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1974-05-22 第72回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十二日(水曜日)     午後四時十六分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 大西 正男君 理事 久野 忠治君    理事 小山 省二君 理事 田中 榮一君    理事 大柴 滋夫君 理事 佐藤 観樹君    理事 津金 佑近君       赤澤 正道君    小泉純一郎君       小島 徹三君    灘尾 弘吉君       松野 頼三君    山田 芳治君       林  百郎君    林  孝矩君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         議     員 松野 頼三君     ————————————— 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   石井  一君     小泉純一郎君     ————————————— 五月二十二日  参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案  (松野頼三君外三名提出衆法第四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第九〇号)  参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案  (松野頼三君外三名提出衆法第四〇号)      ————◇—————
  2. 福永健司

    福永委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  3. 福永健司

    福永委員長 日本共産党革新共同津金佑近君より委員長の手元に、本案に対する修正案提出されております。
  4. 福永健司

    福永委員長 まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。津金佑近君。
  5. 津金佑近

    津金委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、ただいま審議中の内閣提出にかかる公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  あらためて申すまでもなく、国民がその代表者たる公務員選挙する権利は、日本国憲法によって保障された基本的権利一つであり、またその権利は、すべての国民に対して平等であって、政治的、経済的または社会的関係において差別されてはならないのであります。  昭和二十五年に施行された公職選挙法には、この立場から郵便による不在者投票制度が規程されていたのであります。しかるに、その規程は、昭和二十六年に行なわれた一斉地方選挙の際に不正投票行為が生じたとの理由によって、昭和二十七年に廃止されてしまい、現在に至っているのであります。  この結果、現在、国内に百数十万人存在するといわれる身体障害者寝たきり老人など歩行困難な人々は、昭和二十七年以来、実に二十年余にわたって選挙権を奪われ、あるいは選挙のたびに、きびしい肉体的、精神的苦痛をしいられてきたのであります。  選挙権というような国民の最も重要な基本的権利行使を、二十年余にわたって困難な状態にし、事実上奪ってきた政府、自民党の責任は重大であります。  わが党は、一貫して在宅投票制度復活を要求してまいりましたが、戦後二十九年間のさまざまな政治的経験を通じて、日本国民の民主主義的、政治的自覚は、次第に高まってきております。  もちろん不正投票の生ずるおそれを除去すべきは当然であり、身体障害者寝たきり老人などの弱い立場にある人々を利用した悪質な選挙違反は、きびしく糾弾されなければなりません。しかし二十三年前の事例を唯一の理由として、国民基本的権利である選挙権を奪っておくことば、現実に即さないばかりか、むしろ誤りというべきであります。  また身体障害者や、寝たきり老人などの経済的、社会的に弱い立場にある人々はもちろん、やむを得ない理由によって一時的にでも歩行の著しく困難な人々に対しても、権利を制限するのではなく、投票権を可能な限り保障するという前向きの立場から、あたたかい手を差し伸べるのが政治の重大な使命であると確信するものです。  以下、修正案概要を御説明いたします。  政府は、このたび、郵便による不在者投票制度在宅投票制度復活を含む公職選挙法の一部を改正する法律案提出されましたが、審議を通じて明らかになりましたように、その対象者は、身体障害者戦傷病者のうちの下肢、体幹の重度一、二級、内部疾患の一、三級の身障者手帳を有する者、すなわち歩行困難で永続性のある者約十万人に限られております。  したがって、対象がこの範囲に限られることにより、一時疾患による指定病院以外の入院患者自宅療養者妊産婦寝たきり老人などは対象からはずされ、在宅投票制度復活の効果は半減することとなっております。  本修正案は、すべての選挙人に平等に投票権行使を保障する立場から、また一般不在者投票手続きが、きわめて簡素化されている点をも勘案して、前記一時疾患者妊産婦寝たきり老人にも郵便による不在者投票ができるよう対象者範囲を拡大するために、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案の一部を修正することといたしております。  以上が本修正案概要であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。  以上でございます。(拍手
  6. 福永健司

    福永委員長 これにて修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 福永健司

    福永委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。佐藤観樹君。
  8. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、日本社会党を代表して、公職選挙法の一部を改正する法律案賛成討論をいたします。  特に私は、いわゆる在宅投票制度について申し述べたいと思います。  身体障害者方々など歩行が著しく困難な方々が、今日まで二十数年間、事実上投票権が奪われていたことは長年問題となっていたことであります。在宅投票制度復活せよという声は大きな世論にまでなってきたところであります。わが党は、投票の秘密を守り、みずから記載するという自書主義を貫徹するためには、投票箱をこれらの人々のところまで持ち回る巡回在宅投票制度を法制化する法律案国会提出してきたところであります。  しかし不幸にしてわが党案が採決される機会がありませんので、今後とも引き続き検討されることを期待し、とりあえず、政府案は不満ながら在宅投票制度復活ということで賛成するものであります。しかし政府案は、その適用される範囲がきわめて限られており、郵便制度にするならば、投票する者の医者の診断書を付すなど厳正にして、疾病、負傷、妊娠、不具もしくは産じょくにあるため歩行が著しく困難である人々にもさらに範囲を拡大すべきであります。  わが党は今後とも範囲拡大のために討議を続けていきたいと思います。  このように方法は違うにせよ、われわれが提案した在宅投票制度導火線となって政府が重い腰をあげ、在宅投票制度復活させたことに賛意を表するものであります。
  9. 福永健司

    福永委員長 これにて討論は終了いたしました。  これより採決に入ります。  まず津金佑近君提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 福永健司

    福永委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  11. 福永健司

    福永委員長 起立総員。よって、本案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  12. 福永健司

    福永委員長 次に、本法律案に対し、小山省二君外四名より、自由民主党、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。小山省二君。
  13. 小山省二

    小山(省)委員 ただいま議題となりました附帯決議を付すべしとの動議につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  在宅投票制度については、政府は、その実施状況の推移を勘案して今後さらに拡充の方向で検討すること。  右決議する。  以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手
  14. 福永健司

    福永委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 福永健司

    福永委員長 起立総員。よって、本案については、動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、町村自治大臣より発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣
  16. 町村金五

    町村国務大臣 ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して今後検討してまいりたいと存じます。     —————————————
  17. 福永健司

    福永委員長 おはかりいたします。  ただいま決議いたしました法律案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 福永健司

    福永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  19. 福永健司

    福永委員長 本日付託になりました松野頼主君外三名提出参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案議題といたします。
  20. 福永健司

    福永委員長 まず、提出者から趣旨説明を求めます。松野頼主君
  21. 松野頼三

    松野(頼)議員 参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案提案理由説明をいたします。  ただいま議題となりました参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  御承知のとおり、本年七月七日には第十回参議院議員通常選挙執行が予定されております。言うまでもなく、この選挙における投票には、すべての有権者が参加することが望ましいのでありますが、従来の例を見ますと、参議院議員通常選挙投票率は、比較的に低率に推移している状況であります。  そのため、今回の参議院議員通常選挙については、その行われる時期等の事情を考慮し、投票時間を一時間延長して選挙人投票利便をはかり、投票率向上を期することといたした次第であります。  以上が、この法律案提出する理由であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  第一に、この法律施行の日以後初めて行われる参議院議員通常選挙について、公職選挙法第四十条第一項に規定する投票時間を一時間延長し、投票所を午後七時に閉じるものといたしました。  第二に、投票時間の一時間延長措置に伴い、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律規定する執行経費のうち、投票所開票所等にかかる経費について必要な加算を行うことといたしました。  以上が、参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  22. 福永健司

    福永委員長 これにて趣旨説明は終了いたしました。     —————————————
  23. 福永健司

    福永委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤観樹君。
  24. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 まず第一点お伺いをしたいのです。  この提案理由説明にありますように、従来通常選挙投票率が非常に低率にあるということで、七月七日のまだ明るい時期なので、一時間延ばしたらどうかという配慮でありますけれども、はたして投票利便をはかることが投票率を上げることになるのだろうか。具体的には、かえって朝の七時から夜の七時ということで、ちょうど時期がいい時期でありますからレジャーに出てしまうとか、逆に、長くしたことによって投票率が下がってしまうのではないか。その投票率の問題を一体具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  25. 松野頼三

    松野(頼)議員 お説のとおり、投票率向上は時間ばかりではないと私も思います。要するに、選挙意識あるいは選挙に対する関心、これが基本的に投票率向上だと私も思います。ただできれば、選挙に対する関心を高めると同時に、あわせて時間も考えてはどうだ。というのは、三年前の選挙がちょうど六月の二十七日、そのときは実は参議院選挙始まって以来最低の投票率だったわけです。農業政策も変わりましたけれども、田植えがだんだんおくれてきたということもその一つの原因じゃなかろうかとも考えて——時間だけ延ばせばいいというので、三時間も延ばせば一〇〇%投票できるか、それは私は不可能だと思います。そこで、一時間でも、労働過重にならない程度にというので、六時を七時と一時間やってみてはどうだろう。同時にもう一つは、十二時間投票ということはわかりいいのじゃなかろうか、投票は七時、終わりは六時というのも、何となしに、投票が六時で、終わるのが七時じゃないか、こう考える方もありますので、やはり民衆の政治ですからわかりいいように、六時から六時、七時から七時ということで、七時から七時というならば一般にわかりいいのじゃなかろうかという、この二つで、非常にシンプルな解釈かもしれませんけれども、投票は簡単なほうがいいのじゃなかろうかということで、両方考えたのが今回の七時−七時、もちろん確信があるわけでもありませんが、今回やってみたいな——これが冬の選挙ですと暗くなったり何かしますけれども、ちょうど夏ごろだし、今回これができれば、今後もまたいい例が出ればこれも恒例にしたいということで、今回だけという臨時特例にいたしました。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 提案された松野先生は熊本なものですから、頭には農村のことばかりあって、どうもその辺が党利党略くさいにおいがするわけなんですが、七月七日の朝の七時から夜の七時、七並べをやっているわけじゃないので、必ずしもそれで投票率が上がるものだとは私は思わないわけです。ただ過去の例は一回だけあって、これが下から二番目の悪い成績であった。しかもこれはウイークデーだったということもあるかとは思うのでありますけれども、その辺のところで、私たちも必ずしも賛成するわけじゃないのですけれども、しかしいまの御提案のようなことでありますので、私どもいろいろと慎重に配慮をしているわけであります。  いま松野先生からお話がありましたように、十二時間にする、わかりいいのじゃないかということはいいかもしれないけれども、立ち会い人方々とか投票管理方々、あるいは従事する職員方々、こういった方々負担が、一時間ふえることによってたいへん大きくなる。しかも立ち会い人方々民間方々にお願いをする。しかも大きな都会になると、十二時間ずっとすわって、話もせずに投票される方を見ているというのはたいへん大きな労働になるわけですね。その辺のところで、十二時間がわかりやすいというのはどうもあまり解せぬ理由でありますけれども、その分だけの労働過重になる、この点についてどういうふうに御配慮されているのか、その点についてお伺いをしたいわけであります。
  27. 松野頼三

    松野(頼)議員 ただいまの御質問が、実は時間延長理由に私たち提案者として一番心配したことです。十二時間ということは、それはほんとうにたいへんな労働ですし、またかけがえのない、交代のできないというぐらい、きびしい投票だと私は思います。そこで十一時間いままでやっていただいて、さらにもう一時間というのはほんとうに言いにくいのですけれども、今回だけはひとつやっていただいて、そのうちに制度化して、もう少し事務の簡素化ができればいいなということですが、今回ほかのほうが簡素化できませんので、労働過重だけ加わってしまうような気がして、私もその点は、率直に言ってあなたと同じように、今回だけは一時間しんぼうしていただきたいと立ち会い人の方にお願いする以外に実はないのです。その理由としては、非常に投票率を上げたい、この前が非常に悪かった、今回は率を上げたいというので、諸般のことも必要ですけれども、時間も一時間だけごしんぼう願いたい。ほかにあなたの質問に対してお答えするだけのいい弁論が実はないので、おっしゃるとおり労働過重、ごかんべん願いたい、選挙のために。これ以外ありませんね。
  28. 福永健司

  29. 津金佑近

    津金委員 いまの佐藤委員質問に対して、松野さんから、その辺が一番頭の痛い問題だ、しかし可能な限りの処理をとるということが趣旨説明に書いてありますが、真夏に一時間のいわば労働強化になるわけですから、そういうものを補償する財政処置その他は、具体的に大体どのくらいの補償を検討されているか、一つの線をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 松野頼三

    松野(頼)議員 一般的に公務員は、御承知のごとく公務員法により、先般選挙に関しての経費改定をいたしました。その改定基準以上に出すわけにはまいりません。立ち会い人の方も規定の報酬以外、実は規定上は出せないのです。そこでいろいろ考えて、ちょうど夕食時期にもなることだし、はたして食事されるかどうか知りませんが、これは会計法以外に特別手当という意味夕食の用意をするとかいう程度のことをいま考えておるわけで、もっと出したいと思うと今度は会計法にひっかかるものですから、規定範囲内で出せるものは出したい。そこで経費は、たしか規定経費で一時間が二億六千万前後のようです。そのほかにいまの手当を、それは金銭じゃ出せませんので、お弁当ぐらいは用意しなければいくまいというので、これは会計法以外にそういうものを考えて、五、六千万かかるとかいっておりますけれども、正確なことはわかりません。総経費は大体三億一千万前後という程度のものは、いまこの中の経費として考えられております。なお選挙施行の費用がありますので、これを自治省の予算の範囲内においてやりくりできるものがあるならば、それはもう何とかしろということで、私いまお答えできるのが三億一千万前後、その規定範囲内においての優遇措置を私は考えております。
  31. 津金佑近

    津金委員 その問題と関連していま一点お伺いしておきたいと思います。  いまのお答えがあった問題と同時に、本案施行される場合に、全国の多数の選挙管理委員会から寄せられましたいろいろな要望なり悩みですね、そういうものの重要な一つに、いまでさえ職員確保ということについて相当の努力が必要だ、それを一時間延長する。しかもちょうど夕食時に当たるときに一時間延長するということから、この辺が非常に困難だという声が寄せられておるわけであります。たとえば東京選挙管理委員会委員長藤田孝子氏からも、主として民間人による投票管理者投票立ち会い人の協力が非常に得がたいということで、選管はたいへん苦慮しておるという書簡も寄せられておるわけであります。そして特に最近東京などの実例を見ますと、選挙投票立ち会い人が非常に高齢者あるいは比較的高齢の御婦人がその任務についておられるという実例が多いわけでありまして、現行投票時間でさえかなりの負担になっているところをさらに一時間の延長はたいへん過酷である、こういうことからこうした人員の確保がきわめて困難ではないかということを心配する声が多いわけであります。この点は投票に従事する職員、特に婦人職員の場合の問題から見ても同じようなことがいえると思うのです。  そこで私は、そういう努力に対して、いま松野さんが説明された財政面における可能な努力をしていただくということは当然だと思いますが、そういうものに加えて、たとえば一つ方法としていわば交代制ですね、二部制にする。たとえば午前と午後というふうに分けて投票立ち会い人交代で実施するというふうな方法も考えられていいのではなかろうかというふうに思います。これはすべてに対してそういうことをこういう方法でやれというのはまたこれは問題があろうと思いますが、その実情に即して当該選挙管理委員会責任者の判断によってそういう処置も講じ得る、やはりこういう方向がこういうものを解決する一つ方法として考えられてしかるべきではなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、この点に関する御見解を承りたい、こう思うわけであります。
  32. 松野頼三

    松野(頼)議員 現行法はこの三十八条で御承知のとおり三人以上が必ず立ち会い人になれということの規定があります。この規定のさて運用になりますと、御質問のように私も十二時間ほんとうにやれるのだろうかと。実際はどうしているんだといえば、やはり途中で交代して休憩される、あるいは自分の生理的現象で休まれる、あるいは昼食時間に交代されると、現実運営はやはりある時間交代されておるようです。またそうだろうと私は思います。ある意味ではこれは制度化して九人ぐらいにして三人、三人、三人と入れかわってもいいんじゃなかろうかと私も思うのです。基本はしかし同じ人がずっとおらないと投票の公正が期せないという趣旨のようです、この立ち会い人というのは。だから、だれかがずっとおるわけにいきませんから、ダブるようにしていけばいいんじゃなかろうか。午前、午後と人間がかわると全然つながりがないわけです。そこでやはり投票は全投票をだれかが交代交代でも継続して見るというのですから、ダブりながらずっと立ち会い趣旨をそこなわないように交代できればいいのじゃなかろうかと思いますが、いまは各選挙管理委員会運営はおまかせしているので、法律にそれまで規定はありません。交代してもよろしいとも、交代していかぬとも書いてないようです。運営にすべてまかしておるようです。しかし、おっしゃるように、今後やはりある意味においては選挙法の改正をして交代を認めて、そのかわりつながるように交代するのがよかろうというふうなことも考えなければいけないのじゃなかろうか。まあいままでは運営にまかしておりますので、そういうことも今回実情をよく調べまして、この十二時間を機会に今後の研究課題にしたい。いまは運営に全部まかしておるので、法律規定でいけないとも書いてない、やってもいいとも書いてないというのが現状のようです。やはりこれは何か考えてもいいんじゃなかろうかなと。いまは十一時間全部やるようになっていますから、実際はそうやっていくことは不可能なことだと思いますので、今回十二時間になった機会実情を調査して、今後の運営規定できるように——私もおっしゃるようにその点は運営にまかせたといえど、中央の法律もやや無責任なところがあるような気もします。今回御賛成いただいて、この次の機会にひとつその点はともに御研究願いたいと思います。
  33. 津金佑近

    津金委員 これを一つ制度化して採用するかどうかという問題は、いまおっしゃるようにかなり慎重な検討が必要だというふうにわれわれも思っております。したがってこういう点をいろいろ検討されるということは私必要ではないかと思います。しかし同時に、すでに本法は来たるべき参議院選挙から執行されるわけでありますから、現実に十二時間にわたるそういうことが行なわれなければならないということはもう目の前の問題に迫っているわけですね。  そこで、いまお話によれば、そういうことをしてもいいとも書いてなければ、していけないとも書いてないということであります。しかもいまおっしゃられたように、投票の公正を期するということはこれは当然のことだと思いますが、結果としては法律にそういうことが明記されていない以上、選挙管理委員会の実際の運用にまかしておるのだというお考えですので、私は何も制度として直ちに確立しろと言っているのではない。今日現実にこれが執行される場合に当然起こり得る各地の選挙管理委員会のこういう悩み要望を解決する一つ方法としてそういうことはあってもいいのではないかということをお聞きしているわけですから、いまの御答弁は、制度の問題として確立することは今後研究されるとしても、選挙の公正が保たれるということが保証されるならば、選挙管理委員会の判断のもとにそういう余地はあり得る、それは選挙管理委員会責任者の判断によって採用しても差しつかえない問題だというふうに理解してよろしゅうございますか。
  34. 松野頼三

    松野(頼)議員 差しつかえございません。選挙の公正を期することの中においてある程度交代制運営で認められても、それは私は差しつかえありません。
  35. 津金佑近

    津金委員 以上で終わります。
  36. 福永健司

    福永委員長 林孝矩君。
  37. 林孝矩

    ○林(孝)委員 参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案の先ほどの説明の中で、通常選挙投票率は比較的低率に推移している状況というものを踏まえて投票率を上げるためにという、一つ提案理由説明がありました。先ほど同僚委員からその件に対して質問があったわけでありますが、その答弁の中で、選挙意識向上とあわせて時間を考えるという発言があったわけであります。この時間と同時に選挙意識向上ということを考えますと、これはやはり信頼を取り戻す政治だと思います。この信頼を取り戻す政治ということをたな上げにしておいて、時間だけで解決される問題ではないと思います。その点に対する配慮がなければ、これは片手落ちの法律をつくることになると思います。したがってこの点に対する考え方を明確にしておいていただきたいと思います。
  38. 松野頼三

    松野(頼)議員 先般御審議いただきました予算の中に選挙法の予算があります。昨年の予算よりも五〇%以上——選挙の普及といいますか公明選挙の宣伝普及のために毎年予算をふやしていますが、ことしはわりに大幅にふやしてあります。もちろん予算だけでいいわけではありません。テレビを使い、新聞を使い、あるいは人を使い、講演をしたり、結局全般的に選挙意識と公明な選挙というものを国民に周知徹底させるために、私はあらゆる方法をやらなければいけないと思うのです。政府が幾ら予算を組んだからといって、それだけでいいとは思いませんけれども、政府政府なりに予算を昨年よりも大幅に計上して、宣伝とか講演等によって推進をはかりたいということで努力していますが、まだ満足じゃありません。投票率が悪いのですから、政府責任も一端はあると思います。しかし方向としては努力していると思います。
  39. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私の申し上げておるのは、信頼を取り戻す努力として、たとえば定数是正の問題であるとかあるいは政治資金規正の問題であるとか、そういうことに関する努力をされることが信頼を取り戻す政治である、そういうふうに思うわけでありますが……
  40. 松野頼三

    松野(頼)議員 おっしゃるとおり、一番大きな問題は定数問題だと私は思います。確かに定数の不均衡、もう一つ制度の問題、この二つは、選挙制度といえばもうたいへんな政治問題になるくらい世論が沸騰する。また定数もやはりその地域においては沸騰しています。やはり制度と定数というのは基本的にどうしてもいつかは取り組まなければならない。どちらか一つかもしれません、両方一緒にやられるかもしれません。これはやはりなるべく選挙民に近づけること、まあ代表的なのが全国区をごらんになるとわかりますね、何とか名前を周知徹底させるためにたいへんな努力をされている。これを見ると、やはりなるべく少ない地域に多くの有権者がおる小選挙区が周知徹底は一番早いと私は思うのですよ。(発言する者多し)私はですよ。反対もありましょう。だから私は小選挙区でなければいけないとここで議論はしませんが、(林(孝)委員委員長、これは問題です」と呼ぶ)要するに、選挙制度そのものを考えるということと、もう一つは普及宣伝することです。(「小選挙区のことを言う人の提案なら反対だよ」と呼ぶ者あり)だから、小選挙区の問題は関係ありませんけれども、普及宣伝するためには選挙民と選挙区というものを近づける、有権者と被選人というものが常々近づくということが大事なことだと私は思います。と同時に、選挙を管理する政府政府としての働きがある、私はこう思います。小選挙区のことはきょうは議論がありませんから、これはなかったことにしていただきたい。これは陳謝しておきますから、取り消していただきたい。
  41. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、第二に「投票所開票所等にかかる経費について必要な加算を行なうことといたしました。」ということであります。さらにこの時間延長に関していろいろな問題が付属している。即日開票の遅延だとか、あるいは今回限りであるということでありますけれども、労働過重だとかいうような問題もあったわけです。この労働過重という問題に対して、特別配慮を行なう、財政的な措置を講ずるということで、先ほど二億六千万ぐらいかかるのを三億一千万前後という話になったわけでありますけれども、これはやはり提案者の答弁だけでは、提案者が出されるわけではないわけですから、自治省の答弁をこの問題に関しては明確にしておいていただきたいと思うわけです。
  42. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお話がございましたように、一時間延長になれば当然それに応じて超過勤務ということが出てくるわけでございますから、超過勤務手当をはじめといたしまして、必要な経費というものは私どもとしては当然出すべきである、財源措置をすべきであると考えております。ただ、先ほどもお話がありましたように、機械的なそういった計算だけではなくて、一時間延長になったからといっても、たとえば夕食代が要るというようなこと等も出てくる。そういう別の面からの要請も出てくるかと思います。そういった点を先ほど松野先生からもお話がございましたけれども、財源措置をする必要があるのではないかということでございますので、そういうものを含めまして、できるだけ実態に応じました措置を私どもとしてはできるように考えていきたいというふうに考えております。
  43. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  44. 福永健司

    福永委員長 小沢貞孝君。
  45. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 一点だけお伺いいたします。時間を一時間延長することによって即日開票にどういう影響を及ぼすか、こういうことであります。  その前に事務当局にお尋ねしますが、途中まで開票しておいて、これできょうはやめておいてあしたにしようとか、そういうことは法律できまっておるのですか、都道府県の選挙管理委員会にゆだねられておるのですか。その事務的なことを先に伺いたい。
  46. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 法律でそういうことは特別きめてございません。ただ、開票事務にかかれば終わりまでやるというのが通常でございます。
  47. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、一時間投票をおくらせた。今夜じゅうに開票できないから、そこの選管の判断で、翌日開票をしようじゃないかというところがたくさん出てくるか、こういう問題であります。
  48. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、適当な時間でやめて残りは幾らということではなくて、その日に即日開票をやるのか、あるいは翌日開票にするのかということは、これは選管がきめるわけでございますが、ただいま仰せのように、一時間おくれることによって、いままでならたとえば二時間ぐらいまでに終わるであろう、だからそこまでならひとつがんばろうということでやっておったところが、三時までになるんだったらかなり過重になるので翌日開票にしようというところがあるいは出てくる可能性があるかもしれない。これは私どもとしてはっきりわかりませんけれども、そういう事態が全然起こらないとは言えないというふうに考えております。
  49. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうすると、前回選挙の開票の状況等、朝三時で終った、二時で終わったという前回の例を見て、今度は一時間おくれたから三時というのが四時になる、こういう判断がつけば都道府県選管は翌日開票という指示を出して、翌日開票にするところが多くなってくるのではないか、こういうように考えるわけです。そういうような理論になると思うのです。そうすると、今度の選挙でこれが行なわれるとだいぶ翌日開票がふえてくる、こういうふうに判断していいでしょうか。
  50. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 確かに一時間だけの問題はあるわけでございますけれども、実際問題としては一時間程度でございますから、先ほど申しましたように、絶対ないとは申し上げられませんけれども、いろいろ選管としては最近新しい事務機械等も入れております。いろいろな合理化もはかっておりますので、そう大きな変動はないのではなかろうかというふうに考えております。といって全然ないということは私も断言できません。
  51. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 じゃ質問を終わりますが、この法律施行にあたって、そういう開票のことについて何か示達を出すわけですか、一緒に開票の方法について。
  52. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いずれにいたしましても、法律施行通達という形でこういうものの取り扱いというものは示達するわけでございます。そういう点、一時間延びたからといってもなるべく即日開票をやるようにとかどうとかいう文言を入れるかどうか、そこらはまだ詰めた形にはなっておりませんけれども、どういう扱いにするかということは、その際十分に検討したいと思っております。
  53. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 わかりました。提案者はそこはどういうふうに考えますか。
  54. 松野頼三

    松野(頼)議員 私はいままでの例で見ると、おそらくどこでも即日開票していただけるのじゃなかろうか。一時間おくれるということは、十二時の終了が一時になり、二時の終了が三時になるかもしれません。私がそれを言うのは、この前二時間延長したとき、やはり即日開票のところは即日開票になっております。その例を見て、大体そう大きな変動はないのじゃなかろうか、翌日開票のところは翌日開票、即日開票は即日開票、いままでどおりやっていただけるのじゃなかろうかというので提案をいたしました。
  55. 福永健司

    福永委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  この際、本案について、国会法第五十七条の三により、内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。
  56. 町村金五

    町村国務大臣 本法案につきましては、政府としてはその内容に異議はございません。     —————————————
  57. 福永健司

    福永委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  参議院議員通常選挙に関する臨時特例法案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  58. 福永健司

    福永委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  59. 福永健司

    福永委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 福永健司

    福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  61. 福永健司

    福永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会