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1974-04-04 第72回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長代理 理事 金丸 徳重君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君    理事 高鳥  修君 理事 諫山  博君       江藤 隆美君    越智 伊平君       瓦   力君    志賀  節君       島田 安夫君    中尾  宏君       旗野 進一君    村岡 兼造君       森  美秀君    綿貫 民輔君       渡部 恒三君    大原  亨君       金瀬 俊雄君    川俣健二郎君       神門至馬夫君    柴田 睦夫君       宮田 早苗君  出席政府委員          総理府総務副長         官       小渕 恵三君         気象庁長官   毛利圭太郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         経済企画庁総合         開発局開発調整         課長      阿川 孝行君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      石渡 鷹雄君         文部省大学学術         局学術課長   七田 基弘君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         農林省農林経済         局保険業務課長 山村弥五郎君         農林省構造改善         局建設部長   福澤 達一君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省都市局区         画整理課長   渡部與四郎君         建設省河川局治         水課長     栂野 康行君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         建設省住宅局市         街地建築課長  救仁郷 斉君         国土地理院長  井上 英二君         自治大臣官房参         事官      栗田 幸雄君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ――――――――――――― 四月二日  豪雪災害に対する特別財政措置に関する請願  (吉田法晴君紹介)(第三四五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  横手市の豪雪による被害対策に関する陳情書  (第四四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 これより会議を開きます。  阪上委員長所用につき、委員長の指名で私が委員長の職務を行ないます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」気象庁より説明を聴取いたします。気象庁長官毛利圭太郎君。
  3. 毛利圭太郎

    毛利府政委員 ただいま御紹介いただきました、この四月一日に気象庁長官を命ぜられました毛利でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  では、お手元気象庁が印刷いたしました「近年における世界異常気象実態調査とその長期見通しについて」御説明申し上げます。  この印刷物をつくりますいままでの経過を簡単に申し上げますと、近年異常気象が話題になることが多くなりまして、昨年四月、気象庁は「近年の世界天候について」という見解を発表いたしました。その後八月から経済企画庁政策推進調査調整費によりまして調査並びにアンケート現地調査をいたしまして、その報告といたしまして約二百ページに及びます報告をまとめつつございますが、その要約といたしまして、三月の末にただいまお手元に差し上げました報告を出したわけでございます。  この報告は六つの項目について書いてございますが、まず、最初の第一ページの異常気象というところにつきましては、異常気象というのは、過去三十年ぐらいの気候に対しまして非常に著しい片寄りを示した天候異常気象として取り上げております。  次に二ページの2の「異常気象年代別変遷」でございますが、これは各地にアンケートを出しまして、また世界の約百五十地点のデータ気象庁で調べました。その結果四ページをごらんになっていただきますと、ここにございますように二つの要素につきまして異常値がどのように最近出ているかということを書いてございます。第一図の左のほうは、月平均気温が過去一九一〇年代から最近の一九六〇年代にかけまして、高温低温出現度数がどのようにあらわれているかを表示しておりますが、これからわかりますことは、低温が一九二〇年、三〇年少しずつふえまして、一九六〇年代は少し多くなっておるということがわかります。  右のほうの図の降水量につきましては、多少の変動はございますが、少雨がややふえる傾向にあるかと存じますが、はっきりした結果にはなっておりません。  次に、六ページにまいりまして、ではこういう異常気象という現象と、近年気候も少し変わってきているのではないかと考えられますが、この気候変動とは、どのような関係になっているかということをここに書いてございます。  七ページの上のほうの図でございますが、横軸に一八九〇年から現在一九七〇年までの北極圏気温を図示してございます。特に点線で書きました冬半年の部分ごらんになっていただきますと、この北極圏と申しますと北緯七十度から八十五度の付近をさしておるのでございますが、大体一九四〇年ごろからそれまで高くなってきた気温が徐々に下がっているということが明らかに表示されております。このような北のほうの、特に北極圏に近い方面の温度が下がっておるということが一つの事実でございます。  そのようなことがたとえば中緯度にあります日本付近とか南方の低緯度地方にどのように影響するかということにつきましては、八ページをごらんになっていただきますと、八ページの下のほうに北半球の上層の風の流れ模図で示してございますが、ハッチをつけました部分が冷たい空気でございまして、aで示しますように、初めどちらかと申しますと東西流れが強くなっておりますが、それがだんだんと気温の差が大きくなりますと、bのように南北に蛇行をしてまいります。そうしましてそれがはなはだしくなりますと、c図のようになって、北のほうの空気が南のほうに動いて、そして南の空気とまじっていくという状態になります。この状態が繰り返されまして、やがてまたaの東西流型になるわけでございます。  八ページの一番上に(1)とございますが、高緯度では寒冷化傾向が強いということ、(2)では中緯度地方ではこのような南北流が多くなってまいりますと、それに伴いまして異常気象を起こしやすい気圧配置となりまして、低温とか高温、あるいは多い雨や少ない雨、こういうような地域的にコントラストの大きい天候分布があらわれてまいりますことを示しております。九ページの上のほう、右の欄の一番下に一九六〇年から六九年にかけまして、次第に南北流が近年ふえているという結果を回数でここに示してございます。  それから九ページの下のほう、低緯度では、北のほうからこのような気象変化気圧の状況の変化が起こってまいりますと、その影響が低緯度に及びまして、場所によりましては新しく砂漠に入りました地域では干ばつなどが発生しやすくなるというふうに考えられます。  次に一〇ページ、4の「気候変動の今後の見通し」でございますが、これも文献によります調査アンケートによります調査、それから気象データを使いました調査をいたしまして、その見通しといたしまして二ページの下から二行目のところに結果を書いてございますが、いろいろの方法によりますその結果は、まだしばらく低温傾向が続くと予想するものが多いのでございます。もちろんこれは、こういう長い気候変動にはある周期があるのであると周期を仮定いたしましたもとの一つの結果でございます。  次に、一二ページのまん中辺に氷期について書いてございますが、氷河期と申しますと、普通申します氷河期というのは、一万年とか十万年とか、われわれから考えますときわめて長い時期の話でございます。われわれ気象庁で、ここで取り上げました気候変動期間と申しますのは、たかだか数十年、長くて百数十年程度のことを検討しておるのでございまして、氷河期とそれからわれわれがここで考えます気候変動期間とは、約二けたも年代の違った尺度現象であるということでございます。  最後に一三ページのところに「結び」といたしまして、そこに結論を書いてございます。  まず(1)でございますが、この異常気象の多くは、数十年から百数十年程度尺度で起こる気候変動結びついていると考えられます。  二番目には、一九四〇年ごろから北半球では極を中心にいたしまして寒冷化傾向が続いておりまして、世界全体として低温異常値がかなりふえてきているということでございます。  三番目に、この三番目が大きな一つ結びでございますが、太陽活動とか気候変動周期性などから見まして、今後十数年ぐらいはこの寒冷化傾向が続きそうであるということでございます。もちろんこれは年々必ず気温が下がるということではございませんで、寒い年もあたたかい年もあるわけでありますが、どちらかと申しますと、寒い年が多いのではないだろうかということでございます。  それから四番目に、中緯度におきましても異常気象のあらわれやすい気圧配置出現度数がふえておるということでございます。  最後に一四ページの五番目のところでございますが、このような寒冷化がどの程度まで進むのかは非常に予測は困難なことでございますが、もし十数年以上も続くとすれば、十九世紀以前の低温期に似た気候に近づくことも考えられるのでございます。しかし、その場合でもいろいろの社会条件生産技術変化しておりますので、その影響はどのようにあらわれるかなかなかむずかしいのでございまして、気候変動の推移にはわれわれとして十分関心を持ちまして、今後その対策を考慮しておく必要があるだろう、こういうふうに考える次第でございます。終わります。
  4. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金瀬俊雄君。
  5. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間があまりないようでございますので、端的に御質問申し上げますので、結論だけでけっこうでございますから、要点だけお答え願いたいと思います。  最初に、地震に対する対策について質問いたします。  現在日本列島の中で南関東地震が起こる可能性があるということで、千葉県の房総半島観測強化地域になっているということが発表されておりますが、現在もそのことは続いているかどうかについて御質問申し上げます。
  6. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘になりました南関東観測強化地域は、東京に近い場所でもございますし、依然として観測強化といたしまして、あらゆる観測を集中して観測を続けております。
  7. 金瀬俊雄

    金瀬委員 現在房総半島は、南西が隆起して北東が沈下傾向を示して、さらにこの傾向が続くであろうということがいわれておりますが、そうした現象地震とどういうふうな関係があるのか、どういう結びつきがあるのか、そのことについて御説明願いたいと思います。
  8. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  大地震は繰り返して起こるということは、これは間違いのない事実でございまして、いつの日にか関東地震が来るとわれわれは覚悟しておるわけでございますが、大体のからくりを申し上げますと、房総半島及び三浦半島関東地震のおりに約一メートル半ほど隆起したわけでございます。その後ここ五十年沈下を続けてまいりまして、この沈下量が、はね上がった一メートル五十の約六割程度まで沈みますと、どうも次の地震が近づいてきたとわれわれは思うわけでありまして、これは本来ならば国土地理院がお答えすべきところでございますが、承っているところでは毎年この測地観測を繰り返しておりますと、ここ五十年間で三十センチほどすでに下がっております。しかしまだ三十センチ程度では、次の関東地震を起こすほど沈下はしていないとわれわれは見ているわけでございます。  ただし、このことは決して東京が安全であるということを意味するわけではございませんで、たとえ関東地震が来なくても、もっと近いところに、たとえ小さくても近いところに地震がございますれば、東京は当然大被害をこうむるわけで、その点は忘れてならないところであるとわれわれは思っておるわけでございます。
  9. 金瀬俊雄

    金瀬委員 房総半島は、地震観測強化地域になっているということでございますので、そうだとすれば、国は観測強化ということでどんな処置をしたか、国の処置をしたことについてお伺いします。
  10. 末広重二

    末広説明員 まず気象庁のとりました点につきましてお答え申し上げます。  御指摘の、南関東観測強化地域に指定されましたのは、昭和四十五年二月でございました。たまたま気象庁はこれに先立ちまして、昭和四十二年より全国の大中小地震監視を強めるべく、新型の地震計配置を始めておりました。そして四十四年になりまして同地域南関東地域地震活動を総合的にとらえ得る情報が、この新しい機械配置から入手できるようになりましたので、これを用いまして、私ども地震活動検測センターという特別な施設を四十五年度より気象庁の本庁に発足いたしまして、この南関東観測強化地域を最重点といたしまして、観測データの精密な解析、そして地震活動異常性発現監視に当たって、現在もこれを続行しております。
  11. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまのは気象庁だけですから、ほかのほうからも……。
  12. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  国土地理院関係におきましては、一つ精密変歪測量というのを南関東一帯についてやっております。その測量はどういう測量かと申しますと、非常に精密な長さを測定する機械で長さの変化をはかる、それから三角形のひずみを計算して、現在どの程度南関東地殻のひずみがたまっているかをはかろうという測量でございまして、これを繰り返し行ないますと、現在南関東でどの程度のひずみがたまっているかということが判明する。そのことから、大体南関東地震のエネルギーがどの程度蓄積されているかということが推定できるということでございます。  それからもう一つ水準測量ということ、これはいまのひずみ測量のほうが水平の変動でございましたが、今度上下のほうの変動につきましては、水準測量というのをやっております。これは国道沿いに大体二キロおきに水準点というのが設けられておりまして、これをやはり毎年繰り返して測量する。大体南関東中心に房総からその付近にかけましてそういう測量を繰り返し行ないまして、それで地殻上下のほうの変動を調べる。そういうことを繰り返しやりまして、その両方から大体いまどの程度地震についての地殻変動が進行しておるかということを調べておる状態でございます。  以上でございます。
  13. 石渡鷹雄

    石渡説明員 科学技術庁におきましては、首都圏直下地震に対処すべく岩槻地区に約三千五百メートルの井戸を掘りまして、その底に地震計を設置し、首都圏直下微小、極微小地震観測昭和四十八年度から開始いたしております。
  14. 七田基弘

    ○七田説明員 文部省関係といたしましては、これは従来東京大学にございます地震研究所中心になりまして、微小地震中心にいたします観測を行なうということになっておったわけでございます。ただ御案内のとおり現在地震研究所に紛争が起こっておりまして、関係者努力によりまして少しずつ平静のほうに向かっておりますが、なおまだそれが落ちついておりません。非常にわれわれ残念でございまして、私どもとしても生懸命現在努力中でございます。そのかわりにといってはあれでございますが、大学サイドとして東京大学理学部東北大学理学部京都大学防災研究所等中心にいたしまして、それに必要な穴埋めといいますか手伝いをするという形でとり行なっております。
  15. 金瀬俊雄

    金瀬委員 観測強化のためにいまどういう——観測方法とか施設とか機械についてはあとで御質問申し上げますが、観測強化ということだから予算がだいぶふえたと思います。どのくらい予算をふやして、どのくらい定員をふやしたか、それを的確に説明してくれませんか。地震観測強化のためにどのくらい予算をふやして、どのくらい定員をふやしたということをはっきりしないと、口だけで説明しても的確なあれがわからないから、このためにどのくらい予算を計上してある、こういうことをはっきり言ってくれませんか。
  16. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  気象庁はもちろん南関東だけではございませんで、全国監視する責務を持っているわけでございますが、このために四十二年度より年間約一億円投じまして地震観測網の向上をはかってきたわけでございます。また人員につきましては、先ほど申し上げました地震活動検測センターを新設いたしまして、二名の人員を常置させて、常に先ほど申し上げましたような精密な地震活動データ解析異常性発現監視に当たっております。四十九年度よりはこの予算がさらに三倍ほどふえていただく予定になっております。
  17. 井上英二

    井上説明員 国土地理院の分についてお答えいたします。  国土地理院につきましては、われわれの測量データがそのまま地震予知に役立つということで、実は私のほうの地震予知地震予知専門にやっておるのではございませんでして、全国測量をやる、その結果として、そのデータを比較することで地震予知ができる。したがって、この測量のやり方をじょうずにやれば非常に地震予知に役立つのじゃないかということで、地震予知専門という考えではございませんけれども、非常に地震予知に役立つというような測量形態をとっております。したがいまして、われわれの予算全体は地震予知に全部かかわっているというようにもいえますし、あるいは一般の公共測量用あるいは地図作成用測量をやっているともいえるわけですけれども、そういうものを含めましてわれわれは地震予知計画の中に含んでいるということでございます。  そういう観点に立ちまして御説明いたしますと、いままで大体年間二〇%ずつぐらいの予算増がございましたが、前年度に四〇%増がありまして総額三億六千万円程度測量費がついているということでございます。  それから施設につきましては、まず四年ほど前に地殻活動調査室というのがつきまして、これが地震予知主体に取り扱っているところでございましたが、四十九年度の予算の内示では新しく地殻活動観測室というのを一室設けることになっております。  以上でございます。
  18. 石渡鷹雄

    石渡説明員 先ほど申し上げました首都圏直下地震予知研究のために昭和四十四年度から四十八年度までに約五億五千万円の研究投資を行なっております。  なお、人員につきましては、この設備の完成に伴いまして、昭和四十九年七月より首都圏地震予知研究室という研究室を新設すべく、現在そういう予定で進めさせていただいております。
  19. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  文部省関係といたしましては、北海道大学、東北大学東京大学京都大学名古屋大学等中心にいたしまして、現在、全体計画といたしまして、地殻変動観測所が十七カ所、極微小地震観測所が十九カ所、それから極小地震移動班が八班等のあれによりまして計画を進めてきたわけでございまして、若干未設置のものがございますので、昭和四十九年度以降これを整備いたしていきたいというように考えております。従来、第二次地震予知計画の時点におきましては毎年大体一億五千万程度の支出をしてきたわけでございますが、昭和四十九年度の予算におきましては五億五千七百万円の査定額をもちまして地震予知研究をやっていきたいというように考えております。  なお、定員につきましては、東北大学理学部関係で二名、それから京都大学防災研究所関係で二名、合わせまして四名の増員を認められております。  なお、関東東海地区地殻変動観測につきましては大体四千百万ほど用意いたしております。
  20. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの観測強化のために特別、予算を組んだというようなことはあまり見られませんが、気象庁はどうやら相当準備してやっておるようですが、二〇%くらいふえるというのは、物価が三〇%上がるのですから一〇%減ったということですよ。それは全然ふえたことにならない。ちっとも地震観測強化のためにふえたということにならないわけですよ。だからそういうことで満足しているとすればたいへんなことになる。  それから、地震はいまの技術で防げるのか防げないのか、それを簡単に説明してくれませんか。防げなければ防げない、防げるなら防げる、どういうことになっているか、簡単にだれか……。
  21. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  一部では地震発生を小さな地震でもって散らしてしまおうという企てもあることはございますが、これは現在まだ夢でございまして、地震発生を食いとめることはできないと、私ども現時点では考えております。ただ震災はあくまで低減あるいは防げると考えております。
  22. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地震発生が防げないということは、これはだれが考えてもわかっておることです。防げないということになれば、地震が起こるということを予知することによって、被害を最小限に食いとめるということが、地震対策の最大の課題でなければならないわけですね。日本全国にどのくらい観測所をつくれば、理想的にある程度予知することができるかという観測所の数があるわけですが、全国地震のための観測所はいまどのくらいありますか。
  23. 末広重二

    末広説明員 お答え申し上げます。  地震に関しまして、いわゆる地震と、これに非常に密接に関係のあります地殻変動は、それぞれ分担して監視しておるわけでございますが、気象庁の分担は大中小——大はもちろん被害地震でございまして、小は、ちょうど地震の真上にたまたま人間がいればやっと感ずる程度の小さい地震でございますが、これを日本の内外で監視するのが気象庁責務でございまして、これが地震予知につながるわけでございますが、このために私ども全国に百十カ所の地震観測点を持っております。
  24. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  地震予知につきましては、文部省にございます測地学審議会中心に、どういうような戦略をもちましてこれを攻めていけば、地震予知が可能になるかということを御検討いただいたわけでございます。その結果、地震予知につきましては、従来の一次、二次の地震予知計画完成に伴いまして、さらに第三次の地震予知の間に、できる限り多くのデータを集めるということによりまして、場合によりますと、地震予知というものがある程度実現する可能性がわかってくるのではないかということで、現在進められておるわけでございます。そういう意味におきまして、第三次地震予知計画におきましては、従来ございました観測点を強化するということをやっておるわけでございまして、文部省におきましては、従来ございました地殻変動観測所微小地震観測所、極微小地震移動班、さらに地震予知地域センター関係の充実を中心にして進めていきたいというように考えております。  なお、現在ございます観測点といたしましては、先ほど申し上げましたように地殻変動観測所が十七カ所、微小地震観測所が十九カ所、極微小地震移動班が八班を目的といたしておりまして、そのうちまだ現在できておりませんのが、地殻変動観測所につきましてはあと二カ所ございます。それから微小地震観測所が一カ所、極微小地震移動班あと一班つくりたいというように考えておるわけでございます。  なお、地震予知につきましては、地球物理地球化学さらに地質と、いろいろの面から攻めていかなければならない問題でございます。したがいまして、この地震予知に直接つながります計画以外にも、文部省といたしましては、たとえば地球の構造を解明するというような意味での国際計画でございます地球内部開発計画というようなものにも積極的に参加いたしまして、日本におきます地震の機構というものが、はたして海洋底拡大説によって裏づけられるものかどうかという点の方面からの攻め方も応やっておるということを申し添えたいと思います。
  25. 金瀬俊雄

    金瀬委員 何カ所あるかということを聞いているんですよ。そんな説明をしなくてもいいから、観測強化のために何カ所ふやしたとか、予算をこういうふうにつけたとか、そういうことを説明すればいいんですよ。いままでやってきた昔のことを言わなくても、こういうことになってからどうした、いま何カ所あってどういうふうになっているということだけ言ってくれればいいんですよ。私の調査では、あなた方の言ったこととだいぶ違っているよ。これはあとで私のほうももう一度調査してみますが、皆さん方のほうも調査してもらいたいと思うんですよ。観測所というものが何カ所かあるでしょう。人間が一人もいないのと人がいるのと、いろいろ分けてあるわけですよ。それを分けてきちんとして、あなたのほうでもう一度検討し直してみてください。どうも総合的な連絡とか、そういうことが全然なくて、地震対策というものが集中的にやられているとは考えられないですね。それでは房総半島観測強化地域に現在どのくらいそういうものを配置しているか、ちょっと発表してみてください。気象庁はだいぶやっていることはよくわかっているから、気象庁はけっこうです。ほかのほうをひとつ。
  26. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  国土地理院につきましては、そのおもな業務は測量でございますけれども房総半島につきましては、館山に一つ観測坑を持っております。そこでは大体常駐で委嘱で一人の職員に頼みまして、地殻変動の連続調査を続けてやっております。
  27. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなた、館山に一人配置してあるかい。
  28. 井上英二

    井上説明員 一人委嘱しておるということでございます。
  29. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ほんとうに委嘱してあるの。
  30. 井上英二

    井上説明員 中学校の先生を委嘱しまして、それで記録を保持してもらっておるということであります。
  31. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうでしょう、井戸を掘って、井戸の隣の中学校の先生に委託してあるんでしょう。
  32. 井上英二

    井上説明員 そういうことでございます。
  33. 金瀬俊雄

    金瀬委員 定員じゃないでしょう。
  34. 井上英二

    井上説明員 委託でございます。
  35. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それで観測強化地域になるの。
  36. 井上英二

    井上説明員 私のほうといたしましては、おもな業務が測量でございまして、その測量に対するチェックをするためにやっております。私どものやっておりますのは、おもに水平の変動、それから垂直、上下変動を実際の現地の測量で調べることが主体でございます。それに対するチェックとしてそういうことをやっておるわけでございます。
  37. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたがいま言った井戸を掘って観測しておるというのは、強化地域になってからそうしたと言うが、井戸を掘ったところ、たまたまその近所に学校の先生がいたから、あなた済みませんが、委嘱してやってくれといわれてやっておるということはわかっている。そのデータをおたくのほうに郵送で送っているね。
  38. 井上英二

    井上説明員 はい。
  39. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それで送らないときもあるね。郵送というのは何日かかる。そこで観測したデータがあなたのほうへ着くまでに何日かかる。
  40. 井上英二

    井上説明員 先ほども申し上げましたように、私のほうはこれは参考としてやっておりますので、郵送でもたとえば一週間とか二週間とか相当かかることもございますが、私のほうは、水平の変動上下変動水準測量によって調べるということが主体でございまして、この地殻変動観測では、大学、気象庁のやっておられるような、そのものを主体に目的としておるわけではございません。ただ参考的にわれわれの測量データの裏打ちとしてやっておりますので、その点御理解願いたいと思います。
  41. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたのほうへ郵送でデータを送っいるわけでしょう。ところがその隣では、いまそういうデータというものは電話線の中に入れると、その日のうちに本部のほうへ機械にどんどん入るようなのが全部できているんだよ、同じ国でだ。電話線の中へそれをつなげば、そのままデータが入るようになっているのだよ。あなたのほうは日本の国の最高の技術を持っておるのに、そういうデーターを郵送で送っているというので、近所の人は、こんなことで地震観測ができればたいしたものだよと言って笑っているよ。そういう観測をやっているんだよ。ほかのほうは観測データというのが電話でツーツーといっているわけだよ。それで予算をふやしたということは考えられないよ。井戸の中に機械を入れてある、それをときどき学校の先生が調べて郵送で、郵便の中に入れて送っている、それをあなたのほうで調べて発表している。  それからもう一つあなたのほうでやっているのは、二千メートルおきに房総の国道へコンクリのあれをつくって、ときどきそれをよくわからない人が調べて回っておるね。あの近所の人は、これで房総半島地震観測ができるのかと言っているけれども、あなたはそれでだいじょうぶと思っておるの。そういう非科学的というか何というか、よくわからない、私も何でこんなことをやっておるのかと思うようなことをやって、それでだいじょうぶだと思っておりますか。それであなたは自信があるかどうか、地震の問題だから。
  42. 井上英二

    井上説明員 ちょっとそれは誤解があるのじゃないかと思いますけれども、大体地殻変動と申しますのは、特にこの地震関係のあるような地殻変動というのは、年に換算しまして数ミリ程度のものであります。たとえばわれわれのやっております三角測量水準測量あるいは長さの測量というのは、大体精度にしましてやはり一センチ程度の精度しか出ませんので、それ以上期間を短くしましても、観測誤差とそれから実際の変動との区別がつかない。これは残念ながらわれわれその精度向上のために非常に努力いたしまして、以前の三角測量に比べまして、たとえば近ごろ使っております光波測距儀を使いますと非常に精度があがってきております。しかし何といいましても、地面の動きというものは非常にゆっくりしたものでございます。そういうものを調べるためには、大体年間数ミリ程度のものでございますので、それ以上こまかく観測しましてもあまり意味がない。そういうことから、どういうことがいえるかといいますと、測量だけから地震予知ができるとはわれわれ思っておらないわけでございまして、測量をやりまして、そのような長い間の地殻変動の状況を調べる。そういう変動を長い間連続して調べていきますと、その間に、これはふだんでも、たとえば海洋底拡大という話がございまして、毎年毎年変動は起こっておるわけでございますが、その変動が通常の変動じゃなくて異常な変動になったときには、地震と非常に関係が深いのじゃないかということで、われわれの測量をやっておりますのは、実は長期予報という感覚でやっておりまして、短期予報ということになりますと、やはり大学あたりでやっておられるような研究、たとえばショルツ理論だとかいろいろな理論がございますけれども、そういう方法を併用しないといけない。したがって地震予知というのは、そういう測量のような長期予報のほかに、あるいは気象庁のやっておられるような問題あるいは大学でやっておる問題、防災センターでやっておる問題、そういうものが総合されて初めて地震予知の実現が可能になるのじゃないかということでございまして、その一つ一つを取り上げてそれ一つだけで地震予知ができるといことは非常にむずかしいのじゃないか、私そのように感じております。
  43. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は、あなたのほうでやっておる実験のところも行くし、房総半島を全部歩いてみたんですよ。あなたのほうは道路観測というのは、調査する水準点というのを二千メートルおきに置いてやっておりますね、そうでしょう。するとほかの学者の意見を聞くと、気象条件とか、温度とか、潮の干満とか、いろいろな条件を入れて、二キロおきにこういうものを置いてときどき調査しただけでは、観測強化ということにならないと、はっきり言っているんだよ。それから井戸を掘ってそこに機械を入れて、それを近所の学校の先生に頼んでデータを送ってもらうということなんでしょう。それだけで房総半島を強化したということでしょう。だからちょっとおかしいと思うけれども、あなたのほうがそういうことで十分であると言えばそれでいいんですが、それは地震研究ですから長期にわたることが必要だろうと思うけれども、そういうことで観測強化がなされたということはちょっと考えられないですよ。  次に、東大の関係文部省に御質問申し上げますが、いま東大で、弥彦と油壷と鋸山で大々的に観測をやっておりますね。それは間違いありませんか。
  44. 七田基弘

    ○七田説明員 間違いございません。
  45. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ここの定数はどのくらい配当してありますか。
  46. 七田基弘

    ○七田説明員 鋸山地震観測所が助手一名でございます。それから——正確な数につきまして私ちょっと資料を失念いたしましたので、後ほどお届けいたしたいと思います。
  47. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は弥彦は見ておりませんが、油壷でも鋸山でも、そういうものを設置してあるのだから、観測所定員というのはあるはずですよ。ところが鋸山の場合でも助手が一人だ。そういうことであると、定数はもっとあるはずですよ。ところが、いま助手が一人しか配当してない。しかもその助手の勤務は二十四時間勤務になっているんだよ。そうすると、鋸山のあの穴の中に入って二十四時間勤務させる、しかも助手に勤務させるということで、観測を強化しているということが考えられるかどうか、それに対する答弁をお願いします。
  48. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  先生御指摘がございましたように、なお定員関係で重視しなければならないとは、私たちもふだんから考えておるわけでございます。ただ、われわれの努力も不十分でございまして、なかなかそこまでいかないということでございます。したがいまして、鋸山、油壷等もそれぞれ助手一名程度のあれでやっておるというのが実情でございます。
  49. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは定数があるはずで、定数だけ配当して、それからきちんとした技師も配当するようにしなければ、ほんとうの観測はできないのじゃないかと、私どもはさように考えております。  それから、単なる観測だけであって、出たデータは本部に持ってきて検討するということであれば、助手でもけっこうだと思いますが、助手がいろいろな観測をするのに一人前になるのには何年かかりますか。
  50. 七田基弘

    ○七田説明員 お答えいたします。  この助手という概念がむずかしい問題でございますが、ここでいっておりますのは、教授、助教授の下の助手ということでございまして、文部教官でございます。助手になります場合におきましては、それぞれによって違うわけございますが、助手というのは、一応すでに一人前の研究者であるというようにわれわれとしては考えております。したがいまして、大体現在助手というのは博士課程を出ておる者でございますので、一応一人前の研究者になるためには五年はかかってきたかというように考えております。
  51. 金瀬俊雄

    金瀬委員 高等学校を出て一人前に観測できるまでに五年ぐらいかかるということですが、地震観測をする養成機関というものがありますか。
  52. 七田基弘

    ○七田説明員 大学関係といたしましては、大学そのものが一つの養成機関であるというように考えておるわけでございます。したがいまして、高等学校を出ましてから、教養部及び学部を含めまして四年、それプラス大学院が五年、そういうことで先ほど五年と申し上げましたのは、大学を出てから五年というつもりだったわけでございます。したがいまして、大体高等学校を出まして九年ないし十年たつと一人前のそういうことをまかし得る研究者ができるのではないだろうかというように考えております。
  53. 金瀬俊雄

    金瀬委員 東大だけではなくて、ほかの観測所でも高等学校を出た人を採用しているのですよ。それが何年たつと一人前になるか、定員増によってこの観測強化したときと現在までの期間でそういう人が養成されてきておるかどうか、実際は養成されずにいままでの人で間に合わしておって、定員もふやしてない、しろうとがやっておるということを私どもは聞かされていますが、実際そういう人を養成しているかどうか。気象庁はけっこうです、気象庁はやっていることわかっているから。ほかの科学技術庁とかそれから建設省のほうでひとつ答弁してください。
  54. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  いままで何べんもお答えしましたように、地理院でやっておりますのは主として測量が主体でございます。その測量につきましては建設大学校というのがございまして、そこで一年間高等学校を卒業したのを測量がみっちりやれるような研修をしております。それから数年たちますと、今度は高等科というのがございまして、そこでまた一年間高度の研修をしている、そういう状態でございます。  それから観測者につきましては、私のほうは先ほども申し上げましたようにただチェックのためにやっておるわけでございまして、これは自動連動記録をとって、その記録を送っていただいて、それをうちのほうのいわゆる測量データと突き合わして、その間にどういう関係があるかを調べている段階でございまして、ちょっとほかのほうとは条件が違うと思います。
  55. 石渡鷹雄

    石渡説明員 お答え申し上げます。  科学技術庁の場合国立防災科学技術センターというところが房総に三地点、それから先ほど申し上げました岩槻の一地点、合計四地点を首都圏南部の観測強化地域のための体制に組み込まれているわけでございます。それで防災センターの場合研究という観点でこの観測を行なっておりまして、いわゆる観測業務のための人員という養成機関あるいは養成ということは行なっておりません。この観測をし、そのデータ解析するという研究そのものがあるいは養成になるかというふうに考えております。
  56. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地震予知連絡会というのができていますね。これは月に何回ぐらい会議をやっていますか。
  57. 井上英二

    井上説明員 お答えいたします。  連絡会の会議といいますのは年に四回程度開いております。これは大学の先生方、それから気象庁あるいはほかのほうの関係の機関の方、全部集まりまして、いろいろいままで集まりましたデータ解析をしていろいろ検討するという会でございますが、われわれのほうに地殻活動調査室というのがございまして、そこがその事務を扱っておりまして、常にそういうところと連絡をとって、異状があればすぐにでもそういうことを開こうというような、いま体制になっております。  以上でございます。
  58. 金瀬俊雄

    金瀬委員 新潟の大地震のときにも私は現場へ行きましたが、おたくのほうのいろいろなことがたいへん役に立って、地震が来る前に避難したとかそういうことはいままで聞いたことはあまりないですよね、正直のところ言って、聞いたことないです。ですから、この地震の予知ということについてはたいへんむずかしいことかもわかりませんが、これは一生懸命ひとつやっていただかなければならない問題だし、特に観測強化ということでたいへん力を入れているようですが、いま聞いてみると、各省といいますか、関係機関が相互に連絡を密にしてやっているということはちょっと考えられない状態ですよね。予算もふえたし、定員もふえた。観測も十分にやっているということをちょっと隣に住んでいる人に頼むとか、郵送で送っているとか、そういうことでは全然役に立たないと思うのです。いま電話でデータをすっと送れるそうですよ。変化しているそのものが本部へ入るような装置ができるそうです。そういうのをもう少し検討したらどうですかな、検討してみたら。  それから今度は時間がありませんので、観点を変えて御質問申し上げますが、せんだってテレビで東京都内の小学校の子供が、地震が来た場合を想定して避難訓練をやっているのですよ。避難訓練の中で、これはNHKでこういうことを言っているのですよ。戦争中の布をかぶって逃げ出す訓練を一生懸命に教えているわけです。ところが、それがちっとも役に立たない。鉄かぶとでなければ昔と違って落ちてくるものが固いものであり、重いものだから役に立たないということをはっきり言っているのですよ。その中で関東大震災のときと比べると、タンクローリーがふえたり、成田空港のように埋設パイプラインができたり、それからそういう燃えやすいものがたくさん東京都内を走っているのですよ。昔から地震被害の九〇%というのは火災による被害だといわれているのですよ。そうすると、火災に対する対策というのはどういうふうになっておるか、きまっているわけですね、だれが責任を持ってどういうことをやっているか、そのことについて御答弁願いたいと思います。
  59. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  消防庁がおりませんので、総理府でお答えいたします。  大震災の場合に一番被害の大きいのは二次災害、すなわち火災による被害かと思うわけでございます。  現在消防庁におきましては大震災火災の対策といたしまして、特に木造密集地帯あるいは非常に地盤の弱い江東地区、こういったところを中心にいたしまして大水槽、耐震性の大きな水槽でございますが、水槽を配置し、さらに動力ポンプを配置するというような大震災火災対策を進めておる次第でございますが、昨年約一億六千万程度予算を四十九年度におきましては十億近い予算に伸ばして大震災火災対策として重点を置いているわけでございます。さらに、こういった火災に対しましては初期消火が非常に大事でございまして、したがいまして自主防災組織といいますか、市民防火隊と申しますか、こういったものを特に町等に編成いたしまして初期消火につとめるというような対策を現在進めておる次第でございます。
  60. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大正大震災のときにも、それから戦災のときも同じですが、人間が最後に助かったのは何か、言ってみてくれませんか。震災でもいい、いま言ったのは地震で起きる被害の九〇%は火災だということをあなたのほうも認めているのだから、人間が最後に大震災とか、戦災で助かったのは何と何か、それを言ってみてくれませんか。何によって助かったか。死んだ人もたくさんいますよ。助った人はどういうことで助かったということを言ってみてください。
  61. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答え申し上げます。  関東大震災の場合に約十四万人の死者、そのうち圧死等による死者は一割そこそこというふうに聞いております。その大部分が火災ということでございますが、これは大きな火災によって、特に関東大震災の場合は被服廠あとに逃げた方々が非常に大きな被害をこうむったというふうに記録等にわれわれ見ておるわけでございますが、やはり的確な避難の場所に逃げるということが大事でございまして、そういったものによって人命が保護されるということで、やはり避難の対策ということが大事であろうか、こう思うわけでございます。現在東京におきましては百二十一カ所の避難場所をつくっておるわけでございますが、さらにこういった避難場所等を拡充いたしまして、たとえば防災拠点避難場所の非常に少ない江東地区等におきましては、その防災拠点を積極的に進めておるというのが現状でございます。
  62. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大震災で助かった最大の原因は水と食べもの、食糧ですよ。避難したじゃないのですよ。水があったことと、昔、その当時は水道がなくてほとんど井戸を掘っていたから、井戸の水で助かったことと、食糧をある程度備蓄してあった人が助かったのです。もちろん避難場所へ行った人はほとんど焼けて死んでいる一避難場所へ行った人はほとんど全滅している。そこで震災で助かるためには水をいかに東京都内に貯蓄するか、食糧をいかに備蓄するかということが一番大事なことなんです。そういう一番大事なことを忘れて避難場所をつくったって、避難場所というのは必ず火が集中しますよ。だからそれでは人間の命というのは助からないのです。だから食糧の備蓄と水に対しては——飲み水ですよ、水道は必ずとまるから。どういう方法をとっているか。そのことについてお答え願いたいと思う。
  63. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答え申し上げます。  現在食糧及び水等につきまして、各地域地域防災計画、たとえば東京でいいますと東京都防災計画というのがございますが、これに基づいてそれぞれの食糧あるいは水等の供給計画を立てておる次第でございます。一つの例を、東京で現在やっております水等の計画を申し上げますと、現在東京で大震災が発生した場合に一人当たり大体三リットルの飲料水を必要とするということで、被害がどのくらいかというのはございますが、たとえば二百万人の被害がある場合に約六方リットル、六千トンでございますが、必要でございます。これに対しまして現在浄水場あるいは給水池、十四の給水池が東京にございますが、こういったものの使用可能水量は三十七万トンほどあるわけでございます。これに対しまして、たとえば東京でいいますと東京の水道局、これはみずからやるわけでございますが、ここに給水車あるいはタンクローリー、こういったものを持っておりまして、水道局あるいは協力機関であります警視庁、あるいは散水車等を持っております清掃局あるいは自衛隊、あるいはそれぞれの特別区、こういったものが給水の車を持っております。こういうもので水を補給するということで、飲料水対策も応その計画を立てておるわけでございます。同様に食糧につきましても、東京都等におきましては相当備蓄をしております。  それから消火につきましては、さっきも申しましたように耐震性の貯水槽を必要なところに埋めまして、そして自動ポンプをつけまして、市民がそれで初期消火に当たるというような対策を消防庁でやっておる次第でございます。
  64. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は中央防災会議というところでそういうことを全部検討して、もう一切の地震対策ができているということを考えて質問申し上げましたが、まだ消防庁とかあるいはその他の官庁とも連絡しなければ的確な答えが出ないということをいま事務の方から話されましたので、これで質問を打ち切りますが、私は小学校一年生のときに大震災にあったんですよ。そのときに、木更津ですが、米とか水は木更津から東京都内に運んだんですよ。そして米とか水を川を通って陸揚げしたんです。それでだいぶ助かったといわれているんです。だからあくまでも地震が起きたときというのは、かん詰めを持っているとか、食べ物を持っておるか水を持っておる人が助かっているんですよ。両方ない人はやはり死んでいるんですよ。これはその後起きた戦災でも同じことなんですよ。だから地震対策というのは、地震の予知がある程度できれば、あとは火災にいかに勝つかということが地震に勝つ最大のかなめになるわけですよ。予知することも大事だけれども、予知することによって第二次の災害を防ぐことが地震対策の最も大きなものであって、その大きなものは人間の命を助けるといべことが大事だと思うんですよ。だから人間の命を助けるような地震対策というものができていなければ、ほんとうの地震対策にならないと思うのです。そのためには、たとえば浦安の海岸の埋め立て地に食糧を備蓄する大きな施設をつくるとか、いろいろなことでやらなければできないと思うのです。もう一度私はこの問題について質問したいと思いますので、地震対策について政府の的確な考え方あるいは対策を検討していただきたい。この次のときにこの質問を新しい観点からもう一度繰り返してしたい、さように考えております。  委員長、時間が参りましたのでこれでやめます。ありがとうございました。
  65. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、神門至馬夫君
  66. 神門至馬夫

    ○神門委員 私は、四十七年七月の豪雨災害に伴う災害復旧と、なかんずく島根県がこの四十七年災の集中的被害を受けました。その中でも特に江川流域の被害が大きかったわけでありますが、それに関連して尋ねたいと思います。  まず最初に総理府のほうにお尋ねをいたしますが、今日の経済情勢の中で、総需要抑制が国の施策の最優先順位をもって行なわれている。そこでこの災害復旧と総需要抑制そのものの関連、これはどういうふうな位置づけをされておるのか、まず最初にお伺いいたします。
  67. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  現在総需要抑制策がとられておるわけでございますが、災害復旧につきましては、基本方針といたしまして補助事業は三カ年、それから直轄事業は二カ年で復旧するという方針がきまっておる次第でございます。したがいまして、災害復旧につきましては、それぞれの復旧関係省庁におきましてただいまの方針に従って予算計上いたしておる次第でございまして、特に災害復旧が総需要抑制等の影響を受けることはないものと考えております。
  68. 神門至馬夫

    ○神門委員 災害復旧という、どう言いますか、緊急で、しかも生活、産業、それらの集中被害を受けたその後に、さらに被害の恐怖におののいている。こういう状況下の復興でありますから、ぜひとも総需要抑制というふうな今日の財政政策がこれに影響を及ぼすというふうなことのないように、これは強く要望しておきます。これは直接島根県当局に聞いたわけではないのですが、新聞に発表した数字を見ますと、四十八年度の公共工事繰り延べが、かつての最高の三〇・八二%に相当する大幅なものが繰り延べになっている。特にその中で、災害復旧工事の関係が三十一億円、やはり全体の繰り延べの総額の割合に匹敵する三一・四%、こういう金額が災害復旧関係として繰り越されておるわけです。それにはいろいろの要因はありますが、しかし、その中で総需要抑制の政策として直接影響を受けた、こういう発表をしておるのですが、いまの回答と食い違う点があるのです。この点はいかがですか。
  69. 田原隆

    ○田原説明員 お答えします。  先ほど総理府の参事官から総需要抑制との関係についてお話がありましたが、ただいま先生の御質問によりますと、三〇%以上災害で繰り延べされておるということでございますけれども、建設省の分につきましては、直轄災害につきましては二カ年で完成する予定でやっておりますが、わずか一部繰り越しが起こっておりまして、これは四十九年度の五月末に完成できる状態になっております。それから補助事業につきましては、三カ年で復旧する目標でやっておりまして、四十八年度は八四%の引き上げをはかる予定でございましたけれども、これにつきましては一二、三%繰り越しが起こっておりまして、これも四十九年度中には予定どおり完成する予定になっております。したがいまして、三一・四という数字は建設省の場合にはございません。ただ、昨年の末からの資材、労務等の事情から一部繰り越しが起こっておる状況でございます。ただ、これはやむを得ず繰り越したのでございまして、計画的に繰り延べしたというような問題ではないわけでございます。
  70. 神門至馬夫

    ○神門委員 計画的な繰り延べでなく、他の要因でやむを得ない繰り延べである、こういう答弁ですが、そのやむを得ない要因の中に、用地買収あるいは物価高騰による補償交渉等が特に難渋をきわめて改良復旧ができなかった、こういうようなことをいっておるわけなんですが、四十九年度予算の中には、そのような繰り延べになった要因を除却するような十分な予算、用地買収とかあるいは基本工事単価とか、そういうようなものが、事災害復旧に関する限り、十分考慮されて予算編成がなされておりますか。
  71. 田原隆

    ○田原説明員 お答えいたします。  建設省の災害復旧に関しましては、いま先生のおっしゃいましたような要素は全部考慮して、四十九年度中に予定通り完成すべきものは完成し、その予定の進捗を上げるものは上げるべく、予算は考慮されております。
  72. 神門至馬夫

    ○神門委員 たいへんな物価高騰、特に石油ショックを起点とする高騰は御承知のとおりです。そこで、この改良復旧に伴う移転補償等——家屋の移転補償ですね、これが工事に伴って必然的に出てまいります。その場合、同じ地域、たとえば堤防のかさ上げ、それに伴う取りつけ道路のかさ上げ、そうしますと、その工事が完工するまではその家は当分どこかに避難して、住宅基盤が完全に造成が終えてそこへ帰ってくる。そうしますと、半年前に補償契約した内容ではすでに原形を復旧することはできない、こういうふうな問題がたまたま出ております。これについては建設省としてもいろいろ善処しておるその努力は認めますが、しかし制度的には追加払いの補償をすることができない、こういうような問題が今後も想定されると考えますが、これらについて全国的にも相当数があると電話で尋ねておるのですが、何らかの方法を考えておいでになるのか、お尋ねします。
  73. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、建設省の直轄の公共事業の施行に伴う用地の損失補償につきましては、物価の価格の変動による差額につきましては追加払いをしないという規定になっております。したがいまして、物価変動の急激な時期における契約締結におきましては、まず諸般の事情を十分に把握しまして、物価変動に即した実勢単価によるということをしております。そうしまして、あわせまして建設業者あるいは資材、低利融資、それらのあっせんを行なうほか、また必要に応じましては、起業者による移転代行、そういうことを行なうことによりまして、実態に即した措置をとるということで、今後とも被補償者が的確な移転の確保をできるようにつとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
  74. 神門至馬夫

    ○神門委員 経済実勢なり物価動向に見合った補償というのが、過去の実績をもとにしますから実際の状況としてはそぐわないわけなんです。ですから、いまおっしゃっているように、代行移転もするんだ、代行建築もするんだというのは新しい考え方だと思いますが、むしろそういう方法でこういう災害復旧が遅延している要因をなくしていくということが現地の状況を見ますと適切なことではないかというふうにも考えます。ですから、制度的に今日追加払いの方法がネックがあるとするならば、そういう点を充実をしてもらったほうがむしろうまく計画が遂行するのではないか、こういうふうにも考えますので、その点十分さらに検討を深めていただくように要望いたします。  そこで、雨季が来ます。そして災害が頻発いたします七−八月という台風季も来るわけですが、この災害特別委員会におきましても去年質問をいたしたところですが、江川と高津川、この災害復旧工事の完工は全般的にいつごろ終わるのか、この見通しについてお知らせ願いたい。
  75. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  江川それから高津川は、昭和四十七年に大出水で大きな被害を受けたわけでございます。その災害復旧工事につきましては、直轄区間につきましては昭和四十八年度に概成する。それで、そのほかの残りました改修工事でございますが、これにつきましては、特に災害の大きかった地区を重点に鋭意促進をはかっていきたい、こういうように考えておるところでございます。  たとえて申し上げますと、高津川につきましては、支川の白上川、それから派川の高津川、これが昭和四十七年に非常な災害を受けたところでございます。ここに最も重点を置いて工事をやっております。  それから江川の下流につきましては、一つは江津地区、それから桜江地区、それから川本地区と大きな地区がございます。  これについてちょっと御説明申し上げたいと思います。  まず江津市の渡津地区でございます。これは江川の河口に近い右岸側でございますが、この地区につきましては、国鉄橋から上流二千メートルの築堤護岸をやる計画でございまして、昭和四十四年度に着手しまして、本年度、昭和四十九年度でございますが、概成予定でございます。  それから郷田地区、これは渡津地区の対岸の左岸側でございますが、国鉄橋から上流六百メートルの区間の築堤護岸でございますが、これにつきましては、昨年度四十八年度に用地買収に着手したところでございます。そして、鋭意仕事を重点的に進めまして、五十二年度に完成させたい。それで上江の川橋を除きますと、五十年度ぐらいに概成させたい、こういうふうに予定をしております。  それから桜江町の川戸地区でございます。これは江川の本川側の地区でございまして、築堤護岸六百五十メートルを計画しておりますが、これは四十六年度に着手しまして、四十八年度に完了さすということでございます。  次に八戸川の右岸地区、同じく桜江町でございますが、これは一千メートルの築堤護岸を実施する計画でございます。これにつきましては、四十七年度に着手いたしまして、大体五十一年度概成を目標にしております。  同じく桜江町の下原地区、これは川戸地区の対岸になりますが、四十九年度、本年度より用地買収に着手したいということを考えております。そうしまして、そのほかに抜本的な改修計画、これはまた別に考えておりますが、一応小谷川水門を除きましては五十一年度概成を目標にしております。  それから川本町につきましては、まず因原地区でございます。これは約千百三十メートルの築堤護岸でございますが、昭和四十八年度から用地買収、それから護岸に着手しております。そうしまして、五十二年度概成を目標にしております。  次に、川本地区でございますが、これにつきましては、築堤護岸、それから内水排除のためのポンプ場、これが計画に入りておりますが、これにつきましては、中小河川改修事業としてすでに四十八年度に完了いたしました。  それから同じく川本町の久座仁地区でございます。これにつきましても、四十七年度に着手しまして、四十八年度に完了いたしました。  次に、三島地区でございます。これは川本町でございまして、因原、久座仁、川本と重点的にやってまいりまして、この三島地区につきましては、新年度、四十九年度でございますが、用地買収に着手する、そして極力スピードアップをはかりたいというふうに考えております。  それから、羽須美村の出羽川地区でございます。これは四十九年度、本年度でございますけれども、直轄の区域延長の予定個所になっております。事務当局としましてもそういうふうに持っていきたいと思っておりまして、今後計画を十分練りまして、できれば四十九年度中に用地買収に着手したい、こういうふうに考えております。  以上、進捗状況の概要を御説明いたしました。
  76. 神門至馬夫

    ○神門委員 いま答弁に出ました江川全体の直轄区域化の指定時期はいつごろですか。大体もう確定的ですか。いつごろを予定しておられるか。
  77. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  四十九年度に区域延長のある個所につきましては、予算が通り次第、区域延長の実施に入っていく運びになります。延長は約三十キロ強でございます。それで、まだ若干、直轄区域としましては中が抜けている区間がございます。これは、ただいま申し上げました羽須美村につきましては、広島県のほう、上流側から約三十キロほど、四十九年度に下のほうに区域延長したい。それから島根県のほうの現在の直轄区域は、川本町までになっておりまして、現在残っておりますのはその中間でございます。それで、その中間の区域につきましては、現在島根県におきまして災害助成工事を実施中でございまして、その完成が一応現在は五十年度の予定になっておりますので、その完成を待ちまして、それから区域延長を、残っております区間につきましては検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  78. 神門至馬夫

    ○神門委員 そこで、いまのような堤防、防災の基本的な計画が大要示されたわけです。たくさんの堤防からはみ出すいわゆる対岸の小集落というのがあちこちに点在しているのですが、そういうようなものに対する対策、これは堤防に守られている部落はよいのですが、その外というのは、これまでの被害よりか二倍にも三倍にも加速した被害度を受けると思うのですが、そういう配慮はどういうふうにお考えになっておるのか。
  79. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  取り残された地区がなお悪くなるというのが一点ございますけれども、洪水流量がふえてくる、同じ雨が降りましても流量がふえてくるというのは、いろいろな要因があろうかと思います。その一つとしましては、上流地域が開発されてくる、たとえば宅地化されてきますと、いままでたんぼで洪水が貯留されておりましたのが、もろに川に入ってくる。また、川原とかが舗装されてきますと流出も多くなってくる。その他森林の問題とか、いろいろな要因が重なって、同じ雨でも流量がふえてくるということでございます。それで、ただいま先生がおっしゃいました、堤防ができて対岸の取り残された地域の人々の災害対策と申しますか、そういう処置でございますが、先ほども申し上げましたが、まず一定規模以上の集落がありまして、築堤等で河川改修ができる個所につきましては、すべて河川改修によって災害を防除していきたいということでございます。小集落で河川改修ができがたい個所、いろいろなケースが考えられます。そういう場所におきましては、たとえば堤防をつくれば守るべきところがなくなるとか、そういう個所につきましては現在それをどうすべきか。どうすれば一番いいのであろうかということを検討中でございますが、そこに住んでおられる地域の住民の方々の意向を参酌しながら、そして、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律の運用なども、そのほかいろいろな方策をあわせて考えていきたいというふうに現在検討中でございます。
  80. 神門至馬夫

    ○神門委員 その問題の関連は、またあとからまとめてお伺いしましょう、たいへん重要な問題ですから。  先ほどの災害助成事業でやらせている区域、これを広島県側からは三十キロ、直轄地域に指定して、島根県の川本町からは五十年を目標にしておるということなんですが、特に直轄問題が、災害復旧の際に問題になりますのは、やはり委託事業、県委託地域と直轄地域との補償の格差がどうでも出てくる、こう言うのですね。ところが、補償基準等でこれは一本化しているのだから、そういうことはないのだ、こういうふうに建設省のほうは言っていますが、現地へ行ってみますと、それが直轄地域指定への強い要望となっている。県としても、一定の金額で広く工事をしたいというような積極的な気持ちから、二月当たりの補償あるいは農地補償等が少なくなるような問題もあるのじゃないかと思いますが、こういうような格差をなくすような何かの指導をおやりになっていますか。
  81. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  ただいまの直轄の区域と、それから県がやっておる区域における用地補償が違うのじゃなかろうかという御質問でございますが、公共事業に必要な土地などの買収金額の算定でございますが、これは建設省の直轄の公共事業の施工に伴う損失補償基準及びその運用方針に基づきまして現在決定することとしておるわけでございます。  また都道府県側が施工する公共事業に必要な土地等の買収金額の算定、これにつきましても、建設省の基準と、それからその運用方針に準拠して決定するというふうに現在指導しておるわけでございます。したがいまして、原則的には同一要因につきましては、価格に差は生じないはずでございます。
  82. 神門至馬夫

    ○神門委員 その問題は、そういう基準になっておるのですが、実際問題として、もう本省のほうでもお聞きになっておる実情にあたります。ですから、その格差が生まれないように何とか措置を講ぜられる必要がありますので、ひとつこれから災害復旧を進めるにあたって、ぜひとも要望いたしておきます。  そこで、先ほどたくさんの堤防サイドによる防災計画が示されました。その中で桜江町の川戸、川本町の因原、そうして川本町の川本地域、その地域におきまして、そこを走っている三江線というのがあります。その三江線と堤防とがちょうど交差をいたします。昨年の三月三十一日に江川の水系工事実施基本計画が決定をされました。それに基づいて計画水高が算出され、堤防もそれに対応するような高さになったわけですね。ところがあの川戸地区を見ますと、堤防天端と線路とは約三・六メートル、因原、川本でやはり三メートル程度の落差があるわけですね。そうしますと、大きな堤防ができましても、その線路上の始末をしないと何にもならない。その中で川戸地区の場合にはいわゆる片一方が、いまの話で、鉄橋があってその三メートル下に鉄道が走っている。その反対側には今度は隧道がそのままつながって堤防より低い位置にある。そうして今度は因原に行きますと、片一方が鉄橋があってすぐ三メートルも下に鉄道が走る。川本の場合はこれまた鉄道がトンネルをもってそのまま堤防の下を走る。こういうたいへんな問題があるわけです。この問題につきましても、去年の質問のときに、非常に重要な問題ですから河川局長にお尋ねしたのです。何とか措置をするという考え方が示されました。問題は土のう等の緊急時の対応ということでは、これはとても三十七年災害を見ましてもものの用に立つとは思われないのですが、どうしてもゲート等の措置をする、あるいはその他の締めくくりをする工事が必然的に必要になっていこうと思うのです。こういう点について、その後一年になりますが、交渉経過なり計画の進捗状況をお答え願いたい。
  83. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がありました鉄道あるいは隧道、鉄道の場合でございますが、天端の高さが三メートル低い、この処置につきましては、建設省としましても、堤防ができてきましたものでできるだけ早急にその処置をしたいということを念願しておるわけでございます。それで、その措置につきましては、鉄道が天端より低いところにつきましては、恒久的にはやはり上まで鉄道も上げるというふうに考えております。しかしいわゆる当面の応急的な処置としましては、やはりゲートあるいは土俵積みによって処置したいということで国鉄と現在鋭意協議したい、こういうふうに計画しております。
  84. 神門至馬夫

    ○神門委員 鋭意検討中もいいのですが、四十八年で川戸地区と川本地区は完了するというふうなお答えでしたね。そうしますともうすでに完工していなければいけませんが、まだ川戸地区の場合には七分のできしかありませんね。ですからこれが一昨年の四十七災程度のものが出ますとずんぶりつかってしまう。しかもたとえば川戸地区にはヒューム管が四本しかないのですね、一メートル直径のものが。これがつかってしまってそのまま水が出ないという大問題が出ます。雨季までに緊急に堤防がかさ上げになったといたしましても、それはあすの問題としてその災害が予定されるのですね。東京で気長に相談をしている段階ではない。これは何か具体的に当面はこういうふうにする、そういうふうにするとするならば、それは地方当局にどういうふうに原因者である建設省が指示をするのか、あるいは国鉄にはどういう具体的な対応を建設省と現地地建と地元局とが協議をして実行するのか、これらがすでに計画をなされていないとこれはむだな万里の長城になってしまう、こういう心配が非常にあるわけですね。ですから、その点でもうちょっと詰めていただかねばならないのですが、その点について国鉄のほうでは、すでに堤防計画は、御承知のとおりでいろいろと建設省とは相談がなされておるようでありますが、どういうふうな認識なり対応の考えでございますか。
  85. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生御指摘のとおり、川戸、因原、川本で五カ所が、堤防によりまして、トンネルを含めまして線路が低くなります。四十七年の十二月に建設省の浜田工事事務所から米子の管理局長に協議が来ておりまして、先ほど治水課長がおっしゃいましたように、国鉄としては、恒久的対策としては線路を全部上げてほしい、それから水につかる隧道についてはルート変更して隧道の高さを上げてほしいというように協議をいま、しております。しかし、これらとて時間のかかることでございますので、それでは緊急の対策として、たとえばゲートあるいは土俵工の協議も来ておりますが、たとえばゲートにいたしますと、レールの取り扱いをどうするのだ、土俵はだれがどこでどういうようにつくるのだというような細部の協議をこれから現地でいたさねばいかぬと思います。今後地元の管理局長に現地の地建の局のほうと打ち合わさせまして、緊急的な対策と並行して恒久的な対策を私のほうから要求していきたい、こう考えております。
  86. 神門至馬夫

    ○神門委員 建設省のほうに要望しますが、どうしても建設省のほうが主導してその協議を進める義務があろうと思います。いつごろを目標にその協議を完成するのか、これは緊急を要します。その目標を一応お示し願いたい。
  87. 栂野康行

    ○栂野説明員 この問題につきましては、相手といいますか、国鉄さんがありますので、建設省といたしましては一日でも早くこの問題を解決したい、ほんとうに一日でも早く協議をしまして結論を得たいというふうに考えております。
  88. 神門至馬夫

    ○神門委員 重ねて要望しておきますが、これにかかわる災害が起きるとするならば建設省は責任がありますぞと、こういうふうに河川法上の責任の所在を私が質問いたしましたときに、河川局長のほうでは、最終的には建設省に責任がありますと、明確に明示しておいでになります。重ねてその点を強調しておきまして、一刻も早くこれをなされないと、去年は幸いにして洪水がありませんでしたが、たいへんな問題になりますから緊急に善後措置をやってもらうと同時に、建設省及び国鉄当局にも緊急な対応策と恒久的な設計、建設、あるいはいま話がありましたような線路のルート変更というような大きな問題があるわけですね。そういうような点の成案をひとつ急いでいただきたい、そして関係の島根県あるいは地元に、住民に安心するような一つの青写真を示してもらいたい、この点を要望しておきます。重ねてまたこの災害特別委員会で経過をお尋ねいたしますので、ひとつ要求をしておきます。  それから木村前建設大臣が現地に来て防災都市の建設等を約束をいたされました。それに伴って、モデル地区として川本町、桜江町の川戸地区——川戸地区におきましては区画整理、川本町におきましては人工土台と申しますか、げたばき住宅構想というものがなされて、該当住民はてんやわんやの今日的状況にいまあるわけなんです。今日の状況なり見通しはどうですか。それぞれ関係局のほうでお答え願いたい。
  89. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 住宅地区改良事業につきましてお答えいたします。  川本地区につきましては四十七年の災害で非常に甚大な災害を受けたわけでございまして、それの対策といたしまして、四十八年の六月に住宅地区改良事業の地区指定が行なわれております。ただし、これにつきましては、当時は町が事業を行なうという趣旨のもとに、町からの申請でございましたので、現段階ではこれを県施行に改めるべく準備手続を進めているわけでございます。したがいまして、その後、地区住民の方々と県あるいは町が一緒になりましていろいろなお話し合いをしているようでございます。その中で、先生御指摘の人工地盤構想というようなものも出てまいっておりますが、これはまだ最終的な、確定的なものではございません。  まあそういったことで、先生御指摘のように、地区住民の方々も、一体どうなるんだろうかというような不安を持っていられることも私どもも承知しておりますし、できるだけ早く、県、町一体となって、地区住民の方々とのお話し合いを進めて一刻も早く事業に取りかかれるようにというような指導をいたしているわけでございます。
  90. 渡部與四郎

    渡部説明員 桜江町川戸地区の土地区画整理事業の見通し等についてお答え申し上げます。  先生御承知のとおり、昭和四十七年の七月の豪雨災害発生以来、県及び町から、河川復旧とあわせまして被災地のうち中心地区の川戸地区の五・五ヘクタールにつきまして土地区画整理事業によって復興したいという要望がございましたので、直ちに関係当局で調整を始めまして、まず都市計画法の手続が必要でございますので、都市計画地域の指定を四十八年の十月にいたしまして、さらに土地区画整理事業の施行区域をきめなくちゃいかぬわけでございますが、それを四十九年の一月に手続を行ないました。これに引き続きまして土地区画整理事業のいわゆる事業計画をつくるための測量とか調査とか、それから関係方面との調整もやりまして、一月三十日にいわゆる原案は作成されまして、今年の三月二日から二週間、事業計画案につきまして縦覧を行なっておるわけでございます。十三件の意見書が提出されたわけでございますが、これらにつきましては島根県の都市計画審議会で五月ごろ検討されるわけでございますけれども、地区住民の方々は区画整理についてきわめて協力的でございますので、何とかこれらについて処理いたしまして、九月早々、本格的な工事、事業に着手したい、こう考えております。これでいきますと、五十一年ごろには完成するように考えております。  なお、予算的には四十八年度から、調査、設計等から始めましてつき合っておりまして、四十九年も、そのようなわけで、工事ができる限度までは予算を配賦したい、こういうふうなことで御協力申し上げたい、こう思っておるわけでございます。
  91. 神門至馬夫

    ○神門委員 非常に積極的な意思でこの川本、川戸両地区の区画整理なり住宅計画がなされておるわけなんですが、問題は、被災地ですから経済余力はない。借金でそのような新しい計画にはとても対応するだけの力がない。そういうわけで、どうしてもその用地買収を高く補償してもらって、それが個人の負債にはね返らないようにというのが関係該当地区の住民の願いで、もめるのはやはりそこなんですね。ですから、それらについて建設省のほうで制度的に助成の、たとえば区画整理の場合にかさ上げ助成の制度がないとするならば、いわゆる用地買収を、新築するのに見合ったように、たえ得るように金額をきめるかどうかという点にあると思うのです。これらについても建設省として十分配慮する用意がある、こういうふうにお答えいただけますか。
  92. 渡部與四郎

    渡部説明員 お答え申し上げます。  先生も御存じだと思いますが、都市災害として区画整理を行なう場合に、区画整理法施行令の六十六条一項七号でございますけれども、被災面積が十ヘクタール以上あって、かつ五百戸の建物がなくてはいかぬ、こういうことでありますと、いろいろかさ上げその他について、いわゆる盛土全般について配慮ができるわけでございますが、実はこの地区は、先ほども申したように、五・五ヘクタールで五百戸に満たないわけでございまして、現在私たちが持っております公共団体施行土地区画整理事業補助という、いわゆるガソリン税関係からの補助をやっておるわけでございます。そういう点で、現在地区内にできるだけ住民からも喜ばれるようなバス通りなんかも入れました街路も密に入れまして、それをつくるという、限度額でできるだけ、いま先生がおっしゃったようなかさ上げ、いま三メートルほどを考えておりますけれども、それから建物補償、そういうものを応援したい、こういうふうなことで考えております。
  93. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 住宅地区改良事業につきましては、先生御承知のように、一たん買収いたしますが、その買収した建物につきましては、一部はまた地元の方々に還元して譲渡いたします。それから、残った譲渡を希望しない方々には改良住宅という形で賃貸いたします。そういう関係で、当然これは正当な補償基準に基づいて買収させていただくということに相なります。また、そういった地元の負担をなるべく軽減するようにということで、分譲を希望される方々には住宅金融公庫の低利融資、それから店舗等の分譲を希望される方には、通産省の中小企業の近代化資金の導入をはかりまして、先生御指摘のできるだけ地元の方々の負担を軽減するように、事業計画の上で考慮してまいりたいと考えております。
  94. 神門至馬夫

    ○神門委員 災害から今日まですでに二年になるわけですが、二年になって工事に着工できないという原因はすでに建設省でも把握しておいでになると思います。ですから、その点の根本に何があるのかという点は、先ほど申しましたように、個人に借金としてはね返らないような施策をどう考えていくのか。これは、一つの基準がありましても、裁量によってでき得ることではないか、こういうふうに思いますので、この点は強く要求をいたしておきます。  それに伴って、ここの三江線が三江南線、三江北線に分かれておりまして、中間が今日建設中であります。この三江線の開通見通しは四十九年度中ということでありましたが、少しずれるようであります。今日の状況ではどの辺に開通の見通しがあるのか。
  95. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生御承知のとおり、これは鉄道建設公団で施行しておりますので、私のほうは協議を受けておるわけですが、当初は五十年二月か三月、こう聞いておりましたが、若干おくれておるように聞いておりますが、詳細はちょっと承知しておりません。
  96. 神門至馬夫

    ○神門委員 それではこの三江線問題は、お尋ねしたいのですが、時間がありませんので、鉄道敷設法等の大きな問題もありますから、またの機会に運輸委員会等やっていきたいと思います。  そこで、先ほど来ずっと災害復旧の関連をお聞きしましたが、たとえば万里の長城のような堤防ができて、囲われた中の集落は、夏になりますと、すりばちの底のような蒸し蒸しする暑さになる。しかも耕地というのが大部分なくなっております。あるいは線路と堤防との交差するところ、それをゲートあるいは恒常的には取りつけルートの取りかえをしなければならぬ、これはたいへんな金であります。一つの部落の例を見ますと、堤防によって守られる戸数をかかった経費で割りますと、二月当たり二千万、三千万かかる。しかも対岸は裸にされる。中に囲われたところは耕地がない。いわゆる生活基盤が失われる。こういう矛盾というものが、この流域全体の改良復興の中で、積極的な建設省の意思とは反して出てくるわけですね。しかも、そういうふうに堤防、護岸等が近代化いたしますと、水の流れの速さが変わって鉄砲水になる。小量の雨量でありましても、下流は非常に大量の水量となって、速さも増して被害はますます大きくなる、こういう状況が出ます。そしてさっきも、裸になって点在している小集落はどうするのかという点について、計画検討中というのでありますが、これもあした大洪水が起こる可能性もあるわけです。  そうしますと、それら全体の問題を一体どういうふうに考えて、治水対策としての防災が、そこに人間生活を営むことのできない、生活基盤、産業基盤というものが失われるとするならば、はたしてその防災改良工事として用をなすのかどうかという重大な問題があるわけです。私ども現地を見て、そう思います。建設省もそういうふうにお考えになっていると思う。  そういうさなかに、去年から経企庁が中心になりまして江川流域の総合開発調査というものをおやりになっている。それらはそのような、たとえば小集落の対応、どういうふうに生活基盤あるいは産業基盤等も伴ったような集落移転なり造成をしようという考え方があるのか。あるいは堤防防災といべものの限界を、ダムサイトによって洪水調整をしていこうという大々的な計画があるのか。この地域におきましては、岩崎ダムという、あそこに大きな発電ダムを建設するという計画がありまして、地域は両論に分かれて沸騰したことがあります。四十七災以後、また地域でそういう議論が再燃した経過もあるわけです。  でありますから、いまおやりになっている計画、これは企画庁が中心になっておやりになっておるようですが、四十八年度は四千万、これを一億数千万かけて継続的に調査していこうということで、大々的なアンケート等もなされておる。地域住民としては、堤防ができて地域環境条件がまるきり変わってしまう。あるいは生活基盤が変わってしまう。それに引き続いてまたアンケートが進められる。この大きな人造湖によって埋没するのではないだろうかというような不安も実は出ておるわけです。  この際、今日進められている災害改良復旧の実態が大体示されましたから、そのような調査と、これに伴なう江川流域の総合開発計画はどのようなものであるのか、これは、経企庁、中心的になっている建設省、農林省、それぞれからお答え願いたいと存じます。
  97. 阿川孝行

    ○阿川説明員 お答えします。  江川水系下流地区につきましては水害の常襲地帯でございまして、特に四十七年七月の豪雨によって、農地の流失あるいは先ほどから申されております市街地を含めた施設の荒廃等多大な被害を受けておりまして、当該地域の生産活動及び生活基盤について大きな被害影響を与えておるわけでございます。こういうことがこの地域の過疎化を一そう助長しておるという状態であると思います。こういった状況で、当地域の災害復旧と関連いたしまして、過疎地における新しい村づくりをどうしたらいいかというようなための、総合的な開発計画を早急に樹立する必要があろうというふうに考えております。  先ほど申されました、企画庁の調整費を使います本調査は、農林省におきましては、地域住民を中心としました意向調査、一体地域住民がどういうふうにこの地域をしてもらいたいのかというようなこと、建設省におきましては、先ほどから申されます川本町をはじめ市街地の再開発及び小集落の防災のあり方、こういったものの調査をそれぞれ分担して、両省の共同調査によりまして、なるべく早く総合開発計画を策定しようという調査でございます。この調査の結果得られました総合開発計画の内容を、将来過疎化地域の集落防災あるいは環境整備等の諸施策に反映させていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほど後段の御質問の、かつての大型ダム構想との関連はどうかということにつきましては、特に四十七年の大災害にかんがみますと、やはりこの地域の住民の安全をはかるためには、ダムによります洪水調節の必要性があるというふうにわれわれ考えておりますけれども、本調査は過疎地域の新しい村づくりの総合的な計画を策定するものでございますので、そういったモデルケースとして実施しておるものでございまして、かつてございました電力中心の大型のダム構想とは関係ございません。
  98. 福澤達一

    ○福澤説明員 江川下流の地域開発計画につきましては、私ども農林省といたしまして、昭和四十八年度には、先ほど御説明ありましたような企画庁予算、国土総合開発事業の調整費をいただきまして、建設省と共同調査を実施しておるわけでございます。  そのうち、農林省の調査につきましては、先ほど来問題になっておりましたように、連年のあの江川周辺における大災害に基づきまして、そこの地域の住民の人たちの生活の基盤を失われて、しかも生産の今後に対する非常な不安が醸成されておるという実態につきまして、その内容を十分把握しなくてはならない、そしてそこに住んでおられる人たちが、これはすべて農業関係に従事しておる人とは限らないと思いますので、おそらく、この調査につきまして、農業に将来とも従事してやっていきたいとか、農業に転換したいとか、そういう方々の意向というものも私ども中心として考えていかなくてはならないと思います。しかも、この地域に住んでおられる人たちというのはおそらく、いままでこういう商売をやっておったから今度は農業にどうですかと、こういう簡単な形でその地域の人たちの気持ちというものを呼び込むと、そういうわけにはまいらぬと思います。だから、その人たちの気持ちというものを十分くみ上げて、そしてその結果、地域の住民の人たちの意向が、農林業を中心として適当な方向によって将来自分たちの生活が再建できる、こういうような意欲を持たれた方々に対して、農林省としては何とかその対案を考えて措置をしていきたいというように考えておるわけでございます。
  99. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 ただいま経済企画庁及び農林省からお答え申し上げましたが、建設省もその一端をにないまして、予算約千五百万円の調査をいたしておるわけでございます。  建設省分につきましては、江川の下流域につきまして、単なる町の整備あるいは防災計画というだけではなくて、農林業を中心といたしました生産基盤あるいは江川の総合的な防水防災対策というようなものを踏まえた上で、沿線のいろいろな集落がございます。先生御指摘のように、相当大きな再開発を必要とするような集落もございますし、あるいは移転を必要とするような集落もございます。そういったいろいろなモデル地区につきまして、どういった方向でこういった基本的な集落整備の問題をとらえていくべきかというようなことにつきまして、調査をいたしました。そして、できる限りそういった方向で、基本的な対策の方向を見出したいというような目的でやっておるわけでございます。
  100. 神門至馬夫

    ○神門委員 時間が来ましたから終わりますが、先ほど裸になった小集落ですね、堤防の特に対岸地域、これらの被害区域というのは、もう一ぺん災害が来ますとこれはたいへんなことになる。これは目に見えております。それらの問題は検討中であるということでありますから、早急にこれをもひとつ具体的にしてもらう。また、総合的なものが調査の中で出た結果計画化される。そうしませんと、せっかくのこの防災投資そのものが実は生きずに、むしろ過疎化を進める要因にもなりかねない。こういう点がたくさんあります。ですから、私たちも積極的に前向きの、住民意思を尊重したそのような総合開発を前提とする調査、開発には協力をしてまいりたいと思いますので、前向きの姿勢で、災害改良復旧とあわせて開発計画、これを示していただき、進めてもらうように、この点をひとつ要望いたしまして、質問を終わります。
  101. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、川俣健二郎君。
  102. 川俣健二郎

    ○川俣委員 豪雪の騒動というか、国会、政府あげて調査なりその対策に当たったわけですが、きょうはひとつ、多くの政府委員は他の委員会なり参議院に引っぱられておるので、私も承知の上で、事務当局と具体的な手だてを、短い時間をもらいましたので、ちょっと三点ばかり伺います。  というのは、豪雪は災害を起こす重大な要因である。いわば、論理は合わないのですが、豪雪イコール災害であるという確認で、この前、総務長官の豪雪に対する対策の方針にありましたが、そこでまず、一応降り続く雪はやんだわけです。そこで除雪費の問題は、さきに交付された特別交付金でおりたわけですが、各個人の除雪費は、当然雪の国の人々の必要経費ではないかということで免税ということで、単なる雑損控除だけじゃなくて、必要経費として頭から免税措置をとるべきだということで、どうせこれは来年の三月十五日の申告の中に入るわけですから、この点は、この前論議しましたので略します。  今度二つ目は、これから雪が消えると農業災害との戦いになるわけですが、たとえば、皆さん方に委員会から調査してもらった秋田などは、五十三億の農業災害のうち八八%が果樹であるという状態で、農林省も承知の上だと思います。それからさらに、完全に消えて農業災害がはっきりするまでの間に今度はなだれという現象が起きておるわけです。このなだれ現象、雪なだれという現象は、災害委員会として窓口である経企庁はどういうように状況をつかんでいるのか、一体全国にどのぐらい発生しておるのか、こういった面を伺いたいと思います。  そこで、具体的に入る前に参事官に、その衝に当たっている事務当局に伺いますが、たとえば今回のあの豪雪に、いろいろ見た結果、各法律があるわけです。災害救助法がどうの、激甚法はなかなか容易でないのと、こういっているわけです。それじゃ、ここでひとつ天災融資法というのは当然適用になるべきだというように判断しておるのかどうか、この点を伺います。
  103. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  豪雪に対しまして、もろもろの災害関係の諸法律の適用状況等についての御質問でございますが、まず初めに災害救助法の問題でございます。これにつきましては、現在災害救助につきまして、県知事がいろいろと判断いたしまして、災害救助の必要がある場合にそれを施行するわけでございますが、今回の豪雪につきましては、厚生省等につきましても、県知事からの災害救助の発動等につきまして協議等がなかったものというふうに聞いております。  それから天災融資法の関係でございますが、これは農林省所管でございますが、現在その情報統計部のほうでいろいろと現地を調査しておるようでございます。農林省等におきましても、前向きの方向でこれを調査しておるということを聞いております。  それからさらに激甚法につきましても、同じ調査でございまして、農林省の調査を待って対処したいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 川俣健二郎

    ○川俣委員 もう一度参事官に確認しますが、あなたの判断で、天災融資法はやはり適用に値するというように判断をしておるのかどうかということですね。これは担当のそっちのほうでもいいですよ、窓口があれだから。どうなんです、それを確認したい。  それからもう一つは厚生省に聞きたいのですが、これは政府委員がいないから、かわりにどなたでもいい。災害救助法は県知事から申請なかったか、これを確認しておきたい。
  105. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答えを申し上げます。  今回の雪害でございますが、果樹等の樹体被害中心であるように見受けられるのでございます。その果樹等につきましては、雪の解けた融雪時を待たないと被害額が確定しがたいという事情もありますので、ただいま統計情報部とかあるいは都道府県等から情報を待ちまして、その調査結果の判定を待ちまして、前向きに発動するというような姿勢で検討しているのでございます。
  106. 川俣健二郎

    ○川俣委員 災害救助法のあれがあったかどうかは、時間があまりありませんので、あとの果樹の問題で質問します。  それじゃ農林省に、果樹の問題ですが、果樹共済制度が農業共済制度に入って一年。本格的に制度化して一年。一体、全国的に見て、さらには雪国の東北のほうの加入率等の点とか状況をちょっとお話し願えませんか。
  107. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  果樹共済につきましては、温州ミカンとナツミカンとリンゴとブドウとナシと桃があるのでございます。そのうち雪の国に関係するものにつきましては、リンゴとブドウとナシと桃でありまして、特に雪害を受けておるんじゃないかと考えられるのはリンゴでございます。  リンゴの全国の引き受け面積は、収穫共済のほうにありましては九千二百六十ヘクタール、それから樹体共済——木それ自身に損害があった場合に共済に付されるというものが樹体共済でございますが、樹体共済の全国の引き受け面積が八百五十四ヘクタールでございます。そのうち、今回豪雪地帯と思われる東北六県と新潟県の合計を見ますと、収穫共済で六千五百二十四ヘクタール、樹体共済で八百二十九ヘクタールというような状況になっておるのでございます。
  108. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで聞きたいのは、本制度発足後一年を経たわけだが、ひとつその加入の状況を聞きたいんだよ、そんな数字を並べるだけでなくってさ、どういう加入率だという……
  109. 山村弥五郎

    ○山村説明員 加入の状態でございますが、引き受け率と——私がこれから申しますのは引き受け率でございますが、この果樹共済を行なっている当該県の結果樹面積に対する共済の引き受け面積の割合は、ただいま申し上げました東北、新潟県で合計で、リンゴにつきまして一八%、それから樹体共済では一四%という成績になっております。
  110. 川俣健二郎

    ○川俣委員 二割に満たないわけですが、ひとつこれを——まあ私自身も非常にこのPRに動いておるわけですが、算定の基礎は私は持っていますが、一つの例で、秋田なら秋田でもいいのですが、収穫共済と樹体共済と分けて、どのぐらいの掛け金で、今回のようにほぼ全滅という場合はどのぐらいの保険金がおりるのか、聞かしてくれませんか。
  111. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  秋田県を例にとってみますと、収穫と樹体があるわけでございますが、収穫共済につきましては基準収穫金額というものが約六万五千円になるのでございます。それに対して付保割合、こちらのほうで共済にかける金額でございますが、それが七〇%でございますので、共済金額というものが四万五千四百円になります。それから掛け金が三・二五%でございますので、金額といたしましては千四百八十円。ところがこれに対しまして国が二分の一を補助しておりますので、農家負担は七百四十円になります。  このように十アール当たり七百四十円をかけた収穫共済が損害を受けた場合どういう支払い状態になるかと申しますと、十割被害を受けた場合は、共済金額の全部でございますので四万五千四百円、七割の場合は二万六千三百円、五割の場合は一万三千六百円というような計算になるのでございます。  もう一方、樹体共済でございますが、この樹体共済のほうは、収穫共済の基準収穫金額に対しまして換算率をかけます。秋田県の換算は二・二倍でございます。それに対しまして、先ほど申し上げました付保割合が収穫共済に比べまして一〇%高く八〇%でございますので、その付保割合の八〇%を乗じますと共済金額が十一万四千二百円になります。掛け金のほうはずっと低くなっておりまして〇・六%でございます。したがいまして掛け金総額は六百九十円、これに対しまして国が二分の一の補助を持っておりますので、農家負担は三百四十五円ということになります。これらの樹体共済が損害を受けた場合には、十割被害の場合は十一万四千二百円、七割の場合は七万九千九百円、五割の場合は五万七千百円ということになるわけでございます。つけ加えますと、収穫共済の場合は損害額が三割をこえた場合でありまして、樹体共済のほうは損害額が一割をこえた場合に共済金の支払いの対象になるという仕組みになっておるのでございます。
  112. 川俣健二郎

    ○川俣委員 一つの例でしょうが、収穫共済、いわゆるリンゴの実、七百四十円かけて全滅の場合約四万五千円、今回はほとんど全滅のわけだ。だけど今度見ていただく地区は一八%じゃなくて約七割くらいの保険金加入率のようだから、この点は問題がないのですが、そこで私は制度として伺いたいのは、収穫共済の場合は三割から出発しておる、樹体共済の場合は一割から出発しておる、こういうふうに変えた理由は何でしょうか。  それから二つ目は、樹体共済の場合に——これから見てもらうのだから、これが非常に大事なんですよ。樹体共済の場合には、枝折れじゃなくて、主枝のところから折れるというのを見てもらうわけですけれども、その場合に、これはほとんど全滅だ、しかし精農の農家は何とか保険は全額もらったが、植えかえということがあり得る、その場合は制度としてはそれをとがめないのかどうか。どうですか。
  113. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  収穫共済のほうは、毎年毎年収穫しまして、その農家の収入になるということでございますので、保険の設計上損害評価の技術の問題とか自家保険能力の問題とかを考えまして、農作物共済と同じようなかっこうで、三割をこえた部分を共済金の支払い対象としているのであります。  一方樹体共済のほうは、その農家の財産というような考え方のもとに、できる限りめんどうを見ましょうというふうなかっこうで、一割以上の損害につきましてめんどうを見るという仕組みになっているのでございます。それから植えかえの場合でございますが、雪害によりまして被害を受けた場合にはその対象になるわけでございますが、その被害状態すべてがその農家の一割をこえるというような状態でございまして、主枝が折れて改植しなければならないというようなものがその共済事故の対象になるという仕組みになっているのでございます。
  114. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると植えかえしてもよろしいということだな。
  115. 山村弥五郎

    ○山村説明員 非常に技術論的なお話でございますが、共済事故のほうにつきましては、枯死、流失、滅失、埋没、損傷というようなことでございまして、枯死とか流失とか滅失とか埋没とかいうようなものは全損というようなかっこうになりますが、損傷の場合には全損というようなかっこうにならない場合もあり得るのでございます。そのような場合につきましては、現在のところ省令等で定めがありまして、その損傷が、主枝が折れまして、かつその程度状態が、その損傷を受ける直前における樹冠容積の三分の二以上の部分にわたる程度の損害を受けた場合にその損傷の対象になるということでございます。したがいまして、途中でそれを農家の方々が切り取られますと、三分の二であるか全損であるかの区分が非常にむずかしくなります。したがいまして、現在私のほうは本年度初めての損害評価のことでございますので、二月の中旬に担当者会議を開いたり、あるいは三月の下旬に担当者を現地に派遣などいたしまして、本年度本格的実施後初めて行なう損害評価について技術的な指導をしておるのでございます。したがいまして、いまの御質問のように切り取った場合はどうなるかということでございますが、切り取る際には必ず共済組合等のほうに連絡をしていただきまして、損害評価員等の認定等を得まして、組合等でこれを切ってよろしいかどうかというような判定、いわゆる損害額の判定を受けた後に切り取っていただくというように私のほうで現地を指導しておるのでございます。
  116. 川俣健二郎

    ○川俣委員 三分の二、ここが非常に技術論的にむずかしいのだと思いますが、それで一体現実の問題——今度制度からはずれて現実の問題です。委員会としては、近く委員会の意思決定で御調査願えるようですが、一体技術的な調査をして、具体的にいえば保険金はいつおりるのですか。
  117. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  樹体共済の共済責任期間は一年間でございます。したがいまして、現在のところ私のほうで定款等で示しまして指導しておりますのは、収穫共済の共済責任期間の始期と同じくするということで、秋田県は七月一日じゃなかったかと思います。したがいまして、樹体共済の終期は六月末日になります。われわれのほうの制度といたしましては、その共済責任期間が終了後、すみやかに損害評価をいたしまして、共済金支払いの手続をするものというような状態になっているのでございます。ところが、このような被害が激甚な場合には、必要に応じまして共済金の仮渡しという制度がございますので、今回の豪雪を受けておる地帯に対しましては、三月七日に仮渡しを必要に応じて行なうようにという指導をしておりまして、被害農家の方々に共済金が仮渡し等の方法で一日も早く支払われるよう指導しておるところでございます。
  118. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その仮渡しあるいは仮払い、これは制度には書いてあるが、運用なんで、なかなか課長が言うようにそんなにするっといかないのだ。それで、一応今回はそのように仮渡し方式はとられる、とりつつある、とっておる、三月七日に流したんだから。それを確認していいですな。
  119. 山村弥五郎

    ○山村説明員 はい。
  120. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それはどこが立てかえておるのか、立てかえるのか。少し技術的に言ってみてくれませんか、地元じゃ混乱しておるので……。
  121. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  仮渡しは、雪が解けまして木の全体の姿が地上にあらわれて仮損害評価ができるような状態でないと仮渡しの根拠になる損害査定ができないわけでございます。したがいまして、現地につきましては、雪が解けましたならばすみやかに仮損害評価を行なうように指導しているところでございます。現地といたしましては、初年度のことでございますので、どういうかっこうで被害が出てくるのか、どういうかっこうで損害評価をしたほうがよいのかというようなことについていろいろと御苦心しておるのじゃないかと思っておりますので、私のほうといたしましては、できる限り技術指導をするというかっこうで、先ほどお話しいたしましたように、三月の下旬に係官を派遣し、また雪が解けまして各組合等で損害評価が始まる時期には、係官等を派遣いたしまして現地指導いたしたいというようなことで、組合等が仮渡しをちゅうちょするようなことがないように強力に指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  122. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ぜひそれをお願いしておきます。  そこで、今度は具体的なあれから離れて、制度論なんですが、課長、この共済制度がこの地区は七〇%も入っているようだから、まず成績優秀なほうなんですが、全国で見て一八%というのは、まだ制度発足以来だからたいしたあれじゃないのですが、農業共済全体を見ても共済に入らないというか入りたがらないというか、なかなかあれだというのは、もらう人はいつでももらって、もらえない人はいつでももらえないという——それは災害がないからいいのじゃないかということになるわけだが、それが一つ。  もう一つは、今回リンゴのときに特に私は感じたけれども一生懸命に樹体を守っている人はある程度、十割を全滅させないでとどめることができた人もいるのです、手をかけた人は。ところが、頭からリンゴをほうって、出かせぎその他に行った人は全滅なのです。いわゆる精農が共済にあやかることが少なくて、惰農というか、これがあるんだ。課長、これは共済制度をなじませる意味で一考を要するよ。どうですか。
  123. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  第一点の引き受けの問題でございますが、私が七〇%と申しましたのは付保割合でありまして、価格に対する共済の共済金をかける割合が七〇%でございまして、引き受け率のほうは、東北六県と新潟県のリンゴにつきましては、収穫共済が一八%、樹体共済が一四%の引き受け面積から見ます引き受け率はそのような状態になっておるのでございます。引き受け率……
  124. 川俣健二郎

    ○川俣委員 違うんだ。よく聞いてくださいよ。七〇%というのは、さっきの七〇%と偶然に合ったから七〇%というんだけれども、この地区の大体の加入率は七〇%だというんだよ、事務当局は。そうだろう。どうですか。
  125. 山村弥五郎

    ○山村説明員 東北六県と……
  126. 川俣健二郎

    ○川俣委員 東北六県じゃないよ。今度調査するところだよ。
  127. 山村弥五郎

    ○山村説明員 私のほうは、共済に入っているところのみを調査することになりますけれども……
  128. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ちょっとメモを教えて……。調査する地域はきまったんだろう。あまり機械的に答えるなよ。
  129. 山村弥五郎

    ○山村説明員 お答え申し上げます。  横手地区につきましては、七〇%程度の引き受け状態でございます。(川俣委員「そういう前提で答えればいい」と呼ぶ)引き受けが低いじゃないかというような問題でございますが、水稲とか陸稲は当然成立でございますので、資格に該当する者はほとんど入るということで、水稲等については九〇%程度の引き受け率になっております。ところが、この果樹共済につきましては任意共済であるというようなことで、本年度はまた初年度のことであるというようなことでありまして、われわれのほうでもいろいろと努力いたしたのでございますが、制度の趣旨徹底が末端まで完全に行き届いておらないような事情等もありまして、このような低い引き受け状態になっておるのでございます。  それから、先ほどお話のありました、樹体を守った農家の方々とそうでない方々に差がつくのではないかというようなことでございます。この点につきましては、われわれといたしましては、個々の農家に対しまして通常なすべき肥培管理につきましてきちんといたしなさいという指導をしておるのでございますが、精農であるとか惰農であるとかというような場合に、通常なすべき肥培管理をしている範囲内におきましては共済金に差をつけるというようなことは、この共済の性格から見て非常に困難な事情になっておるというようなかっこうになっておるのでございます。
  130. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういう機械的な答弁はいいんだけれども、一考を要するというんだよ。これはもう少し制度に手を加えて、共済の立場から精農は精農なりに手だてをしてあげる。ほっておいたほうが十割だから、制度はそうなっているからあれはしようがないという考え方でほうりっぱなしにしないで、手をかけた者が共済金が少ないというようなやり方の一方的な制度じゃなくて、いま少し一考を要するということを注文つけておきます。その点は時間がないからこれで質問を終わるけれども……。  それからもう一つは、なだれなんですが、杉岡参事官、なだれというのはどこがめんどうを見る、なだれの死亡というのは、災害委員会としての窓口はどこなんですか。豪雪対策……
  131. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  この冬の豪雪に関しまして、雪それ自体の被害と同時に融雪期におきましてなだれ対策というのが必要になってまいりました。したがいまして、総理府におきましても関係省庁を二月の中旬に呼び集めまして、なだれあるいは融雪災害でございますが、これに対して、関係省庁においてそれぞれの機関に対して注意を喚起するよう要請したわけでございますが、所管の省庁につきましては、施設それ自体、たとえば道路等におきましては建設省であることはもちろんでございますし、それから鉄道施設等におきましては国鉄等がそのなだれ対策をやっておるわけでございます。一般的な対策といたしましては、たとえば警察庁におきましては、関係の県警本部に対しまして、なだれ対策といいますか、融雪災害に対して警備対策を十分に行なうよう指示しております。それから建設省も、道路あるいは河川等の融雪災害等が出ますので、これに対して次官通達等で指示をしておるところでございます。国鉄は、さっき申しましたように、国鉄もなだれ対策に配慮しておるわけでございます。さらに気象庁におきましても、気象の状況によりまして、必要な注意報あるいは警報等を出すというような措置をいたしておるわけでございます。それからさらに市町村は、じみちに消防等がなだれ等のパトロールあるいはいろんな対策をする必要がございますので、消防庁におきましても、関係県下あるいは県を通じて各市町村、こういったところに融雪、特になだれ等についてパトロールを強化するとかあるいは必要な対策を行なうとかいったような措置を講じておる次第でございます。
  132. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで最後に、今度調査していただく果樹地域の十キロばかり奥になだれが起きて、四人全員死んだ、こういう場合ですが、そこで災害救助法になると思うのだな。厚生省、秋田の四人死亡というやつは御存じでしょう。この場合、災害弔慰金の支給が行なわれる災害についてという通達を出しつつある。ところが、これが三月三十一日までの災害ということになっておる。ところが、このなだれは四月一日なんです。これは運用の妙味でやってくれるんだろうね。どうですか。それだけ確認して終わります。
  133. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害弔慰金につきましては、今回の豪雪について適用するということで、現在私ども準備を進めておるところでございますが、先生のおっしゃったとおり、私ども一応の想定は、去年の十二月からことしの三月までに大体被害が起こるのではないかという想定のもとに、ちょうど三月三十一日、年度がわりでございますので、一応の想定のもとで現在準備を進めておりますが、先生のおっしゃる四月一日の件につきましては、三月三十一日と四月一日、一日の違いで支給したり支給しなかったりすることは当然不合理でございまして、私どもあるいはその想定が間違っているのではないだろうかということで、現在これを改めるように検討いたしているところでございまして、四月一日とはいわず、こういった被害が起こるということが想定されるならば、もう少し先までこれを認めるという形でやらなければならないいこういうように考えております。
  134. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、この問題は、市町村を通して、県を通して申請すれば、この通達によって弔慰金がおりるというように解釈していいですな。
  135. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 私どもからは県に対してそのように指導をするつもりでございます。
  136. 川俣健二郎

    ○川俣委員 では、終わります。
  137. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 諫山博君。
  138. 諫山博

    ○諫山委員 二月二十八日の本委員会で、私は災害査定申請に要する費用が自治体の負担になっているのは不合理だ、自治体の負担にならないように検討すべきではないかという質問をしたら、小坂国務大臣が、どうしてそんなに経費がかかっているのか理解に苦しむ、よく調べた上で検討し、お答えしたいという答弁をしておられますが、その後総理府としては調査なり検討をされたのかどうか、お聞きします。   〔金丸(徳)委員長代理退席、高鳥委員長代理   着席〕
  139. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 前回の長官の御答弁に基づきまして、災害復旧査定申請の設計の作成のために要する費用につきましては、現在建設省、農林省におきまして、各県及び各県を通じましておのおのの市町村に対して調査をいたしておる段階でございます。
  140. 諫山博

    ○諫山委員 私が農林省からいただいた資料を見ますと、たとえば前回私が問題にした福岡県の大野城市、宇美町、須恵町、太宰府町、粕屋町などについて、具体的な数字が示されています。たとえば大野城市の場合は、査定工事費が約三億一千万円、査定設計書作成に要した費用が約千七百万円、宇美町の場合は、査定工事費が四億三千八百万円、査定設計書作成に要した費用が二千二百万円、須恵町の場合は、査定工事費が三億九千万円、査定設計書作成に要した経費が九百三十万円、太宰府町、粕屋町にも大体同じような関係で数字が示されています。こういう傾向、具体的には査定工事費の約五%程度が査定申請に要する費用としてかかっているという結果が出ているのですが、これは全国的に同じような数字なのかどうか、農林省にお聞きしたいと思います。
  141. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいま全体につきましては取りまとめ中でございますので、すべてについてのお答えはできません。とりあえず福岡の対象のところを中心にして調べた数字が、先生ただいまおっしゃったとおりの数字でございます。ただ、傾向として申し上げられますのは、激甚の非常に大きな災害の場合、しかもそういうときにおいて各事業主体がそれに対応するいとまのないような場合、そしてそれに対応する職員の配置のないような場合、千差万別で、現在までのところには、いろいろのケースが出てきております。したがいまして、ただいまのものが、少ないというよりは、むしろ多いというような傾向として受けとめていただきたいと思います。
  142. 諫山博

    ○諫山委員 災害復旧の事業費については、法律で国が大半負担するという仕組みになっています。ただ、災害復旧事業費を計算するためのいろいろな書類の提出が、施行令で義務づけられているわけです。具体的には、災害復旧事業計画概要書というようなものを農林大臣に提出しなければならない。そしてその様式というのはかくかくだということが非常に詳細に示されています。たとえば農林省関係の災害復旧事業計画概要書には、平面図、縦断面図、横断面図、被災図面そのほかいろいろな資料をつけなければならないということが義務づけられているし、指導されております。これに膨大な費用が要る。そして、この費用というのは結果的には補助の対象にならずに自治体の負担にされている、これはおかしいのではないかと前回質問したわけですが、農林省としては、この点どういう調査をされ、どういう検討をされたのか、お聞きします。
  143. 福澤達一

    ○福澤説明員 災害復旧関係の仕事につきましては、農地、農業用施設について、御存じのような暫定法に基づいて事業を実施しておるわけでございます。この暫定法の内容と申しますのは、災害事業、災害に直接必要な事業というものに対する補助の規定をしておりまして、いわば、先生がただいま取り上げておられます災害査定のために必要な概算設計と申しますのは、いまのところ、事業の中に入っておるものではないというように、事務的には解釈しておるわけでございます。
  144. 諫山博

    ○諫山委員 制度の説明はけっこうですが、こういう現在のやり方というのが弱小自治体に膨大な財政負担をかける、不合理ではないかという問題を提起したわけですが、この点は、農林省として検討されていませんか。
  145. 福澤達一

    ○福澤説明員 災害事業につきましては、最近、非常に異常事態になってきております。と申しますのは、集中的な豪雨ということによって、一地域の非常に狭い範囲におきましてたいへんな被害を生ずる。そして、それに対応するということも、従来のやり方ではできにくいというようなケースが出てきておりますので、私どもといたしましては、絶えずその災害の復旧に対する処置につきまして、その簡素化をはじめ、あるいは応援体制の問題につきましても、できるだけ御協力をすることによりまして、そういうことの問題点を何とかして解決していきたいという努力を積み重ねてきておる現在でございます。
  146. 諫山博

    ○諫山委員 農林大臣に書類を出さなければならないということが施行令できまっています。そして、その書類に、いま読み上げましたようないろいろな測量図、写真なんかを添付しなければならない、こういうことをきめているわけです。そして、財政力の豊かな大きな自治体であれば、自治体自身がこれを処理できますが、たとえばいま言った宇美町とか大野城市というような小さな自治体になればなるほど、これが自治体自体の力ではできない。自然、民間に委託するという措置をとるために、膨大な経費がかかるわけです。この状態が不合理だということは、もう議論の余地がないと思いますが、改善策は農林省として考えていないのでしょうか。
  147. 福澤達一

    ○福澤説明員 あくまで査定の概算設計書というのは、補助を受けようとするときはという法三条に基づく処理の規定がございます。したがいまして、現在の段階で災害復旧事業費の中でそれを取り上げるということは非常にむずかしい問題であるというように、私どもは解釈しておるわけでございます。しかし、この災害という異常事態は、その地域に住んでおる、災害を受けた人たちにつきましては異常な事態でございまして、民生の安定という観点に立ちまして、その直接関係しております市町村あるいは県、そういう立場の全体的な財政問題の中においてどういうシニアを占めて、どういうような問題点をかかえておるかということもあわせ行ないながら、この問題につきましては検討しなければならないと思います。それはひとり農林省だけの問題ではないと思いますが、とりあえず私どもは、先生からの前回の御指摘がございましたので、その実態を究明するということに、いま全力をあげておるわけでございます。
  148. 諫山博

    ○諫山委員 自治省にお聞きします。  自治体が災害を受けていろいろな財政負担をこうむる。これは自治省としても非常に関心を示している問題だと思います。そうしていまの問答でもわかりましたように、災害復旧そのものについては自治体の負担というのはきわめてわずかだ、ところが表面にあらわれてこない、災害復旧をしてもらうための申請に膨大な費用がかかる。そうしてこれは表面にあらわれた経費でありませんから、全く自治体の負担になりっぱなし、こういう状態になっているわけですが、この問題で自治省としては何らかの見解がありましょうか。
  149. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  現在特別交付税で災害について措置をいたしておりますが、これは災害を受けた県なり市町村で災害対策本部を設置するとか、その他災害復旧のためにいろいろと支出がございますので、そういった特別の財政事情を考慮いたしまして、一定のルールに従いまして配分をしているわけでございます。ただいま御指摘がありました災害復旧事業にかかる補助申請書の経費の問題でございますが、このことにつきましては、結局そういったかなりの負担を地方が負担すべきか、あるいは一部国費を投入すべきかという問題でございまして、そういった意味で、その経費のあり方あるいはまた手続の簡素化等といったような問題として、各省とよく相談をしていきたい、このように考えているところでございます。
  150. 諫山博

    ○諫山委員 重ねて自治省にお聞きします。  災害が起こって自治体なり個人がいろいろな被害を受ける、こういう場合は、自治体の負担にせずに、なるべく政府が財政を負担する、こういうたてまえがとられているはずだと思います。政府の負担省庁が農林省になるのか自治省になるのか、これはいろいろケースによって違いがありましょうが、とにかく災害による被害は極力自治体には負担させないのだ、こういうたてまえがとられているはずだと思いますが、いかがでしょうか。
  151. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  災害の場合に、いま御指摘のように、地方の負担をできるだけ少なくするという形がとられているわけでございますが、その場合には国庫補助といったような形で直接国の資金を投入していくという形がとられております。災害の場合に、いま御指摘の問題のように、地方の負担を軽くするという場合に、国費を投入するかあるいはたとえば交付税で見るかというような問題になろうかと思います。交付税で見るということになりますと、一般のいわば共通の財源でございますから、地方の負担であるということを認めて、それのいわば事後処理と申しますか、そういった地方の負担をどうするかという問題になりますので、やはり根本的には国費をどのように投入するかといったようなことが検討されるべきではないだろうかというぐあいに考えております。
  152. 諫山博

    ○諫山委員 災害の復旧そのものについては大半国費が投ぜられているわけですが、それを受けるための申請書の提出に膨大な費用がかかる、これには全く国費が投ぜられていないというのが現状です。この点、自治省としてはこれでいいとお思いですか、それとも何らかの改善を要するとお考えでしょうか。
  153. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  災害復旧といったような市町村で非常に支出の多い段階でこのように手続の上で金がよけいにかかるということは好ましくない問題ではなかろうか、それについて何らかの措置を講ずるなりあるいは手続の簡素化をはかるなりそういった方向で検討すべきではないか、このように考えております。
  154. 諫山博

    ○諫山委員 私が指摘した状態が好ましくないということは自治省はお認めになりました。そしてこの問題の一つの解決策として申請手続の簡素化ということをいわれております。私はこれはけっこうだと思います。しかしそれにしても、たとえば四億三千八百万円の災害復旧に対して二千二百万円が弱小自治体の負担になる、現にこういう事態が昨年起こっているわけですが、この問題についてはどういうふうに考えられますか。好ましくない状態をどういう方法で解決できるとお考えでしょうか。
  155. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  申請に要する経費が非常に多いということでございますので、その地方団体の負担を軽減するというためにどのような方法があるか、関係各省といろいろと相談をしていきたい、このように考えております。
  156. 諫山博

    ○諫山委員 特別交付税を計算する場合に、ある自治体が災害によって膨大な被害を受けた、この場合は当然交付税がふえるという取り扱いを受けると思いますが、いま私が指摘している申請に要する費用というのはこの中に含められないものでしょうか。私たちの常識からいえば、災害で受けた被害の中ではこれが現実的には一番大きいわけですから、これが含まらないというのは全くおかしいと思うのです。どうでしょう。
  157. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えします。  結局、先ほど申しましたように、特別交付税で措置をするということになりますと、本来これは地方の負担でよろしいということを認めて、そういった特別の財政事情について何らかの措置をするということになるわけでございますから、そういった経費が本来地方の負担でいいかどうかといりたような点を各省と相談をしていきたい、このように考えているわけでございます。
  158. 諫山博

    ○諫山委員 いまの答弁の趣旨はこういう申請に要する費用というのを自治体の負担のままに放置していいかどうかということを検討したい、ことばをかえれば、この申請の費用を国が負担すべきかどうかを他の省と話し合いをして検討したいという趣旨でしょうか。
  159. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  そのとおりでございます。
  160. 諫山博

    ○諫山委員 農林省にお聞きします。  自治省のほうでは、災害を受けてただでさえ苦労しておる自治体に、さらに政府に書類を出すために膨大な負担をかける、この状態を国の負担に改めるべきではないかという観点から検討すると言われておりますが、問題の一番多い農林省としてはそういう前向きの検討は考えていないのでしょうか。
  161. 福澤達一

    ○福澤説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、地方のそういう財政問題というものにも関係することでございますので、自治省のお答えしたとおり、私のほうも関係各省とよくその辺の協議をすると同時に、問題点をいろいろ詰めて検討してまいりたいと思います。
  162. 諫山博

    ○諫山委員 建設省にお聞きします。  私がいただいた資料によりますと、昨年七月福岡県で起こった災害について、建設省関係の災害復旧についても同じ問題が出ています。たとえば大野城市を例にとりますと、査定工事費が約四千六百万円、そのための査定申請の費用が約百八十万円、宇美町を例にとりますと、査定工事費が約四千二百万円、査定申請の費用が約百十九万円、こういう結果が出ているようですが、建設省のほうとしてはこの問題を同じような立場から検討する方向はないのでしょうか。
  163. 田原隆

    ○田原説明員 ただいま御質問ございましたこの決定金額に対しまして、査定を申請するにあたりまして設計委託費が要るということにつきましては、金額の多少を問わず建設省関係においてもある数字でございます。したがいまして、先般御指示がありましたように、現在、三月四日付で文書を出しまして、各県を通じ、各市町村が要した費用を鋭意調査している最中でございますが、何ぶん年度末でございましたので、設計の工事の施行に力が注がれ、まだ返事が全部参ってない次第でございます。これが参りましたならば、これを分析いたしまして、農林省その他関係各省と協議の上同様の検討をいたしてまいりたい、そのように考えております。
  164. 諫山博

    ○諫山委員 総理府の副長官にお聞きします。  いま、自治省、農林省、建設省からそれぞれ答弁がありましたが、いずれも災害復旧の査定申請に膨大な経費がかかる、これが自治体の負担になるのは問題があるという立場から、それを国に負担させることができないかどうかという方向で検討されるという答弁だったと思います。総理府としてはこの点どのように考えておられましょうか。
  165. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 災害査定の申請用の設計書の作成費用につきまして、各自治体が負担をいたす費用につきまして、先ほど来農林省、建設省、自治省から御答弁がございました。総理府といたしましては、そうした各省庁が財政当局ともよく相談をし、かつ省庁間におきまして制度的な問題も十分に検討していただきまして、そして、こうした費用の国の分担につきまして早急に結論を得るように、総理府といたしましても各省庁の検討方について、促進をはかってまいりたいと存じております。
  166. 諫山博

    ○諫山委員 それはなるべく自治体の負担にならない方向で検討したいという趣旨にお聞きしていいでしょうか。
  167. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 先ほど来各省庁の責任者が御答弁申し上げております趣旨を取りまとめるように総理府としては努力をいたしていきたい、こういうことでございます。
  168. 諫山博

    ○諫山委員 くどいようですが、その趣旨というのは、なるべく自治体が負担しなくても済むようにというふうに理解をしたのですが、総理府もそういう御理解で話を進めていただけましょうか。
  169. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 先ほど来各担当官から申し上げておりますように、当問題につきましては、その申請を行ないまする書類の作成の簡素化等の問題もございます。そういう問題も含めまして各自治体におきまする努力あるいは県の努力、こういうものも含めて考えなければならないとは思いますが、先ほど来先生の御質問にお答えをいたしておりまする趣旨は、各省庁とも国の経費として当問題も検討していかなければならないのではないか、こういう趣旨で御答弁しておると私も聞いておりますので、そうした観点に立って総理府としては取りまとめてまいりたいと存じます。
  170. 諫山博

    ○諫山委員 建設省にお聞きします。  昭和四十七年の大災害については、予算措置によって災害査定の申請費用の一部を国が負担したというふうに聞いていますが、それはそのとおりですか。
  171. 田原隆

    ○田原説明員 そのとおりでございます。
  172. 諫山博

    ○諫山委員 昨年七月三十一日の福岡県の水害というのは、局地的でありましたが、膨大な被害が起こっています。そうして、激甚災の指定も受けているわけです。四十七年の災害について、予算措置で申請費用の一部を国が負担することができたのであれば、同じようなことが、私が指摘した災害についても運用で処理できるはずだと思います。そして局地的ではありますが、たとえば宇美町の場合、人口二万人程度でありながら、申請に要した費用だけが、農林省関係を含めますと二千数百万円。そういう予算措置で、現在まで生じた不合理を解決することはできないのかどうか、お聞きしたいと思います。
  173. 田原隆

    ○田原説明員 お答えいたします。  四十七年災害につきましては、非常に激甚でございましたために、先ほどおっしゃいましたような措置が一部について行なわれたわけでございますが、これはあくまで臨時の単年度限りということで処置されてまいっております。そういう状況でございますので、これをいますぐ四十八年について援用するとかいうようなことは、まだ検討いたしたことがございませんが、四十八年は激甚災はなく局激でございました。これを四十七年のその臨時措置に適用いたしました場合、建設省関係についてはほとんど当てはまるものがない状況でございます。
  174. 諫山博

    ○諫山委員 自治省にお聞きします。  私があげた幾つかの自治体というのは、みずから査定申請書をつくることができないような弱小自治体です。財政規模も非常に小さなところです。ところが、こういうところに限って、災害を受けていながら何千万円という、政府に書類を出すための費用を要する。そしてこれに対してはこれから改善の策を講ずるということはいわれておりますが、現在までのところ、何一つ政府からの財政措置がとられていないということのようですが、現在の時点で、自治省でこの地方自治体の負担を何らか回復するというようなことはできないものかどうか、お答え願いたいと思います。
  175. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  四十八四度の特別交付税の配分は終わっておりますが、今後、特別交付税の配分の場合に、いま申しました申請に要する経費といったようなことではなくて、当該市町村の財政事情といったようなものを十分に考慮いたしまして、その市町村の財政にできるだけ寄与すると申しますか、そういう方向でその市町村の特別交付税の場合に配慮するというようなことは今後とも十分考えていきたい、このように考えております。
  176. 諫山博

    ○諫山委員 私が宇美町の助役さんに聞きますと、とにかく、ただでさえ財政貧困なのに、こういう飛び入りの膨大な支出があったから予算も組めないありさまだというふうに訴えられております。そして、これはおそらく、いままで自治省の数字にあがってこなかった隠れた支出に違いないと思います。  そこで、こういう問題を過去にさかのぼって何らかの行政措置で回復できるように努力していただきたいというのが、自治体の非常に深刻な要望ですが、いかがでしょうか。さっきの答弁は、そういう趣旨だと受け取っていいのでしょうか。
  177. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  先ほど申しましたように、四十八年度の特別交付税はすでに配分を終わっておりますので、過去にさかのぼってというわけにはいきませんが、四十九年度において、当該市町村でどのような特別の財政事情があるか、そういったようなものを勘案する場合に、過去のものを見るということではなくて、その市町村の財政事情を十分分析し配分をしていきたいというぐあいに考えているわけでございます。
  178. 諫山博

    ○諫山委員 わかりやすくいうと、四十八年度の分はいまさらどうにもしょうがないけれども、四十九年度を検討するときにいまの指摘を考慮したいというふうに受け取っていいでしょうか。
  179. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  四十九年度に、そういった災害に関連をいたしまして、さらに支出があるとか、そういった特別の財政需要があるかどうか、そういったようなものも考慮して配分を進めていきたいという意味でございます。
  180. 諫山博

    ○諫山委員 私が指摘した問題が、理屈にかなっていない、何とか改善を要するという点では各省の意見が一致したのではないかと思います。私は、この問題提起が一つのきっかけになって、一日も早く自治体の負担でなくなるように改善されるということを強く要望して質問を終わります。
  181. 高鳥修

    ○高鳥委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十一分散会