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1974-05-09 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月九日(木曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 金丸 徳重君    理事 天野 光晴君 理事 宇田 國榮君    理事 小沢 一郎君 理事 安田 貴六君       江藤 隆美君    越智 伊平君       瓦   力君    島田 安夫君       竹中 修一君    萩原 幸雄君       旗野 進一君    村岡 兼造君       森  美秀君    阿部 昭吾君       阿部未喜男君    金瀬 俊雄君       柴田 睦夫君    庄司 幸助君       高橋  繁君    宮田 早苗君  出席政府委員         建設省河川局長 松村 賢吉君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         林野庁指導部治         山課長     鈴木 郁男君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省河川局砂         防部長     谷   勲君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         建設省住宅局住         宅計画課長   京須  実君         自治大臣官房過         疎対策管理官  市橋 光雄君         消防庁予防課長 永瀬  章君         消防庁防災課長 藤江 弘一君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   大原  亨君     阿部 昭吾君   柴田 睦夫君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     大原  亨君   庄司 幸助君     柴田 睦夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(山形県大蔵村山くずれ、  地震対策等)      ————◇—————
  2. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 これより会議を開きます。  阪上委員長所用につき、委員長の指名で私が委員長の職務を行ないます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。金瀬俊雄君。
  3. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この前の委員会地震対策について御質問申し上げましたが、その対策について、残った点について御質問をいたします。  房総半島がたいへんいま隆起しておる、また国の調査によると東京湾の湾口が四十年間に約三十センチぐらい縮んでおるということ、そうしたことを考えると、やがて関東大震災に次ぐような大きな地震が来るのじゃないかということが想定されるということで、その被害対策につきましてこの前いろいろ質問いたしましたが、その大正大震災当時と現在との間に、たとえば地震が起きた場合に火災発生すると仮定した場合、火災発生源がどのぐらい差がついているか、大正大震災のときに比べていまのほうがどのぐらい多くなっているかあるいは少なくなっているのか、対策は十分にできているのかどうかということについて最初に御質問申し上げます。
  4. 藤江弘一

    藤江説明員 火災発生源等につきまして関東大震災当時と現在とどのように違いがあるかという御質問だと思いますが、その点につきましては、当時と比較いたしまして、御承知のとおり現在の都市構造等が、たとえば立体化が進行しておりますとかあるいは木造密集家屋都市に対する人口過度集中のために非常に高まっているとか、あるいは御承知よう自動車等が非常に増加しておりますために、交通ふくそう化のために道路混雑が予想されますとか、そのような事情からいたしまして、当時に比べまして一たん火災が起きました場合の危険度というのは非常に高まっていると考えられるわけであります。また発生件数等につきましては厳密な数字は現在申し上げることはできませんけれども、たとえば火気使用の機会が当時に比べまして、石油ストーブ等、非常に高まっておりますために、相当程度当時よりも上回った数字が想定されるのではないかというふうに考えられます。
  5. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この前質問したときに、防災会議等を開いてそういうことについては十分な対策が整っておるというような答えだったですよ。だからそういうことは十分検討されているわけですよそうなってくると、その大正大震災のときといまとは東京都の人口はどのぐらい違いますか。まず最初大正大震災のときと現在との東京都の人口相違、それから木造家屋相違、どのぐらい減っているのかふえているのか、それから車の台数がその当時と比べるとどのぐらいふえているか石油コンロとかタンクローリーとかガス管の配置とか、そうしたことについて消防庁というのは十分検討していなければならないはずですよ。消防問題と地震対策については何回も協議が重ねられているわけですよ。そういう中でそういう資料があるわけですからそれを発表してください。
  6. 藤江弘一

    藤江説明員 ただいまの東京の現状におきまして、関東大震災程度地震が起きました際にどのよう被害が生ずるか、つまり被害想定につきましては消防審議会等の一応の資料はございます。ただ、実は現在持ってきておりませんので後ほど御報告申し上げたいと思いますが、ただ、これの基礎になっておりますいろいろな考え方は、現在の段階におきましてはもう一度見直しをしなければいけないのじゃないかということで、東京都等を中心といたしまして改定の作業をいたしておるわけでございます。私どもとしましても、東京消防庁なりあるいは中央防災会議を構成する関係各省庁とも十分連絡をとりながらいろいろと検討を進めておるわけでございます。
  7. 金瀬俊雄

    金瀬委員 東京都の人口は、あの当時から比べると三・六倍、それから木造家屋が二・五倍にふえている。それから車の台数は五百倍にふえている。これは自動車の統計で出ている。そのぐらいのことは研究しているのでしょう。石油コンロは当時ゼロ、いまが二十五万台、タンクローリーが当時はゼロ、いまが一日の活動数が九千九百三十六台、こういうものに対する消防庁対策はどうなっているか、それを発表してくれませんか。
  8. 藤江弘一

    藤江説明員 ただいまいろいろな問題点につきまして御指摘があったわけでございますが、耐震対策につきましては、私が申し上げるまでもなく、基本的には都市構造を耐震化するといいますか、都市不燃化を進める、あるいはオープンスペースを確保するといったふうな対策が必要になろうかと思います。これは主として都市改造にかかりますことで、所管としては建設省でございまして、種々の施策を進めておられるところと考えられます。  あと、車につきましては、これは交通規制等の問題もからみまして、その限度におきましては警察サイドの問題でございますけれども、私どもとしましては東京消防庁等と連携いたしまして、車が大震時におきましてどのように燃焼してまいるかというふうな実験を通じましてこれに対しますPRを現在のところいたしておるわけでございます。  また、ストーブにつきましては、御承知のとおり十勝沖地震におきまして火災発生件数のうち非常に高いウエートを占めたわけでございまして、これにつきましては、地震時におきますところの自動消火装置を義務づけるような都道府県の条例改正等指導を私どもとしてはいたしておりまして、東京都等では現に実施いたしておるわけでございます。
  9. 金瀬俊雄

    金瀬委員 車といい木造家屋増加石油コンロタンクローリー、それから東京ガスガスの配管の増加、そうしたものを比べてみて、大正大震災の当時といまでは火災発生源というのは比べもののないほど多くなっているわけですよ。それに対して消防庁がいままでとってきた対策というのは十分であるかどうか、これでもういまの体制で十分であるかどうかということを聞いているわけですよ。
  10. 藤江弘一

    藤江説明員 消防庁といたしましては主としまして大震対策のうち応急的対策と申しましょうか、火災対策とそれから避難対策を軸といたしましていろいろな施策検討し、また推進いたしておるところでございます。その一つといたしましては、たとえば四十七年度から実施いたしておりますところの東京都あるいは大阪中心部におきますところの耐震性貯水槽設置があるわけでございます。そのほか、自主防災組織の育成とかあるいは住民に対する啓発といったふうな努力を積み重ねているわけでございますが、ただこれだけで十分であるというふうに私ども考えているわけではございません。ただ、幸いにいたしまして、昭和四十九年度におきまして従来の大震対策予算に比較いたしまして消防庁予算に限りましては約六倍余に増加いたしておるわけでございまして、その中身といたしましてはいろいろございますが、それらを足がかりといたしましてさらに地方公共団体等とも連携を考えながらいろいろの大震対策といったものを考え、あるいは推進してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  11. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地震のときの死亡、地震によって人的災害がたくさん出たという場合、火災によるものが一番多いのでしょう。約九割が火災ですよね。だから火災を防ぐことが一番大事なんだけれども消火のための施設というのは当時と比べるとどうなっているか。それは大正大震災のときは井戸水でほとんど消したわけですね。いまは井戸水はほとんどない。それから水道はほとんどだめですよね。地震が来れば水道はだめでしょう。そうなってくると貯水池だけしか使えないわけだ。ところが、自動車が先ほど言ったように一日に二百二十万台も東京都内を走っていて、地震の起きた場合は消防車の出動なんというのはとても考えられない。水道がとまっていた場合消防車は何を使うのか、貯水池からどういうふうに水を運ぶのか、それはどういう対策になっているか、それをちょっと説明してくれませんか。
  12. 藤江弘一

    藤江説明員 ただいまの御指摘よう地震時におきましては給水管等が破裂いたしまして消火用水としての役に立たないというふうな事態も十分に想定されるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、先ほど申しました耐震性貯水槽というものを、これは百トンの規模でございますけれども、四十七年度、四十八年度につきましては実はこれは避難路を整備するということで避難路中心に配備してまいったわけでございますが、これをさらに広げまして、たとえば消防自動車が進入できないようなところとかあるいは木造密集度の高いところといったふうな地域にも漸次整備を進めてまいるというふうなことで、四十七年度は大体百基でございまして、四十八年度は九十基、それが四十九年度には二百二十基、来年度以降もさらにそれを拡大してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  これと随伴いたしまして、私どもとしては小型動力ポンプというものをこれに一ないし二台程度配備いたしまして、これを消火用に充てる。しかもその消火に当たるものといたしましては地域防災組織、御承知だと思いますけれども東京都の江東区で市民消火隊というのが発足されたということを新聞でごらんになったと思いますけれども、あのような自主的な防災組織を各地域に張りつけてそれを育成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、これは各都市等で自主的に推進しているケースが多いわけでございますけれども、できるだけ消火器街路ごとに備えるとかあるいは各戸にできるだけ備えてもらう、これに対して助成金を交付するといったふうな施策も講じているわけでございます。  なお、自動車消火につきましては、消火器等を配備するよう運輸省を通じまして私どもとしてはお願いをいたしておるわけでございます。
  13. 金瀬俊雄

    金瀬委員 東京都内のことだけ考えても、それに百カ所というのは全国的でしょう。東京都内だけじゃないでしょう。
  14. 藤江弘一

    藤江説明員 四十七年度につきましては全部東京江東地区でございまして、四十八年度につきましては東京の大田、品川区、それから荒川、葛飾等中心といたしまして七十個、大阪西部地区に二十個ということでございまして、四十九年度につきましては、二百二十個と先ほど申し上げましたけれども、これは現在どのように配分するか検討中でございますが、東京都についてはおおむね百五十基程度予定いたしております。
  15. 金瀬俊雄

    金瀬委員 火災発生源というのが大正大震災当時と比べると非常にふえている。そうした状況の中でどういう対策を立てていくのが一番いいかということについては防災会議等で十分検討されておると思いますが、消防力の強化ということについてはよほど考えないと、これは死亡するよう事故が非常に多くなるのじゃないかということが十分考えられますので、その点については特段と今後留意していただきたいと思う。  それから同じく地震問題で、地下鉄地下街地下室地下道、こうしたものに対する安全性というのはどこでどう確認してどうなっているかということについて、消防庁、それから建設省に御質問申し上げます。
  16. 藤江弘一

    藤江説明員 地下街における耐震性等の問題につきましては、建設を進めます段階におきまして、建設省を通じまして、耐震性につきましても十分考慮するように配慮されているはずでございます。また地下鉄につきましても、運輸省を通じまして同様の指導をいたしておるはずでございます。
  17. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地震が来て災害が起きた場合は、これは消防のほうが責任を持つようになるのじゃないかと思いますが、地下道というのはほとんど迷路になっておるのですよ。中へ入ってみてもわからない。迷路ですね。そうすると、地震が来れば必ず電気が切れるわけです。そうした迷路になっている地下街地下道地下鉄について、だれが責任をもってどういうふうな対策を講じられているかということを質問しているわけです。地震のときに地下街に入っていた人の安全性というのはだれが責任をもってやっているか。——考えていなければ考えていないでいいんですよ。
  18. 永瀬章

    永瀬説明員 地下街防災対策につきましては先生指摘ように、地震の際に中の電気が消えまして混乱を起こすのではないかと考えられますが、非常口等誘導標識及び非常口である旨の表示等につきましては非常電源を別個備える、あるいはそれ自体が電池を持っておりまして、非常の際に切りかえられる。約二十分はもつように設計され、その設置が義務づけられておりますので、非常口等あかりは確保されるはずでございますまた通路の照明にいたしましても、これは平常時と同様の照度、個数というわけにはまいりませんが、避難に一応使える程度照明は非常用照明として残すことになっておりますので、その点に関しましては一応避難にさほどの支障はないように現在措置いたしております。しかしながら、火災が起きました場合の地下街におきますところの人的被害物的被害、特に煙の発生もございますので、これらの安全性の確保につきましては、建設省消防庁そのほかの省庁集まりまして、地下街にいかに防災施設を設けるべきかということについて、現在協議会をもって検討いたしております、現在のものでもある程度安全性は確保されているとは思っておりますけれども、なおいろいろな災害を考えまして、さらに安全性を確保するために、先ほど申し上げました協議会検討いたしておりますが、照明の問題につきましては、現在の形でまず間に合うのじゃなかろうか、かように考えております。
  19. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地下鉄地下街地下室地下道、これに対する安全性については、地震の場合はほとんど無防備に近い状態だ、そういうふうにいわれておるのです。あなたが言っておるように、停電すればすぐに電気が切りかえられて照明がつくそして避難できるというよう状態にはなっていない、学者がそう言っていますよ。  じゃその点について続いて質問します。あなたはだいじょうぶだと言いましたが、地下道の中の酸素の量と地上酸素の量でどのくらい差があるか、ちょっと言ってみてくれませんか。
  20. 永瀬章

    永瀬説明員 それについては、私データを持っておりません。
  21. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地下道の中と地上では、酸素の量は大体一%地下のほうが少ないといわれておるんですよ。地下道にしても地下室にしても掘るでしょう。そうすると、その付近の水がしょぼれてきて、水がかれますね。そうすると、水が少なくなる。そうすると、地下道岩壁、その掘ったところにある水と酸素とそれから鉄が一緒になって酸化鉄となる。そうすると、酸素が低くなる。地下道なんか掘るとひび——いま地盤沈下が盛んだから、新宿の地下道に行って見なさい。ひびがいっておる。虎の門のすぐその下もひびがいっている。そういうところから、酸素の少ない空気が出てくるわけだ。だから、酸素が低くなる。もし地震になってそのひびが大きくなれば、酸素の少ない空気がどんどん入ってくるということが想定されるわけです。おそらくそれによってだいぶ死亡するだろうといわれておる。この間、最高裁判所をつくったときに、掘っていっておるうちに中に入って死んだ人がいるわけです。そういうことと同じことが地下道とか地下鉄にもできるというふうにいわれておるわけです。それに対する対策はどうなっておるのか。
  22. 永瀬章

    永瀬説明員 先生のおっしゃいました地下におきます空気中の酸素の量の欠乏につきましては、圧気工法その他が行なわれております関係で、空気を圧送いたしますと、漏れて砂利層等を通ってまいります間に、酸素先生おっしゃいます鉄等によって消費されまして、いわゆる酸素のない空気地下室だとかあるいは地下道というようなところに吹き出してくるために、工事作業に従事している方が酸素不足からなくなられるという事故は従来もございました。圧気工法等が行なわれております場合は、やはり先生のおっしゃいますよう事態地下道クラックあるいは地下鉄のトンネルのクラックから出てくるおそれはあると思います。ですから、これらのクラックが入らないようにする、そして地震時にその中を通る人、いる人が酸素不足から窒息等の障害を起こさないようにする方策については、やはり構造的なものあるいは管理的なもの、これをあわせて考えなければならないと思いますので、この点はまだ十分には検討いたしておりません。運輸省あるいは建設省のほうと十分連絡をしながらその対策を立ててまいりたい、かように考えております。
  23. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そういうものに対する対策ができていないということでございますので、この問題につきましては、質問はあらためてすることにしますが、地下鉄とか地下道とか地下のいろいろなものについて、地震が来た場合にひび割れがいくと、そこから酸欠空気が入ってきたらたいへんなことになるわけです。そういうものに対する対策として、将来建設基準法を改めてやらなければならない時代になるんじゃないかと思います。これは消防法から考えてみてもそういう時代が来ると思いますけれども、そのことについてこの次質問申し上げますので、建築基準法消防法、そういうものについて十分検討していただきたい、さように考えております。特に停電した場合はテレビ、ラジオがほとんど聞こえなくなる。そうした場合に連絡網というのはどうなるかということ、あるいは一軒、一軒の家が停電した場合、夜の場合にはどういうふうにそのあかりをとるかということ、消防庁でいろいろ検討しておると思いますが、総合的にどういう対策があるかということについて、ひとつ十分な対策を練っていただきたい、さように考えております。  次に、地震関係は抜きにしまして、河川局関係に御質問申し上げます。  河川局長がおいでになっておるようでございますので御質問申し上げますが、あなたは房総丘陵を分水嶺にして千葉県の南部を流れております小櫃川小糸川、養老川あるいは太平洋岸に流れている夷隅川、そうした川を視察したことがございますか。
  24. 松村賢吉

    松村政府委員 まだ現地視察したことはございません。
  25. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それではだれか見たことのある人来ていますか。この川を見たことのある人来ていますか。——なければけっこうです。質問を続けます。私はこれらの川の災害復旧等関連することについて質問いたします。  昭和四十五年の七月一日に関東地方南部中心大雨が降りました。房総半島の中南部には大きな被害が出たわけですが、この集中豪雨によっていま言ったような川がはんらんして、死者が十七名、行くえ不明が二名、この二名の行くえ不明の人はまだ死体が上がっておりません。それから重傷者が十五名、こういうきわめて大きな犠牲を出しました。このときの降雨量は大多喜町で三百四十六ミリ、一時間に百十六ミリ降ったといわれております。こうした大雨のためにたいへんな災害が出たわけでして、災害の額が三百二十億といわれております。当時佐藤総理が自分でヘリコプターで現地を視察しました。私はこの災害復旧状況について御質問いたします。  あれからちょうど四年たっておるわけですが、この災害復旧状況あるいは将来の見通しについてひとつお答え願いたいと思います。
  26. 松村賢吉

    松村政府委員 千葉県の四十五年の災害でございますけれども、この災害につきまして災害復旧状況を申し上げますと、まずこのうちの災害復旧事業そのもの、これは三カ年で復旧を完了する予定工事を進めまして、四十五、四十六、四十七年度、この三カ年で完了しております。  それから災害関連事業、これの関連につきましても、災害復旧事業と同様に四十七年度までの三カ年で事業を完了しております。  次に災害復旧助成事業でございます。これは小糸川夷隅川、この二つにつきましては四十八年度をもちまして四カ年でもって事業を完了しております。ただ小櫃川につきましては、用地等の問題で多少おくれた関係もありまして、昭和四十九年度現在でもって完了する予定にしておるわけでございます。
  27. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この災害復旧によって川の幅が非常に広げられた。それから改修によって非常に堅固になった。こういうことについては地元人たち建設省やり方に非常に感謝しております。しかし改修が行なわれた下流のほうとそれから未改修上流部分との差が非常にはっきり出ておって、簡単に言うと格差が激しい。そうした場合に、今後起こり得る災害について考えた場合に上流の未改修地域を早く改修してほしいというような強い要望が地元からありますが、そうしたものの計画はございますか。
  28. 松村賢吉

    松村政府委員 確かに災害並びに災害助成等におきまして工事を完了した部分とそれ以外の部分に差のあるところもあるわけでございます。この小櫃川夷隅川それから小糸川、これらにつきましては、実は災害を受けなかった場所はもともとこういう土木施設と申しますか、河川関係施設そのものがわりあいに少なかったところでございますけれども、確かにその点差があるということで、河川緊急度等を考えながらこれにつきましても順次改修を行なっていきたいというふうに考えております。
  29. 金瀬俊雄

    金瀬委員 急いで申しわけございませんが、現在、四十五年の災害のときに集中豪雨中心になった、昔からよくいわれます清澄山を中心とした地帯にゴルフ場建設が行なわれておりまして、千葉県にはいま四十四ゴルフ場がございますが、その中で新しいゴルフ場申請が六十七カ所出ている。そのほとんどは集中豪雨のあった場所、そこを中心ゴルフ場建設申請というのが出されています。こうした場所についてゴルフ場をつくることが災害のためにいいのか悪いのか、そのことについて河川局の方に御質問申し上げます。上流のほうにゴルフ場がたくさんあったほうが河川維持上いいのか、あるいはゴルフ場をやめさしたほうがいいのか、どちらがいいのか、そのことについて河川局考え方を……。
  30. 谷勲

    谷説明員 お答えいたします。  やり方によりまして森林等も全部伐採するということになりますと、確かに流出率の問題、そういう洪水を引き起こしやすいというよう状況になるわけでございますが、現在私たちの砂防指定地及び地すべり防止区域におきます各種の開発行為に対しましては、土砂の災害を防止するという観点で、土砂の流出の増加、流出率の変化による流量の増加等を検討いたしまして、都道府県の規則に基づきまして工事者に対し砂防ダム、洪水調節池あるいは沈砂池等の防災施設設置を条件として許可しているようなわけでございます。建設省といたしましては、砂防指定地外におきましても指定地内に準じて積極的に行政指導等をはかりまして、災害の防止に万全を期してまいりたいという考えでおります。  千葉県におきましてはゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱というものをつくりまして、工事者に対しまして防災施設設置ということで指導しておるようなわけでございまして、なお流出率の増加に対しましては、森林帯の保存のパーセント等も考慮しまして工事者に対して指導しておるような次第でございまして、こういうふうな配慮でまいって災害の防止につとめるというような形でやっております。
  31. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大多喜を中心として大きな災害が起きたわけですが、その大多喜を中心にいま千葉県へ申請されておるゴルフ場の個所が十六カ所。かりにこの十六カ所を認可したとしますと、大多喜の付近の雨の一番降る水源のもとになっているところが、いままでは木がたくさんはえておったのがほとんど普通の芝の平地になってしまう。そうした場合に保水力、水を保つ力というのがなくなるわけですが、芝にしてしまった場合と木がある場合の保水力に差がどのくらいありますか。それは農林省の方でもけっこうです。林野庁の方おいでになっているわけですが、保水力にどのぐらい差があるか。
  32. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 的確な数字は持ち合わせておりませんですが、森林の場合と草地の場合につきましては、林業試験場等の従来の試験結果によりますと、森林のほうが根の緊縛その他によりまして保水力は草地より高いという結果が出ております。
  33. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私はこれが正しい数字かどうかわかりませんが、東大の林業科のほうの研究している人に聞いてみましたら、雨が降った場合に、森林になっておる場合の涵養率といいますか水を押える力というのが三割あると言っておりました。それで芝になった場合は約一割だ、非常に差があるということをはっきり言っておりました。だから山の上のほうにゴルフ場ができた場合には、一度に河川に水が集中してくる率というのは非常に強いものがあるんじゃないか、そういうふうに考えております。地元の人というのはそういうことについて非常に心配しております。そういうわけでございますので、河川維持という立場から、多雨地帯ですか、特に災害が多く起きる地帯についてはゴルフ場を禁止するような考えがないかどうか、建設省にお尋ねします。
  34. 松村賢吉

    松村政府委員 これは建設省の権限で禁止するとかいうことはできないわけでございますが、河川を管理する立場におきましては、ゴルフ場設置等につきましても適正な設置、たとえばゴルフ場をつくる場合にもその中に森林等のパーセンテージを相当数残すとか、あるいはゴルフ場をつくることによってそれの流出が早くなるのを防ぐためのいろいろな施設あるいはため池その他、こういうようなものをつくるとか、ゴルフ場設置に対する条件をいろいろ考えていただいて河川に対する影響を比較的少なくし、支障がないようにしていただきたいというふうに考えておりますし、これは各都道府県等につきまして、ゴルフ場を規制すると申しますか、ゴルフ場のみならず開発行為そのものに対するいろいろ条例等ございますので、こういう中の指導におきましてできるだけそういう措置をとっていただくように、われわれとしても常に連絡をとっておる次第でございます。
  35. 金瀬俊雄

    金瀬委員 河川局長に御質問申し上げます。  夷隅川、一宮川の下流というのは、太平洋から来る波によって砂が運ばれて常に川口がふさがれております。だから大水が出たときに途中で水が滞水して被害が非常に大きくなっていますが、こうした河川をどういうふうに維持管理したらいいかということが問題です。導流堤をつくるとか何らかの方法で水の流れをよくするような方途を講ずることができるかどうか、御質問申し上げます
  36. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  まず一宮川についてでございますけれども、この一宮川については、昭和四十六年から中小河川改修事業を実施中でございます。それでこの導流堤についても、この改修事業の一部として昭和四十八年度から実施しております。さらにこれを継続して促進する予定でおるわけでございます。  また次に夷隅川につきましては、これも昭和三十五年から中小河川改修事業で継続実施中でございますけれども、導流堤について、この改修事業の一部として実施することにしておりまして、目下その構造等につきまして調査検討をしている段階でございます。
  37. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間が参りましたのでこれで質問をやめますが、ひとついま局長からお話がございました一宮川、夷隅川の河口というのについては、地元の住民が災害のたびに非常に苦しめられ、また平素の管理ということでたいへん苦労しておりますので、ひとつできるだけ早く研究されましてこの工事が完成しますように要望いたしまして質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  38. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、阿部昭吾君。
  39. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 先般山形県の最上郡大蔵村赤松地区で山くずれによる十七名のとうとい人命を失うという、また大ぜいの負傷者やあるいは住宅を全壊をするあるいは半壊をする、こういうような大惨事が発生をいたしました。いち早く林野庁は、私が現地に調査に参りましたすでにその前に林野庁の長官以下現地に飛んでおりまして、対策に取り組んでおられました。たいへんスピーディーな努力に対して、私はじめ地元の皆さんもたいへんに感激をしておるどころでございました。  そこで、この災害に対して中央防災会議が現段階で大まかにどのよう対策を進めておられるか。相当広範なひどい災害でありますから、おそらくまだ調査も途中であろうと思います。したがって今後いろいろな対策をさらに発展させていただかなければならぬという段階だと思うのでありますが、現段階での中央防災会議がどういう対策を進めておられるのか、このことをきわめて概括的に御説明をお願いをしたいと存じます。
  40. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  去る四月二十六日の山形県の最上郡大蔵村の赤松部落の山くずれの状況でございますが、これにつきましては今般は東北、北陸地方に非常に多く雪が降りまして、その雪積深も大体四・七メートル程度あったのじゃないかというふうに言われております。それで、四月の初旬から融雪になりまして、だんだんとその水が入ってまいりまして、山に融雪水が飽和点に達しまして地すべりあるいは山くずれを生じたわけでございますが、当時大体長さ二百メートル幅百メートルの山くずれがあったわけでございます。この被害につきましては、一般被害といたしまして死者十七名、それから家屋の全半壊二十棟というふうに報告がきております。政府といたしまして災害がありましていち早く林野庁長官をはじめといたしまして、通産省それから建設省それから厚生省、こういった係官を現地に派遣いたしまして応急対策に万全を期そうというふうにしておるわけでございますが、現在といたしましてすぐに関係省庁の連絡会を持ちまして、いろいろとその応急対策検討しておるわけでございますが、まず当時といたしましては遺体の救出、これを重点に置きまして、警察、消防、自衛隊、こういった実働の機関に対しましてそれに万全を期すようにいたしておるわけでございます。それからさらに、これにつきまして林野庁を中心といたしまして直ちに現地に入りましていろいろな応急対策ができるようにいたしまして、もうすでに応急的な対策は林野庁のほうで行なっているところでございます。さらに、今後現地の住民の方々に対する個人的な救助の問題でございますが、申しおくれましたが、当日すぐに災害救助法を適用いたしまして災害救助に当たる、そしてその必要な応急仮設住宅等の災害救助対策はいたしておるわけでございますが、今後こういった集落におきまして現地から離れまして集団的に移転するというような話があれば自治省においても十分それをくみ上げまして必要な集団移転等の対策をするようにというような打ち合わせをいたしておるところでございます。
  41. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま御説明のように、林野庁の対策は現地でも確かに目に見えるのであります。通産省が現地に出かけられた——これはあの今回の山くずれを起こしましたこの山に亜炭鉱の廃坑が掘られておるのであります。したがって、この廃坑が今回のこの災害にどういうかかわりを持ったかということで仙台通産局の鉱山保安部がいち早く乗り込まれたのだと思います。しかし、林野庁は早々と現地対策を進めるいろいろな矢つぎばやの方針を出しておられるときに、通産省のほうは鉱山の廃坑は今回の災害とかかわりなしということをきわめてスピーディーに発表されました。私ははたしてそうなんであろうかという疑問を持っておるのであります。やはりもっと慎重に、はたしてあの廃坑が今回の災害にかかわりがなかったのかどうかということはもっと科学的に、もっと厳密な調査というものが要るんじゃなかろうかという気がするのでありますが、とにかくスピーディーに、かかわりなし、こういう発表をされました。現地では、そうあっさりと結論が出るものかどうか、こういう疑問を若干持っておる。そこで、この現在くずれました山、この山にまだくずれておらぬところがあるのであります。これが同じようにくずれるんじゃないかというので、現地災害対策本部におきましては避難命令を発しておるわけであります。したがって、これに対してはいち早く警報機を設置するあるいは水抜きなり、さらにこの崩壊を防止するための手だてをいろいろに講じておられる、しかし、まだ現地の災害対策本部としては避難命令解除というわけにはなかなか簡単にまいらない、こういう状況にあります。これは大蔵村赤松地区の災害対策本部のみならず、同じ山形県内の平田町小林地区の地すべり、これは地すべりがずっと続いてきたのでありますけれども、幸いに人畜に被害がない間に状況を掌握して、これにも水抜きとか警報機とか、いろいろな応急対策が講ぜられて、そして根本的な地すべりを防止するという対策が進められつつあります。ところで、問題はここでもやはり現地の町当局、災害対策本部としては避難命令を発しておる。しかし避難命令を発しっぱなしで、いつこの避難命令を解除できるかということについてはなかなか確信が持てない。もし避難命令を解除して、さらに崩壊が始まったりあるいは地すべりが起こったということになるとえらいことになるというので、たとえば小林地区の地すべり対策については避難命令を発しっぱなしでなかなか身動きがつかぬというよう状況にあるのであります。そういう状況は赤松地区の場合も小林地区の場合も同じことでありますが、特に赤松地区のような場合になりますと、とにかく十七名のとうとい人命が失なわれた。さらに大ぜいの皆さんが現在病院に入院して負傷を治療しておる。家屋の損壊等もずっとある。それから耕地やなんかの埋没等々もある。水道施設やその他もやられておるということでありますから、ここから一体どうするかということにつきましては、防災のための集団移転の国の補助、国の援助、この法律に基づく現地の対応を、現地災害対策本部としてはいま精力的に指導しておる、こういう状況にあるわけであります。  そこで問題は、たとえば山の崩壊を食いとめるためのいろいろな工事はやられるわけですね。しかし、赤松地区でいえば、現地の報告によりますと、私が調査にまいりましたときでも、すでに二十万立米に近い土砂が家屋を埋め尽くし、倒壊させ、あるいは耕地を全部埋没さしておるのであります。したがって、いま応急のことは仮住宅をつくるとか、十七名の皆さんの遺体を五日間か六日間かかって掘り出しました。水道を応急的に復旧するとか、いろいろな応急的なことはやられておるのです。しかし根本的なことになると、さてどうするかということについて、山の崩落をさらに起こらぬように防止するということは、すでに林野庁を中心にいち早い対策が講ぜられつつありますけれども、この地域の皆さんの更生をどうするか、自立更生をどうするかということにつきましては、なかなかそう快刀乱麻を絶つようなわけにはいかぬ、こういう状況にあるのであります。  そこで、国の災害対策基本法によりますれば、なかなか法律というのはうまくできておるのでありまして、三条では国の責務、これをきわめて明快にしておるわけであります。「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」、しかしだんだんに読んでみると、都道府県もこういう責任を負い、市町村もこういう責任を負う、こうなってくるわけであります。そこで一般的な災害復旧のルールというか、そういうものがちゃんとでき上がっておる部分と、なかなかそれが十分なわけにいかぬという部分——何といっても、個人の、災害によって失っておるものここからどう立ち上がるかということに対する政策的な観点は、まだまだ非常に弱いということを痛感しないわけにはまいりません。  したがって、まず問題を一つしぼって申しますと、住宅を失いました、十七名の死んだ皆さんの命は返ってまいりません。しかし二十戸ほどの住宅を失った皆さんが立ち上がっていくためには、住宅を何とかしなければならぬのです。このことは、簡潔に言うと、一体どういう手だてをすることが最もいいというふうに政府のほうではお考えになっていらっしゃるのか。このことをきわめて簡潔にひとつ、こういうやり方——住宅を失って、とにかく住むことができないということは何ともならぬことでありますから、住の問題からまず解決しなければならぬ。これの最もいい方法は皆さんに、この方法でこうすればこうなるのだということをひとつ明快に教えていただきたい、こう思うのです。
  42. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘がございましたように、公共施設等の諸施設に対する災害復旧、これにつきましては、すでに相当ルールがございますが、個人災害、これをいかにするかということの御質問でございます。  これにつきましては、昭和四十七年の七月豪雨、これを契機にいたしまして、当委員会でもいろいろと御検討いただき、たとえば災害弔慰金制度、あるいは防災のための集団移住制度、こういった諸施策をいろいろとおとりいただいたわけでございます。この諸施策を現在いろいろ活用いたしまして、たとえば住宅につきましては、住宅金融公庫等の災害復旧の融資、こういったものがございます。それから新しい制度といたしまして、災害弔慰金と災害援護資金、これは家屋が全壊した場合は、五十万の低利三分の資金でございますが、貸し付けがございます。それからさらに世帯更生資金の住宅資金、こういったものもございます。それからこの災害を契機にいたしまして、たとえば集団で移転するというような場合もございますが、これは集団移転の、当委員会でおつくりいただきました法律に基づきまして、団地を公共団体で造成いたしまして、そこへ移転をする。その移転をする場合、家につきましては、いろいろな金をお借りして家をおつくりになるわけでございますが、その利子補給分といたしまして、百十万円を限度といたしまして、これはあくまで補助でございますが、融資の金利分の上積み分といいますか、高い金利を安くするために百十万円の融資をする、あるいは移転については三十一万円の補助——補助単価にいたしまして、これに対して四分の三の高率補助をするというような制度、あるいは建設省所管——これは自治省所管でございますが、建設省所管のがけ地近接住宅、これは集団で移転するわけじゃございませんが、ここのあぶないところから移転するというような同様の制度もございます。こういった制度につきまして、個人災害の復興につきましては、四十七年災害を契機といたしまして、徐々に整備されつつあるという段階でございますが、こういった諸制度を活用いたしまして、住民の方々の復興が万全にできるように、政府といたしましても努力してまいりたい、このように考えております。
  43. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 住宅を失われた方に対しましては、とりあえず災害救助法によって避難所を開設いたしまして、そこに収容いたしております。しかし避難所は非常に短期間のものでございますので、すぐに住宅の提供という仕事にかからなければならないわけでございまして、これにつきましては、同じく災害救助法によりまして応急仮設住宅の建設ということになるわけでございます。二十世帯が全壊または一部損壊ということで住宅を失われたわけでございますが、現行の災害救助法の基準によりますと、建設戸数は三割以内ということが一般の基準でございますが、大蔵村の状況を見ましたときに、三割以内という基準ではきびし過ぎるということで、今回の場合には、特別基準といたしまして、全戸数について応急仮設住宅の建設を認めたところでございます。
  44. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの、結局現地でいろいろ議論がありましたが、県の指導もおそらく政府のほうと不可分な連携をとりながら進めておることだと存じますが、村当局も、あるいはいまの平田町小林地区の地すべりの問題の場合も、全部防災のための集団移転、ここで何とかしようという方向での指導が行なわれておるのであります。この法律が四十七年にでき上がった。しかしながら、いまもお話しのように、四十七年の時点といまの時点とで狂乱物価で変わってきたというので、若干、前に七十五万だったやつを百十万に引き上げた。前は移転には、たしか引っ越し料は二十五万だったやつを三十一万ですか、これに引き上げた、こうなるのだと思うのです。ところで、なかなかあの地帯は——いまあげました二つの地区は同じ状態でありますが、農業の規模はきわめて零細、もうほとんど二反歩、三反歩といった零細な農家が大部分であります。この皆さんは何で生計を営んでおったかということになりますと、ほとんど全部出かせぎであります。したがって、この皆さんが、今回この災害の中から立ち上がっていかなければいけないということになりますと、これはやはり資金調達をどうするかということが問題になってまいります。したがって、いま狂乱物価を反映さして、四十七年のこの法律制定当時よりも若干改めたといいましても、これではどうにもならぬのです。したがって、これに対して建設省のほうに伺いたいのでありますが、住宅金融公庫のいろんな融資の問題があると存じます。これがこの場合にどういうことになっていくのかということをお聞きしたいのであります。
  45. 京須実

    京須説明員 お尋ねのように、金融公庫につきましては、災害の場合の特例もございますが、今回の災害でございますと、残念ながら基準に該当いたしません。したがいまして、そういう場合には、一般のいわゆる個人住宅の貸し付けによりますのが一番適当かと存じます。その場合でございますと、三十平方メートル以上百二十平方メートルまでの住宅につきまして、金融公庫が融資できます。なお、この規模でございますが、その場合に、六十五歳以上の老人の方がおいでの場合、あるいは身体障害者がおいでの場合、あるいは家族数が六名以上のいわゆる多家族の場合、そういう場合には、百五十平方メートルまでの住宅につきまして金融公庫は融資ができます。その融資の額でございますが、この地区でございますと、基準で申しまして、最もいろいろな物価等が安いといったような地区になっておりますので、現在のところは金融公庫の融資は、標準建設費で申しまして約二百五十万円につきましてその八割を融資できるといったような規定でございます。必ずしも十分でございませんが、これにつきましては、御承知ように限られた資金を全国の方々に回すといったような観点から、現在はこういうわけでございまして、単価で申しますと、必ずしも十分ではございませんが、これはさらに今後努力したいと考えております。
  46. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 中央防災会議にお伺いいたしますが、結局いまの百十万というものと、それから三十一万かの引っ越し料と、それからいまおっしゃる二百五十万というものが基準ですね。普通、比較的あの地域の皆さんは、都市の核家族とは違いまして、世帯構成というものがいろいろ家族が多い、そういう状況にあります。したがって、いまお話にありましたような中で、住宅建設というのは、あのあたりは金が安いのだ、こうおっしゃいますけれども建設省、安くないのですよ。狂乱物価の影響は全国津々浦々山間僻地までみんな及んでおるのです。もし建設省で、この中で、あの地域は安いはずだからといって家が建つのならば、京須宅計画課長さんがあそこに行って、あの地域の皆さんの一般的な標準の家が建つような請負工事をみんなやってみてもらいたいと思うのです。そんなことできっこありません。したがって、これ以外に手がないのかどうかということを——私が一番心配しておりますのは住宅復旧なんです。ここから始まっていくのです、自立更生というのは。これ以外に手がないのかどうかということを伺いたい。
  47. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  ただいまの住宅につきまして融資の件でございますが、住宅金融公庫の融資、それから集団移住の場合に使われますのは、これは天草等の例もございますが、住宅金融公庫から借りまして、さらにそのたらずまえ、家を建てるには確かにこの金額じゃ足らないという場合のたらずまえにつきまして、県がたとえば農協等のあっせんをいたして借りる。そしてその金を借りる場合に相当利子が出てまいります。その利子の額を利子補給で百十万円補助金として出す。これは家を建てる建物の経費ではございません、住宅金融公庫とかあるいはその他の金融機関から金を借りまして、利子を薄めるという金でございます。事実いろいろと、すでに天草等で五百六十戸ほどの集団移住の例がございますが、そういった措置でいろいろとおやりになっておるわけでございます。詳しいことは自治省のほうの担当課長が来ておられますので、そちらのほうでお答えすると思います。
  48. 市橋光雄

    ○市橋説明員 防災集団移転事業に関します法律につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、四十七年の十二月に制定された法律でございまして、現在その実施をしておるわけでございますけれども、概略御説明さしていただきますと、被災地もしくはこれから災害をこうむるおそれのある、建築基準法第三十九条の規定によります災害危険区域の関係の住宅の方が集団で移転をすることを希望する場合におきまして、しかもその過半数の方が住宅団地にまとまって入る、移転をするというようなことを希望されます場合におきまして、その団地の用地の取得、造成の経費、それからその団地にかかります道路とか水道とか集会施設、あるいは農林水産業の生産基盤等の整備に関する施設というようなもの、あるいは農地のあと地の買い上げの経費、そういうよう事業を、主として市町村でございますが、行なう場合に、その補助をいたします。それから移転される御本人に対しましては、いまお話のありましたようにその住宅を建設される方につきましては、その利子の分につきまして軽減をいたそうという経費といわゆる移転料につきまして三十一万円の補助をいたそう、そういうような経費から成り立っておるわけでございまして、そのような経費を現在、従来は移転戸数一戸当たりにつきまして二百八十万円を限度として事業費の算定を行なっておったわけでございますけれども先生指摘ような単価増と申しますか、そういうよう状況を勘案いたしまして、三百五十万まで本年度の予算におきましては単価アップを行なったわけでございます。これにつきまして町村がこの三百五十万を限度といたしまして事業を行なった場合におきましてはその四分の三を国が補助をいたします。それから残りの四分の一に対しましては、地方債等をもってその九割まで財源措置をいたしますので、その地元の財政負担はきわめて僅少で済むわけでございます。  それで、そういうようなことで、この大蔵村につきましては、集団移転を計画いたしておるというようなことで御照会もいただいております。   〔金丸(徳)委員長代理退席、安田委員長代理着席〕 いま申し上げましたように、住民の方が御希望がまとまりまして、要件が合っておりますれば、私どもといたしましてはできる限り円滑な移転ができますように努力をいたしてまいりたいというふうに感じておるわけでございます。
  49. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 普通の災害でない場合住宅を建てたいという皆さんは、自己資金の準備というものはある程度ずっと時間をかけてやって、しかし自己資金だけじゃどうにもならぬ、住宅金融公庫頼むと、こうなってくるのです。いまの災害とかこういう状況下において集団移転をせんければならぬという場合には、そういう蓄積なり準備なり一切ないままで大きな転換をせんければならぬ、こういう状況に遭遇するわけですね。したがって、この場合には、私は、住宅金融公庫の災害の場合における対応というのはやはりもっと配慮されてしかるべきだ、こう思うのです。このことは、いま私は建設省の御答弁は求めません。委員長におかれて、ぜひひとつ当委員会の名において、このことを政府に対して、災害という全く普通一般の状況でない状況下においていまこの集団移転という大きな転換をしなきゃならぬという状況にあるのでありますから、この場合には住宅金融公庫の融資ワク等については、私は、やはり別途に特別なる措置をすべきである、こういうふうに考えるのでありまして、いま政府のほうで部内みんなそういう方向での調整が行なわれておるとは存じませんので、委員長のほうにおかれて、ぜひひとつ当委員会の名において政府のほうに委員会の意向として要請されるというようなお取り計らいをお願いいたしたい、こう存ずるところでありますが委員長いかがでしょう。
  50. 安田貴六

    ○安田委員長代理 ただいまの阿部委員の御意見に対しましては、了解できる御意見であると思いますので、十分に理事会等で必要があればはかりながら善処いたしたいと思います。
  51. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 ぜひそのようにお願いをいたします。  そこで、中央防災会議にお伺いしたいのでありますが、先ほど災害弔慰金制度、これはいいわけですね。それからいまの防災集団移転、それからその次の災害援助資金、世帯更生資金、こういうものは重複できますね。
  52. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害援護資金、それから世帯更生資金は重複いたさないことになっております。
  53. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。災害援護資金と世帯更生資金は重複できない。しかし防災集団移転あるいは災害弔慰金、それからその次の災害援助資金か世帯更生資金はその二つが重複しなければできる、こういうことですね。
  54. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  55. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。  そこで厚生省にお伺いいたしたいのでありますが、先ほど申し上げましたように、この地域の皆さんほとんど全部出かせぎ常習の地帯であります。今回損壊をいたしました住宅、中には相当新しく建設をされたという住宅が今回の災害で損壊をしたという住宅もたくさんございました。この住宅はどうやって建設をしたかということになりますと、出かせぎで働いた金、さらに農協等々その他から相当の借金をして住宅を建設をした、それが今回の災害でやられた。したがっていま村当局が非常に苦しんでおりまするのは、災害でありますから、今回百十万円の利子補給という総ワクの補助がある、したがってこれを一つのてこにしながら農協その他に相当の復旧資金というものの協力を求める、こうなっていくわけであります。ところがすでに被害者の中には農協や何かの借金を手一ぱい持っておる。したがって、農協もあそこの農協は決して強力な農協じゃありません。山間地の農協であの地帯の農業をどうするかというのでいま四苦八苦しておる地帯の農協であります。したがって農協のサイドからいうと、今回の大災害でありますから、これは何とかしなきゃならぬとはいいながら、被災者個人個人の状況を見ると、農協に手一ぱいどうにもならぬほど借金を持っておる方々あるいは何とか考えてよろしいという方々あるわけであります。これはどうしても一緒くたにというわけにいきません。相当やはり選別しなきゃならぬだろうという議論が起こってくる、こういう場合の、この皆さんいずれもが今回の災害を好んで招いたのではない、不幸な事態なんであります。この場合の国、県の指導というものは相当私は重要であると考えます。そういう場合の指導にかかわる政府の基本的な考え方を承りたいと思います。
  56. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答えいたします。  大蔵村は山村でございまして、住民の方々の生活も決して楽なものではないということは私たちよく存じております。災害が起こりましてから、直ちに被災者の生活の相談事業を始めたわけでございますが、すでにあらかた事情聴取は終わっておりますが、全壊ないしは半壊二十世帯について全件調査の結果は、現に生活保護を受けておられる方が一世帯あるわけでございます。それから応急救助終了後生活保護を受けなければならないであろうと見込まれる方々が十五世帯ございます。   〔安田委員長代理退席、金丸(徳)委員長代理着席〕 それから保護を要しないと判断される方々が四世帯あるわけでございまして、この生活保護を要する方々については直ちに生活保護の適用をすべく現在準備を進めているところでございます。
  57. 市橋光雄

    ○市橋説明員 ただいま先生から御指摘のありましたように、自己の住宅を建てるためのいわゆる資金の調達ということが個々の移転者の方にとっては前提条件になるわけでございます。  ただ、私どもで所管しております防災集団移転法自体におきましてはそういうような資金が調達されまして、ああいう計画ができた場合にああいう補助をいたしますということになっておるわけでございますけれども、根本的にはやはりこれは先ほど御指摘のありましたように、国あるいは県、町村等におきましての実体的な資金の調達を御援助すると申しましょうか、地元の金融機関との折衝をあるいは応援と申しましょうか、そういうような努力をすることによりまして、その資金の調達というものをできる限り実現していくというようなことを計画の実行あるいは作成の段階におきまして私ども努力をいたしておるわけでございます。  ただ、現在の制度におきまして個人住宅の元金自身につきましての援助措置と申しますのはございませんので、利子の補てんにとどまっておるわけでございます。
  58. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 時間がございませんから、概括的に申し上げますけれども、自治省に私がお願いしたいのは、あの場合は現地の金融機関は主として農協になるのです。この場合に農協は手一ぱい借金しておる被災者、また何とかやってよろしいという被災者、いろいろあるのです。その皆さん残念ながらやはり選別しなきゃならぬというのが弱い農協の立場からすれば当然なんですね。その場合に村当局や県はなかなか苦しむわけなんです。あの被災者には融資よろしいと、どうせ住宅金融公庫や何かから——先ほど金丸委員長代理お留守のときに委員長代理の方に要望いたしましたが、住宅復旧のための資金対策については、やはり災害という特殊な状況下において復旧しなきゃならぬということでありますから、このワクの問題について国は特別にひとつ配慮すべきだということを当委員会の名において政府に委員会の意思としてきびしく注文してほしいというお取り計らいをお願いしたところなんですけれども、それでもまだやはり農協や何かの融資を協力させなければやっていけないのです。その場合に、個人個人の場合になりますと、選別融資という問題をやらざるを得ないという状況が起こる。これが現地末端のやはり村当局や何かにとってみると、非常に苦しい問題なんです。したがって、この場合の自治省や政府の指導のあり方を相当長い目の融資ということにこれはならざるを得ないと思いますから、この場合にはやはり指導のしかたはいままである借金の状況によって選別されるということに対して、いまこの災害という時点でそこからどう立ち直るかという、しかもこの融資は相当息の長いものでいかなければいけないという場合でありますから、自治省や政府の指導のあり方をひとつちゃんとしてほしい、こういうことを私要望したわけであります。そのことに対する御答弁としてはいまの御答弁は落第答弁なんです。そういう指導をいたしますと、選別融資なんということではなしに、農協に要請する融資ももっと息の長い融資なんですから。したがって、そこは現状に即して、やはり弾力的にやれという指導を自治省はいたしますという答弁を私はもらわなければいけない。さっきのあなたの答弁じゃ落第なんですよ。災害の現状に即しておらない。  そこで厚生省、これからいまのこの被災者の皆さんの住宅の復旧などが始まっていきます。いまの説明によりますると、現在生活保護を受けております世帯が一つ、これから生活保護を要すると思われるものが十五、生活保護が不要と思われるもの四一尺こういうふうに報告されておりますというお話でした。そこで問題は、この皆さん、生活保護を受けます皆さんも含めて、いずれもこれから住宅復旧に入っていくのでして、従来住宅などを復旧し、新築いたしますると、生活保護なんておかしいじゃないかといって打ち切られた例がうんとあるのです。いまのような場合に、防災のための集団移転とか、住宅金融公庫とか農協の融資とか、いろいろなもので住宅の復旧を進めていきますね。この皆さんが、ある段階にいって、そしてその中から生計の基盤を再構築するまで、若干の時間が要るはずなんです。しかし、住宅の復旧なりました、したがって生活保護は打ち切りで丈 こういう機械的なことは行なわれませんね。いかがでしょう。
  59. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 生活保護制度の趣旨は、最低限度の生活を国民に保障しようとするものでありますしたがいまして、家屋の新築等資産の形成につきましては保護の対象とすることはできないものと私どもは考えております。
  60. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。  最後に、私はかつていまの過疎対策の法制化を進める際に、社会党の事務局を担当いたしました。こういう山くずれや地すべりや、こういう危険地帯に現在生活をしている方々は、まだ全国にたくさんいらっしゃる。現在の過疎対策とか防災のための集団移転、これだけでは残念ながらなかなか、長い歴史をもって山合いの危険地帯に住んでおる皆さんに、移転せよといってもそう簡単に移転が促進されないのです。したがって私はこの機会に、従来の過疎法にしても防災のための集団移転の国の援助についても、もっともっと再検討されなければならぬということを痛感するのです。したがってこのことも、政府にぜひそういう方向に立っての政策の再検討を求めなければいけない。  同時にまた当委員会においても、従来の過疎法なり、あるいは特に当委員会所管の防災のための集団移転の中身ですね、これに対して、こういう関係の皆さんが危険地帯からどんどん脱却をして移転が進んでいくような、政府の施策としての豊富なる中身をもっとつくっていかなければならない、このことをぜひさらに前進させるように強く希望いたします。  最後に、防災のための集団移転の際に、十戸以上ですね、ところが、ああいう山間地や何かになりますと、十戸を同じ場所、同じ大字何々何番地の中にぱっと並べるというわけにはいかない。したがってここに五一尺こっちに五戸と同じ大字の中でやらなければならぬような場合も出てまいります。そういう場合に、防災のための集団移転というものはしゃくし定木に、十戸大字、小字の中の全く同じ番地の一団地として並べなければだめ、こういうことでなく、従来の営農なら営農の形態で若干のグループを組んでおった、したがって、このあたりの皆さんはこのあたりに五戸なら五戸をそろえる、このあたりの皆さんはこのあたりに五戸をそろえるというような弾力的な運用をやはりしないと、防災のための集団移転を行なうといっても、そう簡単にはまいらぬという問題があるのです。この場合にしゃくし定木にやろうというのか、そういう現状に即した弾力的な運用をやろうとするのか、このあたりの見解を最後に承っておきたいと思います。
  61. 市橋光雄

    ○市橋説明員 ただいま御指摘ように、一団地については移転戸数の半数以上の方が入って一団地十戸ということになっておるわけでございます。ただ、その集団移転する方は移転する方自体が集団でなければならぬというような要件があるわけでございますけれども、そういうような要件の認定、それからいまお話のありましたような団地をどのように形成していくかということにつきましては、できる限り要件に沿っていただきたいというふうに考えるわけでございますけれども、その実態等につきましてはできる限り現地の実情に応じられるような前向きの姿勢で検討してまいりたいと思うわけでございます。
  62. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上で私の質問は終わります。
  63. 金丸徳重

  64. 庄司幸助

    庄司委員 まず最初に、けさ九時ごろ相当の震度の地震があったわけですが、その後入りましたニュースでは相当の被害が出ておるようであります。その点について防災会議あるいは気象庁の方にお伺いしたいのですが、その後入りました詳細な被害状況とかあるいは震源地の問題、この辺の状況をまず伺っておきたいと思います。
  65. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 気象庁のほうからの情報でございますが、本日午前八時三十三分に南伊豆のほうで相当大きな地震がございまして、気象庁が九時十八分に発表いたしまして私のほうに入ってまいりました地震状況を御報告いたします。  震源地は伊豆半島沖、それで震源の深さは約二十キロ、それで津波の心配はないという情報でございます。  それから震度でございますが、石廊崎で震度五。震度四が大島、横浜、静岡、三島、館山。震度三が東京、銚子、前橋、浜松、名古屋、甲府、秩父というよう地域でございます。震度二が小名浜、大阪、軽井沢、津、彦根、松本。震度一が長野、岐阜、高田、敦賀、福島、宮古、石巻、宇都宮というふうに発表されております。  それから被害状況でございますが、ただいま国道一三六号線が土砂くずれのため不通でございまして、刻々と警察及び関係省庁で状況を把握しておるわけでございます。静岡県及び静岡県警でございますが、災害対策本部を設置いたしております。  それから被害の起き方と申しますのは、静岡県の下田の警察署のほうからの連絡でございますが、静岡県の賀茂郡南伊豆町入間部落で相当の家屋が倒壊しておるという情報でございます。負傷者もかなり出た模様というふうに聞いております。国道につきましては、さっき申しましたように一三六号線が土砂くずれのため不通になっております。それから下田市でございますが、これは非住家でございますが、小屋が倒壊しておるという情報でございます。詳細につきましては、いま徐々に入っておりますので、現在そのうちのほうで判明しておりますのはこの程度でございます。
  66. 庄司幸助

    庄司委員 ではこの問題、気象庁が参りましたら、あとで防災対策関係とあわせてもう一ぺん質問いたします。  私いまから伺うのは、これは前の質問者からもお話がありました山形県の大蔵村の山くずれの問題でお伺いしたいと思います。これは被害程度ですが、全世帯数八十一世帯中、全壊、半壊合わせて二十戸、被災者は百一名、なくなった方が十七名、重軽傷者が十三名、農地の埋没が百一・四ヘクタール、林地の破壊が約二ヘクタールで、被害額は四十五億円くらいだ、こういわれておりますが、大体そのとおりですか。
  67. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 林地崩壊の被害について申しますと、約三億円でございまして、面積は先生指摘ように二ヘクタールでございます。
  68. 庄司幸助

    庄司委員 一人一人お答えになるのでは時間がかかりますので、被害額は、さっき四十五億と言いましたが四億五千万の間違いですが、大体こういった被害が出たわけです。その点でまず第一番目にお伺いしたいのは、この原因です。原因がどういう点にあったのか。これはおそらく林野庁のほうがつかんでおられるだろうと思うのですが、お答え願いたいと思います。
  69. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 本年は例年にない豪雪でございまして、現地の最大の積雪深は近くの観測値から推定いたしますと四メートル以上あったんではなかろうか。平年の約一・五倍のような積雪の状況でございます。また、四月二十三日から気温が急上昇いたしまして、特に二十六日には日本海と本州を低気圧が東北東進いたしまして、これにあたたかい南風が吹き込みまして、融雪が促進されました。さらに、当日小雨も加わりまして、土壌中の水分が飽和状態に達しまして、凝集力を減少しまして、土塊が凝灰質の粘性土層をすべり面といたしまして、山頂部付近から滑落崩壊いたしまして、その崩土が中腹から山ろくにかけましての表層をも削り取りまして、土砂流としまして山ろく一帯を埋没したものではないかというぐあいに推定いたしております。
  70. 庄司幸助

    庄司委員 現地は、農林省も建設省もそれから山形県当局も、山くずれの危険がある地域指定があった場所だと私は伺っております。現地の赤松部落については、たしか山形県の指定だろうと思いますが、こういった点、積雪が相当あった、気温が急上昇した、雨が降る。当然こういう土砂くずれあるいは山くずれが予想される事態にあったんではないかと思うのですが、これに対する警報なり注意なり、これは何か事前にお与えになっていますか。これは林野庁、建設省、その辺で答えてもらいます。
  71. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 昭和四十七年に梅雨前線によります集中豪雨等によりまして、全国に山くずれ等による大災害が起こったわけでございますが、これを契機にいたしまして、全国的に危険個所の山くずれ、または地すべり等の危険個所につきまして、人家あるいは公共施設被害を及ぼすような個所につきまして総点検をいたしたわけであります。この結果、全国で約十二万三千カ所が危険個所で、面積にしまして三十五万ヘクタール余りでございますが、これらの危険地につきまして対策をやっているわけでございます。  大蔵村につきましても、十五カ所の危険地の調査結果が出ております。当該個所につきましては、危険地の調査指定と申しますか、それをやっておらなかったわけでございますが、この個所につきましては、山腹斜面に亀裂あるいはわき水、こういったものが認められなかった、あるいは林況が杉の四十年生あるいは二十ないし三十年生の広葉樹林ということで安定しておった、こういうことでございまして、その点、この当該個所、崩壊いたしました個所自体につきまして危険を予測しておったということは、遺憾ながら予測されなかったわけでございます。
  72. 大工原潮

    大工原説明員 建設省所管の災害危険個所といたしまして、林野庁のほうと同時でございますが、昭和四十七年の災害を契機といたしまして、がけくずれあるいは地すべり等の危険個所につきまして全国的な総点検を実施したわけでございます。特に山形県につきましては、がけくずれによります危険個所が五百二カ所でございます。地すべりによります危険個所が百八十五という数字が出ております。これらの危険個所につきましては、建設省といたしましては、一応人身事故がないようにということで警戒避難体制をとるよう指導を県当局に対して実施いたしております。  さらに、いま先生が御質問の融雪につきましての通達でございますが、事務次官通達をもちまして、これはいまのがけくずれだけではございません。他の融雪災害を含めまして、事務次官通達をたしか三月九日付だったと思いますが、建設省といたしましては、融雪災害の防止について、あるいは警戒につきましての注意をいたしておりますし、さらに先日、新潟県あるいは青森県等で融雪災害事故がございましたので、それを契機といたしまして、四月中旬に砂防部長名をもちまして、がけくずれあるいは地すべりの危険個所につきましての警戒あるいは巡回を実施するように通達を流したわけでございます。
  73. 庄司幸助

    庄司委員 そうすると、林野庁は注意はしていない、建設省は注意するように通達は出したと言っておられますが、現実には大蔵村では何の警戒体制もとっていない。で、あのよう事故になったわけですが、これはどこで詰まったのですか、そういう指導が。県当局ですか、それとも村ですか、これをひとつ……。
  74. 大工原潮

    大工原説明員 一般的な融雪災害の危険個所あるいは一般的な災害の危険個所に対します通達ということでございまして、先ほど林野からも御説明がございましたが、私ども調査の危険個所の中に先日の災害個所が一応危険地として入っていなかったということでございます。
  75. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 林野庁におきましても、ことしは例年にない豪雪でございますので、融雪の災害の危険が非常に予想されましたので、建設省と同様四月十九日に長官通達をもちまして都道府県並びに営林局に融雪災害について十分注意するように通達を出しております。
  76. 庄司幸助

    庄司委員 一体、注意するようにという通達ですね、これをおたくのほうではそれぞれ出しておられても、具体的には何の措置もとられていないという事実があるわけです。これは明確なんですから。全国で十二万三千カ所の危険地帯が林野庁開係ではある、こう言っている。それから建設省では、山形県だけでも地すべり危険個所が百八十五もある、こう言われているのですが、具体的なこういう問題になるとさっぱり役に立たない。そして大事故になってからあとで騒ぐというケースがやはりいままでの事例だろうと思うのですよ。だから、危険個所なら危険個所に指定して注意をしろといっても、どういう注意を具体的にすればいいのか、山回りをしろとかあるいは亀裂を早く見つけろとか、そういう予防措置といいますか、そういう問題についての指導は全然なされていなかったと同じだということになるのですね。これじゃ、困るのです。危険個所の指定は確かにしますけれども、何らの具体措置がない。この点はぜひ具体策を考えてもらう必要があると思うのですよ。たとえば表面土壌が移動を始めたという場合警報器があれば前もって知らせることができるとか、これは現にやっているところがあるわけです。そういうものはさっぱりないのですね、山形には。これは山形もほかも同じだろうと思います。あるいはあぶないところに対する補強工事とかなんとか、これもないということになると、あぶない、あぶないと言っているだけにすぎないのじゃないかと思うのですが、その辺もっと具体的にしてもらいたいと思うのですが、対策はありますか。
  77. 大工原潮

    大工原説明員 先生の御質問、一応具体的な対策ということで御説明申し上げたいと思います。  実は地すべり等の被害におきましては、動きが非常に緩慢な場合にはまず亀裂が発生する、あるいは地表面におけるそういった土塊の移動の挙動がまずあらわれるというふうな場合には、われわれといたしましてもそういった危険個所の住民に対します周知徹底をはかって、そういったものの通報をしてもらう。現にそういった被害が出そうになった個所につきましては、一応伸縮計等をつけまして警報器に結びつけまして、その伸縮計の移動量をたとえば一時間二ミリ以上になりますと避難してもらいたいとかいうふうな具体的な措置をとっている個所もございます。  山形の大蔵村の場合は特にそういった事前の移動というふうなものが、私は直接現地の状況を存じませんが、たまたまそういった挙動がなかったのではないかというふうなことではないかと思っております。  先日も新潟県の新井市等におきまして非常に地すべり災害が多発したわけでありますが、たまたま建設省の土木研究所の試験所が新井市にございまして、その所長が出向きまして、直ちにそういった地上の挙動に対します警報器の設置をして、十分に警戒、避難をいたしまして人災が防げたというふうな事例もございますので、できるだけそういった方向では県当局を指導しておるつもりでございます。
  78. 庄司幸助

    庄司委員 しかし、山形県には警報器が一つもないんじゃないですか。どうです。ありますか。
  79. 大工原潮

    大工原説明員 現在、山形県で地すべり対策事業として四十九年度実施いたしております個所は二十一カ所ございます。金額で申し上げますと二億二千八百万ということで実施いたしておりますが、そういった個所におきましては、すでに過去に災害があったとか、あるいは現実に非常に移動があるというふうなことから、工事の実施とさらにそういった警報器の設置あるいは伸縮計の設置等によりまして地すべりの挙動をつかんでおるわけであります。そのように、現在実施しておる個所あるいは危険度が非常に高い個所というふうなことから、そういった個所に一部そういった施設をつけておるという状況でございまして、危険個所すべてにわたりましてそこまで実施してないという状況だと思います。
  80. 庄司幸助

    庄司委員 ですから、過去にそういう事例のあった場所にはあわててどろなわ式につける、あとのところは現に災害発生しないとつけないというのでは、これは困るのですね。残った個所について、警報装置、どれぐらいの期間あれば全部つきますか。
  81. 大工原潮

    大工原説明員 四十七年度実施いたしました総点検の結果でございますと、全国のいわゆるがけくずれの危険個所でございますが、それが約六万個所ございます。さらに地すべり危険個所が五千二百個所、これは建設省所管分のみでございます。したがいまして、そういった個所すべてにつきましてそういった警報器をつけるというふうなことは、予算上あるいはそういった意味では非常に制約があろうかと思います。われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、現在工事中あるいは緊急度の高いものから順次計画的に施行しておるという状況でございますので、そういった緊急度の高いところ等につきましては一部そういった施設をつけておるということでございまして、一般的には雨のほう、降雨量がどの程度あれば災害が起こるであろうというふうなことから、いわゆる避難基準的なものを現在いろいろの資料から検討中でございます。まずそういった降雨量等の外的条件から避難の基準をつくりまして、そして避難につなげてまいりたいというふうに建設省所管分については考えておるわけでございます。
  82. 庄司幸助

    庄司委員 ところが、この緊急度の高いところでないところでこうやって緊急事態発生するのですね。これじゃ、なくなった方は浮かばれないだろうと思うのですよ。それから、現にいま住んでいる方は不安で家に帰れないという人もいたのですよ、現場で。隣の部落から手伝いに来た方。これでは、こういう住民の不安にさっぱりこたえないということになるのですね。これは時間の関係で、ここでやりとりしても始まりませんから、ぜひ委員長におかれてこの問題でやはり抜本的な対策をとられるようひとつ要望していただきたい、かように思うわけです。
  83. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 わかりました。
  84. 庄司幸助

    庄司委員 それから危険度の予測の問題ですがこれもあまり科学的でないのですね。現地の大蔵村の赤松の場合、あのすべった山の裏側が危険地帯に指定されているのですよ。県当局ですね、これは。そちらはすべらないで、危険地帯でないあの現に被害のあった場所がすべっている、こういう事態もあるのですね。ですから、その点もっと科学的に検討されてしかるべきだ、私はこの点要望だけしておきます。  それで、次にお伺いしたいのは、災害にあわれた方の当面の緊急対策の問題なんです。これは前の質問者からもあるいは質問がおありかと思いますけれども、仮設住宅が八畳一間、プレハブで六坪だ、こういうところへ五人家族が相当入っているというのですね。幾ら仮設住宅でもやはりこの規模についてはもっと考え直す必要があるんじゃないか、こう思うのです。それから中には二組の夫婦が八畳一間に雑居している事例も一つあるのです。ですから、ここでは着がえをなすったりあるいは落ちついたりする場所がないという苦情があるのですね。そういう点でこの仮設住宅の問題この点今後災害救助法に基づく基準の改正が必要なんじゃないかと思うのです。  それからもう一つは、この仮設住宅に伴うおふろの問題です。これは仮設住宅四十三戸建てたうちおふろが二つしかない。一カ所は男、一カ所は女性、こういうふうに分けて入っておられるそうですが、大体この仮設住宅に入っている方は二百人ですよ。しかも農作業をやる方が相当多いのですが、こういうところに二カ所。一カ所百人ずつ。しかもこれは何人入れるふろかわかりませんが、何時間かかるか。これはなかなかたいへんな問題だと思うのです。このふろは早急にひとつふやしてもらいたいという現地の強い要望があるのです。この仮設住宅にからむ問題で、これは厚生省だろうと思うのですが、建設省も入りますか、まあ厚生省でいいですからその点ひとつ答えてもらいたいと思うのです。
  85. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 応急仮設住宅の広さにつきましては、六坪というのは実は平均の坪数でございまして、家族の数に応じまして広さにはかげんをつけてほしいという指導を実は私どもしているわけでございますが、現地の様子を見ますとどうも一律でそれをきめたようでございます。ただ六坪自体の広さが狭いんじゃないか、平均だとしても狭いんじゃないかというお話は、私も個人的にはそのとおりだと考えているわけでございまして、今後検討していかなければならない問題だと考えております。  それから次におふろの問題でございますが、実はこのおふろにつきましては私どもとしては特別の基準ということで共同浴場を認める予定にしておりまして、山形県当局とも話を始めているわけでございます。それで二カ所が少な過ぎるのじゃないかというお話につきましては、山形県当局とも二カ所でいいのかどうかということについては十分相談をして特別基準を設定していきたい、かように考えております。
  86. 庄司幸助

    庄司委員 じゃそれをひとつぜひ早急に現地の住民の要望に沿うようにしていただきます。  それから次は農業問題なんですが、あの赤松の部落の方は農業を経営している方が大部分です。  この農業については耕うん機その他含めて何か六十台ぐらい共同使用で入れたらしいのですが、倉庫とか共同作業所ですね、この辺はお考えになっているのかどうか。これは農業をやれば耕うん機だけで農業をやれるわけじゃないのですね。その辺どうなんですか、農林省。
  87. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 実は応急仮設住宅の広さについては、先ほど申し上げましたように家族数に応じて差をつけるようにという指導が今回の山形県の場合一戸建てになっているわけでございます。この一戸建てにしたということは実は農機具を入れる場所というものを確保するためにはどうしても一戸建てにしなければならないという地元当局の強い要望があったわけでございます。したがいまして当然その農機具の格納ということは地域の実情に応じて応急仮設住宅の中で配慮していかなければならない。この点につきましても山形県当局と十分に話を詰めていく所存でございます。
  88. 庄司幸助

    庄司委員 いまの御答弁だと、何か八畳一間に五人家族から農機具までぞろぞろ入るというようなお話のように私聞こえたのですが、それじゃお話にならないわけですね。あるいは私の聞き違いかもしれません。だからこれはぜひやはり格納する場所とかあるいは作業する場所も必要ですから、雨なんか降った場合ですね、これもひとつ考えていただきたい。この点どうですか。
  89. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 県当局と十分に検討いたします。
  90. 庄司幸助

    庄司委員 それから生活必需品の問題ですが、これは一戸当たり、こういうふうなようです、七人家族の場合で二万七千五百円、六人で二万四千五百円、五人で二万一千五百円、これではいろいろなものをそろえられないのが現状ですね。ぼくらから考えてもそうですよ。これはいわゆる災害救助法の基準の問題が一つあるのだろうと思うのですが、これは県当局が村で上積みした上でのこの金額なんですよ。ですから厚生省の基準からいくともっと低いだろうと思うのですが、生活必需品はこの金額で十分やれますか。
  91. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害救助法によります被服、寝具等の費用につきましては当面必要なものについてそろえるということでこの金額は定めているわけでございまして、当面のことでございまして、避難所に入っている間ぐらいのところでございます。避難所から出ればおそらく応急仮設住宅に入っていく。応急仮設住宅に入っていく場合には先ほども質問があったように、ほとんどの世帯は生活保護を受けるということでございまして、生活保護を受けますとまた生活保護の基準で生活をしていく、こういうことになるわけでございます。
  92. 庄司幸助

    庄司委員 それから、災害救助法の基準によりますと食費が一人二百四十円、これは今度改正して二百九十円になったようですが、現地は二百四十円です。これもやはり低いですね、いまの物価からいうと。それで、災害にあわれた方だから少し粗食でがまんしろなどという考えはさらさらないわけでしょうから、これもひとつ検討し直してほしいのですがね。その辺どうですか。
  93. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 避難所でのたき出しの問題でございますが、実は私どもの担当官を現地に差し向けましたところ、この二百四十円の食費も使っていないというよう状況でございましたので、私どもの担当官から、国の定める基準のように食事の内容を豊富にすることが妥当である、こういう指導をしているわけでございます。それで今度四十九年度から二百九十円にすることにしておりますが、この額というものは生活保護の基準と大体見合っているわけでございまして、決して災害直後たき出しなどをやるときにこの額ではやれない額であるというように私どもは考えておりません。
  94. 庄司幸助

    庄司委員 たき出しの場合は握りめしとかいろいろあれで安く上がる可能性はあるわけですが、たき出しの段階が終わって一週間やそこらあるわけでしょう。そうするとやはり栄養もたっぷりとってもらう必要があるわけでしょう。だからこれはぜひ考えてほしいと思うのです。要望だけしておきます。  それからもう一つは、親類に避難した人ですね。この親類というのは実は水田二十アール、二反歩で、土工で御飯を食べている方だそうですが、こういう親類に二世帯、六人が避難されている。この人には、親類に避難したからということで何の補償も給付もない。これはやはりちょっとまずいのじゃないかと思うのですよね。相当の金持ちならばいいだろうと思いますが、こういう具体的な事例はひとつ考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  95. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 縁故先に避難された方々につきましては食糧、現品をもって給付をする、こういうことにしているわけでございまして、現地に対しましても、もしこの基準がまだ徹底してないようでございましたら至急徹底をさせたい、かように考えております。
  96. 庄司幸助

    庄司委員 それから新築家屋が全壊したのが八戸あるのですね。これは先ほど阿部委員からもいろいろ御質問があったようですから私重複しませんけれども、そういう方で借金が平均で二百万から三百万だと伺っているわけですよ。これについては、くどくは申し上げませんから、ぜひひとつ具体的に、返済期限の延長であるとかあるいは利払いの延長であるとか、そういう措置を講じていただきたいのです。その点、簡単でいいですからどこの担当かわかりませんが、ひとつお答え願いたいと思います。
  97. 市橋光雄

    ○市橋説明員 集団移転に伴いまして住宅を建築するための資金につきましては、先ほど阿部先生からもお話がありましたけれども、御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思うわけでございます。
  98. 庄司幸助

    庄司委員 この山形の問題で最後にお伺いしたいのは、営農体制の確立の問題なんです。あそこは御承知のとおり農地がだいぶつぶれたわけです。山林もつぶれています。この農地、山林の復旧、これを農林省としてどういう具体策を持っておられるのか、その辺ひとつお伺いします。
  99. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 農地、農業用施設災害復旧事業につきまして御説明を申し上げます。  今回の大蔵村の農地、農業用施設関係被害は、農地が約二ヘクタール、それから農業用の水路が一千メートル、それから農道関係が約五百メートルございます。被害の額にしまして約二千六百万ぐらいということで推定されております。  それで、この復旧につきましては、何といいましても住宅なり人身の被害がございますから、その辺を優先いたしまして、一応人心が落ちついたところでいまの農地、農業用施設災害復旧をいたしまして営農に支障のないようにいたしたいというふうに考えております。  それで、いま考えております具体的なスケジュールといたしましては、測量関係を五月の八日から始めまして、それで査定用の設計書を至急つくりまして、来月早々にでも設計書のでき次第査定をいたしまして、その査定が終了次第工事をやり、十月末までには完成いたしたいというふうに考えております。したがいまして地元におきましても、この測量だとかそれから査定、設計のための人も相当要るでしょうから、県の農林部の関係の技術者を応援いたしまして、それでできるだけ早くこの農地、農業用施設災害復旧ができるようにということで県をいま指導しているところでございます。
  100. 庄司幸助

    庄司委員 それから農機具とか作業所とかこういうものを失われたわけです。それから今後営農をやる場合、肥料とか農薬も必要になってくるわけですが、こういった復旧と今後必要な資材ひっくるめて農家のいわゆる融資の問題、これをちょっと伺っておきたいのです。私詳しく知りませんがおそらくこれらの農家の方は相当農協からも借り尽くしている状況じゃないかと思うのです。その場合、やはり別ワクの融資、しかもこれは低利でできれば無担保で別ワク融資を考えていく必要があると思うのです。前の借金はたな上げにするとか、その辺についてはどのようなお考えを持っておられますか。
  101. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 いま先生おっしゃいましたことをよく了解いたしております。それで、実はいま担当のほうが来ておりませんから、いまの先生の御趣旨を十分伝えまして、できるだけ御要望に沿うように連絡したいと思います。
  102. 庄司幸助

    庄司委員 自治省にお伺いしますが、大蔵村、これまで大体六千四百万ぐらい災害対策で使っちゃった。今後もおそらくもっとかかるだろうと思いますが、いままでの分で村の財政の大体一〇%ぐらいに当たる。これじゃ村の財政非常に苦しくなるわけですから、この点についての特交、この措置は考えておられますか。
  103. 市橋光雄

    ○市橋説明員 担当でございませんので、あるいは若干正確を欠くかもしれませんけれども災害に伴います臨時の経費につきましては特別交付税等におきまして従来その実態に応じまして財源措置をしてきたところでございますので、これは今年度、四十九年度の特別交付税であると思いますけれども、当然その経費につきましては財源措置がなされるはずでございます。
  104. 庄司幸助

    庄司委員 それでは気象庁地震課長が参られたようですから、先ほどお伺いした南伊豆の地震の問題でもっと詳しい情報を、おありならひとつお聞かせ願いたいと思います。
  105. 末広重二

    ○末広説明員 ただいままで判明したところを御報告申し上げます。  地震が起こりましたのは今朝八時三十三分、起こりました場所は伊豆半島の先端から南方へ約二十キロ海の中へ出たその海底下、これも深さ約二十キロメートルのところで起こったものと推定されます。深さ二十キロメートルと申しますのは地震としては比較的浅いものでございます。  この地震によりまして石廊崎において震度五、ただしこれは石廊崎の測候所が震度五でゆれたということでございまして、一部ラジオ、テレビ等で倒壊家屋があったやに報道されておりますが、もしそうとすれば、地域的には震度六でゆれた場所もあるかと存じます。そのほか震度四でゆれましたところが、代表的なところを申し上げますと、横浜、静岡、館山、それから震度三は東京、前橋、浜松、名古屋、甲府、それから震度二が千葉大阪、軽井沢、それから震度一、やっとからだに感じたところが長野、福島、それから東北地方の宮古、石巻等でございます。したがいまして今朝の地震によりまして、関東地方の大部分及び東北地方、中部地方にまで体感、からだで感じられたということでございます。  しからばこの地震がどのくらい大きかったかということでございますが、私どもの現在までの資料によりますと、規模にしまして六・八でございます。これはどのくらいの大きさかと申しますと、約一年前の六月十七日、去年の六月十七日に根室半島沖で起こりました地震の、エネルギーにいたしまして約三十分の一、つまり今度の地震が三十、束になって昨年の根室半島沖と同じくらいとお考えいただきたいと思います。また五十年前の関東地震と比べますと五十分の一でございます。ただし陸地に近く、かつ浅かったために地域的には相当ゆれたということと存じます。  それからまた津波は、御前崎でこの地震による海面の上昇が約十五センチ観測されましたが、これはとても被害を及ぼすようなものではございませんで、私どもは津波の心配はないという情報を発震後十二分たって出しております。  この地域はわりあい地震活動は激しいところでございますが、今回の地震は確かにその中では一番大きなものでございまして、最近は昭和四十年十一月三日に今度の地震よりさらに三、四十分の一小さいものが起こりまして以来小さな地震は起こっておりましたが、今回のものが最近では一番大きなものと考えられます。  なおこの地震ははたしてどういう方向からどういう力が働きまして起こったものであるかということは、今後、日本はもとより外国の地震のデータも取り寄せまして、早急にこの点を解明するつもりでございます。  以上。
  106. 庄司幸助

    庄司委員 その点で、これは関東大震災の事例をよく引き合いに出されるわけですが、場所柄からいって、あの規模の地震の前ぶれではないかというような危惧もあるわけですね。そういう点はどうなんですか。
  107. 末広重二

    ○末広説明員 御指摘の関東地震は、実は今回の地震よりもだいぶ東に寄りました南海トラフと申します一種の海溝に沿って起こった地震でございまして、今回のものはそれよりだいぶ遠く離れておりますので、直接関東地震の前ぶれとは私ども考えておりません。五十年前の関東地震のときには、むしろ房総半島沖のほうが非常に活発になりましてから次第に活動が相模灘に寄ってまいりまして、そして関東地震が起こったわけでございますので、おそらくそういう同じような形態をとって次も起こるとわれわれ考えておりますので、そういう点からは特に前ぶれであるとは考えておりません。ただ先ほど申し上げましたとおり、この地震がどういう力で地面がどういうふうにこわれたのであるかということが、いま御懸念になりましたようなことに対する相当な答えを出すことになりますので、早急にこの地震の機構を解明したいと思っております。
  108. 庄司幸助

    庄司委員 それでは時間が参りましたが、最後に私は山形の防災対策の問題と関連して、今度の地震被害にあわれた方々に対する救助対策、これはひとつやはりいろんな前例にもかんがみて万全の、手落ちのない対策をとっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。その点で、地震発生したばかりでありますから詳細はまだわからないでしょうが、詳細判明次第、ぜひ当局において万遺漏なきを期していただきたい、このことを強く要望して私の質問を終わらしていただきます。
  109. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 高橋繁君。
  110. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私も最初に今朝の地震のことにつきまして質問をいたしたいと思います。  いま地震課長からお話がありましたが、緊急のことでありますので、詳細にはお答えができないかもしれませんが、太平洋東海地帯がいわゆる観測強化地域に指定をされておったわけです。その当時のあれでありますと、遠州灘方面がたいへんに地震が予測される地域である、このようにお話また新聞報道でも聞いたように覚えておりますがそうしたことから今回のこの伊豆沖の地震については、そこら辺との関連性といいますか、そういう問題についてわかればお答え願いたいと思います。
  111. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  遠州灘地震を目ざしまして一体どういうことになっておるかということを確かめますために東海地方は観測強化地域になったわけでございますが、この遠州灘の地震と申しますのは、過去に起こりました規模は実は八一四という非常に巨大地震でございまして、今回のものに比べますとおそらく百倍以上大きさが違うと存じます。したがいまして、そういったものから比べますと今回のものは、陸地に近かったということで影響は大きかったと存じますが、地震そのものといたしましては、いま申し上げたように、あまり巨大地震とはとうていいえないようなものでございまして、したがいまして、地震も柄が小さくなるにつれましてその前駆現象、これは地震活動であるとかあるいは地殻変動でございますが、そういった規模も一緒に小さくなってしまいますためになかなか見つけにくうございます。そういった意味で、先ほども一部御説明申し上げましたとおり、ふだんわりあい地震活動の激しいところに起こりましたそのうちの頭株のよう地震であると私ども現在では解釈しておりまして、特にこれが遠州灘沖の地震に結びつくものではないと現在のところ思っております。ただしこれも先ほど申し上げましたとおり、今回の地震の規模を早急に解明いたしまして、もう少しはっきりしたことが申し上げられると存じます。
  112. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 これは直接は関係ないかもしれませんが、三原山の火山が活発化しようとしている徴候が見られるということから見て、今回の地震というものは関連性がないものか、あるものか、その辺について……。
  113. 末広重二

    ○末広説明員 いまの御質問は実はたいへんむずかしい御質問でございまして、おそらく地震のエネルギーも、あるいは火山のエネルギーも非常に地球の深いところへまいりますと同じところから供給されていると私どもは思っておりますが、表面近くになりますとはたしてお互いに相関連しているものであるか、そうでないものかということは残念ながら現在まだはっきりしておりません。  つまり過去の記録をたどってみますと、地震活動と火山活動が重なった場合もございますし、あるいは片一方だけしか起こらなかったこともございますので、そういった意味で表面現象だけから関係ありとまで断ずることはできないわけでありまして、私どもはいま観測強化によりまして続々資料の量がふえてきているわけでございまして、それを使いまして何とか地面の中の仕組みをよりよく勉強して、いまのような御質問にもう少しはっきりしたお答えができるように努力したいと思っております。
  114. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 今後近い将来、引き続きあと追いするような形で地震が起こる心配はいまのところありませんか。
  115. 末広重二

    ○末広説明員 今朝八時三十三分に起こりましたあともいわゆる余震、ゆれ返しと思われる地震が幾つか観測されておりますが、現在までまだ数時間しかたっておりませんので確たることは申し上げられませんが、順調な予後をたどっているように思われますので、過去のこの地域地震活動から考えまして、これより大きいものがすぐまた起こるということは非常に考えにくうございます。
  116. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 杉岡参事官にお尋ねしますが、通信もとだえておるという状況、それから道路も寸断をされているという状況で、被害状況というものがなかなかつかみにくい、こういう状況下にあるんじゃないかと思うのですが、すでに朝日新聞の夕刊には死者、不明二十四人、またときおり入ってくる地元からの情報によりますと死者一名、行くえ不明が二十名というような情報も入ってきております。あるいは倒壊、全半壊含めて百戸をこすのではないかという、この新聞の報道にもありますが、その後新しくつかんだ情報がもしあればお聞かせ願いたいと思います。
  117. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  現在警察庁のほうで鋭意情報をつかんでおるわけでございますが、確認の情報といたしましては、死者一名、行くえ不明はちょっとはっきりいたしておりません。それから全半壊は八十四棟で、そのうち全壊が十棟、これも確認情報でございまして、谷合い等の部落等の倒壊、これはまだはっきりいたしておりません。  それからさらに交通状況でございますけれども、新幹線が不通になりましたが、十一時二十分に開通いたしました。  それから道路でございますが、南伊豆町の各部落でございますが、大瀬、下流、妻良、子浦といったような各部落のがけくずれのために現在不通になっております。  なお、それに対しまして、その対策でございますが、静岡県におきましてはきょうの十時十五分に災害対策本部を設置いたしております。  それから静岡県警におきましても同様にその災害警備本部でございますが、警備本部をきょうの九時四十五分に設置いたしております。  そしてその被害状況をつかむために、警視庁の大型ヘリコプターを現地に派遣をいたしております。  それから静岡県の機動隊を中心にいたしまして、約三百人現地に出動中でございます。  それから自衛隊の関係でございますが、自衛隊も現在ヘリコプターを現地に派遣をいたしております。館山あるいは立川、こういったところからヘリコプターを派遣いたしております。  それから陸上部隊も富士山ろくの駒門基地よりジープを派遣いたしております。  なお関係省庁におきましては現在情報を収集中でございます。  それから災害救助につきましても現在手続を進めておる最中という情報が入っております。
  118. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 施設課長にお伺いしますが、災害救助法の適用はもちろん県が発動するわけですが、救助法の適用からいきますと、人口から見て当然全半壊八十あるいは新聞報道では百戸、こうなっておりますと、全壊、半壊含めてその二分の一ですか、八十戸にしても四十戸ということになりますが、当然救助法の適用の発動をされてもしかるべきと思いますが、その辺のことについて、課長の御意見なりあるいは指導、どういうよう指導されているか、あるいは応急対策としてどのようなことを考えているのかお聞かせ願いたいと思います。
  119. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 交通が途絶しており、行くえ不明者も多数出ているという現状からいいまして、災害救助法の発動は当然である、県から要請があれば発動する、こういうことになろうかと存じます。
  120. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 被害が出ておりますので、それに対する応急的な救助の対策とか救助についてはどう考えておりますか。
  121. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 全壊、半壊多数出ているようでございますので、当面のところは避難所に避難をさせてたき出しをし、そして寝具等も支給を行なうという応急の措置を講ずべきである、かように考えております。
  122. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 厚生省として係官を現地に派遣をする用意はありますか。
  123. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 被害状況に応じて当然そうしなければならないこともあり得ると考えております。
  124. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 あそこの地域は海岸に沿ったいわゆる急傾斜地帯のようなところに住家が密集しておる地域であります。特に入間とか中木地区は段々のところに住家が建てられているという状況から見ても、かなりの被害が予想される。また谷合いであるということ、それから少し離れた松崎でも火災が起きているということで、情報にもありますが、思ったより被害が大きいのではないか、このように思います。その状況に応じて、特別委員会としても委員長の判断によって、ひとつ現地視察も理事会等で検討していただきたい、このように要請をいたします。
  125. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 理事会において、また相談いたします。
  126. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 すみやかにこの伊豆沖の地震につきましては被害を、状況を察知し、情報を早くつかみまして、適切な救助の手を差し伸べていただきたい。このことを強く要求をいたしておきます。  次に、河川局長にお伺いをいたしますが、静岡県の富士市の潤井川、これは最近河川審議会で一級河川に昇格をされるということが決定をいたしました。そこでこの潤井川の件について若干質問いたしたいと思います。  建設省の努力で星山放水路は完成をいたしました。そのことによって富士市の地域災害というものは一応心配がない、こう考えてもよろしいかと思いますが、その星山放水路の上流の地帯の潤井川地区において特に中里地区、これは前回の大沢くずれ等によってかなりの被害があったところであります。この中里地区の河川改修が遅々として進んでいないという状況にあるわけです。で、雨季を控えて住民がかなり心配をしている。県としてもまだ予算をつけてないという関係で住民の不安は解消されない。一級河川への昇格とからんで建設省としてこの潤井川の改修についてどう対処をし、考えていらっしゃいますか。河川局長からお答え願いたい。
  127. 松村賢吉

    松村政府委員 お答えを申し上げます。  潤井川の改修につきましては先生指摘ように現在までは星山放水路、これを最重点に考えまして進捗をはかってまいりました。それでおかげさまをもちまして、御承知ように四月二十六日に通水式という段階にこぎつけたわけでございます。ところでその上流地域、これが非常に狭い部分がございます。確かに非常に危険個所でございます。このことにつきましては、われわれといたしましても十分承知しておりまして、星山放水路の早期通水をはかることに引き続きまして、この上流部の改修に着手するようにいままで調査を継続してきたわけでございます。本年度、四十九年度におきましては、まずこの地区におきましては家屋が相当ございます。したがいましてこの用地補償問題をまず解決すべきでございますが、これにつきましては静岡県の用地取得の先行資金等も投入いたしまして進めることに考えております。またその工事につきましても、その用地取得の進捗と合わせまして一部の掘さく等に着手するよう予定しておるわけです。  ただ、この問題は用地問題もございますので、この用地の買収につきまして地元の御協力等が必要でございますので、この御協力をぜひ願いまして、すみやかに改修を進めるように予算措置も講じていきたいというふうに考えております。  なお暫定的な問題といたしまして、ことしの雨季等に対処いたしまして最も危険な個所、こういうことにつきましては、ただいま緊急の工事としまして暫定的に土俵等で防御するような方式、これは現在やっております。そのほか危険な家屋等につきましては御希望によりまして早期の移転等の措置、これは買収に関連するわけでございますけれども、これを講ずるよう静岡県におきましては地元の富士宮市等の御協力を得て進めるよう予定しておる次第でございます。
  128. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうしますと、潤井川の幅を広くするために、したがってその河川の近くに住んでおる民家の移転をしなければならないということになると、その移転の事業最初に行なわれなければ河川改修もできないということで判断してよろしいですか。
  129. 松村賢吉

    松村政府委員 そのとおりでございます。
  130. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その移転の事業は四十九年度から予算が計上されて逐次着手をするという計画でありますか。
  131. 松村賢吉

    松村政府委員 これは本年度の措置といたしましては静岡県の先行投資と申しますか先行取得を実は計画しておりまして、これによって進めていきたいというふうに考えております。  なお、用地の問題につきましては、代替に予定されますのは移転家屋として三十七戸ほど、それに宅地が一・一ヘクタール、その程度のもので金額的には数億の費用がかかりまして、工事費よりもむしろ用地費のほうが費用が大きいよう段階でございます。
  132. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十九年度にそれが着手できる予定なんですか。その辺のめどはどうなんですか
  133. 松村賢吉

    松村政府委員 これは用地取得の進みぐあいによりますけれども、一部でも着手したいということで努力を進めております。
  134. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 一部でも着手して、移転が完了する段階までは河川改修はできないということになると、昭和五十年以降になるというようにわれわれは考えるわけですが、そういう考え方はどうなんですか。
  135. 松村賢吉

    松村政府委員 工事量そのものにつきましては、この部分だけをとりますと比較的そう大きなものではございません。したがいまして用地問題を解決すれば工事は早急にできる予定でございまして五十年度に全部できるということはちょっとむずかしいと思いますけれども、できるだけ早急に、五十年度以降になるといたしましてもあと一年程度でできるように努力したいと思います。
  136. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 応急措置として、本年度災害があるということも予想されるわけですが、新聞等で見ますと土のうを積んでその暫定的な措置を講ずるということのようですが、そういうことでこの辺の中里地区の堤防の決壊とかあるいは災害ということは心配ありませんか。
  137. 松村賢吉

    松村政府委員 これは洪水の程度でございますが、大きな洪水がくる場合には危険をそれによって全部防ぐということはむずかしいと思います。ただしできるだけの措置をやりまして、耐え得る水量をよけいにすると申しますか、できるだけの措置をして、洪水被害をできるだけ少なくしていこうというふうに考えております。
  138. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 河川審議会で一級河川に昇格という——去年も私は河川局長質問しまして、そういうことでお答えがありましたが、建設省としては一級河川に指定をするのは一体いつになりますか。
  139. 松村賢吉

    松村政府委員 まだ実は告示をしたかどうかちょっとここではっきりとお答えを申し上げられませんが、もうすでに指定の準備が済みまして、おそらく告示も済んでいることと思います。
  140. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 告示をすればもう指定と、こういうふうにみなしてよろしいのですか。
  141. 松村賢吉

    松村政府委員 指定をいたしまして告示をするわけでございます。
  142. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうなりますと、今度は建設省の管理下になるわけですが、今後潤井川の改修等については建設省責任をもっておやりになる、このように考えてよろしいですね。
  143. 松村賢吉

    松村政府委員 一級河川でございますので、建設省責任を持つのはもちろんでございますが、ただ、一級河川につきましても、管理区間によりますと指定区間というのがございまして、一級河川全部が建設省直轄ということではございません。したがいまして、潤井川につきましては、直接の問題といたしましてはやはり県が管理者ということに——管理者ではございません。管理者は建設大臣でございますが、これの委任を受けてやる指定区間ということになります。
  144. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 潤井川全体が指定区間あるいは星山放水路から上流が指定区間か、その辺のこまかいことについてはどうなんですか。
  145. 松村賢吉

    松村政府委員 潤井川につきましては全部が指定区間になります。
  146. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 いつも申し上げておりますように、雨期を控えて大沢くずれの扇状地帯にはかなりの土砂がまだたまっておる。それが富士山の雪解けあるいは豪雨、これからの雨期ということで下流に流れてくることははっきりしておるわけですね。したがって、先ほどから申し上げておりますように、一番心配になるのが中里地区の未改修地域であります。民家の移転ということもからんでおるわけでありますが、その辺のむずかしさもあると思いますが、先ほど局長おっしゃったように、五十年度をめどにして緊急な河川改修をする、また本年度に対しても心配のない、住民に不安を与えないような措置をどうか積極的に講じていただきたいと思います。
  147. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまの一級河川の告示の件でございますが、四月十一日付でもって告示しております。
  148. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 以上のことをひとつ強く要望しておきます。  それから大蔵村の事件につきましては、質問通告してありますが、前の議員の方が質問いたしましたので、私は省略させていただきます。  以上で終わります。
  149. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十四分散会