べまして御報告申し上げます。
  5. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いま調べている、資料、数字があるということですが、それがあればまた私のところにでも、あとで請求したいと思いますので、届けていただきたいと思います。  ただこの小河川はんらんの問題は最近非常に多くなっていまして、人口過密地帯での床上浸水ということになりますと非常に多くの人が被害を受けているわけで、そういうところにおいては重大な生活上の問題になっているわけです。ですからこの調査については個々の問題ということではなくてやはり全体的に調べていく必要があるのじゃないか、このように思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  6. 松村賢吉

    松村政府委員 この点につきましては先生のおっしゃるとおりかと思います。私先ほど個々と申し上げましたけれども対策については個々でやっているということで、やはり全体としての統一ある調査並びに対策ということは考える必要があると思います。ただ、われわれといたしましてもこの問題につきまして真剣に取り組みまして、いままである既定の事業、これは中小河川改修事業でございますが、こういうものでいままで積極的に進めてまいりました。それをさらに拡大する意味におきまして昭和四十五年度からは新たに都市小河川という制度を設けております。そのほか昭和四十八年度から防災調節池、それから治水緑地、こういう制度を設けまして急速な都市の発展並びに宅地造成等に対する災害対策についてはいろいろと検討しておる次第でございます。さらにこれの拡充あるいは全体の制度化、これらにつきましても検討いたしまして進めていきたいというふうに考えております。
  7. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 調査の件について言うと、がけ地地すべり地帯、これは全国的に調査されている、そして順番をきめてといいますか、それに対する対策も講じられているようです。そういう点から考えてみましても、やはり都市小河川被害というのは非常に重大な問題になっておりますので、これは徹底的な調査をされて計画的な対策が立てられなければならない、このように考えております。  昭和四十六年の七月に河川審議会都市河川小委員会から「都市河川対策の進め方について」という中間報告が出されております。これによりますと、都市河川管理体制の不十分さというものが指摘されているわけです。そのほかには財政的な助成措置必要性都市小河川補助事業対象都市拡大必要性というようなことも述べられているわけです。この意見についてどのように対処してきたか、また対処する方針であるか、そのことをお伺いします。
  8. 栂野康行

    栂野説明員 お答えいたします。  まず下水道とそれから河川との分担区域、こういう問題もこの答申で述べられておりますが、これらにつきましては、河川下水道管理分担基準、これを定めまして、すでに河川局長あるいは都市局長の通達で出されております。この内容を申し上げますと、まず流域面積が二平方キロメートル以上の河川につきましては河川として取り扱う。それから流域面積が二平方キロ未満につきましては下水道として管理する、こういう区分に基づきまして現在鋭意その分担区分につきまして調査検討をしております。  それから上流宅開が非常に盛んに行なわれている場合の問題でございますけれども、これにつきましては現在非常に問題がありまして検討中でございます。しかしながら具体的に現在どういうふうにやっているかということでございますが、まず一般宅地開発事業、そういうものが進みますと、下流河川の受け入れが必ずしも十分ではないということでございまして、開発事業者といわゆる事前に協議するということで極力河川事業とのタイミング、こういうものを調整しております。もっとも河川整備というものはいわゆる社会資本基幹施設としての整備としてはかられるものでございます。しかしながらやはり宅開が進みますと、従来河川改修をやってきた川のプライオリティーとの関連が出てまいります。したがいましてそういう問題、プライオリティーを早くしなければならぬという問題、それから集中的にそういう宅開下流河川改修を進めていかなければいけないという問題もありまして、総合的に考えまして河川改修事業費の一部を開発者負担させるというふうなこともやっております。そういうふうにしまして都市河川、あるいは上流開発が進んでいる川におきます改修というものを総合的にやっておる次第でございます。  それから先ほど局長からも説明がありましたように、いわゆる都市小河川制度あるいは防災調節池事業あるいは治水緑地事業というように、従来の河川改修、いわゆる中小河川改修あるいは小規模河川改修という制度とあわせまして総合的な改修促進をはかっている次第でございます。
  9. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この対象都市指定されていると聞いておりますが、その対象都市はどうなっておりますか。
  10. 栂野康行

    栂野説明員 都市小河川対象都市でございますが、これは昭和四十五年度に発足した事業でございます。そして当初は、いわゆる政令指定都市におきまして流域面積が三十平方キロ以下でございましてそれから二平方キロ以上という小さな河川対象としてやってまいったわけでございます。しかしながらその後地方中核都市、これなども順次対象としまして、本年度におきましては継続の二十一の都市に加えまして新たに宇都宮、横須賀、それから岐阜、和歌山の四都市を加えて現在事業を実施しております。
  11. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと現在が二十五都市ということになるようですが、小河川による水害が問題になるところはずっと多いと思うのですけれども、この指定が何か非常に少ないように思いますけれども、いかがでしょうか。
  12. 栂野康行

    栂野説明員 この問題につきましてはできるだけ拡大したい、その対象都市を広げたいというふうに考えております。しかしながら、いわゆるその都市管理能力の問題もありますし、また治水事業全体としましては、都市も重要でございますが、またいわゆる田園性における川におきましては、一たび洪水はんらんしますと、たんぼが全滅するという事態もございます。そうしますと、いわゆる一年間の生計が洪水はんらんによって失われていくという事態もございますので、都市河川改修重点を置くとともに、また、一般のいわゆる農村の河川改修、これにも重点を置いてまいりたいということで、そういうふうに総合的な観点から現在都市小河川改修も進めておる次第でございます。
  13. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私の住んでおります千葉県の例ですけれども松戸市を見てみますと、これは市街化が進められたことによって、洪水の危険が生じる場所が現在四十カ所ある、こういわれております。現に去年だけで、一年間に三回も浸水しているわけです。大体この浸水をしたようなところを見てみますと、もとはたんぼだったんだけれども、それでたんぼのときは浸水しても別に被害はなかったところなんですけれども、現在では二十ミリぐらいの雨でも床上浸水になってしまうところが十九カ所あるわけです。こうしたところでは、外出していても、雨が降ってくると急いでうちに帰らなければならない。それから、雨の日には買いものにも行くわけにはいかぬ。そして、一般的にいっても、一ぺん水をかぶりますと、畳や寝具がしめってしまって、たいへんなことになる。それから小学生をはじめ子供たちは、この水の中をじゃぶじゃぶ行って学校に通わなければならない。いろんなことが、いろんな悩みがあるわけです。これに対して松戸当局では、いま総事業費百二十数億円の全体的な改修計画を立てておりまして、今年度下水道を除いた排水事業だけでも五億七千万円に達する予算を組んでいるわけです。市の予算は全体で本年度九十八億円ということから見ましても、この水害対策というのが大きな負担になっております。このような自治体負担というのは、これは別に松戸に限ったわけではなくて、東京の区を見てみましても、三十の区、市でつくっております東京中小河川改修促進連盟が去年の八月にこの改修の問題に関して大幅な国庫補助を求めるという決議をしていることを見ても、東京都においても重大な問題であるということがわかるわけです。今後こうした問題に対処して都市の小河川補助事業の大幅な対象拡大を行なって、それから要求されておりますように、さらに補助率拡大ということも考えなければならない問題があると思うわけですけれども、このことについての見解をお伺いします。
  14. 栂野康行

    栂野説明員 お答えいたします。  まず都市の小河川改修促進をはかること、これは先生のおっしゃるとおりで、今後も進めてまいりたいと思います。  それから補助率の問題でございますが、この補助率というものはいわゆる国の財政とそれから地方財政、それの相互の関係においてどういう姿が一番国全体としてよかろうかという観点からきめられております。その点非常にむずかしい問題でございますが、現時点としましては特に都市における都市小河川補助率の問題などにつきましては富裕県、富裕な都市もありますし、現行で今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この現行基準というのが現実自治体から見ると問題になっておりますし、対象をさらに広げなければならないということが問題になっているわけですが、役所から見れば一応の基準がすでにきめられていて、これに従ってやるというのが筋になるでしょうけれども現実の問題として、この小河川改修によって災害を防いでいくということが現状と実際は合わないのじゃないかというのが私の考えなんですけれども長官のほうはこうした都市水害の経験などについておありかどうかわかりませんけれども長官のほうでいまの都市の小河川はんらん、特に開発が大きく進められることによって、いままで起きなかったところで水害が起きるようになってきている問題について、御見解があればお伺いしたいと思います。
  16. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  急速に都市化している地域及びその周辺におきまして、いわゆる小河川はんらんということは非常に多く見ます。特に集中豪雨等がございますと、その影響は非常に大きくあらわれておりまして、基本的に申し上げれば、やはりこうした問題は、ただいまも建設省が特に力を入れて小河川対策を進めておると申しておりますが、さらに私はこの都市化現状の激しい現在の日本の情勢から見ますと、さらに一段とこうした問題に政治は力を注ぐべきである、そのような基本的な考え方を持っております。
  17. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 都市における水害原因をつくり出す問題として、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども宅地造成の問題があるわけで、この宅地造成の問題については、千葉県や横浜市などでは宅地造成を行なう業者に対して、一定規模以上の宅地開発を行なう業者に対しては、河川工事費用事業者負担させるとか、あるいは河川工事が適していないというような場合は遊水池を設けるというようなことで指導しているわけです。先ほど申し上げました河川審議会意見にも、やはり宅造業者治水費用負担について制度整備ということを検討することが必要であるというような意見が述べられているわけでありますけれども宅地造成業者治水費用負担あるいは治水対策についての制度、この現状はどうなっているか、お伺いします。
  18. 栂野康行

    栂野説明員 ただいま先生からのお話がありましたように、千葉県におきましては、河川改修一部負担あるいは防災調整池の設置という指導を行なっております。それで、河川審議会としましても、こういう場合の負担制度を早く明確化せよという答申がございます。したがいまして、現在、建設省におきましても、その負担方式あるいは基本的なものの考え方、こういう点につきまして鋭意検討中でございます。できるだけ早急に結論を得たいというふうに考えております。
  19. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 地方自治体でこういった宅地造成業者に対して処置をさせる、そういうことを現実に進めているわけですが、やはりこういう面では国自体、国のほうも考えなければならない。特に都市全体を見てみましても、小河川による災害というのがやはり大きな問題になっておりますし、宅地がどんどんつくられていけば、なお都市における災害の問題がいよいよ重大になってくると思うわけです。ですから、小河川がいままでと違った災害原因になるということから考えてみました場合に、いま言われておりました制度というものを早急に整備する必要があると思うわけで、この問題を早急に検討するということですが、ちょっとしつこくなりますけれども、いままでの検討状況検討された内容などがあればお伺いしたいと思います。
  20. 栂野康行

    栂野説明員 お答えいたします。  具体的に数字的な問題あるいはどうあるべきかという具体的な検討の経過は現在ありません。しかしながら、基本的にそういう負担をさすべきかどうかとか、あるいは負担さす場合にはどういう考えでやるべきかという基本的な問題を現在煮詰めておる次第でございます。いろいろ詰めていけばいくほどむずかしい問題が出ておりまして、今後とも検討を鋭意やってまいりたい、こう考えております。
  21. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 以上で終わります。
  22. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、高橋繁君。   〔金丸(徳)委員長代理退席小沢(一)委員長   代理着席
  23. 高橋繁

    高橋(繁)委員 きょうは長官もいらっしゃっておりますので、伊豆沖地震の件で若干質問いたしたいと思います。  前回各党からいろいろ質問されましたので、ごくしぼりまして質問したいと思いますが、その前に傾斜地保全課長もいらっしゃっておりますので、この前の答弁のときに、伊豆沖地震で中木を中心とした妻良、子浦、あるいは伊浜落居という地域に対して、地割れがかなりできてきておる、そこで、二次災害というようなことが心配になるということでさっそく状況調査をいまいたしておりますというような答弁でありましたが、その調査は終わりましたのか、あるいは中間的な発表でもよろしゅうございますから、もしわかりましたらお答えを願いたいと思います。
  24. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  先日十六日から三日間、建設省調査団といたしまして、土木研究所砂防研究室その他各研究室調査をいたしたわけでございます。さらに、いま先生指摘の、落居それから伊浜部落等クラック発生状況部落に対する影響が非常に大きいのではないかというふうな県当局からの御指示もございまして、さらにその部分につきましては東京大学の福岡教授に現地を特に御視察いただいたわけでございます。特にいま御指摘落居部落につきましては、その部落の上の山地が崩壊あるいは地すべりを起こした場合には部落影響があるのではないかというふうな予想はやはり先生の御指摘もあったようでございます。  さらに二次災害防止というふうな意味で、建設省調査団調査したわけでございますが、全般的にすべての個所調査するというふうな時間的余裕がなく、いま申し上げました、特に被害が甚大であろう、将来非常に大きな影響があるであろうという範囲にしぼって調査したわけでございます。詳細な調査の結果はまだまとめていないわけでございますけれども、いまの落居部落あるいは伊浜部落等クラック等につきましては、二次災害防止という意味で、伸縮計をつけ、そしてその移動観測を現在続けておるような状態であります。その移動観測の結果によりまして警戒避難体制の万全を期しておる、そのように県あるいは南伊豆町を指導しておるところでございます。  さらにそれらの対策でございますが、対策につきましては、地すべりあるいは崩壊防止するための工法を検討するという意味では、さらに詳細な実施のための調査が必要かと思います。したがって、調査団調査結果に基づきまして、さらに詳細調査の必要なところは追加いたしまして対策検討中という状況でございます。  全般的な調査の結果といたしましては、さらに同研究所あるいは県当局に継続して調査させなければならないというふうに考えておりますので、それについてはまた県当局と現在打ち合わせ中でございます。
  25. 高橋繁

    高橋(繁)委員 一番心配であります落居伊浜については、移動検測体制ですか、そういうものでやっておりますが、一番危険な場所であろうかと思うのです。したがって、雨が降った場合、そういう雨水によって地割れがさらにひどくなる危険というものはいまのところあまり心配ないのですか、あるいは心配がありますか、どうなんですか。
  26. 大工原潮

    大工原説明員 クラック発生が起こりますと、そこに雨水が入りまして、地すべりあるいは崩壊を助長するというふうなことに当然なるわけでございます。したがって、局部的にはクラックのひどいところにはビニールシートをかぶせる等の措置は現在行なっておるはずでございます。やはり降雨に対しましては、その心配がございますので、移動を常に、特に降雨時には詳細に観測いたしまして、警戒避難という方向につなげておるわけでございます。
  27. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そういうことでありますと、豪雨の場合には落居伊浜部落については一応避難をするほうが妥当であると私は思いますが、その辺の見解ですか体制というものはどのようにお考えですか。
  28. 大工原潮

    大工原説明員 先生お話のように、警戒避難ということにつきましては万全の措置はとらなければならないと思っておりますし、避難場所等につきましても、避難地が被災するというようなことがないように、県当局並びに町当局を十分指導しておる状況でございます。
  29. 高橋繁

    高橋(繁)委員 県あるいは町ではもうすでにその辺の連絡がついてそういう体制に入っていると判断してよろしいですか。
  30. 大工原潮

    大工原説明員 建設省所管といたしましては、一応危険度の判断、それからどの程度で避難すべきであるかというふうなことを町当局、あるいは避難指導につきましては消防防災関係関係部局のほうで指導しておるはずでございまして、建設省当局といたしましては、その避難基準といいますか、安全な場所指導はいたしておるところでございます。
  31. 高橋繁

    高橋(繁)委員 直接的にはそういうことがいえると思うのですが、あの伊豆半島の地震でやられた地域については地質地形にも問題があるというようなことも取りざたをされております。県もやっているようでありますが、そこまで実際やったのかどうかわかりませんけれども地質地形の総点検といいますか調査といいますか、そういうものを早急にすべきじゃないかと思うのです。その辺のことはどのようにお考えになっておりますか。
  32. 大工原潮

    大工原説明員 この前も委員会で御答弁申し上げたと思うのですが、現在建設省所管といたしまして調査いたしましたものは、人家がありまして、その裏がけが三十度以上の傾斜を持っておるというふうな個所調査対象としたわけでございます。それで、人家があってそういった条件を備えたところは建設省所管危険地として一応調査ができておるというふうに私ども考えております。したがって、伊豆地震によりまして現在再点検をしなければならないというふうに考えておりますのは、いま先生から御指摘がありましたように、危険個所の中で当初考えておった危険度よりもさらに危険度が増しておるんじゃないかということで、対策緊急度といいますか、そういった面の調査と、そういった危険個所におきます二次災害防止するための避難ということの調査もあわせて緊急にやるべきだというふうに判断いたしております。
  33. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その調査、早急にやっていただいてたいへんありがとうございますが、大体のまとめはいつごろ出るようですか。
  34. 大工原潮

    大工原説明員 県当局に対しましてはいろいろの調査もあわせて出先でやっておるようでございますので、土木研究所も応援させまして、できるだけ出水期までというふうな予想で現在督励いたしておりますが、できるだけ早くまとめたいというふうに考えております。
  35. 高橋繁

    高橋(繁)委員 ありがとうございました。  総理府にお伺いいたしますが、この前もいろいろと問題になっております局地激甚災害指定でありますが、その指定の順序といいますか、どういう段階でどのような形でそういう災害指定がされるのか、大体の見通しについて、わかればお答え願いたいと思うのです。
  36. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  局地激甚につきましては先生御承知のとおり、公共土木施設、農地、農業用施設、それから中小企業、三つのパターンがあるわけでございますが、通常におきましては、中小企業につきましては住民の方々に融資をするということがございまして、その市町村の中小企業の所得推計を通商産業省で調査いたしまして、さらに被害額を調査いたしまして、その所得推計値の一〇%をこえる場合に中小企業関係の局地激甚にするという手続でございますが、これは調査等も含めまして、その災害があったときから大体二カ月ということで従来やっております。  それから公共土木施設と農地あるいは農業用施設等でございますが、これは基準となります標準税収入等が決定いたしますのが二月ということでございまして、それを基準といたしまして、公共土木施設等につきましては従来二月に局地激甚の指定をやっておったわけでございますが、この前の委員会等でも御質問がございましたように、今回の伊豆半島沖地震は相当大きな被害が、まだこれは県の報告段階でございますけれども、明らかに基準等を越えるのじゃなかろうかというふうに考えられるわけでございます。八月には標準税収入等の概算がわかってくるわけでございますが、まだ、いまちょうど救出等に万全を期しておったわけでございまして、これからその査定等に入るわけでございますが、そういったもの等勘案いたしまして、なるべく早くそういった公共土木施設あるいは農地等につきましても指定できるように検討してまいりたい、こういうように考えております。
  37. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そういうことで早く指定をして、ひとつ安心を与えていただきたいと思うのですが、現在一番ひどいのは南伊豆町です。それから下田市の若干と松崎町というようなところが含まれておりますが、下田市、松崎町を含めた三つの市町村ということで県は要望しているようであります。その辺の地域の問題についてはどんなふうにお考えですか。
  38. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 南伊豆町は被害が非常に大きいというわれわれの大体の考えでございまして、南伊豆町については激甚災害指定が可能だ。しかし、他の二つの市町につきましては、その被害額もそれほどの大きなものではないという判断を現在は持っております。
  39. 高橋繁

    高橋(繁)委員 確かに南伊豆町に比べれば被害額は少ないと思うのですが、いま調査を進めておりますので、その被害額が大きいということで判断されれば、当然下田市あるいは松崎町も入ると思うのです。地域の市長、町長はじめそういうことで強く要望をいたしております。その被害額の状況によっては指定地域に入るというように考えてよろしいですか。
  40. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  現在県の報告でございますけれども公共土木施設等で申しますと、南伊豆町は十二億の報告が上がってきております。これに対しまして、昨年の標準税収入は一億八千万で、これは明らかにこえているわけであります。下田市でございますが、約九百万の報告になっております。ここの標準税収入、ちなみに昨年でございますが、六億三千七百万ということでございまして、これはちょっとその基準からはるか少ないわけでございます。松崎町も現在のところ百万ぐらいの報告でございます。もちろんこれはさっき先生もおっしゃいましたように、これから調査あるいは報告等があがってくればどの程度になるかでございますけれども、松崎の場合も標準税収入一億三千万ということでございまして、現在のところ見当の報告は百万台ということでございまして、ちょっと基準には該当し得ないんじゃないかというふうに考えております。
  41. 高橋繁

    高橋(繁)委員 またそれは結果が出てからひとつよろしく判断をしていただきたいと思うのです。  それから長官に質問いたしたいのですが、今度の伊豆沖地震、この前も少し申し上げましたが、「昭和四十九年度において実施すべき防災に関する計画」ということで出ておりますが、その「大震災警備対策の推進」という中で「防災知識の啓発」ということがあります。これは「消防庁においては、地震時の出火防止対策、震災対策映画等の作成・配布、テレビ・ラジオによる放送」ということで消防庁が行なうようになっておりますが、やはり中央防災会議等でも国民の地震に対する災害予防の知識というものは、この前も申し上げましたようにきわめてまだ昔の知識しか持っていないということで、さっそくにそうした防災知識の啓発を防災会議あるいは総理府等でも検討をして国民に周知徹底をはかるべきだと私は思うのです。そういうことでほんとうに現在の地震に対する対策都市を中心にした対策が主であったということは——この前の反省にもあったように山間僻地、特に関東、東海、こうした地震予想される強化観測地域指定される地域に限っても私は緊急課題であると思うのですが、そういうことでその防災対策をもっと徹底して啓発をすべきじゃないかと思いますが、その辺について長官のお考えをお聞きいたしたいと思うのです。
  42. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 四十九年度におきましてはそうした経費として三億円程度を計上しておりますが、いま御指摘のようにやはり火災あるいは防災という問題に対しての知識を啓蒙するということはきわめて重要なことだと思います。しかし、これは啓蒙いたすにいたしましても、むしろ恐怖心をあまり起こさせてはならないというようなところに——非常に悲惨な状態をかえって見せなければよく徹底しないという面もございますが、その辺のところは、災害はいつ起こるかわからないものでございますので、十分そうしたマイナス面も踏まえながらできるだけ国民によく理解し、そして行動の際に誤らないようにひとつお願いするというような方向で啓蒙宣伝を充実してやってまいりたいと考えております。
  43. 高橋繁

    高橋(繁)委員 恐怖心をそそってはならないと思うのですけれども、しかしながらそれをおそれておって、とうとい人命が失われてはならない。先ほど申し上げたように地震に対する国民の災害予防という点から見るとほんとうに低いのですよ。昔のとおり、いわゆる地震になったら机の下に入れとかあるいは竹やぶに逃げろとか、そういう知識しか実際は持っていない。そういうものが語り伝えられて現在まできているということであって、建築構造も違うしあるいは開発もどんどん進んでいるその中で、やはり新しい地震に対する心得というものは私は早急に国民に周知徹底しなければならないと思うのです。そういう点で、かえって恐怖心をそそるということもありますが、早く徹底をすべきだと、私は今度の災害から見て思うのです。そういうことでお考えになってやっていただきたい、こう思いますが、もう一度ひとつ。
  44. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 きわめて貴重な御意見でございます。十分踏まえまして今後の施策を進めてまいりたいと考えます。
  45. 高橋繁

    高橋(繁)委員 以上で終わります。
  46. 小沢一郎

    小沢(一)委員長代理 金丸君。
  47. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 おせわしい中、せっかく総務長官にお出をいただいておりますので、いろいろなことをお伺いいたしたい欲望が出てきたのでありますけれども、きょうは、ただいまも質問の中に出てまいりましたような、先般起きました伊豆地震に関連いたしましてこれから政府あるいは中央防災会議その他においてどういう態度をおとりになられるだろうか、また建設省のほうではどういうふうなお見込みとこれからの対策を進めておられるのかというようなことにしぼってお伺いいたしたいと思います。  今度実は私も南伊豆地震の現場へさっそく飛んでいって見まして、またあの付近の状況をつぶさに見てまいりまして感じ取りましたことは、われわれがいままで地震その他の災害についていろいろと心配いたしておりましたのとは、また何かあらためて別な問題を提起されておるような、したがって対策につきましてもそのような態度で十分検討を練り直さなければならない問題を目の前に提起されたような感じを受けて帰ってまいりました。あらためて申し上げるのもいかがかと思いますが、あの地震、まことに範囲は狭いのでありますが、その震源地が浅かりしのゆえに、あるいはまた近かりしのゆえに、局部的ではありますけれども非常に激甚でありました。地震の規模に比較して災害のあまりにみじめな、あまりに対策のむずかしいことに心打たれたのであります。そして、わけてもそう思わしめたのは、あの中木地区における人死事故であったのであります。同じ地震ですぐ近くのほうで確かに震度五というような地震被害もありましたし、道は裂け、山はくずれあるいは家が倒れるというような事実もございました。しかしそれはあの程度の地震においてはさもありなんということであり、そしてそういう程度の災害につきましては、もう万人これその心がまえでおった、あるいはおらなければいけない程度のものであったと思うのでありますけれども、あの中木地区の地くずれといいますか、山崩壊に関連して起きた三十名近い死亡事故あるいは負傷事故というようなものを見るにつけまして、局部的ではあるけれども地震のおそろしさというものにあらためて思い知らされたといいますか、そんな感じであります。これにつきまして、中央防災会議では何か特別のお考えをお持ちになったのでありましょうか。また、これからそういうことについてどういうふうなお考えを進めておられるのでありましょうか。建設当局といたしましてはどんなふうにお考えでありましょうか。まず冒頭承って、それから少しずつ掘り下げてまいりたいと思います。
  48. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 今回の伊豆半島沖地震につきましては、ただいま金丸委員の御指摘のとおり、この被害が思わぬ山くずれであったということにおきましては、同じような認識をわれわれは持っておるわけでございます。したがいまして、これを契機にいたしまして、今後の対策重点はやはり治山である、あるいは急傾斜地対策だというふうに考えておりまして、その方面の施策を一そう拡充していこうということで、現在建設省におかれても積極的にこの問題を検討していただいているはずでございます。  それからさらに、先ほども指摘ございましたが、住民の心がまえというような問題につきましても、あるいは地震後のいろいろな情報についての広報関係とかコミュニケーション関係、そうしたものを常時、特に地域の特殊性に応じながら訓練を進めていくということも重要な対策の一つになるのではないか、そのような考え方をただいまは持っておるわけでございます。
  49. 内海英男

    ○内海(英)政府委員 今回の伊豆半島沖地震による建設省の所管災害につきましては、公共土木施設等につきまして二十一億五千九百万円、住宅の破壊千六百二十八戸、有料道路二億七千万円の被害額となっております。  その対策と見通しにつきましては、建設省におきましては、被災後直ちに担当の部局の係官を現地に派遣をいたしまして被害状況調査と復旧工法の指導に当たらせてまいりました次第でございます。公共土木施設等につきましては、すでに応急復旧工事を行なって交通の確保をはかっております。また、五月十六日から建設省土木研究所調査団を現地に派遣をいたしまして、被災地域における危険個所の再点検を実施いたしておるわけでございます。住宅につきましては、被災住宅を復旧する者に対しましては住宅金融公庫の資金を円滑かつ迅速に貸し付けを行なうように指導いたしておりますとともに、また地方公共団体等の要請に応じて公営住宅等の建設等も積極的に行なうことにいたしております。また、有料道路の被害につきましては、南伊豆道路は七月中に通行できるように復旧工事を全力をあげて進めておる次第でございます。  以上でございます。
  50. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 あの地震のああした惨害を起こした一番大きなといいますか、直接の原因は、あれは全く予知することができなかった。多少時間のズレがあるとか程度があるにしても、予知することができたらば、あそこの人たちもすみやかに何とか逃げることもできたであろう、こう思われてならないのであります。それから同時に、あの山にもう少し災害に対する対策地震などが起きた場合に対する対策というものがとられておったらば、あれまでの惨害は起こらないのではなかったかと思われるのであります。距離としては幾らも離れてないところで、平地においては、地割れぐらいはしたけれども家もちゃんと建っておったということでありまして、問題は、急傾斜に対する対策が残念ながらおくれておったと思わざるを得ない。それから同時に、政務次官ごらんになったかどうか、長官はお忙しいからあれでございましょうが、あそこの町役場のすぐ目の前に対策をじたところは安全になっておる。それをちょっと怠ったわけでもありますまい、この程度ならばだいじょうぶだろうと思ってほうっておったところが大きな岩くずれをしておる。あわや大事故になりかねないような状況を目の前に見せてくれております。  それにつけましても、やはりあの程度の地震についても予知の対策がとれればとりたいと思いまするし、またあの程度の地震について、少し手を加えておればああいうことはなかったろうと思うにつけましても、やはりわれわれはもう少し地方地震、山間の地震対策についてもあらためて対策を強めなければならないと思ったのであります。われわれは今日まで地震対策といえば大都市対策に忙殺されておりました。これは当然のことだと思います。関東大震災がやがて六十九年説に近づいてくるというようなときでありまするし、これだけの大都市をかかえて——あるいはその他の都市でもそうでございましょう、これに全力を注ぐということは当然のことであり、そしてその対策というのは、まず地震はやむを得ないとしても、火事による災害は最小限にとどめよう、これに私はほとんど集中されておった、集中すべき状況であったと思います。ただ、都心における火災、火事の災害と同じように、地方においては山くずれ、両者同じような重点をもって見ておくべきではないかと思うのであります。これが残念ながら欠けておったと思われてなりません。  といいまするのは、あの地震が起きて以来、この問題を取り上げまして本委員会におきましては二度の質疑が行なわれました。その質疑の中で私の知り得たことは、ああした程度のことについては、たとえば建設省所管になっておりまする急傾斜地帯に対する対策、それについても、問題になった中木地区については指定地区にもなっておらなかったようであります。対策が全然とられてなかった。もしいまわれわれが——政府のほうが目下特に考えておられるのですが、大都市地震に対する火事対策くらいの熱を持ち、対策を進めておかれたならば、あの惨害は起きなかっただろうと悔やまれてならないのでありますが、いかがでありますか。
  51. 内海英男

    ○内海(英)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、私どもといたしましても、今次の災害を経験をいたしまして、大いに反省するところが多いわけでございます。しかしながら、従来、昭和四十七年に急傾斜地の崩壊危険個所の総点検というのを行なったわけでありますが、そのときには建設省のほうの側の基準といたしまして、傾斜度三十度以上、高さ五メートル以上、斜面直下に人家が五戸以上存在するような斜面を危険個所として抽出をして点検を行なったわけでございます。今回の中木地区における崩壊斜面は、急傾斜面と人家の間に比較的段斜面的な農地が存在いたしておりまして、建設省所管の急傾斜地崩壊危険個所対象とはしておらなかったわけでございまして、その点は大いに見直さなければならないというふうに私ども考えております。  しかしながら、いま申し上げましたとおり、建設省基準には総点検のときには該当しなかったわけでございますが、林野庁におきましては、林野庁の所管の山地崩壊危険個所として抽出をされて点検場所になっておったわけでございまして、今回の崩壊傾斜面も、四十七年の林野庁における総点検の際には危険個所に入っていたと私どもは聞いておるわけでございます。よその役所に責任を言うわけではございませんけれども、そういうような形になっておりました。今回の地震の被災地域につきましては、亀裂の発生等斜面の脆弱面も予想されますため、危険個所の再点検を実施いたしまして、二次災害による人身事故等のないように、今後は全力をあげてそういう面につきましても再点検を進めてみたい、こう考えておるわけでございます。
  52. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 急傾斜地帯につきましては、私もあの法律を通すとき建設委員会のほうで若干お尋ねもし、要望も申し上げたのでありますが、当時は、集中豪雨もしくは大きな台風などによって起こるところの災害が、どうしても頭の中に、現実に目の前にあるものですから、それにとらわれておりましたように思われる。地震というものについての関心が薄かったのではないかと思われる。私自身はそんな反省をされるのであります。したがって、もし集中豪雨あるいは台風というようなときに起こる災害の急傾斜対策としますならば、それを基準にして総点検をすれば、あるいはいまおっしゃったような状況になるのではないかと思われる。今度の地震によりまして、地震こそおそろしいものだ、こう目の前に大きな警告を発せられたように思われるのであります。そして学者がわれわれに聞かしてくれている説によりますと、これは力武教授の書籍で勉強いたしたのでありますが、関東地区、江戸地帯だけをとりましても、ここ百年の間にちょうどいま伊豆地震に起きた程度のものならば十五回起きている。それからもっと大きい、震度六以上のものが六回あった、こういうのですね。関東大震災程度のものはこの百年の間に二回あった。その計算からすれば、やがてもう五十年を過ぎてしまったわけですから、そういうことが、また心配の種になるのであります。そして、いまやいろいろな状況からしまして、あの程度の地震はどこか地区を指定するわけにはいかぬけれども、起こると思ってその対策を練っていかなければならないと思われるのでありますが、そういう見地に立ってあらためて総点検をし、それを土台としての対策を練り上げる必要があろうと思うのですが、お心がまえはいかがでありましょうか。時間も節約する意味において、もし事務当局のほうで詳しいお話がお伺いできればありがたいのであります。
  53. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま急傾斜地の前の四十七年の総点検、これは確かに金丸先生指摘のように、集中豪雨等を中心とした調査ということで進めたわけでございます。それで、この危険個所として選定いたしました基準は、やはり特に人家のあること、それから傾斜度三十度というような基準でもってやってきたわけでございます。しかしながら、この三十度の基準がいいかどうかということでございますけれども、この三十度という基準につきましては、実は過去のがけくずれ等の実績から徴しまして、一番危険なところを先に取り上げたということでございます。これでいたしました調査結果が、先生も御承知のように、危険個所として六万個所も全国にあるわけでございます。  それで、この急傾斜地対策といたしまして、これにわれわれのほうといたしましては毎年非常に重点を置きまして、例年倍々というような増加を来たしてきたわけでございますが、ことし、四十九年度につきましては、御承知のとおりの状況から、約一九%の増ということで予算を組んでおるわけでございます。これは他の公共事業に比べますると非常に高率になっておりまして、重点的にやっておるということが言えるわけでございます。しかしこれの対策につきまして、いままで考えておりましたのは、やはり豪雨ということを中心にしていたことはいなめないと思います。  今回の地震の教訓と申しますか、こういうことを基礎にいたしまして、やはり対策工事等、あるいはまた危険個所のさらに総点検をやるということは、さらにいろいろ問題もございますけれども、しかしいま危険と思われるような個所これの対策、あるいはこれの工法、こういうものにつきましては、地震の教訓というものを生かしまして十分考えていきたいと思います。
  54. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は本年度に盛られた予算がどうとか、来年度どれぐらい盛るとか、そういう数字のこともむろん大切と思いますけれども、全体としての方針なり心がまえというものをこの際立て直しておかなければ、せっかくやれば防止できたというような大災害も、つい見のがすといいますか、災害を受けっぱなしというようなことになるおそれがあるものですから、これはもう方針として打ち出した以上は、金に糸目をつけないわけにもいきませんけれども、ほんとうに大英断をもって対策を進めなければならないかと思って、お尋ねをいたし要望を申し上げたのであります。  そこで、実はあの地震が起きてから山国地帯においては、特に山地帯においては、事情がはっきりするに従って、たいへん心配の念を高めておるようであります。あの地震直後に、どこかの大学の先生が、静岡大学の先生でございますか、北伊豆にもやがてこの程度のものならば近く起こるかもしれないというような意見を発表されておりました。そういうことも私どもとしましては大いに参考にして考えていかなければなるまいと思っておりましたら、実はけさ、私の県としてはただ一つの新聞なんですけれども、この新聞に二つのページの最上段を使って、今度の地震にかんがみての学者の実地調査の結果を発表されておるのであります。これをずっと読み上げればよろしいのですけれども、時間がとうといものですから要約いたしますると、これは日大の守屋教授が記者に発表したのでありましょうか、ああした地質は私の山梨県におきましても共通に持っておるので、もし地震があるならば、山国としてはあのような災害というものは覚悟しなければならないであろうというような趣旨の話のようであります。  それからもう一つ、これは山梨大学の先生であります浜野教授が、さっそく現地へ飛んでいって見てこられた上で、こういう意見でありました。これはアーツ衛星から写した写真によって調べてみると、県土全体が縦横に走っておる活断層の上にあり、その活断層の上に住宅、耕地、その他工場もあるかもしれません。そういう状況であるので心配にたえないということのようでありまして、この先生は学生を連れてまた伊豆の現地に行ってさらにあの状況を見てきたいという意見を言っておるのでありますが、私はこれを送ってきましたくにの者の心配な気持ちがひしひしとこたえてくるのであります。といいますのは、つい七、八年前になりましょうか、富士山のふもとにあります西湖、この湖の対岸というか山に集中豪雨がありまして地すべりを起こしましたために一部落完全に押し流され、そして百何人かの人が犠牲者となったのであります。集中豪雨でもそうだった。あらためて申し上げるまでもないのでありますけれども、集中豪雨というのは逃げれば逃げるだけの余裕があった。のにもかかわらず逃げる間もなくどっと来たというようなことであったのです。地震の場合においてはそれどころじゃない。今度の現実がよく証明いたしておりまするように、全く思いがけない災害をもたらす。それと二つ考えあわせますると、山国に住むといいますか、私はこれを山を守るといっておるのでありますが、大事な山を守っておる人たちはこの現実に対してどういう気持ちに打たれるであろうか、そう思ったのであります。  そこで、私は、長官や政務次官にお答えをいただく前に、先ほどこの新聞を国土地理院の方とそれから地震課長にも見てもらいました。読んでみてどんな感じをお持ちになられましたか。また私はしろうとでありますからよくわかりませんけれども、国の土地の状況というものを見ていてくれるのは国土地理院ではないかと思いますので、アーツがとってくれたわが国の土地の状況とそれをもとにして学者がいろいろ調べ上げた地下の大体の状況というものは国土地理院こそつかんでいてくだされ、われわれに向かって、活断層であるならばあるだけに、その動きの状況現実の様子をつぶさに時々刻々教えてくれるまでになったならばさぞよかろうと思っておりますだけに見てもらったのでありますが、そういう私の念願をも込めまして、この記事を読んだお感じを、まず事務的な立場からお答えをちょうだいいたしたいと思います。
  55. 末広重二

    ○末広説明員 初めに活断層ということをごく簡単に御説明させていただきます。  地震と申しますものは、地殻に力がかかりまして、地殻が耐え切れなくなりますと破壊を起こして断層ができます。これがすなわち地震現象でございまして、日本のように常に力を受けております場所では、過去に一ぺんこわれたことのある場所は将来もこわれるであろうということで、そういった観点から、最近に活動を起こしたことのある断層をリストアップすることが非常に大切であるというわけで、こういったものに活断層という名前がつけられたわけでございます。  ただし、いま先生が御指摘になりました活断層は、地質学的に過去に活動を起こしたことのあるという断層でございまして、その過去と申しましても、現時点から百万年の過去の間という、たいへん時間の尺度が長うございます。百万年ではとても現時点での防災ということに結びつきませんので、どうしても、そういった地質学的にリストアップされました断層がもっとわれわれの防災に結びつく時間の尺度で、はたして現在活動をしているかあるいは活動する可能性があるかということを調べなければならないと存じます。まずこれを調べる一番の大切な手法は測地、測量でございまして、どういう手法をもってこれを突きとめるかということは国土地理院のほうから御説明申し上げると存じます。
  56. 村岡一男

    村岡説明員 先生にちょっとですが私も新聞を拝見させていただきましたが、断層というのは学者の話、専門家の話によりましても非常に多い。それで、私ども地震が予知できるかという研究に参加しているわけですが、その一つの資料としても、この断層の動きということは一つの重要なファクターであると考えております。いま気象庁からもお話がありましたように、また新聞にもございますが、数としては非常に多い。これを一つ一つ当たるということは現実的に不可能に近いことではないかと思います。それで、いま地震課長の話の中に出ましたように、まず地震は、土地がひねられて妙な動きをして、それによって破壊するというのが一応の定説になっておりまして、国土地理院としましては、国土のいろいろな場所における位置及び高さ等の基準になる点を持っておりまして、それを維持するというのが役目の一つでございますが、この役目のための測量を繰り返すことによって地殻がどれだけ動いているかということをまず大きな網をかぶせて見当をつける。その上で非常に大きな動きがあるようなところについて、これはいろいろな手法で、微小の地震計の観測等によって地殻の構造を明らかにするとともになお局部的に動きを追跡するというように、これはわれわれのみならずこの研究に加わっている方々の協力になりますが、だんだん追い詰めていく。その際に、そういう断層のあるなし、あるいは動いているかどうかということを、これも専門の学者、研究者の協力も得ることになると思いますが、そういう方法でだんだん部分的に攻めていく。現時点で実行し穫るというのは、そういう考え方ではないかと思っております。
  57. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 実は私が新聞記事をこの大事な時間に問題にしましたのには、こんな理由もあったのです。といいますのは、今度の伊豆地震を契機に各専門家が一斉にあそこに関心を集めて、ある人は実地調査もなさるでしょうし、また研究をさらに進めておられるだろうと思います。それの一つのあらわれとしてこうした新聞記事材料にもなったのだろうと思うのですが、それは決して山梨日日新聞という、私の山国山梨だけに大事なことではなくて、おそらく日本全国急傾斜を持っておる地方においてはひとしい問題でありますだけに、新聞も各新聞が、一斉に書くかどうかわかりませんけれども漸次書いていくのではないかと思われるのです。そしてその記事を見た者はたいへんな不安を感じます。それの対策についてどうしたらいいかということについても心を砕かざるを得ないと思う。あたりまえのことだと思いますので、この際やはり政府のほうからでも——いまのお話の中にもあらわれておるが、なかなかこれは活断層の現実の動きを正確につかんでどうこうなどということは困難でありましょう。困難でありましょうけれども、そういう事情があるのにかかわらず平地においては、今度私も見たのでありますが、大きく道路が割れた。大きな口をあけるほどの大きな動きがあっても、田畑がそれほどにいたんでいるとも思えませんし、人身事故が起きてない。ですから平地のほうではそう中木地区の災害と同じような心配をすることは、しなくてもよかろうとも言えないけれどもそう心配もありますまいというような意味も込めて安心感を与える必要がありましょうし、同時にそれとまた別に、山地においてはこういう調査も進めこういう対策も進めるので、安心してとは言いますまいが、ひとつがんばってくれろというような発表なりそういう現実の施策の推進なりがあってほしいと思うのです。冒頭私が申し上げましたように、いままでの私どもの防災対策、特に地震対策についてちょっと穴があったような気がいたしますし、中央防災会議におきましてもとかく大地震都市災害というのにばかり忙殺されておってそうした方面に力が抜けておった。好意的に考えますと、なかなかせわしくてそこまでいきかねたという面が遺憾ながらあったかもしれない。もしそうであるならば、この際それをも兼ねてひとつ力を注いでいかなければならないという方針をあらためて打ち出すことによって、いまの記事などによる不安感というものは幾ぶんなりとも薄らぐことができるのではないかと思うのでありますが、この点はいかがでございましょう。
  58. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 金丸委員のただいまの御指摘は私はきわめて示唆に富んでいると考えます。まして、ただいまも新聞を拝見いたしましたが、やはりERTS衛星でとった地殻状態、ああいうものが新聞に出ましても、今度のような地震による大きな災害が伊豆で起きたという事態がないとみんなそれを見過ごしておると思います。同時に今日の社会情勢の中で申しますと、東京や大阪や名古屋にはあまり人口が密集し過ぎておりますから、もしもここにまた地震があったらということで勢い大都市災害対策が中心たらざるを得なかったし、それとてもまた十分なところまではいっておらないというのが現状ではないかと思うわけでございまして、御指摘のように山地、急傾斜地、こうしたものは山くずれということを軽く考えたという点もあったのかもしれませんが、これからの災害対策というものの基本は、日本じゅうどこに住んでいても国民は安全なんだということを実現していくそういうような考え方、あるいはまたそのために使える近代的な手法はすべて使ってみるというような前向きな姿勢、私はこうしたものがいま非常に問われている時期ではないかというふうに個人的にも考えておるわけでございます。この防災会議そのものの中でそうした議論がなされたことはまだないわけでございます。したがいまして今回の伊豆地震をきっかけにいたしまして、中央防災会議等におきましてもいま委員の御指摘になりましたような問題は、当然これからは議題の中に入ると思いますし、それ以上にやはり今後は国土の保全と申しますか、国民の生活の安全と申しますか、こうしたことをもう一度強く意識した形の中における、十分いままでも各省とも、また政府も努力をしてきたと思いますけれども、この際もう一段とそれに力を入れるということが、私はやはり国民に安心感を与える大きな基盤になるというふうにも考えるわけでございます。  それについてもまた、ただいま衆議院は通りましたが国土利用計画法、今後はああした法律があるということは、単に地価の問題を抑制するというだけでなしに地域自治体意見というものがそこに、大きく利用計画の中に当然浮かび上がるわけでございます。ただいま御指摘の山梨県の問題等については、おそらくそういう問題が当然出てくるだろうと期待されるわけでございます。  同時にまたこれを所管する国土庁、こうしたものができる段階にだんだんなっておりますが、そうしたただいまの金丸委員のお考え、そして私も全く同感でございますが、国土の保全ということを専門的に全力をあげて取り扱う、所管する官庁ができるということの中で、災害対策についてもいままでのような単なるおざなりの話し合いということ以上に、もっと責任のある総合調整なりあるいは計画立案なり、あるいはまた地方都市開発に関連してもまた同時にこうした国土全般の状態を踏まえての配慮というものが当然その国土庁の中から生まれてくることを私は期待しておるものでございまして、それらを一連といたしまして、今後は政府といたしましても前向きに国土保全と国民の安全ということを十分配慮して進むべきだというふうに考えております。
  59. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 長官のいずれの国土に住んでも安心して働けるのを理想としてという御意向、私は感銘して承りました。それこそが私は政治の基本でなければならなかったと思うのでありますけれども、このところ残念ながらどうしても山の中がネグレクトされざるを得ないような世相であった。今度私は大きな天の警告を受けたような気がいたします。これは政務次官に、いまの国土利用計画法などにも関連してお伺いをいたして、またお願いもいたしておきたいのでありますが、ついさっきの地震のことがすぐ思い出されるのでありますけれども、あそこでもやはり山の中腹に道をつくった。道をつくったことはそれ自体よかったのでありましょうけれども、それによって山がいたんでくるという現実も私は否定できないのではないかと思うのです。今度の中木地区の間に、たんぼを離れてということでした。確かにそうです。しかし上には道がありまして、もしかするとあの道をつくる場合の配慮というものが、若干でもこの災害を大きからしめたあるいは導因にでもなったのではないかと思わざるを得ないような状況さえもあったのであります。  そこで、道をつくり、川を直すという場合においても、上のほうのことも考え下流のことも考え、付近のことも考えての万全の策を講じておきませんと、さしむきはいいにいたしましても、長い将来を考えての国土保全、国土全般のためにはならないのではないか、ほんとうの意味の国土発展のためにはならないように思われるのであります。そういう意味におきまして、今度の国土利用計画法も、残念ながら、国土の補強なり国土の保全なりというような、まず国土の安定をはかるということを先決にしての計画の遂行ということが十分ではないのではないか、いままでの政治の動き方からいって心配されるのであります。しかし、いまの長官お話にもございました、そういう時代ではなくなったという意味におきまして、今度できる国土庁がどういう陣容でどういうふうなということまで政務次官にいまお尋ねすることはいかぬのでありますが、しかし、いままで治山治水を基本にしての、言うならば国土の守役としての建設大臣なり建設政務次官なり建設省というものが、どういう強いお考えをもって新しい国土の守役に引き渡しなさるのか、これについてひとつこの際承っておきたいと思います。
  60. 内海英男

    ○内海(英)政府委員 ただいま総務長官からもお答えがございましたとおり、国土利用計画法が四党共同提案の形で今国会で、いま参議院本会議にかかるという時点になっておるわけでございますが、それを受けまして、建設省といたしましても、従来から国土の均衡のある発展をはかってまいりたいというところから、道路計画にいたしましても治水計画にいたしましても、すべてが、ただいま長官がお答えになりましたとおり、どこに住んでおっても国民が安心して生活ができる、こういった原則のもとに行政を進めてきたつもりではおります。しかしながら、その間におきまして、環境破壊あるいは公害問題であるとかいうような社会問題が発生をいたしまして、いろいろな計画についても、今後国土利用計画法が成立する暁におきましては、その立法の精神に基づきまして、考え方もここで検討し直してみなければならないのじゃないかというような考えでおります。  特に伊豆地方につきましても、先生御承知のとおり、あそこは日本の有数の観光地でございますので、県や国といたしましても、観光用の道路、こういったものにも重点を置き、あるいは海岸保全といった意味でいろいろ海岸線を整備するというような事業を進めてきたわけでございまして、先生がただいま御指摘になりましたように、多少住民の意思とは違った方向で工事等が進められたあれもあるかとも考えられます。それが今回の地震によるとうとい犠牲のもとにおける体験からいたしまして、こういった地域についてももっと積極的に国土保全といった意味で取り組んでいかなければならないという感じを強くいたしております。  特に、建設省といたしましては、従来河川局の砂防部に砂防課という一課しかございませんでしたが、国会の先生方の強い御要望もありまして、ことしから傾斜地保全課という新しい課を設置することができまして、急傾斜地の集中豪雨等に対する対処に万全を期していきたい、こういった心づもりでおったやさきにこういった大災害が起こったわけでありますので、この組織の中におきまして地震対策というものが御指摘のように従来あまり取り上げられておらなかったという意味からいきまして、集中豪雨とあわせまして、この地震による傾斜地保全ということにつきましては、今後積極的に取り組んでいかなければならない、こう思っております。  従来地震による災害といいますと、三陸沖の地震であるとかあるいはチリ地震津波であるとか、高潮とか津波とか、海岸線のほうの問題につきましてはいろいろございました。山間部の災害といいますと、大体が集中豪雨というようなことに粗なっておりましたので、その点今後この貴重な体験をもとにいたしまして、積極的に取り組んで、国土の保全ということに万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
  61. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私のちょうだいした時間もう一ぱいになりましたので、最後に長官にお願いを申し上げて終わりたいと思うのでありますけれども、世相がいろいろな要因が重なってたいへん浮き足立っておることはもう私から申し上げるまでもないことだと思います。浮き足立った世相の上に、特にまた輪をかけるように、山の中においては将来に対する不安なりその他が重なっております。そして、もうそういう時代は、ブームは過ぎたなどともいわれるのでありますが、事実はどうか私は知りません、山の中にあの買い占め業者などが盛んに入りまして、いろいろな行動をとっておりまして、もう何となしにざわめいて、不安定な状況であります。そこへ持ってきて今度の地震となり、そしてその地震を契機としてそうした報道がなされている。これは私の県ばかりではありませんで、おそらく全国各地で、形は違っても、角度は違ってもやられており、またやられなければならないような時代でもあると思います。そういう時代なればこそ、私は政府のほうにおいて、ただ大きくラッパを吹くということだけではなくて、いやラッパは要らない、態度をもって、諸君安心しろ、一生懸命やっているのだからという態度をもって、落ちつくように持っていってもらう以外にないのではありますまいか。  これもせんだっての地震のあとを見に行ったときに言われたことでありますが、ここに住めないようなら日本国どこにわれわれは住んでいいのか、こういうことであります。ほんとうに地震心配し、津波を心配し、集中豪雨心配し、台風を心配し、あるいは冷害をまた気にしなければならないような状況において、一体どうしてわれわれがこの大事な国に住めるのだ、こういう嘆きの声であります。私はもっともだと思いましたが、同時に、しかしその国にわれわれの先祖が、われわれの先輩ががんばって、今日までの日本を築いてきたのだ、地震はかつてもあった、これくらいのことは至るところに起きたかもしれない、にもかかわらずそれを克服して、この大事な祖国をここまで持ってきてくれたのだ。いまいろいろな経済的な、産業的な条件からして非常に軽っぽい、浮き足立ったといいますか、軽薄な世相が流れておるのでありますが、しかしこれを乗り切って、やっぱりこここそがおれたちの住む国なのだ、地震があろうが何があろうがという気持ちを、若い人はもちろんであります、みんなに持ってもらうように仕向けていかなければならぬときだと私は思うのであります。こういうことにつきまして、きょう私は地震を主にしていろいろとお願いを兼ねてのお尋ねをいたしたのでありますけれども、そういう意味において、全体としてこの際落ちついて万難を排する、あるいは万策を尽くして災害を復旧し、除去し、そしてたくましい精神をもってこの国土を守っていくのだ、後代に引き継いでいくのだという気持ちを起こさせるような対策というものが政府の施策全般の底に流れてほしいと私は思うのでありますが、この点についての御決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  62. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま金丸委員が仰せられました諸点につきましては、私は全く同感でございます。また同時に今日までの政府の施策の根本に、私は決して国土の荒廃を前提にしたような、そんな態度はなかったと思うし、またその国土の上に住む大ぜいの日本人がしあわせになるということが常に発想の原点だったことは疑いません。しかし、まだそうした面についての取りこぼしや落ちこぼれや不徹底さや、こうしたものがたくさんあったことは御指摘のとおりじゃないかと思います。特に現代がいま御指摘のように非常にざわついて、落ちつきを失った社会だということも、私はあらゆる面から御所論に対して反論を試みる勇気がございませんが、しかし、だからといってそれでいいというものではない。やはりこれは政治の中で解決可能なものについては全力をふるって取り組んでいくという姿勢が何より大事だと思います。  ややお答えにはそぐわないことを申し上げるかもしれませんが、いま衆議院の内閣委員会において国土庁設置法案についての御審議をいただいております。数日前に大体質疑は終結しておりますが、この中でわれわれが国土庁の新しい一つの機構として、いま問題になっております災害対策室を長官官房に置くということにいたしまして、従来の中央防災会議等におきまする事務局においては参事官が担当でございますが、それではいけないのであって、室長を置くと同時にさらに審議官を置いて、さらにその審議官は他の各局との連係動作の中で大都市づくりの場合にもあるいは地方都市づくりの場合にもあるいはまた地方開発の場合にも災害対策というものが常に施策の中に大きな位置を占めていくということを今度の国土庁の大きな使命に考えて御提案申し上げておるところでございます。役所の中にそういう機構をつくり多少人員をふやしたからといって、いま金丸委員の御指摘になりましたようなもっと大きな目的がすぐ達成されるとは私は思いません。しかし、国土庁の設置ということの中に、われわれは提案者の一人といたしまして、そのような意味と今後の国土の保全ということについての新しい政府のスタンスと申しますか、姿勢を明確にしてまいるということを考えておるものでございまして、今後もなお非常に重要な一億の人々の生活というより人生の問題でございます。またいろいろの面で委員からの御教示を賜わって十分に努力を傾けてまいりたい、そのように考えております。
  63. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 ありがとうございました。
  64. 小沢一郎

    小沢(一)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会