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1974-05-16 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十六日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 阪上安太郎君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君    理事 高鳥  修君 理事 金丸 徳重君    理事 米田 東吾君 理事 諫山  博君       越智 伊平君    大石 千八君       木部 佳昭君    斉藤滋与史君       島田 安夫君    永山 忠則君       萩原 幸雄君    旗野 進一君       綿貫 民輔君    金瀬 俊雄君       栗田  翠君    高橋  繁君       広沢 直樹君    宮田 早苗君  出席政府委員         総理府総務副長         官       小渕 恵三君         気象庁長官   毛利圭太郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         警察庁交通局交         通規制課長   久本 礼一君         防衛庁防衛局運         用課長     伊藤 参午君         文部省初等中等         教育局教科書管         理課長     鈴木 博司君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省環境衛生         局企画課長   北村 和男君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   折田 貞雄君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         農林省構造改善         局農政部構造改         善事業課長   関口  尚君         林野庁指導部治         山課長     鈴木 郁男君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君         建設省住宅局住         宅計画課長   京須  実君         建設省住宅局建         築指導課長   佐藤  温君         自治大臣官房参         事官      栗田 幸雄君         自治大臣官房過         疎対策管理官  市橋 光雄君         消防庁防災課長 藤江 弘一君     ————————————— 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     大石 千八君   中尾  宏君     斉藤滋与史君   藤尾 正行君     木部 佳昭君   津川 武一君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     田澤 吉郎君   木部 佳昭君     藤尾 正行君   斉藤滋与史君     中尾  宏君   栗田  翠君     津川 武一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  一九七四年伊豆半島沖地震による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 阪上安太郎

    阪上委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  一九七四年伊豆半島沖地震による被害状況調査のため、去る十四日静岡県に委員派遣を行ないましたので、現地に派遣された委員から報告を聴取いたしたいと存じます。高鳥修吾
  3. 高鳥修

    高鳥委員 去る九日発生いたしました伊豆半島沖地震による被害状況調査のため、十四日静岡県に派遣されました派遣委員を代表して調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、越智伊平君、金瀬俊雄君、米田東吾君、柴田睦夫君、広沢直樹君及び私、高鳥修の六名で、それに地元から高橋委員をはじめ木部議員斉藤議員栗田議員の御参加を得て、現地実情をつぶさに調査してまいりました。  なお、調査は、参議院災害対策特別委員会派遣団同一日程となりましたことを申し上げておきます。  まず、今回の地震発生状況でございますが、発生した時刻は、午前八時三十三分ころで、震源の深さは二十キロメートル、マグニチュードは六・八で、石廊崎では震度五、横浜、静岡、大島、館山などが震度四であり、震源伊豆半島南部近い真下で、浅い性質の地震であったため、伊豆半島南部は局地的に多数の家屋倒壊、がけくずれなど大きな被害をこうむりました。  今回の地震は、この地域としては、最大級のもので、気象庁によれば、同程度のものが、繰り返し起こった例はないので、今回もそのような経過をたどるものと思われ、地震規模といたしましては関東大震災の五十分の一、昨年の根室半島沖地震の三十分の一程度地震であるとのことであります。  次に、被害実情について申し上げます。  南伊豆町役場において、静岡当局及び南伊豆当局から被害の概況並びにその対策について、説明を聴取いたしました。  今回の被害は、十三日午後四時現在、人的被害としては死者二十名、行くえ不明者九名、負傷者は重軽傷合わせて七十四名、住家等被害は、全壊百二十二尺半壊二百四十二一尺 一部損壊は非現住家屋を含めて千二百四十六戸となっており、その他道路亀裂、不通四十七カ所、山くずれ、がけくずれなど七十三カ所、築港、中小河川等にも相当な被害が生じております。  これら対策といたしましては、九日午前十時十五分、県災害対策本部を設置し、また、同日午後零時四十五分、災害救助法を発動し、行くえ不明者重軽傷者救出中心救助活動などを行なった旨の説明がありました。  次に、静岡県並びに南伊豆当局からの国に対する要望について申し上げます。  県からは、危険急傾斜地の掘さく、整地、道路護岸堤防の構築などの緊急崩壊対策事業を一体的に実施できるよう所要の措置を講ずるとともに、特別の高率国庫補助等財源措置を適用すること、南伊豆町を中心とする被災市町村について局地激甚地域指定を行なうとともに、公共土木施設農林水産業関連施設等にかかる災害復旧事業早期着工ができるよう措置すること、その他、被害家屋復旧資金の貸し付けについての特別措置基幹道路早期復旧民宿その他の環境衛生等関係被災者に対する災害貸し付け、上水道施設及び簡易水道施設災害復旧に対する高率な国庫補助防災無線整備の促進、被災市町村に対する地方交付税及び国庫補助金等早期繰り上げ交付特別交付税等による措置などについての要望がなされましたが、その詳細につきましては、会議録に参照掲載願うことといたします。  南伊豆町長からは、遺体がどろの中に埋まっていると思うと毎晩安心して眠れない、早急に復旧を果たせば犠牲者の霊も浮かばれるものと思う、自衛隊の援助については、中木地区発掘作業の終了後も引き続き他の危険個所援助されたい、危険個所については、調査の上、二次災害発生のないよう配慮されたい、罹災者に対する各種融資について特別な配慮をされたい、町財政の逼迫は必至であるので最大限財政援助を願いたい。  以上の趣旨の要望がなされました。  次に、視察いたしました各地区状況を申し上げます。  南伊豆日本有数の温暖な観光地であり、三方に山、残る一方に静かな海、その間の狭い場所に家々が軒を連ねている典型的な漁村であり、民宿の村であります。この風光明媚でのどかな集落を一瞬にしてあの地震が襲い、甚大な被害を与えたのでありますが、多くの観光客が訪れたゴールデンウィークや夏の海水浴シーズンでなかったことが不幸中の幸いであります。  この地方では借入金による民宿経営者もおり、これら経営者再建資金の調達に不安があるとのことでありますが、かりに民宿再建ができたとしても、多くの客が訪れる夏場までに上下水道の復旧が間に合うかどうかが懸念されております。  山くずれにより二十七名にのぼる死者、行くえ不明者を出した中木地区では、視察いたしました当日にも遺体発見され、われわれもさっそく安置所に参り弔慰を表しましたが、この地区では行くえ不明者発見に重点が置かれていたため、復旧作業が進んでおりません。現段階では流出した土砂五万立方メートルの五分の三が三坂漁港排土されており、その排土の処理も今後の問題の一つであります。  山の形も変わるほど激甚であった入間地区家屋損壊が全戸数の八割にも及び、南伊豆町一番の被害を受けております。これは地盤が砂地であることによるとも思われますが、死者が出なかったのは住民が早朝からの護岸工事に従事していたためといわれております。  次に、妻良子浦地区を視察いたしましたが、妻良地区ではブロック壁倒壊のほか、民宿風呂場のタイルも破壊され、使用に耐えないありさまでした。  子浦地区は急傾斜地直下家屋が密集しているため、落石による被害が見られましたが、今後の星くずれが懸念されております。  次に、調査団の所感を申し述べたいと存じます。  今回の伊豆半島沖地震の特色として、局地的に南伊豆町の被害を大きくした原因は、地形がけわしく、かつ地質も第三紀層火山岩でできており、もともと山くずれ地すべりを起こしやすい地域のところへ、直下型地震に見舞われた結果であるといわれております。  震源地が近く、かつ浅い、いわゆる直下型地震は、巨大地震に比べ、地震エネルギーは小さくとも局地的に大きな被害をもたらすこと、地殻変動などの前兆現象がつかみにくく、地震予知がむずかしいこと、逃げ出すのに精一ぱいなので避難行動に問題があること、耐震性のビルもその縦ゆれに弱いこと等が指摘されており、この地震過密都市東京を襲ったらと一瞬りつ然とした次第であります。  言うまでもなく、大都市には自動車、ガソリンスタンド、工場群、地下街、ガス管、密集した木造家屋等々枚挙にいとまがないほどの危険物が充満し、二次災害としての火災の発生により、甚大な被害が予想されるところであります。  都市部における震災対策急務が痛感されますとともに、今回の地震による山くずれの被害を目のあたりにして、山間部における震災対策重要性を深く認識いたしました。  毎年山くずれによる災害発生しており、先月二十六日、十七名の犠牲者を出した山形県大蔵村の山くずれは、いまだ記憶に新しいところであります。  これら山くずれ、がけくずれ対策の、抜本策としては、全国的に科学的土質調査を行なう等総点検を実施し、危険区域警報器の設置や予防工事を講ずるとともに、危険区域住民を一日も早く安全な場所に移すことが肝要であります。  新聞によると、南米ペルー中部アンデス地帯で、大雨により地盤のゆるんでいた山が地震のためくずれ、ふもとの村落を押しつぶし、住民数百人が犠牲になったと報じておりますが、地形的、気象的に災害多発の宿命を持つわが国においては、つゆどきを控えて、このような複合災害発生も憂慮されるのであります。  要するに、震災対策災害対策根本策は、海岸や山間部等危険個所から安全な場所への住居の移転と、都市部における不燃化防災都市の建設に尽きるわけであります。これは今後の災害対策重要課題でありますので、今回の地震を教訓として、われわれ関係者は認識を新たに取り組んでいかなければならないと痛感している次第であります。  今後の見通しとして、大地震は続発しないだろうといわれておりますが、東海沖房総半島沖等巨大地震発生しないとは保証できません。また、三原山、鳥海山などこのところ火山の噴火が頻発していますが、火山活動地震との関連性の解明が急務であります。政府におかれては、観測体制拡充強化をはかるなど地震予知に万全を期すべきであります。  今次災害対策としては、政府関係当局におかれては、被災地からの国に対する各種要望最大限に尊重し、被災地早期復旧と民生安定をはかられんことを切望いたします。行くえ不明者早期発見、水、食糧、住居並びに生活必需品確保電話道路漁港整備等が急がれることは申すまでもありませんが、特に災害救助法については、被災地実情に即した運用をはかるとともに、基準単価を大幅に引き上げるべきであります。  また、損壊家屋の修復が急がれますが、最近の資材不足高騰化のおりから、復旧資材の円滑な供給をはかるとともに、この地帯に多い民宿経営者は、既設借入金に加えて、金融引き締めに影響されているとのことでありますので、住宅復旧資金等融通については、特段指導がなされるべきであります。  今回の伊浜地区のように、電話が通ぜす、道路が遮断され、孤立被災部落が生じましたが、全国的に災害時に有効に作動する通信施設の完備と救援活動等に多大の活躍をしたヘリコプターの十分な機数確保が望まれます。  また、落居地区子浦地区等においては、今回の地震により大雨が降れば、山くずれの発生が憂慮される危険個所がありますので、政府並びに関係者においては、つゆどきを控えて、二次災害発生しないよう、厳重なる警戒を要するとともに、早急に防御策を講じ、地域住民の不安を取り除くべきであります。  最後に、今回の地震における犠牲者の御冥福をお祈りするとともに、被災地が一日も早く復旧されんことを切望し、あわせて日夜救助作業に当たっておられる関係各位の御労苦に感謝申し上げて私の報告を終わります。(拍手)
  4. 阪上安太郎

    阪上委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位におかれましては、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 阪上安太郎

    阪上委員長 なお、ただいま報告にございました、静岡県の詳細な要望事項につきましては、これを会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 阪上安太郎

    阪上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 阪上安太郎

    阪上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石千八君。
  8. 大石千八

    大石(千)委員 伊豆半島沖地震が起きてからきょうでちょうど一週間たつわけでございます。災害にあっている方の人数ですが、現在のところ死亡者が二十五人、それから行くえ不明が四人、依然として行くえ不明者がまだ救出をされていないようでございます。そのほか軽傷の方あるいは重傷の方もたいへんに多いということで、ほんとうに痛ましく、心からなくなった方に対しても御冥福をお祈りしたいというところでございます。  行くえ不明者四人これに対して救出作業は進んでおりますか。あるいは救出そのものに対しての可能性というものは、完全に救出できる、つまり行くえ不明のままで終わらないということに対して、確信が持てますでしょうか。
  9. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  現在の時点で御指摘にありますように、まだ行くえ不明者四名の発見がされておりません。現在警察庁四千二百六十六人、防衛庁一万四千二百五十人延べ派遣をいたしまして、徹宵の作業を今日まで続けてまいったわけでございますが、はなはだ残念ながら、行くえ不明者発見に至らないことはまことに残念であります。なお全力を尽くして行くえ不明者の確認をいたしてまいりたいと存じております。
  10. 大石千八

    大石(千)委員 震度五という、マグニチュード六・八というきわめて大きな規模地震でありますので、犠牲者が出たこと自体が行政の手抜かりであったと断定することは、いささかはばかりたいものもありますけれども、しかし何としても人間が安心して最低限度生活水準、そしてまた安心感を持った生活をするためには、この程度地震であっても、やはり人身に被害が及ばないというような体制をつくっていく、それを目標にしていきたいとわれわれは考えるわけですが、今度の二十九人の犠牲者が出たということに関して、特にこのあたりは危険急傾斜地指定を受けていない地域でありましたけれども、このあたりにもう少し行政的に——私も伊豆のこのあたりは一度も行ったことがございませんで、その様子をつぶさには察知をしておりませんが、しかしこれだけの大きな山くずれがあって、そしてこれだけの犠牲者があるということになりますと、あるいはもうちょっと先に危険急傾斜地指定をして、このあたり住民に対して予防措置をとるとかあるいは山くずれを未然に防ぐというようなことに対して、行政的な措置があらかじめとれなかっただろうかということを反省材料としてひとつ求めてみたいと思いますけれども、このあたりに対してまず危険急傾斜地という指定を受けていなかったということに対しては、これはやむを得ない措置であろうというふうに、お考えでしょうか。
  11. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  いま御指摘の急傾斜地危険個所は、四十七年の大災害を契機といたしまして四十七年の七月、直ちに総点検を実施したわけでございます。全国で六万七百五十六カ所という個所が、調査対象個所として報告されております。  いま御指摘ございましたのは、そういった危険個所につきまして、さらに法律に基づきます指定というふうなことを、順次緊急度に応じまして、指定をしておるわけでございますが、地域住民の説得あるいは調査のために要する経費等ございまして、各府県ごとには多少の差があるわけでございますが、現在指定済み個所が四十八年の十二月現在におきまして、三千六百十二カ所でございます。で、いま御指摘のあの個所につきましては、調査対象個所といたしましてあの周辺には二カ所ばかりございますが、あの斜面そのものにつきましては比較的安全であるといいますか人家との距離があったというふうなことから、調査対象個所になっていなかったという現況でございます。われわれといたしましては、できるだけ危険個所につきましては地域住民周知徹底をはかり、警戒避難体制をとるような指導はいたしておりますが、一応現在までの指導といたしましては、集中豪雨等に対しまして、ある程度の雨が降った場合には避難しなさいというふうな指導でございまして、震災に対する注意というふうな面は多少怠っておったかと思いますけれども、何ぶん今回の災害状況をあとからいろいろ調査いたしてみますと、非常に瞬間的に起こったというふうなことから、警戒避難につきましても、今後その面では指導をいろいろと検討してまいらなければならないというふうに考えております。
  12. 大石千八

    大石(千)委員 それから、一応これからつゆどきに向かうということもありまして、二次災害に対しての措置というものをこれからとっていかなくちゃいかぬと思うわけです。そのあたりに対しての対策、いま災害が起きてから一週間たったばかりで、救出そのほかに対しての配慮全力を尽くしておられる段階ですから、二次災害に対しての配慮ということに対して、はたしてどれだけ気を配っておられるか、これも大事なことであると思います。いってみれば、これからの事故を未然に防止するという意味でも大事なことだと思うのですけれども、その点二次災害に対する配慮というもの、特に林野庁の方いらっしゃいますでしょうか。——林野庁の方に山くずれそのほかについて、現在の南伊豆中心としたこのあたり対策防災という面は十分にできているといえましょうか。
  13. 鈴木郁男

    鈴木(郁)説明員 お答えいたします。  人家公共施設に近接します山地に亀裂等発生しまして、降雨に伴いまして山腹崩壊あるいは山の崩壊流出等によります二次災害発生が、今回の地震の場合は大いに懸念をされるわけでございまして、これにつきまして林野庁といたしましては、本日林業試験場治山研究室及び地質研究室の室長を現地に派遣いたしまして、県と共同で現地実態調査を実施しております。今月一ぱいぐらいの予定で、応急現地の二次災害発生懸念のされる個所調査をいたしたいと思っております。これに基づきまして緊急に工事が必要な個所につきましては、早急に応急工事あるいは復旧治山または予防治山事業を進めたいというぐあいに考えております。またこの調査結果に基づきまして、地方防災会議と連絡を密にいたしまして、警戒避難体制徹底人命災害等の防止につとめてまいりたいというぐあいに考えております。
  14. 大石千八

    大石(千)委員 そういうことで二次災害が起きないように全力を尽くしていただきたいと切にお願いを申し上げる次第でございます。  それから災害にあった地域に対して、当然局地激甚災害地域指定というものを行なっていただいて、災害復興のために全力をあげていただきたいというのは当然のことでございますが、現在のところではこの局地激甚災害指定される地域というのは、大体どの程度になりそうでございますか。
  15. 小渕恵三

    小渕政府委員 調査結果が最終的にまだまとめられておりませんが、現在のところの被害状況から申し上げまして、南伊豆町がその指定可能性のある町と考えております。
  16. 大石千八

    大石(千)委員 南伊豆町は当然その災害があった規模などからいいましても、局地激甚災害地域指定を受けられるであろうというように思いますが、そのほかでも下田とかそれから松崎町ですか、このあたり被害も相当なものと聞いておりますが、このあたりはそういう適用を受けられる余地というのはございませんか。
  17. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  ただいま副長官から——現在調査中でございまして、これにつきまして確たる数字はまだはっきりいたしませんけれども、現在のところ、公共土木施設等につきましては、南伊豆町は非常に大きな被害を受けておりまして、大体十二億をこす、こういう県の報告が入っておりますが、下田、それから松崎町になりますと、大体八百万程度あるいは百万足らずというような報告でございます。もちろん、これは今後さらに調査を待って、被害がどうなってくるか、それを待たなければなりませんけれども、現在のところはそういう段階でございまして、いまここではっきりとその辺確定するわけにはいかない、こう考えております。
  18. 大石千八

    大石(千)委員 地域指定はいつごろになりますか。
  19. 小渕恵三

    小渕政府委員 今回の地震による被害のうちで、調度をはじめ農地農業用施設及び中小企業等被害がそれぞれ分かれております。そこで、まず個人復興に関連いたします中小企業関係資金融通等に関しましての問題につきましては、可及的すみやかにその指定について考えてまいりたいと存じております。また公共施設関係及び農地農業用施設等関係は、標準税収等の確定時期等を勘案いたしまして、当該年災分を一括して二月ごろ指定をしてきたところでございますが、この点につきましても、できる限り早い機会に指定をいたしてまいりたいと思っております。  なお、公共施設等関係につきましては、いま申し上げましたように、その町等基準税収等の決定を見なければ、過去の例からいいますと、その指定ができない関係になっておりますので、むずかしい点もございますが、しかし、この点につきましてもさらに研究をいたしまして、早期にその指定のできるように配慮いたしてまいりたいと存じております。
  20. 大石千八

    大石(千)委員 公共施設そのものは年度末近くなるということが通例のようでありますけれども、総務長官特段の御配慮をひとつお願いをしたいと思います。  それからまた、個人被害にあった方に対する融資に対しては、これも早急に処置をとっていただきたい、激甚指定を早急にお願いしたいというふうに希望しておきます。  それから次に被災家屋、これが伊豆沖地震で全壊が百二十一、半壊が二百四十二、それから一部被害が千二百五十一というように被害にあった家屋が多いわけでございますけれども、これは何としても一日も早く家屋を建て直すということをやっていただくために、どんな措置がこれから講ぜられようとしているのか、また対策本部としても、どういう方向で家屋再建するための融資などに対して特別措置をとられようとしているのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  21. 佐藤温

    ○佐藤説明員 今回の地震によりまして被災をされました家屋の、特に住居につきましては、住宅金融公庫の融資によりまして、持ち家の御希望の方には持ち家の融資をする、それから賃貸住宅等で御希望の方につきましては公営住宅の建設をする、それからなおがけ地等の下にございます危険な住宅につきましては、がけの移転事業によりまして、それぞれ御希望の向き向きによりまして対策を立ててまいりたいと思います。この点につきましては静岡県と現在協議中でございます。
  22. 大石千八

    大石(千)委員 融資を受けられる一応の基準というものがあると思いますが、特に住宅金融公庫による災害復興住宅の建設、その融資の特例措置というのは、やはり今度の被害に対しては当然とられていいのではなかろうかというふうに考えておりますが、その融資ワク、それから返済期間、さらに利率、そういったものに対しての優遇措置は、どの程度までこの災害復興住宅の融資を受けられるようになった場合に可能であるのか、その辺少し具体的な数字をお示し願いたいと思います。
  23. 佐藤温

    ○佐藤説明員 まことに申しわけありませんけれども、私、建築指導課長でございまして、直接の担当でございませんけれども、災害に関連します融資につきましては、一般的には建築につきまして、木造では三百九十万円、それから簡易耐火構造、耐火につきましては四百六十万円でございまして、一般の金利でございますと五分五厘でございます。木造の償還期間は十八年、簡易耐火構造の償還期間は二十五年となっております。
  24. 大石千八

    大石(千)委員 これは所管大臣、主務大臣などの配慮によって、融資ワクというものをさらに広げるとかあるいは償還期限、利率というものをもう少し有利にできるというような余地は残されておりましょうか。
  25. 佐藤温

    ○佐藤説明員 ただいま、激甚災になりますと、おっしゃいますように、金利の点については三分というような取り扱いになってまいりますけれども、現在この点につきましては検討中でございます。
  26. 大石千八

    大石(千)委員 この点につきましは現在検討中ということでございますが、建設省、直接担当しております建設大臣が閣議決定にまで持ち込んで、結局そのような住宅に対する融資に対して特例措置をとられるような手だてが残っておるのかどうか、その辺のことはおわかりになりませんか。
  27. 佐藤温

    ○佐藤説明員 まことに申しわけございませんけれども、私、直接担当でございませんので、その点につきましては帰りまして関係部局と検討をしたいと思います。
  28. 大石千八

    大石(千)委員 きょうは関係の方、こちらにはおいでになりませんか。
  29. 佐藤温

    ○佐藤説明員 ただいまおりません。
  30. 大石千八

    大石(千)委員 それではけっこうです。  住宅関係に対しては今後一そうひとつ研究お願いしたいし、また担当の方に対しても、私のこの質疑を通じての責任というものの一端をひとつ果たしていただきたいというふうに考えるわけです。  なお、家屋以外にも、公共施設の中でも特に道路の決壊ということが非常に大きく地域住民生活自体を脅かしていると思うわけです。特にこの地域は有料道路のマーガレット道路というのですか、この基幹道路などを中心といたしまして、交通網が非常に網の目のようになって地域社会に役立っているというような事態と聞いておりますが、この道路復旧、特にこういう基幹道路中心として早急に復旧をなし遂げていただくように努力をされたいと思いますけれども、現在のところ応急的な処理を含めて、どの程度復旧作業は進んでおりましょうか。
  31. 田原隆

    ○田原説明員 お答えいたします。  南伊豆の今度の地震によります道路災害は非常にたくさんありますが、ただいままで判明しております応急復旧状況でございますけれども、県工事道路七十五カ所、市町村道路工事で四カ所、計七十九カ所につきまして、現在応急復旧をいたしておる状況でございます。  応急の内容といたしましては、土砂くずれによりまして不通になっておるところにつきましては崩土の除去、それから迂回路がすぐつくれるような場所につきましては、山側を切り取りまして迂回路を開さくするというような工事をやっておりますし、その復旧につきましては県土木部並びに建設省の災害査定官を二度にわたり派遣いたしまして、鋭意やらしてきておるところでございますが、現在なお復旧ができていないところが一部ございます。それは昨日の雨によるものでございまして、県道以上につきましては、一般国道の二二六号線はほぼ交通可能になりまして、緊急車と小型車は通行可能になっております。その他につきましてはまだ制限中でございます。  それから下田−石廊崎−松崎線につきましては、まだ回復が未定でございます。  それと、町村道につきましては、落居−伊浜線、西海岸のほうの町村道でございますが、大崩落がございまして、これにつきましてはまだ見通しが立っておりませんが、現在復旧工法を検討中でございまして、できるだけ早く災害の査定を行ないまして予算措置をしますが、それ以外に応急的な工事はできるだけやっておる状況でございます。
  32. 大石千八

    大石(千)委員 そうすると、完全復旧とか、特に基幹道路中心とした道路のほぼ完全に近い状態の復旧という時期に対するめどは、まだ現在のところついていないということでしょうか。
  33. 田原隆

    ○田原説明員 それにつきましは、まだ完全なめどはついておりません。
  34. 大石千八

    大石(千)委員 ひとつそのあたりも早急な調査をしていただいて、一日も早い完全復旧を希望申し上げます。
  35. 田原隆

    ○田原説明員 ただいまの御趣旨どおり一生懸命やりたいと思っております。
  36. 大石千八

    大石(千)委員 それから農林水産業者、そして中小企業者に対して、これも大きな被害を受けているだけに、特別の措置をとられるということは法令そのほかでも当然やっていただけることと思いますが、特にこの南伊豆地域では水産業の方が非常に多い。特に中木地区では、海を離れては生活できない、そしてまた非常に古くから漁業を営んでいる、この土地に対して非常に愛着を持っている、なお海を相手に生活をしていきたいという方が非常に多いというふうに聞いておりますが、この漁業補償の問題、それから今後とも漁業を営めるような状態に沿岸の海域を整備することができるか、そういった点につきまして、水産庁の方に、非常に抽象的な御質問のしかたで申しわけありませんけれども、大ワクをひとつ話していただきたいと思います。
  37. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  今回の地震によりまして、主として石廊崎から西側の海岸にあります磯根漁場に土砂が流入いたしまして、これによりまして磯根漁場でやっておりますテングサ、それからアワビ、サザエ、 エビ、といったような水産動植物に被害発生いたしまして、私どもとりあえず静岡県からの概況報告をお聞きいたしましたが、それによりますと、被害額は約三億三千七百五十万円というふうになっている模様でございます。  これはとりあえずの概況報告でざいまして、現在静岡県の水産試験場の伊豆分場で、どの程度土砂が入っているか、その範囲はどの程度か、それからそれによります漁場の喪失の程度はどの程度かという被害状況を早急に調査中でございます。したがいまして、私どもといとしましては、その調査の結果を待ちまして、県ともよく協議いたしまして、今後の漁業のあり方につきましての対策を検討してまいりたい、こういうふうに思っております。  なお、不慮の災害によります漁獲の減少に対しましては、御承知のように漁業災害補償制度がございますが、あそこでは先ほど申しましたテングサにつきましての共済に入っております。この共済に入っておりますので、これは共済責任期間の終了を待たないといけませんけれども、その終了を待ちまして、共済限度額に漁獲金額が達しない場合には共済金が支払われる、こういうふうになろうかと思います。そのほかの問題、生活の救済等につきましても、実情をよく調べまして、県ともよく相談の上対処してまいりたい、ただいまのところはそういうふうに考えております。
  38. 大石千八

    大石(千)委員 現実の問題を処理していただくということに対してはもちろんでございますが、なお一そう今後漁場の安全確保というような面でも引き続き御努力をお願いしたいということを希望しておきます。  さて、防災無線の問題でございますが、この伊豆方面にありましては、県と市町村との防災無線というものは確立をされておるようでございますが一たびこのような地域災害にあいますと、今度は市町村からその被害にあった集落への連絡というものをどうしても無線にたよらざるを得ません。そういう意味でまだまだ十分な防災無線が確立されていると言うことは残念ながらできないわけでございますが、現在では、この県とそれぞれ被害にあった集落、部落との連絡体制というものはどういうふうにとられておりましょうか。
  39. 藤江弘一

    ○藤江説明員 静岡県におきまして、県と市町村間の防災通信網につきましてはすでに整備されておりまして運用されておりますが、市町村内での、つまり市町村と部落相互間での連絡網については、まだ未整備の状況でございます。これは全国的に申しましてもまだ着手されているところはないわけでございます。したがいまして、通報がどのようにされたかという御質問でございますが、有線電話等を通じまして通信がなされたものというふうに私ども想定いたしております。
  40. 大石千八

    大石(千)委員 これは伊豆地方だけでなくて、全国的に考えまして、現在の防災無線の状態を一歩前進させる必要というものは当然あると思いますし、また具体的にそういうような方向で向かおうというような検討はなされておりますでしょうか。
  41. 藤江弘一

    ○藤江説明員 現在県と市町村間の防災通信網につきましてすでに運用されておりますものが五県、四十七年度から着手されましたものが、これはまだ未整備でございますけれども五県、それから四十八年度から着手されましたものが八県あるわけでございます。  したがいまして、他の府県につきましてはまだ計画中の段階でございまして、私どもとしましては、これにつきましては相当の経費を必要といたしますが、少なくとも五十二年度をめどにいたしまして整備いたしたいというふうに考えているわけでございます。  防災通信網の体系といたしまして完成するためには、もう一つの段階といたしまして、当然に市町村内での通信網というものが必要であろうということは私ども十分に考えておるところでございまして、これにつきましてもどのような形で整備を進めてまいるかというふうなことをいろいろ問題点を煮詰めながら——と申しますのが、電波の割り当て等郵政省との関連もございますので、検討を進めてまいりたいと思います。特に今回の地震の場合のように、孤立化の危険性のある部落につきましては早急に整備を進めなければいけないということは私どもも十分に認識しておるわけでございますので、その点の検討にはできるだけ早く取り組みたいと考えておるわけでございます。
  42. 大石千八

    大石(千)委員 先ほど漁業者が多いということを申し上げましたけれども、この南伊豆町周辺の住民の方の生計を立てているものとして、昔からある漁業とそれから最近非常に多くなってきたものに民宿の経営、法律用語ではないかもしれません、民宿の経営というのは。俗に言います民宿の経営というものは、この地域の方々の生計を維持している大きな手段でございます。特にその民宿が二百五十三軒でございますか、破壊をされた、経営が成り立たなくなったということでございますが、この民宿の立て直しという面でも格段の力を入れていただきませんと、この地域住民の生計を脅かすことになると思うわけでございますが、この面ではどういう融資の方法が考え得るのか、お答えを願いたいと思います。
  43. 北村和男

    ○北村説明員 いわゆる民宿でございますが、これは現在、私どもの厚生省のほうにおきましては旅館業法の規定を受けます旅館として扱っております。しかしながら民宿ということばが示しますように、いま先生おっしゃいましたように、たいてい農家あるいは漁業者の副業として、家族的サービスをするということで行なわれている例がございます。しかしながら旅館業でございますので、これは当然環境衛生金融公庫による融資になじむものでございまして、現在でも南伊豆方面におきましては、環境衛生金融公庫の融資を現に受けておるものもございます。したがいまして、この復旧につきましては一般の環境衛生業と同様に、災害のための融資制度になじむわけでございます。
  44. 大石千八

    大石(千)委員 環境衛生金融公庫による貸し付けば、今度の災害の場合、融資ワク自体は相当大幅に引き上げることができましょうか。
  45. 北村和男

    ○北村説明員 一般の業種につきましては、限度が一千万円になっておりますが、民宿も含めまして、いわゆる旅館業につきましては千五百万円まで現在制度として認めております。そのほかに災害を受けました場合には、それにさらに一千万上のせをすることになっております。
  46. 大石千八

    大石(千)委員 これから再建する場合の貸し付けもさることながら、既往貸し付けと申しますか、おそらく最近こういうような旅館業に入った方も多いと思います。そういう方々に対して、既往貸し付けに対して配慮をいたしませんと、つまりこれからまた建設をするための融資を受けなければならない、これまでの借金も返さなければいかぬというような二重負担が出てくるわけでございますが、その辺に対してはどのようにお考えでしょうか。
  47. 北村和男

    ○北村説明員 一般に災害を受けました場合に、現在借金が残っている方々につきましては、環境衛生金融公庫におきましては、まず第一にその実情に応じまして支払いの猶予を行なっております。これは具体的には災害を受けましたときから一年以内におきましては元金の支払いを猶予するということをいたしております。それからお金を借りてすぐ災害を受けた場合もありましょうが、ある一定期間お金を返して、その残存期間につきましてどうするかという問題でございますが、これはひっくるめまして貸し付け期間の延長という取り扱いをいたすことになっております。そのほか、できるだけ再建をしていただきたいわけですが、どうしても今後とも返済不可能だという場合には一般の不良債権の扱いをして個々に取り扱いをいたす、そのような取り扱いをいたしております。
  48. 大石千八

    大石(千)委員 最後に総務長官に一言お伺いをしたいと思いますが、特に、今回の伊豆半島沖地震に際しまして現地に行かれまして、今後の地震対策に対する取り組み方というような面でお感じになったことをお述べいただきたいと思います。
  49. 小渕恵三

    小渕政府委員 本委員会の冒頭に、当委員会の調査団の御報告がございました。私ども政府の立場からも、十日私を団長といたしまして、各担当の者とともに調査をいたしてまいりました。  感想ということでございますが、私ども、特に地震対策につきましては、都市におきまして発生した場合に、火災その他二次災害の点につきましては従来になく検討を進めてきておるところでございますが、今般のように農漁村地帯、特に山つき地帯と申しますか、そういうところに地震が起きた場合に、山その他のがけくずれ等が発生する危険性が、今回の事例を見て非常に問題になるのではなかろうかと考えております。したがいまして、都市におきますと同様に、そうした地域における地震発生のときに、いやしくも二次災害等が発生することのないように、今後とも努力をしていかなければならない、かように感じた次第でございます。
  50. 大石千八

    大石(千)委員 ぜひそういう反省、そしてまた視察をされました御感想というものを二次災害未然の防止、それから災いを転じて福となすというにしてはあまりにも犠牲が大き過ぎて、南伊豆町周辺の方々にはお気の毒でございましたけれども、このような悲惨な事故が今回の経験を通して少なくなるように、絶滅を目ざすように、なお一そうの御努力をお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  51. 阪上安太郎

    阪上委員長 次に、米田東吾君。
  52. 米田東吾

    米田委員 伊豆半島沖地震復旧、その他ただいま進めておられます犠牲者救済の関係につきまして、若干御質問を申し上げたいと思います。  関係地域の皆さんには大きな被害を受けられたわけでありまして、心からお見舞いを申し上げますし、とりわけ二十数名の犠牲が出ておられるわけでありますし、現に約四名の方々がなお未確認のまま土砂の下に埋もれておる、まことに哀悼にたえないわけでありまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  最初に、私は中央防災会議にひとつ御見解をただしておきたいと思うのでありますが、私も今度の調査団の一員として現地へ参りまして、非常に強く感じたことが一つございます。それは、すでにいままでも指摘されておりますが、あの伊豆半島、とりわけ南伊豆町、あの関係地域を見まして、非常に急傾斜地帯の中での家屋生活者が多い、危険個所の中にこんなにたくさん生活しておられるのであろうかということをはだ寒い思いで実は見てきたわけであります。  もともと関東地方は土質の面では関東ローム層あるいはシラス地帯に近いような非常に弱い地盤のところであるということは、かつての千葉県における災害あるいは関東地方における地震災害等の際に必ず指摘をされておるわけでありまして、そういうところにおけるがけくずれというものは、地震だけじゃなしに集中豪雨、台風等の二次災害として繰り返しておるわけでありますし、その原因として関東ローム層が常にあげられておるわけであります。そのつどこの委員会等におきましても、そういう危険地帯に住んでおられる方々の避難あるいは対策というようなものが指摘をされまして、防災会議におきましても、あるいは関係政府機関におきましても、関係自治体等と協力をして、必ずそれらにつきましては万全の措置を講ずる、それは予防措置防災措置を含めてそういうことが答弁されてきておるわけであります。今度の場所を見ますと、私は集中豪雨等による被害がもしあったとすれば、地震以上の、大きながけくずれ等による人身事故が、あるいは被害が出てくるのじゃないか、はだ寒い思いで見てまいりましたけれども、こういう地域に対する防災上の指導徹底を欠いておるのではないか、非常に甘いのではないかという感じを持つわけであります。ただいま小渕長官大石委員の質問に答えて感想を漏らされましたけれども、あなたがおっしゃったようなことを前々からこの委員会では指摘をされて政府側ではそういう答弁をしておるわけであります。災害が起きなければ、人が死ななければこれが政治の問題にならないという悪循環であります。この面につきましてはほんとうに真剣に私は考えてもらわなければならぬ問題じゃないかと思うのでありますが、いかがでございましょう。まずそのことからお聞きをしていきたい。
  53. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘ございますように、危険ながけ地というものは全国所々にあるわけでございまして、中央防災会議のサイドから考えましても、そうしたところを関係省庁の努力に相まってそうした地域の解消につとめてくるように指示、指摘をしてきたところでございます。この点につきましては、建設省におきましてもすでに六万余カ所の調査を進めまして、その中、特に危険地と見られる地帯につきましては急傾斜地として指定をし、その指定に伴っての方策を講じておるところでございますが、率直に申し上げまして、その指定をいたしまするにつきましては、その地帯におきまする住民等の理解と協力がなければなりませんために、実際指定をしたいと考えていた地域におきましてもその点の全面的な調整ができ上がっていないというような点にも問題があろうかと考えております。  しかしながら、今後におきましてもさらに関係部局におきまして現存いたしておりまする法律その他すべてを生かしながら、取り急ぎ調査の完了いたしておりますところにおきまして、特に危険とみなされる地域におきましては指定につきまして積極的に取り組みまして、その事故の発生未然に防いでいくという努力は今後とも継続いたしていきたいと存じております。
  54. 米田東吾

    米田委員 一昨年でございましたか、この関東ローム層といわれる土質の特にがけくずれの予防ということをテーマにして科学技術庁と建設省、それらの機関が中心になりまして多摩川のあの周辺で実験調査をやられまして、それが災害を起こして大きな犠牲を出した例がございます。技術屋が自分の技術の試験の犠牲になっている、こういう事態があったわけであります。繰り返してこういうがけくずれの例は関東地方には絶えない、こういう関係だと思うのです。私、現地へ行ってみまして特に気がつくのは、こんなところによく家を建てて住んでおられると思うような、住宅を見ますとみんな新しいのですよ。先祖代々そこに住みついているというようなものはほとんどない。要するに、住宅難あるいは土地が手に入らぬということから、ああいう事情が出ているんじゃないかと思うのですけれども、県や市町村の行政指導がもう少し的確にしかも徹底しておれば、幾らかはまだ、私はああいう危険地帯に家を建てて住むなんということが回避できたんじゃないか、実はこういうような気がするわけであります。  そういう面からいって、非常にあなた方のほうの関心が日常的には弱いんじゃないか。県、市等に対する指導徹底を欠いておるんじゃないか、こういう感じがするのでありますけれども、あとからこんなこと言ったってしかたがありませんが、よっぽど私は、皆さんからそういう認識を新たにしておいていただかないと、関東地方一円、千葉県だって神奈川県だって、あるいは静岡県でも、関東圏に入る部分がまだたくさんあるわけであります。そういう感じがするのでありますけれども、あの実験による犠牲の総括はどうなったんでしょうか。どういうふうに行政指導に生かされておるんでありましょうか。これはひとつ参事官からお答えいただけませんか。
  55. 杉岡浩

    杉岡説明員 川崎市の関東ローム層の実験の結果でございますが、これにつきましては現在科学技術庁を中心にいたしまして、実験それ自体の事故の調査、こういったものをいたしております段階でございますが、さらにあの調査の結果につきましては、各土木研究所あるいは防災センター等の先生方あるいは技官、こういった方々が入られまして、事故それ自体の解明も急いでおるわけでございますが、その結果は各研究機関に流れまして、各研究機関においてその成果を生かしながら、そういった山くずれあるいは地すべり等の防災対策研究の一環というふうにしておる次第でございます。
  56. 米田東吾

    米田委員 一つ災害がありますと、必ず複合災害、二次災害、そういうようなものが併発されまして、そこに、これは自然災害というよりも人災が濃いという批判が常に出てきておるわけであります。今回は、まだ幸いにそういう声があまりしませんけれども、私は現地を見てそんな感じを持ちました。ひとつ今後とも徹底した、特に急傾斜地帯、私はこの調査団報告の中にありますように、弱い火山岩とかあるいは第三紀層、全体としては関東ローム層といわれる地質だと思うのであります。現地を見て、そんな感じを私は持ちました。ひとつこの際、地方防災会議におきましても認識を新たにして、地方自治体を含めた防災指導というものを徹底していただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  それから今度の地震につきまして、まだまだその原因とか対策等が本格的に進められておる段階ではないと思いますし、とりあえずは、緊急の救援活動あるいは二次災害防止という面での重点がいまのところだろうと思うのでありますけれども、私も現地を見て感じた気持ちなんでありますが、たまたま十四日の日に讀賣新聞でございますけれども、あの地震は、伊豆沖からあの半島の被害地の中心部を西北に向けて走っておる関東の活断層、これがずれて起こした地震ではないか、被害ではないかというようなことが指摘をされております。そういうことを参考にしてみますと、あの被害地というのは一線の上にそろえられているような気がいたしました。そういう関係は、これから基本的に関係機関やあるいは政府の皆さんのほうで十分調査をされるし、研究もされると思うのでありますけれども、活断層等がやはり重要な要因であるということになりますれば、現にいま余震が続いておる、それから、これからまた梅雨期を迎えて雨が多い、そして台風期に入る。房総、三浦半島、伊豆半島、ずっと西へ行きましても、この伊豆半島中心部は、台風の一つの通過の銀座通りといわれるぐらいのところになっておるわけであります。亀裂は拡大しておるというようなこともいわれておるわけでありまして、こういう点からいきますと、早急に二次災害防止の新たな観点でひとつ取り組んでもらわなければならぬのじゃないか、こういう気がするのでありますけれども、そういう面については防災会議で一体どのような対策とこれからの対応をされようとするのか、このこともひとつあわせてお聞きをしておきたい。
  57. 小渕恵三

    小渕政府委員 地震につきましての技術的なことはよく理解できませんが、御指摘の二次災害発生のおそれが、今後とも余震が起こる、あるいはまた風水害等が発生することによりまして、今般の地震によって亀裂を生んでおりまする地帯、そういうものが二次災害につながっていくというようなことがありますれば、これは私どもといたしましても、ぜひとも避けなければならない問題だろうと思います。したがって、治山事業あるいは急傾斜地崩壊対策事業等も緊急に必要とするものにつきましては、各省庁をして全力でこれに当たってまいりたいと思いますし、恒久的な問題につきましてもこうした問題につきましては、全力をあげて取り組みたいと存じております。
  58. 米田東吾

    米田委員 気象庁の専門家、おられるかどうかわかりませんけれども、活断層が超こした地震だという専門家の指摘については、どのような見解を持っておられますか。あわせて、これは今後の予防措置の面で非常に重要な問題を私は提起していると思いますので、見解を聞いておきたいのです。
  59. 毛利圭太郎

    ○毛利政府委員 ただいま先生の御指摘の活断層のことに関しまして、技術的な問題がございますので、地震課長のほうから御答弁させていただきます。
  60. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  地震現象とは、地殻が力に耐えかねまして破壊を起こして断層が起こるという現象にほかならないわけでございまして、今回の伊豆半島沖地震は、このようなからくりで震源付近の地殻が破壊して断層が生じたものと考えられます。これが新聞等で報ぜられた活断層を意味するものと思います。  五月九日の地震は同地区で、先ほど御報告にもありましたとおり、起こる地震のうち最大規模のものでございますので、私ども過去の例を調べますと、このような大きな地震が、短期間に同じ場所で続いて起こったという例はございませんから、今回活動いたしましたこの活断層が再び活動するまでには相当の年月、これはおそらく百年以上だと推定されますが、そのくらいの年月を要してまた次の活動に移るのではないかと私ども考えております。
  61. 米田東吾

    米田委員 私も専門でありませんのでわかりませんけれども、私はいま政治的に問題にしなければならぬのは、二次災害防止という面で実は聞いておるわけなんですけれども、新聞によりますと、南伊豆町長は、私どもが調査に行きました十四日のその夜、地割れがさらに広がっている、部落名はちょっといま失念しましたけれども、その集落の方々を緊急避難をさせて退避させたという報道が載っておりました。その部落の中心部はこの活断層が通っている。そして現に地割れがさらに広がっておる。そこへ当日は雨が予想される。そういうような事態で緊急避難をされたというふうに新聞は報道しているわけであります。活断層というものが決定的なものでないにしても、緊急避難とかあるいは今後の対策上特に重視をしなければならないような条件があるとすれば、あなた方のほうから思い切って大胆に提起をしてもらって、関係の市町村、県あるいは建設省、自治省、そういう関係機関が一体になって、この防護措置を講ずるというふうに集中しなければならぬのじゃないか、こういう感じがするわけでありまして、それだけに皆さんのほうの専門的な学問的なものはあとに待っても、当面の緊急対策上、ものを言ってもらわなければならぬ部分があるのじゃないか、こういう感じがして御質問しているわけなんでありますけれども、いかがでございますか。
  62. 末広重二

    ○末広説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、地震は決してある一点から出るわけではございませんで、震源とは申せ、そこからある広がりを持ったところで破壊が起こるわけでございまして、いま私どもは御指摘の線に沿いまして、そういった地殻の破壊が陸地にまで及んだ可能性もございますので、地震記録からどの程度の破壊とずれが起こったかを、ほとんどいま集計が終わりましたので、そういった情報を早急に中央防災会議のほうに差し上げて、対策に役立てていただくようにしたいと思っております。
  63. 米田東吾

    米田委員 ひとつ対策に十全を期していただきたいと思います。要望を申し上げておきます。  次に、局地激甚指定関係につきましては前の同僚委員が質問しておりますけれども、いま少し副長官、明確に見解を出していただいていいんじゃないか。現地へ行きましても、町長や県はあげて、少なくとも南伊豆町等については、当然これは局地激甚の適用になるだろう、そういう方針をはっきり示していただいて、復旧にいまから万全を期したい、強い期待があるわけであります。まだ災害の実態すら十分調査をしておらない。ましてや被害額なんかが、査定も終わらぬうちに出てくるはずはありませんけれども、大体私の記憶では、三年ばかり前に、たしか局地激甚については指定基準を緩和したはずであります。したがって、標準の税収の大体一倍、この基準がある以上は、私は南伊豆町については少なくも局地激甚の適用になりますよということを明快に言っておいていただいて差しつかえないんじゃないか、こういう感じがするのでありますけれども、いかがでありましょう。
  64. 小渕恵三

    小渕政府委員 お説のように、南伊豆町につきましては、間違いなく局地激甚災害指定ができるものだと私ども考えております。
  65. 米田東吾

    米田委員 ひとつ災害被害状況実態調査あるいは査定等をはやめていただきまして、間に合うように、ひとつこれは現地を励ます意味からいきましても、また被害者の人心の安定の面からいきましても、血の通った施策として早いところきめて適切な措置を講じていただきますようにお願い申し上げておきます。  それから、急傾斜地帯の関係に戻って恐縮でありますが、特にこれは建設省に関連する部分だと思うのでありますけれども、これまたこの特別委員会で、そういう地帯における、あるいは災害被害地帯が対象になりまして、集落の移転措置が法的にこれが優遇されまして可能になるような施策ができたと私は記憶しておるわけであります。今度の南伊豆地方被害状況は、全部を見ることができませんでしたけれども、おそらくこの法律の適用を必要とするような、ある集落については集団移転が必要になってくるというようなことが出てくるのじゃないかという感じを持って見てまいりましたけれども、これらにつきましては、関係省ではどういうふうに見ておられるか、あるいはその対策は進められておるか、可能かどうかということ、こういうことをひとつお聞きをしておきたい。
  66. 市橋光雄

    ○市橋説明員 お答え申し上げます。  四十七年の十二月に制定されました、防災集団移転促進事業に係る財政上の特別措置に関する法律でありますが、地域住民が集団で移転することを希望いたしまして、かつその移転先におきまして大体十戸以上の団地ができる場合、過半数の住民が団地に入りまして十戸以上の団地をつくる場合におきましては、ただいま申し上げました法律の適用があるわけでございます。現在、県当局からのお話によりますと、中木地区につきましては、そういうような希望があるように聞いておるわけであります。四十戸程度の移転というようなことも聞いておりますので、いま申し上げましたように、大部分、過半数の方が移転をするというようなことの場合におきましては、この法律の適用の対象になりまして、補助できるものというふうに考えておるわけであります。
  67. 米田東吾

    米田委員 現地の町の助役さんから聞いたのでありますけれども、やはり、ああいうところに行きますと、まだ、防災なんかの関係については、非常に法的にも行政上の面でも認識がないのですね。たとえばこの災害犠牲者に対する見舞い金制度、弔慰金制度ができたことすらまだ知らないでおった、こういうようなことも言っておりました。したがって、いま御答弁がありました集落移転等については、ひとつあなたのほうから能動的に県や市を指導していただきまして、いま説明がありました十戸以上だとかあるいはその過半数が賛成しなければならぬとか、いろいろそういう条件はありましょうけれども、それは第二の問題として、そういう国の制度として、国の直接の補助として、集落移転等ができるという道を十分被害者の方にも町当局にも徹底をしていただいて、一体になってこの復旧について努力をしてもらうように、これまたお願いをしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  68. 市橋光雄

    ○市橋説明員 御趣旨を十分体しまして、制度を関係住民の方にも十分御理解いただくというようにいたしますとともに、県当局あるいは町村の当局とも相談をいたしまして、十分協議をいたしまして、できるだけ御希望に沿うように、採択できるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  69. 米田東吾

    米田委員 さらにもう一つ、これも総理府でしょうか、災害の見舞い金制度、弔慰金制度の関係ですね。これはもう当然犠牲者は、災害救助法の発令を見ているわけでありますから、適用になると私は思いますけれども、この金額が昨年改正になった五十万。これは十万から五十万に大幅に上げたわけでありますし、公的に整備をしたのでありますが、この現状に合わせてみますと、はたしてこのインフレ下、物価高の現状において、年金生活者に対しても引き上げるとかいろいろな措置を講じておる現況でございますので、ひとつこの五十万はさらに現状に合わせてスライドされなければならないだろう、こういう気がするわけであります。私はここで百万にせいとか幾らにせいとかということは言いませんけれども、これはあなたのほうにひとつおまかせする以外にありませんが、とにかく現状に見合うようにスライドをして、この制度をもって被害者の方に、あるいは犠牲者の方にとにかく行政の面からも手を尽くす、こういうふうにしてもらわなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
  70. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  現在厚生省が担当いたしておりますけれども、厚生省おりませんので私かわって御答弁申し上げます。  ただいま先生から御指摘ありましたように、昨年の七月から災害対策委員会で弔慰金及び援護資金の法律をおきめいただきまして、四十七年の災害の十万円から五十万円ということで、弔慰金及びそれに新しく災害援護資金もきまったわけでございます。災害の弔慰、これはお悔やみの金でございますが、どこにもしりの持っていくところのない自然災害、こういったものに対してお見舞いを出すということでございまして、金額の高というのはいろいろな観点から議論されるかと思いますけれども、一応いろいろな判断から五十万円というふうにきまったものというふうに承っておるわけでございます。援護資金等につきましても、これは家屋が全壊あるいは半壊等の場合に、その五十万を限度として低利の、三分でございますが、資金を貸しつけるという制度でございまして、いわゆる一時の生活の立ち直りということでございまして、これはさっきからいろいろと御審議がございました住宅の融資、あるいは民宿等の環衛金融公庫等の融資、こういったものとは別に、一時の生活の立ち直りのための資金ということでございまして、そういった観点から御議論がありましてきまったわけでございます。  金額のスライド等につきましては、いろいろな諸般の事情等も検討させていただきたい、こう思うわけでございます。
  71. 米田東吾

    米田委員 ひとつよろしく御配慮いただきますように、これは委員会の意思を尊重していただきますように御要請申し上げておきます。  最後に自衛隊の関係で、防衛庁来ておられますね。私実は現地に行きまして、防衛庁、特に現地に出てこられました自衛隊の皆さんには、関係者はもちろん被害者町民あげて非常に感謝をしております。委員長報告にも出ておりますが、たよるのは自衛隊さんだけだというくらいに非常に感謝しておるわけでありまして、これは私も皆さんの御努力に対して敬意を表したいと思います。  そこで、町長から非常に強く要請が一つあったのでありますけれども、二十八名の方が埋もれておった中木地区のあの掘り出しあるいはがけくずれについてのどろの撤去ですね。いまこれに全力を集中している。あと全町の被害地の状況すらまだ調べておらない。人命の被害のないところについては町長の説明では全部それはまだ置き去りにしているということなんですね。それで中木地区にほとんど集中していただいておるのだが、あそこがどろが排除できたあるいは行方不明者も全部発見できた。あなたのほうの災害出動の基準からいきまして、人命の関係というものがとれたということになりますと、いままでの例であると引き揚げてしまう、こういうことがいままではあったと私は思います。町長はそれを非常に心配して、まだよそのほうを調べておらぬし、災害復旧等について自衛隊の力をかりなければならぬ部分がたくさんある。したがって、中木地区が終わったから、めどがついたから引き揚げるということでなしに、相当の期間にわたって力をかしてもらえないかということを繰り返しておられました。私も現地を見て気がついたのは、よその災害の場合と違って、消防の動員がほとんどないということであります。大体現地の方々が、もっとも私ども行ったのはもう時間がたっておりましたから、一週間程度あとでありましたから、あるいはこれは間違いかもしれませんけれども、それにしてもあの地域観光地域で、しかもあそこでは過疎地域で、地場の消防に編成されるような人はいない、よそから連れてくることもできない、結局は自衛隊か機動隊にお願いする以外にない、そういう特殊な事情があるように私は見てきました。そういうことからいきましても、自衛隊にたよるところが非常に強いというふうに私も実は感じてきたわけであります。したがって、自衛隊のほうは、いまの災害出動の基準はとにかくとして、現地要望にこたえていただけるような一定期間の救援活動が得られるかどうか、またこれはぜひそうしてもらわなければならぬと思いますが、あなたのほうの見解を聞いておきたい。
  72. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、自衛隊は発災以来一週間の間に、延べにしまして一万五千人ほど出しております。今日でも陸上自衛隊を中心に千人ほど入っておりますが、主力は中木地区の行くえ不明の方の捜索ということに置いて、あと防疫であるとか輸送であるとかというのをやっております。  先生御指摘のように、他の被害地区における復旧作業といったようなものについての自衛隊に対する要望、これは静岡県からと南伊豆町からとそれぞれ出ておりますので、今後は静岡県、南伊豆町の災害対策本部と十分調整を行なってやってまいりたいと思います。  もちろん本格的な災害復旧ということになりますと、自衛隊の作業能力の問題であるとか、あるいは他の一般的な公共事業であるとかのかね合いがございまして、一がいに自衛隊が全部やるというわけにはまいらないと思いますが、二次災害防止というような問題もございますので、自衛隊の能力で可能なものは、県、町とお話し申し上げて協力してまいりたいと思っております。
  73. 米田東吾

    米田委員 いま答弁いただきましたように、やっぱり当面の問題は二次災害防止であります。さっきから私申し上げておりますように、これから雨期に入るわけですね。そして私は集中豪雨が来ないという断言はできない。また災害というものは悪い循環がありまして、そういう年やあるいはそういう場所に集中する場合もあるわけであります。そういうことからいきまして、万全を期するために、集中豪雨あるいは台風、そういうものからくる二次災害を防止するためには、緊急にやはり対策を必要とする部分が相当南伊豆町には各部落にあると私見てまいりましたので、そのことをお願いしたわけであります。ただいまの答弁でわかりますけれども、現地の被災者や町長の要望にこたえていただきますように、これは強く再度私から要望しておきます。よろしくひとつお願いします。  以上で私の質問を終わります。
  74. 阪上安太郎

    阪上委員長 次に、金瀬俊雄君。
  75. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間がございませんので重複する質問を避けましてきわめて簡潔に御質問申し上げますので、御答弁のほうも率直に、簡潔でけっこうでございますのでお願いいたします。  まず最初に、南伊豆の今回の地震についてどんな予知をしておったか、御説明願いたいと思います。
  76. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  残念ながら今回の伊豆半島沖地震は全然予知されておりませんでした。その理由は、局地的に大災害を起こしたとはいえ、自然現象としてはさほど大きなものでなかったために、前兆現象がもしあったとしても非常に限られた地域、しかもそれが海中であったために残念ながらわれわれの現在の観測網ではこれを察知し得なかったわけでございまして、今後の努力にまちたいと存じております。
  77. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、今度の地震については全然予知をしておらなかったということですね。そうなってくるとこの地帯地震について無防備であったということがいえるわけですか、その点についてお聞きします。
  78. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  予知はされておらなかったわけでございますが、関東から東海地方、あの一円にかけましては日本内外における地震活動の非常に高い地域であるということは過去の資料から申せたわけでございますから、そういう意味ではふだんの心がまえとしての、つまりいつ地震が起こってもいいという防災体制は当然考えておくべきであり、それはとられていたものと存じております。
  79. 金瀬俊雄

    金瀬委員 では、あなたはとられていたと思うということですから、あなたは技術のほうだからわからないと思いますから、ほかの人、いま言った対策がとられておったかどうか。
  80. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  地震予知の連絡会におきましても、南関東に続きまして東海沖地震発生する可能性があるというような観点から、観測強化地域にことしの初めに指定されたわけでございます。これを受けまして関係機関といろいろと協議いたしまして、そして東海沖地震可能性というものを検討いたしまして、そしてその防災体制におきましても、たとえばあの辺の静岡だとか愛知だとかいったような地域防災計画、こういったものを関係県において地震対策の面で再検討し、さらに訓練あるいは地震等の心得、こういったものの広報を検討するというような段階であの地域地震対策は進んでおるわけでございます。この前の伊豆半島沖地震に対する直接の対策ということではございませんで、あの地域も前から地震の観測地域ということになっております。そういう面におきまして静岡当局におきましても一般的な地震対策、これは住民の避難あるいは地震時における心得、こういったものをPRしておる次第でございます。
  81. 金瀬俊雄

    金瀬委員 先ほどの話ですとこの地帯については全然そういうことを考えておらなかった、突然の地震だということでございます。いまの答弁だと観測強化地域だ、だから十分準備しておったという話ですよ。そうなってくると答弁が非常に食い違っておるわけですが、地震予知のためにこの地域にどんな施設をしてあるか、それを言ってくれませんか。強化地域だからしてあるということですから。
  82. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  ことしの初めにこの東海地方が観測強化地域になりまして以来、気象庁といたしましては特別研究促進調整費を科技庁からいただきまして、御前崎に特別な井戸を掘りまして、そこで高倍率の地震計の観測を開始しつつございます。それからすでに既存の観測所を用いまして、現在いろいろ言われております作業仮説がはたしてどの程度役に立つか、あるいはそういったデータの検討から予知的なことが探れるかどうかという解析の特別の調査も始めておるわけでございます。今後は海底地震計、埋め込み式ひずみ計の展開等を同地方に計画しておりまして、五十年度、五十一年度という時点においては格段に観測が強化されると思います。また大学等におきましても特別の臨時観測所をあの辺に開設しておられると承っております。
  83. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの話だと地震が起きてからやるという意味でしょう。いままでやっていたんじゃないでしょう。地震が起きたからそういうことをやってみるということでしょう。いまの話だとそうだ。これからやるという話ばかりだ。いままで何をやっていたかということですよ。
  84. 末広重二

    ○末広説明員 いまお答え申し上げましたうちの前段の御前崎での高倍率の観測、それからあの地域での地震の特別の解析はすでに始めていたわけでございます。  それから先ほど観測強化ということにつきまして見解が違うのではないかという御指摘を受けたわけでございますが、あそこが観測強化地域指定になりましたのは、やはり遠州灘の大きな地震がはたしてどの程度可能性をはらんでおるかということを緊急に探らなければいかぬということで観測強化になったわけでございまして、私が残念ながら予知できなかったというのは、それよりも何段か小さい今回の地震については特に的確な予知の情報を持っていなかった、こういうことでございます。
  85. 金瀬俊雄

    金瀬委員 五月十日の讀賣新聞、これには静岡県もこの地帯を危険地帯指定していないと書いてある。県や市長さんはそういう意味では不意打ちを食ったような形であるとはっきり書いてある。だから県にもどこにも全然連絡していなかったということがいわれるわけですが、そう考えてよろしゅうございますか。これは新聞が間違いなら間違いと言ってください。あなたのほうが正しいなら新聞に取り消してもらうし、どっちかはっきり……。
  86. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  もちろん東海地方が観測強化地域になったということは十分な解説資料をつけまして地方自治体に御説明申し上げてございますが、今回の伊豆半島先端で起こりました地震は、あの地方が東側の関東地震についても過去の歴史によりますとそう被害を受けていなかった。また西側の東海、東南海あるいは南海道の大地震についても、東のはずれになりますためにそう被害を受けていなかったということで、日本の地震国に位置しているということはかわりありませんが、南伊豆先端のほう、それから私どもも含めまして、あの辺が非常に強い地震被害にさらされるということは、まことに申しわけありませんがその点に非常に配慮をしていたということはございませんでした。
  87. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは学者に聞いたことですけれども、静岡大学の土隆一教授、これは東大から行った人だそうですが、その人が前からこの場所地震が起きそうだということをずいぶん学会に発表するし、ずいぶん警告しておったということははっきりしておるのですが、そういうことは知りませんか。
  88. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  いろいろの研究者が大ぜいいらっしゃいまして、それぞれの御見解、御研究の結果を御発表になるわけでございますが、伊豆のあの先端の、今回起こりましたところが特に危険であるということを強く学会等で訴えることをなすったという事例は、残念ながらそう強く印象に残っておりません。
  89. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この学者は化石を中心研究する地質学者ということであって、その人が発表しても、あなた方のほうで取り上げなかったということははっきりしているのです、化石学者だから。だけれども、この人は、化石の関係で行っても、あの辺をいろいろ回って、非常に研究をしておったそうです。だけれども、学界のいろいろな派閥関係かどうかわかりませんが、そういうのを取り上げなかったといわれている。これは学者の間で相当言われている。そのことについて、何か見解がありますか。
  90. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  やはりわれわれ地震予知という観点では、少なくとも近い将来であるとか、あるいは数年の間とかいったような単位で予知をいたしませんと、社会上有効でないと思います。それで化石あるいは地質、そういった方面の方は、地球上——内部も含めまして地球現象の尺度を千年とかあるいはここ一万年とかいう非常に長い尺度での御研究だと思いますので、その辺が防災上という立場から立ちますと、特に有効な予知資料とは——私ども、科学的には価値がございましても、防災上の見地からは、残念ながらあまり役に立たないのではないかと思っております。
  91. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、この学者がこの地帯はあぶないと予言したことについては、あなたのほうの考えからすれば役に立たぬ、こういう学者の言うことはだめだということですね。そう考えてよろしゅうございますね。その人の言っておることが当たっておっても、当たっておるのはまぐれ当たりであって、別に気にする必要はないし、何でもない、こういう意味ですな。
  92. 末広重二

    ○末広説明員 そこまでは言い切っているわけではございませんで、つまり地質という観点から立ちますと、千年とかあるいは万年とかいった尺度でものを言うことも非常に学問的に意味がございます。ただ、それでは防災上に役立たないので、もっと的確な前兆をつかんで、もっと短い時間の尺度でものを言わなければならない、こう申し上げているわけでございまして、決してその先生の御研究が役に立たないとか、意味がないということではございません。
  93. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間がございませんので、この問題はあらためてまた静岡大学の教授を参考人か何かに呼んでいただきまして、どちらの見解が正しいかはっきりさせたい、さように考えておりますので、委員長のほうでよろしく取り扱いをお願いいたします。  次に、建設省に御質問申し上げます。  先ほど、建設省の人からの説明で、地震が来たり、あるいは豪雨が来たり、そうした場合に危険な個所が全国で何カ所かあるということを発表されましたが、それを明確にもう一度説明してくれませんか。
  94. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げたのでございますが、全国の四十七年度、危険個所調査の結果で申し上げますと、六万七百五十六カ所が危険個所ということで、ある一定条件の範囲の危険個所でございます。一定条件と申し上げますのは、一応人家戸数が五戸以上ございまして、裏がけが三十度以上というふうなもので、高さが五メートル以上というふうながけにつきまして調査をした結果でございます。
  95. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その六万カ所の中に、この場所は入っていましたか。  それからこの場所に、ほかに何カ所かありますか、南伊豆町に。
  96. 大工原潮

    大工原説明員 六万カ所のうち、静岡県全体で千四百五十九カ所でございます。さらに、内訳といたしまして、南伊豆町におきましては、三十三カ所というのを危険個所としてリストアップいたしております。  さらに先日の斜面でございますが、あの斜面の反対側の斜面は、人家に直接ひっついたがけでございまして、その斜面は一応危険個所、それからさらにあの地域に入ります手前の斜面でございまして、人家の裏でございますが、その斜面も一応危険個所のリストの中に入っておったという状況でございます。
  97. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、人身事故を起こした場所、あの場所は危険地域に入っていたのですか、どうなんですか。あなたのほうの指定に入っていたのですか。
  98. 大工原潮

    大工原説明員 あの斜面につきましては、斜面の下に農地がございまして、斜面が直接人家に密接していなかったというふうな条件、それからさらに、あの斜面の左側には岩盤の露出がございまして、非常に強固な地形でございます。そういった判断から、あの斜面そのものは、私どものほうの危険個所に入っていなかったということでございます。
  99. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、あなたのほうで指定している六万何カ所というのは、あの地帯よりもっと危険な場所だということですね、あなたのところで入れてないのだから。入れてないところで、あれだけくずれるのだから、六万何カ所というのは、あれよりも相当危険な場所という意味だね。そう考えてよろしゅうございますか。
  100. 大工原潮

    大工原説明員 私どものほうの調査は、一応一定条件と先ほど申し上げましたが、人家に直接ひっついたがけというものを中心調査をいたしておりまして、先日の山形県の大蔵村等に災害がございましたが、あの個所等では、やはり斜面の下に相当の農地がございまして、そういった関係被害を及ぼす範囲に人家がないというふうな判断から、危険個所になっていなかったものと想定いたしております。
  101. 金瀬俊雄

    金瀬委員 だから、あなたの言う危険個所、危険地帯というのは、この場所とか、いままでいろいろ災害を受けた場所は、危険地帯に入っていなくてあれだけの災害を受けたのだから、あなたのほうが考えている場所というのはよほどひどい場所でしょうということを聞いているので、だから、あれよりひどい場所だというとをはっきり言えばいいよ。それをはっきりさせればいいよ。それで、この間の場所は危険でないという意味だろう。地震であれだけ陥没を起こした場所は、あなたのほうは危険地帯と思わなかった、こういう意味でしょう。それをはっきりさせてくれればいいじゃないですか。
  102. 大工原潮

    大工原説明員 私どもの調査は、一応各地方自治体さらには県も合同で調査して、まとめたものでございまして、一応過去の災害等から予想いたしまして、危険個所の想定をいたしております。  したがって、いま先生がおっしゃるように、結果から申し上げますと、あの個所のほうが早く被害を受けたということでございますけれども、地形上あるいはその他の条件から判断いたしますと、それ以上に、非常に切り立った危険な個所というようなものがあるわけでございまして、結果から判断いたしますと、それよりも危険度が低いところで災害が起こったというふうに判断いたしております。
  103. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、あなたのほうでは、約六万八千カ所の場所については、どういう対策を立てているか。それをちょっとお伺いします。
  104. 大工原潮

    大工原説明員 調査の結果に基づきます危険個所については、私どもの建設省所管の範囲では、一応危険個所としてリストアップいたしまして、各県におきましては、警戒避難体制個所として警戒避難関係につきましては、各府県におきましては、たとえば消防防災課とかそういった所管になるわけでございますが、地方防災計画の中に組み入れて警戒避難体制に万全を期すように指導しております。
  105. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、あなたのほうはその警戒避難体制指導するということですね。だから危険になったら逃げろという意味でしょう。警戒避難体制ということは逃げろという意味でしょう、そういうことでしょう、それをはっきり。逃げろという意味なのかどうか。
  106. 大工原潮

    大工原説明員 いま警戒避難体制と申し上げましたのは、当然予防措置として危険な個所につきましては指定をし、順次防災工事を実施するという予定でございますが、現在の予算のワクの中ではなかなかその六万カ所を全部防災工事をやるというふうな状態ではございません。したがって、とにかく人身事故をなくすという方向からとりあえず現在の調査個所につきましては警戒避難体制の万全を期すように指導しておるわけでございます。
  107. 金瀬俊雄

    金瀬委員 建設省というのは、危険地域というのは工事をやって直すというのがたてまえだと思うのですよ。それに第一に力を入れて、二番目としてなお直らないところのものはもし万一に事故が起きた場合のことを想定して避難訓練をやるということはわかるけれども、あなたのほうは初めから避難訓練をやって、工事をやることを考えずにいるというのはどうもおかしいと思うんだよ。避難訓練なんというのは消防とかほかのほうが先にやることじゃないの。建設省がやるの。あなたのほうでいままで避難訓練、どこでどういうことをやったか、ちょっと言ってみてくれない。
  108. 大工原潮

    大工原説明員 先ほど申し上げましたように、建設省といたしましては危険個所ということを技術的な判断から調査した結果を消防庁あるいは警察庁と打ち合わせいたしまして、各地方自治体に対しましてはそれぞれの機関におきます警戒避難指導をしていただいているわけでございます。ですから、建設省といたしましては直接そういった警戒避難のための指導というよりも、むしろその材料を提供するという形でございます。  ただ、私どものほうでも特にそういった警戒避難というふうな問題につきましては強力な指導をする意味で、昨年は六月一日から一週間がけくずれ防災運動、防災週間ということで各府県におきましていろいろ行事をやっていただいておりまして、やはりそういった危険個所に住む住民の方々がそういった危険さの周知徹底をはかるというふうな意味で、映画とかあるいは講習会とかあるいはそういった防災訓練等を消防防災課等と協力いたしまして各地で実施しております。
  109. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたのほうの発表によると、六月一日から七日まで防災週間としていろいろな運動をやるということが書かれておるし、都道府県知事にそういうことを通達したようですが、一年間に八十七億しかそういう予算がないということが発表されている。間違いございませんか。
  110. 大工原潮

    大工原説明員 四十九年度の現在の当初予算におきましては、事業費といたしましていま先生おっしゃったように約八十七億でございます。
  111. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、あなたが考えて、今度事故を起こした南伊豆よりも、もっと危険な場所が全国で六万カ所ある。それを毎年八十七億しかもらえないとすれば、それを全部直すのに何年かかるか、大体予想でいいです。
  112. 大工原潮

    大工原説明員 急傾斜地崩壊対策事業は昭和四十二年から予算補助制度で発足した事業でございます。四十四年に急傾斜地の法律が制定になりまして、それ以降法律に基づきます防止工事を実施しておるわけでございます。四十二年に二億五千万という予算から出発いたしまして、四十七年度の大災害を契機といたしまして、四十八年度に向かいまして予算が当初予算比で約二・〇八倍というふうな伸びでやっと四十九年度におきまして八十七億程度になったわけでございます。特に四十八年度から本年度に向かいましては治水全体の予算も前年並みでございましたが、財政当局等にもいろいろと御協力願いまして、昨年比一・一九倍という予算でございます。したがって非常にわれわれといたしましては積極的にこういった事業の増額、あるいはできるだけ積極的に防止工事を実施してまいるように緊急を要する個所から順次事業を実施しておるという状況でございます。
  113. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私の聞いているのは、いまの調子で進んでいったら何年たったら六万カ所がなくなるかということを聞いているのですよ。過去のことを聞いているのじゃない。これから先のことを聞いているのです。あなたは先のことは言わないで、前のことを言っている。
  114. 大工原潮

    大工原説明員 いま申し上げましたのは、そのように積極的に事業費の大幅増額を努力しておるということを申し上げたわけでございまして、たとえば現在治水事業につきましては第四次治水事業五カ年計画ということでオーソライズした計画がございます。私どものほうでは一応六万カ所に対しましていろいろ試算はいたしておりますけれども、まだそういったオーソライズした全体の事業費がいつまでにこういう目標でもって年次計画でやるというふうな点につきましては、まだ明確な形での事業計画はつくっておりません。しかしできるだけ早くそういった危険個所をなくす方向で今後とも努力してまいりたいと思っております。
  115. 金瀬俊雄

    金瀬委員 できるだけ努力するということだけれども、六万カ所でしょう。この六万カ所というのはせんだっての災害を受けた場所よりももっと危険な場所だということをあなたのほうではっきり言っているのだよ。そんな危険な場所が全国に六万カ所もあって、建設省がこういうところにもっと力を入れてやらなくて八十七億円の予算でやったら、おそらく一年間に何カ所もできないと思うのですよ。六万カ所を直すのには何百年かかるかわからないだろう。そうでしょう。百年やそこらで終わる問題じゃないでしょう。六万カ所ですよ。それであなたのほうはそれを直すことよりもむしろ避難体制を一生懸命やる、逃げることを一生懸命やるということなんだよ。これは建設省というのがそういうことでいいかどうかという問題だよ。建設省の基本的な考え方、それについてはあなたはどういうふうに考えているか、はつきり言ってくれませんか。
  116. 大工原潮

    大工原説明員 ただいまも申し上げましたように、建設省といたしましては、できるだけそういった危険個所をなくす方向で今後とも努力してまいりたいと思っております。  先ほどから申し上げております六万カ所のうち現在補助事業八十七億で実施しております補助事業の採択基準といたしましては、人家戸数が二十戸以上、それからがけの高さが十メートル以上というふうな範囲でできるだけ経済効果の高いところ、それから危険度の高いところから順次実施しておるという状況でございます。
  117. 金瀬俊雄

    金瀬委員 建設省の考え方、これは私はあまりこういうことに真剣になっていないのじゃないかということがわかるわけですが、ひとつ十分検討してその六万カ所がどういうな形でいつごろ終わるかということが明確な年次計画書を出してくれませんか。年次計画を出してくれないと、それがわからないわけです。それを出してくださるように委員長要望いたしまして、続いて次の質問に移ります。  この地震でスカイライン、相当落石があって道路が不通になったわけでございます。きわめて不完全な工事じゃなかったかということが考えられますが、それについて建設省の考え方をお聞きします。
  118. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。先生御指摘道路は、道路公団で管理しております南伊豆道路のことだと思いますが、これについては災害状況を視察した結果、特に工事上の欠陥ということで被害を受けたという場所は見受けられておりません。
  119. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この地帯は、地震がなくてもときどき落石があって新聞をにぎわしている地帯ですよ。だから、地震があれば落石があるのはあたりまえですよ。はっきりいって、通行どめになっていた。こういう自然を破壊するような道路工事をやる場合には、どんなことにあってもだいじょうぶなように、十分な防災措置をしておかなければならないはずですよ。それをやってなかったということですよ。あなたはだいじょうぶだといって、やってないわけです。あとで聞いてみたら、やってないと言っている。十分な対策をとってないということですよ。ふだんから落ちていた。ふだんから落ちているんだから、地震が来れば落ちるのはあたりまえなんだ。そういうようなうそを言っちゃいけない。ちゃんと、きちんとやっているならやっている、不十分なら不十分ということをはっきり言わなくちゃ。雨が降ったときは、これ、落ちている。  それから、続いて建設省に質問いたしますが、この場所は非常に砂地であるということがわかったわけで、地盤のかたい場所と砂の場所では、非常に地震の場合に受ける被害に差があるということが明確に出ております。地盤のかたいところは、被害がそう出ていない。やわらかいところは被害が出ている。つまり、砂地のところは被害が非常に出ているということがはっきりしているわけですが、今後建築する場合、それに対する対策はどうすべきであるかということについて、建設省の建築関係の人に御質問いたします。
  120. 佐藤温

    ○佐藤説明員 ただいま先生御指摘のように、砂地の地盤場所に建てられました家屋に対します被害が特に大きかったということが、建築研究所の調査員から概況の報告を聞いております。この対策といたしましては、現在建築基準法によりまして、根入りのある擁壁をしっかりしておいて、砂が逃げないような措置をとるということによって砂地盤を強固にして、今後建築をするように指導してまいりたい、かように考えております。
  121. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは、車の中で町の助役さんが言ったことですが、この地帯はあの鉄道が延長されてから不動産屋がたくさん入ってきて、町の三分の一の土地は不動産屋に買われているそうですよ。この地震の起きた町の三分の一を不動産屋が買っておって、それらの人たちは町の人でない、ほかの町村の人ですということをはっきり言っている。だから将来、宅造とか何か行なわれた場合には、また危険な場所がふえてくる、たいへん心配だということを言っておりましたが、こういう場所が買い占められておることについて建設省は知っておったかどうか。それから、もしこれを宅造するとしたら、こういう地震地帯、どう対策を立てるか、それについてひとつ御説明願いたいと思います。
  122. 吉田公二

    ○吉田説明員 ただいまの土地の買い占め云々のことは、実は私ども正確なデータを持っておりませんので、どういう企業がどのように買っているかということは、いまちょっとつまびらかにしておりません。  宅地造成の規制の問題でございますが、宅地造成に関しましては、先ほど話がございました、急傾斜地崩壊防止地域でございますとか、あるいは災害危険区域というようないわゆる物理的に危険な状態のところにおける禁止とか、あるいは制限の制度はほかにあるわけでございますが、宅地開発そのもの、宅地造成に伴ってがけくずれ等の危険を生ずるおそれのあるところにつきましては、宅地造成等規制法という法律がございまして、これは知事の申し出によりまして建設大臣が区域の指定をするわけでございますが、この区域の中におきましては、宅地造成に関しまして知事の許可にかけまして、必要な防災上の技術的基準を講ずるというふうになっておりまして、その基準に該当しない工事はやらせないという仕組みになっております。ただ、絶対的危険区域と申しますか、ここは絶対にやっちゃいけないという区域は、むしろ宅造規制区域の問題ではございませんで、物理的な危険については別途の制度の禁止区域があるわけでございます。
  123. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間が参りましたので、最後に一つだけ御質問申し上げます。  建設省については、河川災害とか洪水の災害については、しょっちゅう水防訓練というのをやりまして対策を立てています。それから火災についても、これは消防庁ですか、いろいろな訓練が行なわれておりますが、地震について避難体制の確立とか救助体制点検とかいろいろな問題があるわけですが、そういうことについて水防訓練と同じような訓練をやったことがあるかどうか、地震対策についてそういう訓練をやったかどうか。
  124. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  地震に関する訓練の御質問でございますが、これはここ三、四年続けまして、九月一日の防災の日に、総理府を中心にいたしまして、関係省庁集まりまして総合の本部を設置し、それに対しましてどのような震災があるかを想定いたしまして、関係省庁の必要な対策をそこで検討するというような訓練をいたしております。  これは国を中心にした訓練でございますが、同時にたとえば南関東の各県、これが相呼応いたしまして、それぞれの県におきまして本部の設置訓練、こういったものをやり、さらにたとえば東京の例で言いますと、各区におきまして関係の機関、たとえば警察、消防、自衛隊、それに日赤等も入りまして、避難、救護、医療、その他住民中心にいたしました総合訓練を各地で実施いたしております。これは昨年の九月一日におきましても、そういった訓練を総理府総務長官あるいは建設大臣自体等も都知事等と現地を視察するというようなことで、総合的な地震訓練をやっております。
  125. 金瀬俊雄

    金瀬委員 南伊豆町の役場の人に聞いてみたら、ここはそういう訓練をやったことがあるかと言ったら、一度もないとはっきり言った。それから、そういう通達とか何か来たことがあるかと言ったら、ない。それから、こういう大災害が起きた場合は、災害を防除するいろいろの対策はどういう形で整えるかといった、そういうことについての模範例のようなものを書いたものも来ていませんということを言っていました。消防はどうしているかと言ったら、役場の若い職員が消防団を組織して出かけていきます、昼間は消防団員がいませんので役場がやります、夜になると帰ってきますので消防ポンプは帰ってきた人に引き渡します、ですから夜と昼は消防団員が違いますということをはっきり言っていました。だから、こういう過疎地帯についての消防体制あるいは救助体制、避難体制というのは、何かの形で指導するとかあるいはいろいろな援助をするとかしなければ、なかなか困難だと思うんですよ。いまの国で考えている地震対策というのは、もっぱら観測とかいろいろな調査に力を入れていますが、関東大震災と同じような大震災が東京近辺に起こるということを想定しての訓練であって、こうした場所に対するこまかい対策というのが非常に少ないようですよね。やっていないと言っても差しつかえない。ですから、空白地帯に突然大きな地震が起きたような印象を地元の人が受けているわけです。こういうものに対して今後どうするか、ひとつ御答弁お願いしたいと思います。
  126. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  ただいま訓練の内容御説明申し上げましたが、これは先生の御指摘のとおり、大都市を中心にいたしました地震対策の訓練でございますが、今後過疎地帯におきましても津波あるいはこういったような火災の発生、こういった地震災害発生することも予想されるわけでございます。  先般根室半島沖地震がありましたときに、北海道におきましては、過疎地帯におきましても津波の避難訓練、こういったものをいたしておりまして、根室半島沖地震の津波に対しまして非常に効果があったということが報ぜられておりますが、今後消防庁等と協力いたしまして県を指導いたしまして、県を通じて関係市町村にそういった過疎地帯における地震の避難訓練、こういったものもやってまいりたい、このように考えております。
  127. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これで質問を終わりますが、たいへんな死者を出したあの地帯の人たち、あそこの場所で歩きながら話を聞いてみたら、こういうことを言っていました。「鳩子の海」というNHKのあれをやっておった。あれを終わってから三分か五分たって地震が来たからわれわれは助かりました。あれをみんな見ていたのです。あれを見ているときに地震が来ればたいへんな災害が起きましたということをはっきり言っていましたよ。  それからもう一つは、外のほうで三菱建設というのがどろを海へ出す仕事を請け負っておって、八時半になったらみんな出てきて手伝うという約束になっておったので、出て行ったから助かったのだ、そうでなければもっとひどい災害になったということをはっきり地元の人が言っております。ですから、今後防災訓練とか避難訓練とかいうのについては、下まで徹底するように十分な処置をしていただきたい、さように考えております。  以上要望をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  128. 阪上安太郎

    阪上委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ————◇—————    午後一時三十五分開議
  129. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。栗田翠君。
  130. 栗田翠

    栗田委員 私も引き続きまして伊豆沖地震の問題について質問させていただきます。  私は災害発生しました当夜、九日から十日まで最もなまなましい状態を視察させていただきました。また、十四日の院の調査にも参加しまして、現地の惨状をまのあたりに見てまいりました。すでに幾人かの方たちからの御質問にお答えがありましたので、ダブる部分は省かせていただきますが、まず最初に、地元の要求を中心とした民生安定に対する国の施策について伺うことにします。  南伊豆町は局地激甚災が適用されるということはほぼ確実だというお答えでございました。ただ、これがこのとおりやられますと来年二月ごろに適用になるということでもあるわけでございます。さっきなるべく早期に実質的な適用ができるようにしたいというお答えが出ておりましたけれども、それならば具体的にはどのようになさるのか、その内容についてちょっとお答えいただきたいと思います。
  131. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  局地激甚につきましては公共土木それから農地施設、中小企業というような措置があるわけでございます。まず中小企業関係でございますけれども、従来から災害が起こりますと激甚災害措置の性格上、すなわち被害を受けられた中小企業の方々のために必要な融資をするわけでございますが、こういった融資が有利な条件等で貸されるように激甚災害指定によって行なわれるわけです。したがいましてそういったものにつきましては通産省のほうで必要な被害額を調査いたしまして、その調査が判明し次第必要な手続、これは政令できめるわけでございますが、それをやっておるわけでございます。  公共土木施設あるいは農地等につきましては、標準税収入の確定等を勘案いたしまして、大体それが確定いたしますのが二月ということになっておるわけでございますが、先ほど副長官も御答弁申し上げましたように、今回のような大きな災害等につきまして局地激甚指定等につきましていろいろ事務的に検討しなければいけないわけでございますが、関係省庁いろいろと検討してまいりまして、できる限り、標準税収入をどのようにきめていくかというような技術的な問題がございますので、そういったものを検討させていただきまして、なるべく早く指定できるように持っていきたい、このように考えております。
  132. 栗田翠

    栗田委員 たいへん南伊豆町は財政力の乏しい町でございまして、調査に行きましたときも町長から切々たる訴えがあったわけです。特別交付税や国庫補助金の早期繰り上げ交付だとか、それからまた地方債の特別措置などを早めてほしいという具体的な要望が出ておりますが、こういう点については配慮していただけますか。
  133. 栗田幸雄

    栗田説明員 お答えいたします。  普通交付税の早期繰り上げ支給につきましては、現在その方向で検討を進めております。  起債等につきましては災害の場合に一定のルールがございまして、たとえば公共の災害の場合には地方負担の九〇%を起債で認めるというようなことになっておりますので、そういったルールに従って措置をしてまいりたい。  それから特別交付税につきましては二月に決定をするわけでございますが、その際に関係公共団体の支出しました実情をよく分析いたしまして適切な配分をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  134. 栗田翠

    栗田委員 次に隣接しています松崎町、下田市などについて、災害救助法の適用またはそれに準ずる措置をとっていただくような御配慮はないでしょうか。
  135. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 松崎町、下田市の災害救助法の適用につきましては、私ども適用する必要はないと考えているわけでございます。ただ問題は、災害救助法が適用にならなくても被害があったということでの援護措置を講じなければならないわけでございます。特に松崎町、下田市につきましては住宅のこわれ方が非常に激しいという話も聞いておりますので、県に対しましては災害援護資金の貸し付けを適用するようにということで指導しているところでございます。
  136. 栗田翠

    栗田委員 町財政がかなりありましても、個人被害というのは個人でまかなわなければならない状態でございます。下田の場合、全壊二十戸、半壊三十二月、一部損傷が五百数十戸になっていると思いました。私、当地へ行って聞きましたけれども、田牛というところは下田市にありますが、これは松崎町に隣接した、全く隣合ったところでありまして、同じような被害を受けております。南伊豆町と同じように民宿がおもな生業となっておりまして、家がつぶれることで生業そのものにかかってくるというたいへんな状態です。ですから、特にこのような家を復興するための、旅館——民宿ですね、民宿復旧するための資金の貸し付けというのは災害救助法を適用したのと同様に配慮していただきませんと、非常に大きな負担が南伊豆町以外のところで被害を受けた人たちに、かかってくるというふうに思います。  もう一つは、地震の特色ですけれども、半壊と指定されていましても、土台からゆれてしまっているというわけで、実際私が調査に入っても、外観はたいしたことがないのに大黒柱が折れていたり地盤がゆるんでいたり、結局は全部取りくずして建て直さなければならないというのが非常に多うございました。こういうものの扱い方はやはり全壊として扱っていただきたいという問題。  それから一部損傷でもこんな話があるのです。旅館でお皿や何かのかなりもののよい陶器類がだいぶこわれたというわけです。そして下田では酒屋の酒びんが全部落ちまして、あの九日は町じゅうお酒のにおいが漂っていたというくらいの大きな損害もあったというふうに聞いております。こういうものについての対策措置ということも考えていただきたいと思いますが、半壊の場合、それからこういう一部損傷、損壊といわれていてもかなり大きな家具その他の被害が出ている場合についてどういうふうに配慮していただけるか、その点についてもう一度伺いたいと思います。
  137. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 一般住宅が損壊になりました場合の災害援護資金の貸し付けにつきましては、全壊、半壊いずれに認定するのかということにつきましては、県当局からも話を聞いておりまして、私どものほうから、地元の実情に応じて弾力的に運用するようにということで指示をいたしております。
  138. 北村和男

    ○北村説明員 いまお尋ねの民宿に関してでございますが、民宿につきましては全壊、半壊あるいは破損にかかわりませず実際に被害がありました場合で、こういう災害につきましては災害貸し付けを行なうことといたしております。
  139. 栗田翠

    栗田委員 では、これは下田松崎についてもそうしてくださるということですね。
  140. 北村和男

    ○北村説明員 融資のしかけといたしまして、災害がありました場合におきましては、環境衛生金融公庫のほうにおきまして地域指定いたします。災害貸し付けのためのケースを設定するわけでございます。この場合、現実に被害がありたわけでございますから、南伊豆下田だけでなくて、実際にこの地震による被害が起こりましたところにおきましては災害貸し付けの取り扱いをいたすこととする予定でございます。
  141. 栗田翠

    栗田委員 次に融資について伺いますが、環境衛生金融公庫からの貸し出しだということでございました。さっきのお答えですと、一般の千五百万円プラス災害時の一千万円が上のせされるということでございました。まず災害時に出されます一千万円の利息はどんなふうになっているでしょうか。
  142. 北村和男

    ○北村説明員 災害貸し付けは、先ほど御答弁申し上げましたように一千万の上のせがございますが、これは基本的には一般貸し付けと同様の基準金利、特別利率を適用いたします。数字を申し上げますと、基準利率が年八・九%、そのほか品物によりまして特別利率として八・五%ないし七%という利率になるわけでございますが、災害貸し付けの場合でも激甚災害等の指定を受けました場合には、一定の金額、つまり二百万以内の場合におきましては、従前の例によりますと、その災害程度によりまして六・二%ないし三%というふうに軽減する措置をとる前例になっております。
  143. 栗田翠

    栗田委員 できる限り安い金利で、できればその三%台での適用ということを要望いたします。  次にこの貸し付けの場合の手続の問題ですが、保証人だとか担保だとかということが問題になってまいりまして、特にああいう中で保証人を得るということは非常にむずかしい面もあります。地方自治体を保証人とするような措置はされるでしょうか。
  144. 北村和男

    ○北村説明員 まず一般的なお話を申し上げたいと思いますが、全く新規に開業される場合ではございませんで、このように一たん民宿災害を受けて、それについてこわれた部分を直すとかいう場合でございますので、大体その以前にお申し込みになったときの担保なり保証人なりでこと足りる場合が多かろうと思います。それでどうしてもまかなえませんような場合には信用保証協会等の保証で補完して従前は運用してまいったわけでございます。
  145. 栗田翠

    栗田委員 一般の千五百万円プラス災害時の一千万円が融資されるということですが、すでにその千五百万円について借りている人、こういう方についてはどのような扱いになるのでしょうか。
  146. 北村和男

    ○北村説明員 従前お金を借りておられた民宿経営者の場合に、その建物が損壊した、あるいは全壊したというような場合には、まず第一に支払いの猶予を行なう制度がございます。これは被災時から一年以内の期間元金の支払いを猶予する、そういう取り扱いをいたしております。また同時に貸し付け期間を延長する。これはもうケースによりまして、再建の計画をお持ちだとかあるいは実際の経営状態がどうであるか、その辺をケース・バイ・ケースで判定せざるを得ないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、設備資金につきましては十年以内となっておりますが、その期間を越えることも取り扱いとして行なっております。
  147. 栗田翠

    栗田委員 いままで千五百万円を借りていなかった人は、これもあわせて借りられるということですね。
  148. 北村和男

    ○北村説明員 先生おっしゃいました意味は、従前これらの貸し付けを受けていなくて新たに融資申請の場合でございましょうか。——新たに融資申請いたします場合にはまず一般貸し付けを適用されることでございます。
  149. 栗田翠

    栗田委員 建設資材の優先的なしかも低廉なあっせんということが必要になると思います。特に部分的に非常にたくさん資材が必要になってきますので、またそれに便乗した高い値段でなんということになったら、これはぶったりけったりということになるわけです。そういうことについての政府としての施策を伺いたいと思います。あわせて、建築技術者の派遣についてどんな施策を持っていらっしゃいますか。
  150. 佐藤温

    ○佐藤説明員 お尋ねの建築資材につきましては、おっしゃるように、一時的に高騰することがないように、静岡県と連絡をとりまして、静岡県の関係業者と協議を進めるように、特に強く指導してまいりたいと思います。  それから技術者の派遣でございますけれども、これは静岡県のほうから先般も協議がございまして、調査につきましては、建築研究所のほうから直ちに四名が調査に参りまして、これは帰ってまいりました。いま報告をまとめておるところでございます。  それから技術者の応援につきましても、静岡県のほうの受け入れ体制が整い次第、私のほうから四名派遣をする手はずを整えてございます。県と協力をいたしまして、復旧の技術的な援助をやってまいりたい、かように考えております。
  151. 栗田翠

    栗田委員 いま私、技術者と言いましたけれども、大工さん、左官さん、その他非常にたくさんの方が必要ではないかと思います。このことについて、地元だけではまかない切れないのではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。地元の方を優先ということは大前提でございますが、その点について伺いたいと思います。
  152. 佐藤温

    ○佐藤説明員 実際に建築関係工事をおやりになる技術者も、一時にたくさんの復興のための建築が始まることでしょうと思いますので、当然手薄になってまいると思います。この点につきましても、静岡県の建設関係の団体等ともよく協議をして、そういうことのないように施策を講じてまいりたい、かように考えます。
  153. 栗田翠

    栗田委員 次に、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、この適用についてでございますが、この第一条には「豪雨、洪水、高潮その他」となっております。この「その他」には当然地震が入りますね。
  154. 市橋光雄

    ○市橋説明員 地震も含められると解しております。
  155. 栗田翠

    栗田委員 今度の場合、特に南伊豆町では、落居部落が土砂くずれできのうの朝から避難しているそうですし、けさの報道ですと、それに隣接した伊浜部落がやはり避難をしておるということを聞いております。避難しなければならないような危険な地域があって、今後の問題もあると思います。もう一つは、入間のように地盤が砂で、今後の地震にどうかと思われる部落、それから中木のように、土砂くずれのあと、そこに住めるかどうかというところ、これは地元の希望があって、しかも戸数がまとまったならば、その適用を受けられそうなところがかなりあるように思いますが、こういう希望に対しては、全面的にこれを適用させていくおつもりでしょうか。
  156. 市橋光雄

    ○市橋説明員 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律でございますが、いまお話がありましたように、豪雨、洪水とか、あるいは地震等も含めまして、災害があった場合に、そこの——この場合には、むしろ応急住宅と申しますよりも、将来の新しい住居地を定めるというものでございます。それが一つ。  それからまだ災害はないけれども、災害のおそれのある区域、たとえば建築基準法の第三十九条第一項の規定によりまして、災害危険区域というものが指定されることになっておりますけれども、そういう災害危険区域指定された地域につきまして、関係住民の方がこの法律に定めるような集団移転を希望されております場合、できる限りこの法律の対象といたしまして、関係住民の安全をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  157. 栗田翠

    栗田委員 次に、マーガレットラインについて伺います。  さっきの御質問に対して、マーガレットライン、これは工事の手抜きその他が原因で大きな破壊をしたのではないというふうにお答えになっていらっしゃいました。その根拠についてお聞きしたいと思います。
  158. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。マーガレットラインの被害状況については、建設省としては、災害後すぐ係官を派遣いたしまして、一応こまかい視察をいたしまして、その結果、現状では、道路工事の欠陥に基づくいろいろな破壊というようなものは、発見されておりませんので、今後詳細な調査も進められると思いますが、現状では、そういうことで、道路工事の手抜きあるいはそういった工事の欠陥による被害は、発見されてないということでございます。
  159. 栗田翠

    栗田委員 私、マーガレットラインの上まで行って、実際に見てまいりました。落居部落それから伊浜部落が孤立したのは、このマーガレットライン直下のがけが大きくくずれて、この部落の人たちの通る道をふさいでいたからでしたし、またきのうの雨でこの二部落が避難しなければならなかったのは、ここの二次災害、ここのがけくずれがまた起こるのではないかと思われる、そういうことから避難しております。実際マーガレットラインのアスファルトの舗装の真下がえぐられて、端のほうへ行ったら、そのままぽきっと折れるのではないかというたいへんな状態になっておりました。地元の人たちは、この道路ができたからここがくずれたのだというふうに言っています。地盤の非常に不安定な、やわらかいところにあの道路がつくられているように私は見てまいりました。たいへん大きながけくずれが道路そのものの下にできているということです。  もう一つは、道路の舗装の厚みというのは、地盤の状態と、それから交通量によってきまるというふうに聞いておりますけれども、あの落居、伊浜部落のちょうど上あたりのマーガレットライン、あの地盤でしたら、一体何センチ、または何メートルぐらい舗装の厚みが必要なんでしょうか。そういうことは御調査になりましたか。
  160. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 舗装の厚さをきめる場合には、いろいろな路盤の条件と、それから道路の交通量、そういったもので厚さをきめるわけでございまして、まあこれには、非常に厚いものでは、路床から上で一メートル近くあるものもございますし、薄いものでは四十センチぐらいのものもございます。あの個所につきましても、場所の条件によってまちまちだと思いますが、これはおそらく——想像で申し上げて、あるいは当たっておらないかもしれませんが、おそらく五、六十センチの厚さはあるのではないかというふうに考えられます。
  161. 栗田翠

    栗田委員 調査をなさらないで工事上の欠陥でないとお答えなさるのは、たいへん不誠実なお答えだと思います。私自身行って、見てきているぐらいなんですから、担当の専門の方、係の方はいらして、ごらんになるべきだと思います。マーガレットラインの中での亀裂というのは、非常に大きく出ています。特に幅四十センチぐらい、それから深さ七、八十センチのひび割れというのが幾カ所かありまして、私は南伊豆町の中でもあれほど大きな道路のひび割れができているところはあまりなかったと思います。それから段落ができていて、相当なものでございます。その亀裂のあった——一番、落居部落の上のマーガレットラインに亀裂がありましたので、舗装の厚みを見ましたけれども、砂利の部分まで含めて四十センチぐらいでした。一番薄いわけです。あそこは、地盤は、あれほどくずれるのですから、非常に軟弱だということだと思いますが、そこで四十センチぐらいの厚みの舗装になっていたということ、こういう事実を私は見てきております。道路工事の欠陥でないという根拠をこういうところでどうしておっしゃれぬのか、もう一度おっしゃってください。よく調査をなさって、そういう返事をしていただかないといけないと思いますが……。
  162. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  私どもも実は——私自身、現地に行っておりませんが、いろいろ視察した者の報告を聞いて、写真等で了解しておるわけでございますが、あの場合、マーガレットラインの路面のクラックは縦にかなり入っております。これはおそらく路盤の問題ではなくて路床以下の地質がこわれて、その影響が上に出たわけでございまして、あの場合、たとえば路盤を四十センチのものを五十センチにいたしましても、六十センチにいたしましても、あの亀裂は防げなかったのではないかというふうに考えております。
  163. 栗田翠

    栗田委員 そうであるならば、そういうあぶないところに道路をつくって、へたをすれば下の部落が全部埋まってしまうかもしれないような危険をはらんだところにつくったという問題ですね。こういうことについて、今後の地震対策から考えられましても、災害対策から考えても、十分慎重に配慮していかなければならない問題だと思います。  次の問題に移ります。  災害救助法が適用されて、いろいろな物資などが支給されました。ところで、給食の単価ですが、一日二百九十円というふうに聞いております。いまのこの物価高で実に安い単価だと思いますが、一体厚生省は、この二百九十円で災害地に対してどういう内容の食事を支給しようと考えていらっしゃるのでしょうか。
  164. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害救助法の、たき出しについて一日一人当たり二百九十円となりましたのは昭和四十九年度からでございまして、四十八年度までは二百四十円だったものを五十円、生活扶助基準をやや上回る引き上げを行なったところでございます。その二百九十円と申しますのは、一日当たりということでございまして、避難所に避難している被災者に対するたき出し——基準としては一週間を予定しているわけでございますが、一週間の平均ということでございますので、どうしても災害が起こった直後というのは二百九十円は使い切れないで、それよりも低い額になっているということが実情でございますので、あとのほうになって、やや被災者が落ちついたころは二百九十円を上回る給食がなされているというのが実情でございます。  なお、この基準の高い低いにつきましては、いろいろ御議論もあろうかとも思いますけれども、生活扶助の基準などとの均衡も関連いたしまして、この額をきめたわけでございまして、この額は現在のところ妥当なものだと私どもは考えております。なお現地からも実情を聞かなければならないと私どもも思っております。実情を聞いた上でさらに検討を加えてみたい、かように考えております。
  165. 栗田翠

    栗田委員 二百九十円で妥当だなどというお答え、たいへん驚きます。ちょっと買いものをなされば、どのくらいのものが買えるか、おわかりになると思うのです。いままでより五十円高いといったら、いままでずいぶん安かったのだと一そう驚く次第でございます。  ところで、この二百九十円で支給されたのはおむすびだけなんです。現地では徹夜作業をやっておりまして、副食が何もつかない中でカロリーが足りないのではないかという声もあります。しかも夜を徹して作業をしております。こういう中で二百九十円が妥当だということをもしお考えならば、これはたいへん現状を知らない、いまの物価高の実態も知らないものだと私は思います。早急にこの額は引き上げるように検討していただきたい、これを要望するわけでございます。  時間がありませんので、続いて応急仮設住宅の問題について伺います。  応急仮設住宅ですが、これは災害救助法のワクですと、全壊戸数の三分の一を基準にして建てるということになっております。ところが、静岡県は、今度のこの災害でまず五十戸ぐらいは建てたいというふうに言っておりますが、これは三分の一をはるかにこえているわけです。こういうものについても、この法を適用して、資産——二戸当たり四十七万八千円はたいへん少ないと思いますが、これをお出しになるおつもりですね。
  166. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 一般基準といたしましては、被災者の三割以内ということになっているわけでございますが、地域地域実情に応じまして、厚生省はそのつど地元と協議いたしまして特別基準を設定しているところでございます。数週間前に起こりました山形県の大蔵村の被害につきましても、実際には全壊戸数全部について応急仮設住宅をつくったわけでございまして、今回の場合も同様に、地元の実情に応じて適切な処置をとりたい、かように考えております。
  167. 栗田翠

    栗田委員 南伊豆町はたいへん平地の少ないところです。この仮設住宅を建設するための敷地についてどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  168. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 応急仮設住宅の敷地につきましては、やはり現地の意向というものが非常に大切だと思っておりまして、私どもは現地からの申し出に従いましてこれを処理したい、かように考えております。
  169. 栗田翠

    栗田委員 敷地がないけれどもそれだけの戸数の住宅が必要だという場合には、どんなふうに対策をお立てになりますか。他町村などへ建てるとかその他いろいろあると思いますが、その辺の施策を伺いたいと思います。  それからお答えは、時間がありませんので、なるべくダブらないように簡潔にお願いいたします。
  170. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 まず地元で対策を立てていただきたい、かように考えております。
  171. 栗田翠

    栗田委員 地元で何ともしようがない場合、国として配慮をするということはないのでしょうか。たいへん狭いところなんです。学校の運動場へ建てるわけにもいかないと思いますが……。
  172. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 地元でどういうふうな考え方をしているのかを聞いた上で処置をいたしたい、かように考えております。
  173. 栗田翠

    栗田委員 では、地元の要望に対しては最大限配慮をなさるということでございますね。
  174. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりでございます。
  175. 栗田翠

    栗田委員 次に、文部省に伺いますが、学用品の支給などがいまされていますが、教科書の支給はどうなっているでしょうか。
  176. 鈴木博司

    鈴木説明員 今回の災害による喪失または棄損しました教科書は、静岡県教育委員会が南伊豆町教育委員会を通じて調査したところでは、小学校用教科書二人分、十六冊、中学校用教科書十二人分、五十八冊、計十四人分、七十四冊と判明いたしましたので、静岡県教科書特約供給所に保管してございました教科書を授業再開に支障のないよう若干の予備教科書を含めまして五月十四日現地に届け、直ちに児童生徒に給与してございます。高等学校用教科書につきましては、下田北高校の生徒一、二名が被災した模様でございますので、目下調査中でございますが、高等学校用教科書についても若干の予備本をすでに現地に届けてございますので、実情がわかり次第直ちに給与するよう指示してございます。
  177. 栗田翠

    栗田委員 中木部落の子供たちが通学用のバスがまだ通過しないために学校へ泊まり込んでおります。このことについて伺いますが、こういう場合に子供たちに特別の配慮というのが必要だと思いますが、どういうことをしていらっしゃるのかという問題。それからそのために先生が付き添って宿直しています。その先生にはどのような手当が出されるようになっているのかということ。また、昼も授業をし夜も付き添っておられますからたいへん疲れていらっしゃいます。こういうことで、特別に先生の数を多く配置されるとか、そのようなことについての御配慮があるかどうか、こういうことについて伺います。
  178. 鈴木博司

    鈴木説明員 たいへん恐縮でございますが、担当課長がただいま参っておりませんので至急調査をいたしまして御返答いたしたいと存じます。
  179. 栗田翠

    栗田委員 被災地の学校の施設設備の早期改修についての要望が出ております。これについての施策を伺いたいと思います。学校はつぶれてはいませんけれども、壁にかなり大きなひびが入っていまして、やはりさっそく手を入れなければならない状態のように見受けられました。いかがでしょうか。
  180. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生御指摘の学校の施設の問題でございますが、現在私どもで把握しております内容を申し上げますと、小学校で十七校、中学校で八校、幼稚園で七園、県立高校で十五校、計四十八ケースにつきまして六千五百九十三万九千円の被害額が出ておるわけでございます。被害の内容は、いま先生お話がございましたように、全壊、半壊というものはございませんで、屋根がわらの落下であるとか壁の亀裂、窓ガラスの破損というふうなものが主でございます。この点につきましては十三日、十四日に私どものほうの担当官を現地に派遣いたしまして、直ちに復旧に着手するべく関係者に指示はいたしております。所要経費につきましては、私どものほうで、至急復旧計画を現地で立てていただき、書類を提出していただきまして、あらためて現地のほうで復旧金額の補助金額の査定をいたすつもりでございますが、着手だけは早急にするようにということで指示をしてございますので、問題ないかと思っている次第でございます。
  181. 栗田翠

    栗田委員 次に公衆衛生の問題なんですが、ああいうところでとかく伝染病などが出やすいわけでございます。私、中木へ視察に行きましたら、川で洗たくをしていまして、その下洗で食器を洗っておりました。水が足りないためもありますし、またあの地域の習慣でもあるようですけれども、たいへん危険な状態だと思ったわけでございます。特に民宿が多いために水洗のトイレがかなり普及しておりまして、地震によって浄化槽がこわれたり、パイプが折れたりという状態がどうなのかという問題。それから浴室がほとんどこわれております、タイルで。入浴できません。そのための施策と、あわせて、川でそういうことをしているために伝染病になるおそれがありますから、こういうものを防止していくための施策を、簡単でけっこうです、お答えいただきたいと思います。
  182. 折田貞雄

    ○折田説明員 それでは先生の御指摘の屎尿浄化槽の件について申し上げます。  地震等によりまして地表が亀裂いたし、あるいは陥没した場合には、当然いろいろな問題が起こりますが、その中でも屎尿関係で排水管が破損するということも考えられます。これによりましていろいろな問題が考えられますので、現在県当局といたしましては、私のほうで現地に行っておりませんので県の衛生部に問い合わせましたところ、浄化槽の使用につきましては、御指摘のように水道の送水がとまっておりますので、浄化槽の使用は停止しております。それから浄化槽に亀裂があるかどうかという問題につきましては、浄化槽の協会と協力いたしまして、現在被災地に約六十基ぐらいあるそうでございますが、それにつきまして一基一基点検をしてまいる予定でございます。それからまた、そういう機能が低下したものにつきましては、塩素消毒等普通の場合の約三倍の塩素を注入することによりまして、いま先生の御指摘になりましたような伝染病の発生の防止に当たるようにつとめておるという情報が入っております。
  183. 井前勝人

    ○井前説明員 ただいまの公衆衛生の問題に関しまして、一番望ましい姿は、やはりいわゆる公共下水道事業を進めることが一番望ましいかと思いますが、残念ながらこの地方は下水道事業は皆無にひとしゅうございまして、わずか下田市が昨年から計画に着手した程度でございまして、南伊豆町につきましては下水道は全く現在まだ計画されておりません。問題は都市計画を適用いたしますと、そういう下水道等もやれるようになるわけでございますが、現在都市計画の適用につきましては県のほうと町のほうでいろいろ協議中というふうに聞いておりますので、そのように都市計画適用になりますれば、計画的な下水道の整備もあるいは可能になるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  184. 栗田翠

    栗田委員 特に民宿は七月、八月が書き入れどきでございます。この七月、八月までにそういう浄化槽の使用停止が復活したり、またおふろが使えたりしませんと、この年のあの地域の人たちの生業に大きくかかわってまいりまして、それ自体が死活の問題になっておりますので、特にこういう問題を早く解決されるような努力をしていただきたいと思いますが、その点について一言伺いたいと思います。
  185. 北村和男

    ○北村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、民宿復興融資につきましては、必要な書類の御提出がありますれば、あるいは書類を御提出いただかなくとも、こちらからも積極的に御協力申し上げて早目に準備をいたすつもりでございます。  なお浄化槽その他の整備が実際上民宿の経営を左右するというお話でございますが、これにつきましても関係当局と十分協力をいたしまして、一日も早く業務が再開できるように特段の努力を払ってまいりたいと思っております。
  186. 栗田翠

    栗田委員 水産物被害が三億数千万円出ていると推定されております。この被害についての対策について一言でけっこうです、伺いたいと思います。
  187. 増満二郎

    増満説明員 簡単にお答え申し上げます。  磯根漁業に土砂が流入いたしまして、磯根資源に被害が出ております。これにつきましては現在静岡県の水産試験場伊豆分場におきまして実態の調査をしておりますので、その調査の結果を待ちまして県ともよく御相談をして、今後の対策を検討してまいりたいと思います。
  188. 栗田翠

    栗田委員 次に防衛庁に伺います。  私はマーガレットラインの上から落居部落などを視察しておりましたときに子浦湾沖に、しかもかなり近いところに潜水艦が浮上しておりました。報道によりますと「あさしお」という潜水艦だそうでして、一説では救援のために来たといっておりましたが、その後地震震源地の真上を走っていて故障したので浮上したとか、いろいろいわれております。潜水艦があそこにいた目的は何だったのでしょうか。
  189. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  地震当日「あさしお」が妻良港に入りましたのは事実でございます。  なお「あさしお」は五月の七日から十六日までの間、横須賀を立ちまして呉に航行を続けながら、各種の訓練を実施するということで出てまいったものでございます。当日の朝、ちょうど地震発生しました午前八時三十三分には石廊崎から二百八十四度、西北西の方向十二マイルのところにありまして、潜航中に地震を感じております。震源地の真上ということでございますが、震源地気象庁からの御発表ですと北緯三十四度三十分、東経百三十八度四十八分で、実際に「あさしお」がおりました位置とは北々西九・二マイルほど離れております。潜航中に異常を感じましたので浮上いたしまして、艦体の破損等を調べましたが、どこにも異常ございませんでした。そのうちにラジオ等で地震災害の生じたことを知り、海幕等からの現地に派遣して状況偵察、必要な救援活動を行なえということで妻良港に向かったものでございます。
  190. 栗田翠

    栗田委員 いつも伊豆沖を潜水艦が走っているということを知りませんでしたので、ああいうところに浮かんできたということでその事実を知ったわけでございます。  ところで、潜水艦一隻の建造費は一体どのくらいするものなんですか。
  191. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 「あさしお」型の潜水艦で三十四億七千九百万円でございます。
  192. 栗田翠

    栗田委員 時間がありませんので、あと簡潔にやらせていただきますが、地震対策についての基本姿勢について伺いたいと思います。  ところで、静岡県は四十四年から四十八年までに県下の地質のボーリング調査を完了しております。それで四十八年に「地震の手引き」というものを出しているわけです。この静岡県のやったことというのは国の施策よりも先がけていると思いますが、この全県的な調査というのは国の計画の一環ではなく、県が進んでやったものですね。——それでは、おわかりにならないようですので、時間の関係もありますからいまお答えいただかないで済ますことにしますけれども、県は県として先がけてやったというふうにいっております。そういう意味では国より進んだことをしているというわけなんです。ところが、県がやりました地質調査によっても、今度の災害の起こったところは危険区域になっておりませんでした。しかしながら、ここに読売新聞の五月十日の切り抜きがありますけれども、「ノーマーク地帯南伊豆防災対策はゼロ、学者の指摘県はソッポ」というたいへん批判的な見出しの記事があります。これは静岡大学の土隆一教授が調査した場合です。地震地帯だという調査をしているのではありませんで、あそこは地質調査で非常にくずれやすい。日本列島のフォッサマグナの地域に入っていて非常にくずれやすいので、一たん地震が起こったらたいへんなところである、そういう地質的な指摘をしております。それに対して、県がここの地域をそういわれながら「地震の手引き」の中でも危険地域だというふうにはしていなかったという問題がございます。先がけてやってすらこういうわけでして、しかも地元の話を聞くと、あのくずれた山は岩山だと思っていた、だからどんな地震でもだいじょうぶだと思っていたと地元の人たちは言っています。津波が来るんじゃないかと思って山のほうへ逃げて被災した人たちもいるわけなんです。こういう実態でございます。  ところで、急傾斜地崩壊による災害の防止に関する問題なんですけれども、すでに危険個所六万カ所ということが国の調査でやられておりますし、危険区域が三千六百十二カ所指定されておる。これは先ほど以来の質問でお答えが出ております。ところが、いまあの伊豆でがけくずれの起きたところ九十カ所あります。がけ下に家のなかったところも入って九十カ所ですけれども、この中で危険区域指定されていたところが幾つあったか、危険個所指定されたところが幾つあったか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  193. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  災害直後直ちに建設省担当の係官を派遣いたして、部分的にでございますが調査をやったわけでございます。いま先生御指摘崩壊個所危険個所指定との関連につきましては、ちょっと手元に資料がございませんのでお答えしかねると思うのですが、その後第二次災害等を含めまして、土木研究所を中心にいたしまして、本日から三日間現地調査に当たっております。それから、特に先ほど来お話がございました落居部落それから伊浜部落等の部落の上の亀裂等につきましても、地すべりあるいはくずれ等の関連を調査するために県と一緒に調査に入る予定にいたしております。
  194. 栗田翠

    栗田委員 どことどこを新たに指定されるかはこの調査が終わってからだと思いますが、またそれがわかり次第知らせていただきたいと思います。  それから、先ほども御質問出ておりましたけれども、やはりこういう事態にかんがみて全国六万カ所の危険地域また危険個所に一日も早い防護工事が必要だと思います。そのための事業費八十七億というふうに伺っていますがさっきの潜水艦が二隻あれば十分できるくらいの非常にささやかな予算しか組まれていない。もっと人命をまず第一にするという意味で予算を十分にとっていく必要があるのではないかというふうに私は思います。  それから次に気象庁に伺いますけれども、震源地について幾つかの説がございます。どういうふうにその点は考えていらっしゃるでしょうか。
  195. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  私どもが第一回に発表いたしました震源がその後大学の先生方の調査なすった震源とずれておるではないかということを御指摘だと思いますが、気象庁は津波警報を出す必要あるいはその他の緊急な防災上必要な情報を出しますために、地震が起こってからできるだけ早くその震源の位置、深さ、規模の決定などを行ないます。このためには多少精度は落ちましても一秒でも早くやることが大切でございまして、今回も四観測点から来ておりますテレメーター網とそれから非常電報をもとにいたしまして、発震後十分たたないうちに第一回の皆さまにお知らせしました震源を決定したわけでございます。その後緊急措置が済みましてからもう一ぺん再調査をいたしましたところ、第一回目に出しましたものからは約十キロメートルばかり北にずれているらしいということがわかりました。ただ、この程度の誤差は緊急の防災対策上には何ら支障はないと思っております。むしろこの十キロという精度で十分間以内にきめられたということは、やはり最近の技術の進歩であると思っております。
  196. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 栗田君に申し上げます。お約束の時間が過ぎておりますので、結論をお願いします。
  197. 栗田翠

    栗田委員 あと一言で終わります。  気象庁などに対しては非常に予算も少ないというふうに聞いておりまして、今後そのような震源地調査また地震の予知などに精密を期するためにも十分な予算を国がとっていくということも地震予防の一つの対策として必要なことではないか。政府へのその姿勢を要望いたします。  最後に、活断層の問題ですが、先ほどから話が出ておりますが、今度の地震は活断層の活動によるものです。しかし、二次災害の予防ということだけでなくて、今後の地震対策として全国的にかなり大きな活断層があるわけです。これについての対策というのがいままでなされていなかったのではないかというふうに思います。今度の場合も活断層の真上に建っていた家などは非常に大きな被害を受けていまして、そこから十メートルくらい離れているともうかなり被害が小さくなっている。それから特に山くずれの場合も、活断層の上の山というのは十分に注意しなければならないということが今度の教訓で出てきているように思います。こういう再調査とそれから施策ということを最後に伺いまして、質問を終わります。御意見を伺いたいと思います。
  198. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  地震現象は即断層を生ずることと全く同等でございまして、その意味では、あちこちに点在しております断層が生きているか死んでいるかということの判定をいたすべきでございます。これはより小さい地震までの常時監視、それから国土地理院のなすっていらっしゃいます精密な地殻変動の測量ということによってだんだんわかってくるわわけでございましてこの両者とも第三次の地震予知五カ年計画に沿いまして飛躍的に増強される計画になっております。もうすでに始まっております。
  199. 栗田翠

    栗田委員 災害救助に万全を期するだけでなく、民生安定の立場から今度の南伊豆での災害、伊豆沖の地震政府は典型的な施策を講じていただくことを願いまして、私の質問を終わりにいたします。
  200. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、高橋繁君。
  201. 高橋繁

    高橋(繁)委員 このたび伊豆沖地震につきまして、起きた直後、小渕団長を中心にして、政府の方々、並びにその後衆議院の災害対策特別委員会の視察をいただきましたことを地元の議員として厚くお礼を申し上げたいと思います。  今回の伊豆沖地震につきまして、まず最初に気象庁にお伺いをいたしたいと思いますが、大体大地震が起きる前ぶれとして、昨年特別委員会で参考人を呼んだときも、東北大教授の鈴木先生がそういう前ぶれはある、これはなかなかむずかしいけれども、そういう実例もあったということでお話がありましたが、今回のこの伊豆沖地震については、その前ぶれといいますか、隆起といいますか、そういった徴候は見られなかったのかどうか、その点についてまずお聞きをいたします。
  202. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  まず最初にこれだけは御理解いただきたいと存じますが、現在予知技術というのは開発途上でございまして、どこでどのくらいの地震がいつ起こるかという的確な予報はまだできていないということを御理解願いたいと思います。  しからば今回の地震について前兆のようなものが見つかっておったかどうかということでございますが、これは私ども気象庁の担当しております地震活動に関する限り、たとえ大地震が起こったという事実を踏まえて振り返ってみた場合でも、前兆らしきものはつかまえられておりませんでした。これは前にも申し上げましたとおり、自然現象としては今回の地震があまり大きいものではなかったということのためだろうと思います。
  203. 高橋繁

    高橋(繁)委員 伊豆沖には見られなかったということでありますが、石廊崎の測候所にある地震計が、そんなに大きい規模でない地震であったけれども、その地震計が約十センチ動いて、その機能を発揮することができなかったというように聞いておりますが、その辺の、石廊崎測候所に見られる地震計を中心とした状況はおわかりでございますか。
  204. 末広重二

    ○末広説明員 石廊崎におきます観測状態の実情を御報告いたします。  石廊崎測候所には、私どもが強震計と呼んでおります、地面の動きを別に倍率をかけないでそのままかきます地震計が配備されておりましたが、この九日朝の地震により、南北動、東西動、上下動と三成分ございますが、その南北動のみが板バネがこわれまして、正常に動作いたさなくなったわけでございます。とりあえず、応急措置をいたしまして、三成分のうち一成分のみ多少性能低下の状態で余震観測を続行したわけでございまして、目下修復中でございます。これが振り切れたということは事実でございますが、私どもはこういった地震計を全国に百カ所以上ばらまいておりますので、石廊崎が十センチ以上という以上という字のつく観測値でございましても、この付近の網代、三島、御前崎等にも同様の地震計がございまして、この地震の実態を把握する上では十分なデータがとれたと存じております。
  205. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その地震計はかなりの大地震でもだいじょうぶというらく印をされておったというように聞いておりますが、今回の伊豆沖地震はそんなに規模の大きなものではないように気象庁もいっておりますけれども、そういう点、ほんとうにもっと規模の大きい大地震でもだいじょうぶであったというような施設のあり方であったかどうかです。その辺はどうなんですか。
  206. 末広重二

    ○末広説明員 ただいまのお尋ねでございますが、私どもは、地震が起こりますと、その地震がたとえば津波を起こすほどの規模であるかないかということを判断いたしますためには、やはり起こさないような小さな地震までも記録がとれないと困るわけでございまして、あまりがんじょうにつくり過ぎますと、ほとんど百年に一ぺんぐらいしか動作しないということになってしまいますので、むしろ今度のような地震の場合、その震源の非常に近くでは振り切れることがあっても、ある程度以上の地震は必ずかく、そのかわり、振り切れる場合も想定しまして、数をよけいばらまいて、その実態の把握ということが可能なように、観測網を張っているわけでございます。
  207. 高橋繁

    高橋(繁)委員 特に東海地方は強化観測地域指定をされておりますので、どうかひとつ予知の研究と相まって、地震の来る前の前ぶれ、あるいはそうした観測の強化をしていただきたいことをお願いします。  それからついでにもう一度地震課長、静大の教授が伊豆北地震ということをその後新聞等でたいへんいうておりますが、気象庁としては、そうした静大教授の発表に対して、どのような見解を持っていらっしゃいますか。
  208. 末広重二

    ○末広説明員 これは静岡大学の橿原教授がおもに地殻変動の測量のデータからおっしゃっていることで、ここ十年ぐらいたつと、北伊豆にもある程度以上の地震がくるのではないかということでございますが、私どもは、地震活動の監視が主たる役目でございまして、当然北伊豆地方につきましても地震活動の推移がどうなっていくかということは、そのような御指摘がありましたことを踏まえて、重点的に監視を続けていくつもりでございますし、国土地理院も御計画がおありと存じます。
  209. 高橋繁

    高橋(繁)委員 さらにひとつ、東海地方は先ほど申し上げたように強化観測地域にも指定されておりますので、地震については特段の観測強化をするとともに、研究体制も進めていただきたい、このように思います。  若干こまかい問題で今回の地震にあった体験を踏まえながら質問をいたしたいと思います。これは厚生省の関係でありますが、災害救助法が発動されまして、災害救助法によるところの救助の物資あるいは体制というものが即刻なされたわけであります。確かに、避難所、応急仮設住宅であるとか、飲料水であるとか、あるいは医療、助産とか、食料であるとか、いろいろなものが書かれておりますが、実際問題ああいう地震が起きたときに、確かに食料、水という問題は当然大事でありますが、それに伴って、火という問題ですね。せっかく米が着いた、インスタントラーメンも着きました。ところがその部落には、マッチはありますけれども、実際米をたくガスは出ない。それにかわるべき応急的なものもほとんどいまありません。だから、米は届いたけれども、たくことができない。インスタントラーメンが届いたけれども、それもどうすることもできない。お湯をわかすこともできないということになると、私は、この救援物資、災害救助法による救助の物資の面について、この一項目に、急場しのぎとしてプロパンガスなりそうした火の問題も考慮に入れなければ、これは力を発揮することができない。妻良地区とかいうところでは、住民は三日もお湯をわかすことができないというようなこともあったわけです。そうした災害救助法発動による救援体制の問題、そこら辺も今後は考慮に入れなければならないんじゃないかと思うのですが、その辺の問題について厚生省どうなんですか。
  210. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 たき出しの場合には当然、たき出しの実施機関でございます都道府県が責任をもって燃料を準備しておらなければならないものと思うわけでございます。そのほか個々の家庭における需要という問題があるわけでございまして、この点につきましては、今回の災害の事例にかんがみ今後検討しなければならない問題だ、かように考えております。
  211. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それはひとつよく考えていただきたいと思うのです。  それから、今回自衛隊の出動によりまして、南伊豆町をはじめ、私たちもその活動をまのあたりに見ましてたいへん感謝をいたすわけでございますが、自衛隊の救援活動につきまして、実際現地に行った場合、もちろん人命救助の面から捜索活動が第一義になると思うのです。そのほか災害救助に関して、ああした現地に派遣された場合の限界といいますか、こういうものだけはいいが、ほかのものはやらないという規制的なものがおありですかどうですか。その辺おわかりでしたらお答え願いたいと思います。
  212. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 自衛隊の行動といいますのは、全部自衛隊法によってきちんと定められるというのがたてまえになっておりますので、災害派遣につきましても自衛隊法以下の法令、規程において事こまかに規定がございます。基本的には自衛隊法第八十三条によって、自衛隊は災害派遣をその行動として行なうことができるわけでございますが、災害派遣につきましては、基準的には、人命または財産の保護といったようなものを行なうための応急の救援措置及び応急復旧措置というものを一応の限度と考えております。
  213. 高橋繁

    高橋(繁)委員 部落に入った場合、当然道路応急的な回復、公共的なものを優先することはもちろんであろうと思うのですが、個人的な問題で、たいへん年寄りがおりましてどうすることもできないといった場合には、公共的なことの救援ということを主体にして、個人的な、たとえばこの石を動かしてもらいたいとか、あるいはここだけひとつやってもらいたいというものはできないかどうかという問題ですね。
  214. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 自衛隊の行ないます災害派遣は、原則といたしましては都道府県知事の要請を受けることになっておりますし、実際に派遣されました部隊も都道府県あるいは地方市町村といったような公共の機関と密接に連絡して災害派遣活動を実施しております。いま先生御指摘のように個人的に非常にお困りになられる方、そういった場合におきましては、市町村の災害対策本部等にその実情等が把握されまして復旧応急救援の範囲内において行なうものにつきましては、個人家屋であろうと、個人の財産の保護というものも当然災害派遣の対象になっておりますので行ないますが、ただ、個々人からばらばらにお申し出いただきますと現地の部隊統制等もとれませんので、そういうものは現地の、たとえば今度の場合でしたら南伊豆町の災害対策本部というものを通じてお申し出いただければ当然可能でございます。
  215. 高橋繁

    高橋(繁)委員 わかりました。実際問題として、せっかく自衛隊の方々が応援してくださっておるのですが、命令で動くものですから、ここだけはやるけれども、こちらはやらない、そういうことも一、二件あったようであります。そこら辺は、人命あるいは人間尊重という立場から、ある程度の許容といいますか流動性をもちまして、今後ひとつよろしくお願いいたしたい、こう思います。  それから警察庁にお伺いいたしますが、死体捜査、行くえ不明者の救助について、機動隊、自衛隊、消防団、地元のいろいろな関係の方々が協力なさって本気に徹夜でやってくださった。このことは感銘の至りでありますが、二日、三日あるいは四日、五日とたってまいりますと、遺家族の気持ちはたいへん苦しいものになってくると思います。実際問題として、人命第一でありますから、これは当然大事に慎重にやらなければならないということは私たちもよくわかるわけでありますが、もうすでにあの大きい土砂の中から死体が出てきた、あとまだ何体か行くえ不明になっているという場合に、ある程度掘って、あと死体の捜索について、科学的な捜索あるいは何らかの方法でもっと早くさがし出すことができないものかどうか。   〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕 ほんとうに苦労なさって、徹夜で土砂を取るのですけれども、ここを掘れば死体があるということが大体わかるような感じもするのですが、そこら辺について警察庁として科学的な捜査あるいはそういう技術的な問題で考慮はなされておりませんかどうか——なければいいです。
  216. 高鳥修

    高鳥委員長代理 警察庁は交通規制課長が来ておりますが、所管でないと思いますので、もし差しつかえなければひとつ答弁をごかんべんいただきたいと思います。
  217. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それじゃ後日でけっこうです。ひとつ提案だけしておきます。  これは大事な一つのことだろうと思うのですよ。遺家族の方は万々が一ということもお考えになりましょうが、ある程度断定された場合には、そういう科学的な捜査によって一日も早く遺体を捜索させることが、私は遺家族に対しての最大のあれじゃないかと思います。こういうことは何回もあっては困るわけですが、今後の問題として研究をしていただきたいと思うのです。  それから当時、あのたいへんないなかでありまして、道路が寸断をされて、警察の方々が交通規制をかなり厳格におやりになりました。これは二次災害等も考慮してだろうと思うのですが、当然のことであろうと思うのです。しかし、何名かの人が行くえ不明ということで、あるいは全壊家屋、半壊家屋等があって、遠く親戚縁者が、はるか大阪あるいは東京方面からかなりの人たちが救援物資を携えて見舞いかたがた救援に来たわけですね。ところが厳重な交通規制で行くことができない。そこら辺の規制にあたっては、いわゆる被害者に対しての救援体制、肉親の方々のそうしたものについてはそんなにきびしくしないで、ある程度の考慮が払われていいんじゃないかというふうに私は思うわけです。これはいろいろ御議論があろうと思うのですが、その辺の災害が起きた場合の、全体に起きればやむを得ませんが、局地的に起きた場合、そういった規制の問題について警察庁はどうお考えですか。
  218. 久本礼一

    ○久本説明員 お答えいたします。  災害時の交通規制につきましては、まず第一に道路に危険が生じた場合に通行者の危険を考慮して、できるだけその地域に近寄らせないという意味における規制がございます。それからある程度道路の修復ができた場合に、依然として災害の結果が継続しておるという点を踏まえまして、まず必要な災害活動の輸送を確保する。そのために災対法七十六条に基づきますところの規制を行なっておるわけでございまして、先生が御指摘になりましたような事態はその後者の場合に起こってくる事柄ではなかろうかというように思うのでございます。一般的にはできるだけ迅速に災害によって生じた結果の回復をはかりたいということで、必要な交通をできるだけ確保するために、それに関連のない交通はなるべく入らせないという点を重視して規制をするわけでございますが、その辺の状況にはいろいろ変化もございますので、お説のような、場合によっては行くえのわからない被害者の近親者が来たような場合には臨機応変の措置があってしかるべきじゃないかということが現場の措置として可能な場合も当然あろうと思います。この辺につきましては運用にあたっている現場の者の考えにまつところが多いわけでございますが、その辺の適用につきましては、おっしゃったようなことも十分踏まえましてあまり形式的に流れないように、実害のないような場合にはできるだけ御趣旨のような形の処理、救済をも考えて交通規制の運用をしてまいりたいというように考えます。
  219. 高橋繁

    高橋(繁)委員 現場の警察官はきわめてまじめですから、なかなかそうしたものが判断できない。全部の車を現地に入れるということはなかなか困難であろうと思われるので、ここからは見舞いに来た人はマイクロバスで行くとか、そういうような体制というものも私は考えるべきだと思うのです。これはひとつ今後の問題として検討していただきたい。  それから、 午前中からだいぶいろいろなこまかい問題等も質問が出ましたので確認の意味でちょっと質問いたしたいのですが、住宅の問題ですけれども、三百九十万円が融資の最大のワクである。ところが激甚災になった場合にそのワクの拡大も考慮をされるというように答弁しておりましたが、その辺の問題、実際問題いままでの例としてどれくらいのワクが拡大をされた事実がありますか。おわかりになればお答え願いたいのです。
  220. 京須実

    京須説明員 公庫融資につきまして激甚災という制度ができましたのは実は一昨年の暮れでございまして、まだ例はございません。それからまた災害に際しましてワクの拡大が特にはかられた例もございません。ただ、念のために申し上げますと、三百九十万というワクでございますが、これも従来から見れば相当大幅に四十九年度予算から上がった分でございます。そういう点で、毎年予算の際にいろいろ努力して上げておるわけでございます。
  221. 高橋繁

    高橋(繁)委員 ではそれ以上のワクの拡大ということは考えられないと認識してよろしいのですか、三百九十万よりは。
  222. 京須実

    京須説明員 金融公庫の担当者といたしまして私どものほうで公庫を指導しておりますが、もちろん極力たくさんお金を貸せますればけっこうと思っております。ただ御承知のようにいろいろ予算の制約等もございますし、この問題につきましてはまだはっきりした線はきまっておりません。今後とも関係当局と折衝しましてワクの拡大についても努力はしたいと考えております。
  223. 高橋繁

    高橋(繁)委員 あそこは御承知のように民宿を経営している方がたくさんあります。そしてたくさんの借金がまだ残っておるという場合に支払いの猶予を考えるというお話がありましたが、あの中に両親をなくしまして子供だけ残った家族があります。そういう家庭につきましてはいままで借りたお金については全面的に猶予ができるのかどうか、その辺について……。
  224. 北村和男

    ○北村説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、既往の債務者につきましては支払い猶予あるいは貸し付け期間の延長その他の措置を講ずることにいたしておりますが、いまお話しのような非常に極端な子供だけが残されて今後商売も何もできない、しかも資産その他もないというような極端な場合には、実際上返済不可能だというケースがあろうかと思います。それらにつきましては一般の破産であるとか、そういったケースに準じまして特例の措置を講ずるよう準備いたしたいと思っております。
  225. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そういう遺族、子供だけ残りました家庭につきましては、どうかいまおっしゃられたように特段措置をひとつお願いいたしたいと思うのです。  それから特に伊豆半島観光地であります。したがって被災者はつち音高く復旧のあるいは復興の息吹きに燃えておりますが、何としても道路復旧が最大の課題であると私は思うのです。したがって先ほどからもいろいろお話が出ておりましたが、だいぶ亀裂を生じておりますし、その辺の道路全体についての修復あるいは改修といいますか、あるいは開通の見通しその他についておわかりの範囲内でけっこうですからお答え願いたいと思うのです。
  226. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  道路関係災害は一番ひどかったのは南伊豆道路、県道の下田−石廊−松崎線が中心でございますが、その他町道等につきまして若干大きなくずれがあって不通になっております。現状では一般国道一三六号線の八木山付近で一部大型車の規制をやっております。それから県道の下田−石廊−松崎線につきましては、現在緊急車だけを通しておりまして、石廊崎から西にかけては一般交通は通しておりません。そういう状況でございますが、一三六号線についてはやがて周辺の土砂の整理等がつきますれば交通開放になろうかと思います。  それから問題の南伊豆道路でございますがこれはかなり路面にクラツクが発生したり、橋台が動いたり、擁壁があぶなくなっているような状況のところもありますので、こういうものもいま応急復旧いたしておりますが一応これにつきましては土工関係応急復旧は八月ごろまでには大体終わる予定でございます。その後構造物、それから路面の掘り返し、それから舗装というようなことまでやるには、やはり秋一ぱいかかると思われます。この間、一般交通は、状況を見ながら逐次開放していくというような考え方でございます。  以上、簡単でございますが……。
  227. 高橋繁

    高橋(繁)委員 八月あるいは秋一ぱいかかるということになりますと、ことしの夏季における、あの南伊豆方面に行くレジャー客、海水浴客、これはかなり規制されることになると思いますが、その辺の状況と将来の見通しはどうなんですか。
  228. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  南伊豆道路につきましては、いま申し上げましたような状況でございますので、周辺の土砂の取り除き等で土工関係が八月一ぱい、本復旧という形で秋一ぱいかかるだろうということでございますので、八月まで応急復旧を急ぎまして、路面が二車線確保できるような状況になれば、状況を見ながら一般交通になるべく早く開放をするような方向で考えたいと思っておりますので、復旧の進捗がよろしければ、またほかに非常に危険であるようなところが新しく発見されなければ、夏の交通には、一部一般交通に開放できるようになるのではないかというふうに考えております。   〔高鳥委員長代理退席、金丸(徳)委員長代理   着席〕
  229. 高橋繁

    高橋(繁)委員 今回被害のあった場所は、中木、入間、子浦、落居、伊浜、そういった部落が中心であります。伊豆半島全体につきましては、下田をはじめ松崎、西伊豆とかなりの観光地を控えております。そうした意味で、当然その被災地については、一刻も早く立ち直るような救援の体制はやらなければなりませんが、それとあわせて伊豆半島を一周するそうした観光道路、あるいはこれもあわせて生活道路、こういうものも緊急にやらなければ、その影響というものは、伊豆半島全体に大きく影響することを考えると、やはりこの道路の問題については、かなり時間を早めて復旧をしなければ問題が残るということを痛感をいたしておりますので、その辺の問題は、よく伊豆半島全体を考慮に入れながら、すみやかな復旧を極力お願いをいたしたい、こう思います。  従来、ああした亀裂が生じた場合、そこから雨水等が入りまして、二次災害を起こした例がございますかどうか。その辺おわかりになればお答え願いたい。
  230. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 道路に関して申し上げますと、こういった地震等によりまして地盤が動いて、大きな亀裂が生じたときに、あと、水が出た場合が、先生おっしゃるように、非常に問題が多いわけでございまして、私どもも、このための二次災害が起こらないということを現時点では、最も重点的な事後対策として考えて、検討もいたしておるわけでございます。  従来、そういうことで、二次災害が起きた例がないかどうかということなんですが、局所的には、少々の崩壊等は当然あるかと思いますが、いわゆる二次災害という形で大きな崩壊を生じたということは、現在の私の記憶では、ちょっとございません。
  231. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その間、技術的には、いま調査のようでありますから、一刻も早く調査をされて、その対策を講じていただきたい。  それからあそこは、自然休養村に指定をされております。したがって、太陽と緑ですか、そういう二地区指定をされて、駐車場なりあるいは道路というものが計画をされて、もう二年目に入っております。そうした駐車場あたり亀裂を生じたりして、かなりの災害をこうむっておるようでありますが、まだ被害調査は不明のようであります。そうした自然休養村に指定をされておる事業について、そうした災害があった場合は、農林省としてはどのようにお考えでありますか。
  232. 関口尚

    ○関口説明員 南伊豆町につきましては、自然休養村の指定を四十六年度にいたしまして、四十七年度から事業を実施してございます。全体計画が二億四千万でございまして、四十八年度までに一億八百万ほど事業を実施してございます。  それでもうでき上がった施設としては、農道だとか、あるいは果樹園の造成事業だとか、あるいは、ミカン園の管理施設、農産物の直売施設その他付帯施設というものができ上がってございます。先生がおっしゃいました駐車場等につきましては、こういったミカン園の管理施設、農産物直売場等の付帯施設という形でできてきておるわけでございます。  この被害状況は、いま調査中でございますが、考え方といたしましては、農地、農道等の農業用施設、これは農林水産業施設災害復旧暫定措置法、これによりまして補助による災害復旧ということになっております。建物施設につきましては、先ほど申し上げました管理所あるいはその付帯施設、駐車場、こういったものにつきましては、融資によって災害復旧をやるというふうに考えております。  なお、今後の計画につきましては、地元の意向を十分に聞きまして、適切に対処したい、こういうふうに考えております。
  233. 高橋繁

    高橋(繁)委員 あと二問だけ質問いたします、若干まだ質問したいことがありますけれども。  山間地における建築工法の問題で、前後いたしましたが、今回特に特色なのは、土べいあるいはブロックべい、あれはほとんど地震にはだめだというようなことを私、考えます。  そうしたことで、特にああした入間地区のような、いわゆる砂上の楼閣というたとえがそのままのようなところにつきまして、あるいは民宿づくりのためのそうした山間地における建築工法というものについて将来かなり考えなければならないと思うのですが、その辺の問題については、お考えになっている点だけでけっこうですから、お答えを願いたいと思うのです。
  234. 佐藤温

    ○佐藤説明員 ただいま山間地の建築物の工法についてお話ございましたけれども、一般的に山間地のがけ状の敷地につきましては、現在、建築基準法の四十条によりまして、その市町村で、それぞれ条例によりまして、一定の勾配、高さがございますがけの上、または下に建てる場合には、建築の構造につきまして規定がしてございます。ほとんどの条例が鉄筋コンクリート造にするというような条例になっております。現実には、既存の非常に古い木造の建物等も一ございます。将来は、当然こういったがけの条例によりまして、工法を、がけの万一のくずれによりましても、安全な工法の建物を建てるように指導を強化をしてまいりたい、かように考えております。
  235. 高橋繁

    高橋(繁)委員 今回の地震につきまして、いわゆる地震に対する知識、国民が地震から難をのがれるという問題について、これは静岡県がもっと積極的に考えなければならない問題であろうと思うのですけれども、全国的に見て、今回の地震の教訓から——いままで一応われわれが教わっていることは、外へ飛び出すな、あるいは火を消す、一分間はじっとしておれとか、あるいは大きな家具のそばに身を寄せろとかいうことが常識的にいわれておりますが、実際問題、今度ある程度知識を持った人が机の下に隠れたけれども、その机の足を持っているのが精一ぱい、その机が移動してしまうということでどうしようもない。あるいはそのうちにじょうぶな家具がほとんど倒れてくる。部屋の中を家具が右往左往する。そういういろいろな体験、あるいは二階から飛びおりた人もあるようです。地震が起きたときのそういった注意事項は、ある程度平たんな場所における一般的な地震に対する知識というものであった。あるいは古くからいわれている竹やぶに逃げるとか、それもだめだ。そういうことで、ああした急傾斜地におけるところについては十秒あれば、もしもそういう指導徹底しておれば海岸にもある程度逃げられたのではないか、こういう感じもあとからするわけです。この際各家庭にそうした地震が起きたときの注意あるいは指導、教育をどうか徹底をされて、特に強化観測地域指定されている地域だけでも早急に必要じゃないかという感じもいたします。スイスでは国が部厚いものをつくって全戸に配布をされて、これさえ守れば最低命は守れるというパンフレットを政府がつくって配られておるということを考えたときに、地震国といわれる日本の国でも、たび重なる根室沖とか新潟地震の教訓というものはあると思う。今回の山間僻地の教訓も生かしながら、そうした地震時の体制応急対策という問題はなかなかむずかしい。したがって、起きたときどうするかということを早急に考えなければならないと思うのですが、その辺について、杉岡事官でもあるいは小渕長官でもけっこうですから、決意のほどを最後にひとつお伺いをいたします。
  236. 小渕恵三

    小渕政府委員 御指摘のように、地震等が発生いたしました場合にいかに対処するかということにつきましては今後とも努力をしていかなければならないと思っております。地震につきましては消防庁におきまして、地震に対処いたしますについて三億円の予算もつけましてPRにつとめておりますが、政府といたしまして今後ともさらに努力をいたしまして、周知徹底いたしてまいりたいと存じます。
  237. 高橋繁

    高橋(繁)委員 確かにそうやっております。地震の心得もつくっておりますが、それが家庭に徹底しない。途中までの、ある機関までのパンフレットにすぎないので、全戸に徹底させるような地震対策というものをどうかひとつお考えになっていただきたい。  以上で終わります。
  238. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、宮田早苗君。
  239. 宮田早苗

    ○宮田委員 今回起こりました静岡南伊豆町一帯で人命、家屋道路等に大きな被害を出した地震に関しまして若干の質問をいたしますが、前者の方々がたくさんの質問をされ、それに答弁をされておるわけでございますので、多分に重複する面もあろうかと思いますが、その点は御理解をひとつお願いをしておきます。  民社党といたしましては、去る十二日、南伊豆災害対策調査団を派遣したわけでありまして、現地の悲惨な被害状況を視察いたしまして、政府が早急に講ずべき諸施策につきまして官房長官に申し入れを行なったところでございますが、この際関係各省から具体的な御答弁をいただき、被災者の方々の不安にこたえてほしいと思います。  まず、南伊豆町一帯ではいまなお断続的に地震が引き続き、地割れ等の被害が出ている現状と聞いております。九日の大地震当日の種々の被害の実態を見ましても、政府はすみやかに激甚法を適用すべきだと痛感したわけでございまして、この点につきましてはこれまで質問、答弁があったと思いますが、道路、河川等公共の土木施設の災害復旧計画についてまずお伺いをいたします。
  240. 田原隆

    ○田原説明員 今回の伊豆半島沖地震におきます建設省所管の公共施設についての現在までの報告は、河川十二カ所四千四百万円、道路八十六カ所十九億八千五百万円、橋梁一カ所二千万円、計九十九カ所で二十億四千九百万円となっております。これらにつきましては、緊急に復旧を要する個所についてはすでに応急復旧工事に着手してまいっております。特に道路につきましては、交通の確保をはかっておりまして、現在までの交通の状況につきましては、先ほど道路局の浅井課長が答弁したとおりでございます。  災害直後、直ちに応急復旧指導に当たらせるために建設省といたしましては災害査定官を派遣いたしております。その後さらに事の重大さにかんがみまして総括災害査定官を派遣いたし、その後実務的なこまかい点を検討するために係官を派遣して鋭意努力してきた次第でございます。
  241. 宮田早苗

    ○宮田委員 総額二十四億四千九百万円とおっしゃいましたが、まず応急的に差しあたり措置をしなければならぬ金額はどの程度でございますか。
  242. 田原隆

    ○田原説明員 先ほどの被害総合額は二十億四千九百万円でございます。これはあくまで概算申請でございまして、額が決定いたしますのは、地方公共団体が査定申請設計書をつくりまして、現地に係官が行きまして査定をしてから決定するわけでございますが、緊急を要するものにつきましてはそういうことを言っておれませんので、災害直後直ちに着工するという形で参っております。したがいまして、額は必ずしも、総額応急に要するものは幾らかということは正確にはつかめないわけでございますが、ただいまおおむねわかっているところによりますと、県工事道路七十五カ所で約二億でございます。それから出水に備えまして河川につきまして一カ所、百万円未満程度で実施いたしております。それから市町村工事につきましては、重要な路線四カ所につきまして約五百万程度応急復旧をやっておりまして、合計二億一千五百万程度応急復旧をやっておるわけでございます。
  243. 宮田早苗

    ○宮田委員 特に今年度予算では景気対策から公共事業そのものが圧縮をされているわけでございまして、災害復旧事業費の増大で地元の自治体の財政がさらに圧迫をされるということになると思いますが、これに対する政府の具体的な対策がありましたら、お伺いいたします。
  244. 田原隆

    ○田原説明員 災害復旧につきましては国庫負担法という法律がございまして、これに従いまして国の負担割合が法律的に定められておりますが、激甚な災害の場合にはその災害と標準税収額との比率によりまして、激甚さが増す——激甚ということばはちょっとなんでございますが、災害の激しさが増すに従いまして逐次逓増していくようになっております。ここの場合、災害を査定いたしまして、その決定額と、標準税収入の決定額は来年の二月末ごろ普通されるわけでございますが、その結果によりまして正確な負担率がきまるわけでございますけれども、たとえば先ほど総理府のほうから御説明ありましたように、南伊豆町に関しましてはたぶん激甚災に指定されるようでございますし、そのような場合には相当高率の負担が期待されます。さらに地方公共団体の負担に対するものに対して、ある一定の割合の起債も認められるようになっておりますし、その起債の元利の償還年限もかなり長期でございますので、実質的には町村に対しても相当深い形で援助できる形になっておると解釈いたしております。
  245. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、住宅の被害に関する対策を伺いたいわけでございますが、最終的な被害状況をもう一度お聞かせ願いたいと思います。
  246. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  県の災害対策本部からの報告でございますが、全壊百二十一棟、それから半壊二百四十二、全焼五、一部破損千二百五十一となっております。
  247. 宮田早苗

    ○宮田委員 いまの御答弁が最終的なあれですね。わかりました。  この場合は被災者がたくさん出ておるわけでございますが、いま被災者の多くは、地震に対する恐怖に加えて、これからの雨季シーズン、つゆのシーズンに入るわけでございますが、どうしたらいいのかと大きな不安を持っておると思います。特に住宅金融公庫の災害復旧に対する貸し付けワクは、ただいま聞いておりますと三百九十万円ということでありますが、ほかに住宅金融公庫以外のところから融資をされるような措置というものが考えられないものかどうか。たとえば被災された方々は、やはり破壊された住宅を改築していかなければならぬわけでございますが、なかなか金の借り方がむずかしいといいますか、わかりにくいわけでございますので、ただ単に三百九十万円の限度でお貸ししますということでなしに、こういう方法もあるんじゃありませんかという親切な御指導ということが特に必要じゃないかと思っておりますが、そういう面について何か参考意見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  248. 京須実

    京須説明員 ただいまお話がございました三百九十万円の金融公庫の融資でございますが、実はこれにつきましても公庫の関係の規定によりまして、災害復興住宅という規定がきまりませんとお貸しできかねますので、鋭意その実現にただいま努力中でございます。なおそれ以外につきましても、たとえば整地の費用とかあるいは家屋を移転される方に対する土地の取得費用とか、そういうものはお貸しする準備はございます。それからまた公庫でどうしても足らない場合、たとえば民宿等の方でございますと、環境衛生金融公庫等の融資お願いできるかと思います。それからまた民間金融でございますが、御承知のように最近は民間の住宅金融がだいぶ伸びてまいりまして、たとえば銀行あるいは信用金庫とか、そういったところから住宅ローンを借りる可能性も十分ございます。これにつきましては前向きに指導したいと考えております。
  249. 宮田早苗

    ○宮田委員 要望になると思いますが、個人の住宅再建に必要な資金につきましては、貸し付けワクの拡大をはかるとともに、融資条件を緩和することが特に必要と思いますので、その点の努力をひとつお願いをしておきたいと思います。  さらに、今回の災害は文字どおり天災でございまして、貸し出す場合は無利子にするくらいの勇断が必要と思いますが、こういう点についてはどういうお考えを持っておいでになりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  250. 京須実

    京須説明員 ただいまお話ししましたように、災害復興住宅の規定が適用になりまして三百九十万円お貸しできる時点になりますと、公庫融資の場合には金利は一応原則は五分五厘でございますが、当初三年間は元金据え置きといったようなことも考えております。それからまたすでに公庫の融資を借りましてうちを建てたお方で、公庫の融資の償還金が非常に苦しくなったといった場合には、主務大臣の承認を得まして、公庫のほうで償還条件等につきましていろいろな緩和措置が考えられております。
  251. 宮田早苗

    ○宮田委員 さらに住宅に関連いたしますが、さっきの質問でも言っておられましたように、南伊豆民宿を行なっている人が非常に多いわけでございまして、民宿の建設資金として環境衛生金融公庫の貸し付け制度があるわけです。倒壊家屋に対する融資金の返済猶予、この点も答弁にあったかと思いますが、あるいは再建に対する緊急の融資など、具体的な考えをもう一度お伺いをしたいと思います。
  252. 北村和男

    ○北村説明員 民宿の貸し付けでございますが、まずいままでお金を借りていた既往債務者につきましては、支払いの猶予と貸し付け期間の延長をもって対処いたしたい、そのように考えております。現在民宿を経営しておられてその一部が破損をしたというような場合には、災害貸し付けの条項を適用し、これは一千万上のせするわけでございますが、また貸し付け期間、据え置き期間等につきましても、それぞれ十年、一年という期間につきましても、状況に応じてまた御相談に応ずる、そのような措置をとりたいと思っております。
  253. 宮田早苗

    ○宮田委員 南伊豆のような大惨事を再び引き起こさないためにも、全国の傾斜地、危険地域の総点検を早急にやるべきだと思います。これは四十七年に実施したということを聞いておりますが、それ以降の問題として早急にやる必要があると考えておりますが、この点についてはどうですか。
  254. 大工原潮

    大工原説明員 四十七年の激甚ながけくずれ対策を考えまして、直ちに総点検を実施したわけでございます。過去にも数度点検はいたしておったわけでございますけれども、非常に激甚災にかんがみまして、一応物理的に人家があり、がけがあるというふうな個所は一応調査の対象にしようというふうな方向で検討したわけでございます。  今回の災害のあと、さらに総点検をする必要があるかどうかというふうなことにつきましては、一応いまさしあたっての問題といたしましては、地震によりまして脆弱化した個所の二次災害というふうなことを、まず人命の安全の確保という意味で早急にやらなければならないというふうに考えておりますので、特に被災地周辺におきます、現在までリストアップしております危険個所につきましては、早急に調査を実施する。さらに土木研究所等も動員いたしまして、実は本日から土木研究所の急傾斜の関係あるいは振動研究室の関係あるいは動土質関係、そういった専門の研究室の連中を動員をかけまして調査中でございます。
  255. 宮田早苗

    ○宮田委員 それではその調査のおりに、今度の地震被害の最も多かった南伊豆町の調査結果を——そのところだけでなしに、全国的にこの傾斜地のところがたくさんあると思います。この崩壊状態ということを十分に考えて、四十七年に実施された以外に追加をして調査をされるというお考えはないのかどうか。
  256. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、四十七年度調査調査要綱が、一応がけ地があり人家がありというふうな条件でとらえておりますので、多少府県によりましては判断の差があるかと思いますけれども、現在のところ、一応危険な個所と見られるところは調査対象になっておったというふうに理解しておりますので、さしあたってはいま申し上げました被災個所中心にしてとりあえずやってみたいと思っております。
  257. 宮田早苗

    ○宮田委員 遠州灘での大地震発生が憂慮されているのでございますが、これに対する国の具体的な対策気象庁の方おいでになると思いますが、また建設省に、それぞれお答えができればお願いを申し上げます。
  258. 末広重二

    ○末広説明員 本年になりまして遠州灘が観測強化地域指定されたわけでございますが、気象庁としてどういう対策をとっているかということを申し上げます。  さっそく気象庁は国土地理院と調整いたしまして科技庁の世話で特別研究促進調整費をいただきまして、御前崎に深さ二百メートルの特別な観測の井戸でございます観測井を掘りまして、その一番の底で高感度地震観測と地殻の傾斜観測を開始しつつございます。また、本年度より、大地震は海底で起こりますので、ぜひ海底で地震計の観測がほしいわけでございまして、このケーブル方式海底地震計の開発をお認めいただきましたのでこの開発に着手し、五十一年度にはその第一号を御前崎から二百キロメートルほどの沖合いまで敷設する計画でございます。  そのほか、来年度には地殻ひずみの連続観測の行なえるような特殊な埋め込み式ひずみ計を同東海地方に五カ所設置すべく計画を進めております。しかし、これはまだ将来のことでございますので、一方既存の地震観測網を用いまして、最近非常に論議の的になっておりますショルツ理論によります地震波速度の変化が同地方ですでに起こり始めているかどうかの検証もすでに開始して、目下鋭意その検証を適当な地震の起こるごとに進めております。
  259. 宮田早苗

    ○宮田委員 地理院の方の答弁をしていただく前に、私は全くしろうとでよくわかりませんが、例の活断層ということが最近盛んに言われておるようでございますが、こういう関係といま申し上げましたようなこととの関連性というのがあるのではないかという、しろうと考えで気がするわけでございますが、そういう面についても補足的に答弁していただきますと非常にけっこうだと思います。
  260. 末広重二

    ○末広説明員 お答えいたします。  地震現象というのは地殻に力が加わりまして地殻がそれに耐え切れなくなりますと破壊を起こして、そこが断層となりましてそこから地震が起こる、すなわち地震即断層でございます。この断層がつまりいわゆる活断層といわれているわけでございまして、全国に力がかかるとこわれるおそれがあるのではないかという断層が幾つか発見されておりますが、これがほんとうに生きているものであるか死んでいるものであるかを判定いたしますためには、やはりなるべく小さいところまでの地震活動の観測、それから地面、地殻がどういう変動をしているかという地殻の測地測量という両所から攻めてまいりませんとなかなか判明しないわけでございまして、その意味で、私どもは第三次地震予知の五カ年計画に沿いまして、全国で指摘されております断層が生きているものか死んでいるものかということの検証も進めていくべく努力中でございます。
  261. 宮田早苗

    ○宮田委員 遠州灘は地震予知第三次計画の中で、観測強化地域指定されておると聞いております。指定されているということは、その危険性が高いということであります。  そこで、消防庁としてはこの点をどうお考えになっておるか。今回伊豆半島で大惨事が起こったのですが、地震発生した場合の対策について、これからどのような措置をなさろうとしておいでになるか、ひとつお聞きをいたします。
  262. 藤江弘一

    ○藤江説明員 昨年御前崎周辺におきまして、地震に関連する諸観測がなされまして、それにつきまして私どもといたしましては、気象庁、国土地理院等と御相談いたしました上で、県を通じまして市町村に対しまして注意を喚起いたしているわけでございます。また、引き続きまして地震予知連絡会議におきましてただいまの観測強化区域の指定というふうなことが決定されましたものでありますので、これにつきましても都道府県を通じまして連絡をいたしておるわけでございます。  静岡県におきましては、四十六年以来、地震対策要綱を策定されまして、これに基づきまして種々の地震対策を進めておられるようでございます。中でもここ二年来地盤地質調査といったふうなことで基礎的な調査をやっておられる段階で、これが終わりまして、被害想定というふうなことで、これに対応いたしますところの具体策というものの検討に入られるというふうなことを聞いておるわけでございます。私どもとしましては、従来の地震対策がややもすれば大都市震災対策というものにややウエートをかけ過ぎていたきらいがございますので、この南伊豆地方地震を契機といたしまして、農山漁村地域、つまり非都市的地域におきましても地震対策の必要性があることを痛感いたしましたので、その点も対策の中に盛り込んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  263. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後に、要望を含めて希望を述べさしていただきますが、いまもおっしゃいましたように大都市の地震対策、先回も発表されましたようにいろいろ具体的な措置がされておるようですが、今度の地震の結果から、あの対策そのものを根本的に洗い直して措置をしなければならぬのじゃないかというふうに私ども思うわけであります。こういう点について、いま農漁村地のことについても対策を早急に立てるということをおっしゃいましたけれども、大都市を含めてこれからの地震対策を根本的に改めるような方法を早急に検討しなければならぬと思っておりますが、この点について御見解を聞かしていただきたいということであります。  同時に、今度の災害、たくさんの被災者が出られたわけでございますが、一日も早く立ち直れるよう政府の手を通じましてできるだけの措置を早く実行していただくようにお願いをしまして、私の質問を終ります。
  264. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十三分散会